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平成18年 6月定例会本会議-06月29日-04号

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  1. 長野県議会 2006-06-29
    平成18年 6月定例会本会議-06月29日-04号


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    平成18年 6月定例会本会議-06月29日-04号平成18年 6月定例会本会議 平成18年6月29日(木曜日)  出席議員(57名)   1 番 村上 淳       27 番 小林伸陽   2 番 田口哲男       28 番 藤沢詮子   3 番 備前光正       29 番 鈴木 清   4 番 木内 均       30 番 西沢正隆   5 番 田中清一       31 番 保科俶教   6 番 清水 洋       33 番 小松 稔   7 番 林 奉文       34 番 佐藤友昭   8 番 北山早苗       35 番 宮澤敏文   9 番 宮川速雄       36 番 牛山好子   10 番 小林利一       37 番 佐野功武   11 番 小原 勇       38 番 本郷一彦   12 番 永井一雄       39 番 村石正郎   13 番 毛利栄子       40 番 木下茂人   14 番 今井正子       41 番 向山公人   15 番 丸山賢二       42 番 望月雄内   16 番 清沢英男       43 番 下村 恭   17 番 清水保幸       44 番 塚田 一
      18 番 柳平千代一      45 番 高橋 宏   19 番 宮本衡司       46 番 平野成基   20 番 髙見澤敏光      47 番 倉田竜彦   21 番 小池 清       48 番 宮澤宗弘   22 番 高木蘭子       49 番 森田恒雄   23 番 小松千万蔵      50 番 島田基正   24 番 柳田清二       51 番 石坂千穂   25 番 竹内久幸       52 番 服部宏昭   26 番 高村京子       53 番 寺島義幸   54 番 下﨑 保       57 番 小林 実   55 番 萩原 清       58 番 石田治一郎   56 番 古田芙士  欠席議員(1名)   32 番 小林宗生         ───────────────────  説明のため出席した者   知事        田中康夫    企画局長      太田 寛                     副出納長兼会計   副知事       澤田祐介    局長        牧野内生義   出納長       青山篤司    公営企業管理者   経営戦略局長    松林憲治    職務執行者・企   総務部長      原 修二    業局長       峯山 強                     財政改革チーム   社会部長      田中 透    リーダー      関 昇一郎                     教育委員会委員   衛生部長      髙山一郎    長         松田泰俊   生活環境部長    木曽 茂    教育長       丸山 愰   商工部長      山極一雄    教育次長      吉江速人   農政部長      柳沢直樹    教育次長      米澤修一   林務部長      加藤英郎    警察本部長     渡辺 巧   土木部長      原 悟志    警務部長      河野 真   住宅部長      井澤一夫    監査委員      丸山勝司   経営戦略局信州   広報・ブランド   室長        武田雅宏   危機管理局長    鎌田泰太郎         ───────────────────  職務のため出席した事務局職員   事務局長      野池明登    議事課企画員    山岸秋夫   議事課長      飛沢文人    総務課企画員    塚田邦彦   議事課課長補佐   高橋和成         ───────────────────  平成18年6月29日(木曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(萩原清 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(萩原清 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、田中清一議員。       〔5番田中清一君登壇〕 ◆5番(田中清一 君)おはようございます。長野市選出、緑のフォーラム、田中清一です。通告に従い、順次質問をさせていただきます。  2000年の10月、1兆6,000億を超える県の借金を引き継ぎスタートした田中県政は、この間、公共事業の大幅削減、職員の削減、給与カット、既存事業、外郭団体等の見直しを図り、5年連続借金額を減らし、財政再建において一定の成果を上げてきた。  一方で、急激な公共事業の縮小、企業の海外シフト、観光業の不振等により、この間、はがし落とされていった長野県の市場、変動に対して対応し切れておらず、その部分が積み残されたまま長野県経済回復の妨げとなっている現実があります。  主要産業の現状を見ると、製造業は、最近の日銀短観から、業況感については全国同水準に戻しているが、生産水準を示す鉱工業生産指数などは依然として全国とは大きな隔たりがある。全国の機械工業集積地として知られる10地域を対象とした産業集積地調査を見ると、諏訪地域が20%を超え、最も空洞化が進んでおります。ITバブル崩壊による減少部分は景気回復とともに全国同程度増加したが、生産拠点の海外シフトで剥落した部分がそのまま全国との格差として取り残されている状況であります。  建設業は、急激な工事量の削減に加えて、入札制度の改革で工事単価が下落、増加を続けた建設業者の調整がなされぬまま過当競争に陥るという構造になり、2000年からの5年間で負債額1,000万以上の倒産は500件を超え、全国以上に厳しい経営環境に直面をしております。県も支援策を用意して新分野への事業転換等を促していますが、他のいずれの業種も厳しい状況に変わりはなく、事後調査では7割以上が計画どおりに進んでいない状況であります。  観光産業におきましては、知事みずからトップセールスを行い、さまざまな振興施策に取り組んではいるものの、7年連続で、ピーク時の4割程度まで落ち込んだスキー客に象徴されるように、観光地利用者数は減少傾向に歯どめがかかっておりません。  日銀松本支店は、03―04年にかけての観光客数が減少したことによる経済損失はマイナス630億円に及び、県内GDPを0.47%押し下げたと発表しておりました。旅館、飲食業、観光関連事業者の業況は悪化し、スキー場運営会社等の経営破綻につながるなど、地域経済にマイナスの影響を及ぼしております。  このように、長野県の主要産業、製造、建設、観光、農業等広い分野において地盤沈下が進んでおります。その結果、1人当たりの県民所得も、2000年302万円が、15年には273万円に下がりました。この時期は、日本全体が長引く不況から抜け出せず、国民所得も低迷した時期ではありますが、平成13年度からは全国平均を下回っている状況であります。  財政再建には痛みが伴う、公共事業、入札改革が県民あるいは県内企業のトップにおいても一定の評価を得られているのは、そうした認識があるからでしょう。しかし、日本経済新聞社が地元経営者に向けた長野県の経済政策に関するトップアンケートによると、田中知事の経済政策全般の評価となると、評価できない47%、評価する4%と、非常に厳しい判定を下しております。  産・学・官連携で行っている長野県の製造業の技術・経営革新、新産業、新事業創出の拠点であります県テクノ財団は、外郭団体の見直しで、知的クラスター創成事業の終了後、団体への県の関与を廃止、具体的には、派遣社員を引き揚げ、それに伴う人件費補助を廃止するという方針であります。平成14年度から開始された長野、上田知的クラスターは、特許128件、大学発ベンチャー3社、商品化、事業化の見通し10件、論文177件等、全国でもトップクラスの評価と成果を上げ、ことし最終年度を迎えています。  文科省は、現在、5年間の実績評価を行い、平成19年度以降の知的クラスター形成に向けた施策の内容を検討しております。  そこで、お伺いをいたします。  来年度以降もこの事業が継続された場合、引き続き県の職員を派遣し参画させる予定であるかどうか。また、今も根強く、経済界、産業界から、県テクノ財団が進める産・学・官による技術革新の事業に県も積極的に参加してほしいという要望にこたえ、県の関与を廃止していくという方針を見直すべきだとは思いますが、経営戦略局長の所見をお伺いいたします。       〔経営戦略局長松林憲治君登壇〕 ◎経営戦略局長(松林憲治 君)お答えをいたします。  財団法人長野県テクノ財団につきましては、産業振興の重要性、それから県の施策との密接な連携、確保等の観点から、財団に県職員を派遣するとともに、人件費を補助してまいったところでございます。  しかしながら、財団の運営につきましては、県からの関与をこれまでのように漫然と継続するような形ではなく、本来は産・学がより主体的に参画することが望ましいということから、平成16年6月策定いたしました長野県出資等外郭団体基本改革方針において県関与について段階的な見直しを行い、平成18年度末には県職員の派遣と人件費の補助を廃止することとしたところでございます。  平成19年度からは改革基本方針に沿って財団法人長野県テクノ財団への県関与の廃止をすることが原則ではございますが、喫緊の課題への対応につきましては柔軟に対応してまいりたいと、このように考えているところでございます。       〔5番田中清一君登壇〕 ◆5番(田中清一 君)基本的には、県の関与を廃止の方向については変わらないという御答弁でありました。  商工部長にも、県のテクノ財団の県関与のこの方針について同じ考え方でありましょうか。また、そうであるならば、それにかわる県の中核企業の技術革新において、ほかにどのような有効な施策、産業施策がおありか。お伺いをいたします。       〔商工部長山極一雄君登壇〕 ◎商工部長(山極一雄 君)お答えをいたします。  産業界からは、このテクノ財団への支援継続の要望があることは十分承知をいたしておりますが、財団法人長野県テクノ財団への県の関与の方針に対しての考え方につきましては、ただいま御答弁申し上げましたように、経営戦略局長の答弁と同じでございます。  長野県の製造業が競争力を保ち発展するためには技術力の強化が最も重要と考えておりまして、とりわけ新製品、新技術の開発においては産・学・官連携が有効な手段でございます。この産・学・官連携につきましては、議員御指摘のとおりテクノ財団中核的役割を担っておりますので、引き続き密接に連携して、今後とも産業政策を推進してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔5番田中清一君登壇〕 ◆5番(田中清一 君)財団のプロジェクトからは引き上げるが、引き続き産・官・学の支援を続けると。具体的に、官がどのような役割で技術革新、産業政策にかかわるのでしょうか。もう一度お答えください。       〔商工部長山極一雄君登壇〕 ◎商工部長(山極一雄 君)お答えをいたします。  ただいま申し上げましたように、テクノ財団におきましては、まさにこの産・学・官連携の中核的役割、とりわけ先端技術に関しての企画立案をし、企業と、あるいは大学、研究機関と連携をしながら積極的に取り組んでいる、それをテクノ財団がマッチングをしているということでございます。  一方、県の工業技術総合センターにおきましては、昨年の4月から、技術連携支援チーム、今、チームには7名の研究職員を配置しておりますが、この研究職員を中心として、主に先端技術についての内容をかみ砕いて中小企業向けにわかりやすくマッチングしているというのが県のセンターの役割でございます。テクノ財団と県の工業技術センターがともに手を携えて一緒に産・学・官連携を進めていくことが中小企業にとって非常に重要であろうということを考えまして、特に、このテクノ財団工業技術総合センターの連携を密にしてこれからこの産・学・官連携を進めてまいりたいと、こんなふうに考えております。       〔5番田中清一君登壇〕 ◆5番(田中清一 君)何度聞きましても、県関与を引き下げるけれども、引き続き産・官・学の連携を深めるという矛盾した内容がちょっとよくわからないんですが、企業の研究開発あるいは技術開発というのは、それは企業自身の自助努力が基本だというふうに思っています。しかし、急速な技術革新の進捗やマーケットのグローバル化による激しい競争等の環境の変化にさらされている中小企業の体力は疲弊しているのが現状であります。この団体のあり方はかくあるべきだと理想を目指すのはよいわけです。理想的には産・学、民間が中心になって行うということが最終的なその組織のあり方かもしれませんが、現在、現実にそうした運営を行う体制にあるかどうかということをしっかり見きわめなければならないというふうに思います。  テクノ財団が行っているプロジェクトは全国から羨望されるほどのレベルの高いものであり、地元中核企業が財団に寄せる期待は非常に大きなものがあります。民間のみにこの運営を背負わせるのは疑問だというふうに思っております。激しい時代の転換期において、地域の経済全体の底上げを図る責任の主体は行政、県にあると思います。産・学・官の連携のかなめの主体として県が積極的にかかわるべきだというふうに思います。  今月2日のNHKで放映された「田中県政の検証」において、テクノ財団萩本理事長は、県はもっと製造業の支援に力を入れるべきだ、特に、地元企業の声に耳を傾けて効果的な施策を打ち出してほしい、県と地元企業との会話がない、行政のリーダーシップを発揮してほしいと語っておりました。ぜひ、こうした現場の切な声を反映して、さらに検討をいただきたいというふうに思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)いわゆるインフォメーションテクノロジーが、ビットバレーなどという言葉を、今から七、八年前でしょうか、述べて、もてはやされる前から、本県には善光寺バレーというような名前にとどまらない形の意欲があったわけです。私たちにとって大事なことは、とりわけ本県は、議員も御存じのように、地場から始まった中小の方々の中にすばらしい意欲や成果があり、そして、そうした形を世代を超えてより力づけ、そこからさまざまな新しい産業の萌芽が生まれてくることこそが本県らしい産業であります。  したがいまして、長野県出資等外郭団体改革基本方針の、平成18年度末までに県職員の派遣及び人件費を廃止するということを踏まえながら、テクノ財団にとどまらず、今山極も申し上げましたように、私どもも四つの工業関係の試験場というものを1人の所長のもとに統合して壁のない形で行っております。基本は、私どもはそうした中小の中にあり、そして、そこにまたアントレプレナーが世代を超えて生まれてくると。こういうことを支援をしていくということが本県の産業の持続的な繁栄ですし、この中において私どもはそうした方々との連携のあり方をさらに探っていくと、こういうことだと思います。       〔5番田中清一君登壇〕 ◆5番(田中清一 君)外郭団体の見直しにおいて、県の観光協会においても財源まで自主、自律した民間団体への移行が望ましいという、そういう結論を出しています。しかし、本年度、県の観光協会はむしろマンパワーも予算も県関与を強めている状況であります。私は、それは悪いとも思わないわけですよ。理想的にはそうした民間の主導による財源まで自主、自律した組織に目指すべきでありますが、現状、そういう体制をとる体制にない。むしろ、やっぱり県が積極的に関与しなければ県の観光産業の発展につながらない。そういう中で、恐らく、知事が、そういった方針があるにもかかわらずそういった県の関与をとめていると思うんですよね。ぜひ、この県のテクノ財団における産・官・学の連携。特に、県職員の事務能力、あるいは国との交渉能力、さまざまな企画力、これをぜひ産・官・学連携の中で生かして、いわゆる大学の知的なシーズと産業クラスター環境づくりのかなめといいますか、コーディネーター役としてぜひ積極的な参画をお願いしたいと思います。さらに再考をよろしくお願いしたいというふうに思っております。  時間の関係で通告の順番を飛ばさせていただきます。
     利用者が2万1,195人とピーク時の平成4年にスキー場の数が110、一昨年、平成16年、利用者数8,795人に対してスキー場の数が106、営業休止が6と、長年にわたりスキー場の利用者数が落ち込んでいるにもかかわらず、スキー場の整理、統合は進んではいません。それぞれのスキー場は、設立当初の目的が現在の時代背景に合致しているのか、費用対効果で見て合理的なのか検証し、スキー場の運営の抜本的改革を行うことが必要であります。残念ながら、すべてのスキー場が存続するということは非常に極めて難しい状況にあろうかと思っています。  また、廃止の方向でいくとしても、債務の返済、原状復帰の問題、その後の地域産業の振興など、さまざまな対応を検討する必要があります。しかし、こうした存続、廃止に関する問題を市町村単独で解決するのはなかなか難しいと思われます。  私は、これまで以上に県が一歩踏み込んで、さまざまなシミュレーションやモデル提示等、積極的な打開策を早い段階で打ち出し、新しい地域再生の方向にランディングできるよう県が主体的に支援をすべきときに来ているのではないかと思いますが、知事の所見をお伺いいたします。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)昨日か一昨日に、商店街に関しても、面的支援ではなく、まず個店を支援しようと。きのう魚屋さんの話を挙げました。これをすることが線になり面になると申し上げました。  スキー場も、私どもはスキー王国ナガノという形のキャンペーンを張っております。こうした中で、北海道や新潟に比べてスキー客の減少というものは踏みとどまるという形を示してはおります。  ただ、ここで大事なことは、すべてのスキー場が生き残れるわけではないということを、今議員も御指摘であるように、厳正に受けとめる必要があります。少子社会です。もともとスキーをされる方が減っています。この中で、私どもは、中国であったり韓国であったり台湾であったり香港からのお客様を呼ぼうとしておりますが、これは、直行便が飛びやすい札幌、北海道の空港に比べればハンディキャップがございます。  この中で、私たちは、例えば阿智村にありますヘブンスそのはらスキーワールドは、キティちゃんがスキーを履く、そのキティちゃんのスキーの滑り方まできちんと訓練を受けて、そのイメージを損なわない者が行うと。あるいは、1,600メーターの海抜までリフトで上がるまでの下の駐車場は、名古屋から高速の園原のインターおりてわずか1時間で、そしてスタッドレスのタイヤを履かなくてもそこまで来れるというようなことがあります。  あるいは、飯山市の戸狩温泉も、ここは順調にスキー客が回復してきております。それは、吉本興業との提携であったり、あるいは地域の女性の方々がリンゴを使ったさまざまな新商品を開発されたりしています。  ただ、ここで大事なことは、じゃ、吉本興業と組めばよいのか、サンリオと組めばよいのかという、こういうまさにアルゴリズム的なマニュアルの話ではありません。大事なことは、それぞれの場所によい意味でのばか者がいるということです。よい意味でのよそ者も来ていて、よい意味での若者もいて、その地域全体がよい意味で一丸となってというのが上からの言葉のかけ声じゃなくて、一人一人の自律した方々が動くことで結果として一丸となっている相乗効果が、戸狩温泉やヘブンスそのはらにはあらわれているということです。  こうした場所は、きちんとお金を出して訪れてくださる方々は、敏感に察知をして、評価をしてくださるということだと思います。したがいまして、こうした場所を私どもはとりわけ支援をしていく必要があります。  そして、議員も御指摘のように、すべてのスキー場が生き残れるわけがないとするならば、これは、ゴルフ場同様に、スキー場というものも木を多く伐採いたしますから、ある意味では山河を壊しているという側面があります。生態系や水系に危害を加えているという負の面もあります。とするならば、私どもは今後例えば5年間といった期限を限定して、いずれの事業もやめるときにもお金がかかります。したがいまして、こうした役目を終えたと判断されるスキー場に関して、そこを森として復元していく、あるいはそのほかのことを考えるということに関して県が具体的に支援をしていくということの方針を示して、それに賛同していただける方々にはその期限内においては一緒に努力をさせていただく。それに乗らない方々はまさに戸狩温泉やヘブンスそのはらのように御努力をされるのか、御努力をされるということは自己責任ですから、御努力をされてもヘブンスそのはらや戸狩温泉のようになるとは限りません。でも、それは自主、自律の自己選択であるということです。  私どもは、こうしたことを早急に、スキー王国ナガノキャンペーンをより充実させるとともに、お示しする必要がある、このように考えております。       〔5番田中清一君登壇〕 ◆5番(田中清一 君)基本的には自主、自律でありますが、勝ち組、負け組、あるいは自然淘汰になるまで、ぎりぎりになるまで様子を見ているということではなくて、いち早い段階でのさまざまな支援策というものを打ち出していただきたいというふうに思っております。  全国の自治体は、少子・高齢化、人口減少が進展する中で、地域産業の衰退、環境保全の危機を回避するための施策として、首都圏や都市部等、県外からの人口流入の促進に注目が集まっています。3月に、NPO法人ふるさと回帰支援センターへお邪魔し、同センターの100万人のふるさと回帰・循環運動及び他県の取り組み状況について説明を受けました。同センターが都市生活者を対象に04年3月に行った5万人のアンケートによると、長野県は全国で沖縄、北海道に次いでふるさと暮らしを希望する人気都道府県第3位になったそうであります。  国交省の二地域居住人口研究会の調査によりますと、現状の約100万人から2010年には約190万人に、この2地域に人口移動が行われているというふうに推計をしております。地域の活性化、荒廃が進む山河の環境保全等の有効施策として、大きなチャンスが広がっているというふうに思います。  アンケートで人気第2位の北海道では既に積極的な活動を展開しております。独自調査で、今後3年間に3,000世帯が移住した場合、経済波及効果を約5,700億円と試算しました。移住により将来的に増加すると考えられる老人医療費介護費用等の公的機関の負担額は1,200億円と推計しており、経済効果がこれを上回るとしています。  そこで、お伺いをいたします。  I、J、Uターンに対する将来的な需要や経済波及効果等の検証は行っているのか。地域生活環境に関する情報、就労、学校、病院、住まい、土地、農地等の情報の充実、移住者が地域にスムーズに受け入れられる体制整備、市町村、民間企業、世話役との連携、ネットワーク等の構築等について、長野県の現状の取り組みを商工部長にお伺いをいたします。       〔商工部長山極一雄君登壇〕 ◎商工部長(山極一雄 君)お答えをいたします。  県内へのいわゆるIターン、Uターン、Jターン等を含めた流入に対しての将来的な需要の予測ということでございますが、県内の企業での就職を希望される方に対しましては、御案内のように東京にIターン相談室を設置をいたしまして、求人情報などを提供しております。平成17年度は2,757件の相談があり、84名の方が就職を実現されました。このほか、近年になりまして、御指摘のように、農業がしたい、あるいは林業につきたい、信州に移住したいというようにニーズが多様化していることに加えまして、今後は、先ほど御指摘ございましたように、2007年問題とされる団塊世代の大量の退職によりまして田舎暮らしを希望される方の需要が見込まれておるところでございます。  次に、こういう方々への情報の充実ということでございますが、これにつきましては、地域に密着した生活情報につきましては、長野県にIターンを希望するためのデータブックでございますが、最新版で昨年の8月版がございますが、また近々に更新をする予定でおります。このデータブックを作成をいたしまして、相談室等に相談に来られた方々などには配布をしているところでございます。この冊子には、生活に必要な市町村の事業や住宅、商店、学校、医療、福祉施設、あるいはグリーンツーリズム、あるいは山村留学などの情報を掲載しているところでございます。  また、県のIターンのホームページからリンク先のさまざまな生活情報にアクセスすることができるほか、市町村のホームページにおいてもさまざまな生活情報を掲載しているところでございます。  次に、このIターン、Uターン、Jターンの促進施策についてのいわゆる受け入れの体制整備というお尋ねでございます。  