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平成22年11月定例会本会議-12月01日-03号

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  1. 長野県議会 2010-12-01
    平成22年11月定例会本会議-12月01日-03号


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    平成22年11月定例会本会議-12月01日-03号平成22年11月定例会本会議 平成22年12月1日(水曜日)  出席議員(58名)   1 番 倉野立人      27 番 毛利栄子   2 番 甕 裕一      28 番 永井一雄   3 番 吉川彰一      29 番 村上 淳   4 番 和田明子      30 番 小松千万蔵   5 番 小林東一郎     31 番 清沢英男   6 番 清水秀三郎     32 番 西沢正隆   7 番 太田昌孝      33 番 風間辰一   8 番 今井 敦      34 番 下村 恭   9 番 丸山栄一      35 番 竹内久幸   10 番 松山孝志      36 番 佐々木祥二   11 番 小島康晴      37 番 向山公人   12 番 下沢順一郎     38 番 高村京子   13 番 小山 立      39 番 小林伸陽   14 番 福島鶴子      40 番 藤沢詮子   15 番 備前光正      41 番 牛山好子   16 番 今井正子      42 番 宮澤敏文   17 番 北山早苗      43 番 平野成基
      18 番 諏訪光昭      44 番 本郷一彦   19 番 木内 均      45 番 村石正郎   20 番 小池 清      46 番 木下茂人   21 番 垣内基良      47 番 森田恒雄   22 番 野澤徹司      48 番 倉田竜彦   23 番 髙見澤敏光     49 番 寺島義幸   24 番 保科俶教      50 番 高橋 宏   25 番 宮本衡司      51 番 石坂千穂   26 番 金子ゆかり     52 番 島田基正   53 番 萩原 清      56 番 古田芙士   54 番 服部宏昭      57 番 下﨑 保   55 番 望月雄内      58 番 石田治一郎         ───────────────────  説明のため出席した者   知事        阿部守一    会計管理者     松本有司   副知事       和田恭良    公営企業管理者   危機管理部長    下條政久    職務執行者・企   企画部長      望月孝光    業局長       山本浩司   総務部長      小池茂見    財政課長      奥田隆則   健康福祉部長    桑島昭文    教育委員会委員   環境部長      荒井英彦    長         矢﨑和広   商工労働部長    黒田和彦    教育長       山口利幸   観光部長      久保田篤    教育次長      長澤一男   農政部長      萩原正明    教育次長      荒深重徳   林務部長      久米義輝    警察本部長     小林弘裕   建設部長      入江 靖    警務部長      早川智之                     監査委員      浦野昭治         ───────────────────  職務のため出席した事務局職員   事務局長      谷坂成人    議事課課長補佐   議事課長      大日方正明   兼委員会係長    羽生好男   議事課課長補佐   鈴木英昭    議事課担当係長   矢島 武                     総務課担当係長   村井昌久         ───────────────────  平成22年12月1日(水曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時1分開議 ○議長(寺島義幸 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(寺島義幸 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、清水秀三郎議員。       〔6番清水秀三郎君登壇〕 ◆6番(清水秀三郎 君)おはようございます。佐久市・北佐久郡区選出、県民クラブ・公明の清水秀三郎でございます。  まず、信州青年洋上セミナーについてお伺いをいたします。  信州青年洋上セミナーは、1974年から2001年までの28年間行われ、トータルで1万人以上の方が乗船され、研修をされました。この事業の目的は、長野県の未来を担う青年が洋上での共同生活と研修をともにしながら、みずからの可能性に気づき、創造性を培い、世代を超えた相互理解と連携を深めるとともに、各国の視察及び訪問先の青年との交流の中から国際的視野を広め、友好と協調の精神をはぐくむものであり、これらの体験を通し、それぞれの立場、地域において輝けるリーダーとして行動できる青年となることを目指すものでありました。  私自身も、第24船に乗船し、さまざまな経験をさせていただきました。信州青年洋上セミナーは、名称に青年とついておりますが、壮年の方も多く乗船されており、また、往路には外国人の方も乗船され、母国に帰国するまでの数日間をともに過ごします。個人の意思で乗船した方、企業、団体から任命された方など、乗船目的もさまざまであります。  同乗した仲間の中には、その後、海外へワーキングホリデーに旅立った方やボランティア活動に目を向けられるようになった方、転職された方もおられます。これは、洋上セミナーでのさまざまな経験や他者とのコミュニケーションがみずからのアイデンティティーを刺激、確立し、次のステップへ進む力となったからではないでしょうか。  私が今ここに立っているのも信州青年洋上セミナーでの経験や人とのきずながあったからと言っても過言ではありませんし、こんなに貴重なすばらしい時間を与えてくださった長野県政に今では大変感謝をしているところでございます。  さて、この事業に関して、平成13年に、県のチェックシートによって担当課である社会部青少年家庭課が評価を行いました。その評価は、この事業は公共の増進に寄与しており、情勢変化において必要性に変化はなく、行政が行うべきであり、同じ行政体であっても県が行うべきであり、コスト削減の余地はない、よって、この事業は方法の改善はあっても継続すべきという評価になっています。しかしながら、なぜか、検討結果は、長年にわたり実施したことから一定の成果が得られたことにより廃止となってしまいました。  また、平成14年2月の定例会において、当時の田中知事の答弁は、財政改革への取り組みを進める中で事務事業見直しの一つとして検討を行い、見直しの過程で、青少年団体等の代表者で構成される信州青年洋上セミナー実行委員会を初め乗船者との車座集会や廃止方針公表後の県民の皆さんからの意見募集において継続を要望する御意見もいただいた、しかしながら、当事業は、昭和49年以来の長きにわたり実施してきており、人材育成や国際交流に既に一定の成果は得られたことから最終的に廃止するとの結論に至ったと答弁されました。  さて、今、日本の若者が海外に出なくなっているとノーベル賞受賞記念の座談会で白川英樹さんと根岸英一さんがそろって口にしておりましたが、今現在、日本から海外に長期留学する学生数が伸び悩んでおります。また、海外旅行に出る若者も過去10年で34%減りました。これらは、経済的な負担や内向き志向、就職活動の早期化などが原因として指摘されておりますし、一説によれば大手商社や外務省でさえ海外赴任を希望しない社員、職員がふえているといいます。  若者が異文化に触れる冒険や苦労をしたがらないのは、国内の生活に満足していて想定外のことが起きるのが嫌であり、想定内のことだけ起きて予想どおりの満足感が得られれば満足という考えが蔓延してきているのではないかと私は感じております。  こんな時代だからこそ、そして資源の少ない日本において人材こそが世界に誇れる日本の宝であるからこそ、人材育成の観点から、若者を海外に出して鍛え、戻ってきたら処遇しようという意識を日本社会が持たなければならないと私は考えます。また、国際交流の観点からも、今現在の日本は周辺諸国との関係が決して良好とは言えません。国と国がぎくしゃくしているときこそ、民間交流の重要性が増してくると私は考えます。  そこで、信州青年洋上セミナーが廃止となってから9年たち、事業打ち切り当時副知事でいらっしゃった阿部知事に質問をさせていただきます。  まず、この事業の事業予算と県の出資額、そして参加者1人当たりの参加費をお伺いいたします。  次に、廃止の理由として人材育成や国際交流が既に一定の成果は得られたと田中知事は答弁されておりましたが、一体どのような成果が得られたのかをお伺いをいたします。  次に、当時の社会部青少年家庭課の評価と、それに対して出された結果が正反対でございましたが、評価と結果の整合性についてお伺いいたします。  次に、今現在の長野県の20代から30代の若者の気質について知事はどのようにとらえておられるのか。そして、これから長野県の若者の人材育成や国際交流についてどのようなお考えをお持ちなのかをお伺いいたします。  最後に、教育長と健康福祉部長にお伺いをいたします。  この事業の参加者からの拠出金をもとに創設された青少年育成国際交流基金、いわゆるコーラル・ファンドから、図書購入等のために多額の寄附を県立長野図書館県立こども病院に行いました。今現在、寄附金が適正に使われているのか。また、図書等の利用状況、評判などをお伺いをいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)信州青年洋上セミナーに関する御質問に順次お答えを申し上げたいと思います。  私が副知事をしていたときに、確かに、このセミナーの予算どうするかということをいろいろ議論した記憶がございます。  1点目の御質問でございますが、洋上セミナーの予算でございます。  最終年度となった平成13年度の予算を申し上げますが、1億1,039万9,000円を予算に計上しております。内訳としては、一般財源5,339万9,000円、それから団員の皆様からいただく負担金が5,700万円という形で、参加者お一人の負担金は19万円という形になっておりました。  洋上セミナー、昭和49年度から平成13年度まで27回にわたって延べ1万人を超える参加者がありました。成果というお尋ねでございますが、セミナーの中では、参加者の皆さんが自主的に企画、運営を行うことによって、さまざまな自主性、創造性、積極性の涵養を図る機会があったというふうに思いますし、また、活力ある郷土の担い手として、乗船された方のネットワークの組織ができたり、あるいはボランティア活動が行われたりということで、さまざまな社会参加活動が実践されてきたというふうに思っております。まさに清水議員御自身が御体験されたので、そこら辺は一番よく御承知だろうというふうに思います。清水議員、こうやって御活躍されていることもあり、ある意味では大きな成果なのかもしれません。  昭和58年の長野県と中国河北省との友好提携後は毎回河北省を訪れることになりました。そうした中で人的交流を深めてまいったわけであります。同省との友好親善にも大きく寄与してきた事業であるというふうに思いますし、その後も、現在に至るまで青少年の相互派遣や学校交流、ホームステイ、そうしたことも行っておりまして、中国語あるいは中国の状況に精通した人々を育てるための研修員の派遣ということもその後行ってきているところであります。  事業評価でございます。  これは、当時、社会部の評価と結論が全く逆ではないかという御指摘であります。当時の事業チェックシートというのがございます。それを見ますと、担当部の自己評価、継続と、ただ方法等の改善という形になっております。しかしながら、総務部の意見としては、青少年の国際交流の機会が増大して、この方式による事業実施の必要性は減少してきているんじゃないかという意見が付されておりまして、結論としては廃止という形になっております。  人材育成あるいは社会参加のきっかけづくりということで大変有意義ではないかという評価があったものの、県の最終的な判断としては、一定の成果は認めつつも、厳しい財政状況の中でやむを得ず廃止という結論になったところでございます。  それから、長野県の20代から30代の若者気質についてどうとらえているか、これからの人材育成、国際交流についてということでございます。  これは長野県に限った話ではないというふうに思いますが、最近、社会の状況が大分変わってきています。家族関係あるいは地域間の人間関係が希薄化してきておりますし、かつてのように大勢兄弟がいる中で育つという関係ではなくて、私自身も一人っ子でありますが、一人っ子世代になってきているというふうに思います。また、なかなか就職できない状況の中で、ニートあるいはフリーターという若者がふえているわけでありまして、そうしたことからなかなか将来に明るい夢や希望が持ちにくい若者がふえているんじゃないかというふうに思っておりますし、先ほど御質問の中にもありましたように、海外留学あるいは海外での仕事、そうしたものに対してなかなか積極性が弱くなってきているんじゃないかなというふうに思っております。  私としては、これからの日本の将来を考えたときに決して内向きになってしまってはいけないというふうに思っておりますし、また、次の時代を担う若者たちが夢と希望を持って元気で生き生きと活躍してもらうということが大変重要だというふうに思っております。そうした観点から、これからもさまざまな形で若者が海外の若者と相互に交流をして理解を深めるという機会は重要であるというふうに思っております。  現在、内閣府で、世界青年の船でありますとか国際青年育成交流といった青年国際交流事業等を行っております。県としても、こうした企画に対しての参加の募集等も行ってきておりますし、河北省との交流事業についても引き続き実施をするなど、国際的な視野を持った県内青年の育成に努力していきたいというふうに思っております。  私自身も、教育再生が重要だということで選挙に臨ませていただきました。これからの将来を担う若者たちをどうすればいいのかということを県全体としてしっかりと考えていきたいというふうに思っております。  以上です。       〔教育長山口利幸君登壇〕 ◎教育長(山口利幸 君)青少年育成国際交流基金からの寄附金についてのお尋ねでございます。  平成21年、昨年の8月でございますが、基金を管理するコーラル・ファンド運営委員会から長野県に対しまして4,700万円の寄附金をいただき、そのうち2,500万円を県立長野図書館の図書の充実等に充てさせていただいております。  県立長野図書館では、寄附者の意向を受けまして、青少年向け一般図書、それから児童図書、児童用絵本などを平成21年度から平成23年度の3カ年で約1万1,200冊を購入することといたしまして、平成21年度は5,722冊を購入いたしました。  また、寄附金の一部を活用し、児童図書室の改装、拡張を行い、コーラル文庫と命名したコーナーを本年4月に開設いたしまして購入図書の貸し出しを開始いたしました。これが大変好評でございまして、児童図書室の1日当たりの利用者数あるいは貸し出し冊数は増加いたしました。また、利用者の皆さんから、本を選ぶ楽しみがふえた、あるいは親子でくつろいで読書を楽しめるといった評価する声をいただいているところでありまして、今後とも青少年の読書活動の推進に活用させていただきたいと、こんなふうに考えております。       〔健康福祉部長桑島昭文君登壇〕 ◎健康福祉部長(桑島昭文 君)青少年育成国際交流基金からの寄附事業についてお尋ねをいただきました。  同基金から長野県にいただきました寄附のうち、寄附者の意思に沿いまして2,200万円をこども病院のエントランスホール内に患者や家族の方の憩いの場となるコーラル文庫・さんごのとしょしつシアターホールを整備する事業に活用させていただきました。  利用の実績につきましては、図書室は連日患者の家族の方の憩いの場として活用されてございまして、また多くの図書やDVDが病棟へ貸し出しがなされてございまして、入院患者を中心に療養環境の改善に大きく役立っているものと承知してございます。  また、シアターホールイベントスペースとして活用されてございまして、クリスマスなどのコンサート、あるいはボランティアによる弦楽器の演奏、それから院内学級の児童の発表の場でもございます七夕祭りなどにも活用されているというふうに承知してございます。  以上でございます。       〔6番清水秀三郎君登壇〕 ◆6番(清水秀三郎 君)県の財政は厳しい状況に置かれております。しかし、苦しい時代だからこそ、文化、教養、生きる力となる他者とのコミュニケーション能力を学び、そして強化できる信州青年洋上セミナーのような事業を復活し、参加者が長野県の未来について熱く語り、夢や希望を持ち、見聞を広め、みずからの手で長野県をつくり上げていく県民を育てることが重要であると私は考えております。  そして、長野県が他県に誇れる文化事業として信州青年洋上セミナーの復活を強く要望して、次の質問に移ります。  児童養護施設についてお伺いをいたします。  先日、私は、軽井沢学園を視察させていただきましたが、県内には15の児童養護施設があり、11月1日現在の入所者数は615人と決して少なくない人数の児童が生活をともにしております。入所児童から見える最近の特徴としては、両親のいない児童は少なく、五、六割が一人親家庭であること、次に、利用理由の多くは児童虐待によること、これは全国的に6割の児童が虐待を理由に入所しております。そして、高学齢児童が増加していることであります。
     各施設がさまざまな課題を抱えている現状において、行政としての対応を健康福祉部長にお伺いをいたします。  まず、集団生活をする2歳から18歳までの年齢差のある児童に対し、個別的な信頼関係をつくり上げるには職員数が足りないという声を耳にします。この現状に対して、県の御所見、対応をお伺いいたします。  次に、戦後の児童養護施設は、戦災孤児に生活する場所を確保することを起点として整備されてきています。また、職員は、児童6人に職員が1人の配置というその当時のまま推移してきているところであります。以前は、さまざまな課題があったにしろ、生活する場所さえあれば何とか皆で生活ができていたとのことでありますが、近年では虐待を受けていた児童や障害を持った児童の入所比率が高くなってきており、濃密な支援を必要とされる場面が非常に多くなっていると伺いました。特に、夜間の勤務は宿直体制をとっている施設が多く、少ない人数で対応するためトラブルへの対応に苦慮されていることもあると聞いておりますが、長野県の各施設の現状と県としての取り組みをお伺いをいたします。  次に、知的・発達障害を持った児童が年々増加しており、対応が難しくなってきております。県全体の状況と対応をお伺いをいたします。  次に、児童養護施設は高齢者・障害者福祉施設に比べ歴史がある施設でありますが、その分、施設が老朽化、狭隘化しております。県としての認識と対応をお伺いいたします。  次に、児童は、高校卒業までは援助をしてもらえますが、卒業後は精神的にも経済的にも援助してくれる家族等がいない場合が多いので、在学中に就職、進学、運転免許や携帯電話の費用などアルバイトで賄わなければならない部分もあり、児童に過重負担がかかる現実があります。  平成21年11月定例会において、当時の和田社会部長が、退所児童の自立を促進するためには何らかの形で児童自立援助ホームの機能を県内に置く必要があり、長野県児童福祉施設連盟とともに検討をしているところである、また、国に対しては、自立援助ホームが入所者の人数によって運営費が出る仕組みとなった算定方法の改善を要望していくと御答弁されましたが、その後の状況をお伺いいたします。  また、来年も支給されるであろう子ども手当についてでありますが、支給先が離れて暮らす親に行ってしまい、実際子供のために使われていない現状についての御所見と対応をお伺いいたします。  次に、長野県は里親への委託児童が少ないと言われていますが、国としては家庭に近い社会的養護としての里親制度の充実を進めています。  そこで、長野県の現状と対応をお伺いいたします。       〔健康福祉部長桑島昭文君登壇〕 ◎健康福祉部長(桑島昭文 君)児童養護施設関連で幾つか御質問をちょうだいいたしました。  まず、職員配置についてお答えを申し上げます。  施設に入所する児童は、親との別離、それから被虐待経験、障害、疾病などのさまざまな課題を抱えてございまして、より個別的な対応が求められるため、現状の国の配置基準では児童6人に対し職員1人というふうにされてございますけれども、この基準ではなかなか難しい場面が多いというふうにも認識してございます。このため、県の単独事業で、児童4.7人に対し職員1人の配置とした場合の上乗せの補助を行ってございます。  また、国では、心理的ケアの必要な児童の支援や早期家庭復帰に向けた相談、養育指導のための心理士やあるいは専門相談員を雇用した場合の加算措置を設けてございます。  国では、平成19年度に児童福祉施設の基準を改善することを前提として実態調査を行ってございますけれども、その後検討が続けられてきてはございますが、いまだその基準の見直しにはつながってございません。県としては、職員の配置基準と事務費等の単価の引き上げを引き続き国に要望してまいりたいというふうに考えてございます。  それから、夜間の宿直体制についてお尋ねをいただきました。  夜間は職員が最も手薄になりますけれども、安全上の観点から県内すべての児童養護施設において原則複数の職員で宿直に当たってございます。また、県では、毎年、児童養護施設児童相談所等の職員を対象に専門性向上のための研修を主催してございまして、昨年度は、施設内の暴力等のトラブル防止に関する知識を身につけるために、児童間暴力・性暴力を重点テーマといたしまして研修を行いますとともに、子供への暴力防止プログラムとして代表的なCAPプログラムというものがございます。そういうものを身近で実施できますように児童養護施設児童相談所等の職員を専門研修に派遣をしてございます。  それから、児童相談所においては、施設と連携を密にいたしまして、施設の日課やそれから職員の動きの中から職員体制が手薄になる時間や場所を減らすために、例えばでございますけれども、食事の後の職員の動きを工夫したり、それから空き部屋をロックするなどの具体的な対策を協議いたしますとともに、施設内の暴力等のトラブル防止に取り組んでいるところでございます。  それから、知的障害者、それから発達障害者の状況についてお尋ねをいただきました。  本県の児童養護施設に入所している児童の約4分の1は知的障害あるいは発達障害を抱えておりまして、こうした児童は、長野県内に限らず、全国的にもこれは増加の傾向に見られます。このような状況への対応として、できる限り1対1の個別的な支援ができるよう全施設に職員の加配を行ってございます。それから、継続的に医療的なケアが必要な障害児の健康管理や発作等の緊急時に対応できますよう、平成20年度より看護師を配置した二つの施設に対しまして加算措置を行ってございます。  それから、老朽化あるいは狭隘への認識ということでお尋ねをいただきました。  県内の児童養護施設は昭和40年から50年代前半にかけて建設されたものが多うございまして、老朽化が非常に進んでございます。それから、中高生の増加ということに伴いまして狭隘化しているというような現状にもございます。そういう意味で計画的な施設整備が必要であるというふうに思ってございます。そのため、平成20年度から次世代育成支援対策施設整備交付金を活用いたしまして2施設の小規模グループケア棟の整備や個室化を行い、さらに、昨年度からは、安心こども基金を活用し、全施設を対象に環境改善やそれから小規模な改修を行っているところでございます。  また、次世代育成支援対策推進法に基づく、ながの子ども・子育て応援計画に沿いまして、老朽化が進んだ児童養護施設の改修、改築に努めてございます。その際には小規模グループケア形態を導入いたしまして、入所児童にきめ細やかな支援を行うための家庭的環境が提供できるようさらに支援してまいりたいというふうに考えてございます。  それから、児童自立援助ホームの運営費の算定方法の改善についてもお尋ねをいただきました。  義務教育終了後、施設を退所した児童がスムーズに自立するためには、児童自立援助ホームは必要な施設だというふうに認識してございます。しかし、潜在的なニーズはあるものの、対象児童を把握することが難しいというようなこと、それから入所に至る動機づけにもなかなか難しいケースが多いということ、それから一定数の入所児童を継続的に確保するということも非常に難しい状況にございます。一方、運営費につきましても、平成21年度からは補助から措置費に変更されてございまして、さらに、算定も実績から利用人数へと変更されたため施設を安定的に運営することはさらに難しい状況にございます。  このため、県児童福祉施設連盟とともに検討をいたしてきたわけでございますけれども、結果的には実現に至っていない状況にございます。  今後とも、国に対しまして、算定方法の改善を含め、支援体制の充実が図られるよう今後も要望してまいりますとともに、引き続き設置に向けた検討を継続してまいります。  それから、子ども手当についても御質問をちょうだいしました。  子ども手当は子供を養育している方に支給される手当でございまして、施設に入所している児童の父母等については、当該児童に面会を行わず、さらに生活費を負担していないような場合については受給資格を満たさないということとなります。このような場合は、子ども手当は支給されないために、特別支援事業として、安心こども基金により施設長等を通じまして子ども手当相当分の物品購入等への補助を行ってございます。  なお、受給資格を満たしているか否かの認定については市町村が行っておりますことから、県といたしましては、支給要件の確認、それから認定について適切な処理が行われるよう指導、助言を行ってまいります。  最後でございますが、里親委託の現状と対応についてお尋ねをいただきました。  平成22年10月現在、里親への委託児童数は44名でございまして、児童福祉施設等への施設措置児童数706名に対しまして里親委託率は6.2%となってございます。全国と比較するとやや低い状況にございますが、平成15年度の状況と比較すると増加をしてございます。  この委託率については、本年2月に策定をいたしましたながの子ども・子育て応援計画において平成26年度までに9%を目標と設定いたしました。毎年0.5%ずつふやすよう努めているところでございます。  対応につきましては、里親委託に当たっては子供をとられてしまうという危機感から実親の同意が得られない場合が非常に多うございまして、委託が進まない状況にございます。平成21年度に里親制度が大きく変更されてございまして、必ずしも養子縁組を前提としない里親の区分が設けられたため、その旨を児童相談所から説明し委託の同意を得られるよう努めているところでございます。  また、県内の登録里親数をふやすために、県下各地でパネル展示などの里親促進事業や、それから情報交換の場である里親サロン等を通じまして、関係機関及び多くの県民に里親制度の理解が進むよう広報、啓発を行ってまいりたいと思ってございます。  以上でございます。       〔6番清水秀三郎君登壇〕 ◆6番(清水秀三郎 君)何の罪のない子供たちが将来健全な社会人として自主的な生活ができるように、行政として果たすべき役割は大きいと私は強く考えております。ぜひとも児童の側に立った支援をお願いをいたしまして、私の質問を終了させていただきます。ありがとうございました。 ○議長(寺島義幸 君)次に、髙見澤敏光議員。       〔23番髙見澤敏光君登壇〕 ◆23番(髙見澤敏光 君)まず、阿部知事は、浅川ダムの建設を継続すると勇気ある決断をしたことに賛意を送らせていただき、質問に入ります。  阿部県政となり、初めて来年度の当初予算編成に向けて、県民の将来の指標となる中期総合計画に基づいた県民のための施策がどのように反映されているかが気になるところであります。すべてをお聞きするわけにはまいりませんが、とりわけ県民の健康に対する考え方と長野県中期総合計画について、この際、ただしておきたいと思います。  最初に、昨日、西沢県議が質問されましたが、歯科保健推進の考え方についてお尋ねをいたします。  9月定例会で、歯及び口腔の健康づくりに関する施策を総合的に推進することにより県民の健康の保持増進を図り、もって健康長寿県の確立に寄与することを目的とするとして、歯科保健推進条例が全会一致で可決されました。これは、歯及び口腔の健康づくりが県民の心身全体の健康の保持増進に重要な役割を果たしていることを明確にしております。そのために、生涯を通じた歯科保健対策を推進することで県民が心身ともに健康な生活を送ることができることを目指し、全国有数の健康長寿県である長野県の地位を将来にわたって継承することを目的としているものであります。  条例では、県民の歯及び口腔の健康づくりの推進に関する総合的かつ計画的な施策を策定及び実施する責務を有すると県の責務を明確にしております。健康長寿県の地位を堅持していくとともに、何よりも県民の健康保持増進を図る手段でもあるために、一日も早く計画的な施策を策定するための作業に取り組むことが求められております。  この条例の策定に当たって、調査研究の段階から関係部局からも参画をしていただき、現状認識、課題、問題点など、執行側と議会が共有を図りながら熱心に調査を重ね、議論してまいりました。条例が施行した現在、それらの調査、議論を踏まえ、関係部局では既に来年度に向けて推進計画等準備に入られていることと思います。長野県中期総合計画にも掲げてあるように、県民が心身ともに健康な生活を送ることができることを目指すとするならば、今から計画をしていく必要があります。  そこで、来年度に向けて歯科専門職員の配置の予定をされていると昨日の西沢県議の質問に答えておられますが、どのような専門職員を、どの部署に、どのような役割を持たせて、どのような雇用条件で何名を配置するお考えか。健康福祉部長にお尋ねをいたします。  条例では、推進計画を策定するに当たり、保健、医療、福祉、教育に関する者の役割も定め、相互の活動において連携、協力を図るよう努めるものと定めております。関係部局では、来年度に向けてどのような準備をされているのか。健康、医療、福祉に関する施策と各部局との連携については健康福祉部長、教育に関する施策については教育長にお伺いをいたします。  私は、以前の一般質問において質問したこともありますが、健康な歯を保持増進するためには、入学前の乳幼児から小学生及び中学生までの間に弗化物塗布及び弗化物洗口を実施することが最も有効であるとされております。改めて、現在、どのような見識を持たれておられるのか。