山梨県議会 2022-12-01
令和4年12月定例会(第4号) 本文
そこで、県が現在実施している感染症専門人材養成事業の進捗状況と今後の取り組みについて、お伺いします。
次に、富士・東部地域における看護職員の養成・確保についてであります。
新型コロナウイルス感染症が流行してから、まもなく丸三年となり、現在、第八波に入っておりますが、社会経済活動との両立を目指すウイズコロナに向けた取り組みが始まっており、より一層の推進が求められております。
このような中、看護職員の方々は、医療の現場などにおいて日々確認される感染者への対応に当たっていただくとともに、通常の診療体制の維持にも大いに貢献いただいております。
また、高齢化の進展により、在宅医療のニーズも高まっており、看護職員の活躍の場は、より多岐にわたっております。
このように医療、福祉の現場を取り巻く環境が大きく変化する中、看護職員の重要性はますます高まっており、関係者が連携して看護師を計画的に養成・確保していく必要があると考えます。
一方、令和二年度の看護職員の就業状況を見ますと、本県における人口十万人当たりの看護職員数は、山梨県全体では約千四百人であるのに対し、私の地元の富士・東部地域は最も少ない約九百四十人となっております。
このため、富士・東部地域にある多くの医療機関等では、看護職員の確保に苦慮しているとのことであり、このまま看護職員が適切に確保できない状況が続いた場合には、この地域の医療提供体制等が次第に弱体化してしまうのではないかと危惧しております。
また、県内の医療機関に多くの看護師を輩出している富士吉田市立看護専門学校では、近年入学者の定員割れが続いていたことや、市の一般財源からの繰入金の増加などにより、厳しい運営状況にあることから、閉校を前提にした検討を行っているところであります。
このような状況から、富士・東部地域における医療提供体制を維持するためには、看護職員の養成・確保がますます重要な課題であると考えております。
県では、六月議会において、県医師会や県看護協会、看護師養成学校等の関係者から構成される検討会を設置し、看護職員の養成・確保についての検討を行うことを明らかにしましたが、議論の行方が大いに注目されているところであります。
そこで、富士・東部地域における看護職員の養成・確保について、今後どのように取り組まれるのか、お伺いします。
次に、乳幼児期における子育て支援の取り組みについてであります。
国では、小学校就学前の子供のうち、保育所や幼稚園、認定こども園といった保育施設に通っていない子供、いわゆる無園児について、来年四月のこども家庭庁発足を機に、定員に空きのある保育所で定期的に預かるサービスを創設するなど、支援を本格化させることとしております。
義務教育である小中学校とは異なり、保育所や幼稚園などに通わせるかどうかは保護者の判断もあり、子供との長時間の関わりを重視して家庭での養育を選ぶ御家庭もあることから、いわゆる無園児が一概に問題とは言えないことも承知しております。
しかし、中には就労状況などの条件を満たさず、希望しても通園が認められないケースもあり、保育施設に子供を通わせることができないことから、保護者が孤立し、子供を虐待するリスクが高まるとの懸念も指摘されております。
近年の核家族化や地域のつながりの希薄化により、家庭や地域社会の子育て力も低下しており、若い夫婦が適切な支援も受けられないまま、二十四時間小さな子供と向き合うストレスが虐待リスクを高めることは容易に想像できます。
さらに、子供の養育に困難を抱えている保護者ほど、周りへの支援を声に出せないとの指摘もあり、妊娠届や出生届、乳幼児健診など、あらゆる機会を通じ、親を孤立させることなく、必要な支援を切れ目なく提供できる体制を整備することが重要であります。
そのためには、母子保健施策を初め、一時預かり事業やファミリーサポートセンター事業など、地域の子育て支援の実施主体である市町村との連携強化も不可欠と考えます。
そこで、本県のさらなる子育て環境の向上に向け、乳幼児期における子育て支援に市町村とともにどのように取り組むのか、県の御所見をお伺いします。
次に、県産木材の利用促進についてであります。
県では、林業及び木材産業の振興による本県の経済の活性化、森林の有する多面的機能の持続的な発揮などを目的とする山梨県県産木材利用促進条例を議員提案により平成三十一年三月に制定しました。
以後、韮崎市にある屋内運動場や、甲斐市の社会福祉施設など、シンボル性が高い公共建築物に県産木材が積極的に活用されているところであります。これらの木造施設を利用する地域の方々からは、見た目が美しく木の温かみが感じられるなど、好評を得ていると聞いております。
こうした中、コロナ禍を背景としたアメリカでの新築住宅需要の急増などをきっかけに、昨年春、輸入製品の供給不足により建築用の木材が入手しづらくなるウッドショックと呼ばれる現象が生じました。
その後のロシアのウクライナへの一方的な武力侵攻の影響による原油高や、記録的な円安から輸入木材価格の高騰が続いております。
これに対し、木材業界においては、この影響により輸入木材から国産木材へシフトする動きが進んでおります。
また、二〇一五年に国連が掲げた持続可能な開発目標、いわゆるSDGsの達成に取り組む企業が増加する中、植林による再生が可能な木材はサスティナブルな循環型資源としてその利用に注目が集まっております。
こうした状況の変化は、本県においても県産木材の利用を促進する大きなチャンスであり、どのようにこれを生かすのかが問われていると考えます。
さらに、木材は軽くて加工が容易であり、木の香りによるリラックス効果やストレスの緩和など、心理・情緒・健康面での効果も期待できることから、建築資材としての利用のほか、幅広い分野に活用を進めていくことも重要であります。
そこで、県産木材の利用促進に向けた県の取り組みについて、お伺いします。
次に、将来を見据えた郡内織物業の振興策についてであります。
本年十月、富士河口湖町を会場に、本県で初めて二十代の女性を中心に人気のあるファッションイベント「TGCフェスYAMANASHI2022」が大々的に開催され、メインのファッションショーにおいて郡内織物がステージを闊歩する出演者を色鮮やかに彩り、そのすばらしさを多くの来場者を初め、国内外に広くアピールする絶好の機会となりました。
一方、時を同じくして、富士吉田市内では、織物業の方々が中心となる、通算七回目の「ハタオリマチフェスティバル2022」が盛大に開催されました。
会場には、さまざまな織物製品が並び、アートや飲食などととも効果的にコラボし、また、富士山を背景に小室浅間神社など、古くからの町並みとも融合し、まち全体が趣のある空間として演出され、県内外からの多くの来客を魅了しておりました。
このように、にぎわう様子を見て、改めて郡内織物そのものの持つ潜在力の高さを実感するとともに、郡内織物を生かしたこのようなイベントが継続して開催され、織物業の認知度向上や、販売促進のみならず地域の活性化にもつながっていくことを期待するところであります。
一方、コロナ禍を経て、消費者のニーズや購買行動はさらに多様になり、また市場も国内にとどまらず海外へと、さらなる広がりを見せている中、織物業が持続的に発展していくためには、幅広く海外販路を開拓していくことはもとより、国内外のさまざまな需要を捉えた多彩な商品を開発する企画力を持った人材の育成や、技術力向上などへの県の後押しが不可欠であると考えます。
そこで、県では、織物業の振興に向けた販路開拓や人材育成のため、これまでどのような支援を行ってきたのか、また今後のさらなる発展に向け、どのような支援を行っていくのか、お伺いします。
次に、インバウンド観光における滞在時間を延ばす取り組みについてであります。
コロナ禍が到来して、まもなく丸三年となり、この間、観光業の皆様を初め、多くの事業者が経営の維持に苦悩されてきたところであります。
行動制限が緩和された、この秋の観光シーズンは、県内の観光地に再び多くの観光客が訪れ、そのにぎわいは観光業に従事される皆様にとりまして、待ちに待った光景ではなかったかと思います。
インバウンド観光についても、十月にようやく入国制限が大幅に緩和され、さらに円安が進んだこともあり、河口湖や新倉山浅間公園、忍野八海など、私の地元である富士北麓地域でも、多くの外国人観光客の姿が見られるようになりました。
今後、中国からの観光客も戻ってくれば、コロナ禍前のようなさらに多くの外国人観光客の来訪が期待できます。
しかし現在、第八波が到来しており、これ以上観光業が疲弊しないよう、感染拡大の防止と社会経済活動の両立が強く求められております。
一方で、新型コロナウイルスの流行以前から、多くの外国人観光客の来訪はあるものの、世界遺産富士山がある富士北麓エリアへの日帰り旅行が中心で、山梨県内に滞在する日数は長くなかったと聞いております。
山梨県には、富士北麓地域以外にも自然を満喫できるアクティビティー、身延山久遠寺など歴史ある神社仏閣、笹子追分人形などの伝統芸能、おいしい食、日本一の数を誇るワイナリー、観光果樹園など外国人が魅力を感じる観光施設が数多くあります。
私は、外国人観光客に、こういった観光資源をできるだけ多く楽しんでいただくことで滞在時間を延ばすことが、県全体の観光振興につながっていくものと考えます。
そこで、インバウンド観光における滞在時間を延ばす取り組みについて、県の御所見をお伺いします。
次に、富士山の世界遺産登録十周年に向けた取り組みについてであります。
二〇一三年六月二十二日、富士山は信仰の対象、芸術の源泉として世界文化遺産に登録され、日本の象徴である富士山は世界の宝となりました。
世界遺産登録に向けては、地元関係者の御理解のもと、多くの方々が並々ならぬ御尽力をされたところであり、改めて心から感謝申し上げます。
県議会においても、富士山世界文化遺産登録促進議員連盟を結成し、国へ意見書を提出するなど、登録への後押しを行ったところであります。
こうした努力が実を結び、悲願の世界遺産登録が決まったときは、日本中が喜びに沸き、各地で祝賀イベントなどが開催されたことが鮮明に記憶に残っております。
しかしながら、世界遺産登録から九年が経過し、富士山が世界遺産であることの認識が薄れ、富士山の顕著で普遍的な価値を後世に継承していこうという機運が低下してきているように感じております。
また、二〇二〇年二月から始まったコロナ禍により、富士山を取り巻く状況は一変しました。
吉田ルートでは、世界遺産登録の年は登山者数が十八万人でありましたが、今シーズンは九万四千人と約半分になっており、登山者も密になる状況を避けるなど、富士登山の形態も大きくさま変わりしております。
今後もウイズコロナが続くことが予想されることから、多くの方々に安心して富士山へ来訪していただくためには、引き続き関係者が一丸となって感染防止対策をしっかりと行っていかなければなりません。
このような状況の中で、来年、富士山は節目となる世界遺産登録十周年を迎えます。私は、これを契機に、改めて世界遺産富士山の顕著で普遍的な価値を普及啓発するとともに、保全と活用のバランスを重視しながら、これからの富士登山のあり方についても検討する必要があると考えます。
そこで、富士山の世界遺産登録十周年に向け、県ではどのような取り組みを行っていくのか、御所見をお伺いします。
最後に、小中学校におけるICT教育の推進についてであります。
これからの小中学校においては、先生が一斉に子供たちに教えることが中心の学びではなく、子供たちが友達と考えを共有して、意見を交わしながら理解を深める学びが必要になってくると思います。
