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平成25年11月定例会本会議-11月27日-03号

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  1. 長野県議会 2013-11-27
    平成25年11月定例会本会議-11月27日-03号


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    平成25年11月定例会本会議-11月27日-03号平成25年11月定例会本会議 平成25年11月27日(水曜日)  出席議員(56名)   1 番 中川博司      27 番 金子ゆかり   2 番 依田明善      28 番 和田明子   3 番 石和 大      29 番 今井正子   4 番 藤岡義英      30 番 永井一雄   5 番 中川宏昌      31 番 諏訪光昭   6 番 清水純子      32 番 小池 清   7 番 小池久長      33 番 清沢英男   8 番 桃井 進      34 番 垣内基良   9 番 髙橋岑俊      35 番 竹内久幸   10 番 甕 裕一      36 番 佐々木祥二   11 番 吉川彰一      37 番 向山公人   12 番 山岸喜昭      38 番 高村京子   13 番 荒井武志      39 番 小林伸陽   14 番 堀場秀孝      40 番 村上 淳   15 番 続木幹夫      41 番 小松千万蔵   16 番 両角友成      42 番 西沢正隆   17 番 小林東一郎     43 番 風間辰一
      18 番 太田昌孝      44 番 平野成基   19 番 今井 敦      45 番 本郷一彦   20 番 丸山栄一      46 番 倉田竜彦   21 番 小松 稔      48 番 高橋 宏   22 番 野澤徹司      49 番 石坂千穂   23 番 小島康晴      50 番 宮澤敏文   24 番 下沢順一郎     51 番 村石正郎   25 番 鈴木 清      52 番 木下茂人   26 番 宮本衡司      54 番 服部宏昭   55 番 望月雄内      57 番 下﨑 保   56 番 古田芙士      58 番 石田治一郎  欠席議員(1名)   53 番 萩原 清         ───────────────────  説明のため出席した者   知事        阿部守一    会計管理者     長澤一男   副知事       和田恭良    公営企業管理者   副知事       加藤さゆり   職務執行者・企   岩嶋敏男   危機管理監兼危           業局長   機管理部長     久保田篤    財政課長      平木万也   企画部長      原山隆一    教育委員会委員   総務部長      岩﨑 弘    長         櫻井久江   総務参事      髙田幸生    教育長       伊藤学司   健康福祉部長    眞鍋 馨    教育次長      青木 弘   環境部長      山本浩司    教育次長      笠原千俊   商工労働部長    太田 寛    警察本部長     山崎晃義   観光部長      野池明登    警務部長      岡本 努   農政部長      中村倫一    監査委員      吉澤直亮   林務部長      塩入 茂   建設部長      北村 勉         ───────────────────  職務のため出席した事務局職員   事務局長      北原政彦    議事課担当係長   若林憲彦   議事課長      大日方正明   総務課担当係長   坂家智浩   企画幹兼議事課           議事課主査     伊藤啓一   課長補佐      浅岡龍光         ───────────────────  平成25年11月27日(水曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(本郷一彦 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。  次に、萩原清議員から本日欠席する旨の届け出がありましたので、報告いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(本郷一彦 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、小池清議員。       〔32番小池清君登壇〕 ◆32番(小池清 君)おはようございます。それでは質問をさせていただきます。最初に、医療体制の充実について伺います。  初めに、災害医療コーディネーターの設置について伺いますが、大規模災害が想定される自治体では、地域防災計画の医療分野において、災害発生時に助言する災害医療コーディネーターの活用を盛り込んでおります。  長野県では、第6次長野県保健医療計画において、災害時の保健医療活動として、災害が発生した場合は長野県地域防災計画に基づき県災害対策本部内に設置される県災害医療本部において保健、医療、消防、行政等関係機関との連携により医療提供体制の確保に努めるとして、発災後に県災害医療本部に設置される災害医療コーディネートチームに参画するコーディネーターについて常設化などあり方について検討をするとしております。これは第5次長野県保健医療計画からの継続した課題ともなっておるわけであります。  そこで、災害医療コーディネーターの必要性と現在の取り組み状況を伺います。  次に、災害薬事コーディネーターについて伺います。  東日本大震災において、薬剤師による災害時の救護活動は、医療救護所、医薬品集積所、避難所などのさまざまな状況において実績を上げました。東日本大震災では災害医療活動に薬剤師の存在が不可欠であることが認識されたことから、災害時の派遣医療チームに必ず薬剤師が参加する体制を整備する必要があります。特に大規模災害発生時には、現地での指揮命令系統が寸断され、災害救助に赴いた薬剤師班が適切な情報を収集し、長期にわたる活動を支援するための拠点が必要となります。  また、医薬品や衛生材料等の迅速な提供とその適正な使用を確保するために、一元化した指揮命令系統の中で薬剤師が適切に関与する仕組みが求められているところであります。  都道府県及び市町村においては、災害時に、医療にかかわる物的資源や人的資源の調整役として災害医療コーディネーターが委嘱され、災害時の拠点となる施設において活動することが求められておりますが、医薬品の供給を中心とした薬剤師班の薬事衛生活動については一般的に災害医療コーディネーターの業務の範囲外とされています。  以上のことから、災害時に薬事を担当する災害薬事コーディネーターの養成及び救護活動の拠点となる薬局の整備の必要性に関して考えを伺います。  三つ目に、薬局の活用について伺います。  厚生労働省医薬食品局の14年度予算概算要求では、政府の日本再興戦略を受け、薬局、薬剤師を活用した健康情報拠点の推進、革新的製品の実用化推進に向けた審査、安全対策の充実と強化を推進枠に位置づけております。推進枠を生かして新規事業として薬局、薬剤師を活用した健康情報拠点の推進事業を盛り込み、セルフメディケーション推進に向けた拠点等医療に関するモデル事業を全国47都道府県で実施するとされております。  現在、長野県には約900の薬局が存在しております。薬局は、医療提供施設として医療法に明確に位置づけられ、健康な人から治療中の方まで地域住民が気軽に利用できる身近な存在となっております。  本年2月に策定されました信州保健医療総合計画は、少子・超高齢化を背景に、5疾病5事業及び在宅医療の中で、地域住民に対して薬局や薬剤師がその役割を果たすこと、そして薬剤師の育成と活用が盛り込まれました。また、同計画第4編「健康づくり」の中でも、地域住民が身近で気軽に専門的な支援、相談が受けられる健康支援拠点薬局等の活動拠点を整備するとした目標が設定をされておるところであります。  つきましては、地域住民が身近で気軽に専門的な支援、相談が受けられ、セルフメディケーションの拠点となるような健康支援拠点としての薬局の活用が必要と考えます。  以上3点につきまして健康福祉部長に所見を伺います。       〔健康福祉部長眞鍋馨君登壇〕 ◎健康福祉部長(眞鍋馨 君)私には医療体制の充実について3点お尋ねをいただいてございます。順次お答え申し上げます。  まず、災害医療コーディネーターについてでございますけれども、この災害医療コーディネーターというものは、災害時の医療活動につきまして、専門的な見地から、県災害医療本部長であります健康福祉部長ということでございますが、これに助言を行う者ということでございます。平成23年2月に策定いたしました長野県災害医療活動指針において規定しているところでございます。  平成23年3月に発生いたしました東日本大震災におきましては、県医師会長と災害拠点病院の統括DMAT2名の先生、計3名の医師を災害医療コーディネーターとして委嘱しまして、被災地へのDMATや、その後に続きます医療救護班の派遣等について御助言をいただいたところでございます。  このときの経験を踏まえまして、ことし2月に策定いたしました信州保健医療総合計画でも、これは議員御指摘のとおりでございますけれども、平時からコーディネーターを委嘱する常設化ということでございますけれども、この検討を行うこととしておりまして、6月に開催いたしました県災害・救急医療体制検討協議会というものがございますけれども、これにおきましてそのあり方についてワーキンググループの設置を決定し、検討していこうとしてございます。  このワーキンググループにおきまして、常設化の必要性のほか、常設化した場合の人数、それから任期、配置先等、こういうことに関しまして具体的な検討を行いまして、26年度中には結論を得たいというふうに思っております。  続きまして、災害薬事コーディネーターの養成と救護活動の拠点となる薬局の整備についてお答え申し上げます。  まず、災害薬事コーディネーターについてでございますけれども、災害発生時に医薬品や薬剤師等に関するニーズを把握し、その資源の適切な配分を行うことを主な任務とするものでございます。現在、高知県や静岡県、熊本県等で導入されていると承知をしております。  本県におきましてはまだこのコーディネーターは設置されておりませんけれども、災害発生時におきます医薬品や薬剤師のコーディネート業務の重要性は認識しておるところでございます。これも議員御指摘のとおりでございまして、東日本大震災でも、急性期の薬剤のみならず、被災地での避難場所での生活が長期化するに及びまして薬品のコーディネートというのは非常に大事になったということが浮き彫りになったところでございますけれども、今後、設置の必要性や役割等につきまして先ほど申し上げました県災害・救急医療体制検討協議会で検討してまいりたいというふうに思っております。  次に、救護活動の拠点となる薬局の整備についてでございます。  災害発生時の医薬品等の供給拠点というものは、あらかじめ特定の薬局に対して設備等を整備するというよりも、むしろ医薬品等の供給が発災時に迅速かつ円滑に行われる体制整備というものが重要であるというふうに認識してございます。現在、災害発生時の対応を長野県薬剤師会の災害対策特別委員会というところで検討していただいておりまして、長野県もその構成員として参画しております。こうした協議の場を通じまして、災害発生時に迅速かつ円滑な体制整備が図れるように努めてまいりたいと思っております。  三つ目でございます。健康支援拠点としての薬局の活用についてお答え申し上げます。  現在、本県には972の薬局がございます。それぞれの薬局には薬の専門家である薬剤師が常駐いたしまして、日常的に地域住民の健康に関する相談を受け付けているところであります。本年4月からスタートしました信州保健医療総合計画におきましても、健康づくりに関して身近で専門的な支援、相談が受けられる民間団体の活動拠点といたしまして健康支援拠点薬局ということの増加を目指しているところであります。  また、これも議員御指摘のところでございましたが、国では、新たに、日本再興戦略を踏まえまして、薬局、薬剤師を活用した健康情報拠点の推進事業ということを来年度の概算要求に盛り込んでいるところでございます。  こうした状況を踏まえながら、私どもとしては、県の薬剤師会とも相談、連携しながら、薬局のさらなる活用を図ってまいりたいというふうに思っております。  以上です。       〔32番小池清君登壇〕 ◆32番(小池清 君)県民の皆様方の健康を維持するために、しっかりとした体制が整いますようなお取り組みをお願いを申し上げる次第でございます。  次に、再生エネルギーの活用について伺います。  原子力発電のあり方についての議論が高まっております。何十年後かはわかりませんが、将来原発をゼロにするという期待も集まっておるところでございます。一方、エネルギー安全保障上の問題が時々起っている現実を見ますと、一つのエネルギー、あるいは国に頼り過ぎることは問題ですが、それ以外にも、供給設備の能力、災害などによっても供給と価格に大きな影響が生じることがあります。  日本が原子力を失い、結果として供給源の分散が少なくなりますと、将来、電力供給の途絶あるいは電気料金高騰を経験することになるかもしれないとの指摘もあるわけであります。  原発維持の意見としては、適切な電源構成に関してということで、自給率4%のエネルギー小国である日本に完全なエネルギーは存在しない、原子力や再生可能エネルギー、火力など多様なエネルギーと省エネをバランスよく活用していくことが必要、重要なことはエネルギー安全保障、経済性、環境、地球温暖化と安全性の総合的な視点だとされます。  また、再生エネルギーに関しては、推進は重要ですが、一定以上になれば買い取り費用などコストが膨らみます。日本エネルギー経済研究所では、発電量に占める再生エネルギーの比率はコスト面などから見て25%が分かれ目、再生エネルギーは潜在力がありますが、実現性はなかなか難しいともしております。  原発廃止論では、脱原発に関しての意見といたしましては、おおむね20年後の2030年までにゼロに持っていくのが現実的だ、この間の再稼働は認めるが、新たな規制組織による本格的な基準により再稼働できる原発とできない原発が出てくる、安全基準を満たした原発だけを動かすことで2030年までの脱原発を考えているという意見もあります。  原発をどのようなエネルギーで代替するかに関しては、再生可能エネルギーと節電が二つの柱です。20年あれば再生エネルギーは原発を補えるほどに育つ。スペインやドイツではこの10年程度で導入拡大に成功し、発電量に占める割合は20%まで高まった。欧州が10年程度で15%ふやしたなら、後発の日本はもっとふやせる。固定価格による全量買い取り制度も欧州を参考にできる。こうしたノウハウを活用すれば、30年の時点で30%以上にふやすことができると考えているとしています。  そこで、欧州の状況を見ますと、フランスではオランド政権が縮原発を掲げて登場しましたが、閣内からは雇用確保や電力料金の安定を理由に原発維持を主張する意見が表面化しています。ドイツでは、2000年に太陽光、風力などの再生エネルギーからの電力を市場価格より高く買い取る固定価格買い取り制度を導入、2022年の原発廃止を決めましたが、再生可能エネルギー導入による家庭用電気料金が2倍になったことや地球温暖化ガスの排出量増大に悩んでいます。欧州では原発依存度を下げる動きが強まったかに見えましたが、課題は多いようであります。  このように、再生エネルギーの発電コストについては全体で幾らかを考える必要があります。原発の電気を賄うほどの再生エネルギーが導入されれば、電気料金の上昇は今のドイツどころの話ではなくなります。ドイツでは、やっと太陽光と風力からの発電量が12%になったところであります。EU27カ国のうち10カ国の家庭用電気料金は日本の平均的な料金を上回るほどに上昇をしております。欧州の経験を日本でどのように生かしていくかが課題となっているわけであります。  経済への影響では、国際競争をしている産業の空洞化が深刻になり、産業が弱まれば国民生活も成り立たなくなるわけであります。  長野県においても、再生エネルギーの取り組みとして、小水力発電の普及促進、地下熱利用、メガソーラープロジェクト、1村1自然エネルギープロジェクト地域主導型自然エネルギー創出支援事業を推進しております。  また、企業局では、新規に発電所の建設と中小規模水力発電技術支援事業を行っているところであります。  そこで、伺いたいと思いますが、これらの事業の進捗状況はどのようになっているのでしょうか。
     二つ目に、これらが県内電力需要へ寄与できる割合はどの程度と考えているのでしょうか。  三つ目に、発電コストはそれぞれどの程度と積算をしているのか。伺いたいと思います。  また、四つ目として、環境・エネルギー自立地域創造プロジェクトにおいて、達成目標を発電設備容量で見るエネルギー自給率は、現在58.6%、目標平成29年度で70%としておりますが、この詳細な内容と、これらを発電量であらわすとどのようになるのか。伺いたいと思います。  あわせまして、再生エネルギー依存の可能性を発電量で示すとどの程度の割合であると考えるのか。伺います。また、達成の年度はいつごろとなると考えておるのかも伺いたいと思います。  五つ目に、長野県として脱原発の可能性をどのように分析しているのか。伺います。また、電力確保をどのように今後考えていくのか。  以上の点、環境部長に伺います。       〔環境部長山本浩司君登壇〕 ◎環境部長(山本浩司 君)それでは再生可能エネルギーの活用につきまして順次お答えをさせていただきます。  初めに、事業の進捗状況についてのお尋ねでございます。  自然エネルギー資源を活用した事業の創出や地域づくりを推進する取り組みといたしまして昨年10月から登録を開始しております1村1自然エネルギープロジェクトにつきましては、現在までに43プロジェクトを登録したところでございます。  また、地域のエネルギー自給率を向上させ、地域社会経済の活性化を図ることを目的に、平成24年度に実施いたしました自然エネルギー自給コミュニティ創出支援事業及び本年度拡充いたしました地域主導型自然エネルギー創出支援事業により、延べ26事業者に対して事業費の一部を補助し、支援を行ってきたところでございます。  これらに加えまして、平成23年度から実施しておりますグリーンニューディール基金事業によりまして、19市町村に対して自然エネルギー設備導入費用等の補助を行っております。  次に、県内電力需要への寄与についてのお尋ねでございます。  ただいま説明させていただきました取り組みによる発電事業の設備容量の合計は約6メガワットであり、県内電力需要297万キロワットと比較いたしますと大変微少ではございますが、この1年間で進められた県内の固定価格買い取り制度稼働済み設備容量のおおむね5%を占めている状況にございます。  以上の取り組みは、直接的な効果のみならず、自然エネルギー事業のモデルとして、また知見の蓄積など間接的な効果をも主眼としているところでございます。  次に、発電コストについてのお尋ねでございます。  固定価格買い取り制度によるエネルギーごと買い取り価格は、経済産業省が設置いたします調達価格等算定委員会において、設備設置費や維持管理費、売電利益等をもとに算出をされております。  発電コストについてのお尋ねでございますが、わかりやすく税抜きの買い取り価格でお答えをさせていただきますと、10キロワット未満の太陽光発電は1キロワットアワー当たり38円、10キロワット以上の太陽光発電は36円、200キロワット未満の小水力発電は34円、木質バイオマス発電は32円となっております。  次に、エネルギー自給率についてのお尋ねでございます。  しあわせ信州創造プランの環境・エネルギー自立地域創造プロジェクトでは、平成22年度の最大電力需要である297万キロワットを基準といたしまして、節電、省エネルギーの取り組みによりまして最大電力需要を下げつつ、自然エネルギーと既存の水力発電設備を足し合わせた再生可能エネルギー発電設備の容量をふやしていくこととしております。  具体的には、本プランの最終年度である平成29年度までに、節電、省エネルギーにより最大電力需要を約30万キロワット減少させるとともに、自然エネルギー発電設備を14万キロワット増加させ、自給率70%を目指します。  この14万キロワットの設備の内訳でございますが、太陽光発電で約12.7万キロワット、小水力発電で約0.3万キロワット、木質バイオマス発電で約1万キロワットを見込んでおります。  この種別ごとの発電設備容量をもとに設備利用率を考慮いたしまして年間発電量を試算をいたしますと、太陽光発電は、基本、昼間の晴天時のみの稼働ということで設備利用率は12%となりますが約1億3,350万キロワットアワー、以下、小水力発電は65%で約1,780万キロワットアワー、木質バイオマス発電は80%で約7,000万キロワットアワーとなります。  次に、エネルギー消費量で見るエネルギー自給率についてのお尋ねでございます。  長野県環境エネルギー戦略では、年間エネルギー総消費量に占める再生可能エネルギー供給量の目標を立てております。これは、県内で1年間に消費される電気、熱、ガソリン、灯油など燃料のエネルギー総量に対して、県内の自然エネルギーとしての電気、熱、燃料、既存水力発電設備が生み出すエネルギーがどれだけあるのかを示したものでございます。これで算出いたします自給率は、基準年度の平成22年度で6%でございますが、これを、省エネルギーの取り組みと自然エネルギーの普及によりまして、平成32年度までに11%、平成42年度までに19.3%、平成62年度までに34.4%まで増加することを目標としております。  次に、脱原発の可能性と電力確保の考え方についてのお尋ねでございます。  東日本大震災による原子力発電所事故を契機に国ではエネルギー基本計画の抜本的な見直しを進めておりますが、安倍首相が2月の施政方針演説で、省エネルギーと再生可能エネルギーの最大限の導入を進め、できる限り原発依存度を低減させていくことを表明されているところでございます。  県としましては、国や電力需給の状況のみならず、昨今のエネルギー価格の高騰や自然エネルギーの地域活性化への効果なども踏まえまして、省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの普及拡大など、国の方針とも整合させつつ電力確保に寄与してまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、エネルギー基本計画をめぐる国の動向につきましては今後とも十分注視してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔公営企業管理者職務執行者企業局長岩嶋敏男君登壇〕 ◎公営企業管理者職務執行者・企業局長(岩嶋敏男 君)新規発電所の建設及び中小規模水力発電技術支援事業についてのお尋ねでございます。  