健康福祉部長及び教育長にお伺いいたします。  また、寝たきりの高齢者や重度身障者などの健康な口腔管理をするには出張しての口腔ケアが有効であり、誤嚥性肺炎を予防できるとされておりますが、どのような見識か。あわせて健康福祉部長にお伺いをいたします。  これらの事業を進めていくには、施策の内容にも異なりますが、今後、実施事業体の市町村に対する財政的な支援も必要となる場合も考えられます。来年度に向けて財政面の支援について知事はどのような御見解か。お伺いをいたします。       〔健康福祉部長桑島昭文君登壇〕 ◎健康福祉部長(桑島昭文 君)まず、歯科専門職員の配置についてお尋ねをいただきました。  歯科保健行政を効率的に進めていくため、来年度当初から歯科医師1名を3年間の任期付の職員として健康福祉部健康長寿課に配置をいたしまして、歯科保健推進計画の策定でございますとか、あるいはさまざまな施策の立案のほか、各種実態調査や歯科医師会等関係団体との連携業務などに当たっていただく予定でございます。  続きまして、健康、医療、福祉に関する施策と各部局との連携について御質問をいただきました。  歯科保健推進計画の策定に先立って、県民や幅広い関係者が歯科保健推進条例の趣旨を十分に理解する必要があることから、県歯科医師会と共催で来年1月に歯科保健推進条例に関するシンポジウムを開催することとしてございます。  そして、計画策定に当たりましては、保健、医療、福祉、教育等の関係者及び県民を構成員といたします歯科保健推進会議を設置することとしてございます。  また、乳幼児、児童生徒から高齢者に至るまで幅広い年齢層にわたって歯科に関するデータ収集が必要でございますことから、今年度既に約2,000人の県民を対象とする歯科保健実態調査を行ってございますので、学校における虫歯のデータなどを含めまして、健康福祉部各課はもとより、教育委員会と連携して必要な情報収集に努めてまいりたいと思ってございます。  また、障害者等に関するサービスの確保が条例にうたわれてございますことから、来年度、福祉や介護の分野における歯科保健サービスの提供に関する実態調査を実施するよう準備を進めてまいります。  こうした取り組みを通じまして幅広い連携・協力体制を構築してまいりたいと考えてございます。  それから、弗化物の塗布について御質問をちょうだいしました。  厚生労働省が定めてございますフッ化物洗口ガイドラインでは、弗化物応用による齲蝕予防の有効性と安全性は既に国内外の多くの研究により示されており、口腔保健向上のため弗化物の応用は重要な役割を果たしているとされてございます。  県といたしましても、弗化物応用の有効性を十分認識しており、県健康増進計画において、3歳までに弗化物歯面塗布を受けたことのある者の割合を平成19年の32%から平成24年までに50%以上にするということを目標に掲げるなど、弗化物応用の普及に取り組んでいるところでございます。  また、日本むし歯予防フッ素推進会議の調査によりますと、平成22年3月現在、県内13市町村で、147保育所、幼稚園及び小学校の合計2万4,610人に対して弗化物洗口が実施されてございます。  今後は、歯科保健推進計画の策定に当たり、市町村や学校などの関係者の御意見も十分にお聞きした上で、弗化物塗布や洗口等の実施に係る具体的な施策についても検討してまいりたいと思ってございます。  それから、寝たきりの高齢者や重度障害者などの口腔管理についてお尋ねをいただきました。  財団法人8020推進財団が行った研究報告書によれば、特別養護老人ホームの入所者を対象に専門的な口腔ケアを行った結果、誤嚥性肺炎が3分の2に減少したと、そのような効果が確認されるなど、高齢者等への口腔ケアは大変重要なサービスだというふうに認識してございます。そこで、今年度、介護保険施設等へ歯科医師、それから歯科衛生士を派遣をいたしまして介護職員に対して口腔内清掃等の方法を実地指導するなど、高齢者の口腔ケアを推進しているところでございます。  また、在宅の重度障害者などに対する歯科の訪問診療を進めるため、県歯科医師会と連携をいたしまして、在宅歯科診療を行っている医療機関の紹介などを行う相談窓口の設置を検討しているところでございます。  こうした取り組みを踏まえまして、歯科保健推進計画の策定に当たって、出張口腔ケアも含めまして、高齢者や重度障害者への口腔ケアのあり方について検討いたしまして必要な施策の実施に努めてまいりたいと考えてございます。  以上でございます。       〔教育長山口利幸君登壇〕 ◎教育長(山口利幸 君)教育に関する施策の来年度に向けての準備についてのお尋ねをいただきました。  県教育委員会といたしましても、条例の基本理念にのっとり、県民の歯及び口腔の健康づくりの推進に一層努めてまいりたいと考えております。基本理念の中でも、特に県民がみずからの歯及び口腔の健康づくりに努めることができるよう、その基礎となる学齢期における教育、指導に引き続き取り組んでまいります。  具体的には、校長会や養護教諭研修会等におきまして条例の趣旨をまず徹底したいというふうに思っております。そうすることで、各学校における日々の歯科保健指導はもとより、県歯科医師会との連携、協力により毎年開催されております学校歯科保健研修会に多くの養護教諭の参加を働きかけ、歯科保健の最新の知見等を提供することにより指導力の向上に努めてまいりたいと考えております。  なお、県教育委員会といたしましては、歯科保健推進計画の策定に当たり設置されます歯科保健推進会議に参画いたしまして、保健、医療、福祉等の分野と連携しながら、歯科保健の向上のために何ができるか、その具体化に精いっぱい取り組んでまいりたいと考えております。  次に、弗化物塗布及び弗化物洗口に対する見識についてのお尋ねでございます。  学校における虫歯予防の目的は、虫歯の原因や予防の仕方の学習を通して子供の意識や行動を変え、健康によい生活習慣の形成を図りながら、生涯にわたって健康な生活を送る基礎を培うことであると考えております。  各学校では、学校歯科医の指導を受けながら、養護教諭を初めとする教職員、保護者が一体となり、甘味料のとり方など望ましい生活習慣と歯磨き習慣の確立に向けて取り組んでおります。そういった前提の上で、弗化物塗布及び弗化物洗口は虫歯の有効な予防方法の一つであると認識しております。  子供の実態や学校の実情等に応じまして学校において弗化物塗布及び弗化物洗口を行う場合には、学校歯科医の管理と指導のもとに、教職員や保護者がその必要性を理解し同意が得られるよう学校保健委員会で説明するなど、しっかり手順を踏んで実施する必要があると考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)歯科保健衛生を進める上での市町村に対する財政面の支援というお尋ねでございます。  県が歯科保健行政を進めていく上では、健診あるいは指導、そうしたものは第一線で市町村が担っていらっしゃるわけでありますので、そうした市町村との協力は必要不可欠というふうに考えております。来年度、県の歯科保健対策の基本方針あるいは具体的な施策等を歯科保健推進計画に位置づけていくことになるわけでありますけれども、市町村の歯科保健対策の実情あるいは課題といったものも十分把握しながら、市町村、さらには関係者の御意見も十分に聞きながら、市町村に対しての有効な施策のあり方ということについて検討していきたいというふうに思っております。  以上です。       〔23番髙見澤敏光君登壇〕 ◆23番(髙見澤敏光 君)歯科専門職員は歯科医師1名ということでやや残念な面がありますが、シンポジウムあるいは推進会議等の開催を計画されているということで、健康福祉部長、教育長の答弁につきましては、条例作成段階で課題点を共有してきただけに、ともに理解度と施策推進の意欲は見られました。御答弁いただいた事項につきましては推進計画に反映いただけるものと期待をしているところであります。  さらに理解度を深めていただくために他県の例などを若干紹介してみたいと思います。  都道府県別の12歳児の1人平均虫歯本数につきましては、毎年、学校保健統計調査が行われております。その調査結果を見ると、少ないほうから1位は連続して新潟県がトップであり、12歳児の平均虫歯本数も、18年度においては、全国平均で1.71本に対し新潟県は1本でありました。21年度で、全国平均1.4本に対し0.8本と着実に減少しております。新潟県の中で弗化物洗口を実施している実施校だけの平均虫歯数は0.66と圧倒的に少ない調査結果となっております。  長野県では、18、19年度は虫歯数が少ないほうから4位でありましたが、20年度は10位、21年度は8位と後退しております。平均虫歯数も、18年度で1.3本が21年度では1.1本と減少しておりますが、他県の状況から見ると伸び悩んでいる状況であります。  例えば、佐賀県では、18年度29位であったのが21年度には16位となっております。平均虫歯本数も、18年度2本であったのが21年度には1.2本と大幅に減少しております。20年度の調査結果では、3歳のときに1人平均虫歯数が全国平均の2倍で全国ワーストワンであった子供たちが、12歳になって永久歯の1人平均虫歯数が1.4本と全国より下回ることになるなど大きな改善が見られております。  その要因は、平成11年度から3年計画で乳幼児歯科保健緊急対策事業を実施されたことによります。この事業は、市町村歯科保健支援事業として、歯科衛生士を市町村に派遣し専門的・技術的指導を行い、また、市町村乳幼児齲蝕予防事業として、市町村が実施する弗化物塗布事業、保育所、幼稚園での弗化物洗口事業、歯磨き等普及啓発事業に対し費用の3分の2を補助するなど、県を挙げて徹底して虫歯予防に力を入れたことが要因であると言われております。  佐賀県では、虫歯ワーストワンの解消に向けて集中的に県が率先して事業を取り組む施策に、この補助金制度等によって県の虫歯予防に対する姿勢を明確にしたことで予想以上の取り組みになり成果があったと、佐賀県伊万里保健福祉事務所長は、ことし札幌で開催された虫歯予防全国大会においてこれらの事業の成果を報告されております。  このように、佐賀県は、複数の歯科専門職を雇用し、教育委員会と連携して、しっかり弗化物洗口などの虫歯予防策を説明し、補助金制度を設置してその事業に当たり、虫歯を学校だけの問題でなく地域保健の問題として位置づけ、保育所、幼稚園、小学校まで一貫した保健サイドの補助金事業として市町村を支援したことが成果につながっております。  島根県でも、県庁内や保健所などに歯科衛生士を設置し、技術的な支援活動をして成果を上げてきているなど、全国的に歯科専門職を複数雇用して事業を展開して実績を上げております。  本県の平成22年3月時点で、先ほどもお話ありましたが、保育所、幼稚園、小学校、中学校、特別支援学校などの施設での集団応用弗化物洗口をした施設は147施設で、2万4,610人が実施しております。今、集中的に集団応用弗化物洗口を実施すれば、既に12歳児における1人平均虫歯本数が1本を切っている新潟、愛知、京都、岡山、広島県に次ぐことも可能となります。そのことによって、80歳になっても自分の歯が20本保つことができるなど県民の健康と年を重ねての楽しい生活づくりに大きく寄与されるとともに、県が進めている8020運動の趣旨にまさに整合するものと考えます。  佐賀県では、最初に取り組んだときは年度途中で補正予算を組んで実施され、成果を上げられたと報告されております。西沢県議の質問に対し、来年度中に作成を予定していると知事は答弁されましたが、本県では、歯科保健推進計画を今から準備し、来年度には即計画を作成し、少なくとも23年度の年度途中においても、佐賀県が実施した乳幼児歯科保健緊急対策事業のように、市町村が行う歯科保健事業に積極的に支援を行うべきと思います。そのためにも、来年度の予算に反映できるように今から準備していくべきと思うが、重ねて健康福祉部長の考えを伺います。  阿部知事は歯科保健推進と対策について前向きな理解を示しておられますが、今後、長寿県長野として県民の健康保持推進の効果を上げるために、他県のよき例を参考にし、数年は集中して積極的に施策を展開していくべきと思うが、知事の見解をお伺いをいたします。       〔健康福祉部長桑島昭文君登壇〕 ◎健康福祉部長(桑島昭文 君)歯科保健推進計画と関連の予算について御質問をちょうだいいたしました。
     これまでも、先ほど御答弁申し上げたとおり、歯科保健推進計画の策定に向け、既に人材の確保、それから体制の整備、実態把握等の準備を進めているところでございまして、来年度に入りまして直ちに策定の作業に入れることとしたいと思ってございます。そのための必要な経費を当初予算に要求をしてまいりたいというふうに思ってございます。  また、市町村への支援も含め、年度途中で緊急事業をとの御質問をいただきました。  必要で効果的な事業を行うためには、まず県内の現状をしっかり把握をさせていただきまして、その課題と対策を整理することが肝要だと思ってございます。計画の策定過程において必要性が明らかになった事業につきましては、年度途中においても必要な予算の確保に努めてまいりたいというふうに思ってございます。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)歯科保健の推進に関しての私の考え方、そしてこれからどう展開していくのかというお尋ねでございます。  歯や口腔の健康、これは物をおいしくいただくということにとどまらず、必要な栄養摂取、あるいは糖尿病といった生活習慣病や誤嚥性肺炎など命にかかわる病気にも大きく影響してくるものというふうに思っております。子供から高齢者まで、すべての県民の生活、そして健康と深く関係しております。  歯科保健対策の推進、これは健康長寿県長野としては極めて重要な課題だというふうに思っております。今回、歯科保健推進条例が制定されたわけでありますので、これは積極的に取り組んでいく必要があると思います。  先ほど教育長のほうからも答弁ありましたが、まさにこうした課題については教育委員会と一緒になって問題意識を共有して取り組んでいく必要があるというふうに私は思っておりますし、また、先進県の取り組みの御紹介もありました。十分そうしたものについては参考にしていきたいというふうに思いますし、とかく行政はいろいろやっているということで、あれもこれもやりましたということで、やっているやっているという説明になりがちですが、やるからには具体的な成果を上げていかなければ意味がないというふうに思いますので、そうした姿勢を持ってしっかりと結果が出せるように取り組んでまいりたいというふうに思います。  以上です。       〔23番髙見澤敏光君登壇〕 ◆23番(髙見澤敏光 君)事業の選択と集中を図り、効率的な行政運営が求められているわけでございますが、県民の健康保持増進のために、歯科専門職として歯科医師及び歯科衛生士を時に任期付職員として複数採用し、短期間で計画を立て、速やかに有効事業を市町村の協力を得ながら実践していくべきと考えます。  今まで、知事、それぞれの部長、教育長、前向きな御答弁をいただいておりますが、そのことによって、長野県中期総合計画のテーマの一つであります「健康長寿ナンバーワン確立への挑戦」の目標とねらいに沿って県民の健康の保持増進が図られ、医療費の削減にもつながると考えます。そのためにも、来年度の予算対応に歯科保健対策に向けて十分考慮すべきことを強く求めて、次の質問に入ります。  長野県中期総合計画の計画策定の趣旨に、急速に進行する少子・高齢化と人口減少時代の到来により、県民の生活にかかわりの深い分野で数多くの課題に直面していることを冒頭に触れております。  本県の平成の大合併の結果は、小規模ながらも自立を目指すと判断された町村が多く、南佐久郡を含め県下の小規模町村にとっても人口減少問題は深刻であります。  阿部知事も、基本政策集の「信州独自の自治の検討」の中で小規模町村問題を課題として挙げておられますが、この中期総合計画は、少子・高齢化と人口減少時代を受けとめ、この課題を中心にとらえ策定をされております。  「長野県を取り巻く時代の潮流」としても、最初に少子高齢化・人口減少の加速として、これらの進行に伴って経済成長力や地域活力の低下、医療、福祉、教育などさまざまな分野への影響が懸念され、大都市圏と地方との地域間格差の問題も指摘されるなど、これらを前提とした社会経済システムの見直しや活性化などの対応が急務となっていると本県の現状認識を示しております。その上で、グローバル化の進展、情報通信技術の発達、安全・安心や環境に対する意識の高まり、地方分権の進展などの本県を取り巻く時代の潮流を原点として、「活力と安心 人・暮らし・自然が輝く信州」を基本目標に、長野県づくりの方向を五つの目指す姿と五つの施策の柱、そして44の主要施策をもって中期総合計画が構成されております。まさに県政運営の基本となる総合計画であると位置づけているものであります。  知事は、まず、この現行の長野県中期総合計画をどのような御認識でおられるのか。また、見直しをしようとする課題についてどのような見解を持たれているのか。お伺いをいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)現行の中期総合計画に対する認識、それから見直しをしようとする課題、どのような見解かということでございます。  まず、現在の中期総合計画、これは、県民の皆様方からも広く御意見いただきながら、平成19年の12月に県議会の議決も経た上で決定されたものというふうに思っております。これまで、県を挙げてその目標達成のために取り組んできたものというふうに認識しております。他方で、現在の中期総合計画、策定されてから3年経過する中で長野県を取り巻く状況は大きく変わってきているというふうに思っております。  例えば、一昨年秋以降の急激な経済・雇用情勢の変化ということで、有効求人倍率、ここ2年の間に0.92から0.63、0.3ポイント程度下がってきているという状況もあります。また、政府もさまざまな動きがございます。新しい新成長戦略というものが、これは長野県のある意味で強みであります健康あるいは環境というものを中心に据えて策定をされてきておりますし、また、国と地方の関係、まだまだ歩みは遅いとはいえ、一括交付金化の動きでありますとか、あるいは国の出先機関を本格的に廃止してその際の受け皿をつくろうという動きが、これは全国知事会というよりはブロック単位の知事会の中でいろいろ動きが出てきています。関東知事会あるいは中部圏知事会でもそうした研究を始めようという方向になってきております。  また、この議会でもさまざま御議論ありますが、TPPという動きの中で、これからの農業、本当にしっかりとしたビジョンを持ってそのあり方を考えていく必要があるというふうに思っております。  そうした観点で、さまざまな分野で新しい課題が出てきていると。そうしたことも踏まえた上で新たな計画をつくっていく必要があるんじゃないかというふうに考えております。  以上です。       〔23番髙見澤敏光君登壇〕 ◆23番(髙見澤敏光 君)条例の策定についての御認識は十分されているということはわかりました。知事は、提案説明及び昨日の服部議員に対する答弁で、リーマンショック後の急激な経済環境の変化や国政における政権交代等を挙げて、県政を取り巻く環境の変化が大きく異なったために中期総合計画の見直しをするとして新たな総合5カ年計画策定事業費を計上したと説明をされておりました。  現行の中期総合計画の主要施策を見ても、経済成長率や1人当たりの県民所得などは確かにリーマンショックの影響は見られる面もありますが、その目標とする数値や他の主要施策の目指す理念や方向、達成目標等については見直しをする必要性があるのかどうか、そんなことを考えております。見直しをするより、むしろ現行の計画目標に向かってより力を注いでいくことのほうが県民の皆さんの利益につながり、知事が求めようとしている県民の皆さんの確かな暮らしを守ることができるものと考えます。  そこで、県政を取り巻く環境の変化は策定時とは異なっていることは一応の理解はできますが、現行の総合計画にどのような影響があるとされているのか。また、現行の中期総合計画の見直しをしなければならない根本的な理由は何か。知事にお伺いをいたします。  さらに、現行の中期総合計画の目指す姿、挑戦プロジェクトとしての七つのテーマ、44の主要施策をもって計画が進められておりますが、どの施策にどのような問題があるとするのか。知事は具体的な施策名等を挙げるなど、議会と県民の皆さんに明らかに公表すべきと考えるが、知事のお考えを伺います。  また、現行の中期総合計画は24年度までの計画でおのおの目標設定がされてきております。新たな総合5カ年計画策定事業費は、現在の計画を1年前倒しをして平成24年度を初年度とする新総合計画の策定に着手するとしております。現行の中期総合計画の数値目標等の成果などの総括を当然行うべきと思いますが、いつごろ総括を実施されるのか。知事にお伺いをいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)中期総合計画の関係で順次お答えを申し上げます。  まず、見直す根本的な理由ということでございます。  先ほども御答弁申し上げましたとおり、まずは県政を取り巻く状況が大きく変化してきているということがございます。現行の中期総合計画に基づく取り組み以上に、分野によってはさらに積極的に踏み込んだ取り組みをしていく必要があるんじゃないかというふうに思います。  また、私自身が、教育・子育て先進県の実現、あるいは産業力・地域力の強化ということで、これは県民の皆様方にお約束をして知事として就任をしたわけでありますので、そうしたものについて、これは、組織の中でも、あるいは議会の皆様方との議論を経た上で、しっかりとした形にして県民の皆様方にできるだけ早くお示しをする必要があるというふうに思います。その目標実現に向けて県民の皆様と力を合わせて取り組んでいきたいと。夢と希望の持てる長野県を創造していくためには、このプロセスが私は必要であるというふうに考えております。  現在の中期総合計画の施策の問題点ということでございます。  これは、本年の9月に主要施策の評価結果を公表しております。評価の中では、44の主要施策の中の7割に当たる32施策は着実に進んでいるとされておりますが、他方で、温暖化対策、あるいは廃棄物対策、さらには経済状況の影響を受けて産業・観光関連施策達成目標の進捗がおくれているという状況でございます。こうした中で、全体としての中期総合計画、現時点で着実に進めておりますが、先ほど来申し上げているように新しい課題への対応も重要だというふうに思っております。  個々の施策がどうだこうだということを私のほうから個人的な意見で申し上げるという場ではないと思いますが、私としては、これからの長野県を考えていったときには、従来のライフスタイルも抜本的に転換して、例えば温暖化対策なんかもより踏み込んだ、例えば規制的な手法も含めて行っていくこと抜きには、未来の長野県、あるいは地球環境問題、守っていけないんじゃないかという思いもございます。そうしたことについて多くの県民の皆様方と一緒になって議論をしながら計画をつくっていくということが重要であるというふうに思っております。  また、現行の中期総合計画の成果の総括というお尋ねでございます。  現行計画につきましては、これは、毎年度、施策評価ということで44の主要施策等を対象として客観的な評価を行ってきております。来年度も、計画実施3年目であります今年度まで、22年度までを対象にした評価を実施いたします。そしてまた、その評価結果を踏まえた上で新しい総合5カ年計画を策定していきたいというふうに思っております。  また、現行計画全体の総括ということもこれはまた別途行う必要があるというふうに思いますので、平成24年度におきましては現行の中期計画の成果については最終的に検証を行ってまいりたいと考えております。  以上です。       〔23番髙見澤敏光君登壇〕 ◆23番(髙見澤敏光 君)新しい課題が必要だ、多くの県民の皆さんと考えていきたいということでございますが、2年後に現行の中期総合計画の期限を迎え、新たな5カ年計画を準備しようとすることに一定の理解はできます。ただ、知事が計画の見直しをしようとする、今いろいろお答えをいただきましたが、根本的な理由と現行の中期総合計画の見直し項目等が不明確な現状で、何のために前倒しまでして見直しをするのか、その辺が理解ができません。まずは、知事御自身が、もう少し、長野県の将来ビジョンとその実現のための具体的な政策の考え方について議会や県民の皆さんに明らかにしていく必要があると考えます。  私は、今まで実施してきた施策が計画した数値目標に達成したのか達成できなかったかなどの成果を十分検証するなど、現在の中期総合計画の総括をした上で、その実績と検証等により、行政の継続性を図りながら、次の中期総合計画に着手しても遅くはないと考えております。  さらに検討すべきことは、現行の中期総合計画を進めるための挑戦プロジェクトは、中長期的な視点に立った目標を掲げて挑戦していく重要な事項であるととらえ、5年の計画期間を超えても着実に取り組みを進めなければならないとしております。さらに、具体的な推進に際しては、社会経済情勢や財政状況、個々のテーマを取り巻く状況の変化に応じて実施の内容や方法等について常に弾力的に対応していく必要があると、この中期総合計画を進めるに当たり取り組む姿勢を明確に掲げております。  そこで、現行の中期総合計画の取り組みの考え方に基づき、柔軟に対応していくことで改めて新たな総合計画を策定しなくても対応ができると考えるが、いかがでしょうか。知事のお考えをお聞かせください。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)お答えいたします。  現行の中期総合計画の考えを柔軟にすることで対応できるんじゃないかという御質問でございます。  確かに県議会の御議決もいただいた計画でございますので、私としては重い計画であるというふうに思っております。しかしながら、先ほど申し上げたようなさまざまな環境変化があるということも事実であります。私は、この長野県、ほかの県に負けない潜在力を強く有している県だというふうに思っておりますので、そうしたものを本気で私は県民の皆様と一緒になって考えて、ぜひ引き出していきたいというふうに思っております。  あれもこれもということは正直言って財政状況等からして非常に難しい状況ではありますが、本当に県民の皆様が目指す具体的な目標をしっかりと掲げることによって、その実現を議会の皆様方、あるいは市町村の皆様方と一緒になって目指していく、本当に夢と希望が持てる計画をぜひ私の思いとしてつくっていきたいというふうに考えております。  もちろん、現行の中期総合計画、これをすべて御破算にするということではなく、これは今まで皆さんの意見を聞きながら取り組んできたわけでありますので、そうしたものについてはベースとしながらも、今後さらに長野県が飛躍していくための計画については私としては必要であると。環境の変化もありますし、私としての目指すべき方向性についても、多くの県民の皆様方と議論しながらしっかりと掲げていきたいというふうに思っております。ぜひ御理解をいただければと思います。  以上です。       〔23番髙見澤敏光君登壇〕 ◆23番(髙見澤敏光 君)今、知事の御答弁の中にありましたが、長野県中期総合計画は、長野県基本計画の議決等に関する条例に基づきまして、長野県議会中期総合計画研究会等において計画策定状況について随時説明を受け、県議会や研究会も、計画策定段階から、県民から直接選挙で選出された二元代表制の一方である県議会議員として県民の意見をお聞きし、その意見を随所に反映させながら研究会が取りまとめた計画案を当時の村井知事に申し入れをし、その申し入れた計画案を重視したものとなっております。  この長野県基本計画の議決等に関する条例は、地方自治法第96条第2項の規定により定める議会の議決すべき事件として、平成19年12月定例会において全会一致で可決されているものであります。  この条例の目的の解釈は、県の計画の決定に当たって、県の執行機関と議決機関が共通の認識のもとで定め、その進捗については政策評価を行うことにより明らかにしながら、県民にとり透明性の高い県政運営を進めることが重要であるという認識に立っております。阿部知事が示した基本政策集の中に掲げられている「政策を進める上での基本姿勢」の県民の皆様との情報共有化などに合致するものと思われます。  長野県基本計画の議決等に関する条例の第3条では、県行政の各分野において基本的な方向を定める計画、指針、その他これに類するものを策定したときは、実施方針、実施期間、主要な目標などの事項を議会に報告しなければならないとしております。また、第4条では、「知事等は、基本計画の策定又は変更をしようとするときは、あらかじめ、その案の概要を議会に報告するとともに、一般に公表し、県民等の意見が反映されるよう必要な措置を講じなければならない。」とされております。  知事は、公約等を少しでも早く実現させるとするならば、長野県基本計画の議決等に関する条例の第4条に基づき、知事の考えている公約、いわゆる基本計画の変更しようとする概要を議会に報告し、その手続に沿って知事の公約を現行の中期総合計画に反映させることによって十分果たすことができると思われるが、改めて知事の御見解をお伺いをいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)ただいま、基本計画の議決等に関する条例4条を御引用いただいたわけであります。基本計画の策定または変更をしようとするときは、あらかじめその案の概要を議会に報告するとともに一般に公表ということでありますけれども、まさにこうした手続を踏む前段の作業としての見直し作業を行っていきたいということであります。  そういう観点で、先ほど来申し上げておりますように、この条例の手続について踏まえた上で、当然のことながら、新しい計画をつくっていくという前提で考えておりますので、御理解いただければと思います。  以上です。       〔23番髙見澤敏光君登壇〕 ◆23番(髙見澤敏光 君)知事が公約としてきたことを具現化しようとすることは理解するところでありますが、県と県議会とともに本県の将来ビジョンとして作成した現行の長野県中期総合計画の総括をあいまいの形のままで、単なる自分の公約の実現のためだけに現行計画を前倒しして新たに策定することはいかがなものでしょうか。  また、現行の中期総合計画を柱に、県民の皆さんの福祉向上のためにさまざまな施策を立ち上げ真剣に取り組まれている県職員が県民のために目指す方向に急ブレーキをかけられ、労力と時間と費用をかけ新しい作業に携わらなければならない県職員のエネルギーこそ無駄なことではないでしょうか。事業仕分けをして無駄をなくそうとする知事のお考えと逆行することになりませんか。  知事は、基本政策集の中で、「私は県民主権を実効性あるものとするため、長野県という行政組織を皆さんと共に刷新します。透明性が高く、現場・県民の目線に立ち、未来志向で、成果を重視し、問題を解決しようとする人たちと協力し合う、賢く頼れる地方政府として再生するのです。」