長野県議会 1997-06-25
平成 9年 6月定例会本会議-06月25日-03号
平成 9年 6月定例会本会議-06月25日-03号平成 9年 6月定例会本会議
平成9年6月25日(水曜日)
出席議員(59名)
1 番 佐野功武 24 番 柳沢政安
2 番 牛山好子 25 番 三上孝一郎
3 番 宮澤敏文 26 番 大和代八
4 番 花村薫平 27 番 萩原 清
5 番 降旗茂孝 28 番 島田基正
6 番 佐々木祥二 29 番 今井勝幸
7 番 奥村 剛 30 番 中村善行
8 番 風間辰一 32 番 太田道信
9 番 山元秀泰 33 番 池田益男
10 番 平野成基 34 番 塩沢 昭
12 番 石坂千穂 35 番 佐藤良男
13 番 宇留賀行雄 36 番 倉田竜彦
14 番 木下茂人 37 番 金井浩正
15 番 服部宏昭 38 番 森 司朗
16 番 本郷一彦 39 番 森田恒雄
17 番 村石正郎 40 番 小林忠司
18 番 久保田元夫 41 番 古田芙士
19 番 塚田 一 42 番 下﨑 保
20 番 高橋 宏 43 番 小林 実
21 番 寺島義幸 44 番 宮沢勇一
22 番 母袋創一 45 番 金子松樹
23 番 宮沢宗弘 46 番 吉田博美
47 番 中島輝夫 55 番 小林千秀
48 番 関谷高雄 56 番 西沢盛永
50 番 浜 万亀彦 57 番 佐藤利次
51 番 成澤栄一 58 番 篠原文三
52 番 中島昭一 59 番 清水重幸
53 番 小田切行雄 60 番 西山平四郎
54 番 石田治一郎 61 番 柳沢 勲
62 番 登内英夫
欠席議員(1名)
31 番 井出公陽 49 番 宮澤次雄
───────────────────
説明のため出席した者
知事 吉村午良 企画局長 伊藤 寛
副知事 池田典隆 副出納長 内田雄治
出納長 古越典雄 公営企業管理者 市川 衛
総務部長 飯澤 清 企業局長 小池康雄
社会部長 花岡勝明 財政課長 栗林俊春
衛生部長 畑山善行
教育委員会委員長 宮﨑和順
生活環境部長 矢島広道 教育長 戸田正明
商工部長 渡辺雅文 教育次長 藤井世高
農政部長 宮崎新一郎 教育次長 宮澤德富
林務部長 小林寿内 警察本部長 瀬川勝久
土木部長 太田柳一 警務部長 島根 悟
土木部高速道局長 所 輝雄 監査委員 丸山 勇
住宅部長 山浦衞久
───────────────────
職務のため出席した事務局職員
事務局長 湯沢角雄 総務課主査 平林 信
議事課長 林 一夫 副参事兼議事課課長補佐兼記録係長
太田 浩
議事課課長補佐 谷坂成人
議事課記録専門員 岩井一仁
委員会係長 小林資典
平成9年6月25日(水曜日)議事日程
午前10時30分開議
行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑
───────────────────
本日の会議に付した事件等
行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑
午前10時31分開議
○議長(西沢盛永 君)これより本日の会議を開きます。
本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。
次に、議員井出公陽君から所用のため本日欠席する旨の届け出がありましたので、報告いたします。
───────────────────
△行政事務一般に関する質問及び知事提出議案
○議長(西沢盛永 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。
順次発言を許します。
最初に、太田道信君。
〔32番太田道信君登壇〕
◆32番(太田道信 君)通告順に従いまして、社会部長と県警本部長にお伺いいたしたいと思います。
最近の新聞の話題として、脳死による臓器移植の問題が大きく報じられました。これは既に決定され、中山氏案と金田氏案の中間をとり、ドナーが書面で表示され、家族もそれに同意する場合に限って脳死を人の死とし、臓器摘出に移るという、極めて厳しい条件の中で容認されたのであります。一方、反対派側からは、「臓器移植は他人の死を期待する医療で、医療の本来ではない」とか、「交通事故が移植医療の放牧場と考えられている」とか、宗教的な議論から哲学的論議に至る賛否両論となったのでありますが、いずれの時代にも、いずれのケースについても、何か事を始めようとするときは必ずある反対論も、これは全く無視することはできないのでありまして、現実の問題としてほうっておくわけにはいかない現況であることは周知のとおりであります。
現に、心臓移植をしなければ目前に死があり、国外なら移植医療が受けられ治癒するとなれば、だれしもが国外へ出ても手術を受けようと思うのは、人間として当たり前のことと思うのであります。ところが、自分の国では臓器はやらないし移植もさせないが、よその国なら臓器でも移植もよいという議論は、余りにもエゴイスティックな発想だと思うのであります。
かつて血液の問題についてもそうであったように、今回の移植法成立は、待っていた患者にとって、どんなに生きがいを感じ、すばらしい法案であったことか。こうした点から、いま一度我々も原点に戻って、そうした一連の医療問題を社会的視野から改めて見直す必要があると思うのであります。
そこで、このような考え方を基礎事実として、
介護保険制度導入による在宅介護のあり方等、これからのプライマリーケアの体制確立を含む新しい認識の普遍化を検索し、県内の在宅ケアを推進する上でも、医療経営の問題点、患者の健康、医療に対する満足感等の状況についても十分検討される必要があるのではないでしょうか。
去る6月10日発刊の「医療タイムス」に、「なぜ低い本県老人医療費」と題し、その要因は在宅死亡の高さと保健活動の地についた働きによる健康管理の成果ということで、国保中央会の調査研究発表が掲載されておりました。その結果、高齢者の就業率が高いため在院日数が短い、離婚率が低いので家庭機能が高く、できるだけ配偶者のところでということで、在宅ケアを可能にしていることから医療費が低いということであります。これは、昨日、我が党の平野議員の質問に衛生部長が回答されたとおりだと思いますが、逆に在宅の場合、見る側も見られる側も二人とも高齢者の場合が多く、内情的には非常に苦しい状況であるという問題を残していることも忘れてはならないと思うのであります。また同時に、医師と患者の関係がそれぞれ役割を持ちながら責任分担も明確にされたとし、その結果から我が県は他県に余り見ない医療費の削減ができているとのことであります。
しかし、こうした表に出た結果だけに素直に喜べない事実も認識すべきであると思うのであります。その陰には、医療現場における医師たちが医療と保険制度の制約と学問のはざまに立って苦しみながら並々ならぬ努力をしていること、また、そのスタッフの御苦労は筆舌にあらわすことのできないほどであり、さらに、保健活動に従事する保健婦の皆さんの同様に想像を絶するその苦労は、その立場に立った者でなければ到底理解でき得ないものと思うところでありますが、そうしたそれぞれの皆さんの努力が今日の実った結果として長野県の実勢となっていると思うわけであります。
また、今後、さらに人口の高齢化は急速に進んでまいります。本県におきましても、平成9年4月の人口の高齢化率は19.8%となっており、20%が目前に迫っております。平成9年1月に出された国の新しい人口推計では、2015年には4人に1人が65歳以上の高齢者になると予測されております。このような状況の中で、
高齢者介護サービス基盤の整備など高齢者対策は県政の最重要課題であると思うのであります。特に、2000年から予定されている介護保険制度の円滑な導入に向けて十分に準備していく必要があるのではないでしょうか。
社会的環境、経済的状況には、各市町村ごとにかなり格差があると思います。
一概に一定マニュアルでは役に立つものではないと思うのであります。
そこで、各市町村ごとに医療・保健・福祉の実態、そして社会環境の現状を踏まえる中で、在宅医療のあり方や、家庭を代替する介護の社会的支援の仕組みづくり、高齢者が生きがいを持って暮らすことのできる環境づくり、また
地域ボランティア活動への積極的参加等、保健・医療・福祉の全般にわたって行政と民間が連携して対応することによって、県民がひとしくより心豊かに安心して暮らせる県土となると思うのでありますが、社会部長のお考えと今後に対する施策を具体的にお聞かせいただきたいと思います。
続いて、県警本部長にお伺いいたします。
最近の治安情勢を見ますと、オウム教団による一連の凶悪犯罪に始まり、暴力団対策法による取り締まりにもかかわらず暴力団犯罪は一向に減らず、けん銃を使用した凶悪犯罪も多くなっておるわけであります。さらに、少年少女にまで蔓延している薬物犯罪、神戸で発生した子供の首を切断して放置する
ばらばら殺人事件に象徴されるような重大かつ特異な事件も多くなっており、特に、外国人による事件も毎日のように報道されている現状にあります。
県内においても、5月に真田町において発生した建設作業員の殺人事件はタイ人による犯行でありましたし、3月には伊那市においてブラジル人による強盗傷害事件も発生しております。また、交通死亡事故も最近激増しておりますので、県民にとってはとても不安な情勢にあるといわざるを得ない状況にあるわけであります。
上信越道、長野道の開通、北陸新幹線の開業等、交通網の整備により目覚ましい発展を遂げている我が県は、山紫水明のすばらしい環境とともに、他県に対しましても誇ることができるものと感じているところであります。
しかしながら、道路網の整備は同時に、犯罪者が警察の検問前に県外に出ていってしまうとか、本年1月、川上村で若い女性の全裸死体が発見となって発覚した山梨県在住の犯人による殺人事件に象徴されるように、凶悪犯罪の証拠隠滅の場として利用されるなどの弊害もあるわけであります。
このような現状から、県民が肌で感じることができるような体感治安の確保が必要であると思うのであります。来年には
冬季オリンピックの開催を控え、世界平和に大きく貢献するこの意義ある世紀の祭典を成功させるためにも、長野県の治安維持に当たる県警に大いに期待しているところであります。
聞くところによりますと、県警では、
冬季オリンピックを控え、県民が安心して暮らすことができる地域社会づくりを目指して「
ホワイト・スノー作戦」を展開しているということでありますが、この「
ホワイト・スノー作戦」とはどのような対策であるのか、具体的にお伺いいたしたいと思います。また、その成果と経過についてもお伺いいたします。
また、県警では、増加する外国人犯罪に対応するため、この春から
外国人犯罪捜査室を発足させたと仄聞しておりますが、県内に住む外国人の実態、外国人にかかわる犯罪の発生状況とその対応策、また今後に対する方針等をお伺いしたいと思います。
先日、私が上京したときのことでありました。市ケ谷駅周辺でありましたが、婦人というより女性交通機動隊の一群と遭遇したのであります。乙女たちのブルーの制服に白のヘルメットでさっそうと白バイに乗っている姿は、まさに
フレッシュそのもので、さわやかなレモンの香りを感じさせる一幅の絵でもありました。
本県でも、最近、女子警察官の希望がふえ、男性をしのぐ勢いで勉強もし、長野県
青年警察職員意見発表大会などに出場し女性二人が上位優秀賞に輝くなど、その活躍に目をみはるものがあるわけでありますが、女性ならではできない対応の問題、また女性なるがゆえに効果の出る場面がある反面、男性とは互角にできない部分も多々あると思うのでありますが、女性警察官に対する処遇と対応等どのような見解をお持ちかをお伺いし、第1回目の質問を終わらせていただきます。
〔
社会部長花岡勝明君登壇〕
◎社会部長(花岡勝明 君)お答えをいたします。
高齢者福祉についてのお尋ねでございます。
お話にございましたように、本県は保健・医療面などにおける長年の活動の成果等により全国に誇り得る健康な長寿県となっておりまして、今後ともこの傾向が続くよう努力が求められているところでございます。
高齢者対策を推進するということを考えた場合に、大きく二つあるわけでございます。一つは、高齢者が健康で生きがいを持って積極的に社会参加できるような環境づくりを進めるということ、もう一つは、介護が必要な高齢者に対する
介護サービス体制の充実でございます。
高齢者の約9割の方々は元気な皆さんでございます。こうした皆さんが一層元気で活躍をしていただくため、栄養、運動、休養の調和のとれた生活スタイルの確立や生活習慣病の予防など、生涯にわたる健康づくりを一層推進していくことが重要でございます。
また、高齢者の生きがいの増進と社会参加の促進を積極的に進めていく必要がございますので、
シルバー人材センター事業の県内全域への拡大、老人大学の充実、
市町村ボランティアセンターの設置による
ボランティア活動の促進、こういったことを一層進めてまいりたいと考えております。
次に、介護が必要な高齢者についてでございますが、介護問題は老後の最大の不安要因でございますので、これへの対応が大きな課題となっておるところでございます。
平成12年度から導入が予定されております介護保険制度が今後の高齢者介護の基本的枠組みを形づくることになりますので、制度の円滑な導入が図られますよう、在宅・施設両面での
介護サービス基盤の整備を積極的に進めてまいりますとともに、保健・福祉人材の養成確保を図ってまいりたいと考えているところでございます。
また、適切な介護サービスを提供するためには、お話にありましたように保健・医療・福祉の連携が極めて重要でございますけれども、今後は利用者の立場に立ったサービス提供ということが求められてまいりますので、一層その連携を強めていかなければならないと思っている次第でございます。
さらに、今後は福祉サービスの分野におきましてこれまで以上に民間部門の果たす役割が大きくなってまいりますので、民間活力の導入によるサービス量の拡大、そしてまた
福祉ボランティア活動の振興を図っていかなければならないと思っている次第でございます。
今後の高齢者施策を推進していくためには、何よりも県民のニーズを的確に把握して対応することが重要でございます。こういう観点から、本年度は「高齢社会に関する県民意識調査」を実施いたしまして、健康づくり、生きがいと社会参加、福祉サービスなどの幅広い項目につきまして県民の皆さんの意識やニーズを把握いたしまして、今後の施策に的確に反映できるようにしてまいりたいと、このように考えております。
〔
警察本部長瀬川勝久君登壇〕
◎警察本部長(瀬川勝久 君)まず、「
ホワイト・スノー作戦」についてのお尋ねでございますが、
冬季オリンピックの開催を来年の2月に控え、県警といたしましては、本年の最重点課題に「オリンピック・
パラリンピック総合対策の推進」を据えて諸対策を進めているところでございます。
御質問の「
ホワイト・スノー作戦」につきましては、国内外から来県する選手・役員等の大会関係者や観客の皆さんが、何らの事件・事故にも巻き込まれず、安心して滞在できるような長野を目指して、「
長野オリンピック ホワイト・スノー作戦」と銘打ちまして、オリンピックを迎えるにふさわしい安全な地域づくりを推進するための諸施策を警察の総力を挙げて展開しているところであります。その重点といたしましては、暴力団排除の徹底、風俗環境の浄化、銃器・薬物の徹底摘発等でございます。
もとより、安全な街・長野を実現するためには、ひとり警察の活動だけでは実現できるものではございません。自治体、防犯協会、ボランティア、旅館・ホテル等に呼びかけて、県民の皆様と連携した地域安全活動と位置づけて推進しているところであります。
次に、これまでの成果ということでございますが、
防犯ボランティアによる
地域安全パトロール隊――「ホワイト・エンジェルス」というふうに名前をつけてございますが、これが県下各地で次々と結成されておりまして、
オリンピック開催地を中心に12の地区で520名余の隊員が活動を開始しております。既に、
プレオリンピック大会への出動や繁華街のパトロール、児童に対するあいさつ・声かけパトロールなどを実施しております。
暴力団排除活動の面では、飲食店、接客業者などに呼びかけ、暴力団排除意識の高揚と、みかじめ料などの資金源の根絶を目指して、「暴力団追放宣言の店」というステッカーを掲出していただいて、安心して楽しめる環境づくりを推進しているところであります。
これらいずれの活動も、県民の皆様の理解が大変高まっておりまして、「自分たちの手でオリンピックを迎えるにふさわしい安全な街づくりをしよう」という機運が盛り上がってきているというふうに感じているところであります。
警察の取り締まり面では、暴力団による競売入札妨害事件でありますとか企業恐喝事件、けん銃の不法所持事件などを検挙しておりますし、不法滞在の外国人を使用した売春事件や風俗営業関連事犯の検挙もしております。また、覚せい剤事犯の検挙、暴走族を中心とした少年の蝟集や対立抗争事件の検挙ということで、例年にない成果が上がっているというふうに思っております。
いずれにいたしましても、国内外からの来県者が安心して滞在できる街づくり・地域づくり、世紀の
祭典オリンピックを開催するにふさわしい長野を目指して、県議会初め県民の皆様の御理解と御協力を得て万全な諸対策を進めてまいる所存であります。
次に、外国人犯罪についてでございます。
まず、外国人の居住実態でありますが、県内に居住する外国人のうち、外国人登録をしている者は約2万8,000人と承知しております。これは、平成3年から見ますと倍の数字になっております。このほか、不法残留者は法務省の統計によりますと全国で約28万3,000人いるだろうということでありますが、県内にどのぐらいいるかということは残念ながらわかりません。
次に、来日外国人がかかわる犯罪の発生状況についてであります。
来日外国人による犯罪は、全国的にも、また県内においても増加傾向を示しておりまして、昨年、県内では409件123人を検挙し、本年は5月末までに165件83人の検挙となっております。これは、前年同期に比べて8件37人の増加ということであります。
本年、県内では、
ペルー人グループによる集団窃盗事件でありますとか、御指摘がありました
ブラジル人グループによる2件の集団強盗事件、さらにタイ人による殺人・死体遺棄事件などが発生しております。いずれも早期に解決したところでありますけれども、こういった事件を通じて見られる特徴が幾つかございます。一つは、府県間をまたがって行動するという広域性がございます。それから、凶器を所持・使用するという凶悪性がございます。それから、グループで犯罪を敢行するという組織性がございます。さらに、不法残留者による事件が多いわけでありますが、この実態把握が非常に困難であるということ。また、通訳を確保したり取り調べを行うことが非常に困難であるなどが挙げられるかと思います。
長野冬季オリンピック・パラリンピックを目前に控え、今後さらに、過去に県内でも犯行のありました香港爆窃団といった
国際的職業犯罪グループでありますとか、あるいは不法残留の
外国人犯罪グループの来県が予想されるところであります。
こういった情勢を踏まえまして、本年度予算でお認めいただきました警察官の増員がございますが、これの一部を先行配置するという形で、本年3月、警察本部に国際犯罪捜査官を中心とした総勢20名から成る
外国人犯罪捜査室を発足させました。実態把握とこの種犯罪の捜査体制の強化を図っているところでありまして、大きな成果を上げているところであります。
また、外国人犯罪の深刻化といいますのは全国的な治安上の最重要課題となっておりまして、隣接県初め全国警察との情報交換、共同・合同捜査などの連携が極めて重要であると認識しております。特に、国際犯罪組織の動向に最大の関心を払っていかなければいけないと思っておりまして、広い視野に立っての捜査を展開してまいりたいと、こういうふうに思っております。
さらに、外国人犯罪の捜査において、通訳というのが非常に重要であります。これは、犯罪捜査のみならず、外国人の人権保護という観点からも欠かすことができないものと認識しております。現在、部外の約200名の方々に通訳の協力をお願いしておりますが、警察といたしましても、今後も、国際犯罪捜査官の特別採用でありますとか警察職員の海外語学研修を進めるなど通訳体制の一層の強化を図るとともに、語学力を備えた捜査官の育成に努めてまいる所存であります。
いずれにいたしましても、最近発生した各種の事件等についても質問の冒頭に御指摘がございましたが、本年に入って発生しました重要事件、凶悪事件につきましては、県民の皆様の御協力をいただいたおかげで、すべて解決することができております。
今後とも、県民の皆様の体感治安というものを我々の仕事の尺度として基本に据え、県民の皆様方の期待と信頼にこたえるような警察活動を展開してまいりたいと思っておりますので、よろしく御理解と御協力のほどをお願い申し上げたいと、こう思っております。
