長野県議会 2011-09-27
平成23年 9月定例会本会議-09月27日-02号
平成23年 9月定例会本会議-09月27日-02号平成23年 9月定例会本会議
平成23年9月27日(火曜日)
出席議員(58名)
1 番 中川博司 27 番 金子ゆかり
2 番 依田明善 28 番 和田明子
3 番 石和 大 29 番 今井正子
4 番 藤岡義英 30 番 永井一雄
5 番 中川宏昌 31 番 諏訪光昭
6 番 清水純子 32 番 小池 清
7 番 小池久長 33 番 清沢英男
8 番 桃井 進 34 番 垣内基良
9 番 髙橋岑俊 35 番 竹内久幸
10 番 甕 裕一 36 番 佐々木祥二
11 番 吉川彰一 37 番 向山公人
12 番 山岸喜昭 38 番 高村京子
13 番 荒井武志 39 番 小林伸陽
14 番 堀場秀孝 40 番 村上 淳
15 番 続木幹夫 41 番 小松千万蔵
16 番 両角友成 42 番 西沢正隆
17 番 小林東一郎 43 番 風間辰一
18 番 太田昌孝 44 番 平野成基
19 番 今井 敦 45 番 本郷一彦
20 番 丸山栄一 46 番 倉田竜彦
21 番 小松 稔 47 番 寺島義幸
22 番 野澤徹司 48 番 高橋 宏
23 番 小島康晴 49 番 石坂千穂
24 番 下沢順一郎 50 番 宮澤敏文
25 番 鈴木 清 51 番 村石正郎
26 番 宮本衡司 52 番 木下茂人
53 番 萩原 清 56 番 古田芙士
54 番 服部宏昭 57 番 下﨑 保
55 番 望月雄内 58 番 石田治一郎
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説明のため出席した者
知事 阿部守一 会計管理者 宮下富雄
副知事 和田恭良
公営企業管理者
副知事 加藤さゆり 職務執行者・企
危機管理部長 下條政久 業局長 山本浩司
企画部長 黒田和彦 財政課長 奥田隆則
総務部長 岩﨑 弘
教育委員会委員
健康福祉部長 三村 保 長 矢﨑和広
環境部長 荒井英彦 教育長 山口利幸
商工労働部長 太田 寛 教育次長 柳澤直樹
観光部長 野池明登 教育次長 荒深重徳
農政部長 萩原正明 警察本部長 佐々木真郎
林務部長 久米義輝 警務部長 鈴木達也
建設部長 堀内 秀 監査委員 吉澤直亮
───────────────────
職務のため出席した事務局職員
事務局長 宮下清一
議事課担当係長 矢島 武
議事課長 大日方正明
総務課担当係長 村井昌久
企画幹兼議事課
議事課担当係長 三井 実
課長補佐 浅岡龍光
───────────────────
平成23年9月27日(火曜日)議事日程
午前10時開議
行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案に対する質疑
知事提出議案(日程追加)
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本日の会議に付した事件等
諸般の報告
知事提出議案
行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案に対する質疑
午前10時開議
○議長(村石正郎 君)これより本日の会議を開きます。
本日の会議は、
行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案に対する質疑であります。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
△諸般の報告
○議長(村石正郎 君)次に、諸般の報告は、お手元に配付したとおりであります。朗読は省略いたします。
〔議案等の部「2 諸般の報告」参照〕
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△
知事提出議案の報告
○議長(村石正郎 君)次に、知事から議案の提出がありましたので、報告いたします。
〔職員朗読〕
平成23年9月27日
長野県議会議長 村 石 正 郎 様
長野県知事 阿 部 守 一
平成23年9月
長野県議会定例会議案提出書
議案を別紙のとおり提出します。
第 20 号
人事委員会委員の選任について
第 21 号
土地利用審査会委員の選任について
第 22 号
公安委員会委員の選任について
第 23 号
教育委員会委員の選任について
〔議案等の部「1 議案 (1)
知事提出議案」参照〕
○議長(村石正郎 君)以上であります。
ただいま報告いたしました
知事提出議案を本日の日程に追加し、その順序を変更いたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
△
知事提出議案
○議長(村石正郎 君)本件を一括して議題といたします。
お諮りいたします。本件については、それぞれ会議規則第44条の規定により提出者の説明を省略いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(村石正郎 君)御異議なしと認めます。よって、本件はそれぞれ提出者の説明を省略することに決定いたしました。
これらの議案は、本日から行う質疑の対象に供します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
△
行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案
○議長(村石正郎 君)次に、
行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案を議題といたします。
お手元に配付いたしましたとおりの議員から
行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案に対する質疑の通告がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。
順次発言を許します。
最初に、高村京子議員。
〔38番高村京子君登壇〕
◆38番(高村京子 君)おはようございます。一般質問の初日、1番の順番をいただきました共産党県議団の高村京子です。
まず1番に、子供、障がい者の医療費、
福祉医療費給付制度を窓口での支払いが無料になるように強く求めて質問させていただきます。
現行の自動給付方式では、一たん窓口で2ないし3割の
医療費負担分を支払い、後日、1レセプト500円を医療機関と薬局での手数料としてそれぞれ引かれて世帯主に支払われる償還払い制度となっております。この1レセプト500円の親の負担が年間で結構な額になっております。1年間の親の負担は子供1人当たり平均で4,198円、2人、3人子供がいれば2倍、3倍の負担となっています。障がい者1人当たり9,244円で、無料化とは言えません。
長和町では、2009年10月から、県が値上げした1レセプト200円を町が負担し、無料化年齢を高校卒業まで拡大しています。2,513世帯の長和町で住民有志が671筆の窓口無料化を求める署名を集め、9月8日に、私も同席させていただき、
三村健康福祉部長に知事あての要望として申し入れを行いました。
中学卒業まで無料化を実施しているのは県下で41の市町村に上ります。全国では34以上の都府県で実施しており、長野県に引っ越しをしてきたお母さんは、窓口での負担の重さにびっくりです、子育てに冷たい長野県ですねと言われます。
今、子供を抱える家庭の貧困化も広がっています。親にお金がなくて子供の健康や命が守れない長野県であってはなりません。現在、県下各地で県レベルでの中学3年生まで窓口無料化を求める署名が取り組まれております。子供医療費は中学3年生まで、福祉医療費も含めて窓口での支払いがない本当の無料化の実施を強く求めます。
あわせて、県が中学3年生まで対象範囲を拡大するとともに、子供、障がい者の医療費を窓口無料化にした場合は財源が幾ら必要とするのか。
健康福祉部長にお伺いいたします。
〔
健康福祉部長三村保君登壇〕
◎
健康福祉部長(三村保 君)
福祉医療制度の窓口無料化に関する御質問にお答えいたします。
福祉医療の給付対象範囲を中学卒業までに拡大した場合は、県の補助金ベースで現行と比較し20億円程度必要になると見込まれます。それから、この給付範囲の拡大にあわせて窓口無料化と
受給者負担金の廃止を行った場合には、さらに40億円から45億円程度の負担増となると試算しております。
福祉医療制度は、それぞれの自治体が競う形で普及してきましたが、今や自治体の独自政策というよりも共通政策となっていることから、国の社会保障政策の中に位置づけて、国の責任でしっかりと措置されるべきものと考えております。
国が6月末に取りまとめた社会保障・
税一体改革成案を受け、現在、国の検討会や国と地方との協議の場などにおいて、地方の単独事業を含めた社会保障給付の全体像について検討が行われております。
県といたしましては、こうした国の動きに対して、現場の視点に立って制度のあるべき姿を考えながら提言、要望を行ってまいります。
〔38番高村京子君登壇〕
◆38番(高村京子 君)長野県は全国からもおくれております。群馬県は平成21年10月から実施しました。少子化対策や子育て環境の充実を図り、県内どこに住んでいても子供の医療費が無料で受けられるよう中学卒業まで対象を拡大し実施しています。
県は、困難があってもそれを乗り越えて、群馬県や41都府県以上もやっているわけです。子育て応援県になってください。
無料化を実施した上で、窓口無料化にした場合の市町村国保の
国庫負担金減額調整、いわゆるペナルティーですけれども、これに対して、長野県が実施した上で、このペナルティーに対しまして国に強く中止を要請し、国レベルでの窓口無料化の実施を全国で進めていただくように強く求めておきたいと思います。
2点目、上小地域の
医療再生充実について伺います。
地域医療再生計画のもと、
信州上田医療センターの充実強化を中心として、医師会、輪番病院、信州大学、市民協働による医療再構築が図られております。診療所、病院との役割分担のもと、医療の地域連携による充実の方向が進んでおり、市民は本当にうれしく思っております。
上小地域特有の救急輪番病院10病院を指定し、交代で救急医療の受け入れをお願いしております。
信州上田医療センターでも、輪番病院で対応した上でのバックアップはしっかり受けとめるとの意気込みで、上小、坂城地域の救急患者を、病院の役割分担を発揮し、連携し合って受け入れようと今奮闘していただいております。輪番病院と
上田医療センター医師の当直体制と負担はぎりぎりのところで踏ん張っておられます。
来年春に新築オープンとなる上田市産院とあわせて、
上田医療センターにてリスクを伴うお産が再開できるよう大きな期待がされています。
県において、この時期に
信州上田医療センターへの医師確保について特に力を入れていただきたいが、いかがでしょうか。
健康福祉部長にお伺いをいたします。
〔
健康福祉部長三村保君登壇〕
◎
健康福祉部長(三村保 君)上小地域における医師の確保支援についてお答えします。
上小地域医療再生計画における
救急医療体制につきましては、第2次救急医療を担う輪番病院の機能維持と医師の負担軽減を図るため、平成22年4月に内科・
小児科初期救急センターを設置し、あわせて、小児科は
信州上田医療センターが、内科は輪番病院がそれぞれ後方支援を担う体制を整備しました。
周産期医療体制については、現在、上田市産院の移転新築工事が平成24年4月の開院を目指し順調に進んでおります。また、隣接する
信州上田医療センターにおいては、
ハイリスク分娩の受け入れを含む分娩再開に向け、産婦人科医の確保に精力的に取り組んでいるところでございます。
医師確保の具体的な取り組みにつきましては、信州大学の
医学部附属病院と
信州上田医療センターとの間で平成22年3月に協定を締結し、これまでに、救急・麻酔科医を初めとする6診療科、常勤換算いたしますと7名の医師が派遣されるなどの実績が上がっております。今後も産婦人科医を含む医師確保について県としても積極的に支援してまいります。
〔38番高村京子君登壇〕
◆38番(高村京子 君)ありがとうございます。今、
信州上田医療センターは、この輪番病院を支えていただいて、23%の救急を対応していただいております。しかし、まだ圏外、圏域への再搬送やドクターヘリの出動も県下で一番多い状況になっております。
また、昨今、甚大な災害が発生しておりますけれども、
地域災害拠点病院としての機能も担っていただいて御奮闘いただく決意をしていただいております。ぜひ、産婦人科の医師の確保もあわせまして、
上田地域医療の再生に向けて県の一段の御努力をお願いしたいと思います。
次に、三才山、新和田、
平井寺トンネルの早期無料化と道路改良について伺います。
3トンネルの早期無料化についての検討はどのようにされていますでしょうか。この間、御要望をしてきましたけれども、どのように検討していただいておりますでしょうか。少なくても通勤、通学、送迎、医療機関への受診や
介護サービス利用などで利用する方々への無料、これをぜひ実現していただきたいと思いますが、真剣な御検討を求めたいわけですが、いかがでしょうか。どうぞよろしくお願いいたします。
また、
塩田地域主要地方道上田丸子線ですが、この7月、東保育園に車が飛び込む事故が発生いたしました。園児6人が重軽傷を受けました。保育園や学校関係者など東塩田地域の皆さんは毎日が不安の中にあります。事故防止の対策の強化が強く求められております。
平成30年に
平井寺トンネルがようやく無料化となります。交通量が一層ふえると予想されますので、今から歩道の整備の不備の改良を含めた道路改修や、ドライバーに保育園や小学校など生活地域内を走行するための注意喚起など、より安全な道路環境への改良が必要と考えます。
この点、建設部長並びに県警本部長にお伺いをしたいと思います。
〔
建設部長堀内秀君登壇〕
◎建設部長(堀内秀 君)有料道路の無料化に関するお尋ねでございます。
三才山トンネル有料道路を初めとします長野県道路公社が管理する有料道路の通行料金の無料化等については、これまで多くの方々から御要望いただいているところでございます。本年2月定例会において、知事からも、利用者の負担軽減のあり方について考えていきたいとお答えをしております。
有料道路事業は、長野県道路公社が建設費を県の出資金と国や金融機関等からの借入金で調達をしまして、利用者の皆様からいただく通行料金でその償還を行っていくもので、無料化等の利用者の負担軽減を行うためにはその減収分について県で補てんを行う必要がございます。もし仮に早期無料化を行うということになりますと未償還金等をすべて県が負担するということになるため、その実施は困難であると判断をしております。
また、通勤、通学、通院等で有料道路を利用される方には無料にすべきではないかというお尋ねでございますけれども、通行料金の無料化や割引につきましては、実際に料金所において自動車を利用する目的別に区分をして料金徴収するということについては非常に難しいかなという点もございます。現在、それにかわります利用者の負担軽減策といたしまして、料金割引の方策、それからそれに伴います県が負担することとなります金額の試算、さらには料金徴収の方法などについて、現在、長野県道路公社と協議をしながら検討を進めているところでございます。
次に、
主要地方道上田丸子線の安全対策に関するお尋ねでございます。
主要地方道上田丸子線は、上田市街地と上田市東内地籍を結ぶ幹線道路でありまして、改良率は100%で、歩道の設置につきましては必要な区間のうち約95%が整備済みとなっております。
去る7月21日に発生しました交通事故は、主たる原因は速度超過とのことですが、事故後に
上田建設事務所、上田警察署、上田市などで現地診断、
再発防止検討会などを行いまして、その結果に基づきまして速度を抑制させるための路面標示の設置を行いました。また、保育園前後の約250メートル区間につきまして、今年度から歩道を設置する交通安全事業に着手をしております。このうち、保育園前の約50メートル区間につきましては本年度内に整備を完了させるということとしております。
今後とも、交通安全確保のため、歩道設置など必要に応じて安全対策を講じてまいりたいと考えております。
〔
警察本部長佐々木真郎君登壇〕
◎警察本部長(佐々木真郎 君)
県道上田丸子線や東塩田地域における事故防止対策についてお答えいたします。
御指摘のとおり、7月に、この県道沿いにある保育園の園児6名が重軽傷を負う重大な交通事故が発生いたしました。警察といたしましては、このような事故が二度と起きないように、交通事故が発生した
県道上田丸子線などにおいて、
地元上田警察署のほか、警察本部の交通機動隊員、これは白バイ隊員ですけれども、を動員いたしまして、速度違反等の
交通指導取り締まりを強化しております。
また、この道路を通行するドライバーに対し、地元住民やボランティアの皆様とともに、交通安全意識を高めるための街頭啓発活動も行ったところであります。
今後とも、関係機関・団体と連携して、この地域における交通安全に対する不安感の解消に努めてまいります。
〔38番高村京子君登壇〕
◆38番(高村京子 君)3トンネルを含めた7
道路公社管理の決算ですけれども、平成22年度、7路線のうち3トンネルは通行料の50%を占め、料金収入は何と80%を占めています。まさに、県から見れば優良道路でしょう。道路公社収支の内部留保額は90億4,400万円もあります。上田地域と松本、諏訪方面への県民に対し、この3トンネルにも他の道路と同じように社会実験をしていただき、料金の減額を強く引き続き求めたいと思います。
次に、
生活困窮者救済、就労と生活支援の連携強化についてお伺いをいたします。
パーソナル・サポート・モデル事業の取り組み状況、ことし4月から始まりましたけれども、状況どうでしょうか。このサービスの最大の特徴は、支援される人とサポーターがお互いに寄り添い、二人三脚で就職という本当の意味での自立に向け支援することとあります。来年度以降、
県内サービス拠点をさらに10圏域へとふやし、生活に身近なところで本当に寄り添い型での支援ができる環境を整えていただきたいが、いかがでしょうか。
続けてもう一つ、上田市と伊那市に設置いたしました
緊急求職者サポートセンターは、雇用環境が依然厳しい中、仕事を求める若者から中高年を具体的な援助で支える大切な場所になっております。来年以降も、4月以降ですが、この
緊急サポートセンターの継続を求めるが、いかがでしょうか。
7月の有効求人倍率は県下平均0.80ですが、上田では0.66、伊那では0.62、飯田では0.60となっておりまして、この地域は特に厳しい環境下にあります。再
就職支援セミナーも行われ、自己分析、履歴書の作成、模擬面接と丁寧な指導を行っておりますので、必要な事業と考えます。この継続を求めますが、いかがでしょうか。
商工労働部長にお伺いをいたします。
〔
商工労働部長太田寛君登壇〕
◎
商工労働部長(太田寛 君)お答え申し上げます。
まず、1点目でございます。パーソナル・サポート・モデル事業の取り組み状況、また、その充実についての御質問でございます。
このパーソナル・サポート・モデル事業につきましては、ことしの3月にまず中核的なセンターを長野市に設置いたしまして、その後、6月に
サテライトセンターを松本市と上田市にそれぞれ設置したところでございます。8月末までに298名の方から延べ1,235件の御相談をいただいておりまして、ハローワークと連携いたしました就労支援や福祉制度へのつなぎを行うことで相談者のお一人お一人に合った課題解決の道筋をお示ししながら、いわゆる寄り添い型のサポートに取り組んでいるところでございます。
このモデル事業に関しましては、パーソナル・サポート・サービスの制度化について議論する検討委員会が首相官邸に置かれておりまして、本年8月29日に開催されて、その中におきましてこの事業を来年度も実施する方針が示されたと伺っております。国の平成23年度第3次補正予算、それから平成24年度の予算要求の中で来年度財源措置等について明らかになるものと考えております。
県といたしましては、この国の動向を踏まえた上で来年度事業の枠組みの検討を行い、より多くの県民の皆様にきめ細かなサービスの提供を行うために新たな拠点の設置につきましても検討してまいりたいと考えております。
続きまして、
緊急求職者サポートセンターの関係でございます。
このセンターにつきましては、平成21年9月に上田市と伊那市に開設いたしまして、県が求職者に対する生活・就労相談支援を行うとともに、上田、伊那の二つのハローワークの協力を得まして、職業相談、職業紹介も一体的に提供しているところでございます。
このセンターの設置は、
雇用創出関係基金の中の
緊急雇用創出基金事業の枠組みを活用しながら全国的に実施しているものであります。設置期間は、国の実施要領においては基金事業の実施期間と同じく平成23年度末というぐあいにされております。
このセンターの来年度以降の存続につきましては、県内の雇用情勢を勘案しながら、パーソナル・サポート・モデル事業との兼ね合い、あるいは他の都道府県の動向など、多角的、総合的な視点から来年度当初予算編成の中で検討を進めてまいりたいと考えております。
〔38番高村京子君登壇〕
◆38番(高村京子 君)パーソナル・
サポート事業につきましては、来年はぜひ充実の方向でお願いしたいですし、上田と伊那に設置されております
緊急求職者サポートセンター、本当に大切な役割を果たしていただいておりますので、ぜひ存続、充実をお願い申し上げたいと思います。
3点目です。失業者や困窮者への救済のため
社会福祉協議会が窓口となっている
生活福祉資金の貸し付け状況についてお伺いいたします。
県下各地で
困窮者救済支援に取り組んでいるボランティア、反
貧困ネットワーク信州に寄せられた中で、医療費や生活資金で困っている人に対し、本人の返済能力があるかないかで仕分けをされて、その場で断られる、こういうことが発生しております。現に生活費が不足して困っている人を支援しないで放置しております。どうしてこのような事態が発生しているのでしょうか。困窮者救済の姿勢で審査決定がされているのでしょうか。
生活福祉資金の貸し付け相談、貸し付け実績の状況はどうでしょうか。
県下市町村社会福祉協議会への対応はどのようにしていただいているのか。
健康福祉部長にお伺いをいたします。
〔
健康福祉部長三村保君登壇〕
◎
健康福祉部長(三村保 君)
生活福祉資金の貸し付けについてお答えします。
平成21年度に貸し付け要件が大幅に緩和されまして、貸し付け利子の引き下げ、それから連帯保証人の要件の緩和、償還期間も最長20年に延ばすなど、より借りやすい制度になっております。その結果、平成21年度の県
社会福祉協議会への相談件数は5,000件、貸し付け額は過去最高の3億7,500万円、それから、平成22年度も、相談件数は3,000件、貸し付け額も2億7,300万円と高い水準になっております。
貸し付け申請の窓口でございますが、市町村
社会福祉協議会ですが、国が定めた制度要綱や運営要領において貸し付け基準や実施方法が定められているほか、県
社会福祉協議会の貸し付け審査等の運営委員会において公平で公正な貸し付け決定が行われております。
また、貸付金は返済していただく必要があり、返済能力の有無が貸し付けの際の大きな決定要素となりますので、返済が滞ることのないように無理のない返済計画が必要であると考えております。
県といたしましては、今後とも、市町村
社会福祉協議会や県
社会福祉協議会と連携を密にして、厳正で迅速な貸し付け手続が推進されますよう取り組んでまいります。
〔38番高村京子君登壇〕
◆38番(高村京子 君)私、相談を受けました、年金生活でがんの治療をなさっている高齢の女性の方ですけれども、この資金を借りたいということで私も同行いたしました。しかし、病院で医療費を分割で払えばいいじゃないか、こういうふうに言われまして、そして、結局、貸していただけませんでした。生活保護にはならないが、ぎりぎりのところで困窮している人に支援の手を差し伸べないのでは何のための公的支援なのでしょうか。
生活福祉資金制度の救済を求める人を支援する状況になっているかどうか。もう一度点検をお願いしたいと思います。
次に、日本共産党は、東日本の被災者支援に、全国の党組織が担当地域を決めて、継続的に義援金や季節ごとに必要な支援物資を地域の皆様からお寄せいただき、青空市場、訪問お届け隊、お茶っこ相談会などの支援を被災地で続けております。私も、7月に、釜石と大槌町に支援に行ってきましたが、本当に何もなくて、一つ一つの暮らしに困窮していらっしゃる被災者の皆さんに対して、全国の皆さんと力を合わせて継続的に、被災者の皆さんの気持ちを受けとめながら、息の長い支援が必要とされていると感じたところです。
また、県内の地域では、派遣労働の不安定雇用に置きかえられ、生活に不安を抱えている人がふえています。解雇、倒産による失業などで仕事を探しても就職がままならず、困窮する人がふえています。外国人労働者の方や年金では暮らしていけない高齢者も苦しんでいます。私たち党県議団も、各地で一緒になって困窮者の皆さんの相談に乗り、困難を解決するための支援活動を行っています。私たちは、今、被災者支援活動と地域での困窮者支援活動が必要と考え、どちらも継続的な支援活動を続けようと頑張っています。
政府と行政の公的な支援の強化、充実が切望されています。国が8月に出した社会的包摂政策に関する緊急政策提言、これはどのようなものでしょうか。その内容と、県の受けとめ、取り組みについてお伺いいたします。
続いて、ホームレス等の貧困・困窮者支援の絆再生事業の概要について伺います。
県としてはぜひこの制度を活用していただきたいと思います。県下各地で相談・支援活動に取り組んでいる団体が多数あると思われます。上田では、陽だまりネットの相談・支援活動を毎月ハローワークの前で実施しておりまして、10月で27回となります。このような反
貧困ネットワーク信州に結集している団体は十数団体が活動しております。すべてボランティアで、支援資金は持ち寄りです。
このように、県下各地で民間団体によって取り組まれている助け合いの活動を資金的にも援助すべきと考えますが、いかがでしょうか。
健康福祉部長にお伺いをいたします。
〔
健康福祉部長三村保君登壇〕
◎
