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平成 8年 2月定例会本会議-03月06日-07号

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  1. 長野県議会 1996-03-06
    平成 8年 2月定例会本会議-03月06日-07号


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    平成 8年 2月定例会本会議-03月06日-07号平成 8年 2月定例会本会議 平成8年3月6日(水曜日)  出席議員(61名)   1 番    佐野功武    23 番    宮沢宗弘   2 番    牛山好子    24 番    柳沢政安   3 番    宮澤敏文    25 番    三上孝一郎   4 番    奥村 剛    26 番    島田基正   5 番    花村薫平    27 番    望月雄内   6 番    木下茂人    28 番    今井勝幸   7 番    風間辰一    29 番    中村善行   8 番    山元秀泰    30 番    井出公陽   9 番    平野成基    31 番    太田道信   10 番    清沢英男    32 番    池田益男   11 番    本郷一彦    33 番    塩沢 昭   12 番    石坂千穂    34 番    佐藤良男   13 番    宇留賀行雄   35 番    小林忠司   14 番    服部宏昭    36 番    倉田竜彦   15 番    大和代八    37 番    金井浩正   16 番    村石正郎    38 番    森 司朗   17 番    久保田元夫   39 番    森田恒雄
      18 番    塚田 一    40 番    宮澤次雄   19 番    高橋 宏    41 番    古田芙士   20 番    寺島義幸    42 番    下﨑 保   21 番    母袋創一    43 番    小林 実   22 番    萩原 清    44 番    宮沢勇一   45 番    金子松樹    55 番    小林千秀   46 番    吉田博美    56 番    西沢盛永   47 番    中島輝夫    57 番    佐藤利次   48 番    関谷高雄    58 番    篠原文三   49 番    浜 万亀彦   59 番    清水重幸   50 番    成沢栄一    60 番    西山平四郎   51 番    中島昭一    61 番    柳沢 勲   53 番    小田切行雄   62 番    登内英夫   54 番    石田治一郎  欠席議員(1名)   52 番    中原嘉之吉         ───────────────────  説明のため出席した者   知事        吉村午良    企画局長      花岡勝明   副知事       池田典隆    副出納長      高橋寿昭   出納長       山極達郎    公営企業管理者   植田稔昌   総務部長      飯澤 清    企業局長      島田勝治   社会部長      古越典雄    財政課長      藤原通孝   衛生部長      畑山善行    教育委員会委員長  宮﨑和順   生活環境部長    村松亮勇    教育長       佐藤善處   商工部長      市川 衛    教育次長      藤井世高   農政部長      中村武久    教育次長      佐久間鉄四郎   林務部長      茂木 博    警察本部長     松﨑彬彦   土木部長      安井常二    警務部長      黒木慶英   土木部高速道局長  佐々木 勇   監査委員      林 秀夫   住宅部長      岡田勇一         ───────────────────  職務のため出席した事務局職員   事務局長      丸山 勇    総務課主査     平林 信   議事課長      三木一徳    副参事兼議事課課長補佐兼記録係長                               太田 浩   議事課課長補佐   牧野内生義   議事課記録専門員  若井一仁   委員会係長     小林資典    議事課主事     穐澤礼子         ───────────────────  平成8年3月6日(水曜日)議事日程    午前10時30分開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         ───────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時31分開議 ○議長(清水重幸 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。         ─────────────────── △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(清水重幸 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、塚田一君。       〔18番塚田一君登壇〕 ◆18番(塚田一 君)おはようございます。埴科郡及び更級郡上山田町選挙区選出・県政会所属・塚田一でございます。  議長よりお許しがありましたので、一般質問をいたします。  割り当て時間を30分ちょうだいいたしましたが、原稿まとめに苦吟しておりましたところ、一昨日来、天の声がありまして、「風邪で体調が悪いときは無理するな」とのことでございました。したがいまして、素直に従いました。そういう事情の中で、原稿の内容はやや考えが足りず粗末な面もありますので、まことに申しわけございませんが、答弁者におかれましては物足りない質問になりますことをお許しいただきたいと思います。  昨年は私は、地元の問題を主に一般質問をいたしたところでございます。国立長野病院の後医療の問題、信越線第三セクターの中間駅設置の問題、そして国立の観光大学校の招致等について一般質問をいたしました。今回は、地元の問題を離れまして、全県的な視野に立ちまして御質問を申し上げたいと思います。  最初に、新国民生活指標・PLI――ピープルズ・ライフ・インディケーターズの略ですが――と今後の県政及び県民生活について企画局長にお伺いいたします。  経済企画庁が発表いたしました平成7年版の新国民生活指標、いわゆる豊かさ指標のうち、活動領域別の指標について長野県の全国順位を見ますと、全国平均を50として、「働く」の分野では57.16で全国第1位、「遊ぶ」の分野では55.65で第3位、「交わる」の分野では54.30で第3位、「学ぶ」の分野では55.80で第5位、「費やす」の分野では53.13で第6位となっております。  参考にさらに申し上げますならば、「住む」の分野では富山県が住環境等よいということで第1位、「費やす」の面では東京都が収入と消費生活との絡みにおいて第1位、そして「育てる」の分野では北海道が児童の教育等がよくできる環境にあるということで第1位、それから「癒す」の分野では福井県が医療・保健の分野ですぐれておるということだと思いますが第1位、それから「遊ぶ」の分野では東京が休暇と余暇との関連において第1位、「学ぶ」は石川県が大学や文化施設等の関係で第1位、「交わる」、これは地域活動等の盛んなところということになりましょうけれども、山梨県が第1位となっております。  以上は参考でございますが、以上申し上げました五つの活動領域では本県は全国の上位に位置しており、評価できるものと考えております。  しかしながら、次の3項目につきましては、全国平均を上回っているものの、全国順位はさほどよくありません。長野県は、「癒す」の分野では50.72で全国第23位、「住む」の分野では50.42で第18位、「育てる」の分野では53.32で第12位となっております。  釈迦に説法となってしまいますが、「癒す」の分野は医療・保健・福祉サービス等の豊かさの状況、「住む」の分野は住居、住環境、治安等の豊かさの状況、「育てる」の分野は子供のための教育支出、教育施設、進学率等の豊かさの状況をそれぞれ示すものであります。  そこでお伺いいたします。  これらの3領域は、それぞれ何ゆえに本県は上位に進出できないと分析されますか、お伺いいたします。  さらに、これらの3領域は、県としてあるいは県民としてさらなる向上を目指さなければならない領域であります。県としては、これらの改善のためにどのような施策の展開が必要と考えられるか、お伺いいたします。  また、そのための施策は昨年策定された県の長期構想や中期総合計画の中にどのように位置づけられ、また取り入れられているのか、お伺いいたします。  次に、PLIの全国総合順位については経済企画庁では発表していないと思いますが、47都道府県の総合順位について何か試算がありますか、試算があれば第1位から第5位はどこの都道府県になっているのでしょうか、また、その中で長野県は全国で第何位に位置しているのでしょうか、お伺いいたします。  別にPLIのうち評価軸別の指標というものがございますが、これについてもあわせてお伺いいたします。  評価軸別の指標は四つの領域から構成されておりますが、これも全国平均を50として、長野県は「快適」の分野では57.63で全国第2位、「公正」の分野では58.42で第3位となっており、全国平均を大きく上回っております。しかしながら、長野県は「自由」の分野では48.92で第31位、「安全・安心」の分野では52.34で第9位となっております。「自由」の分野は全国平均を下回っておりますし、「安全・安心」の分野は全国平均をやや上回る程度にとどまっております。  この結果は、私たちが日常感じていることと違和感があるようにも感じますが、この2領域が上位にランクされないのはどこに原因があると分析されているか、お伺いいたします。  また、この2領域の改善向上にはどのような施策や社会環境の醸成が必要と考えられるか、お伺いいたします。  次に、土木部長にお伺いいたします。ダム建設の必要性、安全性についてのPRについて御所見をお伺いいたすものであります。  一昨年の大渇水や昨年の梅雨前線豪雨において、ダムが治水・利水の面で大変効果的な施設であったことは御承知のとおりであり、私もその必要性については十分理解をしておりますが、最近の新聞報道や週刊誌上に連日のようにダム建設反対グループの活動等の記事が掲載されております状況を見ますと、行政側のPRが大変不足していると考えるものであります。  新聞報道は、2月下旬は2月22日、2月23日、2月24日、2月25日と連続、内容は違いますがダムに関連した報道がなされました。そして、3月1日の「週刊ポスト」に、これは後に申し上げますが一つの記事が掲載されております。  浅川ダムについては、安全性等についての住民訴訟が起こされたり、ダム建設について凍結し住民合意をという動きや、下諏訪ダムについては、ダムの必要性等について疑問を持ち、ダム計画中止を求める運動グループにより署名活動が行われ、関係機関に建設中止の陳情をしている等の記事があります。  また、これらの県内の反対運動市民グループによる「県ダム問題連絡協議会」がこの2月24日に松本で結成され、国や県にダム行政の転換を求めていく等、反対運動を強めていく状況があります。  また、先ほど申し上げましたように、ある週刊誌には、ダム建設に関連づけて「五輪道路で長野市民35万人が生き埋めの危機に」などと掲載されており、記事の内容を見ればセンセーショナルな大変お粗末なものでありますが、放置できない状況があります。  このような動きや新聞報道等の状況に対し、一般県民やダム建設促進を熱望している県民にとりましては、真実は何かということが当然知りたいわけであります。事情や実情を知らない一般県民に対し行政はきちんと説明すべきであり、その上で自信を持って事業を進行すべきと考えます。  このような状況を放置することは、今後のダム行政に大変支障を来すと考えるものであり、反対運動者が述べている趣旨であるダムの必要性、安全性の否定について、もっと実情をPRすべきであると考える次第であります。  ダムを必要と考える立場から、私は、PRについて、地元紙はもとより全国紙の有料広告を出し、1ページぐらい買い切ってキャンペーンを積極的に行うよう御提案を申し上げますとともに、今後のダムのPR等の方針について土木部長の御所見をお伺いいたします。  次に、出納長にお尋ねいたします。  我が国は、平成6年10月に普通預金などの流動性預金金利自由化となり、すべての預金商品が完全自由化となりました。また、バブル崩壊後、日本は低金利状況が続き、公定歩合も昨年4月に1%、9月には0.5%と、ついに1%を割り込む状況となっております。  県財政も、このような状況の中で、いかに効率的な運用ができるかを求められておるわけでございます。  地方自治法第235条の4では、「普通地方公共団体の歳入歳出に属する現金は、政令の定めるところにより、最も確実かつ有利な方法によりこれを保管しなければならない」と定められております。最も確実かつ有利な方法による保管とはなかなか難しいことでありますが、預金選択につきましてもきめ細かな配慮をされ御苦労されていることと思います。  県の歳計現金を所管する出納長の立場として、このような厳しい状況の中での運用方針をどのようにお考えになっているのか、また、現在の運用はどのような状況なのか、あわせてお伺いいたします。  以上で第1回目の質問を終わらせていただきます。       〔企画局長花岡勝明君登壇〕 ◎企画局長(花岡勝明 君)新国民生活指標と今後の県政及び県民生活についての御質問でございます。順次お答えをいたします。  御承知のとおり、新国民生活指標は、生活水準や豊かさを総合的に把握するために経済企画庁で作成しているものでございまして、国民生活に密接に関連する指標を用いまして都道府県ごとの順位を算出しているものでございます。  まず、活動領域別指標についてのお尋ねでございます。  「癒す」の分野では23位ということになっておるわけでございますが、これは、全国平均と比較いたしまして、平均余命、デイサービスセンター施設数などで高い評価となっている一方で、医師数や看護婦数などで低い評価となっていることが一つの要因であると考えられます。  「住む」の分野では18位ということでございまして、一人当たりの畳の数、持ち家比率などで高い評価となっている一方で、下水道の普及率、歩道や自転車道の延長距離などで全国平均を下回っていることが要因であると考えられるところでございます。  「育てる」の分野は12位でございまして、一定の評価を得ているというふうに思っておりますが、乳児の死亡率が低いことなどがプラスの要因となっている反面、学校の長期欠席率が高いことなどがマイナスの要因となっているものでございます。  これらの結果を踏まえた対応ということでございますけれども、長期構想とそれを具体化した中期総合計画の中におきましては、「癒す」の分野では、医療従事者の確保対策などによる医療の充実、デイサービスの拡充やホームヘルパーの養成などによる福祉の充実に向けまして、積極的に取り組んでまいることといたしております。  また、「住む」の分野では、マイホームづくり資金融資事業の充実などによるゆとりある住環境の形成、下水道や歩道・自転車道整備などによる安全で快適な生活環境づくりに努めることといたしております。  さらに、「育てる」の分野では、学校教育の一層の充実を図ってまいりたいということでございます。
     次に、都道府県の全国総合順位ということでございますけれども、経済企画庁では総合順位については出しておりませんけれども、平成7年版の新国民生活指標に基づきましてそれぞれの分野の得点を単純に合計いたしますと、第1位が福井県、第2位が富山県、第3位が本県でございまして、続いて石川県、山梨県という結果になっております。本県は、総合でも高い評価を得ているというふうにいえると思います。  活動領域別指標のほかに、先ほどお話がありましたように「安全・安心」「公正」「自由」「快適」という視点からの評価もされておりますが、その中で「自由」の分野につきましては31位となっておりまして、これは、スポーツ施設数有効求人倍率などで高い評価となっている一方で、外食費の比率、サービス消費の割合、書籍・雑誌小売店数などで全国平均を下回っていることが要因であると考えられるところでございます。  「安全・安心」の分野では全国順位も9位ということで、相当の評価を得ておるところでありますが、平均余命や失業率などで高い評価がなされている反面、成人病死亡率などでマイナスとなっているものでございます。  これらの結果の改善のために必要な施策につきましては、中期総合計画では、人々の個性や意欲を生かすことのできる自由度の高い社会を実現することを基本として施策を展開することといたしております。また、がん検診の促進など成人病の早期発見・早期治療を図るとともに、予防知識の普及啓発に努めることといたしております。  豊かさを示す指標は、データの採用方法によりまして結果がいろいろ出てまいりますし、個別のデータにつきましても評価がいろいろあるところでございますけれども、新国民生活指標で示された数値につきましても、県政運営の参考としながら、評価の高い面は一層伸ばし、低い面は改善を図りながら、豊かで住みよい長野県づくりを進めてまいりたいと考えているところでございます。       〔土木部長安井常二君登壇〕 ◎土木部長(安井常二 君)お答えいたします。  ダムの建設に際しましては、それぞれの場面に対応してPRに努めてまいったところでございます。  ダム事業につきましては、従来から、各ダムにおいて計画概要図パンフレット完成予想図などを作成しまして、技術的な内容を含め関係者に説明し、事業の理解を得るよう努めております。完成ダムにおいては、毎年開催している「森と湖に親しむ旬間」にダム施設の開放を行うなど、また、工事中のダムにおいては工事現場を開放するなど、一般県民を対象にダムに対する親しみと理解を深めていただいております。  また、ダムの効果につきましては、一昨年の渇水や昨年の梅雨前線豪雨における裾花ダムの洪水調節効果につきまして、パンフレットを作成し、関係者に説明しております。  ダムの安全性につきましては、阪神・淡路大震災において震度4以上の約250のダムについて調査した結果、影響がなく、ダムの安全性が改めて立証されたことを地元関係者等にPRしております。  しかしながら、新聞報道等で伝えられているような反対活動があり、御心配をおかけする状況にございます。  今後、広報宣伝に工夫を加え、より一層理解しやすいものにして、県や市町村による広報誌、新聞広告やチラシ、ダム完成模型の作成等によりまして、地元関係者はもとより幅広く県民の理解を得る機会を設けていきたいというふうに考えております。       〔出納長山極達郎君登壇〕 ◎出納長(山極達郎 君)お答えをいたします。  歳計現金の運用の基本方針ということでございますが、歳計現金は県民の貴重な財産でございます。お話がありましたとおり、地方自治法及び同法施行令の規定に基づきまして、元本保証のある確実かつ有利な預金によることとしまして、金融機関等へ預け入れをいたしておるところでございます。  具体的には、四半期ごとと毎月、収入・支出の予定をそれぞれ徴しまして、詳細な資金計画をつくっております。そして、それに基づきまして、余裕資金の金額、期間等を考慮いたしまして、外貨預金、大口定期預金譲渡性預金等自由金利商品のうちから最も有利な商品を選択し、効率的な運用に努めておるところでございます。  次に、運用状況についてでございますが、御案内のとおり、最近の地方財政は、景気回復のおくれによります地方税収の伸び悩みに加えまして、国税の伸び悩みに伴いまして地方交付税も横ばいというような状況が続いております。