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  1. 山梨県議会 2021-09-01
    令和3年9月定例会(第3号) 本文


    取得元: 山梨県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-09
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいタブが開きます) 令和3年9月定例会(第3号) 本文 2021-09-28 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ窓表示 ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者一覧に移動 全 34 発言 / ヒット 0 発言 表示発言切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示 すべて選択 すべて解除 1 ◯議長桜本広樹君) 2 ◯清水喜美男君 3 ◯議長桜本広樹君) 4 ◯知事長崎幸太郎君) 5 ◯議長桜本広樹君) 6 ◯福祉保健部長成島春仁君) 7 ◯議長桜本広樹君) 8 ◯環境エネルギー部長(村松 稔君) 9 ◯議長桜本広樹君) 10 ◯産業労働部長(小林 厚君) 11 ◯議長桜本広樹君) 12 ◯県土整備部長大儀健一君) 13 ◯議長桜本広樹君) 14 ◯教育長三井孝夫君) 15 ◯議長桜本広樹君) 16 ◯議長桜本広樹君) 17 ◯桐原正仁君 18 ◯議長桜本広樹君) 19 ◯知事長崎幸太郎君) 20 ◯議長桜本広樹君) 21 ◯総務部長市川康雄君) 22 ◯議長桜本広樹君) 23 ◯スポーツ振興局長(塩野 開君) 24 ◯議長桜本広樹君) 25 ◯教育長三井孝夫君) 26 ◯議長桜本広樹君) 27 ◯警察本部長大窪雅彦君) 28 ◯議長桜本広樹君) 29 ◯桐原正仁君 30 ◯議長桜本広樹君) 31 ◯議長桜本広樹君) 32 ◯議長桜本広樹君) 33 ◯皆川 巖君 34 ◯議長桜本広樹君) ↑ リストの先頭へ ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長桜本広樹君)これより本日の会議を開きます。  この際申し上げます。  本日の会議時間は、議事の都合により、あらかじめこれを延長いたします。  直ちに日程に入ります。  日程第一、知事提出議案第百七号議案ないし第百十二号議案認第一号議案認第二号議案、承第八号議案及び承第九号議案を一括して議題といたします。  これより、上程議案に対する質疑とあわせ、日程第二の県政一般についての代表質問を行います。  この際申し上げます。  今定例会においては、本会議への出席に当たって、原則としてマスクを着用することとしておりますが、質問・答弁で登壇する際や、飛沫感染防止対策を行っている場所での発言は、非着用も可としておりますので、御了承を願います。  発言の通告により、清水喜美男君に四十分の発言を許します。清水喜美男君。       (清水喜美男君登壇)(拍手) 2 ◯清水喜美男君 未来やまなしを代表いたしまして、今定例県議会に提出されました案件、並びに県政一般について質問いたします。  日本列島は、毎年のように想定外土砂災害や河川の氾濫に見舞われ、大きな痛手をこうむっています。  世界に目を転じれば、トルコでの大洪水、ギリシャの山火事など、人類が今まで経験したことのない、天と地の激動が世界の至るところで頻発し、地球温暖化の危機を改めて実感しているところであります。  今、国内では、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せず、第六波の発生さえ懸念されています。  この未曽有コロナ禍により、私たちの生活は一変しました。人と社会とのつながり方や経済のあり方、価値観の変化など、私たちは、過去からの延長線上にはない全く新しい日常への対応を迫られています。  しかし、このことは次世代につなげる新しい社会の創出に対するポジティブチャンスでもあり、私たちは、そのための全く新しい発想を問われているところであります。  先日、開催の是非が問われた東京オリンピック・パラリンピックが幕を閉じました。十代の若いエネルギーが爆発し、日本も過去最多のゴールドラッシュに沸きましたが、我が家の近所では、早速、真新しいスケートボードで遊ぶ、多くの子供たちを目にするようになりました。  敏感に反応する若いエネルギーと、スポーツが持つ影響力の大きさを、改めて実感したところであり、あわせて安心してスポーツができる施設整備の必要性を感じたところであります。  先般、「県民一人ひとりが豊かさを実感できるやまなし」をうたった県の総合計画が見直されました。私も、県民生活に直結するこの総合計画がしっかりと実を結ぶよう、そして次世代を担う子供たちのため、新しい山梨の構築が確実に前進できるよう、全力で取り組むことを、ここにお誓いし、以下質問に入ります。  最初に、「日本一感染症に強い県・山梨」構築に向けた施策についてであります。
     昨年三月、本県で、新型コロナウイルス感染症が初めて確認されてから、一年半余りが経過しました。この間、幾度か押し寄せた感染拡大の波に対し、知事は、県CDCの設立を初め、先手対応を基本姿勢とし、検査体制や医療体制の整備・強化に取り組み、早期発見、早期治療、早期回復につなげるとともに、感染症に強い社会への移行を目指して、やまなしグリーン・ゾーン認証制度を推進するなど、先駆的な感染症対策を実施し、大きな成果を上げられております。  さらに、今後起こり得る未知なる感染症への対応も想定する中で、本県が目指す将来像として感染症に対して強靱な社会の実現を掲げ、県政全般にわたる取り組みを強力に推進されています。  私も、今回の経験を一過性のものとすることなく、近い将来、必ず新たな感染症が発生するとの想定のもとに、これまで築き上げてきた感染症対策を、県全体でしっかり継承し、県民総参加による「日本一感染症に強い県・山梨」を構築していくべきであると考えます。  そこで、こうした観点から、県の取り組みについて幾つかお伺いいたします。  まず、危機感を共有する施策についてであります。  本県における先月の新型コロナウイルス感染者数は、感染力が強いデルタ株の拡大により、過去最多となりました。県では、急激な感染の拡大を受け、臨時特別協力要請を発出し、不要不急の外出自粛、飲食店等に対する休業や営業時間短縮の要請など、矢継ぎ早に対策を講じられました。  こうした県の対策が効果を上げるためには、県民、事業者の理解と協力が不可欠であり、現状をしっかりと情報発信し、危機感を共有することが重要であります。一人一人が自身のことと捉え、県の要請に応じて感染防止対策を徹底することで、早期に感染の拡大を収束させることが可能になると考えます。  そこで、県民や事業者と危機感を共有するため、県ではこれまでどのように取り組んできたのか、また今後、どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。  次に、グリーン・ゾーン認証制度の推進についてであります。  山梨県では、長崎知事の強いリーダーシップのもと、昨年五月に、感染拡大防止と経済活動が両立できる超感染症社会への移行を目指す、やまなしグリーン・ゾーン構想を策定されました。  この構想に基づき実施されているグリーン・ゾーン認証制度は、感染症対策に取り組む宿泊施設や飲食店などに、県がお墨つきを与える山梨県独自の制度であり、山梨モデルと呼ばれ、今では多くの都道府県において同様の認証制度が導入されています。  このように、山梨県発の施策が全国に広がっていることは大変誇らしいことであり、今後も感染防止対策のトップランナーとして、走り続けることが大いに期待されているところであります。  私たち議員も、この取り組みを強力に後押しをするため、グリーン・ゾーン構想推進政策研究会を超党派で立ち上げ、勉強会や県民の皆様との意見交換会を行ってきたところですが、これまでの活動を通じ、幾つかの課題も見えてまいりました。  この研究会が実施した県民アンケートによれば、全体の約四四%の人が「よい制度だからしっかりと実行している」と答えたのに対し、約三九%の人が「制度の中身がよくわからないから、あまり実行していない」との回答があり、まだまだ県民に周知されておらず、危機感の共有化が図られていないことが判明いたしました。  政策研究会の活動コンセプトは、山梨県全体を安全・安心のグリーン・ゾーンにし、山梨県を日本一感染症に強い県にしていくことであり、私は、これをさらに加速化することで、世界標準として評価される仕組みにしていく、またとない大きなチャンスではないかと考えています。  そこで、グリーン・ゾーン認証制度の推進に、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。  次に、アフターコロナを見据えた産業振興についてであります。  八月十三日、知事は記者会見において、県内経済の需要喚起策を柱とするリカバリーメニューの策定着手を発表されました。  新型コロナウイルス感染症収束後を見据えて、トップギアで県内経済をリカバリーしようとするこの政策は、極めて重要であると考えます。  八月に入り、新型コロナウイルス感染者が増加し、感染症拡大防止への臨時特別協力要請の発出や、県独自に休業の協力要請などを行ってきましたが、感染拡大は収まらず、八月二十日には、本県において初めて、まん延防止等重点措置が適用されました。  これによる飲食店の休業・時間短縮営業、酒類提供の終日停止要請の影響で、飲食店を初め、関連の事業者も連鎖的な打撃を受けてきており、八月以降は景気の落ち込みが続いているところであります。  この感染症については、これまでにも幾度かの感染の波があり、その都度、県内の飲食店等の事業者は、事業継続の危機に直面し、困窮を極めてきました。もはや、自助努力では乗り越えられない時期に来ており、県としても大胆な地域経済対策の実施が必要と考えます。  九月定例会に提出された補正予算案のリカバリーメニューは、幾つかの消費喚起や需要拡大の取り組みにより構成されていると承知しております。  その中でも、休業等の要請の影響を強く受けている飲食店、関連事業者向けの消費喚起策は、感染状況を見ながら、早いタイミングで実施すべきであり、これを足がかりとして、アフターコロナに向けて、本県の新たな産業振興を図るべきと考えますが、県の所見をお伺いいたします。  次に、アフターコロナを見据えた観光振興についてであります。  観光立県やまなしが沈みかけている。私は、現在の県の観光産業を見て、こんな思いを持ちました。  本県は、平成十六年に観光立県「富士の国やまなし」を宣言し、国内はもとより、海外からも多くの観光客を受け入れた結果、令和元年には年間九百万人以上の宿泊客をお迎えし、四季を通じて県内の至るところに旅行を楽しむ人があふれる状況となりました。  しかし、昨年の春から続く新型コロナウイルスの影響により、状況はがらっと一変しました。  感染拡大の防止策として、人流を抑制することはやむを得ませんが、不要不急と見なされた国内の観光は、感染を助長するものとして敬遠され、また、外国人観光客は入国制限の影響で、ほぼゼロとなってしまいました。  宿泊施設、土産物店、体験施設などで構成される観光産業は、人が行き交うことで成り立つ産業であるため、コロナ禍によって人流が抑制された状況下では、売り上げがない日々が何日も続いているのが実態であります。  こうした中、事業者の方々は生き残りをかけ、さまざまな事業を展開しておりますが、厳しい経営状況は改善せず、事業継続を危ぶむ声も聞かれ始めています。  ワクチン接種の進展により、感染状況が落ちついてくれば、人々の旅行意欲が高まり、本県の豊かな自然や、各地の温泉、ワイナリーなどを求めて観光客が戻ってくると予想されます。  現状では変異株の拡大に伴い、首都圏を中心に、引き続き人流の抑制が続いているところではありますが、来たるべき旅行再開に直ちに対応できるよう、今からしっかりと準備しておくことが必要であると考えます。  そこで、県では、アフターコロナを見据えた観光振興にどのように取り組むのか、所見をお伺いいたします。  次に、ゼロカーボンシティの実現に向けた取り組みについてであります。  「地球温暖化による気候変動との闘いを加速しなければならない。」ドイツのメルケル首相はこう発言いたしました。また、各国の研究者も、国連のIPCC気候変動に関する政府間パネルの最新の報告で、「人間が温暖化を引き起こしていることは疑う余地がない。」と断言し、温室効果ガスの排出を大幅に削減するよう警鐘を鳴らしています。  こうした中、世界の大企業はもとより、国内の企業も、脱炭素化に向けた動きを急加速させており、まさに、地球温暖化対策は、これまでとは次元の違う、新たなフェーズに突入したといえます。  日本政府も、こうした世界の潮流の中で、二〇五〇年カーボンニュートラルを宣言し、さらに先般、二〇三〇年度の温室効果ガスの削減目標を大幅に引き上げたところであり、各省庁からは、目標達成に向けた具体的な施策が次々と打ち出され始めています。  私は、脱炭素化の実現には、本県が進めるP2Gシステムのような技術革新が必須と考えますが、これを進めつつも、目に見える形で確実に成果を出していくことも必要であると考えます。  こうした中、私が新たな切り口として注目しているのは、環境省が打ち出した脱炭素先行地域の取り組みであり、これは、地元の再生可能エネルギーをその地域で消費し、さらに省エネなどを組み合わせて、地域内のCO2排出量の実質ゼロを達成し、それをモデルにして、周辺地域に横展開していこうとするものであります。  本県では、各市町村において、地域資源を活用した小水力発電や、木質バイオマス発電などの再生可能エネルギーの導入が進められており、私は、これらを最大限活用することにより、脱炭素先行地域の創出は十分可能であると考えています。  県は本年二月、全国初となる全市町村共同による「ゼロカーボンシティ宣言」を行ったところであり、このことは、全県一丸となって脱炭素に取り組む姿勢を明確に打ち出したものと高く評価しております。  今後、さらに知事の強力なリーダーシップのもと、各市町村における脱炭素先行地域の創出を支援し、モデルとなるような成功事例を全県に展開することにより、県全体で、ゼロカーボンシティの実現を目指していくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。  次に、脱炭素社会に資する県産材の利用促進についてであります。  県土の約八割を占める本県の森林は、木材の生産を初め、水資源の涵養、地球温暖化の防止など、多面的機能を有し、私たち県民の暮らしを支えています。  また、戦後から高度経済成長期に造成された人工林の多くが、木材として本格的な伐採期を迎えており、積極的な利用が求められています。  