と掲げております。まさに問題を解決しようとする協力し合う人たちとは、県職員であり、県議会議員であり、市町村長ではないでしょうか。  知事が言われているように、「地方行政のプロフェッショナルとしての技をもって、このマニュフェストの実現に邁進します。」と言われているように、もっと御自身が透明性を高め、現行の中期総合計画に御自分の公約を加えられていく政治手法こそが、継続性ある行政を進めながら財政難の状況の中で無駄を省く賢い県政運営であろうと考えます。そのことが、まさに知事が求める地方行政のプロフェッショナルとしてのわざではないのでしょうか。  拙速で強引な施策の見直しは避けるべきと考えます。事業仕分けとともに、単なるパフォーマンスと思われるような県政運営の手法は、県民の皆さんのサイドに立っても歓迎できるものでないと考えます。むしろ、知事の公約と中期総合計画の整合性などの事業仕分けを知事部局で早急に行い、現行の中期総合計画の変更で対応し、議会とのコミュニケーションをより高めていくことが、県民に約束してきた公約と施策を実現するためにより早道であろうと考えます。  阿部知事は、中期総合計画の見直しについても、計画が策定された経緯を十分把握され、目標とした5年の実施期間における成果の総括もしないで県の基本的な方針が大きく変わるということは、県民の生活にとっても、また、産業、経済などあらゆる分野で進めてきた方向性や指針を失い、マイナスとなります。  私は、今回提出された新たな総合5カ年計画策定事業費を撤回し、庁内でしっかり議論を深めていただき、早目に議会に知事の目指す将来ビジョンと政策について具体的な考えを示し、その上で、来年度の当初予算で、阿部知事の公約とする施策も含めて、現行の中期総合計画の変更対応で行うべきことで十分可能であることを強く申し上げて、質問を終わります。 ○議長(寺島義幸 君)次に、宮本衡司議員。       〔25番宮本衡司君登壇〕 ◆25番(宮本衡司 君)豪雪地における道路交通安全対策についてお伺いをいたします。  新聞報道によれば、長野県の代表的観光地である軽井沢町にある交差点約30カ所の全信号機をLED方式に交換したところ、信号付近の人身事故は7割、物損事故も4割減少したとのことです。  県内におけるLEDへの交換率は、全国平均の24.1%を上回り、31.4%となっております。従来の電球式は強い日差しを受けると疑似点灯現象を起こしますが、この方式は、反射板がなく、LED自体が青や黄、赤の光を出すためよりはっきりと見え、電球式より見やすいことが事故減少につながったとのことです。  一方、このLED方式は、熱を発しないため雪が付着しやすいという難点もあると言われておりますが、どのような対処方法があるのか。お伺いをいたします。  次に、これは、豊田飯山インターから飯山市街地に向かう国道117号バイパス、伍位野信号機手前から市道1-103号線へ分岐する丁字路付近の写真です。平日1日1万7,000台の交通量があり、特に班尾高原や戸狩温泉スキー場に向かう大型観光バスも左折する場所です。加えて、およそ3キロにも及ぶ長い急坂な場所であり、冬期間は降雪や路面の凍結により危険な交差点です。ブレーキをかけてもスリップしないように無散水消雪施設があればと、ここを通るたびにいつも思っております。  豪雪地ならではの危険箇所がほかにもあると思いますが、除雪や融雪剤の散布では限界がある場所への無散水消雪施設の設置についてどのようにお考えか。お伺いをいたします。       〔警察本部長小林弘裕君登壇〕 ◎警察本部長(小林弘裕 君)LED信号機の御質問についてお答えいたします。  従来の電球式信号機にかわるLED式信号機は、視認性にすぐれ、消費電力も少ないことから、県警察では信号機のLED化を推進しているところであり、飯山地域にあっては県平均を上回る41.9%を整備しております。  なお、北信地域などにおけるLED信号機の整備につきましては、着雪や積雪の防止効果の高い縦型信号機や薄型信号機を設置することによって特段大きな問題は起きておりません。  御指摘のとおり、吹雪等により信号機の前面に雪が付着したときには、LED信号機の場合視認性が低下することがありますが、随時雪おろし作業により対処することが可能であり、その実施例もまれであります。今後ともLED信号機整備の推進を図ってまいります。  以上でございます。       〔建設部長入江靖君登壇〕 ◎建設部長(入江靖 君)豪雪地における無散水消雪施設の設置についてのお尋ねでございます。  豪雪地における道路交通安全対策につきましては、きめ細やかな除雪作業や融雪剤の散布、無散水消雪施設や堆雪帯の設置及び雪道情報システムの整備などにより対応しているところでございます。  このうち、御質問の無散水消雪施設につきましては、非常に効果が高いものと認識しておりますが、維持管理費が通常の除雪作業と比べて5倍以上と高いことから、これまで、国庫補助事業の基準に該当する、道路の縦断勾配が6%以上の急坂区間や交差点部、人家が密集する場所などに設置を進めてきたところであります。  今後も、無散水消雪施設の設置につきましては、維持管理費の負担も勘案し、交通事故件数が多い箇所などの緊急性の高い区間を厳選して進めてまいります。  以上でございます。       〔25番宮本衡司君登壇〕 ◆25番(宮本衡司 君)除雪体制の強化、充実を図ることは冬期の道路交通安全対策としてまことに重要であります。豪雪地における安全対策には、実際に現地を見ていただき、万全を期すよう強く要望をいたします。  早朝、職場に向かう方々や児童生徒の登校時間に間に合うようにと、真夜中の2時から、吹雪の中、除雪作業をする建設業者さんたちの御労苦を思うとき、本当に頭が下がります。またそんな季節がやってまいりました。  しかし、昨日の西沢議員のお話のように、年々高齢化が進み、熟練した除雪車のオペレーターの確保もままならないのが現実です。工事量が激減し、やむなく従業員を解雇し、その上、低価格に泣かされ続けている建設産業の衰退が、やがては地域住民の安心、安全の確保に支障を来すのは明らかです。地域を災害から守るという観点から、建設業者の育成を今後どのように取り組んでいくおつもりか。その具体策を阿部知事に伺います。  総務省の統計によりますと、建設業就業者数は、平成9年がピークで全国で685万人だったものが平成21年には517万人と168万人減少しており、全産業就業者数と建設業就業者数の比率は、平成9年では10.4%でしたが21年には8.2%に低下をしております。建設投資額も、平成4年度が84兆円だったものが22年度には40兆円にとどまると推計され、ピーク時の半分にまで落ち込むと思われます。  また、長野県の公共工事設計労務単価は、一時下げどまりが見られたものの、本年度は再び低下し、大工職では平成9年度2万3,500円であったものが本年度1万6,900円となりました。28%低下していることになります。  このような建設現場の第一線で働く一人親方を含む職人さんたちの実情をどのように認識されているか。お伺いをいたします。
     入札制度の改革により改善された分野もある一方で、低入札価格によって下請の事業者や業務に従事する現場労働者にしわ寄せが及び、賃金の低下を招く状況になってきていることも事実です。  千葉県野田市では、市と受注者の双方の責務を明確にし、市が労働者の作業報酬下限額を定めて最低限の賃金を確保するとともに、公共事業の品質の低下に歯どめをかけたいとの目的で、昨年9月、全国で初めて公契約条例を制定いたしました。  さて、さきの知事選において、阿部知事は、選挙公約ともいうべき信州底力宣言で、雇用対策の推進を図る上で、労働者に配慮した契約、公契約条例の制定を検討する中で労働者の生活を考慮した県の施策や事業のあり方を検討するとうたっておりますが、知事は、公契約条例をどのように認識され、また、野田市のこの条例制定についてどのような評価をなさるのか。あわせて、公契約条例の効果はどの程度あると思われるか。御所見をお伺いいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)まず、建設産業の育成に関連してでございます。  本年の豪雨災害におきましても、県内各地で地域の建設業者の皆様方が復旧作業に御尽力いただいたわけであります。そういう意味で、県民の皆様の暮らしを支えるためにはなくてはならない存在であるというふうに思っております。  地域に根差し、地域に貢献する建設企業が将来に向けて活躍できるように、優良な企業が報われる環境を整備してまいったところであります。建設工事等における優良技術者の知事表彰の実施でありますとか、あるいは企業提案による新技術、新工法を評価、活用することによって企業の技術力の向上を支援してまいりました。また、中小企業融資制度資金等によって経営の健全化、資金面で援助をさせていただいております。  今後とも、県民の皆様の暮らしを確保する上で、地域にとって必要不可欠な建設産業、建設企業の支援に努めてまいりたいというふうに考えております。  それから、職人の皆様方の現状ということであります。  熟練した技術を持たれた職人の皆様の役割、これも非常に重要であるというふうに思っております。建設業、建設投資額の減少で厳しい経営環境に置かれているわけで、就業者数の減少あるいは労務単価の低下ということについては十分認識しております。ここ10年ほどの公共工事における労務単価の推移という表を見ても、毎年毎年どんどん低下している一方だというふうに思っております。  地域の暮らしを守っていただく建設業の職人の皆様方の地位向上が図られることができるように、例えば総合評価落札方式では専門分野で高度な技術力を有する基幹技能者、加点するというようなことも取り組んでおります。そうした適正な評価に努めていきたいというふうに思います。  次に、公契約条例でございます。  これは、公共工事あるいは一定の業務に係る労働者の皆様方の労働条件改善のために一定の効果があるというふうに思っております。  野田市、全国の自治体に先駆けてこの条例を制定したわけであります。条例制定後、建設工事についての契約事例はまだ1件のみというふうに伺っておりまして、効果の実証には至っていないようでありますが、清掃業務の賃金については改善効果があったというふうに聞いております。  賃金や労働条件につきましては労使間の問題もございますので、労働界、経済界など関係機関の御意見も幅広く聞きながら、公契約条例のあり方、検討していく必要があるというふうに考えております。  現在、民主党で法案の検討もしておりますし、野田市を初め、先行する幾つかの地方自治体の実施状況がございます。そうしたものも十分参考にしながら検討を行ってまいりたいというふうに考えております。  以上です。       〔25番宮本衡司君登壇〕 ◆25番(宮本衡司 君)先ほども申し上げましたが、建設工事の過度な低価格競争が不安定雇用と低賃金労働者を生み出しているのは紛れもない事実であります。現場労働者の厳しい状況の改善は待ったなしであります。  県議会でも5年前に国へ意見書を提出しておりますが、公契約条例制定の前提として入札制度そのもののさらなる見直しが必要であると考えます。  ただいま、知事、お答えいただきましたけれども、9月の定例会でも倉田議員の代表質問に答弁されました。労働界、経済界など関係機関の意見を聞き、これを進めるとおっしゃいましたが、早急に業界団体である建設業協会や建設労働組合連合会などと意見交換をして、公約どおり、研究会あるいは検討会を明確に具体的に早く作業に入っていただきたいというふうに強く要望いたしますが、再度お伺いいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)お答えいたします。  公契約条例検討、私も公約で掲げさせていただいたところであります。労働界、経済界、関係機関の意見を聞くということで建設業協会と事務的に意見交換を始めたところでございます。また、公契約条例を研究するために、まず、庁内、これは幾つかの部局にまたがる課題になりますので、関係部局によります研究会を立ち上げたところであります。先行する自治体の情報収集や課題の整理をして検討を進めてまいりたいと考えております。       〔25番宮本衡司君登壇〕 ◆25番(宮本衡司 君)厳しい現実の中、一刻も早い対応を望みます。  続きまして、ニホンジカについて伺います。  ニホンジカによる被害は、環境省のレッドデータブックで最も絶滅のおそれが高いと分類されているキバナアツモリソウが、南アルプスに生育したほぼすべての箇所で消滅し、地表の裸地化も懸念されております。また、霧ケ峰でも、県の環境保全研究所がニッコウキスゲの食害が深刻化していると報告をしています。  県の資料では、平成21年度の被害額は7億1,000万円と前年に比べて0.5%ふえ、農林業被害額16億円の44%を超えています。八ケ岳や下伊那の東部地域では、食べられる草はほぼ食べ尽くされたことにより潅木類やササ類が被害に遭い、山腹の崩壊が始まっているところもあると聞いております。このような状態になれば、雨のたびに少しずつ土砂が下流に流され、山が崩壊し、地震、集中豪雨の際、山崩れや土石流などの深刻な土砂災害が心配されます。  実際、平成16年7月に、東京都の奥多摩町で、裸地化したところから大量の土砂が流出して町の水道取水施設に流れ込み、住民の生活に支障を来した例もあります。  このような状況は災害としてその対策に当たるべきだと考えますが、県はニホンジカによる被害対策をどのように進めていくのか。御所見をお伺いいたします。  ある猟友会員の方は、要請にもあと5年ぐらいは対応できるが、それ以降は今と同じような捕獲数の維持はできなくなるだろうと極めて深刻に話しておられました。  長野県と同程度の生息数が確認されている兵庫県においては年間2万頭の捕獲をしてきています。平成22年度はさらに1万頭をふやし3万頭の捕獲を進めており、今年度予算を大幅に増額しました。また、高知県では、狩猟で捕獲したニホンジカに1頭8,000円の報奨金を支給してこれを推進しております。  長野県においては、有害鳥獣捕獲に対する支援の仕方もそれぞれの市町村の財政事情により報奨金の額にばらつきがあり、広く移動をするニホンジカに対して有効な対策を行う上で格差が生じていることから、上伊那地域や佐久地域などでは市町村と猟友会が連携、協力して広域捕獲を積極的に進めていると聞いております。  この際、県も、猟友会との連携を強化して、捕獲対策に大型予算を投入するなど集中して短期間に被害対策を進めるべきと思いますが、御所見をお伺いいたします。  また、里山の間伐を目的とした森林税も、平成24年度をもって最終年となります。この見直しの時期にあわせ、森林税の一部を捕獲対策などの有害野生鳥獣対策に活用することは考えられないか。これまで、みんなで支える森林づくり県民会議や地域会議においてそのような意見が出ているのか。お伺いをいたします。       〔林務部長久米義輝君登壇〕 ◎林務部長(久米義輝 君)ニホンジカによる被害対策についてお尋ねをいただきました。  初めに、被害対策についてのお尋ねでございますが、平成21年度のニホンジカによる農林業被害は、分布の拡大や生息密度の増加に伴いまして増加傾向にあり、59市町村で被害が発生している状況でございます。議員御指摘のとおり、高山植物の被害等自然植生への影響や、森林の防災機能低下も懸念されているところでございます。  こうした状況を踏まえて、県といたしましては、本年度、ニホンジカの生息密度等の調査を実施しており、この調査結果をもとに新たな特定鳥獣保護管理計画を策定し、来年度からの年間捕獲目標を見直すなどの取り組みを行うこととしております。  ニホンジカの被害対策につきましては、県の野生鳥獣被害対策本部を通じて、市町村や国等の関係機関とも連携しながら、捕獲対策を初め、防護さくの設置などの防除対策、捕獲した肉を有効活用するジビエ振興対策など、さらに積極的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。  次に、猟友会と連携した捕獲対策についてのお尋ねですが、本年度から、新たに、県が長野県猟友会に委託して、ベテランのハンターで構成する捕獲隊を組織し、被害拡大地域のニホンジカ捕獲とともに、県内各地域でのわな等による捕獲技術を普及させる緊急対策を始めており、集落を挙げて短期間に集中してニホンジカ捕獲を実施する体制の整備に努めております。  また、捕獲対策の担い手である猟友会の皆さんの負担を軽減するため、本年度から、新たに、市町村と連携しながら、有害鳥獣捕獲従事者や新規の銃所持者に対してハンター保険料など必要経費への支援を行っているところです。  今後のニホンジカ捕獲対策といたしましては、新たに策定する特定鳥獣保護管理計画に基づく捕獲目標の達成を目指して、市町村や猟友会と連携し、複数市町村で実施する広域捕獲の促進に加え、捕獲強調期間における一斉捕獲の促進や捕獲報奨金の支援など、一層の捕獲対策の強化を検討してまいりたいと考えております。  次に、森林づくり県民税を捕獲対策などの野生鳥獣被害対策に充てられないかとのお尋ねでございますが、現行の森林づくり県民税終了後の対応につきましては、これまでの成果を検証するとともに、県民の皆様に御負担いただくことは大変大きな課題でありますので、議員並びに県民の皆様の御意見を十分にお伺いして慎重に検討していく必要があると考えております。  御指摘の野生鳥獣対策は地域の大きな課題ですので、森林づくり県民税終了に伴う見直しの中で検討してまいりたいと考えております。  なお、これまでの地域会議等におきましては野生鳥獣被害の深刻さを訴える声が多数出ておりまして、効果的な対策を求められている状況でございます。  以上です。       〔25番宮本衡司君登壇〕 ◆25番(宮本衡司 君)さまざまな地域の方々の意見を聞いていただきまして、よりよい森林整備をしていただきたいというふうに思っています。  次に、以前より牛山議員初め大勢の方々が取り上げていますが、改めて高次脳機能障害と子供の脳脊髄液減少症について伺います。  高次脳機能障害は、交通事故などの不慮の事故や脳血管疾患により脳を損傷したことにより発生する障害で、記憶と学習の困難をもたらす記憶障害、注意、集中力の低下をもたらす注意障害、生活上で起こるさまざまな問題の解決が困難となるなどの遂行機能障害、そして、ちょっとしたことでも著しい不安を示したり、逆に興奮して衝動的になったりするなどの社会的行動障害が特徴的な症状と言われております。外見からは障害がわかりにくいことから健常者との見分けがつきにくく、障害に対する社会的な認知度の低さなどと相まって、社会復帰への道のりが非常に険しいというのが実情であります。  本県では、平成14年に実態調査を行い、600人から800人おられるとのことでした。しかし、医療の進歩、パンフレットやホームページの作成などの普及啓発活動、そして社会の理解の拡大に伴い、その人数は増加していると思いますが、何名くらいの方が本県におられると認識されているのでしょうか。  また、高次脳機能障害者は、社会的な認知度が低く、制度の谷間に置かれて必要な支援が受けられないといった声を聞きますが、障害者自立支援法における位置づけはどうなっているのか。お伺いをいたします。       〔健康福祉部長桑島昭文君登壇〕 ◎健康福祉部長(桑島昭文 君)高次脳機能障害の方の人数、それから障害者自立支援法における位置づけについてお尋ねをいただきました。  県が平成14年に実施いたしました高次脳機能障害者実態調査によりますと、調査時点での県内の高次脳機能障害の方は、議員先ほどおっしゃいましたけれども、600人から800人程度というふうに推計をされてございます。それ以降、県では実態調査を実施してございませんけれども、県内4カ所の高次脳機能障害支援拠点病院における相談件数を見ますと、平成18年には679件であったものが平成21年度には2,014件と非常に増加をしてございます。議員御指摘のとおり、県内の患者さんの数は恐らくかなり増加しているものというふうに見込まれるところでございます。  それから次に、自立支援法における位置づけでございますけれども、高次脳機能障害につきましては障害者自立支援法の条文には明確な規定がございません。周知が不足している面もあると認識しておりますけれども、厚生労働省の通達では、医師の診断書により高次脳機能障害であることが確認できれば、身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳がなくても、市町村が行う各種福祉サービスが利用できることとされてございます。  以上でございます。       〔25番宮本衡司君登壇〕 ◆25番(宮本衡司 君)高次脳機能障害は、今後も増加し、相談支援及び診断の一層の強化が必要です。直近の正確な実態調査をするなど、さらに積極的に取り組んでいただくよう要望を申し上げるとともに、次の提案をいたします。  三重県においては、国の高次脳機能障害モデル事業と連携をして、機能の回復を図るためのリハビリテーションを医療機関などで適切に行い、その生活障害に対してさらに地域で継続して支援できるように、診断技術やリハビリテーションプログラムの確立、地域支援システムの確立を目的とした生活支援事業を実施していることは御承知のとおりです。いわゆる三重モデルと言われているものです。  この事業の内容は、大きく分けると、診断技術とリハビリプログラムの確立と地域支援システムの確立の二つから成り立っております。この三重モデルのようなシステムを本県においても立ち上げ、高次脳機能障害に悩む方々に希望を持って生活ができるようにすべきと考えます。  国では、障害者自立支援法を廃止して、障害者の範囲を見直し、制度の谷間のない新たな法制度を検討していると聞いていますが、施行は平成25年8月となっています。  現在、長野県では、民間を含む四つの病院を拠点病院に指定し、相談支援及び診断を行っておりますが、国の動向をただ見守っているだけでなく、4拠点病院の拡充や三重モデルを参考にして県独自の支援体制の強化を図るべきと思いますが、いかがでしょうか。       〔健康福祉部長桑島昭文君登壇〕 ◎健康福祉部長(桑島昭文 君)議員御指摘の三重モデルでございますけれども、三重身体障害者総合福祉センターを支援拠点といたしまして、2カ所の拠点病院や地域の医療機関、それから市町村、社会福祉施設などの地域資源との連携のもと、診断、急性期のリハビリから退院後の訓練、それから生活支援まで、連続的に、しかも包括的に提供するものというふうに認識してございます。  本県でも、高次脳機能障害につきましては、医療、福祉の関係者でもその支援についてなかなか十分な理解が得られていないということでございます。平成16年度から県下4カ所に高次脳機能障害の支援拠点病院を指定をいたしまして、地域での高次脳機能障害支援の普及を図ってきているところでございます。それぞれの拠点病院に高次脳機能障害に関する相談支援コーディネーターを配置をいたしまして、診断からリハビリ等の相談支援、それから福祉サービスへの橋渡しを行いますとともに、医療・福祉従事者やそれから県民を対象とした高次脳機能障害に対する理解や支援のための研修を実施してきてございます。  また、県立総合リハビリテーションセンターがございますけれども、そこで、施設機能を十分生かしまして、障害者自立支援法の自立訓練事業の指定を受けてございます。施設内に模擬会社を設定をいたしまして職場での一日を体験する訓練など、家庭生活や就労に関する社会復帰に向けた訓練を行っているところでございます。  今後は、拠点病院の活動の充実を図りながら、県立リハビリテーションセンターの自立訓練事業のさらなる活用を図るとともに、三重モデルなどの事例を研究し、拠点病院と地域の医療機関や福祉施設との一層の連携を推進してまいりたいというふうに考えてございます。  以上でございます。       〔25番宮本衡司君登壇〕 ◆25番(宮本衡司 君)来年の10月14日から2日間、山ノ内町志賀高原で高次脳機能障害者の全国大会が開催されます。この障害に対する理解や支援の輪を広げていくためにも、この大会がよい契機となるよう県として支援をしていくべきと思いますが、お考えを伺いたいと思います。       〔健康福祉部長桑島昭文君登壇〕 ◎健康福祉部長(桑島昭文 君)日本脳外傷友の会の全国大会についてお尋ねをいただきました。  実は、本年6月に奈良県で第10回の全国大会が開催されてございまして、参加した職員がおります。大会には全国から多くの当事者が集まりまして、講演会やステージ発表では当事者、家族、それから支援者といったそれぞれの立場からのお話を聞くことができ、当事者の皆様方のニーズ、それから社会福祉サービスの現状について理解する上で大変参考になったという報告を受けてございます。  そうしたことも踏まえまして、来年10月に本県において第11回の全国大会が開催されることになってございますけれども、県内外から多くの当事者の方々の参加が見込まれ、さらに県民の理解の促進や、それから当事者や家族の交流の促進などの面で大変有意義な大会であるというふうに認識してございます。  県としては、先ほど申し上げました高次脳機能障害の支援拠点病院とともに実行委員会に参加をいたしまして、これを契機にこの支援の一層の充実に努めてまいりたいというふうに考えてございます。  以上でございます。       〔25番宮本衡司君登壇〕 ◆25番(宮本衡司 君)ぜひ、この大会が成功するようにお力添えをいただきたいと思います。  次に、子供の脳脊髄液減少症について伺います。  これは、交通事故やスポーツの衝撃で髄液が漏れるなどして頭痛やめまい、だるさといったさまざまな症状を引き起こす病気です。子供の場合、学校でのちょっとした外傷が原因となることがあるそうです。しかし、このような症状が出ても、知識のない周囲からは怠けていて学校に行かないと言われ、大変つらい思いをしている子供もいるようです。治療法としては、硬膜の外側に自分の血液を注入するブラッドパッチが有効とされていますが、保険が適用されず、入院費を含めると1回10万から30万円程度かかり、その負担は家計に重くのしかかっております。  平成19年5月、文科省より、「学校におけるスポーツ外傷等への後遺症の適切な対応について」と題しての通達がありましたが、どのような措置がなされたのか。また、潜在患者数の把握を含め、実態調査をしているのか。お伺いをいたします。  各都道府県教育委員会主催による学校現場における脳脊髄液減少症についての研修を行っているのは47都道府県中12と聞きますが、本県の状況はどうなっているのか。  いずれにしても、教職員、保護者の皆さんにも研修が必要と思われますが、どのようにお考えでしょうか。  また、症状を和らげるには水分摂取が有効と聞いていますが、授業中に症状があらわれた際には教室内で水分補給などの適切な処置ができるような配慮がなされているか。あわせてお伺いいたします。  ちなみに、飯山市では、市内の全小中学校、保育園、幼稚園に「子どもの脳脊髄液減少症」という冊子を配布し、周知の徹底を図っております。  医療保険適用外となっていることから、飯綱町では、中学生以下を対象に、療養を受けた場合治療費の3割程度を町が給付金を支給するという条例改正を本年6月定例議会で採決したと聞いています。  このような市町村に対し県としても積極的に支援する必要があると思いますが、いかがでしょうか。       〔教育長山口利幸君登壇〕 ◎教育長(山口利幸 君)文科省通知への対応についてお尋ねでございます。  平成19年5月31日付で、文部科学省から、各学校において、必要に応じ、養護教諭を含む教職員が連携しつつ、個々の児童生徒等の心身の状態に応じ、学習面を含め学校生活のさまざまな面で適切に配慮するよう通知が出されたところでございます。  県教育委員会では、この通知を文書で市町村教育委員会等に周知するとともに、同年11月に開催いたしました養護教諭研究協議会において各学校の養護教諭に対して内容の周知徹底を行いました。この中では、脳脊髄液減少症研究会ガイドライン作成委員会により作成されました「ガイドライン2007」についても触れまして、その症状、それから診断、治療等についても周知したところでございます。  次に、脳脊髄液減少症についての研修についてのお尋ねがございました。  先ほど申し上げたとおり、まず、19年11月の養護教諭研究協議会において、各学校の養護教諭に対して文科省通知の内容の周知徹底を行ったところでございます。さらに、本年度、厚労省が脳脊髄液減少症の検査を保険適用とする見解を示したことを受けまして、改めて11月の養護教諭研究協議会におきまして、各学校の養護教諭に対して、脳脊髄液減少症の診療が可能な県内の病院の紹介を含め、再度、この病気に対しての学校関係者の理解と児童生徒への配慮を求めたところでございます。この研修により各学校において教職員全員の理解を深めるとともに、学校保健委員会等の機会におきまして保護者の理解にもつなげてまいりたいと考えております。  次に、授業中の水分補給等への配慮についてのお尋ねでございます。  脳脊髄液減少症研究会ガイドライン作成委員会により作成されました「ガイドライン2007」の中にも、治療として十分な水分摂取ということが示されているところでございます。  県教育委員会といたしましては、研修等を通じてこのガイドラインの周知を行うなどして学校において適切な配慮がなされるよう徹底を図っておりますけれども、各学校において教職員全員の理解をさらに深めるよう、その方法等を含めまして改めて検討してまいりたいと考えております。  脳脊髄液減少症は現在のところ診断や治療の基準が確立しているとは言えない状況でございますので、今後も、学校に対して、最新の知見に基づく情報の提供に努めてまいります。
