福井県議会 2021-09-14
令和3年第418回定例会(第3号 一般質問) 本文 2021-09-14
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一般質問) 本文 2021-09-14 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ
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鈴木宏紀君) 2 ◯議長(
鈴木宏紀君) 3 ◯議長(
鈴木宏紀君) 4 ◯10番(
山浦光一郎君) 5 ◯議長(
鈴木宏紀君) 6 ◯知事(
杉本達治君) 7 ◯議長(
鈴木宏紀君) 8
◯地域戦略部長(前田洋一君) 9 ◯議長(
鈴木宏紀君) 10
◯教育委員会教育長(豊北欽一君) 11 ◯議長(
鈴木宏紀君) 12 ◯10番(
山浦光一郎君) 13 ◯議長(
鈴木宏紀君) 14 ◯18番(
鈴木宏治君) 15 ◯議長(
鈴木宏紀君) 16 ◯知事(
杉本達治君) 17 ◯議長(
鈴木宏紀君) 18
◯交流文化部長(白嵜 淳君) 19 ◯議長(
鈴木宏紀君) 20
◯健康福祉部長(
窪田裕行君) 21 ◯議長(
鈴木宏紀君) 22
◯産業労働部長(
吉川幸文君) 23 ◯議長(
鈴木宏紀君) 24 ◯18番(
鈴木宏治君) 25 ◯議長(
鈴木宏紀君) 26 ◯知事(
杉本達治君) 27 ◯議長(
鈴木宏紀君) 28
◯土木部長(西出俊亮君) 29 ◯議長(
鈴木宏紀君) 30 ◯18番(
鈴木宏治君) 31 ◯議長(
鈴木宏紀君) 32
◯産業労働部長(
吉川幸文君) 33 ◯議長(
鈴木宏紀君) 34 ◯議長(
鈴木宏紀君) 35 ◯16番(辻 一憲君) 36 ◯議長(
鈴木宏紀君) 37 ◯知事(
杉本達治君) 38 ◯議長(
鈴木宏紀君) 39
◯安全環境部長(野路博之君) 40 ◯議長(
鈴木宏紀君) 41
◯健康福祉部長(
窪田裕行君) 42 ◯議長(
鈴木宏紀君) 43
◯教育委員会教育長(豊北欽一君) 44 ◯議長(
鈴木宏紀君) 45 ◯16番(辻 一憲君) 46 ◯議長(
鈴木宏紀君) 47
◯安全環境部長(野路博之君) 48 ◯議長(
鈴木宏紀君) 49
◯健康福祉部長(
窪田裕行君) 50 ◯16番(辻 一憲君) 51 ◯議長(
鈴木宏紀君) 52 ◯23番(小寺惣吉君) 53 ◯議長(
鈴木宏紀君) 54
◯交流文化部長(白嵜 淳君) 55 ◯議長(
鈴木宏紀君) 56
◯土木部長(西出俊亮君) 57 ◯議長(
鈴木宏紀君) 58 ◯23番(小寺惣吉君) 59 ◯議長(
鈴木宏紀君) 60 ◯知事(
杉本達治君) 61 ◯議長(
鈴木宏紀君) 62 ◯農林水産部長(池田禎孝君) 63 ◯議長(
鈴木宏紀君) 64 ◯23番(小寺惣吉君) 65 ◯議長(
鈴木宏紀君) 66 ◯知事(
杉本達治君) 67 ◯議長(
鈴木宏紀君) 68 ◯農林水産部長(池田禎孝君) 69 ◯議長(
鈴木宏紀君) 70 ◯23番(小寺惣吉君) 71 ◯議長(
鈴木宏紀君) 72 ◯農林水産部長(池田禎孝君) 73 ◯議長(
鈴木宏紀君) 74 ◯23番(小寺惣吉君) 75 ◯議長(
鈴木宏紀君) 76 ◯議長(
鈴木宏紀君) 77 ◯5番(細川かをり君) 78 ◯議長(
鈴木宏紀君) 79 ◯知事(
杉本達治君) 80 ◯議長(
鈴木宏紀君) 81
◯交流文化部長(白嵜 淳君) 82 ◯議長(
鈴木宏紀君) 83 ◯農林水産部長(池田禎孝君) 84 ◯議長(
鈴木宏紀君) 85 ◯5番(細川かをり君) 86 ◯議長(
鈴木宏紀君) 87 ◯知事(
杉本達治君) 88 ◯議長(
鈴木宏紀君) 89 ◯5番(細川かをり君) 90 ◯議長(
鈴木宏紀君) 91 ◯知事(
杉本達治君) 92 ◯議長(
鈴木宏紀君) 93
◯地域戦略部長(前田洋一君) 94 ◯議長(
鈴木宏紀君) 95
◯健康福祉部長(
窪田裕行君) 96 ◯議長(
鈴木宏紀君) 97
◯産業労働部長(
吉川幸文君) 98 ◯議長(
鈴木宏紀君) 99 ◯農林水産部長(池田禎孝君) 100 ◯議長(
鈴木宏紀君) 101
◯教育委員会教育長(豊北欽一君) 102 ◯議長(
鈴木宏紀君) 103 ◯5番(細川かをり君) 104 ◯議長(
鈴木宏紀君) 105 ◯4番(山本 建君) 106 ◯議長(
鈴木宏紀君) 107 ◯知事(
杉本達治君) 108 ◯議長(
鈴木宏紀君) 109
◯地域戦略部長(前田洋一君) 110 ◯議長(
鈴木宏紀君) 111
◯安全環境部長(野路博之君) 112 ◯議長(
鈴木宏紀君) 113
◯教育委員会教育長(豊北欽一君) 114 ◯議長(
鈴木宏紀君) 115 ◯4番(山本 建君) 116 ◯議長(
鈴木宏紀君) 117
◯教育委員会教育長(豊北欽一君) 118 ◯議長(
鈴木宏紀君) 119 ◯4番(山本 建君) 120 ◯議長(
鈴木宏紀君) 121 ◯副議長(宮本 俊君) 122 ◯25番(畑 孝幸君) 123 ◯副議長(宮本 俊君) 124 ◯知事(
杉本達治君) 125 ◯副議長(宮本 俊君) 126 ◯総務部長(近松茂弘君) 127 ◯副議長(宮本 俊君) 128 ◯農林水産部長(池田禎孝君) 129 ◯副議長(宮本 俊君) 130
◯土木部長(西出俊亮君) 131 ◯副議長(宮本 俊君) 132 ◯9番(田中三津彦君) 133 ◯副議長(宮本 俊君) 134 ◯知事(
杉本達治君) 135 ◯副議長(宮本 俊君) 136
◯地域戦略部長(前田洋一君) 137 ◯副議長(宮本 俊君) 138
◯安全環境部長(野路博之君) 139 ◯副議長(宮本 俊君) 140
◯健康福祉部長(
窪田裕行君) 141 ◯副議長(宮本 俊君) 142 ◯9番(田中三津彦君) 143 ◯副議長(宮本 俊君) 144 ◯3番(松崎雄城君) 145 ◯副議長(宮本 俊君) 146 ◯知事(
杉本達治君) 147 ◯副議長(宮本 俊君) 148
◯地域戦略部長(前田洋一君) 149 ◯副議長(宮本 俊君) 150 ◯3番(松崎雄城君) 151 ◯副議長(宮本 俊君) 152 ◯知事(
杉本達治君) 153 ◯副議長(宮本 俊君) 154
◯交流文化部長(白嵜 淳君) 155 ◯副議長(宮本 俊君) 156
◯教育委員会教育長(豊北欽一君) 157 ◯副議長(宮本 俊君) 158 ◯3番(松崎雄城君) 159 ◯副議長(宮本 俊君) 160 ◯農林水産部長(池田禎孝君) 161 ◯3番(松崎雄城君) 162 ◯副議長(宮本 俊君) 163 ◯副議長(宮本 俊君) 164 ◯副議長(宮本 俊君) ↑ リストの先頭へ ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(
鈴木宏紀君) これより、本日の会議を開きます。
━━━━━━━━━━━━━━━
2 ◯議長(
鈴木宏紀君) 本日の議事日程は、お手元に配付いたしましたとおりと定め、直ちに議事に入ります。
━━━━━━━━━━━━━━━
第1 第63号議案から第80号議案まで(18件)及び報告第15号から報告第24号まで(10件)
3 ◯議長(
鈴木宏紀君) 日程第1を議題といたします。
これより、9日の本会議に引き続き、各議案に対する質疑及び県政全般にわたる質問に入ります。
よって発言は、お手元に配付いたしました発言順序のとおりに願います。
山浦君。
なお、山浦君より資料を使用したい旨の申出があり、これを許可いたしましたので御了承願います。
〔
山浦光一郎君登壇〕
4 ◯10番(
山浦光一郎君) おはようございます。県会自民党の
山浦光一郎です。
さて、新型コロナの出現時には全く予想もしていなかったデルタ株の出現により、第5波の深刻な影響がまだ続いているところではありますけれども、県独自の基準でも、先般、緊急事態宣言から特別警報レベルに下げられる等、一定の光も見えてきました。
もちろん、まだまだ油断はならないものの、ワクチンの接種が進んできた効果が出ていると思います。医療関係者の皆様、知事をはじめとする県や市町職員の皆様、そしてもちろん県民一人一人の皆さんの御協力に深く感謝するとともに、引き続きワクチンの接種を進め、また医療、経済をはじめとする様々な面からのコロナ対策に関する予算、政策を改善するべく、私も微力ながら尽力したいと思います。
さて、今日はまず最初に、アルバイトをせざるを得ない高校生の現状について伺いたいと思います。
8月にふくい高校生県議会が開かれました。理事者の方は既に御存じかとは思いますけれども、これは主権者教育の一環として平成27年から始まった取組で、未来の社会をつくっていく高校生たちに県議会議員の活動や議論を実際に体験してもらい、県議会や県議会議員の役目を知り、身近に感じてもらうということを目的としています。
今年のふくい高校生県議会には、勝山高校、鯖江高校、丸岡高校、道守高校、啓新高校の5校に参加いただき、各校の生徒たちは事前に議会で取り上げるテーマを決め、みっちりとその勉強をして事前に想定質問を準備し、当日は県議会の大会議室等にて緊張感が漂う中で鋭い質問をしてくれました。
この取組の背景には、政治に対する若者の無関心さが日本全国で顕著になってきている一方で、選挙権が満18歳に引き下げられたということもあって、若者に政治に関心を持ってもらいたい、そういうことで始まったわけであります。しかし、それ以上に私自身が勉強になる非常に貴重な機会でした。また、実際に参加されたほかの議員の方々も同じ思いを持たれたのではないかというふうに思っています。
では、実際にどういうものだったでしょうか。私は道守高校チームのメンターを担当しました。道守高校チームは最終的にすばらしい提言書をまとめてくれたのですけれども、そこで、独り親家庭や保護者が難病を抱える家庭への支援、定時制等に通う高校生への支援等についての問題提起がありました。これらのテーマについて生徒たちの議会準備をサポートする中で、私自身が今の高校生たちが抱える厳しい現実に気づかされることになりました。その厳しい現実とは、端的に言えば経済的理由による学業・進学への支障であります。私が実際に道守高校の生徒から見聞きした事例は以下のとおりです。
ある生徒は、高校に入学したのはよかったものの家計が厳しく、生活費と将来の大学進学費用のためにアルバイトを月に100時間もしているという状況です。そして、そのアルバイトによってどうしても勉強時間に支障が出てしまい、学力にも影響が出ているということです。また、ある生徒は無類の動物好きで、もともと将来は獣医師になることが夢でした。しかし、獣医学部の場合、国公立の選択肢は限られており、また私立になると卒業までの学費合計が1,000万円を超えてしまいます。その生徒の御家庭ではとてもそれを工面できる余力はなく、獣医師になりたいけれども学費を賄えないから目指すのをやめざるを得ないということになっているそうです。
もちろん、私が聞いたこれらの事例は必ずしも大多数の高校生たちの状況に当てはまるわけではありません。しかし、この話を機に調べを進めてみると、予想よりかなり多くの全国の高校生たちが同様の問題に直面していることも分かりました。
(資料掲示)これは、皆さんの配付資料の中にも一つ目の資料として掲げさせていただいておりますけれども、株式会社マイナビというところが2019年11月に実施した高校生のアルバイト調査というものです。これには直接載っていないんですけれども、その調査によると高校生の4人に1人、約26%がアルバイト就業中であるということで、この資料ではアルバイトをしている、または、する意向のある子たちを調査しているものなんですけれども、その中で、このアルバイトの目的を尋ねる質問では、調査対象者のうち現在アルバイト就業中または就業意向がある高校生の29.9%が「自分の生活費のため」、12.1%が「家族の生活費のため」、7.6%が「授業料を支払うため」アルバイトをしている、またはアルバイトをしたいというふうに回答しているということです。さらに、66.7%が回答した「貯金をするため」という目的の中には、大学への進学費用を念頭に置いた回答が一定割合含まれているのではないかということも言えると思います。
前提として、私は高校生のアルバイト自体を否定するつもりは全くありません。この調査結果にもあるとおり、社会経験を積むなど前向きな目的を持って、本人が自主的にアルバイトをしている例もあります。しかし、私が一政治家として座視できないのは、アルバイトを家計や将来の進学費用などのためにせざるを得ないからしている高校生たちの現状であります。上記の調査結果から推計するに、全国の高校生のうち約7.8%もの生徒が自分の生活費のために、3%強の生徒が家族の生活費のため、約2%が授業料を支払うためにアルバイトをしているというのが現実であります。
福井県の現状については、よく「全国に比べて、非常に貧しい子どもは少なくて恵まれている」と言われることもありますけれども、全国平均の状況からそこまで大きく乖離していないのではないかとも思われますし、私自身が今回のふくい高校生県議会で当人たちから聞いた生の声から、そのような現実は間違いなく福井にもあるというふうに感じております。
この点、高校生のアルバイト就業率や目的について福井県単独の調査はされているでしょうか。あれば、その概要について御教示ください。
また、福井県の高校生の就学・進学支援制度として、現在、高校の授業料無償化、福井県独自の追加支援、さらに施設・設備費等の減免といったものがあると認識しておりますけれども、それ以外にどういったものがあるかについて概要を御教示ください。
また、それらの制度がどれくらい使われているのか、結果としてバイトをせざるを得ない子たちの減少にどれほど貢献しているのかについて検証はされているでしょうか、この点についての所見を伺います。
また、県やその他の機関が提供している各種制度は、もちろん知られているものもあると思いますけれども、各家庭が意外に知らないものもあるのではというふうに考えています。そこで、まずは高校生の就学・進学支援ということに該当する各種支援制度の情報が端的に分かりやすくまとまった一覧のページやチラシを用意して、随時高校生とその家庭に発信することが重要だというふうに考えます。
この点、少なくともインターネット上には、それらの情報が一元的にまとまっているようなページとかチラシのデータといったものは見当たらないように思いましたけれども、この点、整備が必要なところではないかと思いますけれども、御所見を伺います。
さらに、今回、私が道守高校の生徒たちから話を聞いて一番感じたことは、今の大変さだけでなく、将来のことまで考えて判断していってほしいということでした。これはどういうことかと申し上げますと、確かに今、家庭的に余裕がなくて高校での学業や先の進路を一部諦めて、生徒がアルバイトをせざるを得ない状況や心情は十分に理解できます。しかし、そうすることにより、その高校生が将来働き始めた後に得られる所得が下がってしまい、結果的に社会に出てからより苦しくなるということも十分に起こり得ます。だからこそ、そこまで念頭に置いた上で、この記事で紹介したような、先ほど少し言及したような各種支援制度をフル活用して、その高校生たちの生涯にとってどうするのが一番よいかを生徒本人と親御さんが考えていってほしいと思います。
そのように将来まで考えていくきっかけづくりのためには、単に上記の支援制度を知っていることだけでなく、御家庭やその子の経済的な中長期ライフプランを検討する機会なども必要なのではないか。その意味で、高校生の子どもを持つ家庭向けの教育ファイナンシャルプランナーのような専門家が相談支援や講演などをすることも重要だと考えます。これは、今、高校の先生方が事実上対応されているのかもしれませんけれども、本来得意な分野ではないですし、多忙な中で見切れないといったことも十分にあるのではないかというふうに思います。
この点、県の支援制度として専門家派遣等を検討すべきではないかと思われますが、所見を伺います。
最後に、そもそもの支援制度の対象の制約についてであります。
高校生の就学・進学支援の制度は現在もないわけではありません。しかし、対象の狭さから多くの家庭では使えない制度が多いというのが現状ではないでしょうか。
具体的には、例えば福井県高校生奨学給付金であります。これは配付した資料の1ページ目の下にございます。現在、これは生活保護世帯と住民税非課税世帯しか使えませんけれども、この奨学給付金が意図している教科書費、教材費、学用品費、通学用品費、教科外活動費、生徒会費、PTA会費、こういったもろもろ、さらに修学旅行費といったものは世帯の所得に関係なくどの世帯にも同程度かかってくる費用であります。
そこで、もう一歩、非課税世帯とは言えないまでも低所得の世帯に拡大できないのか、御所見を伺います。
また、道守高校の生徒でも、親御さんが難病を抱えているがゆえにバイトをせざるを得ないという生徒もいらっしゃいました。世帯年収はある程度あるものの、病気などで一定の支出を余儀なくされているといった、生徒にとってその努力ではどうしようもない事情、これも勘案すべきではないかと思いますけれども、これらの点についての所見を伺います。
さらに、道守高校の生徒たちからの提言書の中にもあったとおり、定時制・通信制課程修学奨励金、これは配付資料の2ページでありますけれども、これについて申請時期を複数回設定する、保証人を1人にする等、より利用しやすいように改善すべきかと思いますけれども、この点、所見を伺います。
さらに、教科書代を支援する定時制・通信制教科書給与事業、これは昔あったわけですけれども、これを復活すべきではないかと思いますけれども所見を伺います。
また、この修学奨励金の貸与額の増額も検討できないでしょうか。
最後に、福井県にUIターン就職する大学生等の奨学金返還支援制度についてです。
配付資料の3ページ目、4ページ目になります。これは、対象条件として「理学、工学、建設関係、情報関係、農林水産学、保健・福祉関係(医歯薬看護福祉学等)の専門分野を履修」といった要件に加えて、「次の業種等の福井県内の企業等に、専門職や技術職など履修した専門分野を生かした就業を希望する者」ということで、具体的には製造業、建設業、情報通信業、農林水産業、医療・福祉等というのが挙げられております。
このように要件があるわけでありまして、例えば法律学といったものは入っていないわけでありますけれども、人口の社会減対策としても、これらについて要件を緩和する、拡充するといったことはいかがでしょうか。これについて知事の所見を伺います。
最後に、もちろんこれらは全ての政策と同様に予算制約があるので難しいということがあることも承知しています。しかし、教育こそ最高の投資であると言われます。そして、何よりも現代の日本において、まして教育県を自負する福井県において、親の貧困ゆえに必要な教育を受けられないという子どもが一人もいないようにする必要が、その責務が我々大人にはあると思います。どんな制度を整えているといっても、生徒たちが語ってくれたような厳しい状況に置かれ、月100時間もバイトをせざるを得ない子どもがいるということは政策の失敗であると思います。ぜひ、前向きな御検討をお願いいたします。
次に、2番目、データに基づく政策の推進ということをお話しさせていただきます。
最近、EBPM(Evidence-Based Policy Making)というデータに基づく政策の推進ということが、国をはじめ様々なところでうたわれており、私も当選以来、その重要性について申し上げてきました。また、ナッジという、ちょっとした工夫で政策目標達成に大きな効果の出る行動経済学を活用した手法も注目を集めているところです。実はこれに関連して、PolicyGarageという、全国でEBPMやナッジに興味のある公務員や研究者が集まり──もちろん今はネットでやっているんですけれども、それらのテーマについて定期的に発表しながら知見を深めていくという会がありまして、私もそのメンバーに入っております。
全国の面白い事例として、例えば阪大医学部附属病院では、病院ロビーに消毒液を置いていたと。あまり使われていなかったということがあったんですけれども、真実の口──イタリアのローマの休日とかに出てくるあれですけれども、あのレプリカに消毒液を設置したら利用率が向上したとか、あと不法投棄の多い場所で、禁止といった看板とか罰金の設定とかをしても効果がなかったところを、鳥居の絵を描いたら不法投棄が減少したといったものがありまして、私も大変面白く勉強になっているところです。理事者としても関係する部署の方が参加されると、全国の成功したものも失敗したものも含め多くの先行事例、また、それを支える理論を学ぶことができ、とても有用ではないかと思います。
そこで、県としても積極的にこういった団体に参加し、交流することを打ち出していくべきではないかと思いますけれども、所見を伺います。
さらに、4月からDX推進監が着任され、行政のデジタル化に向けて辣腕を振るわれておりますけれども、やはり専門性の高いこういった分野では、専門のポストを設けて長期的に取り組んでもらうことが重要であるということを改めて認識しております。
EBPMやナッジも専門性があり、知見を積み重ねていくべき分野ですので、専門のポスト、または部署を設立すべきかと思いますけれども、この点、知事の所見を伺います。
以上です。
5 ◯議長(
鈴木宏紀君) 知事杉本君。
〔知事
杉本達治君登壇〕
6 ◯知事(
杉本達治君) 山浦議員の
一般質問にお答えを申し上げます。
詳細については後ほど担当より御答弁申し上げますけれども、最初に高校生のアルバイトの実態についてお話を聞かせていただきました。ある意味ちょっと驚いております。もちろん御家庭の事情でアルバイトをせざるを得ないということ、それから、そのこと自体が悪いわけではなくて、非常に社会勉強になるということもあると思いますけれども、やはり自分の将来の夢を家庭環境によって諦めざるを得ないということはできるだけ避けていく、そういうことが社会の責任だというふうにも思っておりますので、こういった件についてはできるだけ我々としても意を用いていきたいというふうに思っております。
それから、奨学金の関係の返還支援制度対象条件の拡充について、お答えを申し上げます。
福井県では、平成28年度からですけれども、県内の有効求人倍率が高い、企業さんが雇いたくてもなかなか雇えないような理系の学生さん、こういった方々をUIターンで求めるということで、県外の大学に通われている学生さんに対して奨学金の返還の補助を行っているというところでございます。
平成28年度から年々希望者が増えておりまして、今年度の4月から認定を受けている人というのは52人と増えているんですけれども、これまでに109名、既に償還が始まって補助金を出している方がいるという状況でございます。
対象につきましては順次見直しを行っておりまして、特に平成30年度からは医療とか福祉に範囲を拡大するとか、令和2年度からは40人を50人に広げるとか、こういうことで109人の中の大体2割がIターンにもなっているわけでございまして、そういう意味では人口減対策にも資しているかなというふうに考えているところでございます。
このほかにも就活のために帰ってくるときの交通費を補助してあげるなど、いろんな形でUIターンというのを促進することもやっていく必要があると考えているところでございまして、求人の動向といいますか、不足業種に光を当てながら、また学生さんのニーズも聞きながら、これからどういうふうに展開していくのか、拡充するのか考えていきたいというふうに思っております。
