長野県議会 2001-03-05
平成13年 2月定例会本会議-03月05日-05号
平成13年 2月定例会本会議-03月05日-05号平成13年 2月定例会本会議
平成13年3月5日(月曜日)
出席議員(62名)
1 番 竹内久幸 23 番 佐野功武
2 番 柳田清二 24 番 花村薫平
3 番 西沢正隆 25 番 村石正郎
4 番 金子ゆかり 26 番 奥村 剛
5 番 浜 康幸 27 番 久保田元夫
6 番 垣内基良 28 番 木下茂人
7 番 鈴木 清 29 番 塚田 一
8 番 向山公人 30 番 望月雄内
9 番 下村 恭 31 番 高橋 宏
10 番 堀内 瑛 32 番 寺島義幸
11 番 丸山 茂 33 番 母袋創一
12 番 藤沢詮子 34 番 萩原 清
13 番 宮澤敏文 35 番 宮澤宗弘
14 番 牛山好子 36 番 柳沢政安
15 番 百瀬喜八郎 37 番 大和代八
16 番 佐々木祥二 38 番 倉田竜彦
17 番 風間辰一 39 番 島田基正
18 番 山元秀泰 40 番 服部宏昭
19 番 平野成基 41 番 今井勝幸
20 番 本郷一彦 42 番 中村善行
21 番 小林伸陽 43 番 井出公陽
22 番 石坂千穂 44 番 太田道信
45 番 池田益男 54 番 古田芙士
46 番 塩沢 昭 55 番 下﨑 保
47 番 佐藤良男 56 番 小林 実
48 番 小林忠司 57 番 宮沢勇一
49 番 森 司朗 58 番 吉田博美
50 番 森田恒雄 59 番 中島輝夫
51 番 浜 万亀彦 60 番 石田治一郎
52 番 中島昭一 61 番 篠原文三
53 番 小田切行雄 62 番 西山平四郎
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説明のため出席した者
知事 田中康夫 企画局長 阿部守一
出納長 花岡勝明 副出納長兼会計局長 田中邦治
総務部長 青木輝政
公営企業管理者 飯澤 清
社会部長 上原芳晴 企業局長 藤井世高
衛生部長 小林文宗 財政課長 浦野昭治
生活環境部長 中平龍興
教育委員会委員長 宮﨑和順
商工部長 木船智二 教育長 斉藤金司
農政部長 中村武文 教育次長 井出祐司
林務部長 古林弘充 警察本部長 松田広光
土木部長 光家康夫 警務部長 西川直哉
土木部高速道局長 尾坂壽夫 監査委員 丸山 勇
住宅部長 柳澤一則
選挙管理委員会委員長 中村幸枝
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 清水幸治 総務課企画員 佐藤公俊
参事兼議事課長 林 一夫
議事課記録専門員 若井一仁
議事課課長補佐 宮下清一 議事課主事 穐澤礼子
議事課委員会係長 平林 信
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平成13年3月5日(月曜日)議事日程
午前11時開議
行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑
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本日の会議に付した事件等
行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑
午前11時1分開議
○議長(吉田博美 君)これより本日の会議を開きます。
本日の会議は、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。
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○議長(吉田博美 君)この際、田中知事から発言を求められておりますので、これを許可いたします。
田中知事。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)過日の各党派代表質問におきまして御質問のありました公共事業費の減による雇用への影響について、産業連関表を用いた理論値を求められております。議長のお許しをいただきましたので、この点に関して御説明を申し上げます。
長野県産業連関表を用いて公共事業費が雇用者数に与える影響を理論的に算定する場合には、さまざまな前提条件等を設定する必要がございます。例えば、生産波及効果の及ぶ範囲をどこまでと設定するのか、また、どのレベルでの部門区分による係数を用いるのか、さらには、生産波及効果に関係しない要素である用地費などをどのように控除するか、こうした点でございます。
このたび、速やかに理論値を算出し示すようにとのお求めでございますので、次に申し述べます前提条件等を置いた上で計算を試みました。すなわち、雇用者数を算定するために必要な生産誘発額の推計に当たっては、より確実に効果を把握できる1次波及までとすること、直ちに計算結果を出すため、いわゆる公共事業のほか、民間の土木・住宅建設なども含まれる建設部門の係数を用いること、そして、事業費から用地費を控除するに当たっては、平成12年度9月現計予算における公共事業費に占める用地費の比率を用いることなどでございます。
その結果、約253億円の公共事業費の削減が雇用に与える影響は約2,100人程度となりました。
なお、産業連関表を用いた試算におきましては、生産の増減に比例して単純に雇用も増減するとの前提に立っておりまして、必ずしも実社会での動きを正確に反映するものではないという点、また、
長野オリンピック開催前の県内経済構造をもとに策定されている平成7年の産業連関表を用いているなどといった限界があることに、御理解をあわせていただきたいと存じます。
以上でございます。
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△行政事務一般に関する質問及び知事提出議案
○議長(吉田博美 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。
お手元に配付いたしましたとおりの諸君から行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑の通告がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。
順次発言を許します。
最初に、藤沢詮子君。
〔12番藤沢詮子君登壇〕
◆12番(藤沢詮子 君)きょうは雪降りとなりましたが、雪の下の大地には新しい命が顔をのぞかせています。待ちわびた春が、ここ信州にも訪れようとしています。希望の春3月に開会されている県議会において、県民が希望を託す新県政の力強い前進を心から願い、質問をいたします。
県民に開かれた民主的な県政の推進について伺います。
2月26日に発表された
県民政治意識モニターの調査によると、田中知事の支持は86%に達しています。最低を記録した森内閣の7.6%とは対照的であります。支持する理由は、知事が県政を変えようとしているが75%でトップ、続いて、県民と対話し現場に出かけているからが63.7%となっています。税金の使い方もどんどん公開してくれるので、今まで無関心だった税金の使われ方に関心を持つようになったという若者たち、30分早く起きて新聞に目を通すようになったという女性の皆さん、夕方のニュースが楽しみですというお父さんたち。地位や役職に関係なく、県民に県政への参加を開いた田中知事の誕生と県政運営は、県民にかつてない県政への関心と参加意識を高めています。県民の声が届かない、県民不在の県政といわれた前県政を、県民に軸を移し、県民に開かれた県政へと大きく変えた田中知事の果たした役割は、党派を超えて評価をするものであります。さらに開かれた県政のための知事の決意をお聞きいたします。
そこで、県民に開かれた対応の一つとして、浅川ダム、
子ども未来センター、豊科産廃処分場の運営に当たっては、住民の参加、検討委員以外の専門家の意見、提案の反映、公募制の導入も含め、原則公開で県民に開かれたものにすべきと思うがどうか、知事にお伺いをいたします。
次に、知事の脱ダム宣言について。
山紫水明、水源涵養地としての長野県から全国に発信された田中知事の脱ダム宣言は、県内外から多くの共感が寄せられています。昨日も、松本駅前で知事の脱ダム宣言に共感した若者たちが脱ダム宣言支持の署名活動をしましたら、雪降りの中でも、切れ目なく署名をしてくれたとの話をお聞きいたしました。
日本共産党県議団は、知事は21世紀は環境の世紀との視点に立って脱ダム宣言を出されたものと評価しており、この方向こそ世界の流れと確信をしているものであります。そこで、改めて脱ダム宣言に込められた知事の思いと理念についてお伺いいたします。
長野県の澄み切った青空、緑の山並み、清らかな水、この美しい自然は、祖先から受け継いだ貴重な県民共通の資産のみならず、すぐれた国民的資産であります。美しい信州の自然を保全して後世に伝えることは、私たち県民に課せられた責務ではないでしょうか。私は、この理念が県政の基調として確立されることを心から願い、ダムにかわる治水対策の推進について県議団の現地調査などを踏まえた提案をさせていただきますので、知事に見解を伺います。
2月15日の夕刊に、井出孫六さんの「緑のダム」という記事が載りました。明治政府に招かれ、緑化と砂防堤、そだ沈床という環境に配慮した総合的な治水を実施したオランダの
土木技師ヨハニス・デ・レイケの紹介がありました。
私たち県議団は、このデ・レイケがかかわった木曽三川の治水について現地調査をいたしました。デ・レイケは、古くから洪水被害をもたらしてきた木曽川、長良川、揖斐川が合流する愛知、岐阜、三重にまたがる広大な地域をみずからの足で詳細に調査をした結論として、川を治める者はまず山を治めよと、上流部の植林、山どめ工、支流の土砂が河川に流れ込むのを防ぐ石積みの砂防堤、しゅんせつなどを組み合わせた総合的な治水対策で木曽三川を治めたのです。人の知恵が今なおその姿をとどめ、効果を発揮し、生きていることに、私たち県議団は感動いたしました。
デ・レイケだけでなく、川を治めた先人の知恵はたくさんあるはずです。先人の知恵に学び、自然との調和を目指した治水対策を進める木曽三川の取り組みを生かしてほしいと思いますが、いかがでしょうか。
長野県自然保護研究所の宮脇所長さん初め研究者の皆さんから、大変貴重なお話を伺いました。山の治水力を高める間伐の効果等です。研究所における研究財産や職員の皆さん等の知恵を活用すべきではないでしょうか、伺います。
次に、大雪の後で職員の皆さんは大変でしたが、
松本地方事務所林務課に御案内いただき、薄川上流域の
造林事業予定地の説明をいただきました。今まで必要でも手の入らなかった山に間伐を中心に森林整備がされていく、山を治める者は水を治めるといわれてきましたが、大仏ダムにかわる治水への一歩を踏み出した造林事業に大きな期待をし、県下のダム予定地を初め広めるべきと考えますが、見解を伺います。
次に、ダム中止、脱ダム発言への土木部の対応について伺います。
土木部長は、知事がダム建設中止や脱ダム宣言をした後も、大仏、浅川、下諏訪ダムは必要などの議会答弁や、陳情者などに知事は対案もなく中止したなどと、公式、非公式の場で知事への反論、批判的な言動をとっておりますが、公務員の本分からも不適切であるとの声が上がっています。知事と職員の考え方が違うことが公の場で表明されれば、県政への信頼を失い、県民にも混乱が生じます。国であれば即刻罷免されるような大問題ともお聞きしております。地方自治体の職員としては考えられない行為である。土木部長は、みずからの行動が公務員としての資格を問われるものとは思われないのでしょうか、土木部長の所見を伺います。
また、26日、
下諏訪ダム建設予定地を現地調査した県会議員の皆さんに提供した資料──この資料でございますが、田中知事の脱ダム宣言に反論する内容であるとして、
日本共産党岡谷市議団と下諏訪町議団が
諏訪建設事務所長に抗議をいたしました。申し入れに対し所長は反論ではないが誤解を招いたと陳謝している問題を部長は御存じのことと思いますが、
諏訪建設事務所の不適切な対応について部長は管理責任をどうお考えか、あわせて伺います。
次に、新年度予算について伺います。
田中知事は、新年度予算案で、3公共を中心とした公共投資を、福祉、教育、環境など県民生活を重視した公共投資へと予算を重点配分していく方針を打ち出しました。限られた財源の中でも、方針に沿って、公共事業費は昨年9月現計比では14.1%、250億円の減額ですが、木曽川右岸道路など道路予算は微増で、生活関連道路は重視されています。一方、福祉関係は前年比177.3%、医療は112.6%、教育は106.9%、生活環境は194.3%と、生活関連の公共投資を大幅に増額させました。
特別養護老人ホームなど社会福祉施設の整備費を倍増させ、当初予算では過去最高の額を計上し、昨年の補正予算と新年度予算で自治体が県に要望した施設にはすべて予算がつきました。このほか、老朽校舎の改善やバリアフリーに向けた施設改善、稲荷山養護学校の改築に伴う長野市南部の知的障害児の受け入れなどは、切実な県民要望に目を向けた前進といってよいでしょう。
この結果、県債発行額は実質183億円削減され、県債依存度は前年度の11%から9.8%に低下、県債残高が33年ぶりに減少する見込みとなりました。
県民生活に密着した公共投資に切りかえ、財政再建も図っていく、この方向こそ県民が長い間待ち望んだ県政の姿であり、全国的な流れであります。
日本共産党県議団も一貫して主張し続けてきた改革への道と重なるものであります。知事の、公共事業を見直し、県債、つまり借金削減の努力に向かった予算編成を評価するものであります。
さて、そこで、この知事の提案に対し、国からの補助金が来なくなり、雇用、経済への影響を心配する代表質問が相次ぎましたが、
大手ゼネコン向けのダム建設など大型公共事業は、補助金はついても、事業費の7割から8割は県外のゼネコンに吸い上げられ、県内業者に仕事が回る率は低く、結果として景気はよくならないということは、長野県の経済を支える中小の事業者の皆さん自身がよく御存じのことではないでしょうか。また、公共事業費のそのほとんどは借金です。
全国ワーストツーの長野県の財政を、これ以上危機に陥れることはできないはずです。
私どもの調べによると、90年から97年までの県議会に報告された5億円以上の公共事業総額3,625億円のうち、県内に本社を置く企業の受注総額は全体の約3割でしかありませんでした。また、公共事業費と雇用の関係を見ていくと、90年代になり、いわゆる経済対策予算は92年の457億円から98年の1,509億円へと大幅にふやされたにもかかわらず、県内就業者数は92年の延べ815万人から98年の延べ543万人と、逆に大幅に減っています。
また、社会保障と医療、公共事業部門の経済波及効果を試算した、この試算表でありますが、98年
県総務部情報統計課の資料によると、1,000億円の最終需要が生じた場合の波及効果は、雇用効果で見ると、公共事業部門が約8,300人に対し社会保障と医療・保健部門を足すと3万5,000人と、福祉、医療への投資が約4倍の雇用効果をもたらすという結果が出ています。生活重視の公共投資は、そのほとんどが県内の企業に発注をされています。
そこで、造林事業以外に公共投資の重点配分を福祉、教育、環境へ移したことにより、現実に
老人福祉施設関係などがふえるわけですが、当然、職員も採用され、雇用も伸びるということになります。雇用効果や経済効果の今後の変化はどうなっていくのか、お伺いいたします。
また、この方向をさらに進めるべきと思うがどうか、決意のほどをお伺いいたします。
私はさらに、予算全体に占める福祉予算を中心とした社会保障費の比率を高める必要性について伺います。
長野県は、民生費を見ると、95年度は全国47位、96年度が45位、97年度は40位と、全国で最低ランクにありました。福祉や医療の充実に一番力を入れてほしいという県民の願いに真摯にこたえてこなかったこれまでの、県民とかけ離れた長野県政の大きな矛盾でした。新年度予算では
老人福祉施設整備費の大幅増額などその努力が見られ、当初予算に占める民生費の比率が7%と全国平均に近づき、今までの矛盾を解決していく方向での前進が始まりましたが、公共事業での切りかえが中心であり、乳幼児医療費の充実など福祉施策としてのソフト面での努力が求められているのではないでしょうか。さらなる予算の重点配分で県民の期待にこたえるべきと思いますが、知事に御答弁お願いいたします。
乳幼児医療費について具体的に伺います。
知事は、代表質問の答弁で、長野県の乳幼児医療費の制度は全国的に高い水準である、これ以上の対象年齢の拡大はするつもりはないと答えられましたが、ぜひその認識は改めていただきたい。知事は、所得制限なしで3歳まで無料にしているのは全国で5県しかないと思われての答弁であったろうと思いますが、県下の市町村の実態を御存じでしょうか。県の制度に上乗せして対象年齢の拡大をしている市町村は5割を超えていますし、小学校入学前はもちろん、高森町のように小学校卒業まで対象にしている市町村もあり、今や社会的な要求として大きな流れになっているものです。
所得制限がないということはもちろん評価に値することですが、全国の自治体から見て長野県は決して高水準にあるということではありません。また、対象年齢拡大の方向での大きな流れの中でとどまるのは、ドッグイヤーのごとく世の中の進みは速まっているという知事の持論からすれば矛盾することになるのではないでしょうか。改めて前向きな御答弁を願います。
さて、同じく乳幼児医療費の窓口無料化について伺います。
知事は、昨年の12月県議会の小林伸陽議員の質問に対し、小さな一歩として入院費から取り組んでいきたい旨の答弁をされました。父母の皆さんに期待が広がりました。当然、新年度予算から実施されるであろうとだれしも思ったことでしょう。しかし、先日の代表質問に対する答弁では、入院、自己負担の問題など、さらに検討していきたいとの答弁にとどまりました。
私は、この問題で質問をするのは、吉村県政のときから数えると3回目になります。なぜ固執するのか。それは、生まれた家庭の経済的な原因で十分な医療を受けられない子供たちを出してはならないという思いであり、同時に、子供は未来を担う社会の宝としての育ちを願うからであります。
小さな命は悪化も早く、迅速な医療の対応が必要です。乳幼児医療を初め福祉医療制度の目的は、経済的な弱者が医療費が払えず命を落とすことがないようつくられた制度であり、社会保障の精神そのものであります。窓口で無料にすることこそ、この精神を真っ当に実現する手だてであります。
このことにあわせ、乳幼児の医療費の窓口無料には子育て支援という側面もあります。子育て中の家庭は、低所得という範疇ではなくても、生活は大変という声が多いのです。総務庁の調査でも、子供を産まない原因に、子育てにお金がかかるからが大きくウエートを占めているという結果が出ています。
乳幼児医療費を窓口で無料にすることによって生じる国の交付税削減などの影響額は総額7,000万、市町村との折半になると3,500万円です。市町村の同意といわれましたが、県が制度をつくったからといって、市町村に実施を強制するものではありません。もちろん、制度化した県ではほとんどの市町村が実施をしていますし、住民に喜ばれています。現在、何らかの形で実施をされているのは33県に上っています。
以上、これまでの議会で述べてきたことと重複する部分もありますが、田中知事には初めてでありますので、このことをしっかり御理解いただき、実施に踏み切っていただきたいと思うわけです。実施の時期はいつなのか、決意のほどをお聞きいたします。
次に、選挙違反事件について伺います。
12月県議会で石坂団長が、県知事選挙での違反事件について、今回の事件の根底には土木部の既得の権益を守ろうとした土木部ぐるみの選挙ではなかったかと、その原因、再発防止、責任について真摯に対応をただしました。これに対し土木部長は、あくまでも技監の個人的人間関係から起きた問題との答弁に終始しました。しかし、公判の結果は、悪質な
組織ぐるみ選挙と判定が下りました。しかも、口裏合わせの打ち合わせを土木部長室で行っていたという事実も判明しました。
私どもは、当然、土木部長から代表質問の答弁で冒頭おわびの言葉があるものと思っておりました。しかし、一言もおっしゃらなかった。県民への謝罪はどうするのか、伺います。
また、組織ぐるみを堂々と否定し、議会や県民を欺いた責任をどうとるのか。そして、みずからの処分は訓諭にとどまったが、悪質な組織ぐるみという判決からしても、部下の土木技監は逮捕、懲戒免職になっていることからしても、部長に対する処分は余りにも甘いのではないかとの県民からの声も上がっています。このことをどう受けとめるのか、部長の所見をお伺いいたします。
次に、災害対策について伺います。
質問に入る前に、知事に申し上げます。各会派からも代表質問で指摘をされましたが、去る1月末の豪雪等災害時に知事が不在であった問題は、私ども県議団としても大変遺憾に思っております。知事におかれましては、反省すべき点は率直に反省の意を表され、知事としての使命を果たして県民の期待にこたえていただくよう強く求めまして、質問に入らせていただきます。
震度情報がテレビのテロップに出ない自治体の改善策について伺います。
災害に対する危機管理について、知事は県民へのいち早い情報提供の必要性を強調されてきました。そこで、メディアを通して震度情報が届かない地域の改善について生活環境部長に伺います。
現在、県下の自治体には、震度情報がテレビのテロップに出ない自治体が42市町村あります。理由の一つは、長野県が設置した震度計がありながら、正確な計測ができない設置場所ということで気象庁から不適切とされているもの、もしくは、不適切な震度計ということで気象庁の
ネットワークシステムに乗らず、テレビのテロップには出されないというものであります。対象は、小諸市、豊科町、栄村など33自治体です。もう一つの理由は、科学技術庁が設置したものは震度の計算にある程度の時間がかかるため、テレビのテロップに間に合わないということです。対象は、飯山市や白馬村など9自治体です。
対策としては、長野県で設置のものは適切な場所に移設すれば改善される。震度計の移設経費は数万円から数十万円ででき、総額数百万円で設置可能ということであります。また、科学技術庁が設置している自治体については新しく設置し直すことが必要であり、新たな設置経費は1カ所数百万円必要とのことであります。
移設、設置のための県としての対応、国への働きかけなど、早急な手だてを求めるものですが、生活環境部長に御答弁願います。
次に、ことしの大雪の教訓を生かした県の今後の対応について土木部長に伺います。
ことしの豪雪は、中南信地域を中心に、各地で大きな被害をもたらしました。お亡くなりになられた皆さんには心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、けがをされた方、農業ハウスの倒壊など被害に遭われた皆さんにも、心からお見舞いを申し上げます。
日本共産党は、全県で、地方議員を先頭に、行政の皆さんとも協力して、災害の調査やひとり暮らしの高齢者の皆さんの家の雪おろしなど、支援をしてまいりました。そして、豪雪は災害の立場に立って、1月29日に、知事に対し緊急に対応が必要な8項目にわたる申し入れを行ったものであります。
私は、県民から寄せられた日常生活にかかわる除雪対応の改善について申し上げ、除雪マニュアルにぜひ生かしていただくよう求めるものであります。
まず、県道等の歩道の除雪です。歩道は、豪雪地域を除き、除雪対象になっていないということであります。歩道は、交通弱者や通学路には欠かせないものです。除雪対象としての検討をいただきたい。
2として、除雪した雪の片つけ、ストック場の確保への対応です。除雪した雪が路肩に積まれているため、日中の雪解けの水が朝晩道路を凍らせ、阿南町から下條村にかけての傾斜のある県道での事故が多発しているように、人命にもかかわることであります。当地では、予算がないということで、建設事務所と村の職員が御苦労いただき片つけをしたようでありますが、予算も含めた検討が必要と思います。
3点として、事業者委託の除雪マニュアルの充実です。道路の除雪は関係地域の建設事業者などに委託をされておりますが、積雪量による除雪マニュアルはあるが、除雪道路の公平な優先順位や除雪回数など委託事業者によってばらつきがあり、統一されていないのが現状です。この点も踏まえたマニュアルの充実を図っていただきたい。
以上3点について提案させていただきましたので、所見を土木部長にお聞きいたしまして、1回目の質問を終わらせていただきます。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)ただいまの藤沢議員の御質問に順を追ってお答え申し上げます。
まず、最初の御質問であられます県民に開かれた民主的な県政の推進についてでございます。
私は、長野県知事に就任以来、一人一人の県民の声を県政に反映させる実務者として、開かれた民主的な県政を推進すべく努力してまいりました。具体的に申し上げれば、それは、まず現場主義の実践でありまして、さらには各地に多くの皆様にお集まりいただいての車座集会、また、御予約をいただいた上でのようこそ知事室への開催、加えて、県民の皆様が手紙やファクス、メール等で自由に私に直接具体的に御提案いただけるチャネルを数々設けることによって、これまで県政と県民を隔てておりました大きな壁を壊すのではなく、お一人お一人の県民の方々が日常の生活を続けながら、溶かしていく作業を努めてまいりました。
また、行政情報の公開を進め、県民の皆様と情報をさらに共有する中で、自由濶達な論議をし、ともに考え、ともにつくり出していく新たな民主主義の長野モデルの構築をはぐくんでおります。
県民に開かれた県政の推進は、県民に選ばれました知事であります私の基本理念でもあり、あらゆる政策のよって立つ確固たる土台であると考えております。平成13年度予算案も、公共事業のあり方の見直しから県民参加型の行政システムの構築まで、こうした理念に基づき編成したものであります。
今後も私は、現場主義の徹底や車座集会、知事室での懇談等を通じて県政への県民の参加を促進するとともに、4月以降は、既に申し述べましたように、月に1回程度は県庁を離れて各地方事務所で4日間余り執務を行い、数多くの今までにも増して現場を視察し、また、県民や職員や市町村の行政の方々と具体的な論議を深める知事でありたいと考えております。
さらに、本年4月から実施となります新たな情報公開制度の適切な運用を通じて、開かれた県政の一層の推進に努めてまいります。
これからも、意欲にあふれる県民の皆様とともに、さまざまな分野で全国に発信できるような長野モデルを構築し、真っ当な民主主義の形を築いてまいりたいと思います。それは、お一人お一人の県民の方々が自分の言葉で考え、そして述べ、できることから御一緒に県政のみならず地域のあり方に至るまで行っていく、こうした、思考停止状態ではなく、思考覚せい状態の長野県をはぐくんでいくことであります。
続いて、各種検討委員会の運営についてでございます。
仮称でございます
子ども未来センターの検討委員会や安曇野の住民とともに考える豊科町廃棄物処理施設検討委員会並びに、正式な名称はまだ決まっておりませんが、浅川の多角的、総合的な治水を検討する委員会の基本姿勢は、情報公開と住民参加でございます。こうした精神にのっとり、これらの委員会は原則公開で行われることとなります。
次に、これらの委員会における地元住民の意見陳述、検討委員以外の専門家の意見、提案の反映、公募制の導入といった具体的運営方法でありますが、
子ども未来センターについては、武蔵野美術大学教授の柏木博氏をディレクターとする、そして養老孟司氏、村上陽一郎氏などを初めとする6人の有識者から成る検討委員会メンバーを既に発表いたしております。