このような学びを進めていくためには、国のGIGAスクール構想に基づき、県内全ての小中学校に整備された児童生徒への一人一台端末や通信ネットワークなど、ICT環境を十分に生かすことが不可欠であると考えます。
例えば、これまでは児童生徒が調べたことを発表する際には、模造紙の限られたスペースでまとめたり、黒板に印刷した写真を張り出したりするなど、表現の方法に限界がありましたが、一人一台端末を活用することにより、子供たちが自由に写真や絵などを拡大表示することが可能となり、子供の感性をそのまま表現できるとともに、発表を聞く子供たちの理解も進むことが期待されます。
私は、子供たちに端末を活用して、自分たちが調べたことや考えたことを積極的にアウトプットさせることが、子供たちの可能性をより引き出すために非常に重要なことと考えております。
そのためにも、ICTを活用した授業が県内の小中学校において広く進められるよう、県が積極的な役割を果たされることを大いに期待しております。
そこで、県においては、県内の小中学校の中から推進校を指定し、ICTを活用した授業づくりを行い、普及を図っていると承知しておりますが、どのような取り組みが進められているのか、お伺いします。
また、子供たちがICTになれ、便利さに触れることができるようになる一方で、デジタル社会に潜む危険にさらされることが懸念されます。
例えば、SNS上でのやりとりによって、そのつもりがなくても他人を傷つけてしまうといったトラブルに発展するおそれがあり、ICTを使う際のマナーについても子供たちにしっかり理解させることが不可欠であります。
そのためには、小中学校においては、ICTを活用した授業を行う一方で、情報モラルについても指導をしっかりと行っていくことが重要と考えますが、学校においては、子供たちへの情報モラル教育をどのように進めているのか、お伺いします。
以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
3
◯議長(
久保田松幸君)渡辺淳也君の質疑・質問が終わりました。
これより、当局の答弁を求めます。知事、
長崎幸太郎君。
(知事
長崎幸太郎君登壇)
4
◯知事(
長崎幸太郎君)渡辺議員の御質問にお答え申し上げます。
初めに、感染症専門人材の養成についてです。
感染症に対する強靱な地域社会へ移行するためには、感染症対応の中核となる感染症専門医及び認定看護師をふやすとともに、有事に即応できる感染症専門人材をそれぞれの地域に確保する必要があります。
感染症専門医につきましては、本年度から山梨大学に対して指導医の確保など専門医養成施設の認定に向けた支援を行っており、来年度からは養成施設として稼働していく予定です。
今後は、既に専門医養成施設となっている県立中央病院と同大学附属病院をあわせて、五年間で五人の専門医試験有資格者の養成を目指してまいります。
加えて、感染症に精通した看護師を養成するため、来年四月から県立大学に認定看護師の教育課程を開設し、今後、新たに六十人の認定看護師の養成を目指してまいります。
また、施設でのクラスター発生時などに感染管理の支援ができる専門人材を養成するため、本年度、医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、計四十五人を対象とした年十四回の連続研修を実施しております。
次に、将来を見据えた郡内織物業の振興策についてです。
県では、これまで、ニューヨークやミラノなどで開催される繊維の展示会への出展費用を助成するなど、郡内織物の販路開拓を支援してまいりました。
次に、人材養成につきましては、これまでデザイナーとの交流や若手作家を多く輩出する東京造形大学との協働により、企画力の向上を図ってまいりました。
また、支援の拠点である富士技術支援センターにおいて、セミナーなどの実施によりデザイン力や技術力の向上など、人材育成の一翼を担っているところです。
さらに、先日視察した「FUJI TEXTILE WEEK 2022」では、アートに昇華したテキスタイル作品を見て、改めて郡内織物の真価が発揮されていると実感したところです。
アートなど他分野と交わり、新たな価値を創造する取り組みを推進することにより、産地全体を巻き込みつつ、郡内織物の多様な可能性を引き出してまいります。
次に、富士山の世界遺産登録十周年に向けた取り組みについてです。
来年の登録十周年に向けまして、改めて多くの方々に富士山の価値を再認識していただくよりよい方策について、静岡県など関係者の皆様とともにしっかりと検討してまいります。
また現在、今後の富士登山のあり方について地元の皆様などと協議を進めており、来年度末には取りまとめ、広く周知に努めてまいります。
一方で、議員の先ほど登録から九年が経過し、富士山が世界遺産であることの認識が薄れ、富士山の顕著で普遍的な価値を後世に継承していこうという機運が低下しているとの御指摘のとおり、例えば、現状の富士山五合目は自動車や発動機の排気ガスによる環境負荷や信仰の場にそぐわない景観など、多くの課題がそのままになっております。
このままの状態を放置することは、富士山の顕著な普遍的価値を大きく損ねることになりかねないため、その抜本的な改善を図るべく具体的な方策の一つとして、富士山登山鉄道構想を提案しております。
世界遺産登録十周年を一つの契機として、こうした議論を凍結せずにしっかりと前に進めることによって、改めて富士山の顕著な普遍的価値の保全に多くの皆様が主体的に関わっていただけるよう、機運の醸成を図ってまいります。
以上をもちまして、私の答弁といたします。その他につきまして、担当の部長等からお答え申し上げます。
5
◯議長(
久保田松幸君)福祉保健部長、
成島春仁君。
(福祉保健部長
成島春仁君登壇)
6
◯福祉保健部長(
成島春仁君)渡辺議員の富士・東部地域における看護職員の養成・確保についての御質問にお答えします。
県ではこれまで、富士・東部地域を初め県内全域の看護職員の養成・確保に取り組んでまいりました。
しかしながら、富士吉田市立看護専門学校のあり方検討や感染症への対応など、看護職員を取り巻く環境が大きく変化していることから、改めて県全体の看護職員の養成・確保について検討することといたしました。
このため、まずは県内の医療機関などを対象に、必要となる看護職員数や雇用の実態に関する調査を実施しているところでございます。
今後は、この調査結果を分析し、関係者とともに富士・東部地域を初めとする県全体の安定的な看護職員の養成・確保について検討してまいります。
以上でございます。
7
◯議長(
久保田松幸君)子育て支援局長、
小田切三男君。
(子育て支援局長
小田切三男君登壇)
8
◯子育て支援局長(
小田切三男君)渡辺議員の乳幼児期における子育て支援の取り組みについての御質問にお答えします。
県では、子育てネットやハンドブックで育児情報を発信しており、市町村では、妊産婦健診などを通じ発達や育児の悩みへのきめ細やかな支援を行っております。
一方で、悩みを抱え込み孤立する家庭もあることから、県では、市町村保健師を対象にアウトリーチ型の支援を学ぶための研修を新たに開催してまいります。
また、市町村では、虐待の防止など子育て家庭の見守りを強化するため、母子保健部門と児童福祉部門のより緊密な情報共有に取り組んでいるところです。
県におきましても、子育て家庭に寄り添い、孤立感を抱えることなく子育てができるよう市町村と連携して、切れ目のない支援の充実に努めてまいります。
以上でございます。
9
◯議長(
久保田松幸君)林政部長、
入倉博文君。
(林政部長
入倉博文君登壇)
10
◯林政部長(
入倉博文君)渡辺議員の県産木材の利用促進についての御質問にお答えをいたします。
県産木材の利用を進めるためには、建築用途のほか、さまざまな用途での利用を促進することが必要でございます。
建築用途での利用につきましては、県産木材の流通過程の効率化に取り組むグループを支援しており、本年度は木材価格高騰対策を行っているところでございます。
また、県産FSC認証材をPR効果の高い建物に供給し、県産材のブランド力の向上を図っております。
建築物以外での利用につきましては、木製のおもちゃやテーブル、ストローなどの開発を支援しております。
こうした取り組みを着実に進めることによりまして、県産木材の幅広い利用を促進してまいります。
以上でございます。
11
◯議長(
久保田松幸君)観光文化部長、
赤岡重人君。
(観光文化部長
赤岡重人君登壇)
12
◯観光文化部長(
赤岡重人君)渡辺議員のインバウンド観光における滞在時間を延ばす取り組みについての御質問にお答えします。
インバウンド観光客の滞在時間を延ばすためには、高い
満足感を得られる上質な観光地とすることが重要であります。
そこで県では、コロナ禍による環境変化も踏まえながら、インバウンド観光の高付加価値化に向け、さまざまな取り組みを行っております。
また、宿泊施設など各事業者からの希望に応じ、受入れ対応を個別に診断の上、順次改善策を提案し、レベルアップの支援に努めています。
さらに、旅前のPRのため、海外での観光説明会や現地旅行会社と組んだ宣伝活動など、対象を見きわめた効果的なプロモーションを展開してまいります。
以上でございます。
13
◯議長(
久保田松幸君)教育長、
手島俊樹君。
(教育長
手島俊樹君登壇)
14
◯教育長(
手島俊樹君)渡辺議員の小中学校におけるICT教育の推進についての御質問にお答えいたします。
まず、県内の推進校では、大学の専門家や県の指導主事が指導・助言を行う取り組みや公開授業という形で日ごろの授業研究の成果を県内の教育関係者と共有し、理解を深めるなどの取り組みを行っております。
この取り組みにつきましては、ホームページへの掲載などにより積極的に情報発信をしており、県内の全学校の参考となるよう普及を進めているところでございます。
一方、情報社会を生きていく子供たちが情報を正しく活用し、みずからの行動に責任を持てるようにすることは非常に重要であります。
このため学校では、道徳科などの授業においてネット社会のルールやマナー、情報を扱う際の留意点、被害や危険を避けるために取るべき行動などについて考える学習を進めているところでございます。
以上でございます。
15
◯議長(
久保田松幸君)当局の答弁が終わりました。
渡辺淳也君に申し上げます。残り時間はありません。
これより、渡辺淳也君の一般質問に対する関連質問に入ります。
この際申し上げます。
関連質問については、その冒頭に関連する事項を具体的に
発言願います。
関連質問はありませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
16
◯議長(
久保田松幸君)関連質問を打ち切ります。
これをもって、渡辺淳也君の一般質問を打ち切ります。
暫時休憩いたします。
午後一時三十四分休憩
───────────────────────────────────────
午後一時五十分再開議
17 ◯副
議長(
古屋雅夫君)休憩前に引き続き、会議を開きます。
日程第一及び日程第二の議事を継続いたします。
発言の通告により、市川正末君に二十分の
発言を許します。市川正末君。
(市川正末君登壇)(拍手)
18
◯市川正末君 自由民主党新緑の会の市川正末です。
今定例会に提出されました案件並びに県政一般について質問させていただきます。
まず、新型コロナウイルス感染症により、お亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、療養中の皆様の早期回復を心よりお祈り申し上げます。
