長野県議会 2012-11-28
平成24年11月定例会本会議-11月28日-03号
平成24年11月定例会本会議-11月28日-03号平成24年11月定例会本会議
平成24年11月28日(水曜日)
応招議員の席次及び氏名
出席議員(55名)
1 番 中川博司 28 番 和田明子
2 番 依田明善 29 番 今井正子
3 番 石和 大 30 番 永井一雄
4 番 藤岡義英 31 番 諏訪光昭
5 番 中川宏昌 32 番 小池 清
6 番 清水純子 33 番 清沢英男
7 番 小池久長 34 番 垣内基良
8 番 桃井 進 35 番 竹内久幸
9 番 髙橋岑俊 36 番 佐々木祥二
10 番 甕 裕一 37 番 向山公人
11 番 吉川彰一 38 番 高村京子
12 番 山岸喜昭 39 番 小林伸陽
13 番 荒井武志 40 番 村上 淳
14 番 堀場秀孝 41 番 小松千万蔵
15 番 続木幹夫 42 番 西沢正隆
16 番 両角友成 43 番 風間辰一
17 番 小林東一郎 44 番 平野成基
18 番 太田昌孝 45 番 本郷一彦
19 番 今井 敦 46 番 倉田竜彦
20 番 丸山栄一 48 番 高橋 宏
21 番 小松 稔 49 番 石坂千穂
23 番 小島康晴 50 番 宮澤敏文
24 番 下沢順一郎 51 番 村石正郎
25 番 鈴木 清 52 番 木下茂人
26 番 宮本衡司 53 番 萩原 清
27 番 金子ゆかり 54 番 服部宏昭
55 番 望月雄内 57 番 下﨑 保
56 番 古田芙士
欠席議員(2名)
22 番 野澤徹司 58 番 石田治一郎
───────────────────
説明のため出席した者
知事 阿部守一 会計管理者 下條政久
副知事 和田恭良 公営企業管理者
副知事 加藤さゆり 職務執行者・企 山本浩司
危機管理監兼危 久保田篤 業局長
機管理部長 財政課長 平木万也
企画部長 原山隆一 教育委員会委員
総務部長 岩﨑 弘 長 櫻井久江
健康福祉部長 眞鍋 馨 教育長 山口利幸
環境部長 原 修二 教育次長 市川武二
商工労働部長 太田 寛 教育次長 荒深重徳
観光部長 野池明登 警察本部長 佐々木真郎
農政部長 中村倫一 警務部長 飯濱 誠
林務部長 塩入 茂 監査委員 吉澤直亮
建設部長 北村 勉
───────────────────
職務のため出席した事務局職員
事務局長 宮下清一 議事課担当係長 矢島 武
議事課長 大日方正明 総務課担当係長 坂家智浩
企画幹兼議事課 議事課担当係長 三井 実
課長補佐 浅岡龍光
───────────────────
平成24年11月28日(水曜日)議事日程
午前10時開議
行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑
─────────────────────────
本日の会議に付した事件等
行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑
午前10時開議
○議長(平野成基 君)これより本日の会議を開きます。
本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
△行政事務一般に関する質問及び知事提出議案
○議長(平野成基 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。
順次発言を許します。
最初に、村石正郎議員。
〔51番村石正郎君登壇〕
◆51番(村石正郎 君)おはようございます。順次質問をいたします。最初に、東京裁判(
極東国際軍事裁判)史観について伺います。
ここに、1951年5月3日、
アメリカ上院軍事外交委員会の聴聞会で、ダグラス・
マッカーサー元帥が、聖書に誓い、次のように発言しております。
日本は、8,000万人に近い膨大な人口を抱え、それが四つの島々の中にひしめいているのだということを理解していただかなければなりません。そして、その半数近くが農業人口で、また半分が工業生産に従事していました。潜在的に日本の擁する労働力は量的にも質的にも私がこれまでに接したいずれにも劣らぬ優秀なものです。歴史上のどの時点においてか、日本の労働力は、人間は怠けているときよりも、働き、生産しているときのほうが幸福なのだということ、つまり労働の尊厳と呼んでもよいようなものを発見していたのですと日本の特質を分析し続けました。
これほど巨大な労働能力を持っているということは、彼らには何か働くための材料が必要だったということを意味します。彼らは、工場を建設し、労働力を有していました。しかし、彼らは手を加えるべき原料を得ることができませんでした。日本は、絹産業以外、固有の産物はほとんど何もないのです。彼らは、綿がない、羊毛がない、石油の産出がない、すずがない、ゴムがない、その他実に多くの原料が欠如している。そして、それら一切のものがアジアの海域には存在していたのです。もしこれらの原料の供給を断ち切られたら1,000万から1,200万人の失業者が発生するであろうことを彼らはおそれていました。したがって、彼らが戦争に飛び込んでいった動機は大部分が安全保障の必要に迫られてのことだったのです。
日本は安全保障の必要性により戦争を始めた。これは、マッカーサーが大東亜戦争は自存自衛のための戦争だと認めたことにほかなりません。また、東京裁判(
極東国際軍事裁判)の判決は間違いだと証言したのと同じであります。これは見逃してはならない重大な事実であります。東京裁判を開廷させた当の
マッカーサー元帥が、後に日本を侵略国として裁いたのは間違いだったと認めているのです。
東京裁判の2年後の1950年10月、ウェーク島で
トルーマン大統領と会談したマッカーサーはみずから東京裁判は誤りだったと述べました。
インド代表の
国際法学者ラダ・ビノード・パール判事は、この裁判は文明国の法律に含まれるとうとい諸原則を完全に無視した不法行為と告発し、英文にして1,275ページにわたる意見書を提出しましたが、多数派に完全に押し切られ、歴史の中に埋没されてしまいました。
日本の教科書が、東京裁判史観に沿って、日本は侵略の暴挙を侵した、さきの戦争は侵略戦争と教え、戦後、我が国の国民に重大な影響を与えた東京裁判史観、これについて教育委員長の見解を伺います。
次に、知事に伺います。
マッカーサー元帥が、
アメリカ上院軍事外交合同委員会の聴聞会での証言、日本が第2次大戦に突入した理由の大半は安全保障だった、大東亜戦争は侵略戦争ではなかった、自存自衛の戦争だったと証言したが、この証言に対して知事はどうお考えか。
東京裁判史観、日本の現代史は、侵略戦争であり、正義は連合国にあるという一方的に戦勝国が敗戦国を裁いた東京裁判に対して、この裁判がその後の日本の国の形に与えた影響について、戦後日本の思想と教育について、どのような見解を持っておられるか。お聞きいたします。
〔
教育委員会委員長櫻井久江君登壇〕
◎
教育委員会委員長(櫻井久江 君)東京裁判史観についてのお尋ねです。
東京裁判は、第2次世界大戦後、連合国が戦争犯罪人として指定した日本の戦争指導者などを裁いたものであり、この裁判に対しては法的あるいは歴史的観点などからさまざまな評価があると承知をしております。
いわゆる東京裁判史観は、日本が行った太平洋戦争を初めとする戦争は侵略戦争であったとの反省に基づく歴史観であると理解をしております。そして、この歴史観が戦後の外交や教科書、国旗、国歌など教育にかかわる問題などに影響を与えたとの主張があることも承知をしております。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)
マッカーサー元帥の証言、それから東京裁判についての御質問でございます。
アメリカ上院の
軍事外交合同委員会の聴聞会において
マッカーサー元帥が証言したということは認識をしています。私たちが享受している現在の平和、そして繁栄、戦争によって心ならずも命を落とされた多くの方々のとうとい犠牲の上に成り立っているということに私たち常に思いをいたさなければいけないというふうに思っております。
いかなる理由があろうとも二度と戦争への道を歩んではいけないというふうに私は考えますし、
マッカーサー元帥の証言を聞く中でもまさにそういう思いを強くするところでございます。
東京裁判についてはさまざまな評価があるということは承知をしております。我が国、
サンフランシスコ平和条約第11条により
極東国際軍事裁判所の裁判を受諾しているということで、国と国との関係においてこの裁判について異議を述べる立場にないというのが政府の見解であります。
我が国は、世界平和に貢献するために、国際社会の責任ある一員としての役割を積極的に果たしていくということが、未来志向の観点に立ってそうした役割を果たしていくということが大変重要だというふうに考えています。
以上です。
〔51番村石正郎君登壇〕
◆51番(村石正郎 君)一夜にして10万人の市民の命を奪った東京大空襲、広島、長崎、日本全土にゲルニカ空爆以上の残虐をほしいままにした人口密集地、主要都市への無差別空爆、民間人を直接の対象としたじゅうたん爆撃は、戦時国際法違反の人道に対する罪ではないのか。当時の列強と言われた国々は世界各地に植民地をつくり、まさに久しく侵略戦争を是とする略奪の歴史ではなかったか。
日本の戦後教育は正しい歴史認識を教えてきたと言えるのか。戦前の日本はすべて悪と決めつけた日本の侵略戦争史観、自虐史観の我が国の歴史教育についてどのような見解を持っておられるのか。教育委員長に伺います。
〔
教育委員会委員長櫻井久江君登壇〕
◎
教育委員会委員長(櫻井久江 君)日本の歴史教育についてのお尋ねでございます。
歴史教育は、歴史的事象のとらえ方にはさまざまな立場があることを踏まえ、文部科学省の検定を経た教科書とその他の複数の資料に基づき多面的、多角的に考え、歴史に対する見方を深めていくものであるというふうに認識をしております。
こうした学習を通して子供たちは日本の歴史に対する理解を深め、国際社会に主体的に生きる日本国民としての自覚をはぐくんでいるというふうに考えております。
〔51番村石正郎君登壇〕
◆51番(村石正郎 君)教育委員長、私はそんな一般論みたいなことを聞いているんではありません。委員長自身の東京裁判史観、これを聞いているんです。さきの戦争は侵略戦争であったのか否か。その後の我が国の言論界、思想、教育に与えた影響について御答弁願います。
また、知事に対しても、東京裁判、さまざまな評価があるのは当然であります。私は知事自身の東京裁判史観を聞いているのです。我が国の戦後の思想、外交、教育に与えた影響についてどんな見解があるか。御答弁願います。
〔
教育委員会委員長櫻井久江君登壇〕
◎
教育委員会委員長(櫻井久江 君)東京裁判が我が国に与えた影響についてさまざまな見方や論議があること、また、我が国は
サンフランシスコ平和条約第11条により
極東国際軍事裁判所の裁判を受諾しており、国と国との関係においてこの裁判について異議を述べる立場にないとの政府の見解があることも承知をしております。
少なくとも、我が国は、戦後、戦争の惨禍が二度と繰り返されないよう、恒久平和の実現に向け、国際的な相互理解のもと、国、地方、草の根活動を含め、さまざまな努力が続けられてきていることを評価をしたいと思います。
私の立場からは以上でございます。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)先ほども政府の見解等も引用させていただきましたし、これは、小泉内閣のときも、総理大臣談話ということで、終戦60年の節目に当たっての政府としての立場が表明されているわけであります。
私、こうしたものをしっかり踏まえて行政に当たっていくことが必要だというふうに思っております。
歴史の事実については、まず私たちは謙虚に受けとめていくということが大変重要だろうというふうに思っておりますし、また、これはさまざまなお立場からの議論があるわけでありますけれども、そうした事実関係についてはしっかりと中立的、公正的な立場で検証されるべきというふうに思っております。
歴史の事実を謙虚に受けとめつつも、近隣諸国との関係も含めて、日本の国というものは未来志向で責任ある立場をしっかりと国際社会の中で果たしていく、そういう前向きな議論をしていくということが今私たちに求められているというふうに考えています。
以上です。
〔51番村石正郎君登壇〕
◆51番(村石正郎 君)これやっていれば1時間たっても終わりませんので、次に移ります。
次に、教育委員長は本年10月18日の記者会見で次のように述べておられます。
かつての信州教育の誇りを目指して頑張りたい、かつての信州教育は、学校だけでなく、地域も家庭もしっかり協力するという礎があった、今その礎を改めて確立したい、不祥事のためか、何か先生方が自信をなくしてしまい、元気がないように見受ける、また、保護者との信頼関係も揺らいでいると述べておられます。
かつての信州教育の誇りを取り戻し、先生方が自信を持って元気いっぱい子供たちと接し、保護者とのかたい信頼関係を築いていくことは極めて大切なことであります。
しからば、教師の自信と信頼関係を確立するためにはどのような具体的な処方せんがあるのか。県の教育のかなめである教育委員長の考えておられる、これからの取り組みについて伺いたいと思います。
〔
教育委員会委員長櫻井久江君登壇〕
◎
教育委員会委員長(櫻井久江 君)教員の自信と保護者との信頼関係の確立についてのお尋ねでございます。
一部の教員が引き起こした不祥事によって、日ごろ頑張っている大多数の教員が元気をなくし、萎縮しているように見受けられ、保護者や子供との信頼関係も揺らいでいるように感じ、御指摘のような発言をいたしました。
こうした状況を改善するためには、今まで以上に学校を開いていくことを推し進めていく必要があろうかと考えております。学校ではさまざまな取り組みを地域の方や保護者に積極的に紹介するなど、学校の姿が外に見えるような主体的な活動をさらに活発に行うことが肝要です。学校主体の取り組みに加えて、地域の方や保護者が学校に入っていただき、教員の姿に触れ、率直な意見を交わし、理解が深まることで、地域の方や保護者と教員の間に自然と信頼関係ができてくるのではないでしょうか。その信頼関係は教員の自信となり、子供たちと真っ正面から向き合うエネルギーになってくるのではないかと思います。
もとより、教育は、学校だけで完結するものではなく、家庭や地域を含む社会全体で考え、支えていくものだと思いますし、それはかつての信州教育の礎でありました。
学校の主役は子供たちであり、子供たちが学校で生き生きと過ごすために教員が情熱を持って日々の教育活動に臨むことができるよう、精いっぱい応援してまいりたいというふうに存じます。
〔51番村石正郎君登壇〕
◆51番(村石正郎 君)先生方の元気を取り戻す。保護者との信頼関係を築く。私は具体的な処方せんを聞いているのです。一般論や精神論を聞いているのではありません。もう一度、教育委員長に具体的な処方せんを伺います。
〔
教育委員会委員長櫻井久江君登壇〕
◎
教育委員会委員長(櫻井久江 君)処方せんというお言葉をいただきましたが、すぐに効くという処方せんというのは難しいというふうに考えております。
かつての信州教育というのは質の高さということを言われたわけでございますが、それは教育は人なりということを言われてきました。その人とは教師のことであります。その教師が本当に心底子供を慈しみ育てる。まさにそういうことが一番本もとであるというふうに思います。そして、先生方が本当に教育の専門家として育ち合うこと、それが一番大事なことだというように思います。
非常に厳しい時代でありまして、教育をめぐる環境は本当に言いがたいほど厳しいと思いますが、そういう中で何が失われるかといいますと、先生方の中でも同僚性といいますか、先生同士が心を開き合って互恵的な形で学び合うということ、そういうことをしていかなければだめではないかというふうに私としては考えます。
そういう意味で、真の研修を取り入れていくとか、地域とともにさまざまなことを取り組んでいくとか、一つ一つ積み上げていかないと、このことは処方せんという言葉でできるようなことではないだろうというふうに思いますので、先生方が本当に地域の人々から教育の専門家として育ち合うために頑張っていただくということがまさに必要ではないかというふうに考えております。
〔51番村石正郎君登壇〕
◆51番(村石正郎 君)次に、
教育委員会制度についてでありますが、県教育委員会と
市町村教育委員会の関係は責任と権限が入り組んでいる状況があると思います。権限、役割の見直しについて、今の教育行政のどこに問題があって、どのように変えるべきとお考えか。
教育委員会制度のあり方について、
市町村教育委員会、文部科学省、県教育委員会との関連で改革の視点というものがあれば教育委員長の見解を伺います。
〔
教育委員会委員長櫻井久江君登壇〕
◎
教育委員会委員長(櫻井久江 君)教育委員会制度のあり方についてのお尋ねでございます。
教育というのはだれしもが関心の高い分野であるため、専門家だけでなく、広く地域住民の参加を得て行われることが重要であります。
教育委員は、地域住民の代表として、常に、教育現場の教員、子供たちや保護者の声に耳を傾け、さまざまな視点から幅広く議論し、地域の実情に応じた教育を推進していくことが求められております。
現行の
教育委員会制度には、旧来の中央集権的な側面のほか、義務教育の教員採用や異動などの人事権は県に、服務監督権は市町村にあるため責任の所在が不明確な部分があるなど改善していかなければならない課題があることは承知をしております。
教育委員会制度のあり方を考える際には、子供たちを中心に置いて、子供たちによりよい教育環境を提供していくために何が必要なのかという視点で市町村関係者や地域の方、保護者などを交えた幅広い議論を行い、課題改善の方向を考えていくことが大切であるというふうに思います。
〔51番村石正郎君登壇〕
◆51番(村石正郎 君)教育委員会の形骸化が指摘されております。
教育委員会事務局の追認機関であってはならない。
教育委員会制度の不要論もあります。
市町村教育委員会も含めて、
教育委員会定例会及び臨時会の活性化について教育委員長はどうお考えか。答弁をいただきます。
〔
教育委員会委員長櫻井久江君登壇〕
◎
教育委員会委員長(櫻井久江 君)教育にとりまして非常に厳しい時代でありまして、教育委員会も学校もそれぞれ自己研さんをしなければいけない時代であるというふうに承知をしております。
現行の
教育委員会制度について指摘されている問題については、おおむね次の4点を承知をしております。
1点目に、県は国の、市町村は都道府県の示す方向性に集中しがちになり、地域住民の意向を十分に反映していないことが挙げられます。
また、二つ目には、先ほど申し上げたとおり、市町村立学校の管理権限は
市町村教育委員会に、教職員の任命権は
都道府県教育委員会に、予算執行などの財政的権限は市町村長にと権限と責任の主体が分散をしており、権限と責任の所在が不明確な点です。
3点目といたしましては、教育委員会自体は事務局の提出する案を追認するだけで実質的な意思決定を行っておらず、教育委員会の審議が形骸化していることが指摘をされております。
最後に、4点目といたしまして、教育委員会が非常勤の教育委員から成る合議体であり、月一、二回程度開催される会議では迅速な意思決定ができず、合議体ゆえに迅速さ、機動性に欠けることが挙げられております。
〔51番村石正郎君登壇〕
◆51番(村石正郎 君)次に、いじめ防止に関する条例について伺います。
昨年10月、滋賀県大津市の中学2年生がいじめを苦に自殺したと言われている事件です。報道によると、担当教師が、いじめに対して、遊んでいるだけとちゃうん、そんなのほっときやと言ったという報道もありました。また、加害者の生徒に余りに反省がなく、中2生徒が自殺した翌日に、亡くなった子の机で笑いながらトランプをしていたという報道もありました。この報道が事実とすれば、私は、人間性の欠如もここまで来たのか、人間としていじめは絶対に許されない行為だという意識が非常に希薄だったのではないか、学校や教育委員会は何をしていたのかという思いであります。
その後も深刻ないじめが相次いで発覚しており、全国では本年4月から9月で14万4,000件、本県でも、平成23年度、
小中高特別支援学校で914件のいじめ認知件数がございます。本年は4月から9月の半年間で1,349件のいじめが確認されております。
アメリカにおいては、50州のうちモンタナ州を除く49州でいじめ対策法を州法で制定しております。州法では、いじめは程度を問わず決して許されないと位置づける、校長は学校でのいじめ防止やいじめへの対応について責任を負う、年齢に応じたいじめ防止教育をカリキュラムに組み込む、教職員、専門家、生徒、保護者が相談していじめ防止や対応策の計画を立て更新する、学校関係者はいじめを目撃したり気づいたりしたときはすぐに校長に報告する、いじめにかかわった生徒が複数の学校に分かれていたら直ちに他の学校に連絡する、いじめに対応するための訓練を行うというものです。
アメリカは、いじめ対策に国を挙げて取り組み、一定の効果を上げているのであります。
我が国でも、可児市で、いじめ防止に関する条例が10月3日施行されました。この条例には、市や学校の責務、保護者の責務、市民の責務などが明記され、いじめ防止を社会全体で取り組むべき重要な課題であると宣言するとともに、市、学校、保護者、市民、事業者などそれぞれが責務を自覚し、連携しなければならないと規定しております。
9月
県議会文教委員会で、私と風間議員がいじめ防止条例について質問したところ、教育長は、学校や地域などが基盤となり、いじめを防止しようとするのは大きな意味がある、条例で規制できることもある、検討すべき課題を整理して条例化を視野に入れた検討は必要と思う、研究させていただきたいと答弁されましたが、その後、進展があったのか。答弁を求めます。
また、
いじめ対応マニュアルについて、
いじめ発見システム、
いじめ対処システムなどいじめ問題の具体的、組織的なマニュアルが小学校、中学校は9割の学校が設けられておりますが、高校では全日制、定時制ともに6割に近い学校で
いじめ対応マニュアルがないということであります。また、職員研修も十分に行われていないと聞いております。これら対策についてどうお考えか。教育長に伺います。
教育委員長には、昨日、富士見中学校の取り組みをNHKで取り上げておりましたが、いじめで苦しむ子をなくすために、いじめ根絶についていかなる方策があるか。また、今申し上げたいじめ防止条例についてどうお考えか。見解を伺います。
続いて、知事には、教育について、特に知事は若者支援に対して格別のお考えがあるように感じられますが、本県においては、人間としていじめは絶対に許さないという強いメッセージを発信するために、都道府県では全国に先駆けて、政治も司法も学校も体を張って守るべきものは守るという意思を示すために条例化を進めてほしいが、知事の見解を伺います。
〔教育長山口利幸君登壇〕
◎教育長(山口利幸 君)いじめ防止条例制定の検討についてのお尋ねでございます。
いじめ問題は、学校や教員の児童生徒観や指導のあり方が問われる大変重要な課題でございます。そのため、いじめの未然防止、早期発見、早期解決といった学校の主体的な取り組みを支援する体制を整えることを視野に入れた上で、いじめの防止に関する条例の制定について検討する必要があります。
教育委員会といたしましては、いじめ対応の仕組みづくりについて県内外の情報を収集してまいったところでございます。また、県全体としてはさまざまな子供に関する検討を行っているところでありますので、そうしたものとの兼ね合いの中でいじめ問題にかかわる支援のあり方や仕組みづくりについて考えていくべきだと思っております。
教育委員会としても、庁内いじめ対策連絡会議を通じて知事部局とも連携しながら、いじめの防止に関する条例の有効性について研究してまいりたいと考えております。
次に、高校におけるいじめ対応の対策についてのお尋ねでございます。
いじめに特化したマニュアルの整備の状況につきましては御指摘のとおりでございますけれども、従来からも、すべての高校で問題行動・危機管理マニュアルを作成し、その中に記載してあります方法でいじめについても対応してまいりました。しかし、いじめの問題は喫緊な課題であるという認識のもとで、すべての高校でマニュアルを特別に取り出しまして
いじめ対応マニュアルを整備するよう、改めて校長会を通じて指示いたしました。
今後、県教育委員会では、
いじめ対応マニュアル充実の手引を作成して各学校に示しまして、すべての高校で早急にマニュアルを整備し、それに基づいて的確な対応ができるよう努めてまいります。
また、職員研修につきましては、管理職や人権教育あるいは生徒指導担当者を対象とした研修は実施しておりますけれども、各学校の校内研修の充実は課題であるというふうに認識しております。
研修の講師を育てる研修、そういったものとか、校内研修のための指導資料等を提供しながら校内研修の充実を図り、教職員の指導力の向上に努めてまいりたいと、こんなふうに考えております。
以上でございます。
〔
教育委員会委員長櫻井久江君登壇〕
◎
教育委員会委員長(櫻井久江 君)いじめ根絶の方策といじめ防止条例についてのお尋ねでございます。
いじめ問題は、多くの子供たちを悩ませ苦しませる重い教育課題だと認識しておりますが、その根絶に向けた未然防止の取り組みとともに、発生したときに適切に対処し、早期に解決、解消させることがより重要だと考えております。
その意味で、今教育に求められているのは、子供たち自身がいじめ問題に正面から立ち向かう力をつけさせることと、学校がいじめを早期に発見し、適切に対処し、解決に向かわせるための仕組みづくりだと考えております。
いじめは、学校で発生する重大な教育課題として、まず教職員が中心となって、保護者、地域の方々や関係機関とも協力、連携しながら解決に向けた取り組みを進めていくべきだと思います。
その一方で、学校の取り組みだけでは解決困難なケースも多いことから、県や市町村がそれぞれの地域でいじめ解消を目指した仕組みづくりをすることが求められています。
いじめ防止条例の制定についても、このような地域の仕組みづくりを検討する中で、選択肢の一つとしてその有効性について研究していきたいというふうに考えております。
また、富士見町の取り組みについて、先生方がチームをつくり、本当に真剣に取り組まれておる様子を見させていただきました。このように本当に一生懸命されておられるということを見させていただき、うれしく思っております。
以上であります。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)いじめ防止に係る条例の制定についての御質問でございます。
8月の7日に、矢﨑教育委員長と連名で「いじめを見逃さない長野県をめざす共同メッセージ」を発信させていただきました。これは、いじめを見逃すことはあってはいけないという県としての決意を表明させていただいたわけであります。
また、いじめに取り組んでいる地域の皆様方、民間の支援団体と一体となっていじめを見逃さない長野県をつくっていくことが必要だということで、仮称としてのいじめの県民会議、ネットワーク型の組織を立ち上げる準備をしているところであります。