県産材の利用を促進することは、林業・木材産業の活性化につながり、成熟した森林を伐採し、再造林することで若返った森林は、二酸化炭素の吸収量が大きく増加いたします。  さらに、木材は建築物に用いることにより、長期にわたり炭素を貯蔵し、その貯蔵量は、鉄筋コンクリート造りの約四倍となるほか、建築に用いられる材料についても、製造時の二酸化炭素排出量を、約二割に抑えることができます。  こうしたことから、私は、本県の充実した森林資源の活用をさらに推進し、建築物への利用を強力に進めるべきと考えております。  現在、国では、昨年十月に「二〇五〇年カーボンニュートラル・脱炭素社会」を目指すことを宣言し、地球温暖化対策計画に基づく取り組みを進めておりますが、この計画目標を達成する上でも、木材の利用促進は大きく貢献するものであります。  さらに、さきの国会において、公共建築物等木材利用促進法が改正され、木材の利用促進が、脱炭素社会の実現に向けた方策の一つとして位置づけられたところであります。  こうした中、県では、一昨年、県産木材利用促進条例を制定し、公共建築物などの木造・木質化を進めており、本年度は、私の地元である甲斐市内でも、県総合農業技術センターや特別養護老人ホームの建設が行われています。  しかしながら、民間建築物においては、店舗や事務所用途での、三階建て以下の低層建築物の木造率は約二割にとどまっています。  そこで、脱炭素社会を実現するという観点も踏まえ、県産材の建築物への利用促進に、どのように取り組んでいくのか、所見をお伺いいたします。  次に、プラスチックごみ対策についてであります。  プラスチックは、私たちの生活の中の至るところで使われ、多くの利便性と恩恵をもたらしてきましたが、一方で、適正な処理をされず散乱したプラスチックごみが、内陸から河川を経由して海に流れ込み、地球規模の海洋汚染の要因の一つとなっており、このため、SDGsの目標の中でも、「つくる責任・つかう責任」が明記されています。  世界自然保護基金WWFによると、既に一億五千万トンのプラスチックごみが海に流れ出ており、さらに世界経済フォーラムの報告では、二〇五〇年までに、海のプラスチックの重量が魚の重量を上回ると予測されています。  また、流出したプラスチックは、紫外線などにより細かく砕かれてマイクロプラスチックとなり、海洋中の有害物質を吸着し、それが魚などから食物連鎖により、人間の体内に取り込まれると、健康被害を引き起こす可能性も指摘されています。  令和元年度に、県が釜無川や笛吹川、桂川など八地点で実施した河川ごみの散乱状況等の調査によると、約八割がプラスチックごみで、その多くが日常生活に由来するものであり、また、河川水からは多くのマイクロプラスチックも確認されています。  ふだん見なれている身近な河川が、私たちの日々の行動の結果、プラスチックごみに汚染されているという実態が明らかになったところであります。  プラスチックごみ対策を着実に進めるためには、私たち県民一人一人が、河川を介して海洋ごみの問題に深くかかわっていることに関心を持ち、分別収集の徹底推進や、プラスチック代替素材の利用促進など、具体的な行動に結びつけていくことが重要であると考えています。  県では、本県の豊かな自然環境を守るとともに、流域圏における発生抑制対策を総合的かつ効果的に推進するため、プラスチックごみ等発生抑制計画を策定したと承知していますが、プラスチックごみの削減に向けた具体的な取り組みについてお伺いいたします。  次に、第四次やまなし食育推進計画についてであります。  県では、食に関する知識と、食を選択する力を習得し、健全な食生活を実践できる人間を育てるため、これまでに、さまざまな取り組みを推進してきたと承知しています。  第三次計画の最終年である令和二年度における目標指標の達成状況を見ると、やまなし食育推進応援団や、食育推進ボランティアの数が目標値を上回っており、食育に対する県民の意識は確実に高まっていると感じています。  その一方で、二十歳から三十九歳の若者が、朝食を週五回以上食べる割合は七六・七%と、目標の八五%には達しておらず、食生活の乱れや偏りは、生活習慣病を引き起こす要因ともなることから、若い世代の食生活改善は、引き続き重要な課題となっています。  また、令和元年度に実施した県政モニターアンケートによると、食育に関心がある人は八五%と高い状況ですが、食事の栄養バランスを考えるなどの行動をしている人は、四九%と半数を満たしておらず、関心はあっても実践に結びついていない現状が浮き彫りになりました。  県民が健康的な生活を継続するには、家庭、事業者、学校などが一体となり、食育を県民運動として推進していくことが、何よりも重要であると考えます。  加えて、持続可能な開発目標SDGsにおいて、食糧廃棄削減は重要な柱として位置づけられていますが、深刻な飢えや栄養不足の問題が拡大しつつある中で、私たちが食べ物を無駄にしない意識を強く持ち、食品ロス削減に具体的に取り組んでいくことは極めて重要と考えます。  さらに、新型コロナウイルス感染症の収束後は、新しい生活様式に対応しながら、新たな日常においても食育を着実に推進していかなければなりません。  このような中で、県は、本年三月に第四次やまなし食育推進計画を策定しましたが、計画策定の考え方と、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。  次に、依存症対策の推進についてであります。  依存症は、ギャンブルやアルコール、薬物などにのめり込み、日常生活に支障を来しているにもかかわらず、本人の意思のみでは抑制することができなくなってしまう病気であります。  深刻なものでは、本人の健康問題にとどまらず、田畑を売り払ったり、家業を廃業したり、さらには離婚・自殺など、本人はもとより、家族の生活にも多大な支障を生じさせ、犯罪等の重大な社会問題を招いたりする場合もあるため、早期の支援や適切な治療が非常に重要であります。  国が行った全国調査では、一度でもギャンブル等依存症であった疑いのある人は、全国で成人の三・六%、約三百二十万人、アルコール依存症の経験者は、全国で百万人を超えると推計されています。  また近年、インターネットやスマートフォンの普及により、特に若者を中心に、日常生活や社会生活に悪影響を及ぼすネット依存やゲーム依存の増加が問題となっています。  県では現在、山梨県ギャンブル等依存症対策推進計画や山梨県アルコール健康障害対策推進計画等に基づき、本県の実情に即した対策を推進していることと承知しております。  一方、本県には全国でもまれな、ギャンブル等依存症の回復支援団体であるグレイス・ロードの入所施設があり、昨年七月からは、これまでのノウハウを生かし、ネットやゲーム依存に関する電話相談も開始しています。  当施設の入所者は、日々回復プログラムを実践するとともに、地元自治会のお祭りや運動会、さらには駅前清掃などのボランティア活動にも、地域の一員として積極的に参加しています。  私も以前から、彼らの取り組みに共感し、可能な限りの支援を行っているところであります。  地域とのかかわりを通じて社会復帰を目指すこうした取り組みは、山梨モデルとして全国から注目を集めておりますが、今後は、依存症から回復した入所者の方々が本県に定着し、地域を支える力として活躍していただけることを、大いに期待しているところであります。  本県の依存症対策を、効果的なものにするためには、県や市町村はもとより、民間支援団体や医療機関、業界団体などが一体となって、依存症の方々の気持ちにしっかりと寄り添いながら取り組んでいく必要があると考えます。  そこで、県では、各種依存症対策について、どのような取り組みを進めているのか、お伺いいたします。  次に、中小企業の技術力向上につながる人材育成についてであります。  本県では、中小企業・小規模企業振興計画が策定され、中小企業の積極的な事業活動へのさまざまな支援が行われています。  この計画においては、県・国等の関係機関が連携し、中小企業の自主的な取り組みを促進することを基本理念としています。  振興計画における基本的施策の一つである、新たな事業分野の開拓の促進について、県では、水素・燃料電池を中心とした次世代エネルギーシステムの開発や、メディカル・デバイス・コリドー構想などを推進しています。  これらの成長分野における新たな事業展開を図ることで、県内企業の事業活動の拡大につなげるとともに、新たな雇用の創出に向けた取り組みを進めているものと承知しております。  新しい産業分野を県内に定着、発展させていくためには、より多くの県内中小企業の参入が重要であることは言うまでもありません。  しかし、中小企業が新しい分野へ参入していくためには、しっかりとした経営基盤と技術力の向上が求められます。  特に、技術力の向上においては、これまで県内中小企業が築き上げてきた超高精細加工技術や、たくみの技と言われる熟練技能者の技術を継承し、新しい産業分野でも生かしていくことが、県内産業の発展につながるものと考えております。  その一方で、多くの中小企業は、人口減少、経営者の高齢化、慢性的な人材不足に直面している状況にあります。そうした中にあっても、先を見据え、揺るぎない技術の確立に向け、企業の将来を担う人材の育成を図ることで、さらなる企業の成長を支えていく取り組みも必要と考えます。  そこで、本県の中小企業の持続的な発展を図るために、中小企業の技術力向上につながる人材育成の取り組みの方向性について県の所見をお伺いいたします。  次に、有形・無形の文化財の保護及び継承についてであります。  地震王国と言われる日本では、毎年、マグニチュード六以上の地震が発生しており、東日本大震災や大阪北部地震、熊本地震では、多くの貴重な文化財が被災しましたが、特に、建造物の被害が甚大であったことは言うまでもありません。  本県では近年、地震による文化財の被害は発生しておりませんが、南海トラフ地震や県内活断層が引き起こす地震による被害予想を考えますと、決して人ごとで済ますことはできません。  文化財は、その文化的価値のみならず、昨今は、観光資源としての活用を通じて、地方創生や地域経済の活性化に資する可能性を持つものとして、再認識されてきております。  中でも指定文化財建造物は、既に観光資源として活用されているものも多く、後世にわたり継承し、活用していくため、一つでも多くの指定文化財建造物に耐震対策が施されることが望まれています。  一方、その建造物の九割近くは民間が所有しており、中には、耐震対策を行いたくても十分な資金が確保できず、耐震化に踏み切れない所有者もいると聞いております。  そこで、県内における指定文化財建造物の耐震化の状況と、県からの支援についてお伺いします。
     また、我が国古来の伝統芸能や、地域で受け継がれてきた個性豊かな祭りなどの民俗芸能は、地域の過疎化や高齢化、さらには、後継者不足などにより、活動の機会がめっきり少なくなり、まさに存続の危機に瀕しているものも少なくありません。  こうした中、国は本年四月に、無形文化財の登録制度を設け、無形文化財を地域の宝として広く発信することにより、人々の関心を高めるとともに、保存と活用を図り、継承活動にもつなげることとしています。  私の地元甲斐市には、「おみゆきさん」と呼ばれる、平安時代を起源とした水防祈願のお祭りがあります。女装したみこしの担ぎ手が、釜無川の土手を威勢よく練り歩く姿は、地域の連帯感を一段と高揚させるものであり、まさに、ふるさと活性化の起爆剤ともいえるお祭りであります。  このように、地域の伝統行事は、世代を超えたふるさとの象徴であり、将来にわたって守り続けていくべき大切な財産であると私は考えています。  そこで、県では、地域に受け継がれている無形の文化財の保護及び継承に、どのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。  次に、豊かさを実感できる新しい農業経営の推進についてであります。  本県農業は、恵まれた自然条件と生産者の不断の努力により、日本一の生産量を誇るブドウや桃などの果樹を中心に、野菜、水稲、畜産など、特色ある産地として発展してきました。  しかしながら、本県農業を取り巻く環境は、担い手の高齢化や後継者不足、荒廃農地の増加、異常気象による生産力の低下など、依然厳しい状況が続いています。  県では、令和元年から四カ年計画で、二十年先の本県農業のあるべき姿を目指したやまなし農業基本計画を策定し、これまでに二年が経過しました。  私は、この計画の目的に掲げている、生産者が豊かさを実感するためには、特に、所得の向上につながる施策展開が重要と捉えております。  そのためには、まずICTやAIなどの先端技術を活用した新しい生産技術の開発や、地球温暖化に対応した果樹や水稲の品種開発、さらには家畜の飼養管理技術の開発が喫緊の課題であると考えます。  また、有機農業の普及拡大は、環境への負荷低減、生態系の健全促進などの面で極めて重要であり、持続可能な農業の展開により、農産物の新たなブランド化が期待されているところであります。  私の地元甲斐市においても、農業に魅力を感じ、他県からの移住者を含めて就農を希望する若者がふえていますが、中には耕作地の確保など、悩みを抱えている人も多く、こうした農業者の思いに寄り添っていくことも必要であると考えます。  このように、多種多様な課題がある中で、農業者一人一人が豊かさを実感できる足がかりになるのが、新しい農業経営の推進であると考えます。  そこで、県では、この新しい農業経営の推進に、具体的にどのように取り組まれていくのか、所見をお伺いいたします。  次に、本県の美しい県土づくりについてであります。  富士山や八ヶ岳の山並みなどのすばらしい自然景観や、歴史の重みを感じさせる神社仏閣、街道に残る宿場の町並み、農村の集落等の歴史的・文化的景観は、本県のかけがえのない貴重な資源であり、財産であります。  私は、このかけがえのない資源や財産を山梨ブランドとして、世の中に力強く発信する取り組みが非常に重要であると考えます。  例えば、傾斜地に広がるブドウ棚、ピンクの花が一面に咲き誇る桃畑、山並みを背景に稲穂が実る棚田などの景観は、県民だけでなく来訪者の心を潤す貴重な財産となっています。  私の地元甲斐市には、棚田の農耕文化の保存活動を行う団体があり、知恵と工夫を凝らし、楽しみながら棚田の再生と、美しい棚田景観の保全を行う活動が行われています。  そこでは、農業体験や棚田とかかしの芸術祭など、県内外の人との交流や、全国への情報発信も行われています。  景観十年、風景百年、風土千年と言われるように、まさに継続こそ力であります。  私は、このように、本県の美しい景観を活用し、地域の活性化に取り組む活動の輪が、少しずつでも確実に広がっていくことを望んでおります。  また、美しい景観を形成していくためには、地域の特性に応じた計画と、きめ細かな規制・誘導が必要と考えます。  