山梨県議会 2018-09-01
平成30年9月定例会(第3号) 本文
人口百万人の数字にとらわれることなく、本県の経済が回って、
県内が元気になり、県民が豊かに幸せに暮らすことが大切ではないでしょうか。
人口が減少していく局面で、本県を訪れる方々の
経済効果というものをしっかりと施策の中心に据えて、その方々をどうふやし、お金を落としていただくかを真剣に考えていく必要があります。
現在、
リンケージ人口が対象としている
旅行者については、
国内宿泊者のみとなっていますが、
経済貢献度の観点からは、
観光交流人口をより広く捉える考え方もあります。
実際に
観光庁では、
観光交流人口の
経済効果として、
定住人口一人分の減少は、
外国人旅行者八人、または
国内日帰り旅行者八十人分で補完できるものと発表しています。
富士山効果や将来の
リニア効果による
観光客全体を
リンケージ人口として見据えて、この方々をいかにふやして、いかに消費してもらうかが、これからの
人口対策に必要な視点です。
そこで、経済的な効果に着目した
リンケージ人口の
あり方についてどのように考えるのか、所見を伺います。
次に、
リニア開業効果の全県への波及について伺います。
リニア中央新幹線の開業は、ビジネスや
観光など、本県全体にとって大きな
経済効果が期待される今後またとない最大の
チャンスであり、この開業による
経済効果を
駅周辺から
県内全域へ波及させる戦略が非常に重要です。
リニアの
開業効果を全県で生かすためには、
リニア駅を中心とした
交通ネットワークを整備するとともに、広域的な
観光地づくりを進めて、国内外からの
交流人口を拡大させることが、最も必要ではないかと考えます。
観光立県である本県には、
世界文化遺産の
富士山を初め、
日本農業遺産に認定された
峡東地域の
果樹地帯、ユネスコエコパークに登録された
南アルプス地域など
県内の各
地域に、世界に誇れる
観光資源が数多くあります。
これらの各
地域に、いかに
観光客を呼び込めるか。特に、国においても力を入れている
インバウンド観光をどう拡大していくかが、重要な課題だと考えます。
リニア開業により、品川駅や名古屋駅からの時間短縮が可能になりますが、その先の
国際空港に圧倒的に近くなる視点も注目すべきです。
現状では二時間以上かかる羽田空港までの
アクセス時間が約六十分。
中部国際空港までは約八十五分となるなど、大幅に短縮されて、海外が近くなると言っても過言ではありません。
これらのメリットを生かして、多くのインバウンドを呼び込むためには、豊かな自然や文化など、
県内の広く各
地域において、それぞれ
観光資源のさらなる活用などについて、研究・検討を進めていくことが求められています。
また、県で取り組んでいる
リニア駅と
県内各地を結ぶ
交通アクセスの構築を進めるとともに、将来的には、県下、各市町村の
取り組みと、より連携した県の
ビジョンを取りまとめていくことが、必要ではないでしょうか。
現在、
駅周辺整備や
駅近郊についての検討は進められていますが、
リニア開業を見据えた全県的な
取り組みこそ、まさに、県が先導して検討を開始すべきではないかと考えます。所見を伺います。
次に、本県の将来に必要な
総合球技場の整備について伺います。
高度な
デジタル社会が進展する今日においては、SNSなどの便利な
ツールに頼りすぎた結果、人々の
コミュニケーション能力が低下しているとの指摘があり、お互いに顔を合わせて
意思疎通を図ることの
必要性が見直されています。
そうした中、私はスポーツこそ、心身の健全な発達や健康の保持だけでなく、人と人とを結ぶ最高のプラットフォームであり、さまざまな
経済効果につながるものと考えています。
今後、ますますスポーツの持つ力が社会に必要となってくる中、現在、検討されている
総合球技場は、スポーツの振興に加えて、県民の健康増進や郷土愛の醸成、経済の活性化など、
地域振興に大きく寄与する施設ともなり得ることから、しっかり議論を進めて、早急に整備方針を打ち出すべきと考えます。
そのためには、
総合球技場は、ヴァンフォーレ甲府のための施設という位置づけだけではなくて、年間約百日は使用できるフィールドでの大会や合宿の誘致、附帯施設を活用した健康づくりや、スポーツを通じた共生の機会の提供、さらにはさまざまなイベントなど、多くの可能性を県民に示し、理解を得ていくべきではないでしょうか。
特に私は、県民の健康維持、医療費抑制のための子供からお年寄りまでのスポーツ参加や、体力づくりが重要であると考えます。
また、整備費用に大きく影響する施設規模等については、附帯施設も含めて、本県の体力に合った、山梨らしさのあるスモールスタジアムとしての整備内容を検討して、県民負担の軽減を最大限図るべきです。
この整備費用として活用が可能なtotoのスポーツ振興助成金については、既に十を超える
地域において、スタジアム整備の計画があることから、助成金獲得のためには、できるだけ早く整備計画を打ち出す必要があります。
そこで、本県の将来に必要な
総合球技場整備に向けた県の考えを伺います。
次に、ラグビーワールドカップ日本大会に向けた
取り組みについて伺います。
東京オリンピックの前年、来年の九月から十一月までの約四十日間にわたり、ラグビーワールドカップが日本で初めて開催されます。
このラグビーワールドカップは、夏のオリンピック、サッカーワールドカップに次ぐ規模で、世界三大スポーツイベントの一つと言われています。
こうした中、フランス代表
チームが、富士吉田市と富士河口湖町を拠点に事前合宿を行い、その後の公認キャンプ地としても決定しています。
ワールドカップの準優勝三回を数える強豪国フランスが、本県に滞在する意義は極めて大きく、既に、フランス国内の大手旅行会社では、本県へのツアーの実施を決めており、多くのファンの来県が見込まれます。
また、日本での大会を盛り上げるために、大会直前には、出場国の国会議員によるラグビー世界国会議員ワールドカップが、富士河口湖町で開催されます。
世界八カ国から約五百人が参加して、ラグビーでの交流のほか、
富士山観光や
リニアの試乗、ブドウ園やワイナリー見学など、
県内の名所めぐりを検討しています。
新聞報道によれば、ラグビーファンは富裕層が多く、スポーツの中でも、観戦者の平均金融資産が上位にランクし、観客が最もお金を使うスポーツであると言われています。
県では、
東京オリンピック・パラリンピックに向けて、庁内に推進本部を設置して、自転車ロードレースや事前合宿の誘致など成果を上げています。
しかし、ラグビーワールドカップに向けての
取り組みは、なかなか形として見えてきません。石川県では、試合会場やキャンプ地ではないものの、予算化をして広告戦略を展開することで、より多くの
観光客の獲得を狙っています。
ラグビーワールドカップは、オリンピックに比べても長期間の開催であり、さまざまな
チャンスがあるはずです。
本県として、ラグビーワールドカップに向けても、
東京オリンピック・パラリンピック同様に全庁を挙げて、この好機を最大限生かして、積極的に取り組むことが必要と考えます。
そこで、もう来年に迫ったこの大会に向けた県の
取り組みについて伺います。
次に、好機を捉えた将来につながるフランスからの誘客について伺います。
ラグビーワールドカップ日本大会の次はフランス大会、
東京オリンピックの次はパリ大会と、今後、フランスと日本との交流は一層深まります。
このような中、ラグビーワールドカップの事前合宿に加え、
東京オリンピックでも九市町村、県全域でフランス競技団体等の受入れ準備を進めています。
また山梨県は、甲府市がポー市、甲州市はボーヌ市、富士吉田市はシャモニーモンブラン市など、八つの
地域で協定を締結している有数の親仏県です。
先般、私たちは
地域の若者と、富士北麓公園において、フランスを知り交流を深めるきっかけづくりとして「日本とフランスの祭典」を開催して、フランス大使館や在日フランス商工会議所、
県内外の多くの方に参加をいただき、フランスとの交流の可能性を実感しました。
現在、訪日外国人消費動向調査でもフランス人の旅行支出額は非常に大きく、また宿泊旅行統計調査を調べてみても、二〇一七年に、フランスの訪日延べ宿泊者数は八十九万七千二十人と、前年に比べて約一〇パーセント増加しており、本県の延べ宿泊者数は、ことしの一月から六月までを見ると、前年同期比で約三二%増の五千四十人と大幅に伸びています。
さらに、ことしは日仏友好百六十周年に当たるアニバーサリーイヤーです。
現在、フランスでは、日本文化を大規模に紹介するイベントのジャポニスム二〇一八が開催されており、フランスにおいても日本への関心が高まっていることが、訪日客増加の一つの要因とも考えられます。
このジャポニスムの事業において、本県は、信玄公祭りの甲州軍団の出陣を行いますが、これには、体験型で、フランス人の関心が山梨に向くような、その先の継続的な誘客につながるような具体的工夫をすべきと考えます。
そこで、将来にわたりフランスからの誘客を促進するため、県は、どのように取り組んでいくのか伺います。
次に、
富士山保全協力金について伺います。
ことしの夏の協力金の協力者数は、昨年に比べ約一〇%減少しており、六合目の登山者数が、台風の影響などで昨年に比べて約一二%減少したことを勘案しても、収納状況は依然として厳しい状態です。
県では、ことし、協力金の現地収納業務に関して、我々が従来から提言してきた、民間の柔軟な発想が期待できるプロポーザルによる委託業者の選定や、多くの登山者が通過する五合目及び六合目への受付スタッフの重点配置、電子マネーでの決済導入など、今まで以上に登山者が協力しやすい体制づくりに努力していることは、承知しています。
しかし、私はことしも何度か現地へ行き、関係者の意見を聞く中で、改善の余地はまだまだあると感じています。
まず、五合目の受付場所付近は、登山者と
観光客で混雑しており、受付から離れた場所を、登山をしない五合目
観光のみの団体に混ざって、登山者が意識的に素通りしていく姿が多く見られました。
また依然として、使い道がわからないという意見も多く聞かれます。
私は、受付場所に関しては、
観光客と登山者が混ざらない場所、例えば六合目の安全指導センター前に集中させて、協力を呼びかける際には、単なる協力のお願いではなくて、環境保全型トイレやヘルメットなど、実際の使い道を現物や写真で、はっきり示すべきと考えます。
一方、県が幾ら努力しても協力していただけない登山者も一定数存在し、協力者の中には不公平感を抱く方も多く、協力金の
あり方自体を含め、使い道や受付方法など、抜本的に見直す必要があると強く感じています。
見直しは、静岡県との調整など一朝一夕にはいきませんが、制度創設この五年目を節目と捉え、これまでを総括する中で、知事がリーダーシップを発揮し、本県から、今後の協力金の
あり方について議論を始めるべきと考えますが、所見を伺います。
次は、医療保険制度の持続性の確保に向けた医療費適正化について伺います。
内閣府の高齢社会白書によると、七十五歳以上の
人口の割合は、二〇二五年には約一八%ふえ、二〇五四年まで増加が予想されます。
こうした高齢化が進む中で、本県の医療費は、平成二十七年度においては二千七百七十二億円と、十年前から五百十四億円の増加となっています。
このうち、後期高齢者の医療費は千十八億円と、全体の約四割を占める状況にあり、今後も、後期高齢者の増加に伴い、その割合もふえ、医療保険財政の圧迫が懸念されます。
この三月、県が、医療保険制度の持続性を高めるために策定した第三期山梨県医療費適正化計画では、県民の健康寿命の延伸と、医療の効率的な提供によって、医療費の適正化を図ることとしていますが、今年度からは、新たに、県が国民健康保険の財政運営の責任主体となったことから、より一層、積極的に取り組むことが重要です。
私は、計画の推進に当たっては、国の動向なども注視しながら、総花的な対策ではなくて、効果が大きく見込める分野に的を絞って、重点的、効率的に取り組むべきと考えます。
例えば、新薬と同じ効果で、価格が約半分のジェネリック医薬品は、その普及によって、医療費の大幅な削減が期待されますが、本県での使用割合は六六・六%と、全国でワースト二位の残念な状況にあります。
また、透析にかかる医療費は、患者一人当たり、年間五百万円以上と言われています。
本県の糖尿病を原因とする新規の透析患者数は、
人口十万人当たり十七・六人で、全国ワースト二位という状況ですが、この中には、予防や早期治療を行えば、透析患者にならずに済んだ方が相当数いて、医療費の削減につなげられたのではないかと思っています。
そこで私は、まずはジェネリック医薬品の使用促進や、さらには糖尿病などの重症化予防にも具体的に取り組むことが、今後、ますます厳しさを増す医療保険制度の持続性の確保に大きく貢献するものと考えます。所見を伺います。
次に、森林環境教育の推進について伺います。
先月、
富士山の麓、富士北麓公園に、スポーツ合宿やさまざまな県民の方々が活用できる屋内練習走路が完成しました。
この建物は、我々も提案してきましたが、県産材CLTを使用しており、京都の三十三間堂を超える、木造の長さ日本一クラスの注目の施設です。
