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  1. 山梨県議会 2023-12-01
    令和5年12月定例会(第3号) 本文


    取得元: 山梨県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-09
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいタブが開きます) 令和5年12月定例会(第3号) 本文 2023-12-07 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ窓表示 ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者一覧に移動 全 53 発言 / ヒット 0 発言 表示発言切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示 すべて選択 すべて解除 1 ◯議長水岸富美男君) 2 ◯古屋雅夫君 3 ◯議長水岸富美男君) 4 ◯知事長崎幸太郎君) 5 ◯議長水岸富美男君) 6 ◯感染症対策統轄官成島春仁君) 7 ◯議長水岸富美男君) 8 ◯防災局長(細田 孝君) 9 ◯議長水岸富美男君) 10 ◯福祉保健部長(井上弘之君) 11 ◯議長水岸富美男君) 12 ◯環境エネルギー部長(関 尚史君) 13 ◯議長水岸富美男君) 14 ◯県土整備部長椎葉秀作君) 15 ◯議長水岸富美男君) 16 ◯教育長降籏友宏君) 17 ◯議長水岸富美男君) 18 ◯警察本部長(小柳津 明君) 19 ◯議長水岸富美男君) 20 ◯古屋雅夫君 21 ◯議長水岸富美男君) 22 ◯感染症対策統轄官成島春仁君) 23 ◯議長水岸富美男君) 24 ◯古屋雅夫君 25 ◯議長水岸富美男君) 26 ◯議長水岸富美男君) 27 ◯渡辺淳也君 28 ◯議長水岸富美男君) 29 ◯知事長崎幸太郎君) 30 ◯議長水岸富美男君) 31 ◯環境エネルギー部長(関 尚史君) 32 ◯議長水岸富美男君) 33 ◯産業労働部長染谷光一君) 34 ◯議長水岸富美男君) 35 ◯観光文化スポーツ部長落合直樹君) 36 ◯議長水岸富美男君) 37 ◯県土整備部長椎葉秀作君) 38 ◯議長水岸富美男君) 39 ◯議長水岸富美男君) 40 ◯副議長清水喜美男君) 41 ◯伊藤 毅君 42 ◯副議長清水喜美男君) 43 ◯知事長崎幸太郎君) 44 ◯副議長清水喜美男君) 45 ◯福祉保健部長(井上弘之君) 46 ◯副議長清水喜美男君) 47 ◯県土整備部長椎葉秀作君) 48 ◯副議長清水喜美男君) 49 ◯教育長降籏友宏君) 50 ◯副議長清水喜美男君) 51 ◯伊藤 毅君 52 ◯副議長清水喜美男君) 53 ◯副議長清水喜美男君) ↑ リストの先頭へ ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長水岸富美男君)これより本日の会議を開きます。  直ちに日程に入ります。  日程第一、知事提出議案第七十八号議案ないし第九十九号議案を一括して議題といたします。  これより、上程議案に対する質疑と併せ、日程第二の県政一般についての代表質問を行います。  発言の通告により、古屋雅夫君に四十分の発言を許します。古屋雅夫君。       (古屋雅夫君登壇)(拍手) 2 ◯古屋雅夫君 未来やまなしの古屋雅夫です。未来やまなしの立場から、今定例会に提出されました案件並びに県政全般について質問を行います。  まず、質問に先立ちまして、今期初めての登壇となりますので、改めて、さきの県議会議員選挙におきまして御支援をいただきました県民の皆様に厚く御礼を申し上げます。  三期目がスタートし、はや半年がたちました。世界的に猛威を振るった新型コロナウイルス感染症は、県内で延べ二十万人以上が感染しました。コロナは誰もがかかる当たり前の病気となり、五類感染症に移行されました。しかし、新規感染者数も少なくなったとはいえ、情報の共有化の在り方を含め、県民への注意喚起の取組は、さらに進めていかなければならないと考えています。  一方、県民の生活環境は、エネルギーや原材料費の長引く価格高騰により、食料品や医療品、生活必需品などの相次ぐ値上げによって、さらなる家計への悪影響が懸念されています。  また、県の経済を左右する観光面では、インバウンドが徐々に回復してきたものの、まだまだ地域経済の活性化への手応えを感ずるまでには至っていない状況にあると考えます。  さて、長崎知事におかれましては、こうした状況などを踏まえ、十月には新たな総合計画を策定、県の人口減少対策をはじめ、デジタル技術の活用により県民生活の向上を促進するためのDX推進体制の強化を図るなど、県民の期待に応えるための新たな施策の推進に邁進されていることに敬意を表します。  私も、この三期目、政治信条である「正心誠意・意を誠にして心を正す」、自分を偽らず、これまでどおりぶれずに、県政発展のために粉骨砕身、努力してまいることをお誓い申し上げ、質問に入ります。  まず、中小企業におけるDXの推進について伺います。  DXにより、企業や自治体などの業務の効率化や県民生活の利便性向上を図っていくことは、将来にわたって山梨の活力を維持し、さらなる発展を目指す上で必要不可欠なものであります。  中でも、県内企業の多くを占める中小企業において、人口減少社会にあって人材の確保がこれまで以上に困難を極めるものと考えられることから、デジタル技術を活用し、業務の効率化や生産性向上を進め、競争力を高めていくことが必要であります。  しかしながら、多くの中小企業では、DXの意義や必要性の理解が進んでおらず、現状ではほとんど着手できていない状況と伺っております。  さて、議会運営委員会において、先日、佐賀県の産業スマート化センターを訪れ、産業界におけるDX導入支援の現場を視察してまいりました。センターでは、セミナーの開催や成功事例の紹介、さらには相談企業の現状分析を通じた課題解決相談など、多岐にわたる支援を行っているとのことであります。さらに、DX人材の育成にも力を入れており、企業の中でDXの推進役となる人材とともに、企業に対しては外からDXを支援する人材についても、併せて育成を進めているとのことでありました。  私は、県内企業の多数を占める中小企業のDX推進なくして、県内経済の発展はないものと考えます。そのためには、充実した相談体制により中小企業を支援することに加え、個々の企業では対応困難な人材育成など、県の手厚い支援が大いに望まれるところであります。  そこで、県では、中小企業のDXを推進するため、これまでどのような支援を行ってきたのか、また今後どのように人材育成に取り組んでいくのか伺います。
     次に、豊かさ共創社会の実現に向けた産業人材の確保・育成についてであります。  新型コロナウイルス感染症が五類へ移行し、経済も回復しつつありますが、県内企業の人手不足に拍車がかかっています。  九月の有効求人倍率は三十四か月連続で一倍を超え、帝国データバンク甲府支店が七月に行った調査によると、百一社のうち四六・五%が正社員不足と回答するなど、慢性的な人材不足が続いている状況です。  特に、若年層は募集に対して応募が少なく、定着率も低いため、事業拡大や技術継承に支障を来しているとの声を聞いております。  今後、少子化の進展に伴う生産年齢人口のさらなる減少が予測されており、人材獲得競争がますます激化し、人手不足を理由とした倒産や廃業する企業が続出しかねず、このままでは県内経済の成長に影響が出るのではないかと強い危機感を抱いております。  県内の中小企業の多くは、取引先が消費者ではなく企業というところが多いことから、一般的に知名度が低く、人手や予算も十分でないため、採用や情報発信に大手企業ほど注力できない現状があります。  そこで、県では、中小企業の人材獲得に向けた採用や情報発信の支援にどのように取り組んでいるのか伺います。  また、県では昨年度、経営者だけではなく、労働者の立場から連合山梨も参画する中、企業収益と労働環境の向上の持続的な好循環の構築に向けて論議を重ね、本年三月、労使間が共益関係、つまりウィン・ウィンの関係を育む中、スキルアップ、収益アップ、賃金アップのスリーアップの好循環を目指す、やまなしキャリアアップ・ユニバーシティ構想を策定しました。この構想は、一月のリスキリング講座開講に向けて着実に取組が進められていると承知しています。  私は長く労働運動に携わってきましたが、このスリーアップの好循環を実現するためには、経営者と労働者の代表が共に責任を持って取り組むことが成功の鍵だと考えます。そして、この取組が実現し、地域経済が活性化すれば、経営者もそこで働く人も、豊かさを享受できるだけではなく、企業における人材の獲得にも追い風となるものと大いに期待を寄せているところです。  そこで、豊かさ共創社会の実現に向け、やまなしキャリアアップ・ユニバーシティ構想に基づき、産業人材の育成にどのように取り組むのか伺います。  次に、季節性インフルエンザの流行への対応についてであります。  新型コロナウイルス感染症は、本年五月に季節性インフルエンザなどと同様の五類感染症に移行し、県民はコロナ禍以前の日常生活を取り戻しつつあります。  三年以上にわたったコロナ禍において、県は、新型コロナウイルスを含む感染症対策の司令塔として、いち早く感染症対策センターを設置し、必要とする人に必要な医療を届けるという方針の下、有事にあっても感染拡大防止と社会経済活動が両立する感染症に強靱な地域づくりを目指して取組を進めてこられました。  やまなしグリーン・ゾーン認証制度をはじめとする先進的な取組により、まさに感染症に強靱な地域の素地ができたのではないかと思います。  私は、コロナ禍においても積み重ねた経験や知見を一過性のものとするのではなく、今後の感染対策に適切に引き継いでいく、生かしていくことが重要であると考えます。  新型コロナが流行したこの三年余の間は、感染対策の意識の高まりなどにより、季節性インフルエンザなどの他の感染症が流行することはほとんどありませんでした。  しかし、今年度は、人の往来が活発になったこと、多くの人で季節性インフルエンザに対する免疫力が低下していることなどから、本県では例年より三か月も早い九月に流行期入りが発表されました。  さらに、十月中旬には中北地域、富士・東部地域などの保健所管内で注意報レベルに、十一月初旬には中北及び甲府市で警報レベルとなり、十一月十日には一定点医療機関当たり、全国で最多の感染者数が発表されたところです。  注意報、警報レベル入りの発表は、いずれも過去十年間の中で最も早く、急速な感染拡大を受け、改めて感染症への警戒が必要であることを認識したところです。  これから本格的な冬季を迎え、さらなる感染拡大による医療提供体制への影響も懸念されるところであり、今こそ、これまで培ってきた感染症対策の経験、知見を生かす場面だと考えています。  特に、季節性インフルエンザの場合は、子供たちが集団で生活する学校や保育園、感染による重症化が懸念される高齢者施設や介護施設における感染防止対策の徹底が重要であると考えます。  そこで、県では季節性インフルエンザの感染拡大防止に向け、どのように取り組んでいるのか伺います。  次に、本県におけるHPVワクチン接種への対応について伺います。  先般、教育厚生委員会の県外調査が行われ、富山県における女性の命と健康を守る取組を視察してまいりました。  富山県議会議員であり、公益社団法人日本産婦人科医会常務理事でもあります種部恭子先生から、子宮頸がんの罹患者を減少させる活動について伺い、様々な意見交換を行うなど、女性の健康政策の知見を得た大変有意義な研修でありました。  子宮頸がんは、若い世代の女性のがんの中で多くを占め、日本では毎年一万人以上の女性が罹患し、毎年約二千九百人の女性が亡くなっています。  さらに、患者は二十代から増え始め、三十代までにがんの治療により子宮を失ってしまう人も年間千人ほどいます。  一方、子宮頸がんの多くがヒトパピローマウイルスが原因であることから、他のがんに比べて予防ができる可能性が高いがんと言われています。  我が国では、平成二十五年四月より、予防接種法に基づいて、市町村がHPVワクチン、いわゆる子宮頸がんワクチンの定期接種を行うことにより、原則として小学校六年から高校一年の女性を対象に公費による接種がなされています。  しかし、定期接種開始後、因果関係を否定できない持続的な疼痛が発生したことから、同年六月に定期接種の積極的な勧奨を一時差し控えることとなりました。  その後、専門家の会議において、安全性について特段の懸念は認められなかったこと、また、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ることが認められたことから、昨年度より積極的な勧奨が再開されたところであります。このような影響もあり、日本におけるHPVワクチン実施率は約四割と言われており、本県も同様に低迷をしております。  一方、富山県医師会の分析によると、富山県の実施率は約五割、うち富山市では約六割から七割の高い率であるとのことです。  積極的な勧奨が再開された今、接種される方が増え、若い女性の子宮頸がんの予防につながることを期待しています。  また、ワクチン接種を進めるに当たっては、県民が安心してワクチン接種できるよう、副反応があった場合に相談や受診ができる体制が整っていることが重要です。  そこで、ワクチン接種促進に向け、相談支援体制をはじめとした本県の対応状況について伺います。  次に、本県における地球温暖化対策の推進についてであります。  私の地元である峡東地域は、昨年七月に、果樹が織りなす美しい景観などが評価され、世界農業遺産に認定されました。中でも、枯露柿の生産は、秋から冬の初めの風物詩であり、四百年にわたり先人たちが育んできた文化的な景観であります。  しかし、近年、生産者からは、気温が下がらず、乾燥した風も吹かなくなり、年々生産しづらくなっているという声を耳にするようになりました。  特に今年は十一月五日に、勝沼で最も遅い夏日を観測するなど、地球温暖化の影響は誰の目にも明らかになってきており、この先どうなってしまうのかと不安になります。  