続きまして、EBPMや、それからナッジに関する専門ポストや部署の設立について、御質問にお答え申し上げます。
エビデンスに基づいて政策を立案するというのは非常に重要だというふうに認識をいたしておりまして、例えば昨年度、福井県におきましても、人口減少対策について、そのデータ解析の御専門の方からお話を、研究をしていただいて御提案をいただきました。その中では特に、例えば女性の結婚年齢が1歳下がると欲しい子どもの数が0.14人増えるとか、また、子育て支援の情報の提供がしっかりいくと子どもを産みたいという人の数が増えてくる、こういったようなデータもお示しいただきまして、ふく育の応援ですとか、若い方の結婚の応援とか、こういった政策に生かさせていただいているというところでございます。
また、今年の2月からデータサイエンティスト、こういった方々をアドバイザーとしてお願いしておりまして、例えば観光ですとか産業振興のアドバイスもいただいているというところでございます。
それから行動経済学、ナッジというところでも、御指摘もいただきましたけれども、例えば八王子市で、大腸がん検診を今年受ければ来年はまた検査キットを送ってあげますというのではなくて、今年受けないと来年は検査キットを送りませんというふうに損失のほうでアピールをすると、7%ぐらい受ける人が増えたというようなお話もあります。
卑近な例で言いますと、福井県でも、例えばコロナのワクチンの接種も、今は皆さんいつでもコロナのワクチンの予約ができますと言わせていただいていますが、一方で、若い方の特別枠を用意しましたとか、こういうふうに御説明をさせていただいて、そういった場所を設けますと、そちらに結構な人数の方が集まっていただけます。こういったことも行動経済学、ナッジとしても効果があったということかなというふうに思っております。
こういったことについては、DXのような場合は非常に詳しい知識が様々な分野で深く必要だということもありますので、そういった人材の確保を進めております。一方で、こういった考え方の気づきとか、そういった観点を持つということが大事かなと思いますので、研修を受けたりとか、また、そういったことについてネットワークを持つ、こういうようなことをしながら県の施策の高度化を図っていきたいと考えております。
その他の答弁につきましては、担当よりお答え申し上げます。
7 ◯議長(
鈴木宏紀君) 地域戦略部長前田君。
〔地域戦略部長前田洋一君登壇〕
8
◯地域戦略部長(前田洋一君) 私からは1点、EBPMやナッジを活用した政策を推進するNPO団体への県の参画について、お答えいたします。
議員御推薦の団体につきましては、本県からも職員が参加をさせていただいて、情報交換を始めているところでございます。そのミーティングの中で、ほかの自治体の事例を学ぶとともに、今後は本県の事例も紹介しながら広く意見をもらう予定でございます。こうした知見を生かし、幅広い政策分野への展開を図ってまいりたいと考えております。
9 ◯議長(
鈴木宏紀君) 教育委員会教育長豊北君。
〔教育委員会教育長豊北欽一君登壇〕
10
◯教育委員会教育長(豊北欽一君) 私からは、アルバイトをせざるを得ない高校生の現状について7点、お答えさせていただきます。
まず、高校生のアルバイト就業率や目的について、福井県単独調査は行われているのかとのお尋ねでございます。
県独自の調査は実施しておりませんが、今回、学校に確認したところ、県立高校におきまして3か月以上連続してアルバイトに就業している生徒の数は、働きながら学ぶ生徒が通う定時制高校7校では214名、それ以外の全日制高校27校では247名でありました。全日制と定時制を合わせた就業率は全生徒数に対して3.2%であり、また、定時制のみの就業率は36.4%であります。
なお、アルバイトをする目的につきましては、経済的な理由のほか、貯金や自分の趣味のため、自身の適性を見つけるため、長所を伸ばすためなどの様々な理由を聞いております。
次に2点目は、高校生の就学・進学支援制度にはどのようなものがあるか、その実績と、その結果としてバイトをせざるを得ない子どもたちの減少にどれほど貢献しているのかについて検証しているかとのお尋ねでございます。
本県では、高校生への支援制度としまして、非課税世帯を対象に授業料以外の教育費を支給する福井県国公立高校生等奨学給付金、これは令和2年度には1,204名に給付をしております。また、福井県奨学育英基金奨学金、これは令和2年度、100名に貸与しております。また、低所得者世帯を対象に、福井県きぼう応援奨学金、これは令和2年度には58名に給付をしております。また、働きながら定時制・通信制高校に通う生徒には、福井県高等学校定時制課程および通信制課程修学奨励金、これは令和2年度、16名に貸与しております。また、これにつきましては卒業すれば返済は免除されます。
高校3年生になり大学進学を控えた生徒には、日本学生支援機構奨学金を紹介しておりますが、県外大学に進学した学生が福井県にUIターン就職した場合は、大学生の奨学金返還を応援する福井県UIターン奨学金返還支援制度、令和元年度の実績としまして33名に支給しておりますが、こういったものがございます。
これらの支援制度がアルバイトをせざるを得ない生徒の減少にどれだけ貢献しているのか、これまで調査はしておりませんが、教員からは、これらの支援制度が支えになっているとお聞きしております。
3点目は、高校生の就学・進学支援の各種支援制度が一元的にまとまったホームページについてのお尋ねでございます。
県では既に、高校生に一人一台タブレット配備を完了しておりまして、タブレットやスマートフォンで利用可能なメールや電子掲示板で情報発信できる環境は整っております。今後は、各種支援制度が一覧にまとまったページを作成し、全ての生徒がタブレット等を活用しながらいつでも必要な情報を手に入れられるように工夫してまいります。
次に、家庭やその子の経済的な中長期ライフプランを検討する機会として、専門家派遣等を検討するべきではないかとのお尋ねでございます。
学校が家庭ごとの経済状況を把握することはなかなか難しいわけでございますが、生徒から個別に相談があった場合には、スクールソーシャルワーカーとの相談を通して、市町の福祉部局や社会福祉協議会等の外部機関につなぎ、支援策を検討してまいります。
次に、福井県国公立高校生等奨学給付金について、非課税世帯とは言えないまでも低所得の世帯に拡大できないのか、また、親の病気など生徒の努力ではどうしようもない事情を考慮すべきではないかとのお尋ねに対しまして、一括してお答えさせていただきます。
高校生等への奨学給付金は、家庭の経済状況にかかわらず安心して教育が受けられるよう、国の3分の1の補助を受けて全国一律の基準で支給しております。他県でも収入額などの客観的基準で支給しており、支給対象の拡大や特別な事情への配慮など、県単独での基準の緩和は難しいところでございます。ただ、令和2年度からは、コロナや諸事情により家計が急変し、非課税世帯相当まで収入が減少した家庭に対しましても支援を行っておりますほか、特に負担の大きい新入生に対しては、一部給付の前倒しも行っております。
また、福井県きぼう応援奨学金や福井県高等学校定時制課程および通信制課程奨学奨励金は、非課税世帯以外の低所得世帯も対象としております。さらに、病気によりましては福祉サービスや医療費助成が受けられる場合もありますので、スクールソーシャルワーカーからこうした制度を紹介するなどして、困っている生徒一人一人に対応してまいりたいと考えております。
最後に、修学奨励金の利用しやすいような改善及び教科書給与事業の復活についてのお尋ねでございます。
生徒が利用しやすいように、修学奨励金の申請時期を複数回設けることや保証人の在り方については、今後、全国の状況を踏まえて制度の見直しに向けて検討してまいります。また、平成26年度に新しくつくられた福井県高校生等奨学給付金制度の中には、以前の教科書代も含まれておりますことから、この給付金制度の利用を促してまいります。
11 ◯議長(
鈴木宏紀君) 山浦君。
12 ◯10番(
山浦光一郎君) 前向きな御回答ありがとうございます。1点だけ、先ほど教育長がおっしゃっていた、難病を抱えられている親御さんの家庭の高校生奨学給付金のことについて、客観的な国の基準で決まっているということで、難しいところもあるというお話でしたけれども、少なくとも難病でどれくらいの医療費を支出せざるを得ないかというのは、医療費の金額ということは客観的に分かるはずだというふうに思いますし、そういった声を地方から上げていくことも重要ではないかというふうに思いますので、そのことについても引き続き御検討いただければありがたいということを最後申し上げまして、私の
一般質問を終わらせていただきます。
13 ◯議長(
鈴木宏紀君) 以上で、山浦君の質問は終了いたしました。
鈴木宏治君。
なお、
鈴木宏治君より、資料を使用したい旨の申出があり、これを許可いたしましたので御了承願います。
〔
鈴木宏治君登壇〕
14 ◯18番(
鈴木宏治君) おはようございます。無所属の
鈴木宏治です。今日の質問は、前半でいつも取り上げている障がい者福祉について、そして、後半では災害対策についてお聞きしてまいります。
早速入ります。障がい者福祉についてです。
つい先日まで、パラリンピックが行われました。NHKがずっと放送していまして、私も20年近くにわたって障がい者スポーツに関わってきましたが、これだけ一般の人が障がい者のスポーツを見たのは史上初めてのことだと思います。我が家でも水泳を見ていた3歳の息子が、「この人、手がないのに泳げるんだ」と不思議そうにしていました。世の中には手がない人、足がない人もたくさんいて、でも努力によって私たちよりも高い能力を持てるんだということを知ってくれたようです。口でどんなことを教えるより、いい教育になったと喜んでいます。
福井県では、3年前に全国障害者スポーツ大会が行われました。私たちは、全国大会が終わるとスポーツ熱が冷めてしまうことを危惧していました。ただ、パラリンピックの効果もあったと思いますし、県も熱が冷めないようにサポートをしてくれています。全国障害者スポーツ大会、パラリンピックが終わって、そういう意味ではここからが定着するかどうか正念場と感じます。
県として障がい者スポーツに今後どのように取り組んでいくのか、特に、そういうトップレベルではない、例えば重い障がい者向けの簡単なスポーツも必要なので、これをどのようにしていくのか、考えをお聞きいたします。
今、重い障がいという話をしましたが、私はいつも、障がい者を軽い障がいと重い障がいというふうに分けて考えるようにしています。軽い障がい者について、国が力を入れているのは働くということです。特に、福祉就労ではなくて一般企業に障がい者枠で就職してもらう、一般就労と言いますけれども、こちらに力点を置くようになってきました。
44人以上の社員を雇用する企業には、1人の障がい者を雇用する法的な義務があります。これが87人になると障がい者2人というふうに増えていきます。福井県には、障がい者の雇用義務がある企業が740社。ところが、実際に雇用できているのは440社にすぎません。残りの300社は、例えば罰金を払って済ませているというのが現状であります。
国は、障がい者の雇用を進めるために、特例子会社という制度をつくりました。大企業になれば何十人、何百人の障がい者を雇用しなければなりませんが、これをまとめて雇用するというのが特例子会社です。全国でどんどん設立されているんですが、福井県内には1社しかありません。特に大都市の急成長している企業、例えばIT関係とか、そういった企業には非常に使いやすい制度でありまして、これを福井県に誘致することができれば、県内の障がい者が何十人も雇用されることになります。県は大阪事務所とか名古屋事務所とか、京都事務所とか、いろいろ出先機関を設置して、観光のアピール、企業誘致というのを進めておられます。
障がい者雇用の特例子会社も同様に積極的に誘致すべきと考えます。見解をお尋ねします。
次に、特に重い障がい者については生活の場を確保することが大事です。重度障がい者のグループホームについては、先日も松田議員や渡辺議員と施設を見学するなど、取り組んでいます。実現するまで誰かがしつこく質問し続けていこうという話をしております。
行政の側も、福祉法人に対して働きかけをしてくださっています。私も個別に話を聞きますと、様々な課題はあるがグループホームを設置したいと、少なくとも三つほどの法人から前向きな声をもらっています。現段階でも県内で数十人程度、重度障がい者用グループホームの需要があると聞いています。さらに今後、医療的ケアが必要な重い障がい者の数は増えていきます。
少し解説をしますと、それは医療の進歩によります。例えば超未熟児で生まれてきた赤ちゃん、1,000グラム以下で生まれてしまうと昔はなかなか生きられませんでした。今はNICUという設備が発達してきて、生きることができるようにどんどんなってきています。ただし、幾つかのケースで非常に重い障がいを負ってしまうということがあります。ですから、決して悪いことではないのですが、これを社会全体で支えていく仕組みが必要であります。
意欲を持っている福祉法人に対してサポートをしながら、グループホームの設置を促していくべきです。現段階で福祉法人側の準備状況とか、利用者の側の需要を踏まえて、いつ頃をめどに開設できるというふうに計画されているのか、これはぜひ知事の考えをお聞きしたいと思います。
県は、福祉施設でクラスターが起きたときに備えて感染症対策チームをつくりました。福祉施設で新型コロナのクラスターが起きますと、職員が感染してしまって勤務できなくなったり、感染はしなくても家族や周囲の目に耐えられなくなって辞めてしまうということが多々あります。こういった際に、ほかの福祉施設の職員が応援に駆けつけるという仕組みであります。苦しいときに共に助け合う、大事なことだと認識しています。
先日、その委嘱式がありまして、高齢者施設、障がい者施設、子育て支援の施設を含めまして57名がメンバーとして登録されました。実際に県内の高齢者施設でクラスターが起きていますので、研修ではその事態に対処した人たちが話をしてくれました。ウイルスの怖さ、特に見えない怖さというのを肌で感じて、参加者が皆緊張しているのが伝わってきました。
ところで、登録はされたといっても、実際にどのタイミングでチームを派遣するのかというのは難しい問題です。1人の感染で動くのか、数人出てからになるのか、またその施設からの依頼があって派遣されるのか、県が決定できるのか、誰がどのような基準で派遣を決断するのか、認識をお伺いいたします。
一旦ここで質問を区切ります。パラリンピック、新型コロナなど、障がい者福祉を取り巻く環境は激しく動いております。県の姿勢を示していただきたいと思います。
15 ◯議長(
鈴木宏紀君) 知事杉本君。
〔知事
杉本達治君登壇〕
16 ◯知事(
杉本達治君)
鈴木宏治議員の
一般質問にお答えを申し上げます。
私からは、重度障がい者用グループホームの開設について、お答えを申し上げます。
医療的ケアが必要な重度障がい者のグループホームにつきましては、保護者からもこれまでも必要性についての要請が強いということもございまして、令和元年度から事業者に対して開設の働きかけを県としても行ってきているところでございます。この結果、今年度に入りまして、坂井地区と福井地区におきまして三つの事業所が開設の意向を示していただきました。そのうち二つの法人につきましては、看護師さんの人材の確保ですとか、医療機関との連携につきまして具体的な検討を始めているという状況でございます。
ただ、実際には、例えば資金計画をどうするかとか、それから具体的に看護師さん等を雇わなければいけない、こういうこともあるものですから、現実にはその事業者さんは、今のところ5年後の令和8年に開設したいという意向を示しているところでございます。
御指摘もいただきましたけれども、県内にはこうした医療的ケアが必要な重度の障がい者の方が80名いらっしゃる状況でございまして、グループホームについても、その中でも多くの方が必要性をおっしゃられているというような状況にあるわけでございまして、開設の時期を1年でも2年でも早められないかということで、まずは国のほうにも報酬の引上げを行っていただく必要があると思っておりますし、また、県といたしましても、必要な財政的な支援を含めて最大限の支援をこれから行いながら、早期の開設を目指していきたいというふうに考えております。
17 ◯議長(
鈴木宏紀君) 交流文化部長白嵜君。
〔交流文化部長白嵜 淳君登壇〕
18
◯交流文化部長(白嵜 淳君) 私からは1点、障がい者スポーツの振興について、お答えいたします。
今年の夏に開催された東京2020パラリンピック、視覚障がい女子マラソンでは、日本選手団最年長として西島美保子選手が8位に入賞し、諦めずに最後まで走り抜く姿は県民に大きな感動と希望を与えてくれました。議員御指摘のとおり、こうした熱が冷めないうちに取組を進めていきたいと考えております。
具体的には、障がい者スポーツの振興につきましては、ソフトバレー、フライングディスク、ボッチャなど、障がいの程度にかかわらず楽しむことができる様々なスポーツ体験教室、これを令和2年度実績で年間295回、延べ3,000人以上の方に参加していただき、開催しております。御指摘のあった障がいの重い方の楽しめる競技としては、例えばボッチャについて年間74回、808名の方に参加をいただくような形で、障がいのある方を対象とした裾野拡大を図っているところでございます。
また、障がいへの理解や社会参加の促進を図っていくことを目的といたしまして、小中学校におきまして、車いすバスケやボッチャなど、障がい者が教え役となって一緒にスポーツを楽しむ出前講座を昨年度は53校で開催いたしました。今後も、障がいの有無にかかわらず気軽にスポーツを楽しむ機会を提供するとともに、障がいへの理解や社会参加の促進を図ってまいりたいと考えております。
19 ◯議長(
鈴木宏紀君) 健康福祉部長窪田君。
〔健康福祉部長
窪田裕行君登壇〕
20
◯健康福祉部長(
窪田裕行君) 福祉施設感染症対策チームについてのお尋ねをいただきました。
このチームは、これまで県内の施設で集団感染事例が幾つかございました、これを踏まえまして、既に体制が整っています。職員不足に対する応援体制に加えまして、初動時から混乱する施設の現場におきまして、入所者のケアでございますとか施設運営を支援する体制が必要と考えまして、県内施設の皆様の御協力をいただいて設けたものでございます。鈴木議員にも御登録いただきましてありがとうございます。
チームの派遣につきましては、まず、施設の職員や利用者に複数の感染者が出た、これは施設内での感染が疑われますので、そういったケースにおきまして、次の三つの判断基準を設けております。まず、職員の不足により入所者の介護や看護に支障が生じている場合、それから、リーダー級の職員の方が不在になって施設運営に支障が生じている場合、それから、県のクラスター対策班が御指導申し上げるわけですが、その場合の感染対策が職員の経験不足等によりまして定着しにくい場合、こういうケースを考えております。
派遣の判断は現場の感染対策を指導しています県のクラスター対策班、それから保健所と協議をした上で、施設の御意向も伺った上で、県で派遣について判断をいたします。
21 ◯議長(
鈴木宏紀君) 産業労働部長吉川君。
〔産業労働部長
吉川幸文君登壇〕
22
◯産業労働部長(
吉川幸文君) 私から1点、障がい者雇用の特例子会社の誘致について、お答えをいたします。
障がい者の雇用につきましては、今年3月に法定雇用率が2.2%から2.3%に引き上げられましたことから、親会社の雇用率に算入できます特例子会社制度は、障がい者雇用を促進する上で有効であるというふうに考えております。一方で、特例子会社の設立に当たりましては、障がい者の方々に行ってもらう業務の切り分けが難しいとか、追加的な費用がかかるとか多くの課題がございまして、中小企業や製造業が多い本県では設立がなかなか進んでいない状況にございます。
県としまして、障がい者の方々にとりましても就業選択の幅が広がり、意欲を持って働く場が増えることは重要であると考えておりまして、今後は、県外事務所とも協力しまして、障がい者雇用に成功している企業を訪問するなど好事例の情報収集ですとか、障がい者雇用に意欲的な企業の誘致に努めてまいりたいというふうに考えております。
23 ◯議長(
鈴木宏紀君)
鈴木宏治君。
24 ◯18番(
鈴木宏治君) それでは、ここからは災害対策に入ります。
相変わらず気候変動によって天気が極端に変わるようになっています。福井県でも、今年の1月には大雪がありましたし、この夏も7月下旬には福井市西部から越前町にかけて大雨があって、川が氾濫して被害が出ました。(資料掲示)これは、友人が撮影した被害の状況であります。私が特に驚いたのは、当日の福井の天気予報は曇りだったことであります。新聞もネットの天気予報も雨の確率は30%前後でありました。それであの大雨になったものですから、もう心の準備をする間もなく大雨に襲われた人も多かったと思います。
また、8月中旬には福井市東部から永平寺町にかけて大雨がありまして、災害というまでには至りませんでしたが、避難指示が出て、非常に肝を冷やしました。こうまで次々に被害が起きますと、復旧や改修もなかなか追いつきませんが、次の大雨が来る前にしっかり対応していただきたいと思います。
まずは7月に決壊した志津川について、復旧工事の進み具合と、それから今後の改修の見通しを伺います。
今ほどは志津川決壊の写真を出しましたけれども、私個人としては8月中旬の大雨の方が恐怖を感じました。我が鈴木家は、福井市東部を流れる荒川という川の隣にあります。その名前のとおり昔から荒れる川でありまして、何度も氾濫を繰り返していたようです。一方で、大変肥沃な土を運んでくる川でもありまして、昔から川の近くにどんどん人が住み着いてきました。我が鈴木一族も室町時代にあの辺に住み着いたと記録に残っています。
いつも大雨が降ると、2階から川を見下ろして水位を確認します。(資料掲示)これが今回2階から撮った写真であります。あの平成16年の福井豪雨のときは、これはもう駄目だと直感しました。今回の大雨はそれ以降で最も危険だと感じたほどの水位でした。今回の大雨から救ってくれたのは上流にある遊水地です。福井豪雨災害の後急速に工事が進みました。計画では今後、中流辺りにもう一つ遊水地を造ることになっています。そこまでいけば、私ももう2階から川を見下ろすこともなくなるんだろうと、少し枕を高くして寝られるのかなというふうに期待もしています。
いつ頃をめどに次の遊水地の計画に取りかかっていくのか、今後の計画をお聞きいたします。
山際に大雨が降りますと、土砂崩れや鉄砲水が起きます。特に住宅の近くでは生命や財産に危険が及びますので、県は危険なところの砂防事業を計画的に行ってきました。先日の代表質問においても、イエローゾーン、レッドゾーンがそれぞれ約1万か所ずつあって、地元の理解を得たところから工事を進めていると答弁がありました。
ただし、砂防事業を行うためには所有者の承諾が必要です。承諾が得られなくて砂防事業が途中で止まってしまうケースがあります。(資料掲示)この写真が所有者の切れ目であります。工事がこれ以上進まなくなっています。