私は、県産材に包まれたこの屋内走路を、スポーツだけでなくて、美術展や子供たちの学習などに活用することで、県民が木に触れ、親しむ機会となり、改めて木のよさを感じ、利用する絶好の契機になると考えます。
こうした中、全国で、木に触れ、木のよさを学ぶ木育への
取り組みが行われており、最近では、木育・森育といった森林体験とあわせた活動が広がっています。会派で視察した北海道や山形県では、木育政策に注力しています。
また、ウッドスタート宣言を行う自治体やNTTドコモ、無印良品計画などの先進企業が各地でふえています。
森林県である本県においても、森林環境教育については、山や森林に親しむ機会を提供して、山の恩恵を実感してもらえるように「山梨で過ごす山の日事業」を展開して、トレッキングツアーや木工教室などのイベントが実施されています。
しかし、これらの事業では、体系的な木育への
取り組みとして、十分とは言えません。
私は、豊かな森林資源を将来に引き継いでいくためには、次世代を担う子供たちに、森林体験等を通じて、自然の仕組みや木の文化を学習する機会となる木育・森育、また、企業と連携したウッドスタート宣言の
取り組みなど、森林環境教育をさらに充実させていくべきと考えます。
そこで、森林環境教育の本県ならではの
取り組みと、今後、いかに充実させていくのか伺います。
次に、地球温暖化対策先進県に向けた
取り組みについて伺います。
ことしの夏は、災害と言われるほどの猛暑が続き、頻発する豪雨により甚大な被害も発生するなど、専門家は、これらの現象は地球温暖化などによる気候変動の影響と指摘しています。
地球温暖化対策については、今世紀末の平均気温上昇を産業革命前から二度未満とすることや、世界全体の温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることなどを目標とした国際的な枠組みであるパリ協定に基づいて、各国が
取り組みを始めています。
しかし、現在のペースで温暖化が進めば、二〇四〇年ごろには、産業革命前と比べて、平均気温が一・五度以上上昇すると予測されて、現状のままではパリ協定の目標達成が困難との指摘もあり、地球温暖化防止対策は、今や国際社会が一丸となって取り組むべき課題です。
ところで、来年のラクビーワールドカップや
東京オリンピックでは、パリ協定が締結されたフランスから、本県は八競技の事前合宿を受け入れるため、選手や多くの関係者が訪れる絶好の交流機会が到来します。
私たちは、フランス大使館や在日フランス商工会議所を通じて、国の代表であるフランスのオリンピック選手などが、富士北麓公園や
県内で、このパリ協定の精神を子供たちや地域に伝えてもらう交流事業を提案しており、実現すれば、温暖化対策の本県のレガシーになると考えます。
パリ協定がうたっているとおり、温暖化対策の推進には技術革新が必要であり、それらは世界や日本、そして山梨に新たな成長と発展をもたらすものと考えます。
本県では「CO2ゼロやまなし」を宣言していますが、これが県民に十分伝わっているとは言えません。生活における省エネの推進など、県民の環境意識を一層高めて、家庭・
地域等での環境問題に今まで以上に真剣に取り組むことが必要です。
それが、本県のサステナブルな
地域社会の構築につながるものと考えます。
このような中、具体的な
取り組みとして、県では、都道府県レベルで初めて、スマートフォン用の環境家計簿アプリを開発していますが、これはまだ、実用化に至っていません。
このアプリは、環境への意識づけと温暖化防止の
取り組みの強化に有効な施策であり、早急に取り組むべきと考えます。
二〇五〇年「CO2ゼロやまなし」というパリ協定を上回る目標を掲げる本県が、まさに温暖化対策先進県となるためには、これまで以上の対策が求められます。
そこで、今後の山梨県における地球温暖化への
取り組みについて伺います。
次は、若者の
県内企業への就職に向けた
取り組みについて伺います。
先月の高校生議会では、
人口減少対策や若者の
県内就職に関する質問が多く出されました。
発言の中には「仕事を知る機会や体験する機会がもっとわかりやすく、気軽にあれば」という意見があり、
県内で働きたいが、どんな企業がどういう仕事をしているのか、また、どういう人材を求めているのかが、高校生にはわかりづらい状況ではないかと感じました。
一方で
県内企業からは、募集をかけても人が集まらないとの声や、特に中小企業においては、PRや募集のノウハウが少なく、人材確保への支援を求める切実な声を多く聞きます。
本県は、若者と企業との距離が縮まらないことが、
県内に若者が就職しない理由の一つではないでしょうか。
実際の状況を数字で見ると、
県内の公立高校生の
県内就職率は、昨年度に比べ一・四%減っており、また、本県の若者の失業率と大卒者の進路未定者率は、それぞれ全国で三十五位、四十一位となっています。
さらに、昨年度の県出身学生のUターン就職率は二八・一%と、約七割の学生が本県に戻っていない状況にあります。
県内で生まれ育った若者が
県内に就職することはもちろん、県外に出た若者も
県内企業に就職してくれることが、本県産業の持続的な発展につながっていくものと考えます。
こうした状況から、県は今年度から、インターンシップを実施する企業と学生をマッチングする窓口を設けていますが、七月末の受け入れ企業が百十六社に対して、学生からの相談は四十一件にとどまっており、より一層の周知と活用が必要です。
私は、本県の教育委員には、経営者の方々が選任されていることを踏まえて、産業界と教育界がさらなる連携強化を行い、インターンシップや学校での企業講話をふやすなど、もっと早い段階から
県内産業を知る機会をつくり、学生と企業との距離が近い県を目指すべきと考えます。
そこで、若者と企業との距離を縮めるために、本県ならではの有効な施策が必要と考えますが、若者の
県内企業への就職に向けた県の
取り組みについて伺います。
次に、持続可能な
観光産業の発展に向けた民泊の
取り組みについて伺います。
国は、
東京オリンピックが開催される二〇二〇年には、訪日外国人客数を年間四千万人にする目標を掲げており、本県を訪れる
外国人旅行者も、今後、さらなる増加が見込まれ、宿泊客室数の不足も懸念されている中で、ことしの六月には、新たな民泊に関するルールを定めた住宅宿泊事業法が施行されました。
一方で、モノ消費からコト消費へ
観光客の幅広いニーズに対応することが求められており、民泊は、日本人の日常生活が体験できるなど、旅館やホテルとは異なる宿泊需要の受け皿として、多様化するニーズに対応する一つの手法になり得るものです。
また、空き家や空き部屋の活用、若者の起業や退職後のビジネス
チャンスを広げ、宿泊客が周辺の飲食店を利用することで、
地域の活性化にもつながります。
そこで、本県の
観光産業を持続可能に発展させていくためには、宿泊需要の多様化に対応した民泊を初め、
旅行者のさまざまな需要に対応した
観光地づくりが、一層重要になると考えます。
今後、どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
また、本県の民泊の状況は、民泊新法が施行されてから、営業を始める方は確実にふえています。
特に
富士山周辺、富士北麓
地域では、
観光客が増加し、宿泊需要が高くなっていることから、民泊を始めたい方もふえています。
しかし、同時に「制度がわかりにくい」、「届け出書類が煩雑」との声も聞きます。
また、民泊は、
地域の活性化にもつながる一方で、他県では、違法民泊や
地域住民とのトラブルなど、問題も発生しています。
こうした状況に対して、例えば徳島県では、
人口知能AIを使って、民泊のルールや申請手続を案内するサイトの開設や、岐阜県では、民泊ワンストップ窓口を設けて、事業者からの相談や住民の苦情、違法民泊の情報を受け付けるなど、工夫も見られます。
そこで、本県でも、健全な民泊を推進するため、事業を開始しようとする方に対して、手続を一元的にわかりやすく紹介して、情報提供を行うとともに、民泊に対する苦情や違法民泊を把握し、適切な指導等を行っていく必要があると考えます。所見を伺います。
次は、大規模災害に備えた県民の防災意識の普及啓発と避難対策について伺います。
まず、先般の西日本での豪雨災害、また北海道胆振東部地震の被災者の方々に心よりお見舞いを申し上げます。
さて、この夏、私たちの会派のメンバーは、大阪府北部地震の被災地において、壊れた家の屋根をブルーシートで覆うなどのボランティア活動を行いました。
地元住民の方々との話では、大きな地震の発生が長らくなかったため、地震に対する意識が低かったとのことでした。
いつ発生するかわからない想定外の災害に備えるために、これらの災害を教訓として、日ごろから防災・減災に対する意識をさらに高めていかなければなりません。
先月、私は、防災・減災に向けた行動や備えを見直すきっかけとなるように、県の防災活動拠点でもある富士北麓公園で、映画の上映や防災物品を配布するイベントを行いました。
上映会は、先日オープンした屋内練習場・富士ウッドストレートにおいて、「未来に向けて~防災を考える~」という、東日本大震災時に岩手県釜石市の小中学生が、津波から逃れた実話をもとにしたアニメーション映画を上映しました。
内容は釜石の奇跡として有名ですが、子供たちが日ごろの訓練に基づいて、みずからの命に責任を持って、自主的に避難行動を行ったという、まさに日常の防災教育や訓練が実を結んだ実例と言えます。
災害が少ないイメージの本県では、子供たちの体験型の防災教育や、県民が自主的に避難行動を行えるような意識の啓発が、私は最も重要であると認識しており、ボランティアや防災に関する啓蒙活動を実践しています。
知事は以前、内閣府の副大臣として防災を専門に担当されており、今年度、県では防災基本条例を施行して、県民や事業者などと連携して、防災に関する知識の習得や意識の高揚を図るとしています。しかし、条例施行後の具体的な動きが見えてきません。
近年の災害の発生状況を踏まえると、もっとスピード感を持って取り組む必要があると考えます。
そこでまず、子供たちを初め、全ての県民への防災教育や防災意識の普及啓発の新たな
取り組みについて伺います。
また、平成三十年七月豪雨では、西日本を中心とした十四府県にわたる広い範囲で、平成最悪の豪雨災害となりました。
特に、住民避難においては、避難情報を伝える防災無線が雨音で聞き取れなかったことや、ハザードマップや避難情報等の認識不足、知識不足で、適切な避難行動を起こさなかったことなどにより、多くの住民が犠牲になってしまいました。
このようなことを本県で起こさないためにも、迅速で確実な情報伝達や、より実効性のある避難対策は重要です。
県では、今回の豪雨災害を踏まえ、どのように取り組むのか、あわせて伺います。
次は、豪雨災害に備えた浸水対策についてであります。
先月の台風二十号の影響により、
県内でも、道志村で総雨量五百二十二ミリ、身延町で総雨量三百四十六ミリもの猛烈な降雨を記録しました。
近年、本県でも局地的な集中豪雨が多数発生しており、西日本での豪雨災害と同様な災害が発生する可能性について心配をしています。
本県の河川は、土砂流出を伴う急流が多く、また甲府盆地周辺では、幾つもの河川が一カ所に集中して合流している特徴もあり、今回被災した岡山県倉敷市の真備町や広島県坂町などと、地形や地質ともに類似性があることから、本県でも、極めて甚大な浸水被害が発生する危険性があると指摘されています。
このような中、本県の河川の特徴を踏まえた豪雨災害への備えとして、河川の断面を広げるなどのハード対策による事前防災は、まだまだ十分ではないと認識しています。
昨年も台風による河川災害が発生する中で、河川の整備について議会で提言しましたが、全国で記録的な豪雨による大災害が続いていることから、改めて、本県の河川整備の方針と進捗状況について伺います。
また、県の河川整備は、沿川の資産状況や過去の被災履歴など、河川の重要度に応じて、整備の対象とする降雨をおおむね三十年から五十年に一度の割合で発生する規模として、整備を進めていると認識しています。
しかし、昨年の北海道や東北地方を襲った台風、また、今回の西日本豪雨では「これまでに経験したことのないような大雨」という表現が用いられているように、想定を超える豪雨に対しては「施設では防ぎ切れない大洪水は、必ず発生するもの」と、意識を根本的に転換して、社会全体で備える必要があります。
このような中で、県が管理する県管理の河川が六百十河川ある中で、ソフト対策として重要な浸水想定区域図の作成対象の河川は、影響が大きい十河川にとどまっている状況です。
しかし、市町村はこの想定図をもとに洪水ハザードマップをつくることから、現状では、住民が適切な避難行動をとるための水害の防災情報が十分ではないため、より一層の充実が急務であると考えます。
そこで、この重要な課題に対して、具体的にどのような
取り組みをしていくのか伺います。
次に、本県の骨格となる道路網の整備について伺います。
