山梨県議会 2024-02-01
令和6年2月定例会(第2号) 本文
質問の前に、
能登半島地震により、多くの方々が犠牲になられ、また多くの方々が被害を受けられました。心より哀悼の意を表します。一日も早い復興をお祈り申し上げます。
さて、
行動制限が解除され、各地で多くのイベントが再開されるなど、日常の生活に活気が戻ってきた一方で、
エネルギーや物価高、資材高騰など、不安定な状況が続いております。
長崎知事におかれましては、県政二期目のスタートであった本年度、その優れた行政手腕により、
県政課題のさらなる推進に向け、全力で取り組んでこられました。
常に的確な判断と優れた行動力により、山梨県の発展のために、日夜奮闘されていることに対し、心より敬意を表します。
二〇二四年は、
きのえたつの年となります。十干のきのえは、物事の始まりを意味し、養分を蓄えた硬い種子が芽吹くとき、草木などが成長していくことを表す意味があります。十二支のたつは、草木の形が整った様子を意味しています。このことから、
きのえたつには、成功という芽が成長していき、姿を整えていくという意味合いがあります。
今後とも、本県の可能性を飛躍的に高める施策について、卓越した識見を持って推進していただきたいと思います。
私の政治信条は「忍耐と勇気」であります。困難な状況に直面したときに、
自分自身に対して勇気を持ち、前向きに考え、忍耐力を持って、長期的な目標を達成するために努力を続ける。私は、これらの価値観を大切にし、
自分自身の行動に反映させることを約束し、議会人としての責任を果たしながら、協力することを惜しみません。
私自身、微力ではありますが、次の世代に豊かさを引き継ぐべく、力を尽くすことをお誓い申し上げ、以下、質問に入ります。
まず、令和六年度当初
予算編成についてであります。
今議会に提出されている令和六年度当初予算は、
長崎県政二期目における初の
通年予算であり、また、昨年十二月に策定された新たな総合計画に掲げた戦略を迅速果敢に実行に移していく上でも、極めて重要な予算であると考えます。
知事は先日の所信において、失敗を恐れず挑戦でき、困難な状況にあっても前進し続ける山梨の実現に向けた強い決意を示されました。
私は、この予算が大きな成果と結果をもたらし、知事の掲げる、
県民一人ひとりに豊かさが漏れなく届けられる豊かさ
共創社会の実現に結びつくことを大いに期待しております。
一方、本県の
財政状況に目を向けますと、当初予算では、
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金などの
特定財源の大幅な減少に加え、
臨時財政対策債を含む
実質交付税の減少などの影響もあり、
財源不足が拡大し、百五億円もの基金の取崩しを余儀なくされております。
さらに、当初予算と併せて公表された財政の
中期見通しによりますと、今後も高齢化の進展に伴う介護保険、
高齢者医療費などの
社会保障関係の増加が避けられず、人件費や県債の償還に係る
義務的経由の負担も大きいことから、当初
予算段階においては、毎年度六十億円を超える
財源不足が生じ、
経常収支比率の高まりと併せ、厳しい状況が続くことが見込まれております。
しかしながら、このような厳しい
財政状況であっても、多くの県民は積極的な施策の展開を望んでおります。
特に、県民の
生活基盤を強く安心できるものにする
ふるさと強靱化、物理的な面とともに意識の上での開花を含め、全ての人に対して開かれた開の国づくりに関する施策については、その先にある豊かさ
共創社会を築くためにも、
財源不足を理由に先送りすることは許されず、着実に実施する必要がありますが、そのためには
自主財源の確保など、安定した
財政基盤の構築が不可欠であると考えます。
そこで、厳しい
財政状況を踏まえ、将来を見据えた積極的な施策の展開と持続可能な財政の両立を図る観点から、来年度の
予算編成をどのように行ったのか伺います。
次に、人口減少危機突破に向けた県民意識の醸成についてです。
本県の人口は、平成十二年の八十八万人台をピークに減少を続けており、県の常住人口調査によると、昨年十二月には約七十九万四千人となっております。
人口減少をもたらす大きな要因の一つに、出生率の低下があります。本県の令和四年の合計特殊出生率は一・四と人口を維持するために必要とされる二・〇七から大きく乖離し、非常に深刻な状況であります。
また、本県人口の年齢構成は、若年層が多い人口構成から、高齢者が多くを占め、若年層が先細りしつつある構成へと変化をしています。
このような高齢化を伴う少子化が、今後さらに進行すると、経済活動や地域活動の停滞を招き、ひいては現行の社会制度を維持することすら困難となることが懸念されます。
昨年末に公表された将来推計人口では、本県の総人口は二〇五〇年には六十一万人へ減少すると推計されており、依然として厳しい状況にあります。
こうした中、県では昨年、人口減少対策に係る抜本的・集中的な取組を開始したところであり、低迷する出生率の下降トレンドを転換させる契機となるよう大いに期待するものであります。
しかしながら、県民からは、「県が始めたことで自分には関係がない」「自分にできることはない」「人口減少は止められない」といった声も聞かれ、残念ながらまだまだ県民各層に危機感や当事者意識が浸透しているとは言い難いのではないでしょうか。
私は、人口減少危機の突破という重大な社会的課題に対し、まずは県民意識の根底にある無関心や諦観を打破し、県民総参加でこの問題に向き合っていくことが肝要であると考えております。
このため、深刻な少子化の進行と人口減少に対する危機意識をいま一度、社会全体で高め、県民と共に一体となって取り組むことが必要と考えます。
そこで、人口減少危機突破に向けた県民意識の醸成について県の所見をお伺いいたします。
次に、富士山登山鉄道構想についてであります。
十年前の二〇一三年、富士山が国連教育科学文化機関のユネスコより世界文化遺産に登録された際、富士山五合目に関し、その諮問機関イコモスから日本国に対し、三つの条件を宿題として示されています。
すなわち、来訪者のコントロールが必要、信仰の場にふさわしい景観とすべき、自動車・バスの排ガスによる環境負荷を改善すべきであります。
長崎知事は、イコモスからの宿題は、言わば国際公約とも言えるものであり、富士山を守ることが我々に課せられた責任であるとしております。
そして、その解決策のため熟慮を重ね、また有識者による検討委員会の議論も経て、富士山登山鉄道構想を提案したところであります。
現在は、県内の主要団体や市町村住民への説明会を開催し、知事自らそこに出席の上、丁寧に説明を行い、幅広く県民の論議に付しております。
知事は、賛否両論あること自体がすばらしいと議論を歓迎する考えを示しておりますけれども、このことに関し、富士山の麓、富士吉田の市長がかたくななまでに鉄道構想への反対を表明しております。
知事が議論を歓迎しているのですから、市長も市民の代表として、県執行部や知事と何度でも話し合い、その上で具体的かつ積極的な意見を述べ合うべきだと思います。
また、知事は記者会見において、富士吉田市が実施したアンケートについて、市は鉄道構想に反対と明記し、その理由を列挙して調査を実施しており、公平公正なアンケート調査とは言えず、市のミスリードの意図が明白であり、調査結果はあまりにも偏ったものと見解を示しております。
私は、中央市が合併する前に旧玉穂町で町長や町議会議長を務めた経験から、県と自治体は互いに住民の福祉向上を目指し、一体となって取り組むことを基本とすべきと考えますが、この構想に対しては明確に賛否が分かれており、こうした県と市の状況を大変危惧をしております。
県と自治体が集合知の形成に向け、対話と調整を図り、まとめ上げることに取り組むべきであり、万が一にも富士山の文化遺産登録が抹消されることのないよう、県議会最大会派としても、知事と共に集合知の形成に精いっぱい努めてまいります。
そこで、県では今後、富士山登山鉄道構想をどのように進めていくのか、御所見を伺います。
次に、DXの推進についてであります。
現在、我が国が直面している最大の課題は、生産年齢人口の減少に対し、どのようにして社会経済活動を支え、地域活力を維持し、生活を豊かにしていくかということであります。
私は、この課題に対し、業務の効率化や生活の利便性向上を実現すべく、社会のあらゆる場面においてDXを推進していくことが急務であろうと考えます。
さて、国の資料では、国内企業におけるDXの取組がアメリカと同程度まで上昇すれば、製造業では五・七%、非製造業では四・二%の売上高押し上げ効果が生じると試算されています。これが実現すると約六十八兆円に上り、経済の起爆剤としてDXは極めて大きな可能性を秘めております。
DXの効果を全県へ波及させることは、知事が提唱する
県民一人ひとりが豊かさを実感できるやまなしの実現に必要であります。
しかしながら、DXを推進していくためには、デジタル技術を持った人材が不可欠ですが、現状、県内では十分な人数を確保できていない状況と伺っております。そのため、人材の育成・確保については、県が先頭に立って進めていくことが肝要であります。
県では、これまでもAIやデータ利活用のスペシャリストを養成する講座や、高校生以上のプログラミング経験者による技術コンテストなどの研修を行ってきました。これらに加え、知事が打ち出された大学生を中心としたDX人材育成エコシステムは、県が主導する人材の育成をさらに前へ進めようとするものであり、その慧眼に敬意を表するとともに、大いに期待をするところであります。
そこで、今後の県全体のDXをどのように進めていくのか伺います。
次に、大規模地震対策の推進についてであります。
誰もが平穏と幸せを願う元日の午後四時十分、緊急地震速報が鳴り響く中、
能登半島地震は発生いたしました。マグニチュード七・六、最大震度七を観測したこの地震では、多くの建物が倒壊し、また、大規模な火災も発生しました。
石川県では、これまでにいわゆる災害関連死を含めた死者は二百四十一人、負傷者は千人を超え、建物の損壊は八万一千棟以上にも及んでおります。
また、能登半島の地理的な特性により、限られた幹線道路が土砂崩れや損壊によって通行に支障が生じ、地震発生後の救出・救助活動や被災者の生命や生活に不可欠な物資の供給にも多大な影響を及ぼしました。
翻って本県に目を向けると、こうした状況は決して人ごとではありません。県が昨年五月に公表した地震被害想定調査によると、曽根丘陵断層帯でマグニチュード七クラスの地震が発生した場合、建物の全壊・全焼棟数は約九万四千棟、死者数は三千八百人を超えると推計され、甲府盆地を中心に甚大な被害が生じる恐れがあります。
また、多くの中山間地域を抱える本県においても、大規模な地震が発生すると、道路の寸断により、輪島市や珠洲市などと同様に、多くの孤立集落が発生することが懸念されます。
私は今回の震災を受け、地震の怖さを改めて思い知るとともに、被害を最小限に抑えるためには、県民一人一人が自らの命は自らが守るとの意識の下、地震に備えるとともに、自治会や地域の防災組織の防災活動に積極的に参加することなどにより、地域防災力を向上させていくことが極めて重要であるという思いを強くしたところであります。
今なお、被災地では懸命な復旧作業が続けられているところでありますが、徐々に今回の震災で生じた新たな諸課題が明らかになることと思われます。
そこで、
能登半島地震を踏まえ、今後、本県における大規模地震対策をどのように進めていくのかお伺いします。
次に、木造住宅の耐震化促進についてであります。
能登半島地震による家屋の被害は七万五千棟を超えており、亡くなられた方の約八割が建物の倒壊が原因だった熊本地震同様、今回の地震でも多くの方が建物倒壊により亡くなられています。
この地域では、令和二年十二月から群発地震が続いており、令和四年六月には最大震度六弱、昨年五月には震度六強の地震が発生したところに今回の地震が加わり、より大きな被害となったものと考えられます。テレビなどの映像からは、古い木造住宅が至るところで倒壊するなど、場所によっては壊滅的な状況となっています。これほどの被害となった背景には、耐震基準が適用された昭和五十六年五月以前に建てられた古い住宅が多く、耐震化工事もなかなか進んでいなかったと言われています。
本県においても南海トラフや曽根丘陵断層などを震源とする最大震度七の強い揺れが想定され、多くの被害が予想されますが、一方で建物の耐震化を進めることで、巨大地震による被害低減効果が得られるとされ、住宅の耐震化は喫緊の課題となっております。
県内の住宅の耐震化率は、令和二年度末で八七・三%と推計されていますが、逆に耐震性が確保されていない住宅は一二・七%、数にして四万一千七百戸も残っている状況を見ますと、被害を最小限にするためにはさらなる耐震化を進めることが必要と考えます。
