山梨県議会 2023-02-01
令和5年2月定例会(第3号) 本文
議員として、地域の期待に応えられているかな。執行部に対して、地元の切実な声を伝え切れているかなと。
これらをはかる指標となったのが、鏡となっていただいた県民の皆様であり、この場をお借りして、心より感謝申し上げます。
私は、富士北麓地域から選出された議員の一人として、世界の宝とも言うべきこの地域が、そのポテンシャルを発揮し、山梨の発展を力強く牽引していく姿を実現したいと願っております。
そのために、一つでも多くの目に見える貢献を果たしていくという固い決意のもと、全力を尽くしていくことをお誓い申し上げ、以下、質問に入ります。
初めに、富士五湖自然首都圏フォーラムについてであります。
県は昨年十二月、富士五湖自然首都圏フォーラムを設立されました。富士山の世界文化遺産登録十周年を契機に、富士五湖地域を新たな時代に求められる自然首都圏へと発展させるための組織体であり、その目標の壮大さや先見性には大いに感銘を受けたところであります。
自然首都圏のために、当面の活動分野として、首都圏と富士五湖地域を結ぶ移動・交通、また、富士五湖圏内での移動・交通を、環境に優しい手段へとシフトしていく富士五湖グリーンモビリティ。
富士五湖地域を最高の芸術や音楽を楽しめる場へ、また、全国から若手の芸術家や音楽家が集まり、多様な作品をつくり、技術を磨き、世界に飛躍する場へと発展させていくアートシティ富士五湖。
そして、学問、芸術、文化、スポーツの中心的な場として、国際的な教育機関や首都圏のさまざまな事業者との連携を深めていく富士五湖アカデメイアなどの考えが示されております。
この自然首都圏の構想は、国内最高の観光リゾート地と最先端の首都圏機能を融合した世界に類を見ない先進的地域を創出しようとするものであり、富士五湖地域の高付加価値のみならず、山梨全体の価値の向上と飛躍的な発展にもつながると考えます。
フォーラムの最高顧問には、ノーベル賞を受賞された大村智先生、世界的な建築家である隈研吾先生、前参議院議長の山東昭子先生が就任されました。
我が国を代表するような著名な方々の参画をいただくことで、国を動かす大きなムーブメントが巻き起こり、ナショナルプロジェクトへの発展にもつながるものではないかと、大いに期待するものであります。
自然首都圏の構想が実現し、富士五湖地域が進化を遂げた姿を想像いたしますと心が躍りますが、構想のままとどめていては意味がなく、その実現に向けた取り組みを着実に進めていくことが求められております。
そこで、今後の富士五湖自然首都圏フォーラムの活動をどのように進めていくか、所見を伺います。
次に、やまなしグリーン・ゾーンプレミアム認証制度の国際的ブランド力の向上についてであります。
今般、県が公表した宿泊旅行統計調査によると、昨年一年間における県内の延べ宿泊者数は約七百十五万人であり、前年の約一・五倍に増加しました。
また、直近の状況から見ますと、昨年十二月に県内で宿泊した日本人の延べ人数は約五十八万九千人と、新型コロナウイルスが流行する前の令和元年十二月と比べ、約三六%の増加となりました。この伸び率は、堂々の全国一位とのことであります。
それというのも、山梨県においては、グリーン・ゾーン認証制度の普及によって、安全・安心な観光地として評価を高めてきたことに加え、教育旅行支援などにも積極的に取り組み、国内の旅行者の需要を取り込めたことによるところが大きく、まさに認証制度のたまものと言ってよいと思います。
一方、同じ昨年十二月の外国人宿泊者については、延べ七万五千人となり、前年の千九百人から大幅にふえはしましたが、三年前の半分程度の水準にとどまっており、いまだ回復途上にあります。
私の地元、富士北麓地域でも、外国人観光客の姿が多く見られるようになりましたが、本格的な回復の見通しについては、ゼロコロナ対策を緩和した中国からの観光客の戻り方に大きく左右されると考えます。
私は、感染状況が厳しい中国だからこそ「せめて旅行中はコロナを心配することなく安心して滞在したい」というニーズが、相当程度存在するのではないかと考えております。
特に、安全・安心の価値に対価を支払うことをちゅうちょしない富裕層を、本県に取り込むチャンスが訪れているのではないでしょうか。まさに、本県がいち早く取り組んできたワンランク上の認証制度であるグリーン・ゾーンプレミアム認証が、その効果を発揮すべきときであると思います。
しかしながら、現時点では、グリーン・ゾーンプレミアム認証施設は六施設にとどまっており、旅行先に山梨県を選んでいただくためのアドバンテージとしては、やや物足りなさを感じざるを得ません。
そこで、グリーン・ゾーンプレミアム認証制度の国際的ブランド力を、さらに海外へも押し広げていくため、今後、この制度をどのように推進していくのか、県の所見を伺います。
次に、北富士演習場使用協定についてであります。
北富士演習場使用協定は、来る三月三十一日、第十次使用協定の期間満了を迎えます。
昨年十二月二十七日には、防衛省地方協力局長から、知事を初め、北富士演習場対策協議会会長や地元の市長、村長、富士吉田市外二カ村恩賜県有財産保護組合長に対し、協定更新の申し入れがなされたところであります。
昭和四十八年に第一次使用協定が結ばれて以来、本年でちょうど五十年、半世紀が経過しようとする節目の年に当たります。
私も、この長い使用協定締結の歴史の中で、地元選出の県議として、令和元年八月から現在まで北富士演習場対策協議会の理事を務め、このたびの協定期間満了に係る対応など、演習場をめぐる諸課題の解決に、微力ながら力を尽くしてきたところであります。
さて、我が国を取り巻く安全保障環境を見れば、中国による活発な海洋進出と台湾をめぐる問題、北朝鮮によるたび重なるミサイル発射に加え、ロシアのウクライナ侵攻など、国際情勢の不安定化は著しく、極めて厳しい状況と考えざるを得ません。
こうした中、我が国の防衛上、北富士演習場の重要性は一段と増しているものと認識しておりますが、その一方で、周辺住民の立場に立てば、演習場の存在が日常生活を送る上で大きな負担であり続けていることは言うまでもありません。
住民生活への影響に対する改善が図られるよう、県、地元の市村や恩賜林組合で意見集約された要望書を北富士演習場対策協議会において、去る二月二十四日に、国に対し提出したと伺っております。
国においては、こうした地元の要望を踏まえ、民生安定や障害防止などの事業が積極的に採択され、地元の負担軽減につながることを切望する次第であります。演習場の安定的な使用には、何より地元の協力が不可欠であり、地元の要望に真摯に応えるべきであると考えます。
そこで、知事は、今般の国からの協定更新の申し入れに対し、どのように対応されるのか伺います。
次に、障害のある方の就労支援について、幾つか伺います。
初めに、障害のある方の雇用促進についてであります。
私は、障害のある方が働くさまざまな現場に足を運び、その生き生きと働く姿に感動し、そして勇気づけられてまいりました。
障害のある方の多くが職を得て、同僚とともに地域社会を支え、自分自身の役割と価値を実感していただけるようになること、これが私の願いであり、障害のあるお子さんを育ててきた御家族の願いでもあります。この願いを現実のものとするため、県議会議員に就任以来、私は質問を重ねてまいりました。
共生社会の実現に向けた多くの皆様の取り組みによりまして、少しずつ障害のある方への理解が深まり、本県の民間企業が雇用する障害者の数は、近年、過去最高を更新し続けております。
しかし、法定雇用率を達成している企業の割合は、これまででも最も高い昨年でも、五八・六%にとどまっております。また、三年以内に法定雇用率が、現在の二・三%から二・七%に引き上げられる方向とも聞いております。
そこで、県では、今後、障害のある方の雇用促進に向けて、どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
次に、農福連携のさらなる推進についてであります。
県では、障害のある方が地域で自立した生活を送れるよう、就労を通じた社会参加を実現し、工賃水準の向上により経済的基盤を確保するため、農福連携や産福連携の取り組みを進めていると承知しております。
特に農業は簡易な作業も多く、障害のある方が参入しやすい特徴があります。また、屋外に出て土に触れることが、精神的な安定をもたらす効果もあると聞いております。
このため、農福連携の進展は、障害のある方へのメリットに加えて、担い手不足や高齢化が進む農業分野での新たな働き手の確保にもつながるものと考えます。
農業福祉連携、農福連携の取り組みは年々広がりを見せており、各施設の努力や商品開発を支援するアドバイザーの助言により、農産物を加工した魅力ある農福連携商品が次々と生み出されております。