健康福祉部長(三村保 君)社会的包摂政策に関する緊急政策提言についてお答えします。
この提言は、内閣総理大臣の指示に基づき設置された一人ひとりを包摂する社会特命チームにより、8月10日にまとめられたものでございます。内容としましては、緊急に実施すべき施策として、第1に、社会的排除のリスクについての実態調査、第2に、先導的なプロジェクトの実施、第3に、だれも排除しない社会の推進体制の構築が掲げられており、県としても重要な提言であると注目しております。
最終的には社会的包摂戦略がまとめられ、国や地方で具体的な事業展開をすることになりますが、さきの厚生労働省の第3次補正予算の要求案を見ましても、社会的包摂を進めるためこの提言の一部の施策が盛り込まれておりますので、県としましても第3次補正予算の状況を見きわめながら社会的包摂の推進について検討してまいります。
次に、ホームレス等貧困・困窮者の絆再生事業の概要と県の取り組みについてお答えします。
国の絆再生事業は、生活困窮者に対して、県や市町村が実施主体となり、緊急一時的な宿泊場所の提供などを行う事業ですが、本県では平成22年度から取り組んでおります。
なお、NPO等民間支援団体が行うホームレス等に対する生活困窮者等支援事業につきましては、本県ではホームレスが少ない状況であることから現在は取り組んでいませんが、先ごろの厚生労働省の先ほど申しました第3次補正予算の要求案の中に社会的包摂を推進する一環として地域のきずなの再構築等が盛り込まれており、事業の充実強化が図られる予定でございますので、年末に向けてNPO等民間支援団体の活動が円滑に行えますよう、第3次補正予算の状況を見きわめながら県として支援策を検討してまいります。
〔38番高村京子君登壇〕
◆38番(高村京子 君)今、貧困が広がっております。厚生労働省の2010年国民基礎調査では、日本の貧困率は1985年以降一貫して上がっており、2009年には16%と最悪になりました。母子・父子家庭では50.8%にもなっております。生活が苦しいと答えた世帯は6割、全世帯の32%が年収300万円未満で生活しております。高齢者世帯では6割が年収300万円以下です。
厳しい環境の中、職を探しても、上田地域では求人の正規雇用は17%しかありません。派遣やパートについても、家族を養い、暮らしを立て直すことは困難な状況にある方が大勢ふえています。さまざまな困難を抱えて苦しむ人々、この皆さんをしっかりと支える、こういう社会が今求められていると思います。
六つ目の質問ですが、就労生活支援相談事業、生活支援福祉事業などさまざまな相談・支援活動が行われております。しかし、制度のはざまで救済されずに苦しむ人々もおります。
そこで、県は、さまざまな困難を複合的に抱える人々を支援するために、市町村関係部門や民間サービス団体も含めて、総合的な支援のあり方を検討する会を開催するなど県としての役割を発揮していただきたいと思います。
また、制度のはざまで苦しみ、放置され、自殺へと追い込まれないように、先ほど大切な事業だと受けとめていただいております社会的に排除されない社会をつくっていく、こういう社会をつくるために各種機関の連携の強化、支援の専門家、ゲートキーパーの配置を求めたいと思いますが、
健康福祉部長、いかがでしょうか。お答え願います。
〔
健康福祉部長三村保君登壇〕
◎
健康福祉部長(三村保 君)生活困窮者への支援の連携についてのお尋ねでございます。
貧困、福祉、就労、多重債務や心の悩みなど多様化する課題に対処するために、昨年、長野県生活福祉・就労支援協議会が設置され、生活困窮者への総合的な支援に取り組んでおります。
この協議会ですけれども、長野労働局、市町村、県弁護士会、
社会福祉協議会、民間支援団体、そして県も、福祉、医療、労働、住宅、消費生活の各部門がかかわり、年末におけるワンストップサービスなどの支援策を実施しております。
また、本年から実施しておりますパーソナル・サポート・モデル事業では、国、県、市町村、民間支援団体などさまざまな組織や機関が連携し、生活困窮者に直接寄り添いながら支援しております。
さらに、自殺対策の一環として、各保健福祉事務所において法律・健康相談を実施し、必要に応じ就労支援、生活支援につなぐとともに、相談担当者を対象に多分野総合研修会を開催し相談体制の連携を図っているところでございます。
支援のあり方を考える検討会につきましては、前々から御提案をいただいておりますけれども、ただいま申し上げました支援策が有機的、機能的に実施され、成果を上げることが肝要と考えておりますので、今後とも関係機関や民間団体との連携強化に取り組んでまいります。
〔38番高村京子君登壇〕
◆38番(高村京子 君)9月4日、長野県母親大会が中野市で開かれ、日本弁護士会会長の宇都宮健児氏が「日本中に広がる貧困 誰もが人生に希望を持って生きるために」と題して講演をされました。多重債務対策やヤミ金対策、年越し派遣村、自殺しない支援の経験などから、失業、貧困に苦しむ人々のことを社会が見えるようにして、政府、行政、民間団体、弁護士などが連携して、だれもが生きるための救済支援の制度の仕組みをつくることが大切と訴えられました。
私は、命と暮らしを守るために、宇都宮弁護士が提唱するように、さまざまな機関と団体との連携、話し合いの会議も持たれていますけれども、一層県がそこを構築して困窮者支援においてしっかり取り組むことを求めたいと思います。
○議長(村石正郎 君)高村京子議員に申し上げます。申し合わせの時間が経過いたしましたので発言を終了願います。
◆38番(高村京子 君)社会的包摂支援ということで、だれもが社会から排除されない、こういう支援を強く求めて、私の質問全部を終わります。
○議長(村石正郎 君)次に、下沢順一郎議員。
〔24番下沢順一郎君登壇〕
◆24番(下沢順一郎 君)新たなる公立4年制大学についてお聞きいたします。
21日の議会冒頭の知事議案説明の中で触れられておりますが、7月27日に長野県短期大学の将来構想に関する検討委員会の報告書が提出されております。説明では、新たな公立4年制大学に転換することが必要とされ、今後、有識者を交えた検討を並行して行い、具体的な大学像を明確にしたいと説明されておりますが、検討会議を招集された知事はこの報告書の提案に沿って4年制大学設置を決断されたのか。まずお聞きいたします。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)公立4年制大学の設置についての御質問でございます。
7月の27日に取りまとめていただきました長野県短期大学の将来構想に関する報告書、県内の現状を踏まえた上で、高等教育における県の役割ということで、高校生の進学の選択肢の拡大、あるいは地域を担う人材の育成、大学の教育・研究活動を通じた地域活性化、こうしたものを求めているわけであります。他方で、現在の短期大学の課程のままでは高度専門化する社会のニーズにこたえ、充実した高等教育を提供することが困難だというふうな指摘もされているわけであります。
こうしたことを踏まえまして、私としては、学部、学科の構成でありますとか、あるいは財政収支の見通しとか、まだ整理すべき課題はあるというふうに思っておりますが、しかしながら、地域のために貢献できる人材を育成するために、現在の県立の短期大学を改組して新しい4年制の県立大学を設置する方向で具体的な大学像について検討を進めていきたいというふうに考えております。
以上です。
〔24番下沢順一郎君登壇〕
◆24番(下沢順一郎 君)設置されるという方向ですので続いて質問させていただきますが、知事は、7月に秋田県で開催された全国知事会に出席の折、国際教養大学に立ち寄られたとのことでございますので、お聞きしたいと思います。
秋田県の独立行政法人である国際教養大学を視察しての感想と、この大学に学ぼうと考えた点をお聞きいたします。
それから次に、目指すべき大学像として3点挙げられておりますので、お聞きいたします。
元国連事務局次長の明石さんは、グローバル化時代とは、異なる民族や文化に属する人たちがお互いのアイデンティティーを認め合いながら寛容と相互理解をはぐくむ時代と言っています。また、国際教養大学の中嶋学長は、グローバル化とは、全地球的であり、極めて立体的な概念で、世界が同じ時間の中に組み込まれることだと言います。
さて、グローバル社会に対応しながら地域にも貢献する人材を育てる、また、そのために特色と魅力がある大学とは、一体、どのような学部を持つ大学を想像すればよいのか。座長であった和田副知事にお伺いいたします。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)秋田の国際教養大学に学ぶべき点ということでございます。
7月の11日、知事会の開催にあわせて秋田県の国際教養大学にお伺いをさせていただきました。中嶋学長、長野県御出身ということもあっていろいろとお話も聞かせていただきながら、授業も見学をさせていただきました。私として大変印象に残っていることは、まずすべての授業が英語で行われているということ、それから基本的に少人数での教育が行われているということ、それから単に一方通行の授業ではなく、テーマに基づいて学生同士が討論を行うという形式が重要なウエートを占めている、それから、教員の方も、外国人の方も含めてグローバルな観点で集められている、また、学生も、アメリカあるいはアジアからの留学生と一緒になって日本人も学んでいるということで、ここは本当に日本なのだろうかというような感覚で見学をさせていただいたわけであります。
国際教養大学、さまざまな企業からもぜひ学生をとりたいというオファーが相次いでいる大学でもあるわけでありますので、今後、長野県において4年制大学を検討するに当たっても、こうしたすぐれた点については十分学びながら進めていきたいというふうに考えております。
以上です。
〔副知事和田恭良君登壇〕
◎副知事(和田恭良 君)学部についてのお尋ねでございます。
検討委員会では、高齢化社会への対応など地域の課題解決や本県の特色を生かした地域づくりに積極的にかかわることのできる人材、あるいは世界を視野に入れた企業経営や経営課題の解決に貢献できる人材の育成が必要と、こうした意見が大変多く出されました。また、先ほど知事から国際教養大学の話がございましたが、社会人として必要な基礎的能力のほか、グローバル社会に対応できる知識、技能を身につけることができる教育を行うことにより大学としての特色や魅力を出していくべきとの意見も多く出されました。
これらから、具体的な学部、学科といたしましては社会科学系やあるいは語学系の学部等が想定されますが、今後、県内の状況やニーズも考慮の上検討されまして、来年夏を目途に策定予定の基本構想の中で明らかにされることとなります。
なお、これに関連しまして、教養全般というよりは、より課題解決型の実践的なものとすることが重要というのが多くの委員の皆さんの御意見だったと認識しているところでございます。
以上でございます。
〔24番下沢順一郎君登壇〕
◆24番(下沢順一郎 君)知事におかれましては、大変参考になったというような結論かなというふうに思いますので、今後の検討会におかれましても十分参考にしていただければというふうに思います。
今後、有識者を交えた検討会を行うというふうに説明されておりましたが、知事としては、この大学をつくり上げていく人はどのような人が学長としてふさわしいと考えるのか。お伺いいたします。
また、私も8月下旬に中嶋学長にお会いいたしました。中嶋学長は学校運営に関してはスピーディーさが重要であると言っておられました。そのためには独立行政法人が適しているとのことですが、知事の考えはいかがでしょうか。お聞きいたします。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)4年制大学に関連して、学長としてふさわしい人材ということであります。
大学の学長ということでありますから、学識、識見にすぐれているということは大前提だと思いますが、それに加えて、私としては、新しく大学をつくっていくということでありますから、やはり、これからの大学像についての明確なビジョンをお持ちで、なおかつ、みずからの力、行動力でこれからの大学づくりをリードしていってもらうという方が重要だというふうに思っております。
また、これから県内企業との関係ということも新しい大学には産官学の連携を含めて大いに期待していかなければいけないというふうに思っておりますが、そうした観点でも、経済界あるいは地域との交流、連携、そうしたものを積極的に進めていくことができる方ということが必要だというふうに思っております。
それから、運営体制でありますが、独立行政法人による運営につきましては、これは、大学に経営の視点を取り入れることができる、また、予算編成、人事管理も県が直営でやるよりは弾力的な形がとれるということで、運営の仕方にももちろんよるわけでありますけれども、効率的な大学運営が期待できるというメリットがあろうかというふうに思っております。
運営体制をどうするかということについては、来年夏を目途に策定する予定にしております基本構想の中で明らかにしていきたいと思っております。
なお、19年度の包括外部監査の中におきましても、短期大学の4年制化にあわせて独立行政法人による運営を検討する必要があるという御提言もいただいているところであります。こうした提言も十分念頭に置きながら対応していきたいというふうに考えております。
以上です。
〔24番下沢順一郎君登壇〕
◆24番(下沢順一郎 君)中嶋学長におかれましては検討委員会の当初から参画されていたということでお聞きいたしたわけであります。
学長というのは大学の顔になるわけですから、当初から大学をつくるについては非常に重要なポジションが必要かなというふうに思うわけです。
中嶋学長、21世紀のグローバルな社会を日本が生き抜いていくためには、卓越した語学力と幅広い教養をベースに、高度な専門性を身につけた世界標準のエリート教育が必要であると言っています。
そして、私も、より成熟した国家としての日本の未来はどれだけ異文化理解を深めることができるかという意見に賛成するものです。どうせつくるなら、長野県の未来をそのような若者たちに託せるような大学をつくってもらいたいと思います。
続きまして、松本蟻ケ崎高校の改築についてお伺いいたします。
先日、耐震化の計画がある松本蟻ケ崎高校に行く機会があり、びっくりいたしました。1階の廊下と教室の段差は8.5センチ、2階の階段を上がった踊り場と廊下の段差は8.5センチ、その2階の廊下と教室の段差は10.5センチあり、3階の廊下と教室の段差は10センチと、そこらじゅう段差だらけです。50年前ならこれで建築の審査基準を通ったことでしょうが、現在、このような建築物を建てたらどのような評価が下されるでしょうか。
そして、ベニヤの天井がまた弱い。夏に扇風機を取りつけようにも、落下の危険性があり、天井に扇風機さえも取りつけられない。さらに、南側に校庭があり、暑さしのぎのため窓をあけてきたわけですが、南北しか窓がない現状でありながら、耐震計画ではその北側の窓までも閉じることになるといいます。これでは、子供たちのことを何も考えていないと言われてもしようがない計画ではないでしょうか。
教育環境がさらに悪くなるような耐震化工事よりは、大規模改修が必要な校舎ではないかと考えますが、教育長はどのように受けとめられるか。お聞きします。
このように高校が改築の時期に来ている場合、各校の校舎の状況も勘案すべきではないかと考えます。市長であった御経験から、中等教育施設のあり方について教育委員長の御意見もお聞きします。
また、教育環境がさらに悪化するようなこの状況をただ見過ごすわけにはまいりません。扇風機をつけられない状況、段差だらけの状況、渡り廊下に集中する学校内トイレの劣悪な環境、また、1階の階段の部分にもボードを張りつけて雨風を防いでいる状況など、耐震化で済ませばよいという問題ではないのではないかと思いますが、耐震化工事の計画のある、しかし、このような状況の蟻ケ崎高校についてどのように思われるか。知事にお伺いいたします。
〔教育長山口利幸君登壇〕
◎教育長(山口利幸 君)松本蟻ケ崎高校の校舎の改修に関する御質問でございます。
今回、耐震補強工事を計画しております教室棟は昭和35年建築で、教室の出入り口の扉の開閉に支障が出るなど老朽化が進んでおります。一方、この校舎は耐震評価値が0.57と低く、早期に生徒の安全を確保する必要がございます。そこで、さきの6月補正予算で計画を前倒しして耐震補強工事を実施することとしたものでございます。
工事の実施に当たっては、御指摘の通風でありますとか、あるいは採光などの生徒の学習環境に配慮した工法に努めてまいります。
なお、蟻ケ崎高校につきましては、この9月に老朽化が著しかった体育館の改築が完了いたしました。
また、参考までに申し上げますけれども、本定例会におきましても、生徒の学習環境の向上を図るため、高校41校の環境改善に要する経費の補正予算をお願いしているところでございます。
以上でございます。
〔
教育委員会委員長矢﨑和広君登壇〕
◎
教育委員会委員長(矢﨑和広 君)中等教育学校施設のあり方についての御質問にお答えをいたします。
基本的には、鉄筋コンクリートづくりの校舎につきましては、改修等の手を加えながら築60年経過で改築を基本に事業実施をしている、こういう状況であります。
建物の経年劣化は改築の大きな要因でありますので、当然でありますが、一般的には建築年度の古いものから改築を実施するということになります。しかし、地盤や気象状況などにより経年劣化以上に劣化が進むケースもあります。その場合には、学校の状況を勘案し、緊急性の高いものから実施をしたい、そんなふうに考えています。
また、市長としての経験からという御質問でありますが、校舎の改築には多額な費用を要します。また、改築年度が重なる場合も多いわけでありまして、この場合、中長期的な視点で計画を立案し、財源を確保するとともに、予算の年次標準化が大切であります。そのためには、計画をできるだけ前倒しをして実施する努力をしてまいったということであります。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)松本蟻ケ崎高校の耐震化に関連してでございます。
私も、質問を受けて、教育委員会と話をして、写真を見て、こんなにいっぱい段差があるのかと正直驚いたところもあります。蟻ケ崎高校に限らず、県立高校改築あるいは大規模改修、本来であれば必要になってくるんじゃないかというふうに思われる建築年度の古い校舎、数多く存在しているということは認識しておりますし、どうしていくかということは重要な課題だと思っております。
今回の補正予算におきましても、高等学校あるいは特別支援学校の改修費、修繕費という形で、小規模ではありますけれども、少しでも環境がよくなるようにということで予算を組ませていただいておりますけれども、限られた財源の中でどういう形で環境をよくしていくかということは、これは我々知恵を絞っていかなければいけないというふうに思っております。
ただ、当面、今回、北部地震あるいは松本での地震といったようなことも踏まえて、まずは耐震化工事を先行して実施していかざるを得ないだろうというふうに思っておりまして、多額の経費がかかる改築については、先ほど教育委員長からも答弁ありましたけれども、できるだけ事業費を平準化する中で前倒しで実行することができないかということを教育委員会と一緒になって考えていきたいというふうに思っております。
以上です。
〔24番下沢順一郎君登壇〕
◆24番(下沢順一郎 君)風通しについては、これは相当考案していただかなきゃいけないなというふうに思いますし、特にエアコンの設置とかいろいろなことが言われておりますけれども、天井を含めてほとんど設置できるような状況ではないというところを知っていただきたかったというふうに思います。ですから、一度ごらんになっていただいて再度御検討いただきたいなというふうに思います。
校舎改築の時期の到来は、昭和33年、34年、35年に建築されたこの松本蟻ケ崎高校を初め伊那北高校、南農などが平成30年から32年に改築時期を迎えることとなり、昭和37年以降の高校に至っては平成34年から続々と改築の時期を迎えます。今後やってくる改築時期の到来にどのように対応していくのか大きな問題です。
今回計上された文科省の補正予算1,020億円には、建物の柱や壁などの耐震補強のほか、天井や照明器具など非構造部材の耐震化も進める方針となっています。しかし、高校のように県単で行わざるを得ない長野県としては、耐震化工事でその場しのぎをするにしても、校舎改築という問題を先送りするだけとなってしまいます。
そこで、第1に、改修なのか耐震化なのか判断する基準を建設部とも協力する中でつくっていくべきではないでしょうか。第2に、今後さまざまな事業の見直しが行われるでしょうし、コスト削減策も出てくると思われます。その上で、改修のためには基金の創設も今後必要となってくるのではないかと考えますが、以上、2点、教育長にお聞きいたします。
知事が現場をしっかり見られること、そして改築期間が集中する高校に対して、教育上、さらに防災対策上もなおざりにされている現状を打開するために、予算上の措置を国に提案していく必要もあると思いますが、知事はいかがお考えになりますか。お聞きいたします。
〔教育長山口利幸君登壇〕
◎教育長(山口利幸 君)今後の高校の校舎改築等の基準に関する御質問でございます。
昭和30年代にそれまでの木造から鉄筋コンクリートづくりへと集中して改築された多くの校舎が、御指摘のように平成30年以降、築60年を経過しまして改築の時期を迎えることとなります。当面、平成27年度までは県有施設耐震化プログラムに従いまして耐震化工事を優先してまいります。また、本年度はプログラムの見直しが行われており、天井などの非構造部材や照明や受水槽などの建築設備の耐震化についての検討も行われております。
その後の高校の校舎整備につきましては、大規模改修による建物の長寿命化等を含めまして、建設部の協力を得ながら方向性について検討してまいりたいと、こんなふうに考えております。
もう一つ、基金についての御質問をちょうだいしました。
校舎の改築には大変多額の資金を要するわけでございまして、現在の厳しい財政状況のもとでいかに財源を確保していくかということは非常に大きな課題であると認識しております。今後、財源確保の方策につきましては、基金の創設を含め、さまざまな角度から研究してまいりたいと考えております。
以上でございます。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)高校改修費用の財政措置、国への提案ということでございます。
現在、高等学校に対する国の交付金の対象は産業教育施設の整備に限るという形になっております。国として必ずしも十分な措置を講じているとは言えないんじゃないかというふうに思っております。
高等学校の改修費用、それから当面喫緊の課題であります防災面での耐震化の促進、そうした観点で小中学校に比べて十分財源措置がされていない高校について国に対して強く要望していきたいというふうに思っております。
以上です。
〔24番下沢順一郎君登壇〕
◆24番(下沢順一郎 君)しっかりと御要望いただければ大変前に進んでいくんじゃないかなというふうに思います。また、協力もさせていただければというふうに思います。
若年脳損傷者のリハビリテーションに関するワーキンググループについてお聞きしていきます。
先月、宮城県仙台市にある東北療護センターを視察いたしました。所長みずからの丁寧な御案内とともに、植物症患者に対して非常に積極的な治療アプローチがされていることに感心いたしたものです。この施設は、自動車事故対策機構による運営で、入所者は自動車事故による脳損傷者に限られます。全国に4カ所しかなく、入所は極めて狭き門ですが、本年6月開催の業績評価のための特別なタスクフォース、いわゆる第三者評価では、療護センター事業について、医療関係者に対し療護センターの看護技術やノウハウを広げ、伝えていく必要があるという趣旨の報告をまとめています。
そこで、部長にお聞きいたします。
長野県には療護センターがないため、こうした療護センターの研修機会を県としても積極的にとらえていく必要があると思います。そこで、このような機会を企画してはと提案するものですが、御意見をお伺いいたします。
また、実際に行うとすると直接の担当部局はどこになるのか。あわせてお聞きいたします。
今回、まず自動車事故対策機構の療護センターを取り上げたのは、脳損傷による後遺障害者が発症の年齢や原因によって支援の度合いが全く異なるという問題を抱えているからです。同じような障害状態で同じように困っていても、同じような支援が得られるわけではないことが若年脳損傷者の問題です。
本年4月に、若年脳損傷者のリハビリテーションに関するワーキンググループが知事の肝いりで発足いたしました。2006年脳損傷による後遺
障害実態調査回答者への追跡調査が予定されているなど、ワーキンググループによる検証、検討の結果報告に大いに期待をしているところです。
そこで、ワーキンググループの進捗状況と今後の進行予定についても部長にお聞きいたします。
〔
健康福祉部長三村保君登壇〕
◎
健康福祉部長(三村保 君)最初に、自動車事故対策機構の療護センターの研修についてお答えします。
現在、東北療護センターを初めとする全国4カ所のセンターでは、各地の短期入院協力病院の医療スタッフに対する研修を実施しております。この短期入院協力病院とは、交通事故により重度の後遺障害が残り、在宅介護を受けられている方々の短期入院を積極的に受け入れる病院として国土交通省が指定しているもので、本県では四つの病院が指定を受けております。
この研修は独立行政法人の自動車事故対策機構が各協力病院の参加を募って実施しているものであり、東北療護センターの研修には、本年度、本県の協力病院からも参加を予定していると聞いております。
こうした研修機会を有効に活用させていただくことで、県内の医療機関における治療、看護のノウハウが広がり、技術が向上することを期待するものでございます。
御提案の県がこういったものを企画すべきではないかということでございますけれども、現在のところ直接の県の関与はないということもございまして、まだ県内医療機関の御意見等もお聞きしてございませんが、当部におきましてその必要性やあり方につきましては検討してまいりたいと思います。