また、依然としてコロナ禍の出口が見通せない中、強靱な使命感を持って患者の治療に当たっておられる医療従事者の皆様に、厚く感謝を申し上げます。
感染拡大の波が八度にも及ぶ中、今日のコロナ対策の構築と確立を、過去から引き継げる知見や医療資源などがほとんど存在しなかった中で、なし遂げられた長崎知事の御苦労は、まさに想像を超えたところにあります。
県民の生命・健康を守るという政治・行政の最も重要な責務。
また、それのみならず、生活や経済が駆動し続けられるように、感染症の脅威から社会を守るという、知事がみずから進んで求めた責務。
未曾有の感染症危機において、これらの二つが共に大きな成果を上げたこの三年は、県政史上に金字塔を打ち立てるものであったと評価いたします。
また、知事は山梨県という存在を首都圏の辺境の目立たぬ県から、常に全国トップを伺う枢要な県に転換されました。これは、上野原市・北都留郡を代表する私にとって、大いに勇気づけられる変化でありました。
県都甲府市から見れば、遠く離れた我が地元ではありますが、常識的な地図や固定観念にとらわれることなく、常にみずからを中心に置いて、価値を生みだし発信することで、山梨の発展を先導することもできる。そのような気概を持ち、これからも上野原市・北都留郡の前進・進化の案内役として邁進する覚悟であります。
さて、私たち県議会議員の任期も、残すところ四カ月余りとなりました。振り返れば、志を同じくする一期目議員の仲間とともに新緑の会を立ち上げ、日ごろから長崎知事と建設的な政策論争を交わしつつ、私の座右の銘である「有言実行」を実践しながら地元の発展に貢献を果たし、これ以上望むべくもない充実した議員活動を展開してまいりました。
「継続は力なり」と申します。知事のリーダーシップ型県政を、各地を代表する議員がさらに磨き上げるという姿の継続こそ、山梨県民を最大限に益するものと確信する次第であります。
私は、今後とも新緑の会の仲間とともに、長崎知事をお支えし、これまでにも増して県政の推進に全力を尽くしていくことをお誓い申し上げ、以下質問に入ります。
初めに、二拠点居住の推進について伺います。
現在、新型コロナウイルス感染症の影響などによりテレワークが普及する中、新しい生活様式が普及し、より豊かな生活を送るため、地方への移住や二拠点居住が全国的に注目されています。
こうした動きを反映し、県内においても市町村や民間事業者によるサテライトオフィスの整備、二拠点居住者向けのサブスク型の宿泊施設の設置など、新たなサービスが始まっています。
私の地元である上野原市では、駅前の旅館として利用されていた建物が、サテライトオフィスに改修されました。
この施設内のコミュニティースペースでは、さまざまな分野のプロフェッショナルが講師となり、仕事や働き方を披露する催しが、市と民間事業者との連携により毎月開催され、入居企業や施設利用者、地元の若者との交流の場となっております。
このような行政と民間企業が協力した取り組みは、自治体にとっては民間企業のアイデアや行動力を活用したサービスの提供につながることになります。また、民間企業にとりましても、自治体の影響力や信用度を生かした企業活動が可能となりますので、相互にメリットが生じると言えます。
二拠点居住は人生を豊かにする新しいライフスタイルであり、住所地以外の自治体における公共サービス提供のための財源確保などの問題はありますが、交流人口の増加や最終的に本県への移住へとつながることが期待でき、また新たなビジネスチャンスの創出などにより地域の活性化、ひいては県全体の活性化につながる大変意義のある取り組みだと考えております。
県においては、二拠点居住という考え方を全国に先駆けて提案し、さまざまな取り組みを進めていることと承知しております。
若い世代の転入者の増加など目に見える成果も上がっており、高く評価するものですが、さらなる成果を得るためには、地域で取り組みを実践する市町村や民間事業者との連携を強化していく必要があると考えます。県の御所見を伺います。
次に、重度の障害者の地域移行の推進について伺います。
国は、障害者が住みなれた地域で自分らしい生活を送ることができるよう、障害者自立支援法の施行に伴い、二〇〇六年度から地域生活支援事業の実施など地域移行を推進しています。
また、二〇一八年度から重度の障害者が入所できるグループホームを新たに制度化するなど、地域移行の促進と地域生活の円滑な継続を目指しています。
先般、施設に入所している全国の障害者のうち、自宅やグループホームなどに地域移行した方の割合は、二〇一六年度から二〇二〇年度までの四年間で約五%にとどまり、目標の九%を大幅に下回っていることが国から発表されました。
全国では、知的障害者を中心に十二万人を上回る方が障害者施設に入所していますが、地域移行がなかなか進んでいないとのことであります。これは本県でも同様ですが、専門的なサポートが必要となる重度の障害者の割合が高まっていることが要因とされています。
私の地元、上野原市では、現在、国、県の補助により既存のアパートを改修して、軽度の障害者を受け入れるグループホームの整備が進み、今年度中に完成いたしますが、重度の障害者を受け入れる居住系サービスは依然として不足している状況にあります。
私は、重度の障害者の地域移行を進めていくため、障害者を受け入れることのできる短期入所やグループホームなどを介護施設に併設していくことを提案いたします。
また、介護施設において障害者の受け入れを進めていくためには、介護施設を運営する事業者が障害福祉の分野に参入できるよう、障害者への支援を行うことができる人材の育成に向けた取り組みも必要と考えます。
そこで、県では重度の障害者の地域移行の推進に向け、どのように取り組んでいくのか、御所見を伺います。
次に、無形民俗文化財の保存と継承について伺います。
先般、私の地元である上野原市の無生野地区に、連綿と受け継がれてきた無生野の大念仏を含む四十一件の民俗文化財が、「風流踊」として、一括してユネスコの無形文化遺産に登録されました。このことは、無生野地区の皆さんによって守り伝えられてきた伝統行事が、世界的な評価を得たものであり、地域にとっても本県にとっても大変喜ばしいことであります。
無生野の大念仏は、六百年以上もの長い年月にわたり大切に継承されてきたものと伝えられており、旧正月とお盆の年二回行われる踊り念仏であります。私が初めて鑑賞したのは十年ほど前になりますが、当時、保存会の三代目会長を務めていた藤本国虎さんは、「子供のときに覚えた踊りは一生忘れない。たとえ進学や就職で地域を離れても、大念仏のときだけは戻ってきて踊ってほしい。そして、次の代へつないでいってもらいたい」と語りながら、同時に人口減少や価値観の変化によるこれからの継承の難しさについて心配しておられました。
現在、保存会会員は約二十人と、平成七年に国の重要無形民俗文化財に指定されたときの半数程度と聞いております。
私は、これまで受け継いできた伝統文化がこのまま寂れ、途絶えてしまうのではないかと不安を覚える一方、地元、秋山小が授業の一環で無生野の大念仏を取り上げ、学習の成果を発表した児童が、「これからもその魅力を広めていきたい」との決意を述べたとの報に触れ、大変心強く感じたところでもあります。
本県には、今日まで守り伝えられてきた無形の民俗文化財が数多くあると承知しておりますが、後継者の育成など継承にはさまざまな困難があると聞いています。地域の伝統行事は、そこに生まれ育った人々にとってふるさとの象徴、心のよりどころであるとともに、本県にとっても将来にわたって守り伝え続けていくべき大切な財産であり、地元だけでなく、さまざまな関係者が参画して活動の継続を支援すべきであると考えます。
そこで、県では無形の民俗文化財を保存・継承するために、どのように取り組んでいるのか、伺います。
次に、上野原市及び北都留地域における農作物の鳥獣被害対策について伺います。
私の地元である上野原市や小菅村、丹波山村は緑豊かな山々や清らかな水など自然に恵まれた地域です。
しかし、地域には猿やイノシシなどの野生鳥獣が多く生息しており、直売所向けの野菜や郷土料理せいだのたまじの原料となるジャガイモなどの農作物への被害のほか、最近は庭先にも出没するなど住民の安全な生活に少なからず影響を及ぼしております。
近年は、特に猿による被害が多く、その高い学習能力から防止するのは難しいと聞いています。
市や村では、県の事業なども活用し、野生鳥獣の被害防止柵の整備や捕獲などに取り組んでおり、農作物被害は減少傾向にありますが、地域では依然として大きな問題となっております。
野生鳥獣による被害は、単に経済的な問題だけではなく、手塩にかけて育てた農作物が収穫直前に無惨に食い荒らされるため農家の精神的ダメージは、はかり知れません。
中でも被害を受けた高齢農家は、営農意欲が大きくそがれ、農業の継続を諦めることもあり、その結果、荒廃農地がふえ、野生鳥獣の被害がさらに拡大するといった悪循環に陥ることも懸念されます。
そこで、県では当地域における猿やイノシシなどによる農作物の被害対策にどのように取り組んでいくのか、伺います。
次に、魅力ある景観づくりの推進について伺います。
私が所属する自由民主党新緑の会では、これまで緑化や景観づくりをテーマとした勉強会や現場視察などの活動を行ってまいりました。こうした活動を通じ感じたことは、本県の雄大で美しい自然景観を守り、育て、磨き、後世に継承していくことは、現在を生きる私たちの使命であるということです。
さらに、人が居住するエリアにおいても、常に安らぎを感じられる魅力ある景観を創出し、加えてその魅力を発信していくことも必要であると感じております。
魅力ある景観をつくり、発信し、県内外からの来訪者に安らぎの場を提供することは、上質な環境を提供するという本県の方針にも沿ったものであると考えます。
地域の景観づくりは、それぞれの市町村や地域住民が主体となって行うべきではありますが、県としても市町村や住民が景観づくりの知識や方法を習得し、その機運が醸成されるよう積極的に後押しすべきではないでしょうか。
一方、県内の公共施設の中には、ダムや橋梁など地域全体の景観を形成する代表的なスポット、いわゆるインスタ映えする名所になり得るような魅力ある施設も数多く存在しております。
本県の美しい景観に溶け込んだ公共施設の魅力を積極的にPRし、県外からこうした景観を目当てに訪れていただき、あるいは県内の方々に地域の魅力を再発見していただくためのきっかけになるような取り組みも、また重要ではないかと考えます。
そこで、地域の景観づくりに向けた機運醸成や公共施設の魅力を発信するための県の取り組みについて、伺います。
最後に、山岳遭難の発生状況と防止対策について伺います。
本県は富士山、北岳を初め、甲斐駒ヶ岳や大菩薩嶺、雲取山など四方を名山に囲まれており、登山のほか、沢登りやアイスクライミングなども盛んで、四季を通じてあらゆる登山形態を楽しむことができます。まさに日本が誇る山岳県と呼ぶにふさわしい環境にあります。
私の地元上野原市や県東部地域の山々は、東京からも近く、また公共交通機関でアクセスできる登山口も多いことから、年間を通じて多くの登山客が訪れています。特に秋の行楽期には、赤く色づいた山々と雪化粧した富士山を同時に眺めることができることもあって、多くの登山客でにぎわっています。
こうした中、上野原市内にある標高千メートルにも満たない御前山においては、本年度中に二件の山岳遭難が発生しております。いずれも登山者が滑落して重傷を負った事故であったと報じられております。
一般的に山岳遭難と聞くと、富士山や南アルプス、八ヶ岳など高山での事故を想像いたしますが、実際には、むしろ気楽に登れる低い山で発生する事故も少なくありません。