所有者の理解が得られずに砂防事業が中断してしまうケースがどれくらいあるのか、これに対して県は事業を止めてしまうのか、説得を続けていくのか、県としての考え方をお聞きしたいと思います。
さて、前半の障がい者福祉にも通じるのですが、災害が起きると避難所がつくられます。この避難所は、以前は主に公民館が当てられていましたが、新型コロナもあってより広い場所が必要だということで、現在は主に小学校が避難所に指定されています。広いのはいいのですが、ここで大きな問題があって、小学校ではトイレが使いにくいんです。障がい者用、あるいは多目的トイレが整備されている小学校はほとんどないというのが実情です。地区の公民館だと大概のところには障がい者用トイレがありますので、避難所が小学校に変更されたことによって、障がい者とか、やや体が不自由な高齢者はむしろ避難しにくくなってしまいました。
近年ではインクルージョンとかダイバーシティとか言われまして、障がい児も一般の学校で可能な限り一緒に勉強してもらおうと、少しずつそのようになってきています。
小学校に障がい者用トイレを造るのはその第一歩にもなります。資金の問題はありますけれども、県が音頭を取って実態を調査して進めていくべき課題だと考えます。知事の考え方をお聞きしたいと思います。
以上です。答弁に満足できない点があれば再質問しますが、一旦ここで終わります。
ありがとうございました。
25 ◯議長(
鈴木宏紀君) 知事杉本君。
〔知事
杉本達治君登壇〕
26 ◯知事(
杉本達治君) 私からは、小学校の障がい者用トイレ整備の進め方について、お答えを申し上げます。
県内の小学校におけます車椅子使用者用のトイレにつきましては、昨年5月現在ですけれども、校舎の中では50%、それから体育館の中では26%の整備率という状況になっているところでございます。
こうした公立学校施設のバリアフリー化につきましては国庫補助がございまして、これは今年度から3分の1の補助率が2分の1に引き上げられるということがございましたので、県教委も市教委に対して、今年の1月にこうした施設の整備を促進するようにということの声がけもさせていただいているところでございます。
多くの場合は、児童や生徒の中にそういった施設が必要な子どもが入ってくるときに整備をしていくというような状況になっているということを聞いておりますけれども、ただ一方で、今おっしゃったように、これから災害があったときの避難の施設になっていくわけですので、そういう意味ではこれからこういった所に身障者用のトイレを造っていくというのは重要だというふうに認識をいたしております。
そういうことで、学校施設のバリアフリー化につきまして、これから県としてはまず県有施設について進めていく、また市町に対してもそういった施設の整備促進を図るように声がけをしていきたいと考えているところでございます。
27 ◯議長(
鈴木宏紀君) 土木部長西出君。
〔土木部長西出俊亮君登壇〕
28
◯土木部長(西出俊亮君) 私からは災害対策につきまして3点、お答えいたします。
決壊した志津川の復旧工事の進捗状況と、今後の改修見通しについてのお尋ねでございます。
志津川につきましては、堤防決壊直後に大型土のう積みによる応急復旧工事に着手し、翌日の夕方までに完了し、当面の安全性を確保したところでございます。本復旧工事を行うに当たりましては、再び氾濫することがないように、決壊箇所とその下流約1.4キロメートルの区間におきまして、堤防のかさ上げ、そして掘削などにより川の断面を広げ、流下能力を上げることとしており、本議会に必要な工事の予算を提出しているところでございます。
今後、国の災害査定など必要な手続を経て、今年度内に復旧工事に着手し、早期完成に努めてまいります。
続きまして、荒川の次の遊水地の整備時期についてのお尋ねでございます。
荒川の河川整備計画における中流部の対策としましては、遊水地の整備や、東今泉町から重立町の区間において、川幅を広げ、川底を掘り下げることとしております。現在は、このうち最も流下能力が小さい重立町におきまして、地域の方々の協力を得ながら用地交渉を進めてきており、取得できた箇所から順次工事を行っております。
また、中流部の原目町の区間で部分的に堤防が低い箇所のかさ上げにつきましても、今年度から工事を行っていくこととしております。中流部の残る区間の対策につきましては、重立町の区間の整備が完了した後に進めることとしておりまして、今後、遊水地や河道整備の効果的な整備方法を検討してまいります。
続きまして、所有者の理解が得られず砂防事業が中断した件数と、県の考え方についての御質問でございます。
急傾斜地崩壊対策事業を含む砂防事業につきまして、昨年度までの過去10年間に着手した77か所のうち、所有者の理解が得られないことによって中断、いわゆる休止した箇所は4か所でございます。県は、地元地区や市町などの協力も得ながら、所有者に対し事業の必要性等を繰り返し説明するなど理解に努めておりますけれども、必要な用地の確保ができない場合には、やむなく事業を休止することとなります。休止した後も、地元や市町と対応を協議しながら、課題が解決された段階で事業を再開できるよう努めてまいります。
29 ◯議長(
鈴木宏紀君)
鈴木宏治君。
30 ◯18番(
鈴木宏治君) ありがとうございました。
少しだけ時間が残っているようですので、再質問をしたいと思います。先ほどは、答弁に満足がいかなかったら再質問しますという言い方をしたんですが、実は思ったより明確に答えてくださった件が多かったので、別に不満を持って立ったというわけではございません。
ただ、1点だけ、障がい者雇用の特例子会社についてなんですけれども、多分、特例子会社といわれても、そもそも何なのかよく分からないという方が多いと思います。ただ、障がい者を雇用するための起爆剤になるような非常にいい制度だと私は思っていますので、ぜひ今後、特に障がい福祉関係ではなくて、産業労働部の関係ということでありますので、いろいろと一緒に勉強していけたらと思います。
もし何か答弁あれば、産業労働部長、お願いします。
31 ◯議長(
鈴木宏紀君) 産業労働部長吉川君。
〔産業労働部長
吉川幸文君登壇〕
32
◯産業労働部長(
吉川幸文君) 特例子会社制度、これについては県内企業もまだ知らない方も結構多いと思いますので、法定雇用率が上がったこの機会にその周知を図るべく、いろいろ研修会とか講習会を開いて、県内企業に勧めていきたいというふうに考えております。
33 ◯議長(
鈴木宏紀君) 以上で、
鈴木宏治君の質問は終了いたしました。
ここで休憩いたします。
午前11時02分 休 憩
━━━━━━━━━━━━━━━
午前11時07分 再 開
会議に出席した議員(35名)
1番 野 田 哲 生 20番 島 田 欽 一
2番 渡 辺 大 輔 21番 西 本 正 俊
3番 松 崎 雄 城 22番 大 森 哲 男
4番 山 本 建 23番 小 寺 惣 吉
5番 細 川 かをり 24番 鈴 木 宏 紀
6番 北 川 博 規 25番 畑 孝 幸
7番 西 本 恵 一 26番 笹 岡 一 彦
8番 兼 井 大 27番 欠 員
9番 田 中 三津彦 28番 佐 藤 正 雄
10番 山 浦 光一郎 29番 斉 藤 新 緑
11番 力 野 豊 30番 田 中 敏 幸
12番 清 水 智 信 31番 田 中 宏 典
13番 長 田 光 広 32番 仲 倉 典 克
14番 小 堀 友 廣 33番 松 田 泰 典
15番 欠 員 34番 山 岸 猛 夫
16番 辻 一 憲 35番 関 孝 治
17番 西 畑 知佐代 36番 山 本 芳 男
18番 鈴 木 宏 治 37番 山 本 文 雄
19番 宮 本 俊
━━━━━━━━━━━━━━━
34 ◯議長(
鈴木宏紀君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
辻君。
なお、辻君より、資料を使用したい旨の申出があり、これを許可いたしましたので御了承願います。
〔辻 一憲君登壇〕
35 ◯16番(辻 一憲君) 民主・みらいの辻です。通告に従い、質問を進めてまいります。
まず、質問の第一は天然記念物カモシカ保護と対応についてです。
越前市の市街地の妙法寺山周辺に生息する天然記念物であるカモシカが、地域の住宅地や企業の駐車場に頻繁に出没していると聞きました。県担当課に調査・生息状況を確認したところ、配付資料にあるとおり、定期的に保護地域特別調査を県境の山地で実施しており、毎年の通常調査における定点調査では、令和2年は県内で7頭、越前市ではゼロということでした。
自然動物に詳しい別の課の関係者が同行してくれ、現場に出向き企業の担当者から話を伺いました。携帯電話に収録されていた写真、動画も見せていただき、カモシカということは確認できました。カモシカは豊かな自然の証拠でもあります。カモシカを発見した場合どうすればいいのか、触れてはいけないのか、危害を与えないのか、地域住民や従業員の車両にカモシカが急に飛び出し事故が起きてしまわないのか、クマと見間違えての通報もあるのではないか、捕獲はせずに豊かな自然と共生する方法はないのかなどなど、不安は尽きず困っていました。
カモシカに関する情報が不足しているので、どんな特徴か、発見したり、もし事故が発生してしまった場合の対応や連絡先など、情報を県がまとめて県民に周知することを提言したいと思います。また、県境ではない越前市の市街地周辺に生息している以上、保護の取組を進めていくためにも県内の市街地周辺での生息調査を提言します。
この提言への見解と、カモシカの特徴や発見・事故の場合の対応に関する情報について、県の周知、妙法寺山周辺におけるカモシカ保護、地域社会との共存に向けた方策について伺います。
質問の第二は、年縞博物館の誘客と研究についてです。
7万年分、45メートルの世界一の長さを誇る水月湖年縞は、年代測定における世界標準の物差しとして評価されています。年縞博物館で今実施中のマヤの年縞特別展を見ました。平成30年9月15日に開館した時期にも見学いたしましたが、それからちょうど3年、一見地味な展示物ですが、様々な工夫により入館者数は令和元年度は5万5,000人、今年3月には第2回日本博物館協会賞も受賞しました。ナビゲーターの案内や、研究者によるガイドツアーなどの充実はもちろんのこと、特別企画展やイベント、企画も誘客上重要と思います。そのためには、年縞についての様々な研究や企画実施の推進体制の充実が必要です。
年縞博物館の入館状況や傾向を伺うとともに、様々な年縞の研究に関して、これまでの県の実績と今後の方針について伺います。
質問の第三は、外国籍児童など教育についてです。
この夏休み、外国籍児童の教育について、人数が県内で一番多い越前市の複数の学校の状況をお聞きしました。外国籍児童含め、外国につながる児童が一番多い小学校は100人超で全体の3割程度を占めています。複数の小中学校では数十人の外国籍児童が在籍しています。日本語指導が必要な児童については30名を超える学校もあります。どの学校も支援員や日本語指導員、アクセスワーカー──通訳ですが、その増員、保護者対応の体制強化を求めていました。また、特別支援が必要な外国籍児童も増えており、言葉の面も含めた特別支援教室の体制強化も課題となっていました。
各学年に副担任を配置するのも一手です。こうしたニーズや課題に母国語教育も含め、どう対応していくか、県が大きな方針を出し、市町の協力もいただきながら、外国籍児童がしっかりと学び、成長していく教育環境づくりが必要です。「多様性を認めることから、一緒に何かをやっていくこと。県の方針が重要」、「自立に向けてどう支援するか」という指摘もありました。
外国籍児童の教育の方向性、学校における指導体制の充実や共生社会づくりに向けた取組について県の方針を伺います。
特別支援学校は、県内では視覚、聴覚、肢体不自由、病弱、知的、総合など計11校設置されています。状況や課題についてですが、生徒への教職員配置は比較的厚い中で正規化、調理員や寄宿舎職員の増員や正規化の要望がありました。施設・設備面ではリフレッシュ、エアコン、スクールバスなどの課題がありました。これらの課題、要望は担当課に伝えておりますので、改善、対応をお願いしたいと思います。
地域化、総合型という方針の中で、新しく設置された南越・奥越特別支援学校は総合型で、寄宿舎はなく、宿泊体験棟が設置されていました。驚いたのは、南越特別支援学校は高等部の生徒が激増しているということで、特別室を教室に
切り替えて、結果的に特別室が少なくなっていました。
本県の特別支援学校の生徒数の状況や今後の増減見込み、特別支援学校の今後の方向性や抱える課題を伺います。
質問の第四は、重度障がい児・者入所調整と入浴支援です。
障がい福祉が措置からサービス選択・利用という仕組みに変わりましたが、本人や家庭などの状況から施設入所が望ましいが進まないケースがあります。
入所に向けては二つの方法があります。一つは入所調整会議による入所調整です。今春、ある重度の障がい者の方に関する入所調整会議が開催されましたが、市町側が依頼して2か月以上経過した中で開催され、具体的に入所調整の議論にならなかったと聞きました。もう一つの方法は措置によるものです。
一つのデータを紹介します。相談支援センター「ゆい」の契約者調べでは、障がい児・者が一人となり周囲からの支援も期待できないおそれがある者は、18歳未満は20名、18歳以上は70名で、そのうち行動障がいはそれぞれ15名、31名、強度の方は3名、16名もいるのが現状であり、こうした方々の受入れ環境づくりが待ったなしです。県の強い方針提示と民間の御努力とさらなる行政支援により、重度の障がい児・者の方々の入所が進んでいくことを求めつつ、入所調整会議の適切な運用と判断、児童相談所や市町の判断や努力も求められます。
入所調整会議の目的、開催手続、調整のプロセス、過去開催回数、調整・入所に至った件数、今回決まらなかった理由、課題を伺います。
あわせて、児童相談所が措置による入所の判断を行うのはどのような場合か、過去の実績も含めて伺います。
重度心身障がい児・者の入浴の課題と加算措置の要望について、令和元年12月議会で取り上げました。全県的に言えるのですが、強度行動障がいなども含め重度の障がい児・者向けの入浴サービスを行う事業者はニーズに対してまだ不足している状況であり、週に2度しか入浴できない方も多い状況です。障がい児・者通所施設の特殊浴室整備への支援、人件費支援に対する要望がありますので、改めて県としても受け止めていただくようお願いをいたします。
こうした中で、介護サービスを行っている越前市社会福祉協議会は共生型生活介護サービスの認可を受けました。障がい福祉サービスも提供できるようになりましたが、障がい支援区分5以上の場合、入浴サービス1回当たりの報酬が生活介護だと1万2,910円に対して共生型生活介護では6,930円と差がある状況で、これらの支援が必要と考えます。
重度の障がい児・者の入浴頻度を増やすことが必要であり、そのためには人件費支援、加算措置支援を改めて要望しますが、知事に所見を伺います。
質問の第五は、難病患者・要支援者の広域避難についてです。
代表質問で福祉施設の広域避難計画の調査と原子力防災訓練への反映について、対象となる施設が533か所で書面、電話による調査が終了し、受入れ施設を中心に実地調査を進めていると答弁がありました。アンケート調査から分かったこととしてスペース、同行できる職員についての状況、課題として避難者の介護情報の共有を挙げていました。
アンケートでは、車両、資機材について使用・提供可能数量を聞いておりますが、避難側と受入れ側のマッチング、不足数量の把握と調達について、今後の進め方を伺います。
この二、三年、重度心身障がい児・者やALSの方々の課題を取り上げてきましたが、避難への不安、課題について改めてお話を伺いました。30キロ圏内の嶺南の方々にもお聞きしました。
人工呼吸器を装着したり、気管切開している在宅の指定難病、小児慢性特定疾病の方々については、保健所が個別避難計画に当たる災害時個別対応マニュアルを作成しています。さて、このマニュアルでは、風水害の場合の入院・避難の第1選択肢、第2選択肢の記入欄があります。原発事故時の入院・避難の記入欄はありません。配付資料に示しておりますが、県内にこのマニュアルの作成対象がどの程度いるかは指定難病が40人、小児のほうが37人という状況です。
昨年、病院入院患者の広域避難を取り上げましたが、発災時に既に入院している方々はマッチングされている避難先の病院に避難しますが、発災時に入院していない在宅の方々は病院への入院、避難先の病院に避難できないのではないか、こうした懸念があります。
原発事故時において、在宅の人工呼吸器を装着したり気管切開した方々はどこに入院、一時避難し、広域避難はどこにするのか、知事に伺います。
福島原発事故時に、4月末から5月頭にかけ南相馬市に協力に入った福井県内の福祉関係者の話を伺いました。南相馬市は立入禁止区域の20キロ以内、20キロから30キロの緊急時避難準備区域及び30キロ圏外に分かれました。避難所に障がい者の方々の姿が見られず、まだ御自宅に残っている可能性が疑われていました。当時の南相馬市長は、障がい者手帳等の所持者の情報開示をしたので、その情報を基に福祉関係者の方々が──先ほどの福井から協力に入った方もそうですが、御自宅に伺いました。視覚障がいの母と自閉症の子ども、子どもがパニックを起こしてしまう御家族、心臓や腎臓などの内部障がいがある方、てんかん症状がある方など、様々な方々が御自宅に残っていました。医療、病院が機能していないため診察を受けられず、薬もなくなり、食料、水、おむつなどがほとんど切れている状況を見て愕然としたとのことです。
地元福祉関係者の分析によると、屋内退避ではなく、障がいがあり避難所では生活できないという理由で自宅に残らざるを得なかった方々、戻らざるを得なかった方々は3割、4割に上ります。こうした状況とならないために広域避難の実効性向上に取り組んでいるわけですが、福島原発事故時に起こったことは知っておく必要があります。
現在再稼働している美浜、おおい、高浜原発から30キロ圏内の全ての障がい者、療育手帳をお持ちの在宅障がい児・者は要支援者として把握されているのか、一般の住民と同じ避難所に避難することになるのか、課題も含めて伺います。
安定ヨウ素剤は、PAZ──5キロ圏内では事前に医師の処方、配布されておりますが、UPZ──30キロ圏内では、避難するときに保管場所でもある避難の際の集合場所になっている公民館や小学校で医師の処方を受け、安定ヨウ素剤を受け取り、服用することになっています。障がい者とその家族は、災害時の混乱でスムーズに集合場所に集まり服用できるかは難しさがあると感じます。それは、実は御高齢の方々や子どもたちも同じ状況かと思います。
安定ヨウ素剤の服用不適は、ヨウ素に対して過敏症の既往歴のある方、ほかの薬との飲み合わせであります。
一般の方々と同じ避難行動を取るのが難しい要支援者とその家族には、現在市町が作成している個別避難計画と関連させ、事前に医師の処方と安定ヨウ素剤の配布を提言しますが、所見を伺います。
最後、その他として新型コロナウイルス対策についてです。
新型コロナウイルス対策は今も様々な課題が発生し、対応が迫られています。大規模企業クラスターの発生によって、改めて風評被害の問題が浮き彫りとなっていますが、知事は、県として重く受け止め、助言、周知を行っていくとのことでした。医療提供体制の充実、若い世代へのワクチン接種の推進も含め、引き続きの取組を求めたいと思います。
開発が進んでいる経口薬の早期の普及が期待されますが、現在、全国的に注目されているのが抗体カクテル療法です。東京都は9日に分析を発表しました。それによると、投与から2週間経過した患者で95%に効果があり、半数超が投与から3日以内に改善したというものです。本県の医療機関でも既に使用されています。
抗体カクテル療法について、県内の医療機関でいつから何人の患者に投与されて、その効果、分析を伺うとともに、薬剤の確保・流通への課題、医療機関での使用は今後拡大していくのか伺います。
以上です。
36 ◯議長(
鈴木宏紀君) 知事杉本君。
〔知事
杉本達治君登壇〕
37 ◯知事(
杉本達治君) 辻議員の
一般質問にお答えを申し上げます。
まず、重度障がい児・者の入浴支援について、お答えを申し上げます。
重度の障がい者の方の入浴支援につきましては、入浴サービスを国の報酬の加算の対象にしていただくというのが、やはり根本的に重要なことだというふうに考えておりまして、昨年度から本県におきましても国に対して強く求めているところでございます。
現状で申し上げますと、県内に24か所入浴サービスができるところがありまして、2年前に比べまして5か所増えているということで、少しずつ増えているわけですけれども、施設に伺いましても、こうした報酬の加算がなければこれ以上広げていくのは難しいといったようなお話も伺っているところでございますので、国に対して強く求めていきたいと思っております。
県として何かできないかということでございますけれども、重症の心身障がい者向けの制度として、看護師の確保に向けての補助、助成というのを行っております。この中で人件費の支援なども県独自で行っておりますので、こういった制度の枠の中で、何かこういった入浴サービスを拡充できるようなことがないか、もう一度考えてみたいというふうにも考えているところでございます。
続きまして、原発事故時の在宅の人工呼吸器装着などの難病患者の避難について、お答えを申し上げます。
原発災害が発生したときには、難病などによりまして人工呼吸器をつけている在宅の方、ほかにも在宅の要支援者という方がいらっしゃるわけでございまして、こういった方につきましては、県のほうの広域避難計画要綱の中で、例えばPAZ内の方であれば福祉避難所に移っていただく、それからUPZ内であれば一般の避難所に移っていただくということが、まず定められているわけでございます。
さらに、健康状態が危ないというような状況が見受けられる場合には、災害時の個別対応のマニュアルに従いまして、事前に決められている病院へ移っていただく、移送するということになるわけでございまして、この病院が今度はPAZだったり、UPZの中にあるということであれば、県の災害対策本部におきまして、災害拠点病院等と調整を行いまして、適切な病院に移っていただくということを担っているところでございます。
また、この避難所から病院間の移送につきましては、県のほうで福祉車両を用意して移っていただくということですので、こうしたことの体制が整っているということでございます。こういったことをお知りでない方もいらっしゃるかもしれませんので、これから健康福祉センター、こういったところから対象者の方には十分に御説明をさせていただきたいと考えているところでございます。
そのほかにつきましては、担当より御答弁申し上げます。
38 ◯議長(
鈴木宏紀君) 安全環境部長野路君。
〔安全環境部長野路博之君登壇〕
39
◯安全環境部長(野路博之君) 私からは2点、お答え申し上げます。
まず1点目でございますが、年縞博物館の入館状況と年縞研究の実績と方針について、お答え申し上げます。
年縞博物館は、今月15日で開館3周年を迎えまして、これまで約14万3,000人の方に来館いただいております。昨年、今年と新型コロナによる影響がございまして、一般の来客の方は開館後1年間に比べ減少しているところでございますが、修学旅行を含みます教育旅行は年々増加しておりまして、これまで313校、約1万7,000人の児童生徒、学生の方に訪れていただいております。