県では、令和三年三月に耐震改修促進計画を改定し、令和七年度末までの耐震化率を九五%とする目標を掲げており、これまで木造住宅の耐震化を進めるため、建物所有者が行う耐震診断や改修費にかかる費用に対して市町村と一体となった支援をするなど、耐震化の促進に取り組んでいることは承知しております。
しかしながら、耐震化にちゅうちょする所有者からは、補助制度を知らなかった、耐震改修の費用負担が大きいなどの思いから耐震化に踏み切れないケースもあるとお聞きします。
このことから、目標達成のためには所有者の心に届く啓発やさらなる支援など、これまで以上の対策を講ずる必要があると考えます。
こうした中、
長崎知事は一月十日の記者会見で、住宅の耐震改修の取組を加速させていくと述べられており、木造住宅耐震化が進むことを大いに期待しているところであります。
そこで、木造住宅の耐震化促進のための取組についてお伺いいたします。
次に、初期救急医療体制の整備についてであります。
休日や夜間に急病や事故にあった際、いつでも適切な処置が受けられる救急医療体制を確保することは、県民の生命に直結する極めて重要な施策であり、本県においては、身近な地域で軽症患者を診る初期救急が、地域の医師会が運営する在宅当番医制などにより提供され、入院治療や手術が必要な重症患者には、二次救急病院が輪番で対応するなど、地域ごとに救急医療体制が構築されています。
しかしながら、近年、医師の不足や高齢化などにより、初期救急医療体制の中核をなす在宅当番医制の維持が困難になりつつあると聞いております。
また、二次救急病院では、休日夜間に多くの軽症患者が受診に訪れており、二次救急医療の逼迫の原因の一つになっております。
こうした状況を見るにつけ、私は、このままでは遠くない将来、救急医療が立ち行かなくなるのではないかと危惧したところであります。
こうした中、知事は、昨年十二月、甲府市長や中央市長をはじめとする自治体のトップや、県医師会などの医療関係者と共に、本年五月に新たに初期救急医療センターを設置することを公表されました。
新聞報道によれば、新たな初期救急医療センターは、山梨大学医学部附属病院に設置し、毎日午後六時から十一時まで、医師と研修医の体制で診療を行うとされております。
また、主に内科系と外科系の軽症患者を、居住地にとらわれずに広く受け入れるとのことであります。
そこでまず、新たな初期救急医療センターを設置することにより、どのような効果を見込んでいるのかお伺いします。
また、センター開設に向けては、医療関係者や県などで構成する準備委員会を設置し、現在、具体的な検討を進めていると承知しておりますが、開設予定の五月まで、あと三か月を切っています。
今回のセンター設置は、これまでの長い間続いてきた医療体制を大きく変更するものであり、解決すべき様々な課題があるとは思いますが、開設に当たって県民への救急医療の提供に支障が生じることのないようにしていただきたいと考えております。
そこで、センター開設に向け、どのような課題があり、県ではこれに対してどのように対応していくのか、御所見を伺います。
次に、困難な問題を抱える女性への支援についてであります。
先月、日本航空で初めて女性が社長に就任するという発表があり、重責を担う会社のトップに女性が就任したことは、多くの女性を刺激し、社会での活躍を促進するものと大いに期待をしております。
これまで国や県では、女性の社会進出を促進するため、育児休業制度の拡充、保育所等の育児基盤の充実など、様々な施策を進めてきたことは承知しております。こういった施策をさらに効果的に推進することにより、このようなニュースが特別視されず、当たり前のこととして取り上げられる社会になることを切に願うものであります。
一方、女性の社会進出と並行して、セクシャルハラスメントやストーカー被害のほか、依然として男性と比べて高い非正規雇用の割合など、女性をめぐる問題は、社会的、経済的に多様化、複合化してきており、このことが女性の安心した生活や社会での活躍を脅かす深刻な問題となっております。
問題を抱える女性への支援については、昭和三十一年に制定された売春防止法を法的根拠とし、保護が必要な女性の保護更正を行う婦人保護事業として始まり、その後、一度も抜本的な見直しがなされてきませんでした。
また、この間、家庭関係の破綻やDV、ストーカー被害などの問題を抱える女性についても、婦人保護事業の対象として適用されてきましたが、売春防止法を法的根拠とすることに制度的限界があり、多様化するニーズに応じた新たな支援の枠組みを構築することが求められていました。
こうした中、国では、令和四年五月、議員立法により困難な問題を抱える女性への支援に関する法律が成立しました。この法律は、支援を必要とする女性が抱えている問題やその背景、心身の状況等に応じた適切な支援を包括的に提供し、女性が安心して自立して暮らせる社会の実現に寄与することを目的としています。
私は、社会生活において、性別により格差や制限が生じることがあってはならず、全ての人が当たり前に安心した生活を送り、平等に活躍できる社会を構築していくことが政治行政の責務であると考えております。
この法律は、今年の四月から施行されますが、法律では、効果的な支援のため、都道府県に基本計画の策定を求めております。
そこで、県ではこれまで基本計画の策定にどのように取り組んできたのか、また、今後どのような方針に基づいて支援を行っていくのか御所見を伺います。
次に、中小企業の新たな成長分野への進出支援についてであります。
中小企業・小規模事業者は、雇用の七割、付加価値の五割を占める我が国経済の屋台骨であり、地域の経済・雇用を支え、コミュニティーの中核機能を担う重要な存在であります。
コロナ禍からの回復が進む中、県内企業は、GX・DXへの対応や人口減少等の社会構造の変化に直面をしています。
特に、コロナ後の経済回復で人手不足感は高まっており、人材の確保・定着のためには、賃上げが重要となりますが、これには、賃上げを可能にする利益を持続的に確保する経営への転換が必要であります。
目下の社会経済情勢の変化は、新たな市場を生むものであり、新分野への参入を通じ、事業を拡大していくチャンスでもあります。
長崎知事が就任以来、力強く推進してきたメディカル・デバイス・コリドー構想は、参入企業や支援企業の医療機器生産額が大幅に増加するなど、大きな成果を上げております。
高齢化という社会課題にチャンスを見いだし、県内中小企業の強みを生かした部材供給で地域の稼ぐ力を高めてきた知事の手腕を高く評価するところであります。
一方、中小企業の経営基盤強化を図り、予期せぬ事態が生じても事業活動への影響が最小限にとどめられる強靱な経済基盤を構築するためには、各企業が強みを生かし、収益の柱となる分野を複数確保していく必要があります。
しかし、中小企業は経営資源が限られており、新分野進出に向けた情報やノウハウが十分ではなく、好機をつかめないばかりか、好機に気づかないことも懸念されます。変革のスピードは一段と増しており、これらに対応するための必要なサポートを行うことが行政であります。
虎視眈々と新たなチャンスを探し、適時に情報提供するとともに、意欲ある企業へは積極的に支援をしていくことが求められます。
県では、本年度、コロナ禍からの航空需要の回復や防衛力強化等を背景に、市場拡大が見込まれる航空宇宙防衛関連産業への参入支援を検討されてきたものと承知しております。
裾野も広く、精密加工技術も要求される本分野を医療機器、水素・燃料電池に続く新たな柱として支援をしていくことは、本県の主力産業である機械電子産業の高付加価値化に大いに資するものであると思います。
そこで、県では、新たな成長分野として、航空宇宙防衛関連産業への参入支援にどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
次に、観光産業における新事業創出の支援についてであります。
コロナ禍を経て、観光産業に以前の活況が戻りつつある中、県の今後四年間の観光振興の指針となる山梨観光推進計画が、先月改訂されました。
新たな計画の観光ビジョンは、本県のポテンシャルを一〇〇%生かし、観光の質の向上と観光産業の経営基盤の強化を図ることで、観光産業の稼ぐ力を高め、持続可能な観光地を創出するとしています。
計画の最終目標は、過去最高であった令和元年の四千三百三十億円の観光消費額を計画最終年の令和八年には一五・五%アップし、五千億円とするとしております。
また、その過程を計るための指標として、一人当たりの平均宿泊料や平均消費額、飲食単価などの目標数値を定めるとともに、今回新たに宿泊業の平均年間賃金も重要指標として示し、成長と分配の好循環を促す配慮も見られます。
観光を産業として捉え、大目標から細かい目標まで具体的に定められていることから、観光産業に携わる事業者が、この計画の下、それぞれの事業に共通の目標、ターゲットを設定して取り組むことで大きな成果を上げることができるのではないかと期待しているところであります。
私は、本県観光産業をさらに活性化させるためには、やる気のある事業者への積極的な支援、また観光に対する大きな夢、斬新なアイデア、起業の勇気を持つ新しいプレイヤーを本県に呼び込む誘引策が重要であると感じています。
これらの誘引策が、観光地ごとに新たな事業として花開き、魅力ある観光地、稼げる観光産業へつながっていくものと確信しています。
そこで、県では、観光産業における新規事業創出の支援について、今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
次に、花卉振興についてであります。
本県の花卉生産は、豊富な日照時間をはじめ、標高差のある地形や大消費地に隣接する立地条件を生かし、発展してまいりました。
生産者の高い技術により、施設栽培を中心に特色ある花卉が栽培され、生産量は少ないものの、品質面では日本でも有数の産地となっております。
また、県総合農業技術センターでは、ピラミッドアジサイやクリスマスエリカなど、本県の気候条件に適し、競争力の強いオリジナル花卉を開発しております。
あわせて、県は、花卉生産者に対し全国規模の展示会への出展機会を提供するなど、ブランド力の強化に向け取り組んできていると承知しております。
しかし、県産花卉の生産額は、景気低迷による需要の減少により、平成十四年の六十一億円をピークに四十億円まで減少し、近年はほぼ横ばいで推移しています。
一方、世界に目を向けますと、オランダでは、日本より少ない農地面積でICTやIT、ロボティクス技術を活用した大規模な花卉の施設栽培が行われています。これにより、オランダの生産額は世界第二位、輸出量は世界第一位となっており、本県花卉の生産振興の参考となるのではないかと考えます。
現在、国内の花卉卸売市場規模は約三千五百億円、消費規模は九千億円と、依然として巨大な市場であります。
また、コロナ禍を脱し、花卉の需要は回復しつつあり、私の周囲でも定額で一定期間、定期的に花を購入する新たなサービスを利用する消費者も増え、それに伴い市場の取扱高も増加傾向にあると聞いております。
こうした中、県では本年一月に花卉流通業界トップの株式会社大田花きと県産花卉の生産振興に関する協定を締結いたしました。
大田花きは、これまでに蓄積した販売データを生かし、今後は売れ筋の品目・品種を提案するとともに、栽培の支援や生産物の買取りまで行ってくれると聞いております。こうした大田花きと連携し、取組を着実に実施することにより、新たな花卉の産地が形成され、ひいては花卉農家の所得向上と担い手の確保にもつながるものと期待しております。
そこで、県では、花卉振興にどのように取り組んでいくのか伺います。
次に、リニア駅近郊のまちづくりについてであります。
リニア中央新幹線については、県内各地で工事が進み、昨年秋に第一南巨摩トンネルが営業線として初めて貫通したほか、中央市でも高架橋工事が盛んに進められ、日々姿を変えていくさまを目にするたび、完成に向けての期待の高まりを感じているところであります。
また、リニア駅前エリアにおいては、地元甲府市が主体となってまちづくりの検討が進められておりますが、駅前エリアのみならず、開業効果を県全域に波及させていくことが重要であることから、県内各市町村にはリニアの効果を生かしたまちづくりが求められているところです。
特に、開業の影響が大きいリニア駅近郊の甲府市、中央市、昭和町においては開発を抑制する市街化調整区域を含むことから、新たな土地利用の検討を進めることが必要と考えております。
こうした中、甲府市においては、昨年十一月に駅前エリアのまちづくり基本計画を示し、現在、基盤整備方針の検討委員会を立ち上げたところであり、今後、駅前エリアの検討を踏まえつつ、駅近郊の議論も本格化させていくものと認識しております。