私の地元、富士河口湖町の障害者福祉サービス事業所パルパルでは、地域で栽培されたブルーベリーの収穫や新しい地場産品としてシフォンケーキづくりを行っております。お客様からは大変な好評を得ており、障害のある方は、自身の仕事にやりがいを感じながら作業にいそしんでいると伺っております。
私はかねてより、障害のある方に働くことの喜びや社会から求められているという実感を得ていただきたいと考えてまいりました。農業福祉連携、農福連携は、その実現のための有効な施策であり、今後とも県には積極的な取り組みを期待するものであります。
その一方で、農福連携に対する県民全体の認知度は、まだまだ高いとは言えず、農福連携商品の販売機会も必ずしも多くないといった課題もあると感じております。
そのため、農福連携について、さらに理解促進を図り、商品の販売機会を確保する取り組みを強化していく必要があると考えます。
そこで、県では、農福連携の推進にどのように取り組んでいるのか伺います。
次に、ヤングケアラーへの支援についてであります。
急速な少子化の進行、家庭や地域の子育て力の低下を背景に、子供を取り巻く環境が大きく変化する中で、経済的な問題や地域における人間関係に不安や悩みを抱える家庭が増加しております。
県内では、こうした貧困や孤立などの困難を抱える家庭を支えるため、行政はもとより、NPOなどの支援団体が、食事や生活必需品を提供する活動が広まりつつあります。
しかし、地域には、困難を抱えながら支援の手が届いていない家庭が、いまだ存在しております。
ヤングケアラーは、家庭内にデリケートな問題を抱えているケースも多く、また、本人や家族に自覚がない場合もあり、表面化しにくいという特徴があります。
しかし、ヤングケアラーの家庭内における責任や負担の重さが、学業や友人関係などに影響を及ぼしてしまうため、早期に発見しニーズに即した支援につなげていくことが求められております。
そのためには、周囲の大人がヤングケアラーに対する正しい知識を身につけ、まずは、その存在に気づくことが大切です。当事者の視点に立ち、本人や家族が安心して相談でき、支援を受け入れやすい取り組みを実践することが必要と考えます。
県は、児童・生徒や保護者などを対象とした実態調査に加え、ヤングケアラーの早期発見や関係機関が連携した支援を推進するためのガイドラインの策定に取り組むとともに、昨年十二月には全国に先駆け、ヤングケアラーに特化した支援計画を策定いたしました。
本来は大人が担うべき家事や家族の介護、日常的に行っているヤングケアラーが、友人関係や学校生活を楽しみ、子供らしく生きることができるよう、また、進学や就職の夢を諦めることがないよう支援すべきであり、私も今後の取り組みに期待を寄せているところであります。
そこで、ヤングケアラーの支援について、現在の取り組み状況とあわせ、支援計画に基づき、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
次に、地球温暖化対策実行計画についてであります。
国は、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする二〇五〇年カーボンニュートラルを表明し、国と地方の協働・共創を進めるため、国・地方脱炭素実現会議を設置するとともに、地域が主役となる脱炭素の実現を目指して、地域脱炭素ロードマップを策定いたしました。
このロードマップの鍵となるメッセージは「地方からはじまる、次の時代への移行戦略」であります。つまり、地球温暖化対策を地域の魅力と質を向上させる地方創生に資する取り組みと位置づけ、脱炭素を地域の成長戦略として、地方が主体的に取り組む必要性を説いている点に大きな意義があります。
今や、あらゆる政策分野において、脱炭素を主要課題の一つとして位置づけ、地域それぞれが脱炭素の観点から、地域の未来像を描くことが求められております。
こうした中、長崎知事は、さきに公表された政策集において、環境を守り抜くためには、その姿勢は受け身ではなく、積極果敢なものであるべきとの基本的な考え方のもとに、新たな地球温暖化対策実行計画に基づき、二〇三〇年度までに温室効果ガス排出量を四六%以上削減することを目指すと約束されました。
一方で、脱炭素に向けては、再生可能エネルギーの最大限の導入が不可欠となりますが、本県においては、令和三年七月に太陽光発電施設の適正化条例を制定し、森林等地域の設置を原則禁止とする強い措置を講じたところであります。
二〇五〇年カーボンニュートラルの実現は、容易なことではありません。この大きな目標に向かって、県民、事業者、市町村等が着実に取り組みを進められるよう、県がしっかりとした道しるべを示す必要があると私は考えます。
そこで質問いたします。現在、県は新たな地球温暖化対策実行計画の作成に向けて、鋭意検討を進めているものと承知していますが、この計画の内容と取り組み方針について伺います。
次に、水素・燃料電池関連産業の集積に向けた取り組みについてであります。
近年、二酸化炭素の排出による地球温暖化と、それが引き起こす異常気象が深刻となる中、化石燃料にかわる新たなエネルギーとして期待されているのが水素であります。
水素は、発電させて燃料電池自動車に使われたり、直接燃焼させて工場のボイラーに利用されたりするなど、幅広く活用することができます。
また、ロシアによるウクライナ侵攻により、エネルギーの安全保障の重要性が再認識される中、化石燃料に頼らずとも、安定的に生成が可能である点からも注目されております。
現在、主要国では、グリーントランスフォーメーション、いわゆるGXに向けて、排出量取引制度や大規模な投資支援策を打ち出していますが、こうした中、我が国においても、脱炭素社会の実現に向けた政策支援の裏づけとなるGX推進法案が今国会に提出され、官民のGX投資を強力に進める体制が整えられつつあります。
中でも、脱炭素燃料である水素、アンモニアは、大規模なサプライチェーンの構築に向けて、今後十年間で七兆円の投資が見込まれるなど、商用化に向けた動きが加速します。
一大市場が形成される今こそ、水素・燃料電池分野において、山梨県本県が培ってきた成果やポテンシャルを生かし、本県産業のさらなる成長を図っていく好機であると思います。
水素・燃料電池関連の研究開発拠点が集積されている山梨県の強みは、他の自治体が望んでも得られないものであり、その利点を実際の富の創出に生かすべく、取り組みの深化を図るべきと考えます。
我が日本のGXを先導する自治体として、県内の関連技術の先駆性・優位性をしっかり確保しながら、他の模倣や追随を許さない形での強靱な産業化を期待しているところであります。
そこで、本産業の集積に向けてどのように取り組みを進めていくのか、県の所見を伺います。
次に、家畜伝染病の防疫対策についてであります。
鳥インフルエンザについては、既に国内の七十八の養鶏場において感染が確認され、最も多かった令和二年度の約一・六倍に当たる約一千五百七十万羽の鶏が殺処分されております。
今年度は、例年より一カ月以上早い昨年九月に、野鳥での鳥インフルエンザの感染が確認され、また、これまで一度も発生がなかった地域でも確認されるなど、全国で猛威を振るっております。
また、豚熱は、隣接する静岡県において、野生のイノシシで散発的に発生が確認され、依然として予断を許さない状況にあります。
こうしたことを踏まえると、環境中にウイルスが存在していると考えられるため、養鶏農家や養豚農家は気の休まらない日々を過ごしていると聞いております。
本県におきましては、これまで鳥インフルエンザは発生していないものの、豚熱は三農場で発生し、約五千二百頭の豚が殺処分されました。
ひとたび特定家畜伝染病が発生しますと、飼養している家畜は全て殺処分され、国の損失補填を受けても、畜産農家は甚大な被害を受けることになります。
このため、切迫度が高まっている家畜伝染病に対する防疫対策の徹底や、万が一、発生した場合には、感染を拡大させないための早急な防疫措置が重要であると考えますが、県ではどのような取り組みを行っていくのか、まず伺います。
また、発生した農場の中には、経営の継続を断念した農場もあると聞いておりますが、本県畜産業の維持・発展のためには、経営再建が不可欠であります。
そこで、山梨県では、発生農場の経営再建に向けてどのように支援していくのか、あわせて伺います。
次に、県東部地域における幹線道路の強靱化についてであります。
令和元年台風十九号により、本県と東京都や神奈川県との都県境において、主要な交通手段である鉄道と道路が同時に被災し、約一週間にわたって交通が寸断し、県民の生活、物流、観光、医療などの分野で、深刻な影響を受けました。