近年は、毎年末、国の政府予算の固まりますときに出されます地方財政対策でも、地方の財源不足を公共事業あるいは県単事業など投資的経費の財源を地方債で賄う、そして後年度でそれを国が措置するというような措置がとられてきております。  また、近年の国の経済対策に伴います公共事業等の財源も、地方債で賄っておるような状況でございます。そのため、地方債がかなり多くなるわけでございますが、大半が年度末に発行されるということになりますので、年度中途におきましては資金繰りが非常に厳しい状況になっております。  ただいま時点でも県の歳計363億余の一時借入金を抱えておるという状況でございまして、この一時借入金を抱えた状況が今年度いっぱいは続くものと、歳計現金の運用のチャンスはないのではなかろうかと見ておるところでございます。  今年度は、外貨預金で26回、延べ金額にいたしますと1兆1,200億円――これは運用日数と運用金額の積でございますけれども――ございました。それから大口定期預金で4回、3,980億円ございました。合計で30回、1兆5,180億円の運用をいたしてきております。これを過去最高の運用を行いました平成2年度と比較いたしますと、平成2年度には延べ運用額が16兆6,812億円でございましたので、約10分の1という状況でございます。ちなみに、今年度の運用の実日数は99日、一時借り入れが206日、あと20日余り残しておるという状況でございます。  また、運用益につきましては、普通預金利子を含めまして3,911万円でありました。過去最高の運用益を得ました平成2年度の32億6,100万円をピークに毎年減少を続けております。当時と比較いたしますと100分の1まで落ち込んでいるというような状況でございます。このため、今回も運用収入の減額補正をお願いいたしておる状況でございます。  運用益が減少しております主な事由といたしましては、ただいま申し上げました地方財政の構造的な要因もございまして運用金額が減少したこと、たび重なる公定歩合の引き下げに伴いまして金利が低下していること、などによるものでございます。  このような厳しい状況ではございますが、今後とも、金融情勢を十分見きわめながら一層効率的な運用に努めてまいりたいと思います。  以上です。       〔18番塚田一君登壇〕 ◆18番(塚田一 君)ただいまはお答えありがとうございました。  企画局長には、先ほどみずから申されておりましたように、新国民生活指標はデータのとらえ方でいろいろな考え方や感じ方ができるわけでございますが、一面での客観性を持った一つのデータであるという面もございますので、企画局長のお立場で新国民生活指標を十分参考にされて今後の県政運営に御努力をいただきたいと思います。  それから土木部長の御答弁の関係ですが、開会初日にいただきました土木部長の議案説明要旨の第5ページ以下にダムについて所見が掲げられておるところでございます。ここでは、治水・利水対策上極めて重要な役割を果たしておる、昨年の梅雨前線豪雨のときは洪水調節効果により大きな被害を防げたと、こういうことも明言しているわけです。また、最後の方で、農山村等の小河川における局所的な治水対策としての小規模生活ダムは県下7ダムの建設を進める、渇水対策ダムリフレッシュ事業を引き続き実施するとして、ダムの建設を進めていくということを議案説明要旨の中で述べられておるわけでございますから、どうか自信を持ってお進めいただければありがたいと思います。  それから出納長から御答弁をいただきましたが、私は、何とも表現しがたい一つの感慨を覚えつつ出納長の御答弁をお聞きしました。  吉村県政とともに歩み、吉村県政を支えて活躍してこられた山極出納長でございます。三役のお一人、出納長として御答弁をいただきましたが、30年近く以前に上級職1期生として入庁され、28年ぐらい前でしたか、文書学事課の法規審査主事としてもにらみをきかしておいででした。それから数年後、当時としては全く珍しい天下りならぬ天上がり人事で本省、たしか自治省振興課の課長補佐として研修に赴かれた。天上がり人事で課長補佐です。当時、私ども地方にいる者にとっては痛快事でした。天下りは当たり前のことですが、天上がりというのは痛快事でした。それから幾春秋と申しますか幾星霜と申しますか、現在、三役として重きをなしておられます。全く御苦労さまでございます。  昨年来、出納長に対してはどなたからも質問がなされず登壇の機会に恵まれずに過ぎておりましたが、やっと本日御登壇いただきまして、これで私といたしましては満足でございます。今生の思い出になります。ありがとうございました。  以上です。 ○議長(清水重幸 君)次に、倉田竜彦君。       〔36番倉田竜彦君登壇〕 ◆36番(倉田竜彦 君)まず最初に、長野県と情報通信事業のあり方についてお尋ねいたします。  去る2月29日、NTTの経営形態のあり方を検討してきた電気通信審議会は、NTTを長距離と東西2社の地域会社に分割し3社体制とする、KDDについても現行のKDD法を廃止し国内通信もできるようにする、実施時期は1998年度中とする等の答申を、少数の反対意見を付記して郵政大臣に行いました。  長野県内におきましても、昨年9月、「NTTのあり方を考える懇談会」が遠藤守信・信大工学部教授を座長に結成されまして、県議会からも県政会・望月雄内議員、新風クラブ・宮澤敏文議員、社県連から私が参加をし、長野県並びに利用者の視点に立って、NTTの分離分割問題を踏まえ、情報通信の将来のあり方について行政、教育、文化、福祉等さまざまな角度から検討を重ね、長野からの提言としてまとめたところであります。  NTTが分離分割された場合、長野県にとってどのような影響が出てくるかを検討いたしましたが、山間僻地が多く、高齢化率が高い長野県にとりまして、NTTの分離分割は、料金格差を受けやすく、過疎化の進む山間町村の高齢者の唯一の通信手段である電話を中心とした通信網も大きな影響を受け、通信料金が割高になることが予測されます。  長野県の新たな産業の発展のための情報インフラ整備との関連でも、ハード・ソフト両面から強力な情報通信基盤からの支援が欠かせませんが、NTTの分離分割がなされた場合、小規模になった企業体にそのような体力は期待できないものと思われます。  また、昨年7月の長野県北部を襲った梅雨前線豪雨災害におきましても、NTTが1社体制であったがゆえに、混乱なく、かつ系統的に即応できる通信インフラの緊急支援体制が築かれましたが、災害復旧におけるJR東日本、JR西日本の対応の違い、中部電力、北陸電力の対応の違いを見るまでもなく、地方の災害に分離分割は大きな影を落とすものと思われます。  21世紀はマルチメディアの時代です。光ファイバーネットワークとコンピューターシステムが結合した高度情報通信基盤の整備によって、大きな社会変革がもたらされようとしています。高速道路や新幹線などの輸送網は血管、情報通信網は神経に例えられますが、この両者の整備によって都市と地方のさまざまな格差が埋め合わされ、いよいよ地方の時代の本格的出現となるものと思われますが、その実現には膨大な設備投資と高度な技術開発が求められるところですが、分離分割はマルチメディア社会の実現におくれを来すおそれがあります。  以上のような視点から、「NTTのあり方を考える懇談会」では、まずもって関連のさまざまな規制緩和を推進し対外的な門戸開放策を実施すること、市場競争原理を徹底することこそが最善策と判断し、分離分割が即電気通信事業の公正な競争と使用料の低廉化をもたらすものではないと判断をいたしました。また、NTT自身に対しましても、その企業責任を全うし、開かれた事業を推進し、一層の企業努力を求めたところであります。  私は、常に利用者に優しく、科学と技術の恩恵を地方でも十分にかつ公平に享受できる、万全な情報通信事業の推進体制を強く望むところであります。  そこで知事にお伺いいたします。  電気通信審議会はNTTの分離分割を答申いたしましたが、NTTのあり方について、地方との関連を踏まえて知事の御所見をお聞かせいただきたいと思います。  また、知事は議案説明の中で、高度情報通信基盤の将来における活用について、研究会を新たに設け研究していく、地域ケーブルテレビの整備や長野市のフルネット・パイロット事業への助成等地域の情報化を促進すると説明されておりますが、21世紀はマルチメディア時代といわれている中、NTTの果たす役割も大きいと思われますが、その基本的な理念をお伺いいたします。  次に、地方公務員の職員採用試験受験資格の国籍条項についてお尋ねいたします。  高知県の橋本知事は、ことしの夏の職員採用試験から日本国籍を受験資格とする国籍条項の撤廃方針を正式に表明いたしました。同県の方針は、警察、学校関係を除く全職種を対象にしており、都道府県レベルでは初めてとなります。  一方、自治省は、「公権力の行使や公の意思形成に携わる公務員となるためには日本国籍が必要」とする1953年の内閣法制局見解を根拠に、永住外国人に門戸を開く国籍条項の撤廃に難色を示しています。  高知県では、廃止に備えて、法律や条例、規則など3,750項目について永住外国人が採用された場合を想定し検討したが、実務上問題なしとの結論であったと新聞報道されており、知事が国から請け負う機関委任事務についても、法規、通達で縛られており、「外国人だからという特別の裁量は働かない」、また、昇進すると機密情報に接触するという指摘に対しては、「機密の扱いに問題があれば地方公務員法によって処分されるのは、国籍に関係なく同一である」としております。また、国籍条項は地方公務員については職員採用試験案内の中の受験資格に入れてあるだけで、地方公務員法の欠格条項にも記載がなく明文化はされておらず、高知県では「地方で決められる問題」としており、自治省は「法に記載する以前の法理」と主張しております。  一方、都道府県・政令指定都市以外では、国籍条項のない市町村が1993年の自治労の調査によると354自治体、政令都市でも大阪、神戸、横浜、川崎の4市が1992年より二、三の専門職で撤廃されており、市町村段階では国籍条項の廃止は大きな流れになっていると思われます。また、高知県の決定を受け、東京、沖縄などでも原則撤廃の方向で将来的に検討するとも聞いております。  私は、高知県の方針は、国際化や人権尊重の流れに沿い、地方分権の先取りとしても地方自治の拡大につながる決断として評価しております。  知事は、我が県議団・森県議の定住外国人への地方選挙権の付与についての代表質問に対し、定住外国人の権利を認め擁護することは重要だと答弁されております。また、1998年冬季オリンピックは、長野県の国際化、定住外国人との共生に向けて大きな試金石となるものと思われます。定住外国人は、納税義務は日本国籍を有する者と同等に果たしている一方で、参政権を初め行政に対する発言権が保障されていないなど不平等な状況にあります。  高知県橋本知事の国籍条項撤廃の正式表明に対し、吉村知事は長野県として国籍条項の撤廃についてどう考えているか、御所見をお伺いいたします。  また、総務部長より、定住外国人の県職員としての採用について、県立大学教員採用を含めその実態をお聞かせください。  教員の採用につきましては、文部省が1991年、常勤講師として採用するよう通知が出されていますが、教育長より教員の採用形態と実態について答弁をお願いいたします。  次に、高齢者対策についてお伺いいたします。  県内各市町村の高齢者福祉計画の現況について、去る2月5日の信毎報道によりますと、在宅3本柱のホームヘルパーの訪問回数、ショートステイのベッド数、デイサービスセンター回数だけで見ても、相当なばらつきがあるように思われます。そして、多くの市町村では財源と人材不足に悩んでいることがうかがわれます。  3月1日の大和県議の代表質問に、知事は、市町村長の熱意によるところが大きいとし、各地方事務所ごとの推進会議で十分対応していくと答弁されております。  そこで社会部長にお尋ねいたしますが、新聞報道された県下120市町村の在宅福祉の3本柱の状況をどう認識されているか、お伺いいたします。  また、各市町村の国や県への財政措置を望む声をどう受けとめているか、あわせて伺います。  次に、在宅福祉、施設整備に対する県単事業についてお尋ねいたします。  県福祉基金の果実を充当した事業や介護者のためのソフト事業は県単事業が数多く充当されておりますが、いわゆる在宅3本柱については、県単ショートステイ事業、ミドルステイ事業、社会福祉施設整備近代化事業、民間社会福祉施設運営調整費など数少なく、発足年度も古い事業が多いと思われます。また、民間の特別養護老人ホームなどに対しても、他県に比べ公立の比率が高いこともありまして、県単の建設補助金などは出ておりません。  そこでお尋ねいたしますが、高齢者の在宅福祉、施設整備に対する県単補助金の総額はどのくらいか、お尋ねいたします。  私は、長野県が18.8%という高齢化率の中で、高齢化先進県として、国の制度の枠内にとどまることなく、市町村あるいは民間の実情に合わせて、国の基準に合わなくても多様なメニューに補助していくべきと考えますが、いかがでしょうか。  デイサービスの土曜・休日の実施の拡大や早朝・夜間実施への助成、ホームヘルパー拡充に向けての県単助成等、現場の多様なニーズに合わせたサービスのシステム化に向けての県単事業の拡大が今こそ必要と思いますが、これまでの県単事業の考え方とあわせて社会部長の御所見をお伺いいたします。  また、今後の高齢者福祉の推進に当たって、社会福祉法人等民間の活用についてどのような考え方をお持ちか、お伺いいたします。  次に、シルバー人材センターの整備についてお伺いいたします。  シルバー人材センターは県内17市すべてに設置され、68市町村が圏域に入っております。今後、広域的な整備は過疎町村が中心となってきますが、今後、広域化をどう進め、県内全圏域に設置されるのはいつごろになるのか、お尋ねいたします。  現在、県内のシルバー人材センターには70歳前後の方々を中心に約9,600人の会員が活動されておりますが、景気動向が厳しい中、働く場や仕事量の確保はどのような状況になっているか、お尋ねいたします。  あわせて、通勤途上災害を含めた労災保険の適用についてはどうなっているか、お尋ねいたします。  また、国では、高年齢者の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案を検討し、シルバー人材センター事業を新制度に移行するとの動きもあると仄聞していますが、国の補助金、県、市町村の補助金、それらのシステムや事業全体にどのような影響が出てくるのか、社会部長の御所見を伺います。  また、高齢者雇用の拡大のために「地域高齢者雇用促進協議会」を設置するとのことですが、雇用情勢の厳しさが続く中、どのような具体的な施策を行っていくのか、お伺いいたします。  県内におきましても、リストラにより、既に解雇されたり希望退職に応じた方々が多いわけでございますけれども、これらの対応に対しまして、県内の企業人員整理件数の対象者の実態とそれへの対応策について、職業安定所の人員増等強化策を含めて考え方をお聞かせ願います。  次に、ごみの減量化やリサイクル等廃棄物の適正処理についてお尋ねいたします。  廃棄物の処理及び清掃に関する法律第4条1項では市町村の責務について記し、2項では、県の責務として「市町村に対し、前項の責務が十分に果たされるように必要な技術的援助を与えることに努める……」となっております。市町村は、現在、一般廃棄物の減量について、住民の意向を聞きながら適正処理に向けてさまざまな事業を展開していますが、県は法律で定められた県の責務として市町村に対しどのような技術的援助を行ってきているのか、その具体的内容をお聞かせいただきたいと思います。  この問題につきましては、我が党森県議が平成6年9月定例会で質問をいたしておりますが、当時の生環部長は、ごみの減量化については、平成6年7月に設立された県民会議を中心に、県民運動によって県民の協力を得つつ指導をしていく、市町村に対する支援については、リサイクルプラザ建設への助成、市町村の事業への助成などをしていくと答弁されております。  そこでお尋ねいたしますが、県民会議の今日までの県民運動がごみの減量化対策にどう成果を上げてきたのか、お尋ねいたします。  また、市町村への助成について、市町村では簡易焼却炉やコンポスト設置に対し2分の1の助成をしていますが、県としてはこのようなきめ細かい助成はできないものか、また、市町村の分別収集、資源化、集団回収の事業にどのように助成してきたのか、具体的にお伺いいたします。  また、ごみはその発生を防ぐことが欠かせないと思われますが、例えば、はんらんするダイレクトメールや新聞折り込み広告、過剰包装等、業者に対して指導や協力要請はどのように行ってきたか、お伺いいたします。  ごみ対策の最後に、各市町村では有料化の動きが進んでおりますが、平成4年度で家庭系ごみの有料収集の町村は23と聞いておりますが、現在の状況はどうでしょうか。市町村によって住民負担のあり方にばらつきがあるとも聞いていますが、あわせてその実態をお聞かせください。  ごみ処理を含めた一般廃棄物の処理は、地方自治法、廃棄物処理法によって市町村の責務とされており、すべての住民に対してひとしく提供するサービスであるともいえます。確かに、廃棄物処理法第6条の2で、適正な料金を条例の設置によって取ることができるとされておりますが、住民は簡易焼却炉やコンポストでごみの排出抑制に大変協力している状況からして、事業系や粗大ごみを除き、市町村の責務として公共サービスとして行うべきだとの見解もあり、また、安易な有料化についても市民の批判があるところでございますが、改めて有料化のあり方について御所見をお伺いいたします。  次に、不登校対策についてお伺いいたします。  第1に、中間教室について教育長にお尋ねいたします。  中間教室は新年度も、小学校向け9室、中学校向け18室が予定されていますが、95年度に通った生徒数並びに在籍校への復帰数、在籍者数の推移についてお尋ねをいたします。  また、中間教室においての生徒の日常生活は、通常の学校生活とは異なり、制約されない自由、心の傷をいやす活動等が大半だとお聞きしておりますが、いかがでしょうか。メンタルアドバイザーの先生の生徒への接し方などを含めてお聞かせいただきたいと思います。  第2点として、ふれあい自然体験活動推進事業について教育長にお尋ねをいたします。  この事業は、不登校の児童生徒のための野外キャンプであり、学校のにおいをさせない、先生という言葉を使わない、参加者に対する担当スタッフは子供二人に一人がつくなど、わずかな期間でありますが日常の学校生活の延長でない大胆な配慮がされていると思われ、保護者や児童からも高い評価を受けておりますが、その要因についてどう分析されていますか、お尋ねいたします。  第3に、不登校児童生徒の触れ合いの場となっている民間のフリースクールやオープンスクール、子供の家など、悩む子供たちの心のオアシスとなっている施設が県内に20近くあると聞いておりますが、県教委ではどのように把握され、民間のフリースクール等の活動に対しどのような見解をお持ちか、お尋ねをいたします。  私は、登校拒否児童生徒に対して、学校へ登校させることを前提にした対症療法的な対策では本当の対策とはならず、不登校の子供たちの心を開くことにはならないのではないかと思います。子供には休む権利があり、学校以外にも育つ場があるとの認識に立ち、登校しない自由を認めることも必要ではないかと思いますが、教育長、いかがでしょうか。  第4に、議案説明の中で、不登校、中途退学について「一層の予防的対応に努めてまいります」と述べられていますが、私は、この言葉の中に、県教育委員会の学校管理的な発想、学校内だけで対応していく内向きな姿勢が凝縮しているような感じがいたします。内向きから脱却し、学校を疑う外のさまざまな声に接し、学校の外からの批判や注文に率直に耳を傾けることこそ今必要ではないかと思いますが、教育委員長の御所見をいただきたいと思います。  次に、学習障害児対策について教育長にお伺いいたします。  県立こども病院で、入院して検査を受けた児童30人の親と担任教師に対しアンケート調査が実施され、学習障害児の退院後の学校の対応について、親からは、「退院後の個別指導がない」など、学校側の学習障害児に対する理解不足と特殊学級の不備を指摘する声が強かったと報道されています。  また、昨年11月2日、学習障害児の親の会からは、普通学級への複数担任制の導入、学習障害児教育に精通した専門教員の育成、親の会、学校、医療機関の連携強化などの要望が出されています。  私も平成4年12月議会で学習障害児対策について質問をいたしましたが、3年経過した今日も余り対策の進展が見られていないように思われます。  そこでお伺いいたしますが、県教委は県立こども病院のアンケート結果についてどう分析されているか、また、日常的に学校と県立こども病院との情報交換があるのか、教育現場と医療機関との密接な連携が学習障害児対策では欠かせないと思いますが、どのような状況か、お伺いいたします。  また、親の会の切実な要望に対してどう具体的にこたえていこうとされるのか、各要望への対策を含め御所見をお伺いいたしまして、第1回の質問を終わらせていただきます。       〔知事吉村午良君登壇〕 ◎知事(吉村午良 君)順次お答えを申し上げます。