急峻な山地に囲まれている本県にとって、県外と連絡する中央自動車道、中部横断自動車道、東富士五湖道路といった高速道路は、経済・産業・物流の発展、
観光振興に必要不可欠であり、また
県内各地域を結ぶ国道や県道などの幹線道路は、
地域の活性化や
リニアの
開業効果を県全体に波及させる重要な道路です。
さらに、これらの骨格道路が大規模災害時の避難路や救援路となるため、積極的に確実に整備を進めていかなければなりません。
このうち、知事が命の道と呼ぶ中部横断自動車道については、ことし七月に、これまでは今年度中に開通予定であった南部から富沢インターチェンジ間が、来年の夏ごろに延びることや、新直轄区間の県負担額が約二十億円増加することが示され、財源確保等の財政課題や、限られた県予算の中で、他の県事業を圧迫してしまうとの懸念があります。
しかし、中部横断自動車道の全線開通は、本県が大きな飛躍を遂げる契機になるもので、早期に実現すべきものと考えます。
そこで、中部横断自動車道の静岡までの全線開通に向けた県の
取り組みを伺います。
また、本県の発展に欠かせない骨格道路のうち、国中と富士北麓
地域を結ぶ大動脈である国道百三十七号は、両
地域の
観光や物流などの経済交流を促進させ、近年の頻発する自然災害に対する防災機能の強化としても、重要な役割を担っており、両地域の発展に欠かせない道路です。
このため、建設から五十年以上も経過した現在のトンネルは、老朽化の観点でも、新たな御坂トンネルの早期整備が必要不可欠です。
これは、従前から委員会や本会議で提言してまいりましたが、
地域の経済団体や歴代の先輩議員、富士・東部議員連盟、沿線の市町村長からも再三、早期整備の声が上げられています。
さらに先月には、笛吹市長を会長とする促進期成同盟会からも、両
地域間を結ぶトンネル整備に対する要望活動がありました。
このように、新たなトンネルの早期実現への県民の期待は、一層高まっています。
これに対し知事は、さきの二月議会でも
必要性を認められ、検討すると言われています。
県として、これらの多くの要望を改めて踏まえ、この構想を検討段階から、より具体的に進めるために、現地を含めた基礎調査をしっかり行い、現実的な整備規模や方針を早急に示すべきです。知事の所見を伺います。
次に、将来を担う子供たちのための学習環境及び教育の充実について伺います。
ことしの夏は、各地で記録的な猛暑となり、私の地元、富士北麓
地域も猛暑日を観測するなど、長く厳しい暑さの夏となりました。
このような中、本県の熱中症による救急搬送者も前年の二倍超にも増加しており、子供たちが一日の大半を過ごす学校施設に対しては、冷房の整備を求める要望が多く、温暖化による気温上昇が懸念される中で、熱中症対策の点でも、冷房設備の整備充実は喫緊の課題です。
国においても、ことしのような猛暑を災害と捉えて、全公立小中学校への冷房設置に向けて、この秋の予算化に向けて検討しています。
また、先月の高校生議会でも、冷房設備の充実を求める切実な声が非常に多くありました。
本県では、全ての県立学校の普通教室を中心に冷房設備が整備されているとのことですが、実際こうした声が生徒から直接発せられたということ自体、学習環境として冷房設備の整備水準は不十分であり、早急に、調査を含め、対応すべきと考えます。
そこで、こうした状況を踏まえ、児童生徒の安全・健康を守るために、公立学校における冷房設備の充実について所見を伺います。
最後に、子供たちの教育の充実について伺います。
二年後に小学校から実施される新しい学習指導要領では、子供たちが未来の社会を切り開くための資質や能力を育成することが、基本的な考え方の一つとされ、これと関連して、キャリア教育の充実が明記されています。
中学・高校でのキャリア教育の重要性はもちろんですが、私は、子供たちが将来、社会や職業で必要となる資質・能力を身につけるためには、より早い段階からの系統的なキャリア教育が非常に重要であり、特に小学校段階では、具体的な職業選択よりも、子供のさまざまな可能性を見据えて、それを広げていく教育、多様性を認める教育が必要だと考えます。
今、世界の企業はダイバーシティ、つまり多様性を重要視しています。
具体的な職業を幅広く知ることや、いろいろな産業が、日本の社会や経済にどんな影響を与えているかを知る活動も必要であり、将来、職業人として自立した生活を行う上で求められる物の見方や考え方、つまり、社会のためや、人の役に立てる仕事をしよう、諦めずにこつこつ努力しようという、職業における倫理観や正義感といった部分も、重要ではないかと考えます。
こうした心の
あり方が、ものづくりの精神やプライドといった形で、ものづくり大国日本を支えてきたと言っても過言ではなく、これこそ、本県の農業や
観光業、製造業など、山梨の産業に誇りを持つことにつながるものと考えます。
そこで、特に小学校においては、どのような点に留意して、将来に向けた大切なキャリア教育を行うのか、最後に伺います。
以上で質問を終わります。
3
◯議長(
河西敏郎君)
早川浩君の質疑・質問が終わりました。
これより当局の答弁を求めます。知事、後藤斎君。
(知事 後藤 斎君登壇)
4
◯知事(後藤 斎君)早川議員の御質問にお答え申し上げます。
ただいまは、
チームやまなしを代表され、県政各般にわたり御質問をいただきました。
また、国連が掲げる持続可能な開発目標で
SDGsの活用に触れられながら、
東京オリンピック・パラリンピックを契機といたしました本県のレガシーの創出について言及されるとともに、私の県政運営に対する御期待と、御自身も引き続いて
県政課題に全力で取り組まれるとの決意を示されました。
今後とも、
東京オリンピック・パラリンピックの好機を生かし、「輝き あんしん プラチナ社会」を実現するため、議会の皆さん方との真摯な議論を重ねながら、全力で取り組んでまいりますので、一層の御支援、御協力をお願い申し上げます。
初めに、経済的な効果に着目した
リンケージ人口の
あり方についてでございます。
本県の活性化を図るためには、県外から訪れる方をふやし、その活動や交流を活発にすることが必要であることから、山梨県まち・ひと・しごと創生
人口ビジョンにおいて、本県に滞在する方について、
リンケージ人口として位置づけ、その増加に向けたさまざまな
取り組みを行っているところでございます。
現在、
リンケージ人口には参入していない外国人
観光客や日帰り
観光客の皆さん方についても、本県経済にとって重要な存在と考え、その経済的貢献度を
人口に換算したデータを参考として、先般、お示ししたところでございます。
今後とも、外国人宿泊者や日帰り
観光客も含めた
観光客全体の
経済効果に着目し、本県経済の一層の活性化を目指してまいります。
次に、
リニア開業効果の全県への波及についてでございます。
リニアの
開業効果を
県内全域に波及させ、山梨県の発展につなげていくためには、
リニア中央新幹線開業を見据えた新たな
地域社会を創造していくことが必要であると考えております。
昨年三月に策定いたしました
リニア環境未来都市整備方針では、
リニアの
開業効果を最大限に生かした県土づくりを進めるため、
リニア駅を中心とした
交通ネットワークの整備や広域的な
観光地づくりなど、
地域の活性化に取り組むこととしております。
このため、県では、
リニア駅から三十分以内に
アクセスできる圏域の拡大に向けた道路ネットワークの整備を着実に進めるとともに、
リニア沿線
地域の活性化のための市町村振興資金を活用した支援や、
県内市町村の新たなまちづくりに迅速に対応する窓口の設置など、
リニア開業へ向けて、全庁一丸となって取り組んでいるところでございます。
また、沿線の
地域はもとより、
県内それぞれの
地域と連携して、今後の
取り組みを進めることが重要であることから、過日、全ての市町村に職員が出向き、
リニア開業に向けた
取り組み状況や課題について、情報共有を図ったところでございます。
今後は、
交通ネットワークのさらなる整備を進めるとともに、国内外からの
交流人口拡大のための広域的な
観光地づくりや、山梨らしさを生かした
地域づくりに、市町村の皆さんとも一体となって
取り組み、
県内各地域の魅力を高めることにより、
リニア開業の効果が全県へ波及するように最大限努力をしてまいります。
次に、本県の将来に必要な
総合球技場の整備についてでございます。
総合球技場につきましては、外部有識者などからなる基本計画検討委員会において、県民負担の最小化と利用の最大化を基本的な考え方とし、子供からお年寄りまで誰もが利用できる県民みんなの球技場を目指して、具体的な検討を進めているところでございます。
これまでの検討委員会においては、
総合球技場としての基本要件の整理や、球技場における芝生管理について議論していただくとともに、附帯施設についてのアンケート調査を実施するなど、検討を進めてきたところでございます。
附帯施設につきましては、アンケート調査の結果、トレーニングジムや芝生練習場、アリーナなどに高いニーズがあることから、誰もがスポーツに親しめ、体力づくりに役立つ施設を導入した場合の規模や運営方法などについて、現在、検討を進めているところでございます。
今後は、利用の最大化を図るためのアマチュアの大会や、さまざまなイベントでの活用、県民負担の最小化を図るための外部資金等の導入や、運営収支の改善に向けた収入確保策等につきまして、検討を進めるとともに、バリアフリーやユニバーサルデザインにも十分配慮し、本年度中に基本計画を策定してまいります。
また、基本計画の検討過程におきましては、県議会から御意見をいただくほか、基本計画の素案が固まった段階で、
県内各地におきまして説明会を開催し、県民の皆さん方に丁寧に説明させていただき、御理解を得られるような対応を図ってまいりたいと考えております。
次に、ラグビーワールドカップ日本大会に向けた
取り組みについてでございます。
県では、
東京オリンピック・パラリンピック推進本部において、ラグビーワールドカップ日本大会も含め、スポーツや
観光の振興、国際交流などの
取り組みを進めているところでございます。
このうち、
観光振興では、多くの外国人
観光客を本県に誘致するため、
観光ネットやスマートフォン向けアプリを活用した多言語での情報発信、通訳案内士の養成などに取り組んでいるところでございます。
また、先日、在日フランス商工会議所の会員企業を対象としたモニターツアーを実施し、
富士山や勝沼ぶどう郷などを紹介して、本県への誘客を促すとともに、
県内企業との交流の場を設け、これらを契機とした経済交流も進めているところでございます。
加えて、ラグビーワールドカップ日本大会に向けては、フランスラグビー
チームの事前合宿を見据え、富士北麓公園の芝生の改修や夜間照明の設置などを行ったところでございます。
また、フランスラグビー協会公認の旅行エージェントを本県にお招きし、ワイナリーや宿泊施設、神社仏閣など、本県の魅力をPRしたところ、非常に高い関心を示していただき、その結果、
県内に宿泊する複数の観戦ツアーの造成につながり、既に参加者募集の段階となっているところでございます。
明年は大会本番を迎えることから、これまでの活動が実を結ぶよう、庁内はもとより、市町村や関係団体としっかりと連携しながら、本県への
観光客の誘致や
地域の活性化に資する
取り組みなどを積極的に進めてまいります。
次に、好機を捉えた将来につながるフランスからの誘客についてでございます。
本年七月より、フランスでジャポニスム二〇一八が開催されており、県では、甲府市とともにパリ市内のアクリマタシオン庭園において、十月二十日から二十一日の二日間、甲州軍団出陣を実施することになっております。
信玄公役を初め、山本勘助、湖衣姫を含む隊員の多くをフランス人の方々に務めていただくとともに、出陣中においては、隊員と忍者による立ち回り、舞台や園内に集まった
観光客の方々を巻き込んだ勝ちどき、山梨の魅力あふれる情報を掲載した手裏剣の配布などを行い、フランス人の方々への本県の関心を高めてまいります。
また、十月二十日から二十二日の三日間、アクリマタシオン庭園内に設置される
観光ブースにおきまして、甲州軍団隊員との撮影会、甲冑や湖衣姫衣装の着つけ体験等を行うことで、観客と一体感の醸成を図り、山梨ならではの魅力を肌で感じてもらうこととしているところでございます。
また、この様子を、甲州軍団の隊員等により、SNSでリアルタイムに情報発信するとともに、イベント後には、フランスの日本文化情報誌に掲載していただく予定になっており、さらに、信玄公役や湖衣姫役等に起用したフランス人の方々を
県内のイベントへ招待することで、人的交流の促進も図ってまいりたいと考えております。
今後も、市町村や事業者の方々と連携し、姉妹都市との交流関係も生かしながら、ジャポニスム二〇一八の好機を捉え、二〇一九年のラグビーワールドカップ、二〇二〇年の
東京オリンピック・パラリンピックにつながるよう、効果的に情報発信を行い、継続的にフランスからの誘客促進を図ってまいります。
次に、
富士山保全協力金についてでございます。
今夏、登山者数の減少もあり、全体の協力者数も減少いたしたところでありますけれども、電子マネーの試験的導入については好評であったこと、また、プロポーザル方式で業者を選定し、収納体制を強化した結果、六号目の収納状況が好転したことなど、協力金についての新たな