さらに、近い将来、富士山噴火や南海トラフ地震などの大規模災害は必ず起きると言われており、これらに備えるためにも、交通の強靱化は大変重要であります。
私はこれまで、自動車交通への依存度が高い山梨県本県においては、東西の交通軸である中央自動車道と国道二十号が寸断された場合にも、これを補完できる交通軸として、国道四百十三号及び県道都留道志線の強靱化を進めるべきであると考えており、県議会においても、機会があるたびに訴えてまいりました。
また、令和元年の教訓を踏まえ、国や沿線都県市、交通事業者で構成する東京─山梨・長野交通強靱化プロジェクトにおいても、道路の機能強化の取り組みを継続することとされております。
昨年二月議会において、国道四百十三号及び県道都留道志線について質問したところ、まず、国道四百十三号については、道志村の野原から月夜野間で道志バイパスの整備を進めており、令和四年度からはトンネル工事に着手するとの答弁を知事からいただきました。
現在、国道四百十三号のバイパス整備区間では、道路の、のり面工事や橋梁工事などが進んでいる様子がうかがわれ、早期開通に対する地元の期待も膨らんでいるところであります。
また、県道都留道志線については、新たなトンネルを整備するため、道路の概略ルートの測量や調査を進めているとの答弁でありました。
険しい山あいを縫うように走っている県道都留道志線は、急勾配に加え、カーブが幾重にも折り重なり、大型車両の通行に支障を来しております。この路線も、国道四百十三号と同様、緊急輸送道路に指定されておりますが、土砂が道路に押し出されるなどの危険性があり、大雨による異常気象時には、事前通行どめも行われております。
都留市と道志村を結ぶ新たなトンネルは、通勤・通学などの行き交う両地域の住民に安全や安心をもたらすものであり、この早期整備は地域にとって長年の悲願でもありました。
地質が脆弱な県東部地域にとって、災害時の代替路となる幹線道路の強靱化は、優先的に取り組まねばならない重要な課題であると考えております。
そこで、国道四百十三号及び県道都留道志線の整備状況と、今後の取り組みについて伺います。
次に、富士五湖の環境対策についてであります。
富士の麓に広がる富士五湖は、平成二十五年に富士山・信仰の対象と芸術の源泉として、世界文化遺産に登録されました。
世界を代表する景勝地を形成し、本県の貴重な地域資源であり、観光客を魅了する観光資源となっております。
風光明媚な大自然に囲まれ、春の桜や秋の紅葉など、年間を通じて美しい景観を眺望することができ、また、桜祭りやハーブフェスティバル、花火大会など、さまざまなイベントも開催され、毎年、国内外から数多くの観光客が訪れる、地域に不可欠な財産であります。
この地域をさらに上質な空間にグレードアップし、高付加価値型の観光地域をつくり出すためにも、まずは現在の良好な自然環境や水質がしっかり保全され、美しく清らかな存在として認知され続けることが必要と考えます。
こうした中、河口湖においては、湖畔の住民から、ヨシの繁茂などを原因とするにおいや景観の悪化が指摘されており、地域資源として価値が損なわれかねない状況が続いております。
この問題について、私はこれまでも、たびたび取り上げてきましたが、一朝一夕に改善を図ることは、なかなか困難であり、継続性が大事と認識しているため、本会議においても再び質問させていただきます。
現在、河口湖では、八木崎公園付近の環境改善策を検討するために協議会が設置され、地元の関係者の御協力のもと、議論が重ねられていることは承知しております。今まで課題となっていた湖畔の環境改善について、検討が進められていることは喜ばしいことであります。
しかしながら、湖畔には多くの植物や生物が生息し、希少種も見受けられ、また、魚類の産卵場としても大事な役割を果たしていることから、生態系に十分配慮した慎重な対策が必要と考えられます。
これらの課題を踏まえ、官民が力を合わせ、環境改善につながる取り組みが継続して実施されることにより、住民に喜ばれる良好な湖畔環境が創造されることを期待しております。
そこで、河口湖畔における環境対策の取り組みについて伺います。
最後に、少人数教育の推進に当たっての教員の確保についてであります。
昨年十二月に、少人数教育推進検討委員会が提出した報告書では、全国に先駆けて小学校一年生・二年生に導入した二十五人学級の効果検証による評価とともに、今後の少人数教育推進の方向性が示されました。
そして、この内容を踏まえ、長崎知事は二十五人学級を小学校三年生・四年生に拡大することを表明されました。
山梨の将来を担う子供たちの可能性を開くために、児童一人一人へのきめ細く質の高い教育は重要であり、私は、このたびの知事の英断を高く評価するとともに、今後の少人数教育の推進に大きく期待しているところであります。
一方、学校現場の先生方の話を伺うと、小規模校では教員の数が少ない中で、学校の業務を分担しております。
また、学級ごとの児童の数が少ないとはいえ、何らかの支援が必要な児童がいる場合、教員には、さらにきめ細かな対応が求められております。
加えて、複式学級では、一人の教員が二つの学年の授業を担っており、授業の準備に時間がかかっているという現状も聞かれます。
二十五人学級の拡大による充実した教育環境の整備は、極めて優れた取り組みであると承知しておりますが、このような現状にも目を向けながら、少人数教育を推進していただきたいと思います。
私はこれまで少人数教育の推進に当たっては、人材の確保が重要であることを、この議会の場で指摘してまいりました。
しかし、山梨県が今年度実施した教員採用選考検査の採用倍率は、全体で二・八倍、中でも小学校は一・七倍と、過去最低となったことが地元新聞でも報じられるなど、大変厳しい状況となっております。
また、今後数年のうちに経験豊かな教員の多くが定年を迎え、現場の一線を退いていくことが見込まれており、このような観点からも、教員の確保が非常に重要であります。教員の確保は、我が国全体の深刻な課題でもあり、山梨県だけの問題ではないと承知していますが、特に本県においては、少人数教育を推進する観点からも、教員の確保が重要課題となっております。
そこで、県では教員の確保について、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
3
◯議長(
久保田松幸君)流石
恭史君の質疑・質問が終わりました。
これより、当局の答弁を求めます。知事、
長崎幸太郎君。
(知事
長崎幸太郎君登壇)
4
◯知事(
長崎幸太郎君)流石議員の御質問にお答え申し上げます。
ただいまは自由民主党新緑の会を代表され、県政各般にわたり御質問をいただきました。
私のこれまでの県政運営に対する高い御評価とともに、二期目の県政に向けての大変熱い激励のお言葉を賜り、心から感謝申し上げます。
地域住民の声を四つ目の鏡として、御自身の議員活動のよすがとしながら、豊富な資源を誇る富士北麓地域のさらなる発展に向け、全身全霊を注いでおられる流石議員の政治姿勢と行動力に、深い敬意を表する次第でございます。
私も、富士北麓地域を初め、山梨県全体を可能性が開かれた開の国へと発展させるべく、今後とも全力を傾注して取り組んでまいりますので、一層の御支援、御協力をぜひともよろしくお願いいたします。
初めに、富士五湖自然首都圏フォーラムについてであります。
このフォーラムは、多様な主体に御参画をいただき、富士五湖地域を新たな時代に求められる自然首都圏へと発展させるための協働組織体であります。
取り組む分野は、文化芸術・産業・環境・国際交流など多岐にわたるため、さまざまな分野の主体に御参画いただき、取り組みを進めていくことが必要となります。
このため、私自身が培ってまいりました人間関係を最大限生かすとともに、フォーラムの最高顧問に御就任いただきました大村智先生、隈研吾先生、山東昭子先生、また、代表代行で県の顧問をしていただいております田坂広志先生の御協力もいただきながら、幅広い分野の主体に参画を呼びかけてまいります。
地元市町村との連携も不可欠であります。過日、富士五湖地域の市町村長や恩賜県有財産保護組合長にフォーラムの趣旨を説明させていただいたところ、全ての方々から御賛同いただき、今後は、市町村などと協働した取り組みを強力に進めてまいります。
先月には、富士通株式会社とフォーラムへの参画を含む包括連携協定を締結し、富士五湖地域でのワーケーションの推進などを通じ、自然首都圏の実現に御協力いただけることとなっております。
このほか、複数の方々からお問合せをいただいており、中には、具体的な参画内容の調整を進めているものもあり、フォーラムの活動が着実に進みつつあると実感しております。
今後は、具体化した取り組みを専用ウエブサイトや首都圏のメディアなどを通じまして国内外へと情報発信し、興味を持っていただいた主体がフォーラムに参画していただくような相乗効果を発揮させながら、活発な活動につなげていきたいと考えております。