続きまして、ワーキンググループがどんな進捗で、今後どうなっていくかというお尋ねがございました。
このワーキンググループでございますけれども、現在、2回の会合を行っております。これまでに、若年脳損傷者に対する医療と介護に関する現状を明らかにするために、平成18年に県が実施した脳損傷による後遺障害の実態調査の再分析を進めるとともに、若年脳損傷者には適用されない介護保険制度や難病患者支援制度等との比較を行っております。
今後の予定でございますけれども、これらの作業を進める中で見えてきた課題への対応策を第3回の会合で取りまとめ、12月ごろ開催予定の地域リハビリテーションのあり方検討会に一たん報告をしていただきたいと考えておりますが、この報告とは別に、さらなる分析や議論の進め方についてはワーキンググループの委員とも相談しながら検討してまいります。
以上でございます。
担当部局は当健康福祉部障害者支援課でございます。
〔24番下沢順一郎君登壇〕
◆24番(下沢順一郎 君)県が行った調査をもとに関係者が議論を深めているところですが、調査を行った県自身の分析、検証が足りないのではという声も聞いております。また、ワーキンググループが求めている資料についても、提出されるまでにかなり時間を要しているとも聞いております。これらの点についてどのような改善策をお持ちでしょうか。部長にお聞きいたします。
また、障害者支援課には今後の作業を急いでいただくにしても、これから追跡調査を実施し、結果を検討し、11月までに報告書を上げるというのはかなり時間的に無理があるのではないかなという気がいたします。全国に先駆けてこの問題に関する調査を実施した長野県においては、現在、国に対する制度的な提言も含めた議論を行っているところですので、期限をここで切るのではなく、先ほど部長から中間報告のようなお話がありましたけれども、さらに時間をかけて内容の濃い報告を期待したほうがよいと思われますが、知事の御意見をお聞きいたしたいと思います。
〔
健康福祉部長三村保君登壇〕
◎
健康福祉部長(三村保 君)ワーキンググループでの議論の改善のお尋ねでございます。
本年5月12日に第1回のワーキンググループを開催して以降、各委員の専門的知識や経験を生かし、いわゆる若年脳損傷者を取り巻く諸課題について精力的に研究を進めていただいております。
医療、介護、福祉など関連する制度が幅広いことに加え、平成18年に県が実施した実態調査の再分析につきましては、当時スタートした障害者自立支援法の実施状況やその後の改正の流れを踏まえる必要があることから時間がかかっていることは確かでございます。
今後予定している第3回目のワーキンググループでの会合に向け、各委員との連絡を密にし、事務局を担う担当部局として検討作業の迅速化を図ってまいりたいと考えております。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)若年脳損傷者の皆様の、福祉あるいは医療制度のはざまに位置しているということで、支援のあり方について多くの課題があるというふうに認識をしております。
今、ワーキンググループでの御議論いただいているわけでありますが、先ほど部長から答弁した国の動きでありますとか、あるいはこれまで長野県として行ってきた調査のきっちりとした分析とか、そうしたものを行っていただかなければいけないというふうに私は思っておりまして、ぜひ長野県から、どういう支援が望ましいのかということを本当に脳損傷者の立場に立って打ち出すことができるような議論を期待しております。
そういう意味で、11月までに検討するという当初の予定ではありますが、いたずらにもちろん時間を延ばす必要はありませんけれども、必ずしも期限どおりでなければいけないというふうには私は思っておりません。むしろ中身をしっかりとしてもらうということのほうがより重要だというふうに思っております。
御議論、御提言をいただいた暁には、県としての対応、国への問題提起も含めて行っていきたいというふうに考えております。
以上です。
〔24番下沢順一郎君登壇〕
◆24番(下沢順一郎 君)御期待を申し上げます。
最後に、阿部知事も就任1年を迎えまして、土日も返上され公務をこなされております。大変だったと思います。今後も御活躍いただくと同時に、長野県発展のためさらに政務に邁進される決意をお聞きしまして、私の一切の質問を終わります。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)おかげさまで、8月いっぱいで知事就任1年ということで、2年目に入ったわけであります。まだまだやるべきことは山積しておりますけれども、県民の皆さんに昨年お約束した公約についてはかなりの部分実行あるいは着手できてきたのかなというふうには思っております。これからも、引き続き、誠心誠意、全力で県政運営に当たっていきたいと思いますし、本当に県民の皆様方が安心して暮らし続けることができる長野県を、そして本当に元気で活力がある産業、地域をつくっていきたいというふうに思っております。
1年間、本当に県民の皆様方にも、さまざまな場所で、さまざまな場面で御声援、御支援いただきましたし、これからの県政を推進するに当たっても、これまで以上に県議会の皆様方あるいは県職員の皆様方の御協力をいただきながら頑張っていきたいというふうに思っております。県民主権の長野県、そして確かな暮らしを守る県政実現に邁進してまいりますので、どうかよろしくお願いいたします。
○議長(村石正郎 君)次に、藤岡義英議員。
〔4番藤岡義英君登壇〕
◆4番(藤岡義英 君)日本共産党県議団の藤岡義英です。放射性物質が検出された汚泥焼却灰などの廃棄物処理について質問いたします。
これまで、環境省から、放射性物質が検出された焼却灰等の処分について、6月と8月31日に2回通知が出されたと思いますが、どのようなものか。環境部長、お答えください。
〔環境部長荒井英彦君登壇〕
◎環境部長(荒井英彦 君)放射性廃棄物の処理についての御質問をいただきました。まず、廃棄物の処分に係る国からの通知についてでございます。
放射性廃棄物が検出された焼却灰等の処分に関する国からの通知としましては、まず、6月28日に、放射性セシウム濃度が1キログラム当たり8,000ベクレル以下の場合に管理型最終処分場に埋め立て処分をすることが可能との基準が示されたところでございます。
続いて、8月31日には、8,000ベクレルを超え10万ベクレル以下の焼却灰等の埋め立てにつきまして、屋根つきの最終処分場などで雨水と廃棄物の接触を防止する措置を講ずることにより埋め立てが可能であるとする基準が示されたところでございます。
〔4番藤岡義英君登壇〕
◆4番(藤岡義英 君)国が処理基準を緩和する中、県内で初めて放射性物質を検出した下水道汚泥焼却灰を小諸市にあるフジコーポレーションが受け入れを始めました。同社は、汚泥焼却灰について放射性セシウムは1キログラム当たり500ベクレル以下、一般産業廃棄物の焼却灰については5,000ベクレル以下の独自基準を設定し管理しているとの説明ですが、地元住民から不安の声も出ています。
放射性物質の検出された廃棄物の埋め立て処分を行う業者に対し、県としてどのような監視、検査を行っていきますか。環境部長、いかがでしょうか。
〔環境部長荒井英彦君登壇〕
◎環境部長(荒井英彦 君)続いて、放射性物質が検出された廃棄物処分に関する県の監視、検査についてでございます。
埋め立て処分に当たりましては、敷地境界における空間放射線量あるいは排水中の放射能濃度等のモニタリングを実施をし、安全性や環境への影響の有無を確認することが重要であると考えております。
国では放射性セシウムの濃度が1キログラム当たり8,000ベクレルを超える場合にモニタリングを実施するよう通知がありますけれども、県といたしましては、8,000ベクレル以下であってもモニタリングを実施するよう事業者を指導しているところでございます。これとあわせまして、県みずからも月1回程度の頻度でモニタリングを継続して実施をいたしまして、事業者が実施した測定結果とともに県のホームページで公表をしているところでございます。
ちなみに、小諸市の処分場に係る県のモニタリングの状況を申し上げますと、敷地境界の空間放射線量、これは3回測定をいたしました。最高で0.05マイクロシーベルト毎時、これは通常の範囲内での値であることを確認しておりますし、排水中の放射性セシウム濃度、これは2回測定しまして、いずれも不検出でございました。
こうした取り組みを通じまして周辺住民の安全、安心の確保を図ってまいりたいと考えております。
〔4番藤岡義英君登壇〕
◆4番(藤岡義英 君)放射性廃棄物の埋め立て基準が、暫定基準という言葉で6月には8,000ベクレル、そして現在はこれまでの基準の1,000倍に当たる10万ベクレルまで許容されるようになりました。なし崩しに緩和される暫定基準について信用できないというのが多くの県民の思いです。
最近、日本の暫定基準値はチェルノブイリのあるウクライナよりも緩いとの報道がありました。例えば、牛乳の基準は日本1キログラム当たり200ベクレルに対しウクライナは半分の100ベクレル、穀類に関しては日本500ベクレルに対してウクライナは何と20ベクレルでした。
モニタリングでの努力はされているとの答弁でしたが、このような国の暫定基準待ちでなく、県独自の基準を設定すべきだと思いますが、環境部長に伺います。
〔環境部長荒井英彦君登壇〕
◎環境部長(荒井英彦 君)県独自の基準を設定すべきではないかといったお尋ねでございますけれども、先ほど申し上げましたけれども、放射性セシウム濃度が1キログラム当たり8,000ベクレル以下の場合は通常の管理型最終処分場に埋め立てすることが可能との国の基準が示されたところでありますけれども、県では、この基準に従って、8,000ベクレルを超える廃棄物を受け入れることがないよう事業者を指導しているところでございます。
また、一方におきましては、放射性物質が検出された廃棄物の埋め立て処分に当たっては、処理の安全性あるいは周辺環境への影響の有無をきちんと確認していくことが重要でありまして、県独自の判断として8,000ベクレル以下であっても事業者並びに県みずからがモニタリングを実施するということをいたしたところでございます。
〔4番藤岡義英君登壇〕
◆4番(藤岡義英 君)今の答弁では、基本的に国の基準は安全ですという判断をされているということでありますが、そのことをぜひ住民に説明する必要があると思います。県では、これまで、このように安全だという説明会などを行っておよそ何人の方に説明をされてきたか。わかる範囲で結構ですが、お伺いしたいと思います。
また、もう1点、今後、10万ベクレル近い放射能汚染された廃棄物を国の決めた埋め立て方法に沿って処分すると表明する業者が出たとします。その受け入れを許可しますか、許可しませんか。環境部長に2点お伺いいたします。
〔環境部長荒井英彦君登壇〕
◎環境部長(荒井英彦 君)まず、こうした埋め立て処分に係る基準等安全性について住民に説明をしたかということでございますが、一般的な基準等については市町村あるいはホームページ等でお出しをしているところでございますけれども、お話のあった小諸の事業所の受け入れに当たりましては、地域の皆さんからの御要望もありましたし、また、会社自身の説明会もありまして、行政としての説明、あるいは事業者の説明に県も出席をいたしまして県としての考え、そういったものを説明したところでございます。
それから、もう一つの受け入れ基準の問題でございますけれども、いずれにしても、これは、国の基準、十分いろいろな検討された上で、また、その根拠等も示されているわけでございますけれども、そういった基準に従って県としては対応してまいりたいというように思っております。
〔4番藤岡義英君登壇〕
◆4番(藤岡義英 君)信濃毎日新聞で報道された、視察と業者の説明会では100人近い方が説明会に参加されたということですが、その説明会以外では少人数だと聞いております。小諸市、佐久市と合わせて人口が約14万人ですが、ほとんどの方にまだ説明が不十分ではないかと指摘せざるを得ません。
また、これから10万ベクレル近い放射性廃棄物を出してくると表明したところに対してもはっきり許可をしないという答弁をいただけなかったので、これでは県民の皆さんの不安は広がるかと思います。
それで、ここで、9月14日の記事を紹介したいと思います。タイトルは「セシウム検出 下水汚泥焼却灰、埋め立てを凍結」。横浜市です。下水汚泥焼却灰から放射性セシウムが最大で6,468ベクレル検出されている問題で、横浜市が市内の廃棄物処理場に焼却灰を埋め立てる方針を決めたことに対して地元住民らが環境汚染に加担すると抗議文を提出。横浜市長は、14日、当面の間、埋め立てを凍結することを明らかにしました。市長は、会見で、市民に不安を与えたことをおわび申し上げたい、もっと時間をかけて御理解いただかなくてはならない、説明不足だったと謝罪したとのことです。
県内で出た廃棄物に関しては、一時的に安全な方法で管理する必要はありますが、埋め立てるのではなく、最終処分は国や東電の責任で行うべきです。これ以上放射性物質を拡散させないためにも県外のものは受け入れないといった県独自の方針や基準の設定、また、県民の命と健康を守るため、横浜市長のように、住民が納得するまで埋め立ては凍結などの決断が求められていると思いますが、知事、いかがでしょうか。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)放射性物質を含んだものの処理どうするかというのは、これは、被災地を中心として日本全体で大きな問題だと思っております。私も、もとより放射性物質を含む廃棄物をみだりに拡散するべきではないというふうには当然思っております。しかし、日本全体でどう対応していくのか、出たところで頑張れよという話だけで本当に十分なのかということもありますし、放射能汚染、これは福島県以外の地域にも広がってきている中で、廃棄物を円滑に処理していくということも他方で重要なテーマだというふうに思っております。
国が埋め立て可能としている放射性セシウム濃度1キロ当たり8,000ベクレル以下ということでありますけれども、これについては県外から受け入れるということも私はやむを得ないのではないかというふうに思っております。しかしながら、不安を持たれる県民の皆様方がいらっしゃるということも重要だと私は思っております。
国では8,000ベクレルを超える場合にモニタリングをするということにしているわけでありますけれども、長野県としては独自の判断として8,000ベクレル以下であってもモニタリングを行うということを事業者にも指導しておりますし、県としても事業者とは別にモニタリングを行っているという状況です。
また、万が一、周辺環境、8,000ベクレルというのは基本的には処分場の中の人たちに対して影響が出ないということですから、その外には基本的に影響がないという前提の数字レベルでありますけれども、周辺環境に悪い影響があるというようなことがモニタリングを通じて確認された場合には、当然のことながら、受け入れの停止も含めて厳格に対応していく必要があるというふうに考えております。
以上です。
〔4番藤岡義英君登壇〕
◆4番(藤岡義英 君)私は、県民が納得する説明がまだ県から十分されていないと感じています。モニタリングはもちろんこれからもしっかりやっていただきたいし、同時に、今後、知事が横浜市長のように英断を下されることを期待しまして、私の質問を終了します。
○議長(村石正郎 君)次に、山岸喜昭議員。
〔12番山岸喜昭君登壇〕
◆12番(山岸喜昭 君)改革・新風の山岸でございます。長野県の自然公園についてお聞きします。
我が国では、すぐれた自然風景地を保護するとともに、その利用の増進を図るために、一定の地域を自然公園に指定しています。国立公園は我が国の風景を代表するすぐれた自然の風景地で、国定公園はそれに準ずるすぐれた自然風景地で、ともに環境大臣が指定しています。県立自然公園は都道府県が指定しています。
信州では、国立公園が4地区、国定公園が3地区、県立自然公園が6地区指定されております。その面積は県全体の約21%、また、全国では第3位の広さを誇っているわけでございます。
自然公園内では、貴重な高山植物の生息地や、特にすぐれた風景地を特別地域、そしてそれ以外の地域を普通地域として区別しています。特別地域における工作物の設置や伐採などの行為は国または県の許可が必要であり、普通地域における工作物の設置や土地の形状変更などの行為につきましては届け出が必要となっております。
観光立県信州には年間8,700万人の人々が訪れ、そのうち山岳観光は約60万人の登山者が利用し、群馬、山梨、静岡、愛知、岐阜、富山と周辺6県とつながり、重要な観光資源となっております。
関係の周辺市町村では、従来から、環境省や林野庁を含め市町村の相互連携により、この自然豊かな地域を次世代に継ぐべく、自然環境や自然景観の保全、利用者の安全確保に対し一体となって努力しているところでございます。しかし、今、公園利用者や山野草、高山植物愛好家の増加により、環境省、林野庁、周辺市町村を初め各種保護団体など数多くの案内板や標識を設置し、自然環境保全や利用者の安全確保を推進してきましたが、相互の連携不足により類似標識が乱立し、少なからず自然景観に影響を及ぼす結果となっております。
また、設置した標識の管理不足により、壊れた看板、また、実体のない団体等による未許可の看板設置なども見られ、すばらしい自然景観を阻害している現状にあります。したがって、各所の強力な連携により、改めて自然景観の保全について調査、検討することが必要であります。
乱立する標識も決して不必要なものではなく、自然環境の保全や利用者の安全確保において必要なものであることから、各団体や行政間の連携によるデザインの統一性が求められております。
そこで、環境部長にお聞きします。
地域が広域にわたり、それぞれの設置者の現状を把握し、各エリアごとに標識の更新及び設置についての整備計画を策定し、県が積極的に景観育成を進めるべきではないでしょうか。
〔環境部長荒井英彦君登壇〕
◎環境部長(荒井英彦 君)自然公園における看板の整備あるいは統一等の御質問をいただきました。自然公園内の各エリアで看板設置について県が積極的に景観育成を進めることについてのお尋ねでございます。
現在、国立公園では、環境省が主体となりまして、上高地などの利用者の多い地域から順次案内看板などの整備に取り組んでおり、今年度から、上信越高原国立公園の浅間山ろく地域におきましてエリア内の公共標識の整備に計画的に取り組むよう、関係機関との意見交換や現地調査などを始めている状況でございます。
一方、国定公園、県立公園につきましては、それぞれの事業者が独自に歩道整備などをするときにあわせて看板を設置しておりまして、エリアごとに看板類を中心とした整備計画は策定されていない現状でございます。
議員御指摘のとおり、関係者の連携不足もありまして看板が乱立していること、あるいは壊れた看板なども放置されていることから、こうしたことは景観上問題があると認識をいたしているところでございます。
今後、浅間山ろく地域の新たな取り組み事例などを参考といたしまして、行政機関や観光団体などで組織している自然環境保全協議会などを通じまして、自然公園内の標識整備につきまして関係者の合意形成を図るように検討してまいりたいと考えております。
〔12番山岸喜昭君登壇〕
◆12番(山岸喜昭 君)ただいま、協議されるということで、よろしくお願いしたいと思います。
そして、信州の自然公園内に設置するすべての標識について、大きさ、素材、デザイン、そしてまた外国語案内表示など、統一できることが望ましいと考えるが、いかがでしょうか。
〔環境部長荒井英彦君登壇〕
◎環境部長(荒井英彦 君)看板の大きさ、また内容などの統一を図ることについてのお尋ねでございます。
自然公園内の看板につきましては、現在、環境省が、その看板の大きさ、あるいはデザイン、材質、外国語表示などについて整備方針を策定をしまして、国立公園を中心にしまして必要な情報提供あるいは指導を行っているところでございます。
国定公園では、県が管理する歩道での看板の設置につきましては、環境省の整備指針に基づき県が整備を進めているところでございます。そして、市町村や観光団体などが新たに設置する看板につきましては、自然公園法に基づきまして、県が看板の大きさや色彩、材質などにつきまして指導を行っているところでございます。
しかしながら、お話にもありましたとおり、自然公園内には古いもの、あるいは設置者が不明なものも多くありまして、それらのものの統合あるいは撤去につきましては、これは大きな課題であると認識をいたしております。こうした看板のデザインや内容の統一につきましても、先ほど申し上げました看板の整備と一体的なものとして、県も参画している各地域の自然環境保全協議会、あるいは地元の関係団体などと連携を図りながら今後進めてまいりたいと考えております。
〔12番山岸喜昭君登壇〕
◆12番(山岸喜昭 君)ただいま、新たに設置する看板につきましては県が指導するというお答えをいただきました。
また、統一標識のうち、新しく設置する誘導看板につきましては、御提案でございますが、ポイントナンバーなどを表示して、携帯電話のGPS、また、バーコードとリンクさせたり、広域行政圏のパンフレットや山岳ガイドマップ、観光情報誌などに掲載することより、利用者の利便性の向上を図り、適切な情報提供だけでなく、登山者の安全対策、また山岳遭難の防止にも大いに期待できるものと考えますが、いかがでしょうか。
〔環境部長荒井英彦君登壇〕
◎環境部長(荒井英彦 君)ポイントナンバーあるいはバーコードの活用についてということでお尋ねがございました。
議員御提案のポイントナンバーあるいはバーコードの活用につきましては、ある意味で新たな取り組みでありまして、利用者の利便性を高めるとともに、遭難防止対策などにも有効な手段ではないかと考えております。
先ほど紹介いたしました上信越高原国立公園の浅間山ろく地域における標識整備におきましても、誘導看板へのポイントナンバーの導入が計画されているところでございます。そうしたことから、今後、その効果を見きわめながら、関係者への情報提供なども含めまして検討してまいりたいと考えております。
〔12番山岸喜昭君登壇〕
◆12番(山岸喜昭 君)ぜひ取り組んでいただきたいと思います。富士山が自然遺産になかなか足踏みをしているのはこの部分でございます。本県におきましても至急に対応されることを望みます。
続きまして、観光立県長野再興計画についてお尋ねします。
県観光部創設以来、県の観光PR、誘客の強化、四季折々のイベント、企画等の取り組みに対して高く評価しているところでございます。しかし、全国的な観光地間の競争が激化している中、県内観光客数は平成3年の1億700万人をピークに減少の傾向となっております。県では、観光立県長野を目指し、平成20年度から5カ年で再興計画で四つの達成目標を掲げ、その実現に向けた施策を展開してきました。
善光寺御開帳、信州DC、ことしはアフターDCが開催されています。「未知を歩こう。信州」をキャッチフレーズに多くのイベントが開催され、期間中における観光利用者の成果は残せたものと思います。
そこで、観光部長にお聞きいたします。
今回、信州DCにおける経済波及効果についてどのように評価しているか。また、満足度調査から今後に取り組むべき課題は何だとお考えでしょうか。お聞きします。
〔観光部長野池明登君登壇〕
◎観光部長(野池明登 君)信州デスティネーションキャンペーンの経済波及効果と今後の課題についてお尋ねをいただきました。
まず、キャンペーン期間中の観光客数でございますけれども、対前年で104.8%、消費額のほうは104.4%と前年を上回りまして、経済波及効果ですけれども110億円余りに上ると試算されているところでございます。
今後の取り組むべき課題でございますけれども、お話にもございました期間中の満足度調査等によりますと、一つは、宿泊施設の満足度に比べまして飲食店ですとか土産品に関する満足度が若干低い傾向にございました。それから、宿泊よりも日帰り客の伸びが大きかったこと、それから、地域間での観光客の増減にばらつきがあったこと等の課題がわかっております。
また、民間の調査結果でも、長野県、全国平均に比べまして旅行の際の小遣いに使う金額が低いという傾向も見られます。
こうしたことを踏まえまして、今後は、食ですとか土産品などにつきまして長野県ならではの魅力を持った商品開発、それから積極的なPRに取り組むとともに、県内周遊や、その土地に行かなければ体験できない魅力的な体験などで滞在期間を延ばす取り組みを関係者一体となって進めてまいりたいというように考えております。
以上でございます。
〔12番山岸喜昭君登壇〕
◆12番(山岸喜昭 君)続きまして、信州のデスティネーションキャンペーンは終了しましたが、イメージキャラクターと「未知を歩こう。信州」は継続されます。
そこで、計画に掲げられた八つの重点プロジェクトの中で、これからの信州の観光振興の手段として、県内10の広域行政圏で、多様な地域特性に応じた観光振興施策を明記し、各エリア内の観光関係者との協議の場の設置など連携強化と計画のフォローアップを進めてまいっていますが、再興計画を実現するために、DCにより今回の掘り起こした未知なる観光資源を活用しながら、四季折々での観光PRキャンペーンに一層の力を入れるべきだと考えますが、いかがなものでしょうか。
そしてまた、再興計画の中で、市町村、観光業者、観光関係団体など主体別の取り組み内容が掲げられているが、県では、各地域の取り組み状況をどのように把握し、進行している地域とおくれている地域についてはどのような対応をしているか。お聞きいたします。
〔観光部長野池明登君登壇〕
◎観光部長(野池明登 君)まず、四季折々の観光キャンペーンについてお尋ねをいただきました。
デスティネーションキャンペーンでは、ごく一例ですけれども、例えば下諏訪町の万治の石仏ですとか、南木曽町の桃介橋ですとか、これまでなかなか全国的には注目をされてこなかった各地域の観光資源を掘り起こしをいたしまして、全国に向けて情報発信ができたところでございます。
また、長野県、大変県土が広く、標高差もございますために、四季の変化が鮮明でございます。1年を通して多彩な魅力を観光客の皆さんに楽しんでいただける高いポテンシャルを持っている県であるというふうに考えております