また、昭和町においては、将来的な町の発展とにぎわいの創出を見据えた土地利用の在り方を検討するに当たり、まずはリニア駅へのアクセス路線の整備を推進していくこととしております。
そして、私の地元である中央市においては、土地利用やまちづくりの基本方針を示した中央市都市計画マスタープランを令和二年に改定しております。
マスタープランでは、リニア駅が山梨大学医学部周辺の市街化調整区域の一部を土地利用転換検討ゾーンと位置づけ、戦略的・先導的に新たな市街地の形成を図ることを検討していくエリアとしております。
現在、それ以外の市街化調整区域においても、一定の条件の下、開発を可能とする条例の制定が進められていると承知しております。
そこで、中央市の進めるリニア駅近郊のまちづくりについて県の所見を伺います。
次に、少人数教育の推進についてであります。
長崎知事は、未来の山梨を支える原動力となる子供たちの力を最大限に引き伸ばすことを山梨再生の原点とし、少人数教育をはじめとする教育関係の整備を進められています。
全国に先駆けて導入している公立小学校の二十五人学級は、令和三年度に小学校一年生に導入し、本年度には小学校三年生まで拡大しています。本年四月からは小学四年生にも導入されることとなっており、山梨の少人数教育が一層推進されることを期待しております。
学校現場からは、授業中に子供たち全員が積極的に発言できるようになったとか、教師が子供たちに声をかける機会が増えたとの話を伺っています。
このように教師が子供たち一人一人にしっかりと向き合い、よりよい関係を築くことで、子供たちの学びに対する意欲や自己肯定感がさらに高まるものと期待しております。
そして、何事にもチャレンジをし、粘り強く物事に取り組む子供たちが、新しい山梨をつくる担い手となることを楽しみにしております。
また、二十五人学級の導入により、教員一人当たりの児童数が少なくなり、教員の負担が軽減されるといった声が学校から聞かれ、学校における働き方改革も推進されていることと思います。
このような効果が期待される少人数教育については、国においても、令和三年度から段階的に三十五人学級編制への引下げを進めており、令和六年四月から小学校五年生は三十五人学級となりますが、本県では、公立小学校の全ての学年において国の水準を上回る学級編制となることを願うところであります。
来年度は、小学校五年生以降の少人数教育の方向性を検討する予定と伺っておりますが、その検討に当たっては、これまでの二十五人学級導入における議論に加え、中学校への接続を意識した観点なども含めて検討することが求められると考えます。
そこで、県では、小学校五年生以降の少人数教育の方向性について、今後どのように検討を進めていくのかお伺いをいたします。
最後に、持続可能な交通規制の推進に伴う信号機等の合理化についてです。
世界では、ロシアのウクライナ侵攻やイスラエルのガザ地区への軍事作戦などいまだ収束の兆しが見えず、世界情勢は混沌としており、国内では元日に
能登半島地震が発生しました。
このような紛争や大規模災害の発生は、サプライチェーンにも大きな影響を及ぼし、経済・流通の在り方を鈍化させる要因となっております。
例えば、製造部品や原材料の調達に支障が出るといったことが挙げられますが、道路交通の分野においても、交通安全施設の整備や維持管理を行う上で大きな弊害となるため、これまでの方法を漫然と踏襲するのでは、適切な交通安全施設の整備等に資することは難しいのではないかと考えます。
厳しい
財政状況の中で必要な交通安全施設を整備し、適切に維持管理を継続するためには、中長期的な視点に立ち、同施設の現有数を適切に管理することが求められます。
信号機をはじめとする交通安全施設の整備は、交通ルールの遵守を促し、交通事故の抑止に必要不可欠でありますが、実態に即さない交通規制、交通安全施設は交通の安全や円滑に支障を来すことから、コスト合理化のためにも撤去を含めた適切な管理を推進していくべきではないでしょうか。
また、県内の信号機には老朽化が進んでいるものもあると思いますが、特に一灯点滅式信号機、いわゆる赤色点滅信号機は古いものが多く、信号灯器をつり下げているような構造のため耐久性が弱いことから、災害発生時には倒壊の危険性が高いと聞いております。
このため、一灯点滅式信号機と同様の規制効果がある一時停止標識への移行を進めていくことが、災害発生時の倒壊も防ぐことができることから、道路利用者の安全や交通の円滑を守れるほか、交通安全施設の維持管理費用の軽減にもつながると思います。
そこで、このような一灯点滅式信号機を含めた持続可能な交通規制の推進に伴う信号機等の合理化について、警察の取組をお伺いをいたします。
以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
4 ◯議長(
水岸富美男君)
河西敏郎君の質疑・質問が終わりました。
これより、当局の答弁を求めます。知事、
長崎幸太郎君。
(知事
長崎幸太郎君登壇)
5 ◯知事(
長崎幸太郎君)河西議員の御質問にお答え申し上げます。
ただいまは、自由民主党・開の国を代表され、県政各般にわたり御質問をいただきました。
最大会派であります自由民主党・開の国の議員各位におかれましては、私と共に県民が豊かさを実感できるやまなしの実現を目指し、力を尽くされていることに心から感謝を申し上げます。
河西議員におかれましては、目標の達成に向け、困難な状況にあっても政治信条である「忍耐と勇気」を持ち、前を向いて臨まれるとのお考えを示されました。そして、私と共に本県の可能性を大きく開くべく、議会人としての責任を果たされながら、協力を惜しまないとの大変勇気づけられるお言葉を賜り、心からの感謝を申し上げます。
きのえたつの年、私もふるさと山梨の豊かさを県民に届けられるよう、河西議員をはじめ、自由民主党・開の国の皆様と共に県政のさらなる進展に向け努力を惜しまぬ覚悟で臨むことをお誓いし、以下答弁に入ります。
初めに、令和六年度当初
予算編成についてです。
来年度当初予算は、厳しい
財政状況にあっても総合計画に位置づけた施策を中心に県民生活の強靱化を推進する事業は積極的に計上いたしました。
特に、人口減少危機対策をはじめとした主要事業には、歳出の見直しや業務の効率化を徹底し、限られた財源と人的資源を重点配分しております。
また、喫緊の課題である防災・減災対策やDX人材の育成は、有利な地方債や国の補助金を最大限活用し、県負担の抑制と併せ、十分な事業費を確保いたしました。
国と地方の財政構造がコロナ禍から平時へ戻る中、財政の健全性を維持するためには
自主財源の確保が一層重要となります。
このため、将来の税収増に向け、あらゆる産業分野での新たな挑戦を支援する体制を充実・強化し、税源の涵養に努めてまいります。
加えて、税外収入の確保も極めて重要であり、来年度からは富士登山の安全対策と伝統的登山の振興などに活用するため、登下山道への使用料を設定いたします。
また、企業局の収益を広く県民に還元するため、繰入金を二億円増額し、今後さらに増える見込みの収益につきましても、少人数教育の推進などに活用していきます。
さらに、県外企業に対し、企業版ふるさと納税を通じて、本県の課題解決に主体的に参画していただけるよう、引き続き、強力に働きかけを行ってまいります。
こうした取組によりまして、今後も財政の持続可能性を確保しつつ、豊かさ
共創社会の実現に向け、前進を続けてまいります。
次に、人口減少危機突破に向けた県民意識の醸成についてです。
人口減少という重大かつ喫緊の課題は行政だけの努力では解決できず、議員御指摘のとおり、共通の危機意識の下、一丸となって取り組む必要があります。
このため、昨年七月、市町村・企業・団体と共に人口減少危機突破共同宣言を行い、オール山梨で取り組む意識の醸成を図ってまいりました。宣言いただいた企業や団体におきましては、自らの宣言を行動に移すためのマニフェストの作成が進み、続々と県に寄せられているところであります。
こうした取組により、対策への機運は高まりつつはありますが、さらなる推進には県民各位の正しい御理解と当事者意識の涵養が極めて重要と考えます。
特に、県民一人一人の意識と行動の変容が必要な、人口減少危機突破というテーマにおきましては、県民とのパブリックコミュニケーションが重要であるため、来年度から抜本的な強化を図ることとしております。県の保有するあらゆるメディアを駆使した情報発信はもとより、特設のウェブサイトやSNSを活用したコミュニケーションを総合的に展開してまいります。
また、取組の一環として、人口減少に関する問題意識を共有し、さらには今後の方向性についても積極的に対話を行うべく、県民とのオープンな議論の場を設けてまいります。
県内各地に多様な知見が交わり、集合知が生み出される結節点を形成し、県民意識の醸成とともに県民の知恵の集積により人口減少危機を突破すべく、強力に取組を進めてまいります。
次に、富士山登山鉄道構想についてです。
富士山及び富士北麓地域が世界の憧れの地となるために百年先から見て、今、私たちは何をすべきかが問われています。
昨年秋から北麓の地元市町村におきまして、富士山登山鉄道構想についての説明会を実施してまいりました。その結果、富士山の現状や登山鉄道構想について多くの方々に御理解いただけたと考えています。
こうした中、富士吉田市長からは、一貫して反対の姿勢が示されてはいますが、他の町村長の皆様からは御賛同をいただいております。
富士山の課題を解決しなければならないという価値観は富士吉田市も含め、全ての人々で共有できていると考えており、この方策について、今後、建設的な議論が求められています。
説明会では、噴火や雪崩、事業採算性に懸念の声もありましたが、来訪者の安全対策、そして、県民財産の保全は万難を排す覚悟で行ってまいります。
来年度も、引き続き、専門的検討の結果を踏まえ、さらに登山鉄道構想についての議論を深め、理解を求めてまいります。
一方で、説明会におきましては、富士山を訪れる時間を価値あるものとすべきとの御意見もいただきました。このため、来年度、世界的なホスピタリティーやレジャーの国際的視点を持つ事業者の知見も取り込み、観光関連産業を中心としたビジョンを策定してまいります。これらの取組によりまして、百年先の富士山及び富士北麓地域のあるべき姿を見据えた富士山登山鉄道構想をしっかりと推進してまいります。
次に、DXの推進についてです。
本県が目指す地域内発型DXを実現するためには、デジタルの活用を念頭に、自らの仕事を解像度高く分解する利用者サイドのリテラシーの向上と、デジタル技術を用いて課題解決に導くことができる人材の育成、この双方が不可欠であります。
まず、利用者サイドに向けましては、本年度、県民や企業を対象としたDX基礎研修を実施し、延べ五千五百名が受講しました。来年度は企業の業態や規模などに応じ、課題の分析と解決への提案など、より実務的な内容へカスタマイズした研修へと進化させていきます。
次に、人材の育成に向けましては、DX人材育成エコシステムを構築することとし、多彩な研修により、大学生が中高生を指導し、中高生が進学後に後進を指導するという自発的な循環サイクルを創出してまいります。
この研修では、デジタル技術を活用して、実際に地域課題を解決する方法を学ぶPBL、プロジェクト・ベースド・ラーニング形式で行うことによりまして、より実践的なDX人材の育成を目指してまいります。
なお、県立大学では、全学部の新入生全員が研修を受講するとともに、地域課題の解決に積極的な都留文科大学におきましても、多くの学生が受講する見込みとなっております。両大学が、国中と郡内の核となり、全県でDX人材の育成が図られることを大いに期待をしております。
さらに、エコシステムで育成した大学生がAIを活用しながら、商工会の相談員と共に中小企業などへDX導入支援を行う体制を構築してまいります。
このような画期的な取組を通じまして、全ての県民が豊かさを実感できる社会が実現できるよう、県全体のDXを鋭意推進してまいります。
次に、大規模地震対策の推進についてです。
能登半島地震におきましては、様々な課題が指摘されており、本県においてもこれらの課題を検証し、施策に生かしていくこととしております。検証に当たりましては、初動対応から救出救助・応急対応、復旧・復興といったステージごとに検討しております。
まず、初動対応では、通信が途絶し、被害状況の把握に支障が生じたほか、道路の寸断による孤立集落への物資輸送の遅れ、備蓄の不足などの課題が指摘されています。このため県では、災害の影響を受けにくい人工衛星を利用したインターネットサービス、スターリンクを導入し、情報収集、共有体制を強化してまいります。
また、本年度検討を行っている物資の備蓄や輸送方法につきましても、今回の地震を受け、さらなる調査を行い、必要な見直しを進めてまいります。
