長野県議会 2001-06-28
平成13年 6月定例会本会議-06月28日-03号
平成13年 6月定例会本会議-06月28日-03号平成13年 6月定例会本会議
平成13年6月28日(木曜日)
出席議員(60名)
2 番 柳田清二 24 番 花村薫平
3 番 西沢正隆 25 番 村石正郎
4 番 金子ゆかり 26 番 奥村 剛
5 番 浜 康幸 27 番 久保田元夫
6 番 垣内基良 28 番 木下茂人
7 番 鈴木 清 29 番 塚田 一
8 番 向山公人 30 番 望月雄内
9 番 下村 恭 31 番 高橋 宏
10 番 堀内 瑛 32 番 寺島義幸
11 番 丸山 茂 33 番 母袋創一
12 番 藤沢詮子 34 番 萩原 清
13 番 宮澤敏文 35 番 宮澤宗弘
14 番 牛山好子 36 番 柳沢政安
15 番 百瀬喜八郎 37 番 大和代八
16 番 佐々木祥二 38 番 倉田竜彦
17 番 風間辰一 39 番 島田基正
18 番 山元秀泰 40 番 服部宏昭
19 番 平野成基 41 番 今井勝幸
20 番 本郷一彦 42 番 中村善行
21 番 小林伸陽 43 番 井出公陽
22 番 石坂千穂 44 番 太田道信
23 番 佐野功武 45 番 池田益男
46 番 塩沢 昭 54 番 古田芙士
47 番 佐藤良男 55 番 下﨑 保
48 番 小林忠司 56 番 小林 実
49 番 森 司朗 57 番 宮沢勇一
50 番 森田恒雄 59 番 中島輝夫
51 番 浜 万亀彦 60 番 石田治一郎
52 番 中島昭一 61 番 篠原文三
53 番 小田切行雄 62 番 西山平四郎
欠席議員(1名)
1 番 竹内久幸
欠員(1名)
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知事 田中康夫 企画局長 阿部守一
出納長 花岡勝明 副出納長兼会計局長 田中邦治
総務部長 青木輝政
公営企業管理者 飯澤 清
社会部長 笹田久夫 企業局長 藤井世高
衛生部長 小林文宗 財政課長 浦野昭治
生活環境部長兼危機管理室長 教育委員会委員長
宮﨑和順
青木和男 教育長 斉藤金司
商工部長 会津佳伸 教育次長 宮尾弘行
農政部長 中村武文 教育次長 山口利幸
林務部長 古林弘充 警察本部長 松田広光
土木部長 荻原敬三 警務部長 西川直哉
土木部高速道・
北陸新幹線局長 監査委員 内田雄治
尾坂壽夫
住宅部長 田山重晴
政策秘書室長 青山篤司
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 清水幸治 総務課企画員 神田一郎
議事課長 小林弘一
議事課課長補佐兼記録係長
議事課課長補佐 宮下清一 若井一仁
議事課委員会係長 平林 信 議事課主事 穐澤礼子
平成13年6月28日(木曜日)議事日程
午前10時30分開議
行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑
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本日の会議に付した事件等
行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案に対する質疑
午前10時32分開議
○議長(石田治一郎 君)これより本日の会議を開きます。
本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案に対する質疑であります。
次に、議員竹内久幸君から所用のため本日欠席する旨の届け出がありましたので、報告いたします。
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△行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案
○議長(石田治一郎 君)次に、行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案を議題といたします。
順次発言を許します。
最初に、西山平四郎君。
〔62番西山平四郎君登壇〕
◆62番(西山平四郎 君)質問の持ち時間が極めて少ないので、端的に田中知事に伺ってまいります。
それは、さきの2月県会のこの議場で議決をしました件につきまして、商工部担当の
観光キャンペーン、
パスポート事業の急遽中止に関しての質問でございます。早速、田中知事に伺ってまいりたいと思います。
県が実施している
観光地利用者統計によれば、平成12年度の利用者は9,663万人で、ピーク時である平成3年度の90%と低迷をしており、観光消費額に至っては3,752億円で、ピーク時である平成10年度の82%に落ち込んでおるわけでございます。これを全国的なレベルに引き合わせますと、人員では平成11年度の統計が出ておりますけれども、平成11年度1年間で1億人以上の観光客が訪れた道府県は北海道、千葉県、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府並びに兵庫県の7道府県で、本県はそれに次いで第8位には位をいたしておるわけでございますけれども、30万人のキャパシティーを持つ本県としては必ずしも満足のいく数字ではございません。
観光関連産業に携わる多くの県民は、景気の直撃を受けながらも、恵まれた観光資源にあぐらをかくことなく、個々のサービス向上はもとより、観光地間の連携、協力による広域観光の推進や学習旅行の受け入れのための新たな観光資源の掘り起こしなど、絶えず前向きに観光誘客に努めてまいりました。
こうした受け入れ態勢の充実と相まって、観光客の低落傾向に歯どめをかけるべく、事業者と県が一体となって、毎年、特色ある
キャンペーンが実施されてきたところであります。
すなわち、去る昭和54年より実施をしております
さわやか信州キャンペーンは昨年をもって22回を数え、その積年にわたる真摯な努力の結果、今や、さわやかと言えば信州、信州と言えばさわやかと全国的にそのネーミングが定着しておりますことは、不断の努力とともに、継続は力なりを物語っていることと言えましょう。
本年度についても、全県的な取り組みとして、観光施設や宿泊施設で割引やプレゼントが提供される
パスポート事業を目玉に
キャンペーン事業を集中的に実施をしたいという構想が事業者側から提案され、これに要する経費は事業者と県の半分ずつ負担する計画が知事から提出された県の当初予算で示されたところであります。
4月以降、この線に沿いまして、観光地各地ではこの
キャンペーンに向けて取り組みが進められ、本体である本部では推進母体の強化拡充策が図られ、平成12年度をもって長野県観光開発公社と社団法人長野県観光連盟の合体が実現し、観光振興を旗印にした社団法人長野県観光協会を創設し、去る5月29日には、長野県
観光キャンペーン推進協議会の総会において、満場一致、この
パスポート事業の実施団体として長野県
観光キャンペーン推進協議会が承認されたところであります。
そのさなか、突然の中止の意向が一方的に県から示されました。予算成立以来わずか3カ月の間にどのような状況の変化があったのか、はたまた、厳粛なる知事査定とは一体何であったのか。この判断に至る経過と根拠を知事から明確にお答えをいただきたい。
次に、
キャンペーン推進協議会が実施主体であるこの事業が、県の一方的な方針転換により決定的なダメージを受けることは明らかで、構想のスタート以来今日まで、半年以上にわたりこの事業の実現に向けて毎日の商売の傍ら取り組んできました事業者の皆さんに取り返しのつかない御迷惑をおかけすることになりますが、十分な説明をなされ、同意を得られているのか。単におわびするだけでは済まない、県政に対する不信感が広がっていると考えますが、この点についてもお答えをいただきたい。
そして、もてなしの心は商いの基本であり、どんなに心を尽くしても十分ということはあり得ません。絶えず向上を求めることが大切です。そのために、人材育成を目的とした
ホスピタリティ研究会は、基本に返る事業として、長期的に取り組むべきものと理解をしています。
しかしながら、観光業は、日々お客様が訪れてくださってこその商売であるわけでございまして、同じ第3次産業であっても、小売商業は在庫さえあれば翌日へ引き延ばされますが、旅館のように施設産業は、例えばきょう平成13年6月28日に空室があった場合、その収入不足は一生返ってこない性格を持つものであります。よって、絶え間ない情報発信が観光業にとっては最も重要なことであり、特に本年は、春のユニバーサル・ジャパンの開園に続き、この秋にはディズニーシーのオープンが予定されており、県内の事業者は大きな危機感を抱いております。短期的な戦略である
キャンペーンの実施時期や方法は、極めて重要な意味を持っておるわけでございます。
今回中止されました
特別キャンペーンは、全県挙げて取り組む、まさに時宜を得た事業であると理解をしております。今回の急な見直しに当たっては、速やかに実行される代替の
キャンペーン事業が同時に提案されてしかるべきと考えますが、お答えをいただきたい。
申すまでもなく、当初予算案の審議においては、議会は事業内容を検討し予算案を議決しております。今回の
キャンペーンは、平成13年度の観光振興事業の重要な目玉のメーン施策の一つとして説明を受け、了承したところでございます。施策の柱が、議会での議論もなく、知事の独断によって執行を中止されることは県民に対して甚だしい不利益をもたらすおそれがあり、あってはならない危険なことと考えます。
脱ダム宣言以来、知事の独断による決定については再三議会で注意を喚起してまいりました。今回の件も同じ経過をたどっており、まことに遺憾であります。再度このことのないよう強く申し上げ、御迷惑をかけた事業者の皆さんにこれ以上の痛手が及ばないよう、全力で代替事業の取り組みをお願いして、第1回の質問を終わります。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)ただいまの西山議員の御質問に順を追ってお答え申し上げます。
長野県におきます観光は、大変にすばらしい世界に誇るべき自然、また田園風景のみならず、極めてきまじめで、そして向上心に富む長野県の県民性というもの、それらすべてが長野県の大切な観光の財産でございます。
しかしながら、こうした非常に向上心に富むまじめな県民性、あるいは美しい自然というコンテンツと英語では呼ばれますそうした売り物の上に、いささかならず寄りかかっていた部分があるかとは思っております。
一つの事業といった
キャンペーン至上主義では、これからの非常に多様化する観光客のニーズにはなかなかこたえにくい時期でございます。そして、この
観光パスポート事業に関しましては、私どもが観光課を初めとして議論を重ねてくる中で、あるいは私どもの努力が足りなかった部分もあろうかとは思いますが、JR、あるいは航空会社、そして私鉄各社、またバス会社の1社を除きますそのほか大半のバス会社の方々が、いまだこの
パスポート事業への参加というものを御快諾はいただけていないという状況がございます。これは、ある意味では、私どものこの
パスポート事業というものが、まさに民間の企業の場で、計数を管理した上でさらによりよいサービスをお考えになられる民間の企業の経営の現場の方々、企画の方々に必ずしも御賛同いただけるような方向性ではなかったということをあるいは暗示しているのではなかろうかと思っております。
その意味におきまして、私どもは、先ほど西山議員も御指摘になられました
ホスピタリティ研究会を初めとして、そうしたすばらしいコンテンツの上で結果として少なからず油断をしがちでありました長野県の、まずは人的なサービスというものを高めるということが必要であると考えております。
本事業への御参加をいまだ検討中であられた方々とは異なり、既に御快諾いただいておりました方々に対しては、今回中止に至りました経過と考え方を文書にて御説明とおわびを申し上げ、御理解をお願いいたしております。
まさに、訪れる方、迎える方、そしてそれを結ぶ方――結ぶ方というのは交通機関等の方々あるいは代理店等の方々でありますが、それぞれの三者が満足を得ることができます三位一体の長野県の観光を実現していくために今回の中止を決断したわけでございます。
そして、関係者のさらなる混乱を避けるためにもまずは事業を中止することが必要であると、観光課とも話し合いました上で私が決断をいたしました。同時に、長野県の観光の
キャンペーンが必要であることは、これはだれもが等しく認めるところでございます。
私といたしましては、これは私見ではありますが、今後は、台湾あるいは香港や韓国といったアジアの方々が冬のみならず夏も訪れていただけるような、こうした皆さんへとターゲットを絞った外国からの、とりわけFIT客と呼ばれます個人客誘致のための
キャンペーン、また首都圏等で行っております物産展とさらにタイアップをした
キャンペーン、また、多くのサービス業において進んだ企業が、航空会社等で取り入れております秀でたサービスを行った方を投票するサービスマイスターの投票制、あるいはさらに長野県を訪れられてお気づきになられた、ささいな点に至るまでの私どものサービスを初めとして至らぬ点をお書きいただけるアンケートの実施、このようなさまざまなアイデアも、さらに観光課と議論をしながら早急に事業の実現化に向けてまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、目的が、また御要望が多岐にわたるのが現在の観光の状況であります。今申し上げましたような議論をさらに進めて、多くの長野県を訪れられた方々がより御満足いただける観光のための
キャンペーン事業を進めてまいりたいと考えております。
〔62番西山平四郎君登壇〕
◆62番(西山平四郎 君)私が質問を申し上げました点につきまして八分どおりの回答を得ましたが、まだ若干答弁漏れがあるようです。
まず第1に、今、田中知事が答弁でおっしゃいました各方面にそれぞれお問い合わせをして調査したとおっしゃいましたんですが、私どもの方は、先ほども申し上げたとおり、5月29日に、全団体を網羅します長野県
観光キャンペーン推進協議会の総会を犀北館で開催しまして、航空会社もJRもバス協会も索道協会も全会員が出席をしましてこの
パスポート事業の実施を満場一致で決定をした経過がございます。それと同時に、その実施団体も、長年やってまいりました
観光キャンペーン推進協議会が実施主体になってやろうということまで決定をしまして、JRも長野支社の営業部長さんが
観光キャンペーン推進協議会の副会長で出席をされておりまして、JR6社も全面的に協力をするというような確約も得ておるわけでございますので、その面についての今の説明は全く私どもと食い違っているわけでございます。
また、そのほかに何か知事の考えで理由があったのではなかろうかと、こんな感を深くいたしておるわけでございます。
田中知事が就任されましてから8カ月を経過するわけでございますけれども、県政進展、県民の福祉の増進という目的は私どもと変わりないと思いますが、その手法におきまして若干違いがございます。例えば、富士山に登るときに、御殿場口から登る道と吉田口から登る道、このくらいの相違はあってはいいと思いますけれども、一たん厳正な県議会で、しかも知事が策定した提案を私どもが説明を聞いて議決したこの事業を、3カ月もたたないうちに、私どもの関係者に相談もなく、事実バス会社や索道会社でも反対の人もあったでありましょうけれども、総体的には5月29日に決定しております。しかも、6月5日に、知事が、長野県観光協会の発足式に列席をされて、この事業はいい事業だから10月スタートまでに一生懸命間に合わせろ、こういうことを私におっしゃいました。その後の変更ですから、どうしても私には納得がいきません。
ですから、この件につきましてはもう既に観光関係団体で衆議議決をしておりますので、何とかここでお考えできないか、そして観光産業の目途とする22回続いた
さわやか信州観光キャンペーンの一歩前進をした、形を変えた姿として実施できないか、その点についてお伺いをいたします。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)お答え申し上げます。
今回の中止いたしましたこの
パスポート事業、あるいはこの
パスポート事業への御参加の度合いというものは、今の社会をある意味ではあらわしているかと思います。名前を連ねていただくだけでは、成功あるいは勝利が保証されるわけではございません。名前を連ねていただくと同時に、情熱をお持ちになり、そして行動をともにしていただけるということが大事でございまして、ある意味でいいますと、組織決定というものだけではなかなか、例えば選挙等を初めとして、結果が必ずしももたらされにくいという日本の今の全体の状況が縮図であらわれているのがこの場所でございます。
今申し上げましたように、JR、私鉄、航空各社、またバスの会社も、ごく一部の方を除いて御参加というお名前は連ねていただけることにはなっておりましたが、その参加の内容に関してはいまだ御検討中という形だったわけでございます。これは、ある意味でいいますと、今までは長野県が長年にわたって
観光キャンペーンも行ってきておりますが、他方で、観光で訪れられる方は、ある意味でいいますと自戒を込めて、着実に減少しているわけでございまして、その意味では、今までの
観光キャンペーンの効果測定というものも行いながら、抜本的に組み直さねばならないということでございます。組織的な決定が進んでいたからといってそれをとめる勇気を持たないということは、繰り返し申し上げておりますが、一人一人は御懸念を抱きながらも進んでしまった戦艦大和の悲劇と同じなわけでございます。
いずれにいたしましても、この決定を勇気を持って中止をし、これにかわる長野県の観光発展のための方策を考えることが私の責務であると考えております。
以上でございます。
〔62番西山平四郎君登壇〕
◆62番(西山平四郎 君)再度の答弁、まことに言葉としてはいい言葉でしょうけれども、私どもの観光関係者については、こんな答弁はない、最低のものであると思います。
この本会議場では知事と議員ですが、せんじ詰めてみれば、長野県観光協会も、この
パスポート事業の実施団体の長野県
観光キャンペーン推進協議会も、会長が知事で、副会長が私なんです。だから、もう少し私とコミュニケーションをとって、最低でも筆頭副会長の意見を聞いて判断をしてもらいたい、かように要望いたしまして私の質問を終了いたします。
○議長(石田治一郎 君)次に、宮澤宗弘君。
〔35番宮澤宗弘君登壇〕
◆35番(宮澤宗弘 君)知事にお伺いをいたします。
昨日の質問と重複する点もあろうかと思いますが、よろしくお願いを申し上げます。
最近における知事の一連の言動についてであります。
去る7日、
諏訪清陵高校新聞委員会の皆さんの学校新聞の取材の中で、下諏訪ダムに関する質問に関連して、強権的手法が間違っている、田中康夫がおかしいと言っている人がいるが、そう言っている人は違う国、惑星に住んだ方がいいと思いますとの発言がなされた旨報じられていました。報道されていることに間違いないか、まずお伺いをいたします。
もし事実であるとすれば、私は、本県の最高責任者であり高い見識を持たれる知事として、極めて軽率な発言であると言わざるを得ません。220万県民を愚弄するものであり、まことに残念な発言であります。なぜなら、知事は、昨年12月県会において、我が団浜県議の代表質問に答え、日本国憲法の平和理念を高く評価されていました。私は、知事が、先頭に立ち、平和主義、基本的人権を守り、広める役割を当然果たしていただけるものと大いに期待をいたしておりました。しかるに、今回の発言は、県民に対し大変な暴言であり、人を見下した発言であると感じたのは私一人のみではないと思います。
知事は、220万県民の命を守り、自由濶達な意見交換の環境を今まで以上に充実させ、より多くの論議の中から県民参加による一層開かれた県政を目指すと言っています。今回の発言は、これとは裏腹に、知事の理念や考え方の共有できない県民、意見が食い違ったり、対立あるいは反対する県民は国外か他の惑星に住めとの言であり、到底容認できるものではありません。真意のほどを伺います。
知事は、今定例県議会の議案説明の中で、長野県は、昨秋から、当たり前のことが当たり前に言える、当たり前のことが当たり前に行われる県政への改革を具現化してきた、その一環がどこでも知事室だとの説明をされました。何事にも、賛否両論があったり、多様な意見があることこそが当たり前のことであります。
知事は、車座集会など、県民の前やマスコミの皆さんの前に向かっては開かれた県政とのポーズ、知事の言われる実体のあるパフォーマンスとの態度をとりながら、一方で、知事の権限をよく行使されます。今回の発言も、知事権限なのでしょうか。このことは、当たり前のことが当たり前として言えなくなる、知事と異なる意見は言えないということではないでしょうか。
また、知事は、
朝鮮民主主義人民共和国を発言、行動の自由が未成熟な国とも言われていますが、何を根拠に発言をしたのか、具体的な説明を願います。
知事の立場にあり、軽々に他国を誹謗中傷するような言動は厳に慎むべきと思いますが、あわせて御所見を伺います。
さかのぼって、知事は、去る6月15日、上田市において県職員との懇談会の席上、県民が決めることが愚衆政治だと言う人は北朝鮮にでも行けばいいとの発言をしたことが報じられました。知事という公職にある者が、極めて非常識、排他的、一方的発言であり、知事の考え方に合わない者や批判的意見を言う者はあたかもその存在を許さないかのような問題発言は、知事の言われる自由濶達な論議を封殺するものであり、民主主義を否定したまさに強権政治であります。このことは、職場内においても当たり前のことが当たり前に言えない雰囲気ともなりかねません。まず、真意と見解を伺います。
今、大きな政治課題の一つとして、日本と
朝鮮民主主義人民共和国との
国交正常化交渉があります。それぞれの国にはそれぞれの歴史があり、民族の伝統文化があります。社会制度の仕組みや政治的思想の違いは、当然認め合わなければなりません。長野県知事という県民を代表する公的立場にある者が軽々に他国を批判したり、県民の意見を抑圧するかのような言動は、国益にも県民益にもなりません。軽率のそしりを免れない、まことに遺憾、残念な発言であります。知事はみずからの非を認め、知事の一連の発言を撤回し、関係者に対し謝罪することが勇気ある行動ではないでしょうか。発言の撤回と謝罪を求めます。
知事は、朝鮮の自主的平和統一を支持する県民会議や在日本朝鮮人総連合会県本部などからの謝罪申し入れに対しても、謝罪や撤回をするつもりはない、これからの行動を見てもらい、田中康夫がどんなに人間の尊厳について考えているのか見てほしい、私は長野県知事として初めて、県内で税金を払っている方々の子弟が通う朝鮮学校にも本年度から補助金をつけているなどと答えています。知事は、みずからの発言が正しいものであると自信を持って言えるのでしょうか。補助金とは何ら関係のない問題であり、事の本質をすりかえるものであります。
知事発言は、結果として排他的、独善的であり、知事と理念を共有しない者はあたかも悪であるかのごとき独断と偏見であり、許しがたい重大な発言であります。また、在日朝鮮人や
朝鮮民主主義人民共和国を侮辱し、敵視感情をあおり、批判、中傷と受け取られても仕方のない問題発言であります。
知事は、人間が1回書いたりしゃべったりした言葉を撤回して事足りるとは思っていないとも報じられました。また、別途改めてきちんと時間をとってお話ししようと思うとも答えています。長野県議会本会議というこの公式の場において、改めて、きちんとした責任ある説明、適切な回答と対応をとられることを求めます。
次に、副知事問題に関してでありますが、去る4月4日、県庁講堂で開いた職員との車座集会で、公募で選ぶとしている副知事について、私利私欲なく働ける人などと理想像を語り、私利私欲なく働くのは難しい、金をぶら下げても、女の人をぶら下げても変わらない人が副知事にならないと県民にとって失礼との持論を展開されたとのことであります。この発言もまさに差別発言であり、女性軽視ではないでしょうか。女の人をぶら下げるとの表現は、作家田中康夫としてならいざ知らず、知事発言として不適切ではないかと思います。御所見を伺います。
知事は、選挙公約で、副知事は2人制とし、1人は県職員より、他の1人は公募するとしていました。また、当選後は、副知事が100人くらい欲しいほど多忙であるとも言われています。その後、公募による1人だけとの方針に変更し、最近では、当分の間副知事は置かないとの方針が出されました。本当に、副知事不在でも大丈夫なのでしょうか。県内はもとより、近々また国外に10日間ほど行かれるという知事不在の県政の中、だれが知事代理者として県政を遂行されるのか、お伺いをします。
一般公募についても、公約に基づき、公募方法に対する基準づくりは既になされていなければならないはずだと考えます。女性副知事の登用も含め、基準づくりについてどのようにされるつもりか、方針をお聞かせください。
次に、地元の問題でございますが、県道乗鞍岳線整備促進と乗鞍高原問題について伺います。
知事は、去る6月6日、悪天候の中、観光立村である安曇村を訪れ、現地調査をされました。御視察いただきましたように、前川渡から鈴蘭までは、ならの木坂の急勾配箇所の早期改修に向け土木部で大変お骨折り願っております。交通安全面からも、さらに特段の配慮を要請するものでありますが、今後の見通しについて、この際お伺いいたします。
さらに、問題は、鈴蘭から乗鞍山頂までであります。現状では、大型車のすれ違いができず、残雪のため毎年開通が7月1日となり、岐阜県側に大きく水をあけられています。
昨年8月に、岐阜県側では、乗鞍スカイラインのマイカー登山を禁止する通行規制の方針が打ち出されたところであります。環境面から、将来、マイカー規制の流れが加速されるものと思われますが、地域産業に及ぼす影響などから、地元では、冬期間交通どめ区間の早期解除と県道整備に今まで以上に積極的に取り組んでほしいとの強い願いがあります。環境省など関係機関との関連もあろうかと思いますが、観光客が減少している現状の中、観光客のニーズにこたえる整備が必要と考えます。今後の方向づけについてお伺いをいたします。
また、環境省中部地区自然保護事務所は、本年度、乗鞍高原の再整備計画について、今後どのように進めていくのかも含め、地元住民も構想段階から参加するPCM、いわゆるプロジェクト・サイクル・マネジメント手法により公園計画や諸整備の計画策定を進めるとのことであります。観光は本県産業の大きな柱の一つであることから、観光産業の振興と環境整備、自然保護などの立場から、これら計画に対し県として今後どのようにかかわっていくのか、具体的取り組みと方針についてお伺いをいたします。
次に、雑誌対談についてであります。
雑誌「フラッシュ」カラースペシャルの記事によると、「問題発言連発!知事就任6カ月記念対談!!」との見出しで、「午後8時半、あのガラス張り知事室でギャラリーの見守るなか始まった対談は、意外やシャンパンでの乾杯から始まった。」。
N嬢 わ~い、シャンパン!うれし~い。
田中 知事室で飲むとは何事ぞ、ってまた県政会に言われちゃうかな。
これは、記事中、最初の一部です。私は社県連所属ですが、あえて一言言わせていただきます。なお、N嬢は実名で出ていますが、あえてN嬢といたします。
シャンパンのアルコール度は12度ぐらいあるそうですが、この記事が事実とすれば、知事は、ある日の午後8時半以降、雑誌の写真から見て、N嬢をひざに抱えてアルコールを飲んでいたことになります。
知事室とは、どのような機能を果たされる場所なのでしょうか。決して、クラブや料亭、飲み屋ではないはずです。しかも、時間は午後8時半以降、特定の女性と青山室長らも乱入してグラスを手に、シャンパンでボルテージも上がって和気あいあいのうちに進行していったと。雑誌記事の対談内容は、ほぼストーリーどおりであることを知事は認めますか。
知事は、提案説明追加分の中で、花田養護学校や稲荷山養護学校を訪問し、深く恥じ入った、歩行に困難を来すほど廊下は薄暗かった、節電と記された紙が壁に張られていた、よしんば節電を励行するならば、県庁舎から、昼休みにとどまらず、徹底すべきだったのですと述べています。午後8時半以降知事室で、うら若き女性をひざに対談し、シャンパンでボルテージを上げることは職務なのでしょうか。また、知事の言われる節電徹底励行になるのでしょうか。知事の行為こそ、深く恥じ入るべき行為ではないでしょうか。記事の内容から推測すれば、差し迫った県政の重要課題は見当たりません。
知事室における言動の一部を引用してみます。
田中 終始一貫、胸のないコが好きなんです。付き合ってたコもみんなそ う。あなたは大変あられますの?