子供をめぐる課題、さまざまあります。子供の育ちを支える仕組みづくりについても今長野県として検討してきているところでありますし、今申し上げたように、いじめ対策についても教育委員会でもさまざまな取り組みを進めてきていただいています。
そういう中で、条例による対応が必要な部分というのは一体どういう部分なのかということをしっかり見きわめて検討していかなければいけないだろうというふうに思います。
可児市の条例、さまざまな主体の責務ということが書かれていますが、恐らく条例をつくっただけで解決する形には多分ならないだろうというふうに思います。条例だけではなくて、やっぱり具体的な取り組みがなければいけないだろうというふうに思います。
村石議員の御質問の中にも富士見中学校の取り組みがありました。私も、テレビで拝見をしたりして、まさに学校の先生がチームワークをしっかりとって、お互い協力、連携して対応していくことがいじめ問題への対応には大変重要だというふうに思っております。
そういう観点で、私としては、教育委員会ともよく話をしなければいけませんけれども、やっぱり現場のこうした取り組みをまずはしっかり支えていく、そういう方法を力を入れて取り組む必要があるというふうに考えています。
子供たちをめぐるさまざまな課題、どういう形で取り組むか。条例制定、あるいは具体的な現場での対応への支援、さらには予算的な対応、そうしたさまざまな形の中でどういう部分にめり張りをつけていくのが最も効果的なのかということをしっかり見きわめてまいりたいと考えております。
以上です。
〔51番村石正郎君登壇〕
◆51番(村石正郎 君)次に、知事には若者支援について伺います。
子供や若者支援を公約した阿部知事の肝いりの部署として次世代サポート課が発足して1年と半年ほど経過いたしました。県内では、ニート1万人以上、ひきこもりは3,000人以上と言われておりますが、正確な人数を把握しているのでしょうか。
また、ひきこもりなど社会生活に困難を抱える若者を支援するための県内初の地域協議会が東信地区で立ち上がったと聞いておりますが、それら全体の調整については次世代サポート課が担当すると伺っております。
ニートやひきこもりの若者を社会参加に向けてどのような方策で成果を上げていくのか。知事に伺います。
また、次世代サポート課が進めている発達支援を専門的に行う学校の設置についてであります。
この学校については、平成25年度、開校準備、生徒募集、平成26年4月に開校と聞いておりますが、この学校の概要について知事の説明を求めます。
関連して、須坂地区の総合技術高校が発足した後の須坂商業高校の跡地利用計画として、発達支援を専門的に行う学校としての活用、一方では、地元から強い要望のある特別支援学校高等部の設置、また、総合技術高校施設の一部として体育館、グラウンドについて使用したいとの要望がありますが、これらの関連を含めて現在描かれている構想を教育長に伺います。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)ニート、ひきこもりの若者への支援についての御質問でございます。
ニート、ひきこもりの若者の支援につきましては、従来、雇用の問題、あるいは保健、医療の問題、個別の課題ごとの支援が中心でありました。ただ、こうした若者たちの社会参加、自立を図っていく上では行政の分野ごとの対応では必ずしもうまく成果を上げることはできないというふうに考えております。
そうした観点で、相談の段階から専門的知見に基づく支援方針のしっかりとした策定、そして就労、就学に向けたコミュニケーション能力の習得など、本人の状況、あるいは本人の思い、気持ち、そうしたものに寄り添った総合的な支援が必要であります。
こうした考えのもと、個別の分野において支援を実施してきている各機関、NPO等が連携していくためのネットワークとして、ことしの10月末に、東信地区において、子ども・若者支援地域協議会、これを長野県東信子ども・若者サポートネットという形で設置をして県としても支援を行っていくこととしております。
この協議会では、単独の支援機関ではなかなか対応が難しい事例について、各機関、そしてNPO等の担当者がケースの検討会議を開催をいたします。そこで、さまざまな方向づけをして、課題を抱える若者に寄り添った支援を実施をしてまいります。また、各機関、NPO相互にこれまでさまざまな取り組みをしてきているわけでありますので、そうした支援に関するノウハウを共有することによって地域におけるそれぞれの団体の支援内容の向上にも資する形にしていきたいと考えています。
それから、発達支援を専門的に行う学校についてでございます。
県内外、一人一人の個性や特性を理解し、その個性、特性を生かした指導を実施することで社会で生きる力を身につけ、社会的自立を目指す先駆的な取り組みを実施して発達支援が必要な子供たちを支えている学校がございます。長野県としても、そういう知見を持ち、先駆的な取り組みを行っている学校の設置を支援し、長野県の子供たちの教育に役立てていきたいと考えています。
現在、教育委員会、そして知事部局の関係各課によります発達障害児教育に関する庁内連絡会議というものがございます。この中にプロジェクトチームを設置して、学校のあり方、県関係機関との連携のあり方、設置場所等について検討しているところでございます。
学校の概要につきましては、主として高校生年齢を対象に、社会的自立につなげることができる先進的支援プログラムを有する学校を想定しているところであります。こうしたノウハウをまた県の特別支援教育にも反映できるようにしていきたいと考えております。
以上です。
〔教育長山口利幸君登壇〕
◎教育長(山口利幸 君)須坂商業高校の後利用についてのお尋ねでございます。
須坂商業高校と須坂園芸高校は、再編統合によりまして、平成27年度、現在の須坂園芸高校の校地に新たに総合技術高校として開校いたします。
この新校は、施設整備が完了する平成30年ごろまでは須坂商業高校の校地、校舎を使用するとともに、施設整備完了後も、体育館でありますとか、あるいはグラウンドは継続して使用していくことが決定しております。また、地元から強い要望があります特別支援学校の高等部の分教室の設置についても検討してまいりたいと考えております。
それ以外の後利用につきましては具体的なことはまだ決まっておりませんけれども、県のファシリティマネジメントのプロジェクトチーム内に設けられているワーキンググループで検討するとともに、地域の御意見も伺いながら対応してまいりたいと、こんなふうに考えております。
〔51番村石正郎君登壇〕
◆51番(村石正郎 君)発達支援を専門的に行う学校についてですが、26年度開校という今の知事の説明は余りに抽象的でありませんか。学校の規模とか、あるいは募集人数はどういうことだとか、ある程度学校の形というものを説明していただかないと困るんですが、よろしくお願いします。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)発達支援を専門的に行う学校は、これは県立学校として設置するわけではありません。県が持っている施設等を活用して、そうした学校の設置のために活用してもらうような形で間接的に支援していくということを念頭に置いておりますので、先ほど申し上げたように、プロジェクトチームの中でどういう学校のあり方が長野県にとって必要なのか、あるいは場所はどういう場所が適切なのかということを検討しているところでありますので、そうした県としてのベーシックの枠組みをまず定めた上で、そうしたコンセプトにしっかりとコミットしていただけるような学校を我々としては誘致をするという形になります。
したがいまして、県が細かいところまでその中身を決めて、そのとおりに設置をしていくというよりは、むしろ県の持っている施設等を活用していただいて間接的に応援していくということでございます。
そういう意味で、今プロジェクトチームで詰めておりますけれども、具体的な方向性が見えてき次第、また皆様方のほうにもお知らせをしていかなければいけないというふうに考えております。
以上です。
〔51番村石正郎君登壇〕
◆51番(村石正郎 君)次に、がん対策について伺います。
議会において、がん対策推進条例(仮称)検討調査会が設置され、がん対策推進条例(仮称)が検討されていることは御承知のとおりであります。その調査会において各地の医療機関を訪問し調査を続けているところでありますが、その中での幾つかの課題について健康福祉部長に伺います。
ノーベル医学・生理学賞に輝いた山中伸弥教授のiPS細胞が話題となっておりますが、医学の世界は日進月歩、次々と新しい新薬が開発されているということであります。抗がん剤について、医療上の必要性の高い未承認薬、適応外薬について承認に向けた取り組みはどうなっているのでしょうか。
日本では、治験着手のおくれ、治験の実施や承認審査に時間がかかると言われております。欧米では標準的に使用されている医薬品、医療機器が日本では使用できない状態であると聞いておりますが、医薬品、医療機器の早期開発と承認に向けた取り組み、審査期間の短縮についてのお考えを伺います。
また、CRC(臨床研究コーディネーター)の育成についても伺います。
次に、長野県では放射線治療装置の整備が量及び質の両面でおくれているという指摘があります。お金のかかることなので病院単独では先を見た整備は困難であり、県及び市町村の関与が必要ということでありますが、これについての対策を伺います。
次に、白血病、悪性リンパ腫、骨髄腫など造血器がんについて伺います。
長野県は血液専門医数が全国的に見ても少なく、病床数も限られており、近い将来、白血病など重篤な血液がんになっても専門医のいる病院に入院できなくなるのではないかと危惧している、現場の危機感を知っていただきたいと長野赤十字病院から強く要請を受けました。これについての見解を伺います。
次に、条例案で検討されている本県独自の基準を整備した地域がん診療連携拠点病院に準ずる病院の指定及び整備について、きのう知事から答弁があったところでありますが、改めて健康福祉部長の見解を伺います。
次に、条例で検討されている県民会議の設置について、既に設置されている長野県がん対策推進協議会との関連において、審議の内容等どのように考えておられるのか。
以上、健康福祉部長の見解を伺います。
〔健康福祉部長眞鍋馨君登壇〕
◎健康福祉部長(眞鍋馨 君)がん対策につきまして5点お尋ねをいただいてございます。順次お答え申し上げます。
まず最初の未承認薬、そして適応外薬の承認に向けた取り組みでございます。
未承認薬と申しますのは、海外では使われていますけれども、日本では薬事法の承認がないため使えないもの、そして適応外薬というのは、日本では販売はされていますけれども、薬事法の承認の内容が例えばあるがんのみでありまして、ほかのがんでは研究では有効性がありますけれども使えない、そういうことによりまして結局保険適用はなされず、医療費は全部自己負担になってしまう、こういった問題があるというふうに承知をしております。
国では、こういった未承認薬等の承認の迅速化、これは重要だというふうに思っておりまして、迅速化を図るために平成22年の2月に医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議というものを設置いたしました。この検討会議では患者団体や学会等から要望のある未承認薬等につきまして医療上の評価を行います。その結果、必要性が高いというふうに判断された薬につきましては、企業に対しまして国のほうから開発要請、この薬を開発してくださいという要請、そしてまた承認に向けた支援というものが行われているところでございます。
こうした取り組みによりまして、現在664件の要望があったわけでございますけれども、そのうち84件が既に承認済みというふうになっておりまして、日本でも実用化されているところでございます。
次に、医薬品、医療機器の早期開発と承認に向けた取り組み、審査期間の短縮についてでございます。
新しい医薬品等がほかの国で販売されてから日本で販売されるまでの時間、ドラックラグというふうにいいます。医療機器に関しましてはデバイスラグというふうな言い方をしますが、この期間が日本は長いというふうに言われております。このため、国では、審査を行います機関がございますけれども、そこの審査人員の増員ですとか、あるいは治験相談、これは、企業が治験という臨床研究に入るときに、どのような臨床研究をすれば承認に至りやすいかというふうな相談を行う体制整備ですとか、あるいは事前評価制度、こういったものを導入いたしまして、それから審査基準を明確化するということなどによりまして迅速に審査できる体制の強化を進めているというふうに承知しております。
この結果、平成19年度では3.4年というふうに言われておりましたアメリカとのドラックラグの期間でございますけれども、これが平成22年度では1.1年に短縮されたということでございます。
このような取り組みがさらに促進されまして、欧米で標準的に使用されている医薬品等が少しでも早く日本で使用できるということを期待しているところでございます。
次に、CRC(臨床研究コーディネーター)の育成についてお答え申し上げます。
CRCという職種は日本では少ないというふうに言われているんですけれども、医療現場における臨床研究を支援する方々のことをいいます。医師のような国家資格ではないんですけれども、医療のみならず研究に関する倫理性あるいは科学性を支える知識が必要でありまして、養成のための研修が今日本病院薬剤師会などさまざまな団体で実施されているところでございます。
国は、本年6月に、医療関連分野を成長産業に育成する、また高水準の医療を国民に提供するということを目的といたしました医療イノベーション戦略5カ年計画というものを策定いたしました。ここにおきましても、キャリアパスの整備、育成した人材が実際に働ける環境の整備、あるいは大学病院におけるCRCの養成といったことも書かれておりまして、その働きに期待しているところでございます。
医療技術の進歩は臨床研究によってなされるところが大きいというふうに思いますので、こういう臨床研究を支える方々が育成されることによりましてさらに医療技術が進むということを期待しているところでございます。
次に、放射線治療装置の整備についてお答えいたします。
現在、リニアックなどの放射線機器でございますけれども、県及び地域がん診療連携拠点病院、県に8カ所ございますけれども、ここにはすべて整備されております。また、それ以外にも7カ所の病院に整備されているところでございます。申し上げますと、信州上田医療センター、県立木曽病院、北信総合病院、県立こども病院、中信松本病院、松本病院、一之瀬脳神経外科、この七つでございます。
医療機関がこれらの放射線機器を導入する際に、県では、がん診療施設設備整備事業、これは国庫補助金でございますけれども、これの活用や、それから地域医療再生基金などを活用して支援しているところでございます。
また、導入された放射線機器を最大限に活用するためには放射線治療医の確保が必要であります。全国的な医師不足の中で、県では、放射線治療医の養成や、県外からの招聘ということも支援する取り組みを今年度から始めたところでございまして、放射線治療医の養成と確保に取り組んでいきたいというふうに思っております。
次に、造血器がんについてでございまして、血液専門医の確保等についてお答えいたします。
平成24年11月現在、日本血液学会の血液専門医の資格を取得している者でございますが、本県では36名が登録されてございます。全国で約3,000名ということでございますので、平均すると50名以上いてもしかるべきかなと思うんですけれども36名となっておりまして、やや少ないという状況と考えております。
また、血液のがんに対する最後の治療法であります専門性が高い骨髄移植でございますけれども、これが行われている医療機関は現在2病院でございます。信大病院と長野赤十字病院でございますけれども、県ではその数をふやすということが重要と考えておりまして、地域医療再生基金を活用いたしまして、骨髄移植に必要な無菌室あるいは専用ベッド、こういった整備を支援することとしております。
今後は、こういった取り組みに加えまして、信大医学部ですとか、あるいは各医療機関におきまして医学生や研修医に対する血液専門医の育成強化に取り組んでいただくようにお願いをしております。こういったことで専門医の確保と診療体制の充実を図ってまいりたいというふうに思っております。
次に、拠点病院に準ずる病院の指定及び整備についてお答え申し上げます。
昨日の宮澤議員御質問に対して知事がお答えしたとおりでございますけれども、私からは事実関係について若干補足をさせていただきたいと思います。
独自の指定要件を設けて拠点病院に準ずる病院を指定している都府県があることは承知しております。その緩和の仕方はさまざまでございまして、例えば先ほど申し上げました放射線の治療機器が必ずしもなくてもいいですとか、あるいは国の基準では必須になっております緩和ケアにつきましての要件がなくてもいいとか、そういう独自の基準を緩和している都県があることは知っております。
しかし、これは国指定と県指定の拠点病院が混在するということになりますので、患者さんから見てもわかりにくい、医療の質が保たれているか疑問、そういうふうな声がございます。これは、先日、報道でもそのような報道がなされたところでございます。この後は、私どもとしては、国において、国の拠点病院、あるいは県で独自に指定している拠点病院も含めて、医療提供体制を見直すということでございますので、その検討の方向を見定めて検討してまいりたいというふうに思っております。
それから、県民会議の審議の内容等についてお答え申し上げます。
県では、現在、がん患者さん、あるいは家族、医療関係者、行政関係者等を構成員といたします長野県のがん対策推進協議会、これを設置してございます。これで県のがん対策推進計画の進捗管理を行うとともに、がんの予防、検診、医療の各分野における取り組みを総合的に検討するところでございます。
現在、がん対策推進条例(仮称)制定検討調査会で検討されています県民会議につきましては、その構成員、あるいはその役割が先ほど申し上げました県の協議会と重なる部分もあると見受けられますことから、両者の整合性については十分に御議論いただく必要があろうかなというふうに思っております。
以上でございます。
○議長(平野成基 君)次に、和田明子議員。
〔28番和田明子君登壇〕
◆28番(和田明子 君)県内各地に竹林とは言いがたい荒廃した竹やぶが見受けられます。雪の季節を迎えますが、雪をかぶった竹がしなだれ、道路をふさぎ、交通の支障になることも間々見受けられます。地下茎でどこまでも繁殖していく竹、ほうっておけば大変厄介なことになるのが竹ではないかと思います。
人の手が入らなくなった里山周辺の荒廃した竹やぶ、竹林の整備を手がけている有志グループやNPOなどの活動が始まっています。この活動をしているグループの一つで、西山淡竹会の方々の取り組みの一端を紹介させていただきます。
小川村や長野市周辺の西山地域の過疎化、高齢化した集落で、やぶになった竹林の整備を依頼され、全くボランティアで竹の間伐をし、間伐した竹は破砕機で竹チップや竹パウダーなどをつくり、生ごみなどの堆肥化の基材にして活用する。また、よみがえった竹林でとれるタケノコを地元の食品加工業者の協力を得て商品化するなど、頑張っておられます。
竹の破砕機購入に一部元気づくり支援金を使い、元気づくり支援金の活用例として地方事務所で表彰されました。けれども、この地道な竹林整備はすべて手弁当でという状況です。このような活動に森林税は使えるんではないかと思いますが、残念ながら今までの活動には森林税が使えませんでした。
そこで、林務部長にお伺いします。
現行の森林税でも里山整備と一体として取り組む場合は竹林の整備ができるが、実際には使えないこともありました。来年度から5年間延長される森林税によって、里山整備と一体として取り組む竹林の整備を一層進められるようにしてほしいのですが、いかがですか。
また、竹林だけの整備についても支援の対象となるのか。林務部長にお伺いします。
〔林務部長塩入茂君登壇〕
◎林務部長(塩入茂 君)竹林の整備について御質問をいただきました。
森林づくり県民税におきましては、竹林の整備について現行の制度で支援の対象としてきたところですけれども、次期の制度におきましても、みんなで支える里山整備事業の中で、里山に侵入した竹を含めて周辺森林と一体的に行う間伐を初め、単独の竹林の間伐についても引き続き支援の対象とすることにしております。
また、市町村が実施する森林づくり推進支援金においても、景観形成のための竹林整備等の実施について支援の対象とすることを予定をしております。
このほかに、公共造林事業におきましても竹林の整備が補助の対象となっておりますので、これらの施策を有効に活用しながら、今後とも、市町村と連携して、地域ニーズを的確に把握し、竹林の整備を支援してまいりたいと思っております。
〔28番和田明子君登壇〕
◆28番(和田明子 君)竹林整備についても幾つかのメニューがあるようであります。竹林の整備などを支援の対象にするに当たって、今お話がありましたように、市町村の事業化が前提となる森林づくり推進支援金をどういう事業内容にするのかは市町村の独自性、創意工夫が尊重されるものと思います。
実際に、竹林整備を初めさまざまな活動をしている方々にこういう支援金が届く道筋をつけることも大変大事ではないかと思いますので、森林づくり推進支援金の活用ができるよう市町村に周知し、新たな事業化を進めるために来年度までに具体的にどのようにされるのか。林務部長にお伺いいたします。
次にお伺いします。
先日、朝霧の立ち込める中、七二会を走行していますと、目の前の路上に黒い塊のようになっている4頭のイノシシと遭遇してしまいました。私はびっくりして車をとめましたが、イノシシは驚いたふうもなく、ゆっくりと道路わきの草むらの中に去っていきました。もしこれが登校途中の子供たちであったらどうだったのかと心配をしました。
長野駅周辺にもクマが出没するほど、私たちのすぐ近くに野生の大型鳥獣が生息していることは多くの皆さんが感じていることであります。
被害が拡大している野生鳥獣対策の強化を図るとともに、クマ、イノシシなどとの出会い頭事故のようなことを避けるため、児童生徒の通学路の点検、安全確保の観点で、緩衝帯につながる道路わきのやぶの刈り払いを進めていただきたいと思いますが、林務部長にお伺いいたします。
〔林務部長塩入茂君登壇〕
◎林務部長(塩入茂 君)次期森林づくり県民税の中の森林づくり推進支援金、これの周知についてのお尋ねをいただきました。
森林づくり県民税の森林づくり推進支援金の使途につきましては、去る11月上旬に県下4カ所で説明会を開催し、制度内容について市町村を初め関係者の皆様に説明をしてきたところでございます。
さらに、今後におきましても、地方事務所を通じ、市町村に対する担当者会議の開催などの際に、関係する皆様に対し一層の周知が図れるようきめ細かな説明に努めてまいります。
それから、野生鳥獣との接触を避けるための緩衝帯のお尋ねでございます。
人の生活域と野生鳥獣の生息域の境界に緩衝帯を設け、見通しをよくして互いの距離を保つことは、野生鳥獣との突然の遭遇を回避する上で効果が高いと認識しているところでございます。このため、市町村等と連携を図りつつ、国の交付金、あるいは森林整備を目的とした森林づくり県民税を活用しながら、これまで年間200ヘクタールほどの緩衝帯を整備しているほか、里山における間伐も進めてきているところでございます。
今後も、引き続き、通学路などにおける野生鳥獣の隠れ場所や通り道など危険箇所の情報を市町村等と共有しながら、必要な箇所において緩衝帯の整備を進めるなど、総合的な野生鳥獣被害対策の取り組みを推進してまいります。
〔28番和田明子君登壇〕
◆28番(和田明子 君)自治体への対応をきめ細やかにということですが、特に小規模自治体に寄り添うようにしていただきたいと要望しておきたいと思います。
今定例会に提出された国民健康保険法に基づく都道府県調整交付金の交付等に関する条例の改正は、国保広域化の一里塚、このまま広域化が推進されていくのではないかと危惧するものであります。
国保広域化は課題が多くあることと、全国知事会からも意見が上がっているにもかかわらず国は国保広域化を社会保障と税の一体改革のメニューの一つに位置づけ、ことし4月に国保の給付財政を都道府県単位に統合する法案を成立させました。この法改正を受けて、県としても条例改正をする提案がされました。
保険財政共同安定化事業の対象医療費拡大は、給付財政が都道府県単位になる事実上の広域化です。そこで、保険財政共同安定化事業の拡大による市町村国保会計への影響はどうなると県はとらえているのか。健康福祉部長に伺います。
また、都道府県調整交付金については、国の負担割合が減り、県の負担割合がふえるということですが、国保収入に占める国庫支出金の割合は1980年代の50%から2010年度には25.5%に半減しています。加入世帯の変化という要因以上に、国の負担をふやすことなしに国保を安定的に運営することは困難ではないかと思います。
県として、国に、構造的な問題も含め、国保の改善と安定的な運営のために国が責任を持って財源を保障するよう求めてほしいと思います。健康福祉部長に伺います。
〔健康福祉部長眞鍋馨君登壇〕
◎健康福祉部長(眞鍋馨 君)2点、市町村国保の保険財政共同安定化事業等についてお尋ねいただいております。順次お答え申し上げます。
本年4月の国民健康保険法の一部改正によりまして、議員御指摘のとおり、市町村国保からの拠出金を財源といたしまして、医療費を都道府県単位で共同して負担する保険財政共同安定化事業というものにつきまして改正が行われてございます。これは、これまで、1レセプト30万円を超える部分の医療費につきまして、県の中で再保険の仕組みのような形で共同で負担しましょうという事業だったんですけれども、これが平成27年度以降はすべての医療費ということになるということでございます。いわゆる再保険で、都道府県単位で医療費を共同で負担していきましょうというふうな仕組みになるということでございます。
今回の拡大に伴いまして、対象医療費の規模は恐らく2倍から3倍程度にはふえるというふうに見込まれております。ですので、市町村等の国保財政に大きな影響があるというふうに考えております。
こうしたことから、現在、長野県国民健康保険団体連合会の協力を得ながら、県におきまして、拡大の影響、そしてそのシミュレーションを今行っているところでございます。
続きまして、国民健康保険の構造的な問題と財源確保についてお答えいたします。
御指摘のとおり、国は社会保障・税一体改革におきまして財政運営の都道府県単位化を進めるということをしております。しかし、県内の国保の状況を見ますと、たくさん問題があるというふうに思っております。被保険者の35%が高齢者であるということ、また、1人当たり医療費が増加傾向にあるということ、平均所得が年々減少傾向にあること、それから保険料の収納率が93%程度ということ、こういう背景がございまして、半数以上の保険者が赤字となっている状況でございまして、厳しい運営が続いてございます。