Iターンを希望される方に対しまして必要な情報を提供するため、昨年度から東京事務所にIターンに関する総合的な窓口を設置し、対応する専任職員を増員いたしまして、多様なニーズに応じた相談、情報提供を行っております。  また、団塊の世代の方々を初めとする信州での田舎暮らしを希望されるお客様の住居や就職、就農など、さまざまなニーズにワンストップでおこたえするために、本年の5月1日から県庁に田舎暮らし案内人を設置をいたしております。この田舎暮らし案内人は単なるデスクワークの情報提供者ではなく、みずからお客様のニーズに沿って不動産業者に出向き情報を入手したり、さらには、お客様と同行して不動産物件の確認をするなど、田舎暮らしを希望されるお客様のさまざまなニーズに対しましてきめ細かな対応を行っております。御相談を受け継続的な対応をさせていただいているお客様は6月の15日現在で31件となっておりまして、移住や就職に関する御相談に対して本日までに2件完了し、お客様より感謝のメールもいただいているところでございます。  しかしながら、各地域に空き家はあるものの、なかなか、貸したり、売ったりしていただける物件が乏しく、情報の確保に苦慮をしているところでございます。  そこで、県下10カ所の地方事務所に各1名のサポート職員を配置をいたしまして、田舎暮らし物件の情報確保に努めるとともに、地域においてきめ細かに対応してまいりたいというふうに考えております。  次に、市町村等関係機関とのネットワークの構築でございます。  信州への移住を希望される方の支援には、市町村等の関係機関との連携は御指摘のとおり不可欠でございます。市町村との連携につきましては、宅地分譲等の不動産情報や助成金などの最新の情報をIターン相談室へ提供いただいております。本年7月に東京都で開催されます厚生労働省主催のU・Iターンフェアに県内の21企業が出展する予定があり、長野県においてもブースを出展し、Iターン相談等を行ってまいります。企業、県のほか、今年度は県の呼びかけに応じて県内の3市が出展をし、情報発信を行う予定でおります。  また、過去、県内にIターンされた方々による安曇野アイターン友愛会、新・信州人倶楽部等の組織がございます。これらの団体では、Iターンを希望している方々に、先輩としての体験談や苦労話などアドバイスをいただいております。  いずれにいたしましても、信州・長野県は、沖縄、北海道に続いて全国で3番目に移住希望の多い県と御指摘のとおり言われておりますので、今後も、これら関係機関との連携を深め、Iターンを希望される方に積極的な支援を行ってまいりたいと考えております。       〔5番田中清一君登壇〕 ◆5番(田中清一 君)若干ローカルなテーマになりますが、来年1月より1年間、NHK大河ドラマで井上靖原作の「風林火山」が放映されます。武田軍の孤高の軍師山本勘助を主人公に描いたものであります。先ごろ、主な登場人物の配役の記者発表がありました。8月にはクランクインする予定であります。私の住む長野市更北地区には、山本勘助のお墓や川中島古戦場等があり、現在、地域を挙げて、長野市観光課等と連携をとり、準備を進めているところであります。  御承知のように、大河ドラマの舞台となる地は、その年の観光誘客効果は絶大であります。義経の平泉、前田利家の金沢は、放映されたその年、年間70万から100万人の観光客数の増があったと聞いております。当然ながら、来年、県内の観光地への関心が全国的に高まると想定されます。なかなかない千載一遇のチャンスととらえ、県としてもさまざまな施策を講じるべきと思いますが、現在、各関係団体、市町村との準備状況等はどのようになっているでしょうか。商工部長にお伺いいたします。       〔商工部長山極一雄君登壇〕 ◎商工部長(山極一雄 君)お答えをいたします。  来年から放映されます大河ドラマ「風林火山」についてのお尋ねでございます。  観光王国信州の復活を目指して、5月24日に長野県宿泊業3団体が統合して設立をされました長野県旅館ホテル組合会と、県及び社団法人信州・長野県観光協会が官民一体となって全県的な07信州キャンペーン、これは仮称でございますが、に取り組むこととなりました。2007年のNHK大河ドラマ「風林火山」は、団塊世代の市場開拓と並んで、このキャンペーンの重要なコンテンツと位置づけられております。このキャンペーンを実施するため、7月4日には県内の観光関係団体を中心とした全県的な信州キャンペーン実行委員会が設立されることになっておりまして、旅行会社及び旅行運輸会社などとともに、県も一体となって取り組んでまいります。既に庁内には部局横断的な風林火山プロジェクトチームを組織しており、事業の企画を提案するなど信州キャンペーン実行委員会と連携を図ることとしております。  また、県立歴史館を初めとする県の芸術、文化関係施設においても「風林火山」の特別企画展を計画いたしております。  全県的なネットワークのもとに効果的なキャンペーンとなるよう、県内の観光関係団体及び各市町村とも十分な連携をとりながらこの事業を進めてまいります。       〔5番田中清一君登壇〕 ◆5番(田中清一 君)最後に、昨今、教育委員会の高校改革の進め方や長野養護学校の長野市移管への手続、信濃教育会研究所への研修派遣の取りやめへの過程等を見るに、教育委員会の独立性、中立性、そしてプライドはどうなっているのかと、県民より不信、不満の声が寄せられているところであります。  第28次地方制度調査会において、地方公共団体の判断により、教育委員会を設置して教育に関する事務を行うことにするか、教育委員会を設置せず、その事務を長が行うこととするかを選択できることとすることが適当であると報告されました。首長選挙において、その候補者が教育に対してどのような考え方を持っているかは、有権者にとって選択材料の…… ○議長(萩原清 君)田中清一議員に申し上げます。申し合わせの時間が経過いたしましたので発言を終了願います。 ◆5番(田中清一 君)大きなポイントであります。また、首長は予算、人事権を握っており、権限のあるものが責任を負うのが適当であるともいえます。単なる追認機関で、形骸化された組織、教育委員会であるならば必要はない。  また、一方で、首長次第では偏ったイデオロギー等が教育の現場に持ち込まれる可能性もあり、不安もあります。今後の教育委員会のあり方、また、こうした教育委員会不要論について教育委員長並びに知事の御所見をお伺いし、私の質問を終わらさせていただきます。       〔教育委員会委員長松田泰俊君登壇〕 ◎教育委員会委員長(松田泰俊 君)お答えいたします。  教育委員会の現状について、会議が形骸化している、合議制のため責任の所在が不明確となっている等の問題が指摘され、地方制度調査会や規制改革・民間開放推進会議等において制度の意義等指摘がなされていると認識をしております。  しかしながら、教育行政における中立性、継続性、安定性の確保につきましては、次代を担う子供たちの教育を初めとする施策実施にとって重要なものであり、今後も確保していかなければならないものと考えております。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)いかなる制度も完璧なものはありませんし、完璧にだめなものもないと思います。法律も、いかなるものが完璧とも限りません。ですから、教育委員会を廃止すれば教育がその日から、その日どころか10年後によくなるとも限りませんし、教育委員会があれば教育が万全とも限りません。  幸いにして、本県はとりわけ松田泰俊氏が教育委員長に就任していただいて、無論、その前の宮澤脩氏に関しても私は議会の同意を得て選ばせていただいたことに感謝をしておりますし、また、私の期待を上回る、あるいは県民の期待にもこたえる働きぶりを見せてくださっているというふうに思います。  したがいまして、現在、皆様に人事案として提案をさせていただいております新しい教育委員に関しても、ぜひとも、県民の代表である皆様が必ずやその人物の評価をしてくださり、御同意いただけるものと期待をしているところであります。 ○議長(萩原清 君)次に、柳田清二議員。       〔24番柳田清二君登壇〕 ◆24番(柳田清二 君)知事の政治姿勢についてお聞きをいたします。  知事は、これまで4回にわたり台湾を訪問しています。台湾は、1972年の日中共同声明において、中華人民共和国政府は台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国の立場を十分理解し、尊重する立場を堅持しています。知事は、本議会冒頭の提案説明において、台湾の外交部長を日本の外務大臣に当たると表現し、教育部長を日本の文部科学大臣に当たると表現しています。台湾を一つの独立国とみなした発言がありました。  そこで、この発言の真意と、日中共同声明の日中両国の合意をどのように受けとめているのか。お聞きをいたします。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)これは、県の費用、県民の税金を用いて、県の職員あるいは信州・長野県観光協会の職員とともに訪れさせていただいております。  したがいまして、田中康夫という不可分な有機体とはいえ、その場において私どもは信州・長野県の観光のプロモーションに訪れているわけでございます。信州・長野県の観光のプロモーションの一環として、チャーター便を飛ばしてくださることにかかわりのある部署の方、あるいは修学旅行をより充実させていただくことに関してかかわりのある方とお目にかかっているわけでございます。  そして、連邦制がしかれているわけではございませんから、地方自治体に直接の外交交渉権というものがあるわけではございません。したがいまして、私及び職員の台湾への訪問というものは何ら問題があるものではございません。  今、議員が御指摘になりましたさまざまな条約といったことは、これは国全体として方針を決定したものであります。       〔24番柳田清二君登壇〕 ◆24番(柳田清二 君)ちょっと御理解をいただいてないのかもしれないんですが、日中共同声明における両国の立場というのは今申し上げたとおりなんですが、知事はどのように受けとめていらっしゃるのか。日中共同声明の日中両国の合意というものに関してどのように受けとめていらっしゃるのかをお聞きしていますので、お願いをいたします。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)私は、県知事として、皆様とともに、年齢や性別、経歴や肩書、国籍や障害の有無を問わず、あらゆる方々に、とりわけ自主、自律、自己責任の意識をお持ちの方々に開かれた物事に挑戦する機会を与えるということを申しておりますし、この点はあらゆる場合における私のプリンシパルの一つでございます。ありがたくも私が就任、ありがたくといいますか、私が就任したときには泣く子も黙る鉄の団結と言われた旧県政会に所属されておりましたが、現在トライアルしなのの代表を務めていらっしゃる島田基正さんのインタビューがきょうの朝日新聞の紙面に、県民クラブ・公明の議員と同じ会派の高木蘭子さんのインタビューと一緒に載っておりました。大変ありがたかったのは、島田さんがこういうことを述べております。「既得権益の中にいたり、マスコミを含めて権力とか組織に守られたりしている人には厳しいよ。組織を背負ってモノを言うと聞かないが、個として困っている時には聞く耳を持つ。」。まさに私は、すべての人類に対して、人々のために尽くすものとして、分け隔てなく、個の人間の方々の願いをより充実させていく、お金を背景にしたり、大きさを背景にしたりすることではない人々の願いを実現することです。  ですから、ただいま座席に資料を置いておりますが、本県から台湾に訪れる方も、台湾から日本を訪れられたり本県を訪れる方も多数に上っております。そうした方々のために、そうした方々へのよい意味での利権誘導ではない便宜を払うことは、私の示すところであります。  そして、先ほども申し上げましたように、それは、中国に住む方々においても、私どもは、山河が美しい信州・長野県に訪れていただきたいということで、昨年は広州において中国南方航空の総経理ともお目にかかり、具体的にチャーターフライトが実現し、今後も実現していく計画がございます。他の中国の航空会社ともございます。したがいまして、私は、中国の本土にお住まいの方々に対しても分け隔てなく、知事としてよい意味での便宜を図らせていただきたいと思っておりますし、そのことがまさに議員が御指摘の、そうした日本と中国という国の取り交わしにもかなうことだと思っております。       〔24番柳田清二君登壇〕 ◆24番(柳田清二 君)台湾は独立国ですか、独立国じゃないんですか。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)日本という国家においては、現在、台湾という場所との間に国交があるわけではございません。台湾と国交を結んでいる国も幾つかございます。中国と国交を結んでいる国も総体的には数多くございます。       〔24番柳田清二君登壇〕 ◆24番(柳田清二 君)田中康夫さんという方と国会議員を有する新党日本という、わずかながら国会議員もいらっしゃるわけですね、その党首という方が、政府の見解に対してどういうふうに持つかというのは、不可分な関係だとおっしゃっていましたけれども、非常に重要な問題です。台湾という地域が中国の一部であるというのが日中共同声明の基本的なスタンスで、共同声明を発するための大前提であります。知事の御認識を伺えなければ、私、次の質問に入れませんので、明快な御答弁をお願いいたします。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)政権与党に属されている方々で台湾に訪れる方も数限りなくいらっしゃいます。自由民主党党員で今もあられると思いますが、石原慎太郎都知事も数多く訪れております。私は、先ほども申し上げたように、分け隔てなく人が人に接するということを知事として、田中康夫として課しております。  日本の政府としての見解というものは、先ほども申し上げましたように、国交は中華人民共和国と結んでいるわけでございます。そして、これは外交の問題でありますから、政府の見解というものが、少なくとも現在の政権与党の政府が見解として示しているものが日本としての見解ということになろうかと思います。       〔24番柳田清二君登壇〕 ◆24番(柳田清二 君)知事の認識を教えてください。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)ですから、本県の知事として、田中康夫として、国籍を問わず、多くの方に奉仕すると申し上げておりますが、同時に、私個人は日本国籍を有するものであります。日本のパスポートを有しているわけでございまして、そして、この私が国籍を有している国の見解というものは公式に発表されているものであります。したがいまして、その組織に私は属しているわけでございます。       〔24番柳田清二君登壇〕 ◆24番(柳田清二 君)非常に抽象的な言い方なんでしょうけれども、台湾に関して非常に微妙なお立場であるんだなということがよくわかりました。これは、中華人民共和国の領土の不可分の一部であるということの認識を深めていただきたいと思っているんですけれども、台湾に4回訪問をされていらっしゃいますが、それぞれの目的、要した費用の合計、面会をした人物をお聞かせいただきたいと思います。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)それらはすべて議員から、私が報告をスタッフから受けているのは、事前のお申し出があり、御提供申し上げているかと思います。今、お話がありましたように、四度訪れております。費用に関しましては、この4回の、無論フェア等を行いました経費も含めて1,454万円という費用でございます。お目にかかった方々に関しては、無論、一般の市民の方も含めて数限りなくおられます。(「要人」と呼ぶ者あり)要人というのがどこまでの範囲を指していらっしゃるのか。私としては、すべてお目にかかった方が信州・長野県に訪れてくださる可能性があるということであれば、お客様であり、それは大切な賓客であります。       〔24番柳田清二君登壇〕 ◆24番(柳田清二 君)目的が漏れていましたので、目的をつけてください。それと、政府関係者はどなたとお会いになっているか。お示しいただきたいと思います。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)これは、信州ブランドを海外へ推進実行委員会というものが本県の観光業者の方、物産業者の方等々と一緒に結成いたしまして、この中で、まさに本県への観光や物産のプロモーション、そして、これが片務的でなく、インタラクティブな双方向の観光、物産の交流ということを目指すものであります。  後段の御質問でございますが、一つだけ確認させていただいてよろしゅうございましょうか。今議員は政府のというふうにおっしゃられました。この言葉の定義をどのようにとらえるべきなのか。私は、私の乏しい政治の知識の中ではわかりかねますので、何ともわかりかねる御質問にはお答えできないところでございます。       〔24番柳田清二君登壇〕 ◆24番(柳田清二 君)訂正をさせていただきたいと思います。政府関係者というのは非常に不適切な発言でございましたので、政府ではございませんので。  じゃ具体的にお聞きしたいと思います。  李登輝氏、陳水扁氏とお会いをされていらっしゃるかどうか。複数お会いをしていたら回数もお示しいただきたいと思います。       〔知事田中康夫君登壇〕
    ◎知事(田中康夫 君)御指摘がありました方、後段の方は私はスイペンというふうに記憶をしておりましたが、あるいはさまざまな読み方があろうかと思います。いずれもお目にかかっております。前段にお話になられました方とは2回お目にかかっております。       〔24番柳田清二君登壇〕 ◆24番(柳田清二 君)それぞれ非常に注目をされている方でございますけれども、目的に合った、あるいは県費を用いた台湾訪問でありますので、会談内容に関しても、これは通告していませんので記憶の限りで結構でございますが、どういった会談をされたのか。お示しいただきたいと思います。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)国費を用いてナイアガラの滝へ行かれる方もいらっしゃいます。都費を用いてガラパゴス諸島へ御夫妻で行かれる方もいらっしゃいます。いずれにいたしましても、特別職であるものの公人というものの時間というものも、またこれはすべて不可分でございます。  御指摘の点でございますが、それぞれ私の側からは信州・長野県の目指すところをお話を申し上げ、そしてそれはまさに地域に根差した農本主義であると。お二方ともに、その地域の自治ということに携われ、そうした経験を踏まえて、より広いリージョナル・コモンズの集合体、ネットワークというものをまさに市民のためによりよくしていきたいという思いをお持ちの方であり、その意見交換は実りあるものであったというふうに感じております。       〔24番柳田清二君登壇〕 ◆24番(柳田清二 君)国費を使ってナイアガラへ行く方もいらっしゃいますし、けさテレビを見ていると、アメリカ大統領は、エアフォース・ワンというのは、公私の区別なくあの飛行機は使っていいんだそうですね。私はそれは国民が決めることだと思いますけれども、少なくとも、公費を使って変なメークをされたり、あるいはかぶりものをかぶって飛んで歩いているというのもいかがなものかなというふうに思いますし、その辺は意にとめていただいて、反省を深く深くしていただきたいと、こんなふうに思います。  ラジオ・タイワン・インターナショナルという台湾の放送局のホームページがあるんですけれども、それを拝見すると、こう書いてあります。田中知事は今月15日、今月というのは2005年になるようですけれども、今月15日、日本に駐在している台湾の報道陣に対して、台湾の都市との姉妹関係締結など交流関係の構築にも強い意欲を示したということですという表現があります。知事はこのような発言を行った事実があるかについてお聞きをいたします。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)私はその記述を確認いたしておりません。  私が台湾を訪れたときにも繰り返し申し上げたのは、まさに人と人の交流ということであります。それが修学旅行の交流の充実ですし、チャーター便のさらなる充実ということであります。  それを、まさに皆様にも御兄弟のみならず縁戚の方がいたり、あるいはリージョナル・コモンズの方々も隣人であり、それはある意味では姉妹であり兄弟であり家族であります。そうしたニュアンス、私はそうした言葉で用いたかどうか判然といたしませんが、意味合いとしてそうした人と人の交流と友好を深めようということであるいはその取材の方はおとりになられ、それを取材の方のリテラシーの中において今の議員が御発言なされた文言を御使用になられたのかと、このように感じております。       〔24番柳田清二君登壇〕 ◆24番(柳田清二 君)報道は確認はされていらっしゃらないということでございますけれども、提案説明にも書いてありますけれども、台湾本土にわたってこの報道がなされた。そしてまた、今に至っても、2005年のホームページの更新だと思いますが、現状においてもこれは実際にホームページ上に残っていることであります。  こういった事実があったのかなかったのか。認識とすれば、私はどういう言い回しを使ったかわからないけれども、こういう意味のこと、姉妹都市という言葉を使って積極的な姿勢を示した、あるいは、そこでは一切その単語は使っていないんだということでも結構なんですけれども、非常にシビアな問題だと思いますので、きちんとお答えをいただきたいと思います。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)私の基本認識を、知事になる前からも知事になってからも抱いていることを申し上げます。  本県にとどまらず、姉妹都市の多さを一つの評価基準あるいは売り物だというふうにお考えの自治体が数多くあられようかと思いますが、私は、姉妹都市というものに、そのことに余り積極的な意味を持ち得ないんでございます。というのは、姉妹都市というようなものになっても、まさに形骸化したセレモニーがあり、動員がされ、まさに肩書で生きていらっしゃるような方々がそこで厚遇され、やに下がられるというものが一般的に言えば大半ではないかと思います。  私たちは、繰り返し申し上げているように、実践的な意味での一人一人の市民の方の幸せの充実を目指しております。こうした認識を持っているのが知事に就任前からの田中康夫という有機体でございますから、私は、姉妹都市というようなものを結ぶ、姉妹県というようなものをふやすということが、私が考えるところの本県の県民益というふうには認識していないわけでございます。       〔24番柳田清二君登壇〕 ◆24番(柳田清二 君)姉妹都市に関しての認識をお聞きしました。そういう意味では、そういうのをしんしゃくすればそのような発言をすることは多分ないんだろうということだと思うんです。  聞き方を変えてお聞きするんですが、これは放送局であります。この放送局の報道は正しいんですか、正しくないんですか。知事の御見解をお聞きします。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)御質問の趣旨がようわからぬのでございます。  昨日もこの議場で放送局のあり方の質疑がございました。私どもとしては、一昨日付でお出しした手紙に、地元の放送局の社長がどのような御見解を抗弁なさるのか期待しているところでございます。  今拝見をいたしました記述に関しまして私たちが即座に何らかの手段をとるということは考えておりません。       〔24番柳田清二君登壇〕 ◆24番(柳田清二 君)正確な報道であるんでしょうか、正確な報道ではないんでしょうか。お聞きいたします。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)それは、逆に、柳田議員も県民の選良でございますから、この報道機関に公開で御質問でもなさってみてはいかがでございましょうか。       〔24番柳田清二君登壇〕 ◆24番(柳田清二 君)報道は正確ですか、正確じゃないんですか。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)公開の質問状をお出しするとか、訂正を申し入れるとか、そういう領域のものではないというふうに私の暗黙知は現在頭脳の中で考えております。(24番柳田清二君「私は、正確か正確じゃないかをお聞きしているんです」と呼ぶ) ○議長(萩原清 君)知事に申し上げます。この発言が正しいのか正しくないのか、どちらか明確にお答えください。 ◎知事(田中康夫 君)議員は先ほどお読みになったんでしょうか、RTIという財団法人の中央放送局。この中央放送局というのがいかなるものであるのか、私は四度訪れましたが、不勉強で、台湾にはたくさんの放送局がありますのでこの性格はわかりませんが、いずれにしても、今議員から手渡されたプリントを誦読させていただきますと、田中県知事は今月15日、これはいつのデータでございますか、前回私が、11月のときのお話でございます。