翻って、世界の情勢に目を向けてみますと、七月の月平均気温が過去最高を更新する事態を受け、国連のグテーレス事務総長が、「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」と発言し、各国リーダーに速やかな対策、温室効果ガスの排出削減と、ニューノーマルになりつつある異常気象への適応策の必要性を呼びかけました。  これに先立ち、国では、令和三年五月に地球温暖化対策推進法を改正し、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を目指すことを明記しました。  また、本年五月には、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行を図るためのDX推進法が制定され、目標実現に向けて、今後十年間で百五十兆円を超える官民の投資を予定するなど、脱炭素の施策を強力に推進することとしています。  私は、二〇五〇年カーボンニュートラルという高い目標を達成するには、県民、事業者、市町村などあらゆる主体が温暖化対策を自分ごととして捉え、実行していくことが必要であると考えます。  本県においても、本年三月に地球温暖化対策実行計画を改定し、各主体が取り組むべき事項を定め、その上で、温室効果ガス排出量を二〇三〇年度までに五〇%削減する目標を掲げられました。  県ではこれまで、温室効果ガス排出量削減のため様々な施策を実施していることは承知しておりますが、成果がなかなか見えにくいと感じております。  そこで、県では、新たな温暖化対策実行計画に掲げた目標の実現に向け、どのように取り組んでいくのか伺います。  次に、本県果樹農業の持続的発展について伺います。  本県は、恵まれた自然や立地条件の下、生産者のたゆまぬ努力により、ブドウ、桃、スモモの品質、生産量とも日本一を誇る果樹王国を築き上げてきました。令和四年の果実の生産額は七百十三億円となり、また、輸出額も二十億円を超え、いずれも過去最高となりました。  今後も、さらなる成長を期待するところですが、昨今の果樹農業を取り巻く状況を見ますと、必ずしも追い風ばかりではありません。国内外で人気のシャインマスカットが、本県の果実生産を牽引しておりますが、栽培が全国に拡大し、生産量も大幅に増加しているため、一部では販売価格が下落しているとの報道もあります。  また、令和三年の米国産ニホンスモモの輸入解禁に続き、昨年度には、同じく米国から桃の輸入解禁要請があるなど、先行きに不安を抱く生産者も依然数多くおります。  私は、こうした状況においても、県産果実を有利に販売し、生産者の所得向上を図るためには、国内外の他産地との差別化が以前にも増して重要であると考えます。  このためには、果樹試験場が開発したブドウのサンシャインレッドや桃の夢桃香などの優良オリジナル品種の生産を早期に拡大し、産地化していくことが不可欠です。  加えて、人口減少に伴い、国内の需要が減少傾向にある中、輸出のさらなる拡大に向け、新たな輸出先国を積極的に開拓していくことも必要と考えます。  また、近年は、地球温暖化の影響により、気温が上昇し、異常気象が発生しております。本県の生産現場においても、高温によるブドウの着色不良、長雨や台風による病害のほか、産地や生産者の間での品質の格差が生じております。  そのため、気候変動に左右されず、安定的に生産できる品質や技術の開発・普及が急務であります。  また、本県の産地は中山間地が多いことから、作業性の悪い傾斜地や不整形で狭隘な農地がいまだ多く存在しております。新たな生産者の確保・育成のためにも、生産基盤の整備を確実に進め、作業負担を軽減し、生産性を高めていくことが必要であります。  そこで、本県の果樹農業の持続的な発展に向けて、県はどのように取り組んでいくのか伺います。  次に、世界文化遺産富士山の保存管理についてであります。  富士山が世界文化遺産に登録されてから、今年で十周年を迎えました。  この十年間を振り返りますと、新型コロナウイルスの影響から来訪者が減少した時期もありましたが、世界文化遺産登録をきっかけに多くの方に富士山を訪問していただき、その魅力やすばらしさを世界中の皆さんに知っていただけたのではないかと感じております。  一方、富士山の世界文化遺産の登録時に、イコモスから、今後解決すべき課題として指摘されている事項については、十年たった現在も全ての解決には至っていません。私は、富士山の顕著で普遍的な価値を守っていくには、三つの重要な課題の解決が急務であると考えます。  一点目は、富士山の開発制御です。富士山麓においては、工場やインバウンド観光の増加に伴う宿泊施設等の建設が見受けられますが、無秩序な開発が進めば、富士山の景観を阻害し、その価値が大きく損なわれるおそれがあります。  二点目は、環境負荷の軽減であります。県は、開山期におけるスバルラインのマイカーの規制、清掃活動の支援、不法投棄の対策などを行っておりますが、観光バスは世界文化遺産登録時の三倍に増加し、依然、ごみや不法投棄が見られるなど、さらなる対策が必要であります。  三点目は、登山者数の適正管理であります。イコモスから、富士山はオーバーツーリズムの状態にあり、適正な登山者数を定め、管理することが求められております。令和二年から四年までは、新型コロナウイルス感染症の影響から、登山者数が大きく減少しましたが、今シーズンはコロナ以前の水準まで回復し、来年はさらに増加することが見込まれています。  また、特に今年は、弾丸登山や軽装登山、登山道での仮眠などの迷惑行為が見られましたが、安全な富士山のイメージを守るためにも、登山者数の適正管理は、喫緊に解決すべき課題であります。  先日、イタリアの世界遺産であるベネチアが、オーバーツーリズムによる環境汚染などを原因に危機遺産への登録が検討されたとの報道がありました。富士山もこのままでは、いつ世界文化遺産を取り消されてもおかしくありません。  私は、日本の宝であり、世界の宝である富士山をしっかり守り、未来へ引き継いでいくことが、現代を生きる我々に課せられた重大な使命であると考えています。  そこで、まず先ほど申し上げた三つの課題に対するこれまでの取組内容について伺います。  一方、県ではまた、イコモスからの指摘に対する解決策として、富士山登山鉄道構想を提唱しています。確かに、グリーンモビリティーであるLRT、次世代型路面電車であれば、排気ガスを出さず、定時に決まった本数で運行することにより、来訪者のコントロールも可能となると思います。  しかし、これは電気バスでも同じであり、現に、富士吉田市長は、富士山におけるオーバーツーリズム対策は、自動運転による電気バスでも十分であると主張をしています。  国では、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルの実現に向け、様々な取組を進めています。  また、本県においてもP2Gシステムなど先進的な取組を進めており、今後の技術の進展により、世界文化遺産の富士山にふさわしいクリーンエネルギーや新しい交通システムが出てくるものと考えられます。  そうした中、県ではLRTに固執せず、様々な意見を聞きながら、幅広い検討を進めていただきたいと考えます。  また、比較検討する際は、複数の要素を行と列で並べ、関係性を明確にできるマトリックス表を用いるのが有効であると考えます。  富士山は、日本の象徴であり、山梨県民の誇りであります。この富士山における課題を解決する手段は、広く県民の理解を得た上で決定されなければなりません。  そこで、富士山登山鉄道構想について、県民の理解を得るためにどのように取り組んでいるのか伺います。  また、今後の検討方針について、県の御所見を伺います。  次に、広域的な消防体制の更なる充実について伺います。  県内の消防本部は、現在、五つの市、五つの一部事務組合による十の機関があり、火災や救急・救助など、私たち県民の安全と安心の確保に関する幅広い業務を二十四時間即応体制で行っております。  しかしながら、十消防本部のうち九つは、管轄人口が十万人未満のいわゆる小規模消防本部であり、多様化する災害への対応力、高度な装備や資機材の導入、専門的な活動に課題があると指摘されています。  消防本部は、消防需要の増大、高度化、専門化に的確に対応し、県民の期待と信頼に応えるべく、消防サービスを確実に提供することが求められています。  そのためには、人口減少社会の到来などによる社会情勢の変化や多様化する住民ニーズなど、消防を取り巻く環境の変化に応じて消防体制を充実させていくことが必要であると考えます。  とりわけ、小規模消防本部が多い本県では、消防本部同士の連携や協力による広域的な消防体制の充実が、消防力を強化するのに有効であり、私はこれまでもその必要性について繰り返し主張してまいりました。  消防の連携・協力を進めることにより、災害時の相互応援体制の確保や、消防本部間の境界地域の素早い対応が可能となるほか、共同での施設運用で最新の機器が使用でき、多くの付加価値を持ったサービスを提供できることや、一部地域で一一九番通報が集中した場合でも、広域的に対応可能な人員を確保できることなど、様々なメリットがあると考えます。  こうした中、国中の六つの消防本部において、指令センターの共同運用に向けた検討が進められることは承知しております。消防力の維持・強化につながる取組であると、私は高く評価しているところであります。  消防は、地域住民の生命・身体・財産を火災や災害などから守るため、市町村が責任を持って実施する業務でありますが、人的・財政的な資源が限られている中、特に本県は、南海トラフ巨大地震や富士山噴火など大規模な災害の発生が懸念されるほか、日本有数の山岳県であり、林野火災や山岳救助が多発していることから、私は、県も市町村と手を取り合い、連携しながら積極的に関わっていく必要があると考えます。  そこで、県では、広域的な消防本部のさらなる充実に向けて、どのように取り組んでいくのか伺います。  次に、国民スポーツ大会並びに全国障害者スポーツ大会の開催に向けたスポーツ施設の整備についてであります。  先月二十日、両大会の令和十四年本県開催に向け、山梨県準備委員会が設立されました。これから大会本番を目指し、具体的な準備を進めていくこととなりますが、市町村や競技団体などとの連携の下、円滑に準備が進み、山梨県の発展につながる大会となることを大いに期待するとともに、私も微力ながら協力していく所存であります。  さて、大会の準備に際し、全国から参加する多くの選手を迎え入れ、国内最高レベルの競技を争う舞台となるスポーツ施設の整備は極めて重要であります。  県内のスポーツ施設を見れば、今から四十年近く前のかいじ国体開催時に整備されたものが多く、老朽化が進んでいる施設も多々あると認識しております。  先ほど申し上げた準備委員会において、大会の基本方針が決定され、持続可能な大会運営の実現を目指すという大きな方針を示しつつ、実施目標の中で、施設整備に関しては、民間施設を含め既存施設の有効活用を図るとともに、必要に応じて県外施設の利用も積極的に検討するとの考えが示されております。大会の開催に際し巨額の経費負担が課題とされる中、既存施設の有効活用を図ることは十分理解できるものであります。  一方、市町村のスポーツ施設は老朽化が進んでおり、国内最高レベルの大会を開催するため、真に必要な施設整備を行うことは必要不可欠であると考えます。  このような中、市町村からは厳しい財政状況の折、施設整備に際しての負担は大きく、県からの支援を期待する声も耳にしております。  そこで、大会開催に向けた市町村の施設整備に対する県の支援について、御所見を伺います。  また、かいじ国体を契機に整備した小瀬スポーツ公園や富士北麓公園などの県を代表するスポーツ施設も老朽化が進んでいると認識しております。競技団体から要望されている屋内五十メートルプールをはじめとする施設整備を含め、大会開催に向けてどのように対応を図るのか、併せて御所見を伺います。  次に、JR中央線・東山梨駅に隣接する跨線橋整備についてであります。  峡東地域の産業や経済の発展を図るためには、西関東連絡道路や国道百四十号、国道四百十一号などの骨格道路を有機的に結びつけ、地域間交流を活発にする道路整備は必要不可欠であります。  これまで、西関東連絡道路の整備により、山梨市から甲府市や沿線地域へのアクセスが大幅に向上し、南北方向の交通は劇的に改善されました。  西関東連絡道路や現在整備中の新山梨環状道路による恩恵を広く峡東地域に行き渡らせるためには、東西方向の交通課題の解消を図っていくことが必要です。