その結果、市町村の一般会計からの繰り入れでございますけれども、これもふえ続ける傾向にございまして、平成23年度の数でございますが、合計で31億円を超えているという状況にございます。
加えて、医療費や保険料水準の違いというのも各保険者によってございまして、保険者間の格差をどのようにとらえて対応していくかということで、広域化に向けては解決すべき課題が非常に多いというふうに思っております。
国の新たな動きといたしましては、今月30日に社会保障制度改革国民会議の初会合が予定されてございます。その中で、今後、医療保険制度のあり方についての検討も始まる見込みというふうに聞いております。
国に対しましては、従来、県の独自要望あるいは全国知事会を通じて、国の責任において国保の構造的問題の抜本的解決を図るよう強く求めてきたところでございますけれども、この国民会議の動向も注視しながら引き続き要望してまいりたいというふうに思っております。
以上です。
〔28番和田明子君登壇〕
◆28番(和田明子 君)今、部長から御答弁いただきました。法改正されても現段階では国保の保険者は市町村のままであり、国保料(税)は市町村の条例によって賦課徴収され、そして市町村が独自に保険料の軽減のために一般会計から繰り入れなどができます。これが法定外の繰り入れは31億円に達しているというお話でありました。さらに、市町村ごとで国保料(税)に大きな開きがある、こういうさまざまな問題がある中で広域化で問題が解消されるとはとても思えません。
長野県では国保の被保険者は約60万人、一番大きい医療保険であり、日本が世界に誇る国民皆保険の根幹を担っているものと認識をしております。
憲法25条では、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」とうたわれております。
この憲法で保障された国民の権利を守る立場で長野県としても国保広域化が進められつつある中でも、本当に問題点をしっかりととらえて、国に対しても必要なことは意見を上げていただきたいと思います。
昨日、知事が、社会保障の財源、これから一層社会保障の負担がふえるという中で消費税増税が必要という答弁をされましたけれども、昨日の信毎夕刊で、社会保障財源をどこで確保するかということを示す大変参考になる記事がありましたので御紹介をさせていただきたいと思います。
もう御承知のことと思いますけれども、アメリカの大富豪として知られる著名な投資家ウォーレン・バフェット氏は、従来から彼は言っておりましたけれども、富裕層にこそ税の課税強化をするべきだというふうに言っております。バフェット氏は、2009年の米国の高額所得者の上位400人の年間平均所得は2億200万ドルに上がったが、平均税率は19.9%にとどまったと指摘をしています。
これは、まさに日本とも同じことが言えるわけであります。富裕層への課税強化によって、消費税増税によらない社会保障財源を確保することも可能でありますので、そういう観点からも知事にはそういう立場で今後も頑張っていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
○議長(平野成基 君)次に、続木幹夫議員。
〔15番続木幹夫君登壇〕
◆15番(続木幹夫 君)それでは順次質問いたします。まず、収入証紙の廃止について伺います。
広島県は、免許証の更新などにかかる手数料の徴収方法を、2015年にも現在の収入証紙から現金に切りかえると発表しました。収入証紙を廃止するのは都道府県では東京都に次いで2番目です。
確かに、収入証紙を廃止し現金払いにすれば収入証紙発行にかかる印刷費や管理費などの削減ができると思いますし、また、利用者も、自動車免許の更新やパスポートの発給、飲食店の営業許可などの手数料もその場で現金で支払うことができるようになれば、わざわざ証紙の販売窓口を訪れる必要がなくなります。
そして、広島県では、遠隔地から郵送で申請などの手続をする場合は金融機関が発行する払い込み証明書を使えるようにするということです。
そこで、現在、本県で収入証紙発行にかかる印刷費や管理費は年間どのくらいでしょうか。また、仮に本県も収入証紙を廃止した場合、どのようなことが懸念されるでしょうか。会計管理者に伺います。
私は、本県も収入証紙を廃止し現金に切りかえることを検討すべきと思いますが、知事の見解を伺います。
〔会計管理者下條政久君登壇〕
◎会計管理者(下條政久 君)収入証紙に関する御質問でございます。
県の収入に関しましては、あらかじめ納入義務者に対しまして金額とか納期限を通知して行うことが原則というふうにされておりますが、使用料や手数料のうちでその通知ができないものについては、条例で定めて、収入証紙によって行うということにしております。
平成23年度を見ますと、運転免許関係手数料、それからパスポート、それから高校の入学審査料などの254種類がこれに該当しておりまして、その収入実績173万件で約38億円、これは使用料、手数料収入約125億のうちの30%程度になっております。
この場合の経費でございますけれども、証紙の印刷代、これが639万枚刷っておりまして1,400万円、それから売りさばき人に対しまして額面の3.15%相当を手数料で支払っております。これが1億2,300万、合計で1億3,700万ということになっております。
この証紙を廃止した場合、それにかわる方法といたしましては、直接現金で納入する方法、あるいは類似のものとして電子マネーとか郵便為替、そういったもののほかに、先ほどの広島県にもありました、あらかじめ本人に払い込み証明書つき納付書というのを交付しまして、それで金融機関でもって払い込み証明をしてもらうという方法が考えられるわけです。
懸念ということについて御質問でございますが、第1に、やはり県のコストという問題がございます。現金で取り扱うとした場合には、新たに夜間金庫の利用料、それから帳票やレジスターの配置費用、それから収入したお金を管理するための人員配置といった経費が必要になってまいります。また、ほかの方式による場合にも、それぞれその性格によりまして、システムの改修とかネットワークへの加入、あるいは銀行の公金事務手数料が増加したり換金等による行政事務がふえたりというようなことが考えられます。
これらを踏まえまして、現金納入に変えた場合のコストを一つの窓口で1日10件取り扱った場合として試算してみますと、額面5万円以上のものでないと収入証紙を使用するよりも財政的に不利になってしまうということでございまして、本県では一律廃止ということが少し考えにくい状況でございます。
広島県の場合は、本県と異なりまして、現在、県機関において収入証紙の販売をしている機関がございまして、そこでは現金を取り扱っているので、その窓口を手数料の収納窓口に転換することによってコストの軽減が図られるという判断がなされたものだというふうに考えております。
それから、行政コストだけでなくて、納入者にとりましても、例えば現金書留などの料金というのは納入者の負担になってしまったり、それから居住条件とか業務の種類によっては利便性の向上につながらないようなケースも出てくるんじゃないかということが少し懸念材料として持っております。
なお、今申し上げたようなさまざまな問題ありますけれども、これらが解決したものにつきましては来年度からでも証紙にかわる方式というのを導入したいと思っておりまして、現在、準備、検討を進めているところでございます。
以上です。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)収入証紙の廃止についてのお尋ねでございます。
私も、続木議員と同じように、収入証紙廃止してもいいんじゃないかというふうに思って検討させたわけですが、今会計管理者が答弁申し上げたように、コスト的な面あるいはサービスの面で必ずしも一律に廃止することがすべていいかということはまだ課題が多いという状況であります。
ただ、今答弁申し上げましたように、個々の事業ごとにメリット、デメリットをしっかりと考えた上で、証紙方式でないというほうがベターではないかというものについては切りかえるという形の対応をしていきたいというふうに思っています。
この問題についてはさらに引き続き検討していきたいというふうに考えております。
以上です。
〔15番続木幹夫君登壇〕
◆15番(続木幹夫 君)広島県の場合は、収入証紙を廃止することによって7,200万円の経費削減ができたという報道があったものですから、私もぜひ長野県でもと思ってこうした質問をしたんですけれども、ただいま、会計管理者のほうから、違うシステムに変えることによって新たな経費がかかってさほどでもないということだったんですけれども、印刷費だけでも1,400万円ということで、これが毎年ですので、ぜひこの削減に向けて取り組んでいただきたいと思います。
次に、野菜の市場価格低迷への対応について伺います。
農林水産省統計部発表資料によりますと、本県の野菜生産額は平成22年では野菜全体で785億円で、全国第9位の野菜生産県であります。とりわけレタスとセロリは全国第1位、白菜、アスパラガスは第2位の生産県です。そして、本県の露地野菜の出荷時期は6月から10月に集中していて、この時期に限っていえば全国トップの野菜生産県であります。
しかし、ことしの6月から10月にかけては野菜全般にわたって市場価格が低迷いたしました。やはり農水省統計部発表の野菜の物価指数を見ますと、2010年を100とした場合、本年の6月から8月にかけての葉物野菜の物価指数は約75で、9月から10月の発表はまだですが、近年では最低の平均卸売価格となる見込みです。
農業の場合、売り上げのほぼ3割が農家の所得となりますから、2010年と比べるとその所得分がそっくりなくなったことになります。
一方、9月県議会で私が訴えましたように、生産資材価格は上がる一方ですので、私の地元の農家は、実質的な農業所得は農業を始めてから最低になるだろうと嘆いています。そして、もし来年もこのような状況であれば倒産する農家や離農する農家が多数出てくるだろうと懸念しています。
このように、現在、本県の野菜生産農家を取り巻く状況は決して大げさな表現ではなく深刻であり、まさに緊急事態と言っても過言ではない状況なのです。
もとより野菜は気象要因等によって価格変動が大きく、計画的な生産出荷に取り組んでも価格が著しく低下する場合があります。そこで、こうしたときのために、生産者、国、県が資金を造成し合って、市場販売価格が著しく低下した場合には価格補てん金を交付する価格安定制度というものがあります。この制度は野菜生産者のセーフティーネットともなっていて、今日まで本県の野菜生産農家を支えてきた制度です。したがって、本年は価格が著しく低下しましたので、この制度の規定にのっとった価格補てん金が農家に支払われることになると思います。
どの程度の補てん金が支払われるのか、その具体的な算出方法はこの場では省きますが、おおよそ直近の数年間の平均市場価格と当年の価格との差額の80%から90%の額が農家に支払われることになっていますが、野菜の価格も、このところのデフレでここ数年は価格が低迷していますので補てんの額も減少しています。したがって、はっきり申し上げて、価格安定制度による補てん金では来年以降も野菜の生産を続けるのに十分な額とは言えず、貯金の取り崩しや借り入れで当座をしのぐ野菜生産農家がほとんどであると思います。
そこで、農政部長に伺います。
現在の野菜生産農家を取り巻く状況をどう見ているのか。そして、この窮状に対して何らかの緊急対策は考えておられないのか。伺います。
〔農政部長中村倫一君登壇〕
◎農政部長(中村倫一 君)野菜の生産農家を取り巻く状況についてのお尋ねでございます。
本年は、御指摘のように、6月以降は余り大きな災害がございませんで、野菜全般に全国的に豊作基調となったわけでございます。特に、葉物野菜を中心に市場入荷量が大幅に増加をいたしまして、キャベツ、白菜、レタスなどの葉物野菜全般に価格が大幅に低下をいたしました。また、白菜では、北海道で浅漬けのO157の食中毒の発生もありまして、白菜などの漬け物需要が大幅に低下をいたしました。
また、近年の特に葉物野菜につきましては総需要量が少しずつ減っておりまして、さらに直接的な取引など市場外流通の量が増加する中で、北関東地方、そしてまた東北地方の新しい産地からの出荷量が増加しておると。さらに、作柄変動によりまして一時的な出荷の集中が起こるというふうなことが相次いでおりまして、市場価格の低下リスク、これは高まる傾向だというふうに認識をいたしております。
さらに、生産資材価格も高どまりの現象が起こっておりまして、野菜生産農家を取り巻く経営環境は大変厳しいというふうに認識をいたしているところでございます。
こうした状況下におきまして、契約的な取引を行いまして安定的な販路を確保したり、あるいは肥料、農薬の使用量を節減することなどによりまして生産コストを削減する、こうした取り組みが大変重要だというふうに考えているところでございます。
次に、本年の大幅な価格低下への対応についてでございます。
御指摘のように、価格変動の大きい野菜の生産農家の経営安定を図る基本的なものは御指摘のセーフティーネットでございます野菜価格安定制度であるというふうに認識をいたしておりまして、この的確な運用、これが非常に大事だというふうに考えております。
この制度、価格が下落したことによる要因によりまして販売収入が下落した分のおよそ9割近く、これを毎年毎年補てんする制度になっております。この制度の補てん金、まだ生産者には届いておりませんけれども、本年も、年末から2月末にかけまして、それぞれの農家さんの出荷量に応じた額がこれから交付されることになります。この交付によりまして経営への影響というはかなり軽減されるというふうに考えているところでございます。
しかし、資金面などで経営支援を御希望になる農家さんにつきましては、農業改良普及センター等が農協などの生産者団体と協調いたしまして低利な資金制度がございます。農林漁業セーフティーネット資金というものがございます。こうしたものの活用などを通じて相談活動するということといたしておるところでございまして、緊急的に財政的な措置などの対応については現在のところ考えておらないわけでございます。
なお、今後とも、こうした環境が繰り返されないようにということで、生産者団体と連携をいたしまして、供給過剰基調になっております品目の一部についてはほかの作物あるいは品目に転換をしていただく、あるいは作付時期の緻密な調整を行って計画的に出荷をしていくということなどに加えまして、需要の変化と流通の変革に機敏に対応できる産地づくりについてこれからも努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
以上でございます。
〔15番続木幹夫君登壇〕
◆15番(続木幹夫 君)現在の野菜生産農家は、この価格安定制度を頼りに、指定された品目を、連作障害に悩みながらも、数十年もの間、同じ畑で同じ品目をつくり続けているという状況でございます。先ほど農政部長からも話しましたとおり、私も、現在の価格安定制度のあり方を見直して、何か違う品目、有利な品目に転換できるような施策を考える時期ではないかと思っております。
次に、新規就農総合支援事業について伺います。
国は、新規就農総合支援事業を開始し、45歳までの新たに農業を始める者に対して、研修期間も含め最長で7年間、年間150万円を支給する制度を始めました。
この制度に対して本県でも予想以上の申込者があり、本年分としては、最終的に、研修を受ける準備型で92人、経営開始型で単身者が161人、夫婦が15組、これだけの数の人が計画承認されました。そして、この中で新規就農者が計画している作目は野菜がやはり最も多いということです。
そこで、先ほど述べましたとおり、親から農地も設備も引き継いできた農家でさえも近年は非常に経営が厳しく、農家から聞こえる声は、農業は私の代で終わりだ、息子には絶対に継がせないというものです。こうした状況下で、果たして、農地も農機具も新たに備えなければならない新規就農者のうち、最終的に何人が農業者として定着していくのかと心配されるところであります。
しかし、農業経験者から言わせてもらえれば、こんな状況下ではあっても、従前どおり、単に産地指定品目を系統出荷するばかりじゃなく、しっかりとマネジメント能力を身につけて経営努力すれば幾らでもなりわいとしての農業はできると私は確信しております。
したがって、県は、計画承認された新規就農者に対して、単に給付金を交付するのみでなく、農業開始後もしっかりとマネジメント能力を身につけさせるなどの何らかのフォローをする施策をすべきと考えますが、農政部長にお伺いいたします。
〔農政部長中村倫一君登壇〕
◎農政部長(中村倫一 君)新規就農者の経営開始後のフォローについてのお尋ねでございます。
本県の農業の担い手の確保に当たりましては、消費者ニーズを的確にとらえて、まさに売れるものをつくるというマーケットインの生産、販売ですとか高付加価値化などの経営の展開に向けまして、みずからの経営をマネジメントできる農業経営者の育成が極めて重要だというふうに認識をしているところでございます。
このため、新規就農者が、就農後、早期に地域に定着いたしまして経営が安定しますように、個別相談等のフォローアップ活動に加えまして、栽培技術、そしてまた経営簿記などの各種セミナーを開催するとともに、販路開拓のための商品プロデュース力あるいはコミュニケーション力、こうしたものなどの向上に向けた研修なども実施してまいったところでございます。
また、今年度から、新たに、経営マネジメント、マーケティング、そしてまた労務管理、こうしたものなどについての習得をしていただくことを目的といたしまして信州農業MBA研修事業というふうなものなども開始をいたしまして、若手農業者の経営力の向上対策を強化させていただいているところでございます。
また、さらに、現在策定中でございます第2期長野県食と農業農村振興計画におきましても、高い技術と経営力を有し、企業的な農業経営を展開できる農業者の育成を最重要課題の一つとしてとらえまして、引き続き施策の充実に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
〔15番続木幹夫君登壇〕
◆15番(続木幹夫 君)この制度、最大で1人当たり1,050万円もの給付金を払います。このお金を捨て金、無駄金にしないよう、一人でも多くの新規就農者が農家として定着するようその施策をお願いいたします。
次に、野生鳥獣の食肉利活用の促進について伺います。
野生鳥獣被害対策については、本県としても、野生鳥獣被害対策本部を設置し、その被害軽減に努めているところではありますが、しかしながら、根本的な解決策はいまだなく、侵入防止さくの設置や、猟銃やわなによる捕獲を組み合わせながらその対策をしているのが現状です。
この中で、狩猟による捕獲については、ハンターの減少や高齢化、さらには費用負担の面などから、なかなか猟銃による捕獲が進まないのが現状です。一方、わなによる捕獲駆除については、その狩猟免許取得者がふえ、この春の国の規制緩和で狩猟免許がない人でもわなを使ったシカなどの野生鳥獣の駆除にかかわれるようになり、本県でも集落単位での捕獲隊の結成が相次いでいるようです。
しかし、昨年、県内で捕獲した例えばニホンジカは2万7,000頭で、そのうち食肉として加工されたのはわずか1,500頭のみで、わずか6%です。94%が山に遺棄されました。
皆様もシカ肉は食したことがあると思いますが、やわらかく、臭みがなく、高たんぱくで低脂肪、さらに鉄分の含有量も非常に高く、生活習慣病などの病気の予防にもつながる食品として注目されています。こうしたせっかくの貴重な食材のほとんどが山中に捨てられているのは、いかにももったいないと思うのは私だけではないと思います。
そして、より多くの捕獲したニホンジカなどを食肉に回すことは、捕獲者の実益にもつながるのではないでしょうか。例えば、ニホンジカであれば、市町村によって幅がありますけれども、1頭につき県と市町村の補助を合わせて5,000円から1万円の補助金が出ますが、わなを購入すれば1機8,000円で、二、三回使えば使用不可能となります。したがって、県から半額の4,000円の補助が出るとはいえ、捕獲にかかる経費を勘案するとほとんどボランティア的に行っているのが実情です。
しかし、これを食肉処理業者に売れば、これもやはり幅があるのですが、私が調べたところによりますと雄ジカ1頭につき1万円から1万5,000円ほどになり、費用については賄うことができます。
にもかかわらず、こうしてせっかく捕獲したもののほとんどが山中に遺棄されているにはわけがあって、食肉とするには、捕獲後とめ刺しをして、血抜きをして、その後2時間以内に食肉処理施設に持ち込まなければならないとされています。しかし、県内の野生鳥獣の食肉処理施設は17カ所あり、そのうち15カ所が南信地域に集中していて、それ以外の地域で捕獲しても2時間以内に搬送するのは不可能な状況にあるため、こうした山中に遺棄されてしまっています。
したがって、まず、捕獲したニホンジカなどを食肉加工するには、その処理施設を、全県、とりわけ交通の便のよいところに整備する必要があります。この点について、林務部長に、どのような整備体制を行っていくのか伺います。
また、私も幾つかの処理業者に聞き取り調査をしましたが、獣肉は牛肉や豚肉に比べて割高で、食材としてまだ一般的ではないため、その販売に苦労しているとのことです。したがって、より多くの野生鳥獣を食肉とするには、処理施設の整備とともに、獣肉流通を図る仕組みづくりが必要と考えますが、この点についても林務部長に伺います。
〔林務部長塩入茂君登壇〕
◎林務部長(塩入茂 君)野生鳥獣の食肉利活用の促進について2点お尋ねをいただきました。
まず、野生獣肉の処理施設の整備についてのお尋ねでございます。
捕獲したニホンジカを有効に活用するジビエの振興、これは地域振興や鳥獣被害の軽減を図るために重要な課題であると認識をしております。そのため、捕獲から一定の時間内に肉の品質がよい状態で食肉処理できるよう、県下各地の地域ごとに、交通の便を考慮して処理施設を整備することが望ましいというふうに私ども考えておるところでございます。
そこで、県では、本年3月に設立いたしました信州ジビエ研究会と連携して、先進地の優良事例を紹介する協働ワークショップの開催や関係者の組織づくりへの支援など、地域における獣肉利活用の取り組み機運を醸成をしております。
また、処理施設の整備に必要な運営計画の情報提供などの支援、さらに国の交付金などを活用した施設整備への経費支援も行っております。
このような中で、ことし7月に、中信地区で初めて大町市で処理施設が稼働したところであり、引き続き県下各地の取り組みを支援してまいります。
次に、獣肉の流通を図る仕組みづくりについてのお尋ねでございます。
信州産シカ肉の需要を拡大するための安定的な流通の仕組みづくり、これは大変重要というふうに考えております。しかし、現状では個々のレストランやホテル等からの注文に応じて供給する小規模分散的な流通であり、シカ肉の品質や安定的な供給の確保、食材としての普及などが課題となっております。
このため、信州ジビエ研究会では、食肉流通事業者と獣肉処理施設が連携し、シカ肉を取り扱うための条件整備や関係する事業者への情報の提供、品質確保のための信州ジビエ衛生管理ガイドラインに基づく安全、安心な取り組みを審査、認証する制度の構築、食肉に適した獣肉処理やおいしく調理できる人材の育成、観光イベント等を通じ広く県民等へのシカ肉利用の普及などが必要であると考え、四つのワーキンググループを設けて課題の解決に努めているところです。
今後も、捕獲から流通、消費に至る関係者の連携を図り、一層の需要拡大を目指して総合的なジビエ振興に努めてまいります。
〔15番続木幹夫君登壇〕
◆15番(続木幹夫 君)私は、いわゆるジビエの普及によって農家の農閑期の若干なりとも副収入になればより野生鳥獣の駆除が進むと思いますので、今後もさらなるジビエの普及に努めていただくことをお願いして、私の一切の質問を終わらさせていただきます。
○議長(平野成基 君)この際、午後1時まで休憩いたします。
午前11時47分休憩
──────────────────
午後1時開議
○副議長(佐々木祥二 君)休憩前に引き続き会議を開きます。
続いて順次発言を許します。
山岸喜昭議員。
〔12番山岸喜昭君登壇〕
◆12番(山岸喜昭 君)順次質問いたします。最初に、経済・雇用対策についてお聞きします。
11月の政府の月例経済報告によりますと、7―9月期の実質国内総生産が、前期比、年率換算で3.5%減と大幅なマイナスとなり、世界経済の減速などで事実上日本経済が景気後退局面に入ったということでございます。
また、日中関係悪化も打撃となり、輸出が前期比で5%減と大幅に減少しております。さらに、国内家電の量販店大手3社もテレビ販売が7割も落ち込むなど生産減少にも歯どめがかかっておりません。また、個人消費も減速感を強めるなど、経済の低迷は内需全般に波及しつつあります。
こうした状況を反映して、最近の県内企業を見ますと、9月に富士通が信濃町にある工場を解散する方針が表面化し、120人が県外グループへ異動、10月には東芝が佐久工場を柏崎工場に移管し、100人の従業員の異動を求めると発表、11月、JX日鉱日石エネルギーは佐久市にあるスペースエナジーの従業員219人を対象に希望退職を募ると発表、11月、電子楽器のローランドが松本工場の生産部門を浜松市に移転し180人を削減する方針を出し、同じく11月に、光学・計測機器製造のセコニックが池田町の事業所の縮小を図り45人の人員整理、同じく11月に、精密・電子部品製造のミスズ工業は諏訪工場で130人ほどの希望退職を募集、箕輪工場は閉鎖する方針を発表したわけでございます。
このように最近の動きを概観しただけでも、大手製造業の生産拠点再編が県内の雇用に大きく影を落とし始めております。
円高の定着、新興国の台頭による国際競争力の低下で、大手メーカーは相次いで国内生産を縮小し、工場の統廃合を加速させつつあります。加工組み立て型産業に特化した県内製造業の雇用は今後厳しい局面を迎える可能性が指摘されております。
大手メーカーの生産拠点再編や工場閉鎖を含む大規模な退職者募集や人員削減は、その下請を担う中小零細企業にも関係し、地域に及ぼす影響は大であり、年末の近い時期であり、相談窓口の設置などの対応が早急に必要となっております。
そのような中で、佐久地域は、早々に佐久公共職業安定所雇用対策推進協議会を発足させ、支援体制を整えているところでございます。
そこで、商工労働部長にお聞きします。
日本経済の景気が後退局面に入ったと言われる中、長野県の景気対策について、今、地域が一体となって対応を考えていかなければならない段階に来ていると思いますが、県は今後どのような対応をしていくのか。お聞かせください。
そして、このような深刻な県内の雇用情勢に対する認識と、離職者、失業者等に対する再就職支援対策など今後何らかの支援策が必要と思いますが、どのような支援を行っていくのでしょうか。お考えをお聞かせください。
〔商工労働部長太田寛君登壇〕
◎商工労働部長(太田寛 君)県内の経済・雇用対策について質問をいただいております。順次お答え申し上げます。
まず、景気後退局面に対します県の対応でございます。
輸出依存度が高く、経営基盤が必ずしも磐石でない中小企業が多い本県経済にとりまして、海外景気の減速は大変厳しい状況をつくっているというぐあいに認識しております。