また、その態様は、一瞬の不注意による滑落や転倒のほか、準備不足による遭難も散見されます。例えば、地図や照明器具を持たずに山に入り、道に迷っているうちに日が暮れて進退きわまってしまった事例や疲労により身動きがとれなくなった事例などであります。これらの遭難も、滑落や転倒と同様に、一歩間違えば命を落としかねません。
このような状況を鑑みますと、県警察や各自治体が積極的に連携を図り、遭難防止に必要な注意喚起を初め、登山道の整備を行うなど、登山者が安全に登山を楽しんでもらえるよう取り組むことが重要であると考えます。
そこで、本県における山岳遭難の発生状況と、それを踏まえて県警察が取り組んでいる山岳遭難防止対策について伺います。
以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
19 ◯副
議長(
古屋雅夫君)市川正末君の質疑・質問が終わりました。
これより、当局の答弁を求めます。知事、
長崎幸太郎君。
(知事
長崎幸太郎君登壇)
20
◯知事(
長崎幸太郎君)市川議員の御質問にお答え申し上げます。
ただいまは、感染症対策における私のこれまでの取り組みに大変過分な御評価をいただくとともに、議員の御地元、上野原市・北都留郡の前進を先導するとの御決意のもと、山梨の発展に向け、私とともに歩んでいただけるとの力強いお言葉を賜り、心から感謝申し上げます。
市川議員におかれましては、常に地域の切実な声を県政に届けることに徹し、長年にわたり全体の奉仕者として務められた御経験に根差す提案力を発揮し続けておられることに深く敬意を表する次第であります。
私も山梨から新たな価値を創造・発信し、全国を牽引するという気概を持ち続け、引き続き積極果敢に県政運営に取り組んでまいりますので、一層の御支援、御協力をお願い申し上げ、以下、答弁に入ります。
初めに、二拠点居住の推進についてです。
本県の定住人口は、昨年二十年ぶりに転入超過に転じ、本年も昨年を上回るペースで転入が進んでおり、選ばれる地として注目度が高まっております。
この可能性の芽を力強く育てていくためには、本県における二拠点居住者のQOL、クオリティー・オブ・ライフのさらなる向上が重要であり、その取り組みの推進には市町村や民間事業者との連携が不可欠です。
まず、二拠点居住者が安心して暮らすためには、地元のコミュニティーへ円滑に溶け込むことが重要であることから、市町村と連携し、転入者と地元との橋渡しを行う移住コンシェルジュの育成を図っております。
また、本県の豊かで恵まれた自然環境や教育環境を資源として、山村留学など子供の教育をきっかけとした二拠点居住に取り組んでまいります。
加えて、山間部などの地域における特色ある教育について研究を進め、魅力ある教育の実現による二拠点居住を目指してまいります。
また県では、二拠点居住の希望者が山梨の生活を体験できる施設の整備を促進するため、空き家を有効利用した空き家活用ビジネスに取り組んでいます。
具体的には、このビジネスに参加する民間事業者を認定し、空き家情報を提供するとともに、空き家の所有者に対しましては改修費の補助を行っております。
さらに、二拠点居住者のQOL向上と議員御指摘の公共サービス提供に係る財源確保を図るため、レンタカーチケットをふるさと納税の返礼品に加える取り組みもスタートさせたところであります。
また、今後、より高い満足度を実現するためには、二拠点居住者の声やニーズを的確に把握する必要がありますが、現状におきましては実態がつかみにくいという課題があります。
このため、先般締結いたしました県内で二拠点居住サービスを提供する事業者との連携協定を生かし、ニーズ調査を実施するとともに、最新のデジタル技術を用いた関係人口の実態把握についても研究してまいります。
次に、重度の障害者の地域移行の推進についてです。
重度の障害者の地域移行を進めていくためには、議員御提案の介護施設に短期入所やグループホームを併設することは、大変有効な手段の一つであると考えております。
このため、介護事業者に対しまして研修会などを通じて介護と障害の施設を一体的に運営している好事例などを紹介し、理解促進を図ってまいります。
特に、上野原市を初め、東部地域には居住系サービスが少ないことから、介護事業者に意向調査を実施した上で、個別に働きかけをしてまいります。
加えて、障害者への支援を行うことができる人材の育成も重要なため、介護職員に対して障害の特性に応じた支援方法を学ぶ研修会の受講も促してまいります。
あわせて、主に夜間の生活援助を行う既存のグループホームに対しましても、障害の状況に応じ、二十四時間体制で支援を行う形態への転換を働きかけてまいります。
次に、無形民俗文化財の保存と継承についてです。
無生野の大念仏がユネスコ無形文化遺産に登録されたことは大変喜ばしく、誇りに思うと同時に、保存・継承に携わる関係者の御尽力に心から敬意を表する次第であります。
今回の登録は、改めて県内の文化財にも注目が集まる契機となり、地域の皆様を初め、多くの方々にとりまして伝統継承の大きな励みになるのではないかと考えております。
このように地域に受け継がれてきた伝統行事や民俗芸能は、人々のきずなを深め、地域の誇りと活力をもたらす次代に継承すべき県民の貴重な財産であります。
このため県では、文化財保存活用大綱を策定し、市町村や地域が主体となった計画的な文化財の保存活用に関する取り組みを促進しております。
また、継承意欲の喚起や後継者育成のため、発表機会の確保に努めるとともに、活動を顕彰し、活性化につなげているところです。
さらに、次代を担う子供たちが郷土の文化財への関心と愛着を深めるよう、学習教材ふるさと山梨を作成し、小中学校での積極的な活用を促しています。
今後は、地域の記憶の収集・保存や県立博物館が主体となった出前授業など、さらなる学習機会の拡大に向け、教育委員会と連携し、検討してまいります。
こうした取り組みによりまして、無形民俗文化財に携わる方々の裾野を広げながら着実に保存・継承されるよう取り組んでまいります。
次に、上野原市及び北都留地域における農作物の鳥獣被害対策についてです。
県では、地域の鳥獣被害の状況を詳細に把握し、県が委嘱した鳥獣被害対策専門員の助言をもとに、各市町村の鳥獣被害防止協議会と連携して効果的な対策を進めてきております。
当地域におきましては、侵入防止柵や、わなの整備を支援するとともに、鳥獣害防止対策の中心的役割を担う集落リーダーを育成してきた結果、令和三年度の被害額は前年度と比べ約一五%減少いたしました。
このうち、侵入防止柵につきましては、昨年度までに約五十六キロメートルを整備し、約百二十ヘクタールの農地で被害防止を図っております。計画の残り約一キロメートルにつきましても、本年度中に整備が完了する見込みであります。
また、近年、被害が多い猿につきましては、効率的な追い払いや捕獲を行うため、本年度は群れの行動を把握するセンサーカメラと囲いわなの設置を支援するなど、引き続き鳥獣被害の軽減に取り組んでまいります。
最後に、魅力ある景観づくりの推進についてです。
まず、地域の景観づくりに向けた機運醸成の取り組みについてです。
地域住民が景観づくり活動を主体的に行うためには、中心的な役割を担う人材の育成が重要です。
このため県では、地域の取りまとめ役となる地域景観リーダーや住民団体及び市町村職員を対象に、景観に対する知識が深められるよう講習会や意見交換会を定期的に開催しております。
また、地域で行うワークショップの開催やコーディネーターの派遣、景観まちづくりの計画作成などを支援し、景観づくり活動の機運醸成を図っています。
県といたしましては、地域特有の景観を保全するとともに、創造していくことは重要な課題であると認識をしており、市町村と連携して県内各地域の魅力ある景観づくりに取り組んでまいります。
次に、公共施設の魅力を発信するための取り組みについてです。
県では、令和元年度からホームページ、富士の国やまなしインフラガイドを運営し、県内六十二の公共施設の価値や魅力を紹介しています。
また、本年三月にはインスタグラム、県土やまなし未来づくりを開設し、公共施設がイベントでにぎわう様子や新緑に溶け込む橋梁、紅葉を湖面に映し出すダムなど、四季折々の景観を発信しています。
今後も、地域の景観づくり活動を一層推進するとともに、インターネットやSNSを活用し、公共施設の魅力を積極的に県内外へ発信してまいります。
以上をもちまして、私の答弁といたします。
21 ◯副
議長(
古屋雅夫君)警察本部長、
伊藤隆行君。
(警察本部長
伊藤隆行君登壇)
22
◯警察本部長(
伊藤隆行君)市川議員の山岳遭難の発生状況と防止対策についての御質問にお答えいたします。
県内における山岳遭難の状況は、本年十一月末現在で、発生件数が前年同期三十九件増の百四十六件、遭難者数が四十三人増の百六十四人と大幅に増加し、ほぼ新型コロナ感染症発生前の水準に戻りつつあります。
遭難原因別には、滑落二八%、道迷い二五%と、この二つで半数以上を占め、滑落には道迷いの末の滑落も多数含まれることから、道迷いが山岳遭難の大きな原因の一つとなっております。
こうした道迷いへの対策として、県警察では、過去の遭難状況から迷いやすい分岐点を抽出し、登山道を管理する自治体に案内板設置等を働きかけるほか、これらの場所を県警察官が重点的にパトロールするなどの対策を講じております。
他方で、議員御指摘のとおり、道迷いの原因の多くは登山者の準備不足にあることから、駅や登山口で警察官が登山者に対して、地図や照明器具の携行、登山届の提出などを促しております。
さらに、地図や照明器具の携行などを県外登山者にも広く周知するため、県警ホームページはもとより、登山関連事業者との連携協定などに基づき、事業者のウエブサイトからも呼びかけさせていただいております。
引き続き、本県における登山の安全を確保するため、県や市町村・事業者と密接に連携して、登山道における環境整備や情報発信などの山岳遭難防止対策を積極的に推進してまいります。
以上でございます。
23 ◯副
議長(
古屋雅夫君)当局の答弁が終わりました。
市川正末君に申し上げます。再質問はありませんか。
24
◯市川正末君 ございません。
25 ◯副
議長(
古屋雅夫君)これより、市川正末君の一般質問に対する関連質問に入ります。
関連質問はありませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
26 ◯副
議長(
古屋雅夫君)関連質問を打ち切ります。
これをもって、市川正末君の一般質問を打ち切ります。
暫時休憩いたします。
午後二時二十四分休憩
───────────────────────────────────────
午後二時四十五分再開議
27
◯議長(
久保田松幸君)休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第一及び日程第二の議事を継続いたします。
発言の通告により、大久保俊雄君に二十分の
発言を許します。大久保俊雄君。
(大久保俊雄君登壇)(拍手)
28
◯大久保俊雄君 自民党誠心会の大久保俊雄です。
今定例会に提出されました案件並びに県政一般について質問させていただきます。
先月十五日に内閣府が発表した二〇二二年七月から九月期の国内総生産(GDP)速報値は、年率一・二%減の一年ぶりのマイナス成長となりました。輸入の伸びが輸出の伸びを大きく上回ったことが大きな要因です。企業の設備投資が伸びたものの、国際的な原材料価格の上昇や円安の影響で、経済の体温計とも言われる消費者物価指数が大きく上昇し、家計の負担が増し、消費の足かせとなったことが、内需の柱である個人消費の伸びを小さくしたことも一因であります。