     その東西軸の一つである通称ハナミズキ通りから東山梨駅を通り甲州市へとつながる市道は、地元住民の日常生活を支える重要な道路であるため、山梨市側では、これまで山梨市駅から甲州市方面に向けて順次整備を進められてきました。  さらに、先の甲州市側でも、日下部警察署塩山分庁舎南の交差点に通じる市道の整備が進められているところです。  しかしながら、JR東山梨駅付近の踏切を挟んだ区間が未整備となっております。これら市道と並行する県道休息山梨線は、両市をつなぐ数少ない幹線道路でありますが、幅員が狭く、歩道もないため、通勤・通学で急ぐ車や自転車、歩行者などの安全な通行に支障を来しております。  円滑な通行を確保するためには改良が望まれるところでありますが、沿線には家屋が密集しており、全線を広げることは非常に厳しい状況です。  このため、県では市道山梨市駅東山梨線の未整備区間の一部であるJR東山梨駅付近を県道休息山梨線のバイパスとして整備し、ネットワーク強化を図っているところと承知をしております。  この跨線橋区間が整備されれば、山梨市と甲州市の交流が一層促進される上、西関東道路から中央自動車道・勝沼インターチェンジへのアクセス強化も図られると期待をしておりますが、この二年ほど事業の進捗状況が見えず、県民の皆さんから、どうなっているという声も上がっています。  そこで、県道休息山梨線・JR東山梨駅付近の跨線橋整備について、今後どのように取り組んでいくのか伺います。  次に、不登校対策についてであります。  本年三月、文部科学省では、大臣自ら先頭に立ち、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策、いわゆるCOCOLOプランを取りまとめ、公表しました。  このプランには、全国的に不登校の児童生徒が急増する中、不登校が原因で学びにアクセスできない子供たちをゼロにする、子供たちの不安を少しでも取り除き、大丈夫と思っていただけるように徹底的に寄り添っていくとの大臣自身の強いメッセージが感じられます。  一方、本県の不登校児童生徒の状況は、去る十月に文部科学省が公表した調査結果によりますと、令和四年度に三十日以上欠席した不登校児童生徒の数は、過去最多の二千五十四人で、前年度に比べて三百七十三人増加しています。また、不登校の要因としては、無気力・不安という内容が多く見られました。  私は、無気力・不安で学校に行くことができないという状況を懸念しております。将来ある子供たちが夢や希望を持って日々の生活を過ごしてもらいたいと願っています。そのためにも、子供たちの無気力や不安を少しでも取り除いていく必要があると思います。  また、子供たちが無気力や不安になることなく、自分らしく表現したり活動できる場は、学校以外にあってもよいのではないかと考えます。  最近では、自分に合った学びの場として、フリースクールなどの学校以外の場で一生懸命学んでいる子供たちが増えてきております。私は、行政や学校とフリースクールなど民間団体が連携を図りながら取り組むことも、学びにアクセスできない子供たちの不登校対策の一つとして有効ではないかと考えます。  そこで、県では、学びにアクセスできない子供たちの不登校対策について、どのように取り組んでいくのか、御所見を伺います。  最後に、飲酒運転の現状と根絶に向けた取り組みについてであります。  報道によると、人口十万人当たりの飲酒が関係する人身事故数が、八月末現在、全国ワースト一位という県民として恥ずかしい結果を受け、山梨県では、本年九月に飲酒運転根絶対策に関する緊急対策を行うなど、非常に厳しい情勢であると認識しております。  飲酒運転は、重大事故に直結する極めて悪質かつ危険な行為であり、その根絶が安全で安心な交通社会実現に必要不可欠であることは間違いありません。  これまでも、飲酒運転の取締りや広報啓発活動など、官民が連携した飲酒運転対策が進められ、関係者の方々が非常に御苦労されていることは承知しております。  しかし、このような措置が講じられてきたにもかかわらず、飲酒運転は私たちの身近なところで日常的に行われており、飲酒運転で交通事故を起こし、逮捕されるような報道を連日のように目にします。  当県は、車の依存度が高いということも飲酒運転の一因として考えられますが、根本にあるのは、飲酒運転に関する県民の意識の低さであり、いまだ飲酒運転に対する甘い風潮が払拭されていないことにあると考えます。  飲酒運転は、酒を飲んだことを承知の上で運転する、いわゆる確信犯であり、極めて悪質な犯罪と言わざるを得ません。  先般、議員の視察で福岡県に行く機会があり、平成十八年八月に発生した、当時の福岡市職員が飲酒の上、車を運転し、追突事故を起こし、追突された車が海中に転落し、同乗していた三人のお子様が亡くなるという非常に痛ましい事故があり、その事故をきっかけに、福岡県では全国初の罰則つきの飲酒運転撲滅条例を議員提案により制定されたと聞いております。  私も、飲酒運転を根絶するためには、当県においてもこのような条例が必要だと思い、今後、議員として取り組んでまいりたいと考えています。  飲酒運転を根絶するには、これまでも飲酒運転による交通事故を詳細に分析する必要があるということを提起し、その結果、先月、県警察のホームページに公表されたところであります。この分析結果を基に、県民や業界等に対する指導を徹底することが有効だと考えます。  そこで、本県における飲酒運転の人身事故の発生状況と飲酒運転根絶に向けた県警察の取組について伺います。  以上で、私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 3 ◯議長水岸富美男君)古屋雅夫君の質疑・質問が終わりました。  これより、当局の答弁を求めます。知事、長崎幸太郎君。       (知事 長崎幸太郎君登壇) 4 ◯知事長崎幸太郎君)古屋議員の御質問にお答え申し上げます。  ただいまは、未来やまなしを代表され、県政各般にわたり御質問をいただきました。未来やまなしに所属する議員の皆様におかれましては、山梨の未来を切り開くため、常に会派内で議論を交わしながら、精力的に活動されていることに心からの敬意を表します。  古屋議員におかれましては、新型コロナウイルス感染症への対応や、物価高騰対策などの必要性を述べられ、県民に寄り添うその姿勢には、深く共感するところであります。  また、多くの県政課題に対しまして、私がスピード感を持って新たな施策を推進していることに高い御評価を賜り、心から感謝を申し上げます。  私も、豊かさを漏れなく届けられるふるさとを目指し、どのような困難に対しましても、くじけず、固い信念を持って取組を進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  以下、答弁に入ります。  初めに、中小企業におけるDXの推進についてです。  DXにより業務の効率化や新しいサービスの創造が図られ、中小企業の業績が飛躍的に向上すれば、県内経済への絶大なインパクトをもたらすことができます。  そのため、県では、中小企業の実情やニーズに合ったサービスをオーダーメードで提供する地域内発型DXを推進することとしております。  しかし、多くの中小企業では、DXを人ごとと捉えていることから、まずDXの意義や必要性を学ぶ研修会を開催し、前向きに取り組めるよう啓発してまいります。  DXの導入に前向きな中小企業に対しましては、やまなし産業支援機構内に総合窓口を設置して、専門家派遣や課題解決までの伴走支援を行っております。  さらに、今年度からは、県の補助で商工会連合会に四人の経営指導員を追加で配置し、DXを支援する体制の強化を図っております。  次に、地域内発型DXを進めるためには、地域課題をしっかり受け止め、DXの形に具体化できる人材を育成していくことが重要であります。  まず、中小企業の中で推進役となる人材を育成するため、課題の整理・分析やデータの利活用などの研修を行っております。  また、人的リソースに余裕のない中小企業を支援するため、デジタルスキルを学んだ大学生が中高生を指導し、その中高生が大学生となって後進を育てるというDX人材育成エコシステムを構築し、そのシステムにおいて、大学生が商工会などと連携する中で、中小企業の課題に対応できるアプリ開発などを支援し、DXの取組を底上げしてまいります。  今後とも、中小企業がデジタルの力により社会の変化に対応していけるよう、地域内発型DXの推進に鋭意取り組んでまいります。  次に、豊かさ共創社会の実現に向けた産業人材の確保・育成についてです。  まず、中小企業の採用や情報発信についてですが、県内には、唯一無二の技術や世界的シェアを誇る企業がある一方で、認知度には課題も見られるところです。  このため、県特設サイトで特色ある企業の情報や働く人の生の声を紹介するとともに、県内大学生と協働で若者目線の動画を作成し、SNSで発信しています。  初回の動画の再生回数は一週間で二千回を超え、関心の高さを表していますが、今後はテーマの異なる約二十本の投稿を予定しており、さらなる周知に努めてまいります。  採用につきましては、企業ニーズが高いことから、十一月に開催した就職説明会におきましては、ブースを倍増し、学生や一般求職者とのマッチング機会の確保を図っております。  過去二年間に比べまして、十一月時点において、学生の参加者数や企業の内定者獲得率は好調でありまして、引き続き情報発信を強化し、企業の認知度向上や採用機会の確保を支援してまいります。  次に、やまなしキャリアアップ・ユニバーシティ構想に基づく産業人材の育成についてです。  労使が共に豊かさを享受することを目指すキャリアアップの取組は、本県が働き、暮らす場として多くの若者に選ばれる地となるためにも重要であります。  このため、十月には、スキルアップ、収益アップ、賃金アップのスリーアップの好循環に賛同する企業から成る協議会を設立し、理念の普及を図り、賛同者の増加に努めてまいりました。  好循環実現のためには、御指摘のとおり、労使が共に取り組むことが重要であるため、各企業においては、経営者と労働者の双方合意の下、協議会に参画いただいております。  労働者が意欲を持って取り組むためには、労働組合からの後押しも不可欠であるため、議員のお力添えを何とぞよろしくお願い申し上げます。  構想の具体化として、一月にはいよいよ、企業の持続的な成長を支える経営マネジメントやDX、コミュニケーションについて学ぶ三講座を開講いたします。  受講に際しましては、コーディネーターが受講前のプラン策定から受講後の実践までをフォローする体制を整え、実践に移行する取組を強力に支援します。  実施状況を外部有識者らと効果検証する中で、スキルアップが企業の収益アップ、賃金アップへとつながるよう、こうした取組を一層進めてまいります。  次に、本県果樹農業の持続的発展についてです。  本県果樹農業の持続的発展に向けましては、ブランド価値の向上と、その土台となる生産・流通・販売のプロセスを三位一体で高度化していくことが重要であると考えております。  まず、生産につきましては、気候変動に対応したオリジナル品種の早期産地化を図るため、JAとともに改植の加速化と栽培技術の普及を強力に進めてまいります。  また、これまでのシャインマスカットに加えまして、桃のたくみの技を見える化し、普及することで、さらなる高品質化を図り、国内外の他産地との差別化を図っていきます。  加えまして、樹園地を中心に年百ヘクタールをめどに圃場の区画拡大や傾斜の緩和など生産基盤の整備を進め、生産性の向上とコストの削減を図ってまいります。  流通につきましては、集出荷の効率化を図るため、共同選果施設の再編整備により共選体制を強化していきます。  また、消費者や実需者の信頼がさらに高まるよう、JAと一体となって選果体制の強化とロス率低減に向けた流通体制の構築に取り組んでまいります。  販売につきましては、デジタルとリアルを組み合わせた効果的なプロモーションを国内外で展開するとともに、国やJAと協働してさらなる輸出拡大に取り組みます。  また、県産果実はたくみの技による芸術品であることをストーリーとして消費者に訴求し、ハイクオリティーで高付加価値なブランドの確立に取り組んでいきます。  こうした取組によりまして、本県が選ばれる果樹産地として確固たる地位を確立し、果樹農業の持続的発展を実現してまいります。  次に、世界文化遺産富士山の保存管理についてです。  まず、これまでの取組内容についてですが、開発制御に関しましては、平成二十七年度に富士山景観配慮条例を制定し、一定規模以上の開発を行う事業者に対し、景観への影響予測・評価を義務づけております。条例制定から今日までに十五件の開発事業において、条例に基づく手続が行われ、景観に配慮した開発がなされております。  一方、富士山五合目は、様々な構造物により人工的景観が目立つことから、信仰の場にふさわしい空間の形成を目指し検討を進めてまいります。  環境負荷軽減につきましては、大気汚染、温暖化などのモニタリングを毎年実施しておりますが、これまで構成資産への大きな影響は認められておりません。  一方で、ごみや不法投棄は依然として見られることから、市町村や民間団体などと連携して監視を行うとともに、登山者への啓発や指導を強化してまいります。  登山者数の適正管理については、来訪者管理計画で安全登山の指標などを設け、登山者の分散化に取り組んでまいりました。  しかしながら、今後も登山道で過度な混雑が発生するおそれがあることから、条例化を含めた検討を行い、適正な登山者数の実現を図ってまいります。  次に、富士山登山鉄道構想についてですが、これからの富士山における交通システムは、百年先を見据え、世界の人々から称賛されるものとする必要があると考えております。  富士山登山鉄道は、オーバーツーリズム対策にとどまらず、地域の価値を高めていくために必要となるグリーンモビリティーであります。  そして、この登山鉄道構想の検討に当たりましては、議員御指摘のとおり、幅広く意見を伺い、議論を交わすことが必要であると考えております。  このため、県では、まず地元の富士北麓地域の六市町村ごとに説明会を開催し、構想を提唱する理由を丁寧に説明し、意見交換を行っているところです。  地元説明会では、構想が正しく理解できた、観光地としての付加価値が高まるなどの声を多数いただく一方で、電気バスで十分との御意見もあります。  電気バスにつきましては、運行オペレーション上の課題や五合目や麓のバスターミナルが駅舎のように地域の魅力向上にはつながらないとの指摘もあります。  一方で、富士吉田市において実証実験が行われている自動運転の電気バスは、小回りが利くことなどから麓の二次交通としてはすばらしいものであろうと考えます。  将来的には、LRT、次世代型路面電車を富士北麓地域の主要スポットに延伸することで、二次交通網の基幹路線とすることが可能であります。  さらには、自動運転の電気バスと連携すれば、現在二次交通が不足している富士北麓地域の住民や来訪者の利便性を飛躍的に向上できるのではないかと考えております。  こうした観点からも、LRTである富士山登山鉄道構想がベストであると考えますが、今後も具体的かつ現実的な提案があれば、しっかりと議論の俎上にものせてまいります。  最後に、国民スポーツ大会並びに全国障害者スポーツ大会の開催に向けたスポーツ施設の整備についてです。  両大会には極めて大きな意義があるがゆえに、今後も継続的に大会が開催できるよう持続可能な運営が求められます。  しかしながら、急速な人口減少や高齢化など社会情勢が根本的に変化する中で、莫大な財政負担を伴う従来の運営方法では大会の存続自体が危ぶまれます。このことは、全国知事会でも取り上げられ、今や全国的な課題となって議論がされております。  その中でも、多大な財政負担となる施設整備は中心的な課題であると言え、その見直しに取り組むことが極めて重要であると考えております。  このため、施設につきましては、既存施設の活用を基本とし、県外施設の利用も見据えながら、競技実施のために必要な整備にとどめるべきであると考えております。  この考えの下、市町村施設への整備支援につきましては、市町村との役割分担を踏まえ、施設の現状なども確認しながら支援の在り方を検討してまいります。  また、県有施設の整備につきましても、費用対効果を厳正に見極めながら判断をしてまいります。  施設に限らず、大会を契機としたレガシーの創出を追求してまいりますが、他方で、そのレガシーが負の遺産となって残るようなことは絶対に避けなければならないと考えております。  全国的な課題となっております国民スポーツ大会の在り方につきまして、山梨から変わったと後々言われるよう、斬新なモデルを打ち立てるべく挑戦をしてまいります。  以上をもちまして、私の答弁といたします。その他につきまして、担当の部長等からお答え申し上げます。 5 ◯議長水岸富美男君)感染症対策統轄官、成島春仁君。       (感染症対策統轄官 成島春仁君登壇) 6 ◯感染症対策統轄官成島春仁君)古屋議員の季節性インフルエンザの流行への対応についての御質問にお答えします。
