長野県議会 2012-02-17
平成24年 2月定例会本会議-02月17日-01号
平成24年 2月定例会本会議-02月17日-01号平成24年 2月定例会本会議
平成24年2月17日(金曜日)
応招議員の席次及び氏名
1 番 松本市 中川博司
2 番 南佐久郡南相木村 依田明善
3 番 東御市 石和 大
4 番 佐久市 藤岡義英
5 番 松本市 中川宏昌
6 番 小県郡青木村 清水純子
7 番 諏訪郡富士見町 小池久長
8 番 佐久市 桃井 進
9 番 下伊那郡松川町 髙橋岑俊
10 番 安曇野市 甕 裕一
11 番 下伊那郡高森町 吉川彰一
12 番 小諸市 山岸喜昭
13 番 千曲市 荒井武志
14 番 上田市 堀場秀孝
15 番 塩尻市 続木幹夫
16 番 松本市 両角友成
17 番 中野市 小林東一郎
18 番 長野市 太田昌孝
19 番 茅野市 今井 敦
20 番 中野市 丸山栄一
21 番 岡谷市 小松 稔
22 番 岡谷市 野澤徹司
23 番 飯田市 小島康晴
24 番 松本市 下沢順一郎
25 番 長野市 鈴木 清
26 番 飯山市 宮本衡司
27 番 諏訪市 金子ゆかり
28 番 長野市 和田明子
29 番 北佐久郡立科町 今井正子
30 番 須坂市 永井一雄
31 番 大町市 諏訪光昭
32 番 飯田市 小池 清
33 番 東筑摩郡朝日村 清沢英男
34 番 上伊那郡辰野町 垣内基良
35 番 長野市 竹内久幸
36 番 駒ヶ根市 佐々木祥二
37 番 伊那市 向山公人
38 番 上田市 高村京子
39 番 上伊那郡箕輪町 小林伸陽
40 番 木曽郡上松町 村上 淳
41 番 塩尻市 小松千万蔵
42 番 長野市 西沢正隆
43 番 長野市 風間辰一
44 番 上田市 平野成基
45 番 松本市 本郷一彦
46 番 長野市 倉田竜彦
47 番 北佐久郡立科町 寺島義幸
48 番 長野市 高橋 宏
49 番 長野市 石坂千穂
50 番 北安曇郡池田町 宮澤敏文
51 番 須坂市 村石正郎
52 番 伊那市 木下茂人
53 番 松本市 萩原 清
54 番 上水内郡信濃町 服部宏昭
55 番 安曇野市 望月雄内
56 番 飯田市 古田芙士
57 番 千曲市 下﨑 保
58 番 長野市 石田治一郎
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出席議員(58名)
1 番 中川博司 27 番 金子ゆかり
2 番 依田明善 28 番 和田明子
3 番 石和 大 29 番 今井正子
4 番 藤岡義英 30 番 永井一雄
5 番 中川宏昌 31 番 諏訪光昭
6 番 清水純子 32 番 小池 清
7 番 小池久長 33 番 清沢英男
8 番 桃井 進 34 番 垣内基良
9 番 髙橋岑俊 35 番 竹内久幸
10 番 甕 裕一 36 番 佐々木祥二
11 番 吉川彰一 37 番 向山公人
12 番 山岸喜昭 38 番 高村京子
13 番 荒井武志 39 番 小林伸陽
14 番 堀場秀孝 40 番 村上 淳
15 番 続木幹夫 41 番 小松千万蔵
16 番 両角友成 42 番 西沢正隆
17 番 小林東一郎 43 番 風間辰一
18 番 太田昌孝 44 番 平野成基
19 番 今井 敦 45 番 本郷一彦
20 番 丸山栄一 46 番 倉田竜彦
21 番 小松 稔 47 番 寺島義幸
22 番 野澤徹司 48 番 高橋 宏
23 番 小島康晴 49 番 石坂千穂
24 番 下沢順一郎 50 番 宮澤敏文
25 番 鈴木 清 51 番 村石正郎
26 番 宮本衡司 52 番 木下茂人
53 番 萩原 清 56 番 古田芙士
54 番 服部宏昭 57 番 下﨑 保
55 番 望月雄内 58 番 石田治一郎
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説明のため出席した者
知事 阿部守一 会計管理者 宮下富雄
副知事 和田恭良
公営企業管理者
副知事 加藤さゆり 職務執行者・企
危機管理部長 下條政久 業局長 山本浩司
企画部長 黒田和彦 財政課長 奥田隆則
総務部長 岩﨑 弘
教育委員会委員
健康福祉部長 眞鍋 馨 長 矢﨑和広
環境部長 荒井英彦 教育長 山口利幸
商工労働部長 太田 寛 教育次長 柳澤直樹
観光部長 野池明登 教育次長 荒深重徳
農政部長 萩原正明 警察本部長 佐々木真郎
建設部長 堀内 秀 警務部長 鈴木達也
監査委員 吉澤直亮
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 宮下清一
議事課担当係長 矢島 武
議事課長 大日方正明
総務課担当係長 村井昌久
企画幹兼議事課
課長補佐 浅岡龍光
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午後1時1分開会
○議長(村石正郎 君)ただいまから第379回県議会を開会いたします。
知事から招集のあいさつがあります。
阿部知事。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)本日ここに2月県議会定例会を招集いたしましたところ、議員各位の御出席を賜り、まことにありがとうございます。
第 52 号 長野県学校職員の給与に関する条例及び義務教育諸学校等の教育職員の給与等の特例に関する条例の一部を改正する条例案
第 53 号 長野県
総合教育センター設置条例の一部を改正する条例案
第 54 号
県立長野図書館条例の一部を改正する条例案
第 55 号
長野県立歴史館条例の一部を改正する条例案
第 56 号 長野県公営企業の設置及びその経営の基本並びに財務等の特例に関する条例の一部を改正する条例案
第 57 号
県営水道用水料金徴収条例の一部を改正する条例案
第 58 号
全国自治宝くじ事務協議会規約の一部改正について
第 59 号
包括外部監査契約の締結について
第 60 号
流域下水道建設事業施行に伴う市町村の負担について
第 61 号 長野県
千曲川流域下水道の維持管理に要する費用の負担について
第 62 号 権利の放棄について
第 63 号 権利の放棄について
第 64 号
県営土地改良事業施行に伴う市町村の負担について
第 65 号
県営林道事業施行に伴う市町村の負担について
第 66 号 道路上の事故に係る損害賠償について
第 67 号 一般国道152
号道路改築工事(小道木2号トンネル)請負契約の締結について
第 68 号 一般国道418
号道路改築工事(藁野トンネル)請負契約の締結について
第 69 号 一般国道403
号道路改築工事(中央橋架替3工区)請負契約の締結について
第 70 号 一般国道403
号道路改築工事(中央橋架替4工区)請負契約の締結について
第 71 号 一般国道403
号道路改築工事(中央橋架替5工区)請負契約の締結について
第 72 号
長野県庁本館棟耐震改修建築工事変更請負契約の締結について
第 73 号 道路事業施行に伴う市町村の負担について
第 74 号
北陸新幹線建設事業の県負担金に対する市の負担について
第 75 号 急
傾斜地崩壊対策事業施行に伴う市町村の負担について
第 76 号
都市計画事業施行に伴う市町村の負担について
報第1号 交通事故に係る損害賠償の
専決処分報告
報第2号 交通事故に係る損害賠償の
専決処分報告
報第3号 交通事故に係る損害賠償の
専決処分報告
報第4号 交通事故に係る損害賠償の
専決処分報告
報第5号 道路上の事故に係る損害賠償の
専決処分報告
報第6号 道路上の事故に係る損害賠償の
専決処分報告
報第7号 河川隣接地の事故に係る損害賠償の
専決処分報告
報第8号 交通事故に係る損害賠償の
専決処分報告
〔議案等の部「1 議案 (1)
知事提出議案」参照〕
○議長(村石正郎 君)以上であります。
次に、お手元に配付いたしましたとおり、地方自治法第122条及び
地方公営企業法第25条の規定に基づき知事から予算説明書の提出がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。
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△
知事提出議案
○議長(村石正郎 君)ただいま報告いたしました
知事提出議案を一括して議題といたします。
提出議案の説明を求めます。
最初に、阿部守一知事。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)ただいま提出いたしました平成24年度当初予算案を初めとする議案の説明に先立ち、新年度の県政運営に向けての所信などについて申し述べさせていただきます。
まず、長野県北部を中心とした大雪について申し上げます。
このたびの大雪は、除雪作業中の事故による死傷者の発生など、大きな被害をもたらしております。お亡くなりになられた方々と御遺族に対し深く哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
県といたしましては、2月1日、豪雪警戒本部を設置するとともに、5市町村に対し災害救助法を適用し、住民の安全と生活の安定確保に取り組んでまいりましたが、被害の拡大防止に向け引き続き万全の対策を講じてまいります。
一昨年9月、私が県民の皆様の負託を受けて県政に取り組み始めてから、本年は早くも折り返し点を迎えます。この間、県民の皆様に身近で開かれた県政を目指し、県民参加と協働、そして対話に基づく県政を常に心がけてまいりました。
県民参加と協働では、審議会等の委員について2割を公募により選任するという具体的な数値目標を設定し、幅広い県民意見の県政への反映に努めたほか、県民参加のもとに
信州型事業仕分けを実施し、事業の必要性などについて県民の視点から点検を行いました。また、県民協働を進める信州円卓会議において長野県にふさわしい県民協働のあり方を検討するとともに、NPO等の自立的活動を後押しする新しい公共支援・推進事業に着手いたしました。さらに、
東日本大震災支援県民本部や
自然エネルギー信州ネットを各種団体や企業、NPOの皆様と共同で設立し、まさに県民と一体で施策推進に努めてまいりました。
対話に基づく県政の推進に向けては、34回に及ぶ
県政タウンミーティング、
県政ランチミーティングの開催、学校での児童生徒や学生との対話、市町村長との意見交換会などをきめ細かく実施し、県民の皆様が主役であることを強く意識して県政運営を行ってまいりました。
