長野県議会 2011-02-16
平成23年 2月定例会本会議-02月16日-01号
平成23年 2月定例会本会議-02月16日-01号平成23年 2月定例会本会議
平成23年2月16日(水曜日)
応招議員の席次及び氏名
1 番 長野市 倉野立人
2 番 安曇野市 甕 裕一
3 番 下伊那郡高森町 吉川彰一
4 番 長野市 和田明子
5 番 中野市
小林東一郎
6 番 佐久市
清水秀三郎
7 番 長野市 太田昌孝
8 番 茅野市 今井 敦
9 番 中野市 丸山栄一
10 番 茅野市 松山孝志
11 番 飯田市 小島康晴
12 番 松本市
下沢順一郎
13 番 千曲市 小山 立
14 番 小諸市 福島鶴子
15 番 塩尻市 備前光正
16 番 北佐久郡立科町 今井正子
17 番 安曇野市 北山早苗
18 番 大町市 諏訪光昭
19 番 佐久市 木内 均
20 番 飯田市 小池 清
21 番 上伊那郡辰野町 垣内基良
22 番 岡谷市 野澤徹司
23 番 南佐久郡佐久穂町
髙見澤敏光
24 番 東御市 保科俶教
25 番 飯山市 宮本衡司
26 番 諏訪市
金子ゆかり
27 番 岡谷市 毛利栄子
28 番 須坂市 永井一雄
29 番 木曽郡上松町 村上 淳
30 番 塩尻市
小松千万蔵
31 番 東筑摩郡朝日村 清沢英男
32 番 長野市 西沢正隆
33 番 長野市 風間辰一
34 番 上田市 下村 恭
35 番 長野市 竹内久幸
36 番 駒ヶ根市
佐々木祥二
37 番 伊那市 向山公人
38 番 上田市 高村京子
39 番 上伊那郡箕輪町 小林伸陽
40 番 松本市 藤沢詮子
41 番 松本市 牛山好子
42 番 北安曇郡池田町 宮澤敏文
43 番 上田市 平野成基
44 番 松本市 本郷一彦
45 番 須坂市 村石正郎
46 番 伊那市 木下茂人
47 番 下伊那郡豊丘村 森田恒雄
48 番 長野市 倉田竜彦
49 番 北佐久郡立科町
寺島義幸
50 番 長野市 高橋 宏
51 番 長野市 石坂千穂
52 番 上田市 島田基正
53 番 松本市 萩原 清
54 番 上水内郡信濃町 服部宏昭
55 番 安曇野市 望月雄内
56 番 飯田市 古田芙士
57 番 千曲市 下﨑 保
58 番 長野市
石田治一郎
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出席議員(58名)
1 番 倉野立人 27 番 毛利栄子
2 番 甕 裕一 28 番 永井一雄
3 番 吉川彰一 29 番 村上 淳
4 番 和田明子 30 番
小松千万蔵
5 番
小林東一郎 31 番 清沢英男
6 番
清水秀三郎 32 番 西沢正隆
7 番 太田昌孝 33 番 風間辰一
8 番 今井 敦 34 番 下村 恭
9 番 丸山栄一 35 番 竹内久幸
10 番 松山孝志 36 番
佐々木祥二
11 番 小島康晴 37 番 向山公人
12 番
下沢順一郎 38 番 高村京子
13 番 小山 立 39 番 小林伸陽
14 番 福島鶴子 40 番 藤沢詮子
15 番 備前光正 41 番 牛山好子
16 番 今井正子 42 番 宮澤敏文
17 番 北山早苗 43 番 平野成基
18 番 諏訪光昭 44 番 本郷一彦
19 番 木内 均 45 番 村石正郎
20 番 小池 清 46 番 木下茂人
21 番 垣内基良 47 番 森田恒雄
22 番 野澤徹司 48 番 倉田竜彦
23 番
髙見澤敏光 49 番
寺島義幸
24 番 保科俶教 50 番 高橋 宏
25 番 宮本衡司 51 番 石坂千穂
26 番
金子ゆかり 52 番 島田基正
53 番 萩原 清 56 番 古田芙士
54 番 服部宏昭 57 番 下﨑 保
55 番 望月雄内 58 番
石田治一郎
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説明のため出席した者
知事 阿部守一
会計管理者 松本有司
副知事 和田恭良
公営企業管理者
危機管理部長 下條政久
職務執行者・企
企画部長 望月孝光 業局長 山本浩司
総務部長 小池茂見 財政課長 奥田隆則
健康福祉部長 桑島昭文
教育委員会委員
環境部長 荒井英彦 長 矢﨑和広
商工労働部長 黒田和彦 教育長 山口利幸
観光部長 久保田篤 教育次長 長澤一男
農政部長 萩原正明 教育次長 荒深重徳
林務部長 久米義輝
警察本部長 小林弘裕
建設部長 入江 靖 警務部長 早川智之
監査委員 浦野昭治
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職務のため出席した
事務局職員
事務局長 谷坂成人
議事課担当係長 矢島 武
議事課長
大日方正明 総務課担当係長 村井昌久
議事課課長補佐 鈴木英昭
───────────────────
午後1時1分開会
○議長(
寺島義幸 君)ただいまから第374回県議会を開会いたします。
知事から招集のあいさつがあります。
阿部知事。
〔
知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)本日ここに2月
県議会定例会を招集いたしましたところ、議員各位の御出席を賜り、まことにありがとうございます。
提出議案につきましては、御審議いただく案件も多く、長い期間ではありますが、何とぞよろしく御審議の上、議決を賜りますようお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。
○議長(
寺島義幸 君)以上であります。
次に、お手元に配付いたしましたとおり、
地方自治法第122条及び
地方公営企業法第25条の規定に基づき知事から
予算説明書の提出がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。
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△
知事提出議案
○議長(
寺島義幸 君)ただいま報告いたしました
知事提出議案を一括して議題といたします。
提出議案の説明を求めます。
最初に、
阿部守一知事。
〔
知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)最初に、一言申し上げます。全国で感染が報告されております高
病原性鳥インフルエンザについてでありますが、長野県においても、2月14日に愛知県で発生した2例目の農場との間に疫学上関連がある三つの農場が昨日確認されました。
県では、本日、当該農場に対し
家畜伝染病予防法に基づく
移動制限措置を行うとともに、精密検査を実施しているところです。引き続き、監視体制を強化し、万全の対策を講じてまいります。
それでは、ただいま提出いたしました平成23年度当初予算案を初めとする議案の説明に先立ち、新年度の県政運営に向けての所信などについて申し述べさせていただきます。
1990年代の失われた10年を経て、21世紀という新しい世紀に入って早くも10年。しかし、いまだに、我が国は、人口増加、高度成長が終えんした後の新しい進路を定めることができていません。
リーマンショックや円高などの荒波が次々と襲いかかる中、社会は停滞し、多くの人々は閉塞感にとらわれています。
長野県でも、今後20年間で総人口が約30万人減少すると見込まれる中、年少・
生産年齢人口が人数、割合ともに減少する一方で、65歳以上の
高齢者人口の割合が増加していくという
高度成長期を上回る人口構成の急激な変化が間近に迫っており、どのような社会を築いていくのかが大きな命題となっています。
私は、新しい時代を切りひらいていくためには、これまでの延長線上にある取り組みをいたずらに繰り返すのではなく、私たちの価値観や社会、経済の仕組みを大きく変革していかなければならないと考えています。激動する世界の中で、内向きの思考で過去の成功体験にしがみつくのではなく、未来志向で現状を打破していかなければなりません。
本格的な人口減少、高齢社会にあって、21世紀型の暮らしともいうべき新しい価値観が求められています。いわゆる物という概念ではない領域で豊かさを感じることができる社会。すべての人に居場所と出番があり、当事者として参加することができる社会。健康で長生きができ、環境と調和し持続可能な社会。私たちの長野県は、先人たちの努力や恵まれた自然環境のおかげで、こうした新しい社会への最短距離に位置しているといっても過言ではないでしょう。
しかし、その実現のためには県民の皆様と共有できる明確なビジョンと戦略が必要です。
社会・経済環境が急速に変化する中、新しい県政の進路を定めるのに一刻の猶予も許されません。このため、本年は、県民の皆様とともに、長野県の将来ビジョンと戦略を議論し、新たな総合5カ年計画の策定に取り組んでまいります。