取り組みについては、一定の効果があったものと考えているところでございます。
また、協力金の
あり方について、登山者の方々を対象に実施した調査におきましては、「目的や使い道が明確であれば払う」、「使い道として公衆トイレや登山道の維持整備を望む」「原則として登山者全員が支払う制度にするべき」といった回答が上位を占めるなど、登山者のニーズを改めて把握することができたところでございます。
制度導入から五年の節目を経過する中、これらの調査結果なども踏まえ、協力金の使い道や受付方法等、協力金の
あり方について、静岡県や地元関係者の皆さん方とも協議を進めるとともに、有識者による検討会を開催するなど、しっかりと検討してまいりたいと考えております。
次に、医療保険制度の持続性の確保に向けた医療費適正化についてでございます。
安全・安心の基盤である国民皆保険を堅持する上で、医療費適正化は喫緊の課題であり、中でも、ジェネリック医薬品の使用促進や糖尿病等の重症化予防は、極めて重要であると考えております。
まず、ジェネリック医薬品については、本県での使用割合が低い要因を探るため、本年五月に医師や薬剤師、患者の皆さん方を対象に調査を行いましたが、その中で、医師と薬剤師との間で、処方についての認識に差があることや、高齢者や子供の保護者が、使用に抵抗感があることなどが明らかになったところでございます。
このため、医師と薬剤師との連携強化を図るとともに、県民の皆さんに安心してジェネリック医薬品を使用していただくために、一層の普及啓発を行うこととし、九月補正予算に所要の経費を計上したところでございます。
また、糖尿病等の重症化予防につきましては、医科と歯科の連携による早期発見や早期治療を行う仕組みを構築するとともに、医師や歯科医師、栄養士などで構成する協議会を設け、かかりつけ医と専門医が連携した診療体制の整備などに取り組んでまいりました。
これらに加え、本年度は、糖尿病性腎症の方が人工透析を必要とする状態にならないよう、治療を受けていない方を適切に受診につなげる仕組みなどを検討しており、こうした内容を盛り込んだ重症化予防プログラムを来月、すなわち十月中に取りまとめることとしております。
今後とも、市町村や医療機関などと連携いたしまして、本年三月に策定した医療費適正化計画を強力かつ着実に推進し、本県の医療保険制度を将来にわたって持続可能なものとしてまいります。
続きまして、森林環境教育の推進についてでございます。
県では、県土の約八割を森林が占める全国有数の森林県である特色を生かし、児童生徒を初め、広く県民の皆さん方が、森林の役割や木材を利用することの大切さについて理解を深める森林環境教育の推進に取り組んでいるところでございます。
具体的には、県教育委員会や緑化推進機構とともに、森林環境教育の副読本を作成し、
県内全ての小学校で活用しているほか、約七千三百人の小中学生で結成されています緑の少年少女隊による森林体験活動などを支援しているところでございます。
また、子供たちを中心に年間約一万七千人が訪れる森林総合研究所の森の教室などにおきまして、自然観察会や木工教室等、森林・林業について学ぶさまざまなイベントを開催しているところでございます。
さらに、公共建築物等におきます木材利用の促進に関する方針に基づき、市町村の皆さん方に対し、保育園や小中学校等の木造化・木質化を働きかけるとともに、企業等が中心になって行っております森づくり活動と連携して、子供たちが体験事業を通じ、木に触れ、楽しむ機会を提供するなど、木育の
取り組みを進めているところでございます。
今後は、企業や教育機関等と連携を強化し、やまなし森林・林業振興
ビジョンの着実な推進を図る中で、木育のさらなる充実に向けた検討を行うとともに、森林の役割を学習する場として、学校林や里山林等の身近な森林の活用を促進していくことなど、森林環境教育の一層の充実を図ってまいります。
次に、若者の
県内企業の就職に向けた
取り組みについてでございます。
高校生や大学生などに、
県内企業に就職してもらうためには、若い皆さん方に
県内企業をまずよく知ってもらうことが必要であることから、本県では、
県内の暮らしやすさや
県内企業の魅力などをさまざまな形で伝えることに取り組んでまいりました。
まず、高校生を対象とした
取り組みとしては、将来、本県で活躍する人材を育成するためには、みずからのライフプランを考える力を伸ばすことや、ふるさとを愛する心を育む体験学習、企業でのインターンシップ等を実施しているところでございます。
また、大学生などを対象とした
取り組みとしては、就職応援企業ナビの運営や、各高校の協力を得て登録を呼びかけておりますユースバンクやまなしによるメールマガジンの配信、大学などが開催する保護者会への県職員の出席などにより、情報提供を行っているところであります。
加えて、学生と
県内企業が触れ合うことのできるインターンシップを一層推進するため、六月補正予算によりまして、県外大学生等を受け入れる企業に助成する事業を開始したところでございます。
さらに、県では、県外大学生等のU・Iターン就職が促進されるよう、過日、これまでの十九校に加え、本県出身者が多く在籍しております東京圏の大学等十校と協定を締結し、
県内就職情報の提供体制の拡充を図っているところでございます。
今後も、全庁を挙げて、若者の皆さん方や保護者のニーズにきめ細かく寄り添い、世界のトップシェアを獲得している企業やオンリーワンの技術を持つ企業、地場産業等の情報を積極的に発信することで、一人でも多くの
県内就職につなげてまいりたいと考えております。
次に、大規模災害に備えた県民の皆さん方への防災意識の普及啓発と避難対策についてでございます。
まず、県民への防災教育や防災意識の普及啓発の新たな
取り組みについてでありますが、県では、防災基本条例の施行を受け、防災意識のさらなる向上を図るため、新たに「やまなし防災力向上テキスト」を五万部作成し、全ての小学生の皆さん方に配付し、授業等で活用していただいているところでございます。
さらに、十一月の防災月間に向けて、一般向けテキストの配付に加え、本県の災害の歴史や特性などを内容とする啓発映像を作成し、全ての小中学校や高校、市町村等において、防災イベントや授業などで活用していただくこととしているところであります。
今後も、市町村や教育委員会、防災関係機関等と十分に連携しながら、さまざまな機会を通じて、県民の皆さんへの防災教育や防災意識の普及に積極的に取り組んでまいります。
次に、今回の豪雨災害を踏まえた県の
取り組みについてでありますが、今回の災害では、ハザードマップへの認識不足や避難勧告・避難指示等の正しい理解、確実な情報伝達に基づいた住民の皆さん方の自主的な避難行動など、さまざまな課題が挙げられているところでございます。
このため、県では、発災直後から、関係部局による情報収集を進め、今月には検討会議を設置し、住民避難の
あり方や、確実な情報伝達手段等を調査・分析するとともに、より実効性の高い、わかりやすい対策を検討しているところでございます。
今回の豪雨災害についても、市町村や防災関係機関と連携し、可能なものから迅速に対応策を実行していくことにより、県民の皆さん方に防災意識を高めていただき、防災情報に基づき、自主的かつ速やかに避難ができるように鋭意取り組んでまいります。
続きまして、豪雨災害に備えた浸水対策についてでございます。
まず、河川改修などのハード対策につきましては、浸水実績や土地利用状況などを踏まえ、優先度の高い河川を山梨県社会資本整備重点計画に位置づけて、計画的に実施しているところでございます。
進捗状況につきましては、平成二十六年度末に五〇・六%であった整備率が、三年後の平成二十九年度末には五七・五%と七%上昇し、平成三十一年度末の目標の五八・七%に向けて、着実に整備を行っているところでございます。
次に、洪水ハザードマップ作成のもととなる浸水想定区域図につきましては、流域内に
人口や資産が集中し、氾濫した場合には相当規模の被害が想定される河川におきまして作成することとしており、これまで公表済みの十河川に加え、今後、新たに十河川程度を拡充してまいります。
このうち、浸水範囲などの技術的な検討が進んでいる御勅使川、日川、重川、釜無川上流部の四河川につきましては、明年度の出水期までに浸水想定区域図を公表することとしております。
今後も、河川改修を計画的かつ着実に推進していくとともに、平成三十年七月豪雨による被災実態を踏まえ、県民の皆さん方の適切な避難行動の徹底に取り組むなど、ハード・ソフト一体となった本県の防災・減災対策の強化に努めてまいります。
最後に、本県の骨格となります道路網の整備についてでございます。
まず、中部横断自動車道につきましては、静岡との県境区間などが本年度中、富沢・南部区間は明年夏ごろの開通見通しとなったことから、先般、現地に赴き、工事が進められている状況を視察してまいりました。
その際、国から説明を受け、もろい地盤に対するトンネル工事のさまざまな対策の
必要性を認識し、改めて、災害に強く、安全・安心で信頼性の高い道路づくりを要請したところでございます。
また、全線で工事が進捗している状況を目の当たりにし、開通への期待が私自身、ますます大きくなったところであり、引き続き、県としても沿線自治体の皆さん方とともに、事業者に対し、一日も早い全線開通へ向け、強く働きかけを行ってまいります。
続きまして、新たな御坂トンネルについてでございます。
甲府盆地と富士北麓
地域を結ぶ国道百三十七号は、
リニア開業効果の波及や災害時の避難路、広域的な物流ネットワークの形成という観点から、強化すべき重要な路線であると考えております。
今月初旬には、トンネルのルートに当たる笛吹市、富士河口湖町とともに現地調査を行ったところであり、本年四月に立ち上げた富士北麓
地域の幹線道路網検討会におきましても、整備の
必要性について議論を深めているところでございます。
今後は、財源確保や周辺環境への影響、現トンネルの老朽化などの課題を踏まえ、新たなトンネル整備に向け、計画の規模や手法について検討してまいります。
骨格道路網の整備は、
リニア開業を見据え、本県の発展に欠かすことのできない最重要課題であると認識しており、これからも、より一層、強力に推進してまいります。
以上をもって、私の答弁といたします。その他につきましては、担当の部長等からお答え申し上げます。
5
◯議長(
河西敏郎君)福祉保健部長、小島徹君。
(福祉保健部長 小島 徹君登壇)
6
◯福祉保健部長(小島 徹君)早川議員の健全な民泊の推進についての御質問にお答えいたします。
民泊新法が本年六月に施行され、現時点で六十二件の届け出を受理しておりますが、県ではこれまで、民泊を始めようとする方を対象とした説明会の開催や、相談・届け出に関する一元的な受付窓口の設置、さらには、制度概要や届け出方法を示した特設ホームページの開設などを通じ、丁寧な情報提供に努めてまいりました。
さらに先月には、このホームページをリニューアルし、届け出に必要な書類を発行する消防署などへのリンクを設けたほか、民泊に関する苦情等を受け付ける窓口の案内も、加えたところであります。
この窓口に、住民とのトラブル等の情報が寄せられた場合は、法令に基づき、民泊事業者に対し、必要に応じて立入検査を行うとともに、悪質な場合には業務の改善や停止を命じることとしております。
また、違法民泊の疑いのある情報があった場合は、市町村などと連携して施設を特定した上で、指導を行うこととしており、今後も、こうした
取り組みにより、健全な民泊の推進に努めてまいります。
以上でございます。
7
◯議長(
河西敏郎君)エネルギー局長、
市川美季さん。
(エネルギー局長
市川美季君登壇)
8
◯エネルギー局長(
市川美季君)早川議員の地球温暖化対策先進県に向けた
取り組みについての御質問にお答えいたします。
地球温暖化対策を着実に進めるためには、猛暑やゲリラ豪雨など温暖化による気候変動が、私たちの生命や暮らしに影響を及ぼしていることを県民一人一人が認識し、日常生活の中で、温暖化防止につながる行動を実践していくことが重要であります。
このため、電気やガス等の使用量からCO2排出量が一目で把握できる環境家計簿アプリの運用を来月、十月から開始することとし、温暖化防止の
取り組みの成果に応じたポイントの付与や省エネクイズなど、楽しみながら参加できるメニューを用意することで、より多くの県民に温暖化防止活動に取り組んでいただけるよう努めてまいります。
また、地球温暖化防止活動推進員を初め、温暖化対策に積極的に取り組む個人や団体の活動を一層広げていくため、
県内各地で交流会や情報交換会などをきめ細かく開催し、ネットワークの拡大を図ってまいります。
さらに、地球温暖化対策は、さまざまな主体が広く連携して取り組む必要があることから、国内の大手企業や先進自治体等によって、本年七月に設立された気候変動イニシアティブに参加し、本県の
取り組みを全国に発信していくとともに、効果的な温暖化対策を