その中心的な役割を担うのが各市町村であり、それを先導するのが県の役割だと考えます。  そして、本県の山並みや河川、至るところにブドウ棚がある町並みといった県全体にまたぐ広がりのある美しい景観づくりについては、県主導のもと、各市町村が連携して推進する必要があると考えます。  そこで、まず、地域の特性に応じた美しい景観づくりに対し、県ではどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。  また、美しい景観づくりの推進には、新しい魅力を創造していくことも重要であります。特に、道路、河川、橋梁、庁舎等の公共施設は、地域の景観を構成する重要な要素となるものであるため、県が美しい景観を創造するための先導的役割を果たすべきであると考えています。  そこで、公共事業を通じ、美しい景観形成をどのように推進していくのか、あわせてお伺いいたします。  次に、命を守る通学路や避難路等における安全対策についてであります。  まず、通学路について伺います。  本年六月に千葉県において、小学生五人が死傷する痛ましい事故が発生しました。御両親を初め、関係の方々の心中を察すると、言いあらわす言葉もなく、ただただ、このような事故が再び起こってはならないと強く感じたところであります。  私は、子供たちが希望に満ち、充実した学校生活を送るためには、学校での安全対策が何よりも大切であると考えております。  保護者の方々が特に気にかけているのは、事故に遭わずに日々安心して登下校できることであり、今回の事故を目の当たりにし、通学路の安全の確保は、極めて重要であると痛感しております。  これまで通学路の安全対策については、平成二十四年四月に発生した京都府亀岡市等の事故を受け、国が全国の都道府県教育委員会等に対し、小学校の通学路の一斉点検を要請し、本県においても、各学校が警察や道路管理者等と連携を図る中で、危険箇所を把握・改善してきたと承知しております。  国は今回の事故を受け、全国の都道府県教育委員会等に対し、新たな視点を加えた合同点検の実施を、改めて要請したと伺っております。  そこで、県は、事故を未然に防ぐため、現在どのような観点で点検を行っているのか、また、どのようなスケジュールで対策に取り組んでいくのか、お伺いいたします。  次に、避難路等についてであります。  平成三十年六月に発生した大阪北部地震では、ブロック塀が倒壊し、通学中の児童が死亡する事故が発生しました。  これを受け、国では、平成三十一年に耐震改修促進法を改正し、避難路等に面し、長さが二十五メートを超えるなど、一定規模を超えるブロック塀の耐震診断を義務化しました。  この改正に合わせ、県では現地調査を行ったと伺っており、その結果、県内には義務化の対象となるブロック塀はなかったと聞いております。  しかしながら、県内には小規模で古く、老朽化が進んでいるブロック塀も数多く存在しており、こうしたブロック塀は、地震時には倒壊し、住民の避難や救助活動の妨げになるおそれがあることから、早急の対策が求められているところであります。  そこで、避難路等に面するブロック塀の倒壊を未然に防ぐために、県ではどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。  以上で、私の質問を終わります。  最後になりますが、アフターコロナの世の中は、誰もが経験したことのない日常が待っています。この現実をしっかりと直視し、頑張った人が報われる世の中を実現するため、これからも精いっぱい精進していくつもりでございます。  御清聴ありがとうございました。 3 ◯議長桜本広樹君)清水喜美男君の質疑・質問が終わりました。  これより当局の答弁を求めます。知事、長崎幸太郎君。       (知事 長崎幸太郎君登壇) 4 ◯知事長崎幸太郎君)清水議員の御質問にお答え申し上げます。  ただいまは、未来やまなしを代表され、県政各般にわたり御質問をいただきました。コロナ禍により一変した日常に対応するため、全く新しい発想を持つことの重要性を述べられるとともに、見直しを図った総合計画が実を結ぶよう、そして次世代を担う子供たちのため、新しい山梨の構築に全力で取り組まれるとの御決意を示されました。  清水議員におかれましては、政治活動の中で各般にわたる地域課題に強く関心を持ち続け、常に新たな施策提案を行ってこられることに対し、深い敬意と感謝を申し上げる次第であります。  その積極性ある政治姿勢には大いに共鳴するところであり、議員とともに新しい山梨の構築に取り組んでいけることに大いなる期待と希望を抱く次第であります。  私自身も夢と希望に開かれた山梨の構築に向けまして、可能性のためにあらゆることをちゅうちょしない前傾姿勢で、県勢発展に邁進してまいる所存でありますので、一層の御支援、御協力をお願い申し上げます。以下、答弁に入ります。  初めに、「日本一感染症に強い県・山梨」構築に向けた施策につきまして、幾つかお尋ねをいただいております。  まず、危機感を共有する施策についてです。  県民や事業者の皆様に適切な感染防止対策を実行していただくためには、正確な情報を提供することはもとより、その情報をわかりやすく伝えることなどにより、危機感や責務を共有し、県と県民の皆様との間で信頼関係を構築することが重要であります。  このような、いわゆるリスクコミュニケーションの考え方のもと、今般のコロナ禍におきましても、私は可能な限り記者会見を通じ、現下の状況について適時お伝えするとともに、具体的な感染防止対策の徹底をお願いしてまいりました。  また、県感染症対策センターにおきまして、感染の事例と予防のポイントを示しましたリーフレットを作成し、専門家によるメディア・ブリーフィングを通じて、県民の皆様に感染症に関するトピックや具体的な感染予防策をわかりやすくお知らせしてまいりました。  さらに、感染の急拡大により、医療資源が枯渇の瀬戸際にある状況を県民の皆様に共有していただくべく、病床などの使用率が一目でわかる医療危機メーターを先月上旬から、県ホームページやLINEなどを通じて提供し、感染防止対策の実行を呼びかけたところであります。  また、感染者が増加している若年層をターゲットに、感染防止対策の実行を促すため、ユーチューブ動画にプッシュ型の広告を配信いたしました。  この動画は十万回を超えて再生されていることから、引き続き秋の行楽シーズンや年末年始など、人の動きが活発になる時期を捉えて、動画広告を配信し、より一層の注意喚起を行ってまいります。  さらに、来月には感染防止対策に有効な情報を一元的に発信するポータルサイトを開設することとしており、今後はこのサイトを中心として、適時適切な情報発信に努め、県民や事業者の皆様と危機感を共有する中で、より一層の感染防止対策につなげてまいります。  加えまして、こうした危機感の共有といったリスクコミュニケーションの視点は、感染症対策だけではなく、県政全般にわたって重要であることから、県では外部とのコミュニケーションの円滑化に向けて、取り組みの強化を図りつつ、今後も県民の皆様との信頼関係の構築に意を用いてまいります。  また、社会のデジタル化の進展に伴いまして、さまざまなメディアやインターネットなどにより、多くの情報が氾濫する中におきまして、県の施策や考え方を的確に県民の皆様に伝えていくため、新たな情報発信のプラットフォームの構築についても検討をしてまいります。  次に、グリーン・ゾーン認証制度の推進についてです。  本県におきまして、変異株の脅威にも屈せず、命と経済が両立できる超感染症社会を構築していくためには、グリーン・ゾーン認証制度を常に進化させていくことが重要であります。  このため、認証制度の質の維持向上に向けて、変異株に対応した新基準への取り組みの促進など、施設面での対策に加えて、大規模ワクチン接種センターにおいて、認証施設従業員に対し優先接種を行い、人に対する感染防止対策を講じたところであります。  また、先日発出いたしました感染拡大防止への協力要請の中で、BGMの音量基準の明確化、従業員に対する不織布マスクの着用の義務化、カラオケ利用ルールの追加などの対策の強化をお願いしております。  さらに、県民の皆様に対しまして、認証制度をより一層周知し、関心を高めるため、本年七月導入の入店管理システムに登録をいただいた約七万人の皆様に対しまして、店舗利用のルールを発信するとともに、変異株対応を行った店舗がわかるよう、県民投票で決定した新しい認証マークを配布するなどの取り組みを行っております。  また、国際的な評価が得られるワンランク上の基準の構築に向けましては、認証宿泊施設三カ所をテストベッドに、国内外のトップメーカー約三十社の空気除菌清浄器や除菌ロボット、非接触型チェックインシステムなどの実証事業を先日開始したところであります。  今後とも、グリーン・ゾーン認証制度の取り組みを全力で推進し、本県における感染症対策と経済の持続的な両立はもちろんのこと、本県経済の回復・反転攻勢につなげてまいります。  次に、アフターコロナを見据えた産業振興についてです。  県では、大変厳しい経営状況の中、休業や時短営業の要請に御協力をいただきました事業者の皆様のマイナスを取り戻し、そしてさらなる跳躍につなげていくため、需要喚起策を中心としたリカバリーメニューを展開いたします。  まず、飲食店の消費拡大に向けて、グリーン・ゾーン認証店を対象に、実質二〇%割引となるキャンペーンを五カ月間にわたり実施してまいります。  第一弾といたしましては、書き入れどきの年末年始の二カ月間、即効性のあるキャッシュレス決済によるポイント還元を先行して実施いたします。  続く来年二月からは、第二弾として、幅広い世代の方が、より多くの店舗で御利用いただけるように、プレミアム付食事券を発行し、切れ目なく飲食店の消費拡大を後押ししてまいります。  また、より多くの県民の皆様が安心して外食できる環境を整えるとともに、運転代行の利用を促進するため、運転代行事業者が行う感染症対策に対し、助成を行います。  さらに、幅広い業種の反転攻勢を支援するため、各種事業団体や商店街などが行う販売促進や消費拡大につながる新たなイベントやキャンペーンに対しましても、三百万円を上限に助成を行うことといたします。  これらの需要喚起策に加え、コロナ禍がもたらした経済社会環境の不可逆的な変化に対応するため、新分野への進出や業態転換に取り組む中小企業への支援を強化することで、アフターコロナに向けた産業振興を強力に進めてまいります。  次に、アフターコロナを見据えた観光振興についてです。  コロナ禍により、さまざまな場面で生活様式が変わる中、旅行のあり方につきましても、家族や友人などの少人数、高付加価値の旅行スタイルが、より一層人気を集めつつあります。  一方、ワクチン接種の進展に伴い、観光需要の回復が見込まれることから、県では、旅行市場における少人数、高付加価値の旅行トレンドも踏まえながら、今後の観光需要を他県に先駆けて取り込んでいくため、今なすべきことを施策方針として取りまとめ、必要な事業予算を計上いたしました。  まず、山梨ならではの特別感のあるコンテンツを充実させるため、八ヶ岳南麓で星空ナビゲーターの案内により、満天の星空を満喫するプライベートツアーなど、冬をテーマとする付加価値の高いアクティビティの開発を行うほか、県産食材の魅力に通じた有名シェフによる創意工夫を凝らしたメニューづくりを進め、県内レストランなどで提供できるようにしていきます。  また、そうした観光コンテンツを組み込むなど、プレミア感のある旅行商品の造成・販売を行う旅行会社を支援することとし、こだわりを求める旅行者の呼び込みの強化につなげてまいります。  インバウンド観光の再開に向けましては、多言語で県内の観光情報が得られるように、観光施設や飲食店のグーグルマップへの情報掲載を支援するとともに、中国最大の旅行情報サイトであるCトリップを運営する旅行代理店と連携して、富裕層の取り込みを意識したプロモーションを展開するなど、付加価値の高い観光の実現に向け、準備を進めてまいります。  このほか、文化芸術が地域活性化をもたらす可能性に着目し、観光振興における活用も含めて、今後の施策展開について検討をしてまいります。  こうしたアフターコロナを見据えた観光策を着実に推進するとともに、地域プロモーション戦略による本県のさまざまな地域資源のブランド価値の向上も活用しながら、本県観光産業の将来にわたる持続的な発展を図ってまいります。  次に、脱炭素社会に資する県産材の利用促進についてです。  森林が吸収した炭素を長期にわたって貯蔵し、第二の森林とも呼ばれる木造建築物への県産材利用の促進は、林業の成長産業化を実現していく上で、極めて重要です。  このため、県では、付加価値の高い建築用途の県産材製品を低コストで安定的に供給していくため、木材の生産から加工、建築にかかわる企業グループによる強固なサプライチェーンの構築を支援しています。  また、建築分野での県産材の需要拡大を図るため、公共建築物の木造・木質化や県と商工団体等で構成するネットワークを活用した民間建築物への利用促進に取り組んでいます。  今後さらに、供給側の事業者と需要側の建築主とのマッチングなど、ネットワークによる活動を加速し、商業施設や事務所などへの県産材利用を進めていきます。  加えまして、建築物への利用促進を目的に、今般改正されました木材利用促進法の趣旨を踏まえ、民間建築物に対する補助制度の創設や、LVLパネルを使用した建築物に対する補助率のかさ上げなど、支援策の拡充を強く国に働きかけてまいります。  次に、第四次やまなし食育推進計画についてです。  県では、県民が生涯にわたり心身ともに健康で生き生きと暮らしていくことができるよう、市町村、教育関係者、生産者、事業者などと協働し、幅広い県民参加のもと、食育を県民運動として推進しているところです。  昨年度策定いたしました第四次推進計画におきましては、特に食育に関心の薄い人や、若い世代を対象に、栄養バランスに配慮した望ましい食習慣を身につけられるよう、働きかけを強化することといたしました。  具体的には、本年度開設いたしました食育インスタグラムに、主菜、副菜がそろった食事の写真とレシピを投稿するほか、スーパーのチラシに食に関するコラムを掲載するなど、広く情報発信し、県民一人一人の実践につなげてまいります。  また、本計画は、食品ロス削減推進計画としても位置づけたところであり、議員御指摘のとおり、SDGsにおいても、その削減が重要な課題となっていることから、県民の自発的な取り組みを促す啓発活動を展開することとしております。  五月には、官民一体の推進会議を設置し、食品ロス削減に向けた協力体制を構築したところであり、今後は、廃棄食品の削減に努めている事業者の取り組みを、県ホームページで広く紹介し、活動を後押ししてまいります。