年縞研究につきましては、これまで立命館大学と共同して年縞に含まれる花粉を抽出する技術を新たに開発いたしまして、花粉の化石で年代を測定する研究を行ってまいりました。また、海外の研究者と年縞に関するシンポジウムを開催するなど、国際的な連携も深めてきたところでございます。今後さらに、年縞の花粉を分析して過去の気温や降水量などの気候変動を明らかにする研究を進めますとともに、例えばイギリスのオックスフォード大学など海外の機関とも協力して研究成果を発信いたしまして、水月湖年縞の価値を一層高めてまいりたいと考えております。
続きまして、在宅の障がい児・者の広域避難につきまして、1点お答え申し上げます。
在宅の障がい児・者のうち、自力歩行が困難など避難時に支援が必要な方につきましては、要支援者として各市町が名簿を作成してございます。原子力災害時には、PAZの要支援者はあらかじめ定めてあります福祉避難所に避難することとなります。また、UPZにつきましては一般の避難所に避難いたしまして、その上で、健康状態ですとか施設の受入れ環境などに応じて福祉避難所やホテルに移動することとなってございます。
要支援者の避難に当たりましては、ベッドや歩行器などの資機材の確保などが必要でありまして、現在、市町において進めております要支援者の個別避難計画の策定の中で必要数量を把握いたしまして、民間協定や国からの支援により、速やかに供給できるよう体制の強化に努めてまいりたいと考えてございます。
40 ◯議長(
鈴木宏紀君) 健康福祉部長窪田君。
〔健康福祉部長
窪田裕行君登壇〕
41
◯健康福祉部長(
窪田裕行君) 私からは5点、お答えを申し上げます。
まず、入所調整会議についての御質問をいただきました。
この入所調整会議と申しますのは、平成15年以前に障がい者福祉施設への入所が行政による措置であった時代に、施設への円滑な入所を図ることを目的として設置されたものでございます。当事者間の契約による入所に変わりました障害者自立支援法の施行以後ですけれども、会議自体が任意設置となっておりまして、また、調整に必要な待機者情報を集約できないなど法的権限がありません。入所調整自体ができないということで、他県におきましてもこの会議自体が廃止されたり、休止されているという状況でございます。
本県におきましては、意見交換の場として残してほしいということで、市町でございますとか施設側から要請がございましたので、現在廃止には至っておりませんが、御指摘のありました、この春、10年ぶりにこの会議を開催いたしました。具体的なケースについての議論を行いましたけれども、今ほど申し上げたような理由によりまして入所調整には至っていないということでございます。
それから、児童相談所が措置による入所の判断はどういうふうにするのかというお尋ねでございます。
障がい児施設への入所は、平成17年に児童福祉法が改正されまして、保護者と施設の間の契約によるということが障がい者と同じように変わっております。
ただし、例外として児童相談所が契約の締結が困難であると判断した場合につきましては、措置入所というものを決定できるとされておりまして、その判断基準が国から3点示されています。一つは保護者が不在の場合です。それから、二つ目は保護者が精神疾患等により判断能力が不十分な場合、三つ目は保護者の虐待により入所が必要な場合でございまして、本県、二つ児童相談所がございますけれども、措置による入所の判断が行われた件数は過去5年間で申し上げますと13件ございます。内訳としましては、保護者の虐待による理由が最も多くて10件、それから保護者が精神疾患等の理由であるものが2件、保護者が不在というのが1件ということになっております。
次に、広域避難に関して、マッチングとか不足数量の把握、調達についての御質問をいただきました。
原子力災害時におけます福祉施設入所者の移動用車両につきましては、避難元の施設に福祉車両が270台、それから県災害対策本部が確保できる福祉車両が約520台、さらにタクシー約850台、これが使用される車両となっておりまして、避難に必要な台数は確保されているというふうに考えております。
また、避難に必要な資機材としましては、車椅子が約4,700台、歩行器2,100台と把握しておりまして、これは避難元からの持込みにより対応が可能であるということでございます。さらに、ベッドの必要数は6,200台と試算しておりますけれども、現在、避難元と避難先で利用可能な分は4,000台ございます。その差になります2,200台につきましては、県が協定しております業者からの調達により確保することとしておりまして、数が十分用意されているかは適宜確認をしております。
それから、現在進めております実地調査におきまして、必要な資機材の変動がないかということで再確認しておりまして、仮に不足する資機材がありました場合には県で調達を進めてまいります。
次に、UPZ内の要支援者の方への安定ヨウ素剤の事前配布についての御質問でございます。
昨年2月に内閣府から新しい考え方が示されておりまして、UPZにおきましても、例えば小さい子どもさんであるとか障がい者の方などに、緊急時に安定ヨウ素剤の迅速な受け取りが困難であると判断されれば事前配布を可能とするというものでございます。
これを受けまして、本県での対応を検討するために各市町の意向を確認しております。配布対象者の範囲とか、対象者の増加に伴う事務の負担とか、情報管理システムの改修等が必要だとか、実施に向けた課題が多く出されておりますけれども、嶺南の市町からはこの課題を解決して、ぜひ事前配布の実施をしたいという意向が示されています。
これを受けまして、県と嶺南の市町でワーキンググループをつくりました。これまで5回、会議等を開催しております。さらに、県の薬剤師会と、いわゆる新たな薬局配布の仕組みの導入について協議を重ねておりまして、大方の事前スキームというのは出来上がってきておりますので、今後はこのスキームに基づきます市町の実施体制とか、システム改修の必要性とか、個別の薬局との調整など具体的な準備に入ろうというふうに考えております。
次に、抗体カクテル療法についてのお尋ねでございます。
抗体カクテル療法には、この7月に承認されました中和抗体薬、ロナプリーブと申しますけれども、これが用いられておりまして、このお薬は現在、入院治療を行う医療機関に限り使用が認められております。
県内では、新型コロナウイルス感染症患者の皆さんの入院を受け入れておられます全ての医療機関でこの薬を使用できる状態になっております。このうち、実績としましては16機関で、昨日夜時点で197人の方に使用した実績がございます。使用した方に対しましては、中等症II──いわゆる酸素を吸入する必要がある中等症ですね──とか重症化への進展がございませんので、これが阻止されているというふうに考えておりまして、コロナの重症化予防には十分な効果があるというふうに考えております。
この薬は大量供給が難しいということで、今、厚生労働省が一括で管理しておりますけれども、現在のところ県内医療機関には安定して供給はされております。今後の感染拡大に備えまして準備しております臨時の医療施設でもこの薬が投与できるように、現在、体制の準備をしております。
42 ◯議長(
鈴木宏紀君) 教育委員会教育長豊北君。
〔教育委員会教育長豊北欽一君登壇〕
43
◯教育委員会教育長(豊北欽一君) 私からは3点、お答えさせていただきます。
まず、市街地周辺での特別天然記念物カモシカの生息調査とカモシカの対応に関する周知、保護、共存に向けた方策についてのお尋ねでございます。
特別天然記念物のカモシカにつきましては、白山と伊吹・比良山地の二つの保護地域を対象に、毎年、通常調査を行っておりますし、また、5年ごとに特別調査を実施しております。生息数は減少傾向にございますが、生息地は山地から里山付近に拡大していると認識しております。また、随時県内各地から死亡個体の報告があり、越前市でも例年5頭程度の死亡が確認されております。
議員御提言の保護地域以外の市街地での生息調査につきましては、死亡報告があった際に、県が委嘱する指導員等による聞き取り調査などを検討してまいりたいと考えております。また、情報の周知につきましては、カモシカの特徴や特性、出没したときの対応方法等に関する情報を県のホームページで発信してまいります。
人の命や身体に対する危害防止の必要性がある場合は、自治体の権限で捕獲、放獣──放獣というのは山に放すことですが、そういうことも可能となっておりまして、地元の猟友会などと協力して保護地域へ戻すなどにより、地域社会との共存を図ってまいりたいと考えております。
次に、外国籍児童の教育、指導体制の充実についてのお尋ねでございます。
本年7月に、外国人児童生徒の日本語指導を担当する教員の資質向上と効果的な指導法の習得を図るため、国から外国人児童生徒等教育アドバイザーをお招きし、オンラインで研修を行いました。当日、私も参加させていただきました。日本語と母国語のいずれも習得が十分ではない児童生徒の対応とか、特別支援を必要とする児童生徒への手だてなど、指導上の課題について全員で協議し、講師から具体的な指導、助言をいただきました。
共生社会づくりに向けましては、こうした現場の課題に向き合って対応していきたいと思いますし、また、小中学校におきましては、日本語支援員や加配教員などの人的サポートと併せ、多言語翻訳アプリの導入などICTを活用し、外国人児童生徒の学習や学校生活に対するきめ細かな支援を引き続き行ってまいります。
また、高校におきましては、外国人生徒等特別選抜を実施したり日本語教育に特化したコースを設置するなどして、国籍にかかわらず、子どもたちが将来、地域の一員として活躍するための教育を推進してまいります。
最後に、特別支援学校の生徒数の状況や今後の増減の見込み、特別支援学校の今後の方向性や抱える課題についてのお尋ねでございます。
県内の特別支援学校の児童生徒数については、全体として近年はほぼ横ばいで推移しておりますが、今後、一部の学校では増加が見込まれることから、今年度、国が策定を予定している設置基準を踏まえ、校舎面積や教室数を改めて精査し、必要な整備を計画的に進めてまいります。
特別支援学校では、現在、障がいの多様性、例えば医療的ケア児とか、あるいは強度行動障がい児、これは攻撃的になって他人をたたくとか大声、奇声を発するなどの症状のある障がい児ですが、そういった障がいの多様性に対応するための専門性の向上が求められております。県では医療的ケア児や発達障がい児等に関する研修を実施して、専門性の豊かな教員の育成に努めてまいります。
また、キャリア教育につきましては、卒業後の社会自立を目指して、農業法人や清掃業者等の御協力もいただき、より実践的なスキルアップを図るとともに、授業にロールプレイング等を取り入れて社会性やコミュニケーション力の資質向上に努めてまいります。
44 ◯議長(
鈴木宏紀君) 辻君。
45 ◯16番(辻 一憲君) 多岐にわたる質問、提言に対してそれぞれ御答弁いただきまして、どうもありがとうございました。
時間が5分ほど残っているようですので、幾つか再質問させていただこうと思います。
まず、障がい児・者の入所調整については、これは要望ということですけれども、いろんな課題がある状況だとは思います。入所が望ましいけれどもなかなかそれは難しいということの中で、ではどうするのかということは、県や市町や施設や御家族や、いろんな方々との協議、調整の中で決まっていくものだと思いますけれども、そこは障がい児・者の方々の安定した生活のために前向きにいろんな御努力をお願いしたいと思います。あわせて、知事から入浴サービスの拡充についてお話がございましたので、ぜひこれは前向きに取り組んでいただくようお願いをしたいと思います。
では、広域避難についての再質問なんですけれども、まず、福祉施設のアンケートを夏にやっていただいて、これは正直、予想以上にしっかりと取り組んでいただいているなという印象です。アンケート、電話だけではなくて、実地調査もしていただいているということで、今までいろんな広域避難の課題を取り上げてきましたけれども、それがこうやって少しずつ進むことは喜ばしいなというふうに思っております。
代表質問と、それから
一般質問でもこうやって今、いろんな御説明をいただきましたけれども、やはりそれは調査の結果のほんの一部だと思うんですね。先ほどの車椅子の問題だとか資機材の調達だとか、総量では分かるんですけれども、具体的な問題がいろんなところであるのではないか。それらの議論を深めるためには、やはり調査結果を公表していただくとか、まとめたものを議会のほうに提示していただくとか、これは必要ではないかと思います。これが1点目です。
それから2点目は、人工呼吸器、気管を切開した在宅の方々の避難先なんですけれども、先ほど知事は事前に決められている病院に入っていただくということだったんですが、私が確認しているマニュアルでは、決まったということではなくて、選択肢1、選択肢2というような表現です。ですから、これが決まったということを意味するのか、それは事前に病院側や避難所ときちんと協議をして、受け入れますよという合意がきちんとできているのかどうか、これが2点目です。
3点目は、難病の方々も要支援者の方々も、5キロ圏内の方々は福祉施設に避難していただくと。それ以外の方々は一般の住民の方々と一緒なところにまずは避難をしていただくと。その先にどうするかという話だったと思うんですが、その場合、例えば県外に避難する方々もいれば、あるいは嶺北の、北のほうに避難される方々もいるわけで、実際にそれで機能するとはどうしても思えないんですが、そのあたりについての考え方を教えてください。
最後、南相馬市の状況についていろいろ触れましたけれども、避難したくても避難できない、避難しないという選択肢を残念ながら選んでしまう方々もいるのではないか、全員が完全に避難をするのではなくて一部残ってしまう方々もいるということを想定した計画づくりや対処が必要なのではないかというふうに思いますけれども、その辺についての認識や考え方を伺います。
以上です。
46 ◯議長(
鈴木宏紀君) 安全環境部長野路君。
〔安全環境部長野路博之君登壇〕
47
◯安全環境部長(野路博之君) 私からは、在宅の障がい児・者の方の避難についてということで、県外、嶺北など、まずは一般の避難所に入られてから、その後の避難についてということでございます。
これは、UPZの場合は、当然モニタリングの結果に基づきまして小学校区単位で避難をしていくということですから、ばらばらといろんな形態の中で避難をしていくと。その中で、まずは決められた一般の避難所があるわけですから、そこに避難していただく。その中で当然、例えば空いている教室なども使って、避難所の中で障がいの態様によって分散していただくと。その上で、さらに福祉避難所ですとかホテルというものが活用できないかということについては、やはりこれは手順の確認をしっかりやって、また訓練でも確認していきたいと考えてございます。
48 ◯議長(
鈴木宏紀君) 健康福祉部長窪田君。
〔健康福祉部長
窪田裕行君登壇〕
49
◯健康福祉部長(
窪田裕行君) 3点ほどあったと思っておりますけれども、まず、実地調査等を含めました福祉施設の避難に関する調査につきましては、一定の成果のまとめがありました時点で議会のほうにも状況については御報告したいというふうに思います。
それから、病院のひもづけがうまくいっていないのではないかというような御質問だと思いますけれども、これにつきましては、医療機関も含めて一定の理解は得ておりますので、今ほど御指摘いただいた点も含めまして確実に機能するように、人数としては何百人いるというようなものではございませんので、確認はしてまいります。
それから、県外の避難にもつながるので、うまくいかないのではないかという話でございます。
まず、今ほど御説明申し上げましたのは当座の避難と申しますか、県内避難の中での動きでございます。その中で、病院に収容する必要があるというようなことで調整をしたようなケースについては、そもそも転院することが可能かどうかも含めましてケース・バイ・ケースの対応になると思いますので、そういったことは現実にうまく機能するように、事前の打合せ等もしていきたいというふうに思います。
50 ◯16番(辻 一憲君) 終わります。
51 ◯議長(
鈴木宏紀君) 以上で、辻君の質問は終了いたしました。
小寺君。
〔小寺惣吉君登壇〕
52 ◯23番(小寺惣吉君) 県会自民党の小寺惣吉です。通告に基づいて分割で質問と提言を行います。
まず、坂井市竹田地区の観光振興について伺います。
今年6月、坂井市の竹田文化共栄会が「オーライ!ニッポン大賞」内閣総理大臣賞を受賞しました。2年前には、「豊かなむらづくり全国表彰事業」において農林水産大臣賞を受賞しています。グリーンツーリズムや竹田Tキャンプなど、地域住民が主体となって交流人口の増加、雇用の増加、女性の雇用と活躍等で成果を上げたことが評価されたものです。住民の皆さんによる地域づくりの長年の努力が実ったすばらしい成果と言えます。
昔から続いている竹田川のアユ釣りについても、平年の解禁日は15名程度が、本年は40名近くがアユ釣りに見えました。
さて、最近、竹田地区にキャンプに訪れる方が増えており、最近流行しているソロキャンプの方も増えていると聞いています。3密を避けられるレジャーであること、手軽に持ち運べて設置も収納も楽な道具が増えていることから、キャンプを楽しむ人たちが増えているようです。キャンプユーザーを対象にした民間企業の調査では、約7割がコロナが収束した後もキャンプを続けたいと回答しており、コロナ禍による一過性のブームではなく、コロナ収束後のポストコロナ時代に移行しても、キャンプは定番化したレジャーとして楽しまれる可能性は高いと予想されます。これは竹田地区にとって大きなチャンスです。
竹田地区はコロナ禍でも誘客できるポテンシャルのある地域であり、主要な観光地となるよう育てていくべきですが、今後の観光誘客の方針について所見を伺います。
丸岡インター、国道8号から竹田地区につながる県道丸岡川西線は、土砂崩れから道路を守るシェッドが取り付けられている部分があります。しかし、シェッドのないところでは道路に石が落ちていることもあります。
昨年は国道364号のトンネル手前で土砂崩れがあり、平成28年には坂を下りた鳴鹿地区で150メートル上から土砂崩れがあり、現在、国道沿いには矢板を打ち、仮施設となっている箇所もあります。まして近年は短時間に降る大雨が増えており各地で土砂崩れが多発していることから、防災点検がますます重要です。
竹田地区道路の防災点検はどのように実施しているのか、また、ドローンや県民衛星「すいせん」などを活用して、省力化を図りながら点検頻度を上げることはできないのか、所見を伺います。
53 ◯議長(
鈴木宏紀君) 交流文化部長白嵜君。
〔交流文化部長白嵜 淳君登壇〕
54
◯交流文化部長(白嵜 淳君) 小寺議員の
一般質問、まず、私からは竹田地区の今後の観光誘客の方針について、お答えさせていただきます。
県では、ウィズコロナ、アフターコロナにおける誘客のため、地域の魅力を再発見するマイクロツーリズムを推進しております。地域の自然や文化を生かした体験アクティビティなど、新たな観光コンテンツをつくっていくことが重要と考えております。
竹田地区は、議員御指摘のキャンプ利用のほか、カヤックなど自然を生かした体験メニューを提供する「ちくちくぼんぼん」や約100本のしだれ桜なども人気でございます。坂井市では竹田地区のさらなる魅力向上に向け、今年度、県も支援を行いながら、キャンプ場近くの丸岡温泉「たけくらべ」をインバウンド対応、長期滞在向けの施設に大規模改修することとしており、今後も誘客促進に向けた坂井市の取組を応援してまいりたいと考えております。
55 ◯議長(
鈴木宏紀君) 土木部長西出君。
〔土木部長西出俊亮君登壇〕
56
◯土木部長(西出俊亮君) 私からは、竹田地区道路の防災点検はどのように実施しているのか、また、ドローンや県民衛星「すいせん」などを活用して省力化を図りながら点検頻度を上げることはできないのかという問いに対してお答えいたします。
県では、落石や土砂崩壊等が発生するおそれのある道路の斜面におきまして、異状がないか防災点検を定期的に実施しておりまして、竹田地区におきましては、直近では令和元年度に実施し、安全を確認したところでございます。また、竹田地区では、週に1回の道路パトロールにより斜面の変状や落石の有無などを確認しており、異状が認められれば速やかに対策を講じることとしております。
御提案のドローンにつきましては、既に落石や災害が発生した際の現地調査において活用しているところでございまして、迅速な状況把握に役立てているところでございます。防災点検へのドローンや人工衛星などの活用につきましては、亀裂など地表面の状況把握に課題があり、現在、国や民間による実用化に向けた研究が行われているところでございます。今後、この研究成果も生かしながら、点検の頻度や精度を上げまして、より安全な道路管理に努めてまいりたいというふうに考えております。
57 ◯議長(
鈴木宏紀君) 小寺君。
58 ◯23番(小寺惣吉君) 続いて、県産材の需要拡大について伺います。
6月議会ではC材について質問いたしましたが、今回はA材についてであります。
ウッドショックにより外国産材の価格が高騰し、輸入量が減少したことから県産材の需要が増え、丸太や製品の価格が上昇しています。6月議会の我が会派の代表質問では、ウッドショックを契機に県産材の販売拡大につなげるため、需要者と供給者を集めて需給のマッチングを図るとの答弁でした。
今議会に「ふくいの木にチェンジ!緊急対策事業」として、県産材利用を拡大するための補助金の予算案が上程されていますが、県産材の需要者、供給者側双方の意見等を踏まえ、本事業によりどのように県産材の販路拡大につなげ、どの程度まで県産材の販売量を増やす目標なのか、所見を伺います。
ウッドショックを契機とした県産材の販路拡大は進めるべきですが、あくまでもウッドショックは一時的なものであり、いつまでも続くとは限りません。アメリカでは木材価格が大暴落しているという情報もあります。ウッドショック前の価格に戻った場合、外国産材と県産材との価格差は1立方メートル当たり2万円であり、施主が少しでも安い材料を使ってほしいと思うのは自然なことです。ウッドショック以前の状態に戻れば県産材が使われなくなるのではないかと危惧します。今後も需要家に県産材を選び続けてもらうには、ウッドショックのその後を見据えた対策を立てるべきではないでしょうか。
ウッドショック後も県産材の需要を確保するため、伐採や製材の生産性を向上させ、価格競争力を高めるための支援が必要と考えますが、所見を伺います。
生産者側の努力も大事ですが、広く県内企業や県民に県産材を使うという意識を持ってもらうことも重要です。平成29年度に議員提案で、みんなでつかおう「ふくいの木」促進条例が制定され、条例施行後は、小学校や町営住宅等の公共建築物に県産材の利用が進んでいます。しかし、行政だけではなく民間での県産材利用が増えないと、全体としての需要は伸びません。県内の企業や県民に県産材の品質がすばらしいものだと理解してもらうとともに、供給者側としても、どのような製品であれば使ってもらえるのか、需要家のニーズを正確に把握し、それらを伐採や製材の現場に伝える努力をしなければいけません。