次に、北富士演習場使用協定についてです。
北富士演習場対策につきましては、演習場の安定的使用と周辺地域発展の両立を目指し、これまで諸課題の解決に取り組んでまいりました。
こうした中、昨年末、国から我が国を取り巻く安全保障環境に鑑み、北富士演習場を来年度以降も引き続き使用したいとの申し入れがありました。これに対しまして、先日、北富士演習場対策協議会を通じ、県及び地元の意向を取りまとめた七十三項目に及ぶ要望書を国へ提出したところです。
演習場を安定的に使用していくためには、国が地元の要望に責任を持って対応していくことが何よりも重要であると考えます。
県としましては、地元の要望が実現されるよう、国へ強く働きかけるとともに、国からの補助金を活用し、洪水・用水対策や砂防対策などの事業を推進してまいります。
今後は、今月中旬に予定される、地元要望に対する国からの回答内容を踏まえ、北富士演習場対策協議会を初め、県議会及び地元市町村などとともに、協定更新に係る対応を進めてまいります。
次に、ヤングケアラーへの支援についてです。
ヤングケアラーにつきましては、みずからの将来の可能性を狭めることのないよう、早期に発見し、適切な支援につなげることが何より重要であります。
そのため、本人の自覚はもとより、周囲の理解につながる社会的認知度の向上や関係機関が連携した支援体制の整備を強力に進めてまいりました。
社会的認知の向上におきましては、県内の子供たちに啓発カードを配布するとともに、ヤングケアラーをテーマにした動画配信やSNSを活用した情報発信を積極的に行ってきたところです。
先月、参加者と支援のあり方を考えるトークライブを開催したところ、多くの県民が集まるなど、ヤングケアラーへの理解は着実に広がりを見せています。
また、支援体制の整備に当たりましては、介護や福祉・医療・教育などの支援者からなるネットワーク会議において、分野横断的な連携を図り、専門的見地からの意見を取り組みに反映させてまいりました。
現在、支援の中核を担う専門人材を育成するとともに、ヤングケアラーの経験を持つ有識者をアドバイザーに招聘し、地域の支援体制の構築に集中的に取り組んでいるところです。
さらに、日常的に介護や家事に追われるヤングケアラーが、子供の本来あるべき生活を取り戻すためには、直面する負担を軽減することが不可欠です。このため、今般策定いたしました計画では、本人への支援の充実を掲げ、まずは子供が安心して自分の時間を確保できるよう、来年度、家事支援サービスを提供するモデル事業を行ってまいります。
子供の成長は早く、迅速な支援が求められており、支援の手が行き届かないことにより、その子の将来の夢や希望を諦めさせてしまうことは断じてあってはならないものと考えております。
今後も、ヤングケアラーとその御家族の意思を尊重しながら、さまざまな面からサポートできる体制をつくり、切れ目のない重層的な支援を行ってまいります。
次に、新たな地球温暖化対策実行計画についてです。
本県では、全国に先駆けて「CO2ゼロやまなし」を宣言し、積極的に温暖化対策に取り組んでまいりました。
新たな実行計画におきましては、これまでの取り組みの成果や国の目標を踏まえ、二〇三〇年度の温室効果ガスを二〇一三年度比で五〇%削減することを目標といたします。
この目標達成に向け、地域資源を最大限活用し、あらゆる主体の積極的な関与を促しつつ取り組むことで、単なる脱炭素だけではなく、本県のブランド価値の向上や成長力強化を目指してまいります。
具体的には、住宅や工場などの屋根置き太陽光発電を今後の再エネ導入の柱として位置づけ、課題である初期投資の低減を図りながら、設置の拡大を図ってまいります。
また、こうした自前の電力を最大限に活用し、非常時の電源確保や昨今のエネルギー価格高騰への対応力を高めるため、蓄電池の導入や省エネ機器への切りかえを促進してまいります。
また、本県の豊かな森林資源や水資源を活用し、木質バイオマスや小水力発電など再エネの導入を拡大するとともに、計画的な森林整備などによる吸収源対策を進めてまいります。
加えて、世界最先端の技術として、国内外から大きな注目を集めておりますP2Gシステムの取り組みを強化し、県内での水素利活用やシステムの国内外への展開を加速させ、地域産業の活性化につなげてまいります。
また、災害時にも活用可能な電気自動車などの普及と、充電インフラの充実を図るとともに、県みずからも県有施設への太陽光発電設備の設置、照明のLED化などに率先して取り組んでまいります。
今後は、パブリックコメントの結果や県議会、市町村などの御意見を反映した上で、年度内に計画を策定し、着実に取り組みを進めてまいります。
次に、水素・燃料電池関連産業の集積に向けた取り組みについてです。
本県は、水素・燃料電池に関する研究開発拠点が集積する優位性を生かし、全国に先駆けて、技術人材の育成や研究開発支援に取り組んできました。
県みずからもP2Gシステムの開発・普及に取り組み、今やグリーン水素の製造といえば山梨と言われるまで、国内外から注目を集めるようになってまいりました。
常に挑戦を続ける本県におきましては、カーボンニュートラルのキーテクノロジーであります水素・燃料電池の技術開発において、トップランナーとして走り始めております。
この春には、米倉山に、いよいよFC─Cubicが移転するほか、関連分野の先端企業が集まり、本県は名実ともに技術開発の最大級の拠点となってまいります。
政府がGXを強力に推進する今、技術で先行する本県のポテンシャルを生かしていくためには、みずから市場の創造やルール形成に積極的に関与することが重要であります。
そこで、水素社会のあるべき姿、また、そこに導くための制度改正案を県みずから作成し、近く国に対して提言を行うこととしております。また、県内企業が今後拡大していくサプライチェーンに参入を果たし、事業拡大ができるよう、専門的できめ細やかな伴走支援を行ってまいります。
これらの取り組みによりまして、本県の関連産業の発展とともに、一日も早い水素社会の実現に向け、我が国のGXを牽引してまいります。
次に、県東部地域における幹線道路の強靱化についてです。
県東部地域を走る中央道や国道二十号は、首都圏とつながる大動脈であり、令和元年東日本台風を契機に、県では関係機関と連携し、交通強靱化プロジェクトを立ち上げ、取り組みを進めているところであります。
本プロジェクトにおきましては、国道四百十三号と県道都留道志線を災害時における国道二十号の代替ルートとして位置づけていることから、両路線の整備は必要不可欠と考えております。
まず、国道四百十三号におきましては、道志村野原から月夜野までの約二キロメートルのバイパス事業に着手しており、これまでにトンネル工事に必要な残土処理場の整備や橋梁工事を行ってまいりました。
現在、野原側において、一号トンネル工事の進入路となる部分の道路改良工事を進めており、来年度からトンネル本体の掘削工事に取りかかる予定です。
また、県道都留道志線におきましては、これまで事前通行規制区間の解除に向けて、現道の防災対策を順次進めており、残る一カ所につきましては、来年度から工事を実施してまいります。
さらに、急峻な峠区間を回避するため、抜本的な対策として、昨年度から新たなトンネルを含む道路計画の検討に着手し、これまで測量・調査を行ってきました。
現在、ルートや道路構造について検討を進めており、来年度の早い時期に具体的な道路計画について、地元の皆様にお示しする予定であります。
県としては引き続き、県東部地域における幹線道路の強靱化を図り、信頼性の高い道路ネットワーク整備に取り組んでまいります。
最後に、少人数教育の推進に当たっての教員の確保についてです。
議員御指摘のとおり、二十五人学級による少人数教育を推進していく上で、教員の確保は非常に重要であり、奨学金返還の支援などのこれまでの取り組みに加えまして、さらなる対策を講じていくことが必要であります。
このため県では、山梨から遠方に在住の方にも、本県の教員選考検査を受検してもらえるよう、来年度から小学校教員の一次検査の受検会場を、東京都心部にも設けてまいります。
また、任期が限定されている教員は、正規で採用された教員と同様の業務を行っていますが、経験年数に応じた給料の加算に上限があることから、低額な給料設定となっている場合がありました。
このため、来年度から経験年数の加算上限を、現在の八年から十五年に引き上げる給与制度の見直しを行うことといたしました。これは、正規教員であれば、おおむね十五年の経験を積んでから、学年主任などの高度で困難な業務を担うこととなりますが、それまでの間は、正規・非正規の職責に違いはないとの考えによるものです。