N嬢 私は普通。巨乳じゃないですよ。
田中 巨乳の風船玉系は特にダメ。仮に巨乳の場合は、硬めの弾力性がな いとダメなんです、僕はね。
云々。
田中 お父様から県立須坂病院に脳神経外科を新設してほしいとお願いさ れまして。あなたのことが脳裏に浮かんで、作ることにしたんです。
云々。
N嬢 じゃあご結婚の予定はない?
田中 ないですよ。いつでもぜひ、デートしてくださいませな。N嬢と田 中が熱愛中なんて最高だよ。県民も喜びますよぉ(笑)。あとで携帯電話と メールのアドレス聞かなきゃ。
知事は、喜びを県民が共有する県政でなくてはいけませんと説いています。
雑誌の一部を引用いたしましたが、公的施設である知事室でシャンパンを飲みながらのこのような対話や行為が、喜びを県民が共有する県政であり、県民益につながるのか、甚だ疑問であります。知事は、より一層使命感を抱いて、パブリックサーバントとしての責務を遂行することを改めてお誓い申し上げますとも説明されていますが、今回の知事室での行為は、果たして使命感を抱いて遂行した行為なのでしょうか。説明願います。
知事は、青山政策秘書室長を指し、「この人が今、長野を一緒に動かしている人です。」と紹介されていますが、知事とともに県政を動かすのは、同士である県職員であり、そして、我々も含めた、何よりも220万県民各位であります。秘書室長のみを特別扱いすることはいかがなものでしょうか。見解を伺います。
また知事は、対談の中で、
N嬢 実家は林檎園をやってるんです。
田中 それじゃあ、今度どっかの番組で一緒に林檎取りして、信州の林檎 を食べましょうと宣伝しなきゃ。あなたは絣の着物かなんか着て、
云々。
N嬢 出ていただけるんですか!?
田中 喜んで出ちゃう。それで湯田中の温泉で一緒にお風呂に入ってご飯 を食べるってのもいかが?
N嬢 いいですねぇ。
田中 一緒に長野県の農産物のアピールと温泉ツアーをやりましょ。
とのくだりがあります。
今後、このことは県政の中で実行される意思があるのか、それとも、酒の席でのたわ言、私は知りません、記憶にございませんと言われるのか。北朝鮮問題では、1回書いたりしゃべったりした言葉を撤回して事足りるとは思っていないと答えています。今回、雑誌での対談はどう対処されるのか、お答えを願います。
知事の議会説明の中にあった県治水・利水ダム等検討委員会条例に基づき、委員会の委員14人が決定をし、25日には第1回目の委員会が開催をされました。9河川流域を一括諮問し、それぞれの河川流域全体を対象とした調査、審議を行い、条例の精神を尊重しながら、住民意思を反映した多角的な治水・利水対策の検討を進めていく旨提案をされました。学識の委員では、大熊新潟大教授、五十嵐法政大教授などダム行政に否定的な方や条例案に議員は参加すべきではないとして反対された議員を選出するなど、脱ダム色の色濃い人選となっている偏った人選であるとの論もありますが、所見を伺います。
第1回の会議では、検討委員会の現地視察を最優先することが決められ、また部会は9河川すべてに設ける方向も決められたことが報道されました。私は、委員会の独立性は認め、論議に異論を挟むつもりはありませんが、浅川及び砥川については、できる限り早急に検討願い結論を出さなければならないと考えます。下諏訪は用地問題があり、浅川は、既に工事契約が結ばれ、違約金を払わなければならない事態にあり、工事がストップしたままです。方針、方向性が出なければ護岸工事も進まず、厳しい財政の中、県の出費はかさむ一方であります。また、住民の不安が募り、万一災害発生の場合は行政責任も問われかねません。
いずれにしても、流域住民が参加し、検討、判断する部会を早急に立ち上げる必要があります。部会の設置は検討委員会が9河川を視察してから立ち上げたい意向とのことでありますが、大変多忙なメンバーが常に全員そろうことは困難であろうし、部会を立ち上げられる箇所から並行して立ち上げて、早急に活動を開始することが県民益につながると考えます。知事より、検討委員会に早期に部会を立ち上げるべく進言をするつもりはないか、伺います。
委員の一人は、個人的には委員任期2年で9河川すべての答えを出すということは難しいのではとの感想を述べておりましたが、知事は、今後の方向について、どのくらいの期間に結論を出すことが望ましいとお考えでしょうか。私は、浅川、砥川をまず優先し、できる限り早急に方向づけをすべきものと考えます。知事の所見を伺います。
次に、当初豊科町に設置を予定していた中信地区の廃棄物処理施設に関してであります。
5月27日、第1回会議が持たれました。安曇野の住民とともに考える豊科町廃棄物処理施設検討委員会として、学識経験委員も公募委員もそれを承知の上で検討委員会をお引き受けいただいたものと私は思います。であるならば、何ゆえに、初回の会議において、中信地区・廃棄物処理施設検討委員会と名称変更されたのでしょうか。振り出しに戻り、新たに建設候補地を選定されるということなのか、経過を明らかにしていただきたいと思います。
また、当初の名称変更や委員会の審議の内容は、選任された委員の判断で勝手に決定できるのか、知事はどのような諮問をされたのかも、お伺いをいたします。
今回の補正では、産業廃棄物処理指導事業費として1,256万4,000円が計上され、うち物件費460万4,000円、検討委員会事務局業務委託料796万円が計上されています。内容を詳しく説明願います。
特に、委託料についてでありますが、具体的な委託先、委託の経過、また、どのような内容の業務を委託し、事務局はいかなる責任、権限があり、今後どのような任務を果たされるのかも、あわせてお伺いをいたします。
行政が事務局をすると操作していると疑念を抱かせる、実際そういうことが多いと原科委員長は発言されたようですが、本県においてそのような事実があったのでしょうか。あったとすれば、具体的事例をお示しください。
また、言われるように、行政が事務局を担当すれば操作しているという疑念を持たれるという理由からなら、今後、疑念を持たれない体制、住民への信頼づくりこそ大切であると考えます。実際、疑念を持たれているのでしょうか。所見と今後の対応について、具体的にお答えを願います。
また、事務局業務を外部へ委託するということは、職員を信頼できないということか、仕事量が多過ぎてやりきれないということか、課の職員が不足をしているのか、どのように分析をされているのですか。
安易に外部委託をするということは、経費のむだ、時間のロスともなり、他の委員会、審議会の事務局も外部へ委託をしなければ疑念を持たれることになります。他の委員会、審議会の事務局の現状と今後のあり方等についても、お伺いをいたします。
また、委員会が結論を出すのに1年から1年半かかると言われておりますが、知事は、他県のごみは持ち込ませない、本県のごみは他県へ搬出しないということを公約されておりますが、一日も早く方向を出していただき、知事も、執行者として、また最高責任者として、みずからの責任において決断を下すべきであります。施設建設まで数年かかるということになってしまえば、将来、取り返しのつかない事態にもなりかねません。知事の産廃問題に取り組む決意を、改めてお伺いをいたします。
また、検討委員会の結論が出るまで、当分の間、事業団の規模を縮小し多少でも赤字を防ぐべきと考えますが、御所見をお伺いし、第1回目の質問を終わります。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)ただいまの宮沢議員の御質問に順を追ってお答えいたします。
まさに、みずからを顧みて愚衆とは何かを改めて御示唆いただける御質問を伺いながら、私は、ある意味でいいますれば、当たり前のことが当たり前に言えるような長野県になりつつあるからこそ、今回の議場におかれても大変に活発な御議論をいただけているものと思っております。ある意味でいえば、まさによくも悪くも粛々と進められる議会こそは、逆に当たり前のことが当たり前に言えないということを体現しているのではありませんでしょうか。
まず、最初の御質問でございます。
諏訪清陵高校新聞委員会の取材における私の発言は、恐らくは6月8日付の産経新聞の「田中知事ダイアリー」に掲載されました文面をもっての御質問であられようかと思います。
この記事は、この部分のみならず、近時は、私以外の人物の発言や行動をあたかも、あるいは明らかに私が発言あるいは行動したかのような記述も時として見られる、ある意味では思い込みが時として過ぎるコーナーで読者の耳目を集めているわけでございますが、この記事もまた、前後の脈絡を、紙幅の関係もあられようかとは思いますが、ある種断片的に掲載されたものでありまして、私の真意が必ずしも正確に読者の皆様に伝わっているとは限りませんので、この場をおかりして、このときに申し上げました内容に関して改めて御説明を申し上げたいと思います。
民主主義というものはつまるところ多数決でございまして、まさに、税金をお支払いになり、まともに働き、学び、あるいは暮らされている方々その一人一人が参加をする民主主義は、それら市民の意見の多数によって私たちの社会の進むべき方向が判断されていくわけでございます。私は、こうした民主主義にのっとって、まさに開かれた県政を目指しているわけでございまして、そうした私の、県民の考えをともに聞き、ともに語り、判断を行う手法を強権的あるいは手法が間違っているという方は、すなわち市民によって物事は判断されるという民主主義を否定しかねない御見解の方であるということであります。そのような方は、民主主義以外のシステムを提示する義務があられるわけでございます。
そして、そのようなシステムも提示せずに、私、あるいは最近は田中真紀子女史を初めとしてダブル田中は衆愚である、ポピュリズムであるとおっしゃるような方々は、民主主義が極めて未成熟である、あるいは民主主義とは異なる理念のもとで世の中が営まれている場所にみずからの身を置くくらいの気概を持たれた上で長野県が歩むべき道に関して御批評なさるべきではないかと。そういう意味におきまして、私は、この産経新聞の「田中知事ダイアリー」が極めて断片的に掲載しました文脈を申し述べたわけでございます。
朝鮮民主主義人民共和国に関しての御質問は、既に昨日もお答えを申し上げているところであります。
私は、一人一人の日本にお住まいの、
朝鮮民主主義人民共和国の国籍を長く日本にお住まいになってもいまだなお保持なさる一人一人の意欲のある方々の平穏なる生活、それはまた
朝鮮民主主義人民共和国にお住まいの方々においても、より自由な発言あるいは行動というものが保証される社会にお住まいになれることを強く望む一人であります。
私の上田におきます発言は、ある意味、言葉の前後が足りず誤解や心痛を招いたことは認めると既に繰り返し申し上げております。けれども、私は、他方で、多くの方々が私がその文脈の中で述べました北朝鮮、
朝鮮民主主義人民共和国という言葉に過敏に反応なされましたのは、ある意味では、多くの方々も私と同様に、あるいは少なからず、
朝鮮民主主義人民共和国の人々一人一人を愛してなお、
朝鮮民主主義人民共和国の現状は一人一人の市民に自由な発言や行動というものが必ずしも保証されてはいないのではないかという強い疑念をお持ちだからであろうと考えております。
私はすべての人々が等しいチャンスを与えられる社会を望む者でありまして、今回の発言は、日本にお住まいの朝鮮人の方々あるいは
朝鮮民主主義人民共和国にお住まいの一人一人の方々を侮蔑したものではないわけでございます。私はあくまでも民主主義のさらなる世界での充実を願う者でありまして、私は、今回の発言の撤回や謝罪は考えておりません。
続いて、副知事問題でございます。
宮沢議員は、目の前にお金や女といったニンジンをぶら下げられても変わらない高い倫理観や使命感、そして気概や理念を持った人物でなければ副知事は務まらないと私が述べた部分に関しての御質問であられようかと思います。
私は、この発言は、まさに私利私欲のない公僕として働く倫理観や使命感がなくては、お金や女の人が目の前にニンジンとしてあるときに、みずからの市民のための県政、市民のための行政、政治というものを結果として怠ってしまうことが高いと、その意味合いにおいて申し上げたわけでございまして、これは決して女性を侮蔑したわけではございません。
副知事をなぜ設置しないのかということに関しても、既に繰り返し申し上げておりますけれども、今申し上げた220万の県民のための公僕の副知事としてふさわしい方と残念ながら今のところめぐり会えていないということでございます。
副知事の適任者が見つけられるまでの当面の間、現在の体制で、職員とともに、また県民の参加によって、よりすぐれた県民益実現のために尽くしてまいります。
海外渡航中の知事の職務遂行についての御質問でございます。
職務代理者の設置という点で申し上げますと、地方自治法第152条において、知事が長期、遠隔の旅行、病気などにより、みずから有効に意思を決定し、その事務処理について職員を指揮監督し得ない状況にあるときの職務代理について規定されております。今回の海外渡航は比較的短期間でありまして、また、その間の私の所在は総務部長また政策秘書室を初めとしてすべてつまびらかにするものでございまして、常に連絡がとり得る状況にあることから職務代理者を置くことは不要と考えております。
また、決裁に関して申し上げますと、知事が不在の場合は、事務処理規則において、まず副知事が、副知事も不在のときは総務部長が決裁可能となっておりますので、この点でも県政の運営に支障は生じないと考えております。
御質問の乗鞍高原に関してでございます。
一般県道乗鞍岳線の急勾配解消の整備については、既に皆様にもお示ししております平成15年度完成を目指して現在実施中の県単独の道路改良の事業を滞りなく進めてまいります。
そして、マイカー規制に関してでございます。
私は、長野県が誇る観光資源はあまたございますが、わけても乗鞍そして上高地という両地区は、ともに考えて、他の都道府県では得られない貴重なる観光資源を、まさに後世にも残すべき資源としてはぐくむべきであると考えております。
ゆえに、先般、現地を視察いたしましたときにも、上高地に引き続き乗鞍に関してもマイカー規制を行い、また、通行をいたします車両に関してもすべて低公害車化を義務づけるということを申し上げたところでございます。すなわち、これは、観光バスにおいても低公害車でなくては上高地あるいは乗鞍の制限を加えました地域は通行ができなくなるということでございます。これは、タクシーも同様でございます。
けれども、長野県は全国にも先駆けてさらに低公害車の導入を図るものでありまして、地元のバス、タクシーの事業者で意欲を持って低公害車化に御協力いただける企業に対しては、まさに公益的な観点から、その事業を褒賞金の精神で手助けする検討を加えております。
あるいは、長い歳月で営まれる自然というものを対象とすることから、今まで私たちも自然と同じ歳月の尺度で手だてをとらえがちな部分もございましたが、今後は、速いスピードのドッグイヤーに合わせて、私は、生活環境部の環境自然保護課に対しても、短期間における集中した議論を地元安曇村、環境省、林野庁、そして長野県の四者で果敢に進め、さらには関連なさる民間の方々にもその上で御参加をいただいて、今申し上げました基本方針のもとで、乗鞍及び上高地のさらなる自然環境の保全と、そして多くの方々がその場所に安心して、また満足して訪れていただける環境設定に心を砕いてまいります。
なお、乗鞍岳線の冬期間通行どめの解除に関しましては、今までは5月のゴールデンウイークを過ぎてもなおその開通が年によってばらつきが少なからずあり、乗鞍を愛され訪れる方々のみならず地元の方々にも多大なる御迷惑をかけてきたことを、私は、地元安曇村の集会の場でもおわびを申し上げたところでございます。
私といたしましては、位ヶ原の付近までは、関係者とさらに調整をしながら、ゴールデンウイーク前の早期除雪、開通をお約束するようにし、ゴールデンウイークに多くの方が春スキーをお楽しみいただけることによって、安曇村にお住まいで観光あるいは自然をめでる営為を務めておられる方々への福音といたしたいと考えております。
鈴蘭から乗鞍岳山頂間の道路整備については、先ほど申し上げましたように、マイカー規制を行うことといたしております。
また、限られた財源の中でまず必要なことは、バスまたはタクシーが行き来できる必要な退避所を必要に応じて早急に設けていくということが私は現実的な対応として望まれていると考えております。
いずれにいたしましても、乗鞍の場合には国民休暇村というものが訪れる方々の宿泊施設として利用されてきたわけでございますが、その分、逆に、まさに今民営化の時代、NPO的な時代に、鈴蘭を初めとする安曇村の多くの意欲ある事業者の方々に結果としてチャンスを制限してきた負の部分もあると私は認識をいたしております。
これからの時代は、まさに地元の方々ともよりお話し合いを進めさせていただき、また、私どもの情報開示の至らなかった点も改めて、乗鞍と上高地におけるマイカー規制、そしてハイブリッド車化を滞りなく進めてまいります。
先ほど御質問のPCM手法というのは、プロジェクト・サイクル・マネジメント手法と環境省が名づけておりますいわゆる住民参加型のワークショップ等をお指しになっているのだと思っております。
この手法は大変に新しい住民参加の形でありまして、県としても、ワークショップに参加して、観光の振興や自然の保護という点から提言をしてまいりたいと思っております。えてして、こうしたPCM手法も、立派に機能すれば多くの市民の意見を反映させることとなりますが、形としての実績づくりで終わってしまいますと逆に御参加いただいた市民の方々に少なからず落胆を与えることになります。私は、まさにこの理念が手法の上においても貫き通せるように、これもまた関係部局と話し合い、また環境省の担当の方々ともお話しすべきことはお話をして進めたいと考えております。
雑誌の対談に関しての御質問でございます。
宮沢議員はN嬢とおっしゃられましたが、恐らくはそれは須坂市御出身の中島史恵さんのことを指し示していらっしゃるのであろうと思われます。私は、長きにわたって芸能界で実名で御活躍なさっている彼女と初めてお目にかかり、まさに長野県の美しい自然の中で、また愛情あふれる御両親のもとで育った彼女の極めて、いわゆる芸能人らしからぬまじめな、そして真摯な考え方に深く感銘を受けたものであります。
長野県出身のタレントであられる中島史恵さんとは、知事室におきまして、約2時間にわたりパブリックな面からプライベートな面に至るまで濶達に話をさせていただきました。4ページの紙面上で2時間の内容はすべては掲載されておりませんので限られた内容でありますが、雑誌に掲載されております内容はすべて実際に会話を交わした内容であります。
私は、長野県の現在を全国に発信することが、よい意味での広報マンとして期待されております県知事の職務であると認識いたしておりまして、これもまた、多くの方々に長野県のありのままの姿を、そして長野県御出身で極めてまじめな、芸能界で活躍なされている彼女の素顔を正しく御理解いただくための有意義な対談及び掲載であったと考えております。
議員はあえては述べられませんでしたが、この雑誌の中におきましては、私が2月に発表いたしました脱ダム宣言の考え方も述べております。そして、無論、ノーギャランティーでの対談であります。
節電の徹底に反していなかったのかという御質問でありますが、私は、既に提案説明の中でも申し上げたように、養護学校等の節電というものは大変に憂うべきことでありまして、これは既に手だてを行っております。
そして、今回の対談は長野県の広報活動の一環であり、この意味での議員の節電に反するとの御批判は門違いであられようかと思っております。(発言する者あり)
○議長(石田治一郎 君)知事の答弁がしっかりと聞き取れませんので、御静粛にお聞きをいただきたいと思います。
◎知事(田中康夫 君)(続)今回の対談も、そのような長野県政を御理解いただく一環であったと思っております。
政策秘書室長に関しての御質問であります。
私が進める数々の改革が実現するためには、県職員とのより密接な連絡が不可欠でありまして、政策秘書室長は私と理念を共有する多くの職員の中の一人でございます。他の部局長、あるいは課長、あるいは若手職員、また現地機関の職員ともお互いの意見をぶつけ合っておりますし、決して彼一人を特別扱いしているわけではございません。
宮沢議員の御質問は、ある発言の一部分をとらえて御質問になられたかと思いますが、これは、多くの方に議員も御紹介するときに、この人は、私の郷土を愛する、私が大変に頼りにしている実力者であるといった発言は一般的に広く認められているものでありまして、私が、その際に、この政策秘書室長は私が頼りにしている何百何人の中の一人でございますというような言い方は逆にリアリティーを欠くわけでございます。
農産物のアピール方法ということでございますが、これもまた、中島史恵さんの御実家は果実農園を営まれる方であることからも、私は長野県農産物の全国PRに関して御提言をさせていただき、御快諾をいただいたものであります。私は、長野県御出身の非常に誇るべきタレント活動をなさる彼女が、長野県の農業のPRのみならず長野県政全般の発信塔となっていただける日が遠からず訪れるものと期待いたしております。
そして、シャンパーニュを知事室で飲んだことに関しての御質問でございますが、これもまた事実であります。
公的施設の中でこのようなアルコールを飲むことはいかがなものかという御質問でありましたが、私の手元には1999年3月10日付の信濃毎日新聞のコピーがございますが、県会定例会閉会後に開いた恒例の任期末パーティーでは酒を手に話し合いという記述がございます。極めて神聖なる議会棟の中において、公的施設の中で、私はつまびらかには存じ上げませんが、公費で御購入いただきましたアルコールであったとしたならば、あるいは私はこのようなことが今後県議会の皆様におかれても御自粛なさることを望むものであります。
治水・利水ダム等検討委員会の委員人選についてでございます。(発言する者あり)
○議長(石田治一郎 君)御静粛に。
◎知事(田中康夫 君)(続)選任させていただきました委員に関しては、初めからダムありきではない治水や利水の方法ということを、まさに虚心坦懐に、細心に、多角的に、多方面にわたって御検討いただける方々を任命させていただきました。これは、議員提案によります長野県治水・利水ダム等検討委員会条例の精神を尊重することであると考えております。
6月25日に開催されました第1回長野県治水・利水ダム等検討委員会において、まずは早急に現地調査を行い、その上で部会に関しても改めて検討なさることになったと報告を受けております。私が申し上げるまでもなく、委員の皆さんも幅広い市民、県民の意見を聞き、その上で多角的な治水、利水の方法を御判断いただけるものと思っております。
先ほど宮沢議員は、この条例の制定に反対した議員を委員として入れていることはいかがなものかとの御質問がありましたが、私は、議場における議決というものは、それこそが間接民主主義の中での民主主義の議決でございまして、その議決を間接民主主義を認める市民が尊重することは当たり前のことでございまして、議場で成立いたしました条例に基づいて、その条例に反対なさった議員であられようとも、その委員であられるということは極めて民主的な手続でございます。議場で反対した議員は委員会に入る資格がないのではないかとの御懸念であろうかと思いますが、あるいはそのような意見が認められるのであるならば、それこそが非民主的な独断であられようかと私は思います。
検討委員会には、9河川流域について十分な調査、審議をしていただくようお願いしたところでありまして、速やかに結論を出していただくことが極めて望ましいと私は考えております。
しかしながら、各河川流域によりそれぞれ事情も異なりますので、期限をあらかじめ区切ることで十分な審議ができないという危険は避けねばならないわけでございます。期間や優先順位については、あくまでも検討委員会にゆだねたいと考えております。
産業廃棄物処理施設に関しての御質問であります。
中信地区における施設整備のあり方について情報公開と住民参加による開かれた検討を行うため、検討の委員会を設置いたしました。そして、この委員会は、現在、中信地区・廃棄物処理施設検討委員会との名称で、中信地区における廃棄物処理のあり方を含めた幅広い議論を行う委員会として活動を始めております。
今回の補正予算案でありますが、まずは県民の御意見を直接反映させるために公募による住民委員の参加をお願いしたことから、委員の増加に伴う経費及び事務局業務の民間委託に要する経費を今回の補正予算案においてお願いしているものであります。
事務局業務の外部委託については、検討委員会は、行政から一歩離れ、中立的な立場で御検討していただくことが必要でありまして、検討委員会に提出される資料や議事録の作成等についても第三者の立場から行われることがより適切であると判断をいたしました。
これは、今回委員長をお願い申し上げております東工大学の原科委員長は、恐らく、今までの他地域でのこうした産業廃棄物処理施設に関する検討での御経験から、透明性をより高めて、市民が参加し、また市民に御理解いただける産業廃棄物の処理のあり方というものを検討する上で外部委託をすることが不可欠であるとの御見解を抱かれたものであると思っております。そうした委員長の見解を私どもは尊重して、会議の企画、進行管理、情報収集、調査、分析、住民への情報公開等を委託業務といたします。委託先に関しましては、検討委員会における御意見を踏まえて選定をしてまいります。
今までにも申し上げておりますように、委員長を初めとする各委員の方々は、大変に熱意を持って、新しい産業廃棄物の処理のあり方をこの中信地区における議論から長野モデルとして発信すべく御努力をいただいております。
検討委員会は、行政から一歩離れ、できるだけ中立な立場で検討していただくことが不可欠でありまして、ゆえに事務局業務を委託するわけでございます。行政が事務局を操作しているという疑念や職員体制の問題といった宮沢議員御指摘のような事由ではないことは、これでおわかりいただけるものと思います。
事務局の現況でございますが、現在、中信地区・廃棄物処理施設検討委員会のほかに事務局を外部に委託しているものはございませんが、審議会や委員会等の場では、より活発な議論や会議運営の透明性が求められております。
