長野県議会 2008-02-29
平成20年 2月定例会本会議-02月29日-05号
平成20年 2月定例会本会議-02月29日-05号平成20年 2月定例会本会議
平成20年2月29日(金曜日)
出席議員(58名)
1 番 下沢順一郎 27 番 村上 淳
2 番 髙島陽子 28 番 小松千万蔵
3 番 福島鶴子 29 番 西沢正隆
4 番 和田明子 30 番 風間辰一
5 番 小林東一郎 31 番 佐藤友昭
6 番 太田昌孝 32 番 下村 恭
7 番 今井 敦 33 番 竹内久幸
8 番 丸山栄一 34 番 佐々木祥二
9 番 松山孝志 35 番 向山公人
10 番 小島康晴 36 番 高村京子
11 番 金子ゆかり 37 番 小林伸陽
12 番 小山 立 38 番 藤沢詮子
13 番 備前光正 39 番 柳田清二
14 番 今井正子 40 番 牛山好子
15 番 北山早苗 41 番 宮澤敏文
16 番 諏訪光昭 42 番 平野成基
17 番 木内 均 43 番 本郷一彦
18 番 小池 清 44 番 村石正郎
19 番 垣内基良 45 番 木下茂人
20 番 野澤徹司 46 番 森田恒雄
21 番 髙見澤敏光 47 番 倉田竜彦
22 番 保科俶教 48 番 宮澤宗弘
23 番 宮本衡司 49 番 寺島義幸
24 番 清沢英男 50 番 高橋 宏
25 番 毛利栄子 51 番 石坂千穂
26 番 永井一雄 52 番 島田基正
53 番 萩原 清 56 番 古田芙士
54 番 服部宏昭 57 番 下﨑 保
55 番 望月雄内 58 番 石田治一郎
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説明のため出席した者
知事 村井 仁 企画局長 和田恭良
副知事 板倉敏和 会計管理者 山極一雄
副知事 腰原愛正 公営企業管理者
総務部長 浦野昭治 職務執行者・企
社会部長 藤巻益夫 業局長 峯山 強
衛生部長 渡辺庸子 財政課長 黒田和彦
生活環境部長 白井千尋 教育委員会委員
長 綿貫隆夫
商工部長 荒井英彦 教育長 山口利幸
観光部長 久保田 篤 教育次長 原 修二
農政部長 白石芳久 教育次長 平澤武司
林務部長 加藤英郎 警察本部長 石井隆之
土木部長 原 悟志 警務部長 副島正良
住宅部長 大田安男 監査委員 髙見澤賢司
危機管理局長 松本有司
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 徳武和夫 議事課企画員 伊藤 純
議事課長 宮下清一 議事課企画員 山岸秋夫
副参事兼議事課
総務課企画員 塚田邦彦
課長補佐 高橋和成
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平成20年2月29日(金曜日)議事日程
午前10時開議
行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑
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本日の会議に付した事件等
行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑
午前10時1分開議
○議長(服部宏昭 君)これより本日の会議を開きます。
本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。
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△行政事務一般に関する質問及び知事提出議案
○議長(服部宏昭 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。
順次発言を許します。
最初に、太田昌孝議員。
〔6番太田昌孝君登壇〕
◆6番(太田昌孝 君)おはようございます。県民クラブ・公明、太田昌孝でございます。順次質問をさせていただきます。
初めに、救急医療体制につきまして伺います。
2007年版の消防白書によりますと、2006年中の救急車などによる救急出動は524万件に上り、3年連続で500万件台の高い水準が続いているとのことでございます。また、現場に到着するまでの平均所要時間も96年の6分間から2006年には6.6分間に伸びており、迅速かつ的確な対応が求められる救急医療の現場にありまして、所要時間が増す傾向は大変に気にかかるところでございます。そして、救急車などの利用実態につきましては、白書では、タクシーがわりの利用であるとか事前予約のある外来通院なども少なくないなどの問題点も指摘をしながら、対策としてトリアージ、これは緊急度、重症度の選別を行うということでございますが、その必要性にも言及をしております。
県内では、例えば平成18年度中の長野市消防局管内の救急出動件数は1万5,334件でしたが、搬送された方の約半数が入院の必要がないいわゆる軽症と診断されたとのことであります。もちろん、結果論をもって救急車での搬送のいわゆる適不適というところを論じるつもりはございませんが、救急現場においての判断につきましては直接命にかかわるため、今後、トリアージを進めるなどの対応をとるにしても、県民がまずは安心できる体制を整えることが必要不可欠であるというふうに考えます。
先日、県民クラブ・公明の牛山会長の代表質問におきまして県の救急医療の実態につきまして質問をされましたが、救急患者を迅速かつ適切に医療機関に搬送するため、医師がいるかどうかや空きベッドの状況などを収集して消防機関に提供するいわゆる
緊急医療情報システムにつきまして、なかなか情報の更新が難しい、むしろ受け入れ態勢の情報などにつきましては救急隊員が個別に確認した方が結果としては早いというような衛生部長の御答弁がございました。
先日、県の発表でも、重症、重症以上の救急患者の搬送において受け入れまでに照会が3回以上行ったものというのは1%というような発表もございまして、こうした説明を裏づけているものと思いますけれども、一方で、現場に滞在した時間が1時間以上も14件ございまして、また、現状の医師不足は早期の解決も見込まれない現状にあって、個別確認に頼っていたのではいつたらい回しという事態が起きても不思議ではない。
せっかく整備された
緊急医療情報システムの有効活用が喫緊の課題であると考えますが、いかがでしょうか。衛生部長に伺います。
また、医療機関側が患者の受け入れを断る理由は、ベッド満床であったり、専門外、医師不在、手術中、設備、機材や手術スタッフが不足した場合の処置困難などが挙げられます。救急患者の搬送先選定に相応の専門性が必要なのは事実でありまして、その意味でも指導的立場の医師が患者の手当て、処置、搬送先などを救急隊にリアルタイムで助言、指導できる
メディカルコントロール体制の確立は重要であります。
現在は、10広域ごとに
メディカルコントロール協議会を設置をし、これらを構成する病院の医師により指示、助言を行っているということでございますけれども、専門性や救急救命士による間接的な治療に対する習熟度、あるいは助言を受けるための医師の確保などに費やす労力を考えたとき、
メディカルコントロール体制の整備は重要と考えますが、いかがでしょうか。
現在の医師不足の状況から広域ごとの体制整備は困難と思いますが、消防の広域化にあわせ、
緊急医療情報システムの整備とともに、ぜひとも御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。衛生部長に伺います。
また、現在、
メディカルコントロールの事務局は医療政策課にあるとのことでございます。消防広域化にあわせてとの思いで、危機管理局長の見解もあわせて求めます。
さらに、さきにも申し上げましたが、救急車の所要時間短縮が求められている中にあって、今後、トリアージの導入につきましても必ずこれは課題となってくるものと考えます。現在までの検討状況につき危機管理局長に伺います。
〔衛生部長渡辺庸子君登壇〕
◎衛生部長(渡辺庸子 君)
救急医療情報システムに関する質問についてお答えします。
救急医療情報システムの運用につきましては、牛山議員の質問にお答えしたとおり、一部の消防本部で補完的な照会手段として利用しておりますけれども、直接電話等で連絡をとった方が早く、かつ詳細に受け入れの可能性を把握できるため余り利用されていない状況にございます。今後、医療機関と消防機関双方の御意見をさらに伺いまして、どういう形での運用がよいか検討してまいります。
次に、
メディカルコントロール体制の整備についてお答えいたします。
救急搬送におきまして、救急救命士が医師の指示のもとに救急救命処置を行う
メディカルコントロール体制の充実は、救命率の向上を図る上で重要なことと認識しております。
本県におきましては、10圏域の
地域メディカルコントロール体制のもと、地域の中核的病院の医師が現場の救急救命士の求めに応じまして直接救命処置の指示、助言を行っております。
指令センター等に専任の医師を配置いたしまして救命処置と搬送先選定について指示、助言を行うという体制は理想的ではございますけれども、14の消防本部がそれぞれ異なる仕組みで搬送先の選定を行っている現状では、御質問のとおり、医師確保という面からも実現は困難であると考えております。
現在、市町村消防の広域化が進められておりますので、広域化の動向を注視しながら、このような
メディカルコントロール体制の充実について検討を行っていく必要があると考えております。
〔
危機管理局長松本有司君登壇〕
◎危機管理局長(松本有司 君)まず、消防の広域化にあわせた
メディカルコントロール体制の整備という点についてお答えを申し上げます。
平成19年の4月1日現在、県下14の消防本部の救急隊には救急救命士が401名配置されておりまして、
地域メディカルコントロール協議会の参画医療機関の医師に連絡をとりまして、その指示を受けて現場において気管送管ですとか薬剤投与などのいわゆる特定行為と言われているものを行っているところでございます。
なお、救急救命士につきましては、県も養成について支援を行っているところでございまして、この5年間を見ましても、1.9倍、190名増加しているところでございます。
傷病者に対する初期対応は県民の生命を守るために非常に重要な活動でございまして、今後も
メディカルコントロール体制の一層の円滑な運営、これが求められていることは申し上げるまでもないということだというふうに思っております。
衛生部長も答弁申し上げましたが、御指摘のとおり、消防の広域化の効果の一つとして医師と救急救命士との連携がさらに強化される、こういうことを期待しておりますし、その点に十分留意して対応をしていくということが重要であるというふうに考えております。
続きまして、トリアージの導入の検討状況などについてのお答えを申し上げます。
お話にもございましたが、救急車の出場件数につきましては、平成18年までの10年間で約1.6倍、県下全体で年間約7万9,000件というふうに増加をしております。それの内容につきましてもさまざまな事案ございまして、御指摘のとおり、中には救急車が搬送する必要のない軽症の事案も含まれているというふうに聞いております。
このように業務量が増大する中でございますが、各消防機関では迅速かつ的確に傷病者を搬送するため日夜懸命な努力が行われているというところでございます。
消防庁では、このような状況を受けまして、救急要請の急増に対応するための検討会というものを開催いたしまして、トリアージの必要性について提言がされたわけでございます。現在、消防庁では、このトリアージ運用における課題の整理を行うとともに、今後その課題の解決に向けた検討を行うというふうに聞いております。
また、昨年6月には東京消防庁でトリアージの試行が始まりましたけれども、一定の効果も認められた反面、緊急性が認められない場合は搬送を行わないということにつきましてその該当者に御理解をいただくことなど、課題も多いというふうに聞いております。
県では、トリアージ運用をめぐるこれらの動向につきまして県内消防機関に情報提供等を行うとともに、救急事案に該当しない場合には民間の患者等搬送事業者の積極的な活用を働きかけるなど、適正な利用に向けて県民への啓発活動も行っております。
トリアージに関しましては、県民の生命にかかわるという意味で大変デリケートな問題であることも事実でございますので、今後、消防機関での取り組み等について県としてもできる協力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
〔6番太田昌孝君登壇〕
◆6番(太田昌孝 君)トリアージにつきましては、まずその前段といたしまして、今申し上げました
救急医療情報システムの整備でありますとか、ましてや
メディカルコントロールの体制の整備、こうしたものが当然のごとくに必要になってくるものというふうに思います。
衛生部長のお答え、代表質問と全く同じようなところになるとは思うわけでございますけれども、しかしながら、いわゆるたらい回しというような事態、14件、1時間その現場でとどまっていた救急車があると。全体で言えば1%かもしれませんが、そうした中にあって、1件そういったようなことが起きたら一気に信頼というものは失われてしまうというような状況の中にあって、せっかくあるシステムでございます、有効活用が図られますように。これは、結局、医療現場においては、医師不足と同時に看護師不足という中で、実際にそれを入力したりとか、そういったことも看護師が行わなければならないというような、医療現場の人手不足ということが問題になってくるのであろうというふうに思います。医師不足、看護師不足にあわせまして、そこら辺の事務員、こうしたものにつきましても公明党ではそういったことも提言させていただいておりますけれども、そのようなことをこれからぜひ御検討いただければというふうに思います。
次に、
情報通信ネットワークについてお伺いをいたします。
中期計画では、
高度情報通信ネットワーク社会の推進といたしまして、いつでも、どこでも、だれでも簡単に
情報通信ネットワークが利活用できる社会を目指しまして、地域における情報化や電子自治体などを推進することとしております。
そして、県の情報環境を改善し、事務の効率化を図るとともに、県民サービスの向上や、県、市町村の一体整備による多様な業務利用、コストの削減を目的としてIBN(
情報ブロードウエイながの)が本年度よりスタートをしております。この整備によりまして、県、市町村合わせて約2億円の経費削減効果が図られており、今後のさらなる利用拡大による県民の利便性向上や、市町村との連携によるさらなる経費削減効果にも期待をするものでございます。
さて、こうした電子自治体の推進につきましては、県の行政機能の円滑化や職員の仕事の効率化につながることは大変によくわかるものの、県民にとっての利便性の向上について具体的な項目や今後さらに県民のために行う事業の見込み、さらに、このネットワークを利用することによる他県や市町村との協働にかかわる事業見込み、それから、視点を変えまして、さらなる経費の節減につながるであろう事業の見込みについて、これは企画局長に伺います。
また、同様に、教育ネットワークを構築されております教育長に、IBNを使うことによります県民にとっての利便性の向上について具体的な項目や、今後さらに県民のために行う事業の見込み、さらに、このネットワークを利用することによる例えば市町村教育委員会や市町村の小中学校との協働にかかわる事業見込みについて伺います。
また、あわせて、長野県
図書館ネットワーク充実事業が20年度予算案にも上げられておりますけれども、この事業で得られる情報と、IBNを利用して、公立の図書館だけでなく、小中学校の図書館をネットワーク化して、教育現場で利用できる専門書などの検索などが行えるようなシステムの構築などもコンテンツの一つとして御提案申し上げたいと思いますが、教育長の御見解を伺います。
〔企画局長和田恭良君登壇〕
◎企画局長(和田恭良 君)
情報ブロードウエイながの、IBNを使いました具体的な事業に関する御質問でございますけれども、このIBNは、県、市町村の業務につきまして安全、確実、迅速に処理することを第1の目的としております。県民の利便性の向上にもつながるものとしては、電子申請届け出、あるいは各種アンケート調査などが挙げられますが、20年度から予定しておりますパスポート申請の本人確認などもIBNを使って行うこととなります。
また、市町村との協働ということでは、
電子申請届け出システムが既に市町村との協働で実施しておりますが、20年度は、森林計画図等のデータベースの更新作業につきまして地方事務所や市町村職員がともに行うことができます
森林GISシステムなどの運用を開始する予定でございます。
さらに、県外ということでは、外部とのネットワークと接続することによりまして、例えば御嶽山の地震観測につきまして県外の大学と協働して観測データを見ながら研究を行うという、こういうことも20年度には可能となる見込みでございます。
それから、経費の削減ということで申し上げますと、
テレビ会議システムなど、これまで各部局で単独回線を使っておりましたシステムが20年度IBNに乗りかえる予定でございまして、回線使用料が削減されます。また、新たに始まります市町村の
後期高齢者医療システム、あるいは国民健康保険のレセプトシステムなどにつきましても、IBNを活用することにより経費の節減が図られる見込みでございます。
〔教育長山口利幸君登壇〕
◎教育長(山口利幸 君)教育分野におけるIBN(
情報ブロードウエイながの)の利活用についてのお尋ねでございます。
教育ネットワークは、県教育委員会と県立高等学校及び特別支援学校をIBNにより接続しまして、
情報セキュリティーの向上、校務処理の効率化、教育内容の充実を図ることを目的としております。今年度は、インターネットを利用した事業環境を改善するため、高等学校のパソコン教室を順次IBNに接続しているところでございます。また、来年度以降は、教員用の校内ネットワーク及びパソコンの整備を順次進めてまいりたいと考えております。
教育分野におけるIBNの利活用につきましては、教材の相互利用や小規模校における遠隔授業、eラーニングなどのさまざまなことが考えられます。市町村教育委員会や小中学校との連携、協働につきましても、市町村によって
学校間ネットワークの整備状況はさまざまでありますが、どのような利活用が可能か、どのようなメリットがあるかを含めまして、あわせて研究してまいりたいと考えております。
次に、来年度予定しております長野県
図書館ネットワーク充実事業についてでございますが、これは、県内の公共図書館のうち蔵書検索システムを持つ55館をネットワーク化しまして、約770万冊の蔵書を一度に検索できるようにするものでございます。県民の皆様がインターネットを活用して希望する本がどの図書館に所蔵されているかを検索できるようにいたします。
また、議員から御提案がございました、小中学校の図書館も含めたネットワーク化につきましてでございますが、ただいま申し上げましたとおり市町村の整備状況もさまざまでございますので、利活用が可能かどうか研究してまいりたいと考えております。
以上でございます。
〔6番太田昌孝君登壇〕
◆6番(太田昌孝 君)このような事業、結局はコンテンツとして何をのせるかということが問題になってくるかというふうに思います。今も、市町村、あるいはテレビ会議等々さまざまコンテンツにのせていただいておるようでございますけれども、教育委員会につきましては、これは一律にやる必要はないわけですから、できるところからでも始めるということだって可能なわけでございますし、あるいはこれは教職員の資質向上のためにも十分に役立つものであるというふうに思います。テレビ会議なども情報政策の方では行っておるわけでございますから、そういった意味でも、先ほどおっしゃられたeラーニング、教員の資質向上などにもぜひ有効活用を願いたいというふうに思います。
先ほども申し上げましたとおり、この事業によりまして2億円の経費節減につながったということでございます。20年度においては、
情報システム推進室を新たに設置をしまして、新たな
行政情報化適用業務の掘り起こし、既存システムの開発、見直しの段階から積極的な指導、支援を行うということでございます。
現行の庁内の情報システムにおいては、国の事業や補助金によるシステムや、端末機、サーバーなど、情報政策による一元的な管理がなされていないものも多くあるように伺っておりますけれども、この
情報システム推進室の設置によりまして今後はすべての情報政策にかかわる事業が一元管理されるということで理解してよろしいのでしょうか。企画局長に伺います。
〔企画局長和田恭良君登壇〕
◎企画局長(和田恭良 君)情報政策の一元管理に関する御質問でございますけれども、新年度に新設予定の
情報システム推進室は情報統計課に附置される予定でございます。そこでは、県の組織内部を対象といたしまして、システムの構築支援、ホストコンピューターやネットワークの管理運営を行いますほか、業務担当課がそれぞれ保有しますサーバー等の機器の共有化についての計画指導など、県行政全般に共通する情報基盤整備などを行うこととしております。
ただ、業務担当課が導入いたしました個々の情報機器にはそれぞれの業務に合わせました独自の手法がありまして、また、システムについても、業務に精通し、システム環境を熟知している業務担当課で日々管理運用することが適切である場合もありまして、その限りにおいては個別管理となりますが、横の連携を図り、効率的な管理運用となるよう努めてまいります。
〔6番太田昌孝君登壇〕
◆6番(太田昌孝 君)20年度予算の中にありまして、たしか広報広聴関係であったかと思います。見直しの中で、サーバーを一つ減らしたことによって予算が100万円見直しになっているというようなこともございました。まだまだ、ここにつきましては、サーバーの統合、あるいは職員が全員本当に1人1台のパソコンが必要なのかも含めまして、もう一回検討するべきであろうかなというふうに思います。
そんな意味で、電子自治体、情報政策についてるる伺ってまいりましたけれども、事務の効率化につきましては大変によくわかります。目に見えて効果が実感できるものと思います。
昨年9月に行われました、地方の活性化と
ユビキタスネット社会に関する懇談会報告書というものがございまして、こうした地域ネットワークの課題としまして、整備後の利活用、特に公共性のメリットを説明することで、なぜこうしたことにお金をかけなければならないのか住民に説明が必要である、サービス提供によって得られる事業収入、県の場合は県民満足度がランニングコストとの関係で検証されなければならないとされております。
そして、18年の県民満足度調査の結果を見た場合に、高度情報化の推進は、満足度で49項目中14位、しかしながら重要度につきましては49項目中48位と、残念ながら県民の利便性につながっていない、少なくとも県民にはメリットが届いていないと考えます。
これまで、こうした電子自治体の推進については、県民の利便性向上に役立っているのかという部分は余り論じられていないうちに進んでしまっているのではないかと危惧を持ちますが、この点につき知事の御所見を伺います。
〔知事村井仁君登壇〕
◎知事(村井仁 君)ネットワークの整備が必要であるということ、しかし、その利便性というものが住民に必ずしも理解されていないのではないかという御指摘であります。
これだけいろんな形でいわゆる電子的なといいますか、コンピューターによる情報通信網の整備というのが生活万般を支配するようになってまいりますと、県民にとっても目に見えないところでは実は必要不可欠なものになっているわけでありまして、とりわけて全国で4番目の広さを持っている長野県でございます。なおさらのことでございます。
ただ、デジタルリテラシーと言うんでしょうか、十分にそういうネットワークにアクセスができる人とそうでない人との間の格差というのも大変大きいものがございます。そのあたりは大変難しい問題があると思いますが、いずれにしましても、近年の情報通信技術の急速な進歩によりまして、より多くの情報をより安い費用で取り交わすことが可能になりまして、そのこと自体は、県民にとって、いつでも、どこでも、だれでも、まさにユビキタスの使える情報ネットワークの存在というのは県民の利便性に大きく寄与する、これは間違いないことでございます。
そこで、
情報ブロードウエイながのの構築に当たりましては、平成18年度の当初予算の主要事業として県のホームページを通じて県民の意見を求めたほか、電子申請届け出制度など、この情報ネットワークを利用するサービスの周知に努めているところであります。
ネットワークが県民の皆さんにとってもメリットのあるものであることを十分御理解いただきながら、適切な運用に努めるようにしてまいりたいと考えております。
〔6番太田昌孝君登壇〕
◆6番(太田昌孝 君)時間がございませんので、この件につきましては、代表質問において我が会派の牛山会長の質問の中で、広報体制の話の中でも、インターネット、ホームページでの広報ということも知事おっしゃいました。利便性の向上と同時に、実はこうしたことになかなかかかわることができない高齢者も含めまして、そういう方もいらっしゃるということも視点の中で加えていただくと同時に、利便性ばかりでなく、これは県民全員が共有できる財産として、県民の利便性向上という視点をぜひとも今後入れていただきたいというふうに思います。
危機管理体制について何点か伺います。
まず、国民保護実動訓練実施事業について危機管理局長に伺います。
県の国民保護計画策定に続きまして、平成19年9月までに全市町村において国民保護計画が策定されたことによりまして、本年の1月18日には図上訓練が実施されました。特に、国からの指示に基づく市町村への伝達、そして市町村においての住民の誘導が円滑に行われることがこうした計画には重要と考えますけれども、図上訓練における課題の検証についてお聞かせください。
そして、新年度実施予定の実動訓練につきましては、住民の避難誘導も含め、情報の周知をどのような形で実施されるものか。計画について伺います。
〔
危機管理局長松本有司君登壇〕
◎危機管理局長(松本有司 君)先月実施いたしました国民保護図上訓練についてお答えを申し上げます。
この図上訓練では、住民の避難ということにつきましては、長野市が避難の実施計画を作成し、避難所へ誘導するという想定で行いました。この中では、長野駅から半径300メートルの地域を要避難区域といたしまして、避難経路を定めた上で徒歩により付近の小学校ほか3カ所の避難所へ避難していただくことといたしました。避難指示の周知、伝達につきましても、同報系の防災無線、それから広報車、それから地元自治会役員を通じた連絡等により行うという想定でございました。
今回の訓練想定が長野駅周辺ということであったこともございまして、住民はもとより、偶然現場に居合わせた多数の観光客や買い物客の避難を混乱なくどのように迅速、的確に行うか、また、範囲の広い要避難区域への流入規制を確実に行えるかといった幾つもの難しい課題もございました。
ただいま申し上げましたようなことも含めまして、訓練終了後、関係機関相互の情報共有や県民に対するテロ情報の提供のあり方、関係機関などの役割分担の明確化など、訓練の内容につきまして参加機関からさまざまな御意見をいただいております。今後、このような具体的な課題と対応策につきまして十分検証し、来年度の実動訓練に生かすなど、国民保護体制の整備に反映させてまいりたいというふうに考えております。