先達に学びつつ、長野県の未来を切りひらき、長野県全体を元気に、そして安心して暮らせる地域にするため、新しい課題、難しい課題に、細心の注意を払いつつも、失敗を恐れず積極果敢に取り組んでまいります。
新しい県政を進めていく上で、車の両輪としての議員各位の一層の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
県民主権の県政を実現するためには、本当の意味での
地方分権改革、すなわち国から地方へ権限と財源を大幅に移転し、地域のことは地域で解決することができる仕組みの実現が欠かせません。
政府は、昨年6月に策定された
地域主権戦略大綱を踏まえ、
基礎自治体への権限移譲と義務づけ、枠づけの見直しに係る一括法案を今通常国会に提出する予定としております。しかしながら、地方が強く主張する「国と地方の協議の場」の設置などが盛り込まれた
地域主権関連3法案は、昨年の通常国会に提出されて以来、いまだ継続審査中で、法制化には至っておらず、
地域主権改革の歩みは私
たち地方自治の充実を願う立場からすると極めて緩やかなものと言わざるを得ません。この状況を傍観しているのではなく、国と地方の関係に正面から向き合い、地方としても主体的に地方分権の実現に取り組むことが重要です。
このような動きに迅速かつ的確に対応するため、本年4月に
地方分権推進室を新設いたします。さらに、市町村の皆様の御理解をいただきながら、県と市町村に共通する政策課題などについて対等の立場で話し合う「県と市町村との協議の場」を制度化いたしたいと考えております。県内77市町村と連携を図りながら、地方分権の推進と県及び市町村の施策の効率的、効果的な推進に積極的に取り組んでまいります。
さて、我が国の経済は、
リーマンショック後の経済危機を克服するために累次にわたって実施された政府の
経済対策の効果や海外経済の改善などを背景に持ち直しつつあるものの、その動きには一服感も見られ、雇用は依然厳しい状況となっています。
こうした厳しい経済・雇用情勢のもと、政府は、昨年、「新
成長戦略実現に向けた3段構えの
経済対策」を策定し、
スピード感を重視して、その第1弾として予備費の活用を、第2弾として
補正予算を編成し、景気、雇用の両面から経済の下支えを図ってきたところであります。
長野県も、国の動きに呼応し、昨年の9月、11月、そして本年1月と連続して経済・雇用対策に係る
補正予算を編成し、議決を賜りました。
平成23年度の国の予算案は、その第3弾として、
経済対策の着実な推進を図るとともに、成長と雇用に重点を置いた予算となっており、税制改正も含め、経済成長の実現を確かなものにしていくこととしております。
国の地方財政への対応につきましては、
地域主権改革に沿った財源の充実を図るため
地方交付税総額が増額され、また地方の
一般財源総額は前年度と同水準が確保されています。長野県としてその縮減を強く求めていた
臨時財政対策債が約2割縮減とされたことは、地方財政の健全化に関して一定の配慮がなされたものと評価しています。
しかしながら、今後、国、地方ともに財源が限られる中で、増加し続ける
社会保障関係費にどのように対応していくのか、税制の抜本改革、
地方財政制度のあり方、さらには国と地方の役割分担などについて将来を見据えた議論が必要です。政府においては改革に向けて本腰を入れて取り組まれることを期待しています。
また、長野県を初め地方自治体が新年度予算を円滑に執行することができるよう、国会での速やかな予算審議と年度内の予算成立を強く望むものであります。
平成23年度の県財政につきましては、昨年前半までの景気回復の動きを反映し、県税収入は法人2税を中心に平成22年度を上回る見込みですが、
足踏み状態にある最近の景気の先行きなどを踏まえますと大幅な増加を見込むことはできません。一方、医療や介護などの
社会保障関係費は増加の一途をたどっており、公債費も高い水準にあることから、財政状況は不透明感を抱えながら引き続き厳しいものと見込まれます。
以上のような経済・財政状況を踏まえ、平成23年度の当初予算案を編成いたしました。
今定例会に提出いたしました平成23年度の当初予算案及びその他の案件について御説明を申し上げます。
平成23年度の当初予算総額は、
一般会計8,464億2,006万3,000円、
特別会計2,166億5,916万3,000円、
企業特別会計132億5,417万8,000円であります。
特別会計は
公債費特別会計など12会計、
企業特別会計は電気事業及び水道事業の2会計であります。
当初予算案では、ともに支える確かな暮らしを実現するため、今年度の1月
補正予算と一体的に編成した経済・雇用対策に積極的に取り組むとともに、
中期総合計画との整合を踏まえながら、昨年私が県民の皆様にお示しした公約を誠実に実行することを強く意識して、教育・
子育て先進県の実現、産業力、地域力の強化、暮らしの安心確保、県民主役の自立した県政の実現の四つの政策の柱を重点的に推進することといたしております。
当初予算の編成に当たっては、厳しい財政状況のもと、選択と集中によりめり張りのある予算とするとともに、県債については、現下の
経済情勢等を踏まえ、県民生活の安全、安心と地域の活性化に必要な
社会資本整備の事業量を確保しつつ、可能な限り子供たちの世代に多額のツケ回しをしないという観点から、
臨時財政対策債を含めた
県債発行額を
一般会計で前年度当初予算額から167億円縮減し、財政の健全化にも配慮いたしました。
県民の皆様の確かな暮らしを守るためには、まずは現下の厳しい経済・雇用情勢に対する積極的な対応が必要です。経済・雇用対策につきましては、これまでの国の
補正予算等で措置された基金を最大限活用し、雇用を初め、消費者、子育て、介護、医療、環境、森林整備など広範にわたって積極的に取り組むこととし、前年度に比べ事業費を大幅に増額いたしました。
また、
特別養護老人ホームや医療施設、
高等学校や
特別支援学校、警察署等の整備費を増額するとともに、
県単独公共事業については、
維持修繕工事の割合を高くし、地域のニーズにきめ細かく対応できるよう配慮しつつ増額するなど、住民生活に身近な
社会資本整備については全体として前年度並みの事業費を確保し、県内経済の下支えを図ってまいります。
厳しい雇用情勢に対応するため、
ジョブカフェ信州や
緊急求職者サポートセンターにおける就労等の支援や
技術専門校などを活用した職業訓練を行うとともに、未就職の
高校卒業者への就職支援など、ハローワークや市町村など関係機関と連携し、基金の活用も図りながら雇用の創出に取り組んでまいります。
なお、パーソナル・サポート・
モデル事業につきましては、本年3月から長野県
労働者福祉協議会により運営されますが、この取り組みを全国的な制度として定着させることができるようぜひ成功させていきたいと考えております。
以下、主な施策について、
中期総合計画に掲げる施策も踏まえつつ、順次御説明申し上げます。
第1に、教育・
子育て先進県の実現について申し上げます。
子供は社会の宝です。あすを担い、未来をひらく子供たちが健やかにたくましく育っていくことができるような社会にしていくことは、我々大人に課せられた責務です。教育力を高め、長野県教育の再生を目指すとともに、社会全体で子供、子育て支援をするべく、知事として責任を持って取り組みます。
ニートやひきこもり、不登校や発達障害などの課題に対し部局横断的に取り組んでいくため次世代サポート課を設置し、教育委員会を初め関係部局やNPO等と連携、調整を図りつつ、子供や若者に関する施策を総合的に推進します。
教育の充実につきましては、特に学習環境が大きく変わる中学校入学時に生じるいわゆる中1ギャップ問題の解決を図るため新たに中学校1年に30人規模学級を導入し、これまでの小学校での取り組みを踏まえながら、生徒一人一人に応じたきめ細かな教育を行います。また、各学校が全国学力・学習状況調査のデータを分析し、浮き彫りになった課題に対して学力向上の明確な目標を立て、その達成に向けて指導方法の改善や教員の指導力、力量の向上に取り組むなど、客観的なデータに基づく目標達成型の学力向上に取り組んでまいります。
深刻化する不登校問題について、地域の実情に応じた市町村の取り組みを促進するとともに、スクールカウンセラーの配置充実や教育事務所への支援チームの配置などにより相談・支援体制を強化します。
高等学校につきましては、魅力ある高校づくりを目指し、地域の御理解をいただき既に整備を進めております飯山及び飯田地区に加え、新たに須坂、佐久、大町の各地区の
高等学校の再編整備にも着手します。
中高一貫校として県立の附属中学校を平成24年4月には屋代
高等学校に、26年4月には諏訪清陵
高等学校に設置するべく準備を進めます。
特別支援学校につきましては、長野地区の再編整備を進めるとともに、分教室の設置や教員の配置、就労支援などを充実します。
このほか、私立
高等学校生徒の教育機会の確保を図るため、保護者負担の軽減について制度を拡充いたしました。