検討委員会は、構想原案を策定する一方で、このメンバーに、県民の代表、また教育や科学技術、博物館経営等の専門家を加えた仮称としての拡大検討委員会を設置し、県民との意見交換会、ホームページでの情報公開、また、さまざまな皆様からの御意見を通して検討を深め、基本構想を策定してまいりますが、その具体的な実施方法については検討委員会において検討してまいります。
浅川及び豊科の検討委員会に関しましては、現在、慎重に委員の人選を進めている段階でありますが、
子ども未来センターと同様に、コアとなるメンバーをまず人選し、そこでさまざまな意見の反映方法等も検討する予定であります。
いずれにいたしましても、情報公開と住民参加による県民に開かれた形での検討を、いずれの委員会においても基本姿勢といたします。
脱ダム宣言に関しての御質問にお答え申し上げます。
長野県のみならず日本においては、コンクリートによるダムという選択肢の存在を前提に治水が進められてきた歴史がございます。けれども、1997年の我が国の河川法改正で自然環境への配慮と川づくりへの住民参加が打ち出され、さらには、さきの河川審議会では、ダムを含む従来の治水政策がすべての水害を回避し得るとは限らない、都市水害の防御域は水害が起こることをあらかじめ想定した対応をとっておく必要があるなどとした中間答申案が出され、河川行政も大きな転換点にございます。
また、これは、日本のみならず世界的に見ても、1994年に、アメリカにおけるダム開発の時代は終わったと合衆国開墾局長を務めていたダニエル・ビアード氏が世界灌漑・排水会議の場で発言し、また、昨年2000年11月には、世界の数々のダム建設に資金提供してきた世界銀行が設けました世界ダム委員会において、大規模ダムの建設は河川流域の生態系に悪影響を及ぼし、ダム建設はしばしば予算を超過し、ダムの耐久性を見直す必要が生じたと同時に、洪水対策のあり方も抜本的な変更を迫られていると、大規模ダムの建設に警鐘を鳴らす最終報告書を発表いたしました。
でき得る限りコンクリートのダムをつくるべきではないとの脱ダム宣言は、こうした国内外の趨勢ともいえる理念でありまして、生命、物質、エネルギーの循環という極めて重要な役割を果たす、まさに国土の血管ともいえる河川のあり方を見詰め直そうとするものであります。
さらに、今後の治水は、家庭、また地域、そして公教育という三つが三位一体で担う教育同様に、個人、そして地域、また行政が協同、連携して治水に関しても当たるべきであり、脱ダム宣言は、行政が行うべきことは行政が責任を持って行う一方で、県民の皆様にも、河川を身近な空間、住民共有の場としてとらえ、積極的なかかわりを求めていくものであります。
これは、20世紀における地球環境の破壊を反省材料に、環境の世紀といわれる、つまりは脱物質主義のポストマテリアリズムの21世紀において、それぞれの立場でできることから取り組む、その方向づけの一つとお考えいただきたいと思います。
木曽三川の取り組みや自然保護研究所の研究財産等の活用についてお答えいたします。
木曽川、揖斐川、長良川のうち、岐阜県の木曽川沿川には国土交通省の自然共生研究センターがあり、河川、湖沼の自然環境保全や復元の基礎的、応用的研究を行うとともに、その成果を広く伝える活動を行っていると聞いております。
また、私たち長野県の自然保護研究所では、自然と人とのかかわりについてさまざまな分野から総合的に研究を行っておりまして、森林についても研究対象といたしております。新年度からは、里山をターゲットとして、その現状や果たす役割を研究することとしておりまして、また、この里山のあり方に関しては私も大変に深い関心を抱くところでありまして、これらは、自然保護研究所のみならず、林務部、そのほか私どもの関係部局とも十分に話し合いをし、説明を聞きながら考えてまいりたいと考えております。
そして、平成9年の河川法改正の精神に即して、さまざまな事例、研究、知識を生かした環境に配慮した治水対策を行ってまいります。
薄川上流域の造林事業についての御質問にお答え申し上げます。
薄川上流域については、先日の社県連の代表質問にお答えいたしましたとおり、洪水防止機能がより一層発揮できるよう、森林の整備のあり方についてモデルケースとして研究を進めているところでございます。そして、この実践的な成果を県下の他の水源涵養機能が重視される流域にも生かしていく考えでございます。また、研究に当たっては、多方面からの既に得られている研究成果も積極的に参考にしてまいりたいと思います。
福祉、教育、環境等に関しての御質問にお答え申し上げます。
平成13年度予算におきましては、公共事業の重点化によりその削減を行う一方、森林整備の大幅な拡充や、福祉、医療、教育、生活環境といった分野の公共投資への転換等を図っております。これにより、公共投資の直接的な雇用・経済効果や、整備される社会福祉施設や病院などの運営に伴う雇用・経済効果が新たに期待できるものと考えております。
近い将来、10年ないしは15年後には日本の建設のマーケットが半減すると建設業界を代表する方が公言なさる中で、従来型の公共事業にのみ頼るような雇用・経済構造から脱却し、他県に先駆けてこのような公共投資への転換を、すなわち福祉、医療、教育、生活環境といった公共投資への転換を進めることが、長野県の雇用や経済面でこれまでと同等以上の効果が発揮されることであると私は信じております。
今後とも、県内の雇用・経済情勢をにらみながら、より少ない費用でより大きな効果のある公共投資のあり方について皆様と御一緒に検討してまいりたいと思います。
そして、福祉予算の部分に関してでございます。
平成13年度予算においては、福祉関係の公共投資を増額するのみならず、細やかな心配りのもとで福祉サービスの充実に努めようといたしました結果、福祉関係予算は前年度比111.5%の増額となっております。とりわけ、全国で初めて実施いたします聴覚障害者への聴導犬の給付、すべての広域圏での手話通訳者の配置、バリアフリーを地域全体で推進する計画策定への支援、また延長保育や乳児保育など特別保育の充実、さらには介護予防、生きがい活動の支援など、ソフト面の福祉の充実にも心を配りました。
単に予算全体における比率といった数値にとらわれるのではなく、今後も私は、より多くの現場に出かけ、県民の声に耳を傾けることによって、真に県民益を向上させられるような具体的な福祉サービスのきめ細かい展開に努めてまいります。
乳幼児医療費の対象年齢の引き上げと窓口無料化の実施時期についてでございます。
現在、長野県におきましては、3歳未満児の医療費のうちの自己負担分全額について、世帯の所得にかかわらず、また通院、入院の区別なく、すべてを無料とするため、この経費の2分の1を市町村に補助しております。他のほとんどの都道府県におきましては、低所得世帯に限定したり、何らかの自己負担が必要であったり、あるいは3歳以上としていても入院医療費のみとするなど、市町村への補助対象範囲を限定いたしております。本県の先ほど申し上げました制度は全国的に見まして最も高い水準の一つであると認識しているところでありまして、また、各市町村の独自性を尊重する県の立場からも、これ以上の対象年齢の拡大は考えてはおりません。
窓口の無料化については、対象患者の範囲や自己負担のあり方をどのようにするかなどの課題が今後もございます。実施時期については、こうした課題について実施主体である市町村を初め医療機関や各保険者の皆様の御意見をいただいた上で、所要の調整、準備を行い、平成14年度以降のできるだけ早い時期に実施できるよう努力してまいります。
以上、藤沢議員の御質問に対して順を追ってお答え申し上げました。
〔土木部長光家康夫君登壇〕
◎土木部長(光家康夫 君)まず、ダム中止、脱ダム宣言への土木部の対応につきましてお答え申し上げます。
2月28日の私の答弁につきましては、治水の基本原則として、ダムとか堤防とか遊水池を有機的に組み合わせてやるというのが原則になっていますという一般論を申し上げたものでございまして、下諏訪ダムにつきましてダムでいくべきだというようなことを申し上げたものではないということでございます。ただ、私の発言につきまして一部誤解を招いたような点があるということでございましたら、まことに申しわけなく思っております。
次に、
諏訪建設事務所における県民クラブの現地調査の際の説明についてでございますが、あたかも脱ダム宣言に対する反論であるかのような誤解を受けたということにつきましては、まことに遺憾でございます。この件につきましては、資料の提出方法、説明方法等につきまして
諏訪建設事務所長に厳重に注意をしたところでございます。
次に、選挙違反の件でございますが、今回、組織ぐるみといわれてもやむを得ないような状態であったということにつきましてはまことに申しわけなく、改めて、県民の皆様方に対し、大変御迷惑をかけました点につきまして深くおわびを申し上げます。
なお、竹中前技監につきましては、禁固1年執行猶予4年という非常に重い判決が下されました。このことにつきましては、厳粛に受けとめておるところでございます。
また、内部的にも私も含めまして40名が処分を受けたところでございます。なお、その処分内容につきましては、その関与の度合い等につきまして人事当局において厳正に判断された結果であるということで、真摯に受けとめております。
なお、土木部といたしましては、こういうことが二度と起こらないように、再発防止を図るために講習会を実施しまして、土木部職員1,155名が受講いたしました。また、他部局の方も500名の方があわせて受講されたということでございまして、公職選挙法、地方公務員法の内容についての詳しい説明のほかに、再発を防ぐためにどうすればいいのか、明るい職場づくりのためにどうすればいいのかということを前向きに御議論いただいた、そういう講習をやらせていただいたところでございます。
今後は、県民の皆様方の信頼を一日も早く回復できるよう、職員一丸となりまして日々の職務に全力を尽くしてまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
最後に、災害対策でございます。
この1月末の中南信の豪雪におきまして、県民の皆様方あるいは県外の皆様方に大変御迷惑をおかけいたしました。この対策を図るために、去る2月27日に、県、道路公団、国土交通省、市町村、県警本部が集まりまして、長野県雪対策道路連絡会議というものを発足したところでございます。この中では、路線の重要度に応じて豪雪時に確保すべき道路の優先順位、通行規制の方法、排雪場所の確保等、管理者間相互の連携・協力体制の確立に向け検討を始めたところでございまして、次の冬が来るまでに具体の成果を上げまして対策をしていくべく、鋭意作業を始めたところでございます。
また、歩行者の多い市街地や通学路等、安全な歩行空間を確保するための歩道除雪につきましては、今後とも、市町村との連携を一層密にし、地域住民の皆様方の御協力をいただきながら実施してまいりたいと考えております。
以上でございます。
〔生活環境部長中平龍興君登壇〕
◎生活環境部長(中平龍興 君)震度情報に関するお尋ねでありますけれども、県の震度情報
ネットワークシステムは、地震発生直後に県や防災関係機関が迅速な初動体制をとるため、県が設置しております104器の震度計、それから文部科学省が設置しております11器、それから気象庁が設置をしておる5器の合計120器の震度計をネットいたしまして、県内全市町村の震度情報が即座にそれぞれの市町村役場等で把握できるようになっておりますほか、これらが全部県庁消防防災課に集約されまして、関係部局に通報して対応することといたしております。
ただし、先ほど御指摘のように、テレビ発表につきましては、県で設置したものを含めまして、気象庁の基準を満たしている78市町村に限って発表されておる状況であります。それ以外の地点、御指摘にありましたように42市町村あるわけでありますけれども、地震時の情報を広く県民に提供するという観点から、直接気象庁に対し、また消防庁を通じたりして、発表対象に加えるように要望や提案をしておるわけでありますけれども、現在のところ、消防庁、気象庁、文部科学省の3省庁で発表方法の見直しなどについて協議が続けられていると、こういう状況でございます。
県といたしましては、気象庁の発表基準に合わない設置箇所の改善については、一部新年度で実施をする予定といたしております。
また、気象庁において震度が発表されない市町村でありましても、役場等に置かれた表示装置によりまして震度を知ることができるわけでございまして、住民の皆さんには有線放送や防災無線などで周知することができるようになっているわけであります。
いずれにいたしましても、県民が地震からいち早く身を守るためには情報がわかりやすく早く提供される必要があるわけでございまして、発表箇所の拡大あるいは震度計の改善など引き続き関係省庁に働きかけてまいりたいと、こんなふうに考えております。
以上であります。
〔12番藤沢詮子君登壇〕
◆12番(藤沢詮子 君)それぞれ御答弁をいただきましたので、2回目の質問に入らせていただきます。
まず、知事が、ソフト面での福祉に対して数値にこだわらない、こう述べられましたけれども、私は、予算にあらわれた数字というのは知事の政治姿勢そのものになると思うわけであります。長野県が今まで矛盾としてきた、県民が一番望んでいる社会保障、福祉に対しての予算が非常に圧縮されてきた、ここが大きな矛盾の一つであるということを私は先ほど申し上げました。ですから、予算の中でどうこの分野を拡大していくか、これが知事に課せられた大きな仕事の一つではないかと思うわけです。もう一度、この点についての御答弁を願います。
それから、乳幼児医療費の窓口無料化でありますけれども、長野県は全国の県に比べて高い水準にあると、同じような答弁をされたわけですけれども、県同士の水準ということではなくて、今、全国の流れがどの方向に向かっているか。私は、全国の県は市町村の対応に比べてみれば大変低い水準にある、こう言わざるを得ません。それも、所得制限がないから水準が高い、この認識は改めていただきたいと思うわけです。
なお、14年度の早い時期から実施をしていく、こう御答弁をいただきましたので、この点については再質問はいたしませんが、知事のさらなる奮闘を心からお願いをするものであります。
さて、土木部長に伺います。
土木部長は、私の質問に答えていただけませんでした。おわびはしていただきましたけれども、ぐるみ選挙を否定し、議会や県民を欺いた責任はどうとるのか。処分が甘い、このことに対してどう部長は受けとめるのか。このことに対しての御答弁はございませんでした。それと、答弁の中で、ぐるみ選挙と思われると。思われるというのは、司法の判定を認めていらっしゃらないのか。この2点について再度質問をさせていただきます。
以上で2回目の質問を終わります。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)御質問にお答えいたします。
長野県は、現在、1兆6,000億円という多額の借金を抱えているわけでございまして、そうした中におきまして、県民の要望を考えて、さらに具体的にきめ細かく対応していくものでございます。その形は、先ほど来申し上げておりますように、4月以降は、車座集会やようこそ知事室へのみならず、具体的に私どもの各合同庁舎に一月のうち何日間か連続して私が机で執務をし、各市町村の首長の方々とも御一緒にさまざまな現場に出かけて、御一緒に相談しながら対応を進めてまいります。
〔土木部長光家康夫君登壇〕
◎土木部長(光家康夫 君)先ほど申し上げましたとおり、処分内容──これは内部処分でございますが、内部処分につきましては、その関与の度合い等につきまして人事当局において厳正に判断された結果であるということでございます。
なお、刑事処分につきましても、捜査の内容からそういう処分が下されたということと考えております。
次に、組織ぐるみということでございますが、土木部といたしましては、業務の一環としてそういうことをやるのを組織ぐるみだというふうに従来から申し上げてきておりまして、そういう意味では、私どもは業務としてやったつもりは毛頭ないということでございますので、組織ぐるみではないと信じておりますが、司直の判断は組織ぐるみであるということが下りましたので、そういう意味で私は、組織ぐるみといわれてもやむを得ない状況であったというふうに申し上げたということであります。
以上であります。
〔12番藤沢詮子君登壇〕
◆12番(藤沢詮子 君)3回目の質問をいたします。
知事の御答弁は、私は非常に残念に思いますが、時間がございませんので質問いたしませんけれども、もう一度、長野県政の問題点としての社会保障制度のあり方をしっかり見詰めて考えていただきたいと強く求めておきます。
次に、土木部長の御答弁をいただきましたが、私は、土木部長は本当に心から反省をしていらっしゃるのか、ちょっと疑問を感じずにはおれません。もしそうであれば、せめて塩尻市長並みの、みずからを律する気持ちはないんでしょうか。管理責任も含めて、土木部長のみずからの責任について再度御答弁をいただきたいと思います。
〔土木部長光家康夫君登壇〕
◎土木部長(光家康夫 君)私の監督不行き届きのためにこういうことが起こったわけでございまして、その点につきまして訓諭という処分をいただいたわけでございまして、その点につきまして厳粛に受けとめているということでございます。
○議長(吉田博美 君)昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午後0時休憩
───────────────────
午後1時1分開議
○副議長(小林忠司 君)休憩前に引き続き会議を開きます。
続いて順次発言を許します。
浜康幸君。
〔5番浜康幸君登壇〕
◆5番(浜康幸 君)まず、冒頭の知事発言におきまして、公共事業減による雇用影響を2,100人とお聞きいたしました。さまざまな算出方法があることは私なりに理解できますが、過日明らかになりました造林事業費増による雇用影響を480人とされた根拠は、一人当たり年間180日を基本にしております。2,100人の労働日数もこれに準じたものであると解釈していいのか、お伺いいたします。
また、この数値を見て、県内景気の浮揚策の立場から知事はどのようにとらえ、考察されておられるのか、所信を後ほどでよろしゅうございますからお伺いいたします。
さて、下諏訪ダムについてでございます。きょうは、下諏訪、岡谷の住民の方々約300名ほどがこちらにお見えになっているようでございます。
まず、知事及び県民の皆様に、下諏訪ダムの予定されている位置などをパネルで御紹介いたします。(パネルを掲示)
これが下諏訪町の航空写真でございます。大変急峻な地形を持つ下諏訪町、そして、これが今話題になっております砥川でございます。こう見ますと、下諏訪町の地形というものは、砥川のはんらんによってできた一つの地形であるということがよくおわかりいただけると思います。そして、ダムの位置はこの辺にございます。この急峻な地形に降った雨は、徐々にスピードを増して、一気にこの平らな地域に入るわけでございます。
そして、今このダム問題で一番困っているのは、この沿川の方々です。このように、びっしりと砥川沿川には住居があるわけでございます。もし大はんらんを起こせば、3,000戸近い家屋が危険にさらされるわけでございますが、下諏訪の中でも、この川から遠くにいる方々、この辺の方々にはそんなに深刻な問題ではございません。もちろん、他の市町村に住む方々は、おおよそ対岸の火事でありましょう。
しかし、知事は、下諏訪のほかに七つのダムを中止すると言っているのです。近いうちに、県民の皆様あるいは御親戚の皆様の身近な問題になるわけでございます。どうか、このダムの問題は、いたずらに公共事業反対論や自然保護だけの切り口のみでなく、それぞれの方々がこの沿川に住む人たちの気持ちになってお考えをいただきたいと思うわけであります。
この写真は、平成11年6月の大洪水であります。これが砥川であります。おおむね、この砥川の水位は2階の床付近まで上がっています。もしこの川がはんらんしたら、どうなるでしょう。よくこの写真をごらんいただきたいと思います。知事も見てください。
下諏訪は、すばらしい自然を持つ町であります。しかし、ともすれば自然というものは災害がつくりだす芸術であります。下諏訪住民も、このすばらしい自然の中にダムなど欲しいはずがありません。しかし、ダム以上に災害防止効果がある間違いのない代案があればのことであります。
県民の皆様にも申し上げます。私は、これから、知事に対して一問一答で質問いたします。これは、知事の姿勢を正確にお伺いするものであり、県民の命にかかわる問題を真剣に論議するためであります。決して知事をいじめようとしているのではありません。いじめられているのは私たちなんです。
田中知事を御支援される方々に申し上げます。どうか、脅迫電話や脅迫メール、これはおやめください。私たちはよいのでありますが、私たちの家族の平和が侵されるのであります。そして、何の発展的効果も生まれません。
土木部長にお伺いいたします。
知事は、議場や公の場においては重要な部分において答弁せず、週刊誌などではダムについて詳しく説明しているので、まず、マスコミの紙面をもとに質問をいたします。
知事は、ある週刊誌に、下諏訪ダムを多目的ダムとしたことに触れて、用途を治水だけとか利水だけに限定すると国からの補助もわずかになるので多目的にした節があると言っておるけれども、多目的にした理由は、きょうお見えになっている岡谷市民が発がん性のあるトリクロロエチレンのまじっている水道水を飲まなければならないおそれのあること、また、東俣川のよい水を欲しいという明治以来の大きな希望の上に立って多目的にしたのではないでしょうか。単に予算欲しさということだったのでしょうか。
また、土木部長は、中村議員への答弁で、ダムはさまざまな治水の案を比較検討してきた結果だと答弁をしております。知事の示した五つの代替案についての問題点、実現性について答弁を願います。
それと、この代替案については210戸の砥川沿川住民を移転させるとのことですが、その地域名を答弁ください。
次に、農政部長に伺います。
知事は、週刊誌で、水利権に対して、100年以上も前から既得権でひとり占めしている農業用水の組合なんぞを国や県が保護している、矛盾しているでしょと言っている。また、代表質問において、水稲作付面積も昭和40年代から比べれば半分になっているので水利権を見直すとしているが、日本の農業自給率は40%、先進国は60%、70%を誇っている現在、我が国も自給率アップに努力している最中、これがいわゆる自力本願で生きていくということであります。私は、今後の農業のあり方を考えると、この水利権をいじることは農業者の意欲を失わせることになりはしないか。また、全国の農家の皆さんや水利権者に申し上げるわけですが、知事のこの水利権剥奪発言についてどのように思っておられるのでしょうか。
水利権は、河川法でも財産権として認められており、他人の侵害に対しては、物権に準じて妨害排除、あるいは不法行為による損害賠償が認められているわけでございます。
さらに、砥川の水は、水稲のみならず養魚や防火用水、水と親しむ水辺空間として、あるいはメダカやカジカ、ワカサギ等の生態系保全の場所として、地域ぐるみで守ってきたものであります。この水利権を権利者から剥奪することが実際にできるのか、また、今後、日本の農業に対して影響がないのかお伺いして、1問を終わります。
〔土木部長光家康夫君登壇〕
◎土木部長(光家康夫 君)利水の必要性、それから現在の案のそれぞれの特性、それから引き堤案の場合の210戸の地域名という御質問につきまして順次お答えを申し上げます。
まず、利水につきましては、先ほど議員御指摘のとおり、岡谷市からそういう水が欲しい、それから下諏訪町からも欲しいという御要望がありまして、そういうことで、治水ダムだけではなくて、多目的ダムということになっているということでございます。
次に、各案の比較でございますが、先般、知事から皆様方へも御説明いたしました案は5案ございまして、一つは引き堤案、これは河川の幅を広げるという案でございます。それからかさ上げ案、これは堤防を高くするということでございます。それから掘り下げ案、これは川の底を掘り下げまして深くするという案。それから遊水池案、これは医王渡橋の少し下流に水ためのようなため池をつくりまして、そこに一時期水をためようということ。それから放水路案、これは今ある川のほかにもう一本川を掘ろうという案でございます。
最後に申し上げました遊水池案につきましては、約25万平米という用地が必要になるということで、非常に多くの方の家屋移転等が伴いますので、現在の土地利用を考えますと非現実的であろうかと。それからバイパス計画案、もう一本の放水路をつくるということにつきましても、大変地域への影響が大きゅうございますので、ちょっと現実味が薄いということで、その二つにつきましては可能性は非常に低いと思われます。
あと、引き堤案、かさ上げ案、掘り下げ案でございますが、まず、かさ上げ案につきましては、現在、医王渡橋から河口に至る間にJRが通っておりまして、そのJRの橋が1橋あるわけです。それから、いろんな道路が交差しておりますので、6橋の道路橋がございます。そういうものに対しまして堤防のかさ上げをいたしますと、橋自体をすべて高くしなければいけないということとなります。特に、現在でも道路につきましては橋の前後で急な坂道で取りつけておりますが、そういうものがさらに急になる。さらには、鉄道というのは非常に縦断勾配が厳しい。鉄道は勾配の制限が厳しいものですから、今回、その鉄道橋の場所で、単にかさ上げだけで対応したとすると70センチぐらいのかさ上げになりますので、レールが70センチ高くなる。すなわち、その前後に影響が出ますので、近傍にございます駅につきましても駅全体をかさ上げしなければいけないというような影響が出るということで、非常に難しい面がございます。さらには、現状でも御存じのように天井川、非常に川が高いところを流れておりますので、それをさらに堤防を高くして、高いところに水が満々とたたえられるような状況を引き起こしますと、一度破堤した場合には大災害につながるということで、余り好ましい形ではないのではないかということになっております。
さらに、掘り下げ案につきましては、諏訪湖というものの水位が決まっておりますので、そこが一つの限界になります。ということで、河口部付近は掘り下げができません。ということで、河口部につきましては、結局、引き堤をして対応しなければいけないということとか、それから、上流部の方で掘り下げをいたしますと、現在、水利用をされている方がたくさんございます。農業用水でございますとか、いろんな取水をされているわけです。11カ所の農業用水の取水堰、水路等がございますが、こういうものはその部分が深くなれば上流の方から取ってこなければいけませんので、取水設備に大幅な費用がかかる。さらには、河川勾配がきつくなって緩くなるという勾配になりますので、きつくしたところと緩くしたところの境界部付近にいずれまた土砂がたくさん堆積してくるということで、非常に維持管理が難しくなります。掘り下げますと地下水への影響、地下水が低下いたしますのでそういう影響も懸念される。さらには、諏訪湖から砥川に上る魚の漁への影響も出るというようなことで、いろいろ支障が出るということがございます。
そういうものの影響が一番少ないのが、今のところ引き堤案というものでございまして、堤防を後ろに引いて川の幅を広くするというのが地形とか周辺環境を勘案しますと一番影響の少ない工法でございます。ただし、こういうことをいたしますと、議員御指摘のように、家屋約200戸、210戸を概略で200戸と申しておりますが、への影響、用地面積約5万平米が必要になります。それから、やはり拡幅をいたしますから、先ほど申しました道路橋6橋、鉄道橋1橋の延長を長くしなければいけないという工事も出るということでございますが、今のところ、いろんな意味での影響が最も少ない──用地がたくさんかかりますから少ないというと大変失礼でございますが、自然環境とか周辺環境等を考えますと、現実性のあるのは引き堤案というのが今のところの状況でございます。