次に、平成20年度に予定しております国民保護の実動訓練についてでございます。
実動訓練の内容につきましては、本年度行った図上訓練の成果と課題を踏まえまして、対策本部等の設置、運営、警察、消防など関係機関による被災者の救助活動、それから医療機関による医療救護活動、それからお話ございました住民等の避難などの訓練を、現場での確認と関係機関との連携を重点に行ってまいりたいというふうに考えておりますが、国と市町村との共同で行う訓練ということでございまして、具体的内容につきましては今後関係機関と協議し詰めてまいりたいというふうに思っております。
お話のございました、住民の避難誘導も含めた情報伝達をどのような形で行うかという点につきましては、実動訓練の中でも重要な点の一つというふうになろうかと思いますので、図上訓練での経験も踏まえまして十分検討してまいりたいというふうに考えております。
〔6番太田昌孝君登壇〕
◆6番(太田昌孝 君)実動訓練でございますが、ぜひとも実質的なもので行われることを期待いたします。
次に、災害ボランティア活動条例について伺います。
消防庁のホームページの災害ボランティアデータバンクには、長野県で7万8,141人の個人会員が登録をされております。日赤長野県支部の会員が登録されていることによる会員数の増加が顕著なわけでございますが、それにしても、東京の約3万人、阪神大震災のあった兵庫県の約1万6,000人と比べても大変に大きな力であると考えます。
災害時の特に復興期においては、ボランティアの活動が何より重要になります。阪神大震災においてはその数は延べ140万人とも言われ、災害時の応急対策や復旧・復興活動などにおいてボランティアの活動は必要不可欠でございます。こうしたボランティアの力を十分に発揮してもらうためには、教育、情報、場の提供が必要と考えます。
そのため、福井県におきましては、平成17年に災害ボランティア活動推進条例を制定し、これに基づいて、災害ボランティアの受け入れ及び他県の災害に対する応援に赴くボランティアの支援も行っているとのことでございます。これは、平成9年のロシアタンカー油流出事故における災害ボランティアの受け入れに際して大変な苦労をしたとの経験から、ボランティアリーダーの養成や災害時のボランティアセンターの設置、運営のための研修などを積極的に行う中で、そのように育成したボランティア団体に対しまして災害時のボランティア本部の設置の要請を行うことができることとなっております。また、県の責務、県民の理解、事業者の協力、市町村との連携が位置づけられております。
情報を共有するということを前提に行政が行うのではなく、ボランティア団体が災害時のボランティアセンターの運営を行うことが大変に意味あることと思います。そういう意味で、ボランティア活動を支援するための取り組みについて、ボランティア協議会の対策も含めまして危機管理局長に伺います。
また、意欲ある団体、個人に対して支援するため、災害ボランティア活動条例の制定が望ましいと思いますが、いかがでしょうか。知事の御所見を伺います。
次に、災害拠点病院の設備充実について伺います。
第5次長野県保健医療計画の災害における医療について、10カ所の災害拠点病院が指定されております。これら拠点病院間は、災害時、相互に連携し、相互補完の役割をそれぞれ担うこととなると考えますが、そのためにも衛星回線の設置が必要と考えます。衛生部長の御所見を伺います。
〔
危機管理局長松本有司君登壇〕
◎危機管理局長(松本有司 君)災害時におけるボランティア活動を円滑に推進するために平時からの連携を図るということが重要でございまして、40のボランティア団体と県で構成する長野県災害ボランティア連絡会、これを平成14年に設置をいたしました。この連絡会での議論の中から、被災地におけるボランティアニーズの把握やボランティアの受け入れ等の調整を行うコーディネーターの養成が不可欠という提案をいただきまして、これを受けて、県では、平成15年度から災害ボランティアコーディネーター養成講座を開催いたしまして、平成17年度までの3年間で270名を養成したところでございます。
また、さらに、県の社会福祉協議会では、各地域で災害ボランティアの受け入れについて大変熱心に訓練を行うなど、積極的な取り組みを始めていただきました。また、顔の見える関係づくりを目的に、災害ボランティア団体や市町村の社会福祉協議会等による災害ボランティアネットワーク会議、これを平成17年度から開催し、各広域単位でも連携強化に取り組んでいただいております。
こうしたことから、先ほど申し上げました災害ボランティア連絡会と県社会福祉協議会のネットワーク会議、この一本化についても今後検討してまりいたいというふうに考えております。
いずれにいたしましても、災害ボランティアの果たす役割はますます重要なものとなってきておりますので、県といたしましては、災害ボランティアの活動を支援するために、今後も、県の社会福祉協議会、災害ボランティア団体と連携して取り組んでまいりたいというふうに考えております。
〔知事村井仁君登壇〕
◎知事(村井仁 君)長野県で大変多くの方々がボランティアとしての登録を行われていること、そして、例えば近県での災害なども含めまして、大変活発な活動をしておられる事実、大変心強いものがあると思っております。
また、ボランティアという存在は、いざというときの社会を担っていく上で大変大切な担い手として今や位置づけられていることは事実だと思っております。そういう意味で、ボランティアの受け付けや活動内容の指示等を行う災害ボランティアセンターにつきましては、長野県では、地域防災計画の中で、長野県社会福祉協議会及び市町村の社会福祉協議会が主体となって、災害対策本部と連携して設置する、こういうことになっております。
また、長野県では、平成18年の豪雪災害時に、長野県社会福祉協議会と現地の市町村社会福祉協議会が連携してボランティアセンターが設置され、また、18年7月の豪雨災害では、その経験を踏まえて、被災直後からボランティアセンターが設置され、円滑にボランティアの受け入れ、活動の指示等を行うことができたという実績がございます。
また、6月議会で太田議員にお答えしたことでありますけれども、県としましては、県社会福祉協議会を通じまして、活動拠点としてのボランティアセンターの立ち上げ訓練を県下11カ所で行っているほか、コーディネーターを含めた運営スタッフの研修などを実施して取り組んでいるところであります。
こういうことで、現在、それなりの体制を整えてそれなりに機能していると、このように私は考えておりまして、議員御提案の災害ボランティア活動条例というような考え方でございますが、実はボランティアという自発的な住民の自発の意思による行動と、条例ということで何か公的機関といいますか、県なり市町村なりがルールに従って動くということがどういうふうにマッチするのか、ちょっとそこは何かミスマッチがあるような、何でも条例で決めればいいというものでもないんじゃないかという気も実はしておりまして、ノンガバメントというようなこととの絡みも考えますと、よく研究をさせていただかなきゃならない問題だと、こんなふうに思っております。
〔衛生部長渡辺庸子君登壇〕
◎衛生部長(渡辺庸子 君)災害拠点病院を結ぶ衛星回線の設置についてお答えします。
被災地におきましては、電話やインターネットなど平常時の通信手段が利用できなくなるおそれが大きく、その場合の情報伝達手段の確保につきましては大きな検討課題と認識しております。
来年度、災害時の医療連携体制や災害時の医療対応マニュアルの策定について検討の場を設けることとしておりまして、その中で、衛星回線の利用の可能性も含めまして、災害時の情報伝達手段についても検討してまいります。
○議長(服部宏昭 君)次に、小松千万蔵議員。
〔28番小松千万蔵君登壇〕
◆28番(小松千万蔵 君)県民クラブ・公明の小松千万蔵でございます。農業政策について、まず農政改革3対策についてお伺いをいたします。
品目横断的経営安定対策は、名称を水田経営所得安定対策に変更し、加入面積要件を新たに市町村特認として制度を創設し、転作に協力する認定農業者や集落営農組織はだれでも加入できることとなりました。認定農業者について、年齢制限の廃止や目標所得等の弾力化、申請手続の簡素化などを行いました。米政策改革では、行政が主体となり、生産調整を達成するための取り組みを強化し、生産調整達成のための県間調整も新たに位置づけました。本年度の品目横断的経営安定対策の長野県の加入率は24.8%、水田転作については目標が達成されず2,115ヘクタールの過剰作付、農地・水・環境保全向上対策事業の加入率は9.3%で全国43位、いずれの事業も全国平均の50%程度の達成率であります。
国では、今回の見直しにより、加入可能な個人、集落営農組織は3倍になると予想していますが、長野県の水田経営所得安定対策と農地・水・環境保全向上対策の加入を促進するための対策はどのようにされているか。また、両対策の面積に対する加入率はどのぐらいを目指しているか。あわせて農政部長にお伺いをいたします。
〔農政部長白石芳久君登壇〕
◎農政部長(白石芳久 君)水田経営所得安定対策の加入促進についてのお尋ねでございます。
今回の国の制度見直しにおきまして、面積要件を満たせないため加入できなかった認定農業者及び集落営農組織について、一定の条件を満たした場合には対策に加入できる市町村特認制度が創設されました。
県といたしましては、県内4ブロックにおいて、市町村、JA、農業委員会等を対象といたしました説明会の開催、稲作生産者への啓発のためのパンフレットの配布、県、市町村、JA等のチームによる未加入の大規模生産者360戸への直接訪問などによります重点啓発を実施しているところであります。
また、各地域の水田農業推進協議会に対しまして制度の一層の周知や加入促進を要請するとともに、集落営農組織の育成についても農業改良普及センターにおいてJA等と連携して推進しているところでございます。
次に、加入率についてのお尋ねですが、水田経営所得安定対策につきましては新たに2,000ヘクタールの加入面積の拡大を図ることとしておりまして、この加入率については水稲作付面積に対する割合で27.3%を見込んでおります。
農地・水・環境保全向上対策の加入率と加入促進についてでございますが、この対策につきましては、平成20年度においても新規採択が認められるとともに、申請等の事務手続の簡素化が図られました。
県では、パンフレットや事務簡素化マニュアルを作成するとともに、地域のリーダー育成や合意形成に向けた研修会等を開催し、制度の啓発、普及に努めてまいりました。その結果、平成20年度における長野県のカバー率につきましては、本年度の9.3%に対し、11.8%を見込んでおります。
〔28番小松千万蔵君登壇〕
◆28番(小松千万蔵 君)面積要件が見直されたことによりまして、長野県農業は何としてもこの対策に一人でも多く加入することが重要であると思います。そのために、県が主導的立場に立ち、市町村、JAと進めるべきであり、普及センターが、市町村だけでなく、集落に入り、認定農業者取得のためのマニュアルや集落営農組織立ち上げまでの指導を積極的に進めるべきであると思いますが、農政部長にお伺いをいたします。
〔農政部長白石芳久君登壇〕
◎農政部長(白石芳久 君)普及センターが集落に入り込んで積極的に進めるべきだとのお尋ねでございます。
水田経営所得安定対策につきましては、集落営農組織を育成する専門研修を受講いたしました農業改良普及員の職員が中心になりまして、市町村の営農支援センターと連携いたしまして、法人化への支援、新たな組織育成の支援を実施しているところであります。
農地・水・環境保全向上対策事業の取り組みにつきましては、集落合意形成の支援や環境保全に向けた先進的な営農活動への技術指導を担ってきております。普及センターでは、集落に入り、ワークショップなどにより地域住民の合意形成を進めるとともに、技術指導や環境負荷低減に向けた営農活動の支援について一層強化を図ってまいります。
〔28番小松千万蔵君登壇〕
◆28番(小松千万蔵 君)次に、米政策の改革についてお伺いをいたします。
国では、転作目標達成のため県間調整を実施し、2月1日に発表をいたしました。配分された面積より米を多く作付する県は新潟県を初め7県で、転作面積を多くする県は佐賀県1県だけでありました。佐賀県の上乗せ転作面積は約1,700ヘクタールであります。
佐賀県は、県間調整を申し出る前に農家の手取りを試算し、大豆をつくれば産地づくり交付金など各種の支援で10アール当たりの農家の手取りは米の2倍になるとの試算をし、大豆栽培を大幅にふやしたのであります。
そこで、長野県は、昨年並みの転作でいくと2,279ヘクタールの作付増になってしまうわけであります。長野県の転作達成について、どのような経過を経て県間調整に参加されなかったのか。私は、昨年の過剰作付2,115ヘクタールからして、転作目標達成は大変なものがあると思うわけであります。
県間調整不参加の経過と転作達成について農政部長にお伺いをいたします。
〔農政部長白石芳久君登壇〕
◎農政部長(白石芳久 君)転作達成と県間調整の参加しない理由というお尋ねでございます。
米の生産調整の達成の取り組みでございますけれども、県段階におきましては、市町村、JA等の関係者を参集いたしました推進会議等を開催いたしまして、確実な実施に向けた関係者の意識統一をまず図るとともに、農業者向けのチラシを配布するなど、啓発活動を強めているところでございます。
また、市町村段階の協議会へのヒアリングを実施いたしまして推進状況の把握と必要な助言を行うとともに、水田経営所得安定対策の推進とあわせた大規模生産者への重点啓発を実施し、生産調整の実効確保に向けた取り組みを図ってまいりたいというふうに考えております。
次に、米の生産目標数量の都道府県間調整についてのお尋ねでございます。
本県では、生産目標数量を削減することにつきましては、生産者の米の作付希望が大変強いわけでございまして、理解を得ることが困難でございます。また、他県から目標数量を譲り受けることにつきましては、産地づくり交付金の減額、新たな地域負担が必要になることから地域協議会からの希望がない状況でありまして、調整には参加しなかったものでございます。
以上でございます。
〔28番小松千万蔵君登壇〕
◆28番(小松千万蔵 君)県間調整に手を挙げなかったということは、割り当て面積は達成するということであります。転作確認で過剰となった面積について、青刈りまたは飼料用など個別指導をされるのか。また、米の価格維持と水田農業を守るため達成しなければ農業関係の補助金に影響が出てくるわけであります。ペナルティーを課せられないためにも、転作達成の決意を腰原副知事にお伺いをいたします。
国から、転作について、産地づくり交付金が長野県へ2月7日現在26億円交付されておりますが、佐賀県のように大豆一本に絞るか、転作を長野県の特産や産地として位置づけるならば作物を絞って産地づくり交付金を使うべきと思いますが、長野県水田農業推進協議会会長でもある農政部長にお伺いをいたします。
〔副知事腰原愛正君登壇〕
◎副知事(腰原愛正 君)転作達成の決意についての御質問でございます。
米の消費量の減少、あるいは生産調整に参加しない農業者の過剰作付の増加によりまして、全国的には米が供給過剰となっております。このため、19年産米価は当初大幅に下落をいたしまして、将来の本県の稲作を担う生産農家の経営に影響を与えておりまして、20年産米の生産調整の実効確保が喫緊の課題となっているところでございます。
ちなみに、米の取引価格は近年低下傾向で推移をしているわけでございますが、19年産米は、作況が99でありながら過剰作付にございますことが影響いたしまして、主要な銘柄で対前年同月比約6ないし8%の大幅な下落となっているところであります。
もとより、中長期的には水田を守っていくことが大切でございますが、短期的には需給のバランスに見合った米の生産を行うことで米価の大幅な下落を防ぎ、生産者の経営安定を図ることが重要であります。
このため、県といたしましては、生産者団体あるいは関係機関と連携をいたしまして、生産農家の協力を得ながら、生産調整目標の達成に向けまして全力で推進を図ってまいる所存であります。
〔農政部長白石芳久君登壇〕
◎農政部長(白石芳久 君)転作作物を定めて交付金を重点的に配分できないかと、こういうお尋ねでございます。
産地づくり交付金につきましては、平成16年から、地域の創意工夫に基づいた転作作物の産地化、担い手の育成等を推進する仕組みとなっておりまして、麦、ソバ、アスパラガス、果菜類などの産地拡大が図られてきているところでございます。このため、一律的な重点作物の設定や交付金の重点配分は現段階では地域の理解を得ることが困難と考えておりますが、現在、各地域で見直しを進めている、5年後を目標とした地域水田農業ビジョンの中で転作作物の産地化をさらに加速するよう指導してまいります。
なお、議員御提案の県内での統一的な作物の助成につきましては、本県土地利用型農業の重点作物であります麦、大豆、ソバ、飼料用作物に対しまして、県水田農業推進協議会で使途を定めることのできます新需給調整システム定着交付金による助成を行っておるところでございますけれども、20年度は、新たに、転作作物の作付が困難な地域等での生産調整の推進を図るため、飼料米等についても助成対象とすることとしております。
〔28番小松千万蔵君登壇〕
◆28番(小松千万蔵 君)次に、農業振興と食育についてお伺いをいたします。
農村の伝統的野菜や料理、農産物の加工など今まで身近な集落や地域で行っていた活動も、都会の消費者に農産物を通して積極的に交流し、栽培や加工体験することによって農業者や農産物の安全性が見えてくるものと思います。食育と食農教育とあわせて体験することは相乗的波及効果が大きいものと思います。都市や消費者との交流施設、体験施設等も重要であります。また、JAとの連携、農村女性、農村青年等の食育、食農教育の指導者養成も必要であります。食育と食農教育は、日本型食生活や地産地消、自給率の向上など、農業振興の今一番重要な施策であると思います。農政部長にお伺いをいたします。
また、県食育推進連絡会議会長である板倉副知事に、各部局、教育委員会、一体的食育推進の決意についてお伺いをいたします。
〔農政部長白石芳久君登壇〕
◎農政部長(白石芳久 君)食育、食農教育の充実と食育指導者養成についてのお尋ねでございます。
県内では、農村女性、JA青年部の皆さんが、児童生徒や一般消費者を対象として、野菜等の栽培、収穫体験や郷土料理教室などを開催し、農業のおもしろさ、食の大切さを知っていただく活動を各地で展開をしております。食育、食農教育の推進には、食や農に関する知識、経験を持つ地域の農業者、農村女性が重要な役割を果たすと認識をしております。このため、農村女性や農業リーダーが食育、食農教育の担い手として一層御活躍いただけるように、市町村やJA、学校教育関係者と連携し情報交換会などを開催してまいりたいというふうに考えております。
また、都会の人々や児童生徒が、農村を訪れ、農業・農村や地域の食文化についての理解を深め、消費者と農業者の距離を縮めていくことは、食と農を結びつける上で大変重要なことであることから、受け入れ態勢の整備や体験活動の充実を支援し、都市・農村交流を通じた食農教育の推進とともに、地域農業の振興や活性化を図ってまいります。
〔副知事板倉敏和君登壇〕
◎副知事(板倉敏和 君)食は生きる上で不可欠のものでありまして、親から子や孫に、そして世代から世代へ当然に受け継がれていくものだというふうに思っておりました。しかし、食育なる言葉が生まれ、それが行政の対象になるということにつきまして複雑な気持ちになるのは私だけではないのではないかと思います。しかしながら、こういうことが必要となってきた事情を考えますと、今何らかの対応をしなければ事態はますます深刻化するのではないかというふうに思われるわけであります。
長野県といたしましては、食の生産県としての性格を生かした食育の推進が必要だと思っております。食育にはさまざまな分野がかかわっておりますので、昨年4月に、衛生部、農政部、教育委員会を初め関係部局から構成をいたします食育推進連絡会議を設置をいたしまして、全庁的に食育を推進する体制をとったところであります。
これまで、食育推進計画の策定ですとか、各部局の関連事業などについて協議をしてまいりました。計画は着実に実行することが重要でありまして、計画策定後は、この連絡会議を活用し、各部局の連絡を強化して、効果的、一体的な推進を図ってまいりたいと思っております。
〔28番小松千万蔵君登壇〕
◆28番(小松千万蔵 君)県内の学校給食の実態から、中国産冷凍食品を使用している学校があることも明らかになりました。教育委員会は、学校給食に関し、どのような対応をされておられますか。
また、栄養教諭の配置は平成20年度20人とされていますが、年次的に何人まで配置し、食育の推進を図ろうとしているか。配置計画と配置基準についてお伺いをいたします。
また、現在、100名を超える教職員が栄養教諭の資格を取得していると言われていますが、この資格を持った教諭の積極的活用や協力体制についてどのように考えているか。
また、ことしは世界ポテト年と言われています。全国の統計で、県庁の所在地でジャガイモの使用量の比較があります。長野県はジャガイモ生産量全国8位であります。長野市の使用量は全国で45位、ワーストスリーであります。
そこで、県内で生産される農畜産物で学校給食に年間必要な量のうち、県内産がどのくらい利用されているか。重量の率で示す新たな長野県型指標のとり方について教育長にお伺いをいたします。
〔教育長山口利幸君登壇〕
◎教育長(山口利幸 君)順次お答えいたします。
まず、栄養教諭の配置についてでございますが、栄養教諭は、今年度初めて小学校へ2名、中学校へ3名の計5名を現職の学校栄養職員の任用がえによりまして配置し、食育の推進に取り組んでまいりました。その成果を踏まえまして、20年度は栄養教諭を20人に増員し、食育の指導体制の充実を図ることとしたところでございます。
今後につきましては、市町村教育委員会等の意向をよくお聞きしながら、地域バランスも考慮し、計画的に拡充してまいりたいと思っております。
また、学校栄養職員も、本来の職務である給食管理に加えて、食の専門家としての知識と経験を生かして、栄養教諭とともに食育を推進してまいります。
次に、学校給食における地産地消のことに関しての御質問でございます。
教育委員会といたしましては、学校給食の地産地消の比率を、学校給食で使用する全食材数に占める県内産食材数の割合で考えております。これは、実際に学校現場で指導するときには、きょうの学校給食の献立の中で、どの食材とどの食材が地元でとれたものであるとか、あるいは地域のどなたが生産したものであるとかを子供たちに教えることによって、地域でとれる農産物を学び、生産者の方に感謝する気持ちをはぐくんでいるからでございます。
農業の自給率を図る指標としては重量の利用割合を用いるケースもございますが、学校給食では食材数による指標の方が学校現場の指導の実態に即したものであると、こんなふうに考えております。
以上でございます。
〔28番小松千万蔵君登壇〕
◆28番(小松千万蔵 君)栄養教諭の配置基準、それからどういう基準で20名にしたかということがはっきりしないわけですから、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。
それから、文部科学省の一つの指標であります食材の中に長野県産が何種類入っているか。これでは地産地消の目標たる数量にならないんです。数量で表示する長野県型をぜひやっていただきたいと思いますが、もう一度御答弁をお願いいたします。
次に、権限移譲についてお伺いをいたします。
市町村が主役を掲げて発足した村井県政にとって、権限移譲は大きな柱の一つであると思います。平成19年4月から権限移譲をしたのは農地法関連事務で、4町村でありました。当時、権限移譲を希望するとしていた市町村は19市町村でありましたが、平成20年度はたった2市町に移譲するのみとなっています。
また、県と市町村とのあり方検討会で、市町村が移譲を受けたい事業、県が移譲したい事業など14項目の事業が昨年10月明らかとなり、調ったところから順次移譲していくことになりましたが、公有地の拡大推進にかかわる法律1項目で、これも1市1町だけであります。結局、平成20年4月より権限移譲を受けるのは2項目の2市2町で、四つの自治体だけであります。
移譲希望は多いわけでありますが、移譲を受けるまでに踏み切れない市町村の原因はどこにあると考えているか。総務部長にお伺いをいたします。
〔教育長山口利幸君登壇〕
◎教育長(山口利幸 君)まず、配置基準についてでございます。
本年度5名を配置しましたときのスタートについてですけれども、文部科学省の委託事業で引き受けていただいた市町村を対象にしまして配置いたしました。今後は、配置を希望する市町村、これがまずベースになります。それから、先ほど申し上げたように、そういう希望する市町村に一挙にできれば一番いいわけでありますけれども、それをベースにしまして地域バランスも考慮して進めていきたいと、こういうふうに考えております。
それから、どういう基準で地産地消の数値を設定するかということでございますけれども、先ほど食育指導の中で食材を中心とする意味合いについて申し上げました。例えば、野菜とかキノコのたぐいはかなり地場産のものを使っておるわけでありますけれども、重量にしますとほとんど数値に出てこないわけでございます。あるいは、重量ベースでとらえますと、例えば米飯給食を進めておりますので米と牛乳で4割とか、そういう数字にすぐはね上がっていくわけでございます。
したがって、食材の品目数、それから重量ベース、それからカロリーベースという三つを現在の給食に当てはめてカウントしますと、一番厳しい数字が出るのが食材数によるカウントでございます。その次が重量ベース、その次がカロリーベースでございます。まずこれが一つでございます。
それから、もう一つは、地場産の使用する割合の目標になっているもの、平成22年度までに30%以上ということを国は目標にしているわけですけれども、これも同じく食材数をベースにしたものでございます。そういった形で、全国の調査と基準を同じくして数値をとっていると。これが現在32%で、中期の中で40%ということを目標にしたということの根拠でございます。
そういった意味合いからしても、新たにここで違った自給率のものを県としてつくっていくということではなくて、食材数による地産地消比率といったものを用いていきたいと、こんなふうに考えております。
以上でございます。
〔総務部長浦野昭治君登壇〕
◎総務部長(浦野昭治 君)市町村への権限移譲に関するお尋ねでございますけれども、市町村への権限移譲を進めるに当たりましては、市町村の皆さん方との十分な意思疎通が大切であるということで、町村会と県が共同で県と市町村とのあり方検討会を立ち上げ、この検討会を通して市町村から要望や意見をいただきながら洗い出しを進めてまいりました。その結果、御承知のように、以前から要望の強かった農地転用許可権限の移譲や、あるいは有害鳥獣の種類の拡大について平成19年4月から実施をいたしましたほか、新たに14種類の業務について希望する市町村と具体的な調整を進めていく方針を決定したところでございます。
御指摘の移譲を受ける市町村が少ない点につきましては、希望する市町村であっても、職員体制を含め、事務処理体制の整備に時間を要するなどの事情がございますほか、小規模な市町村にあっては職員数が少ない中で対象事務の処理件数が少なく非効率であるなど、移譲を受けにくいといった実情もあると認識をいたしております。