需要者側への働きかけと供給者側の間での情報交換を両輪で進めるべきであり、軌道に乗るまでは県の支援が必要と思いますが、県産材の民間での利用を増やすため、今後どのような施策に取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。
県産材の販売を増やすためには、伐採の生産性を上げることも欠かせません。木材搬出のために森林作業道を開設する場合、県が森林組合に補助を行っていますが、場所によっては岩などがあり想定よりコストがかかり、作業道の開設を断念することもあります。また、県の規定に沿った作業道では狭く、作業しづらいとも聞いています。木を切らない場所があると、そういう場所から山が荒れていきます。バランスよく木を切り出せるよう、作業道の開設が難しい場所については支援を手厚くするなどの対応はできないものでしょうか。
木材搬出のための作業道について、各地の実情に応じたきめ細やかな支援が必要ではないかと思いますが、所見を伺います。
生産性拡大のためにはICT技術の活用も重要です。農業では広くドローンが導入されるようになりましたが、林業においても最新の機器を導入することにより、作業の効率化が進められると思います。
林業のスマート化について、本県ではこれまでどのような成果を上げてきたのか、また、県内全域で林業のスマート化を進めるため、今後どのようにDXを推進していくのか所見を伺います。
59 ◯議長(
鈴木宏紀君) 知事杉本君。
〔知事
杉本達治君登壇〕
60 ◯知事(
杉本達治君) 私から、民間での県産材の利用拡大について、お答えを申し上げます。
県産材を利用いたしますと、地域の森林整備も進みますし、それから地球温暖化にも資するわけですし、また、森林が持ついろんな多面的な機能も発揮をされる、地域経済も回る、SDGsにも貢献する、多くのいい点があるわけでございます。
そういうこともございまして、県では、民間企業に対しまして県産材の活用を促しているわけでございまして、例えば木造化する、木質化する、こういったことへの支援を行っております。昨年度、銀行ですとか飲食店とか事業所の新築とかリフォームでも県産材が活用されたという例も出てきているわけでございます。
今年度に至りましては、例えば企業さんに木を使ってもらう木づかいセミナーとか、それから、伐採の現場ですとかモデル的な施設を見ていただくような見学会も開催をさせていただいて、機運の醸成を図っているというところでございます。さらに、来月になりますけれども、福井県経済団体連合会と県産材活用について、利活用についての協定書を結ぶということもさせていただきまして、県産材を民間分野でも多く使っていただけるような需要の喚起をしていきたいと考えているところでございます。
61 ◯議長(
鈴木宏紀君) 農林水産部長池田君。
〔農林水産部長池田禎孝君登壇〕
62 ◯農林水産部長(池田禎孝君) 私から4点、お答えいたします。
まず、「ふくいの木にチェンジ!緊急対策事業」、9月補正予算の事業でございます。こちらの事業内容、販売目標についてお答えいたします。
県で7月に製材所、それから工務店との間で意見交換会を開いたところでございます。工務店からは、今後の木材不足の発生を懸念するといった声をいただきました。それから製材所からは、ウッドショックを県産材の需要拡大の一つの契機としたいけれども、一時的な需要では増産体制が取れないというふうな御意見をいただいたところでございます。
こうした意見を基にしまして、今回の事業でございますが、住宅部材の調達と供給を担う、ある意味、製材所と工務店の間にプレカット事業者というものがいらっしゃいます、このプレカット事業者と製材所との間で県産材の需給協定を締結していただいた上で、このプレカット事業者が県産材の利用を工務店に促す取組について支援してまいるものでございます。
この事業によりまして、輸入木材から県産材利用への転換を図りまして、現在のA材需要は約5万立米ですけれども、令和6年度には約7,000立米増やしてまいりたいと考えております。
続きまして、県産材の価格競争力の向上についての御質問でございます。
ウッドショック後においても県産材の需要を確保し、さらに拡大していく必要がございまして、生産コストの低減と安定供給を図る必要がございます。このため現在、県では、伐採、搬出の生産性向上を図るため、ハーベスタでありますとかプロセッサといった高性能の林業機械の導入でありますとか、レンタルに支援を行っておりますとともに、施業地の効率的な確保や作業コストの縮減に向けた研修会も実施しているところでございます。
また、製材につきましては、生産性の向上と、それから増産体制の構築が重要であるというふうに考えております。今後、製材機械の増設等、施設整備への支援などを検討してまいります。
続きまして、木材搬出のための森林作業道に関する御質問でございます。
森林作業道でございますが、こちらは開設費用を抑えて経済性を確保しつつ、繰り返しの使用に耐え得るような丈夫で簡易なものであることを県の指針と定めてございます。こちらを市町及び森林関係団体に周知しております。これを基本としつつ、やむを得ず岩盤の掘削でありますとか路肩の補強など、コストの掛かり増しが必要になる場合につきましては、経費に応じて支援を行っているところでございます。
今後も引き続き、現場状況に応じて事業主体と十分意見交換、協議しながら必要な経費について支援を行ってまいります。
最後に、林業のスマート化の成果と今後のDXの推進について、お答えいたします。
県では、昨年までの2年間で、県内民有林27万ヘクタールございますけれども、そのうち7万6,300ヘクタールにつきまして、航空レーザ計測を実施してきております。そこから得られた木の種類でありますとか本数、それから地形等の精度の高いデータを活用しまして、間伐が必要な森林を抽出するなど、林業のスマート化を進めております。
昨年度は福井市の森林組合におきまして、間伐計画を作成するに当たりまして航空レーザ計測のデータを活用したところ、資源量の把握、それから作業道のルート選定、地元所有者との合意形成に要した時間を約4割削減したというふうに聞いてございます。
今後は、この航空レーザ計測を順次県内全域で実施を進めるとともに、得られた情報を県、市町、森林組合等と共有、相互利用する森林クラウドシステムを整備しまして、林業DXを推進することによりまして、主伐や間伐の実施箇所のさらなる確保を進めてまいります。
63 ◯議長(
鈴木宏紀君) 小寺君。
64 ◯23番(小寺惣吉君) 続いて、農産物の販路拡大について伺います。
まず、いちほまれについてです。今年6月から毎月1日をいちほまれの日と定めて販売強化をしていますが、去年集荷した5,000トンのうち、およそ500トンは卸売業者との契約が済んでおらず、販売は苦戦していると聞いています。
令和2年産いちほまれの販売状況と、これまでの販売強化活動がどのような成果を出したのか、所見を伺います。
6月議会の
一般質問で、令和4年産いちほまれの生産量について質問した際、令和3年産の販売状況を踏まえて秋頃に生産量を定めるとの答弁でした。もともとの計画では、令和4年産は1万トンの生産となっていますが、米余りの状況で生産量を増やしても割高な米は売れないのではないでしょうか。今年度は県が大々的に販売促進活動を行っていますが、それをずっと続けるのはマンパワーの面でも予算の面でも無理があります。
現在は、生産したいちほまれを全量JAに集荷するよう依頼しておりますが、農家が自分で販売先などを決めて、それを県やJAに届け出て許可を得た場合には、JAに集荷しなくても生産することを認める、いちほまれの作付については、販売先は生産する者が先に決めて作付する方法など、販売方法の見直しも必要な時期ではないでしょうか。販売先の取り合いになることを避けつつ県、JA、生産者がみんなでいちほまれを販売するようにすると、よくなるというふうに思います。
令和4年産いちほまれについて、生産量目標を見直すとともに、販売方法の見直しも考える必要があるかと思いますが、知事の所見を伺います。
次に、農産物直売所についてお尋ねします。
コロナ禍により県外からの観光客は激減しており、そうした観光客がメインの直売所は大きな影響を受けています。新ふくいの農業基本計画では、平成29年度に35億円であった直売所販売額を令和5年度には45億円とする目標を掲げられていますが、コロナ禍においても目標達成は可能でしょうか。
農産物直売所の売上げの現状と今後の目標達成見込みについて、所見を伺います。
65 ◯議長(
鈴木宏紀君) 知事杉本君。
〔知事
杉本達治君登壇〕
66 ◯知事(
杉本達治君) 令和4年産いちほまれの生産量目標、販売方法の見直しについて、お答えを申し上げます。
令和4年産のいちほまれの販売方法や生産量につきましては、現在、JAと具体的に相談を行っているというところでございます。
まず、販売方法の拡大ということの御提案もいただきました。この点につきましては、今お話にもありましたけれども、販売先をお互いに食い合うとか、それから、どんどんたくさん出していくことで値崩れをするのではないかというようなことも大変心配がされているところでございまして、現在、慎重に検討を行っているというところでございます。
生産量につきましては、今月の末から今年産米のいちほまれの販売が始まりますので、これの当初時点での売行きを見ながら、11月頃と考えておりますけれども、来年産米をどの程度にするのか、これは需給の状況を見ながら、値崩れ等をしないようなことも考えて決定をしていきたいというふうに考えているところでございます。
また、いちほまれにつきましては、私も時々食べますけれども、何といっても白くて艶がありますし、それから粒感があってまた粘りもある、そのバランスがいいとか、優しい甘みがあるとか、とてもすばらしいお米だというふうに私も思いますし、関係者からも高い評価をいただいているということでございますので、今年産米については、とにかくそういった点をPRしながら売っていきたいと思います。
その後、新しい販売戦略につきましては来年度考えていくということにしておりますので、そういう意味では、例えばコロナがどうなるのか、それから民間で在庫がどういうふうに積み上がるのか、それから関係者の皆さんの御意見も聞きながら、これについては来年度考えていきたいと思っておりますし、新たな販売戦略ですとか生産量についても考えていきたいというふうに思っているところでございます。
67 ◯議長(
鈴木宏紀君) 農林水産部長池田君。
〔農林水産部長池田禎孝君登壇〕
68 ◯農林水産部長(池田禎孝君) 私から2点、農産物の販路拡大について、お答えさせていただきます。
まず、いちほまれの販売状況と販売強化活動の成果についてでございます。
いちほまれにつきましては、県とJAが一体となりまして、コロナ禍で対面の営業活動が大変厳しいような状況の中におきましても、特に県外の卸業者、あるいは新規の系列量販店に対しまして、販促グッズの配布でありますとか試食サンプル提供等を行うとともに、販促キャンペーンへの支援を行いました結果、取扱店舗が全体で1,200店舗から1,633店舗、433店舗増えたところでございます。
さらに、県内でございますけれども、毎月1日をいちほまれの日と定めまして、これと連動しまして県内の直売所やSNSでのキャンペーン、それから農業試験場での田植体験等によりまして、幅広い世代に広く周知しております。この結果、8月末の販売数量でございますが、昨年同時期の1.4倍というふうになってございます。
今後でございますが、卸業者、それから米穀店から強く求められています県外での認知度向上に向けまして、首都圏を中心としたテレビCMの放映回数の拡大、それから新たにコンビニでのおにぎりフェアの開催、それから料理に関心のある人が集う料理教室でのPR等を進めまして、販売拡大を進めてまいります。
次に、農産物直売所の売上げと目標見込みでございます。
県内直売所の令和2年度──昨年度の売上額でございますが、約40.2億円でございました。コロナ禍におきましても、令和元年度から約2.7億円の増加、平成29年度からは約5.2億円の増加となってございます。今年度につきましても、直売所全体の売上額は昨年度よりやや増加している状況でございます。また、本年4月に道の駅「越前おおの荒島の郷」が営業を開始し、また、10月には道の駅「南えちぜん山海里」が営業開始予定となってございます。直売所全体の売上げは今後も増加すると見込んでおります。
それから、直売所の売上げ増に向けまして、現在、嶺北と嶺南のJAの直売所間でそれぞれの売れ筋商品等の相互輸送の実証を行っております。また、来月でございますけれども、直売所の集客、売上げ増、または観光誘客につなげるため、直売所や観光地を結ぶ「農遊スタンプラリー」を開始する、こういうふうな取組を進めたいと思っております。こうした活動を通じまして、令和5年度の目標売上額45億円を目指してまいります。
69 ◯議長(
鈴木宏紀君) 小寺君。
70 ◯23番(小寺惣吉君) 最後に、治山ダムについて伺います。
今年7月、静岡県熱海市で大規模土石流が発生しました。被害に遭われた方に心よりお見舞い申し上げます。
この土石流の原因ですが、静岡県の発表によると土石流の起点周辺にあった違法な盛土だそうでございます。そのため、土石流発生のメカニズム、盛土に関する行政の対応が妥当だったのかという2点を検証するため二つのチームを設置して、現在、調査を進めているとのことです。
昨年は熊本豪雨、2018年には西日本豪雨が起きるなど、局地的な豪雨はここ数年、増加傾向にあり、毎年のように大規模な災害が発生しております。時間降水量50ミリ以上の非常に激しい雨はここ30年で約1.3倍に増加、時間降水量が80ミリ以上の猛烈な雨もここ30年で約1.7倍に増加しているそうです。
災害防止のため、豪雨等の災害に耐えられる森林づくりが求められますが、現在どのように対応しているのか所見を伺います。
71 ◯議長(
鈴木宏紀君) 農林水産部長池田君。
〔農林水産部長池田禎孝君登壇〕
72 ◯農林水産部長(池田禎孝君) 災害防止のための森林づくりの現状と対応について、お答え申し上げます。
災害に強い森林づくりを進めるため、県では、国の要領に基づきまして約2,900か所の山地災害危険地区を定めまして、このうち危険度の高い箇所から、年間約40基の治山ダムなどの防災施設を整備してきております。令和2年度末までに、約2,900か所のうち約1,500か所の対策を実施してございます。また、令和2年度からは航空レーザ計測により得られたデータを活用しまして、崩壊の拡大が危惧される箇所を早期に発見しまして、より効果的な治山対策を進めております。
さらに、手入れ不足により倒木でありますとか土砂の流出が起きやすい人工林につきましては、補助事業でありますとか森林環境譲与税などを活用しまして、市町と協働して引き続き間伐を進め、樹木や下草の成長を促しまして、災害に強い森林づくりを進めてまいります。
73 ◯議長(
鈴木宏紀君) 小寺君。
74 ◯23番(小寺惣吉君) 知事の温かい答弁をありがとうございました。
今、一番大事な米づくりの収穫の時期にきておりまして、来年どうしたらいいかというのは農家の気持ちであるかと思いますが、やはり先が見える、そして、私たちが作ったものが非常に喜ばれているというようなことがこれから農家の心を動かしてまいりますので、ぜひ温かな気持ちで来年度、再来年度の計画を立てていただいて、どうしても福井で作りたいというものを、真剣に物すごくすばらしいものに作り上げていただきたいというふうに思いまして、これで質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
75 ◯議長(
鈴木宏紀君) 以上で、小寺君の質問は終了いたしました。
ここで休憩いたします。
午後0時24分 休 憩
━━━━━━━━━━━━━━━
午後1時25分 再 開
会議に出席した議員(35名)
1番 野 田 哲 生 20番 島 田 欽 一
2番 渡 辺 大 輔 21番 西 本 正 俊
3番 松 崎 雄 城 22番 大 森 哲 男
4番 山 本 建 23番 小 寺 惣 吉
5番 細 川 かをり 24番 鈴 木 宏 紀
6番 北 川 博 規 25番 畑 孝 幸
7番 西 本 恵 一 26番 笹 岡 一 彦
8番 兼 井 大 27番 欠 員
9番 田 中 三津彦 28番 佐 藤 正 雄
10番 山 浦 光一郎 29番 斉 藤 新 緑
11番 力 野 豊 30番 田 中 敏 幸
12番 清 水 智 信 31番 田 中 宏 典
13番 長 田 光 広 32番 仲 倉 典 克
14番 小 堀 友 廣 33番 松 田 泰 典
15番 欠 員 34番 山 岸 猛 夫
16番 辻 一 憲 35番 関 孝 治
17番 西 畑 知佐代 36番 山 本 芳 男
18番 鈴 木 宏 治 37番 山 本 文 雄
19番 宮 本 俊
━━━━━━━━━━━━━━━
76 ◯議長(
鈴木宏紀君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
細川君。
なお、細川君より、資料を使用したい旨の申出があり、これを許可いたしましたので御了承願います。
〔細川かをり君登壇〕
77 ◯5番(細川かをり君) 細川かをりです。
初めに、北陸新幹線開業に向けた準備について伺います。
知事は昨年初め、「長年、世界的なシティホテルの進出を切望していた」と、マリオットインターナショナル進出について記者会見を行いました。このホテルチェーンは世界最大というだけあって、その会員は1億3,000万人、期待するのは国内外の富裕層の誘客と、それに伴うインバウンドです。一人でも多くのお客様にお越しいただき、福井を味わい、楽しみ、少しでも長く滞在していただき、そして観光消費していただくことだと思います。
マリオットホテル側によると、福井県は壮大な自然、すばらしい歴史的名所、豊富な海産物に恵まれた食など多くの魅力があり、国内、国外双方からの旅行者を引きつけることができると確信していると福井への期待を述べています。つまり、ホテルを利用されるお客様はそうしたものを求めているということです。
ホテルは県都の玄関口となる福井駅西口に立地しますが、今述べた期待に応えるには、福井市のみならず、越前海岸や若狭湾の美しい海と海産物、外国人にも有名な禅寺の永平寺、和紙・漆器・打刃物といった日本の伝統工芸が集積している丹南地域、恐竜博物館や池田町の日本最大級メガジップラインといったアドベンチャーなど、県全体での対応、準備が必要です。目の肥えた富裕層に評価されるツアーパッケージをどんどん県から提案していただきたいところですが、それには関係市町、観光協会などが連携して、ダイナミックな構想で当たることが必要と思います。
県が誘致したマリオットホテル開業を2年半後に控え、現在どのようにインバウンド喚起の準備が進んでいるのか伺います。
越前たけふ駅前の開発について伺います。
去る7月27日、県の協力を得るべく、越前市は重要要望のトップとして「県企業立地促進補助金及び県産業団地整備事業補助金による積極的な支援」や「関西電力と北陸電力の鉄塔及び高圧送電線の移設について積極的な支援」、「県の許認可(都市計画変更、開発許可、農振除外など)の迅速な手続」など、越前たけふ駅周辺整備に関する様々な要望を県に上げています。
また、8月11日には、越前市議会から11名の市議会議員の方々が県議会に来られ、産業労働部長や担当の方々と面談し、駅前開発の課題や手続などについて調査しました。先週、それらを元に、越前市議会では越前たけふ駅前開発について議論が交わされました。焦点は、PPP──官民連携で、戸田建設主導に開発を進めるという手法についてです。PPPの手法で駅前開発を進める場合、該当地域が農振地域ですから、まず、農振地域の除外手続を行った上で農地転用しなければなりません。しかし、現行では、民間による農地転用は手間と時間がかかると聞きます。
開発しようとするならば、PPPの場合、どのくらい手間と時間を要するものなのか、それは市が主体となって行う場合とどう違うのか伺います。
少なくとも、当然農業委員会としてはPPPとは何なのか理解した上で議論をすると思うので、時間はかかると思います。
さらに市は、第1期の主な進出企業の候補として、次世代型リチウムイオン電池をつくるAPB株式会社の工場立地を先行して推進すると説明しておりますが、果たして手間のかかる農地転用等の手続はAPBのタイムスケジュールに沿った手続なのか、県が協力するという場合、この市の説明に納得されて受けているのか、併せて伺います。
越前市は、50年に一度のまちづくりというフレーズで、新庁舎建設をはじめ体育館、公園など様々な施設整備を行っておりますから、令和元年度で将来負担比率が県内市町の中で一番高くなっております。さらに、今後はこれらの元金償還が始まりますから、市としてこれ以上の起債は避けたいとの思いから、こうした民間主導の手法が出てきたのだと推察いたします。明後日の16日には、市議会が戸田建設に直接、開発について聞く場を設けると伺っていますが、私は、丹南の玄関口の開発を直接民間企業に尋ねるのも妙な話だなと感じ、県民不在かもしれないと感じるところです。
お手元の資料は、越前市の広報の1ページです。下のほうに、PPPでの工場誘致に県も全面的に支援という旨の記載があり、市議会でそれを問われた奈良市長は、知事、副知事から直接何度も県もできる限りの応援をすると言われていると述べておられます。しかし、市議会の調査の際、県側は、「当然駅前開発に協力はするが、事業計画の策定はこれからと聞いている」と、現段階での協力は考える状況にないこと、中で、特には県産業団地整備事業補助金が民間主導では該当要件とはならず、高圧電線移設費用への支援も難しい旨、説明されていました。越前市議会での市側と議員側の議論を聞いていると、結局は県の協力という文言をどう解釈するかの違いのように感じました。これは、後日、問題を残すことになりかねないように思います。
ここではっきりさせたいのは、越前市の言うところの民間主体のPPPでの開発について、どういった課題があり、どう評価されているのか、さらには、市の広報誌にあるPPPでの工場誘致に県も全面的に支援とは具体的にどういう意味なのか、知事に確認したいと思います。
78 ◯議長(
鈴木宏紀君) 知事杉本君。
〔知事
杉本達治君登壇〕
79 ◯知事(
杉本達治君) 細川議員の
一般質問にお答えを申し上げます。
私からは、越前たけふ駅前のPPPでの開発の課題と評価、県も全面的に支援ということの意味について、お答えを申し上げます。
越前たけふ駅前の開発につきましては、これは越前市がまちづくりの大変重要なポイントとして位置づけているわけでございまして、そういう意味では、県としてもしっかりと応援をしていくというふうに申し上げているところでございます。これまでも、中に走る県道ですとか道の駅の整備ですとか、また、鉄塔についても、これは電力事業者との話合いが必要ですので、こういったことについての応援はさせていただいているということでございます。
PPPの関係でございますけれども、県が持っております産業団地の整備事業の補助金につきましては、これは市や町が実施する事業に対する補助金でございまして、PPPはその対象とはなっていないわけでございます。そういう意味では、具体的な事業の内容について、我々が支援の内容をこういうふうにしますとか、やりますとか言っていることはないわけでございます。