その引き堤でかかる地域名を申し上げますと、仮に両側に広げるということで影響する地域名につきましては、医王渡橋から下流に向かいまして左岸、下流に向かって左側を左岸といいますが、左岸側でいきますと、大門地域、矢木町、矢木西、西弥生町、西鷹野町、清水町、東赤砂、それから右岸側、これは下流に向かって右側でございますが、これにつきましては、東山田、社東町、西赤砂、こういう地域が該当するということでございます。
以上でございます。
〔農政部長中村武文君登壇〕
◎農政部長(中村武文 君)農業用の水利権の譲渡が実際にできるのかとのお尋ねでございますが、砥川水系から取水する権利を持つ農業用水18カ所のかんがい面積は、届け出の資料によりますと合わせて約170ヘクタールで、規模の小さな用水施設でございます。その権利者は、下諏訪町長、施設を管理する堰の代表者、個人などさまざまでございます。
農業用水の必要量はかんがい面積を基本として算定されるものであり、土地利用の変化に伴う利用実態に対応した水利権が望ましいとは思いますが、現実には過去において県下にも数多くの深刻な水争いの事例がございました。これらの激しい水争いの中から形成された水利秩序が社会的承認を受けて今日に至っているのが農業水利権でございますので、その一部を譲渡するという新たな水利秩序の形成のためには、個々の水利権者の同意はもとより、取水施設や用水路の大幅な改修などのほか、生態系への影響等も踏まえた地域住民の合意形成も不可欠となると思っております。
このため、農業水利権の譲渡は容易なことではないと判断されますが、関係者が誠意を持って取り組めば、いささかなりとも御理解をいただくことは不可能なことではないと考えられます。
以上でございます。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)平成13年度の森林整備に関する事業費の増額分により、平成7年長野県産業連関表を用いて雇用者数を推計いたしますと、約330人となりました。前提条件はお答えした数値の算出と同様でありますが、用いる係数については、森林整備のほかに農業なども含まれる農林水産部門の係数を用いております。また、この数値はあくまでも理論値でございます。
2月28日の県政会の代表質問に対しお答えした数値は、森林整備の計画量に対する直接作業に必要な労働力と労働日数から算出したもので、一致はしないものと考えております。
〔5番浜康幸君登壇〕
◆5番(浜康幸 君)今の問題はさておきまして、知事、この代替案には多くの問題点があることがわかったわけです。致命傷と思われるのは、二百数十戸の住居の移転が伴うことです。河川法によると、一人の反対者がいれば事業着手はできないとされていますし、当然、地元市町村の協力と意思決定が要ります。国道やJRの鉄橋を含め7本の橋のかけかえや、それに伴う家屋の移転と、およそ不可能と思える難関が山積みであります。あなたは、当然、河川法を知り、二百数十戸の地権者の了解をとる自信があるのでしょうね。お答えください。
そして、その五つの代替案の実現の時期、これについては、一つ、おおむね100年後、二つ、おおむね50年後、三つ、おおむね10年後、四つ、わからない、これでお答えを願いたいと思います。
記者会見で土地収用法の見直しに触れております。知事は、全面的に値するものではないが、県民の安全のためには理解を得ていく。すなわち強制収用も辞さないような発言をいたしておりますが、この代替案に対しても適用するのか、また本気でやるのか、お答えを願いたいと思います。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)お答え申し上げます。
引き堤案等を含めた多角的な検討を、先ほど土木部長からも答弁がありましたように、進めておりますが、治水の基本は、繰り返しこの場でも申し上げておりますように、小まめなしゅんせつ、そして掘削であります。堤防ののり面の改善や根どめを深くすることで護岸を強化する必要もございます。そのほか、流木を防止するためのスクリーンを設けることによって流木が橋梁に引っかかる形のことを防ぐ。また、橋梁の改修もございます。
年数に関して御質問がございましたが、これは既に申し上げているように、平成9年の河川法の改正により、地域の皆様とともに話し合って治水を行っていく形でございます。私どもは、地域の皆様に私どもがまずなし得ることを御説明して御理解をいただき、話し合いを進める中で砥川水系の治水に関しても進めてまいりますので、この点に関しては地域の皆様の御協力いかんでございます。
ですので、今申し上げましたように、その期間に関しましては、平成9年の河川法の精神にのっとって地域の皆様と私たちが心を砕いて話し合っていく中において決まっていく形でございまして、あらかじめ期間を設定することは河川法の精神にのっとらない形になると考えております。ですので、今申し上げましたように、河川法の精神にのっとり、私たちは住民と話し合いを続けていくわけでございます。
〔5番浜康幸君登壇〕
◆5番(浜康幸 君)全く無責任な答弁と言わざるを得ないわけで、この代替案につきましても時期は明言をしていない。恐らく、それは知事もおわかりにならないだろうというようなことだと思います。
全く実現性のない代替案を示すために、さらに、最初から脱ダム宣言は織り込み済みであったのに、知事、あなたは1月23日、雪が舞う中、数十人の県職員、あるいは数十人の、地元下諏訪町長、岡谷市長、両職員、さらに数十社のマスコミを従えて、氷点下の現地を視察したわけです。その後、下諏訪文化センターに700人を集めて住民の意見を聞いたふりをした。現状ではふりをしたとしか思えないのでありますが、あれは単なるマスコミ受けするパフォーマンスであったのか。もしそうであったとするならば、同行した人たちはとんでもない迷惑な話であります。
知事にお伺いします。あなたと同じように住民の直接選挙で勝ち抜いてきた市町村長は地域の民意を代表していると思いますか、また、市町村と県は対等だと思いますか、さらに、県と共同事業者である湖北行政事務組合とはどのような関係なんですか、お答えください。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)繰り返し申し上げておりますように、私は、県政は、県と市町村が対等の関係で、開かれた場所で包み隠し事なく話し合いを行っていく形によってもたらされると思っております。
そして、市町村の人々の民意に関しましては、私は、従来から、集会の開催やあるいはファクスやメールや手紙、そして現地視察、また土木部を初めとする各部局からの説明、また地域の皆様と直接語り合う形によって、広い形で皆様の声をお聞きいたしております。
そして、湖北行政事務組合との関係に関しての御質問でございますが、まずは私がみずから出向き、今回の中止に関して直接御説明を申し上げ、御理解を得てまいりたいと思います。その上に立って、基本協定の解除や同組合の水利権の変更等についても誠意を持って対応してまいりたいと考えております。
〔5番浜康幸君登壇〕
◆5番(浜康幸 君)全くわかりやすくない答弁でございました。
私は、市町村長は民意を代表しているのかどうか、これについてはっきりともう一回答弁を願いたいと思います。
市町村と県は対等だということでありますが、それでは、なぜ決定時に地元市町村等に何の連絡もなかったのか。
さらに、利水をしようとしている湖北行政事務組合とは、県がダム建設に対し公文書で協定書を結んでいる。協定書の内容を変更する場合は双方で協議することになっているけれども、ダム中止は重大な変更事項であるにもかかわらず、何の協議もなし、一本の電話もなし。そして、ダム中止を決めたことは公文書に違反する重大な法律違反を犯しているのではないか、また、これから話し合いに行くと言っておりますが、相互の理解を得られる確信はあるのか、この二つに対して、答弁漏れも含めてお答えください。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)お答え申し上げます。
下諏訪町、そして岡谷市のそれぞれの首長の方には、2月20日の日に直接私がお電話申し上げ、今回の脱ダム宣言及び下諏訪ダムの中止に関して御連絡を申し上げました。
そして、先ほども申し上げましたように、湖北行政事務組合との関係に関しましては、私がみずから出向き、中止に関して御説明をいたします。
また、それぞれの二つの自治体の首長の方及び地域の住民の方々に対しても、可及的速やかに私みずから直接赴き、皆様に対して今回の決定の御説明を申し上げ、話し合いを続けてまいります。
また、先ほどの強制収用に関しての御質問の部分でございますが、強制収用に関しましては、現時点でそのような形は考えておりません。
〔5番浜康幸君登壇〕
◆5番(浜康幸 君)答弁漏れがたくさんあります。一つは、公文書に違反していないのかどうかということを答弁しておられないし、市町村長が民意を代表しているのかということも答えてくれない。どうしたのかわかりませんけれども、その辺も答えてください。
後で電話一本で連絡するべきことなのかどうか、これは県民の方々にも十分お考えをいただきたい。
そして、後で出向く。この重大な決意をしていく背景においては、地元住民に十分それを説明すると知事は言っていながら、これはうそをついたことになると私は思います。地元の住民を代表する町長の意見も聞かず、説明もせず、まさしく権力をほしいままにし、支持率が高い、あるいは選挙に勝ったということで、何でもありの政治が許されるんでしょうか。それが、私は独裁政治と言うのではないかと思うわけです。これから地元に説明するとは一体何事でしょう。常識としては考えられない。一般的に、常識でないことを、普通、非常識と言うのではありませんか。
もし、共同事業者である湖北行政事務組合が、また、岡谷、下諏訪へもできるだけ早いうちに出向くと言っておりますが、住民がダム中止を拒否した場合、ダムの選択肢はあるんですか。これは宮沢議員の質問にもありましたけれども、明確に答えられておらない。ぜひこの場で明確にお答えをいただきたいと思います。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)私は、就任前、また就任以来、開かれた県政、包み隠し事のない話し合いの県政と申し上げてきておりますので、私は、例えば何々ありきという形の県政ではないということを申し上げております。ですから、河川法の精神にのっとって、皆様と、私が県知事として判断したことに関して御報告をし、御説明をし、お話し合いを進めていくということでございます。
〔「答弁漏れ、答弁漏れ」と呼ぶ者あり〕
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)御質問の公文書違反に関して、また市町村長の件に関してでございますが、協定に違反するかどうかということは、これは直ちには判断できかねることでございます。
そして、私は市町村と県が対等であると申し上げているわけでございまして、市町村長が地域の皆様から選ばれて、その意向に基づいて行政を執行しているということは、これは広く一般的に認識されていることでございます。他方で、私は、市町村と県は対等の関係であり、繰り返し申し上げておりますように、県知事として判断を行ったわけでございまして、この点を直接地域の首長の方にも地域の皆様にも御説明をして、河川法の精神にのっとって皆様とともに砥川水系の治水のあり方を話し合っていくわけでございます。その意味におきまして、答えがありきという形ではないということでございます。
〔5番浜康幸君登壇〕
◆5番(浜康幸 君)重大な法律違反を犯していないかということで、直ちに判断できないというわけですが、どういう場面を迎えたら判断できるのか、明確に御答弁を願いたい。これ、学習会をやっているわけじゃないんです。いわゆる中止ありきで判断されたわけですから、これから地元にお話し合いに行くと、これは協議でも何でもないわけで、単なる中止の報告をしに行くということだというふうに思います。これこそが上意下達であり、いや、これは単なるだだっ子の物請いとしか私は言いようがない。そのような方に長野県の教育や長野県の正義が語れるんですか。だんだん知事の本音が出てきたような気がいたします。胸につけているヤギのブローチから、きばが見え隠れしているように思われます。
さて、水利権の問題に触れますが、あなたは東京の人だから諏訪の水争いの歴史を知らないと思いますけれども、水利権を奪うという重大なことなので知事にお伺いしますが、そのような決意を述べられるからには、当然国と協議をしていると思います。慣行水利権は国の許可でございますから、国の見解はどのようになっているのか、また、水利権を持つ方々に対して当然打診をしていると思いますが、よい返事がもらえているのでしょうか、お答えください。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)私は、過日発表いたしました、でき得る限りコンクリートのダムによらないという脱ダム宣言の理念にのっとって今回の私の知事としての判断も行っております。そして、こうしたコンクリートのダムを前提としないという話し合いの第一歩として、皆様に御報告をし、そして幅広い議論をいただくということでございます。
水利権の問題に関しましては、繰り返し申し上げておりますように、土地に関しては、公的な供用に付す場合に、個人の、私としての私権を土地に関して制限する土地収用法というものが新たに改定されようとしているわけでございます。他方で、水利権に関しましては、明治29年という100年以上前の段階においての水利の権利者を尊重するという形で推移してきているわけでございます。先ほど農政部長からも説明がありましたように、また御質問の中にもございましたように、多く農業用水として用いられてきた水利権が、水田がピーク時の昭和40年代に比べれば約半分に減っているわけでございます。こうした中で、私は、土地収用法を国家が新たに改定していく中、国民の共有財産である河川や水の問題に関しても改めて私たちは今の時点において見直すべきであろうと。そしてまた、それが県内のみならず広範な全国において議論となることが私はクリエーティブ・コンフリクトであるというふうに考えているわけでございます。
ちなみに、私が胸につけておりますものは、長野県の動物としてのシンボルでありますカモシカでありまして、そのほかの動物を模したものではないことをあわせて御報告申し上げます。(「答弁漏れ、答弁漏れ」と呼ぶ者あり)
○副議長(小林忠司 君)御静粛に願います。
〔5番浜康幸君登壇〕
◆5番(浜康幸 君)答弁漏れがたくさんあるので、後ほど皆さんの方でお願いをしたいと思います。
浅川ダムは一時中止でありました。そして、多角的検討委員会を設けると言っております。下諏訪ダムはいきなり中止、これはなぜですか。なぜ下諏訪が50分の1で、浅川がなぜ100分の1なんですか。国土交通省の河川砂防基準によりますと、砥川、浅川ともにC級でございます。すなわち50分の1から100分の1になっております。このことについてお答えください。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)過日の脱ダム宣言は、私が就任以来、大仏、また浅川、下諏訪と計画いたしておりましたダムに関して詳細な説明を聞き、現地に赴く中で、私は、でき得る限りコンクリートのダムを避けるべきであるという理念を抱くに至ったわけでございます。
浅川ダムに関しては、繰り返し申し上げておりますように、本体契約にまで入っておりました案件でありまして、これに関して多角的な検討委員会を設けて検討を行うということは、既に皆様御承知おきのことであります。
そして、国の河川局が監修いたしております河川砂防技術基準案解説書によれば、河川の重要度は、一級河川の主要区間においては100年から200年確率の間で、一級河川のその他の区間及び二級河川においては、都市河川では50年から100年確率で、一般河川は重要度に応じて10年から50年確率で、あるいは10年確率以下で洪水防御計画が策定されるものとされております。ゆえに、50年から100年の間の確率とされる都市河川の浅川、砥川の治水対策を、その最大数値であります100年確率で私どもは行おうとしてまいりました。
ただし、この場合における問題点が存在すると私は愚考いたしておりまして、河川の重要度が河川によって異なるということは、すなわち命の重要度も人々が暮らす河川流域によって10年から200年確率までと格差が生じているわけでございます。220万県民の命を守ると申し上げてきた私といたしましては、こうした国の河川局が監修する河川砂防技術基準案解説書において、すなわち人々が暮らす河川流域によって命の重要度も格差が生じているという点は、多くの市民の皆さんが、果たしてダム計画が自分たちの命を救ってくれるのだろうか、行政は、公権力は人の命に格差を認め得るのかと疑心暗鬼と仮になられているのであれば、これも、新たな河川法の精神にのっとって、地域の皆様と私たちは胸を開き、真摯に語り合わなければならないと、このように考えております。
〔5番浜康幸君登壇〕
◆5番(浜康幸 君)知事にはもう少し明快にお答えを願いたいと思います。私はよくわかりません。私がわからないことは、恐らく県民の多くの方々もわからない答弁だというふうに思います。
今、浅川では本体工事に入っている。すなわち、コスト論のみでこのダムをやめたということも、知事は答弁をされたわけです。そして、50分の1、100分の1、下諏訪の住民の命は長野市民の半分しかないんでしょうかね。これについては大変残念なことです。
先ほど、答弁漏れが一つあります。重要なところですから、しっかりとわかるように答えていただきたい。住民がダムを選択をしたらダムをつくるのかどうか、これもお願いします。
あなたは、12月定例会におきまして、透明なプロセスが民主主義をさらに力強くする、一人一人にわかりやすい言葉で説明すると言っているけれども、下諏訪ダムの中止に際してはどのような透明なプロセスを踏んだか、そして住民は納得したのか、この辺についてお伺いします。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)御質問にお答え申し上げます。
多少誤解が生じているようでございますが、私は先ほど、一級河川のその他の区間及び二級河川においては、つまり都市河川では50年から100年確率で洪水防御計画を策定するものというふうに国の河川局が監修する河川砂防技術基準案解説書に書かれているわけでございます。それにのっとり、私たちは、最大の住民の安全を保つべく、100年の確率という中で浅川と砥川の治水対策を計画してきたわけでございます。国の側においては50年から100年の間ということでございまして、それに対して私たちは最も危険を回避し得る100年確率という形の中で行ってきているわけでございまして、この点に関して私の答弁での御理解をいただきたく存じます。
そして、もう一つの質問に関してでございますが、これは、脱ダム宣言の精神にのっとって、コンクリートのダムによらない下諏訪の砥川流域の治水の計画に関して私たちの考え方を地域の方に説明をし、お話をし、御理解を得ていくということが長野県の方針でございます。
〔「そんな答弁じゃだめだよ」「質問に答えてないじゃないか」 と呼ぶ者あり〕
〔5番浜康幸君登壇〕
◆5番(浜康幸 君)議長にお願いします。明快な答弁がいただけておりませんので、できるならばここで暫時休憩をお願いしたいと思います。
○副議長(小林忠司 君)しばらくお待ちください。
議事の都合により暫時休憩いたします。
午後1時50分休憩
───────────────────
午後2時44分開議
○副議長(小林忠司 君)休憩前に引き続き会議を開きます。
休憩前の浜康幸君の質問に対し、次の点について答弁漏れがあると思いますので、御答弁をお願いいたします。
事前に中止の協議をしなかったのは協定違反ではないか。水利権については国と協議したのか。下諏訪ダムの建設について、住民の合意が得られればダムをつくるのか。
なお、この際申し上げます。質問に対する答弁は明確に、また、答弁漏れのないよう議長においても要望いたします。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)お答え申し上げます。
まず、湖北組合との協定違反であるかという件に関してでございます。協定の中では双方協議することになっておりますので、今後、誠意を持って行ってまいりたいと思っております。
水利権に関しての御質問でございます。現在の地元の水利権者の皆さんと調整をした上で、河川管理者であります国と協議をすることになってまいります。
そして、住民がダムを選択した場合に関してということでございますが、私どもは脱ダム宣言の理念にのっとって進めているわけでございまして、行政たるもの、その新しい指針が県民益にかなうと信ずればこそ行うわけでございますが、その上でダム以外の治水対策で理解を得るべく話し合いを進めてまいりますが、住民の皆様との話し合いの結果は尊重してまいりたいと考えております。
以上でございます。
〔5番浜康幸君登壇〕
◆5番(浜康幸 君)答弁漏れの答弁をいただきまして、まだ数々ありますけれども、また同僚議員の方でお願いをしたいと思います。
下諏訪、岡谷で形成します湖北行政事務組合、このような協定書が交わされております。この内容について疑義が生じた場合は、又はこの協定の内容を変更する必要が生じた場合は、甲と乙が協議して定めるときっちりと書いてありますから、ひとつ法律違反のないようにお願いをしたいと、このように思います。
もう一つですが、砥川の治水につきましては100分の1でやるということでいいんですね。これは後から答弁ください。
下諏訪において対話集会を行ったわけでございますが、知事は透明なプロセスを踏むんだと言ったわけです。そして、この集会においては、民意を聞きおいただけの集会であったわけです。私も参加いたしました。そして、次の日の記者会見で、建設の是非判断の前に住民説明を紙の媒体によりやり直すと言っております。その紙の媒体が脱ダム宣言であったのでしょうか。もしそうだとすれば、それが透明なプロセスなのか、これもお答えください。
それだけで住民意見の集約、砥川沿川に住む住民の悲痛な声が理解できたのか、これも答弁ください。
中村議員への答弁では、住民とキャッチボールをする、開かれたプロセスと、きれいな言葉をたくさん言っておられるわけですが、あなた自身が、知事自身が納得できたプロセスであったのか、そして民主的な手法であったのか、御答弁を願います。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)お答え申します。
まず、住民の意見を集約できたのかということでございますが、これに関しては、現地に出かけ、また、4時間余りにわたって多くの皆様からの御意見を伺いました。そしてまた、それ以前からの土木部を初めとする関係部局からの資料の説明、また私の求めに応じてさらなる資料を求め、こうした中で私は繰り返し申し上げる脱ダム宣言の理念に至り、また、これに基づいて下諏訪ダムの計画を私は中止したわけでございます。そして、この中で、さらに河川法の精神にのっとって地域の皆様と開かれた話し合いをして、地域の皆さんと一緒に砥川の治水のあり方を考えていくわけでございます。ただ、その場合において、私ども行政の側としては脱ダム宣言の理念に基づいて話し合いを進めていくわけでございます。
その意味におきまして、プロセスは納得できたのであるか、また民主的であったのかという御質問でございますが、私は、そのほかの場合においても、多くの皆様が自由に意見を言える環境設定を就任以来してきております。また、その中の一環として、今回の下諏訪のダムの問題に関しましても、非常にこれは多くの世論を分ける問題であるという点から、多くの方々の意見をお聞きして、現在、脱ダム宣言に基づく下諏訪ダムの中止という段階に至っているわけでございます。ですから、プロセスに関しても、私は多くの皆様の御意見を聞いてまいりましたし、また、この点に関しては引き続き行っていくわけでございまして、これは民主的であるということでございます。
そして、1番目の御質問の点でございますが、中止を決断するまでに、下諏訪ダム計画に対する工学的なあるいは技術的なデータについては土木部から、利水についても衛生部からそれぞれ詳細な資料に基づいて説明を受けております。また、このほかにも私は、治水に関する専門的あるいは技術的な書物にも当たり、また、これらの解説を複数の専門家や学者の皆さんからも私が可能な限りお聞き取りをする形をしてきております。こうしたことを踏まえて、総合的に中止を判断したわけでございます。
〔5番浜康幸君登壇〕
◆5番(浜康幸 君)それでは一つだけ、100分の1で砥川の治水をするんですねということにきちっと答えてください。住民にわかりやすい言葉でお願いいたします。
知事は、政治の部分についてはいささか素人であるというふうに答弁をされた経過がございますが、土木工学や水文学、気象学の分野ではどうなんでしょうか。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)お答え申し上げます。
治水の安全率に関しては、これは代表質問の当初から繰り返し申し上げているように、100分の1を基本に考えているわけでございます。(「50と言ったじゃないか」と呼ぶ者あり)それは議事録をお読みいただきたく思います。
そして、今お話がありました件でございますが、私は理科系の専門的な学部を卒業したわけではございませんが、これらに関して入門的な書物から専門的なものに至るまで、私みずから、土木部、関係部局の説明のみならず、資料を繰り、また、不明点に関しては専門の人間に対しても、また私どものスタッフに対しても質問をする中で理解を深めてきていると考えております。
〔5番浜康幸君登壇〕
◆5番(浜康幸 君)先ほどの答弁では、きちっと納得をしたプロセスを踏んだと、それからこのプロセスは民主的であると、そうおっしゃっておりました。
先ほどあなたがおっしゃったいろんな方々の文献を参考にしたり、あるいは、県庁以外の方々というのはどのような方に相談したのか、どのような工学理論に基づいた代替案なのか、具体的な名前と経歴をお示しください。これは砥川沿川住民の命にかかわることでございます。
さらに、あなたは、気象データ等も参考にされたと言いますが、どのような気象データを参考にされたのか、お示しください。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)再三にわたり100分の1の件に関してのお問い合わせがございますので、ここで私は改めまして、代表質問で県政会の中村議員に対してお答えした部分がございます。「長き歴史を有する河川工学において確立された手法で、あえて異を唱えるものではありません。」と申し上げております。ですので、100分の1の件に関しては、この点で御理解が十分いただけるものと考えております。
そして、そのほかの、土木部また私どもの関係部局以外から私が説明等を受けた方々といたしましては、新潟大学で土木工学を専門となさる教授である大熊孝教授に私はとりわけ御説明を受けております。
また、気象等の資料というお問い合わせでございましたが、この点に関しましても、今までの砥川流域における大きな雨が降ったときの資料等は土木部に資料を求め、ちょうだいし、それを拝見いたしております。
〔5番浜康幸君登壇〕
◆5番(浜康幸 君)地球環境が大変変化をして、温暖化が進んでいるということは御承知いただいていると思います。