最後に、女性警察官に対する処遇と対応でございます。
女性の警察官は、女性特有のきめ細かさとソフトさを有しているということで、県民のニーズに即した効果的な警察運営を行う上で、その存在意義は極めて高いものがあると考えております。
現在、本県警察には120名余の女性の警察官が勤務しておりまして、全警察官に占める割合は4.1%であります。これは全国で5番目に高いという数字でございまして、警察本部を初めすべての警察署に配置し、女性の力を効果的に活用しているところであります。
職域につきましては、従来から主に行っていた少年補導、交通安全教育などの活動に加えまして、最近は、社会・治安情勢の変化を受け、個々の職員の適性を踏まえつつ職域の拡大を図っているところであります。例えば、女性の被害者が相談や被害申告をしやすいように
女性被害犯罪捜査官に指名し運用しておりますほか、本県にも交通機動隊の女性の白バイ隊員が2名おります。それから、航空隊のヘリコプターテレビの要員にも昨年新たに――これは全国で初でございますが――指名し、蒲原沢の土石流災害の際などには大活躍をしていただいております。それから、山岳遭難救助隊にも2名の婦人警察官を配置しておりまして、登山の補導等に女性のソフトさを生かして大変活躍をしております。それから、語学能力を持つ婦人警察官を外国人犯罪捜査官に指名しておりますし、また、その緻密さといいますか、きめ細かさを生かして、鑑識係でも活躍をしているところでございます。
特に、最近行った巡査部長昇任試験におきましても婦人警察官2名が合格しておりまして、旺盛な士気と意欲を持って職務に精励しております。県民の安全を確保する上で大変大きな成果を上げていると、こう認識しております。
いずれにいたしましても、第一線において女性がより活躍できるよう、施設・環境面の充実を図ることはもとより、一層の職域の拡大を推進し、女性が生きがいを持って働くことができる職場環境づくりに努めてまいる所存でございます。
以上です。
○議長(西沢盛永 君)次に、宮澤敏文君。
〔3番宮澤敏文君登壇〕
◆3番(宮澤敏文 君)通告に従いまして、観光問題1点に絞り質問をさせていただきます。
本県は豊かな自然環境と個性ある地域文化にあふれ、今日まで多くの先人の御努力のおかげをもちまして、全国的にも有数な観光地に成長してまいりました。特に、昭和55年から展開されました「さわやか信州」のキャッチフレーズのもとに、平成2年以降、年間観光地利用者数は1億人を超え、県内経済社会に占める観光のウエートは高まるばかりであります。まさに21世紀の基幹産業として期待されております。
しかし、高度成長による所得の増加、余暇時間の増加などの背景で増加し続けました観光需要は、ここ数年、残念なことに伸び悩み傾向が見られ、今までの信州観光に工夫をし、新しい需要・ニーズへの対応を創造的にすべきときかと思うわけであります。
昨年4月、県観光開発審議会でまとめられました平成12年(西暦2000年)を目標に策定されました長野県観光振興基本計画が発表されてから1年が過ぎました。この1年の変化は予想をはるかに上回り、基本計画が危惧しているとおり、観光志向の動向は思いもよらぬスピードで長野県に押し寄せております。
一つ一つの点につきまして担当の部局長にお伺いいたします。
まず第1に、少子化・高齢化時代に対応する観光のあり方についてであります。
思いもよらぬ少子化の進行で各家庭で子供の人数は2人を割り、育児期間が短縮され、小家族の旅行が増加し、宴会中心の団体旅行から女性や子供たちに合わせた観光が求められてきました。当然、何台もバスを連ねて旅行する光景は薄れ、小規模の触れ合いを大切にする旅行へと変わってきております。また、高齢化の進行により、夫婦でそろって旅行するなど高齢者を対象としたフルムーン旅行などの企画旅行がふえ、観光施設も熟年向けのものが幾つもでき上がってきました。
このような動きの中で、観光県信州では次代に向けどう何を準備していくのか。私は、そこに住む人たちと触れ合い、清冽な水や植物の成長とともに過ごし、自然の懐で遊ぶグリーンツーリズムやエコツーリズムこそ、まさに信州のあすの少子化・高齢化時代の観光の大きな柱の一つだと思うわけであります。農村・山村に滞在してその地の生活や歴史を体験し、そこに住む人たちと交流することの喜び、まさに第二のふるさとづくりだと思います。
長野県は、昭和40年代から大北地方を初め全国に先駆けてこの事業に取り組んできました。現在も、飯山市や豊科町を初め全国レベルの先頭にいるといわれております。
ここに、1972年――ちょっと古ぼけておりますが――8月11日号の「週刊朝日」がございます。この1ページのグラビアで大北地区の「夏休みこども村」にスポットが当てられ、大自然の中で子供たちが笑顔で生き生きと生活する様子が映し出されております。大北農協が中心になって、「都会の子供にふるさとを 青空とトンボと遊ぼう」をキャッチフレーズに1972年に始まり、今年で25年目を迎えます。昨年も5,000人近い人たちが参加し、地元の人たちと触れ合う中で、蛍狩り、もちつき、芋掘り、わら草履編みなどを体験し、民宿で3泊4日を過ごして元気になって帰っていく企画であります。既に50万人を超える親子が育っていきました。この企画の生みの親であります白馬村の横沢馨さんは、農業は農民だけのものではないと言われております。現在、消費者の側に立った農業が求められているとき、都会と農山村の交流の25年の歴史はまさに貴重であります。
今日まで、県はきめ細かい対策を講じてきたと思いますが、グリーンツーリズムの現況と問題点、そして今後県はどのようにこの事業をバックアップしていくのか、農政部長にお伺いいたします。
また、野や山、水辺を訪ねて自然の生態を学び触れ合うエコツーリズムも、世界に冠たる山岳を持つ信州観光の今後の重要な柱だと思います。このようなエコツーリズムへの今後の取り組みについて商工部長にお伺いいたします。
第2に、高速交通網時代での観光のあり方についてお伺いいたします。
さきの5月31日まで56日間にわたり開催されました善光寺の御開帳は、7年前の1991年の400万人を大幅に上回る510万人もの参拝者であふれ、境内は久しぶりに活気を取り戻し、御開帳奉賛会の発表では250億円を超えるといわれるような大きな経済効果をもたらしました。
私も、善光寺の駐車場で数時間にわたり、参拝者の皆さんがどこから来てどこで宿泊したのかなどの動向調査を2回にわたって行いました。昔なら近くの戸倉上山田温泉に一泊してゆっくり善光寺参りというパターンが崩れ、日帰り客が増加したこと、草津温泉や高遠の桜と合わせたパック旅行など、面の広がり、広域化現象がはっきりとあらわれ、高速道効果を確認することができました。
この10月1日北陸新幹線が開業されると、東京―長野間は80分で結ばれます。道路、鉄道などの高速交通網の飛躍的な発展に対応した新しい観光の形態を準備しなくてはならないことを実感しております。
このような時代に勝ち残るためには、私は、観光振興基本計画にあるように、長野でしか味わえない本物の観光サービスの提供しかないと思うわけであります。それでは、基本計画でいう長野でしか味わえない本物の観光地・観光サービスとは一体どのような具体的な事例を考えているのか、県商工部としてこの1年どう検討してこられたのか、商工部長にお伺いいたします。
第3に、変化する観光客のニーズに対応する新しい観光施設の必要性についてお伺いいたします。
本年のゴールデンウイークの県内22カ所の観光地利用状況調査結果を見ますに、前年度対比で404%の善光寺、160%の戸隠高原以外は、18カ所が前年度より大きく減少しております。また、冬季観光のメッカであります本県のスキー観光の状況を分析してみますに、確かに本年はワールドカップなどオリンピック前大会等でスキー客が混雑を予想し信州を敬遠したとも考えられますが、各スキー場とも伸び悩み前年実績を下回っております。全国のスキー用品の売り上げ状況を見ますに、大手スキー靴メーカーA社では例年200億円の売り上げがあったのに昨年は50億円だったとか、また、国内大手スキーメーカー2社がスキー製造から撤退するなど先行き暗い状況が伝えられるにつけ、本県の牙城であるウインター観光事業の変革の転機を感じてならないわけであります。
春、夏、秋、冬とフルシーズンを念頭に入れた受け入れ態勢の必要性と新しい観光施設の必要性を感じます。
平成7年12月県会の質問で、観光客の新しいニーズにこたえられる観光施設の必要性を述べました。例えば、日本アルプスの山小屋の下に外観を汚すことなくエレベーターでスイス連邦のシュトルホーンのような観光施設をつくり、信州山岳観光のシンボルとしたらどうだろうという提案。あれから1年半が過ぎ、世界の平和の
祭典オリンピックも建設面では完成に近づいております。ポストオリンピックの大事業として、県内地元金融機関や仕事不足に悩む建設業界等の協力をいただき、世界に通じる夢のある事業を考えるときだと思います。
横岳ロープウエーなど、今日まで県観光を引っ張ってきた実績を持つ企業局であります。この点での企業局の役割について企業局長の御所見をお伺いいたします。
第4に、観光産業の人材育成についてお伺いいたします。
オリンピックを契機に海外から長野が注目され、今後の観光客の最も期待する層の一つは外国人の観光客であります。特に、英語会話圏になった東アジアは、本県にとって、雪、そして山と東アジアにないものを有しているわけで、実に有望な観光ターゲットだと思います。しかし、本県の迎える方のホテルなど観光施設での英会話のできる人材の就業率は残念ながら低く、外国人観光客のリピートを生む障害になっているのが現況であります。
そこで、オリンピックを契機に、観光地で少子化のために苦労している地域高校の定員確保のための対策等も含め、学科転換等で国際語に力を入れるような教育空間の創立の準備はあるのでしょうか。
例えば、自分の地元を例にして申しわけありませんが、白馬高校は今年、入学者が99名と定員割れをしました。将来を考え、オリンピックの記念として国際スポーツ科のような学科を創設し、語学とスポーツを合わせた人材育成をしたり観光面に配慮した教育機構をつくる等、創造的に将来を手探りすることが必要だと思いますが、教育長の学科転換などこの点での取り組みをお伺いいたします。
最後に、観光振興は街づくり・地域づくりだと思います。
先日、信濃毎日新聞社の主催で「21世紀フォーラム・安曇野」が開催されました。熱心な討論の中で、元建設省望月事務次官が、自然と人間の調和、人間的温かみを重視する思想が入っており、先人から受け継いだ伝統を大事にしながら新文化創造への思いがあり、生活の快適さとの出会いや経済活力を持つ地域を田園文化都市と述べておられました。年間1,000万人を超える観光客を迎える安曇野は生活圏と観光圏の区別なく隣り合っているなど多くの有益な提案がありましたが、観光事業は、観光客と地域住民が交流という面で異なった文化が触れ合うことや地域の特産の開発など、行政や住民、そして民間企業が一つのテーブルについて協調の原則で協議することの必要性を望月氏は強調されておりました。
また、来賓として出席された吉村知事は、小さくてもきらりと輝く美術館を例に挙げ、民間のたゆまざる努力、行政の努力、住民の協力こそが地域づくりの源だと申されましたが、私も全く同感に思った次第であります。
この2年目を迎えた県観光振興基本計画は、単に商工部だけででき上がるものではないと思います。各部局での横の連絡を強化し、創造への取り組みを行われていると思いますが、この基本計画の実現のための考え方を商工部長にお伺いいたします。
オリンピックも余すところ225日となりました。愛と参加の
長野オリンピックは、多くの皆様の献身的な御努力で着々と準備されてきております。観光サイドからオリンピックを考えますと、信州へ、長野へ行きたくなるような、一生胸に残る人と人との交流が何よりも大事だと思います。
先日、県の人事委員であり白馬村の元村長であります横沢さんとお話をする中で、「どんなすばらしいところへお伺いしても、そこで会った例えばタクシーの運転手さんや駅員さんの対応、そして会場で二言三言話した人の笑顔が一番印象に残っている」と申されておりました。私も、海外を旅する中で、自然や建物からの感動はもちろんですが、ちょっとした屋台で言葉を交わした人の印象、そこで会った人のぬくもりが忘れられません。あいさつをし合うこと、自然な笑顔を交わし合うこと、これが最も大切なことのように思います。
また、先日、蒲原沢で14人目の最後の行方不明の方が御遺体で発見されました。心から全員の方々の御冥福をお祈り申し上げるところでありますが、昨年の暮れから本当に多くの皆様方が懸命な捜索に加わっていただき、御遺族が驚かれるくらいの誠心誠意の対応がありました。例えば、長野県警では、毎日、早朝の出動前に宿舎から蒲原沢までの当日の気象や道路の凍結状況を明け方に調査し、雪国や雪道の経験のない各県からの応援隊に朝食前に連絡していたと聞きました。
このようなちょっとした気配りや、先ほど述べましたあいさつや笑顔によって、オリンピック・パラリンピックは成功に導かれると思います。名古屋のデザイン博では、タクシーの運転手さんは、乗車客に帽子をとって自己紹介してから発車しておりました。来訪者と住民の自然な触れ合いの推進のためどのようなことを考えておられるか、総務部長にお伺いいたします。
私は、今県会では観光1点に絞り質問を予定しておりました。しかし、昨日の降旗議員の質問への教育委員長の答弁を拝聴し、新たに要望を一つだけつけ加えさせていただきます。
教育委員長が力強く御指摘されたとおり、教育改革の基本は授業改善にあると思います。では、なぜ教育委員長が言われるような成果が上がってこないのでしょうか。教育委員長にもう一度、授業改善の先頭に立つ現場教師の声を聞いてほしく思うのであります。
私もPTAの一人として感ずることは、今、学校の先生は生徒と向かい合うことに疲れているということであります。例えば、県内のある中学校では、授業中に校内放送が一部の生徒によって流されたり、非常ベルが鳴らされたり、校長先生が来賓と話をしている隣で机に座って電話をしたり、教師に暴力を振るったり無視したり、これは一例にすぎませんが、多かれ少なかれ各学校の現場にあることであります。多くの授業改善の主役である現場教師は、生徒と向かい合うことに疲れているのであります。
教育委員長の授業改善の努力、ぜひともしっかりと現況を認識した上でダイナミックな方針を出していただきたく特に要望申し上げまして、1回目の質問を終わらせていただきます。
〔農政部長宮崎新一郎君登壇〕
◎農政部長(宮崎新一郎 君)お答えをいたします。
グリーンツーリズムにつきましては、平成7年4月に施行されました農村滞在型余暇活動促進法、いわゆるグリーンツーリズム法でございますけれども、これに基づきまして平成8年7月に県の基本方針を策定いたしまして、現在、その推進を図っているところでございます。
地域住民の主体的な取り組みを基本としまして、交流施設の整備、農村景観の保全や地域特産物の振興などを通じまして、都市と農山村の交流促進、農家所得の向上と地域の活性化を進めることとしておりまして、先駆的な取り組みをしております飯山市や豊科町など九つの市町村で市町村計画を策定いたしまして、地域での積極的な取り組みが図られているところでございます。
さらに、法に基づきます農林漁業体験民宿の登録件数につきましても、現在、飯山市、白馬村を中心にいたしまして県下で153件と全国トップであるなど、長野県のグリーンツーリズムへの取り組みは全国に先駆けたものとなっております。
しかしながら、御指摘のように、都市・農村相互の情報不足や農作業体験のインストラクターの養成確保がまだまだ不十分であること、あるいは交流施設の未整備など、いわゆる受け入れ条件の整備がいまだ十分とはいえない状況にもございます。
これらの課題に対処するため、グリーンツーリズムの市町村計画策定をさらに進めるほか、「交流とふれあいの郷づくり」という名称で庁内の連絡会議をつくってございますので、関係部局の連携を一層緊密にするとともに、農林業構造改善事業ですとか山村等振興対策事業などによりまして、地域の合意形成づくりや交流・体験施設の整備を一層支援してまいりたいと考えております。
〔商工部長渡辺雅文君登壇〕
◎商工部長(渡辺雅文 君)初めに、エコツーリズムについてお答えいたします。
自然や環境に対する意識の高まり、また、観光形態の個性化・多様化が進むにつれまして、自然の大切さ、生態系の実態などを学び体験するエコツーリズムへの関心が高まってきているところでございます。そうした中で、エコツーリズムは、豊かな自然との共生を目指す本県の特色を生かした観光の一つとして、重要な役割を果たすものと考えております。
現在、県内の国立・国定公園、県立公園等においては、体験・研修施設の設置、遊歩道の整備、指導・案内システムの整備等エコツーリズムの受け皿づくりが進められておりますので、これらの施設や体験型のイベント等の紹介・PRを積極的に行い、誘客の拡大を図っているところでございます。
今後も、多くの人々が、より深く自然に親しみ、自然環境のすばらしさやその大切さを学び、信州らしいエコツーリズムを味わえますよう、関係部局とも連携を図りながら受け入れ態勢の一層の充実に努めるとともに、効果的な情報発信を行ってまいりたいと考えております。
次に、高速交通網時代へ対応した長野県でしか味わえない本物の観光地・観光サービスについてお答えをいたします。
高速交通網の整備進展とともに、観光客の動向にも大きな変化が見られてきております。そうした中で、長野県観光の振興を図ってまいりますためには、長野県でしか味わえない信州らしさを実感できる観光地づくりやサービスの提供が一層重要になると考えております。
本県には、全国に誇り得る雄大な山岳景観、さわやかな高原、のどかな田園風景、豊富な温泉など他の地域では見られない自然資源、また、由緒ある史跡、町並み等の歴史的な遺産、また、地域で長年にわたり大切にはぐくまれた個性ある祭り、伝統芸能等がございます。これら本県固有の貴重な資源を大切に守りながら観光に生かしていくことが、本物の観光地づくりにつながると考えております。
また、本県を訪れる観光客を地域に古くから伝えられた郷土食や地元の新鮮な産物等を利用した食事でもてなすことは、まさに長野県でしか味わえない観光サービスの提供であると考えております。
加えて、もてなしの心を大切にいたしました「さわやか信州」のイメージに合った観光サービスの提供を、宿泊、交通機関はもとより県民一丸となって進めることが必要でございます。
高速交通時代を迎えました今、より多くの観光客が本県に長時間滞在し宿泊してもらいますためには、本県でしか味わえない観光地づくりやサービスの提供とともに、これまで以上に広域的な魅力づくりに努め、広く情報提供を行っていくことが必要であると考えております。
県といたしましても、この秋の新幹線開通を契機にいたしまして、空港や高速道路等高速交通網を効果的に活用した全県への誘客拡大キャンペーンを展開するなど、一層の観光振興に努めてまいりたいと考えております。
次に、観光振興基本計画の実現への取り組みでございますが、観光は総合産業といわれておりますように、観光振興を図ってまいりますためには、道路等の基盤整備、環境保全、景観形成、地場産業振興等、幅広い行政分野との連携が不可欠でございます。
現在、県では、観光振興基本計画の実現に向けまして、観光グランドデザイン推進会議等を組織し各部局との連携調整に当たっておりますが、今後とも、関係部局との連携を一層強化し、総合的な取り組みを行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
〔企業局長小池康雄君登壇〕
◎企業局長(小池康雄 君)お答えいたします。
観光客のニーズに対応する新しい観光施設に係る企業局の役割についてのお尋ねでございます。
企業局では、昭和37年に観光施設事業を開始して以来、信州の豊かな自然と地域の個性ある風土を生かしながら、保健休養地の開発、観光施設の建設を行うとともに、第三セクターによるゴルフ場、スキー場の建設などに参画してまいりました。
事業を始めましてからの30年ほどの間に、本県の観光事業を取り巻く情勢は、高速交通網の飛躍的な進展、市町村レベルでの地域特性を生かした施設整備、リゾート開発への民間企業の参入などによりまして県内各地にさまざまな観光・レジャー施設が整備され、大きく変容してきている状況にございます。
大規模な観光施設の整備につきましては、このような情勢のほか、御指摘がございましたように多様化している観光客のニーズや自然環境への影響、さらには、バブル経済期に建設された第三セクター方式のテーマパークの多くが現在は厳しい経営環境に置かれていると聞いておりますので、新規開発を行うに当たっては、これらの観点を踏まえて対処していく必要があると思われます。