特に中小企業では、物価高によるコスト増加分を取引価格に反映しにくく、人件費を引き上げる余裕もありません。また、コロナ禍での資金繰り支援のための融資が、来年には返済が本格化し、企業、家計を取り巻く環境は厳しい状況にあります。
広く県民の声を伺う中で、県民の命や生活を守るため、今議論すべきは何かを見きわめ、具体的な施策につなげ、その効果を県民に還元することが重要であります。
県立美術館には、三人の農婦が収穫後の畑にかがみこみ、麦の穂を集めるミレーの「落穂拾い」が展示されています。収穫の際、日々の糧に困る人のため刈り尽くさず穂を残しておく、慈しみ助け合いの習慣を描いたものです。
長崎知事の目指す県民が明るい展望を持って共に豊かさを育み分かち合える社会の実現に向けて、私も知事と議論を重ね、山積する諸課題に鋭意努力、邁進することをお誓いし、以下質問に入ります。
まず初めに、観光業界における人手不足・人材不足対策について伺います。
各県で行う県民割の対象を拡大した全国旅行支援の開始と、インバウンド観光客などへの規制の大幅緩和が行われた十月十一日以降、全国に国内外からの観光客があふれかえりました。あまりの予約数にシステムダウンするホテルや予約の電話が鳴りやまない旅館など、沸騰する旅行需要の状況を伝えるニュースがあったのは記憶に新しいところであります。
私の地元、石和・春日居温泉におきましても、週末のみならず平日にも、全国旅行支援の実施により、温泉街を多くの観光客がそぞろ歩きする風景が戻り、その中には、コロナ禍以降、長い間目にすることのなかったインバウンド観光客の姿も見られるようになり、改めて、これまでとは一線を画す観光の復活を確信したところであります。
一方で、先日の新聞報道にもありましたように、コロナ禍で疲弊する経営を守るため、やむを得ず人員削減を行ってきた業界は、今、未曽有の人手不足・人材不足に苦慮することとなっております。
石和・春日居温泉の旅館やホテル、飲食、運輸も例外ではなく、急激なコロナ禍からの回復を受け、多くの事業者が人手不足・人材不足に悩んでおります。
現在、人手不足の対応について、業界では人材派遣業者に依頼したり、アルバイトを募集するなどして、やりくりをしているとのことですが、なかなか十分な人の確保ができず、コロナ禍前の経営に戻すのは難しいとの嘆きの声が上がっております。仕事はあるのに人手が不足し売上げが落ちる、いわゆる労務倒産の懸念も発生しております。
こうした状況は、本県観光にとって大きな損失になりかねないものであり、従前どおりの経営を回復させるためには、必要な労働力の確保がとても重要であると考えております。
そこで、県では、観光業界における人手不足・人材不足対策にどのように取り組むのか伺います。
次に、本県果樹産地の持続的な発展について伺います。
本県は、恵まれた自然や大消費地に近い立地条件を生かし、ブドウ・桃・スモモの生産量日本一を誇る果樹王国として発展してきました。
特に、本県果樹の主要な産地である峡東地域は、本県果樹生産の約六割を占める全国屈指の果樹産地であり、長い歴史の中で培われた伝統的な栽培技術や知識、美しい農村景観などは、他に類を見ないものであります。
本年七月、こうした峡東地域の独創的な果樹農業システムが、国際連合食糧農業機関の世界農業遺産に認定され、世界的にも高い評価を得たことは大変喜ばしく誇らしいことであります。
また、令和三年の本県農業生産額は、平成六年以来、二十七年ぶりに一千百億円を超え、特に果実はブドウのシャインマスカットの好調な販売が牽引する形で六百八十六億円と過去最高を記録しました。
シャインマスカットは、国内外の消費者から絶大な人気があることから、全国的に増殖が進み生産量も大幅に増加しております。
こうした状況の中、県内においても、シャインマスカットの販売単価が右肩上がりであることから、他のブドウ品種からだけでなく、桃や桜桃からもシャインマスカットに転換する農業者もふえております。
一方で、このままでは全国的にシャインマスカットの生産が過剰になり、販売単価が急激に下落する可能性があるのではないかといった不安の声も聞かれ始めております。
また、近年は、台風や長雨などの気象災害の多発など、農業生産へのリスクも高まっており、このまま栽培品種の単一化が進むと、一度の気象災害でも農業生産に大きな被害が発生し、農家の経営に大きな影響を及ぼすことも懸念されます。
峡東地域では、古くから多品目・多品種の果樹が栽培され、リスク分散などが行われており、世界農業遺産の認定に当たっても、この点が大きく評価されております。
本県果樹産地が将来にわたり持続可能に発展していくためには、シャインマスカットに偏った品種構成から脱却することで、生産過剰による販売単価の下落や災害等のリスクを回避することが重要ではないかと考えますが、県ではどのように取り組んでいくのか伺います。
次に、感染管理認定看護師の育成について伺います。
これまで、新型コロナウイルス感染症が拡大した際には、医療機関や高齢者施設及び障害者施設でクラスターが発生し、県ではその都度、感染症に精通した感染管理認定看護師を派遣し、専門的な見地からゾーニング等の助言や技術的な支援を行ってきたところであります。
現在、感染が拡大し、第八波として再び我々に襲いかかってきており、直近一週間当たり六千人を超える感染者が確認されております。
また、この冬は、新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行が懸念され、県内ではピーク時に新型コロナウイルス感染症は二千八百人以上、季節性インフルエンザは二千百人以上の患者が想定されております。
このため、医療機関や高齢者施設等で、これまでにない規模のクラスターが発生する懸念があり、当該施設における機能を維持していくため、感染管理認定看護師を派遣していく必要があります。
しかしながら、県内の感染管理認定看護師は二十五名にとどまっており、複数のクラスターが同時に発生した場合や長期間にわたり対応が必要となった場合には、十分に派遣できないのではないかと考えております。
このような中、感染管理認定看護師の育成は喫緊の課題であり、県は本年二月議会において、来年春をめどに、県立大学に感染管理認定看護師の教育課程を開設することを明らかにいたしました。
今後も感染の波が到来することが予想されておりますが、空港等における水際対策も大幅に緩和されており、全く新しい感染症の発生も想定されることから、感染症に強い県づくりに向けて、感染管理認定看護師を計画的に育成していくことは極めて重要であると考えております。
そこで、感染管理認定看護師の育成について、県ではどのように取り組んでいくのか伺います。
次に、要介護者に対する介護サービスの継続について伺います。
現在、新型コロナウイルス感染症の第八波が到来し、本県も極めて厳しい状況に直面しております。感染者が急増する中、在宅で介護を受けている要介護者が感染することも想定されますが、症状が軽症あるいは無症状であれば入院基準に該当せず、自宅で療養することとなります。
こうした自宅療養者には、在宅サービスを継続して提供する必要がありますが、ヘルパーが感染し事業所全体に拡大するリスクがあることから、第七波の際には、やむを得ず訪問を取りやめる事業所もあったと聞いております。
また、介護施設においては、日々、感染防止対策に全力を挙げていることは承知しておりますが、現在のような感染の拡大期には、施設で働く職員も感染する懸念があります。多くの職員が感染し、介護に当たる職員が不足した場合には、これまで介護サービスの提供体制を確保するため、同一法人間で職員を派遣するなど工夫して対応してきたとのことであります。
しかし、現下の感染状況では、職員の感染による職員不足はどの施設でも起こり得ることであり、介護事業者は厳しい施設運営を迫られるとともに、要介護者に対するサービスの提供にも支障を来すことが懸念されます。要介護者やその家族の生活維持にとって介護サービスは必要不可欠なものであり、その提供を継続するための支援体制を構築することが必要であります。
そこで、この第八波において、要介護者に対する介護サービスを継続するため、県はどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。
次に、土砂災害警戒区域の指定について伺います。
近年の気候変動の影響により大型化する台風や線状降水帯による突発的・局所的な集中豪雨などにより、全国各地で土砂災害が頻発・激甚化しております。被害を軽減する施設対策には費用と時間を要することから、まずは、みずからの命を守るため、日ごろから土砂災害のおそれのある箇所をハザードマップで確認しておくことが大切であります。
しかし、令和元年東日本台風では、土砂災害警戒区域外で土砂災害が発生し、人的被害が発生したと報道され、これ以降、笛吹市内では、沢や傾斜地が多いところもあり、住民の方々から警戒区域外で土砂災害の発生する可能性のあることに不安を覚えるとの声を多く聞いております。
土砂災害は警戒区域内で発生すると理解しておりましたが、予期せず警戒区域外で発生し、人的・物的被害が発生した事例を踏まえると、警戒区域の追加指定も必要ではないのかと考えております。
県では、東日本台風での事例を踏まえ、新たな土砂災害リスク箇所の抽出を行っており、これには高精度な地形図を用いることが効果的であると聞いております。
私は先般、視察研修でドローンを活用した測量技術を視察させていただきましたが、地形情報から高精度な地形図を作成できる新技術に触れ、その有効性を強く感じたところであり、警戒区域の調査は、このような新技術を活用し速やかに区域指定を行う必要があると考えております。
そこで、土砂災害警戒区域の指定について、県の御所見をお伺いします。
次に、森林の公益的機能の強化について伺います。
近年、地球温暖化の影響による集中豪雨や大型台風の襲来により山地災害が同時多発的に発生し、林地崩壊に伴う大量の土砂が流れ出して人家や交通機関などに甚大な被害を及ぼす事例が全国的に増加しております。
本県におきましても、令和元年十月の台風十九号により各地で山崩れが発生し、中央自動車道や国道二十号などの幹線道路に大きな被害が発生したことは記憶に新しいところであります。
こうした被害の状況を目の当たりにし、県民の生命や財産を守るために、災害に強い社会資本を整備していくことの重要性を強く認識したところであります。
一方、欧米を中心として河川や森林、そこにある植物などといった自然環境が有する機能を社会における、さまざまな課題解決に活用するグリーンインフラという考え方が広まってきております。
我が国においても、こうした考え方に基づき、防災・減災や地域の振興、環境の保全といった幅広い分野での取り組みが始められております。自然環境の中でも森林は木材の生産を初め、林地の保全、水源の涵養、地球温暖化の防止など多面的な機能を有しております。
県土面積の約八割を森林が占める本県においては、この豊かな森林を県民の生活基盤を支える重要な緑の社会資本であるグリーンインフラとして捉え、その機能を活用していくべきであると考えます。特に本県の場合、急峻な山々に囲まれ、集落が山間地に多く点在しており、山地災害を未然に防止する観点から、こうした取り組みを積極的に推進することが重要であります。
そこで、森林の公益的機能の強化に向けた県の取り組みについて伺います。
最後に、県有施設のLED化の推進について伺います。
ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や歴史的な円安などを要因に、エネルギー価格の高騰が続く中、産業用の電気料金は二〇二一年七月から二〇二二年七月の一年間で約三四%上昇し、企業の経営を圧迫しており、特に中小・小規模事業者は大きな打撃を受けております。