また、東日本大震災への支援に当たっても、栄村の復興を考える会や避難者の思い懇談会など、被災された皆様との直接の対話を通じ、常に現場起点で被災者の思いに寄り添った対応に努めてまいりました。
困難な時代にこそ県民の持てる力を幅広く結集して難局を乗り越えていかなければなりません。こうした県民参加と協働、そして県民の皆様との対話をさらに推進し、私のみならず、長野県組織全体の風土として根づかせてまいります。県民の皆様とともに考え行動する県民主権の長野県、県民総参加の丁寧な民主主義を信州から創造します。
平成16年に後ろ髪を引かれる思いで長野県を辞した後、私は、
総務省過疎対策室長として人口減少に悩む日本全国の市町村に対する支援を行う中で、我が国の地域社会がこれから目指すべき方向性について考えておりました。そのキーワードは、
東京スタンダードではない多様な地域、人間生活優先の地域、そして持続可能な地域です。
物質的な豊かさの追求が個人の幸福に直結する時代が過ぎ去った今、さまざまな価値観を持つ国民が真にゆとりと豊かさを実感できるようにするためには、東京を基準とした画一化、効率化を進めるのではなく、それぞれの都道府県や市町村が地域の多様な個性や強みを伸ばし、活力に満ちた地域社会を実現していくことが必要です。また、これからの社会では、居住環境が充実し、魅力的な暮らしを営むことができる地域こそが人を引きつけ、それが地域の競争力の源泉となります。
現代社会は、化石燃料に過度に依存し、巨大で複雑な技術的・
制度的インフラに支えられた中央集権的なシステムの上に成り立っていますが、こうしたシステムは新たな課題への柔軟性や対応力を欠き、混乱に対しても脆弱で、持続可能性が高いとは言えません。
私のこうした考えは、昨年3月11日の東日本大震災以降、一層強固なものとなりました。
今回の大地震と引き続いて発生した東京電力福島第1原子力発電所の事故が引き起こした甚大な被害と混乱は、私たちの社会にさまざまな教訓をもたらしました。これまでの社会のあり方をいま一度しっかりと振り返りながら、人間生活優先の持続可能な地域を創造していくことが今強く求められています。
幸い、私たち長野県は、こうした地域への最短距離に位置しています。長野県には、美しく豊かな景観や環境、先人たちが連綿と引き継いできた伝統や文化、
自然エネルギー活用への大いなる可能性、教育県、健康長寿県を築いてきたこれまでの取り組みの蓄積、人と人とのきずなやコミュニティーの強さといった地域の総合力など、数多くのすぐれた財産があります。
我が国の総人口が減少期に入り、本格的な成熟社会を迎える中で、こうした長野県の強みを最大限生かしながら、活力にあふれ、確かな暮らしが営まれる新しい地域社会を長野県から創造していかなければなりません。
ことしは新たな総合5カ年計画の策定を本格化する年です。こうした基本的な視点を持ちながら、今日の充足だけではなく、あすへの投資、未来への継承といった中長期での時間軸も意識して、県民の皆様と共有できる夢と希望に満ちた長野県の将来像を描き、その実現に全力を傾けてまいります。
県民の皆様とともに新しい長野県を創造していくためには、そのエンジンとなる県行政のあり方と財政構造を再構築することが必要です。このたび取りまとめた長野県行政・
財政改革方針案では、これまで当たり前のこととして扱ってきた行政経営理念を明確に掲げ、組織の使命であるミッション、目指す姿としてのビジョン、これらを実現するための行動指針としてのバリューを意識して県政を進めてまいります。
今回の改革は、具体的な取り組みを五つの大きな柱に沿って進めることとし、県民サービスの充実や、職員、組織の持つ力を最大限発揮できるような仕組みづくりなど、県行政の質的向上に特に力点を置きました。
まず、県民参加と協働の推進では、県民参加と協働により県民サービスの向上を図ります。NPOの資金確保や人材育成を支援し、県民の公的な活動の基盤強化を図るとともに、NPOを支援する中間支援組織との連携を強化します。また、県民目線での情報発信の強化や、1,000人規模の県政モニターの設置、政策づくりへの県民参画の推進などにより、県民が主役の行政運営を一層進めてまいります。
人材マネジメント改革では、職員の共感力、政策力、発信力を高め、具体的な成果を上げることができる高い資質と意欲を有する人材の育成確保に努めます。また、職員の能力を最大限に引き出すことができる新たな人事・給与制度について、外部の有識者にも御参加をいただく中で検討を進めます。このほか、女性の潜在的な能力を一層活用していくため、係長以上の女性職員数を今後5年間で1.5倍の330人に増加させることを目標に女性職員の採用、登用の拡大に取り組みます。
行政経営システム改革では、時代の要請やニーズに柔軟に対応することができる行政経営の仕組みを構築します。風通しのよい職場づくりや、一人一改善・一提案事業(仮称)の実施による職員、現場の意見の活用など組織風土の変革に挑戦するとともに、業務の生産性の向上を図るしごと改革に取り組みます。
職員数については、ピーク時の平成5年から今日まで、教育・警察部門を含めた全職員数の約13%、4,083人を削減してまいりましたが、厳しい財政状況にあって、さらに平成28年度までの5年間で5%、1,300人以上の職員数の削減に取り組んでまいります。
財政構造改革では、持続可能な財政構造の構築を目指します。このまま何も対策を講じなければ平成26年度には基金の枯渇が想定されます。質の高い県民サービスを継続して提供するため、改革方針に盛り込んだ歳入確保、歳出削減の取り組みを徹底することに加え、毎年度50億円以上の追加的な収支改善に取り組んでまいります。
また、将来の財政負担を考慮し、今後の当初予算における通常の建設事業債の発行額を原則として平成24年度当初予算額である592億円以内に抑えるとともに、行政改革推進債、退職手当債についても極力発行を抑制するなど、財政の健全化に努めます。
なお、臨時財政対策債については、その廃止を含めた抜本的な改革を国に強く求めてまいります。
地方分権改革では、個性豊かで活力ある地域社会を実現するため、国から地方への権限や税財源の移譲を強く求めるとともに、本県の特徴を踏まえた長野県独自の自治のあり方を検討します。
橋下徹大阪市長が掲げる大阪都構想を受け、大都市制度や基礎自治体の担うべき役割など地方制度のあり方についての検討が政府や政党において加速化することが見込まれる中で、こうした動きに積極的かつ主体的にかかわっていくことが長野県の将来にとって重要です。住民の立場に立った地方自治を確立すべく、市町村と一緒になって取り組んでまいります。
この長野県行政・
財政改革方針案につきましては、広く県民の皆様から御意見をいただいた上で確定させ、本気の改革に取り組んでまいります。
平成24年度も、東日本大震災による被災地の復旧、復興と被災者の生活再建支援に全力を傾注してまいります。
栄村の復興に向けては、私も、昨年来、何度となく現地に足を運び、村民の皆様の切実な声をお伺いしてまいりました。栄村の皆様がふるさと栄村に安心して住み続けることができるよう、被災した道路や河川、農地の復旧などに全庁挙げて取り組んでまいります。過疎化、高齢化が進み、有数の豪雪地帯でもある栄村の復興が中山間地域振興の新しいモデルとなるよう、また、復興特区制度や復興交付金、栄村復興基金などを効果的に活用して栄村の復興が迅速に進むよう、県としても復興計画の策定を初めとする栄村の復興に積極的に参画してまいります。
東日本大震災を受け、県内には福島県の皆様を中心に今なお1,000人を超える方々が避難をされてきております。避難生活が長期化する中で、昨年11月に開催した避難者の思い懇談会では、仕事や住まいの確保、健康面への不安、避難者同士の交流の場の設置などを求める切実な声が数多く寄せられました。こうした御意見を踏まえ、借り上げ住宅制度の受け付け期間を3月末まで延長したほか、市町村と協力して避難者同士の情報交換や励まし合いの場となる交流会の設置を進めております。避難をされてきた方々がふるさとを思いながらも長野県で安心して暮らすことができるよう、引き続き支援を行ってまいります。
現在、復興計画づくりを支援するため栄村に1人、災害復旧等の支援を行うため岩手県、福島県に9人の県職員を派遣しておりますが、4月からは14人に拡大する予定であり、今後とも被災自治体に対する応援を継続してまいります。
昨年の我が国経済を顧みますと、東日本大震災を受けて企業の生産活動や個人消費が大幅に落ち込み、加えて夏以降の急激な円高の進行や欧州の政府債務危機の顕在化による世界経済の減速により、極めて厳しい状況に置かれました。震災からの復興の動きと相まって、我が国経済は徐々に持ち直すことが期待されるものの、先行きについては、円高の定着やそれに伴う国内産業の空洞化など景気の下振れにつながる多くのリスクを抱えています。また、雇用情勢については、回復傾向にあるものの、依然として厳しい状況が続いています。
このような厳しい経済・雇用情勢のもと、国の平成24年度予算案は、震災からの復興を着実に進めるとともに、新産業の創出や人材の育成、持続可能で活力ある地域社会の構築などにより日本の経済、社会を再生することに重点を置いた予算として編成されました。
国の地方財政への対応につきましては、地方交付税の増額確保などにより地方の一般財源総額は前年度と同水準が確保されたものの、その内訳を見ますと、法人関係税について対前年度比で7.1%の大幅な増加を見込んでおり、現下の厳しい経済情勢にあって地域の実態を反映したものとは言えません。また、臨時財政対策債について、前年度と比べわずかながら縮減が図られているものの、地方財政の健全性の観点からは決して十分な対応ではありません。
社会保障と税の一体改革につきましては、社会保障の機能強化、機能維持のために安定した財源を確保し、同時に、財政健全化を進めるため消費税率を2014年4月、2015年10月と2段階で10%に引き上げることが政府・与党で決定され、今国会に法案を提出するべく準備が進められています。消費税率の引き上げ分の国と地方の配分については一定の方向性が示されましたが、国民が将来に向けて安心できる具体的な社会、経済のビジョンを示し、より踏み込んだ行政改革を国が率先して行うことなしに国民の理解は得られません。今後、現場の視点でとらえた社会保障懇話会において社会保障制度の実態を踏まえた検討を行い、国への具体的な提言や県としての施策に反映させてまいります。