     第1点は、NTTの電気通信審議会によります分割の問題でございます。  今回のNTTの分割につきまして、答申ではその理由として、地域通信網の独占の弊害を防止するということ、そして二つ目に料金が低廉化する、また三つ目にサービスの多様化が促進される、こういうようにその必要性を言っております。  これにつきましては、NTTを初め各分野からさまざまな意見がございます。NTTでは、独占ではあるけれども、分割することによって地域によっては料金がふえる可能性もあり、サービスの面でそのような期待ができない、また、光ファイバーが当面の課題でございますけれども、そういった問題が促進できないというようなことを申しておりますし、また、各政党もそれぞれその反応が違うようでございます。したがって、この問題につきましては、いろいろな面からさらに十分な論議が必要であろうと、このように思っております。  果たして、独占の弊害がさらに強くなるのか、そしてまた料金がさらに低くなるのか、いろいろな問題があろうかと思いますので、そういった問題につきましては、さらに私どもにもわかるように説明をしていただいて、そして是正をするなら是正をするということについての適正な判断が必要であろうと、このように思っております。  今の段階では、その程度の情報しか私どもに入っておりません。NTTにはいろいろな面で大変お世話になっており、こういった良好な関係が維持されることを期待いたしておりますので、そういった趣旨で今後問題が解決されることを期待したいと、このように思っております。  それから、今後の情報化の取り扱いでございます。  お話がございましたように、今、情報化が世界を通じて大きな課題でございます。情報化の推進は、豊かな家庭生活をさらにはぐくみ、また、活力ある地域社会の形成に大変役立つということで、この問題は大きな課題であろうかと思っております。そのためには、情報をどのように受けとめ活用するかという情報活用能力の育成、あるいはまた情報通信環境の整備というようなことが必要であろうと、このように思っております。  本県におきましても今まで、そういった必要性を感じまして、マルチメディアへの助成とかフルネットサービスへの助成、また、各地域の情報化のためのさまざまな事業につきまして協力をし、また指導をしてまいったわけでございますけれども、今回、そういったような状況にかんがみまして、「情報化デザイン21」ということで予算化をお願いしております。  その中では、さまざまな情報化の具体的な課題、その進め方、そして今後の地域地域の役割、そういったことを研究するために研究会を設けてやるというような内容になっております。非常に大事な問題でございますので、こういう構想の中で情報化へ向けてさらに一層前進をしていきたいと、このように考えております。  それから、採用に係る国籍条項の問題でございます。  これは、法律的には外国籍の方が禁止または制限されていない限り公務員になることは可能であるというふうに思いますし、従来からそのような立場で施行されてきております。ただ、お話もございましたけれども、公権力の行使または公の意思の形成に参画する職種については適当でない、こういう自治省の指導が従来ありまして、そういう概念で今までやってきております。  現在、県にはさまざまな職種があるわけでございますけれども、48職種のうち16職種につきましては国籍条項を撤廃いたしております。県立病院のお医者さんとか看護婦さん、あるいは保母さん、そういった職種につきましては門戸を開放いたしております。具体的には、お医者さんが不足でございましたので、お医者さんにつきましては今まで3名の外国籍の方を採用いたしております。今は、一人が帰国し、一人が日本国籍を取得いたしましたので、外国籍の方は一人でございますけれども、できるだけ県で必要な職種につきましては開放しております。  しかし、公権力の行使に当たるような職種につきましては適当でないという今までの指導もございますので、高知県のようにすべてオープンにするということにつきましては、ただいまのところ考えておりません。  しかし、これから国際化が進み、また、長野県においでになる外国籍の方も大勢あるわけでございますから、適当な人を県職員として採用するということの必要性は痛感いたしますが、現在のところは一般行政職その他につきまして採用に踏み切る段階には至っておりません。今後の問題として研究をしていきたいと、このように思っております。       〔総務部長飯澤清君登壇〕 ◎総務部長(飯澤清 君)お答えいたします。  外国人の採用の実態についてのお尋ねでございますが、ただいま知事からも御答弁ありましたように、国籍要件のない職種は16職種ございまして、そのうち医師につきましては3名を採用した実績がございますが、このうち2名はそれぞれ退職や帰化をいたしておりまして、現在、在職者は1名となっております。  技能労務職員につきましては、平成4年度、5年度にそれぞれ1名が受験いたしましたが、採用には至っておりません。  看護婦等その他の職種につきましては、国籍要件はないわけでございますが、応募者がなく採用の実績はございません。  また、県立の大学関係では、教員として短期大学、看護大学にそれぞれ1名ずつ在職いたしております。  以上でございます。       〔教育長佐藤善處君登壇〕 ◎教育長(佐藤善處 君)7項目の御質問でございます。順次お答えをいたします。  まず、日本国籍を有しない者の公立学校教員への任用についてでございますが、平成3年3月22日付文部省教育助成局長の通知に基づきまして、公立小・中・高等学校及び特殊教育諸学校の教員採用におきまして、日本国籍を有する者と同様に教員採用選考の受験を認めておるところであります。  選考に合格した者につきましては、教諭としてではなく、任用の期限を付さない常勤講師として採用いたしておりまして、給与その他の待遇については教諭と全く同等であります。その該当者は、現在、小学校において2名おるわけであります。  次に、中間教室についてでございますが、本年度1月までに、中間教室への通室生は小中合わせまして276名で、在籍校への復帰は53名であります。また、通室人数の推移でありますが、初年度の4年度が147名、5年度が206名、そして6年度が274名と年々増加してきておる状況であります。  中間教室では、一人一人の子供が、活動内容と日課を自分で決めて過ごすことを基本にいたしまして、遊び、制作活動、読書、学習などをして自主的な生活を送っております。また、集団での遠足、花や野菜づくり、山遊び等の体験活動も行われておりまして、子供の心を開き、人間関係を広くしようとしておるところであります。  こうした生活の中で、メンタルアドバイザーは、子供とともに活動をいたしながら、親身になって話を聞き、認めたり励ましたりして、一人一人の実態に合わせて自立を図るための指導を行っておるところであります。  次に、ふれあい自然体験についてですが、この事業は社会教育の面から不登校対策に取り組んだものでございます。  評価をいただいた要因は何かということでありますが、異年齢の子供たちや不登校児とそうでない子供たちが寝食や遊びをともにしたことなどによりまして、いたわりの心、手をとり支え合う心が芽生えたこと、また、森の中でのネイチャーゲームや乗馬体験、テント生活などを送ることによりまして、初めてのことでもやってみようとする気力や、難しいことにも取り組もうとする意欲などが養われたことが、その要因かと考えております。  来年度は、新たに阿南少年自然の家でもこの事業を実施することにしておりますが、これまでの成果を十分生かして取り組んでまいりたいと存じます。  次に、フリースクール等についてでございますが、これらの民間施設は、現在、県内各地に15教室ほどございまして、通室児童生徒数については流動的であります。  こうした民間施設への通室について、文部省は学校に対しまして、一定の要件を満たす場合に出席扱いとして認める方向で指導をしてきておるところであります。  県教育委員会では今までにも、不登校に関する対策会議や研究会に親の会のメンバーやフリースクールの体験者に出席してもらいまして、意見交換などをしてまいったところでありますが、不登校問題の解消には広く関係者が連携して取り組むことが大切であります。  そこで、このような民間施設の持つ意義についても十分理解し、今後も必要に応じて連携を図ってまいりたいと考えております。  また、登校しない自由をとのお話でありますが、不登校につきましては、その状態はさまざまでありますので、一律の指導ではなく、何よりも一人一人の実情に合った指導が大切であります。例えば、家庭でゆっくり休養することが必要な子供や、親子で自然の中を駆けめぐることが必要な子供がおります一方、子供の中には継続的に登校を促す指導が適切な場合もあると考えております。  次に、学習障害児対策についてでございますが、県立こども病院のアンケート結果からわかってまいりましたことは、子供のドック入院の診断や相談によりまして保護者や担当教員の学習障害についての理解が深まったこと、学校現場においても該当児童への指導内容等について一定の改善がなされたことであります。一方、保護者と担当教員の意識のずれや関係者の意思疎通の不足が見られますので、今後さらに、学校、家庭、医療機関との連携をより密にして対応していく必要があると受けとめております。  次に、学校現場と県立こども病院など医療機関との連携でございますが、特殊教育の中でも新たな分野でございますので、御指摘のとおり、学習障害児の診断、障害の状況の把握などの面で情報の交換は大切なことと考えております。  県教育委員会といたしましては、県立こども病院、精神保健福祉センター、児童相談所等の関係機関で構成いたします「学習障害児に関する連絡会」を開催いたしまして、相談の状況や連携のあり方等について共通理解を深めているところであります。  また、学校現場におきましても、子供の生活や学習の記録などを集積し、診断についての資料を医療機関に提供したり、指導の内容・方法について相談をいたしておるところであります。  次に、親の会の要望についての対応でありますが、現在、県下187の小中学校でチームティーチング教員を配置いたしまして、学習のおくれなどに対応できるように配慮しておるところであります。  学習障害児につきましては、文部省において指導の方法や指導の場について研究しているところでありますので、県といたしましても、学習障害児の指導の充実が図られるよう、今後も国に対してさらに強く要望してまいりたいと考えております。  また、学習障害児教育に精通した専門教員の養成につきましては、平成6年度から毎年、国立特殊教育総合研究所へ派遣しております。研修終了後は、その成果を広めるために学習障害児の研修会等の講師になったり、親の会の相談に応じているところであります。  親の会、学校、医療機関の連携強化につきましては、御指摘のとおり大変重要なことでありますので、指導主事の学校訪問のほかに、今後、啓発資料を作成・配布するなどいたしまして教員の理解を深め、保護者や医療機関との連携を密にして、学習障害児の指導の充実を図るようにしてまいりたいと思います。       〔社会部長古越典雄君登壇〕 ◎社会部長(古越典雄 君)順次お答えいたします。  初めに、市町村の高齢者福祉の現況についてのお尋ねでありますが、在宅福祉の3本柱の状況につきましては、老人保健福祉計画に沿って、全体といたしましてはおおむね順調に進んでおります。しかし、お話がありましたように、個別の市町村を見た場合には進捗状況にばらつきがございますが、各市町村では、さまざまな課題を抱えながらも、前向きに取り組んでいただいていると考えております。  市町村への財政措置につきましては、県内の10の老人保健福祉圏域ごとに設置しました推進会議におきましても、各市町村から財源や人材の確保などについての要望や意見が出されております。これは、計画の実施段階に入ってみますと、予想以上に財政負担が大きかったり、専門的な人材の確保が難しいなどの問題に直面して、各市町村が苦労している面がうかがえるところでありますが、特に、過疎町村などでは財源の確保は大変切実な問題であると思っております。  このため、国庫補助制度の充実や毎年度の確実な予算措置につきまして引き続き国に対して要望してまいりますとともに、県といたしましても、きめ細かな施策の充実に努め、可能な限り一生懸命取り組まれている市町村を支援してまいりたいと考えております。  次に、県の単独事業についてでありますが、在宅福祉、施設整備に対する県単補助金の総額は平成8年度予算案で8億8,619万2,000円をお願いしておりますが、特に、メニュー方式の老人福祉総合対策助成事業の充実を図ったところであります。  県の単独事業に対する考え方といたしましては、高齢者福祉サービスの基本となる部分につきましては新ゴールドプランにより国で全国的な制度化が図られておりますので、県の段階では地域のきめ細かなニーズに対応することが基本であり、国の制度と県単独事業をうまく組み合わせて福祉基盤の充実を図っていくことが重要であろうと考えております。このような観点から、これまでも、その時々の多様なニーズに応じまして県単独事業の充実を図ってまいったところであります。  最近は、国におきましても新ゴールドプラン関連で新たな施策が制度化されてきておりますが、こうした施策を市町村が進める中で、地域住民から新たな要望が出てまいった場合には、県といたしましても、高齢者福祉サービスを充実する観点から、財政状況等を勘案しながら適切な対応策を検討していく必要があると考えております。  次に、民間の活用についてでありますが、特別養護老人ホームの設置運営など、現在でも社会福祉法人等民間の皆さんには大きな役割を担っていただいているところであります。  高齢者福祉サービスにおきましては、市町村がみずからサービスを行う場合のほか、民間事業者の方々にも事業を展開できる道が開かれてきておりますし、現在検討が進められている公的介護保険が制度化された場合にはサービスの量的拡大が見込まれますので、民間の活力も十分に発揮してもらうことが重要であると考えております。  次に、シルバー人材センターにつきましては、県の5カ年計画に基づきまして計画的に広域化を推進しておりますが、9町43村が未設置地域であります。  現在、国において進められているシルバー人材センター制度の改正が行われますと、各シルバーを会員として県レベルに設置されるシルバー人材センター連合が空白地域についても事業を実施できることとなっております。  県といたしましては、このシルバー人材センター連合設立の準備を、国の年次計画や関係団体の意見を踏まえながら順次進めてまいりたいと考えております。  シルバー人材センターの仕事の量につきましては、最近の景気動向によりまして事業所からの受注は若干の減少傾向にありますが、一般家庭や市町村からの発注が増加しておりますので、事業実績も年々増加している状況にございます。  シルバー人材センターへの労災保険の適用につきましては、会員との雇用関係がないことから労災保険の適用になりませんので、各シルバー人材センターでは、個々に団体傷害保険あるいは賠償責任保険に加入いたしまして、不慮の事故等に備えているところであります。  また、制度改正が行われた場合の補助につきましては、仕組みは変わりましても、個々のシルバーの運営経費に対する補助には影響がないものと考えております。  最後に、高齢者の雇用拡大についてでございますが、平成6年に改正されました高年齢者雇用安定法に基づきまして、平成10年4月から義務化される60歳定年制の確立と、60歳定年を基盤といたしました65歳までの継続雇用の推進を図っております。  また、リストラなどにより中高年齢者を含めた人員整理が行われ、加えて就業ニーズの多様化が進む中で、職種や年齢のミスマッチが増大する傾向にありますので、就業希望者のニーズに合った求人の開拓を行いますとともに、高齢者の就業に優しい職場環境づくりなどに取り組む事業主を支援しているところであります。  新年度は、新たに「地域中高年齢者雇用推進協議会」を設置いたしまして、事業主団体を通じて傘下の事業主の自主的な取り組みを喚起することにより、中高年齢者のニーズにこたえた雇用・就業の機会を確保することとしております。  次に、県内の企業の人員整理の状況と対応策についてでありますが、1件当たり10人以上の人員整理は平成7年度は1月末現在で60件1,378人となっておりまして、前年同期と比較しますと4件195人減少しております。しかしながら、55歳以上の対象者については前年同期より増加傾向にありまして、厳しい状況にあると考えております。  こうしたことを踏まえまして、県といたしましては、昨年6月に「第2次長野県緊急雇用対策」を策定いたしまして、就職面接会などを開催して雇用の安定と確保に努めてまいったところでありますが、職業安定所におきましては、昨年12月にコンピューターシステムが更新され、求人・求職情報の迅速な処理と提供が可能となりましたほか、求人確保のために国の相談員が配置されるなど、相談体制の充実により、きめ細かな対応を行っているところであります。  今後とも、職業安定所の体制の充実が図られますよう国へ要望してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔生活環境部長村松亮勇君登壇〕 ◎生活環境部長(村松亮勇 君)廃棄物の適正処理について順次お答えいたします。  まず、市町村に対する技術的援助についてでありますが、廃棄物処理法上は財政的援助を除くすべての援助が技術的援助と位置づけられておりまして、具体的には、廃棄物処理の新しい技術や、ごみ減量化施策の先進事例の情報等を、施設職員研修会や資源化講習会等を通じて提供いたしております。また、市町村の一般廃棄物処理計画の策定、処理の広域化、焼却施設の余熱利用等についての指導を行っているところでございます。  次に、「ごみを減らす県民会議」の運動がごみ減量化対策にどう成果を上げているかということでございますが、平成6年の設立以来、リサイクルフェア等の開催、減量化、リサイクル情報の提供などを行ってきております。まだ2年ほどの活動でございますが、資源化実施市町村は設立前の104に対して本年は107となっておりますし、また、民間の集団回収や不要品交換会を実施している団体が平成5年の1,876から本年は2,002へと増加するなど、ごみの減量化、リサイクルに対する取り組みが進んできております。  次に、市町村のごみ減量化事業への助成についてでございますが、市町村が地域住民等の協力のもとにごみを減量化・再資源化する体制を確立するため、ごみ減量化推進組織の設置、資源ごみ回収ルートの確保、コンポスト容器購入事業等を総合的に実施するものに対し、補助を行っております。この制度によりまして、平成3年度以来、延べ50市町村に対して助成を行ってまいっているところでございます。  