企業にとって電気料金の削減を図ることが喫緊の課題となる中、電気設備や空調設備等を省エネルギー性能の高い機器に更新するとともに、建物のエネルギー使用料の二〇%から四〇%を占めるといわれている照明をLED化することが大変有効であります。
こうした中、政府は二〇三〇年に一〇〇%のLED化を目標に掲げ、県でも令和三年十一月に設置した山梨県地球温暖化対策推進本部において、県有施設のLED化を加速させ、二〇二五年までに原則一〇〇%導入するとの方針を決定し、取り組みを進めていると承知しております。
照明のLED化は県が率先して取り組み、その電力コストの低減効果を目に見える形でしっかりと示すことにより、県内中小・小規模事業者に追随を促すとともに、CO2削減も図られることで二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを発信し、広げていくことにもつながり、その意義は極めて高いものと私は考えております。
また、こうした業務を地元企業に発注することで雇用の創出を図るとともに、地域経済の成長、活性化につなげていくことが可能となります。
そこで、県有施設のLED化の進捗状況と今後の進め方について伺います。
以上をもちまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
29
◯議長(
久保田松幸君)大久保俊雄君の質疑・質問が終わりました。
これより、当局の答弁を求めます。知事、
長崎幸太郎君。
(知事
長崎幸太郎君登壇)
30
◯知事(
長崎幸太郎君)大久保議員の御質問にお答え申し上げます。
初めに、観光業界における人手不足・人材不足対策についてです。
コロナ感染第七波を乗り越え、全国的に人の動きが活発化する中、コロナ禍以前からある観光業の人手不足感や人材不足感がより顕著になりつつあります。
県では、そうした従来からの課題解決のため、収益性や労働生産性の向上とともに、職場の魅力向上につながる観光の高付加価値化に取り組んでまいりました。旅行需要の変化が見込まれるポストコロナにおいて、なお本県観光を発展させていくためには、高付加価値化を一層加速させることが必要と考えます。
このため県では、宿泊施設などの施設設備の改修支援やAIを活用した業務改善セミナーの開催など、限られた労働力の最大限の活用を支援してまいります。
また本県では、労使の共益関係を育み、山梨に企業の成長と賃上げの好循環を生み出すためのリスキリングの基盤づくりに取り組んでいるところです。
新たに構築する基盤におきましては、観光業の高付加価値化を担う人材の能力開発についても積極的に後押ししたいと考えております。
さらには、活用が期待される副業・兼業人材の高度な資質や能力を生かすべくマッチングを支援するサイトを開設し、多様な働き方と生産性向上による人手不足の解消を図ってまいります。
こうした取り組みによりまして、ポストコロナの新しい時代を生き抜くことができるよう、本県観光の体質強化を図り、県内経済の発展につなげてまいります。
次に、本県果樹産地の持続的な発展についてです。
本県果樹産地の持続的な発展のためには、多品目・多品種栽培により、災害リスクと労力を分散するとともに、優良品種の普及による他産地との差別化を図っていくことが重要です。このため、県では、これまでに四品目で十一品種のオリジナル品種を開発・普及してまいりました。
現在は、桃の夢みずきや夢桃香、ブドウのブラックキングや甲斐ベリー7を初め、民間育種であるスモモの貴陽や皇寿、サクランボのアルプス紅扇などについて、JAと連携して早期産地化を図っております。
また、シャインマスカットの生産過剰による価格下落が懸念されるため、地域ごとのモデル園での栽培検討会などを通じまして、県オリジナル品種を初め、多様な品目・品種のさらなる普及に取り組んでいきます。
さらに、各産地の果樹産地構造改革計画において定めます振興品目・品種に改植する生産者を積極的に支援するなど、本県果樹産地の持続的な発展に取り組んでまいります。
以上をもちまして、私の答弁といたします。その他につきまして、担当の部長からお答えいたします。
31
◯議長(
久保田松幸君)福祉保健部長、
成島春仁君。
(福祉保健部長
成島春仁君登壇)
32
◯福祉保健部長(
成島春仁君)大久保議員の御質問にお答えします。
まず、感染管理認定看護師の育成についてであります。
令和五年四月に県立大学へ定員十四名の教育課程を開設するに当たり、現在、教育カリキュラムの策定や講義室の改修などを行っているところであります。
また、感染症に強い県づくりに向けた施策であることに鑑み、県内の医療機関に在籍する看護師が受講する場合には、県が受講料を全額負担してまいります。
なお、開設に先立ち、県内の医療機関に意向調査を行ったところ、令和五年度と六年度には定員を上回る希望者がおり、非常に高い関心をいただいております。
引き続き、医療機関などと連携し、多くの受講者の確保に努め、目標とする六十名の感染管理認定看護師の育成に向けて取り組んでまいります。
次に、要介護者に対する介護サービスの継続についてであります。
在宅の要介護者が介護サービスを受けることができなくなった場合には、本人や家族の生活に支障を来すことが懸念されます。このため、陽性となった要介護者に対して引き続き訪問介護サービスを提供する事業所を支援するため、助成金を支給することとしました。
また、介護施設における感染拡大により、介護職員や看護職員が不足した場合には、関係団体と連携し、応援職員を派遣できる体制を整備しております。これに加えまして、感染症の発生に備えた研修会の開催や感染対策への支援などにより、要介護者に対する介護サービスの継続に万全を期してまいります。
以上でございます。
33
◯議長(
久保田松幸君)林政部長、
入倉博文君。
(林政部長
入倉博文君登壇)
34
◯林政部長(
入倉博文君)大久保議員の森林の公益的機能の強化についての御質問にお答えいたします。
森林の持つ土砂の流出防止や水源涵養の機能を発揮させることは、山地災害を防止する上で大変重要であります。
このため、これらの機能を確保する上で特に重要な森林を保安林に指定し、立木の伐採や土地の形質変更を規制しております。
加えまして、保安林では豪雨で荒廃した渓流に治山ダムを設置するなど、その機能の維持・増進を図っております。
一方、手入れが行き届かず荒廃した民有林におきましては、県の森林環境税を活用し、間伐や広葉樹の植栽を実施しております。
こうした取り組みを着実に進めることにより、グリーンインフラである森林の公益的機能の強化を図ってまいります。
以上でございます。
35
◯議長(
久保田松幸君)環境・
エネルギー部長、村松稔君。
(環境・
エネルギー部長 村松 稔君登壇)
36
◯環境・
エネルギー部長(村松 稔君)大久保議員の県有施設のLED化の推進についての御質問にお答えいたします。
まず、本庁舎につきましては、現在、先行してリース方式により工事を進めており、来年二月にはLED化が完了する見込みであります。
本庁舎以外の施設につきましては、施設ごとの照明の数量、種別などの現状を確認するための調査を実施しております。
また、具体的な導入手法につきまして、公共施設の脱炭素化を支援する国の新たな財政措置を踏まえ、買取方式を含め、検討を行っております。
以上でございます。
37
◯議長(
久保田松幸君)県土整備部長、
飯野照久君。
(県土整備部長
飯野照久君登壇)
38
◯県土整備部長(
飯野照久君)大久保議員の土砂災害警戒区域の指定についての御質問にお答えします。
近年、異常気象の影響により、全国各地で土砂災害が頻発しておりますが、令和元年の東日本台風では、土砂災害警戒区域外で人的被害を伴う土砂災害が確認されました。
このため国では、警戒区域の指定について、抽出漏れを防ぐため、航空レーザー測量などによる高精度地形図を用いた調査を行うよう、指針の改定を行ったところであります。
これを受け、県では、昨年度までに高精度地形図を用いた調査を行い、指定対象となり得る区域として、県内で二千八十九カ所を抽出いたしました。
これらは今後、詳細な地形や地質などの現地調査を実施し、指定すべき区域を確定していきますが、このうち二百六十九カ所については既に調査を終えております。
現在、調査結果を取りまとめ、市町村長への意見照会など必要な手続を進めており、先月までに二十二カ所の区域指定の告示を行ったところであります。
県としましては、今後も引き続き国土強靱化対策予算などを活用し、残る箇所の現地調査を速やかに実施するとともに、早期の指定を目指してまいります。
以上でございます。
39
◯議長(
久保田松幸君)当局の答弁が終わりました。
大久保俊雄君に申し上げます。再質問はありませんか。
40
◯大久保俊雄君 ありません。
41
◯議長(
久保田松幸君)これより、大久保俊雄君の一般質問に対する関連質問に入ります。
関連質問はありませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
42
◯議長(
久保田松幸君)関連質問を打ち切ります。
これをもって、大久保俊雄君の一般質問を打ち切ります。
暫時休憩をいたします。
午後三時十六分休憩
───────────────────────────────────────
午後三時三十分再開議
43 ◯副
議長(
古屋雅夫君)休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第一及び日程第二の議事を継続いたします。
発言の通告により、長澤健君に二十分の
発言を許します。長澤健君。
(長澤 健君登壇)(拍手)
44 ◯長澤 健君 自由民主党新緑の会の長澤健です。
一月の西八代・南巨摩補選から、はや十一カ月、約一年がたちます。日々、峡南地域の方々のもとへ回っていますが、県土面積の五分の一を有する広い選挙区は、まだまだ声を聞けない方々が多く、私の政治スローガン「峡南をつなぐ」は、まだ始まったばかりです。
そんな峡南地域は、中部横断自動車道南部区間の開通、国道三百号の中ノ倉バイパス開通、富士橋のかけかえも間もなく完成と、インフラ整備が着々と進み、峡南地域も大きく変わろうとしています。
事業化に尽力していただいた先人の執行部、議員に感謝するとともに、私も峡南地域の発展のため、さらに邁進していく所存であります。
長崎知事におかれましては、先ごろ、峡南五町の首長とともにネクスト共創会議を立ち上げ、峡南の観光客誘致など峡南地域の発展に尽力いただき心強く感じています。
静岡県側からの玄関口として、峡南地域にも光が差す取り組みを、今後もお願いしたいと思います。
前回同様、質問は峡南地域の皆さんの声を反映する内容となっています。前向きな答弁をお願いし、以下質問に入ります。
まず、峡南地域の茶の振興についてであります。
私の住む峡南地域は、大塚にんじんや本年三月に地理的表示として登録されたあけぼの大豆など、地域の気候や風土に適した伝統的なこだわりの農産物が生産されています。
中でも、南部町を中心として、温暖で降水量が多い気象条件を生かした品質の高いお茶が生産され、広く県民に親しまれています。
南部町におけるお茶栽培の歴史は、古く室町時代にさかのぼりますが、本格的なお茶栽培が始まったのは、戦後になってからと聞いております。