まず、新規発電所の進捗状況でございますけれども、平成28年度中の運転開始に向け建設を進めております高遠発電所、奥裾花第2発電所につきましては、この11月下旬に基本設計を終えまして、来年1月には詳細設計を発注する予定でございます。  これら発電所の県内電力需要への寄与につきましては、設備容量は合計1,160キロワットで、県内最大電力需要の0.04%に当たります。年間発電量は約700万キロワットアワーで、県内年間消費電力量の約0.05%、標準家庭約1,900世帯分に相当いたします。  また、消費者にとってコストとなります売電単価につきましては、固定価格買い取り制度の適用によりまして、高遠発電所、奥裾花第2発電所、それぞれ1キロワットアワー当たり34円、29円を見込んでいるところでございます。  次に、中小規模水力発電技術支援事業につきましては、昨年9月に企業局内に支援チームを設置いたしまして相談、助言を行ってまいりました。これまでの相談件数は18件でございます。  また、本年度から環境部などと連携いたしまして小水力発電キャラバン隊を組織しまして、県内4ブロックでの出張相談を行いました。32団体から34件の相談を受けたところでございます。引き続き、これまで培ったノウハウを生かしまして必要な支援を行ってまいりたいと考えております。  以上です。       〔32番小池清君登壇〕 ◆32番(小池清 君)県民生活を支えるとともに、安全、安心な電力供給の体制、長野県らしい取り組みをこれからもぜひともしっかりとしていただくことをお願いをしておく次第でございます。  次に、電子行政、オープンデータの活用について伺います。  世界各国で、インターネットの双方向性等を活用することで積極的な政府情報の公開や行政への市民参加を促進するオープンガバメントの取り組みが進んでおります。  日本においても、新たな情報通信技術戦略において、行政情報の公開、提供や政策決定への参加等を政府として推進していくこととしました。その中でも、データを公開することを通してオープンガバメントを推進するオープンデータが注目され、電子行政オープンデータ戦略が策定され、さらに世界最先端IT国家創造宣言でオープンデータが重点項目として記載されたところであります。  この新IT戦略、世界最先端IT国家創造宣言では、2020年までに世界最高水準のIT利活用社会を実現することを目標としております。これは、企業などが保有する膨大なデータ、ビッグデータの活用や公共データの民間開放、農業や医療分野へのIT導入など最新トレンドが盛り込まれております。  新戦略のメニューを見ますと、公共データ開放は、政府や自治体が保有するデータをネットで公開し、民間が使えるようにすることで新ビジネスの創出を促す取り組みであります。行政情報は宝の山であり、飲食店の開業、廃業、道路工事の実施状況など民間が入手できないような情報が集まっております。農業、医療では開拓余地が大きい領域として注目を集め、クラウドを使った営農システムやセンサーを使った農作物の育成管理などが次々と登場をしております。  ITを活用した社会インフラの維持管理は、ビッグデータ解析技術を組み合わせれば故障の前兆を検知し、重大な事故を未然に防げます。  行政システム改革には具体的な数値目標が盛り込まれ、2018年までに現在の情報システム数を半数近くまで削減するとしております。2021年度までに削減する全てのシステムをクラウド化することによりまして運用コストが3割削減されるということが見込まれておるところであります。  しかし、政府も地方自治体もシステムの標準化がされていないのが現在の状況であります。役所ごと、用途ごとにつくり込まれた特注品で運用されております。システムを特注する次世代システムも、現行システムを構築した企業に依頼することになります。こうして受注企業が固定される現象はベンダーロックインと呼ばれ、IT戦略ではその解消が明記されておるところでもあります。  同じ業務でありますれば特注せずに同じシステムを使うのが国民経済的には効率的であり、政府、また地方自治体はシステムの標準化に取り組むべきと考えます。  ほかにも、ビッグデータの利活用促進、医療情報連携ネットワークの構築、利便性の高い電子行政サービスの提供などが挙げられるわけであります。  そこで、伺いたいと思いますが、一つ目として、公共データの民間開放では、2013年度中に国の各省庁の公開データが一覧できるサイトが試行的に立ち上げられるとされております。14年度から本格運用されることになっておりますが、地方自治体でも取り組みが始まっております。  幾つかの自治体では、ホームページで公開する情報を多方面で利用できるXMLあるいはRDFといったデータ形式で積極的に公開するデータシティーを目指しておるところでもあります。  また、電子行政の新たな手法として、行政機関がウエブを活用して積極的にデータの提供を行うこととあわせて、収集を行うことを通じて行政への国民参加や官民協働の公共サービスの提供を可能とすることができます。これらを促進することはオープンガバメントの運動としても位置づけられておるわけでありますが、そこで、ホームページやパブリックコメントを行う上でフェイスブックを活用することにより双方向に情報伝達ができるわけであります。こうしたシステムに取り組むことを提案したいと思いますが、この点についても伺いたいと思います。  三つ目に、国、地方の行政情報システム改革では、21年度をめどに原則全ての政府情報システムのクラウド化と運用コスト3割減を目標としております。あわせて、自治体のシステムのクラウド化をさらに加速させる、こういった目標を立てておるわけでありますが、長野県庁のオープンガバメントへの改革と、さらには、これらの取り組み、ぜひとも市町村とのデータの整合も重要と考えるわけでありますが、これらの取り組みを行うべきと考えます。  これら挙げました3点につきまして県の取り組みを企画部長に伺い、今後どのような取り組みをされる予定でおりますか。工程等がありましたらあわせてその点も伺いたいと思います。       〔企画部長原山隆一君登壇〕 ◎企画部長(原山隆一 君)電子行政とオープンデータ活用について御質問いただきました。  まず1点目の公共データの民間開放についてでございます。  ホームページ等で公開しております行政の保有しております電子データを広く民間に2次利用しやすい形に変換して提供するいわゆるオープンデータの推進でございますが、一つには、行政の透明性を高め、施策等に関する十分な分析、判断を可能とするとともに、二つ目として、公共データ活用の広がりによりまして民間サービスの創出や官民協働による公共サービスの拡充につながるものというふうに考えております。  国におきましては、オープンデータについて、自由な2次利用を認める利用ルールの見直し、それから機械判読に適した国際標準データ形式での公開などを実施した上で、2015年度末には他の先進国と同水準の公開内容を実現していくというところでございます。  県といたしましても、現在保有しております地理空間情報や統計情報などの情報提供につきまして、公開できる情報の範囲やデータ変換方法を関係部局と調整の上、オープンデータへの取り組みを推進してまいりたいと考えております。  それから、2点目の双方向でありますフェイスブックの活用についてでございます。  これにつきましては、行政分野でも新たな情報交換手段の一つとして活用が広がっております。本県においても、特定テーマによる双方向の情報伝達手段として、観光や農業振興などについて利用されているところでございます。  ただし、特定テーマに限定せずにホームページ全般に対して活用する場合、あるいはある一定期間意見を募集するパブリックコメントにおいて活用する場合、こういった場合には、提供できる情報量でありますとか個人情報の取り扱い、それから即時的な対応などで懸念される面もあろうかと思います。そうした運用面での課題もございますけれども、こうしたフェイスブック等が提供する情報の双方向性や世界的な利用の広がりなど多くのメリットがありますので、それを生かす方向でその活用方法について研究してまいりたいと考えております。  3点目に、県庁のオープンガバメントと市町村の整合についてでございますけれども、県のオープンガバメントの推進、とりわけオープンデータの推進に関しましては、議員御指摘のとおり、県と市町村のデータ重複による二重投資の回避でございますとか、クラウド化による運用面のコスト削減も考慮して推進していくことが必要であるというふうに考えております。  また、利用者の利便性向上の観点からいっても、県と市町村が共同して一体的なデータ提供、これが大事であるというふうに考えておりますので、提供データの選定や提供方法などにつきましては市町村と十分協議した上で進めてまいりたいと考えております。  いずれにしましても、オープンガバメントを進めていくことは大変重要なことというふうに考えておりますので、これまで申し上げた課題について整理をするとともに、ロードマップの策定を含め着実に推進してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔32番小池清君登壇〕 ◆32番(小池清 君)今回伺いました三つの点、それぞれ今後の長野県の発展に大きな要因となることと考えます。ぜひとも、しあわせ信州創造のためにしっかりとしたお取り組みをしていただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わらさせていただきたいと思います。 ○議長(本郷一彦 君)次に、小松稔議員。       〔21番小松稔君登壇〕 ◆21番(小松稔 君)それでは順次質問をさせていただきたいと思います。最初に、ものづくり産業振興と支援体制の強化についてであります。  12回を迎えた諏訪圏工業メッセが「魅力あるSUWAブランドの創造」をテーマに10月17日から3日間実施され、諏訪地方の製造業を中心に332社が出展し、自社製品や開発技術などを広くアピールいたしました。  地方としては国内最大級の工業展示会に発展した中で、本年からは第3ステージに入り、飛躍への挑戦を目指す姿を鮮明にできたものと思います。昨年を上回る2万6,000人を超える来場者からは、海外に負けない世界トップレベルの技術を持つ企業が多いとのアンケートからも、技術力の高さの評価を国の内外に広く発信することで企業間の連携、技術提案力の向上、ブランド力の強化を加速させ、県外企業等への市場開拓につなげたいところであります。  ここで特筆すべきことは、もう一つの諏訪圏工業メッセと位置づけ、本年初めて、6月12、13日の両日、愛知県豊田市のトヨタ自動車本社で行った、新技術・新工法展示商談会と銘打って出張開催をしたことです。部品メーカーを中心に52社が出展を試み、圏域4市町の首長、理事者も参加し、官民一体となってトップセールスを行う機会でもありました。  積み重ね上げてきたメッセの実績に期待値は既に測定済みのトヨタ側では、副社長を初め、役員のほか、技術調達部長など幹部や技術者、関連企業関係者など約1,800人が来場し、諏訪圏域の精密加工技術に改めて熱い関心を寄せていただき、このトヨタ本社での展示会の3カ月後、関係企画部門が行った調査のまとめによると、商談成立が3件、試作依頼が14件、見積もり、図面検討依頼が38件、後日の企業訪問、商談協議が113件で、ビジネスにつながる可能性のある案件は計168件となったとその成果を公表したところです。  さらに、商談継続中も357件となっており、全体の46%に達しており、こうした取り組みを牽引する中核組織である諏訪圏ものづくり推進機構では、この12月末に6カ月後調査、来年6月に12カ月後調査を重ね、出展企業のさらなるフォローと支援を行っていくとのことであります。  さらに、商談会後もトヨタ側の評価が高水準でいることから、積極果敢に第2弾を構想、協議を重ねていたところ、この11月に入り、来年6月5、6日の両日、新技術・新工法展示商談会 イン カリヤとして、刈谷市産業振興センターあいおいホールで開催をすることが決定をしたのであります。この計画された次の展示会もトヨタ本社の全面的な支援を受け、グループ企業に対してはトヨタ側が開催案内等の対応を引き受けるなど積極的な受け入れ姿勢を示しておられ、今回以上に開催による成果が期待されるところであります。  本年6月の展示商談会は募集の対象を諏訪圏内の中小企業に限定したものでしたが、圏域外の県内企業からも多数の出展希望があったことから次回は対象を県内全域に拡大して実施したいとするもので、県内全域の中小企業にチャンスが広がったこのことの意味するものは大であると思います。  製造業最大手のトヨタとそのグループ企業に対して技術を売り込めるこの第2弾、しかも刈谷地域はトヨタグループの集積地でもあります。この大きなチャンスを本県のものづくり産業振興に生かしたいものです。  そこで、産業力の強化、地域力の強化を表題として県政の推進をしてきている阿部知事がこのビッグチャンスにどう向き合っていこうとしているのか、何を発信をしてくれるのか、県はどんなサポートができるのか、それぞれに思いを寄せているものと思います。  中小企業、とりわけものづくり産業が抱える厳しい局面を打破したいとして地域がスクラムを組んで先進的な取り組みを重ねてきたこの地域の提案力を生かすために、有望な市場開拓への県のサポート体制や役割、具体的なものづくり産業振興への構想について阿部知事に所見を伺いたいと思います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)ものづくり産業の振興についての御質問にお答えしたいと思います。  小松稔議員からもお話ありました諏訪圏工業メッセあるいは諏訪圏ものづくり推進機構、ものづくり産業の振興に非常に大きなインパクトを与える取り組みをしてきていただいているというふうに思っております。こうした中で、県としても、こうした動きを積極的に支援すると同時に、一緒になって取り組んでいくということが重要だろうと思っています。  諏訪圏工業メッセにつきましては、昨年度から、本県基幹産業、ものづくり産業のさらなる活性化という観点から県も実行委員会に参加をして、そして産業国際展開推進事業という形で補助させてきていただいているところでありますし、また、お話ありましたトヨタ自動車との商談会等の販路開拓につきましても、中小企業振興センターの発注開拓推進員等が効果的な商談の進め方あるいは商談後のフォローを支援しております。  また、諏訪地域の企業が中核となって進めておりますデスクトップファクトリーの欧州ミッションにつきましても、長野県テクノ財団のコーディネーターが大学あるいは公的試験場等との技術の橋渡しを行わせていただいております。  こうした取り組みに加えて、私自身も機会を捉えてトップセールスを行うことによってさらなる市場開拓を図ってまいりたいと考えております。  長野県ものづくり産業振興戦略プラン、策定をいたしました。このプランに基づいて、成長産業の創出、あるいは有望市場の開拓、または人材の育成確保等々、経済界の皆様方とも十分連携を図りながら、長野県の成長エンジンでありますものづくり産業の振興に一層尽力してまいりたいと考えております。  以上です。       〔21番小松稔君登壇〕 ◆21番(小松稔 君)トヨタそのものの社業の業績といいますか、そのことについては周知のとおりでありまして、公表されました見通しを見ましても2014年3月期の営業利益が2兆2,900億円に上るということであります。さらに、トヨタの復活は根本から生産改革を積み重ねてきた製造現場の強さである、そのように言われているわけであります。このトヨタの稼ぐ力の復活だけに、今回の連携、市場開拓には地域、企業の期待が大きい、これは必然のことだと思います。  他方で、こうしたアプローチは日常のことであります。変動の激しい市場に対してはそれぞれ役割分担が欠かせないわけでありますから、県には企業、地域と歩調を合わせた取り組みを強く求めたいと思うのであります。  加えて、有望な市場開拓は他県との競争でもあるわけですから、新しいステージの創造、この取り組みに県がかかわる役割は非常に大きいものがあるというふうに思います。ぜひスピード感のある対応を求めておきたいと思います。  次に、犯罪抑止対策の強化についてであります。  刑法犯認知件数は減少傾向にあるとした状況の発信を目にする機会はふえつつあっても、国民、県民が治安の改善を実感しているとは言いがたく、情勢は依然として厳しいことに加え、かつて日本の良好な治安を支えてきた社会の高い規範意識や、どこにでも見られた強いきずなが時代とともに希薄化してきており、このまま放置すれば治安の悪化が再び増大、集中することも懸念されています。  こうした状況に適切に対応するためには、地域ごとに犯罪情勢を分析し、地域に即した警察の諸活動を戦略的に展開することが求められているのではないかと思われてなりません。被害の未然防止につながる組織による迅速、的確な対応を図り、県民生活の安心、安全のための体制を整えてほしいものです。  そこで、深刻な問題の対応、検証を含め、何点か警察本部長にお尋ねをいたします。  まず一つは、大変痛ましい事案として記憶を引きずる、本年10月に発生した東京都三鷹市で起きた私立高校3年生の女子生徒が刺殺された事件であります。この一連の中、警察に向けられた世論は、一つは、生徒の通う高校から警察署に対して事件の4日前にストーカー行為による被害相談がされていたのに警察は、2点目は、さらに、生徒は、事件当日の午前、両親と署を訪れて一連のつきまとい行為の被害相談をしていたにもかかわらず、これまでにもあったように警察はストーカー被害の相談を受けながら有効な手が打てなかったのは事実です。
     被害者は命を落としてしまった。いつもながら、なぜ未然に防ぐことができなかったのか。全ての警察組織はこの対応を徹底的に検証する必要があるのではないかと思えてなりません。  なぜなら、この相談を受けた警察署員は、受けた事案の相談内容を上司等への報告を怠り、功罪も考えずに加害者である容疑者に電話連絡をしようとダイヤルをした。素人目にも、口頭警告するかどうかはケース・バイ・ケース、上司に報告して口頭警告の方法やタイミングを慎重に見定めるのが普通のあり方だと思います。加害者に連絡することはリスクがつきまとう、被害者の安全に影響を及ぼす危険性もあるわけであります。少なくても問題を共有し、組織全体で事に対処していくことは当然のことです。  徹底した調査を求める声も相次いだこの事件を教訓として、一つの区切りにするためにも、さらに県内でも深刻なケースもあると思われる今日、県民の不安や不信を払拭するためにも、県警察にあっては、組織が機能できる、精度を高めたストーカー行為への対応を求めたいものです。  県警察のこうした事案に対して、相談への対応、上司等への報告の義務化、口頭警告のあり方等の取り組みの現況とあるべき姿をどう描いているのかについて、あわせて適切な被害者保護のための新たな視点や体制の整備について警察本部長に伺いたいと思います。       〔警察本部長山崎晃義君登壇〕 ◎警察本部長(山崎晃義 君)犯罪抑止活動の強化につきまして御質問をいただきました。  先ほど議員からお話がありましたとおり、警察は県民生活の安全、安心を守るための組織でございます。  警察では、特に凶悪事件に発展するおそれが高いこうしたストーカー事案につきましては、被害者の方々、また被害関係者の安全と安心を守ること、これを最優先にして対応しております。先ほどお話がありました三鷹のようなこうした悲惨な事案の防止を図るため、警察といたしましては常に危機感を持って迅速な対応に努めているところでございます。  具体的には、このような事案を認知した場合、全件署長報告の上、さらに警察本部生活安全企画課でも全件管理するということで組織的な対応の徹底を図っているところでございます。  ちなみに、本年10月までに県内で受理いたしましたストーカー事案の相談は全部で274件、そのうち行為者に対する取り締まり状況は、ストーカー行為罪や脅迫などによる検挙14件、ストーカー規制法に基づく書面警告18件でございます。また、被害者の皆様方に対しましては、援助等の措置といたしまして、自宅などのパトロールなどを強化、警戒するということ、また携帯電話等の110番通報システムへの登録、また防犯カメラなど防犯機器の貸し出しといった保護措置を実施しております。  また、警告につきましては、ストーカー規制法に基づく書面警告のみならず、行為の停止とか被害の拡大防止のために、即効性があって、また行為者の反応などによって危険性を判断する上でも効果的な手段であります警察官職務執行法に基づく口頭警告を、個々の事案に応じて、被害者の方々の意思を尊重しながら、原則、警察官が面接の上、組織的処理方針に基づいて積極的に実施しているところでございます。  また、こうしたストーカー事案のほか、子供、また女性対象犯罪、これに的確に対処させていただくようにということで、一元的な組織的な対応ができる体制ができるかどうかについて現在検討しているところでございます。  以上でございます。       〔21番小松稔君登壇〕 ◆21番(小松稔 君)次に、昨日も質疑がありましたけれども、振り込め詐欺を初めとする特殊詐欺被害が本年に入って県内で急増しているという問題でありますが、被害件数、被害額ともに過去最悪のペースであり、また1件当たりの被害額が大きくなっていることも事態をさらに深刻にしているというふうに思います。  県警を中心に街頭などでの啓発活動を強化しているようでありますが、その後も被害が後を絶たない、期待した効果が得られない以上、新たな対策を打ち出す必要に迫られているものと思います。  懸念されるのは、電話で息子や孫などを装い、現金をだましとるおれおれ詐欺が再び増加に転じているのではないかと思われることであります。金融機関が窓口で警戒を強めたり、一度に振り込める金額に制限を設ける対策などが功を奏して一時的に減少傾向にあったはずであります。年々巧妙化し多様化する手口に対して対策が後手に回り、追いつけないでいるという状況かというふうに思います。  この多様化する手口の実態につきましては先番議員の質疑の中で一定の状況を確認をしましたので、その部分は割愛をし、通告にある、標的にされやすい高齢者や高齢者のいる世帯への有効な撃退法など、一般的な注意喚起にとどまらない被害防止策を徹底したいものですが、県警本部長、いかがでしょうか。  3点目は、組織犯罪対策であります。  来日外国人による刑法犯の検挙件数に占める共犯事件の割合が非常に多いと言われています。彼らの犯罪は、報道される事案等にも見られるように多くがかかわる多人数で行われている点であります。一時期に比べて減少傾向にあるとはいえ、広域化を危惧するものであります。  そこで、具体的に、県内における外国人による組織的な犯罪の実態と対策について県警本部長に伺っておきたいと思います。       〔警察本部長山崎晃義君登壇〕 ◎警察本部長(山崎晃義 君)まず、特殊詐欺の被害防止対策についての御質問でございますが、大変被害が深刻化しております特殊詐欺の被害防止対策については、さきに御答弁申し上げたとおり、広報・啓発活動、また個別注意喚起を引き続き推進するとともに、金融機関等の窓口におけます声かけによりまして、本年10月末で、105件、金額において3億6,000万円余りを防いでいただいているという状況でございますので、こうした水際対策、金融機関と連携のもとにさらに強化してまいりたいというふうに考えております。  