次に、広告、過剰包装等、業者に対する指導や協力要請についてでございますが、経済的行為の中で行われる広告等の規制については難しい面がございますが、使われた広告紙等についてはリサイクルするよう啓発を行っております。  過剰包装につきましては、製造、流通、消費者が一体となって適正包装推進キャンペーンを実施するとともに、買い物袋持参運動などにも取り組んでいただいております。  また、いわゆる容器包装リサイクル法施行に伴いまして、容器包装を製造・利用する事業者に対する説明会を開催し、リサイクルしやすい製品の開発や過剰包装の抑制について周知を図っているところでございます。  次に、県下市町村のごみ処理有料化の状況でございますが、35市町村におきまして有料化を実施しております。方法は、ごみの排出量によって負担がふえる従量制、世帯当たり一定額を徴収する定額制、一定量を超える場合に徴収する方法など、さまざまでございます。  その金額につきましては、従量制の場合、袋の大きさにもよりますけれども1袋50円程度、また、定額制の場合は1戸当たり月500円程度のところが多い状況にございます。  また、有料化のあり方についてでございますが、ごみ処理コストの認識を通じ処理経費の公平化を図り、ごみの排出量を減少させるための一つの方法であると理解しておりますが、その導入に当たりましては、地域の実情等を総合的に判断し、住民に対しまして十分な周知を図ることが必要であるというふうに考えております。  以上でございます。       〔教育委員会委員長宮﨑和順君登壇〕 ◎教育委員会委員長(宮﨑和順 君)お答えします。  不登校や中途退学についての姿勢に対するお尋ねでございますが、不登校や中途退学など学校不適応にかかわる問題につきましても、御指摘のように、家庭や地域社会など外部からの声に真摯に耳を傾けながら、ともに手を携えて取り組んでいかなくてはならないと考えております。  県教育委員会では、これまでにも、学校不適応対策委員会や不登校に関する研究会に、保護者や不登校親の会の代表を初め、医師、臨床心理士等、外部からの参加を求めて協議をしたり、地区懇談会を開催して、PTAや地域の関係者から広く意見をお聞きしたりしてきております。また、本年度からは、スクールカウンセラーを導入し、専門的な立場からの指導もお願いしております。  さらに、学校教育において児童生徒にとって何より大切なことは、学校に自分の温かな居場所があると感じられることであります。そのためには、家庭や地域社会との連携を深める中で、学校や学級は、管理的な発想ではなく、先生と子供、子供同士が互いに相手の願いや意見に耳を傾け、ともに支え合っていく共同体となるという、共生の理念に基づいた教育実践をより一層推進していく必要があると考えております。       〔36番倉田竜彦君登壇〕 ◆36番(倉田竜彦 君)それぞれ御答弁をいただきました。  NTTの分離分割につきましては、知事の答弁はああいうことだろうと思います。ただ、県政会においても政策学習会をしていただいているということでございまして、そういう点では、県会議員の皆さん方、地方の公共性を確保し情報通信弱者をつくらないという立場から、ぜひ私が訴えたことに御理解をお願いいたしたいというふうに思うところでございます。  それから国籍条項の撤廃につきましては、知事の答弁では検討をしていくということでございますけれども、自治省の見解が出されてもう40年以上たっているという状況でございますし、国際化も大きく進んできたということでございますので、ぜひ検討を早めていただきながら、職種につきましてももう一回洗い直していただいて、働く意欲のある外国人が働けるような体制をつくり上げていただきたいと思います。  それから、きょう傍聴に来ている方々の中にもシルバー人材センターで活動されている方が多いわけでございまして、働く場所と仕事の確保、そして安全な職場環境の中で働ける体制について、より一層の充実をお願いいたしたいと思います。  教育長に2点ばかり質問があります。  1点は、この間、決算特別委員会で現地調査をしたときもそうだったんですけれども、衛生部と教育委員会との不登校問題に対する連携ということはどういうふうに考えていられるか。つまり、臨床医学的な問題や精神的な指導の問題等、県立病院や保健所にはたくさんの専門的なスタッフがいるわけでございますけれども、先ほども衛生部に電話で質問したら、教育委員会からそういう要請はないということでございますけれども、今後、縦割り行政の弊害をなくしながら少しやっていただけるのかどうか、その辺について御質問いたしたいと思います。  それから学習障害児対策でございますが、私は、やはり根っこは学習障害児という定義がなかなか定まらないというところにあると思うわけです。平成4年に今の教育委員長に質問したときも、文部省で検討しているという答弁で、定義が定まらないから学習障害児という子供たちがどのくらい長野県下にいるかという調査のしようもないと、こういうお話でございました。そういう点では、平成7年の3月末には協力会議の方から中間報告がされたというふうに聞いており、本年度中に答申もされるということでございますけれども、この辺の見通しについてはどういうふうに見ていられるか、あわせて質問をさせていただいて、質問を終わりにさせていただきます。       〔教育長佐藤善處君登壇〕 ◎教育長(佐藤善處 君)お答えいたします。  関連部局と教育委員会との連携についてでございますが、このことにつきましては公務に携わる者の基本として心しなければならないことでございますので、今後ともあらゆる場面での連携についてしっかりとやってまいりたいと、そのように思います。  LD児対策につきまして、やっと、おくれておりました定義についての中間報告が7年3月に出されたわけでございます。これらに基づいて、関係者に対する研修会を持ちまして、共通理解のレベルアップを図りつつあるところでございます。  こういう中にありまして、今後の見通しでございますが、国におきましてはできる限り早くとは申しておりますが、8年度末か9年度にかかるころに最終報告をという――まあ、専門家会議においても大変難しさがあるようでございますが、文部省当局に対しまして、これらの内容と指導方策についてもっと早く出せるように要請を強めてまいりたいと思っております。 ○議長(清水重幸 君)昼食のため午後1時10分まで休憩いたします。         午後0時4分休憩         ───────────────────
            午後1時11分開議 ○副議長(成沢栄一 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  奥村剛君。       〔4番奥村剛君登壇〕 ◆4番(奥村剛 君)新風クラブ所属・大町市の奥村剛でございます。行政事務一般に関する質問及び知事提出議案につきまして順次お尋ねいたします。  初めに、JR大糸線の復旧に関しまして、知事を初め県の積極的な御努力により、昨年暮れに、長野県、新潟県、JR西日本の三者により基本合意書が締結されました。ここに関係者の御努力に心より感謝を申し上げつつ、最初の質問を行います。  新聞報道によりますと、復旧のめどについて、三者とも「できるだけ早く運転再開を」と慎重であったが、池田副知事は「着工は雪解け次第早急に、完成は長野冬季オリンピックまで」と語ったとあります。また、その後、大糸線復旧のためにJR西日本では、運輸省の許可があり次第、雪解けを待って糸魚川駅舎内に工事事務所を置くとのことですが、現在の状況並びに今後の見通しについてお伺いいたします。  また、地域住民の生活の上からも、観光を中心とした産業の振興を図る上からも、大糸線の電化と輸送強化については災害の起きる前から地元より強い要望があり、関係官庁やJRに陳情を重ねてきたわけでありますが、今回、復旧に際しまして、あわせてJR西日本に要望するのはいかがでしょうか。  具体的には、例えば糸魚川発東京行きの「あずさ」特急とか、あるいは糸魚川発名古屋まで直通の特急「しなの」――もちろん逆も同じでありますけれども、そういうことで大糸線の利便性が向上すれば、糸魚川市を中心として新潟、富山、石川県等北陸の人々の利用増にもつながり、大糸線の経営基盤の向上に資するものと思われます。  もちろん、この大糸線の電化と輸送強化に当たっては、JR西日本だけでなくJR東日本等との協議も必要であり、また、採算性の問題、トンネル拡幅の問題等困難な問題があることは承知しておりますが、今回の復旧の機会を逃せばまた当分先送りになることが予想されますので、長野県としても真剣に御検討の上、関係方面に要望していただきたいと思いますがいかがでしょうか、企画局長にお尋ねいたします。  次に、松本糸魚川連絡道路の整備についてお伺いいたします。  吉村知事の議案説明にもありましたように、本年中に供用開始を目指している上信越自動車道の小諸―更埴間が開通すると、長野自動車道、中央自動車道と有機的につながり、県土の一体化と均衡ある発展が一段と促進されます。しかしながら、県下17市のうちで唯一、高速道路あるいは新幹線が走らない市がございます。それは、私の出身地である大町市でございます。  このような中で、地域高規格道路の候補路線として一昨年12月に建設省で指定された松本糸魚川連絡道路は、高速道路が走らない大北地域の住民にとって一刻も早い実現が望まれる大きな願いであります。特に、昨年の豪雨災害による国道148号線の寸断が、この地域高規格道路実現への渇望をより強くいたしました。塩尻市から糸魚川市を結ぶ沿線29市町村と議会、商工団体は、昨年12月1日、有賀正・松本市長を会長として「地域高規格道路・松本糸魚川連絡道路建設促進期成同盟会」を設立し、広域的に官民一体で建設促進を図る体制を整え、20世紀のうちに実現への足がかりをつけたいとしております。  このような地域の要望に対し、県においても新年度に地域高規格道路整備基礎調査として4,650万円を予算計上していただきました。このうち松本―大町間の調査費に1,150万円を充てるとのことで、この間の県の関係者の御努力につきましては深く感謝を申し上げます。この新年度の松本―大町間の調査の内容について具体的に御説明いただきたいと思います。  次に、今後、候補路線から計画路線への格上げを図り、さらに、ルート選定や整備手法、環境アセスメント、都市計画などの調査を進める調査区間、事業着手に向けた実施設計や地元協議などを進める整備区間などの区間指定へと進み、着工という段階になるものと考えますが、今後のスケジュールについてもあわせてお聞かせください。  特に、建設省の道路整備方針が平成8年度より変わり、道路整備にめり張りをつけたり、国と県の負担を明確に区分しながら整備を進めるということで、今までよりも着工が早まるのではないかとも聞き及んでおります。  大北地方におけるポストオリンピックの主要プロジェクトとして積極的な推進を期待し、大北地方の将来をこの高規格道路にかけておりますので、県におけるこの道路の位置づけと、具体的には順調にいけば計画路線へ格上げされるのはいつごろになるのか、土木部長にお答えいただきたいと思います。  次に、私は昨年9月議会におきまして、国立・県立の自然保護大学、いわゆるエコロジー大学の設立について提言いたしました。その要旨は、今日の危機的な状況にある自然保護問題、環境問題の解決に当たっては人づくりこそが重要な課題であり、環境への負荷の少ない社会経済活動を展開するに当たって、環境のさまざまな分野においてリーダーとして活躍するような人材を育成するために、エコロジー大学を設立すべきであるということであります。このことは、新風クラブといたしましても知事要望事項の一つに加えていただいております。  9月議会におきましては、県議選出後の最初の登壇ということもありまして、いささか緊張し、エコロジー大学の設立のゆえんについて時間が足りず十分説明し切れない部分もありましたので、補足説明を行いますので、よろしくお願いしたいと思います。  初めに、エコロジー大学を設立された場合、卒業生が就職できるのかという疑問を持たれる向きもあるのではないかと考えます。それにつきましては、学術・研究機関はもとより、国、県、市町村行政においてもそのような人材は必要であるばかりではなく、今後の環境関連産業の市場規模の拡大からも、一般企業においても環境・自然保護についての勉強をしてきた若者を採用することについて、十分に対応できるものと確信しております。  環境庁の試算では、環境への負荷を少なくすることに役立つ商品やサービスを提供したり、経済や社会を環境に優しいものへ変えていく上で役立つ技術やシステムを提供する環境関連産業、いわゆるエコビジネスの市場規模は、現在、定量的に把握できる市場規模として約6兆円でありますが、それが2000年にはほぼ倍の13兆円程度に、2010年にはさらに倍の26兆円程度になるのではないかと推計されております。そのように今後市場規模が拡大していく上で、自然保護・環境問題を専門的に学んできた人材は企業にとっても必要なものであります。  また、21世紀の環境問題を考えるとき、国として特別な資格を付与した環境士制度を創設するように関係省庁に県として要請したらいかがでしょうか。エコロジー大学を卒業し、資格審査をパスすれば環境士としての国家資格が与えられ、そのような特別な資格を持つ人を一定程度企業において採用しなければならないというものにすれば、必ずや多くの企業がエコロジー大学卒業生を採用することは間違いありません。  次に、日本の国際貢献の観点から申し上げます。  知事も議案説明の中で述べられておりましたが、「国際社会におきましては、……環境、人口、貧困など地球規模の問題も、一段と深刻さを増しつつあります。これらのゆるがせにできない問題の解決に向け、国際社会は、みんながともに豊かに生きていくための知恵と行動が必要な時代を迎えております。特に、世界の一員としての我が国への期待は、一層高まりつつあります」という知事のお考えには、私も全く同感でございます。  先人たちの英知と努力によって、今日、経済大国となった我が日本国は、環境問題に関して国際社会においても名誉ある地位を占めることが必要であります。日本が地球環境にどのような影響を与えているか、そして日本が地球の環境からどれだけの恩恵を受けているか、また、日本の能力を考えるとどれだけのことができるかという三つの観点からも、日本の責任と役割は非常に大きいものがあるといえます。  また、1992年6月にブラジルのリオデジャネイロで開催された「環境と開発に関する国連会議」、いわゆる地球サミットで「アジェンダ21」が採択されました。この「アジェンダ21」とは、持続可能な開発を実現するための具体的な行動計画であり、この行動計画で示されたプログラムを各国で実施するために、各国がそれぞれ国別の行動計画を作成することを要請しております。そして、この「アジェンダ21」に基づき平成6年に制定された日本の環境基本計画においても、「我が国としては、自らが社会環境への負荷の少ない持続可能な社会に変えていくとともに、国際協調の下に地球環境保全のための取り組みを積極的に進めていかなければならない」とあるように、環境面において積極的に国際貢献をしなければなりませんが、その象徴としてもエコロジー大学の設立が必要であると考えるものであります。  次に、そのエコロジー大学を長野県に設立するゆえんについて述べたいと思います。  これも、知事は議案説明の中で「21世紀を間近に時代が激しく動くいまこそ、私は、……本県の更なる発展のため、21世紀への進路を地球的視点から見極め、県民の皆様とともに、新たな改革と挑戦を始める時である」と述べられておりますが、私もこの知事のお考えには全く同感でございます。  改革と挑戦、この言葉を環境問題について考えますと、私は、環境問題における改革の具体的な施策が今回の長野県環境基本条例案であり、それに基づく8年度からの環境基本計画の策定であると考えます。そして挑戦についてですが、挑戦とは難事に挑むことでありますが、環境問題において挑戦していただくならば、他県の知事にまねのできないような難事に挑戦していただきたいと考えます。すなわち、エコロジー大学の設立こそがこれに当たるのではないかと考えるものであります。  私は、次のような三つの具体的な観点から長野県にエコロジー大学を設立することが必要であると考えるものであります。  まず初めに、東京一極集中の是正と多極分散型国土の形成の上から、現在、東京には数多くの大学、研究機関が集中していることに対して、21世紀に向けた日本の象徴的な新しい大学を地方に設立することが望ましいと考えます。  次に、長野県が持つ豊かな自然環境の面からであります。御承知のように、我が長野県は、北アルプスを初めとする3,000メートル級の山々や県土の約8割を占める広大な森林、これを源にして流れ出る河川など、我が国で第一級の豊かで美しい自然環境に恵まれております。この長野県の地は、温暖帯から高山帯まで、我が国の生態系を研究する上で絶好の自然条件を持っております。言うなれば、県土全体がエコロジー大学のキャンパスになるものであります。  また、現在、高速道、空港、新幹線の高速交通網が整備され、さらに、インターネットや情報スーパーハイウエーあるいはパソコンの高機能化などを中心としたマルチメディア時代の到来により、情報の蓄積、収集、交換がどこでも行えるようになれば、情報の過疎化は解消し、長野県は、さわやかな気候、澄んだ空気、静かな環境など、知的活動に適した地になるといえます。  そして3番目に、自然と調和するオリンピックの開催地からの情報発信の観点からであります。1998年に開催される長野冬季オリンピックは、「美しく豊かな自然との共存を目指し、このすばらしい地球に住んでいる喜びを将来に伝える大会にしたい」とありますが、オリンピックの開催が、美しく豊かな自然と人間との共生を考える重要な機会であります。そして、そのことを将来にわたって継続的に考え実践するためにも、オリンピック開催の地にエコロジー大学を設立する。そのことは、環境を重視する長野県の情報発信を行うことだけではなく、エコロジー大学から数多くの卒業生を出し、必ずや地球的規模の環境問題の解決に貢献するものとして、将来にわたる具体的実践が期待されるわけであります。  以上のように考えると、長野県こそがエコロジー大学を設立するにふさわしい地域である、逆にいえば、日本においてエコロジー大学を設立するならば長野県しかないと考えるものであります。  私は、世界に対する日本の貢献、あるいは日本、世界に対する長野県の使命を考えるにつけ、このエコロジー大学の創設こそが重要であると信じて疑わないものであります。国立あるいは県立のエコロジー大学の創設は、そう簡単にはいかない困難なことであることは十分承知しておりますが、他県の知事にまねのできない、環境問題における具体的かつ積極的な挑戦であるエコロジー大学の創設については、昨年の9月議会において知事より「エコロジー大学というのも非常に結構だと思いますけれども、当面、研究所とか各学校でやっておりますので、そういう方向を見きわめながら、エコロジー大学の問題については研究を進めていきたい」と、前向きの御答弁をいただいたのであります。そこで今度は、生活環境部長より実のある御答弁をお願いしたいと思います。  次に、エコロジー大学、自然環境問題に関連して、森林の保護と林業対策について林務部長にお伺いいたします。  昨年夏の梅雨前線豪雨災害において、大北地域は、道路、鉄道、住宅、農地だけではなく、森林も大きな災害を受けました。森林については、幸い県を中心に関係者による迅速でかつ的確な復旧対策が着実に進められており、以前の姿を取り戻しつつあります。被災地においても復旧に対して新たな活力がよみがえっておりますことは、まことに喜ばしいことであります。  この災害の主たる原因は未曾有の大雨によるものでありますが、実際に森林に入ってみますと手入れの十分に行き届かない森林が多くあることを知り、林業の不振とそれにつながる森林の荒廃が被害を大きくしたのではないかと感じました。  そこで、私なりに現在の森林問題、林業振興対策について調べ、この問題の大きさを改めて痛感したのであります。そこで、私の考えを述べながら森林と環境について質問を行います。  