現在、審議会等につきましては、より多くの県民に御参加いただけるような委員の任命のあり方、会議の傍聴や結果の公表、さらなる審議会等の統廃合といった観点で設置、運営等に関する指針づくりに着手をいたしておりまして、いずれ県民の皆様の御意見をお聞きした上で、年内をめどに、審議会等のあり方の指針を策定し、実施に移してまいりたいと考えております。
産廃問題に対する決意についての御質問でございますが、県としては、県内で排出された産業廃棄物は県内で処理する体制を基本として、自区内処理を進めるため廃棄物処理施設の整備がさらに必要と考えております。
検討委員会の委員各位は、現在までに既に委員会が3回開催され、ヘリコプターにて中信地域を上空から御視察もいただき、また12月までの半年間に8回の開催が予定されるなど、大変精力的に御検討いただいております。できるだけ早い機会に御提言をいただけるものと期待をいたしております。
検討委員会の提言をいただき次第、早期に判断を行い、私も、先頭に立って廃棄物問題に関して取り組んでいく覚悟でございます。
なお、今年度は、廃棄物の減量化目標やリサイクル目標、消費者、事業者、行政それぞれが取り組むべき行動の指針などを定める廃棄物処理計画を策定することになっております。同時に、今回の中信地区におきます検討委員会で方向が出されましたまさにディテール、また現実に基づくその方向というものは、長野県の廃棄物の処理の新しいガイドラインになるものと大変に期待をしているところであります。
廃棄物処理事業団に関しての御質問でございますが、事業団では、現在、中信地区における幅広い情報の収集に取り組んでおりまして、さらに今後、検討委員会からの具体的な要請に基づいてより詳細な資料の提供を行うことといたしております。ゆえに、今後も、業務の進捗状況を踏まえて適正な人員配置に努めてまいりますが、同時に、検討委員会の要請に滞りなくこたえられるだけの人員確保を行ってまいりたいと考えております。
以上で御質問に対しての答弁を終わらせていただきます。
〔35番宮澤宗弘君登壇〕
◆35番(宮澤宗弘 君)答弁をいただきましたけれども、知事の答弁は、総じてはぐらかし、言葉の遊び、まことに誠意が感じられないと言わざるを得ません。他の国か惑星に行けとか、北朝鮮蔑視発言、あるいは昨日から取り上げられております売春を認めるかのごとき吉原発言、さらに女の人をぶら下げる発言などは、人の心の痛みというものがわからないのか、知事の育ちがそうさせているのか、知事としての資質を欠いた一連の発言だというように思います。
私は、白を黒と言い丸め、馬から落ちても落馬ではないと言い張る姿勢でありまして、このことは認めるわけにはいかないわけでございます。
知事、あなた自身の言葉は、そもそも間違っているのでありまして、大変県民としては悲しいことであると思います。常に自分の行動と言動のみが正しいと思われている知事にこそ問題があって、まさに知事の思考こそ未成熟、思考停止状態にあると言わざるを得ない状態だと思います。
私は、再度、問題発言の撤回と謝罪を求めるものであります。先ほどこの議場で話されたような言葉で話しているならともかく、1回発した言葉が間違っている、自分の行動が間違っていると気づいたら、素直に反省し、取り消すべきものであるというふうに思っております。
また、副知事の問題についてでございますが、職務代理者は不要だと、こういうことでございます。知事は、メールとか電話とかあるいはファクスとかで連絡は幾らでもとれる、外国にいても大丈夫だと言われますが、お互いに生身の人間でございますから、万が一不慮の災害に遭われて言語障害になるとか判断がつかなくなるとか、こういうことはあり得るわけでございます。このときに、職務代理者を置かなくて、だれが決裁をし、指揮命令系統はどのようになり、長野県を執行される責任者というものを置かれるつもりはないのか、それでも大丈夫だと言われるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
また、私ども県会の皆さんが全員協議会室で飲んだと。これは公的な場ではないか、しかもその金は公的資金から出ているのではないかというようなことを言われましたが、これは4年に1回のお別れパーティーに、私の記憶では2,000円会費で、みんなで4年間頑張った、次もまた頑張ろうということでささやかな形の意思の疎通でございまして、県民の皆さんから見ても決して批判を受けるようなものでなくして、今、知事が比較をされた問題とは全く別問題だというように私は思っております。
知事室をあたかも料亭かクラブかのごとく、女性と一緒に、秘書室長も乱入をして酔うまで飲んで、騒いで、雑誌に書いてあることがすべてだと認める、あのような行為が本日お集まりの県民の皆さんや220万県民の皆さんに本当に理解をされ、そのことが長野県を発信する広告塔なんて誇って言えることでしょうか。これが知事でしょうか。私は甚だ知事の資質というものを疑わざるを得ないのですが、これが常識的なこととして世間一般に通用することだというようにお思いなんでしょうか、改めてお伺いをしたいと思います。こんな広告塔なら、私はやめてもらいたいというように思います。
次に、ダムの問題については、知事は、今回の提案説明では申しておりませんが、自由党議員との懇談会で、私の現場を見た範囲ではダムは必要ないと、条例に逆行するような発言をされておるわけですが、脱ダムという理念以外は尊重しないということなのか、検討委員会や部会で出た結論は尊重するということなのか、再度お聞かせをいただきたいと思います。
時間がございませんけれども、産業廃棄物の関係で、外部へ事務を委託するということは、なぜ内部でできるものを外部に委託をせざるを得ないのか。ほかの委員会はそういうことをやっていないと言いながら、なぜこの産廃問題の事務だけは外部へ委託せざるを得ないのか私にはわかりませんので、再度お答えをいただきたいと思います。
終わります。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)宮沢県議の御質問にお答えいたします。
冒頭で、私の育ちに大いなる疑念ありという大変にありがたい御発言をいただきまして、これもまた広く差別ととらえずに受け入れることこそが開かれた長野県の県政であろうかと考えております。
そして、障害者の方々は、ある意味ではこれは精神障害の方々も、精神的に助けを求めていらっしゃる方が220万人も全国にいらっしゃるにもかかわらず精神科医の方は1万2,000人しかいないということにこそ、日本の大きな問題があるわけでございます。見て見ぬふりをしていて、一たん何かが起きれば声高に語るということは、私たちの社会をよりよくすることではございません。
宮沢議員の御質問は、恐らくきのうの佐藤議員の御質問の中にもあられました身体等に障害のあられる方々への性的なサービスということをお尋ねになられたのだと思いますが、私のもとには、昨日来、多くの障害者の方々から、ファクスで、よくぞ言ってくれたと。私たちも等しく人間であって、生活をするということは同時に性の営みもあることであり、そうした体にハンディキャップをお持ちの方々の性の問題ということを、私たちもまたそれに目をつぶることなく話し合いをしなくてはならないという意味合いで吉原という言葉を使ったわけでございまして、これに関して、障害をお持ちの方々から、この発言が障害者を侮蔑しているというような御意見は寡聞にして聞いていないわけでございます。
いずれにいたしましても、障害者の問題での発言、また
朝鮮民主主義人民共和国の国に関しての発言の謝罪と撤回をする意思はございません。
そして、職務代理者の件でございますが、これは、長野県にいても、議員がおっしゃられましたように、時として私が障害を受ける危険性がゼロではないわけでございます。また、長野県に始終私がとどまってゴルフやマージャンを日夜行っているからといって、それが県政の滞りない遂行につながるとは必ずしも限らないわけでございます。職務代理者の件に関しましては、既に先ほどお答えしたとおりでございます。
そして、議員は、詳細なるディテールをもって、昼間からこの神聖なる議会棟において会費でアルコールを飲むことは、改選期のパーティーは、県民から非難をされるものではないとの大変に力強い御見解をお述べいただきましたが、これは主観の問題であると私は思っております。
議員の皆様が会費制にせよ昼間から県庁舎及び議会棟においてお酒をお飲みになることをよしとなさるように、私もまた知事室におきまして長野県出身のタレントの方と長野県を伝えるべく雑誌の対談を行う際にアルコールを飲んだことは何ら問題ないと考えているわけでございます。
ダム問題に関しての部分でございます。
ダム問題は、脱ダム宣言は、改めてお読みいただければおわかりかと思いますが、でき得る限りコンクリートのダムによらない治水、利水を目指すと申し上げているわけでございます。この考え方は、長野県のみならず広く日本においても市民にまずは理解され、そして2月に宣言いたしました脱ダム宣言の理念というものは、今や、小泉内閣のもとで、国土交通省ですらその理念の流れに基づいてのダムからの脱却を目指しているわけでございます。
とりわけ、長野県においては、現地を見て脱ダムの理念を、また、それ以降に視察をしたものに関しても、私は、現地を見て、資料を見た上で私の見解というものがあるわけでございます。他方で、治水・利水ダム等検討委員会は、それぞれの委員の方が現地もごらんになった上でさらに議論を深めていただくわけでございます。
長野県においては、一つ一つのディテールに基づいてダム計画がありました箇所に関して議論を行おうとしているわけでございますが、他方で、国家レベルにおきましては、一つ一つの現地をリーダーたるものが見ることなく、大臣もまた首相も見ることなく、シーリングありきでダムの新規着工の凍結等を宣言いたしているわけでございまして、私は、国家レベルにおいても、脱ダム宣言の理念を受け入れる形での流れは一つ一つのディテールに基づいてのものであることを一人の市民として願うものであります。
廃棄物に関しましての委員会でございますが、これは先ほど来申し上げておりますように、数々の産業廃棄物の処理の仕方について広く市民の意見を聞きながら手がけてこられた原科委員長が、事務局を外部に委託することによって透明性が高まり、市民が参加し、そして市民が納得する産業廃棄物の処理の方法が見出されるとしているものであり、私もそれに同意をし、生活環境部の廃棄物対策課も、そうした原科委員長のもとで、さらなる情報の開示と審議の滞りなき進展のために努力をしているところであります。
以上であります。
○議長(石田治一郎 君)昼食のため午後1時10分まで休憩いたします。
午後0時9分休憩
───────────────────
午後1時11分開議
○副議長(森司朗 君)休憩前に引き続き会議を開きます。
続いて順次発言を許します。
木下茂人君。
〔28番木下茂人君登壇〕
◆28番(木下茂人 君)戸草ダム建設に係る利水事業の撤退について質問をいたします。
戸草ダムは、三峰川総合開発事業の主要事業として、重力式コンクリートダムを建設しようとするものであります。このダムは、時の建設省が事業主体となり、治水のほか、長野県の申請に基づいて、工業用水と発電の利水事業を取り入れた特定多目的ダム法の規定に基づいて進めてきました。
ダムの規模は、堤高140メートル、堤体積133万立方メートル、総貯水容量6,100万トンで、基本計画による事業期間は昭和63年度から平成13年度となっておりますが、完成は平成25年ころに延期することが見込まれております。
この事業について、知事は、6月18日、工業用水と発電について撤退することを正式に表明したと報道されました。私も、数日前に、県の担当課長から、状況変化により工業用水の需要増が見込めないこと、発電についてコストが高くなり採算が困難であることの説明を受けました。
しかし、報道を見て、これは問題だと思いました。問題は、結論に至るプロセスであります。だから利水事業は撤退する、ダムの必要性の大きな部分が欠落したとの知事の結論と突き放した発言であります。
周辺の住民の一番の心配は、治水であります。災害は大丈夫かという気持ちであります。関連し合う多目的事業においては他への影響もあり、特に災害対策については、被災地域住民の気持ちを配慮して、安心できる総合的な判断による方向づけが不可欠であります。
田中知事は、就任以来、先に結論ありきではいけない、プロセスが重要だ、わかりやすい言葉で説明を加え、行政と住民が直接話し合える機会を積極的に設けて、県民と一緒に実践問題として解いてまいります、参加型プロセスを目指しますと表明してまいりました。それは、記憶に新しいところでございます。今回、住民との対話はありましたか。
知事の発表と同時に、地元市町村長は、余りにも地域を無視した方向転換だと、一方的な結論に不満を爆発させています。また、住民は、これまでのプロセスを無視した急な話に怒りを感じる、話し合いで解決することで今後の治水・利水事業は成り立っていくものだと、ふんまんやる方ない発言が続出しております。
知事の言行不一致が露呈したように見受け、残念に思いますが、情報を共有した上で地域住民との参加型プロセスはあったのですか。あったとすれば、いつ、どのようにしてなされたのか、お聞かせください。
また、特定多目的ダム法第4条の規定によると、基本計画の変更に当たっては、国土交通大臣は知事の意見を聞くことになっており、知事は意見を述べるときには議会の議決を経なければならないと定められております。
利水事業を撤退することは、基本計画の変更事項であります。しかも、その変更は、知事からの申し出によって余儀なくされることであります。議会の議決を要する事件について、県としての意思を決定する段階で議会に協議すべきであって、独断でこれを決定しておいて事後に議会へ議決を求めるのでは法律の精神に反することであり、また議会との車の両輪の精神にも反すると言わざるを得ません。どうお考えになっておるのか、御答弁を求めます。
農業政策について知事に質問をいたします。
今、本県農業は、水田面積のおよそ半分になんなんとする減反を実施する中で、県農政の主要施策である地域営農システムの構築と園芸王国づくりを目指しているところであります。
しかし、ここ数年、海外からの輸出攻勢の中で、頼みの園芸は極めて重大な局面に立ち至っております。
過日、NHKの特集番組で放映され、その一端を目の当たりにいたしましたが、アジア諸国からの輸出攻勢はすさまじいものであります。各国は、日本にターゲットを絞って、国の手厚い支援のもとで自国の経済再建のための国家プロジェクトとして取り組み、近代的な大規模経営を主力として、最先端の施設や品種、生産技術を導入し、日本市場に受け入れられる商品づくりを目指しているところに深刻な脅威を感ずるものでございます。
韓国産のパプリカやミニトマト等輸入野菜が、農協のAコープにさえ陳列されております。ようやく、ネギ、生シイタケ、畳表の3品目についてだけはセーフガードの暫定措置がとられ、平成13年4月23日から11月8日までの200日間は一定のガードが発動しました。早速、中国からは報復措置が示されました。内外の圧力があり、本発動に踏み切れるかどうかは今後に残されています。
日本としては、セーフガードの期間内に競争力を回復しなければなりません。国において検討はしているようですが、いまだに手がかりはつかめていないようであります。
本県においてはこの3品目の影響は少ないと思いますが、輸入の波は3品目に限定されたことではなく、園芸品目各般にわたっています。その影響を受け、昨年は、園芸作目について価格は総体的に下落をいたしました。もはや農業者の個人の努力では限界があり、今や、本県園芸農業の国際競争力を強化し、市場シェアを確保していくための戦略構築は農政の緊急課題であると考えますが、このことについてどのように認識されておられますか、まずお伺いをいたします。
昨年、アルストロメリアの地中冷却施設の補助事業が実施されました。これは、メリアの価格が秋から正月にかけて高値に推移することに着目をいたしまして、通常の作型では正月以降の出荷になってしまいますので、適期に出荷を合わせるため、夏場に地中に配管したパイプに冷水を通して低温管理をしていく新技術と施設整備を行うものであります。まさに、農家の自助努力と行政支援が一体となって実現したものであります。メリアの価格が全般的には下落する中で、目標どおりの成果を上げることができました。
また、今、地域の花農家は、トルコギキョウに関心を寄せています。自分たちで新品種の開発に取り組んでいます。共同で種苗を育成し、育成コスト低減を図っておりますけれども、施設に多大な資金を要します。共同育苗の立ち上がりに支援があれば、事業推進に拍車がかかると思います。
また、農協によるビニールハウスリース事業に対する補助事業も好評でございますけれども、実施数が少なくて需要に応じ切れていません。事業の拡大が必要だと思います。
二、三の事例を挙げまして生産現場への支援の必要性を述べました。今、県が予算の中で計上している信州農産物マーケティング戦略推進プランは、消費者嗜好を念頭に置いた信州農産物のブランド構築により販売戦略を進めようとするものであり、川下からの戦略プランもよい発想だとは思いますけれども、全県的な体制づくりにまで普及し、県の農業生産額を拡大させていくことができるのでしょうか。そういう効果を持っているかどうか。それと、それはいつごろまでにできるのか。このことについてお伺いをいたします。
いずれにしても、このような流通面からの施策とあわせて、前段の生産面での高品質、低コスト化への技術開発や経営体質の強化の支援の必要性を痛感いたします。
国の施策に期待することはありますが、園芸王国づくりを根幹とする本県農政の真価が問われているときでありますので、今こそ、汗を流して頑張っている農業者が報いられるような本県独自の施策を率先して展開していくことを要請いたします。御答弁をお願いいたします。
知事は、ディテールが大事だと言われます。私は、それと同時に、長野県の行政のリーダーとしては大所高所からの大局観も不可欠であると信じます。
本年度から政策評価制度がスタートしました。この政策評価も、個々の事業の評価もさることながら、大局的見地から、県民にとっては各産業ごとの評価が必要であると考えますが、所見をお伺いいたします。
このことについて、農政について具体的に伺います。
本年度の農政部の予算は651億円で、前年比8.2%、額にして58億円も減少をしております。この難局を乗り切るには心細く感じます。田中知事は、この予算と、これによる政策によって、本県農業をどのようにしようとしておられるのか。できるだけ数値でお示しをいただきたいと思います。
例えば、本県農業総生産額についてはどうですか。平成12年には総生産額は3,185億円でありました。ピークの平成3年には4,300億円もありました。果樹、野菜、花卉、キノコ等の作目ごとの目標値はお持ちですか。
産業政策は結果が求められます。成り行き行政は無責任のそしりを免れません。知事の明快な御答弁を求めます。
地方分権推進の根幹である地方財政の自立について質問をいたします。
地方分権を推進するために組織された地方分権推進委員会は、1995年7月に発足してから6年を経過しました。この間、中央の省益に固執する官僚機構との対立を繰り返しながら、政府への5回の勧告を行い、国が地方へ代行させていた機関委任事務の廃止など成果も上げてまいりました。
しかし、地方分権が名実ともに功を奏するか否かは、地方財政が自立できるか否かにかかっていると確信をいたします。
公共事業を削って福祉を増額するという田中知事が言っていることは、現状の国の縦割りの補助金行政のもとではできないことであって、地方財政が自立してこそ初めてできることだと思います。
政府の経済財政諮問会議のまとめた経済財政運営の基本方針には、主要な自主財源である地方交付税を削減することが浮上しました。地方への財源移譲が先だという意見が続出する中で、国の財源不足の穴埋めのために一方的な地方の切り捨てだとすれば承服できるものではありません。が、最終的な取りまとめの段階で、地方への税源移譲を明記することを固めたとのことであります。
一方、地方分権推進委員会は、最終報告書を取りまとめ、政府の構造改革には国から地方への税源移譲は不可欠の手法であることを強調し、分権推進の考え方を明確にいたしました。これで、経済財政諮問会議と地方分権推進委員会の二つの機関の考え方が大枠で一致したわけであります。
地方分権推進委員会は、地方交付税についても、自治体間の格差是正に依然として重要であると指摘しており、構造改革により国の切り捨てを警戒する地方の意向に配慮した提言であると考えます。この最終報告の要旨は、地方議員である私にとって共鳴できるところが多く、評価できます。
地方分権推進委員会は、この報告を最後にして、7月で任期終了となります。政府は、後継機関として地方分権改革推進会議を組織することとし、そのメンバーの人選も進められているようであります。
しかし、税源移譲や地方交付税の取り扱いについては玉虫色の内容もあり、国税を死守しようとする財務省官僚の厚い壁を突破して、地方財政を自立させ、真の地方分権を確立することができるかどうか。地方分権成就の登山は、まだベースキャンプの段階にあると言われております。
地方分権は、構造改革の重要な柱であり、特に、地方にとっては古くから言われた地方の時代の実現の命運を分かつ重大事であります。地方にとってこんな重大なことも、放置すれば国のペースで事は決まってしまいます。やるのは地方であります。このことを思えば、地方の気持ちを無視した決定は県民にとって耐えられるものではありません。
そこで、知事にお伺いをいたします。
地方交付税の地方自治体における意義と構造改革でのあり方について、並びに税源移譲に係る地方分権推進委員会最終報告書について、どのように認識されておられますか。
そして、これらの動向を踏まえて、今、地方の自主財源確保による地方財政の自立の課題は正念場を迎えているものと考えますが、知事は、このときに当たって、いかなる覚悟を持って、いかなる政策によってこの重要課題を成就させようとしておられるのか、明確な御答弁をお願いしたいと思います。
以上をもちまして第1回の質問を終わらせていただきます。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)ただいまの木下議員の御質問に順を追ってお答え申し上げます。
まず、戸草ダム建設事業に係る利水事業の撤退に関してであります。
戸草ダムからの利水、これは工業用水と発電でございます。この件に関しましては、私どもの関係する企業局、また商工部、さらには土木部とも話し合いを行い、その上で、ことしの5月に、伊那市長、長谷村長、高遠町長に工業用水の撤退について担当の課が御意見を伺っております。また、6月12日から15日にかけまして部局長等が関係の市町村に出向きまして、長野県が利水事業から撤退する意向をそれぞれの首長に対して説明を行い、理解を求めております。また、これに先立ちまして、私と関係部局との話し合いを持っております。
さらに、発電に関しましては、発電所建設に関する同意書や覚書等を取り交わしております長谷村長、中部電力並びに天竜川漁業協同組合に対しても同様な説明を行い、理解を求めております。
ダム本体建設への影響を懸念する方々もおられましたが、計画の当時とは大きく実情が変化しておりまして、工業用水、発電の2項目の利水からの撤退に関しては理解が得られたと判断をいたしまして、6月18日に記者会見で撤退を表明いたしております。
事業主体の国土交通省、そして県の土木部、商工部、企業局は、事業の当事者として三峰川総合開発事業連絡協議会を組織し、連絡あるいは調整を行ってきております。
この私どもの決定を受けまして国土交通省の小野事務次官も、私たちのこの申し入れを含めて、三峰川における戸草ダムの建設に関して検討を加えるというふうに御発言をなさっていらっしゃいます。
戸草ダムのこの撤退決定の時期に関してでございますが、現在、国においては、本年度末で期限を迎える三峰川総合開発事業計画の変更が検討されているところでございます。12月議会の承認をめどに、変更基本計画について知事に意見聴取を求める予定であるというふうに伺っております。この意見聴取を受けました上で、県では、長谷村及び高遠町への意見聴取を行い、県議会にお諮りし、議決を経た上で、改めて国土交通省に意見を申し上げる予定であります。
今回の利水事業者としての撤退は、基本計画の変更作業を進める上で、利水事業者として事業への不参加を表明することにより、国の計画に私どもの意向を反映していただくためであります。
なお、工業用水及び発電の撤退の決断に至りました経過等については、事前に関係委員会の委員の皆様に御説明を申し上げております。そして、今回の利水は、工業用水と発電という、一人一人の地元住民の方々へは直接、いわゆる上水道としての利水とは異なる事柄の利水事業であり、今申し上げたような説明のプロセスを経てきております。
農業に関しての御質問でございます。
これは、もう既に御存じのように、生鮮農産物の輸入が、現在、日本においてはさらに急増いたしております。国産農産物市場における競争力の強化は、長野県という全国で最も農家戸数が多く、また農業従事者数も多い県における持続的な発展にとって不可欠であります。
ただし、この場合におきまして、今までのような保護をするといった形での補助金の発想から、奨励をするといった形、そして支援をするといった形での報償金的な発想へと転換をせねば、保護をするための補助金は、目先はまさしく保護とはなっても、中長期的に見ますと、その産業構造の弱体化へとつながるおそれを排除することができません。このために、長野県におきましては、今後、生産基盤の強化や流通の合理化によるさらなるコストダウンにも加えて、新しいマーケティング戦略による農産物の高付加価値化や、また長野県のブランドの農産物としての確立による展開が不可欠であると考えております。
セーフガードも例外ではなく、一時的には日本のネギを初めとする農業生産者を保護することはあっても、結果的に高値で市場が安定することは、はるかに安い人件費によって賄える中国の農業を、結果的にはその原資をさらにふやすといった皮肉な状態に陥ることがあるわけでして、この意味においても、日本の農業の代表選手であります長野県においてマーケティング戦略による高付加価値化が不可欠でございます。
さて、この長野県農産物マーケティング戦略推進プロジェクトについてであります。