このような状況を受けまして、環境や医療など将来有望な分野での販路開拓などに県も地域と一緒になって取り組んでいるところでございまして、今回の補正予算におきましても、来年2月に開催されます新エネルギーの専門展示会でありますエネテック・ジャパン2013を初め、国内外の国際的な展示会、商談会への出展支援事業を計上させていただいたところでございます。
また、年末資金の借り入れ、それから来年3月の金融円滑化法終了を見据えた資金繰りの相談に応じます年末金融・金融円滑化対応相談窓口を、一昨日、11月26日から県庁の経営支援課、各地方事務所商工観光課に開設したところでございます。これと同時に窓口を開設していただきました県下70の商工会などと連携いたしまして県内経済の下支えに取り組んでまいりたいと考えております。
さらに、地域経済の活性化に向けましては、各地で行われる事業に県もその応援に加わるなど、地方事務所と本庁が連携した取り組みの徹底を図ったところでございまして、具体的には、市町村などが行います観光イベント等に県も積極的に加わるとともに、地方事務所の職員等の企業訪問の際には、県の支援策に加えて、市町村などの関連支援施策も同時にお知らせしていきたいというぐあいに考えております。
今後とも、景気浮揚による一日も早い地域経済の立て直しに向けまして、地域が一体となった機動的な対応を図っていきたいと考えております。
あわせまして、雇用情勢に対する認識でございます。
10月31日に長野労働局が発表いたしました9月の県内の有効求人倍率は8月と同じ0.80倍となっておりまして、全国平均の0.81倍を下回っているところでございます。
長野労働局では、雇用情勢は依然として厳しい状況にあり、持ち直しの動きに足踏みが見られると判断しております。
県といたしましても、中国経済の減速あるいは対中国輸出の減少などを背景といたしまして、経済・雇用情勢は当面厳しい状況が続くものと認識しております。
離職者、失業者に対する再就職支援に対する対策についての御質問でございますが、御指摘がございましたような大規模な人員整理の対応に関しましては、議員御指摘のとおり、11月8日、佐久地域におきまして雇用対策推進協議会を開催いたしまして、国、県、地元の市、経済団体が一体となって迅速かつきめ細やかな対応をしていくことを確認したところでございます。
また、11月21日には、諏訪地域におきましても同じく雇用対策推進協議会を開催して関係機関が連携した支援策の強化を確認しておりまして、その他の地域でも今後同様な協議会が開催される予定でございます。
これら地域単位での関係機関の連携強化に加えまして、12月3日には、長野労働局と合同で、経済団体も含めました県レベルの関係機関の連絡会議を開催いたしまして支援策の連携、協議を進めることとしております。
県といたしましては、各地で離職を余儀なくされた方々に対しまして、長野労働局、それぞれ地域のハローワークなどと連携いたしまして、具体的にはジョブカフェ信州が現地に出向いて実施いたしますキャリアコンサルティングや技術専門校が民間教育訓練を活用して行います職業訓練によるスキルアップなどに力を入れてまいりたいと考えております。
また、先ほどの景気の動向に関連をいたしますが、県内の約200社の主要企業から直接事業活動に関する最新情報あるいは企業の方々が必要としている新たな支援策をお聞きするということで、先週の11月19日から緊急の企業訪問を始めたところでございます。こういった聞き取りを通じまして企業の動向やニーズ、生の声を把握いたしまして、必要な支援策を講じてまいりたいというぐあいに考えております。
〔12番山岸喜昭君登壇〕
◆12番(山岸喜昭 君)早急な支援対策が必要かと思われますので、よろしくお願いしたいと思います。
次に、スノーリゾートの現状と今後の取り組みについてお伺いいたします。
長野県のスキー場の利用者数は、平成4年の2,119万人をピークに減少し、昨シーズンは697万人とピーク時の約3割にまで減少しているのが現状でございます。また、県内のスキー場の数は、平成8年の110カ所をピークに、15カ所減少して現在95カ所となっております。長野県のグリーンシーズンの入り込みはやや上向き傾向にありますが、冬場の利用者の大幅な減少が県の観光客数の低迷に大きく影響している状況でございます。
観光部長にお聞きします。
スキー場利用者の減少の要因をどのようにとらえ、分析しているのか。お聞きします。
また、昭和33年以来、白馬八方、岩岳、栂池高原といった長野県を代表するスノーリゾートを開発し運営してきた東急グループが白馬から撤退すると報じられました。突然の発表であり、地元を初め県内関係者も大きな衝撃を受けたことと思います。
そこで、日本スキー場開発(株)がこれらの運営を引き継いでいくことになったと聞いておりますが、県はこの経営交代をどのように受けとめているのでしょうか。観光部長にお聞きします。
〔観光部長野池明登君登壇〕
◎観光部長(野池明登 君)スノーリゾートの振興につきまして2点お尋ねをいただきました。
まず1点は、スキー場利用者の減少要因でございます。
長野県の利用者数、昨年は、その前の年の震災からの立ち直りということで若干増加をいたしましたけれども、平成4年をピークに減少傾向が続いていることは御指摘のとおりでございます。
要因でございますけれども、全国的にもスキー、スノーボードのマーケットは縮小を続けております。その要因として、厳しい経済情勢からの可処分所得の減少ですとか、少子化、高齢化が進んでいるという社会的な要因に加えまして、近年、都市部の若者が自動車を保有しない傾向にあること、また、親がスキーをやらない世代になりつつあること、このようなことが考えられるところでございます。
2点目の東急グループの撤退についての受けとめでございます。
東急グループは、お話にありましたとおり、昭和33年に白馬観光開発株式会社を設立をいたしましてスキー事業を開始して以来、半世紀以上にわたりまして長野県のスノーリゾートを牽引をしていただいたところでございますけれども、グループの経営改革の中で、本年11月、その全株式を日本スキー場開発株式会社に売却をしたという経緯でございます。
日本スキー場開発(株)の役員の皆さんと、知事、私もお会いをいたしまして、そのとき役員の皆様がおっしゃられていたことですけれども、安売り競争に陥らずに、サービスや質の高さで競争力をつけ、県内の他のスキー場と共存共栄をしていきたい、また、安全面など必要な投資はきちんとして白馬というブランドをしっかりと守っていきたい、そんな意気込みを話していただいたところでございます。
既に県内2カ所でスキー場を経営をしておられ実績を上げている会社でございます。また、大町市から小谷村までの一体的なリゾート運営によるスケールメリットも発揮できるということで、県としても期待をさせていただいているところでございます。
以上でございます。
〔12番山岸喜昭君登壇〕
◆12番(山岸喜昭 君)このようにスキー、スノーリゾート観光の厳しい現状を踏まえまして、スキー振興のために、索道組合から、昨年、県内小学生を対象に13万枚のリフト券を無料配布されましたが、リフト券の回収は1万4,700枚の約1割ほどで、効果も限定的なものでありました。今や、子供や若者、若い親たちのスキー離れが目立っております。
観光部長にお聞きします。
県は、スノーリゾートについて、今年度の取り組みで、どのような目標で、何を重点に、どのようなPR活動に取り組んでいかれるのか。お聞きします。
続いて、教育長にお聞きします。
このような状況の中で、オリンピック開催地でもあり、信州を代表するスポーツであるスキーの振興を図るためにも、児童生徒が郷土の文化ともいえるスキーにもっと親しむ機会が必要であると思いますが、もっとスキーの回数をふやすようなことは考えられないでしょうか。お聞きいたします。
〔観光部長野池明登君登壇〕
◎観光部長(野池明登 君)今シーズンの取り組み方針と目標についてのお尋ねでございます。
まずは、次世代のスキー人口を本格的に創出をするためには、何よりも、子供たち、そしてその家族がスキー場へ来て楽しさを実感してもらうということが大変重要と考えているところでございます。
このため、今年度は、子供たちが楽しみながら上達できるレッスンプログラム、手ごろな価格帯のファミリーパック商品、優良品のレンタル、家族でゆったり食事ができるスペースの優先確保、各スキー場のさまざまな取り組みございますけれども、それらをファミリースタイルという共通のキャッチフレーズでプロモーションを官民挙げて行っているところでございます。
スノーリゾートの今シーズンの目標でございますけれども、スキー場利用者数を毎年その前年よりふやしていくということで、今シーズンは700万人を目標に掲げております。また、県内の小学生に配布するリフト優待券の利用者数、先ほどお話があったとおりの現状にございますけれども、配布方法にもいろいろ工夫を加えまして、昨年度に5,000人を加えまして2万人を目標にしております。また、信州スノーキッズ倶楽部の入会者数も2万人を目指しまして、関係団体と連携を密にいたしまして現在取り組んでいるところでございます。
以上でございます。
〔教育長山口利幸君登壇〕
◎教育長(山口利幸 君)学校におけるスキー教室についてのお尋ねでございます。
本県においては、小学校ではスキー、スケートを中心に、また、中学校では集団登山を中心に、本県の豊かな自然環境を活用しまして多彩な学校行事が実施されております。これらの実施に当たりまして、各学校においては、今、学習指導要領の改訂の節目に当たっているわけでございますけれども、それに伴い増加した授業時間を確保するため学校行事の精選を行い取り組んでいるところでありまして、本年度の予定を申し上げますと、本年度のスキー教室は、小学校が360校で96%、中学校が32校で17%、高等学校が20校で19%、それぞれ計画されておりまして、このところ一定の実施率を保っている状況にございます。
したがいまして、今後、スキー教室の回数をふやすためには、限られた総授業時間の中でさらなる学校行事の精選が必要となるほか、また、保護者の経済的な負担の増加といった課題もございます。
このため、県教育委員会といたしましては、学校におけるスキー教室の継続した実施とともに、先ほど観光部長が答弁申し上げたように、子供向けの取り組みを広く学校に普及することで児童生徒が家庭や地域においてスキーに親しむ機会がふえるよう努めてまいりたいと、こんなふうに考えております。
〔12番山岸喜昭君登壇〕
◆12番(山岸喜昭 君)ぜひ長野県のスキー人口の増加を望むところでございます。
続きまして、信州教育についてお聞きします。
人づくりの観点から見た信州教育のあり方について、一日の計は朝にあり、一年の計は元旦にあり、十年の計は樹を植えるにあり、百年の計は子を教えるにあり、教育は百年の計と言われます。人づくりはまず教育からというわけですが、教育はまさに国家の長期戦略でもあり、人材の育成こそが国家の要諦でございます。今、日本はそれをもう一度しっかりと再認識する必要があると思います。
教育は百年の計といいながら、近年の日本の教育政策を見ると、基本方針が大きくぶれているといった感は否めず、朝令暮改と言っていいほど制度や方針がしばしば変えられています。ゆとり教育で総合的な学習の時間が注目されたかと思うと、学力が低下したからゆとり教育を見直そうといった意見が出たり、詰め込み教育は悪いとか、偏差値教育でいいのかなどの批判が出たかと思えば、薄い教科書でいいのかという声に反応して教科書が厚くなるというように、次から次へと変更、改革が行われているのが現状でございます。
人材の育成は国家、社会のあらゆる分野の発展の基礎となるものであり、古今東西を問わず、教育政策は国家の重要課題でもあるわけでございます。教育は社会的存在としての人間一人一人の価値を高める作用であり、学校教育、社会教育、生涯教育、文化、芸術、スポーツに関する施策など、教育に関するあらゆる政策は人材の育成という視点を第一に行われるべきであると考えます。
そこで、新任されました教育委員長にお聞きいたします。
人材の育成、人づくりという観念から教育をとらえた場合、これからの長野県の教育は何を重視し、何に力を入れていくのか。長野県の未来に向け夢を託す子供たちにどのような信州人に育てていきたいと考えるのか。お聞きします。
〔
教育委員会委員長櫻井久江君登壇〕
◎
教育委員会委員長(櫻井久江 君)長野県教育が目指す人材育成についてのお尋ねでございます。
本県では、これまで、知・徳・体が調和し、社会的に自立した人間の育成を大切にし取り組んできております。また、このことは今後も引き続き取り組んでまいります。
そのために、子供たちが自然体験、社会体験などを通じて感性を磨き、規範意識や思いやりの心を持ち、将来の夢や目標に向かってたくましく生きていく力をはぐくむ教育を重視をしてまいります。
また、学校を開き、地域の教育力を活用し、学力、体力の向上も含めた取り組みを進めてまいります。
こうした教育の推進により、豊かな人間性を備え、郷土に愛着と誇りを持ち、地域を担い、世界に貢献できる信州人に育てていきたいと考えております。
〔12番山岸喜昭君登壇〕
◆12番(山岸喜昭 君)続きまして、理想の教師像についてお聞きします。
日本は悠久の歴史と文化を持った国であり、そして何よりも世界にたぐいまれな自然と四季に囲まれた美しい国であり、豊かな水と緑が山河に広がっております。
自分が生まれてきた国を誇りに思うことはとうといことであり、この思いを子供たちに伝えることが実は教育の淵源なのであります。ところが、戦後の教育は制度が変わり、方向が変わってきて、自分の国を知らない若者、自分の国を愛せない国民がふえているのではないでしょうか。
子供の自由、人権、個性、一見耳あたりのいい言葉が現場に流れていますが、それは一方でわがままな子供を育てていることにつながっているとも言えます。大きな話題となっているいじめの問題も、他人への思いやりや想像力の欠如、他人の痛みがわからないことに起因していると考えます。
教育は人なりと言われております。教師とは、崇高な理念を持ち、思いを語り、気高き理想で理想に迷う子供たちを導くことが求められております。
教育委員長にお聞きいたします。
教育制度のあり方や教員の資質が問われる中で、教育委員長が考える信州教育を語り、教える理想の教師像とはどのような指導者を指すのでしょうかお聞きして、私の質問を終わりにいたします。
〔
教育委員会委員長櫻井久江君登壇〕
◎
教育委員会委員長(櫻井久江 君)信州教育の理想の教師像についてのお尋ねでございます。
議員御指摘のように、教員は、その存在が子供に影響を与え、子供とともに成長していくものであると理解しております。
よって、本県では、教育の本質を問い、常に学び続ける教員、子供の思いを感じ取り、一人一人を大切にする教員、よりよい教育を求めて協働的に力を発揮できる教員であってほしいと考えております。こうした教員が子供や保護者の信頼を得ていくと考えております。
古い話になりますが、私の子供が教員採用試験を受けさせていただいたときに、平谷の林芋村先生の句が出題をされました。
「深雪せる野路に小さき沓の跡われこそ先に行かましものを」。平谷は阿智村の隣で本当に寒いところでありまして、雪の降るところです。そこを小さい靴の跡があって、子供が先に行ってしまった、ああ、何ということだ、冷たかったであろうという子供を本当にいとおしむその心が私は大事だというふうに思っております。本当に小さいことではあるかもしれませんが、こういう気持ちこそ本当に大切だと思っております。母親が子供をいとおしむように子供を慈しんで見ていただきたい、個人的にはそういう思いであります。
そういう句を出されたということ、そのとき本当に感動いたしまして、今はっと思い出したところでございます。
以上でございます。
○副議長(佐々木祥二 君)次に、小池久長議員。
〔7番小池久長君登壇〕
◆7番(小池久長 君)阿部知事は、本定例会議案説明の中で自然エネルギー、省エネルギーの推進を大項目に挙げておられます。
11月14日には、合同会社シャープ富士見ソーラーエナジーと土地賃貸借の仮契約を結ばれました。また、シャープ株式会社と連携協定に調印され、地元として今後の波及効果に大いに期待するところであります。しかし、具体的な連携の中身が見えてまいりません。
そこで、商工労働部長に以下3点につきお尋ねをいたします。
まずは合同会社シャープ富士見ソーラーエナジーの概要につきまして、続いてシャープ株式会社と太陽光発電の普及促進を目的とする連携協定の内容につきまして、最後に県内大学、企業との共同研究の具体的な取り組みについてお伺いをいたします。
重ねて、阿部知事にお伺いをするわけですが、本県においても自然エネルギーへの意識が高まり、導入を推進する個人、団体が多くなっております。土地利用につきましては、食料供給、国土保全は最優先されるものの、現実を見れば新たなる活用により地域振興につながる事案もある反面、土地利用調整等の手続が煩雑であるという声も聞かれます。
阿部知事は、中部圏知事会とともに、再生可能エネルギー普及促進のため、農山漁村における再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律案の早期実現のため要望を提出をしたとお聞きをいたしました。しかし、衆議院が解散となり、廃案となってしまいました。今後発足する新たなる政府にも同様の法案の早期実現を求めていくのか。お聞きをいたします。
〔商工労働部長太田寛君登壇〕
◎商工労働部長(太田寛 君)県営富士見高原産業団地におきますメガソーラー事業について3点の御質問をいただきました。順次お答え申し上げます。
まず、合同会社シャープ富士見ソーラーエナジーの概要でございます。
県営富士見高原産業団地におきますメガソーラー事業につきまして、去る11月14日に、合同会社シャープ富士見ソーラーエナジーと土地賃貸借の仮契約、シャープ株式会社と連携協定を締結したところでございます。
合同会社シャープ富士見ソーラーエナジーは、県営富士見高原産業団地におきまして長期にわたり安定的な発電事業を行うため、シャープ株式会社の出資により設立した特別目的会社でございます。富士見町に建設されますシャープ信州富士見高原太陽光発電所のメガソーラー関連施設の設置、発電事業の運営を行う会社でございます。また、この会社は、地域貢献策といたしまして、県内への事業所新設、建設工事、維持管理業務の地元企業への発注、地域資金の活用などを具体的に行うこととなります。
同社の設立によりまして、国の再生可能エネルギー固定価格買い取り制度を基本といたします安定的な事業運営を担保し、長野県にとりましては安定的な賃料収入が確保できるものと考えております。
次に、シャープ株式会社との連携協定の内容でございます。
今回の連携協定は、シャープ株式会社から御提案をいただいた地域貢献策の確実な実施を確保し、長野県とシャープ株式会社が連携いたしまして県内におきます太陽光発電の普及促進を図ることについて定めたものでございます。
具体的には、太陽光発電普及に関する地元自治体や各種団体との連携、自然エネルギー信州ネットや県内大学との共同研究、県内企業との技術連携の取り組み、県内の児童への環境学習機会の提供、太陽光発電を通じまして自然エネルギーの普及啓発活動、こういった取り組みを推進することを包括的に定めたものでございます。
次に、県内大学、企業との共同研究の取り組みについてでございます。
県内の大学や企業との共同研究を推進するため、県では、シャープ株式会社と諏訪東京理科大学や諏訪圏域の商工支援機関等によります意見交換会を7月5日に開催いたしました。この場におきましては、共同研究の具体的な進め方といたしまして、シャープ株式会社への共同研究希望テーマの提示、シャープ株式会社研究部門と県内関係者の情報交換会の開催の提案、県内企業によります技術提案機会の設定などにつきまして意見交換が行われたところでございます。
今後も、先ほど申し上げましたシャープ株式会社との連携協定も踏まえまして、双方にとって魅力ある共同研究につながるようさらなる協議の場を設営してまいりたいと考えております。
また、シャープ株式会社側からも、スマートシティーなど、発電所でつくった電気を地域でどう使っていくかという観点などについても幅広い検討を一緒に行っていきたいという発言もいただいております。
こういった点も勘案し、県といたしましては、県内大学や企業を初め、県内の自然エネルギー活動主体との多様な共同研究が推進できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)農山漁村における再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律案についての御質問でございます。
今回、廃案になってしまったわけでありますけれども、この法案の内容は、市町村の認定を受けて再生可能エネルギー発電設備の整備を行う者については、農地法等に基づく手続の簡素化あるいは農林地の権利移転を促進する計画制度を創設するなどの特例措置を講ずる予定となっていたものであります。
長野県、自然エネルギーをどんどん普及をさせていきたいというふうに思っておりますし、また、農山漁村における自然エネルギーの普及に当たっては、農業者を初めとする地域のさまざまな主体の方々みずからが事業を行うなど、農山村を含む地域経済の活性化に資するものになっていくということが必要だと考えております。
そうした観点からこの法案の内容を早期に実現していただくことは大変重要だというふうに考えておりますので、引き続き立法化を働きかけてまいりたいと考えております。
以上です。
〔7番小池久長君登壇〕
◆7番(小池久長 君)続いて、企画部長にお伺いをいたします。
社会給付費が大変増大する中、これ以上次の世代にツケを回していくのか、今を生きる人が少しでも減らす努力をするのか問われております。日本の借財はふえ続け、今オギャーと産まれた命にも等しく850万円の負担が重くのしかかっています。
阿部知事がうたう、だれもが出番と居場所のある長野県、この理念に非常に共感するところであります。21世紀の地方自治の基本であると思っております。
そこで、長野県行政・財政改革方針の中で、新しい公共の概念は今後の長野県政を運営する中で重要な位置づけであるわけでございます。長野県総合5カ年計画の中で位置づけと具体的な取り組み、また現在までの新しい公共の担い手となるNPO等の育成の状況、参画の状況についてお伺いをいたします。
〔企画部長原山隆一君登壇〕
◎企画部長(原山隆一 君)新たな総合5カ年計画の中での新しい公共の位置づけと具体的な取り組み等についてのお尋ねでございます。
長野県総合計画審議会からいただいた答申では、「未来の信州を支える仕組み」の一つに「分厚い層が支える共創・協働の社会」が挙げられております。また、「施策の総合的展開」の中で、新しい公共の観点に対応しまして、「県民、NPO等と県との協働を拡大するとともに、NPO等の主体的な公共的活動を促進する。」ことが盛り込まれているところでございます。
この答申に基づきまして、現在、計画策定を進めているところでございます。
それから、具体的な取り組みでありますが、県民協働を進める信州円卓会議におきまして、新たな協働の指針となります信州協働推進ビジョンの検討を進めております。今後パブリックコメントを経て、本年度中に策定をする予定となっております。
また、昨年度から実施してきました新しい公共支援・推進事業によりまして、NPO人材育成事業、それから地域協働コーディネーター養成講座などを通じました担い手の育成、あるいは公共的活動を応援する寄附募集の仕組みづくり、NPO向け融資の促進などによりましてNPO等の活動基盤強化に取り組んできたところであります。あわせて、県民フォーラムの開催などを通じまして協働推進の機運が醸成されつつあるところというふうに認識しております。
今後は、これらを踏まえまして、信州協働推進ビジョンの中に県が実施します協働推進のための基本施策等を盛り込みながら、新しい公共の拡大につながる取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。
〔7番小池久長君登壇〕
◆7番(小池久長 君)厚生労働省の平成23年賃金構造基本調査結果によりますと、正社員と正社員以外の雇用形態での賃金格差が45歳から54歳の間では正社員の半分と記されております。また、長野県民の所得は、2000年の6.9兆円をピークに減少し、2009年には5.8兆円となっているわけでございます。しかし、社会給付費はこの約20年間でほぼ倍増しております。
特に、今回は、就職を希望する高校生の内定率のさらなる向上と離職率を下げるための取り組みについてお伺いをいたします。
まず、教育長にお伺いをいたします。
高校生の就業支援につきまして、就職指導サポーターの導入で就業内定率改善は図られているのか。また、より自分がやりがいをもって就業するためのキャリア教育の推進はいかがか。伺います。
平成25年3月公立高校卒業予定者の10月末の就職内定状況は67.1%で、前年度よりマイナス1.3%で推移をしております。企業側の業績の先が見えないため企業側の求人が従来より遅い傾向にありますので、選考の時期をおくらせることができないか。
また、商工労働部の離職状況調査も今後実施されるように伺っておりますが、より手厚い支援のために独自に就業後の意識調査を実施し、ミスマッチの解消や離職率軽減の参考とすべきではないか。お伺いをいたします。
重ねて、教育委員長にお伺いをいたします。
就職指導サポーターの費用は緊急雇用創出基金で賄われて、時限的なものでございます。高校生がしっかりとした社会生活を営み、長野県の将来を担う人材となるためには、平成25年度以降も実施は不可欠であります。また、ハローワークとの申し合わせにより、卒業時以降4月から6月のおおむね3カ月は卒業生を新規学卒者としてハローワークも学校も扱っており、未就職者や離職者に対して学校に相談窓口を設けて支援をしておりますが、この3カ月は大変重要な時期であります。その先もある程度の期間はしっかりと支援する必要もあるわけでありますが、せっかく採用していただき、手間も愛情も注いで、これからというときにやめてしまっては企業との信頼関係も損ねてしまうわけでございます。そこで、就職指導サポーターのさらなる拡充は必要だと私は思っております。
また、本県の求人倍率はおおむね0.8倍でありますが、正規社員の割合はこの中の4割程度であります。一度離職してしまいますと、正社員への採用のチャンスは非常に厳しい状況であります。まさに就職時において新卒は最大のチャンスであるわけでございますが、この就職指導サポーターが、就業時のみならず、周年を通じ配置され、就業以降もサポートを続ける環境整備は必要だと思われますが、教育委員長の御所見をお伺いをいたします。
〔教育長山口利幸君登壇〕
◎教育長(山口利幸 君)まず、就職指導サポーターの導入による就職内定率の改善についてのお尋ねでございます。
就職指導サポーターは平成21年度から配置してまいりましたけれども、内定率は21年度が93.4%、22年度が94.5%、23年度が96.4%と年々上昇しております。特に、平成23年度は過去10年間で2番目に高い内定率となったところでございます。
次に、キャリア教育の推進の状況についてのお尋ねでございます。