企業局といたしましては、自然やゆとりを求める観光ニーズにこたえ、地域資源を生かし、心の触れ合い豊かな信州らしさを主張する観光リゾート地づくりを目指して、関係部局との連携を図るとともに、民間活力の導入も視野に入れた事業展開の可能性について引き続き研究してまいりたいと考えております。
〔教育長戸田正明君登壇〕
◎教育長(戸田正明 君)お答えいたします。
国際語に力を入れるような学科転換等についてのお尋ねでございます。
外国の文化に対する理解や外国人とのコミュニケーション能力の育成は、地球時代を迎えまして一層必要性を増して重要なものとなってきております。
本県におきましても、軽井沢高校を初め4校に英語科を設置し語学教育の充実を図ってまいりましたが、各学校におきましても、語学演習を行うLL装置や外国人の英語指導助手の活用などにより、生きた言葉としての外国語を学んで、異文化理解を図る授業が行われております。
各高校の活性化につきましては、現在、局内で検討しているところでございますが、地域高校は、地元の輿望を担って設立され、地域発展の一助となって地域とともに歩んできたところでありますので、御指摘の地域高校における学科転換につきましては、コース制なども視野に入れて、より学校の特色を出す方途について学校、地域と一体となって研究してまいる所存でございます。
〔総務部長飯澤清君登壇〕
◎総務部長(飯澤清 君)オリンピック時の人と人との交流・触れ合いに関する御質問でございますが、まず、各地から長野を訪れる人々を温かく迎え入れるためには地元のホスピタリティーを高めることが必要でございますが、このためには受け入れ側住民の開催機運の醸成が必要であるとの観点から、県下全域の地域推進協議会等と連携いたしまして、
長野オリンピックカウントダウンイベント等の啓発事業を展開しているところでございます。
住民との交流の面についてでありますが、民間では、長野市の商店街で店ごとに
長野オリンピックの参加国の中から一国を選んで応援する「一店一国運動」が行われており、行政におきましても長野市の「はあてぃ長野推進運動」や「一校一国運動」、県下の全小・中・高・特殊教育諸学校における「一校一参加活動」などの取り組みをしておりまして、この中で外国から訪れる選手や観客の皆さんを温かく迎えるための運動が展開されておりますので、このような活動を通じまして住民との交流を推進していくこととしております。
また、
長野オリンピック開催時には外国から多くの人々が長野を訪れるわけでございますが、こうした方々を温かく迎え入れ、快適な滞在をしていただくためには、これらの方々とのコミュニケーションが大切であると考えております。
このコミュニケーションの一助とするため、県と県国際交流推進協会では、一般向け及び商店・飲食店、交通、宿泊の業者向けに6カ国語会話集を発行しておりますほか、県の取り組みとしまして、旅館・ホテル従業員を対象とした語学研修の実施や、バス、タクシー、飲食業者等の観光関連事業者の方々に対するもてなしの心についての研修会やセミナーを実施しているところでございます。
さらにまた、県国際交流推進協会では、オリンピックの際訪れる選手・役員の家族、友人をホームステイボランティアで受け入れる事業を展開しておりまして、家庭における国際交流が期待されております。
このような幅広い取り組みを通じまして、世界各地、日本全国から長野を訪れた人々に「
長野オリンピックに来てよかった」と言ってもらえるような温かいもてなしができる態勢づくりをしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
〔3番宮澤敏文君登壇〕
◆3番(宮澤敏文 君)それぞれ熱意あふれる御答弁をいただきまして、ありがとうございました。
エコツーリズムについてでございますが、これからスタートにつくというようなお話でございました。例えば、山岳の人たちの安全と導きであります登山道、この整備におきましても全部合わせて500万足らずというのが実態のようでございます。もう少し気配りしてもいいんじゃないかという気が若干するわけであります。
また、この間、国営公園の所長と話をしましたら、不採算でもうからない仕事は国がやる、だからもうかる仕事は民間で大いに事業を起こしていただいて頑張ってもらいたい、こういうようなお話がございました。公と民間の事業の役割の原点がそこにあるような気もするわけでございます。ぜひとも企業局長さんに頑張っていただきまして、小さいものは民間でできますので、大きなプロジェクトを考えていただければと、こんな気持ちでいっぱいであります。
最後に、オリンピック開催時の交通規制が発表されました。十分な調査と研究に基づいて、いろいろな面で配慮されたものであるというふうに思います。ただ、エージェント会社等を回ってみますと、来年はオリンピックで長野は混雑するから長野への旅行は遠慮したい、というような動きがあると承っております。また、直接開催地とは関係のない例えば南の観光地も、企画旅行は来年の春は遠慮したいという動きがあると聞いております。そんなことを含めまして関係者はぴりぴりしているところであります。
今後、交通規制等を早目に公にしてもらうことと、交通管理は2月7日から22日までの何日間で、そのほかはフリーで全く影響なく、大いに信州に来ていただきたいと、こういうふうに観光で生きている方々の立場も配慮した発表をしていただきますことをお願いいたしまして、すべての質問を終わらせていただきます。
○議長(西沢盛永 君)昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時34分休憩
───────────────────
午後1時1分開議
○副議長(関谷高雄 君)休憩前に引き続き会議を開きます。
続いて順次発言を許します。
佐々木祥二君。
〔6番佐々木祥二君登壇〕
◆6番(佐々木祥二 君)県政会所属・佐々木祥二でございます。
平成9年6月定例県議会における一般質問に発言の機会をお与えいただき、まことに光栄に存じます。私としては、本年2月の議会に引き続き第2回目であり、改めましてここに私を選出いただきました駒ケ根市民を初め諸先輩、同志各位に心より感謝をいたし、代弁者として負託されました使命と責任を全力を挙げて果たしていく所存でございます。その立場から、本日はあえて率直に私見を交え質問させていただきます。何とぞ勇気と決断を持って誠意ある御答弁を賜りますよう、お願いと期待を申し上げます。
初めに、県の防災行政について質問させていただきます。
去る6月3日、駒ケ根市におきまして実施されました長野県総合防災訓練におきましては、吉村知事の指揮のもと整然と訓練が遂行され、大成功裏に終了し、まことに御苦労さまでございました。
さて、阪神・淡路大震災を初め日本海重油流出事故、また、いつ起きても不思議でないといわれる東海地震等、いわゆる災害に対しての危機管理のあり方が重要な事項として論じられ出し、国、各地方自治体等に要求される世論の意識も日増しに高まる中で、先日の総合防災訓練は、行政、住民、防災関係機関が一体・一丸となり、防災に対する認識を再確認し、意識の向上を図るいい機会であったと確信する次第でございます。
交通、通信等の目覚ましい発展に伴い、我々の生活は日進月歩の勢いで進歩・変革しております。しかし、緊急災害時において特に交通の遮断ということを考えると、長野県は山国であるとともに広大な県土を持つため、陸路による救出搬送、物資輸送、状況確認等、スピーディーかつタイムリーな支援行動等に大きな制約を受けることになります。そのために必然的に、航空機、特にヘリコプターの運用が必要不可欠な手段としてクローズアップされてきております。
我が長野県で、消防防災ヘリコプターを導入され、災害時の人命救助や緊急輸送、林野火災の初期消火などに素早く対応する消防防災航空隊を本年4月に設置し、この秋には航空消防防災体制が稼働する運びと聞いております。
中期総合計画の中でも、災害応急体制の充実ということで、広域防災機能強化のためにヘリポートの整備、そして防災ヘリの導入、緊急輸送体制の整備ということで各市町村に拠点ヘリポートの設置を促進しているわけでございますが、消防防災ヘリ運航に当たり生活環境部長にお伺いいたします。
消防防災ヘリ運航に当たり、長野県の地形等の条件を考慮した場合、県内における適切なヘリポートの整備が不可欠と考えます。そこで、防災用のヘリポートの整備について県の基本的な考え方をお伺いいたします。
また、県民の生命と財産を守るためにヘリの有効な活用が期待されるわけでございますが、出動基準、活用体制についてどのようにされるか、お伺いいたします。
次に、ヘリ保有数において日本はアメリカ、カナダに次いで世界第3位でありますが、しかし、阪神・淡路大震災の発生当初において防災用ヘリは有効に活用されなかったとの指摘がなされました。そこで、災害時の危機管理ということがクローズアップされているわけでございまして、ヘリコプターを大いに活用・利用できるシステム、組織、体制が整っていることが必要であります。
大規模災害等緊急時における消防防災ヘリの広域的な運用について、各県のヘリ、警察、自衛隊とどのような連携をして活用するのか、これも生活環境部長にお伺いいたします。
自治省消防庁による「ヘリコプターによる救急システム検討委員会」と総務庁の「交通事故における救急ヘリコプターの実用化に関する調査研究報告書」によりますと、「ヘリを使えば交通不便なところでも迅速な救急医療が可能となり、救命効果の向上が期待される」、さらには「大規模災害時における広域的な救急搬送などに大きな効果を発揮する」と報告書は言っております。
救急救命の観点から、救急車によって患者を有効的に救護・搬送できる距離は1分1キロメーターとされております。これは道路事情の悪さを反映した数値であると思われますが、このスピードでは一刻を争う患者の救命手段としては決定的に不足であり、必然的にヘリによる搬送が要求されます。そのような場合、消防・医療機関との連携、受け入れ設備、病院屋上ヘリポートを含めた現有設備の整備充実が急務となってまいります。また、消防・医療機関の関係者に対する教育訓練等が必要と考えられます。
現況と、今後どのように進めていく予定なのか、また、オリンピック・パラリンピック時のヘリ活用方法についてもあわせてお考えを生活環境部長にお伺いいたします。
ヘリコプターは人命を救う、この言葉を忘れてはならないと思います。消防防災ヘリの導入により、従来にも増して広く県民の生命・財産が守られるよう、ヘリコプターの持つ機動性、広域性等、その機能と特性が十分発揮できるような運用を心よりお願い申し上げまして、この質問を終わらせていただきます。
次に、道路行政について質問させていただきます。
道路は、県民の基本的な生活基盤であり、地域間の交流と連携を強化し住民生活の利便性を向上させるとともに、地域の産業・経済を支える重要な社会資本であります。
吉村県政におきましても、道路整備を県政の最重点課題として位置づけ、積極的に取り組んでいただいておりますことに対し心より感謝を申し上げます。しかし、広大な面積を有し、町や集落が点在している中山間地を多く抱える長野県といたしましては、いまだその整備は満足のいくものとはなっておりません。安全で豊かな質の高い生活を実現するためには、一層の道路整備の促進が求められるところでございます。
最近、財政再建の議論の中で、道路整備の目的のために創設された道路特定財源を旧国鉄債務償還や他の一般財源へ流用すべきとの発言が見られますが、このような意見の背景には「もう道路整備は要らない」といった意見があるようでございますが、とんでもない意見であります。我々地方の住民は、ようやく道路整備の順番が回ってくると考えていたところであり、安全で地域活性化につながる道路整備をこれまで以上に心から望んでおります。これらは、受益者負担の観点から簡単には道路利用者の理解は得られるものではなく、まだまだ道路整備が必要な状況の中で、道路特定財源の一般財源化は絶対に認めることはできないものであります。
また、公共事業の見直し論の中で、地方の道路はもう十分であり、投資効果の低い路線は切り捨てよとの声も上がっておりますが、これは、地方の道路状況をきちっと理解しておらず、まだ車に頼らざるを得ない地方の事情や道路整備にかける地方の期待を全く理解していない発言であります。今、道路整備を怠れば、次世代の街づくり、21世紀型福祉インフラ整備、人と地球に優しい街づくり等々の橋渡しもおぼつかず、地域の動脈としての機能が不十分では豊かな地域社会形成は不可能になり、長野県の将来にとって禍根を残すことになると思います。
また、地方分権を推進する上でも、各市町村の活性化や市町村間の広域的な連携・交流は重要課題であり、これを実現させるためにも地方の道路整備促進は緊急を要すると考えます。全国津々浦々まで道路ネットワークが完成・整備されてこそ、人、物、心の広域的交流が促進され、長野県の未来に向けての展望が開けると思います。
今年度で第11次道路整備5カ年計画が終了し、現在、平成10年度から始まる新しい道路整備計画を策定中と聞きますが、県の新しい計画について現在の状況を土木部長にお伺いいたします。
次に、急傾斜地対策について質問させていただきます。
本県は日本アルプスに囲まれ急峻な地形から成っており、県下に多くの急傾斜地を抱えておりますが、最近は都市部周辺の宅地化が進み、このようながけに近づく家屋の新築が多く見られます。私の住む駒ケ根市でも、「家の裏山が危険で、いつも不安な気持ちで生活している」と言う人がおります。
このような中で、がけ崩れ災害を防止するための第4次急傾斜地崩壊対策事業5カ年計画を現在国において策定中でありますが、先ごろ閣議決定された「財政構造改革推進方策」の中で、「公共投資基本計画の実質的な削減に留意しつつ、適正な改定計画を策定する」と言われております。これにより先送りされる事業が生じれば、対策事業を待ち望んでいる人たちに与える影響ははかり知れないものがあります。財政事情が厳しい中ではありますが、所要額の確保された5カ年計画が策定され、事業が積極的に促進されることを期待するものであります。
そこで、平成10年度から第4次5カ年計画が始まるに当たり、長野県として今後事業をどのように促進していかれるのか、土木部長にお伺いいたします。
次に、広域行政の推進につきまして総務部長にお尋ねいたします。
地方分権の実現という大きなテーマは、県、市町村といった地方行政に関係する者のみでなく県民にとっても長年の悲願でありましたが、いよいよその具体的な段階に入ってまいりました。平成7年5月に制定された地方分権推進法に基づき設置されました国の地方分権推進委員会での審議も、機関委任事務の廃止をうたい、国と地方を対等・協力の関係に変えようとするものであり、昨年12月の第1次の勧告に続き7月初旬に予定されております第2次の勧告に向P.112
けて、6月20日、地方分権推進委員会では地方行政体制の整備確立について最終案がまとまり、地方行政体制の抜本的改革を促す内容となっており、現在、国と地方の税財源や補助金の見直しなどについて各省庁との折衝を精力的に行っているとのことであります。
こうした中で、地方にとって、特に市町村にとって最も大きな課題は、みずからの判断と責任で地域の行政を執行するための体制をどのように早急に構築していくかということではないかと思います。いわば、地方分権を担うための行財政の強化、足腰の強化ということが求められていると思います。
一方、市町村行政に対する住民のニーズや対応を迫られている行政課題も大きく変化してきております。交通網整備や都市化の進展に伴い住民の日常生活や経済活動の範囲が拡大し、行政に対するニーズはボーダーレス化・広域化の一途をたどっておりますし、介護保険への対応など高齢者福祉やダイオキシン対策などごみ問題に典型的に見られますように、より高度で専門的な行政サービスが求められてきております。
さらには、国の財政構造改革会議で示されました推進方策などを見ますと、地方財政を取り巻く環境は今後ますます厳しいものになってくるのではないかと思うわけでございます。
そこで私は、今後、市町村がこうした大きな環境変化に対応していくためのキーワードは、「広域行政の推進」「市町村合併」「地方分権で知恵と工夫のふるさとづくり」ということではないかと考えます。
今の一つの市町村で行うには効率が悪い仕事、投資規模が大き過ぎて不可能な仕事、幾つかの共同で実施した方がよりよい住民サービスにつながる仕事など、広域的にスクラムを組んで行うことにより解決の糸口が見出せるものがたくさんあると思います。
我が上伊那地域におきましても、県下でいち早く広域行政事務組合に情報センターを設置し、税や年金の電算処理といった事務について共同で取り組んでまいりましたが、今後、ダイオキシン対策としてのごみ焼却場の広域設置や下水道汚泥の広域処理なども課題として考えられるところであります。
折しも県では、この3月に、「地方分権時代にふさわしい行政体制づくり」、サブタイトルとして「広域行政の推進に向けて」と題した報告書を出されました。この報告書では、今後の広域行政推進の方向として、住民ニーズの広域化・高度化に的確に対応し、効率的な行政運営や質の高い行政サービスを提供していくために、市町村は地域の特性や歴史などその実情に応じた手法を選択の上、地方分権時代にふさわしい行政体制整備を推進する必要がある、と述べております。そこで、市町村みずから地域ごとの課題を整理し議論する中から、自主的合併、広域連合の活用などのうちから最適なものを主体的に選択していくべきだというもので、私も全く同感でございます。県としても、県下市町村が広域行政を進められますよう積極的に支援すべきだと考えます。
県は、この報告書に基づき、市町村や広域行政事務組合などに、この4月、広域行政を進める上での課題や具体的な推進方策などを検討するための広域行政推進研究会の設置を呼びかけられたとお聞きしております。我が上伊那地域でも、これを契機といたしまして、去る5月の上伊那広域行政事務組合の理事会で2市4町4村の合意のもとに研究会の設置を決定し、今月17日に発足いたしたところでございます。
そこで質問でございますが、県下各地域の広域行政推進研究会における研究の進捗状況はどうなっているのか。
次に、県としては広域行政に今後どのように取り組むのか、また、市町村合併についてはどのように考えているのか、あわせて総務部長にお伺いいたしまして、私の全質問を終わりにいたします。
〔生活環境部長矢島広道君登壇〕
◎生活環境部長(矢島広道 君)消防防災ヘリコプターにつきまして4点のお尋ねがございました。順次お答え申し上げたいと存じます。
まず、防災用ヘリポートの整備についてでございます。
御指摘のとおり、災害発生時に消防防災ヘリコプターの活動がより有効・円滑に行われるためには、傷病者等の搬送や緊急物資輸送等の拠点となります緊急時に利用できるヘリポートの確保が必要不可欠でございます。そのため、県では地域防災計画におきまして、松本空港を他県等からの応援ヘリコプターの運航拠点として利用できる県拠点ヘリポートに指定いたしますとともに、10の広域圏ごとに広域拠点ヘリポートの指定をいたしております。また、各市町村におきましても、最低1カ所以上が拠点ヘリポートとして指定されております。
今後は、災害用備蓄倉庫や耐震性貯水槽などの施設を備えました、ヘリポートとしても利用可能な広域防災公園の整備を図りますとともに、訓練や災害予防活動等、緊急時だけでなく平常時でも利用できるヘリポートを、市町村と協議の上、各広域圏ごとに指定してまいりたいと考えております。
次に、ヘリコプターの出動基準、活動体制についてのお尋ねでございます。
出動の基準でございますが、救急・救助、情報収集や災害応急対策等、消防防災活動を行うに当たり緊急性があること、また、これらの用務を遂行するにはヘリコプター以外に適切な手段がないことを要件としております。
運航体制につきましては、現在、松本空港内に整備を進めております消防防災航空センターを活動の拠点といたしまして、県内消防本部からの消防吏員7名の派遣を含めまして総勢13名で消防防災航空隊を編成し、365日体制で活動することといたしております。
次に、大規模災害発生時におけるヘリコプターの連携についてのお尋ねでございます。
災害が発生いたしました場合は、直ちに本県が所有いたします3機のヘリコプターにより被害状況の調査、被災者の救助等を行うこととしておりますが、大規模な災害の場合には本県のヘリコプターのみでは対応できないことが予想されるわけでございます。そのような場合には、被災地の状況を的確に把握いたしますとともに、被災市町村長からの要請に基づき、傷病者等の搬送、空中消火といった活動内容や災害の規模に応じまして必要な機数や機種を判断し、速やかに各県や自衛隊等に応援を要請することとなります。
また、要請に基づき直ちに出動いたしましたヘリコプターを含め、各機関のヘリコプターが災害現場において連携のとれた円滑な活動ができますよう、無線等による運航統制、そして航空情報の提供等を行いまして、十分な安全対策を講じてまいりたいと考えております。
4点目でございますが、消防や医療機関との連携等についてのお尋ねでございます。