また、犯行手段が携帯電話によるものがほとんどでありますことから、高齢者の方々のお宅へこうした電話を遮断する対策として、現在、迷惑電話等のサービス事業にある非通知電話の拒否設定や留守番電話の普及促進について通信事業者とも検討しているところであります。  また、このほか、特殊詐欺の手口を看破する具体的な予防方策につきまして、お子さんやお孫さんなどの家族を初め、自治会や企業などの地域、職域のあらゆるネットワークを活用して確実に高齢者の皆様に浸透させていくための活動を推進し、高齢者の皆様を守る環境づくりに取り組んでまいりたいと考えております。  次に、来日外国人犯罪についてでございますが、この検挙件数は、全国、本県とも平成17年をピークとして減少傾向にあります。しかしながら、国際犯罪組織はインターネットなど情報通信網を利用しつつ相互に利益を求めながら連携していると。その結果、犯罪組織の日本への浸透、外国人犯罪組織の多国籍化といった犯罪のグローバル化が進んできておりまして、依然として治安に対する大変大きな脅威となっていると認識しております。  検挙状況につきましては、本年10月末までの本県における来日外国人による刑法犯の検挙件数は106件、検挙人員は79件で、内容的には窃盗や暴行が多く、国籍別で見ますと中国、ブラジル、ベトナムの順番となっております。  これらの犯罪ですが、先ほど議員から御指摘のとおり、グループ化の特徴が見られまして、全体の約4割を占めております。また、首都圏から流入して組織的な犯行というのが大変多くなっているというところでございます。  こうした犯罪のグローバル化に対応するために、県警察におきましては、こうした来日外国人犯罪組織などに係る情報を収集、分析、共有するために犯罪のグローバル化対策委員会を設置いたしまして、組織犯罪の検挙や組織の解体、犯罪インフラの解明に向けた対策などを進めているところでございます。       〔21番小松稔君登壇〕 ◆21番(小松稔 君)本部長、口幅ったいようでありますが、警察組織を挙げて信頼に裏づけされた責任ある取り組みができますように、その仕組みや体制づくりに万全の策を講じられますことを強く要望をいたしておきたいと思います。  次に、県有財産のファシリティーマネジメントの推進についてであります。  政府や地方自治体でファシリティーマネジメントの手法を取り入れるケースがふえてきています。なぜこの手法が注目されているのか。それは、現下の厳しい財政状況下において、庁舎を初めとする各種の公共施設の効率的な運営や有効活用がますます求められてきているところにあると思います。一方、これまで、その種の改善、これはなかなか意識が希薄であったと言わざるを得ず、特に行政組織に対しては見直しを行うノウハウが乏しかったというような指摘もあるわけであります。  考えてみますと、行政は自前で庁舎を建築して利用するケースが大半であり、起債を起こし、業者に一括建設費を支払い、あとはその債務と他の債務とを一緒に管理をする。そのコストを目にすることはなかったというふうに思います。施設更新費用も含めたランニングコストにしても部門ごとの予算には計上されないことがほとんど。  このように、日々の仕事の中で、公共施設を建設し、維持管理するコストを目にすることなく仕事をしてきたために、見直しをするという意識、そのことも強く芽生えなかったということではないかと思います。  しかし、昨今は財政悪化が進む状況下で、これまで建設されてきた公共施設の維持管理費が高額になり、財政の重荷になってきたため見直しの機運が高まってきたもので、財政の厳しい状況が続けば新規の公共施設を建設することも難しく、その結果、既存の公共施設を有効に活用しようという必要性が高まり、ファシリティーマネジメントの出番と相なったものと思われます。  本県においても、経営的視点に基づく財産の総合的な利活用を推進することにより、県有財産の最適化、財政負担の軽減、利用者の満足度の向上を図ることを目的に平成23年12月に長野県ファシリティマネジメント基本方針を策定し、体制を整え、推進をしてきているところです。  そこで、推進に当たるプロジェクトチームの責任者である岩﨑総務部長に、具体的な取り組み方策の中で、1、県有財産の有効活用、2、県有財産の総量縮小、3、県有施設の長寿命化、この視点からの実施状況についてまずお伺いをいたしたいと思います。  もう1点、地方自治体の現在の制度では年度ごとの収入と費用の管理に重点が置かれるために、過去に取得した施設について、築年別の整備状況や現状の利用状況等の情報は整理されていない、もしくは一元的に管理されていないものと思われますが、そのことをどう受けとめておられるか。  加えて、長野県版のファシリティーマネジメントの目指す姿は、一元的管理の徹底を図り、施設の維持更新については全てを対象として全公共施設に横断的に優先順位を示していく進め方を考えられているのかどうか。この2点について阿部知事に御所見を賜りたいと思います。       〔総務部長岩﨑弘君登壇〕 ◎総務部長(岩﨑弘 君)ファシリティーマネジメントの実施状況についてお尋ねをいただきました。  私どもは、御指摘のとおり、23年12月にファシリティマネジメント基本方針を策定をいたしまして、経営的な視点から土地や建物などの県有財産の総合的な利活用を推進しているところでございます。このファシリティマネジメントでは、県有財産を三つの柱を立てまして対応していくというふうに考えておりまして、その一つが有効活用であり、二つ目が総量縮小であり、三つ目が長寿命化ということになるわけでございます。それぞれについて具体的な取り組み状況をお話を申し上げたいというふうに思います。  まず、有効活用についてでございます。  例えば、県庁エレベーターの中の壁面、あるいは北信運転免許センターの壁面、こういったところを広告用に貸し付けるという制度を導入しているところでございます。また、職員宿舎でございますけれども、職員宿舎に関する基本方針を策定いたしまして、管理の効率化、あるいは教育委員会、県警と共同利用の推進といった取り組みをしているところでございます。また、旧木曽山林高校などの高校再編に伴う校舎の後利用、これについての検討を行ってきているところでございます。  続いて、総量縮小についてでございます。  総量縮小については、施設アセスメントということで、県有施設の建物性能、老朽化度、あるいは利用状況、利用度、管理効率、こういったことをもとに現状を把握をいたしまして将来の利活用の判断材料としていく、こういう目的でアセスメントを実施しているところでございまして、24年から実施をし、本年9月にはその結果を公表をしたところでございます。今後は、こういったものを使って施設の縮小あるいは活用、そういったことを図っていくということになるわけでございます。  また、利活用の見込みのない土地や建物の売却でございますけれども、これについても積極的に取り組んでおりまして、24年度から25年度にかけまして77件6億8,000万円余りの売却を実施しております。今後は不動産コンサルなども活用して一層の推進を図っていきたいというふうに考えております。  三つ目の長寿命化についてでございます。  これは、適切な維持保全に向けて業務や工事の合理化の取り組みを始めているところでございまして、例えば県庁、合同庁舎のエレベーター保守等の維持管理業務、この仕様を統一する、あるいは建物や設備の定期点検、これも統一的な実施を行っていく、こういった取り組みを実施しております。そういう中で、本年度、新たに、中長期修繕、改修につきまして、500万円以上の修繕・改修工事の優先度評価を導入いたしましてその取り組みを始めたところでございます。  以上、主な取り組みだけ申し上げましたけれども、引き続きFMによる取り組みを進めてまいりたいと考えております。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)ファシリティーマネジメントについての御質問でございます。  小松稔議員御質問の中にもありましたように、まさに施設をどうするかという観点で、会計方式等も民間企業と違う中で行政の視点はこれまで非常に弱かったんじゃないかというふうに思っております。そういう中で、県の財政も厳しい状況が続いておりますし、県有施設も老朽化等が進んでいる中で、やはりこうした施設のマネジメントをしっかりやっていく必要があるだろうということで、平成23年にファシリティーマネジメントの推進会議をつくって推進方針をつくって、そうした中で全庁的に取り組んできております。  これは、学校であるとか警察施設等、任命権者を超えて情報の一元化を図っていこうということで部局横断的に取り組んできているわけでありますが、施設情報の一元管理という御指摘があります。この点については、24年から25年度にかけまして、全ての施設を対象として、建物の性能、それから利用状況、こうしたものをもとに施設アセスメントを実施をしてきております。  来年度から、建築年次あるいは利用状況といった基礎的な情報に加えまして、維持管理に必要となるさまざまな情報を部局横断的に一括管理できるシステムの運用を開始していきたいというふうに考えております。そういう意味で、議員御質問の点については、かなり御質問の趣旨に応えた形に来年度から進んでいくことができるんじゃないかというふうに思っております。  それから、施設の維持更新の横断的優先順位でありますが、先ほど総務部長の答弁にもありましたが、比較的規模の小さい修繕あるいは改修工事の計画については、施設アセスメントを活用して全庁的な視点から優先順位をつけようという取り組みを本年度から導入をしておりまして、補正予算の、どの施設を修繕の対象にするかという議論の中でも実際に活用をさせていただいております。また、大規模改修や改築につきましても、判断材料としての統一的な基準づくりに取り組んでいきたいと考えております。  事業の実施に当たりましては、先ほど申し上げた一元的な情報管理をしっかりと行った上で、毎年度の予算編成、大規模な施設ともなりますと単に施設が老朽化しているという観点に加えてやはり政策的な判断等も必要になってくると思いますが、そうしたことも加味しながら、しっかりファシリティーマネジメントを活用した取り組みを進めていきたいと考えております。  以上でございます。       〔21番小松稔君登壇〕 ◆21番(小松稔 君)県有財産のファシリティーマネジメントの推進に当たり、組織している推進会議の役割があろうかと思うわけでありますが、推進会議を統括する議長である和田副知事に次の点についてお願いをいたしたいと思います。  まず、各取り組みの進捗をどのように捉えているか。  2点目は、2年が経過しようとしていますが、この時点での現状と課題、あるいは方針の見直し等時点修正についての考え方。  3点目は、保有財産の処分、施設の新築、改築等の重要案件の協議の実態について。この3点をお願いをいたしたいと思います。       〔副知事和田恭良君登壇〕 ◎副知事(和田恭良 君)ファシリティマネジメント推進会議の議長としてどのように考えているかというお尋ねでございます。  まず、進捗状況でございますけれども、この取り組みは行財政改革を進める上でも重要な取り組みでございまして、着実に進めてきているところでございまして、とりわけ1,690施設という全庁にわたる施設のアセスメント、たびたび話が出ておりますが、これを新たに行いまして、総量縮小を進める上での判断材料として使うことができるようになりましたのは一つの成果と受けとめているところでございます。  それから、時点修正でございます。  状況と課題は現時点で大きくは変わってはおりませんが、建物、施設等に対する安全性の確保に対する取り組みが急がれておりますし、他の自治体でもさまざまな取り組みが行われておりますので、そうした点も考慮しながら必要に応じて方針の見直しを行ってまいりたいと考えております。  それから、協議の実態でございますが、この推進会議では、財産の処分施設あるいは改築等に係る案件のうち一定基準を超えるものについて絞って協議を行っておりまして、これまでに産業団地の貸し付けや職員宿舎予定地の売却あるいは高校の校舎の改築など20件について協議を進めてまいりました。会議では、部局間における情報と課題等の共有化が図られ、活発に意見交換されるなど、部局横断的な取り組みのよさも出てきておりまして、今後ともこの会議を通じて財産の効率的運用に努めてまいりたいと考えております。       〔21番小松稔君登壇〕 ◆21番(小松稔 君)ファシリティーマネジメントの考え方、手法を導入することで、施設、財産の有効活用だけでなく、業務改善や県民の利便性の向上、さらには歳出の削減、歳入の増加など、答弁にありましたような多方面への改善につながることが可能であると同時に、期待をされているわけでありますけれども、これまで行政分野の中において最もおくれている部分の改善が進むことで県庁組織全体の改善につながる行財政改革の一つの柱になり得るものというふうに思っているところであります。  アメリカで発祥をしたこの手法、現在は民間企業を中心に我が国でも既に広く広がって活用されているわけでありまして、県にあっては多くの職員を抱える職場を保持しながらも余り重視してこなかった分野といって間違いはないと思います。それだけに、この見直しにより改善が加速的に進む可能性の高いことも事実であろうというふうに思います。組織を挙げた徹底した取り組みを強く求めて、私の質問を終わりにします。 ○議長(本郷一彦 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時20分休憩          ──────────────────         午後1時開議 ○副議長(小松千万蔵 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  丸山栄一議員。       〔20番丸山栄一君登壇〕 ◆20番(丸山栄一 君)通告に従い順次質問をいたします。ユネスコエコパークについてお伺いいたします。  これまで日本社会は経済優先の活動のため少なからず自然破壊を行ってまいりました。しかし、近年、地域経済のためにも、自然を守り、再生させ、共生する時代へと転換していくことが重要であり、地域振興の戦略としても、生物多様性を生かし、自然と共生する新たな地域戦略を進めていくべきと考えます。  その一つはユネスコエコパークであり、ユネスコエコパークは、1976年にユネスコが開始し、ユネスコの自然科学セクターで実施されるユネスコ「人間と生物圏計画」における一事業として実施をされております。  世界遺産が手つかずの自然を守ることを原則とする一方、ユネスコエコパークは生態系の保全と持続可能な利活用の調和を目的とする取り組みであります。  2013年5月現在、ユネスコエコパークの登録総数は117カ国、621地域が登録されており、国内においても、1980年に登録されました志賀高原や屋久島など4カ所、2012年に登録をされました宮崎県の綾の5カ所があり、その核心地域や緩衝地域は国立・国定公園や国有林として保全されており、豊かな生態系や生物多様性を保全し、自然に学ぶとともに、文化的にも経済社会的にも持続可能な発展を目指す地域のモデルとして注目をされているところであります。  また、平成20年より施行されましたエコツーリズム推進法で自然観光資源と規定されるなど、その地域の自然環境を損なうことなく観光を興し、地域振興につなげるエコツーリズムの取り組みが始まっております。  地域特有の自然を生かした体験や自然環境と触れ合うことによりその意識が高まり、環境保全に大いに役立つほか、地元雇用の確保や経済波及効果など新たな観光需要を喚起し、地域振興へ大きく広がる観光振興策であり、感じる幸せと書いて感幸を生むこれからの観光施策としても注目を浴びております。  長野県にとっても、地域振興の戦略としても、生物多様性を生かし、自然と共生する新たな地域戦略として有効と考えます。ユネスコエコパークやエコツーリズムについてどのように認識をされ、恵まれた観光・農業資源を媒体にどう生かしていかれるのか。環境部長の御所見をお伺いいたします。  志賀高原ユネスコエコパークと周辺地域は年間200万人を超える人々が訪れる日本有数の観光レクリエーション地であります。1960年代以降にスキー場を中心とした急速な開発が進められてまいりましたが、一方で、核心地域はほとんど人為の影響がなく、原生的な森林が大面積で保たれており、その周辺にも、亜高山性針葉樹林に美しい湖沼、高層湿原が点在しており、これら豊かな自然を活用したエコツーリズムに加え、環境教育の取り組みも行われており、新たな長野県側と群馬県側の関係町村を含めた全エリアを包括する協議会も発足し、世界遺産などが注目を集める中、志賀高原ユネスコエコパークを活用した地域の活性化が期待されておるところであります。  エコパークは、環境を厳しく保護する核心地域、教育や研修、観光などエコツーリズムに利用する緩衝地域、その周辺で人々が居住する移行地域の3区域で構成し、自然保護と活用の両立を図る狙いで、世界遺産に比べ産業振興に役立てやすいと言われておりますが、志賀高原が登録をされました約30年前は保護と研究に重点が置かれ、同時に登録された国内3カ所を含めて移行地域が設定されていませんでした。  山ノ内町は、エコパークは年間を通して誘客するにはいい素材になるとし、観光協会やJAなどで志賀高原ユネスコエコパーク活用山ノ内協議会を発足し、現在、志賀高原周辺に限られている範囲を全域に移行地域とする計画が進められており、さらに、高山村においても移行地域設定の拡大について推進しておりまして、先般ユネスコへ変更申請を行ったところであります。  世界遺産に比べ国内では知名度、認知度が低いとされておりますが、自然との共存、共生に対して非常に関心の高い欧米諸国には大変強い訴求力となり、世界的認知度は高いと言われております。また、移行地域の設定で農産物のブランド化も期待できます。移行地域設定について拡大申請されましたが、県として今後どのようにかかわっていかれるのか。  また、志賀高原エコパークは群馬県草津町、中之条町、嬬恋村にまたがっており、群馬県との連携についてもどのように進められていくのか。環境部長にお伺いします。  山ノ内町は、10月25日、26日に、エコパークとして国内で登録をされておる地域と登録予定地の担当者が集まり、福島県只見町で開催されました日本ユネスコエコパークネット会議において、国内のユネスコエコパーク指定地などが一堂に会する初の全国サミットを来年の秋に志賀高原で開催したいと提案、招致の意向を表明いたしました。席上、関係者が合意し、開催の方向で調整に入ったと報道がありました。また、再来年の第14回東アジアBRネット会議を志賀高原に招致する意向も表明をされました。文科省ではぜひやってほしいと大歓迎を受けたと聞いております。  知事も、県の方針とも合致している、県としても協力するのでぜひとも成功に導いてほしいと激励をされ、エコパークへの支援等について、環境部を初め関係部局でユネスコエコパークの取り組みを推進するプロジェクトチームを組織する意向を示されたと伺っておりますが、今後、予算を含め、具体的にどのような支援や協力をされていかれるのか。環境部長にお伺いをいたします。  また、伊那市、飯田市、下伊那郡大鹿村、諏訪郡富士見町を含む長野、静岡、山梨県の10市町村は世界自然遺産登録推進協議会を設立し、自然遺産登録の前段としてエコパークの登録を目指し、3県にまたがる南アルプス地域についてユネスコエコパークの登録申請をいたしました。  南アルプスに広がる地域が登録を受けることができれば、地域力が懸念される南アルプス周辺の自治体の活性化の手段として有効な手だてであり、エコツーリズムなど自然と人間の共存に配慮した取り組みが進められることを期待しているところであります。  そこで、登録に対する県の考えと、登録を契機として地域の取り組みに対して県は今後どのような対応をされていくのか。環境部長にお伺いをいたします。       〔環境部長山本浩司君登壇〕