〔28番小松千万蔵君登壇〕
◆28番(小松千万蔵 君)教育委員会の食育の関係で、重量制というのは総重量じゃないんです。キノコの例を言いましたけれども、キノコは学校給食で年間何キロ使う、その中で長野県産は何キロ使ったと。いわゆる品目ごとに重量を出して、長野県産の利用率はどれだけだと、そのことを私は言っているんです。総重量じゃないんです。品目ごとの重量の長野県産はどれだけ使ったかと。これについてもう一度答弁をお願いいたします。
それから、栄養教諭は希望する学校にやる。だけれども、希望しても、同じエリアで何校かあれば、それは地域的バランスも考えていくということでございましたので、希望しても行かないところがあると思いますけれども、平成20年度の20校の配置をお聞きしたいと思います。
権限移譲と財源移譲は一体でなければなりません。財源である特例処理事務交付金は、1年間の実績によって県内全自治体の平均額を交付されるため1年おくれの交付となるもので、1年目の取り扱い経費の見込みが立てにくいこと、初年度に設置する事務処理機器などの費用は交付金に含まれないため移譲1年目の経費が多くかかることも移譲が進まない要因であると思います。
総務部長は、昨年の9月定例会の一般質問で、交付金基準額等については市町村の要望を踏まえて定期的に見直しをしていくと答弁していますが、確かに県は3年ごとに見直しをし、平成18年の見直しでは、見直し前の3年間、平成15年から17年までは前知事時代でほとんど権限移譲もないわけであります。したがって、平成18年の見直しに当たっての市町村からの要望は新規移譲がないために出ていないのであります。平成19年から新たな権限移譲が始まって、市町村から財源移譲について強い要望が出ているわけであります。
特例処理事務交付金交付要綱では、基準額及び処理単価は毎年度知事が定める額となっており、知事が状況変化によって毎年度額を定めれば毎年見直しができる、そのような要綱になっているのであります。3年に1回と決めるのではなく、状況変化によって対応すべきと思いますが、総務部長にお伺いをいたします。
〔教育長山口利幸君登壇〕
◎教育長(山口利幸 君)まず、栄養教諭の配置でございますが、20年度につきましては11市2町2村の配置を予定しておるところでございます。これを東南中北というふうな四つのエリアに配置していくと、こういう考え方でございます。
それから、いわゆる比率の件でございますけれども、繰り返しになりますけれども、学校給食においてはバランスのよい給食を提供するということ、それから安全、安心な食材を提供すると、これが大前提という話はきのうの御質問でもお答えしたとおりでございます。そういった面で、先ほど申し上げたように、バランスのよい食材、その食材数、この食材が地場のものであるとか、県内のものであるとか、国内のものであるとか、そういったものを子供たちに考えさせながらその比率をはじいていくということで、国の基準もそういう形ですし、県もそういう形でございます。
ただ、議員御指摘のように、例えば環境に対する負荷というふうな視点、例えばフードマイレージと食育の関係いかんというふうな視点でやったときに、例えば重量をベースにした食育のとらえ方ということも必要だろうとは思います。そういう部分あろうかと思いますけれども、現在はそういう形で国も定めてやっておりますし、私どももそれでやっておりまして、でありますので、全国比との比較も申し上げられるという部分がありますので、ぜひ御理解をいただきたいと、こんなふうに思っております。
〔総務部長浦野昭治君登壇〕
◎総務部長(浦野昭治 君)特例処理事務の交付金に関するお尋ねでございます。
県から市町村への権限移譲によりまして市町村が事務処理に要した費用を措置することを基本に、特例処理事務交付金交付要綱というのを定めまして財源措置を行っております。特例処理事務の交付金は、均等割額、それから相談・調査業務を伴う事務で実際には事務処理に至らない業務がございますので、そういった費用を措置する人口割額と面積割額、これは業務によって人口割をとったり面積割をとったりしております。それから、実際に事務処理をしました業務の費用を措置いたします件数割額、この合計額で交付をいたしております。
市町村の実情に即した措置を行うために、件数割額は毎年度、それから実際に事務処理をした件数を照会して処理単価を乗じて算定しております。処理単価や均等割額を算定するための基準額は、実際に要した費用を市町村に照会して定めております。事務の合理化の観点から、御指摘のように、その改定は3年に一度としております。実際にこの処理単価を見ておりますと、人件費と物件費でございますが、ほとんどのものが人件費が中心でございます。
最近の市町村の給与の実態をお伺いいたしますと、3年に一度の改定で十分であろうということで、当面、18年度に見直しをいたしておりますので、21年の改定ということを予定しております。
〔28番小松千万蔵君登壇〕
◆28番(小松千万蔵 君)権限移譲をしているが受け入れられない、そのような小規模町村が多い県内の実情から、県と市町村の役割分担をどのようにしていくか。また、町村単位では受け入れられない権限について、どのような支援の仕組みができるか。今のままでは移譲が実現しにくい状況もあると思いますが、この実態についてどのように考えられるか。知事にお伺いをいたします。
〔知事村井仁君登壇〕
◎知事(村井仁 君)市町村への権限移譲についていろいろ御質問をちょうだいしておりますその流れでございますが、県と市町村の役割分担ということを考えますと、住民に最も身近な基礎自治体である市町村が住民サービスの提供にみずからの判断で主体的に取り組めるように、身近で処理できる事務はできるだけ市町村でやっていただく、これが私は基本的な考え方だと思っております。
県が持っている権限や事務につきましても、身近なところで行うことが適切なのものにつきましてはできるだけ多く市町村に権限を移譲していくことが望ましい、これが基本であります。その一方で、権限移譲は、みずからの地域づくりのためにみずからが受けたいという市町村の主体的な判断が重要でありまして、合併が十分には進まず、財政力も組織も小規模な町村が多数ある本県におきましては、一律に移譲を進めることは難しいという認識は持っております。
県としましては、希望する市町村に移譲していくことを前提に、説明会、研修会などを開催して個別に相談に応じますとともに、市町村と十分な協議を行うほか、財源につきましても、今御質問ございました交付金を交付し、また、事務の処理に専門的な知識や技能を必要とする場合は、場合によって県職員の派遣などによりまして人的支援も行うことにしております。
現在、県と市町村とのあり方検討会におきまして、移譲の基本的な考え方、移譲の進め方を検討し、近く決定することといたしております。今後、移譲が可能な事務の内容や事務処理方法につきまして十分に説明する機会を設けまして理解を深めていただくとともに、市町村とさらに意見交換を進めることによりましてできるだけ多くの事務が市町村で処理されるようにしてまいりたいと考えております。
〔28番小松千万蔵君登壇〕
◆28番(小松千万蔵 君)権限移譲は多くの市町村が希望しているんですけれども、なかなか受け入れるというところまで行っていない。この実態は、初年度にかかる機器整備等の多額な費用負担というものが担保されていない、そういう状況もあると思います。ぜひ、市町村としっかり連携をとりながら、権限移譲が希望できるところには行くようにお願いをしたいと思っております。
次に、認知症早期発見、かかりつけ医研修についてお伺いをいたします。
県内認知症高齢者は3万5,000人と推計されています。認知症の早期発見は、早期治療だけでなく、家族の負担を考えると重点的に発見できる体制づくりが必要であります。国や都道府県が主体的に認知症早期発見のためかかりつけ医研修をし、全国7,000人が認知症相談医として既に活動を始めています。長野県を含む全国7県だけが研修会を開催していない実態であります。
他の都道府県では、既に早期発見に向けて認知症状況シートを作成し、相談医に配布され診断が進められています。このシステムは、かかりつけ医が発見するとサポート医に相談し、認知症の疑いが高いと専門医療機関に紹介されるというものであります。
サポート医は全国で600人、広島県では16人と聞いておりますが、長野県はサポート医9名で広域医療圏に一人もいないなど対応のおくれがあるわけであります。なぜ、かかりつけ医研修が全国で行われ機能しているのに、まだ実施されないか。また、サポート医は9人と全国平均より少ないのか。その理由と、今後の研修予定、医師数、進め方について社会部長にお伺いをいたします。
〔社会部長藤巻益夫君登壇〕
◎社会部長(藤巻益夫 君)認知症対策につきましてお答えをいたします。
御質問にございましたように、認知症は、原因が何でありましても、できるだけ早期に発見されて適切なケアが行われるということは重要なことでございます。そのためには、高齢者が日ごろ受診しているかかりつけの医師が認知症に関する正しい知識を身につけ、認知症の方を早期に発見して継続的に支援できるようにすることが必要でありまして、その前段として、かかりつけ医に対して研修を行って専門的な見地からサポートする医師、いわゆる認知症サポート医、これを養成することが必要になります。
まだ長野県だけがということでございましたが、実施されていないのが先般のNHKの放送では7県ほどというふうになっておりまして、たまたま私どもの県も入っていたわけでございますが、県では平成18年度から認知症のサポート医の研修を実施しておりまして、養成をしております。御質問にございましたように現在9名養成をしております。しかし、議員御指摘のとおりにサポート医はまだ少ない状況でございますので、来年度につきましてもさらに8名養成をいたしまして合計17名にする予定でおります。
御質問のかかりつけ医に対する研修でございますが、本年度、サポート医の研修が18年に1名、それから本年度8名、合わせて9名研修が終わりましたので、その後、医師会の方と日程調整をさせていただきまして、たまたまきょう御質問があるから決めたわけではございませんが、あす3月1日に松本市で行わせていただきますし、また、その次の3月8日に長野市で開催をさせていただきまして、両会場合わせまして約270名の方に受講いただくということになっております。
また、来年度につきましては、本年度受講した医師のフォローアップも含めまして、さらに県下4会場にふやしまして400名を目標に実施してまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
〔28番小松千万蔵君登壇〕
◆28番(小松千万蔵 君)かかりつけ医の研修は診療科は問わないということになっておりまして、整形外科医、産婦人科医、歯科医でもよいこととなっております。全国で7,000人研修を受けておりますが、どのように今後進められるか。
また、認知症の確率が高くなった場合、治療する専門医療機関の設置は広域医療圏に1カ所以上は必要とされておりますが、どの病院を指定されるか。また、県立病院の対応もあわせて衛生部長にお伺いをいたします。
次に、産科病院の支援についてお伺いをいたします。
産科医不足により県内で出産を扱う医療機関は2001年に68であったものが、医師の異動や廃業などで休止が相次ぎ、ことし4月には47となってしまう状況で、里帰り出産を断っている現状もあります。
そこで、残った病院の産科は今までより50%もふえた、月40人から75人となったなどの産科病院がありますが、ベッド数が限られているため一般病棟を産科ベッドに切りかえて対応している病院がほとんどでありますが、病院からすると、産科で地域の要望にこたえられても、ベッド数が限られているため病院全体ではメリットが出てこない。こうした地域要望にこたえている病院のベッド数の再配分や、過重な労働をしている医師に対する支援についてどのように考えているか。衛生部長にお伺いをいたします。
また、ベッド数をふやせば、医師を確保し、産科を拡大したいという病院もあるわけであります。産院の拡大、充実は最も重要であると考えます。ベッドの再配分についてどのように考えているか。知事にお伺いをいたします。
〔衛生部長渡辺庸子君登壇〕
◎衛生部長(渡辺庸子 君)認知症の専門医療機関の設置についてお答えいたします。
県では、地域の老人性認知症患者等の保健医療と福祉サービスの向上を図るために、精神科を有し、専門医療相談への対応や一定の設備を備える医療機関を老人性認知症センターとして、平成2年度より順次指定してまいりました。現在、6医療圏に各1病院を指定しております。県立では駒ケ根病院が指定されております。平成14年度の国の補助制度変更によりまして新規の指定病院は補助対象外とされたことから、以後、新規の指定は行っておりません。
なお、現在、国におきまして、新たに身体合併症を含む認知症疾患に対する医療体制の検討が進められておりますので、その動きを当面注視してまいりたいと考えております。
次に、産科病院の関係でございますけれども、病床の再配分についてお答えいたします。
病床につきましては、診療科別にその数を許可しているものではないものですから、従来ある診療科用に使っていた病床を、その診療科の廃止や休止に伴いまして別の診療科用に使うことについては医療法上問題がございません。
したがいまして、例えば産科を廃止した場合でも、ほかの診療科を使っていたり、その予定がある場合には病床数の変更を求めることは困難ですので、県としては、病院への立入検査の際に、利用率を含めまして、病床の利用状況を把握するとともに、必要な場合には病床数の変更を促しているところでございます。
なお、病床数の変更によりまして配分可能な病床が出てきた場合におきましても、病院の新設だとか、あるいは病床の増床を希望する医療機関が多数ある場合は地域の医療体制全体を考えた上で配分先を決める必要がございまして、関係者の調整に時間を要するところでございます。
また、産科医に対する支援につきましては、過酷な勤務環境にある産科医の負担を軽減するために、助産師の活用、あるいは病院勤務医の負担軽減につながる病院の取り組みを支援するとともに、医療関係者だけでなくて、県全体で勤務医を支えていく機運の醸成を図ってまいりたいと考えております。
〔知事村井仁君登壇〕
◎知事(村井仁 君)産科病床を拡大したいという病院があったときに支援できないかと今お尋ねでございますが、今、衛生部長からもお答えしましたように、診療科別に病床を割っているわけじゃないものでございますから、結局、病床の再配分というのは病院間の再配分になるんですね。したがいまして、病院の経営問題も絡みますから利害調整が非常に難しいんです。そういう意味で、病床の再配分に当たりましては、配分することができる病床がなきゃどうしようもないわけでありまして、そういう病床の利用状況を把握して、例えば長期にわたって利用されていないというものがありましたら、これをよそへ移させてもらえませんかと簡単に言えば働きかけをしなければならない、かなり手間のかかる話であるということは御理解をいただきたいと存じます。
○議長(服部宏昭 君)次に、向山公人議員。
〔35番向山公人君登壇〕
◆35番(向山公人 君)創志会、伊那市選出の向山でございます。
昨年末に、知事が私の地元地域で住民の皆さん方と懇談をされた折に、それぞれの県民の皆さんからの要望や質問に対して大変親切丁寧にお答えをして大変好評を博しました。きょうも同様に御答弁をいただきますようお願いをまず申し上げて、質問に入らせていただきます。
県民所得の向上に向けた産業振興への取り組みについて。
中期総合計画の挑戦目標の一つに、低迷する長野県経済の再生を図るため、力強い産業の構築に取り組み、1人当たりの県民所得を全国レベル、すなわち国民所得の水準まで引き上げることが掲げられています。
2月5日、内閣府から発表された平成17年度県民経済計算によりますと、長野県の1人当たりの県民所得は前年対比で3%増、2年ぶりに上昇したものの283万8,000円で、1人当たり国民所得287万8,000円を4万円下回り、全国19位という状況であります。
この1人当たりの県民所得について、県内総生産における経済活動別のデータと比較してみると興味深い事実が浮かんでまいります。
1人当たりの県民所得の全国上位の都道府県の大半では、製造業の占めるウエートが全業種の中で最も高くなっています。例えば、全国2位の愛知県では33.9%、3位の静岡県は37.5%、4位の滋賀県は41%となっています。上位のうち、製造業以外の業種の高いのは東京、神奈川、大阪であり、これは大企業の本社や商業、サービス業などが集積した地域となっています。
これに対し、県民所得の低い下位の県は、製造業のウエートがほとんど10%台かそれ以下であります。すなわち、上位の都会等を除きますと、地域外から稼ぐことのできる産業の製造業の元気があるかないかで県民所得の水準を左右していると言えるのではないでしょうか。
ちなみに、長野県の製造業の占める割合は28.9%で、全国平均の21%を上回っているものの、上位県にはまだ及んでおりません。
一方、日銀の全国33営業拠点の中では、業況感、長野県の製造業はそれほど悪くなく、全国レベルから見てもやや高いところに位置していますが、問題は非製造業であります。最下位が高知県で、長野県は秋田県と並んで全国下位から2番目とのことであります。県民所得と同様に、製造業が少ない地方の低迷は理解をできるわけですが、長野県がなかなか浮上してこないのが不思議だと言われています。その原因は、やはり観光や公共事業の影響を全国より大きく受けていることや、この約5年余にわたる前県政の経済対策のおくれが響いているのではないかと見ております。赤字法人率3年連続全国ワーストワンの結果も、こうした影響の結果ではないでしょうか。
その対策として、昨年3月、長野県産業戦略プランを策定し、その中で、産業集積戦略として産・官・学連携による信州型スーパークラスターの形成があり、プロジェクトの一つとして現在知的クラスター創成事業に取り組まれているところであります。
そこで、この実現を図るため、知的クラスター創成事業等で得られた研究成果をどのように普及させ、より多くの企業における新技術、新商品開発への取り組みをどのように実用化につなげていかれるのか。商工部長にお伺いいたします。
また、県内産業の大きな落ち込みの一つに挙げられている建設業は、たび重なる入札制度の改革の影響が大きいと思います。私は、素人でありますので改めてお聞きしますが、県の発注事業においての積算も事業者の積算も、基本的に本来そんなに大きな差が出るものではないと考えますが、事業者が意欲を持って品質のよい仕事をやっていける方向でさらなる検討をすべきと考えます。また、県の計画されている事業の発注は、景気回復も含めて前倒ししてでも発注すべきと考えますが、土木部長の御所見をお伺いいたします。
景気回復には大企業もさることながら、中小企業や小規模の事業者の元気が消費拡大や景気回復につながる最大の要因と考えますが、誠実で堅実な県民性のためか、県内の個人預金残高が平成19年12月末時点で5兆9,042億円と、個人預金の増加率は平成15年1月以降最高水準となっています。
このように、消費拡大に反映せず預金に回ってしまうのは、非製造業の低迷や、結果的には県民所得の引き上げ目標への取り組みにまで影響が出てしまうのではないかと心配しています。こうした状況をどのように受けとめられ、解決されていかれようとしているのか。知事にお伺いをいたしまして、1回目の質問を終わります。
〔商工部長荒井英彦君登壇〕
◎商工部長(荒井英彦 君)知的クラスター創成事業についての御質問でございます。
この事業は、大学が開発した新素材を企業が応用し、世界に通用する高機能部品をつくり出すという長期的展望に立った一大共同研究プロジェクトでございます。今後、各社の開発が進むにつれまして、地域企業からの調達や取引などによる大きな波及効果が期待されておりますが、成果の普及目的として、参画企業や大学の研究者による成果発表の機会を積極的に設けてまいりました。先般も、諏訪市におきまして定例の成果発表会を開催し、約150名の技術者等が参加をされました。さらに、プロジェクトに参加していない企業を対象としたフォーラムを開催するなど、広く産業界に普及を図ってまいります。
また、4月にナノテク・材料活用支援センターを設置し、専任のコーディネーターによる情報提供や新素材の仲介などを行い、これから新素材を使った新技術に挑戦しようとする企業に広く呼びかけるとともに、工業技術センターにおける試作品の評価や改善のアドバイス、そういったものを実施してまいりたいと思っております。
それからさらに、実用化につながる具体的な取引促進のため、今月、東京ビッグサイトで開催されました国際展示会に試作品を展示したところでございます。引き続き、こうした事業の成果が早期に実用につながるような支援に努めてまいりたいと考えております。
〔土木部長原悟志君登壇〕
◎土木部長(原悟志 君)入札制度のさらなる検討についてお答えをいたします。
公共投資は厳しい状況が続いておりますが、こうした中にあって、意欲ある企業によい仕事を行っていただけるような入札制度を構築していくためには三つの視点が重要であると考えております。
一つとして、適正な利潤が確保でき、継続した企業経営が可能となる制度であります。このため、コスト調査に基づき、本年度から失格基準価格を予定価格の80ないし85%に改定し、極端な低入札価格を排除することといたしました。この結果、本年度の平均落札率は12月末現在で84%となり、前年同期に比べ4%上昇しております。
二つには、将来に明確なビジョンを持ち、技術力のある企業が活躍できる環境の整備であります。これにつきましては、現在準備を進めております地域を支える建設業検討会議において、人材や技術力の確保、除雪・維持管理、危機管理等の分科会を設け、建設業が活躍できる環境のあり方について検討してまいりたいと考えております。
三つ目として、誇りを持ち、地域に貢献する企業が永続できる制度であります。これにつきましては、総合評価落札方式において地域要件や社会貢献などに加点しておりますが、来年度はさらなる拡充を図るとともに、災害時応急工事に携わった企業への配点をふやすなど配慮をしてまいります。
入札制度につきましては、これらの総合的な視点に立脚し、県民の安全、安心を守り、質の高い社会資本が整備できるよう制度改革に努めてまいります。
次に、事業の前倒し発注による景気対策でございます。
議員御指摘のとおり、現在の厳しい経済状況では、景気対策としての前倒し発注は有効なものと認識をしております。このため、まずは一般的には国の事業認可の後、5月以降となる発注を前年度に国へ工法協議し、年度当初に工事発注を行う、いわゆる早着事業を来年度は年間事業費の1割から2割程度実施してまいります。
次に、一括発注が必要な箇所等については、前もって債務を設定して、複数年にまたがる工事発注を行う債務発注を砂防事業などにおいて拡大してまいります。あわせて、限られた財源の有効活用を図り、さらなる経済対策に向けて役割が果たせるよう、前倒し発注に向けた年間発注計画を立て、それを着実に実行するなど、これらにより早期発注に努めてまいります。
〔知事村井仁君登壇〕
◎知事(村井仁 君)ただいま、議員から、個人預金の増大という事実を踏まえて、消費の拡大、あるいはそれを通ずる県民所得の引き上げということの必要性について御議論がございました。
実際、個人預金の増加というのは長野県だけの現象ではございませんで、全国的な傾向でもございます。そして、それはまた、議論をする人によっては、現在の不況といいますか、景況感がよろしくないことの一つの原因であろうというような議論もあるところでございます。
総務省の調査結果によりますと、長野県の消費性向、可処分所得に対する消費支出の割合を計算したものでございますが、これは全国平均より低い。それで堅実な県民性があらわれているとも言えるわけでありますが、しかし、長野県経済にとってみますと、増加している個人預金が消費に回りにくくなっているということは非常に残念なことでございまして、本当はこれは回った方がよろしい。当たり前のことでございますけれども、円という言葉はぐるぐる回るということを期待して円とついたという説もある。また、コインが丸いのも、世の中に回ってほしいということだそうでございまして、明治13年にできました2円金貨が、この間、3,000万円を超える値段でオークションで売れたようでございますけれども、ああいうところにも象徴されている。
ところで、実は日本の預金の額というのは、これは世帯主の年齢階級別の貯蓄額というのを統計で見たものがございますが、これで見ますと70歳代が一番大きいんですね。そして、それに対しまして、働き盛りの20歳代の世帯になりますと70歳代の約1割程度の水準になってしまう。40歳代ですら半分程度ということでありまして、そういう意味では非常に貯蓄の額が多い。
この原因というのは、考えてみますと、結局将来に対する不安というものが貯蓄にどうしても走るという傾向になってしまうわけでありまして、私は、そういう意味では、長野県の将来の姿というものを「いきいき暮らせる安全・安心な社会づくり」ということを申しておりますけれども、やはり将来に対する安心感を確実なものにしていくということが、個人レベルで生活防衛するというような姿勢を変えていって、結果的にはみんなが豊かな暮らしを享受することができる、そういう社会をつくることにつながるのではないか。そういう意味では、将来に対する安心、将来の不安を除去する、こういう営みが国も県も大切なのではないかと、このように思っております。
〔35番向山公人君登壇〕
◆35番(向山公人 君)再度、商工部長にお伺いします。
開発された新技術や新商品が高いレベルであっても、市場ニーズに合っていなければ売れる商品とはならず、産・官・学の取り組みも意味のないものになってしまいます。平成20年度に新たに設置するマーケティング支援センターでは、こうした研究や新開発に取り組む製造業を市場につなげるために具体的にはどのような支援を行っていくのか。商工部長に再度お伺いをいたします。
次に、本県の基幹産業の一つである農業についてお伺いいたします。
国におきましても、昨年11月、地方経済再生のための緊急プログラムを策定し、その中に、農商工連携の促進を通じた地域活性化を掲げ、積極的に支援をしていくとしております。こうした取り組みは、地域経済の基盤である農業者を初め、地域の所得の向上にも大いに寄与するものと考えています。したがいまして、地域の商工業などが地域の農業を支援すること、そして地域内に相互に連携し合う関係づくりを構築することは、今後大変重要なテーマになると考えます。また、農業においては、次代の担い手の確保に大変苦慮しているのが現況であります。
そこで、例えば工業と農業が連携して、担い手確保の一環として、企業が働く場所を提供して生活基盤を支え、農業に従事していけるシステムづくりを考えることができないのか。私どもの地域で、現在、企業が3交代制のローテーションにより、週4日勤務して、他の3日は農業をしていくことを実践している事例があります。農業をしたいが、農業だけでは生活ができないとの声をよく聞きますが、生活基盤を確立するための支援をしていける環境整備ができれば実現可能ではないかと思います。
そこで、農政部長にお伺いいたします。
今後、地域農業を活性化させるために農工商連携に農政部としてどのように取り組んでいくのか。また、それを支える担い手の確保についての具体的取り組みについてお伺いをいたします。