また、教育課題を学校のみならず家庭や地域が連携してその解決に向けて取り組むため、学校をサポートする体制づくりを進めます。さらに、豊かな心と健やかな体をはぐくむため、子供たちに農業体験を通じて食を学ぶ機会を提供するほか、子供たちの体力向上に向けた取り組みなどを推進します。
また、本年8月、県内各地で開催される北信越国体に万全を期するとともに、競技力の向上などスポーツの振興を図ってまいります。
子育て支援体制の充実につきましては、小児救急や周産期の母子への医療体制の充実を図るとともに、延長保育や病児・病後児保育など多様な保育サービスの提供や放課後児童クラブの運営支援などにより、安心して子供を産み育てられる環境づくりを進めてまいります。また、安心こども基金を活用し、民間保育所の整備や児童養護施設の環境改善、市町村が地域の実情に応じて取り組む子育て事業への支援を進めます。ながの子ども・子育て応援県民会議と連携し、男性の子育て参加の促進や企業、店舗等による子育て家庭への割引サービス等の提供など幅広い分野のネットワークによる連携、協力のもと、県民総ぐるみで子供をはぐくむ県づくりを進めてまいります。
全国的に重大な事件が相次いでいる児童虐待につきましては、相談機能の充実を図るため、児童相談所職員の増員や、児童の入所・相談状況を一元管理するシステムの導入、市町村や学校、警察、医療機関などとの連携強化に取り組むとともに、平成24年2月を目途に中央児童相談所の移転改築を進めます。
また、国の制度では対象とならない軽度、中等度の難聴の子供への補聴器購入に対し新たに県単独で助成するなど、これまで制度のはざまとなっていた部分にも光を当て、きめ細かな対応をしていきます。
このほか、子供たちの権利を守り、未来を担う子供たちが将来に希望を持ち、伸び伸びと健全に育つ環境を提供するため、子どもの権利条例(仮称)の制定に向けた検討に取りかかります。
第2に、産業力、地域力の強化について申し上げます。
県民の皆様の確かな暮らしを守るためには、長野県産業を元気にしていく必要があります。このため、長野県の事業所の大多数を占める中小企業の振興を目指し、中小企業振興条例(仮称)の制定に向けた検討を行います。
また、大都市圏における県産品の認知度向上を図るため展示商談会を開催するとともに、コンビニエンスストアを活用した長野県のアンテナショップを東京に次いで名古屋にも開設するなど、食品や農林水産物、工業製品や伝統工芸品、さらには観光など、全体で長野県ブランドの創出促進と発信力の向上を図ってまいります。
地域を支える力強い産業づくりに向け、昨年設置した信州経済戦略会議での御提案をできるものから具体化していきます。その一つとして、ものづくり産業、観光業、農林業など分野を横断したプロジェクトチームにおいて具体的な国際戦略を検討し、長野オリンピックで培われた長野ブランドを活用しながら、今後ますます重要性が高まる海外市場の獲得や海外との交流、連携に積極的に取り組みます。
産学官の連携により長野県が優位性を持つ超精密・微細加工技術などのさらなる集積を目指すとともに、農林水産物など特色ある地域資源を活用した新たな産業の創出を総合的に支援します。
工業技術総合センターによる分析、測定などの技術開発支援の強化、アジア市場をターゲットとした販路開拓への支援の充実、さらに事業資金の円滑な供給など、総合的なサポート体制により世界へ飛躍するものづくり産業の構築を図ってまいります。
また、企業立地を促進するためリース方式を導入するなど、県営産業団地の分譲方法を見直すとともに、助成金の要件緩和や不動産取得税の課税免除期間の延長を行います。
このほか、来年、長野県で開催される技能五輪全国大会とアビリンピックの準備に万全を期するとともに、選手の育成や高校生等のキャリア教育の推進など産業人材の育成と能力向上を図ってまいります。
昨年秋の信州デスティネーションキャンペーンでは、期間中、前年を上回る観光客にお越しいただき、県内観光地はにぎわいを見せました。この効果を継続させるため、これまでの地域の取り組みをさらに発展させ、「未知を歩こう。信州」をテーマにした県内全域を対象とする観光キャンペーンを行うとともに、来年1月の長野県のスキー発祥100周年にあわせて、スキー場関係者と一体となったプロモーションを展開してまいります。
また、国際観光推進室を設置し、成長著しい中国など海外からの旅行者の誘致活動を強化します。このほか、信州まつもと空港を拠点とした周遊観光の推進や北陸新幹線延伸に向けた観光振興策にも力を注ぎ、観光立県長野の再興に努めてまいります。
地域が輝く元気な農業・農村の構築につきましては、競争力のある付加価値の高い農業の産地づくりを進めるため、コーディネーターを配置し、産地の魅力や顧客の志向に沿った取引を推進するとともに、果樹農業の再構築を図るため、県オリジナル品種の長期出荷への体制整備やリンゴの新矮化栽培の普及、果樹園の円滑な継承等を支援します。また、シナノゴールドの知的財産を活用し、ヨーロッパでの商業栽培許諾を進めます。
将来の農業担い手確保育成については、首都圏でのセミナーの実施など県外の就農希望者を長野県に呼び込むための相談や農業体験、研修などの受け入れ活動を充実し、農業に定着できる環境を整備するほか、本年11月に松本市で全国農業担い手サミットを開催します。このほか、農産物の安定生産に不可欠な用水路等の生産基盤について補修等を計画的に進めます。
持続可能な林業、木材産業の振興につきましては、県内の間伐材等の森林資源が将来にわたって円滑に生産、流通、利用できる仕組みを構築するため、森林施業の集約化、作業路網の整備など間伐材搬出の低コスト化、住宅や公共的建築物への県産材の活用促進などに取り組みます。
また、急増する野生鳥獣被害に対応するため、庁内関係部局や県境を越えた連携により、調査研究、指導体制整備、侵入防止さくによる防除や捕獲対策、ジビエ活用など総合的に取り組んでまいります。
交流が広がり活力あふれる地域づくりにつきましては、地域発元気づくり支援金を前年度と同額を確保し、地域の元気を生み出すモデル的で発展性のある事業を支援するほか、地域戦略会議を広域圏ごとに設置し、市町村と連携しながら、広域的な課題の解決に向けて積極的に取り組んでまいります。さらに、都市圏を初めとした県外から長野県への移住や交流を促進するため移住・交流推進本部を設置し、具体的な戦略を策定します。
住みなれた地域で暮らしていくためには交通ネットワークの確保が欠かせません。バスや鉄道の路線など地域の公共交通を市町村、事業者、住民が一体となって支えていくことを基本に、地域における路線の維持や地域の実情に即した交通システムの再構築に向けた先駆的、主体的な利用促進の取り組みを支援します。
道路ネットワークの整備につきましては、老朽化の進む橋梁の長寿命化を図るため、これまで計画的に実施してきた修繕に加え、トンネルや吹つけのり面などの道路構造物について、それぞれの性質に応じた適切な維持管理を行う計画を策定し、社会資本ストックとしての道路の維持管理費の平準化とライフサイクルコストの縮減を図ってまいります。
また、高速交通ネットワークの整備につきましては、中部横断自動車道や三遠南信自動車道など高規格幹線道路の整備促進、北陸新幹線の長野―金沢間の平成26年度末までの開業に向けた建設を促進するとともに、長野以北の並行在来線の存続に関係自治体と連携しながら精力的に取り組みます。
リニア中央新幹線につきましては、整備による経済効果や利便性ができるだけ県内の広範囲に及ぶよう関係者と力を合わせて取り組みます。
信州まつもと空港につきましては、市町村、経済団体等と連携しながら、福岡地域におけるFDA(フジドリームエアラインズ)の認知度向上や利用促進などに一層取り組みます。
ライフスタイルの変化やモータリゼーションの進展などに伴い中心市街地の空洞化が進み、移動手段を持たず日常的に買い物に支障を来している高齢者等に対応するため、商店街や市町村が連携し、買い物環境の改善に向けて行う意欲ある取り組みを支援します。また、空き店舗を活用して商業の担い手育成を行う街なか創業塾の開設など、商店街のにぎわいの再生に向けた総合的な対策により活力ある商業、サービス業の振興を図ってまいります。
このほか、開催20回目となる節目の年を迎え、世界への大きな飛躍を目指し名称変更が検討されている
サイトウ・キネン・フェスティバル松本への支援など、生活を彩る文化芸術の振興に取り組んでまいります。
第3に、暮らしの安心確保について申し上げます。
安心で質の高い医療の確保につきましては、医療の担い手の養成、確保を図るため医学生への修学資金の貸与や、医療事務作業補助者(医療クラーク)を新たに配置する病院を支援し勤務医の負担軽減を図るなど、医師確保対策を進めます。看護大学に認定看護師の養成講座を開設するとともに、老朽化した木曽看護専門学校を旧木曽山林高校の校舎を活用して移転するなど、専門性の高い看護師の養成と教育環境の整備を図ってまいります。