     新型コロナの経験により、感染症の拡大を防ぐには、その兆候を察知した際に速やかに状況を分析し、必要な対策を講じることが重要であると再認識いたしました。  今般の季節性インフルエンザの流行は、手洗い、マスク着用などの感染対策の緩和や免疫の低下、学校における児童・生徒間での急拡大が主な要因でございます。  このため、基本的な感染対策の徹底や体調不良時の外出自粛、早期のワクチン接種など有効な感染対策をまとめ、小、中、高等学校に対し注意喚起を行いました。  さらに、医療提供体制への負荷が大きくならないよう、重症化リスクが高い高齢者施設に対しましても、感染が広がる前に同様の感染防止対策を依頼したところでございます。  あわせまして、記者会見やホームページ、SNSを活用し、県CDC専門医による感染状況の分析や有効な対策を県民に対し情報発信しております。  また、患者数が全国最多となった際には、医療機関や県医師会などを通じ、医療提供体制への影響やワクチン、治療薬の供給状況について調査を行いました。  その結果、医療提供体制は逼迫しておらず、ワクチン・治療薬とも不足がないことが確認でき、その状況を県民や関係機関に情報提供したところでございます。  今後も、感染状況や医療提供体制を注視し、必要な人に必要な医療が届けられるよう、関係機関と連携しながら先手対応で取り組んでまいります。  以上でございます。 7 ◯議長水岸富美男君)防災局長、細田孝君。       (防災局長 細田 孝君登壇) 8 ◯防災局長(細田 孝君)古屋議員の広域的な消防体制のさらなる充実についての御質問にお答えいたします。  議員御指摘のとおり、消防力を強化するためには、消防の連携、協力を進め、体制を充実させていくことが重要です。  このため、県では、令和二年三月に山梨県消防連携・協力推進計画を策定し、消防本部の取組を積極的に支援しているところであります。  これにより、昨年四月に南アルプス市と峡南広域行政組合で、はしご自動車の共同運用が開始されました。  また、本年八月には、国中地域全ての消防本部により、指令センターの共同運用に向けた準備委員会が設置され、県では、広域的な視点から助言や調整を行っております。  一方、近年激甚化する災害に対応するためには、県内消防本部はもとより、県外の消防本部とも連携する必要があります。県では、県内消防本部とともに、先月、関東ブロック一都八県から応援部隊を受け入れて合同訓練を実施し、受援体制の強化を図ったところです。  さらに、林野火災や山岳救助が多い本県では、消防本部から職員の派遣を受ける中で、消防防災航空隊を編成し、消火・救助活動を行っております。年々増加する活動要請に的確に対応するため、本年度、航空隊員を一名増員し、九名体制に強化いたしました。  こうした取組により、消防を取り巻く環境の変化に柔軟に対応できるよう、広域的な消防体制のさらなる充実を図り、県民の安全・安心を確保してまいります。  以上でございます。 9 ◯議長水岸富美男君)福祉保健部長、井上弘之君。       (福祉保健部長 井上弘之君登壇) 10 ◯福祉保健部長(井上弘之君)古屋議員の本県におけるHPVワクチン接種への対応についての御質問にお答えします。  昨年四月の積極的勧奨の再開を受け、県では市町村に対し、適切な情報提供と接種勧奨を行うよう通知を発出するなど、接種の促進に努めています。  しかし、接種対象者やその御家族の中には、ワクチンの副反応に対する不安を感じるなど、接種をちゅうちょする方もいます。  このため、県では、正しい情報に基づいて接種の判断ができるよう情報発信を行うとともに、総合的な相談窓口を設置しております。この窓口では、副反応に対する相談や接種後の学校生活に関する相談などに幅広く対応し、県民の不安の解消につなげることとしています。ただし、これまでのところ相談実績は限られた数にとどまっています。  また、万が一、ワクチン接種後に体の痛みなどの症状が生じた場合に、医療面からの支援を行えるよう、山梨大学附属病院を協力医療機関に選定しています。  本年九月には、産婦人科医などが開催した医療機関、市町村対象の連絡会に県も参加し、接種後の相談から診療まで切れ目なく支援できる体制を整えています。幸い、積極的勧奨の再開以降、協力医療機関への相談や受診はごく少数であり、重篤な副反応も生じておりません。  こうした中、一回目接種者数は、積極的勧奨を再開した昨年度が約一千百人であったのに対し、今年度の上半期では既に約九百人に達しております。  今後も、ワクチン接種の促進のため、県、市町村、医療機関が役割分担の下、緊密に連携して取り組んでまいります。  以上でございます。 11 ◯議長水岸富美男君)環境・エネルギー部長、関尚史君。       (環境・エネルギー部長 関 尚史君登壇) 12 ◯環境エネルギー部長(関 尚史君)古屋議員の本県における地球温暖化対策の推進についての御質問にお答えいたします。  議員御指摘のとおり、脱炭素化の取組成果を分かりやすく示し、県民や事業者、市町村などの各主体間で共有していくことが重要と考えます。  温室効果ガスの削減量は、最終的には国の二年前の統計データを基に算定されることから時間差があり、リアルタイムの進捗管理のツールには不向きです。  このため、県では山梨県地球温暖化対策実行計画において、県民、事業者の直近の具体的な取組の達成状況により進捗管理を行うこととしております。  具体的には、太陽光発電やP2Gシステムの導入量、次世代自動車の普及割合など、十九の進行管理指標を設定し、成果の見える化を図っております。  また、取組の状況は、毎年度、指標の達成状況を調査し、結果を公表することとしております。  この際、取組の中で進捗が滞っているものについては、課題を把握し、各主体の取組を促進するために必要な施策を重点的に検討してまいります。  さらに、進捗状況や課題は、ストップ温暖化やまなし会議や市町村に対する研修の場などを活用し、広く共有してまいります。  こうした成果の可視化・共有化により、各主体の意識向上を図りつつ、県自らも一事業者として積極的に脱炭素化に取り組み、目標達成に努めてまいります。  以上でございます。 13 ◯議長水岸富美男君)県土整備部長、椎葉秀作君。       (県土整備部長 椎葉秀作君登壇) 14 ◯県土整備部長椎葉秀作君)古屋議員のJR中央線・東山梨駅に隣接する跨線橋整備についての御質問にお答えします。  県道休息山梨線は、沿道に人家が連担し拡幅が困難なことから、峡東地域の東西軸を担う幹線道路としての整備が課題となっておりました。  このため、県では、山梨市と甲州市が行う市道整備と連携し、東山梨駅付近の跨線橋区間を県道バイパスとして整備することとしております。  整備に際しましては、地域内交通の円滑化や駅利用者への十分な配慮が必要であることから、山梨市が策定中の駅前広場基本計画と整合を図る必要がございます。  このため、市と地元関係者で立ち上げました協議会に県が参画し、駅前広場と一体となった整備となるよう調整を行っているところでございます。  市の計画を踏まえまして、本年度は、地形測量や地質調査を実施し、来年度から具体的な道路計画を策定していく予定でございます。  今後も、地域内の円滑な交通を確保した上で、広域的なネットワークを形成する新たな交通軸となるよう、市と連携して取り組んでまいります。  以上でございます。 15 ◯議長水岸富美男君)教育長、降籏友宏君。       (教育長 降籏友宏君登壇) 16 ◯教育長降籏友宏君)古屋議員の不登校対策についての御質問にお答え申し上げます。  不登校対策は、学校へ登校するという結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉え、社会的に自立することを目指す必要があります。  この点において、不登校児童生徒が学びにアクセスできる体制を確保し、社会とのつながりを持ち、安心して学ぶことができる環境は重要であります。  このため、議員御指摘のとおり、行政・学校・フリースクールなどの民間団体が相互に連携を図りながら取組を進めることが大切であると考えております。  県では、学校での学びにつきまして、従来の教師主導の一斉授業から、子供が学習状況を判断し自分のペースで学ぶ子供主体の授業への転換を目指しているところです。  また、個々のニーズに応じた受皿を整備するため、市町村と連携を図りながら、学びの多様化学校や夜間中学についての検討も進めております。  さらに、不登校の児童生徒の悩みや不安に寄り添うため、相談支援センターやスクールカウンセラーなどの専門家が連携した多面的な支援を行っています。  フリースクールに関しましては、新たに学校や市町村が当該児童生徒の出席扱いなどを認定する際の目安となるガイドラインの作成に向けまして検討してまいります。  加えまして、フリースクールなどの不登校に携わる団体を県のひきこもり支援団体認証制度で認証し、不登校児童生徒が支援を受けやすい環境づくりを進めてまいります。  こうした取組を通して、不登校対策を積極的に講じながら、誰もが教育の機会にアクセスでき、可能性を伸ばすことができる教育の実現を図ってまいります。  以上でございます。 17 ◯議長水岸富美男君)警察本部長、小柳津明君。       (警察本部長 小柳津 明君登壇) 18 ◯警察本部長(小柳津 明君)古屋議員の飲酒運転の現状と根絶に向けた取組についての御質問にお答えします。  令和五年中の県内の飲酒運転による人身交通事故は、十月末現在で二十八件であり、前年同期比で十件増加しております。  これを人口十万人当たりに換算すると三・四九件で、八月末現在では全国ワースト一位でしたが、十月末現在では全国ワースト二位となっております。  県警察では、飲酒運転根絶のため、時間や場所を限定しない県下一斉の飲酒検問等による取締りを強化しており、本年十月末現在で二百六十七人を検挙しております。  また、酒類提供店に対しては、飲酒運転の防止を呼びかける啓発ポスターの掲示などを関係団体と連携して協力依頼をしております。  さらに、本年十一月から飲酒運転の違反者の年齢、性別、業種等、属性に関する分析結果を県警察のホームページに掲載し公開しております。  この業種別の分析結果を踏まえ、安全運転管理者協議会等の関係団体と連携をし、官民一体となって重点的な指導を行っております。  以上でございます。 19 ◯議長水岸富美男君)当局の答弁が終わりました。  古屋雅夫君に申し上げます。再質問はありませんか。古屋雅夫君。 20 ◯古屋雅夫君 一点、季節性インフルエンザの流行への対応について再質問をさせていただきたいと思います。  先日、三日ほど前、十二月四日の地元新聞の記事によりますと、インフルの治療薬が足りないという大きな記事が掲載されておりまして、大変驚いたところであります。  今の答弁を聞いていますと、医療機関あたりではそういうことはないというような答弁でございましたが、いわゆる治療薬などの流通状況がどうなっているのか、一点お伺いしたいと思います。  そして、県として対応していることは、どのようなことが薬関係ではあるのか、御所見を伺いたいと思います。 21 ◯議長水岸富美男君)感染症対策統轄官、成島春仁君。       (感染症対策統轄官 成島春仁君登壇) 22 ◯感染症対策統轄官成島春仁君)古屋議員のインフルエンザ治療薬の流通状況についての再質問にお答え申し上げます。  県では、インフルエンザ患者の急増を受けまして、毎週、卸売業者にタミフルなどのインフルエンザ治療薬の流通状況を確認しているところでございますけれども、現在のところ、小児用の一部を除き不足はしていない状況でございます。  一方で、風邪症状に広く使用しますたんを切る薬であるとかせき止めだとか、あるいは解熱剤につきましては、後発薬のメーカーの業務停止の影響などによりまして、なかなか入手しづらい状況だということでございます。  県では、医療機関等に対しまして、こういう情報を随時情報提供するとともに、必要量以上購入しないよう協力もお願いしているところでございます。  また、全国的にも同様な状況にありますので、全国知事会を通じまして、こういう薬の供給量の増加につきましても国に対して要望しているところでございます。  以上でございます。 23 ◯議長水岸富美男君)古屋雅夫君に申し上げます。再質問はありませんか。 24 ◯古屋雅夫君 ありません。 25 ◯議長水岸富美男君)これをもって、古屋雅夫君の代表質問を打ち切ります。  暫時休憩いたします。                                          午後二時十一分休憩        ───────────────────────────────────────                                          午後二時三十分再開議 26 ◯議長水岸富美男君)休憩前に引き続き会議を開きます。  日程第一及び日程第二の議事を継続いたします。  これより一般質問を行います。