平成24年度の県財政につきましては、現下の厳しい経済・雇用情勢や国の地方財政計画等を反映して、県税、地方交付税等の主要一般財源は前年度当初予算額を33億円下回ることが見込まれます。他方で、医療や介護などの社会保障関係費が61億円増加するなど、義務的な経費が増加し、県財政の硬直化が進む厳しい状況です。
以上のような経済・財政状況を踏まえ、平成24年度の当初予算案は限られた財源を重点的、効果的に活用することを基本に編成いたしました。
今定例会に提出いたしました平成24年度の当初予算案及びその他の案件について御説明申し上げます。
平成24年度の当初予算総額は、一般会計8,411億8,696万円、特別会計2,434億2,508万円、企業特別会計124億2,376万7,000円であります。特別会計は、公債費特別会計など12会計、企業特別会計は電気事業及び水道事業の2会計であります。
今回の予算案では、信州らしさを一層強化して産業や地域を元気にすることを強く意識し、自然エネルギーの普及拡大や、人や企業に選ばれる信州の創造と発信、美しい信州の環境、景観の保全と創造、スポーツ、文化の振興、さらには雇用の確保や県内産業の下支え、防災・減災対策の強化など10の視点から施策を構築いたしました。
予算編成に当たっては、県内各地域が持つ特性や課題を県の施策に反映させるため、新たに地方事務所長からの施策提案を実施し、提案された24項目中22項目でその具体化を図りました。また、複雑・多様化する県民ニーズに迅速、的確にこたえるため、部局連携による総合的な施策の構築にも重点を置いて取り組みました。
可能な限り子供たちの世代にツケを回さないという観点から、臨時財政対策債を含めた県債発行額を公共投資臨時基金を加味した前年度当初予算額の範囲内に抑制する一方で、現在の経済情勢等にかんがみ、財政調整のための基金を93億円取り崩して活用することといたしました。
以下、主な施策につきまして、経済・雇用対策の実施、教育・子育て先進県の実現、産業力、地域力の強化、暮らしの安心確保、県民主役の自立した県政の実現の五つの柱に沿って順次御説明申し上げます。
第1に、経済・雇用対策の実施について申し上げます。
昨年9月、国の経済対策に先駆けて県独自の経済対策として策定した「長野県緊急経済活性化対策~くらしの安全・安心 経済成長プロジェクト~」に基づき、9月補正予算、11月補正予算を合わせて約157億円の事業規模で、風評被害の払拭や急激な円高への対応など県内経済の下支えと雇用確保のための取り組みの機動的な実施に努めてきたところですが、引き続き現下の厳しい経済・雇用情勢を踏まえた対策を講じてまいります。
県内企業のビジネスチャンスを拡大するため、アジア最大級の食品・飲料専門展示会FOODEX JAPAN2013を初めとして、国内外で開催される展示会、商談会への出展を最大限に支援することとし、関連する予算額を前年度比30%増となる約1億7,000万円に増額いたしました。これにより、すぐれた技術力や地域資源を生かした工業製品や加工食品、農畜産物等の販路拡大を図ります。
中小企業融資制度資金につきましては、融資目標額を前年度当初予算額と同額の1,000億円とし、中小企業の資金繰りを支援して経営の下支えを図ります。また、県単独の公共事業については、既存の社会資本の有効活用とライフサイクルコストの縮減を図るとともに、地域企業の受注機会を確保するため、維持修繕工事に重点化を図りつつ、前年度当初予算額と同規模の168億円の事業費を確保いたしました。
さらに、信州型エコ住宅・環の住まいの助成件数を150件から200件に拡大するほか、新たに創設した信州型住宅リフォーム制度により220件の助成を行い、県産材を活用した個人住宅の新築、改修を促進します。このほか、社会福祉施設や病院、高等学校など住民生活に身近な社会資本の整備を着実に進めてまいります。
厳しい雇用情勢に対応するため、ジョブカフェ信州によるキャリアコンサルティングや情報提供などを通じて未就業者の就労を支援するほか、高等学校に就職指導サポーター28人を配置して厳しい状況に置かれている高校生の就職活動を支援してまいります。また、県内4カ所目となるパーソナル・サポート・センターを本年4月から飯田市に開設し、就労希望者個々のニーズに合わせた制度横断的なサービス提供を充実します。さらに、NPOと連携して、障害の認定には至らないものの援助を必要とする若年者の就労を支援します。
なお、就労支援を受ける方の利便性を高めるため、パーソナル・サポート・センター等で行う相談・支援業務とハローワークの職業紹介業務等を一体的に行うことができるよう現在国に提案しているところであり、早期の実現を図ってまいります。このほか、緊急雇用創出基金を活用して2,600人を超える雇用の確保を図ります。
第2に、教育・子育て先進県の実現について申し上げます。
信州教育の再生は私の政策の重要な柱の一つです。確かな学力と豊かな人間性、社会性をはぐくむ学校教育を充実させるとともに、社会全体で子供、子育てを支え、あすの長野県を担う子供たちが健やかにたくましく育つよう、知事として責任を持って取り組みます。
30人規模学級編制につきましては、本年度中学校1年生に導入した成果を踏まえ、学力向上や不登校、発達障害の問題などにきめ細かく対応することができるよう、来年度以降、中学校2年生、3年生へと順次拡大してまいります。同時に、教育の質の向上も重要な課題です。教育委員の皆様との定期的な意見交換などを通じて問題意識を共有し、具体的な取り組みを促してまいりたいと考えております。
高等学校につきましては、前年度当初予算額を5億円以上上回る27億円余の事業費を確保し、再編に向けた施設整備や老朽化した校舎、体育施設の改築など学習環境の充実を図ります。また、公立としては県内で初めての併設型中高一貫校として本年4月に開校する屋代高等学校附属中学校の運営に万全を期すとともに、諏訪清陵高等学校の附属中学校について平成26年4月開校に向けた整備を着実に進めます。
特別支援学校につきましては、児童生徒数の増加への対応や法定数との乖離解消を図るため教員を36人増員するほか、長野ろう学校、長野養護学校三輪校舎の再編整備を進めます。
新たな県立4年制大学について申し上げます。
昨年7月、長野県短期大学の将来構想に関する検討委員会から、長野県の高等教育をより一層充実するためには長野県短期大学を改組し、新たな公立4年制大学に転換することが必要であるとの報告をいただきました。現在、これを受けて、大学の運営体制や長野県看護大学との関係など整理すべき課題について庁内で検討を進めるとともに、グローバル人材を育成する大学のトップの方々などに顧問を依頼し、目指すべき大学像について御議論をいただいているところです。
18歳人口が減少し大学間競争が激化する中ではありますが、長野県の将来のためには人づくりが極めて重要であるとの思いから、新たな県立4年制大学を開設することを決断いたしました。4月には総務部に県立大学設立準備室を設置するとともに、有識者による設立準備委員会を立ち上げ、教育理念や運営体制、学部、学科の構成、特色ある教育内容など、大学の基本構想を固めてまいります。
安心して子供を産み育てることができる環境づくりを進めるため、子育てをしながら働く方々のニーズに対応した延長保育、病児・病後児保育など多様な保育サービスの提供体制を充実するほか、病気やけがなど小児救急の電話相談に応じる相談員体制を拡充します。
また、労政事務所に働く女性応援アドバイザー4人を配置して企業訪問や啓発活動により男性の育児休暇の取得を促進するなど、子育て中の女性が仕事と家庭を両立させながら働くことができる職場環境づくりを進めます。このほか、社会全体で子供、若者の育ちを支える長野県を実現するため、子ども・若者支援地域協議会を設置して、就学、就業など社会生活に困難を有する子供、若者の社会的自立を支援します。
第3に、産業力、地域力の強化について申し上げます。
経済のグローバル化や地域間競争の激化などにより県内の産業はいずれも厳しい状況に置かれていますが、すぐれた地域資源など長野県の強みを生かし、競争力ある力強い産業へと発展させるとともに、個性豊かな地域の振興に努めてまいります。
東日本大震災を契機として、地域分散型、市民参加型のエネルギー供給体制への転換が強く求められています。本年を信州自然エネルギー元年と位置づけ、太陽光や小水力、木質バイオマスなど、本県の強みである豊かな自然エネルギー源を活用した地域産業の活性化や地域づくりを推進します。
1村1自然エネルギープロジェクトを開始し、市町村による自然エネルギー自給コミュニティーづくりや民間事業者による革新的なビジネスモデルの構築を支援するとともに、企業、NPO等との協働による
自然エネルギー信州ネットの活動を一層発展させてまいります。
また、農業水利施設における小水力、太陽光発電設備の設置や、県有施設、未利用県有地を活用した自然エネルギー導入モデルの構築を進めるとともに、市町村が行う急速充電器の整備に対する助成により電気自動車による自然に優しい観光地づくりを推進します。このほか、木質バイオマスの普及を図るため、公共施設や家庭、事業所へのペレットストーブ・ボイラーの導入を支援します。
長野県の経済を牽引してきた製造業も時代の変化に対応した変革が必要であり、国際市場での競争力を発揮できる次世代産業の創出が急務です。長野県ものづくり産業振興戦略プラン(仮称)に沿って長野県産業の高度な技術力や特徴ある地域資源を生かすべく、健康・医療、環境・エネルギー、次世代交通の3分野を本県ものづくり産業の成長分野として位置づけ、研究開発、販路開拓、人材育成などあらゆる角度からの支援を行ってまいります。
また、長野県国際戦略(仮称)に基づき、海外市場の販路拡大や国際的産学官連携による技術開発などに重点的に取り組み、世界の活力を取り込んでさらなる成長を図ってまいります。このほか、商工労働部に次世代産業集積室を設置し、成長産業分野に重点を置いた企業誘致活動を戦略的に展開して県内経済の活性化と雇用の創出を図ってまいります。
ものづくり分野の技術開発を支える人材の育成確保に向けては、工科短期大学校の南信地域への配置も含め、将来を見据えた職業能力開発のあり方を検討します。
また、本年10月に開催される技能五輪全国大会及びアビリンピックを成功させ、若年技能者の育成や技能継承、障害者の雇用促進につなげるため、関係諸団体と一体となって取り組みを進めます。