救出救助・応急対応におきましては、木造住宅が数多く倒壊し、居住者の生命を脅かすのみならず、大量の瓦礫が物資の運搬や復旧作業の妨げとなっております。このため、木造住宅の耐震化について啓発を強化し、市町村と連携して耐震診断の受診を促すとともに、補助制度を拡充し、耐震化を加速させてまいります。
また、警察や消防、医療機関、自治体など、支援者の受入れにおける活動時の環境や宿泊場所の確保などの課題に対しまして、受援体制の強化を図ってまいります。
復旧・復興では、被災した方々がいち早く安定した生活を取り戻せるよう、道路や上下水道などの早期復旧や、住宅再建に向けた支援を進める必要があります。加えまして、復興の長期化を見据え、高齢者や障害者、認知症の方々など要配慮者の生活支援や、被災者のメンタルケアを中長期的に支えていくための医療・福祉体制の構築という視点も重要であると考えております。
さらに、高齢化社会におきましては、被災者が復旧後に震災前と同様なコミュニティーに戻れないことも想定されますので、復興に当たっての地域の在り方につきましても議論を始めてまいります。
こうした課題について、今後、有識者による調査チームを被災地に派遣し、専門的見地から検証を行い、本県の防災対策について総合的に検討をしてまいります。
それらの結果を地域防災計画に反映させ、全県一体となって自助・共助・公助の取組を進めることによりまして、本県の防災体制を一層強化してまいります。
次に、木造住宅の耐震化促進についてです。
住宅耐震化の促進に関し、これまで県では市町村や関係団体と連携をし、戸別訪問や地域のイベントなどで啓発を行うとともに、改修費などへの補助事業も継続的に実施してまいりました。これらによりまして、平成十七年度末に七二・三%であった住宅の耐震化率は、令和二年度末では八七・三%まで上昇しています。
しかしながら、いまだ約四万戸以上の住宅が耐震性を確保しておらず、うち八割以上は耐震診断さえ受けていない状況と推計されます。
この主な要因は、所有者への聞き取り結果から、補助制度や耐震化への認識不足、改修費用への負担感であると考えております。
このため県では、木造住宅の耐震化について、所有者やその家族への啓発を強化し、耐震診断の受診を強く促していくことといたしました。
さらに、自己負担なしで耐震改修ができるよう市町村と協力し、補助上限を百二十五万円に引き上げ、上限までは全額補助することといたしました。
今回、これらの必要な経費につきましては、令和六年度当初予算に計上したところであります。
今後は、耐震化を妨げる要因について、さらなる調査を行うとともに、本施策の実施効果も見極めながら、必要な手立てについて検討をしてまいります。
次に、初期救急医療体制の整備についてです。
県民が安心して暮らしていくためには、限られた医療資源を効率的に活用し、持続的で質の高い救急医療体制を整備していく必要があります。
このため、市町村と共に医療人材が豊富な山梨大学にセンターを設置し、初期救急医療体制の安定的な運営を確保してまいります。
また、大学病院に設置することでCTなどの高度な医療機器の活用や、幅広い分野の専門医の診療支援によりまして、診断が難しい病気の早期発見が期待できます。さらに、センターが軽症患者の受皿になり、他の救急病院では重症患者の診療に注力できるようになることから、二次救急医療体制の強化にもつながるものと考えております。
次に、課題といたしましては、センターの診療に携わる医師の負担軽減と、県民への周知が挙げられます。
センターの安定的な運営には、より多くの医師がセンターの診療に参画し、一人一人の医師の負担軽減を図ることが必要です。このため、県医師会とも連携し、県内全ての医師に参画を呼びかけるほか、研修医にも診療に参加していただくことで、救急医療の担い手を育成してまいります。
また、新体制への移行に際し、県民への医療提供に支障が生じないよう、県の広報媒体や医療機関の窓口での周知を徹底して行ってまいります。引き続き、医療関係者と密に連携し、センター開設に向け準備に万全を期してまいります。
次に、困難な問題を抱える女性への支援についてです。
女性が自らの意思に基づき人生を歩んでいくことは、これは当然の権利であり、県では様々な事情で苦境にある女性への支援を最重要施策として位置づけております。
そのため計画策定に当たり、アンケート調査を実施し、幅広い年齢層の女性が直面する困難や課題、そして、必要とする支援内容の把握に努めてまいりました。
調査では、困り事があっても人に打ち明けることへの抵抗感や、相談しても解決できないとの思いから悩みを抱え込む人が多いことが明らかになりました。
この調査結果を踏まえまして、全ての関係機関の連携を強化し、早期発見、継続的な支援から自立へとつなげることを柱とした支援計画を策定することといたしました。
まず、困難を抱える女性の孤立を防ぐため、利用しやすいSNS相談を導入することで潜在的な相談者の声を拾い上げ、早期発見支援につなげていきます。
また、就業状況が不安定との声を受け、リスキリングへの支援を行うとともに、子育て中の方が勉強と子育てを両立できる方策について検討してまいります。
さらに、人権に関する基礎知識や消費生活に関する法的知識など、生活をしていく上で必要な知識の周知を図り、困難に陥ることを未然に防止してまいります。
加えて、女性相談支援員への専門研修など、個々の相談員のスキルアップや実務者レベルの支援調整会議の設置など、相談体制の強化を進めていきます。
こうした取組によりまして、女性が自らの意思と自由な選択の下、安心した生活を営み、夢や希望に満ちた理想の未来を描ける社会を実現してまいります。
次に、中小企業の新たな成長分野への進出支援についてです。
私は、就任以来、機械電子産業の高い技術を生かし、成長が期待される医療機器や水素・燃料電池関連産業での受注増を目指した取組を進めてまいりました。特に、医療機器分野につきましては、生産額は百億円超の伸びとなり、さらなる高付加価値化に向け、全県ファウンドリー化という新たな段階へと移っています。
こうした実績は、県内企業の特徴を最も生かせる部材供給を主軸とした本県独自の支援の成果であり、この手法は他の分野にも展開できるものであります。次なる成長分野を取り込んでいくため、半導体産業と親和性が高い航空関連産業を狙いに、メーカー・商社、そして関係省庁など、十を超える機関から情報収集いたしました。
コロナ禍からの旅客需要の回復や防衛力強化などにより発注量が増加し、大手企業や商社では新規サプライヤー確保に苦慮していることが分かりました。早速、県内企業へ情報提供したところ、過日開催されました防衛装備庁の展示会へ県内四社が初出展したほか、商談を模索する動きも見られております。
県としては、県内企業の高い意欲に応えるべく、新たに航空宇宙防衛関連産業への参入をしっかりと支援することといたしました。参入に当たりましては、業界構造の理解や特有の商慣習への適合、競合他社との違いを伝える提案力、そして大手企業や商社へのアピールが必要であります。
そこで、来年度からは、参入に必要な情報を提供するセミナーを開催するとともに、部品調達基準として採用されている国際認証の取得を支援してまいります。
また、企業OBをアドバイザーとして招聘し、メーカー目線で助言を受けるほか、商社などを招き、県内企業の技術力を直接見ていただく機会を創出いたします。守りから攻め、維持から変革の姿勢で県内企業に成長を促す新たな刺激を与え続け、将来にわたり安定して成長する経済体質を獲得してまいります。
次に、観光産業における新事業創出の支援についてです。
私は、開の国の実現に向け、来年度、あらゆる挑戦を強く応援してまいりたいと考えております。この確固たる信念の下、スタートアップやものづくりといった枠組みにとらわれず、幅広い分野で新たな事業創出の支援を充実させてまいります。
観光分野におきましては、従来の企業支援に観光の特別枠を設け、力強く事業者を支援してまいります。特に観光産業は、他産業に比べ生産性が低く、従業員の待遇改善が急務となっております。これにつきまして、有識者でありますデービット・アトキンソン氏は、小規模事業者が多い産業構造に原因があり、解決に向けた連携がポイントだと指摘しております。
このため県では、既存の事業者が連携し、業務の共同化・
集中化を通じて、生産性向上に向けた取組や新たな事業創出を支援してまいります。
また、美酒美食王国の確立に向け、若手シェフの挑戦を食材流通・育成・顧客確保の三位一体で強力に支援をしてまいります。
具体的には、良質であるものの市場に出回りにくい県産食材を安定的、継続的に届ける流通システムの確立や、先輩シェフによる育成支援を行ってまいります。さらに、顧客確保に向けましては、本県経済会と一体となって応援体制を確立してまいります。これらを通じまして、若者がチャレンジするなら山梨といったイメージが全国に定着するよう取組を進めてまいります。
次に、花卉振興についてであります。
議員御指摘のとおり、本県花卉生産の発展のためには、今後、消費が期待できる品目・品種を生産し、確実に販売できる仕組みづくりが重要となってまいります。
このため県では、先般、大田花きと連携協定を締結し、大田花きが蓄積した販売データから有望な品目・品種を提案いただくこととなりました。あわせまして、大田花きの関連種苗会社から苗の供給を受けるとともに、生産技術の指導もいただけることとなっております。これにより生産された高品質な花卉は、大田花きに全量買い取ってもらえるため、花卉農家は安心して生産に取り組めることとなります。
県では、この流れを着実に進めるため、意欲的な市町村での栽培実証を支援し、導入品目の収益性や果樹など、他作物との複合経営を検証し、普及を図ってまいります。
加えて、新たな消費形態であるサブスクリプションの活用につきましても、大田花きと協議を進めてまいります。
また、農産物の少ない市町村のうち、二市町村をモデルとして選定し、ふるさと納税の返礼品に新たに花卉を加えられるよう積極的に支援をしてまいります。
さらに、温度や光の量をIoTにより制御するオランダ型の施設栽培につきましては、本県に導入可能な栽培技術の実証実験を行ってまいります。
こうした取組によりまして、生産・流通・販売のプロセスを三位一体で高度化し、ブランド価値の向上を図ることにより、本県の花卉振興を図ってまいります。
最後に、少人数教育の推進についてです。
山梨の未来を支える原動力となる子供たちには、家庭環境にかかわらず、夢や希望の実現に向けて学び続けることができる公教育の充実が不可欠であります。
このため県では、きめ細やかな教育により子供たちの自己肯定感や課題解決力の向上を図り、それぞれの持つ可能性を開く少人数教育を進めてまいりました。
学校現場からは、二十五人学級の導入により一人一人の子供に丁寧に向き合えることや、教員の負担が軽減されているといった好意的な声が届いています。
二十五人学級につきましては、来年度に小学校四年生まで拡大いたしますが、今後は、小学校全学年までの拡大を視野に入れて、具体的に議論をしてまいります。そのため、来年度は有識者や学校関係者で構成する少人数教育推進検討委員会を設置し、小学校五年生以降の少人数教育について検討する予定としております。
検討委員会では、これまでの二十五人学級の検証を行いながら山梨の現状を踏まえ、子供たちの望ましい教育環境について十分議論をしていただきたいと思います。
私はかねがね山梨の未来を担う子供たちの教育は、山梨発展の百年の大計であると申し上げてまいりました。子供たちが夢や希望を抱き、一人一人の可能性を最大限に引き出すことができるよう、引き続き、少人数教育の推進に全力で取り組んでまいります。
以上をもちまして、私の答弁といたします。その他につきまして、担当の部長等からお答えを申し上げます。
6 ◯議長(
水岸富美男君)県土整備部長、
椎葉秀作君。
(県土整備部長
椎葉秀作君登壇)
7
◯県土整備部長(
椎葉秀作君)河西議員のリニア駅近郊のまちづくりについての御質問にお答え申し上げます。
リニア駅近郊は、商業・流通・サービスなどの機能の立地が期待できるポテンシャルの高い地域であります。このことから、各市町においてリニア開業を見据えたまちづくりを進めていくことは大変重要なことであると考えております。
こうした中、中央市では、平成二十九年に策定したリニア活用基本構想に基づき、交流・暮らし・活力を柱としたまちづくりの検討が積極的に進められております。
具体的には、市のマスタープランにおける土地利用転換検討ゾーンを対象に、用途やエリアなどの方針を示すアクションプランの検討が行われております。また、市街化調整区域内の既存集落におけるコミュニティー維持のため、住宅などの立地が可能となる新たな市の条例を制定することとしております。