次に、地域医療と医師不足対策についてお伺いをいたします。
内閣府が昨年12月に実施した地方再生に関する特別世論調査によりますと、住んでいる地域が元気がないと答えた人は53.1%と、2005年6月の前回調査より8.3ポイントふえ、半数を超えました。他方、元気があるとの回答も43.2%で4.1ポイント増加し、どちらともいえないとの割合が大きく下がり、今言われているような地域間格差の差が広がっているのではないかと思われます。
地域が元気になるために期待する施策については、福祉、医療の充実が56.3%でトップ、次いで防犯・防災対策が52.4%、中心市街地の活性化が43.6%などとなっています。また、地域が元気になるために国や地方がとる有効な手段では、都市と地方の財政力格差を小さくするが45.1%、補助金など財政支援が41.8%と続いています。
とりわけ医療の充実を求める人が多かった背景には、地方の医師不足の深刻化が大きく影響を及ぼしていると見られ、今や医師不足は、医療分野のみならず、地域の元気創出にも不可欠となってきていると思います。
さて、厚生労働省の2006年末の調査では、県内で15歳から49歳の女性10万人当たりの産科、産婦人科の医師数は43.1人、15歳未満の男女10万人当たり小児科医数は185.2人で、全国の順位はともに20位でした。また、県内の病院や診療所で働く医師数は4,159人、人口10万人当たり190人、全国平均206.3人と比べ16.3人も少なく、全国順位は33位に低迷しています。
現在、医師確保は重要課題として取り組み、スタートしたばかりでありますが、その後、県内においてこのような状況に変化が出てきておられるかどうか。衛生部長にお伺いします。
また、あわせて、中期総合計画では医療機関で働く医師数を2012年までに人口10万人当たりで200人以上ふやす目標を設定しており、医師や研修医等の定着や勤務医の離職防止、産科、小児科の医療体制確保に重点的に取り組むとしておりますが、具体的取り組み、また、衛生部長は、先日の代表質問の答弁で、夜間や緊急時、医師の子供を預かるサービスの実施を発言されておりますが、おひざ元の県立病院ではどのように取り組まれておられるのか。あわせて衛生部長にお伺いをいたします。
〔商工部長荒井英彦君登壇〕
◎商工部長(荒井英彦 君)お答えを申し上げます。
県内の今の産業の中で、非常に技術が高いと言われておりますけれども、その中でどうやって売っていくかということが一つの課題でございますし、それから売れるものをつくるということと、この二つの面が大事だということで、来年度、こういった面の資本拠点をつくってまいります。
お話のマーケティング支援センターにつきましては、いい技術を持っているものの、販路につながる、そういったチャンスの拡大、また場の提供といったことが主な役割でございますけれども、来年度は、新たにマーケティングに関するいろんな経験をお持ちの方を特別顧問というふうな形でお迎えして、一つはマーケティングとは何かと、マーケティング力そのものに対する意識の啓発、そういった事業に取り組んでまいりますとともに、新たにテクノメッセの開催でございますとか、技術提案型の訪問商談会の拡充、こういった長野県内で持っている進んでいる技術を外へ出ていっていろんな企業にそれを伝える、そういった販路拡大のマッチングの場、そういったものを拡大してまいりたいと、こんなふうに考えております。
〔農政部長白石芳久君登壇〕
◎農政部長(白石芳久 君)地域農業を活性化させる上で、農商工連携にどう取り組むかとのお尋ねでございます。
本県の恵まれた自然や景観、人材、農作物などの地域資源を核に、食品製造業や観光、サービス業と連携し、相乗効果を発揮できる体制づくりを進めることが地域農業の活性化のために大切だというふうに思っております。
国におきましても、議員御指摘のとおり、地域経済の自律的な発展を支援する観点から、農商工連携促進を重点施策の一つとして推進しているところでございます。
県といたしましては、これら国の施策の積極的な活用を図るとともに、新年度からは新たに農業農村ビジネス推進事業を創設し、農業者と食品製造業者や旅館、ホテルなどの地域内産業を結びつける取り組みを進めるほか、商工部で所管しております長野県地域産業活性化基金事業を活用した新商品開発など、農産物の高付加価値化を地域商工関係者と連携して推進してまいります。
また、担い手につきましては、兼業農家が地域農業を支えている現状にかんがみ、多様な農家が相互に補完し合い、持続的な農業が展開できるよう、地域営農の仕組みづくりを地域の実情に応じて進めてまいります。
〔衛生部長渡辺庸子君登壇〕
◎衛生部長(渡辺庸子 君)医師不足対策によりまして県内の状況に変化が起きているかどうかという件につきましては、ドクターバンク事業には9人の医師に登録していただきまして、うち4人の方が既に県内で就業または就業先が決定しております。また、医師研究資金におきましても、6人の方に貸与が決定し、今後さらに3人の方へ貸与をする予定など、徐々にではございますけれども、成果が出始めているところでございます。
しかし、医師不足はまだまだ厳しい状況と認識しておりまして、短期的な対策と長期的な対策を組み合わせながら引き続き対応してまいりたいと考えております。
次に、医師及び医療体制の確保に関する質問でございますけれども、来年度の医師確保対策といたしましては、今お話しましたような短期的な対策といたしましてはドクターバンク事業あるいは研究資金の貸与等を考えております。また、長期的な対策といたしましては、研修医が長野県できちっと確保できないと次の医師につながっていかないものですから、臨床研修病院が行う魅力ある研修の環境づくりへの支援だとか、あるいは医学生を対象とした修学資金の貸与といったような長期的な対策を組み合わせながら実施してまいる所存でございます。
また、医師の離職防止、確保を図るために、病院が行います医師の負担軽減に向けた取り組みへの支援、あるいは医療関係者と県民が地域医療をともに考えるシンポジウムを開催いたします。小児科医の確保につきましては、来年度、こども病院で8人の後期研修医を確保して養成を行っていく予定でございます。今後、毎年8人くらいは確保してまいりたいと思いますので、信大と連携をとりながら、小児科医の養成はそのような形で行ってまいります。
また、産科医につきましては、小児科医以上に見通しが厳しいというような状況がございまして、これも信州大学と連携をとりながら、何とか産科医になってくださる方たちをふやしていくという対策と、また産科医が離職しないで済むような環境改善に向けまして努力してまいりたいと考えております。
次に、県立病院におきます医師のための夜間、緊急時に子供を預かるサービスをしているかどうかということでございますけれども、県立病院のうち木曽病院やこども病院では院内保育所を設置しておりますけれども、現在は夜間、緊急時に子供を預かるサービスまでは提供しておりません。
なお、県立病院といたしましても、医師確保、特に女性医師の確保の観点から、職員の勤務形態にあわせた対策が必要でありますので、今後、勤務医の要望等を踏まえながら対応してまいりたいと考えております。
〔35番向山公人君登壇〕
◆35番(向山公人 君)農政部長にお伺いいたします。
ただいま、担い手の御答弁をいただきました。県が、消防団員の確保のために、協力する事業所に減免措置を設けて実施をしたように、先ほど私の御提案申し上げたような例に倣って、一定の条件を設定して農工連携で目的に沿って実施をする、協力をしてくれるような事業所をモデル事業として支援策を検討して成果を求めていくのも一つの方法ではないかというふうに思っておりますので、御検討をいただきたいと思います。
県内で出産を扱う医療機関は、2001年に68あったものが、医師の異動や廃業などで休止が相次ぎ、ことし4月には47まで減る見込みだと言われています。地域によってはお産難民が出るのではないかと報道されています。2005年4月以降、県内23病院が36の診療科を休廃止、産科、産婦人科が11カ所と最も多く、小児科、整形外科が各4カ所となっています。
総合病院機能が果たせない病院も出てきている中、自治体病院の統合や診療科の配置、医療圏の見直し等について衛生部長はどのようにお考えになっておられるのか。再度、お伺いをいたします。
また、あわせてお伺いをいたしますが、これは衛生部の所管ではないかもしれませんが、厚生労働省長野労働局の所管で、「長時間労働者への医師による面接指導の実施」についてとして、事業所の勤労者の健康管理や指導業務に対し今行っています。常時50人以下の労働者を使用する事業所は平成20年4月から適用となるそうでありますが、要請をされている医師会は、通常診療に加えて、学校医、産業医、休日当番医初め、私の地元では医師の不足の中、中央病院の救急救命センターの第1次医療を毎日夜7時から10時まで交代で夜間に引き受け、勤務をされており、大変悩んでおられます。医師不足の解消に向かって、病院の勤務医の負担軽減、職場環境の改善を推進し、医師の離職防止、確保を図るとしていますが、こうしたしわ寄せが地域の医師や医師会に影響を及ぼすことにならないのか。また、国からのこうした直接の委託業務の調整は県が管理する立場にないのか。お伺いをいたします。
次に、地域住民の公共交通対策についてお伺いをいたしてまいります。
昨年末に、信南交通が一般路線のバスの直営から撤退する旨を表明したことを受けて、飯田、下伊那15市町村で構成する南信州広域連合において地域全体の公共交通のあり方を検討する地域交通問題協議会を設置いたしました。とりわけ少子・高齢化が著しい地域にとってのバス路線は大きな課題であります。
私の地元上伊那地域6市町村に30路線を持つ伊那バスも、既に市町村の委託運行に切りかえてきたものの、直営の路線は赤字で、伊那バスの社長も信南交通の方針に人ごとではないと答えており、各地域のバス会社も同様に窮地を訴えております。特に、巨額な182億円という債務超過で取引金融機関に再生支援を要請したアルピコグループの問題は、県内最大のエリアを担っているだけに、県全体にも深刻な影響を及ぼしかねません。
将来、各地域の住民の足が損なわれる危険が予測される中、こうしたバス事業者の経営実態をどのように把握されておるのか。また、どのように分析をされておるのか。まず企画局長にお伺いをいたします。
このたびの平成20年度の予算の公共交通ネットワーク確保の中にも支援事業として計上されておりますが、先ほど触れておりますように大変厳しい状況が現実となってきているだけに、地域に合った地域交通システムの整備を県が中心となって市町村と見直していく必要があると思います。
先日の代表質問に対し、企画局長は、地域から要請があれば、また、知事は、今後早急に整備していかなければならないと答弁をされておりますが、もっと県が積極的に解決していく姿勢が必要と考えます。公的施策のあり方として、より困窮している地域や交通弱者に対して重点的に市町村への支援を初め取り組んでいくことが重要であると思いますが、再度、企画局長のお考えをお伺いいたします。
次に、高齢者の交通問題について県警本部長にお伺いいたします。
平成19年12月末、現在の県内の免許保有者は147万8,477人で、人口に占める保有率は67.8%、群馬県、栃木県に次いで全国3位と聞いています。これは、まさに本県は道路特定財源の納税者の割合も高いわけですし、おくれた地方道路に確実に還元してもらうためには知事にはしっかりと地域の実情を国に伝えていただきたいと思います。これは要望でございます。
本県は、免許保有者の割合が高い一方で、1年間に運転免許証を返納した方が前年を上回り、特に65歳以上の高齢者が95.6%を占め、前年の3倍に上がっているそうですが、近年の推移と、その理由がわかればお伺いをいたします。
あわせて、返納する高齢者に対してはどのように対処をされておるのか。お伺いをいたします。
昨年6月、道路交通法の一部が改正され、75歳以上の高齢運転者が免許更新を行う際に、記憶力、判断力等に関する検査や認知症のおそれがある者に対する専門医による適性検査が義務づけられ、2年以内に施行されると聞いています。その制度の概要についてお伺いをいたします。
〔農政部長白石芳久君登壇〕
◎農政部長(白石芳久 君)農家が、所得確保のために、農業に限らず所得機会を求めていくということは農家経済の安定にとって非常に大切だというふうに考えております。
農政部といたしましては、地域農業のトータルな省力化、これを進めることが農業の持続的な展開、それから地域全体の産業の展開につながるというふうに考えておるところでございます。
御提案のモデル的なローテーションの勤務、それから農業の関係でございますけれども、大変大きな課題でございまして、難しい問題もあろうかと思います。農政の立場でどこまで取り組めるかということも含めまして、関係の皆さんと相談をさせていただきたいと思います。
〔衛生部長渡辺庸子君登壇〕
◎衛生部長(渡辺庸子 君)自治体病院の件につきましてお答えいたします。
自治体病院は、医師不足や経常収支の赤字継続など厳しい状況に置かれていることから、地域医療を確保するために病院の統合、病院間での診療科の再配置やカバーする地域の見直しが必要になってくる場合があるものと考えております。しかし、自治体病院が置かれている状況はさまざまでございまして、また開設自治体それぞれに考えがあることから、病院の統合等に向けた合意形成にはかなりの時間を要します。
公立病院改革ガイドラインに関しましては牛山議員にお答えしたとおりでございますけれども、まずはそれぞれの病院開設の市町村におきまして経営の効率化に取り組んでいただきまして、その上で、公立病院の再編・ネットワーク化につきまして病院開設市町村の意向をお聞きし、県としてもお手伝いをしてまいりたいと考えております。
次に、長時間労働に産業医が関与する、そこの調整をどうするのかという御質問ですけれども、県はこれに関しましては関与はしておりません。多分、産業保健センターあたりが関与すると思いますので、そのあたりは後でまたお返事するという形にさせていただきます。
〔企画局長和田恭良君登壇〕
◎企画局長(和田恭良 君)初めに、バス事業者の経営実態等に関する御質問でございますけれども、事業者、事業形態別に状況が異なりまして、詳しくは把握、分析しておりませんが、一般乗り合い事業について申し上げますと、利用者の減少に歯どめがかからない状況などから、県内の主な一般乗り合い事業はなべて赤字でありまして、ここ5年間を見ましてもその状況は余り変わっておりません。
こうした赤字に対しまして、高速道路を活用した長距離バスなど、その他乗り合い事業の営業収益あるいは経営努力によりまして一般乗り合い路線の赤字分が補てんされているようでありますが、貸し切りバス事業の自由化もございまして、その他乗り合い事業部門の売り上げは近年その一部に赤字が見られるようになりまして、バス事業の経営は全体としてますますその厳しさを増している状況にあると、このように認識しているところでございます。
続きまして、市町村へのこうした部分に対する支援策に関する質問でございますが、ただいま申し上げましたバス事業の状況を踏まえますと、地域公共交通を将来にわたって安定的に確保していくためには、早期に、市町村が中心になりまして、地域のニーズに即した新しい交通システムへの移行を住民参加のもとで目指していく必要があると考えます。20年度以降、50を超える市町村におきまして取り組みが予定されておりますが、運行方法のあり方や住民負担の範囲などにつきまして住民参加のもとに総合的に検討することが必要であります。
県といたしましては、そうした市町村の取り組みに対しまして、現地機関も含め積極的に参加し、重要課題として市町村とともに取り組んでまいりたいと、このように考えております。
〔警察本部長石井隆之君登壇〕
◎警察本部長(石井隆之 君)高齢者の運転免許証の返納状況と、昨年、道路交通法の改正により導入をされました高齢者に対する認知機能検査制度の概要につきまして御質問がございました。
運転免許証の返納制度は、平成10年4月1日から施行された改正道路交通法により、運転免許保有者の申請に基づき、運転免許の有効期間内であっても運転免許の全部または一部を取り消すこと、すなわち運転免許証の返納をすることができるようにした制度でございます。この制度はあくまで運転免許保有者の自発的な申請に基づくものであり、この制度を取り入れてから運転免許を持っていたことの証明が欲しいという要望があったため、平成14年以降、本人の希望により運転経歴証明書を交付することとしたものであります。
それでは、県下における運転免許証返納者数の推移についてでありますが、これにつきましては、今申し上げましたとおり、一部の運転免許の返納という制度もございますが、ここでは免許すべてを返納される方に限って御説明を申し上げます。
法が施行となりました平成10年には県内で49名の方が運転免許すべてを返納されましたが、平成15年ころから増加傾向になり、平成17年には116名、平成18年には233名、そして平成19年には698名と過去最高となりました。そして、返納者のほとんどの方が65歳以上の高齢者でございます。
次に、返納者が増加した理由と対応についてでございます。
ここ数年増加をした理由としては、運転免許の返納制度や運転経歴証明書交付制度が周知されてきたことが大きいと考えておりますが、これに加え、昨年は、この運転経歴証明書を提示した高齢者の方に対しタクシー料金が割引をされるという制度を県内のタクシー協会が導入したことも影響を与えたものと思っております。
警察といたしましては、高齢者の交通安全を図るという見地から、高齢運転者に対する安全教育や指導はもとより、歩行者としての高齢者に対する安全指導や交通安全施設の整備にも力を入れております。また、高齢者の交通手段を確保する観点から、長野県中期総合計画におきましても主要施策の一つに公共交通ネットワークの確保が掲げられており、県民の身近な交通手段であるバスや鉄道など公共交通ネットワークの確保を図るため、利便性の向上、利用の促進など維持存続に向けた取り組みを進めていくこととされておりますことから、県警察といたしましてもできる限りの協力をしていく所存でございます。
次に、高齢者に対する認知機能検査の概要についてであります。
75歳以上の高齢運転者が第1当事者となった免許保有者当たりの県下の交通死亡事故件数は74歳以下の約2.5倍となっており、また、全体の交通死亡事故件数が減少している中で、高齢運転者の事故は増加傾向にあるなど、75歳以上の高齢運転者に係る交通事故情勢は極めて厳しいものとなっております。
高齢運転者の交通事故の特徴を見ますと、記憶力、判断力等の認知機能の低下が原因の一つと見られる出会い頭事故や一時不停止による事故の割合が高いことなどから、平成19年の道路交通法の改正により、75歳以上の運転者に対し、免許更新の際に、従来の身体的機能の衰えを自覚していただく検査、講習に加え、新たに認知機能に関する検査を受けていただき、みずからの認知機能の状況を認識していただいた上で、その結果に基づいて安全に運転することができるよう講習を行うこととしたものであります。
この検査の結果、認知機能が低下していると認められる方に対しては、これに応じた講習を実施いたしまして安全な運転の継続を支援するとともに、検査の結果、認知症のおそれがあり、かつ一定の要件に該当する場合には、臨時適性検査を受けていただくか、別途医師による診断書を提出していただくことにより認知症の有無を判断して、高齢運転者の交通事故防止を図ろうとするものであります。
この認知機能検査は、75歳以上の方を対象に高齢者講習の機会に受けていただくこととなっております。
認知機能検査は、受検者に検査時における年月日、曜日及び時間を回答させることにより時間の認識を検査するもの、一定のイラストを記憶してもらい、時間を置き、手がかりを与えた上で回答させ記憶力を検査するものなどの検査を行い、時間の認識の正確性や記憶力等を測定するものでございます。
受検者は、各設問に係る得点から導き出した総合得点に応じて、認知機能が低下しているおそれのない者、認知症に至らない程度に記憶力、判断力が低下しているおそれがある者、認知症のおそれがある者に区分をいたしまして、それぞれに応じて先ほど申し上げましたとおり適切に対応することとなっております。
いずれにいたしましても、認知機能検査の導入の目的は、高齢ドライバーを安全で快適な交通社会を担う一人として支援しようとするものでございますので、関係法改正部分が施行となりましたら適切に運用してまいりたいと考えております。
〔35番向山公人君登壇〕
◆35番(向山公人 君)農政部長に申し上げておきますが、担い手の場合は原因もはっきりしておるわけでありますから、先ほどから出ておりますように、地産地消にしても、それから中国の冷凍食品、安全な食物をという中でも、いずれにしてもそういったものを支えるのは担い手であるわけですから、これは結果がすべてでありますから、とにかく結果が出るようなことがわかっているものについては大胆に思い切って取り組んでいくことを強く要請をしておきます。
また、衛生部長には、産業医の場合、所管が先ほどから言うように違いますが、末端では医師会の皆さんがそこにかかわってくるわけですから、県全体の中では医療分野の環境整備という面では大変に重要なことだと思いますので、その辺の連携も、よく実情をお聞きになりながら、県の衛生部として取り扱っていただきたいと思います。
また、企画局長には、路線バスの問題でありますが、41路線の県の対象から外れた路線につきましては各市町村が負担をしているわけですが、外れても各市町村は地元の皆さん方の足を考えれば路線を廃止するわけにはいきませんので市町村が負担ということになるわけですから、その辺も含みながら、県としてぜひ御支援をお願いをいたしたいと思います。
こうした状況の中で、私たちの伊那谷は公共交通網の整備がおくれているのに加えて、広範囲の中に集落が点在している地形的な条件を考えれば、地域住民の足の確保は重要な課題であります。均衡ある長野県の発展を目指す長野県としては、新幹線や並行在来線と同様に、中南信のバス路線も地域住民の公共交通であるということであります。とりわけ人口減少地区では路線バスはもはや営利事業として成り立たず、民間事業者による一般路線の運行は限界に来ており、ある日突然、地域の足が失われることも予測される事態を迎えております。
改めて、こうした地域の公共交通に対する基本的な知事の考えをお伺いをいたします。
最後に、リニア新幹線の計画についてお伺いいたします。
公共交通網の中で、将来に向けて計画されたリニア新幹線は、JR東海が山梨の実験線の延長3,550億円を自費で負担して着手することを発表しました。従来から、長野県はB路線に統一して、県を初め地域の期成同盟会を通じて国やJR東海に要請をしてまいりました。
昨年末に、突然、山梨県早川町から南アルプスを抜けて大鹿へ抜けるトンネルルートの調査が発表され、同時に、5兆円を超える建設費を自費で負担し実施すると発表いたしました。
たとえ今回の調査ルートが最短距離で建設費が一番少ないのであったにせよ、公共交通の役割は沿線地域の利便性や発展に寄与することであり、それがないのであればその責任を果たすことにはならないと考えます。私どもの地域は関東や中京圏からも多くの企業が進出をしております。
今回の発表を受けて知事はどう受けとめられたのか、対処を考えておられるのか。お伺いをいたします。
昨年、これまで倒産件数の多かった建設業から、小売業の増加が目立った年でした。平成13年から18年までの5年間で、長野県内は7,894事業所が減少をいたしました。これは県内事業所数の約6%に当たる大変な状況であります。特に、小売業では商店街を中心に厳しい状況が続いています。
当面、村井知事におかれましては、前県政の後始末を含め、御苦労をされていかざるを得ませんが、県内経済は一刻の猶予も許されない状況だけに、現況をきちっと把握して前向きに経済対策に取り組んでいかれることを期待して、質問を終わります。
〔知事村井仁君登壇〕
◎知事(村井仁 君)地域公共交通についての基本的な考え方についてお尋ねがございました。
地域公共交通は、県民の生活はもちろん、県内経済を支え、活力ある長野県づくりのための重要な社会基盤でありまして、また地球温暖化防止のためにもその果たす役割は大きい、そういうことで維持存続させていかなければならないものだと認識をいたしております。
しかしながら、今御指摘のように大変難しい情勢になっているわけでございまして、今まで以上に我々力を尽くしていかなければならない問題だと思っております。
昨年10月に施行された地域公共交通の活性化及び再生に関する法律というのがございますが、ここでは、市町村を中心に、それぞれの地域の実情に即した交通システムを構築するということとされておりまして、県としましても、県民が安心して暮らせるように、市町村と一緒になりまして地域公共交通の確保に向けて取り組んでいく決意でございます。
続いて、リニア中央新幹線のルートについて御質問がございました。
JR東海が全額自己負担で南アルプスを通るルートで推進するという趣旨にとれることを発表したわけでありますが、私は、このような大規模プロジェクトの推進というのは地方の協力なくしてできるものではないと、このように思っております。
県としては、全国新幹線鉄道整備法に基づく国の指示に従いまして、A、B、Cルートすべてについて地形、地質調査が行われている段階が今進んでいると、このように承知しておりまして、今後、コスト面、技術面等の調査が行われた後、さらに関係地方公共団体の意見も踏まえて、最終的に国においてルートが選定されるものでありまして、このたびの発表をもってルートが決まるものではないと、このように考えております。
ルートにつきましては、全国新幹線鉄道整備法に地域振興に資する路線であるという規定がございますこと、それから県議会を初めとする県内経済団体や各地区の同盟会と一丸となって20年にわたって運動を続けてきたという実績がありますから、引き続き、いろんな経緯がありますので、Bルートによる整備を関係機関に求めていきますとともに、駅設置についても沿線市町村の意見を踏まえて検討するように求めていくのは当然でございます。
JR東海に対しましては、地方と十分協調して取り組まれるよう、関係都府県と連携して要請をしてまいる所存でございます。
○議長(服部宏昭 君)昼食のため午後1時30分まで休憩いたします。
午後0時27分休憩
──────────────────
午後1時31分開議
○副議長(宮澤敏文 君)休憩前に引き続き会議を開きます。
続いて順次発言を許します。
木下茂人議員。
〔45番木下茂人君登壇〕
◆45番(木下茂人 君)自由民主党県議団の木下でございます。早速、質問に入らせていただきたいと思います。私は、初めに3点について知事に質問をいたします。
まず、産業活性化計画の推進についてお伺いをいたします。
企業立地促進法に基づきまして、県と上伊那8市町村等の構成による上伊那地域産業活性化協議会が申請をいたしました産業活性化計画について、2月1日、県内初めての国の同意書が交付されました。このことにつきましては知事を初め県の関係機関に御支援をいただきまして実現をいたしまして、地域も喜んでいるところでございます。これによって企業立地について国の補助や設備投資減税を受けられることになります。今後、県内ではほかの地域でも同様の計画があり、順次国の同意が得られれば企業立地、産業集積が促進され、中期総合計画のテーマである1人当たりの県民所得のアップにつながるものと期待されているところでございます。