こうしたことから、来年に向けましては、秋の観光キャンペーンだけではなく、四季折々、シーズンごとに各地域の魅力をアピールしていけるような方策を関係の皆さんとともに検討してまいりたいというふうに思っております。
また、10広域の取り組み状況と課題のある地域への対応というお尋ねでございます。
今の観光の計画には、初めて10の広域圏ごとの観光ビジョンというものを盛り込みまして、その推進体制として地域観光戦略会議を設置をしてございます。各地域の観光振興策のうち、例えば連泊による滞在型観光の推進ですとか、ボランティアガイド等の人づくりですとか、さまざまな手段による観光情報の発信等につきましては、それぞれ地域の皆様、大変な工夫をして取り組んでいただいておりまして、大きな成果を上げているところでございます。
一方、観光の広域的なまとまりですとか、外国人旅行者の受け入れの推進ですとか、関係者の考え方が一つにまとまりにくいもの、こういったものもございまして、必ずしも進捗が芳しくない地域もございます。これらに対しましては、例えば観光地間をつなぐ周遊型の商品づくり、あるいは外国人旅行者の受け入れの研修会ですとか、観光案内板の多言語化などを通じまして地域の熱意ある取り組みを一層応援していきたいというふうに思っております。
以上でございます。
〔12番山岸喜昭君登壇〕
◆12番(山岸喜昭 君)続きまして、インバウンドの政策についてお聞きします。
ことしの震災、また、原発事故、円高などから、遠のいた外国人旅行者を県内に誘致するために積極的な誘客活動が必要かと思われますが、どのように進めていくでしょうか。
〔観光部長野池明登君登壇〕
◎観光部長(野池明登 君)外国人旅行者の今後の誘客活動についてでございます。
日本を訪れる外国人観光客ですけれども、震災後の4月に前年の約3分の1まで減少いたしましたけれども、その後、国と地方が連携をいたしまして、海外のメディアですとか旅行会社の招聘、それから海外でのプロモーションの展開などを通じまして正確な情報提供に努めてまいりました結果、直近の8月では前年の約3分の2まで回復をしている状況でございます。
多くの外国人旅行者を誘致をするためには、こういう大変厳しいときだからこそお互いの顔の見える信頼関係を築いていくということが大切であろうというふうに考えております。11月の中国での知事のトップセールスを初め、今後、台湾、中国、それからタイで商談会を開催する予定にしております。
また、外国人のニーズを踏まえまして長野県の特徴を生かした新たな観光資源を発掘するために、外国人観光客向けプラチナルート発掘事業に要する経費を今定例会にお願いをしているところでございます。
以上でございます。
〔12番山岸喜昭君登壇〕
◆12番(山岸喜昭 君)ただいまの御答弁のトップセールスは特に効果があると思います。
そしてまた、スキーシーズンを前にしてお聞きします。
ことしは長野スキー発祥100周年の節目の年に当たるわけでございます。これを機に、低迷しているスキー業界に対し、新たにスノーリゾート信州構築事業が進められる中、情報の発信やPR等、現在の進捗状況をお聞かせ願います。
〔観光部長野池明登君登壇〕
◎観光部長(野池明登 君)スノーリゾート信州構築事業の現在の進捗状況についてでございます。
県内のスキー場利用者数660万人ということで、ピーク時の3分の1以下に減少している状況でございます。そのため、新たなスノーリゾート振興策に取り組むことを目的といたしまして、県、市町村、索道事業者、スキー用品メーカー、県体育協会など52の団体による官民一体の全県的な推進体制、スノーリゾート信州プロモーション委員会を去る9月9日に立ち上げたところでございます。
現在の準備の進捗状況でございますけれども、みんなで統一して使うキャッチフレーズを「信州はスノーリゾートの新世紀へ!」と伝えまして、既に7月に東京、大阪でスキー商談会を開催をいたしましたほか、県内小学生へのリフト優待券の配布、教育委員会と連携したその利用促進、それからレンタル用品店の優良認定制度の導入、将来を展望したシンポジウムの開催など、既に取り組みを進めましたり、準備を進めているところでございます。
以上でございます。
〔12番山岸喜昭君登壇〕
◆12番(山岸喜昭 君)厳しい時代を迎えているわけでございますが、ぜひお取り組みをお願いいたします。
続きまして、知事にお伺いいたします。
知事は、東日本大震災による観光需要の減少に対し、素早く夏に向けての大型キャンペーンを実施するなど迅速な対応に努めてこられました。そして、今後、日本においては高い経済成長が見込めない中、また、長野県観光の現状を踏まえ、本県の観光産業を守るために、新しい5カ年計画に掲げるべき施策も含め、次なる観光施策をどのように考えているかお聞きしまして、質問を終わります。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)次なる観光施策をどう考えるかというお尋ねでございます。
観光という観点から申し上げたときに、私は、長野県、まだまだ強みを生かし切れてないんじゃないか、やるべきことがいっぱいあるんじゃないかというふうに思っております。
長野県の価値あるいは強みを生かしていくという観点から申し上げれば、例えば森林とか豊かな農村を活用しての森林セラピーとか農村セラピーとか、そういういやしを都会の人たちに提供するという観点での取り組みであるとか、あるいは長野県は博物館や美術館が非常に多い、これは公立、民間含めて非常に多い地域でありますが、そうした施設をもっと生かした、あるいはそれぞれの地域の伝統や文化、そうしたものをもっとネットワーク化して発展をさせていくような文化と連携しての観光であるとか、長野県の持っている強みをより生かしていくということが重要だと思っております。
それから、移住・交流推進本部というものをつくりました。これは、いわゆる狭い意味での観光だけではなくて、子供たちの地域間の交流も含めて、あるいは今林務部で森林の里親をやっていますけれども、例えば都会の企業に森林の里親になってもらって間伐等に来てもらうとか、そういう広い意味での交流施策の推進ということも重要なテーマであるというふうに思っております。
また、ターゲットを明確にしての誘客ということで、これから団塊の世代が高齢層に入っていらっしゃる中で高齢者のニーズというのはふえてくると思います。そうした高齢者の方々のニーズに合った観光であるとか、あるいは長野県は県外に行くとスポーツ合宿のメッカという感覚でとらえられているところもありますので、そうしたスポーツ合宿の誘致でありますとか、あるいはコンベンションやイベント等、いわゆるMICEへの取り組みといったようなことで、これは、単に宣伝するとかいうことだけではなくて、具体的につないでいくという行動が必要だというふうに思っております。
さらには、先ほどお話ありました海外、一時的に冷え込んでおりますけれども、インバウンドについても力を入れて取り組んでいくことが重要だと思っております。
また、観光立県ということで言っているわけでありますので、単に観光部の取り組みだけではないんじゃないかというふうに私は思っております。
先ほどもお尋ねありました景観面、公共サインの話を含めた景観の問題、あるいは物産の振興、さらには道路の整備とか、そうしたものも含めてトータルで長野県の強み、ポテンシャルを生かした観光の振興に努力をしてまいりたいというふうに考えております。
以上です。
○議長(村石正郎 君)この際、午後1時10分まで休憩いたします。
午後0時5分休憩
──────────────────
午後1時11分開議
○副議長(竹内久幸 君)休憩前に引き続き会議を開きます。
続いて順次発言を許します。
中川博司議員。
〔1番中川博司君登壇〕
◆1番(中川博司 君)改革・新風の中川博司です。最初に、公契約条例について知事にお伺いいたします。
公契約条例をつくろうという背景には主に二つの理由があると考えます。一つは、建設労働者の賃金、労働条件の改善です。
建設業界においては、不況による建設工事の減少、公共事業の総量削減と行政側のコスト削減圧力によってダンピングが起き、重層下請構造の中で労働者賃金が下がり続け、若者を中心に建設労働者が激減をしているという実態がございます。
こうした背景の中で、建設現場で働く労働者に生活していくのに十分な賃金や労働条件を確保する目的で公契約条例の制定が取り組まれ、2009年9月、千葉県野田市で、2010年12月、政令市の川崎市で制定されました。野田市や川崎市の条例では、建設労働者の労賃の基準を公共工事設計労務単価に置き、労働者に支払われる賃金の下限を定めることで、落札率の上下によって、あるいは下請したからといって労働者賃金には影響を与えないという仕組みにしています。
この間、県の担当者の方とお話をさせていただく中で、県が調査することがなかなか難しい一人親方の存在があることがわかってきました。
一人親方とは、労働者を雇用せずに、自分自身と家族などだけで事業を行う個人事業主で、職種は大工、とび、左官、板金、タイル、エクステリア、造園など多岐にわたります。施主から直に仕事を請け負う場合もあれば、建設会社から仕事を請け負う場合もあります。請負仕事にも、材料からすべて請け負う場合と、手間請けといって労働者と何ら変わらない働き方をしている場合もあります。
特に、この手間請けは、労働者と何ら変わらない働き方をしているにもかかわらず、健康保険、年金、労災保険はもとより、ガソリン代、高速代、駐車場代を初め道具代、すべて自分持ちです。
加えて、10年前は、建設労働者のうち一人親方の割合は10%程度でした。しかし、この10年の間に常雇いが減って、その分、一人親方が16.7%にふえているという国の調査結果もございます。これは、会社が保険料などを支払うことができずに、雇用形態を変えたことが原因だと思われます。
公共工事で働いている一人親方の皆さんから、こんな声が聞かれています。県の公共工事をしていたが、材料代は上がり、経費はなく、労働賃金は下がるばかりだ。ほかにも、1日当たりの手間請け代金はそこそこでも、経費がかかり過ぎて生計を立てられる収入は得られない。公共工事についてはまず赤字覚悟だ。さらに、公共事業の物件に携わっていますが、現場は安過ぎて賃金も出ず、日当で働いていますなどです。
これらの声が証明しているのは、元請から下請へ、さらにその下で働く一人親方は請負契約で、この契約金額は日給換算で設計労務単価以下であるということです。ぜひともこの実態を変えなければなりません。
二つ目の理由は、自治体業務のアウトソーシング、民間委託の拡大により、そこで働く労働者の賃金が極めて低く抑えられているということです。
とりわけ、新たな民間化手法として導入された指定管理者制度は、指定期間が3年ないし5年が約8割を占めています。そのために、期限の定めのない労働者を雇用することが難しく、大半が有期雇用かアルバイトによって成り立っています。
私は、税金の使い方としてこれまでの安ければ安いほどよいという風潮は、結果として官製ワーキングプアをつくる温床となっていると危惧をいたします。
以上の理由から、自治体が発注する製造、建設工事の請負契約、委託契約を対象とする公契約条例が必要だと考えるわけです。
そこで、知事に次の3点についてお考えをお聞かせください。
第1に、これまでの公契約条例についての知事の議会答弁を調べましたところ、直近では、ことし2月議会で、森田恒雄議員の質問に答えて、新年度、つまり今年度でございますが、半ばには中間取りまとめを行うことを予定していますと答えておりますが、研究会の中間取りまとめはどうなっているでしょうか。
第2に、知事は、建設労働者の実態、あるいは委託契約のもとで働く労働者の実態についてどのように御認識されているでしょうか。
第3に、公契約条例の意義について現段階でどのように考えておられるのか。それぞれお答えをいただきたいと思います。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)公契約条例についてのお尋ねに順次お答えを申し上げます。
まず、研究会の中間取りまとめでございます。
これは、昨年の11月に庁内関係各課によります公契約研究会を設置して鋭意検討してまいりました。先進自治体の状況の調査であるとか、あるいは賃金の実態調査、さらには労働団体あるいは経営者団体の方々との意見交換を行ってきているところであります。
中間報告に向けて、公契約に関する調査内容の取りまとめ、それから労働賃金についての課題を整理してきているところでありますけれども、例えば雇用弱者を締め出す懸念があるのではないか、あるいは受注者の負担、あるいは行政コストの増加、そうしたものの懸念が指摘をされているところであります。
中間報告については、近々取りまとめて、結果を公表したいというふうに考えております。
今後は、さらに賃金実態調査を引き続き行いますとともに、環境配慮あるいは福祉への取り組みといった観点も含めて総体的な公契約のあり方について研究を進めていきたいと思っておりますし、その上で、専門家あるいは学識経験者等も交えた幅広い議論を行っていく必要があるんじゃないかというふうに思っております。
建設労働者の実態でございますけれども、県内の建設投資額、私が申し上げるまでもなく、民間の投資も含めて平成7年のピークが1兆9,979億円であったわけですが、22年度にはピーク時の約3割の6,237億円ということで大幅に減少しております。また、建設業で働かれている方々の数は、平成8年が12万1,188人に対して平成21年度は約8万人ということで、こちらはピーク時の約65%程度という状況です。
こうしたことから、建設産業、そして建設産業に携わっていらっしゃる皆様方の環境、雇用状況、非常に厳しいものがあるのではないかというふうに思っております。
建設労働者の皆さんの実態については、賃金の支払い等、より具体的で詳細な情報を把握する必要があるというふうに考えておりますので、平成23年度発注の建設工事並びに業務委託契約について、企業の方々の御協力のもと、状況調査を実施しているところであります。これまで、まだ一部の調査でありますけれども、例えば勤務形態や経験年数によって同じ労働に従事しても賃金の格差は極めて大きいというようなこと等もわかってきておりますが、今後さらに調査を進めて十分な分析をしていきたいと思っております。
それから、公契約条例の意義でございます。
県としては、労働者の働く環境の改善というのは重要な施策だというふうに考えております。そうした中で、建設工事に関連しては、失格基準価格の見直しとか、あるいは総合評価落札方式における労働環境の改善についての加点評価等々、入札制度を通じた取り組みというものもこれまで行ってきているところであります。
公契約条例の制定は、最低賃金以上の支払いを規定すること等によって労働賃金の向上に資する等、働かれる方の労働環境の改善に効果があるというふうに考えております。
ただ、先ほど申し上げたように幾つかの課題というものも研究の中でわかってきておりますので、そうしたものを一つ一つ検討していかなければいけないだろうというふうに思っております。条例制定につきましては幅広い議論を今後行っていきたいというふうに考えております。
以上です。
〔1番中川博司君登壇〕
◆1番(中川博司 君)ありがとうございました。最初に申し上げましたように、今の県の調査の中ではなかなか一人親方の実態にまで調査が及ぶという状況はございませんので、ぜひとも、関係団体の皆さんの聴取も含めて、さらに研究を深めていただくように重ねてお願いを申し上げます。
次に、内部被曝対策について
健康福祉部長及び知事にお伺いをいたします。
3.11東日本大震災以降、長野県といたしましても、避難をされてきている皆さんや福島の子供たちへの支援を初め、さまざまな対策が講じられてきました。また、今回の補正予算案の知事議案説明におきましてもかなりの重点を置いておられることに敬意を表します。
9月9日の知事記者会見でも、福島から自主避難されてきている皆さんに対しても、民間アパートの借り上げを災害救助法の適用になるということで拡充される発表をされておりましたが、後日、私も福島から自主避難されてきた方のお話をお聞きしましたが、感謝をしておられたことをここにお伝えをいたします。
さて、福島から自主避難をされておられる方の心配は、言うまでもなく子供たちへの放射線被曝への心配です。DNA分子はわずかな電子エネルギーで結びついているわけですが、ガンマ線はけた違いの10万電子ボルト以上で、放射線が当たるとDNA分子はたやすく切れてしまいます。子供は細胞分裂が盛んで、DNAが傷つくと先天性異常や小児がんになるおそれがあり、傷ついた遺伝子は次世代にまで引き継がれると言われています。
年間被曝量が100ミリシーベルト以下での人体への影響については諸説あることは承知していますが、原発労働者に対する厚生労働省の調査によれば、年間5ミリシーベルトの被曝で発がんした労働者を労災認定しています。また、内部被曝に至っては、どの程度の被曝で人体に影響があるのかということはわかっていません。わかっていないから安心だとはとても言えません。わかっていないからこそ、少なくとも子供たちへの被曝の危険性を可能な限りなくすことが政治の責任ではないでしょうか。
既に、県内市町村においても、安定ヨウ素剤の備蓄、給食センターの食材の産地表示と放射能検査など独自に行うところもあると報道がされています。さらに、内部被曝を検査するホールボディカウンターの設置、あるいは県立こども病院における給食対策など、課題は多々あろうかと思いますが、長野県に住んでいる皆さんの健康を守るために、とりわけ内部被曝の危険性に対してより積極的な対策を講じるべきと考えますが、この点については
健康福祉部長にお伺いします。
また、都道府県地域防災計画の修正手続については、第1次一括法により、これまでの事前の協議から事後の報告になりました。知事が提案説明で述べられているように、国の財政的裏づけも必要でしょう。ぜひとも、放射能の専門家などの意見を幅広く聴取し、放射線被曝から県民の命と健康を守るための施策が防災計画の中でも講じられるよう要請し、知事に現段階でのお考えをお伺いします。
〔
健康福祉部長三村保君登壇〕
◎
健康福祉部長(三村保 君)内部被曝対策の御質問でございます。
内部被曝は、食べ物や飲み物あるいは空気中に含まれる放射性物質を体内に取り込むことでございまして、その被曝量が大きくなると健康に影響を及ぼすと言われております。
県では、空間放射線量の測定や、水道水や降下物の放射能濃度測定、米や野菜、果物、肉牛など県内産農畜産物や流通食品の放射性物質検査など多岐にわたる分野で測定、検査をしております。これまでの結果は、不検出であるか、検出された場合でもごくわずかでございまして、現時点では健康への影響が心配される数値とはなっておりません。
こうした測定、検査ばかりでなく、健康福祉部では、今御指摘のとおり、子供たちの健康ということで、妊婦や乳幼児の保護者、そして市町村の保健や保育に携わる担当者を対象にした専門家を招いた研修会を開催したり、健康相談窓口を開設し県民に正しく情報を伝えるよう努めております。御指摘のとおり、県民の不安解消に向けて引き続きこうした取り組みをしっかり進めてまいります。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)放射線被曝の御質問でございます。
私も、できる限り子供たちを含めて放射線の被曝を抑えていくということが大切だというふうに思っております。
今回の補正予算の中にも、放射能の測定機器の整備事業約1億円お願いをさせていただいておりますけれども、機器の充実を通じて、さらに放射性物質の測定でありますとか、あるいは県民の皆様方への知識の伝達とか、一層、放射性物質に対する対応についての施策を強化していきたいというふうに思っております。
また、防災計画についてのお尋ねでございます。
原子力災害対策につきましては、現在、地域防災計画の中には長野県として原子力防災対策というのは基本的には入っておりません。今後は、災害対策基本法に基づく地域防災計画の中に原子力防災対策をきちっと位置づけていきたいというふうに思っております。
長野県の防災会議に放射線あるいは原子力防災に関する専門家を含めた部会を新たに設置をして、年度内には計画を策定していきたいというふうに考えております。その中で、放射線被曝から県民の皆様の命と健康を守るという対策もしっかりと位置づけていきたいというふうに思っております。
これからも放射能の問題については全庁挙げて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
以上です。
〔1番中川博司君登壇〕
◆1番(中川博司 君)ありがとうございました。内部被曝は、例えば放射線によって汚染をされた稲わらを食べた肉牛が全国的に大きな問題になったというように、県内の農産物の検査だけでは、いつ、どういう形で内部被曝をするかということはなかなかわからないという状況がございますので、そんな点も含めましてさらに強化をしていただくように重ねて要請をさせていただきます。
実は、このほかにも低線量被曝の問題もございます。低線量被曝の問題については、この9月24日から、国が航空機を使って長野県内を1週間かけて調査をされている状況ですので、その状況を見た上で改めてまた御質問をさせていただきたいと思います。
次に、松くい虫対策についてお伺いをいたします。
6月議会におきまして、松くい虫対策で行われている空中散布について意見書が出され、委員会では継続審査ということになりました。
県では、松くい虫防除のための農薬の空中散布の今後のあり方が検討されてきていますが、現在の審議状況と、取りまとめられている案の内容の特徴、さらには関係市町村へのヒアリングも実施されているというふうにお聞きしておりますので、そんな状況について林務部長にお伺いをいたします。
〔林務部長久米義輝君登壇〕
◎林務部長(久米義輝 君)松くい虫防除のための農薬の空中散布のあり方の検討状況についてのお尋ねでございます。
昨年12月から開始いたしました検討は、現在、最終案の策定に向けて細部の詰めを行っているところでございます。
現時点での今後のあり方の案におきましては、空中散布を実施しようとする周辺地域に化学物質過敏症など感受性の高い皆さんがおられた場合の健康への影響のリスクを可能な限り低減するため、事業主体である市町村が周辺住民の皆さんとのリスクコミュニケーションを強化して、影響のリスクの可能性を把握した上で空中散布の実施の可否の判断を適切に行うこと。その上で、空中散布を実施する判断をした場合でも、できる限り農薬の飛散が少ない方法など安全性に配慮した方法をとるとともに、きめ細やかな住民への対応体制をつくることなどを基本的な考え方としております。
県といたしましては、このような取り組みがなされるよう、防除実施基準の改正等により必要な支援をしていくこととして検討を進めているところでございます。
なお、今月までに関係する12の市町村と意見交換を行いましたが、周辺地域の住民の皆さんの意向を尊重するべき、地域の実情を熟知する市町村長が判断できるようにするべきなどの意見をいただいているところでございます。
以上です。
〔1番中川博司君登壇〕
◆1番(中川博司 君)リスクコミュニケーションが強化をされると、こういう内容だと理解していますが、場合によると空中散布を中止するという内容です。私も、松くい虫対策について県の林業総合センターなどにお伺いをいたしまして少し勉強させていただきましたが、現在のところ、広葉樹を枯らすカシノナガキクイムシとともに、特効薬がないのが実情のようでございます。
関係する市町村にもお話をお伺いしました。松枯れに対して伐倒・薫蒸処理を行っておりますけれども、費用もかかることから予算措置ができずに被害が拡大しているというお話も聞いています。
また、農林水産省にも問い合わせをいたしましたが、松枯れ対策について来年度の予算ゼロにはならないが、この9月末までの概算要求の取りまとめまでの要望状況を見ている、こういう回答でもございました。
私は、県民の健康を守る立場から、リスクコミュニケーションを強化する、このことには賛成でございますが、同時に、温暖化とともに拡大していると思われる松枯れ対策も強化していかなければ、気がついたときには山が真っ赤に染まるという状況にもなりかねませんので、知事に、信州の緑を守るため、松枯れ対策強化についてのお考えをお伺いいたします。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)松枯れ対策についての御質問でございます。
現在、先ほど林務部長からも答弁申し上げたように、松くい虫の空中散布と、それから周辺住民の健康との関係での検討を庁内で行っているわけでありますけれども、長野県の美しい松林を維持していくという観点で、これまでの対策、被害拡大を防ぐための伐倒駆除を中心として、薬剤の空中散布、あるいは幹への予防薬剤の注入等、さまざまな防除方法を組み合わせて取り組んできたということで、私は一定の成果は上がってきているのではないかなというふうには思います。
ただ、全国的な状況を見ると、今の対応で本当に守り切っていけるのかという課題もあろうかと思います。
他方で、空中散布の問題については、周辺住民の皆さんの健康、とりわけ化学物質に過敏な皆さんの健康との関係、調和をどう図るかという極めて重い問題でもあるというふうに思っております。
これは市町村の皆さんの意見も十分聞きながら考えなければいけない話だと思いますけれども、適切な防除対策で私としては松林をしっかり守っていくということを基本に据えながらも、周辺の住民の皆様方の健康にどういう配慮していくのか、どういうことが可能なのかということについては引き続きしっかりと考えていきたいというふうに考えております。
以上です。
〔1番中川博司君登壇〕
◆1番(中川博司 君)ぜひともしっかり取り組んでいただきたいと思います。
最後に、木曽義仲のNHK大河ドラマ化に向けてお伺いをいたします。
私は、松本市の北部に位置する岡田という地籍に生まれ育ちました。この岡田という地名は、平安末期、木曽義仲とともに平家討伐に加わった岡田冠者親義に由来するものです。
長野県内には、木曽義仲にゆかりのある地は38市町村、400カ所を超えます。NHK大河ドラマ化というのは一つの目標でありますが、この取り組みを通じて隠れている地元の観光スポットの掘り起こしにつながるものと思います。