御指摘のとおり、一刻を争う救命救急医療の現場においては、ヘリコプターによる広域搬送が大いに効果的でございます。これまでのところ、大規模な災害時や山岳における遭難者のヘリコプターによる救急搬送時におきましては、屋上ヘリポートのある医療機関がないため、近くのヘリポートから救急車により搬送しているのが実情でございます。
今後は、ヘリコプターによる救急搬送に対する消防・医療関係者の一層の連携強化が必要になってまいりますので、長野県救急医療対策協議会におきまして協議を重ねる中で、県内10医療圏ごとに昨年度指定いたしました災害拠点病院への屋上ヘリポートの整備を進めることといたしております。
関係者に対しましても、引き続き救急隊員の養成に努めますとともに、厚生省が行う災害医療従事者研修会等の機会を積極的に活用いたしまして、スタッフの資質の向上を図ってまいりたいと考えております。
また、オリンピック・パラリンピックの開催時におきましては、NAOC、NAPOCそれぞれの医事衛生実施計画に基づきまして競技会場に駐機いたしまして、競技や公式練習時における選手等のけが、急病等の救急搬送に活用することといたしております。
以上でございます。
〔土木部長太田柳一君登壇〕
◎土木部長(太田柳一 君)お答えいたします。
県民生活を支える最も基本的な社会資本である道路の整備は、国の動向や地域の諸課題を踏まえ、今後とも一層計画的な推進を図る必要があります。
そこで、長野県の新しい道路整備計画の策定に当たって、平成7年度に県内各界の有識者で構成する長野県道路整備地方懇談会を設立し、本年3月まで5回にわたり道路に関する御意見や御提言をいただきました。
また、住民アンケートなども参考に、県の長期構想を踏まえて、四つの柱から成る道路整備の基本方針を定めたところであります。一つには「県内外の地域間交流の拡大」、二つには「生活圏内の交流促進」、三つには「人や自然環境への配慮」、四つには「産業の振興、地域経済活性化支援」であります。
この基本方針をもとに、本年4月に道路整備計画の素案を作成し、これについてさらに住民の皆様から広く御意見をいただいたところであります。これを計画の中に反映させ、国の計画とも整合を図りながら、今年度内には成案にしてまいりたいと考えております。
また、事業の効率的執行と透明性の確保を図る上から、計画期間内における主な新規着手・継続・完成箇所を明示した「道路の整備に関するプログラム」を策定することとしておりますが、国での予算規模が明確になった時点で公表してまいりたいと考えております。
次に、急傾斜地崩壊対策事業についてでありますが、がけ崩れ災害は瞬時に発生し、家屋を破壊し人命を奪うものであり、この事業は人の命を守るという最も根幹的な事業の一つであります。
本県は、115市町村にわたって2,392カ所と多くのがけ崩れ危険箇所を抱えておりますが、整備率は約20%と低い状況にあります。
県としましては、病院、老人ホームなど災害弱者施設や重要交通網の保全、避難路の確保などを重点としながら危険箇所の整備を進めていく所存であります。このため、平成10年度を初年度とする第4次急傾斜地崩壊対策事業5カ年計画の早期策定を国に対して要望してまいります。
いずれにいたしましても、新しい道路整備計画及び急傾斜地崩壊対策事業5カ年計画を計画的に実施していくためには所要の財源の確保が必要でありますので、県内自治体、関係団体などと連携を図りながら国に対して強力に要請してまいります。
〔総務部長飯澤清君登壇〕
◎総務部長(飯澤清 君)広域行政の推進についてのお尋ねでありますが、御指摘ありましたとおり、地方分権の推進、行政需要の広域化・高度化、小規模町村の厳しい行財政状況等を踏まえ、市町村が連携協力して地域の課題に取り組むことができるよう、広域行政を推進することが重要な課題となってきております。
お話にございましたように、県におきましては、広域行政圏ごとに市町村あるいは広域行政事務組合等から成る広域行政推進研究会を設置し、広域行政の推進について研究するよう呼びかけてまいりました。この呼びかけの趣旨でございますが、市町村及び広域行政事務組合が主体となり、地域の実情を踏まえつつ広域的な課題を把握・整理するとともに、自主的な市町村合併、広域連合制度、一部事務組合の統合・複合化等の広域行政の手法の中から地域に最もふさわしいものを選択して課題の解決を図ってもらうことにあるわけでございます。
この研究会の設置状況でございますが、現在、上小、上伊那、飯伊、松本の4地域で既に研究会が設置され、佐久、諏訪、木曽、大北の4地域においても広域行政事務組合の理事会で設置が決定されております。また、その他の地域におきましても研究会の設置に向けた準備が鋭意進められているところでございます。
既に設置された研究会における研究の進捗状況でございますが、本年3月及び4月にいち早く研究会が設置されました松本地域、上小地域におきましては、介護保険を中心とした社会福祉、ごみ処理、地域情報化、広域観光等の広域的な課題を整理し、具体的な検討に着手するとともに、広域連合制度の活用について研究を深めているところでございます。また、今月中旬に研究会が設置されました上伊那地域、飯伊地域におきましては、まず地域が抱える課題を整理した上で、具体的な研究を進めていくことといたしております。
このように、各地域で研究会の設置を契機として広域行政の推進に向けた機運が盛り上がりつつあると感じているところでございます。
次に、今後の県の取り組みについてのお尋ねでありますが、県といたしましては、こうした各地域での広域行政推進に向けた取り組みを支援するため、この4月に地方課内に広域行政推進プロジェクトチームを新たに設置したところでございます。このチームでは、各地域ごとの担当を置き、要請に応じて各地域の研究会に参加・支援するとともに、介護保険への対応やダイオキシン抑制に対応できるごみ処理などの地域が直面する課題について適切な情報提供とか助言を行うため、庁内関係部局との情報や意見の交換等も鋭意行っているところでございます。
また、広域行政推進パンフレットの作成・配布、広域行政研修会の開催や講師の派遣・あっせんなどを通じまして、市町村職員や住民の理解の促進にも努めてまいりたいと考えております。
次に、市町村合併についてのお尋ねでありますが、市町村合併は最も明確で効果的な広域行政の推進手段でございますが、一方で地域に大きな影響を与えるものでもあります。
市町村合併には、行財政基盤の強化、経費の節減、広域行政需要への対応などのメリットがある反面、中心部と周辺部との発展格差の発生、きめ細かな行政サービスが行われづらくなるなどのデメリットもあると、一般的に指摘されております。したがいまして、各市町村においては、地域の実情や住民の意向等を踏まえつつ、必要に応じて自主的合併について検討を行うとともに、地域の将来像や具体的なメリット・デメリットなど議論の材料を住民に周知・提供し、十分な議論を地域で尽くしていくことが重要であると考えております。
県といたしましては、現在、地方制度調査会、地方分権推進委員会等で行われております合併推進方策に関する検討を見守りながら、パンフレットや広報誌などを活用した情報提供、研修会への講師の派遣・あっせん、助言などを行いまして、機運の醸成を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(関谷高雄 君)次に、森司朗君。
〔38番森司朗君登壇〕
◆38番(森司朗 君)まず最初に、過疎対策についてお伺いいたします。
我が国の過疎問題は高度経済成長の落とし子かもしれませんが、その深刻化した過疎問題に対処するため、過疎地域対策緊急措置法(昭和45年制定)、過疎地域振興特別措置法(昭和55年制定)、過疎地域活性化特別措置法(平成2年制定)に基づき、総合的かつ計画的に過疎対策事業を実施してまいりました。その結果、ひところの急速な人口減少にも歯どめがかかり人口減少率が鈍化し、過疎地域市町村の道路を初めとする公共施設の整備が進み、着実にその成果が見られます。
県におきましても、法の制定以来平成6年まで総事業費1兆2,748億円余を投じ、過疎地域の活性化を進めてきております。
旧過疎法が成立してから現在で27年目に入りますが、過疎地域に指定された市町村は増加の傾向にあります。全国では、昭和45年4月1日現在775、昭和55年4月1日現在1,119、昭和60年4月1日現在1,151、平成2年4月1日現在1,143、平成7年4月1日現在1,199、平成9年4月1日現在は全国3,232市町村中の1,231市町村(38.1%)になっております。
長野県でも同様な傾向が見られます。昭和45年4月1日現在30、昭和55年4月1日現在45、昭和60年4月1日現在46、平成2年4月1日現在47、平成7年4月1日現在49、平成9年4月1日現在は長野県120市町村中の51市町村(42.5%、全国よりも4.4ポイント増)となっております。
また、51過疎市町村の人口減少率は、昭和45年と平成7年の国勢調査人口比較では、大鹿村の45.8%を最高に40%台が4村、30%台が13村、20%台が14町村となっております。ちなみに、この25年間に最も人口が減少した市は飯山市で4,736人(14.7%)、町は信州新町で3,592人(35.8%)、大鹿村は1,389人(45.8%)であります。
また、高齢化の実態を調べてみました。平成9年4月1日現在の過疎市町村の高齢化率は、県が19.8%、過疎地の平均が29%、県平均よりも9.2ポイント上回っております。10%台が1町村、20%台が23市町村、30%以上が27町村となっております。
過疎市町村の平成7年度財政力指数も調べてみました。0.065から0.373、単純平均は0.191、県平均よりも0.16ポイント下回っております。
一方、昭和45年以降の人口の増減市町村は次のとおりであります。昭和45年国勢調査で人口増加した市町村は30、減少した市町村は95をピークに、昭和55年国勢調査で人口増加した市町村は61、減少した市町村は61になりました。しかし、平成2年国勢調査で人口増加した市町村は45、減少した市町村は75、平成7年国勢調査で人口増加した市町村は54、減少した市町村は66、平成9年3月1日現在で人口増加した市町村は51、減少した市町村は68になりました。すなわち、昭和60年国勢調査時点から県内においては減少する市町村が増加してきている状況であります。将来このような状況が続きますと、県内の過疎地域と過密地域がはっきりいたします。そのことは、今後の県土の均衡ある発展に暗い影を落とすのではないかと危惧いたしております。
過疎市町村の共通課題は、中山間地が多く、高齢化が進行し、生産基盤が弱く、財政基盤が脆弱であり、嫁不足が社会問題になっております。
県においては、過疎地域活性化方針後期計画(平成7年度から11年度まで)に基づき各事業が行われ、とりわけ道路を初め下水道、公共施設の整備、生活環境や定住条件の整備が進められておりますが、まだまだ人口減少は続くものと思われます。
過疎地域活性化の目標は、若者を定住させるための魅力ある地域づくり、働く場所の確保、若者住宅の建設、生活環境の整備など、福祉や文化を含めた地域の活力を取り戻す必要があります。そのためにハード・ソフト両面からの支援が必要であります。
県としての今後の過疎対策についてのお考えを知事にお伺いいたします。
過疎代行事業は、社会資本の整備を進め過疎地域の人口の定着と活性化を促進するため、法律に基づいて県が市町村にかわって行う事業であります。このうち道路事業の積極的な拡大についての所見を土木部長にお伺いいたします。
次に、中山間地域特別農業農村対策事業計画承認基準についてお伺いいたします。
平成9年度中山間地域特別農業農村対策事業の実施に当たりましては、「中山間地域特別農業農村対策事業補助金要綱」、そして「実施要領」、さらには「運用について」のほか、本基準によって事業が推進されることになりました。従来の特農は、地域の零細農家に対する小回りのきく県単独事業として、市町村は積極的に事業の採択をしてまいりました。しかし、今回の計画承認基準を精査いたしますと、補助対象事業がかなり切り捨てられ、前年当初予算ペースでは2億9,300万円(前年比9,700万円減額)となり、特農県単独事業費の減額になっております。
国は、財政構造の転換により公共事業の見直しなど検討され、地方自治体にとって公共事業の採択は非常に厳しくなってくることが予想されます。
足腰の強い農政の確立には、零細農家の農業意欲を増進させ、農業所得の増大を基本にした方針が極めて重要であります。そういう意味で、県単独事業の充実がより求められる情勢にあるのではないでしょうか。
以下、農政部長にお伺いいたします。
特農県単独事業は、地域の農業振興や零細農業を充実させるためにも減額するべきではないということであります。今回、平成9年度中山間地域特別農業農村対策事業計画承認基準を定めた理由について、まず最初にお伺いいたします。
仄聞するところによりますと、予定された事業の採択のため、関係市町村では平成9年度当初予算で既に予算化されております。余りにも唐突に計画承認基準を定めたため、採択されない事業が生じます。本年度に限った救済措置についてどういうふうにお考えなのか。
さらに、本基準を設ける際には市町村や農業団体の意見を聞く等の配慮が必要であったのではないかと考えますが、どうでしょうか。
次に、グリーンツーリズムについてお伺いいたします。
都市住民が農家民宿などに滞在し、農山村の伝統的な景観に触れ、そこの自然や文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動がグリーンツーリズムといわれております。このグリーンツーリズムは、ヨーロッパを発祥の地として行政の支援体制が確立され、広く行われてまいりました。日本では、1992、93年ごろから表舞台に、「過疎地にふるさとを」「農山村でゆとりある休暇を」などの政策としてグリーンツーリズム関連の施策が、国土庁、農林水産省、林野庁、自治省など国を挙げて打ち出されました。このような事業が推進されてきた背景は、農産物輸入の自由化であります。厳しい農山村の活性化の施策として、グリーンツーリズムの導入が浮上したとされております。
グリーンツーリズムモデル整備構想策定事業が平成5年度から実施されており、現在、中山間地域農業の振興をねらって県下16市町村で事業が展開されております。
今、特に農山村でこのグリーンツーリズムを考える場合、森林・緑資源の活用を抜きにして語れないのではないかと私は思います。その一つには、開発の自主規制などによるすぐれた森林景観の保全、二つには、遊歩道や宿泊施設の設置などによる森林の資源化、三つには、植林、木工加工、炭焼きなどの林業体験としての活用であります。市町村において作成する「農村滞在型余暇活動に資するための機能の整備に関する計画」に十分生かされているのでしょうか、具体的に農政部長の所見をお伺いいたします。
それぞれの地域では山村活性化の試みが進められておりますが、課題も多く見られます。都市の住民が山村を訪れてお金を落とすのは、宿泊施設や郷土の特産物店に限られる嫌いがあります。例えば、すぐれた森林景観自体になかなか経済的な価値として還元されないのではないか。このグリーンツーリズム型利用における森林保全への合意形成の難しさが指摘されております。この対策を具体的にどのように展開されようとしておりますか、農政部長にお伺いいたします。
現在、公的資金による交流・体験施設等の整備が進められておりますが、これらの施設だけでは山村の活性化につながるかどうかは疑問であると思います。要は、グリーンツーリズムが山村の活性化にとって最大の効果をもたらすには、これらの施設が、観光振興おこしに役立つ新しい発想の創出、森林資源や農林業との有機的な結びつきによって、地域産業おこしにどのような役割を果たすことができるかどうかが最大のポイントになりますし、その地域産業の輪が大きく拡大することが重要であります。そして、その地域産業は農林業が主体となることは言うまでもありません。具体的な地域産業おこしについてどんなお考えがありますか、あわせて農政部長にお伺いいたします。
次に、第一勧業銀行との取引停止について総務部長にお伺いいたします。
既に御承知のとおり、現役役員や元常務4人が総会屋に対する巨額利益供与事件で逮捕された第一勧業銀行との取引を中止する国や自治体、そして公共性の高い企業が増加しております。新聞報道によれば、金融機関の信頼を失墜した同行に対し、大蔵省は預金口座開設や融資の新規取引を一定期間禁止する行政処分の検討に入り、また、郵政省は当分の間取引を見合わせる動きや、取引の停止や縮小をしている地方自治体は東京都ほか13都府県、川崎市や札幌市など市レベルまで広がっております。
県の第一勧業銀行との取引状況を見ますと、県債の引き受け・市場公募債引受シ団メンバーとして平成8年度引受額3億7,500万円、縁故債引受シ団メンバーとして平成8年度引受額5億3,200万円の取引があります。また、基金運用の減債基金は5億3,605万円(大口定期)があります。
第一勧業銀行の長野支店や同銀行の広報部によると、県内の自治体に取引を控える動きはないと説明しているようでありますが、それは県内の自治体が当面静観しているからにほかなりません。
過去には、住専の不良債権問題、信用組合と地方銀行の破綻問題、高島屋、味の素、野村證券、そして今回の事件は聖域とされていた金融機関の不祥事であり、国民の批判を厳しく受けるべきであります。
県の取引額は前述したとおりそんなに大きな額ではありませんが、総会屋への巨額利益供与事件であり、社会的に制裁を受けるのは当然であり、断固たる措置を講じるべきであると考えます。第一勧業銀行との取引を直ちに停止すべきであります。総務部長の所見をお伺いいたします。
次に、県が出資する法人(出資割合25%以上)の財務状況についてお伺いいたします。
現在、公社等の外郭団体は地方公共団体設置の土地開発公社ほか2団体、出資比率2分の1以上の株式会社しなの鉄道ほか23団体、出資比率4分の1以上の法人私学振興協会ほか15団体、計43団体で、県の出資金総額は260億8,000万円になっております。
各法人の決算状況を検討してみました。平成2年度は4件で赤字額1,349万2,000円、平成3年度は4件で赤字額5,045万4,000円、平成4年度は10件で赤字額1億1,977万2,000円、平成5年度は15件で赤字額6,216万2,000円、平成6年度は11件で赤字額1億7,029万5,000円、平成7年度は11件で赤字額5,394万3,000円であります。6年度を最高に、近年、件数、赤字額はふえており、特に目を引くのは、過去6年間の決算で3回以上赤字決算した法人は、松本空港ターミナルビル株式会社ほか11団体になっております。
第三セクターの機能と活用の意義は否定しませんが、このように第三セクターの経営が長期的に悪化しますと、公益事業全体に及ぼす影響は大変大きいと思います。健全な経営のあり方を初め、事業の採算性、運営など、適切な指導が必要であります。
総務部長にお伺いいたします。
赤字の解消対策を進める必要がありますが、どのような指導と対策を考えておられますか。
また、県の「行政改革に関する基本的考え方」が平成7年11月に示され、公社等外郭団体の見直しを進めているようであります。今後、事業の効率性など十分検討され、思い切った見直しをするべきでありますが、具体的な取り組みについてお伺いいたします。
最後に、林業中等教育の充実強化について教育長にお伺いいたします。
林業中等教育の充実強化を主張する場合、1901年(明治34年)に林業中等教育の拠点として全国の第1号として設置された甲種山林高校、現在の木曽山林高等学校を抜きにしては語れないのであります。
過去においては、全国から林業を志す優秀な若者たちが木曽谷に集い、林学を学び、その林業技術を全国に普及してまいりました。時代は林学の必要性を認め、林業教育は全国に広がりを見せ、農林高校など林業科を設置する高校が百数十校になりました。そして、高度な林学の専門知識を学んだ多くの卒業生は、国や地方自治体を初め民間の林業団体において活躍されております。
しかし、高度経済成長以来、木材の貿易自由化により、生産基盤が脆弱の上、生産コスト競争に勝てないまま推移し、国内林業が壊滅的な状況に陥り、林業や木材離れ、農山村が衰退する大きな原因になっております。そんな時代的な背景により、教育現場にあっては、現在、全国で30余りの林業科を残すのみとなりました。本県においても林業科は、木曽山林高等学校2クラス、下高井農林高等学校1クラスだけとなりました。
林業県である本県にとって、林業中等教育の充実強化は急務の課題であると思います。21世紀は森林化社会であるといわれております。そのためにも林業中等教育の充実強化は必要であります。どのようにお考えでしょうか、御所見をお伺いいたします。