平成18年から21年の3カ年における本県の開業率は2.3%と統計がある昭和44年以降最低の水準にあり、全国でも37位と低位に位置しています。地域経済の活性化のためには、あすの長野県経済を担う新たな企業の育成が必要であることから、日本一創業しやすい県を目指した取り組みを進めてまいります。長野県中小企業振興センターに創業に関する相談、助言をワンストップで実施する相談窓口を新たに設置するほか、中小企業融資制度資金の創業支援資金について、貸し付け利率の引き下げ、自己資金要件の緩和、融資目標額の拡大等を行い、より創業にチャレンジしやすい環境を整備します。また、本年度で期限を迎える中小企業の創業を応援するための政策減税を延長し、税制面からも創業を後押しします。
ブランド総合研究所が昨年行った都道府県の魅力度ランキングによると本県は全国8位、また、日経リサーチが行った平成22年度の都道府県のブランドランキングでは全国17位であり、残念ながら私たち長野県はすぐれた資源を持ちながらもそれに見合った評価を得られていません。人や企業に選ばれる信州を創造するためには、まず第一に信州ブランドの再構築が必要です。このため、観光部に信州ブランド推進室を設置し、新たなブランド戦略を打ち立てるとともに、長野県の持つブランドイメージに磨きをかけ、県内外へ力強く発信してまいります。
長野県産業の柱である観光業の活性化は、交流人口をふやし、地域全体を元気にすることにもつながります。依然として厳しい状況に置かれている県内の観光需要を回復、拡大させるため、市町村、経済団体等と連携して、過去最大規模となる1億円の事業費を投入して信州の四季の特徴を生かした観光キャンペーンを展開します。また、こうした取り組みが単なる一過性のもので終わることがないよう、観光ルートづくりや観光案内表示の統一化など、将来の観光地づくりを見据えた取り組みを並行して推進してまいります。
さらに、著名な文化人、経済人を観光大使として委嘱し、発信力を生かして長野県のPRを行うとともに、各地のフィルムコミッションと連携して映画やテレビのロケーション撮影の誘致などに積極的に取り組みます。
外国人旅行者の早期回復に向けては、経済成長著しい中国や台湾、シンガポールを最重点市場と位置づけ、現地での商談会の開催や旅行関係者の招聘などを通じ、スノーリゾートや教育旅行など長野県の強みを生かした戦略的な誘致を推進します。
移住・交流の推進に関しては、長野県移住・交流推進戦略に沿って来年度本格的な取り組みを展開します。東京観光情報センターに新たに移住専門相談員を配置して、Iターン相談員と一体となって移住希望者に対する相談、支援をワンストップで実施します。
観光部には移住・交流課を設置して、総合的、横断的な施策の実施により大都市圏などから長野県への移住・交流を拡大し、本県人口の社会増を目指して取り組んでまいります。
また、国際青少年交流農村宣言を具体化し、国内外からの学習旅行の誘致や、農村と観光が融合した体験型ニューツーリズムの創出などにより、美しい長野県の農村を舞台とした若者の交流拡大を図ってまいります。
TPP協定交渉を初めとする国際的な経済連携の動きに対しては、その影響が広範囲にわたることから、全庁的な対策会議において情報の収集、共有に努めるとともに、県内産業や地域社会への影響を的確に把握し、国への提言や具体的な対策を行ってまいります。国に対しては、引き続き、十分な情報提供と国民的な議論を行うことを強く求めてまいります。
農業については、TPPの推進のいかんにかかわらず競争力の高い農業の確立が重要です。農業・農村を元気にするためには、次代を担う意欲ある農業者を確保育成することが不可欠です。日本一就農しやすい長野県をキャッチフレーズに、就農希望者に対する農業体験会の開催や、1人当たり年間150万円、最大7年間で1,050万円の新規就農者に対する給付金の交付などにより新たな担い手の確保を図るとともに、所得1,000万円以上を目指す意欲ある農業者に対して企業的経営能力を高めるための実践的研修を実施します。
また、信州産農畜産物の消費拡大と食の魅力による観光誘客を図るため、おいしい信州ふーど(風土)宣言を強力に展開し、商談会、トップセールスの実施、地産地消県民運動の展開、おいしい信州ふーど(風土)大使の委嘱などにより、豊かな信州の風土から生まれた農畜産物のプレミアム、オリジナル、ヘリテイジの三つの付加価値を県内外に積極的に発信します。
持続可能な林業・木材産業の振興に向けては、県産材を安定して供給できる体制を整備するため、森林整備加速化・林業再生基金17億円余を活用して搬出間伐を重点的に実施するほか、高性能林業機械の導入、木材加工流通施設の整備等を進めます。また、県土の保全、水源の涵養、地球温暖化の防止など森林の持つ大切な役割を十分発揮できるよう、県民の皆様に御負担をいただいている森林づくり県民税を活用して手入れのおくれている里山での間伐を重点的に実施します。
現行の森林づくり県民税は平成24年度に最終年度を迎えることから、これまでの事業効果を検証するとともに、県議会を初め、県民、市町村の皆様などの御意見も伺いながら、平成25年度以降のあり方について検討します。
依然として深刻な状況にある野生鳥獣被害に対しましては、予算額を前年度の9億円から11億円に大幅に増額いたしました。ニホンジカ3万5,000頭の捕獲を目標とするほか、狩猟者の確保育成、市町村の枠を超えた広域捕獲の実施、集落ぐるみで行うわな捕獲への支援などを総合的に推進し、野生鳥獣に負けない農山村づくりに市町村や地域の皆様と協力して取り組みます。
地域発元気づくり支援金については、新たに自然エネルギーの普及拡大、障害者や若者の雇用促進、就業支援、美しい景観の形成を県全域で推進する重点テーマとして設定し、地域の創意工夫を生かしながら元気な長野県づくりを進めます。
長野県には世界に誇れる豊かで美しい農村景観があり、そこで暮らす住民はもとより、県内外から訪れる方にとっても心いやされる原風景となっています。こうしたすぐれた農村景観の保全、育成を図るため、研究会を設置して目指すべき農村景観のあり方を検討し、農村景観の育成に向けたアクションプログラムを策定します。
長野県を盛り上げ、地域に活力を与えるためにはスポーツや文化の振興が重要です。スポーツを核として地域を元気にするべく、観光や教育、健康などの施策と連携した総合的な取り組みを進めます。高地、冷涼といった長野県の強みを生かし、県内へのスポーツ合宿の誘致を強力に推進します。また、スポーツイベントなどを通じて地域の活性化を図るため、スポーツコミッションの設立、活用の可能性について検討します。さらに、幼児期からの運動遊びにより楽しみながら体力、運動能力を向上させる長野県版運動プログラムを県内全域で展開し、子供たちに体を動かすことの楽しさやスポーツの魅力を伝えるとともに、スポーツの習慣化により生涯にわたる健康づくりを推進します。
このほか、3年後に国民体育大会冬季大会で1位となることなどを目標に掲げ、冬季オリンピックや国民体育大会の出場につながる全国レベルの選手の育成強化に向けた支援を拡充します。
文化、芸術には、人々に楽しさや感動、精神的な安らぎをもたらすとともに、人と人を結び、地域の魅力や価値を高める力があります。このため、サイトウ・キネン・フェスティバル松本、スズキ・メソード世界大会への支援や、障害者の美術作品の魅力を発信するアール・ブリュット展の開催などに取り組むとともに、信濃美術館のこれからのあり方を検討するなど、長野県の特色としての文化、芸術の振興に努めてまいります。
長野県の将来の発展にとって、鉄道や空港、高速道路といった高速交通体系の整備と地域における日常生活の足の確保は大変重要な課題です。北陸新幹線長野―金沢間の平成26年度開業やリニア中央新幹線の具体化などを見据え、平成25年度からおおむね15年後を目標年次とする新たな総合交通ビジョンを策定します。
リニア中央新幹線に関しては、企画部にリニア推進振興室を設置し、JR東海や国、市町村との調整を行うとともに、交通アクセスや地域振興策の検討など、リニア中央新幹線の効果が長野県全体の発展につながるよう取り組んでまいります。
北陸新幹線につきましては、長野―金沢間の建設を促進するとともに、延伸を契機とした地域経済の活性化や観光の振興、加えて長野以北並行在来線の安定経営に向けた取り組みを関係自治体と連携しながら進めてまいります。
道路ネットワークの整備につきましては、中部横断自動車道や三遠南信自動車道など高規格幹線道路の整備促進のほか、松本糸魚川連絡道路の早期の事業化に向けた調査を実施します。このほか、市町村、経済団体等と連携して、信州まつもと空港の一層の認知度向上と利用促進に取り組んでまいります。
住民に身近な交通手段である地域の鉄道、バスなどの公共交通ネットワークの維持確保は喫緊の課題です。鉄道事業者が行う安全輸送を維持するための設備整備や乗り合いバスの運行経費に対する助成により、県民の皆様の移動の利便性を確保してまいります。
第4に、暮らしの安心確保について申し上げます。
県民だれもが住みなれた地域で安心して暮らせる社会を構築するため、一人一人のニーズに応じたきめ細かな医療・福祉施策を展開するとともに、自然と人が共生する豊かな環境づくり、防災・減災対策の強化などによる安全、安心な県づくりを進めます。
健康長寿の長野県を維持発展させるため、長野県地域医療再生計画に基づき、救急医療やがん対策における高度専門医療機関の整備充実、地域の医療機関の連携強化など、地域の医療課題の解決に向けた取り組みを支援します。
また、深刻化する医師不足に対しては、昨年設置した信州医師確保総合支援センターにおけるドクターバンク事業や医学生に対する修学資金の貸与、働きやすい環境整備などを総合的に推進し、医師の確保定着と偏在の解消に努めます。
年金の減額や介護保険料の引き上げ等により大きな打撃を受ける高齢者の負担増を抑制するため、後期高齢者医療財政安定化基金に対する拠出率を引き上げ、次期後期高齢者保険料の上昇を当初見込まれた8%から5%に抑制します。
入居待機者の増加が課題となっている特別養護老人ホームについては、新たに520床の施設整備を進めるとともに、障害者の工賃アップを図るため県内4地域に配置する事業化推進員により事業所の製品開発や販路開拓を支援します。また、障害のある子供を対象とした職場体験活動であるぷれジョブを広く普及させることにより子供の社会性をはぐくむとともに、障害者を地域で支える体制づくりを進めます。このほか、障害者に対する虐待事件が後を絶たない状況にあって、障害者支援課に長野県障害者虐待防止センターを設置して虐待に関する相談、支援や啓発活動を強化します。