そういう中で、これから事業実施計画が出てまいりましたら、その中身を見ながら必要な応援をしていくということを、今考えているところでございます。
80 ◯議長(
鈴木宏紀君) 交流文化部長白嵜君。
〔交流文化部長白嵜 淳君登壇〕
81
◯交流文化部長(白嵜 淳君) 私からは1点、マリオットホテル開業を踏まえたインバウンド喚起について、お答えいたします。
現在、海外の旅行博への出展などはできない状況でございますが、コロナ収束後の反転攻勢に向けたデジタルプロモーションを強化しております。具体的には、伝統工芸やアクティビティの動画をユーチューブなどで発信しているほか、今後、市町とともに住民目線の観光スポット紹介の動画などを作成していきたいと考えております。
また、海外富裕層の関心が高い「ZEN」をテーマに、精進料理やアートと組み合わせた旅行商品などの造成を進めるとともに、富裕層の評価に応えられるよう、オーベルジュの誘致やトップシェフの指導などによる福井の食の磨き上げを行っていきたいと考えております。
さらに、健康志向の強い海外富裕層をターゲットとして、マラソンやサイクリングと県内旅行をセットにした新たな旅行商品造成など、スポーツツーリズムによる新たなインバウンド需要も喚起していきたいと考えております。
82 ◯議長(
鈴木宏紀君) 農林水産部長池田君。
〔農林水産部長池田禎孝君登壇〕
83 ◯農林水産部長(池田禎孝君) 私からは2点、お答えさせていただきます。
まず、新幹線駅前開発について、PPPの手法の場合、農振地域の除外と農地転用の手続にどれくらいの期間を要するのか、市が主体となって行う場合とどう違うのかについての御質問にお答えいたします。
PPPの手法を活用しまして民間が主体となって行う場合、市が誘致しようとしている大型商業施設──1万平方メートル以上を想定しておりますけれども、こういった場合では、市の都市計画マスタープランの改定、それから都市計画法による用途地域の指定でありますとか農地転用に係る国との協議など、いろいろな手続がございまして、およそ約2年から2年3か月程度を要するというふうに考えております。
また、PPPの手法によらない、越前市が主体となって行う場合につきましては、国との協議等が不要となりまして、農村地域への産業導入の促進等に関する法律──農産法でございますけれども、こちらに基づく実施計画の策定、農用地区域からの除外及び農地転用の手続に約1年程度要すると考えてございます。
次に、APB株式会社の工場用地の農地転用の手続、スケジュールについての御質問でございます。
越前市からは、用地取得から造成、企業誘致までをパートナー企業が担う計画というふうに聞いてございますけれども、個々の具体的な位置、あるいは開発面積等についてはまだ説明を受けておらず、企業のタイムスケジュールに沿った手続になっているかどうかについては不明でございます。なお、農用地区域からの除外については、越前市が具体的な計画を策定し協議をいただければ、農振法及び農地法に基づき適切に対応してまいります。
84 ◯議長(
鈴木宏紀君) 細川君。
85 ◯5番(細川かをり君) 今のを伺っていると、ちょっと市議会での中西議員の言葉を引用させていただきますと、全体構想に対して支援を惜しまないし協力をしていくという前置きをいただいた上で──先ほど知事がおっしゃった重要な開発なので支援するという、その上で、基本的にPPPは民間企業だから、民間企業がやられる行為については支援できるメニューがない、というところも今の産業団地の整備補助金などが該当しないということであると。
それから、あとのことに関しては、先ほど農林部長がおっしゃったように、まだ具体的な話の項目がないので答えるような状況でもないという、そういうようなお答えだったかと思います。また、PPPで2年から2年3か月、もちろん地権者との合意とか話合いも要るんだろうと思うんですけれども、そこら辺がタイムスケジュールに合っているかどうかというのも分からないというのが、今の確認できる状況だったかなと思います。
再質問ですけれども、知事とかが、APBが工場を出すときに、急ぐのでというような、だから協力してくれということを越前市におっしゃったということなんですけれども、だとしたら、PPPよりも市がやったほうが早いですよというアドバイスをしてもいいのかなと思ったりするんですけれども、そのあたりどうなのかということと、それから、土地売却の場合、農業者からしてみても税控除の額も違ったりします。そういったようなこと、要はPPPでやる場合の課題をしっかりと市のほうにアドバイスすべきだと思うんですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。
86 ◯議長(
鈴木宏紀君) 知事杉本君。
〔知事
杉本達治君登壇〕
87 ◯知事(
杉本達治君) 再質問にお答えを申し上げます。
先ほど申し上げましたように、まずPPPにつきましては、現状の県の補助メニューには当たらないということもありますので、具体的な支援内容について、現状、協議している段階にはないということでございます。その上で、今、議員が御指摘になられました、事業手法としてこちらのほうが時間が早いのではないかとか、それからまた土地を売却される方々の税額控除のお話、こういった点も事務的には市に対してお話をさせていただいております。
ただ、こうした土地の開発の行為については、大きくはまちづくりの観点ですので、基本的には市のほうが主導権を持って進めていくということで、そうした幾つかのやり取りはしていますけれども、県はこうするとかああするとか、そういうことは言っておりませんが、そういった助言とか話合いの中で、市としては今のところPPPという手法を選んでいらっしゃるのだろうというふうに思っております。ですので、県としては、これから事業実施計画等がまとまってきた段階で、そこから具体的な話合いを進めていくということになるということでございます。
88 ◯議長(
鈴木宏紀君) 細川君。
89 ◯5番(細川かをり君) 今の県の姿勢というかスタンスが大変よく分かりましたので、またこちらのほうでもそういったようなことを発信していきたいなと思っております。
とてもすばらしい構想図なんですけれども、北陸新幹線が大阪駅までつながる頃までを完成目途としているということなので、何年先の話なのかよく分からなかったりもするんですけれども、とにかくあの駅をあそこにつくった先人の方々の御努力を考えたときに、あそこの駅が本当に地域の振興のために生かされるようにと、本当に切にそれは思っておりますので、そういった意味でのまたお力添えなどありましたらどうぞよろしくお願いしたいということで、次の質問に行かせていただきます。
コロナ対策を見て思うことということで、本当にいろいろ思い浮かべることから質問させていただきます。
県の新型コロナ感染症対策は県内外で高く評価され、私のほうにも他県の議員から問合せがあるほどです。先手、先手の感染症対策ということですが、今、私が気にしていることを、まず3点伺います。
一つ目は、高齢者のフレイルがコロナ禍で加速度的に進むケースが増えているということです。いわゆるコロナフレイルです。フレイルに関しては以前にも質問させていただきましたが、その際、コロナ禍でのフレイル予防のスタンダードというものを福井県から発信していくとお答えでした。その後の進捗と県内への行き渡り方、今後の取組を伺います。
二つ目は、これも以前に述べましたが、子どもの心の発達です。
子どもの健全な情緒の発達のために極めて大切なのが人との関わりです。幼少期は特に目と目を合わせて笑うこと、スキンシップ、表情の読み取りなど。学童期は特に活発な友達との遊びや、それを通して人との関わり方を身につけることなど。それらの人格形成にとって大切なことが、今、逆に人との距離を取り、マスクで鼻から下を隠すということで長期に損なわれている状況です。
学校は夏休みが明けたところですけれども、幼児教育、学校教育の中でその点、どう補おうとされているのか、再度お聞かせください。
3点目は、女性のストレスです。
資料を御覧ください。一般社団法人ストレスオフ・アライアンスなどが全国男女10万人に大規模アンケートを行った、ストレスオフ都道府県ランキング2020の結果です。アンケート項目は、厚生労働省実施のストレスチェック制度の健康状態項目を基にしています。本県女性は41位、つまり、ストレスが全国比較で大きいということ、また、前年13位から下がってのことで、これは女性では全国一下げ幅が大きいものですから、コロナ禍で本県女性のストレスが増大したということです。
本県は共働き率全国1位、女性はよく働いているのに男女の賃金格差は大きく、管理職比率も低い。そこへコロナ禍でおうち時間が増えたり消毒など様々な手間が増えたり、活動の制約が大きくなったりする中で、結局さらに女性のストレスが増したというのは遺憾です。
県は、4月補正において、コロナ禍で様々な不安を抱えた女性に対して居場所となるピアサポートサロンの開催などの予算を計上し、8月には生活学習館内に「ふくいウイメンズ・オアシス」という女性が集う場所をオープンしたところですが、女性政策として、コロナ禍の女性のストレスが増大した原因をどう捉えるのか伺うとともに、さらに、改善に向けた働きかけをすべきと考えます。それは、コロナ後の本県女性の暮らしやすさにもつながると思います。御所見を伺います。
さて、次は経済対策です。
県は、新型コロナウイルス感染症の影響で厳しい状況にある、様々な事業者の方々や就労者に対して支援策を打ち出されています。高速バス・タクシー会社、農業者、離職した求職者。また、経済のV字回復に向けても、空き店舗などへの出店支援や小売業で使えるデジタルバウチャー発行、子育て応援、宿泊割引、スキー場、県産材、収入減少された方と幅広く様々な角度で支援策を講じておられます。いずれも、何とかこの苦境をしのいで経済活動や生活を維持してほしいという願いの表れと、心強く感じているところです。特に、中小企業者等事業継続支援金は、広く県内企業を支える事業と評価しています。
しかしながら私が知る範囲で、厳しい状況の飲食業や代行業を営んで、とても苦しんでいるのにこの支援が届かない事業者がおられます。それも、若い方々です。コロナ禍が始まる直前、令和2年2月に開業したレストランでは、比較すべき安定営業の前年がありません。この1年半、新しいお店だからとお客さんが増えたり、緊急事態宣言で減ったり、至って不安定。お弁当で頑張ったら支援の対象外、県の出す条件に外れるとのことです。あるいは、令和元年までは代行会社だったけれども、令和2年の1月に、頑張ってほかの部門を併設で始めて会社を拡張したがために、落ち込んだ代行部門に対する前年比が当てはまらず、支援が得られず悲鳴を上げている事業者。
いずれもコロナ禍直前に創業している若い方々です。頑張ってほしい地域の若い事業者です。事業を始めるには借入れもあるでしょうし、前年比、前々年比でどうかという見方だけ、しゃくし定規な条件だけではなく、状況に応じた支援ができないものでしょうか。
この2年の間に創業した事業者が県内にどれだけおられるのか伺うとともに、現在の事業の状況はどうか、適切に県の支援が届いているのかどうか、アンケートしてはいかがか伺います。
その上で、厳しい状況にあるコロナ禍直前に事業を始めた事業者に、土地代補填とか利子補填とか、新たな支援策を講じるべきではないか伺います。
最後の質問です。
新型コロナウイルス感染症に関する支援策を鑑みて思うのは、豚熱で厳しい状況に陥った養豚業者に対する支援は果たして十分だったのかということです。
一昨年、豚熱のために突然飼っていた豚を全てなくすことになった養豚業者が2軒あります。目の前で豚は殺処分され目の前に埋められ、事業ができなくなり、結局その2軒は廃業、倒産に追い込まれました。うち1軒のお肉は、我が家でも毎週のように食べていたおいしいもので、長く経営しておられたお父様を亡くされ、30代半ばの女性が引き継いで頑張っておられた会社です。もう1軒は、ふくいポークとしてレストランに引く手あまた、一般販売では常に品薄だったので、私にとっては幻の憧れのふくいポークでした。両軒とも、消費者からしてもなくなってしまったのがいまだに残念でなりません。
豚熱は、岐阜県側から感染が広がってきたと認識しておりますが、その岐阜県では、経営再開及び飼養衛生管理の強化のために必要な経費に対する補助や、出荷制限による売上げの減少及び飼料費の増額等に対する助成などの支援策を講じ、さらに、養豚業再生支援センターを設置し、発生農家の経営再開に向けたワンストップサービスを行い、今年2月末時点で、22軒の豚熱発生農家のうち出荷再開が13軒、今、再開に向けて準備、努力しているところが6軒、出荷を断念されたところが3軒だけといった状況です。
今のように豚にワクチンを打つこともできなかったあの時点、追い込まれた養豚農家に対して県の経営継続の支援策は十分だったのか、新型コロナ感染症対策や他県の支援策を鑑みて、改めて伺います。
経営を断念せざるを得なかった2軒の農家の今の課題は、施設の始末かと思います。倒産した1軒は施設を破産管財人に委ねていましたが、結局それも放棄され、現在、施設は壊れたまま放置されています。豚が埋められ、朽ちた施設のすぐ横を小学生が集団登校する様子は、どれも痛々しくてなりません。
国の命令で養豚業、ふくいポークの販売をやめざるを得なかった農家に対し、今となっては、県はせめて施設処分を支援してはいかがでしょうか、知事に御所見を伺います。
90 ◯議長(
鈴木宏紀君) 知事杉本君。
〔知事
杉本達治君登壇〕
91 ◯知事(
杉本達治君) 養豚農家への経営支援策について、お答えを申し上げます。
一昨年の7月の終わりでしたけれども、豚熱が発生しましたときには、職員はもちろんですけれども私も直接農家さんにもお会いをしまして、いろんな制度がありますよというお話もさせていただいて、ぜひ経営再開をということを申し上げさせていただきました。
その上で、県議会にもお諮りをしながら、例えば借入金に対する利子補給ですとか、あと、施設改修については、あまり多くの県──15県感染があったんですけれども、そういうところではほとんどそういった補助金はなかったんです。一番多いところでも2分の1の補助でしたが、福井県は3分の2の補助ということで、一番手厚くそういった経営再建に向けての助成もさせていただく、そういうような措置も取らせていただいたところでございます。ただ、個別に見て、後継者がいないということですとかいろいろな理由で、結局再建に至らなかったというところは大変残念に思っているところでございます。
御指摘いただきました、残された施設を解体するということの手当てにつきまして検討いたしましたけれども、これも他県についてどこもやられていない。その理由というのは、自然災害も含めて多くの理由で施設が取り残されている中で、これについてだけやるというのも難しいということでもございましたので、本県も現状においてそういった支援がなかなか難しいと考えているところでございます。
一方で、ふくいポークというのは、小売、卸売事業者の方とか消費者の方々からも大変評判がよくて、期待されている豚肉でありますので、何とか次、これをまた続けていただけるような経営者を探しまして、新幹線が開業する頃までに再開ができるようにというふうに考えて進めているところでございます。
92 ◯議長(
鈴木宏紀君) 地域戦略部長前田君。
〔地域戦略部長前田洋一君登壇〕
93
◯地域戦略部長(前田洋一君) 私から1点、コロナ禍で女性のストレスが増大した原因と、その改善に向けた働きかけについて、お答えいたします。
昨年実施しました県民調査におきましては、コロナ禍で「家事、育児、介護の時間が増加した」、あるいは「家事分担の不満が高まった」と回答した割合については、男性より女性が高いということでございまして、家庭における負担の増加が女性のストレス増大の原因の一つというふうに考えてございます。
このため県といたしましては、夫婦や家族で一緒に家事を楽しむ共家事(トモカジ)、これは従来から進めてございますが、今年度からは、これから家庭を築いていく新婚世帯への普及講座ということを始めました。こういったことで男性の協力による女性の負担軽減というのを図っていきたいと思っております。また、御質問にもありましたが、8月に「ふくいウイメンズ・オアシス」を開設いたしました。子育てや介護、夫婦関係など、様々なテーマでピアサポートサロンを開催してございます。こうした施策を通じて、女性の悩みやストレスに寄り添った支援を行ってまいりたいと考えております。
94 ◯議長(
鈴木宏紀君) 健康福祉部長窪田君。
〔健康福祉部長
窪田裕行君登壇〕
95
◯健康福祉部長(
窪田裕行君) 私から高齢者のフレイル予防の進捗状況、それから今後についてのお尋ねにお答えいたします。
コロナ禍でもフレイル予防を進めていくということは、これまでの多人数集合型ではなく、少人数でも行えるような手法を新たに開発しなければいけないということで、東京大学と一緒に開発を進めております。今年の3月に、この研究の中でまずマニュアルができましたので、このマニュアルを基に、ちょうど注意報の時期でしたけれども20日間にわたって151人の方を対象に実証を行いました。その成果を基にしまして、自宅でチェックを行うためのパンフレットを作成いたしております。現在は県内に575人のフレイルサポーターがおりますけれども、地域の老人クラブや通いの場等で普及活動を行っておりまして、全市町で延べ約1万9,000人が自宅でのフレイルチェック活動に参加していただいております。
また、実施規模が小さくなりますと、伝道役のパワーというのが必要になりますので、6月にフレイルサポーターの会というものを全国で初めて設立しました。これは、現在でも全国のフレイルサポーターの約4割が福井県にいるわけですが、このさらなる増員と活動強化の体制ということでこういう会を設立したわけでございます。
少人数でのフレイルチェックを続けていく中で得られました新たな課題としましては、少人数でありますと、取り組んだことによる改善効果が個別ではなかなか分かりにくいということがあります。これを東大との共同研究の新たなテーマとしたいと考えておりまして、その準備を進めております。今回の予算でもそういったお願いをさせていただいております。
具体的には、参加者ごとに改善策を示していくような仕組みづくり、それから家庭の消費電力のデータを基に、AIを使いましてフレイル状態の進行度合いが分かるというような社会実験もこの中でやりたいと思っておりまして、集団での活動のみを前提としないフレイル予防の先進例を福井県で構築したいというふうに考えております。
96 ◯議長(
鈴木宏紀君) 産業労働部長吉川君。
〔産業労働部長
吉川幸文君登壇〕
97
◯産業労働部長(
吉川幸文君) 私からは創業者支援に関するアンケートの実施、コロナ禍の創業者への新たな支援について、一括してお答えをさせていただきます。
令和元年度から2年間に創業した事業者数は県内約560社ございます。創業者の方々からは、県版持続化給付金や事業継続支援金の支給事務ですとか、商工会議所、金融機関を通じまして、現在の事業状況、そして施策へのニーズ等を引き続き確認しているところでございます。こうした事業者の皆さんの声を受けまして、事業継続支援金につきましては、8月追加専決予算で、令和2年に創業した方々が幅広く対象になるよう制度を改正したところでございます。また、この9月補正予算では、支給要件となります売上高の減少幅ですけれども、これを5割以上から3割以上に緩和するよう今議会にお諮りをしているところでございます。
また、これらの要件に該当しない事業者の方々もいらっしゃるものですから、そういう方々に対しましては、保証料の全額補給に加え、元金返済を最長5年まで据え置くことができる県の制度融資ですとか、利子補給制度のありますマル経資金などの活用を御提案しているところでございます。
98 ◯議長(
鈴木宏紀君) 農林水産部長池田君。
〔農林水産部長池田禎孝君登壇〕
99 ◯農林水産部長(池田禎孝君) 私から1点、養豚農家への経営支援策について、お答え申し上げます。
県では、豚熱の発生を防ぐため、野生動物の侵入を防ぐ柵でありますとか、消毒資材を無償で提供してまいりました。資材は全て県が調達しまして、設置も可能な限り県職員が自ら実施いたしました。
また、発生後でございますが、お見舞金を給付するとともに、殺処分した豚約1,000頭について、1頭当たり約3万円の手当金を速やかに交付させていただきました。さらに、経営再建を促すために、親豚の導入を支援する国事業の活用だけでなく、県独自の無利子のつなぎ融資でありますとか、施設改良の3分の2の補助率の補助制度を創設してまいりました。これらの支援策は、他県と比べて手厚かったものと考えてございます。
100 ◯議長(
鈴木宏紀君) 教育委員会教育長豊北君。
〔教育委員会教育長豊北欽一君登壇〕
101
◯教育委員会教育長(豊北欽一君) 私から1点、コロナ禍の中、子どもの健全な情緒の発達のために大切な人との関わりについて、幼児教育、学校教育の中でどう補おうとされているのかとのお尋ねにお答えいたします。
幼児教育の現場では、コロナ禍においても伸び伸びと活動できるよう、外遊びの時間を増やしたり、口元や表情を幼児に見せる必要がある状況においては、透明マスクを活用するなどしております。また、小学校では、1年生の音楽の授業で、2人1組となって手をつなぎ、身体を揺らしてリズムを取るところを、タオルを介してつながるなど工夫をしております。
このように、子どもたちがコロナ禍においても人との関わりが持てるよう、教育現場では工夫した取組が行われております。
102 ◯議長(
鈴木宏紀君) 細川君。
103 ◯5番(細川かをり君) 教育長、以前お伺いしたときに、縄跳びなどをして楽しく学校生活をしていますとおっしゃっていたので、もうちょっと危機感を持っていただけるといいなと思ったんですけれども、今、工夫されているということですので、長期化するので引き続きそういうところに気をつけていただきたいなと要望します。
それから、豚熱のほうなんですけれども、昨日もようやく経営者の女性と会うことができたんですけれども、結局のところ、高くなっていく衛生基準を満たすために、施設を向上させるために億単位のお金が要ると。借りるとかそういうような話とかもいろいろあったけれども、とてもそんな借金ができなくて断念しましたということでした。本当に痛々しいなと思います。
支援策をといったときに、よく利子補給とか無利子でとかというんだけれども、借金は借金なんですね。そのあたり、借金したら後で返さなきゃいけないし、返すだけの利潤を上げられるのかというのも経営再開についてはすごくハードルが高いことですので、やはり特に、若者がこれからやっていこうという地域の子たちに対しては、本当に状況を一件一件見ていただいて、考えていってほしいなと思います。
先ほどの、経営をこの2年間で始めたというところ、私は二つの事例を出しましたけれども、今、昼休みの間にその話をしていたら、ああ、私の知り合いもそうなんですというお声も頂いたりもしています。結構あるんだと思います。地域の現場に近いところの商工会のほうでは、1回県のほうに上げてくださいと、県で要件に当てはまらないとチェックされて落ちてくるというのもあります。やはり現場の状況をよく見て、本当に今の制度で足りないんだったら新しい制度も考えていっていただきたいなと思います。