ここに1枚のパネルがあるわけでございますが、(パネルを掲示)これは県民の皆さんもよくごらんいただきたいと思います。これは、1時間降雨量の年間延べ件数でございます。全国のアメダス地点1,300から調べた数値でございますが、平成4年には、75ミリから100ミリの1時間降雨13件、100ミリ以上の1時間降雨1件でございます。しかし、温暖化の影響でしょうか、平成10年には42件対4件、そして平成11年には36件対、100ミリ以上の降雨が10件あるわけです。単純に計算をいたしましても、平成4年に比べて100ミリ降雨というものは10倍に膨れ上がっている、そういう一つの理論が成り立つんではないでしょうか。これは大変な状況下にあるわけでございます。知事、このようなことをぜひとも御理解をいただかなければならないと思うんです。
それから、あと6分50秒しかないんですが、これは日本の国土利用の状況でございます。(図表を示す)これが日本全体の国土といたしますと、67%は森林、原野、そして3%が河川、湖沼、そしてこの黄色い部分、20%ははんらん区域外、可住地、すなわち安全地帯なんです。そして、この10%が洪水はんらん区域、すなわち危険地帯でございます。そして、何と日本の人口の50%がこの危険地帯に住んでおられる。そして、その資産にして何と75%がこの危険地帯にあるという日本の国土利用の状況でございます。
さらに、知事は外国の話は大変よく周知されておりますが、どうも日本や長野県のことは余りよく存じ上げておらないようでございますので、この図も見ていただきたい。(図表を示す)こちらにありますのが日本の河川の状況です。大変急峻なカーブを描いています。常願寺川、安倍川、それから信濃川、降った雨は恐らく一日、二日で海に流れ込んでいく、大変なスピードです。そして、セーヌ川、ロアール川、コロラド川、ライン川、非常に緩やかなカーブを描いて、恐らく降った雨は2カ月、3カ月たって海へ注いでいくと。こうした日本と外国の違いがあります。
知事、こうしたいろんな現状を踏まえてあなたは下諏訪ダムを中止されたわけでございます。しかし、これからまだ地元の人たちとお話し合いを続けていくとされておりますが、今までの論議の中で、知事の示された代替案は現実性と命を守るという論拠がないように私は思うわけです。どうですか、ここで下諏訪ダムをもう一度考え直すお気持ちはないか、お伺いいたします。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)ただいまの御質問にお答え申し上げます。
私は、急峻なる地形及び河川を持つ日本であるからこそ、造作の造のつくるではなくて、まさに創造のつくるへと私たちは方針を変換せねばならないのだと思っております。
まず、砥川の問題に関しましては、私は、現在の河川敷内においてでき得る限りの対策をとるということを繰り返し申し上げております。すなわち、常日ごろからのきめ細かいしゅんせつということ、そしてまた、護岸の根入りを調査し、浅ければ深くするということでございます。
そして、砥川におきましては、御存じのように医王渡橋の上のあたりは断層、破砕帯に加えて温泉変質帯でありまして、であればこそ大雨のときには赤い風化した土砂が出てくるわけでございます。これは、やはり水害防備林を整える、また、上流域において、とりわけ砥川主流域の上流における育林ということを行わねば、梅雨や台風の際には大量の風によって倒れる木が出て、あるいは根返りしたカラマツが根つきのまま下流に流れてくるわけでございまして、この点に関しては、既に申し上げましたように、私は、木落し坂下あたりのところに流木防止用のスクリーンを設け、また橋梁に関しましても、これらが流木によって妨げられることのないような橋梁の改修を行うということを申し上げておるわけでございます。
この点におきましては、例えば、医王渡橋の上の浮島のところにございます大きな石に類するものはこうした土砂流の産物でありまして、ここの段階で大きな石は滝の下においてとまり、また、さらに小さな砂が下流の扇状地へと流れ下っていったという形であろうというふうに考えております。ですから、下諏訪は砥川がつくりましたそうした土石による扇状地なわけでございます。
また、ダムに関して申し上げれば、東俣川において計画をされていたダムに関しましては、このダムのとりわけ右岸側を掘削する土砂の捨てる場所ということも、これは、その場所の環境に負荷を与えるだけでなく、その大量なる土砂をどこに運ぶのかという問題もあるわけでございまして、この点に関して土砂を運ぶ場所が確たる形で定められてきているわけではないわけでございます。
いずれにいたしましても、流域の森林の育成、また恒常的なしゅんせつを初めとする保全や堆砂のしゅんせつということが私は大事であると考えておりまして、この点に関しまして、むしろ、ダム水害が起きるよりも、こうした小まめな作業を、また、御存じのように、私は先般も申し上げましたように、水屋形式の家屋にするということも、堤防の両側に樹林帯を設けるということと並んで極めて大事なことでして、ちなみに、桂川の流域においてかつては多くの洪水に見舞われた桂離宮においても、書院は高床式になっているがために床上の浸水に一度も見舞われたことがないという歴史的な事実があるわけでございます。
〔5番浜康幸君登壇〕
◆5番(浜康幸 君)それでは、具体的に命の保障の問題を伺います。
もし、あなたが理事者の権力を振りかざしてダムを中止し、災害が起きても、今を生きる長野県民はあなたを選んだのですから何も文句は言えない。しかし、子供や孫たちに責任はないわけです。
土木工学においては、恐らく知事は素人だと私は思います。しかし、いろんな方々に相談をされたと言っておりますけれども、自然を保護するというあなたの理念、ロマンのために、あなたが一人で行う方法論で治水を行い、生命、財産が失われて、そして子供や孫たちの命を奪った場合、私は、末代まであなたが責任を負っていただかなければならないと思います。長野県民及び下諏訪、岡谷市の皆さんはこれをどう思われますか。ぜひとも、対岸の火事的な理解ではなく、天井川であり、災害を明治以降36回も繰り返す暴れ川、砥川沿川に住む人たちの悲痛な気持ちになって考えてください。
知事が、ダム完成予定日を過ぎてもそれにかわる治水対策が行われなかった場合、国家賠償法第2条第1項に触れるのではないでしょうか、これはお答えください。
また、これは知事が単独で決められたことですから、道義的責任は知事個人の末代まで間違いなくとっていただけるのかどうか、お答えください。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)お答え申し上げます。
まずは、堆積土砂のしゅんせつ、護岸の点検補修など、可能な日ごろからの治水対策に万全を尽くして災害の未然防止に努めることこそが、県民の生命と財産を守るサーバントリーダーたる私の責務であると考えております。そして、その上で、地域の皆様との開かれた話し合いの中からさらなる治水対策事業が早期に実施できるように最大限の努力をしてまいります。
また、こうした対策を行ってもなお生じた災害による補償ということに関しましては、個別具体の事案ごとに、県民益と行政の責任という観点から判断してまいりたいと、このように考えております。
〔5番浜康幸君登壇〕
◆5番(浜康幸 君)知事は、個人的な責任はどうもおとりにならないという意味合いだと私は思っています。
知事、どうですか。私は、あなたの理念は理解できます。また、あなたの最も大事にしているプロセスを踏むこと、住民の意見に耳を傾けること、何をすべきかよりどうあるべきか、いずれもこれ見事にやり残しているんです。ですから、再度私は申し上げますけれども、もう一度、あなたのお考えを原点に戻されて、下諏訪ダムも含めて、砥川の治水というものを開かれた形の中で論議するおつもりはないのか。
私は、一つ提案を知事に申し上げます。
プロポーザルという方法を御存じだと思いますけれども、これは公共事業の設計協議に用いられる手法でございます。これは、まさにあなたのおっしゃる何をすべきかよりどうあるべきかを重視した方法でございます。まず、ダムを含めて、治水のあり方、どうあるべきかを住民参加で決める、そして何回か協議を重ねていく、しかもそのプロセスはすべて県民に、住民にオープンにされる、住民に見せていく。住民が参加する方法で決めていけば、恐らくその答えは多くの住民が納得できる結果になるはずです。
たまたま、私のすぐ近くの茅野市文化センターの決定に伴うプロポーザル方式を私は見たわけでございますが、これはこれからの公共事業のプロセスであるというふうに思いました。そういったものをぜひ参考にされて、もう一回、あなたのおっしゃる理念は、私よくわかります。ですから、もう少しあなたのおっしゃるプロセスをしっかりと踏みながら、この砥川の治水に対してもう一回ゼロに戻して考えるつもりはないのか。ぜひ、知事に誠意を込めて私は申し上げたい。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)お答え申し上げます。
今、御質問の中でございましたように、私は、公約の中で懸案事項を一たんゼロに戻して考えると申し上げてきたわけでございます。そして、その中で繰り返し話し合いと、また説明を、また質問を行う中で、私は、脱ダム宣言の理念にのっとって、下諏訪に関しても、でき得る限りコンクリートのダムをつくらないという理念のもとで下諏訪ダムを中止し、そして開かれた話し合いをしていくわけでございます。
今も、脱ダムという理念自体には御賛同いただけたということでございますので、大変ありがたく思い、この理念の実現のために御指導を仰ぎながらプロセスを歩んでまいりたいと、このように考えております。
〔5番浜康幸君登壇〕
◆5番(浜康幸 君)知事の理念については、一部理解をしているわけです。この代替案、難問がたくさんあります。理念だけで災害が防げるならば、世界の災害はゼロになります。そのような代替案では、下諏訪、岡谷の住民は到底納得できるはずがないんです。今後、私は、さきに述べたような方法で、ダムを含めた方法論で住民に開かれたプロセスを模索していくつもりです。
○副議長(小林忠司 君)浜康幸君に申し上げます。申し合わせの時間が経過いたしましたので発言を終了願います。
◆5番(浜康幸 君)(続)それは、住民が今後判断するであろうことを申し上げて、終わります。
○副議長(小林忠司 君)次に、平野成基君。
〔19番平野成基君登壇〕
◆19番(平野成基 君)まず初めに、先週の代表質問の答弁で納得のいかなかった点について1点確認させていただきます。
それは、密室で根回しを行うような料亭政治からしなやかに脱却を図る必要があるとおっしゃった知事の真意でございます。知事は、これまでの長野県政において料亭密室政治が行われていたと考えておられるのでしょうか。もしそう考えていたとしても、私は、ここで責めるつもりはありません。だれにでも間違いや思い違いがあるわけですから。まさに、過ちを改むるにはばかることなかれでございます。思い違いであったのならば、長野県の名誉のために潔く発言を撤回してください。
それとも、長野県政には料亭密室政治はなかったと考えておいででしょうか。もしそうならば、なぜあたかも長野県が脱却を図らなければならないような発言をこの議会でされたのですか。長野県に関係のない一般論であるならば、別の場で国を初め外に向かって発言すべきだったと思いますが、いかがでしょうか。この場合も、知事の真意が誤解されると困りますので、議会での発言を取り消されることが賢明な対応だと思うのですがいかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
それでは、次に、知事が雑誌やラジオで県職員を批判したことにつきまして質問させていただきます。
知事は、申すまでもなく、長野県における最大の権力者であります。8,000人に及ぶ県職員の人事権と年間1兆円を超す予算の執行権を、その手に握っていらっしゃいます。しかも、直接選挙で選ばれたわけですから、国における総理大臣よりも権限が強く、いわば長野県における大統領でございます。
一方、近代民主国家におきましては、政治的権力者とは別の、時にはその権力者以上の大きな力を持つ存在がございます。それは、マスメディア、マスコミの力でございます。ジャーナリズムの持つ力を、ペンは剣よりも強しと例えたその力でございます。日本におけるマスコミの力の大きさは、今さら私が説明するまでもございません。時には大臣の首を飛ばし、さらには内閣をも倒し、昨今では選挙の結果さえ左右してしまうのが、日本のマスコミの力の実態でございます。
この二つの力、つまり政治的権力とマスコミが互いに独立し、マスコミが権力者を自由に批判できることが言論の自由であり、民主国家の最低の必要条件でございます。旧ソ連や中国あるいは北朝鮮のように、マスコミが国家権力から独立していない国は民主国家とはいえないわけでございます。
ところで、知事、あなたは権力者であると同時にマスコミ人でもございます。ここで言うマスコミ人とは、仕事としてマスメディアを通じて意見などを発信できる人と御理解ください。権力者がマスコミ人を兼ねることが何を意味するか、おわかりでしょうか。二つの権力が独立するどころか、一人の人間が二つの権力をあわせ持つという民主国家の最低条件をみずから破るという恐ろしい立場に知事は立っていることを自覚したことがおありでしょうか。
知事が先週生出演されたラジオ番組で部下を批判したのを、私はこの耳で聞きました。また、昨年12月、雑誌「SPA!」の御自身のコラムにおいて県職員を名指しで批判したこともまた紛れもない事実でございます。私は、あの記事を読んだときに、自由で民主的であった長野県が独裁者の恐怖支配におびえる最悪の社会になってしまったという、まさに恐怖を覚えました。
雑誌「SPA!」の記事については、12月県議会でも二人の先輩議員が質問いたしましたが、知事は、これもクリエーティブ・コンフリクトの一環というような理解に苦しむ答弁をされました。また、先週の答弁では、これらの放送や記事に関しまして、いささか不穏当な発言だったともおっしゃいました。確かにコンフリクトではありますけれども、これはクリエーティブとは言えません。
ただでさえ知事と県職員は上司と部下の関係であり、知事がよほど心を広く持たなければ、知事のおっしゃるクリエーティブ・コンフリクトなんて成り立つはずがないわけでございます。それどころか、たくさんのテレビカメラの前で部下をしかりつけたり、さらにその上、マスメディアを使って時には名指しで部下を批判するなど、クリエーティブ・コンフリクトどころか、マスコミの持つ大きな力を最大限に利用した恐怖支配、恐怖政治そのものではないでしょうか。
私は、マスコミとの関係をすべて断ち切れと申し上げているのではありません。記者会見や記者発表は当然のことでありますし、また、時には請われて番組に出ることも、時間的余裕があれば反対するものではありません。しかし、仕事としてやること、知事でありながらマスコミ人を兼ねることを問題にしているのです。新しい民主主義のスタンダードとしての長野モデルを目指すのであれば、民主主義の根幹を脅かすような行為はやめてほしいと申し上げているのです。
知事は、12月県議会の冒頭に、「歴史を心に刻み続けながら、未来を過たぬようにと制御し続けねばならないのです。」と言われました。また、「法律やマニュアルの存在いかんにかかわらず、おてんとうさまのもとでは悪いことはしちゃいけないよ」とも言われました。確かに、知事がマスコミでの仕事をすることは法律違反ではないかもしれません。しかし、これこそまさに、法律やマニュアルの存在いかんにかかわらず、権力者たる者が絶対にしてはならないことだと思います。また、歴史を心に刻み続けながら未来を過たぬようにするためには、民主社会を前近代的恐怖社会に戻しかねないこのような行為は厳に慎まなければならないと思います。
そこで、知事に提案いたします。
開かれた県政、しなやかですがすがしい長野県、そして新しい民主主義のスタンダードとしての長野モデルの実現のために、この際、知事の仕事に専念されて、マスコミ人としての仕事を即刻おやめになるべきだと考えますが、いかがですか。明快な答弁お願いいたします。
次に、先ほども浜議員が質問しました。再び議会に何の相談も連絡もなく、下諏訪ダムの中止、そして脱ダム宣言を出されたことに関して、以下質問させていただきます。
そもそも、民主主義とは手順、手続に手間のかかるものでございます。なぜ手間のかかる制度になっているかといえば、それは、不完全な生身の人間が政治、行政を行うことによる間違いを少しでも少なくするように安全弁が用意されているわけでございます。最も効率のよい政治形態というものは、神のごとく間違いを起こさない完全無欠な指導者による絶対君主制であります。この場合は、議会も会議も必要ありません、間違いがないわけですから。しかしながら、不完全な生身の人間に権力を預けざるを得ないがために考え出されたのが民主主義であり、だからこそ、手順、手続の遵守なくして民主主義は成り立たない制度となっているのです。この手順、手続を軽視した政治は、独善・独裁政治と言うのです。
議会制民主主義とは、まさに、手順、手続の必要性と、政治における長と議会との車の両輪としての原理を明示した言葉でございます。国には衆参の両議院がございます。すべての地方自治体にも議会があるわけです。この議会に託された役割が、安全弁としての仕事なのです。わかりやすく極端な例で例えるならば、この人ならばと思って選挙によって選び、そしてその人に権力を預けた。ところが、実はとんでもない危険な思想の持ち主であったり、あるいは当初はそれなりの人だった権力者がいつの間にか神経が冒されるなどして国民益、住民益に反するようなとんでもないことをしようとしたときに、その暴走をとめる役が議会なのであります。
私自身は、数多くの間違いを犯す欠点だらけの人間でございます。知事、あなたも生身の人間です。多少の欠点と多少の間違いを犯すことはないでしょうか。生身の知事が、いかに権限の範囲内とはいえ、民主主義の根幹ともいえる手順、手続を無視することが許されるでしょうか。
12月県議会で、執行機関と議会は、まさに220万人の県民の幸せ、県民益を進める上では車の両輪であると明言したのは、知事、あなた自身です。さらに、県議会の存在あるいは議決を無視したり軽視したりしているわけでは決してございませんが、行政経験が幾分未熟でありましたために皆様との対話のとり方に関して至らぬ点があったという点は素直に反省をしていると明言したのも、知事、あなた自身でございます。
どんなふうに素直に反省をされたかわかりませんが、たった2カ月で、再び議会に何の相談も連絡もせずに、下諏訪ダムの中止を決め、脱ダム宣言を出されました。一度は反省と言いながら、2カ月後に同じことを繰り返すというのは、議会軽視などという単純な問題ではありません。これは、約束を守るという人としてのルール違反であり、民主主義の原理そのものを否定する行為であり、私たちをこの場に送り出してくれた多くの県民の存在をも完全に無視した行為であります。
そこで、知事にお伺いいたします。
12月に反省したにもかかわらず約束を破ってしまった。今後二度とやりませんと、ここで反省し約束してくれるのか、それとも、権限の範囲内でやることなので、今後とも約束を破ることもあり得る、よって12月県議会での反省の発言は取り消すとおっしゃるのか、どちらなのか明快にお答えください。
以上で第1回目の質問を終わります。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)順を追って御説明申し上げます。
まず、最初の、私が過日の代表質問にお答えする中で申し上げた密室の料亭政治的な手法からの脱却という部分に関しての御質問にお答え申し上げます。
これは、既に多くの県民やまた議場にお越しの議員の皆様方も御存じのように、極めて永田町に象徴される密室的な政治というものが問われているわけでございます。そして、私は、このITの時代に、議会の場においてもグローバルな視点で物事は語られるべきであり、県議会の場においては私たちの社会のあり方すべての一般論を語ることはふさわしくないとおっしゃられるのには、いささか立場を異にする人間でございます。でありますので、私は、今日本を覆う政治不信、また旧来型の永田町における政治の手法というものを、私どもはそうした場所からは離れた場所で行っていくという決意を、皆様とともに行うべく申し上げた形でございます。
続いて、マスメディアに関しての御質問でございます。
私が職員を信頼しているのは、就任以来変わらないことでございます。そしてまた、私とともに県民益を実現するために日夜奮闘している職員には大変感謝をいたしております。とりわけ、今回の予算策定の段階において、財政課を初めとする県庁の職員のみならず、多くの合同庁舎、またそれぞれの場所において職務を行う職員からも数多くの御提言をいただき、また御一緒に夜遅くまで予算の策定に御努力いただいたことは、私は、さきにこの議会の場でも職員に対して感謝の気持ちを伝えましたが、改めて幾度でも伝える気持ちに変わりはございません。
ただし、私の一部の発言に関しまして誤解を招きかねない部分があったのは事実でございまして、これからこうしたことのないように一層注意するとともに、4月以降、今まで毎週木曜日に開いておりました職員車座集会のみならず、私が各部署に出向いてレクチャーを受け、また、終業時刻以降に各課あるいは係に出向いて、ともに若手、中堅の職員も含めて語り合う場を設け、よりよい信頼関係を築いてまいりたいと思います。
また、マスメディアの力に関してでございますが、私の考えを不幸にして少なからず御理解いただけず連日御批判くださるジャーナリズムも、複数の全国紙の長野県版を含め多々ございます。これは、ある意味で言えば、長野県において、私が知事であっても、ジャーナリズムの現場においては是々非々において大変にジャーナリズムの批判精神というものが健在であることのあかしであろうと、このように考えております。
そして、私がある意味では畏兄と仰ぐ石原東京都知事も、あるいはそのほかの中央の政治家も新聞や雑誌での連載を行っておられるわけで、また加えて、私は以前から長野県の広告塔として活躍をするということも申し上げているわけでございます。あらゆる長野県の現在を発信する場所を、それも広告費用に換算すれば巨額に当たるような場所をマスメディアが提供してくれることは、私にとっては喜びでこそあれ恥じることではございません。
続いて、今回の下諏訪ダムの中止に関しましては、かねてから申し上げておりますように、知事としての責任と権限の範囲内での決断でございます。また、脱ダム宣言の理念に基づく私の決断は、必ずや現在の県民益に、さらには未来の県民益にも必ずやかなうものと考えております。そして、そうした新しい転換点の光が長野の地から発せられたということを、いずれ歴史が証明してくれるものと私は確信いたしております。
ですので、私は、二項対立を超えた第3、第4の道を皆様と開かれた話し合いの中で見出していくと、県民の方々に対しても議会の方々に対しても申し上げているわけでございます。
以上でございます。
〔19番平野成基君登壇〕
◆19番(平野成基 君)どれもこれも、私の聞いたことにストレートに答えてくれない残念な答弁でございます。
まず、一つ目の密室料亭政治のことをお聞きしましたけれども、一般論はわかりました。質問の仕方を変えます。失礼ですけれども、AかBかでお答えください。A、長野県に密室料亭政治があったと思っている、あるいは疑っている。B、長野県に密室政治はなかった。AかBかでお答えください。
さて、マスコミ人として危険なことをしているからやめてくれということでは、やめないというお話でございました。一つには、ほかの政治家もやっているからどうこうという話ですけれども、しかしながら、ほかの立派な政治家は、自分のコラムを使って自分の大事な部下、しかも知事が信頼して感謝しているとおっしゃったその部下を批判するようなとんでもないことはしないんです。もっと立派な話と立派な論を言うんです。それだったら否定しないんです。こんな危険なことをやるから申し上げるんです。
もう一つ、広告塔とおっしゃった。しかし、広告塔で長野県のいい点、例えば長野県のリンゴはうまいよ、あるいは長野県の温泉はこんなにいい、ついでにスキー場も宣伝してもらえばいいんですけれども。そういう長野県のいいことだけ言ってくれるんだったらいいですけども、しかし、自分のコラムや自分の番組で部下をしかりつけるなんてことをしちゃえば、これは長野県のイメージを極端に悪くする。いない方がいい広告塔となっちゃいます。ですから、広告塔というのは、知事、もうそこにいるだけで広告塔です。日本全国で、今、知事ほど注目されている人はいません。存在そのものが広告塔ですから、余計なことはしない方がいいと思います。
ただ、そうは言ってもあれですから、このことに関しては、もう1点、別の観点から質問させていただきます。
田中知事は、恐らく日本で最も忙しい方だと思います。ただでさえ忙しい知事職なのに、毎日数多くのメールに目を通し、現場主義を掲げてあちこちに出かけ、その上、車座集会を催し、ようこそ知事室へを開くなど、まさに八面六臂の活躍であります。さらに、その上、もう一つの職業であるマスコミ人として執筆活動を続け、番組に出るために東京へ大阪へと出かけられる。まさに超人と申し上げるべきだと思います。
しかし、知事は、忙しさを理由に下諏訪ダムの現地視察がおくれ、しかも1回しかやってない。さらには、何十万市民を代表する長野市や松本市の市長の面会を断りました。知事としての職務に専念して、その上で忙しいなら許せましょう。しかし、マスコミ人としての職業を兼務しているがゆえに忙しいというならば、知事としての最も大事な仕事を放棄しているといわれても仕方のないところです。
知事は、御自身をパブリックサーバント、最近はサーバントリーダーとほとんど言っていらっしゃいますけれども、と規定されました。また、県民のために身も心もささげるとおっしゃいました。であるならば、御自分の都合はさておいて、何よりもまず220万県民のために優先して働くのが当然ではないでしょうか。身も心もささげる人間が、どうして時間をささげられないんでしょうか。
今後もマスコミでの仕事をお続けになるならば、パブリックサーバントなんて自分のことを言わないでいただきたい。どうしてもその言葉を使いたいなら、あるときはパブリックサーバント、あるときは別の仕事をしています、こういうふうに言ってください。
いずれにしましても、220万県民のためには大事なお体です。そのお体を壊さないためにも、この際、マスコミ人としての仕事をやめて、知事としての仕事に専念していただきたいと再度お願いする次第ですが、いかがでしょうか。もう一度、この点についてお答えください。
さて、最後の話で、私は、別にダムの理念を聞きたくて聞いたわけじゃないんです。それは、ほかの人が聞きます。知事は、プロセスとか民主的とかいろんなことをおっしゃる、権限の範囲内とおっしゃる。しかしながら、間違いなく、12月県議会において、素直に反省して、間違いだったと自分で認めたんです。ダムの理念は結構です。自分が約束を破ったかどうか。破ってない、破った、そのどちらかでお答えください。
第2の質問を終わります。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)順を追ってお答え申し上げます。
密室の料亭政治型からの脱却というくだりに関して、AかBかという択一で答えよという御指摘でございますが、私は、多感な青春時代を長野県で過ごした後25年間この長野県を離れておりましたので、つまびらかな点に関して把握するにはいささかその年月は長く、私は、先ほど来申し上げているように、密室の料亭政治型という永田町を中心として覆っている日本の多くの国民が持つ疑念を長野県ではないようにしていきたいということでございまして、私は、私が離れておりました25年間においても長野県にそうした状況がなかったであろうということを、かたく信じたいというふうに思っております。