その後、機械製茶が開始されたことにより、地域に茶業組合が設立され、これまでお茶の産地として発展してきました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、会葬等の返礼品として用いられてきたリーフ茶の需要が低迷しており、販売量、販売額とも大幅に減少しています。
一方、ペットボトル入りのお茶は、健康志向や手軽さから消費が堅調であることを踏まえると、お茶の消費拡大の可能性はまだまだあるのではないかと感じています。
本県は、言わずと知れた果樹の産地で、ブドウ・桃・スモモやワインについては、抜群の知名度を誇っています。
しかし、日本一のお茶の産地である静岡県に隣接していながら、本県の茶産地の知名度は決して高いとは言えません。
こうしたことから、まずは、本県に高品質なお茶の産地があることと、そのお茶の魅力を多くの人に知っていただく取り組みが必要であると思います。
このような中、県では本年度、山梨県茶振興協議会と共同して、厳選した南部茶を使ったプレミアムティーを開発したと承知をしています。
このプレミアムティーの魅力を消費者に効果的に情報発信していただくことにより、本県のお茶の認知度が高まり、本県産のお茶全体の底上げにつながるのではないかと考えます。
そこで、峡南地域の活性化を図るため、県として茶産地の振興にどのように取り組んでいくのか、御所見を伺います。
次に、ハイキングを活用した観光振興についてであります。
本県は、世界遺産富士山を初め、南アルプス、八ヶ岳など四方を山々に囲まれ、本格的な登山から里山などの低山登山やハイキングまで、幅広いバラエティに富んださまざまなコースを楽しむことができる、豊かな自然に恵まれた山岳県であります。
近年、登山に対する人気が高まりつつありましたが、コロナ禍で行動制限がなされる中、山に登らないまでも自然の中に身を置きたいと思う人がふえてきているとの話を耳にするところであります。
こうした中、県では、やまなしハイキングコース百選を作成し、JR東日本の高尾駅や甲府駅を初め、アウトドアショップや観光案内所等で配布したところ、一万冊の冊子が瞬く間に在庫切れになるなど、大変好評であったとの報道を拝見し、本県の強みを効果的に活用したものとして評価しています。
私も、実際に冊子を手にとり、拝見したところ、登山初心者でも気軽に楽しめる魅力的なコースが選定されており、すぐにでも出かけたい気持ちに駆られたほどであり、多くのハイキングファンの心を刺激したのではないかと思います。
また、この冊子では、コースの紹介とあわせて周辺の観光情報を紹介しており、なかなかよい工夫ではあると思いますが、一コースにつき二件の観光スポットの紹介にとどまっております。
コース周辺には、ほかにも魅力的な観光資源があるはずであり、せっかく山梨に来ていただいた方々に、そうした魅力を伝えずに帰らせてしまうのはもったいないのではないでしょうか。
私の地元である峡南地域をとってみても、大柳川渓谷や七面山などハイキングが楽しめる場所に加え、大法師公園、四尾連湖、身延山久遠寺を初めとした寺社仏閣などの見どころや、手すき和紙、花火、印章、すずりなどの体験スポット、また、ひなびた歴史ある温泉も点在し、さまざまな魅力にあふれています。
こうした地域の魅力をハイキングと組み合わせ発信することにより、他地域と差別化された山梨ならではのハイキングワールドが形づくられ、本県の観光の広がりにつながっていくものと考えます。
そこで、県では、ハイキングを活用した観光振興にどのように取り組むのか伺います。
次に、県道高下鰍沢線についてであります。
昨年八月に、中部横断自動車道の山梨─静岡間全線が開通し、増穂インターチェンジに隣接する道の駅富士川には、週末を中心に多くの県外ナンバーを目にするようになりました。
道の駅周辺には、ハイキングの質問でも取り上げたように、櫛形山や大柳川渓谷、氷室神社など観光客を引きつける魅力的な観光資源が数多くあることから、道の駅完結型の観光から周遊型の観光となるよう、周辺の狭隘な道路を解消し、県外から訪れる観光客に、快適なドライブで複数の観光地を周遊してもらえる道路の環境整備が必要です。
道の駅周辺の地域資源をめぐるルートの一つである県道高下鰍沢線の沿線には、四季折々のすばらしい景観があり、訪れる人を魅了しています。
例えば、春には、日本さくら名所百選にも選定されている大法師公園で二千本の桜が咲き競い、小高い山頂を淡いピンク色に染めています。
夏には、小室山妙法寺あじさい祭りが開催され、境内一面に色とりどりのアジサイが咲き乱れます。
秋も、小室・高下地区では、古くからユズが生産されており、訪れる方を離しません。
そして冬、高下地区から見るダイヤモンド富士です。高下地区は、日出づる里とも呼ばれ、ここからの富士の眺望は、関東の富士見百景や新富嶽百景にも認定されています。
詩人の高村光太郎も「私は多くの富士の名所を訪ねたが、こんなに立派な富士山は初めて仰いだ」と感嘆したというほどの見事な眺望が待ち受けます。
さらに、映画「ゆるキャン△」のオープニングでダイヤモンド富士を望むシーンもあり、高下地区のダイヤモンド富士スポットに若者が多く訪れるようになったと聞いています。
このように、特色あるすばらしい地域資源を沿線に有する県道高下鰍沢線は、急峻な地形から狭隘区間が多く、残念ながら、そのポテンシャルを十分に生かし切れていないのではないかと感じております。
また、高齢化や過疎化が進むこの地域の住民にとって、道路は経済活動や日常生活になくてはならないものであり、定住化を促すためにも、道路が果たす役割は大きいと考えております。
これまで、小室地区や高下地区で整備を進めていただいておりますが、大法師公園入口付近は幅員が狭小で、交通の隘路となっており、早急な整備が望まれています。
そこで、県道高下鰍沢線の整備状況と今後の見通しについて伺います。
次に、森林環境税を活用した荒廃森林再生事業の周知についてであります。
適切に管理された森林は、県土の保全や水源の涵養、地球温暖化の防止など、県民に広く恩恵を与えています。
しかし、山村地域では過疎化や高齢化が進み、また、化石燃料に依存した生活様式の変化により、手入れがなされず荒廃のおそれのある森林が増加しています。
こうした中、県では、平成二十四年度から県独自の森林環境税を導入し、荒廃森林の再生を中心とした健全な森づくりを進めています。
先日、私は自由民主党新緑の会の同僚議員とともに、この事業により間伐が行われた森林を視察した際、きれいに整備された森林内に光が差し込んでいる光景を見て、この取り組みが着実に成果を上げていると実感しました。
荒廃森林を再生するこの事業は、森林所有者に経費の負担を求めることなく、所有森林の境界を確定し、間伐等を行う事業であり、森林の公益的機能の増進を図るものとして、森林所有者のみならず、社会全体にとっても有益であります。
しかしながら、私の地元では、相続した山林の手入れをしたいが、隣接する土地との境界が不明であることから手がつけられないといった声をたびたび耳にし、事業による支援が受けられることも、どこに相談をすればよいかといったことも知らない所有者が多いように見受けられます。
近年、全国各地で、台風の大型化や線状降水帯の発生などにより大規模な自然災害が頻発しており、森林の有する災害を防止する機能の発揮に対する期待は高まっております。
そこで、森林環境税を活用した事業のさらなる活用促進に向け、制度の周知をより積極的に行っていくべきだと考えますが、県の所見を伺います。
次に、消防団員の確保についてであります。
例年、下草が枯れ、落ち葉が積もる冬から春にかけて、全国各地で林野火災が相次いでおり、県内でも、令和に入ってから三十八件の林野火災が発生しました。
消防団は、こうした火災が発生した際の消火や延焼防止などの活動のほか、日ごろからも、火災予防のための夜間の巡回や防災訓練、警戒活動などを通じ、地域の安全確保に尽力しています。
さらに、地域のイベントなどにも参加し、地域コミュニティーには欠かせない存在である消防団の果たす役割は大きく、将来にわたり維持していかなければならないと考えます。
しかし、近年の少子高齢化による人口減少や就業形態の変化など、消防団を取り巻く環境の変化により、全国的に団員数が減少傾向にあります。
県内においても、団員数は、この十年で約一割減少しており、私の住む富士川町を初め、県内の各市町村では、消防団員の確保に苦慮していると聞いています。
このような中、国においては、令和三年四月に年額報酬や出動報酬の標準額を定め、処遇を改善することにより消防団員の確保を目指すこととしていますが、これとあわせて、団員が活動しやすい環境づくりや消防団に加入するメリットの提供、さらには、火災など危険を伴う現場での団員の安全確保についても検討していく必要があると考えます。
私自身、みずからの地域はみずからで守るという郷土愛護の精神のもと、地元消防団に身を置き、ジェットシューターを背負い、林野火災の現場で消火活動をした経験がありますが、危険と隣り合わせの現場において、団員の安全対策はとても重要であると痛感しています。
火災や地震などの災害が発生したときに、人が容易に近づけない場所や、目に見えない場所での迅速な状況把握や行方不明者の捜索を行うことを目的として、近年、ドローンを導入する消防団がふえてきていると聞きますが、このような新たな資機材の活用は、団員の安全確保の面でも有効であり、加入促進にもつながると思います。
私は、消防団員を安定的に確保するため、市町村が行う消防団の活動環境の整備や団員の安全確保について、県も積極的に関与することが不可欠であると考えます。
そこで、消防団員の確保について、県はどのような取り組みを行っているのか伺います。
次に、森林総合研究所芝生広場の機能回復についてであります。
リニア中央新幹線は、現在、JR東海により品川─名古屋間の開業に向け建設が進められており、県内においてもトンネル工事のほか釜無川橋梁など、私たちの目にも見える形で工事が進んでいます。
都市圏への移動時間が飛躍的に短縮するリニア中央新幹線の開業は、人の往来の増加による県内経済の活性化など、県民生活に豊かさをもたらすことが期待されております。
こうした中、私の地元、富士川町内にある県森林総合研究所においては、芝生広場の中央をリニアの本線が横断する計画になっており、既に工事が開始されています。
この芝生広場は、緑豊かで甲府盆地が一望できる眺望にすぐれた立地条件を生かし、森林総合研究所が森林・林業に対する理解を深めていただくため実施している森の教室の体験学習に利用されているほか、地元の子供たちのよい遊び場となっているなど、地域住民の憩いの場として活用されております。
森の教室におけるプログラムの充実のためにはもちろん、子供たちが屋外で思う存分遊べる場所が少なくなっている昨今、このように地元に親しまれている芝生広場は大変貴重な施設であります。
リニア開業後もその機能を維持・回復させることが必要であり、さらにはリニアが見える公園として一般客も多く訪れる可能性もあると考えます。
そこで、県では、この芝生広場の機能回復をどのように図っていくのか伺います。
最後に、増穂商業高校及び峡南高校跡地の現状についてであります。
令和二年四月、私の地元である峡南地域に、県内初の単位制・総合制高校として青洲高校が開校しました。
青洲高校では、普通科、商業科、工業科の枠を越えて他学科の授業を
選択することができ、大きな魅力となっています。
また、学校活動では、増穂商業高校の恒例行事の増商デパートに工業系の体験コーナーなどを加え、新たな行事として瑠璃店を開催し、小さな子供からお年寄りまで地域の大勢の方が来校し、大盛況でありました。
青洲高校の前身である市川高校、増穂商業高校、峡南高校の三校の伝統が着実に継承されていることが実感でき、大変うれしく感じたところであります。