県内企業や県民にフィードバックし、行動につなげていくことで、CO2ゼロやまなしの実現に向けた
取り組みを進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
9
◯議長(
河西敏郎君)
観光部長、弦間正仁君。
(
観光部長 弦間正仁君登壇)
10
◯観光部長(弦間正仁君)早川議員の
旅行者の需要に対応する
観光地づくりについての御質問にお答えいたします。
観光産業の持続的な発展を図るためには、山梨の魅力あふれる情報を発信しながら、民泊を初めとしたさまざまな宿泊形態や、多様化する
旅行者の需要を的確に捉えた
観光地づくりが重要だと考えております。
県では、こうしたニーズを把握するため、スマートフォンの通信データから、
旅行者の動きや滞在時間を分析するとともに、
観光客と
観光地側との意識の違いを把握する調査を実施し、
観光協会等の戦略策定や、戦略に基づく
取り組みを支援しているところです。
また、現在、新たな
観光推進計画の検討を進めており、
観光客の関心の変化や、多様化する宿泊需要など、
観光を取り巻く情勢の変化を踏まえる中で、幅広いニーズに対応できる計画の策定につなげてまいります。
以上でございます。
11
◯議長(
河西敏郎君)教育長、市川満君。
(教育長 市川 満君登壇)
12
◯教育長(市川 満君)早川議員の将来を担う子供たちのための学習環境及び教育の充実についての御質問にお答えいたします。
まず、学習環境の充実についてでございます。
県立学校におきましては、ホームルームとして使用する全ての普通教室に冷房設備を整備しておりますが、この夏の記録的な猛暑を受け、高校生議会において、特別教室など冷房設備が未整備である教室への設置要望があったところでございます。
県では、こうした声に真摯に対応するため、風通しや日照、室内温度などの教室の状況に関する調査を、全ての学校に赴き行うなど、さらなる冷房設備の整備に向けて、鋭意取り組んでいるところでございます。
また、小中学校への冷房設備の充実につきましては、市町村の責任において整備を推進するものと認識しておりますが、県といたしましても、国の予算の動向や補助金等の情報提供を行うだけではなく、文部科学省に対し、予算確保に向けた働きかけを継続的に行うなど、市町村の冷房設備の整備推進に対し、必要な支援に努めてまいります。
今後も、児童生徒が安全で快適な学校生活が送れるよう、市町村とともに公立学校の学習環境の充実に取り組んでまいります。
次に、将来に向けたキャリア教育についてでございます。
小学校におけるキャリア教育は、社会の構成員の一人として、将来、職業的自立が図られるよう、その基盤を形成することを狙いとしております。
このため、各学校におきましては、具体的な職業に触れることよりも、将来の職業選択や就労において、「人の役に立つことの喜び」、「ともに助け合うことの大切さ」などの内容を重視するよう留意した指導に努めております。
具体的には、生活科の授業において、家族や身の回りの人たちが働く姿から、働くことの楽しさ、やりがいに気づくことや、また、社会科において、消防署や警察署で働く人たちによって、自分たちの暮らしの安全が守られていることなどを体験的に学んでおります。
全国学力・学習状況調査において、本県の子供たちは「人の役に立つ人間になりたい」「
地域や社会をよくするために何をすべきか考える」等の項目で、肯定的な回答の割合が全国値を大きく上回っていることなどから見ても、効果的なキャリア教育が行われていると捉えております。
今後は、こうしたよさを生かしながら、中学校・高校への円滑な接続を図ることにより、体系的、系統的なキャリア教育の推進に努めてまいります。
以上でございます。
13
◯議長(
河西敏郎君)当局の答弁が終わりました。
早川浩君に申し上げます。残り時間がありません。
これをもって、
早川浩君の
代表質問を打ち切ります。
暫時休憩いたします。
午後二時十五分休憩
───────────────────────────────────────
午後二時三十六分再開議
14
◯議長(
河西敏郎君)休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第一及び日程第二の議事を継続いたします。
発言の通告により、古屋雅夫君に四十分の
発言を許します。古屋雅夫君。
(古屋雅夫君登壇)(拍手)
15
◯古屋雅夫君 リベラルやまなしを代表して、今
定例会に提出されました案件並びに
県政一般について質問いたします。
質問に先立ち、ことし六月末から七月にかけて西日本を中心に広い範囲を襲った集中豪雨、さらに、今月四日に上陸した台風二十一号による暴風雨は、日本列島に甚大な被害をもたらしました。
このような災害に対する復旧や救出活動が行われているさなか、今月六日には、北海道南西部の胆振地方を震源とする最大震度七の地震が発生いたしました。
短い期間に立て続けに発生した大規模な災害により犠牲となられた皆様、また多大な被害を受けられた方々に対し、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げるとともに、あわせて、一日も早い復旧・復興を心からお祈り申し上げます。
こうした自然災害が発生し、被災地の状況を目の当たりにしたときに、私は、自然の猛威に対する畏怖と人間の無力さを強く感じるとともに、本県においても、災害への備えに万全を期すため、
地域の連携や避難体制の整備の
必要性を改めて認識したところであります。
さて、後藤知事におかれましては、一期目の県政運営も残り数カ月となりましたが、これまで、県民の期待に応えるべく、全力投球で県政に邁進し、ダイナミックやまなし総合計画に基づき、各種施策を着実に推進され、中でも、市町村と連携した子育て支援施策や、企業や団体等と連携した災害発生時の対応体制の強化など、県民、企業、大学、市町村など多様な主体との連携に力を注ぎ、新たな県政の展開を図ろうとしており、こうした知事の姿勢を、私は高く評価しております。
さて、私の座右の書である松下幸之助氏の著書「道ひらく」に次のような一説があります。
「自分に与えられた道がある。天与の尊い道がある。思案にくれて立ちすくんでいても道は少しも開けない。道を開くためには、まず、歩まねばならぬ。心を定め、懸命に歩まねばならぬ。それがたとえ遠い道のように思えても、休まず、歩む姿からは必ず新たな道がひらけてくる。深い喜びも生まれてくる」
まさに、これから向かおうとする未来への山梨には、
東京オリンピック・パラリンピック、中部横断自動車道、
リニア中央新幹線など、我が国の未来につながる道筋となる一大事業が控えております。
未来への山梨づくりに向け、道半ばであり、さらに加速させ、完遂させていかなければなりません。
そのためにも、私たちリベラルやまなしは全力で知事を支え、活力ある山梨の実現と県民生活の向上に向け、さらに努力する決意を申し上げ、以下質問に入ります。
初めに、平成三十年七月豪雨災害を踏まえた災害対策について、お伺いします。
まず、豪雨災害を踏まえた土砂災害対策についてであります。
西日本を中心に広い範囲を襲った集中豪雨は、全国十一府県で大雨特別警報が発表されました。
特に、広島県、岡山県、愛媛県を中心に、広域にわたる集中豪雨に見舞われ、通常の一年分に相当する千七百件以上の土砂災害が発生し、死者数が二百二十人を超えるなど、平成三十年七月豪雨災害、いわゆる西日本豪雨災害は、平成になって最悪の豪雨災害と言われております。
大災害は五十年から百年に一度発生すると言われておりますが、山梨県でも、明治四十年には
峡東地域を中心に地すべりや土石流が相次ぎ、決壊した河川からあふれた濁流が集落を襲い、死者二百三十人、流失家屋五千七百戸を数える未曽有の大水害から、百十一年が過ぎています。
また、昭和三十四年、台風七号では、山崩れによる大量の土砂と流木を交えた洪水により、川の氾濫が多かったことが特徴とされ、被害は韮崎市から釜無川上流に集中し、大武川の氾濫では、旧武川村で百二十八戸が一瞬にして濁流にのまれ、死者及び行方不明者二十三人を出し、全県で死者六十六人、行方不明者二十四人、家屋全半壊六千二百戸余などの被害を受けております。
このような災害の歴史を踏まえたこれまでの治水砂防事業の実施により、対策工事が進んできておりますが、しかしながら、西日本豪雨では、自然を前にした人類や科学の力の限界を改めて突きつけられたのではないかと痛感いたしました。
対策工事には多額の費用と時間が必要であることから、整備優先度を考慮した集中的な投資が重要であると考えます。
また、施設整備によるハード対策には、おのずと限界があることから、ソフト対策としては、危険から速やかに避難することを主眼にした対策の充実が必要不可欠で、ハード・ソフト両面で一体となった総合的な土砂災害対策が、極めて重要であるとの認識を強くしたところであります。
そこで、山梨県における土砂災害を想定したハード対策の進め方、及びその進捗状況をお伺いするとともに、逃げおくれによる被害をゼロにする、住民の適切かつ迅速な避難行動を支援するため、情報提供を初めとしたソフト対策の充実を図ることが必要であると考えますが、どのような
取り組みを進めていくのか、あわせてお伺いいたします。
次に、農業用ため池の防災・減災対策についてであります。
水田農業が中心の我が国では、農業用水を確保するために水を蓄え、安定した供給ができるよう、ため池が古くから数多くつくられております。
ため池は、農業用水の供給のみならず、防火用水への利用や、多様な生物の生息場所となるなど、多面的な機能を有しております。
また、降雨時には雨水を一時的にためる洪水調整機能があり、豪雨などで急激に流れ出た水をため池が貯留することにより、土石流等の発生を抑制するなど、地域にとっては重要な施設となっております。
しかしながら、ことし七月の西日本豪雨では、小規模なため池であっても、決壊により、下流域に大きな被害が発生しております。
近年、全国的にゲリラ豪雨が多く発生していることから、ため池の下流に住む住民には、災害に対して不安を抱える方も少なくないと思われます。
このため、地域住民の不安を払拭し、安全・安心な生活を確保するには、ため池の現状を把握した上で、防災・減災対策を検討し、着実に実行することが重要であると考えます。
そこで、県は、農業用ため池の防災・減災対策について、どのように取り組むのか、お伺いいたします。
次に、過去の災害の歴史や教訓に関する県民への周知についてであります。
近年、大規模災害の発生時には、「記録的」とか「想定外」という言葉をよく聞きます。
私が印象深いのは、昭和四十一年に台風二十六号が本県を襲い、当時、足和田村において、土石流などにより、二つの集落が壊滅的な被害を受ける甚大な災害が発生いたしました。
しかし、これらの災害の発生から五十年以上も経過しており、災害経験者の高齢化に伴い、災害の恐ろしさや教訓が、後世に語り継がれていないことが懸念されます。
今回の豪雨により、洪水の被害があった岡山県倉敷市真備町においては、過去の水害の歴史を地区の小学校やお寺にある石碑などに刻んで、後世に伝えようとしていました。
しかし、時間の経過とともに、石碑の存在や災害の記憶を伝承する人も減り、歴史の教訓が省みられることが少なくなったと言われております。
私は、地域の災害を減らすためには、日ごろから自宅周辺などのハザードマップの確認や災害に対する心得などを身につけておくことは必要なことですが、多くの犠牲者を出した西日本豪雨、異例のコースを進んだ台風など、これまでの常識が通用しない異常気象により災害が発生している今だからこそ、改めて、これまでに発生した災害の歴史を学び、再び同じような被害に遭うことのないよう、みずからの教訓とするとともに、次の世代につなげていくことが必要であると思います。
そこで、県では、今回の豪雨災害を踏まえ、災害の歴史や教訓などを県民にどのように伝えていくのか、お伺いします。
また、災害の歴史や教訓は地域ごとに異なります。災害の特性に応じた対策をそれぞれの地域において講じていく必要があると思いますが、県では、どのように市町村や住民などに働きかけていくのか、あわせてお伺いいたします。
次に、文化芸術基本条例の制定についてであります。
文化芸術は、心豊かな生活を実現していくためには必要不可欠なものであり、人々に喜びや感動をもたらすとともに、
地域の誇りや愛情を育み、
地域の魅力を高める力を持っています。
本県では、
世界文化遺産に登録され、五年目を迎えた
富士山があります。私の地元、
峡東地域でも、ことし五月に「葡萄畑が織りなす風景~山梨県
峡東地域~」として日本遺産に認定されるなど、本県の特色ある文化資源が国内外から高い評価を受け、そのすばらしさを再確認しているところであります。
また、ミレーの美術館として、長年にわたり全国各地から多くの来館者が訪れる県立美術館も、開館から四十年を迎え、ミレーの作品としては七十点目となる「角笛を吹く牛飼い」を先日公開するなど、文化芸術を振興していく機運が高まっており、この高まりを引き続き継続させていく必要があるのではないかと考えております。
一方、国は、二〇二〇年