また、地域医療再生基金を活用して各地域の課題に対応した体制整備への支援を充実するとともに、昨年、地方独立行政法人に移行した県立病院が、効率的な経営のもと、各病院の特徴を生かしながら質の高い医療を提供できるよう支援を行います。
さらに、歯科保健推進計画の策定を初め、関係者から成るがん対策推進協議会(仮称)の設置、市町村が行う認知症高齢者の見守り活動の実施、うつ病も含めた自殺予防対策など、心と体の健康づくりを総合的に推進します。
なお、検討を重ねてまいりました中南信地域へのドクターヘリの増強につきましては、信州大学医学部附属病院に配備することとし、佐久総合病院と合わせた2機体制で県内全域での救急医療体制の強化を図ってまいります。
高齢者や障害者が地域で安心して暮らすことができる社会づくりにつきましては、援護を必要とする方に対して、保健、福祉、医療、介護などの連携により、よりよいサービスを提供し、地域全体で支えていく体制を構築するため、リハビリや在宅介護など住みなれた地域でのケア体制の充実を図るとともに、特に入所待機者の増加が課題となっている
特別養護老人ホームについては前倒しで整備を行うなど、地域の実情を踏まえた社会福祉施設の整備を積極的に促進します。また、介護などの担い手確保や資質向上を図るため、介護職員の処遇改善や資格取得に向けた研修支援などを行います。
発達障害のある方への支援につきましては、県発達障害者支援センターにおける相談や発達障害支援専門員による小中学校、高校などの教育現場のサポート、こども病院を初めとする県立病院機構における専門的な診療などによりライフステージに応じた支援を推進するほか、継続的な支援のあり方について検討いたします。
また、障害のある人もない人も、だれもがお互いに尊厳を重んじて支え合い、心豊かに地域で安心して暮らすことができる県づくりを目指し、障害者差別禁止条例(仮称)の制定に向けた研究会を設置いたします。
このほか、一人親家庭の就業支援、乳幼児や障害者、一人親家庭等の医療費自己負担分の軽減措置を図るなど、だれもが安心して日常生活を送ることができるような支援を行ってまいります。
人権が尊重される社会づくりにつきましては、人権啓発センターによる相談、支援のほか、学校、家庭、地域、職場などさまざまな場における啓発などを通じて県民一人一人の人権尊重意識の高揚を図ってまいります。
男女共同参画社会づくりにつきましては、第3次長野県男女共同参画計画に沿って、県の審議会等への女性委員の積極的登用や起業などに挑戦する女性への支援、男女ともに職場や家庭、地域活動に参画できる社会を目指すワークライフバランスの推進などに重点的に取り組みます。
二酸化炭素を初めとする温室効果ガスの増加による地球温暖化の問題は、すべての生物の生存基盤に影響を与えかねない喫緊の課題となっています。これまでの産業や家庭など各部門における自主性を尊重した取り組みから一歩進んで、排出削減のための新たな仕組みづくりや新エネルギー導入促進策など、より実効性の高い施策を展開できるよう温暖化対策課を設置し、温暖化対策の再構築を進めます。
電気自動車の民間とのカーシェアリングをモデル的に実施するほか、県有施設の省エネを促進するため新たに松本文化会館へのESCO事業導入を検討するなど、参加と連携で地球温暖化対策を推進してまいります。
県民の皆様から広く御負担いただいております森林づくり県民税を活用して手入れのおくれている里山を中心とした間伐を進めるとともに、新たに炭素固定量認証制度を構築するなど、県民の皆様の一層の御理解をいただきながら未来へつなぐ森林づくりを推進します。また、生物多様性確保対策を進めるほか、県産木材の使用や環境に配慮した信州型エコ住宅・環の住まいの整備促進、食べ残しの削減、廃棄物の適正処理の推進などにより資源循環型社会の形成に取り組みます。さらに、県が実施主体となる公共事業について、環境アセスメント制度に加えて県独自の基準を設け、できるだけ環境へ負荷をかけないよう努めるなど、長野県の誇りである豊かな自然環境の保全を推進します。
生活の安全面での対策も重要です。地域防災体制の強化と災害に強い県土づくりを図るため、社会福祉施設などに配慮した砂防施設の整備や、森林の山地災害防止機能を発揮させるための治山事業、災害時の緊急輸送路となる道路や橋の整備など、住民生活に身近な
社会資本整備を着実に推進するとともに、防災拠点となる県庁舎や
高等学校など県有施設の耐震化や住宅等の耐震診断、改修を計画的に進めます。また、地域防災のかなめである消防団の充実強化への支援や、各機関が連携して行うさまざまな防災訓練を通じて災害時に即応できる体制の確立と防災意識の高揚を図り、日ごろの備えに万全を期するとともに、発生時の適時適切な対応に努めてまいります。
犯罪の起きにくい社会をつくるため、地域の防犯ボランティアの育成や万引き防止対策、地域住民の自主防犯活動の支援を総合的に行います。また、捜査体制等の強化を図るため警察官を10人増員するほか、交番、駐在所の改築や統合、上田警察署の移転改築を進めるとともに、松本警察署の耐震化事業に着手します。
交通安全対策の推進につきましては、信号機の新設、改良や歩道の整備など、安全、安心な道路環境の確保、高齢者等に配慮した交通安全教育を推進するほか、東信地域に運転免許サブセンターを設置します。
このほか、消費生活の安定と向上を図るため、住民に最も身近な市町村における相談窓口の機能強化に向けた支援を行います。
また、食品の安全を確保し、県民の食品に関する不安を解消するため、食品安全・安心条例(仮称)の制定に向け検討を進めてまいります。
第4に、県民主役の自立した県政の実現について申し上げます。
これからの長野県づくりは県民の皆様が主役です。そのためには、県の情報をより広範にわかりやすく提供するなど、県民の皆様との情報の共有化が必要です。県の施策などの県政情報を「広報ながのけん」の冊子の全戸配布やインターネット放送などにより一人でも多くの県民の皆様にお知らせし御理解いただけるよう、情報発信力の向上を図ってまいります。また、引き続き、県政ランチミーティングやタウンミーティング、市町村長との意見交換などをきめ細かく行ってまいります。
新しい公共の担い手として、自立的、主体的な活動を行っているNPO等の果たす役割はますます大きくなってきております。有識者やNPO代表者等から成る円卓会議において、これまで行政が担ってきた公の領域を、住民や企業、ボランティアやNPOなどの民が参画し、協働して支えていく仕組みを検討し、長野県にふさわしい形を構築してまいります。また、県民協働・NPO課を設置し、県民の皆様からさまざまな御提案をいただきながら、県民の皆様と県との協働の取り組みを進めます。
自立した県政を支える基盤となる県財政につきましては、引き続き厳しい状況が見込まれることから、現行の行財政改革プランの取り組みを検証し、簡素で効率的、効果的な行政運営の確立と持続可能な財政構造の構築を図るため、新年度早々に行政・財政改革推進本部を立ち上げ、平成24年度以降に講じるべき新たな方策について検討してまいります。
自主財源の根幹である県税については、厳正な滞納処分の実施や、本年4月から本格的に業務を開始する長野県地方税滞納整理機構の取り組みなどを通じて収入増を図ってまいります。
地方分権の時代にあって、長野県にふさわしい税制のあり方などを検討する場として有識者による長野県地方税制研究会(仮称)を設置します。
また、公共資産としての県有財産全体について、長期的な観点から費用と便益の最適化を図りながら総合的な利活用を行うファシリティーマネジメントに本格的に取り組みます。
信州型事業仕分けにつきましては、先行実施した先月15日及び16日には、会場での傍聴者だけではなく、ケーブルテレビやインターネットでの同時中継を通じて多くの皆様にごらんいただき、多くの御意見もちょうだいいたしました。限られた時間の中での実施であったこともあり課題はさまざまありましたが、行政の効率化や国などとの役割分担の明確化を図り、県民参加を推進し、県民主権の県政を実現していくための有効な手段になり得るものと強く感じたところです。
仕分けを行った29事業のうち不要とされた4事業につきましては廃止または一部廃止とするなど、仕分けの結果を新年度予算に最大限反映することといたしました。その他、要改善とされた事業につきましても、一部新年度予算に反映するとともに、一定の時間をいただきながら今後関係団体との調整などを鋭意進めていくことといたしました。
新年度においては、この先行実施の結果を踏まえて、さらに県民参加を進める観点で県民判定人方式を取り入れて、信州型事業仕分けを本格的に実施してまいります。
県の施策をより効果的に推進していくためには、部局横断あるいは官民協働の取り組みにより長野県の総合力を発揮していくことが重要です。これまで述べてまいりました国際戦略や移住・交流推進戦略の策定、新しい公共のあり方検討や長野県の魅力発信、信州まつもと空港の活性化や有害鳥獣対策など、さまざまな分野において部局横断の取り組みをさらに強めてまいります。