続いて、クリエーティブ・コンフリクトではないのではないかという点でございますが、昨今は、広告においても、比較広告というもの、あるいはあえて自分自身の会社あるいは商品の現状というものを伝えることによって消費者の喚起をするという手法が用いられております。私は、長野県のありのままの姿を伝えることこそが、私もまた皆様から御指摘をいただいたように完璧な人間ではなく、時として皆様から大変に御心配をいただくような営為を行う場合があるのと同じく、長野県においても長野県のありのままのそのいびつな姿を見せることこそが、多くの日本の皆様から親しみを持って長野県にさらなる注目をお寄せいただけることになると考えております。
長野市及び松本市の市長からの御面会の件に関してのお問い合わせでございますが、これは、私の記憶に間違いがなければ、私が12月のプレ査定を経て2回にわたる知事査定を1月の中旬から行っている最終段階において予算に関してお話があるという御指摘であったと、新聞紙上でも当の市長が御発言なさっております。私は、この段階におきましては県の財政課を含む職員と話し合いをしながら予算を策定していたわけでございまして、こうした最終段階において具体的な予算のお話に関しての御要望というものを伺うことは、そのほかの118の市町村の首長の皆様との整合性がとり得ないのではないかということで、御辞退をさせていただいた形でございます。
御心配をいただいております私の体は、ごらんいただければわかるように、多くのストレスがたまっているはずにもかかわらず、いささか鈍感なせいか、体重は遅々として減らない状況でございまして、また、かつては多くの睡眠時間をとっていた蓄積があるせいか、近時は睡眠が少なくても体に変調は来しておりませんので、ありがたい御心配をいただき、それにおこたえできるように今後もしてまいりたいと思います。
そして、もう一度繰り返しになりますが、私もまた不完全な部分がある人間でございますので、至らぬ点においてはこれからも忌憚なく御叱正をいただきたいとお願い申し上げて、答弁を終わらせていただきます。
〔19番平野成基君登壇〕
◆19番(平野成基 君)どうも、知事の答弁は、長いけれども肝心な点をなかなか答えてくれません。答弁漏れも一つありました。答弁漏れはもう1回確認しますから、答えてください。
12月県議会で反省していると言ったのにもかかわらず、このたびの下諏訪ダム、脱ダム宣言、議会を全く無視したわけでございますけれども、12月県議会であれだけ言ったんですから、約束を破ったことは認めるんですね。まず、このことを最初にお答えください。
それから、知事は、料亭密室政治をああいうふうに言っておりますが、長と議会が日本じゅうどこでもいかがわしいことをしているんじゃないかということをお持ちのようでございます。知事は事前の根回しとか議会対策がお嫌いと、こういうふうに聞いているんですけれども、やっぱり根回しとか議会対策を事前にやるのはお嫌いなんでしょうか。これからは、根回し、議会対策をやるつもりがあるんでしょうか、ないんでしょうか。それをお聞きしておきます。
いろいろ聞いてまた答弁漏れがあるといけませんので、これを聞いて第3回目の質問を終わります。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)繰り返し申し上げますが、私どもの職員に対して事前に報告、また相談が足りなかった部分に関しては、既に繰り返し申し上げているように、私は、この点を真摯に反省し、さらに職員とともに歩みたいと考えております。
議会の皆様とは、私は、議会の場において活発な忌憚のない意見を交わし合うことこそが間接民主主義における議会の皆様とのよりよきあり方であるとかたく信じておりまして、議員が御指摘の根回しあるいは議会対策というような言葉は、まさに、この開かれた21世紀の長野県政を行っていく上において、私は、いたずらにも、長野県の県政、また議会の運営において根回しや議会対策という言葉で表現でき得るような形があってはならないと信じております。ですので、この点に関して私は、議会の皆様とはこれからもなお正々堂々と議場の場において議論をさせていただきたくお願い申し上げます。
さらに、つけ加えますれば、マスメディアにおきまして私が発言をし、また長野県のことを語ることに関しては、これからも私はよりよき長野県の広告塔であるようにありたいと考えております。ただし、その場合において、県の職員の、県のパブリックサーバントとしての意欲をそぐような形があってはならないということはさらに肝に銘じていきたいと思っております。
以上でございます。
〔19番平野成基君登壇〕
◆19番(平野成基 君)答えてくれませんけれども、一つわかりました。根回し、議会対策なんていうことはやるべきではない。ということは、12月定例会において、車の両輪であって、自分が幾分行政に未熟だったから間違ったと。これは、知事のその言葉が間違いだったんですね。要するに、反省したことが間違いだったと、こういうことがよくわかりました。
そこで、お聞きします。
議会対策、根回しというのはあってはならないことだ、こんなふうに言いましたけども、一つ勘違いしているのは、一般社会において、これは別にいかがわしいことでも何でもないんですよ。企業のプロジェクトを立ち上げるとき、あるいは町内会のイベントを決めるとき、あるいはPTAの役員を決めるとき、どんなときでも大事なことを順調にいかせるためには根回しというのは必要なんです。これは、悪いことでも何でもない。政治の場面で重大な新しい政策をスムーズに進展させるためには、当然に根回し、議会対策があってしかるべきなんです。
知事は議会対策はあってはならないと言ったんですけれども、ところが、知事、我が県政会の代表質問の副知事に関する答えで、あなたは議会対策を予告しているんですよ。何と言ったか。副知事の公募の方法、内容については事前に議会に相談いたしますとはっきり言ったんですよ。自分の権限だったら議会も何もかも無視して決める。しかしながら、副知事のように議会の承認を得ることは自分が最初に議会対策をやると言うんですよ。自分の弱いところだけはお願いに行って、自分ができることは全然相談しない。これは民主主義以前なんです。人間として、こんなばかな論理を振りかざすということはあり得るんでしょうか。
それとも、知事、もう一回言いますよ。副知事のこと、公募とかその内容等についても我々に相談しないんですね、自分で勝手に決めてここに持ってくるんですね。さっき、この場でちゃんと議論するとおっしゃったんです。本当に自分が弱い、議会に権限あることだけは議会対策をして、それも自分で予告しておいて、あってはならないと。これはやっぱり矛盾しますよね。これは県民が聞いたっておかしいと思います。まず、この矛盾をどう考えていらっしゃるかお聞きして、4回目の質問を終わります。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)御質問をお聞きしながら思い出したわけでございますが、私は、高等学校のときの倫理・社会科の授業のみならず、恐らくは中学や小学校においても、国の政治では三権分立であるということを習った記憶がございます。
私は、今、国と対等の関係で地方が自立していく時代においては、教育委員会あるいは県警本部の活動に関して私がその判断を尊重していくということと同じように、この議会にお集まりの皆様ともこうした議場の場で議論をしていくことこそが倫理・社会科の授業で習った精神にのっとった行為であると、このように信じております。
〔19番平野成基君登壇〕
◆19番(平野成基 君)何回聞いても、まともな答えが出てまいりません。いずれにしましても、本当に身勝手な論理を振りかざすということだけはよくわかりました。
知事に申し上げますけれども、何が人間関係で必要かというと、信頼関係でございます。これは、別に政治の場だけじゃなくて、家庭だって、友達だって、地域社会だって、信頼があるということが一番必要なんです。
知事はよくドッグイヤーと言って、確かにいろんなことが起きて時代は速い。だからみんな忘れちゃっているけれども、この4カ月間、考えてみてください。公約だった移動県議会、どこへ行っちゃったんでしょう。オリンピック招致委員会の帳簿の焼却、知事公舎を一般に公開する、副知事を二人にする、30人学級をやる、教育長人事も途中で変わっちゃった、あるいは東京理科大学、松本大学、須坂病院のこと、それから浅川ダムの検討委員会を1月につくると言ってまだ立ち上がっていない。しかも、知事は約束の時間を守らないということで有名らしいです。これで、信じろ、信頼関係をつくれと言ったって無理なんです。やはり自分のやってきたことをよく考えていただきたい。
それから、最後に聞きます。
マスコミ人をやめないと言うんですけれども、法律やマニュアルの存在いかんにかかわらず、おてんとうさまのもとでは悪いことはしちゃいけないという知事の基準とは何なんでしょうか。権力者たる知事がマスコミを利用して部下を批判するようなことをする立場にいるということは、おてんとうさまのもとで許してもらえるんでしょうか。あるいは、知事査定で1分でももったいない大事な時期に恋人とヨーロッパに出かけてしまい県職員に多大な迷惑をかける、これも知事のおっしゃるおてんとうさまは許してくれるんですかね。おてんとうさまのもとでは悪いことはしちゃいけないという、これに入るんでしょうか。あるいは、長野県の代表者たる知事が、確かに法律違反ではないけれども、恋人との道行をテレビで全国に放映され、そして長野県の誇りと名誉を著しく傷つける。こういうことも、あなたの基準、法律やマニュアルの存在いかんにかかわらず、おてんとうさまのもとでは悪いことはしちゃいけないの悪いことに入らないんでしょうか。あなたの悪いことの基準というのはどういうものなのか、具体例を含めて私たちに教えてください。この言葉が全然私たちはわからないんです。ぜひ明快な答弁を期待して、今回の質問を終わります。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)県の職員との信頼関係をさらに構築することは私に課せられた責務でございますし、また、県議会の皆様との緊張関係のある信頼関係もまた私の大いに望むところでございます。
恐らくは、平野議員を含まれる県政会の皆様方が、松本大学、東京理科大学への県からの援助、また須坂病院におきます脳外科の設立ということをお望みであられたわけでございまして、私は当初、これらの3点についても県民益の観点から慎重であったわけでございます。最終的には私は、県民益の混乱を招かぬために、これらの3点に関しても当初の予定されていた形をとったわけでございまして、これを変節ととられかねないような御発言をいただいたということは、ある意味で言えば、私もまたさらに皆様と信頼関係を結んでいかねばならないと心を新たにしたところでございます。
そして、こうしたありがたい御指摘は、私のみならず、望むべくは、私もおてんとうさまのもとでは悪いことはしないと申し上げているわけでございますから、緊張関係のある信頼関係にあられる皆様方におかれても、そしてまた県民の各位におかれても、また県の職員においても同じくこの気持ちを持って、さらに開かれた長野県をはぐくんでまいりたいと考えております。どうもありがとうございます。
〔19番平野成基君登壇〕
◆19番(平野成基 君)わかりました。何がわかったかというと、自分の都合のいいことは全部知事のおてんとうさまが許してくれるということがわかりました。
それからもう一つ、マスコミ人はやめないということでございますので、ぜひこれからはパブリックサーバントとか県民に身も心もささげるなんていう格好のいいことは言わないでいただきたい。
以上で質問を終わります。
○副議長(小林忠司 君)この際、15分間休憩いたします。
午後3時59分休憩
───────────────────
午後4時14分開議
○議長(吉田博美 君)休憩前に引き続き会議を開きます。
続いて順次発言を許します。
母袋創一君。
〔33番母袋創一君登壇〕
◆33番(母袋創一 君)田中知事就任以来、4カ月余が過ぎました。高い支持率を維持しているようでありますが、脱ダム宣言以降、変化の兆しが見えてきたように感じます。
私は、年齢も近いせいか、発想、感性的なものにおいては理解できる面もあり、また、バイタリティーさには感心すら申し上げます。
しかし、議論を巻き起こそうと気早になる余り独走し、知事みずから言われるプロセスを大事にすることなく決断を下す姿には、全く理解できません。
私は、政治、行政というものは、地味なもので、腰据えて着実に行うべきものと考えてきました。田中知事が就任されて、イメージは大きく変わりました。知事の一挙手一動がテレビに映し出され、新聞記事になる。私の周りのかなりの方が、県議さんに失礼な言い方かもしれませんが、県政がおもしろくなりましたと言われます。私は、何事も関心はおもしろいところから始まるので、いつまでも関心と興味を持って見守ってください、ただし、表面上だけではなく、県政の中身についてもしっかり注目し、政治への参加もよろしくと申し上げてまいりました。
知事が動けばマスコミも一斉に走り、取材する。まるで取材合戦と映ります。余りのすごさに、最近、私ばかりではありませんが、徐々に鼻についてきたと感ずる人がふえてきたように思います。執拗なパフォーマンスには限界があります。
一方、最近のマスコミ各社も、当初に比べ、かなり報道のニュアンスが変わってきました。もちろん、その指摘は厳しくなっています。説明不足はわからないし、言動不一致などの指摘はまさにそのとおりと思いますし、最近はマスコミ各社への対応も公平さを欠いているとも聞きます。
私は、知事への評価は、1年ぐらいたって自分なりの評価をしてみようと考えておりました。しかし、このたびの突然の脱ダム発言により、委員会の立場はありますが、質問することにしました。
まず、知事の政治姿勢について伺います。
常にマスコミを意識し、それをうまく利用することにたけた知事の手法はパフォーマンス政治だとの声も多く聞かれますが、御所見はいかがでしょうか。
次に、知事は常々、パートナーシップを大切にしたいと言われます。しかし、現実は、そのような態度、行動が感じられません。対市町村、職員、そして議会とのパートナーシップの構築について、知事みずからの積極的な努力が求められていますが、具体的にどう考え、どのように今後取り組まれるのか、御所見を伺います。
三つ目に、今回の脱ダム宣言に象徴されるように、知事は、トップダウン、上意下達の手法を多用していますが、従来の行政内部でとられていたボトムアップ、下意上達の手法とどちらが基本の手法と考えるのか、また両手法の使い分けの具体的基準はどのようなものか、お考えをお聞きします。
次に、公共事業のあり方について、雇用面も絡め、同じく知事に質問いたします。
日本の景気、経済動向は、消費低迷、株安、円の急落、失業率の悪化など、ここ数カ月大きく揺れ動いています。政府幹部も、近々、緊急経済対策も視野に入れた発言をされたようであります。日本発の世界不況かなどと大げさとも言えない発言をされる経済評論家もおります。そんな状況下での来年度大幅公共事業減であります。このことがどんな影響を及ぼしていくのか、心配でなりません。
知事は、予算編成に当たって、公共事業の前年度比減額幅について当初は3割減、2割減も想定したようでありますし、査定時において、例えば土木部の公共事業費要求は1,083億円に対し982億円と要求比90.7%にとどめたのでありますが、知事の頭には、事業の中身より、まず減額幅の数字ありきで臨んだ査定としか思えません。本来ならば、査定の事前に部局に知事の考えを理解させ、伝えておくべきと考えますし、昨年より担当部課長が時間を割き、苦労して国との事前調整を図ってきたものも、関係市町村、県民に十分な説明もない中で予算化されなかったとなれば、関係市町村はもとより、国との信頼関係を損ねるのではないかと危惧するものであります。御所見を伺います。
私は、財政状況からして、ある程度の減額幅であればまだ理解もできます。県下各圏域ではどのようになるのでしょう。例えば、私の地元上田建設事務所で来年度の予算見通しをヒアリングしたところ、同所における最近10年間の予算ピークは前年度の11年度で175億円、これが、13年度予想で何と80億円余からせいぜい100億円程度だろうとのことであります。さらに、この中身は、調査費や設計費、用地国債の返し、そして用地買収費等差し引きすれば、何と実際の工事発注高となれば50億円足らずと、驚くべき数字となりそうであります。これは激変であります。
知事はよく、公共事業減分を福祉や教育あるいは造林など森林整備にハンドルを切ったので、雇用面でも工事発注面でも安心してくださいとの発言をされます。再び上小を例にとれば、特養など福祉施設は圏域ごとの整備目標があり、来年度で目標達成となります。そうすれば次々年度では期待できず、また、教育面での学校の増改築においても、コンスタントに大きな予算が投入されるとは限りません。したがって私は、甘い言葉よりは、知事みずから県民、特に公共事業に携わる皆さんに対し、厳しい中で理解を求める姿勢が必要と痛感をしております。
昨年11月、県の優良工事表彰式の祝辞の中で、知事はこう言われました。建設関連に従事されている方の割合は県下全産業の16%余を占めておられることは重々承知している、だから皆さんの生活を守っていきたいと言われました。後で、異口同音に、表彰式に参加した方からは、知事も我々の状況を認識してくださっているとの声を聞き、私も内心ほっとしました。
質問に移ります。
平成14年度以降の公共事業予算についてどのように考えているのか、さらに減らすのか。また、平成13年度の公共事業費については、上半期における契約目標をどのように設定し施行していくのか。
さらに、平成13年度予算の公共事業費大幅減に伴い心配するのは、県下建設業界の企業倒産を加速させ、雇用不安を生じることであります。先ほど申したとおり、それら防止策を含め、業界関係者とよくすり合わせをし、知事みずからの言葉で説明されながら理解を求めるとともに、業界の問題ではありますが、企業の合併あるいはグループ化などスリム化を提言されるとか、公共投資が伸びないあるいは減る状況下での業界の方向性などを問題提起し、業界とともに新たな対策を考えるべきでありまして、ただ座して眺めているということは、無責任のそしりを免れないと考えます。
また、入札制度の改革に関しても、かかる業界環境の変化を見据えた上で、意向も確認しながら、合併、グループ化、あるいは体質転換などが図られる誘導策での入札方法も検討されてはと思いますが、知事の御所見を伺います。
次に、脱ダム宣言について質問いたします。
私は、宣言の下諏訪ダム以下の記述を除き、理念、理想としては理解できる面も持つ者であります。しかし、海外のダム、河川の状況と日本のそれとは、違う面があるように思えてならないのであります。まさに、日本の背骨に位置する長野県だからこそ、山も急峻な地形にあって、地形もさまざま、さらに、ダム代替案も確たるものが存在しない状況では、慎重に進めるべきと考えます。
現実性を帯び、技術的かつ科学的根拠が伴って初めて比較検討ができるのであり、それを見出すにはかなりの年月が必要でありましょう。
確かに、日本でも緑のダム的な発想をされる政党や学者もおることは事実であり、一方で、平成9年の河川法改正に伴い、知事も言われました環境重視、そして住民との対話というキーワードを法に取り入れたことも承知しております。
さらに、平成12年、昨年の12月19日に、知事から先ほど答弁がありましたが、河川審議会の答申が明らかとなりました。内容は割愛させていただきますが、洪水と共存する治水へと根本的転換を図るとの内容であるようであります。私には、河川はんらんを前提とした河川政策、この意味はよくわかりません。しかし、このように国も一歩ずつ方向を変えているのかなとも考えます。
知事は、12月議会において、緑のダムという言葉を2回使われました。その後、さまざまな思いの中で、知事のブレーン的な人材とも意見を交わし、脱ダム宣言をされたものと思います。なぜそんなに急いだのか。知事一人の発想とは到底思えない理念を、なぜ高らかにマスコミを通じ全国発信したのか。ここにも、パフォーマンス知事といわれる真骨頂がうかがえます。
どの政党よりも、どの他都道府県よりも早く新しい理念のもとで実行してみたい、この強い思いが周囲との調整なくして宣言に走らせたものと思います。
知事は、五十嵐敬喜氏や天野礼子氏、あるいは宇井純氏、保母武彦氏など御存じのことと思います。恐らく、親交あられる方と思います。
そこで、質問いたします。
一つ、脱ダム宣言に至るまでの経緯と背景について。
二つに、浅川ダムにかかわる検討委員会の委員人選について、先ほど名前を挙げた方は含まれるのかどうか。また、県内からのメンバーは加わるのか。
三つ目に、理念先行、現実無視の状況では、下諏訪ダム中止ではなく、ダムの選択肢を残すべきと私は考えます。住民参加を得て意見集約を図ることは結構ですが、イニシアチブは行政でとっていくのか、これも検討委員会を設置するのか。
さらに、議論、検討を通し一つの成案となるまで、かてて加えて工事着手から完成までとなると、気が遠くなるような年月を要することになります。先ほど浜議員の質問にもありましたので重複するので避けますが、しかし、やはり完成するまでの間、いざ災害や有事が生じた際の責任問題ということに触れざるを得ないと私は思っております。答弁はよろしいです。
次に、土木部長に伺います。
昨年12月19日付で答申された河川審議会の答申内容について、国土交通省としてはどのような受けとめ方をし、今後、脱ダム的な考えについて、いかなる方向へ、どんな時期をにらんでいるのか、ダムにかわる河川改修等五つの案への補助制度新設の可能性をも含め、承知している範囲で答弁願いたいと思います。
以上で第1回目の質問を終わります。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)ただいまの母袋議員の御質問に順を追ってお答え申し上げます。
まず最初の御質問でございますが、政治姿勢についてでございますが、私が就任以来4カ月余りの間に行ってきたことは、まさに実態のあるパフォーマンスであると、このように認識いたしております。実態のあるパフォーマンスとは、その行為により、県民の意識をまさに思考停止ではなくて思考を覚せいし、県政参加の意欲を一人一人に持っていただくと同時に、県職員も県民の目線で考えるきっかけを与える、こうしたパフォーマンスであります。
ですから、1階のガラス張りの知事室にいたしましても、訪れる人々が、マスメディアのみならず県民ホールにお出かけの多くの方々が包み隠し事のない県政の視線という形でごらんいただける、こうした本質の上に立って、さらに今まで県民が目にすることがなかった知事の執務の様子がわかる、この中で県民は県政を身近に感じることができるわけでございます。これがまさに実態のあるパフォーマンスでありまして、これは単なるパフォーマンスとは異なっております。県内各地で私が行っております車座集会やようこそ知事室へ、あるいは私のホームページ上でメールアドレスを公表し、県知事直通のファクスを公表していることも、その一環でございます。
ですので、私が本議会でたびたび申し上げておりますサーバントリーダーという言葉の意味合いも同様でございまして、サーバントリーダーは、県民一人一人の気持ちや必要なことを肌身で感じて行政サービスを行っていく実務者という意味合いでございます。これからもこの姿勢で県政に臨んでまいります。
パートナーシップに関しての御質問でございますが、こうした常に県民の目線で考えていく上では、さまざまなチャネルから貴重な御意見、御提言をいつも開かれた形で得られることが重要でございます。ですから、県民の皆様から直接御意見を伺うだけではなく、市町村とも、議会とも、また職員とも積極的に話し合い、連携を密にしていかなければならないと認識いたしております。
これまでもこうしたパートナーシップづくりに努めてまいりましたが、先週の代表質問でも同様の御助言をいただいておりまして、今後は、さらに自分の糧として県政運営に当たってまいります。4月以降県下の事務所に出かけ執務をとる際にも、この県庁におりますときにも、市町村や議員の皆さん並びに私どもの職員とも忌憚なく話し合ってまいります。
その意味におきまして、私どもは従来、市町村から職員の方がおいでになられた場合に研修生という名称を使っておりましたが、これは、県と市町村は対等であるということから、今後は交流職員という名称で呼ばせていただけるようにしたいと、このように私は考えております。
私の政治手法は現場主義の立場を貫き、公僕としてのリーダーを少なからず自認いたしております。一人一人の長野県民が自分の言葉で自分の考えを語り得る思考覚せい状態を環境設定すべく、就任以来、県民参加型の行政システム構築をみずから課してまいりました。日本が明治維新期にも例え得る大きな時代の転換点を迎えつつある今、政策決定も、従来型の上から下あるいは下から上という直線的な一方向での政策決定手法では大きな変化に対応できなくなってきております。また、将来を見据え、新たな時代を切り開くため、県民から県政の負託を受けた私は、最終的に、県民益の観点から、私自身の信念と責任を持って決定をしてまいる場合も出てまいります。脱ダム宣言も、このような経過の中で私が決断を下し、県民の皆様とともに今後の長野県のあり方を考えることをお願いしたものであります。トップダウン、ボトムアップという二者択一の手法ではなく、また、県民の皆様とパートナーとして施策決定過程に加わっていただき、平場でともに話し合う中で結論を見出していく新たな長野モデルの政策決定システムをつくってまいりたいと考えております。
公共事業に関してでございます。
公共事業の予算の削減に関してでございますが、先送りをいたしました事業は、厳しい財政状況、また限られた財源といった観点から、事業箇所を厳選する中で先送りを行ったものでございます。今後、事業効果、緊急性等を十分勘案の上、市町村とも連絡調整しながら実施について国と協議してまいりたいと思います。
また、14年度以降の公共事業費はいかなる形となるかという御質問でございますが、本県においては、社会資本整備への要望はまだ強く、景気の下支えとして一定の役割を果たしていると、このようにも認識いたしております。平成14年度以降の県の公共事業費については、今後の景気動向や公共事業のあり方に対する県民のさまざまな議論、地域の皆さんからのさまざまな御提言を踏まえる中で、総合的に判断させていただきたく思います。
平成13年度の公共事業費等の上半期の契約目標設定は、県の公共事業費等施行計画については、国の閣議決定、各県の状況等を参考にしながら、地域経済の動向を勘案して設定いたしております。平成13年度の公共事業についても、今後、こうした状況に応じ、県民の視点に立ちながら、事業効果や景気の下支え効果等が十分発揮できるように執行してまいります。
いずれにいたしましても、議会初日にも申し上げましたように、座して手をこまねくような形ではなく、まさに長野県から新しい公共事業のあり方、公共投資のあり方を私は具体的な形として県民の皆様と一緒にはぐくみたく思っております。
続いて、公共事業のあり方が続きますが、防止対策に関してでございますが、建設投資が低迷する中で業者数が増加しており、今後、極めて厳しい環境での競争がさらに強いられるものというふうに考えております。これは、繰り返し申し上げるように、10年、15年後には日本の建設市場が半減すると建設業界の責任ある立場の方が公言していることからも明らかでございます。