3回目に訪れたときですね。田中県知事は今月15日、日本に駐在している台湾の報道陣に対して、台湾の都市との姉妹関係締結など、交流関係の構築にも強い意欲を示したということです。これは日本語で書いてありますから、まさに台湾の方々が日本への関心が強いということだと思いますけれども、これはまさにこの報道機関が、きのう小林実議員がおっしゃったところによると、報道機関の自己責任だか自己判断だかでお書きになったということだと思います。  そして、これに関して、長野朝日放送の場合とは異なり、このまさに姉妹関係締結という言葉は、議員がおっしゃられたような姉妹都市というような文言、あるいはそうした条約にかかわってくるようなことというふうにはとらえておりませんから、この文言を訂正を求める必要はないというふうに考えております。       〔24番柳田清二君登壇〕 ◆24番(柳田清二 君)私は、この訪問が、観光あるいは農産物というものに関しての知事のトップセールス、この意欲というものは多とするものであります。現在、田中知事の行動、これは大変中国政府を刺激するものでありますし、過去においてはこういうことがありました。  岡山市は、中国の洛陽市と友好都市締結を結んでいましたが、2003年に台湾の新竹市と友好協定を結び、新竹市長が中国版協定書に中華民国と署名したことにより洛陽市が反発し、友好都市関係、岡山市が洛陽とやっていた関係、これが凍結されるという事件があったんです。  また、鳥取県は、台湾とチャーター便運航や二十世紀ナシ販売などの観光、経済面に加え、子供同士の交流等、知事自身が台湾を訪問するなど、中国総領事から鳥取県知事に対し、台湾の自治体との友好協定の締結等の交流自粛を要請されるという事実があったんです。このとき鳥取県知事は、友好都市というような言葉、あるいは思想はなかったんですけれども、そういうものが総領事から非常に過敏に反応したということが実際にありました。  長野県は河北省と友好関係を築いていますし、県内においては、長野市、松本市、須坂、伊那、上田、日中の民間外交を行っているわけですね。そういう意味では、この報道が正確であるのか正確でないのか、明確に答えていただかないと困りますので、そうしないと次の私の発言につながりませんので、明確にお答えをいただきたいと思います。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)私、知事になって6年たち、まだ5年8カ月ほどですか、台湾の都市との姉妹関係締結などという言葉が正確か正確でないかという御発言ですね。(24番柳田清二君「この報道が正しいか正しくないか」と呼ぶ)本県において、私の発言がそのまま正確に報道されなかったケースというのは数限りないと思います。これは、議員の方々も、大変にすばらしい表現者が集う本県にもかかわらず、議員の方々の真意が正確に報じられなかったという無念な思いは数限りないんじゃないでございましょうか。しかし、それがその報道機関の存在そのものを否定することには至っていないわけです。  先ほどお答えしたことで尽きております。これが尽きていないということをもし議員がこの後仮にもよしんばおっしゃられるとすると、これはまさに表現者の方々がおっしゃるところのリテラシーの問題になってまいります。       〔24番柳田清二君登壇〕 ◆24番(柳田清二 君)私、今、外交問題に発展した事例を挙げました。正確ですか正確じゃないですか。この答えがなければ次に入れませんので、お願いします。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)正確か正確じゃないかという、ようわからぬゼロサム的な御質問を常に受ける立場ですけれども、その御質問自体がなじまないと思いますね。今申し上げたように姉妹関係というふうに言っているわけですから、これは、私の認識の中では、この表現はまさに一人一人が友好関係を隣人としてはぐくんでいこうという意味合いだととらえておりますから、その意味ではこれは私の願う世界平和と合致しております。  ただ、議員は、この言葉を、政治用語なんでしょうか、姉妹都市という言葉と同義だというふうにとらえられているのかとそんたくしますので、これは議員の認識のディフィニションです。私の認識のディフィニションは、姉妹関係というものはまさに一人一人の友情をはぐくむということにとらえていますから、もう議員との大もとのその言葉をとらえてのリテラシーの認識が違うということですね。       〔24番柳田清二君登壇〕 ◆24番(柳田清二 君)これは私だけじゃないと思うんです。理解できない方は私だけじゃないと思うんですけれども、報道に関してすべてが100%正しいということもないかもしれません。全部100%間違いということもないかもしれませんが、少なくとも外交問題に発展する記述が自分の意図と違う場合は、これはやっぱり訂正すべきですね。そして、自分の意思を反映しているものであるとするならば、それはそれでよろしいかと思うんですね。そういう意味では、この記事は知事の意思を伝えたものです。知事は、御自身でごらんになって、自分の意思が反映された記事ですか。こういう思いですか。お願いします。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)私が認識していた柳田清二議員のふだんの言説からすると、かくも中華人民共和国に熱い思いをお持ちだということにある種の感動を覚えているところでございます。そのことを改めて申し上げた上で、ただいま私どものスタッフが調べましたが、この記述されている今月15日というのは、台湾に平成17年訪れましたのは11月27日から29日でございますから、恐らくこれは台湾からの多くの観光業の方々が、旅行代理店の方等が本県の地獄谷の温泉でありましたりを視察に来られるということがございます。これは、まさに本県に台湾の方が訪れられてよい意味での外貨を落としてくださる形になりますから、時間が合えば積極的にお目にかかるようにしております。  ですから、恐らくはそのときに同行された方が、日本に駐在している台湾の報道陣とありますから、むしろ、この放送局の方も、その観光旅行関係の方と一緒に同行した台湾から日本に駐在をされている表現者の方からのまた聞きなのか文書によってなのか、その伝聞であろうかと思います。  ですから、その場所はまさにそうした観光旅行関係の方々の場所で、ぜひとも皆さんが多く来ていただきたい、私どもからも訪れるようになっていきたい、チャーター便もふやしていきたい、リンゴも多く消費を拡大をしていただきたいというそのコンテクストの中で、文脈の中で申し上げているわけですから、まさしく先ほど来私がお話をしているところの一人一人の市民の友情を温めましょうということであります。何ら議員が御懸念なさるような問題の範疇というふうには私は認識しておりません。       〔24番柳田清二君登壇〕 ◆24番(柳田清二 君)比較的、知事の中でも石原さんという方は、自分が言ったこととか行動というものに関しては、きちんと、どんなバッシングがあっても貫きますよ。  そういう意味では、実際、外交問題に発展しそうな場面になると自分自身とすれば逃げてしまう、明確な答えを出さないという非常に知事のチキンな姿というんですかね、カワードな姿というものがかいま見れたなというふうに思っております。非常に残念な姿であります。  次の質問に入らせていただきたいと思います。  ここで、県単治山事業というものを御紹介をしたいというふうに思います。  県単治山事業というものでございますけれども、これは、国庫補助の対象とならない小規模な治山事業やその維持修繕で、谷どめ工、土どめ工、緑化工などが含まれます。田中康夫知事が予算策定に関与した平成13年度県単治山事業は5億9,200万円ありました。しかし、毎年大幅な削減がなされ、本年は8,400万円の予算となってしまいました。5億800万円の削減であり、率にして85.8%の削減です。そして、田中知事就任以来、この事業の総合計の要望額17億2,077万6,000円。総事業費用にして29億2,032万4,000円。箇所数にして783カ所に上ります。つまり、要望されながら実際には事業化されなかった額として約30億円、そして783カ所が、今日においても危険な状況が続いているという状況であります。知事のこの状況の御所見をお伺いをさせていただきたいと思います。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)治山と異なるかもしれませんが、砂防に関して(24番柳田清二君「だめです。治山のことを聞いています」と呼ぶ)御理解を深めていただくために私は意を尽くして説明をしようとしているのでございますから、ぜひとも私のお話をお聞きいただきたいと思います。  私が、治山あるいは砂防というようなものの事業の箇所数というものに素朴な疑問を持ったきっかけは、全県下で砂防の事業を新たに行わなければならない箇所が700カ所あるというふうにたしか記憶、1,000カ所だったかもしれません。失礼しました。7,000カ所あると言われました。修繕も含めても年間100カ所あるかないかでございます。すると、単純計算すれば70年かかります。コンクリートの耐用年数は果たして幾らなのかということであります。100年という方もいますが、60年から80年という方もいます。すると、これは本当に必要なのか。必要だったら、本県とは異なり、国は膨大に起債を組んでいるんですから、国民の生命と財産を真の意味で守るんだったら、どんなに大借金をしてでも、7,000カ所を100年もかけるんではなくて、まさに10年でやるというのはそれはそれで一つの主張し得る理論です。  じゃ、本当に、7,000カ所、県民の生命と財産を脅かす問題があるのか、その下流も含めて。そうではないのではないかと。7,000カ所の砂防を行わねばならないというのは、結果として、県民、国民のためよりもその組織維持になってはいまいかということです。そうした発想を変えようというのが信州・長野県のこの6年近い改革のプリンシパルです。同時に、これは砂防のみならず治山においても言えます。  私どもの出納長の青山篤司が、その砂防の問題で、何年もそこは危険が伴っていないけれども必要だというのが旧明科町の場所にありました。私が訪れたら、その真下にお墓がありました。そのことを、戻って、課あるいは、そのとき青山も政策秘書室長で同行したかもしれません。知事、ここは違うと彼は敢然と言いました。なぜならば、鎮守の森であったりお墓というのは、とりわけ霊というものを弔う意識の強い日本においては、祖先を危ない場所にとめ置くようなことは、仮に本県のような、猫の額というのは差別用語じゃないと思いますが、狭い土地の中においても、そうしたところにお墓や鎮守の森は置かないと彼は言いました。私もそのことではっと虚をつかれまして、そして、そこは何十年か災害は起きていないと地元の方がおっしゃいました。でも、それを数字上の傾斜とかだけでここに砂防が必要だという考え方をしていたら、日本は滅亡してしまいます。本当に7,000カ所は必要なものなのか。そのことを、シーリングではなく、ゼロベースで見なくてはいけないのが信州から日本を変えていく改革であります。治山に関しても同様であろうと思います。  そして、一方で、国からの補助金や交付税も含めて、これはやみ討ち的にどんどん、変動為替のように、しかしながら上がることはなく下がっていくものになっているわけです。こうした中で、私どものより現場に密着した土木部や林務部や農政部の職員は、まさに住民の目線に立って、原資であるお金は限られている中で、どの場所をきちんと行うべきか、そして、治山事業だけでなく、本県では行わなければならないことは、同じ公共事業と呼ばれるものの中でも、道路であったり、そのほか河川であったり、たくさん数限りなくあります。その中で行っております。  具体的に議員が、この場所はこんなに危ないのに、君たちの認定の仕方が間違っている、認定の仕方の認識がおかしいんじゃないかとおっしゃるんだったら、無論、あと20秒しかあられない議員はこの場では難しかろうと思いますから、それは、私どもは、常に県民のお一人としても議員のお一人としても、そういうお話があれば伺うところですし、また、もし議員が1分1秒災害は待たずに来るとお考えなんだったら、きょうこの晴れの場以前にも、当然、私どもの担当部署に、おい、この場所の治山はこんなのでよいのかとおっしゃってくださっているのだと思いますので、この後、議員が治山に関しまして具体的な箇所で、この場所はどうかという、私、働きかけという言葉は嫌いなんで、何か片仮名のアドバイスなのか何か、私どもへのアプローチとかレファレンスとか考えたいと思いますが、それを篤と調べさせていただきますし、それに関して私どもの側が議員にきちんとした説明をしていないということが仮にあれば、それはきちんと御説明に上がらせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。       〔24番柳田清二君「議長、議事進行」と呼ぶ〕 ○議長(萩原清 君)柳田清二議員、登壇してお願いします。       〔24番柳田清二君登壇〕 ◆24番(柳田清二 君)議長から議事進行いただきましたので、私の質問にお答えになっていないので、理解されていないんでしたらもう一回言いますので、お聞かせいただきます。  知事の哲学を聞いているんじゃないんですよ。この事業で、30億円、783カ所というものが、知事が就任してからですよ、知事が就任してから、知事が予算編成100%やるようになってから、それから30億求められているけれども、つけてないんですよ。求められているというのは、一つ一つの自治体が言っているだけじゃないんですよ。地方事務所で必要だと上げてきているんです、本庁に。あなたの部下が必要だと判断して上げてきたもののうち30億円ついてないんですよ。この県単治山というものに限って、必要ないんだったら必要ないと言えばいいですよ。だけれども、私は必要あると思っている。こういう実態に対して、県民の生活や安全が侵されている。この状況に対して知事はどう考えるか聞いているんですよ。お願いします。 ○議長(萩原清 君)田中知事におかれましては、柳田議員から指摘された部分について御答弁をお願いします。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)平成13年度から17年度の5年間に約600カ所、事業費で約16億4,000万円余の事業を県単独治山事業に関して行ってきております。  議員は、今三十数億円が云々というお話でした。事業は、福祉においても教育においても、すべてのものにおいて、これは、職員がそれぞれ必要と思って私どもの査定の場に上がってきたものを、予算ありきの発想ではなく、そこで再度話をして決まってきております。決して、議員とて、県単独事業を、治山事業だけは現場の部署が最初に考えたことをそのままノーチェックで通しなさいとおっしゃっているのではなかろうと思います。  繰り返しますが、この5年間で約600カ所、事業費約16億4,000万円余の事業をさせていただいております。       〔24番柳田清二君登壇〕 ◆24番(柳田清二 君)これもまた非常に責任のないお話なのかなと思います。私は、財政改革プログラムというものが入ってきたときに、ある意味で言うと、こういう事態もあり得るんだと思いますよ。で、こういうものを全否定しているわけじゃないんです。だけれども、財政を切り詰めるんだ、再建団体に落ちてしまうという姿のときに、知事が財政をよくしようという思いもわかりますよ。ただし、その一方で…… ○議長(萩原清 君)柳田清二議員に申し上げます。申し合わせの時間が経過いたしましたので発言を終了願います。 ◆24番(柳田清二 君)陰になってしまう県民がいらっしゃるんですね。これは福祉もそうです。農業もそうです。それで、県単治山においては安全というものが県民生活で侵されている。このことに関して知事は開き直って言うんじゃないんですよ。申しわけない、この財政状況では一生懸命やってこの状態だけれども、県民の皆さんに理解をしてもらいたいと私は言っていただきたかった。しかし、実際には開き直られて正当化される。  私自身は、知事がほんの少し、微細な財政の好転というものを知事の力でやったのも確かかもしれない。しかし、その陰には県民の生活すら守れない…… ○議長(萩原清 君)柳田議員に申し上げます。申し合わせの時間が参りましたので質問はこれで打ち切ります。 ◆24番(柳田清二 君)安全が保てない。その状況があることを県民の多くが知るべきであろうと私強く申し上げさせていただきたいと思います。ありがとうございました。 ○議長(萩原清 君)次に、宮川速雄議員。       〔9番宮川速雄君登壇〕 ◆9番(宮川速雄 君)あおぞらの宮川です。最近、影が薄いと言われているんで、名前だけ自己紹介させていただきます。宮川です。  最初に、生活環境部長にお伺いします。  諏訪湖を一元的に管理する諏訪湖事務所が開設されたことは、地元の一人として大変喜びにたえません。そこで、この諏訪湖事務所には大いに期待しているわけですが、今後、どのような業務をどのように進めていくのか。まずお答えください。       〔生活環境部長木曽茂君登壇〕 ◎生活環境部長(木曽茂 君)お答えいたします。  諏訪湖事務所については、所長、次長のもとに、諏訪湖浄化の調査研究などのソフト事業を担う水・土づくりチームと、流域下水道、しゅんせつ、なぎさ整備などのハード事業を担う環境づくりチームの2チームを置いてございます。業務につきましては、下水道等ハード事業の進捗を図るとともに、農地や市街地など非特定汚染源からの負荷量調査や水田における水質浄化機能の検証など、来年度に予定している第5期諏訪湖水質保全計画の策定に向けて重要な調査研究を担っていくこととしております。  また、諏訪湖アダプトプログラムや諏訪湖懇談会での諏訪湖利用のあり方の検討などを通じて、今後一層、市民団体や地域住民との協働を進めながら、活動の軸となって諏訪湖浄化に取り組んでまいりますので、御協力をお願い申し上げます。       〔9番宮川速雄君登壇〕 ◆9番(宮川速雄 君)次に、田中知事にお尋ねします。  千曲川にある西大滝ダムは、4年後に水利権の更新があります。ダムがあることによって河床が上がり、ひいては上流の内水災害の一因にもなっているという指摘もあります。川は川らしくと、ダムを撤去することは世界の潮流になっています。西大滝ダムも、これに倣って、ダムの撤去のために水利権更新は認めるべきではないというふうに思います。脱ダム宣言の知事としてはどのようにお考えか。お伺いいたします。       〔知事田中康夫君登壇〕
    ◎知事(田中康夫 君)西大滝ダムは飯山市岡山地籍にございます。栄村の高橋彦芳村長の同級生、中学においてでしょうか、だった方が、その後、大韓民国、韓国の首相になられたというお話を以前に高橋さんからお聞きしたことがあります。すなわち、この西大滝ダム、あるいはその上下流のダムというものは、朝鮮半島からある意味では中には自分の意思に反して訪れて、そこで使役、労役を行ったという方がいます。高橋さんの同級生だった方は、そうした方々をある意味では統括をするというか監督をする、朝鮮半島からお越しになった方のお子さんであったというふうに聞いております。その後、日本の大学を出られて、韓国の首相になられたというお話を聞いたことがあります。  これは、天龍村がある意味では水力発電のダムをつくること、また、それに伴う電気鉄道の線路を敷くという中で、私は、以前にも、天龍村の中の3分の1以上の方はもともとの天龍村ではなく、幾度かそうした機会に移り住んだ方だというのをお聞きしたことがあります。  西大滝ダムもそうした歴史の中にあるわけでございます。  これは、昭和55年1月1日から平成22年12月31日まで西大滝ダムの許可権限でございます。現在所有しているのは御存じのように東京電力株式会社で、許認可権者の窓口は国土交通省北陸地方整備局信濃川河川事務所であります。河川法第36条第1項を根拠に、地元自治体であります長野県の県知事に対しての意見聴取というものを行うというふうになっております。これは河川法第36条の中で、申請があった場合に、国土交通大臣は、その申請に対する処分をしようとする場合にはあらかじめ関係都道府県知事の意見を聞かなければならないとなっております。  また、注として、水利利用は地域開発計画その他の地方公共団体の施策と密接な関連を有し、また、水没等により地元住民の生活環境に変更を加える場合もあるので、一定規模以上の水利使用に関する処分については関係都道府県知事の意見を聞くこととしたものであるという解釈がついております。  この西大滝ダム信濃川発電所でございますが、この年間総発電量は約13億キロワットでございます。東京電力全体の年間総発電量というもの、これは水力発電にとどまらないさまざまな発電があろうかと思いますが、約2,867億キロワットでございます。そういたしますと、この西大滝ダム信濃川発電所の年間総発電量の東京電力全体に占める割合は0.45%でございます。  本県は水源県でございますが、同時に、東京電力、関西電力、中部電力、そして信濃町の付近には東北電力、そして電源開発という形、日本地熱発電はなかったかと思います。不勉強で申しわけございません。これだけ多くの電力会社が水力発電を行っております。  私が知事になりまして間もないころに、明科にあります水産試験場の者が大きな水槽に1匹の魚を入れて知事室へと持ってまいりまして、しばし県民ホールの一角でそれを皆様にごらんいただいたことがあります。これは、日本海から信濃川を上がり、信濃川というのは、繰り返しますが、新潟県に入ると信濃川と言ってくださっているので、越後川と言わずに信濃川と言ってくださる新潟の方の心の広さを私ども山国に住む者は学ばねばならないと常に思いますが…… ○議長(萩原清 君)田中知事に申し上げます。答弁は要点を踏まえ簡潔にお願いいたします。 ◎知事(田中康夫 君)これは大事な私たちの川のあり方に関しての説明でありますから、議長におかれてもこのリテラシーを御認識いただきたいと思います。  すなわち、信州サーモンでないシャケが日本海から信濃川を上がって、そして千曲川になりますこの西大滝ダムのところまで上がってきたわけでございまして、これを地元の方が見出してくださり、私どもの水産試験場の者が伺ってそれをよい意味で捕獲をさせていただいて、無論、魚の命は人間よりも短こうございますから、ほどなくして亡くなりましたけれども、これを見たときに、やはり単なる絵そらごとの環境ということとは違って、大変な私たちの生態系というものがあってこそ初めて地球が持続的なわけでして、それが今回議案説明の中でも述べ、また、夏の知事選において皆様に訴えさせていただく予定の山河を守り生活をはぐくくということにつながります。  そういたしますと、こうした観点から、電気を用いる私たちの社会とはいえ、首都圏をも抱える東京電力全体の発電量の0.45%というのは1%の半分以下ということでありまして、そして、このダムがあることによって、千曲川の浅川下流域の方々の治水ということに対しても少なからぬ影響があるということも皆様が広く御存じのところであります。  こうした観点から私はこの意見の聴取というものを本県は行うべきだと思いますし、この意見の聴取というものが単なる形骸化した手続に終わるのであれば、これは新河川法の精神を、あえて申し上げますが、上級官庁であるものがないがしろにするということにつながろうかと思います。  やはり、まさにリージョナル・コモンズの場所で人々が川と共生する中で感じていることをきちんと、この問題に関しても、本県のみならず国土交通省も的確に認識をし、その上で的確に行動していくということが求められるのではないかというふうに感じております。       〔9番宮川速雄君登壇〕 ◆9番(宮川速雄 君)次に、高校改革推進について教育委員長にお伺いいたします。  高校改革は、少子化の時代を迎えて、避けて通れない問題だと理解しています。既に、推進委員会の答申を受けて、対象校では新しい高校のあり方を検討していますが、依然として、拙速という言葉のもとに、反対の意見が強いことも事実です。  こうした中で、日本共産党長野県県議団から、高校を統合または廃止、もしくは廃止につながる募集停止を行う場合は議会の同意を得なければならないとした高校設置条例等の改正案が提案されようとしています。  教育委員会はこの条例案についてどのような認識をお持ちか。お尋ねいたします。  続いて、高校改革では、長野西高校の通信制は屋代南高校に統合されることになっていますが、御承知のように、現在、長野西高校通信制には体の御不自由な方が通っていらっしゃいます。バリアフリーのない校舎では身動きがとれないということが予想されますが、教育委員会としては具体的にどのように対応されるのか。あわせてお尋ねいたします。       〔教育委員会委員長松田泰俊君登壇〕 ◎教育委員会委員長(松田泰俊 君)お答えいたします。  現時点では具体的な内容を拝見しておりませんので、新聞報道などの内容に対する考えを述べさせていただきます。  この件に関しましては、幾つかの問題点があろうかと思いますが、主には、地方教育行政の組織及び運営に関する法律などに規定された、独立した行政委員会である教育委員会に与えられた権限との関係に問題があるのではないかと考えるところでございます。  