     また、食品を無駄にしない調理方法や保存方法を学ぶための料理教室を、県内四圏域で開催し、さらにその様子をSNSで発信することにより、県民の食品ロス削減に向けた意識の醸成を図ってまいります。  引き続きさまざまな機会を通じまして、県民の皆様に働きかけ、食の大切さへの意識を高め、健全な食生活の実践を促してまいります。  次に、有形・無形の文化財の保護及び継承についてです。  まず、指定文化財建造物の耐震化の状況についてです。  現在、耐震化の対象となっております指定文化財建造物は、国や市町村が指定したものを含めると、県内に四百三十九棟あり、このうち約一二%が耐震化を実施済み、またはその必要がないものであります。  これら建造物の管理は、文化財保護法などによりまして、所有者が行うこととされているため、県では国や県の指定建造物の所有者に対しまして補助制度を設け、耐震化を支援しております。引き続き指定文化財建造物の保存状態や所有者の意向を踏まえながら、市町村とも連携の上、計画的な耐震化に取り組んでまいります。  次に、無形の文化財の保護及び継承についてです。  県では、県内各地で文化芸術活動の振興を図るため、年間を通じて開催する県民文化祭において、民俗芸能などの発表の場を設け、関係者の活動意欲を高めるとともに、担い手の育成確保につなげています。  また、伝統芸能などの無形文化財について、保護・継承と観光資源として活用との両立を図ることとし、大月市笹子町で、江戸時代から受け継がれている追分の人形芝居をモデルとして、付加価値の高い観光コンテンツとして磨き上げるとともに、観光で得られる経済効果を活用し、次世代に継承する取り組みを進めております。  このほか、コロナ禍で地域の祭りが中止になるなど、民俗芸能などが発表の機会を失っていることから、こうしたイベントを小劇場等で行う場合の経費を補助することとし、所要の経費を九月補正予算に計上しております。  先人から受け継がれてきた本県の特色ある有形・無形の文化財を、今後も県民の皆様とともに共通の財産として大切に保存し、後世に継承してまいります。  最後に、豊かさを実感できる新しい農業経営の推進についてです。  県では、やまなし農業基本計画に基づきまして、本県農業を将来にわたり成長産業として発展させ、生産者が豊かさを実感できるようにするため、さまざまな施策を展開しております。  例えば、ICTなどを活用したスマート農業につきましては、スマートグラスの開発により、熟練した、たくみの技を新規就農者に伝承するだけではなく、繁忙期に経験の乏しい外部労働力を確保することで、経営規模の拡大にもつなげてまいります。  地球温暖化への対応といたしましては、高温の影響を受けにくく、着色にすぐれ、玉張りが良好な県開発のブドウであるブラックキングや、食味がよく胴割れしにくい水稲のつや姫など、優良品種に転換することで、気候変動下での生産量を維持できるよう努めております。  また、持続可能な農業につきましては、本年度4パーミル・イニシアチブや、家畜の快適性に配慮したアニマルウエルフェアにつきまして、全国初となる県独自の認証制度を創設するほか、有機農産物の生産拡大に取り組んでおります。  こうして生産されました特筆すべき農産物は、環境意識の高いエシカル消費を喚起するとともに、県独自の統一ブランド「おいしい未来へやまなし」として、国内外に向け積極的なPRを行うことで、県産農産物全体のイメージアップを図り、さらなる消費の拡大につなげていきます。  今後とも、生産者に寄り添い、所得向上につながる施策を推進し、豊かさを実感していただけるよう全力で取り組んでまいります。  以上をもちまして、私の答弁といたします。その他につきましては、担当部長等からお答え申し上げます。 5 ◯議長桜本広樹君)福祉保健部長、成島春仁君。       (福祉保健部長 成島春仁君登壇) 6 ◯福祉保健部長成島春仁君)清水議員の依存症対策の推進についての御質問にお答えします。  依存症からの回復のためには、民間支援団体や医療機関などと緊密に連携し、当事者やその家族を包括的に支援していくことが大変重要であります。  県では、総合的な依存症対策推進のため、昨年度、依存症連携会議を設置し、県内の医療・保健・福祉・司法に係る関係機関及び当事者団体が連携した支援体制を整備いたしました。  さらに、依存症支援体制の強化を図るため、全国からギャンブル等依存やゲーム・ネット依存に係る多くの相談が寄せられているグレイス・ロードと連携し、支援事例の蓄積、分析を行っているところでございます。  また、依存症問題に対する県民の関心、理解を深めるため、本年五月にギャンブル等依存症問題啓発週間フォーラムを、内閣官房と共催したところでございます。  今後は特に、若年層の急増が危惧されているゲーム・ネット依存に関し、全庁的な支援体制の検討を進めるとともに、引き続き民間支援団体を初め、関係機関との連携を図りながら、各種依存症対策を推進してまいります。  以上でございます。 7 ◯議長桜本広樹君)環境・エネルギー部長、村松稔君。       (環境・エネルギー部長 村松 稔君登壇) 8 ◯環境エネルギー部長(村松 稔君)清水議員の御質問にお答えいたします。  まず、ゼロカーボンシティの実現に向けた取り組みについてであります。  県では、脱炭素化の動きが急加速する中、全県を挙げた取り組みを一層強化するため、本年二月、知事を初め市町村長や企業のトップなどで構成するストップ温暖化やまなし会議を立ち上げたところでございます。  こうした中、国は六月に地域脱炭素ロードマップを公表し、市町村による脱炭素先行地域の創出や、公共施設への自家消費型太陽光発電の導入に率先して取り組むことなどの方針を示しました。  脱炭素先行地域は、議員御指摘のとおり、再エネ等の地域資源を最大限に活用し、県内、さらには全国の牽引役としてカーボンゼロを達成するものであり、本県でも積極的にその創出に取り組む必要がございます。  このため、まずは市町村に先行地域についての理解を深めてもらうため、国の協力を得る中で、先月県主催の研修会を開催したところでございます。  また、地域のカーボンゼロの達成に向けましては、専門家の知見や事業者との連携が必要であるため、今月二十四日エネルギー事業者や金融機関などのステークホルダーによる検討会を立ち上げたところでございます。  この検討会には、住宅街や農山村、観光エリアなど、国が想定する先行地域の範囲を参考に作業部会を設置し、現在実施しております再エネ導入ポテンシャル調査の結果も活用し、最適な事業モデルを検討してまいります。  こうした取り組みによりまして、市町村による先行地域の創出を強力に支援し、成功事例はストップ温暖化やまなし会議を活用して、横展開することにより、県全体でゼロカーボンシティの実現を目指してまいります。  次に、プラスチックごみ対策についてであります。  県では、昨年民間団体や市町村、学校関係者などで構成するやまなしプラスチックスマート連絡協議会を立ち上げ、さまざまな主体との連携・協働を図る中で、プラスチックごみ対策への取り組みを進めております。  具体的には、昨年度高校生や環境団体と協働して、富士川流域で採取したプラスチックごみなどを用いた学習教材を製作し、協議会などを通じて環境教育への活用を広く呼びかけてまいりました。  その結果、これまでに県内の小中学校や高校、計十六校で本教材が活用され、多くの児童生徒に、海のない本県も身近な河川を介して、海洋ごみ問題にかかわっていることなどを学んでいただきました。  また、県では、地域で河川の清掃活動等に積極的に取り組む団体へ助成し、その活動を支援しておりますが、より多くの県民の皆様に、こうした活動に参加していただけるよう、協議会のネットワークなどを通じて、地域におけるさまざまな活動の情報を発信してまいります。  今後も、プラスチックごみ問題に対する県民意識の醸成を図りながら、協議会を核として活動の輪を広げていくことにより、プラスチックごみの削減に向けた取り組みを鋭意進めてまいります。  以上でございます。 9 ◯議長桜本広樹君)産業労働部長、小林厚君。       (産業労働部長 小林 厚君登壇) 10 ◯産業労働部長(小林 厚君)清水議員の中小企業の技術力向上につながる人材育成についての御質問にお答えいたします。  本県の中小企業が技術力を維持向上させていくためには、長年磨いてきた高度な技術を絶やすことなく、確実に継承していく必要があります。  県では、平成十八年からやまなし匠の技・伝承塾を開設し、卓越した技術が次の世代へ確実に引き継がれるよう取り組んでおり、修了した多数の技術者が、中小企業の現場で活躍しているところです。  一方で、急速なデジタル化の進展など、社会情勢が激変する中、本県中小企業が、この変化に対応していくには、継承した技術の新たな分野での活用や、先進的な技術の導入と、さらなる技術力向上が急務であります。  このため、産業技術センターにおいて技術者に向けたものづくり人材育成研修や、最新の技術情報を提供する講習会の開催など、さまざまな機会を通じて企業の技術力向上を支援しています。  また、産業界からのニーズが高いIoTやAIなどに関するスキルを持った人材については、民間企業との連携のもと、産業技術短期大学校に新たな実践的カリキュラムを導入し、育成に努めてまいります。  さらに、今後の成長が期待される水素・燃料電池や医療機器関連産業については、山梨大学の協力を得て、参入に必要な技術や知識を身につけるための人材養成講座を開催し、多くの人材を輩出しております。  今後とも、中小企業の技術力向上につながる高い技術を持った人材の育成に努め、技術の確実な継承を支援するとともに、新たな分野への参入を促進してまいります。  以上でございます。 11 ◯議長桜本広樹君)県土整備部長、大儀健一君。       (県土整備部長 大儀健一君登壇) 12 ◯県土整備部長大儀健一君)清水議員の御質問にお答えします。  まず、本県の美しい県土づくりについてであります。  本県の多様で豊かな景観を守り育てていくためには、地域の特性に応じた方針を示して誘導するとともに、住民が継続的に景観活動に取り組む環境づくりを進めることが重要です。  このため、県においては、美しい県土づくりガイドラインを策定し、県土全体の景観づくりの方針を示しているところであり、その方針のもと、地域の特性に応じた景観計画が二十五市町村で策定されております。  広域的な景観づくりについても、景観行政団体連絡会議で調整を図っており、例えばブドウ畑が広がる峡東地域では、自然色の農業用ネットの普及啓発を進めているところであります。  また、住民活動の環境づくりについては、中心的な役割を担うリーダーを育成するため、活動の課題や悩みを共有し、意見交換を行う地域景観リーダー講習会を定期的に開催しております。  今後は、住民の合意形成に向け、ワークショップの開催やコーディネーターの派遣など、景観まちづくりの計画作成や活動を支援してまいります。  次に、公共事業を通じた景観形成の推進については、専門家から成る景観アドバイザーに意見を伺い、景観に配慮した設計を行うなど、良好な景観形成に取り組んでおります。  例えば、新山梨環状道路の東部区間においても、標識柱の色を統一するなどの方針を定め、地域の景観と調和するよう設計を行っており、今後もこうした取り組みにより、公共事業が景観形成に先導的な役割を果たすよう努めてまいります。  次に、避難路等の安全対策についてであります。  県では、災害発生時の避難路等の安全確保のため、国が耐震診断を義務化した長さ二十五メートルの基準に限らず、避難路に面する全てのブロック塀を対象に取り組みを進めております。  昨年度県内の避難路六百二十七路線を対象に、市町村とともに四千六百九カ所の悉皆調査を行い、ブロック塀のひび割れや、たわみを確認して、地震で倒壊のおそれがある三百九十六カ所を特定いたしました。  これらのブロック塀の安全対策を早期に実施するためには、所有者の意識醸成とともに、費用負担の軽減が重要です。  このため、ブロック塀の全ての所有者に対して、避難路の安全確保の重要性や改修や撤去の必要性について個別訪問やダイレクトメールにより周知を図ったところであります。  また、改修や撤去に要する所有者の負担を軽減するため、工事費用の三分の二、最大三十万円を補助する制度を本年度新たに創設いたしました。  このような取り組みによって、所有者の理解を求めつつ、おおむね三年で危険なブロック塀の対策を完了し、避難路の安全確保を目指してまいります。  以上でございます。 13 ◯議長桜本広樹君)教育長、三井孝夫君。       (教育長 三井孝夫君登壇) 14 ◯教育長三井孝夫君)清水議員の通学路の安全対策についての御質問にお答えいたします。  国からは、道路が狭い、見通しが悪いなど、これまでの危険箇所の例示に、車の速度が上がりやすい、大型車の進入が多いといった新たな観点を加えた合同点検の実施要請が七月にあったところです。  これを受けまして、県では、同月直ちに関係者による通学路の緊急安全対策連絡会を開催し協議することで、国の示した観点に加えて、防犯・防災など県独自の観点を織り込んだ合同点検を全県下で実施することといたしました。現在市町村におきましては、危険箇所の抽出とその対策案を検討・作成しており、十月末までに県に報告することとしております。  各市町村では、ポストコーンの設置や路面標示の整備、さらには、ボランティアや保護者等の付き添いの強化などの対策案について検討が進められていると承知しております。  県では、市町村対策案を取りまとめ次第、関係機関が速やかに標識の設置等、ハード面の整備や安全教育の徹底等、ソフト面の充実に取り組むことができるよう連絡調整に着手し、通学路安全対策が一層確実なものとなるよう努めてまいります。  以上でございます。 15 ◯議長桜本広樹君)当局の答弁が終わりました。  清水喜美男君に申し上げます。残り時間がありません。  これをもって、清水喜美男君の代表質問を打ち切ります。  暫時休憩いたします。                                          午後二時十六分休憩       ───────────────────────────────────────                                          午後二時三十五分再開議 16 ◯議長桜本広樹君)休憩前に引き続き会議を開きます。  日程第一及び日程第二の議事を継続いたします。  発言の通告により、桐原正仁君に四十分の発言を許します。桐原正仁君。       (桐原正仁君登壇)(拍手) 17 ◯桐原正仁君 自由民主党新緑の会の桐原正仁です。  私は、自由民主党新緑の会を代表して、今定例県議会に提出されました案件並びに県政一般につきまして質問いたします。  質問に先立ちまして、まず、新型コロナウイルス感染症により、とうとい命をなくされた皆様に心より哀悼の誠をささげます。  また、現在闘病中の方々には、一日も早い快復を心からお祈り申し上げますとともに、治療や看護に当たっておられる医療従事者の皆様、そして、コロナ禍を収束に向かわせる強い使命感を持ってワクチン接種に御尽力をいただいている皆様に対しましても、改めて厚く感謝を申し上げます。  さて、今月五日に閉会式をもって幕を閉じました東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会は、私たちにさまざまな感動を与えてくれました。