発達障害者支援のあり方検討会からの報告書を踏まえ、すべての年代にわたって切れ目のない発達障害者支援のための体制づくりを推進します。県立こども病院の医師を派遣して発達障害の診療を行う医師等を対象とした研修や
事例検討等を実施し、地域の診療体制を強化します。また、発達障害者やその家族を身近で支えるサポーターを全市町村で養成します。さらに、障害者総合支援センター等に発達障害支援専門員15人を配置して教育現場での相談、指導をサポートするほか、民間のすぐれた取り組みを支援に生かすべく、発達障害のある子供に対して専門的な教育を行う学校の創設、誘致を検討します。
長野県福祉のまちづくり条例については、駐車スペースの適正利用を推進するパーキングパーミット制度の導入も含め、より実効性のある条例となるよう改正に向けた検討を進めます。また、だれもが排除されない社会を構築するため、生活困窮者に対する相談や居場所づくりなどを行う民間団体の活動を支援するとともに、当座の生活資金がない方々のために、公的資金の給付等が行われるまでの間に必要な資金の貸し付けを行います。
全国最多となる約3万3,000人の満蒙開拓団員を送り出した私たち長野県は、多くの犠牲者を出した満蒙開拓に係る史実を通じて戦争の悲惨さ、平和のとうとさを次の世代に語り継ぐ責任があります。このため、飯田、下伊那地域の元開拓団員や御遺族の皆様などが建設に向け主体的な取り組みをされてこられた満蒙開拓平和記念館に対し、南信州広域連合とともに建設費を助成します。
かけがえのない地球環境と未来の世代の暮らしを守るためには、国際社会の一員として地球温暖化対策を強力に推進しなければなりません。このため、平成24年度で計画期間が終了する長野県地球温暖化防止県民計画にかえて、中長期のビジョンと目標、さらに実効性ある施策を盛り込んだ地球温暖化対策の新たな戦略計画を策定します。また、長野県地球温暖化対策条例については、持続可能な社会の実現に向けてより実効性を高めるため全面的な見直しを行います。来年度は、企業や家庭における取り組みを一層進めるため、中小企業融資制度資金に節電・省エネルギー対策に特化した新たな資金を創設するほか、さわやか信州省エネ大作戦を再度実施し、県民総ぐるみによる節電・省エネルギー対策を推進してまいります。
豊かな水資源や自然環境は本県の貴重な財産です。将来にしっかりと引き継ぐため、県版レッドリストの改訂など生物多様性確保のための取り組みを進めるとともに、地下水を初めとする水資源の保全については、環境審議会に専門委員会を設置し、水源地周辺での土地取引の事前届け出制の導入も含めた検討を行うなど、市町村と協力して実効性ある取り組みを進めます。
東京電力福島第1原子力発電所の事故に伴う放射能の問題はいまだに継続している災害です。空間放射線量の測定や、農畜産物、水道水等の放射能濃度の検査を今後も継続して実施します。また、小中学校等の給食で使われる食材につきましては、県内4カ所の教育事務所に放射能測定機器を整備し、検査体制を充実します。
処理方法がいまだに定まっていない県内の放射性物質を含む汚泥等の廃棄物や土壌につきましては市町村も対応に苦慮しているところであり、県としての対応方針を定めて市町村と連携し適切な処理を進めるとともに、災害廃棄物の広域処理の問題も含め、国が低い濃度の放射性物質についてもより丁寧で責任ある対応を行うよう強く求めてまいります。
東日本大震災の教訓を踏まえて、防災体制の充実強化も急務です。来年度からは危機管理事象に関する総合調整等を行う危機管理監の職を新たに設置します。また、自衛隊との連絡調整等のため退職自衛官を危機管理部に配置する考えです。
原子力発電所が所在していない本県では、これまで原子力災害に対する備えがほとんどありませんでした。先般、中部電力、東京電力と原子力発電所の異常時の通報等に関する覚書を結びましたが、他の電力会社とも順次同様の体制を整備してまいります。さらに、原子力発電所の事故等に伴う放射性物質の拡散に対する情報収集、連絡体制や、退避・避難体制の整備などを盛り込んだ地域防災計画の原子力災害対策編を今般新たに策定いたしました。計画の実効性が上がるよう、市町村とも連携して訓練やマニュアルの策定を行ってまいります。
県有施設の耐震対策につきましては、県有施設耐震化整備プログラムを見直し、災害発生時の指揮、情報伝達の拠点となる合同庁舎や避難所となる高等学校などの耐震化を可能な限り前倒しして平成27年度までの完了を目指します。
また、災害時の医療を支えるため、DMAT指定病院等への衛星携帯電話、アンテナ等の整備による災害時の情報通信の確保や、社会福祉施設、医療施設の耐震化の促進を図ります。
大規模災害発生時に道路が果たす役割は極めて重要であることから、緊急輸送路となる道路整備を重点的に実施するとともに、緊急輸送路に隣接する道の駅に発動発電機や備蓄倉庫、情報基地局等を整備し、防災機能の強化を図ります。
犯罪のない安全で安心な社会づくりは県政の重要な役割です。増加するサイバー犯罪の捜査体制を強化するため警察官を7人増員するほか、上田警察署の移転改築、松本警察署の耐震化、大規模改修、老朽化した交番、駐在所の改築など、安全、安心の拠点となる警察施設の整備を進めます。また、広い県土を有する長野県にあって、警察の初動態勢を強化するとともに、増加する山岳遭難救助に当たるため2機目となる警察用ヘリコプターを導入します。
第5に、県民主役の自立した県政の実現について申し上げます。
県民主役の自立した県政の実現に向けては、先ほど申し上げました長野県行政・財政改革方針に沿って県民参加と協働を一層推進するとともに、行政経営システム改革などに全力で取り組みます。
県民の皆様との情報の共有化を図るため、「広報ながのけん」の全戸配布を行うとともに、新聞、インターネットなどさまざまな媒体を通じて県政に関する情報を県民の皆様の視点でわかりやすく発信します。また、
県政タウンミーティングや
県政ランチミーティング、新たな総合5カ年計画策定に向けた意見交換などを引き続ききめ細かく実施し、県民参加による対話型の県政運営を推進します。さらに、県と市町村に共通する政策課題について対等な立場で話し合う県と市町村との協議の場や市町村長との意見交換会などを通じて市町村と問題意識を共有し、相互に協力して施策を推進してまいります。
NPOの財務基盤の強化に向けては、幅広い県民や企業からの金銭的な支援が受けやすくなるよう、インターネットを活用して応援したいNPOに寄附することができる新たな仕組みを構築します。
長野県地方税制研究会において地方分権時代にふさわしい長野県独自の政策税制について検討するとともに、国に対し必要な提言を行ってまいります。また、昨年12月に策定した長野県ファシリティマネジメント基本方針に沿って、県有財産の有効活用と総量縮小、県有施設の長寿命化に取り組みます。このほか、地方事務所が地域における県行政の総合調整機関としてその機能を最大限発揮できるよう、地方事務所長の判断により機動的かつ迅速に執行できる調整費を創設し、地域の自主性、主体性を生かした県づくりを推進します。
本年度実施した
信州型事業仕分けにつきましては、55事業の仕分け結果を踏まえ、県民や市町村の皆様からの御意見も伺った上で今後の対応を決定しました。4事業を廃止・一部廃止とし、34事業について役割分担や事業内容の見直しを行った一方、6事業については事業内容の拡充を図ることとしております。
本来、政策評価や事務事業の点検は政策の方向性や事務事業の目標設定と不可分のものであることから、今後、新たな総合5カ年計画の策定にあわせて政策評価・事業点検のあり方を一体的に検討してまいります。県民参加と公開性の確保というこれまでの取り組みを生かした新たな仕組みを構築し、平成24年度中の試行を経て平成25年度からは本格的に実施したいと考えております。
先般、県議会の皆様とともに新たな仕組みについて検討を進めてまいりたい旨、和田副知事から村石議長あてに申し入れをさせていただきました。県民の期待にこたえることができる制度を構築することができますよう、県議会の皆様の御理解と御協力をお願いする次第です。
以上、施策の概要について申し上げました。
条例案は、新設条例案2件、一部改正条例案37件、廃止条例案3件の合わせて42件であります。
新設する条例案のうち
信州登山案内人条例案は、登山者等の案内を業とする信州登山案内人の登録制度を創設するものであります。信州登山案内人による質の高いサービスの提供により登山者等の本県への来訪を促進し、本県の山岳観光の振興を図ってまいります。
一部改正条例案のうち特別職の職員等の給与に関する条例の一部を改正する条例案は、教育委員会の委員など行政委員の報酬について、有識者による行政委員報酬検討会での検討結果を踏まえ、現行の月額制を勤務実態に応じて支給する日額・月額併用制に改めるものであります。
このほか、本年度実施した条例の一斉点検の結果を踏まえ、役割を終えた条例を廃止するとともに、現状に合わない条例について規定の整理を行いました。
事件案は、
包括外部監査契約の締結についてなど19件であります。
専決処分の報告は、交通事故に係る損害賠償の
専決処分報告など8件であります。
以上、今回提出いたしました議案につきまして、その概要を申し上げました。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○議長(村石正郎 君)次に、矢﨑和広
教育委員会委員長。
〔
教育委員会委員長矢﨑和広君登壇〕
◎
教育委員会委員長(矢﨑和広 君)平成24年度の教育委員会関係の議案につきまして、その概要を御説明を申し上げます。
最初に、最近の教育をめぐる状況を踏まえ、教育委員長としての所信の一端を申し述べさせていただきます。
栄村や東日本各地に想像を絶する災害をもたらしました東日本大震災、長野県北部地震から1年が経過しようとしております。被災地では、地域の方々の、何よりも学校の復興を急いでほしいという大きな願いのもと、他の公共施設に先んじて学校が再開され、子供たちの明るい声が聞こえるようになり、そして、そのことが地域の方々を本当に勇気づけているということをお聞きをしました。改めて、地域社会における学校という存在の大きさ、また、教育はまさに未来への投資であるという思いを強くしたところであります。