世界の森林面積は陸地面積の3分の1を占めておりますが、その森林は産業革命の行われた18世紀から今日までに24%が失われております。この森林消失は近年になるほど減少速度が速まっており、1980年から1990年の間に地球全体で我が国の国土面積の約2倍にも及ぶ8,000万ヘクタールもの森林が失われております。この速度でいくと、わずか500年足らずで世界の森林がすべて消えてしまう計算になります。  言うまでもなく、森林は、木材を初めとする多種多様な林産物を供給するほか、自然環境の保全、水循環の調節、炭素の貯蔵、大気質の保護など、人類の生活環境を根底において支えております。さらに、例えば2月27日付の信濃毎日新聞の「斜面」でも「木は知らず知らずのうちに、人を育てているのではないか」と述べられているように、木や森は人々の成長に深くかかわり、貢献しているのであります。また、森は数百万種もの動植物の生息の場となるなど、種の生態系を保持する上でも貴重な役割を果たしております。  森林破壊の大部分は、発展途上国の熱帯雨林に集中しております。熱帯林の宝庫といわれるアマゾンでは先進諸国の大企業による放牧畜開発や焼き畑農業により、東南アジアでは商業伐採により、熱帯林を失う国々があらわれております。こうした大規模な熱帯林の破壊によって、過去に経験したことのないほどの自然災害に見舞われる事態になっております。例えばバングラデシュでは、大河川上流の森林がほとんど切り尽くされたために国土の4分の3が洪水に見舞われる事態が発生し、一度に2,000人以上もの死者を出すなどの被害を受けております。また、熱帯林の破壊は、森林と大気の間の水環境や酸素の供給を断ち切り、熱帯地域の乾燥化、草地化をもたらし、砂漠化を年々広げる要因となっております。そして、砂漠化の進行は、食糧生産を困難とし、飢餓や栄養不足などアフリカ諸国に見られる事態を発生させております。  森林の破壊や荒廃は、熱帯林地域だけでなく、針葉樹林を多く擁する先進諸国でも起こっております。その原因は酸性雨によるもので、早くから酸性雨被害が問題となっているヨーロッパ大陸では、森林の35%もが被害を受けているという報告があります。酸性雨とは、石油、石炭などの化石燃料の使用によって発生した亜硫酸ガスが硫黄酸化物となって大気を汚染し、それらが酸性の雨となって降り注ぎ、樹木に被害をもたらすものであります。  森林の消失がもたらす最も恐ろしい影響は、大気中の二酸化炭素を増加させ、温室効果でガス濃度を高め、地球の温暖化をもたらすヒートアイランド効果といわれる現象を発現させ、地球温暖化により人類の住む地球環境を悪化させるものであります。  森林が人類の生存の上でいかに重要なかかわりを持っているかについて述べてまいりましたが、森林が環境に与える影響について林務部長の御見解をお尋ねしたいと思います。  翻って、我が国の森林・林業に目を向けると、我が国は、国土面積に占める森林面積の比率は68%と北欧のフィンランドとともに世界のトップに位置している一方で、木材自給率は1993年時点でわずか24%にすぎず、先進諸国の中ではイギリス、オランダに次ぐ低い状況になっているのであります。こうした事態は、何も昔から続いたものではありません。高度経済成長の最盛期の1960年には、木材自給率が87%もの高い比率を保持しておりました。ところが、1964年以降から木材の輸入自由化、木材関税の引き下げが行われ、大手総合商社などが杉と競合する安価な外材を無秩序かつ大量に輸入するようになり、我が国の木材市場を外材で埋め尽くしました。木材は山にあるのではなく海の港にあるのだ、といわれるようになりました。今後の見通しでも、我が国の木材自給率は下がれども上がることはあり得ない事態になっているのであります。  我が国は、農林家の意欲的な取り組みによって大規模な造林を実施し、今や1,000ヘクタールにも及ぶ人工林をつくり上げました。しかし、その人工林の多くは手入れの必要な林分となっております。特に、緊急に手入れをしなければならない人工林が140万から190万ヘクタールもあるとされ、間伐対策が緊急の政策課題となっております。ところが、この間伐は、外材問題などによる林家の経営意欲の衰えから必要量を下回る状況にあります。年間の間伐必要量は40万ヘクタール前後と試算されておりますが、実行面積は半分程度の20万ヘクタールにとどまっております。そのため、雪害や風害などの自然災害に遭遇する人工林が増加し、ちょっとした積雪や台風などで列島規模で森林災害を発生するような状況にあります。  また、無秩序な外材輸入によって木材価格は低迷を続け、そのため林業経営はまさに空洞化と呼ぶべき事態となっており、不在村所有の林地もここ20年間に面積で89万ヘクタールも増加しております。  また、林業従事者の減少も著しく、21万人から11万人へと半減する事態となっております。  また、林業従事者の高齢化が進み、21世紀には山林労働者は激減し、森林・林業の崩落からさらに加速することが予想されております。  我が国は、自由主義経済体制に基づく市場原理を基本として経済発展を遂げてきたものであり、保護や規制を撤廃し自由共存を尊重することが必要ではありますが、先ほど述べたように森林の公益的機能を考える上で、また、2,000年の伝統ある木の文化を持つ我が国の特徴を考えるにつけ、私は、林業を、ただ単に市場原理にゆだねるものではなく、積極的に保護・支援をしていかなければならない産業と考えるものであります。  実際、先進諸外国では、大幅な助成をし、森林の持つ公益的機能の発揮に努めております。また、日本においても、農業に関してはガット・ウルグアイ・ラウンドの合意に関連して政府は6年間で6兆円余りの緊急対策を決定いたしましたが、林業においてもそれ相応の支援をする必要があるのではないでしょうか。林務部長にお尋ねいたします。  最後に、長野県の林業についてお尋ねいたします。  本県の約80%を占める森林の役割は非常に大切であります。古来、木を切り植えて育てるというサイクルを繰り返す中で、木の文化をはぐくみ、きれいな水、災害のない郷土を形成されてきましたことを勘案しますと、これからは、保安林制度に基づく治山事業の一層の計画的な推進はもとよりでありますが、山村の振興や産業としての林業の維持発展を図ることによって、美しい県土を守り、良好な生活環境を創造し、安全で質の高い生活を確保していくことが、何よりも大切ではないかと考えるものであります。今後も、鉄やアルミニウムなどのような大量エネルギーを消費することなく、かつ再生産が可能な、木材の利用を中心とした林業生産活動の活性化がどうしても必要であると考えます。  県産木材の活用なくして豊かで安全な県土づくりはないのでありますので、県が行う施設整備の際はもちろんのこと、市町村における施設建設に当たっても県産木材が使われるよう県が積極的に行動するなど、さらなる利用拡大に向けての対策を林務部長にお伺いいたしまして、第1回目の質問を終わります。       〔企画局長花岡勝明君登壇〕 ◎企画局長(花岡勝明 君)お答えをいたします。  大糸線の関係でございます。  大糸線の復旧につきましては、お話にございましたとおり、昨年の12月25日に、本県、新潟県、JR西日本の三者で早期復旧に向けての基本合意がなされたところでございます。  県といたしましては、オリンピック時にはぜひ間に合わせたいということで、来年の秋までには復旧をしていただくようにお願いをしているところでございます。JR西日本といたしましても、雪解けを待って直ちに工事に取りかかれるよう、この4月には大糸線復旧工事所を糸魚川市に設置いたしまして、本格的な工事体制に入れるよう準備を進めていただいているところでございます。  大糸線の復旧は、河川、砂防などの災害復旧工事と密接な関連がございますので、県とJRとの間に連絡調整会議を設けまして、工事が円滑に進められるよう努めているところでございます。  次に、大糸線の電化の関係でありますけれども、当面は大糸線をオリンピックまでに原形復旧させることが最大の課題でございまして、現在、JR西日本、本県、新潟県、ともにこの目標に向けて協力して進めているところでございます。  電化をするということになりますと、架線、パンタグラフというようなこともありまして、トンネルの高さを高くしなくちゃいけないというようなことから、大幅なトンネルの改修も必要になるということでございまして、電化問題については、ただいまのところ、復旧後の課題としてJRに要望してまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと思います。       〔土木部長安井常二君登壇〕 ◎土木部長(安井常二 君)お答えいたします。  新年度予算に地域高規格道路基礎調査事業を新設いたしまして、松本糸魚川連絡道路に1,150万円を計上いたしました。この調査内容といたしましては、緊急性、重要性が高い路線であることを裏づけるために、社会状況、交通需要、整備効果等の予備調査を行ってまいります。  今後のスケジュールでございますが、計画路線への指定時期は現在のところ不明でございます。ただ、本路線は地域の要望が強く、中部縦貫自動車道やアルプスあづみの公園等の大規模事業も進行しておりますので、調査熟度を高め、計画路線への指定あるいは区間指定への格上げについて努力してまいる所存でございます。       〔生活環境部長村松亮勇君登壇〕 ◎生活環境部長(村松亮勇 君)お答えいたします。  初めに、環境士制度の創設を関係省庁に要請したらどうかというお尋ねでございますが、現在、国では、科学技術の向上と企業などに対する技術指導の円滑化などを目的として、技術士法に基づく技術士制度を設けております。  この中で、環境課題に対応できる人材の育成を図るため、平成3年度以降、建設部門に「建設環境」、林業部門に「森林環境」などの環境関連科目を逐次追加したところであります。  さらに、環境基本法の成立を契機に、既存の技術部門では対応できない横断的・共通的な環境保全に係る諸課題に対応できる人材の育成を目的として、平成6年度には新たに「環境部門」が設けられているところでございます。  今後とも、これら制度の活用に努めるとともに、御提案のような新たな制度についても研究をし、必要があれば国にも働きかけてまいりたいと考えております。  次に、御提案のエコロジー大学の創設につきましては、昨年の9月議会におきまして知事から御答弁申し上げましたとおり、自然保護研究所の設置、また、信州大学を初め県内の大学や高等学校におけるエコロジーに関連した学科、講座の充実等により、お尋ねの趣旨に沿うことができるものと考えております。  特に、自然保護研究所につきましては、ことしオープンいたしますが、公開講座や研修会の開催、自然観察インストラクターの育成など、環境問題の分野においてリーダーとして活躍できる人材の育成を積極的に推進してまいることといたしております。  また、御指摘のありました国際貢献につきましても、地球環境問題への取り組み、情報提供や技術的支援などの面における国際協調、国際的会議の開催や誘致などを進め、その役割を果たしてまいる所存であります。  いずれにいたしましても、御提案いただきました御趣旨につきましては、自然保護研究所の運営の中で対応してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔林務部長茂木博君登壇〕 ◎林務部長(茂木博 君)順次お答えいたします。  まず、森林が環境に与える影響についてのお尋ねでありますが、御指摘のとおり、酸性雨や熱帯林の減少、地球の温暖化など、地球環境問題に大きな関心が寄せられておりまして、森林の環境保全に果たす役割の認識が国際的にもますます高まっております。  一方、身近な森林は、地域の特徴ある景観を形成する大きな要素となっております。また、水資源の涵養、国土の保全とともに、野生鳥獣の生息環境の確保や森林浴などの保健休養の場を提供する働き、さらに、酸素の供給や大気の浄化、太陽熱の吸収や蒸散作用等により気象を緩和するなど、さまざまな機能を提供しております。このほか、風や砂の飛散を防ぎ、騒音を吸収する働きなど、私たちの身近な生活環境の保全にも重要な役割を果たしております。  このように、森林は豊かな県民生活を維持していく上で大きな役割を果たしておりますので、今後とも、これら森林の環境保全の働きがより高度に発揮されますよう、健全な森林の維持・造成に努めてまいる所存であります。  次に、ガット・ウルグアイ・ラウンドに関するお尋ねでありますが、平成5年度のガット林産物交渉の合意は、輸入する集成材や針葉樹合板などの関税を平成7年から12年の5年間に平均50%引き下げようとするものでありまして、これにより、より安価な木材製品の輸入増加等によりまして、国産材の市場確保等に影響を受けることが懸念されております。  このため、県内の木材関連産業の体質強化を図る必要があることから、林業構造改善事業や県産材供給体制整備事業等の導入によりまして、伐木、造材のための高性能林業機械や木材の高度加工施設を整備しまして、川上から川下までの一貫した木材の安定供給体制の整備に取り組んでいるところでございます。  また、県産材の需要減退等により地域活力の低下が心配されます山村地域等につきましては、森林・山村対策によります担い手の育成対策や森林の適正管理、ふるさと林道緊急整備事業などによりまして、地域林業の活性化のための支援をすることとしております。  今後とも、国産材時代に向けまして、県産材の需要の拡大や供給加工体制の整備によりまして、県内の林業、木材産業の活性化に取り組んでまいる所存であります。  最後に、県産材利用の拡大についてでありますが、県産材の利用拡大は、木材産業の振興とともに林業生産活動を活性化させ、健全な森林の維持管理を促す上で極めて重要であると考えております。このため、長野県森林・林業長期構想に基づきまして、「木材利用の拡大」「生産流通加工体制の整備」の二つのテーマを掲げまして、各種施策を実施しているところでございます。  特に、本年度からは、県産材の新たな用途開発を行うため、林業総合センターに高速かつ高度な木材乾燥方法などを研究するための機械施設を設置し、取り組んでいるところでございます。  また、来年度は新たに、県産材が住宅用建築資材として利用がさらに促進されますよう、住宅部材に関する諸情報を直接消費者に提供するショールームの整備等を考えております。  さらに、地域に密着してきめ細かな木材利用促進活動を展開するため、地方事務所単位で、県、市町村及び関係団体が一体となった「木材利用促進地域連絡会議」を設置しまして、公共施設の建設を幅広く働きかけてまいりたいと思っております。  木材資源の有効利用を進めることは、豊かな住環境づくりに寄与するだけでなく、健全な森林の維持管理を通じて安全で快適な県土づくりにつながるものでありますので、今後とも積極的に施策を展開してまいる所存でございます。  以上でございます。       〔4番奥村剛君登壇〕 ◆4番(奥村剛 君)理事者の皆様から一つ一つ御回答いただきまして、ありがとうございました。  ただ一つだけ要望しておきたいと思います。それは、何といっても、県下で我が大町だけが高速道、新幹線等が通っておらないところでございます。県土の均衡ある発展のためにも、ぜひともこの高規格道路をつくっていただきたいと思います。これは大北地域全員の願いでもございますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。知事さん初め副知事さん、ぜひひとつお願いいたします。  以上で終わります。 ○副議長(成沢栄一 君)次に、清沢英男君。
          〔10番清沢英男君登壇〕 ◆10番(清沢英男 君)10番清沢英男であります。  冒頭、私自身は不本意でありましたが、これまで議会を長期欠席いたしましたことにつき、県民の皆様、また議員各位に対して、壇上からでまことに申しわけありませんが、心からおわびを申し上げる次第であります。  以下、私は、4項目につき一般質問をさせていただきます。  初めに、過疎脱却を目指す諸課題についてお伺いをいたします。  過疎問題の歴史的な流れ、関係法の沿革、また県の対応等につきましては、ちょうど1年前の301回議会における森司朗議員の関連質問、また、井出公陽議員の一般質問に非常に詳しいわけであります。若干重複するやに思いますが、県のお考えをお尋ねしたいと思います。  私たちの長野県は、風光明媚、豊かなロケーションに恵まれている反面、自然的・地勢的なハンディを抱え、また、現代の経済形態、生活様式にも起因して、県下市町村の5割以上が過疎地域という現況であります。  国の過疎地域活性化特別措置法、いわゆる新過疎法に基づいて公示された我が県の過疎地域市町村は49団体、団体数では全国5番目の多さであり、また、県が指定する準過疎の19団体を加えますと68市町村が過疎地域であることは、御承知のところであります。  準過疎地域を除く49団体の過疎進行状況を年齢3区分別人口の推移で見てみますと、最近5年ごとに、ゼロから14歳の年少人口は1.5%程度の減少、15から64歳の生産年齢人口は2.5%程度の減少、一方、65歳以上の老年人口は4%程度の増加、また、生産年齢のうち15から29歳の若年者は一、二%の減少、そして人口全体でも3%程度の減少という数字があらわれてまいります。  子供や若者、また働き手が減少し、お年寄りがふえるというこの傾向は、国全体、県全体でも同様でありますが、過疎地域はそのグラフの傾斜がより急勾配になるわけであります。他方、都市及びその周辺部がその分緩やかな傾斜を見せることになります。  例えば、今、人口2,000人の過疎地域があるとします。これを自分なりにシミュレーションして、約15年後、2010年ころにはどのように変化するかを予想してみますと、2,000人だった全人口は1,800人に減少、300人だった年少人口は200人に減少、1,200人だった生産人口は900人に減少、500人だった老年人口は700人に増加ということになりそうであります。  もちろん、地域によって過疎の進行に緩急の差はありますが、この傾向がひときわ極端な場合には働き手とお年寄りがほぼ同数という超高齢化地域の出現もあり得るわけで、活力はうせ、地域の崩壊も起こしかねないというおそれがあることは認識しておく必要があると思います。  しかしながら、この過疎といわれる地域は、たおやかな緑、四季の田園風景、豊かな伝統文化、また深い人情にはぐくまれ、言ってみれば私たちの心のふるさとでもあります。生きとし生けるものの原点がそこには存在するといっても過言でなく、何としても手おくれの状況になる前に歯どめをかけ、真に均衡ある県土の発展を図るという意味で、県政への期待は重大であると考えます。  県では、過疎地域対策協議会や辺地対策班を設置し、過疎地域活性化に向けて方針や計画を策定し、7年度から11年度にかけて新過疎法後期の対策に鋭意真剣に取り組んでいただいているところでありますが、それについて幾つかお尋ねをいたします。  まず、総務部長に伺います。  1点目として、組織面のことですが、対策協議会や辺地対策班の検討会議の開催頻度についてお聞かせいただきます。  また、とりわけても辺地対策班は、問題の重要性にかんがみ、専任者チームとする考えはないでしょうか。  さらには、副知事を会長とする対策協議会は、その専任チームに過疎脱却の実現プログラム実行の上で大きな権限を与え、確実かつ迅速で機動的な処理をすべきではないでしょうか。  2点目に、辺地対策班のもとに飯伊、木曽、松本北部等の地域別プロジェクトチームを設置し、メンバーには市町村の首長や行政マンを入れ、地域の血のにじむような声を拾い上げ、より地域の実情に即した対策が必要と思いますが、いかがでしょうか。  3点目に、小川村の「小川の庄」のおやきは、ソフト面での成功例といわれます。過疎地域におけるハード面の整備は今後も重要でありますが、ソフトでの成功は地域の定住面に大きな自信をもたらします。また、逆に過疎地域は地域規模もまとまりという点では適切で、ソフト面の事業展開は都市部に比しても容易であります。人づくりも含め、ソフト面に対する諸施策についてお聞かせいただきたいと思います。  