昨年度策定いたしました長野県キャリア教育ガイドラインに基づきまして、産業界や地域社会と連携したキャリア教育を推進しております。高等学校では企業や福祉施設などにおける就業体験を拡大してきておりまして、本年度は昨年の1.3倍に当たる6,800人が体験いたしました。終了後の感想文では多くの生徒が働くことのすばらしさや協力の大切さを感じたと述べていますように、勤労観や職業観の育成が図られていると認識しております。
また、ハローワークと連携して高校を会場に企業説明会を開催しており、生徒が地元企業から業務内容とか求める社員像などを直接お聞きできる貴重な機会となっておりまして、本年度は、昨年8校でございましたけど、12校に拡大したところでございます。
さらにまた、工業や商業などのいわゆる専門高校では、企業や業界と連携いたしまして技術講習会や実習などを年間を通して実施しておりまして、技術や資格を習得するとともに、就業に対する意欲の向上や困難を乗り越える意思の形成が図られていると、こんな認識を持っております。
次に、選考時期をおくらせることはできないかというお尋ねでございます。
高校生の就職選考の日程につきましては、適正な職業選択と求人秩序の確立といった観点で、厚生労働省と文部科学省、それから全国高等学校長協会、さらにそこに経済団体等が加わりまして検討されておりまして、高校からの応募開始は9月5日以降、選考開始は9月16日以降と、これは全国的に統一されておるところでございまして、時期をおくらせることはこういった仕組みからいきまして今のところ困難でございます。
各校では、この日程に基づいて開始される企業からの求人に対しまして、生徒の希望調査や面談を通して志望企業を決定して応募し、選考試験に臨ませております。また、不採用になった生徒に対しましては、2回目の応募に向けまして指導を行い、内定をいただけるまできめ細かく支援しているところでございます。
次に、就業後の意識調査の実施についてのお尋ねでございます。
商工労働部が離職状況調査を計画しておりまして、就業後の状況を把握し、就職指導の改善を図る上で有効な資料になるものと考えております。
学校が就業後の意識調査を実施することにつきましては、卒業生の協力が得られるか、また、個人情報の取り扱いについても懸念される点がありまして、調査内容や方法につきまして研究してまいりたいと、こんなふうに考えております。
学校では、卒業生支援のために設置している相談窓口や教員による企業訪問、ハローワークと連携いたしまして実施している企業説明会などの機会を通しまして卒業生の就業状況の把握に努め、離職率軽減に向けた指導の改善を図ってまいる所存でございます。
以上でございます。
〔
教育委員会委員長櫻井久江君登壇〕
◎
教育委員会委員長(櫻井久江 君)25年度以降も就職指導サポーターを配置し、拡充できないか、また、就業以降もサポートを続ける環境整備が必要ではないかとのお尋ねでございます。
当事業は国の緊急雇用創出事業の基金を活用したものであり、本年度で終了とされておりますが、この事業については内定率の向上などに効果が得られたと評価をしております。
幸い、この4年間の就職支援事業により学校現場には就職指導に関する多くのノウハウが蓄積をされたものと理解をしており、今後これを最大限に活用した就職指導を行ってまいりたいと考えております。
一方で、社会性が十分に身につかずに、自立に困難を抱えている生徒などの支援は喫緊の課題であると認識しております。今後は、このような生徒を支援するために、今年度までの就職指導サポーターにかわるものとして、就業体験や社会体験をコーディネートしたり、就職指導や就業後のサポートなどを行うための方策について考えてまいります。
〔7番小池久長君登壇〕
◆7番(小池久長 君)社会給付費を支える将来世代の負担は、少子化の比例以上に所得減により大きく加速することが予測される中、次世代を支える人たちの安定雇用を確保するために社会全体の地道な努力が必要とされています。所得の安定は、社会参加を促し、ひいては家族という一番身近なコミュニティーを構築していくわけでございます。
昨今では、パラサイトシングルという、失業しても差し迫った状況に陥らないことも離職の原因となっております。さまざまな理由があるそれぞれの生徒を、生徒の立場でしっかりと支える人が必要であると思います。その人の確保に向けての予算要望をしっかりとしてもらいたいと思いますが、教育長の御見解をお聞きして私の質問の終わりとさせていただきます。
〔教育長山口利幸君登壇〕
◎教育長(山口利幸 君)人の配置に向けた予算要望に対する見解とのお尋ねでございます。
御指摘のような、生徒の立場に立って就労後のサポートまで含めて面倒を見てくれる、こういった役割を担える人材の配置に向けては大変重要なことでありますので、精いっぱい努力してまいりたいと、こんなふうに考えております。
○副議長(佐々木祥二 君)次に、宮本衡司議員。
〔26番宮本衡司君登壇〕
◆26番(宮本衡司 君)飯山新校の完全統合まで3年となりました。以前にも質問しておりますが、子供たちをよりよい環境の中で学ばせてやりたい、この思いでいささか細かな部分にわたることもあろうかと思いますが、地元にとっては大きな問題でありますので個別の質問をさせていただきます。
最初に、現在の飯山高校のグラウンドと飯山新校のグラウンドを比べた場合、いかにも狭いという感じは否めません。平成28年度には完全統合がなされ、すべての生徒が現在ある飯山北高の地で勉学に励むことになります。そして、飯山新校のスポーツ科学科の生徒は専攻種目として野球の授業を行いますが、旧二中のグラウンドは特にライト側が狭く、あと10メーターほど欲しいとお聞きしております。生徒の皆さんには公式戦ができる球場並みの広さのグラウンドで授業を受け、また県内外の強豪チームにも飯山に来てもらい練習試合を行わせてやりたいと思うのは私だけではないと思います。
山口教育長からは、過去に、グラウンドの使用に際しては実際に使用する学校の意見を踏まえて必要な改修を講じるとの答弁をいただいておりますが、学校側からこのような意見、要望がありましたでしょうか。また、なかったとしたら、この点について教育委員会においてはどのようにお考えでしょうか。教育長に伺います。
旧飯山市立第二中学校の校舎、体育館及び飯山市の給食センターの活用についてお伺いをいたします。
これについては完全統合後にはどのように活用するお考えでしょうか。教育長に伺います。
生徒の移動中における安全確保についてお伺いをいたします。
体育の授業やクラブ活動の際に市道を横断しグラウンドに行くことになることから、その対策についてお伺いをいたしましたところ、関係機関と連携して考えるとの答弁をいただいております。現在の検討状況について教育長にお伺いをいたします。
また、御承知かと思いますが、旧二中の校舎、体育館の南側には市道が通っております。市が二中として使用していたときには、この市道は時間による通行規制を行っていたとのことであります。飯山新校として使用する後には、このような通行規制を行うのではなく、市と相談の上、市道のつけかえ等を行い、現場に公道のない状態にすることこそ生徒の安全が図られ、かつ合理性があると思います。もちろん、県と市のどちらが行うのかというお金のかかる問題となり、話は簡単ではありませんが、御検討いただけますか。教育長に伺います。
学生寮の建設については、平成23年2月定例会でも申し上げましたとおり、新校から寮までの距離は2キロメーターを超え、特に冬期間を考えたときには新校舎の近くに新しい寮を建設すべきと考えます。
山口教育長からは、寮の必要性については認識しており、既存の施設の有効利用を含め検討したいとの答弁をいただいております。約1年が経過しましたが、検討結果あるいは経過状況はどのようになっておりますでしょうか。教育長に伺います。
〔教育長山口利幸君登壇〕
◎教育長(山口利幸 君)飯山新校について幾つかのお尋ねをいただきました。順次お答えいたします。
まず、飯山新校グラウンドに対する意見、要望の状況についてのお尋ねでございます。
平成23年度から現飯山北高校グラウンドとして使用させていただいております飯山市城北グラウンドは、飯山新校となっても継続して使用していくことで飯山市との協議が済んでおります。
学校の意見、要望といたしましては新校統合準備委員会を通じて野球グラウンドとしての改修が挙げられておりますが、隣接する旧飯山市立第二中学校跡地の取得条件や施設間を横断する市道つけかえなど、飯山市との協議を踏まえながら具体化していく必要があると考えております。
今後とも、授業での使用を基本に野球にも利用できるよう、学校とも協議しながら、平成28年度の完全統合に向けて改修計画を策定してまいりたいと考えております。
次に、旧飯山市立第二中学校の校舎、体育館等の活用に対する考え方のお尋ねでございます。
旧飯山市立第二中学校跡地につきましては、学校グラウンドや体育施設として、隣接する城北グラウンドと一体的に活用していく方向で検討しております。これにつきましても、飯山市の譲渡条件や城北グラウンドの改修と関連する問題であり、飯山市との協議を前提に学校とも協議しながら検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、生徒の移動中の安全確保についてのお尋ねでございます。
現在までに、警察と協議を行いまして、横断歩道にある信号の歩行者ボタンの反応を早め、青信号の時間を延長していただいた結果、安全の確保が図られ利便性も向上したと、こんなふうに聞いております。
次に、城北グラウンドと旧第二中学校跡地の間を横切る市道につきましても、これまでの市との協議で、付近の住民の生活道路となっているため利用する施設を完全に迂回するつけかえは困難である旨の説明をいただいておりますが、引き続き何らかの方法がないか協議を進めてまいりたいと考えております。
次に、飯山新校の寮に対する検討状況についてのお尋ねでございます。
現在、入寮を前提にスポーツ科学科の生徒の全国募集を行っていますことから、飯山高校には男子の静間寮と女子の若葉寮がございます。このうち若葉寮は飯山高校敷地内にありまして新校から遠いこと、それから静間寮、若葉寮ともに入寮者が半数以下である現状、既存施設の有効活用を図るという長野県ファシリティマネジメント基本方針等を総合的に勘案し、静間寮を男女共同の寮とする方向で検討しております。
それに当たっては施設改修や管理運営体制等に関する課題もございますので、学校からの要望に配慮しながら検討を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
〔26番宮本衡司君登壇〕
◆26番(宮本衡司 君)御承知のように、最近の県内の高校野球の公式試合において両高校はなかなか健闘しており、レベルは確実に上がっております。新飯山高校においても、雨天練習場の整備なども考慮し、さらなる活躍が期待できるような環境をつくっていただくよう要望いたします。
寮でございますけれども、敷地の中、あるいは高校の近くに建設するのが理想的でございますが、ただいまのような検討の結果は理解できないものではございません。しかし、万やむを得ずその検討案で進めるといたしましても、男女の出入口、また舎監のあり方、また普通科や探求科の生徒も入寮できるようにするといったことについて学校側と十分に相談し、意見を取り入れて、さらに検討を進めてほしいと思いますが、いかがでしょうか。教育長にお伺いします。
〔教育長山口利幸君登壇〕
◎教育長(山口利幸 君)飯山新校の寮についてのお尋ねでございますが、男女共同の寮とするに際しての具体的な課題といたしましては、男子と女子の居住スペースを構造的に完全に区分する施設改修、これが必要だというふうに考えております。また、現在、夜間は平日、休日を問わず舎監を配置しておりますけれども、配置のない休日の昼間の体制について検討する必要があると、こんなふうに考えております。
それから、スポーツ科学科が全国募集をしておりますことから寮を設置していると。これが寮の設置の前提でございますので、探求科の生徒の入寮につきましてはスポーツ科学科生の入寮状況を見ながら今後研究してまいりたいと、こんなふうに考えております。
〔26番宮本衡司君登壇〕
◆26番(宮本衡司 君)今までも申し上げておりますように、平成28年4月には現飯山高校には生徒がいなくなります。あれだけ立派な施設を遊ばせておくということはもったいない限りです。跡地利用について、その後の検討経過について教育長に伺います。
また、平成26年度からいよいよ飯山新高校の生徒が入学してきます。普通科と探求科の生徒は新校舎で、スポーツ科学科の生徒は現飯山高校で勉学に励むこととなりますが、彼らは紛れもない飯山新高校の第1期生です。学んでいる場所は多少離れていても、一つの高校としての管理運営を行うことが必要で、少しでも早くその体制をとるべきと考えますが、いかがでしょうか。
御承知のように、2次統合後の校章、校歌は現飯山高校のものをそのまま使用し、校舎は現在の飯山北高の跡地に建設されます。飯山北高OBは母校の校歌に強い愛着を感じており、このことは地元に暮らす者にとっては極めて微妙な問題であります。一日も早く地元の高校として定着するような手だてを行ってほしいものと思っております。
具体的に申しますと、1人の校長のもとに2人の教頭を置き、事務局も同様に1人の事務長のもとに2人の事務長補佐を置き、1人の司令官のもとで両校の完全統合の準備を行うことが妥当と考えますが、いかがでしょうか。教育長にお伺いいたします。
〔教育長山口利幸君登壇〕
◎教育長(山口利幸 君)現飯山高校の跡地利用に対する検討状況についてのお尋ねでございます。
飯山市では、現飯山高校の跡地を活用して平成28年度に市立の城南中学校を開校する意向でありまして、旧飯山市立第二中学校の跡地と相互に譲渡する方向で協議を進めております。
現飯山高校の移転に当たっては、学校運営に支障が出ないよう十分配慮しながら、今後とも、移転や校舎改修の時期等を含め、双方の詳細な譲渡条件について協議を進めてまいりたいと考えております。
次に、飯山新校の管理職の体制についてのお尋ねでございます。
飯山2次統合におきましては年次統合という形をとっておりますので、平成26年度に新校が開校いたしましても平成27年度までは飯山北高校と飯山高校が存在するわけでございます。この2年間は、飯山北、飯山両校に校長、教頭、事務長を置きまして、一方の校長が飯山新校の校長を、他方の校長が飯山新校の副校長を務めます。教頭につきましては両校の教頭が新校を兼務する形で、事務長につきましては一方の事務長が新校の事務長を兼務する形で対応してまいりたいと、こんなふうに考えております。
平成19年度に統合いたしました飯山1次統合校、それから中野立志館高校、木曽青峰高校の3校も、このような管理職の体制でスムーズに統合が進んだものと思っております。
以上でございます。
〔26番宮本衡司君登壇〕
◆26番(宮本衡司 君)るるお聞きいたしましたが、さまざまな課題が出てきております。他の学校においても同様のことがあると思いますが、統合により教育条件が悪化することは絶対にあってはならないことと考えます。さらに、教育は百年の大計であります。このあたりで再編計画の中間総括をし、課題を精査した上で次の段階へ進むことが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
教育委員会においては、平成21年6月に第1期長野県高等学校再編計画を決定し、四つの通学区において高校の再統合や転換、新たなタイプの学校の導入等を行ってきました。そして、計画の決定以来3年を経過しております。現在までの高校再編の進捗状況は計画と比べどのように進んでおりますでしょうか。
また、実際に再編計画を実施しての課題も見えてきたことと思いますが、どのようなことが発生し、それに対してどのように対応しているでしょうか。
例えば、県内各地の特別支援学校の高等部が定員をオーバーして、ハード面でもソフト面でも大変な状況にあると聞きますが、このことも高校再編の影響を受けているものと思われますが、いかがでしょうか。教育長に伺います。
〔教育長山口利幸君登壇〕
◎教育長(山口利幸 君)高校再編計画の中間総括等についてのお尋ねでございます。
第1期高校再編計画は、魅力ある高校づくりと高校の規模と配置の適正化、この二つを柱といたしまして平成21年に策定し、これまで実施した計画が11件、実施準備中の計画が6件でありまして、おおむね順調に推移しております。
再編計画を進めるに当たっての課題としましては、地域の合意を得ることが困難であったり、施設整備に多額の予算や長い期間を要したりすることが挙げられます。これらの課題に対しまして、必要に応じて地域懇話会を開催するなど、きめ細かく地域や学校関係者の声をお聞きし、合意や御理解を得ながら再編を進めてきているところでございます。
現在、第1期再編計画の策定から実施終了までの中間点を迎えましたので、その中間まとめを行っているところでございます。
次に、高校再編が特別支援学校高等部の生徒の増加に影響を与えていないかとのお尋ねでございます。
高校再編がなければ近くの高校に行けたのにと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、例えば飯山養護学校は知的障害の生徒の教育を目的としておりまして、入学希望者には複数回の教育相談や体験学習を実施し、就学にかかわる要件の周知を徹底しております。このように、特別支援学校高等部は高等学校とは目的やシステムが異なる学校であるために、生徒数に直接的な影響はないものと考えております。
なお、高等学校でも、特別支援学級等からの生徒を幅広く受け入れているところでございます。
以上でございます。
〔26番宮本衡司君登壇〕
◆26番(宮本衡司 君)11月5日付の県民新聞に、県下公立小中学校における発達障害の児童生徒(医師等の専門機関の判定を受けている児童生徒)は過去最多になったことが教育委員会のまとめから明らかになったとの記事が掲載されておりました。
平成23年2月定例会において発達障害児童生徒への支援について取り上げました。その際、平成22年度において小中学校の児童生徒が約3,700人とのことでしたが、平成24年度には約4,600人と1,000人近くもふえております。
ちなみに、本県中学生で特別支援学級に在籍する生徒の比率は全国一高く、さらに、そのうちの自閉症、情緒障害の子供たちが占める割合も全国一高い状況にあるとのことであります。
発達障害は、早期の発見と早期支援、そして関係者が連携しての一貫した取り組みにより、障害が悪化せず、複合的障害を負わず、いわゆる個性として伸びていくことが期待できることから、早い時期から正しく対策を講じることが重要と考えます。
教育委員会においては去る9月13日の定例会で長野県特別支援教育推進計画を策定されました。「すべての子どもが輝き、共に学び育つ学校・地域を目指して」との副題のついたこの計画は、何を目指し、そのためにどのようなことを行おうとしているのでしょうか。優しい言葉で端的に御説明を教育委員長にお願いをいたします。
〔
教育委員会委員長櫻井久江君登壇〕
◎
教育委員会委員長(櫻井久江 君)長野県特別支援教育推進計画についてのお尋ねでございます。
この計画は、長野県特別支援教育連携協議会からの報告書に基づき、本県における特別支援教育の推進の方向性を示したものです。具体的には、障害のある児童生徒が自立と社会参加に向け持てる力を最大限に伸ばすこと、さらには、できる限り身近な地域ですべての子供がともに学びともに育つことを目指しています。そのために、各学校が一人一人の教育的ニーズに応じた教育を展開する体制や、地域の中で幅広い連携と早期から継続した支援が行われる体制を構築していきたいと考えています。
特に、御指摘にありました発達障害のある児童生徒は、一人一人の特性に応じた適切な支援により十分個性を発揮することができると考えます。さらに、同世代の友とともに学び生活することは、すべての児童生徒にとっても、個々の違いを認め合い、ともに支え合う心を培うことにつながると考えています。
〔26番宮本衡司君登壇〕
◆26番(宮本衡司 君)今回の計画は発達障害者支援のあり方検討会の報告書を踏まえての計画と思います。しかし、この計画は、次期長野県教育振興基本計画の個別計画として策定されたものであるという一面も有しております。
前回の私の質問に対し、来年度検討する検討会、これは、幼児期から学童期、成人期にわたりライフステージにあわせ、なおかつ保健、医療、福祉、教育、労働等さまざまな分野の連携により一貫した支援を行う、そのあり方を検討する場としたいとの知事答弁がありました。医療、福祉、労働等の分野における支援のあり方についてはどのように対応されようとしているのでしょうか。健康福祉部長にお伺いいたします。
また、幼稚園、保育園から小学校へ、そして中学校から高等学校へ進学しても切れ目のない一貫した適切な支援ができるために、個別支援手帳の交付についてお伺いをいたしました。これに対し、当時の桑島健康福祉部長から、県内の支援者が幅広く使用できるよう県の発達障害者支援協議会で個別支援手帳の内容や利用方法などを検討し、その普及を図っていきたい旨の答弁をいただいております。その後、個別支援手帳の普及の検討はどのようになっているのか。健康福祉部長にお伺いをいたします。
〔健康福祉部長眞鍋馨君登壇〕
◎健康福祉部長(眞鍋馨 君)発達障害のある児童生徒に対する医療、福祉、労働等の分野における支援についてお答え申し上げます。
現在、発達障害のある児童生徒に対する主な支援策でございますけれども、医療分野におきましては小児科医や精神科医による診療、福祉分野におきましては児童発達支援、放課後等デイサービスにおける療育でございます。また、労働分野におきましては障害者就業・生活支援センターにおける高校生への就労相談等の事業が行われてございます。
さらに、こうした支援が相互に連携して行われることが重要であることから、県では、ことしの1月にまとめられました発達障害者支援のあり方検討会報告書を受けまして、全年代、全分野における発達障害者支援に精通し、教師等の支援者に対して総合的な助言を行う発達障害サポートマネジャーというものを養成いたしまして各圏域に配置するなどの体制を整備していきたいというふうに思っております。
次に、個別支援手帳の普及の検討に関する取り組みについてお答え申し上げます。
いわゆる個別支援手帳でございますけれども、これは、年代や分野で途切れることなく、関係者の間で支援情報の共有や引き継ぎを行うことを目的としておりまして、現在10の市町村で導入されてございます。しかし、様式や運用方法が市町村によって異なっております。また、支援者の間で十分に認識や活用がされていないというのが現状でございます。
こうしたことから、県といたしましては、市町村を超えてさまざまな支援者が共通して利用していただける様式、その運用方法について検討しているところでございまして、現在、その試行版を作成いたしました。それにつきまして市町村担当者や発達障害者の家族会等から御意見を賜っているところでございます。
今後、年度内には実際に使用していただけるものを作成いたしまして、講習会等を通じまして県内の全市町村や学校等に普及を図ってまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
〔26番宮本衡司君登壇〕
◆26番(宮本衡司 君)学校訪問などをした際、発達支援(教育)を専門に行う学校を設置してほしいという多くの要望を受けます。先ほど村石議員の質問にもありましたが、知事におかれましては、リーダーシップを発揮させ、ぜひ目標年度の開設に向けて尽力いただくこと、そしてみんなから喜ばれるすばらしい学校となるよう、検討の過程を利用者や関係機関に対してできるだけ提供していただき、オープンな検討が行われますよう強く要望いたしまして、次の質問に移ります。
議会文教企業委員会では去る10月18日に都立蒲田高等学校を視察いたしました。平成25年度の学校案内には、蒲田高校は平成19年4月からエンカレッジスクールとして新たな伝統をはぐくんできました。本校は全日制課程の普通科の高校に変わりはありません。今までの伝統を継ぎ、エンカレッジスクールとしてさらに魅力的な授業科目や行事を取り入れました。蒲田高校に集まり、自分を鍛え、自分の可能性を伸ばしましょうと書かれております。
ちなみに、エンカレッジスクールとは基礎から学べる学校です。小学校から中学校まで、可能性がありながらなかなか力を発揮し切れずにいる皆さんのやる気や頑張りを応援し励ますことを打ち出した学校です。エンカレッジとは、力づける、励ます、勇気づけることを意味していますとのことです。
また、学習は基礎教育から始まり、着実に、じっくり学び直しをすることができます。体験学習や宿泊体験研修を行います。安心して学べる規律ある学校生活を求め、生活指導をしっかり行います。
おおむねこのような特色を持つ高校と紹介されておりました。
これは高校統合とも関連することでありますが、地域の高校が少なくなるということは、蒲田高校のような役割を担う高校を必要とする生徒にとっては大きな問題になるのではと考えていた私といたしましても、一つの方法を示すものとして非常に参考になりました。人口減少時代の昨今、地域を支える大切な人材になる可能性を持った若い人を育てることは重要なことと考えます。
本県においても、物事にまじめに向き合い、さらに伸びようと頑張り、勤労のとうとさと社会性を身につけた生徒を育てる取り組みについて検討する必要があると考えますが、いかがでしょうか。前向きの御答弁を期待しつつ、教育長にお伺いいたします。
〔教育長山口利幸君登壇〕
◎教育長(山口利幸 君)支援の必要な生徒に対する対応についてのお尋ねでございます。
エンカレッジスクールのコンセプトであります、可能性がありながらなかなか力を発揮し切れない生徒のやる気や頑張りを応援し励ます、こういったコンセプトについては、これは本県の高等学校教育にも求められているものであると、こういうふうに認識しております。
現在、本県では、魅力ある高校づくりに取り組む中で、エンカレッジスクールで行われている学び直しでありますとか、あるいは体験を重視した学習でありますとか、あるいは地域との連携等々、こういったことにつきましても各校の実情に応じて行っているところでございます。
キャリア教育につきましても、昨年度、長野県キャリア教育ガイドラインを作成しまして、生徒の勤労観、職業観を醸成し、社会性が身につくように本格的な取り組みを始めたところでございます。
今後とも、エンカレッジスクールなど他県の先進的な取り組みに学びながら、支援を必要としている生徒の教育の充実を図ってまいりたいと、こんなふうに考えております。
〔26番宮本衡司君登壇〕
◆26番(宮本衡司 君)教育基本法第10条によれば、「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。」とされています。理屈としてはまさにそのとおりでありますが、自分自身を顧みたときにじくじたる思いがします。
ましてや、現在の社会状況、経済状況をかんがみれば、従来と比べ置かれている環境や価値観も大きく変わっており、私たちの時代と同様な条件のもとにあるという前提で家庭教育について考えることはなかなか困難です。私は、子供の教育はまずは親の責任であることを十分に踏まえ、かつ、国、地方自治体においては、子育て中の親御さんの置かれている状況を理解して、節度を持ちつつ支援を行う必要があるのではないかと考えております。