また、経済情勢が厳しい中、あるいは格差社会と言われる中で、暮らしの困難に直面されている方に対し県としてきめ細かな配慮を行っていくことも重要であると考えます。発達障害者へのライフステージに応じた支援や、軽度、中等度の難聴児の補聴器購入への助成、私立
高等学校の授業料減免制度の拡充、パーソナル・サポート・サービスの提供、うつ病に対する支援体制の充実などを行ってまいります。
最後に、TPP(環太平洋経済連携協定)について申し上げます。
TPPに関しては、特に農業関係者を中心に反対する声、不安視する声が上がっております。この協定は、農業の市場開放のみならず、労働、環境、金融のサービスなどさまざまな分野に影響が及び、県民生活にも深くかかわってくると思われますので、十分な国民的議論を尽くした上で慎重な対応を行うよう引き続き政府に求めてまいります。
県といたしましても、昨年末に庁内に設置した包括的経済連携に関する連絡会議において情報収集に努め、農業の体質強化を初めとする政策の提言を行うなど、国の動向を注視しつつ必要な対応をとってまいります。
以上、施策の概要について申し上げました。
条例案は、新設条例案2件、一部改正条例案16件で合わせて18件であります。
新設する長野県
暴力団排除条例案は、社会全体で暴力団の排除を推進していくため、県、県民及び事業者の責務や基本的施策など必要な事項を定めるものであります。また、
長野県立中学校条例案は、中高一貫教育を導入するため屋代
高等学校に附属中学校を設置するものであります。
一部改正条例案のうち一般職の職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例案など給与関係条例4件は、昨年の人事委員会勧告に基づき、自宅に係る住居手当を廃止するなど所要の改正を行うものであります。
事件案は、副知事の選任についてなど21件であります。
私は、昨年8月の県知事選挙の公約の一つに副知事への女性登用を掲げました。このたび選任をお願いする高田さゆりさんは、この1月まで消費者庁におられ、また政府の男女共同参画会議の議員も務められている方であります。私が求める女性の視点での県政運営、また消費者行政や男女共同参画を推進していく上でまさに適任であると判断したところであり、御理解を賜りますようお願い申し上げます。
専決処分の報告は、交通事故に係る
損害賠償の
専決処分報告など5件であります。
最後に、一言申し上げます。
昨年の暮れから、児童養護施設などに、私も子供のころにテレビの前に釘づけになったタイガーマスク、伊達直人の名でランドセルなどが贈られるという心温まる動きが長野県を初め全国で広まりました。きっかけや動機など、それぞれ事情はあるでしょうが、こうした、だれかを支えたいという人々の共感が社会を変えていく大きな原動力となり得ることを改めて認識いたしました。
私が
長野県知事に就任し、県民の皆様とともに県政発展に向けて歩みを始めてからおよそ半年が経とうとしています。この間、現場の重視を掲げ、既に12回を数えるタウンミーティング及びランチミーティングを初め、小学校や病院あるいは工場などの現地に出向き、多くの方々と直接対話を重ねてまいりました。私は、その中で、県民の皆様と共感し合うことの重要性を強く感じてまいりました。県民の皆様との共創、協働を一層進めることにより、県民とともに悩み、ともに考え、ともに行動する県組織にしてまいります。
私が執務している知事室には一色白泉先生の作品である「衆心成城」という大きな書が飾られています。衆心城を成す、皆が心を合わせれば城のように堅固で破りがたいものになる、すなわち人々が心を一致させると大きな力を発揮するという言葉です。
県民の皆様と心を一つにし、職員一丸となって取り組んでいくならば、必ずや長野県は新しい時代をいち早く切りひらいていけるものと私は確信しております。どうか皆様の一層の御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。
以上、今回提出いたしました議案につきまして、その概要を申し上げました。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○議長(
寺島義幸 君)次に、矢﨑和広
教育委員会委員長。
〔
教育委員会委員長矢﨑和広君登壇〕
◎
教育委員会委員長(矢﨑和広 君)平成23年度の教育委員会関係の議案につきまして、その概要を御説明を申し上げます。
最初に、最近の教育をめぐる状況を踏まえ、教育委員長として所信の一端を申し述べさせていただきます。
現在の子供、特に若者の世代におきましては、厳しい雇用情勢のもと、学校から社会、職業への移行が円滑に行われないという困難に直面をしております。また、幼少期からのさまざまな体験や異年齢者との交流の乏しさ、人々の価値観や生き方の多様化を背景に、コミュニケーション能力等基本的能力の低下や職業観の未熟さなど、社会的自立に向けてのさまざまな課題を抱えております。さらには、近年、日本の若者の内向き思考も懸念されているところであります。
教育は、子供たち一人一人の人格の完成を目指すものであり、自立した人間として幸福な生涯を実現していく上で不可欠なものであります。同時に、教育には将来この国や社会を担っていく子供たちを育てていくという使命があり、このような教育の重要性はどの時代にあっても変わることはありません。
しかしながら、学校や教員を取り巻く社会情勢が大きく変化し、しつけ、家庭問題等あらゆることを学校にゆだねようとする風潮が高まる中、教職員の流す汗が成果に結びつきにくいとい状況があります。
こうした状況も踏まえ、さまざまな課題を克服していくためには何よりも学校が信頼を得ながら日々の教育活動を行うことが重要であり、学校力を高めていくことが必要であります。あわせて大切なことは地域の力を学校の中に取り入れることであります。連携は紛れもない時代の流れであります。地域との連携を図っていくためには、学校が家庭や地域に対して子供たちの現状や学びの課題といった情報を積極的に発信し、課題を共有すること、いわば保護者、地域住民とともに進む開かれた学校づくりを一層進めなくてはなりません。
知識基盤社会の時代などと言われる社会の構造的な変化の中で、子供たちが高い志と理想を持ち、困難な課題にも果敢に取り組み、解決するたくましさ、すなわち生きる力をはぐくむという理念はますます大切になっています。教師は、一人一人の子供の未来に生きる姿を想像し、子供が居場所、生きがい、存在感といった自己肯定感を持てるよう、愛情と情熱をもって指導に当たることが最大の責務だと考えています。
本県には、長い研さんと先人の努力によって培われた、子供たちがよりよい社会人となるための基盤をつくる教育的実践が今もなお引き継がれていると承知をしています。米づくりなど地域素材で学ぶ学習、地域に出ての奉仕活動や学校集団登山など、座学だけではなく、体験を通して身につけていく豊富な学習活動は、調和のとれた子供たちを育て、子供たちの伸びしろを広げ、社会に出たときの大きな財産になると確信するところです。そして、これらを生み出しているのは、自主的な研修が尊重される教育風土のもとで、使命感と情熱を持ち、子供たちのために骨身を惜しまず取り組む教師の姿勢であります。
このように、本県には、教育県長野として誇れるものがある一方で、学力を初めとする課題が山積しております。いま一度、長野県教育の原点に立ち返り、社会がどのように変化しようとも子供たちの教育に大切な不易なものを太い柱として中心に据えつつ、一方では、子供たちや保護者の生活や意識が変容している事実を踏まえながら、高度・多様化する教育ニーズにこたえていくための新たな努力や研さんをしていかなければならない、そのように覚悟をしているところであります。
以上を踏まえ、新年度の教育委員会の主な施策につきまして御説明申し上げます。
教育委員会におきましては、昨年度来の重要課題であります不登校対策、高校再編、特別支援教育の充実の3本柱に加え、新年度、新たに学力、体力の向上を最重要課題に位置づけて取り組んでまいります。
初めに、中学校への30人規模学級の導入について申し上げます。
国では30年ぶりに学級編制の標準を引き下げ、新年度は小学校1年生に35人以下学級が実現されることになりました。本県では、平成14年度に創設した信州こまやか教育プランにより、順次、小学校の少人数学級化を進めてきたところであり、既に全学年において30人規模学級編制が実現されています。
一方、中学校の現況は、学力の低下を初め、発達障害や不登校など特別な支援を必要とする生徒の増加や、いじめ、暴力行為といった生徒指導上の課題などさまざまな課題に直面しています。このような中、学校現場だけでなく、市町村教育委員会を初めとする教育関係団体、県議会、市町村議会など多くの皆様方から中学校への30人規模学級導入についての御要望をいただいてきたところであります。