4点目に、土木部長に伺います。  過疎地域でも1次産業が減少、2次・3次産業が増加しているということは、交通網、とりわけ近隣の都市部と結ぶ快適な道路網の整備が緊急かつ必須だと思いますが、最近、建設省を中心に打ち出している重要幹線に対する予算の重点配分の姿勢は、将来、過疎地域には大きなマイナスにならないでしょうか。  5点目に、社会部長に伺います。  導入が見込まれております高齢者の公的介護保険制度が実施されますと、介護サービスの大幅な基盤整備が必要となり、財源や人材の確保が重要になってくると思います。しかしながら、特に、財政力が弱く、お年寄りが多く働き手が少ない、そういった過疎地域の市町村への影響は今から大変心配されるところであります。このため、住民だれもが福祉の受け手であり担い手であるという相互扶助の考え方を普及していく必要があるものと考えます。  そこで、県では住民総参加による地域福祉社会づくりを推進しているところでありますが、この点について具体的にどのように取り組んでいるのか、お聞きしたいと思います。  以上5点については御質問申し上げましたが、一つ要望を申し上げたいと思います。それは言葉遣いの問題です。  過疎という言葉のイメージがより過疎を生じさせていないか、ということであります。過疎の「疎」という文字は目が粗いことを意味し、「疎し」ということは「親し」に対してよそよそしく疎遠であることをいう、との解説も辞書に出てまいります。それが「過ぎる」わけでありますから、若い人はイメージを悪い方に固定してしまう。  県政としては、国で使っているからと言わずに、せめて言葉だけでも中央主権から脱却して、希望に満ちた地域というイメージを独自に打ち出していくべきだと思います。いかがでしょうか、御一考をお願いいたします。  以上、過疎対策についてお聞きいたします。  次に、下水道関係施設終末処理場の汚泥処理について伺います。  現在、私たちに快適な生活環境を整え、公衆衛生の向上を図り、もって公共用水域の水質保全を図る下水道事業が、都市部のみならず郡部にも拡大され、着々とその事業の展開を見ていることは心強いことであります。  建設省関連の特環や流域を含めた公共下水道も、農水省関連の農集排も、あるいはコミュニティープラント、合併処理浄化槽といったものも、規模の大きさやその目的とするところに若干の差異はあるにしても、環境保全、水質保全といった意義的な面は共通であります。  さらに、その建設に過疎代行制度も取り入れられ、山深い山村でも下水道の快適環境を享受できることは、水質保全の意義とも相まって大変すばらしいことであります。  都市部や一部先進的な郡部では既に供用されて久しい地域もあるわけですが、一般にはこれから本格的な供用開始の地域が多く、今後に向けて解決すべき諸課題も出てくるだろうと予想されます。  その一つに、終末処理場から出る汚泥処理の問題があると思います。現在、郡部で進められている事業は、特定環境保全公共下水道事業あるいは農業集落排水事業等でありますが、それらの事業で建設された処理場に汚泥が貯蔵されます。その汚泥処理について、特環終末処理場では脱水設備を備え、ケーキとしてこれを焼却する、焼却灰については産業廃棄物として一定の処理をされるわけです。一方、農集排の場合は、一部で脱水施設が完備されておりますが、一般的には汚泥は業者さんがバキュームカーで搬出するという方法がとられていると聞いております。  しかし、これら産廃が簡単には捨てられません。今後、各市町村で本格的に供用開始され下水道汚泥が大量に発生してきた場合、これに対する明確な処分方法を確定しておかなければ、新たな環境問題を引き起こす事態も考えられます。  県の中期総合計画には、「資源循環型の社会づくり」の中に、資源の循環的利用、環境への負荷が少ない循環型の社会経済システムをつくり出すことを課題として、施策の展開の一つとして「下水道汚泥を有効利用するため、利活用法の研究を進めます」としております。  環境庁の環境白書にも、社会経済活動が生産も消費も大量になり、当然廃棄物も大量になって、最終処分場ももう余裕がない、だからどうしても物質の循環を考えることにして、採取から廃棄まで地球につらく当たることはやめにしよう、という意味のことが書かれております。  動脈から静脈に目を向け、循環の論理が確立されることに、県政の責任と住民の要望はいやが上にも高まっております。  私たちの県は、オリンピック・パラリンピックを控え、環境先進県として世界に発信しなければなりません。この大規模イベントは、もちろんそれ自体大きな意義を持つものでありますが、それに向かって世界に誇れる環境づくりを県民が合意することは、それらイベントの意義をより深めることであり、本議会で議論される環境基本条例の提案は、まさに的を得たものと思うのであります。  なかんずく、第7条4項は我が県独自のものと説明され、一つに住民参加、二つに自然を通じた交流、また三つ目は「環境の保全に関する思想の高揚と国内及び国外への普及」としております。これは、環境問題については長野県から国内のみならず世界へ発信しようということであり、つまりは全世界のお手本になるという意思と責任を明示した格調高いものであると思います。  そこで5点質問申し上げますが、1点目を生活環境部長、2、3、4点目を土木部長、5点目を農政部長にお尋ねいたします。  1点目に、現在、公共下水道、農集排、浄化槽などから出る汚泥処理方法について、市町村にどのような指導なり方針を打ち出しているのでしょうか。  2点目に、汚泥を資源循環型という観点から利活用を考えるとされておりますが、どういった方法が恒常的に望ましいのか、研究の成果を含めて御所見を伺いたいと思います。  3点目に、現在は補助制度や縦割りの問題もあり難しいのかもしれませんが、将来的に、生活環境、農政、土木各部が一体となって汚泥処理に取り組むことができないでしょうか。  4点目ですが、昨年、下水道維持管理の適正・効率化のために「県下水道広域管理構想」が策定され、管理面においては下水道公社を中心とした広域維持管理を行うとされております。同様に汚泥処理についても、焼却あるいは有効利用施設等広域的に処理を行う概念であると理解いたします。その場合、既存の、あるいは今後建設予定の中核処理施設に十分なキャパシティーを持った汚泥処理施設を併設し、もって広域的処理を行うことが必要と思われますが、いかがでしょうか。  5点目でありますが、農集排処理施設の汚泥は、農地に還元すべきものとして堆肥化等の研究がなされていると推察いたしますが、まずその概略をお聞かせいただくと同時に、広域合併後の農協とタイアップして堆肥等の広域的利用ができないものか、御所見をお聞かせいただきたいと思います。  次に、米の生産調整について伺います。  ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意を受け、昨年11月、食管法は新食糧法に衣がえして、米も、政府の一元的管理から、市場原理、自由競争原理が導入されることになりました。  政府管理の時代には、米づくりも在庫状況などによって制限され、水田再編や水田営農活性化などの事業名のもと、他の作物への転作を余儀なくされてまいりました。しかし今後は、自由競争原理からいって、転作も各農家の判断で自由に行えるかとも思ったのですが、「生産調整は、新食糧法において、米穀の需給の均衡を図るための重要な手段として位置づけられた」として、8年度から向こう3年間、新生産調整推進対策がこれまでどおり、行政、農業団体、生産者が三者一体となって依然実施されるわけであります。  目標面積、今後はそのガイドラインということでの数字ですが、それが達成できなくても特にペナルティーといったものはなく、そういう意味では緩やかになったとはいえ、しかし、国なり県なりからガイドラインが提示されれば、何とか達成しなければならないという気持ちにならざるを得ないのは人情であります。また、農業団体の相互の暗黙の圧力なども存在し、転作は、行政も絡んで、その割り当て消化につき大変なエネルギーを消費するようであります。  さて、その生産調整にかかわる転作目標面積の割り当てでありますが、地域によってゆがみが生じているという意見があります。すなわち、これまで手上げ方式により転作に積極的に協力してきた地域は、依然その当時の実績数字がひとり歩きして、いまだに転作容易地域としての目標数字、ガイドラインが示されることであります。  私の地元も、スイカや野菜の産地で、水田を転作し、それらの作物に転換して対応してまいりましたが、しかし、今やそれも限界に達して、稲作と畑作のバランスが固定化してきております。さらには、農業者の高齢化、あるいはひところの復田奨励もあり、せめて自分の家族で食べるだけでも稲作をしたい、そんな希望者もいて、これまでのように転作が容易でなくなっております。  そんな中、期待がかけられた目標が示されますと、何とか目標達成するために、例えば一枚の水田に農業機械の方向転換用地として植えつけをしない部分をつくり、それを目標面積に算入するといった涙ぐましい努力がなされるのであります。  また、野菜づくり農家からは、野菜が価格下落すれば圃場廃棄処分――つまり、苗から育てせっかく出荷できるようになっても、安値のためにトラクターで畑の中にかき回してしまうことですが、それもやむを得ずとしている、それが市場原理ということだ、稲作に必要以上に手厚くすることは、かえって自己自立に水を差すことにならないか、そんな声も聞こえてくるのであります。  お米は私たちの基幹食糧であり、経済のみならず歴史も文化も支えてまいりました。おいしいお米は消費者も待ち望んでおります。農家と消費者が一体となる産直なども、今後に大きな期待をつないでおります。それら今後の行くべき方向の研究に行政の援助もウエートを置いていくことが望ましいのではないでしょうか。  そこで、4点を農政部長にお尋ねいたします。  1点目に、水稲の生産調整は、新食糧法が実施された現在、向こう3年間の後も続くのでありましょうか。  2点目に、地域の実態と希望を入れた、あるいは優先した生産調整、転作というものがなされないものでしょうか。  3点目に、政府は、米穀を買い入れる条件として「生産調整実施者または生産調整実施者から直接間接に委託を受けた者から」としておりますが、逆にいえば、政府に買い上げてもらう希望がなければ生産調整に加わらなくてもいいのでしょうか。  4点目に、基幹食糧である米は、米づくり農家と消費者が互いに手を携える関係づくりが必要と思います。今後、両者の関係づくりをどのように進めるのでしょうか、見通しを含めてお尋ねいたします。  最後に、信州さわやか女性の諸課題について伺います。  平成3年に、「男女共同の活力あふれる社会の形成を目指して」を基本目標に策定された「さわやか信州女性プラン」の「さわやか」は、信州を修飾すると同時に女性をも修飾しているという理解に立って、信州さわやか女性の諸課題についてということでお尋ねいたします。  「元始、女性は太陽であった」とあえて言わなければならないところに平塚らいてうの悩みは存在し、自来、婦人参政権獲得運動など、明文化された制度的な男女平等権、女権の獲得を目指した第一波フェミニズム運動がありました。  1960年代後半から現代に続く第二波フェミニズムの動きは、法律や制度的な平等は達成しても、目に見えない制度、規範や慣習、心理面などに男や女の「らしさ」のかせが存在し、そうである限り実質的な平等はなく性差別もなくならないという認識のもとに、各般各様の運動の展開を見ているわけであります。  この第二波の動きの共通の概念として、生まれながらの性別によって一連の社会行動様式を振り分けてしまう性別役割の問題があり、また、その性別概念、性別役割分業観は普遍的なものでなく、社会的・文化的につくられた性――ジェンダーという概念で、これは変革し得るものとしているわけであります。  私なりにこれを平たく解釈すれば、「男らしさ」「女らしさ」あるいは「これは男の仕事」「これは女の仕事」と規定したり、「男の楽しみ」「女の楽しみ」と決めつけたりするのは無意味で、それは時代や社会、文化の所産であり、生物学的性差は絶対的なものであっても、男女の「らしさ」は変動するものである、一方に不満があればその垣根は越える努力をしなければならない、ということだと思います。  例えば、選挙で大変な力を発揮していただく女性ではありますが、我が国の衆議院議員の女性比率は世界176カ国中149位ということからも、垣根は高いことがわかります。私たちは、今後も、男女の普遍的な問題として、真の両性の理解に向け垣根を越える努力をしていくべきでしょう。  県は、その努力の一環として、第4次長野県女性行動計画「信州女性プラン21」をまとめ、だれもが自信と希望を持って生き生きと生活できる質の高い豊かな長野県づくりを進めるために、男女が自立してみずからの人生を主体的に選択でき、あらゆる分野に参画して、真のイコールパートナーとして支え合う男女共同参画社会を形成していくという意思を明確にいたしました。  そこで、幾つかの質問をさせていただきます。  1点目、長野県環境審議会について生活環境部長にお尋ねいたします。  「母なる大地」とか「エコロジカルフェミニズム」という言葉もあり、また、92年に地球サミットと並行して開催されたグローバル・フォーラムには多くの女性が参加し、環境問題への女性の関心の強さを改めて印象づけたということであります。それらを考え合わせますと、地球とか環境には女性がよく似合う、調和するという意見もあります。  そこで、環境審議会の委員に女性の大幅な登用を行うとともに、環境基本計画の策定過程において、各地域で県民の意見を聞く場にも女性を積極的に参画させるべきだと思いますがいかがでしょうか、御所見を伺います。  2点目、農村女性の課題について農政部長に伺います。  我が県は、国に先駆けて「長野県農村女性プラン」を91年に策定し、いち早く農村の女性担い手に目を向けるという先進性を示しました。8年度予算案にも新規に農村女性地域活性化推進事業として460余万円が盛り込まれておりますが、ぜひとも実効を上げ、この分野での将来における予算的な伸びを期待したいと思います。  そこで、今、農村における女性の立場を例えば海外研修事業という面で見たときに、男性は、さまざまな役職柄、海外研修の機会に多く恵まれておりますが、それに比して公的立場に立ちにくい女性は、そのことに縁のないことが実態です。  この際、農政部でリーダーシップを発揮して、実質面で我が県農業・農村を支える農村女性が世界に目を向けるような思い切った施策を展開できないか、御所見を伺います。  3点目、社会部長に伺います。  歴史的に女性の福祉や地位の向上を進めるなどさまざまな活動を行ってきた市町村の婦人会が、最近、その活動の低下や、町村によっては存続さえ危ぶまれるところもありますが、今後、地域の女性団体の活性化への支援や地域の女性リーダーの養成について御所見をお聞かせいただきたいと思います。  以上、質問いたします。       〔総務部長飯澤清君登壇〕 ◎総務部長(飯澤清 君)過疎対策についてのお尋ねでございますが、順次お答えいたします。  まず、過疎地域対策協議会及び辺地対策班の開催状況でございますが、過疎地域対策協議会は昭和43年度に、辺地対策班は昭和53年度にそれぞれ設置され、庁内部局間の総合調整機能を果たしてきたところでございます。後期長野県過疎地域活性化方針及び計画の策定に当たっては、過疎地域対策協議会及び幹事会を4回、さらに辺地対策推進員会議を2回、開催いたしました。また、今年度におきましては、後期過疎地域活性化計画の実現に向けて関係部局と2回、廃屋・空き家対策につきまして6回、開催したところでございます。  したがいまして、御提案のようなことも考えられますが、具体的な問題につきましてはテーマごとに各部局で検討した方が効果的な場合もございますので、関係部局との連携を図りながら、機動的かつ柔軟に対応してまいりたいと考えております。  次に、地域別にプロジェクトチームを設置したらどうかというお尋ねでございますが、現在、地方事務所を中心に、市町村の職員も構成員となり、個別の課題に応じた対策会議などが設置されております。そこでは、地域が直面している問題点の検討や将来のあり方等について研究するとともに、各地域の意見等につきましては、必要に応じて県の関係課との連絡調整を行い、県の施策の中に反映させてきているところでございます。  したがいまして、施策の効果を十分に発揮させるためには地域の実情に応じた対応が重要でありますので、先ほど申し上げました地域ごとの対策会議などを積極的に活用して、県と市町村との連絡調整を一層密にしながら施策の推進を図ってまいる所存でございます。  次に、人づくりも含めたソフト面に対する諸施策についてのお尋ねでありますが、お話がありましたように、過疎対策の施策としましては、ハード・ソフト両面から推進していくことが重要と考えております。  現在、それぞれの部局で、農業担い手育成基金推進事業、もりづくり人材育成事業等のソフト事業を実施しておりますし、来年度は新たに、地域おこしのリーダーとなる人材を確保育成する中山間地域広域活性化支援事業を実施することとしております。そのほかにも、自治省が進めておりますふるさとづくり事業の中で、ソフト事業分として各市町村におおむね1億円の普通交付税が交付されておりまして、各種イベントを初め、人材育成、地域間交流等、工夫を凝らした多彩なソフト事業を実施しております。  また、広域圏単位では、ふるさと市町村圏基金を設けまして、その果実により若者交流促進事業や地域づくりリーダー塾などの事業を実施しております。  県といたしましては、交流を通じて人材を育成するため、平成6年度に「地域づくりネットワーク長野県協議会」を設立いたしまして、地域づくりリーダーの養成に努めているところでございます。  また、今年度で7回目を数えます「夢21―地域づくりフォーラム」を開催しており、全県下の行政を含めた地域づくり実践者等およそ700名を対象に、地域間交流や情報交換の場を提供することで、人材育成を図っているところでございます。  今後とも、人づくりを中心としたソフト事業についての支援を一層推進してまいる所存でございます。  以上でございます。       〔土木部長安井常二君登壇〕 ◎土木部長(安井常二 君)過疎脱却と道路整備についてお答えいたします。  建設省による予算配分の姿勢は、重点投資による効率的整備の観点から、国と地方との道路整備の役割について一定の方針が示されたものであります。  道路の整備は、補助事業、単独事業のさまざまな制度を取り込んで進めておりますが、一層の促進を図るためには、全体の道路予算の拡大と、これらの制度の特性を見きわめた事業の展開が重要であると考えております。  今後も、国の施策に沿い、交流ふれあいトンネル・橋梁整備事業や過疎代行事業等の補助事業を積極的に導入するとともに、地方特定道路事業等さまざまな単独事業を効率的に組み合わせまして、過疎地域の活性化を支援する道路整備を進めてまいります。  次に、下水道についてお答えいたします。  下水汚泥の資源化の方向と研究成果についてでございますが、公共下水道から発生する下水汚泥の資源化利用につきましては、肥料化と建設資材化の二つの分野に大別されます。