     新型コロナウイルスの感染拡大期に当たってしまったことなどに起因して、毀誉褒貶相半ばする大会となってしまったことは、まことに残念な限りであります。  しかし、それによって選手たちの輝きが色あせることは決してないばかりか、むしろ、開催延期に苦悩し、自国民の多くからサポートを得ることができないといった尋常でない苦難を乗り越えて、強い信念のもと競技に挑んだ選手たちの姿は、コロナ禍に生きる私たちに勇気と指針を与えてくれているとさえ思えました。  今、人々は長期化する新型コロナウイルスの脅威のもとで、萎縮し、鬱々として楽しまず、いつしか諦めることばかりを覚えてしまったように思います。  私は、県民から選ばれた公職にある者は、社会が辛く厳しい状況にあればあるほど、なお、将来の明るい展望を語り、県民の皆様に豊かで充実した人生を追求していただけるよう、希望のあすを指し示す責務を負うものと考えています。  こうした中、長崎知事は、感染拡大防止のみにきゅうきゅうとすることなく、常に生活の再建と経済の回復もセットに考え、超感染症社会の大いなるビジョンを示し、あらゆる機会を捉えて発信されています。政治の要諦を熟知し、日々実践しておられることに、改めて敬意を表する次第であります。  また、先日突如として明らかとなった米国産スモモの輸入解禁に際しましては、農業団体による国への要請活動を強く後押ししていただくなど、いち早く農家に寄り添った対応をとっていただいたことに、心より感謝申し上げます。  私の地元甲州市も、スモモの主産地を形成していますが、農家からは安価な米国産スモモとの競争を強いられることへの不安の声が聞かれるところであり、県による具体的な支援を必要としている状況にありますので、一層のお力添えをお願いいたします。  私も、我が新緑の会が基本理念とする現場主義のもと、県民お一人お一人の声に真摯に耳を傾け、皆様に希望の灯をともすことができるよう、知事とともに全力を尽くしていくことをお誓い申し上げ、以下質問に入ります。  初めに、山梨県CDCの活動実績と今後の取り組みについてであります。  昨年一月十五日に我が国で初めて新型コロナウイルス感染症の患者が確認されて以来、一年八カ月余りが経過しました。  新型コロナウイルス感染症との闘いは、当初の予想に反し、長期戦を強いられております。  本県の感染状況を見ますと、本年四月以降、従来株の一・三倍の感染力とされるアルファ株の流行により、感染者数は増加し、六月の感染者数は、複数のクラスターが発生したこともあり、五百五十一人と、それまでの最多を記録しました。  その後、七月上旬には若干落ちつきを見せたものの、七月下旬からは、さらに感染力が強いといわれるデルタ株の流行により、感染者数は再び増加に転じ、先月には、昨年度一年間の累計をわずか二週間で上回ってしまうなど、加速度的な感染拡大に至りました。  また、先般、感染力やワクチンへの抵抗力が強いおそれがあるラムダ株やミュー株が国内でも確認されるなど、新たな株によるさらなる感染拡大が懸念されています。  県では、本年四月に設置した山梨県感染症対策センター、山梨県CDCを司令塔とし、新型コロナウイルス感染症対策を実施してきていると承知しております。  私は、感染対策の効果を高めるためには、行政や医療従事者のみならず、事業者を含めた全ての県民が危機感を共有し、気持ちを一つにすることが肝要と考えております。  また、そのためには、状況の変化に即応した適切な情報提供が必要であり、これにより県民の共感と対策の実行につなげることが重要であると考えます。  また、感染症から県民の生命・健康を守り、社会生活を維持するためには、感染者を早期に発見するための検査体制の強化や、感染者が急増した場合でも、医療的なケアを受けることができる体制整備が重要であると考えます。  そこで、これまで県CDCを中心としてどのような取り組みを実施してきたのか、また、さらに感染力の強い新たな変異株による感染拡大に備え、今後どのように取り組んでいくのか、あわせて伺います。  次に、新型コロナウイルス感染症に関する対応の検証についてであります。  新型コロナウイルスは、長期にわたって世界中を大混乱に陥れ、既に累計で二億人を超える感染者を発生させるとともに、多くのとうとい命を奪い、第二次大戦以来の惨禍とまで称される重大な事態をもたらしてきました。  しかしながら、現在、ゲームチェンジャーといわれるワクチン接種が急ピッチで行われており、治療薬の開発も進んでおりますので、私たちは遠からず新型コロナウイルス感染症に打ちかつことができるものと信じて疑いません。  一方、一九一八年に発生したいわゆるスペイン風邪を初めとして、二十世紀以降、新型インフルエンザによるパンデミックの脅威はおよそ十年から三十年の間隔で表面化していることから、人類はこれからも未知の感染症に見舞われ続けるであろうことも、また疑いようのない事実と言わざるを得ません。  今回のコロナ禍においては、国も地方公共団体も、前例に乏しい状況を前に試行錯誤を重ね、国民の生命や生活を守るべく未曽有の国難に立ち向かってきました。  本県においても恐らく例外ではなく、知事を初め県職員は、新型コロナウイルスがもたらす事態の深刻さに直面して苦悩し、最善の策を手探りで模索しながら、折々の対処・対策に取り組んでこられたのではないかと推察いたします。  私は、将来の未知なる感染症発生への備えを固めるためにも、こうした経験を一過性のものとしてしまうのではなく、県がこの感染症に対して、これまでどのように向き合い、対策を打ち、その結果がどうであったのかを検証しておくことが有効であると考えています。  備えあれば憂いなしといいますが、今回のコロナ禍が我々に投げかけているのは、このシンプルかつ明瞭な格言の重要性なのではないでしょうか。  そこで、新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの対応の検証について、県の御所見を伺います。  次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会開催を契機とした本県の今後の取り組みについてであります。  今月五日に閉幕した本大会は、新型コロナウイルス感染症の影響により、史上初めて開催が一年延期される大会となりました。  こうした中ではありましたが、日本選手団は大変目覚ましい活躍を見せてくれました。  本県ゆかりの選手も総勢八名が出場し、レスリング競技では乙黒拓斗選手が金メダル、文田健一郎選手が銀メダルを、卓球女子団体では平野美宇選手が銀メダルを獲得するなど、大いに活躍されました。  また、私の地元甲州市において、事前合宿で市民と交流してきたフランスハンドボールチームが男女とも金メダルを獲得する偉業を成し遂げ、市民は大いに盛り上がったところであります。  本県においても、大会に向けてさまざまな取り組みを行ってきました。  聖火リレーにおいては、全国的には公道実施が断念される中、知事が沿道での観覧自粛要請等の対策を行いながら、公道で実施することを英断されました。桃畑やブドウ畑などの山梨ならではの風景の中を、聖火トーチを掲げたランナーが走る姿は、今後も末長く県民の心に残ることと思います。  特に、本県も会場地となったオリンピック自転車競技ロードレースでは、安全かつ円滑に実施されたことはもとより、山中湖など本県の美しい自然を背景に選手たちが激しい攻防を繰り広げる映像が世界中に発信されたことは、山梨県としては大成功だったのではないかと思います。  私は、こうした大会の成果を活用し、発展させていくとともに、地域経済の活性化にもつなげていくべきと考えております。  そこで、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした今後の取り組みに対する県の御所見を伺います。  次に、性の多様性が尊重される社会の実現に向けた取り組みについてであります。  同性カップルを公的に認めるパートナーシップ宣誓制度について、私の地元である甲州市が県内初の導入を目指し、検討に入るとの新聞報道がされました。  市に働きかけたのは、市内在住の高校生で、LGBTQなどの性的少数者が暮らしやすい社会を実現しようと、自身が中心となり、八月に市民団体を発足させたとのことであります。  身近に高い志を持って活動する、これからの社会を担う若者がいることを大変うれしく、また心強く思っています。  また、今月一日からは三重県において、茨城県、大阪府、群馬県、佐賀県に次ぐ五番目の県としてパートナーシップ宣誓制度を開始しており、全国では既に百を超える自治体において導入されていると承知しております。  私は、当事者の方から「社会的に自信を持って自分らしく生きるため、公的に認知されることで非常に大きな勇気を与えられる」との意見を承っており、制度の意義はまさしくここにあると考えております。  世界中の注目が集まる中、開催された東京オリンピック・パラリンピック大会においても、多様性と調和を基本コンセプトの一つに位置づけ、性的指向を含めたあらゆる面での違いを肯定し、自然に受け入れることで社会は進歩するとしています。  一人一人がお互いを認め合う社会へと変えていくための動きは、もはや時代の趨勢であります。新たな制度の導入には常に慎重な検討を要すると考えますが、誰一人取り残さない、暮らしやすい山梨を築いていく上で、できるところから取り組みを始める必要があるのではないでしょうか。  そこで、性の多様性が尊重される社会の実現に向けた取り組みについて、県の御所見を伺います。  次に、行政手続のオンライン化についてであります。  近年、超スマート社会と表現されるソサエティ5・0の実現に向け、国や自治体ではさまざまな取り組みを実施しています。  行政手続のオンライン化もその一つであり、国では、令和元年五月に公布された情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律において、行政手続のオンライン実施が原則化されました。  あわせて、行政手続などにおける各種の添付書類の省略、自動車保有、子育て、介護など各種ワンストップサービスの推進などが進められていると承知しております。  一方、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、新たな日常構築の原動力として、社会全体のデジタル・トランスフォーメーションが求められてきており、政府基本方針では、目指すべきデジタル社会のビジョンとして、「誰一人取り残さない人に優しいデジタル化」が示されました。  このビジョンの実現に当たり、自治体が取り組むべき事項や内容を具体化した自治体デジタル・トランスフォーメーション推進計画が策定され、重点的に取り組む事項として、行政手続のオンライン化が上げられています。  このような中、県が策定した山梨県デジタル・トランスフォーメーション推進計画における主な取り組みの一つとして、行政手続のオンライン化が上げられており、全ての行政手続について検討を行った上で、順次、オンライン化に取り組むこととされています。  しかしながら、現在約三千七百件ある手続のうち、オンライン化されているものは二百件程度にとどまっていると聞いています。  今月一日にデジタル庁が創設され、行政のデジタル化への期待がこれまで以上に高まる中、新しい生活様式への対応において、非対面、非接触での申請を可能とすることは非常に重要であり、また、住民の利便性向上の面からも、早期にオンライン化を実施すべきと思いますが、現在の取り組み状況と今後の見通しについて伺います。  次に、ヤングケアラーへの支援についてであります。  本年四月に公表された国の調査において、ヤングケアラーが中高生に一定数いることがわかりました。ヤングケアラーは、ともすると家族内の問題と捉えられ、果たして支援が必要なのかと考える人もいるかもしれません。  しかし、核家族化が進み、共働き世帯やひとり親世帯が増加するなど、家族の構成がこの数十年で大きく変わった現在において、家族の助け合いを前提とした考え方では、しわ寄せを子供が受けることになるおそれがあります。  その結果、学校に行けなかったり、友達と過ごす時間がなかったり、子供がその時期に経験すべき機会が奪われ、本来守られるべき子供自身の権利が侵害されることを懸念しています。  私は、今年度から大学院で子供の権利に関する研究に携わっておりますが、近年、社会問題となっているヤングケアラーについても高い関心があり、子供の今と将来を真剣に考え、支援していく必要性を強く感じています。  知事は、本年六月議会において実態調査を行い、県内の実態を把握した上で、子供とその家族に寄り添った支援に取り組むと答弁されました。  その後、子供たちが夏休みに入る前に、県内の小学六年生以上の全児童・生徒約五万三千人、さらには子供や家庭を取り巻く支援者に対し、実態の把握のみならず、アンケートを進めながら現状を認識していただき、相談促進にもつながるよう工夫して実施されたと伺っておりますが、こうした知事の迅速かつきめ細かな対応に敬意を表す次第であります。  この調査を契機に子供がヤングケアラーを正しく理解、認識し、子供が課題解決のため、相談という一歩を踏み出せるような取り組みを推進するとともに、相談を受けとめる支援者の聞き出す力や受けとめて対応する力を向上させる必要があると考えます。  また、ヤングケアラーを早期に発見し、必要な支援機関へ確実につなぎ、より適切な支援を提供するためには、あらゆる場面において、介護や福祉、医療、教育等の関係者が連携することが何より重要であると感じています。  県では、ヤングケアラーへの支援を強力に推進していくとのことでありますが、今後、どのように取り組んでいくのか、伺います。  次に、若者が魅力を感じる産業の集積と育成についてであります。  我が国の人口が減少局面にある中、全人口の約三割に相当する三千六百七十三万人が東京圏に集中し、年間の転入超過者数は二十歳前後の層を中心に十五万人にのぼっております。  東京圏に隣接する本県は、こうした影響を強く受けており、若年世代の東京圏を目指した県外転出が進み、とりわけ、女性においてその傾向がより強い状況にあります。  転出する理由としては、物の豊富さ、交通の利便性、自由度の高さなど大都市としての魅力もありますが、就職先の選択肢が豊富であることが最大の要因であると考えます。  一方、昨年から続く新型コロナウイルス感染症の拡大は、持続可能な社会への関心の高まりや、これまでの効率性重視の一極集中から、安心・安全重視の多極分散への変化、デジタル化の加速度的な進展をもたらし、企業経営にも大きな影響を与えています。  国の調査によれば、東京に本社を置く企業のうち八割以上の企業がテレワークを導入し、四分の一の企業が本社部門の移転または縮小を検討しており、既に、地方への移転を進める動きも見られるようになってきています。  