同法第10条2項では、「国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。」と定められております。
本県においては、家庭教育を支援するためにどのような施策を講じ、また、これからどのように施策展開を行う計画なのでしょうか。教育長に伺います。
熊本県においては、くまもと家庭教育支援条例(仮称)の制定に向けた作業を進めております。この条例は、県議会において条例制定のための委員会で検討を進め、11月19日にパブリックコメントの募集を終えたところであります。
ホームページによれば、条例の内容は、家庭教育の重要性に対する県民の理解と関心を深め、家庭教育の支援に関して基本理念を定め、さらには県の責務や学校、地域などの関係者の方々の役割を明らかにすること等により家庭教育を支援するための施策を総合的に推進していくための条例とのことであります。
知事におかれては、行政が家庭教育を支援する基本理念等を定めた熊本県の条例についてどのような感想をお持ちでしょうか。知事にお伺いをいたします。
〔教育長山口利幸君登壇〕
◎教育長(山口利幸 君)家庭教育を支援するための施策展開についてのお尋ねでございます。
議員御指摘のとおり、子供の教育は第一義的には保護者が責任を有するものでありますが、子は親の宝であると同時に社会の宝でもあり、学校、家庭、地域や行政も含めて社会全体で取り組んでいくことが必要であると認識しております。
県教育委員会といたしましては、PTA指導者研修事業の中で家庭教育に関する講座、講演会等を実施したり、県生涯学習推進センターにおきましては家庭・幼児教育講座を開催するなど、研修・啓発活動を中心に実施してきたところでございます。また、乳幼児期から青年までを総合的に支援する次世代サポート課や、放課後の子供の居場所づくりの放課後子どもプランを実施しておりますこども・家庭課等、知事部局との連携を通しまして家庭教育の支援に取り組んでまいりました。
なお、今後、現在策定中の第2次教育振興基本計画の三つの柱の一つであります「社会全体で共に育み共に学ぶ教育の推進」、こういう柱を立てているわけでございますが、その中に家庭教育の支援を位置づけまして、啓発活動を中心に研修内容の充実等を図り推進していきたいと、こんなふうな位置づけでございます。
以上でございます。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)子供の教育、育つ過程において家庭教育は大変重要だというふうに思っております。また、そうした子供の育ちを、学校だけではなく、家庭、地域、さまざまな主体が協力して支えていくということも重要だと思っております。
くまもと家庭教育支援条例(仮称)は、これは議員提案で提出をされているというふうに聞いておりますけれども、教育基本法10条で、家庭教育の支援ということ、地方公共団体が行うことになっておりますが、その部分を具体化をしていくものというふうに考えております。
私も条例案を読まさせていただきました。さまざまな主体の役割が記載をされておりますけれども、こうした部分、恐らくいろんな御意見がある部分ではないかなというふうにも思います。こうしたさまざまな主体の役割を定めるに当たっては、慎重な検討の上、多くの皆さんの理解が得られるような形の条例にしていくということが重要ではないかなというふうに思っております。
以上でございます。
〔26番宮本衡司君登壇〕
◆26番(宮本衡司 君)昔読んだ本の中で、こんな話がございました。戦後、まだ日本じゅうが貧しいころ、ある家庭の話です。父親は建設現場に毎日仕事に出かけ、そして母親は多くの子供を家庭で育てる。そして、一番上の長男が高校に通っておりました。毎日、高校へ通っていくある日、行ってきますと母親のつくってくれる弁当を持って学校へ行く。そしたら、どうもきょうの弁当はおかしい、いやに軽いなと思って行ったそうです。学校へ着いて、お昼の時間になって弁当箱をあけたら、弁当箱の中に半分しか御飯が入ってなかった。そしてまた、御飯の上におかずとしてみそがちょっぴりあっただけだと。さて、これは一体どうしたことかと。いつもお母さんのつくってくれる弁当は、おかずもあるし、御飯もいっぱい詰めてあったと。一体どうしたんだろうと思ってよくよく考えたら、実はその弁当は父親の弁当だったと。
父親は、肉体労働をしながら、子供たちのために自分の食べ物を子供たちに分け与えながら毎日毎日汗水垂らして仕事をしていた。そしてまた、それを一言も言わず、母親は毎日弁当を詰めていた。そんな父親や母親の愛情を思ったときに、彼は、涙があふれ、最後までその弁当にはしをつけることができなかったということであります。
そして、そのとき彼はかたく心に誓ったそうです。決して親の期待を裏切らない、このことをかたく心に誓ったそうです。彼は、その後、猛烈に勉強して、そして勉強の合間に弟や妹の面倒を見て、そして家の手伝いもして、立派に高校を卒業して社会人となったそうであります。
「親思う心にまさる親心」。親は子を思い、子が親を思う。まさに教育の原点は家庭、家族にある、そのように思うわけでございます。
知事、教育長におかれましては、そのような理念のもとに、ぜひとも信州教育の再生、復活にお取り組みをいただきますことを心よりお願いを申し上げまして、質問を終わります。
○副議長(佐々木祥二 君)この際、15分間休憩いたします。
午後2時33分休憩
──────────────────
午後2時48分開議
○議長(平野成基 君)休憩前に引き続き会議を開きます。
続いて順次発言を許します。
清水純子議員。
〔6番清水純子君登壇〕
◆6番(清水純子 君)県民クラブ・公明の清水純子です。
本年度の県防災総合訓練が、10月、上田市で行われました。昨年の東日本大震災を経験し、実践的な訓練が求められる中、近隣市町村との連携のもと107団体が参加をし、65の訓練が行われました。実施後の検証においての成果と今後の課題点をお聞きいたします。
さきの9月議会において県防災会議条例が改正され、委員定数が50名に拡大されることとなり、女性の視点を取り入れた防災計画との観点から、新たな女性委員登用に向けた大きな期待が寄せられます。11月の30日に任期満了となる県防災会議の委員の選考状況について危機管理部長にお聞きいたします。
昨年の震災後、原発の事故を受けエネルギー政策の大きな転換点を迎え、再生エネルギーの普及とともに、省エネ社会の推進は大変重要であります。この対策として、公共施設へのLED照明の導入は県みずから積極的に検討すべき課題であると思います。
しかし、予算確保にも時間がかかり、初期費用も重い負担となります。その手法として、全国では民間資金を活用したリース方式での導入を進める動きがあります。
例えば、神奈川県では、170の施設で、新たな予算措置をすることなく、電気料金の削減を活用し、県有施設照明のLED化を7万本実施したと聞いております。
電気料金の削減、価格低下が進む中で、故障しにくく長寿命であること、修繕依頼に係る労力を削減できること、また、蛍光灯は災害時に落ちて割れ、水銀が散乱する危険がある一方、LED照明は落ちても割れることがないと危機管理の面からもメリットがあるようであります。
まずは、点灯時間や点灯日数などから導入後の電気代削減額を計算し、年間電力量と二酸化炭素排出量の削減効果の見込みもあわせて県民に示し、節電と低炭素社会を率先して県民にアピールしていくことが望ましいと思われますが、環境部長に御所見をお伺いいたします。
〔危機管理監兼危機管理部長久保田篤君登壇〕
◎危機管理監兼危機管理部長(久保田篤 君)防災対策について二つの質問をいただきました。
まず第1点目、県総合防災訓練の成果と課題であります。
言うまでもなく、訓練の目的は、大規模災害を想定いたしまして、実際の災害時に各団体がどのような行動手順で災害対応を行うかを確認するものであります。今回の訓練では、新たに、上田市内を対象にした携帯電話への緊急・災害情報メールの一斉試験配信、それから市町村災害時相互応援協定に基づきます東御市、長和町、青木村から上田市への支援物資の搬送、それから県内の緊急消防援助隊の前日の野営訓練実施に引き続く訓練参加であります。
訓練の成果といたしまして主なものを挙げますと、一つ目としまして、防災意識が高まっている中で多くの住民の皆さんに参加いただいたこと、二つ目といたしまして、信州上田医療センターを拠点とした県内各地から集合した組織的なDMATの訓練、あるいははしご車によります高所ビルからの救助訓練など、参加機関がより実際の災害現場を想定した訓練の実施を行うことができたことであります。また、緊急・災害情報メールの一斉配信は、情報伝達手段としての有効性を確認することができました。加えて、自衛隊ヘリ、県防災ヘリ、群馬県防災ヘリ、ドクターヘリなどの各ヘリコプター部隊が連携して離発着訓練を行ったこと、これらが成果として挙げられます。
今後の課題として主なものを挙げますと、若年層の住民の方の参加者が少なかったとの声もありまして、幅広い年代に訓練に参加してもらえるような工夫をすること、それから、自衛隊、警察、消防の現地調整本部設置訓練をより実際の災害の場面に即した形にしていくことが挙げられます。
訓練でできないことは実際の災害時にできるわけがない、そういう緊張感を持ちまして今回の反省を次に生かす必要があると考えております。来年度以降も大規模災害を想定した訓練を実施いたしまして、より多くの機関の参加のもとで実際に役立つ訓練を実施してまいります。
2点目は、県防災会議の関係でございます。
お話ございましたように、9月定例会で、県防災会議の委員のうち知事が任命できる委員の定数を40人から50人とする条例改正の議決をいただきまして、新たに自主防災組織の構成員や学識経験者を防災会議委員に選任できるようになりました。
今回、自主防災組織の構成員や学識経験者の分野で、防災活動における男女共同参画の重要性を踏まえまして、6名の方を12月1日から2年の任期で新たに防災会議委員に選任する予定であります。6名のうち女性は4名を予定しております。委員の人数枠にまだ余裕がありますので、順次必要に応じて選任をしてまいりたいと考えております。
以上です。
〔環境部長原修二君登壇〕
◎環境部長(原修二 君)県有施設へのLED照明の導入についてお尋ねでございます。
省エネルギーを推進していく上でLED等の高効率な機器を導入いたしますことは効果的であると考えておりまして、このことから大規模な文化施設について民間資金を活用するESCO事業を導入し、また、個々の施設につきましては、機会をとらえまして、LED、Hf照明、インバーター照明でございますが、こうしたものへの交換などを行ってきたところでございます。
また、今年度から、各財産管理者が施設の改修等を行う際に私ども環境部との協議を行います、県有施設の省エネルギー改修等に係る協議制度を開始したところでございまして、LED等の照明器具のみならず、空調、給湯などさまざまな設備につきまして最新の省エネルギー性能を有する設備の導入について提案を行っているところでございます。
今後とも、県有施設のESCO事業を進めますとともに、省エネルギー改修の協議制度を通じまして、設備の導入コストと導入に伴うエネルギー使用量でありますとか電気代等の削減効果を照らし合わせた上でリース方式の活用についても検討を行うなど、県有施設における省エネルギー化を推進してまいりたいと、このように考えているところでございます。
〔6番清水純子君登壇〕
◆6番(清水純子 君)防災会議における女性の登用、6名中今回4名の女性に検討という形になりました。生活の多くを担う女性の視点を取り入れた防災計画は今後さらに重要であると考えます。ぜひ、さらなる委員の登用をお願いいたします。
さきの通常国会において子ども・子育て関連3法が成立をいたしました。保育所、幼稚園、認定こども園の拡充、子育ての環境整備の充実を図ることを目的としています。具体的な制度運用に当たっては、自治体、特に市町村が重要な役目を担うこととなっておりますが、県においても、独自の計画を立て、市町村を後押しする取り組みが必要となってまいります。
国においては平成25年4月に子ども・子育て会議が設置をされ、市町村においても、子育て支援の政策決定過程から子育て家庭のニーズが反映できるよう、地方版子ども・子育て会議の設置が努力義務となっております。
平成27年度の本格施行に向け、県においても、子ども・子育て支援事業の計画策定に当たっての子育て当事者を含む会議の設置が必要と考えますが、いかがでしょうか。
また、その際の来年度の会議開催等のための経費の予算確保が必要と考えますが、御所見をお聞きいたします。
市町村単位では難しいと考えられる保育士等の人材確保の支援や、社会的養護の対策、広域での調整など、県としての事業計画についてどのようなことが考えられるのか。御見解をお聞きいたします。
地域子ども・子育て支援事業として、例えば、一時預かり、乳児家庭全戸訪問事業や病児・病後児保育事業、放課後児童クラブなど、さまざまな利用者のニーズに合った支援例が出されています。支援学校に通う子供たちに対する放課後の居場所づくりも多く求められていると思いますが、以上3点を健康福祉部長にお伺いいたします。
〔健康福祉部長眞鍋馨君登壇〕
◎健康福祉部長(眞鍋馨 君)私には県における子ども子育て支援事業支援計画に係る会議の設置ほか合わせて3問いただいてございます。順次お答え申し上げます。
さきの国会で成立いたしました子ども・子育て3法案でございますけれども、新たな子育て支援制度の実施主体は議員御指摘のとおり市町村とされてございまして、それを国と県が重層的に支える、こういう仕組みになってございます。
県は、国が策定する基本指針に基づきまして、各市町村が作成する事業計画を踏まえました上で、その上の支援計画を策定するということになってございまして、これも議員御指摘のとおりでございますが、この計画の策定に当たっては、地方版子ども・子育て会議の意見を聞くか、もしくは子供の保護者、その他子ども・子育て支援に係る当事者の意見を聞かなければならないというふうにされているところでございます。
県といたしましては、恐らく平成26年度半ばを目途に策定することになる長野県の子ども子育て支援事業支援計画につきまして、当事者の参画をいただきながら、既存の会議の活用または新たな会議の設置によりまして検討を進めてまいりたいと考えておりまして、そのために必要な予算の確保にも努めてまいりたいと思っております。
次に、県の支援計画についてお答えいたします。
県が定める計画でございますけれども、先ほど申し上げました市町村が定める事業計画、これは保育所や幼稚園、認定こども園などの幼児期の教育、保育施設に係る需要量の見込みなどを合計するものというものでございますけれども、これは、市町村の積み上げのみならず、県として広域的な対応が必要となる例えば社会的養護に係る事業ですとか、あるいは障害児の発達支援に着目した事業、また人材の確保及び資質向上のために講ずる措置、こういったことを内容として計画に盛り込むことが必要であると考えております。
県といたしましては、国が平成25年度前半に定めるとされている基本指針にのっとりまして、幅広い関係者の御意見をお聞きして検討を進めてまいりたいというふうに思ってございます。
次に、特別支援学校に通う子供の放課後の居場所づくりについてお答え申し上げます。
特別支援学校の児童生徒の放課後や夏休み等につきましては、本年4月の児童福祉法の改正によりまして放課後等デイサービス事業というものが創設されました。これは、子供の発達に必要な訓練を行いながら放課後等の居場所を提供することを目的とされたものでございまして、県内では現在52の事業所がサービスを提供しているところでございます。
また、放課後児童クラブにおきましても障害児の受け入れを行っておりまして、平成20年度から23年度におきまして受け入れクラブ数が143カ所から190カ所に、登録児童数も323人から493人に、ともに増加しているような状況でございます。
県といたしましては、地域のニーズを踏まえまして障害児の居場所づくりが一層促進されますよう、今後も引き続き事業を実施する市町村に対して必要な助言や財政的支援、こういったものを行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
〔6番清水純子君登壇〕
◆6番(清水純子 君)子ども・子育て関連3法は本格的には27年度からのスタートであります。しっかりと子育て家庭の当事者のニーズに合った施策がつくられていくことを希望いたします。
そして、先ほどの部長のお話の中での支援学校の生徒の放課後の居場所というようなところで皆さんからお声をいただくのは、なかなか受け入れ態勢が弱いというようなところの地域があるということもしっかりとわかっていただければと思います。
続いて、小児・周産期医療に係る専門医療を担う県立こども病院において実施をされている事業や県の支援策について2点お聞きいたします。
重症児は全国的に増加傾向にある中、長期入院児の適切な療養・療育環境への移行に向けた支援が求められております。現在、小児長期入院児等支援事業が行われ、移行に向けての支援コーディネーターも配置をされております。
しかし、この事業は平成22年より3年間の取り組みのため今年度で終了となります。児童の状態に応じた望ましい療養・療育環境への円滑な移行を図るため、医療機関や関係機関との連携強化の中で地域の受け入れ態勢の構築が重要であると思いますが、この事業に対する県としての成果と評価をどのようにとらえているのかをお聞きいたします。
そして、この事業継続に対する必要性と来年度以降の支援をどのように考えているのかを健康福祉部長にお聞きいたします。
県立こども病院は、専門的小児・周産期医療の中心的な拠点として大きな役割を担っていくことがさらに求められております。病院開設から20年近くの時間が経過をし、社会環境が大きく変化する中で新たな課題を抱えていると思いますが、今後、県としてどのような支援をしていくのか。知事に御所見を伺います。
本年、がん対策推進基本計画が改定をされ、子供に対するがん教育が明記をされました。本年7月、子供たちに向けた健康教育プログラムとしてのがん教育、東京大学医学部附属病院の中川恵一先生による京都府の大谷中学校での「生きるの教室」に視察に行ってまいりました。
長寿県長野を堅持していくためがん対策の施策は最も重要な位置づけでありますが、県議会においてもがん征圧議員連盟が発足をされており、がん対策推進条例検討調査会によるがん条例制定に向け御尽力をいただいているところであります。
国民病とも言われるがんに備えるためには、次世代を担う子供たちにがん予防のための生活習慣、検診の重要性、最適な治療の選択に関する知識を伝えていくことが必要であります。
講義後のグループセッションで、生徒からは、がんについて考えて正しい生活習慣を実行しようと思う、また、家族にがん検診を受けるように勧めてみようと思うなど、多くの生徒から、家族を初め、がんについての正しい知識を社会全体に広げていける可能性を感じました。
ぜひ、長野県においても、教育現場においてがんに対する正しい知識を教え、生命というものの大切さを学ぶ教育を取り入れていくことが必要だと考えますが、教育長に御見解をお聞きいたします。
〔健康福祉部長眞鍋馨君登壇〕
◎健康福祉部長(眞鍋馨 君)小児長期入院児等支援事業の成果にかかわる評価と今後についてお答え申し上げます。
この事業でございますけれども、これは全国に共通な事象でございますけれども、小児の集中治療室、NICUといいますが、ここに重症児が退院できずにずっといることが多くなってきていて、新しい必要とする方を受け入れることがなかなか困難になってきているということが社会的な問題になってございました。そういったことを解決するために設置された事業でございまして、現在、こども病院に配置されましたコーディネーターを中心に、長期入院児等の状況把握、そしてまた県及び各圏域に設置した医療、福祉、行政等の関係者によります支援連絡会における情報交換あるいは課題の検討を通じまして、在宅等を含めた適切な療養・療育環境への移行に向けた支援を進めてきたところでございます。
この取り組みによりまして、地域での療育、療養が適している子供は地域で支えていくという関係者の認識が深まってまいりました。平成23年度には、入院期間が1年を超える長期入院児19名のうち14名が自宅退院等、地域へ移行することができております。
この補助事業自体は本年度で終了となりますけれども、こうした医療機関や関係機関が連携して地域移行に向けた具体的な取り組みが進められるような素地はできたというふうに思っております。
県としましては、今後は、こうした取り組みがさらに継続的に推進されるよう、県が中心となりまして、支援連絡会の開催など、引き続き支援を行ってまいりたいというふうに思っております。
以上です。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)県立こども病院への支援についての御質問でございます。
こども病院、平成5年に本県の高度小児専門医療や小児救急救命医療を担う医療機関として開設をいたしました。平成12年には周産期医療施設を併設したところでございます。これにあわせて、こども病院をハイリスク母子への高度医療を提供する総合周産期母子医療センターに指定をいたしました。県内の周産期医療機関との連携により転院搬送体制の確保等を図る長野県周産期医療システムを構築するとともに、こども病院の運営に対して支援を行ってきたところでございます。
こうした取り組みによりまして、県内の新生児死亡率あるいは周産期死亡率が大幅に低下するなど、その効果はあらわれてきております。
他方で、議員の御質問の中にもございました、開院後20年経過しようとする中で、重症心身障害児等の入院の長期化、あるいは在宅を含む療養環境への移行等、新しい課題も顕在化をしてきています。
県としては、こども病院が県内の小児・周産期医療の拠点病院としてこれからも一層重要な役割を果たしていくことができるように引き続き支援をしてまいります。
また、長期入院児等がそれぞれの状況に応じた望ましい療養・療育環境に円滑に移行していただくことができますように、地域の医療、介護、教育等の関係者による連携体制の構築を支援してまいります。
以上です。
〔教育長山口利幸君登壇〕
◎教育長(山口利幸 君)教育現場におけるがん教育についてのお尋ねでございます。
学校におけるがんに関する学習は、小学校高学年では体育、中学校、高校では保健体育などの授業の中で生活習慣病の一つとして扱いまして、例えば喫煙が肺がんの原因になるとか、あるいは定期的な健康診断による早期発見がとても大事であるといったことなどにつきまして、それぞれの発達段階に応じた教育を行っております。
議員から御指摘ありました国のがん対策推進基本計画においても、がんに対する正しい知識とがん患者に対する正しい認識を持つよう教育することを目指して5年以内にがん教育のあり方を検討することとされておりますので、こうしたことを受けまして、県教育委員会といたしましては、まず養護教諭や保健主事などの研修会におきまして先進事例の紹介や専門家を招いての講演を行い、指導する教諭の知識の向上に努めるということをまずやりたい、また、児童生徒のがんに対する正しい知識が深まるよう健康福祉部を初め関係機関と連携して取り組んでいきたいと、こんなふうに考えております。
〔6番清水純子君登壇〕
◆6番(清水純子 君)県立こども病院で働く医師やスタッフは、大きな使命感を持って、時間を惜しみ、小児医療に頑張っています。また、患者さんは、成長過程の中で生活の中での教育などの多くの課題にぶつかります。ぜひ、一貫した相談が受けられる体制もよろしくお願いいたします。
また、がんは日本人死亡率の1位であるにもかかわらず、学校教育ではほとんど教えられていないのが現実です。早期発見のための検診の受診率も、日本は諸外国に比べて非常に低いとされています。予防学的に教育の中でがんの知識を得ることで検診の意味を理解することもできます。ぜひ長野県でも積極的ながん教育の導入を求め、質問を終わります。
○議長(平野成基 君)次に、吉川彰一議員。
〔11番吉川彰一君登壇〕
◆11番(吉川彰一 君)改革・新風の吉川彰一です。最近読んだ本の一節に、人間以外の動物は今に生きていて、未来を考えていないとありました。
間もなく始まる総選挙を前に、失われた20年から成長軌道への復帰を目指し熱い論戦が既に行われているところです。我が国経済が再び成長軌道に乗り、ジャパン アズ ナンバーワンとの呼び声を再び取り戻す最善の策は本当に大胆な金融緩和でしょうか。日銀当座には30兆円とも40兆円とも言われるマネーが積み上がり滞留する中で、金融緩和やこれに関係する財政政策が万能というなら、サブプライムローンから火がついた2008年のリーマンショックの検証をまずする必要があるのではないでしょうか。
世界経済のグローバル化に対して本県経済も対応に迫られる中で、インド、中国など新興国の知的水準の上昇と経済発展の相関が注目されております。知の競争時代に入ったと言っても過言ではないと思います。
幸い、我が国は、1989年に利根川進氏、そして、本年、京都大学の山中伸弥教授がノーベル医学・生理学賞を受賞し、この分野の先鞭をつけてきたこと、そして確かな研究実績が世界からも認められるところです。
本県においても信州大学を中心にiPS細胞の医療分野への応用が研究として進められ、また、工学的分野にはなりますが、須坂市出身の遠藤守信教授もカーボンナノチューブの研究で山中教授とともにノーベル賞候補として名前が挙がったことも一再ではありません。本県の科学技術について持ち合わせる知識水準は決して低くはないと言えるのではないでしょうか。
知というこれからの時代をリードする上で欠くことのできない財産について、本県での科学技術の重要性と、これを県として産業に生かす取り組みについて阿部知事はどのようにお考えでしょうか。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)我が国がこれからも発展をし続け、そして信州も元気になる上では科学技術の振興は大変重要だというふうに思っておりますし、県としても知の拠点をしっかりつくっていかなければいけないというふうに思っております。
科学技術の振興、重要な政策だというふうに考えておりまして、今、吉川議員の御質問にも出てまいりましたけれども、遠藤守信教授を委員長とする懇談会から御提言をいただいて、一昨年、長野県科学技術産業振興指針を策定をしています。この3月には、この指針に基づいてものづくり産業振興戦略プランを作成して、先進的な研究開発、産学官の連携でスタートをさせ、新しい産業の創出に取り組んでいこうとしております。
現在進行中の代表的な研究としては、信州大学と県が共同提案し科学技術振興機構で採択をしていただいた、新しいナノカーボンに関する大型プロジェクトがございます。世界的権威の遠藤教授を中心に進めております。世界トップクラスの研究者を招聘し、ドリームチームを結成してナノカーボン分野の世界最先端の研究開発が行われているところでございます。この研究の応用事例としては、放射線を吸収する防護服への応用などが期待されております。また、さらなる成果の応用についてテクノ財団が中心に取り組んでいます。