    ◎環境部長(山本浩司 君)それではユネスコエコパークに関しまして順次お答えをさせていただきます。  初めに、ユネスコエコパークやエコツーリズムについての認識と活用についてのお尋ねでございます。  本県は豊かな自然環境に恵まれており、かねてより県下各地において自然環境を保全しつつ自然の恵みを利活用してきたところでございます。生態系の保全と持続可能な利用を掲げるユネスコエコパークや自然環境に配慮した観光振興を目指すエコツーリズムは、まさにこうした本県の特性にかなった取り組みであると考えております。  また、国際的な認知度の高いユネスコエコパークなどを生かし、自然を活用した観光や環境に優しい農業など、人と自然の共生による持続的な地域づくりを展開することによりまして地域の価値が世界的にも広まるものと期待をしているところでございます。  県では、これらエコパーク等の可能性に着目し、本年10月に、各部局の関係者で構成するユネスコエコパーク・ジオパークの支援・活用推進庁内連絡会議を立ち上げ、庁内の情報共有を図るとともに、支援と活用に関する検討を開始をいたしました。里山ツアーの展開や農産物のブランド化など観光や農業資源を媒体とした取り組みにつきましても、この連絡会議の中で支援策等を検討してまいりたいと考えております。  次に、今後の県のかかわりと群馬県との連携についてのお尋ねでございます。  今回申請されたエリアの拡大は、移行地域の設定によって現在のユネスコの基準に適合させるとともに、ユネスコエコパークの有効活用を図るべく、地元の山ノ内町と高山村が積極的に取り組んでいるものでございます。  県といたしましては、地元の意向もよくお伺いした上で庁内連絡会議等において検討し、必要な支援や協働の取り組みを行ってまいりたいと考えています。  また、地元の関係者で組織いたします志賀高原ユネスコエコパーク協議会には群馬県内の関係町村と群馬県も参加していることから、今後、群馬県側とも協議会の場などを活用しながら必要な調整や連携を図ってまいりたいと考えております。  次に、全国サミットへの支援や協力についてのお尋ねでございます。  来年、山ノ内町で全国サミットが開催されますことは、志賀高原ユネスコエコパークを全国に発信する絶好の機会になるものと考えております。また、再来年に招致いたします意向の東アジアBRネット会議につきましても、国内外へ向けたPRや地元の意識高揚に大きな効果をもたらすものと考えております。  これら会議を有効に活用し、情報発信を図る取り組みなどにつきましても庁内連絡会議の中で検討を行ってまいりたいと考えておりますが、財政的な面に関しましても、山ノ内町の要望を伺いながら、必要な予算措置等を考えてまいりたいと考えております。  次に、南アルプス地域のユネスコエコパーク登録に対する県の考えと地域の取り組みに対する対応についてのお尋ねでございます。  これまで志賀高原ユネスコエコパークに関してお答えしてきたとおり、県ではユネスコエコパークの取り組みに大いに期待をしておりまして、南アルプス地域についても同様に考えているところでございます。  南アルプス地域では地質学的価値の高い地域の保護と活用を目的としたジオパークにも取り組んでおり、両取り組みをあわせ、山梨、静岡の両県とも調整や連携を図りながら、庁内の連絡会議などで支援、活用方策について検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔20番丸山栄一君登壇〕 ◆20番(丸山栄一 君)それぞれ答弁をいただきました。要望を受けて必要な支援をしていただけると、こういうことでありますが、観光は光を観ると書きます。観光は、地域の光を見出し、地域が発信する光を見ることだというふうに思います。自然や文化の特徴を生かした地域づくりを積極的に進め、宝の持ち腐れに終わらぬように積極的な対応をお願いをしたいと思います。  また、林野関連施設予定地がエコパークの移行地域にあり、林野計画がエコパークや世界自然遺産にマイナスに作用するのではという懸念も指摘をされておりますので、十分考慮され進めていただきたい、こんなふうに要望しておきたいと思います。  次に、人・農地プランについてお伺いいたします。  農業・農村を取り巻く環境は、農業従事者の高齢化が進み、5年後、10年後の展望が描けない集落、地域がふえてきており、担い手不足が大きな課題であります。このような中、人・農地プラン作成の取り組みが進んでおります。  人・農地プランは、人と農地の問題を解決するための未来の設計図であり、今後の中心となる経営体はどこか、中心となる経営体に対しどうやって農地を集めるか、中心となる経営体とそれ以外の農業者を含めた地域農業のあり方などについて、集落や地域における話し合いを通じて作成するものであります。  地域の将来を話し合うものなので、地域の徹底的な話し合いによって地域農業の将来像について合意形成を図っていかなければなりません。地域によって農業を取り巻く環境は異なりますが、このような取り組みについては、それぞれの地域においても担い手不足解消に向けた地域、行政機関が一体となった対応策が期待をされているところであります。  本県におきましても、農業従事者の減少や高齢化、耕作放棄地の増大など農業・農村が脆弱化傾向にあり、さらなる農地の利用集積を推進すべく平成24年度と25年度の2カ年で77全市町村でプラン作成を進めていただいており、地方事務所ごとに支援チームを編成し、市町村などと連携した対応をしていただいておりますが、他県に比べて進捗状況がおくれているように感じますが、現在の策定状況と進捗状況を踏まえ、人・農地プランについて今後どのように進められていくのか。  人・農地プランから見えてきた地域農業の姿をどのように捉えて、今後どのように推進しようとしているのか。農政部長にお伺いをいたします。  また、現在、政府において農地中間管理機構(仮称)の検討が進められておりますが、市町村やJA等の関係団体との連携について農政部長にお伺いします。  親元就農者は要件が厳しく、親元就農者の多くが助成対象とならない一方、Iターン等の新規就農者は給付対象になりやすい現状にあります。また、地域独自の農業技術の取得や継承を考慮した場合、Iターン新規就農者を確保していくことも大変重要でありますが、農業の継続性を図る上でも親元就農者を育成していくことが重要であります。  農水省は、2014年度予算概算要求で、就農希望者の掘り起しとして就農後の定着を支援する青年就農給付金の要件を拡大し、独立、自営で就農した人が給付を受ける場合、農地の貸借は親族以外と定めておりましたが、親族から借りた場合でも対象とするとし、政府の成長戦略や自民党の農業・農村所得倍増目標10カ年戦略にある新規就農者の倍増を踏まえ、給付対象者の増加を目指すとしております。  意向調査でも、希望者が給付対象になれなかった理由は農地の確保が多く、こうした実態を踏まえての拡大であり、農家後継者への円滑な経営継承を図るため親元就農などの要件緩和は歓迎するものであります。  よって、地域農業の継続性及び地域農業技術の円滑な継承、さらには持続可能な力強い農業を実現するために、要件緩和される青年就農給付金の活用など、親元就農者の就農支援とそれに伴う予算の拡充について農政部長にお伺いをいたします。  次に、野生鳥獣対策についてお伺いをいたします。  野生鳥獣対策においては、被害防止柵やわな等により被害軽減に御努力をされているところであり、農林水産業被害はここ数年微減傾向でありますが、被害額は12億6,000万円と依然として高い状況にあり、大変深刻な状況になっております。この捕獲に当たる従事者は、年々、高齢化、減少傾向にあります。  県内の有害捕獲と狩猟の捕獲数の割合は、平成17年に有害鳥獣駆除による捕獲数が狩猟を上回って以降年々増加しており、平成24年では有害捕獲が捕獲数全体の70%を超えました。  また、捕獲を担っている猟友会員は、ピークだった昭和51年に比較して4分の1まで減少をしております。新規参入者の捕獲対策といった面からもなかなか計画的に進んでいないのが現状であります。  このように、市町村にとって最重要課題である野生鳥獣対策でありますが、今後の少子・高齢化や耕作放棄地の拡大といった現状を見据え、もっと広域的な視点に立って取り組むことが必要ではないかというふうに考えます。具体的には、マンパワーを向上させ、活用するとともに、県境をまたいでより親密な県同士の連携施策を考える必要があるのではないか、そのための国の支援等も一層強力に要望していくべきではないかというふうに考えますが、林務部長の所見をお伺いいたします。  捕獲したニホンジカ等を有効に活用するジビエ振興は鳥獣被害や地域振興においても重要な課題であります。昨年11月定例会において、続木議員からの質問で、捕獲したニホンジカ等を食肉に回すことは捕獲者の実益につながるが、県内の野生鳥獣の食肉処理施設は南信に集中しており、処理施設を全県に整備する必要があるとの質問に対しまして、林務部長は、処理施設の整備に必要な運営計画の情報提供等の支援や国の交付金などを活用した施設整備への経費支援など、県下各地の取り組みを支援していくというふうに答弁をされました。  今年度も3万5,000頭の捕獲目標を掲げており、捕獲したものの多くは山中に埋設をされるなど利活用されていないものというふうに考えます。今後のニホンジカ対策を考えるときに、川下対策である優良で安心、安全な鹿肉を、県内はもとより、広く県外にも流通させていくことが非常に重要な視点であると思います。今定例会に提案されている信州首都圏総合活動拠点の設置についても、将来はこうした施設を活用して信州ジビエのブランドを確立していくことが望まれます。  先ほど申し上げましたが、獣肉処理施設の整備も含め、本県のジビエ振興に当たっての課題をどのように認識し、県として今後どういった視点で対応していかれるのか。林務部長にお伺いをいたします。  次に、雑草の再生可能エネルギーについてお伺いをいたします。  環境に優しい燃料として普及をしてまいりましたバイオエタノールはトウモロコシやサトウキビを原料に実用化されましたが、食料用作物と競合し価格高騰を引き起こしたため、世界では非食用植物の研究が進められておりました。  そんな中、意外な原料からバイオエタノールをつくることに岐阜県のベンチャー企業が成功し、この技術は東日本大震災の被災地からも注目を集めているという記事が掲載をされておりました。  その原料は雑草であります。雑草などからエタノールをつくる研究は国も取り組んでおりますが、そのプラントの多くは巨大であり、敷地面積が2,000平方メートル以上であり、処理能力は1日60トンに比べ、今回の装置は30平方メートルで処理能力は100キログラムで、製造装置がコンパクトになっております。  また、研究チームは、18ホールのゴルフ場1カ所で年間100トンの芝が刈り取られ、その焼却費用は約1,000万円かかることから、ゴルフ場で使う高麗芝、ベントグラスなどの芝に着目し、セルロース繊維が多いため酵素で繊維を糖に変えた後に発酵させる必要があり、チームは数十種類の酵素から2種類の組み合わせで高効率に糖に変換できる方法を開発し、芝1グラムから約0.15グラムのエタノールを生産することに成功したそうであります。  18ホールのゴルフ場で1年間に刈る芝は乾燥重量で約18トンとされ、試算ではガソリン約2,300リットルに相当する2.7トン以上のエタノールがつくれ、年間1万から1万5,000キロを走る車2台分の1年間の燃料を賄えることとなります。  事業化を狙うベンチャー企業は、農水省が掲げる目標単価1リットル100円を下回る1リットル90円以下を見込んでおり、ゴルフ場1カ所ずつに小型プラントを置く案や、共同運営プラントを設置する案、また自治体が収集した道路の雑草の利用も視野に入れ検討しているとのことであります。雑草に限らず、街路樹の枝や葉などセルロース系の成分が含まれていれば基本的にバイオエタノールの製造が可能だというふうに言われております。  本県におきましても、県営都市公園や諏訪湖のヒシ対策、道路、河川などの雑草処分においては、堆肥化したり処分業者に依頼する等多額の費用をかけて処理している状況を考えますと、雑草が宝になるという夢みたいな技術革新が進んでおります。  雑草の再生可能エネルギー化について、県として、あらゆる事業所、研究者などと協力し、積極的に取り組んでいく必要があると考えますが、今後の方針についての御所見を環境部長にお伺いをいたします。       〔農政部長中村倫一君登壇〕 ◎農政部長(中村倫一 君)3点についてのお尋ねでございます。  最初に、人・農地プランの進捗状況と今後の推進方策についてでございます。  人・農地プランの進捗状況につきましては、県内では本年10月末現在で68市町村、229のプランが既に作成をされております。現在58のプランが作成中でございまして、来年3月末までに県内全ての市町村でプランが作成される予定でございます。県内での作成市町村の割合といたしましては88%ということになりまして、同じ時期の全国の割合は86%ということでございますので、全国並みの進捗状況かというふうに認識をいたしております。  また、こうした作成されたプランの中身でございますけれども、個々の農業者の経営の今後、そしてまた地域農業の方向性を考えていただきました結果といたしまして、地域の個別経営や生産法人への農地の集積、そしてまた集落営農の組織化、中山間地域では例えば酒米の契約生産の推進、あるいは果樹産地では新規就農者を誘致しようというふうな、将来の地域農業の姿やその実現に向けた取り組みが示されてきているところでございます。  県といたしましては、引き続き、地方事務所の支援チームの活動を通じましてより実効性の高いプランへの充実を推進してまいりますとともに、実際の農地の集積や園芸作物の振興、6次産業化などさまざまな施策をフルに活用させていただきまして、各地域のプランの実現に向けた取り組みを支援してまいりたいというふうに考えております。  2点目の農地中間管理機構の関係団体との連携についてでございます。  現在、県内では、農地の利用調整につきましては、市町村、そしてまた農地情報を管理する農業委員会、農地利用集積円滑化団体という団体になっておりますJAなどが地域の実情に応じまして連携したり役割分担をして実施をしていただいているところでございます。  御指摘のように、農林水産省は、機構の運営の姿といたしまして、人・農地プランの作成主体である市町村と密接に連携をとることが必要不可欠であるというふうにいたしておりまして、機構の一部業務の市町村への委託ですとか農地利用計画の原案作成、こうしたことなどに対する協力要請というふうなことを想定をいたしております。また、JAにも機構の業務の一部を委託できるといたしております。機構の業務について積極的に協力していただきたいということでございます。また、農業委員会には、委員会が把握しております農地情報を提供していただくことは機構の業務にとっても不可欠だというふうに言っているところでございます。  こうした状況でございますので、県といたしましても、農地に関する利用調整機能を有する市町村、JA等関係団体と連携をした形で農地中間管理機構の機能が円滑に、効率的に発揮できるように努めてまいりたいというふうに考えております。  次に、親元に就農される後継者への支援の強化についてでございます。  この関係につきましては長野県農業経営者協会ですとか多くの市町村などから強い御要望があったところでございまして、県といたしましても重点事項の一つとして国に要請をしてきたところでございます。  農林水産省は平成26年度から青年就農給付金事業の給付要件を緩和することといたしておりまして、経営開始型につきましては御親族の方々から農地を借りて経営を開始する方にも対象とするといたしております。さらに、準備型につきましては、親元に就農する前に研修する方、ほとんど全ての方々でございますけれども、これが対象になるというふうにしております。こうした見込みでありますことから、後継者の多くの方々が受給できるというふうになるというふうに考えております。  これに伴いまして、農林水産省は、26年度の概算要求におきましても、今年度の予算の14%増、200億円程度の予算を要求しております。県といたしましても、必要額を確保いたしまして、受給対象者に漏れのないように対応してまいりたいというふうに考えております。  また、青年就農給付金による支援にあわせまして、農業改良普及センターによります各種セミナーや個別の相談、あるいは信州農業MBA研修などを通じまして、後継者の技術力や経営力の向上につきましても引き続き支援をしてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔林務部長塩入茂君登壇〕 ◎林務部長(塩入茂 君)野生鳥獣対策について2点御質問をいただきました。  まず、野生鳥獣対策における捕獲者のマンパワーの向上と県境をまたいだ広域的な連携についてのお尋ねでございます。  有害鳥獣捕獲の担い手については、狩猟免許の取得促進のための普及啓発を行うとともに、免許試験の受験機会をふやしたり、猟銃の所持許可の取得に対する支援を行うなどによりその確保に努めています。あわせて、捕獲効率を高めることも重要と考え、技術伝承のための研修を実施するなど、捕獲者の技術を一層向上させるよう今後とも取り組みを進めてまいります。  また、特にニホンジカなどは県境をまたいで移動しているため、隣接県と連携し、広域的な視点で捕獲対策を行う必要があると考えております。このため、これまで、山梨県、群馬県、愛知県、静岡県と鹿捕獲対策について打ち合わせを行ってきており、山梨県とは平成22年度以降これまでに5回の共同捕獲を実施し、合わせて60頭の鹿を捕獲していますが、今後ともこうした取り組みを一層推進してまいります。  しかしながら、隣接県との連携については捕獲推進の取り組みなどにおいて同一歩調がとれない面もあるため、国が山系別に生息状況を調査して個体数の一元管理、調整をコントロールするよう引き続き国に対し強く要請をしてまいります。  2点目の本県のジビエ振興に当たっての課題と今後の対応についてのお尋ねですが、ジビエの利活用は、野生鳥獣による農林業被害の軽減に向けて捕獲を進め、その獣肉を地域の特産品として活用していく重要な取り組みであると考えており、信州ジビエの振興に当たっては安全、安心な鹿肉を安定的に供給することと需要拡大を図ることが不可欠と考えます。  本年度、安全、安心なジビエ供給を目指して信州産鹿肉認証制度の構築を進めておりますので、これを踏まえて、各地域で関係者が一丸となって協力し、ジビエ利活用の体制づくりを進めるとともに、新たな処理施設を整備する取り組みについて積極的に支援してまいります。  また、ジビエの需要拡大を図る上で首都圏での販路拡大は大変重要であると考え、県では信州ジビエ研究会と連携して首都圏における販路拡大を目指すイベントを開催しており、本年度も試食、商談会等を9回実施しております。今後も、首都圏において、試食会、料理教室、商談会の実施などを通じて信州ジビエの販売促進に努めるとともに、県内各地域においてもジビエ料理教室の開催などを初め地産地消による利活用の拡大を図り、総合的に信州ジビエブランドの確立を目指してまいります。  以上でございます。       〔環境部長山本浩司君登壇〕 ◎環境部長(山本浩司 君)雑草を利用したバイオ燃料の検討についてのお尋ねでございます。  県内では、現在、雑草を利用いたしましたバイオ燃料の製造は行われていないものと承知をしております。一般的には、主にコストの面の課題からバイオ燃料が広く普及されるには至っていないのが現状だとお聞きをしております。  しかし、一方、議員御指摘のとおり、全国的にはコスト面の改善につながる技術革新が急速に進んでいるともお聞きをしているところでございます。  雑草の再生可能エネルギー化という大変興味深い取り組みでございます。また、自然エネルギーに係る技術開発は日進月歩であり、県としても、議員御指摘の例も含め、情報、技術開発や商業化の動きを注視し、まずは積極的な情報の収集、情報の交換に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔20番丸山栄一君登壇〕 ◆20番(丸山栄一 君)人・農地プランにおきましては88%が策定と、こういうことでございますが、私が見ておると青年就農給付金を対象にしたものが大変多いように感じるわけでありまして、人・農地プランは地域の実情にあわせ随時見直しをしていくという趣旨のものでありますので、既に策定した地域においても、引き続き継続的に話し合いながら、より実効性の高いプランにしていただきたいなと、こういうふうに思っております。  また、実行に当たっては、青年就農給付金、農地集積協力金、経営体育成支援事業などを活用して、地域農業が将来ともに持続発展できるような効果的な支援をお願いをしておきたいというふうに思います。  また、雑草の再生可能エネルギーにつきましては今後の課題ということで提案をさせていただきましたので、期待をしていきたいと思います。  また、野生鳥獣処理施設の整備も、被害軽減のためにも有効な資源として、多様な連携のもと協働し、また活用できるようにさらに努力をいただきたい、こんなことをお願い申し上げまして質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。 ○副議長(小松千万蔵 君)次に、向山公人議員。       〔37番向山公人君登壇〕 ◆37番(向山公人 君)工科短期大学校の上伊那地域への設置についてお伺いをしてまいります。  我が国の経済は、国の成長戦略、アベノミクスによる経済対策で明るい兆しが見え始めていると言われておりますが、長野県の経済、特に雇用を生み出し、県の暮らしを支える基盤となってきた製造業を取り巻く状況は依然厳しさが続いております。  こうしたものづくりの分野で県内企業が産業競争力を維持発展させていくためには高度な技術や技能が求められ、先端技術の知識と実践的な技術や技能を持った人材を育成確保していくことが求められています。  上田市にある長野県工科短期大学校は、平成7年の開校以来、県内産業への高い就職率を維持していますが、入校生、就職先ともに東北信地域に偏っており、南信地域の産業界等からは、企業の人材不足の指摘に加え、地域間格差を解消し、均衡ある県土発展を実現していくためにも南信地域への工科短期大学校の設置が強く望まれてきました。  数年にわたり上伊那広域行政と各種経済団体で設置の要請活動に取り組んできた結果、平成25年度からスタートする中期総合計画、しあわせ信州創造プランにおきまして上伊那地域への工科短期大学校設置に向けた取り組みを行っていくことが位置づけられました。私を初め、取り組んできたメンバーは、阿部知事のこの決断を高く評価をしているところであります。  上伊那地域では、県の5カ年計画に掲載されたことを受け、本年4月から市町村や産業界等の代表者によって設置に関する要望の一本化を図り、要望書として取りまとめてまいりました。そして、この要望書は、去る9月12日、上伊那広域行政連合長や経済団体代表者とともに、知事と商工労働部長宛てに提出をいたしました。  そこで、この要望書と昨年度開催されてきた工科短大機能あり方検討会での議論を踏まえ、知事にお伺いいたします。  人材育成には大変時間もかかります。経済は日々動いております。新たな工科短大の一日も早い開校という地域の切実な願いをどのように受けとめて取り組んでいかれようとしておるのか。  また、県の計画の中で具体的な設置場所について県としてまだ正式に表明されておりません。上伊那地域のどこに設置するのか。開校時期はいつごろを予定されるのか。あわせて、新たな工科短大の名称とともにお答えをいただきたいと思います。  また、上田市の工科短大と今設置をしようとする南信の工科短大との位置づけ、組織はどのように考えておられるのか。設置学科及び現在技術専門校において行われている短期課程の離職者訓練等については今後どのように取り組まれていくのか。そして、この工科短大の実施に対する今後のスケジュールをお聞きをいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)工科短期大学校の上伊那地域への設置についての御質問にお答えを申し上げます。  本県の主要な産業分野でありますものづくりの分野で県内企業が産業競争力を維持しつつ発展していくためには、高度な技術、技能を持つ人材の育成は大変重要な要素だというふうに考えております。しあわせ信州創造プランにおきましても、産業人材の育成を施策の柱の一つと位置づけて事業展開を図っているところであります。  上伊那地域におきましては、工科短期大学校の一日も早い開校に向けて産業界と行政が中心となり地域要望の取りまとめに御尽力いただいたこと、私どもとしては大変ありがたく思っております。