東京オリンピック・パラリンピック競技大会を日本の文化芸術の価値を大きく世界に発信する機会と捉え、総合的な文化芸術施策を展開することとしております。
このように、文化芸術を取り巻く状況が盛り上がりを見せている今だからこそ、文化芸術の力で県民の心を豊かにし、活力ある
地域社会の実現につなげるような
取り組みが重要であります。
本県は、
地域に根づいた伝統芸能や道祖神祭りのような年中行事など、さまざまな文化が息づいており、代々受け継がれてきた有形、あるいは無形文化財が伝承されています。
言うまでもなく、このような文化芸術を保存・継承していくことは、私たちに課せられた使命であるとともに、これらをさらに発展させ、
地域活性化のための起爆剤として活用していくことも重要ではないかと考えます。
現在、県では、文化芸術基本条例の制定に向け、検討を進めていることは承知しております。これはまさに時宜を得たものであり、今後の本県の文化芸術施策のよりどころとなる重要な
取り組みであると考えております。
そこで、条例制定に向けて、現在の
取り組み状況や、どのような条例を目指していくのか、お伺いいたします。
次に、JR中央線における早朝の快速列車の導入についてであります。
ことし四月に総務省が発表した平成二十九年十月現在の
人口推計によると、東京都は前年に比べ十万人の増加、また、埼玉県は二万一千人、千葉県は一万人、神奈川県は一万四千人の増加となっております。
これに対して、本県は七千人の減少となっており、東京都に隣接する県の中では唯一、
人口が減少し、ことし四月に県が推計した
人口においては、三十三年ぶりに八十一万人台となるなど、
人口減少は、より深刻となっております。
本県の
定住人口を確保するためには、県外に生活基盤を移さずに、鉄道等を利用して、東京圏などへの通勤・通学を促し、若年層の進学や就職を契機とした
人口転出の抑制に取り組むことが必要であります。
このため、現在、大月から東京駅まで運行されている通勤快速列車の甲府駅への延伸などにより、甲府駅を朝六時台に出発し、乗りかえなしで東京方面に行くことのできる早朝の快速列車の運行を実現させ、中央線の利便性をさらに高めていくことが重要であります。
そこで、ことしの八月に中央東線高速化促進広域期成同盟会の会長に就任した後藤知事においては、これまで以上にリーダーシップを発揮していただき、JR東日本などに強く要請をしていただきたいと思います。
また、早朝の快速列車の運行の実現のためには、JR東日本から求められている中央線の利用者の拡大が必要であります。
県では、昨年度から、若年層の
人口転出の抑制を図ることを目的に、東京圏などに進学した学生に対する鉄道通学支援事業を実施しております。
現在、国中地域の中央線沿線の七市との連携のもと、多くの学生がこの制度を利用するなど、好評を博しており、成果が出つつあることは承知しておりますが、今後も、さらに制度を広げていくことが重要であります。
そこで、中央線利用者をふやし、早朝快速列車の導入を実現させていくために、今後、どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
次に、特別養護老人ホームの施設の整備についてであります。
急速な高齢化と少子化が同時に進み、いわゆる団塊の世代の方々が、全て七十五歳以上となる二〇二五年には、国民の医療や介護の需要が、さらに増加することが明白であります。
このため、国においては、二〇二五年をめどに、重度な要介護状態となっても、住みなれた
地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることのできるよう、医療、介護、予防、住まい、日常生活の支援が包括的に確保される
地域包括ケアシステムの一層の強化を進めているところであります。
本県においても、その実現に向けて、県の老人福祉計画と介護保険事業支援計画を一体のものとして、昨年度策定した健康長寿やまなしプランにおいて、高齢者が元気で生き生きと活躍する健康長寿やまなしの推進を基本目標にし、高齢者の自立支援、介護予防・重度化防止の推進を初めとしたさまざまな
取り組みが進められていると承知をしております。
先般、山梨県高齢者福祉基礎調査が公表されました。この中で、私が注目したのは、在宅のひとり暮らしの高齢者世帯数が、五万五千七十一世帯、夫婦とも六十五才以上の高齢者夫婦世帯数は四万一千百四十一世帯で、高齢者だけの世帯数が県総世帯数の二六・九%を占めており、昨年と比べて三千六百六十世帯の増加となっております。
今後も、ひとり暮しの高齢者や高齢者夫婦世帯の増加が見込まれますが、介護度の高い高齢者や医療の
必要性をあわせ持つ要介護者の中には、在宅サービスの活用だけでは支えきれない方も、相当数いらっしゃるのではないかと思います。
特別養護老人ホームに入所を申し込んでも、待機する期間が数年にわたる場合もあるなど、私の周囲でも、待機期間の短縮への要望が多くあります。
私は、このような状態を踏まえ、現在のサービスの充実とあわせ、在宅での生活が困難な高齢者を受け入れることのできる介護施設も、引き続き整備していく必要があると考えます。
そこで、特別養護老人ホームなどの施設整備について、今後、どのように取り組んでいくのか、お伺いします。
次に、森林環境税を活用した
取り組みの効果と県民への周知についてであります。
ことしの夏は、異常気象が私たちの生活を脅かしました。
このような状況を見るにつけ、地球温暖化の防止や県土の保全など、さまざまな役割を担う森林の重要性を実感させられるとともに、この森林を守っていかなければならないとの認識を改めて強くしたところであります。
県は、山地災害対策を計画的に進めるとともに、森林が持つ公益的機能の維持増進を図るため、平成二十四年度に森林環境税を導入し、長年放置され荒廃した民有林の間伐や地域の近くにある里山の整備、広葉樹の植栽などの事業を進めていると承知をしております。
荒廃した民有林の間伐については、第一期計画の五カ年で、公共事業に係る国の労務単価の大幅な上昇や、獣害対策に想定以上の経費を要したものの、計画に対して八四%の整備を実施し、現在、第二期計画の二年目を迎えているところであります。
これらの事業については、森林環境保全基金運営委員会において効果を検証しているところですが、まず、六年間事業を実施した中で、どのような効果があったのか、お伺いいたします。
一方、森林環境税は、森林の恩恵を受ける県民が税金を負担することにより、おのずと森づくり活動に参加しているという意味で、この税金は非常に意義があるものと考えますが、日常生活で森林に接する機会のない県民にとっては、税の効果が見えにくく、平成二十八年度に行った県政モニターを対象としたアンケート調査においても、四割以上の方が、森林環境税により、荒廃森林の整備などを実施していることを知らない状況にあります。
今後も森林環境税を活用して森林整備を進めていくためには、県民の皆さんの理解が不可欠であることから、この税の目的や意義を改めて伝えることが重要であります。
そこで、県においては、森林環境税や税を活用した事業について、今後、県民の皆さんにどのように周知を図っていくのか、お伺いいたします。
次に、企業立地の促進に向けた事業用地の確保についてであります。
日本銀行甲府支店がことし七月に発表した直近の企業短期経済観測調査によると、本県の製造業における設備投資の計画は、前年度と比較し五五・六%の増加となっております。
また、民間調査会社が八月に発表した全国的な景気動向調査結果によりますと、今後の国内景気は、世界経済の回復を受け輸出の増加基調が続き、高水準の企業収益などを背景に、設備投資が堅調に推移すると見込んでいます。
こうした状況のもと、全国的に企業の設備投資意欲が高まりを見せる中で、静岡県は、内陸フロンティア推進区域を設けて企業誘致を進め、昨年度、工場立地件数が全国一位となり、また新潟県では、本社機能を移転する企業に対し、全国初の法人県民税を優遇する制度を創設するなど、各自治体は工夫を凝らして企業立地を進めています。
本県においても、平成二十八年度に、産業集積促進助成金の対象に新たに物流業や情報産業を加え、昨年度は、
地域未来投資促進法に基づき、
地域の特性を活用した新産業・成長産業の創出を目指す「やまなし未来ものづくり推進計画」を策定するなど、これまで各種の支援制度を充実させてきたことを高く評価するものであります。
その一方、
県内における整備済みの事業用地は、わずか一区画、面積にして二・五ヘクタールしかない状況です。
企業経営者は、迅速な立地を望む傾向にあると思いますが、現在の本県の状況では、事業用地の確保に時間を要することから、
県内で新規立地や事業拡大の意欲がある企業であるにもかかわらず、立地を検討する際に、県外に関心を寄せてしまうケースもあるのではないかと懸念しております。
私は、企業の誘致に当たって、確実に
県内への新規立地や事業拡大につなげていくためには、税の優遇措置や支援制度も必要でありますが、何よりも、事業用地を確保する
取り組みを強化していくことが重要であると考えます。
そこで、県では、企業立地のさらなる促進を図るため、事業用地の確保について、どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
次に、伝統的地場産業の後継者育成についてであります。
本県が誇るジュエリーやワイン、織物など伝統的な地場産業は、長い歴史をかけて、本県の風土と暮らしの中で育まれ、
地域の経済や雇用を支える役割を果たしてきました。
また、先人から受け継いできた技術により、丹精に真心を込めてつくり出されるオンリーワンの手づくり品は、使う人々の生活に豊かさと潤いを与えてきました。
私は、このような
地域に根差した産業は、国内外に誇ることができる貴重な資源であり、将来に向けて大切に継承していくべき財産であると思います。
その一方で、伝統的な地場産業は、国民の生活様式の変化や安価な生活用品の普及、輸入品の増加などにより、売上が低迷し、これに伴う経営難、後継者不足といった問題が、全国的に厳しさを増してきている状況であります。
伝統的工芸品
産業振興協会の全国統計によると、生産額は、昭和五十八年の約五千四百億円、従事者数は、昭和五十四年の二十八万八千人がピークでありましたが、しかし、平成二十七年度には、それぞれ約一千億円、約六万六千人となり、ピーク時の五分の一まで減少しています。
現在では、職人の高齢化が進む中で、次世代に向け、技術技能を継承したいと望んでも、多くが小規模な事業所であることから、新たに人を雇う余裕もなく、後継者の育成は進んでいないと聞いております。
このような中で、二年後の
東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、増加している訪日外国人
観光客の日本文化への注目度は高く、これに触発されるように、国内においても、日本文化を見直す動きが出ています。
私は、今こそ、若者に向けて、もっとものづくりの魅力について理解を促し、本県の伝統技術のすばらしさを知ってもらうことが、後継者の育成につながるものと考えております。
後世に残す技術技能を円滑に継承することは、一朝一夕にはできるものではありません。
こうした機運の盛り上がりを
チャンスと捉え、県として、伝統的な地場産業の後継者育成に取り組むべきと考えますが、御所見を伺います。
次に、果樹産地の強化についてであります。
本県の農業は、恵まれた自然条件や、大消費地に近い有利な立地条件、さらには、長年培われてきた農家の栽培技術により、生産量日本一を誇るブドウ、桃、スモモなど、果樹を中心として発展してまいりました。
県では、これまで、果樹試験場で育成した桃の夢みずきやブドウの甲斐ベリー3などの優良品種への改植の推進に加え、品質の向上や生産安定、作業の省力化などを図るため、栽培技術の普及を行ってきました。
さらに、知事が先頭に立ち、関係団体等、連携した国内外でのトップセールスにより、販路拡大やブランド化などに取り組んできた結果、昨年の農業生産額は、十七年ぶりに一千億円を超えたところであります。
しかしながら、果樹は、他の作物に比べ、天候による品質や収穫量への影響を受けやすい作物であります。
また、本県の果樹園は傾斜地が多く、小規模であるなど、生産条件が不利であることや、家族経営が主体の中で、高齢化の進行や担い手不足などが、耕作放棄地の発生につながっております。
私は、本県の農業が、今後も農業生産額一千億円を維持していくためには、天候等の影響を軽減し、安定生産や収益の向上を目指したビニールハウス等の施設導入を行うことなどが必要であると認識しております。
さらに、産地の発展を目指すためには、作業の効率化を図る圃場整備や農道等の基盤整備を進め、意欲ある担い手への農地集積を促すことが重要であると考えます。
そこで、本県の果樹産地の維持強化を図るため、県では、施設の導入や基盤整備について、どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
次に、全国学力・学習状況調査への
取り組みについてであります。