このことでなお課題になることが労働力の確保であります。上伊那地域は月間有効求人倍率が4カ月連続1.4倍台を維持しており、県内で最も高い数値になっております。ミスマッチ等もありまして即断はできませんけれども、需給の逼迫の状況をあらわしているというふうに思います。また、人材育成に手間をかけられない中小企業の多くは、経験者などの即戦力となる人手不足が課題でありまして、人取り合戦の激化が心配されているところでございます。もちろん、企業としても地域としても対策が必要ですけれども、限界があるわけでございまして、県に対する期待が寄せられているところでございます。
県民所得を増額させるために、従来の体制だけではなくて、一歩踏み出した県の労働力対策が不可欠と思いますが、このことについて知事の御所見を伺いたいと思います。
続いて、このことと関連をするかと思いますので、シルバー人材センター事業の拡大についてお伺いをいたしたいと思います。
少子化と超高齢化が進む中で社会の活力を生み出していくためには、生産人口を増加させていくことに着目すべきであり、その視点から、現状の中では生産年齢を高齢化することが最も有効であるように思います。その思いに立つと、高齢者が福祉の受け手から社会の担い手となることを目指して活動しているシルバー人材センターにつきましては、まことに時宜を得たものであるというふうに思う次第でございます。
長野県におけるシルバー人材センター事業は四半世紀以上わたり活動しておりまして、現在、20のセンターが設置され、会員数は1万8,000人を超える規模になり、19年度の契約金額は97億を超える大きな成果となっているところでございます。この業績は全国10位にランクされると言われております。
本県が健康長寿全国1位を堅持することができますのは働く高齢者が多いことが大きな要因として挙げられておりますけれども、シルバー人材センターのような事業が役割を担っているというふうに思うわけでございます。
しかし、団塊の世代が仲間入りをしてくる時代となりまして、問題もあるようであります。
その一つは、いまだに20町村ほどが未設置でありまして、これらの空白地帯を解消し、さらに全県にわたり会員の拡大を図ること。これが一つ。
二つ目は、現在の仕事は清掃、除草、庭木手入れ、筆耕、運転業務、施設管理等の単純労務が主体でありまして、臨時的、短期的な就業に限定されております。会員の多くは元気で意欲的で、技術や識見を有する人材がいるのに、それにふさわしいやりがいのある就業ができる制度になっていないことであります。
このことにつきましては、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律、この法律に就業内容の制限規定がある。これは先ほど申しました臨時的、短期的な就業に限るという規定があるためだというふうには思いますけれども、この法律も時代の流れに相応して平成16年度に改正をいたしまして、それまで禁止をしていた企業のラインへの就業について緩和措置をする等、変化が出てきているわけでございます。
若い人の職域を侵食しないような配慮は必要でしょうけれども、冒頭述べた高齢者の労働力を必要としている社会的事情を踏まえて、必要ならば法律改正も視野に置いて就業機会の拡大を図ること、これが問題だというふうに考えます。
問題の3は、財政的支援であります。
シルバー事業に対する国、県、市町村の支援は、連合会については県の補助金と同額を国が支援をし、シルバーセンターについては市町村の支援と同額を国が支援するシステムになっておるわけでございます。19年度、連合会へは県から538万6,000円が交付され、シルバーセンターの方へは市町村から3億380万4,000円が交付されて、国からはそれぞれ県と市町村と同額が交付されているわけでございます。
県からの補助額は全国レベルで見ても最低の番付ということになるわけでございますが、20年度は県も苦しい財政の中から114万3,000円の増額をしたようですが、シルバー事業を活性化するため、県全域未設置の解消、会員拡大、就業の場の拡大、センター資質の向上等を進め、また冒頭述べた当該事業の社会的意義を全うすることは少子・高齢化社会で産業基盤を強化することになり、こういうことにこそ集中投資をしていくべきではないかというふうに思うわけでございまして、財政支援が強く要請されるところだというふうに考えております。
以上、この三つの問題点につきまして知事の御所見をお伺いをしたいと思います。
次に、新設された森林づくり県民税、いわゆる森林税の使途と効果について質問をいたします。
森林税の理解につきましては、まだ県民に理解がされていないということで、今議会も代表質問また一般質問で議員から発言がございました。新設される森林税については、県議会でも12月議会で議論を深めましたし、県もよく広報には努めてきたというふうな思いがありました。しかし、意外ではありましたけれども、県民の皆様へはまだ十分に伝わっていないのが実情のようでありますので、周知するためもありまして、私も重ねて質問をしたいというふうに思います。
07年2月実施の県民満足度調査によりますと、地球温暖化防止に県民の関心が最も高いということが示されていますし、森林税の主要な目的は地球温暖化防止を主体とする水源涵養あるいは災害防止等環境整備であるというふうに思いますので、この視点から質問をいたしたいと思います。
県は、この2月に、長野県地球温暖化防止県民計画の改訂版をつくりました。この計画は、京都議定書の基準年である1990年を基準として、08年から12年までの5年間に温室効果ガス排出量を基準年、1990年比6%削減するというものであります。本県においてそれを数値目標で示すならば、二酸化炭素等の排出量は1,438万二酸化炭素トンに抑えるということ、そしてそれと同時に、森林の吸収量を146万二酸化炭素トンにするということになるわけでございます。
このCO2の量について、1,438万トンとか、あるいは146万トンというようなものは、例えば米の量で1トンとか、それから水の量で1トンというようなことを言われれば何となく感じがわかるわけですけれども、こういう数字で言われましても実感がないので困るわけですけれども、県民にとってはどういうことになるのかということが実感としてなかなかつかめないというふうに思いますので、質問をしたいと思います。
森林吸収量は、間伐等による森林整備の面積に比例してカウントされるということになっておりますけれども、森林税によって進められる間伐計画は、二酸化炭素の森林吸収量、ひいては長野県地球温暖化防止県民計画においてどのような位置づけになるのか。あるいは、どのように役割を果たすのか。そのことをお伺いをしたいと思います。
要は、森林税によって5年間で実施することができる間伐の面積は2万3,400ヘクタールというふうに言われておりますけれども、1ヘクタール間伐すれば何トンのCO2を吸収することになるのか。そして、5年間の間伐面積であります2万4,000ヘクタールでは何トンのCO2を吸収することになるのか。それが長野県の温暖化防止県民計画にどのような役割を担うことになるのか。また、そのことが環境整備にどのような意義を持つことになるのか。その点をわかりやすく御説明をいただきたいと思います。
以上をもちまして第1回目の質問とさせていただきます。
〔知事村井仁君登壇〕
◎知事(村井仁 君)企業誘致を進めますのはその地域を振興するということでありますが、その非常に大きな要素の一つが、その地域に住む人々に働く場を提供するということだろうと思います。そういう意味で、今、長野県、有効求人倍率という点では大変幸せなことでありますけれども、1を超える状態。今、議員御指摘のように、上伊那あたりでは1.4というような非常にいい数字になっているということでありまして、そういう意味で労働力確保ということが課題になってくる。ある意味じゃ、うれしい悲鳴でございますが、同時に、それはいわゆるミスマッチの問題というものがそこにあるということなんだろうと思います。
上伊那地域での今引用されました産業活性化計画というのは、県と上伊那地域8市町村が連名で申請をいたしまして、2月1日に国の同意がなされまして、私が代表して出席し、甘利経済産業大臣から同意書を受領してまいりました。3月の末までに上伊那地域のほかにも5地域が同じように経済産業大臣の同意を得ることを目指しておりまして、さらに、このほかにも2地域での取り組みが進み、全県的に産業活性化の取り組みがなされるというようなことになっております。
雇用情勢、先ほど冒頭に申しましたように改善傾向にございまして、雇用のミスマッチであるとか、あるいは若年離転職者の増加などによりまして人手不足というのがかえって大きな課題になっている。これは議員御指摘のとおりであります。このために、本年4月に商工部内に産業人材育成支援センターと称するものを設置いたしまして、経済団体や教育機関等で設立した産業人材育成支援ネットワークと連携しながら、産業の発展に役立つ人材育成施策を総合的に推進することにいたしております。今後は、産業界のニーズ等を踏まえまして、在職者訓練を充実するとともに、信州大学など関係機関との情報交換会の開催でございますとか、あるいは産業人材動態調査の実施などを通じて新たな人材育成の確保対策に取り組んでいくというような積極的な姿勢が必要だろうと考えております。
そのような問題意識から、シルバー人材センターに着目して御議論がございました。
まず最初に、シルバー人材センターの未組織地域及び会員拡大につきましての御質問がございました。
長野県下には20のシルバー人材センターが設置されておりまして、61市町村におきまして広域的に事業が展開されているという状況であります。高齢者が地域で生き生きと活躍していただくため大変重要な存在である、大変重要な役割を担っておられると認識をしております。
昨年2月から、シルバー人材センター連合会、長野労働局、長野県の3者で、シルバー人材センター事業の活性化に向けた取り組みや、あるいは未設置地域の解消、運営基盤の強化等のための検討をしてまいったところであります。
その中で、未設置地域の解消につきましても、会員拡大への取り組みの一つとして検討してまいったところでありまして、現在、下伊那西部地域の阿智、清内路、平谷、根羽、こういった地域で新たなセンターの立ち上げを検討しておりまして、広域化によりまして運営基盤の強化を図るなど、県としてもいろいろ助言を行い支援をしていく体制でございます。
今後とも、未設置地域の解消、シルバー事業の普及啓発等の会員拡大のための取り組みを、労働局、それから人材センター連合会と連携しながら、引き続き支援を強めてまいりたいと考えております。
シルバー人材センターに関して、就業機会を拡大するという工夫ができないかという御指摘がございました。
シルバー人材センターにおいて確保すべき就業の機会については、高年齢者雇用安定法によりまして、御指摘のように臨時的、短期的、またはその他軽易な就業で、雇用によるものを除くとこのようにされているところであります。その趣旨は、企業等を退職された方々がシルバー人材センターの会員として働くことを通じて、社会に参加し、地域に貢献し、生きがいと喜びを求めるとともに、追加的収入を得ることが目的でありまして、国等の指導の姿勢としましては民間事業者の事業分野を侵すことがないようにという配慮がそこに加わっているわけであります。
しかし、一方、高齢者の安定的な雇用確保のために、平成18年の4月、高年齢者雇用安定法の改正が行われまして、65歳までの雇用確保措置を段階的に実施することが事業者の責務となり、県内企業におきましても高齢者の雇用が増加している状況でございます。実情を申しますと、60歳から64歳までの常用労働者数が、平成17年の1万600人から平成19年には1万2,800人と約2割増加しているというのが現状でございます。
そこで、シルバー人材センター連合会におきましては、長野労働局あるいは県とともに行った検討結果に基づきまして、来年度、職域拡大への取り組みを強化することとしておりますので、今後とも同センターの職域拡大事業を支援していく中で就業機会の拡大を図ってまいりたいと存じます。
御提言の法律改正という話でございますが、これは、18年4月という比較的最近の時期に高年齢者雇用安定法の改正が行われたということ、それからその法律ができ上がった趣旨などにかんがみまして、直ちにはちょっと難しいのかなという感じは持っております。問題意識は議員御指摘のように持っていかなきゃならない主題だと思っております。
財政支援につきまして御質問がございました。
これまでも県は支援をしてまいったところでございますが、昨年2月から、シルバー人材センター連合会、労働局等々から成るシルバー人材センター事業推進連絡会議におきまして、魅力ある事業展開、今日的な時流に合った運営基盤の確立などを含め、シルバー人材センター事業の活性化計画を策定したところでございまして、この計画を踏まえまして、平成20年度予算案では先ほど御指摘のように114万3,000円を増額しまして財政支援を強化したところでございます。議員御指摘のことを踏まえまして、今後とも、シルバー人材センター事業推進連絡会議等におけるより魅力ある連合会事業の検討を踏まえて、支援を強めてまいるようにしたいと考えております。
森林づくり県民税と地球温暖化防止県民計画との関係について御質問をちょうだいしました。
地球温暖化防止というものに大変関心を持っているというのが、大変先進的な県民性というものを持っております長野県らしいと私も感じておりますけれども、そういう目で改めて見させていただきますと、京都議定書のルールに従って計算いたしますと、間伐を1ヘクタール実行することで毎年約3トンの二酸化炭素吸収量が増加するということになっております。森林づくり県民税を活用して今後5年間に2万3,400ヘクタールの間伐を実施することで、平成24年、2012年時点において年間約6万7,000トンの二酸化炭素吸収量の増加が見込まれます。
長野県地球温暖化防止県民計画では、現状の2004年の排出量から307万トンの二酸化炭素の排出削減を目標といたしております。このうち森林吸収による145万7,000トンを削減量に算入する計画でございまして、森林づくり県民税によって達成される森林吸収量はそのうちの4.6%に相当すると計算できます。
森林づくり県民税は、零細な森林所有などのために、これまで手を入れることが困難であった里山の間伐を地域の皆さんと協力して進めるというものでありまして、今後、県内の間伐を着実に進める上で特に重要な役割を担っていると考えております。
適切な森林整備を進めることを通じて県民の安全、安心を守る、その上に森林吸収量を確保しまして、地球温暖化防止県民計画の削減目標を達成する上で大変大きな役割を果たすと期待をしているところであります。
〔45番木下茂人君登壇〕
◆45番(木下茂人 君)知事から御答弁をいただきました。労働力確保の問題においては、さらに現在よりも踏み込んで産業人材育成センター等のお話もございまして、前向きな御答弁をいただいたわけでございますけれども、お話もございましたように、今、中小企業は即戦力を求めているわけなんですね。そういう意味では、今そこに退職した高齢者が、即戦力になる意欲もノウハウもある人たちがいるわけですから、そこのところをうまく利用していただきたいと。これは、お話にありましたように、法律の制限がありまして難しさもあるかと思いますけれども、知事からは問題意識を持って取り組むというお話がございましたので、その辺に期待をしたいというふうに思います。
それから、森林税につきましては、1ヘクタール間伐をすれば3トンのCO2を吸収するということがわかりました。そして、2万3,400ヘクタールをやると、146万ヘクタール吸収をしなきゃいけない計画に対して4.6%、6万7,000トンのCO2を吸収するということがわかりました。これは、県の県民計画、今の1ヘクタールやって3トンということから逆算しますと大変なことだなと。1,438万トンもガスを抑えなきゃいけない、146万トンもCO2を吸収しなきゃいけないと、こういう計画になっているわけですから大変なことは痛感するわけでございますけれども、しかし、4.6%も、少ないといえば少ないかもしれませんけれども、それをやらなければ計画を全うできないということになるわけですから、今後、3トンのCO2の重さというものを森林税を通して実感をして、環境問題を県民の皆さんとともに考えていくことが必要だなと、こんなことを感じた次第でございます。
質問を進めさせていただきたいと思いますけれども、食と農業農村振興計画実施初年度を迎えまして、直面する問題について農政部長に質問いたします。
低迷する本県農業の再生を図るため、昨年は、食と農業農村振興計画、以下、振興計画というふうに言いますけれども、これを策定をいたしました。平成20年度はその実施初年度でありますが、その出ばなをくじくかのように、農業を取り巻く近況は、米価の下落、家畜飼料や燃料の高騰等、波状的な打撃を受けまして、後継者、担い手の離脱等、前途を阻む壁に直面をしているところでございます。
こうした中での20年度農政部予算であり、懸命の努力を尽くしたものとは思いますけれども、振興計画の取り組みに関連して質問をいたしたいと思います。
前述の状況の中では、着目すべきはやはり県のオリジナル品種の開発とブランド化への取り組みであり、農政部予算の主要事業となっている強い園芸産地育成事業に期待をしております。この中で取り上げているシナノスイート、シナノゴールド、秋映のリンゴ3兄弟の新品種と新矮化栽培の新技術とを同時に推進できれば競争力の高い産地形成として希望を持てる事業となり、農政部の目玉事業ともいうべきものになると考えます。
ただ、ここで問題があります。その推進のために真っ先に必要になる矮化の苗木の確保の問題であります。振興計画の期間は平成20年から25年の5年間、最終年のリンゴ栽培面積は8,240ヘクタール、その半分の約4,000ヘクタールを矮化栽培にしようということは振興計画に既に織り込み済みであります。
この矮化栽培のうち、新技術である新矮化についてどのような構想を持っているのかが不明であります。仮に矮化4,000ヘクタールの半分、2,000ヘクタールを新矮化にするとすれば、その苗木の必要量は10アール当たり130本としてざっと260万本が必要になってくるわけでございます。苗木の育成はことしから取りかかったとしても、実生苗をつくるのに1年かかります。この実生苗にM.9の台木を接ぎ木をするのにまた1年かかります。それに穂木を接ぎ木をいたしまして2年生の大苗を育成するのにまた2年かかります。したがって、少なくとも4年の年月を必要とします。さらに、育成には、根頭がんしゅというような土壌伝染をする病気があったり、高度の技術を要求されるなど、幾つもの難関があるわけでございまして、必ずしも順調にいくとは限りません。
ことし、第1年目の苗木を約2万2,000本育成したとお聞きしました。これでは、4年後に順調に行って新矮化の果樹園はせいぜい17ヘクタールであり、2,000ヘクタールの0.8%にすぎません。今のペースでいきますと、24年までの振興計画期間中は苗木づくりだけに終わり、目玉事業のリンゴの新矮化はどこで何をやっているのか目に見えないで終わってしまう懸念があります。これでは農家がついていけません。幸い、苗木づくりについては、JA組織において、営農センターを初め八つの農協が意欲的に担ってくれることになっているようでありまして、心強く感じているところでございます。
最初は元をつくるのに4年を要しますけれども、一たんできてしまえば、伏せ込みをして根元から発芽し、発根した枝を取木をして苗木として育成することもできるようですので、立ち上がってしまえば相当数の対応も可能かとも考えられます。不確実な要素があるだけに、農業者が新たな技術によりリンゴ栽培を決断するためにはわかりやすい説明が必要であります。
昨年2月定例会において私は同様の趣旨の質問をしましたけれども、明快な答弁が得られなかったので、農政部長に重ねて質問をいたします。
リンゴ3兄弟の新矮化栽培は、平成24年までに何ヘクタール実施しますか。その面積は長野県の果樹経営を活性化できるウエートを持っていますか。そのために必要な苗木は何本ですか。その供給計画はできていますか。その後の計画と体制づくりはどうなりますか。技術対策についてもあわせて説明を願いたいと思います。
次に、高校改革に関連をして教育長に質問をいたします。
高校の適正規模につきましては、選択幅の広い教育課程の編成や生徒会活動やクラブ活動の支障のないものでなければなりません。進行する少子化の中で将来の高校のあるべき姿を考えるとき、その適正規模に整合するよう高校の統廃合はやらなければならないということは、だれもが概念的にはわかることだと思います。しかし、いざその統廃合の該当校になったときの関係者の思いは、長い伝統と歴史に決別しなければならない上に地域の子弟の将来に深いかかわりがあるだけに、大きな不安と心痛を伴う深刻なものとなります。私も、上伊那農業高校定時制の統廃合にかかわった一人といたしまして、苦渋の選択に参加し、その思いを痛感したところであります。
その立場から、教育長に質問をいたします。
第3通学区において、箕輪工業高校を多部制単位制高校に改編し、これに上伊那農業高校定時制を統合する案が示されたときに、上伊那農業高校において定時制を含む同窓会は協議を重ねて、その結果、現在及び将来を勘案いたしまして、一定の条件が整えば統合に賛同する方針を出しました。一定の条件とは、今の定時制のよいところが保持されるということでありました。定時制のよいところというのは、独立校舎であり、クラスが少人数でアトホームな温かさがあること、中学当時の不登校生が多く入学していて弱い立場の生徒が多いが、そういう生徒を優しく受け入れてくれる、こういうことでありました。これが定時制関係者の要請であったのであります。
この要請を教育委員会当局と協議をし、ほとんどの要請を受け入れていただくことができました。現状の校舎は老朽化して危険校舎であります。その校舎も、箕輪進修高校へ統合すれば新しく増築されることになりますし、要請した条件も整うということで、同窓会としても最終的な決断をしたのであります。ところが、定時制関係者の中には、今になって現状での存続を主張し、定時制がなくなれば弱い生徒の行き場がなくなると言って、いまだ統合に反対を唱えている人がいます。
本来、多部制単位制高校は、不登校生を含む多様な人たちの最も学びやすい学校として用意されたものであり、この改革はひとり第3通学区だけにとどまらず、松本筑摩高校の事例とともに、今後他の通学区のモデルケースになるものと考えます。
そこで、不登校経験者の行き場がなくなると言って反対する人たちの心配を払拭して、そんな心配は要らないよということを今後の実践で示していただきたいのですが、教育長の決意と見通しをお聞かせいただきたいと思います。
若年層献血推進対策事業について質問をいたします。
このことについては、以前にも、その低調ぶりを見て、教育委員会と衛生部が一丸になって推進するように提言をいたしました。しかし、昨今の高校の献血状況は、改善どころか、年々悪化するばかりであります。特に、公立高校の平成18年の実施率はたった6.7%。16年は3.3%という状況であります。
衛生部が若年層の献血推進対策事業を主要事業として挙げなければならない実態を見て、長野県の人間教育はどうなってしまったのか、全く嘆かわしく思うところでございます。
教育委員会並びに衛生部は、次の3点について、学校、父兄、生徒に対してどのように徹底をしたのか、あるいは事情把握をしてきたのか。具体的に答弁をお願いしたいと思います。
その第1は、献血をして健康を害している人の役に立てるということは、人間として大事な思いやりであり、教育上も大切であると考えられますけれども、このことについて教育委員会はどのように認識をしているか。そして、実践をしてきたのか。これが第1でございます。
第2は、通常の健康保持者であれば献血をしても健康上支障ないということだと思いますけれども、そのことについてどのように取り扱ってきたか。
第3は、以上の2点が徹底しているとすれば、なぜ献血をしないのか。特に公立高校が悪いのはなぜか。
以上、教育長及び衛生部長の答弁を求めます。
そして、その実態を踏まえまして、従来の対策では推進を望めない中で、いつまでに、どのように取り組むのか。具体的な対策について質問いたします。
〔農政部長白石芳久君登壇〕
◎農政部長(白石芳久 君)リンゴ3兄弟の新矮化栽培に関するお尋ね、6点ございます。
まず、平成24年までに何ヘクタール実施するかというお尋ねでございます。
本県の園芸振興の戦略品種でございますリンゴ3兄弟の作付面積につきましては、現在の545ヘクタールから目標年度の平成24年度には1,560ヘクタールに拡大することとしております。この拡大につきましては、新たな省力栽培方式として推進しております新矮化栽培の導入や、幅広い土壌条件に対応できる従来型の矮化栽培に加えまして、現在栽培しているリンゴの木をそのまま活用できる高接ぎによる品種更新の三つの方法で推進をしております。
新矮化栽培の苗木の養成は、議員御指摘のとおり4年間の期間が必要であります。現在、鋭意、新矮化栽培向けの苗木の養成を進めておりまして、平成24年度の栽培面積は約100ヘクタールを計画をしております。
次に、果樹経営の活性化のウエートについてのお尋ねでございますが、先ほどお答えいたしました100ヘクタールの面積につきましては、リンゴ3兄弟が目標としている増加面積1,015ヘクタールの約1割に相当いたします。新矮化栽培は新しい栽培方式であることから、最初に技術レベルの高い生産者が導入していきますので、新しい取り組みがモデルとなって導入の機運が高まり、地域に波及していくものと考えております。これによりまして、質量ともに市場や消費者等の期待にこたえられる産地が育成されるものと考えております。
そのための必要な苗木の本数でございますけれども、新矮化栽培におきましては10アール当たり120本から130本の苗木が植栽されますので、先ほどお答えしました100ヘクタールの栽培面積に必要な苗木の数量は12万本から13万本となります。
苗の供給の計画についてのお尋ねでございます。
苗木の供給につきましては、なるべく早期に多量の苗木生産ができるよう、現在、県試験場、全農長野、九つのJA、種苗業者、長野県果樹研究会の関係者で調整、連絡をとりながら進めているところでございます。具体的には、種苗業者での苗木生産を推進するほか、県が中心となり苗に接ぐ台木生産のための元木、これを生産するため、昨年の春、4万粒のリンゴの種をまいてございます。この元木をJA等に無償譲渡したほか、JA等の苗木生産の取り組みに対しても助成をしております。
その後の計画と体制づくりについてのお尋ねでございますけれども、新矮化栽培のモデル的な取り組みが進むことによりまして生産者の導入の機運が高まり、苗木需要の増加が予想されます。
今後は、数量の確保とともに、優良苗木の供給が新矮化栽培の普及のポイントになると考えております。このため、振興計画に合致した生産が可能となりますよう、関係機関・団体によります組織的な体制を確立し、計画的な供給を図ってまいりたいと考えております。
最後に、技術対策についてのお尋ねがございました。
まず、苗木の養成技術につきましては、根頭がんしゅ病の土壌病害について御指摘いただきましたけれども、こういった課題を克服する高い技術レベルが要求されることから、台木養成技術講習会を各地域で開催いたしまして、優良な苗木生産のための技術習得及び的確な作業実施の推進を図ってまいります。