私といたしましては、長く経験を積んだ非正規教員の皆さんが正規教員となり、中核的な立場として活躍されることを期待するものであり、そのためのサポートをしっかりと実施してまいります。
この見直しによりまして、非正規の職員約八百人のうち、およそ半分の四百人程度の処遇が、正規の職員並みに改善されることとなります。
こうした処遇改善策により、教員が安心して働ける環境整備を進め、教員の確保につなげてまいります。
さらに、教員となる人材を掘り起こすために、教員免許を持っているものの、現在は教職についていない、いわゆるペーパーティーチャーを対象に、教職の魅力などを紹介する研修会を実施しております。
一方、来年度からの定年延長に伴い、六十歳を超える教員が、引き続き高い意欲を持って働けるよう、これまで培った経験を最大限発揮できる新たな職を検討しているところです。
ここ山梨では、誰一人取り残されることなく、子供の可能性があふれるふるさとであってほしい。そのような観点から、子供の可能性を最大限伸ばしていくために、少人数教育の推進が必要であり、そして、その少人数教育を推進していくために、今後も教員の確保にしっかりと取り組んでまいります。
以上をもちまして、私の答弁といたします。その他につきまして、担当の部長からお答え申し上げます。
5
◯議長(
久保田松幸君)福祉保健部長、
成島春仁君。
(福祉保健部長
成島春仁君登壇)
6
◯福祉保健部長(
成島春仁君)流石議員の農福連携のさらなる推進についての御質問にお答えします。
近年、多くの障害施設において、地元の食材や無添加にこだわった焼き菓子やドレッシングなど、創意工夫を凝らした魅力ある農福連携商品がつくられております。
このため、県では、ロゴマークによる認知度向上に加え、農福マルシェの開催、ネット販売への参入支援による販売機会の拡大に取り組んでまいりました。
本年度からは新たに、実際の作業風景や魅力ある商品を紹介した動画をSNSや販売会で上映し、農福連携に対する理解促進を図っております。
また、昨年九月からは、昭和町の大型商業施設と富士河口湖町の観光施設に専用自動販売機を設置し、農福連携商品を気軽に購入できるような取り組みを始めております。
あわせまして、現在、昭和町の大型商業施設では農福連携フェアも開催しており、商品を購入されたお客様からは大変好評を得ているとこでございます。
加えまして、工賃を大幅に向上させた優れた取り組みや創意工夫を凝らしたユニークな取り組みにつきまして、県が表彰し、他の障害者施設に向けて普及してまいります。
今後も、アドバイザー派遣により、付加価値の高い商品開発を行い、差別化やブランド力向上を図るなど、農福連携をより一層推進してまいります。
以上でございます。
7
◯議長(
久保田松幸君)産業労働部長、
山本盛次君。
(産業労働部長
山本盛次君登壇)
8
◯産業労働部長(
山本盛次君)流石議員の障害のある方の雇用促進についての御質問にお答えします。
県では、障害のある方の就労支援のため、職業能力検定や訓練を通じた職業能力の開発、就職支援コーディネーターによる企業とのマッチングを行っています。
また、県独自のジョブコーチや県内四カ所の障害者就業・生活支援センターの支援員が、職場の見守りや健康管理などを支援し、就労定着に取り組んでいます。
こうした取り組みにより、民間企業で就業する障害者数は年々増加しておりますが、議員御指摘のとおり、さらなる雇用促進が求められているところです。
また、法定雇用率の適用を受けない小規模事業者の雇用促進など、障害のある方が身近な地域で働ける場の確保に向けた取り組みが必要です。
このため、県は先月、国の関係機関や障害者就業・生活支援センター、商工関係団体、県障害者福祉協会などで構成する推進会議を立ち上げました。この会議を通して、障害のある方の工賃向上に向け、幅広い産業分野と障害福祉分野による産福連携の一層の推進を図ることとしております。
企業が障害者就労支援施設と連携する中で、障害のある方の就労への理解を深め、雇用につながることが期待されます。
産福連携を初め、障害のある方の就労を支える環境づくりを強力に推進し、雇用促進、就労定着の増加を図ってまいります。
以上でございます。
9
◯議長(
久保田松幸君)観光文化部長、
赤岡重人君。
(観光文化部長
赤岡重人君登壇)
10
◯観光文化部長(
赤岡重人君)流石議員のやまなしグリーン・ゾーンプレミアム認証制度の国際的ブランド力の向上についての御質問にお答えします。
本県では、インバウンドの本格的な再開に備えるため、海外において高い評価を受けている国際衛生基準の対策項目などを認証基準に反映したグリーン・ゾーンプレミアム認証制度を構築しました。
また、昨年十二月からは、その対象を宿泊施設に加え、海外富裕層の利用が見込まれるゴルフ場、高級レストランなどにも拡大いたしました。
加えて、プレミアム認証の取得に必要な機器購入などの事業者負担を軽減するため、補助率の高い助成制度を設け、来年度においても十分な支援が行えるよう、必要な予算を確保したところであります。
現在、認証施設は着実に増加しておりますが、議員御指摘のとおり、海外富裕層から選ばれる山梨県を目指し、プレミアム認証の魅力をさらに高めていく必要があると考えます。
具体的には、コロナ禍でヒルトンやマリオットなど、世界的ホテルグループも積極的に認証を取得した国際衛生基準との認証互換について、現在、五項目獲得している審査免除項目をさらにふやすことを検討いたします。
プレミアム認証の国際的な権威づけを強め、事業者にとって認証取得が魅力的に感じられる制度に磨き上げることで、多くの施設での導入を促進し、県内全域で安全・安心な滞在を楽しめる環境を整えてまいります。
さらに、海外富裕層獲得のための本県独自のセールスポイントとして、観光プロモーションなどの機会を通じて積極的にPRし、高付加価値型観光のより一層の充実につなげてまいります。
以上でございます。
11
◯議長(
久保田松幸君)農政部長、
大久保雅直君。
(農政部長
大久保雅直君登壇)
12
◯農政部長(
大久保雅直君)流石議員の家畜伝染病の防疫対策についての御質問にお答えします。
県では、国内で家畜伝染病が発生した際に、畜産農家へ直ちに情報提供するとともに、人や車両の消毒、柵やネットの点検など、飼養衛生管理基準の再確認を徹底しております。
まず、鳥インフルエンザにつきましては、十月から家畜保健衛生所が全ての養鶏場に立ち入り、防鳥ネットや鶏舎の破損箇所を確実に修繕するよう指導しております。
また、感染リスクが高まる十二月には、農場へのウイルスの侵入を防止するため、農場周辺の石灰散布の徹底や野鳥が侵入するおそれのある通気口を点検する緊急対策を徹底しております。
次に、豚熱につきましては、飼養衛生管理基準の遵守の徹底や家畜防疫員によるワクチン接種のほか、野生イノシシの感染拡大を防ぐため、県内二十四カ所で経口ワクチンを散布しております。
また、来年度から、アフリカ豚熱の防疫対策の確立に向けて、アイオワ州立大学と共同で研究していくこととしています。
さらに、万が一、家畜伝染病が発生した場合に備え、関係団体と連携して防疫演習を行い、人員体制や現場での作業手順を再確認するとともに、初動防疫に必要な資材を確保するなど、万全の体制を整えております。
一方、発生農場に対しては、県・市町村・関係団体による経営再建チームを編成し、一刻も早い営農再開に向けて、きめ細やかな支援を行ってまいります。
具体的には、殺処分した家畜に対する国からの補填金の
早期交付、家畜や飼料の購入資金に充てる低利融資のあっせん、再発防止策の点検・指導など、農家に寄り添った支援を行ってまいります。
以上でございます。
13
◯議長(
久保田松幸君)県土整備部長、
飯野照久君。
(県土整備部長
飯野照久君登壇)
14
◯県土整備部長(
飯野照久君)流石議員の富士五湖の環境対策についての御質問にお答えします。
河口湖は、富士五湖の中でも多くの観光客が訪れる湖であるとともに、生物の多様な生態系を有しており、湖の環境対策については、地元関係者や有識者などの御意見を伺いながら取り組む必要があります。
このため、県では、令和二年三月に河口湖環境整備検討協議会を設置し、湖岸利用のニーズの高い八木崎公園付近における悪臭や景観悪化などへの対策について検討を進めてまいりました。
調査の結果、悪臭の主な発生原因の一つが、植物プランクトンによるものであり、その繁殖を抑えるため、立ち枯れたヨシを冬場に刈り取ることが有効であると確認されました。
また、ヨシを刈り取ることで水辺の景観も改善されることから、八木崎公園付近で刈り取りを実施することについて、協議会で合意が得られました。
こうしたことから、県では昨年十一月に地元の皆様を初め、町や各種関係団体など多くの方々に御参加いただき、ヨシ刈りによる環境対策を実施したところであります。