     まず、肥料化についてでございますが、県内でも一部の市町村や民間業者により行われており、平成6年度は発生した汚泥の約27%が利用されております。しかしながら、今後は、汚泥発生量が大幅に増加しますが、これに見合う需要が見込めないことなどの問題がございます。  建設資材化につきましては、既に東京都などで、れんが、インターロッキング、骨材などとして実用化されております。  本県におきましては、発生汚泥量が少ないことによる汚泥性状の不安定さや重金属の溶出などの技術的課題があり、さらに経済性についての課題がありますが、今後とも、建設資材化につきまして研究を進め、取り組んでまいりたいと考えております。  続いての汚泥処理の取り組みについてでございますが、県としましては、3部から成る「下水道等連絡調整会議」を設置し、効率的かつ適正な整備が推進できるよう努めております。  また、国においても、昨年度から「汚水処理施設の整備等に係る関係省連絡会議」を設け、今年度から汚水処理施設共同整備事業が創設されました。この事業は、3部局所管の施設から発生する汚泥を共同で処理できる事業でありまして、県下第1号として、望月町、立科町、北御牧村の2町1村が共同して実施いたします。  今後、こうした事業を他の地区でも地域の実情に合わせて積極的に推進してまいりたいと考えており、また、関係省庁間の連絡調整がさらに進められるよう国に対して要望してまいります。  次に、汚泥の広域処理についてでございますが、御指摘のとおり、「長野県下水道広域管理構想」において今後の検討課題としており、現在、市町村とともに維持管理研究会を設け、スケールメリットを生かした経済的な広域処理について検討を行っております。  国においても、平成8年度の新規施策として、従来の事業の枠組みの中ではありますが流域下水汚泥処理事業が創設されるなど、汚泥の広域処理の必要性が認識されつつありますので、なお一層の諸制度や事業の拡充を要望してまいります。  いずれにしましも、下水道の普及に伴い大量に発生する汚泥の処理は最重要課題であり、環境に配慮した効率的な汚泥処理に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。       〔社会部長古越典雄君登壇〕 ◎社会部長(古越典雄 君)お答えいたします。  初めに、地域福祉社会づくりの推進についてのお尋ねでありますが、お話のありましたように、過疎地域におきましては高齢化や少子化が急速に進行しておりまして、福祉を取り巻く社会環境は大変厳しい状況になっております。  県といたしましては、平成6年に指針を作成し、従来から推進しております各種福祉施策を一層充実することはもとより、地域社会においてみんなが積極的に社会参加し、連帯して長寿・福祉社会を支え合う県民総参加による地域福祉社会づくりを推進してまいったところであります。  この指針は、介護を要する高齢者への支援など地域の福祉課題は地域みんなで連帯して解決していくものであることを基本的視点にしておりますが、高齢化率が30%を超えている町村が多い過疎地域におきましては、特に重要なことと考えております。  このため県といたしましては、福祉の心の育成と社会参加意識の高揚、参加者の活動意欲に沿った基盤整備、地域に根差した福祉のネットワークづくりを柱といたしまして、一つには、福祉教育の推進や、例えば天龍村ではひとり暮らし老人等のために「集いの家」を開設いたしましたり、喬木村では緊急時の通報システムのネットワークづくりが進められておりますが、このような地域全体で要援護老人等を支える相互扶助組織の普及啓発、二つ目といたしまして、特に過疎地域におきまして設置が進んでいない市町村ボランティアセンターの設置促進や、サラリーマン、主婦等が社会福祉施設でボランティア体験を行うふれあい体験事業等の実施、三つ目といたしまして、JA南佐久では農業協同組合の組合員と地域住民が一緒になって要援護老人宅の家事援助等を行う非営利の有償在宅福祉サービスを実施しておりますが、こうしたサービスの実施団体のネットワークの拡大、民間福祉活動の中核となる市町村社会福祉協議会の活動支援などの具体的な施策を実施しているところでありまして、過疎地域におきましても、みんなで支え合う地域福祉社会づくりに取り組んでいけますよう支援してまいりたいと考えております。  次に、地域の女性団体の活性化に対する支援についてでありますが、近年は、JA婦人協議会、商工会婦人部など職業と関係して加入する団体、婦人問題研究会やボランティアなどの個人の活動目的に合わせて加入する団体など、女性が所属し活動する団体は多様化してきております。こうした中で、男女がともに参画し、豊かな住みよい地域社会を築いていくためには、女性団体の活性化が必要と考えております。  このたび策定いたしました「信州女性プラン21」におきましても、交通安全や生活改善などの地域活動に参加する女性団体への活動支援や景観サポーターなど、住民と行政が一体となった地域活動への女性の参加の促進を盛り込んだところであります。  また、「さわやか信州女性セミナー」の修了者などを地域女性コミュニケーターとして、平成8年度に120名を、平成12年度までに300名を委嘱いたしまして、地域住民と行政のパイプ役となっていただき、さまざまな活動を行っている女性団体などのネットワーク化の促進や個人の皆さんの女性団体への加入促進を図るなど、女性団体の活性化を促進してまいりたいと考えております。  次に、地域の女性リーダーの養成につきましては、「さわやか信州女性セミナー」や「ながの女性アカデミー」などを開催いたしまして、女性問題を解決する核となる指導者や女性の生涯学習のリーダーを養成いたしますとともに、地域農業の振興や望ましい農家生活の推進などのため農村女性リーダーを養成し、農村生活マイスターとして認定しております。  今後とも、地域における女性問題の解決のために各種講座を充実するなど、女性リーダーの養成を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔生活環境部長村松亮勇君登壇〕 ◎生活環境部長(村松亮勇 君)お答えいたします。  初めに、公共下水道などから出る汚泥処理についてのお尋ねでありますが、産業廃棄物であります下水道汚泥につきましては、今後、下水道の普及に伴い発生量の増加が見込まれますので、本年度策定いたします第5次の県産業廃棄物処理計画の中でその処理方針を定めることとしております。  具体的には、焼却による減量化、焼却灰の焼成または溶融による建設資材化、堆肥化による緑農地利用等の促進、広域処理による効率的な汚泥処理を基本といたしまして、減量化を図るとともに、有効利用の促進を指導してまいりたいと考えております。  また、農業集落排水処理施設や浄化槽の汚泥は、一般廃棄物であることから、大部分が市町村のし尿処理施設においてし尿と一緒に処理され、最終的にはし尿処理施設の汚泥として排出されております。この汚泥につきましては、一部では、現在、堆肥化や焼却した際の余熱利用を行っている施設もありますが、今後、廃棄物の減量・リサイクルを一層推進するため、汚泥堆肥化設備の整備等につきまして市町村を指導してまいりたいと考えております。  次に、環境審議会委員への女性の登用についてでありますが、環境審議会は条例に基づき25名の委員で組織されておりまして、そのうち女性の委員は6名、構成比24%でありまして、全審議会の平均を上回っている状況であります。  今後は、「信州女性プラン21」の目標を踏まえまして、女性委員を積極的に登用するよう努めてまいりたいと考えております。  また、環境基本計画の策定過程における女性の参画につきましては、今回提案いたしました環境基本条例案の検討過程におきましても、地域懇談会を開催し、174名の委員のうち21%は女性の委員をお願いしたところであります。  今日の環境問題は日常生活と深いかかわりがありますので、環境基本計画を策定する過程におきましても、より多くの女性の参画をお願いしてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔農政部長中村武久君登壇〕 ◎農政部長(中村武久 君)お答えいたします。  まず、農業集落排水処理施設の汚泥の堆肥化についてでありますけれども、2月末までに供用されております農業集落排水処理施設は92カ所ですけれども、このうち19施設において汚泥を堆肥化し農地に還元しており、残る施設についても堆肥化を研究しているところでございます。  既に堆肥化を実施している処理施設におきましては、汚泥を脱水した後に堆肥化するという方法をとっておりますけれども、処理量が少ないためにコストが高くなるというふうな問題が出ております。  今後は、汚泥の堆肥化のための低コスト処理技術の開発を進めますとともに、汚泥とキノコの廃おがなど農産物の残渣を混合することで良質な堆肥生産を行い、地域特性を生かした有機物の循環システムの確立を図っていくことや、御提案のありましたように、広域的な処理施設の整備、また広域的な流通体制の整備等について検討してまいりたいというふうに考えております。  次に、米の生産調整についてでありますけれども、第1点目の生産調整の継続につきましては、全国規模で法律に基づいて実施される対策であり、平成11年度以降の取り扱いにつきましては、今後の米の需給動向を踏まえて国が判断するわけですけれども、昨年12月に農林水産省が発表いたしました「農産物の需要と生産の長期見通し」によりますと、米の消費は引き続き減少傾向で推移するというふうに見込まれておりますので、平成11年度以降も実施せざるを得ないのではないかというふうに考えております。  第2点目の地域の希望を取り入れた生産調整の実施につきましては、本県におきましては、従来より地域の実情に応じた転作作物の導入を進め、農業者の創意工夫と、農業団体、関係機関の一体となった取り組みによりまして、園芸作物を中心に産地化が図られてきているところでございます。  平成8年度以降の生産調整の実施に当たりましても、各地域内で十分な調整をしていただき、さらに地域間におきましても調整をしていただくというふうなことで、市町村別の目標面積の決定に努めていただいております。また、農業者別の面積配分につきましては、極力、農業者の意向を踏まえて決定するよう、引き続き市町村や農業団体を指導してまいりたいと考えております。  第3点目の生産調整への参加につきましては、稲作が多くの農業者によって担われている現状から、政府米の出荷の有無にかかわらず、稲作農家全体の理解と参加が必要であり、農業団体、関係機関との十分な調整のもとに、地域間調整や共補償などにより実効確保が図れるよう指導してまいりたいと考えております。  第4点目の消費者との関係づくりにつきましては、新食糧法の施行で流通規制が大幅に緩和されたことによりまして、今後は、消費者への直接販売等、消費者と生産者が連携した多様な流通に対応していくことが重要となっております。  このため、消費者との相互理解を一層促進するための産直や農協の独自ブランドによる地域内流通のほか、生協等消費者グループの産地研修や農作業体験などの交流を通じて、顔の見える産地づくりを図ってまいりたいと考えております。  最後に、農村女性に対する施策についてでありますけれども、本県における農村女性の海外派遣・研修につきましては、従来から、女性を含めた青年農業者を対象とした農業研修生海外派遣事業及び農業士海外派遣事業により海外派遣を実施しておりますし、また、県内の女性や青年の海外派遣等を目的といたしまして、社会部におきまして女性問題海外セミナー事業及び信州青年洋上セミナー事業等がありまして、これらにより対応しているところでございます。  農村女性が積極的に海外研修に参加し、見聞を広め、外国の方々と交流を深めることは、本県農業の発展のためにも重要なことでありますので、今後とも、より多くの農村女性の皆さんが参加できますよう努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○副議長(成沢栄一 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時47分休憩         ───────────────────         午後3時4分開議 ○議長(清水重幸 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて発言を許します。  太田道信君。       〔31番太田道信君登壇〕 ◆31番(太田道信 君)本日最後の発言通告者であります。もうしばらくの御辛抱をよろしくお願い申し上げたいと思います。  初めに、子供が健やかに生まれ育つための環境づくりの推進について知事にお伺いいたします。  平成6年の人口動態統計によりますと、全国の出生数は約123万8,000人、合計特殊出生率は1.50と、平成5年に比べわずかながら回復したとはいうものの、少子化傾向に歯どめがかかったかどうかは依然不透明であるといわれております。  さきの厚生省・人口動態統計の年間推計によりますと、平成7年の出生数は平成6年より約4万5,000人も減少していることなどから、再び出生率が下がる可能性が高いといわれているのであります。本県におきましても、昭和49年の第2次ベビーブームのピーク時には3万4,151人の子供が生まれておりましたが、平成6年には2万2,012人に減少しているのであります。  少子化は、人口の高齢化に拍車をかけ、また、地域社会の活力を低下させるなど、社会、経済に対する影響のみならず、子供自身にとっても自主性や社会性、創造性などが育ちにくくなるといったことが指摘されているところであります。  また、女性の社会進出は年々増加してきており、平成4年の就業構造基本調査によりますと、本県の女性の有業率は58.0%と全国でもトップクラスとなっていて、このため、女性の仕事と子育ての両立や昼間保護者のいない家庭の子供の健全な育成は、大きな課題となっているのではないでしょうか。  さらに、都市化の進行により、これまで子供たちの遊び場であった原っぱや安全な路地裏が次第に姿を消してきており、最近では子供たちがこうした場所で群れて遊んでいる姿を見かけなくなったのであります。昔から子供たちが親しんできた遊びも失われ、遊びを忘れた子供たちの存在が問題となっているのであります。  このような状況の中で、次代を担う子供たちが健やかに生まれ育つための環境を整備していくことは、大変重要課題であると思うのであります。  子供は何物にもかえがたいとうとい宝であり、また、来るべき21世紀の高齢化社会を支える核となるのが、まさに今の子供たちなのであります。  国では、一昨年12月に、子育て支援社会の実現を目指したエンゼルプランと、その具体化の一環として緊急保育対策等5カ年事業が策定されたところであります。  県では、昨年11月に児童環境づくり推進協議会から提言を受けているようでありますが、国のプランやこの提言を踏まえ、児童環境づくりを推進するため新年度予算や中期総合計画の中でどのような点について重点的に取り組んでいかれるのか、お伺いしたいと思うのであります。  次は、銃器と密接不可分の関係にある暴力団対策について県警察本部長にお尋ねいたします。  昨年は戦後50年の節目の年でありましたが、この半世紀における我が国の発展は、良好な治安に支えられたものでありました。しかしながら、昨年は大震災やオカルト集団による無差別テロ事件などが起こり、国民の間に安全に対する危惧の念が高まってきているのであります。世界に誇る日本の治安のよさに陰りが見え始めたのではないか、といわれてしまうようになったのであります。  かつて歴史的な流れの中で、豊臣秀吉の刀狩り、明治の廃刀令などもあって、日本の治安は世界の各国に比べ安全なすばらしい国家と評価されてきたのでありますが、もちろん銃器による犯罪が皆無であったというのではなく、確かに暴力団の抗争や恐喝に使われたという事実はあったのでありますが、この数年間、銃器が暴力団から一般市民へ拡散し、何の抵抗すらできない女子学生や女性パートの方を撃殺したり、気に入らないからといって簡単に患者が医者を撃ったり、暴力団以外の者の銃使用がやたらに目につくようになってきたのであります。まさに、ゆゆしき事態であるといわざるを得ないのであり、これらは銃器犯罪に関する陰りというよりも、質的な大転換が起きてきているのではないかと思うのであります。  銃器に対する厳格な規制が我が国の良好な治安を維持する上で最も重要な政策の一つであることは疑う余地のないところであり、また、確かに従来から銃器の問題が存在していたとしても、日本人のけん銃に対する拒絶意識は貴重な財産でありましたし、文化でもあったと思うのであります。  しかし、昨年行われた総理府の世論調査では、7割強の回答者が今後の銃器情勢は悪化するとし、半数の回答者が銃器犯罪に対して大きな不安を感じているように、凶悪な銃器使用犯罪の多発が社会に深刻な影を落とし始めているのであります。  もちろん、銃器犯罪の被害は、歴史的な銃器社会であった米国を初めとし、諸外国では我が国よりもっと深刻な社会問題となっているのでありますが、我が国も現状をこのまま放置したとするならば、米国のような銃器社会に進みかねない状況にあって、取り返しのつかないことになるのではないかと思うのであります。次代を担う子供たちに安全な社会、安全な日本を引き継ぐためにも、今、私たち大人に総合的・抜本的な銃器対策が求められているのではないでしょうか。  従来、けん銃といえば、暴力団絡みで、そこにたまたま一般市民が巻き込まれることがあっても、それは例外的な話ということであったものが、最近では、暴力団以外の者が一般人に対し、しかも威嚇ではなく殺りくのためにけん銃を何のためらいもなく発射するというような発砲事件が相次いで発生する状況となってきているのであります。  このような背景としては、けん銃の密輸の増加や暴力団から一般社会へのけん銃の流出など、海外から流入して国内で拡散するという銃器の特性から見ても、銃器対策の一つとして、関係諸外国との国際協力の緊密化を図る必要性があるのではないでしょうか。  まして、国際的な物流の増大に伴って、一国だけで銃器管理を行うことは容易なことではないと思うのであります。まして、最近、特に国民の間には海外旅行あるいは海外赴任のときなどに銃器に接する機会がふえ、実際に銃器を手にし、あるいは現実に射撃を経験するなど、けん銃に対する従来の抵抗感や拒絶感が希薄化してきているのも事実であります。  また、いわゆるバーチャル・リアリティー(仮想現実)で殺傷ゲームを現実に近い形で体験したり、また一方では、ちょうど子供たちが学校から帰宅する午後3時ごろから6時ごろまで、ほとんどのTVチャンネルで、けん銃の撃ち合い、いかに殺人を巧妙なトリックで行うかの殺人犯罪ミステリーもの、あるいは刑事物語など、必ずけん銃の撃ち合いの場面の放映は、まさにバーチャル・リアリティーの世界に子供たちをくぎづけにしていることは間違いない事実と思うのであります。  しかしながら、その中でまた、苦しみに耐え、忍耐と努力の戦いの結果正義が勝つという女性刑事のさっそうたる姿は今の若い女性のあこがれであり、その影響か、女性警察官希望者が大変多くなってきたというよい面もあると聞き及んでいるところでありますが、こうしたバーチャル・リアリティーの世界が少なからず影響し、学校におけるいじめ、犯罪の低年化、人に対する命の尊厳意識が薄れてきているのではないか、ともいわれているのであります。そのため、今、アメリカでは、犯罪映画の放映の時間帯の変更、極度に過激なのは自粛するとの新聞発表もあったと仄聞しております。  とかく、身近な者が被害に遭ったり大きな事件が起きたときには皆が注目し大騒ぎをするのですが、忙しい日常生活の中で記憶や意識は比較的早く薄れ、半年もたつと「そんな事件があったかな」という程度になってしまう今の我々であります。  けん銃は人を殺すためにのみ存在するものであるということ、そして、銃器は社会の安全を損ない、人々の平穏な暮らしを脅かし、さらには通常の感覚まで麻痺させてしまう危険なものであることを改めて認識し、国民一人一人が銃器を拒絶するという強い意志とその存在を許さない機運を盛り上げていくことが何よりも大切だと思うのであります。  知識と正しい目的が結ばれれば豊かな実りが約束されます。知識が邪悪な目的と結ばれるのは本来あるべき姿でなく、おぞましい悪魔とでも呼ぶべきもので、悪意は完全無欠のものをもむしばみ、それに知恵がついたとなればなおさら歯どめはきかず、すぐれた才能にも浅ましさがしみつくと、行き着く先には破局が待ち受けているのであります。良識なき知識のもたらす害は、はかり知れないのであります。  警察本部長は、我が県政会・古田政調会長の代表質問への御答弁や議案説明の中で、銃器使用の犯罪の徹底的な検挙、潜在する銃器の摘発、海外からの流入の阻止等、銃器対策に組織の総力を挙げて取り組む旨述べられたのでありますが、銃器対策を進める上にも密接不可分の関係にある暴力団対策についてお伺いいたします。  