多様化する消費者の価値観に的確に私ども生産者の側から対応するため、あぐり指南役といたしまして、世界的に著名なソムリエであり、また食を通した文明論に関しても詳しい田崎真也氏と、また長野県東部町において長きにわたってワイン生産、ブドウ生産等の農業を手がけるエッセイストの玉村豊男氏のお2人を既に任命させていただきました。そして、この2人を中心に、ワインを初めとする飲み物、ここには日本酒やいわゆるミネラルウオーターと称する水が入ります。さらには、チーズやヨーグルト、ヨーグルトドリンクといった乳製品、また牛肉を初めとして南信地域で見られますシカ肉やイノシシ肉といったジビエも含めた食肉、そして高い生産量を誇ります長野県の花卉類、さらには林務部と農政部にまたがります自生、栽培を含めたキノコ、この5項目を中心に県産農産物の高付加価値化、ブランド化に向けた新たなマーケティング戦略推進プロジェクトを実施してまいります。
あぐり指南役の方々と県内の極めて意欲の高い幾人もの生産者の方々との会合は既に持たせていただき、また、これらあぐり指南役の方を交えた、広く県民との話し合いの場も設けてまいります。
そして、平成14年度以降、具体的な施策を実施してまいりますが、まずは、農産物の原産地に由来するいわゆる原産地管理呼称制度の具体化をワインを手始めとして実施してまいりたいと思っております。長野県のワインは、とりわけ日本における長い歴史を誇っておりますが、近年においては、塩尻の桔梗ヶ原を中心に生産されるワインが世界的な競争力を持つ品質へと育ってきておりますことは、ソムリエの田崎真也氏を初めとして、私もまた高く評価するところであります。
ワインにおける原産地管理呼称制度を少しく御説明させていただきますと、例えばフランスの場合には、ボルドー地区でとれますワインは、アペラシオン・ボルドー・コントローレという表示がございます。このボルドーの地域がさらに小さくなりまして、マルゴーあるいはポイヤックといった村のさらに厳しい原産地管理呼称制度をクリアいたしましたものは、アペラシオン・ポイヤック・コントローレといった表示があるわけでございます。
現在、桔梗ヶ原メルローと呼ばれておりますブドウも、どこまでの範囲を桔梗ヶ原として原産地呼称が許されるかということは、いまだ必ずしも確立はしておりません。これを、どこからどこまでの範囲内のいかなる土壌のブドウ畑から生産されるメルローを桔梗ヶ原メルローと定めるのか、また、1ヘクタール当たり何キログラム以下のブドウの収穫量に限られる――収穫量が多いことが必ずしもワインにとってはよいことではないわけでして、限られた収穫量である方が品質はより高くなります。そして、生産者に対しても厳しい条件を課する。このことによって、桔梗ヶ原メルローという表示を行えるワインを限定することによってブランドの価値を高めるという作業であります。これは、ワインに引き続きまして、日本酒においても早期の導入を図ってまいりたいと考えております。
そして、さらに、これは既に車座集会等でも申し上げていることでありますが、現行の農産物の呼称というものは、秀、優、良、あるいはL、S、Mといった形の、それはサイズでありましたり、あるいは果物あるいは野菜の外側の輝きでありましたり、色合いといったものによって評価の基準が定められております。これもまた、ある意味では食卓の方々には大変に安心できる評価基準とも言えるわけでありますが、このサイズはLである、あるいはこの外皮の光沢や色合いは秀であるといった決め方というのは、ともすれば偏差値教育的な、優等生的な決め方を定める危険性を排除できないわけであります。
最も消費者にとって大事なことは、おいしいかおいしくないかであります。これに関しましては、今までは、だれがおいしいかおいしくないかを決めるかというその責任のほどが明確ではないために、サイズであったり、色合いで決めてきたところがございます。これを、まずワインを始め、そして日本酒を手がけ、さらに、その後、果物や野菜においてもこうした原産地管理呼称制度の具体化を図ってまいります。14年度以降、まず最初はワインを手始めとして実施してまいります。
そして、国際競争力を高める上においては、まず、長野県においては、今までも農業関係の試験場や農業改良普及センターによる県のオリジナル品種の育成や革新的な新技術の開発、普及を図ってまいりましたが、さらに、より低廉な施設や生産資材の供給、また選果作業の共同化、分業化、高品質で高鮮度な供給体制の整備などを推進することも必要であります。
また、あわせて、先ほどの原産地管理呼称制度を導入してまいりますことによって市場価格における優位性を保てるようにしてまいります。
2010年を目標といたしました長野県農業長期ビジョンで掲げております魅力ある農村社会の建設、あるいは個性が輝く信州農業の創造といったものを目指して、本年度は、信州農産物マーケティング戦略推進プロジェクトのほかにも、果樹経営安定対策、食肉処理施設の緊急衛生対策を進め、また園芸王国づくりの推進、新規就農者の確保対策などをさらに進めてまいります。
長野県第2次中期総合計画では、2004年の農業総合生産額の目標を3,644億円に定めております。また、各作目別に生産振興計画を策定し、その目標の達成に向けて取り組んでおります。
詳しい数字に関しては、お求めがあれば、私どもの農政部長からさらに詳しく御説明を申し上げます。
地方財源の問題に関してでございます。
地方公共団体が自主的、主体的な地域づくりを進めていく上では、地方行政の基本的な財源が安定的に確保されるように地方税財源の充実確保を図ることが、地方分権の時代には以前にも増して重要であります。そのため、国庫補助負担金の整理合理化や地方交付税のあり方を抜本的に見直すとともに、税源移譲を含め、国と地方の税源配分についても抜本的に見直すことが不可欠であります。
地方分権推進委員会最終報告においては、国、地方を通じた税率負担に変更を加えないという前提で、国から地方への税源移譲を行う際には、国庫補助負担金や地方交付税を減額するなどにより歳入中立とすることを原則としております。
具体的には、個人住民税、地方消費税、たばこ税などについて国から地方への税源移譲による充実とともに、法人事業税について外形標準課税の早期導入などが提言をされております。地方分権をさらに推進するという観点から、具体的な税源移譲の方策に踏み込んでいるという点については評価ができるものと考えます。
地方交付税は、税源の偏在による財政力の格差を是正し、地方団体間の財源の不均衡を調整するとともに、地方団体が国の法令等で義務づけられた一定の行政水準を維持できるよう、必要な財源を保証する役割を担う地方の基本的でまた固有の財源ではあります。
地方交付税の見直しに当たっては、例えば、行政規模が小さくなるほどに人口一人当たりの経費が割高に算定されるいわゆる段階補正の見直しが行われると思われますが、この場合においても、小規模町村で現実の財政運営、行政サービスに支障が生じることを避けるようにすることが必要であります。
地方税源の充実に当たっては、歳入中立の前提で税源移譲を行うと、税源がえてして偏在しているため、財政力の弱い地方公共団体においては財源が全体として減少してしまう危険性を排除できません。それを補完する地方交付税、あるいはその他の財源調整機能の充実が必要であります。
今後、地方税財源のさらなる充実に向けて、このような課題を踏まえて、長野県では、全国知事会を初め必要な場において具体的な提言を積極的に行い、また県選出の国会議員にも長野県の御提言を御説明し、あらゆる機会を通じて私たちの主張を広めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
〔農政部長中村武文君登壇〕
◎農政部長(中村武文 君)お答え申し上げます。
作目別の農業総合生産額の目標についてのお尋ねでございますけれども、ただいま知事が申し上げました長野県第2次中期総合計画、2004年の目標数値3,644億円の内訳でございますけれども、水稲につきましては613億円、麦、大豆、そば等につきましては48億円、果樹、野菜、キノコ等合わせまして園芸作物では2,463億円、畜産の関係では520億円、合わせまして3,644億円の計画を定めておるところでございます。
以上でございます。
〔28番木下茂人君登壇〕
◆28番(木下茂人 君)再質問をいたします。
まず、戸草ダムの建設につきまして、市町村長に対する説明はあったようでございますけれども、私の質問は、知事が言っている住民と一緒に実践問題を解いていくプロセス、住民との対話のプロセスを踏んで、住民がこれなら安心だというふうにやっているかどうかということを聞いているのでありますから、このことについてお答えをいただきたいと思います。
それから、議会との関係でございますけれども、これは多目的ダムですから、利水が落ちた場合に多目的ダムでなくなる。その場合に、治水についてどのように考えるかということも判断する中で退去が適切であるのかということも判断をしなきゃいけないというふうに思うわけでございますけれども、そういうことについての協議が十分なされているかどうかということについても、お伺いをいたします。
それから、農業の問題につきまして、これは、保護ではなくて奨励とか支援でやりたいと。趣旨はわかりますけれども、それでは、具体的に何をやるかという考え方があるかどうかをお聞きいたします。
それから、農業の関連でマーケティングの問題ですけれども、この問題については、全県的に拡大していくような効果のある施策になっているかどうかということと、それができるとすればいつごろを目指しているかということで、結果を求めているわけですから、そのことについてお答えをいただきたいと思います。
なお、流通の問題についてお尋ねをいたしますが、6月24日放映のテレビ番組を見た農家から、出演した田中知事の話を聞いて、知事は本当に農業や市場の実態を御存じなのかと不安の声が相次いで寄せられています。
私もその番組を見ておりましたが、スーパーで180円で売られているシメジが、農家の手取りが50円で、中間でだれがもうけているのかという内容のものだったと記憶をしております。6月25日のシメジの価格を調査してみましたら、100グラムで小売価格65円、市場販売価格35円でございます。農家手取りは29%、包装等の出荷経費が13%、運搬等の経費が10%、仲卸・小売経費が46%が主なものでございます。生鮮食品の性質上、流通経費が大きいのですが、出荷経費やロスをカバーしていく経費も増嵩の要因と考えます。
知事は、この実態を御存じで発言されたと思いますが、この中で、具体的な改善策があるのでしょうか、お伺いをいたします。
それとも、そういうことなしに、ただの評論ならば、誤解を招く発言は本県農業の広告塔どころかイメージダウンにつながる発言ではないかと思いますので、こういう発言はいかがかと思います。御答弁を願いたいと思います。
農業の問題につきましてもお答えがございましたけれども、政策評価を実施しておりますから、毎年、そうしたことについての目標を持って、達成できたかどうかということをやっていくことができないかどうかというふうに思いますし、2004年の3,644億円に迫る政策として今のもので十分であるかどうかということにつきましても一言御答弁をいただきたいと思います。
ちょうど時間になりましたので、終了させていただきます。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)ただいまの御質問にお答え申し上げます。
私どもが工業用水と発電の利水事業からの撤退を表明いたしましたのは、企業局を初めとして、私ども税金をいただいて事業を行う身として再調査いたしましたところ、採算が到底とれない事業であるというふうに判断をしたわけでございます。こうした説明を受けて、さらに私も精査をするように努めまして、結果的に、この戸草ダムにおける利水事業への参加は県民益を損ねるということで撤退を表明いたしました。
先ほどもお伝えいたしましたが、工業用水と発電というものは、いわゆる飲料用の上水道のための利水とは異なりまして、直接市民の生活に響く形ではございません。この発電も、企業局が電力会社へ売電をすることになっていたわけでございまして、この売電に関しましても、私どもがこの戸草ダムで発電をした場合に、いわゆる競争原理がさらに働いてきております電力会社の側で、私どもの金額では到底御購入いただけないという判断から行ったわけであります。でありますからして、この工業用水と発電というものは、一人一人の市民の方々への御説明よりも、むしろその地域の責任ある立場の方へ御説明をすることによってそのプロセスを果たせたと考えております。
そして、この三峰川におきます治水に関しましては、これは国が管理いたしておるわけでございまして、治水のあり方に関しては一義的には国が検討をし方向を指し示すものなわけでございます。そして、先ほど申し上げましたように、記者会見において小野国土交通省事務次官も、この三峰川の、とりわけ戸草ダムにおける治水ということに関して検討を加え直すとお話しになっているわけであります。その国土交通省の新たな方向というものが出ますのを、いましばらく見守りたいと考えております。
農業に関しましては、先ほど来申し上げましたが、このマーケティング戦略、とりわけ原産地管理呼称制度に関しましては、県内の、最初はワインからでありますが、さまざまな農産物に関して拡大をしていきたいと考えております。
そして、先ほどの価格の問題でございますが、私としては、生産者の方により多くの真っ当な利益がもたらされるような価格形成を図りたいということで、これが先ほどのあぐり指南役の方々とのマーケティング戦略につながっているわけです。
そして、中間の経費というのは、これは運賃というものも大変に厳しい競争原理の中で、むしろ運送賃というものはその軽減が結果として市場原理の中で図られてきているわけでございまして、むしろ運賃のみならず事務的な経費というもののさらなる見直しということが、これは一長野県のみで行えることとは必ずしも限りませんが、出荷額と市場の価格との間の部分というものにさらに切り詰めるべきところがあると私は考えているわけであります。そして、そうした意味の形において、長野県は、マーケティング戦略で原産地管理呼称制度をさまざまな品目にわたって拡大することで具体的な提言へとつなげていきたいと考えております。
以上であります。
〔28番木下茂人君「議事進行」と呼ぶ〕
○副議長(森司朗 君)木下茂人君。
〔28番木下茂人君登壇〕
◆28番(木下茂人 君)2点について答弁漏れがありますので、議長においてお諮りをいただきたいと思います。
一つは、戸草ダムに対する市民とのプロセスの問題でございますけれども、これは、やったかやらないかということについて聞いていることと、なぜやらないのか。それで、結論が先ありきではいけない、プロセスがなきゃいけないじゃないかということですけれども、先ほど知事が言っていました県民益を損ねないということの考え方、市町村長と話をすればそれで済むんだという考え方は、これは知事が考える結論であって、住民が納得している問題ではないわけでございまして、住民が本当に納得するような対話を持ったかどうかということを聞いておりますから、このことについての御答弁をお願いしたいと思います。
それから、信州ブランドのマーケティング戦略について、やることの趣旨や何かはわかりますけれども、それが本当に全県的に広がっていくような農業政策であるかどうか。そして、そういうふうに広がるとすれば、いつごろまでにそういうことができるかどうか。これは、産業政策ですから、いつまででもいいとかそういう問題ではないわけで、結果を問われるわけです。いつごろまでにやろうとしているか、そのことについて答弁漏れがありますので、議長において答弁についてお諮りをいただきたいと思いますが、お願いいたします。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)今回の工業用水及び発電の利水事業からの撤退を決めます間において、広く市民への説明という形は踏んでおりません。その理由に関しましては、先ほど2回にわたって答弁の中で理由を御説明申し上げました。
そして、2点目の農業の問題の点でございますが、これに関しましては、さらに農政部とも、早い段階で具体的な時期というものを指し示すように努力をしてまいります。
○副議長(森司朗 君)次に、宮沢勇一君。
〔57番宮沢勇一君登壇〕
◆57番(宮沢勇一 君)県政会の宮沢勇一です。
長野県の教育は、明治から昭和初期にかけて信州教育あるいは教育県長野と言われ、西の岡山、東の長野と自他ともに認めてまいりましたが、残念ながら、戦後の教育制度、教師の考え方、環境等から教育の成果を示す数値で見る限り、知育、徳育、体育すべての面でよくありません。
親たちの望む進学率は、沖縄か長野県かで最下位を競ってきました。しかし、ここ二、三年、教育委員会の御努力により、かなり上昇はしてきておりますが、このような憂慮すべき現実から脱却しなければいけないと、我が県政会は、議論の結果、日本一の教育県を目指そうではないか、これを強く知事に申し入れ、代表質問でもこれをただしてきております。
なぜ、これを教育委員会に求めず、知事に求めたかと申しますと、昔、村長さんが、立派な校舎をつくり、高い給料を用意して、わらじを履いて、いい校長先生がいないかなと求めて歩いた。その校長先生これにこたえて、昼は小学校で、夜は青年たちに夜学を教えた。村人たちには新しい産業の情報を、同時に読書を勧めた。よって、信州のこたつ哲学が生まれ、碩学者も多く出た。これぞ、今求められている地域、学校、家庭が一丸となった信州教育であったわけです。
もちろん、知事は、教育委員会の権限を侵してはならないが、教育をよくする環境、土壌づくりはしなければなりません。加えて、教師には使命感を覚えさせ、親には社会常識を認識させ、責任感も持ってもらう。
今、我が県の教育は大変な土壇場に来ております。残念ながら、前任者の知事も、教育は大事だ、いいことだと同意はしてくれたけれども、行動は起こしてくれなかった。田中知事は、幸い、教育を大切に考えて立候補した。今、特別顧問を置きたいと言うが、公約をして当選するや、1年もたたないうちに特別顧問に相談しなければできないような知事なら、私は余りに情けないと思います、残念です。あなたみたいに有能な方が。少なくとも、立候補の時点の教育に関する基本的な考え方をお聞きしたいと思います。
また、私が申したような、地域、学校、家庭の連携で教育をよくするにはどうしたらよいか、お尋ねします。
一つ、提案があります。あなたの得意とする教育の脱最下位宣言をしてほしい。日本一の教育県を打ち立てるべく、知事みずからが総指揮者となって、町村長を初めあらゆる団体、組織のネットワークをつくって一大県民運動を起こしていただいて、県民全部で教育を考えてもらいたい。それを知事にしてもらいたい。
知事は、今まで、既存の破壊は目につくが、新しい創造は聞こえてこないと新聞、あるいは情報、世論がそのように言っています。これに対して一矢を報いるような立派なお答えをいただきたいと、こう思います。
次に、公共投資について非常にむだだという話がありますけれども、昭和30年ころ町民会館等鉄筋コンクリートの建物が数多くつくられまして、市町村財政をかなり苦しめた。評論家等は、これをやゆして、極めて利用率の悪い借金コンクリートだと酷評されたが、確かに利用率は30%以下と悪かったが、不思議と市民の人からは不評ではなかった。それは、箱物は地域住民にとってはステータスシンボルであったわけです。宝物であったわけです。民間的競争の原理だけで行政効果の判定はすべきではありません。公共投資のよしあしを論ずるとき、知事は住民の願いを大切にすべきだと思いますが、その観点に立ってお聞きします。
最近、学校の生徒数の激減による空き教室、時代の変遷による空き建物、法律の改正による休日の増加によるグラウンドの利用率がかなり減ってきております。これらの対策と、一方、福祉、高齢者、生涯教育等では施設を求めています。このミスマッチ対策はどのようにお考えか。
一つ、具体例でお聞きします。
佐久市に創造館があります。東信地区を代表した建物です。多目的ホールに問題があります。設計の時点では、音楽、舞台芸術、講演が親しめる固定いすの文化ホールだったんですが、一部の意見で、佐久地方にはスポーツ施設がないという理由で、急遽、スポーツのできる平場の多目的ホールに変わってしまいました。最近、佐久市内だけでも社会体育館が8カ所もできたので、多目的ホールに空きが目立ち、このまま放置すれば公共投資のむだ遣いの見本となります。有効活用を考えるべきだと思いますが、例えば、最初の計画どおり、文化芸術が親しめるホールに切りかえれば物すごく有効だと思います。
参考までに、あなたのお仲間であるかもしれませんけれども、藤本義一さんが講演に来たときに、余りに自分の声が伝わらないということで、怒り心頭で、そこの場をおりてしまった。帰りはしなかったけれども、車座で話をされて帰ったという有名なホールであります。
次に、行政の手法について。
過日、あなたのお父さんと佐久でお会いすることがありました。ちょうど私と同年配かなと思いましたので、きょうは、あなたのおやじというような立場で物を言わせてもらいますから聞いていただきたいと、こう思います。
私は、御存じのとおり、政治学は学んだことはございませんが、地方自治に関しては40年間の経験がございまして、みずからは地方自治の職人と自負しております。
さて、知事は、12月議会で、佐藤議員の著述業と公務についての質問に答えて、私も、知事としての責務を行う中での私の日々の行動や判断に関して、みずからの中で、著述を行う中でみずからの行為を振り返るという弁証法を行っている行為だと、このように考えておりますと答えられております。残念ながら、私は裸の王様にはなりたくないので申し上げますが、よくわからない、全くわからない。だが、弁証法という言葉だけが、やけに私の昔を思い出させてくれました。というのは、昔、私が勤めていたときの町長さん、年末御用納めの職員に対する訓示の中に、世の中は、年々歳々、諸矛盾を統一して、弁証法のように新しいものを生んでいく云々と、40年過ぎた今でも思い出すいい言葉です。その町長さんは、教育者であって、町民によく親しまれました。哲人としても碩学の人であったが、だれにもわかりやすい言葉で、わかりやすい言い回しで語ってくれました。議会答弁もそうであった。
さて、一月ほど前、日経新聞で、中国の教育を論じる中に、中学の数学の教師が帰納法を用いて命題を証明しなさいと13歳の子たちに問いかけている。普通は大学でやることのようです。これはさておいて、私の頭の中にすぐ知事の言われた弁証法が思い浮かびましたが、知事は言い回しが難しかった。町長が言うように、弁証法は諸矛盾の統一によって進化する。統一するためにBがAを倒し、CがBを倒す過程が存在します。弁証法は、的確で革新的進歩はあろうと思いますが、どうしてもそこに戦意は存在しましょう。
あなたの手法は、どうしてもそれを感じる、戦う手法が。対議会、対職員の人事、国会、政府、市町村長、今まで特別の関係にあった知事のお仲間の皆さん、最近は、蜜月だった報道関係者にも、我々から見ればけんかを売ってしまった。加えて、北朝鮮の国の方々。先ほど西山先生が演説した観光協会にもそうだ。物の本を読んでみれば、松本の市長には文書をもって暴露的なことをやっておる。それから、余りいいことではありませんが、あなたの味方だったオンブズマン長野県の会の10名から議会へ陳情書が出ております。あなたをやめさせてほしいという陳情書と言っていいと思います。あなたを一生懸命やってきた人たちです。だが、内容は余りにひどい内容で、100条調査権を用いてあなたの大学のときからの悪いことをみんな調べてほしい、そういうことが書かれております。きょうは、それは論じる必要はありません。
ただ、支えてくれた人たちが、今、あなたの敵になっている。それから、今申し上げたような諸団体がみんな敵になっている。どうすればいいか。ただ、あなたが認めるのは世論調査の数字とメールぐらいしか残らないじゃないですか。その数値も大分下がってきておる。それで、小泉総理出現で話題になることも減ってきておる。ともかく、実像のないものとの妥協はもろい危険があり、あなたの言う県民益とはどうしても遠くなる。
そこで、弁証法的手法は私も好きです。だけれども、ここでひとまずお休みになられたらいかがか。中国が言う帰納法を取り入れてみたらいかがか。この手法はいささか消極的でありましょうが、あなたには向かないと思いますけれども、静かで的確性は高く、県民の幸せを求めるには近道だと思います。
私の考え方が絶対とは思いません。ただ、私の地方自治の長い経験と、幾人もの執行者にお仕えし、また接したとうとい経験で言うならば、過去の事実の事柄の中から一つのものを選んでいくという手法が大切だと思います。
俳優の渡辺文雄さんは、「地域の誇りとビジョンを育てるには」という紙上討論の中で、今こそ原点に戻ってよく見ることが大事だ、コンテンツとしては温故知新ということを考える、何千年も培った伝統の中に間違いなく新しい芽があるはずだと。そして、原点は、ホスピタリティーのことで、感謝と情けが行き交うことだと解説しています。あなたが観光業者や商店街の方々に求めているおもてなしの心と全く同じ、すばらしいことを言っております。
ただ、残念なのは、どんなにいいことを言っても、あなたは人には言うけれども、みずからはおもてなしの心が全く感じられないという事実です。
国に対しては戦闘的で、県民益を大きく失っているとも言えましょう。県民も、最近では、民主主義の仮面をかぶった独裁者と見る人も多くなってきております。敵をつくらず、県民にも慕われるいい知事になってもらいたい。科学は妥協は許されないが、政治は妥協だと思います。改めて問いますが、温故知新とおもてなしの心で県政の運営をすべきだと思います。
それで、ちょっと落としたことがありますけれども、先ほどの記者クラブとの問題ですけれども、きのうの知事の答弁では、16社の記者クラブの人たちは1カ月たっても何も言ってこなかったと。ところが、きょうの信毎を見ると、3回もあなたに抗議をして、協議を申し込んでいると。どちらが本当なのか。今までの知事の行動、言動からいった場合、私は信毎の方を尊重したくなるわけですが、それをひとつお答え願いたいと思います。
それから、おやじみたいな質問でありますので、小泉さんのように優しく答えていただきたいということをお願いして、第1質問を終わります。