高知県では、県外から受験できる高校が9校開校されました。本年度開校されました高知海洋高等学校は、21世紀の海洋新時代に対応するため、新しい教育内容を取り入れ、マリンスポーツなどの体験学習を通じて、海に親しみ、海を知る教育を行っております。室戸高等学校は、国際化が進む中でますます求められるようになっているのが個性ある人間であり、生徒一人一人が学びたいこと、適性、性格などその個性は極めて多様だとして、このような生徒の個性・能力を最大限に伸ばすとともに、進学、就職の両方に対応できる総合学科がスタートしました。
高知方式は海や国際化をテーマにしておりますが、我が県は、木曽ヒノキの赤沢美林に代表される林業のメッカの地に林業大学、森林総合研究所があり、恵まれた立地条件にあるわけでありまして、森をテーマとした全国募集の林業専門高校があってもおかしくないはずであります。県は長期的な視点に立って検討を進めていくべきだと思いますが、御所見をお伺いいたします。
「木曽山林高生4人 森づくりボランティア」――5月7日の新聞記事を見る機会がございました。貴重な体験をされた彼女たちに、「いつかまた、緑に変わった山を見に訪れたい」と生涯に希望を持たせたようであります。そういう意味から、高校生の海外研修制度を検討すべきであると思います。
○副議長(関谷高雄 君)森司朗君に申し上げます。申し合わせの時間が経過いたしましたので発言を終了願います。
◆38番(森司朗 君)(続)時間が参りましたので、以上で質問を終わります。
〔知事吉村午良君登壇〕
◎知事(吉村午良 君)お答えを申し上げます。
過疎対策につきましての御質問でございますが、大変御勉強されて詳しく指摘されまして、事実につきましては間違いないところでございまして、過疎対策は今後一層重点的な投資をする必要があろうかと、このように思っております。
お話のように、この問題が生じてまいりましたのは、高度経済成長の中で都市に対する人口の流入、そしてまたその人口は農山村から出るということで、全国的に過疎・過密の状態が生じたわけでございます。本県におきましても、残念ながら、農村から各都市部へ流入する人口がふえまして、過疎状態が生じたわけでございます。
県といたしましても、この過疎状態を脱却するためには、お話もございましたけれども働く場所の確保、青年が近くに働く場所がないということで都市部へ出ていきますので働く場所の確保、そのためにはやはり工場の誘致とか道路の整備といったことが必要になりますし、また、お年寄りも多いわけですから、お年寄りの生きがいづくり、そしてまた農村におきます生活環境の整備、他の地域に比べまして大変おくれておりますので、そういう観点から45年以来、過疎対策を県の重要な施策として行ってまいったわけでございます。おかげさまで急激な人口の減少は鎮静化にございますけれども、高齢化が一層進行いたしまして、若者が減少し、依然として厳しい状況にあることは間違いないというふうに認識をいたしております。
そこで、今申しましたような過疎対策の中で、平成2年から11年までの過疎地域の活性化計画をつくりまして現在進行中でございますが、総額5,700億円の投資を予定いたしておりまして、地域にとりましては交通網の整備が大きな課題でございますので3,000億円、また生活環境の整備ということで1,800億円、また産業の活性化ということで700億円の投資を予定しております。
市町村におきましても自主的・主体的に地域づくりをやっておるわけでございますが、そのための財源が必要でございますが、過疎債あるいは辺地債という制度がございまして、これを重点的に活用いただいております。昨年、過疎債は180億円、また辺地債は54億円ということでございますが、過疎債は70%が、辺地債は80%が交付税措置されるということで、過疎市町村におきましてはおおむねこれによりまして投資経費の充てんをしているわけでございますけれども、しかし、これだけではなかなか足りませんので、さらに市町村に対しましてさまざまな事情を聞きながら県としても対応してまいりたいと、このように思っております。
最近では、農村の持つ豊かさ、人と人との温かなつながり、こういったものが積極的に評価される状況でもございますので、こういうものを活用して市町村ごとの魅力を引き出すということが必要でございますし、また、各市町村にできております施設の有効利用、都市との交流、民間の街づくり団体との連携、こういったことを通じまして努力をされておりますので、これらにも十分に対応してまいりたいと思っております。
各市町村では、人口を減少させないため、結婚の祝い金であるとか出産の祝い金、あるいは就職奨励金、定住奨励金、また通勤費の補助といったような措置をいたしまして、できるだけ町や村から人が出るのを防ぐという対応をされておりますので、こういう制度によって過疎化がさらに進まないようにするということが大事であろうと、こう思っております。
しかし、これから地方分権で地方財政も非常に厳しくなりますと、やはり単独の町村ではできない事業も多いと思いますので、近隣市町村との連携、そういった意味で広域行政の推進ということがより一層重要になりますので、地方分権制度の行方を見守りながら市町村の活性化につきまして一層の努力をしていきたいと、このように思っております。
また、ソフト施策につきましては、公共施設の有効活用という面から公営施設運営セミナーを開催いたしましたり、それから公共施設の情報を収集したガイドブック「ASOBO」をつくりまして県内はもちろん県外にも配布しておりまして、できるだけ多くの人に過疎の町村に来てもらうようなこともやっておりますし、広域行政推進研究会、こういったものもございます。
いずれにしましても、市町村の創意工夫ということをもとにいたしまして、過疎化が進まないように県としてもできるだけ努力をしてまいりたいと、このように考えております。
以上でございます。
〔土木部長太田柳一君登壇〕
◎土木部長(太田柳一 君)お答えいたします。
過疎代行事業として実施する幹線市町村道の整備は、過疎地域の活性化を図るための重要課題と位置づけておりまして、昭和46年度より計画的に整備を進めてきております。現在は、平成7年度を初年度とする後期過疎地域活性化計画に基づき実施しているところでございます。平成8年度末までの整備状況は、栄村の長瀬秋山線以下14路線、延長にいたしまして約5.6キロとなっております。
今後とも、過疎地域における豊かで暮らしやすい地域社会の形成や広域的な地域間交流の推進を図るため、計画的に事業を進めてまいりたいと考えております。
〔農政部長宮崎新一郎君登壇〕
◎農政部長(宮崎新一郎 君)お答えをいたします。
1点目の中山間地域特別農業農村対策事業、つまり特農事業についてでございますけれども、この事業は、立地条件等の制約から効率的な農業生産が展開されにくい地域におきまして、農業生産基盤の整備や生活環境を改善するために地域の実情に即した総合的な事業を実施しているものであり、時代のニーズに対応しながら逐次制度的な改正を行いまして事業内容の充実を図っているわけであります。
お尋ねの事業計画承認基準につきましては、事業の実績や要望等を総合的に勘案しつつ毎年度作成しております。平成9年度の承認基準の作成に当たりましては、財源的基盤が弱い農業者の集まりである営農集団等が実施したり管理主体となり、農業生産の拡大や所得確保に直接的に寄与できる事業を優先的に採択することを基本といたしました。したがいまして、一般的に普及している機械や少額の機械などにつきましては、融資等の個別対応で当たることといたしたわけであります。そのほか、農協や市町村が事業主体で、かつ管理主体となる事業につきましては、比較的事業規模が大きいことから、補助率の高い国庫補助事業での対応を前提としていただき、これらの優先順位はこれに次ぐものと考えたところでございます。
次に、本年度の救済措置はどうかというお尋ねでございますけれども、従来から予算を大きく上回る事業希望がありますので、採択に当たりましては、事業の必要性や緊急性、地域農業の活性化への波及効果等を総合的に審査して採択しているところでございますが、さきに申し上げました事業でありましても、特に必要と認められる事業につきましては補助の対象にしているところでございます。
最後に、計画承認基準への市町村、団体からの意見の反映についてでありますけれども、従来からこの事業を推進するに当たりましては、県辺境地農業振興対策連絡協議会あるいは県辺境地振興農政懇談会――いわゆる特農大会等でございますけれども――を初めといたしまして、いろいろな場面で御意見をいただいているところでありますが、今後とも引き続き各方面の御意見を幅広くお聞きしまして事業の推進を図ってまいりたいと考えております。
第2点目のグリーンツーリズムの推進についてでございます。
最初に、農村滞在型余暇活動促進法に基づく市町村計画への森林や緑資源を活用する視点の反映についてでございますけれども、昨年7月に県が公表しました基本方針に基づきまして、昨年度中に飯山市など9市町村において市町村計画が作成されております。これらの計画では、御指摘の森林や緑資源の活用あるいは森林景観の保全につきましては、間伐や枝打ち等による森林景観の保全、遊歩道等の施設整備、森林浴、炭焼き等の林業体験などが具体的に位置づけられておりまして、グリーンツーリズムを展開する上で大きな要素となるものと考えております。
次に、グリーンツーリズムを進めていく上での森林保全への合意形成についてでございますけれども、本年度より、農政部と林務部が連携いたしまして、さらに農林業団体と一体となりまして、農林業・農山村の公益的な役割のアピールや、ふるさとの原風景である農山村・農林業を維持・創造する大切さを広く情報発進する「信州農山村ふるさと運動」を展開しているところでございます。
この運動を通じまして、農山村や農林業における、農林産物の供給という基本的な役割だけでなく、洪水防止機能、水資源の涵養、農山村景観の保持、保健休養等、国土や環境を守る多面的で公益的な動きなどについて積極的な情報発信を行いまして、農山村・農林業の維持・発展と森林保全の必要性についての県民並びに国民の合意形成を進めてまいりたいと思っております。
最後に、具体的な地域産業おこしについてでございますけれども、御指摘のように、農山村の活性化は農林業を主体とした展開が基本であると考えております。したがいまして、中山間地域の実情に即し、公的支援体制を含む地域営農システムの構築とか、山里の豊かさを生かした個性的な農林業生産の振興を図ることが肝要と思っております。
また一方で、地元産原料を生かしたアイスクリーム製造とか、直売による農林産物の付加価値販売を進めるほか、既に整備されております農林業体験施設等を生かすために、観光産業と農林業の連携を一層推進することが必要であると考えております。
さらにまた、多様な交流の促進を通じまして、地域の活力を引き出しながら、ふるさとの香りあふれる生き生きとした山里づくりに向けて、関連支援施策等も一層充実しながら努めてまいりたいと思っております。
以上でございます。
〔総務部長飯澤清君登壇〕
◎総務部長(飯澤清 君)順次お答えをいたします。
まず、第一勧業銀行との取引についてのお尋ねでございますが、お話にございましたように、国や幾つかの自治体におきまして取引停止などの動きがあるようでございます。それぞれ、起債の発行時期または預金の種類や額、満期等によって、個別に対応がなされているものと思われます。
本県でございますが、市場公募債の発行予定日と、現在運用している基金の満期はいずれも9月下旬であり、また縁故債の発行は来年の3月以降となっておりますこと、現在、捜査等が進行中であり、監督行政庁たる大蔵省の行政処分もまだ出されていないこと、こういった状況にかんがみますと、今はまだ諸情勢を注意深く見守るべき段階であるというように考えているところでございますので、御理解をいただきたいと思います。
次に、県出資法人の財務状況についてのお尋ねでございますが、県が25%以上出資している法人のうち、収支がマイナスとなっている法人の経営内容を見ますと、その主な原因は、単年度限りの臨時的要因による事業費の増、最近の低金利による基本財産運用収入の減、さらには事業活動が軌道に乗るまでの設立直後の予定されたマイナスなどでございまして、いずれも個々の法人がその財源状況に応じ前年度の剰余金あるいは引当金等を充当するなどにより対応しておりまして、当面の事業運営に支障を来している状況にはございません。
第三セクター方式は、公共部門と民間部門それぞれが持つ機能と利点を生かし補完し合うことを目的とした方式で、公共的性格が強いものや民間的性格の強いものもあり、また、収益性の高いものや低いものなど、その法人の性格は多様でございます。したがいまして、それぞれの法人の自主性・自立性を尊重しつつ、長期的観点から個々の法人ごとにその経営状況を把握し、より適切な監督を行ってまいりたいと考えております。
次に、外郭団体の見直しについてのお尋ねでございますが、県が出資している団体には、県が5割以上の出資をしているような県が主体となって設立したものと、県以外からも相当程度出資されている団体がございます。
このうち、県が主体となって設立した団体については、県が直接行う事業と相まって、多様なニーズに対応した業務を行っていることから、県の行政運営と同様、社会経済情勢の変化に応じた見直しを行う必要があると考えております。したがいまして、お話にございました「行政改革に関する基本的考え方」におきましては、具体的な見直し策として県が全額を出資している文化振興事業団と埋蔵文化財センターの統合を挙げており、これについては現在、関係団体と調整を進めているところでございます。
また、県以外からも相当程度出資されている団体につきましては、それぞれの必要性に基づき県を初めとした関係者が協力して設立したものでございまして、現在も、関係者が役員になるなどして運営にかかわりながら、その役割を果たしているものでございます。
今後、これらの団体のあり方や運営について見直しの必要性が生じた場合におきましては、出資者など関係者間で協議しながら進めていくことが必要であると考えております。
以上でございます。
〔教育長戸田正明君登壇〕
◎教育長(戸田正明 君)順次お答えいたします。
まず、林業中等教育の充実強化についてのお尋ねでございますが、森林の機能につきましては、国土の保全、水源涵養、森林資源の供給等のほか、最近では自然生態系の保全・維持や人間の健康増進への寄与が注目されてきております。
これからの林業教育は、国土、自然環境の保全に関する分野はもちろん、地球規模の視点に立った環境教育を視点に置きながら学習内容を充実していくことが必要であると考えております。
本県の林業教育におきましては、学校演習林での実習を通して、木材の生産・流通過程での技術の高度化・情報化に対応する改善充実を図ってまいりました。またさらに、一部の林業科につきましては、環境、緑地、造園等広範な分野を学習内容とする環境緑地科、緑地工学科への改編を行ってきたところであります。
森林の持つ多様な機能を十分踏まえながら、時代と社会のニーズに基づき、環境教育を踏まえた林業教育の推進を図ってまいりたいと考えております。
次に、全国から生徒を募集する林業専門高校についてのお尋ねでございます。
御指摘のとおり、木曽山林高等学校はかつて、全国各地から生徒が集まって多くの人材を輩出し、林業と地域社会の発展に大きな貢献をしてまいりました。しかしながら現在は、産業構造や就業構造の変化などにより状況も変化しております。
林業科における全国からの生徒募集につきましては、長年にわたって培われてきた学校の伝統を継承しつつ、林業科の将来展望に立って、学校や地域の要望等を踏まえ研究してまいりたいと考えております。
次に、高校生の海外研修制度についてのお尋ねでございます。
本県ではこれまで、農業実習を伴った国際交流、海外の学校との姉妹提携による国際理解など学校独自の研修や、長期休業等を利用した生徒自身の計画による研修など、国際化時代を反映したさまざまな研修・交流が行われてきております。
高校生が海外に出て国内では体験できない多くのことを学ぶのは大変意義あることと考えておりますが、生徒による海外研修を制度として取り入れることにつきましては、生徒の安全面、経済面及び教育上の観点からも、現状では慎重に対応する必要があると考えているところでございます。
以上でございます。
○副議長(関谷高雄 君)この際、20分間休憩いたします。
午後2時25分休憩
───────────────────
午後2時48分開議
○議長(西沢盛永 君)休憩前に引き続き会議を開きます。
続いて順次発言を許します。
倉田竜彦君。
〔36番倉田竜彦君登壇〕
◆36番(倉田竜彦 君)最初に、ダイオキシン対策を含めた廃棄物対策についてお伺いいたします。
県内の一般廃棄物が5年ぶりに増加となりました。県内のごみ総排出量は、1991年度の76万7,395トンをピークに1994年度まで減少を続けておりましたが、1995年度は約6,000トン増加し、一人当たりでも前年度より2キロ増の342キロとなっております。内容を見ますと、再資源化された量はふえており、市町村の回収努力があらわれておりますが、市町村が焼却施設で処理した可燃ごみは前年度より1万トン増加となっております。
今日、ダイオキシン問題におきましても、公共の小規模焼却施設が問題になっております。県内におきましても、3カ所の焼却施設が厚生省の緊急対策を必要とする暫定基準値を上回ったことは、御案内のとおりであります。
厚生省では、「ごみ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドライン」により排出基準を定め、緊急対策とごみ処理の広域化の推進を中心とした恒久対策などにより各県・市町村の指導に入っており、環境庁におきましても、中央環境審議会でダイオキシン類を大気汚染防止法の指定物質に指定し、廃棄物焼却施設からの排出抑制基準を、規模に応じて、1立方メートル当たり、新設炉で0.1から5ナノグラム、既設炉で1から10ナノグラムとするよう答申がなされ、ことしの秋からダイオキシンの排出に初めて規制がかかることになったと聞いております。
私は、当面はごみの広域処理を中心とした一日100トン以上のごみの集約による新型の焼却炉の新設という対策が欠かせないと思いますが、それだけでは根本的な解決に至らないと考えております。
現在、リサイクルの手本といわれました古紙の価格が暴落している現況は、メーカーが安い輸入パルプを使い、消費者が再生紙を選ばないという状況から生まれた現象だと思われますし、リサイクルのあり方が本質的に問われているというふうに思っております。
基本的には、家庭からダイオキシンの発生源である塩化ビニール等プラスチック類を焼却ごみとして出さない体制が欠かせません。焼却炉に依存するシステムから、ごみを減らすシステムへの転換が必要だと思います。家庭や事業所がごみを減らすための分別を徹底化する、生活が不便になっても我慢をし環境へ配慮する、メーカーの責任を明確にすることなど、大量生産・大量消費社会の発想を転換し循環型社会をどうつくり上げるか、国、自治体、企業、市民が一体となった取り組みが必要と思います。
そこで知事にお尋ねいたしますが、ダイオキシン対策の基本的考え方と、ごみを減らすための社会や経済の仕組みも転換したリサイクルのあり方について御所見をお伺いいたします。
一方、産業廃棄物処分場につきましては、去る6月22日、全国で初めて岐阜県御嵩町で設置の是非をめぐって住民投票が行われ、約7割の有権者が設置反対の意思表示を示しました。このことが今後の産業廃棄物処分場の立地政策にどのように影響するかは明らかでありませんけれども、この投票結果は、処分場中心のシステムから減量・リサイクルを前提としたシステムづくりへ政策比重を移すことへの意思のあらわれというふうにも思われます。
また、さきの通常国会で改正されました廃棄物処理法では、処理場建設に関する知事の責任を明記し、地元の市町村長や住民の意見を聞くことを定めております。
そこで知事にお尋ねいたしますが、知事は御嵩町での住民投票の結果をどう受けとめていられるか、また、廃棄物処理法改正についてどのように対処されていくか、基本的考え方をお伺いいたします。
次に、ごみ処理の広域化について生環部長にお尋ねいたします。
6月22日の朝日新聞の報道によりますと、厚生省ではダイオキシン問題で、今後は原則として一日の処理能力100トン以上の焼却炉に集約し、それ以下の中小炉は廃止させる、目安として人口10万人当たりで100トン以上の焼却場1施設、望ましい規模は人口30万人当たりで300トン以上の施設を提示し、都道府県が積極的に調整し、全体計画を今年度中に策定、ダイオキシンの削減目標を具体的に示すよう求めているとされておりましたが、厚生省の指導の具体的内容についてお聞かせいただくとともに、従来、一般廃棄物処理は市町村の責務という原則がありましたけれども、この原則は基本的に変わらないというふうに判断してよいのか、あわせてお伺いいたします。