今回の大震災では想定を超える大きな災害が発生し、学校における安全管理対策や災害安全教育につきましてもさまざまな課題が明らかになりました。
県教育委員会におきましても、喫緊の課題として学校における防災体制などについてあらゆる観点から見直しを行い、市町村教育委員会や各学校に周知をしたところであります。今後、さらに、国の防災基本計画や県の地域防災計画の見直しを踏まえ、学校における災害安全教育の指針を新年度新たに策定をしてまいります。
また、福島第1原子力発電所の事故による放射線の問題では、多くの保護者の皆様から学校給食への放射線の影響を心配する声が寄せられました。このため、昨年12月から県環境保全研究所におきまして学校給食の食材の放射性物質検査を開始し、さらに、新年度には検査体制を拡充し、県内4地区で検査を行えるよう進めており、県民の皆様の安心、安全確保をより一層図るよう速やかに対応してまいりたいと考えております。
さて、本年度、知事や私ども教育委員が参加して県下4地区において開催されました
県政タウンミーティングでは、「10年後の学校を考えよう」をテーマとして、熟議という方式で保護者や地域住民、教職員、中高生、そして我々行政関係者が同一のテーブルについて活発な議論が交わされました。その中では、10年後の学校や教育のありたい姿として、地域に開かれた学校、子供たちの多様な個性や環境に対応する学校、社会的自立や郷土愛をはぐくむ学校など、さまざまな願いやアイデアが出されました。
子供たちの教育を考えるときに、学校、家庭、地域、あるいは子供たちがお互いの批判をするのではなく、今回の熟議のように、関係者がそれぞれの立場を超えて一堂に会し、互いの思いを尊重しながら真摯な議論を積み重ねることに大きな価値を感じた次第です。
また、近年、教育委員会制度につきましても、そのあり方が問われております。主として、日本の教育が国、都道府県、市町村という閉鎖的な縦割りに組み込まれて、民意が反映されにくいのではないかという指摘であります。私は、地域の子供は地域で育てるということが最も大切であり、少なくとも義務教育におきましては、地域の実情に応じ、市町村教育委員会が主体性と責任を持って取り組んでいくことが非常に大切なことであると考えてきました。今後も、市町村教育委員会や首長部局、そして地域が一体となって、地域の方々の思いを生かし、開かれた学校づくりを進められるような取り組みを一層進めてまいらなければならないと決意を新たにしたところであります。
現代は、グローバル化の進展に伴い、人、物、金やさまざまな文化、価値観が国境を越えて流動化する一方で少子・高齢化が進行するなど、急激に社会が変化しております。特に、長引く不況や円高などによる高校生の厳しい雇用情勢を踏まえ、児童生徒の勤労観や生涯にわたる生きる力をはぐくむキャリア教育の充実を図るため、昨年11月に長野県キャリア教育ガイドラインを策定をいたしました。
現代社会において子供たちが学校から社会生活へ円滑に移行を進めていくためには、人間関係や社会形成の能力、自己理解や自己管理の能力、課題への柔軟な対応能力、また、キャリアプランニングの能力などを幼保小中高の各発達段階に応じてはぐくむことが重要であります。しかし、学校だけでこの課題を解決することは困難であり、今後、学校と家庭や産業界、地域が一体となってこのキャリア教育を推進できるよう、新たなプラットフォームの構築に県民の皆様の御協力をお願いを申し上げます。
以上を踏まえまして、新年度の教育委員会の主な施策につきまして御説明を申し上げます。
教育委員会といたしましては、本年度重点課題として取り組んでまいりました学力・体力の向上、不登校対策、高校再編、特別支援教育の充実の1プラス3を引き続き新年度の施策の柱として充実を図るほか、30人規模学級の中学校2学年への拡大など教育環境の整備に向けた課題に対応してまいります。
初めに、中学校の30人規模学級編制の2学年への拡大について申し上げます。
本県では、平成14年度から信州こまやか教育プランにより児童生徒一人一人の個性に応じたきめ細やかな指導を行うため、小学校1学年から順次30人規模学級を進め、平成21年度には小学校全学年において実施をしたところです。
本年度は、中学校における学力の低下あるいは不登校や発達障害など特別な支援を必要とする生徒の増加など、さまざまな課題の解決を図るため新たに中学校1学年に導入し、生活集団を小さくすることによる安定した学級づくりを進めてまいりました。その結果、生徒の欠席日数の大幅な減少を初め、学力、不登校等に関し効果があらわれてきております。
国においては財政的な理由から小学校2学年の教員につきまして基礎定数化が見送られましたが、本県においては、国に先んじて、新年度以降、30人規模学級を中学校2学年、3学年へ順次拡大していくことといたしました。
また、安定した学級づくりには、30人規模学級の拡大だけでなく、教員の意識改革と成果の検証が大変重要です。校長のマネジメント力を高め、授業を変え、学級づくりを充実させることができるよう引き続き意識改革に取り組むとともに、その効果をしっかりと検証し、市町村とも連携して教育課題の解消に努めてまいりたいと考えております。
次に、学力の向上について申し上げます。
平成22年度の全国学力・学習状況調査の結果を受け、学力の定着に課題があることを重く受けとめ、本年度は事務局内に学力向上推進チームを設置し、各学校の学力向上に向けた取り組みを支援すべく、学力向上推進プラン構築事業を推進してまいりました。
その結果、本年度の全国学力・学習状況調査は東日本大震災の影響で希望市町村のみの参加のため参考数値となるわけでありますが、県の補助事業に参加した学校の集計結果が各県の結果の集計全体を上回り、学力向上の兆しが見えてまいりました。
新年度は、これまでの成果を踏まえ、PDCAサイクルづくり支援事業の拡充や、全国学力・学習状況調査結果のデータを活用した授業改善などへの支援を行うほか、新たに学校と家庭が連携を深めるための家庭学習充実研修を実施するなど、客観的データをもとにした授業改善が図られるよう進めてまいります。
また、学力向上には日々の授業の充実が欠かせません。授業の質の向上に向けた取り組みが県内すべての授業で実現できるよう、外部講師によるスキルアップ研修や外国語活動の授業改善の支援などにより教師の指導力の向上を図ってまいります。
長野県の教育のよさである地域と密着した学びや、自然や社会の体験的な学びをこれまで同様に生かしつつ、子供たちが社会的に自立する力を身につけられるよう引き続き努力をしてまいります。
次に、体力の向上について申し上げます。
本県の小中学生の体力につきましては、平成22年度の調査により全国平均を下回るなどの課題が見られたことから、本年度から各学校に一校一運動と体力テストの実施を呼びかけてまいりました。一校一運動は、小学校88.0%、中学校70.1%の高い実施率となり、体力テストの小学校の実施率は昨年度の67.8%から90.3%に向上するなどの成果が認められました。
また、本年度、体力テスト集計システムを構築し、子供一人一人のデータを集計、分析したところ、本県の特徴として、体力合計点をAからEの5段階でランクづけする総合評価においてD、Eランクの子供が多いことがわかってきました。このため、新年度は、すべての学校で一校一運動や体力テストの実施と集計、分析を行う体力向上のPDCAサイクルの確立を進めるとともに、総合評価のD、Eランクの子供を少なくすることで生徒の体力合計点を全国水準にまで引き上げることを目指し、本県児童生徒の体力向上を図ってまいります。
また、幼児期から中学校期まで一貫した体力向上に市町村教育委員会と首長部局が連携し、計画的に取り組むモデル市町村を選定した上で、年代に応じた運動プログラムを優先的に普及し、その成果を全県に広げてまいりたいと考えております。
次に、不登校対策について申し上げます。
不登校対策につきましては、平成22年3月に不登校対策検討委員会が策定した「不登校対策の行動指針」に基づき、県教育委員会と市町村教育委員会が一体となって取り組んでまいりました。平成22年度の不登校の状況につきましては、中学校の在籍比率が顕著な低下を示すなど、全体として改善傾向にあります。とりわけ、新たに不登校となる児童生徒数が2年連続して減少していることは、学校や市町村教育委員会による未然防止の取り組みの成果が明確にあらわれているものと受けとめております。
2年目を迎えた笑顔で登校支援事業や不登校児童生徒地域支援チーム整備事業等の実施を契機として、各学校では不登校の未然防止、早期対応につながる学校づくりや校内チーム支援体制整備が進むとともに、地域における不登校支援ネットワークの充実が図られました。また、民間との連携として、NPO等による学習支援や野外活動、交流体験などの社会的自立支援プログラムの実施によって学校に復帰できた小学生やひきこもり状態が改善された中学生の事例などが報告をされています。
今後の不登校対策の方向性につきましては次の2点に集約されると考えております。
第1は、幼保小や中高などの連携の質的な向上を一層図り、子供の学びをつなぐ教育計画を作成するなど、新たな不登校を生まないという視点に立ってすべての教育実践を見直すことです。
第2は、不登校の背景に子供の家庭環境や発達課題があり、長期化すると将来にわたり社会的に孤立しやすい現状から、すべての子供の育ちを切れ目なく見守る地域支援体制を整備し、社会的自立を一層支援することです。
いずれにいたしましても、県教育委員会が市町村教育委員会と共通の認識を持ち、役割を明確にしながら、効果的な不登校対策を推進してまいりたいと考えております。
次に、高等学校の再編について申し上げます。
高校再編につきましては、地域の皆様の深い御理解をいただきながら、第1期高等学校再編計画に基づき、魅力ある高校づくりと学校規模と配置の適正化を着実に進めてきているところであります。
新年度は、県下初の公立中高一貫校として屋代高校附属中学校が開校いたします。昨年の12月には入学者選抜が実施され、募集定員80名に対し東北信を中心に510名の小学6年生が適性検査及び面接に臨みました。倍率は6.38倍となり、小学生や保護者の皆様の公立中高一貫校に対する期待や関心の高さを実感しているところであります。今後、皆様の期待にこたえるべく、6年間のゆとりある教育を利用して、高い志と強い責任感を持って、将来の長野県はもとより、広く世界のために貢献できる骨太の人間を育ててまいりたいと思っております。