哲学の論議じゃなくて、そのことをただ使っただけですので、それは一切不要です。優しいお答えをお願いします。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)ただいまの宮沢議員の御質問に順を追ってお答えいたします。
たてがみをなびかせての絶叫型ではない、優しい言葉での答弁をということでございますが、同時に、お昼の後でございますので、余りに甘いささやきでありますとこれもまた睡魔が訪れる場合がございますが。
私は、教育に関しては、教育委員会はある種独立したものであるととらえてきておりましたが、今、宮沢議員から、使命感と責任を持って、リーダーシップで行動して教育を改革せよという大変にありがたい県政会としての御意向もちょうだいいたしまして、私は、長野県の教育が今の現状でよしと思っていらっしゃる方はほとんど皆無に近かろうと思いますので、具体的なアクションをさらに進めてまいりたいと思っております。
立候補した時点での教育に対する考え方はどうであったかという御質問でありましたので、選挙のときに、公約といいますか、選挙のときに広く市民の方々にお配り申し上げた中で書いてありますものを部分的に読ませていただきますと、「適性と個性を育む、多様な学校教育を実現します。」というふうに書いておりまして、日本では、保育園、幼稚園の入園まではチョウよ花よと自分の子宝として慈しみ、入園後は一転しておそろいのグレーのスモックを着て、号令一下でだれもが同じ行動をとる鋳型社会へと組み込まれていく傾向がありますが、教育やしつけの順番はむしろ逆であるべきであると私は選挙中も書いております。
フランスにデカルトという哲学者がおりましたが、彼も喝破いたしておりますように、子供が大人と同じ言葉を話し、解するようになるまでは、しつけが必要であると。これは、他人に何かしてもらったらお礼を述べたり、あるいは窓の外を向いて電車の座席に座るときは靴を脱ぐといった社会としての基本を教えて、むしろ、保育園や幼稚園への入園以降は、同じグレーのスモックを着せての鋳型ではなく、一人一人の適性と可能性を伸ばす教育を心がけるべきであり、私のこういった教育に対する基本的理念に基づき長野県の教育を再興すると書いてございます。
私は、就任以来8カ月が経過いたしました今でも、こうした教育に対しての、あるいはしつけに対しての基本的な考え方は、立候補の当時と変わってはおりません。そして、私は、いわゆる輪切り的な偏差値教育の優等生の鋳型社会の中で適応するような子供だけを評価するのではなくて、まさに一人一人の、いびつであっても才能と可能性をきちんと伸ばす教育がこの長野県において実現されなければならないと思っております。
そして、そうしたさまざまな適性を生かす教育こそが、まさに、本来はよい意味での建設的な議論好きであった長野県民の姿というものを取り戻すことであると思っております。
私は、高等学校の通学区制に関しましても、聖域なき見直しが必要であるというふうに考えております。そして、偏差値的な序列とは全く異なった次元や価値観で学校ごとに特色を競い合えるように、私は、学校の現場を預かる学校長あるいは事務長に今以上の権限と予算を、こうした理念を共有した上で与えることを提言しているわけでございます。
私は、県の職員においても現在の混迷する多くの教育の現場にエースを投入し、そうした現場の実情を把握し、できるところからの改革を果敢に進めたいと思っております。
脱最下位宣言をしてはどうかという御意見でございますが、私は、文部科学省が大学と短大への進学者のみを進学率として評価することは、ある意味でいいますと極めて偏差値教育的な鋳型社会の基準であって、かねてからそうした進学率という数値に対しての疑問を抱いてまいりました。
私は、高等学校を出ました後で、あるいは高等学校を中退したとしても、例えば料理の専門的な学校に通う、あるいは美容の専門的な学校に通う、こうした子供たちの方がはるかに具体的な意欲というものを持っているのではないかとも感じているわけでございます。周囲も短大や大学に進学するから大学へ進学をするという形のものは、もちろん18歳前後の年齢で具体的に自分の適性と興味というものを的確に見きわめられるかどうかということはおぼつかない面もあろうかとは思いますが、私は、むしろ専修学校を初めとする学校へと進学をしている子供たちにこそ、あるいは途中で高等学校を中退し大学入学資格検定、いわゆる大検を取得するべく学習に励む子供たちもまた負けず劣らず、あるいはそれ以上に高い意欲があると感じております。
私が、多部制単位制と呼ばれる非常に自由で緩やかな、意欲を発揮する高等学校の教育のあり方というものを実現できる学校を、松本にあります松本筑摩高校のみならず県内に設けるということをお話し申し上げているのも、こうした真の意味での一人一人の多様な適性を認め合い、はぐくむ長野県の教育をはぐくみたいと考えているからであります。
ですので、必ずしも文部科学省が提示をしている進学率の数字の多寡によって教育の程度が図られるわけではないと私は断じて思っておりますし、また、そうしたことは、一般の企業の社会を初めとする実力の社会においてはかなり昔から多くの方々が共有する認識となっていると私は思っております。
その意味においては、例えば、長野県の職員においても、今までの人事交流ということだけではなく、例えばNPOであったり、あるいは海外における真に人々の目線に立った青年海外協力隊等への県の職員の研修、あるいはそうしたキャリアを積まれた方が、年齢に関係なく、まさにパブリックサーバントとして、県の職員として新たに仲間に加えられるような弾力的な人事ということも、また真の意味での多様な社会を形づくることになると思っておりまして、その点も、長野県は公的な行政機関として率先して行ってまいりたいと考えております。
いわゆる箱物行政に関しての御質問に対してでございます。
平成12年5月現在で調査いたしました数値によりますと、小中学校における余裕教室数は、小学校72室、中学校37室、また高等学校におきましては1室という数値が数字上では上がっております。ですので、いわゆる空き教室の教室数が極めて増大しているというわけでは必ずしもない状況でございます。
また、グラウンド等に関しては、現在、ほぼすべての小中学校がグラウンド等の学校施設を何らかの形で地域に開放いたしております。また、高等学校においても、6割以上の学校が地域に対して開放を行っております。
平成14年度から始まる完全学校週5日制によって、今以上に学校施設を地域に開放することが社会的にも求められています。
休日等に利用されない学校のグラウンド、体育館、音楽室や家庭科室等の学校施設の活用は、地域の方々への住民益としても大変重要なものであると考えております。長野県は、さらに市町村の教育委員会と連携して、活用が一層進められるように行ってまいりたいと思っております。
そして、佐久創造館に関しての御質問の部分でございます。
佐久創造館は、昭和55年にオープンいたしております。そして、御指摘の多目的ホール(多目的体育館)でございますが、これは、地域住民に、スポーツ大会や展覧会あるいは講演会、演劇や映画等の上映等、幅広く御利用いただいておりまして、昨年の利用実績は97.5%でございます。佐久創造館の施設の中でも、とりわけ利用頻度が高い施設でございます。現在のところ、固定席の文化ホールに切りかえることは考えてはおりません。
佐久地域には、本年の4月にオープンいたしました佐久平駅前の佐久勤労者福祉センターに450席のホールを設けております。また、佐久市においても、独自に、その隣接地に1,500席程度の総合文化施設が整備される予定であるとお聞きいたしておりますので、むしろ、こうした固定型の座席ではない佐久創造館の多目的ホールはさらに利用価値が高まるものと私は考えております。
続いて、私の行政のあり方に対しての忌憚なき御意見に対してお答えを申し上げます。
実は、皆様が県議会の最中に御宿泊なさる議員公舎前に「県有林の記」という碑がございます。これは、今から約100年ほど前に本県の知事を務めました関清英知事のお書きになった内容でありまして、当時、県の山林が殖産興業のために荒廃をしてきていることを大変に憂えて、国有林等の払い下げを国へ願い出て、県みずからが森林経営に着手した際に立てられた碑であります。ここには、我々は目先の利益に惑わされて殖産興業で森を乱伐してはならないと。洪水の危険も増し、今とは違いまして環境もというような言葉はございませんが、人心が荒廃すると。森林を整備することは、百年の計どころか二百年の計であると。100年間たゆまず我々が行えば、100年後にはある種のめどがつくであろうが、100年間の間に我々が油断をすれば、めどはまだつかないと。200年かかろうとも森林整備をすることこそが我々の子孫に対する責務だといったような内容が書かれております。
ことしは、田中正造が衆議院議員をやめて、渡良瀬川の治水と足尾銅山の鉱毒の問題に半生を投じるべく、天皇へ直訴をしてからちょうど100年目でございます。そうしたときに県知事を務めております私は、宮沢議員がおっしゃられたように、よい意味での温故知新というものを心に抱いて、県民のためのサービスパーソンでありたいと思っております。
そして、もてなしの心に関しましても多くのありがたい御意見をちょうだいいたしました。
その中で、マスコミも君を支えてきたはずだがという御指摘がございましたが、私は、マスメディアというものは、まさに是々非々においてすべての社会の事象を批評すべきでございまして、別に、マスコミが私を支えるとか友達であるというものではないと思っております。まさに是々非々において報道をされるという気概を、これは長野県の現存の記者クラブという親睦組織の方々にとどまらず日本の表現活動に携わるジャーナリズムの方々が、例えば外務問題に関する報道を初めとして、是々非々で、まさに市民が判断できるように、また市民の判断に基づいての報道をなさることを切に願うものであります。
また、オンブズマンに関しても御指摘をいただいたようでございますが、私は、寡聞にして、昨日会見をされたオンブズマンの方々を直接には存じ上げないわけでございまして、また、オンブズマンという名称は商標登録がされていないことで御自由に名乗れるわけでございまして、全国的な多くの実績を踏まえたオンブズマンの緩やかな連合体の方々は、過日も1階の知事室へ幾名かで訪れられましたが、先ほど議員が御指摘になられましたオンブズマンを名乗る組織に関しては把握はほとんどしておらず、また連絡関係というものもないに等しいというふうにおっしゃっていたことを申し添えたいと思います。
脱・記者クラブ宣言に基づいての部分でございますが、私どもは、既に6月8日と6月14日の2回にわたって、現存の3記者クラブあるいは表現者の方々との話し合いをしております。
そして、私が昨日繰り返し申し上げましたのは、5月15日に脱・記者クラブ宣言を出しましてから、6月30日をもって既存の記者室の占有部分からの御退去をお願い申し上げるということに関して、何らの御異議や御懸念というものはちょうだいをいたしてないわけでございます。これは、政策秘書室に対しても直接にもいただいておりませんし、私どもは、広くインターネットにおいてもこの脱・記者クラブ宣言の内容に関して御意見をお寄せいただきたいということを記しておりますが、現存の3記者クラブに所属なさっております個人の方からも、近く1カ月半が経過しようとしているわけでございますが、6月30日をもっての御退去をお願いした部分に対しての何らの具体的な御異議は申し出をいただいておりません。一般的な社会通念におきまして、5月15日にお願いを申し上げたことに対して何らの御異議の申し立てがないということは、これを御了解いただいているということが大人の社会における通念ではないかというふうに私は判断いたしております。
そして、今申し上げましたように、私としては、まさに情報を開示し、県民の方々が、県政が自分の町の問題あるいは子供の学校の問題と同じように、みずからがともに考え、参加をしていくものであるということを実感し、また、皆さんの意見に基づいての県政の改革というものを行うべくこれからも奮迅する覚悟であることを最後に申し上げて、御質問に対しての回答とさせていただきます。
〔57番宮沢勇一君登壇〕
◆57番(宮沢勇一 君)日本一の教育県を打ち立てるべくというものに対してお答えをいただいていませんので、具体的に。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)今の御質問にお答えいたします。
教育に関しては、改革は急務でありまして、まさに抜本的そして弾力的な施策が不可欠だとは思っております。ただ、同時に、まさに人が人の心を伝えることが教育なわけでございまして、私が、就任以来、各地に訪れます際に、養護学校を初めとする、あるいは知的障害をお持ちの方々の県が営む学園等に心して足を運んでおりますのも、私が訪れる時間は1カ所1時間、2時間であるかもしれませんが、そのことによって、そこで働く多くの職員が、自分たちのこうした現場こそがともに長野県の子供たちを支えて勇気を与えていくのだと。私も至らぬながら、そうした場所に知事という職を務める人間が足を運び、そうした職員の思いを、例えば予算措置等を含めて迅速に改革していくことがまずは私に課せられていると思っております。
そして、先ほどから申し上げておりますように、県民の方々が県政はだれがやっても同じであるとか遠い存在であると思われるのではなく、県政こそは私たちの社会をよりよくする、ともに参加するものなのだという意識を多くの大人の方々にもお持ちいただくことが、これからの長野県を、あるいは日本という社会をはぐくんでいってくれる子供の教育に対する皆さんのさらなる情熱、そして、一人の教師の方や一つの学校という組織に、もちろん期待をいただくことはありがたいことでありますが、教師を必要以上の聖職者と考えて過度な期待を抱くのではなく、江戸時代に、NPOのような概念がない時代に、まさに町人の人たちがともに自分たちの子供たちをはぐくむのだという寺子屋の概念があったように、多くの方々が傍観者ではなく、ともに参加する教育の形をつくっていくということであろうと私は思っております。
具体的な数値目標を設定するというようなことは、また新たな偏差値教育的な輪切りにつながるわけでございます。私は、この長野県というところは、私が小学校2年で訪れましたときにも、多くの方々がかりてきた言葉ではなく、ごく普通の生活を営まれるおじいちゃん、おばあちゃんも御自分の考えを述べられる非常に意欲の高い、潜在的な能力がある県民性であると思っております。私は、それをもう一度、私どもが一方的に御指導申し上げるのではなく、一人一人の心の中に眠っていた長野県の県民の向上心ある教育熱心な県民性を呼び起こすということが私の仕事であると感じております。
〔57番宮沢勇一君登壇〕
◆57番(宮沢勇一 君)全く聞いていることには答えてくれません。日本一の教育県を打ち立てるために、知事がみずから旗を振って県民運動を起こす。市町村長さん、PTA、教育団体全部を網羅した組織をつくってみんなで教育を考える、そういう組織運動をしてもらえないかと具体的に聞いているのです。これを答えてください。一、二やっている県があるんですよ。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)お答えいたします。
教育においても、それぞれの分野の方々の情報の共有化は必要でございます。ただ、私は、議員がおっしゃられましたような一大県民運動というような形での組織化というものは、ともすれば、一人一人の自由な尊厳を尊重するというよりは管理型の教育の一律化になってしまう嫌いもないわけではないわけでございます。
恐らく、議員と、教育に関してよりよく改善しようという志は同じであろうかと思います。ただ、私は、そのまさに方法論におきましては、議員がおっしゃられましたような一大教育改革運動組織体というようなことは県民も必ずしも望んでいられるわけではなかろうと思っております。
ただ、一人一人の現場の教職員、さらには地域の方、また市町村の教育委員会、また私どもの県の教育委員会と、まさに目指す方向が同じであるという中で議論を重ねるということは極めて大事なことでございまして、この辺に関しては、さらに心を砕いてまいる覚悟であることを改めてここで表明させていただきたく思います。
〔57番宮沢勇一君登壇〕
◆57番(宮沢勇一 君)考え方はわかりましたけれども、私どもの調査の結果では、そういう県民全部で教育を考えようという県がありまして、かなりの成果を上げておりました。ぜひ、また考え方を改めていただいて、いつか我々の考えというのを実現していただきたいと思います。
それから、脱最下位の中で、若干考え方が間違っておりましたので申し上げますが、ただ進学だけを指すわけではなくて、進学ももちろんそうであるけれども、知育、徳育、体育、この三つがどうしても長野県はよその県に比べて悪いということですので、ただ単に進学率じゃないということを申し上げておきます。
あと、手法についてはもう少し激しいお答えがあるかと思ったけれども、比較的静かなお答えだったわけですので、ちょっと驚いております。
もう一つ嫌なことを言わせていただきますけれども、過日、松本の市長さんとの雑誌を使っての暴露的な記事がある、どうしてもそういうことで人を傷つけてしまうと。陰湿な行為だと思います。杉原さん、光家部長さん、今度は松本市長さんと、どうか活字を使ってそういうことのないような、話し合ってすべてをやるというあなたのおっしゃる民主主義を日常の生活の中に取り入れていただきたいと思います。
議会から遠くは北朝鮮まで、多くの人たちに戦いを挑んでいる。戦うために知事になられたのではないと思います。県民益のためになられたと思いますので、ぜひ県民の幸せを考えていただいて、自動車のハンドルにも遊びがあります。この遊びが非常に大事だと。それから、能を舞うときに男時と女時というのがあって、男時というのは動くとき、女時は動く前までの静止の時間を言うと、この静止の女時が物すごく大事だということが能の世界で言われております。
ぜひこういうことをお考えになって、 220万県民のおやじであり、お母さんであります。どうか大きな気持ちになってやっていただいて、それで、あなたの笑顔を残念ながら私は見たことが少ないわけです。笑顔を忘れてしまったかなと思っておりましたが、5月21日に特派員との講演会をおやりになったときに、非常におどけた写真が出ておりました。こんなにいい笑顔があれば、なぜ我々にもその笑顔を示してくれなかったかなと、こう思いますので、ぜひこれからは、笑顔を持ったお父さんであり、お母さんである知事になってもらいたいと。願わくは県民益のためです。
以上、あなたのためになり、県民益のためになると思って老婆心で申し上げました。親の意見と冷や酒はあとできく、こう言われていますので、必ずきいてくれることを期待して、質問を終わります。
○副議長(森司朗 君)この際、15分間休憩いたします。
午後2時44分休憩
───────────────────
午後3時1分開議
○議長(石田治一郎 君)休憩前に引き続き会議を開きます。
続いて順次発言を許します。
服部宏昭君。
〔40番服部宏昭君登壇〕
◆40番(服部宏昭 君)教育問題を中心に質問をさせていただきたいと思います。
神聖な教育問題でございますので、まじめにきちんと質問してまいりたいと思います。ですから、打てば響くようないい答えをお願い申し上げたいと思います。
まず、少人数学習集団編成事業について質問をいたします。
文部科学省が策定した第7次教員定数改善計画においては、従来の学級とは異なる少人数の学習集団を編成し、少人数の授業によって基礎学力の向上と児童生徒一人一人の個性の伸長を図ることになっています。すなわち、特定教科については、学級の枠を取り払って、少人数の子供たちを対象とする授業、指導に当たるというものであります。
この事業は、5カ年計画での実施がもくろまれ、本県でも既に始まっているところでありますが、児童生徒の個性を伸ばしつつ着実に学力を身につけるようにということで、大きな期待が寄せられているところであります。
先ほど宮沢県議からも格調高く主張されましたが、県政会においても、本県が再び教育面で高い評価を得ることができる県となるよう、この教育問題については力を入れ、検討を重ねてきているところでありますが、この義務教育の改善はそのうち最も基本かつ重大な課題であります。
第6次の定数改善では、チームティーチングを導入し複数の教員を配置、よりきめ細かな指導を進めてきたところですが、今回の対策は、こうした児童生徒一人一人を大切にする施策をさらに発展させるものと考えます。
この間、法案の成立がおくれ、準備期間も短く、本事業の導入に当たっては多くの困難な課題もあったと思いますが、でき得る限り早期にこの少人数学習集団編成事業を定着させ、教育効果を上げていくようにしていかなければならないと思います。
そこで、この少人数学習集団編成事業について、施策の意義と教育効果についての期待をどう考えているのか。その上で、具体的な実施状況、実施校、地域別の導入状況等はどうされているのか。今後の事業の取り組み方針など、教育長にお尋ねをいたします。
次に、完全学校週5日制についてお伺いをいたします。
学校週5日制が初めて導入されたのは平成4年9月で、毎月1回、第2土曜日を休業日とする内容でありました。以来、平成7年度から第2、第4の月2回の土曜休業の実施となって、現在に至っております。
この間、国は、平成8年の中央教育審議会の提言に基づいて、完全週5日制の実施を決め、文部科学省においては新学習指導要領の告示や学校教育法の改正などの準備がなされ、学校現場では昨年度から新教育課程への移行措置が図られてきております。
この完全週5日制については、21世紀、これからの教育の方向として、学校、家庭、地域社会の連携のもとに教育を創造していく、一人一人の子供たちが、生活の多様な面をゆとりを持って見詰めつつ、たくましく生きる知恵と力をはぐくんでいく、個性を生かす教育を充実させ、教育の基礎・基本の確実な定着を図る、創意工夫によって特色のある教育、学校づくりを進めるなどといったことが主眼とされているわけであります。
いずれにしましても、こうした新しい学校教育を目指していくということで平成14年度からこの学校週5日制がスタートするのでありますが、子供たちの生活のあり方、学習の環境もまた大きく変わることは必定で、実施に向けては十分な準備が必要なことは言うまでもありません。
そこで、まずお伺いしたいのは、週2日の休みを利用した家庭や地域社会での子供たちの活動、教育についてであります。
子供たちには、家庭や地域で、また文化やスポーツの面などで、さまざまな活動や体験をしてほしいと願うわけでありますが、こうした活動、体験の機会を一定程度保障、整備したり、こうした面での情報を提供していくことも重要なことと思われます。既に文部科学省では全国子どもプランを策定、年度内にも地域で子供を育てる環境の整備を進めるとしています。
また、ゆとりを持って学習ができるよう基礎・基本的な教育内容を厳選するため、教科の内容は現行に比べておおむね3割程度削減するとしています。教育内容についても、これからの社会を生き抜く力の教育、生涯学習の基礎となる学習を重視する、道徳教育や国際化に対応し得る教育、さらに、情報教育、健康教育を充実させることや開かれた学校づくりを進め、家庭や地域社会との連携を深めることなどをうたっております。
以上が授業の完全5日制のおおよその趣旨でありますが、御案内のように、県民の皆さんはこの問題に関して多くの不安を抱いていることも事実であり、この機会に、幾つかの点をお尋ねしておきたいと思います。
御案内のように、多くの人々から指摘されているのは、自由な時間が持てるようになるので子供たちの生活が不規則になって教育がおろそかになりはしないか、過度な塾通いにつながらないか、教育内容の3割削減等で学力が低下しないか、公私立の格差が拡大しないか、そして幼稚園や盲・聾・養護学校等での教育はどうなるのかといったことが心配されているのであります。
そこで、実施委員会による検討等、既に実施に向けて取り組みが始められているようですが、こうした不安や疑問をどう受けとめているのか。今までの検討経過やこうした問題への対応について具体的にどのように取り組まれていこうとされているのか。教育長に御見解をお尋ねします。
また、こうした試みは、生涯学習との関係や家庭及び地域社会とのかかわりがますます重要になってくると思われます。各地域の自治会や育成会などでも、週5日制についての意義や対応の検討なども必要と思われますし、子供たちが積極的に参加できる地域の活動、事業の形成なども必要と思われます。こうした支援対策等の面について社会部長のお考えをお尋ねします。
次に、学校の危機管理についてお伺いをいたします。
小学校の児童8人が死亡、15人が重軽傷を負った凶悪事件、大阪教育大学附属池田小学校の児童殺傷事件は全国民を震撼させました。亡くなられた児童の皆さんに心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、傷害を受けられた皆さんの一日も早い御回復をお祈りいたします。
今回の事件は、無抵抗な幼い子供を追い回し、襲いかかり、切りつけ、死傷させるといった余りにもむごい事件であり、絶対に許すことはできません。学校は最も安全かつ信頼できるところとして、二度とこのような残虐きわまりない事件が発生しないように万全の対応を講じなければなりません。
事件と刑事責任の是非、精神障害にかかわる処遇問題など取りざたされており、巷間指摘されている司法上、医療上の欠陥など、再発防止に対する検討は早期に的確に行っていただきたいものと痛感します。
学校等への侵入による凶悪事件が、しばしば発生しているようであります。つい最近も、児童が通学時に襲われる事件が起きておりますし、以前にも、京都で児童が刺殺され、学校の安全管理が大問題となったこともあります。
そこで、このような学校等への侵入事件、子供たちへの傷害等事件は全国でも相当数に上っているようですが、本県の場合の発生状況とその処置について、また未然防止に向けた対策について県警本部長に御見解と対策をお尋ねいたします。
このような悪質きわまりない事件が起きないようにするにはどうすればよいのか、校内への人の出入りの監視を強化することも重要と考えます。それには、地域に開かれた学校づくりが叫ばれている今、教育環境が余り閉鎖的にならないよう配慮が必要と言えます。難しい問題ですが、学校によっては、1年生の教室をより安全な2階に持っていくとか、PTAや地域の皆さんにお願いし学校敷地内の安全保持に取り組むとか、いざという場合の職員室への連絡の備えの工夫等、対応を始めたところもあります。