今後も引き続きヨシ刈りを行い、その効果や動植物の生息・生育環境への影響について検証を進めるとともに、協議会で関係者の合意形成を図りながら、良好な湖畔環境の保全に取り組んでまいります。
以上でございます。
15
◯議長(
久保田松幸君)当局の答弁が終わりました。
流石
恭史君に申し上げます。再質問はありませんか。流石
恭史君。
16 ◯流石
恭史君 いろいろな部局長さんに答弁していただき、ありがとうございます。
特に、少人数教育。三回目の質問で、知事からこのように具体的に奨学金の返還方法や遠方の東京都を中心に採用する方法。それから経験年数を加算、八年から十五年に。また、正規給与形式も半分の先生にということを示していただき、本当にありがとうございましたと言いたいです。
それにつけ加えて、採用の方法なのですが、東京都のように、少し早めに採用試験をしていただいて、一次選考の一部前倒しを行い、一定以上の点数を取った方については、翌年度は引き続き受検できる、そのようなやり方も、先生をふやす方法としてはありかなと思っておりますが、これは教育長さんに聞いたほうがいいのかなと思います。ぜひ具体的に、言っていただければありがたいです。よろしくお願いいたします。
17
◯議長(
久保田松幸君)教育長、
手島俊樹君。
(教育長
手島俊樹君登壇)
18
◯教育長(
手島俊樹君)流石議員の再質問にお答えいたします。
議員御指摘の東京都の取り組みにつきましては、県としても注目をしているところでございます。教員を進路に考える大学生などが、早くから教員採用選考の一次検査を受検し、通過できるようになれば、受検勉強や教育実習に係る負担が分散され、教員採用選考検査を受検しやすくなることが期待されると考えております。
県としましては、教員採用選考検査の受検可能時期の前倒しにつきまして、具体的に実施する上での課題等を整理しながら、その実現に向けまして検討を進めてまいります。
以上でございます。
19
◯議長(
久保田松幸君)流石
恭史君に申し上げます。再質問はありませんか。
20 ◯流石
恭史君 ありません。
21
◯議長(
久保田松幸君)これをもって、流石
恭史君の代表質問を打ち切ります。
暫時休憩をいたします。
午後二時十一分休憩
───────────────────────────────────────
午後二時三十分再開議
22
◯議長(
久保田松幸君)休憩前に引き続き、会議を開きます。
日程第一及び日程第二の議事を継続いたします。
これより一般質問を行います。
この際申し上げます。
再質問及び関連質問における答弁は、自席において行うことといたします。
発言の通告により、乙黒泰樹君に二十分の
発言を許します。乙黒泰樹君。
(乙黒泰樹君登壇)(拍手)
23
◯乙黒泰樹君 私は自民党誠心会の立場から、今
定例会に提出されました案件並びに県政一般について質問させていただきます。
まずは本年一月に執行された、山梨県知事選挙において当選された長崎知事に、心からお祝いを申し上げます。
長崎知事は「やまなしをさらに前へ」をスローガンに掲げ、多くの県民の皆様からの御支持により当選をされました。二期目では、これまでの政策をブラッシュアップしつつ、さらなる山梨県の発展に向けて取り組んでいかれることを期待しております。
私も一議員として、長崎知事の進める施策において、これまでと同じく是々非々の立場で臨みつつ、これからも山梨県議会において活発な議論が行われるように二元代表制の一翼を担う存在として、今後も邁進していくことを改めてお誓い申し上げます。
また、新型コロナウイルス感染症第八波の影響も落ち着き始め、山梨県内の新規感染者数も減少を続けております。日本全国を見渡してみても新規感染者の減少は顕著であり、一部の推計では、集団免疫レベルが過去最高となったことで今後の流行は抑制されるというデータもあります。
政府においても、ゴールデンウイーク後には五類への移行が決定されており、山梨県の対策についてもさまざまな変更が予想されます。これからも続くコロナ感染症を初めとする感染症対策において、政府方針を注視しながらエビデンスに基づいた対策を続けていくことが何より重要であると考えており、今後も長崎知事のリーダーシップに大いに期待するところであります。
さて、私たち県議会議員の任期も残りわずかとなりました。本日が最後の一般質問となります。これまで四年間の活動の集大成として、また今後の山梨県の発展に貢献していくことができるよう、任期の最後まで全力で取り組むことをお約束申し上げ、以下、質問に入らせていただきます。
初めに、JR中央線の利便性向上について伺います。
私の地元である峡東地域は、果樹が織りなす四季折々の美しい景観などが高く評価され、昨年七月に世界農業遺産にも認定された誇れるふるさとであります。
また、果樹産地を生かした観光果樹園を初め、登山・温泉などに多くの観光客を呼べるポテンシャルの高い地域であり、そこを走るJR中央線は、東京圏からの誘客やビジネスパーソンにとっても大変重要な路線となっております。
現時点で中央線の利用状況は、コロナ禍前までには回復しておりませんが、ウイズコロナあるいはアフターコロナにおいて持続的な地域の活性化を図るためには、観光シーズンにおける臨時列車の増発や特急列車の停車本数の復元など、中央線の利便性向上が特に重要な要素になってまいります。
県内ではこの先、リニア中央新幹線の開業が予定されており、交通環境を含めたさまざま分野で影響があると思われます。
私がお世話になっている県内の経営者と話していた際に、リニア開業が峡東地域の交通体系に不利な影響を与える可能性について言及され、その意見に感銘を受けました。都内から短時間で山梨に移動できるリニア中心の交通体系が充実したとしても、リニア駅から峡東地域への連携には大きな課題が残ります。リニアが山梨県のメイン交通機関として機能すればするほど、中央線の本数や停車駅の減少といった課題が明確になると考えます。
そのような中にあっても中央線は多くの県民が日々、通勤・通学を初め、通院、買い物などの日常生活やレジャーなどでも利用する主要な交通手段であり、その重要性・必要性は変わるものではありません。今後も、より多くの方々に利用していただけるよう、さらに利便性の向上を図っていくことが求められると感じております。
そこで、県内ではJR中央線の利便性向上に向け、どのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いします。
次に、保育環境の改善について伺います。
昨年九月、静岡県の認定こども園で三歳の園児が送迎バス内に取り残され、熱中症で亡くなるというあまりに痛ましい事件が発生しました。また、その後も各地で子供への虐待や不適切な保育が発覚し、保護者や保育士など関係者に不安を与えております。
それぞれの事案で原因究明と再発防止の徹底が求められており、本県においても、送迎バスへの安全装置設置や子供の所在確認を義務づける基準条例の改正が進められるとともに、不適切保育防止の徹底が図られているものと伺っております。
一方で、こうした事案が発生する背景には慢性的な保育士不足や、そもそも国が定める保育士の配置基準が現場を疲弊させていると指摘する声もあり、私もその改善が必要だと考えます。例えば、保育士の配置基準については、四、五歳児の子供三十人につき保育士一人が必要ですが、この配置は基準ができた七十五年前から一度も改正されていない状況です。
私も自由民主党の教育厚生部会長として、さまざまな関連団体から要望や問題点をヒアリングした際に、こうした国の基準を改正することや、県内市町村のどこに住んでいても同じ環境で保育が行われるような配慮を依頼されており、山梨県への要望の中にも入れさせていただいたところです。
本県では、教育環境の充実のため、小学校低学年に二十五人学級を全国に先駆けて導入しています。一定の時間机に向かって学習する小学校と、家庭に近い環境で子供同士が触れ合いながら過ごす保育所を一概に比べることはできませんが、保育現場では、特別な配慮を必要とする子供への対応や新型コロナウイルスへの感染防止対策など、保育士の業務負担は増加しております。
子供が安全な環境のもと心身ともに健やかに成長し、自己肯定感や道徳性・創造性を育むためには、保育士が心に余裕を持って子供に接する必要があり、そのためには配置基準など保育環境の改善が何より重要と考えますが、県の御所見を伺います。
次に、企業の成長を支える人材の育成について伺います。
日本銀行甲府支店が二月に発表した山梨県金融経済概観によると、県内景気は、感染症抑制と経済活動の両立が進むもとで資源高の影響などを受けつつも、基調としては持ち直しているとされています。