     以上でございます。       〔健康福祉部長桑島昭文君登壇〕 ◎健康福祉部長(桑島昭文 君)脳脊髄液減少症の潜在患者数の把握及び実態調査について御質問をちょうだいしました。  県内における脳脊髄液減少症の潜在患者につきましては、現状では疾患の定義がまだ未確定でございまして、症状が疑われる患者も存在することから全体の把握というわけにはなかなかまいらないところでございます。ただ、平成22年11月、脳脊髄液減少症の診療が可能な病院ということで17病院があるわけでございますけれども、そこの病院に照会をいたしましたところ、県内での患者数は44人というふうに私どものほうで把握してございます。  それから、ブラッドパッチ療法を受けた場合、市町村で一部給付金を出しているところへの支援についてということでお尋ねをいただきました。  現在、患者会等では、脳脊髄液減少症の治療促進としてブラッドパッチ療法の保険適用を強く求めている状況にございまして、また、日本脳神経外科学会などの関係学会により組織されました脳脊髄液減少症の診断・治療法の確立に関する研究班というものがございまして、その中で診断基準等の作成に向けた研究が進展をしてございます。今年度中にも中間報告が示されるというふうに聞き及んでございます。  また、本年4月に、厚生労働大臣から、平成24年の診療報酬改定の際にブラッドパッチ療法の保険適用を検討するとの見解が示されてございますので、県といたしましては引き続き国や学会の動向を注視してまいるというふうに考えてございます。  以上でございます。       〔25番宮本衡司君登壇〕 ◆25番(宮本衡司 君)昭和36年の全国交通事故発生件数は49万3,693件あり、死者は1万2,865人で、この数は日清戦争の戦死者1万3,164人に匹敵するとし、初めて読売新聞が交通戦争という言葉を使いました。以来、昭和45年をピークに死者数は減少をし、平成21年には57年ぶりの4,000人台、4,914人となりましたが、事故の発生件数は73万6,160件もあります。裏を返せば、不慮の事故に遭い、救命救急の適切な処置により一命を取りとめたとしても、後遺症が残る方々は今後ますますふえると予測されます。  さらなる県民への啓発活動と具体的支援の強化を強く要望し、質問を終わります。 ○議長(寺島義幸 君)この際、午後1時10分まで休憩いたします。         午後0時1分休憩          ──────────────────         午後1時11分開議 ○副議長(木下茂人 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  太田昌孝議員。       〔7番太田昌孝君登壇〕 ◆7番(太田昌孝 君)順次質問をさせていただきます。  少子・高齢化や過疎地域の拡大が進む中、移動手段がない高齢者を中心とするいわゆる買い物難民がふえております。最近では、中山間部だけでなく、地方都市や首都圏近郊の団地にも広がっており、本年5月、経済産業省の地域生活インフラを支える流通のあり方研究会報告書の推計によりますと、買い物弱者は全国で600万人程度にも上るとのことであります。  私も、長野市の中心市街地に居住をしておりますが、大手スーパーの撤退などに伴いまして多くの高齢者が買い物に支障を生じた事例を目の当たりにいたしました。特に食料品につきましては、生鮮食品は大変に重く、1回に運べる量は限られてしまうため長い距離を高齢者が週に何度も行き来をしなければならない、そうした負担というものは大変なものでございます。  本県におきましても、こうした買い物難民の実情について調査を行ったものと伺っておりますが、その結果につきましてまず商工労働部長に伺います。       〔商工労働部長黒田和彦君登壇〕 ◎商工労働部長(黒田和彦 君)ただいま、太田議員からいわゆる買い物難民についての実態調査に関する御質問をいただきました。  今年度当初予算でこの調査予算をお願いしたわけでございますけれども、それは、本県には、中山間地域を中心に、お話の市街地も含めますけれども、買い物、あるいは医療サービス、これは通院とか、あるいは金融サービス、例えば年金を引き出すとか、そういったサービスを利用しにくい、そういった環境にある高齢者が現に存在しているということでございまして、こうした現実は、一つ、商業、これは買い物という問題でありますが、それだけではなくて、地域の公共交通、あるいは医療、福祉等々さまざまな側面を有した問題であろうというふうに考えております。  その中で、こういった不便を余儀なくされた人に商店街が何らかの役割を果たすのではないかと、こういった観点から今年度この調査に踏み切ったというところでございます。  具体的に申し上げますと、県内高齢者が買い物のために利用する店舗までの距離であるとかあるいは移動手段、そういった買い物環境、それから、お話のありました生鮮食料品などの取り扱い店がない地域における高齢者の購買動向、そういったものを調査しておりまして、このたび高齢者へのアンケート調査の結果がまとまったところでございます。  その結果によりますと、まず最初にいわゆる買い物弱者の状況について申し上げます。  買い物に不便を感じている高齢者のうち、これは三つの要件を設定いたしました。一つが、商店が近くにない、500メートル以内にない、二つ目が、徒歩や自転車、いわゆる自力で買い物に行けない、三つ目が、自動車を運転できないと、こういう三つの要件を満たすいわゆる買い物難民、これを、アンケート調査の統計上の信頼度を勘案いたしまして、全県で約5万2,000人から8万人おられる。それから、65歳以上人口の9.1%から14.1%を占めるというふうに推計されたところでございます。とりわけ、地元に商店のない中山間地域におきましては19.8%というふうになっております。  それから、あわせまして食生活の状況について調査をいたしました。  10に分類した食品群のうち毎日食べていると回答した品目数は、買い物弱者の場合には平均で3.6品目、そうでない方が平均4.0品目ということでございまして、買い物環境が高齢者の食生活や健康にも一定の影響を及ぼしているのではないかと想定されるところでございます。  もう一つ、買い物環境を改善するために必要なもの、これについてお聞きした結果では、近くに店舗を誘致すると回答された方が24.3%と高い数字が出ました。また、今後の買い物の場として地元の商店街が必要になるというふうにお答えになった方の割合が6割を超えるということでありまして、県が従来進めてまいりました地域商業の振興、あるいは商店街の活性化、これが今後も必要な施策になるというふうに認識を新たにしたところでございます。  以上です。       〔7番太田昌孝君登壇〕 ◆7番(太田昌孝 君)今、具体的な数値としてお答えをいただきました。幅はあるものの、推計値といたしまして今現在対応が困難となっている方が最低でも5万2,000人以上いるということ、さらに今後そうした買い物難民は増加してくることが想定をされまして、早期に対策を講じなければならないと考えております。  買い物といいますと、医療や介護などと比べまして公的な制度が整備されていないことも踏まえまして、経済産業省の報告書の中では社会的課題として対応することが必要とされ、地方自治体等の多様な関係者の支援の連携なども呼びかけております。  また、この報告書では、既にこうした問題の解決に向けての各地の取り組みなども紹介をされており、有効な対策として何点か伺います。  今、部長のほうからもそうしたことが視野に入っておられるというふうには考えるわけでございますが、一つは、宅配のサービス、あるいは移動販売、あるいは今6割の方が求めておられると言いましたが、空き店舗の活用など地域で便利な店舗立地、こうしたものが考えられます。例えば、スーパーや宅配業者などが高齢者も操作しやすい注文用端末を公共施設に置いて買い物支援の拠点にすることなどを例として挙げています。自宅にいながら、あるいは自宅の近くで食料品などを得ることができる環境づくりについて、民間事業者やNPOなどとの連携を含め、今後の対応につきまして商工労働部長に伺います。  次に、移動手段の確保についてであります。  周辺に店舗がなくても、公共交通機関による店舗へのアクセスが整備されていれば問題の解決につながります。本年6月議会では地域公共交通活性化・再生総合事業の補助金減額が問題となりました。長野市における実証実験におきましても、地域の方から、このような買い物難民のためにも何とか事業の継続をという声が上がっておったと伺っております。  コミュニティーバス、ディマンドバス、乗り合いタクシーや地域で運営されております移送サービス事業などが有効と考えますが、こうした事業の計画には、医療や介護などの観点のほか、こうした買い物についても必要な柱と位置づけていただきたいと思いますが、企画部長の御見解を伺います。       〔商工労働部長黒田和彦君登壇〕 ◎商工労働部長(黒田和彦 君)高齢買い物弱者に対する県の支援策に関する御質問をちょうだいいたしました。  今回のアンケート調査の結果等も踏まえまして、来年1月をめどに買い物弱者問題について考える県民の集い、仮称でございますけれども、これを開催いたしまして、買い物弱者問題に対する関係者の意識の高揚、これを図る、それから、市町村あるいは商店街団体等の関係団体に対してこういった問題があることを知ってもらうということを行ってまいる予定でおります。  今後の支援策につきましては、議員御指摘の国の研究会報告書による提言を参考にしながら、今後行う予定の高齢者や商店主へのヒアリング、あるいは現地における実地調査、そういった結果も踏まえまして、中山間地域を多く抱える長野県にふさわしい支援のあり方、これにつきまして検討してまいりたいというふうに考えております。  なお、今回の高齢者に対するアンケート調査の結果から、買い物の場としての地元商店街に期待する声が大きいということから、地域コミュニティーとしての役割を担う商店街の活性化に対しまして引き続き支援していくことが必要だというふうに考えております。  私ども、今年度創設いたしました商店街にぎわい再生パッケージ事業、こういった総合的な対策を講じているところでありまして、引き続き商店街の活性化に向けた支援を継続してまいりたいと考えております。  以上です。       〔企画部長望月孝光君登壇〕 ◎企画部長(望月孝光 君)買い物難民ということで、地域公共交通活性化・再生総合事業、こういったものの事業計画などに買い物についても必要な柱として位置づけたらどうかというお話でございます。  地域公共交通は、高齢者あるいは学生など、ほかに移動する手段を持たない方々にとりまして、通院、通学、あるいは買い物など日々の暮らし、こういったものを支える重要な社会的基盤でございまして、現在、国におきましても交通基本法が検討を進められておりますけれども、こういった趣旨が移動する権利として定義されるのではないかと聞いているところでございます。  こうした状況を踏まえまして、地域公共交通のあり方につきましては、市町村が中心となって、事業者あるいは住民が一緒になって、通院、通学、あるいは、先ほど議員御指摘もございました買い物等、何よりもその地域の実情に即した取り組みというのが重要でございますので、そういったことに関した路線の見直し、あるいは運行のあり方を検討していくことが非常に重要なことだと思っております。  そういった取り組みの中には、県といたしましても、職員が参りまして一緒になって検討しておりますので、引き続き、そういった形で必要な情報あるいは助言等に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔7番太田昌孝君登壇〕 ◆7番(太田昌孝 君)地域で運営されておりますコミュニティーバス、そうしたところに病院なんかはよく入っておるんですけれども、例えばそうした中にスーパーが一つ中継所として入ってくるだけでも随分変わってくるというふうに思います。そのようにぜひお願いをしたいと思います。  最後に、今回、商工労働部でこのように調査をいただきまして、現状の把握と課題等が浮き彫りになったことは大きな前進であると評価をいたします。一方で、これまで、残念ながら、県の中ではこの問題についてはなかなか取り上げられてこなかった。高齢者・障害者対策でも、医療、介護が中心となっておりまして、こういう問題は出てきておりませんでした。今後、高齢者・障害者対策を考える上で、こうした基本的な日常生活安定のための視点を持っていただきたいということを希望するわけでございますが、知事の御所見を伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)高齢者、それから障害者の皆様方への対策という観点での日常生活安定の視点をと。私も全くそのとおりだというふうに思います。とかく、行政、医療サービスとか介護サービス、そこももちろん私は重要だというふうに思いますけれども、しかしながら、人々の日常の暮らしに目を向けたときに、そこのサービスだけを行政が考えていればいいかというと、本当に急激な高齢化が進んで、そして、他方で、長野県は中山間地を多く抱えて、過疎化が進んで、中小の小売事業者が減っていくという中にあっては、医療、介護という狭い従来型の行政の守備範囲だけではなくて、もう少し踏み出して、人々の暮らしに寄り添う行政が重要だというふうに私は考えております。  この実現のためには、まずは行政の縦割りを解消していかなければいけないだろうというふうに思います。本当に人々の暮らしは、これは何とか部、これは何とか部と切り分けて対応できない話ばかりだと思います。また、これは、県だけではなくて、市町村あるいはNPOや地域住民の皆様方と本当にひざを交えて一緒になって考えて支えていくということが重要だというふうに考えています。  私としては、これから中期計画の見直し等を行ってまいりたいというふうに思いますが、そうした個々の人々の暮らしに寄り添うという視点をぜひ重視しながらこれからの県政に取り組んでいきたいというふうに思っております。  以上です。       〔7番太田昌孝君登壇〕 ◆7番(太田昌孝 君)お答えをいただきました。視点を持つことで相当解決する部分も多いのではないかというふうに思います。どうかよろしくお願いをいたします。  次に、軽度、中等度の難聴児支援について伺います。  聴覚に障害を持つ児童は約1,000人に1人の割合で出生すると言われております。新生児難聴スクリーニングを行うことにより、難聴児が早期に診断されるようになりました。  こうした難聴児のうち、両側70デシベル以上の高度・重度難聴児につきましては、早期に補助器の装用を行い、言語発達を促す療育の対象となります。そして、これら高度・重度難聴児においては、自立支援法により身体障害者に該当するため補聴器購入において一定の補助を受けることができます。  しかし、70デシベルに満たない軽度・中等度難聴児においては、言語習得、コミュニケーション能力の獲得、情緒の安定のために補聴器が必要であるにもかかわらず、1台数万円からする補聴器を全額自己負担で購入することになります。  言語を習得する幼少時期に適切な補聴及び療育、教育を受けることができたかどうかがその後のコミュニケーション能力に決定的な影響を与えるとされ、軽度・中等度難聴児においては、難聴の程度が比較的軽いことにより、補聴器を用いることによって教育の効果が上がりやすく、より早い補聴器装用がより高い効果につながると言われております。  こうした軽度・中等度難聴児の補聴器購入に対して費用の一部を助成している岡山県等を視察をさせていただきましたが、岡山県においては、両耳の聴力レベルが30デシベル以上で身体障害者手帳の交付対象にはならない18歳未満の難聴児に対して購入費の3分の2を県下すべての市町村で補助されておりました。  長野県におきましても、こうした軽度・中等度難聴児の補聴器購入に対し費用の一部を助成していただけたらと考えますが、いかがでしょうか。健康福祉部長の御見解を伺います。  また、阿部知事には、これは仮称でありますが、障がいのある人も、ない人もともに安心して暮らせる条例の制定を目指されておられるなど、とりわけ障害者の権利を守ることに御理解を示しておられます。今回のケースのように、障害者施策のはざまともいうべき、これまで支援の手の届かなかった皆さんに対しどうか御支援をいただきたいと思いますが、知事の御所見を伺います。       〔健康福祉部長桑島昭文君登壇〕 ◎健康福祉部長(桑島昭文 君)軽度・中等度難聴児への補聴器購入の助成についてお尋ねをいただきました。  軽度、中等度の難聴児が補聴器を早期に装用することは、幼少時期の言語発達やその後のコミュニケーション能力の獲得に高い効果があるというふうに認識しております。一方、身体障害者手帳の交付が受けられる重度難聴児は障害者自立支援法による補装具費支給制度を利用し補聴器購入の助成を受けられるわけでございますけれども、議員御指摘のとおり、身体障害者手帳の交付が受けられない軽度、中等度の難聴児は現行制度では助成を受けられないという状況にございます。  そこで、本年、国に対しまして、関東甲信越地区の各県と共同で補装具費支給制度の対象となるよう要望しているところでございます。  今後は、国の障害者制度改革の動向を注視しながら、引き続き、国に対して補装具費支給対象の拡大を要望してまいりますとともに、県として、市町村と協力して、どのような支援が可能か検討してまいりたいというふうに考えてございます。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)障害者施策のはざまの方に対する支援というお尋ねでございます。  私も、選挙期間中、そして知事就任後も、さまざまな障害を持たれた方、それから御家族の皆さんの声を伺ってまいりました。今の現行制度上なかなか不十分である、あるいは制度の谷間になってしまっているという声をさまざま伺っております。  私は、障害者福祉施策を進めていきたいと思っておりますし、障害者の差別が禁止される条例の検討も行っていきたいと思っておりますが、その際にもできるだけ当事者の皆様方の声を十分反映したものにしていきたいというふうに思っております。  また、制度のはざま、これは、私が長野県で副知事を務めておりましたときも、当時、社会部と衛生部、分かれておりましたものですから、どうしてもそれぞれの部局の視点がやや違っているということもあって、副知事の立場で、そうした制度のはざまについてはなるべくしっかり目を向けるようにというふうに心がけさせていただいていたところであります。  私としては、制度の谷間というのは国が社会福祉の基本的な制度をつくっているから生じてしまう部分があるというふうに思いますので、まさにこうした点についてしっかりと向き合っていくことが地方自治体の責務だというふうに思っておりますので、そうしたスタンスでこれからも取り組んでまいりたいというふうに考えております。  以上です。       〔7番太田昌孝君登壇〕 ◆7番(太田昌孝 君)先ほどの買い物難民の件も、この中等度の聴覚障害者の件も、これまで障害者、高齢者にさまざま目は向けていただいてあったものの、視点としてはちょっとはざまにあったということ、今知事からもそういうお話をいただきました。ぜひとも、そういう視点を持っていただきまして、御支援いただきますようによろしくお願いをいたします。部長、市町村とよく連携をとって、市町村でも何とか応援いただけますようによろしくお願いをいたします。  さて、県内の小中学校で、2009年度、病気や経済的な理由以外で年間30日以上欠席したいわゆる不登校の児童生徒は1,000人当たり12.9人で全国で5番目ということ、小中学校別に見ますと、前年度全国1位だった小学生は0.8人減の4.2人で5位、5位だった中学生は2.6人減の29.6人で7位と、割合、全国順位ともに下がったとのことですが、まだまだ全国的にも高位にあり、さらなる対応を期待をしておるところでございます。  さて、不登校の問題、こうした数字だけの問題ではなくて、現実に苦しんでいる児童生徒といかに向き合うかが必要でございます。  不登校の保護者とお話をさせていただきました。例えば、保健の先生など、通常の学校の教育の観点とは違うところで子供のいやしになっている、相談相手になっているケースが多いように思います。あの先生がいる間は大丈夫と大変頼りにされている反面、他の業務もあることから大変な負担であると思います。  さて、県の制度の中で、学校の中にあって生徒に寄り添って指導いただける存在としてスクールカウンセラーがあります。今の配置状況ではいわゆる拠点校と言われる約半分の中学校に配置をされておりまして、そのスクールカウンセラーが近隣の中学校及び拠点校に対応している小学校の相談にも応じていただいております。このような方式だと、どうしても拠点校に対応していない小学校については日常的な相談者がいないというような状況になってしまうことになりまして、結果として児童や保護者の相談先は限定的なものとなっております。  そこで、伺います。  それぞれの学校の状況に応じて、拠点校を見直したり、あるいは対応する小学校を見直すなどの柔軟な対応が必要と思いますが、いかがでしょうか。  また、本来、日常的に相談に応じてくれる存在が学校の中にあることが重要と思いますので、スクールカウンセラーの拡大も必要と思いますが、今後の方針についてお聞かせください。  あわせて、もう一つ伺います。中学校における非免許の教員による授業の改善についてでございます。  この問題につきましては平成20年6月議会において取り上げさせていただいておりますが、その際、教育長より、非免許教員による授業を可能な限り少なくしていくよう考えている、その対策として非常勤講師の配置や教員の加配を挙げられております。非免許教員による授業の解消に向け、その後の取り組みの状況と明年に向けての方針等をお聞かせください。  以上、教育長に伺います。       〔教育長山口利幸君登壇〕 ◎教育長(山口利幸 君)スクールカウンセラーの配置に関するお尋ねでございます。
     児童生徒の心のケアという点でスクールカウンセラーの重要性を認識しておりまして、本年度、80の拠点中学校に配置し、小学校が203校、中学校は全校でございますが189校の相談に対応しているところでございます。  議員御指摘の拠点校に対応していない小学校も180校ございますけれども、緊急に対応が必要な場合には最寄りの拠点校のカウンセラーが対応することとしております。配置時間の大幅な増加は財政状況からして大変厳しいものがございますけれども、相談件数も増加しておりますので、来年度に向けましてより学校現場の状況に対応できるよう配置方法や配置時間の見直しを図る予定としてございます。また、国に対しては引き続き補助の拡大を強く要請してまいります。  次に、非免許教員による授業の解消に関するお尋ねでございます。  まず、教員数の少ない小規模校につきましては、複数免許を持った教員を人事異動で多く配置することを基本にしながら、専門性を要する美術や技術等の技能教科の非常勤講師を今年度36校に配置いたしました。  また、小規模校ではないものの、学級数と教員数の関係上非免許教員が生じやすい中学校には常勤講師21人を加配するとともに、21年度から指導時数が増加した理科につきましては新たに常勤講師を20校に配置したりするなど、非免許教員による授業の解消に努めております。  こうした取り組みによりまして、本年度の非免許教員は、議員に御質問いただきました平成20年度に比べまして22人減少し82人となっております。  来年度に向けましてもこうした取り組みを継続するとともに、新しい学習指導要領の実施に伴いまして指導時数が増加する理科や数学など5教科について教員の不足が生じないよう、採用を計画的に進めてまいります。  また、指導時数が少なくなる美術や技術等の技能教科の教員の複数校兼務と、こういった兼務配置につきましても研究をしてまいりたいと、こんなふうに考えております。       〔7番太田昌孝君登壇〕 ◆7番(太田昌孝 君)ともあれ、教育現場において、どこにあっても、いかなる状況にあっても同様の教育が受けられるというようなことが大事なんだろうというふうに思います。  取り上げさせていただいて以降取り組んでいただいていることを評価もさせていただきますし、さらにこの状況が進みますようによろしくお願いを申し上げまして、私からの質問とさせていただきます。ありがとうございました。 ○副議長(木下茂人 君)次に、甕裕一議員。       〔2番甕裕一君登壇〕 ◆2番(甕裕一 君)改革・緑新の甕でございます。それでは通告に基づきまして一般質問をさせていただきます。  まず1点目ですが、パーソナル・サポート・サービスについて御質問させていただきます。  国が実施するパーソナル・サポート・モデル事業に長野県が応募した件につきまして、このパーソナル・サポーターの選考基準と、どのような資格を持つ人材をサポーターとして考えているのか。  また、先日の一部新聞報道によりますとサポーターの配置は16人とありましたけれども、この報道内容が事実ということであれば、その16人という数の根拠について商工労働部長にお尋ねいたします。       〔商工労働部長黒田和彦君登壇〕 ◎商工労働部長(黒田和彦 君)ただいま甕議員からパーソナル・サポーターの資格等について御質問をちょうだいいたしました。  初めてパーソナル・サポーターについて御質問ちょうだいいたしましたので、少し丁寧に御説明させていただきますけれども、このパーソナル・サポート・サービス事業は、生活、それから就労、これに関しまして複数の問題を抱えておって、なおかつ本人の力だけでは自立することが難しい求職者、職を求めている方、こういった方に対しまして、当事者のニーズにあわせた個別的で継続的で制度横断的な支援、これを行うものでございまして、国がこの事業をモデル的に実施する地域の募集を行ったところでございます。  長野県では、長野県労働者福祉協議会、この協議会がこのモデル事業の実施に積極的に取り組む意向であった、そういうことから、この協議会を事業実施主体とした事業計画を策定いたしましてこのモデル事業に応募したものでございます。  まず、資格というお尋ねでございますが、国におきましてはパーソナル・サポーターとしての資格基準は特に定めてはおりません。ただ、パーソナル・サポート・サービスを担う人材としては、高い専門性、これを求められている、あるいは、生活、それから就労の支援に関する経験、それから各種支援制度の実務に係る知見、そういったものを有する方がふさわしいだろうというふうに考えております。  それから、もう一つ、配置人員でございます。  今回の計画では、パーソナル・サポーターを統括するチーフのパーソナル・サポーター、これが1人おります。それから、そのもとにパーソナル・サポーターを4人置きます。そして、この4人のパーソナル・サポーターそれぞれにアシスタント・パーソナル・サポーター2人、合計3人で構成いたします四つのチームを組んでサポートするということを想定してございます。そうしますと13人でありますけれども、このほか事務スタッフ3人、これを含めまして合計16人というスタッフで取り組もうというところでございます。  この計画が国において採択されますれば、実施に向けて連携する関係機関等と具体的な調整協議、これを行いまして、詳細について詰めてまいりたいというふうに考えております。  以上です。       〔2番甕裕一君登壇〕 ◆2番(甕裕一 君)大変御丁寧な御説明、ありがとうございます。この事業は内閣府の湯浅誠参与がかかわっているもので、年越し派遣村の村長で有名なあの湯浅参与がかかわっているということと、また、御説明のとおりに県内では労働者福祉協議会が応募を要求しているということから失業者対策と考えられがちではあるんですけど、障害者やあるいはまた障害者手帳を持たないうつ病の方などもサービスの対象となると聞いております。  ただ、障害者の方々は、就職が決まった後でも、一定の期間、軌道に乗るまでは時間がかかってしまうというものなんですが、障害者のサポート期間はどの程度受けられるものなのでしょうか。また、外国人労働者はサービスの対象に含まれるのか。商工労働部長にお伺いいたします。       〔商工労働部長黒田和彦君登壇〕 ◎商工労働部長(黒田和彦 君)パーソナル・サポート期間と、それから対象者についての御質問でございます。  パーソナル・サポート・サービス事業の実施に当たりましては、支援の開始時に支援対象者の方とそれからパーソナル・サポーターとよく相談した上で、こういったものを決めております。一つが最終目標、それからもう一つは、それを実現するための支援の期間、それから支援期間中の、いろんな段階があるわけでございますので、各段階における中間目標、さらには支援対象者御自身の活動、それから支援内容、そういったものについて支援計画を策定するということとされております。  議員御指摘のように障害者の方は特にさまざまな形態がございますので、サポート期間というのはしたがいまして個々になる、個々に異なるということになるものというふうに考えております。  また、外国人はどうかというお尋ねですが、支援対象者につきましては外国人ということで除かれるものではないというふうに考えております。  以上です。       〔2番甕裕一君登壇〕 ◆2番(甕裕一 君)ありがとうございました。私の地元では、安曇養護学校の生徒さんが、せっかく養護学校で技能を身につけても卒業後になかなかそれを生かせる場所がないという話をよく聞きます。障害者にも実情に合ったサービスが受けられるようにこれからも御配慮をお願いしたいと思います。  なお、このパーソナル・サポート・サービスは知事の公約の一つでもあったと認識しておりますけれども、御自身の思いもかなり詰まっていることと思いますが、国のモデル事業の終了後の県の取り組みにつきましてどのようにお考えになっていらっしゃるのか。国が負担した費用を引き続き県が負担してくれるものなのか。先日の会見の内容と若干重複しますけれども、知事の御所見をお尋ねいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)パーソナル・サポート・サービス、これは私の公約の中にも入れさせていただいておりますし、先ほど御質問の中にもありました湯浅誠さんとも一緒になって、横浜市、私は行政刷新会議におりましたし、湯浅さんは当時内閣府参与、今もまた参与に戻られていますけれども、同じ内閣府にいたということで、どこか具体的に新しい公共の実験的な取り組みができないかということで、横浜を拠点に、NPOの皆さん方も含めて、神奈川県、そして横浜市の職員も一緒になって夜な夜な議論したというものであります。当時の思いがそのまま国の制度になかなかなっていない部分も率直に言ってあるんじゃないかなというふうに思いますが、基本的な考え方は形になってきているんじゃないかというふうに思います。  この制度の私の思いは、一つは、行政の縦割り、変えなければいけないと。本当に困っている人たちに対して、生活保護はあっちへ行ってください、資金の貸し付けはこっち行ってくださいと。そういうことでは本当に満足いただけるサービスにならないと思っておりますし、それから、民間、NPOの皆さんと行政が本当に垣根を越えて協力しなければしっかりしたサポート体制はできないと。そういう思いも込めて議論しておりました。  ですから、長野県においても、実現、実行するに当たっては、そうした観点をぜひしっかりと持って取り組んでいきたいというふうに思っております。  モデル事業終了後、どうするんだというお尋ねでございます。  これは平成23年度までの実施期間ということになっておりますので、まずは採択されれば十分成果が上がるような取り組みを、長野県としても、それからモデル事業を実施するほかの地域でも行うということが重要だと思っております。その上で、国においてこの結果を踏まえた制度化の検討がされるものというふうに思っておりますので、これは、ぜひ国において、冒頭申し上げたような思いもしっかりと形にしてもらいながら地域に根づく制度になっていくように期待しておりますし、また県としてもそのように強く求めてまいりたいというふうに思っております。  以上です。       〔2番甕裕一君登壇〕 ◆2番(甕裕一 君)ありがとうございました。このサービスはクライアントにあわせた支援策が得られるということですので、ぜひとも幅広いサービスを県民が受けられるように、また短期間で終わらないような御配慮をお願いしたいと思います。  続きまして、高齢者の財産管理について御質問いたします。  現在、県内に119カ所ある地域包括支援センターの利用状況につきまして健康福祉部長にお尋ねします。  