そこで、県教育委員会といたしましては、こうした教育課題の環境整備を推進するため、新年度、新たに中学校1年生への30人規模学級編制を実施することといたしました。導入に当たりましては、現在導入されている少人数学習集団編成との選択制とし、市町村教育委員会の責任と選択により実施するとともに、現行の教員配置事業の基準見直しを行うこととしております。
学校における学級づくりの重要性を改めて認識し、生活集団を小さくすることで落ちついた授業を成立させ、子供と向き合う時間をこれまで以上に確保することにより生徒一人一人に応じたきめ細かな支援、指導を可能にしていきたいと考えております。その結果、学力の向上や不登校など中1ギャップへの対応、発達障害などに対する個別指導の充実が図られるものと認識をしています。同時に、導入に当たりましては教員の意識改革と検証が何よりも肝要であると考えます。校長のマネジメント力を高め、授業を変え、学級づくりを充実させることができるよう導入の効果をしっかりと検証してまいります。
また、国に対し、小学校2年生以上における35人以下学級の制度化と、既に学校で行われている少人数学習指導等の取り組みが後退することのないよう、加配教員数の維持について要望していきたいと考えています。
次に、学力向上について申し上げます。
悉皆調査から抽出・希望利用方式に変更して行われた昨年の全国学力・学習状況調査、いわゆる全国学力テストは、中学校において国語、数学ともに全国下位に移行するなど、総じて厳しい結果となりました。
中位層の児童生徒を伸ばし切れていない点や知識を活用する力に課題があるなど、従前からの指摘に加え、同一傾向の問題において、4年前の小学校6年の正答率に比べ、その同じ子供たちが中学校3年になった今回の正答率が大きく落ち込むなど、学力の定着に課題があることを重く受けとめております。こうした状況の背景として、これまでの学力向上対策においては客観データに基づく学力の検証が必ずしも十分ではなかったと認識をしています。
現在、全国学力テストが悉皆調査から抽出に変わったことで、都道府県及び市町村は学力の定着状況をきめ細かに把握するツールを失った状況にあります。そこで、県教育委員会といたしましては、抽出で行われている全国学力テストを希望利用しようとする意欲的な市町村に対し新たに採点、集計費用の一部を助成するとともに、事務局内に学力向上推進プロジェクトチームを設置し、市町村教育委員会の学力向上に向けた取り組みを積極的に支援してまいります。市町村教育委員会におきましても、しっかりと成果を出していただくため、分析結果や課題、そして具体的改善策を必ず保護者等に公表してもらうことといたします。
こうした取り組みを通じて目標達成型の学校経営に転換していくことを目指すとともに、全国学力テストを活用して学力向上に向けた取り組みの意識改革を図ってまいります。
また、学力向上には教育のプロである教員の資質向上が欠かせません。新年度は、学力向上に向けた組織づくりの推進、教員同士の公開授業や教員OB等による授業指導、家庭学習の充実に向けた研修などの校内研修を通じて教員の指導力、力量向上につなげていきたいと考えております。
本県がこれまで基本としてきた知・徳・体の調和のとれた全人教育の重要性は何ら変わるものではありませんが、全国学力テストで求められる力は問題解決力や追求力、学習意欲の向上などにつながり、確かな学力を身につけていく上で子供たちの成長に必要なものだと確信をしています。
次に、体力の向上について申し上げます。
平成22年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査によりますと、本県小中学生の体力は全国平均を下回り、特に女子の体力、運動能力に課題があることが明らかになっております。背景には、児童生徒の運動時間が全国に比べ短いことに加え、授業以外での継続的な取り組みや運動習慣を確立するための取り組みが少ないなど、学校における取り組みにも課題があると認識をしています。
人間のあらゆる活動の源になる体力を子供の時期からしっかりと身につけていくことは、子供の将来にとって大変重要なことであります。このため、新年度は、一校一運動により全校で体力向上策に取り組むPDCAサイクルを確立するとともに、全学校における体力テストの実施を通じて自校の体力実態を客観的に把握してまいります。体力テストの結果は、新たに作成する体力テスト集計システムを活用することで県全体や全国との比較、子供一人一人の経年データ等を集計、分析し、わかりやすく活用しやすいデータとしてフィードバックすることにより、学校、家庭、市町村教育委員会の体力向上への意識を醸成していきたいと考えております。
また、効果的な指導方法の普及や外部指導者の活用による魅力ある体育授業により、できる楽しさを味わう授業への改善を目指してまいります。
こうした取り組みを通じて体力向上への意識を醸成し、学校、家庭、地域が連携して子供たちが自発的に運動量をふやす環境整備を行うことにより、本県児童生徒の体力向上を図ってまいります。
次に、不登校対策について申し上げます。
不登校対策につきましては、不登校対策検討委員会が策定した「不登校対策の行動指針」に基づき、県教育委員会と市町村教育委員会が一体となって取り組んでいるところであります。
平成21年度の不登校の状況は、在籍比率が全国平均に対し依然として高い水準にあるものの、児童生徒数及び在籍比率ともに前年度に比べ減少をしました。新規の不登校児童生徒が減少するなど、学校や市町村教育委員会、関係機関等の取り組みの一定の成果があらわれてきたものと受けとめています。
市郡別の数値の公表につきましては、さまざまな御意見があることは承知しているところでありますが、複雑な要因が絡み合い、学校だけでは解決困難な不登校問題について、市町村の首長部局、そして地域において本気で学校を支えていただくためにも、今後も引き続き御理解をいただきながら行ってまいりたいと思います。
不登校対策を行っていく上で大切な視点は、一人一人の子供が抱える悩みに寄り添い、その子供がなぜ不登校にならざるを得なかったのかという背景を探り、不登校の未然防止に向けた環境づくりを進めていくとともに、その子供の社会的自立に向けて支援していくことであると考えています。
今年度創設した笑顔で登校支援事業では、8年間ひきこもっていた生徒が中間教室に通えるようになった例、長期欠席の生徒が地域の職場体験を通じて進路実現に前向きになった事例等が報告をされています。
一方で、民間の活動に関する情報不足や、ひきこもり支援に関するノウハウ不足などの課題もあることから、新年度は、民間との効果的な連携や、地域全体が長期的に不登校児童生徒にかかわっていく支援体制が構築できるよう取り組んでまいります。
次に、
高等学校の再編について申し上げます。
高校再編につきましては、地域の皆様の深い御理解をいただきながら、第1期
高等学校再編計画に基づき、魅力ある高校づくりと学校規模と配置の適正化を進めてきたところであります。
新年度は、東御清翔高校が多部制単位制高校として、犀峡高校が篠ノ井高校の地域キャンパスとして新たなスタートを切ることになりました。また、須坂、佐久、大町地区につきましては、地域懇話会における議論を集約して策定された実施計画に基づき、須坂商業高校と須坂園芸高校の統合及び北佐久農業高校、臼田高校と岩村田高校工業科の統合についてはそれぞれ平成27年度、大町高校と大町北高校については平成28年度の統合を目指してまいります。
平成24年4月に開校を予定しています併設型中高一貫校の屋代
高等学校附属中学校につきましては、地域説明会に約1,300人の皆さんに御参加いただくとともに、入学者選抜に係る適性検査の試行には700人を超える申し込みがあるなど、関心の高さを実感しているところであります。今後、教育委員会定例会において委員から出されました、適性検査に対するさまざまな視点からの指摘も踏まえて検証を行い、本検査に備えてまいります。また、中南信地区における設置校につきましては、先月開催された教育委員会定例会において諏訪清陵高校とすることを決定し、平成26年4月開校を目指すこととしております。
公教育において、多様な生徒のニーズに応じて、平等性と卓越性、そのバランスに配慮することが重要だと考えます。中高一貫教育につきましては、新しいタイプの学校として、総合学科、多部制単位制などと同様、子供たちに多様な選択肢を与えるものとして位置づけています。また、保護者の経済的負担の軽減を考慮する上で、公立においても中高一貫校が必要であると考えます。中学、高校の6年間につながりを持たせ、ゆとりある教育課程で学習できることが最大の魅力であり、さまざまな分野でリーダーシップを発揮し、社会のために貢献できる骨太の人材の育成を目指してまいります。