また、新矮化の栽培の技術につきましては、農家段階における課題解決のため、海外の先進事例の調査研究をするとともに、栽培マニュアルの改訂や、県内に設置してあるモデル実証圃を活用した栽培技術講習会の開催などによりまして新矮化栽培の早期普及に努めてまいる所存でございます。
〔教育長山口利幸君登壇〕
◎教育長(山口利幸 君)二つ御質問をいただきました。まず最初に、高校再編にかかわっての御質問でございます。
箕輪工業高校は、本年4月、上伊那農業高校定時制を統合し、名称を箕輪進修高等学校と改めまして、多部制単位制として新たにスタートいたします。御案内のとおり、多部制単位制高校は、午前部、午後部、夜間部の三つの時間帯に多様な選択科目を置きまして、生徒一人一人が自分のライフスタイルに合わせて学ぶことができる夜間定時制の機能をあわせ持った極めて柔軟な教育システムでございます。こうした多部制単位制が本来持っている特性に加えまして、箕輪進修高校では、少人数集団のホームルームの設置、厨房つき食堂や保健相談室を備えた新校舎の建設、カウンセラー等の教育相談機能の充実などさまざまな支援体制を用意し、生徒一人一人にきめ細やかに対応できるよう準備を進めております。さらに、関係の皆様方の御要望におこたえし、電車の時間に合わせて教育課程を工夫し、通学の利便性を高める配慮もいたしたところでございます。
したがいまして、箕輪進修高校は、これまでであれば上伊那農業高校定時制を志願していた生徒たちも安心して学べるものと考えております。
県教育委員会といたしましては、上伊那農業高校定時制の在校生が卒業するまで十分な教育を受けられるよう配慮するとともに、新たにスタートする箕輪進修高校が多様な学びを提供し、生徒一人一人を大切にする多部制単位制高校となって、両校関係者や地域の皆様の御期待に十分沿えるよう精いっぱい努めてまいる所存でございます。
次に、献血に対する御質問をいただきました。4点ございますけれども、順次お答えいたします。
まず最初に、教育上の認識、その徹底についてのお尋ねでございます。
学校における献血につきましては、満16歳以上の健康な者が対象となりますが、生徒みずからが生命の大切さを理解し、助け合いや奉仕の精神のもとに自発的に行うべきものと考えておりまして、生徒個人の健康を考慮しながら、学校で行う場合は保護者の承諾を得て実施することとしております。
県教育委員会といたしましては、県立高等学校校長会議や養護教諭の研修会等におきまして、資料提供などを行い、生徒の献血に関する理解を深め、学校での献血の場が設けられるよう協力要請をするとともに、衛生部と連携して指導をしてきたところでございます。
次に、献血をしても健康上支障がないということの徹底についてのお尋ねでございます。
献血は、基本的には、健康な人であればだれでも献血に協力できること、献血の際は医師によって健康状態を確認し実施していることについて、衛生部と連携しながら、全高校生に配布しているリーフレットなどによる啓発活動や、先ほども申し上げましたけれども、校長会議や養護教諭の研修会等の場で理解を求めてまいりました。
次に、実施率の悪化、特に公立高校が悪いことについてのお尋ねでございます。
県立高等学校では、生徒の自主性を重んじ、主に生徒会活動として文化祭などで献血を実施しております。しかし、献血者が減少していることは事実でございまして、その要因としまして考えられることを何点か申し上げます。
成長途上であることから、献血に対する健康面での不安を懸念する保護者や教職員の意見、ピアスをあけたために献血ができないケース、貧血症などによる献血不適格者が多いこと、献血車の日程が合わないケース、カリキュラムが過密で行事として計画ができないケース、体調不良者が出た場合の学校側の責任問題、問診票の掲載事項に性的接触の有無を問う項目があり、生徒、保護者に抵抗感があることなどが挙げられます。
また、献血をする場所が、校内に比較しまして、校外での方が若年者の献血が多いことからも、プライバシーの問題もあり、学校単位として行うことの難しさがあると考えております。
次に、最後の具体的な対策についてお答えいたします。
議員御指摘のように、公立高校におきましては平成16年度3.3%の高校と大変低かったわけでございますが、18年度には6.7と。こんな学校のケースでございますとか、あるいは私立高校のケースの様子をお聞きしまして、そんな点を参考に考えてみますと、生徒会など生徒が中心となり積極的な取り組みをしたことにより実現できた、あるいは実施していると、こういうケースが非常に多いということでございます。
こんな点を参考にしまして、今後も、生徒が献血に対する理解を深めるよう周知を徹底することはもちろんでありますが、改めて衛生部と密接に連携、協議しまして、生徒の自主性を最大限に引き出す工夫や努力をしてまいりたいと考えております。
さらに、献血ができる健康な体をつくる正しい食習慣や運動の習慣を身につけさせるために、引き続き食育を初めとする生活習慣全般の行動を見直すための指導にも取り組みたいと、こう考えております。
以上でございます。
〔衛生部長渡辺庸子君登壇〕
◎衛生部長(渡辺庸子 君)献血の認識に関する質問についてお答えします。
少子・高齢化社会に向けまして、将来にわたり血液製剤の安定供給を図るためには、若年層献血、特に高校生の献血への理解と協力は不可欠でございます。また、献血は、命の大切さを認識し、助け合い、奉仕の精神をはぐくむ上でも大切なことと考えております。
こうしたことから、高校への個別訪問のほか、全高校生にリーフレットなど献血啓発資材を提供いたしまして、献血の必要性について意識の向上を図っているところでございます。
次に、献血の健康上に関する質問についてお答えいたします。
献血の際は、医師による問診や血圧、比重測定などの健診を行いまして、健康状態を確認した上で実施しておりますので、健康上の支障はないものと考えております。また、平成18年度、全国の献血による健康被害発生状況では、健康被害は約1%となっておりまして、その多くは気分が悪くなったなどの軽微なものでございました。こうした状況ですので、引き続き、さまざまな場を活用しながら、健康上支障がないことを含め、献血への理解を深めてまいります。
次に、公立高校を含む若年層の献血実施率の悪化に関する質問についてお答えいたします。
高校生を含む若年層献血者につきましては減少が続いておりまして、平成18年度の状況を見ますと、10代では平成14年度に比べ36%の減少となっております。この主な要因といたしましては、先ほど教育長から答弁があったとおりでございますけれども、これらの要因を解消するためには、教育委員会と連携をとりながら、生徒はもとより、保護者、教職員も含めた啓発に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、今後の取り組みと具体的対策についてお答えいたします。
現在実施しております高校生に対する啓発といたしましては、全高校生へのリーフレットの配布、高校訪問による献血協力の依頼、ラジオによる献血啓発放送などでございます。20年度からは、従来からの対策に加えまして、中学生、高校生から献血推進ポスターの募集や募集ポスターによる公共交通機関での車内広告を実施するほか、文化祭や献血ルーム体験運動などを通じた啓発に努めてまいります。
いずれにいたしましても、このような対策を通じまして、次代の献血を担う若い世代の献血者を確保してまいりたいと考えております。
〔45番木下茂人君登壇〕
◆45番(木下茂人 君)それぞれお答えをいただきましたけれども、まずリンゴの問題ですね。新矮化につきましては、議会でも園芸振興議連で安曇の圃場を勉強させていただきました。本当にすばらしく整備された園で、そこの草の上に腰をおろして試食させていただいたんだけど、あのときのシナノスイートのジューシーな味は本当に感動をしたわけでございまして、これならいけるなというふうに我々も思いました。
農業政策というのは何をやったらいいか、農家でも本当に暗中模索して困っているわけなんですよ。そういう状況の中で、これはいいなというふうに思ったと。そういうことだと思うんですけれども、そういう事業が苗木がなくてなかなかできないということで、14年に8,240ヘクタールですよ。それだけつくる中で、たった100ヘクタールしかやらない。そして、これが長野県農政の目玉事業であると言ったって、そんな振興計画じゃばかにされますよ。これではだめだと思うんです。なかなか大変な問題はあると思うんですけれども、大規模に本格的に取り組んでいただきたい。そのためにはやっぱり財政支援も大事だと思いますので、これは知事にぜひその点はお願いをしておきたいというふうに思います。本当にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
献血の問題……
○副議長(宮澤敏文 君)木下茂人議員に申し上げます。申し合わせの時間が経過いたしましたので発言を終了願います。
◆45番(木下茂人 君)問題は教育委員会にあると思います。教育委員長にお尋ねをします。認識として、この問題は教育の問題だと思うんですけれども、どう考えているか。そのことをお答えいただきたいと思います。
質問を終わります。
〔教育委員会委員長綿貫隆夫君登壇〕
◎教育委員会委員長(綿貫隆夫 君)御質問の点でございますが、私が認識しておりますのは、献血の問題は、具体的な問題として、多くの人々に自分が奉仕できるということのあらわれと思いますが、結局は人間が人間の命を大事にするという自己中心の考えから、みんなが一緒に生きていこうというそういう教育の根源に入っていくんだろうと思います。そういう気持ちで進めていきたいと思っております。
○副議長(宮澤敏文 君)次に、西沢正隆議員。
〔29番西沢正隆君登壇〕
◆29番(西沢正隆 君)長野市選出、自由民主党県議団、西沢正隆でございます。
ことしはうるう年で、本日は2月29日、4年に1回しかない日であります。このような日に質問ができることは貴重であり、4年に一度しかないきょうの日を大切に過ごしていきたいと思います。
4年に一度といえばオリンピック。ことしは8月8日に北京オリンピックが開幕するオリンピックイヤーであります。また、2016年に東京はオリンピックに立候補していて、現在、招致活動中であります。世界じゅうが注目し、一喜一憂するオリンピックが長野県で開催されて、早いものでことしは10年目であります。そこで、長野オリンピック・パラリンピック冬季大会開催から10年を迎えてについて、以下、関連の質問をいたします。
1998年、夢と感動を与えて大成功に終わった長野オリンピック・パラリンピック冬季大会が長野県で行われました。あれから10年、今月9日には、IOC役員、JOC役員、知事等の来賓を迎え、さらに元オリンピック選手等が出席の中、10周年記念式典が長野市のオリンピック会場であったビックハットで開催されました。私も出席をさせていただき、当時の感動が再びよみがえってまいりました。有形無形の財産を残し、10年たっても語り継がれ、今後も後世に引き継がれていくのだと強く感じました。それほどの大イベントを私が住む地域で行っていただいた関係者の方々に、改めて感謝を申し上げたいと思います。
オリンピック、パラリンピック前の長野県は、他地域では景気が冷え込む中、オリンピックバブルで好景気を維持していました。しかし、オリンピック終了後は予想どおり景気は下降し、中にはオリンピックが終われば御臨終などという人までいました。一方では、オリンピックの財産を生かして、特にオリンピック基金などを利用してさまざまな事業を展開されてきました。
過日、長野オリンピック・パラリンピック冬季大会開催から10年の県民意識調査の結果が新聞報道されました。開催してよかったという人は9割を超え、6割の方が評価しているようであります。
そこで、長野冬季オリンピック・パラリンピック大会から10年後の現在、長野県に多くの有形無形の財産を残しましたが、どう評価し継承されるか。知事にお聞きいたします。
また、アイスホッケー、スキー、スケートの各国際大会を初め、長野灯明まつりなどの事業にも助成を行ってきたオリンピック基金が平成21年で底をつくと聞いていますが、その後は何らかの形で助成していた事業等に県として関与していく考えはあるのか。知事にお聞きいたします。
長野オリンピック当時、どこから来たのかわからないほど人があふれ、肩が触れ合うほど中心市街地に活気があったことを思い出します。あれから10年、ダイエーの撤退、シャッター店の増加、郊外へ大型店が進出する一方、トイーゴ、ぱてぃお大門、多くの新築マンション等の建設など、中心市街地も大きくさま変わりしましたが、決してにぎわいがあるとは言えない状況であります。休日でも歩いている人が少なく、夜の繁華街も歩いている人より客引きの人の方が多い状況で、何とかしてほしいとの声を聞くばかりであります。地元商店街、行政等もイベントなどを行って対策を講じてきましたが、残念ながら抜本的な対策にはなっていないと思います。
商工部長の議案説明によると、「商業・サービス業に代表される中心市街地の活性化につきましては、昨年7月から「長野県中心市街地活性化懇談会」において、にぎわいの回復に向けた方策について6回にわたり議論を重ねていただき、2月12日に提言を頂きました。提言では、「地域のコミュニティの拠」である中心市街地活性化のためには、まず、その必要性を地域で共有し、消費者の視点からまちを再編集するとともに、まちの資源・資産などの個性を守り発展させることが必要と指摘しており、県の役割としては、人材育成や情報提供、地域の人々が一丸となった自発的な取り組みへの継続的な支援などが必要としております。商工部といたしましては、この提言に基づき、平成20年度予算で新たな支援施策を展開するなど、中心市街地のにぎわいの回復に向けた施策を総合的に推進してまいります。」とのことでした。
そこで、平成20年度予算での新たな支援施策とは何か。商工部長にお聞きいたします。
私は、冬季オリンピックを見た子供が何らかの競技でオリンピックに出場したときこそ、長野オリンピックが成功したときだと考えております。オリンピックを行った県として、オリンピック選手を生むことも使命であると思います。
過日、県教委から、スポーツ振興計画が発表をされました。2012年度までに、体力テストで全国平均を上回った割合を25.0%から38.0%へ、週1回以上運動、スポーツをする成人県民の割合を31.8%から50.0%へ、国体総合、天皇杯順位を23位から10位台へ、オリンピックへ出場する本県選手数を、アテネ五輪の3人からロンドン五輪は5人へ、トリノ冬季五輪の28人からバンクーバー冬季五輪は30人へと、それぞれに対し具体的に達成目標が示されました。
4年で国体の順位を上げることやオリンピック選手を多く輩出するには、相当な努力が必要と考えます。目標に掲げたので期待するところがあると思いますが、現状を踏まえ、どのようにして選手強化を行っていくか。教育長にお聞きいたします。
私は、あの夢と感動を与えてくれたオリンピックをもう一度開催することを夢見ています。長野市長も、将来もう一度オリンピックを開催したいと発言された報道がありました。これを踏まえ、知事の御所見をお聞きいたします。
〔知事村井仁君登壇〕
◎知事(村井仁 君)長野冬季オリンピック・パラリンピックの評価などについて御質問をちょうだいしました。
この二つの大会は、まさに県民一人一人の参加によってなし遂げられたものでありまして、220万県民の誇りであると、このように評価しているところであります。県内出身選手を初めとする日本選手の活躍はもとより、子供たちの参加によっていわゆる一校一国運動、それからボランティア活動など、子供たちから大人まで大変多くの県民が参加して、一地方都市であった長野という名を世界に知らしめ人々の記憶に残すという、本当に大変に大きな成果があったと、このように認識をいたしております。
さらには、新幹線や高速道路などのインフラストラクチャーの整備が促進され、県民の生活環境が格段に向上したことは事実であります。ナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点施設の指定を受けたエムウェーブを初めとする競技施設を有効活用して冬季スポーツのますますの振興を図るということは冬季オリンピックを開催した長野県の使命であると、このようにも考えております。
今後とも、両大会が残してくれた財産と理念をこれからの時代を担う子供たちに継承し、これらを糧に活力ある長野の実現に生かしていく、こういうことが大切ではないかと思っております。
オリンピック基金による助成事業への県の関与についてお尋ねがございました。
この基金は、平成10年度から、年間約4億円を冬季競技を中心に県内外で開催される国際大会やジュニア選手の育成などに助成を行い、今年度末残高は約10億円と承知しております。国際大会の開催は、世界トップアスリートの技術を肌で感じ、また、スポーツの普及や振興に大変寄与するものでございます。ジュニア選手の育成によって多くの選手が国体や国際大会で活躍する姿は県民に夢や希望を与えるとともに、スポーツへの関心を高め、県民の心身の健康増進に資するものであると評価をいたしております。
しかし、現在の県の財政状況では基金と同様の支援を行うということは大変困難だと言わざるを得ません。事業を実施する関係団体におきましては協賛制度などによる資金確保策を御検討いただきまして、その上で県としてどのような関与が必要となるか、また可能になるか、いろいろ御相談をしてまいりたいと、こんなふうに思うところであります。
オリンピックを再び開催するということについての御質問ございましたけれども、オリンピック10年を契機に信濃毎日新聞が行った調査によりますと、長野オリンピック・パラリンピックを開いてよかった、まあよかったと考える県民が9割近くに上り、さらに、長野県でもう一度オリンピック、パラリンピックを開きたいかという問いに対して6割近くが肯定的な回答を寄せているということは承知しております。これは、長野オリンピック・パラリンピックの開催から10年を経ても今なお多くの県民の心の中にあの感動が色あせることなく刻まれているということのあかしではないか、私はこんなふうに受けとめております。
以前もこの場で申し上げたことがありますけれども、オリンピック誘致のためにバーミンガムのIOC総会に参ります途中でフランスのシャモニー・モンブランに立ち寄ったんですが、そのときに、夏でオフシーズンだったんですが、そこの売店の大将が、1924年のときに開催されたシャモニーの第1回のオリンピックのことを自慢げに語っていたということを私は非常に印象深く記憶しております。長い年月を経ても、オリンピックを開催したということを誇りに思うその姿に接しまして、オリンピックという国際的なイベントの影響の大きさ、それをしみじみ感じたものであります。
ただ、オリンピックというのは県ではなくて都市が開催するものでございますので、県としてもう一度開催をというのは直ちに申し上げるべきではない。ただ、やがていつの日か長野で再びオリンピックをという県民にとっての大きな夢、これは今後に引き継がれてしかるべきことではないか、こんなふうな感想を持つものであります。
〔商工部長荒井英彦君登壇〕
◎商工部長(荒井英彦 君)中心市街地の活性化に関する新たな支援策についての御質問でございます。
新年度におきまして、商工部では、にぎわいのある町づくりに向けた取り組みを支援するため、中心市街地商業総合支援事業を行ってまいります。これまでの商工団体や町づくり会社が行う関係者の合意づくりのための事業や商店街団体が行う調査研究、研修事業などに対する助成に加えまして、新たに中心市街地再生支援事業を新規事業として実施をいたします。これは、今年度開催してまいりました長野県中心市街地活性化懇談会の提言を踏まえ、行うものでございます。
この事業の中で、商店街や商工団体、行政、町づくり会社、地域の住民の代表を中心としながらも、NPO、企業、大学等の参画を得ながら、地域が一丸となって行う中心市街地の活性に向けたみずからの手による計画づくり、またその実現に向けた継続的な取り組み、こういったことに対しまして市町村とともに支援をいたしてまいります。この事業はモデル事業として行ってまいりますので、その成果は報告会の開催等によりまして他の地域にも参考としていただけるようにしてまいりたいと考えております。
〔教育長山口利幸君登壇〕
◎教育長(山口利幸 君)御質問にお答えする前に、一言御礼申し上げたいと思います。
過日終了いたしました第63回国民体育大会冬季大会長野かがやき国体では、スケート競技会で女子総合優勝、スキー競技会で男女総合優勝を果たしました。大会の開催に当たり御指導、御協力いただきました議員各位に、この場をおかりしまして厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
さて、選手強化についての御質問でございます。
高い競技レベルを有する本県選手が国内や日本代表としてオリンピックなどで活躍することは、多くの県民に誇りや夢、感動、そして勇気を与えてくれます。そして、スポーツへの関心や参加意欲を促し、県民スポーツの振興に大いに貢献するものと考えているところであります。
競技力の向上は、今回策定いたしましたスポーツ振興計画では、生涯スポーツ社会の実現、子供の体育、スポーツ活動の推進、スポーツ施設、環境の整備充実とともに、重要な施策として位置づけております。子供たちが体を動かすことの楽しさやスポーツを体験し、生涯にわたり積極的に運動、スポーツに親しむ習慣や体力を養うことのできる環境づくりを推進し、スポーツのすそ野を広げ、競技力の向上につなげてまいりたいと考えております。
選手強化につきましては、競技団体等が実施しております選手の育成強化事業に対しましてその経費の一部を補助し活動を支えたり、選手がより適切な指導が受けられるよう指導者の資質向上や養成を図ります。また、すぐれた資質を持つジュニア競技者を早期に発掘し、年齢に応じた適切な指導を行う一貫指導システムの構築などにも取り組み、県体育協会や競技団体等と連携しながら競技力の向上に努めてまいりたいと考えております。
〔29番西沢正隆君登壇〕
◆29番(西沢正隆 君)オリンピックを開催しての有形無形の財産、いろいろあるわけでございますが、やはり感動と夢を与えたというのは一番大きいのかなと。先ほど教育長、国体、本当に好成績で改めてお祝いを申し上げたいと思います。本当にお疲れさまでございました。
そんな中で、強化というのはお金がかかるというのはよくわかっております。長野県の活躍というのは、都道府県駅伝での男子の優勝、全国高校駅伝での男女の活躍、また、3月から始まる選抜大会は2校が同時出場という23年ぶりの快挙で、活躍が見込まれると。そして、県民球団、信濃グランセローズの活躍、サッカー、パルセイロ、山雅クラブの活躍等々、長野県は今スポーツに関しては非常にいいところにいるんではないかなと思っているところでございます。
でも、この強化にはやはりジュニア時代からの強化というのがなくてはならないところだと思います。それにはお金がかかるわけでございます。大変厳しい財政であると思いますが、スポーツに関してはお金を切らぬようにしっかり支えていただきまして、そして長野県の選手が活躍すれば長野県の宣伝にもなりますし、そして長野県にも多く訪れると。いろんなことで伝わってくると思いますので、どうか選手強化を続けていっていただきたいと思います。
次に、森林づくり県民税について林務部長にお聞きいたします。
12月県議会で条例案可決以降、新年会、各地の会合で話題になるのが森林づくり県民税であります。内容については、県民世論調査結果の報道でもあったように、把握されていない県民の方が多く、先日は路線バスに乗車中に運転手の方から森林づくり県民税について質問されたのは印象的でありました。内容はわからずとも、新たな納税ですので認知度は高く、関心は高いと思われますが、だれがどのくらい納めるのか、間伐はどの場所をやるのか、自分の山をやってくれるのか等、詳細を把握していない方が多く、各地でさまざまな質問をされます。
そこで、森林所有者が間伐を行いたい場合、まず、どこへ話をすればよいのか、申し出から事業決定までの流れ、またその周知方法についてお聞きいたします。
この事業を実施していく上で県民の理解は必要不可欠であります。県民に理解を深めていただく方法の一つとして、先日の平野議員の代表質問に対し、県下10地域ごとにモデルとなる森林整備を設定すると答弁されましたが、具体的な内容、今後のスケジュールなどについてお聞きいたします。
次に、人事・給与システム及び内部事務総合システム再構築事業について総務部長にお聞きいたします。
予算書や各部局の説明資料を見ていると、総務部の予算の中に5億2,200万9,000円と多額の事業があります。これが人事・給与システム及び内部事務総合システム再構築事業であります。人事・給与システム及び内部事務総合システムを一体的に再構築することにより、情報の一元管理を可能とし、業務の集中化、効率化を図ると説明があります。
そこで、第1に、本事業の概要と今後の入札等のスケジュールについて。次に、他県でも同様なシステムを導入して行っているのか。次に、大変厳しい予算編成であるにもかかわらず、3年間で11億8,000万余をかけシステムを導入し、費用対効果がどのくらいあるのか。具体的に、削減人数、運営費の削減額など概算をお示しください。
〔林務部長加藤英郎君登壇〕
◎林務部長(加藤英郎 君)初めに、新たな税活用による間伐事業の申し出先と、事業決定までの流れ、周知方法についてのお尋ねでございますが、新たな税活用事業は、集落の皆さんのお力をおかりしながら、集落周辺の里山林を面的に整備していくのが大きな特徴でございます。
間伐事業を御要望される場合は、まず、最寄りの地方事務所、市町村、森林組合等に御相談いただくこととなります。実際に事業を進める上では、集落で十分話し合っていだだき、整備の範囲等の要望を市町村に申し出ていただくこととなります。市町村においては、地方事務所と相談の上、事業導入を必要とする区域を決定していただきます。一方、集落の皆さんには、事業の同意と、県と所有者の協定の締結に御協力いただくこととなります。これらの手続により事業を実施した後、補助金の申請等を行っていただく流れとなります。
なお、集落の皆さんが事業の要望範囲等を決められる話し合いの場には、できる限り地方事務所職員が市町村の担当者の方々とともに出向いて相談してまいりたいと考えております。
また、事業に係る周知方法につきましては、既に各地方事務所で市町村への説明会等を逐次行っておりますが、今後、詳細な要件等について手引を作成し、市町村等への説明会を再度実施するとともに、集落懇談会等の場を通じ地域の皆様への周知を徹底してまいります。
次に、モデルとなる整備森林の設定についてお答えいたします。
議員の御指摘のとおり、税事業の内容や森林整備効果について県民の皆様に御理解いただくことは極めて重要なことと認識しております。このため、集落の近くにあって県民の皆様の目に触れやすい里山を対象としてモデル団地を設定し、新年度にいち早く整備に着手することで税事業とその効果について周知してまいりたいと考えております。
具体的な箇所につきましては、諏訪管内で諏訪市有賀地区の森林約10ヘクタールを選定するなど、現在、各地方事務所ごとに選定作業を進めており、3月中には10カ所の候補地を決定し、森林所有者の確認や整備に対する同意作業を進め、新年度早々からの事業着手に備えてまいりたいと考えております。