こうした問題、大阪での凶悪事件を県教育委員会はどのように受けとめているのか、対応をどう検討されているのか。県内小中学校、養護学校等における危機管理体制の現状と今後のあり方など、県として指導、支援をどのようにされているのか。教育長にお伺いします。
また、児童生徒の安全を図るには学校教職員の危機管理意識の啓発が何よりも大切と思いますが、その研修等の対策はどうなっているのか、あわせて教育長にお尋ねをいたします。
次に、中高一貫教育についてお伺いをいたします。
この制度について、県教育委員会は、長野県中高一貫教育研究会議の提言を受けて、ゆとりの中で、自然やさまざまな人々との交わりを通じ、計画的、継続的なつながりを持った中高一貫教育を通して、みずから考え、みずから学ぶ力を持ち、豊かな人間性あふれる人間の育成を目指し、中等教育の多様化の一環として、県民の理解を得ながら導入していくとしております。
全国では、既に19県が県立中高一貫教育に取り組んでいるようですが、本県では目下導入計画に着手し始めたところであります。しかしながら、一方では、知事は中高一貫教育に疑義を持たれる発言をなされております。導入計画のまとめの方向を注視するとも言っております。
そこで、教育委員会においては、平成15年度以降に中高一貫教育の導入を目指すということですが、県民の合意形成は甚だ不十分でありますし、導入に当たっては、併設型、連携型等、中高それぞれの特色を生かすべく、一貫制のあり方の問題など、地域の皆さんとも十分検討を重ねる必要があるわけですが、果たして、今後どのように進めていくつもりなのか、教育長にお尋ねをいたします。
また、知事は、教育委員会における導入計画のまとめの方向を注視していく姿勢を示されてきましたが、現在、教育委員会の計画についてどのようにお考えなのか、見解をお伺いいたします。
次に、昨日も質問がありましたが、改めて県立飯田高校生徒殺傷事件についてお伺いをいたしたいと思います。
県立飯田高校の生徒殺傷事件をめぐる民事訴訟の敗訴が確定され、その賠償額は、支払い遅延損害額も含めて4,800万円余となっております。1992年に起きた刺殺事件で、最高裁が県の上告を棄却したため県側の敗訴が確定、安全配慮義務違反、指導義務違反が罰せられることになったわけであります。このような違反は学校側にはないと強弁してきた県教育委員会の立場は認められず、県の考え方の甘さが厳しく指摘されています。
そこで、二審では、県の指導監督の義務違反について過失は免れないとされ、敗訴したわけです。これを認めないで上告し、棄却されたのですが、このような結果となったことについてどう思われるのか、教育長にお尋ねをいたします。
いずれにしましても、この事件を教訓として、今後の対応が大切であります。本事件を十分検証するとしておりますが、どのようにされるのか。また、判決を踏まえ、反省の上に立って、今後の教育にどのように生かしていくのか。生徒指導のあり方も含め、教育長にお尋ねをいたします。
さて、報道によりますと、知事は、この事件について、上告は誤りであった、また、県独自で調査し、県民に知らせると言われております。また、一人の青年の命を奪う悲劇が発生したにもかかわらず、10年の長きにわたり県庁としての組織の体面のみを保とうとした、県組織の長として責任を痛感しているとも言っておられます。
昨日も、下﨑、柳田議員の答弁にもありましたが、この事件を調査し、県全体及び知事本人が責任をとるようにしたいとのことではありますが、きのうも余り答弁が明確でありませんでしたので、改めて、事件の背景の問題点、具体的に責任をどうとるのか、特に、県全体としても、県教育委員会の責任はどうあるべきなのか、知事自身の責任はどうあるべきなのかについて知事のお考えをお尋ねしたいと思います。
次に、県立高校の通学区問題についてお伺いをいたします。
この12通学区をめぐる問題については、昨年11月に、知事が、生徒の学ぶ権利を保障すべきで、通学圏の選択幅を広げる必要がある、今後、有識者や県民の意見を聞いて見直しを図っていくとの突然の発言がなされ、大きな議論となってきたわけであります。
このほど、県教育委員会主催の県立高校通学区検討委員会が開催され、具体的な見直しの検討が始められたところであります。同検討委員会の中では、何を目指して論議するのか明確でないなどといった意見も出されたとのことであります。報道によりますと、知事からも教育委員会の見直しの進め方に疑問が出されているとのことであり、検討委員の間にも考え方に大きな開きがあるのではないかと指摘されております。
そこで、教育長は、この検討委員会について、通学区を検討するということは、長野県の教育課題を論議し、21世紀の教育のあり方を問うものと発言されたとも聞き及んでおりますが、この検討委員会の議論の目指すところ、委員会の位置づけといったものが、巷間、大変不明瞭と指摘されていることでもあり、この際、この検討委員会をどう考えているのか明確に示してほしいと考えます。
また、今後、検討委員会において検討作業をどう進めるのか、論議の集約のめどなどをあわせ、教育長に見解をお尋ねいたします。
5月に行われた高校生との車座集会で、高校生の間から、この通学区撤廃反対の意見が相次いで出されたように聞いておりますし、地域高校を支えている地方自治体や関係者からは、通学区の廃止は地域高校の存続を揺るがす問題と大変心配されている向きもあります。
そこで、県民の関心も高く、特に中高生やその保護者にとっては大変重大な影響を及ぼす問題でもありますこの通学区問題について、検討委員会等、県民の幅広い意見をどのように集約しつつ、論議を起こし、結論を導いていくのか、見通しなど、教育長にお尋ねします。
さて、知事にも御所見を求めたいと思います。
県教委の高校通学区検討委員会における議論内容に不満を感じられているようでありますが、検討委員会のあり方などどのように思っておられるのか。また、一方的にくみするわけにはいきませんが、画一的横並び教育から個性、諸個人の人権を重んじる教育を尊重すべきとの意見もまた大切にすべきでありまして、こうした観点からも、21世紀、これからの長野県教育全般の論議の一環として、この通学区見直し問題の議論は大いに行うべきことと思っているところでありますが、知事の御所見をあわせてお伺いしたいと思います。
以上で第1回目の質問を終わらせていただきます。
〔教育長斉藤金司君登壇〕
◎教育長(斉藤金司 君)順次お答えいたします。
少人数学習集団編成事業についてでございますが、今までは学級を単位としてすべての授業を行ってきたところでございますが、この事業は、学習内容の習熟の程度に差がつきやすい教科につきまして、30人を超える学級の場合、学級とは異なる小規模の学習集団をつくり、必要な教員を配置するものでございます。
事業の効果についてでございますが、習熟の程度に差がつきやすい教科につきまして、すべての学級で30人以下の少人数の授業が可能となりますので、これまで以上にきめ細かな指導が可能となり、基礎学力等の着実な向上が期待できるものと考えております。
また、児童生徒の側から見ますと、学級担任以外の先生、他の学級の友達と触れ合う機会がふえることによりまして、人間関係の幅が広がったり、幅広い視野をはぐくんだりすることができるものと考えております。
さらに、複数の教員が指導や評価を行うことが必要となりますので、教員同士の研修や学校全体での協力体制においても成果が期待できるものと考えております。
具体的な取り組みにつきましては、1学級当たりの児童生徒数の平均が30人を超える小学校2年から中学校3年のすべての学級を対象にしまして、小学校では算数と国語、中学校では数学と英語で実施することとしております。
初年度であります本年度は、小学校5年と6年、中学校は3年を対象とし、現在、小学校で101校、中学校で18校に教員を配置したところでございます。順次学年と教科を拡大し、平成17年度に完成させる計画でございます。
この事業を始めてまだ3カ月でございますが、実施校からは、和やかな雰囲気の中で自由に意見を言い合えるようになった、授業に参加している実感が持てるようになった等の声が寄せられております。
なお、小学校1年につきましては、15年度から、児童数が30人を超える学級を有する学校に担任に加えて教員をもう1人配置しまして、学習指導や集団生活適応指導など、きめ細かな指導を行う計画でございます。
教育委員会といたしましては、本事業を重要事業として位置づけ、積極的に推進してまいりたいと考えております。
次に、完全学校週5日制についてのお尋ねでございますが、完全学校週5日制につきましては、一昨年度から、学校週5日制実施委員会を設け、課題やその対応策について検討を重ねてまいりました。そこでは、新学習指導要領の趣旨の徹底とともに、授業時数の削減等の中での学力にかかわる問題と週末の2連休の過ごし方を中心に検討を重ねてまいりました。
まず、学力にかかわる問題でございますが、新学習指導要領では、学習内容を約3割削減して、基礎・基本の確実な定着を図るとともに、総合的な学習の時間を新設するなど、ゆとりの中でみずから学び、みずから考える力の育成を目指しております。
御指摘のような、授業時数の縮減や学習内容の削減による学力の低下や過度の塾通いなどを心配する声もありますが、時間割の弾力的な運用や子供の個性に合わせた選択教科の時間数等の拡大、そして、本年度から導入しております少人数学習集団による授業の充実などを通して、わかる授業、子供にやる気を喚起する授業への改善を一層進めることにより学力の確かな定着を図ってまいります。また、会議や行事を見直すことにより教師と子供の触れ合いを大切にした学校運営を図るなど、学力低下を来さないように対応してまいります。
これらの改善内容につきましては、本県独自の学習指導手引書を8月に刊行し、各学校における授業の一層の充実に資してまいりたいと考えております。
週末の休みの過ごし方につきましては、2連休を利用したスポーツ、文化、ボランティアなどの体験活動は豊かな人間性の育成にとって極めて重要でありますので、市町村と協力して、全国子どもプランなどの事業を拡充しているところでございます。
また、留守家庭の子供や障害のある子供たちが休日を有意義に過ごせるよう、地域における支援のあり方につきましても関係部局と連携をとりながら検討を進めております。
さらに、子供たちが主体的に休業日を過ごすために、家庭学習の習慣化や計画的な休みの過ごし方の指導が十分になされるよう、各学校へ働きかけてまいります。
いずれにいたしましても、ゆとりの中で、豊かな人間性や、みずから学び、みずから考える力などをはぐくむために、完全学校週5日制に向けた具体的な取り組みがなされるよう市町村教育委員会や各学校に働きかけてまいりたいと考えております。
次に、大阪での凶悪事件の受けとめと危機管理体制のあり方についてでございますが、このたびの事件は余りにも痛ましい事件であり、私たち関係者は再発防止に向けて全力で取り組んでいかなければならないと考えております。
教育委員会といたしましては、6月8日、事件発生後直ちに、教育長名で「学校における凶悪犯罪の防止体制の確保について」を市町村教育委員会等へ通知し、事件防止についての緊急対応を要請いたしました。
また、6月11日には、事件にかかわる文部科学大臣の談話を関係機関に通知し、学校の安全管理の再点検を改めて促すとともに、安全管理の点検状況について調査を行ったところでございます。
調査によりますと、各市町村教育委員会や各学校では、巡視活動の強化、来校者のチェックや名札の着用、防犯ブザーの配布、校内設備の改善、PTAや地域の方々との協力体制や安全対策等、具体的な防止策を講じております。これらを取りまとめまして、6月22日に、各市町村教育委員会等へ配布し、安全対策に生かしていただくよう再度要請をしたところでございます。
次に、教職員の危機管理意識の啓発についてでございますが、学校の安全確保のため、指導主事の学校訪問や市町村教育委員会連絡協議会等を通じまして危機管理意識を喚起しているところでございます。また、各学校におきましても、さまざまな災害や事故を想定した各種訓練、指導、点検活動等を行い、教職員の危機管理意識の高揚を図ってきております。
教育委員会といたしましては、開かれた学校づくりが時代の要請とされる中にありまして、学校が核となって、家庭や地域、関係機関と課題を共有し、以前にも増して連携を深める中で、児童生徒の安全をみんなで守っていかなければならないと考えております。
次に、中高一貫教育についてのお尋ねでございますが、中高一貫教育につきましては、本年3月に、教育委員会事務局内でまとめた導入計画を公表いたしました。市町村立の中学校と県立の高等学校が連携して行う連携型中高一貫教育につきましては平成15年度以降に、また県立の中学校を併設して一貫教育を行う併設型中高一貫教育につきましては平成16年度以降に導入するという予定をお示ししたところでございます。
中高一貫教育は、連携型においても併設型においても、子供たちを支える地域コミュニティー、地元の中学校の運営に十分配慮する必要があり、市町村や地域の方々の御理解と御協力が不可欠であると考えております。
現在、アンケートを通しまして各市町村教育委員会の中高一貫教育に関するお考えをお聞きしているところでございます。また、7月末から8月初旬にかけまして、各教育事務所単位で市町村教育委員会に対する説明会を開催し、ゆとり、交わり、つながりという中高一貫教育のよさを御理解いただくとともに、あわせて地域の方々の要望を取りまとめていただくこととしております。県民の皆様の意見を十分にお聞きしながら、導入に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
次に、飯田高校生徒刺殺事件についてのお尋ねでございます。
昨日の柳田議員さんの御質問にもかかわってお答え申し上げましたが、教育委員会といたしましては、最高裁の決定を厳粛に受けとめ、改めて御家族の皆様におわび申し上げるとともに、学校という本来安全で安心して生徒が学ぶことができる場において二度とこのような不幸な事件が繰り返されることのないよう、すべての教職員が一丸となって取り組んでいく所存であります。
事件の検証をどのようにしていくのかというお尋ねにつきましては、今後は、これまで以上に生徒に対する安全への配慮、きめ細かな指導監督が求められておりますので、生徒の人権にも十分に配慮する中で、学校や地域における生徒指導体制の一層の充実を図ってまいります。
そのため、事務局内に今回の事件について検証を行うチームを発足させ、改めてしっかりとした検証を行い、その結果を教育に携わる者一人一人が教訓として、学校の安全管理、生徒指導のあり方についての認識を新たにし、生徒が安心して学習できる場としての環境づくりに全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
次に、県立高校の通学区問題についてのお尋ねでございますが、本年4月、21名の委員から成る長野県立高等学校通学区検討委員会を設置いたしました。教育委員会といたしましては、委員会の報告をいただきまして、それをもとにしまして事務局内部で通学区についての方向を出したいと考えております。
これまでの2回の委員会を通して、忌憚のない御意見をちょうだいする中で、論議の方向も絞られてまいりました。今後は、少子化が進む中での学校選択の自由と機会の平等、地域高校への影響、生徒指導上の問題、学力問題の4点を討議の柱とし、長野県教育の課題を踏まえつつ、通学区のあり方を検討していただくことになっております。
県民の幅広い意見の集約につきましては、7月から8月にかけ、アンケートと通学区別集会を実施する予定でございます。アンケートは、一般県民4,000人を対象に実施し、中学生、高校生がいる世帯では中高生にも回答していただくことにしております。また、通学区別の集会につきましては、県内12カ所で開催し、中高生や保護者はもちろん、幅広い県民の皆様の御意見をお聞きしたいと考えております。
これらの結果を踏まえまして、11月ころには中間まとめをいただきたいと考えております。この中間まとめにつきましては、県民の皆様に公表して、御意見をお聞きした上でさらに検討を加え、早ければ来年3月ころ検討結果の報告をいただけるものと考えております。
以上でございます。
〔社会部長笹田久夫君登壇〕
◎社会部長(笹田久夫 君)お答えいたします。
完全学校週5日制に係る地域の活動や事業についての御質問でございます。
本県におきましては、平成13年度の青少年健全育成施策の基本方針におきましても、青少年は地域社会からはぐくむ、こういう基本的な考え方に立ちまして子供たちの健全なる育成に努めてまいってきているところでございます。
完全学校週5日制の実施に当たりましては、学校、家庭、地域におけるバランスのとれた教育、特に家庭における教育や地域社会における生活体験、社会体験、自然体験等が重要なものだというふうに考えております。
本年度は、子供たちの自主企画によります、県内10地域で子供会育成連絡協議会に御委託申し上げまして開催するレッツちゃれん児21事業でございますとか、ジュニアリーダー研修事業、また優良映画、優良図書の普及等々、子供たちの自主性を養いまして伸び伸びと育つ環境づくりを推進するための諸事業を実施いたしておるところでございます。
また、放課後や土曜日など、子供たちが安心して活動できる場を提供するため、市町村が行います児童館、児童センターの着実な整備、147の児童クラブ事業に対します助成等を行っております。
完全学校週5日制への対応におきましては、地域で子供を育てようという自主的な取り組みが最も重要でございますので、県で行いますこれらの事業、また支援策を活用していただきまして、地域の皆さんが企画し、継続して事業を実施していただくことが大切でございます。
今後の施策展開に当たりましては、関係機関、関係団体と密接な連携を保ちながら、学校、家庭、地域社会が一体となりました子供の成長を支える体制の充実が組まれますように配意してまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
〔警察本部長松田広光君登壇〕
◎警察本部長(松田広光 君)お答えいたします。
まず、本県における発生状況ですが、外部から校内に侵入して子供等に傷害を負わせるといった事件は、これまでのところはございません。
今回の大阪での事件後、県内で発生した子供を対象としたものとしましては、6月20日、長野市内で、小学生が登校途中、カッターナイフを持った女につきまとわれたり、小学生が塾から帰宅途中、男に金属様のものでランドセルを引っかかれたりしております。さらに、6月25日、佐久市内でも、小学生が下校途中、男に刃物でランドセルを切りつけられるという事件が発生しております。
また、昨年発生した登下校中におけるつきまとい、声かけ、強制わいせつなどの事件は66件ですが、所要の捜査を行い、これまで19件を検挙しましたほか、防犯速報による注意喚起、警察官による警戒・警らの強化など、再発防止措置を講じてまいったところでございます。
次に、今回の大阪の事件を受けての対策ですが、県内でも模倣事案の発生が懸念されますことから、発生当日、県それから市町村の教育委員会、全小中学校を対象に、防犯速報を出しまして、学校における防犯体制の点検、見直し、発生時の的確な対応について要請を行い、さらに地域警察官などを各学校に訪問させて同様の要請を行ったところでございます。また、各警察署においては、学校周辺の重点警戒・警らを強化しているところでございます。
このほか、登下校時の子供の安全を確保するために、通学路に設置してあります子どもを守る安心の家に対しまして活動の強化をお願いしたり、各種ボランティア等関係機関、団体と連携しての未然防止対策を推進しているところでございます。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)ただいまの服部議員の御質問の中、中高一貫教育に関してでございます。
教育委員会からの計画は、地域における連携型中高一貫校と都市部における併設型中高一貫校の導入の方向と、そのための条件を提示をしたものというふうに理解をいたしております。
個性伸長という観点から特色ある教育課程を編成できるであろうこと、あるいは地域の活性化という理念もございますが、他方では、生徒の人間関係が中高一貫であり、また限られた地域であるということで狭められたり、あるいは、そうした中において少なからず緊張感がはぐくまれず、向上心を損なう懸念もあるなどの課題もあると考えております。私としては、引き続き、教育委員会の考えを聞きながら、さらに研究をしてまいりたく思います。
飯田高校におきます生徒殺人事件に関してであります。
私は、提案説明の中でも申し上げましたが、組織としての体面を保つ、あるいは守るということを続けた長野県行政というものが事件の背景の問題点であるというふうに認識いたしております。
日本経済新聞の平成13年6月24日日曜日付に「教育を問う」という連載がございます。この連載は、かねてから私も拝読している連載でありますが、その中で、改革への青写真として、学校の説明責任を明確に、また親や地域が参画する学校にという提言がございました。この記事の中におきまして、「普通には通用しない「学校の常識」がまかり通ってしまうのはなぜか。」との問いかけに対しまして、本県での高等学校の校長経験者の言葉として、「学校には外部の批判を受け入れる仕組みがない。閉鎖的な環境の下で教師の都合が重視され、親や子どもへの説明責任を果たすという意識が希薄だ」とのコメントがございます。この言葉は、今回の事件に対してのコメントではありませんが、私は、この「閉鎖的な環境の下で教師の都合が重視され、親や子どもへの説明責任を果たすという意識が希薄だ」という指摘は、私どもが真摯に考えねばならない点であると思っております。また、この「閉鎖的な環境の下で教師の都合が重視」という部分の「教師」は、さまざまな意味合いでの組織の都合が重視というようにも言いかえることが十分に可能であるという大変悲しい現実があろうかと思っております。
私は、知事直轄で、今回の事件の発生、またそれを未然に防げなかったこと、また結果として9年余の長きにわたる係争となったというその過程に関しまして調査を行いまして、学校という場で一人の前途有為な青年の命が奪われたという事実に対し、長野県がこの事実といかに向き合ってきたのかという視点から検証を行い、私の責任をも含めた節々におきます長野県の判断、またその責任の所在を明確に、まずは御霊前に、そして御遺族に、さらにはすべての県民の方に御報告をこの夏の間にいたしますことによって、まずはその報告からすべては始まっていくと考えております。
県立高校の通学区の問題に関してでございます。
今国会におきましては、高等学校通学区域の規制をなくす改正案というものが成立される予定であります。また、北川正恭さんが知事を務めます三重県におきましても、全県1学区制を2003年度入試から導入するべく検討をしているところであります。
私は、先ほども聖域なき教育の、通学区を含む改革、抜本的見直しということを申し上げました。現在、通学区検討委員会が、教育委員会の所管する委員会として通学区制の検討を行っているということは十分に存じ上げております。ただ、私は、教育を語るということは、教育の現場に携わる方々のみならず、すべての長野県に暮らしていらっしゃる方々の社会の今後のあり方を語ることであると思っておりまして、これは、委員会のみならず、多くの子供も含めた老若男女すべての県民の方々の深い関心事であろうと思っております。
いずれにいたしましても、私は、聖域なき教育改革、あるいは通学区の見直しということをかねてより明言いたしておりますが、教育委員会が所管する事項であります通学区検討委員会の今後の議論をいましばし見守りたく思っております。
〔40番服部宏昭君登壇〕
◆40番(服部宏昭 君)それぞれ御答弁がありましたが、質問を続けさせていただきます。
現在行っている少人数学習集団編成事業及び完全学校週5日制につきましては、21世紀の重要な教育改革の一環でありますので、児童生徒の多様化する教育効果が一層上がるよう、熱意を持って取り組んでいただきたいと思います。
また、学校の危機管理につきましては、いつ、どこであのような凶悪事件が突然発生するかわかりません。学校や教育機関はもちろんのこと、警察及び行政等連携をとって、未然防止対策や有事に対し速やかな処置ができるよう、体制を整えていただきたいと思います。
さて、中高一貫教育についてでございますが、他県における中高一貫教育では、21世紀を担うための国際感覚やさまざまな課題をみずから追求する力が生徒にはぐくんでいるところもあり、中等教育の幅広い選択肢にもつながるものであります。
本県はこれからでありますが、県教委は導入に向けて一生懸命取り組んでおります。近くでは犀峡高校等学校側も本当に頑張っておりますし、教育委員会も一生懸命やっているところでございますので、知事におかれましても、教育委員会の取り組んでいる姿をぜひ応援してやっていただきたいと、こんなふうに思うわけでございます。
また、飯田高校の事件につきましては、責任問題につきまして多少知事からお話がございました。
ことし3月、両親から、直接、上告の取り下げの要請を受けながら、取り下げをしなかった。その時点で県側の上告が誤りであったと思うなら、なぜ取り下げなかったのか。昨日の質問でも知事から明快な答弁がなかったのですが、当時、二度にわたる取り下げの請願に対し、知事は、包括的、多角的に事件を考察したい、こういうふうに述べられただけであったのであります。余り深く認識されていなかったんじゃないかと、こんなこともささやかれておりますが、その時点では誤りだとは思わなかったのでしょうか。
そして、上告棄却になって誤りであったと思われたんでしょうか。県の最高責任者の立場として、事件について対応が遅くなってしまったのではないかというふうに思われるわけでございます。
ですから、もう議論はいいですが、一刻も早く調査し、責任の所在を明確にきちんとしてほしいと思いますが、いつごろになるのか、県教委の検証の時期もいつごろになるか、知事にお伺いをしたいと思います。