地方教育行政の組織及び運営に関する法律第33条の規定に基づく長野県立高等学校管理規則第2条におきまして、「生徒の定員は、長野県教育委員会が別に定める。」とされております。法律などにより教育委員会の決定事項とされている募集定員について、条例改正を行い、議会の承認事項とすることにつきましては、教育委員会の職務権限を侵すおそれがあるのではないかと考えているところでございます。  続いて、屋代南高校のバリアフリーについてお答えをいたします。  現在の長野西高校通信制では、体の不自由な方に対応した施設として、エレベーター1基、スロープ、手すり、障害者用トイレ三つが整備されております。本年度は、障害があることによってエレベーターを使用している方が2名在籍をしております。  屋代南高校におきましては、現在、スロープ、手すり、障害者用トイレ一つがございますので、現有の施設を有効に活用するとともに、体の不自由な方のためにエレベーター等の必要となる施設整備に努めてまいりたいと考えております。       〔9番宮川速雄君登壇〕 ◆9番(宮川速雄 君)障害者の方が勉学の意欲に燃えているわけですから、これらの人たちのためには最大限の努力をするように希望しておきます。  山村留学の維持について吉江教育次長にお伺いします。  高齢化が進む山里の集落にあって、子供たちの元気な声が響くことは、集落を生き生きとさせ、お年寄りに活力を与えるものです。しかし、小学校の統合に伴って、20年間続いた山村留学を中止せざるを得ない危機にさらされている地区があります。これは、余りにも悲しく、寂しいことです。小谷村中土のことです。  中土では、現在、地区を挙げ、またボランティア的にいます若者3人によって辛うじて維持されていますが、長野県では田舎暮らしと銘打って団塊の世代をターゲットに田舎暮らしを進める一方で、望んで田舎暮らしをしようとする子供たちを守らないことは整合性に欠けます。  長野県としては、こうした山村留学を希望する子供たち、あるいは地域に対する支援策をどのように考えているのか。お尋ねいたします。       〔教育次長吉江速人君登壇〕 ◎教育次長(吉江速人 君)お答えいたします。  長野県は山村留学が発祥地の地でございまして、小谷村ほか8市町村10カ所において、本年5月1日現在、112名の子供たちが県外から信州・長野県の地で学んでおる次第でございます。  王滝村のこどもの森では、子供たちが地元のお母さんとホウバ巻きづくりや野菜づくりを通して地域と交流し、また、売木村では、4キロの道のりを徒歩で通学して心身を鍛え、地域のコモンズの中でたくましく成長しております。  また、いい意味でよそ者、若者が運営主体の泰阜村のグリーンウッドの山村留学の取り組みでは、去る6月21日付の英字新聞、アサヒヘラルドトリビューンで、A4判の写真とともに、レッスンズ ウイ キャン オール ラーン フロム ザ ランドと大きく取り上げられ、世界的にも注目を集めているところでございます。  さらに、天龍村の向方塾では、地域で廃校となりました小学校を天龍村が運営主体のNPOへ提供し、地域の財産として生かし、お年寄りとともに子供たちが生かされたコモンズの中で学んでいるところでございます。  地域とともに歩む山村留学がある一方、地域新聞に報道されましたように、小谷村では村の財政の逼迫や小学校統合の中で山村留学が危機に瀕しているところでございます。そんな中で、地元住民の中には、山村留学育成会の設立というような動きも出たところでございます。  このように、一言で山村留学と申しましても、その抱える課題はそれぞれの地域ごとに多様でございます。そこで、長野県教育委員会では、5月から、山村留学先を訪問いたしまして、課題をそれぞれの地域と一緒に考える取り組みを開始したところでございます。  今後は、本年度の当初予算で計上いたしました、子供の主体性をはぐくむ体験活動事業の中で、地元自治体とともに取り組みを深めてまいりたいと考えている次第でございます。       〔9番宮川速雄君登壇〕 ◆9番(宮川速雄 君)中土では山村留学に来た方がお嫁に来ているという例もあります。これは都市と農村の交流ということにもつながっていますので、ぜひ山村留学については一段の努力をしていただきたいというふうに思います。  財政問題について知事にお伺いします。  世の中には、人の家計簿をのぞいて、借金が幾らあるのか、その借金がふえているのか減っているのかを計算し公表している酔狂な人がいます。いわゆる自治体の借金時計というものです。経済アナリストを初め地方自治財政に興味を持っている一般の人たちがそれぞれの手法で計算したもので、全国では二十数人がこの借金時計を公開しています。私の見ている借金時計は、日本と全国47都道府県が見れるもので、もちろん長野県の借金も見れます。  その借金時計によりますと、国と44道府県は借金がふえ続けていますが、東京都と栃木県、そして我が長野県は借金を減らしています。長野県の場合、ほぼ15秒間に1万円減らしています。借金を減らしながら、預金に当たる基金をふやし、しかも就学前子供たちの医療費の無料化や30人規模学級の導入など、県民福祉の立場に立った財政運営は、解釈を誤っているケインズ理論の信奉者には到底理解できないものです。  ところで、破綻寸前の政府は、ついに2011年までに最大14兆3,000億円の歳出削減を打ち出しました。大ざっぱに言えば、その内容は、増税した上に、公共事業はもとより、福祉、教育を切り捨てるものです。歳出削減に加えて、三位一体改革によるさらなる地方交付税の削減は地方財政を一層圧迫するものと予想されます。  こうした状況に、今後、長野県としてはどのように対処されるのか。知事にお伺いいたします。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)きのうもお答えしているところではあります。王道がないということです。ごく普通に、おじいちゃん、おばあちゃんや子供がそうだなと思うことの努力をするというよりほかない。それを感じられる暗黙知を持っているか持ってないかが、今、県民から問われるということになるんだと思います。  ですので、それに尽きるともいえるんですけれども、もうちょっと何か申し上げた方がよいのであるか、基本は、福祉、医療や教育、環境や観光といったものが21世紀の新しい労働集約的産業であるというふうに考えていますから、乳幼児の就学前の医療費の無料化ということは、これは決して単なるお金のたれ流しなのではなくて、そこにおいてよい意味での雇用が生まれてくるということであります。  ですから、それは、さまざま産業に関しても、私たちは地場の産業をきちんとアントレプレナーとして育成していくということが結果的に雇用が生まれることで、それが、大きな会社を呼ぼうという形は、私は、ともすれば箱物をつくることと同じような意識になってしまうので避けるべきだという考え方に立っているわけです。  国から来るお金は、国の無策ぶりを横に置いておけば、国から来るお金は毎年減ってきます。極論すれば、減っている中で君らは住民が願うことをいろいろやりなさいと言っているわけですよね。先ほどのように、県単独事業を、国がくれるお金は少なくても、莫大な起債をふやしてやっていこうという考えもあるかもしれませんけれども、その先にあるのは、一方で国は、これこれこういう財政状況になれば破産しますよ、制限を加えますよということも述べているんですから、その中で私たちはきちんと考えて選択と集中を、しかし、そこに生きている人が喜びや希望を持てるようにするというためにどう采配をふるうかということで、それは、結果としては、さまざま私どもの財政改革チームを初め努力をしています、すべての部署が。ゼロ予算事業というのもそうした一環ではあります。でも、最終的には、どれをどのようにということはそれは暗黙知が決めることで、だから査定というものがあるわけでして、部署が書いたものがそのままスルー、スルーなどということになれば査定は要らなく、部長や出納長や副知事や知事も要らないということになるわけでありまして、それはひいてはチェックをする議会も要らないということになっていきますから、議会制民主主義の否定にもつながることです。  一人一人が暗黙知を持つ。どんな信州にしたいか。それは、私は、この山河とこの暮らしをはぐくみ、未来をつくり、私たちが誇らしく語れる信州・長野県をさらによい意味で充実という点で推し進めたい、その中においての考え方であります。  以上です。       〔9番宮川速雄君登壇〕 ◆9番(宮川速雄 君)厳しい財政の中で、田中知事が目指しているのは、福祉、医療、教育、環境に加えて、製造業、農林業、観光といういわゆるスリー・バイ・スリーの政策です。これらは県民のために着実に進めていっていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。 ○議長(萩原清 君)昼食のため午後1時まで休憩いたします。         午前11時56分休憩          ──────────────────         午後1時1分開議 ○副議長(佐野功武 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  宮澤宗弘議員。       〔48番宮澤宗弘君登壇〕 ◆48番(宮澤宗弘 君)こども病院について衛生部長に伺います。  2月定例県会において、知事は、高度専門病院としてのみならず、より一般的な小児科や産科診療に門戸を開き、県の小児科診療のかなめの役割を果たすよう改革を進めてまいりますと、病院長を初め現場関係者には何ら相談もなく、突然、方針を打ち出しました。私は、代表質問を通じ、現在、こども病院では受け入れ態勢が整っていないこと、命にかかわる問題であり、関係医療機関と調整、協議のないまま拙速に進めることは混乱を招き、一方的に進める手法は今回の高校改革と同じ手法だという趣旨の指摘をしてまいりました。  部長答弁の中で、各方面ともよく話し合ってまいりますし、特に信州大学とは連携をとっております、また、医師会ともよく話しているところでありますと答えています。その後、私が県医師会や安曇野医師会にお伺いいたしましたところ、全くそのような事実はなく、大変憤慨をされていました。部長はなぜ事実に反する答弁をされたのですか。       〔衛生部長髙山一郎君登壇〕 ◎衛生部長(髙山一郎 君)お答えします。  こども病院の門戸開放は、平成16年から、救急ベッド確保、ホットライン開設、小児救急電話相談など、医師会とよく話し合って進めています。今後も、よく話し合い、ともによりよい小児医療体制をつくってまいります。       〔48番宮澤宗弘君登壇〕 ◆48番(宮澤宗弘 君)私の質問は、今回の一般開放に対する質問の中での答弁でありますので、16年からというのは事実に反します。再度答弁を求め、謝罪を要求をいたします。       〔衛生部長髙山一郎君登壇〕 ◎衛生部長(髙山一郎 君)ただいまお答えいたしましたとおり、医師会とよく話し合って進めております。  また、直近の小児救急電話相談事業、いわゆるシャープ8000につきましては、本年1月13日に、こども病院と県医師会、小児科医会とが協議を行っております。       〔48番宮澤宗弘君登壇〕 ◆48番(宮澤宗弘 君)去る4月15日には、県医師会が一般診療導入に反対を表明し、医師会に何の説明も相談もなく方針が打ち出された、医療については専門家団体の医師会に相談すべきだとの旨、大西会長の談話が報じられました。また、松本市医師会の須澤会長は、松本市小児科・内科夜間救急センターが小児救急患者の初期対応に十分な役割を果たしている、こども病院は難病や重症患者など第3次対応を担う最後のとりで、初期対応の受け入れは医師を疲弊させるだけで必要ないとしています。これら専門家集団の談話について衛生部長はどのように受けとめていますか。       〔衛生部長髙山一郎君登壇〕 ◎衛生部長(髙山一郎 君)お答えします。  こども病院と宮坂勝之院長の新しい方針に対する理解が深まり、安心が広がりつつあります。医師会の御懸念が生じないよう、さらに連携を深め、よりよい医療体制をつくってまいります。       〔48番宮澤宗弘君登壇〕 ◆48番(宮澤宗弘 君)大変誠意のない答弁であるというように受けとめておきます。  医師会では、こども病院の小児高度専門医療のレベルが低下するおそれがある、それにより、優秀な医師が去り、医師不足を招く、小児科の一般診療の約96%は風邪などの感染症であり、難病治療の小児患者に感染するおそれがある、開業医にとって同病院に紹介できる現在の体制は日々の医療業務の安心につながるなどと述べています。知事は、これらの意見をどのように受けとめ、どう対処していかれるのか。お伺いいたします。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)先生、先ほど冒頭に命にかかわることだとおっしゃられたと思います。命にかかわることだからこそ、ゆっくりと内向きの理屈で時間をかけていたのでは県民に対して申し開きが立たないということです。命の問題をゆっくり時間をかけて話しましょうと、まずその点が認識が違うと思います。(「短絡的だよ」と呼ぶ者あり)短絡的に、命の問題だから時間をかけようなどということを県民は望んでいません。  全国に14ある都道府県立のいわゆるこども病院の中で、長野県立こども病院の医師数は上位5位であります。他方で、医師1人当たり、無論、医師だけでなく看護師や技師を初めとするコメディカルの協力が不可欠ですが、医師のみが突出して多いなどという病院は通常ありませんので、医師1人当たりの患者数は下から2番目、つまり受け入れ数は2番目に低いというのが今までの県立こども病院でした。  私たちは、既に平成15年度に救急医療に関する特別委員会を設置をして、この提言を受けました。委員長には、大阪大学の医学部の附属病院、高度救命救急センター長であります者、あるいは杏林大学医学部附属病院の副院長で高度救命救急センター長であります者を含んで議論をいただきました。  この中で、平成16年3月にいただいた提言にはこのような文章がございます。閉鎖的であった「大学医学部附属病院ですら、一般救急に積極的に参加すべきであると、自他共に認める時代にあって、」「県立こども病院のみが一人、特殊な小児疾患のみに固執することは、時代の要請にそぐわない態度と言わざるをえないだろう。県立こども病院は、広く一般救急小児患者にも門戸を開くべき」だと述べています。そして、この委員会が極めて多面的であり冷静であるのは、「言うまでもないことであるが、ここで対象としている小児救急は、交通事故・熱傷といった、従来の救命救急センターが得意分野としている外傷は含まない。これらは小児であっても従来通り救命救急センターでの治療を依頼することが望ましいと考える。」とあります。そして、このような形の分担化をしていかないと、一般の方々の、まさに救命救急ということを行う分野、あるいは総合病院における小児の診療というものにも逆に影響を及ぼしてしまうのであるということが記されているわけです。この中で、「一般市民にとって小児救急医療とは、県立こども病院内部での考え方とは乖離していることの表れと理解すべき」だとあります。  そして、この中で、「いかに責任者が二次・三次救急患者を積極的に受け入れると言われても、」、これは、この4名の委員のヒアリングの際に、当時の県立こども病院の責任者等が述べた内容に基づいています。「その体制も病床も確保できておらず、具体的な方法が描かれるに至ってはいない。県立こども病院は、概念ではなく、実績として内外に示すべき」であるということを記されております。  私たちは、こうした中、県立こども病院が、まさに広く一般救急小児患者、これが、繰り返し、私がわかりやすい言葉で風邪をこじらせて肺炎になりかけているようなお子さんという言い方をしてきている点であります。先ほどの交通事故といった形ではないということです。  この点に関して、地元の安曇野医師会通信は、5月10日付で、こども病院の私たちの具体的な方針に関して、具体的な方策をともに考え、協力すべきは協力し、そのあり方に対しても発言していくとございます。私たちは、こうした極めて患者、県民に基づいた現場の地域の医師会の方々の的確な御認識にこの場をかりて改めて感謝をするところですし、そうした方々とともに、安曇野にとどまらない、信州・長野県の県立こども病院のよりよき充実を図るところでございます。  ぜひとも、議員におかれましても、議員の地元選出の医師会の方々がこのようにおっしゃっていられるということを十二分に重く受けとめられ、まさに地域の方々とともに歩む選良としてその責務を果たされることを強く願うところでございます。       〔48番宮澤宗弘君登壇〕 ◆48番(宮澤宗弘 君)知事は、先ほど、医師会が心配をされていることは一切心配しなくてもいいと、こういうように受けとめさせていただいてよろしいわけですね。お答えをいただきたいと思います。  それから、4月の7日の記者会見で、救急医療中心の医療から始めるとの考えを示した旨報じられておりましたけれども、2月県会では小児科や産科診療に門戸を開くとの方針であったけれども、議案説明を修正をされたのでしょうか。  また、こども病院のあり方についても、その理念、運営目的は何を目指そうとしているのか。今までの理念、運営目的、方法を大きく変えようとしているのか。  また、赤字を減らすために患者をふやすというのか、産科医不足を補うためなのか。具体的にお答えをいただきたいと思います。
          〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)既に先ほどの質問でお答え申し上げております。       〔48番宮澤宗弘君登壇〕 ◆48番(宮澤宗弘 君)わかりかねますので、再度、わかりやすく端的に説明を願います。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)私としては、先ほど意を尽くして御説明した思いでございますが、では、それは、速記の方の御協力を得て、この後の休憩時にでもお読みいただければ御理解が深まるかと思います。  簡潔にという改めての御要請でありますので、まさに人々のために県立こども病院を充実させるということであります。至らなさを改むるにしくはなしということでございます。       〔48番宮澤宗弘君登壇〕 ◆48番(宮澤宗弘 君)そうすると、4月7日の会見発表では産科診療に門戸を開くという方針を撤回をされたのかどうか。お伺いします。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)先ほど、至らなさを改むるというよりも、至らなさをより補うにしくはなしと申し上げたわけです。そして、これは、全国5番目に陣容が多い病院とて、一たんに360度すべてオールマイティーで同じ熟度で充実させるというのは、これはすべての事象においてなかなか成り立ちにくいことではあろうと思います。  これは、まさに、国立成育医療センターの部長でありました宮坂勝之が病院長となり、その病院長の采配のもとにおいて今充実の改革を進めているわけです。その過程の中において、宮坂の現場における責任と判断において産科というものに関しても充実を図っていくということであります。そして、宮坂の現時点での認識は、まずは、先ほど救命救急のチームから提言をされたことのそのスタート地点にすら到達していなかったものを、迅速にその充実を図るということによりエネルギーを注ぎたいというふうに私は報告を受けております。  それは、多くの単なる知識にとどまらず、あるいは単なる経験にとどまらず、人が人に尽くすということの暗黙知の哲学を十二分に有していると思えばこそ宮坂を採用したわけですし、その宮坂はそれに現時点で十二分に期待にこたえてくれていると思いますから、まさにチームワークとしての院長と知事の私、あるいは副知事の澤田祐介、あるいは衛生部長の髙山一郎とのチームワークの信頼感の中において、宮坂の進め方というものを、ともに見守らせていただきながら、ともに協力をするということなわけでございます。       〔48番宮澤宗弘君登壇〕 ◆48番(宮澤宗弘 君)時間がございませんので次へ進みますけれども、知事の答弁大変わかりにくくて一貫性がないというふうに私は受けとめております。  第4次長野県保健医療計画では、小児医療、周産期医療はそれぞれ各医療圏単位で連携や機能分担をして医療を提供する趣旨でありました。私は、少なくても中信地区においてはこのことが円滑に機能していると思います。宮坂新院長は、親が救急だと思ったら受診しなさいとのことですが、一般小児医療と小児救急の境はだれがどのように判断をするのか。私のように病院の近くの住民には福音として歓迎をされるかもしれません。しかし、高度医療を受けなければならない難病、重症患者に影響は出ないのか。衛生部長に伺います。       〔衛生部長髙山一郎君登壇〕 ◎衛生部長(髙山一郎 君)お答えします。  難病や重症者へ万全の配慮をすることは当然であります。その方策を宮坂勝之院長を中心に具体化してまいります。       〔48番宮澤宗弘君登壇〕 ◆48番(宮澤宗弘 君)内容や影響が出ないように低下をさせない、こういうことでございますが、諸体制整備には財政が厳しくとも重点施策として実行すると約束できるのか。知事に答弁を願います。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)私どものゼロ予算事業というものの精神は、そしてその実践的行動というものは、決して討ちてしやまんなどという向こう見ずな精神論に立脚しているわけではありません。これは、客観的に、こども病院においてもゼロ予算事業の意識をおのおのが県民の一人として持つことによって十二分に可能であることは、先ほどの客観的数字が示しております。そして、そのことは、繰り返し述べますが、知識や経験にとどまらず、患者の方に関しても患者予備軍の方々に関しても御家族に関しても、そして一緒の同僚であるスタッフに対しても、人間としての想像力というものを持った宮坂が院長をやっているわけでございます。宮坂が十分に対応していけると述べているわけでございます。  その中において、議員が御懸念なさっておりますような、まずは、そうした精神論にとどまらない、実践的意欲と行動、そして、その中において、私たちは、よい意味で目指すべき理念を高く掲げた上で、さらに充実させるべき点を、それは陣容でありましたり、建物の形状でありましたり、あるいは組織のシステムでありましたり、あるいは医療機器でありましたり、さまざまな点に関して必要であるかどうかということを、これまた決して予算第一主義ではない形できちんとチェックをして行うべきは行うということであります。       〔48番宮澤宗弘君登壇〕 ◆48番(宮澤宗弘 君)今、産科医の不足が言われ、安曇野日赤でも過日ようやく1人の先生から来ていただいたものの、まだまだ不足の状態と聞きます。一般的な小児科に門戸を開く以前に、地域産科医の確保を初め、産科の一般診療受け入れ態勢の整備こそ急務と感じます。  報道によると、知事は、2月議会の方針を修正し、産科診療を中止した旨報じられました。再度、理由をお伺いします。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)どうも、まだ誤解があるようでございます。私、中止をしたとか断念をしたとか撤回をしたということではないというのは、今の御説明をお聞きいただければおわかりになるかと思います。       〔48番宮澤宗弘君登壇〕 ◆48番(宮澤宗弘 君)知事は、宮坂院長の想像力、そしてゼロ予算で十分に対応をし、今までの医療の内容は落とさないと、こういうことであると思いますし、また、当初の説明どおり、方針は撤回をしていない、当初の2月定例県会に説明あったその内容で進めていくと、こういうふうに受けとめさせてよろしいわけですね。  それから、平成16年3月30日付で出された救急医療に関する特別委員会委員長澤田祐介氏の提言によると、こども病院は高度救急医療を分担せよとの方針で、救急ベッド3床確保、救急車からの要請に常時対応するを既に実行し、松本のスマイルクリニックなど初期救急施設から紹介を受け入れてきたと聞いております。今回の初期から受け入れることについて、委員会報告の趣旨とは一致しないと思いますが、方針の変更について澤田副知事の見解を伺います。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)ある意味ではこれも先ほどお答えしていることにつながろうかと思いますが、方針の変更はございません。       〔副知事澤田祐介君登壇〕 ◎副知事(澤田祐介 君)今、議員の御指摘になりました特別委員会の報告は、400字詰めの原稿用紙で約170枚、6万7,000字に上る医学用語のちりばめられました大変分厚いものでございます。  そこで、内容は、内容という簡単な部分と、それに対する概説の部分の二つに分かれております。そして、内容部分に確かに高度救急という言葉が出てまいりますが、後の概説、解説の部分をお読みいただければ、先ほど知事がこの壇上で申し述べましたように、県立こども病院は広く一般救急小児患者にも門戸を開くべきであるという文言がしっかりと書かれており、全く方向性に変化もありません。  また、この文書が出ましたのは平成16年の3月30日でございますが、8月には3床を使った救急受け入れとホットラインというものが開設されておりますが、そのホットラインはその年には年間に17回、そして救急患者として受け入れは18人にすぎません。