また、諏訪清陵高校の附属中学校につきましては、この3月に6年一貫の教育にかかわる全体構想を策定し、地域の皆様の御理解を得るとともに、新年度には整備に向けた中学生棟の実施設計を行うなど、平成26年4月の開校を目指して準備を進めてまいります。
飯山、須坂、佐久、飯田、大町地区の新校につきましては、学校関係者や地域の皆様等の御理解をいただきながら、新年度にそれぞれ実施設計や建設工事を行うなど開校に向け着実に準備を進めてまいります。
このほか、耐震化に伴う県立高校の改築工事につきましては、県有施設耐震化整備プログラムに沿って着実に進め、新年度は松本県ヶ丘高校以下3校の改築工事を行ってまいります。
次に、特別支援教育について申し上げます。
発達障害のある児童生徒や特別支援学校における児童生徒の増加及び障害の重度・重複化や多様化、さらには、昨年、改正施行された障害者基本法の理念に基づき、障害のある子供が障害のない子供とともに学ぶインクルーシブ教育の実現に向け、特別支援教育の充実を図っていく必要があります。
このため、特別支援学校におきましては、新年度、教員を36名増員し、児童生徒一人一人の障害や発達の状況等に応じた教育をさらに推進してまいります。また、障害のある子供とない子供が地域でともに学べる教育環境づくりのため、現在推進しております特別支援教育の地域化の一環として新たに上伊那農業高校へ伊那養護学校高等部分教室を開設いたします。
発達障害のある児童生徒への対応といたしましては、新たに小中学校の通常学級を基盤とした指導・支援体制のあり方に関する実践研究を実施するほか、教員の専門性の向上、地域の主体性による学校支援と相談体制の充実に引き続き取り組んでまいります。
長野地区の特別支援学校の再編につきましては、平成25年4月の開校に向け、長野ろう学校の改築工事を進めております。安全で教育的ニーズに対応した環境を整備するとともに、同じ校舎内に長野養護学校三輪校舎を新設し、ろう学校と知的障害校の専門性共有による教育の充実や児童生徒の交流と相互理解の促進など、新たな特別支援学校のあり方を示す取り組みを進めてまいります。
特別支援教育の今後の方向につきましては、昨年3月に特別支援教育連携協議会から報告をいただきました。現在、その目標である「すべての子どもが輝き、共に学び共に育つ学校・地域」の実現に向け、特別支援教育の推進計画の策定を進めているところでございます。
次に、スポーツを核とした地域づくり、健康づくりの取り組みについて申し上げます。
スポーツは、体力の向上や精神ストレスの発散、生活習慣病の予防、心身にわたる健康の保持増進をもたらすほか、青少年の健全育成、人々の交流を通じた地域の活性化などにも寄与します。
このようなスポーツがもたらすさまざまな効果のさらなる活用を図り、地域づくりや県民の健康づくりにつなげていくため、健康福祉部と連携し、幼児期からの運動遊びの全県的な普及定着に取り組むほか、スポーツイベントなどを通じて地域の活性化を図るスポーツコミッションの設立、活用の可能性について検討してまいります。
最後に、第2次長野県教育振興基本計画の策定について申し上げます。
現在の教育振興基本計画が平成24年度で満了することから、本年度から平成25年度を初年度とする第2次計画の策定を進めているところでございます。
計画では、本県教育の当面の重要課題である、学力・体力の向上、不登校対策、高校再編、特別支援教育の充実を初めとする教育政策全般にわたって中期的な目標と取り組みを示してまいりたいと考えております。
現在、有識者による学ぶちから・学校力専門委員会において、子供たちの確かな学力を伸ばす方策や、学校組織のあり方、教師の指導力向上などを重点的に検討しているところであり、今後、専門委員会からの提言を受けて、県民の皆さんや関係団体等の意見を十分反映する中で、教育委員会において十分議論し成案を得てまいります。
以上、教育委員会の施策の概要について申し上げました。
これらの施策を推進するため、一般会計1,886億5,521万4,000円、高等学校等奨学資金貸付金特別会計2億5,806万2,000円の予算案を提出しております。
条例案は、総合教育センターにつきまして、昨年の事業仕分けにおいて施設の有効利用を図るべきとの御意見をいただいたことから、新たにセンターの目的外使用に係る使用料を設定する長野県
総合教育センター設置条例の一部を改正する条例案以下4件であります。
以上、今回提出いたしました議案につきまして、その概要を御説明申し上げました。何とぞよろしく御審議のほどをお願いを申し上げます。
○議長(村石正郎 君)次に、佐々木真郎警察本部長。
〔警察本部長佐々木真郎君登壇〕
◎警察本部長(佐々木真郎 君)本県議会で御審議をいただく警察本部関係の議案について、その概要を御説明いたします。
議案の御説明の前に、県下の治安情勢と県警察の課題等について御説明いたします。
まず、県下の治安情勢について申し上げます。
平成23年の刑法犯認知件数は1万7,707件であり、長野県中期総合計画で掲げた刑法犯認知件数2万件未満という目標を平成22年に引き続き2年連続で達成しております。一方、昨年の刑法犯の検挙率は、重要犯罪については73.1%と改善されましたが、全体では34.9%であり、50%以上にするという長野県中期総合計画の目標の達成には至りませんでした。
また、昨年、年初から交通死亡事故が多発しましたことから、知事に交通死亡事故多発非常事態宣言を発令していただき、官民挙げて交通事故抑止対策に取り組みましたところ、交通事故件数、負傷者数は7年連続して減少させることができましたが、死者については残念ながら115人と前年比5人の増加となりました。
このほか、昨年の東日本大震災及び長野県北部の地震に際しましては、発生当日から機動隊等の職員を出動させ、鋭意、警備諸対策を講じたところであり、特に東日本大震災への対応では、これまでに延べ約1万4,000名の本県警察職員を出動させ、現在も福島県下の被災地域に職員を派遣して警戒活動等の任務に当たらせております。
また、去る2月1日より、被災地の治安維持等を目的に、警察官13名を来年度末までの予定で岩手県警へ特別出向させております。
これら本県警察官の特別出向及び応援派遣により本県の治安確保に寸分の間隙をも生じさせることのないよう引き続き万全を期すとともに、県内の被災地を含む県北部の豪雪対策等にも対応してまいります。
こうした中、県警察では、その根幹をなす長野県警察運営指針を県民の期待と信頼にこたえる力強い警察とし、この指針を効果的かつ的確に実現するため、六つの課題から成る「平成24年長野県警察の運営重点と対策」を定めて諸対策を推進することとしております。
以下、県警察の課題6点を申し上げます。
第1の課題は、犯罪の予防・未然防止総合対策の推進であります。
県民が不安を感じる事件の発生が依然として後を絶たないことから、刑法犯認知件数の抑止目標をより明確化して減少傾向をさらに定着化させるために、県の次期中期総合計画を見据えて、平成29年までに刑法犯認知件数を1万5,000件未満とすることを目標といたしました。これは、戦後最良の指数治安を記録した昭和47年と同じ犯罪率を目指すという趣旨であります。
このため、犯罪情勢等に対応した重層的な防犯ネットワークの整備や子供、女性、高齢者を犯罪から守る対策により犯罪の起きにくい社会づくりを推進するとともに、街頭犯罪・侵入犯罪抑止総合対策、非行少年の立ち直り支援等を行う少年の非行防止・保護総合対策、生活経済事犯の取り締まりや風俗環境の浄化を図るための良好な生活環境保持対策をそれぞれ進めてまいります。
また、後に御説明いたしますとおり、インターネット上にはんらんする違法、有害情報を排除するなどのサイバー空間の安全と秩序を維持するための対策については警察官を増員して重点的に取り組みます。
第2の課題は、犯罪検挙力の強化であります。
犯罪の認知件数が減少する一方で、犯罪の検挙件数も長期的に減少傾向にあり、県民の期待にこたえる捜査活動というにはいま一歩である現状を踏まえ、犯罪検挙力の強化に積極的に取り組んでまいります。
特に、県民生活に大きな不安と脅威を及ぼす殺人、強盗等の重要凶悪犯罪や、振り込め詐欺、侵入窃盗などを徹底検挙するとともに、昨年施行された暴力団排除条例を適正かつ効果的に運用して組織犯罪対策を推進してまいります。
また、犯罪情勢を的確に分析し、県民の立場に立った捜査活動の推進と情報発信を行います。
第3の課題は、交通死亡事故抑止対策の推進であります。
本年は、長野県中期総合計画が掲げる目標を達成するため、交通事故死者の抑止目標を100人以下と定め、高齢者事故防止対策の推進、飲酒運転根絶対策の推進、良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進、シートベルトの全席着用とチャイルドシートの正しい使用の徹底を重点として交通死亡事故抑止施策を推進してまいります。
また、引き続き、交通安全施設整備事業の重点的、効果的かつ効率的な推進を図るとともに、3月に開所予定の東信運転免許センターにつきましては、準備を滞りなく進め、利用者等の利便を図るための的確な施策を推進してまいります。
第4の課題は、大規模災害・テロ等危機管理対策の推進であります。
東日本大震災を教訓として、被害想定や警備計画の抜本的な見直しを行って想定外のないよう万全を期すとともに、防災関係機関等との平素における情報の共有及び合同訓練の実施など、関係機関と連携した総合的な災害警備対策を進め、盤石な危機管理体制を構築してまいります。
テロ対策に関しましては、依然として厳しい国際テロ情勢のもと、引き続きテロ関連情報の収集、分析や情勢に応じた警備諸対策を進めてまいります。
また、昨年は政府機関や防衛関連企業に対するサイバー攻撃が発生するなどサイバー空間における脅威は深刻さを増しており、関係機関等と連携しつつ警察の総合力を発揮した諸対策を進めてまいります。
第5の課題は、地域社会と協働した地域警察活動の推進であります。
交番、駐在所を中心とした地域警察においては、県民が望んでいるパトロール等の街頭活動を強化し、県民に身近な犯罪の取り締まりを推進してまいります。
また、地域警察活動を通じて把握した住民の不安、要望等については、地域コミュニティーリーダー等の皆様や関係機関と協働してその解消や実現に努め、安全で安心して生活できる地域社会を確保するとともに、住民の皆様との協働活動を通じて社会のきずなづくりを推進してまいります。