県内におきましても、広域行政推進研究会が設置され、10地域の広域行政圏単位で今年度中に各地域の新たな焼却施設整備計画をまとめるとお聞きしております。
しかし、長野県の場合、広域行政圏でも山間地が多く、ごみを遠くに運んで燃やすことが現実的であるのか、すべてのごみを合わせても100トン未満の場合の対策をどうするのか、焼却場建設に向け地域住民の理解をどう得ていくのかといった課題が山積しておりますが、こういう問題に対して今後どうクリアされていくのか。一日の処理能力100トン未満の焼却施設が県内で26カ所もある中、耐久年数や維持費の問題からしてもすぐさま新炉建設に至らない状況下、ダイオキシンはその期間も発生するわけでございまして、そういう現状を踏まえて今後の方針をお伺いいたします。
また、市町村が離れていてごみの運搬が難しい場合は、厚生省では、ごみを固形燃料にする施設をつくり、燃料として活用することも考えたいとしておりますが、固形燃料化施設設置についての今後の方向についてもあわせてお伺いいたします。
次に、ダイオキシン類の測定機器についてお尋ねいたします。
去る厚生省調査におきましても、各焼却施設は濃度測定を民間業者に委託して調査されたと聞いております。測定検査機器は相当高価であり、全国では7府県がみずから持っているとのことでありますが、これだけダイオキシンが大きな問題となっている今日、県におきましても測定機器の導入が必要と思いますが、他県の状況、機器の内容を含め、基本的考え方を生環部長にお尋ねいたします。
ダイオキシンの人体に与える影響については、世界保健機関が本年2月「発がん性がある」としており、国内におきましても、九州大学の調査結果によれば母乳を通じ乳児に影響が出ることが発表され、条例を制定した所沢市では新生児の死亡率が高いなどのデータが示されております。
厚生省でも、遅まきながら来年度より健康調査を実施する方向と聞いておりますが、母乳など人体への影響について県として健康調査を行う考え方があるかどうか、衛生部長にお尋ねいたします。
次に、農業用使用済みプラスチックの処理方法についてお尋ねいたします。
畑作・園芸農家で使われている塩化ビニールシートやビニールのマルチやトンネルなどは、消費需要の拡大の中、年々増加しております。
そこで農政部長にお尋ねいたしますが、県内の使用済みプラスチック類の排出量、そして、処理方法としては埋め立て、焼却、再生利用などがありますけれども、県内の状況はどうなっているか。特に、燃やすとダイオキシン類が発生するといわれている塩化ビニールの処理方法の実態を含めてお伺いいたします。
また、簡易焼却炉での焼却や野焼きについて今日までどのような対策をとってこられたか、あわせてお尋ねいたします。
年々増加傾向にある農業用廃プラスチック処理につきましては、ダイオキシン対策を踏まえまして、ビニール公害のないクリーンな農村の実現に向けて、再生処理に重点を移したリサイクル処理システムの確立が必要と思いますが、御所見をお伺いいたします。
次に、介護保険制度についてお伺いいたします。
介護保険3法案は、6月18日閉会した140通常国会におきまして継続審査となりましたことは、御案内のとおりであります。
介護保険法案は、平成12年度からの施行を前提にしており、厚生省では次期臨時国会での成立を望んでおりますが、介護保険制度の受け入れ主体となる市町村にとってはますます準備期間が少なくなる中での対応となり、厳しくなることが予測されます。
県におきましても、今年度は保険のモデル事業を県内すべての老人保健福祉圏域で実施する、あるいは24時間対応のホームヘルプサービスを県単も含めて拡大するなど介護保険制度への対応を進めておりますが、平成12年施行に向けて、県や市町村の立場から見れば余りに準備期間が少ないのではないかと危惧を抱いております。
介護保険制度は実施主体が市町村であり、基本的に行政が対応するしかないとすれば、県の役割、市町村の役割などに国はもっときめ細かい配慮をすべきと思われます。
そこで知事にお伺いいたしますが、介護保険法案が継続審査になったことに対してどのような認識を持たれていられるか。
また、私は次期臨時国会で介護保険法案は可決されるものと期待しておりますけれども、平成12年度施行に向けて、必要な介護サービスの基盤整備について県として独自な対策と市町村への指導が必要と考えますが、基本的考え方をお伺いいたします。
次に、介護保険制度の具体的な対策について社会部長にお尋ねいたします。
まず、県の高齢者プランについてはおおむね順調に推移しておりますが、平成12年度からの介護保険制度の施行に当たって各数値目標は当然レベルアップとなると思いますが、現時点でどのように考えていられるか、お伺いいたします。
次に、ホームヘルプサービスについてお尋ねいたします。
県でも24時間対応ヘルプサービスに重点を置かれておりますが、介護保険制度での在宅サービスの大きな柱が24時間対応ヘルプサービスであることを考えますと、ヘルパー確保は大きな課題です。県の平成11年目標2,440人は24時間対応サービスを想定した目標であったのか、お尋ねいたしますとともに、介護保険制度実施時期には当然現在の整備目標を上回らなければ対処できないと思いますが、御所見をお伺いいたします。
また、現在、ホームヘルパーの大半は社会福祉協議会が市町村より業務委託を受けておりますが、ヘルパー派遣事業につきましてはもっと民間企業、農協、生協、ボランティア団体など民間事業者の協力を求めるべきだと思いますが、あわせてお尋ねいたします。
平成12年度からの
介護サービス基盤整備の予算を確保するためには、県、市町村では平成10年度末までに、県は介護保険事業支援計画、市町村は介護保険事業計画を策定することが必要ですし、県が保険料水準について市町村間の広域調整を行うことができるためにも、平成10年度末までにサービス水準を設定し、保険料水準の概算をしておくことが欠かせないと思われます。国で指針の検討をした上で、市町村のニーズ調査、国、県との調整などの手順を踏んで計画策定するには最低1年半ぐらい必要と国では言っておりますけれども、どのような形で指導をし、市町村と国の間に立って調整をしていくのか、御所見をお伺いいたします。
次に、要介護認定などの体制づくりについてお尋ねいたします。
介護保険制度のポイントは介護認定における公平感を保つことともいわれており、それだけに介護認定の難しさが予測されます。熟練した専門家、質の高いケアマネジャーが必要となり、社会福祉士や介護福祉士などのレベルアップが欠かせないと思われます。全国で4万人の養成、各県平均で1,000人程度の養成が必要と聞いておりますが、今後の国と県の養成計画並びにケアプラン策定などの実務研修を含めてどのような見通しをお持ちになっているか、お伺いいたします。
次に、介護保険制度では、保険料負担は第1号保険者とともに第2号保険者として40歳から65歳未満の医療保険者が負担することとなっております。一方、受給権者は原則として65歳以上の者となっており、初老期痴呆、脳血管障害の老化に起因する疾病を除き、難病患者を含む若年障害者の介護サービスについては障害者プランに基づく公費提供となっております。このことに対しまして、障害者の皆さんには不安があると聞いております。県下におきまして、120市町村のうち障害者計画が策定されている市町村は14市町と聞いておりますが、県の障害者プラン後期計画が本年より施行される中、県として介護保険サービスと遜色のない障害者サービスを確保するために市町村をどう指導されていくのか、御所見をお伺いいたします。
次に、栗田病院問題と精神医療対策についてお尋ねいたします。
3月1日に栗田病院の新設許可がなされましたが、許可に当たっては、一定の基準を満たしたときは許可をしなければならないとの医療法第7条に基づき許可されたと思われますが、患者処遇の問題、夜勤看護体制がないこと、準職員の問題、病床数、指定病院としての機能の問題などについてどう判断されたのか、また、機関委任事務として厚生省の指導はどうであったのか、御所見をお伺いいたします。
次に、3月24日に開催されました地方精神保健福祉審議会、私も議事録をとりまして読ませていただきましたけれども、大変熱心な審議が4時間にわたって行われました。衛生部長はその審議経過をどう受けとめていられるか、お伺いいたします。
私は、栗田病院が精神病院としてよりよい方向に改善されていくためには、行政指導は当然しっかり実施していくとともに、県下で精神科医として先進的役割を担っている先生方、あるいは看護協会、あるいは家族の会などの全面的な協力をいただくことが欠かせないと思いますが、今日までどのような協力要請を行い対応されてきたのか、また、今後、栗田病院改善のためにどのように協力をいただくのか、御所見をお伺いいたします。
次に、新病院開設後初めて5月22日に行われた栗田病院に対する実地指導についてお尋ねいたします。
今回の実地指導では、4名の精神保健指定医が同行し、42名の患者より聞き取り調査、準職員寮の巡視などが実施されたとお聞きしておりますが、従来の法に定められた項目だけでなく全般にわたっての指導であったのか、御所見をお伺いいたします。
特に、文書指導結果では準職員の処遇の問題が示されておりますが、この問題につきましては、2月県会で衛生部長は「準職員の問題は雇用の問題であり、私どもが行える部分はほとんどなく」云々と答弁をされておりました。今回の実地指導では準職員からも事情聴取されており、改善を要する事項の中にも明確に「デイケアや社会復帰施設の設置運営を通じて社会復帰を進める等、その解消に努めること」と改善するよう指導されております。
そこでお伺いいたしますが、準職員問題については、従来の考え方から一歩踏み込み、行政として調査し、改善指導をしていくとの基本的考え方に基づいた実地指導と理解してよいのか、改めてお伺いいたします。
また、現在、準職員の方が81人いるとお聞きしておりますが、病院と雇用関係を結んでいる方はいるのか、準職員の実情についてお伺いいたします。
また、デイケアや社会復帰施設の設置運営については、栗田病院が設置し運営するものと思われますが、県として設置場所や処遇を含めてどう指導されていくのか、病院任せにしない方向を含めて御所見をお伺いいたします。
いずれにしろ、栗田病院に対する今回の実地指導は、多くの専門家や家族会の皆さんなどの意向も取り入れた一歩踏み込んだ指導と私は思います。病院側がどのような改善計画を提出するかがポイントですが、精神衛生法時代の病院体質から、患者の人権や処遇に配慮された精神保健法、精神保健福祉法に適応した病院に改善していくことが欠かせません。そのためには、看護体制、医療体制を長期的な視野で指導改善していくことが必要です。今回の実地指導を踏まえ、栗田病院に対する特別指導的な対策が必要と思われますが、御所見をお伺いいたします。
次に、精神科救急医療の整備についてお尋ねいたします。
平成9年度は県立駒ケ根病院を指定し救急医療に対応するとされておりますが、4月以降今日までの状況はどうなっているのか、また、搬送体制については原則として保護者・家族などが行うとされておりますが、処遇困難な患者を例えば北信から南信の駒ケ根病院まで保護者・家族が搬送できる実態にあるのか、あわせてお伺いいたします。
衛生部長は2月県会で、精神科救急医療の県立駒ケ根病院の指定について「当面の対応」というふうに答弁をされておりますが、基本的には、県下4地区に公的病院が指定され、地区ごとに後方病院が協力していく体制が必要と思いますが、御所見をお伺いいたします。
次に、精神障害者のための社会復帰施設についてお尋ねいたします。
「さわやか信州障害者プラン後期計画」では、精神障害者のための共同住居やグループホームを24カ所、平成13年度達成目標に掲げられておりますけれども、今後の見通しと、受け入れ可能状況率との関連で箇所数は適切であるのか。初期計画におきましても、平成8年度末まで22カ所の目標に対して実際には12カ所にとどまっている厳しい状況下、地域の協力や理解を得るために衛生部としてどのような役割分担をしながら達成を目指していくのか、決意を含めて御所見をお伺いいたしまして、私の第1回目の質問を終了いたします。
〔知事吉村午良君登壇〕
◎知事(吉村午良 君)順次お答えを申し上げます。
第1点は、ダイオキシンについての御質問でございます。
御承知のように、ダイオキシン類は物の燃焼の過程で非意図的に発生する物質でございまして、発がん性や催奇形性などの毒性を持っていると、こういうふうにいわれております。その発生源は多様でございまして、科学的な考え方は必ずしも十分ではありませんが、我が国におきますダイオキシン類の発生量の80%以上がごみ焼却施設からの排出であるという報告があるわけでございます。
国の中央環境審議会では、ダイオキシン類による健康への影響を未然に防止するという観点から、これらを大気汚染防止法に基づく指定物質に指定し監視を行うことが適当であるということで、先般、答申が行われました。県といたしましては、今後の国の動向を引き続き注視いたしまして必要な対応をしてまいりたいと、このように考えております。
一方、厚生省では、ダイオキシンの発生量の多いごみ焼却施設からの排出量を削減するため、本年1月にガイドラインにより対策を示したところでございます。
ごみ焼却施設における廃棄物の処理に当たりましては、安定的に完全燃焼できる24時間全連続型の焼却炉を整備し、高度な排ガス処理を行うことによりましてダイオキシンの発生を抑えることが必要となるわけでございますが、このためには、ごみ処理を広域化し、施設を集約していくことが必要でございます。こういった観点から、現在、市町村と一部事務組合におきまして、広域化する場合の処理エリア、施設の建設時期、建設場所などにつきまして検討していただいておりますので、その結果を待ちまして県としても対応していきたいと、このように考えております。
ダイオキシン対策は、このようなごみの焼却段階での対策ということが第一義でございますけれども、より基本的なことは、ごみの量そのものを減らすことであろうと、このように考えております。したがって、そのためには、排出者である住民や事業者、そしてそれを焼却する立場の市町村、これらが共同してそのための努力をする必要があろうかと思っております。これにつきましては、そういった関係者がせっかく努力するということはもちろんでございますけれども、事業者には、製品を開発する段階からの環境への配慮、またリサイクルを前提とした製品づくり、こういうことが求められますので、そういう努力を期待したいと思います。
このように、経済活動の中でそれぞれの主体が適切に役割分担を果たしまして連携し、資源循環型の社会をつくっていくことが重要であると考えますので、そのような方向で県としても指導の徹底を図ってまいりたいと、このように考えております。
次に、御嵩町におきます住民投票についての御質問でございますが、この投票は御嵩町の置かれた環境の中で住民みずからの意思で実施されたものでございますので、本県としてその結果に意見を述べる立場にはないということで御了承願いたいと、このように思います。
しかし、本県でも廃棄物の発生量に見合った処理施設が不足をいたして、そのために県としても努力をしている最中でもございますので、一般論といたしましては、廃棄物処理施設は私どもが生活を営む限り必ず発生する廃棄物を適正に処理するために不可欠な施設でございますから、その円滑な設置運営のため、私どもはその必要性や重要性について、また、設置者は施設の安全性について十分説明や情報提供を行いまして、住民の理解と協力を得ることが重要であろうと、このように考えております。
今回の廃棄物処理法の改正は、廃棄物の減量化・リサイクルの推進、廃棄物処理施設に関する信頼性と安全性の向上、不法投棄対策、この3点が主眼となっております。
本県では、多量排出事業者に対する減量化計画の指導、また廃棄物の事務処理要領による施設設置に対する市町村の意見聴取など、既に対策を講じているものもありますけれども、法律の趣旨に従いまして制度が完全に徹底するように努力してまいりたいと、このように考えております。
次に、介護保険制度につきましての御質問でございますが、人口がますます高齢化する状況の中で、介護を社会全体で支える仕組みづくり、これは極めて重要なことでございまして、これまで検討されました保険制度は、そういった意味でこれからの問題として非常に適切な方策ではないかと、このように考えております。今回、継続審議になりましたことは非常に残念でございますけれども、しかし、相変わらず目標は平成12年度というふうにいわれておりまして、準備の期間が非常に短く、大変厳しいスケジュールとなることが予想され、心配をいたしているのが現状でございます。
この法律につきましては、いろいろな御意見があります。「介護基盤の整備が十分できるのかどうか」「介護認定が公平に行われるのか」などいろいろな意見がございますが、次期国会におきましてはこういった点を十分論議をして納得できるような法案にしていただきたいと、このように期待をいたしております。
お話がございましたけれども、これを円滑に施行できるよう、県下10圏域でモデル事業等を実施しておるわけでございますけれども、市町村ともどもそのための準備に万全を期してまいりたいと、このように考えております。
先ほども申しましたけれども、施設整備が十分でないということが一番大きな不信を招く要因でございますから、「保険あって介護なし」ということでは困りますので、国におきましても新ゴールドプラン等の内容をさらに充実いたしまして、平成12年になりましたら――まあ法律どおりとはいかないかと思いますけれども、できるだけ国民の期待にこたえるように実施していただきたいと思いますし、県としても「さわやか信州高齢者プラン」の目標達成に向けまして努力してまいりたいと、このように考えております。
今、市町村でもいろいろ努力されておりまして、24時間ホームヘルプサービスとか土・日のデイサービスとかいろいろ考えておりますが、こういった問題につきましては新しい仕組みでございますので、こういったことを含めて国の対応ができるように要望してまいりたいと、このように思っている次第でございます。
介護保険法案が成立いたしますと、いろいろ問題があるわけでございますので、市町村の介護保険事業計画、あるいは県の介護保険事業支援計画、これを十分に策定しませんと効果が出ませんので、この問題につきましては市町村にも十分御相談申し上げ、また新たな整備目標をお示しいたしまして、
介護サービス基盤の一層の充実を図りながら、介護保険法案がスムーズにスタートするように要望し、また、そのために県としても努力してまいりたいと、このように考えております。
〔生活環境部長矢島広道君登壇〕
◎生活環境部長(矢島広道 君)ごみ処理の広域化につきまして、知事への御質問のほかに何点かお尋ねがございました。順次お答え申し上げます。
去る5月28日付の厚生省からの通知によりますと、各都道府県においてごみ処理に伴うダイオキシン類の排出削減を図るため、ごみ処理広域化計画を策定し市町村を指導することとされておりまして、計画に盛り込む内容といたしましては、一つは市町村ブロックの設定、二つ目は各ブロックにおける施設整備計画、三つ目はダイオキシン排出量の削減見込み、四つ目は広域化が完了するまでの過渡期のごみ処理方法、五つ目はごみの輸送方法、六つ目はごみを固形燃料化する場合においてはその利用先、等でございます。整備する焼却施設は24時間全連続式とし、焼却能力は可能な限り一日300トン以上、最低でも100トン以上とすることとなっております。また、必要に応じて県、市町村等の関係者から成る検討会を設置して検討を進めることといたしまして、広域化計画は原則として平成9年度中、遅くとも10年度には策定することとされております。
一般廃棄物の処理は、廃棄物処理法におきまして市町村の責務とされております。市町村は、一般廃棄物処理計画に基づいて、市町村みずから、あるいは必要に応じて複数の市町村による一部事務組合を構成いたしまして処理を行っているのが現状でございます。今回は、この範囲をより広域化いたしまして、施設の規模を拡大するよう指示がなされたということでございまして、市町村の責務の原則を転換したということではないというふうに理解をいたしております。
次に、現状を踏まえた今後の方針でございますが、本県におきましては小規模な焼却施設が点在しておりまして、地形的な制約など広域化を進めるためには課題も幾つかございますけれども、ダイオキシンの削減を図るため、市町村ブロックを拡大し、処理規模の大きな施設に集約していく必要がございます。このため、広域行政圏単位に広域行政推進研究会を設けまして、これまでの一部事務組合に比べ、より広範囲な市町村のブロックを形成してごみ処理を進めるよう、検討を依頼したところでございます。
県といたしましても、必要な情報の提供やアドバイスを行いまして、検討を促進するよう支援してまいりますけれども、ごみ処理施設の立地につきましては地元の御理解が重要でございますので、十分に話し合いを行い、市町村間の合意形成を図っていただくことが必要であると考えております。