     この際申し上げます。  再質問及び関連質問における答弁は、自席において行うことといたします。  発言の通告により、渡辺淳也君に二十分の発言を許します。渡辺淳也君。       (渡辺淳也君登壇)(拍手) 27 ◯渡辺淳也君 私は、自由民主党・開の国の立場から、今定例会に提出されました案件並びに県政一般について質問いたします。  我が国では、少子高齢化が急速に進展した結果、二〇〇八年をピークに総人口が減少に転じており、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計によると、二〇五〇年には日本の総人口は一億人を下回ることが予測されております。  本県においても、人口が四十三年ぶりに八十万人を下回り、人口減少問題はまさに喫緊の課題と言えます。  これに対し、長崎知事は、県の関係施策を整理するとともに、新たな課題に向けた取組を取りまとめた人口減少危機対策パッケージの発表や人口減少危機対策本部の設置など、様々な施策を実施しており、今後のさらなる施策展開を御期待申し上げます。  私も、人口減少問題をはじめ、山積する県政課題に対し、建設的な議論を通じて積極果敢に取り組んでいくことをお誓い申し上げ、以下、質問に入ります。  初めに、富士五湖自然首都圏フォーラムについてであります。  富士五湖自然首都圏構想は、世界文化遺産富士山の裾野に広がる自然豊かな観光リゾート地でもある富士五湖地域を、教育、文化、芸術などの中心的地域となる自然首都圏へと発展させていくプロジェクトであります。  このプロジェクトは、国内外から多くの組織や企業の参画を呼びかけ、新たな首都の在り方や未来社会のビジョンについて社会実験を行っていくことを目指しております。  この構想を実現するための第一歩として、昨年十二月、教育・研究機関、芸術・音楽団体やNPO法人のほか、大企業やスタートアップ企業などが多数集まる協働組織体、富士五湖自然首都圏フォーラムが設立されたところであります。  このフォーラムは、民間と行政の新たな協働のスタイルを生み出すものであり、民間が新たな社会システム実現のアイデアを出し、賛同する方々が集まり、それを行政が、制度面や財政面をはじめ、様々な形で支援していくという方式で運営されるものと伺っております。  現在、このフォーラムでは、文化と芸術あふれるコミュニティーづくりを進めるアートシティ富士五湖ワーキンググループや、国際的な会議や大学の誘致等により学問やスポーツの中心的な場としていくことを目指す富士五湖アカデメイアワーキンググループなど、五つのテーマを掲げたワーキンググループが活動を始めたものと承知しております。  県議会におきましても、富士五湖自然首都圏構想推進山梨県議会議員連盟を立ち上げ、この取組を促進することで、国内外から富士五湖地域にもたらされる経済効果を、将来的には県下全域に波及させてまいりたいと考えております。  私は、富士山世界遺産登録十周年を契機として富士五湖自然首都圏フォーラムの取組をさらに進めることで、富士北麓地域が持つそれぞれの地域の強みを生かしつつ、国内外と広くつながりを深め、地域全体が発展できるのではないかと考えます。  そこで、一周年を迎えた富士五湖自然首都圏フォーラムの現在の取組状況と、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いします。  次に、富士・東部地域における重度障害者の支援体制についてであります。  私は、これまで家族のレスパイトを目的とした医療型短期入所事業所の整備など、富士・東部地域における医療的ケア児者や重症心身障害児者等への支援の充実・強化に向けた質問を継続的に行ってきました。  こうした中、県が医療機関や介護老人保健施設に対し、医療型短期入所事業所の開設を積極的に働きかけたことにより、令和三年十月には、上野原市内の介護老人保健施設において、医療型短期入所事業所の開設につながったことは大変喜ばしく思っております。  また、昨年八月には、国立病院機構甲府病院内に山梨県医療的ケア児支援センターが開設され、医療的ケア児やその御家族への相談支援体制が整備されたことは私も大きく期待をしているところであります。  一方で、富士・東部地域においては、依然として障害福祉サービスの整備が進まず、自宅から離れた事業所を利用しなければならない状況が続いていると感じております。  特に、医療的ケアや強度行動障害などがある重度障害者を支援する体制は、国中地域との地域間格差が解消されておらず、地域外の事業所を利用せざるを得ない状況であります。  なお、入所施設やグループホームへの入居を希望しても、そもそも数が足りていなかったり、他害行為が激しいことなどを理由に利用を断られたりすることもあり、御家族は入居が可能な県外の施設を探し、何とか東京都のグループホームに入居できたものの、家賃が高く、その負担が重いと聞いております。  また、短期入所事業や通所系サービスについては、地域外の事業所への移動や送迎など、御本人や御家族の負担はいまだに大きく、利用を諦めるケースもあると伺っております。  富士・東部地域に在住する保護者の方々からは、事業所の早期開設や移動時の支援を求める声を多く伺っております。  私は、このような声に応えるため、富士・東部地域の重度障害者への支援体制の強化を早期に図る必要があると考えますが、県の御所見をお伺いします。  次に、保育士業務の負担軽減についてであります。  私は、少子化が進む現状の中で、子育て支援は県政における最重要課題であると考えており、安心して子育てが行える環境を整備していく上で重要な役割を担う保育施設や、そこで働く保育士の皆さんの現状には常に気を配っております。  特に、保育現場で直接園児たちと接する保育士については、業務が多忙で休みも取れないとの声が私の元にも届いております。  以前、ある保育園を訪問した際、お遊戯室で園児たちが一生懸命踊りの練習をしている姿を拝見させていただいたことがありました。園児たちは全員、手作りと思われる道具を手に持っており、保育士の方が丁寧に指導しながら、注意深く園児の様子を見守る姿がありました。私は、保育士の方がこのように献身的に保育を行ってくれているからこそ、保護者の皆さんは安心して子供を預けることができると思った一方で、お遊戯をするためには、企画から振りつけ、衣装や道具作りなど、多くの仕事があり、保育士の方の負担が多いことを改めて認識しました。  訪問した保育園などで保育士の方から仕事の状況などを聞くと、保育士の仕事内容は、子供の生活におけるお世話が主ですが、他にも連絡帳の記入、指導案の作成など、多岐にわたっており、仕事量の多さから勤務時間内に作業を終わらせることができず、残業せざるを得ないこともあると伺ったことがあります。また、外国にルーツを持つ子供の入園も受け入れていることから、言葉や文化の違いから保護者とのコミュニケーションに苦労しているとの声も聞いております。こうした声を放置したままでいると、多忙ゆえのミスの発生やモチベーションの低下などが心配され、ひいては保育の質の低下につながってしまうのではないかと考えます。  そこで、県では、保育士業務の負担軽減のために、どのような取組を行っているのかお伺いします。  次に、児童虐待防止への取り組みについてであります。  先月、富士吉田市では、夜になると、市役所本庁舎をはじめ、市内三か所で建物などが児童虐待防止のシンボルカラーでもあるオレンジ色にライトアップされました。  国では、十一月を児童虐待防止推進月間としており、この取組は、県民の皆様に児童虐待防止や子供の権利について考えていただく県のオレンジリボンキャンペーンの一環として毎年行われているものであります。  私は、子供はいかなる家庭環境にあっても、健やかに成長し、十分な教育を受け、将来にわたって幸せに生活していく権利があることは当然と考えております。児童虐待の根絶は、私が政治家として活動していく上で、県民の皆様にお約束した揺るぎない信条の一つであり、毎年、オレンジ色のライトアップを見るたびに、その思いを強くしているところであります。  一方、今年九月にこども家庭庁が公表した、昨年度、全国の児童相談所が相談を受けて対応した虐待件数は二十一万九千百七十件と過去最多となり、相談内容は、子供の前で家族に暴力を振るうなどの心理的虐待が全体の六割近くを占め、続いて、直接暴力を受ける身体的虐待、育児を放棄するネグレクト、性的虐待となっております。  本県では、昨年度、市町村が対応した相談対応件数も含めると二千二百十二件となっており、過去最多となった昨年度に比べ二%の微減となったものの、十年前の約二・四倍にも上っており、依然として高い水準にあります。  児童虐待の相談対応件数は、国が統計を取り始めた平成二年以降、増加傾向が続いており、これは、県をはじめ関係機関が行ってきた啓発活動により、人々の児童虐待に対する意識が高まり、これまで埋もれていた児童虐待が顕在化してきたことも要因と考えております。  一方で、日常的に児童虐待が行われ、子供の権利が侵害されている状況が続いていることは大変憂慮すべき事態であり、これまで以上に防止対策を強化していく必要があります。  そこで、まず、県では、児童虐待を防止するため、どのように取り組んでいるのかお伺いします。  また、私はかねてより、児童虐待で保護された子供がいずれは家庭に戻り、家族と幸せに暮らすことができる環境づくりが重要であると訴えてきました。  児童虐待を未然に防止する観点からも、家庭に対する支援は重要だと考えますが、県の取組をお伺いします。  次に、地域特性に応じた再生可能エネルギーの導入促進についてであります。  パリ協定の枠組みの下、国内外で脱炭素社会の構築が待ったなしで求められている中、環境負荷の低減やエネルギー安全保障などの観点から、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入拡大が必要とされております。  このような中、去る七月、再生可能エネルギー施策に関する会派の視察として、新潟県を訪問しました。  私は、新潟県の様々な取組の中でも、特に佐渡島・粟島自然エネルギーの島構想に関心を持ちました。  佐渡島・粟島は、トキをはじめ、豊かな自然環境を有する一方、電力の九割以上を島外から搬入した化石燃料による火力発電に依存していることから、自然環境への負荷や災害時の電力喪失・孤立化のリスクなどの課題を抱えております。  このため、構想では、太陽光に加え、洋上風力やバイオマスなど地域の自然特性を生かした再生可能エネルギーの導入推進によるエネルギー自給率の向上に加え、関連産業の振興による地域経済の活性化や防災力の向上、自然環境の維持保全を図ることとしております。  本土の電力と切り離された離島であることや、冬期の日照不足など、様々な課題を抱えつつも、太陽光やバイオマス発電、洋上風力などを組み合わせ、地域の様々な関係者が連携しながら、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けた取組を行っていることに感銘を受けました。  本県は、豊富な日照量や豊かな森林から生み出される水資源に恵まれていることから、これらを有効活用した太陽光や小水力発電の導入に積極的に取り組んでいると承知しております。  しかし、太陽光発電に過度に依存することなく、本県においても、佐渡島・粟島のように地域の特性を踏まえた上で幾つかの再生可能エネルギーと技術を組み合わせ、地域の脱炭素化や防災力の向上を図っていくことが重要であると考えます。  そこで、県では、本県の地域特性や課題などをどう捉え、再生可能エネルギーの導入促進に向け、今後どのように取り組まれていくのかお伺いします。  次に、織物産業の振興についてであります。  富士・東部地域は、古くから織物産業が盛んであり、この地域を代表する産業としてまちに息づいており、近年は、若手を中心に認知度向上や販路拡大を図る取組が、県の支援策を活用しながら進められてきたところであります。  このような中、本年十月には、郡内織物最大のイベントであり、通算八回目となるハタオリマチフェスティバルが富士吉田市で開催されました。開催に向けては、織物事業者が地元商工会議所や高校生たちと連携するなど、織物を核に地域が一体となって取り組み、その結果、二日間で県内外から昨年を上回る二万人以上の来場者を集めたと伺っております。  一方、これと時を同じくして、昨年に引き続き行われたファッションイベントであるTGCフェス2023においても、郡内織物が富士山を背景としたステージを華やかに彩るだけでなく、インターネットを通じ全国へリアルタイムに発信されました。  これらのイベントのにぎわう様子を見て、地域の活性化に織物が果たす役割の大きさや可能性を改めて実感しました。  また、昨年度から、県では富士吉田市及び業界団体と連携し、郡内織物の新たなプロダクトとして夏服の製作に取り組んでおり、私は、この夏服に今後の大きな可能性を感じているところであります。  織物産業は、主に生産を行っている郡内地域はもとより、山梨県全体の活性化にとっても最も重要な産業の一つであると考えております。  そのため、コロナ禍の影響や原材料価格の高騰などで伸び悩んだ地域経済に活力を与え、地域が活性化するためにも、海外市場へのさらなる販路開拓や製品デザインの高度化などを通じ、織物産業の振興をより一層加速させることが必要と考えます。  そこで、県では、織物産業の振興に向け、これまでどのような支援を行ってきたのか、また、今後のさらなる発展に向け、どのような取組を行っていくのかお伺いします。  次に、富士登山の適正化に向けた取り組みについてであります。  今年の富士登山は、新型コロナウイルス感染症が五類へ引き下げられてから初めての登山シーズンであり、また、世界文化遺産登録十周年の年であったことから、登山者が大幅に増加することが予想されておりました。また、弾丸登山者も増加し、登山道上での過度な渋滞・滞流が発生することで、重大な事故が生じかねないと強く懸念されておりましたが、シーズンを通じて大きな事故もなく、無事に閉山を迎えることができました。  このことは、スバルラインの営業時間短縮、巡回指導員の増員、救護所体制の拡充などの取組に加え、シーズン途中においても県警察と連携した安全対策を講じるなど、県が地元市町村や登山関係者と連携し、富士山の安全対策に全力で取り組まれてきたことによるものと高く評価するものであります。  さらには、富士山保全協力金についても、協力率が七五%と、制度を開始してから最高を記録し、金額も過去二番目を記録したことは、登山者の意識が変化し、本制度への理解が大きく進んできたあかしではないかと考えているところであります。  また、これまで協力率の向上に向け熱心に取り組んでこられた全ての関係者の皆様の御努力に心から敬意を表するとともに、深く感謝申し上げます。  