第6の課題は、県民の立場に立った積極的な対応と警察基盤の強化であります。
安全で安心な長野県を確立するため、すぐれた人材の育成や教養訓練の充実による強力な執行力の確保に努めるとともに、知事部局の御理解を得ながら、地域における治安維持の核となる警察施設の充実を図ってまいります。
また、県民の意見、要望等に対する迅速、的確な対応や犯罪被害者の心情に配意したきめ細かな被害者支援等を推進するほか、積極的な広報活動と情報公開を進めてまいります。
以上、治安情勢と県警察の課題について申し上げました。
県警察では、こうした犯罪の予防、未然防止や交通死亡事故抑止等の諸対策を実効あるものとするため、平成24年度当初予算に445億5,000万円余を計上いたしました。
警察管理費には、増員される警察官7人分を含めた職員給与費、増強配備される警察用ヘリコプターの運用に関する経費、災害拠点施設である松本警察署の耐震化、大規模改修経費、上田警察署や交番、駐在所の建設経費等のほか、高齢者を振り込め詐欺等の被害や交通事故から守るため緊急雇用創出基金を活用した高齢者総合安全対策事業経費など、計408億9,000万円余を計上いたしました。
また、警察活動費には、犯罪の起きにくい社会づくりのために必要なボランティア活動やセーフコミュニティー運動の支援に要する経費、適正な検視業務や犯罪被害者支援に要する経費のほか、交通安全施設関係では、交通信号機の新設、節電・省エネルギーに配意した信号灯器のLED化改良や交通標識の整備に要する経費、交通管制センターの充実整備に要する経費に加え、交通指導取り締まりに必要な装備資機材の整備に要する経費など、計36億6,000万円余を計上いたしました。
警察本部関係の条例案は4件を提出しております。
1件目は、他の行政委員会と同様に、月額制の報酬を月額、日額の併用制にする特別職の職員等の給与に関する条例の一部を改正する条例案中の公安委員会の委員の報酬の一部改正であります。
2件目は、警察が行う証明事務のうち、受益者負担の適正化の観点から手数料の徴収が適当とされる証明について手数料の額を新たに定める長野県
証明事務手数料徴収条例の一部を改正する条例案中の警察が行う証明事務の手数料の一部改正であります。
3件目は、長野県警察職員の条例定数を7人増員し3,876人とする長野県
地方警察職員定数条例の一部を改正する条例案であります。
4件目は、道路交通法施行令の一部改正に伴い手数料の額を改定するとともに、新たな事務に係る手数料の額を定めるほか、所要の改正を行う長野県
警察関係許可等手数料徴収条例の一部を改正する条例案であります。
専決処分報告は交通事故に係る損害賠償についてであります。
以上、今回提出いたしました警察本部関係の議案につきまして御説明いたしました。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○議長(村石正郎 君)次に、山本浩司
公営企業管理者職務執行者。
〔
公営企業管理者職務執行者・企業局長山本浩司君登壇〕
◎
公営企業管理者職務執行者・企業局長(山本浩司 君)企業局関係の議案につきまして、その概要を御説明申し上げます。
初めに、企業局事業を取り巻く状況につきまして申し上げます。
企業局は、これまで、公共の福祉の増進と企業の経済性の発揮を経営の基本理念として、住民生活に身近な社会資本を整備し、生活の向上や地域の発展に一定の役割を果たしてまいりました。とりわけ、現在行っております電気及び水道事業は、住民のライフラインの維持確保という生活に密着した大変重要な事業であると認識しております。
そのような中、昨年3月11日の東北地方太平洋沖地震、その翌日の長野県北部の地震による災害は、多くのとうとい命と貴重な財産を奪い、人知の及ばない自然の力の脅威を見せつけました。さらには、日常生活に不可欠な電気、水道水が被災者に届かない現状は、私たちに改めて電気や水道の重要性、ライフラインを担う責務の重大性について再認識を迫ることとなりました。
企業局といたしましては、思いも新たに住民生活に直結する事業を営んでいることの責任を自覚し、よりよいサービスの提供と災害に強い施設、体制づくりを目指し、今後とも地域、住民の信頼にこたえるよう一層努力してまいります。
平成24年度当初予算案は、電気及び水道事業を通じて住民の安全、安心を守るということを基本姿勢に、震災対策並びに社会経済情勢の動向に十分配意しつつ、建設投資規模や企業債発行の適正化に努め、経営基盤の強化と経営の健全化を目指して編成いたしました。
初めに、電気事業の予算につきまして御説明申し上げます。
国内の電力事情が東日本大震災以降不安定となっている中、電力事情の安定に資するため水力発電による安定した電力の供給に一層努めてまいります。
業務量につきましては、美和発電所以下14発電所の管理運転を行い、年間販売電力量3億8,000万キロワットアワー余を予定し、電力料金収入として27億4,000万円余を計上いたしました。
各発電所やダムなどの施設の維持管理に要する経費につきましては、電力の安定供給を維持するため、南信制御所集中監視制御装置の修繕、大鹿発電所や奥裾花発電所水車発電機の内部点検など、24億4,000万円余を計上いたしました。
建設改良事業につきましては、施設用地の土地購入や権利取得等に要する経費として建設改良費2,000万円余を計上いたしました。
収益的支出と資本的支出を合わせました電気事業の支出予算の計上額は40億1,000万円余であり、平成23年度当初予算に比べ13.1%の減となっております。
次に、水道事業の予算につきまして御説明申し上げます。
災害に強い安定した水道水の供給体制の充実はもちろん、災害発生時における迅速な給水活動の実施など状況に応じた応急・復旧体制の充実が求められております。昨年12月には、ハード、ソフト両面からの計画的な震災対策の取り組みを定めた県営水道震災対策基本計画を策定いたしました。今後は、この計画に基づき、震災対策を総合的に進めてまいります。
末端給水事業の業務量につきましては、長野市など3市1町の7万2,000戸余に対し年間給水量1,800万立方メートル余を予定し、水道料金収入33億6,000万円余を計上いたしました。
また、用水供給事業の業務量につきましては、松本市、塩尻市及び山形村に年間給水量2,900万立方メートル余を予定し、用水料金収入13億7,000万円余を計上いたしました。
浄水、送水、配水施設などの維持管理に要する経費、業務の運営経費につきましては36億5,000万円余を計上いたしました。
建設改良事業につきましては、長野市の四ツ屋浄水場における自家発電設備設置工事、塩尻市の本山浄水場における中央監視制御装置取りかえ工事等を実施するとともに、耐震性の高い水道管への布設がえを進めるなど、水道施設の計画的な整備に取り組んでまいります。これらの事業に要する経費として建設改良費25億4,000万円余を計上いたしました。
収益的支出と資本的支出を合わせました水道事業全体の支出予算の計上額は84億1,000万円余であり、平成23年度当初予算に比べ2.6%の減となっております。
電気事業会計と水道事業会計を合わせました企業局全体の収益的収入と資本的収入の合計は93億8,000万円余であり、平成23年度当初予算と比べて5.3%の減、また、収益的支出と資本的支出の合計は124億2,000万円余であり、同じく6.3%の減となっております。
次に、企業局事業の民営化等につきまして申し上げます。
まず、電気事業でございますが、電力自由化の進展など公営電気事業を取り巻く状況の変化を受け策定いたしました民営化計画に基づき、これまで電気事業の事業譲渡に向けた取り組みを進めてきたところでありますが、福島第1原子力発電所の事故を契機にエネルギーをめぐる環境が大きく変化しつつあることを受け、企業局の電気事業のあり方を改めて検討することとしたところでございます。エネルギーをめぐる国の動向や検討状況を見きわめ、公営電気事業が果たすべき役割や今後の経営見通しを十分検討した上で一定の方向性を示してまいりたいと考えております。
次に、水道事業でございますが、末端給水事業につきましては、県と関係市町で設置しました県営水道事業移管検討会において課題の解決に向けた取り組みを進めております。独自水源を持たない市町の水源確保の方法等を検討し、移管時期や水の供給方法などを示した基本的な計画の策定につきまして協議してまいります。
また、用水供給事業につきましては、県と関係市村と設置しました県営水道事業形態検討会での協議を進めており、今後想定される事業形態について組織面、財政面からの検証を行ってまいります。
これからも、関係市町村の理解と協力を得ながら、事業移管に向けた取り組みに一層努めてまいりたいと考えております。
次に、提出いたしました企業局関係の条例案は、長野県公営企業の設置及びその経営の基本並びに財務等の特例に関する条例の一部を改正する条例案、
県営水道用水料金徴収条例の一部を改正する条例案の2件でございます。
以上、企業局関係の議案につきまして、その概要を御説明申し上げました。よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
○議長(村石正郎 君)以上をもって
知事提出議案の口頭説明は終了いたしました。
ただいま説明がありました以外の部長の説明につきましては、
議会運営委員会の意見を徴した結果、口頭説明を省略することとし、お手元に配付いたしましたとおりでありますので、御了承願います。
〔議案等の部「3 口頭説明を省略した部長の議案説明要旨」参照〕
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○議長(村石正郎 君)これらの議案は、来る2月23日から行う質疑の対象に供します。
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○議長(村石正郎 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(村石正郎 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。
次会は、来る2月23日午前10時に再開して、各党派代表質問及び
知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。
本日は、これをもって延会いたします。
午後2時47分延会...