     県としては、提出をいただきました要望書の内容をしっかりと受けとめ、近く公表する設置概要案におきまして、知恵を絞り、工夫を凝らして、責任を持ってその思いに応えてまいりたいと考えております。  具体的には、県の財政状況にもかんがみ、既存の伊那技術専門校の改修と一部新築により整備をしていくということが総合的に最良というふうに考えております。また、工事期間中の職業訓練の空白期間を最小限に抑えつつ極力早期の開校を検討した結果、平成28年4月の開校を目指す予定でございます。名称につきましては、広域的な拠点であることなどを勘案して長野県南信工科短期大学校といたしたいと考えております。  次に、南信工科短大の位置づけ等についてであります。  南信工科短大は、既存の工科短大とあわせて県下全域への産業人材輩出の拠点であります。また、地域からの強い御要望もございますので、この両校につきましては同等の位置づけとしていきたいと考えております。  組織につきましては、南信工科短大に専任の校長を置き、責任ある体制がとれるよう配慮していきたいと考えています。  設置学科につきましては、南信地域における産業集積の状況や企業ニーズ等を踏まえ、機械システム系と電気・電子システム系の2学科を設置してまいりたいと考えております。  また、現在、伊那技術専門校で実施をしております短期課程の離職者訓練及び在職者訓練につきましては、地域の労働施策として欠くことのできないものという位置づけの中、南信工科短大においても引き続き実施をしてまいる予定であります。  最後に、スケジュールにつきましては、平成28年4月開校のためには、来年度実施設計を行い、可能な限り速やかに解体と新築、継続使用する建物の大規模改修を行っていく考えでございます。  以上でございます。       〔37番向山公人君登壇〕 ◆37番(向山公人 君)まだ先々が不透明で見えない状況でありますけれども、産業界といたしましては、やはり企業を支えるのは人材であります。地元で優秀な技術者、そしてまた担い手を育てるということは、今後の産業界にとっても大変大事な問題であります。今、知事から話がありましたように、一日も早くこうしたものができることによって新たな人材が地域に根づけば、地域の活性化、産業界の発展にも大きく貢献することになりますので、積極的な取り組みを希望しておきます。  続いて、戸草ダムの建設及び美和ダムの建設に関する基本計画の廃止についてお伺いいたします。  このたび、県は、特定多目的ダム法による戸草ダムの建設及び美和ダム建設(再開発)に関する基本計画の廃止について国土交通省から意見を求められ、議会の承認を得る方向でありますので、改めて県の考え方をお伺いいたします。  伊那市は、南アルプス、中央アルプスの二つのアルプスに抱かれ、市街地の中央部を天竜川、三峰川初め多くの中小河川が流れ込み、これらの河川によって形成された河岸段丘に豊かな自然環境と景観を形成し、発展をしてまいりました。しかし、暴れ天竜の異名を持つ天竜川の最大支流三峰川は、中央構造線などにより地質がもろく、一度雨が降ると土砂流出が激しく、被害を増大させ、天竜川を治めるには三峰川を治めよと言われるほど治水対策が大きな課題でありました。  昭和34年に美和ダムの完成により三峰川初め天竜川の下流の安全性は高まりましたが、上流域では昭和36年の三六災害や、57年、58年の大規模な災害に見舞われ、こうした状況下の中、防災対策を進めるため、治水、利水を目的にした戸草ダムが計画され、地域住民は完成を心待ちにしておりました。  順調に推移してきた三峰川総合開発戸草ダム建設も、脱ダム宣言を発端に長野県は利水目的から撤退を表明いたしました。国は、治水、利水の多目的での戸草ダム事業を中止し、社会経済情勢の変化にあわせ時期を検討するという方針が国の河川整備計画の中で決定され、全面的に支援してきた地域住民にとっては焦燥感と危惧感は拭い得ません。  また、数年前にも船形沢の崩壊による白濁で三峰川や天竜川の漁業にも大きな影響が出て問題になったことは、記憶に新しいところであります。  戸草ダムは、将来において、三峰川流域はもとより、天竜川流域の治水、安全のために不可欠な施設であると思います。  そこで、こうした苦難をしてきた地域住民を初め地元地域からの要望を受けて、県としては国土交通省にどのような回答をされようと考えているのか。建設部長にお伺いします。  あわせて、知事にもお伺いいたしますが、県も治水対策としての戸草ダムは地域とともに取り組んでいく方向だというふうに私は考えております。戸草ダム建設の現地は長谷地域でありますが、もとはといえば天竜川の治水対策として流域の安全確保のために天竜川の最大支流の三峰川を治めるという広域的な安全対策のダムであることを改めて認識し、想定外の災害が起きているときだけに、早期に計画し、着手するよう、取り組みを要望しておきます。知事の所見をお伺いいたします。       〔建設部長北村勉君登壇〕 ◎建設部長(北村勉 君)戸草ダムの建設及び美和ダムの建設に関する基本計画の廃止についてのお尋ねでございます。  議員御指摘のとおり、国土交通省は、平成21年7月の天竜川水系河川整備計画の策定や、平成24年11月の三峰川総合開発事業の再評価を行う中で、県の利水参加の取りやめや洪水調節の見直し等を踏まえて、当面の治水対策としては天竜川本川等の河道整備及び既設ダムの機能強化を行うこととし、多目的ダムとしての戸草ダムを中止すると決定しております。  これまでの天竜川水系河川整備計画の策定等における検討の経過を踏まえ、県といたしましては、多目的ダムとしての戸草ダムの建設を中止するとした基本計画の廃止に対しては、議会議決をいただき、異議ない旨回答したいと考えております。  なお、この回答とあわせて、河川整備計画に示された河道整備や美和ダム等の洪水調節機能の強化を着実に進めるとともに、長期的な治水に関する目標の達成に向けて必要となる洪水調節施設としての戸草ダムについては建設実施時期の検討を進めるよう国に要望してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)三峰川の治水対策についての御質問にお答えを申し上げたいと思います。  三峰川につきましては、天竜川水系における最大の支流ということで、天竜川本川の治水対策において重要な河川であるというふうに考えております。  たび重なる災害を受けてこられた流域の皆様方の治水安全度向上への強い思いは、私も共有をいたしたいと思っております。  地域の安全で安心な暮らしを守るため、まずは、天竜川水系河川整備計画に示された河道整備や美和ダム等の洪水調節機能の強化による治水対策の着実な推進を国に求めてまいります。  お尋ねの戸草ダムについては、河川整備計画において、長期的な治水対策に必要な洪水調節施設として今後の社会経済情勢等の変化にあわせ建設時期を検討するというふうにされておりますので、地域の皆様とともにこの早期の具体化を求めてまいりたいと考えております。  以上です。       〔37番向山公人君登壇〕 ◆37番(向山公人 君)国に対する廃止の答えはそのものを認めるということですが、今話のありましたように、治水ダムにおいては三峰川の安全対策、天竜川の安全対策に大きく影響を及ぼすだけに、その方向で取り組むということは、この治水ダムは安全対策として県としての立場で地元地域と一緒になって実施をしていくということでよろしいでしょうか。もう一度、確認をさせていただきます。  また、知事のほうからお話がありました。たまたま三峰川の上流地域で、昨日、伊那市長谷黒河内の治山工事の現場で土砂崩れが発生をいたしまして、とうとい1名の命が亡くなりました。心からお悔やみを申し上げると同時に、三峰川の上流というのはこういったもろさがございますので、このことが天竜川の安全対策にも大きくこれから寄与してまいります。ぜひとも、県として責任を持って地元と一緒に安全対策を図っていくということをもう一度確認をさせていただきます。建設部長にお願いします。       〔建設部長北村勉君登壇〕 ◎建設部長(北村勉 君)戸草ダムにつきましては、建設時期を検討されているというふうにされておりますことから、これが正規に具体化されますように国に要望してまいりたいと考えております。       〔37番向山公人君登壇〕 ◆37番(向山公人 君)私も自信を持ってお聞きをしておりますけれども、何かよくわかりません。後ほどで結構でございます。知事にお伺いいたしますが、県は地元と一緒にこの治水ダム、三峰川、天竜川の安全対策のために一緒に取り組んでいくということの確認だけさせていただきたいと思います。  次に、信州教育の再生と今後の取り組みについて教育委員会にお伺いいたします。  特に、教員による不祥事対策と地域に開かれた信頼ある学校づくりの2点に絞ってお伺いいたします。  相変わらず教員の不祥事が多発しておりますが、平成24年度にあり方検討会議が設置され取り組んできたにもかかわらず、本年度に入ってもわいせつ行為などで逮捕者が6人も出るという異常な事態が起きています。  県教育委員会では、こうした不祥事を解消するため設置したあり方検討会議から提言を受けて、本年7月に信州教育の信頼回復に向けた行動計画を策定したところですが、計画を進めていく上でなぜ教育現場でこのような不祥事が起きているのか。また、その後も続いて起きている原因についてどのように分析され、そして総括されて取り組んでおられるのかを教育長にお伺いいたします。  私は、起きている不祥事を見ると、組織的というより個人的な事案と受けとめておりますが、こうした現況を踏まえ、現場の責任者である校長や市町村教育委員会にはどのような指導をされておるのか。また、その後の経過として現在どのような状況にあるのか。あわせて教育長にお伺いいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)天竜川水系の治水についての御質問でございます。  先ほども御答弁申し上げましたが、天竜川水系の河川整備計画、まず当面50分の1の確率を求めていこうということで国として進めていこうという状況であります。したがいまして、美和ダム等の洪水調節機能の強化あるいは河道整備、こうしたものをまずは優先して強力に進めるように求めていくということであります。  戸草ダムにつきましては、河川整備計画の中で必要な洪水調節施設という位置づけにはなっておりますが、50分の1確率の次のステップという位置づけになっております。今後の社会経済情勢等の変化にあわせて建設時期を検討するというのが国のスタンスでありまして、この点について、先ほど申し上げましたように、地域の皆様方とは思いを共有をさせていただく中で国に対してその検討の具体化を求めていきたいと考えております。  以上です。       〔教育長伊藤学司君登壇〕 ◎教育長(伊藤学司 君)教職員の不祥事が続発することの原因の分析、またそれに対する取り組みについてのお尋ねでございます。  不祥事事案が発生した際には、起こした教職員に対しましてその原因や背景なども丁寧に確認をしているところでございますが、その要因は個々にさまざまではございますが、共通して言えることは、当該教職員が現実に起こっている他の教職員の不祥事や、その根絶に向け全県を挙げて取り組んでいることについて、何か他人事のように捉え、自分のこととして捉えていない面がある、これが大きな要因の一つというふうに認識をしてございます。  このため、伝達型の研修に加え、各学校において教職員同士がグループで討議をし、不祥事根絶について話し合い、理解を深める取り組みや、校長が教職員と個別面談をして不祥事防止について話し合うといった取り組みを実施しているほか、現在、実際の懲戒処分事例を参考にその原因や背景を分析し、それに対する対処方法などを盛り込んだ事例集を現場で活用してもらうべく、その作成に取り組んでいるところでございます。  このような取り組みを初め、行動計画の実施に当たっては、不祥事根絶に向けた思いが教職員一人一人の心に届き、みずからの振る舞いを律することができるよう、創意工夫を凝らしながらその取り組みを迅速かつ着実に進めてまいる所存であります。  次に、校長や市町村教委への指導内容と現況についてでございます。  教職員の不祥事が続発しているという現状に対する危機感を県全体で共有し、それぞれの市町村においても自己の問題としてしっかり向き合って取り組んでいただくために、9月2日に教職員の不祥事根絶のための教育委員会緊急会議を開催し、市町村教育委員会の委員長や教育長にお集まりいただき、不祥事防止のために必要な取り組みなどについてグループ討議を行い、各市町村における具体的な取り組みの充実を求めたところでございます。  また、学校に対しては、県教育委員会が全校長を招集する校長会議等で各学校における不祥事根絶のための研修の充実を求めるとともに、今年度、新たに、夏休みの期間を利用し、先ほど申し上げましたように、校長が全教職員と個別に面談し、抱えている悩みなどを聞くとともに、不祥事防止についての話し合いをするよう依頼をし、それぞれの学校において実施をしていただいたところでございます。  このような取り組みを初め、市町村や学校と一体となって今後も不祥事根絶に向けたさまざまな取り組みを粘り強く実施してまいりたいと考えております。       〔37番向山公人君登壇〕 ◆37番(向山公人 君)教育長は、教員の不祥事がどれだけ子供たちを悲しませ、教育に対する悪い影響を与えているかということをいま一度教員に認識してもらわなければならないと述べ、不祥事根絶のためスピード感を持って行動していくと強い危機感をあらわしていますが、ごく一部の教員のこととはいえ、現場において本当にそんな危機感が今出てきているのでしょうか。  いずれにしても、次代を担う子供たちを指導する立場の教員であるだけに絶対にあってはならないことであり、教育委員会として徹底した取り組みが求められています。改めて教育委員長のお考えをお聞かせください。       〔教育委員会委員長櫻井久江君登壇〕 ◎教育委員会委員長(櫻井久江 君)教職員の不祥事根絶に向けた取り組みについてのお尋ねでございます。  今、全県を挙げて教職員の不祥事根絶に取り組んでいる最中にも教員が連続して逮捕されるなど不祥事が相次いでいることについて、議員各位並びに県民の皆様には本当に心よりおわびを申し上げます。  ほとんどの教員が日々真面目に行動し、真摯に児童生徒と向き合っている中で、本当にごく一部の教員の心ない行為によって教育全体の信頼が失墜してしまうことが本当に残念でなりません。  一日も早く県民の皆様の教育に対する信頼を回復し、その上で全ての学校が児童生徒にとって安心して楽しく学べる場となるよう、市町村教育委員会や学校など関係機関と連携を図りながら教職員の不祥事根絶に本当に真剣に取り組んでまいります。       〔37番向山公人君登壇〕 ◆37番(向山公人 君)こうした教育委員会の現状を踏まえて、本来ならここで知事に情熱を燃やしてきた教育委員会の改革についてお聞きしたいと思っていましたが、けがをされて大変つらいような姿でございますので、ささやかではございますが私のお見舞いの気持ちということであえて答弁は求めません。  私は、今起きている不祥事で特に盗癖、性癖については、人格に関係なく、一種の病的な面も起因しているのではないかと思いますが、そうした面からの検証や調査もされて、以後このような不祥事が一日も早くなくなることを期待して、次の質問に入ります。  地域に開かれた信頼ある学校づくりについてお伺いいたします。  社会の多様化が進み、時代の変革期を迎えている今、スマートフォンやインターネットなど情報機器の普及で、利便性の向上と同時に、こうした情報機器を子供が使用することによる問題も多くなってきており、学校だけで解決していくことが難しい時代を迎えていると思っています。それだけに、学校、家庭、地域社会が連携して地域全体で子供を育てていく、地域に開かれた学校づくりをしあわせ信州創造プランで施策として取り組まれていくことは大変いいことだと評価しています。  しかし、学校、家庭、地域社会が連携を図り、地域に開かれた学校づくりを進めていくには、例えば、こうした携帯電話などの情報機器の活用や管理など、私は学校と家庭がお互いの立場を尊重し、責任と役割分担をある程度明確にしていくなど従来より一歩踏み込んで取り組んでいく必要があると思っています。特に、家庭の果たすべき責任と役割は大きいものがあります。  きのうも、教育長のほうで、ICT教育の中でモデル校を指定して積極的に取り組んでいく旨の答弁がありました。その前に、こうした情報機器の管理責任を明確にしていかないと、また再び同じような問題が出てくるのではないでしょうか。  家庭の教育力の低下が言われている中、学校、家庭、地域社会が連携を図り、地域全体で子供を育てていくためには、まず家庭の教育力の向上への取り組みが最優先ではないかと考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。       〔教育長伊藤学司君登壇〕 ◎教育長(伊藤学司 君)家庭の教育力の向上についてのお尋ねでございます。  子供の教育に第一義的に責任を有するのは家庭であり、議員御指摘のとおり、学校、家庭、地域が連携して子供を育てていく上でも家庭の教育力向上を支援していくことは極めて重要な課題と認識をしております。  本県では、これまで、家庭教育の支援として、PTA役員を対象としたPTA指導者研修の実施、生涯学習推進センターにおける家庭教育講座や、市町村と連携した公民館での家庭支援に関する講座の充実に取り組んできているところでございますが、加えて、携帯電話やインターネット利用などの今日的な課題については、学校、家庭がそれぞれ単独で取り組んで解決できるものではないため、県PTA連合会や県高等学校PTA連合会などとも連携協働しインターネットの安全な利用に向けた留意点を示すとともに、家庭におけるルールづくりを求めていくなど家庭の教育力の向上を支援しながら、学校と家庭が連携し、こうした課題の解決に取り組んでいけるよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。       〔37番向山公人君登壇〕 ◆37番(向山公人 君)施策の中でそうした政策を持って連携を持つというような形は言葉や紙に書けば大変に聞こえがいいわけでありますけれども、やはり信頼ある学校づくりということになれば、そこの部分を触れずにその先へ進むということは開かれたいい学校づくりにはつながらないというふうに私は思っておりますし、ひいてはそのことが信州創造プランの目的達成にもほど遠くなる。  いずれにいたしましても、次代を担う子供たちを指導する教員がこのような不始末を続けている以上、信州教育というものの向上はあり得ない。教育委員会の努力を期待します。 ○副議長(小松千万蔵 君)次に、中川博司議員。       〔1番中川博司君登壇〕 ◆1番(中川博司 君)改革・新風の中川博司です。最初に、病児・病後児保育への支援拡充についてお伺いいたします。  11月9日、男女共同参画推進県民大会が開催をされ、講演で、21世紀職業財団会長であり資生堂の顧問でもある岩田喜美枝さんのお話を聞く機会がありました。特に印象に残ったことは、日本における女性の年齢別就業率はいわゆるM字カーブとなっていて、出産、育児期に就業率が下がっています。世界の中では韓国が日本と同様の傾向にあります。その影響から管理職や取締役に占める女性比率も日本と韓国が低い状況にあります。そこで強調されたのは、男女ともに人材を十分に活用し、人材の多様性を企業の力にするダイバーシティーの推進が必要ということでありました。これまで育児、介護のために女性が仕事を離れることが多いことに対して政策として育児休暇や介護休暇の拡充を行ってきましたが、これからは男女がともに育児、介護をしながら普通に仕事をすることを支援することにも政策が必要ではないかということです。  総務省の労働力調査では労働力人口に占める女性の就業率が過去最高の63%となり、女性を重要な戦力と考え、積極的に活用する企業がふえたと言われています。しかし、第1子出産後も仕事を続ける女性は約4割にとどまっています。一旦、育児、介護で職場を離れると復帰するときになかなか仕事についていけない、結果として仕事をやめざるを得ない、あるいは昇進できない理由になってきています。もう一つ、女性の年齢別就業率でM字とならない国のほうが出生率が高い、こういう傾向もうかがえます。  そこで、国としても子育て支援に力を入れ、長野県としてもさまざまな子育て支援策を行っているわけですが、その一つに病児・病後児保育があります。子供が急な病気になったとき、基本的には親が職場を離れられるような企業などの理解が必要ですし、女性だけに任せるのではなく、男性も分担をできるワーク・ライフ・バランスが必要です。しかし、直ちにそうはならない中で、女性が育児や介護を担い、悩み、疲れ、職場を離れている現状を少しでも改善していく必要があります。  現在、長野県は国庫補助制度を活用して補助金を交付していますが、その要件に年間の利用者が10人以上という項目があります。病児・病後児保育のような事後でなければ利用人数が確定しない補助金にこのような実績要件をつけること自体、いかがなものかと思います。  小規模町村が多い長野県では利用者が10人未満なら全額市町村の負担となり、リスクが大き過ぎて手を出せず、結果として病児・病後児保育に取り組む市町村がふえないのではないかと思われます。  まず、この病児・病後児保育の現状についてお伺いいたします。  そして、長野県は5カ年計画で病児・病後児保育の目標を現在の15市町村から22市町村としていますが、それでも全体の3分の1にすぎません。子育て応援先進県を標榜する以上、国に制度改正を強く迫るとともに、当面県単補助で対応すべきと考えますが、いかがでしょうか。健康福祉部長にお伺いいたします。       〔健康福祉部長眞鍋馨君登壇〕 ◎健康福祉部長(眞鍋馨 君)病児・病後児保育の現状についてお答え申し上げます。  これは議員御指摘のところでございましたけれども、現在、国庫補助事業として実施されております病児・病後児の保育事業は、職員配置、それから実施場所、利用人数の補助要件が定められております。これを満たすことのできない比較的小規模な市町村にありましては事業実施を見合わせているところもありまして、本県では昨年度15市町村20カ所での実施ということにとどまっております。  このような状況を踏まえまして、県では、市町村が事業に取り組みやすくなるよう、これまでも、国に対しまして補助基準額の引き上げ、そしてまた実施要件の緩和等につきまして要望しているところでございます。  さらに、市町村の病児・病後児保育への取り組みを促進するために、本年度の当初予算におきましては、対応が必要な場合には保育士や看護師を配置して子供の預かりを行ったり、広域連携によります事業実施に取り組む市町村を支援する病児・病後児保育個別・広域対応支援事業、これを県単の補助事業として創設しました。  このほかにも、6月補正予算におきましては、新たな事業実施に係る施設整備や備品の整備を支援する病児・病後児保育施設整備事業を創設したところでございます。  県といたしましては、この国庫補助事業がより柔軟で利用しやすい制度となるよう引き続き国へ要望していくとともに、県内各市町村におきまして病児・病後児保育事業の取り組みが一層進んでまいりますよう支援していきたいと考えております。  以上です。