公共工事の発注に当たっては、従来から、工事内容、規模、地域性などを考慮し、できる限り分離・分割発注を推進してまいりました。建設業は地域経済の活性化に大きな役割を果たしておりまして、今後も引き続き、中央に還流されるような形の公共事業ではなく、県内建設業者の皆さんの受注機会の確保に努めてまいれるような公共事業でありたいと考えております。
そして、建設産業全体が21世紀の経済社会のニーズにこたえられる創造力と活力を有する産業となることがまずは必要でございまして、基本的には各企業が自己責任と自助努力により対応すべきものではございますが、行政としても、技術と経営にすぐれた企業が成長できる環境を整備することが必要でございます。
長野県では、従来から、建設工事共同企業体、いわゆるジョイントベンチャーや事業協同組合の活用により協業化を図ってきたところでございます。今後、合併、業務提携といった組織の再編や、他産業へのシフトを容易にする方策についても、業界の皆さんと意見交換しながら検討してまいりたいと思います。
そして、入札制度につきましては、先日の佐野議員、宮沢議員の代表質問でもお答えいたしましたように、単なる価格競争により大企業だけが生き残るような弱肉強食的な悲しいシステムではなく、県内で地道に、厳しいながらも真っ当に営んでいらっしゃる意欲のある現場の中小企業の方々にこそ仕事が得られる仕組みを検討するということでございます。今後、業界の合併など再編の情勢も勘案し、技術と経営にすぐれた開かれた企業が参入できるよう、公明正大で透明性のある入札制度を検討してまいりたく思います。
続いて、脱ダム宣言に関してでございます。
浜議員に続きまして母袋議員におかれても脱ダム宣言の理念に関して理解をいただけましたことは、これで四つの会派、党派の皆様すべてから御賛同いただいたことでございまして、感涙にむせばんばかりの改めての喜びでございます。
脱ダム宣言に至ったプロセスでございますが、これは既に代表質問でお答えいたしましたように、知事就任以来、土木部等から各ダム事業について極めて詳細な説明を幾度となく受け、その上で現地を視察し、さらに地域の皆様の、住民の皆様の御意見を伺うプロセスの中で、今後の治水対策は地球環境に与える影響が極めて大きいコンクリートのダムを前提に進められるべきではないとの理念に至ったものでございます。
浅川ダムに関する検討委員会の委員人選に関してでございますが、先ほど御指摘の具体的なお名前の中には、私はお名前しか存じ上げない方も複数名いらっしゃいますが、人選については1月末を大きなめどといたしておりましたが、公正、中立的な立場で議論、御提言いただくために慎重に選考を進めております。委員長のもと、河川、水文学、気象学、自然環境、森林、農地、都市、各分野の有識者を予定いたしておりまして、検討委員会の規模は各分野からの若干名であると考えております。とりわけ委員長は、異なる分野の専門的意見を集約し、検討委員会としての意見を一つにまとめ上げる重責を担うわけでございまして、この人選には特に慎重を期しております。設置に関しましては早期にこれら委員の御了解を得て発表を行い、第1回の検討委員会を新年度の早い段階に開催いたしたいと思います。
いずれにいたしましても、結論の時期をいたずらに先延ばしする考えはございません。けれども、一方で、あらかじめ期間を定めますと、それは検討委員会への不要な圧力となり、多角的な議論が束縛されるおそれがございます。そしてまた、これは、100年先を見据えた最善の治水対策を求めることこそが県民益でございます。県民の財産、生命を守るのが私の責務でございまして、検討委員会の議論を待つ間もでき得る限りできる対策を実施していく覚悟でございます。
そして、平成9年の河川法改正によって、新しい河川整備計画の策定時に地域の意見を聞くことが定められ、住民参加型の河川行政へと大きく転換しつつあります。
砥川の治水対策に関しましては、現在のところ検討委員会を設置する考えはなく、県と住民が共同して計画を立案、実行するシステムを長野モデルのスタンダードとして構築することこそ肝要と考えております。
代替案完成までの間に災害が生じた場合についての御質問でございますが、従来から私たちは、とりわけ20年、30年も前から、ダムがなければ安全は保たれないと申し上げてまいりました。が、最も基本でございます小まめなしゅんせつや環境に配慮した護岸の点検補修をつつがなく行ってきたかと問われれば、至らぬ点も少なくはなかろうと考えております。とりわけ、いかなる頻度でどの箇所をしゅんせつするのか、その記録も含めて、従来は必ずしも明確ではございませんでした。
今後は、例えば薄川や砥川の場合で申し上げますと、約1万円ほどの費用で約1メートルが可能なしゅんせつの年間作業区間等に関しても箇所づけとして予算策定時に皆様へと明らかにし、あわせて、浅川ダムが仮に完成後においても洪水は防ぎ切れないとの現実の説明があったことにかんがみて、まずは地域の住民コミュニティーに対し、はんらん時の想定地図、また洪水が流れ落ちる時間、そのほかの水防情報も与え、緊急時の行動計画を策定していない地域コミュニティーに対しては早急に計画をつくるお手伝いを進め、既にまた存在する計画については、その改定に関して技術面での援助を提供してまいりたく思っております。
さらには、森林整備、治山事業といった上流域での着実な治水対策を推し進めるとともに、県内の河川に関するハザードマップの作成も行うべきかと考えます。従来、ダム事業を推進してまいりました私たちは、どの河川がどの程度危険なのか一目でわかるハザードマップの形での県民の皆様への明示を絶えて行ってまいりませんでした。それが、国からのお金がつきさえすればその箇所にはダムを順次つくってきたのではないかという疑心暗鬼な状況を一般の市民の方々の側にももたらしてきたのではなかろうかとも考えております。治山・治水の重要度、緊急度をハザードマップの形で明示することこそは、開かれた行政の基本の一つであると考えます。
のみならず、国の河川局が監修する河川砂防技術基準案解説書によれば、河川の重要度は、一級河川の主要区間においては100年から200年確率の間で、一級河川のそのほかの区間及び二級河川においては、とりわけ都市河川では50年から100年確率で、一般河川は重要度に応じて10年から50年確率という数字で、さらには10年確率以下でも洪水防御計画が策定されるものと定められております。ゆえに、50年から100年の間とされる都市河川の砥川のみならず浅川の治水対策を、その最大数値の100年確率を前提として私たちは行おうとしてまいりました。ただし、この場合における問題点は、河川の重要度が河川によって異なるということは、すなわち一人一人の命の重要度もその人々が暮らす河川流域によって10年から200年確率までと格差が生じてしまう点でございます。220万県民の命を守ると申し上げてきた私としては、この点もまた、多くの市民の皆さんが、果たしてこうした格差が生じがちなダム計画が私たちの命を救ってくれるのだろうか、行政は、公権力は人の命に格差を認めるのかと疑心暗鬼となる一因ではなかろうかと考えております。
長野県におきましては、4月以降、その透明性を入札においても導入することを目指し、同様に、中央の大企業へと資金が還流しがちな巨大なダム建設とは異なり、地道に営まれる地元企業における雇用を保証する堆積土砂のしゅんせつや護岸の点検補修を行ってまいります。今申し上げましたように、堆積土砂のしゅんせつや護岸の点検補修などを常日ごろから疎漏なく行い、災害防止に努め、その上で代替案に関して早期に合意形成が図れるよう努めてまいります。また、その後の治水対策事業についても、早期に完成するよう最善の努力をしてまいります。
補償など県の責任に関しては、個別具体の事案でなければ判断できないものと、このように考えております。
以上でございます。
〔土木部長光家康夫君登壇〕
◎土木部長(光家康夫 君)昨年12月下旬に河川審議会の中間答申というものが出ましたので、それの中身につきまして、それからその影響等につきまして御説明を申し上げます。
まず、大前提として申し上げますのは、この中間答申は、これまでの治水対策を否定したものではなくて、今までのものもそのまま存続し、さらに新たな考え方を付加したと、そういう位置づけであるということでございます。
従来、河川行政につきましては、この付近は100年に一度の確率であるということで進めてきたわけでございますが、それは、言いかえれば、絶対に洪水は起こらないよということではなくて、100年を超えれば洪水は起こり得るということであったわけです、従来でも。しかし、要らぬ社会不安を招くといけないということで、あえてそういうことは説明をしていなかったというのが実態でございます。それを今回の中間答申では、100年を超えて洪水は起こるんですということを明言すべきではないか、あらぬ不安を招かぬために言わなかったことをはっきり言いましょうという方針に変えたのが1点でございます。
さらに、起こるのであれば、上流域、中流域、それから下流域、特に都市水害、それぞれの地域でどうしていけばいいのかという具体策をいろいろ盛ったと。さらには、対策が完成するまでに時間がかかりますから、中間的な段階でもやれることをやろうじゃないかと。例えば中流域では輪中堤、かつて住居を守る輪中堤というのがございましたが、そういうような緊急対策的なものもやろうじゃないかと。そういうことを盛り込んだのが今回の中間答申でございます。
そういう意味で、先ほど議員から脱ダム宣言的考え方との関連を問われておりますが、中間答申は脱ダム的考え方とは異なるものであるというふうに御理解をいただきたいと思います。
それから、砥川のダムによらない治水対策につきまして、これから住民の合意を得、計画が具体化した時点で事業手法を検討していくわけでございますが、先ほど新しい補助制度が必要なのかという御質問でございましたが、先ほど御説明いたしました五つの代替案にしましてもあるいはその折衷案にいたしましても、現在の河川行政の中で、従来の補助制度の中で対応できるものでございまして、今回中間答申が出たからといって新しい補助制度を考える必要はないということでございます。
以上でございます。
〔33番母袋創一君登壇〕
◆33番(母袋創一 君)まず、知事に申し上げたいんですけれども、答弁を求めていないようなことまで懇切丁寧に御答弁いただいて、私も単純な男ですから混乱をしますので、質問事項だけで結構ですので、御答弁はそういうことでお願いしたいと思っております。
パフォーマンス云々については、実態のあるパフォーマンスということを言われました。私は、テレビ画面等でしかわからないんですけれども、お年寄りあるいは障害者あるいは子供たちと接する態度、あるいはいろんないたわり的な言葉も投げかけられておられるし、知事が涙をされるというような場面もテレビで見るんですけれども、何となく表面的なものしか感じられないというのは一体どういうことなんだろうか。私の理解不足なのかよくわかりませんけれども、そういった感を受けます。
また、パートナーシップ云々につきましては、これは、市町村にしろ職員にしろ議会にしろ、知事みずからが積極的にアプローチしていく必要がある。ただ言葉だけの問題としかどうも私ども受けとめられないわけでございまして、そういうことであってはやっぱり前進はない。ぜひとも具体的な対応をしていただきたいということでもございます。
それと、パートナーシップの中で、市町村長あるいは議会のいらだちというのはかなりなものになってきているように感じております。特に、知事との面談決定ということになりますと、我々としてみれば、だれがどういうふうに決めているのかがわかりにくいんでありまして、何となく恣意的に行われているんじゃないかとか、あるいは不透明な部分が多分にあります。こういった問題はオープンにしていただきたいと思っておりまして、その辺の基準的なものについて総務部長にお伺いいたしたいと思っております。
それから、トップダウンかボトムアップということになります。それぞれ手法があろうかと思いますし、私は、すべてどっちかということでもないから、それは物に応じて決めていくということでよろしいんでありますけれども、例えば、今回の予算編成過程に知事のこのトップダウン手法というものが極めて突出していたように思えてならないんであります。税金を使っての事業ということでございますので、特に減額された事業の根拠が県民には全くわからない。何となく密室で断が下されたんじゃないかな、こんな気がしてならないんであります。今回の予算編成において、知事の反省点というものについて御所見をお伺いいたしたいと思います。
それから、脱ダム宣言についてでありますけれども、知事は12月の議会で緑のダムという言葉を2回使われたと申し上げました。たまたま、いろんな本が売り出されておりまして、私も、知事が脱ダム宣言をされた2月20日付の発売の本を2冊買ってまいりました。一つが、天野礼子著の「ダムと日本」、一つは、「公共事業は止まるか」、これは先ほど私が名前を挙げました五十嵐敬喜さんという方が書かれております。この「ダムと日本」の内容を見ておりますと、まさに知事がこれまでくんできたスタイルそのものであります。理念も全く一緒であります。
そして、緑のダムというのは、そもそも、民主党の鳩山由紀夫代表が、私的機関とでも申しましょうか、ある委員会に諮問をした、このように承知しております。その答申結果というものを見ましたら、言い方も知事とそっくりなんであります。緑のダム構想の中でいわれていることは、河川行政の目標をコンクリートのダムから緑のダムに切りかえなければならない、そして、緑のダムの効用、費用、そういったものについても言及されておられますし、また、緑のダム構想を実現していく上にあっての手順といったものもこういう言い方をしております。「我が国で現在計画されているダムをいったんすべて凍結する。計画中のダム及び現在運用されているダム全てを「見直し委員会」で再検討を行う。」、「見直し委員会は専門家と市民によって構成され、行政は加わらない。」とか、健康な森林は国土保全のかなめであることを確認し、緑のダム構想を実現するため、現行の環境庁、林野庁、農水省に建設省等々を加えて国土保全省という新しい省をつくったらどうかと、さらに加えて、全国の森を愛する人たちの参加を求めて間伐や植林をしていくんだと、こういうことのようでありまして、私はこの構想を去年から知っておりましたけれども、どうも見ておりますと、この手順やら発想が全く一緒だなと。要するに、こういう方々と相談して知事のダム発言になったんじゃないかなと、このように思いますが、その辺の経緯について明確な答弁をお願いしたいと思います。
それと、先ほど答弁漏れがあったかと思いますが、メンバー人選についてでありますけれども、県内のメンバーというものについては含まれるんですか。県内の学識経験者、そういった皆さんからの選出はあり得るんでしょうか、それもお聞きしたいと思います。
それから、先ほど浜議員の質問の中で、知事は脱ダム宣言に触れまして、手続上民主的であったと、こういうことを言われましたが、私、新聞で見たんだけれども、4日の日曜日の新聞には、電機連合の会議に呼ばれて、その講演の中で発言された内容が書かれてありました。「手続き上、民主主義ではないと新聞各紙が言っているが、そうだとも思う」と、こういうふうに述べたようであります。これは、今回の知事答弁とは違う感があります。この点についての所見もお願いしたいと思います。
それから、先ほど建設業界との意見交換をしていくということでありますので、この点だけはしっかりと真摯な態度で業界との意見交換をしていただきたい、このように思っております。
それから、きょうの信毎、そしてたまたま同じく出た「週刊現代」に載りました。知事と杉原特別秘書との関係に大きな溝が生じたということであります。時間がないので細かくは申しませんが、私たちは、杉原特別秘書については大変一生懸命やっているということを県職員の皆さんからお聞きする、私も二、三度しかお話ししたことはないけれども、真剣になって耳を傾けてくれる、そういったことからして評価をしておりました。そういう中で、溝ができたということは、県民にとっても不幸せなことでございますし、我々としても大変残念に思うわけであります。特に、この「週刊現代」によれば、「側近に裏切られた」というセンセーショナルな見出しの中で、杉原氏を、反田中勢力、守旧派に魂を売ったと。まさに背信行為と断じているようでありますし、さらに知事のコメントとして、「杉原秘書は、突如マスコミの脚光を浴びたために、勘違いしてしまったのでしょう。ずっと一緒にやってきただけに、残念です」、こういう言い方もしておりますが、私は、またまた性懲りもなく、最も信頼すべき部下に対するコメントとは到底思えない発言かと思います。知事のコメントは、私には、逆に、杉原特別秘書からあなたへのコメントと思えてならないのであります。こういった報道に対しましての知事の所見を伺います。
以上にて2回目の質問を終わります。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)御質問に順を追ってお答え申し上げます。
まず、パフォーマンスではないかと、表面的ではないかということでございますが、これに関しては違うと、改めて申し上げます。
そして、市町村とのパートナーシップをより具体的にという御質問でございますが、私は、従来から申し上げているように、今の御質問の言葉にさらに勇気づけられて、4月以降は県内の合同庁舎で執務を行い、各市町村長の方々と一緒に現場を回り、多くの皆様と話をする、さらなる行動する県知事を目指したいと考えております。
続きまして、ボトムアップ、トップダウンが突出しているではないかという御質問でございますが、その点に関しては当たらないというふうにお答え申し上げます。
予算編成に関しての反省点ということでございますが、これは、10月の就任以来の限られた時間の中で私なりに全力を投球してきたと思っておりますし、また、それを支えてくれたのは、繰り返し申し上げておりますが、多くの私どもの職員であったと感謝をいたしております。
反省点といたしましては、例えば、私が、どのような経過で議論が行われて予算をつけられてきたのであろうかと少なからず疑問を抱くような何年間にもわたっての巨大な公共事業や、あるいは学校や病院でのあり方というものがございました。資料を求めましたが、残念ながら、請願の書類あるいは最終的な決断の判こという書類はあっても、その間に県民の皆様の税金を多く用いるそうした学園のあり方というもの、またその見通し、またその見通しが外れた場合にいかなる対処を県としても求めるのかといった、さまざまな想定される問題に関しての議論の記録がほとんどなかったことは、いささか残念な点でございます。
そしてまた、皆様は既に御存じであられるとは思いますが、債務負担行為という言葉に代表されるような長い年月にわたっての公共事業の場合に、私の就任以降ではいかんともしがたい、予算は13年度以降の計上であっても12年度以前において発注を済ませているといった事業もございます。
さらに、私としては、公共投資の新たなあり方を模索してくる中で、例えば介護保険に関しましては、国もまた非常にきめ細かい数多くのプログラムを用意いたしておりますが、これは、各市町村の現場の首長の方がその中からどのようなプログラムを選択なさるかということによって各地域の介護におけるサービスの実情も変わってくるわけでございます。これは、地方の自立という中で、仮に、私や県が、これは県内であまねく行いたい介護保険のサービスであるというふうに思いましても、各市町村の皆様の御理解と御決断がなければかなわぬ部分があるわけでございます。
私は、従来から言われておりましたような、バス停を移すのに膨大な書類がかかるようなそうした行政指導という形ではない対極の場所、つまり、私どもの多くの県民が望むであろう県民益を、4月以降各地域を回り、市町村の多くの責任ある立場の方とも具体的な場所でお話する中で、例えば今申し上げた介護保険に関しても県内において求められているサービスが市町村において格差なく行い得るような、そうしたより望ましい一体化した行政のパートナーシップを結んでいきたいということが、今回の予算を組みましての改めての私の反省点でございます。
そして、先ほど来の緑のダムに関しての御質問の部分でございますが、脱ダムというその求める方向は一緒でありますし、先ほどお名前が挙がりました両名は、最初の御質問で挙がりましたお名前の中の2名の直接の知己を得ぬ方とは異なり、お目にかかったことはございます。けれども、そのプロセスというものは、私の理念と緑のダムという民主党が掲げてきた理念とが同じ方向にあったということでございまして、この経緯あるいは私の決断というものは、私が長野県内の現場を訪れ、地域の方と話し、数多くの資料を繰る中で至ったものでございます。
浅川の検討委員会に関しての御質問でございますが、これは、もちろん、県内の委員の方を選出するということは大いにあり得ることでございます。
そして、プロセスが民主主義的ではなかったのではないかという点に関しての御質問でございますが、過日の新聞記事の報道は、私の記憶しておりました私の発言の趣旨とはいささか異なるものでございまして、当日の録音のテープを起こしましたところ、しばしお聞きいただければとは思いますが、私は以下のように申し上げております。
最初に私は、中学生や高校生からもすごくメールが多いと。長野県だけでなくて全国から、みんな今の日本は息苦しいと思っているし、大人も、また今まで自由民主党に入れてきた方々も、今の日本で大丈夫かと思っていると。大丈夫じゃないと思っているが、次に変わることは、変化は、明治維新と同じくらい大きく、次にこれですとすぐにプログラムでは用意できないかもしれない。けれども、用意できないからカンフル剤をずっと打っていいんだろうかと思っているということだと。脱ダム宣言での手続上、民主主義じゃないとずっと各新聞の人たちが言っている。そうだとも思います。でも、やはり私は、200億円が国から来るからつくるという形ではなく、本当に治水の原点は何なのか、しゅんせつから始まるのではないかというところから議論していかないといけない時代だと思っている。フィリピンでマルコス政権がつぶれたときに、チリでピノチェト政権がつぶれたときに、日本の新聞はみんな、すばらしい民主主義の到来とか言ったが、そのときに現地の人々がやったことは実は民主主義じゃないかもしれませんね。マルコス政権が民主主義だったかどうかはわからないが、一応選挙によって選ばれた政権だった。それをみんなで民衆が倒すのは、民主主義の挑戦とも言える。でも、大事なのは、その先に私利私欲のない人たちが集って、どんな、いまだにフィリピンは困ったものかもしれないが、もっとよりよい世界にしていこうということが大事だったと思うと申し上げております。ですので、私は、新聞で部分的に報じられましたものとは異なる見解をこの電機連合長野地協の会議で述べているわけでございます。
そして、業界との意見交換という点に関してでございますが、これは御指摘のとおりで、今後も私は、皆様と一緒に、業界の方々とも活発に意見を交換してまいりたいと思います。
最後に、特別秘書に関しての御質問がございましたが、私は、彼とは、県知事就任前からの、神戸の住民投票運動の時代からの友達でありまして、そして、私はまた、10月26日来、彼とともにある意味では落下傘のごとくこの県庁へと舞い降りたわけでございまして、彼のまさに的確な助言やまた彼の行動力がなければ到底今日の田中県政というものはあり得なかったと、このように私は考えております。けれども、御指摘のように、下諏訪ダムを初めとする問題に関しまして見解の相違が結果として生まれましたことに関しては残念なことであると、このように思っております。けれども、彼の今までの奮迅ぶりに関しては、私は、依然として大いに感謝をしているものであります。
以上でございます。
〔総務部長青木輝政君登壇〕
◎総務部長(青木輝政 君)お答えいたします。
パートナーシップに関して、知事との面談ということでお尋ねでございますが、知事におかれましては、県事業を遂行する上で市町村との連携、協力が不可欠であり、市町村とのパートナーシップの重要性を説いております。したがって、知事との面談につきましては、秘書課において事前に知事の日程を調整した上受け付けておりますので、随時秘書課のアポイントをおとりいただくようお願いするところでございます。
〔33番母袋創一君登壇〕
◆33番(母袋創一 君)時間がございませんので要望だけ申し上げますが、知事は議会の声に聞く耳を持っていただきたいと思うし、しなやかな思考回路を持ち合わせているのかどうか今回まさに試されている部分もあろうかと思っております。配慮とか思慮が及ばなかったことを率直に認めながら、私は、撤退とは申しませんけれども、勇気と常識の選択を、そして間違いのない一歩を踏み出していただきたいと、このように思います。
最後に、もう一つ質問がございます。
今、警察にいろんなことが持ちかけられておりまして、特に行政サイドの相談内容についても警察に幾つかの相談が参っているようでございます。
能書きは抜きにしまして、質問だけ申し上げます。
ここ数年、住民から寄せられる相談は、どのような相談内容のものが何件ぐらいあるのか。
二つ目に、どのような背景から相談窓口体制の強化を行うことになったのか。
三つ目、相談窓口の体制充実は、組織の見直しを含めてどのようになっているのか。
以上、答弁願いたいと思います。
〔警察本部長松田広光君登壇〕
◎警察本部長(松田広光 君)警察の相談体制についてのお尋ね3点は相互に関連しておりますので、まとめてお答えいたします。
昨年、県警察に寄せられた相談は7,288件で、前年比プラス4,488件、約2.6倍と大幅に増加いたしております。
内容は、迷惑電話、悪質商法などの防犯問題が3,270件で全体の45%を占め、次に、金銭貸借、損害賠償などの民事問題が1,583件で22%、対人関係、家庭不和などの家事問題が1,246件で17%、その他交通問題などが1,189件で16%となっております。相談事案は年ごとに増加し、他機関所管にかかわる事案も多くなるなど、その内容も多様化しておりまして、これらの傾向は今後も続くものと考えられます。
こうした中で、一昨年来、相談業務に対する的確な対応を求める声が全国的に高まり、警察刷新会議の緊急提言の中でもこの点が取り上げられ、また、この提言を受けた警察改革要綱においても警察安全相談体制の充実強化などが示されましたことから、全国警察の喫緊の課題として取り組んでいるところでございます。
県警察としましては、相談に対する全警察職員の意識改革を図るとともに、昨年4月、各警察署に相談員などを指定して体制を整備し、相談者の立場に立った適切な対応に努めているところでございます。
また、新年度からは、警察本部の生活安全企画課内に警察安全相談室を設置し、警察署に専従の警察安全相談員を配置して相談受理体制を強化するほか、相談者のニーズに的確に対応するため、関係機関とのネットワークの構築などを行っていくこととしております。
今後におきましても、県民が切実な思いで解決を望んでいる相談事案に対しましては、誠実かつ適切に取り組んでまいる所存でございます。
以上でございます。
〔33番母袋創一君登壇〕
◆33番(母袋創一 君)警察への相談件数が大変ふえているということ、私が心配するのは、本来業務に支障がある一般的な生活相談が非常にふえているということをよく耳にするわけであります。そういった意味からすれば、県の出先、保健所とかあるいは地方事務所、あるいは市町村サイドの問題があろうかと思います。そういうものに対して、今、住民はいろんな小さな相談にも応対してもらいたいという願いがあるわけでございまして、県としてその出先等々でそういった相談体制の充実を図る意思がないのかどうか、その点について最後に知事の答弁を求めたいと思います。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)広範多岐にわたる県民からの御相談に適切かつ迅速に対応するためには、関係機関、特に警察との緊密な連携は大変重要であると、このように考えております。こうした観点から、昨年12月には、初めて警察本部と共催で相談業務担当者会議を開催いたしました。知事部局はもとより、教育委員会を含む各機関の相談業務の内容、受付時間、連絡先等を掲載した相談窓口一覧を用いまして理解を深め、相談業務に関係するすべての機関のさらなる連携強化を確認したところでございます。