北信越にも各所ございますので、私は、木曽義仲のNHK大河ドラマ化に向けた取り組みを、北陸新幹線延伸後、並行在来線の活用も含めて、大きな観光資源として長野県としてもぜひ力を入れていただきたいことを強く要請いたしまして、観光部長にそのお考えをお聞きしまして質問を終わります。
〔観光部長野池明登君登壇〕
◎観光部長(野池明登 君)木曽義仲のNHK大河ドラマ化についてでございます。
NHKの大河ドラマは、御案内のとおりでございますけれども、年間を通じて放送ということで大変長期にわたってファンを獲得することができますし、また、観光客の増加ですとか、土産物の販売ですとか、地域経済の活性化への貢献も大変大きなものがございます。
また、議員のお話にありましたとおり、ふるさとのことを深く知り、誇りと愛着を高めるという効果も大変大きなものがございます。
県では、現在、富山県、石川県のゆかりの自治体で構成をいたします義仲・巴広域連携推進会議、この場におきましてNHKへの要請活動ですとか、広域観光マップの作成などに取り組んでいるところでございます。
平成26年度の北陸新幹線金沢延伸は、義仲が京都に進軍をしたルートとも重なるルートになります。沿線自治体の連携で広域観光を推進をしていくには議員お話のとおり絶好のチャンスというふうに考えております。
大河ドラマ化に向けた要請活動につきましては、継続的に粘り強く取り組んでまいりますとともに、これにあわせまして新たな観光スポットの掘り起こし、観光ルートの開発など、点を線につなぎ、線を面にしていく、そんな取り組みにつきまして市町村と一緒に研究をしていきたいというふうに考えております。
以上でございます。
○副議長(竹内久幸 君)次に、風間辰一議員。
〔43番風間辰一君登壇〕
◆43番(風間辰一 君)景気回復への突破口を見出せない米国、そしてギリシャやスペイン、イタリアといった巨額の負債を抱え込み、デフォルト不可避の状況下にある国を連合国としているEU、代表的世界通貨のドルもユーロも危機をはらみ、世界的景気回復が遠のいている中、東日本大震災と原発事故の復旧もままならず、経済・社会全体が大打撃をこうむっている我が国のみが一方的に想定外の信用評価を国際的に下され、超円高という形となって今我が国経済と我が県経済を苦しめております。
折からの景気低迷に加え、震災によるサプライチェーンの寸断や原発事故による風評被害を受けつつも、そこからの脱却を図っている現在の我が国のありようは、戦後の瓦れきの中でゼロからはい上がった、その後の経済大国日本の黎明期を生で見る思いであります。
このような中、我が県自身の緊迫した財政構造からの脱却と、県民の負託にこたえニーズをかなえていく原資を得るためにも、また、雇用の確保と安定を図るためにも、今、県がとるべき最大かつ喫緊の課題は、県内企業をいかに守り支援するか、思い切った経済対策と金融対策をしっかりと打つことにかかっていると思うのでございます。
その点で、この9月補正はまさに重大な意味を持つのであり、3月11日以降、6月補正での金融支援に続く第2弾としてその大きな期待にこたえ、かつ県の強い意志を表明したものでなければならないのであります。
自民党県議団といたしましては、我々議会の声を受けて、県が東日本大震災復興支援資金を実施したことに引き続き、昨年の127億という規模を少なくとも上回る予算を計上してくれることを期待しておりましたが、今回計上された総額は図らずも85億と100億を割り込む額になったことはまことに残念でなりません。
ただ、今回の予算措置には、我が県の財政事情と、国の第3次補正が定まらない段階において、県独自で最大限の努力をされた痕跡は予算案随所に見られることから、総量とすれば不足感は否めないが、今後の展開への足がかりとして一定の評価はしたいと思うのでございます。
そこで、知事にお伺いいたしますが、まず、この緊急経済活性化対策でどの程度の経済波及があると見込んでおられるか。
また、より効果のあるものにするためには継続的に実施していかなければならないと思いますが、今年度は引き続き実行していくと考えてよいか。その場合、全体としての事業規模をどの程度にしたいとお考えか。
また、来年度当初予算も一体として景気対策を講じ、前倒しで実施していくことも有用であると思いますが、その点についての知事のお考えはいかがか。
今年度もあと半分を残すのみとなり、国の第3次補正が見込まれる時点において臨時県会を招集してでも次なる経済対策を間断なく講ずるべきと考えますが、そのお考えはあるか。あわせて知事にお伺いをいたします。
私は、国の補正予算の中身に左右されずに県独自の施策と目標総額を示し、行動で国を動かしていく気概を知事に求めたいのであります。
切れ目なく仕事を確保し、実需を喚起する。さまざまな緊急経済対策の中でも特に社会基盤整備は、我が県のような地方においては県民生活に直結し、実体経済に即した即効性のある対策として有効であり、過去、さまざまな新進気鋭の経済学を振りかざし、景気対策を打ち出してきた米国オバマ政権も、大量の失業者を減らすことも、産業の空洞化に歯どめをかけることもできずに、わき上がる各州、地方からの不満の声に耐えられず、結局、最後に頼みの綱として、先般9月8日、35兆円中10兆円の地方へのインフラ整備と補助金という極めてベーシックで巨額の景気対策を打ち出したところであります。
地方の実体経済に見合った雇用の確保と確実な経済波及効果をもたらすだけでなく、災害に強い県土を再構築することや、農林業基盤整備、新たな交通網の整備は、県民生活そのものを強化することであり、多岐にわたって県民に副産物をもたらすことは周知のとおりでございます。
もちろん、金融支援及び中長期的観点からの対策として医療、環境といった先駆的分野の新産業創出への誘導や県民に広く普及、展開することも、将来の県経済を担う成長分野として必要と考えます。
また、景気刺激とする以上は県民に対するインパクトも必要でありますが、要は、我が県に合った長・中・短にねらいを定めた適切な対策を、適切なときに、症状に応じ、量的に過不足なく注入していくことに尽きると思うのであります。
以上の観点から、今回の対策のインパクトとしての知事のメッセージはいかなるものか。また、今後の景気対策に際して、短期・中期・長期的視点での経済対策はどういった分野に焦点を当てていくことが我が県にとって有効か。知事の景気対策についての基本認識とあわせ、お伺いをいたします。
一方、金融支援についてでありますが、私どもの要望を真摯に受けとめ実施された東日本大震災復興支援資金は、貸し付け利率を今まであった特別経営安定対策資金の1.8%から1.5%にまで引き下げ、全国的にもトップクラスの手厚い制度となっており、震災後の影響にあえぐ県民からも反響があり、高く評価するものでありますが、直近の利用状況と県民の反応、また、今後も当面継続制度としていくのかについて。
また、新たな対策として円高対策の充実も求められておりますが、ニーズにあわせた制度資金を今後どのように講じられていくのか。
商工労働部長にお伺いをいたします。
阿部知事が就任されて1年が経過し、どのように県政が変化したか、どのような政治をとり行い、何が足り、何が不足していたか。1年を省みて今後の県政運営に生かしていただきたいと思うのでございます。
報道によりますと、知事は、就任1年となる自己評価を尋ねられ、100ある公約のほとんどについて実現、あるいは方向性を出しつつあるとしております。本当にその言葉どおりとするなら、かなり多くの結果が出ているはずと存じます。
知事は、基本政策に関する取り組み状況について、100項目を四つの現状に分け、自己評価されております。これによりますと、1、「具体的な取組を実施したもの」が27項目、2、「具体的な取組を実施しているが、さらに充実・強化が必要なもの」が48項目、3、「達成に向け検討に着手したもの」が22項目、4、「今後着手予定のもの」を3項目としておりますが、1と2を分ける理由が釈然といたしません。これらは、本来、達成目標値がないなら謙虚に今後も推進すべきものとして一緒にするべきであるはずが、分けたことで1の具体的取り組みを実施したが、いかにも達成し成果をもたらしたと解釈でき、受けとめられることに若干違和感と疑問を感ずる点があります。
例えば、「中小企業の受注開拓支援や商談会を開催」については、商談会の結果、受注に結びついた、それはどのくらいの件数で、幾らの売り上げに結びついたといった検証と結果が必要であり、その結果が企業にとって満足いくものならばよいが、1年で結果が出ているはずもない中で勝手にやったといって自己満足しているわけにはいかないのではないか。これをもって達成というカテゴリーに入れるべきものではないと思うのであります。
また、「維持補修工事を前倒し、地元事業者へ発注します」についても、前県政から継続している事業であり、確実に地元業者が受注しているとは言えない現実の中で実施したと言われても困るのであります。
信州経済戦略会議と地域戦略会議の設置についても、それぞれ県のどのような具体的施策に結びつく見通しなのかまだ見えない中、やっただけでは済まされないのであり、特に地域戦略会議については、予算に関して市町村長から裏づけがないと指摘される中、12年度までに策定するとしている地域ビジョンにめどが立っていない状況下ではなおさらであります。
いずれにせよ、この自己評価には何がまだ足りないかという視点が欠けていると思いますし、とにかく着手したという線で引くと100点中97点という数字が算出されるようになっている点も結果が求められている現実とは乖離しており、この中に、「とにかく1回は実行した」と「成果をもたらした」が一緒になってくくられて解釈されるのは知事も本意ではないのではないか。両者には大きな違いがあり、県民に誤解を与えるのではないかと思うのであります。
県民は成果が出るのを今まさに待っているのであり、1年をもって何かを実現したというにはまだ早いのではないか。言ったことはやったではなく、効果と検証をもって評価していただきたいのであります。
改めて1年を振り返り、どう評価するか。お伺いをいたします。
また、知事は、現地機関への予算要求権とする分権枠と、財政課が各部局を主導する仕組みになっているため、知事予算要求権ともいえる知事枠を創設したいとのことでありますが、現地機関は既に本庁と緊密な連携のもと予算を要求しておりますし、知事枠については、そもそも県予算全体を知事が統括すべきであり、予算はすなわち知事枠というのではなかったか。知事のリーダーシップをもっと発揮すれば事済むのではないかと考えますが、いかがか。
それぞれについての考えに至ったいきさつと創設する意義及びその仕組みについて知事にお伺いいたします。
知事を評価する声として県民の声を聞く姿勢についてのものがあり、多くの場を設置して精力的にその声を聞くことは極めて重要でありますが、一方で、その声をどこまで県政に反映するのかがこれからの大きな課題ではないかと考えます。
知事就任後に設置された協議会や検討会などの組織は30を超え、それぞれが、いつまでに、どのような方針で、何を決めるのかわからずに、県民の意見や専門家に議論してもらうのを聞くだけで1年が終わったのではないか。知事自身の方針をカラーとして見せずに、お任せで終わりなき議論が続くのでは、真剣に県の発展を願って議論する協力者の御労苦も徒労に終わることになりかねません。もっと、長野県をどの方向に導きたい、この分野で開花させたいという大きな方向性を県民及び職員に示し、議論の結果をいつまでに出し、その結果をどう反映させるか。その道筋を立て、指示を出していく必要があると思うのであります。
今のままでは、乗客を乗せた後、みんなで目的地について話し合っている、いつまでたっても飛ぼうとしない待機中の飛行機であり、もう乗客もしびれを切らす時間となっていることを考え、聞くだけではなく、もう少し知事御自身の夢なり考え方をみずから具体的に発信し理解していただく努力と、スピード感をもってまとめ上げていくために、しかるべきリーダーシップをとるべきだと思いますが、知事の以上に関する見解と今後の対応についてお伺いをいたします。
次に、中小企業振興条例についてお伺いします。
この条例は、現在、18道府県において制定、目下策定に向け検討中が4県と、今後も条例の効果を期待して多くの県で策定していくことが想定されるところであります。各県とも、県の責務や企業側の努力、県民の協力などを規定した上で、条例に基づく基本施策の策定や財政上の措置など講ずるよう努力することを定めたもので、各県の、中小企業振興に力を入れることや受注機会の増大に努めることを県に求める内容となっております。
また、各県においてそれぞれの特徴を生かした中小企業振興に資する展開とするために、地産地消、観光の振興、ブランド化などさまざまな方面に波及するよう独自の条文を加えることで、各県独自の条例の効果を特に発揮すべき分野を対象化する等、条例に県全体の発展に果たす役割を与えようとするものでございます。
つまり、あり方次第では、我が県の将来に大きくかかわる重大な条例であると私は考えます。であるからこそ議員提案で制定され、理事者提案ではできないエッセンスを加えているケースが多いのも特徴の一つであります。
この条例の制定について、6月議会で、知事は、県中小企業振興審議会の検討項目の一つとして加えた上で、その議論にゆだねるとしております。また、条例ですべて解決はしないが、県の姿勢を示し、一層の支援をしたいと、その制定の意義について答弁をされております。
そこで、知事にお伺いいたしますが、さきにも申し上げましたとおり、それでは知事の意図することが委員の皆さんにも県民の皆さんにも伝わりにくいわけですので、理事者提案としたいのであれば、もう少し踏み込んで、この条例を制定することによって県内中小企業にとってどのような効果があり、新たな展開が広がるのか。また、我が県にとって、制定による効果をどのように想定し、思い描いているのか。他県の場合、条例化によって予算措置等具体的支援策はどのような例があり、我が県の場合どうあり得るのか。他県における施行後の状況は何がどう変わったのか。一例を示していただきながら、条例の果たすべき効果と役割についてお伺いしたいと存じます。
また、長野県らしさを条例に与えていくには、ものづくり産業に加えて観光や地産地消という視点も必要と考えますが、条例における長野県らしさをどう織り込むかについて現時点でどのようなものがあると考えられるか。知事にお伺いをいたします。
震災に対する新たな県の体制整備について知事にお伺いいたします。
東日本大震災は、防災・減災対策だけでなく、自助、公助、共助と、それぞれが万が一の場合にでき得ることを日ごろから想定し、体制を整備することが地震国日本に住む上で欠くことができないことを改めて喚起させたのでございます。
特に、公助については、大規模災害が発生した場合、一市町村や一県だけの体制では到底太刀打ちできないことも露呈させ、大きな圏域での災害に備えた地域づくり、連携支援のあり方や訓練、初動態勢等、さまざまな角度から総点検をし直し、複数県、複数市町村が連帯感を持った複合的責任感と、新たな意味での共助の精神をもってつくる体制の整備が必要かつ急務であることを思い知らされたのでございます。
県は地域防災計画を年度内に見直すとしておりますが、想定被害を超広域的とした場合や、県職員や市町村職員が被災し行政機能が喪失していることをも想定した災害時の初動態勢をどうするのか、中枢機能をどこに求めるのかといったことまで明確にしておく必要があり、また、そのような非常事態の場合に備え、県境を越えた中枢機能の移転を含めた防災体制と支援体制をとり、日ごろから連携を確認、強化しておくこともこれからは必要不可欠であると考えます。これらについての知事の御所見をお伺いをいたします。
幸い、我が県は、地理的にも歴史的にもかかわりが深い数多くの隣県に恵まれております。隣県においても非常時における支援と体制のあり方について手探り状態の中、条件を生かし、我が県が率先して支援体制の構築を推進する中心的役割を担うべきと考えるが、いかがか。県内広域的支援のあり方と今後の方針を含め、お伺いをいたします。
また、今般23日、県総合防災訓練が実施されましたが、県民の防災意識が高まる中、どのようなことを今後の体制強化の取り組みとして生かすべきと感じたか。また、この11月には緊急消防援助隊の関東ブロック合同訓練が我が県で開催されますが、近隣都県との協力体制を図る上で今まで以上にどのような点に重点を置くべきとお考えか。
この1日には、大規模災害を想定し、図上防災訓練を実施されたとのことですが、今回の訓練からどのような教訓、改善点が見られたか。図上だけではなく、自衛隊との非常時における連携及び実地訓練を体制として今後どのように強化し、推進するかについてあわせてお伺いをいたします。
以上で1回目の質問といたします。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)いろいろと示唆に富んだ御質問をいただきましてありがとうございます。順次お答えを申し上げたいと思います。
まず、緊急経済活性化対策に関連してでございます。経済波及効果についてというお尋ねでございます。
県政、当面、最重要課題として、経済活性化、そして雇用対策に取り組んでいきたいと思っております。緊急経済活性化対策の予算額57億円余のうち県単独の公共事業などの投資的経費43億円ありますけれども、これをもとに長野県産業連関表を用いて推計いたしますと、その経済波及効果は約1.62倍になる見込みということで約70億円程度の新たな生産活動が誘発されるというふうに考えております。
このほか、今回の対策の中には、既決の予算の活用であるとか、あるいは地域イノベーション戦略支援プログラムのように県の予算を通さずに国から支援を受けるような事業もありますので、こうしたものを加えますとさらに効果は大きいものというふうに考えております。
また、将来的には、これからの成長産業として例えば医療あるいはエネルギー分野について重点的に取り組んでいきたいと考えております。医療分野、地域イノベーション戦略支援プログラムによりまして、信州大学医学部を中核として、国際的メディカル産業集積を実現するため産学官金連携での研究開発支援体制の整備を進めているところであります。
また、自然エネルギーの普及拡大に関しては、自然エネルギー信州ネットに専門的なスタッフを配置して長野県の地域特性あるいは技術力を活用した自然エネルギーの地産地消モデルをつくっていきたいと考えております。こうしたことを加えて、中長期的にも経済の活性化を図っていきたいというふうに考えております。
次に、全体の規模、あるいは3次補正への対応というお尋ねでございます。
9月補正予算、長野県の緊急経済活性化対策を実施するために、早期に予算化が必要な事業について県債の発行をしながら最大限計上をいたしたものであります。当面、57億円の経済対策を最大限効果的に、かつ迅速に実行するということに全力を挙げていきたいというふうに考えています。
これは、補助公共事業を除けば、昨年度の経済対策を上回る金額を計上させていただいているところであります。引き続き、県内の経済・雇用情勢を注視して、新年度予算の前倒しであるとか、あるいは国の第3次補正予算の活用なども含めて、知恵を絞ってまいりたいというふうに考えております。
県としても、国に対して第3次補正予算の必要性を訴えていきたいというふうに思いますし、また、その内容、あるいは成立時期等の情報把握についてしっかりと行っていきたいと思っております。
臨時県議会の開催等のお話もございましたが、議会の皆様と十分相談しながら適切に対応してまいります。
次に、短期、中期、長期の視点からの焦点、景気対策の基本認識ということであります。
今回の緊急経済活性化対策、県民の皆様の暮らしの安全、安心の確保、それから持続的な県内経済の成長ということを考えて、当面の最重要課題として県内経済の下支え、雇用の確保を位置づけて、国の経済対策に先駆けて迅速に対応するということで取りまとめたものであります。
先ほど申し上げたように、補助公共を除いては経済対策分57億円、これは昨年度を上回る数字でありますし、県単独の公共事業の41億円、これは9月補正では過去10年間で最大ということであります。でき得る限りの対策を今の経済情勢に対して打っていきたいということで編成をさせていただきました。
焦点を当てていく分野としては、喫緊の課題としては、先ほど来いろいろ御質問もありますけれども、原発事故による風評被害の払拭や、あるいは歴史的な円高対策に対しての対応、それから、当面の課題としては、緊急輸送路の整備、あるいは県民生活の安全、安心の広い意味での確保ということに取り組んでいきたいと思いますし、また、省エネルギーの推進や社会的弱者への支援と雇用の創出、確保ということを行ってまいります。さらに、中長期的課題としては、先ほど申し上げました健康、医療、あるいは環境、エネルギーの分野に焦点を当てて新しい産業の育成につなげていきたいというふうに考えております。
景気対策のために緊急の課題や将来の課題に向けて全力で、これは県庁全体を挙げて経済活性化対策の実行、そして効果あらしめるように取り組んでいきたいというふうに思っています。
次に、県政運営についてであります。1年間を振り返ってどう評価するかということでございます。
私の自己評価をごらんいただいて、1と2をどうして分けているんだかよくわからない、違和感があるというお話がございました。
私の自己評価は、私自身も、これは公約の評価ということで、議員御指摘のように本来は成果主義で、結果を出しているかどうかということで政策は評価するべきものだと私も思っておりますが、ただ、今回の評価は、私が公約として掲げたもの、例えばランチミーティングを行いますとか、そういうことも含めての評価でありますので、実行していれば実行したという形での評価にさせていただいているところであります。
各部局にも考え方を聞きましたけれども、各部局の考え方は私の自己評価よりもさらに甘くなる傾向があるんで、私自身も、今風間議員からも御指摘ありましたように、くれぐれも県民とお約束したことに対して甘い評価とならないようにこれからもしっかり取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。
これから、新しい総合5カ年計画の策定、あるいは行政・財政改革の方針策定ということで、新しい県政の骨組みをつくっていく段階になっておりますので、そうした中で本格的な、私がこれまで県民の皆さんにお約束したこと、あるいはお伺いしてきたことをしっかりと位置づけていきたいというふうに思っております。
それから、分権枠、知事枠ということのお尋ねでございます。
これは、一部報道で分権枠、知事枠という形の報道があったことは事実でございますが、私は必ずしも積極的にこういう枠をつくろうという趣旨で申し上げたわけではありません。私の問題意識は、これは県議会の皆様方ともぜひ共有をさせていただきたいというふうに思いますが、まず、ここ近年、厳しい財政状況ということに余り強く意識され過ぎて、厳しい財政状況だということを県組織が十分意識することは大事なんですけれども、その余り、新しい発想とか、あるいはお金がかかりそうなことは県民の皆様方から御提案があってもほぼ無理だという形で対応してきてしまったのではないかなという問題意識があります。
私は、そうしたことなく、たとえ財政的にはお金がかかるような事業であっても、本当に必要なことについてはしっかりと取り組んでいかなければいけないと。そういう意味で、これは記事では知事枠になっていますけれども、私は新しい視点で予算要求をしてもらえるような仕組みが必要だという思いを強く持っております。
それとあわせて、長野県、北海道も入れて日本で4番目に広い都道府県でありますから、それぞれの地域の特性、特色というものを本当に生かしていくことが県全体の発展にとっても重要だろうというふうに思っております。そういう観点での地域ごとに必要な予算を考えていく仕組みということも、これは私は大変重要だというふうに思っております。そうした背景でああいった報道になったということでございます。
そういう意味で、来年度の予算編成に向けては、初めに予算制約ありきという発想はぜひ庁内全体取り払っていただいて、もちろん最終的には一定の枠内におさめなければいけないわけですけれども、本当に必要な事業とは何か、政策は何かということを議論してもらいたいと思っていますし、私も一緒になって議論をしていきたいと思っております。
そういう意味で、知事枠ということについては、新しい予算編成の仕組みの中で、これは知事枠をつくるという形じゃなくて、各部局の発想と、それから私の考え方が十分これまで以上に、単に枠に入らないから仕方ないから要求するのはやめてしまうということにならないような仕組みをつくっていきたいと思っております。
それから、各地方の発想については、新しく地方事務所長の施策提案制度というものを10月に行いたいというふうに思っております。地方事務所長からの提案については、私自身も部局長と一緒に話を聞きたいというふうに思っております。地方事務所長の提案の中で県として取り組むべきものについては、これはしっかりと生かしていきたいというふうに考えておりますし、また、今回の試行を踏まえて、各地域に順次地域戦略会議を設置していただいておりますが、そこで協議された事項についても25年度以降は予算編成に反映させるような制度を講じていきたいというふうに考えております。
いずれにしても、新年度予算編成につきましては、事業の改廃、新規事業の構築、これまで以上に大胆かつ積極的に行っていきたいというふうに思っております。
次に、私のリーダーシップへの見解と今後の対応ということでございます。
県政運営を行っていくに当たっては、私は、県民が主役の県政ということで申し上げておりますので、県民の声を具体的な形にしていくということが重要だと思っております。
今回、9月補正予算の編成に当たりましても、各部局の中堅職員の皆さんと意見交換をして経済活性化に結びつくような取り組みの検討も行ってまいりました。また、今回の補正予算に安心こども基金の活用での赤ちゃんほっとルーム整備事業5億円計上いたしておりますけれども、安心こども基金、今までは、使い勝手が悪い、このままでは国に返さなきゃいけないんじゃないかということで言われてきたわけでありますけれども、今までの県の考え方は、基本的に市町村、あるいは広げて社会福祉法人を支援の対象ということでありましたけれども、私は、これから共創、協働ということで、民間の施設も含めて、こうした施設を充実していくことにつなげなければいけないということで、今回、安心こども基金の使い方についても、広げてこういう施策を講じたところであります。ボトムアップで上がってきたものをそのままよしということにしていれば、こういう事業はなかなか出てこなかったんじゃないかなと率直に私は思っているところであります。