一方、駅近郊は山々を背景に田園景観が広がり、営農活動も行われていることから、開発と保全のバランスを考慮した土地利用を図っていく必要がございます。
県としましても、都市計画の制度あるいは国の補助制度に関する技術的助言などを行い、市の目指すまちづくりが適切かつ計画的に進むよう、積極的に支援してまいります。
以上でございます。
8 ◯議長(
水岸富美男君)警察本部長、小柳津明君。
(警察本部長 小柳津 明君登壇)
9
◯警察本部長(小柳津 明君)河西議員の持続可能な交通規制の推進に伴う信号機等の合理化についての御質問にお答えします。
信号機等交通安全施設については、持続可能な交通規制の推進のため、平素から合理化に努めています。
具体的には、交通量、交通環境等の変化を踏まえ、今後も規制が必要か、他の低コストの交通安全施設に代替可能かなどを検討しています。
例えば、一灯点滅式信号機は、議員御指摘のとおり、古いものが多いことから、災害時には倒壊の可能性があります。また、製造は既に終了しています。こうしたことから、これと同等の規制効力がある一時停止標識への移行を順次進めているところであります。
また、小学校の統廃合により通学路ではなくなった場所に残された横断歩道等、交通実態に適合しなくなった交通規制は廃止することとしております。
県警察では、持続可能な交通規制を推進するため、今後も地域住民の方々に丁寧な説明を行いながら、信号機等交通安全施設の合理化に取り組んでまいります。
以上でございます。
10 ◯議長(
水岸富美男君)当局の答弁が終わりました。
河西敏郎君に申し上げます。残り時間がありません。
これをもって
河西敏郎君の代表質問を打ち切ります。
暫時休憩いたします。
午後二時十二分休憩
───────────────────────────────────────
午後二時三十分再開議
11 ◯議長(
水岸富美男君)休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第二及び日程第三の議事を継続いたします。
発言の通告により、流石恭史君に四十分の発言を許します。流石恭史君。
(流石恭史君登壇)(拍手)
12 ◯流石恭史君 自由民主党新緑の会の流石恭史でございます。新緑の会を代表して、今定例会に提出されました案件並びに
県政一般について質問いたします。
初めに、元日に発生した能登半島を襲った地震は甚大な被害をもたらしました。被災された方々には、衷心よりお見舞いを申し上げます。
また、私ごとですが、県議会議員、二度目の当選をさせていただきました。今後も地元富士北麓、道志村、富士五湖、県政全般のさらなる推進に尽力してまいる所存でございます。
長崎知事の一期目は苦労の一期目だと私は思っております。コロナ禍にあって、少人数学級の導入をはじめ、歴代知事がなし得なかった県有地の裁判、大幅値下げの中部横断自動車道の建設費、それから医療機器産業の振興、水素・燃料電池関連産業の成長発展に向けた取組、ある意味では意義のあった一期目だと私は思っております。
また、昨年十月には、世界の国々と手を取り合いながら、文化・芸術・学術の中心地を目指す富士五湖自然首都圏構想、富士五湖グローバル・ビレッジが新たに立ち上がり、富士五湖地域の高付加価値化が進むことを大いに期待しております。
世界の宝とも言うべきこの地域が、山梨の発展を力強く牽引していく姿を実現したいと願っております。
さて、執行部の皆さん、それから先輩議員の皆さん、同僚議員の皆さん、山梨県を一つの企業と見立てるならば、議会は株主である県民の皆様を代表し、県の政策や予算、条例などを審議し、議決することで、県の方針や戦略を決定する責任を担っております。議会としての私たちの役割は、県政の透明性を確保し、公正かつ効率的な運営を行うことであります。また、株主たる県民の声を聴き、その意見を政策に反映させることも重要な任務でもあると思います。
我が会派では、基本理念である現場主義を議員活動の中心に据えて、地域を起点とする政策集団を目指し、地域の皆様の声を傾聴し、また、独自に専門家と共に取り組む研究を通じて、県民の思いを県政に反映すべく、全身全霊で取り組んでまいりました。
二元代表制の一翼を担う者として、また、知事を支える会派として、主体性を失うことなく、時には、執行部との建設的な緊張関係の下で最善の解決策を見いだすよう議論をしてまいる所存でございます。それが県民福祉の向上、山梨県の発展といった県民の利益につながるものと信じております。
私自身、一つでも多くの目に見える貢献を果たしていくという固い決意の下、全力を尽くしてまいることをお誓い申し上げ、以下、質問に入ります。
初めに、地域プロモーション戦略の推進についてであります。
地域の魅力を情報発信し、地域経済の活性化を推進する地域プロモーションは、全国の自治体で様々な取組が進められております。
本県においても、令和三年三月にやまなし地域プロモーション戦略を策定し、「ハイクオリティやまなし」のキャッチフレーズの下、農政、産業、観光などの県政各分野において、相乗効果や新たな付加価値を創出する積極的なプロモーション事業が展開されていると承知しております。
本県は、ブドウや桃、ワイン、ジュエリーをはじめとした地場産品のほか、世界遺産富士山を中心とした観光資源など、世界に誇るべき魅力あふれる地域資源を有しております。
例えば、笛吹市の新道峠に整備された展望テラスから望む富士山や河口湖の絶景は、ここでしか得ることのできない体験と感動を訪れる人々に与えております。
こうした魅力あふれる地域資源は、効果的にプロモーションし、世に広く認知を得ることで初めてブランド価値を持ちます。その結果として人々から選ばれることで、経済的な潤いにつながっていくものであります。
本県の地域資源が人々から選ばれるようになるためには、山梨全体の魅力をより広い視野で捉え、また、深く掘り下げていくべきという視点が大切であります。
本県は、ゆとりある空間や自然の中に身を置くことができる豊かな生活環境と水素・燃料電池関連の研究開発拠点など先端的産業が集積したビジネス環境が両立しております。
さらには、こうした環境が開業予定のリニア新幹線で、大都市圏の近くにあるという高い利便性など、地場産品や観光資源のほかにも多くの魅力的な資源があることに気づかされております。
こうした中、昨年十月に、株式会社ブランド総合研究所から二〇二三年の都道府県魅力度ランキングが発表されました。
ここで山梨県は、その順位上昇率の大きさが全国一位であったとのことであります。これは、これまでの取組が実を結び始めているものと思われますが、取組の深化により、将来に向けてさらなる飛躍を実現することを期待いたします。
そこで、地域経済への波及効果をもたらす地域プロモーション戦略の取組状況や今後の展開について伺います。
次に、重度の障害者の支援体制の強化についてであります。
厚生労働省の「強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会」の報告書によると、強度行動障害関連の支援や加算の対象となっている方は、令和三年十月時点で六万八千人を超えております。また、同じく厚生労働省の調査結果によると、たんの吸引や胃ろうなどの経管栄養、人工呼吸器使用などの医療的ケアが必要な児童は、全国で二万人を超えるなど、重度の障害のある方が増加している状況にあります。
こうした中、山梨県では令和四年八月、国立病院機構甲府病院内に山梨県医療的ケア児支援センターを開設いたしました。また、医療機関に対し、医療型短期入所事業所の開設を積極的に働きかけたことにより、昨年十月には、笛吹市内の医療機関において事業所が開設されるなど、医療的ケア児やその御家族に対する支援が進んでいることは、私も承知しております。
しかしながら、医療的ケア児や強度行動障害といった重度の障害者が利用できる居住系サービスや短期入所事業所は、県内全域でまだまだ不足していると感じております。
特に、富士・東部圏域においては、重度の障害者が利用できる居住系サービスや短期入所事業所がありません。このため、県内より高額な家賃を負担し、都内のグループホームを利用する方や、片道一時間以上かけて圏域外の医療型短期入所事業所を利用する方がいると聞いております。
また、重度の障害のあるお子さんが利用できる通所事業所においても、都留市内に一か所しかなく、利用者が集中してしまい、利用回数が制限されている状況にあると伺っております。
特に、障害児の早期治療に重要な役割を担う児童発達支援センターが富士・東部圏域にはなく、一番近い山梨市のセンターを利用するためには、笛吹市内の送迎バスの停留所まで保護者が毎日送迎する必要があるとのことであります。
このため、富士・東部圏域に在住の保護者の方々からは、事業所の早期開設や移動時の支援を求める声を多く伺っております。
私は、このような状況を一刻も早く解消すべきだと強く思います。この関連質問は、昨年十二月定例会で富士吉田選出の渡辺淳也県議も行っており、注目度も高いと私は思います。
富士・東部圏域に不足している重度の障害者が利用できる居住系サービスなどについて、早急に整備を行う必要があると考えますが、県の御所見をお伺いいたします。
次に、教員の確保と小規模校への対応についてであります。
私は、子供の発達段階に応じた教育の充実を図るためには、一人一人の子供の状況を丁寧に把握できる環境の整備が大切であり、その中でも教員の確保が極めて重要になると考えております。
山梨県では、少人数教育を推進しているところですが、二十五人学級の導入・拡大に当たっては、学級の数に見合った教員の数を見極めた上で、適切に確保していくことが必要であると思います。
先月、国が公表した令和五年度採用の全国の公立学校教員採用試験の実施状況によれば、全体の採用倍率は三・四倍となり、このうち小学校では二・三倍と、いずれも前年度を下回り、過去最低となっております。
本県においては、全体の採用倍率は二・七倍であり、中でも小学校は一・六倍と、三年続けて二倍を下回り、全国と同様に過去最低となるなど、大変厳しい状況にあります。
このように、教員の確保は我が国全体の深刻な課題ではありますが、本県においては、少人数教育を推進する観点からも教員の確保は特に重要であると私は思います。
また、私の地元に目を向けますと、二十五人学級を導入する学校がある一方で、複式学級を編制せざるを得ない小規模校が少なくありません。
複式学級を編制する学校では、学級担任が受け持つ児童の数は多くありませんが、授業に当たっては一人の教員が二つの学年の準備をしなければなりません。さらに、教員の数が少ないために、学校の業務を三つも四つも掛け持ちしております。
地元の先生方からは、こうした状況を踏まえ、ぜひ複式学級を解消してほしいという声を伺っております。県には、こうした現場の教員の困り感に寄り添い、前向きな対応を検討してほしいと思います。
私は、県が複式学級の解消に取り組んでおり、さらに教員を加配することが難しいことは理解はしておりますが、仮に現状の対応のままでいくにしても、授業を工夫するなどの取組が必要と考えております。
そこで、県では、教員の確保に向けてどのように取り組んでいるのか、また、複式学級への対応について、今後どのように考えているのか、御所見を伺います。
次に、障害のある方の就労支援についてであります。
障害のある方が、自らの個性や能力を生かして働きながら地域社会を支え、経済的に自立し、生きがいを持って暮らすことができるようになることは重要であると考えております。私は県議会議員当選以来、高い関心をもって毎年この質問を重ねてまいりました。
この間、多くの関係者の御尽力により、令和五年の県内企業の障害者雇用率は、前年を〇・〇五ポイント上回る二・二五%と過去最高を更新いたしました。また、法定雇用率達成企業の割合は全国五〇・一%に対し、本県は六〇・八%となるなど、取組の成果は着実に表れております。
しかし、過去最高となった昨年においても、障害のある方を雇用する義務がある企業のうち、約四割は雇用率が未達成であり、引き続き、取組を進めていかなくてはなりません。
さらに、法定雇用率は令和八年までに段階的に二・七%に引き上げられることに伴い、義務を負うことになる事業主の範囲が拡大されることとなります。
こうした状況を踏まえますと、私は、雇用する企業への支援、障害のある方の就労意欲向上の取組をともに充実していくことが重要だと考えます。
一方、企業への就労が困難な方々は、福祉的な就労の場となる就労継続支援施設で働いておられます。
山梨県では、これらの施設が企業から請け負う業務を拡大し、そこで働く方々に生き生きと仕事に従事していただくため、企業と施設をつなぐ産福連携を積極的に推進していると承知しております。
この取組では、各施設の実情を熟知した専任のコーディネーターが県内企業を巡回し、箱の組立て、食品の包装など、それぞれの施設に最も適した業務を仲介し、実績を上げていると伺っております。