暴力団は、けん銃の密輸、社会への拡散に深くかかわっていることは自明の理であり、アメリカで犯罪の増加の原因はガン・プラス麻薬だといわれているのであります。  日本は、経済大国といわれ、犯罪にとって条件的に非常に魅力的な国であると判断されている上、長大な海岸線を有する国土と国際化の進展を背景として、押収される銃器のほとんどが海外から密輸入されたものと仄聞しているのであります。先日も、松本市において、フィリピン製のCRSけん銃を隠し持っていた山口組の暴力団員が塩尻警察署に逮捕されたと報道されていました。  銃の鎖国を守り抜き、また、社会に潜在している銃の摘発を進めるためにも、ぜひとも暴力団の撲滅を図らなければならないと思うのであります。  当県は、冬季オリンピックを2年後に控え、高速交通網が整備されるにつれ県内外の交流が飛躍的に進んでおり、全国の暴力団の動きが長野県にも敏感に波及する環境にあって、人や物、金の動きがかなり活発化してきているのであります。こうした中で、このすきをねらい、これにつけ込んで、社会の敵である暴力団もまた活動を活発化させているのではないかと危惧されるところであります。  平成4年に暴力団対策法が施行され、県内では、表にあらわれるような対立抗争事件や暴行傷害事件、従来の資金源活動等影を潜めているようで、大変によい傾向と理解しているところですが、県内に存在するといわれている約1,000名に及ぶ暴力団員は、生き残りをかけて右翼団体や会社組織へ偽装化するなど、潜在化・巧妙化していると伺っております。  そこで、最近の暴力団情勢と暴力団壊滅に向けた県警察本部の取り組みについてお伺いいたします。  次に、諏訪地域の産業振興について質問させていただきます。  かつて小学校の教科書にも載っていた「東洋のスイス」という諏訪・岡谷地方の精密工業は、戦争中の疎開企業を核として、戦後、地元の若者たちが始めた町工場がきっかけでありました。戦後ゼロから出発した精密工業は、質、量ともに長い間教科書であったスイスを抜いたとも評されているのであります。  しかし、時計もカメラも自動車や家電製品のように成熟産業の時代に入っており、いかに安く供給するかということは円高が始まった昭和60年ごろからの製造業の海外シフトとリンクしているともいえますが、最近では、大手企業ばかりでなく中小企業にも進出の動きが多く見られるようになったのであります。  昨年末の日本時計協会のまとめによりますと、平成7年の日本国内の腕時計生産は前年比23%減と、20余年ぶりにスイスの国内生産を下回る見通しになったと伝えております。また、日本メーカーの海外生産比率も75%までに高まってきたそうであり、中国やシンガポールの生産が急拡大してきているとも伝えております。  言うまでもなく、諏訪・岡谷地域は中小企業が多いわけでありますが、腕時計に限らず、このような海外進出の流れは下請の中小企業を圧迫しているのも事実であります。  国際競争力の強化を迫られている業種においては、大企業を中心として、円のレートが105円とか106円という円高修正の状況にあっても海外移転計画を見直そうとしない状況にあって、労働集約型などの製造業を中心とした産業の空洞化が現実になりつつあるとの危惧がじわじわ広がってきていると私も認識しているところであります。  そこで、このような状況をどう乗り越えていくのかというのが、産業界のみならず我々や行政に現在与えられている重要かつ緊急な課題であると思うのであります。  諏訪地方は一口に、面積は県の20分の1、人口は10分の1、工業出荷額は5分の1と区切りよく紹介されたことがありました。工業出荷額は、30年代から50年代の初めごろまでは県全体の20%前後を推移していたわけですが、平成2年には15%、平成6年に至ってはついに12.8%と8分の1にまで落ち込んでしまったのであります。これは、特に精密関連の出荷額が低下してきているのが影響しているものと思いますが、振り返ってみますと、戦前、蚕糸王国の名をほしいままにし、日本の主力輸出品として外貨を稼いだシルクを支えた製糸業の盛衰ともオーバーラップされてくるところであります。  しかしながら、県内の工業も戦後50年の間に、すそ野の広い産業構造を形成してくるようになったのであります。諏訪・岡谷地域も、超精密加工や超小型を焦点に進めてきた生産技術体制は、全国的にもまれな集積地域となってきております。大量生産の部分が海外に移っても、精密関連のあらゆる高度な技術が集積されているわけでありますから、たとえ空洞化時代が到来しても、製糸から精密へと転換を図ってきたように、何とかやっていかれるだろうという楽観的な見方をしている方も実際にいられることは事実であります。  高度な精密加工技術は全国的にも高い評価を受けているところですが、私はそれにも増して、技術に誇りを持ち、独立意識のぶつかり合いが激しい競争を生き抜き、結果として高い製品開発力や高い生産性を生んできたという諏訪人気質というものに、実は高い評価をしていただいてよいのではないかと思うのであります。この厳しい時代であるからこそ、かえってそれをはね返していく底力が諏訪の企業人にはあるのではないかと常々感じているのであります。このことは、例えば岡谷市内の異業種交流グループなどが互いに刺激を受けながら果敢に海外進出に踏み出すなど、親企業依存ばかりでなく独自の視点から自発的に行動に移していることなどが挙げられるのであります。  このようなフロンティア精神あふれる若手企業家精神が脈々と続いているということで大変心強いと私は思っているわけでありますが、長野県も工業立県を掲げ、精密工業試験場の設置、さらに内容の充実など、諏訪地域の産業振興のため今まで並々ならぬ御努力と御配慮をいただいてきたことに感謝するとともに、諏訪平を代表して高い評価をさせていただきたいと思うのであります。  しかしながら、日本より人件費などさまざまなコストの低い東南アジアの企業においても、年々、技術力を高めてきているのも事実であります。何よりも日本の中小製造業に求められているのは、どこででもつくれるものではなく、ここでしかつくれないという部品や製品を生み出す力ではないでしょうか。  先ほども申しましたとおり、幸いなことに諏訪・岡谷地域には、今まで培ってきた技術をもとに積極的に自社製品開発を行ったり、新分野に展開しようとしているたくましい中小企業がふえてきております。県においては、こうした飛躍する力を秘めている企業を援護し、守り立てていくための支援をより積極的に行っていくべきであろうと思うのであります。  また、バブルの後遺症や急激な円高で低迷していた景気も、最近では回復と判断されるようになったのではありますが、従来とは違い産業構造も変化してきているのでありますから、先を見据えた産業振興施策というものを今こそ腰を据えてやっていく必要があるのではないかと考えるのであります。  そこで、次の2点について商工部長のお考えをお聞きしたいと思います。
     まず、諏訪地域の製造業の実態をどう把握されておられますか、また、先を見据えた産業振興施策を県としてはどう展開していくおつもりであるのか、お伺いをさせていただきます。  最後に、最近、義務教育現場では、いじめ、不登校、学力問題等解決の極めて困難な問題が多くなり、子供たちが苦しんでいる現状が見受けられるのであります。  本県におきましても、学校関係者が熱意を持って取り組んでおられると理解しているところでありますが、期待されるような成果が上がらないまま現在に至っていると思われるのであります。これは、学校現場の改善だけでは思うように進まない状況にも大きな原因があるのではないかと思われるのであります。  中でも、急激な社会変化の中で、学校への期待ばかりが大きくなり、それに教師が十分対応できないでいるのではないか、また、学校が忙しく、教師が子供たちとじっくり接する時間がなくなっているのではないかなど考えられるところでありますが、佐久間教育次長は、教育畑を一筋に今日まで歩まれ、学校現場にも深くかかわり、培われた長い教員生活の中で、裏の部分、表の部分等さまざまな場面に精通されていられるものと拝察いたしているところでありますが、本県義務教育のこのような現状をどう認識し、どのような対応が必要とされていると思われるか、御自分なりの経験を顧みてうんちくのある御見解を承り、第1回目の質問とさせていただきます。       〔知事吉村午良君登壇〕 ◎知事(吉村午良 君)お答えいたします。  子供が健やかに生まれ育つための環境づくりについての御質問でございます。  私どもは、生まれてから老後に至るまで、さまざまのライフステージを持っております。まず健やかに生まれ、そして保育園や幼稚園で適切な保育を受け、そしてまた小中学校の教育で心身ともに健やかな子供として育ち、そして社会に出ては社会を担う生産人口として大いに働き、また老後に至っても、それぞれの知識や経験を生かして社会のために働くと同時に豊かな生活を送っていただく、こういう一生を送っているわけでございます。  その中で、とりわけ子供さんが健やかに生まれ育つということは極めて重要なことでございまして、これまでもそういった問題につきましては十分に力を注いだつもりでございますけれども、今になってみますとそういった点については欠けるところが多かったと、このように反省をいたしております。  そこで、こういった環境づくりのため、児童環境づくり推進協議会をつくりまして昨年から審議をいただきまして、先般、答申を得たところでございます。  お話にもございましたけれども、振り返ってみますと、環境の変化につきましては、まずは子供数の減少がございますし、また、結婚に対する意識の変化、また結婚年齢の上昇もございます。また、家族の形態が変わってまいりまして、3世代同居という家庭が少なくなってまいりまして、養育機能が低下しているという状況もございます。また、生活環境の変化と地域の子育て機能の低下ということで、昔と違って自然との触れ合いが減っておりますし、また、遊び場が少なくなっているということもあるかと思います。また、とりわけ女性が社会進出をしてきております。そこで経済的な負担も増加しているというようなこともございまして、さまざまな環境変化がございますので、それぞれに適切な対応が必要だと、このように思っております。  とりわけ、女性の就労と子育てが両立するようにしないとお子さんの適切な養育ができないということでございまして、したがって女性プランでも、男女が共同して社会をつくっていくというようなことでさまざまの問題をやっておるわけでございますけれども、これにつきましては、昨年からやっておりますけれども、特別保育ということで、働いている方々が特別に時間をずらして保育をしてもらうという制度が必要でございまして、今後とも子育て支援のためのサービスを充実してまいりたいと、このように考えております。  それから、子育て支援のために家庭の負担の軽減ということもございます。働いてはいますけれども収入が少ないということもございまして、3歳未満児の医療費の所得制限の撤廃ということもその一つでございます。また、今回、それでもなお生活資金が不足するという方に対しましては100万円の生活資金を低利で融資する制度を設けましたのも、その一環でございます。  それから、お子さんにはまだ結びつきませんけれども、ゆとりある教育、こういったことが将来必要だと思いますし、そのためにはやはり健全なお子さんの育成ということが重要だと思っております。このために、ひまわりっ子ランド創造事業とかシンポジウムなどを開催いたしまして、子育てに関する県民の意識の高揚ということに努めてまいりたいと、このように考えております。  今申し上げましたのは今回の予算の関係でございますが、中期5カ年計画の中では、一つには「子ども未来センター」の設置――お子さんがテレビその他でいろいろな知識を持っておりますけれども、お子さんが現実に新しい科学的な施設とか文化といったものに接するようなセンターをつくったらどうかと。これはまだ研究段階でございますけれども、適当なところを探し、また適切な構想をいただきまして、そういったものを長野県としてつくってまいりたいと、このように考えております。ただ、長野県は非常に広域な地域ですから1カ所というわけにはいかないんですけれども、当面、県としては1カ所をつくり、あとは地域地域で考えてもらうというような「子ども未来センター」の設置を構想いたしております。  それから、お子さんが生まれる際に、いろいろお子さんも妊婦も病気があるようでございますが、周産期医療ということで県立こども病院にそういった施設をつくる。ですから、生まれる前から障害が起きないようにそういう施設をつくる。  当面、そういったことを中期の中で考えておりますが、まだこれからの問題でございますので、必要があればさらに追加をいたしまして環境づくりのために努力していきたいと、こう思っております。  しかし、いろいろやっておりますけれども、環境づくりのためには、単に行政とか親だけではなくて地域の皆さんの協力も必要でございます。やはり、子育て支援社会ということがこれから一番重要になってくるんじゃないかと、こう思っております。今、福祉の問題が、特に老人福祉の問題が一番の大きな課題ではございますけれども、生まれる前から、そして生まれてからの数年間に対する努力、こういったものにつきましてポイントを置いて県政を行うということが必要ではないかと、このように考えておりますので、これらにつきましては今後さらに充実をしてまいりたいと、こう思っております。       〔警察本部長松﨑彬彦君登壇〕 ◎警察本部長(松﨑彬彦 君)暴力団情勢とその壊滅に向けた取り組みについてお答えいたします。  まず、県内の暴力団勢力でございますが、現在、43組織、約1,000名を把握しております。そのほとんどは指定暴力団であります山口組、稲川会、住吉会等の傘下であり、このうち山口組傘下が全暴力団勢力の約半数を占めております。  最近のこれら暴力団の傾向を見ますと、暴力団対策の効果や長引く不況等によりまして経済的・社会的に追い詰められているため、生き残りをかけた暴力団が右翼団体を標榜したり、合法的な企業活動を装って経済活動に介入したりして活動資金を獲得するなど、その活動を一段と巧妙化・潜在化させております。また、ただいまお話がございました銃器問題に関しましても、暴力団が銃器の主要な供給源となっているのが実態でございます。  このように悪質の度を深める暴力団に対しまして、県警察は総力を挙げて取り締まりに当たり、昨年は、暴力団組員等369名を検挙し、けん銃37丁を押収したほか、暴力団からの脱退を妨害した事案や、飲食店にみかじめ料を要求した事案等の不当行為14件について中止命令を発するなど、暴力団組織の壊滅に向けた諸対策を推進したところでございます。  また、本年に入りましても、既に塩尻警察署及び駒ケ根警察署におきまして暴力団からけん銃2丁を押収し、組長等7名を検挙いたしております。  御指摘のように、冬季オリンピックの開催を2年後に控え、暴力団対策が治安上重要課題でございます。そこで、「暴力団の壊滅」を本年の県警察運営の重点目標の一つに掲げ、取り締まり体制を強化し、強固な対決姿勢を堅持して、「暴力団が所持するけん銃の摘発を初めとする暴力団犯罪の徹底検挙」「暴力団対策法の効果的な運用による資金源の封圧」「県民総ぐるみの暴力団排除活動の推進」を3本柱とする暴力団総合対策を推進してまいることといたしております。  以上でございます。       〔商工部長市川衛君登壇〕 ◎商工部長(市川衛 君)お答えをいたします。  諏訪地域の製造業につきましては、いろいろお話がございましたように、幾度かの製造業をめぐる環境変化の中で、その時代をとらえました製品を生み出す数々の有力な企業が輩出してまいりました。こうした企業から派生して、独自の技術・技能を有する企業群を形成しながら、全国に誇るレベルの高い技術集積地となっております。また、現在も長い伝統に培われましたその力はいささかも衰えていないと思っております。  ただ、近年の時計、カメラなどの成熟産業の海外移転や、それに伴う事業の再構築が進んでおります中で、各企業が低価格量産型分野から脱皮し、東南アジア諸国ではまねのできない高い技術レベルの製品分野への移行と申しますか、次へのステップアップを目指しまして懸命の努力がなされている、そういう時期にあるものと認識いたしておるところでございます。  こうした状況の中で、現在、テクノハイランド構想の中の諏訪テクノレイクサイド圏域ということでございますが、第3次の実施計画を取りまとめております。その中では、21世紀に向けまして、先端技術産業の育成強化を初め、高度情報化や企業のグローバル化への支援、あるいは熟練技術の承継や新時代を創造する人材の育成等に重点を置きまして、国際的にも高度技術の集積地として優位性を保ち、世界に誇れる「豊かな自然と共生するハイテク国際文化高原都市」の建設を目指していくことといたしておるところでございます。  したがいまして、県といたしましても、引き続き関係試験場の機能を充実いたしまして、時代をリードする製品や超精密加工技術などの技術開発支援に力を入れてまいりますとともに、次世代を担う技術者の養成にも努めてまいりたいと思っております。  また、インキュベート機能を有する創業支援センターの設置、高付加価値化や新分野進出を支援いたしてまいります中小企業集積活性化事業、下請中小企業のための協力受注開拓グループの育成など、各種施策を総合的に推進することによりまして諏訪地域の製造業の活性化に資してまいりたいと、このように考えております。       〔教育次長佐久間鉄四郎君登壇〕 ◎教育次長(佐久間鉄四郎 君)お答えします。  本県義務教育の学校現場についての現状認識でございますが、今や学校は、保護者や地域から、学力向上や生徒指導への対応はもとより、基本的な生活習慣やマナー、しつけに至るまで、さまざまな期待が寄せられ、指導すべきことを抱え込み過ぎている状況にあります。教師は、限られた学校生活の枠の中で、そうした期待や状況にこたえるための指導に難しさを感じております。  また、教師と子供の接する時間の減少につきましては、社会的要請による多様な教育課題や困難さを増す生徒指導上の問題への対応を初め、教育研究の伝統や多岐にわたる会議等による教師の多忙化が、その根底にあるものと考えております。  今後の対応といたしましては、子供の人間形成や子供の教育を学校だけで抱え込むのではなく、学校、家庭、地域社会が、それぞれ果たすべき役割と連携すべき点を明確にして、責任と愛情を持って子供に向かうべきだと思います。  中でも、学校では、本来担うべき学力や個性を伸ばすために、何よりも教師が、みずからの人間性と指導力の向上を怠らず、先入観や経験のみにとらわれない、しなやかな心を持って子供と接し、子供一人一人の実態に合わせた魅力ある授業の実現に努めることが大切であります。  また、小中学校に深く浸透している教育研究の伝統を子供のよりよい成長という視点から見直し、改善すべきは思い切って改善し、先輩の求めた深い教材研究を基本とする本質的・日常的な実践に変えていかなければならないと考えております。  経験を顧みてというお話でございますので、ささやかな体験から申しますと、私が初めて受け持った子供が卒業後十数年たったある日、「心臓の手術をするため入院しています。手術の前に先生の言葉を聞きたい」と電話をしてまいりました。私は、その晩、夢中で手紙を書きました。未熟な自分にとって、教え子とのこうした心の交流は喜びであり生きがいであり、また、教師であることへの励ましになったと思っております。  今、教師はさまざまな困難や悩みに直面しているわけでありますが、教師としての生きがいを持ち、未来は子供が開くという信念のもとに、子供の能力や個性が十分に育つ学校づくりを目指して努力しなければならないと思っております。  以上でございます。 ○議長(清水重幸 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(清水重幸 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、明7日午前10時30分に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後3時42分散会...