また、知事は、取り下げもせず、対処を伸ばしてきたわけですから、知事が発言をしました、組織としての体面を保つことにきゅうきゅうと――きゅうきゅうという言葉は、私、辞書を引きましたら、あくせくして、他のことを考えずにそれだけを一生懸命に行う、こう書いてありました。きゅうきゅうとし続けた県の姿勢をおわびする、こう言っております。ですが、知事も、取り下げもせず、一定の期間手も出さなかったわけですから、これはちょっと言い過ぎじゃないかと、こんなふうに私は思います。知事の御見解をお尋ねしたいと思います。
最後に、通学区見直し問題でございますが、教育基本法においては、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。」とうたっております。また、地方教育行政の組織及び運営に関する法律においても、学校及び児童生徒に関することは教育委員会の職務の権限として認められているのであります。予算的なことは知事にお願いしなければなりませんが、思い切って教育の独自性を認識され、21世紀の本県教育の発展のため県教育委員会は本当に頑張っていただきたいとエールを送りたいと思うわけでございます。通学区問題についても頑張っていただきたいと思います。
さらに、報道によりますと、知事は……
○議長(石田治一郎 君)服部宏昭君に申し上げます。申し合わせの時間が経過いたしましたので発言を終了願います。
◆40番(服部宏昭 君)(続)全県1通学区の変更に変わりはないとも言っているようでありますが、結論ありきの検討では検討にはならないと思うのであります。必ずや地域高校等の問題も関係いたしますので、県教委の検討委員会の自由濶達な議論を交わすのをごらんになって、その成り行きをしっかり見守って、知事もその結論を重視していただきたいと思いますが、知事の御所見を最後にお伺いいたしまして、質問のすべてを終わりたいと思います。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)お答え申し上げます。
まず、冒頭で2回にわたってという御指摘がございましたが、私は、御遺族であられる御両親とお目にかかり、裁判の取り下げということの御要請をいただきましたのは1回であります。
そして、私は、この問題に関しまして、私の記憶が確かであるならば、御両親とお目にかかるよりもしばし前と、またお目にかかった後の都合2回、教育委員会からこの事件の概要、また県の側の今までの対応、判断というものの報告といいますか、その内容を聞いております。
しかしながら、これは既に申し上げましたように、今回の最高裁判所の決定というものが出た後に、あるいはこれは私のふつつかな点でもあったかとは思いますが、新たに私が把握をした長野県の今までのプロセスの決定というものもあるわけでございます。
私は、これを、夏というのは概略6月、7月、8月を示すわけではございますが、先ほど申し上げたように、夏の間にそれらをつまびらかに、私の責任の所在も明らかにした上で、まず御霊前とそして御両親、さらには広く県民の方に御報告申し上げるということをお約束しているとおりでございます。
そして、教育委員会では、私が報告を受けておりますところでは、概略1年間をかけて報告というか検証を行いたいというふうには聞いております。これは、教育委員会の方の判断をすべき事柄であろうと思っております。
そして、組織の体面を保つためにきゅうきゅうというのが言い過ぎではないかという御指摘でございますが、これは、先ほど来申し上げておりますように、責任は私もまた痛感すればこそ、組織の長であります私があえてきゅうきゅうという言葉を使ったわけでございます。
そして、通学区に関してでございますが、まさしく、私は、不当な支配、介入、干渉というようなものが組織的な形でいかなるところからもない形で、まさに個人に立脚して、子供のために、またこれからの私たちの社会のために通学区に関して議論が行われるということを強く望んでいるものでございます。
○議長(石田治一郎 君)次に、森田恒雄君。
〔50番森田恒雄君登壇〕
◆50番(森田恒雄 君)今までの質問に重複も一部あると思いますが、私なりに質問をさせていただきます。
まず初めに、ハンセン病裁判と飯田高校生徒刺殺に係る裁判について知事並びに教育委員長にお伺いいたします。
ハンセン病裁判は、さきに社民党の土井党首等が国が上告することをやめるよう強く求め、小泉総理も上告を取りやめ、患者側の勝訴が確定いたしました。本県出身者も、現在、45名が全国の施設に入られております。
我が県議会も、社会委員会が、群馬県の栗生楽泉園、これは20名入っておられます、多磨全生園、これは17名入っておられます、に毎年訪問を続けてまいりました。訪問地で皆さんと握手をし合い、車座的歓談をする中で、なぜ終えんした病気であるのにかかわらずこうした施設にいなくてはならないのかと疑念を抱きながらも、その先の行動や支援ができなかったことをみずから反省しなくてはと思っております。
知事は、どのような見解を持ち、県内出身の入所者の名誉回復、退所されました方々の対応など考えておられるか、お伺いをいたします。
飯田高校の事件についてであります。それぞれ多くの皆さんからお話がありました。
1992年1月10日、小野寺さんが同じ学校の3年生生徒によって刺殺される事件がありました。元気に家を出た子供が、安全と思える学校で、親に最期の言葉をかけることもなく、親は子供の最期を見届けることもできず、いってしまった無念。親の悲しみの中で、当時の学校長は、事件発生3カ月後、他校へ校長として転任しました。私は何度も話を聞いたわけですが、なぜ事件の背景、結果が解明されるまで在校して親族の悲しみにこたえなかったか。明らかに、私は教委の判断の誤りであったとそのとき思いました。当時、両親が最も憤慨していたことでもありました。学校でも、まさかの予見は、もう知識を持つ高校生だけに難しかったであろうが、私は、親族から苦痛の相談を受けるたびに同情できるものでありました。
裁判は、地裁飯田支部の両親の訴えを棄却の後、東京高裁へ。結果は、99年9月、両親の訴えを認める判決が出たわけでありました。この時点で、両親も、苦痛が報われたと、悲しみの中にも喜びを霊前に報告したと話され、私も、県がこれ以上もう上告しないよう求めるとして、当時の副知事、県教委に強く要請しましたが、結果は、99年10月8日、県はこれを不服として上告したわけでありました。上告を決める本会議、私は、見えないあの隅で座って反対していましても全会一致で賛成とされてしまうから、あえて退場して採決不参加行動をとりました。結果は、同じく両親の訴えを認め、最高裁は、去る6月8日、県の上告を棄却したわけであります。私は、小野寺さんに、知事がかわったからあるいは上告を取り下げるかもしれないよと申し上げ、話をいたしましたが、そのとき取り下げていたら。県として後味の悪い今回の結果だったと思います。
ここで、知事並びに教育委員長から、いま一度振り返って、結果に対する見解と対応を伺っておきたいと思います。
次に、小泉政権の政治・経済方針について知事にお伺いいたします。
知事は、政策を論評したり、人の評価をすることは得意のようでありますから、この際、私が関心を持っている次の5点について順を追ってお伺いをいたしたいと思います。
まず、首都機能移転と首相官邸建設の矛盾について。
東京一極集中が非難され、国会決議が何度も行われて、国会の移転、首都機能移転の候補地絞り込みまで来ておるわけでありますが、こうした段階で、それら決議を承知していたであろう石原東京都知事や扇国土交通大臣がその移転反対を唱え、さらに国が435億円、これは飯田市の年間予算をはるかに上回る額でありますが、こうした大金をかけて首相官邸を今新築していることの矛盾をどう思われますか。国会移転という問題とあわせて、知事にお伺いをいたします。
二つは、アメリカのミサイル防衛構想についてでありますが、急に大きく国際話題となったアメリカのブッシュ政権のミサイル防衛計画、田中外務大臣が就任後すぐ、その構想に疑念を持つと公言、我が党の土井党首もその考えを評価いたしました。外務省や自民党内の圧力もあって、訪米して帰ったらトーンダウンして、もとのもくあみの感であります。これをどう思われますか。ミサイル防衛構想とあわせ、お伺いをいたします。
三つに、財政の都市重視への切りかえについてであります。
政府の経済財政諮問会議、これは小泉総理が議長であります、がさきにまとめた経済財政運営の基本方針原案が示され、都市再生や地域間競争が掲げられましたけれども、これは明らかに、財政の都市重視への回帰と思え、多極分散、均衡ある地域をつくるとしてきた構想に反し、本県のような中山間を多く抱える行政体にとりましては不利益と思うのでありますが、見解をお伺いいたしたいと思います。
四つに、道路特定財源の一般財源化へ使途拡大のにおいが強くなってまいりました。道路建設を促進するため、自動車を持つ者に特定して特別負荷している財源として他への使途拡大はその意に反することと思い、私は反対でありますが、知事はいかがお考えでしょうか。
五つに、三遠南信高規格道路の建設のあり方についてであります。
高速道の建設方針が一部転換となると示されました。例えて三遠南信自動車道についてでありますが、知事も、阿南町車座集会に来られるとき、国道152号線の青崩峠を迂回路を使って南信濃村に入り、国道とはいえ、悪路の酷道を見られたと思います。先に開通している矢筈トンネルは、遠山谷住民に大きな光でありました。同じように難所と言われる青崩地区を高規格で進め、その他については、高規格道路より優先して現在の国道152号の改良促進を求めておるわけであります。すなわち、この部分は国の今回の方針転換に沿うものと思うのであります。きょうは、土木部にあわせて現地を通過して現場を見た知事に、建設への熱意を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
高速道・
北陸新幹線局長からも、細部についてのお答えをいただきたいと思います。
次に、脱・記者クラブ宣言、表現道場について知事にお伺いいたします。
表現道場、ガチンコ相撲、ちょっと私も首をかしげました。表現倉庫とか表現工房という名称も奇異に感じます。同時にまた、記者会見を県主催の会見に一本化するという点も理解しがたいところであります。
道場とか相撲という表現は、本来、相手とやり合うという意味のものであると思います。記者会見は、知事ほか執行者側と報道機関が議論し合う場ではないと思うわけでありまして、道場といえば、この場、すなわちこの議場や委員会場が道場的に意見を出し合い議論し合う場であると思うのであります。すなわち、記者会見の場は、県民生活に影響を与える事案や、県の問題への施策や取り組み、突発事件等への対処など、県民が知りたい、求める部分を記者が聞き出して県民に敏速に公正に報道するというものであって、決して議論し合う場ではないと私は考えますが、いかがでしょうか。
また、今回の脱・記者クラブ宣言は、総務部等と協議の上で合意したものなのかどうか、あるいは知事の独断での決定であるのかお伺いをし、あわせて、記者クラブ主催もあってしかるべきと私は考えますが、いかがでしょうか。なぜ県主催一本化なのですか。
また、県民の利益のためにと知事が申されますが、どういう部分県民が不利益だったかも示していただきたいと思います。
さらにまた、情報を公正に敏速に県民に伝えることを業としている報道者と、情報を欲しいと思う個人とを一緒に考えるべきではないと思いますが、いかがでしょうか。見解をお伺いいたします。
次に、建設が予定されているダム及び土木、林務の先送り事業等について知事、土木、林務部長にお伺いいたします。
私たち社県連県議団は、全箇所とはいきませんが、4日間にわたり、県下の今申し上げた事業箇所及び下伊那西部地区の阿智、平谷、根羽の昨年の秋雨前線豪雨災害現場を査察いたしました。農政林務委員会でも踏査したのですが、その結果を踏まえて質問いたします。
地元区からの切実な要請。水がないから170%の減反を強いている。絶対必要なダムです。もう1年事業をすれば完結するのに、一体なぜここで先送りか。豪雪の冬、1車線確保がやっとなのに、この先送りは私たち現地住民の気持ちがわかってくれていないのか。ここで先送りされたら、今までせっかく投資した工事が出戻りで、むだな税金を使ったことになる。この砂防ダムがなかったら17戸は全滅のところであった等々、現場の厳しい声でありました。もちろん、私の目で見て先送りもやむを得ないなと思う箇所もありましたが、私たちが自分の目で見て確認したものを踏まえ、これから議論しなくてはならないと改めて痛感した次第であります。
個々につきましてはそれぞれ委員会で議論すると思いますが、まず一つに、ここはダムが最も有効ではないのかと思える箇所、すなわち他に代替があり得るのかと思うところ。知事は、高校通学区検討委員会をつくって検討している中に、全県1通学区の意思に変わりはないとか、治水・利水ダム等検討委員会がスタートしたのに、九つのダム計画ともダムはない結論になると確信するとか申されましたが、それはいかがなものでありましょうか。検討委に結論をゆだねるべきだと思いますが、いかがでございましょうか。
二つに、明らかに、なぜこれが先送りかと思えるところが多く見られました。予算1割カットはやむを得ないとしましても、先送り箇所は現場事務所で本当に検証して決めたのか。土木、林務部長からその部分はお答えをいただきたいと思います。
三つに、先送りした箇所の中で、私の目で見て、このまま放置すれば間違いなく崩壊して、いま一度工事をやり直さなければならないと思える箇所があります。今年度はもはや無理といたしましても、来年度国が予算を認めてくれる保証はあるのかどうか。これは、林務の箇所を頭に描いてお尋ねいたしておりますので、林務部長から答弁をお願いいたします。
四つに、阿智、根羽の村長さんが、あの砂防ダムがあったからこそ、危機一髪、この集落が壊滅から免れたとの訴え、我々もそのダムを見て確認いたしました。ちなみに、根羽村は時間雨量90ミリであったわけです。知事にもぜひその場を検証願いたいと思いますし、検討委員会も、九つの流域を検討するに当たり、阿智、平谷、根羽の実態を踏査した上で進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。知事からお答えをいただきたいと思います。
五つに、本県の急峻な山、緑のダム構想も結構なことでありますが、それだけでは防災が無理なのではという強い実感でありました。そこで、治水・利水ダム等検討委員会条例の中で、第3条「委員会は、委員15人以内で組織する。」とありますが、知事が任命する委員は関係行政機関の職員を含めることになっておりますけれども、国土交通省から委員の参加を得られなかったとして欠員のままスタートいたしましたが、それは仕方ないということなのでしょうか。
私は、緑のダムと言われることにかかわって、林野庁、すなわち森林管理局でもよろしいと思いますが、参加されるべく要請するのが筋と思いますが、いかがでありましょうか。
次に、政策秘書室と各部局との連携について政策秘書室長にお伺いをいたします。
28人というどでかい政策秘書室が設けられました。大世帯にされた意義と職員の内部における分担について、詳しく説明いただきたいと思います。
主要施策の立案などは当然各部局と思いますが、政策秘書室との関係はどのような考えかをお伺いいたします。
3階知事室のロビーは政策秘書室となり、1階ロビーも知事室で狭められ、市町村が来庁して、知事や部局課長と一緒に血の通った話し合いの中で県の真意をただしながらそれぞれの自治体の施策遂行をしていくという和やかな場はなくなってしまったわけでありまして、何となく味気ないものとなったように思います。市町村からはメールやファクスや親書で要請し、政策秘書室の担当者からの返事でもって対処していくということになるのか、伺っておきたいと思います。
次に、土木部においての事業休止状況について土木部長にお伺いいたします。ここでは、県単独の道路に限って伺っておきます。
用地測量または用地取得が行われたもので現在事業が休止しているものを飯田建設事務所管内で調べてみたところ、県単道路だけで21カ所、所要事業費は26億円に上るとの報告を受けました。用地売却済みの地権者から苦情が出ることは当然と思います。急に、しかも物理的に1割カットと言われても、部長として困るでしょう。それらは県下全体でどんな実態か。いつ工事にかかるか首を長くして待っている関係者に、現状説明をされていないのではないでしょうか。今後の対処方針をお伺いいたしまして、第1回目の質問を終わります。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)ただいまの森田議員の御質問に順を追ってお答え申し上げます。
まず、いわゆるハンセン病訴訟に関してでございます。
今回の、いわゆるハンセン病訴訟、熊本地方裁判所の判決は、私は、いわれなき偏見と差別を助長した強制隔離政策に対する反省とハンセン病問題の早期全面解決への取り組みを促した点で、大変に高く評価をいたしております。
そして、私は、政府が控訴を断念いたしました翌日の5月24日、内閣総理大臣、内閣官房長官、また厚生労働大臣あてに要望書を送付いたしまして、ハンセン病問題の早期かつ全面的な解決を改めて求めたところでございます。この文章に関しましては、御希望があれば、改めて別紙でお届けいたしたく思います。
ハンセン病を患われた方々に対する強制的な隔離政策が長年にわたって行われた中で、長野県も、当時の法律により、これら療養所への入所勧奨などその役割を担ってきたわけでございます。そうした結果として、患者の方々、また元患者の方々、さらにはその御家族の方々が、長期間にわたるいわれなき偏見と差別の中で筆舌に尽くしがたい苦痛や苦難と向き合って生活をなされてきたことは私にも十分想像し得るところでありまして、こうした国の法の執行者として役割を担ってきた長野県の責任者として大いに恥じ入っている、また責任を感じているところでございます。
私は、先日、2回にわたりまして、本県御出身の、そして今なお療養所に御入所なさっている方々の代表の方と電話でお話をさせていただきました。そして、今回の裁判に対する見解あるいは国や県が謝罪を行うということに関しても、入所者の皆さんの間でさまざまな御意見があることを代表の方からお聞きいたしました。
私は、今後の県の対応に関して、療養所に入所なさっている皆さんのお気持ちを尊重することが第一であると思っております。そして、今後、これは既に御了解をちょうだいいたしておりますが、本県御出身の療養所入所の方々と私が直接赴いてお話しさせていただき、具体的な御要望等がある場合にそれをお聞きし、こうしたいわれなき差別や隔離を強いられてきました方々の名誉の回復、また、既に退所なされた方々への対応を含めて、長野県がとるべき具体的な支援策について、こうした皆様と直接お目にかかり、その御要望をお聞きした上で考えてまいります
続きまして、飯田高校生徒殺人事件に関してのことでございます。
ただいま森田議員から、私もまた長野県の長として大変に責任を感じておりますこの殺人事件に関して、上告することを長野県議会も承認なさっていたということを初めてお聞きいたしまして、こうしたことにもまだ思い至っていなかった私を改めて恥じております。
この飯田高校殺人事件の最高裁判所におきます判断に対する私の見解は、既に昨日、下﨑、柳田両議員に、また先ほど服部議員にもお答えしたとおりでございます。私は、夏の間に、今回の事件に関しまして、包み隠さぬ報告をまず御霊前と御家族に申し上げるということをお約束いたしております。
首都機能移転に関してでございます。
首都機能の移転に関しましては、来年5月をめどに移転先候補地の絞り込みを行い、その後、移転についての結論を得る予定であるというふうに私も仄聞しております。
お尋ねの現在建設中の首相官邸でありますが、私も既に建設の現場を遠巻きに眺めたことがございまして、これは、現在の官邸というものが著しく老朽化しておりますし、危機管理機能の充実という観点からも建設が必要であると判断したものというふうにとらえております。
しかしながら、既に東京都の石原都知事やあるいは扇国土交通大臣が、具体的に公的な場で首都機能移転に関して、税金のむだ遣いではないか、国民の理解は得られないのではないかというふうにお話しにもなっているわけでございます。私は、ある意味でいいますれば、こうした石原都知事や扇国土交通大臣の御発言というのは、一私にとどまらず、ある意味では長いものに巻かれない御発言をなさるそれぞれのリーダーという方がいらっしゃるという点においては、たとえ私とは国家観を初めとして異なる点があろうとも、そうした世論喚起ということをそれぞれの方が行っていることに私は一定以上の評価と理解をしているところでございます。
例えば、ブラジリアに見られますように、ある意味では、近代になりましてから計画的に新しい首都を建設するという場合には、首都の建設が成功へと至るまでにはさらに長い年月と費用と人々の理解が必要なものでありまして、恐らくは、こうした観点に基づいて、新しい政府もこの首都機能移転に関して何らかの判断を下していくものと思っております。
アメリカのミサイル防衛構想に関して、また田中真紀子外務大臣の発言に関しての御質問の部分でございます。
私は、田中真紀子外務大臣がディーニ・イタリア外相らにおっしゃいました内容に関して全面的に賛同するものであり、これは既に繰り返し申し上げていることでございます。ミサイルの脅威と言うが、本当にミサイル防衛が必要か、日本と欧州は声を合わせて米国にやり過ぎるなと言うべきである、米国は中国の経済的、軍事的脅威に対抗したいと考えているのであろうが、それは知恵で対抗すべきで、武力で対抗すべきではない、技術やテクノロジーを軍事的に利用すれば世界は不幸になるということを御発言になっているわけでございます。私は、ある意味では、多くの市民の方々がこの発言を強く支持するのも、極めて当たり前のことを申しているからであろうと思っております。
そして、この場をおかりして申し上げれば、逆に、こうしたディーニ外相との昼食の場での発言というものが、先方の外務省あるいは国家の了解を得ないまま、明らかに外務省筋からマスメディアを通じて報じられるということは、私は、これこそが国際信義則に反し、国益に反し、国際的信用を損ねることではなかろうかと大変に深く憂慮をいたしております。
また、その意味におきましては、先般訪米いたしました中谷防衛庁長官がミサイル防衛構想を日本として持つ用意がある旨の御発言をなさったことも、私は、報道機関はその後さして大きくは報じていない点にも日本のジャーナリズムの疲弊を感じ、また、この問題は大変に憂慮すべきことであると思っております。
ある意味でいえば、田中真紀子外相の発言というものは、仮に、市民が知らない間にまさに市民の安全に関しての問題が進展していたときに、大臣という職にあっても、その流れを押しとどめるような発言をするということが真のリーダーとしての勇気であるということを指し示しているわけでございまして、中谷防衛庁長官の発言が、いかなる組織における議論を、また国会の場での議論を経てアメリカのラムズフェルド国防長官の前での発言へと至ったのか、私は一人の市民として大変に憂慮するところであります。国会の場でこのような議論が行われたことを私は寡聞にして存じ上げないわけでして、国会という最高の議論の場で話し合われることなく、アメリカの地で突如ラムズフェルド国防長官に対して発言をするということは、私はこれこそが新たな議会軽視ではなかろうかとも思っております。
そして、アメリカにおいては、ワシントンタイムズやニューヨーク・タイムズを初めとして、現在のブッシュ政権の防衛構想というものには共和党支持者からも憂慮の声が多く出ているわけでして、これは同時に、アメリカの軍人の出身でありますパウエル国務長官も、ブッシュ政権の新たな防衛構想というものはある意味でいえばレーガン政権時代に等しい古い防衛構想であると憂慮しているわけでして、私は、その意味におきましては、御質問にありましたように、田中真紀子外相の発言を支持いたし、また、訪米後トーンダウンしているのは、ある意味でいえば、外務大臣というものを本来支えるべき外務官僚が結果的にサボタージュに等しい形で外務官僚を一人で追いやっているという点があると、これもまた一人の市民として大変に憂慮いたしております。
経済財政諮問会議の基本方針に関してであります。
これは、今後二、三年を日本経済の集中調整期間と位置づけ、社会資本整備、社会保障、地方財政などあらゆる分野で構造改革を推進し、民需主導の経済成長の実現を目指すものであると伺っております。
都市重視ではなかろうかとの御指摘に関してでございますが、この基本方針は、市場と競争を重視した構造改革によって経済社会の活力を引き出し、日本経済の再生を目指そうとするものであります。
私はまだ直接お目にかかっておりませんが、現職の都道府県知事の中で、ある意味、一番尊敬申し上げている鳥取県の片山善博知事は、一昨日の読売新聞の記事の中で、都市対地方の対立になる要素があるのではないかという質問に対して、そうではないと。「地方の人は東京の通勤地獄や劣悪な住宅を知らず、都会では快適で豪華な生活をしていると思っている。東京の人は地方が金食い虫でおねだりばかりしていると思っている。私は両方を体験したが、どちらの見方も間違っている。互いが無知なのだ。公共事業は土建業者のためにやっているといわれるが、必ずしもそうではない。上京して羽田空港から都心への渋滞にあう度に、首都高速にはもっと投資すべきだと思っている。」「都会も田舎も相手の実相をよく見て理解し合い、悪い部分を直すことが改革に必要だ」とおっしゃっておられます。私は、こうした考えにくみするものでありまして、都市対地方といった二項対立によってこの問題をとらえては不毛な議論になってしまうと思っております。
道路特定財源の一般財源化の部分に関してでございます。
私は、道路特定財源制度という現行の制度自身は見直しの時期にあるというふうに認識いたしております。
ただし、その上で、見直しに当たっては、その使途が不明瞭になる一般財源化ということは、ある意味でいうと市民の監視が行き届かぬまま地下にその財源が潜り、新たな分配になってしまうと思います。これは、厳しく使途を限定して、例えば環境対策や公共交通対策といった形で使途を国民に対して明らかにし、また、時代の変化も激しゅうございますので、3年ないしは5年ごとにその使途を見直すといった形での改革が必要ではなかろうかと思っております。
そして、三遠南信道路に関しての御質問でございます。
御承知のように、三遠南信道路は、南信地域と愛知県の東三河地域、静岡県の遠州地域を結ぶ道路でありまして、県境を越えた交流をまさに盛んにし、いずれの地域もが発展をする上で私は不可欠な道路であるという認識をいたしております。