企業の皆様がコロナ禍からの復活を目指し、アイデア出しや工夫を重ね、全力で経営に取り組まれている帰結と受けとめております。
県内企業の経営手法は、かつては日本的といわれたトップの強いリーダーシップによる経営から、全社員で自社の経営理念や戦略を共有し、社員がみずから考え行動するしなやかな経営へとシフトが進みつつあり、社員が能力やスキルを向上するリスキリングへの注目度が高まっていると感じております。
今こそ時代の変化に対応し、能力やスキルを効果的に身につけ、あるいは更新し続けられる環境の構築が求められております。そこには労働者一人一人が身近でスキルアップできる環境や、個々のニーズに寄り添うアドバイスといった機能も必要と考えます。
そして、習得すべきスキルや能力としては、経済産業省の未来人材ビジョンにも示されていますが、コロナの流行やテクノロジーの高度化に伴って先行きが不透明で将来の予測が困難なVUCAと呼ばれる時代に向き合っていくため、DXやGXなどの専門スキル、問題発見力、将来予測、革新性といった能力が特に重要だと考えます。
県では昨年から、労使が共益関係を育む中で、働き手がスキルアップして企業の収益が向上し、賃金も向上するという好循環を実現するため、働き手のスキルアップを支えるプラットフォームの構築を議論してきていると承知しております。
この将来予測が困難な時代に企業の成長を支える人材の育成を図るため、このプラットフォームにおいて、どのように人材育成に取り組むのか、県の御所見をお伺いいたします。
次に、ガストロノミーツーリズムの推進について伺います。
十五年前の二〇〇八年、私の地元、峡東地域では、ワインツーリズムやまなしが開催され、全国有数のワイン産地のワイナリーを巡り、生産者と交流しながらテイスティングやブドウ畑の景色を楽しむこのイベントは、今や本県を代表するイベントとなっており、その動きは県内のほかの地域だけでなく県外へも広がってきております。
ガストロノミーツーリズムは、その土地の食文化に触れることを目的とした旅行とされ、国でも地方誘客のテーマの一つとして位置づけ、積極的に取り組みを進めており、ワインツーリズムは山梨発の成功事例であると考えております。
長崎知事も就任当初から、ワインを初めとする食の重要性に着目され、令和元年八月にワイン県を宣言し、イベントの開催やメディアを活用したプロモーションを展開してこられました。
また今年度は、ワインを含めた県産酒と県産食材を活用した料理とのペアリングにより誘客を図る、美酒・美食の取り組みへと発展させ、やまなしの美食ブランドの確立に取り組まれていることは承知しております。
さらに、このたびの知事選挙における知事の公約においても、食を味わうことの感動体験を求める人々で満ちあふれた活気が、ビジネスチャンスを創出するグルマン・エコノミー、美食経済でにぎわう地域を目指すとして、食に関連する政策を数多く示されておられます。
私は、食はそれ自体が旅行の目的となり得る有力な観光資源で、豊かな自然に育まれた多くの食材と多彩な食文化を有する本県にとって、ガストロノミーツーリズムは大きな可能性を秘めた分野であり、今後、積極的に推進していくべきであると考えますが、県の御所見をお伺いいたします。
次に、米国産桃の輸入解禁要請に対する産地強化の取り組みについて伺います。
昨年二月の米国からの桃の輸入解禁要請を受けて、県では昨年七月から十一月にかけて、桃の最大の生産地であるカリフォルニア州に職員を派遣し、詳細な現地調査を行いました。
昨年十二月、山梨活性化促進県議会議員連盟・農林業部会において調査結果が報告され、私もその内容を伺いました。
その中でまず、大規模な農園では数千ヘクタールの農地で、非常に多くの品種が五月から十一月までの長期間にわたり生産されており、本県のハウス栽培から露地栽培まで全出荷期間を網羅していると報告されました。
また、中には品質の高いものがあり、今後、日本向けに厳選して輸出することとなれば、本県産との競合が懸念されるとの説明がありました。私は、米国の桃栽培の規模や生産・出荷期間の状況に脅威を感じました。
今後、円安が収束し、米国産桃が安価で国内流通すると、消費者の国産の桃離れが進み、国内の販売環境にも影響を及ぼすのではないかと危惧しております。
県では十二月から一月にかけ、県下の各桃産地の生産者へきめ細かく報告を行いましたが、多くの生産者から、私と同様の不安を感じたとの声が寄せられております。
また、米国産のスモモは、輸入解禁が要請され、解禁となるまで四年三カ月でありましたが、この例からすると、米国産桃もそう遠くない将来、輸入解禁となるのではないでしょうか。
そこでまず、輸入解禁要請の後、解禁までにどのような手続があるのか。また、現在どこまで進捗しているのか伺います。
次に、県では、桃の主要産県である福島県や長野県などの県担当者やJA関係者に呼びかけ、連絡会議を設置し、先日、第一回目の会議を開催したと聞いております。
全国の主産県が一堂に会し対策を検討する、こうした取り組みは重要だと考えますが、この連絡会議において何が協議され、今後どのような取り組みを行っていくのかお伺いいたします。
本県の桃は質・量とも日本一のトップブランドであり、今後より一層、高品質な桃の生産に力を入れるとともに、品質の違いをしっかりと消費者に伝えることが重要と考えます。
輸入解禁に備え、スピード感を持って県内産地のさらなる強化に取り組む必要があると思いますが、県はどのように取り組んでいくのかお伺いします。
次に、少人数教育の推進について伺います。
本県では、国に先駆けて少人数教育を推進していますが、小学校一、二年生への二十五人学級の導入は、全国に誇れる取り組みであります。令和五年度からは小学校三年生にも拡大することとしており、この取り組みが今後も推進されることを期待しております。
一方、少人数教育の推進に当たっては、目標の設定とその目標が達成されたかどうかの検証が重要です。例えば、県においても検証されているような、児童の自己肯定感が高まる効果などについて、二年、三年と継続してその変化を注視していく必要があります。
教育に対する効果はすぐにあらわれるものではないことは承知しておりますが、今後の少人数学級の拡大に向けては、さまざまな観点から効果を検証していくことが重要であると考えます。
そこで、県では、少人数教育の効果検証にどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いします。
また、令和五年度からは、二十五人学級の拡大に加え、学級数をふやさず教員を追加配置することで、少人数教育を実施するアクティブクラスについても改善を図ることとしております。
これまで、このアクティブクラスについては、加配教員の勤務が午前のみであったことから、「午後も児童へのきめ細かな指導ができる体制があるとよい」「午後の学級担任の負担を軽減してほしい」といった要望が学校関係者から挙がっていました。
私の娘が通うクラスもアクティブクラスであり、午前中は先生が二人いても午後は一人になってしまうために、授業の決定などにおいて先生方の苦労がうかがえました。こうした学校現場の声に応える形で、アクティブクラスの加配教員を午後も配置できるようにすることは、大いに評価できるものであると私も考えます。
このように、少人数教育のさらなる充実に向けては、これからも学校関係者の意見を聞きながら、現場に寄り添った取り組みを進めていってもらいたいと考えますが、県の御所見をお伺いします。
最後に、県有林裁判の控訴について伺います。
令和二年十二月議会における、住民訴訟への和解案からスタートした県有林に係る山梨県と富士急行の争いは、令和三年より裁判所での戦いに移行され、現在もその訴訟は続いております。
山梨県議会においても、本会議での質問や特別委員会でのやり取りなど、さまざまな角度からこれらの問題に対する意見交換が活発に行われてきました。
こうした中、昨年の十二月二十日には、甲府地方裁判所において第一審の裁判が下されました。私たちも報道を通して、その内容について理解しているつもりではありますが、執行部より議員に対する正式な説明等はなされていないと承知しております。
まずは、この判決において、県の主張がどのように認められたのか、また何が認められなかったのか、判決の詳細をお答えください。
また、昨年十二月の臨時議会において、この訴訟における控訴が賛成多数で承認されました。報道からの情報では、控訴してもなかなか勝利に結びつかないのではないかと考え、私は控訴に反対させていただきました。控訴に当たり、県ではどのような勝機を持って臨むのか、その詳細についてお示しください。
また、長崎知事は、控訴しなければ未来永劫この賃料を変えることができない旨の