こうした時代の潮流の大きな変化をまたとないチャンスと捉え、若者が働きたくなるような魅力あふれる企業を誘致することで、若者の県内からの流出抑制と県外からのUIターンの促進につながることが期待できます。  また、起業・創業を促進することにより、今までにない新しいタイプの企業や産業を育成し、若者を引きつけられるような就労の場を創出することも、若年層の転出超過の抑制には効果があるのではないかと考えます。  本県は、東京圏に隣接しながらも豊かな自然を有していることに加え、先月には中部横断自動車道の静岡・山梨間が開通し、近い将来にはリニア中央新幹線の開業が予定されるなど、他県にはない大きな強みを持っています。  こうした本県の強みを生かして、若者が魅力を感じる産業を集積・育成し、将来の山梨を担う若者の県外流出を防ぎ、本県経済の発展につなげていくべきと考えますが、県の御所見を伺います。  次に、反転攻勢に向けた県産酒の消費拡大とブランド力の向上についてであります。  この夏、首都圏に発出された緊急事態宣言の影響で観光客等は激減し、県産酒の消費量は著しく低迷することとなりました。  その上、本県に対しても八月二十日から、まん延防止等重点措置が適用され、さらなる人流の抑制が加わった結果、県内のワイナリーや酒蔵など酒類製造業界は、これまでにないほど苦しい状況が続いています。  私の地元、甲州市は日本ワインのメッカであり、例年であれば、ワイナリーにとって、ブドウの収穫を喜び、新酒への期待感に胸躍らせるこの時期、昨年からの在庫を大量に抱え、売り先に悩む生産者の悲痛な声が、私のもとにも届いております。  これは、観光客や飲食店を販路としてきた酒類製造業の皆さんにとって同様の苦境であり、日本酒の酒蔵からも、新米の収穫、新酒の仕込みを前に、先行きへの不安の声が聞かれています。  古来、お酒は地域の風土の中で育まれ、その土地の人々に楽しまれてきたものであります。だからこそ、日本国内のみならず、世界中が同じような状況にある今回のパンデミック下においては、その土地の人が、その土地のお酒を消費することが、生産者にとって大きな助けになるのではないかと感じています。  本県には、ワイナリー数日本一のワイン、地域ごとに特徴のある日本酒を初め、ウイスキー、ビール、焼酎などたくさんのおいしいお酒があります。  私も晩酌の際には、お酒を変えながらついついたくさん飲んでしまうことがありますが、県産酒の消費拡大を図るためには、まずは地元の山梨県民が、地元のお酒を大いに楽しみ、そのおいしさを自慢するような機運を醸成していくことが必要と考えます。  一方、このような感染状況が続き、お酒の売り上げが落ち込んでいる今を、将来の反転攻勢に備える期間と捉える前向きなマインドも必要になってきます。  本県は、平成二十五年に、ワインにおける地理的表示、いわゆるGI山梨の指定をワインとしては国内で初めて受けており、これに加えて、本年四月には、日本酒の産地としても指定を受けたことにより、全国で初めて二つのGIを持つ県となりましたので、この強みを生かすことでブランド力向上につなげられるのではないかと考えています。  そこで、コロナ収束後に向け、県民による県産酒の地元消費の拡大と、二つのGIを生かした県産酒のブランド力向上にどのように取り組んでいくのか、御所見を伺います。  次に、コロナ禍における文化芸術活動の振興についてであります。  昨年は、新型コロナウイルス感染症が国内で猛威を振るい始めたことにより、県内の美術館や博物館を初め、多くの文化施設が休業したほか、ほとんどのイベントや行事などが中止や延期を余儀なくされました。  ことしに入り、感染拡大状況は一進一退となっておりましたが、感染力が強い変異ウイルス、デルタ株が蔓延した八月上旬からは、休業もしくは時間短縮や無観客での開催となっており、コロナ禍において文化芸術活動を継続する難しさが、改めて浮き彫りになりました。  山梨県文化芸術基本条例の前文には、「文化芸術活動は、人が自分らしく豊かに生きるために極めて大切なものであり、文化芸術は人と人とをつなぐかけ橋となり、和やかで潤いのある社会生活を実現するために重要なよりどころとなるもの」とうたわれております。  また、新型コロナウイルスが世界各国の文化芸術活動に影を落としていた昨年五月、ドイツのメルケル首相は、市民などに向けた演説の中で、「芸術や文化はドイツにとって大変重要であり、連邦政府は芸術支援を最優先する」として、文化重視の姿勢を明確に打ち出し、世界の人々に、文化芸術が私たちの生活に不可欠なものであることを、改めて気づかせてくれました。  コロナ禍において、人と人の交流が制限される傾向があるからこそ、人と人とをつなぐかけ橋であるべき文化芸術の重要性が一層増しているのであり、文化芸術活動は決して、不要不急な存在ではないと考えます。  外出の自粛やイベントなどの開催制限により、県民が文化芸術を鑑賞し、あるいはみずから活動に携わる機会、児童生徒が文化芸術に親しむ機会などが奪われている現状に、私は基本条例の理念が脅かされているのではないかという強い危機感を抱いています。  そこで、本県における文化芸術の灯を絶やすことのないよう、また、コロナ禍で、すさみがちな県民の心に潤いを与えることができるよう、今こそ県民の文化芸術活動に対する支援に積極的に取り組む必要があると考えますが、県の御所見を伺います。  次に、果樹農業のさらなる振興についてであります。  本県の果樹農業は、昭和三十年代後半の米麦養蚕から果樹農業への転換を機に急速に拡大し、先人から引き継がれた、たくみの技術を継承しながら、果樹王国やまなしが築き上げられ、ブドウ、桃、スモモは、日本一の生産量を誇っております。  私の地元甲州市においても、日本一の生産量を支える産地として農家の方々の御努力により、高品質なブドウ、桃、スモモなどが全国に向けて出荷され、先般、知事が記者発表した農業生産額一千億円への回復の一翼を担ったものと感じています。  しかしながら、近年、果樹の生産現場においては、農業従事者の高齢化や担い手不足などが進行し、果樹の生産量が減少しているとともに、圃場の形状が不整形で作業性の悪い園がまだ見受けられております。  現在、全国の果樹産地において、ブドウのシャインマスカットが増植され、産地間競争が激化する中、農家の所得向上を目指すためには、生産安定や品質向上とともに、県産果実の高付加価値化の取り組みが重要となってきております。
     本県においては、知事のリーダーシップのもと、果樹園で発生する剪定枝を炭にして土壌に還元し、土壌に炭素を貯留することにより、地球温暖化の抑制に資する4パーミル・イニシアチブの取り組みを、全国に先駆けて推進しております。  他に例のない高付加価値化への取り組みが始まったことを高く評価するものでありますが、今後は、4パーミル・イニシアチブが広く理解され、県産果実の購入へつながるよう、バイヤーや消費者へのPRが必要となると考えます。  また、農産物に新たな付加価値を生み出す別の取り組みとして農業の六次産業化があります。特に、本県を代表する果実を利用した農産物加工品は、高品質な県産果実の魅力をさらに高めた逸品として、六次産業化の成功モデルになっているものと確信しており、商品開発などに対する農業者等への支援が求められています。  さらに、今後、次代に受け継ぐ果樹産地の維持・発展を図るためには、農家所得を向上する高付加価値化などの取り組みに加え、新規就農者の確保・育成、担い手への農地集積の促進とともに、生産性の向上を可能とする基盤整備の推進をすることも重要であると考えております。  そこで、本県果樹農業のさらなる振興に向け、どのように取り組むのか、県の御所見を伺います。  次に、災害に強い広域的な道路ネットワークの整備についてであります。  本県において、東西方向の中央自動車道と、南北方向の中部横断自動車道を軸として、国道二〇号や五二号などがこれを補完し、県外との交流や連携を支えております。  こうした骨格道路網は、県民生活を安定的に維持する生命線であり、産業の集積や物流の促進、観光振興などのあらゆる面で本県の発展を下支えする、極めて重要な存在であります。  特に、東京・横浜港を利用する貨物輸送量のシェアの大きさや、東部地域における中央自動車道の慢性的な渋滞状況を見ても、首都圏方面への物流・人流の大動脈としての道路の重要性は言をまちません。  また、防災面での道路ネットワークの機能強化も重要であります。  近年、気候変動の影響により、各地で大規模な自然災害が相次いでおり、本年八月には、線状降水帯を伴う活発な前線の停滞が記録的な豪雨をもたらし、全国の広い範囲で土砂崩れや河川の氾濫、道路の崩壊が発生しました。  本県においても例外ではなく、令和元年の台風十九号では、中央自動車道や国道二〇号などの骨格道路が同時に被災し、首都圏との連絡が約一週間にわたって寸断され、人流や物流に甚大な被害をもたらしたことは、まだ記憶に新しいところであります。  こうした中、本年四月に須走道路・御殿場バイパスが開通し、また、先月に中部横断自動車道の静岡・山梨間が開通したことで、災害時における広域迂回路が二ルート確保されたことは、道路ネットワークの強靱化に向けた大きな前進であると考えます。  災害の激甚化の傾向が強まる中、首都圏に大きく依存する本県にとって、発災時の孤立を防ぎ、被災後の速やかな復旧・復興を図るためにも、首都圏とつながる道路ネットワークを一層強化することは最重要事項であると考えます。  そこで、県では、災害に強い広域的な道路ネットワークの整備をどのように進めていくのか、伺います。  次に、やまなしパワーPlusについてであります。  県では、平成二十八年四月から、東京電力と共同して、県が発電した電力を東京電力に売電し、東京電力がやまなしパワーのブランド名で県内企業等に安価な電力の供給を行う事業を開始し、平成三十一年四月からは、やまなしパワーPlusとして事業を行ってきました。  このやまなしパワーPlusでは、新規立地企業等に対して安価な電力を供給することで、企業立地の促進に寄与し、CO2フリーの電力の地産地消による温暖化ガスの排出抑制など、環境負荷の低減を図るふるさと水力プランをも併用しており、複数の政策効果を兼ね備えるすぐれた施策と評価しております。  一方、現在の電力市場は、新規電力会社数が約七百三十社にまで拡大し、競争が激化しており、電力自由化の動向がやまなしパワーPlusにどのような影響を及ぼしているのか、大変気になるところです。  また、政府の目指す二〇五〇年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向け、水力発電や太陽光発電などCO2フリーの電力への関心も、これまで以上に高まっており、電力市場においても発電する電力の環境価値に注目が集まっているほか、事業運営に必要な電力を一〇〇%再生可能エネルギーで賄うという取り組みが、今後は企業全体で広まることが予想されるなど、電力取引を取り巻く環境も大きく変化してきております。  そこで、まず、このような状況下でやまなしパワーPlusがこれまでに上げてきた成果について伺います。  また、やまなしパワーPlusの事業期間は本年度末で満了すると承知しておりますが、県内の利用企業からは、事業の継続に加え、事業内容の充実を求める声も大きいと聞いており、県では、来年度以降の事業展開についてどのように考えているのか、あわせて御所見を伺います。  次に、県立高校におけるICT教育にかかわるBYODの導入についてであります。  将来、社会人としてソサエティ5・0の社会で活躍していくためには、学校における学習用端末など、ICT環境を整備して、子供たちが日常的にICTに触れることができる学習環境を実現することが重要であります。  国のGIGAスクール構想により、全ての公立小中学校に高速ネットワークと一人一台端末が整備され、子供たちの可能性を引き出すことができる学習環境が整いつつあります。  先日、多くの小中学校において、ICTを活用した学習に取り組んでいるとの新聞報道がありましたが、今後は、全ての学校で一人一台端末を活用しながら創意工夫を凝らした教育活動が展開されていくことを、大いに期待しているところであります。  さて、知事は、昨年の九月議会におきまして、県立高校の一人一台環境の実現に向けて、令和四年度の新入生から、個人が所有する端末を活用する、いわゆるBYODを、順次導入することを表明されました。  これにより、中学校まで一人一台端末の環境で学んできた子供たちが、県立高等学校進学後も、引き続き一人一台端末の環境で学習することができるようになることから、私としても知事の表明に賛同したところであります。  その一方で、保護者が端末を用意する必要があることから、保護者の負担が増えることになり、この点について懸念しております。  特に、経済的に余裕のない世帯については、端末を準備することが難しいと思われることから、こうした世帯の生徒も安心して学校生活を過ごせるようにするため、端末の準備に向けた県による何らかの支援が必要であると考えます。  また、来年度に高校進学を予定している、現在の中学三年生の保護者にとっては、来年度から始まるBYODについて御存じでない保護者が大半と思います。準備する端末について、どのような端末を、いつ準備すればよいのかなど、BYODの詳細についての関心は高いものと考えます。  そのため、現在の中学三年生の保護者に対しては、このBYODについて早急かつ丁寧に説明していただきたいと思います。  そこで、県立学校におけるICT教育を推進するために、来年度から導入する県立高等学校のBYODについて、保護者への説明方法を含めた現在の検討状況を伺います。  最後に、山岳遭難の発生状況と防止対策についてであります。  本県は、富士山、北岳、間ノ岳など、日本の最高峰から、美しい自然景観が望める低山まで、数多くの山々を抱える国内有数の山岳県であり、年間を通して多くの登山客が訪れております。  特に、ウイズコロナの社会においては、感染リスクを回避しながらアウトドアでレジャーを楽しみたいとの志向が強まることは確実であり、今後も多くの登山客が本県を訪れるものと思います。  こうした中、本年六月末までの上半期における県内の山岳遭難の発生状況は、昨年に比べ、発生件数・遭難者数ともに増加しており、峡東地域の山々におきましても、同様に遭難がふえていると聞いております。  加えて、昨年の秋には、十月以降に遭難が急増したため、十一月には緊急の街頭指導が行われたと承知しております。  山岳遭難は、必ずしも急峻な山々だけでなく、身近な低山でも発生しており、時には命に危険が及ぶこともあります。楽しい活動であるはずの登山が痛ましい遭難事故に暗転しますと、遭難者はもとより、その御家族も絶望の淵に突き落とされることになってしまいます。  また、救助に当たられる警察官は、山中の厳しい環境のもと、みずからの危険を顧みず救助活動に従事することとなり、その心身の負担は察するに余りあります。  