また、日本では、現在、個人の金融資産の約8割を50歳以上の方が占めているという反面、認知症などで判断力の衰えた高齢者の5人に1人が悪徳商法などの財産被害を受けているという現状があります。高額な着物や布団を買わされたりとか、必要のないリフォームをさせられたりという話をよく耳にしますが、その対策として、導入からことしでちょうど10年目になるんですが、現在においても外国と比べて利用度の低い成年後見制度を積極的に活用するべきと思われるんですが、その啓発についてはどのようにお考えになっているのでしょうか。あわせて健康福祉部長にお尋ねいたします。       〔健康福祉部長桑島昭文君登壇〕 ◎健康福祉部長(桑島昭文 君)高齢者の財産管理についてお尋ねをいただきました。  高齢者の各種相談の総合的な窓口となる地域包括支援センターにおける、平成20年度の成年後見人及び高齢者虐待を含んででございますけれども、権利擁護に関する相談件数が5,078件となってございます。センターでは多くの相談に応じてございますけれども、21年度に新規に成年後見制度の申し立てに至った件数としては、そのうちではちょっとないわけでございますけれども、367件ということになってございます。  成年後見人制度の利用が進まない原因については、一つとして、裁判所の厳格な審判に当たりまして手続が非常に複雑であること、それから後見人になる人の確保がなかなか難しいということ、それから鑑定等申請の申し立ての費用が非常に負担が大きいというようなことなどに加えまして、議員から御指摘をちょうだいいたしましたとおり制度の周知が不足しているというようなことも一つ大きな要因として考えられると思います。  このため、県では、地域包括支援センターと連携を図りながら、成年後見を必要とする方への支援と制度の普及啓発に特化した成年後見支援センターの設置を各圏域で進めてございます。今年度に長野市に設置をいたしました。それを初めといたしまして、松本、上伊那、佐久、上小の各圏域にもセンターを設置をすることを検討してございます。  それから、あわせまして、県内では、司法書士会ですとか、あるいは社会福祉士会等の成年後見関係団体が、住民や支援関係者を対象としたフォーラムや相談会等、制度の普及啓発に関する活動を行ってございまして、県としても協力を行っているところでございます。  今後とも、成年後見制度がさらに利用しやすい制度となりますよう国へ要望してまいるとともに、関係機関や成年後見関係団体との連携を密にし、制度の周知を図ってまいりたいというふうに考えてございます。  以上でございます。       〔2番甕裕一君登壇〕 ◆2番(甕裕一 君)確かに、手続が煩雑であったりとか、かなりの費用負担が発生するという、いろいろな問題はあるかと思いますが、ただ、この成年後見制度には、法定の後見制度以外にも、元気なうちから登録ができる任意後見制度というものなどもありますし、また、行政の効率を上げるためにも積極的でよりわかりやすい啓発を望みまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。  続きまして、ふるさと納税についてお伺いいたします。  平成20年度に始まりました、納税者が選んだ自治体に納税できるふるさと納税ですが、厳密に言いますとシステム的には寄附金控除になる制度なんですが、このふるさと納税の直近の長野県と県内市町村への納付件数と納付額をお伺いいたします。総務部長、よろしくお願いします。       〔総務部長小池茂見君登壇〕 ◎総務部長(小池茂見 君)ふるさと納税の実績に関する御質問でございます。  本県では、ふるさと信州寄附金としまして、今年度、これまで、これは11月末でございますけれども、法人の方、個人合わせまして16件、390万円余の御寄附をいただいているところでございます。この制度が始まりました平成20年1月1日以降の合計でいきますと、199件、1,508万余円の御寄附をちょうだいしたところでございます。  県内の市町村への寄附金額でございますけれども、これは、平成20年の1月1日から平成21年の12月末までの数値でいきますと、市町村の合計でいきますと、3,543件、5億8,359万5,000円というふうになっているところでございます。  以上でございます。       〔2番甕裕一君登壇〕 ◆2番(甕裕一 君)県のほうでもホームページなどで寄附金の募集の告知を出しておりまして、一定の努力はされていることと認識してはおりますが、ただいまお聞きしたように市町村との金額に大分開きがあると思われます。このふるさと納税という制度は非常に賛否の分かれるシステムで、全国的にも都道府県知事や市町村長の取り組み姿勢によってかなり納付額に差が出ている現状があります。  初年度のデータですが、大阪府では406件で5,389万円、また埼玉県では209件で1,458万円と、導入前は大都市にとって不利なシステムと言われていましたけれども、必ずしもそのような結果にはなっていないようです。大阪の橋下知事がふるさと納税に対してかなり熱心であったりと、首長の姿勢によって差が出ている現状があると思います。  前回9月定例会の一般質問におきまして私が長期的な財政ビジョンを知事にお尋ねしましたところ、将来的には、国からの補助金に依存することなく、地域の自主財源と一般財源がよりふえる方向で国とも対峙してまいりたいと、そういった御答弁をいただきました。  地域の自主財源の確保の選択肢の一つとしてふるさと納税を活用される意思があるのか。また、現在までのところ、ふるさと納税について知事が言及されたことは余りなかったと認識しておりますが、この制度に対する考えとあわせて知事の御所見をお伺いいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)ふるさと納税に関しての御質問でございます。  ふるさと納税、これはいろいろ議論ありましたけれども、地方の財源不足の解消といった側面を持ちつつも、ふるさとに対し貢献、応援したいという納税者の思いを税制上実現する観点から導入されたものであります。県税収入が減少している中で、非常に財源としては貴重なものというふうに思っております。10月の24日に日比谷公会堂で長野県人会連合会の22年度秋季大会ございましたが、その際に、私も出席して、ふるさと信州寄附金についてもPRをさせていただきました。  ただ、甕議員御紹介ありましたように、他県との比較で見ると私は非常に取り組みが弱いなというふうに率直に言って思っています。大阪府、21年度、1,000件以上の寄附件数で1億円以上でありますし、私が昨年までおりました神奈川県も、1,200件以上、5,500万円。ふるさと納税、議論していたときはむしろ大都市から地方へ財源移転すべきだということでやっていたのに、これでは逆じゃないかと正直言って私は思っております。地方によっても頑張っているところは、石川県なんかは昨年は1,000件を超えている寄附件数でございますし、かなり地域によってばらつきがあるなというのが正直な思いです。  そうした中で、私は、長野県を中からも外からも眺めていて、この程度の寄附しか集まらない県ではないだろうと正直言って思っております。  そうした観点で、私は、これからも、これは総務部税務課だけが頑張っている話ではいけないと思いますので、あちこち出かける各部の職員がいるわけですから、そうした全庁を挙げてこのふるさと信州寄附金の取り組みを広めていきたいと。また、全国に長野県人会、いろんなところにあります。私も横浜長野県人会に何度も参加をさせてもらいましたが、残念ながら、そこでこの話題は上っていなかったというふうに思っていますので、そうした場も使ってどんどん広めていくような取り組みを行っていきたいというふうに思います。  これは、長野県をふるさとというふうにされている方だけではなくて、長野県を応援しようという方に対する働きかけということも重要だと思っておりますので、ぜひより多くの寄附をお寄せいただけるようにまずは工夫をしていきたいと思いますし、私自身も率先して取り組んでまいりたいというふうに思います。  以上です。       〔2番甕裕一君登壇〕 ◆2番(甕裕一 君)ありがとうございました。ぜひとも、知事には長野県のトップセールスとして頑張っていただきたいと思います。  また、東京事務所と連携して首都圏に寄附金のPR窓口をつくるとか、それから、知事もおっしゃるように、特にふるさとと関係ない方でも構いませんので、デスティネーションキャンペーンの期間中などに観光客に寄附金をPRするなどといった積極的な活用を御提案申し上げたいと思います。  続きまして、観光振興について御質問いたします。  10月から始まりました信州デスティネーションキャンペーンは観光客が県全体で12%ふえておおむね良好であるということは昨日の一般質問の中で伺いましたが、観光客の年代とか、県内の地域ごとの観光客数とか、あるいは県外のどの方面からの来客が多いかなど、具体的にどのような分析をされていらっしゃるのか。観光部長にお伺いいたします。       〔観光部長久保田篤君登壇〕 ◎観光部長(久保田篤 君)デスティネーションキャンペーンにおける旅行者の属性といいますか、それに関する質問でございます。  現在、長野県の観光地利用者数の統計は県内全部では288カ所の合計で把握するわけですけれども、今回はキャンペーンの状況をできるだけ早期に把握するために県内の主な観光地や観光施設22カ所を抽出しまして実施したところであります。  観光地利用者数の分析ということでございますけれども、現在、県内12カ所の観光地におきまして、住所、年齢、今回の旅行の費用、日帰りか宿泊か、どこから来てどこへ行くかというような12項目につきまして、1カ所当たり250名、12カ所ございますので全体で3,000名のお客様から直接聞き取りを行う調査をこの10月から11月に実施いたしました。この調査結果は、キャンペーン期間の10月から12月までの観光地利用者数の速報値とあわせまして分析して、来年の3月には公表したいと考えておりますけれども、現時点におきましては調査中でございますのでその傾向については明言することはできません。  以上です。       〔2番甕裕一君登壇〕 ◆2番(甕裕一 君)なかなかわかりづらいデータかとは思いますが、JRなり高速道路会社がある程度把握しているものと思いますので、また今後は交通事業者とも連携されて、来年度も同様のキャンペーンを企画しているとお聞きしておりますので、次につながるような検証をお願いいたします。  観光振興についてもう1点お伺いします。  NHKの連続テレビ小説「おひさま」というのが来年の3月末から放映されますが、舞台となりました安曇野市と松本市では市町村の枠を超えた誘客の動きがありますが、県として来年からの連ドラに対して何か御支援を考えていらっしゃるのか。観光部長にお尋ねします。       〔観光部長久保田篤君登壇〕 ◎観光部長(久保田篤 君)NHKの連続ドラマ小説「おひさま」に関係する質問でございますけれども、平成19年のNHKの大河ドラマ「風林火山」を例に挙げるまでもなく、テレビの放映が全国の視聴者の観光行動に及ぼす影響というものは大変大きなものがあります。今回、安曇野市や松本市を中心に、「おひさま」のドラマの舞台という共通のテーマで関係市町村が広域的に連携し観光誘客に取り組むことは、全国的に注目度の高い情報発信が可能になりますので、松本、安曇野地域はもちろんのこと、県全体での周遊、宿泊滞在の促進につながることが大いに期待されるわけであります。  県の支援につきましては、既にこれまでに地元の自治体からも要請をいただいておりますし、また地元市町村の広域的で主体的な取り組みへの動きもありますので、今後そこに県も参加する形で一緒になって取り組んでまいりたいと考えております。  以上です。       〔2番甕裕一君登壇〕 ◆2番(甕裕一 君)県としてどのような支援を考えていらっしゃるのか。何か具体的に御紹介いただけるものはないんでしょうか。再度お伺いいたします。
          〔観光部長久保田篤君登壇〕 ◎観光部長(久保田篤 君)具体的な支援内容ということでございますけれども、地元の組織に参加することになりますと、参加者としての一定の負担ということも考えられましょうし、また、その一員として県外にPRをする場合には「おひさま」に関するものをやっていくと、こういうようなことが考えられるわけでございまして、予算面につきましては来年度予算の編成の中で検討をしてまいりたいと考えております。  以上です。       〔2番甕裕一君登壇〕 ◆2番(甕裕一 君)ぜひとも予算の面の御配慮を御期待申し上げます。  なお、余談ではありますが、私自身がエキストラの登録をしたと前回お伝えさせていただきましたが、その後は、厳正な審査の結果、落選しましたことを御報告いたします。  私の話は置いておきまして、地元ではかなりの盛り上がりを見せております。若尾文子さんや主演の井上何がしとかいう女優が撮影に来ておりまして、非常に盛り上がっております。  また、先ほどのふるさと納税の話になりますが、他県の例を言いますと、鹿児島県では大河ドラマの「篤姫」効果でかなり寄附金がそのときはふえたというふうにお聞きしておりますので、そんな事例もありますので、県全体としても千載一遇のチャンスというふうに思いますので、ぜひ来年の今ごろは「おひさま」が流行語にノミネートされていることを願いつつ、時間が来ましたので私の質問を終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。 ○副議長(木下茂人 君)次に、村上淳議員。       〔29番村上淳君登壇〕 ◆29番(村上淳 君)県民クラブ・公明の村上淳でございます。まず、本県の地域医療の促進についてお聞きをいたします。  本年度は、第5次長野県保健医療計画並びにがん対策推進計画、食育推進計画とそろって3年目を迎えておりまして、実績を重ねていく年でもあります。県内10医療圏の医療体制は、県民が等しく、いつでも、どこでも、だれでも、どの診療科でも医療が受けられることが今求められております。  本県の医療の現況につきましては、県の健康福祉部が努力しているにもかかわらず、相変わらず医師不足、看護師不足の状況でして、余り改善されることのない過疎地域の医療レベルは毎年レベルダウンを余儀なくされているわけでございます。  医療過疎による医療難民の増加は県民の命の重たさにも格差を与えております。ドクターヘリの中南信地域への導入計画はせめてもの救いですが、木曽病院など僻地・過疎病院は今後の医療サービスを考えると大変深刻な状況です。  そこで、これらの厳しい状況を打開するために、本年4月より木曽病院を含む県立5病院は地方独立行政法人化を果たしました。5病院が連携し、機能を高め、医師不足、看護師不足に対応できる中期計画は、スタート当時には地域から期待される構想であり、住民が大きな期待を寄せたわけです。半年経過し、住民の期待はますます大きくなるものがございますが、果たして現況はどうでしょうか。どんな変化がこの半年間あったでしょうか。健康福祉部長の御所見をお願いいたします。  さて、木曽地域における医療ですが、唯一、県立木曽病院が木曽郡民3万人の命を支えております。木曽地域では唯一の有床病院であり、まさに地域完結型です。11年連続の黒字経営を持続し、全国の公立病院の優等生とも言え、経営面では模範とするべき公立病院とも言えます。住民にとって自慢のできる病院であります。  しかしながら、今、この病院体制が崩れつつあることが心配であります。医師不足、看護師不足が深刻過ぎ、脳外科医5年間不在である中に、常勤医師7名の不足、そして看護師に至っては20名不足ということで大変厳しい現況が続いているわけでございます。  木曽病院の現況を心配し、木曽に住む住民が、本年、木曽病院・木曽の医療を守る会を発足しています。井口利夫会長は、まず木曽の住民が木曽病院の現況を知り、そして住民の手で病院を支援していこうとしております。木曽病院は、独立行政法人化することにより、よい方向に進むかどうか今正念場を迎えようとしております。健康福祉部長には現況と課題についての御認識をお願いいたします。  また、知事には、地域医療について、特に医師不足、看護師不足の問題にどんな御認識をお持ちか。お尋ねいたします。       〔健康福祉部長桑島昭文君登壇〕 ◎健康福祉部長(桑島昭文 君)県立病院の現状等についてお尋ねをいただきました。  県立病院機構は、県が示した中期目標の達成のため、須坂病院への内視鏡センターの開設など医療機能の充実、それから研修センターの開設など人材の育成確保などにさまざま取り組ませていただいてございます。中でも、地方独立行政法人化によりまして公務員の定数管理という制約はなくなりましたので、医療サービスの提供に必要な人材の確保に向けた採用活動を強化をしてございます。  しかしながら、医師や看護師は御案内のとおり全国的に人材難でございまして、県立病院におきましても人材の確保が最大の課題ということになってございます。  こうした状況を踏まえまして、県立病院機構では、医師や看護師業務の見直しを進めまして、医療クラークなど他の職種で対応可能な業務については役割を分担させるなど、病院全体で医療サービスの水準を維持できるような取り組みも実施しているところでございます。  県立病院機構が発足して8カ月でございますけれども、中期目標で指示した医療サービスの提供には人材確保が何よりも大切だというふうに考えておりますので、今後、機構が中期目標や年度計画を実施していく上で人材確保についての的確な取り組みがなされるよう注視していくとともに、県としても必要な支援をしてまいりたいと思ってございます。  次に、木曽病院の現状と課題についてでございます。  木曽病院につきましては、中期目標で、木曽地域唯一の病院として地域を支える医療サービスを提供することを県立病院機構に指示してございまして、これに対して、木曽病院は、地域に安心で質の高い医療を提供するため医療機能の充実などに努めているところでございます。しかし、医療機能の充実に必要な人材確保が木曽病院においても非常に大きな課題というふうに、先ほど議員の御指摘のとおりでございます。  このため、理事長や院長を先頭に医師の確保に努めてございまして、さらに、県立病院間での連携を推進し、医師の相互派遣の取り組みも進めていく方針であることも承知してございます。  また、看護師においても、随時採用の実施、それから看護師養成学校への訪問強化、それから看護学生に対する修学資金貸与制度の創設を図るなど確保に全力を挙げて取り組んでおりまして、成果が一部出始めているようでございますけれども、本格的な人材確保には時間を要しますので、他職種の応援体制を初め、今まで以上に創意工夫が必要となってまいります。  病院を守る地域の取り組みも大きな力となりますので、引き続き御支援をお願い申し上げますとともに、県といたしましても、ドクターバンクあるいはナースセンターなどの運営、それから看護学生病院就職ガイダンス事業を通じまして人材確保について支援してまいりたいというふうに考えてございます。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)医師不足、看護師不足に関する認識というお尋ねでございます。  本当に県民の皆様方が地域で安心して暮らしていっていただくためには、医療の体制整備、とりわけその担い手である医師の皆様、看護師の皆様方、しっかり充足をされているということが本来は必要だというふうに思っております。  しかしながら、医師不足、これは全国的な課題になっているという状況でございまして、ことし6月の厚生労働省が行った調査によりましても長野県の必要医師数485人ということで大変厳しい、本来の充足数からするとまだまだ不足しているという状況にあります。  県としても、これまでさまざまな取り組みをしてきておりますけれども、関係機関と連携して、一人でも多くの医師が長野県に定着して、あるいは県外から長野県に来ていただけるような環境をつくっていきたいと思います。  看護職員につきましては、平成20年末現在、県内で約2万4,500人の方が就業をされておりますが、第7次の看護職員需給見通しでは23年末に約700名の不足が生じるという形で予測をしております。医療需要の増大でありますとか7対1看護基準による手厚い看護体制の浸透ということで、看護師の皆様方もまだまだ不足しているという現状がございます。  医師、それから看護職員の確保、医療従事者の確保につきましては、地域医療を支えるという人材として不可欠な皆さんでありますので、これからも県として全力を挙げてその確保に取り組んでまいりたいと考えております。  以上です。       〔29番村上淳君登壇〕 ◆29番(村上淳 君)まだ独法化はスタートしたばかりではありますけれども、独法化してよかったと思えるような環境をぜひつくっていただきたいと思っています。  さて、長野県木曽看護専門学校のあり方について県でも今議論をしているところですけれども、この学校は2年制の制度で、既に准看護師を取得されている方が木曽病院での実施研修を経て正看護師としての資格を取得後、本来なら木曽病院、あるいは県内で働くことを考えるのが普通のコースですけれども、木曽病院に残る看護師は毎年ほとんどいないということで、常識で考えるとまさに異常な状況です。  2年制でございまして、伊那や岡谷からも多くの生徒さんが通っていらっしゃいます。かつて県立木曽高校にあった3年制科の衛生看護科は既になくなり、木曽での看護師を集める手段が低下したことは残念ながら事実です。木曽地域での看護師が確実に減っている要因です。現在でも定員130名必要な看護師が20名不足しており、既に限界に来ているということを病院長が言っております。  本年2月の私の県議会の代表質問の中でも健康福祉部長にお聞きをしましたが、その後、どう部局内で検討され、進展されたのでしょうか。健康福祉部長の御答弁をお願いいたします。       〔健康福祉部長桑島昭文君登壇〕 ◎健康福祉部長(桑島昭文 君)木曽看護専門学校のあり方に関する検討についてお尋ねをいただきました。  2月県会の村上議員の御質問に対して、校舎の耐震強度不足が判明しており、学校の今後のあり方についてできるだけ早く検討を進めるとお答えを申し上げたところでございます。  検討に当たりまして、医療関係者、それから地元自治体等の御意見をお聞きする木曽看護専門学校運営等検討会を本年の8月に立ち上げさせていただきました。これまで2回の検討会を開催し、校舎の耐震強度不足については、築40年以上を経過した現校舎の耐震補強工事ではなく、木曽町内の遊休県有施設を活用してはどうかとの御提案をいただきまして、現在検討を進めております。  また、現行の2年課程については、中南信地区の准看護師養成施設を卒業し看護師を目指す方々のために当面の間は維持すべきではないかとの御意見もいただいてございます。その一方で、2月に議員から御提案ございました3年課程の導入につきましては、県立附属病院として3年課程の看護師養成を行ってはどうかとの御意見もございました。  これらの御意見を踏まえ、仮に3年課程を導入するとすれば、運営主体については、現在の県営のままでよいのか、あるいは県立病院の附属とするのがよいのか、さらには18歳人口の減少、それから大学進学志向の高まりといった社会情勢の変化を踏まえ、多面的な検討が必要であるというふうに思ってございます。  課程の変更に当たりましては、教員確保、それから施設整備、それから運営費の精査など検討すべき課題も多々ございますので、運営等検討会の中において精力的に検討いただき、よりよい木曽看護専門学校のあり方を早急に見出してまいりたいというふうに考えてございます。  以上でございます。       〔29番村上淳君登壇〕 ◆29番(村上淳 君)木曽病院の医師不足、看護師不足、特に看護師不足を解消するためには以前からございました3年制科の増設をぜひしていただきたいということで、よろしくお願いいたします。この件につきましては木曽郡民の願いでもあり、本当に木曽病院しかない地域でありますので御理解をお願いいたしたいと思います。  続きまして、県産材の利用促進についてお聞きをいたします。  本県は林業県でもあり、また環境県でもあります。県土の8割を占める森林は、治山、治水を初め、地球温暖化防止、木材の供給など多くの役割を果たしておりますが、一方、県産材の利用が叫ばれて久しい割には一向に県産材の需要が伸びないのが現況であります。木材価格も大変低迷をしておりまして、県産材の価格は過去にないくらい低い価格です。県内の新設住宅着工戸数も、平成18年には実に1万8,000戸あったわけですが昨年は1万1,000戸ということで、この4年間の間に7,000戸も減少しておりまして、木材産業は今危機的な状況であるわけです。  本県は、平成16年10月に長野県ふるさとの森林づくり条例を制定し、森林づくりの指針が策定され、信州の森林づくりアクションプランに基づいて間伐施策が進められております。また、このたび、県は、100年先の本県の理想的な山づくりを目指す目的である長野県森林づくり指針を発表し、来年の4月から10年間にわたり、本格的な山づくり、林産業を育成していく計画であります。  国では、10年後の木材自給率が現在の24%から50%を目標とする森林・林業再生プランを策定しており、また、本年5月には、国産材需要の打開策として、低層の公共建物は原則としてすべて木造化を図ることを基本方針とした公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律を公布し、10月1日より施行をされております。木材産業にとって追い風になることを願うばかりでございますが、そこで、県知事には、県内の木材産業の現況と育成について、そして、本県が現在導入しています長野県森林づくり県民税の現況と今後の継続を含めてどんなお考えか。御所見をお願いいたします。  また、林務部長には、県の林務、林政の現況と国の進めている木材・林産業施策についてどんな御所見を持っているのか。お聞きをしたいと思います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)森林づくり県民税に関してのお尋ねでございます。  まず、長野県は森林県でございます。森林、公益的な機能、それから産業としての機能あるわけであります。いずれも、これから県としてしっかりと支え、あるいは対応していかなければいけない分野だというふうに思っております。  森林づくり県民税の導入によりまして、間伐の実施に加えまして、間伐材を安定的に利用する仕組みづくりやあるいは木質バイオマス利用によるCO2削減量を評価するシステムの構築などに取り組んで県産材の利用を進めてまいっているところであります。  現在の森林づくり県民税、平成24年度までが期限ということになっておりますが、その間に、森林の整備、県産材の利用促進に向け、この税、超過課税をしているという趣旨をしっかりと認識して、着実な成果を上げられるように取り組んでまいりたいと考えております。  その後の対応につきましては、これまでの成果を十分検証するとともに、県議会の皆様方、そして県民の皆様方の御意見を十分にお伺いしながら検討してまいりたいと考えております。  以上です。       〔林務部長久米義輝君登壇〕 ◎林務部長(久米義輝 君)国の進めている木材・林産業施策についてどんな所見を持っているかというお尋ねでございます。  国が策定いたしました森林・林業再生プランや公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律につきましては、充実する県内の森林資源の利用拡大に向け大きな弾みになるものと県としても期待を寄せているところでございます。  このため、このたび新たに策定いたしました長野県森林づくり指針では、これら国の方針との整合も考慮の上、特に木材・林産業施策に関しましては「木を活かした力強い産業づくり」として柱立てをし、競争力のある県内の林業、木材産業の構築と県産材需要の拡大を目指すこととしております。  なお、国の森林・林業再生プランでは山村振興など地域づくりに関する記述が比較的少ないところでございますが、健全な森林の整備や林業、木材産業の振興には地域社会の維持という観点が欠かせないことから、県の新たな指針では「森林を支える豊かな地域づくり」についても柱の一つに据えまして、地域の活性化を図りつつ関連産業の振興を推進していくこととしております。  以上でございます。       〔29番村上淳君登壇〕 ◆29番(村上淳 君)そこで、現在、本県は、間伐材のうち80%が山に切り捨てられている、いわゆる切り捨て間伐を行っておりますけれども、林務部長にはそもそも切り捨て間伐についてどんなお考えがあるのか。それは、補助金が足りないので山に残してあるのかどうか。大変危険な状況だと思いますけれども、そのお考えについてよろしくお願いいたします。  本県につきましては搬出間伐をこれから積極的に進めていこうということでして、国としましても、搬出間伐には予算をつけるけれども、いわゆる切り捨て間伐にはこれから予算をつけないという方向を出しておりますが、その点について林務部長の御所見をお願いいたします。  また、針広混交林の中で、針葉樹は建築材等使い道があるんですが、広葉樹については一体何を目的とするのか。家具等の使い道はあるわけですが、根本的な利用方法について今後考える必要があるかと思いますが、林務部長の御所見をお願いいたします。       〔林務部長久米義輝君登壇〕 ◎林務部長(久米義輝 君)切り捨て間伐についてのお尋ねでございますが、間伐は、材の搬出の有無にかかわらず、健全な森林を育成するために必要不可欠な施業でありますことから、コスト面等で搬出ができない森林におきましては切り捨て間伐を実施しなければならないと認識をしております。  しかしながら、森林資源が充実してきておりますことから、今後におきましては、できる限り搬出間伐に移行し、資源の有効活用を図ることが重要であるというふうに考えております。  次に、国の制度変更に伴う搬出間伐への転換についてのお尋ねでございますが、新たな森林づくり指針におきまして、間伐対象地を集約化し、作業道などの路網を整備するとともに、高性能林業機械を活用するなどの取り組みを一層強化することにより搬出コストの低減を図り、間伐材の搬出が進むよう努めていくことにしております。  あわせまして、切り捨て間伐を行わざるを得ない箇所につきましても、間伐が進むよう工夫することによりまして健全な森林の育成に努めてまいります。  それから、広葉樹の利用方法についてのお尋ねでございます。  近年、地球温暖化防止や循環型社会への関心が高まる中、木質バイオマスへの利用が拡大するなど、地域の循環資源としての広葉樹の価値が見直される機運が高まっております。こうした中、長野県林業総合センターが行った各種の広葉樹の乾燥・加工試験を通じて得られた結果を生かしまして、ニセアカシアのフローリングなどが製品開発され、販売されているといった事例がございます。  今後は、新たな森林づくり指針に基づきまして、広葉樹を木材資源としても活用するために、先進的な事例の検証を進めながら、広葉樹林の育成技術の確立や、家具材や建築用材、さらには木材チップ用などへの需要拡大を図ってまいりたいと考えております。  以上です。       〔29番村上淳君登壇〕 ◆29番(村上淳 君)ぜひとも広葉樹の使い方についてしっかりとまた林業センター等で研究をしていただきたいなと思います。  さて、きょうは、過疎地域の医療・福祉問題、あるいは林産業についての御質問をさせていただきましたが、待ったなしの状況が今続いております。過疎地域は、買い物難民、医療難民等、本当に厳しい難民がふえてきたような気がいたしております。ぜひとも、そういったことに対しましても知事の過疎地域に対する御認識を新たにしてほしいということを願いながら、本日の質問とさせていただきます。御清聴、ありがとうございました。 ○副議長(木下茂人 君)次に、小島康晴議員。       〔11番小島康晴君登壇〕 ◆11番(小島康晴 君)改革・緑新、飯田市選出の小島康晴でございます。4点にわたって質問させていただきます。  何事も臨機応変ということは大切ですけれど、一歩間違えますと行き当たりばったりということになりかねません。紙一重と思います。そうならないためにこそ、行政においては、中期計画とか基本計画とか、いわゆる計画行政というものがあるものと思われます。  後の議論の大前提として私の考えを述べますと、多少の状況の変化には動じない、20年とかあるいは30年先を見通したビジョン、長野県のあるべき姿、基本構想をしっかりと打ち立てて、それを踏まえた5年とかあるいは10年の中期計画、長期計画をつくる。そして、それを実現する政策目標や主な施策を定め、さらに、それに連なる事務事業を取捨選択して決める。どのような日常の事務事業もあだやおろそかにされず、すべてが基本計画につながって、結果としてそれぞれの分野の県民の生活が第一の県政につながる。めり張りを持って業務が推進され、計画、実行、評価、改善のいわゆるPDCAサイクルを繰り返し、改革、改善のらせん階段をみんなで力を合わせて上がっていき、あすの長野県をつくっていく。それが計画行政とそれを支える行政評価の仕組みであると私は考えております。  そう申し上げた上で、今回の補正予算で新たな総合5カ年計画を策定するとの提案について伺います。  まず、入り口論というか手続論といたしまして伺いますが、長野県基本計画の議決等に関する条例第2条では、基本計画の策定、変更または廃止は議会の議決すべき事件とするとしています。今回、5カ年の計画を1年切り上げて4年にする、いわば打ち切るということは、この変更はこの条項に該当しないのか。議会や県民に対する手続はどのように考え、取り組んでいくのか。企画部長に伺います。       〔企画部長望月孝光君登壇〕 ◎企画部長(望月孝光 君)新たな総合5カ年計画の策定と基本計画の議決条例の関係等についてのお尋ねでございます。  このたび、平成24年度を初年度とする新たな総合5カ年計画を策定ということで今議会にも準備のための経費をお願いしているところでございますけれども、24年度を初年度とする新計画ができた場合には現行の中期総合計画は一応平成23年度末で終了というふうに考えておるわけでございます。  議員御指摘の長野県基本計画の議決等に関する条例第2条の規定の適用につきましては、新計画の策定と、これに伴う現行の中期総合計画の廃止にかかわる議案、この双方を議決事件として同規定に基づいて県議会に提案していくことになろうかと、このように考えております。  新たな計画の策定につきましては、総合計画審議会が中心となりまして、今後、県民の皆様や県議会などから広く御意見をちょうだいしながら進めてまいると、こんな方向でございますけれども、この条例の手続上のお話をいたしますと、議決条例第4条の規定によりまして、ある程度の新計画の概要ができますればその時点で県議会に報告いたしまして、あわせて県民の皆様にも公表を行うと。そして、こうした中で多くの県民の皆様の意見を反映させるように努めつつ、最終的には先ほどもお話にございました条例2条の議決を経て策定すると、こんなような形になると考えております。