また、医療分野におきましては、産学官金、経営者協会、信州大学、八十二銀行、テクノ財団、長野県が連携して、世界最先端の医療機器の開発を目指したプロジェクトも始まっております。世界最高速レベルの小型DNA増幅装置などの開発を進めているところでございます。
アジア新興国の工業力が台頭し、エネルギー供給等の新たな課題も発生している今日、知の結集による科学技術の役割はますます高まっているというふうに考えております。
県としても、産業界あるいは大学等と連携を図りながら、科学技術の振興を図ることによって知を備えた人材を中心とした国際競争力ある産業の育成を重点的に進めてまいりたいと考えております。
以上です。
〔11番吉川彰一君登壇〕
◆11番(吉川彰一 君)こうした科学技術の中でも特に注目されている生命科学の分野を中心に、新規事業の創出に向けてどうつないで豊かな長野県づくりの施策とするのでしょうか。太田商工労働部長にお尋ねします。
また、生命科学の中でも医療分野など健康を支える分野の事業展開については、生み出される製品や事業を実行する上で評価が大きなポイントとなってきます。例えば、人工心臓が1万個つくられ1万人の命が救われても、1万1個目が不良品で、これを市場に送り出してしまったとしましょう。1万人が救われたことよりも、1人が犠牲になったことで1万人を救った功績は社会の中で帳消しとなり、さらには1万2人目の救いを求める人の救いの道を閉ざしてしまう可能性さえあります。
再生医療において、事業や製品をどういった方法で、どこまでの水準で評価されているか。眞鍋健康福祉部長にお尋ねします。
〔商工労働部長太田寛君登壇〕
◎商工労働部長(太田寛 君)医療分野を中心といたします新規事業の創出についての御質問でございます。
県では、長野県ものづくり産業振興戦略プランにおきまして医療分野を目指すべき重点分野と位置づけまして、医療現場のニーズにこたえる新しい機器等の研究開発と早期事業化に産学官連携によって取り組んでいるところでございます。
具体的には、本県の産学官連携支援拠点であります長野県テクノ財団がメディカル産業支援センターを松本市に設置しておりまして、信州大学医学部や県立こども病院等の医療現場のニーズを企業の研究開発へつなぐコーディネート活動、県内企業に対しまして薬事法など医療機器開発に係る法規制をわかりやすく解説するセミナーの開催、国際的に優位な研究開発や事業化を進めるための欧米における連携企業、大学等の情報提供、これなどを進めているところでございます。
また、信州大学におきましても、長野県テクノ財団との密接的な連携のもとに、血液検査の時間短縮につながる装置など、企業の技術者を大学に招聘しての医療機器の研究開発、また、企業の技術者を対象として臨床研究の進め方などを学ぶ研修会の開催、また、県内企業86社から成ります信州メディカル産業振興会によります産学官のシーズ、ニーズ情報の共有化などを進めているところでございます。
また、信大医学部に既に設置されております医学的な実証試験用の機器を企業の利用に供する信州メディカルシーズ育成拠点に加えまして、来年1月末には、医療従事者と企業技術者が緊密な連携のもとに共同研究ができますレンタル研究室を整備いたしました信州地域技術メディカル展開センターが竣工する予定であります。
このような医療分野での新規事業創出への支援によりましてすぐれた医療機器などの創出がなされ、それらが県内で広く活用されることが本県の健康長寿の一層の進展にも貢献するものと考えております。
今後とも、信州大学などの学術研究機関との連携を深めまして、医療分野での中核的リーディング産業の創出に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
〔健康福祉部長眞鍋馨君登壇〕
◎健康福祉部長(眞鍋馨 君)私には医療分野における安全性の確保についてお尋ねをいただいております。お答え申し上げます。
医薬品、医療機器の安全性の確保、これ自体は非常に重要なことというふうに考えてございます。我が国では、新たに医薬品、医療機器が開発されようとする場合は、国もしくは国から業務委託を受けました独立行政法人医薬品医療機器総合機構、これはPMDAというふうに通称しておりますが、こういったところが提出された動物実験や臨床試験、これは人での比較対象試験などのデータでございますけれども、こういったデータを用いて、ICH(日米EU医薬品規制調和国際会議)というものがございますけれども、こちらのガイドラインなど、世界標準で高い水準の審査を行って、安全性、そして有効性を総合的に評価し、承認されたもののみが市場に流通するということになってございます。
医薬品は、有効性、安全性とともに、それらの総合評価が大事だということでございまして、その基準が国際的に調和したものが今ございますということでございます。
御指摘いただきましたiPS細胞ですとか、最近は生物由来の製品もたくさんできてございますけれども、これもバイオロジックスの規制ということで国際的な調整が今整えられているところでございます。こうしたところで承認審査が行われて、有効性、安全性が確認されたものが市場に流通しているということでございます。
また、市場に流通している医薬品などの品質の確認も国と都道府県で役割を分担して行っているところでございます。
以上です。
〔11番吉川彰一君登壇〕
◆11番(吉川彰一 君)我が国には1968年の札幌医科大学での和田移植という苦い経験もあります。また、最近においても、山中教授のノーベル賞受賞発表の直後に、東京大学の研究員による全く根拠のないiPS細胞の研究業績に多くの人たちが踊らされた事件もありました。
研究の現場と一般社会の人々との意識にギャップが生じたり、研究についての客観性が一般社会から求められることもこれからますます多くなると思います。評価や規制が進歩と同じ歩調をとりながら、さまざまな分野の専門家の英知によって精緻で信頼感の高いものとなることをお願いしておきます。
さて、かつて、政府の事業仕分けでスーパーコンピューターの研究開発について、世界一になる理由は何があるんでしょうか、2位じゃだめなんでしょうかとの仕分け人のフレーズが有名になりましたが、1番と2番の差が紙一重であっても、この差はかわりがたく、若者や子供たちがこうしたサイエンスのフロンティアに触れたとき目の輝きは1番がはるかに大きいでしょう。
科学技術の未来をつなぐ若者、特に高校生が先端的な科学技術に触れ、心に響く機会があることは大変重要なことであります。本県はどのような取り組みを行っているのでしょうか。山口教育長にお尋ねします。
〔教育長山口利幸君登壇〕
◎教育長(山口利幸 君)先端的な科学技術に触れる取り組みについてのお尋ねでございます。
本県では、飯山北高校、屋代高校、諏訪清陵高校の3校が、文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール、SSHと略称しますが、この指定を受けまして、県内外の大学や企業と連携しながら先端の科学技術を学ぶ理数教育を推進しております。
また、サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト(SPP)事業もあるわけでございますが、上田高校や岡谷工業高校など10校が採択されまして、大学と連携した課題研究あるいは大学の施設を利用した生徒実習などを行っております。
また、県では、SSH指定校の取り組みを理数科設置校等を初め各学校へ広めて理数教育の質を高めることを目的にしまして、信州大学や諏訪東京理科大学と連携しまして信州サイエンスキャンプ事業を実施しております。この事業の中身は、大学と連携した課題研究合同発表会や研修会、科学の甲子園全国大会出場をかけた長野県予選、県出身の研究者による講演会等を開催する、こういった事業の中身がございます。
このほかにも、大学と連携協定を結びまして大学の施設を利用した生徒実習を行っている学校でありますとか、あるいは修学旅行に出かけるときを活用しまして、国内有数規模を持つ自動車工場でありますとか、あるいは造船所見学をコースの中に組み入れまして生徒の学習意欲の向上に役立てている、そういった工業高校もございます。
一端を申し上げましたけれども、このような体験を通して、生徒自身により県合同の課題研究発表会が運営されるなど、おもしろさ、やりがいに動機づけられたいわゆる科学する心、こういったものが育ってきていると、こんな認識を持っております。
こういった取り組みにつきましては、今後もさらに本県の理数教育を発展させるために生徒の心に響く機会づくりが一層進みますよう、県としても各学校の取り組みを支援してまいりたいと、こんなふうに考えております。
〔11番吉川彰一君登壇〕
◆11番(吉川彰一 君)さて、私も、かつて、週に1回、二十歳前後の学生を前に専門学校で経済関係の授業を持ったことがあります。私は、学生が教えることを頭で理解するよりも心に伝わるよう授業に取り組んだつもりです。そんな中で思い出される一こまがあります。それは、ある事柄にどの程度関心を持ち、不明なところは考えながら答えてほしいと思い質問を投げかけた学生が、やおら携帯電話を取り出し、カチャカチャといじった後、よどみなく正しい答えが返ってきたことでした。ちなみに、この子は櫻井教育委員長と同じ阿智村の子でした。
よりにもよってこの私に教わった学生たちは随分迷惑だったかもしれません。しかし、私は、問いかけても社会や人生への思いをほとんど語らない若者の存在が本当に憂慮にたえません。私の学生時代、ほんのわずかな期間ですが、アメリカの大学で机を並べた東南アジアや中央アジアの留学生たちのことが思い返されます。身なりは粗末でも、はっきりした考えを持ち、私の心に伝わってきたことと余りにも対照的だからです。
櫻井教育委員長にお尋ねします。
私は、教育の場は建前でなく、本当に子供たちの心に伝わるような指導をしてほしい、そして、それぞれの子供たちがしっかりとした考えを持ち、成長し、やがて大人となってこの日本を支えてほしいと思います。いかがでしょうか。
子供たち一人一人がしっかりとした自分の考えを持つため、どう文字どおり教育することが必要でしょうか。何かお考えがあればお示しください。
また、旧清内路村では、江戸時代より受け継がれる花火づくりによって、上下清内路それぞれで皆さんが一つになって、地域の文化、きずな、誇りを親から子へ引き継ぐ土壌になっていると私は考えます。
閉村時の2009年、人口718人だった清内路村が、櫻井久江村長のもと、教育に手厚い施策を行う原点ではなかったのでしょうか。そうした村の子供たちのことを思う熱心な地域の皆さんの思いと実践は、地域を挙げて子供を育て、地域と学校の連携をより強固にするといったモデルにもなるのではないかと思われます。
市町村の規模によらず、県下どの地域においても小学校や中学校が住民にとって一番身近な学校であることは共通です。旧清内路村での経験を踏まえ、地域の思いと学校をつなぐためにはどのような視点から考えればよいか。櫻井教育委員長にお考えをお聞きします。
〔
教育委員会委員長櫻井久江君登壇〕
◎
教育委員会委員長(櫻井久江 君)自分の考えを持つための教育についてのお尋ねでございます。
子供たち一人一人が将来への自立に向けて自分の考えを持てるようになるということは人格形成の基本であると認識しております。しっかりとした考えを持つためには、自然や社会、さまざまな人にかかわるといった豊かな体験が大切であると考えます。子供たちは、体験をすることによってみずからの思いや考えを持ち、語り出します。さらに、相手の考えを聞き、友と語り合うことによって、より自分の考えを深めていくものと考えるところでございます。
そのためには、お互いの考えを聞き合える学級であることや、子供たちの考えを共感的に受けとめることができる教員の存在などが重要であり、このような人間関係の中で子供たちは自己肯定感を高めていくものと考えます。
幼保小中高を通じてこのような学習を行うことにより、子供たちがしっかりとした自分の考えを持てるような教育を進めてまいりたいと考えております。
次に、地域の思いと学校をつなぐための視点について。
私の生まれ育った旧清内路村は、猫の額のような畑を切り開き、出作りまでして耕してきた本当に貧しい村でありましたが、何はなくとも教育だけはとの信念のもと歩んでまいったところであります。
子供は地域の宝、地域みんなで育てるものとの思いが強いところでもありました。そして、学校は村の誇りでもあり、文化の伝承の場でもありました。手づくり花火をみんなでつくり、伝統食の日は地域の人々と朴葉寿司や五平餅をつくり、タタキゴマや炭焼き、赤根大根をつくったり、一緒になって地域の宝を受け継いでいく、そして、その先生は地域のおじさん、おばさんたちです。自然や土になれ親しむこと、小さな生き物をかわいがること、そんなことが伸び伸びした教育のできる土壌だった気もいたします。
現在、学校、家庭、地域の連携の推進が必要であると言われております。旧清内路村にかかわらず、学校が地域に溶け込んでいるというのは、子供たちに地域の多くの人がかかわり、机の上だけでなく、体験を通じて学ぶことで健全な子供を育てていくことにつながっていきます。そういう学びの中で、子供たちは、人としてどう生きるか、どう考えるかが自然と身についていくと考えております。考える力をきちっと身につけさせることでもあるというふうに思っております。
まとまりませんが、地域の思いと学校をつなぐための視点ということで以上であります。
〔11番吉川彰一君登壇〕
◆11番(吉川彰一 君)櫻井委員長は、清内路の村政があの混迷をきわめた中、村長選の告示の前の晩にかつぎ出され、あえて火中のクリを拾うことになりました。その後の村政を例えるなら、清内路という小舟を大しけの中で無事阿智村へつなぎとめるまでの必死のかじ取りが続いたことを記憶しております。
今、櫻井委員長は、再び違う海でキャプテンとして乗り込んだ船を、荒波を乗り越え、穏やかな豊饒の地へといざなってくださることができる。そうかたく信じ、私の質問を終わらせていただきます。
○議長(平野成基 君)次に、鈴木清議員。
〔25番鈴木清君登壇〕
◆25番(鈴木清 君)新幹線延伸の影響について順次お伺いをいたしたいと思います。質問は新幹線の延伸ですが、答弁は積み残しのないよう個別具体的に御答弁をいただきたいと思います。
平成9年10月の長野新幹線開通から15年間、長野新幹線の終点として首都圏からの経済波及効果を享受してまいりました。平成26年には新幹線が金沢まで延伸されるならば長野は途中駅の一つとなり、こうしたメリットが薄いのではないだろうか、新たに北陸との競合が発生するのではないだろうかということが危惧をされております。
一方、北陸新幹線の延伸により、3時間40分を要していた東京―金沢間が2時間20分で結ばれることになりました。また、国土交通省からは、JR湖西線を経由するフリーゲージトレインの導入を検討していることが公表されました。平成37年には北陸新幹線により東京―大阪間が結ばれる見込みであります。また、鉄道・運輸機構の試算によれば金沢延伸による経済効果は1,020億円と言われておりますが、こうした状況について個別具体的な答弁を各部長に求める前に、知事としての概括的な御見解をまずお聞きしたいと思います。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)新幹線の延伸についての認識についての御質問でございます。
平成26年度末、金沢延伸開業時、長野―金沢間、現在3時間30分かかっているものが1時間強という形になります。また、37年度末、敦賀開業時には、長野―大阪間、名古屋経由の現在4時間近くかかっている部分がフリーゲージトレインができれば北陸経由で3時間強ということで大幅に時間短縮が見込まれています。
こうした交通体系の変化、改善によりまして、沿線各地域で消費活動、設備投資の活発化、ビジネスの効率向上、行動圏の拡大など、大きな経済効果が期待されるというふうに考えております。もとより、これは黙って待っているだけでプラスの効果がひとりでに飛び込んでくるものではないというふうに思っております。
北陸新幹線の延伸により、新しい交流ネットワークの地理的には中心部に位置してくる長野県でございます。新幹線の利用者は現在の1.7倍になるという見通しもありますので、こうした機会を最大の長野県にとってのチャンスということで受けとめて、関係するさまざまな団体、市町村等とも連携して、地域の活性化にどうつなげていくかということに知恵を絞っていかなければいけないと思いますし、また具体的な行動を起こしていかなければいけないと。当面、開業に向けてさまざまな具体的な取り組みをしていくということが重要な課題だというふうに考えております。
以上です。
〔25番鈴木清君登壇〕
◆25番(鈴木清 君)新幹線が長野以北に延伸になった後の姿について、このたび新たな総合5カ年計画の素案がお示しをいただきました。県全体に関する影響、長野地域の計画においてどのような形でプロジェクトとして掲げていくのか。企画部長にお伺いいたします。
次に、いわゆる人口減少社会というものが続いておりますが、交流人口の総数も減少していくのが私は自然の成り行きだと思っております。北陸新幹線延伸後に発生する経済効果は通過点となる長野県からの移転によるものとなる可能性があると私は危惧しておりますが、この点について率直な御見解を同じく企画部長に御答弁を願いたいと思います。
次に、観光部長にお伺いいたします。
長野県の観光振興基本計画ですが、このたび答申がされたという報道がありましたが、新幹線延伸後の観光客の誘致をどのようにきちんと位置づけていくのか。まずお示しを願いたいと思います。
次に、新幹線延伸による誘発効果として、現行長野新幹線の運行本数を前提にした場合、東京―金沢間は1,200万席の輸送が生まれますが、これは羽田―小松空港間の4倍となります。いわゆる観光度指数という言葉がございますが、観光度指数は長野県が3位、石川が4位、富山が26位という現状でありますが、延伸により観光客の入り込みがどのように推移されると思われますか。観光部長の御所見を重ねてお伺いをいたします。
〔企画部長原山隆一君登壇〕
◎企画部長(原山隆一 君)新幹線延伸後の姿を新たな総合5カ年計画にどう掲げていくかということについての御質問でございます。
活力ある地域社会をつくっていくためには、人や物、情報が広域で自由に行き来できる社会基盤を確保し、県民の快適な生活と経済活動を支えていくことが重要であるというふうに認識をしております。
新たな総合5カ年計画では、計画期間中の平成26年度末に北陸新幹線が金沢まで延伸されるということから、その効果を最大限に生かして地域の活性化につながる取り組みを進めるよう検討しているところでございます。
また、各地域においても、地域の個性や魅力を発揮させ、地域ごとに目指す方向や方策を明らかにすることが重要だということから、長野地域におきましては、広域周遊型観光の推進でありますとか、地域資源を活用したブランド化など、北陸新幹線延伸を見据えた地域産業等の活性化を目指すよう検討しているところでございます。
それから、北陸新幹線延伸後の経済効果についての御質問でございます。
平成24年3月に公表されました鉄道・運輸機構の試算によりますと、今後の人口減少を前提としても、長野―金沢間の整備により北陸地域と周辺地域全体との交流量が現在の交流量の約1.1倍に増加するというふうに予測されているところでございます。このように、長野―金沢間の開業によりまして地域ブロック間の人的交流が活発化し、地域経済の活性化と経済効果が発生するものというふうに考えております。
したがって、本県においても、この増加する交流人口をいかに長野県に取り込むかという視点から、金沢延伸をまさにチャンスととらえて地域の活性化につなげていくことが重要であるというふうに考えているところでございます。
以上です。
〔観光部長野池明登君登壇〕
◎観光部長(野池明登 君)まず、観光振興基本計画における新幹線延伸後の誘客の位置づけについてでございます。
現在、計画のほうは策定中でございますけれども、金沢延伸は、北陸、さらにはその後を見据えると関西圏からの時間短縮、輸送人員の増など、観光にとりましては大変大きな環境変化ではございますが、位置づけております方向性はこれを大きなチャンスととらえるという大前提を置いております。
県内観光地の認知度向上、既存4駅に加えまして飯山新駅を核といたしました広域観光の推進を県の重要な施策の柱として推進することを位置づけているところでございます。
2点目の新幹線延伸後の観光客入り込みの見込みでございます。
北陸、首都圏を現在上越新幹線あるいは空路で行き来をしていた方が新幹線経由となりますと輸送量が1.7倍ということで、このパイを奪い合うという発想でとらえるのではなく、魅力向上によりまして、いかに県内の駅でおりてもらい滞在をしてもらえるかという発想で取り組んでいるところでございます。
3大都市圏の住民を対象に実際に行ったアンケート調査によりますと、延伸により確かに長野県への訪問意欲は高まっている、そんな結果が出ている一方で、素通り、地域間競争の激化、日帰り客の増という現実的な危惧もございます。入り込み客の見通しを立てる前提としての停車駅など不確定な部分もありまして各地域におきましても現時点で予測を立てるには至っておりませんけれども、プラス効果は最大に、マイナス面は最小にできるよう、県内、県境を超えた地域間連携、滞在時間の長期化につながる観光まちづくりなどによりまして来訪者が確実に増加するように、県、市町村、経済界等と連携を組んで取り組んでまいりたいというように考えているところでございます。
以上でございます。
〔25番鈴木清君登壇〕
◆25番(鈴木清 君)今、企画部長から御答弁いただきましたけれども、企画部という性格上やむを得ないのかどうかわかりませんが、こうあらねばならない、こうしたいという抽象論、具体論の中で、確実に具体的な数字をもってどのような取り組みをするかということがなかなか答弁として見えないんですね。計画、実行、見直しといいますが、まさに計画の段階でありますから、どの程度の誘客、どの程度の経済効果、もくろみというものをまずきちんとして県としてお示ししていただく必要が私はあると思っています。
なお、個別具体的な質問に入りますが、国土交通省の秋のある一日の資料ということでございますが、富山県、石川県に鉄道、自家用車を利用してどの程度の県民が訪れたかという統計資料がございます。仕事面と観光面に分けてございますが、まず自家用車で富山県に見えた方、仕事では1日の人員が何人見えたかということでございますが、石川県がトップで7,734人、次に新潟県、岐阜県。観光では、石川県から4,136人、次に岐阜県、新潟県。石川県は、近隣の同じく新幹線にかかわる県ということで富山県からは自家用車で仕事面では7,101人、福井県から3,083人。観光では、富山から3,310人、福井県では1,134人と出ます。
ですから、これら富山、石川にそれぞれ仕事、観光含めて自家用車で訪問された方々を、いかに新幹線延伸後によっていわゆる上り方面、長野まで、あるいは飯山まで誘致することができるのかどうなのか。長野の新幹線駅に、いかに誘客として、あるいはビジネスで引っ張ることができるのかどうなのかということが問われると思います。
観光部長、もしこの統計資料等を目に通されたことがありましたならば、どのような御所見をお持ちか。お聞きしたいと思います。
〔観光部長野池明登君登壇〕
◎観光部長(野池明登 君)ただいまの議員御質問の調査自体は拝見をしておらないわけですけれども、私ども長野県のほうでも北陸を対象にアンケート調査を実施をいたしました。新幹線の延伸によりまして、これまで多くは自家用車あるいはバスで移動していたお客さんが、どのように移行が変わるかという調査をしております。それによりますと、自家用車から新幹線に移行する度合いですけれども、長野県に新幹線が北陸から開通をしたら訪れたいという意向を持つ方のうち、自家用車を利用したいという方が現在は8割、それからJR在来線を利用したいという方が1割でございますけれども、新幹線延伸後はこの様相が大分変わりまして、新幹線を利用したいという方が約65%、自家用車を利用するという方は逆に30%というふうに減っておりまして、新幹線が大幅に伸びるという結果が私どものアンケート調査でも出ているところでございます。
以上でございます。
〔25番鈴木清君登壇〕
◆25番(鈴木清 君)引き続き順次お伺いいたします。
まず1点目として、延伸による具体的な影響として、観光面で期待される効果、懸念される影響はどんなことがあるのか、また、農業を含む企業活動、産業移動等を含めた産業経済面への影響はどうなのか、生活、教育面ではどの点が影響があると思われるのか。企画部長にお伺いをいたします。
次に、東北新幹線では、平成14年に盛岡から八戸まで延伸、平成22年にはさらに新青森まで延伸されました。九州新幹線でも、平成23年に博多―新八代間が開業し、博多―鹿児島中央間を含め全面開通したわけですが、利用者の移動についてどのような変化があったのか。お伺いをしたいと思います。
まず、長い間終着駅であった駅について、延伸後の利用客の推移はそれぞれどのように変化されたのか。盛岡、八戸、新八代の3駅は、終着駅であったときと比較して利用客数はどのように変化したのか。お伺いいたします。
続いて、3駅の利用客数について、商業、観光、ビジネス、通勤、通学など、延伸前後で構成比率はどのように変化されたと思われるのか。以上2点。
そして、加えて、近年の新幹線長野駅は県内の他の駅と比べまして利用客が毎年漸次減少してきております。この原因をどのように分析、受けとめておられるのか。それぞれ企画部長にお伺いをいたします。
〔企画部長原山隆一君登壇〕
◎企画部長(原山隆一 君)それぞれお答え申し上げます。
まず、北陸新幹線延伸による影響についてでございます。
これに関しましては、平成21年3月に、北陸新幹線建設促進長野県協議会と長野経済研究所が共同で、北陸新幹線延伸に伴う影響調査を実施をいたしまして、それに基づいて新幹線の金沢延伸効果を最大限に生かすべく今取り組んでいるところでございますが、まず具体的な影響につきまして、観光面では旅行者の行動範囲の広域化が予想されます。長野県と北陸地域では観光資源が異なっていることから、首都圏からの誘客に向けて北陸地域と連携することにより相乗効果を発揮することなどが大切だというふうに考えております。
それから、企業活動、産業面では、観光客の増減が売り上げに影響するということが予想されることから、特産品の開発ですとか、長野県産農産物のブランド化による高付加価値化が必要であるというふうに考えておるところであります。
そして、生活、教育面では、生活圏、商圏及び通勤・通学圏が拡大されるということでありますので、県民に新幹線の有効活用に向けて延伸効果をPRすること、あるいは県外からの移住促進に向けて地域の魅力を情報発信していくといったことが必要であるというふうに考えているところでございます。
それから、二つ目、東北新幹線盛岡、八戸及び九州新幹線新八代の各駅利用者数についてでございます。