このうち、とりわけ遠山谷を貫きます国道152号線の状況は、現実に車が交通不可能な区間がある青崩峠を初め、極めて狭隘で未改良の区間が残る道路でして、可及的速やかなる整備の必要性を、私もまた二度訪れまして実感をいたしております。
三遠南信道路全線を高規格幹線道路である三遠南信自動車道として整備することは、聖域なき構造改革を進める小泉内閣の方針を見るまでもなく、現在の日本の財政の中では全線を高規格幹線道路として整備することは極めて難しい非現実的な夢でございます。
私は、さきに三遠南信道の期成同盟会の会長といたしまして発言をいたしましたときにも、一般道路を組み合わせた整備を行うべきであるというふうに表明をいたしております。そして、それは、単に便利になって県内外の方々が通過するための道路だけではなくて、地域の皆さんがまずは使いやすく、そしてこれら三つの地域を今よりもより快適に、より短時間で結ぶ、そうした地域の活性化の道路とする観点が必要であると思っております。こうした観点で、三遠南信自動車道路ではなくまさに三遠南信道路として、私は道路の整備に心を砕いてまいりたいと思っております。
続きまして、脱・記者クラブ宣言に関してのところでございます。
まず、1番目の表現道場という表現でございますが、これはまさに是々非々で表現、とりわけジャーナリズムというものは、第1の権力であります県政というものを是々非々で監視をし、批評をし、批判をする第4の権力なのでございます。私は、よい意味でお互いが向き合い、対峙して切磋琢磨するという意味で表現道場という言葉を使っております。
表現道場は、長野県の行政組織のみならず多くの一般市民の方々も、この場所で会見や資料提供を行い、広く情報発信をすることができるわけでございます。
そして、脱・記者クラブ宣言に至るまでは、長野県庁舎を管理いたします総務部、また現在も広報・広聴活動の窓口であります政策秘書室の両組織と入念なる相談を行いました上で脱・記者クラブ宣言を発しております。
記者クラブ主催の会見も考えてはどうかという御意見でございます。
現時点では、記者クラブ主催の会見というものを長野県は想定をいたしておりません。理由は、既に議場で昨日も述べさせていただきましたが、記者クラブは可能な限り開かれた存在であり、また、「記者クラブは日本新聞協会加盟社およびこれに準ずる報道機関から派遣された記者によって構成される。」というふうに平成9年12月11日付の日本新聞協会編集委員会の見解がございまして、これがいわゆる記者クラブと呼ばれる組織に属する方々、また、記者クラブ室というのが実際に私どもの県庁舎内で個人の表現者の方々が占有しているスペースになっているわけでございますが、この日本新聞協会の見解が現在のところジャーナリズムの間での共通の見解でございます。
で、「記者クラブに加盟していない記者、報道機関の取材・報道活動を阻害してはならない。」とあるわけでございますが、他方で、昨日も申し上げましたように、松本地域において多くの部数を発行しております市民タイムスは、長野県政記者クラブにおける記者会見というものに出席をすることがかなわぬ状態が続いております。これは、他の20に及ぶ長野県内の日刊新聞の記者の方々も同じでございます。結果、多くの一般市民の方が長野県政記者クラブ室におきまして会見を行う場合には、市民タイムスを初めとするそうした地域紙の方々は出席できず、改めて、二度手間として会見を別途行わねばならないという形が続いております。
6月21日に長野県政記者クラブが脱・記者クラブ宣言に対する見解として出した文章の中におきましても、「加盟者以外から記者会見への出席要請があった場合、可能な限り応じてきました。」と、このように記述がございますが、実態は、可能な限り応じてきたということからほど遠い状態でございます。
私は、長野県が主催であると、その主催権というものを問うているのではございません。ある意味でいえば、新たに記者クラブに加盟できる方を広げた場合にも、現在、東京都が提示しているのは、記者クラブに新たに加盟できるものは、雑誌の場合には毎週都政情報を掲載しなくてはならない、通信社の場合には毎日都政情報を発信しなくてはならない、あるいは新聞の場合には、週1回の新聞はその8割以上が都政情報でなくてはならない、このような厳しいハードルを設けております。私は、こうしたハードルこそはある意味でいえば言論規制につながることであり、大変に憂慮すべきことであると思っております。
そして、多くのメディアというものは、雑誌あるいはテレビ、ラジオにとどまらず、今はインターネットあるいはミニコミ等多くあるわけでございます。新たな拡大した記者クラブというものを設けてそこの主催とすることは、また新たな媒体の新規参入を妨げることになるわけでございます。私は、すべての表現に携わる方々の緩やかな組織があり、そこが主催をなさるのであるならば、そのことが担保されるのであるならば喜んで長野県主催という主催権の言葉の記号を返上する用意はございます。
ただ、残念ながら、現在そのような状況には至っておらず、その意味におきましては、長野県が主催と明記することによって逆に表現者を初めとするジャーナリズムの方々は、長野県が仮に都合が悪い場合に会見あるいは資料提供等を行わない場合に舌鋒鋭くそれを批判することができるわけでございます。そして、長野県はそのようなことは断じてないとここで改めてお約束をいたしますが、万が一にも長野県が都合の悪いことに関して会見を開かないといったおごり高ぶった行為をした場合はそれを舌鋒鋭くお書きいただき、それを是とするか非とするかを御判断いただくのは一人一人の220万県民であるということであります。
公共事業の先送りということに関しまして、私が、過日、自由党との勉強会の場で、現地を実際に見て、九つのダムともダムはない結論になるものと確信していると発言したことに関してでございます。
先ほどの鳥取県の片山知事も、改革は具体的でなくてはならないと申しておりまして、自分も自民党に推されて知事になり、自民党の一部から批判されながらダム中止などの改革をやってきた、自分で提起した改革は必ず現場に行って当事者や関係者の意見を聞き、最後は良心に基づいて自分で判断し、自分で説得した、役人任せにしなかった、首相は極めて忙しい身だが、網羅的な数値を並べたシーリング改革ではなく、自分で現場を見て本当に見直すべきだと感じたものを徹底する現場主義が欲しいと述べております。
これは、議会の方々の提案による治水・利水ダム等検討委員会ができたわけでございまして、この委員を任命し、この委員の方々もまたそれぞれ9河川へと足を運ばれて、その上で御検討いただけるわけでございます。その十分なる審議をただいまは見守っているところでございます。
私は、自由党との勉強会の場においては、片山知事と同じように実際に9河川の現場に出かけて、私は不要であると感じたと述べたわけでございまして、また、私の個人の見解として、委員の皆さんも現場に足を運ばれて多くの資料と多くの市民の方々の意見を虚心坦懐にお聞きいただけたならばという形で申し述べたわけでございます。
続いての砂防ダムあるいは砂防堰堤と申します点に関してでございます。
議員が既に御指摘のとおり、昨年9月の集中豪雨の際に、阿智村や根羽村の砂防堰堤が効果を発揮し、下流の土砂災害を最小限に食いとめたことは、私も十分認識いたしております。
砂防堰堤は、いわゆる自然環境に与える負荷を最小限に抑え、その上で土砂災害を防止する工夫を私もさまざまな場所で拝見しておりますが、さまざまなタイプの形で環境の負荷を考慮した上で土砂災害を防止する工夫を始めておりまして、感銘を受けております。
私は、これら砂防堰堤と現在9河川において長野県が計画をしてまいりました九つのコンクリートのダムとは、目的もまたその構造も中身も著しく異なる土木建造物だということを各委員の方に御承知おきいただき、そして、ある意味では画一的な工法にとらわれない、まさにしなやかな理念に基づく治水こそがこれからは必要であるということを御理解いただけるように願っております。
最後に、検討委員会の委員人選に関してでございます。
国土交通省の千曲川工事事務所に対しまして、委員として事務所長に御参加いただけるよう依頼をいたしましたが、国土交通省の職員がこの委員会に加わることは辞退したいという意向を示されました。これは、地方分権の趣旨を踏まえた上で県の自主性にゆだね、ゆえに国の参画はふさわしくないとの判断であるというふうに認識いたしております。結果、国の関係行政機関の職員は空席もやむを得ないと、このように判断をさせていただきました。
以上でございます。
〔教育委員会委員長宮﨑和順君登壇〕
◎教育委員会委員長(
宮﨑和順 君)飯田高校生徒刺殺事件に対する見解と対応についてのお尋ねでございますが、学校内において刺殺事件が起こり、かけがえのない若い命が失われたことは痛恨のきわみであり、断腸の思いでありました。
今、改めまして、亡くなられた小野寺仁さんの御冥福をお祈り申し上げ、御両親、御家族に心よりおわび申し上げます。また、今回の上告棄却の決定を厳粛に受けとめるとともに、9年余の長きにわたり御両親、御家族に多大なる御心痛をおかけすることになったことに対しましてもおわび申し上げます。
この事件を、生徒の安全確保、学校の安全管理、生徒指導のあり方などの観点から改めてしっかりと検証し、このような悲しく痛ましい事件が二度と繰り返されないために、教育に携わる者一人一人が、生徒の人格を尊重しながら、生徒との信頼関係を築き、検証の結果を教訓として、これからの学校教育に生かしてまいります。
教職員が、生徒の心の揺れや悩み、不安等を受けとめ、生徒理解を深めることによって生徒の発するサインを早期にとらえ、適切に援助の手を差し伸べるとともに、校長のリーダーシップのもと、全教職員が個々の生徒についての理解を共有し、協力して指導に当たり、各教職員間の具体的な役割分担や責任を明確にした指導体制づくりに取り組んでまいります。
さらに、開かれた学校づくりの中で、学校を核として、学校、家庭、地域及び関係機関が課題を共有し、一体となって取り組む協力関係をつくらなければならないと考えております。
教育委員会といたしましては、今回の判決内容の持つ重みを全教職員に伝えるとともに、校長会や教職員の研修会などあらゆる機会をとらえて生徒の実態を把握しているかどうかについて確認するよう喚起し、今後、二度とこのような不幸な事件が繰り返されることがないよう全力を挙げて取り組む覚悟でございます。
〔高速道・
北陸新幹線局長尾坂壽夫君登壇〕
◎高速道・
北陸新幹線局長(尾坂壽夫 君)三遠南信道路につきましてお答えいたします。
三遠南信自動車道は、飯田市と静岡県の三ヶ日町を結ぶ高規格幹線道路として昭和62年に閣議決定がされました。平成6年3月に矢筈トンネルが開通し、飯喬道路が工事着手される等整備の促進が図られてきたところでございます。
しかしながら、全体延長100キロメートルを規格の高い道路で整備することは多額な費用と長い時間を要し、地域の皆さんが望んでいる一日も早い完成という願いにこたえられないところです。
このため、本年4月に、国土交通省中部地方整備局から新たな整備方針が示されました。それによりますと、高規格幹線道路と一般道路を組み合わせた道路整備を行うものです。すなわち、中央道に接続する仮称飯田南ジャンクションから仮称天竜峡インター間と交通不能区間である青崩峠のトンネル化を国が重点的に整備します。そして、その間をつなぐ天竜峡インターから矢筈トンネルまでの間は、天竜峡インターまでの工事完成後引き続き整備するものの、当面は既存の国道、県道を利用します。また、上村から南信濃村間は、県が整備を進めている国道152号を活用するものであります。また、全線にわたりインターチェンジを多くして、地域住民の使いやすい道路としての整備を目指しております。
この方針に基づき建設を一層促進し、一日も早く整備効果が発現されるよう国に要望してまいるとともに、県といたしましても、国道152号の和田バイパスや向井万場工区の整備については国と調整を図りながら促進に努めてまいります。
〔土木部長荻原敬三君登壇〕
◎土木部長(荻原敬三 君)お答えいたします。
公共事業の先送りについてでございますが、今回の先送りについては、厳しい財政状況と限られた財源の中で早期完成が図れる箇所などへの重点配分や新規箇所の厳選をしたため、結果的にやむを得ず先送りを行ったものであります。
今回のこの件につきましては、限られた時間の中ではございましたが、現地機関とは調整を図ってきたところでございます。
なお、先送りの箇所決定後直ちに、現地機関に対し、市町村を初め地元の皆様には今後の見通しなどについて十分説明するよう指示を行ったところでございます。今後も、現地機関とは連絡を密にし、適切な対応に努めてまいりたいと考えております。
次に、県単独道路改良事業の休止状況についてでございますが、事業を計画的、効率的に進めるため用地測量や用地の先行取得を実施してまいりましたが、現在、予算づけがされていないいわゆる休止箇所は県下全体で55カ所でございます。
休止している箇所は、地元からの強い要望などによって事業着手をしたものでございますが、厳しい財政状況と限られた財源の中で優先度の高い箇所から重点的に実施しているため、一時的に先送りとなっているものでございます。
今後の対処方針についてでございますが、それぞれの休止箇所につきまして事業の効果や用地取得の状況などを十分勘案しまして、地域や地権者の皆様に状況を説明し、市町村とも協議の上、早期に事業の再開ができるよう努めてまいります。
〔林務部長古林弘充君登壇〕
◎林務部長(古林弘充 君)林務部関係の公共事業の先送りについてお答えをいたします。
最初に、公共事業の先送り箇所は現場事務所で本当に検証して決めたのかとのお尋ねでございますが、林務部関係の公共事業につきましては、従来から、現地機関でございます地方事務所において地域の方々や市町村の要望をお聞きし、事業効果や緊急性等の観点から現地調査を実施いたしまして計画を策定しております。
今回の先送りにつきましては、厳しい財政状況を踏まえ、限られた財源の中で、林道事業につきましては危険性の高い箇所や車両通行の支障が大きい箇所を、また治山事業では保全対象が市民生活に影響が大きい箇所を厳選した結果、やむを得ず先送りとしたものでありますが、箇所の選定に当たりましては、計画策定時に現地調査をするなど、現場に精通している地方事務所と調整をいたしたところでございます。
次に、先送り箇所の中には、放置すれば崩壊していま一度工事をやり直さなければならないところがあるが、来年度こうした箇所に国が予算を認める保証はあるのかとのお尋ねでございますが、議員が御指摘のような箇所につきましては、さらに現地の状況を精査いたしまして、国と協議をいたしまして、14年度に事業が実施できるよう努めてまいりたいと存じます。
〔政策秘書室長青山篤司君登壇〕
◎政策秘書室長(青山篤司 君)お答え申し上げます。
政策秘書室のお尋ねでございますけれども、まず、大組織にした意義というお尋ねでございます。
これにつきましては、御承知のとおり、政策調整部門、具体的には重要な政策の立案の方向づけをするという部門でございますが、それを新設しまして、そして、今まで広報文書課にありました広報と広聴部門を一体化したところに大きな意義があると思っております。
したがいまして、具体的な事務分担につきましては、今までありました秘書部門は申すまでもございません。そこへ、今回、報道部門を一緒につけまして秘書・報道担当部門、それから、今申し上げました政策調整部門、そして広聴、広報担当という大きく四つの担当部門に分かれております。
それから、各部局との関係についてでございますが、私ども政策秘書室はあくまで黒子役でございまして、調整の結果、新しい政策方向が軌道に乗れば私どもの大きな任務は終わりまして、その後は各部の所管するところが立案、施策を展開していくという、こういう形での役割分担で考えております。
それから、市町村との関係でございますが、知事の姿勢は、市町村の皆さんとも積極的に意見や議論を交わす姿勢でございます。したがいまして、今後、遠慮なく知事へのアポイント、これは電話とかメールとかファクス等いろんな手段で結構でございますので、どしどし申し出をいただきまして、時間の許す限り日程を調整したいと、このように考えております。そして、市町村の皆さんと知事と建設的な議論が交わされることを期待しております。
以上でございます。
〔50番森田恒雄君登壇〕
◆50番(森田恒雄 君)私が聞き漏らした部分があるかと思いますが、一つは、脱・記者クラブ宣言は総務部と協議したかどうか、あるいは知事の独断であったか、もう一つ、林野庁に参加を要請すべきと思うがいかがか、こういうことにつきましてもう一度知事の方から御答弁をいただきたいと思います。
それから、土木部長の方から、県下55カ所というお話でした。飯田建設事務所管内だけでも21カ所の26億円、これは数字の間違いだと思うのでありますが、もう一度その部分を精査してお答えください。
それから、ただいまの政策秘書室長の答弁でありますが、大きな部分が軌道に乗れば部局へおろす、この部分が私はどうしても納得できない部分であります。一番物事に精通して専門的なのは部局、部長以下の課長、係長、それぞれの専門幹、調整幹等の職員だと思うのです。ですから、政策秘書室で大きな部分を軌道に乗せて下へおろすということになると、部局の職員の皆さんの士気は随分と低下してしまうと私は思います。そういう部分は、もう少ししっかりと政策秘書室と各部局と議論をし合って進めてもらわないと。私が見る目では、各部局の人たちの行動、目が死んでおり、何をやっていいかという戸惑いを感じておるわけであります。これは、一方的に大きな部分を上からトップダウン方式でこういう問題は部局と言わないようにやってもらいたい、この部分に対しましてもう1回室長からお答えいただきたいと思います。
さて、時間の残りが少なくありますから、終わりの項目として、公共事業、治水・利水ダム等検討委員会に関して再質問いたします。
知事は、浅川ダムを一たん白紙に戻し、本年1月までに検討委員会を設置して検討するとしていたものでありますが、これが立ち上がらずに、時間が過ぎてしまいました。そして、議会が提案をした治水・利水ダム等検討委員会条例に基づきまして、今、スタートしたわけであります。
この委員会に対しまして知事はどう評価されておられますか、まずお聞きをし、本来、治水、利水は、理念だけでなく、そこに住む流域住民が将来にわたって共存するものでありまして、その川を最も知っている流域住民の苦い話し合いなくして中止決定することは、流域住民の安全を守ることにならないと思いますし、将来に禍根を残すことになるのではないかと思います。そうしたものを踏まえて可決された条例案でありますから、そうした点を理解していただきたいと思います。
委員の任命に当たって、審議に議員は参加すべきでないとした委員も任命し、いわゆる脱ダム派という言葉がもしあるとするならば、そうした方々が初めから多く委員に任命されたように思いますし、そう報道もされております。条例の精神は、第2条に「ダム等を含む」と表現した理由が、流域住民が、ダム先にありきでもなく脱ダム先にありきでもない、賛否両論ある中で民主主義として当たり前の、流域住民がみずから参加して選択し、なおかつみずからの治水、利水への参加を自覚することを求め、白紙の状態を規定したにもかかわらず、先ほどお話がありましたように、私が現場を見た範囲ではダムは必要ないと条例に逆行する反民主主義的な決めつけをされた発言はいかがなものかと思います。
知事は、今議会の議案説明で、この条例の精神を尊重しながら、住民意見を反映した多角的な治水・利水対策について検討を進めてまいりますと言っていますが、流域住民の安全をどう守るかが知事の責務である以上、この間の言動は唐突であり、国政へのみずからのアピールのため長野県民を犠牲にしているように思えてなりません。
以上、条例にかかわって申し上げてまいりましたけれども、さてそこで、条例の中で、部会、これが長野モデルであり、問題となる河川流域住民がみずから参加して住民による住民のための治水、利水を検討するということであります。
去る5月1日に岡谷市長と下諏訪町長と懇談されたとき、下諏訪町長が、検討委員会で下諏訪ダムについて結論が出された場合その結果を尊重するかと聞かれたのに対しまして、知事は、委員会の審議を見守って、その上で私が判断すると答えておられますが、それは、この条例に定めた部会あるいは検討委員会が住民参加により結論を出しても、脱ダムという理念以外に尊重しないということなのかどうか。その急所をここで明確にお答えいただきたいと思います。
これから部会の任命がされるわけでありますが、公正な人選をされるよう求めますが、これは了としていただけますかどうか、お伺いいたします。
終わりに、治水・利水ダム等検討委員会の委員を辞退された千曲川工事事務所長初め、国の補助事業を確保し、県財政を再建しながら県民の生活を守るため、国土交通省との関係をどうするお考えかをお伺いいたしたいと思います。
以上をもって第2回の質問を終わります。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)順を追ってお答え申し上げます。
まず、脱・記者クラブ宣言に関しましては、とりわけ総務部の管財課とも入念なる打ち合わせを進めた中で宣言を出したものであります。脱・記者クラブ宣言を出すことに関しましては、現在、記者クラブ室を占有している各社から派遣された個人の方々がいるわけでございまして、この点も含めて総務部と話をしてきたわけでございます。
そして、治水・利水ダム等検討委員会の問題でございますが、これはダムありきではないという形でございます。そして、各委員の方々を任命させていただいたわけでございまして、委員の方々は広くそれらの地域の住民の方々の意見を聞く機会を積極的に設けていただけるものと考えております。
そして、私は、国土交通省も脱ダム宣言のでき得る限りコンクリートによらない治水という理念に関しては一定以上の御理解をいただけているものと思っておりまして、既に、そうした理念を共有しておればこそ、国家レベルにおいて、まさにダムなし、ありきともあえて言える、個々の現場を精査する以前に、シーリングをかけて国として新たな大規模なダムの建設を凍結するという方向が現在の内閣のもとで出ているわけでございます。
ある意味でいいますれば、繰り返しますが、長野県は各現場の実情を見た上で判断をしていくということでございます。
そして、先ほどの片山知事の発言の中にもありましたように、私は治水・利水ダム等検討委員会での審議を見守り、そこでの新たな判断が出た段階で改めて私が最終的な判断をするということであります。
そして、長野県におきます脱ダム宣言、さらには治水・利水ダム等検討委員会におきます新しい治水、利水のあり方の検討を行っております長野県の、一方では、先ほど来申し上げたように、国家レベルにおいてはダムなし、ありきとも言えるような新たな方針が着々と国土交通省においても進んでいるわけでございまして、ある意味では、まさに地域の住民の声をも聞く治水・利水ダム等検討委員会での審議というものはさらに住民に立脚したものであるということで、こうした条例案を御提案くださった議員の方々に私は改めてここで感謝を申し上げ、また、ある意味でいえば、そうしたディテールに基づかぬ新たな治水を行う日本の国家というものに対して疑念がおありであるのならば、そうした国家のダムなし、ありきとも言える方向に対してこの議場の皆様が何らかの議決や申し出をなさるということも、まさに住民に立脚した長野県政の中での望むべき姿ではなかろうかとも愚考いたしております。
もう1点、林野庁に関しましては、これは既に先ほども申し上げましたように、国土交通省から、地方分権の精神の中で長野県が主体的に話し合うべきことであり、こうした委員会に国家の側の行政の所属機関の者が参加することはなじまないという御判断をいただいたわけでございますから、私は、その国レベルでの判断に従って、現在、国の行政機関からの参加というものを欠員とさせていただいているわけでございます。
〔土木部長荻原敬三君登壇〕
◎土木部長(荻原敬三 君)県単道路改良事業での休止箇所数でございますが、全県下で55カ所でございます。
なお、飯田建設事務所管内では、事業実施箇所数を減らしまして、より重点的に進めていると言えます。
〔政策秘書室長青山篤司君登壇〕
◎政策秘書室長(青山篤司 君)私どもと関係部局との関係のお話でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、私どもの一番大きな任務というのは黒子役でございまして、具体的に申し上げますと、知事からいろんな政策の指示がございまして、その知事の考え方がうまく各部の立案につながるような形での役割というのが私どもの一番大きな役割だと思っております。
ただ、その過程に、若干各部と衝突する場面もございます。その中で、いろいろ議論しながら知事の考え方を政策まで持っていくということが一番大きな役割でございます。そういうことで御理解をいただきたいと思います。
〔50番森田恒雄君登壇〕
◆50番(森田恒雄 君)国土交通省、国の方もダムに関する意見が最近変わってきたことは私も承知しています。
知事は、今回の提案説明に明確に書いてあります。したがいまして、検討委員会が出された結論に、もしダムが必要だという結論が出た場合に、知事の判断でそれはないということを出すことがあってはまずい。ですから、検討委員会が出された結論はそのまま認める方向でぜひ進めてもらいたい。でないとするならば、検討委員会が労力と時間を使って真剣な議論をすること自体が問題だと思いますので、その点は篤と要請いたします。
それから、政策秘書室長には、部局から上がってきたものを政策秘書室で考えて、財政当局と考えて、知事と相談して、これはどうと、これが筋道でありまして、トップダウン方式の今の答弁は納得できません。その点は、知事と政策秘書室長としっかり議論をして、今後の課題として残したいと思います。
以上で終わります。
○議長(石田治一郎 君)会議規則第13条第2項の規定により、本日はこれをもって延会いたしたいと思います。
次会は、明29日午前10時30分に再開して、行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。
本日は、これをもって延会いたします。
午後5時9分散会...