一方で、いまだに多くの弾丸登山者が見られ、軽装登山や登山道を占有して休憩するなどのマナー違反も生じ、連日、様々なメディアで取り上げられました。  一部の登山者によるこのような行為は、安全で快適な富士登山を著しく損ね、その魅力を大きく低下させるものであり、来夏の登山シーズンに向け、早急に対策を講ずる必要があると考えます。  私は、この問題の抜本的解決のためには、地元市町村をはじめ、富士山を熟知した山小屋やガイド組合などと連携し、登山者の入山規制を含めた対策を実施することが大変重要であると感じているところであります。  現在、県では、登山規制や安全対策について、条例化を含めた検討を行っていることと承知しております。  そこで、来夏に向けた富士登山の適正化について、どのように取り組んでいくのかお伺いします。  最後に、県道富士吉田西桂線上暮地バイパスの早期全線整備についてであります。  県道富士吉田西桂線は、富士・東部地域を南北に貫く国道百三十九号と並行して走り、富士吉田市から西桂町に至る沿線地域の生活道路であります。  沿線には、富士吉田西桂スマートインターチェンジや環境美化センターなどが立地しておりますが、幅員も狭く、線形も悪いことから、これを利用する車両の円滑な通行の確保が課題となっております。  また、山梨県ごみ処理広域化計画の下、富士・東部の十二市町村の家庭ごみを処理する新たな施設が西桂町小沼地区に建設されることが決定しており、今後、さらに車両の増加が予想されます。  一方、富士北麓地域には、富士山火山噴火対策という課題もあり、噴火時の避難路強化を図る観点からも、この道路の強化は重要であり、さらに、将来的には富士吉田市側へ延伸することで、噴火時の避難の円滑化をはじめ、救援活動や物資供給がスムーズに行われるものと考えております。  この県道の西桂町側では、富士吉田市との市町境から国道百三十九号の桂高架下交差点までの区間が令和二年三月までに順次供用され、慢性的に渋滞が発生している国道百三十九号を迂回する利用者にとって、以前と比べて格段に快適な道路となるとともに、歩行者も安心して通行できるとの声も多く、交通環境が大きく改善されました。  しかし、富士吉田市側の上暮地バイパスでは、富士吉田西桂スマートインターチェンジと接続する南側の一部が供用されておりますが、市町境付近ではいまだ見通しが悪く、乗用者同士の擦れ違いに支障を来す区間が残っております。そのため、私はこれまでも継続して、県道富士吉田西桂線の整備について、その必要性を訴えてきたところであります。  この県道の富士吉田市街地側への延伸についても期待しているところですが、まずは、現在整備中の上暮地バイパス全線の一日も早い完成を地域住民は待ち望んでおります。  そこで、県道富士吉田西桂線上暮地バイパスの現在の整備状況についてお伺いします。  以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 28 ◯議長水岸富美男君)渡辺淳也君の質疑・質問が終わりました。  これより、当局の答弁を求めます。知事、長崎幸太郎君。       (知事 長崎幸太郎君登壇) 29 ◯知事長崎幸太郎君)渡辺議員の御質問にお答え申し上げます。  ただいまは、我が国全体の課題となっている人口減少問題をはじめ、山積する県政課題に対しまして積極果敢に取り組まれるとの御決意を示されました。また、私の人口減少危機突破に向けた、今後のさらなる施策展開に御期待をいただき、大変身の引き締まる思いであります。  私も、県民を代表される議員の皆様と建設的な議論を交わしながら、さらなる県政の前進に向けて引き続き全力で取り組んでまいりますことをお誓いし、以下、答弁に入ります。  初めに、富士五湖自然首都圏フォーラムについてです。  一周年を迎えましたフォーラムでは、現在、全てのワーキンググループにおいて取組が始動しております。  まず、アートの分野におきましては、国内外から集う若手アーティストが交流し、新たな価値を創造・発信できる拠点となることを目指した取組を進めています。  日本最大の美術展覧会開催団体である日展とは、来年の夏、富士五湖地域の美術館で移動巡回展を開催することが決定いたしました。  この巡回展におけるワークショップは、日展作家との交流により創造性や表現力を高めるなど、アーティストを育成する場としての役割も期待されます。  また、先月、連携協定を締結いたしました松竹とは、富士山を舞台として、歌舞伎をICT技術などのポップカルチャーと融合させる企画に取り組みます。  本県が有する観光資源と日本の伝統芸能を化学反応させることで、新たな価値を生み出していくことに挑戦してまいりたいと思います。  さらに、来年四月には、カリフォルニアの芸術団体と連携して、日本の高校生や大学生の作品を世界に発信するべく、芸術祭の開催を予定しています。  次に、国際化の分野では、十月に新たな国際的プロジェクトである、富士五湖グローバル・ビレッジ構想が地元自治体の合意を得る中で発足いたしました。  この構想は、本県が世界の窓口となって企業や学術団体など様々な組織が集い、若者を中心に文化や芸術の幅広い分野で国際プロジェクトを行うものであります。
     先般、早速、カリフォルニア州の十の組織と提携したところであり、さらにブラジルや韓国、ベトナム、スペイン、オマーンなどからの参画も予定されています。  県では、参画する団体のジャパン・オフィスの開設を支援するとともに、国際交流や共同イベントを実施することで、構想を積極的に推進してまいります。  現時点では、来春、前述の芸術祭に加えまして、世界中からの若者が様々な社会テーマについて行う対話を通じまして、次世代リーダーを育てるイベントも企画しております。  こうした交流を積み重ね、将来的には、富士五湖地域をダボス会議が開催されるスイスのリゾート地、ダボスに匹敵する地域にしてまいりたいと考えております。  今後とも、開の国づくりによる豊かで活力ある地域社会の実現を目指し、富士五湖自然首都圏フォーラムの取組を積極的に推進してまいります。  次に、富士・東部地域における重度障害者の支援体制についてです。  在宅で医療的ケア児者を介護している御家族の負担を軽減するため、身近な地域で短期入所サービスを利用できる環境を整備することは喫緊の課題であります。  このため、県では、県内全域で医療型短期入所事業所の開設が進むよう、医療機関に対する説明会の開催や個別の働きかけを積極的に行ってまいりました。  この結果、十月には、峡東地域の病院での開設が実現したところであり、その他の複数の医療機関でも前向きな検討が進められているところです。  今後は、特に富士・東部地域での開設に向け、夜間の見守り体制の確保など、この地域の固有の課題に対応できるよう、さらに支援策を検討してまいります。  また、東部地域における医療的ケアが必要な方など重度障害者の居住系サービス事業所の整備は、先送りできない最重要課題であると認識しています。  このため、民間事業者による施設整備に対して、県単独で補助率の上乗せをするなど、大胆な支援を検討し、早期の事業所の開設を目指してまいります。  加えて、富士・東部地域の医療的ケア児支援センター・サテライトについては、早急に開設できるよう、地域の病院と具体的な協議を進めてまいります。  議員御指摘の、やむを得ず都内のグループホームを利用する際の家賃や、地域外の事業所への移動・送迎に係る負担も、重要な課題と受け止めております。こうした課題につきましても、家賃補助の上限額の引上げや地域外への送迎・通所費用への支援など、御本人や御家族の負担軽減策の検討を鋭意進めていきたいと思います。  今後、可能なものから来年度当初予算へ計上すべく準備を進め、富士・東部地域における支援の強化に向け、全力で取り組んでまいります。  次に、保育士業務の負担軽減についてです。  現在、子育て世代の働き方やライフスタイルは日々多様化しており、それぞれの事情に寄り添った良質な保育サービスを提供していくことが重要であります。  そのため、県では、質の高い保育環境を維持していくため、保育士の確保や保育士業務の負担軽減、働きやすい職場づくりへの支援を進めてまいりました。  具体的には、保育士・保育所支援センターにおいて潜在保育士と保育施設とのマッチングを行い、労使双方の希望にかなう適材適所の就労を支援しております。  また、保育施設への社会保険労務士による巡回指導や若手保育士を対象とした交流会を開催するなど、働きやすい職場環境の充実を推進しております。  さらには、保育士の大きな負担となっていた使用済みおむつの仕分け処理につきまして、施設で廃棄可能な保管設備の設置を支援し、業務負担の軽減を図りました。  また、外国人の保育につきましては、保育施設に県の外国人地域生活サポーターや、教育機関と連携した通訳を派遣し、相互理解の促進を支援しております。  加えて、先月の対話集会におきまして、保育士自身が子供の預け先に苦労していることや、多忙で研修や休暇が取りづらい現状があるとの意見も拝聴しました。  そのため、県では、市町村、保育施設などの意見を伺いながら、施設の実情に応じた保育士の派遣など、柔軟に対応できる支援について検討してまいります。  こうした取組によりまして、保育士が無理なく質の高い保育を提供できる体制を整え、保護者が安心して子供を預けられる保育環境の充実を図ってまいります。  最後に、児童虐待防止への取組についてです。  児童虐待は、子供の人格形成を阻害し、その大切な命や未来を脅かす重大な問題であることから、社会全体で根絶に向け、取り組んでいく必要があります。  県ではこれまで、児童虐待の通告や相談機関を周知するため、テレビCMや動画など、様々な媒体を効果的に組み合わせた広報を展開してまいりました。また、虐待が疑われる事案を見聞きした人が通告をちゅうちょしないよう、電話に加え、SNSによる相談窓口を設置し、安心して相談できる体制を構築しております。  こうした取組に加えまして、年々増加する通報や相談に的確に対応するため、児童相談所の体制強化や関係機関との連携強化にも努めております。  具体的には、児童福祉司や児童心理司を計画的に増員しているほか、法的手続の弁護士への委託や、警察と協定を結び、情報共有や合同訓練を行っております。さらに、来年四月に開設される県立大学大学院に福祉職職員を派遣し、児童虐待対応に関する高度な知識・技能を習得させ、職員全体の資質向上に努めてまいります。  次に、家庭への支援につきましては、親子関係に課題を抱える家庭に対し、関係の再構築を支援する観点から、早期にアプローチすることが重要であると考えております。  そこで、家庭訪問型支援を行っている児童養護施設などの職員体制の充実を支援することとし、雇用などに係る所要の経費を十二月補正予算に計上いたしました。  今後も、児童虐待防止に向け、こうした取組を重層的に展開し、全ての子供が健やかに成長できるよう全力で取組を進めてまいります。  以上をもちまして、私の答弁といたします。その他につきましては、担当の部長からお答え申し上げます。 30 ◯議長水岸富美男君)環境・エネルギー部長、関尚史君。       (環境・エネルギー部長 関 尚史君登壇) 31 ◯環境エネルギー部長(関 尚史君)渡辺議員の地域特性に応じた再生可能エネルギーの導入促進についての御質問にお答えいたします。  議員御指摘のとおり、本県は、全国有数の日照時間と豊かな森林・水資源に恵まれており、再生可能エネルギーの宝庫であります。  このため、これらの地域特性を生かし、太陽光や小水力発電のほか、バイオマスの利活用の研究にも取り組んでいるところです。  しかしながら、再生可能エネルギーは、自然条件などにより出力が変動することや、また、系統への接続制限の可能性があることなどが大きな課題と捉えております。  このため、太陽光発電設備の設置に当たりましては、天候や時間帯に関わらず安定した電力利用が可能となるよう、最新技術との組合せを図っております。具体的には、変動する再生エネ電力をグリーン水素に変換するP2Gシステムの導入促進及び蓄電池やEVにためて使用する取組の推進であります。  また、小水力発電については、より発電効率を高めることで出力を安定させるよう、民間事業者の技術やノウハウを活用した事業を実施しております。  こうした取組により、災害時の大規模停電に対するレジリエンスを高め、電力供給体制の強靱化にもつなげてまいります。  今後も、先進技術を取り入れながら、効率的なエネルギー利用を進めるとともに、再生可能エネルギーの導入促進に取り組んでまいります。  以上でございます。 32 ◯議長水岸富美男君)産業労働部長、染谷光一君。       (産業労働部長 染谷光一君登壇) 33 ◯産業労働部長染谷光一君)渡辺議員の織物産業の振興についての御質問にお答え申し上げます。  織物産業の振興を図るためには、その土台となる生産・流通・販売に対する積極的な取組により、ブランド価値を高めていくことが必要であります。  このため県では、生産への支援のため、事業者向けのセミナーの開催を通じ、デザイン力や技術力の向上などに取り組んでおります。また、中小事業者が行う新製品開発やデザインの高度化に対する支援機能を強化するため、富士技術支援センターに新たな施設の整備を進めております。  流通の強化に向けては、現在、富士吉田市で開催中であるフジテキスタイルウィークにおいて、新たにビジネスマッチングの場を提供しております。あわせて、流通とともに郡内織物のさらなる用途の展開を促進するため、インテリア産業をはじめとした他分野と連携し、新たな市場開拓を図っているところでございます。  さらに、海外の販路開拓に向けては、これまでニューヨーク、オランダ、台湾などにおける展示会への出展を支援してございます。展示会では、商談とともに、動画やSNSを活用し、産地山梨を印象づけるプロモーションを展開しております。  今後は、織物とアートやデザインとの交わりを推進し、多様な可能性を引き出してまいります。こうした取組により、新たな価値を創造してブランド力を高め、本県織物産業の一層の振興に努めてまいります。  以上でございます。 34 ◯議長水岸富美男君)観光文化・スポーツ部長落合直樹君。       (観光文化・スポーツ部長 落合直樹君登壇) 35 ◯観光文化スポーツ部長落合直樹君)渡辺議員の富士登山の適正化に向けた取組についての御質問にお答えいたします。  