例年、小学校六年生と中学校三年生を対象に実施する全国学力・学習状況調査については、児童生徒の学力や学習状況を把握し、教育指導の充実や学習環境の改善に役立てる上で、非常に重要な調査であり、また、その結果については、多くの方々が関心を寄せているところであります。
去る七月末に今年度の結果が発表され、中学校においては、理科を含め、正答率がおおむね全国平均を上回り、今回の調査に関して、総じて評価する内容の報道が見られたところです。
中でも、小中学校合わせた平均正答率の全国と本県を比較すると、平成二十五年には、全国平均を一一・三ポイント下回っていましたが、年々その差を縮め、今年度は一・七ポイントまで平均の差を縮めることができるなど、大きな改善が見られました。
このことは、後藤知事が就任して以来、学力向上総合対策事業として強化してきたさまざまな事業が、ここに来て成果を上げてきたものと評価をしており、今後もさらなる向上を期待しております。
一方で、来年の調査から、中学校三年生全員を対象に、英語の調査が導入されることが発表されておりますが、この調査では、読み書きだけではなく、聞く、話すを加えた生徒の総合的な英語力を把握するため、英語で話した内容を録音できるヘッドセットを装着すると聞いております。
こうした初めての調査に対し、生徒が不安や戸惑いを感じることなく実力を発揮するためには、新しい調査環境に生徒が早くなれてもらうためにも、事前の準備をしっかり行うことが必要であります。
全国学力・学習状況調査で毎年上位にある秋田県は、この調査が始まる前から県独自の学力調査を行っており、こうした蓄積が現在の好成績の基礎となっているという分析もあります。
全国が同じスタートラインに立つ英語の調査では、具体的な成果を残すために、本県も積極的な対応が必要であります。
ついては、来年度から導入される英語の調査について、どのような対応をしていくのか、お伺いします。
次に、不登校児童生徒への支援についてであります。
学校は、全ての子供がその能力を発揮して成長する場であり、楽しく通える学びの場であるべきです。
しかし、いわゆる不登校の児童生徒は、全国的にも増加傾向にある中で、本県でも、公立小中学校において、八百人を超える状況と聞いており、このような子供たちの対策は、生徒指導上の喫緊の課題となっております。
これらの不登校の児童生徒が、学校生活への復帰を目指し、それぞれの状況に応じた学習や活動を提供する場として適応指導教室がありますが、県は、韮崎、都留、笛吹の県立の三教室を今年度末から順次廃止し、その役割を市町村が設置する施設へ移行する方針を示しました。
この方針に対して、市町村の支援に格差が生じるのではないか、不登校の児童生徒が、円滑に市町村の施設に引き継がれるのかなどの不安から、県に対し、教室の存続や市町村の不登校対策への支援を求める幅広い声が寄せられました。
こうした声を受けて、ことし三月、知事は、教育委員会と連携して教育行政に取り組む総合教育会議において、「これまでの方針にこだわることなく、県が中核となって不登校支援を行う体制づくりのために必要な整備をするように」と対応を指示しました。
このことは、今後も県が不登校対策に主体的に取り組んでいくという姿勢を知事みずからが示したということであり、我が会派も、英断であると高く評価しているところであります。
その後も議会等で引き続き、この問題が取り上げられるなど、県民の関心は依然として高いものと認識しております。
私も本事案については、強い問題意識を持って、その推移を見守ってきたところでありますが、総合教育会議から約半年が経過する中、県はこの不登校対策について、どのように行っていくのか、お伺いします。
最後に、学校教育環境の整備についてであります。
「命に危険を及ぼすレベルの災害と認識している」と気象庁が発表するなど、ことしの夏は日本各地で猛烈な暑さが続き、最高気温が三十五度以上の猛暑日を伝えるニュースが連日報道されたことは、御承知のとおりであります。
本県においても、夏の暑さは全国的に有名ですが、ことしは猛暑日の連続記録をさらに更新したほか、甲府市では観測史上四番目となる四十・三度という最高気温を記録するなど、山梨の暑さは全国的にも取り上げられました。
そこで、私は「山梨は暑い」というイメージよりも、「山梨は快適に暮らせる」と言われるような具体的な
取り組みが必要であると思います。
そのためには、まず子育て環境、特に快適な教育環境の整備に力を入れることが極めて重要であると考えます。
平成二十九年度に公表された文部科学省の調査結果によれば、本県の県立学校における冷房設備の設置率は、高校が五二%、特別支援学校が七六・七%と、全国平均は上回っているものの、本県の暑さに十分対応できるとは言えない状況です。
このことは、先月開催されました高校生議会において、夏でも長袖で機械操作の実習に取り組む生徒が、エアコン設置を切実な思いで要望していたことからも実感しました。
室内においても熱中症が危惧される昨今、安全で安心な教育環境を実現するためにも、速やかに取り組むべき課題だと考えております。
そこで、本県の県立学校における冷房設備の拡充に向け、今後どのように取り組まれるのか、御所見を伺います。
また、高校生議会では、他にトイレの洋式化に関する意見、要望があったことも看過できません。
家庭や公共施設等においても洋式トイレが一般化している現在、和式トイレを敬遠し、我慢することで、体調を崩す児童・生徒がいてはならないと思います。
そこで、健康管理の面からも、県立学校施設に洋式トイレの整備を推進すべきと考えますが、あわせて御所見を伺います。
以上をもちまして、リベラルやまなしを代表しての
代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
16
◯議長(
河西敏郎君)古屋雅夫君の質疑・質問が終わりました。
これより当局の答弁を求めます。知事、後藤斎君。
(知事 後藤 斎君登壇)
17
◯知事(後藤 斎君)古屋議員の御質問にお答え申し上げます。
ただいまは、リベラルやまなしを代表され、県政各般にわたり御質問をいただきました。
また、市町村と連携した子育て施策の強化など、県民の皆さん方の期待に応えるため、全力で県政の課題に取り組む私自身の姿勢を高く御評価いただくとともに、松下幸之助氏の著書の一節を引用しながら、未来への山梨づくりを加速させ、完遂させるため、全力で支えていただけるとのお言葉を賜りました。
今後とも、山梨の未来につながる道を開くため、多様な主体の皆さん方と連携しながら、県政運営に全力で取り組んでまいりますので、一層の御支援、御協力をお願い申し上げます。
初めに、平成三十年七月豪雨災害を踏まえた災害対策について、幾つかお尋ねをいただいております。
まず、豪雨災害を踏まえた土砂災害対策についてでございます。
まず、ハード対策につきましては、限られた財源の中で、効果的かつ効率的に整備を行うため、山梨県社会資本整備重点計画において、土砂災害特別警戒区域内に要配慮者利用施設などが存在している箇所を優先的に整備すべきものとして位置づけ、平成三十一年度までに全ての箇所の対策に着手する予定でございます。
次に、ソフト対策につきましては、これまでもハザードマップを市町村と共同で作成し、住民の皆さん方へ配付をするとともに、土砂災害発生の危険度が高まっている
地域を示した地図を県のホームページで提供するなど、危険性の周知に努めてまいったところでございます。
しかしながら、西日本で発生をいたしました豪雨では、ハザードマップと被害範囲がほぼ一致しているなど、その有効性が確認されつつも、住民の皆さんに正しく認識されていなかったことや、関係機関から公表されていた災害発生の危険性が、正しく伝わらなかったことなどから、避難行動につながらなかった可能性も指摘をされているところでございます。
このことから、県民の皆さん方が適切な避難行動を起こすことができるように、市町村とさらなる連携をし、改めてハザードマップの周知を行うとともに、要配慮者利用施設の管理者向け説明会を実施をするなど、災害発生時の逃げ遅れゼロを実現するための効果的な
取り組みを徹底してまいります。
今後も、土砂災害から県民の皆さんの生命・財産を守るため、ハード・ソフト一体となった総合的な土砂災害対策を推進をし、災害に強い山梨県づくりに全力で取り組んでまいります。
次に、農業用ため池の防災・減災対策についてでございます。
県では、これまで東日本大震災を受け、平成二十五年度から二十七年度にかけ三年間実施をいたしましたため池の一斉点検や機能診断の結果に基づき、老朽化等で対策が必要なため池二十九カ所について、順次整備に着手しており、昨年度までに四カ所の整備を完了し、現在、十三カ所で事業を実施しているところでございます。
また、この一斉点検等を踏まえ、決壊時に下流の家屋や公共施設等に災害が発生する可能性のあるため池百九カ所につきましては、市町村と連携のもと、昨年度までにハザードマップの作成を完了し、ホームページへの掲載や住民の皆さん方への配付などによる周知を図ってきたところでございます。
さらに、本年七月に発生した西日本豪雨を受けて実施したため池の緊急点検では、
県内全てのため池百二十四カ所について、市町村等と施設の損傷や漏水の状況などを改めて点検をし、応急措置が必要なため池がないことを確認したところでございます。
今後も、
地域住民の皆さん方の安全・安心な生活を確保するため、市町村や関係機関と連携しながら、計画的なため池の整備や
地域住民の皆さんへのハザードマップの周知徹底を図り、ため池の防災・減災対策に積極的に取り組んでまいります。
続きまして、文化芸術基本条例の制定についてでございます。
本県には、
富士山や八ヶ岳を初めとする豊かな自然や歴史、風土に育まれた伝統な食文化、織物やジュエリーなどの伝統産業、
地域に伝わる年中行事などが受け継がれており、これらの文化資源をさらに磨き、確実に継承していくとともに、
リニア中央新幹線の開業等を転機として、さらに発展をさせ、地域活性化につなげていくことが、大変重要であると認識しております。
このため、文化芸術基本条例を制定することとし、学識経験者や関係団体の皆さんからなる検討会議において、議論を重ねてきたところであり、委員の皆様からは「食文化など本県の幅広い芸術文化を対象とすべき」といった意見や「文化資源を生かした
地域づくりが必要」などの意見をいただいたところでございます。
こうした意見を踏まえ、伝統産業や食文化など、本県の豊かで多様な文化の継承・発展と、文化資源を生かした
地域の活性化、文化芸術推進月間の創設などを内容とする条例の素案をまとめたところでございます。
今後は、県議会における御議論や、パブリックコメントなどを通じて寄せられた県民の皆さん方の御意見を踏まえ制定する条例に基づき、教育や福祉、
観光やまちづくりなど、関連するさまざまな施策と連携し、心豊かな県民生活と活力ある社会の実現を目指してまいります。
次に、特別養護老人ホームなどの施設整備についてでございます。
高齢者の方々が要介護状態になったとしても、可能な限り、住みなれた
地域で暮らし続けることができるよう、
地域包括ケアシステムをさらに推進するためには、在宅サービスの充実と特別養護老人ホームなどの施設整備を一体的に進めることが重要であります。
これまで県では、市町村が推計した介護サービスの利用見込み量に基づき整備計画を定め、財政支援を含め整備を推進してきたところでございますが、今後も、高齢化の進展に伴い、利用者の増加が見込まれ、さらに施設整備を進めていく必要があるというふうに考えております。
このため、平成三十年度から三十二年度までの三年間を計画期間とした健康長寿やまなしプランでは、特別養護老人ホームと認知症対応型グループホームをあわせ、新たに二百七十五床を必要数と見込んでおり、計画的な施設整備に取り組んでまいります。
また、介護保険法が改正をされ、本年四月から、医療と介護のニーズをあわせ持つ高齢者のための介護保険施設として介護医療院が創設されたことから、その整備促進を図るため、設置を行う医療機関に対して助成することとし、九月補正予算に所要の経費を計上したところでございます。
今後も、二十四時間対応の定期巡回・随時対応サービスなどの在宅サービスの充実に努めるとともに、特別養護老人ホームなどの施設整備を着実に進め、高齢者の皆さん方が安心して暮らし続けることができるよう、市町村と連携して強力に取り組んでまいります。
次に、森林環境税を活用した
取り組みの効果と県民の皆さん方への周知についてでございます。
県の森林環境税を活用した
取り組みにつきましては、その効果を確認するため、
県内十四カ所で継続的に調査を実施しており、間伐の実施箇所では下草が育ち、土砂の流出が減少しているほか、植栽した広葉樹も順調に生育するなど、公益的機能の高い森林に向けて推移していることが確認されているところでございます。
里山林の整備では、事業を実施した地区の住民を対象とした調査において、林内が整備され、鳥獣被害の抑制効果があった、景観がよくなった等の意見が寄せられるとともに、約九割の方々が、今後も里山林の整備が必要と回答するなど、高い評価をいただいているところでございます。