今後もこの取組をさらに推進し、障害のある方が持てる力を発揮できる機会の拡大を図る必要もあるのではないかと考えております。
このような就労支援の取組は、議員提案により制定した多様性を認め合う共生社会づくり条例の趣旨に合致するものです。さらには、企業にとっては人手不足の解消となり、障害のある方には活躍機会と収入の増加、そして、その御家族には将来に安心を与える、一石三鳥の取組だと考えます。
そこで、県では、障害のある方の就労支援に向けて、どのように取り組んでいくのか、御所見を伺います。
次に、畜産農家への支援についてであります。
まず、畜産農家への物価高騰対策についてであります。
配合飼料の価格は、昨年度一トン当たり十万円にまで高騰し、現在も海上運賃の上昇や円安等の影響により、高止まりの状態が続いております。
畜産農家においては、飼料費が生産費の五〇%以上を占めており、現在、国から緊急補填を受けながらどうにか経営を継続している状況です。また、燃料やビニールなどの生産資材も高騰していることから、厳しい経営が続いていると承知しております。
そこで、県では、物価高騰により経営が逼迫する畜産農家に対し、どのような支援を行っていくのか伺います。
次に、家畜伝染病への対応についてであります。
本年度も、高病原性鳥インフルエンザが、北海道から九州まで全国で野鳥の感染が確認されております。河川や湖沼など、渡り鳥が多く飛来する地域は、環境中にウイルスが存在する状況となっております。また、埼玉県や群馬県など近県において発生が相次いでいることから、最大限の警戒が必要となっています。
豚熱についても、昨年八月に九州地方で発生し、本県でも、今月上旬に上野原市で発見され、二頭の死亡イノシシで、相次いで感染が確認されるなど、依然として予断を許さない状況にあります。
本県では、これまで三農場で豚熱が発生し、約五千二百頭の豚が殺処分されております。家畜伝染病が発生すると、飼養している家畜は全て殺処分され、残念ながら、二つの農場では経営再建を断念したと聞いております。
このため、病原体の侵入防止の徹底や、万一発生した場合には拡大を確実に防止する必要があり、このためには迅速な防疫措置が重要であります。
そこで、県では、家畜伝染病の発生防止と拡大防止にどのように取り組んでいるのか、また、発生農場の経営再建に向けてどのような支援を行ってきたのか伺います。
次に、地域における子育て支援体制の充実であります。
昨年は、少子化の急激な進行が我が国の存続を揺るがす危機として早急な対策が求められる中、国では、子育て政策の司令塔となるこども家庭庁の設置やこどもまんなか社会の実現に向けたこども大綱を閣議決定するなど、少子化対策が大変注目された年でありました。
本県では、市町村、関係団体などと共同で、やまなし人口減少危機突破共同宣言を行い、続いて対策の方向性を示す人口減少危機対策パッケージを発表し、さらに人口減少危機対策本部を設置して強固な体制を築くなど、さらに踏み込んだ対策を矢継ぎ早に実行してまいりました。
知事の並々ならぬ少子化対策への決意を目の当たりにし、私自身も、県と共に少子化対策に取り組んでいく決意を強くしたところであります。
私は、少子化のトレンドを反転させるためには、多々ある対策の中でも、子育て支援に注目しており、特に子育て世代が生活する身近な地域での子育て支援の充実が重要であると考えております。
しかし、現在では仕事の選択肢が拡がり、子世代が独立し、親と子供だけの核家族が主流となってきています。
また、オンラインを利用して手軽に情報を手に入れることができることから、地域内でのコミュニケーションが希薄となり、支援が必要になっても頼るところがなく、孤立してしまう。結果として、偏った情報などによる子育てや虐待につながる事例があることも承知しております。
私の地元の富士北麓地域では、支援を必要とする方に、地域のボランティアが家庭を訪問し、一緒に育児や家事を行うホームスタート事業を実施している自治体があり、親の悩みや不安を直接聞き、当事者に寄り添った支援を行うこの事業は利用者から大変好評をいただいていると伺っております。
育児は、一義的には親が行うものでありますが、周囲の協力を得ながら子供を育てていくことで、子育ての幅が広がるとともに、心身に係る負担が軽減され、子供の健やかな成長に大きなプラスになると私は考えております。
そこで県では、地域における子育て支援体制の充実を図るため、現在どのような取組を行っているのか、また、今後どのように進めていくのかを伺います。
次に、富士・東部地域における道路の強靱化についてであります。
四方を山々に囲まれた急峻な地形や脆弱な地質が多い本県では、富士山噴火や南海トラフ地震などの大規模災害の発生が懸念されております。災害が発生した際に、本県が孤立することのないよう、道路の強靱化について、私はこれまで定例会において何度も訴えてまいりました。
特に、首都圏に通じる中央自動車道や国道二十号の代替ルートとなる国道四百十三号や県道都留道志線の整備は重要であると考えております。
このうち、国道四百十三号では雨量による事前通行規制の撤廃に加え、トンネルを含む道志バイパスの工事が順調に進んでおります。
また、県道都留道志線においては、昨年六月の定例会で新道坂トンネルについて、来年度の事業化を目指すと知事自ら答弁していただいております。都留市や道志村の地元住民の皆様から、多くの期待を寄せられております。
さらに、富士五湖、富士北麓地域と国中方面を結ぶ新たな御坂トンネルも事業に着手されており、富士・東部地域における道路の強靱化は着実に前進しております。
このような中、
能登半島地震では、土砂崩れにより道路が寸断し、障害物を取り除きながらの通行を余儀なくされ、被災者の救援・救護活動が思うように進みませんでした。また、半島先端の沿岸部では、被災した道路の代替ルートが確保されていないことから、人や物資の輸送が限られ、長期に渡り孤立状態が続きました。
被災された方々の日常生活を速やかに取り戻すには、道路インフラの強靱化が不可欠であると改めて感じたところであります。
山梨県においても富士山噴火をはじめ、いつ起こるか分からない自然災害への備えをしっかりと進めて行かなければなりません。
特に、富士北麓地域の主要な観光地である河口湖の湖畔道路は、急峻な斜面と湖に挟まれ、道幅も狭い箇所が点在し、また、代替ルートもないことから、緊急輸送道路である既存道路の整備は急務であると考えております。
そこで、河口湖北岸の県道河口湖精進線及び南岸を走る県道青木ヶ原船津線、(仮称)足和田トンネルの整備状況と進捗状況をお聞きいたします。よろしくお願いいたします。
次に、富士登山の将来像についてであります。
昨年は、新型コロナウイルスが五類へ移行されたこともあり、富士山の登山者数はコロナ以前の水準までほぼ回復いたしました。
一方、山小屋で休憩をせず一気に山頂へ登る、いわゆる弾丸登山者は相変わらず多く見られ、外国人を含む一部の登山者等々が登山道で寝込んだり、たき火をしたりするといった迷惑行為なども大きく報道されたところであります。
言うまでもなく、富士山は山梨県の宝であり、日本の宝でもあります。かつていにしえの人々は、富士山は神や仏が住まう神聖な場所と信じ、畏敬の念を持って御来光遥拝し、登山したものであるといわれております。現在でも、多くの人々は、富士山に対し、特別な思いを抱いております。
このように人々の心のよりどころである富士山において、一部の登山者による残念な行為が続いていることに、地元に住む者として強い憤りを禁じ得ません。
また、世界文化遺産登録時に、イコモスからは、登山者の増加は富士山に大きな影響を及ぼすことから、登山者管理を行うよう指摘されていましたが、登録から十年がたった現在も、この解決にはほぼ至っておりません。
このままの状態が続けば、知事が危惧するように、富士山の世界文化遺産登録はいつ取り消されてもおかしくありません。
そのような中、県がこれまで困難とされていた登山規制を今年の夏から実施すると決めたことは、高い評価に値します。
また、登山規制や安全対策の財源とするため、新たに登山者から登下山道の使用料を徴収すると聞いております。こうした経費を受益者である登山者に負担させることは理解はできますが、この夏の状況も踏まえながら、登山者負担の在り方について、引き続き、使用料の検討をお願いいたします。
さて、地元からは、規制の実施の必要性は理解はしているが、新たな使用料の導入により、来訪者が減少してしまうのではないかとの不安の声が私の元へも届いております。
今回の規制を円滑、確実に実施するためには、何よりも静岡県や地元関係者との十分な意思疎通が不可欠であります。
私は、そのためには、登山者や地元関係者に対し、この規制を契機として、富士登山が今後どのように変わるのかを示し、富士山の価値をしっかり保全しつつ、地元経済も活性化させる、言わば、保全と活用のバランスが取れた富士登山の将来像について、丁寧に説明していくことが何よりも重要であると考えております。
そこで、知事は、この夏から実施する規制により、富士登山についてどのような将来像を描いているのか、御所見を伺います。
次に、木質バイオマスの利用促進についてであります。
昨年の東日本の年平均気温は、気象庁の発表によりますと、統計開始から最も高かったとされております。県内でも甲府市において猛暑日が三十五日間と過去最多を更新するなど、記録的な猛暑は記憶に新しいところであります。
世界的にも、昨年の平均気温は観測史上最も高かったといわれております。今や気候危機と呼ぶべき非常事態となっており、化石燃料中心の経済・社会からの転換が喫緊の課題とされております。
こうした中、大気中の二酸化炭素濃度に影響を与えないというカーボンニュートラルなど、特性を持つ木材を化石燃料の代わりとして積極的に利用することが、地球温暖化防止に向け、国が宣言した二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に貢献するものとして注目されております。
山梨県は、県土の面積の約八割を森林が占める全国有数の森林県でもあります。私は、この豊かな森林資源を余すことなく活用することが、地球温暖化対策だけでなく、林業の成長産業化に向けた収益性の向上にもつながるものだと考えております。
こうした考えの下、令和四年二月議会において、木質バイオマスの利用の促進に向け、県はどのように取り組んでいくのか質問したところでございます。県内においては、大月市、南部町に続いて、三か所目となる木質バイオマス発電所が昨年十一月に甲斐市で新たに稼働を開始するなど、木質バイオマスの需要が高まってきております。
そこで、このような状況を好機と捉え、木質バイオマスのさらなる利用促進を図るべきと考えますが、県の取組について伺います。
次に、災害対応を見据えた太陽光発電の一層の導入促進についてであります。
能登半島地震では、石川県の輪島市や珠洲市など能登半島北部を中心に、広い地域に被害が及び、住宅被害が約七万五千棟以上被災されたほか、道路や上下水道、電気などのインフラも深刻な被害を受けております。各地で懸命の復旧作業が行われておりますが、完了に至るまでには長期の日数を要することが見込まれております。
この間、一部地域では断水や停電の長期化など、厳冬期の寒さに震え、不便な生活を強いられている方々の姿が報じられ、こうした光景を目にするたび、一刻も早く元の生活に戻られるよう、切に願わずにはいられません。
このような中、災害への備えとして、重要なライフラインの一つである電気については、停電時の自立電源として活用可能な太陽光発電設備の設置が有効であると、改めて感じたところであります。
このたびの地震では、太陽光パネルによる発電と蓄電池を組み合わせ、暖房やトイレなどを備えたソーラーハウスが被災地に設置され、住民の方々に利用されるなど、太陽光
エネルギー等を活用した取組が実証されております。
災害により停電している地域であっても、建物に被害がなければ、太陽光パネルを備えている家庭や事業所では、昼間は電気を利用することができます。加えて、蓄電池があれば、昼間に太陽光発電で得られた電気を蓄え、夜間でも利用可能となるため、非常時の備えとして大変有用であると考えております。
一昨年の二月議会において、私は、屋根置き太陽光発電設備の導入促進の重要性の取組について質問を行っております。当時は、カーボンニュートラルの実現に向けた取組として伺いましたが、本県においても、いつ大きな地震に見舞われるか分からない状況であります。
そこで、災害への備えとしても有用な太陽光発電や蓄電設備の一層の導入促進を図ることが必要と考えますが、県の御所見を伺います。
次に、警察航空機「はやて」の安全運航確保のための航空従事者育成についてであります。