こうした不幸な山岳遭難を未然に防ぎ、登山を安全に楽しんでいくためには、県警察、県及び市町村が連携を図りながら、登山に関する基本的な注意事項、山岳遭難の発生実態やリスク、さらには登山計画書の提出など、登山に関する情報について、県内外に対し、効果的に発信していくことが重要と考えます。  また、こうした対策を進めていくためには、登山にかかわる山岳会などの関係機関・団体などとも一体となった取り組みが必要であります。  そこで、本県における山岳遭難の発生状況とあわせ、山岳遭難防止に向けた県警察のこれまでの取り組み状況及び今後の対策について伺います。  以上をもちまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 18 ◯議長桜本広樹君)桐原正仁君の質疑・質問が終わりました。  これより、当局の答弁を求めます。知事、長崎幸太郎君。       (知事 長崎幸太郎君登壇) 19 ◯知事長崎幸太郎君)桐原議員の御質問にお答え申し上げます。  ただいまは、自由民主党新緑の会を代表され、県政各般にわたり御質問をいただきました。  新型コロナウイルス感染症対策に尽力される方々への感謝の気持ちを示されるとともに、コロナ禍において公職者は希望のあすを指し示す責務を負うとのお考えをお示しになりました。  桐原議員におかれましては、若き日から政治の道を志し、市民・県民とともに地域に根差したキャリアを積み重ねてこられ、そうした過程の中で形づくられてきたであろう確固たる信念に深く敬意を表し、私も心からの賛同を示すものであります。  議員には、私の感染拡大防止と生活再建、経済回復に向けた取り組みや、米国産スモモの輸入解禁についての国への要請活動に対する御評価とともに、県民の皆様に希望の灯をともすことができるよう、私とともに全力を尽くしていただけるとの力強いお言葉を賜りました。  私も、スモモ産地の皆様の声にしっかりと応えることをお約束するとともに、県民の皆様の命と生活を守り、さらには回復の先の跳躍に向けて、全力で取り組んでまいる所存でありますので、一層の御支援、御協力をお願いし、以下、答弁に入ります。  初めに、山梨県CDCの活動実績と今後の取り組みについてです。  変異株による感染拡大に対しましては、本年四月から始動した山梨県CDCが中心となり、庁内各部局や医療機関等と連携し、対策を実施してまいりました。  まず、これまでの取り組みについてですが、県CDCの専門家が、変異株の感染力の強さや感染事例と対策のポイントについてわかりやすく情報提供をし、注意喚起を行ってまいりました。  また、デルタ株の流行に際しましては、病床などの逼迫状況の見える化による注意喚起や、県CDC専門家の意見も踏まえました不要不急の外出自粛、イベント開催制限などについての要請を行ったところであります。  さらに、早期発見により、感染拡大防止を図るため、検査対象の拡大や高齢者施設などへの定期的なPCR検査を実施してまいりました。  加えて、先月には医療提供体制が枯渇の危機にあったことから、病床の増床、宿泊療養施設の増設に加え、県CDC専門家の提案による医療強化型宿泊療養施設の稼働や、退所後ケアの導入などにより、医療提供体制の増強を図ったところであります。  次に、今後のさらなる感染拡大に備えましては、来月、感染症情報を一元的に配信するポータルサイトを開設し、情報発信力を高め、県民の皆様との意識の共有と対策の実行につなげるとともに、新たな変異株などの情報を適時適切に発信し、注意喚起を行ってまいります。  また、PCR検査機器等を整備する医療機関への助成により、検査体制を強化するとともに、新たな宿泊療養施設の開設など、医療・療養体制の充実を図ることにより、県民の皆様の生命と健康をお守りすることができるように、県CDCを中心として、なお一層取り組んでまいります。  次に、新型コロナウイルス感染症に関する対応の検証についてです。  県では、昨年一月に、国内初の新型コロナウイルス感染症の陽性者が確認されて以後、事態への対処や各般の対策に取り組んでまいりました。  しかしながら、特に初期段階において直面いたしましたのは、医療提供体制や物資の備蓄が全く不足しているという事実であり、本県の新型コロナ対策は、遺憾ながらほぼゼロと言っても過言ではない状態からのスタートとなりました。  これは、二〇〇九年に発生した新型インフルエンザによるパンデミックへの対応の経験が忘失してしまったことに起因するものであります。  また、その後におきましても、たび重なる感染拡大の波に襲われる中、感染防止と経済との両立を図り、県民の皆様の命と生活を防衛するため、暗中模索を強いられてまいりました。  さらには、県内の陽性患者がいわれなき差別を受け、SNS上で誹謗中傷を受けるなど、全く想定していなかった新たな社会問題にも直面し、対応に苦慮することもありました。  こうした幅広い問題への対処を通じて蓄積された経験は、まさに貴重な情報の宝庫であり、議員御指摘のとおり、将来の未知なる感染症発生時において、迅速かつ的確に初動対応と、その後の対策をとる上で、極めて有用であります。  感染症危機管理の専門家である阿部圭史氏の著書「感染症の国家戦略」におきましても、「危機管理活動のどの時点でどのような対応を行うのが適切であったかを、主観を排して事実に基づき精査し、建設的な検証を行うことが重要である」と指摘されているところであります。  このため、これまでの新型コロナウイルス感染症対策につきまして、県庁内に散在する情報を整理し、県の事態対処や対策のあり方に検証を加え、記録として整備をすることといたしました。  この検証及び記録は、感染症危機に備える事態準備行動の一環として、県の行動として反省すべき点、改善を要する点などがあった場合にも、忌憚なく評価を加えるため、第三者への委託により、客観性を確保しながら進めてまいります。  感染症対策についての教訓と指針を後世に継承するため、これまでの経験を県庁内に眠らせておくのではなく、直ちに活用できる県民全体の情報手段へと高めるべく、この検証記録事業に取り組んでまいります。  次に、性の多様性が尊重される社会の実現に向けた取り組みについてです。  少子高齢化や世界的競争が激化する今後において、地域の活力を維持し、県民の豊かな生活を維持発展させていくためには、山梨は、国内はもとより国外の地域との間でますます厳しさを増す地域間競争に勝ち抜かなければなりません。そして、そのためには、山梨という地が県内外、国内外から多様な人材、才能が集まる場所となる必要があります。  私は、LGBTQなど、性的少数者が暮らしやすい地域に山梨が脱皮できるかどうかは、まさに多様な人材が集まる地域になり得るか否かの試金石になるものと考えております。この点、県内で先駆的取り組みをされておられます御地元の甲州市には、深く敬意を表する次第であります。  県におきましては、これまで性的少数者の方々に対する理解促進を図るため、当事者の方を講師に招き、県民向けの講演会や職員を対象とした研修会を開催してまいりました。  本年度は、これに加えまして、本県における現状や課題の把握、取り組むべき施策の検討を行うため、先月、当事者や弁護士、有識者などから成る多様性を尊重する山梨検討会の第一回を開催いたしました。  会議におきましては、理解促進に向けた啓発活動の必要性や、安心して相談できる窓口の大切さ、多様な人材の活躍は企業にとって強みとなることなど、さまざまな見地から御意見をいただいたところであります。  こうした御意見を踏まえまして、課題を整理した上で、第二回の会議に向けて具体的施策の検討を進めることとしております。  性的指向や性自認にかかわらず、誰もが能力と個性を発揮し、かけがえのない個人として尊重される寛容な社会の実現を目指し、鋭意取り組んでまいります。  次に、ヤングケアラーへの支援についてであります。  ヤングケアラーの問題は、子供から子供らしい日常を奪い、子供がみずからの未来や可能性を失ってしまうことであり、このような事態は何としても避けなければなりません。  また、社会的な認知度も低いことから、周囲の大人のみならず、子供自身やその家族さえも自覚がなく、誰にも頼らないことが当たり前の日常になってしまっている。このことも大きな課題であります。  子供の成長は早く、まずは支援を早急に実行することこそが重要であり、できるところから一刻も早くアクションを起こしていくことが、今まさに求められていると考えております。  このため、県では、県民の皆様や支援者などの認知度や支援能力の向上に向けまして、講演会や研修会を開催するとともに、子供たちに気づきを与え、相談、そして支援へとつなげていくための啓発動画の作成や、スクールソーシャルワーカーの相談体制の強化などを図ることといたしました。  一方で、ヤングケアラーの家庭には高齢者や障害者の介護や、あるいは貧困などの多岐にわたる背景があることも多いため、こうした家庭への寄り添った支援も不可欠であると考えています。  このため、今月十六日には、新たに介護や福祉、医療、教育などの支援関係者から成るヤングケアラー支援ネットワーク会議を設置したところであり、議員御提案の関係機関が連携する包括的な支援体制の構築に向けて議論を加速してまいります。  今後も、子供やその家族に対しまして、寄り添った支援を提供できるよう、さらなる支援策の検討を進め、実効性ある取り組みを全力で推進してまいります。  次に、若者が魅力を感じる産業の集積と育成についてです。  本県の人口動態の特徴は、議員御指摘のとおり、若年層、とりわけ二十歳から二十四歳までの就職期の女性の転出超過が顕著であることであります。本県が将来にわたり活力を維持、発展させていくためには、こうした方々をつなぎとめ、また県外からの流入を促すことが必要であります。  この県政上の重要課題に対しまして取り組むべきは、県内に希望する就職先がないといった声に正面から向き合い、若者にとっての憧れの職が豊富に用意され、若年世代が描くキャリアビジョンにしっかりと応えていける山梨県へと成長を遂げていくことが必要であると考えます。  具体的には、議員御指摘のとおり、本県の強みであります地理的優位性や、飛躍的に向上する交通環境などを十分に生かすこととし、まずは首都圏に加え、東海、関西も幅広く視野に入れながら、魅力ある企業の誘致を積極的に進めてまいります。  また、斬新な発想を持つ若者の本県での起業を促進する施策や、成長性豊かなスタートアップへの実証実験のフィールド提供と、オール山梨による懇切丁寧な伴走支援など、本県独自の特徴ある事業を展開し、感度が高く、野心ある世代から、起業やスタートアップに有利な山梨との定評を得たいと考えております。  さらには、時流に乗り、将来有望でかつ本県が得意とする水素・燃料電池や医療機器といった先端的産業分野を一層発展させ、気づかないだけで、実は身近にたくさんある本県のすばらしい企業への就職、定着を進めることといたします。  一方、こうした取り組みに加えまして、既存のあらゆる県内産業につきましても、現状に甘んじることなく、高付加価値化の努力を促し、若者が魅力を感じられる産業へと脱皮を図ることが、本県産業を持続可能なものとしていくための王道であると考えます。  そこで、観光産業などのサービス業におきましては、労働集約的で業務負荷が過重といった若者が定着しにくい要素を払拭するため、サービスの高付加価値化と薄利多売からの脱却を促すとともに、企業内の働き方改革や女性活躍を推進し、ハイグレードで憧れの的となるような業種への発展を促してまいります。  また、基幹産業の一つである農業におきましても、オリジナル品種や新たなブランドによる付加価値の向上、スマート農業の導入による省力化などで収益性を高め、豊かな自然の中で生き生きと働ける山梨ならではの魅力ある産業となるよう、取り組みを進めてまいります。  こうした取り組みによりまして、県内産業全体の底上げを図り、ハイクオリティーな産業群がきら星のごとく輝く山梨県、そして若者から夢を描く舞台として選ばれる山梨県を実現してまいります。  次に、反転攻勢に向けた県産酒の消費拡大とブランド力の向上についてです。  本県では、全国で初めて二つのGIの指定を受けましたが、他産地との差別化を図ることができるGIの強みを十分に生かして、県産酒の消費拡大とブランド力向上につなげていきたいと考えております。
     まず、消費拡大の取り組みに先立ちまして、酒類提供の制限により、多大な影響を受けた酒類販売事業者への緊急的な支援策として、国の月次支援金に上乗せ、または対象を拡大し、支援金を給付いたします。  その上で、消費拡大につきましては、GI認証銘柄を主としたショッピングモールでの販売会や、インターネットを活用した販売促進キャンペーンなどを実施し、県内外で県産酒の売り上げの増大を図ります。  さらに、県産食材を活用した付加価値の高い料理を創作し、ワインや日本酒などとのマリアージュによる本県ならではの食の魅力を発信するなど、食との融合による県産酒の消費拡大につなげてまいります。  次に、ブランド力の向上につきましては、地域プロモーション戦略のもと、コーポレートブランドたるハイクオリティやまなしと、それを構成する日本酒やワインなどのファミリーブランドを連動させることで、相乗効果を図っていくなど、戦略的な取り組みを進めております。  このうち、日本酒につきましては、首都圏の高級ホテルを対象とした試飲会で、本県日本酒の多様な味わいや、これを生み出す水系など、GI指定の背景にある物語をPRし、銘醸地としての認知度を高めてまいります。  ワインにつきましては、産地組合が行うロンドンプロモーションを支援してきた結果、国際的な認知度が高まってきているため、この取り組みを継続し、甲州ワインブランドの海外でのさらなる浸透を図ります。  今後も県産酒の消費拡大とブランド力向上の取り組みを強力に進め、酒類製造業のリカバリー、その先の跳躍に向けて弾みをつけてまいります。  次に、コロナ禍における文化芸術活動の振興についてです。  新型コロナウイルスの感染拡大の中で、先般イベント開催の自粛要請や、県立美術館を初めとした文化関連施設を休館せざるを得なかったことは、非常に残念なことでありました。  文化芸術は、私たちの日常をより豊かにし、安らぎと活力をもたらすものであり、議員御指摘のとおり、コロナ禍により閉塞感が漂う今こそ、県民には文化芸術の力が必要であると考えています。  そこで、県内各地で文化芸術活動の振興を図るため開催する県民文化祭におきまして、できるだけ多くの皆様が文化活動の発表、観賞ができるように、さまざまなプログラムの再開に向けた準備を鋭意進めているところであります。  また、多くの県民が外出自粛やイベント制限により、活動や発表の機会を奪われたことに伴い、県民の文化芸術活動を支えてきた地域拠点の存続にも大きな影響が生じてきております。  このため、ライブハウスなど地域の小規模な文化活動拠点が行う感染対策が講じられた場所や、オンライン、野外などの新しい生活様式に対応したイベントの開催を支援して、再び活性化させることとし、所要の経費を九月補正予算に計上いたしました。  