富士登山の適正化を図るためには、頂上付近の過度な混雑の解消と登山道での危険行為の防止が重要な課題であると考えております。  まず、頂上付近の過度な混雑の解消には、入山規制が必要となりますが、登山道に道路法が適用されている現状では、このような規制はできません。このため、登山道の一部を同法が適用される道路の位置づけから外し、登山者数の上限や時間帯を定めた登山道の閉鎖も選択肢の一つと考えております。  次に、危険行為の防止につきましては、安全誘導員や巡回指導員の指導に従わない登山者がいることが深刻な問題となっております。そこで、こうした登山者を強力に指導できるよう、指導者に法令に基づく権限を付与すべく、条例化を見据えた検討を行っております。  地元関係者の御意見も伺いながら、早急に方針を固め、来年の登山シーズンには、一層安全で快適な富士登山の実現が図られるよう、鋭意取り組んでまいります。  以上でございます。 36 ◯議長水岸富美男君)県土整備部長、椎葉秀作君。       (県土整備部長 椎葉秀作君登壇) 37 ◯県土整備部長椎葉秀作君)渡辺議員の県道富士吉田西桂線上暮地バイパスの早期全線整備についての御質問にお答えします。  県道富士吉田西桂線は、国道百三十九号の渋滞緩和や富士吉田西桂スマートインターチェンジへのアクセス道路となる重要な路線であります。  このため、県では、富士吉田市上暮地から西桂町倉見までの約三・六キロメートルにおいてバイパス整備を進めております。  西桂町側の小沼バイパス約一・八キロメートルは、令和二年三月までに全線の整備が完了したところであります。  また、富士吉田市側の上暮地バイパス約一・八キロメートルにつきましては、スマートインターの供用に合わせ、接続部の三百メートル区間を先行整備しております。その後、順次整備を進めまして、本年三月までに約一・二キロメートルを供用しておるところでございます。残る六百六十メートルにつきましては、昨年度、用地取得と埋蔵文化財調査を終えたところでありまして、現在、富士吉田市側から改良工事を進めておるところでございます。  以上でございます。 38 ◯議長水岸富美男君)当局の答弁が終わりました。  渡辺淳也君に申し上げます。残り時間がありません。  これより、渡辺淳也君の一般質問に対する関連質問に入ります。  この際申し上げます。  関連質問については、その冒頭に関連する事項を具体的に発言願います。関連質問はありませんか。       (「なし」と呼ぶ者あり) 39 ◯議長水岸富美男君)関連質問を打ち切ります。  これをもって、渡辺淳也君の一般質問を打ち切ります。  暫時休憩いたします。                                          午後三時十分休憩        ───────────────────────────────────────                                          午後三時二十五分再開議 40 ◯副議長清水喜美男君)休憩前に引き続き会議を開きます。  日程第一及び日程第二の議事を継続いたします。  発言の通告により、伊藤毅君に二十分の発言を許します。伊藤毅君。       (伊藤 毅君登壇)(拍手) 41 ◯伊藤 毅君 自由民主党新緑の会の伊藤毅です。今定例会において、六月に続き、私に登壇する機会をいただき、諸先輩方及び地元甲斐市の皆様に感謝申し上げます。  私は、高校二年の娘、高校一年の息子、そして中学一年の娘、三人の子を持つ父親でございます。時々、子供たちと「将来の山梨県がどうなっていてほしいか」と話をするときがあります。  未来の山梨県は、リニア中央新幹線、中部横断自動車道、新山梨環状道路などの開通に伴う、人、物、さらには文化や経済の交流の拡大によって、これまでの本県の魅力に新たな魅力や価値観を融合させ、イノベーションが起きやすい地へと進化している可能性が極めて高いと私は考えております。  若い世代、さらには、その先の将来世代のためにも、今を生きる世代の責任として、なすべきことを実行していかなければならないと強く決意しているところであります。  さて、そのような中、現在、山梨県では、令和五年を人口減少危機突破元年として、人口減少の危機を克服するための抜本的・集中的な取組を開始いたしました。この人口減少危機対策を全庁部局横断で継続的に推進するため、人口減少危機対策本部事務局を設置し、取組の強化を図っていると承知しております。  また、今般、知事が表明されたところでは、内閣官房参与の山崎史郎氏を筆頭とする専門家グループとの連携により、本県をモデル地域として少子化対策の効果について検証し、第一期として、今年度、働き方改革・雇用改革、プレコンセプションケアの推進、地域力の向上の三つのテーマに分かれて研究が行われるとのことであります。  議会としても、希望する男女が子供を持てる環境となることを一層進めるべく、新緑の会においては、これまでも地元甲斐市の産婦人科の医師や山梨大学医学部産婦人科の医師とともに研究に取り組んでまいりました。  また、教育厚生委員会では、本年度、先進地である富山県を視察し、プレコンセプションケア、いわゆる将来の妊娠や体の変化に備えて、自分たちの健康に向き合うことを研究したところであります。  本県の人口減少危機対策により、県民のライフステージにおいて切れ目のない支援が実施され、ひいては将来世代を含めた県民一人ひとりが豊かさを実感できるやまなしが実現されることを願っております。  今を生きる世代の責任として、長崎知事とともに、この人口減少危機克服に向け、これからも二元代表制の下、山梨の明るい未来への一助となるよう、前向きな議論に挑み、本県発展のために尽力してまいることをお誓いし、以下、質問に入らせていただきます。  初めに、若者における結婚や出産などのライフプラン形成に向けた取り組みについて伺います。  本年一月一日時点の住民基本台帳によると、我が国の人口は前年同期に対し八十万人、すなわち、山梨県の人口に相当する規模で減少しております。  また、本年四月に国立社会保障・人口問題研究所が公表した日本の将来推計人口によると、我が国の五十年後の総人口は、現在の約七割の八千七百万人まで減少し、六十五歳以上の人口割合を示す高齢化率は約四〇%という衝撃的な数字となっております。  本県においても、本年二月一日現在の常住人口は四十三年ぶりに八十万人を下回り、また、令和三年の出生数は初めて五千人を割り込む四千九百六十六人となるなど危機的な状況にあります。
     本年六月に公表された国のこども未来戦略方針には、実際の若者の声として、「自分がこれから先、子供の生活を保障できるほどお金を稼げる自信がない」といった不安の声が多く上げられております。  まさに、これからの我が国を担うべき若い世代が、結婚や子供を産み育てることに対して希望を持ちながらも、経済面などの不安から将来展望を描けない状況に陥っているのではないでしょうか。  私は常々、人口減少に歯止めをかけるためには、プレコンセプションケアなどを含め、若者が早い時期から個人の価値観に基づいた長期的なライフプランを自ら主体的に描くことが重要であると考えてまいりました。  そこで私は、本年十月、県が大学生を対象に開催したライフプランを考えるセミナーに実際に参加させていただきました。そして、若者が自分たちの健康に向き合いながら、就職・結婚・子育てなどのライフイベントを踏まえ、様々な選択肢の中から自分らしいライフプランを考えることがいかに重要であるかを改めて認識したところでございます。  結婚や出産は、個人の自由な選択によるものであることは言うまでもありません。しかし、結婚・出産・子育てといったライフイベントを自らの生涯にどう位置づけるのか、自分の望む生き方はどういうものなのかといったテーマに真摯に向き合えるよう、若者を支援することが、人口減少危機を食い止めることに大いに力を発揮するものと考えております。  そこで、県は、若者のライフプランの形成を支援するため、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  次に、子宮頸がんの予防について伺います。  私は、女性特有のがんであり、罹患率、死亡率ともに高い子宮頸がんについての取組を重点的な政治活動の一つと位置づけ、地元甲斐市の産婦人科医の先生や山梨大学医学部附属病院の産婦人科医の先生たちと定期的に勉強会を開催し、予防に関する意見交換を重ねております。  子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス、いわゆるHPVの感染が原因で罹患することが分かっております。このため、子宮頸がんの発症を防ぐには、HPVワクチンを接種することが有効であり、五〇から九〇%の割合で子宮頸がんを予防することができると考えられております。  世界保健機構(WHO)は、その有効性と安全性を確認し、十代前半に接種することを推奨しており、日本においても、一時中断していた予防接種の積極的勧奨を再開したところであります。  しかし、現在もHPVワクチン接種の動きは鈍く、ワクチンの有効性の理解が進んでいないように思えます。  国が行った接種対象者本人やその保護者への調査では、HPVワクチンを有効であると思う人の割合が四五%と低い状況です。また、同じ調査において、「将来、子宮頸がんにかかることはないと思うから」や「子宮頸がんは危険でないと思うから」という回答をした方もいます。  接種率を向上させるためには、子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解が必要です。私も娘がおりますが、若い世代の女性が正しく理解するためには、親の理解が進むことも重要だと考えております。  子宮頸がんの現状を知り、HPVワクチンの効果とリスクを正しく知った上で、接種するかどうかを本人と保護者に判断していただきたいと思っております。  そこで、本県における子宮頸がんの罹患等の状況はどのようになっているのか伺います。  また、ワクチン接種の主体である市町村の勧奨状況、ワクチン接種に向けた県の支援についてお伺いします。  次に、オンラインの活用などによる高校生の学びの継続についてお伺いします。  去る十月に文部科学省が公表した令和四年度の本県の高等学校の中途退学者は百五十四人、前年度から十人減少したと伺っておりますが、私は、数字には現れない、高等学校での学びに支障を来している生徒が多くいるのではないかと考えております。  県では、来年度から、病気加療中により特別な配慮や支援が必要な病弱中学生の進路選択に当たり、特別支援学校高等部への入学が可能になったと伺っており、病弱の生徒の進路選択の幅が広がったことは大いに評価しております。  しかし、その一方で、高等学校入学後に病気や何らかの理由で教室での授業を十分に受けられず、また、学習内容の大幅な遅れや学習へのモチベーションの低下により欠席しがちとなり、結果的に中途退学を選ぶ高校生もいるという話を聞いております。  私の地元である甲斐市の中学校では、一人一台端末を活用したオンライン授業などにより、何らかの理由で学校に行くことができなくても、学びを継続できる工夫が行われております。  新型コロナウイルス感染拡大による影響は、青春を謳歌すべき子供たちに様々な制約を与え、修学旅行や部活動、体験活動などの機会が失われました。  しかし、その一方で、学校に登校できなくてもオンライン授業などが行われたことで、学校現場のICT環境は大きく前進したと実感しております。  私は、高等学校でも、病気や何らかの理由で学校や教室に行くことができない高校生の学びを継続していくことは重要だと考えております。実際には、高等学校において対応されていると思われますが、その実情はあまり知られておりません。  そこで、何らかの理由で学校に行くことができない高校生の学びを継続するために、高等学校ではどのように対応しているのか、オンライン活用を含めてお伺いいたします。  次に、地域猫活動への支援についてお伺いします。  県では、人、動物の共生社会を実現するため、本年度から地域猫活動に対する支援事業を開始しております。この取組は、各地域における飼い主のいない猫の増加と猫による迷惑に対応するために有効な事業であり、その効果を期待しております。  一方、この活動を広げていくためには、幾つかの課題もあります。  一例を挙げますと、私の地元である甲斐市では、飼い主のいない猫を捕獲し、手術を行った後に元の場所に戻す、いわゆるTNR活動等を行っているボランティアを支援する「甲斐市キャットサポーター」という制度がありますが、このサポーターの方が地域猫活動に取り組もうと思っても、そのサポーターが個人で地元住民にその活動について理解を得ることは容易ではなく、個人の努力では限界があります。  また、地域猫活動に取り組む際には、猫の生息数を把握し、餌やり、トイレの管理に関するルールをつくることとなりますが、こうしたルールづくりに際して行政からのサポートがあれば、円滑に地域猫活動が始められると考えております。  このようなことは、甲斐市ばかりではなく、飼い主のいない猫のことで困っている他の市町村でも同じことが言えるのではないでしょうか。  さらに、地元住民の理解を得て地域猫活動を始めると、猫の排せつ物、鳴き声、臭いといった猫そのものに起因する苦情、メンバーの離脱による人材難など、新たな問題も生じてくるかもしれません。  こうしたことに対応できるよう、例えば、横浜市磯子区では、猫を擁護あるいは嫌悪する住民双方の意見を聞き取る場として、獣医師等の専門職、行政も参画した意見交換会を継続していると伺っております。  本県でも地域猫活動が各地で行われるようになれば、活動開始後に生ずる新たな問題について、動物愛護の拠点である動物愛護指導センターをはじめ、官民協働して対応が必要となるのではないでしょうか。  そこで、今後の地域猫活動への支援について、県の御所見をお伺いいたします。  次に、都市計画道路田富町敷島線の整備についてお伺いいたします。  都市計画道路田富町敷島線は、甲斐市から昭和町を経由して中央市に至る県道甲斐中央線のバイパスとして、リニア新駅や新山梨環状道路、釜無工業団地へのアクセス向上が期待される重要な道路であります。  