          〔11番小島康晴君登壇〕 ◆11番(小島康晴 君)今の御説明では納得できないわけです。2条での変更に当たるかどうかと聞いているわけでして、25年に始まるのを24年にすれば23年までで打ち切ると。それを22年の3年目のときに議決を求めるということは、なし崩し的に、今補正予算を頭出しに出して、200万ですか、それで始めていって、実際、議会がかかわれるのは来年じゃないですか。今始めると言っているんじゃないですか。だから、今議決しなければおかしいんじゃないですか。もう一度、御説明お願いします。       〔企画部長望月孝光君登壇〕 ◎企画部長(望月孝光 君)いずれにしましても、策定と、変更と、それから廃止と、この3本しか考えられないわけですけれども、現在の計画を変更するというのは部分的な変更等を主な解釈として考えていますので、新しい計画ができたときには、そういう言い方はちょっとまずいんですけれども、今の計画が終わったとき、あるいは新しい計画ができるとき、これが一つの線につながりますので、あくまでも新しい計画をつくって、それからそれに伴って現行の計画を廃止するというふうに考えております。ただ、予算上の話は、それはあくまで準備していく段階ですので全然別問題だと考えております。       〔11番小島康晴君登壇〕 ◆11番(小島康晴 君)みんなでつくったこの総合計画、5カ年計画のイの一番の1ページに、「平成20年度を初年度とし、24年度を目標年度とする5か年間を対象とします。」と。これは基本的な事項ではないですか。だから、知事が冒頭のごあいさつで4年で打ち切りたいと言い、何かペーパーでスケジュールを書いた表が出て、これを議会で報告したら進んでしまうというんでは本当に条例無視の議会軽視と言わざるを得ません。きちんともう一度説明してください。       〔企画部長望月孝光君登壇〕 ◎企画部長(望月孝光 君)条例の手続上、決して議会を軽視するとかそういう意味ではなくて、あくまでも、先ほど申し上げましたように、現行の中期総合計画、これは4年で打ち切るというお話ですけれども、4年で前倒しして、5年を1年前倒しにして新しい計画をつくるという意味では、その策定についても、今現計画は進んでいるわけですから、それが終了する時点で廃止についても議会にお諮りして御決定いただくということで、決して議会軽視とか、そういうつもりは毛頭ございませんので、その辺の条例の解釈だけはよろしくお願いしたいと思います。  以上でございます。       〔11番小島康晴君登壇〕 ◆11番(小島康晴 君)手続論が平行線のようですが、知事に伺いますが、先ほど私が申しましたような基本構想、基本計画、あるいは総合計画の策定には1年半とか2年はかかるとも言われています。したがって、現在の計画が24年度まででありますから、25年度からはいずれにしても新しい中期総合計画が必要であり、ぼつぼつ準備に入るということについては理解できるわけですが、しかし、今回の提案は、1月から着手して10月に審議会の答申を受けるという拙速なスケジュールで仕上げまして、1年前倒しして24年度を初年度とするということです。  午前中の髙見澤議員への御答弁の中でも、22年度までの取り組みを評価して、それを次の計画に生かすとおっしゃいましたけれど、実際に22年度の評価がまとまるのは9月です。答申は10月です。反映できるはずがありません。  私は、現在の計画は5カ年計画である以上、一定の変化は織り込み済み、つまり想定の範囲内の中だと思います。中期総合計画でも、「この計画は、本県を取り巻くこうした厳しい状況を踏まえて、様々な変化や課題に的確に対応し、特色や資質を生かしながら、新たな時代にふさわしい長野県づくりを計画的、総合的に推進していくため、その方向性や方策を明らかにするもの」とし、「なお、計画の推進に当たっては、その実施内容や方法、達成目標等について、社会経済情勢の変化に常に弾力的に対応していく必要があります。」と、このように1ページに書いてあります。  したがって、よほどのことでなければ、現在の計画のもとで毎年の予算の編成やその執行の中で対応していける、その中でいわゆる阿部カラーも織り込んでいけるのではないかというふうに考えます。  現在の計画のどのような部分に不都合というか問題があるのか。そして、どうしても1年前倒ししなければならないのか。午前中の議論では私は見えてきていないと思います。  後ほど触れますが、村井前知事のもとでようやく計画行政が定着しつつあると私は評価しておりますが、今は、5カ年のうちの実質2カ年が済んで、その評価が終わって、現在3年目が進行しております。この20年度から22年度、現年度までの3年度、せめて5年のうちの3年度の成果等をしっかり23年度に検証しながら、そして、せっかく新たな計画づくりに着手するのですから、さきの9月議会で倉田代表が代表質問されて指摘されたように、本来、基本構想であるべき「未来への提言 コモンズからはじまる、信州ルネッサンス革命」なるものの取り扱いも含めて、腰を据えて取り組んで、25年から堂々と始まるように設計すべきと考えますが、知事のお考えをお尋ねしたいと思います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)新しい計画策定について、今の計画のままでいいのではないかという御質問でございます。  これまでも服部議員、髙見澤議員の御質問にも答えてまいりましたけれども、私は、今の中期総合計画策定されてから県政を取り巻く環境は大きく変わってきているというふうに思っております。先ほど申し上げましたように、国の新成長戦略ができたり、あるいは地方分権改革も、その当時想定しなかったような内容に、具体的に地方の側から動かなければいけないという状況になってきていると私は思っています。長野県の今までの分権に対する取り組みは、私からすると非常に消極的ではなかったかなというふうに思っております。  出先機関の廃止に向けた動きも、地方の真剣さ、本気度というのがますます問われてきているところでありますし、現行の中期計画に基づいた取り組みを行う以上にさらに積極的に取り組んでいかなければいけない課題というのが、さまざまあるというふうに私は考えております。  また、                                                    、私は、新しく、長野県政を県民に身近な、県民主権の長野県政に変えるということを県民の皆様方に訴えて当選をさせていただいたわけであります。そうしたことから、私が県民の皆様方にお約束してきたことについて、その具体的な道筋を、これは私が勝手に独断で進めていくだけではなくて、県議会の皆さんとも議論しながら、県民の皆様方と共有するビジョンを早期に明らかにしていくことが必要だというふうに考えております。  そうした思いから、今回、新しい総合5カ年計画を策定することとして、県民の皆様からも広範な御意見をいただきながら、そして総合計画審議会の中でも十分な御議論をいただきながら、夢と希望の持てる長野県の創造に向けた計画をつくってまいりたいというふうに考えております。  1年前倒しする必要性ということでございます。  本当に社会経済情勢大きく移り変わっておりますし、私がことし知事に当選して、できるだけ早く県民の皆様方と共有するビジョンをつくっていくことが必要だというふうに考えております。このため、御指摘がありましたように策定までやや短い期間ではありますけれども、現行の計画を前倒しして、平成24年度を初年度とする総合計画の策定に早急に着手してまいりたいというふうに考えております。  また、「未来への提言」、これは、私は、知事に就任するまで、まだこの提言が長野県の長期構想として残っているということは正直十分認識しておりませんでした。しかしながら、議会の皆様方の御議論でこれ残っているようでございますけれども、これは、私としては、地球規模でさまざまな変化が起きている中で長期的に将来を常に見通していくということはなかなか正直言って難しい部分もあるというふうに思っております。  長期構想について、中期計画とは別に、単独で策定しているという県は少数、8県にとどまっております。私は、このため、中長期的に実現を目指していく本県の姿も含めた総合5カ年計画を策定して、これにあわせて、これは議会の皆様方の御同意が必要でありますけれども、「未来への提言」については廃止する方向で検討してまいりたいというふうに考えております。  以上です。       〔11番小島康晴君登壇〕 ◆11番(小島康晴 君)基本構想まで含めてやるということですと、それは廃止という方向は私も賛成しますけれど、そうしますと、重ねてですけれど、さっき部長とやりとりしました手続的にも、あるいは実務的にも、そして1月から10月という諮問から答申の間に、本当に県民の参加を求めて、県民参加のもと、手づくりの計画づくりということができるとは到底思えません。したがって、委員会等でしっかり議論していただいて結論を出していただきたいと考えます。  関連して、2点目として新しい中期総合計画の策定に当たってお尋ねしておきたいことがございます。  私は、19年6月議会で、中期総合計画策定に当たって村井知事に基本的な姿勢を次のように質問いたしました。山あり谷ありのこの広い長野県にあって、10の圏域、あるいは81の市町村がそれぞれの個性を生かしながら協奏し、ブドウの房のように一つ一つの粒が輝きながら集まって一つの大きなブドウの房になってさらに輝いていく、そんな長野県になってほしいと考えておりますが、知事はこの5カ年計画を通してどのような長野県をつくろうと目指しておられるのでしょうかと村井知事にお尋ねしました。  同じ問いを阿部知事にもお尋ねします。  広い県土の均衡ある発展について総合計画の中でどのように配慮していかれるか。お尋ねいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)県土の均衡ある発展について中期計画の中でどのように配慮するのかというお尋ねでございます。  本当に長野県、南北に長く、それぞれ気候的、地理的な特性にも富んでおりますし、また、それぞれの文化も多様な長野県であるというふうに思っております。県政を進めていく上では、画一的、均一的な取り組みではなくて、それぞれの特色をしっかり踏まえた取り組みが重要だというふうに思っております。  また、さまざまな行政サービス、広い県内、都市部もあれば中山間地域もありますけれども、県内どの地域にあっても偏りなく提供して、本当に県民の皆様方が安心して暮らせる長野県をつくっていくということが重要だというふうに思っております。  現行の中期総合計画に基づいてさまざまな施策を展開する上でも、さらには御理解をいただければ新たに策定を予定してまいりたいと思っております総合5カ年計画につきましても、県民の皆様方がこの地で生まれ育ち、そして暮らしてよかったと実感していただけるような県づくりを目指してまいりたいというふうに考えております。  本当に長野県のそれぞれの地域が生き生きとできるような計画づくりに努めていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔11番小島康晴君登壇〕 ◆11番(小島康晴 君)ぜひ、25年に出発するということは異論がないので、その中で県土の均衡ある発展になるような計画づくりをお願いしたいと思います。  3点目として、行政評価と信州型事業仕分けについてお尋ねします。  昨日も清沢議員が議論されましたけれど、信州型事業仕分けの対象事業として、第1に事務事業評価の結果いわゆる課題があるものとされておりまして、その中から選ぶということでありますので、この点について、事務事業評価、施策評価に関連して企画部長にお尋ねします。  一つの年度が終了した後、各部署ごとに事務事業評価に取りかかりまして、事務事業評価シートにまとめて評価する事業が526、別に評価一覧表で担当部局が評価を行う事業が509、合わせて1,000を超える事業が評価に供されています。  1,000ということですから県の仕事の大部分が網羅されていると思われますし、この評価作業自体が膨大な作業量ではないかと拝察するわけです。議長のお許しをいただいて資料を持ってまいりましたけれど、実は、決算特別委員会で2班体制で半分の部署の調査をいたしますけれど、半分の部署にかかわる評価シートと一覧表が大体これぐらいになっております。ですので、当然、全部というとこの倍です。1,000ですからこういうことになるんですけれど、これだけのものを積み重ねて、私も半分しか目を通せませんでしたけれど、何のためにこれだけの労力を投ずるかと言えば、冒頭申しましたように、いわゆるPDCA、計画して、実施して、評価して、次につなげるということだと思います。  そこで、この3年間、これは一枚一枚積み重ねられているわけですが、この中で、達成状況がc、やや期待を下回るとか、d、期待以下とされた事業、あるいは県の関与や有効性、効率性で改善の余地ありとされた事業があるわけですが、この3年間どのようにこれが推移しているか。要するに、いわゆる改善につながっているかどうかということの概況を伺いたいと思います。  それから、中期総合計画に沿った施策評価ということもさらに行われておりまして、これも同様に評価をして、庁内で取りまとめて、さらに総合計画審議会の評価、いわゆる私どもが求めました第三者評価、外部評価に供されるわけでして、これもまた概要版と全部の資料でこのような分厚いものになっておりまして、この中で見ますと、評価したものについて総合計画審議会がおおむね整ったとか何とか書いてありまして、これに総合計画審議会に対するまたさらに県の対応方針というように取り組まれておりまして、このような評価をされているわけですが、事務事業評価に基づいて仕分けるということですので、施策評価をするときに、もとの事務事業まで戻って第三者というか総合計画審議会の方の議論をいただいているかどうかということ。この2点について企画部長にお尋ねします。       〔企画部長望月孝光君登壇〕 ◎企画部長(望月孝光 君)事務事業評価と政策評価について御質問をちょうだいいたしました。  最初に、事務事業評価の達成状況等の評価についての数字でございますけれども、御案内のように、給与費等を除くすべての事業について自己評価を実施しておりまして、全体ではお話にございましたように1,000になるわけでございますけれども、毎年、そのうちの半分の500の事業については、先ほどの評価シートを用いましてabcdの達成状況、これとあわせまして、事業の有効性、効率性などの事業の課題、こういったもの双方の評価を行っております。膨大になりますので残りの500については一覧表で行っていて、これについては事業の課題評価のみをやっているということでabcdはやってございません。  かなり膨大な数になりますので、この評価シートで行っている評価の状況を見てみますと、まず、先ほどのお話にございました達成状況の評価が期待をやや下回るという形でc評価になったものでございますけれども、500中、平成20年度評価で36事業、それから平成21年度が31事業でございました。本年度につきましては、こういった評価結果を踏まえまして事業の推進に毎年取り組んでいるわけですけれども、こうやった結果、平成21年度評価でc評価であった事業の約6割が本年度はより上位のbの評価というふうになっている、こんなような分析をしたところでございます。一方で、新たにc評価という事業も判定する際にも出てきておりまして、そうしますと結果的には28事業が平成22年度ではc評価になっていると、こんなような分析をしております。  なお、お尋ねにありましたいわゆる最低ランクのd評価というのは現在のところございません。  それから次に、事務の改善とか見直しの観点から、県関与、有効性、効率性、これにおいて改善の余地ありとされた事業ということですが、これについての評価というか判定は非常に難しくて、ここ3年間でおよそ毎年220から230、ですから半分弱ぐらいの事業、若干多い感じしますけれども、そういうものが改善の余地ありという形になっております。  中身的に全部違うものですからabcdという形に分けられないということは御承知おきいただきたいと思うんですけれども、いずれにしましても、こういった評価結果を踏まえまして鋭意事業改善に努めているわけですけれども、先ほど申し上げましたように、社会経済状況の変化とか、いろんな事情がございまして、毎年対応すべき新しい課題もふえてくるということで改善すべき事項等もあるというのが現況でございます。そのようなところでございます。  それから、もう1点、今度は政策評価の第三者評価についてのお尋ねでございますけれども、中期計画の評価については、お話にございましたように、県の自己評価に加えましていわゆる総合計画審議会による第三者評価、これをやってございます。この評価に当たりましては、44の主要施策を構成します主な事業の取り組みの成果の分析をやるに当たり、先ほどお話にございました事務事業評価、この結果というのを資料として提出して活用してございます。ですから、事務事業評価も施策評価の一つの要素となっているというふうにまず御理解いただきたいと思います。  ところが、実際の評価の過程では、こういった政策評価をやる専門的な、あるいは実質的な審議会の政策評価部会というところが作業をやるわけですけれども、ここの中で、個々の事務事業評価まで話が及ぶこともありますけれども、私ども、第三者評価では原則として計画にあります44の主要施策、このレベルで県の自己評価の妥当性を検証していただきたいということでやっているのが実情でございます。  以上でございます。       〔11番小島康晴君登壇〕 ◆11番(小島康晴 君)御答弁いただきましたが、県の評価制度についてすべてうまくいっているとは言えないと思いますけれど、行政評価の積み重ねがされて、さらに施策と、場合によったら間接的に事務事業についても外部評価、総合計画審議会やその部会としてのコメントをいただけるというようなことで、さっき見ていただいたように評価シートと施策評価だけでこういった労力を毎年つくってやってきているわけです。  したがって、これらの努力を、評価のための評価であってはならないというような言葉で簡単に切って捨てられては困ると思うわけです。  改めて、現在までの本県の行政評価、施策評価や事務事業評価の仕組みやその成果、課題をどのように評価しておられるのか。そしてまた、そのことと今回御提案の信州型事業仕分けを行うということと、どのように整合されるのか。知事に伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)行政評価と事業仕分けのお尋ねでございます。  事務事業評価、企画部長のほうから御答弁申し上げました。事業実績、予算、そうしたものの課題が事務事業評価によって明らかになってくる部分があるということで、事業の改善を図るという観点で実施をしてきたものというふうに思っております。また、施策レベルの評価であります中期総合計画主要施策等評価については、これは主として達成目標の進捗状況あるいは施策を進める上での課題といったようなものについて明確にしていくという観点から行われてきているというふうに思います。  評価のための評価であってはならないというふうに私もこの場でも申し上げてきておりますが、今議員からお示しがありましたように、大変膨大な作業をやっております。その膨大な作業が本当に十分生かされているのかどうかということは、実はこれはいろんな自治体でも大きな議論があります。政府の行政刷新会議の中においても、実は政府がやっている政策評価の有効性、これは各省庁がそれぞれ勝手に評価してもどの程度の意味があるのかというような議論もあったわけでありまして、長野県で事務事業評価についても、これは本当に担当の職員は一生懸命やっていただいていると思っていますし、その労力たるや大変なものだと思っています。しかしながら、住民の皆様方からその評価に対しての御意見というのは余り出てきていないというような状況もあるわけでありまして、そうしたものをしっかりと踏まえながら、本当に住民の皆様方に開かれた県政における事務の評価のあり方ということについては十分考える必要があるというふうに思っています。  信州型事業仕分け、これは、事務事業単位で、公開の場で、現場に通じた外部の方にも入っていただいて、県民参加のもと、個別の事業について点検を行っていくということで、今申し上げた事務事業評価の成果も生かした上で行ってまいりたいというふうに考えております。  これは、事務のあり方というのをどういうやり方で改善していくか、これはさまざまな手法があると思います。昨日も、県議会の決算委員会、あるいは県議会の御審議の場ではもちろん御指摘いただく部分もあると思いますし、それから監査委員等からの御指摘という部分もあると思います。これはさまざまなチャネルから事務のあり方というのは常に見直していくことが重要というふうに思っております。  以上です。       〔11番小島康晴君登壇〕 ◆11番(小島康晴 君)先ほど申しましたとおり、私は、決算特別委員という役目でお示しした半分の部署の事務事業評価シートをすべて読まさせていただきました。  知事は、1,000とは言いませんけれども、526の事業について、評価シート、目を通されたでしょうか。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私は今見ておりません。各部局がしっかりと評価をして、先ほど、施策ついては総合計画審議会で評価をいただいて、私として、例えば来年度予算を判断する等にそうしたものを踏まえて各部局からの説明を受けて対応していくということになろうかと思います。  以上です。       〔11番小島康晴君登壇〕 ◆11番(小島康晴 君)少なくとも事務事業評価のシートから始まって、全部じゃないかもしれませんけれど、事業仕分けをすると。それにたくさんのお金を費やして、外部の専門の方をお招きして予算を費やして仕分けをするということですから、ぜひとも、それまでの間に、すべてとは言いませんけれど、例えば6事業が上がっております。これから上がってくるかもしれません。そういったシートに目を通して、どれだけの職員がこれだけのシートをつくって評価に供しているか、そして遅々としてというところもあるかもしれませんけれども、事務の改善に資するようにみんな頑張っているということについて知事としての責任を持ってごらんをいただきたいと要望しておきたいと思います。  4点目に、職員の人事、いわゆるローテーションについて伺いたいと思います。  これもまた決算特別委員会の審査の資料として職員の調べというのを見させていただいた中に、係長以上の方の名簿があるわけですけれど、幾つかの部署で、ほとんど1年目、ゼロ年目という方ばかりという部署が何カ所もございました。ホップ、ステップ、ジャンプという言葉もありますけれど、私はせめて3年くらいはその部署で腰を据えて担当して頑張っていただきたいと思うわけですが、管理職とか一般職の平均在職年数、いわゆるローテーションの中の在職年数はどのようになっているのでしょうか。総務部長にお尋ねします。  また、そういう中で、何人かの県民の方からは、例えば現地機関の地域づくりの活動などでようやく県の担当者の皆さんと気心が知れてきたと思ったら転勤で行ってしまった、また新しい人と一から話をしなければならないといった不満といいますか声も聞かれますが、この点も含めて総務部長に伺いたいと思います。       〔総務部長小池茂見君登壇〕 ◎総務部長(小池茂見 君)職員の人事に関するお尋ねでございます。  職員の平均的な在職年数に関するもので最初にお答えしたいと思います。  職員の人事異動についてでございますけれども、これは、退職者の補充であるとか、あるいは組織改正への対応、それから組織の活性化、職員の能力開発、こういったようなことを目的にやっているわけでございまして、係長級以上の職員にありましてはおおむね2年から3年以上、それからその他の職員にありましては3年から4年以上同一の課所に在職している職員を対象として人事異動を行っているというような原則でございます。  ただ、団塊世代の大量退職であるとか、あるいは保健福祉事務所の設置であるとか、あるいは建設事務所、それから本庁でも部局の再編がございまして、そんなことがここ二、三年ちょっと多うございました。そんなこともありまして何となく異動が頻繁に行われているかのような印象を与えているかもしれませんけれども、私どもとしますれば先ほど申し上げたような基本線で行っているというのが実情でございます。  それから、二つ目でありますけれども、県民との信頼関係の構築に関する御質問でございます。  ポストであるとか、あるいは業務によって、ある程度長く従事するようなことが望ましいような場合もあると思いますし、また、その逆もあろうかと思います。例えば、税に携わっていたり、あるいは許認可事務であるとかといったものは、ある程度機械的にというのが望ましいと思いますし、例えば福祉ですとか、あるいは相談業務のようなものについてはある程度長く従事するということが望ましいかと思っております。今後とも業務内容に応じた異動を行っていきたいというふうには考えているところでございます。  しかしながら、県の業務といいますのは、これは組織として行っていくというようなものかと思いますし、担当者がかわったからといいまして信頼関係がすぐに損なわれるというようなことについてはちょっといかがなものかというふうに思いますし、引き続き、組織内での情報の共有であるとか、あるいは業務の引き継ぎの徹底など、組織としての力を強化、維持していくというふうには努めてまいりたいと思っているところでございます。  以上でございます。       〔11番小島康晴君登壇〕 ◆11番(小島康晴 君)部長に実務的な御答弁をいただきましたけれど、私は少し回転が速いんじゃないかなというふうに思います。私自身、大きなプロジェクトにかかわって一つの部署に5年以上いた経験もございます。市町村と県は違うかもしれませんけれど、いずれにしても人事は理事者の専管事項として承知はしておりますけれど、職員の頻繁な異動が場合によっては県民サービスの低下ということになりかねないということもございますので、国や他の自治体でのお勤めの経験のある知事にこの点について所見を伺いたいと思います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)お答えします。  職員の人事異動のローテーションでございます。  私もいろんなところで仕事をしましたが、まずは霞が関は最も早いですよね。2年いると大体みんなかわっちゃうぐらいな感覚でありまして、それはそれで私はちょっと早過ぎると正直思っております。  自治体は、先ほど総務部長が申し上げたように、大体、係長以上で2年から3年、それからその他職員で3年から4年、自治体の傾向としては一般的にそれぐらいの人事異動のローテーションじゃないかというふうには思いますが、ただ、私も、県民の皆様方とお話する中で同じような御意見をいただくこともあります。もう少ししっかりと腰据えて仕事をしてもらったほうがより信頼関係のもとで仕事ができるんじゃないかとか、あるいは専門的な知識が必要なような部署だとある程度長い期間、初年度はどうしても勉強しなければいけなかったりするので、そういうことで人事ローテーション、短過ぎるのではないかという県民の御意見も伺ったりする機会はございます。  職員のモチベーションを維持して、そして県民との間で本当に信頼関係を持って県政を進めていくということが重要だと思いますので、これから適材適所での人事をしっかりと行っていきたいと思いますし、その中で、ポスト一律ということではないと思いますけれども、部署をよく見ながら人事ローテーションのあり方について考えていきたいというふうに思っております。  以上です。       〔11番小島康晴君登壇〕 ◆11番(小島康晴 君)県の職員の皆さんは長野県に就職されたということで、県内すべてが勤務地ということで、どこへ行ってもそれぞれの地域の県民の皆さんと汗をかき、地域発展と県政発展に御努力賜るように期待し要望申し上げて、質問を終わります。