また、それぞれの地域におきましても、警察署と各地方事務所等県の機関の窓口相互の連携を図るため、関係機関による連絡会議を随時開催いたしております。
さらには、先ほど申し上げました相談窓口一覧を、県庁だけでなく、各地域の関係機関へも配布し、土日、夜間であっても緊密な連絡がとれるように一層の連携強化をお願いしたところでございます。
また、御質問にもございましたように、質問の内容によりましては県よりも市町村の方が適切に対応できることもございますので、こうした場合には県から市町村へ円滑に引き継ぎを行うなど、市町村との連携も大変重要であると認識しております。
いずれにいたしましても、今後も、県民の皆さんの立場に立った的確な対応ができるように警察や市町村との関係強化に努めてまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
○議長(吉田博美 君)次は鈴木清君でありますが、同君の質問事項中、選挙管理委員会の所管に属する事項が通告されておりますので、これに対する答弁のため
選挙管理委員会委員長中村幸枝君の出席を求めましたので、報告いたします。
鈴木清君。
〔7番鈴木清君登壇〕
◆7番(鈴木清 君)鈴木清でございます。大分時間も押してまいりましたけれども、知事並びに理事者諸兄、そしてまた議員諸先生方には、しばしおつき合いをいただけたらとまず申し上げまして、質問に入らさせていただきたいと思います。
田中県政誕生後、今回初めての質問の機会をお与えいただいたことに感謝し、住民の目線の高さから、地域の思いを背景に、順次知事及び関係理事者にお伺いをしてまいりたいと存じます。
さて、去る2月3日の新聞報道によりますと、国は国立療養所東長野病院の結核病床を廃止する方針を決めたとのことですが、かつて96年末には、当時の厚生省が心臓血管外科を廃止する基本方針を決めた際、地元が強く反対し、規模縮小による診療継続へ方針を転換した経緯もございました。当時の記憶をたどってみますと、地域の各種団体、住民挙げての存続運動であり、まさに党派を超えて熱い思いを国会議員を通じ国に働きかけた経緯もございました。
仄聞するに、県としては、国の方針を受けて、須坂病院への入院患者を移送する案も検討とのことですが、現状このまま病床廃止ということになれば、北信地方には結核で入院できる施設がなくなる事態も予測されるわけであります。特に、当該地には隣接して
特別養護老人ホーム松寿荘もあるなど、地域住民としても軽々に看過し得ないわけであります。
結核というものが、戦前戦後の一時期を除いて減少しているといわれておりますが、本県においては結核患者の増減はどのように推移しているのか。仮に厚生労働省の方針どおり決定されたとすれば、県としても、入院患者に対する対応及び国への働きかけも含め、どのような見通しなのか、お伺いいたします。
なお、大変長い歴史を誇り、地域住民の保健、医療のよりどころとして親しまれてきた国立療養所東長野病院の将来展望について、それぞれ衛生部長にお伺いをいたします。
さて、田中知事にお伺いをしたいと存じます。
旧臘12月議会、そして本議会と、知事の御答弁から、意気込みや御自身の発言に対する思い入れというものを拝聴してまいりました。本議会においても、特に、知事は、県民の声や意見を集約し、県民とともに歩むと発言されておりますが、その手段として対話集会や車座集会を実施するとともに、県民の声を受けとめる手段としてメールやインターネットによる方法等を特に重視しておられるようですが、若干危惧する面もございます。特に、長い経緯と論議の中から出された結論に対し、住民集会の場で唐突に中止もしくは検討を表明されておりますが、その場合、事業予定地の住民に特定し意見の集約とするのか、当該地以外の県内外の参加者も含め、たまたま一過性の参加者であっても地元の住民としての範疇とお考えなのか、まず明確にしていただきたいと存じます。
また、メールやインターネット文書等による方法も県民の声として政策決定の参考にされておられるようですが、その手段を持ち得ない県民の立場からすれば、県政に対する広聴のいわゆるデジタルディバイドの事態にもなりかねず、偏った特定の意見のみが集中することが極めて心配されるわけであります。住民集会における地元及び県内外の参加者の構成比率に対する受けとめ方と、メールやインターネットを通じての県民の声が県民大多数のものであると受けとめておられるのかどうか、まずお伺いをいたします。
ところで、私の議席は、舷舷相摩す前列中央ということもあり、好むと好まざるとにかかわらず、知事の華麗な装い、ファッションを拝見させていただいておるわけですが、知事は常に、終始一貫、胸にトレードマークと申しますかブローチを、テレビ出演、雑誌対談の際も片時も離さず身につけておられるようですが、どんな経緯で誕生し、いつから、どんな思いで日ごろおつけになっておられるのか、甚だ愚問とは存じますが、お聞かせ願いたいと存じます。
関連してお伺いいたしますが、そのブローチは、昨年挙行された選挙戦のシンボルマークとも一部の方々から御指摘されたことを耳にしたことがあります。もし仮にそうだとすれば、知事という公職にある立場で、まして220万県民のために実務者として奉仕するという知事の日ごろの発言からされても、違和感を感じるのは私だけでしょうか。この際、関係法令等に抵触するのかどうか、特に選挙管理委員長には急遽遠方より御足労いただいたことに感謝申し上げますが、委員長並びに警察本部長に御見解をお伺いいたします。
引き続き、お伺いをいたします。知事と県職員との理念の共有についてお伺いいたします。
本議会でも、職員との信頼関係、意思の疎通を危惧する質問が各議員から幾度となく寄せられております。まず理念ありきという知事の姿勢は理解できないわけではありませんが、具体的な施策の展開、事業の実施ともなれば、当然、部局長初め職員に至るまで知事とともに歩みを始めなければなりません。つかさつかさが機能し、まさに拳々服膺、一体となって県民のために奉仕することができるかどうか問われているわけであります。知事御自身、理念の共有化は図られたと思われるのか、率直な御感想をお伺いいたします。
反面、知事は職員との乖離を助長するような言動はなかったのか、自身顧みて、人事も含め、率直な御見解を承りたいと存じます。
さて、本題に入らせていただきますが、まず最初に確認させていただきたいと思います。公共事業の考え方として一般論としてとらえるならば、歴史的な経緯や地理的条件、地勢も含め、それぞれ独立した事業であり、まず行政がなすべきことは、住民の生命、財産を守る観点から対応しなければなりません。ダム事業そのものも地域事情に即して考えるべきかと思われますが、いかがでしょうか。知事の御率直な御見解をお伺いいたします。
本議会代表質問でも質疑が行われました脱ダム宣言では、文中、「出来得る限り、コンクリートのダムを造るべきではない。」と発しておられますが、宣言文を眼光紙背に徹するならば、他の方法が見出せない場合はコンクリートダムも選択肢に入ると解しますが、いかがでしょうか。御見解をお伺いいたします。
引き続き、お伺いをいたします。
知事は、浅川について、過去の災害の歴史、形状等どのように認識しておられるのか、まず御所見をお伺いいたします。
なお、知事は、昨年12月議会で、私ども県政会高橋議員の質問に対し、伝聞、推定では答弁できないとし、お答えをいただけなかった事項がございました。私なりきに関係資料を調べさせていただいたところ、たしか昨年11月22日、浅川ダム関連の現地視察の際、めがね橋付近において地元住民及び関係職員の一問一答の中で発した知事自身の御発言を復唱いたしますが、神戸の状況を見ている私としては、これでもしダムの私たちが計画している以上の事態が起きたときには、私たちは個人補償しかないんでしょ。それだったら、私は、長野県だけでできることかどうかわからない、建設省のおつむを変えていただかないと困るんだけど、個人補償の道を開いておく方がいいんじゃないかって気も私はずっとしているんだとの発言であります。もし万が一の際の個人補償の道もとに対して道を、「も」と「を」の一字違いであっても基本的な考え方は全く逆であります。今もって知事御自身のお気持ちの中に個人補償の道をまずありきとお考えがあるのかどうか、率直な御答弁を願うものであります。
浅川治水に関しては、既に御案内のとおり、古来より幾度となく洪水が派生し、流域住民にとり、苦難と恐怖、忍従の歳月を送ってきたわけであります。流域住民9万人の生命、財産と3,070ヘクタールの区域をはんらんから守るために、河川総合開発事業として今日まで取り組んできたものであります。一時工事中止の現況は、用地補償は15.0ヘクタール、建物移転16戸、工事用道路3,876メートル、仮排水トンネル338メートル等すべて100%進捗し、つけかえ道路も延長4,048メートル95%が完了し、ダム本体と地すべり対策工事を残すのみとなっております。総事業費400億円のうち、平成11年度までに199億5,700万円が執行され、進捗状況は約50%となっているわけであります。
当事業に関しては、昭和51年、河川改修単独案で地元に説明をし大方の御理解をいただいているわけでございますけれども、必要とする用地や家屋移転が多く受け入れられなかったため、ダムによる洪水調節と川幅の狭い改修案をセットにして今日まで取り組んできたわけですが、既に河川改修工事が80%の完成となっております。当時の論議を思い起こし、ここで改めて、当時検討された河川改修案、遊水池案、バイパス河川案、長沼川ショートカット案について、なぜ事業として取り組むことができなかったのか、土木部長より、当時の状況と経緯をお伺いいたします。
さて、私は、本年1月より2月にかけて、地元の若槻、浅川地区で車座集会を重ねてまいりました。県政報告にあわせて、浅川治水に関する率直な御意見をお聞きすることができました。そこで、それらの論議を大別すると、父祖代々その地で生活を営み、浅川の特異性と災害の歴史をいわば遺伝子として体得されておられる方々はダム建設の必要性を理解し、比較的新興住宅に住まいされた方々は不要という傾向が如実に見られたことであります。ダム不要あるいはダム建設反対を唱える方々の声を集約すると、大方は危険であるとの声が大勢でありました。本当にダムは不要なのか、危険性があるのか、客観的な観点から土木部長にお答えをいただきたいと存じます。
引き続き、土木部長にお伺いいたしますが、まず浅川ダム建設の反対意見の要点は、ダムの安全性であります。平成5年より長野地方裁判所への申し立てや提訴がされており、現在も2件が係争中であります。したがって、安全性についての調査、その経緯と結果についてお伺いをいたします。
関連して、昭和59年の長野県西部地震や平成7年の阪神・淡路大震災等と近傍ダムの損傷状況についてお伺いをいたします。
次に、住民の記憶に残る昭和60年の地すべりが発生した地附山災害のような危険性について、さらに、長野市の災害基本図に示されているダム建設地近くの断層についてであります。それぞれ率直な御見解をお伺いいたします。
また、最近の災害事例として、平成7年7月の豪雨災害があります。小谷、戸隠、鬼無里村には大雨が降り、浅川の直近河川である裾花川と鳥居川でも大規模な洪水被害が発生した経緯がありました。浅川では幸いに、避難勧告が出されたものの、堤防決壊がなかったわけですが、もし浅川流域で同様の降雨があった場合どのような被害が想定されるか、御所見をお伺いいたします。
さらに、平成7年7月豪雨時において、奥裾花、裾花ダムの果たした役割をどのように評価されておられるのか、これまた御所見をお伺いいたします。
また、浅川の水害は、千曲川からの洪水の逆流を防ぐため、合流点の水門を閉めることにより浅川の水や用排水路があふれ下流低地が浸水する内水によるものと、浅川そのものがはんらんや決壊する外水によるものがありますが、これらの内水と外水の洪水に分けてのダムの効果はどのようにお考えなのか、お示しいただきたいと思います。
ここで、田中知事にお伺いいたします。
2月28日の私どもの代表質問に対する緑のダム治水効果に関する知事答弁の中で、知事は、森林の土壌中の雨水の浸透能力は、一般には1時間当たり200から300ミリの場合が多く、自然の降雨強度ではほとんどすべて浸透可能であると言われておりますが、実際の最大保留量は、浸透能力より小さい値を示すことが多く、約150ミリ程度とも言われておられます。この答弁だけをお聞きしていますと、1時間当たり150ミリもの雨を森林が保留するというように聞こえます。平成7年の長野県北部の大災害でも、戸隠村で1時間当たり最大40ミリ、信濃町でも30ミリの降雨であり、知事答弁のとおり150ミリもの雨を森林が保留できることになりますと森林のある地域では洪水が起こらないことになりますが、実際は多くの箇所で災害が起こっております。
そこで、浅川上流部の森林の保水効果をどのくらい見込まれると考えておられるのか。
2点として、また、その森林の保全が抜本的な治水対策となり得るのかどうか。
3点目として、平成7年7月には、森林が保全されていると思われる地域にも、流木となって橋梁などに引っかかり大きな災害を引き起こしているが、どのようにお考えになられておられるのか、でき得る限り具体的な数値等をお示しいただき、お答えいただきたいと存じます。
先ほどの母袋議員のお尋ねと若干重複いたしますが、知事は、昨年12月29日、たしか、民主党代表鳩山由紀夫氏より諮問された公共事業を国民の手に取り戻す委員会座長五十嵐敬喜法政大学法学部教授とお会いになっております。ちなみに、諮問事項を精査させていただきましたが、諮問事項として(1)から(7)まであり、あわせて「公共事業を国民の手に取り戻す委員会─日本の自然を再生させるために」より、趣旨を拝読させていただいた部分を御紹介申し上げますが、余りにも知事の脱ダム宣言と基調が似ており、まさに同工異曲であると申しても過言ではありません。都合15ページにわたる小冊子を手にしてみましたが、「1.日本の河川とダムの現状」、「2.その破綻」、「3.問題点」、「4.外国の河川行政とダム対策」、「5.新しい河川施策=緑のダム構想」と記述されておりましたが、今後、本県におけるダム事業に対し緑のダム構想が本当に実効性があると思われるのかどうか、私見も含めてで結構です。土木部長にお伺いをいたします。
次に、浅川下流域はリンゴを中心とした果樹園が多く、さらに長沼田んぼと称される稲作地帯でもあります。これらの内水はんらん区域の農地防災に対する取り組みを農政部長にお伺いをいたします。
ところで、昭和60年、関係行政機関が一堂に会した浅川流域治水対策等連絡会が設置され、さまざまな治水対策の方向を定め、この連絡会は、当時、画期的な評価を得たものと理解しておりますが、その理念とダムの位置づけはどうだったのか、今後このような組織の立ち上げはあるのかどうか、お伺いをいたします。
終わりに、今後の取り組みとして、排水機場の設置や千曲川工事事務所を通じての国への働きかけが肝要と思われますが、見通しについてお伺いいたします。それぞれ土木部長にお伺いいたします。
以上をもって第1回の質問とさせていただきます。
なお、知事にお願いいたしますが、知事独特の修辞表現、質問に対する換骨奪胎を踏まえ、自家薬籠中のものとし、御自身の言葉が一般的な答弁となっている部分もかいま見られておりますので、簡潔に要を得た率直な御答弁を御期待申し上げます。
〔衛生部長小林文宗君登壇〕
◎衛生部長(小林文宗 君)お答えいたします。
国立療養所東長野病院の結核病棟廃止についてのお尋ねでございます。
初めに、結核患者の増減はどのように推移しているかについてでございますが、結核は、かつて国民病といわれた時代がありましたが、生活水準の向上や医学・医療の進歩により大きく改善され、罹患される方の数も著しく減少してまいりました。
しかし、近年、その傾向が鈍化してまいりまして、国全体では、平成9年には新たに罹患された方の数が38年ぶりに増加に転じ、以降3年連続して増加している状況にあります。
本県におきましても全国とほぼ同様の傾向であり、平成6年以降は横ばいないしやや微増で、年間約350名から400名の新たな患者が発生しております。
次に、入院患者への対応及び国への働きかけについてでございます。
最近5年を見ますと、東長野病院には一日当たり約29名の方が入院されておられます。治療や薬の進歩により入院期間も年々短くなっておりまして、東長野病院では平均約2カ月の入院期間となっております。
県におきましては、平成14年度に改修を予定しております須坂病院の西棟の整備の中で結核病床を30床程度設け、北信地域における結核病床の継続的な確保を図ることといたしました。須坂病院の結核病床は早くて平成15年4月の供用開始を予定しておりますので、それまで東長野病院の病床運営を延長されるよう引き続き国等に強く要請してまいりたいと考えております。
東長野病院の集約化の時期は明確に示されておりませんが、病院では療養途中での転院をできるだけ避ける意向であると伺っております。今後とも、東長野病院と連携を十分に図り、患者の方々に大きな負担がかからないようにしてまいりたいと考えております。
東長野病院の将来展望についてでございますが、国は、平成10年6月に成立した中央省庁等改革基本法等において、国立病院・療養所が担う政策医療については国として担うべきものに特化することとし、国立病院・療養所の再編成計画の見直しを行っております。その中で、東長野病院については、今後、重症心身障害に対する医療を主体とする専門医療施設として運営する計画となっており、現在、東長野病院において、診療科目の見直し等も含めて、病院のあり方について検討中であると伺っております。
以上でございます。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)ただいまの鈴木議員の御質問に順を追ってお答え申し上げます。
対話集会参加者の構成比率でございますが、県民の車座集会や個別事業にかかわる対話集会では、会場の都合など、特別な事情がない限り参加に制限を加えることはいたしておりませんし、またそうした形はとるべきではないと考えております。
そして、これらの集会に当たっては、どのような立場、どのような視点からの御発言かを踏まえて御意見を拝聴するように心がけております。このため、集会では、お名前とお住まいを市町村名に関してお名乗りいただいた上で、また、個別事業にかかわらず、対話集会では地区名に関してもお名乗りいただいた上で御発言をいただくよう当初からお願いいたしております。
昨年の11月22日に開催いたしました浅川ダムにかかわる知事と地域住民の対話集会においても約30名の方々から御発言いただきましたが、それらの方々はすべて長野市内及び豊野町にお住まいの方であられました。
県民の皆様からの御意見は、御指摘のEメールやインターネットにとどまらず、お手紙、ファクス、ようこそ知事室へ、あるいは県民の車座集会、各種集会、視察現場のほかにも、市町村長の皆さんや私どもの職員を通じて、あるいはマスメディアの報道を経由して、あらゆる機会、あらゆるチャネルを通じて伺い、また、時には街角で声をおかけいただく方々ともお話し合いをすることによって、そのすべてに耳を傾けるように努めております。
県民一人一人が意見を発信する手段は、私は、より一層開かれていかねばならないと強く考えておりまして、IT化の進展に伴い、先ほど御指摘がありましたデジタルディバイド、いわゆる情報格差というものは大きな課題として認識しております。このデジタルディバイドに対する、ある意味ではアナログディバイドとも呼ぶべき周囲のサポーター、つまりは、支持者からの意見のみに拘泥することのない開かれた県政の運営を私は行ってまいりたいと思います。
先ほどの質問は、Eメール等が私の判断を誤らせるのではという御危惧かとも思いますが、従来から申し上げているように、私は、Eメール以外でもさまざまなチャネルを通じて御意見をちょうだいいたしております。また、賛否どちらが多かったかとか、いわゆる数値に基づいてのみはかるのではなく、たとえ少数意見であられても、それぞれの方々がしなやかに自分の言葉で本音を語ったものであるならば、それを見出し、私自身もまた一人の市民としてみずからの市民感覚に基づいて、民主主義のプロセスの中で県民とともに着実に実行に移してまいりたいと考えております。
胸のブローチに関しての御質問でございますが、このブローチは、長野県の動物でありますカモシカを、県の県獣として指定されておりますカモシカをデザイナーズ電報台紙にもイラストレーターとして起用されている安斎肇氏の手によりデザインしていただいたものであります。この、本日もつけておりますフェルト地のブローチの形に仕上げてくださったのは、塩尻市にお住まいで体に重度の障害を持たれる御婦人であられまして、これは、幾つか私も持っておりますが、すべて手づくりの作品であります。県民が私に期待している県民の声なき声を聞き、県民の目線で考える知事でいつまでもいてほしいという熱い思いが私としてはこのブローチに込められていると考えるため、常にこのブローチを胸につけさせていただいております。
政治姿勢についてでございます。
職員との理念の共有の問題に関してでございます。
職員との理念の共有は、私がさまざな機会を通じて県民、職員の皆様にメッセージを発し、また、職員の車座集会、各部局からの事業説明、新年度予算の知事査定等の機会を通じて直接話をすることにより図るよう努めております。とりわけ、出納長、総務部長、企画局長等の県の幹部職員とは頻繁な情報交換、話し合いをしており、私といたしましてはその理念を徐々に着実に御理解いただいていると考えております。けれども、県政の基本理念が県民益の実現へと大きく転換を図る中で、従来の行政手法になれた職員の中にはまだ戸惑いを覚えてらっしゃる方もいらっしゃるのではなかろうかとは思います。また、私の一部の発言に関し誤解を招きかねない部分があったのも事実でありまして、これはさきに申し上げましたように、より一層注意するとともに、今後、理念の共有化のために職員とのコミュニケーションも、これもまた方法に関しては既に御説明申し上げましたように、よりよい信頼関係を築いてまいりたいと思います。
そして、県の幹部職員のみならず中堅そして若手の職員、また県庁のみならず各地域の現場で奮闘する職員とも直接対話をする時間を設けることを、4月以降も引き続きさらに積極的に進めたいと考えております。
いずれにいたしましても、県政を運営するに当たっては、私が、私利私欲のない判断、また公明正大な決断と県職員が持つ豊富なデータや専門的な知識や経験をお互いの忌憚なき議論により融和させ、真の県民益にかなった県政を実現してまいりたいと考えております。
ダム事業に関してでございます。
大仏ダム、浅川ダム及び下諏訪ダムに関しては、これまでに、それぞれの地域事情も承知した上で、知事としての責任と権限の範囲内においてそれぞれの決断を行ってまいりました。そのほかの本体工事未着工の6ダムにつきましても、今後、脱ダム宣言の理念に基づき、それぞれの現場へ出かけ、多くの意見をお聞きし、また多くの資料を繰り、その上で最終的に理念に基づき判断をしてまいります。
そして、ダム以外の方法が見出せない場合についてという御質問がございましたが、これは、治水、利水についての調査、検討及び住民の皆さんとの話し合いの中でコンクリートのダム以外の方策を考えてまいりたいと繰り返し申し上げているとおりでございます。
続いて、浅川についてでございます。
浅川については、事前に担当部局から説明や資料の提出を受け、その後、浅川が千曲川へ合流する地点からダム建設予定地のさらに上流まで現地を視察し、改修前後の状況や災害の歴史などについて職員や地元の方々から御説明をお聞きいたしました。また、その後、住民との対話集会においても皆様の御意見を聞き、多角的な治水対策が必要との認識を深めたわけでございます。
浅川に関しては新たに多角的な検討委員会を設ける予定でございますので、あくまでも私見として申し上げさせていただきますのであるならば、ダム軸を予定しておりました上流域においては、保水力の高い傾斜地であります15度以下の広葉樹林の斜面に、ゴルフ場、あるいはボブスレーの競技場、別荘地といった大規模な開発が幾つも行われてきております。他方で、中下流域におきましても宅地分譲等開発が進んでおります。ある意味では、こうした浅川流域の開発を今後も引き続き続けることは、治水、防水の観点からあるいは看過し得ぬ影響を与えるであろうと憂慮いたしております。この点は、平成9年の河川法にのっとり、地域の皆さんと話し合っていかねばならぬ点でございます。
他方、行政の側としては、千曲川合流地点での排水が洪水時には十分に行えぬ現状をこまねいていてはならないと考えております。現状のポンプ能力は、農水省の所管で、その能力は44立方メートルでございますので、水田等に水をためる湛水機能を設ける必要があろうかと考えます。いかなる見地から場所を決められたか、この点も改めていずれJR側に伺わねばと思っておりますが、既に開発されている新幹線操車場に関しても何らかの耐水対策を検討していかねばならぬのではないかと考えております。
そして、現状のポンプに加えまして、千曲川を所管する国土交通省の管轄で100立方メートル毎秒規模のポンプを増設せねばならないのではとも想像しておりますが、この点に関しては、先ほども申し上げておりますように、あくまでも私見であり、新たに設ける多角的な検討委員会での議論を待ちたいと考えております。
そして、しゅんせつ、護岸点検等の作業は地元業者の方々が担うべき仕事でありますが、今申し上げましたような巨大なポンプといった施設は、国内の大手企業のみならず海外企業へも入札を開放する形で、より少ない金額でより大きな安全をもたらせ得るのではないかとも考えております。
ダムサイトの前後が地すべり指定地域であります浅川は、地すべりが発生すれば、ダム容量ほどの、160万立方ほどの土砂が流れ出るおそれもあるとの見解もありまして、ちなみに、85年の地附山地すべりでは恐らく300万立方メートルほどが崩壊したのでございます。
でき得る限りコンクリートのダムをつくるべきではないとの脱ダム宣言の理念に基づいての治水、治山こそは21世紀における究極の現実的代替案であると申し上げてまいりました私としては、さらに上流域の森林整備、流木どめのスクリーンの設置、中下流域での樹林帯の設置を主体として、越流しても破堤させない堤防構造、また小まめなしゅんせつ、高床式水屋形式の家屋、雨水の地下浸透や貯留による流出抑制、霞堤による保全、あるいははんらん流を河道に還元させる仕組み、さらには遊水池、そして、地元紙でも報じられましたように、個々の家庭で雨水をためる、あるいはアスファルトの性状変更等も考えられると思っております。
いずれにしても、流域の森林の育成、しゅんせつと掘削、また恒常的な保全が必要であろうと考えております。
個人補償についての御質問の部分でございます。
家屋等の財産には住民の皆さんそれぞれにいろいろな思い入れがあり、それらは決して金銭でかえられるものではございません。県民の財産、生命を守るのが県知事の責務でございまして、行政として行うべき治水対策を着実に行っていく所存でございます。
緑のダムに関連しての浅川上流部の森林の保水効果についての御質問でございます。