また、整備に当たっては、事業内容を説明した看板の設置やモデル林を活用した研修会を開催するなどPR活動にも努め、税事業を活用した森林整備が県下各地で展開されるよう積極的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〔総務部長浦野昭治君登壇〕
◎総務部長(浦野昭治 君)内部事務総合システムの再構築の事業についてのお尋ねでございます。
まず、今、職員の履歴や給与を管理いたします、ホストコンピューターを用いて行っておりますが、人事・給与システムというのがございます。それからもう一つ、職員の服務あるいは給与の一部と旅費などを処理をいたします内部事務総合システム、これはサーバー上で行っております。これが別々に稼働をいたしておりますけれども、両者をサーバー上で連携させて一体のシステムに再構築する事業でございます。
これによりまして、現在、10合庁にございます総務事務センターと、それから単独現地機関106カ所で行っております各種手当、旅費等の審査業務を本庁1カ所に集中化をいたしまして、あわせてその審査業務を外部委託するというようなものでございます。
それから、内部事務総合システムのリース期間が平成22年の9月に終了をすること、それから、人事・給与システムは昭和45年に作成をされたものでございまして、その後、修正が繰り返されておりまして運用リスクが非常に高まっているということなどを勘案して、新たにシステムを開発することといたしましたものでございます。
スケジュールでございますが、システムの開発期間は2年半を予定をいたしております。平成22年10月からの本格稼働を目指しております。
今申し上げました業務の集中化でございますけれども、平成20年の10月から順次行いまして、22年4月までに済ませたいと、外部委託については、平成20年の8月から5名の人材派遣を受け入れて、段階的に増員をしながら、最終的には24名の体制で実施をしていきたいと、このようなものでございます。
他県の例でございますけれども、財団法人地方自治情報センターが昨年の10月に全国の都道府県を対象にいたしました調査によりますと、半数以上の県が、内部事務、今申し上げました休暇ですとか手当ですとか旅費に関するシステムを導入いたしております。人事・給与システムをホストコンピューターからサーバー系へと再構築、または実施を、あるいは計画をいたしておるところも過半を超えております。
次に、費用対効果のお尋ねがございました。
お話のように、事業費はシステム再構築と外部委託事業合わせまして11億8,000万余でございます。効果につきましては、システムを再構築し、集中化、効率化することによりまして職員42名の削減を見込んでおります。平均的な人件費で試算をいたしますと3億5,000万余の人件費に相当するものでございます。
一方、再構築後の平成23年度からでございますけれども、新規費用発生分といたしまして、先ほど申し上げましたように、外部派遣の職員24名の経費でございますけれども、7,000万余を見込んでおりますけれども、それがかかるようになります。保守管理の運営費は現行とほぼ同等というふうに見込んでおります。そこからいたしますと、今申し上げました人件費の関係でございますけれども、削減効果は、平成19年度と再構築後の23年度を比較いたしますと、年間2億7,000万余の経費が削減できるというふうに試算をいたしております。それで計算いたしますと開発費用につきましては約4年間で回収ができるものと、こんなふうに見込んでおります。
経費以外の効果でございますけれども、先ほども触れましたが、この再構築によりまして、約40年間扱ってまいりました人事・給与システムが、相当動作が不安定な部分もございますので、安定した技術で更新することでシステム運用リスクが解消できるということ、それから、現在、審査業務に一部携わる職員が本務に集中できますので県民サービスの向上が期待できると、こういうこと。それから、今度は審査はすべて専門の職員が行いますので、より適正な会計処理が期待できるといったこともございます。
以上申し上げました費用面での効果とともに、それ以外の面でも効果が期待できるものでございます。全体とすれば、当面のコストは大変厳しい財政状況の中では重いものではございますけれども、中長期的な行財政の効率化のために必要な事業というふうに考えております。
〔29番西沢正隆君登壇〕
◆29番(西沢正隆 君)森林税については、今週、私の家にも市報の中にパンフレットが入ってまいりまして、これで大分内容が周知されるのではないかなと思っております。
人が言うには、森林、何とかしていかなきゃという人は多いことは確かです。中には、やはり、お金払うの、何で払うんだという方もいらっしゃいますけれども、モデル地区というものをつくってよく見てもらうと県民の皆さん納得するんではないかなと。やはり目で見ないとなかなか理解できないと思いますので、モデル地区をぜひ早急に10地域につくっていただきまして、また行きやすい場所につくっていただきまして、事業を行っていただければと思います。そして、5年後どうなるかわかりませんけれども、今500円払っていますけれども、自発的に、500円じゃ足りないからおれは1,000円でもいいよというぐらい寄附する皆さんが多くなれば、長野県の森林もよりよくなっていくんではないかなと思うところであります。
次に、12月県議会に引き続きまして、カワウの駆除対策について質問をいたします。
カワウとは、ペリカン目ウ科に分類される鳥類の一種で、1羽で1日500から600グラムの魚を食べ、1分以上、水深10メートル近くまで潜水し、行動範囲も広く、河川部や湖沼に生息し、中にはカワウによって魚なし川になってしまったというところもあるほど大変厄介な鳥であります。
そこで、平成17年、農政林務委員当時に漁業組合関係者から問題提起され、それからカワウの存在に対し危機感を訴えてまいりました。実際、千曲川でウグイの水揚げ量が10トンあったのが、近ごろは1トンに満たないほど深刻な問題となっています。
今回は、千曲川漁業組合のカワウ駆除の取り組みについて、前議会でも一部紹介いたしましたが、その結果について述べさせていただきます。
ハンターが好んでカワウをとらないため、昨年12月初旬から1羽2,000円で引き取る事業を行い、結果は、84羽が持ち込まれ、16万8,000円の懸賞金を支払われたようであります。組合長は11月15日から村山橋付近で毎朝カワウの飛来状況を調査されていたようでありますが、昨年11月には120から130羽飛来していたのが、駆除後の2月15日には36羽しか確認できず、かなりの駆除効果があったようであります。
県の施策は、カワウ食害防止対策事業として平成19年度は196万4,000円が予算額として見込まれ、ことしは、外来魚被害緊急対策事業、ミンク食害防止対策事業と合わせて300万円が計上されています。現在、シカの駆除に対しても懸賞金を出すように、千曲川漁協の取り組みと同様に懸賞金を出すことが今後も有効と考えます。
以上のことを踏まえ、カワウの駆除対策をどう講じていくか。農政部長にお聞きいたします。
〔農政部長白石芳久君登壇〕
◎農政部長(白石芳久 君)カワウ対策についてのお尋ねであります。
カワウは、平成10年ころから県の南部を中心に散見されるようになりまして、近年では1,000羽前後の生息が県域で確認されております。カワウによります漁業被害は、ウグイなどの被害によりまして平成18年度で4,800万円余りと、本県の水産業にとりまして大きな問題でございます。
県におきましては、木曽川漁協など五つの漁協が行っている捕獲、佐久漁協が行っております卵の採取、さらには諏訪漁協など10の漁協が実施しております花火などによります追い払いや防鳥糸の設置など、カワウを寄せつけない取り組みに対して支援を行ってまいります。
こうした支援の中で、捕獲を委託する事業も助成しておりましたけれども、本年からは御提案のようなカワウをとっていただいた方への、懸賞金という御提案でございますけれども、報償金についても助成していく予定にしてございます。
さらに、県域を超えました広域的な対策が必要であることから、中部地方と近畿地方の15の府県で構成する広域協議会に参加し、林務部と連携しながら、繁殖状況や広域的な移動などの情報収集に努めてまいりたいというふうに考えております。
〔29番西沢正隆君登壇〕
◆29番(西沢正隆 君)カワウは琵琶湖に約2万羽いるそうであります。幾ら駆除しても毎年のように飛んでくる非常に厄介な鳥でありまして、今、議場から食べちゃえという話がありましたけれども、肉がなくて非常においしくない鳥であります。本当に肉が大変薄くて非常においしくない鳥だと聞いています。
そういう中で、カワウというのは、シカ、イノシシ、またクマの対策も非常に重要なんですけれども、魚というのも長野県の観光に非常に密接しておりまして、渓流釣りに来る人は長野県トップというか、来る方が非常に多い県でありまして、観光事業にも非常に密接することでございます。長野県に来ても魚が釣れない、放流しても釣れないということになれば観光にも影響いたしますので、カワウの駆除対策、真剣にやっていただいておるんですけれども、さらに力を入れていただければなと。そして、議場の皆さんにもカワウの存在をぜひ知っていただければなと思う次第でございます。
それと、20年度の予算の要求の段階で、私が12月定例会で提案したクレジットカードを導入する方法の事業、クレジットカード収納導入事業費1,242万余、マルチペイメントネットワーク導入事業、これは、ATMや、インターネットバンキングやモバイルバンキング、そういった形をやれる事業が2,472万円要求時点では上がっておりました。そして、要求の終わった後、査定後は何とゼロになっておりまして大変残念に思いました。それはなぜかといったときに、今回、総務部長の答弁の中で、財源対策、来年から50億やっていくという中にも未収金をなくしていくんだという中で、やはり県民の皆さんに納入しやすい方法をとっていくということは大変大事なのかなと思います。
例えば、税金、自動車税にしても一括で払う、でも、クレジットカードでやれば分割も可能なんですね。県に一括お金が来るので県は何の形もありませんが、分割払いで払いやすくなると非常に効果があると思います。宮崎県でも、700万の手数料、いろいろ経費の中で約1億2,000万税金が上がったという形でございます。長野県民の皆さんはどっちかというとキャッシュ派、現金で払う方が多いという県であるということで、査定される皆さんもそうなのかなと思ったんですけれども、できればカードやインターネットで払える方法というものを平成21年度からできるように、6月の補正でもう一回復活をしていただければなと。これは要望でございます。
オリンピック後の平成13年の220万9,654人をピークに、ことしの1月1日現在218万924人と、残念ながら2万8,730人の人口が減少してしまいました。やはり多くの方が長野県に定住をして人口がふえていかないと税収もふえず、例えば道、橋などをつくっても、それを使う人が少なければ今やっていることも何の意味もありません。
ことしは中期総合計画元年、初年が目標達成するかしないかには大きな影響があると思います。ぜひ県民の方、特に未来を担う子供たちが夢や希望を持てる元気な長野県を目指し、4月からの20年度のスタートを最高な形で切っていただきますようお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○副議長(宮澤敏文 君)この際、15分間休憩いたします。
午後3時11分休憩
──────────────────
午後3時27分開議
○議長(服部宏昭 君)休憩前に引き続き会議を開きます。
続いて順次発言を許します。
村上淳議員。
〔27番村上淳君登壇〕
◆27番(村上淳 君)県民クラブ・公明、木曽郡選出の村上淳でございます。さて、文化財の保護についてお聞きをします。
本年2月10日未明に韓国ソウルの中心部にある南大門が全焼、崩壊した火災は大変ショッキングな映像であり、一度失ったら二度と手に入れることができない文化財であります。
日本では、文化財に指定された建造物は消防法に基づいて火災報知機や消火器の設置が義務づけられておりますけれども、文化庁が初期消火活動に有効な屋内消火栓の設置などを今指導していると聞いております。
しかし、1月26日の文化財防火デーにあわせて文化庁が昨年行った全国調査によると、この日前後に防火設備の点検を行った市町村は5割、所有者への啓蒙活動を含めると8割の市町村が何らかの活動をしていたんですが、それでも2割の市町村は何もしていないということになります。
本県の文化財の保護対策、とりわけ火災対策は万全なのか。国、県指定の文化財の件数及び防火対策の実施率について原教育次長にお尋ねします。
さて、政府の中央防災会議は、近畿、中部圏でマグニチュード7級の直下型地震が発生した場合、国宝113件を含む580件に上る重要文化財建造物が倒壊、焼失するおそれがあるという被害想定をまとめました。京都の清水寺や銀閣寺、奈良の東大寺や法隆寺といった日本を代表する歴史的建造物の多くが地震で失われかねないということであり、予想以上に深刻な現実を突きつけられたと言わざるを得ません。
耐震化の機運を高め、対策を急がねばなりませんが、長野県内の指定文化財の耐震診断と耐震補強工事はどのように講じられているのでしょうか。進捗状況と来年度の取り組みについてあわせて原教育次長にお尋ねします。
〔教育次長原修二君登壇〕
◎教育次長(原修二 君)文化財の保護についてのお尋ねでございますが、本県の指定文化財は、現在、有形文化財、無形文化財などを合わせまして、国指定が252件、県指定が415件の計667件となっております。
こうした文化財の保護対策、火災対策といたしまして、長野県文化財保護指導委員、20名いらっしゃいます、が、私ども県と市町村の職員とともに、文化財パトロールというものを実施しております。本年度におきましても、無形民俗文化財や博物館などにおさめられているものを除きまして、計442件につきまして二度のパトロールを実施し、所有者や関係者に対しまして保存や防火対策に関しまして指導及び助言を行いますとともに、消火設備等の確認を行っているところでございます。
また、お話のございました文化財防火デーにあわせての点検等の実施状況でございますが、本年度の状況を申し上げますと、防火設備の点検につきましては62%に当たる50の市町村が実施しておりまして、文化財の所有者や住民への啓発などを含めますと県下すべての市町村において実施されているところでございます。
次に、文化財の耐震化についてのお尋ねでございますが、文化財の耐震化につきましては、建造物の解体修理などの抜本的な修理を行うことによりまして一定の耐震性能の向上が図られると考えております。本県における国宝、重要文化財の約半数が抜本的な修理を行ってきておりまして、本年度完成いたしました善光寺三門につきましては解体修理にあわせまして耐震補強工事を実施しているところでございます。
耐震診断につきましては、文化財の所有者としては修理を優先したいというような考えがございまして、全国的にも私どもの県も進んでいない現状でございます。耐震診断につきましては平成17年度から国の補助制度が創設されておりますので、貴重な財産を後世に伝えるため、私どもといたしましても積極的に文化財耐震診断を実施するよう働きかけてまいりたいと考えております。
以上でございます。
〔27番村上淳君登壇〕
◆27番(村上淳 君)さて、去る1月16日から2日間にわたり、信州農村歌舞伎祭が、県や伊那市主催で、県伊那文化会館で開催されました。新春に放映されたNHKドラマ「おシャシャのシャン!」の舞台となった大鹿歌舞伎はもとより、伊那市長谷の中尾歌舞伎、また私の地元木曽郡上松町の上若連、さらに下條村の下條歌舞伎が演じられ、多くの人が魅了されました。
長野県は多様な郷土芸能の宝庫であります。伊那谷や木曽谷を初め、各地の風土とともに受け継がれてきた伝統芸能は地域の誇りでもあります。しかし、少子・高齢化、市町村合併の荒波にもまれ、厳しい環境にある山村の伝統芸能も少なくありません。どう継承していくのか。大きな課題に直面をしています。
昨年の9月、国選択無形文化財、下伊那の「かけ踊り」のうち、下伊那郡泰阜村梨久保地区では人口減などによる担い手不足で休止に追い込まれたと新聞報道がされました。長年携わってきた地区住民は、涙が出る思いだが、気力がわかないと決断した苦渋の思いを語っておりました。
木曽町の日義に600年続く、平家討伐に挙兵した武将木曽義仲をたたえ、みたまを弔う「らっぽしょ」が、かつて木曽谷数カ所で行われておりましたが、今は旧日義村の徳音寺地区だけとなりました。地元の皆さんからは、小さな地域だけでは保存、継承は困難も多いとお聞きしています。
こうした過疎地域は、若手の流出と高齢化に歯どめがかからず、地域の文化や活力までが失われつつあります。地域の伝統芸能を維持して元気ある地域にしていくためにも、過疎地域や伝統芸能の保全に取り組む地域を支援する必要があります。伝統芸能は地域に生きる人々を結びつけるシンボルでもあり、活力の根源でもあります。そんな原点に立ち返って地域を考えるのも重要でしょう。
こうした伝統芸能の保存活動に対して県としてどのような支援ができるのでしょうか。県知事の御所見をお願いいたします。
〔知事村井仁君登壇〕
◎知事(村井仁 君)長野県のように各地域地域でそれぞれ本当に古い伝統芸能を、あるいは伝統芸術を保存、継承していることでございますが、これの維持というのは非常に大事な問題だと今議員のお話を伺っておりまして感じております。各地の歴史や人々の身近な暮らしの中から生まれたものでありまして、長い歴史を通じてそれぞれの風土の中ではぐくまれて、今日まで大切に受け継がれてきた。そして、その中にいろいろな発見もある文化遺産だと私も感じております。
県内各地の特色ある伝統芸能について、貴重なものは順次調査及び指定等を行い、保護に努めているところでありますが、例えば伝統芸能に使用される道具類の補修経費や、あるいは伝承者の育成経費、あるいは民俗芸能大会等の開催、こういうものについての補助、あるいは民間財団や県の支援金等による助成制度の有効な活用というようなものを推進していくということも一つの工夫だろうと考えております。
〔27番村上淳君登壇〕
◆27番(村上淳 君)平成20年度の予算では県デジタルアーカイブ推進事業もありますが、恐らく、今後、県内各地から今まで以上に伝統芸能の保存のために地域発元気づくり支援金の要望が出てくると思いますが、担当部局である教育委員会や総務部はこうした分野に配慮していただきたいと思います。
次に、木曽川右岸道路についてお聞きします。
御存じのとおり、木曽地域においては国道19号が南北に走っている一つの広域的な幹線道路であります。山合いを木曽川に沿って走るカーブの多い一本道ですが、住民にとって欠くことのできない大切な生活道路である一方、特に中京圏と本県をつなぐ物流の大動脈として通称木曽高速と呼ばれ、大型トラックが昼夜を問わず非常に多く、夜間はスピードを出して走っているのが実情です。
国、県、警察当局により各種の対策に努力していただいておりますが、やはり木曽地域では国道一本しかないという宿命として、一たび事故が起こると長時間にわたり通行どめや大渋滞によって緊急車両さえ通ることができないのです。
木曽川右岸道路は、こうした住民の日常生活の不便さ、緊急事態への不安を解消するために、木曽町の三岳地籍から南木曽町の田立地籍まで43キロメートルを優先として整備するということとして、木曽川右岸道路南部ルートとして位置づけられております。県によって今まで林道整備、あるいは代行事業、県道事業の組み合わせで整備が進められてきておりますが、その歩みは一時期順調とは言いがたかったというのが私の正直な気持ちです。
そこで、一昨年の9月定例議会において、私は、一般質問を通じて、村井知事にさらなる整備を推し進める必要性と重要性、そして住民の気持ちを十分に御理解願いたいと、そんなものを伝えたつもりでございます。この道は、緊急時において住民の命を守る真に必要な道路であるということを私は確信します。
そこで、この木曽川右岸道路の整備に当たり、県が一層責任を持って今まで以上に主体的かつ迅速に整備して、そして管理をしていく体制がとれないのでしょうか。土木部長の御所見をお願いします。
〔土木部長原悟志君登壇〕
◎土木部長(原悟志 君)木曽川右岸道路についてお答えいたします。
国が管理する一般国道19号は、中京方面からの物流の約3分の1が利用するなど、本県にとって極めて重要な路線であると同時に、地域を支える生活道路でもあります。しかしながら、木曽地域には迂回路となる路線がないため、事故や災害で19号が通行どめになりますと通行車両は大きく迂回することを余儀なくされ、地域のみならず県全体にとっても大きな損失につながっております。
このため、県では、平成2年度策定の木曽地域振興構想に木曽川右岸道路を位置づけ、県が事業主体となって林道事業などで整備を進めてまいりました。平成13年度以降は、調査やPI、環境アセスメントを実施して、地域合意のもとでルートを定着し、整備の優先順位も定めたところであります。
しかしながら、この間の状況変化により、現時点では町村道を県が代行整備する事業手法しかなく、路線全体の完成のめどが立たない状態であります。このような状況を踏まえ、あらゆる方策を検討しましたところ、県みずからが管理する道路に位置づけ、道路管理者として整備する以外に道はなく、木曽川右岸道路の南部区間のうち約30キロメートルを県道に認定し、町村から管理を引き継ぐとともに、県道改築事業で整備することが適切との判断に至っております。
これは、道路網の観点からしても、直轄国道レベルの骨格的な道路の代替機能を県道で担うことは当然であり、また、同一の主体が整備と管理を行うこと、複数の町村にまたがって機能する道路を一元的に管理することは、利用者へのサービス、災害時の対応などを考えても合理的な措置と判断されます。
特に、今回関係する上松町、大桑村、南木曽町からは、点在し、管理が非効率となっている県道5路線について逆に町村道へと移管することに基本的な御了解をいただいておるところであります。
以上から、木曽川右岸道路につきましては、平成20年度中に本議会にお諮りして議決をいただいた上で、県道に認定したいと考えております。県道認定後は、順次管理の引き継ぎを行う一方、県代行区間の早期完成、県道改築事業での早期着手、これを図ってまいる所存であります。
〔27番村上淳君登壇〕
◆27番(村上淳 君)さて、道路が国民的課題になっている今、先日、我が会派の牛山会長の代表質問に答えて、村井知事は道路の役割の変化について述べています。つまり、道路は今までは利便性が中心であったが、生命や福祉といった分野に役割が変わってきたと述べております。
道路建設に当たり、優先順位を決めて整備していくときに、土木部として道路建設の優先順位はどのような基準であるのか。土木部長の御所見をお願いします。
〔土木部長原悟志君登壇〕
◎土木部長(原悟志 君)道路建設の優先順位に関してお答えをいたします。
一昨日の県民クラブ・公明の代表質問で知事からお答え申し上げましたとおり、道路整備は、公共の福祉を増進させるために安全で円滑な道路交通を確保し、ネットワークとして機能を発揮させることが目的であり、道路の建設も維持管理もこの目的に沿って行っているものであります。したがって、高速道路から市町村道までが一体となったネットワークをそれぞれの道路管理者が連携して確実に構築していくことが必要であり、同時に、地域固有の課題へも適切に対応していかねばなりません。
県内には整備が必要な箇所がまだまだ多く残る一方で、これに充てられる財源には限りがあり、整備の優先性を見きわめる必要がございます。
その視点として、例えば国県道の改築事業に関しましては、現在の道路の状況、整備に要する費用と得られる効果の見合い、道路網を構成する一要素としてその路線が果たすべき役割、そして地域の皆様の期待度などがございます。
私どもとして、それらを総合的に判断し、今後5カ年間に優先として取り組むべき路線、箇所、内容を具体的にお示ししたものが本年度策定した長野県中期総合計画であり、これが長野県としての優先順位の示し方でございます。
〔27番村上淳君登壇〕
◆27番(村上淳 君)県内には高速道路も新幹線も走っていない地域があります。木曽地域もその中の一つですが、せめて木曽郡民の悲願でもあります木曽川右岸道路の完成を早めていただきたいと思います。
続きまして、商工団体の支援についてお聞きします。
平成の市町村合併が一段落して、商工団体の統合もそれに連動しております。商工団体の統合については、過日、平野議員の代表質問の商工部長の答弁で、従来の方針に従い、統合を進めていくとありましたが、商工団体と市町村との密接な連携は地域経済活性化に欠かせない必須条件です。しかし、地域にはそれぞれ今日に至った経緯があり、また、商工会と商工会の合併、商工会議所と商工会議所の合併は法整備が既になされておりますが、商工会法並びに商工会議所法の統合関連条項が未整備の状況にあるわけです。
現在の法律では1市町村に商工会と商工会議所の存続が認められておりますけれども、本来、組織の統合、合併については、組織の活性化、効率化を図る上でそれぞれの組織の主体的な取り組みの中で考えるべきことですが、現状では補助金削減ありきの厳しい現況の中で組織を見直さざるを得なく、商工会の会員のサービス低下と会員の減少につながっている状況です。
そこで、地域の商工団体の自発的な統合、いわゆる緩やかな統合を果たすために、現行の補助金の削減等の縛りについて再考する考えがあるのか。商工部長にお聞きをいたします。
〔商工部長荒井英彦君登壇〕
◎商工部長(荒井英彦 君)商工団体の支援についての御質問でございます。
地域の小規模事業者を支える商工団体は、私ども商工行政にとりましても大切なパートナーでございまして、団体の活動を支援してまいることは大変重要なことであると、そのように認識はいたしております。
議員御指摘の補助金等につきましては、関係者からさまざまな御意見をお聞きし、既に統合した団体、今後統合を控えている団体等、それぞれの状況を総合的に勘案いたしまして、18年12月に、統合に向けての3年間の準備期間の延長、それから補助金の激変緩和措置といった見直しを行いまして、19年度から新たな方式により交付をしているところでございます。
既に128の商工団体が93団体まで統合されてきておりまして、7割方統合が進んだ段階を迎え、行政の継続性という面からもこの準備期間における進展を期待するものでございます。
現状では7市におきまして商工団体が併存している状況にございますけれども、平成21年度までの準備期間を活用してそれぞれの団体間で今協議を進めているところでございますので、その進展を見守ってまいりたいと、そのように考えております。
〔27番村上淳君登壇〕
◆27番(村上淳 君)さて、この商工会についてですけれども、商工会も、今現在、会員にとって魅力ある組織を目指して努力することが求められています。しかし、今の県の方向では商工会の影響が非常に大きいわけでして、小規模商工会ほど今後の運営が心配ですが、商工会が、現況の中、脆弱な体制に陥れば商工会の職員の削減などせざるを得なく、地域の小規模事業者の経営支援が滞ります。また、今までイベント等、地域を支えてきたが、それができなくなる可能性があるわけです。さらに、会員数の小さな商工会はますます弱小になることが予想されます。
県にはぜひとも再考するべきだと考えますが、もう一度商工部長の御答弁をお願いいたします。
〔商工部長荒井英彦君登壇〕