    ○副議長(木下茂人 君)この際、15分間休憩いたします。         午後3時17分休憩          ──────────────────         午後3時33分開議 ○議長(寺島義幸 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  木内均議員。       〔19番木内均君登壇〕 ◆19番(木内均 君)御苦労さまです。佐久市・北佐久郡選出、自由民主党県議団所属の木内均です。本日は、平成23年度予算編成と主要産業振興施策につきまして順次質問をしてまいります。昨日、我が会派の小池清議員が詳細に聞いておりますので、重複を避けながら伺ってまいります。  まず初めに、平成23年度当初予算編成方針が示されておりますが、その基本方針、姿勢、理念につきまして知事にお聞きをいたします。  まず、基本姿勢でうたっております新しい課題、難しい課題への挑戦とは何か。伺います。  次に、新年度一般会計の財政見通しによると、歳出は社会保障関係費の自然増や高い水準にある公債費により8,627億円、昨年度の一般会計当初予算が8,615億円余ですから、現在の段階では12億円ほど増になります。一方、歳入見通しは県税収入が景気の先行きが不透明であり大幅増が見込めないことを理由に8,553億円であり、現時点で74億円の収支不足が生じていることが示されております。事業見直しや歳入確保により、この74億円の財源不足に対応するとしております。  そこで、基本理念の選択と集中の徹底による財源の重点配分に関してお伺いをいたします。  「各部局においては、厳しい財政状況を認識し、自らの判断と責任において、時代の変化や県民ニーズを的確に把握した上で、限られた財源の中で優先順位の明確化により事業を厳選し、メリハリのある予算となるよう徹底する。」とありますが、事業の厳選に当たり、知事からトップダウンの指示は出さないのか。お尋ねをいたします。あくまでも事業の取捨選択は各部局の責任と判断なのでしょうか。  次に、「新規事業の実施や既存事業の充実など歳出増を伴う場合は、将来的な経費や事業の実施態勢を考慮し、原則として他の経費の節減や新たな財源確保により対応する。」としておりますが、具体的にはどのようにして新たな財源を生み出していくのか。お尋ねをいたします。  あわせて、経常経費の前年度比10%削減は数年にわたり継続されてきており、今まで取り組んできた以上の経費削減はまだまだ可能なのか。お聞きをいたします。  次に、予算要求方法について見直しインセンティブの導入が示されております。これは、国、民主党政権が新年度予算編成で実行している元気な日本復活特別枠、政策コンテストを倣って採用するものなのか。お聞きをいたします。  元気な日本復活特別枠に関しては、10月13日に開催されました第1回元気な日本復活特別枠要望に関する評価会議で、菅総理は、平成23年度予算は、新成長戦略を着実に推進し、元気な日本を復活させるために極めて重要な予算であります、その予算を実効的なものとするべく、このたび政府として元気な日本復活特別枠を設け、開かれた形で政策の優先順位づけを行うことにより大胆な予算の組み替えを何としても実現していきたいと考えております、その際には、元気な日本を復活するにふさわしい事業を厳選することはもとより、既存の予算を削減して大胆に予算を組み替えるという本来の趣旨に適合しているかという観点からも、特別枠要望と既存予算の要求全体を一体として把握した上で評価していただきたいと思いますと述べております。  この特別枠は、国債費を除く一般歳出について各省一律で前年度比10%削減し、そこで生み出される1兆円超の財源を公開の政策コンテストにより成長分野に重点配分するというものですが、我が県の見直しインセンティブとは同様なものなのでしょうか。知事に解説をお願いいたします。  以上、最初の質問といたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)予算編成の関連で幾つか御質問にお答えしたいと思います。  まず、新しい課題、難しい課題への挑戦とは何かということでございます。  新しい課題、これは、行政の守備範囲、行政が行うべきものというのは日々新たな県民ニーズに対して向き合っていく必要があるというふうに思っております。この議場でも先ほど来いろいろ御議論があります。例えば、買い物難民、かつては行政がこういうことを考える時代ではなかったと思いますし、また、先ほども申し上げましたけれども、地方分権、今進んでいくかどうか瀬戸際だと思います。政府の取り組みをしっかり進めていただくということと同時に、やっぱり地方の側もそうした気概を持って、例えば出先機関の問題であれば主体的に受け皿あるいは受け方、そうしたものについて考えていくことが必要になってきています。  県民のニーズもさまざまなニーズが出てきていますので、そうしたものに対して、とかく行政は、法律があるから、制度があるから、それに基づいて仕事をしがちでありますけれども、そうではなくて、県民の皆さんと向き合う中で本来行政が行うべきことは何かということをしっかり見きわめて対応していくことが必要だというふうに思っております。  難しい課題ということでございます。  これも、これまで国が基本的に政策の根幹については決めて、その中で例えば補助金があるからその補助金を利用しようというような発想が長らく続いてきているわけでありますけれども、そうした時代を過去のものにしていかなければいけないというふうに思っております。単に施策を推進するために補助金を配るということだけではなくて、例えば規制改革を行っていくとか、国の税制調査会でも、片山大臣のほうからは例えば地域主権改革税制というようなものも御提案されています。これは、今まで地方税のさまざまな軽減あるいは加重、そういったものについては地方税法で決めていたけれども、地方団体がこうしたものを自主的に判断できるようにしようじゃないかということであります。  こうした意思決定なり、こうした取り組みというのは、ある意味で、難しい、ハードルが高い、住民の皆様との調整も必要になってくる部分でありますので、そうしたさまざまな難しい課題に対してもしっかりと向き合っていくことが重要だというふうに考えております。  それから、選択と集中の取り組みに関連して、事業の厳選に当たってのトップダウン指示は出さないのかということでございます。  まずは、厳しい財政状況を全部局、職員全体が共通の認識として取り組んでいただくということが重要だと思っております。その上で、必要であれば、新しい施策への取り組みとか、既存事業の見直し、私から各部局に指示するということも当然あるというふうに思っております。最終的には、めり張りをつけるということになれば部局内だけのめり張りだけでは当然済まないわけでありますので、最終的には知事の査定の場においてめり張りのある予算に取りまとめて住民の皆様方の期待にこたえる予算をつくってまいりたいというふうに考えています。  それから、新しい財源確保の具体策ということでございます。  これはもう基礎的な話で恐縮でございますけれども、やはり、既存事業のあり方の見直し、スクラップ・アンド・ビルドの徹底、受益と負担の公平性の確保の観点からの使用料、手数料のあり方の検討、あるいは国庫補助金、さらに有効に使える余地はないか、さまざまな検討をしつつ財源確保に努めていくということが重要だと考えています。  これまで以上の経費削減が可能かということでございます。  長野県予算全体に占める裁量的な経費、極めて少ない硬直的な財政構造であります。これまでも経費削減の努力、さまざましてきているところでございます。しかしながら、県の裁量でなかなか削れるところも限界は正直言ってあるんじゃないかなというふうに思います。事業が存在する限り、例えば人件費とセットになっているわけでありますから、事業の必要性、そうしたものについても原点に立ち返って検討して、私としては、少しずつ削減するというよりは、むしろ本当に必要性がなければ思い切って廃止するというような取り組みを通じて、そうすると事業そのものがなくなるわけでありますので、そうしたことによって人件費その他関連する経費も削減するということになるだろうと思います。  県民のニーズやあるいは時代の要請、状況の変化に対応して、これは、毎年毎年、本来どの事業を行うか行わないのかということについては、しっかりと検証しながら徹底した事務事業の見直しを行って、次の時代の必要な経費にしっかりと財源を向けていきたいというふうに考えています。  それから、見直しインセンティブでございます。  元気な日本復活特別枠との関係でのお尋ねがございましたが、この見直しインセンティブの導入につきまして、これは国が取り組んでいる特別枠とは全く性格が違うというふうに考えています。今回、予算執行に工夫を促すために、各部局の予算執行段階での経費節減を行ったり、あるいは新しい財源を確保した場合にはその半分を上乗せして予算要求できるという形の制度を設けたところでありまして、これは国の元気な日本復活特別枠というような制度とは別のものというふうに考えております。  以上でございます。       〔19番木内均君登壇〕 ◆19番(木内均 君)知事から新課題、難しい課題について答弁をいただきまして、基本的に認識を一致できる部分、そうでない部分、出てきました。例えば、認識が一致できる部分では、きのう、きょうと質問に出ております買い物難民対策、それから地方分権改革が本県ではその対応がおくれている、私も何度もこの議場で取り上げて、よそ様はという言い方はおかしいですけれども、関西は広域連合の発足、九州は経済団体を中心に道州制が進んでおりますし、北海道も特区として道州制が今実施をされております。ただ、権限が8項目に限られての移譲であって、本格的な道州制にはほど遠いという実態もありますけれども、道州制の検討というのは大分進んでおりました。  ただ、これは、民主党政権では、これはまだ新聞記事での情報しか知りませんが、地域主権という言葉自体を今度削っていくということが報道されております。私ども自民党は、さきの参議院選挙、その前の総選挙で地域主権型道州制の導入ということをうたって積極的に道州制の議論をやっていこうと言った経緯もありますので、知事も頼るべき政党は違ったのかなというふうに思わざるを得ません。  それで、地方の税財源を強くしていく、これは私も認識しています。やっぱり議場で、法人2税と消費税の税目をまるっきり取りかえるということを国に提案したらどうだということを言ってまいりました。阿部知事にも同じことを申し上げさせていただきたいと思います。景気の変動によって大きく左右される法人2税、それから景気の変動に比較的左右されることが少ない消費税、この税目交換ということを国に積極的に働きかけて安定的な地方税財源の確保というものをお願いをしたいと思います。  それで、インセンティブの関係ですが、少し私わからなかった部分がありますので再質問をさせていただきますが、各部局が節減をして財源を生み出したり、あるいは事業を廃止して新しい財源を生み出した場合に、その他の事業に関してその部局が2分の1を上乗せをして使えるという意味なんでしょうか。その再確認をさせてください。  引き続き、2項目めの質問をさせていただきます。  長野県の基幹産業であります農業、製造業、観光業の支援、振興、強化について知事にお聞きをいたします。  農業につきましては、平成20年度を初年度に平成24年度までの5カ年計画であります長野県食と農業農村振興計画で、農業生産額について、基準年である平成17年農産物産出額2,735億円、農業関連産出額164億円の計2,899億円から、目標年の平成24年、2年後ですが、農産物産出額2,800億円、農業関連産出額200億円の計3,000億円を目指すことになっております。  また、総農家戸数日本一でありながらも、基幹的農業従事者の平均年齢は全国平均の57歳を大きく上回る64歳。さらに、ここに来て、WTO農業交渉やEPA、FTA交渉のほかに、TPPへの参加の是非についての議論開始など、農業を取り巻く国際環境が激変しております。  次に、製造業に関してですが、平成12年、19年には7兆円を超えていた製造品出荷額ですが、平成20年は6兆6,240億2,200万円でした。また、そのうち輸出出荷額が1兆4,881億3,000万円で、全製造品出荷額の20%強を占めております。国内経済の動向や、国際的には円高やTPPなど、やはり大きな影響を受けております。  さて、観光業ですが、観光振興の基本計画であります観光立県長野再興計画では、平成24年の目標年に、観光消費額4,000億円以上、観光地利用者数1億人以上、外国人宿泊者数37万人以上を目指しております。全県挙げて、多くの観光旅行者にもう1カ所観光してもらえるように、もう1泊宿泊してもらえるように、もうワンコイン、500円使ってもらえるように、もう一度訪れてもらえるようにを合い言葉に、目標達成に向け努力をいたしております。しかし、この観光業も国内や国際的な景気動向に大きく左右される産業であります。  以上、長野県を支えている主要産業に対する厳しい現状をるる申し上げてまいりましたが、それらに対する支援、振興、強化につきまして、昨今の厳しい経済環境等を考慮して、知事が特別に指示した事項はあるのか。お伺いをいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私のほうから指示した事項ということでありますが、まず、私が公約で掲げた事項については各部局で取り組むということを基本に、もちろん、そのまま、あるいはすぐできない部分もあるかもしれませんけれども、まず基本的に検討を指示しています。  それから、農業の分野につきましては、これは、例えば青森県なんかと比べてリンゴの輸出、負けているというような状況もあります。県産の農産物の海外輸出の促進でありますとか、あるいは、私も横浜市で仕事をしておりましたが、それぞれの自治体が新規就農者の確保をしているということは必ずしも効率的じゃない部分があるんじゃないかと思いますので、横浜市を初めとする都市部の自治体と連携できないかと。要するに、都市型農業ももちろんあるんですけれども、人口は都市に多くて、実際、就農する農地というのは地方のほうが多いわけですから、そういう観点で都市と農村の連携ができないか検討するように指示しています。  また、製造業の分野、これは県内外の企業へのトップセールスによる企業誘致、私自身まだ行っておりませんけれども、積極的に行っていきたいということで申しておりますし、県産品の販路拡大、これは、長野県の物産、まだまだ可能性、潜在力、大きいものがあるというふうに思っておりますので、こうした点についてのさらなる工夫を行うように指示しています。  それから、観光の分野、インバウンドの促進、これは長野県単独だけではなくて、ほかの地域とも連携して、あるいはFDA、松本空港就航しておりますので、他地域との連携によるインバウンドの促進でありますとか、あるいは、私は、総務省の過疎対策室にいたときに、交流居住という概念で全国的に取り組みを進めておりましたけれども、二地域居住、田舎暮らし、長野県、本当に多くの方々がある意味で暮らしてみたいと思っていただいている部分がありますので、そうした取り組みをさらに進めること等々、いろいろな指示をしてきております。  今後とも、経済的な分野、信州経済戦略会議を設置したいと思っておりますので、さらに幅広く経済界、有識者の皆さんの御意見をいただきながら産業振興に努めてまいりたいと考えております。  先ほどお答えした見直しインセンティブの関係で、議員のほうから確認いただいたとおりであります。この見直しインセンティブ、経費節減を行った上で、その半分を次年度予算に半分上乗せして要求できるという形の制度でございます。  以上です。       〔19番木内均君登壇〕 ◆19番(木内均 君)長野県を支えております基幹産業につきまして知事からの指示、これを今答弁をいただいたところであります。具体的に知事からもっと指示をしていくべきだと思います。  例えば、TPP参加、これによる県内農業への影響ということで、長野県の農政部は全国でいち早く県内への影響は約700億円の生産額減少が見込まれるという数字を発表いたしました。これは県内農業生産額の4分の1に相当する大変な金額であります。特に、水田と畜産、酪農が大打撃を受けていくであろうということが予想をされております。逆に、一方、製造業の皆さんは、特に輸出型製造業にとっては大きなメリットがある、もしここでTPP参加を見送れば、現在途上国が成長しておりまして先進国との技術・経済格差が縮小している、そういった中で日本との技術力の差が小さくなってきており、現状のままであると関税障壁によっていろいろな分野において日本のシェアを奪われてしまうという危機感があると、これが製造業の見方です。一般的には、GDPの1.5%である1次産業、農業を守るために、ほかの98.5%の産業が犠牲になっていいのかというような議論もあります。  しかしながら、農業は壊滅的な状況になり、製造業にはメリットがあるというのが一般的な見方でありますけれども、しかし、農業の中でもこのTPP参加をチャンスととらえている農家、それから農業団体もありますし、また、製造業の中でも、中小、零細を中心に安価な部品や金型が流入してくれば大打撃を受けてしまうといった見方もあります。一概に、農業が保護をされていて、製造業がTPPに参加をすれば有利というものでもありません。  長野県の場合は、農業、製造業ともに基幹産業ということで大事に育てながら、最終的には県税収入を上げていくという大きな産業として確立をさせていかなければいけないわけであります。これに関しまして、とにかく知事の力強いリーダーシップを発揮をしていただいて推進をしていただきたいと思います。  知事からは信州経済戦略会議について答弁もありましたが、私も、さきの県議会でこの戦略会議、質問をさせていただきました。これから会議を立ち上げて、商、工、農業、観光業、こういったものをすべて連携を図って会議を開いて方向性を見出していく、中長期的な視点で、そんな悠長なことでいいんですかというような質問をさせていただいたんですが、経済戦略会議の中身がわかればわかるほど、なるほど中長期的で、目の前のものには対応できないんだなとややがっかりした部分がございます。これは、私も所管の委員会でありますので、委員会審査等を通しましてこの信州経済戦略会議のあり方については議論をさせていただきたいと思っております。  次に、阿部知事の県知事選挙における公約であります基本政策集と関連づけながら、当初予算編成方針の中にあります4点の重点的施策の展開について具体的に質問をいたします。  まず1点目といたしまして、教育・子育て先進県の実現に関して健康福祉部長にお聞きをいたします。  施策の中に、児童虐待問題に的確に対応する相談体制の強化が掲げられておりますが、この施策は今まで取り組んできた施策と違うのか。強化、充実される点はどこなのか。お伺いをいたします。  次に、2点目といたしまして、暮らしの安心確保に関して健康福祉部長にお聞きをいたします。  施策の中に、特別養護老人ホームなど社会福祉施設の着実な整備とありますが、これは「予算編成における具体的取組 歳出に関する事項」に示されております社会インフラについては当面新規の施設建設は行わないことを原則とするに矛盾をしないのか。この原則に矛盾をしないで社会福祉施設を着実に整備していくことは可能なのか。お伺いをいたします。  引き続き、3点目といたしまして、産業力・地域力の強化に関して二つお聞きをいたします。  まず、商工労働部長には、長野県経済の再生と持続的発展を目指す経済・雇用対策の実施が施策に盛り込まれておりますが、新年度、具体的に取り組む事項は何か。お尋ねをいたします。  次に、農政部長には、都市部の方々も含めた多様な新規就農者確保並びに契約取引産地の創出による農業生産力の強化が示されており、その目指すべき方向や目標、これは大いに賛同いたしておりますが、しかしながら、具体的にはどうやって新規就農者を確保したり契約取引産地をふやして農業生産力を向上させていくのか。こういったことにつきまして具体的にお伺いをいたします。  次に、4点目の県民主役の自立した県政の実現に関して企画部長にお聞きをいたします。  施策の中に、新しい公共支援事業によるNPO等の自立的活動の支援とありますが、具体的には新しい公共支援事業とはいかなる事業で、期待される効果は何か。お尋ねをいたします。       〔健康福祉部長桑島昭文君登壇〕 ◎健康福祉部長(桑島昭文 君)まず、児童虐待問題に的確に対応するための相談体制の強化についてお尋ねをいただいてございます。  児童虐待防止に関しましては、福祉、教育、警察などさまざまな関係機関が連携をいたしまして迅速に対応できる体制整備、それから児童の相談・援助活動に携わる職員の専門性の向上、こういうようなことが課題であるというふうに私ども考えてございます。  体制整備につきましては、既存の長野県児童虐待・DV被害者支援連絡協議会がございますけれども、そこに警察との連携強化、それから母子保健業務の推進、学校及び医療関係機関との情報共有などを図るため、テーマごとに分科会を設置し、より実効性のある組織となるよう取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。  また、専門性の向上につきましては、現場における警察との連携強化を行いまして、困難事例に関係機関が連携して対応できるような専門的な研修も行ってまいりたいというふうに考えてございます。  それから、二つ目でございますが、当初予算編成方針で社会インフラについては当面新規の施設建設は行わないことを原則とする中で、特養などの社会福祉施設の着実な推進が可能なのかという御質問をいただきました。  まず、この編成方針は県が建設する施設に関するものでございまして、市町村や社会福祉法人等が設置する社会福祉施設などに係るものではございません。例えば、特別養護老人ホームの整備について申し上げますと、高齢者プランに基づき着実に整備を進めているところでございまして、他の社会福祉施設整備につきましても、地域のニーズを考慮しつつ、限られた財源を有効に活用し、緊急性、必要性を踏まえて計画的に整備を進めさせていただきたいというふうに考えてございます。  以上でございます。       〔商工労働部長黒田和彦君登壇〕 ◎商工労働部長(黒田和彦 君)私には長野県経済の再生と持続的発展を目指す経済・雇用対策についての御質問をちょうだいいたしました。  現在、我が国経済が置かれている状況を見ますと、私は二つのことが重要ではないかというふうに思っております。1点目が、少子・高齢化に伴う労働力人口の減少と、その結果としての内需縮小への対応、どう向かい合うかという点が1点、もう1点が、世界経済を牽引して今成長を続けているアジア新興国の市場への対応、この二つが大きな今後の課題だと認識しております。  こういった中で、現在の病んだ経済状況を再生し、長野県経済を将来に向けて持続的に発展させるためには、健康あるいは環境といった今後の成長分野の見きわめ、そしてアジアの活力の取り込みがキーワードではないかというふうに考えております。  長野県では、昨年から、足元の経済対策を講ずる一方で、地域中核産学官連携拠点、あるいは信州メディカルシーズ育成拠点など、産学官連携のための体制整備を進めてまいりました。また、工業技術総合センターへの測定・分析機器の導入といった将来の成長に向けた投資を行ってまいりました。  次のステップとして、平成23年度では、これらに加え、県内の企業がこの基盤を活用しながら一層技術力を高め、新分野あるいは新製品開発を進め、さらには国内外の市場を獲得していくことが必要であろうというふうに考えております。そのためのマーケティング支援が今後の、あるいは新年度の県の施策のもう一つの方向というふうに考えておりまして、現在、具体的な事業化に向けまして予算編成作業を行っているところでございます。  以上です。       〔農政部長萩原正明君登壇〕 ◎農政部長(萩原正明 君)多様な新規就農者の確保、それから契約取引産地の創出による農業生産力の強化のための具体的な手法についてのお尋ねをいただきました。  まず、多様な新規就農者の確保につきましては、近年、都市部におきまして若者の就農相談がかなりふえてきているというような現象がございまして、この機会を人材確保のチャンスとしてとらえまして、従来から取り組んでおります本県の就農支援システムの実績をさらに一層高めるというようなことから、新たに就農相談者が最も多い関東圏におきまして農業の体験会だとかゼミなどを開催することによりまして都市部の若者を本県に呼び込むための施策を検討してまいりたいというふうに思っております。  それから、二つ目の農業生産力の強化につきましては、既存の産地を維持しつつ、多様な流通や消費動向を見据えまして、新たな食品業者との契約取引産地を創出するため、農業生産団体等と協調をいたしまして、有用な産地情報を県が発信をいたしまして食品加工だとか外食事業者などとの取引を誘引いたしまして、個々の希望に沿った農作物を確実に供給できるような産地体制づくりを支援してまいりたいということを現在検討しているところでございます。  昨今の大変厳しい農業情勢でもございますので、従来の取り組みから一歩踏み込んだ形の施策を展開いたしまして、長野県の元気な農業・農村をつくってまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔企画部長望月孝光君登壇〕 ◎企画部長(望月孝光 君)新しい公共支援事業についてのお尋ねでございます。  この事業は、NPO等の自立的活動を側面的に支援するということで、行政が担ってきた公のサービスを市民やNPO、企業等が社会全体で支えると、こういったことを目的としておりまして、国の緊急総合経済対策にかかわる補正予算として87億5,000万でございますけれども、過日、可決、決定されたものでございます。  この事業を簡単に申し上げますと、国からの交付金を財源にして県が基金積み立てを行いまして、それを来年度より2年間順次取り崩してNPO等への側面的な支援を行うと、こういう内容のものでございます。ただ、注意しなければいけないのは、NPOに直接事業費を助成するというものではなく、あくまでも側面的支援という中身だというふうに伺っております。  具体的な事業内容については現在国において検討中でございますけれども、例えば運営力向上のための人材、財政、広報等に関する研修ですとか、あるいは相談体制の充実、こういったものの活動基盤の整備、それから企業や県民の皆さんから寄附金を募集する場合の制度づくり、こういったものの検討費用、こういったものなどが一応上がって検討されております。