それから知事、岐阜県なんですけれども、今、養豚のほうで岐阜県の事例を出しましたけれども、逆にうちのところは岐阜県の県会議員に対して、災害ボランティアの支援制度を見本にどうぞと出している、お互いに情報交換しながらやっていっているので、またいいとこ取りしながら、しっかり発展するよう頑張っていきたいと思っております。
終わります。
104 ◯議長(
鈴木宏紀君) 以上で、細川君の質問は終了いたしました。
山本建君。
〔山本 建君登壇〕
105 ◯4番(山本 建君) 県会自民党の山本建です。発言通告書に従い質問と提言をさせていただきます。
まず初めに、先日の代表質問でも取り上げられましたが、今議会に示されております福井県並行在来線経営計画と既存駅の利便性についてお伺いします。
これまでは、特急存続や新快速乗入れなど特急廃止に伴う利便性確保を目指してまいりましたが、県民や沿線自治体の負担増とならない形でいかに利便性低下を最小限にし、また、これまで以上に高められるよう前向きに考えていく必要があると考えております。特急存続や新快速乗入れは実現には至っておりませんけれども、今回示されております経営計画の基本理念である、「地域に密着した県民鉄道に一新」していくと同時に、この経営計画の内容について、特に既存駅の利便性がしっかりと確保できているのかということを沿線地域の方々に示していく必要があります。6月の質問に引き続き取り上げさせていただきます。
本経営計画では通勤・通学時間帯の増便など利用しやすいダイヤ編成、分かりやすいパターンダイヤ化、朝夕の時間帯に福井-敦賀間の現在の特急列車と停車駅がほぼ同じの快速列車の運行など、列車に乗るという点では利便性向上策が示されております。しかしながら、肝腎なところについて「検討する」と表記されている箇所が多々ありますので、懸念が出てきてしまいます。
まずは乗車券の販売についてです。JR切符の販売については、「原則、JRの各新幹線駅に引き継がれるが、各駅での販売実績と販売システムに係るコストの費用対効果も考慮し、新幹線が併設されない社員配置駅での販売の継続について検討する」とされております。現在の鯖江駅や武生駅を利用しているケースで考えてみると、これまでは駅に設置してあるみどりの窓口で東京や大阪までの切符を購入して移動し、帰りは東京や大阪から鯖江駅や武生駅までの切符を購入して必要な乗換えを行って移動しておりますが、JR切符が駅で買えなくなると、福井駅や敦賀駅での新幹線や特急列車等への乗換え間に購入、帰りも福井駅や敦賀駅での乗換え間に並行在来線の切符を購入しなくてはならなくなるのではないかと危惧してしまいます。
新幹線が併設されない既存駅でのJR切符の取扱いについての見通しと、東京や大阪などから既存駅に帰ってくる際の切符の取扱いについての認識をお伺いします。
また、現在は特急停車駅である鯖江駅や武生駅では、コンビニや飲食店などの事業者がテナントとして営業されておりますが、施設がJRから並行在来線会社に移行した後に空きテナントになっても困ります。あくまでも民間事業者の経営判断となってしまうことは理解しておりますが、特急が止まらなくなることもありますので、JRとの協議だけでなく、現在のテナント事業者が引き続き営業していただけるようしっかりと協議し関係を構築することや、開業に合わせて空きスペースに新たなテナントを誘致するなどの事前の対策も必要と思います。
現在の既存駅のテナント活用についてどのような対策を進めていくのか、所見をお伺いします。
新駅の設置についてもお伺いします。
「利用者数の増加と収支の改善効果が見込まれる新駅について、沿線市町と十分な意思疎通を図りながら設置の検討を進める」とし、昨年、福井-森田駅間、武生-鯖江駅間、王子保-武生駅間においての設置可能性調査の費用を沿線市町に支援しておりますが、それぞれの設置可能性調査の結果について、利用者数の増加と収支の改善効果が見込まれる結果となっているのかお伺いするとともに、沿線市町の意向も踏まえた今後の方向性について、所見をお伺いします。
並行在来線会社の経営については大変厳しい経営が見込まれており、初年度は7.3億円の赤字、その後も11年間で70億円の収支不足が見込まれることから、福井県と沿線市町で福井県並行在来線経営安定基金が設置されることとなっております。地域鉄道を維持するために基金を創設したり、国に支援を求めたりすることは大変重要でありますけれども、地域鉄道は赤字が大前提と最初から諦めるのではなく、経営の多角化を行い、少しでも収支を改善しよう、できれば黒字化を目指そうと意識して行動することも同時に進めていくべきと考えます。
経営計画の最後に、その他の経営改善策として、「JRが駅及び駅周辺で展開している旅行業や広告業、先行他社において展開している飲食業や不動産業など関連事業については、貴重な収入源であることから、要員体制などを考慮しながら本県会社でも実施を検討する」とされております。要員の計画でも「会社運営に民間の経営戦略を取り入れるため、企業経営の経験や経営改善の実績がある民間人の登用も検討する」とされております。
「検討する」ばかりとなっておりますけれども、経営の多角化を実現できる民間人を登用し、民間企業の出資もお付き合いではなく企業パートナーとして出資してもらい、経営改善に向けたビジネス参入を積極的に行うことで、地域鉄道の維持、沿線市町の負担減を目指すべきと考えますが、知事の所見をお伺いします。
次に、県有施設の再生可能エネルギー導入についてお伺いします。
これまで何度も、県有施設の再生可能エネルギー導入について、初期投資や設備維持管理が不要である太陽光発電の無償設置──こちらPPAモデルですけれども──の活用を提言させていただき、2月議会においては総務部長より、「個別の施設ごとに研究していく必要がある」、6月議会においても豊北教育長より、「羽水高校で省エネ診断に合わせ、PPAモデルの導入について費用対効果や設置場所等も含めた検証を行う予定であり、その結果を踏まえて検討してまいる」と答弁いただきました。さらに、同じ6月議会における島田欽一議員の質問に対し、安全環境部長から、「県として率先して県有施設へのPPAモデルの導入を検討する」との答弁がなされました。その後、環境政策課の方でしっかりと取りまとめていただき、福井県工業技術センター、福井県坂井合同庁舎、羽水高校で再エネポテンシャル診断が行われたと伺っております。
引き続き、環境政策を推進する部局が中心となり、率先して検討を進めていただきたいと思いますが、今回の診断結果を踏まえた県有施設におけるPPAモデルの活用について、所見をお伺いします。
次に、自転車の安全利用についてお伺いします。
昨年の9月議会
一般質問において、知事から自転車の安心・安全対策の条例化を検討するとの答弁がなされてからちょうど1年後の今議会に、「福井県自転車の安全で適正な利用に関する条例」の骨子案が示されました。自転車は子どもから御高齢の方まで幅広い年代で気軽に利用されておりますが、一歩間違えれば命に関わる問題ですので、本骨子案にあるヘルメット着用や自転車損害賠償責任保険等への加入義務化など、安全利用はとても重要な事柄であります。
自転車の死亡事故では頭部への損傷のケースが多いということで、以前から自転車のヘルメット着用を訴えさせていただいております。骨子案策定に当たり、子どものヘルメット着用に関するアンケート結果で、小学生の保護者の73%、中学生の保護者の59%、高校生の保護者の45%が「義務化するべき」との回答となっております。福井県PTA連合会からも、以前から、小中学生はもちろん高校生の通学時においてもヘルメット着用の意見があると承知しており、これまでにも何度か取り上げさせていただいておりました。同時に、全国的に自転車事故の高額賠償事例が発生していることから、保険加入の義務化の声もあり、それらの声が形になったものであると思います。
今回の骨子案の中で、中学生までの保護者に対し、子どもにヘルメットを着用させるよう努力義務が規定されております。これはとても大事なことですが、自転車のリスクは子どもも大人も同じであります。今年改定された第11次福井県交通安全計画でも、「幼児・児童の保護者に対して、自転車乗車時の頭部保護の重要性とヘルメット着用による被害軽減効果について理解促進に努め、幼児・児童の着用の徹底を図るほか、全ての年齢層の自転車利用者に対してもヘルメット着用を促進する」と記載してあります。本骨子案では子ども以外のヘルメット着用について、「自転車利用者は、車両の運転者としての責任を自覚し、交通事故防止に関する知識の習得に努めるとともに、法その他の法令を遵守するほか、自転車の安全利用に努めなければならない」との規定が一文あるだけで、ヘルメット着用を促進しようとは感じられません。高校生の通学時ヘルメット着用率95%と自転車マナー先進県を目指している愛媛県は、同じ自転車の安全利用に関する条例で、全ての自転車利用者が乗車用へルメットを着用することを励行事項としております。
本県も、子どもはもちろん、子どもに限らず全ての自転車利用者に対してヘルメット着用を条例でも位置づけるべきと考えますが、知事の所見をお伺いします。
次に、丹南地域の県立高等学校再編整備についてお伺いします。
令和2年4月からの丹南地域の県立高等学校再編整備で、丹南高校が鯖江高校に統合されて普通科IT・デザインコースが設置され、武生商業高校と武生工業高校とが統合されて武生商工高校が開校されております。今年度いっぱいで丹南高校の3年生が卒業され、来年度からは、現在の丹南高校施設は一部を除いて鯖江高校として活用されることとなっております。丹南高校施設で鯖江高校として未活用となる校舎や武道場など一部の施設の活用について、地域の方々に有効に活用していただけるよう協議を重ねていただいていると承知しております。
鯖江高校として未活用となる一部施設の有効活用について、地元との協議を踏まえた今後の方向性について所見をお伺いします。
鯖江高校、武生商工高校ともに、当面は2キャンパスでの運営がなされることになっておりますが、再編整備方針の中で、鯖江高校は将来的に1キャンパスを検討、武生商工高校については令和7年度から1キャンパスに移行とされております。武生商工高校については時期も含め計画的に移行することになっておりますので、武生商業高校施設の跡地利用についても計画的に検討していくことができるかと思いますが、鯖江高校に関しては将来的検討とされており、時期は示されておりません。第2体育館において体操設備の整備なども行われておりますので、今後も2キャンパス運営で施設を活用していけるのであれば、有効活用としてよいと思いますが、年々少しずつ未利用箇所が増え、その都度空いたスペースの活用を考えていかなければならなくなるのではないかとの心配の声もあります。
再編整備方針に示されている鯖江高校の将来的な1キャンパスの検討について、当面は2キャンパスでの運用になるかと思いますが、どのようなスケジュール感でどのような検討を行っていくのかをお伺いするとともに、2キャンパスで運用を行っている中で出ている課題と対応策について、所見をお伺いします。
再編整備で設置された鯖江高校のIT・デザインコースでは、地域産業及び地域社会のニーズに対応できる高度な知識と技術を有し、将来地元で活躍する人材の育成を目指しております。近隣のサンドーム福井に設置されている、地域のものづくり産業の振興や人材育成の拠点機能を有する福井ものづくりキャンパスとの連携も期待されております。
福井ものづくりキャンパスのさらなる有効活用と地場産業の振興を図るため、鯖江高校普通科IT・デザインコースにおいて、福井ものづくりキャンパスとの連携によるデザイン学習を実施してはどうかと考えますが、所見をお伺いします。
次に、中高一貫教育について、お伺いします。
本県では平成17年度から金津高校、丹生高校、美方高校で連携型の中高一貫教育、平成27年度から高志中学校と高志高校の併設型中高一貫教育が実施されており、昨年度末に高志中学校の一期生が6年間の中高一貫教育のカリキュラムを経て高志高校を卒業され、福井県中高一貫教育検証委員会において、その成果と課題の検証がなされました。
高志中学校においては、内進生と高入生の交流が少ないなどの課題があるものの、教科学力の向上、科学の甲子園や全国高校生英語ディベート大会など各種大会やコンテスト等での優秀な成績、難関大学の合格実績を大きく伸ばすなどの学習的な成果だけでなく、高志学を通じてふるさとへの誇り、グローバルな視野、チャレンジ精神を高めるなどの多くの成果が示されました。適性検査受験者の倍率も高い水準にあり、併設型の中高一貫教育を希望する御家庭が多いことが分かります。しかし、現在は福井市にしか併設型の中高一貫教育校がないことから、地域によっては通学が困難で受験を諦めている家庭もあるのではないでしょうか。
今回の成果を踏まえ、県内全域の皆さんが希望すれば中高一貫教育校を受験できるよう、将来的に丹南や嶺南地域などにおいても併設型の中高一貫教育校の設置を検討してもよいのではないかと考えますが、所見をお伺いします。
また、連携型中高一貫教育校に関しても、高校の授業への円滑な移行ができるなどの成果が示されている一方、学習意欲の低下や魅力あるカリキュラムの策定などの課題が示され、今後の充実に向けた提言がなされております。
生徒の皆さんはこれから進路を考えられる時期に入ると思いますが、連携型中高一貫教育校に対して検証委員会の報告で示された課題、提言についてどのように捉え、来年度に向けてどのような対策を講じるのか、所見をお伺いします。
以上、知事をはじめ、理事者各位の前向きな答弁をよろしくお願いいたします。
106 ◯議長(
鈴木宏紀君) 知事杉本君。
〔知事
杉本達治君登壇〕
107 ◯知事(
杉本達治君) 山本建議員の
一般質問にお答えを申し上げます。
まず、並行在来線につきまして、経営改善に向けたビジネス参入について、お答えを申し上げます。
並行在来線につきましては、地域に密着した県民鉄道ということを標榜いたしまして、安全・安定な運行の確保、それから利便性の高い輸送サービスを提供するということを、まず第一に進めていく必要があるかなというふうに思っております。特に、初めてこれから経営をしてまいりますので、まず、基礎的な部分をしっかりと固めていく、これを今の第一にしてまいりたいと思っております。
その上で、御指摘にもございますけれども、非常に厳しい経営状況ということが予想されております。そういう中で、運賃収入以外の収入にも道を開いていくというのは大事だというふうに考えております。そういう意味では、先行県等で既に行われておりますような、例えば企画列車のツアーをつくる、そのために旅行業を始めるというようなこととか、人がたくさん乗り降りするような駅のところでパークアンドライドを運営するとか、鉄道事業に直結するような、確実に収益が見込めるものについては、今回の並行在来線の中でも当初からいろいろ企画、計画をしていきたいというふうに考えているところでございます。
そのほかにも、おっしゃられるとおり、例えば駅のところとかその周辺で飲食業を始めるとか、不動産みたいなことの業務を始めるということもあろうかと思います。こういったことについては、あまり最初からどんどん話を広げていって、本業から離れたところで負債を負うとか、こういうことになるのもちょっと危ないかなということは考えておりますが、とはいえ、いろんな御相談をしながら、アドバイスもいただきながら、それなりに確実性が高いというようなことであれば、例えばそういったことに詳しい人材を並行在来線会社で得るというようなことも含めて考えながら、事業の多角化といったことも、今後とも検討してまいりたいというふうに思っております。
また、それ以外でも、地元の企業さんでこんなアイデアがあるよとか、単に協力だけではなくて出資も含めてやりたいとか、または出資ではなくてパートナーにならないかとか、このようなお話があれば、そういったことも我々としてはよくお話を承りながら、本業を第一にしながらですけれども進めてまいりたいと考えているところでございます。
続きまして、自転車利用の条例につきまして、条例で全ての自転車利用者に対するヘルメット着用の促進についての御質問にお答えを申し上げます。
特に重大な自転車事故の内容を見ますと、やはりヘルメットを着用していないということは大きな原因かと思っております。ただ、そのほかにも、例えば反射器材のところが壊れているとかついていないというようなことがあったりとか、また、日頃から点検していなかったところが壊れたというようなこともあるわけでして、福井県の今回の条例案の中では、ヘルメットの着用だけではなくて、そうした広く自転車の安全利用を求めるということをうたわせていただいているところでございます。
条例の制定を受けましたらですけれども、まず、ヘルメットの着用推進というのは当然やっていくということでございます。その上で、反射器材が壊れていないかとか、それから夜間にライトをきちんとつけていますか、こういったような交通ルールの遵守といった措置を求めていくということでございますので、ヘルメットの着用プラスアルファの措置を行っていくという趣旨でございます。
具体的には、お年寄り向け、または高校生向けの交通安全教室を行うとか、また、交通安全運動というのは春とか秋に行っております。こういったこともしっかりと進めていく。そういったことで県警ですとか学校、市や町、そういった方々とも連携をしながら、ヘルメットの着用ももちろん、その上でそのほかの安全対策についても推進をしていきたいと考えているところでございます。
108 ◯議長(
鈴木宏紀君) 地域戦略部長前田君。
〔地域戦略部長前田洋一君登壇〕
109
◯地域戦略部長(前田洋一君) 私からは3点、お答えいたします。
並行在来線につきまして、新幹線が併設されない既存駅での切符の取扱いについて、お答えいたします。
並行在来線の駅におきましてJR切符を販売する場合には、JRからの販売手数料収入が売上げの約5%ということでございますが、それがある一方で、機器等のリース料やそのための社員配置の経費が発生するわけでございます。採算等を確認の上で、駅の営業体制を決定したいというふうに考えてございます。現時点におきましては、一定以上の切符販売が見込まれる現特急停車駅であります武生駅、鯖江駅でのJR切符の販売を考えてございます。
また、東京、大阪などのJR駅におきましては、並行在来線会社の切符販売というのは行われていないというのが現状でございます。このため、並行在来線会社におきまして、JR区間とセットになった往復切符を販売したいというふうに思ってございます。なお、並行在来線区間におきましてはICOCAが使えますので、お持ちの方は切符を買わなくてもそのまま乗れるということにはなります。
次に、既存駅テナントの営業継続について、お答えいたします。
現在のJR各駅におきましては、JRグループ会社を通しましてテナント等と賃貸契約を行っているという状況でございます。新幹線開業後につきましては、新幹線の駅構内に移る芦原温泉駅のコンビニ以外は現在の場所で営業を継続する意向というふうに聞いてございます。今後、現テナントとの契約継続を前提に協議を進めたいと思っております。
また、駅舎内の空きスペースにつきましては、地元市町、商業者等と十分協議をいたしまして、地元の特産品の販売でありますとか、地域のイベントスペースなどについて活用していきたいというふうに考えております。
最後に、新駅設置可能性調査の結果と今後の方向性について、お答えいたします。
並行在来線の新駅につきましては、昨年度、福井市、鯖江市、越前市におきまして設置可能性調査を行っております。その結果、1日当たりの新規の利用者数──純増分ということでございますが、福井-森田駅間で約700人、武生-鯖江間で約200人、王子保-武生間で約200人と試算がされてございまして、収入増がランニングコストを上回るということでございまして、収支改善が期待できる内容ということで認識しております。
新駅設置につきましては、駅周辺のまちづくりや二次交通の整備といった沿線市の取組のほか、地域住民の理解と協力が不可欠でございます。もちろんその3駅の候補につきましては、それぞれの周囲の状況も違うわけでございます。このため、県といたしましても、沿線市等の意向を十分尊重しながら、早期に設置できるよう支援していきたいと考えてございます。
110 ◯議長(
鈴木宏紀君) 安全環境部長野路君。
〔安全環境部長野路博之君登壇〕
111
◯安全環境部長(野路博之君) 私からは1点、再生可能エネルギーに関しまして、再エネポテンシャル診断の結果を踏まえた県有施設におけるPPAモデルの活用について、お答え申し上げます。
PPAモデルによる太陽光発電につきましては、県内でも電力会社をはじめといたしまして、複数の企業が事業プランを設けております。県といたしましても、率先して県有施設における活用を検討していく必要があると考えております。このため、7月に工業技術センター、坂井合同庁舎、羽水高校におきまして太陽光パネルの設置可能枚数などを調査したところであります。
ただし、これら既存施設への設置に当たりましては、今後さらに、例えば施設の耐震性、あるいは築年数とパネルの設置期間との関係、また、後々は施設の所有者にパネルが譲渡されることになりますので、設備譲渡後の維持管理経費など、こういったものを個別の施設ごとに精査していく必要があると考えてございます。
また、これとは別に、令和5年度中に完成予定の児童相談所、一時保護所におきましても、PPAモデルの活用による太陽光パネルの設置について検討しているところでございます。
112 ◯議長(
鈴木宏紀君) 教育委員会教育長豊北君。
〔教育委員会教育長豊北欽一君登壇〕
113
◯教育委員会教育長(豊北欽一君) 私から5点、お答えさせていただきます。
まず、丹南地域の県立学校再編整備に関連しまして、丹南高校の一部施設の有効活用についてのお尋ねでございます。
丹南高校については、今年度末に閉校となりますが、校舎の一部や武道場を除き、鯖江高校のキャンパスとして利用することとしております。利活用については、現在、地元から要望を聞いておりまして、今後、地元の意向を踏まえ、授業や部活動等の学校運営を妨げない限度において、学校長の判断に基づき対応してまいります。
次に、鯖江高校の1キャンパスの見通し等についてのお尋ねでございます。
平成29年度に策定した再編整備計画では、鯖江高校に設置するコースについては、当面、丹南高校施設を活用し、将来的に1キャンパスを検討することとしております。丹南地区の今後の生徒数の減少、これは令和9年度ぐらいから3か年で、高校の入学者が大幅に、約200人程度減ってまいります。また、鯖江高校の今後の志望状況も踏まえながら、中長期的なスケジュールで鯖江高校への集約を検討してまいります。
現在は、スポーツ・福祉コースやIT・デザインコースの生徒がバスにより丹南高校施設へ移動し教育を受けておりますが、再編整備計画で想定されていたこともあり、特に学校では、生徒、保護者から要望は聞いておりません。
3点目、福井ものづくりキャンパスとの連携についてのお尋ねでございます。
鯖江高校IT・デザインコースには学校独自の科目として「地域のデザイン」があり、眼鏡製作やデザインによる町おこしをテーマに、地場産業や地域課題をデザインで解決する学習を行っております。これまでも地域の人材を講師に呼び、地域と連携した学習を進めており、福井ものづくりキャンパスとの連携につきましても、今年度は出前講座の実施、来年度はさらにデザインラボでの実習に向け、準備を進めているところでございます。
4点目、丹南や嶺南での併設型教育校の設置についてのお尋ねでございます。