とはいえ、5億円の事業費、県民の皆さんに使っていただかなければいけませんので、これは県議会の皆さんも一緒になって、こんなところで使えるんじゃないか、こういう皆さんがいるからぜひ使うように申請したらということを働きかけていただければありがたいなというふうに思っております。
来年度予算につきましても、これは各部局からのボトムアップということだけではなくて、私がいろいろ1年間意見交換等を重ねてきました。そうした中で、私が必要だというふうに考えていることについては各部局に具体的に検討を指示しておりますので、そうしたものも、限られた予算の中でありますけれども、しっかりと政策化していきたいというふうに考えているところであります。
実現不可能なこと、あるいはなかなか難しいことを打ち上げていく、言葉だけで言うのは簡単だと思いますけれども、私は、できるだけ具体的なことが行われるように、各部局の職員とも知恵と力を合わせてしっかりと着実に進めていきたいというふうに思っております。
次に、中小企業振興条例についてでございます。
中小企業振興条例の効果、役割ということでありますけれども、中小企業、長野県においては事業所数で約99%ということで、本当に長野県の経済、産業を支えていただいているのは中小企業の皆様だというふうに考えております。この中小企業の振興なしに長野県経済が元気になることはないというふうに思っております。
そうした観点で条例を制定することによって、これまで中小企業政策を実施してきたわけでありますけれども、改めて基本的な理念であるとか施策の基本的事項等について県の考え方を明らかにしていきたいというふうに思いますし、また、できる限り実効性がある条例にしていくということが重要だというふうに思っております。
他県、例えば神奈川県や大阪府などの条例を見ますと、中小企業の受注機会の拡大、あるいは県としての財政上の措置といったような事項について規定をしているものがございます。また、条例を制定する過程において多くの方々が参画したということが最終的に中小企業支援への理解促進につながったということも伺っております。
長野県の条例のあり方については、他県の条例、あるいは他県であらわれている効果についても十分研究しながら検討していきたいというふうに思っております。
次に、長野県らしさということでありますが、中小企業振興条例においては、製造業、長野県のもとより基幹産業であるわけでありますけれども、それ以外にも、観光業、建設業など、幅広く県内の中小企業の振興に取り組んできたところでありますし、これからも取り組んでいく必要があるというふうに思っております。条例制定の中で、例えば地産地消の観点からできるだけ地元の中小企業へ発注をしていくというようなことなども含めて、長野県らしさを出せるように考えていきたいというふうに思っております。
次に、震災、防災の関係のお尋ねでございます。
まず、行政機能が喪失した場合の対応ということでありますが、今回の東日本大震災におきましては、広域的に甚大な被害が発生したために多くの自治体で行政機能が喪失するという事態も発生したわけであります。こうした事態が本県で発生した場合には、的確に初動できる体制を確保するということが重要だと思っております。
県庁、合同庁舎の耐震化あるいは代替施設の確保という施設面での整備はもとより、職務を遂行する上での必要な意思決定の順位を決めていくということも必要だと思っております。また、人員、物資の確保、あるいは人材の育成、養成を含めた訓練の実施等について、これまでも実施してきている対策はありますが、こうしたものを含めて必要な検討を行って万全の対応を期していきたいと思っております。
また、災害対応の業務だけではなくて、非常時にも通常業務を行っていくということが必要になる場合もあるわけでありますので、そうした観点でもあらかじめ担当者を指定しておく等の対策を講じていきたいというふうに思っております。
また、中枢機能を他県に移転しなければならない事態、そういう事態がないように祈っておりますけれども、そうしたことも念頭に置きながら他県とのさらなる連携強化を図っていきたいと思っております。
それから、広域的な支援体制の話でございます。
他県との相互支援体制、これは、全国知事会、あるいは中部圏知事会、関東知事会、それぞれのレベルにおいて協定等を結んでいるところであります。ことしの7月に諏訪市で開催した中部圏知事会におきましては、広域支援のあり方について本県からも基本的な方向性を提案しまして、それに沿って現在事務レベルで検討をしているという状況であります。
具体的な検討内容としては、あらかじめ支援する県、それから応援を受ける県を決めておくというようなこと、あるいは一定規模以上の地震が起こったときには、要請等を待つまでもなく、自動的に先遣隊を派遣していってはどうかというようなこと、さらには、これは、県と県の間だけではなくて、当該地域の市町村や民間団体等も一緒になって応援していくということはどうかと、そうした検討を行っているところであります。
こうした中部圏知事会の議論も踏まえて、さらに中部圏知事会に属さない県との連携についても考えていきたいと思っております。
また、県内の支援体制、これは県と市町村との協議の場における第1回目のテーマとして防災を取り上げたわけであります。県内でも、広域的な応援体制のあり方というのは重要だという認識に私ども県も市町村の皆さんも立っているわけであります。そうしたものを踏まえて、市町村と一緒になって協議を進めていきたいと思っておりますし、また、年度内を目途に策定する地域防災計画に必要なものについては反映をさせていきたいと、こう思っております。
それから、県の総合防災訓練、それから緊急消防援助隊の関東ブロック合同訓練に関連してであります。
先般、飯山市で県の総合防災訓練を開いたわけでありますが、3,000名の皆さんに御参加をいただきました。今回、東日本大震災を受けての開催ということで、実践的な訓練ができたのではないかというふうに思っております。
幾つか私も気になった点がございます。例えば、平常時の訓練ですと電源はいつでもスイッチを押せば電気つくわけでありますけれども、いざ地震のときに停電した場合の電源確保をどうするのかというような話とか、あるいは、これも医療関係者の方から言われましたけれども、例えば今衛星携帯電話を使った連絡をしておりますけれども、しかしながら、人が常に屋外にいて連絡をとらなきゃいけないといったことはなかなか現実の場合難しいんじゃないかといった御指摘もいただいたりしました。
そのほか、今回の訓練を通じて明らかとなった課題については、今後、参加機関の皆様方からも出していただく中で、今後の実際の災害対応の改善に役立てていきたいというふうに思っております。
それから、11月に予定しております緊急消防援助隊の関東ブロック合同訓練で重点を置くことということでございます。
まず、今回の訓練は、受け入れ態勢の検証、それから救助技術、あるいは部隊相互の連携活動能力の向上を主たる目的として開催をしたいと思っております。そうした中で、活動の内容であるとか場所を事前に明らかにすることなく、部隊移動も含めて、その場その場の状況に適切に対応できるようなブラインド型の訓練を行っていきたいと思っております。
また、さきの東日本大震災で浮き彫りになった課題として幾つか課題があります。例えば、大部隊の移動を行う場合には現場の到着に時間を要してしまうんじゃないか、あるいは消防車両が被災地に行くときに燃料をどうするんだと、それから情報収集がなかなか被災現場に行く際には難しい側面があるといったような課題があります。
こうしたことを踏まえて、小規模編成の部隊移動によっての参集時間の短縮を図るということや、あるいは東京消防庁の燃料補給車を活用して県外隊への燃料を配布するといったようなこと、さらには、消防無線や衛星携帯電話、NTT回線といった複数の情報伝達系統の確保、そうしたことに重点を置いて訓練を行っていきたいと思っております。
最後に、9月1日の図上防災訓練についてでございます。
今回の図上訓練は、緊急消防援助隊の活動調整と人命救助にかかわる機関の連携を図るという目的で、県と消防機関のほか、県警、自衛隊、長野県DMATの参加により実施をいたしました。初めての試みとして、中央に置いた協議机に関係者一堂が会して、現場の位置や被害状況、要救助者の数などの情報を共有した上で、航空部隊を含めた各機関の部隊配置を調整するための活動方針協議の場というものを設置をいたしました。参加者の皆様方からは、いろんな御意見ありますが、新たな一つの形ができたのではないか、あるいはほかの機関との情報共有する機会になってよかったという評価をいただいております。
訓練終了後、参加者全員で反省会を実施したわけでありますけれども、そうした中で出てきている点としては、実動部隊、お互いに現場状況などの情報共有をさらに進めていくことが必要ではないか、あるいは、発災時だけじゃなくて、日ごろから関係機関が顔の見える関係をつくることが重要ではないか、さらに、いろんな機関でさまざまな用語を使っておりますけれども、関係機関でいざというときにコミュニケーションに支障を来さないように用語の統一を図ることが重要ではないかといったような御指摘がありました。
こうしたことを踏まえて、自衛隊との連携に関しましては、県の地震総合防災訓練などに協議の場を設定することに加えまして、年内に開催を予定しております各機関の機能的な連携のあり方の研究会にも実務者に参加していただくということで、平素からの関係をこれまで以上に強化をしていきたいというふうに考えております。
答弁は以上でございます。
〔
商工労働部長太田寛君登壇〕
◎
商工労働部長(太田寛 君)県の制度資金について大きく二つの御質問をいただいております。最初に、東日本大震災復興支援資金の利用状況についてお答え申し上げます。
5月23日に創設いたしました東日本大震災復興支援資金につきましては、年間融資目標額の200億円に対しまして、9月22日までの4カ月で既に665件、金額で134億2,000万円余の御利用をいただいているところでございます。
製造業や宿泊・旅行業を中心に、震災に起因いたします急激な取引の減少やキャンセルに伴う資金の利用割合が高い状況でありまして、震災後の県内中小企業の資金需要に一定程度おこたえすることができたものと理解しているところでございます。
現在までのあっせん状況の推移を見ますと、取り扱い開始直後の6月がピークでありまして、現時点では落ちついた動きになりつつあります。これは、県内経済が、震災の影響という観点を考えますと、徐々に回復しつつあることの一つのあらわれではないかと考えております。
今後の話でございますが、この資金は国が本年5月に創設いたしました東日本大震災復興緊急保証に対応するものでありまして、保証制度と同じく、現在、取り扱い期間は来年3月末日までとしているところでございます。しかし、現在、国が検討しております第3次補正予算の中で、企業金融対策の一つとして東日本大震災復興緊急保証の拡充という項目が上がっております。こういった国の状況等も注視しながら、中小企業者の資金繰りに支障が生ずることのないよう、今後の支援策について、適時適切に、そして積極的に対応してまいりたいと考えております。
二つ目、円高対策等ニーズにあわせた資金についての御質問にお答え申し上げます。
県では、昨年9月に、急激な円高等の影響により事業活動に支障を来している中小企業を支援するため、緊急円高対策資金を創設したところでございます。円高等によりまして収益の悪化やさらなるコストダウン、こういったものに苦慮する事業者の負担を軽減するため、県の制度資金では初めて変動金利を導入いたしまして、固定金利との選択制としたところでございます。
本年度当初予算におきましても、引き続き、特別経営安定対策資金の運転資金と合わせまして230億円の融資枠を用意しておるところでございます。
円高等によりまして資金繰りに苦慮していらっしゃる中小企業の皆様に対しまして、こうした資金メニューを御利用いただくよう、商工会、商工会議所、そして金融機関とも連携いたしまして御案内に努めているところでございます。
今後とも、県内の経済情勢や中小企業の資金ニーズ、そして国の施策動向も踏まえまして、県制度資金の柔軟な運用に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
〔43番風間辰一君登壇〕
◆43番(風間辰一 君)それぞれ御答弁いただきました。緊急経済対策につきましては引き続き頑張っていただきたい。できる限りの対策を打っていきたいという知事の答弁があったわけでございますが、引き続き経済対策を行っていくという方針であるならば、私は、財源をどこに求めるのかといった問題が出てくるのではないか、この問題を解決せずには前には進まない。
県債発行額につきましては、昨年度の当初に比べて、167億、11.8%の減ということでございまして、この財源以外には恐らく一層踏み込んだ財政出動はあり得ないだろうと思っております。
そこで、11.8%の減とした県債発行方針を変更してでも県の経済対策を行っていく、実行していく、そういう決意が知事におありになるかどうか。その覚悟についてお伺いいたします。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)県債発行についてのお尋ねでございます。
私は、長野県の経済を支えるという上で、県債発行も辞さずに取り組むべきということが現在の経済環境の中では重要だというふうに思っております。
ただ、他方で申し上げれば、今の長野県の発行している県債の半分以上が臨時財政対策債という、本来は国から現金でもらえてしかるべきものということで、非常にいびつな構造になってしまっているわけでありまして、これは私は引き続き国に対して強く改善を求めていきたいと思いますし、議員各位におかれても、今の国と地方の財政関係が非常にいびつな形になっているということにはぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。
あわせて、しかしながら、中長期的には財政運営の健全化ということも考えていかなければいけないわけでありますので、今回も、県債を発行することをあえて抑制することなく、できる限りの事業を計上させていただいているわけでありますので、経済対策の観点ではしっかりと思い切った対策を講じていきたいと思いますが、中長期的な観点での財政健全化、国、地方をあわせてでありますけれども、そうしたことは十分念頭に置きながら対応していくことが重要だというふうに思っております。
以上です。
〔43番風間辰一君登壇〕
◆43番(風間辰一 君)ぜひ、そこに手を入れてでも恐れずにしていく必要がある。今、県民は瀕死の状態で、輸血をしなければならない、そういう状態でありますから、それがなくして健康を取り戻すことはあり得ない。まずはしっかりと輸血をするということ、このことをしっかり私は伝えておかなければいけないと思っております。
それから、先ほど経済波及効果についてのお話がございました。70億円ということでございますが、過去の誘発額から見ますと下から数えて3番目であるということのようでございます。平成21年、それから平成22年ということになりますが、額は少なくとも、その後、間断なく景気対策を打ってきている、それによって初めて効果が出るわけでありますから、引き続きの経済対策を打っていただきますようお願いを申し上げまして、質問とさせていただきます。
○副議長(竹内久幸 君)次に、木下茂人議員。
〔52番木下茂人君登壇〕
◆52番(木下茂人 君)最近の経済情勢への対応とこれに関連する9月補正予算について質問いたします。風間議員の質問と重複を避けまして、できるだけ私は個別的な事項について質問させていただきたいと思います。
我が国の経済は、震災や円高、電力需給の逼迫、国際金融市場の不安定化等複合要因による深刻な状況にあります。この非常事態にもかかわらず、国の対応がおくれ、これに対応する補正予算もいまだ決まらず、その活用ができない現状の中で、県は県独自の対策として長野県緊急経済活性化対策を策定し、このうち実施可能な事業として経済対策費57億円余を補正予算に計上いたしました。県独自の労は多とするところでありますが、提示された対策で歴史的な不況を県内企業が乗り越えられるのかどうか心配であります。
特に、円高に耐え切れず、地方事務所の調査によりますと、私の地域でも海外移転を検討している企業が幾つかあると言われ、産業の空洞化が思いやられます。
長野県緊急経済活性化対策では、具体的な対策としてはものづくり産業応援助成金制度を充実することと融資制度の支援が主要なものであります。ものづくり産業応援助成金制度の充実とは県内への工場立地促進のことで、県内への工場、生産設備の増設の補助金の増額や条件緩和がその内容でありまして、海外移転を検討している企業は県内へ工場を増設しようなどとは考えていようはずがないわけでありまして、企業の実情や思いと離反した対策のように考えますが、これで企業の海外移転を阻止する対策になり得るのでしょうか。
また、今回の状況について、企業の経営実態、どういうことに一番困っているか、国、県に何を求めているのか、実態調査は実施されているのでしょうか。実施していればその内容についてもお伺いしたいと思います。答弁は
商工労働部長にお願いをいたします。
関連をして、上程されている9月補正予算案についてお伺いをいたします。
9月補正を平成22年度と23年度とで比較してみますと、まず、補正規模として平成22年度は127億円余、23年度は84億円余で42億円余の減少であります。この差は何によって生じたものでしょうか。もっと積極予算を組んでほしかったという思いを込めて知事にお伺いをいたします。
次に、予算内容について質問をいたします。
県単独公共事業費については41億円を計上していますが、これは9月補正における経済対策としては過去10年間で最大の規模であると説明されております。県の努力は多としたいと思いますが、公共事業費は県単公共事業費と補助公共事業費の二つを合わせてその推移を見ることが肝要であり、疲弊している建設事業にとっての関心事であります。
公共事業費の平成22年度の額は、1月補正をしており、最終予算額は1,048億円余となります。一方、23年度の額は9月補正を含めても924億円余であり、23年度は22年度の計上額になお124億円余が減少しております。これは国の3次補正予算がおくれて活用できないことが大きな原因かと思います。問題は、今後の国の補正を長野県へどれだけ確保できるかにかかっています。
公共事業費については、平成11年から13年は年額2,000億円を上回り、平成5年から10年は年額三千数百億円、それから平成7年は4,135億円と膨大な予算を計上して県内経済を活性化してきました。22年度との比較にとらわれず、過去の経緯も念頭に置いて考えたいものであります。県の難局を救うために、阿部知事の高邁な信念に基づくリーダーシップの見せどころだと期待をしております。阿部知事の決意のほどをお聞かせください。
第1回目の質問を終わります。
〔
商工労働部長太田寛君登壇〕
◎
商工労働部長(太田寛 君)まず、企業の海外経営移転阻止の対策についてお答え申し上げます。
今回の急激な円高、これは国際経済の減速など外的要因が大きいわけでございまして、円高そのものの是正ということに関しましては政府、日銀の金融政策というところに期待するしかないというのが実情でございます。
こうした中で、輸出関連企業の海外移転の流れというのは、県単独では完全に食いとめることは決して容易でないことも認識しております。しかしながら、そういった中で県内企業の生産拠点の海外移転を少しでも防ぐために、当面の資金需要には緊急円高対策資金等により下支えを行うとともに、御指摘のございましたものづくり産業応援助成制度の拡充等によりまして県内への設備投資を促し、雇用の創出を図ってまいりたいと考えたところでございます。
また、販路開拓の支援におきましては、提案型の展示商談会の開催や発注開拓推進員等による支援等を通じまして新たな仕事の確保に向けた支援を強化してまいりたいと考えております。
国が第3次補正に盛り込む予定とお聞きしております円高への総合的対応策、この動向にも注視しながら適切な対応を図り、また、長期的には世界に通用する高度な技術開発や製品の高付加価値化を産学官金連携により支援することにより長野県産業の国際競争力を強化していきたいというふうに考えております。
経営実態調査でございますけれども、商工労働部では、県下の製造業からサービス業まで約270事業所を対象に、円高に伴う影響調査を8月の下旬に実施いたしました。本日発表いたしまして、その調査結果の一部から申し上げますと、円高による収益への影響は、全業種では約7割の企業がその時点では影響なしという回答でございまして、悪化、やや悪化を合わせて約3割でございました。ただし、製造業におきましては、悪化、やや悪化が合わせて4割と他の業種に比べて高い割合でございました。
また、企業側がとれ得る製造業の円高への対応策ということで申し上げますと、国際競争力強化に向けた新商品の開発、それからドル建て取引から円建て取引への移行ということを企業側が考えているという結果が出ております。
また、御質問にもございました国や県に求める支援策といたしましては、政府、日銀による為替レート安定化対策が約5割、それから運転・設備資金等の金融支援、これが約2割、そして販路開拓支援、これも約2割といったところでございました。
こういった調査の結果を受けまして施策に反映するとともに、今後とも、企業の皆様の声と景気の動向を注視いたしまして、適切な産業振興施策を推進していきたいというぐあいに考えております。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)補正予算の関係のお尋ねでございます。まず、昨年度9月補正予算より少ない理由というお尋ねでございます。
昨年の9月補正には、中身的には、例えば7、8月の梅雨・豪雨被害に対応するための災害関連の公共事業として40億円を上回る事業費を計上しておりましたし、また、国の経済対策を活用しての補助公共事業として23億円余を計上するなど、今回とは違った観点の予算をかなり大きな金額で盛り込んでいたわけであります。
今回の9月補正予算は、国の経済対策が、まだ第3次補正の中身がよくわからないということで活用が見込めないということ、それから災害関連の公共事業が今回はないということなどで昨年度に比べますと約42億円、トータルの予算額で見れば少ないということであります。しかしながら、こうした特殊事情を除けば、経済対策分としては昨年度を上回る金額を計上したわけでありまして、引き続き、県内経済の下支え、雇用確保に努めていきたいと思っております。
それから、今後の国の補正予算の活用ということでございます。
国において今まさに第3次補正をどういう中身にするか議論がされているわけでありますので、当然、今の経済環境の中で私ども長野県としても最大限活用していくということが重要だと思っております。国の経済対策に対しては県としてもその必要性を訴えていきたいと思っておりますし、また、補正予算の成立時期や内容等についてもきっちり情報を把握するように努めまして、長野県に最大限生かせるような形にしていきたいというふうに思っております。こうしたことと、それから今回の補正予算を合わせて県内経済の下支えと雇用の確保に万全の取り組みをしていきたいというふうに考えております。
以上です。
〔52番木下茂人君登壇〕
◆52番(木下茂人 君)影響調査に基づく対策について
商工労働部長から説明がありました。私も、けさ、この調査の結果の表をいただきました。説明がありましたけれども、この中で、影響について、取引先の海外移転の加速による受注減少、あるいは海外生産へのシフト増加というような影響について心配をしておりまして、政府、日銀による為替レート安定化対策の実施が一番大きい要望であったと、こういうふうに記載をされております。
私は、前々から、こうした調査はもっと早く、予算を編成するまでに結果が出るように調査をして、そして経済がどういう状況にあるのか、そして何を求めているかということを把握した上で予算を編成し、経済対策というものをつくるべきであるというふうに思うわけでございまして、その点、調査がおくれていたということが県民の意向とちぐはぐする政策になってしまっている要因もあるんじゃないかと、こんなふうに思いますので、そういう点は今後改めていただくようにお願いをしたいというふうに思います。
次の質問に移ります。エネルギー問題に関連をいたしまして、企業局の存続について質問をいたします。
3.11東日本大震災は、大地震、大津波、原発事故と重複、連鎖して、関連する地域はもちろん、我が国に重大な被害を及ぼしました。東京電力株式会社の福島原子力発電所は、地震、津波の被災時に一番大事な電源確保が不能となって、核燃料棒の溶融という最悪の事故となり、放射性物質が漏えいいたしました。慌てた菅総理は脱原発を発言しましたけれども、原発にかわるエネルギー源をどうするのか、問題は原発をやめるという短絡的なことで解決できることではないと思います。
2009年の我が国の発電電力量の構成は、原子力が約30%、水力、風力、太陽光等で約9%、残り約60%が火力発電であります。発電量の約30%を担う原子力発電をやめたら、これを補うエネルギー源をどう確保するのか。野田首相は、所信表明の中で、中長期的には原発への依存度を可能な限り下げていくと説明しながらも、同時に、定期検査で停止中の原発は安全確認と地元理解を前提に再稼働を進めるとも表明しております。現実的な考え方だと思いますが、いずれにしても、中長期的には原発にかわるクリーンエネルギー開発が重要であります。今後のエネルギー政策について真剣に早急に検討し、総力を挙げて取り組むべきであると考えます。