この部分に関しましては石曽根院長と少しくディスカッションをしてまいりましたが、なかなか私どもの考え、そしてこの委員会の報告のようにはまいらなかったというのが実情でございます。  私は、今の議員の御質問と、今私どもが考えておりますこども病院の方向性は、全く、方向としては違ってはいない、整合性がきちっととれているというふうに考えております。  以上です。       〔48番宮澤宗弘君登壇〕 ◆48番(宮澤宗弘 君)何も、私、知事の提案に対してすべて反対をしていると、こういうことに受け取らないようにお願いをしたいと思います。  今後、拙速な一般診療は行わずに、院長を中心とした病院改革プロジェクトチームのみで方針を決定せずに、医師を初めスタッフとも協議、検討し、医師、看護師、助産師などの増員、設備の整備など内部体制の充実を図り、医師会など関係機関とも調整を図りつつ、連携を密にするとともに、職員組合との協議を初め関係者の理解と合意を得ることが極めて大切だというように思います。  また、一般診療の計画を患者の保護者や利用者、地域住民、職員など関係者へ情報開示をするとともに、説明会などを行い、十分意見を聞き、反映されるべきだというように考えますが、知事の所見を伺います。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)繰り返し今議会でお話しているかと思いますけれども、私たちは県民のために働くんです。あるいは、本県を訪れる国民のために働くんです。  専門家の知識や経験はとても大事ですが、その専門家が専門家のともすればお仲間としてのギルドの理論を振りかざすようになると、できない条項を数限りなく挙げていきます。そして、これは繰り返し議員もおっしゃられているように命の問題です。だから、私どもは、2月の提案説明という場において、私が提案説明の中で、県立こども病院の目指すべき方向を改めて示させていただいたわけでございます。  多くの県立こども病院のスタッフは、新しい宮坂勝之のもと、目を見開き、心を開き、より多くのお客様である患者、そしてその予備軍のために働く意識を覚せいしています。しかし、2月の段階においては、そうした一人一人の思いがあっても、ともすれば、組織という中、また、医学の世界は議員も御存じのように白い巨塔の医局を中心としたピラミッド型の意識というものが色濃く残る場であります。ましてや、医師でなく、看護師でもなく、コメディカルである者が意見を述べることははばかられる場面が数多くあります。とするならば、まさに患者や患者予備軍の願い、また、その願いを日々の仕事の中で痛感をしているものの思いを、2月の県議会という県民の代表が集う場で私が述べさせていただいたことからこの議論は始まっています。そして、ありがたいことに、安曇野医師会の方々も同じ思いを医師会だよりという医師会においては公的な発言の場において記してくださるまでに至ったわけです。  ぜひ、議員には、まさに皆と相談をして行っていこうとおっしゃるならば、皆のそうした意見と議員が歩調をあわせて歩んでくださることを願わずにはおられません。       〔48番宮澤宗弘君登壇〕 ◆48番(宮澤宗弘 君)私も安曇野医師会の先生方とはよく話をする機会もございますし、医師会の皆さんの意向というものは十分存じているつもりでございます。  医師会の言っているのは、今の水準を落とさないようなしっかりした体制をつくってほしいと、こういうことでありますので、誤解のないようにお願いをいたします。  次に、地域高規格道路の松本糸魚川連絡道路は、波田町から糸魚川に至る延長約100キロメートルの交流促進型道路として、また、中部縦貫自動車道や北陸自動車道などを相互に連絡、北アルプスや日本海沿岸の広域観光ルートとして期待をされていました。平成11年12月に堀金―大町間約15キロが調査区間に指定されたものの、田中知事誕生後、平成13年度の地域住民との意見交換会を経て、14年度に、知事は、既存の道路を充実させる方向で見直すと方針転換を図り、平成15年7月には、既存の道路を利用すると起点が波田町から豊科インターチェンジ付近となると、突然、見直しを表明しました。表明から約3年が経過をいたしましたが、今後の見通しについて、広域道路基本計画の見直し時期、国との調整の具体的時期、豊科インターチェンジ付近の計画概要と建設に対する知事の姿勢と決意のほどを伺います。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)いわゆる松本糸魚川連絡道路というものの起点を長野自動車道豊科インターチェンジとする、そして既存の高瀬川の右岸側を走る道路を含めたものを活用するということは、公式に表明をしているところでございます。  この起点やルートの変更等については、さかのぼり、平成5年に広域道路整備基本計画というものが国全体で策定されております。これが全国一斉に、国が、国土交通省だと思いますが、が行う見直しの際に、この中で位置づけられるということになっております。  平成10年に、第1回の見直しが平成5年に行われております。この間5年でございますが、平成15年、16年、17年という時期には行われてはおりません、見直しが。今後の見直しの時期というものに関してもいまだ公表はされておりませんが、この道路に関しましても、まさに県ですべて単独でできることではなく、よい意味での上下ではなくネットワーク社会として国土交通省とも打ち合わせをして進めていくものでありますから、早期にこの広域道路整備基本計画の見直しが行われるように要望をいたしております。  現在、小谷村の雨中地区、この場所に関しましては、私も、そのほかの部分も実際に車等で幾度も踏査しておりますけれども、この雨中地区に関しましては騒音や交通安全面の大きな課題がございます。人家が連なるところを昼夜を問わず、高速道路料金がイタリアよりも4倍も高いという中、多くの物流トラックが通過しております。そこで、この部分に関しては抜本的にバイパスを設けていくという事業化に向けて、現在、地質調査や地下水の調査等、具体的な調査が進行しているというところでございます。  そして、豊科インターチェンジ付近に関しまして、実は私たちは、この道路が、地域高規格道路というものの国が定めた要件というものは平均時速60キロを目標といたしております。この中で、現状では、私どもの幾たびかの調査では平均50.2キロメートルという平均時速になっております。そこで、どの部分がこうした60キロに満たない現状をもたらしているかということに関しましても、土木部では具体的な調査、検討をいたしております。  この中で、議員、地元で御存じでいらっしゃろうと思いますが、安曇橋南詰の地点までが大きなおくれを生じているという形でございます。これは、豊科インターチェンジでありましたり、重柳でありましたり、安曇橋南でありましたりの交差点という部分でのおくれが比較的、信号待ちというようなことを含めて生じております。  そこで、この部分に関してきちんと手だてを図っていく。同時に、多くの通行車両が走ることになりますので、歩行者の方、自転車の方、通学の方、高齢者の方への配慮というものをとりわけ大町までの区間に関してはきちんと行うようになっております。  そして、そのほか、具体的に改良をすべき場所というもの、例えば右折レーンを設ける、あるいは交差点を立体化する、あるいはカーブのRのぐあいの線型を改良をする、さらにはクランクを解消をする、そして代替ルートを設ける、雨中地区のみならず白馬駅のあたりに関しましてもですね。こうしたことを具体的に、私ども、計画を調査の上、立てております。これらを、まさに本県のみではなし遂げられることではありませんから、地域の方の御理解のみならず、国の側との予算も含めた折衝の中において滞りなく行わせていただく、このことによって、私の就任当初にはございました山ろく部分を通過をする松本糸魚川連絡道路という形ではない形で、この地域の方々あるいはこの地域を訪れる方々のために努力を重ねさせていただくということであります。       〔48番宮澤宗弘君登壇〕 ◆48番(宮澤宗弘 君)ぜひ、早い機会に実現をするように御努力をいただきたいと思います。  また、小谷村の雨中地区の道路整備について、現在の完成年度、進捗状況等を土木部長にお伺いをいたしたいと思います。  それから、衛生部長は、私の聞いたのは、一般診療導入に対する県医師会の表明として、医師会には何の説明も相談もなく方針が打ち出された、こういった問題は専門家集団の医師にも相談すべきだということを言っているので、平成16年当時のことを持ち出して話をしましたなんてのは全く誤診でありますし、大変、今までの衛生部長の態度といいますか発言…… ○副議長(佐野功武 君)宮澤宗弘議員に申し上げます。申し合わせの時間が経過いたしました。 ◆48番(宮澤宗弘 君)おつき合いからして残念に思いますが、反論がございましたらお答えください。       〔土木部長原悟志君登壇〕 ◎土木部長(原悟志 君)お答えをいたします。  昨年の3月に調査区間に指定されました小谷村雨中地区の約4キロ区間についてでございますが、糸魚川―静岡構造線沿いに位置し、また、地すべり地域や段差がございます。さらにまた、豪雪地域でもあることから慎重にルート選定を行っているところであります。  これまでに、姫川の左岸2ルート、右岸2ルートの計4ルートについて地表踏査や地質調査を進めてまいりました。この結果、各ルート上に断層が確認されましたので、平成17年度には詳細に弾性波調査やボーリング調査を行ったところ、左岸側の姫川断層が想定以上に大規模であることが判明いたしました。このことから、姫川断層の影響が最も小さくなる左岸側の第5のルートを選定し、これまでの4ルートと総合的に比較検討した結果、第5のルートが有力であると現在考えております。平成18年度は、この第5のルートについて、予備設計に必要な坑口部のボーリング調査及び地下水の量や深さの調査を行っております。  今後は、これら資料を早期に取りまとめまして、調査区間から整備区間への格上げに向け国と協議をしてまいります。  以上でございます。       〔衛生部長髙山一郎君登壇〕 ◎衛生部長(髙山一郎 君)お答えします。  先ほどお答えしたとおりであります。また、医師会代表が委員となっている医療審議会の席でも、本年2月17日にさまざまに討議をいただいております。 ○副議長(佐野功武 君)次に、牛山好子議員。       〔36番牛山好子君登壇〕 ◆36番(牛山好子 君)初めに、新生児聴覚障害の早期発見、療育の取り組みについてお伺いします。  平成13年12月議会で聴覚障害検査、療育の重要性について取り上げてから、間もなく5年になります。この間、検査機器の整備は進み、生まれてくる赤ちゃんのほとんどがこの検査を受けられるようになりました。と同時に、聴覚障害を持つお子さんも毎年一定の割合で発見されております。  この検査の実施には、1次検査から精密検査、そして発見後のフォロー、療育体制の整備と、一貫した取り組みが不可欠と要望してまいりました。現在までの取り組みについて伺います。  現在の新生児の聴覚検査の実施状況、結果について。また、早期療育の意義は何か。衛生部長にお願いいたします。       〔衛生部長髙山一郎君登壇〕 ◎衛生部長(髙山一郎 君)お答えいたします。  先天性難聴は、出生時約2,000人当たり1人の割合で発生しますので、本県では毎年約10名の患者さんが生じます。生後6カ月前までに発見し、適切な補聴指導を行うことで言語獲得の療養効果が期待できる障害でありまして、一貫した取り組みが必要な疾患というふうに理解しております。       〔36番牛山好子君登壇〕 ◆36番(牛山好子 君)それでは、この事業において県の役割は何か。二つとして、支援ネットワークが必要と思うけれども、どう整備されているのか。各機関、関係者の連携は十分に図られているのか。3、親の支援、フォローはどのようにされているのか。どこが担っているのか。それはどう周知されているのか。  ここまでは衛生部長に。  聾学校、ことば、きこえの教室の取り組みについて。これは教育長にお願いいたします。       〔衛生部長髙山一郎君登壇〕 ◎衛生部長(髙山一郎 君)本県の取り組みの概略でお答えいたします。  本県では、平成14年10月、難聴を早期に発見するための新生児聴覚スクリーニングを開始しております。あわせて、聴覚検査機器未設置の医療機関に対し、平成14年度22医療機関、15年度3医療機関に補助事業として機器整備を行いました。この結果、新生児の1次スクリーニングができる体制が整っております。  平成17年度のスクリーニングの実施状況ですが、1次検査の受診者は全出生数1万8,519人に対し1万4,311人、実施率は77.2%です。全県を対象にスクリーニングを実施しているのは47都道府県のうち7県のみでありまして、このスクリーニング率も全国で2番目に高い率となっており、県としてはこれは非常に積極的に取り組んでおります。  また、新生児の聴覚スクリーニングの課題といたしまして、確定診断を得るまでの相談の箇所がないこと、また、早期に聾学校の母子教室等へつなげて療育を始める必要がある、このコーディネートをする人がいないこと、保健所や市町村、障害者総合支援センターなど関係機関との橋渡しをする機関がないことなどが挙げられておりますが、これに対して県でも保健所等でさまざまな支援を行い、またその充実に関して検討を進めているところであります。       〔教育長丸山愰君登壇〕 ◎教育長(丸山愰 君)お答えいたします。  聴覚障害児教育についてのお尋ねですが、聴覚障害児にとって早期の専門的な教育が大変重要であるとの方針から、平成16年度に、乳幼児きこえの教室を、小諸、利用されている乳幼児数は5人でございます。茅野、同じく1人、飯田2人、木曽1人の各地区に配置いたしました。現在、長野ろう学校、松本ろう学校の本校も含め、幼稚部には18名が在籍し、また母子教室は25名が利用しております。  乳幼児きこえの教室の運営については、専任教員を配置し、障害の状況や程度、保護者のニーズを踏まえながら、聴覚を初め多様な感覚を利用して言葉の基礎を養う活動を行うとともに、保護者への支援も行っております。  こうした教育活動において、定期的に地元の保育所や幼稚園で終日生活するなど、他の園児とのかかわりを深め、幼児としてのより健やかな発達を促すよう交流活動にも配慮しております。
     乳幼児きこえの教室については、自律教育地域化推進事業の一環として、地域の保育所や幼稚園と密着した運営を今後とも推進してまいりたいと考えております。       〔36番牛山好子君登壇〕 ◆36番(牛山好子 君)衛生部と教育委員会の答弁の何と違うことか。本来なら、これは衛生部が中心になって推進する事業ではないかというふうに思っております。  岡山県は、これはモデルで始まったところではありますけれども、既に、人材の育成からネットワークを立ち上げて、その連携から、あるいは第三者を入れた協議会も含めて、しっかりとフォロー体制をつくって、今その療育体制をつくっておりますけれども、先ほどの部長のお話ではほとんど何も手がついてないという印象がございます。また、実際のところ、さまざまな形でお聞きする御意見は、もっと県がしっかり取り組んでほしいという御要望を大変強くいただいております。  この療育は、ゼロ歳から2歳の療育が最も重要な時期であるとされております。先ほどお話があったとおりですけれども、現在の長野県の療育体制でここが一番欠け落ちてしまっているというふうに思っています。  先ほども、3次スクリーニングで、最終的に検査継続を受ける方が32、両耳の聴覚障害と決定した方が30名、計62名ですね。この方たちが長期的な継続の治療、療育を必要とするわけです。この療育体制は今信大が担っているわけですけれども、ほとんど信大が担っていただいているところなんですが、衛生部も連携とっていただいていると思いますけれども、これは副知事にお伺いしたいと思います。  親や関係者の間では、療育センター機能、あるいはコーディネーターの配置を求める声が強くあります。この件について副知事の御所見をお伺いいたします。       〔副知事澤田祐介君登壇〕 ◎副知事(澤田祐介 君)お答えいたします。  信州大学病院長勝山努院長並びに耳鼻科と衛生部、私も含めて話し合いをしておりまして、これには体系的なシステムに乗っかったセンター等が必要だというふうに考えております。  おっしゃるとおり、特殊な疾患でございますので信州大学の耳鼻科がその中核を担っていただくことは必要なので、現在、その支援センター、あるいは検査センターといったものを何とか構築できないかということで衛生部と信州大学の方で鋭意進めて、何とか早く設置したいというふうに考えております。  以上です。       〔36番牛山好子君登壇〕 ◆36番(牛山好子 君)ただいまお話のございました療育センターとして、地域のお母さんたちからの御要望をいただいたところなんですが、昨年から使われなくなった県がん検診センターの跡にその療育センターをつくってほしいというような声も具体的に出ております。これについては、信大との連携も密にできるという意味では私は可能性は大きいのかなと思いますけれども、この件については知事の御所見をお伺いいたしたいと思います。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)もう既に議員からもこの点に関しては幾たびか建設的な御提言をいただいたこともあり、私ども、また私もそうした小さなお子さんを間近にかつて幾人か知っていたこともあり、そうした実感から新生児の聴覚スクリーニング、そしてそのための検査機器整備はさせていただきました。  ですので、平成17年度の聴覚検査は、もう既に議員十分御承知かと思いますが、県内の全出生数1万8,519人に対して1万4,311人の方に実施させていただいておりまして、実施率が77.2%という形でございます。全国47都道府県の中で、全県下を対象にこうした新生児の聴覚検査を実施しているのは本県を含めましても7県のみでございます。本県は長崎県に続いて2番目にこうした検査受診の率が高いという県でありますが、これに甘んずることなく、すべてのお子さんが早期にこうした検査をお受けいただけるというようにすることが大事であろうと思います。まさに、高齢者の医療同様、早期発見、早期治療ということが大事なことであります。  難聴児を早期に発見をするという考え方の中から、難聴児の支援センターというものを設置いたしたいと私ども計画しております。これは松本市にあります旧長野県の救急センターの跡地を考えさせていただいております。ちなみに、この県救急センターは、信州大学と道路を隔て、南側に位置するわけでございますが、この場所で難聴児療育のコーディネートや療育プログラムの個別具体的な作成、相談をする拠点にさせていただきたいと思っております。  あわせまして、長野県諏訪湖健康学園の移転、また、信州大学にございますがん医療総合センターとの連携、長野県赤十字血液センターの製剤部門の拠点化といった複合施設として活用させていきたいという計画を具体的に持っておりますので、ぜひとも深い御理解をいただき、御協力をいただければと思います。       〔36番牛山好子君登壇〕 ◆36番(牛山好子 君)4年間でこの検査を受けた新生児は4万3,978人、うち3次のスクリーニングを受けたのが74人、検査継続30人、聴覚障害確定児30人。そして、この数はことしも確実にふえてまいります。療育体制の整備が急がれますし、経済的支援を望む声も多くあります。関係機関、関係者との十分な連携の上で、できるだけ早く取り組んでいただきたいと思います。  13年9月の質問時、知事は、保護者の方々には大変な困難が待ち受けるわけでございまして、これまたきちんと具体化に向けというお話、それから4年がたっておりますけれども、今のお話のとおり伺いました。どうぞ、早急な対応をお願い申し上げます。  次に、廃棄物対策についてお伺いいたします。  これまでの間、何人かの方から質問がありましたので、絞って質問させていただきます。  中信地区の最終処分場の2カ所の候補地について、現状をお伺いします。  松本市からは3月、塩尻市からは5月に、いずれも活断層の上に、あるいは近くに候補地が設定されているのではないか、まず調査してほしいとの要望が出されております。現在の状況、また、いつごろ調査が終わるのか。生環部長にお伺いいたします。       〔生活環境部長木曽茂君登壇〕 ◎生活環境部長(木曽茂 君)お答えいたします。  中信地区松本ブロックにおける廃棄物処理施設につきましては、中信地区廃棄物検討委員会において列挙された19カ所の候補地から選定作業を進めてまいりました。  昨年7月には7回の住民説明会を開催し、選定スケジュールなどについて説明をいたしました。11月から12月にかけては、候補地選定のための絞り込み方法と、環境面や社会経済面に対する影響などを評価する計画アセスメントの実施方法について8回の住民説明会を開催し、広く御意見を募集いたしました。  候補地選定では、まず土砂災害危険区域等を除いた上で、まとまった土地が14ヘクタール以上あるか、土地勾配が15%未満などの5項目の基準により絞り込み作業を行い、計画アセスメント候補地として松本市内田、塩尻市桟敷の2カ所を選定いたしました。  この選定作業の結果について住民の御理解を得るため、平成18年3月4日に説明会を開催いたしました。その際、住民の方から、計画アセスメント候補地の直下に活断層が走っているとの御指摘があったところでございます。また、松本市及び塩尻市から、それぞれの計画アセスメント候補地内の活断層に関するさらなる調査の要請が県にありました。これを受けて、現在、それぞれの候補地について、活断層に関する専門家からの聞き取りや文献調査などを行っているところでございます。これらの調査結果がまとまり次第、両市や住民の皆様に十分な説明をしてまいりたいと考えております。       〔36番牛山好子君登壇〕 ◆36番(牛山好子 君)地元では、なぜこんなところにと首をかしげる人もおりますし、怒りをあらわにする方もおられます。東海地震との関連の地でも入っておりますし、地形や周りの環境を考えますと、知事がこれまでノーと言ってこられた地域よりももっと条件は厳しいように思います。また、14ヘクタールという面積基準は非常にあいまいでございます。逆に、あるいはもう県はつくるつもりがないのか、それを織り込み済みでの場所の選定であったのだという関係者もおります。  中信地区に廃棄物処分場はできるのか。本当につくるつもりがおありなのか。部長に再度御答弁願います。       〔生活環境部長木曽茂君登壇〕 ◎生活環境部長(木曽茂 君)お答え申し上げます。  県としましては、3Rの精神に基づきまして、排出量、最終処分量を減らす方向で、事業者または排出事業者に対しまして、それから産業廃棄物処理業者に対しまして指導をしているところでございます。  昨年、9月15日に、新しい公共関与の考え方ということで、これまでの処理施設の建設計画から運営まで公共がかかわるものとしていた方針を改めまして、公共が関与し、地元自治体や住民とともに構築する監視・苦情処理体制による優良な民間事業者の参入を促進するということとしたところでございます。  ただ、中信地区につきましては、まだ候補地が絞り切られた状態ではございません。その結果が出たところでの判断ということになろうかと思います。  以上でございます。       〔36番牛山好子君登壇〕 ◆36番(牛山好子 君)部長、面積基準があいまいではないかという批判があります。これについてお答えください。       〔生活環境部長木曽茂君登壇〕 ◎生活環境部長(木曽茂 君)お答えいたします。  この面積基準につきましても、中信地区廃棄物処理施設候補地検討委員会の中で14ヘクタールというものが提案されまして、それに基づきまして設定されたものでございます。       〔36番牛山好子君登壇〕 ◆36番(牛山好子 君)時間がないので先に行きます。長野県の産業廃棄物の排出量、また削減の実態について生還部長にお伺いします。  国の告示34号には平成22年の廃棄物削減目標も出されておりますけれども、再生利用率は、長野県、全国平均よりも低いという状況もあるということでございます。本当に減量できるのか、対応できるのか。お伺いいたします。       〔生活環境部長木曽茂君登壇〕 ◎生活環境部長(木曽茂 君)お答えいたします。  産業廃棄物の実質的な排出状況等を見てみますと、処理の状況でございますが、再生利用量につきまして、平成10年度132万5,000トンが平成16年度147万5,000トン、それから減量化量といたしまして、平成10年度167万9,000トン、平成16年度が201万7,000トンということでございます。この傾向を見ますれば、減量化または再利用が進んでいるものというふうに思います。  それから、これに伴いまして、最終処分量が24万7,000トンから9万3,000トンへということで半分以下に減ってきているということで、企業の皆様、または産業廃棄物処理業者の皆様の御努力によりまして資源化、再利用が進んでいるものというふうに考えております。       〔36番牛山好子君登壇〕 ◆36番(牛山好子 君)きょうの新聞では、長野市、昨年度、「ごみ処理総量2.7%増」という新聞も出ておりました。市町村も大変な取り組みの中で苦労しております。どうか、その辺も含めての県としての対応をお願いしたいと思います。  