また、新たな焼却施設を建設するまでの間の過渡期のごみ処理方法につきましては、例えば一時的に余裕のある施設で処理をするなどの具体的な方法につきまして、あわせて検討することといたしております。
また、ごみの運搬が困難であるなどの理由によりまして広域処理が不可能な地域におきましては、ごみを固形燃料化いたしましてエネルギーとして利用する方法も有効な手段であると考えております。ごみを固形燃料化した場合には、安定的な利用先を確保する必要がありますし、また、この固形燃料を燃やすためには、専用のボイラーを設置し、ダイオキシンの排出基準をクリアできるだけの排ガス対策を施す必要がありますので、利用施設の整備につきましても地元市町村において十分に御検討いただく必要があろうかと考えております。
いずれにいたしましても、各地域におきまして設置主体である市町村の理解と合意の上で広域化の方向性を打ち出していただきまして、県といたしましては、それを取りまとめたごみ処理広域化計画を策定し、これに基づいて市町村を指導してまいりたいと考えております。
それから、ダイオキシン類の測定機器の関係のお尋ねでございます。
先ほど知事からお答えいたしましたように、ダイオキシン類を大気汚染防止法に基づく指定物質に指定いたしまして監視を行う、そういった旨の中央環境審議会の答申が行われておりますが、その具体的な内容等につきましては、現在、国で検討されているところでございます。
ダイオキシン類は、大気、水、土壌等に広範に含まれておりますけれども、このことも視野に入れまして、また、国における法的な措置の内容が具体的にどうなってくるのか、このことを十分見きわめながら、今後、その検査体制のあり方について検討してまいりたいと考えております。
なお、他県における機器の保有状況についてのお尋ねでございますが、御指摘のとおり、大阪府あるいは埼玉県など7府県が分析機器を保有している状況にございます。
以上でございます。
〔衛生部長畑山善行君登壇〕
◎衛生部長(畑山善行 君)お答えいたします。
最初に、ダイオキシンの母乳など人体への影響について健康調査を県として行う考えがあるかというお尋ねです。
厚生省では、昨年5月に「母乳中のダイオキシンに係る検討会」を設置しまして検討を重ねた結果、昨年12月19日に提言を出しました。その中で、まず第1に「現在、母乳からのダイオキシン類の摂取が乳児に与える影響は直ちに問題になる程度ではない」、その次が「母乳中のダイオキシン含有量が我が国と同程度の諸外国においても授乳を規制していない」と述べています。
しかしながら、今後とも健康への長期的な安全性を確保するため、国では、ダイオキシン類の人体に与える影響について健康調査を実施するため、現在、作業を進めております。
ダイオキシン類の問題は、地域的あるいは限局的なものではなく、国全体としての課題でありますので、今後、国の調査の動向を見て、県民の健康の保持・増進のために適切な対応を検討してまいりたいと考えています。
次に、栗田病院の開設許可についてであります。
病院の開設は、患者数に応じた医療従事者数、構造設備等が基準を満たしていれば、医療法の規定に基づき知事が許可することになっております。
県におきましては、医療法の規定に基づく事項はもとより、衛生行政を推進する観点から、御指摘の患者処遇の問題など精神保健福祉法に関する事項の確認検査を行い、その結果、改善が認められると判断し許可を行いました。
なお、今回の開設許可に当たり厚生省と協議したところ、「精神保健福祉法に関する諸問題等は切り離して考えて差し支えない」との指導がありました。
次に、地方精神保健福祉審議会の審議経過の受けとめ方及び指導に対する各方面への協力要請についてのお尋ねであります。
審議会では、患者の処遇、療養環境、看護体制、いわゆる準職員問題等について審議がなされました。これらの意見を重く受けとめ、今後とも衛生行政に反映させてまいります。
また、精神病院協会、看護協会、精神障害者家族会等については、従来から審議会等の場で御意見をいただき、各種調査、相談事業などに協力を得てまいりました。このたびの栗田病院の件につきましては、行政の関与だけでは十分ではなく、医師、看護婦等の資質向上や患者の社会復帰に向けて、これらの団体と今後も協力・連携を図ってまいりたいと考えております。
次に、先ごろ実施した実地指導についてのお尋ねであります。
今回は、精神保健福祉法に規定された事項に加えて、法の理念に沿った、より適切な病院の管理運営が行われるよう、療養環境の一層の改善、適切なレクリエーションと作業療法の実施、ケースワーカーによる患者の相談体制の充実及び看護体制の強化についても指導いたしました。
いわゆる準職員につきましては、社会復帰という精神保健福祉法の理念に沿って、解消に向けた指導を行いました。
準職員と病院との雇用関係につきましては、病院側は全員と雇用関係を結んでいるとしていますが、個々について、現在、労働基準監督署で調査を進めております。
デイケアや社会復帰施設につきましては、適切に設置運営されますよう設置場所や運営方法などを指導助言するとともに、準職員につきましても必要に応じて社会復帰相談を行ってまいりたいと考えております。
これらの事項につきましては、改善までに一定の期間を要するものもあることから、引き続き改善状況を十分注視しながら適切な指導をしてまいります。
次に、精神科救急医療の整備についてのお尋ねであります。
県立駒ケ根病院における2カ月間の精神科救急医療の実績を見ますと、休日・夜間の診察件数は、初診の患者さん7名を含め71件でした。
患者の搬送は、大部分は本人、家族などによってなされていますが、対応困難例では消防署及び警察署の協力を得ております。
今後、関係機関で構成されております精神科救急医療連絡調整会議等で、搬送体制など円滑な救急医療の実施に向けて引き続き検討してまいります。
また、本県の精神科救急医療体制のあり方については、県下のブロック分けや、どういう病院が適しているかなど、現在、地方精神保健福祉審議会の専門部会で検討していただいておりますので、この審議結果を踏まえ、長野県にとって適切な精神科救急医療体制の整備を図ってまいりたいと考えております。
最後に、精神障害者の社会復帰施設についてのお尋ねであります。
精神障害者共同住居、グループホームなど社会復帰施設の箇所数については、国の目標や過去の実態調査の結果などを踏まえて設定いたしました。
社会復帰施設の設置については、精神障害者がそれぞれの地域において自立して生活していけるよう、保護者や地域と密接な連携を図り、その理解を得ながら進めていかなければなりません。このため、市町村、医療法人、社会福祉法人等に設置運営を働きかけ、目標達成に向けて積極的に支援してまいりたいと考えております。
〔農政部長宮崎新一郎君登壇〕
◎農政部長(宮崎新一郎 君)お答えをいたします。
農業用使用済みプラスチックにつきまして3点のお尋ねがあったわけでありますけれども、まず1点目の排出・処理の実態についてでございます。
平成7年度に市町村を通じまして調査を実施しておりますけれども、その結果では、農業用使用済みプラスチックの総排出量は平成5年より611トン減の6,488トンとなっております。
その種類別内訳でございますけれども、塩化ビニールフィルムが1,114トンで17%、ポリエチレンフィルムが3,443トンで53%、その他が30%となっております。長野県の場合には、野菜などのマルチ栽培用のポリエチレンフィルムの割合が非常に高いというのが特徴でございます。
また、処理方法につきましては、処理業者による再生・埋め立て・焼却処理が3%、製造メーカーによる回収等が28%、残りの69%が農家による焼却または埋め立てとなっております。このうち、塩化ビニールフィルムの処理につきましては、処理業者によるものが12%、メーカー回収等が3%、残りの85%が農家による焼却または埋め立てとなっております。
最近の環境問題への世論の高まりの中で、今申し上げました処理実態が変わってきていると思われますので、本年度、改めて実態調査を行うことといたしております。
2点目の簡易焼却炉での焼却や野焼きの防止についてでございます。
本県では、国の「園芸用使用済プラスチックの適正処理に関する基本方針」に基づきまして、県、農業関係団体のほか農業用フィルム商業会も構成員となっております長野県野菜生産振興推進協議会を中心に、野菜振興研修会等における啓発、地区協議会による指導を通じまして、適正処理の推進に努めているところでございます。
また、市町村やJA等の回収活動に対しまして協議会からの助成措置を講じておりますほか、JA長野経済連も平成8年度は15のJAの取り組みに対しまして独自に助成するなどの推進を図っておりますが、なかなか進んでいないのが実態でございます。
3点目の今後のリサイクル処理システムの確立についてでございます。
近年、塩化ビニールの焼却時に発生するダイオキシンの大気汚染が問題化していることにかんがみまして、本年度は先ほど申しました野菜生産振興推進協議会の中にプロジェクトチームを設置いたしまして、他県のリサイクル施設の情報収集ですとか実態調査、それから、庁内関係部局、県廃棄物処理事業団並びに農業関係団体による検討会等を行っているところでございます。
しかしながら、長野県の場合は、ポリエチレンフィルムの割合が大きく、リサイクルプラントの稼働に必要な量の確保が難しいこと、あるいは再生原料プラスチック価格が低迷していることなど多くの課題がございますので、今後とも本県の実態に即した処理対策について鋭意研究をしてまいりたいと思っております。
以上でございます。
〔
社会部長花岡勝明君登壇〕
◎社会部長(花岡勝明 君)お答えをいたします。
介護保険制度についての関係でございます。
まず、「さわやか信州高齢者プラン」における各数値目標でございますけれども、平成11年度の目標数値につきましては、必ずしも介護保険制度を十分考慮したものとはなっておりません。平成12年度以降の目標数値につきましては、介護保険事業の計画の中で定めることになっておりますので、国の基本指針を待って新たな目標数値の設定を行ってまいりたいと、このように考えております。
次に、ホームヘルプサービスについてでございます。
ホームヘルパーの数につきまして、高齢者プラン策定時におきましては、いろいろな試算でつくったわけでございますけれども、例えば寝たきり老人の場合、週3ないし5回のサービスを約40%の方が利用する場合というふうな想定でございまして、お話にありましたように、24時間対応までを想定した目標数値にはなっておりません。したがって、先ほども申し上げましたが、今後策定されます介護保険事業計画の中で数値の見直しを行っていかなければならないものと思っております。
それから、ホームヘルパー事業における民間事業者の活用でございますけれども、社会福祉法人等への民間委託は徐々に増加しております。また、医療法人によります在宅サービスへの業務の拡大といった医療法の改正が介護保険法案とともに予定されておりまして、そうした意味でも今後民間の参入環境が一段と整ってくるものと、こういうふうに見ている次第でございます。
県といたしましても、こうした民間サービス事業者の活用は今後に向けて重要であると思っておりますので、一層それが進むようにしてまいりたいと思っております。
次に、介護保険事業計画の策定に当たってのお尋ねでございますけれども、計画策定の基本指針やスケジュール等につきましては、法案成立後、国から速やかに示される予定でございますので、国の方針を踏まえて対応していきたいというふうに思っております。
基盤整備の目標数値につきましては、国から示される標準的なサービス水準をもとにいたしまして、各市町村の実情を十分踏まえたものとなりますよう指導・調整をしていきたいと思っております。
また、県の介護保険事業支援計画の策定に当たりましては、広域的な見地から、地域間で均衡のとれたサービスが提供されるよう、適切に対応していきたいと思っております。
次に、要介護認定の実施に必要な専門家の養成研修でございますが、介護保険制度においてはケアマネジャー等の養成確保が大きな課題でございます。ケアマネジャーの養成につきましては、一定の実務経験を有する保健・医療・福祉の専門職を対象にいたしましてケアプランの作成などの実務研修を予定しておりまして、本年度は当面40名を予定しております。来年度以降は大幅に拡充していく必要があると、こんなふうに思っている次第でございます。
次に、障害者についての関係でございますが、お話にありましたとおり、若年障害者につきましては、介護保険制度によらず、障害者プランによってその施策を進めるということになっているわけでございます。
県におきましては、本年3月に「さわやか信州障害者プラン後期計画」を策定しまして、障害保健福祉圏域を設定するなど、広域的な取り組みによって施策を展開していくこととしているわけでございます。
お話がありましたように、障害者のサービスを充実するためには市町村の役割が一層重要になってまいりますので、それぞれの市町村において障害者計画をつくってもらって――計画策定指針を示しておりますので、急いでこの計画をつくってもらって、障害者プランの達成に向けて努力していただくよう積極的に市町村に対し指導してまいりたいと、こんなふうに思っているところでございます。
〔36番倉田竜彦君登壇〕
◆36番(倉田竜彦 君)それぞれ答弁をいただきましたけれども、ダイオキシン問題はある意味で新しい課題でございまして、国が10年間もほうっておいて、ここへきて急に問題が起きてきたということで一生懸命やるものですから、なかなか県も市町村も対応が難しくなっているわけですけれども、いずれにしても、県民の健康にも極めて影響がありますので、今後、一層のお取り組みをお願いしたいと思います。
この中で1点だけ生環部長にお尋ねをいたしますけれども、さっきの答弁の中で測定機器の導入についての答弁が明確でなかったんですけれども、つまり、中央環境審議会の答申でことしの秋からそういう形になった場合には測定機器の導入を考えるというふうに言っていられるのか、それとも、そういうことは基本的に当面考えていないということなのか、明確に御答弁をいただきたいと思います。
それから栗田病院問題、去年の12月議会、そして2月議会、今議会と――今議会はまだ私きりしかやりませんけれども、きょうの答弁を聞いておりますと、中身としては2月議会に比べると前向きな答弁をいただきました。そういう点では、引き続き指導を徹底していただきたいということをお願いしておきたいと思います。
介護保険の問題につきましては、さっき答弁があったとおりでございます。私どもも、県会議員の立場から引き続きいろいろな角度から御要望を申し上げていきたいと、こういうふうに考えております。
以上申し上げて、1点だけ再質問をして終わりにさせていただきます。
〔生活環境部長矢島広道君登壇〕
◎生活環境部長(矢島広道 君)測定機器の問題でございますが、検査を行う場合の体制の問題ととらえることができるかと思います。検査体制の確立には二つの方法がありまして、一つは機器を整備するやり方、もう一つは機器を整備しないで民間に委託するやり方がございますが、いずれにしても国の動向がちょっとまだわかりません。具体化する時期も明確でございませんし、分析の統一的な方法ですとか、対象施設の規模と基準との対応関係ですとか、測定回数など、わからないものがたくさんございます。その枠組みがしっかり固まってくれば、その段階で詰める必要があろうかと思っております。
○議長(西沢盛永 君)次に、風間辰一君。
〔8番風間辰一君登壇〕
◆8番(風間辰一 君)県政会・長野市選出・風間辰一でございます。順次質問をさせていただきます。
本年度は7年に一度の善光寺御開帳が行われ、長野市はもとより北信及び全県にと御開帳を主軸にした観光客は大挙して県内入りし、前回の91年を大幅に上回る510万人余が長野市を訪れたという結果に見られるとおり、善光寺の持つ全国的な誘客力の強さを示すだけでなく、その経済波及効果も当初の予想以上となり、中小の商店を中心とする関係業界にも多大な潤いを与えたところであります。
これには、前回に比べ特に高速道の開通による利便性の向上が大きく寄与していると考えられ、新聞報道によりますと、長野インターを使った車の一日平均台数は、4月が1万2,600台余、5月が1万3,600台余と、前年の同インター通行量に比し90%の増加であったとのことであります。また、善光寺参拝者の交通手段の内訳もマイカーが65%、JRが17%という数字が示すとおり、マイカーでの長野入りが大半を占めていることも注目すべき点であろうと思うのでございます。
長野市内の道路状況は、以前に比べ、環状道路の開通、国道などの拡幅等により比較的スムーズな通行ができるよう改良されてきましたことは一定の評価ができるものの、このような大量の交通量を迎え入れたとき、いまだ特定の箇所において相変わらずの大渋滞を招き、市民の足に混乱を来していることも事実であります。
特に、長野市中心街については、幅員の狭い道路箇所がこの善光寺近辺には多く存在し、また駐車スペースも少ないことから、今回も多くの県外者が戸惑い、わかりやすい道のみを選んでの走行がもたらす渋滞と、そこを使わざるを得ない市内の通常生活及び経済行動とが相まって、大混雑をもたらしているのであります。
そもそもが、善光寺参拝を目的としている県外者をこの古くからの住宅密集地である善光寺周辺に近づけさせてしまっていること自体が無理のあることであり、また、中央通り等の商店街にとっても、人の流れが来ないことには、景観等新しい商店街づくりに積極的に参画し、この県都の目抜き通りを改善していこうとする意欲を創出させることができず、市民にとっては美しい町並み、商店にとっては有益な将来性が見出せず、また、商店街にとっては空き店舗はふえこそすれ活力と一体感を失うといった陥穽に陥ってしまうのであります。
この長野市中心部においての大型駐車場の創設は、人の流れを変え、商店街の活性化、ひいては善光寺近辺の渋滞解消と景観の整備へと進展させ、県都のイメージアップに必ずつながっていくものと思われますが、昭和通りとの交差点部分のB1地区における大型立体駐車場構想はどのような進捗状況となっておりますでしょうか。あわせて、この周辺の市街地再開発事業についての進捗状況を住宅部長にお尋ねいたします。
また、市では鍋屋田小学校と後町小学校を併合させる計画と聞いておりますが、そのどちらかがあいた場合、このような市街地における広大な敷地こそ公共団体が買い上げ有効利用するのも一案と考えます。
そこで、これからの市街地再開発をする際、どのような点に力点を置いて推進されようとするか、あわせて住宅部長に御所見を伺いたく存じます。
さて、五輪を見据え、また、市内のふえ続ける車両数の中で、道路網の基幹をなす部分での渋滞箇所が国道117号線や上松五差路の拡幅などによって着実に改良がなされてきておりますことは、的確な土木行政の成果であり、住民の声に基づく県政運営の証左として、五輪を介し広く国内外に示すことができると同時に、都市としての機能を高め、さらなる発展に大きな期待をもたらすものであります。
また、このたびの新道路計画事業策定に対し、県民に広く意見を募り、新しい時代の道路整備をどう推進すべきか、現在、その声を取りまとめていると仄聞しております。
国の財政構造改革会議によれば、公共事業全般について平成9年度の当初予算に対し初年度で7%カットし、集中改革期間の3年間で15%のカットをすると示されており、我が県の道路予算の4割強を占める公共事業が大幅に圧縮される可能性のある昨今、我が県としても地方における道路整備の重要性を強く訴える必要があると思うわけでございます。
特に、中山間地における生活道路が今後どうなるかは、その地域にとっては死活にかかわる問題でもあり、また、隣接する地方都市にとっても、中山間地の道路整備が広域的なバイパス整備となると同時に、重要な観光資源へのルートであることを認識すれば、地方の公共事業予算の確保は、費用便益分析などの数字にあらわせない、地方に生きる力を与えることそのものであると思うのであります。
首都機能移転、地方分権、省庁再編といいながらも、いまだそのめどが立たぬまま、その一方でこのような地方切り捨ての論理を通そうとするならば、それこそ地方の時代に逆行する大都市圏重視・地方軽視であるといわざるを得ないのでございます。
そのような状況下の中で、県民の声を受け、道路整備プログラム策定をするに当たり、県としては特に中山間地の生活道路をどう有機的に整備促進されるのか、また、特に西山地域と長野市の場合どうお考えか、土木部長にお尋ねをいたします。
次に、上信越高速道・長野インターの開通により、マイカーによる観光客がふえたことは御開帳によっても明らかでありますが、五輪の場合、皮肉にも、これによって来るであろう県外車をいかに減らすかということが開催中の最大の懸案事項であり、これについては既に県警本部も、総量抑制案の中で、政府筋、テレビスポットなどを通じ広く日本じゅうに長野市の交通規制を知らしめる計画を決定済みと聞いております。