◎商工部長(荒井英彦 君)議員も、ただいまの御質問の中で、緩やかな統合というようにおっしゃっていただいております。私どもも、これは一定の時間がかかる事柄であると、そのように承知をしております。それゆえに、見直しの中で3年間の準備期間の延長といった措置も講じて見直しを行ったところでございます。
20、21とあと2年間ございます。その中でいろいろまた御検討をしていただき、努力もしていただきたいと、こんなふうに思っております。その上で、それぞれの状況、またいろんな御意見、それにつきましては私どもも十分にお聞きをしてまいりたいと、そのように思っております。
〔27番村上淳君登壇〕
◆27番(村上淳 君)私は、このままでいけば、平成22年あるいは27年の見直しのときには幾つかの商工会はなくなってしまうのではないかなと思っております。やはり、商工会と商工会議所が一緒になるというのはどうしても無理があるわけです。そういったものをきちんと商工部として考えて、まさに地域の活性化の起爆剤となる組織ですから、県としてしっかりこれからも支えていただきたいと思います。
次に、地域交通問題についてお聞きします。
信南交通が一般路線バス12路線の直営運行から撤退する方針を示した問題をめぐり、南信州広域連合では、地域全体の公共交通のあり方、具体的なバス代替策を検討する協議会を立ち上げると聞いております。
実は、木曽郡内でも、5町村で路線バスを運行していたおんたけ交通が、親会社の資本総引き揚げと利用者の減少から郡内5町村の路線バス廃止を決定し、昨年夏までに全路線で直営運行から各自治体の運営となり、利便性は維持したものの、各町村とも運行経費が収入を上回り、自治体の負担は急増しております。
木曽町によると、生活交通システムの経費は本年度1億5,300万円余りを見込む一方で、収入は2,500万円余り、王滝村からの1,100万円余りの委託経費を差し引くと1億1,700万円の持ち出しです。特別交付税の補てんがあるとしても、財政力の弱い町村からすると大きな負担です。
県は、民間が撤退した赤字バス路線を維持する市町村への補助制度を廃止したかわりに、コミュニティーバスやディマンド交通を導入するときの市町村への補助を行っていますが、対象事業や期間が限られている上、予算全体で1,000万円余りです。交通システムの見直しを行う市町村の要望に対応できるのでしょうか。企画局長にお尋ねいたします。
〔企画局長和田恭良君登壇〕
◎企画局長(和田恭良 君)生活交通システム構築支援事業に関する御質問でございますけれども、この県単独事業は今年度までのサンセット事業でございましたが、新年度ではその内容を再構築の上存続していきたいと、こういうふうに考えております。
これまでは従来の路線を廃止して転換を図ります市町村のみを対象としておりましたが、その枠を取り払い、全市町村を対象といたします。ただ、国の地域公共交通活性化再生総合事業、この事業の創設も予定されておりますところから、国の事業を活用できない市町村の取り組み、あるいは広域的で緊急に対応する必要のある事業に限りまして支援の対象としてまいりたいと、このように考えております。
なお、20年度におきまして新たな交通システムへの見直しを予定しております19の地域、市町村におきましては、現時点におきまして、いずれも補助率の高い国の事業を活用していきたいと、このように聞いているところでございます。
県といたしましては、こうした事業の活用が十分に図られるよう国を初め関係機関と意見交換を重ねてきておりますが、今後も市町村と連携をとりながら必要な対応に努めてまいりたいと、こういうふうに考えております。
〔27番村上淳君登壇〕
◆27番(村上淳 君)地域交通は、地域の活力、元気を生み出す源でもあります。本年度から実施している元気づくり支援金では地域交通対策への取り組みも対象となっている地域も幾つかありますが、基本的には、元気づくり支援金のような一過性のものではなく、きちんとした正規の予算対応が必要です。今後の取り組みについて企画局長にお尋ねいたします。
〔企画局長和田恭良君登壇〕
◎企画局長(和田恭良 君)地域交通施策に対する予算対応でございますけれども、市町村の新交通システム等への移行に係る取り組みに対しましては、ただいま申し上げました県単独の生活交通システム構築支援事業、それから国土交通省の地域公共交通活性化再生総合事業に加えまして、内閣府の地方の元気再生事業も活用することが可能でございます。
元気づくり支援金も含めまして、市町村におかれましてはこうした各種事業を地域の実情に応じまして活用していただきたいと、このように考えております。進め方等につきましてはいつでも御相談をいただきたいと、そのように思っております。
〔27番村上淳君登壇〕
◆27番(村上淳 君)それでは、知事にお聞きをいたしますが、しなの鉄道についてでございますが、しなの鉄道の県の債権放棄は103億円でありました。これを200万人県民で換算すると1人5,000円、78万世帯で換算すると1世帯当たり1万3,000円を負担したことになります。さらに、優遇税制などの公的支援を受けながら何とか慢性的な赤字体質から脱却しつつあると聞いております。さらに、来年度の予算でも千曲新駅や上田駅の整備に対する補助金が計上されていますが、しなの鉄道と同じように、中南信地域のバス路線も県民の公共交通に変わりありません。県として今後の地域交通対策についてどのような基本で臨まれるのか。村井知事にお尋ねいたします。
〔知事村井仁君登壇〕
◎知事(村井仁 君)今後の地域交通対策についての基本姿勢についてお尋ねをいただいたと受けとめます。
地域の公共交通につきましては、午前中、向山議員の御質問にもお答え申し上げたところでありますけれども、県民、事業者、市町村、県、そして国、それぞれの役割を踏まえて一丸となって取り組み、維持存続を図らなければいけない、そういうものだと思っております。
特に、地域の実情に即した交通システムの構築に向けまして中心的な役割を担うのはやはり市町村でありますが、県としては、必要な技術的支援を行いますとともに、国の事業などの活用が図られますように支援をいたしますとともに、一緒になって取り組んでまいりたいと、このように考えるものであります。
〔27番村上淳君登壇〕
◆27番(村上淳 君)地域にとっては、特に過疎地域にとっては、まさに公共交通というのは命の綱であります。ぜひとも、この点についても知事部局といたしまして再考をしていただきたいと思います。
結びとなりますが、もう間もなくいたしますと信州にも春がやってきます。長野市でも二、三日前には雪が降るなど、ことしは寒い日が続いています。
ところで、ことしは県内81市町村で灯油券が配布されたとのことですが、実は木曽郡王滝村だけ財政難で灯油券を配布できなかったとのことです。生活困窮者や高齢者世帯約50世帯で、1世帯5,000円としても25万円の支給ができないのです。たった25万円の支給ができない、それほど困窮した村なんです。王滝村の村民からは強い要望もないようですけれども、私の住んでいる上松町では近くのひとり暮らしのおばあちゃんは本当によかったと言っています。
このような地域格差をどのようにすればいいのか、よく考える必要もありますが、予算書を見れば、特定な団体や地域にも県として予算化している事業もあります。県は財政難ですが、心温まる配慮が必要と思います。
県は中期5カ年計画を本年4月からスタートするわけですが、多くの計画が盛り込まれています。ぜひとも計画の根底には血の通った施策を展開してほしいと思います。それでこそ、5年後に長野県は輝く81市町村が誕生すると思います。
以上で一般質問を終了します。
○議長(服部宏昭 君)次に、森田恒雄議員。
〔46番森田恒雄君登壇〕
◆46番(森田恒雄 君)与えられた時間はわずか14分ですから、端的に伺ってまいります。まず、確認からです。
以前に質問をして検討を約束された次の3点につきまして質問をいたしますが、一つは鳥獣被害対策です。県下に148地区指定している鳥獣保護区の改廃、縮小について、知事から、地元の意向を確認して解除、変更を検討するとの答弁でありました。その後どうなっておりますか。林務部長に伺います。
二つには、地球温暖化防止につきまして。私の24時間営業及び大型店、これは県下に560店ほどありますが、大みそかや元旦の営業自粛の提言に、コンビニ、大型店を含む業務部門の二酸化炭素排出量の伸びが非常に顕著だ、対応を検討しますとしました。どうなっておりますか。生環部長にお伺いをいたします。
三つは、ドクターヘリコプター運航につきまして。導入から3年を経過いたしますが、評価が非常に高い。しかし、県民広く恩恵を受けているかといいますと、70%が、佐久総合病院が基地でありますから、東信地区への出動、これでは東海沖地震が想定される南信地域にもう1機必要との要請に、1機の運営に1億7,000万の年間費用がかかるから、全国で14機あるわけでありますが、まれに2機所有している隣接の静岡県と利用させてもらう検討を考えるといたしました。交渉は進んでいるのかどうか。衛生部長にお伺いをし、最初の質問といたします。
〔林務部長加藤英郎君登壇〕
◎林務部長(加藤英郎 君)鳥獣保護区の解除、変更の現状についてのお尋ねでございますが、9月定例会においてお尋ねのありました鳥獣保護区につきましては、昨年の9月に開催いたしました環境審議会の答申を受けて、10月18日に2地区を解除、1地区を狩猟期にニホンジカやイノシシを捕獲できる区域へ移行いたしまして、現在、鳥獣保護区は145地区となっているところでございます。
また、この後の見直しにつきましては、地方事務所を通じ各市町村に意向調査を実施しましたところ、存続期間の途中での解除を希望する地区が3地区ございました。このため、期間満了の見直しによる1地区の解除と2地区の移行と合わせ、計6地区の解除または移行に向けて現在環境審議会への諮問の準備を進めているところでございます。
今後のスケジュールにつきましては、4月に公聴会を開催し、5月に環境審議会へ諮問、9月に答申を受けまして、10月には決定していく予定としております。
さらに、今後も、地域の状況や要望を踏まえつつ、鳥獣保護区の指定の解除や変更について適切に対応してまいりたいと考えております。
〔生活環境部長白井千尋君登壇〕
◎生活環境部長(白井千尋 君)コンビニやスーパーなどの業務部門の地球温暖化対策についてですが、この部門は2004年度の温室効果ガスの排出量が基準年度比で55.4%増と顕著な伸びを示しております。
この部門への働きかけに関し、お話のございましたコンビニ等への対応につきましては、庁内で検討をした結果、コンビニ、スーパー、病院といった業種、業態ごとに温暖化対策に関する意見交換、情報提供を行う場である協議会を来年度から設置することとしまして、さきに改訂した長野県地球温暖化防止県民計画にも明確に位置づけたところでございます。
また、これまで製造業を中心に実施してまいりました信州省エネパトロール隊による省エネ診断を業務部門にも拡大しまして重点的に取り組んでまいります。
こうした取り組みを通じまして、業種、業態の特性に応じた排出削減を進めてまいりたいと考えております。
〔衛生部長渡辺庸子君登壇〕
◎衛生部長(渡辺庸子 君)ドクターヘリについてお答えします。
隣接県である静岡県との協力体制につきましては、事務レベルの協議を行いまして、相互協力を前提とした体制の構築について基本的な合意が得られております。また、ドクターヘリの運航に必要な事項の検討、協議を行う運航調整委員会におきましても、隣接県との協力体制の構築について提案し、御協力をいただいたところでございます。
今後、南信地域の消防本部等の協力を得ながら、具体的な出動要請や推進方法など運航上の規定の協議や離着陸場の情報交換などを行いまして、早期に協力体制が構築できるよう努めてまいります。
〔46番森田恒雄君登壇〕
◆46番(森田恒雄 君)それぞれ前向きの答弁をいただきましたが、御案内のように、CO2削減、これは逆にふえている状況です。相当本腰を入れませんと、とても達成ができません。よろしく強化をお願いをいたします。
浜松から約10分で飯田の地へ来るわけであります。佐久から40分かかる。はるかに短縮されますので、衛生部長の答弁のように、さらに一層詰めていただきまして、いつ災害があるかわかりませんので、早速そうした実現ができますようにより一層要請をいたしたいと思います。
次に、牛海綿状脳症,BSE全頭検査について改めて知事に申し上げます。
去る2月18日、アメリカの食肉会社、へたり牛、腰が立たない、食用が禁止されている牛でありますが、検査違反、6万5,000トン回収命令という大きなニュースが飛び込んできました。前に私は、アメリカの食肉処理が1屠場で1日7,000頭も処理をして、1頭7秒の検査、極めてずさんと申し上げましたが、やはりそうだったのかと驚きました。すぐ飯田家畜保健所へ行きまして、6万5,000トンとは何頭分になるかとただしますと、通常1頭600キロです、枝肉が0.6掛け、精肉になるとそのまた0.68掛けだから、245キログラム。すると、6万5,000トンとは何と26万5,300頭の量と聞き、二度驚きました。ちなみに、本県の飼養頭数は3万600頭でありますから、知事はこのニュースをどう受けとめられたでしょうか。ここだけはお伺いをいたします。
2001年10月から、BSE感染牛が発見をされて、全頭検査が実施されてきました。今年7月から国の20カ月齢以下の牛の検査を対象から除外、補助打ち切りの通達が出されまして、知事は昨12月議会で20カ月以下牛の検査はしないと申されました。
ちなみに、県下の年間牛屠殺頭数は1万3,300頭でありまして、20カ月以下牛は700頭、検査費用は120万とのことであります。
さて、全国では国の補助打ち切りでも自前で検査を続けるとする県がふえ、宮崎の東国原知事は、国が補助打ち切り通達を出したとき、即、安全、安心を前面に出した宮崎ブランドの育成に力を入れると全頭検査を維持すると宣伝をいたしました。
去る2月12日、私たち会派改革・緑新は国会要請活動を行い、その夜、レストランで食事をいたしましたが、入って驚きました。入り口に東国原知事の写真入り宮崎ブランド店の看板が大きく目についたからであります。さすがやることが早いと感心をいたしました。
県の新年度予算や政策の勉強をしておりますと、農政部の食の安全、安心、県産農産物の競争力強化、ブランド化、企画局の好感度アップ事業で首都圏に信州産特産物を食材にしたレストラン出店計画というような宣伝文句が目につきます。昨年から今日に至るまで食品偽装が相次ぎまして、消費者が食に対しまして神経をとがらせている今日であります。言われることとやることの整合性を図るべきと考えます。
昨日、我が会派、宮澤宗弘議員の質問、答弁で、7月までになお時間があるから、さらに慎重に考えますとしたことを重く受けとめ、本県出身の若林農林大臣も、地方の大きな不信の声を踏まえまして、柔軟な対応に任せるとされたことを受け、6月県議会までに検査継続の決定をされるよう求めまして、通告をいたしました質問は要請にとどめたいと思います。
次に、学校給食の米の粉パン導入事業の継続について伺います。
以前要求したことを生かされまして、県が学校給食のパン給食に米の粉パンを普及されたことを高く私は評価をいたしますが、新年度は、県下40%の小中学校に普及が進んだとして、支援事業を廃止と打ち出しました。
ちょっと待ってくださいと申し上げたいのであります。県内の米の作付が、先ほど議員からもお話がありましたように、国の減反計画からして2,400ヘクタールほどオーバーしているとして、行政、農協等に強い減反要請があります。しかし、中山間地の多い本県では、一度米づくりをやめたら、その土地は荒廃地になるしかありません。高齢化しており、他作物転換など、しょせん無理であります。農政部は農協とともに荒廃農地を防ぐ施策展開をしておりますが、消費を伸ばして米づくり継続が荒廃地を防ぐ有効な手段なのであります。
以前、コッペパン1個、給食で米の粉パンに変えますと16円の価格差でありました。今、小麦粉が、エタノール化問題もありまして30%という大幅値上げとなりました。安い米価、価格差は少なくなるでありましょう。生徒においしいと評価が高い米の粉パンの給食を全県下小中学校に普及をさせ、米消費を高めるよう導入事業を継続すべきであります。農政部長に改めて強く要請します。お答えをいただきたいと思います。
次に、高齢者虐待について社会部長に伺います。
寒い冬は多くの高齢者が亡くなっていきます。それら高齢者はまあまあ幸せな人生だったと思って生涯を終えていかれればよいがと思いますが、厚生労働省の調べでは、全国で65歳以上高齢者が、1万2,569件、家庭内で家族から暴言、暴行などの虐待を受けていたと、2006年4月に高齢者虐待防止法が施行となったことを踏まえまして、全自治体調査の結果を報告されました。
考えてみますと、今亡くなっていく高齢者は、戦前、戦中、戦後と物資不足の中で、自分で苦労してつくった食糧も満足に食べられず、供出を強いられ、過重労働に明け暮れて苦労した人たちばかりであります。
県内でも315件確認されておりますけれども、氷山の一角であることがたやすく想像されます。虐待していたのは、息子が39%、夫と娘がそれぞれ15%、息子の妻が11%とも報じられました。
昨今の生活苦の社会経済状況から考えれば、虐待数は調査数字をはるかに超えているであろうことも想像にかたくありません。この虐待防止対策をどう進めるか。対策の窓口は市町村となっております。しかし、この虐待防止のキャンペーンや取り組みの報道は地域において余り聞かれません。私は、県として、早急に市町村と連帯の強化を図り、不幸な高齢者虐待が少しでも減る対策を講じられるよう強く要請をいたします。考えにつきましてお示しをください。
次に、市町村合併問題について総務部長に伺います。
県は、市町村合併の特例に関する合併新法に基づき、市町村合併審議会を設置をされまして、下伊那では去る2月22日合併支援地域本部が合庁へ設置をされました。合併を推進する必要がある市町村の組み合わせと位置づけられると、合併に伴う基盤整備等に国の支援を受けられるわけであります。
議会調査課の資料によりますと、平成20年度中に合併すると、合併前の2村がそれぞれ存在するとみなされまして、配分される地方交付税の算定がえが7カ年あります。21年度の合併では5カ年となる。さきに阿智村と清内路村は任意合併協議会の設置を決めましたが、合併すれば新村の歳入に3億円の差が出ると言われます。
平成の大合併は一段落という感でありますが、結果は、47都道府県中、村がゼロとなった県が13県、長野県は、市が19、町が25、村が37で、断トツに残った村が多いわけであります。飯田、下伊那は1市3町11村でありますが、地勢上から合併の進展が少ない。
知事は関係市町村の自主性を尊重するとしておりますが、それも決して間違いではないと私は思います。しかし、私は下伊那地方の現状を見てどうあるべきか心を痛めております。従前から合併について問われると、1年間に何人その村に子供が生まれるか、そして1年間に幾らその村に税収があるか、それによって決まりだと私は答えてきました。
そこで、合庁に合併支援地域本部が設置されたことを機会に、改めて調べてみました。下伊那11村中、人口が2,000人以下7村でこの1年間に何人子供が生まれたか過日調べてみました。A村ゼロ人、B村3人、C村3人、D村4人、E村5人、F村6人、G村11人で、7村足しても32名、1学級にも満たない。改めて驚き、将来を危惧いたしました。
地域で現状を見るとき、住民から合併を考えろとの声はごく少ないのであります。理事者や村議会が考えて推進しない限り、議論が深まらない現況であります。私は、この際、地方事務所を中心に議論を深めるべきと考えますが、どうなのでしょうか。総務部長に伺いたいと思います。
以上をもちまして第2回目の質問といたします。
〔知事村井仁君登壇〕
◎知事(村井仁 君)アメリカの食肉処理についてのニュースに関して御質問がございました。
米国農務省は、食品安全検査局が定めた検査を怠った歩行困難の牛を処理していた食肉処理施設が牛肉の自主回収を開始したと公表いたしました。農林水産省は、この処理施設が対日輸出の認定施設ではないことから、この施設の牛肉が日本に輸出されることはなく、国内には流通していないという見解を示した次第であります。
国におきましては、引き続き米国から輸入される牛肉に関して対日輸出証明プログラムの遵守状況を確認することが重要ということでありまして、私はこのような定められた手続をきちんと守ることを期待したいと存じます。
〔農政部長白石芳久君登壇〕
◎農政部長(白石芳久 君)学校給食への米粉パン導入事業を継続すべきとのお尋ねでございます。
学校給食への米粉パンの導入につきましては、子供たちに県産食材と農業に対する関心を高めるとともに、米の用途の拡大と地産地消の推進及び将来に向けて米の消費拡大を図ることを目的としております。
本県におきましては、平成14年から、製粉技術の研究支援、製パン技術の講習や学校栄養職員に対するPRなど、供給体制の整備を図るとともに、18年度からは、県産米と米粉パンを学校給食に導入するきっかけとするため、米粉パンとの価格差を奨励金として交付する事業を実施してきたところであります。その結果、学校給食への導入実績は、事業実施前の実施率12%から、19年度は県内の約40%の小中学校で導入が見込まれるとともに、女性グループやパン業者による米粉パンの製造、販売も増加してきております。
これらのことから、動機づけとしての支援は一定の成果が得られたと考えており、また、米粉の供給ルートも構築されたことから、来年は事業を廃止することといたしました。
今後は、引き続き、県内の米粉の供給体制の整備とパン業者の技術向上への取り組みを支援するとともに、学校栄養職員などへの米粉パンに関する情報提供を行い、学校給食へのより一層の普及と消費者への啓発を図ってまいります。
〔社会部長藤巻益夫君登壇〕
◎社会部長(藤巻益夫 君)高齢者虐待の防止について市町村と連携した対策の強化についてお答えいたします。
まず、高齢者虐待防止法では高齢者虐待に関して第一義的に対応するのは市町村の責務とされておりまして、市町村には対応窓口の設置とその周知、どういう窓口を設置したかというその周知が法律上義務づけられております。
本年1月31日の時点で、前回9月にも御質問ございまして、その後再度調査をいたしましたところ、県内すべての市町村に窓口が設置され、住民への周知についても広報誌や有線放送などを通じて実施されていることが確認できました。
しかしながら、高齢者虐待を未然に防ぐ、あるいは早期に発見するためには、各市町村が民生児童委員や介護保険事業者あるいは地元警察署などと連携、協力することが不可欠でありますが、その体制が十分ではないという状況にございます。
そこで、各市町村において、警察や社会福祉協議会などの関係機関や司法書士などの専門家との日ごろの連携体制の構築、協力体制の強化、こういったことに取り組んでいただくため、高齢者虐待対応事例集、これを今年度内に県が策定をして市町村にお示しするつもりでおります。
また、本年3月に予定をしております市町村担当者会議におきまして、関係機関とのネットワークの構築について改めて働きかけてまいりたいと思っております。
県としましては、今後とも、市町村と協力をいたしまして、地域住民や介護保険事業者に対しまして、どのような行為が高齢者虐待に該当するものなのか、また、それを発見した場合の通報先はどこなのか、そういった虐待の早期発見につながる広報を積極的に行ってまいりたいと思っております。
以上でございます。
〔総務部長浦野昭治君登壇〕
◎総務部長(浦野昭治 君)市町村合併に関するお尋ねでございます。
市町村合併に関しましては、平成の大合併を経たものの、小規模町村が多数残るなど合併が十分進展したとは言いがたい状況にございます。
合併新法の期限、平成22年の3月末でございますけれども、あと2年余りと近くなってまいりました。県内市町村でも合併に向けた動きが本格化しつつあるところもありますけれども、極めて重要な時期に差しかかっております。
下伊那地域では、阿智村、清内路村において去る2月の13日に任意合併協議会が設置されまして、合併に向けてさらなる議論がなされているところでございます。地域の方々には、将来を見据え、大変な御努力をいただいているものと考えております。
このような状況の中、県として合併を支援をいたすということで、去る22日でございますが、市町村合併支援方針を策定をいたしました。同日に、知事を本部長といたします市町村合併支援本部を県庁に、現地機関には地方事務所長を本部長といたします地域支援本部を設置したところでございます。
平成の大合併におきまして県内の合併が進まなかった大きな要因の一つといたしまして、県から合併に関して適切な情報提供がなされなかったこと、また、そのことが合併議論を行うことについてちゅうちょさせたことなどが挙げられると思っております。この点に関して、合併審議会においても、今後県の役割の一つとして、市町村を取り巻く環境や合併の必要性等について、これまでの審議会の資料等を活用し、市町村や県民に情報提供し、合併機運を醸成すべきとの御意見もいただいております。
県において、これらを受けまして、来年度予算案において県内各地において合併に関する説明会を開催する経費を盛り込んだところでございます。今後、この支援本部において合併支援プランを策定する予定にしておりますけれども、具体的に合併に向けた取り組みに支援することはもちろんのこと、県内で本格化しつつありますこうした合併への動きを大切にし、地域支援本部とも連携しつつ、合併についての地域における自主的、主体的な議論を喚起してまいりたいと、かように考えております。
〔46番森田恒雄君登壇〕
◆46番(森田恒雄 君)現実を知らない方はいろいろ言っています。役場の職員一人採用できないんです。村はもちますか。10年たったらバンザイです。現実をもう少し見詰めてください。
さて、今の件ですが、ぜひ知事に、私が今申し上げてきた7町村を中心に現調行脚をぜひやってもらいたい。それから、市町村長や議員の皆さんとお話をしてもらう。もう村民から声が出ないんですよ、ああいうことを言う皆さんも中におりますと。ですから、本当に消えちゃうんです。下伊那郡の平谷村というと、愛知県の方から役場の職員を採用する。村長と助役がおらなかったら、住民が来ても、村のことはわかりませんから、困りましたで済んじゃうんです。そういう実態を知らなしいろいろなことを言わない。いいところに住んでいる方はそうなんですよ。これは非常に大事な問題です。あと2年のうちにやらなかったら本当に大変ですから、早速この県会が終わったら地方行脚をぜひ知事に求めます。
それから、高齢者の虐待問題、これも深刻です。私は高齢者です、もう75歳ですから。私と一緒にさんざ苦労した皆さんがあした、きのう、亡くなっていくんです。その皆さんが虐待を受けるなんていうことは、本当に悲しい、苦しい思いです。この問題は許せないことですから、早く手を打ってもらう。もう600件ぐらい県内にはあるんでしょう。だから、ぜひともこの問題につきましては、ただいま社会部長から御答弁もいただいたところです。これは本当に深刻な問題ですから、早急に先ほどの答弁以上に積極的な対応を示されまして、一人でも多くこうした苦しい思いで亡くなっていくことのない社会でありますように心からお願いを申し上げまして、質問を終わります。
○議長(服部宏昭 君)会議規則第13条第2項の規定により、本日はこれをもって延会いたしたいと思います。
次会は、来る3月3日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。
本日は、これをもって延会いたします。
午後4時31分延会...