          〔1番中川博司君登壇〕 ◆1番(中川博司 君)次に、発達障害者への支援についてお伺いします。  長野県は、平成24年1月、発達障害者支援のあり方検討会で支援の方向を定め、切れ目のない支援に取り組んできていますが、11月15日の新聞によれば、本年度県内で発達障害があると判断された児童生徒が県内公立小中学校で5,093人、公立高校で592人に上り、過去最多であることが報道されていました。改めて、この調査の結果と分析、対策についてお伺いします。  また、これまでの学校の先生への研修で全体の何%の先生が発達障害の研修を受けたのか。教育長にお伺いします。  次に、県は、これまでに発達障害サポートマネジャーを4圏域に配置し、平成27年度までに全圏域への配置を目指しているところですが、今日の現状から養成が急がれるところです。現在の養成状況についてお伺いします。  また、巡回支援などの作業療法士、言語聴覚士、臨床心理士の皆さんの活用を強化すべきと考えますが、いかがでしょうか。  次に、発達障害児を持つ親御さんへの支援についてです。  現状においても、発達障害児を持つ親御さんの悩みに応え切れず、孤立をしてしまう方もいらっしゃるようです。発達障害に対する社会的な認識を広げることが求められているわけですが、発達障害者の子育て経験のある親であって、その経験を生かし、子供が発達障害の診断を受けて間もない親などに対して相談や助言を行うペアレントメンターの状況はどうなっているでしょうか。  以上、2点、健康福祉部長にお伺いします。  長野翔和学園についてお伺いします。  発達障害の子や若者の学びの場として来年4月に開設されるとお聞きしていますが、そもそもの狙い、県としての翔和学園への支援の内容、そして期待される効果についてどのようにお考えになっているか。企画部長にお伺いします。       〔教育長伊藤学司君登壇〕 ◎教育長(伊藤学司 君)発達障害の児童生徒の調査の結果と分析並びに研修の受講状況等についてのお尋ねでございますが、今御指摘いただきましたように、発達障害と判断された児童生徒の人数は年々増加してございまして、今年度、小中学校では5,093人、比率として2.88%、高等学校につきましては592人、比率として1.15%と数またその比率とも過去最多というふうになっている状況でございます。  その増加の要因につきましてはさまざまな指摘があり、特定はされてはございませんが、背景の一つとして、発達障害に対する知識、理解が普及してきたこと、発達障害児の早期発見、早期療育の受け入れ態勢整備が広がったこと等により早期に医療機関の診断等を受けるケースが以前よりはふえてきているためではないかというふうに考えられてございます。  また、教員の研修の受講状況でございますが、これまでに発達障害への対応を含む特別支援教育の研修を受けた教員の割合は、公立小学校では87.2%、公立中学校では71.6%、公立高等学校では75.7%、公立特別支援学校では100%であり、全体では81.5%となってございます。  発達障害の児童生徒の増加に適切に対応できるよう、今後は、校長、教頭、学級担任等それぞれの教員の役割に応じた研修の機会を確保するなど研修体制を整備し、教員一人一人の専門性の向上を図ってまいりたいと考えております。  さらに、各特別支援学校の専門性を生かし、発達障害の児童生徒が在籍する小中学校、高等学校に担当教員が巡回指導を行うなど、各学校への支援体制を整備してまいりたいと考えております。       〔健康福祉部長眞鍋馨君登壇〕 ◎健康福祉部長(眞鍋馨 君)私には、2点、発達障害サポートマネジャー、そしてまたペアレントメンターの現状、養成状況についてのお尋ねでございます。  まず、発達障害サポートマネジャーにつきましてですけれども、この方々は、保健、医療、福祉、教育、就労など全ての分野と年代にわたりまして発達障害者への支援の知識と経験を有し、保育士や保健師、教師など、こういった現場で発達障害の子供たちに対応する方々に対しまして総合的な助言や必要な支援への橋渡し、こういうことを行う者としまして、長野県が独自に設けている専門家であります。  今年度は、昨年度養成いたしました4人でございますけれども、この方々を、4圏域、上小、上伊那、松本、長野でございますけれども、に配置をいたしております。来年度の新たな配置に向けましては、これら以外の複数の圏域から推薦された候補者に対しまして養成研修を実施することとしております。平成27年度までに全圏域への配置を目指していこうというふうに思っております。  また、臨床心理士等の専門職種についてでありますけれども、現在、市町村のあそびの教室ですとか、あるいは保育所等への巡回指導、療育センターなどの児童発達支援におきまして御活躍をいただいております。また、県が実施する医療研修会や地域連絡会議などにも御参加いただいているところであります。これらの方々の専門性がさらに発揮されて、発達障害にかかわる方々がふえていただけるように、これはそれぞれの職能団体の方々の御意見もお聞きするなどして研修会の充実など対策を進めてまいりたいというふうに思っております。  次に、ペアレントメンターの現状についてでございますけれども、ペアレントメンターは、発達障害のある子を育てた経験があり、現在実際に発達障害のある子供を育てて悩んでいらっしゃる親御さんに対しまして市町村の相談会などにおきまして当事者の立場で相談に当たる方として県が養成しているものであります。  ペアレントメンターの活動には十分な資質を必要とするということでございまして、養成研修でございますけれども、発達障害に関する県内各地の親の会、こういうところから推薦された方々を対象としております。昨年度からこれまでに全ての圏域におきまして61名の方々を養成しております。と同時に、今年度から相談活動を開始しておりまして、障害者総合支援センター、保健福祉事務所、市町村などに対しまして、6回、17人のペアレントメンターを派遣いたしまして38人の親に対して支援を行ったところでございます。  今後は、ペアレントメンターの本格的な運用に向けまして、この制度を市町村、学校、医療機関、福祉施設などに広く周知いたしましてペアレントメンターの有効活用を図ってまいりたいというふうに思っております。  以上でございます。       〔企画部長原山隆一君登壇〕 ◎企画部長(原山隆一 君)長野翔和学園についてのお尋ねでございます。  まず、そもそもの狙いということでございますが、発達障害と判断される子供たちの数が増加する中で、特に支援が不十分な高校、大学相当年齢の子供、若者たちの学びの場の確保、それから、特性に応じた個別の発達教育支援を行うために発達教育支援に先進的に取り組んでいる教育機関を誘致したところでございます。  さらに、こうした先進的な教育ノウハウを共有いたしまして、県内の公立、私立学校における発達障害の子供たちの教育支援の向上を目指すものでございます。  県の支援の内容でありますが、発達障害の子供たちへの社会的な理解がまだまだ十分でない状況の中で、県としても、しっかりと学びの場を支援すべく、まず学園設置場所として社会福祉総合センターの中央児童相談所後の施設改修を行うとともに、使用料の全額減免や机、椅子、ロッカー等の備品の貸与を行うこととしております。さらに、県民の皆様の協力を得て長野翔和学園の応援団を設置いたしまして、県がコーディネーター役としてさまざまな県民や企業等の皆さんに可能な分野で協力や支援をお願いいたしまして、地域を挙げて学びの場づくりに参加してもらう官民協働支援プロジェクトを実施中でございます。  期待される効果でありますけれども、そもそもの狙いで先ほど申し上げましたことに加えまして、生徒の得意な分野を集中的に伸ばすギフテッド教育の実践を通して子供たちの自信や自尊心を高め、社会的自立、就労につながることを期待しているところであります。あわせて、さまざまな県民、企業の皆さんに長野翔和学園に積極的にかかわってもらうことで地域社会全体で発達障害への理解が深まり、応援の輪が広がることを期待しているところでございます。  以上です。       〔1番中川博司君登壇〕 ◆1番(中川博司 君)学校の先生の多くの悩みの中に発達障害の子供に対する扱い方がわからないといった悩みがまだあるように聞いております。ぜひ、1回で済む話ではありませんので、引き続き何回も研修がされるようにお願いします。  発達障害のお子さんを持つ親御さんからお話を聞く機会がありました。3歳のころからちょっとおかしいかなと思っていましたが、よくわからず、小学校へ入ってから先生に言われ、医者に診てもらったところアスペルガー症候群と診断されたそうです。もし最初にちょっとおかしいかなと思ったときに診断を受け療育が行われていたらと思うと、親として責任を感じるということでした。  発達障害に対する社会的な認識をさらに広げ、早期発見、早期療育開始ができるよう専門職員の養成に全力を挙げていただくことを要望いたします。あわせて、切れ目のない支援がされるよう要望をいたします。  次に、長野県子ども支援条例(仮称)骨子案についてお伺いいたします。  25日に長野県子ども支援条例(仮称)骨子案のパブリックコメントが示されましたが、関連してお伺いいたします。  まず、子供が置かれている現状についての認識ですが、骨子案では、基本理念の第1に「子どもへの支援は、子どもが不当な差別、虐待、体罰、いじめなどに悩み、又は苦しむことなく安心して生きていけるよう、その人権が尊重されること。」と記載されています。  そこで、現在わかっている範囲で結構ですが、体罰やいじめに悩む子供はどの程度いるのか。加えて、子供の不登校の状況は現在どうなっているのか。教育長にお伺いいたします。  あわせて、虐待に悩む子供はどの程度いるのか。最近の自殺の傾向はどうか。健康福祉部長にお伺いいたします。  次に、こうした悩み苦しんでいる子供の家庭環境についてですが、先ほど女性の就業率が高くなってきているというお話をさせていただきましたが、さてその就業形態と労働条件というと依然として厳しいものがあります。  調査によれば、労働者全体の38%、2,000万人が非正規労働者で、女性や若者の場合、半分が非正規労働となっています。国税庁の平成24年度民間給与実態統計調査によれば、正規労働者の平均年収が468万円であるのに対して非正規労働者は168万円、300万円の格差があります。子供を育てる親の生活の厳しさも子供の健全な育ちを阻害する要因になっているのではないかと思われます。  また、現地機関の視察で波田学院のお話を聞きましたが、入所している子供たちの多くが虐待された経験があり、そのストレスから非行や暴力に走ってしまうのではないかということでした。  こうした子供の育ちについて第一義的責任を有する親の状態と子供の育ちについてどのようなお考えを持っているか。お聞きします。  次に、発達障害児への支援についてですが、発達障害に気づかずに叱り続けていると、怒られた本人は自己肯定感を失って2次障害に陥る可能性が指摘されています。子ども支援条例の中では発達障害児への支援はどのような位置づけになるのでしょうか。  次に、地域の支えについて、骨子案では、「子ども支援に関係する者の役割」の中で子供の育ちを支える地域やNPOなどの記載がありませんが、子供たちが地域の中で見守られているという実感は大切なことではないかと思いますが、いかがでしょうか。  最後に、長野県子どもアンケートが実施され、この中で、自分にとって最も大切だと思うことは何ですかという質問の答えは、複数回答で、1番が差別されないこと、2番が親に愛情を持って育てられること、3番が健康でいられ治療を受けられることとなっています。また、大人からたたかれる、殴られたとの答えが14.2%、心を傷つけられる言葉を言われたが14.4%、そのときの気持ちは、自分自身がしっかりしなければいけない、自分が悪いので仕方がないが合わせて53.5%ですが、毎日がつらい9.5%、生きていたくない8.4%、そのときどうしたかでは、我慢したが58.3%、やめてほしいと言った、誰かほかの人に相談したが合わせて21.7%という結果です。  このようなアンケートに見られる子供の思いや子ども部会の議論などから、子供支援の方向性と具体的な施策について骨子案にはどう生かされているのでしょうか。  以上、健康福祉部長にお伺いいたします。       〔教育長伊藤学司君登壇〕 ◎教育長(伊藤学司 君)私には、体罰やいじめ、不登校の状況についてお尋ねをいただきました。  体罰についてでございますが、平成24年度に実施をいたしました体罰に係る実態把握調査の結果、県内の公立学校の体罰は、昨年度、50件あったと確認をしております。  次に、いじめについてでございますが、平成24年度上半期の県内の公立学校のいじめの認知件数は1,554件でございました。平成20年度の上半期調査の件数989件と比べますとかなり増加をしてございますが、これは、ささいなことであっても軽視せずに解消に向けた対応をする必要があることから、各学校が積極的な認知に心がけていることも起因しているところでございます。  最後に、不登校の状況についてでございます。平成24年度、30日以上欠席している児童生徒の不登校の状況は、小学校が396人、中学校が1,638人でございます。これは、平成20年度の小学校632人、中学校2,091人と比較しますと減少している、こういう状況になってございます。       〔健康福祉部長眞鍋馨君登壇〕 ◎健康福祉部長(眞鍋馨 君)私には子ども支援条例骨子案につきまして5点お尋ねをいただいてございます。順次お答え申し上げます。  まず、子供の虐待、自殺の状況についてでございます。  子供の虐待でございますけれども、平成24年度の児相における相談対応件数でございますが、1,016件でございました。平成20年度から順に申し上げますと、平成20年度が530件、21年度が517件、22年度が839件、23年度が767件、24年度は先ほど申し上げた1,016件でございます。こういうことでございまして、ふえておると。  また、この後、児相が介入をするわけでございますけれども、虐待によりまして一時保護をするということがございますが、その件数を申し上げますと、平成24年度の数は292件でございました。これも平成20年度から順に申し上げますと、20年度は164件、21年度が168件、22年度が244件、23年度が252件、そして24年度が先ほど申し上げた292件でありまして、やはりこれも増加しているという状況にございます。  次に、長野県における10代の自殺でございますけれども、人口動態統計によりますと平成24年度は17人ということでございました。20年度は9人ということでございます。21年度が9人、22年度が10人、23年度が15人、24年度が17人ということで、いずれも増加している状況にあるというふうに承知をしております。  次に、親の状態と子供の育ちに関する御質問でございます。  県といたしましても、親や家族の状態というのは子供の育ちに大きな影響を及ぼすものというふうに思っております。例えば、親の経済的な理由によりまして子供が教育の機会をなかなか得ることができずに安定した職業につけない、そのため、結果、厳しい生活に陥るという貧困の連鎖が生じているとの指摘があることは認識しておりますし、また、虐待の要因につきましても、厚労省の「子ども虐待対応の手引き」にもありますように、子供虐待というのは家族の構造的問題を背景として起こるという記載がありますなど、親側の背景要因というものが指摘されているところでございます。  このような認識に基づきまして、条例骨子案におきましても保護者に対する支援ということを大事なこととして盛り込んでいるところでございます。  次に、条例骨子案の中での発達障害児への支援に関する御質問がございました。  条例骨子案におきましては、子供への支援、そしてまた子供を支える方々への支援、支援者への支援というふうに呼んでおりますが、直接の支援と支援する方への支援、そしてまたそれ以外に適切な相談・救済体制をつくるということを盛り込んでおります。  御指摘の発達障害児への支援について申し上げますと、条例骨子案におきましては、発達障害児として特に明示して取り上げてはおりませんけれども、現在推進しております発達障害児対応施策のうち例えば保育士や医師等の対応力の向上に関しましては、これは子供への支援に該当するものというふうに考えておりますし、先ほども御答弁させていただきましたが、サポートマネジャー、そしてまたペアレントメンターの養成、配置というものは、これは支援者への支援ということに該当するものというふうに考えているところであります。  次に、地域の支えについての御質問でございます。  条例骨子案におきましては、県は、地域における県民の主体的で自主的な子供支援のための取り組みを尊重し、子供支援施策を推進するということにしております。ここで言う地域の中には、例えば町内会や子供のための地域協議会、議員御指摘のNPOや各種の団体も包含されるというふうに思っております。  このような地域の中で見守られながら、ボランティア活動、そして子ども会活動といった子供の社会参加が促進されるべきものと考えております。子供を支援していく地域の役割はますます重要になるというふうに認識しております。  最後に、子どもアンケートに関しまして、この結果を支援の方向性と具体的な施策についてどう生かしたかという御質問でございました。  子どもアンケート結果からは、約4割の子供たちが、日常生活の中で最も大切に考えていることは差別されないことだというふうに答えております。また、子供の約1割の方が、いじめ、体罰、虐待などに苦しみ、しかも自分を責めて我慢する傾向にあるということが示されております。また、その相談に対しまして公的な相談窓口が必ずしも十分に応えられていないという課題も浮き彫りとなったところでございます。  そこで、条例の基本理念に人権の相互尊重ということを盛り込み、施策といたしましては人権教育の充実や相談・救済体制の整備ということを盛り込んだところでございます。  また、子ども部会の報告からは、親などの大人に対して、例えば、最初から無理と決めつけずに、多少不安でも子供にやらせてほしい、あるいは子供の話をもっと聞いてほしいなどの提言があったことから、基本理念に子供の参加を盛り込み、県の役割といたしまして、子供支援施策を推進するに当たっては子供の意見を聞くよう努めるものとし、施策としては子供の社会参加の促進を考えているところであります。  いずれにいたしましても、全ての子供たちが将来に希望を持ち、みずから成長する力を十分に発揮して伸び伸びと育つことができるよう、施策を展開してまいりたいというふうに考えております。  以上です。       〔1番中川博司君登壇〕 ◆1番(中川博司 君)お伺いしまして、虐待あるいは自殺される数がふえているということに極めて強い危機感を感じざるを得ません。  今回、3点にわたって子供にかかわることを質問をさせていただきましたが、今回の子ども支援条例(仮称)骨子案の議論を通じて、長野県の大人たちは、県議会を初め、子供たちを本当に大切に思っているんだよ、もっともっと子供たちが幸せになれる町をつくりたいんだ、こういうメッセージが子供たちに伝わることが大切なことだと申し上げ、質問を終わります。 ○副議長(小松千万蔵 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時43分休憩          ──────────────────         午後2時58分開議 ○議長(本郷一彦 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  今井敦議員。       〔19番今井敦君登壇〕 ◆19番(今井敦 君)それでは通告に従いまして順次質問をさせていただきます。まず、災害に強い山づくりについてであります。  近年の局地的な豪雨や台風により、急峻な地形を抱える長野県においては山地を起因とする災害により県民生活に支障を来す被害が多く見受けられます。  私の地元であります諏訪地域でも、平成18年の7月豪雨、平成21年の8月豪雨により甚大な被害に見舞われ、とうとい人命が失われるなど住民生活に大きな打撃を受けました。また、昨年7月には、茅野市北山柏原地区で局地的なゲリラ豪雨による災害により100カ所を超える山腹の崩壊が発生し、大量の土砂と流倒木の被害が発生しております。現在は関係する部局がそれぞれの立場で精力的に災害復旧に取り組んでいただいており、感謝を申し上げる次第であります。  この茅野市北山地区の災害現場へ私も行きましたが、倒壊した木々の中には地上部の生育状況に比べ土の中の根の広がりが小さく見える木も散見をされ、一見きれいに造成されている森林も、その植林方法や植林する木の種類によっては災害に強い森林を形成できる場合とできない場合があることに気づかされました。  先般、山寺元信州大学教授のお話をお聞きする機会があり、山の防災機能を高めるためには幹から土の中まで真下に伸びるいわゆる直根を有する苗木を植栽に用いることが有効であるとのお話を伺いました。  今まで植えられてきた多くの苗は、その育成の段階から直根が発達しにくい環境で育てられているため土砂をつなぎとめる力が弱く、大雨のときなどに倒れやすいが、一方で、直根が伸びる方法で育てた苗を用いることで山地災害の発生を防ぐ力の強い森林による山づくりをすることができるとのことであります。  そこで、このような方法で育てた苗に効果が認められるのであれば土砂災害を防ぐ森林づくりのために活用すべきではないかと考える次第でありますが、県内のこれまでのいわゆる直根を生かした苗木の植栽実績はあるのでしょうか。また、その効果をどのように評価しているのでしょうか。林務部長の所見をお伺いいたします。  災害に強い森林づくりを行うためには、森林の立地環境に適した樹木を植え、適正に管理すること、すなわち、適地適木、適正管理も重要な視点であるとお聞きをしておりますが、防災面においてどのような条件の土地に直根を使用すれば効果的とお考えか。林務部長の御所見をお伺いいたします。  また、県内の人工林の多くが近年伐採時期を迎えつつあり、これからまずはそれらの伐採、そして再造林という流れで森林の更新が進む中、災害を引き起こさない方法による森林づくりの必要があるのではないかというふうに考えますが、たび重なる災害を受け、今後、災害に強い森林づくりに向け地域とともにどのような取り組みを行っていくのか。この点もあわせて林務部長の所見を伺いたいと思います。       〔林務部長塩入茂君登壇〕 ◎林務部長(塩入茂 君)災害に強い山づくりについて3点御質問をいただきました。  まず1点目、直根を生かした苗木についての御質問でございますが、この苗については、林務部関係では、直根がくいのように土の層をつなぎとめる効果が土砂災害防止に寄与することを期待して、治山事業により茅野市を初めとした9カ所において4,400本ほど植栽をしております。