また、福井県の敦賀市にある民間企業のキンキクリーンセンターというところがございますが、このセンターの状況について現在どのような状況にありますか。生環部長にお伺いします。       〔生活環境部長木曽茂君登壇〕 ◎生活環境部長(木曽茂 君)お答えいたします。  キンキクリーンセンターへの廃棄物の持ち込みは、市町村から発生します焼却灰の搬入が主だったというふうに記憶しております。その後、キンキクリーンセンターにつきましては、持ち込みが禁止され、搬出等を命じられていると聞いておりますが、量的なものとか詳細については現在ちょっと資料を持ち合わせておりません。       〔36番牛山好子君登壇〕 ◆36番(牛山好子 君)民間の管理型であるこの施設が漏水などのトラブルが発生した事例でございまして、ここに、長野県から5団体、焼却灰を持っていっています。それもあわせてですが、長野県から流出を受け入れている。県の中には、自分のところで逼迫しているということで、他県からの流入を慎重にという声が議会で上がってきているというところも出てきております。  本来、廃棄物処理の最終責任は県です。田中知事は、公約どおり、自区内処理をきちんと進める、その決意がおありか。この点について知事の御答弁をお願いいたします。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)昨日、一般廃棄物の件に関してもお話をしましたように、自区内というその自区内をどうとらえるかということもあります。これは無論日本全体で考えることですし、とりわけうちは水源県でありますから、本県として一体的に取り組む必要があります。  先ほど木曽茂が申し上げましたように、まさに3Rということを行う必要がございます。そして、そうした中でこうした処理施設、焼却場が新たな箱物行政になっていってしまうのを防ぐことと同時に、私どもの企業を初めとして非常に意識が高まり、御協力をいただいております。その中で少子社会も進んでおります。この中で、まさに広い意味での私たちは本県一体となっての自区内の処理ということを無論行っていくところなわけでございます。  そして、そうした中においては、無論、本県のみで解決できない部分、処理できない部分というのもあるわけです。ただ、本県が主体的に行っていく。そして、これは産業廃棄物にとどまらず、一般廃棄物に関しても、県民と一緒に、地域と一緒に行っていくということを昨日来述べているところです。       〔36番牛山好子君登壇〕 ◆36番(牛山好子 君)今、市町村も、それから産業界もさまざまな形で取り組んでいただいているこの問題について、大変皆さん苦労していらっしゃいます。知事の御答弁を聞いている限りでは、何か自区内処理ということが大変あいまいになってきていて、これこそ知事がまた大きく問題にしたい、テーマにしたいとおっしゃっている割には、長野県の最終処分場、あるいは廃棄物をどうするのかというビジョンが見えてこないのが大変残念でございます。  監視とか規制を強めるだけでは決して優良事業者は育たないし、問題の解決にはなりません。本当にもっと、さまざまな団体との連携の中でこの辺の問題をきちんと詰めながら政策を展開していただきたい。それを要望しておきたいというふうに思います。  次に、エイズ対策について。  今議会にも提案をされておりますエイズ対策についてですが、無料、匿名のHIVの迅速検査を実施するということについて補正予算に盛ったということで、一定の評価はさせていただきたいと思います。  しかし、議案説明書の約2ページを割いて、声のトーンを変えてまでエイズ対策に取り組むとの訴えにしては、施策の全容が見えません。  知事の話された内容は、県内の関係者の間ではかなり早くから懸念の声が出ておりました。一昨年に私が質問する際に調査でお目にかかった、エイズ問題にずっと取り組んでこられた医療関係者や、また人身売買等の被害者の女性たちを支援した方々も、異口同音に言われておりました。近い将来、県内には感染爆発が起きると。このことは質問の中でも申し上げておきました。県衛生部でもこのことは承知しておりました。ワーストワンになったから、わかった。最近のことではないと思います。長野県は、実は、これらの声に県として対応してこなかった。これは田中知事になってからもです。  さらに厳しいことに、地域の保健所が、職員の異動が激しくて、情報交換や落ちついて相談、提案もできなくなったと不満の声も多くありましたので、つけ加えておきます。  これからは、県衛生部だけではなくて、有識者、専門家、学校の現場、市町村、県警本部、医療、地域関係者などによる知恵と力を結集した県民運動にしなければ、予防と蔓延防止は不可能というふうに思います。将来を見据えた総合的な施策の展開を図るべきと思いますが、知事の御所見を伺います。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)まさに実効性のある県民運動にせねばならないわけですから、ぜひともこうした点に関して、いち早くその問題を認知されていた議員の御協力を改めてお願いをするところです。  無論、その点は、今までにも備前光正議員からも2月の定例会で御質問いただいているところです。  きょう付の信濃毎日新聞の社説にも、「身近な問題と考えよう エイズ対策」というのが載っておりました。ここの中の一番最後に、「最も怖いのは、気付かないうちにパートナーに感染させる恐れがあることだ。ひとごとにせず、感染の心配があるなら、迷わず検査を受けるべきだ。」とございますが、パートナーにとどまらないわけでございますね。歯科診療等をする歯科衛生士や歯科医師等に口腔内の血が飛ぶことで感染することもあります。つまり、御自分の恋愛相手、結婚相手だけではない。家族もそうです。近隣の方もそうだということです。  そして、ここに「感染の心配があるなら、迷わず検査を受けるべきだ。」とありました。私は、非常に隔靴掻痒の感を感じますのは、感染の心配があるのは全県民だということです。全国民であり、全世界の方だということです。  これは、産経新聞の論説副委員長だったんでございましょうか、前回の知事選にも立候補をいっときは表明された花岡信昭さんのメールマガジンの6月26日に、「なにやらとんでもないことを知った。あの長野でエイズが蔓延しているというのである。」と。「わが故郷がそういう実態になっているとは知らなかった。変な言い方になるが、長野にはいかがわしいその手の歓楽街はほとんどない。いったい、どういう理由でエイズ蔓延の深刻な事態を招いたのか。これは観光・長野にとってどの程度の悪影響をもたらすのか。」とありますが、花岡さんに罪はございませんが、私たちの状況はこうではないということを知事会見でも述べました。長らく、清く正しい信州・長野県だと思われていた長野県は、逆にそうではないということを全員が自分の問題としてまず自覚せねばなりません。  同じ産経新聞の諏訪通信部にいらっしゃるんだと思いますが、高砂利章さんという方がいち早くこの問題を5回にわたって長野県版で連載をしてくださいました。私は大変深い感銘を覚えまして、産経新聞には、かつて私も存じ上げている宮田さんという、エイズの問題にもう10数年前からいち早く取り組まれ、本も物された方がいらっしゃいます。恐らくは、この方の系譜を引く気概をお持ちの方だと思います。  繰り返しますけれども、過去3年間の平均でも、私どもは、感染者の対人口比率というものは2位であったり3位であったりしているわけで、東京都に次いで全国2位であります。そして、異性間による感染者に限れば、過去5年間の感染率は東京都を上回っている年の方が多く、これは産経新聞の高砂さんの記事の中から再引用させていただいております。そして、異性間の感染率が全体の80%を超えているわけでございます。すなわち、提案説明でも読みましたように、ごく一部の同性間の性愛、あるいは薬害エイズ等の血液製剤での感染の方ではない方、本当に横の隣人の方です。  そして、この高砂さんが、しかし本県の存続にすらかかわると知事が述べたけれども、県民の側がどこか他人事で深刻にとらえていないのではないか。そして、県内の日本国籍の方の中では四、五十代が感染拡大の中心となっていて、患者のほとんどが外国籍であった10年前と異なり、現在の感染拡大の中心は日本国籍の日本人そのものである。何より感染者の少ない他県の人々からすれば、そしてその人たちは、エイズに対して正しい知識を持たない住民がいれば、彼らから長野県民が差別視されてもおかしくない状況にあることを私たちは自覚するべきであるとまで冷静にお書きくださっております。そして、この高砂さんは、5回目の連載の最後のところで、啓発とは感染予防法を教えることにとどまらないで、HIV感染者とどうつき合っていくか、そして感染者は自分の人生をどう生きていくかを教えることであり、長野県の現実はそこまで要求している。近道はないとおっしゃっています。  まさに、早期発見をすれば、早期治療をすれば、HIVは死に至る病ではありません。しかしながら、エイズになればこれはほぼ確実に死に至る病です。といたしますと、私は、シンガポールのような国は民主主義と言いながらさまざまな問題を抱えていますが、すべての国民にHIVの検査を義務づけるというようなことこそが今日本には逆に必要ですし、そのことによって差別を生まないような社会、まさにリビング ウィズ エイズであるということを皆が感じる必要があろうかと私は思います。  そうした形は、さまざま個人の問題、人権の問題があるかもしれませんが、HIVは私たちとともに生きているということを知るならば、全県民の方が自発的に一日も早く検査をしていただき、そして、一たび検査をして安心だったからといって慢心するのではなく、定期的に検査を続けていただくということをぜひこの場をかりて皆様にもお願いいたしたいですし、ぜひとも県民のとりわけ選良である議員の方々は率先をしてこのことを実行をしていただきたいと思います。  なぜならば、85%の方が異性間の性愛によって感染をしており、そして四、五十代の方が多くを占めており、そして本県は対人口比で全国で2番目の比率でHIVの感染者が多く、そしてほぼ10年間という潜伏期間があるHIVの感染段階で把握したのでなく、発病をしてから、手おくれになって、死の病が発症をしてから初めて知る方が多く、その間に御家族を初めとして多くの方が母子感染も含めて不幸の連鎖になっているということです。  ぜひともお一人でも多くの方、とりわけ議員や私どもだけでなく、今2階の席におられる表現者というまさに本県の世論を、パブリックセンチメントの方でございますけれども、パブリックセンチメントを形成していく表現者の方が真のパブリックオピニオンとしての輿論とすることをぜひ個々が実践いただくことで、経営者の方々も含めて、本県のHIVの問題をまさによい形でのリビング ウィズ エイズにさせていただきたいと思います。       〔36番牛山好子君登壇〕 ◆36番(牛山好子 君)総合的な施策をぜひ検討して、また各団体とも連携をとりながら頑張っていただきたいと思いますし、私どももできることはしっかりとやってまいりたいと思います。  終わりに、知事の政治手法の顕著なものにメール行政が挙げられると思います。私もいろいろな相談を受ける中で、相手の方からその相談もされました。実際、何度も、ようこそ知事室を申し込んだけれどもだめだった、最後の手段でメールを打って要望が通ったと連絡をいただいたグループや団体の方もいらっしゃいます。ただ、その方たちの多くは、後味が悪いと思っている節があるのです。要するに、フェアではないという感覚。皆、一生懸命頑張っている。同じテーブルで議論されたのではない、自分たちだけ場外で決めてしまったという感覚。決定の過程が…… ○副議長(佐野功武 君)牛山好子議員に申し上げます。申し合わせの時間が経過いたしましたので発言を終了願います。 ◆36番(牛山好子 君)透明性がないということでしょうか。説明責任が果たせない。逆に言えば、今ほど県政に公平性、透明性が求められているときはないと思います。皆が何か変と感じてきています。  以上で質問を終わります。 ○副議長(佐野功武 君)次に、鈴木清議員。       〔29番鈴木清君登壇〕 ◆29番(鈴木清 君)短い質問時間ですので、単刀直入、簡潔にして要を得た答弁を御期待申し上げまして、質問へ入ります。金融機関の貸しはがし、いわゆる一方的な条件変更についてお伺いいたします。  借り主、貸し主双方の関係にあって、ともすれば泣く子と地頭にはかなわないと言われますが、借り主の方が弱い立場にあるのは否めません。特に、建設業は、災害、除雪等、県民生活に直結する産業です。行政が金融機関に対し指導、助言を与え、安心して健全な事業活動に努める金融環境をつくるべきかと思われますが、商工部長には、保証協会の保証件数の推移、景気低迷に伴う代位弁済の状況についてを含めた所見を承りたいと思います。  また、土木部長には、いわゆる発注者であると同時に、当該業界の収支決算状況をどの程度認識していらっしゃるのか。  次に、出納長には、いわゆる指定金融機関のあり方について。縁故債と申しますか、県債の引き受け状況、取り扱い状況について所見を含め、お答えいただきたいと思います。
          〔商工部長山極一雄君登壇〕 ◎商工部長(山極一雄 君)お答えします。  まず、県の信用保証協会の保証承諾の件数、金額でございますが、平成17年度の1年間でございますが、件数、金額につきましては3万505件、2,652億6,153万8,000円で、このうち建設業でございますが、8,946件の721億7,681万8,000円でございます。推移ということでございますので10年前と比較いたしますと、金額ベースで全体では35.6%の増でございます。建設業は47%の増になっております。  それから、代位弁済件数でございます。これにつきましては件数、金額を申し上げますが、平成17年度の件数が1,637件、金額が118億1,197万6,000円、このうち建設業でございますが、610件、43億6,908万8,000円でございます。これも10年前と比較いたしますと、金額ベースで全体では196.9%の増、それから建設業では467.5%の増ということでございます。  それから、これについての所見ということでございます。  単純に比較をいたした所見ということで、軽々には申し上げられないと思います。ただ、一つの見方といたしまして、保証の承諾件数、金額は今申し上げましたように10年前と比較いたしまして伸びております。これは、保証協会の保証を通じて資金調達がある程度円滑に果たされているという見方もできます。  一方で、代位弁済額についてですが、近年の不況の結果大幅に伸びては来ているんですが、逆に考えますと、経営状況が悪い企業に対しても保証を行っているという結果、代位弁済がふえているということも一方では言えるんではないかと。そういう意味では、保証協会の機能は十分に発揮されていると。これは一つの見方でございますが、この数字だけでそういったことは言えるかなというふうに思います。       〔土木部長原悟志君登壇〕 ◎土木部長(原悟志 君)お答えいたします。  建設業協会の収支決算状況についてどのような認識かということでございますが、本年度、これは東日本保証協会のデータでございますけれども、昨年度に比べまして、請負金額では増加しておりますし、また保証額では増加しております。  そのような面で、体力的にはまだまだ余裕が関東ブロックの中ではあるというふうに聞いております。しかしながら、このような状態が例年続いてきておりますので、かなりボディーブローというふうな形できいてきておるかとは思います。  そういう中で、建設業の業者数につきましても相当減少してきております。しかしながら、許可を創設する業者数さん、あるいはまた新規に入ってこられる方もおります。こういう中で見ますと、やはりそれぞれ業者の方では、私ども建設業に対するいろいろな支援施策を講じておりますので、こういう中で、また新規に入られる方、あるいは新しい分野に行かれる方もございますので、きめ細かな対応をしていくことが必要だというふうに思っております。  以上でございます。       〔出納長青山篤司君登壇〕 ◎出納長(青山篤司 君)指定金融機関の関係でございますけれども、これは、御承知のとおり、自治法によりまして、県の公金の収納及び支払い業務をする機関ということで指定金融機関という形で契約したのは昭和39年、知事との契約によって成り立っております。  それで、その指定金融機関ということと関連しますか、具体的には八十二銀行が指定機関になっていることは御承知のとおりでございます。それで、県債等の発行のどういう関係かということでございますが、直近の17年度の県債の発行について若干状況を申し上げますと、17年度は県債の発行が約1,690億弱。これは借換債が半分入っています。だから、新規発行分は半分だと思ってください。大きく分ければ政府資金と民間資金に分けられます。それで、そのうち約1,400強が民間資金で調達しています。そのうち八十二銀行で引き受けていただいた額、およそ480億ということで、大体3割弱ぐらいかと思っています。  ただし、これは、毎年度がこの割合になるわけじゃなくて、年度ごとに政府資金の割合が変わってきますし、地方債計画が変わりまして、その関係でこのシェアは必ずしも毎年同じだということはございませんで、常にその年度によってシェアは変わってくるという状況でございます。       〔29番鈴木清君登壇〕 ◆29番(鈴木清 君)ここで知事にお伺いいたしますけれども、商工部所管の保証協会の機能、あるいは建設業の厳しい状況等の中で、私どもの県民生活に直結したいろんな個々の企業が、借り手、貸し主の関係の中で、ともすれば、今の指定金融機関の特定の金融機関名は申しませんが、一方的な条件変更によって、最後のチャンスを踏み出すのではなくて、逆に後ろから引っ張られてしまうというような個々の例が耳にすることがございます。具体的な個別的な事例、データとして把握しておりませんけれども、やはり県が行政の立場で、長野県産業の弱小企業、零細企業の育成という観点から立って、一歩前に踏み出して、金融機関と個々の企業とのいわば金融110番的な機能を持つ決意を持って立ち向かっていただきたい、そんなお願いを込めて知事の決意をお伺いしたいと思います。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)これは、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」というような番組、あるいはそのほかの新聞の経済面でも繰り返し記されていることが、例えば今首都圏というか、都心部を初めとするオフィスビルや高級なマンションの建設ラッシュでありまして、そうしたところに、ゼロ金利という日銀と政府与党の政策のもとで金余りの状況になっている地方の金融機関がこうした建設業者に巨額の資金を融資をしたり、あるいはそうしたものに実際に事業体として参加をしているというようなことが伝えられております。  これは、一般論である、全国的に見られる状況なのかもしれませんが、地方の金融機関はだれのためにあるかと言えば、無論、この県議会での議論も信州のためにあり、そして信州から日本を変えることでして、ということは、信州のために働いてこそその金融機関が社会的責任を果たし、そして、その中で、信州でのそうした信州のためへの取り組みが日本全体に広がることが信州から日本を変えることであります。  産業界、ITの業界にとどまらず、さまざまな業界に多くの知己を有され、そうした分野に関して非常に見識をお持ちの鈴木清議員からも、この問題を大変に憂慮するという真剣な訴えがございました。やはり、これは、そうした産業界、土木建設業界の窮状というものも熟知された議員がこの議場の場でおっしゃるということは大変に重いことだと私は思います。そして、私どもの県も、この間のさまざまな改革に当初戸惑われながらも理解をされ、ともに歩んでくださっている最も改革マインドを発揮しているのは、繰り返し申し上げますが、本県の土木建設業の方々だと私は思っています。そうした方々が存在してこそ、本県の急峻な地形の中での生活も営まれます。  早急に、改めて、無論その情報を提供されるということ、私どもに語っていただくことのみで新たな貸しはがしが生じたりということも、これはまさに紙面等で全国の話として多く載っております。こうした中での精神的な非常な圧迫感や制約をお感じになっている土木建設業の方々も数多くいらっしゃるかもしれませんが、しかし、私どもは、そうした方々が新たな貸しはがしに遭うことがないように、早急にこの点は調査をきちんとして、その上できちんとした対処をさせていただきたいと、このように思っております。  ぜひ、その際には、皆様も、それを恐れることなく、ともに本県の県民のために、土木建設業の方のために、企業市民としての意識が結果として滞っていらっしゃる方々がいれば、御一緒に、私どもがヤミ金110番を皆様の御協力のもと全国に先駆けて行ったように、この点に関しても敢然と行えるようにまず徹底した調査を迅速に行うということを確認させていただきたいと思います。       〔29番鈴木清君登壇〕 ◆29番(鈴木清 君)知事から想定外の御答弁いただきましたけれども、田中県政2期6年間の経済施策の状況というものを総括し、質問に入らせていただきたいと思います。  一部重複しておりますが、いわゆる産業は県民が生活していくための働く場であり、地域社会を支えるものであります。同時に、県民に提供するさまざまな行政サービスを継続的に提供していくために不可欠な財源を生み出す、県政運営の基盤を支えるものであります。  ここで、関係する部長に、知事の6年間の産業育成の成果を示す客観的な指標を幾つかお伺いしたいと思います。  まず、商工部長にお伺いします。  田中知事就任時の平成12年と平成16年の製造品出荷額と事業所数、従業員数、平成12年と比較しての増減及び増減の割合。  平成12年の工場立地件数の全国順位と平成17年の工場立地件数速報値の全国順位をお示しください。  また、雇用の状況を示す有効求人倍率について、平成12年度の平均と今年度直近の有効求人倍率についていずれも全国順位を。  加えて、平成12年と平成16年の観光延べ利用者数とスキー場利用者数及び、比較しての増減人数、増減の割合をお答えいただきたいと思います。  次に、農政部長にお伺いいたします。  平成12年と平成16年の農業産出額と全国順位及びその増減額、増減の割合。  次に、遊休農地について、平成12年と平成17年の県内の耕作放棄率をお示しください。  また、県内農業を担っている方の65歳以上の方の割合をお示しいただきたいと思います。       〔商工部長山極一雄君登壇〕 ◎商工部長(山極一雄 君)お答えします。  製造品出荷額でございます。これは従業者4人以上の事業所でございます。平成12年が7兆168億円、平成16年が6兆350億円、9,818億円の減少、14%の減でございます。それから、事業所数でございますが、平成12年8,281事業所が平成16年は6,610事業所、1,671事業所の減、20.2%の減でございます。次に、従業者数でございます。平成12年23万8,666人が平成16年20万9,511人、2万9,155人の減、12.2%の減という状況になっております。  それから、本県の工場立地件数でございます。これは経済産業省が実施しております工場立地動向調査でございますが、平成12年が47件、平成17年が28件、全国順位は平成12年が第8位、平成17年が第27位という状況でございます。  次に、有効求人倍率でございます。これは長野労働局の資料でございます。平成12年が1.04倍で全国3位、今年度直近でありますのは4月でございますが、4月は1.17倍でございました。全国順位15位となっております。  それから、観光地の利用者統計調査の結果でございます。平成12年は9,663万人、平成16年が9,236万人で427万人の減、4.4%の減でございます。  それから、スキー、スケート場の利用者統計調査の結果でございます。平成12年が1,104万人、平成16年が880万人、224万人の減、20.3%でございます。  あえて申し上げますが、製造品出荷額、あるいは工場立地件数、それから有効求人倍率が平成12年と比べて減少している背景といたしましては、平成12年がITバブル、これはパソコン、携帯電話、デジカメ等でピークだったということによるものであると考えられております。しかしながら、これらの指数は平成14年を底に、平成15年から薄型テレビ等のデジタル家電関連産業にも支えられて増加に転じてきております。あえて申し上げたいと思います。       〔農政部長柳沢直樹君登壇〕 ◎農政部長(柳沢直樹 君)それでは、農業関係のデータについてお答えをいたします。  まず、農業産出額でございますけれども、平成12年の農業産出額は3,060億円で全国の9位、16年は2,869億円で全国10位となっております。減少額191億円、16年の12年対比では93.8%という形になっております。  引き続きまして、遊休農地の関係で耕作放棄地率ということでございますが、平成12年の耕作放棄地率は14.9%、高い方から全国8位。平成17年は17.5とふえておりまして、これは順位としては全国9位ということで下がっております。  引き続きまして、県内農業を担っているうちの65歳以上の割合ということでございます。