県政会の代表質問への答弁の中で、雨水の浸透能力や最大保留量について申し上げた数値は、現在、林務部のプロジェクトチームにも参加している国の研究機関であります森林総合研究所が中心となって森林と水に関するこれまでの研究成果を取りまとめた文献から引用したものでございます。この中で、浸透能力200から300ミリメートルと申し上げましたのは、散水試験により得られた1時間当たりのデータでありまして、最大保留量約150ミリメートルは、降り始めから降り終わりまでの連続降雨下で実際に屋外で測定されたデータであります。したがって、計算上は、この保留量に流域の森林面積を掛けると流域全体の保留量が机上で算出できることになります。ちなみに、浅川ダム予定地上流森林面積は1,280ヘクタールでございまして、この算式によりますと最大保留量は192万トンと計算されておりますが、実際は、それぞれの流域の地質、地形、傾斜、土壌、森林の状況などが複雑に関係し合い、単純に算定することは非常に難しいものであると聞いております。このため、薄川流域において、現在、その評価の手法について既に申し述べましたように研究中であり、この結果を生かして、浅川も含め、他の流域についても評価することを考えてまいりたいと思います。
抜本的な治水対策についての御質問の部分でございますが、森林を保全整備することは、河川対策などとあわせ、総合的な治水対策の一環として効果があるものと考えております。
そして、流木による災害ということは、こうした流木災害を防止するためには粘りのしっかりとした森林を育てることが重要であるとまずは考えております。このため、森林をより一層整備していくことが、水源涵養機能などの発揮とあわせて、流木対策にも極めて有効であると、このように考えております。
以上、鈴木議員の御質問に順を追ってお答え申し上げました。
〔
選挙管理委員会委員長中村幸枝君登壇〕
◎
選挙管理委員会委員長(中村幸枝 君)ブローチについての御質問でございますが、選挙管理委員会は、選挙の管理、執行の任に当たる行政機関であり、具体的な事案につきまして違法であるかどうかの判断をなすべく義務も権限もなく、違反を取り締まるべき地位にもないものでありますので、御質問につきまして見解を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、そうした私どもの立場につきましても御理解いただきたいと思います。
〔警察本部長松田広光君登壇〕
◎警察本部長(松田広光 君)知事のブローチと公職選挙法との関係ですが、法の規定の具体的な有権解釈は、法を所管する総務省においてなされるものでありまして、私どもといたしましてはその立場にないということを御理解いただきたいと思います。
〔土木部長光家康夫君登壇〕
◎土木部長(光家康夫 君)浅川につきましてたくさん御質問いただいておりますので、簡潔にお答えさせていただきます。
まず、51年以前に検討した代替案でございますが、まず、浅川の中流域は天井川ということで非常に危険性がございましたので、そこにつきましては現在ある川を掘り下げるとともにバイパスの川をつくると。両方つくるということですね。掘り下げとともにバイパスをつくるという検討でございました。これは49年時点であります。それから、下流では堤防の拡幅とかさ上げということでございましたが、その拡幅幅は20メートルの幅を80メートルに広げるという非常に大幅な拡幅でございまして、家屋の移転、優良農地の大規模買収ということがございますので、なかなか地元からは御理解が得られなかったという経緯でございます。
そういうことから、51年時点で現実的な案といたしまして、ダムと河川改修を組み合わせる現在の案を浅川改修期成同盟会に提示いたしまして、御了承が得られたことからダムと河川改修による事業として進めてきたという経緯がございます。
なお、遊水池案とかバイパス河川案は、流域の市街化が進んでいる現状から非現実的であるということで、余り突っ込んだ案はしておりませんが、可能性は低いということで廃棄したということでございます。
次に、浅川ダムは本当に不要なのか、危険性はあるのかということでございますが、今述べましたように、河川改修のみで対応するには非常に大幅な河川改修が必要でございますので、100年の確率で安全度を確保するにはダムが必要であるというのが現時点での考え方ということでございます。
さらには、安全性につきましては、浅川ダム地すべり等技術検討委員会で慎重に御審議をいただいた結果、安全性が確認をされているということでございます。
次に、浅川ダムの調査についてでございますが、県では昭和46年から51年の間に予備調査をいたしまして、どこがダムの適地であるか、いわゆるダムサイト適地調査というのをやっております。地形・地質概査、治水効果の検討等から現在のダムサイトを絞り込んだわけであります。その後、昭和52年度の実施計画調査採択以降、実施計画調査になりますと調査費が補助でつくわけでございますが、詳細な地質調査を実施しまして、調査ボーリングを97孔、4,700メートル、それから、調査横孔、横向きのボーリングでございますが、14孔、670メートル、このほかに岩盤の力学強度試験なども実施してきているということでございます。
なお、長野市西部の山ろく付近には第四紀断層が存在しているために、ダム地点への第四紀断層の影響はどうかということを詳細に検討してきたわけでございます。空中写真からの調査、判読のほかに、ダムサイトでの詳細な地質調査でございますとか、工事用道路、つけかえ道路をやりましたときにトンネル等を掘りますので、そういう場合の地質の確認等、多大な地質情報をもとに総合的に検討した結果、ダム建設に支障となる断層はないということとしております。
また、地すべりにつきましても、昭和55年からボーリングなど各種調査を実施いたしまして安全性を確認しておりまして、これらの調査内容につきましては、先ほど申しました浅川ダム地すべり等技術検討委員会で御確認をいただき、安全との結論をいただいたということでございます。
次に、地震とダムの被害の関係でございます。
まず、昭和59年の長野県西部地震でございますが、これは王滝村を襲った地震でございまして、マグニチュード6.8でございました。この近傍には、水資源開発公団が管理しております貯水量7,500万立方メートルのロックフィルダムでございます牧尾ダムというのがございますが、そのダムにおきましては、堤体の天端の一部がやや沈下したというだけでございまして、安全性に問題はなかった。さらには、阪神・淡路大震災、平成7年1月17日でございますが、マグニチュード7.2でございまして、この地震があった近傍の五本松ダム、これは1900年にできたコンクリート重力式ダムというものでございますが、ダム本体に全く変状がなかったということでございます。
現在、日本には約2,600の15メートル以上の高さのダムがございますが、今までのところ、地震により被害を受けたダムはなく、地震に対するダムの設計の安全性が一応確認できているというふうに考えております。
次に、地すべりの危険性とダムの現場の安全性の関連でございますが、まず、地附山というところは裾花凝灰岩層でございまして、ダムサイトも同じ裾花凝灰岩層でございます。ただ、地附山の地すべりにつきましては、地附山地すべり機構解析検討委員会というものが設置されまして、そこが報告書を出しております。その結果によりますと、要するに地附山の付近は裾花凝灰岩層の間に泥岩層が挟まれておりまして、そのために滑りやすい構造となって今回のような岩盤地すべりが発生したと、そういう報告になっております。ただ、浅川ダムサイトにはそのような軟弱層はございませんので、今回、いろんなボーリング調査とか横孔調査をやった結果、そういう連続した軟弱層はないということで、地附山で想定されるような大規模な岩盤地すべりはないということでございます。
長野市の防災基本図に示されたダム建設地点の断層につきましても、そういうデータがあったからこそ詳しく調査をいたしまして、第四紀断層はないということを確認したということでございます。
以上申し述べましたことにつきましても、浅川ダム地すべり等技術検討委員会で確認をしていただいているところでございます。
次に、平成7年7月の豪雨についてでございますが、平成7年7月11日から12日にかけまして、裾花ダム流域で平均総雨量約230ミリという大量の雨が降りました。平均日雨量にいたしますと210ミリというものでございますが、これは長野市の中心部の約2倍の雨が降ったわけでございます。その地域地域で降雨特性というのが異なりますので、単純にその雨を浅川流域に持ってくるというのは適切ではないんですが、仮にこの雨が浅川流域に降りましたら、大洪水が発生いたしまして、約9万人の方々が被災するということが想定されております。今回、奥裾花ダム、裾花ダムがあったために、結果的に洪水は免れたわけでございますが、その辺の解析結果につきましては、その豪雨によりまして裾花ダムからは最大毎秒530トンの水が放流されたわけでございますが、もしも奥裾花、裾花ダムがなかった場合、自然に流下する水の最大流量は毎秒860トンに達したであろうということになります。すなわち、毎秒330トンの水がダムによって洪水調整されたということでございます。この330トンという水を県庁付近の裾花川の水位に換算いたしますと、約90センチの上昇ということに相当いたします。そういうことで、仮に両ダムがなかった場合にあれだけの雨が降ったといたしましたら、県庁側の堤防から越流が発生いたしまして、県庁から長野駅を含む南側の市街地一体が冠水いたしまして、その被害額は約2,500億円に上ったであろうというふうに試算がされております。
また、奥裾花ダム、裾花ダムでは、約2,000立方メートルの流木、それから約90万立方メートルの土砂も防いだわけでございます。そういう意味で、流木による被害、あるいは土石流、こういうものにも両ダムが効果があったということでございます。
次に、浅川の内水、外水による洪水被害及びダムによる効果ということでございますが、浅川が千曲川に合流いたします水門が閉められますと、農水省の管理によります44トンを超える水が出ていけないということで、結果的に水がたまるわけでございます。そういうものが、いわゆる内水はんらんということになります。ただ、その場合も、仮に上流にダムがございますと流下してくる水そのものが減るわけでございますから、その内水の範囲あるいは内水の水深というものが小さくなるという効果はあると。ただ、残念ながら、浅川ダムだけで内水被害をすべて防ぐということは困難であると、これも事実でございます。
それから、浅川に流入する小河川といいますか水路等に対しましても、できるだけ調整池とかそういうものを設置いたしまして、浅川に負荷をかけないという努力が必要であり、こういうものは総合治水対策の一つとなるということでございます。
さらに、外水被害、これは浅川の洪水そのものについてでございますが、まず中流域について申し上げますと、浅川ダムが設置されたといたしましたら、100年確率の洪水に対しまして中流域では河川のはんらんを防止するという効果が期待されます。また、先ほど話題の出ました下流低地部におきましても、千曲川の水位との関係で水門が閉められるまでは、100年確率の洪水は発生しないということでございます。仮に水門が閉められましても、先ほど述べましたように、内水の被害の範囲とか水深等はダムがあれば、ない場合よりは軽減されると、こういうことでございます。
次に、緑のダム構想についてでございますが、現在、長野県では県土の約8割は森林でございまして、多くは良好に保持されているというふうに考えております。ダムの計画というのは、現在の森林の存在というものを前提とした上で、実際の降雨データと水が出てくる流出データとを用いまして、どのくらいの流出に耐えなければいけないか、どのくらいの規模にしなければいけないかということを計画しているわけです。すなわち、森林の存在を従来から考えてダムの計画をしているということでございます。
今後、造林等によりまして森林がさらに造成されましたら、その辺は流出が防がれるわけでございますが、そういう森林の治水、利水、両方の機能につきまして、現在では残念ながら量的な明確なデータがない段階でございまして、今後、研究等によりまして数値的なデータが確立され、提供されましたら、治水・利水計画に反映させることは可能であるということでございます。
次に、浅川流域治水対策等連絡会でございますが、昭和56年から3年続きの台風で浅川流域が大変な被害を受けました。このことに対応するため、国、県、市等の関係機関が相互に連絡調整を図りまして、河川改修、ダム事業だけではなくて、さらに上流で保水機能を高めようじゃないか、あるいは遊水機能をふやそうではないか等々総合的な治水対策をとろうという機運が盛り上がりました。
そこで、昭和60年の1月に、長野市長を会長とした浅川流域治水対策等連絡会が発足いたしまして、その中で「流域治水対策の方策」という報告書が取りまとめられたわけでございます。この中で、各分野の方々がそれぞれの持ち場持ち場で努力してまいりましょうという内容を盛り込みまして、例えば、浅川流域の治水対策もやりましょう、それから保水機能は森林整備をして高めていきましょう、それから遊水機能の維持増進も図りましょう、水防、警戒避難体制も充実しましょう、それから水害に強い地域構造の確立をしましょう、そういう総合的なプランが当時まとめられたわけでございます。
その連絡会自体は同年6月以降開催されておりませんが、組織としては現在も存続しておりまして、それぞれが自分たちの役割を今進めておるわけでございまして、おのおの成果が上がってきているというのが現状でございます。近く取りまとめまして、その辺は御報告をさせていただきたいと思っております。
最後に、排水機場の設置でございますが、議員御指摘のように、内水はんらんを防止、軽減するためには、現在44トンの排水機場の能力アップが必要になります。現在農水省が設置しておりますが、将来的には国土交通省が千曲川への排水機能のポンプの増設をやっていただくことが必要かと思っております。従来からも国の方にお願いしてきておりますが、今後ともさらに強く増設につきまして働きかけてまいりたいと思っております。
以上でございます。
〔農政部長中村武文君登壇〕
◎農政部長(中村武文 君)浅川内水はんらん区域の農地防災についてのお尋ねでございますが、浅川と千曲川に挟まれた水害発生区域は、長野市、豊野町、小布施町の3市町にまたがっております。この地域の農地を水害から守ることを目的に、昭和38年から47年にかけて、国営と県営のかんがい排水事業が実施されまして、幹線排水路8,800メートルと排水ポンプ4基が整備されました。
しかしながら、昭和58年の台風10号による大雨時に、浅川上流域の宅地化の進行に起因する流出量の増加と千曲川の水位上昇により、729ヘクタールに水害が発生いたしました。
このため、大雨時における農作物への影響を軽減する目的で、県営湛水防除事業を昭和60年から実施し、平成5年までに排水路4,600メートルの改良と排水ポンプ5基を新たに設置したことによりまして、千曲川へのポンプ排水量は毎秒14トンが毎秒44トンに能力アップしております。今後、地域の状況等に変化が生じましてさらに対策が必要な場合には、適時地元関係者と協議いたしまして、適切な対応を講じてまいる所存でございます。
以上でございます。
〔7番鈴木清君登壇〕
◆7番(鈴木清 君)知事から御答弁いただきましたけれども、やはり論議のかみ合わせ、私が率直にお尋ねしたことに対しまして、知事自身、自分の思いに対し牽強付会の論でもってお答えいただいていますから、どうも、何回お尋ねしても隔靴掻痒の感で、納得することができません。したがいまして、具体的な、特にダム問題とか治水とか公共事業に関しては、まず自分の考えありきに答弁を歪曲しているんじゃないか、そんな思いさえいたします。
先ほど来の質問の中で、浅川治水に対するいろんな取り組み等、また土木部長から技術的な立場からダムの安全性、近傍の裾花あるいは奥裾花ダムの平成7年に対する非常な有効性等も御答弁いただきました。したがいまして、一時中止の今日、過日の代表質問において多角的な検討委員会の設置と開催を13年度の早い時期にと答弁されましたが、また、最初の答申時期に関しては、無用の圧力となるので明言すべきではないと日限を切っておりません。広範な論議はもちろん期待するわけですが、行政とは、目標を設定し、いつまでに、だれが、どのように、何をするか、まず求められると思いますが、いかがでしょうか。
工事中止は明年3月末日となっておりますが、その答申を受けての公共事業監視委員会から出された意見書との整合性はどのようにお考えなのか、田中知事に御所見をお伺いいたします。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)お答え申し上げます。
新たに多角的な検討委員会を設けるわけでございまして、その検討委員会の結果が現行の浅川ダム計画を見直すものとなった場合には、公共事業評価監視委員会に再審議をお願いすることとなります。
公共事業評価監視委員会には、中立、公平な立場での再審議をお願いするものであり、その結果を県は尊重するわけでございます。
〔7番鈴木清君登壇〕
◆7番(鈴木清 君)先ほどのお尋ねの中でも、私がお尋ねしたことに対してはお答えいただかなく、なおかつ、多岐多様にわたって御自身の思想を展開するような御答弁がありました。
一番大事なのは、知事を主賓とした職員の信頼関係、同一歩調をとって同じ方向に進むことができるのかどうか。改めて職員との信頼関係について、理念の共有も含めて、お伺いをしたいと思います。
諸施策を遂行するに当たり、かなめとなるものは人事でありますが、知事の職務を代理する知事の補助機関で特別職である副知事が不在の今、実質的なナンバーツーは出納長であると思います。特に出納長は、出納の執行を知事から職務上独立した機関の責任のもとに一元的に行わせようというものであり、極めて責任重大なポストであります。花岡出納長は、総務部長として庁内の懸案や行政改革をくまなく知事に概況説明し、時には直言、諌言し、知事の申される理念の共有化に一番近い立場にあった。したがって出納長につかれたと思われますが、知事の御見解をお伺いいたします。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)御質問にお答え申し上げます。
花岡出納長は、まさに出納長としての任に当たり、県政をつつがなく執行する上での出納の役目を務めるものでございます。
そしてまた、私どもの青木総務部長は、先般私が海外に出かけました際にも、皆様にも御連絡を申し上げましたように、私の不在の際に総務部長が私の任務を代行する形となっております。
〔7番鈴木清君登壇〕
◆7番(鈴木清 君)たまたま理事者側の席に花岡出納長がいらっしゃいますが、ただいま知事から選任同意に至る経緯を聞きましたが、花岡出納長は、浅川に生まれ、浅川で育ち、紛れもなく浅川の住民のお一人です。と同時に、県の理事者でもあり、先ほど知事から御答弁がありましたように、県の公金執行管理の極めて重要な立場におられる方です。ですから私は、総務部長としていろんな諸問題、懸案、行政課題を担われ、知事に具申あるいは概況説明した中に、地元の浅川ダム総合治水に関する経緯等も含め、過去の経緯も含め、知事にくまなく説明されたかどうかお聞きをしたいと思い、今この壇上に立ちましたので、出納長にもし御答弁いただけるようでしたら、その辺の経緯を御説明いただきたいと思います。
〔出納長花岡勝明君登壇〕
◎出納長(花岡勝明 君)お答えいたします。
現在、出納長ということでございまして、浅川ダムについていろいろ申し上げる立場にございませんけれども、10月26日以来、田中知事が新たに県知事として県庁へ来られたということで、私どもとしては、いち早く知事に県の業務を知っていただきたいというふうに願っておりまして、着任以来、それぞれの関係部局の諸課題について知事にそれぞれの部長の方からお話をしていただきました。そうした中で、懸案の浅川ダムにつきましても、土木部の方からこれまでの経緯についてお話をしていただいたと、こういうことで承知をしているところでございます。
以上です。
〔7番鈴木清君登壇〕
◆7番(鈴木清 君)知事にブローチのつくられた経緯、また作者の境遇等も聞きました。なぜこだわるかということは、極めて基本的な問題もあると思います。私個人としては、作者に対しては全く深い同情と理解を示すものでありますが、知事と作者の私的な関係と知事個人の思いを、公的な立場で常に活動すべき場面においても片時も離さないということは、公私混同と思われても仕方がありません。
さらに、県民の声として知事に伝えてほしいと言われたことがあります。私の知り合いのリンゴ農家の後継者の青年から、知事はみずからを広告塔と常日ごろ発言していらっしゃる、であるならば、農村の活性化のためにも、本県の主要特産物であるリンゴのマークをつけてPRしてほしい。そんな素朴な、しかも切実な伝言でした。あるべき行政の姿を体現すべきかと思われますし、そのブローチをつけることによって福祉施策であるともしお考えでしたら、本末転倒であります。そのような境遇の方々に報いるには知事として何をなすべきか、やはり行政の任に当たるには施策でこたえるべきではないでしょうか。本年度の障害福祉課関係の予算を見ましても、昨年より減額しているのではないでしょうか。
さらに、実は知事選のシンボルマークであったと私は思っています。昨年の選挙公報の中に、「ちょっぴりオナカの出たカモシカ君「やっしー」だよ。ヨロシクね!」というようなマークも入っているじゃないですか。知事選のシンボルマークというものは、220万県民を保護すると公言している以上、特定の選挙母体のマークを公的な立場である知事が常に携帯していることは、いささか妥当を欠くと思わざるを得ません。今後、身におつけになるのかどうか、率直なお答えを願うものであります。
なお、知事は、飯山国体の際に、皇太子並びに妃殿下に対し、ブローチと名刺をみずから直接差し上げたとのことですが、不偏不党、政治的中立を守られ、常に身を持する厳格な皇室に対し特定の選挙母体のシンボルマークを差し上げるということは、いささか私としては心外であります。仄聞するに、知事が皇太子並びに妃殿下に対し物を差し上げるなどという事例は、余り例がないということであります。いわば、現実の政治の場に巻き込んだと思われても仕方がありません。知事の御見解をお伺いいたします。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)御指摘のありましたこのブローチに関しては、長野県の県獣であるカモシカということで、私が広告塔の一環としてつけているものであります。
また、今御指摘がありました飯山国体の際のプレゼントに関してでございますが、これに関しましては、東宮大夫の方からも御了解をいただいた上でお渡しを申し上げております。
〔7番鈴木清君登壇〕
◆7番(鈴木清 君)なかなか論議がかみ合わなくて残念な思いであります。大分時間も押してまいりましたし、きょうは選管の委員長さんがせっかくお見えいただいていますから、改めて違った角度から質問させていただきます。
ところで、知事は、土木部を中心とする選挙違反に関し、係長以上の職員に調査票を配布し、2月15日までに回収されたとお聞きしております。いささか奇異に感じましたのは、今回の違反事件は知事選であり、知事御自身が雌雄を決するお立場の一人にあったはずであります。知事みずからが開封し中身を閲覧するということは、全く職員に踏み絵を迫るやり方であり、署名捺印まで求めることは公職選挙法52条、投票の秘密保持に抵触すると思われますが、ほかに方法が考えられなかったのかどうか。職員に対する全庁的な啓蒙あるいは自主的な啓発運動で、主体的に意識の向上を図るべきではなかったかと思われますが、知事の御見解をまずお伺いいたします。
関連して、選挙管理委員長、警察本部長にお伺いをいたします。
今回の調査票の設問に、「あなたが選挙運動と思われる行為をしている場合は、どの候補者のために、いつ、どこで、何を、どのように行ったのか、ありのままを具体的に記載してください。」とあります。まさに、知事が行政を遂行するために行うべきような設問項目が、今回、知事のみずからの設問としてこの中に入れてあります。この問いに対し、職員の中には具体的氏名を書いた者もおると聞いております。任命権者であるトップからの直接の調査に対し、通常、拒否はできないものと思われます。
憲法第15条4にあります「すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。」及び公職選挙法第52条「何人も、選挙人の投票した被選挙人の氏名又は政党その他の政治団体の名称若しくは略称を陳述する義務はない。」等に抵触すると思われますが、それぞれ選挙管理委員長、警察本部長の御見解をお伺いいたします。
〔知事田中康夫君登壇〕
◎知事(田中康夫 君)今回の調査は、広く県民の皆様から求められておりました県職員への信頼を回復するため、選挙違反のありのままの姿を明らかにすることが目的でございます。
真実を明らかにするためには具体的に記述していただく必要がありますので、公職選挙法や地方公務員法に該当する選挙違反の行為があった場合に、どの候補者のために、いつ、どこで、何を、どのように行ったかという具体的な問いを設けたものであり、だれがどの候補者を支持し調査したのかを調査するものではございません。ましてや、個人の思想や信条を調査するつもりもございません。
このことは、調査票に記載いたしました「職員の皆さんへ」と題する私の文章や調査項目をお読みいただければ御理解いただけるものと思います。したがいまして、憲法第15条や公職選挙法第52条に違反することは全くないと考えております。
以上でございます。
〔
選挙管理委員会委員長中村幸枝君登壇〕
◎
選挙管理委員会委員長(中村幸枝 君)先ほど申し上げましたとおり、選挙管理委員会は、具体的な事案につきまして違法であるかどうかの判断をなすべく義務も権限もないものでありますので、御質問につきまして見解を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、そうした私どもの立場につきまして御理解いただきたいと思います。
〔警察本部長松田広光君登壇〕
◎警察本部長(松田広光 君)先ほども申し上げましたように、法の規定の有権解釈は法を所管する官庁においてなされるものであるということについて御理解をいただきたいと思います。
〔7番鈴木清君登壇〕
◆7番(鈴木清 君)縦割り行政の中でいろんなお立場お立場の解釈があり、一元的な行政というのはいま一歩かなと、そんな思いをします。
田中知事に対しては、創造的な前向きな議論を同じ平場で私もしたいと思っておりますし、今後とも真っ正面から受けとめて、野球の基本はキャッチボールであります。しっかり投げた球を受けとめて、しっかり投げ返していただきたい、そんな思いでおります。
そういう意味で、大変失礼だと思いますけれども、田中知事に申し上げたいのは、矜持と諦観ということをおっしゃっていらっしゃいますが、芥川龍之介が多分「矜持」という作品を書いていらっしゃいます。その芥川龍之介の小説の中に、「レーニン第三」という短い詩があるのですが、「誰よりも民衆を愛した君は、誰よりも民衆を軽蔑した君だ。」。こんな2行があなたの内なる手鏡の中にもし映るとすれば、大変残念なことであります。できるだけ虚心坦懐に、時には積極果敢、一刀両断に進むことも大事ですが、行政のトップたる者、まさに戦々恐々、薄氷を踏むがごとく思いで220万県民のために……
○議長(吉田博美 君)鈴木清君に申し上げます。申し合わせの時間が経過いたしましたので発言を終了願います。
◆7番(鈴木清 君)(続)邁進されることを願い、質問といたします。
○議長(吉田博美 君)会議規則第13条第2項の規定により、本日はこれをもって延会いたしたいと思います。
次会は、明6日午前10時30分に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。
本日は、これをもって延会いたします。
午後6時36分散会...