高校再編に係る新年度の施設整備につきましては、飯田工業高校と飯田長姫高校の統合校及び飯山北高校と飯山高校の統合校並びに屋代
高等学校附属中学校の整備に向けた建設工事を行うほか、須坂、佐久、大町の各地区の統合校と諏訪清陵高校について地盤調査を実施してまいります。
次に、特別支援教育について申し上げます。
発達障害のある児童生徒の増加、
特別支援学校における児童生徒の増加及び障害の多様化や重度・重複化、さらには国において検討が進められている障害のある子供が障害のない子供とともに学ぶインクルーシブ教育への対応も踏まえ、特別支援教育の充実を図っていく必要があります。このため、新年度は
特別支援学校の教員を32名増員し、児童生徒一人一人の障害や発達の状況等に応じた教育をさらに推進してまいります。
発達障害の児童生徒への対応としては、校内の支援体制づくりや、教員研修、通級指導教室における支援のほか、15人の発達障害支援専門員を地域の支援組織内に配置することにより、地域の主体性による学校支援と組織対応による手厚いサポートの実現を目指してまいります。
平成25年4月開校を目指しています長野ろう学校の改築につきましては、新年度、建築工事に着手し、本格的な準備段階に入ります。同じ校舎内に長野養護学校三輪校舎を新設し、ろう学校と知的障害校の専門性共有による教育の充実や、児童生徒の交流と相互理解の促進を目指すなど、新たな
特別支援学校のあり方を示す取り組みを関係者の合意を得ながら進めてまいります。
教育委員会では、障害のある子供が地域で豊かに学べる教育環境づくりのため、
特別支援学校の分教室設置など地域化を推進してまいりました。新年度は県下初となる市立の
特別支援学校が須坂市に開設されることに伴い、必要な教員を配置するとともに、平成24年4月に上伊那農業高校へ伊那養護学校高等部分教室を開設するべく教室等の改修を行ってまいります。
特別支援教育の今後の方向につきましては、特別支援教育連携協議会において、医療や福祉と連携した支援や、幼稚園、保育園から学校卒業後の生活へとつなぐ連続した相談、支援など、地域における総合的な支援体制のあり方について、また、多様な教育的ニーズに対応できる学校づくりなどについて議論をいただいています。
教育委員会といたしましては、今年度中にいただく予定となっています連携協議会からの最終報告をもとに、新年度、本県の特別支援教育の全体構想を取りまとめていきたいと考えています。
最後に、長野県教育振興基本計画について申し上げます。
これまで申し上げましたように、本県では、知・徳・体の生きる力の課題が顕在化するとともに、近年の教育を取り巻く環境の変化に伴う教育ニーズが一層高度・多様化してきており、こうした状況に的確に対応するための教育施策の方向性を改めて示していく必要があると考えます。
そのため、教育委員会といたしましては、現行の長野県教育振興基本計画について、新たな計画を策定するべく作業に着手することといたします。
以上、教育委員会の施策の概要について申し上げました。
これらの施策を推進するため、
一般会計1,893億9,891万4,000円、
高等学校等奨学資金貸付金
特別会計2億7,990万7,000円の予算案を提出しております。
条例案は、長野県学校職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例の一部を改正する条例案、長野県学校職員の給与に関する条例及び義務教育諸学校等の教育職員の給与等の特例に関する条例の一部を改正する条例案、
長野県立中学校条例案の3件であります。
事件案は、
高等学校の統合について3件であります。
以上、今回提出いたしました議案につきまして、その概要を御説明申し上げました。何とぞよろしく御審議のほどをお願いを申し上げます。
○議長(
寺島義幸 君)次に、小林弘裕
警察本部長。
〔
警察本部長小林弘裕君登壇〕
◎
警察本部長(小林弘裕 君)本県議会で御審議をいただく警察本部関係の議案について、その概要を御説明いたします。
議案説明に先立ち、県下の治安情勢と県警察の課題について御説明いたします。
まず、県下の治安情勢について申し上げます。
平成22年の刑法犯認知件数は1万8,295件であり、前年と比較しますとマイナス9.3%でありました。これにより、刑法犯認知件数を9年連続して減少させるとともに、平成24年までに刑法犯認知件数を2万件未満とする長野県
中期総合計画の目標を2年前倒しで達成しております。
しかしながら、昨年は、殺人や侵入窃盗が増加し、また、強盗事件、子供、女性が被害者となる犯罪等、県民が身近に不安を感じる事件が後を絶たず、県民の安全と安心を確保するにはいまだ課題が多い状況であります。
交通事故につきましては、昨年、県下で発生した交通事故による死者数は110人で、前年より1人少なく、ピーク時の昭和47年と比べ約3分の1に減少し、第8次長野県交通安全計画で定めた平成22年までに死者数を110人以下に抑止するとの目標を達成することができました。
交通事故は、件数、死者数、負傷者数ともに6年連続で減少しておりますが、今後、交通事故死者数を100人以下とする
中期総合計画の目標を達成するためには、交通事故死者数の半数を超える高齢者に対する交通安全教育のさらなる強化や、依然として後を絶たない飲酒運転などの悪質な違反に対する徹底した取り締まりが必要と考えております。
県警察では、こうした治安情勢を踏まえ、県民の安全と安心を確保するため、五つの課題から成る「平成23年長野県警察重点推進課題と対策」を定め、諸対策を推進することとしております。
以下、県警察の課題5点を申し述べます。
第1の課題は、犯罪の抑止と検挙の総合対策の推進であります。
刑法犯認知件数の減少傾向を定着化させ、本年も10年連続の減少となるよう最大限の努力をするとともに、特に県民の身近で発生し体感治安に影響を及ぼす街頭犯罪や侵入犯罪を最重点に、犯罪の抑止と検挙のための対策を講じてまいります。
このため、重層的な防犯ネットワークの整備、防犯ボランティアとの連携、少年非行防止と立ち直り支援の強化等、犯罪の起きにくい社会づくりのための諸対策を推進するとともに、検視体制の強化、公訴時効の廃止に伴う捜査体制の整備のため警察官10名の増員をお願いするほか、装備資機材の充実を図るなどにより初動捜査の高度化と捜査の科学化を推進し、犯罪検挙を強化します。
第2の課題は、交通死亡事故抑止対策の推進であります。
長野県
中期総合計画の目標である交通事故死者数100人以下の達成に向け、県警察の抑止目標を昨年と同数の交通事故死者105人以下とし、交通街頭活動の強化、高齢者事故防止対策、飲酒運転根絶対策、被害軽減対策、自転車利用者対策を重点とした交通事故抑止対策を推進します。特に、高齢者事故防止のため緊急雇用創出基金を活用した高齢者交通事故抑止事業の充実を図り、参加、体験、実践型の交通安全教育を推進するなど、高齢者に対する総合的な交通安全対策を推進してまいります。
第3は、大規模災害、テロ等危機管理対策の推進であります。
異常気象や地震等の災害に迅速、的確に対処するため、平素から自治体、消防等の関係機関と連携を強化するとともに、緊急事態への対処能力を向上するため実践的な部隊訓練等を反復実施するなど、危機管理対策を推進します。
また、昨年のAPEC警備終了後も厳しい国際テロ情勢に変化はないことから、引き続き、テロ関連情報の収集、分析や情勢に応じた警戒警備を実施し、テロの未然防止対策を推進してまいります。
第4は、地域社会と協働した地域安全活動の推進であります。
昨年の組織再編整備により地域部を設置し、自動車警ら隊を充実いたしましたが、地域の安全、安心のため制服警察官によるパトロールを強化するとともに、警察活動に対する要望の把握と誠実な対応に努めます。
また、子供、女性に対する犯罪や児童虐待の防止等、犯罪のない社会づくりを実現するためには、地域住民、自治体、関係機関等と協働した地域安全活動の推進が不可欠であり、連携を強化するとともに、箕輪町及び小諸市で取り組みが進められているセーフコミュニティー運動を積極的に支援します。
第5は、県民の意見、要望を反映した警察活動の推進であります。
昨年の組織再編整備により県下の警察署は22署となり、新たな体制が発足いたしましたが、引き続き、発足の際にお寄せいただいた御意見を踏まえ、住民の不安がないよう警察運営に遺漏なきを期してまいります。
また、来年度は、東信運転免許サブセンターの運用開始に向け諸準備を進めるほか、交番、駐在所の再編整備を計画的に進めてまいります。
以上、治安情勢と県警察の課題について申し上げました。
県警察では、こうした犯罪対策や交通事故抑止等の諸対策を実効あるものとするため、平成23年度当初予算に441億7,000万円余を計上いたしました。その内訳は、警察の基本的な運営経費である警察管理費が399億9,000万円余、犯罪抑止等の諸対策に要する経費である警察活動費が41億8,000万円余となっております。