さらに、県立文化施設におきましては、館内観覧の疑似体験ができる動画の公開や、館の魅力を学芸員が開設するナイトミュージアムの実施など、県民の皆様に寄り添った展示や企画を検討しております。  こうした取り組みに加えまして、文化芸術をコロナ禍からの県民生活の再建や県内経済の再生につなげるだけではなく、その取り組みを端緒としながら、中長期的に文化芸術により本県を活性化する、いわば文化立県を目指すこととし、その実現に向けた戦略を策定の上、本格的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、果樹農業のさらなる振興についてです。  本県農業の基幹であります果樹農業を次代に引き継いでいくためには、担い手の確保育成や生産基盤の強化に加え、果樹の高付加価値化を推進することが重要であります。  このため、県では、果樹産地への新規就農者の定着に向けた技術習得の支援とともに、意欲ある担い手に農地を集積するため、小規模で分散した果樹園を集約し、生産性を向上させる基盤整備を進めております。  また、県産果実の品質向上や生産の安定に向けまして、品質の高い県オリジナル品種などへの改植の推進や、栽培技術の普及に加えまして、病害の発生を軽減するため、甲州市などの農家に対し、ブドウの雨よけ資材などを助成する経費を、九月補正予算に計上したところです。  さらに、県産果実の付加価値を高めるため、4パーミル・イニシアチブを推進しており、本年度認証制度を構築し、消費者の理解を得るためのPR動画を作成したほか、市場調査を行い、販売先となるターゲットを明らかにした上で、有利販売につなげてまいります。  加えまして、六次産業化による高付加価値化を目指すべく、専門家の指導により、シャインマスカットのドライフルーツを用いたハーブティーやお菓子などの加工品開発に取り組む農家を支援しております。  今後も、市町村あるいはJAなどと連携を図りつつ、こうした取り組みを積極的に進め、農家の所得向上と果樹農業のさらなる振興に鋭意努めてまいります。  次に、災害に強い広域的な道路ネットワーク整備についてです。  急峻な山々に囲まれました本県において、災害に強い道路ネットワークの確保には、災害危険性の高い脆弱箇所の対策と、広域迂回路となる信頼性の高いネットワーク整備の取り組みが必要であります。  特に、交通量が多く、強靱化が重要である首都圏方面においては、令和元年台風十九号によって交通が途絶したことから、交通強靱化プロジェクトを設立し、関係機関と連携して取り組んでおります。  まず、首都圏と本県を直接結ぶ中央自動車道では、脆弱な県境の山間部において、小仏トンネルの別線トンネル整備や、のり面の補強工事を行っております。  また、中央道や国道二〇号が被災した際に、迂回路となります国道四一三号線においては、道志バイパスの整備とともに、集中的に防災工事を実施し、本年七月に事前通行規制を撤廃したところであり、県管理道路の強靱化にも努めております。  さらに、首都圏への広域迂回路となる須走道路・御殿場バイパスや中部横断自動車道山梨・静岡間が開通したことによりまして、南回りの広域道路ネットワークの整備が飛躍的に前進いたしました。  一方で、首都直下型地震の発生時には、首都圏への支援や迂回が必要となりますが、東名高速、中央道が被災した場合は、中部横断道を利用した北関東へのルート確保が必要となります。  このため、県内に残る唯一のミッシングリンクであります中部横断道長坂・八千穂間の整備が不可欠であり、都市計画決定の手続を着実に進め、早期事業化を目指してまいります。  今後も計画的な広域道路ネットワークの整備の推進に向けまして、県議会の先生方の御支援をいただきながら、継続的かつ安定的な強靱化予算の確保を国に働きかけてまいります。  最後に、やまなしパワーPlusについてです。  まず、やまなしパワーPlusのこれまでの成果についてです。  企業などへの安価な電力の供給による県内経済の活性化と、CO2削減に取り組む企業を支援することを目的に創設いたしましたやまなしパワーPlusは、本年度末で三年間の事業期間の満了を迎えます。  現在、四百八カ所へ年間約二億四千万キロワット・アワーの電力料を供給しており、順調な運営を続けているところです。  供給先を対象としたアンケート調査によりますと、約三割の企業が、電気料金の低減分を設備投資につなげ、約六割が今後設備投資や雇用増加につなげたいとの回答がありました。  また、CO2排出量削減につきましても、八割の企業から、環境活動への取り組みに対し効果があったとの評価をいただいていることから、県内経済の活性化と脱炭素社会の実現にも、着実に寄与しているものと考えております。  次に、来年度以降の事業展開についてでありますが、引き続き企業活動を後押しし、県内経済の活性化とCO2の排出量削減を図るため、来年四月から二年間、やまなしパワーNextとして、現行の事業をさらに充実させた上で、実施していくことといたしました。  この新しい事業では、電力料金の割引率を、新規立地あるいは経営拡大企業について、現行の七%から一〇%に引き上げをいたしまして、料金負担の一層の軽減を図ってまいります。  また、新型コロナウイルスで大きな影響を受けました医療、福祉、小売業、飲食店、生活関連サービス業を新たに対象に加え、これらの業種の支援につなげてまいります。  さらに、二〇五〇年カーボンニュートラル宣言を受け、CO2フリー電力の導入に対する企業の関心がさらなる高まりを見せております。  そこで、こうした追い風を生かすため、県営水力発電所で発電した電力を、一〇〇%供給するふるさと水力プランの供給枠を、現行から五倍の五千万キロワット・アワーに拡大するなどの工夫を加え、脱炭素社会の実現とともに、本県の経済的な利益の確保にも、より一層貢献してまいりたいと考えております。  今後もこの事業を通じまして、力強く企業活動を支援するとともに、事業実施に伴う利益につきましては、少人数学級の推進や子育て支援、環境保全などに幅広く活用し、県民福祉の向上に役立ててまいります。  以上をもちまして、私の答弁といたします。残余につきましては、担当の部長等からお答えいたします。 20 ◯議長桜本広樹君)総務部長、市川康雄君。       (総務部長 市川康雄君登壇) 21 ◯総務部長市川康雄君)桐原議員の行政手続のオンライン化についての御質問にお答えいたします。  県では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、新しい生活様式に対応するため、令和三年三月に山梨県行政手続オンライン化方針を策定し、原則全ての手続をオンライン化することといたしました。  オンライン化に当たっては、事業者や県民など申請者の方々にオンラインでの手続を義務づけるのではなく、書面での申請に加えて、オンラインでも手続が完結できるように取り組むこととしております。  また、本人確認の方法や電子署名の取り扱いなどを明確化するとともに、セキュリティーのレベルに応じて市町村と共同で運用している電子申請システムや、電子メールによる申請を使い分けて、オンライン化に対応してまいります。  本年度は、この方針に沿ってオンライン化されていない約三千五百件の手続について調査等を実施し、対面での対応が義務づけられているものなど、オンライン化が不可能なものを除く約三千件の手続について対応する準備を進めております。  このうち、申請時に手数料を要するものを除いた約二千五百件の手続については、順次オンラインによる受け付けを開始し、おおむね十二月までには完了する予定であります。  今後は、電子申請に係る手数料徴収の運用方法等について検討を進め、早期に実施できるよう、継続してオンライン化を推進し、県民の利便性の向上を図ってまいります。  以上でございます。 22 ◯議長桜本広樹君)スポーツ振興局長、塩野開君。       (スポーツ振興局長 塩野 開君登壇) 23 ◯スポーツ振興局長(塩野 開君)桐原議員の東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会開催を契機とした本県の今後の取り組みについての御質問にお答えします。  今回の大会では、本県が初めてオリンピック自転車競技ロードレースの会場地となり、世界最高水準の選手たちが一堂に会して、富士の麓を駆け抜けたコースは、一躍、国内外のサイクリスト憧れのメモリアルロードとなりました。  また、事前合宿では、三カ国、十競技、二百六十八人の海外選手団と、陸上競技日本代表選手団の受け入れを行い、合計十四種目でメダルを獲得するなど、合宿地としてのクオリティーの高さが実証され、そのステータスが確立をされたところであります。  こうした成果を活用し、県ではオリンピックコースを活用した自転車イベントの開催や、事前合宿地でのスポーツキャンプの誘致など、スポーツツーリズムの推進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  これらの取り組みを強力に推進するため、来年度、地域スポーツコミッションを設立することとしており、この組織が原動力となって、スポーツを切り口とした地域経済の活性化につなげてまいります。  以上でございます。 24 ◯議長桜本広樹君)教育長、三井孝夫君。       (教育長 三井孝夫君登壇) 25 ◯教育長三井孝夫君)桐原議員の県立高校におけるICT教育に係るBYODの導入についての御質問にお答えいたします。  ICTは、これからの学校教育に必要不可欠なものであり、未来の山梨を担う子供たちが、日常的にICTを活用できる学習環境を実現することは、極めて重要であります。  このため、県では、来年度の県立高校の新入生から、個人所有の端末を活用するいわゆるBYODを順次導入することとし、授業中のみならず、放課後や家庭など、授業以外の学習においても端末を使えるようにしてまいります。  現在、BYODの導入に向けましては、端末のスペックやOS、学校で接続する際の環境設定など、詳細について詰めているところであります。  また、端末の購入を希望する保護者に向けましては、インターネット上で通常よりも安価に購入できる仕組みについても検討を行っております。  さらに、保護者に端末を用意してもらうに当たりましては、議員御指摘のとおり、経済的に余裕のない世帯に対する支援策を講じてまいりたいと考えております。  県といたしましては、来年度のBYODの導入に向けまして、早急に詳細を詰めるとともに、保護者の皆様に対しては、県や高校のホームページでの周知、中学校を通じたリーフレットの配布などにより、丁寧に説明してまいりたいと考えております。  以上でございます。 26 ◯議長桜本広樹君)警察本部長、大窪雅彦君。       (警察本部長 大窪雅彦君登壇) 27 ◯警察本部長大窪雅彦君)桐原議員の山岳遭難の発生状況と防止対策についての御質問にお答えいたします。  議員御指摘のとおり、本県は国内有数の山岳県であり、山岳遭難防止のための取り組みは、極めて重要であると認識しております。  県内における山岳遭難の発生状況は、本年八月末現在で六十六件、七十六人と、件数、遭難者数ともに前年同期と比べて増加しております。  原因別に見ますと、約三割が道迷いと最も多く、居住地別では遭難者の約八割が隣接都県からの登山者でありますことから、県警察では、道迷い対策と、県外登山者対策に重点を置いた取り組みを進めております。  具体的には、道迷い対策として、県や市町村、山岳会などと連携して、案内板の設置や危険箇所への立入禁止措置などの登山道整備を推進しております。  また、県外登山者への対策として、県外に店舗を構える登山用品店や山岳ガイドなどの山岳関係者の御協力を得ながら、山岳遭難の発生状況やリスク、登山計画書の提出などの登山に関する注意事項について、登山情報サイトやツイッターなどのSNSを活用した情報発信に努めております。  さらに、山岳遭難発生時における捜索救助活動を迅速、的確に実施するため、警察本部及び全ての警察署に山岳救助隊員を配置し、訓練などを通じた技能向上にも努めております。  引き続き、本県における登山の安全を確保するため、登山道整備や情報発信など、山岳遭難防止対策を強化してまいります。  以上でございます。 28 ◯議長桜本広樹君)当局の答弁が終わりました。  桐原正仁君に申し上げます。再質問はありませんか。 29 ◯桐原正仁君 ありません。 30 ◯議長桜本広樹君)これをもって、桐原正仁君の代表質問を打ち切ります。  暫時休憩をいたします。                                          午後三時五十一分休憩       ───────────────────────────────────────                                          午後四時三十分再開議 31 ◯議長桜本広樹君)休憩前に引き続き会議を開きます。  報告をいたします。  皆川巖君外十二人から、議第十七号議案について、お手元に配付のとおり提出がありました。  お諮りいたします。本件を日程に追加し、直ちに議題とすることに御異議ありませんか。       (「異議なし」と呼ぶ者あり) 32 ◯議長桜本広樹君)御異議なしと認めます。よって、議第十七号議案日程に追加し、直ちに議題とすることに決定いたしました。  議第十七号議案を議題といたします。  皆川巖君から、上程議案に対する提案理由の説明を求めます。皆川巖君。       (皆川 巖君登壇)
    33 ◯皆川 巖君 議第十七号、県有資産の効率的な運用と高度活用に関する調査及び検証特別委員会設置の件について、提出者を代表して、その提案理由を御説明申し上げます。  山梨県は、県民資産の価値を高め有効活用を図るとともに、県民資産の収益を県民に還元するため、山梨県県民資産創造推進本部を設置して議論を進めているところであります。  山梨県議会といたしましても、地方自治法第九十六条の趣旨を十分に達成するためには、県有資産の効率的な運用と高度活用が必要であると考えるため、新たな特別委員会を設置して一元的に調査及び検証するべく、ここに提案するものであります。  議員各位には、この趣旨を御理解の上、御賛同賜りますようお願い申し上げまして、提案理由の説明といたします。 34 ◯議長桜本広樹君)皆川巖君の提案理由の説明が終わりました。  以上で本日の日程は全部終了いたしました。  明九月二十九日、午後一時、会議を開き、一般質問を行います。  本日はこれをもって散会いたします。                                          午後四時三十二分散会 発言が指定されていません。 Copyright © Yamanashi Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...