2005年、平成17年の農林業センサスによりますと、いわゆる農業に主として従事する基幹的農業従事者のうち65歳以上の占める割合は65.5%となっております。  以上でございます。       〔29番鈴木清君登壇〕 ◆29番(鈴木清 君)以上の答弁をお聞きしまして、残念ながら、県内主要産業の基盤が揺らぎ、いわゆる県土の荒廃が進んでいることを認めざるを得ません。  総務部長にお伺いしますが、平成12年度と平成15年度の県内総生産を比較しての増減率と、それぞれの年度の全国順位、平成12年度と平成15年度の1人当たり県民所得と対全国比をお伺いいたします。  また、平成12年度と平成16年度の欠損計上法人の割合と全国順位もあわせてお伺いしたいと思います。       〔総務部長原修二君登壇〕 ◎総務部長(原修二 君)お答えいたします。  平成15年度の県内総生産は平成12年度に比較いたしまして8.0%の減となっております。また、全国順位は、平成12年度、15年度とも16位でございます。  次に、1人当たり県民所得でございますが、平成12年度が302万7,000円、対全国比101.3%、それから平成15年度が273万7,000円、対全国比94.7%でございます。  それから、平成12年度と平成16年度の欠損計上法人の割合と全国順位についてのお尋ねでございますが、国税庁の税務統計情報によりますと、平成12年度が、長野県74.7%、全国順位42位、それから平成16年度が、長野県78.4%でございまして、全国順位47位でございます。  なお、赤字法人の1社当たりの欠損額では、平成12年度は長野県549万円でございまして、全国平均は1,244万円ということでございます。全国順位27位でございます。それから平成16年度は、長野県427万円、全国平均が1,103万円でございまして、全国順位34位でございまして、1社当たりの欠損額では全国平均を大きく下回っております。  以上でございます。       〔29番鈴木清君登壇〕 ◆29番(鈴木清 君)いわゆる雄弁は銀なり沈黙は金なりということわざがありますが、美辞麗句よりも数字は長野県の実態を正確に語っております。県内総生産は長野県の経済成長率と言える数字であります。  知事は、6月定例会提案説明において、財政改革について、平成12年度から平成17年度までの丸5年間で累積赤字を923億円減らしたと胸を張れる成果と発言しておりますが、しかし、その実態は、みずから述べられたように、返済する起債額よりも発行する起債額を少なくしてきただけであります。こうした結果、県民生活に与える長野県経済はマイナスのスパイラルに陥り、大きな痛手をこうむっていることが明らかになりました。  公共投資の削減は時代の流れです。私も否定はしません。しかし、生きている経済、県民生活への影響とのバランスをとりながら財政改革を行い、必要な産業への投資を行うことが県政運営の責任者の務めであります。必要な支出を行わず、目先の収支の帳じり合わせをしてきた結果が今の長野県経済の状況です。  以上、私は田中県政の6年間の産業政策の成果というものを数値により概括させていただきましたけれども、当該の商工部長には、次なる製造業、観光施策の一手があるのかどうなのか。農政部長には、本県のあるべき農業の姿を具体的にお示しをいただきたい。いわゆる選択と集中をもってどのように産業を起こすのか。それぞれお述べいただきたいと思います。       〔商工部長山極一雄君登壇〕 ◎商工部長(山極一雄 君)お答えをいたします。  今後とも、長野県の基盤でございます製造業、あるいは観光・サービス業というものは、より足腰を強くし、さらに時代に合った産業構造の変革、あるいは新産業の創出がぜひとも必要でございます。引き続き、それに向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。  また、産業構造の変革、あるいは新産業の創出というのは、これを実行すれば必ずうまくいくというようなセオリーは別にないわけでございまして、地道な技術研究、開発、あるいは産・学・官の連携、あるいは新分野への進出、企業誘致などを地道に進めていくという必要があろうかというふうに思います。  また、商工部で実施をいたしておりますバトラーサービスを通じましてもきめ細かく企業ニーズをお聞きいたしまして、金融機関、商工会、あるいは商工会議所、中小企業振興センター、それぞれ関係機関と一体となった連携を図りまして総合的な支援をこれから行ってまいりたいというふうに考えております。       〔農政部長柳沢直樹君登壇〕 ◎農政部長(柳沢直樹 君)長野県の農業のあるべき姿というお尋ねでございます。  本県の農業のあるべき姿、これから目指す農業ということであろうかと思います。それは、生産者はもとより、消費者の視点に立ち返りまして、まずは、量の拡大から、環境に配慮した安全、安心な質の高い農産物を安定的に生産する農業に転換すべきと考えます。  そして、信州農産物のブランド力を高めながら、信州農業を利益率の高い自律的な産業へと誘導することが必要でございます。さらに、地産地消や都市・農村交流などを進め、信州らしい自然豊かな活気あふれる農村地域の発展を図らねばなりません。  これらのことを総合的に進め、信州農業の魅力や、内在するポテンシャルを発揮した潤いのある農業・農村を目指したいと考えております。  このため数々の具体的施策を講じているところでございます。例えば、自然と環境に配慮したレス50、レスザン50の栽培を推進していますけれども、お米ではレス50の栽培技術が確立してきたと考えられております。  また、信州ブランドを高める原産地呼称管理制度では、認定米が延べ26品と徐々に増加し、その中の1品が全日本空輸の機内食にも採用されたところでございます。  また、信州らしいオリジナル食材の開発という点では、例えばリンゴのシナノゴールド、あるいは信州サーモン、地鶏の信州黄金シャモなど、全国に誇れる秀逸なオリジナル食材が本県の農業関係試験場から開発、生み出されているところでございます。  また、Iターン者など農業以外からの就農を支援する新規就農里親制度によりまして、3年余りでIターン者から新規就農者が43名ほど確保されたところでございます。これからもこれらの施策を、関係部局と密接に連携して、効果的に実施してまいりたいと、そういうふうに考えております。       〔29番鈴木清君登壇〕 ◆29番(鈴木清 君)長野県民の誇れるのは、昼夜をいとわず額に汗し懸命に働く真っ当な姿であります。私は、そういう意味において、長野県の農政も商工業も、きちんと前向きな、限られた経営資源の中で選択と集中をもって一歩一歩階段を上るような産業施策を進めていただきたい。今の商工部長と農政部長の答弁は、かつての右肩上がりの経済成長を前提とした、浅く広く、極めていわゆる他動的な産業施策としか私には思わざるを得ません。もう少し具体的に取り組んでいただきたいし、いろんな地域地域での事例を含めて、今地産地消と言われていますけれども、適地適産ということも含めて産業施策に取り組んでいただきたいと思っております。  また、知事には、先ほど想定外のこともいただいたと申し上げましたけれども、やはり、私ども、社会の中で必死に歩んできた人間がふと感じるのは、山本夏彦さんというエッセイストの「室内」という本の中に私が非常に気になる文言がありました。日経連の会長をやられた新日鉄の稲山さんのお父さんの実家が昔地方銀行をやっておった。長野にもありました。太宰の実家も金融機関、銀行です。稲山さんのお父さんの銀行が倒産したときに、おい、稲山君、よかったな、おやじの銀行がつぶれたぞと言われてほっとしたという一節があったんですね。  やっぱり金融機関は浮利を追う。私ども長野県民は、額に汗し、懸命に働く。その金融機関が、メガバンクを中心として、とうとい県民、国民の血税をもって不良債権を処理し、今また新たに仕切り直しし、産業資本のいわば代弁者というよりも、私ども、あるいは身近な零細、中小企業の支援をくむことなくして、私は、幾ら資本主義社会における企業の役割といえども、容認することはできないということを申し添えたいと思います。  そういう意味で、田中知事には、8月の任期以降のことはあえて申しませんが、任期期間中にはそれらのことを踏まえて全力投球で取り組んでいただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。 ○副議長(佐野功武 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時55分休憩          ──────────────────         午後3時13分開議 ○議長(萩原清 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて発言を許します。  保科俶教議員。       〔31番保科俶教君登壇〕 ◆31番(保科俶教 君)最初に、産業振興策について質問をいたします。  前段の同僚議員の質問からもわかりますように、田中知事就任以降の第1次産業、第2次産業、第3次産業の主な統計すべてにおいて減少しているばかりでなく、47都道府県の順位においても下落しており、数字の上からも田中知事就任以降の長野県産業の低迷ぶりが明らかとなっているのであります。  私は、なぜ県内の産業がこんなに疲弊してしまっているのかずっと疑問に感じておったわけでありますが、昨日の同僚議員の質問に対しまして知事は答弁されております。長野県の山河を守る産業を振興させ、つまり、環境に配慮しつつ産業の育成、振興を図るという知事の産業振興の理念は理解できるわけでありますが、しかし、本県だけが産業振興を図り産業が成長するのは独禁法違反をしているようなものだとの趣旨の知事の発言がありました。これを聞いて、私、知事の産業振興に関する基本理念はまさにこの発言に集約されている面があると、こんなふうに理解できたわけでありまして、このような考え方では県内企業経営者が県の産業振興策を評価しないのは当然ではないかなと、こんなふうに理解をいたしたわけであります。  また、知事は、量の拡大から質の充実ということを再三言っておられますが、県民は現状に満足していないというところに問題があるわけであります。県内産業の停滞から1人当たり県民所得も当然のことながら落ち込んでおり、平成12年302万7,000円であったものが平成15年には273万7,000円と29万円も落ち込んでしまっております。全国順位も12位から15位と転落しているのであります。この間の全国平均の1人当たりの所得は12万7,000円の減でありまして、長野県の減少額の半分以下であります。  産業活動の不振から他県と比較して県民所得の大幅な落ち込みとなり、消費の低迷につながっていることは明らかであります。こうした産業の不振、それに伴う所得の落ち込みといったことが県政への不満につながっていることに率直に目を向け、対応すべきであると考えますが、知事の御所見をお聞かせください。
          〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)先ほど、鈴木議員の最後の御質問、私が答える機会はございませんでしたが、あるいは今の保科議員の御質問をお聞きして改めて感じましたことは、私が申し上げている少子社会、高齢社会における量の拡大から質の充実ということに関して、必ずしも同じ認識の座標軸や地点に立っていないのではという気がいたしました。  と申しますのは、例えば私どもの県の電気機械、製造業、これはいわゆるIT関連製品、金型も含めてここに含まれるわけです。これは、平成12年度の場合においても出荷額の割合というのは、こうした電気機械、製造業は全国では全体の19.8%でございます。他方で、本県はこれが47.6%と2倍以上の比率なんですね。このことが、非常に世界的な景気の動向に左右されると言われていました。  ただ、ここで大事なことは、ITの産業、皆様も御存じだと思いますが、日進月歩であります。そして、それは、小さなチップのみならず、さまざまなデジタル機器も価格は毎年下がっていくんです、同じ部品も商品も。そして、部品に至っては例えばわずか数年で20分の1とか10分の1というような価格競争の中にさらされています。ですから、ここで大事なことが、量の拡大、先ほどの出荷額の金額のみを単体でそれぞれとらえていかれますとこれは量の推移です。実は、出荷の個数、ロットは多くなっていたとしても、出荷額総額は10分の1の価格になっていればあるいは下回るということもございます。  そのほかの視点で見てみますと、例えば私どもの県民所得というもの、これは平成14年以降再び上昇基調にありますが、これは、前のバブルと言われた時代の昭和63年から平成3年くらいまでの間よりもはるかに、5,000億円以上県民所得は平均して上回っています。昭和63年や平成元年に比べて企業所得も4,000億円ほど上回っております。あるいは、オリンピックが開かれました平成9年度に比べても、例えば平成15年度の企業所得は上回っているという形です。  有効求人倍率は、逆に、オリンピックが開かれた翌年度の平成10年度、11年度というのは0.88でございました。そして、先ほど山極も申し上げたように直近で1.17でありますし、平成17年度も平均をして1.02という形です。  ですから、それはどのような指標でとらえていくかということがとても大事なことです。そして、同時に、県の予算というもの、予算も景気に連動していくとするならば、私どものオリンピックの翌年というものは1兆1,600億円の県予算でありました。しかしながら、有効求人倍率は0.88でした。そして、私たちの県税収入は、議員の皆様方は平成12年度と比べていらっしゃいますが、平成15年度と比べても、県税収入は平成18年度の見込みは平成15年度よりも139億円ふえて106.9%となっております。他方で、地方交付税や臨時財政対策債というものは、581億円、平成15年度から18年にかけて減って、これは81.2%という数値になっているわけです。  すなわち、本県が本県のみによって成り立つわけではないということを申し上げました。そして、本県のIT関連産業は世界の経済と連動し、世界の市場と連動していますし、本県の予算構造あるいは産業構造というものも、これは、政府・与党のもとで、日本銀行のもとで行われるものと連動をしているということであり、本県のみによってまさにこれは単独で行い得るものではないというところであります。  したがいまして、例えば本県の赤字法人率は極めて高いというふうに言われておりますが、この単体の指標のみをとれば、まさに自動車の関連産業という極めて山すその広い産業が好調である、そして、こうした関連産業がある、ITよりも景気の変動が少ない自動車関連産業の企業が数多くある群馬県も栃木県も赤字法人率は全国順位で3位や5位であります。本県は赤字法人率が1位かもしれませんが、しかし1社当たりの欠損額というものは全国順位では34位であったりします。  すなわち、私たちは、スリー・バイ・スリーと申し上げてきたこと、そして、議員からも大変な評価や御賛同をいただいた、山河を守りはぐくむということは、それ単体のことではありません。こうしたさまざまな指標の中で、いかに県民が質の充実ということに関して深い理解をいただき、自主、自律、自己責任の中で歩んでいただけるかということが反映されるわけであり、そして、それは、有効求人倍率をごらんいただければ、これだけ国からのお金が減りという中において、自主、自律、自己責任は県民の、現場においては私は着実に、とりわけ平成12、13のITの落ち込みはあっても、14以降、着実に回復をしてきているということであろうというふうに思います。       〔31番保科俶教君登壇〕 ◆31番(保科俶教 君)知事の産業振興策に対する認識、これが基本的に間違っているんじゃないでしょうかね。自分のやってきた産業振興策、それがうまくいかないから県民所得が減り、全国と比較しての順位が下がっているわけですから、それを率直に認めて、非なるところは正していくと、そういう率直な施策の転換が必要だと、こんなふうに思うわけであります。  知事は、今定例会知事議案説明の中で、平成12年から平成16年までの間、東京都を除く他の道府県では起債残高が増大しており、本県は、唯一、平成12年度から連続して減少させていますと自賛されておりますが、これは決して自慢になる話ではないのであります。理由は二つであります。  一つは、基金を500億円以上減らしており、これを借金の返済に充てたとも言えるからであります。  二つ目は、平成12年度決算と16年度決算を比較してみますと、12年度決算1兆580億9,500万円余に対し16年度決算は8,571億6,800万円余りであります。2,009億2,700万円の歳出減であります。その内訳は、経常経費で250億円減額させ、残りの1,759億2,600万円は投資的経費で減額させたのであります。つまり、平成12年度に比べて投資的経費を約52%、半額以下に減額したのであります。  わかりやすく言えば、事業、これは仕事とも言いかえていいと思うんですが、仕事をしなかっただけの話であります。ある程度の財政の知識のある者であれば、だれでもわかっていることであります。これを、素人を相手に自慢話をされるのはいかがなものかと私は存じます。  平成12年と平成16年の県税収入を比較してみても495億8,400万円の減額でありまして、全国順位で比較してみましても、12年16位であったものが18位へと転落しておるわけであります。  つまり、極端な投資的経費の減額が建設業を中心とした産業不振へとつながり、加えて、適切な産業振興策が講じられなかったツケが県下の産業不振、県民所得の低下という結果になっているのであります。有効な産業振興策を講じて税収を確保し、それを県民の福祉の向上に充てるという方向に向かうことを強く望むものであります。  最後に、産業振興策について私の提言を申し上げて、この項を終わらせていただきたいと思います。  当然のことながら、日本のように人件費の高い国にあっては付加価値の高い産業を育成して生き残るしか道はないのであります。その観点から、一つとして、付加価値の高い商品、サービスを生み出せる人材の育成、これがまず一番大事なことではないかなと私は思います。二つ目に、他者にまねのできない独自の技術の開発、これが大変重要なのではないかなというふうに思います。三つ目、トップセールスを含めた産業の誘致などの施策を積極的に推進されて、県民益につながる産業の振興を図れることを強く望むものであります。  次に移らせていただきます。小規模町村支援についてであります。  平成の大合併と言われた今回の合併によりまして、平成11年3月末で3,232あった市町村は平成18年末1,821市町村となり、1,411市町村が減少したのであります。率にいたしますと43.6%余りの市町村が減少したわけであります。  これは、国、地方を含めた厳しい財政事情の中、特に小規模市町村では、一つとして、頼りになる地方交付税がなお一層削減されると予想される状況下にあって、他の自治体と比較して、一定水準以上の行政サービスを維持することが困難であるという判断、二つ目として、国全体が人口減少時代に入ったこと、加えて、都市間競争が激化し、都市基盤の乏しい小規模町村は一層の過疎化が進んで厳しさが増幅する等が予想される事態を考慮して、合併は高度な行政サービスを維持するための選択肢であったと思うのであります。  長野県は、平成11年3月末で120市町村あったものが、現在、81市町村。このうち、1万人未満の町村が43町村残ってしまったのであります。国は、2011年度にはプライマリーバランスを黒字化するとの方針から、なお一層の行財政改革を推進する方向でありまして、地方交付税のさらなる減額が予想され、小規模町村は一定の水準の行政サービスを維持することが不可能となることが予想されます。  小規模町村の窮状を清内路村を例に申し上げますと、清内路村は、人口741人、一般職16名、臨時的任用職員2名、県派遣職員3名で、県の派遣職員まで入れても21名であります。こうした職員体制で、職員が何百人もいる市町村と同じレベルの行政サービスを実施することは不可能であります。また、一般会計当初予算は7億6,590万円で、そのうちの75.3%、5億7,670万円は地方交付税であります。村税は3,200万円、使用料、手数料などを含めた自主財源は8,425万円と11%にとどまっております。  このような村が、他の自治体と同じような事務事業を抱え、仕事量からいっても1人の職員も減らすことのできない状況下にありながら、財政的には、いつ減額となるかわからない地方交付税を中心とした依存財源が89%を占めるといった清内路村の例からも理解できるように、人口数千人といった小規模町村の自立は、今後の三位一体の改革の名のもとにさらに減額されるであろう地方交付税、高齢化、過疎化の進行等を考えたときに、困難であることは明白であります。  平成17年4月1日から平成22年3月31日までの限時法である市町村の合併の特例等に関する法律、いわゆる合併新法では、知事は構想に基づいた合併協議会設置の勧告を行うことができるとされており、勧告を受けた市町村長は合併協議会設置協議を議長に付議することとされております。  そこで、県として、合併推進に関する構想を策定し、合併協議会設置の勧告を行うべきと考えますが、知事の御所見をお聞かせください。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)今月の24日、25日に、岐阜県の白川村がございます。私、むしろ白川郷村とした方が、もう名前だけで野沢温泉村同様にゼロ予算事業のPRだという気がいたしますけれども、この村も自律を選んだところで、ここで私も2回ほど、栄村や阿智村で行ったとき、原村のときでございましょうか、講演をさせていただいたこともありますが、全国小さくても輝く自治体フォーラムというものが開催されました。小さいからこそ輝くということで、これは逆に市であっても加茂市というようなところも参画しております。全国の約100の自治体から参加したそうでございます。  ここで、立命館大学の森裕之助教授というのが講演されたんですが、森さんは、この4月から私どもの、正式名称は研究職員というような形でございましょうか、私どものさまざまな予算の査定や多くの事業や現場をごらんになっていらっしゃいます。ここで、森さんが「地方交付税改革と小規模自治体への影響」という講演をなさったんですが、補正係数の削減など新型交付税導入に伴う算出方法の簡素化によって大都市であろうとも基準財政需要額が減少となる自治体があるという試算を発表されて、小規模自治体はこうした不交付団体に指定されるような都市自治体との連携も図るべきだという講演をされたということです。  ですから、大きな自治体になったからといって安泰じゃありませんし、小さな自治体であるからといってどん底に陥るというわけではないことは、下條村もごらんになればわかることであります。  したがいまして、今お話がありました合併新法というものができたから合併を進めていくかというと、これはもう個別の事象に応じて、合併新法はけしからぬと言っているわけでも、合併新法オールマイティーと言っているわけでもありません。それぞれの事情というものがあります。そこで清内路村の事例を挙げられましたが、一昨日でしょうか、私も述べましたが、清内路村の村民たちが自主、自律、自己責任の意識になってきたと。それは、自治切り捨てとかサービス切り捨てではないという意識のもとで行われている。これがまずとても大事なことでありまして、その中において、それぞれどんな規模であれ、王道はないわけです。規模での安住ではなくて、質での充足ということを目指していく、そうした中で私どもは一緒にお手伝いをしていこうということであります。       〔31番保科俶教君登壇〕 ◆31番(保科俶教 君)自主、自立、規模の大小ではないと。例外はありますけれども、数千人というような町村が交付税に頼ってやっているという中で、これからますます頼りにしている交付税が減らされるということを考えたときに、光輝くとか、美辞麗句で済まされるようなことではないと私は思っているんですね。  昭和の大合併の場合なんですが、昭和の大合併の場合は経済が成長期であったんですね。昭和の大合併のとき、経済が成長期でありました。そこで、小さな町村で残ったところも、交付税はふえてくるし、その町村の税収もふえてきたんです。人口も、成長期でありましたから、小さな町村でもそんなに減らないで済んだ。こういう時代背景だったわけですね。  ところが、現在は低成長期になっているわけでして、加えて財政は厳しいわけですから、交付税はますます減らされる、自主財源の乏しい町村は困ってしまう。税収も当然減ります。人口も減ってますます過疎化が進むという状況。  それと、昭和の大合併のころと比べて、交通の便もよくなったし、通信の発達もして、あえて小さなところで固まらなくても、合併してもやっていけるという好条件になっているわけですから、そういうことを考えたときにはやはり合併シミュレーションというもの示して、そして、こうやった方がいいですよという指針を示すのが、当然、県の役割ではないかと私は思うのでありますが、行政経験の深い青山出納長の御所見をお伺いいたします。       〔出納長青山篤司君登壇〕 ◎出納長(青山篤司 君)合併のプランの話は先ほど知事から答弁されたとおりでございますけれども、これからの自治のあり方と申しますか社会のあり方というものにつきまして、今議員さんの方から一定の行政水準サービスという言葉がありましたね。