警察管理費には、職員給与費295億900万円余のほか、警察官10人の増員に要する経費として2,200万円余を計上しております。また、上田警察署の建設事業に要する経費、松本警察署の改修調査に要する経費を計上しているほか、組織再編整備に関しては東信運転免許サブセンターの設置や交番、駐在所の建設に要する経費を計上しております。
次に、警察活動費には、犯罪の起きにくい社会づくりのために必要なボランティアの育成やセーフコミュニティー運動の支援に要する経費、初動捜査の高度化を図るための経費等を計上したほか、民間にパトロール等を委託して行う万引き防止総合対策事業や振り込め詐欺撲滅対策事業を緊急雇用対策経費として盛り込んでおります。
このほか、交通警察の関係では、交通信号機の新設、灯器のLED化改良や交通標識の整備に要する経費、交通管制センターの充実整備に要する経費、交通指導取り締まりに必要な装備資機材の整備に要する経費等を計上しております。
また、県警察の長年の懸案でありました警察ヘリの増機につきましては、昨年末の閣議決定により予算政府案に盛り込まれましたヘリは平成24年度末までに配備される予定であり、導入のための諸準備を進めてまいります。
次に、警察本部関係の条例案は3件を提出しております。
1件目は、長野県警察官の定数を10人増員し3,420人とする長野県
地方警察職員定数条例の一部を改正する条例案であります。2件目は、人事委員会勧告に基づき、若年、中堅層を対象として、昇給抑制分について1号俸の回復措置を講ずる長野県警察職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例の一部を改正する条例案であります。3件目は、社会全体で暴力団の排除を推進し、県民の安全で平穏な生活の確保及び社会経済活動の健全な発展に寄与することを目的とする長野県
暴力団排除条例案であります。
次に、
専決処分報告については、交通事故に係る
損害賠償の専決処分について報告をいたします。
以上、今回提出いたしました警察本部関係の議案につきまして御説明いたしました。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○議長(
寺島義幸 君)次に、山本浩司
公営企業管理者職務執行者。
〔
公営企業管理者職務執行者・企業局長山本浩司君登壇〕
◎
公営企業管理者職務執行者・企業局長(山本浩司 君)企業局関係の議案につきまして、その概要を御説明申し上げます。
初めに、企業局事業を取り巻く状況について申し上げます。
公営企業は、住民生活に身近な社会資本を整備し、必要なサービスを効率的に提供する役割を担っており、企業局の各事業につきましても、これまで、企業の経済性の発揮と公共の福祉の増進を経営の基本原則として、電気、水道等の事業を通じて県民生活の向上や地域の発展に一定の役割を果たしてまいりました。
今後とも、企業局といたしましては、地域、住民の信頼にこたえられるべく、公営企業の自立性と効率性を保ちつつ、公共の福祉の増進に取り組んでまいりたいと考えております。
また、規制緩和の進展、官民の役割分担の見直し、地方分権の推進など社会経済情勢の大きな変化を受け、現在進めております企業局事業の民営化等につきましても、関係者の理解のもと、一層推進してまいりたいと考えております。
これらを踏まえ、平成23年度予算案は、社会経済情勢の推移に伴うサービス、需要の動向等に留意し、建設投資規模の適正化や企業債発行の抑制に努めるとともに、経営基盤の一層の強化と経営の健全化を目指して編成いたしました。
初めに、電気事業について御説明申し上げます。
業務量につきましては、美和発電所以下14発電所の管理運転を行い、年間販売電力量3億8,772万4,000キロワットアワーを予定いたしました。この電力料金収入として29億3,231万3,000円を計上いたしましたほか、各発電所やダムなどの施設の維持管理に要する経費として25億4,514万3,000円を計上いたしました。
建設改良事業につきましては、大鹿送電線の小渋第1及び四徳分岐線の建てかえ工事、裾花発電所の所内用変圧器取りかえ工事など既設発電所の能力の保持、向上、安全強化を図るための施設設備の更新を実施してまいります。これらの事業に要する経費として建設改良費5億1,391万5,000円を計上いたしました。
なお、収益的支出と資本的支出を合わせました支出予算の計上額は46億1,700万7,000円であり、平成22年度当初予算に比べ5.5%の増となっております。
次に、水道事業について御説明申し上げます。
末端給水事業の業務量につきましては、長野市など3市1町の7万1,866戸に年間給水量1,866万4,000立方メートルを予定し、水道料金収入33億5,598万2,000円を、また、用水供給事業の業務量につきましては、松本市、塩尻市及び山形村に年間給水量2,964万6,000立方メートルを予定し、用水料金収入14億6,214万円を計上いたしましたほか、業務の運営や浄水、送水、配水施設などの維持管理に要する経費として両事業で36億2,195万8,000円を計上いたしました。
建設改良事業につきましては、長野市の四ツ屋浄水場において受変電施設更新工事、紫外線処理装置の設置工事を実施するとともに、導送水管や口径の大きい配水管を対象に耐震性の高い水道管への布設がえを進めるなど、水道施設の計画的な整備に努めてまいります。
また、事業者の温暖化防止対策の一つとして、浄水場内の外灯につきまして省エネルギー化を図る改修を行います。これらの事業に要する経費として建設改良費27億5,867万4,000円を計上いたしました。
なお、本年度を開始年度として策定いたしました長野県営水道事業経営ビジョンは、「安心と信頼を未来につなぐ県営水道」を基本理念に、お客様から高い信頼と満足をいただける水道事業を目指しており、本ビジョンの重点プロジェクトとして取り組んでおります耐震化対策につきましては6億7,953万9,000円、また、有収率向上対策につきましては1億9,737万9,000円を計上いたしました。
なお、収益的支出と資本的支出を合わせました水道事業の支出予算の計上額は86億3,717万1,000円であり、平成22年度当初予算に比べ1.2%の増となっております。
以上のとおり、電気事業会計と水道事業会計を合わせました収益的収入と資本的収入の合計で99億466万5,000円、収益的支出と資本的支出の合計で132億5,417万8,000円でございます。
次に、企業局事業の民営化等について申し上げます。
まず、電気事業につきましては、半世紀にも及ぶ経営の歴史を踏まえ、職員の経験や取得した資産を県民共有の財産であるとの認識のもとに、事業譲渡交渉先である中部電力株式会社を初め関係者の理解や合意形成を図りながら、平成24年度からの事業譲渡を目指し、これらの事業譲渡に係る課題の解決に向けた取り組みに一層努力してまいりたいと考えております。
また、水道事業のうち末端給水事業につきましては、県と関係市町で構成する県営水道事業移管検討会において個別具体的な課題の協議を行うとともに、課題の解決に向けた取り組みを進めてまいります。用水供給事業につきましても、受水市村とともに設置した県営水道(用水供給)事業形態検討会でより望ましい事業形態について検討を進めるなど、事業移管等に向けた取り組みに一層努力してまいりたいと考えております。
以上、企業局関係の議案につきまして、その概要を御説明申し上げました。よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
○議長(
寺島義幸 君)以上をもって
知事提出議案の口頭説明は終了いたしました。
ただいま説明がありました以外の部長の説明につきましては、
議会運営委員会の意見を徴した結果、口頭説明を省略することとし、お手元に配付いたしましたとおりでありますので、御了承願います。
〔議案等の部「3 口頭説明を省略した部長の議案説明要旨」参照〕
──────────────────
○議長(
寺島義幸 君)これらの議案は、来る2月22日から行う質疑の対象に供します。
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○議長(
寺島義幸 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(
寺島義幸 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。
次会は、来る2月22日午前10時に再開して、各党派代表質問及び
知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。
本日は、これをもって延会いたします。
午後2時34分延会...