発言をされています。確かに過去の賃料については請求できなくなるかと思いますが、お互いに主張をしっかり話合いの場にて進めることで、今後の賃料や山梨県が目指す活用方法についても理解を深めることができるのではないかと考えますが、その手法についても御見解をお伺いいたします。
以上をもちまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
24
◯議長(
久保田松幸君)乙黒泰樹君の質疑・質問が終わりました。
これより、当局の答弁を求めます。知事、
長崎幸太郎君。
(知事
長崎幸太郎君登壇)
25
◯知事(
長崎幸太郎君)乙黒議員の御質問にお答え申し上げます。
ただいまは私のリーダーシップへの御期待をいただくとともに、山梨県の発展に向けて全力で取り組まれるとの御決意を示されました。今後も、県民の皆様の負託にお応えすべく、豊かさを漏れなく届けられるふるさとを目指して積極果敢に取り組んでまいります。
以下、答弁に入ります。
初めに、県有林裁判の控訴についてです。
第一審判決は、借地法の適用を否定する点におきましては県の主張を認めている一方で、時価に比べて著しく低廉な価格で貸し付けが行われ、県、ひいては県民に多額の損害を与えてきたことを考慮しないなど、重大な誤りがあると考えております。
県としては、控訴審において主張を補充しつつ、新たに主張を加え、県有資産のあるべき姿について、裁判所に理解が得られるよう全力を尽くしてまいります。
また、話し合いについてですが、同社が現況を基礎とする賃料算定を認めるのであれば、私としては解決と合意に向けて相談させていただく旨は、これまでもたびたび表明しているところです。
以上をもちまして、私の答弁といたします。
その他につきましては、担当部長からお答え申し上げます。
26
◯議長(
久保田松幸君)県民生活部長、小林厚君。
(県民生活部長 小林 厚君登壇)
27
◯県民生活部長(小林 厚君)乙黒議員のJR中央線の利便性向上についての御質問にお答えいたします。
県では毎年、JR東日本に対し、利便性向上について、長野県を含めた広域期成同盟会としての要望に加え、県内沿線九市と合同の要望活動を行っております。
こうした活動により、これまでかいじ号の発車時刻繰り上げや塩山・山梨市駅での特急停車本数の増加など効果が現れております。
また、今月十八日から、新宿着の特急二本が東京まで区間延長の予定であり、新幹線などへの乗り継ぎが容易となることで、さらなる利便性の向上が見込まれているところでございます。
今後も引き続き、あらゆる機会を通じてJR東日本に対し、粘り強く要望を行うことで中央線のさらなる利便性向上につなげてまいります。
以上でございます。
28
◯議長(
久保田松幸君)子育て支援局長、
小田切三男君。
(子育て支援局長
小田切三男君登壇)
29
◯子育て支援局長(
小田切三男君)乙黒議員の保育環境の改善についての御質問にお答えします。
子供の健やかな成長や安全確保、多様な保育ニーズに対応していくには、保育士にゆとりが必要です。このため、国では、受け持つ子供の数が急にふえる三歳児に、県では、一歳児に対し、保育士を加配した場合の助成制度を設け、負担軽減に努めております。
さらに、国は来年度から四、五歳児に対する助成制度を拡充することとしていますが、その対象は大規模施設に限定されています。こうした課題もあり、保育所や幼稚園、保育士養成校などの関係者からなる会議で議論を始めたところであり、その御意見も踏まえ、保育環境の改善に向けた検討を進めてまいります。
以上でございます。
30
◯議長(
久保田松幸君)産業労働部長、
山本盛次君。
(産業労働部長
山本盛次君登壇)
31
◯産業労働部長(
山本盛次君)乙黒議員の企業の成長を支える人材の育成についての御質問にお答えします。
現在、新たなプラットフォームの構築に向け、労使の関係者や教育機関などで構成する豊かさ共創会議の場において議論を進めております。
昨年、県内企業や働き手を対象に実施した調査でも、スキルアップの必要性とともに、利便性の高い実践的な環境づくりへの期待が寄せられたところです。大枠としては、働き手のスキルアップを支援するため、ワンストップでさまざまな研修・教育サービスを提供できる仕組みを構築する方向としております。
今後、さらに議論を進め、時代の変化に対応した産業人材の継続的なスキルアップを支えるプラットフォーム構築を図ってまいります。
以上でございます。
32
◯議長(
久保田松幸君)観光文化部長、
赤岡重人君。
(観光文化部長
赤岡重人君登壇)
33
◯観光文化部長(
赤岡重人君)乙黒議員のガストロノミーツーリズムの推進についての御質問にお答えします。
ガストロノミーツーリズムは、地域の食文化を体験する旅行であり、滞在時間の延伸や観光消費額の増加につながることが期待できます。
このため、県では、美酒・美食をテーマとしたイベントを開催するなど、本県の食の魅力向上や情報発信の強化に取り組んでいるところです。
また今後、県外からの飲食店の誘致や、山梨の美酒・美食の国際的な展開など、新たな施策の実施について検討してまいります。
こうした取り組みにより、ガストロノミーツーリズムの推進を図り、本県経済の活性化につなげてまいります。
以上でございます。
34
◯議長(
久保田松幸君)農政部長、
大久保雅直君。
(農政部長
大久保雅直君登壇)
35
◯農政部長(
大久保雅直君)乙黒議員の米国産桃の輸入解禁要請に対する産地強化の取り組みについての御質問にお答えします。
米国産桃の輸入解禁までには病害虫の決定、その防除試験と効果の確認、パブリックコメントの実施など五つの手続を経る必要があり、現在、国が病害虫をリスト化している段階でございます。
本年一月に開催した桃の主要産県連絡会議では、本県が行った現地調査の結果や輸入解禁協議の進捗状況を共有し、今後、各県の産地強化策の共有や国への要請について協議していくこととしています。
また、JAなどと連携し、優良品種への改植、果樹園地や共同選果施設の再編整備、県産果実が、たくみによりつくり上げられた芸術品であるというストーリーの発信など、生産・流通・販売のプロセスを三位一体で高度化し、産地強化を図ってまいります。
以上でございます。
36
◯議長(
久保田松幸君)教育長、
手島俊樹君。
(教育長
手島俊樹君登壇)
37
◯教育長(
手島俊樹君)乙黒議員の少人数教育の推進についての御質問にお答えします。
二十五人学級の効果については、導入した小学校の一、二年生を対象に学力や自己肯定感といった、いわゆる非認知能力などの面から検証を行ってきたところです。
今後、三年生以上にも継続して調査を実施し、経年比較に加え、有識者の専門的な知見を得ながら、多角的な視点から分析を行うなど検証を進めてまいります。
また、少人数教育の推進においては、これまでも県の検討委員会へ学校関係者に参画いただき、現場の実態を踏まえた御意見を施策にも反映してきました。
県としては引き続き、学校関係者の御意見を丁寧に伺いながら、少人数教育を進めてまいります。
以上でございます。
38
◯議長(
久保田松幸君)当局の答弁が終わりました。
乙黒泰樹君に申し上げます。再質問はありませんか。乙黒泰樹君。
39
◯乙黒泰樹君 まず、保育環境の改善について再質問いたします。
国のほうでも、こういった保育環境をこれから、より充実していく方向性の発信も出ております。
私が聞いた中でも、長崎知事も選挙のいろいろな部分の中で、山梨県における対策についても全面的にするというようなお話もあったとお伺いしておりますが、山梨県独自で今後のこういった部分をどのように考えているのか、もう一度お伺いします。
以上です。
40
◯議長(
久保田松幸君)子育て支援局長、
小田切三男君。
41
◯子育て支援局長(
小田切三男君)ただいまの御質問にお答えいたします。
現在、保育所や幼稚園、保育士養成校などの関係者からなる会議で、現場の御意見なども踏まえまして議論を始めたところでありまして、その御意見も踏まえ、今後検討してまいります。
42
◯議長(
久保田松幸君)乙黒泰樹君に申し上げます。残り時間がありません。
これより、乙黒泰樹君の一般質問に対する関連質問に入ります。
この際申し上げます。
関連質問については、その冒頭に関連する事項を具体的に
発言願います。
関連質問はありませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
43
◯議長(
久保田松幸君)関連質問を打ち切ります。
これをもって、乙黒泰樹君の一般質問を打ち切ります。
以上で、本日の日程は全部終了いたしました。
明三月七日、午後一時、会議を開き、一般質問を行います。
本日は、これをもって散会いたします。
午後三時三分散会
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