一方、この10月に開通する北陸新幹線によって長野入りする観光客も相当な数に上ろうかと思われるわけでございますが、何より、時間の速さ、正確さからくる予定の立てやすさが人々にとって最大の利便性となり、マイカーで来ようとする大都市圏からの流入を抑え総量抑制しようとすれば、いかにこれら公共交通機関で来てもらうか、いかにそれを知らしめるか、という点も重要なポイントとなってくると思うのであります。
そこで、県としても、大会期間中、この大都市圏を含む全国への公共交通機関利用促進のPRが必要になってくると思われますが、どのような方法でPRするか、企画局長の御所見をお伺いいたします。
次に、長野五輪そのものの国際PRについてお尋ねをいたします。
御案内のとおり、前回冬季五輪のリレハンメル、そしてアルベールビルも、一地方都市でありながら、明確な理念を持ち、それを全世界に訴え共感を呼ぶということに成功し、メディアを通じ広く世界にその存在を知らしめたわけでございます。
長野の場合、事前報道が少ないとはいえ、そもそも、世界に訴えるに足る理念はあるにせよ、明確な形となって見えていないという点も報道されにくい一因ともなっているのであり、どのような手段や方法で何をPRするかが焦眉の急となっていると思うのであります。
昨日の新聞報道によれば、大会役員、ボランティアなど2万6,000人にリサイクルできる公式ユニホームを着用してもらい、これを環境をテーマにした長野五輪の象徴にしたいようでありますが、これではテーマは同じであっても論理の展開や手法が目先を変えただけで、リレハンメルと何ら変わらず、余りにも安易過ぎると思うのであります。
そのリレハンメルの場合、環境というイメージをリサイクルできるでん粉でつくった皿たった一枚で伝播することに既に成功しており、実物は見たことがなくても、そのわかりやすい皿という対象ですべてを伝えることを可能にしたところから見ても、長野五輪においても、我が県独自の視点や新しい手法で訴えていくことは、「わかりやすさ」や「らしさ」を決め手にしていけば十分通じると思うのであります。
いずれにせよ、時間的余裕のないところまで来た今、世界へのPRは何をどのように展開していくか、具体的方針についてあわせて総務部長にお伺いいたします。
さて、冬季五輪のプレ大会は去る3月30日のカーリング及びショートトラックの世界選手権で幕を閉じ、その期間中、延べ2,400人のボランティアの参加を得、本番さながらの熱戦が繰り広げられ、各競技団体からも高い評価を受けるほど、NAOC及びボランティアの機動力が発揮され、運営能力も着実につけられたと仄聞しているところでございますが、複数の報道によりますと、プレ大会開期中のNAOCとボランティアの関係の中で幾つかの問題点が露呈したともされております。
一つには、駐車場係に交通情報が伝わらない、また人によって指示内容が違う等、情報連絡体制の不備、また、NAOCのボランティアに対する権力的指示命令がされたことによって精神的苦痛を感じる等、NAOCのボランティアに対する指示系統や基本認識の不徹底に問題があったとされております。
特に、ボランティアに対する姿勢は、多くのボランティアの冬季五輪への士気を下げる結果となり、これから本番に向け市民・県民こぞってムードをつくり上げ高めていかねばならない大事な時期において、このような事態は早急に改善されなければならないと思うのであります。
県民の中でも、ボランティアは特に無償の愛を提供しようとする県民であり、彼らの働きが五輪の成否を左右するだけでなく、五輪が終われば、五輪の流れを知り、五輪全体を評価する国内最大の評論家集団となり得るわけで、その言動によっては、その後の県政と地域行政についての県民と行政の距離を遠ざけるか近づけるか、大きく変わってくると思うのでございます。
新しい時代に向け、行政も今までの主導型から県民の力をかりての体制づくり、五輪を介して新しい流れづくりをしなければならない今、そして県民にとっての五輪とは何かというテーゼが問われている今、NAOCのボランティアに対する姿勢をもう一度見直し是正していく必要があると考えますが、この点について県はどのようにお考えか、総務部長にお伺いいたします。
一方、さきの前売りチケット販売においても、せっかくの我が県での我が県民の手によって開催される冬季五輪なのだからどうしても見たいと思う大勢の人々が、二日も三日も徹夜をし苦労をして並んでも欲しいチケットが手にできなかったという状況は、苦労をした人にとっては余りに不条理な事態であり、苦労をしても報われないのなら、身近に感じることもできない五輪といわれても仕方がない事態がここでも発生していると思われるのであります。
少なくとも、なぜ列の先頭に並んだ人が希望のチケットを買えなかったのか、そもそもどの種目のA・B・C席がそれぞれ何枚売り出されたのかという問題に対し明確な答えが出ない限り、組織そのものへの疑念や疑惑は払拭されず、このままの状態であれば、開催地であるにもかかわらず、県民にとって距離のある手の届かない五輪とならざるを得ないと思うのでございますが、この問題についてIOCサイドの見解はどのようになっているのか、また、情報開示の決定権がIOCにあるとするならば、それに了解を得ていこうとされているのか、IOCが開示しない意向とするならばその理由は何か、総務部長のこの問題についての御所見とあわせてお伺いいたします。
次に、このたびの交通規制計画の中でも、長野市への大会期間中の車両による交通流入量を、高速道を使っての一般車両は10万6,500台、大会関係車両を4,100台と予測し、それ以外の国道あるいはJRと合わせ、大会期間中の長野市の人口が何倍以上にも膨れ上がることになると推察されるわけでありますが、市民が、あるいは商圏内にある業者がそれがどの程度になるかが実体的につかめないでおり、そのことは、長野市あるいは近郊の関連商店業にどの程度の商圏が出来し、したがってどの程度のストックを見込む必要があるかといった点について予測を不可能にしているわけでございます。
中でも、その数字いかんによって、卸・小売業などの食料品販売店が通常に比べどの程度この期間中に在庫管理すればよいかといった懸案にも目下対処できない状況は、期間中の市民の食糧在庫も満足に確保できないというケースにもなりかねず、業界側にとっても、また当事者である市民も、そして大挙して滞在している国内外の大会関係者、一般観光客らにも多大な迷惑をもたらすことが容易に想定できるのでございます。
このような事態を避けるためにも、長野市の人口が何倍になると食糧は通常時に比べどの程度の目安でふやさなければならないのかという経済波及予測を早急に提示し、より適切な指導をもって対処されなければ、思わぬところで混乱を招きかねないわけであります。
また、その予測を立てられないということは、大量の在庫をどこに保管するかといった具体的な計画をも立てられないことにもなっていくのであり、食品の衛生管理の面からも、O157の発生などがあった場合でも、今の状態の業界任せであれば不可抗力としか言いようがなく、それ以前に、世界の舞台としてあるまじき事態を招かぬよう、適切な指導が県に求められていると思うのであります。
現在では、一日の人口が180%ぐらいになったとしても在庫は間に合うとのことでありますが、それを大幅に超える場合、例えば一日で100万を想定した場合、現状の倉庫ではもち切れず、市内に搬入できないと計算され、さらには、連続的に同じ人口が長野市にとどまっているとは考えられず、日によって100万、次の日は50万ということになると、在庫調整がもはや追いついていかないとのことであります。
そのような不測の事態にもたえ得るよう県としても強力にバックアップするためにも、大会期間中の人口増にある程度の目安を立て、それによって各業界に早急に準備計画を促進させることが目下の急務であり、また同時に、長野市と隣接する商圏、また県全体にどのような経済波及があると想定されるか、各業界広く県民に示すときにもはや来ていると考えますが、現在その予測はどのように試算されておりますでしょうか、総務部長にお伺いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
〔住宅部長山浦衞久君登壇〕
◎住宅部長(山浦衞久 君)お答えをいたします。
長野市の昭和通りと中央通りの交差点の北側、現在、八十二銀行昭和通支店を中心とした長野銀座B1地区の大型立体駐車場構想の進捗状況についてでございますが、長野市が平成2年度、3年度に、国、県の補助を受けまして、B1地区及び周辺を含めた市街地再開発事業等に関する現況調査を実施いたしました。その後、調査結果を踏まえまして、長野市が、市街地の活性化を図るため、大型駐車場等を含む施設の内容、権利の調整、資金計画等につきまして、地域住民の合意を得るべく、当地区の事業計画について調整をしているところでございますが、現在までのところ、再開発準備組合等の組織は設立がされておらず、事業が立ち上がる段階までに至っておりません。
今後とも、県といたしましては、この銀座B1地区の事業の推進に当たりましては、積極的に指導助言等をしてまいりたいと考えております。
次に、B1地区周辺の市街地再開発事業の進捗状況についてでございますが、中央通り東側のさくら銀行――ただいまのB1地区の通りを挟んで反対側になりますが――を含む地区におきまして、既存の商店、銀行等の地権者の方々が集まりまして、平成6年12月に「長野銀座A-1地区市街地再開発準備組合」が設立されまして、現在のところ、住宅、市の公益施設、権利者の店舗、駐車場等の施設内容について権利者間で調整をしております。事業の内容につきましては、地上15階建て、床面積は約2万平方メートルの複合型の再開発ビルを計画しております。平成10年度に着工して12年度に完成する予定となっておりますが、権利者との調整によっては、この問題の推移が予断を許さないこともあると思われます。
次に、これからの市街地再開発をする際に、どのような点に力点を置いて推進するのかということについてでございますが、最近は、車社会の進展により中心市街地の駐車場の不足、大型店の郊外への転出、
市街地居住者の減少や高齢化など、既成市街地の空洞化が起きている状況にあります。そのため、市街地再開発を実施するに当たっての重視すべき事項としましては、定住人口の回復、駐車場等公共施設の整備により、既成市街地の活性化を図ることであります。
このためには、既成市街地の持つ公共交通機関の利便性、病院等公益施設が整備されている有利性を生かしまして、従来の商業を主とした事業のほか、駐車場、福祉施設、住宅等を併設した複合型の再開発、そして個性的な町並みづくり等を推進していくことが重要と考えております。
現在、県下各地で実施中または計画中の再開発事業につきましても、大部分はこのような複合型の再開発手法をとっておるところでございます。
以上でございます。
〔土木部長太田柳一君登壇〕
◎土木部長(太田柳一 君)お答えいたします。
中山間地域における道路整備についてでございますが、地域の活性化を図るため、市町村振興計画と整合させ、都市との連携を強化するとともに、地域の産業を支援する道路整備を進めることが必要であると考えております。
新道路整備計画案におきましても、道路整備基本方針の柱の一つであります「生活圏内の交流促進」の中に「都市と中山間地域の連携強化」や「医療福祉圏域の形成支援」を掲げ整備を推進することとしており、これをもとに「道路の整備に関するプログラム」を策定してまいりたいと考えております。
御質問の西山地域と長野市の場合でございますが、都市との連携を強化する道路としては、長野市街地や長野インターチェンジとを結ぶ県道長野大町線は既に供用開始しており、国道19号の笹平改良や長野南バイパスは国において整備を促進しております。また、地域の活性化や医療機関へアクセスする道路としては、県道信濃信州新線の小川村日本記や信州新町太田において整備を進め、さらに地域の一体化を強化するための道路としては、県道小川長野線の長野市湯山から市場で局部改良を進めてまいります。
以上でございます。
〔企画局長伊藤寛君登壇〕
◎企画局長(伊藤寛 君)お答えいたします。
オリンピック期間中の公共交通機関の利用促進とそのPRについてのお尋ねでございますが、NAOCでは、オリンピック大会開催時の観客の輸送につきましては、新幹線を初めとする鉄道、バスなど公共交通機関を主体に考えており、マイカーでの来場者については、インター周辺等に駐車場を設置し、シャトルバスの運行による輸送を基本としております。
今後、パンフレットやインターネットを利用して的確な交通情報の提供を行うとともに、旅行代理店、宿泊施設やその他の関係団体の協力を得て、観客に対し鉄道やバスによる来場を呼びかけることとしております。
さらに、全国の観客への入場券の発送に当たりましては、交通情報ガイドを添付いたしまして、公共交通機関の利用による来場をお願いすることとしております。
また、県警でも、交通規制の周知にあわせて、公共交通機関の利用を呼びかけることとしております。
なお、公共交通機関の利用促進に当たっては、その受け皿づくりが必要であることから、JRなど関係機関に対し、臨時列車の増発、競技時間帯に合わせた特別ダイヤなど輸送力の増強について協力を要請しているところでございます。
いずれにいたしましても、オリンピックを成功させるためには、交通総量抑制による渋滞の緩和や円滑な輸送が重要な課題でありますので、NAOC、開催地の市町村等と十分連携を図りながら、県内はもとより県外からの観客に対しても、的確な交通情報を提供するとともに、自家用車の使用自粛と公共交通機関の利用を繰り返しPRしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
〔総務部長飯澤清君登壇〕
◎総務部長(飯澤清 君)順次お答えをいたします。
まず、
長野オリンピックの世界へのPRについてのお尋ねでございますが、
長野オリンピックでは、世界じゅうから多くの方々が長野に集まるとともに、世界じゅうの目が長野に向けられます。このような機会に、長野大会の基本理念を全世界に発信し、深い感動を与え、21世紀に向け友好と平和の花を咲かせる大会にしたいと考え、組織委員会におきましては、「子供たちの参加促進」「美しく豊かな自然との共存」「平和と友好の祭典の実現」の三つを開催するに当たっての目標として取り組んでまいりました。
例えば、オリンピック史上初の子供の観客席の確保は「子供たちの参加促進」を具体化したものでございますし、また、国際競技連盟からの男子滑降のスタート地点の引き上げ要請に対する長野側の姿勢や、大会運営に使用する車両に100台を超える多くの低公害車を導入する計画などは「美しく豊かな自然との共存」の理念に基づくものでございまして、長野らしさをあらわし、世界において評価をいただいているものと考えております。
今年度、組織委員会におきましては、海外における
長野オリンピックPRを重点的に展開しておりまして、この5月には「フランスにおける日本年」にちなみましてパリの目抜き通りで
長野オリンピックのPRパレードなどを行ったほか、韓国で開催された第2回東アジア大会や、タイで開催された青年会議所アジア太平洋地域会議などの国際会議の場で、PRブースの出展や記者会見等を行っております。
この夏から秋にかけましてアジア各国を回るアジアキャラバンを実施してまいりますし、国際プレス代表者会議や北陸新幹線の開業に合わせた会場地視察メディアツアーも開催されますので、このような場におきまして、さまざまなメディアを通じて
長野オリンピックをPRしていくこととしております。
また、従来からの海外向け広報誌や、開設以来約800万件のアクセスがありましたインターネットは、海外からのアクセスが約6割を占めております。このような情報発信なども活用し、広く、よりきめの細かい対応を通じまして
長野オリンピックを世界にPRしてまいることとしております。
次に、NAOCのボランティアに対する姿勢についての御質問でございますが、12月から3月にかけまして行われた14の前大会におきましては、語学要員が629人、一般要員が1,772人の合計2,401人が大会運営全般にわたりボランティアとして携わっていただいたところでございます。
これらの前大会を通じて、各大会の組織委員会からは、大会運営要員に関する課題として、業務量に対する分野ごとの配置数の見直しや研修の充実が挙げられました。
また、ボランティアの皆さんの意見、感想を十分把握し、改善点を検討するため、アンケート調査を実施しました。その結果、参加したボランティアからは、総体的には「参加してよい経験になった」「楽しく参加できた」など国際大会を経験して本番への手ごたえを感じた意見が多数出されておりますが、中には、御質問にありましたように、「ボランティアにある程度のことまで任せるべきではないか」とか、「意欲的なボランティアに対する事務局職員の対応に問題があった」とか、「情報伝達が遅く業務に支障が出た」というような指摘もございました。これらの点につきましては、事務局職員の事前研修が直前にならないとできなかったことや、ボランティアに準備段階から参加してもらえなかったことなどが原因ではないかと考えているところでございます。
NAOCでは、これら前大会の反省やボランティアからの意見、感想を踏まえまして本番に向けて万全を期していくわけでありますが、特に、会場別、業務別の専門研修を充実するとともに、準備段階からも参加をお願いしまして事務局スタッフとボランティアの意思疎通を図っていくこととしております。
また、4月にはNAOCのインターネット上の公式ホームページに大会ボランティア専用の「ボランティア会議室」が開設され、NAOCへの意見、提案なども随時入ってきているところであります。
さらに、大会時にボランティアや委託職員などに対して運営上の指揮命令を行うNAOCの職員は、県や市町村など役所からの出身者が多いこともありますので、「官僚的だ」というような指摘が出されないように、既に管理職には研修をしたところでございますが、今後は全職員に対しても行う予定となっております。
長野オリンピックは、多くの人々の愛と参加に支えられた大会を目指しておりまして、大会の成功のためにはボランティアの皆さんの活躍がぜひとも必要でありますし、大変大きな期待を寄せているところであります。
県としましては、今後とも、NAOCがボランティアの参加しやすい条件整備に努め、皆さんの持てる力を最大限発揮できるよう、協力をしてまいりたいと考えております。
次に、チケット販売の問題についてのお尋ねでございますが、
長野オリンピックの開閉会式及びすべての競技種目の延べ総席数は154万席となっております。このうち、大会運営上必要となる席や海外販売席などを除く71万席について国内販売をすることで、IOCの理事会で承認がされております。
各競技種目ごとの枚数につきましては、IOC、国際競技連盟、各国オリンピック委員会、放映権獲得放送局、スポンサー等の関係者との調整を行っている部分でありまして、開示に当たってはそれぞれの了解を得なければならないこととなっております。このようなことから、IOCでは、各競技種目ごとの販売枚数につきましては、リレハンメルやアトランタなどの大会でも開示をしておらず、
長野オリンピックにおいても同様に取り扱うべきであるとしておりますので、御理解をいただきたいと思います。
次に、経済波及効果等についてのお尋ねでございますが、大会期間中の経済波及効果の算定につきましては一定の条件が設定される必要があります。具体的には、選手・役員、メディア関係者、観客等のオリンピックに関係する総人数、観客については県内・県外別の人数、日帰り客または宿泊する人数、宿泊日数、どのような交通機関で来るのか、また、これらにかかる消費金額等であります。
オリンピックに関係する人数のうち最も大きなウエートを占める観客数につきましては、現在、入場券の予約販売が終了し前売り販売が行われている段階でありますが、この購入者に対しまして現在NAOCが観客動向調査を行っておりますので、この結果がある程度まとまってまいりますと、ほとんどの条件の設定が可能となってまいります。
長野市での人口増加はどの程度見込まれるかとの御質問については、現段階ではお答えできませんけれども、この一連の調査によって予測可能となってまいります。
したがって、NAOCの調査を踏まえ、10月ころには観光消費額の推計に基づき経済波及効果の試算を行ってまいりたいと考えておりますので、御理解をいただきたいと存じます。
以上でございます。
○議長(西沢盛永 君)会議規則第13条第2項の規定により、本日はこれをもって延会いたしたいと思います。
次会は、明26日午前10時30分に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。
本日は、これをもって延会いたします。
午後4時23分散会...