また、森林環境税や税を活用した事業の周知を図るため、県のホームページや広報誌への掲載、情報誌「木もれ日」の発行を行うとともに、間伐を実施した箇所の見学会の開催や、一般の皆さん方の目に触れやすい箇所に、税の活用をPRする看板等を設置するなどの
取り組みを行っているところでございます。
今後は、こうした
取り組みに加え、里山林の整備箇所を森林環境教育の場として活用するなど、事業効果が実感できる
取り組みを進めるとともに、六年後には国の森林環境税の課税も予定されていることから、国と県の役割分担を整理した上で、これまで以上にわかりやすく情報発信を行い、健全な山梨の森づくりをより一層推進してまいります。
次に、企業立地の推進に向けた事業用地の確保についてでございます。
県では、事業用地を確保するため、市町村の工業団地整備に対する補助制度の創設や緑地面積率の緩和、さらに、
県内不動産団体との情報提供に関する協定などの
取り組みを進めてまいったところでございます。
まず、市町村が行う工業団地の造成では、韮崎市が県の補助制度を活用し、上ノ山・穂坂地区工業団地の拡張を行い、第二期造成の五区画中、既に四区画の売却が決定をするなど、工業団地の整備が企業誘致につながっているところでございます。
次に、緑地面積率の緩和につきましては、既に十四市町において条例改正が行われ、国母工業団地などで、新たな設備投資や老朽化した施設の拡張更新が行われるなど、その効果があらわれているところでございます。
さらに、不動産団体との事業用地の情報提供に関する協定につきましては、本年四月の締結以降、小規模な事業用地を迅速に求める企業ニーズを踏まえた情報提供が可能となり、制度の周知とともに、本県の立地環境をアピールした結果、首都圏等の企業から問い合わせが増加をしていることから、新たな立地が進んでいくものと考えているところでございます。
こうした
取り組みの結果、本年度は、笛吹市と北杜市が工業団地の整備に向けた基礎調査を予定しており、県では、これからも市町村の工業団地整備に向けた動きをしっかりと後押ししてまいる所存でございます。
今後も、事業用地の確保に加え、展示会への出展や企業訪問を積極的に行い、本県の立地環境の優位性や、全国トップレベルの支援制度を強力にPRすることにより、企業立地を促進してまいります。
続きまして、伝統的な地場産業の後継者育成についてでございます。
ジュエリー、ワイン、織物などの伝統的な地場産業は、本県の魅力の源泉というべき貴重な
地域資源であることから、県としては技術技能を引き継ぐ後継者を育成していくことは、大変重要な課題であるというふうに考えております。
まず、ジュエリーにつきましては、宝石美術専門学校において、ジュエリーマスターや伝統工芸士を講師といたしましたカリキュラムを編成するとともに、就職後もスキルを高めることができる高度技術専門コースを開設するなど、ジュエリー業界で活躍できる若手技能者を育成しているところでございます。
次に、ワインにつきましては、山梨ワイン産地確立推進計画に基づき、産地組合やワイナリーとともに、技術の向上や新規参入者の育成に取り組んでいるほか、山梨大学と連携しながら、ワイン業界を担う技術者の育成を支援しているところでございます。
さらに、織物につきましては、富士技術支援センターの技術指導等により、産地の技術の向上が図られ、個々の企業のオリジナル布地や製品開発が活発になり、これらによる国内外での認知度向上が、若い方々の就職や後継者の確保につながっていると認識しております。
今後もこれらの
取り組みを通して、多くの若い皆さん方に山梨のものづくりのすぐれた技術が受け継がれるよう、後継者の育成を図るとともに、業界の皆さん方と一体となって、次の世代が活躍できる土台づくりを積極的に促進してまいります。
最後に、果樹産地の強化についてでございます。
県では、果樹の安定生産や収益向上を図るための施設として、農業者やJAの皆さん方が行う、天候等の影響を軽減する雨よけ施設、高値で取引される早期出荷のための加温ハウスや、市場の需要に応じて出荷時期を調整する冷蔵施設などの整備に対して、さまざまな補助制度を活用することで、きめ細かに支援しているところでございます。
また、農作業の効率化を図るための基盤整備にも取り組んでおり、耕作放棄地の解消や、小規模で分散した果樹園の集約に向けた圃場や農道等の整備を進めているところであります。
さらに、果樹の将来的な需要を見据えた中で、整備した農地につきましては、市町村や農地中間管理機構と連携し、多様な担い手へ集積することで、経営規模の拡大を促進してまいります。
今後も、市町村やJA等の関係機関と連携を図りながら、果樹産地における安定生産や収益の向上を目指す施設の導入を積極的に支援をするとともに、基盤整備を通じまして担い手への農地の集積を鋭意推進し、本県の果樹産地の強化を図ってまいりたいと考えています。
以上をもって、私の答弁といたします。その他につきましては、担当の部長等からお答え申し上げます。
18
◯議長(
河西敏郎君)
リニア交通局長、岡雄二君。
(
リニア交通局長 岡 雄二君登壇)
19
◯リニア交通局長(岡 雄二君)古屋議員のJR中央線における早朝の快速列車の導入についての御質問にお答えいたします。
早朝に甲府駅から東京方面に向かう快速列車を導入し、中央線の利便性を高めることは、若年層の県外への転出を抑制する上で重要でありますが、その実現に当たりましては、JR東日本から、中央線の利用者の拡大が課題として示されております。
このため、県では昨年度から、鉄道で通学する学生への支援を実施しておりまして、一年目は、中央線沿線の甲斐市から甲州市までの五市との連携のもと、二百十五人の学生がこの支援制度を利用いたしまして、二年目となります本年度は、韮崎市と北杜市を加えました七市で、二百六十人を超える学生がこの制度を使って、自宅から通学しているところでございます。
その成果もありまして、平成二十九年度の甲府駅の一日当たりの乗車人員が、前年度に比べまして約三百人増加するなど、通学支援制度を設けている沿線市の主要な駅におきましては、利用者に増加の傾向が見られております。
県といたしましては、中央線の利用者をさらにふやしてまいりますため、市町村との連携により、通学支援を受けられるエリアをさらに拡大いたしますとともに、学生やその保護者に対し、経済的負担の軽減や、地元山梨に定住するメリットなどを積極的にアピールしてまいります。
今後におきましても、こうした
取り組みを通じまして、中央線の利用者をさらに増加させ、その実績をJR東日本等に示すことによりまして、早朝の快速列車の導入をより強力に働きかけてまいる考えでございます。
以上でございます。
20
◯議長(
河西敏郎君)防災局長、
若林一紀君。
(防災局長
若林一紀君登壇)
21
◯防災局長(
若林一紀君)古屋議員の過去の災害の歴史や教訓に関する県民への周知についての御質問にお答えします。
地域における防災・減災対策を効果的に推進するためには、過去に発生した災害を知り、その教訓を生かすことが重要であり、これまで、県政出張講座、防災安全センターや博物館等におきまして、本県で発生した過去の災害や教訓に関する普及啓発を行っております。
また、小中学校におきましては、郷土学習教材「ふるさと山梨」等を活用し、児童生徒が、過去に本県で発生した地震や水害、
富士山噴火などを学ぶとともに、災害への備えなどを考える学習が行われております。
これらの
取り組みに加えまして、本年度、防災基本条例の施行にあわせまして、本県の災害の歴史と教訓や、先般の豪雨災害などを踏まえた啓発映像を新たに作成することとしており、防災イベントなど、さまざまな機会を捉え、県民に対し、災害の歴史や教訓をしっかりと伝承してまいります。
次に、地域における災害の特性に応じた対策についてでありますが、近年の大規模災害を通じまして、
地域における自助・共助による防災活動の重要性が改めて認識されているところでありまして、特に、
地域の特性を生かした住民による地区防災計画の策定は必須であります。
このため、県では、地区防災計画の策定の推進を防災基本条例に位置づけ、本年度は四つのモデル地区におきまして、計画の策定を進めております。
今後、これらの成果を
県内全域に波及させ、早期の計画策定につなげるよう積極的に取り組むことにより、
地域の実情を踏まえた自助・共助・公助が一体となった防災対策の推進を図ってまいります。
以上でございます。
22
◯議長(
河西敏郎君)教育長、市川満君。
(教育長 市川 満君登壇)
23
◯教育長(市川 満君)古屋議員の御質問にお答えいたします。
まず、全国学力・学習状況調査への
取り組みについてでございます。
社会のグローバル化が急速に進展している中、今後、誰でも世界のさまざまな国や
地域の人々と協働していく機会の拡大が想定されることから、生徒の英語力を向上させることは重要と考えております。
新学習指導要領におきましても、外国語による言語活動を通しての
コミュニケーション能力の育成が提唱されておりまして、各中学校では、授業の中に、生徒の考えや気持ちを英語で伝える活動を積極的に取り入れるなどの授業改善に取り組んでおります。
また、明年度から導入される英語の調査には、生徒の聞く・話す力をはかる内容が導入されることから、その場で考えたことをすぐに英語で話す力を向上させることに、早急に対応していく必要があると考えております。
このため、県では、英語を学ぶ楽しさが実感できる先進的な対話型のビデオ教材や、調査で使用する機器の操作方法を解説した資料を作成し、各学校に配付するとともに、指導主事の学校訪問を通して、これらの教材や資料を活用した授業の実施を積極的に指導してまいります。
また、本年度、実施された予備調査に基づく国からの情報をしっかりと把握した上で、各学校への適切な情報提供及び必要な対策の検討を行ってまいります。
こうした
取り組みにより、英語の調査において、生徒が不安や戸惑いを感じることなく、ふだんの実力が十分発揮できるよう、新たな調査の実施に備えてまいります。
次に、不登校児童生徒への支援についてでございます。
県では、不登校児童生徒の支援体制をより一層充実させるため、不登校対策の現状や課題について、検討を重ねてまいりました。
その結果、適応指導教室等での支援を受けていない児童生徒への対応や中学校卒業後の支援など、今後、
取り組みを強化すべき課題のほか、地元の教室に通えない児童生徒の受け入れなど、市町村単独では、対応が難しい課題があることが明らかになりました。
こうした点を踏まえ、県を中核とした今後の不登校対策の
あり方について検討するため、大学の教員や保護者の代表、福祉の専門家等、外部の有識者をメンバーとする検討委員会を新たに設置することとしたところでございます。
検討委員会では、これまで課題となっておりました、県が運営する適応指導教室の今後の
あり方を含め、さまざまな課題への対応につきましても、幅広く意見を取り入れ、より一層きめ細かな対策の具体化を目指してまいります。
県では、こうした
取り組みを通して、今後も市町村の不登校対策を積極的に支援するとともに、県と市町村、関係機関が連携した体制の充実強化に努めてまいります。
次に、学校教育環境の整備についてでございます。
地球温暖化の進展や生活環境の変化に伴うニーズを的確に踏まえ対応することは、教育環境の整備を図る上で重要なことと認識をしております。
まず、冷房設備につきましては、全ての県立学校の普通教室を中心に設置をしておりますが、熱中症予防など児童生徒の健康管理面を重視し、教室の利用状況や部屋の設置場所を初めとする室温等の調査に基づき、さらに整備を進めてまいります。
次に、県立学校のトイレの洋式化につきましては、健康面などに配慮し、特別支援学校の設置率は、平成三十年三月末現在で八四・三%となっておりますが、高校におきましては四〇・四%と、普及が進んでいない状況にございます。
特に高校につきましては、設置率が二〇%台から七〇%台までと、学校間でトイレ環境に大きな格差が生じていたことから、まずは、設置率の低い学校を対象に、当面の目標として、三台に一台以上を洋式化することとし、本年度中にその目標を達成する見込みでございます。
今後におきましても、学校の改築や大規模改修の機会を捉え、洋式化を図るほか、和式便器が故障した際には順次、洋式便器に交換するなど、さらなる洋式化を進めてまいります。
引き続き、こうした
取り組みを着実に推進し、児童生徒の快適で充実した教育環境の実現に努めてまいります。
以上でございます。
24
◯議長(
河西敏郎君)当局の答弁が終わりました。
古屋雅夫君に申し上げます。再質問はありませんか。
25
◯古屋雅夫君 ありません。
26
◯議長(
河西敏郎君)これをもって、古屋雅夫君の
代表質問を打ち切ります。
以上で、本日の日程は全部終了いたしました。
明九月二十七日、午前十一時、会議を開き、一般質問を行います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後三時四十四分散会
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