まず、東北新幹線に関してでございますが、JR東日本では各駅の1日当たりの平均乗車人員を公表しておりますが、これには新幹線に加えて在来線の利用者も含まれておりますので延伸による新幹線利用者の推移を正確に比較することは困難だということを御理解いただきたいと思いますが、ただし、平成14年の八戸延伸につきましては、長野商工会議所の現地調査結果を見ますと、新たな周遊ルートができたということもあって盛岡駅の利用者は大きく落ち込むことはなかったというふうにされているところでございます。
それから、新青森まで延伸されたことによる八戸駅への影響についてでございますけれども、新青森駅が開業3カ月後に東日本大震災が発生したということから、まだその影響をとらえるところまで至っていないという状況でございます。
そして、九州新幹線の新八代駅につきましては、開業後の乗車人員は現時点では発表されていないということであります。
また、駅利用者の目的別の構成比率を調査したものはありませんので直接的なデータはございませんが、例えば県単位に旅行目的を調査する全国幹線旅客純流動調査というものがございますが、それによりますと、盛岡駅のある岩手県では、八戸延伸前の平成12年の調査では仕事目的が60.2%、観光目的が12.5%であったものが、延伸後の平成17年の調査では仕事目的が54.5%、観光目的が18.9%というふうになっておりまして、観光目的での流入者が増加している状況であります。
なお、八戸駅、新八代駅に対応する今のような調査結果は現時点では発表されていないという状況でございます。
それから、長野駅の利用者数でございます。
県内新幹線停車駅の1日当たりの平均乗車人員を見ますと、軽井沢駅、佐久駅では増加傾向にあるものの、長野駅では開業後の平成10年度に2万4,204人であったものが平成23年度には2万859人というふうに減少しております。軽井沢駅と佐久平駅では、駅に隣接して大規模な商業施設でありますとか駐車場が整備されたことから利用者が増加したと考えております。
長野駅の利用者に関しましては、景気動向とか観光イベントなどさまざまな要因が複合的に影響しているというふうに考えられますが、長期的な要因とすれば北信地域のスキー人口の減少がありますが、それに加えて、特に長野駅と首都圏を結ぶ高速バスやツアーバスの増加による影響が大きいのではないかというふうに考えているところでございます。
以上でございます。
〔25番鈴木清君登壇〕
◆25番(鈴木清 君)いわゆる長野経済研究所、商工会議所等の資料を私も手持ちでいただいておりますが、企画部は統計部じゃございませんから、いろんなケースを想定し、長野県の将来の計画を組み立てていくことが私は企画部の本来の仕事だと伺っております。
次の質問に入りますが、国内交流人口総数の減少傾向を踏まえ、延伸による新幹線の利用客数について具体的にどのように見込んでいるのか。
まず1点目、軽井沢、佐久平、上田、長野の利用客はどのように変動すると見込んでいるのか。
2点目として、飯山駅は毎年利用客が減少しており、直近の資料によりますと1日577人とのことであるが、延伸後はどのくらいの利用客を見込んでいるのか。
3点目として、長野―飯山間は新幹線と在来線の利用比率はどの程度と見込んでいるのか。企画部長にお伺いいたします。
もう1点、延伸により利用料金はどうなるのか。長野―飯山間、長野―上越間、長野―富山間、長野―金沢間、東京―富山間、東京―金沢間について、新幹線と在来線を比較し増減はどのようになるのか。具体的に御答弁をお願いいたします。
〔企画部長原山隆一君登壇〕
◎企画部長(原山隆一 君)まず、延伸による県内新幹線駅の入り込み客数についてでございます。
延伸による県内新幹線駅の利用者数の見込みについては、JR東日本を含めて現時点での試算はございません。ですが、北陸新幹線の利用者が1日2万5,000人から4万2,500人に増加するというふうに見込まれている中で、より多くの方に県内駅を利用してもらえるよう、駅を中心とした観光振興策などを展開することによりまして地域の活性化に取り組んでまいりたいと思っております。
特に、新規に開業する飯山駅では、飯山市が中心となって信越9市町村広域観光連携会議を設立いたしまして観光資源の開発、連携と情報発信等を行うこととしておりまして、こうした取り組みを県としても積極的に支援してまいりたいと思っております。
それから、長野―飯山間の新幹線と在来線の利用比率につきましては、今年度、長野以北並行在来線対策協議会で長野以北並行在来線旅客流動・需要予測調査を実施しておりますので、その中で長野―飯山間の利用状況についても調査をしているところでございます。
続いて、新幹線の利用料金の増減についてでございます。
北陸新幹線の料金につきましては、国土交通省の鉄道局が平成24年2月に公表しました投資効果及び収支採算性に関する詳細資料の中で試算をしているところでございます。長野―金沢間の新幹線は、在来線より営業距離が短くなりますので運賃は安くなりますが、一方、新幹線の特急料金が別途必要になるということであります。
長野―飯山間、これは短距離ですので長野―飯山間のみ自由席として、それ以外を指定席として比較をいたしますと、長野―飯山間は750円、長野―上越間では2,140円、長野―富山間では420円、長野―金沢間では850円それぞれ高くなるものと見込まれております。また、東京―富山間は上越新幹線を経由した場合と比較して490円安くなりまして、東京―金沢間は同様に240円安くなるというふうに見込まれているところであります。
以上であります。
〔25番鈴木清君登壇〕
◆25番(鈴木清 君)今、具体的な料金体系をお示しいただきまして、うかがえるのはやはり民間ということでJRそのものはあくまでも収益重視し、東京―金沢間、東京―富山間、その料金設定が比較的安くなるという料金設定であります。つまり、長野―飯山間、長野―上越間は利用客を見込んでいないという裏返しとも思われますが、その辺について、企画部長、どのような見解をお持ちでしょうか。
〔企画部長原山隆一君登壇〕
◎企画部長(原山隆一 君)私が先ほど申し上げましたとおり、北陸新幹線の料金については国土交通省鉄道局が公表した資料に基づいて試算しているわけでございます。統一的な料金設定のルールに基づいてJRは料金設定をするというふうに考えておりますので、先ほど申しましたとおり、営業距離が短くなると運賃が安くなりますけれども、一方、新幹線の特急料金が別途必要になるということから先ほどのような東京―富山間が従来よりも安くなり、金沢間も同様に安くなる、それ以外の部分については若干高くなるということがあるわけですので、これに関しましては議員御指摘のような意図のもとに料金設定がされているというふうには私は考えておりません。
〔25番鈴木清君登壇〕
◆25番(鈴木清 君)引き続きお伺いいたします。広域観光連携会議についてであります。
飯山新駅の設置を控え、信越9市町村の広域観光連携会議はどのように現状組織されておられるのか。また、機能しているのか。観光部長にお伺いいたします。
また、9市町村で実施しているキャンペーンについては2次交通網へも配慮した取り組みがきちんとなされておられるのかどうなのか。現状についてお伺いいたします。
3点目として、広域連携会議は、民間団体への呼びかけ、加入促進、さらにまた加えて地域住民の意見をどのように受けとめて活動しておられるのか。それぞれ観光部長に御答弁をお願いいたしたいと思います。
〔観光部長野池明登君登壇〕
◎観光部長(野池明登 君)広域観光連携会議について3点順次お答えをさせていただきます。
まず、組織についてでございますけれども、北信地域の6市町村に、信濃町、飯綱町、それから新潟県の妙高市を加えまして、9市町村により本年1月に設立された組織でございまして、会長は飯山市長が務めておられます。その後、8月には、長野県を初め、観光関係団体、経済・商工・農業団体、交通事業者、報道機関が加わりまして体制がより強化されたところでございます。
この連携会議の組織内には、観光振興部会、交通アクセス・案内所部会など、四つの部会を設置して運営されているところでございます。
県としては、北信地方事務所長が理事という立場で参画をいたしまして、県の施策とも連携をとる中で運営をされているところでございます。
2点目のキャンペーンについて2次交通に配慮をされた取り組みがなされているかという点でございます。
広域連携会議、新幹線延伸に向けた本格的なキャンペーンにつきましては来年度から実施という予定でございます。連携会議では、まず9市町村のブランド化、広域観光商品の開発、広域観光マップの作成、飯山駅での広域的な観光案内機能の構築、それに加えまして飯山駅からの2次交通対策の検討を進めているところでございます。
誘客キャンペーンの前提として2次交通の整備が必要になってまいります。連携会議にはJR東日本長野支社、長野電鉄、長電バスなどの交通事業者も参画をしておりまして、飯山駅からできるだけ円滑に各観光地に向かえるよう、11月7日の第1回の交通アクセス・案内所部会で検討がスタートをしたところでございます。
3点目の連携会議への民間団体の加入促進、住民意見の反映でございます。
連携会議では、実施事業への民間団体の協力や加入促進につきまして、観光団体、商工・農業団体を通じて呼びかけを行っていくこととされております。
地域住民の意見反映につきましては、例えば飯山市では、市民との市政懇談会を集落単位で開催するその意見聴取の中で意見をくみ取り、連携会議のほうに臨んでいるというところでございます。
また、連携会議では、飯山駅開業イベント実行委員会と連携をして、共催の形で、来年3月に地域住民を対象に機運の盛り上げを図る開業2年前イベントを計画をしておりますけれども、こうした取り組みを通じて、住民の意見、意向の取り込み、反映を行いたいということで聞いているところでございます。
以上でございます。
〔25番鈴木清君登壇〕
◆25番(鈴木清 君)飯山新駅につきましては、乗りおり乗客数が固定であってはならないし、第2の安中榛名現象をもたらさないためにも積極的な広範な取り組みが私は求められると思います。
後ほど時間があったら触れたいと思いますが、地域の自然や景観や伝統文化を生かしたものをぜひ飯山観光につなげていただきたいと私は思っています。
次に、新幹線が設置される他県との連携についてであります。
新青森、鹿児島中央駅の設置に伴う両県の延伸後による経済効果はどのくらいであったのか。人口減少、交流人口の減少を踏まえ、新幹線延伸が長野県経済に及ぼす影響をどのようにとらえ、金沢延伸までの2年間、さらに敦賀延伸までの間に、県として何をどのように取り組んでいくのか。
2点目として、九州新幹線の各駅の利用者について、JRの当初の想定より10%以上上回った駅は川内駅と鹿児島中央駅の2駅のみであります。10%を下回ったのは筑後船小屋、新大牟田となっておりますが、恐らく利用者数を考慮して列車の停車本数が決められると思われますが、長野以北の駅についてどのような停車本数が見込まれているのか。お伺いをしたいと思います。
3点目に、石川、富山県民の調査では、利用客はまず東京を目指し、2番目に長野県となっております。本県として、石川、富山のどの年代層を主要のターゲットとして見込んでおられるのか。
2番目として、県内の観光地に対する関心度はどのような状況なのか。
3番目として、現状では、石川、富山両県からは車による来訪がほとんどであると思われますが、延伸後にどのくらい移行すると見込まれておるのか。
その3点については観光部長にお伺いします。前3問については企画部長より御答弁をお願いいたします。
〔企画部長原山隆一君登壇〕
◎企画部長(原山隆一 君)新幹線延伸による経済効果についてでありますが、鹿児島県では、鹿児島地域経済研究所の調査がございまして、それによりますと、九州新幹線が2011年3月に全線開業し、開業前の2010年度と比較しますと県外宿泊客が20.5%増加し463億円余の経済効果があったとされているところであります。
なお、東北新幹線青森延伸による経済効果については現時点では調査されていないというふうに聞いております。
長野県経済に及ぼす影響、鹿児島県の調査も開業後に行われているように、開業前に定量的に分析するというのは困難でございます。ですが、経済界が中心となって設立いたしました新幹線延伸を活用した経済活性化協議会、それから、県では和田副知事をキャップとして関係部局長、地方事務所長をメンバーとする北陸新幹線を活用した地域活性化会議、これを通じまして、その効果を最大化すべく、県としても観光を初め商工業、農業などさまざまな取り組みを進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
それから、長野以北の駅の停車本数でありますが、JR東日本からは、新幹線の長野以北の駅での停車本数は現時点では決定していないと聞いております。最終的には営業主体であるJRにおいてさまざまな要素を踏まえて決められることになるということでありますが、軽井沢、佐久平、上田、長野の各駅を見ますと、長野新幹線開業時に比べ現在では6本から14本停車本数が増加しております。利用者数をふやすための取り組みを展開しながら、県内での新幹線停車本数が確保されるようJRに働きかけてまいりたいというふうに考えております。
〔観光部長野池明登君登壇〕
◎観光部長(野池明登 君)お答えいたします。
石川、富山県民の観光動向についてでございます。
まず、ターゲットとする年代層ですけれども、アンケートによりますと、20歳代、60歳代の方は他の年代よりも長野県へ行きたいと答えた方が多く、これは長時間の車の運転による不安を覚える層というふうに考えられます。したがいまして、高齢者、女性は新幹線を利用したいという意向が明らかになりましたので、いわゆるアクティブシニア層、女性層を中心に誘客を図りたいというふうに考えているところでございます。
県内観光地に対する関心度でございますが、これは長野県の強みと裏返しになっておりますけれども、自然や景観、スポーツ、果物や高原野菜といった食、それからショッピング、これは軽井沢ですけれども、などへの関心が高く、旅行したい主な観光地といたしましては軽井沢高原、美ヶ原高原、善光寺、白樺湖、野沢温泉などとアンケート結果ではなっているところでございます。
自動車から新幹線にどのくらい移行するかでございますけれども、先ほど御答弁をさせていただきましたとおり、現在1割強が延伸後は65%ということで状況が格段に伸びておりますので、この移行をしっかりと受けとめられるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
〔25番鈴木清君登壇〕
◆25番(鈴木清 君)引き続き観光部長にお伺いいたしますが、延伸後を見据えて、いわゆる県内の各新幹線駅からのハブ化をいかに進められるかがかぎだと私は思っております。
まず1番として、信州の人気スポットである、全国有数の本県は温泉地でございますから、温泉地や自然豊かな観光地などをつなぐ周遊コースはどの程度設計されておられるのか。
2点目として、北陸3県と違い、海のない本県ではあっても四季折々の自然や山岳地帯についての条件は非常に整っております。私鉄各社とも協力し、循環観光バスの運行はどの程度具体化される見通しなのか。
3点目として、本県は国内有数の果実、園芸野菜の生産県であります。また、史跡も多く存在しておりますが、そうした産地、スポットをめぐる新しい周遊メニューというものをお示しすることはできないのかどうなのか。その辺の取り組みについてもお伺いをしたいと思います。
〔観光部長野池明登君登壇〕
◎観光部長(野池明登 君)お答えをいたします。
県内各新幹線駅を中心とした観光の広域化、御質問にありましたハブ化についてでございます。
新幹線の県内停車駅5駅を基点にいたしまして、おおむね半径4キロの地域で4時間の過ごし方、半径10キロから20キロの地域で8時間の過ごし方、それにあわせた広域観光ルートの動き方の検討を行いまして誘客を図る取り組みを、県観光協会が中心となりまして、県、それから新幹線所在市町とともに検討を進めているところでございます。
10月下旬から11月上旬にかけまして、五つの駅ごとに、行政、観光協会、商工団体、交通事業者から成る検討チームが立ち上がりまして、観光資源の発掘とそれらのつなぎ方について具体的な検討を進めているところでございます。
今後は、今年度末までにおおむねの検討作業を終了をし、新年度は旅行商品づくりにつながる具体的な提案ができるようにしてまいりたいと思っておりますし、平成26年度にはプロモーションにつなげたいというスケジュールで取り組んでいるところでございます。
周遊コース、メニューにつきましては、御質問にありました美しい景観、山岳、高原、おいしい食材、歴史、文化、まさに信州らしさ、長野県の強みでございます。これらを旅行商品に仕立てることができるように、地域の皆さんと連携をして具体的に取り組みをしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
以上でございます。
〔25番鈴木清君登壇〕
◆25番(鈴木清 君)ここで、新幹線から途中下車して在来線に話題を振らせていただきたいと思います。
平成9年、しなの鉄道発足以降、しなの鉄道ではテクノさかき駅、屋代高校前駅、信濃国分寺駅、千曲駅の四つの新駅を設置してまいりました。長野以北につきましても、地元利用の拡大はもちろん求められておりますが、新幹線の2次交通を充実するという観点からも新駅の設置についてどのようにお考えなのか。
長野商工会議所では長野駅のハブ化構想を提案しておりますが、ハブ化を進めるためには在来線の機能強化が必要と考えております。しなの鉄道の新駅においては、まず採算性及び利用客の利便向上、2番目として用地は地元市町村の責任において確保、3番目として新駅設置費用は地元市町村等で負担という三つの条件を定めておりますが、長野以北の在来線についても3要件を満たす場合には新駅を設置する方針として認識してよいのかどうなのか。
また、これまでの新駅設置の目安となる利用客数は500人程度と見込まれておりますが、長野以北についても同様と考えてよろしいのかどうなのか。企画部長の御見解をお伺いいたしたいと思います。
〔企画部長原山隆一君登壇〕
◎企画部長(原山隆一 君)しなの鉄道の新駅設置についての御質問でございます。
長野以北並行在来線はしなの鉄道が経営することが決定されておりますので、新駅の設置についても今までと同様の考え方で決められるものと考えております。
新駅設置に当たっての利用人員の目安については特に定められておりませんが、隣接する駅からの転移も多いことが予想されますので、採算性を検討するに当たっては、これらを除いた新規の利用者がどの程度見込めるか、また、これによって駅の運営経費等を賄えるかということがポイントになるものというふうに考えております。
以上です。
〔25番鈴木清君登壇〕
◆25番(鈴木清 君)いろいろの経済団体や産業団体の提言によりますと、これからの観光誘致というものはいわゆるストーリー性が求められておりますね。単なる点から点、点から線、線から面という観光誘客するには、歴史的な史跡や携わった人物、史跡等も総合的に網羅したいわゆるストーリー性が重視されております。
私、飯山駅が開業した場合に、さて、その後どうなるのか大変危惧しておりますが、過日、私どもの会派で飯田線の天龍村へ行ってまいりました。村長さんとお話をしておりましたら、観光バスの2台の中から中高年の女性客が大勢おりてきたんですね。一体、どうしたんだろうと。平岡駅に向かって皆さん歩いていくんですよ。松代の方々がおられて、どうしましたかと。実は飯田線の秘境駅を探訪するんだと。なるほど、無人駅という危惧された質問ありましたけれども、逆に、この閉ざされた環境の中で山紫水明の地の飯田線というものを改めて見直すスポットもあるのかなということを私は感じました。
飯山線は日本で有数な豪雪地帯であります。昭和20年2月12日、7メートル86センチという豪雪の標柱が立っておりますけれども、雪のない新幹線を利用した北陸3県、あるいは関東周辺の皆さんが飯山駅でおりて、この豪雪の回廊を車で回って、雪のすばらしさ、あるいはまた迫力というものを学んでいただく。そしてまた、ある意味においては童謡で名高い高野辰之先生の生まれた地域が隣の市であります。
ですから、私は、長野駅から童謡列車ということで山紫水明の四季折々の変化を楽しんでいただきながら飯山まで行っていただいて、飯山から新駅に乗っていただくということも考えられないだろうか。あるいは、飯山から秘境の地と言われた秋山郷を通って、長野県の誇る志賀高原を通って、そして最近脚光を浴びている小布施を通過し、善光寺で心身ともにすっきりしてお帰りいただくというような周遊コースも考えられないものだろうか。
私は、観光というのはやはりソフトの部分が大事だと思っています。したがって、どのようなストーリー性を持ったメニューを組み立てていくかということが私はこれからの観光行政の要諦だと思っております。
たまたま26年の開業が予定されておるわけでございますけれども、実は善光寺の御開帳が翌27年に予定をされております。平成21年には673万人という善男善女が参拝に見えているわけであります。したがって、これだけ大勢の参拝客を、単なる善光寺を参拝して一過性にすることなく、せっかくの機会ですから、長野県内に泊まっていただいて、そして長野県の名物を食べていただいて、買い物をしていただいて、日本で誇れるような温泉地で安らいでいただくというようなことも今から考えていかないと、単なる一過性の善光寺の一人勝ちの御開帳で終わってしまう。私はそのように危惧をしておりますが、観光部長、いかがでしょうか。
善光寺の御開帳を奇貨として、新幹線を利用した国内外の顧客の誘致、それを長野県内に滞在型の一つの周遊コースとしてストーリー性を持たせるというような案でございますが、観光部長の御所見を承りたいと思います。
〔観光部長野池明登君登壇〕
◎観光部長(野池明登 君)お答えいたします。
今の議員の御質問の中で2点大事な点をお話をいただきました。観光はまさにストーリー性ということで、ストーリー性のある観光こそ感動を生むということで、飯山につきましてもこの点をしっかりと心に刻んでまいりたいというふうに思っております。
また、御開帳のお話がございました。
御開帳のない年は1年間を通して600万人台、御開帳のある年は御開帳期間だけで600万人台ということで、大変大きな観光の祭事でございます。通常ですと、なるべく多くの人に信州観光をということで大都市圏に盛んに打って出るわけですけれども、せっかく全国各地からこれだけの人が集まるものですから、この機会をとらえて御開帳を長野県全体のPRにぜひ生かしていきたいというふうに思っております。
幸い長野商工会議所も前回より早く準備会を立ち上げていただきましたので、ただいまの御提案をこういった場にもしっかりとつながせていただきたいというふうに思っております。
以上でございます。
〔25番鈴木清君登壇〕
◆25番(鈴木清 君)時間がありませんから締めくくりたいと思いますけれども、いわゆる企画部、観光部という行政の縦割りののりを超え、枠を超えて、重層的に県行政が一丸となって延伸後の長野県の未来像というものをつくっていかなければ、機動的に機能し、形になっていかないと私は思うんです。
例えば、農業のいわゆる出荷高とか、あるいは農業振興について新幹線はどのようなプラス、マイナスで影響あるのか。私は農政部長にもお聞きしたかった。あるいは、文教都市金沢を控えて、長野県の生徒、学生がどのような移動するのか。教育長にも実はお聞きしたかったと思っています。
長野県の中で、長野市を中心としたコンベンションシティーがございますが、一つの特徴を申し上げますと、北陸の金沢は有数の文教都市でございますから教育関係のコンベンションは金沢がずば抜けてノウハウと運営のシステムを持っています。富山の高岡は、いわゆる越中富山の薬ということで、薬学関係のコンベンションは高岡が他の都府県の都市と比べて相当な実績を持っています。新潟は、環日本海ということで、ロシア、韓国、北朝鮮を含めたコンベンションは新潟市に集中しています。
翻って、長野県のいわゆるコンセプト、キーワードは何か。いわゆるオリンピックの遺産があります。全国の長寿県だ、健康県だと。健康というコンセプトの中に温泉をメニューに加え、そして宗教的な安らぎを加え、一つの健康、安らぎというコンセプトの中でスポーツに関するコンベンションは長野だというようなものを積み重ねていくことが私は大事だと思っています。
終わりに、知事に重ねてお聞きしますけれども、先ほど来の質疑を通じまして、知事は機動的に新幹線延伸をチャンスにしたいということを冒頭発言されておりました。やはり作文を書くような理想論を言っておっても事業というものは私は進んでいかないと思うんです。市町村とも協議し、部内の各部局の縦割り行政を排し、横断的に、そしてまた長野を加えた北信越5県が連携することによって重層的な観光客を誘致できると私は思っています。
大型店舗と大型店舗間との小売りの顧客競争の時代がありました。それが地域と地域との競合になりまして、都市間と都市間の誘客競争になったんですね。観光もそうです。産業もそうです。高速交通網の時代に入りましたから、北信越5県が連携をし、日本全国から顧客を引っ張ってきて長野県の発展につなげるということを私は望んでおりますが、最後にまとめて知事の御所見をお伺いをしたいと思います。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)北陸新幹線の延伸に関連してるる御質問をいただきました。
今、ずっと私もやりとり聞かせていただいておりましたが、その中で、鈴木議員御指摘あったように、重層的に、縦割りを排して、全体的に取り組みを組み立て直す必要があるんじゃないかなというふうに感じました。
北陸新幹線の延伸、これは冒頭申し上げたようにチャンスとしていかなければいけないというふうに思っております。そのためには、一つはしっかりと新幹線に対するアクセスを整備していくということが重要だと思っております。新幹線各駅と県内主要都市、あるいは観光地を結ぶ交通網の整備を着実にしていくということが重要だろうと思っております。
また、あわせて、これは北陸各県あるいは新潟とは一面競争し合う部分もありますけれども、逆に、最後に御指摘あったように、それぞれの強みを生かして協力していくということが重要だろうと思っています。
中部圏知事会議でも各県連携して観光振興に取り組もうという方向で取り組みを進めておりますし、また、北陸信越運輸局主催の観光担当部長会議でも、北陸新幹線延伸、相互に相乗効果がある連携を図っていこうということで取り組みを進めています。
競争するべきところは競争しながらも、しっかりと連携を図りながら、鈴木議員御指摘がありましたストーリー性、私、飯山駅というのは本当に日本の原風景をしっかり打ち出せるところだと思いますし、暮らしていると雪害という問題ありますが、逆に、これは、世界的に、あるいは日本の雪が降らない地域から見るとすばらしい特色だというふうに思っておりますので、そうしたことをしっかり打ち出してコンセプトを出せるような取り組みを進めていきたいというふうに考えております。
以上です。
○議長(平野成基 君)会議規則第13条第2項の規定により、本日はこれをもって延会いたしたいと思います。
次会は、明29日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。
本日は、これをもって延会いたします。
午後4時36分延会...