さらに、昨年度の公立高等学校入学者選抜学力検査でも、最終志願者数の倍率が、青洲高校は定員を上回る一・一五倍と、中学生の人気が高く、今後、青洲高校が峡南地域の学問の拠点として発展していくものと大いに期待をしております。
一方、青洲高校の前身である市川高校、増穂商業高校、峡南高校の三校は、これまで築いてきた伝統や特色を青洲高校に継承し、それぞれの長い歴史に幕を閉じたところです。
学校として使われなくなった増穂商業高校や峡南高校から、いつもの風景であった生徒たちの姿がなくなり、少し前まで当たり前だった生徒たちとの日常の挨拶など、にぎやかな声が聞こえなくなったことに、地域の方々は非常に寂しさを感じられていることと思います。
現在、富士川町にある増穂商業高校の跡地については、富士川町の新しい中学校の候補地であったものの、その後、建設場所が増穂中学校になったと承知しております。
また、身延町にある峡南高校の跡地については、現在のところ利活用の情報などは耳にしておりません。
これまで地域の活性化に寄与してきた両校の跡地については、地域の方々の関心は高く、跡地がどうなるのか案じている方も多くいらっしゃいます。
そこで、増穂商業高校と峡南高校の跡地の利活用について、現状を伺います。
以上をもちまして、私の質問を終了いたします。
45 ◯副
議長(
古屋雅夫君)長澤健君の質疑、質問が終わりました。
これより当局の答弁を求めます。知事、
長崎幸太郎君。
(知事
長崎幸太郎君登壇)
46
◯知事(
長崎幸太郎君)長澤議員の御質問にお答え申し上げます。
ただいまは、峡南地域の振興に向けて県と地元五町が立ち上げました峡南地域ネクスト共創会議などへの高い御評価を賜るとともに、峡南地域の発展に邁進されるという御自身の御決意をお示しになりました。
長澤議員におかれましては、「峡南をつなぐ」をスローガンに掲げ、地域の皆様の声をあまねくお聞きになり、さまざまな地域課題に高い関心を持って取り組まれる、その誠実さに対しまして深く敬意を表する次第であります。
私も、あすの山梨を構築していくための取り組みを前に進めるべく、県政発展に邁進してまいる所存でありますので、一層の御支援、御協力をお願い申し上げ、以下、答弁に入ります。
初めに、峡南地域の茶の振興についてです。
峡南地域の茶産地を維持・発展させるためには、ブランド価値を確立し、認知度を高めていくことが重要であります。
このため県では、県茶振興協議会と連携をし、宿泊施設でのリーフ茶の使用やふるさと納税での活用などを行ってまいりました。
本年度は、新たなブランド価値を創造するため、南部町産の最高級茶葉を本県の天然水で抽出したプレミアムティーを開発いたしました。味、風味ともに優れるこのプレミアムティーは、お茶の専門家からも絶賛されており、南部茶のフラッグシップティーとしてブランドを確立するべく、消費者に対して積極的に情報発信をしております。
こうした中、去る十月に富士河口湖町で開催された東京ガールズコレクションにおきまして、出演者にプレミアムティーを提供したところ、出演者から大変高い評価をいただき、直ちにその魅力がSNSで拡散されました。
また、「甲斐のみどり」で親しまれているペットボトル茶につきましても、味やパッケージをブラッシュアップするなど、ブランド価値と認知度の向上に向け、支援をしてまいります。
さらに、本年、県の担当職員を静岡県にある国の研究機関に派遣し、高度な生産・加工技術を習得させ、現在は産地で技術を普及しております。
プレミアムティーの開発を追い風に、今後も町やJAと連携をし、産地の活性化に向けた取り組みを進め、峡南地域の茶の振興を図っていきます。
次に、ハイキングを活用した観光振興についてです。
コロナ禍により、密集の回避、自然志向、近場への旅行など、旅行需要に変化が生じ、大都会に近く、自然豊かな本県の強みがますます際立っております。
県では、こうした旅行需要の獲得に向けまして、県内各地の手軽に楽しめるハイキングコースを選定し、冊子とウエブサイトにより公表いたしました。
コースとともに掲載している周辺観光スポットの情報は数が限られているため、現在ウエブサイトでの情報追加を行っており、さらにスマホの位置情報とも連動させ、利便性を向上させていきたいと考えております。
また、ハイキングを活用した旅行商品の造成を促進するため、観光説明会などの機会を捉え、旅行会社に働きかけることとしております。
さらに、峡南地域では現在、地元自治体とレンタル電動アシスト自転車の配備を進めており、ハイキング後の地域への周遊を促すモデルとしてまいります。
このほか、ハイキングや登山のための来県者をターゲットとした新たなビジネスの創出を促進するため、登山ガイドなどを対象とした研修会を開催することとしています。
今後も、ハイキングにさまざまな価値を加え、地域へより大きな収益をもたらす観光コンテンツに育て上げ、本県の観光振興につなげてまいります。
次に、県道高下鰍沢線についてです。
県道高下鰍沢線は、ユズの里として知られる高下や小室などの集落と鰍沢を結ぶ生活道路であるとともに、地域の観光拠点へのアクセス道路になっています。
これまで、高下地区では標高六百四十メートルから富士山を眺望できるポイントの整備に加え、乗用車がすれ違えるよう待避所の設置などの道路改良を行ってきたところであります。
また、小室地区は妙法寺など町内の主要な拠点を結ぶバス路線の終点になっていることから、これまで順次二車線の幅員を確保するための整備を進めてきました。
一方、鰍沢地区では、沿線に人家が密集しているとともに、幅員が狭く乗用車同士のすれ違いが困難なため、円滑な通行の支障となっています。
このため県では、特に狭隘となっている大法師公園入口から東側の四百メートル間におきまして、現在、地元関係者の御意見をいただきながら、道路計画の検討を行っているところです。
事業実施に当たりましては、地域の合意形成を図ることが重要であることから、今後も引き続き、地元の皆様と十分な協議を重ねてまいります。
次に、森林環境税を活用した荒廃森林再生事業の周知についてです。
荒廃森林再生事業は、全額公費により山林の所有者や境界を明確にし、区域を確定した上で間伐などの施業を行うものであり、一体的なまとまりを持つ森林を対象として作成する経営計画に基づき実施をしています。
この計画の作成は、森林所有者を構成員とする森林組合が主に行っているため、県では、下刈り・間伐などの施業履歴や航空測量データなど計画の作成に必要な情報を組合と共有しております。
森林組合では、これらの情報を活用して所有者に事業の実施を働きかけており、県としても組合の取り組みが円滑に進められるよう、計画の作成に対する技術的な支援を行っているところであります。
こうしたことに加えまして、森林所有者を初めとした県民の皆様に事業に対する理解を深めていただくため、森林整備の現場見学会の開催や情報誌「木もれ日」の発行などを行っています。
さらに、本年度は、事業の内容や必要性などをPRする動画を新たに作成し、ウエブサイトやデジタルサイネージを活用した効果的な情報発信を行うことにより、事業の一層の周知を図ってまいります。
最後に、森林総合研究所芝生広場の機能回復についてです。
リニア中央新幹線の本線が横断する森林総合研究所の芝生広場につきましては、現在地で機能回復を図る旨の協定書を昨年六月にJR東海と締結しました。
この協定では、芝生広場の分断を回避するため、本線をトンネル構造とし、その上部に盛土を行い、広場を再整備することとしています。
これによりまして、今よりも十三メートルほど高くなり、見晴らしがさらによくなるため、多くの方が利用できるようアプローチ道路やスロープ、身障者用の駐車場を新設していきます。
また、工事期間中における利用者への影響を極力少なくするとともに、従前と同程度の面積を確保するため、研究所敷地内に新たな広場を設置する計画であります。
こうした再整備によりまして、芝生広場が森の教室の体験学習の場、さらには眺望が楽しめる県民の憩いの場として一層親しまれ、活用されるよう機能回復を図ってまいります。
以上をもちまして、私の答弁といたします。
その他につきまして、担当からお答え申し上げます。
47 ◯副
議長(
古屋雅夫君)防災局長、細田孝君。
(防災局長 細田 孝君登壇)
48 ◯防災局長(細田 孝君)長澤議員の消防団員の確保についての御質問にお答えいたします。
消防団員を安定的に確保するためには、地域住民や事業者など幅広い方々から消防団活動への理解と協力を得ることが重要であります。
このため県では、消防団活動を紹介したPR動画を県ホームページに掲載するほか、県民の日行事など各種イベントを活用した広報活動を行っております。
また、市町村が行う消防団協力事業所表示制度や団員とその家族に事業者が割引などの特典を提供する消防団員サポート事業に対して積極的に支援を行っています。
具体的には、表示制度では協力事業所に対し、県制度融資での貸付利率の優遇措置や県発注の建設工事・物品等の入札参加資格の加点制度を実施しています。
サポート事業については、市町村のエリアごとに行ってきたものを、県内全ての団員に対し特典を提供していただける事業者の開拓に取り組んでいます。
一方、災害が多様化する中、地域防災の中核を担う消防団には対応能力の向上が求められていることから、さまざまな資機材を導入する消防団がふえています。県では、こうした資機材を適切かつ安全に操作できるよう、消防団と連携してドローンやチェーンソーなどの教育訓練を行っています。
今後は、将来の担い手となる小中学生への普及啓発を行うなど、消防団活動への理解促進や教育訓練の充実を図り、消防団員の確保に鋭意取り組んでまいります。
以上でございます。
49 ◯副
議長(
古屋雅夫君)教育長、
手島俊樹君。
(教育長
手島俊樹君登壇)
50
◯教育長(
手島俊樹君)長澤議員の増穂商業高校及び峡南高校跡地の現状についての御質問にお答えいたします。
まず、増穂商業高校跡地につきましては、富士川町から、町の教育施設として活用するため取得に向けた検討をしているところと伺っております。
このため県では、富士川町における検討内容の詳細について確認しながら、引き続き譲渡について、町と協議を進めてまいります。
次に、峡南高校跡地につきましては、現在、その利活用を図るための準備として、令和四年度当初予算に調査費を計上し、用地測量調査を実施しているところでございます。この調査とあわせて、敷地内にある法定外公共物の解消など土地の権利関係について整理するため、法定外公共物を管理している身延町との調整を進めているところです。
県としましては、身延町との調整が終わり次第、跡地の有効活用に向け、町の意向を伺いながら利活用の方向性について検討してまいります。
以上でございます。
51 ◯副
議長(
古屋雅夫君)当局の答弁が終わりました。
長澤健君に申し上げます。再質問はありませんか。
52 ◯長澤 健君 ありません。
53 ◯副
議長(
古屋雅夫君)これより、長澤健君の一般質問に対する関連質問に入ります。
関連質問はありませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
54 ◯副
議長(
古屋雅夫君)関連質問を打ち切ります。
これをもって、長澤健君の一般質問を打ち切ります。
以上で本日の日程は全部終了いたしました。
明十二月九日、午後一時、会議を開き、一般質問を行います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後四時五分散会
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