     この直根苗の土砂災害防止に関する効果の評価については、植栽後の経過年数がまだ10年未満と浅いことから根を掘り出してその伸び方を確認するなどの本格的な検証を行う段階に至っていませんが、その検証の必要性については今後の課題であると認識しております。  次に、直根を生かした苗木をどのような土地に植栽すると防災面で効果が発揮されるのかとの御質問でございますが、この苗木の防災面における効果が明確に把握されていないことから、どのような土地で効果を発揮するのか詳細については検証が必要ですが、森林の根による土砂災害防止効果としては、発達した根系が土壌を縛る効果と、くいのように土の層をつなぎとめる効果が認められております。  県としては、直根の発達の程度の違いによる防災効果の差異の有無について把握することは災害に強い森林づくりを進める上で重要な課題と認識しておりますので、林業総合センターなどにおいて植栽した苗木を今後調査し、地形、地質、また土壌の厚さなど、どのような条件の土地に有効か検証してまいりたいと考えております。  3点目として、人工林の再造林における災害に強い森林づくりに向けた取り組みについての御質問です。  県内の森林は成熟し木材を利用する時代に入っており、現在取り組んでいる塩尻市の集中型木材加工施設等を整備する信州F・POWERプロジェクト等により県産材の利用が促進されることで、今後、人工林の伐採及び再造林は増加していくものと予想されます。  再造林に当たっては地域に適した樹種を選定する適地適木が重要であり、植栽後も間伐等の適正な管理が必要です。特に、防災機能を高める必要がある森林においては、多様な樹種により構成され、根がしっかりと張った健全な森林を造成していくことが必要と考えております。  また、災害に強い森林づくりに向けて地域との取り組みについてですが、岡谷市花岡区や諏訪市神宮寺地域では住民主体で植樹を行うなど、地域の森林の維持、整備活動に取り組んでいます。  このように、行政機関と役割分担をしながら、地域住民が山地災害に対する高い防災意識を持つことで主体的に森林整備活動を行うような取り組みがさらに広がるよう、普及と支援を行ってまいりたいと考えております。       〔19番今井敦君登壇〕 ◆19番(今井敦 君)戦後植林された木々をこれから活用していこうという時期に来ているわけでありまして、今、そうした木々をどうやって活用していくのか、そんなことが多く議論をされているわけなんですけれども、それと同時に、これから50年あるいは100年先の山をどうやってつくっていくのかという視点も大変重要だというふうに思っております。50年先、100年先に災害のない山をつくっていくために、さらに直根を含めてきちっと検証を充実させていただいて、直根を使う形で災害に強い森林づくり、山づくりを進めていっていただければと、そんなふうに思いますので、ぜひそんな形でお願いをしたいというふうに思います。  次の質問に移らさせていただきます。太陽光発電施設の設置についてであります。  東日本大震災以降、原子力発電所の停止で約3割の電力供給が縮小をし、再生可能エネルギーの拡大が急務の課題となっています。  県内でも、昨年6月に茅野市に県内初の農地転用による太陽光発電施設が設置されて以来、特に太陽光の好条件を有する県内の南信、東信地域においては農地や林地を活用した太陽光発電が増加傾向にあります。一方で、太陽光発電の売電価格の国による将来的な引き下げが予想される中で、太陽光発電施設の早期設置に向けて太陽光発電設置業者からは本県の農山村の農地や林地に熱い視線が向けられている反面、一部の地域では早急な大規模開発に対する反対運動が起きるなど地元住民における不安や懸念も生じ始めているという状況も発生してきております。  そこで、幾つか質問をさせていただきます。  近年、太陽光発電施設設置業者が、中山間地域の遊休農地や林地の有効活用、あるいは高齢者の所得確保などのメリットを示しながら、県内の農村部への営業を行っている事例があります。農地については農地法により開発に対する一定の規制はある一方で、林地については規制がない状態となっています。  林地については、先ほどの質問でも取り上げさせていただきましたが、十分な手が入っていないところは脆弱な状況にあり、そこに大きな負荷をかけるような大規模な開発や設置が行われますと土砂崩れや山林崩壊などの防災面の課題や景観の悪化等の課題も発生し、結果的に地域振興にマイナス効果をもたらしてしまうのではないかというふうなところが懸念をされています。  そこで、まず県内において太陽光発電施設の林地への設置の状況及び今後の計画は現在どのようになっているのか。お伺いしたいと思います。  また、太陽光発電施設の林地への設置について現時点での行政手続についてはどのようなものがあるのか。  さらに、太陽光発電施設設置を目的とする開発行為に対して何らかの基準を設ける必要があると思いますが、林務部長に御所見をお伺いいたします。  ところで、つい先日、11月22日に原村に太陽光発電施設が開設をされました。私も通電式にお招きをいただき、そのときに設置業者の社長さんから以下のようなお話をお伺いいたしました。それは、太陽光発電施設の設置に当たっては多くの業者が参入してきているが、設置のための用地を提供したり貸したりする地権者にとっては、どの業者に任せてよいのかといった業者選定や、長期的な投資になるということで設置する機種の選定などが非常に重要になってくる。業者選定は、地権者の問題だけでなく、太陽光発電といった再生可能エネルギーの普及促進にとっても、地域の効果的かつ合理的な土地利用の推進にとっても重要な問題ではないかと思う。このような中、専門の技術を有しておらず、また、設置した場合の近隣への影響データなどが乏しい、経験のない設置業者などが積極的に営業をしている実態があり、さらには、電力を購入する側の電力会社なども、設置業者に対して、購入するに当たっての審査基準等を設けていないという状況であり、大変心配しているということでありました。  そこで、これらの事業の中には地元住民から不安が示されるなど何らかの調整が必要と考えられるところもあるわけですが、よりよい再生エネルギー施設の設置普及と土地の安全かつ合理的な利用の促進、そして地権者等の保護など、県としてこのような課題をどのように捉えているのか。  また、業者に対する設置のためのガイドラインの提示や、設置を希望される地権者等へ設置コスト、耐用年数、発電能力、収支などの情報を提供するための相談窓口の設置や、専門業者選定のために一定の基準などを検討する必要があると思いますが、環境部長の御所見をお伺いいたします。  次に、先日18日の日本経済新聞には、太陽光発電の売電価格が現在の1キロワット当たり38円から今後2年間で2割下げ30円になる方向で国が検討しているという記事が掲載をされました。太陽光発電への一定の参入を促した後の高コスト化に伴う電力料金の抑制や、風力や地熱の活用など発電の多様化に軸足を移すとのことで、そのための河川法や農地法等の規制緩和や環境影響評価の期間短縮なども進められるということであります。  このような状況の中で、将来的には、太陽光発電の普及については、土地を購入したり借りたりして設置するのは高コストとなるため、今後は土地所有者がみずから売電することなどが収益性確保の上で選択される方法となることが予想されます。  前回の9月議会一般質問でも取り上げさせていただきましたが、国では、現在、国家戦略特区での規制緩和による地域活性化を進めており、先日の新聞では、首都圏に加えて北海道、沖縄とお隣の新潟県も特区に指定されるという報道がありました。この中で、新潟県は天然ガスの安定かつ安価な供給の実現による日本経済再生のための産業基盤の強化に向けて、1、国内供給ラインの多重化、2、エネルギー需給における天然ガスへの利用転換促進、3、産業競争力の獲得に向けた技術開発及び生産活動の集中的推進を提案するなど、我が国のエネルギー構造の転換と産業基盤の創出のために新潟県が大きな役割を果たし、同時に新潟県自身がその中心となり経済の拡大を図っていこうとしています。  新潟県の意気込みを感じるわけでありますが、長野県も、太陽光利用を初め小水力や風力などの活用など、日本の屋根とも言われる本県のアドバンテージを生かし、我が国経済再生の新たな方向性として示せたらというふうに思います。  例えば、人口減少などによりその維持が懸念される本県の中山間地域において、所得や産業を確保し、貴重な文化やコミュニティーを維持できるような仕組みはできないかというようなことが県の産業政策の取り組むべきことでもあり、県民も望むところではないかというふうに思います。  そこで、太陽光以外の多様な再生可能エネルギーの活用も含めた地域活性化のための規制改革の提案を国に対して積極的に行っていくべきと思いますが、事例等もあれば御紹介をいただきながら知事の御所見をお聞かせください。       〔林務部長塩入茂君登壇〕 ◎林務部長(塩入茂 君)太陽光発電施設の林地への設置についてのお尋ねでございます。  初めに、太陽光発電施設の林地への設置状況については、平成24年度から本年の10月末までに38件の施設が設置されております。このうち防災施設の設置を義務づける1ヘクタールを超える林地の開発許可を伴う施設は4件に上ります。  今後の設置計画につきましては、現在、1ヘクタールを超える施設について十数件に上る事前相談を地方事務所で受けている状況です。  太陽光発電施設などを林地へ設置する場合の手続につきましては、1ヘクタールを超える開発行為を伴う場合には森林法に基づきまして県の林地開発許可が必要になります。それ以外の小規模な開発につきましては、市町村へ森林の伐採届の提出が必要になります。  県の林地開発許可につきましては審査の要点が四つあり、当該開発行為により、一つ、災害を発生させるおそれがないか、二つ、水害を発生させるおそれがないか、三つ、水の確保に著しい支障を及ぼすおそれがないか、四つ、環境を著しく悪化させるおそれがないか、これらの4点の要件について審査いたしまして許可、不許可の判断を行っております。  審査に当たっては、防災対策などについては必要な措置がしっかり図られる計画かどうか厳正に審査することになります。  一方、森林について無秩序な開発を防止することを目的とする森林法の林地開発許可制度は、太陽光発電施設の設置上のさまざまな課題の全てに対応できる制度ではない状況にあるところです。  以上でございます。       〔環境部長山本浩司君登壇〕 ◎環境部長(山本浩司 君)自然エネルギーに関しまして順次お答えをさせていただきます。  初めに、太陽光発電などの設置に際しての課題についてのお尋ねでございます。  自然エネルギー施設設置に際しての課題につきましては、県内において具体的にどのような課題が発生しているのか、市町村としてどのように対応されてきたのか等々について現在情報収集を行っております。  特に、10月に開催いたしました自然エネルギーに関する市町村との意見交換会では、各市町村における事例、また各市町村の景観条例による対応ですとか、市町村独自で設けている太陽光発電設置基準などについて情報共有、意見交換を行ったところでございます。  また、県におきましても、関係する部局の担当者が集まり、所管する法令等の対応状況や課題等について情報交換、情報共有を図っております。  いずれにいたしましても、まずは庁内や市町村との連携を密にし、情報の収集や課題の整理、検討を進めてまいりたいと考えております。  次に、自然エネルギーに係る情報提供の取り組みについてのお尋ねでございます。  県としましては、県民や事業者に対し適切に情報を提供することが自然エネルギーの健全な普及に資するものと認識をしております。そのため、今年度は、自然エネルギー全般に係る情報提供の核として情報データベースや人材バンクを構築しているところでござい。今後は、地域での自然エネルギー事業を的確にサポートできる支援組織の創出に取り組む予定としております。  また、今後の普及が期待されます小水力発電につきましては、関係部局が連携して小水力発電キャラバン隊を結成し、技術面や水利権等に関する出張相談会を全県4カ所で開催するなど、県の持つ知見を県民や事業者に提供をしているところでございます。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)自然エネルギーに関連しての国への規制改革の提案についての御質問でございます。  自然エネルギーに関連しては、従来の法令、制度、必ずしも自然エネルギー再生可能エネルギーの普及拡大を想定した時代の制度ではないというものが多いわけでありますので、そういう意味で普及拡大していく上でのさまざまな支障となる規制というものがあると思っております。  そういう観点で、自然エネルギーの普及拡大を進めるに当たっては、今の規制をこれからの将来に向けての実態に合うように変えていくということが重要だろうと思っております。  産業イノベーション推進本部の中で、産業活性化の支障となる規制の緩和について県民の皆様方から御提案を受け付けたわけでありますが、自然エネルギーの活用につきましては、本部設置以降、県民、企業の皆様方から6件御要望が出てきておりまして、県民の皆様方の関心も強い部分だというふうに考えております。  長野県の取り組みとしては、一つはまず総合特区、昨年9月に申請をいたしました。残念ながら最終審査で特区という形では認められなかったわけでありますが、私どもが求めたことをきっかけに、一つは公共施設の屋根貸し、これについては基準が閣議決定されたところでありますし、また、木質バイオマス発電で生じた焼却灰について全国統一の相談窓口を国が設置するということで、一定の成果を上げられたというふうに思っております。  また、自然エネルギーの普及拡大に力を入れている他の道府県と一緒に自然エネルギー協議会というものをつくっておりますが、ここの場におきまして、例えば自然エネルギーの系統接続に際して電力会社が出力抑制の可能性について事前説明を行うことでありますとか、あるいは小水力発電における電気主任技術者の設置を許可制から届け出制にすること等、規制改革の提案を行ってきております。  また、私ども、先ほどの産業イノベーション推進本部の検討の中で、11月14日、構造改革特区の規制緩和を幾つか提案いたしましたが、その中でも、県管理ダムにおいて新たに小水力発電を行う場合の費用負担の要件緩和について提案をいたしたところであります。  引き続き、自然エネルギーの一層の推進を図るため、市町村、あるいは企業の皆さん、さらには自然エネルギー信州ネットの皆さん、こうした皆さんの問題意識を私どももしっかり伺う中で地域や実態に即した規制改革を今後とも提案することにより、しあわせ信州創造プランで掲げております環境・エネルギー地域の創造に向けた積極的な取り組みを進めていきたいと考えております。  以上です。       〔19番今井敦君登壇〕 ◆19番(今井敦 君)日本のエネルギー政策を考えるときに、今後、自然エネルギー再生可能エネルギーを普及させていくという視点は大変重要だというふうに思います。ただ、一方で、自然エネルギーを普及することが全て正義であるということで何でもありというような形もこれまた非常に危険なんではないかなというふうに思います。  規制するべきは規制しなければいけないと思いますし、そしてまた緩和すべきは緩和するべきだというふうに思います。その両方を一つのパッケージとして考える中で長野県のエネルギー政策を考え、ひいてはそれをうまくビジネスモデルにつなげていけるような形ができればより一層再生可能エネルギーの普及促進につながっていくんだろうというふうに思います。  その辺のバランス、非常に難しいわけでありますが、今までも屋根貸し事業を初めとして長野県としては研究をし、また国に提言をしているわけでありますから、今後そうしたものを今まで以上にブラッシュアップをしていただいて進めていただければありがたいなというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。  それでは、三つ目の質問に移ります。仮称となりますが、しあわせ信州シェアスペースの活用についてであります。  さて、店舗運営は本来県の仕事ではありません。そして、今回の活動拠点は店舗運営を目的に設置するものでもないと思います。今回の活動拠点の設置において大切なことは、店舗での売り上げなどの直接的な効果よりも、本県にどれだけよい効果をもたらすかということだと思います。  それは、例えば実店舗やネット販売などによる県産品の消費の拡大であったり、取り扱い業者の増加による販路の拡大であったり、新たな商品開発につながる物産振興であったり、来訪を促進することによる観光消費額等を伸ばすことだというふうに思います。さらには、2地域居住や移住の促進によって交流人口や定住人口をふやしたり、Iターン、Uターンの促進や、企業誘致により地域に活力や新たな価値観をもたらすことではないかというふうに思うのであります。  ゆえに、この活動拠点で生まれる効果は県だけで一方的に想定するものでもなく、経済の活性化や交流人口の増加を実際にリードして生み出す県内企業や市町村が十分に活動できる場として、その機会を保障し、それらが主体となり、そこから生まれる効果を互いに競い合ってもらうことではないかというふうに考えます。  そこで、観光部長にお伺いをいたします。  新たな活動拠点においてはどのように県内企業や市町村が活動することができるのか。現時点で想定できることについてお知らせください。  ところで、現段階で明確に見えているのは、拠点のコンセプトとそれに見合う立地と物件、各フロアで展開する事業のイメージとおおむねのスケジュールと必要経費であり、今後、オープンまでに行わなければならないことはこれまでの2倍も3倍もあろうかと思います。  また、この活動拠点に対しては民間も市町村も大変注目をしているとともに期待も大きいというふうに私は感じています。先日も、茅野市の観光課の若手職員とこの活動拠点について話をしましたが、茅野市としても今から準備をしていきたいと目を輝かせながら語っておりました。それだけに、活動拠点を担当する観光部には、これまで経験したことのない業務にも果敢にチャレンジをして、ぜひとも遺憾なく準備を進めていただきたいというふうに思います。  そこで、観光部長にお伺いをいたします。  このコンセプトをこの活動拠点において実現するために、オープンまでの準備作業の中で重要なポイントは何でしょうか。また、そのことについてどのようにお考えでしょうか。  さて、この活動拠点を立ち上げ、オープン後もコンセプトの実現と最大の効果を発揮するために大切なことは県庁内各部の連携であり、それに向けた県庁内の体制をしっかりと固めることだというふうに思います。また、それは、これまでいろいろ各部横断的な事業を展開する際に言われてきた単なる連携というものではなく、強いリーダーシップと一致団結した組織力であろうというふうに思います。  そういう点からすると、これまでの取り組みの継続から来年度も観光部が行うという選択もあると思いますが、本庁組織の改正により地域振興、広報、移住・交流を主な業務とする企画振興部も最適ではないかと思いますし、来年度、産業政策監を設置をし産業振興に関する調整機能を充実するとしている産業労働部もよいのではないかというふうに思いますが、新たな活動拠点を担当する組織のあり方について、このたびの本庁組織の再編を踏まえ、どのように考えておられるのか。知事のお考えをお伺いいたします。       〔観光部長野池明登君登壇〕 ◎観光部長(野池明登 君)首都圏総合活動拠点につきまして私には2点のお尋ねをいただきました。  まず1点目の、この拠点で県内企業、市町村がどのように活動をすることができるのかという点でございます。  この拠点、文字どおりオール信州活動拠点でございまして、市町村、企業の皆さんには十分に活用をいただきたいというふうに思っております。今後、幅広く御提案や知恵をおかりしながら検討をしていくこととなりますけれども、現時点では、例えば1階のリビングスペースでは、生産者や製作者がエンドユーザーである首都圏の消費者と直接接点を持てる場として活用をいただくことも考えられますし、またチャレンジコーナーのような形でテストマーケティングにも活用できるようにしたいというふうに思っております。  2階のキッチン・イベントスペースでございますけれども、こちらのほうは、例えば今週は○○町のウイークというような形で、市町村の食材を使いまして調理法の指導、こちらも地元から来ていただいて、レシピと食材をセットで日常生活に取り入れてもらえるようなPRをすることはどうかというふうに考えております。また、これまでなかなか場所の確保に苦労をしておりました観光セミナーですとか移住セミナー、あるいは旅行会社へのPRなどにも使っていただけると思っております。  4階の共働利用オフィスでございますが、こちらは企業にも市町村にも商談等の場に大いに活用をしていただきたいというふうに思っております。  企業の皆様には、全館の設備ですとか調度を通じて自社の製品や技術をPRする場として御活用をいただきたいと思っていますし、ぜひ使わせてほしいと言っていただけるような拠点にしていきたいというふうに思っております。  なお、昨日は、市長会、町村会、経済4団体、JA中央会の7団体連名で3点の御要望をいただいております。広域市町村圏での活用、小規模な市町村も活用できる工夫、企業、団体のPRの場としての活用、これらの御要望につきましても十分に配慮をしてまいりたいというふうに考えております。  2点目のこれからの準備作業で力を入れていかなければいけないことでございます。  特に重要な4点ほど考えておりますけれども、まず、この拠点、1階、物販を含むリビングスペース、2階のキッチン・イベントスペース、4階のコワーキングスペース、3フロアにわたりますので、拠点のコンセプトを踏まえまして全体をトータルでコーディネートをするプロデューサーあるいはマネジャー的な立場の方の存在が大変重要というふうに考えております。現在、経済界の方にも相談をさせていただきまして、必要な資質ですとか人選等の作業を進めているところでございます。  また、この拠点の効果を高めるためには、拠点単独の点ではなくて、ネットワーク化を図っていかなければいけないというふうに考えております。一つには、首都圏で長野県と御縁のある企業ですとか店舗と協力関係を築きまして相乗効果を上げていきたいと考えておりますし、インターネットを通じた情報提供、販売の仕組みをつくっていきたいというふうに考えております。  また、キッチン・イベントスペースにつきましては、魅力あるイベントを年間を通じて提供できるように、既に御提案いただいているものもありますけれども、市町村や企業と企画、調整を早目に始めたいというふうに思っています。  スタッフの一人一人がこの拠点のコンセプトを十分に理解し、長野県が発信すべき「コト ヒト モノ」をそれぞれが自分の言葉で語れるよう、もてなしの心も含めて研修をする、そのことも大変重要なポイントと考えているところでございます。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)新しい活動拠点を担当する県庁内組織のあり方についての御質問でございます。  しあわせ信州シェアスペースの所管につきましては、今井議員御指摘のとおり、企画振興部あるいは産業労働部という選択肢もあり得る選択肢だというふうに思います。ただ、こうした観点も含めて私ども検討をいたしました。その結果として、一つは、この新しい活動拠点、しあわせ信州創造プランの柱の一つに掲げております信州の価値向上と発信に関する取り組みの具現化であるということ、それから、これまで東京の類似の業務を行ってきております東京観光情報センター、この機能を果たしていくということにもなるわけでありますし、また、運営の一部については信州・長野県観光協会が担うということを想定しておりますので、そうしたことから総合的に観光部において所管するのが適当だろうというふうに判断をしております。  もとより、御指摘のとおり、設置効果を最大限高めていくためには、これは観光部だけという狭い範疇ではなくて、現在の商工労働部あるいは農政部を含めた各部局、所管を超えて庁内一体となって取り組んでいくということが重要だと思っております。  これまでも総合活動拠点の整備推進会議あるいは庁内の関係部長会議等を通じて問題意識の共有化を図ってきておりますが、今後、御指摘のとおり、これからが重要な局面に入ってまいりますので、県庁全体の組織力を発揮できるような体制の中で進めていきたいと思っております。  これは県庁内での統一性もそうでありますし、先ほどお話がありました例えば市町村であるとか企業についても、巻き込むというと言い方悪いかもしれませんけれども、一緒になって取り組んでいただかなければいけないというふうに思っております。  そういう意味では、各方面と円滑に調整を行いつつも、しかしながら、県としての考え方、時には強い方向づけをしていくということがこの活動拠点の成功にとっては不可欠だというふうに考えておりますので、私自身も気を引き締めて取り組んでまいりたいと考えております。  以上です。       〔19番今井敦君登壇〕 ◆19番(今井敦 君)この新たな活動拠点では、今お聞きしますとプロデュースをする方あるいはマネジメントする方をこれから選任していくようなお話もありましたし、さまざまな民間企業とのネットワーク化というようなお話が伺えたわけでありますが、これらを実際に実行していくということになると、大変な能力、また労力が必要になるわけであります。  ゆえに、私は組織的にもその辺も十分勘案していくべきだというお話をさせていただくわけでありますけれども、今お伺いいたしますと総合的に観光部に担当をしていただくというようなお話でございました。であるならば、やはり観光部に対してそれらのことを実行できるだけの立場と権限を与えなければいけないんだろうというふうに思います。どうか、そういった視点をきちっと持ち合わせる中でこの事業を全庁一体で進めていただきたい、そんなことを申し上げまして私の質問を終わります。 ○議長(本郷一彦 君)次に、荒井武志議員。