県警察では、昭和五十七年四月に旧市川大門町内に県警察航空隊を設置しました。以後四十一年、県警ヘリコプター、はやての安全運航を管理し、その機動性を生かした上空からのパトロール、重大事件発生時における被疑者の追跡、情報収集などを行っていると聞いております。
また、本県は、富士山をはじめ、北岳、八ヶ岳など、山岳観光が盛んであり、県内外にとどまらず国外からも多くの登山客が訪れています。一方で、この登山客が遭難する事案も毎年発生し、県警ヘリが遭難者救助の困難な任務に当たり、多くの方を救助しております。また、県外で大規模な災害が発生した場合には、県警ヘリは被災地において孤立した被災者の救出救助活動にも従事するなど、空からの警察活動を通じて幅広く安全・安心の確保に当たっていると承知しております。
そのような中、最近の自然災害は、地震災害や台風、前線の影響を受けた大雨による浸水害など、その被害は激甚化の傾向にあります。ひとたび災害が発生すれば、陸路は寸断され、被災者が孤立状態で救助を待つなど、多様な救出救助活動が求められております。被災地で救出救助活動や支援物資の搬送に当たるヘリコプターの映像を目にすることがあり、その活躍は、県民の知るところであります。
一方で、羽田空港で一月二日に発生した航空機の衝突事故は、改めて安全運航の重要性が問われるなど、有事における対応の難しさを目の当たりにしたところであります。
ヘリコプターは、地上の安全が確保されていれば、空中に停止した状態で救助活動などが行える点が特性として挙げられております。周囲を急峻な山々に囲まれた本県では、地震や大雨により道路が寸断された場合、山間地に居住する県民が孤立する事態も予想されることから、県警ヘリはやては、県民に安心を与える存在であると言えます。
今後も県警ヘリはやてを安全に運航し、山岳遭難や災害現場での離着陸、救出救助活動の任務を果たすためには、操縦士の技術や判断力が重要となってくると考えます。経験豊富な操縦士の確保と次代を担う後進の育成は、ヘリコプターを安全に運航する上で極めて重要であると考えます。
そこで、安全運航を確保するための航空従事者育成について伺います。
最後に、県警察の富士山噴火対策についてであります。
雄大にそびえ立つ富士山は、その優美な姿を一目見ようと、国内外から多くの観光客が訪れる国内有数の観光スポットであります。今後、富士山をはじめ、県内のインバウンド観光は、一層の高まりが期待されております。
その一方で、富士山が噴火した場合には、県民をはじめ、富士山や富士北麓地域に滞在する観光客などが、甚大な被害に巻き込まれるおそれがあります。富士山を研究する有識者からは、噴火の可能性を否定できないとして、その対策の強化が求められております。
これまで、国や県をはじめとする関係自治体や機関で構成する富士山火山防災対策協議会では、新たな知見を基に、噴火による影響範囲等の検討も行っております。令和三年三月に改定した富士山ハザードマップを、また、昨年三月には改定した富士山火山避難基本計画を公表したところであります。
富士山噴火対策については、県民の安全・安心に直結するものであることから、その関心は非常に高いものと考えております。
元日に発生した
能登半島地震に対して、県警察からも地震発生直後に救出救助活動を行う広域緊急援助隊警備部隊が被災地に派遣され、余震の続く中、安否不明者の捜索や倒壊した住宅からの救出救助活動に従事されました。また、その後も多くの警察の職員が派遣され、被災地の治安維持や避難所における相談受理・防犯指導、復興活動の基幹となる緊急交通路の確保など、様々な活動に従事されたと聞いております。やはり、大規模な災害が発生した場合における県民からの警察への期待は、非常に大きいものと考えます。
特に開山期である夏山シーズンは、富士山や富士北麓地域に国内外から多くの登山者や訪日外国人観光客等が訪れており、地元住民に限らず、多くの観光客等も避難させなければなりません。
有事に際して速やかな対応を行うためには、関係機関等と連携した必要な訓練を行うなど、日頃からの備えが重要であり、県民の生命、身体及び財産の保護を担う県警察に対する県民の期待は、非常に大きいものと考えます。
そこで、地元住民や観光客の避難誘導など、富士山噴火に備えた県警察の対応について伺います。
以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
13 ◯議長(
水岸富美男君)流石恭史君の質疑・質問が終わりました。
これより当局の答弁を求めます。知事、
長崎幸太郎君。
(知事
長崎幸太郎君登壇)
14 ◯知事(
長崎幸太郎君)流石議員の御質問にお答え申し上げます。
ただいまは、自由民主党新緑の会を代表され、県政各般にわたり御質問していただきました。自由民主党新緑の会の議員各位におかれましては、地域を起点とする政策集団として独自の研究に取り組まれるなど、精力的に活動されていることに深く敬意を表します。
流石議員におかれましては、県民の声を聴き、その意見を政策に反映させながら、県政の推進に全力を尽くされるとの御決意を示されました。これまでの私の県政運営に高い御評価を賜っているものと受け止めておりますが、併せまして、今後において、これからの富士北麓地域の高付加価値化の進展などに多大な御期待をいただいていることに心から感謝を申し上げます。私も流石議員をはじめ、自由民主党新緑の会の皆様と共に、
県民一人ひとりが豊かさを実感できるやまなしの実現に向け、今後も全力を傾注して取り組んでまいりますことをお誓いし、以下、答弁に入ります。
初めに、地域プロモーション戦略の推進についてです。
県ではこれまで、「ハイクオリティやまなし」のキャッチフレーズの下、上質で先進的なブランドイメージの確立に向け、観光や農産物、グリーン水素など多彩な地域資源を戦略的にプロモーションしてまいりました。成果は目に見えて表れており、県公式TikTokは開設一年で総再生回数が行政では異例の一千八百万回を超え、幅広い世代から大変好評を得ております。
また、リアルイベントとSNSなどを組み合わせたプロモーションに積極的に取り組む中、県産果実の輸出額は二十億円を超え、この三年で倍増いたしました。
本年度からは、さらなる高みを目指し、組織の枠を超えた部局横断チームを編成して議論を重ねるなど、相乗効果や新たな価値を生み出す取組を進めております。加えて、新たにイノベーションや美酒・美食体験などのプロモーションテーマを設定し、地域資源を紡ぐ魅力的なストーリーによる施策展開を図っております。
今後は、本県を舞台にあらゆる人が挑戦し活躍できることや、五感を刺激する心躍る体験ができることなどを強く訴求し、人・企業・資金を呼び込んでまいります。
特に来年度は、分野やステージを問わず、新事業創出に多くの人が挑戦する機運を醸成すべく、手厚い支援体制の構築に加え、情報発信に注力をし、浸透を図ります。
食の分野では、若手シェフが夢をかなえ成長する場所といえば山梨と認知されるよう、次代の担い手の挑戦を全力で支援し、誘致・育成を進めてまいります。
また、美しい風景の中で、山梨ならではの美酒・美食を味わう体験価値の訴求や、消費単価の拡大を狙う飲食店のレベルアップなどにも鋭意取り組みます。
こうした取組によりまして、本県のブランド力を一層高め、地域への誇りや憧れを醸成するとともに、富や豊かさを創出する地域経済の好循環につなげてまいります。
次に、重度の障害者の支援体制についてです。
富士・東部県域におきまして、重度の障害者が利用できるサービスの不足を一刻も早く解消することは、県政の最重要課題の一つとして位置づけております。
このため、県ではまず、富士・東部県域における居住系サービスなどの新たな整備に対し、県単独で助成金の補助率を引き上げることといたします。事業者の負担をできる限り軽減し、早期の開設に結びつくインセンティブとなるよう、補助率を設定し、来年度、事業者の選定を行ってまいります。
次に、医療機関における医療型短期入所事業所の早期開設に向けた支援です。
この地域の医療機関には、夜間における介護体制が十分に整っていないため、県が介護ヘルパーの派遣を行い、来年度中の開設を目指します。さらに、これらのサービスの開設までの間にも暫定的な措置を手厚く講じることによりまして、御本人や御家族の負担を可及的速やかに極力軽減してまいります。具体的には、都内のグループホームを利用する際の家賃補助や、遠距離の送迎費用の助成、短期入所への送迎に同行する介護ヘルパーの派遣を行います。
最後に、医療的ケア児支援センターのサテライトを来年度中にこの圏域に設置し、身近な地域できめ細かく相談に対応できる体制を整備いたします。これらの施策によりまして、富士・東部圏域の重度の障害のある方々が、住み慣れた地域で充実したサービスを受けられるよう、全力で取り組んでまいります。
次に、障害のある方の就労支援についてです。
障害のある方の就労を促進するには、御本人の職業能力と企業理解をともに高めていくことが重要であります。
まず、職業能力の向上に向けましては、就業支援センターにおいて、一年をかけ、講義や企業実習を行い、即戦力となる訓練を実施しています。また、就職意欲と実践力向上のため、喫茶サービスなど五種目の能力検定を行い、認定証を交付しています。
企業理解を高めるためには、県独自に設置いたしました就職支援コーディネーターが精力的に企業を訪問し、就職先の開拓や訓練生とのマッチングを実施しています。加えて、労働局と連携をし、法定雇用率を達成していない企業に対して、支援制度などの周知を図っています。
こうした取組の結果、令和五年の本県企業の雇用障害者数は二千百二十五人、前年比三・五%の増となり、雇用者数は着実に増加をしております。
さらに、先月からは、賃上げした企業が行う設備投資への助成制度の対象として、雇用環境の整備費用を加え、障害のある方の一層の雇用促進を図っております。
他方、県では、就労継続支援施設に対し、積極的に業務を発注している企業を表彰する産福連携アワードを本年度創設し、過日、表彰式を実施いたしました。受賞企業の実績を含め、産福連携の取組を県内企業へ広く周知し、連携業務のさらなる活性化により、施設で働く方の就労機会の拡大を図ってまいります。
今後、これら取組に加えまして、現在実施中の働き方改革実態調査を踏まえ、障害のある方が働きやすく意欲が高まる就労環境の改善に取り組んでまいります。
次に、畜産農家への物価高騰対策についてです。
物価高騰に対する支援は、一時的な価格補填だけではなく、中長期的に効果が積み重なる対策を通じ、経営体質の強化を図っていくことが重要であると考えております。
このため、国が配合飼料価格安定制度による価格高騰分の補填を行っているのに対し、県では経営体質の強化に向けた独自の支援を行っています。具体的には、生産性向上のため、IoTによる家畜の行動監視システムや、コスト削減のため、自給飼料の増産に必要なトラクターなど三十一件に助成を行っております。
また、さらなる収益性の向上のため、牛ふん堆肥のペレット化による家畜排泄物の高付加価値化と、需要拡大に取組を進めております。
さらには、牧草のみで肥育するグラスフェッドビーフの生産拡大によりまして、県産食肉のブランド価値の向上を図っていきます。
加えて、畜産農家の労働環境を改善するため、畜産ヘルパー制度の拡充をして、ゆとりの創出や飼養管理の負担軽減を図っています。
また、アニマルウエルフェアについての体験ツアーや、実践農場における研修の実施により、本県の畜産の魅力を発信し、担い手の確保を図ってまいります。
こうした取組を通じまして、畜産農家の労働環境の改善や所得向上を図ることにより、持続可能な畜産経営を実現してまいります。
次に、地域における子育て支援体制の充実についてです。
地域の子育て支援は、一義的には市町村が実施主体であり、県はその支援状況を踏まえ、適切な情報提供や相談のサポート、さらには様々な関係機関との連携体制の強化や広域的なネットワークづくり、人材育成、地域間格差のない支援の充実などを役割として市町村とワンチームで取組を進めております。
まず、市町村が、子育てが始まる妊産婦やその家族への適切な支援ができるよう、産前産後ケアセンターを核とした地域での相談支援体制の強化を進めております。市町村担当者への専門研修の実施に加え、市町村と精神科医や看護師との連絡相談ホットラインを開設し、相談事案への迅速、的確な対応を行っております。
また、精神科医療機関との連携によりメンタルヘルス相談を強化するとともに、医療的な対応が必要な方を適切な治療につなげる体制を整備いたしました。
さらに、身近な地域の公共施設や空き店舗などを利用して、親子が相互交流や相談、情報交換を行う市町村の拠点づくりへの支援にも力を入れてまいりました。拠点の開設準備や運営費への助成、支援を行う職員への専門研修の実施など、支援体制の強化を進め、現在、県内に八十五か所の支援拠点が設置されております。