     期待される効果でございますけれども、NPO法人の実態調査によりますと、法人経営の基礎になる十分な資金、あるいは人材の確保が難しいといったいわゆる運営力不足、こういったものが大きな課題となっておりますので、こういった事業の実施によりましてNPO等が新たな公益サービスの担い手として課題を解決し、より自立し継続した活動が行われると、こんなことを期待しているところでございます。  以上でございます。       〔19番木内均君登壇〕 ◆19番(木内均 君)具体的な施策につきまして部長から答弁をいただきました。  健康福祉部長から、特養の整備は市町村が中心に整備をするので、それを県が側面的に支援をする、そういった意味で、社会インフラは原則として新規建設は行わないという県の基本方針とは矛盾をしないという答弁をいただきました。  この社会インフラは原則として新規建設は行わないということに対して、知事に要望をさせていただきたいと思います。例えば、中央児童相談所の建てかえというのも喫緊に迫っているでしょうし、警察署の改築というものも順次行っていかなければいけない問題であります。これは知事の任期の間に原則つくらなくていいかもしれませんが、後々このしわ寄せが来てしまうわけですよね。だから、原則新規建設は行わないというのではなくて、順次建設は行っていく、それを計画的にやっていくというほうがいいんではないでしょうか。知事に要望を申し上げます。  それから、農政部長の答弁に関しては、農政部長みずから農業に従事をされておりまして、そういった点では敬意を申し上げるんですが、若者の就農相談、これがふえているから、この皆さんを何とか長野県に連れてきて就農していただくんだというのは、これは余りにものうてんきな部分があるんではないかと思います。  先月、私どもの委員会で東京事務所の調査をいたしまして、その際、確かに若者からの就農相談多いということも伺いました。しかし、非常に大きな課題がありまして、それは、農業大学校に入るにしても、あるいは里親制度を利用して農家にお世話になるにしても、3年間全く無収入という期間が続くんだと、そういった厳しさを知らないで相談に来ている。数だけカウントすれば確かに若者の就農希望、都市部では大きくて、そういったものを期待できるという答弁になるかもしれませんが、その実態というものをよく精査をしていただきたいとお願いを申し上げておきます。  最後に、知事に再度お聞きをいたします。  新年度事業で、国庫補助がある新規事業採択ですとか、あるいは予算確保のために、どのようなチャネルを使って国に働きかけを行っていくのか。お伺いをいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)国庫補助金にかなり依存している財政運営なんで、残念ながらというか、国に対してさまざま要請しなければいけないと思っております。  まずは、予算総額、あるいは交付税総額、しっかり確保してもらわなければいけませんので、これは知事会等も通じてさまざまな活動、取り組みをしてきておりますし、また、市町村長の皆さんと一緒になって政府あるいは与党にこれまでも働きかけしてきたところであります。  具体的な予算関連の事業については各部局において事務レベルで国と十分協議をしていくことになりますけれども、今定例会が終わった後に、私自身も、政党や、あるいは県選出の国会議員の皆様方、さらには関係の各省に直接赴きまして必要な予算の確保に向けた要請を行っていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔19番木内均君登壇〕 ◆19番(木内均 君)本日は、新年度の予算編成方針を中心に知事あるいは担当部長に質問をしてまいりました。  最初に戻りますが、見直しインセンティブの導入、これは、国の政策コンテストと同じものであれば、私は、考え方が違うんではないかと指摘をさせていただこうと思いましたが、各部局が節減をする、そういった財源に関して2分の1を新年度で使えると、こういったものだということであります。  これは、私、思い返してみますと、ここにメモがたまたまあったんですが、田中知事の時代、当時阿部副知事であったと思いますが、予算の節減合戦というものをやったらどうだという提案をしたことがありました。これは、予算節約奨励施策というふうに私が勝手に名前をつけたんですが、各都道府県は交付税を含めて特定の経費について予算を節減した場合、その2分の1に相当する額を財源として翌年度上乗せして配分ができる、こういった仕組みを国に働きかけたらどうだと。そうすれば、長野県が今年度努力して予算を節約した場合は次年度に新規事業として使える枠がふえてくるわけですから、47都道府県が節減合戦をするんではないですかと。国にとってもこれはメリットがありまして、2分の1は国に残るということでありますから、こういったものを国に働きかけたらどうですかといった提案をこの議場でさせていただいたことを思い出しました。  それで、きょう議論されている新しい総合計画の策定については、本当に議論が百出をいたしております。そういった中で、村井知事になりましてから数値目標を入れてつくった総合計画、これをまた新たに見直していこうということですが、わずか二、三年で経済環境が大きく変化をしていったから変えていくというのであれば、何のための5年、あるいはその後の5年、10年を目指した総合計画、中長期的な計画が必要かということ、そのもの自体、総合計画の存在自体がいかがなものかという問題提起がなされると思います。  したがいまして、阿部知事、これから総合計画をつくっていくのであれば、既存の数値というのも大事でしょうけれども、また数値にとらわれない長野のスタンダードというものを構築していくということもお考えになったらいかがかと思います。  例えば、全国平均の所得を目指していくだとか、食料自給率、長野県の場合は53%程度ですけれども、これより上を目指していくといっても、これは、47都道府県、自然環境も違えば物価も違うわけですから、長野には長野に合ったやり方というものを検討をしていただきたいと改めてお願いを申し上げる次第でございます。  以上をもちまして質問を終わらせていただきます。 ○議長(寺島義幸 君)次に、今井正子議員。       〔16番今井正子君登壇〕 ◆16番(今井正子 君)まず、来年度予算編成に重点を置いていただきたい4点につきまして御質問申し上げます。  1、望月警察署跡に設置予定の東信運転免許サブセンターの開設に向けて、現在の進捗状況と今後の見通しはどのようになっているのか。警察本部長にお尋ねいたします。  二つ目、地域医療再生支援につきまして、国への働きかけ及び県の取り組み状況について健康福祉部長にお尋ねします。  国の医療に対する補助制度の削減等でどの病院も苦しいことと思います。国の医療に対する補助、9月議会でも出ておりましたが、国への強い働きかけはどうなっておりますでしょうか。  また、県会でも幾度か議論させていただきました佐久総合病院の再構築につきましては、県の御指導もあり移転改築の運びとなりましたが、何年もかかっている間に国の予算の大幅削減が進み、大きな状況の変化が出てまいりました。  佐久地域及び東信地域の中核病院でもあり、県下唯一のドクターヘリを擁す救急病院としての役割をかんがみ、県としても、地域医療再生計画の策定を進め、臨時特例交付金等の活用による支援も考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。       〔警察本部長小林弘裕君登壇〕 ◎警察本部長(小林弘裕 君)東信運転免許サブセンターに関する御質問についてお答えいたします。  東信運転免許サブセンターについては、平成23年度中に開設できるよう現在予算要求に向けた諸準備を進めているところであります。  その具体的な内容でありますが、サブセンターは、旧望月警察署庁舎を活用することから更新時講習室を設置するなどの庁舎改修を行うほか、運転免許証の更新が即日で可能となるよう運転免許証作成機器を整備することが必要となります。また、東信地域の多数の免許更新者等の来場が予想されることから、駐車場の拡充についても検討をしております。  県警察といたしましては、東信運転免許サブセンターの設置に向け、関係各位の御理解をいただくよう今後とも努力してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔健康福祉部長桑島昭文君登壇〕 ◎健康福祉部長(桑島昭文 君)佐久地域の医療再生の支援についてお尋ねをいただきました。  多額の経費を要します佐久総合病院の再構築に当たりましては、既存の国庫補助制度を活用しても、事業主体である厚生連ですとか、あるいは地元の自治体に大きな財政負担が生じてまいります。議員御指摘の病院の施設整備に対する国庫補助制度の拡充につきましても、県としても機会をとらえて国に対して要望をしてまいりたいと考えてございます。  また、地域医療再生臨時特例交付金につきましては、佐久総合病院が救命救急センターとして東信地域全域をカバーしている実態にかんがみ、昨年度策定をいたしました地域医療再生計画において上小地域の医療再生基金の一部を充てることとしております。この交付金も含めまして、県としては、佐久総合病院が県内の医療体制全体に非常に重要な役割を果たしているということから、必要な財政支援について検討してまいりたいというふうに考えてございます。  以上でございます。       〔16番今井正子君登壇〕 ◆16番(今井正子 君)最後まで存続をという町議会や町民の多い中、この4月から望月署はすべて課がなくなり、40人を超える職員から警察官7名の大型交番となりました。廃止にかわる免許サブセンターですので、早期実現のために予算化をよろしくお願いいたします。  続きまして、鳥獣被害対策について対策室を持つ林務部長にお尋ねいたします。  田んぼでも畑でも山でも、植えつけた苗でも高山植物でも、最後の収穫時でも構わず、シカやイノシシ、クマ、猿、ハクビシン等が食べ荒らす。生物多様性的にいいますと、山の放置や田畑の放置による人間活動の縮小による第2の危機ということになります。減反のための青田刈りをするときのせつなさと違い、怒りとがっかりでイタチごっこを繰り返すうちにあきらめて耕作をやめたという声も聞きます。特に、シカの数や被害のすごさは問題となっておりますが、県の被害状況やその対策について伺います。  また、狩猟による個体調整、防御さく、それから山の手入れ、針葉樹や広葉樹の混交林等、林務部としての具体的取り組みはどうなっているのか。林務部長に伺います。  また、生物多様性長野県戦略策定委員会を持ち、なぜ野生動物がふえるのか、個々の動物による影響、また捕獲、防除など問題点や対応についてどのように取り組んでいるのか。環境部長にお尋ねします。       〔林務部長久米義輝君登壇〕 ◎林務部長(久米義輝 君)初めに、鳥獣被害による被害額とその対策費用についてのお尋ねでございますが、平成21年度の野生鳥獣による被害額は、農業被害額が9億6,700万円、林業被害額が6億3,700万円で合わせて16億400万円の被害額となっておりまして、農業、林業いずれの被害額も前年度よりわずかながら減少しておりますが、被害は依然として深刻な状況にあります。  これらの被害対策には特効薬というものはなく、捕獲対策、防除対策、緩衝帯整備や多様な森林づくりなどの生息環境対策を地域ぐるみで総合的に実施することが重要であると考えております。  被害対策の費用といたしましては、野生鳥獣被害対策本部のうち、農政部、林務部、環境部の関係部局を合わせた平成22年度の当初予算額は4億5,200万円余を確保いたしまして、市町村を初め農林業関係者などと連携しながら総合的な被害対策を進めているところでございます。  また、広葉樹の植林、それから鳥獣被害対策についてのお尋ねがございました。  人間と野生鳥獣とのすみ分けを図るためには実のなる広葉樹林を造成することが有効でありますことから、新たに策定いたしました長野県森林づくり指針におきまして、県内民有林の広葉樹と針葉樹の面積割合を現状の4対6から将来的には6対4にすることを目指して多様な森林づくりを進めることとしております。  また、鳥獣被害対策でございますが、これにつきましては県政の緊急かつ重要な課題であると認識しておりまして、森林づくり指針の中でも鳥獣被害対策を豊かな地域づくりのための主要な施策と位置づけております。  現在、県といたしましては、県庁内に組織しております部局横断の野生鳥獣被害対策本部を初め、現地機関の野生鳥獣被害対策チームや、本年度から新たに地方事務所に配置いたしました鳥獣対策専門員の活動を通じまして、市町村等と連携しながら、集落ぐるみで取り組む総合的な被害対策を支援しているところでございます。  今後とも、野生鳥獣に負けない集落づくりと、長野県の自然、農林業をニホンジカから守るための捕獲の促進を基本目標にいたしまして、集落ぐるみの取り組みへの支援や捕獲対策の一層の強化などを検討しながら、鳥獣被害対策の推進に努めてまいる所存でございます。  以上でございます。       〔環境部長荒井英彦君登壇〕 ◎環境部長(荒井英彦 君)生物多様性についてのお尋ねでございます。  我々人間の生活は多くの生物の恵みによって支えられ、成り立っているところでございます。そんな中で、生物多様性への危機の一つとして人間活動の縮小がありますが、森林や草原がかつてのように利用されなくなり、シカなどの分布が拡大しております。このため、農林業被害だけでなく、高山植物などの自然植生までも被害を受けておりまして、生物多様性にとって一つの大きな脅威となってきております。  県では、生物多様性を将来にわたって保全し、持続的に利用していくための包括的な方策として、生物多様性長野県戦略の策定を進めているところでございます。  ことしはCOP10が開催をされまして、名古屋議定書という成果が残された年でもあり、生物多様性という問題への県民の関心が大変大きく広がってきた年でもございます。そこで、この戦略に基づきまして、幅広く県民の皆さんの協力を得ながら、積極的に取り組みを進めてまいりたいと考えているところでございます。  以上でございます。       〔16番今井正子君登壇〕 ◆16番(今井正子 君)ハンターが減る中、仮に捕らえたとしてもさらに処理が大変ということもありまして、シカも。佐久には広域の佐久屠場もありますので、ジビエだけではなく、ドッグフードとか処理方法なんかの改善が必要ではないかとも思います。  続けて、信州の川を守る取り組みにつきまして農政部長、建設部長にお尋ねします。  先月、65年ぶりに、上小管内のやな場で産後死んだと思われる雌のサケが見つかりました。長野県水辺環境保全研究会の一員として二十数年、ここ数年、新潟水辺の会と長野県側で稚魚放流を続けていた者としては本当にうれしい限りでした。3年ほど前から集中豪雨等による長野県の千曲川の汚濁に苦しみ、アユを中心とする漁業組合の死活問題となっていることを知り、その原因、対策を早急に、そして常に川を観察し、澄んだ水を守っている漁業に対する振興策、支援策をと取り組んでいるときでしたので、組合の皆様にも光が見えたようでした。  サケやアユの帰ってくる川、また、すめる川づくりに早急に取り組むべきと思いますが、その意欲を農政部長にお聞かせいただきたいと思います。  昭和55年から年間45万から50万匹の稚魚放流を続けた県のカムバックサーモン事業は平成15年に終結しました。その報告書には、恒常的な河川水量の増加がないとサケの安定的な遡上は期待できないことが明らかになったとあり、一昨年のJRの不正取水による宮中ダムの水利権剥奪により水枯れの信濃川に水が返ってきたこともサケの遡上の大きな要素となったことと思います。しかし、新潟県境まで水、魚が来ても、県境の西大滝ダムがネックとなります。  本年は、その西大滝ダムの30年ぶりの東京電力との水利権更新となります。どのような意見を付記して交渉されるのか。建設部長にお尋ねします。       〔農政部長萩原正明君登壇〕 ◎農政部長(萩原正明 君)魚がすみやすい川づくりというようなことのお尋ねだというふうに思います。  魚には、サケだとかアユのように海と川を移動するような魚もございますし、ワカサギのように湖と川を移動するような魚もいるわけでございまして、成長の段階によりましてさまざまな水域を利用しております。魚がその水域間をスムーズに移動できて、水質も良好で、産卵場所だとか稚魚の成育場などの環境が整うということが川にとって大変重要なことだろうというふうに思っております。  農政部といたしましては、川の濁り水の水質調査等を行っているほか、産卵場所の造成だとか外来魚の駆除だとか、こういったものの支援についても行っておりまして、今後とも魚のすみやすい環境づくりに努めてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔建設部長入江靖君登壇〕 ◎建設部長(入江靖 君)西大滝ダムの水利権更新に関するお尋ねでございます。  西大滝ダムの発電水利権の許可権者は国であり、国は、水利使用に関する処分を行うに当たり、河川法第36条に基づき関係都道府県知事に意見聴取を行いますが、現時点ではこの件で県に意見聴取はまだなされておりません。  西大滝ダムに関しましては、平成11年に、国が主体となり、地元の自治体も参加する信濃川中流域水環境改善検討協議会を設立し、10年以上にわたり議論を行い、その中では魚の生息や遡上及び降下、魚道の構造についても検討がなされました。平成21年3月には協議会から提言がなされ、現在0.26トン毎秒である河川流量について20トン毎秒以上の河川流量を確保すること、魚道などの構造改善を行うこと、今後も引き続き国が中心となってモニタリングを行い毎年評価すること、この評価を踏まえ必要に応じ新たな提言を行うことなどの改善策が示されたところであります。  県といたしましては、この提言を踏まえ、関係市町村長の御意見を伺った上で適切に対応してまいりたいと考えております。  また、必要でありましたら、県として住民の皆様の御意見をお聞きすることも考えております。  さらに、東京電力からも説明を求め、説明結果についても、東京電力と調整の上、公表したいと考えております。  以上でございます。       〔16番今井正子君登壇〕 ◆16番(今井正子 君)宮中ダムの水量は40トンから100トンになりましたので、西大滝でも、水量確保、それから魚道の改良、ダムの放流方法の改良等、できれば3年ごと、5年ごと等に見直しをしていただきながらサケやアユが戻れるような川にしていっていただきたいと思います。  信州の農林業、また漁業振興のための鳥獣被害対策、川を守る取り組みに集中した予算をお願いいたしまして、浅川ダム問題に移ります。  まず、副知事に浅川ダム論点再確認の取り組み状況についてお尋ねします。  1、今回の作業経過、内容等の報告は、その都度知事に行ってきたのでしょうか。  2点目、今回、基本高水算出の流出解析で検証した4洪水とは何か。流出解析に用いられた飽和雨量の決定に行われた4洪水のうち、計画対象として用いた10洪水に含まれているのは昭和56年8月の洪水のみでした。それもピーク時の流量は欠測となっています。水位観測を初め、昭和48年以降の洪水ゼロから、10洪水中、昭和56年8月を除き5洪水あるのに、なぜ4洪水が選ばれたのでしょうか。  3点目、その流域面積が第2回浅川解析まで68平方キロメートルだったものを、第3回には73平方キロメートルと5平方キロメートルふえているにもかかわらず、20年間にわたり基本高水450トンが全く変わらないということはどういうことでしょうか。  4点目、昭和46年、数多くのダムの話が持ち上がり、ほかのダムは計画どおりできた中で、浅川ダムが進まなかった原因はどこにあるとお思いですか。  以上、4点、お願いいたします。       〔副知事和田恭良君登壇〕 ◎副知事(和田恭良 君)初めに、知事への報告に関するお尋ねでございます。  9月24日の第1回作業には知事も出席いたしまして、作業の進め方や内容を確認いたしました。その後、作業を進める中で知事から質問や指摘等多々ございましたが、逐次再確認を行いまして、それに係る報告をしてまいりました。  次に、流出解析で検証した4洪水に関するお尋ねでございます。  お話の4洪水は、先ほどお話にございましたが、飽和雨量の決定ということで、雨が地中にしみ込む量についての決定に当たり検証を行ったものでございます。その4洪水でございますが、浅川の北郷に水位観測所が設置されました昭和48年以降、平成5年のダム建設等事業全体計画書を作成した時点までに大きな降雨があり、かつ、洪水時の水位と流量の両方の観測のデータが得られたものであります。  水位は常時観測しておりますが、流量につきましては、洪水時に観測地点に出動しまして人の手により観測作業を行うことが必要なためデータをすべて把握することは難しいものであると、このように聞いております。  次に、流域面積の変更に関するお尋ねでございます。
     以前の浅川の治水計画では、流域面積を68平方キロメートルとし、算出した基本高水流量は毎秒440.06トンでございましたが、毎秒10トン単位で切り上げまして毎秒450トンに決めたところでございます。平成16年度、ダムによらない代替案を検討する中で、長野市の下水道が浅川に入る部分を加えまして、長沼1号排水路等の流域面積を5平方キロメートル増加いたしまして73平方キロメートルとなっております。この73平方キロメートルより算出した基本高水流量は毎秒444.18トンとなりますが、数字を切り上げまして450トンとしたところでございます。計画上の基本高水流量について変更がされなかったということでございます。  続きまして、浅川ダムが進まなかった原因に関するお尋ねでございます。  浅川ダムにつきましては、平成12年の脱ダム宣言に伴いまして一たん建設事業を中止いたしまして、平成13年度からの治水・利水ダム等検討委員会での審議等を経ましてダムによらない治水対策について検討されました。この検討委員会の答申は、基本高水流量を毎秒330トンといたしまして、ダムを建設することなく、河川改修のみで対応するというものでございましたが、これは実質的な安全度の切り下げであると地元首長及び地元住民の反対がございました。次に、基本高水流量を毎秒450トンとして検討いたしましたダムなし案につきましても、河川改修済み区間を再改修する手戻り工事が発生したり、遊水地や地下放水路案に技術的課題が多いなど、国の理解が得られず、成案にはなりませんでした。  こうしたことから、浅川の治水対策が治水専用ダムに決定する平成19年まで6年余りという大変長い時間を要し、結果として事業が進捗しなかったものと、このように認識しております。       〔16番今井正子君登壇〕 ◆16番(今井正子 君)副知事に再度お尋ねします。  第2回目の浅川解析と3回目の解析に対象として挙げた13洪水の中にも入っていなかった3洪水を挙げているのはどういうことかということです。  それから、昭和46年にスタートした浅川ダムが、つくろうと思えば、吉村知事時代、バブルの景気の時代に幾らでもつくれたはずですが、そのときになぜつくらなかったのか、できなかったのかということを申しているのであります。       〔副知事和田恭良君登壇〕 ◎副知事(和田恭良 君)洪水の選定でございますけれども、できるだけ客観的な数字を得るためには、できるだけ洪水の数を、それも決める直近の、できるだけ近い時点の洪水を選ぶということが大事だろうと思いますし、その意味で、データが得られたその間の4洪水を選んだのは私どもとしては適切であったと、このように判断をするところでございます。  それから、どうしてという後段の御質問でございますけれども、やはり地域等の御理解、首長等の理解が得られなかったということ、そのことによって建設が進まなかったと、このように申し上げておるところでございます。  以上でございます。       〔16番今井正子君登壇〕 ◆16番(今井正子 君)今までに解析に使っていないような洪水を使うので、データの改ざんではありませんか、その数字に合わせたのではないかとか、いろいろな疑いが持たれるわけです。今回の手法は、知事選に向けた西松建設等からの献金疑惑とか、元秘書複数の方のとうとい命がなくなるというようなことはありませんでしたが、脱ダムからダム建設に切りかえた村井知事のパターンに乗り、さらにそれに安全の上塗りをしてしまった結果となったことは残念この上ないところであります。  ダム、しかも安全度については、ダム推進派と思われる学者2名で、危険と言い続けた学者の意見は書いてありませんでした。この報告を受け、知事が判断する間、議会や県民に公開し、特に地元の方々に説明をし、御意見を伺うなどしてもよかったのではないかと思います。報告を受け、そうか、やっぱり欠点はないかでは知事の説明責任のための担保、手形づくりを行っただけになってしまうと思うのです。  知事にお尋ねいたします。  1、今回の検証についての報告は、いつ受けたのか。報告についてどのような質疑が交わされ、継続の判断をされたのか。  県庁内作業チームによるダムの必要性と安全性、基本高水の妥当性といった根本的重大問題に関して、公平、客観的、専門的判断が下されるとお思いですか。  知事は学識者の名前まで出して安全と言っているので信頼できるとおっしゃいましたが、参考資料を見ますと、ダム安全性について、脇坂氏はたった1時間半、川上氏に至っては55分間、富所先生に至っては、当日、11月25日の1時間だけの質疑応答でありました。  次に、浅川ダム建設について反対していた6割を超える県民に対して知事はどのような説明をされていくのでしょうか。  最後に、住民の命にかかわる、生命にかかわる浅川ダム建設地は危険な地すべり地帯であるとの心配が多い中、全く安全だと言い切れるのでしょうか。  知事は、試験湛水で最終確認をするとのことでしたが、参考資料の脇坂氏も、ダム軸が二転三転したことは浅川ダムの地質がよいほうではない、地質上の問題を克服してつくっていかなければならないと言っていますが、技術的不安は全くないのか。本当に大丈夫なのでしょうか。知事にお尋ねします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)浅川ダムについての御質問でございます。  私は、治水に対しては、基本的にはできる限りダムによらないことが望ましいというふうに思っております。しかしながら、浅川ダムの問題、本当にさまざまな議論が行われ続けてきたところであります。私自身の価値観だけで判断することはできない課題であるというふうに思っております。この問題につきましては、単なる箱物をつくるということでなくて、住民の皆様方の生命、そして財産に関する話でございます。責任ある知事の立場としては、現在の法令あるいは技術的な知見に基づいて判断をしていくという立場をとらさせていただきました。  今、お尋ねがございました今回の検証についての報告はいつ受けたのかということでございます。  11月の4日の時点で、中間報告という形で副知事から報告を受けました。また、11月29日の朝に、論点再確認の最終の取りまとめという形で副知事から報告を受けました。  しかしながら、その間、私のところにもさまざまな方からいろいろ問題点、お寄せいただいたりした経過もございますので、私自身、そうした課題についてしっかりと結論を出さなければいけないというふうに考えておりましたので、再確認作業チームには、その途中の段階でも、さまざま疑問点、問題点、投げかけてまいりました。今お尋ねにありました安全性でありますとか、あるいは流域面積が73平方キロに変わっているのはどうしてか、あるいは流域の分割が変わっているのはなぜかと。そうしたことについて私のほうからも再確認作業チームに投げかけてきて、その答えは今回の報告書の中に出てきているわけであります。  報告を受けまして、私としては、冒頭申しましたような立場に立って、浅川ダムの建設について継続を認めるという判断をさせていただきました。  浅川ダムの建設について多くの人が反対しているのではないか、その皆様にどう説明していくのか、接していくのかということでございます。  これは、私の選挙の後の長野県世論調査協会の調査結果を見ますと、本体工事を進めるべきだ26.7%、工事を中止すべきだ18.3%、一時中断して再検証すべきだ43.1%という形になっております。この問題、ずっと、賛成、反対、賛否両論ある問題でありますし、私自身、選挙中あるいは選挙後もさまざまな方とお話する中で、正直よくわからないという方も結構大勢いらっしゃったということも事実であります。私は、県民の皆様方がダムの建設ということについて必ずしも全面的に賛成の皆様方ばかりではないということを承知の上で判断をさせていただきました。  これまで、議会の議決を踏まえた上で、県としての意思決定は既にされているわけであります。長野県としての意思決定は既にされてきたわけであります。そうしたものを白紙の段階から判断するということでは、これは責任ある知事のとるべき態度ではないというふうに私は思っております。  12月の9日には、流域の住民の皆様方に私自身出向かせていただいて御説明をしたいというふうに思っております。また、12月の13日にも、流域の皆様方に限らず、県民の皆様方に御説明をさせていただく機会を設けたいというふうに考えております。  私自身、今回の取りまとめに当たって、本当にわかりづらい技術的な部分が非常に多いわけですけれども、本当に一般の県民の皆様方に少しでも御理解いただけるような形になるように、これは予断を持って推進あるいは中止ということではなくて、少なくとも内容がわからなければ判断のしようがないわけでありますから、そうした観点での作業を指示してきたわけでありますので、そうした中身について、これまで例えば内水と外水のはんらんについて必ずしもかつては明確な御説明してきていなかった点もあろうかというふうにも思いますし、あるいは基本高水の問題等についても、先ほど御指摘ありましたけれども、この間、流域面積等変わる中で微妙に変化をしてきているという部分もあります。そうした点についても、今回、すべてつまびらかに、明らかにしていくという方針で取り組ませていただいてきたところでございます。そうした点について住民の皆様方にしっかりと説明をさせていただきたいというふうに思っております。  それから、地すべりの関係でございます。  確かに、御指摘のとおり、浅川ダム建設地周辺の地質、地すべり地が存在したり、あるいは岩盤が必ずしも堅固ではないといったような事実はございます。だからこそ、これまで調査を行ったり、あるいは必要な対策を施してきているということでございます。必要な対策を施して十分な安全性を確保する計画となっていると考えております。  昨日、和田議員にもお答えいたしましたとおり、副知事を中心とした論点再確認作業において、これは副知事も申しておりましたけれども、しつこく聞くなというぐらいしつこく専門家の皆さんに確認をしていただいたところであります。そうしたことを踏まえて、最終的には、議員の質問の中にもございましたけれども、試験湛水を行った上で安全性を確認した上で進めていくという形の今後のスケジュールになっております。  以上でございます。       〔16番今井正子君登壇〕 ◆16番(今井正子 君)生命、財産にかかわることだからこそ、知事の思いで判断すべきだったことと思います。民主党の国交大臣ですら、八ッ場ダムで飽和雨量の点で基本高水流量の見直しに関して言及したにもかかわらず、現在の浅川の基本高水流量が過大な数値であるか否かを検証せずして基本高水流量を引き下げることは安全度を下げることと同義だと結論づけている報告書は何ら検証していないのと同じではないかと思います。  そもそも多くの問題があったので議論がされてきたわけですから、問題点が見つからなかったと2カ月足らずで簡単に結論を出してしまったのはどういうことなのでしょうか。その2点についてお尋ねします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)この問題は、さまざまな価値観の問題であると同時に、もう一方で技術的な側面、両面ある課題だというふうに思っております。  基本高水の話につきましては、私は、河川整備計画、認可されて今現時点取り組まれている前提としての基本高水の流量につきましては、これは妥当性があるというふうに考えております。もちろん、これから、降雨の仕方とか、さまざま自然環境変わってくる場合があると思います。そうしたときに、10年たっても、あるいは50年たっても100年確率であるかどうかということはわからないわけでありますけれども、少なくともこの計画を立てて現在着工に至った段階での基本高水流量のあり方という点では妥当性があるというふうに考えております。  次に、2カ月足らずで簡単にということでございますが、これは、簡単にと言われると私も多少心外なところが正直言ってございます。先ほど来申し上げておりますように、単に報告されたことをうのみにして申し上げていることではないわけでありまして、私自身、重い判断をさせていただいたというふうに考えております。  以上です。       〔16番今井正子君登壇〕 ◆16番(今井正子 君)お言葉を返すようですけれども、民主的だからこそ選挙をしたのです。少なくとも基地は県外へと本気で言った首相に期待をした沖縄県民初め我々国民は、次の何も語らない首相にはさらに不安を感じています。  阿部知事には、オレンジ隊を初め、どういう思いの県民が知事に期待をし、当選をするところまで至ったのか。恐らくこの議場には後援会まで引き出して本気で支持した人は数人であり、ほとんどが一般県民、草の根の人です。どうしても前県政の継続は嫌だと声に出せず心で叫んでいた人の思いを受け、なぜ長野県知事になりたかったのか原点に戻っていただきたいと思います。継続は勇気ではありません。知事になったら何をしたかったのかを原点に戻って考えていただき、県民のため頑張っていただきたいと申し上げまして、ダムについての質問は終わりにさせていただきます。  今回のこのダムの結論につきまして、大変な電話またはメール等が来ております。このダムの思いにつきましては、阿部知事ならという思いが多くの県民の皆様の中にあったようです。そのようなメールがたくさん来ております。どうか、いつも弱い者の立場に立つ、県民の目線に立つ知事の行政、これから教育再生もありますけれども、長いものに巻かれない、屈せず、ひるまず、言われたとおりの県政を行っていただきたいと思います。  応援していた県職のOBから、今井さん、重大な決断というのは継続のことではないとおっしゃいました。心の中にいろんな思いがあることかと思いますが、どうか、今後も、知事、しっかりと頑張っていただくために、県民のためによろしくお願いしたいと思います。  以上、終わります。 ○議長(寺島義幸 君)会議規則第13条第2項の規定により、本日はこれをもって延会いたしたいと思います。  次会は、明2日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後4時57分延会...