          〔13番荒井武志君登壇〕 ◆13番(荒井武志 君)改革・新風の荒井武志です。通告に従いまして順次質問をいたします。初めに、手話言語条例の制定についてであります。  手話は、少なくとも8,000以上の語彙と独自の文法体系を持つ聾者の母語であり、コミュニケーションをとったり物事を考えたりするときに使う言葉という点で日本語や英語と何ら変わりはありません。しかし、音声を発しないことから単なる身振り手振りと誤解を受けやすく、社会の十分な理解を得られているとは言いがたい状況にあると言えます。  平成18年、国連の第61回総会では障害者権利条約が全ての加盟国により採択され、手話は言語であると世界的に認められ、その後、日本でも聾唖団体の要請に基づいて平成23年7月に障害者基本法が改正され、言語に手話を含むことが明記されました。  現在、聴覚障害者やそれらを支援する皆さんは、障害者権利条約に基づく国内法の整備と聴覚障害者の情報コミュニケーションを保障する新法制定の実現を目指し、障害者差別を禁止し、手話を言語と位置づけ、コミュニケーションを権利とする包括的な法整備を求め運動を展開しておられます。また、手話を獲得する、手話で学ぶ、手話を学ぶ、手話を使う、手話を守るという五つの権利を保障する手話言語法制定に向けた取り組みをされてきたとお聞きしております。  一方、長野県の障害者支援の充実に向けましては、長野県総合5カ年計画、いわゆるしあわせ信州創造プランにおいて、「障害者の社会参加を促進するため、身体障害者補助犬の給付などによる移動支援や点訳・朗読奉仕員、手話通訳者、要約筆記者の養成などによる情報コミュニケーション支援を行います。」としております。  そこで、とりわけ手話についてお伺いいたします。  県は、これまで、手話をどのように位置づけ、その普及に向けどのように取り組んでこられたのでしょうか。  また、聴覚障害者等の方々が手話言語法の制定に向け取り組んでおられますが、このための支援について県はどのようなスタンスでどのような取り組みが考えられるのでしょうか。  以上2点について健康福祉部長にお伺いいたします。       〔健康福祉部長眞鍋馨君登壇〕 ◎健康福祉部長(眞鍋馨 君)手話の位置づけ等に関しまして二つお尋ねをいただいてございます。  まず、県における手話の位置づけや普及に向けた取り組みについてお答え申し上げます。  県では、聴覚障害者にとりまして手話は大切なコミュニケーション手段と認識しております。この手段の確保のため、手話通訳者の養成事業や保健福祉事務所へ10人の手話通訳者を配置する事業などを実施するとともに、市町村に対しましても、市町村が行う手話通訳者派遣事業や設置事業、手話奉仕員養成事業について支援してまいったところであります。  また、県が主催する参加予定者が300人を超える行事への手話通訳者の配置や、手話を学びたい県民の皆様のために県ホームページに手話サークルの一覧表を掲載するなど、手話の普及にも取り組んできたところでございます。  今後も、聴覚障害者の社会参加の促進に向け手話による情報保障に向けた取り組みを進めるとともに、県民の皆様に障害に対する理解を深めていただくための信州あいサポート運動を通じまして手話の普及を進めてまいりたいと思っております。  次に、手話言語法制定に向けた県の取り組みについてお答え申し上げます。  議員御指摘のとおり、手話言語法について全日本ろうあ連盟において全国でフォーラムを開催するなど制定を目指した取り組みをされていることは承知をしておりますが、国において法律の整備を進めているという話はこれは承知してございません。  県といたしましては、昨年3月に策定いたしました長野県障害者プラン2012におきまして、聴覚障害者等への情報保障の確保のため手話通訳者等の養成を重点施策とするなど、手話の普及に向けた施策を進めているところでございます。  手話言語法の制定につきましては、まずは障害者権利条約の締結やこの法律をめぐる国の動向を注視しながら、聴覚障害者の方々と意見交換を進める中で、県としてどのようなことができるのかを研究してまいりたいというふうに考えております。  以上です。       〔13番荒井武志君登壇〕 ◆13番(荒井武志 君)去る10月8日には、手話を言語と認め、聴覚障害者が暮らしやすい社会環境の整備を目指す鳥取県手話言語条例が全国で初めて制定されました。3日後の11日には施行され、手話の普及や通訳者らの育成を通じ県や市町村が役所の窓口などで手話を使用しやすい環境の整備を図るよう義務づけられております。  また、この条例のポイントとしては、手話を言語と認識し、聾者とそれ以外の者の共生社会を実現すること、県、市町村、県民、事業者、聾者の責務や役割を明記、県は手話の普及や手話を使いやすい環境整備を推進する、県民は手話の意義及び基本理念を理解するように努める、福祉分野だけでなく、教育、民間、行政など幅広い取り組みを推進する、事業者は聾者が働きやすい環境を整備する、県は手話通訳者や指導者を確保する、県は学校での手話普及に向け手引書を作成することなどが盛られています。  世界では、フィンランドが憲法で手話の言語権を保障し、ニュージーランドとハンガリーに同様の法律があるようです。日本では、さきに申し述べたように、手話は言語であるという文章を盛り込んだ改正障害者基本法が制定されておりますが、衆参両院は、その附帯決議で、国と地方公共団体は意思疎通が困難な聴覚、視覚などの障害者が適切な言語(手話を含む)の習得を図るために必要な施策を講じるように求めております。  この際、長野県手話言語条例を制定すべきと考えますが、いかがでしょうか。阿部知事の御所見をお伺いいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)手話言語条例の制定についての御質問でございます。  人間にとって一番重要なことの一つが、他の方とのコミュニケーションをどうとるかということが一番重要だろうと思っております。  手話につきましては、聴覚障害者の方々にとっての重要なコミュニケーション手段であるわけでありますし、議員お話にもありましたが、改正障害者基本法の中におきましても手話は言語に含まれるというふうに規定をされております。そうした観点で、長野県としてもこのことについてはしっかりと対応していかなければいけないと考えております。  部長からも答弁申し上げましたが、私も、知事になって、就任直後ですね、大きな行事については手話あるいは要約筆記の方をつけようということで取り組ませていただいてきておりますし、また、長野県は保健福祉事務所に手話通訳の方を配置をしているということで、さまざま手話の普及に向けた取り組み等を行ってきているわけでありますが、今、他県と比較して私どもがどういう状況なのかということをまずしっかりと確認をしていきたいというふうに思っておりますし、そうしたことを踏まえつつ具体的な取り組みの充実を図っていくということが必要だと思っております。  手話言語条例ということでございますけれども、こうした県としての取り組み状況も踏まえつつ、その必要性については、聴覚障害者の方々、当事者の皆様方のお考え、思いというものをお伺いする中で判断をしてまいりたいと考えております。  以上です。       〔13番荒井武志君登壇〕 ◆13番(荒井武志 君)ただいま御答弁をいただきましたが、具体的な取り組みを行っていると、それはよくわかりました。それから、今後に向けては当事者の皆さんの意見をしっかり聞きながら進めると、こういうふうにお聞きしたところでございます。どうぞ、お互いにいろいろな状況を認識し合いながら手話言語条例の制定に向けて取り組んでいただくことを要望して、次の質問に移ります。  次に、長野県の契約に関する条例についてであります。  この間、私ども改革・新風では、総合評価入札制度を発展させるとともに、平均落札率の底上げを図ること、地域の一定の雇用レベルや下請等を守るため知事が公約した公契約条例を早急に制定するよう強く求めてまいりました。  県の入札や契約で賃金の下限を設ける公契約条例の制定については、庁内に研究会が設置され、労働団体や各種業界などとの意見交換を行いながら、一昨年の中間報告を経て、本年2月及び6月議会に長野県が行う契約に関する条例化の考え方の検討案が、9月議会には契約に関する条例の構成案と施策例が示されたところであります。そして、いよいよ長野県の契約に関する条例(仮称)要綱案が作成され、10月21日から11月19日までパブリックコメントが行われました。  この要綱案の主な内容は、目的として、県の契約に関し基本理念を定め、並びに県及び県の契約の相手方の責務を明らかにするとともに、取り組み方針の策定等の制度を整備することなどにより契約制度の公正かつ適切な運用を図りつつ、県の一定の行政目的を実現するために契約の活用を図り、もって県民の福祉の増進を図ることとし、基本理念の中では、県の契約の締結に当たっては、契約の履行に係る業務に従事する労働者の賃金が適正な水準にあること、その他の労働環境が整備されていること、障害者等の就業を支援する必要がある者の雇用の促進に資する取り組みを行っていること、男女共同参画社会の形成に資する取り組みを行っていることなどを列挙しておられます。  また、我が国で最初に公契約条例を制定した千葉県野田市では、設計労務単価の9割以上の賃金の支払いが確認されていますし、業務委託契約のもとで働く労働者の賃金改善が進むなどの成果や、その後条例化をした東京都多摩市では契約の対等性が担保されるなど、公契約のあるべき姿が条例制定議論を通じて行われております。  そこで、お伺いいたします。  条例としての要綱案が示され、パブリックコメントも行われたところですので、改めてこの条例に対する知事の基本的な考え方をお伺いいたします。  また、関係業界の中には、この条例によって経営が圧迫されるのではないかとの危惧の声もあるとお聞きしております。現在、県の建設工事における落札率は90%台と承知しておりますけれども、これをさらに高めることが重要であると考えております。そこで、経営者側の視点に立った取り組みについても検討すべきと思いますが、あわせて阿部知事の御所見をお伺いいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)契約に関する条例について基本的な考え方という御質問でございます。  県が締結する契約に対しましては、競争性、透明性、公平性の確保と品質の確保等が求められてきているわけであります。こうしたことに加えて、近年、地域の安全、安心な暮らしを支える事業者あるいは若手技術者などの担い手を育成し、長期的にサービスの品質を確保することに対する要請、また、労働賃金の適正な支払いなどの労働環境の整備、環境に配慮した事業活動、障害者雇用や男女共同参画社会の推進の取り組みなどの社会的要請が多様化しています。  こうした背景により、契約に関する基本方針を明確にし、契約に関し長期的、統一的に取り組んでいくことが重要であることから、これらを整理した条例の制定が必要だと考えております。  条例では、目的、定義、契約の基本理念を定めるとともに、県や契約の相手方の責務を明らかにし、県の取り組みを定めるとともに、審議会の設置等を規定することを検討しております。  この条例は、公正で適正な契約による地域経済の健全な発展や、県民への安全かつ良質なサービスの提供に加え、持続可能で活力ある地域社会の実現、社会的責任を果たす事業者の育成への配慮をすることを基本理念に定めていることが特徴であります。  こうした基本理念に沿って県として統一的に取り組んでいくことは、これからの行政のあり方として重要なことというふうに考えております。  経営者側の視点に立った取り組みという御質問であります。  今申し上げましたように、今回の条例、例えば社会的責任を果たす事業者の育成への配慮といったようなこともこの条例の視点ということで盛り込んでいるところであります。  経営者側の視点に立っての現在考えております具体的な施策例ということで幾つか申し上げると、例えば除雪業務、災害応急活動など地域貢献活動を行っている企業を対象とした工事の拡大でありますとか、総合評価落札方式の評価項目への地元地域での施工実績の導入でありますとか、技術者の育成や技術の継承に対する取り組み、さらには公正で適正な入札環境を確保する取り組みとしてのダンピング対策の強化、こうしたことを予定をしております。  こうした施策によりまして、地域を支える事業者、建設産業を含む事業者の皆様方あるいは若手技術者等の担い手を確保していくということで、将来にわたり県の契約に関する事業者が地域の担い手として活躍をしていただくことができる環境を整備していくことが必要だと考えております。  今後、パブリックコメントでいただいた皆様方からの御意見等も参考にして条例化に向けた準備を進めてまいりたいと考えております。  以上です。       〔13番荒井武志君登壇〕 ◆13番(荒井武志 君)御答弁をいただきました。育成への配慮とか地域貢献、地元での業績であるとか、こういうものを含めて経営者の側に立って取り組んでいくというお話でございます。どうぞ、落札率につきましては、92%、それ以上になりますようにぜひお取り組みいただきたいと思います。そしてまた、地域の雇用レベルや下請等の賃金確保などを踏まえた条例になりますよう願って、次の質問に移ります。  次に、中学生期の適切なスポーツ活動のあり方についてであります。  中学校での運動部の練習が生徒に与える負担を検討するため県教育委員会が設置した有識者委員会が、この13日、朝練習は睡眠不足を招き、授業への影響等も懸念されるとして原則やめるべきだとする報告書をまとめられました。これを受け、教育長は、朝練を含む練習時間が長過ぎるとした上で、効率的な部活動を行うきっかけにしてほしいと述べたと報道があったところであります。  また、「中学生期の適切なスポーツ活動のあり方について」の報告書では、第3章で「今後の中学生期のスポーツ活動の方向性」がございますが、「適切な指導に向けて」、生徒の思い、志向を生かした活動を、そしてまた「活動基準」では、運動部の適切な活動日数として週4日以内、適切な1日の活動時間として1日2時間程度、原則として朝の運動部活動は行わない、社会活動部分では、運動部活動の延長として行われている社会体育活動の見直しを図るなどが上げられております。  私が、千曲市、坂城町の中学校長5名の方々に、直接あるいは電話でございましたがヒアリングをさせていただきました。運動部の朝練は、いずれも7時半から8時ごろにかけて30分程度、週4日間で、生活習慣になっているとのことであります。また、朝食についてもしっかり食べてくるとのことでありました。逆に、朝練をなくすと生活リズムが心配になる、部活動を通じた指導が重要だなどの声が聞かれました。  朝早く起き、しっかり朝食を食べ、元気に学校へ行き、さわやかな仲間の笑顔の中で運動を行うこと、とても大切だと思うのであります。報告書の中で、中学生の生活習慣についてですが、就寝時間については触れてありませんでした。「睡眠時間が短い本県の中学生」とコメントされていましたが、床につく時間が遅いということも大きな要因ではないかと推察いたします。  そこで、以下7点についてお伺いいたします。  一つに、県教育委員会が中学生期の適切なスポーツ活動のあり方について検討を始めた理由や背景にはどのような事情があったのでしょうか。  二つに、県内中学校の部活動における朝練習の実態はどのようになっておりますか。  三つに、それら朝練習の他県等の実態はどうですか。  四つに、原則として朝の運動部活動は行わないと報告を受けた理由はどのようなところにあるのでしょうか。  五つ目に、今後の方向性における、勝利至上主義に偏らない生徒のニーズを尊重した指導とはどのようなものを想定しておりますか。  六つ目に、長野県総合5カ年計画における、全国体力・運動能力、運動習慣等調査での体力合計点を全国順位31位から10位台を目指すとしておりますが、これとの連関はどのように捉えておりますか。  七つ目に、県教育委員会は年内にも朝練の原則禁止を求める指針を描き、中学校へ示す見通しと報道されていましたが、今後どのような手順で検討をしていくのか、判断を示す時期はいつごろを想定しておりますか。  いずれも教育長にお伺いいたします。       〔教育長伊藤学司君登壇〕 ◎教育長(伊藤学司 君)中学生期のスポーツ活動のあり方に関しまして7点御質問を頂戴いたしました。順次答弁をさせていただければと思います。  まず一つ目に、中学生期のスポーツ活動のあり方検討を始めた背景についてのお尋ねでございます。  本県の中学生期のスポーツ活動を取り巻く環境は、運動部への加入率が年々低下するとともに、全国平均と比べてもかなり低く、運動部離れが懸念をされる状況にあるほか、体力や競技力の向上の面からも課題が指摘をされてきたところでございます。  また、主として運動時間をより長く確保するために始められた、運動部活動の延長として行われている社会体育は、事故発生時の責任の所在が曖昧であったり、一部の過熱化する活動が生徒や家庭への負担の増加を招くほか、学習や家庭生活とのバランスを欠いているといった指摘もございました。  このような中、中学生期のスポーツ活動に携わる者が有効な手だてを講じなければ生徒の健全な心身の発達や将来のスポーツ振興に大きな影響を与えかねないと懸念し、昨年10月、スポーツ医科学分野の専門家等で構成する検討委員会を設置し、あり方検討を開始したものでございます。  次に、朝の運動部活動の実態についてのお尋ねでございます。  まず初めに、今回、検討委員会から提出された報告書の中で、朝の運動に関する提言の部分は学校教育の一環として実施をする運動部活動について提言をいただいているところでございまして、生徒個人が自主的に行うようないわゆる朝練、自主練は対象としていないということをまず申し上げさせていただきたいと思います。  その上で、本県の中学生の朝の運動部活動についてでございますが、本年度実施した県教育委員会の調査では、県内公立中学校全187校中、約97%に当たる181校でほぼ全ての運動部が年間を通じて実施しているという状況が判明をいたしました。また、朝の運動部活動に参加する生徒の8割以上が午前7時前には家を出ているという状況が本県の朝の運動部活動の実情でございます。  次に、朝練習の他県の実態についてでございます。  中学生の朝の運動部活動の状況につきましては、他の都道府県教育委員会では実態の調査をしていない状況でございますので全国的な状況を正確に把握するのは困難でございますが、文部科学省が実施をいたしました全国体力・運動能力、運動習慣等調査によりますと、本県の中学校男子では、始業前に運動を実施している割合、またその平均時間は、ともに全国で最も高い状況でございました。また、運動部への加入率がかなり低い中学校女子、かなり低いですので平均値としては低く出るはずでございますが、この女子においても運動実施の割合と平均時間はともに全国で2番目に高い状況でございまして、本県の中学生の朝の運動というのは全国的に見ると突出をしている状況と把握をしてございます。  次に、原則として朝の運動部活動は行わないという検討委員会の提言に示された理由でございますが、検討委員会の議論では、年間を通して行う朝の運動部活動について、ウオーミングアップやクールダウンの時間が十分とれない朝の活動中に負荷のかかる運動を行うとスポーツ障害が発生しやすいこと、朝食から昼食の間隔があきすぎると脳がエネルギー不足に陥ること、朝部活を行っている生徒の約3割が睡眠不足や疲れて1時間目の授業に集中できないと感じていること、練習時間を放課後にまとめ活動を充実させることが効率的かつ効果的な活動につながることなどの課題が指摘され、原則として朝の運動部活動は行わず、放課後の活動を充実させるという方向性が示されたところでございます。  次に、勝利至上主義に偏らない指導についてのお尋ねでございます。  中学校の運動部には、その競技の経験者と未経験者、また競技志向の者と楽しみ志向の者など多様な生徒が参加している中で、生涯にわたって豊かなスポーツライフを継続する資質や能力の基礎を育てていくという大変重要な意義を持っているものと認識をしてございます。  スポーツを行う上で勝利を目指すこと、今以上の技能の水準や記録に挑戦することは自然なことでございますが、心身ともに成長の途上である中学生期においては、勝利のみを重視し、過剰な練習を強いることがないよう、多様な生徒一人一人の達成感や満足感が得られる指導の工夫によって生徒の主体性を尊重した活動へつなげていくことが重要と考えてございます。  次に、しあわせ信州創造プランとの関連についてでございますが、全国体力・運動能力、運動習慣等調査において、小学校の男女及び中学校の男子は、近年、全国順位はおおむね20位台を維持しているところでございますが、中学校女子は毎年順位が下がっておりまして、昨年度は全国で44位という状況でございました。この中学校女子につきましては、運動部加入率が特に低く、47.2%、すなわち2人に1人以下となってございまして、そうした運動部離れというものが中学校女子の体力の低下にも大きく影響をしているというふうに認識をしてございます。  今後、生徒との対話やみずから考えさせる指導法により生徒の意欲を高めたり、短時間でも集中した練習への転換を図るなど、運動部活動の質の見直しを図ることで中学校女子を中心とした運動部への加入率の増加やまた運動好きな生徒がふえていく、こうしたことにつなげていくことが本県の中学生の体力、運動能力の向上にもつながっていくものと認識してございます。  最後に、今後のスケジュールについてのお尋ねでございます。  県教育委員会では、現在実施しておりますパブリックコメントや学校関係者、市町村教育委員会との意見交換などを通じて寄せられた意見を十分踏まえた上で慎重に検討を進め、県民の皆様や関係者の理解を得ながら今後のあり方を指針として取りまとめていきたいというふうに考えてございまして、これから寄せられる意見を十分踏まえて検討を慎重に行っていきたいと考えてございます。  以上でございます。       〔13番荒井武志君登壇〕 ◆13番(荒井武志 君)御答弁いただきましたが、女子の体力が44位ということで、これに向けては質の見直しを図りながら努力するというようなお話もいただきました。  いずれにしましても、競技というものは勝負がついておりますので、その辺についてはしっかり頭に置きながらも頑張っていただきたいなというふうに思うところでございます。  「今後の中学生期のスポーツ活動の方向性」における「活動基準」の中で、原則として朝の運動部活動は行わない、社会体育活動についても原則として運動部活動への一本化を図ると示されておりまして、原則以外は何なのかというようないささかの曖昧さが懸念されます。  各中学校の校長を初め顧問の先生や関係する保護者などとの意思疎通をしっかり図っていただきながら、学校現場に混乱を招くことなく指針が策定、実行されますように強く要望して、質問を終わります。 ○議長(本郷一彦 君)会議規則第13条第2項の規定により、本日はこれをもって延会いたしたいと思います。  次会は、明28日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。
            午後4時11分延会...