多くは国政に負うところが大きいと思いますが、県としてできることとして長野県企業局の電気事業について一考してはいかがかと思うのであります。企業局は民営化する方針を決め、県議会も同調しました。その中を唐突な感があるかと思いますが、それを考えていたところ、阿部知事も民営化見直しについて言及されているという新聞報道に接し、私見を申し上げ、知事の御所見を伺いたいと思います。
この発想のきっかけは、電気事情の変化、特に水力のようなクリーンな自然エネルギーに対する社会的需要が大きく変わってきたこと、そして、当時、民営化しようとした動機は、企業局で発電した電気が売れなくなると困るという懸念が主要なものであったと思いますが、その懸念は現在はほとんどなくなり、需要は将来さらに増加するものと考えられるからであります。
それは、政府が再生可能エネルギー特別措置法を急遽制定し、電力会社に再生エネルギーの買い取りを義務づける措置に出たことを見ても電力供給の状況変化は顕著であり、企業局の水力発電はこの法律の適用を直接受けるものではないにしても、電力会社が買い取りを拒否するようなことは社会的需給状況からまずないだろうと考えられます。
さて、話を進めるに当たって、長野県企業局の電気事業がどの程度の位置づけを持つものか、最近の再生エネルギーとして話題になる太陽光発電の事例と比べておきたいと思います。
8月10日付の産経新聞によりますと、東京電力が羽田空港に隣接する東京湾岸の埋立地、川崎市浮島と扇島、ここで年内に稼働を始めるという大規模太陽光発電所、いわゆるメガソーラーで国内最大級の発電量を持つ浮島と扇島という二つを合わせた発電所と比較してみますと、両発電所を合わせた敷地面積は計34ヘクタール、実にサッカー場45面分という大変な広さ、敷き詰める太陽光パネルは計10万2,000枚、発電量は2万キロワット、つくられる発電力量は年間2,100万キロワットアワーということであります。
これに対して、長野県企業局の所有する13発電所の平成22年度決算を見ますと、供給電力量4億3,175万7,000キロワットアワー、電力料収入29億5,186万円、利益剰余金3億6,892万5,000円でありまして、発電力量を比べますと企業局はメガソーラーの浮島、扇島両発電所の約20.6倍の電気の供給ができるのであります。新エネルギーとして太陽光や風力が関心を呼んでいますが、この大規模なメガソーラーでも、浮島、扇島の二つを合わせた発電所を約21個つくらないと企業局の発電力量に及ばないということになります。企業局の発電の力はばかにしたものではないなと思いますが、皆様の感想はいかがでしょうか。
さらに、企業局が実施している発電事業の長所について申し上げたいと思います。
その第1は、発電コストが安く、売電量が安価であるということであります。
発電方式による1キロワットアワー当たりで比較してみますと、資料によって若干の変動はありますが、およそ次のとおりであります。太陽光発電は42円から48円、風力発電は10円から14円、原子力発電は11円から12円、企業局の水力発電は実に7円20銭という安さであります。中部電力株式会社が長野県企業局の電気を高いというのは何を根拠に言うのか信じがたい思いがいたします。
政府は、太陽光等高額な電気は再生可能エネルギー特別措置法を制定しまして電力会社に買い取りを義務づけているということですが、電力会社の採算に合わない分は国民の税金で支援するか、電気料金の中へ織り込んで最終的には国民が負担するということになると考えられます。
いずれにいたしましても、企業局の水力発電はかくも安い価格で中部電力株式会社へ売っているのであります。
有利であることの第2は、水力発電による電気は電気の質がよいということであります。
太陽光や風力発電等の自然エネルギーは、夜間や雨天、曇天、無風時等、天候や時間帯によりまして発電ができないことがあるわけでございますし、また、火力発電は炉をとめたり点火するのにロスエネルギーと時間を要するけれども、水力発電はそのようなことがなく、特にダム式の場合は貯水によりエネルギーをストックでき、必要なとき必要なだけ発電でき、極めて効率がよいという特徴があります。
有利であることの第3について申し上げます。
これは、電気事業が開発済みの発電所をそのまま継続運転をしているだけならば、企業局がやっても電力会社がやっても同じことでありますが、新規に開発するとき、その建設費の捻出が容易であることであります。公営企業法に基づく発電所の建設費用は公営企業債をもって充当され、財源を県税、国税に頼らなくてもよいということであります。そして、その企業債は電力会社から得られる電気料金によって償還されるため、国や県の財政に負担をかけずに済むこと、つまり税金を一銭も使わずに発電所を建設し運営できることであります。
今、不況対策で、その財源にこれだけ困っているときに、公共事業と同等の経済効果を上げ、しかもクリーンエネルギーの供給にも寄与できることは一石三鳥の利点があると思われます。
以上、企業局による新規開発を念頭に置いた発電事業の有利な点について述べました。このほか、企業局の職員は、1万メートルにも及ぶ導水路隧道やダムの建設をしたり、発電所の建設、運転の技術等のノウハウを身につけております。
新規開発地点は少なくなっていますが、その気持ちで調査をすれば、まだまだ開発できるものと思います。例えば、高遠ダムから放流している三峰川の維持放流は、毎秒1トンの水を365日常時放流しています。企業局がその気になれば、企業局の施設の中で直ちに発電できる資源だと考えます。
さらに、美和ダムの上流の戸草ダムは、田中知事のときに長野県が発電と工業用水をダム事業から撤退したため多目的ダム構想が崩壊をして、ダム用地を全部買収したのに建設は中止し、そのまま放置されています。国家的な損失だと思います。これも、発電が参加して多目的ダム計画になれば復活の可能性は出てくるのではないかと思います。ダム反対の方もおられるかもしれませんが、今の状況の中では検討に値すると思います。
私の周辺の事情を思いつくままに申し上げましたが、企業局が復活して、その気になって調査すれば新規開発地点は探せると思いますし、再生可能エネルギーについては水力のほかにも地熱発電もあり、原子力発電をできる限り少なくして代替エネルギーを開発することは日本の将来のためにも時宜を得た発想ではないかと思います。
阿部知事の御所見をお伺いいたしまして、第2回の質問を終わります。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)企業局の電気事業についてのお尋ねでございます。
電気事業を今民営化の方向で検討してきているわけでありますが、企業債の償還等における将来的な財政負担の回避であるとか、あるいは民間企業のスケールメリットを生かした経営でより安価で安定した電力供給が図られるといった、県民の利益の向上を期待しての民営化の議論であったというふうに認識しております。
現在、中部電力と進めている譲渡協議、これは県からの申し入れにより行っているという経過もございますので、直ちにかじを切るという状況ではないというふうには思っております。
しかしながら、先ほど木下議員からるるお話ございましたように、福島第1原発の事故を契機として、原子力政策、エネルギー政策、大きく変わろうとしてきている状況であります。また、再生可能エネルギー特別措置法が制定される中で自然エネルギーにより追い風の環境ができてきているというふうに思っております。
また、企業局のメリットを挙げていただきましたけれども、私も、これから、県としての自然エネルギーの取り組みを進めていく上で、企業局の職員がこれまで培ってきたノウハウ、能力というものは非常に重要、貴重だというふうにも思っております。
そうしたさまざまな環境変化があるわけでありますが、現実に現時点でも電気事業を経営しているという立場でございますけれども、こうした世の中の大きな動きをしっかりと見きわめつつ、改めて未来に向けて、この公営電気事業のあり方、もう少し広く言えば公営企業のあり方になろうかと思いますけれども、検討していく必要があるというふうに考えているところであります。
以上です。
〔52番木下茂人君登壇〕
◆52番(木下茂人 君)企業局の問題については、確かに中電と譲渡についての話が継続しているという事情はありますけれども、やはり県でできることはしっかりやる、そして、まだ話が決まったわけではないわけですから、十分に話をして、できるだけ早い結論を出していただくことを希望いたしまして、次の問題に移ります。
リニア新幹線建設に伴う交通網の整備、特に鉄道の整備について知事に質問をいたします。
リニア新幹線のルート及び県内駅の位置については、JR東海の構想に沿って方向づけがなされ、県民にとって今後の課題は、より多くの県民が有効利用するために駅への交通網を適切に整備できるかにかかっていると考えます。
そして、交通網整備は、一つは鉄道の整備であり、もう一つは自動車道の整備であると考えます。自動車道の整備については後ほど同僚の小池清議員が質問する予定ですので、私からは飯田線の問題について質問をいたします。
飯田線の現状は、岡谷―飯田間の所要時間が実に2時間30分、伊那市―飯田間でも約2時間を要します。これでは、この地方の県民は飯田線を使ってリニアの下伊那の駅へ出て、リニアを利用して東京へ出る気持ちにはならない、リニアは、飯田、下伊那のごく限られた県民しか利用できないということになると考えます。
飯田線が何ゆえにこのように遅く、時間がかかるのか。その宿命ともいうべき課題は二つ。その一つは単線であるということ。上下線の交換には駅を使わないとできません。駅で反対車線の電車が来るまでじっと待たなければなりません。これと、もう一つは、鉄路の線形が曲がりくねっていて速度を上げられないことと遠回りで長距離になること。これは、中央アルプスから流れ出る幾つもの深い谷川を渡るために、谷の底まで曲がりくねって上りおりしなければならず、これを修正するには大きな高架橋で渡河して直線コースに改善するしかないわけであります。この二つの課題はいずれも多額の費用がかかり、事業主体であるJR東海がどう考えるかにかかっていると思います。
そして、JRについては、手をこまねいていては到底動かないと考えます。そのJRの腰を押すのは、阿部知事、あなたしかいないと思うのですが、知事はこのことについてどのように考えておられるのか。決意と手法をお持ちならそれをお伺いしたいと思います。
この交通整備ができなければ、リニア新幹線は県の南端をかすめて通り、県民の多くはよそごとになりかねない。そうならないためにも阿部知事の明快な決断を期待して質問をいたします。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)飯田線の問題についてのお尋ねでございます。
リニア中央新幹線の整備に関連して、県内各地でJR東海と地域の皆さんとの意見交換等行われてきましたが、そうした際にも、それぞれの地域から、飯田線の存続、あるいは利便性の向上といった強い御意見が出されているというふうに認識しております。
毎年、長野県JR連絡調整会議という会議を開いておりますけれども、地域のJR飯田線利用促進連絡協議会の皆さんからは、飯田線への特急列車の乗り入れ、あるいはワイドビュー伊那路の運行区間を伊那市等まで延長するといったようなことの要望が寄せられているところであります。
飯田線の複線化あるいは線形改良、議員のお話にもありましたように難しい点が多々あるというふうに感じておりますが、今後、リニア中央新幹線の開業に向けてアクセスの向上というのは、長野県としてリニア新幹線を生かしていくという上では極めて重要であるというふうに思っております。
そうした中で、今回、予算案として新しい総合的な交通ビジョンを策定する経費をお願いしているわけでありますけれども、その中で、この飯田線についてもぜひ主要な論点というふうにしていくことが重要だと思っておりますし、今後、国が設置をいたします検討の場におきましても、これは、地域の皆様方の強い熱意を踏まえれば、飯田線のあり方というものについてもきっちりと議論をしていくということが必要だというふうに思っております。
県内全体の交通体系、それから南信地域の交通のあり方を考えたときの飯田線というものは非常に重要だという認識を私もしっかり持って、今後、国あるいはJRとの交渉に臨んでいきたいというふうに考えております。
以上です。
〔52番木下茂人君登壇〕
◆52番(木下茂人 君)最後に、人材にかかわる地域課題について質問いたします。その第1は、県立工科短期大学校の南信配置の問題であります。
県立工科短期大学校は、時代の要請にこたえて設立され、地域の産業振興に大きな貢献をしているところであります。ただ、1点、問題は、同短期大学校は上田に立地されたためか、その効果は東北信に偏重していることであり、圏域の広い本県においては地域に分散する体制を考えるべきではないかと申し上げてまいりました。
県においては、2011年から2015年までの5年間を対象とする第9次県職業能力開発計画の策定に当たり県職業能力開発審議会で協議をして、9月2日に審議会の答申を知事あてに提出されたとお聞きをしております。
この答申において、県立工科短期大学校について、県政の喫緊の課題として、南信地域への配置を含めあり方を検討する必要があるとして、前向きに検討するよう述べられているとお聞きをしております。地域でも、できる限り低コストで立地できるよう、協力体制も検討しながら実現に熱い期待を寄せているところであります。
阿部知事は、この答申をどう受けとめられ、今後どう対応しようとしておられるのか。お伺いをいたします。
第2は、上伊那医療圏における看護師養成機関についての質問であります。
地域医療体制の整備については、病院やその施設、人材、財源等課題は多いのですが、特に医療従事者確保は深刻であり、本日は看護師養成機関の問題に絞って質問をいたします。
上伊那医療圏における看護師、准看護師の数は、平成22年12月31日現在1,815人であり、人口10万人当たりでは953.1人でありまして、県平均は1,093.9人、全国平均は1,030.9人と比べて低い水準であります。
看護師養成機関として、県立看護大学と医師会が運営する准看護学院がありますが、県立看護大学の卒業生のうち地域に残って就職する者は極めて少なく、南信地域の看護師の需要にこたえられていない状況にあります。したがって、地域医療圏の課題としては、看護大学とは別に、看護師養成学校を整備することであります。地域としては、隣接する木曽地域に存在する県立の木曽看護専門学校の2年課程を存続されるよう要請したところでありますが……
○副議長(竹内久幸 君)木下議員に申し上げます。申し合わせの時間が経過いたしましたので発言を終了願います。
◆52番(木下茂人 君)県としてはこの整備について格段の御配慮を賜りますようお願いをいたしまして、質問を終わります。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)工科短期大学校についての御質問でございます。
職業能力開発審議会におきまして21年の10月に第9次職業能力開発計画の策定について諮問させていただいて、8回にわたる審議会の開催、パブコメの末、9月2日に答申をいただきました。答申の中では、南信地域への工科短大機能の配置を含めて、喫緊の課題として今後のあり方を検討する必要があるという御提言であります。
厳しい雇用環境の中にあって、工科短大、就職率も高く、県内への定着率も高いという評価をいただいているというふうに思っております。他方で、入校生や就職先が東北信に偏っているのではないかという御指摘もいただいているところであります。
今後、新しい施設の配置を検討するに当たっては、国の理解等も必要になってまいりますし、厳しい県の財政状況の中で考えていく必要があるわけでありますが、私は、人材育成、県として力を入れていくべき分野であるというふうに考えておりますので、そうした中でしっかりと判断していきたいと思っております。
工科短大のあり方については県全体にメリットが出てくる工夫ということも必要だと考えておりますので、7校ある技術専門校を含めて、県全体を視野に入れた人材育成のあり方を検討したいと考えております。
今後、職業能力開発計画を策定するわけでありますけれども、答申の趣旨を十分踏まえて策定をいたしたいと考えております。
以上です。
〔
健康福祉部長三村保君登壇〕
◎
健康福祉部長(三村保 君)南信地域における看護師養成機関の御質問でございます。
県では、平成23年2月から長野県の看護人材養成に係る検討会を設置しまして、この全体会のもとに木曽と須坂看護の作業部会を置いて検討しております。
御質問のありました木曽の看護作業部会からの報告につきましては、木曽地域の高校生の進学先として、また、地域医療を支える木曽病院の看護師確保のために木曽看護専門学校に3年課程を設置することが望ましく、2課程の併設が困難であれば2年課程を廃科することもやむを得ない、そして運営主体は県立病院機構にゆだねてはどうかという内容でございました。
この報告に対しまして、全体会の委員の皆様からは、木曽看護専門学校の3年課程設置及び県立病院機構附属化についてはおおむね賛成であるが、同校は中南信地域唯一の2年課程であるため中南信地域の2年課程養成機関のあり方についてはさらに検討すると、こういう御意見をいただいております。
今後は、設置場所、それから運営主体、さらには実習受け入れ先の確保などの課題について、関係する地域の准看護師養成機関や自治体などの御意見をお聞きし、検討を進めてまいりたいと思います。
以上でございます。
○副議長(竹内久幸 君)この際、15分間休憩いたします。
午後3時15分休憩
──────────────────
午後3時31分開議
○議長(村石正郎 君)休憩前に引き続き会議を開きます。
続いて順次発言を許します。
中川宏昌議員。
〔5番中川宏昌君登壇〕
◆5番(中川宏昌 君)県民クラブ・公明の中川宏昌でございます。発言通告に従い順次質問させていただきます。
初めに、PRE戦略についてお伺いいたします。
国、地方自治体の庁舎、学校、公民館など公的資産はPREと称され、地方自治体は地域振興等のために資産を所有、管理しております。この公的資産については、今、中長期的な観点からの維持管理コストについての把握、分析の必要性が指摘され、さらなる効率化、県民の利便性向上に向けた活用が求められており、特に人口減少、少子・高齢化へと社会情勢が変化していく中、公共施設に対する住民ニーズも変化していくと考えられ、それに伴い資産過剰や用途のミスマッチなどが起こることも予想されます。
長野県の財政状況を取り巻く環境は厳しい状況にあり、公的資産の取り扱いに対する関心度が高まってきております。そうした中、財政健全化に向け、公的資産を経営的な観点からとらえ、賃貸運用や売却などを含めた有効活用や最適化を図っていく必要があります。それがPRE戦略と呼ばれるもので、一般的にはファシリティーマネジメントとも解されております。
PRE戦略とは、国や地方自治体が所有する公的資産を戦略的な観点からマネジメントし、施設の長寿命化や適切な維持管理などの視点に基づき、その所有、利用形態を合理化していこうという戦略で、近年、その検討、導入が求められております。
国土交通省は、平成21年5月に、地方公共団体がPRE戦略を立案、実践する基本的な参考書となる「PRE戦略を実践するための手引書」を公表しています。また、財務省においては平成22年8月に固有資産におけるPRE戦略についてを取りまとめ、長寿命化の推進、長寿命化しない庁舎の移転、集約化を図り、庁舎等にかかる財政コストの低減、有効活用のさらなる徹底を呼びかけております。
以上の背景からお伺いします。
まず一つ目に、公的資産のマネジメントに対する本県の認識はどうか。また、PRE戦略の必要性についてお伺いします。
二つ目に、マネジメントにおいて大事なことは情報の集約化と考えます。各部局ごとがそれぞれ単独で動いても成果は半減されます。各部局の壁を取っ払い、資産情報の集約、共有化、一元管理できるデータベース等ITの活用は考えているか。
以上2点について総務部長にお伺いします。
〔総務部長岩﨑弘君登壇〕
◎総務部長(岩﨑弘 君)公的資産のマネジメントに対する認識とPRE戦略の必要性についての御質問にお答えしたいと思います。
PREは、パブリック・リアル・エステートの略だというふうにお聞きをしております。公的不動産、資産ということだそうでございまして、その管理についてどのような認識かということでございますが、現下の厳しい財政状況下におきましては、膨大な県有資産を今まで以上に有効に活用して効率的に運用していくということが大切だというふうに考えております。そのためには、長期的に経営的な視点で県有財産全体を総合的に企画、管理、活用するいわゆる公的資産のマネジメント、ファシリティーマネジメントが不可欠であるというふうに認識をしております。
昨年度の定例会におきまして小松千万蔵議員さんから御提案をいただいたところでもございまして、全庁的な24課でファシリティーマネジメント・プロジェクトチームを設置してございまして、これまでに、県有財産の現状把握や課題の抽出を行いまして、県有財産の総量の縮小、県有施設の長寿命化、そういった具体的な取り組みの方策について検討を行っているところでございます。
本年中にはファシリティーマネジメント基本方針を策定するとともに、これを推進する全庁的な組織を立ち上げまして、県有財産の総合調整、総合利活用を推進していきたいというふうに考えているところでございます。
二つ目の県有財産に関するデータベース化などITの活用についての御質問でございますが、県有財産の管理について、現在は、財産の名称、所在地、取得年月日、面積、構造、そういった基本的な情報を各財産管理者、それから総務部の管財課が台帳で整理をして管理をするとともに、データベース化を行いまして利活用しているところでございます。
一方で、各施設の維持管理経費や施設の修繕履歴などの情報は各財産管理者が把握しているのみでございまして、県全体での集約化や共有化が図られていないというのが現状でございます。
今後、ファシリティーマネジメントを推進していく上で県有財産の管理に関する情報の一元化というのは大変重要な課題であるというふうに認識をしておりますので、データベース化の手法、それから対象範囲、こういったことを含めまして、システムの構築を検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
以上でございます。
〔5番中川宏昌君登壇〕
◆5番(中川宏昌 君)今、御答弁いただきました。財政健全化に向けてこの点は非常に大事な観点でありますので、さらに力強く推進していただきたいと思います。
続いての質問に移ります。第5期の介護保険料設定と財政安定化基金の取り崩しについてお伺いいたします。
介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律が6月22日に公布されました。今回の介護保険改正法のポイントは、平成24年度から26年度までの第5期介護保険事業計画における介護保険料の設定について特例が設けられたことです。第4期は、第1号保険料の水準が全国平均で月額4,160円、本県は4,039円となっていますが、昨年11月に厚労省は第5期には5,200円程度になるとの試算を示し、約25%も引き上がる見込みであります。
そこで、今回の介護保険法の改正により、特例的に、平成24年度に限り、都道府県に設置されている財政安定化基金の一部を取り崩して第1号保険料の軽減に充てることが可能となりました。
私も、地域の皆さんからお話を聞くと、第1号被保険者の負担は5,000円程度が限界ではないかとの声も聞いており、介護保険制度財政の抜本的な対策が見通せない以上、こうした措置は必要だと感じております。
本県での平成12年から14年の第1期での第1号保険料は月額2,346円でした。各期が経過する中で、平成18年から20年の第3期では月額3,882円まで保険料は上昇し、対第1期比で165.5%まで引き上がっており、同時期の全国の比率140.5%と比較しても県内の保険料は決して低い比率とは言えません。
また、平成22年12月から23年3月に県内で実施された高齢者生活・介護に関する実態調査の介護サービスと保険料の関係についての調査の中で、現在の介護保険サービス水準を維持するために必要な保険料引き上げであればやむを得ないとの問いに、全体の38%の方がやむを得ないと回答している一方、わからないと回答した方が32%いらっしゃいました。このわからないとの回答には保険料の引き上げは困るとの思いも入っていると推察いたします。
そこで、お伺いします。
まず一つ目は、県において、第5期事業計画では実際に保険料設定はどのように考えているか。また、今回の特例により財政安定化基金を取り崩した場合、どのくらいの取り崩し額を予定しているのか。お伺いします。
二つ目として、今回の改正法では、財政安定化基金について、都道府県は自分のところへ返還されてくる額については介護保険に関する事業に要する経費に充てるよう努めることとされておりますが、県として、取り崩しした場合を想定して、介護基盤整備等の充実の考えはあるか。現時点でのビジョンをお尋ねします。
以上2点を
健康福祉部長にお伺いします。
〔
健康福祉部長三村保君登壇〕
◎
健康福祉部長(三村保 君)第5期の介護保険料と安定化基金につきまして御質問いただきました。
最初の第5期の介護保険料でございますけれども、保険者である市町村等において、それぞれの介護サービスの利用見込みや被保険者の数の推計、それから介護報酬の改定などを勘案して算定することとされておりますが、介護報酬などがまだ決定していないために現時点でこの場所で具体的な数字をお答えを申し上げられない状況でございます。
しかしながら、要介護認定者数が年々増加し、特養などの介護サービス基盤の整備を積極的にこれまで進めてきたことで介護保険の給付費は制度創設以来一貫して増加しているということを考慮しますと、現行の財源負担制度のもとではある程度は上昇も避けられないと申し上げていいと思います。
次に、安定化基金のことでございますけれども、お尋ねにありましたように、改正の介護保険法において、基金の運営に支障がない範囲で取り崩しが可能ということになっております。平成23年3月末でございますけれども、本県の基金残高は約60億円、取り崩しの額につきましては、これまでの基金の利用実績をもとにして今後の基金の利用見込みを算定し、残額を取り崩すことになりますが、年内にも固まってくるものと思われます。作業中でございます。