これが、果たして今までどおりの行政サービスというものをやるべきかどうかというところから考えなくちゃいけないと私は思っているんですよ。  と申しますのは、今いみじくも議員さんがおっしゃった、少なくとも発想の原点というのは、戦後の高度経済成長の中で、社会資本整備が西洋と比べて低い、何とかして西洋水準に達成しよう、少なくとも高齢社会になるまでは社会資本の整備をしましょうという合い言葉でやってきました。もう高齢社会なんです、今は。これからどんどんどんどん人が少なくなって、高齢社会になるんですよ。こういう社会において今までと同じ発想をしていれば、この国、この地方というものはだめになると私は思うんです。  そうしますと、この議場でも私が何回か申し上げましたけれども、まず人間として、日本人として、文化、生活も含めて、生活の仕方をもう一回総括しなくちゃだめなんですよ、今は。今までの延長線じゃだめだと思うんです。それと同じように行政も総括すべきだと思うんです。ですから、今までの延長線上で考えれば物事というのは私はすべて行き詰まると思うんですよ。  そうしますと、具体的に申しますと、憲法で保障されている生存権的な保障というのは国でちゃんとやるべきだと私は思っているんですよ。具体的に言いますと、生活保護とか社会保険とか医療保障とか、それはもう政府がきちんとやるべきだと思うんです。それがあって、その後、どうやって住みやすいところかというのは、それは個人の質の判断なんですよ。そうでしょう。例えば、ある人が、自然が豊かなところ、こんなにすばらしい自然が豊かなところ、たった50人でもこんないいところという価値判断が出てくるんじゃないですか。そういうような価値判断を持って行政サービスというのを考えていかなくちゃいけない。  そうしますと、都道府県という制度が続く限りを前提にします、そのときに、県が市町村に対して、特に町村ですよね、今先生がおっしゃったような非常に財政的には厳しい町村に対する支援のあり方というのは一律じゃなくていいんですよ。例えば補助率を全部補助率4分の1にすることないんですよ。苦しいところは4分の3だっていいんですよ。しかも、そこのところで、県と町村ですね、あるいは町村の連合でもいいです、そのところで連合体を組むか、あるいは一部事務組合を組むか、いろんな選択肢を考えて、県が何も上から下へ直行じゃなくて、これが知事が言うところなんですよ、水平的な話というのはそこなんですよ。それを今真剣に考えて一歩一歩前進しなくちゃいけない。そのくらいの今間近に立っているんですよ。  そういう面を見ながら、これからの小さな市町村に対して、あるいは町に対して、どういう形でやっていくかというのは、私は、一律じゃなくて、いろんな形での支援の仕方を考えていくべきじゃないかと思っていますけれども。       〔31番保科俶教君登壇〕 ◆31番(保科俶教 君)ますます過疎化してしまっていって、そして住む人が少なくなっていっちゃう。そういうことが目に見えている中で、将来を見越したどういう地域づくりが必要なのかということを冷静に考えていかなきゃいけない。合併は最大の行財政改革だという言葉もあるわけでございまして、その辺を視野に入れた冷静なプロとしての判断を私は求めたいわけであります。  今後、さらに地方分権が進展すると予測されますが、この場合、最も重要なことは、基礎自治体、市町村の行政能力を高めることであります。市町村が力をつけて、住民が、我が町はみずからの手によって築いていくんだと自律の心を持つことによって真の地方分権が定着するのであります。それには、一定の財政規模と人口の確保といった基礎的条件をクリアし、他市町村と比較しても見劣りのしない行政サービスが実施できる市町村規模にしておく必要があります。  長野県は出先機関の機能を高めようとしていますが、市町村の行政能力が高まれば県の出先機関はむしろ縮小できるのであります。そこから生まれる人的、財政的ゆとりを長野県独自の振興策、それは教育であっても福祉であってもいいわけでございますが、に振り向けるべきであると考えるのであります。  私ども志昂会は三重県を現地調査しました。三重県の場合、合併により1万人以下の町村を二つにしたのであります。合併によって市町村の政策立案能力を含めた政治力を高め、県は出先機関の機能縮小を可能にしたのであります。すなわち、個々の市町村が行政能力を高めれば、この分、県の支援は不要となるのであります。今、長野県の進んでいる道は、小規模町村が将来自律していけなくなるという現実に目を背け、負の遺産を後世に残してしまうものであります。このミスジャッジに早く気づいて、勇気ある決断をされることを切に望むものであります。  次に移らせていただきます。岳北のクリーンセンターの件であります。  岳北クリーンセンターは、1市2村の一般廃棄物を処理する施設計画であり、平成13年から5年の歳月をかけて計画を立案し、関係地元区の理解を得ることができており、国との事前協議も調っているものであります。  そこで、岳北広域行政組合は、新施設建設に必要な国の交付金を受けるため昨年6月に計画書を県に提出しましたが、県がなかなか計画書を国へ上げないため関係市村長が要請したところ、知事は公害調停が終結するまでは計画書を国へ上げないとのこと、そして、公害調停会議が4回開催され、昨年10月に公害調停は終了しましたが、1カ月が過ぎても知事から何の連絡もなかったため、11月に国への提出を再度要請したところ、県生活環境部長は、知事と早急に相談し回答をすると言っておきながら、それから2カ月が過ぎても何の返答もなかったのであります。  ことしの1月になって、困惑した市村長、市村議会議長で国への計画書提出を直接知事に要請したところ、将来、激減されると予測される人口から、施設の規模と財政状況が心配される、民間委託の検討は、現施設が使えるという声があるがなどとし、これらについて文書による回答を求められ、これに対し岳北広域行政組合は1月末に回答をしたのであります。  さらに、2月17日付で追加の照会があり、これに対して2月23日に回答されましたが、この後も、県と岳北行政組合の間で文書による質問、回答が何回も繰り返されております。しかし、いまだに県は国への進達の意向がありません。現施設は平成19年3月末をもって運転を終了するのであります。これが地元との協定であります。新しい施設の建設は急務となっているのでありますが、県は、この問題についてどう考え、いつ国への進達をするのか。お答えをください。知事にお願いいたします。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)お話申し上げます。  この地域計画書に記されているごみ焼却施設の内容に関しましては、これから申し述べるような数多くの懸念がございます。やはり、これらの懸念が解決せねば極めて難しいと私は考えております。  まず、1点目でございます。ごみ処理量の基礎となる人口が、岳北広域での計画では、人口減を防止する施策を行うというもと、平成15年人口の3万6,789人が今後もほぼ横ばいで推移するというふうに語っておられます。他方で、国立社会保障・人口問題研究所の日本の市区町村別将来推計人口は、平成17年の人口が岳北地域では3万4,543人となっております。実際に平成17年度の国勢調査速報値でも当該地域の人口は3万5,419人ですから、この将来推計人口よりもさらに上回って減少しているという形です。既に約2,000人の乖離が地元の岳北広域の計画との間で生まれているわけです。平成22年度人口は、将来推計人口によるとさらに減少をして3万2,322人となっているわけでございます。したがいまして、計画中のごみ焼却施設の規模自体が現時点においてもう既に過大ではなかろうかということであります。  2点目に関しましては、地方交付税の削減が見込まれています。先ほど来の議員のお話ですと、そもそもの三位一体の改革や地方交付税を減らしたり補助金を削減しているということ自体への疑問や、それに対しての異議申し立てをしなければ、どこが地方分権ならぬ地方主権かということです。私たちは、地方分権という与えられるんじゃなくて、地方主権を獲得しなきゃいけないわけで、その際には、自主、自律、自己責任という、よい意味での矜持と諦観をあわせ持つことが必要だと繰り返し述べてきました。これがアティチュードの問題です。  戻りますと、飯山市においては過去の借入金の返済が財政を極めて圧迫をしていることは既に御存じのところであります。また、北陸新幹線の延伸に伴う飯山駅周辺の土地区画整理事業は総事業費60億円を超えると伺っております。こうした中で、総事業費が47億5,700万円、一般財源の持ち出しで23億1,600万円に上るごみ焼却施設の建設費、そしてまた今後想定される運営費というものは、市町村財政に甚大なる影響を与えるわけで、この点に関しての十分な検討が是が非でも必要でございます。  また、これは、繰り返し述べ、また先日の野沢温泉村における車座集会でも述べましたが、日本の廃棄物処理施設の建設費用は、諸外国の同様の施設の建設費用と比較しても極めて高どまりが続いております。環境省でも、こうした問題に対処するべく、廃棄物処理施設建設工事にかかわる入札契約適正化検討会を設けて検討を始めるところであります。  ちなみに、日本においては、造船メーカーや製鉄メーカーの多くが、重厚長大産業がこうした環境問題に進出をするようになりました。ごみ焼却炉は、ごみ1トン当たりに換算しての建設費用が、日本が約5,200万円、韓国は約2,000万円、イギリスにおいて1,600万円、アメリカが約1,500万円、シンガポールが約1,200万円です。ちなみに、これらシンガポールや韓国あるいはアメリカにおける諸施設は、日本のこうした造船メーカーや製鉄メーカーが現地で受注した場合のケースが数多く含まれております。土地の費用が別の、建設費用に関してであります。  すなわち、ここに新たな目に見えにくい箱物利権というものが生じているということを、私は、住基ネット同様に、繰り返し述べているわけです。  そして、岳北広域行政組合では、計画している焼却施設の建設費用はトン当たり6,900万円で、同規模他施設よりも安いと御主張なさっているわけでございますが、ちなみに、私どもの調査による日本の平均的な建設費用は、これよりもさらにトン当たり1,700万円低い5,200万円であることを先ほど申し上げたところであります。そして、諸外国においては、アジアのみならず欧米においても、その2分の1から3分の1という費用です。  こうした中で、まずこの建設だけでも市町村財政を圧迫するというものであります。県として、さらに看過できない理由の一つであります。  さらには、いわゆるコンサルティングと呼ばれる業の方々とプラントのメーカーの、汗かきルールと業界では通常言われている形による建設価格のつり上げというものがございます。これは何かと申しますと、岳北広域行政組合の場合に関して言いますと、ごみ処理施設建設にかかわる整備計画策定業務を総合エンジニアリングなる東京都の文京区にある企業に委託をいたしておりますが、この委託業務の入札は平成16年4月に実施されました。予定価格が4,357万5,000円でございましたが、落札額は315万円で落札率は7.23%と極めて低うございました。この会社は、昨年の8月に、公正取引委員会によって、総合エンジニアリングは、他の2社同様に、立入検査を受けております。独占禁止法違反の疑いで立入検査を受けているわけでございます。  一般的に申し上げますと、例えば南信州の広域連合で建設しましたガス化溶融炉の場合にも、荏原というこれもまた独禁法違反で数々の処分を受けている企業が受注をいたしましたが、このコンサルタントはくしくもこの企業との同列系列のものでありまして、荏原のまたガス化溶融炉が採用されており、また、荏原の中においても必ずしも、これは他の研究者等によりますと、必ずしも地形や処理方法にふさわしい炉を導入されたとは限らないという懸念が述べられているわけでございます。  そして、その後の維持管理というものが地元企業でなく中央の会社によって行われることによって、過日もお話をいたしましたが、その費用というものが非常に高どまりをしているということがあります。  先週の21日には、横浜市が発注したごみ焼却施設の請負業者に対して、裁判所において30億円強の返還命令がなされました。また、判決では、横浜市が業者に対して賠償請求をしていないことをも違法と断ずる。このように、行政というものが、住民の税金、あるいは住民の将来返済すべき借金によって運営されているという中で、こうした新たな環境という美名のもとの箱物行政が建設に関しても運営に関しても厳しく断罪される形になってきております。  こうした住民の側の、市町村発注のごみ焼却施設で談合があり、不当に高い落札率、すなわち、計画の段階は不当に低い落札率で、その系列と思われる企業がプラントを受注し、その系列と思われる企業が維持管理を行うということでの住民負担に関しての住民の返還訴訟に対して、司法の場においてもこうした問題が明確に、行政側の不作為である、また企業側の意図したところであるということが述べられているわけです。  21世紀を牽引すると言われる環境行政とIT行政が、ともに、このような目に見えにくい箱物として跳梁ばっこすることでは、日本全体が、先ほど青山も懸念いたしましたように、破産、倒産のみならず、消滅してしまうことになります。  これは、岳北広域行政組合のみならず、本県で現在計画されているさまざまな市町村のごみ焼却施設に関しましても当然当てはまることであります。建設費用に加えて、将来の維持管理費用に至るまで市町村財政を圧迫しないために、廃棄物の発生抑制等による良好な環境の確保に関する条例案というものの中でも廃棄物処理施設計画協議をきちんとした形で制度化をしているわけでございます。  なお、先ほど、私どものコモンズ・地域政策チームで、現在、立命館大学の森裕之助教授が一緒に勤務をしているというふうに申し述べましたが、彼の正式な肩書は地域政策主任研究員という形でございます。  繰り返しますが、地方分権でなく、地方主権でなくてはなりません。ですから、先ほどの国の税源移譲が、交付税が変わっていると言いますが、まずそれ自体が果たして正しいのかという、あら探しではなく、そこに対しての疑問を抱くことから、そしてそれをいかに変えていくべきかということから始めねばなりません。国が決めたことはもう所与の条件であるという考え方が、まさに合併すれば問題が先送りできるという形に来ています。  先日も森林整備に関して述べましたように、補助金そのもの自体がいけないのでなく、先ほど青山が生存権に関して国がきちんと責任を持つべきというのは、実施主体は一人一人の国民であったり民間企業であったりNPOであったり市町村であったり都道府県であったり、異なっても、まさにその点から補助金というもののあり方をきちんと、成果主義に基づいて、成果が出せる形で行うと。そのことをすれば、三位一体などという絵そらごとでなくても、それぞれの地域は自律しているわけです。地方分権という言葉をお使いになりながら、この5年8カ月、本県においては、逆に、県議会議員の方も、あるいは私に反旗を公然と翻されている町村会長を初めとする市町村長も、逆にその点だけは地元主権になられているということです。しかしながら、水平協働であるからして県に対しては物が言える、国に対してはそのまま従うといういびつな関係が続いております。  しかしながら、私どもは、水平協働ですから、国に対しても、今のような三位一体ではおかしいということを述べているわけです。そして、そのことは、私は知事であると同時に、新党日本の同僚とともに国会の場においても述べていることであり、それは、国民新党や、あるいは長野県の民主党はいざ知らず、民主党の少なからぬ方々が御一緒に賛同し、目を見開いていただいております。  さらには、志昂会によく似た名前の志帥会で…… ○議長(萩原清 君)御静粛に願います。 ◎知事(田中康夫 君)今でも自由民主党に残っている議員の方にも賛同している方がいます。つまり、こういう形で水平協働をしなくてはいけません。  ですから、その中において、私どもは、むしろ現地機関の役割は極めて大事になってくるということです。地域を居丈高にチェックをするなどということではなく、水平協働する上においては、地域の現地機関ではなく地域がやることもあるし、地域の広域連合を超えて、空気と水は境がありませんから、さらにもっと広い形で自区内を考えるということもありますし、また、青山が言いましたように、地域の現地機関がより役目を果たさせていただくということも起きるわけです。  いずれにいたしましても、岳北地域の方々には今申し上げたような点を私ども意を尽くしてお伝えをしております。しかしながら、これが御理解をいただけないということは、同じ志ある長野県に暮らすものとして大変悲しいことであるというふうに憂慮をいたしております。  以上です。       〔31番保科俶教君登壇〕 ◆31番(保科俶教 君)知事の答弁を聞いておりますと、私自身、今何を質問をしたのかなと思って迷ってしまいました。私は、直ちに、速やかにこの申請書を国へ進達すべきじゃないかと、こういうことを質問しているわけですから、それを忘れないでほしいと思います。  時間の関係もありまして、今知事が申し上げられましたことを一々申し上げる時間がないんですね。一つ、二つ例にとりまして申し上げてみたいと思うんです。  まず、人口問題でございますが、県の質問に対して岳北広域組合の方から回答が出されております。昨年の国勢調査人口と乖離との指摘ですが、環境省は住民基本台帳データを採用しています。もともとデータに乖離があります。さらに、人口問題研究所の人口推計のみをもって地域の将来計画を立てることはできません。激減をそのまま放置することはできません。仮に人口激減としても、遠い将来の激減を想定した規模とすることは行政として責任ある設定とは言えません。安定的な行財政運営は言うまでもなく、行政の努力、責任とは何なのでしょうかと、こういう回答の一部であります。  つまり、基礎データの基礎が違うというふうなこともありますし、人口が減少しているということになれば、減少をしないような方策を講じるわけですよ。だから、予想どおり人口が減るなんてことはあり得ないということを言っていますし、飯山の場合は新幹線も入ってくるわけですから、そうした中で人口減少を歯どめをかけるように努力していくということを言っていると思いますし、例えば、15年、20年先に予想どおり人口が減るというふうな形で小さな施設をつくらなきゃいけないということになれば、つくった当初は出てきたごみを処理できないという形になっちゃうわけですね。こんな無責任な行政があるかということを地元は言っている、こういうことだと思うんですね。  それと、財政の問題も言っておりますが、どこの市町村も財政は厳しいんですね。しかし、市町村においては、県はやっておりませんが、3年の実施計画を立てて毎年ローリングを行って見直して、多くの住民の要望というのはいっぱいあるわけですね、これをやってほしい、あれをやってほしいという要望がいっぱいある、その中から優先順位の高い事業を中長期的な視点から財政規模の範囲内で実施しているというのが市町村の実態なんですね。建設費も、毎年の運転資金も、財政計画の中に織り込んでいるわけでありますから、県が過分な心配することはないと、私はこういうふうに思うのであります。  それで、もう一つ大事なことは、一般廃棄物の処理施設は市町村事務なんですね。市町村がみずから考え、みずから責任を持ってやればいいんですよ。県の許認可事務ではないんですね。  したがって、市町村が決めたこと、これを県は国へ進達すればいいんですよ。これをクリアしなきゃいけないとか、許認可事務じゃないですから。これをやらないでストップしていく、1年2カ月もストップしていくというのは、まさに県の権利の乱用としか言いようがないと私は思うのであります。  この問題は、直接関係する岳北地区のみの問題ではないのであります。県全体の市町村にかかわる問題であります。市町村と信頼関係を構築する意味からも、今知事の言ったようなことを言っていたら、どこから出された焼却施設も建設できなくなっちゃいます。そういったことから、市町村事務である一般廃棄物の処理施設の建設にかかわる進達は速やかに行うべきであると、私はこう考えますが、知事の再度の御所見をお聞かせください。       〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)よくわからないんですね、議員のおっしゃっていることは。これは、やっぱり、県民運動ならぬ国民運動にしなきゃいけないということを私たち新党日本でも言っているんです。というのは、例えば日本でストーカ炉というので日立造船等がつくったものは、埼玉県につくったんですが、トン当たり5,043万円かかっているんです。同じ方式のものを台湾あるいは韓国でつくった場合には2,055万というような形なわけであります。  今の御意見になると、逆に言えば県と市町村は対話をするなというお話ですよ。市町村が出してきたものはそのままフリーパスしなさいということになれば、県は存在する必要がない、県会議員もこんなに高額払って大人数いる必要がない。先ほどの現地機関など置かないようにしなさいということは県職員も大幅削減しろということで、自治労の方々に、志昂会を代表する保科さんがそうおっしゃっていることに関しての公式見解をお聞きしたい衝動に駆られます。  同時に、今のお話を演繹すれば、アメリカが言っていることに日本は耳を傾ける必要はないという話になります。中国の言っていることには耳を傾けなくてよいと言っている首相がいるからそうなのであるならば、アメリカに対してもですし、横の市町村が言っていることも聞かなくてよいことになってしまうので、私たちは、少なくともこの議場は長野県全体を考える議場です。私は、職員とともに信州・長野県全体をよりよくする上で、この岳北の問題は断じて認められないと申し上げているわけです。そのことは住民の一人一人は思っていらっしゃることです。ここまでの詳細な数値には基づかぬとも、暗黙知で。それを実現するために2月から条例を提案させていただいているわけでございます。(発言する者あり)御声援、ありがとうございました。       〔31番保科俶教君登壇〕 ◆31番(保科俶教 君)私は、再三申し上げますが、これは県の自治事務じゃないんですよ。市町村の自治事務なんですよ。市町村が責任を持って決めて、責任を持って実行すればいいことなんですよ。県のこの水準に達しなければ認めちゃいけませんなんて、認めませんなんて、そんな権限、県にないんですよ。ない権限を振り回してこの事業を進めようとしているところに問題があると、私はこういうことを言っているんですね。  それで、建設コストが1トン当たり日本の場合は5,000万円ぐらいだと、ほかの国へ行くともっと安くできるんだと、こういうお話ですが、飯山の岳北だけで解決できる問題ではないと思うんですね、この問題は。もうちょっと奥深い問題であります。  それで、そこに利権構造がある利権構造があるというふうに知事はおっしゃっているんですが、利権構造ということを聞いて私思い出したのは、県の後援会幹部が名刺営業さえ禁止している県の本庁内に入ってきて、そして我が物顔に歩いて意見を述べて有利な入札制度に変えて、そして自分は流域下水道の仕事、おいしい仕事をいただいちゃったと。そして、その後援会幹部は、知事の後援会であるしなやか会に220万余りの献金をしている。こういうことが利権構造なんじゃないですか。私はそう思いますよ。あたかも岳北に利権構造の温床があるような話をしたって、全然そんなものありませんよ。むしろ、御自分のやってきたこと、そのところに何かおかしなことがあるなと私は感じておるのでありますが、いかがでしょうか。
          〔知事田中康夫君登壇〕 ◎知事(田中康夫 君)何を御質問いただいたのか、もう一度お願いいたします。       〔31番保科俶教君登壇〕 ◆31番(保科俶教 君)知事はちょっとお年を召されて耳が遠くなったんでしょうかね。聞こえなかったようでございますが、一連の100条の問題にもなった問題、こういったことが利権構造の最たるものではないかと私は申し上げたわけであります。  私たち志昂会は、飯山市を訪問して、岳北クリーンセンターの件を現地調査しました。説明してくださった担当者は、我々は5年の歳月をかけ、検討に検討を重ねて、地元住民の理解も得て、このクリーンセンターの計画を立てました、そして国との事前協議も調っています、なのに、少数の反対者がいるからといって、県は国への進達をしてくれません、現施設の使用期限が迫っている中、大多数の住民は困惑をしていますと、目に涙を浮かべて訴えておられました。市町村の実情を無視したこうした県のやり方では、市町村との信頼関係は到底築けるわけがないのであります。 ○議長(萩原清 君)保科俶教議員に申し上げます。申し合わせの時間が経過いたしましたので発言を終了願います。 ◆31番(保科俶教 君)私は、この問題から山口村の合併の問題、泰阜村の住民票問題を連想しました。県政を総合愛情産業と心地よい表現で位置づけながら、世にも珍しい独善的な考えを押し通す知事によって長野県がさらなる迷走を続けないことを心より願って、質問を終わります。 ○議長(萩原清 君)会議規則第13条第2項の規定により、本日はこれをもって延会いたしたいと思います。  次会は、明30日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後4時14分散会...