私の地元である甲斐市内においては、これまでJR竜王駅周辺などを中心に整備が行われ、国道五十二号以北については、平成三十年度までに中下条地内の一部区間を除き完了しております。  現在、国道五十二号以南では、玉幡小学校入り口交差点までのバイパス区間において改良工事が進められているところであります。  特に、国道五十二号真福寺入り口交差点から国道二十号山県神社北交差点の区間においては、工事が相当程度進み、今年九月には国道二十号に架かる横断歩道橋の撤去工事が実施されるなど、順調に進捗していることを地元住民も実感しており、JR竜王駅周辺の混雑緩和に向け、私自身も当区間の早期供用に期待を寄せているところであります。  そこで、国道五十二号から国道二十号区間の整備状況と今後の見通しについてお伺いします。  一方、国道五十二号以北で唯一未整備となっている甲斐市中下条地内の区間は、幹線道路ではありますが、沿道には店舗や住宅が連担しているなど、生活道路としての役割も担っております。  しかし、道路幅は狭く、歩道は片側のみで連続していない箇所もあるなど、通勤通学時には、歩行者や自転車の安全性が確保できていない状況であります。  こうした状況から、県では、令和四年度に当区間を事業化したと承知しております。  今後、南側のバイパス区間が供用された場合には、交通量のさらなる増加が見込まれることから、早期整備が必要だと考えております。  そこで、甲斐市中下条地内の未整備区間における現在の状況と今後の見通しについてお伺いいたします。  最後に、下水道による内水対策について伺います。  近年、線状降水帯による顕著な大雨が発生するなど、雨の降り方が局地化・集中化・激甚化しております。  国土交通省のホームページに掲載されているデータによると、全国のアメダスより集計した時間雨量五十ミリ以上の豪雨の発生回数は、昭和五十年代では平均百七十四回だったものが、平成二十年代には平均二百三十八回となり、三十年前の一・四倍に増加しているとのことです。  このような局地化・集中化・激甚化する大雨により、全国各地で内水氾濫による浸水被害が多発しております。  令和元年には、一時間百ミリ以上の記録的な豪雨が相次いで観測された九州北部地方を中心に、佐賀県など三県で約四千戸が浸水し、また、関東地方に上陸した令和元年台風第十九号では、東日本を中心に十五都県で約三万戸が浸水するなど、内水氾濫は住民生活や社会経済活動に大きな影響を及ぼしております。  私の地元、甲斐市においては、幸いにしてここまでの大規模な被害が発生しているわけではありませんが、毎年、ゲリラ豪雨によって幾つかの地域で内水氾濫が発生しており、市議時代からも問題意識を持って取り組んでまいりました。  特に甲斐市立竜王東小学校がある富竹新田地区では、多い年には五回も六回も内水氾濫が発生し、そのたびに住民から私のところに連絡をいただき、急いで現場に向かうと、通学路である道路が通行できないほど冠水し、周辺の多くの家屋も床下浸水するなど、住民生活に大きな支障が生じており、看過できない状況でありました。  私は、この問題に対して、これまで側溝の改修や釜無川の取水口である高岩頭首工のゲートの自動化に取り組んでまいりました。  内水氾濫の対策としては、道路側溝や水路の整備、排水ポンプや調整池の設置、下水道による雨水排除とともに、これらの施設の適切な維持管理が重要であります。  しかしながら、一般的には、下水道による雨水排除について市町村の理解が進んでいない、あるいは知られていないのではないかと感じております。  県としても、市町村に対して下水道による内水対策を普及させ、市町村の内水対策が進むよう取り組むべきと考えますが、県の御所見をお伺いいたします。  以上をもちまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。心より感謝申し上げます。 42 ◯副議長清水喜美男君)伊藤毅君の質疑・質問が終わりました。  これより、当局の答弁を求めます。知事、長崎幸太郎君。       (知事 長崎幸太郎君登壇) 43 ◯知事長崎幸太郎君)伊藤議員の御質問にお答え申し上げます。  ただいまは、山梨が持つ輝く未来の可能性への御期待とともに、将来世代に対する今を生きる世代の責任として、なすべきことをなすとの御決意を示されました。会派としても人口減少対策に取り組まれ、産婦人科の医師の方々とともに研究するなどの活動をされていることに、深く敬意を表します。  人口減少の危機を克服し、明るい山梨の未来に向け、私とともに御尽力いただきますようお願い申し上げ、以下、答弁に入ります。  初めに、若者における結婚や出産などのライフプラン形成に向けた取り組みについてです。  国の令和三年出生動向基本調査によると、十代の若者の約九割が「いずれ結婚するつもり」と考えていることが明らかになっています。  しかしながら、実際には、男性・女性ともに未婚率が年々高まっていることから、若い頃に抱いていた望みを現実のものとできていない状況がうかがえます。  また、夫婦に対する調査では、理想とする子供の数と実際に予定する子供の数とに乖離があり、子育ての望みも十分かなえられていない状況も見られます。  こうした状況を解消し、県民の皆様がその人生において望む幸せを手にすることができるよう、行政としても若者に寄り添い支援する必要があります。  そのため、県では、若者が早いうちから自らのライフプランを主体的に描けるよう、啓発ツールを充実させ、支援していくこととしております。  具体的には、結婚・出産・子育てなどに若者が漠然と抱く不安を払拭するため、若者に受け入れられやすい動画や電子版冊子を作成します。このツールでは、ライフイベントごとに必要となる支出や公的支援制度などを紹介し、個々に応じたライフプランを描ける手引として編集してまいります。  特に、妊娠・出産は少子化対策の鍵であり、県では、若い世代を対象に妊娠・出産がイメージしやすいプレコンセプションケアへの取組を強化しています。  先日、大学生を対象に開催したセミナーには、想定を上回る数の学生が参加するなど、高い関心があることから、ツールの重要項目として盛り込んでまいります。  また、啓発ツールの普及を図るため、包括連携協定を締結した保険会社などと協働し、高校生や大学生向けのセミナーの開催も計画しております。  さらに、協定締結企業と連携をして、県内各地に気軽に相談できる窓口を設置し、若者の主体的なライフプラン形成をきめ細かく支援してまいります。  今後とも、県民それぞれの幸せの形を尊重しつつ、誰もが豊かな人生を送れるよう、官民の集合知を発揮しながら、積極的に取組を進めてまいります。  次に、子宮頸がんの予防についてです。  子宮頸がんは若い世代に多く、罹患率は二十歳代後半から上昇し、四十歳代がピークであり、罹患者数は毎年六十人前後となっています。また、子宮頸がんが原因で亡くなる方も、若い女性では乳がんに次いで多く、毎年十人から二十人で推移しております。  一方で、子宮頸がんは、そのほとんどがHPVへの感染が原因と考えられており、HPV感染予防にはワクチンが非常に有効であることが確認されています。  議員御指摘のとおり、ワクチンで子宮頸がんの原因の最大九割を防ぐことができるため、一人でも多くの方が接種するよう勧奨していく必要があります。  HPVワクチンの勧奨状況につきましては、昨年四月の積極的勧奨の再開を受け、県内全ての市町村で御本人への通知による個別勧奨を再開しています。その際、標準的な接種期間に当たる中学一年生の女子だけでなく、これまで個別勧奨を受けていない対象者にも、各市町村の事情に応じ、勧奨を行っています。  さらに、親世代も含めて接種への不安解消を図るため、相談窓口を設置するとともに、副反応が起きた場合に受診可能な協力医療機関を選定し、周知をしています。  このほか、県産婦人科医会と協力しながら、HPV感染予防の重要性の啓発、子宮がん検診の受診勧奨などを行い、子宮頸がんの予防に取り組んでまいります。  次に、下水道による内水対策です。  市街地に降った雨が河川などへ排水できずにあふれる内水氾濫は、一たび発生すれば、道路の冠水、住宅の浸水など、県民生活に大きな影響を及ぼします。  下水道には、生活環境の改善や河川などの水質保全を目的とした汚水対策と浸水被害の防除を目的とした雨水対策の二つの役割があります。  内水氾濫対策には、調整池や排水ポンプの設置など様々な手法がありますが、下水道による雨水排除も有効な対策の一つとなっています。  しかしながら、本県におきましては、下水道による内水対策に取り組んでいる市町村は一部に限られているのが現状です。  県としては、内水氾濫に苦慮している市町村が、この対策の有効性について理解することが重要であると考えています。  このため、本年十月には、市町村担当者に対して、雨水対策の効果や先行事例などの説明を行いましたが、内水対策の普及にはさらなる支援が必要であると考えます。  このため、下水道による内水対策に特化した協議会を立ち上げ、市町村が抱える課題や先進地から得た知見などの共有を図ってまいります。  今後、この協議会を通じまして、市町村が内水対策に取り組める環境を整えるとともに、流域治水の施策とも連携を図り、市町村の支援に取り組んでまいります。  以上をもちまして、私の答弁といたします。その他につきましては、担当の部長等からお答え申し上げます。 44 ◯副議長清水喜美男君)福祉保健部長、井上弘之君。       (福祉保健部長 井上弘之君登壇) 45 ◯福祉保健部長(井上弘之君)伊藤議員の地域猫活動への支援についての御質問にお答えします。  県では、人と動物が調和し、共生する社会を実現するための取組の一つとして、飼い主のいない猫を地域で見守る地域猫活動を推進しています。  この活動を円滑に進めるためには、地元住民の理解とボランティアの協力が必要となりますが、これには市町村の役割が非常に重要であります。  このため、地域猫活動における市町村の役割が理解されるよう、市町村担当者を対象とした研修会を昨年度から開始いたしました。  一方、地元住民・ボランティアの中には、様々な事情や考え方の相違などもあり、地域猫活動への理解と協力を得ることが困難なケースもあります。加えて、活動開始後にも、ボランティアへの苦情や地域猫が負傷した場合の対応など、様々な問題が発生する可能性が想定されます。
     このため、地元への働きかけやルールづくりなどを支援する市町村に対し、県としても、動物愛護指導センターを中心に、個別にサポートしてまいります。  さらに、地域猫が負傷し、応急的な処置を要する場合についても、動物愛護指導センターが地元の求めに応じて適切に対応してまいります。  今後とも、地域猫活動が円滑に行われるよう、関係する方々の意見を聞き、市町村と連携して課題解決に向けたきめ細かなサポートを行ってまいります。  以上でございます。 46 ◯副議長清水喜美男君)県土整備部長、椎葉秀作君。       (県土整備部長 椎葉秀作君登壇) 47 ◯県土整備部長椎葉秀作君)伊藤議員の都市計画道路田富町敷島線の整備についての御質問にお答えします。  田富町敷島線は、甲府都市圏の骨格を形成する幹線道路であり、慢性的に渋滞している県道甲斐中央線のバイパスとして重点的に整備を行ってきております。  現在、甲斐市富竹新田地内の国道五十二号と国道二十号を結ぶバイパス区間や、未整備である甲斐市中下条地内の拡幅区間などにおいて事業を進めております。  このうち、富竹新田地内のバイパス区間につきましては、国道二十号との交差点を除き、完成しております。交差点につきましても、順次工事を進めており、撤去した横断歩道橋の再設置工事が終わった後、今月二十二日には供用を開始することとしております。  次に、中下条地内の未整備区間につきましては、現在、用地測量や物件調査を行っているところであり、来年度から用地取得に着手する予定でおります。  引き続き、地元の皆様の協力を得ながら、用地取得を進め、早期の工事着手を目指してまいります。  以上でございます。 48 ◯副議長清水喜美男君)教育長、降籏友宏君。       (教育長 降籏友宏君登壇) 49 ◯教育長降籏友宏君)伊藤議員のオンラインの活用などによる高校生の学びの継続についての御質問にお答え申し上げます。  様々な理由で登校できない高校生に学業の遅れや進路選択上の不利益が生じないよう、学びの機会を確保していくことは非常に重要であります。  このため、各学校では、授業を受けることが難しい生徒に対して、学びをやめないための様々な取組を行っているところです。  例えば、教室に入ることができない生徒に対しましては、個別に別室で学ぶ機会を確保するだけでなく、教室の授業をリアルタイムで配信するなどの対応を行っております。  また、登校できない生徒に対しましては、郵送やICTでの教材配布のみならず、オンラインを用いて日常的につながりながら学校との関わりを維持しております。  さらに、病気などにより入院中の生徒に対しましても、病状や治療の状況に応じて、実際の授業や録画した授業をオンラインで配信するなどの配慮を行っております。  現在、高等学校におきましては、このような実例を積み上げながら、様々な理由で登校できない生徒が学びを継続していくための環境を確保しているところです。  今後も、オンラインなどのICTも積極的に活用しながら、登校ができない生徒一人一人の状況に応じた学びを提供し、子供の可能性を広げてまいります。  以上でございます。 50 ◯副議長清水喜美男君)当局の答弁が終わりました。  伊藤毅君に申し上げます。再質問はありませんか。 51 ◯伊藤 毅君 ありません。 52 ◯副議長清水喜美男君)これより、伊藤毅君の一般質問に対する関連質問に入ります。  関連質問はありますか。       (「なし」と呼ぶ者あり) 53 ◯副議長清水喜美男君)関連質問を打ち切ります。  これをもって、伊藤毅君の一般質問を打ち切ります。  以上で、本日の日程は全部終了いたしました。  明十二月八日、午前十一時、会議を開き、一般質問を行います。  本日はこれをもって散会いたします。                                          午後三時五十九分散会 発言が指定されていません。 Copyright © Yamanashi Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...