また、取り崩しの額のうち県への返還分でございますけれども、県が実施する介護保険関連事業に充てるように努めるというぐあいに国のほうから通知がございまして、議員の御指摘のとおり、基盤整備にももちろん充当できますので、今、第5期のプランをつくっている最中でございますので、この整合の中でその活用方法等さまざま検討していかなきゃいけないと思っております。
以上でございます。
〔5番中川宏昌君登壇〕
◆5番(中川宏昌 君)御答弁いただきました。今回の特例の意味するところをまた十分認識していただいて、さらなる推進をお願いしたいというふうに思います。
最後に、緊急経済活性化対策についてお尋ねいたします。
先ほど、風間議員、木下議員からもありましたけれども、今、世界経済は複合的な問題で緊迫した状況であります。こうした背景の中、県は9月16日に長野県緊急経済活性化対策を発表いたしました。県内経済活性化に向けての動きが出てきており、一定の評価をしたいと思います。
ものづくり産業応援助成金の助成要件の緩和、助成限度額の引き上げなどは、円高基調の中で、製造業の海外移転流出、空洞化を阻止する中核企業支援としては有効であると思います。一方で、恩恵を受ける県内企業はごく限定的で、活性化も限定的であると考えます。県内中小零細企業の潜在的な能力をもっと引き出していくためには幅広い層への支援が必要であります。
幅広い層への支援の参考として、国の施策ではございますが、平成21年度に中小企業庁で実施されたものづくり中小企業製品開発等支援補助金事業がございました。試作品開発、販路開拓、製品、技術の実証に対し助成する事業でありましたが、県内では108社の中小零細企業が認定され、助成金制度を活用し、それぞれ成果を上げた事例がございます。
県が今回拡充した中核企業の流出防止も、確かに今の経済情勢においては大事な視点であると思いますが、一方で、地元企業の経営者からお聞きすると、今、企業は生き残りをかけて必死に闘っているんだという切実な声がございます。このような長野県経済を下支えしている中小零細企業に対して、さきに紹介した、幅広く県内中小零細企業が利用できる助成金などの支援、今の企業をどう守っていくかの角度も必要かと思います。
そこで、お尋ねいたします。
まず一つ目に、現在での中小企業支援策、また、今後の中小企業支援策についてどのようにお考えか。
商工労働部長にお伺いいたします。
二つ目として、今回の緊急活性化対策においては短期的な当面の課題についての施策について充実を図っておりますけれども、中長期的課題についてはこれからとの認識をいたしました。今後さまざまな部分で検討されていくと思いますが、10年、20年先の県内経済をどのような姿にしていきたいのか。また、どのような長野県経済を描いているのか。阿部知事にお伺いします。
〔
商工労働部長太田寛君登壇〕
◎
商工労働部長(太田寛 君)中小企業支援策の現状と今後の方針についての御質問でございます。
まず、県内の状況でございますけれども、震災の影響がようやく緩和する中での急激な円高によりまして、県内企業の受注機会の減少、あるいは収益率の低下というものが懸念されておりまして、特に経営基盤が必ずしも磐石でない中小企業は大変厳しい経営環境に置かれていると認識しております。
県といたしましては、これら中小企業の収益率の向上を目指しまして、特色ある地域資源の活用、あるいは自社の隠れた独自技術を磨き上げることによりまして他社ではまねのできない付加価値の高い製品づくりを支援しているところでございます。
具体的には、企画開発段階では、工業技術総合センターによる技術相談などの総合的な技術開発への支援、また、同センターに置かれております地域資源製品開発支援センターによります地域の資源を生かした商品の企画やデザイン等の初期段階からの一貫した支援を行っております。
特に、中小企業に御利用いただける助成金といたしましては、県中小企業振興センターが行っておりますが、新商品の開発や新事業展開を行う中小企業に対しまして支援する事業がございます。平成22年度は39件の取り組みに対しまして約9,800万円の助成を実施しておりまして、今年度も45件の助成を予定しているところでございます。
また、販路の開拓支援といたしましては、販路開拓推進員を配置いたしまして、企業訪問あるいは情報収集、こういったことによりまして受注企業とのマッチングを行っております。さらに、ことし既に数回行いまして、今後も開催を続けていきたいと思っておりますが、県内の中小企業数十社がまとまりまして、大手企業の本社に赴きましてスペースをお借りして展示ブースを設けまして、当該企業の役員あるいは技術の方と直接お話をして自社の売り込みを図るという提案型の展示商談会の開催も行っております。また、各種製品技術展示会の出展経費の助成、さらには技術提案力を磨きまして営業効果の向上を目指しますセミナーの開催などの取り組みを促進しているところでございます。
今後、中小企業の高付加価値分野への進出、あるいは提案型企業への脱皮というものを一層支援してまいりまして、個々の得意分野を生かした産学官金の連携を促進いたしまして中小企業の活性化に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)将来の長野県経済の姿というお尋ねでございます。
長野県の産業、かつての製糸業を中心とした経済から、次には精密機械へ、さらには電子情報産業へということで、時代の変化、ニーズにあわせて発展をしてきたところであります。
今後は、成長が期待される分野ということで、長野県のこれまで培ってきた精密あるいは電子技術というものと、長野県の地域的な強みとしての自然あるいは長寿県、そういうことを生かせる分野として、健康や医療、あるいは環境、エネルギーの分野への展開ということを強化していくことが必要だと思っております。
こうした分野は、国の新成長戦略にも掲げられているところでもありますし、県内産業界からの要望も非常に強い分野でありますので、既存の産業とともに、これからの長野県経済を担っていく分野ということで県としても重点的に支援をしていきたいというふうに考えております。
また、東南アジア等新興国市場が拡大する、相対的にいわゆる先進国に比べて経済のパイが拡大していく中で、そうした海外の活力というものを長野県に取り込んでいく、結びつけていくということも必要だと思っております。今、国際戦略、検討中でありますけれども、今回の予算の中でも海外駐在員の設置についてもお願いをしております。世界と共存する形での長野県経済というものをしっかりと位置づけていくということも重要であると思っております。
あわせて、長野県の重要な産業であります農林業でありますとか観光業、農林業も、単に生産のところに力を入れるだけではなくて、6次産業化でありますとか、あるいは販売戦略のさらなる強化ということで、地域を支える農林業、観光業も含めて元気になれるような政策をこれから一層打ち出していかなければいけないと思っております。
安心して住み続けることができる長野県にするためには、何といってもその基盤である経済、産業が元気でなければいけないというふうに考えますので、今後、新しい5カ年計画を策定する中で、経済界の御意見等も伺いながら、骨太の経済・産業政策を立案してまいりたいというふうに考えております。
以上です。
〔5番中川宏昌君登壇〕
◆5番(中川宏昌 君)御答弁いただきました。先日の知事議案説明の中で知事はこういうふうに言っていました。国の経済対策をただ待っているという姿勢は許されない、こういうふうに知事は言ったわけですけれども、県民も同じ関心を持っているというふうに思います。
知事においても、さらに強力なリーダーシップを発揮していただきまして地域活性化施策を展開していただきたい。
以上をもちまして私の一切の質問を終了いたします。
○議長(村石正郎 君)次に、小池清議員。
〔32番小池清君登壇〕
◆32番(小池清 君)まず最初に、リニア新幹線に関する課題について伺います。
リニア中央新幹線計画において、県内中間駅に関し、飯田、下伊那の広域連合はJR東海が飯田市座光寺を想定する郊外駅を容認する方向となりました。しかしながら、これまでの取り組みの中で飯田と県においてお互いの信頼関係が損なわれたことは大変残念に思う次第でございます。新聞紙上でも指摘されるところであり、今回の問題を踏まえて、飯田、下伊那の5人の県会議員としては、今まで以上にリニア計画を推進するため地元の同盟会と連携していくことを確認をしたところでございます。
リニア新幹線が南信地域を初め全県に経済効果をもたらすよう、県並びに県民の皆様方の御支援をお願いを申し上げるところであります。
これまでの経過の中で、地域住民としては、大きな期待を込め、飯田、下伊那地域の将来の姿が議論されてきました。私としても、リニア新幹線と飯田線、中央高速道、三遠南信自動車道など、都市と地方をつなぐ交通網が結びつく交通の要衝としてその効果を十二分に発揮し、信州の南の玄関として、また、県内観光の拠点として地域の発展に結びついていくことを期待をいたす次第でございます。
そして、それは、信州の自然と環境、小京都と言われる文化を持つ地域らしさを生かした町づくりだと考えます。
そこで、飯田、下伊那地域が取り組む町づくりへの支援について伺います。
飯田、下伊那地域では、今後、リニア中間駅が設置される座光寺地区を中心として新たな町づくりを検討するとともに、地域の活性化も図る必要があると考えます。県としてもこれを支援してもらいたいと考えますが、知事のお考えを伺います。
また、飯田市中心市街地の活性化に関して、リニア駅とのアクセスを含め、引き続き御支援を願いたいと思います。
次に、リニア中央新幹線を中心とした交通ビジョン策定について伺います。
県は、今議会に新総合交通ビジョン策定事業に関する補正予算を計上していますが、県全体の総合的な交通ネットワークの施策にあわせ、飯伊地域におけるリニア中央新幹線を中心とした交通体系を早期に検討していただきたいと考えます。
3点目として、リニア中間駅へのアクセス確保の取り組みについて伺います。
リニア中間駅の概略の駅位置は天竜川右岸平地部の5キロ円に表示されている段階でありますが、今後の詳細な駅位置の検討とあわせ、中間駅へのアクセス確保について国、市町村と連携して取り組んでいただきたいと考えます。
また、詳細な駅位置を決定する際には、飯田線との近接性ないし結節性を確保するようJR東海との交渉に取り組んでいただきたいと考えます。
4点目として、国のリニア中央新幹線への関与について伺います。
駅の位置、周辺整備、アクセスに関して国の関与や支援が必要と考えております。国への要請を引き続き県としても取り組んでいっていただきたいと考えます。
5点目として、リニア新幹線事業の位置づけについて伺います。
上伊那、諏訪地域の皆様を初め県内各地域の皆様方の協力のもと、南信地域の発展のみならず広く長野県の発展に寄与できるよう、この駅を長野県の駅として位置づけ、取り組んでいただきたいと考えます。
以上の点につきまして知事のお考えを伺います。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)リニア中央新幹線に関する御質問に順次お答えを申し上げたいと思います。
まず初めに、長野県議会リニア中央新幹線建設促進議員連盟、小池議員、会長をしていただいているところでありますけれども、関係議員の皆様方には、リニア中央新幹線事業の推進に向けてさまざまな御協力いただいておることに対しまして、この場をおかりして御礼申し上げたいというふうに思います。
これから地域の皆さんと思いを共有して取り組んでまいりたいというふうに考えておりますので、引き続きの御支援をお願い申し上げます。
県といたしましては、リニア中央新幹線の開業、飯伊地域を初めとした中南信地域のさらなる一層の発展の契機となるように取り組んでいきたいというふうに考えております。総合的な交通体系の構築を図ると同時に、将来の地域づくりに向けて地域の皆様方のお考えも十分お伺いしながら取り組んでまいります。
飯田市街地の活性化など、飯伊地域が実施する町づくり、あるいは地域活性化の取り組みにつきましても、市街地と中間駅との連携などを十分図りつつ、中心市街地の活性化という観点も念頭に置きながら支援を行っていきたいと考えています。
次に、総合交通ビジョンでございます。
長野県では平成9年に新交通ビジョンを策定いたしました。既に10年以上経過しているということもありますし、リニア中央新幹線が現実のものとなる新しい時代に向けまして新しい総合交通ビジョンの策定に取りかかりたいというふうに考えております。現在、提案をさせていただいております補正予算案の中に盛り込んでいるところであります。
新たな総合交通ビジョン、全体としては県の交通施策の方向性を総合的に示すものというふうに考えておりますが、それに先行する形で、まずは中南信地域におけるリニア中央新幹線の開業を見据えた交通体系のあり方について有識者による委員会を構成して検討を行っていきたいと考えております。
こうした検討結果を踏まえて、国において設置する予定のリニア中央新幹線沿線地域の交通体系の検討の場に臨んでいきたいというふうに考えています。
長野県にとって、リニア中央新幹線の建設、開業を契機に、ほかの交通機関についても一層の利便性が図られるように取り組んでいきたいと考えております。
次に、リニア中間駅へのアクセス確保というお尋ねでございます。
リニアの中間駅、これは、単に点として駅ができるということではなくて、長野県の活性化につなげていくということを考えた場合には、飯伊地域はもちろん、中南信地域あるいは県内全域からの良好なアクセスということを考えていくことが重要だと思っております。そのため、詳細な駅位置の絞り込みにあわせて、アクセス道路の整備などについて国からの財政的な支援もお願いしながら、国、それから市町村と一緒になって、役割分担を踏まえつつも連携して進めていきたいと考えております。
また、JR東海には、地域からの強い要望があります飯田線との近接性の確保についてもしっかりと求めてまいりたいと考えています。
次に、国への要請ということであります。
駅の設置、あるいは周辺整備、アクセス、今後の重要な課題だと考えておりますし、いずれも、国としての関与あるいは財政的な支援ということが重要になってくる課題だと思っております。
県としては、これからも、県の協議会、全体が一丸となって、国に対して国家プロジェクトとして必要な関与と支援を求めていきたいというふうに考えております。
また、沿線各県も同様の課題を持っているわけでありますので、各県とも連携しながらリニア中央新幹線事業の推進に当たっていきたいと考えております。
それから、長野県の駅としての位置づけということであります。
リニア中央新幹線における県内唯一の駅が飯伊地域に設置されるという形になるわけでありますので、これは私としては長野県の南の玄関口という認識でございます。そういう意味で、先ほど申し上げましたように、広い地域からのアクセスを確保していくということとあわせて、やはり県内全体が一丸となってこの中間駅をよりよいものにしていくということが大変重要だというふうに思っております。
多くの県民の皆様、あるいは長野県を訪れる皆様方が利用しやすい駅となりますように、今後とも、協議会の皆様方、県民の皆様方と力を合わせて取り組んでまいりたいというふうに考えています。
以上です。
〔32番小池清君登壇〕
◆32番(小池清 君)知事のお取り組みにぜひとも期待を申し上げる次第でございます。
次に、南信運転免許センターの開設について伺います。
来年度から東信運転免許センターが運用を開始、県内4地区のうち3地区において運転免許証の即日交付体制となるわけですが、南信地域においてもその必要性については他の地域に変わるものではありません。
下伊那の根羽、平谷、売木、また飯田市の上村、南信濃地区からは、バスと電車で所轄警察署まで1時間半から2時間半を要しています。この不便さの中で複数回にわたり警察署まで足を運ぶことは、高齢者には予想を超える運賃並びに時間的負担を強いる結果をもたらしております。不便を理由に運転免許証を失えば、山間地では孤立を意味いたします。原付バイクに箱をつけて運転する高齢者には、若者が運転する四輪車とは大きく異なる必死な姿があり、せめて免許行政だけは利便性を持たせて高齢者の負担軽減を図るべきとの意見が強く聞かれる地域でもあります。
当地域の新規免許取得者の学科試験及び適性検査は飯田警察署では月に1回しか行われないこと、また、運転免許証即日交付を行っていないことから、そのほとんどの者が火曜日から金曜日の間ならいつでも受験できる中南信運転免許センターに出向き実施している現状であります。同センターで受験するためには、飯田線で午前6時の列車、これ1本しかないわけでありますが、を使用するしか方法がなく、そのため関係者や受験者の両親が仕事を休み、長時間をかけて送迎しているのが実情で、その不便性を解消することが喫緊の課題となっております。
また、更新時講習、遺失再交付に関しても同様で、免許業務の合理化、効率化を進め、当地域住民の利便性の向上が望まれます。
長野県警察の組織再編整備計画にある事項でもあり、県南の免許行政水準を同レベルまで引き上げ、地域間格差を生じさせないために南信運転免許センターの早期実現を図っていくべきと考えます。この点につきまして県警本部長のお取り組みの考えを伺います。
〔
警察本部長佐々木真郎君登壇〕
◎警察本部長(佐々木真郎 君)南信地域への運転免許センターの設置に関する御質問にお答えします。
南信地域への免許センターの設置につきましては、2月県会でも同趣旨の質問がありましたが、県民の利便性向上の観点から現在検討を行っているところです。
これまでの検討の中で、南北に長い南信地域のどこに免許センターを設置すれば運転免許証の即日交付が最も効率的にできるのか、また、免許センター運営のために新たに必要となる施設や人的体制が確保できるのか等の課題があるというふうに認識しております。
今後、こうした課題について、来年3月に開設予定の東信運転免許センターの運用状況等を参考にしつつ、さらに検討を深めたいというふうに考えております。
以上です。
〔32番小池清君登壇〕
◆32番(小池清 君)前向きな御答弁をいただきました。ぜひとも、できるだけ早い時期に設置できますように今後なお一層のお取り組みをお願いを申し上げる次第でございます。
次に、新しい胃がん検診の普及について伺います。
県では、健康グレードアップながの21という健康増進計画のもとで、がんの早期発見を目的に、各自治体や職域などに対し検診受診率が向上するように指導をしていることと思います。
しかし、この中で、胃がんの検診受診率は10%未満と年々減少傾向にある状況であります。その理由の大きなものとして検診の煩わしさが指摘されております。また、検診フィルムを判読している医師にとっては、その条件の悪さから正確な診断をすることが非常に不安であり、特に早期がんの発見は非常に困難なものになっているとされます。理想的には、全員、内視鏡検査を行うことが最も精度は高いと思われます。しかし、それでは、より受診率が低下し、検診の意味がなくなると考えられます。
そこで、近年、徐々に採用がふえている検診方式がABC検診です。これは、ピロリ菌抗体とペプシノゲンという消化酵素の量を測定することにより胃の発がん性危険度を分類し、危険性の高さにより内視鏡検査を施行するというものであります。この方法は血液検査だけですので受診率の向上も図られ、無駄な検査も控えられ、検診費用も低減させられる可能性があると思われます。
このように、胃がん検診の受診率、精度、経済性などを考慮しますと、現在のバリウムによる胃透視の検診よりもABC検診のほうがすぐれていると考えられるため、単に国の定めたがん検診にこだわることなく、胃がん検診を、従来の胃透視による検診から、より効率的で経済的なABC検診を採用するよう検討すべきと考えますが、この点につきまして
健康福祉部長に伺います。
〔
健康福祉部長三村保君登壇〕
◎
健康福祉部長(三村保 君)胃がんに対するABC検診の採用のお話でございます。
現在、胃がん検診として実施されているバリウムを用いた胃のエックス線の検査は、胃がんによる集団全体の死亡率を減少させることが明らかな方法として国のがん検診の指針で定められております。
一方、いわゆるABC検診は、議員のお話にもございましたように、胃がんと関係があるとされているピロリ菌の感染とペプシノゲンという物質を血液検査で調べ、その結果から胃がんのリスクをABCまたはABCDの3ないし4段階に分けて、リスクに応じた間隔ごとに内視鏡検査などの精密検査を行うものでございます。
このABC検診は、これまでの研究等によりますと、胃がんの発見率はエックス線検査に比べ高くなっておりますが、治療する必要があるがんを見つけ、集団全体の死亡率の減少に結びつくかどうかまでは残念ながら明らかになっておりません。また、リスクの分け方、精密検査の方法や間隔などが研究者によって異なっております。ABC検診の前提である内視鏡検査の有効性などもまだまだ検証する必要があるとされております。
こうしたことから、ABC検診につきましては、その方法が確立され、死亡率減少の効果が明らかになるよう今後の研究が待たれるところから、県といたしましてもその動向は注視してまいりたいと考えております。
以上でございます。
〔32番小池清君登壇〕
◆32番(小池清 君)このABC検診は、特に早期がんの発見に非常に効果があるということでございます。早期発見ができるということは、がんの死亡率低減に必ずや結びつくのではないかなと考えるのが普通だと思います。ぜひとも、健康長寿を県の柱に挙げる長野県でありますので、こういった取り組みに積極的に取り組まれることを望むわけであります。
次に、航空機産業への取り組み支援について伺います。
世界経済が低迷する中、今日の東アジアを中心とする経済発展はリーマンショック以前をしのぐ勢いであり、航空機需要の大きなトレンドとなっております。また、飯田、下伊那地域においては、産業のパラダイムシフトへの対応として航空機産業への取り組みは製造業の生き残りをかけた希望ともなっておるところであります。
飯田航空宇宙プロジェクトは、航空・宇宙産業クラスターの形成を目指す飯田地域の中小企業の集まりで、2006年から取り組んで活動をしてきております。日本の航空・宇宙産業の中心である中部圏に比較的近い飯田地域は、航空機部品に要求される高精度精密加工技術の集積地ともなっています。
しかしながら、航空機部品の規格であるNadcapに対応した化学処理、熱処理などの特殊工程を行える設備、企業が県内にはほとんどありません。そして、これが大きな課題となっております。
Nadcap(国際特殊工程認証システム)とは、ボーイング、エアバス、ロールスロイス、GE等の航空・宇宙メーカーが品質保証のために特殊工程の認定をするための世界唯一の統一した認証プログラムであり、航空・宇宙製品の特殊工程に携わるためにはこの認証が必須条件となってきています。
石川県では、航空機産業への取り組みとしてNadcapに対応した企業ネットワークが整えられ取り組みを行っていると聞きます。
長野県工業技術総合センターの戦略的技術支援分野の構想として次世代トランスポーター構想を掲げ、環境に優しい革新的輸送機器及び部品の世界的供給基地形成のための技術の高度化を目標としているところでもあります。
厳しい地域間競争の中、県内産業の支援と雇用の確保のため、県として、これらの課題を解決し、航空機産業への取り組みを支援すべきと考えます。この点につきまして知事の考えを伺います。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)航空機産業への取り組み支援についてのお尋ねでございます。
県内の宇宙・航空関連製品の製造開発企業は非常に多く存在しているわけでありまして、こうした企業を応援していくということも県として重要な施策であるというふうに思っております。
長野県では、平成21年度、小池議員の地元の飯田地域における航空機分野への進出を目指す企業8社でNadcapの認証取得のための活動を行ったわけですが、資金面で応援をさせていただいております。その結果、そのうちの1社が昨年7月にNadcapの認証取得に至ったという状況であります。
今後、さらに県内の化学処理あるいは熱処理等に携わる企業がNadcapの認証を取得し、航空機部品製造の特殊工程を受注できるようになるということは、県内ものづくり産業の発展にとって大変意義があることだというふうに考えております。しかし、他方で、認証を取得しても、実際に航空機部品を受注できるようになるまでには航空機部品メーカー等への受注獲得活動を初め多くの活動が必要になってくるわけであります。
したがいまして、県としては、今後も、引き続き、テクノ財団、あるいは中小企業振興センター、工業技術総合センター等の関係機関が連携して、航空機関連分野への進出を目指す県内企業の皆様に対して、航空機関連分野に必要となる技術力あるいは品質管理力の高度化、それから今お話ありましたNadcap等の認証取得、受注機会の確保等を支援するためのさまざまな事業を行ってまいりたいというふうに考えております。
以上です。
〔32番小池清君登壇〕
◆32番(小池清 君)知事には力強い支援のお言葉をいただいたわけでございますが、いずれにいたしましても、これだけ経済競争が厳しく、また、円高等の影響を受け、国内の製造業の皆さん方も、この状況では国内へとどまることも非常に難しいというような状況であります。
そういった中で、県内の企業の皆さん方が新しい技術にみずから汗を流して取り組んでおる。ぜひともそれを県としても力強く御支援していただきまして、長野県の製造業、特にこういった新しい分野の航空機関連の産業がしっかりと地域に根づくように引き続き御支援を願いたいと思います。
以上をもちまして質問とさせていただきます。ありがとうございました。
○議長(村石正郎 君)会議規則第13条第2項の規定により、本日はこれをもって延会いたしたいと思います。
次会は、明28日午前10時に再開して、
行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。
本日は、これをもって延会いたします。
午後4時21分延会...