今後は、支援が必要な方への対策をさらに充実させるため、母子保健と児童福祉の相談支援を一体的に行う市町村の体制づくりをサポートしてまいります。
こうした取組によりまして、県・市町村がそれぞれの役割を果たす中で、関係機関とも密接に連携し、地域での子育て支援体制をより一層充実させてまいります。
次に、富士・東部地域における道路の強靱化についてです。
近年の激甚化・頻発化する自然災害に備え、被災直後から避難・救助をはじめ物資供給などの応急活動を支える緊急輸送道路の整備は必要不可欠であります。
このうち河口湖北岸の県道河口湖精進線では、これまで長浜トンネルや新寺崎トンネルの整備など、幅員が狭く見通しの悪い区間の解消を図ってまいりました。現在、大型車の円滑なすれ違いに支障のある三か所において道路改良工事を行っております。
まず、扇崎付近では全長二百七十メートルのうち百八十メートルを供用しており、残る九十メートルについても整備を進め、順次供用を図ってまいります。
また、桑崎地区では、昨年度から事業に着手したところであり、これまでに測量や詳細設計を終え、現在、用地調査を実施しております。
さらに、大石小学校の東側八百八十メートル区間におきましては、歩道設置や現道拡幅による整備を進めており、令和六年度末の完成を目指してまいります。
一方、南岸の県道青木ヶ原船津線では、災害時に重要な拠点となる町役場と足和田地区を結ぶトンネルを含むバイパス事業を行っております。昨年度から用地取得と併せ、トンネル掘削土の受入れ候補地の調査を行っており、早期の工事着手に向けて準備を進めております。
今後も引き続き、国の強靱化予算を最大限活用し、
ふるさと強靱化を実現するための道路整備に取り組んでまいります。
最後に、富士登山の将来像についてです。
富士登山は、雄大な自然を体感するだけではなく、信仰の山としてその文化的価値にも触れることができる世界でも唯一無二の価値を持つものであります。
しかしながら、現状は、五合目来訪者のオーバーツーリズムや弾丸登山による迷惑行為によりまして、富士山の神聖さが大きく損なわれております。
このため県では、五合目より下と上の対策を分けて行うことといたしました。
まず、下の部分、すなわち富士スバルラインの抜本的対策といたしまして、富士山登山鉄道構想を提案しております。構想におきましては、五合目の駐車場を埋め戻し、上質な空間を整備して豊かな時間を提供することとしております。また、冬期に比較的強いとされる鉄道では、通年観光が可能となり、これにより来訪者の分散化を図ることができます。
上の対策といたしましては、今年の夏から新たな条例に基づき登山規制を実施し、山頂付近の混雑防止や弾丸登山抑制、マナー違反への指導強化を図ってまいります。また、登山者の安全対策を強化するため、下山道にシェルターを整備するとともに、登山道の山小屋を活用した避難機能の充実につきましても研究をしてまいります。さらに、富士登山の利便性を高めるため、IT技術を用いた登山者確認や決済システムの導入、登下山道の通信環境改善につきましても検討してまいります。
加えて、麓からの伝統的な登山は、登山者に富士山の文化的価値を理解してもらうだけではなく、マナー向上や登山の分散化に資するものであります。そのため、まずは、富士講や御師文化などについて調査研究をし、地元と連携しながら吉田口登山道の再興につなげてまいりたいと考えております。
今後も、富士登山が多くの方々にとって豊かなものとなるよう、富士山五合目の下と上の対策を進め、その魅力や価値の向上に全力で取り組んでまいります。
以上をもちまして、私の答弁といたします。その他につきまして、担当の部長等からお答え申し上げます。
15 ◯議長(
水岸富美男君)林政部長、
入倉博文君。
(林政部長
入倉博文君登壇)
16
◯林政部長(
入倉博文君)流石議員の木質バイオマスの利用促進についての御質問にお答えいたします。
木質バイオマスの利用促進に向けましては、これまで価値がないとされ、森林内に放置をされてきました枝葉や根株などを有効に活用することが重要でございます。
そのためには、伐採した木を枝葉がついたまま搬出をしたり、一回の運搬量を増加させるため、現場でチップに加工したりするなど、収集運搬経費の低減が必要です。
こうしたことから、県では低コスト化に取り組むことを条件に、昨年度から運搬費の助成を行っております。あわせまして、民間団体が自主的に取り組む未利用材の収集運搬に係る実証試験に参画をいたしまして助言することにより、効率的な収集運搬作業の定着を図っております。
一方、未利用材を木質バイオマス発電の燃料として活用するためには、木材をチップ化する設備が必要です。
このため、県ではこれまで設備導入を支援してきており、本年度は、甲斐市で新たに稼働いたしました発電所へのチップ供給施設に助成を行ったところでございます。
これらの結果、令和五年の発電用の木材供給量は四万八千立方メートル、運搬費助成前の令和三年に比べまして約七千立方メートルの増加となりました。
今後ともこうした取組を着実に進め、木質バイオマスの利用促進を図り、カーボンニュートラルや林業の成長産業化の実現を図ってまいります。
以上でございます。
17 ◯議長(
水岸富美男君)環境・
エネルギー部長、関尚史君。
(環境・
エネルギー部長 関 尚史君登壇)
18 ◯環境・
エネルギー部長(関 尚史君)流石議員の災害対応を見据えた太陽光発電の一層の導入促進についての御質問にお答えいたします。
議員御指摘のとおり、太陽光発電設備は、災害などに伴う停電時の自立分散型電源として、電力供給強靱化の観点からも極めて有効と考えます。
個人または事業者による太陽光発電設備の設置は、自ら購入する場合のほか、初期投資の必要がないPPAやリース方式による導入が進んでおります。これらについては、集中的な投資を促すため、国において大規模な補助事業を展開しており、県では制度の活用に向けた普及啓発を行っております。
一例といたしまして、来年度からは新たにソーラーカーポートや充電設備、電気自動車などを一体的に導入するモデル事業を実施し、身近な事例としてPRしてまいります。
また、災害対策といたしましては、一定の範囲で再エネを活用し、
エネルギーの自給自足を行う地域マイクログリッドの構築が有効です。地域マイクログリッドは、新規に開発する住宅団地や離島・山間地における小集落などでの導入との親和性が高いといわれております。
一方で、導入のためには、地元市町村や民間事業者、地域住民などの関係者間における協力関係の構築が求められております。
県といたしましても、これらステークホルダーの関係構築に積極的に協力することで、地域マイクログリッドの導入促進につなげてまいりたいと考えております。
今後も、各種制度の最大限の活用を図りながら、災害時などの電力確保に資する太陽光発電の一層の導入促進に向け、鋭意取り組んでまいります。
以上でございます。
19 ◯議長(
水岸富美男君)農政部長、
大久保雅直君。
(農政部長
大久保雅直君登壇)
20
◯農政部長(
大久保雅直君)流石議員の家畜伝染病への対応についての御質問にお答えします。
まず、鳥インフルエンザにつきましては、毎年十月から防鳥ネットを点検し、破損箇所の修繕を確認するとともに、毎月、人と車両の消毒の徹底を指導しております。
また、豚熱につきましては、ワクチンの防御効果を最大限のものとするため、畜産農家による接種体制の構築を進めております。
現在、県家畜保健衛生所で研修やワクチン接種農場の認定手続を行っており、これにより、豚の日齢に合わせた適期のワクチン接種が可能となります。
また、万一発生した場合の拡大防止のため、防疫演習を実施し、直ちに初動防疫措置を実施できる体制を整備するとともに、必要な資材も常時確保しております。
さらに、発生農場に対しましては、国の手当金の交付や経営再建資金への利子補給に加え、種豚の供給など畜産農家に寄り添ったきめ細やかな支援を行っております。
以上でございます。
21 ◯議長(
水岸富美男君)教育長、
降籏友宏君。
(教育長
降籏友宏君登壇)
22
◯教育長(
降籏友宏君)流石議員の教員の確保と小規模校への対応についての御質問にお答え申し上げます。
まず、教員確保に向けましては、来年度から大学三年生の教員選考検査一次検査の受検を可能とし、検査日程の早期化につきましても具体的に検討してまいります。
また、教員免許を持っているけれども、現在は教職に就いていない、いわゆるペーパーティーチャーを対象にした研修会につきましても、引き続き、実施してまいります。
さらに県では、県の教育長経験者が県内の学校を訪問し、高校生や大学生に教職のやりがいや魅力について直接語りかける活動を継続して行っております。
また、フォーラムの開催やSNSの活用により、教員としての働きやすさや子供に教えやすい山梨の教育環境などのPRに取り組んでいるところであります。
次に、小規模校における複式学級につきましては、本県独自の施策として、国の学級編制の標準を上回る基準により複式学級の解消に努めてきたところであります。
近年では、イエナプラン教育のような学年などを横断しながら子供主体の学びを積極的に取り入れる動きが全国で広がり始めております。
複式学級には、学年や教科にとらわれない子供主体の学びとの親和性があり、これを取り入れることにより複式学級での学びが充実することが期待されます。
小規模校における複式学級におきましても、学年を横断した子供主体の学びが取り入れられるよう、市町村に対する支援に力を入れてまいります。
県としましては、教員の確保や子供主体の学びを積極的に推進し、学校の規模を問わず、子供一人一人に寄り添った質の高い教育を目指してまいります。
以上でございます。
23 ◯議長(
水岸富美男君)警察本部長、小柳津明君。
(警察本部長 小柳津 明君登壇)
24
◯警察本部長(小柳津 明君)流石議員の御質問にお答えします。
まず、警察航空機はやての安全運航確保のための航空従事者育成についてであります。
県警ヘリは、機動性や視認性を生かし、災害時の情報収集や被災者救助、山岳遭難での救助、捜索救助、逃走被疑者の追跡、パトロール等の任務を担っております。
特に、機体をホバリングさせて行う救助活動は、隊員個々の高度な知識及び技能並びに操縦士、整備士、救助隊員の緊密な連携が必要となります。
平成二十七年九月の関東・東北豪雨の際には、茨城県下で洪水により孤立した被災者三十二名を救出しました。
こうした任務を担う航空従事者の育成についてですが、操縦士は警察官の中から選抜し、専門機関の研修等により必要な免許を取得して登用されます。その後も各種訓練を積み、操縦技能の向上に努めております。
また、整備士は航空機整備に必要な資格を有する者から採用し、その後も専門的な講習等により整備に必要な知識・技能の向上を図っております。
今後も県民や本県を訪れる登山者等の安全・安心を守るため、空の警察活動を担う航空従事者の育成に努めてまいります。
次に、県警察の富士山噴火対策についてであります。
県警察では、富士山噴火対策を推進するため、令和四年三月に警察本部警備部内に係を新設し、体制強化を図りました。
また、専門家から噴火の際、どのような災害が発生し、どのような対応が必要かなどについての知識を習得し、それを基に各種訓練を行っております。
昨年の主な訓練としましては、九月に関係警察署の署員を集め、住民、登山者、観光客等の避難誘導等について図上訓練を実施しました。十一月には関係機関、事業者の参加をいただき、富士山噴火時における河口湖周辺の住民、観光客等の避難誘導の実動訓練を行いました。この訓練では、河口湖畔の道路の渋滞を想定し、観光客を観光遊覧船で北岸に避難させる訓練も実施しました。
このほか、富士スバルライン自主防災協議会が主催した富士山五合目周辺における登山者、観光客等の避難誘導の実動訓練に参加をいたしました。この訓練では、負傷者の搬送訓練を行ったほか、外国人の避難誘導では、外国語やピクトグラム、いわゆる絵文字ですが、これにより避難を呼びかけました。
県警察では、今後も富士山噴火の際に起こると予想される状況を踏まえた様々な訓練を実施し、対処能力の向上に努めてまいります。
以上でございます。
25 ◯議長(
水岸富美男君)当局の答弁が終わりました。
流石恭史君に申し上げます。再質問はありませんか。
26 ◯流石恭史君 ありません。
27 ◯議長(
水岸富美男君)これをもって、流石恭史君の代表質問を打ち切ります。
以上で、本日の日程は全部終了いたしました。
来る二月二十六日、午後一時、会議を開き、代表質問及び一般質問を行います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後三時四十分散会
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