本県の併設型中高一貫教育校につきましては、平成24年度に、県高等学校改革検討委員会の提言や各市町教育長からの意見も参考に、県内各地から通学できるよう公共交通機関の利便性等を考慮し、高志高校に中学校を併設することといたしました。他の地域では、生徒数の減少による市町立中学校の再編や存続が課題となっている中、併設型中高一貫教育校の設置についての要望は今のところ聞いておりません。
最後は、連携型教育校の課題と対策についてのお尋ねでございます。
連携型中高一貫教育につきましては、中学での連携生徒の確保や学習意欲の維持、向上が課題となっております。検証委員会から示された提言を受けまして、先取り学習を行う教科や高校教員による中学生への指導時期、また、高校での連携クラス独自のカリキュラム、さらには
中高連携の行事などを地域ごとに具体的に検討しております。今年の11月頃には、現在の中学2年生に対して、魅力的な中高一貫教育プログラムを示していきたいと考えております。
114 ◯議長(
鈴木宏紀君) 山本建君。
115 ◯4番(山本 建君) 前向きな答弁、ありがとうございます。大体いい答弁ばかりでしたので、本当に何もないんですけれども、1点だけ再質問をさせていただきたいと思います。
先ほどの丹南地域の県立学校再編整備の鯖江高校の1キャンパスの検討について、私も2キャンパスに対して異議があるわけでも全然ないですし、しっかり施設の有効活用をされている点では、できる限り有効活用していただきたいと思います。
その中で、今回質問にさせていただいている、舟津と熊田の2キャンパスでやっているときのバス移動ですとか、バスの中が密であるとか、生徒が体調を崩したときの遅刻の対応とか、生徒がバス移動している関係で課題というものが幾つか出ているのかなと思っていまして、その課題と対応について──私の聞き漏れだったらあれなんですけれども、2キャンパスでやってみてこういう課題があるとかいうのがもしあれば御教示いただきたいというのと、あと、併設型
中高連携一貫教育、確かに要望は出ていないので設置という検討段階にはないと思うんですけれども、私も子どもの受験のときにいろいろ調べさせていただいたときに、高志中学校とかになりますと、遠いところですと若狭とか小浜のほうから通っている生徒もいらっしゃるというふうにお聞きしておりますけれども、やはり通学が不便でなかなか受験できないという家庭もあるというふうにも認識しておりまして、県内全域の方が高志中学、連携型の中高一貫教育の成果を見て、自分の子どももこういう教育をさせたいという家庭があった場合に、県内どこに住んでいてもチャレンジできるようなアナウンスとか対策というのも当然必要ではないかなと思うんですけれども、その辺について何か御意見あればよろしくお願いします。
以上、2点だけ再質問させてください。
116 ◯議長(
鈴木宏紀君) 教育委員会教育長豊北君。
〔教育委員会教育長豊北欽一君登壇〕
117
◯教育委員会教育長(豊北欽一君) まず、1点目のスクールバスですけれども、毎日丹南高校のほうに行っているわけではなくて、できるだけ曜日を絞った形でカリキュラムを工夫して動いていまして、そういった面でも現場から、バスの密とかそういう話も含めてそれほど具体的な課題は聞いておりません。
それと、たしか1期生で小浜から高志中学校に通っていた例はございます。ただ、難しいのは、先ほども言いましたけれども、市町立の中学校を県立の中学校にするということになりますので、そこの町と地域の中学校にもいろいろ影響を与えると。特に、高志中学校に来られる方というのはやはり積極的な子どもが多いものですから、それぞれの地域でそういう子どもたちを自分の市町で育成したいという思いもありまして、今のところ、自分の市町にそういう併設を設けたいという声は聞いておりません。
118 ◯議長(
鈴木宏紀君) 山本建君。
119 ◯4番(山本 建君) 今、教育長がおっしゃったように、各地域でしっかりと教育していただくというのが一番なんですけれども、前、タブレットのときの池田町のインターネットの話もしましたけれども、県内どこにいても同じ教育が受けられる、また、同じ教育にチャレンジできるというところも、設置する設置しないではなくて、そういうアナウンス方法なども含めて、県内どこに住んでいても同じ境遇になるような形でしっかりと教育を推進していっていただきたいと思いますので、その辺をお願いしまして、ちょっと早いですけれども質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
120 ◯議長(
鈴木宏紀君) 以上で、山本建君の質問は終了いたしました。
ここで休憩いたします。
午後2時43分 休 憩
━━━━━━━━━━━━━━━
午後3時00分 再 開
会議に出席した議員(34名)
1番 野 田 哲 生 19番 宮 本 俊
2番 渡 辺 大 輔 20番 島 田 欽 一
3番 松 崎 雄 城 21番 西 本 正 俊
4番 山 本 建 22番 大 森 哲 男
5番 細 川 かをり 23番 小 寺 惣 吉
6番 北 川 博 規 25番 畑 孝 幸
7番 西 本 恵 一 26番 笹 岡 一 彦
8番 兼 井 大 27番 欠 員
9番 田 中 三津彦 28番 佐 藤 正 雄
10番 山 浦 光一郎 29番 斉 藤 新 緑
11番 力 野 豊 30番 田 中 敏 幸
12番 清 水 智 信 31番 田 中 宏 典
13番 長 田 光 広 32番 仲 倉 典 克
14番 小 堀 友 廣 33番 松 田 泰 典
15番 欠 員 34番 山 岸 猛 夫
16番 辻 一 憲 35番 関 孝 治
17番 西 畑 知佐代 36番 山 本 芳 男
18番 鈴 木 宏 治 37番 山 本 文 雄
━━━━━━━━━━━━━━━
会議に欠席した議員(1名)
24番 鈴 木 宏 紀
━━━━━━━━━━━━━━━
121 ◯副議長(宮本 俊君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
畑君。
〔畑 孝幸君登壇〕
122 ◯25番(畑 孝幸君) 県会自民党の畑孝幸でございます。代表質問、
一般質問とかぶるところがあるかもしれませんが、御容赦をお願いしたいと思います。
世界レベルで猛威を振るう新型コロナウイルスによって、危機対応と経済社会対策の両立が大きな課題となっている中、さきの新聞報道によりますと、全国の医師によるコロナ対策のリーダーシップに関するアンケートでは、杉本知事が大変な高評価をいただいており、私も大変うれしく思いました。しかしながら、ワクチンは承認され接種されていますが、変異株の出現により、ワクチンとウイルス変異株とのいたちごっこが続くようで、まだまだ先が見えてきません。100年前のスペイン風邪では終息に2年を要し、死者数は推計によると5,000万人に達したと言われています。コロナ感染症については現在死亡者が463万人でありますが、人間の英知により、より早い終息を願うものであります。
ところで、さきの6月議会の我が会派の代表質問の答弁の中で、知事は、この任期前半の評価といたしまして、風通しもよくなり職員のやる気が出てきたとおっしゃっていました。また、今後は、長期ビジョンも策定されたので、「もっと挑戦!もっとおもしろく!」をモットーに、子だくさんプロジェクトの充実に努め、DXや起業の支援を行いながら、価値づくり社会をさらに進め、人口減少対策、人づくりに力を入れながら、文化やスポーツも進めて、元気あふれるまちづくりをやっていく、こういった中で誰もがチャレンジできて、わくわくできる福井県を目指していきたいと考えていると述べられました。
私も人口減少対策、人づくりが長期ビジョンの一丁目一番地だと思っています。しかし、6月の県の発表によりますと、国勢調査の速報値として県の人口が76万7,433人で、5年前の前回調査から約2万人減少しており、減少幅は2.45%で過去最大となったということです。県は2040年の推計人口は、社会増、出生率2.07を達成した場合でも68万人と見込んでおります。人口減少問題の解決は、すぐに成果が現れるものではなく長期的に取り組むべきものとは思いますが、今回の結果を受けてもなお達成できる見込みはあるのでしょうか。
現に私の地域が直面している課題ですが、福井市において市街化区域と市街化調整区域が混在していることにより、市街化調整区域では土地利用の規制が強く新たな住宅開発ができず、人口減少が進んで地域コミュニティがなくなり、学校が統廃合の話題の対象となるなど地域を維持できなくなる懸念があります。コンパクトシティ政策を進めることで、中央から外れた地域において耕作放棄地が随所に見られ、鳥獣害の被害が拡大しております。
また、7月に降った大雨により、裏山が崩れて家屋等に被害が出た事例もありました。その対策として急傾斜施設を設置する場合、保全人家が5戸以上あることという国庫補助の条件に該当せず、費用を個人が負担しなければならないこともあると伺っております。保全人家の数によって費用の負担の有無を決定するというのは、財源に限りがあるということも理解していますが、そこに住むなと言われているような気がしますし、過疎化に拍車をかけていると言わざるを得ません。
私は人口減少対策というのは、そこで生まれた人が住み続けられる地域をつくることだと思います。誰も自分が生まれるところを選ぶことはできません。先ほど申し上げた課題を解決していくことが、SDGsでうたっている「誰一人取り残さない」につながるのではないでしょうか。現状、長期ビジョンには次の世代が住める意欲をかき立てるような施策が見えてこないように感じております。
私が2年前に首都圏、関西圏への人口流出が顕著になっていることを踏まえ、第2期人口減少対策戦略策定に向け第1期の反省点をどのように生かすのかと質問した際、知事は、大学定員の東京圏における抑制や東京と地方での税率に差を設けるなどの施策を国に提案していくと答弁されました。
これらの施策の検討状況を伺うとともに、人口減少を食い止めるための実効性ある対策をどのように進めていくのか、知事の所見をお伺いいたします。
次に、この7、8月に起こった大雨による災害について伺います。
7月29日、8月13、14日にかけて福井、丹南地区に降った大雨により、河川の氾濫、道路の土砂崩れ等が発生しました。福井市の志津川では堤防が決壊し、流域の田んぼへの浸水があり、床上・床下浸水の被害も発生しました。県では今議会に提出している34億円の災害復旧費において、破堤箇所の堤防かさ上げや河道掘削を行うこととしています。
志津川と同様に、本郷地区の七瀬川流域でも大きな浸水被害がありました。その被害は中流域から上流域に集中しています。下流域である国管理の九頭竜川や県管理の七瀬川の改修済み区間では、この大雨でも浸水被害が発生していませんが、その中流域である七瀬川の未改修区間や市管理である荒谷川や燈豊川では氾濫による浸水被害が発生しています。
中下流部は国や県が管理してそれなりの整備がなされていますが、上流部は市町が管理するため手が行き届いていないことが多いのではないでしょうか。一つの川なのですから、管理者は分かれていても、上流から下流までしっかり連携するべきと思います。また、七瀬川の河川改修計画では、工事期間が平成2年から令和19年までとなっており、つまり48年かかるということで、非常に期間が長過ぎると思っております。
浸水被害を受ける地区を守るため、県と市町が連携し、上下流で一体となった治水対策を集中的に実施すべきと考えますが、所見を伺います。
次に、道路整備プログラムについて伺います。
今議会において、今後10年間の道路整備の見通しを記す事業化検討箇所が示されました。私がかねてから必要性を申し上げていた福井外環状道路がようやく位置づけられたことに安堵するとともに、感謝の意を申し上げたいと思います。一方で、道路整備プログラムに掲載して終わりではなく、国が高規格道路として事業化を決定しなければ着手となりません。高規格道路は、事業着手までに越えるべきハードルがたくさんあります。
まずはルート選定、整備手法等の検討、次に都市計画決定、環境影響評価手続等を経て事業化されることからも、相当の年数を要すると思われますが、福井外環状道路の道路整備プログラムへの位置づけが事業化に対してどのような意味を持つのか伺うとともに、早期事業化に向けた国に対する今後の戦略を伺います。
次に、もうかる農業と人材育成について伺います。
令和3年3月のデータですが、県内高校の大学、短大等への進学者数4,220人のうち、約7割に当たる2,723人が県外へ進学しており、県外進学者の7割が県外で就職しているそうです。つまり、大学進学者の約半数が県外へ行き、福井に戻ってこないということになりますし、この傾向はここ十数年変わっておりません。先ほどの話にも関連しますが、若者が求めるまちをつくっていくこと、学びの場や機会を数多く提供することで県外への流出を防ぐことができます。そして、その学びの場の提供という役割は、国立大学にも地域貢献という役割を課してはいますが、福井県立大学が担うべきものと考えます。
県立大学は、令和元年から6年までの間に達成すべきものとして第3期中期計画を策定し、新学部・新学科の創設、社会人の学び直しを支援するための授業の開放などを進めています。この第3期中期計画の現在の進捗状況を伺います。
ところで、昨年嶺北北部を中心とするマグニチュード5.0、最大震度5弱の強い地震が57年ぶりにありました。また、敦賀原子力発電所の下には活断層があることも議論されておりますが、まだ分かっていないことも多く、県内に地震を専門とする先生も少ないように聞いております。いつ大地震が起こってもおかしくありません。
現在、県立大学の中期計画に位置づけられている新学部・新学科の創設のうち、世界的な学術拠点となる古生物関連学部のカリキュラムの設置については今後検討していくということですが、県内外の学生から選ばれる大学になるためには、新学部・新学科で得た見識を福井の地で生かすことができるようにしなければなりません。昨年、新学部のカリキュラムについて、「地質などのインフラ関連技術者として、福井においても専門能力を発揮して活躍できるようにしなければならない」という理事者からの答弁もありました。
地質に関する専門的見識を持った人材を育成するための学科やカリキュラムの設置とともに、受皿となる研究機関を誘致すべきと考えますが、所見を伺います。
話は変わりますが、先日の新聞記事に、いちほまれの生産者からのJA買取り価格が昨年比3,300円安い1万2,000円に決定したとありました。理由としては、コロナ禍の中での外食産業の営業時間短縮等を契機とした需要減少、特に高価格帯米の売行きが悪化しているとのことです。
第2次いちほまれブランド戦略において、いちほまれの栽培面積は令和元年の80Oヘクタールから令和4年の2,000ヘクタールに、販売量は令和元年の4,000トンから令和4年は1万トンに増加させるということです。夢ある話でいいのですが、あくまで買取り価格の高値安定が前提です。
ある米販売業者から、首都圏では新潟米や東北米の認知度が高く、福井県の米の参入が厳しい状況にあるという話も聞きます。全国区のブランド米とするために、県外の百貨店や量販店への売込みによる販売店舗数を増やしていくという当初の狙いは、収束が見えないコロナ禍、全国的な米余りを受けても変更する必要はないのでしょうか。いちほまれの買取り価格低下の影響を受けるのは生産者です。4億円を投じてコマーシャルや販促キャンペーンを行うことに疑問が湧くと同時に、生産者からの買取り価格の高値安定を強く求めます。
改めて現状の分析を行い、いちほまれの販売戦略、予算の使い方を見直す必要があると考えますが、知事の所見を伺います。
また、園芸で新規就農を目指す人材を育成する園芸カレッジの卒業生の大部分が、坂井北部丘陵地や三里浜砂丘地において就業、独立等により定着しているそうですが、新規就農希望者が新たに坂井や三里浜以外の地で就農しようとする場合の受入れ体制はきちんとできているのでしょうか。冒頭に触れました私の住む市街化調整区域でも、なかなか新規就農者が入ってこない状況にあります。
均衡ある国土の発展を目指すため、坂井北部丘陵地や三里浜砂丘地以外での新規就農者の受入れについて、県としても支援すべき体制を整えるべきと考えますが、所見を伺います。
米全体の低価格化が進むこの状況は、もうかる農業とは程遠いのではないでしょうか。このままでは、若者の農業離れがますます進んでいくことが懸念されます。スマート農業による効率化、自動化で過重労働からの解放は達成されますが、産地が継続して成長していく保証はありません。やはり人材育成が不可欠ですし、もうかる営農スタイルの構築が鍵だと思います。今回創設された創造農学科にも期待したいと思いますが、地域の経済成長は、技術と才能と寛容性だと思います。規制からは何も生まれないことを申し上げ、質問といたします。理事者の皆様には明快な、前向きの答弁を期待いたします。
以上です。
123 ◯副議長(宮本 俊君) 知事杉本君。
〔知事
杉本達治君登壇〕
124 ◯知事(
杉本達治君) 畑議員の
一般質問にお答えを申し上げます。
まず、実効性のある人口減少対策について、お答えを申し上げます
人口問題を解決するためには、まず、大都市中心の政策、とにかく大都市は便利だからといってどんどん人が集まる、そのことを放置する、そういう構造を変えていかなければいけないと考えているところでございます。
そういうことから、今、御指摘もいただきましたけれども、例えば大学に入るとき、高校3年生の人口を見ると、東京都の18歳人口というのは全国の8%なんですけれども、大学1年生の数を見ると全国の24%が東京に集まっている、こういうことを変えていかなければいけないということを以前から申し上げているわけでございます。これにつきましては、完全に思ったとおり進んでいるわけではありませんけれども、ただ、文科省も東京における定員の抑制を打ち出しました。また、国立大学についてはこれまで地方大学の定員を増やさないという方針がありましたけれども、地方大学については増やしていく、こういった方向性も打ち出しているところでございます。
また、企業の地方展開につきましても、地方移転の促進税制というのもつくられているというところでございまして、国も大きな方針としては地方に展開していく方向性で具体的に進めているということかと考えているところでございます。
福井県におきましては、御指摘もいただきました、第2期の人口減少対策、こういう中でいろんな施策を進めさせていただいております。その結果として、昨年の合計特殊出生率は全国6位、1.61というような状況になっているところでございます。また、ふく育応援団ということも進めさせていただいていますが、県外からのUターン者、Iターン者を進める「新ふくい人」、これも昨年は初めて1,000人を超えるというような状況にもなっているわけでございます。
こういう中で今後、子だくさんプロジェクト、要は3人っ子政策をさらに進めて、2人目以降の教育費を無償化していくような方向、さらにはふく育応援団ということで、子どもをたくさん産み育てればそれだけ生活も楽しくなって、豊かにもなっていくような、そんなことも考えて進めていきたいと。今、日本一の子育て支援ということを行っておりますけれども、これをさらに進化させていく。
さらには、県立大学の新規学科、それから企業ももうかるような、高付加価値型の企業の誘致を進めていく、それから文化やスポーツを楽しめるような環境も整えていく。そういうことで、福井を「もっとおもしろく」というのを今回の長期ビジョンの中にも書かせていただいておりますけれども、若者の皆さんに選んでいただけるような、そういう福井県に変えていきたいと考えているところでございます。
続きまして、いちほまれの販売戦略、予算の使い方の見直しについて、お答えを申し上げます。
いちほまれにつきましては、おいしい福井米ということですけれども、看板米ということで、今、そのブランドイメージをさらにしっかりと宣伝をさせていただいているところでございまして、卸業者、それから米穀店ですとか量販店、こういったところからも大変高い評価をいただいているところでございます。また、やはり高い価格で売ることで農家さんの収益を確保する、こういうためにも価格を高く、できるだけたくさん売っていく、こういう方向を模索しているところでございます。
時々食べますけれども、何といっても色白で艶がある、それから粘りがあるのに粒感があってかみ応えがあるので、かめばかむほど今度は優しい甘さが出てくるというすばらしいお米だというふうに考えております。
そういうことで、卸業者さんとか小売業者さん、そういう方々も、このいちほまれはとにかく皆さんに認知してもらうことが大事だということを言っていただいておりますので、今年度につきましても予算を使わせていただいて、首都圏、中部圏、それから関西圏などでさらに売込みを強化して、今のブランドイメージ、それからランクを、しっかりと位置づけを守っていけるような形にしていきたいと考えているところでございます。
いちほまれのブランド戦略につきましては、来年度見直しを迎える時期になるわけでございまして、これまでの販売の状況、それから卸業者さんとか生産者さん、消費者、こういった方々の御意見にもしっかりと耳を傾けながら、ブランド確立に向けて、これからも新たな戦略、それから販売方法の検討をしていきたいと考えているところでございます。
そのほかにつきましては、担当より御答弁申し上げます。
125 ◯副議長(宮本 俊君) 総務部長近松君。
〔総務部長近松茂弘君登壇〕
126 ◯総務部長(近松茂弘君) 私からは2点、お答えさせていただきます。
まず、県立大学の第3期中期計画についてでございます。
第3期中期計画につきましては今年度で3年目を迎えておりまして、新学部・新学科の創設、教育、研究、地域貢献など、9項目におきまして取組を進めてございます。
新学部・新学科の創設につきましては、昨年4月に創造農学科を開設いたしますとともに、来年4月には先端増養殖科学科を開設するという予定でございまして、県内高校生の進学の受皿づくりでございますとか、県内就職につながる環境を整備しているというところでございます。また、教育や研究につきましては、コロナ禍におけます教育実施体制の強化、また、学生支援に力を注ぎますとともに、各分野の実務家によります特任講師制度というものの新設でございますとか、大学発ベンチャー企業設立支援制度の創設などを行ってまいったところでございます。
このように、中期計画のスタート2か年の業務実績につきましては、評価委員会から全体としておおむね計画どおりに達成したという評価をいただいております。県といたしましては、引き続き大学の教育、研究、地域貢献活動の一層の充実が図られるよう支援してまいりたいというふうに考えてございます。
続きまして、地質に関する学科、カリキュラムの設置及び研究機関の誘致につきまして、お答えさせていただきます。
県立大学におきましては、現在、古生物関連学部の開設に向けまして、カリキュラムや教員体制などにつきまして具体化の作業を行っているところでございます。教育、研究分野につきましては、恐竜の古生物学、また、年縞を活用した古気候学などに加えまして、奥越など県内各地の地層、地質の研究にも取り組む方向で検討しております。
地質学、地震学に関しましては、福井大学、それから福井高専などにも専門家はいらっしゃいますけれども、防災や都市計画の観点から、県内各地の地質特性を学んだ人材の育成、輩出というのは重要であるというふうに考えておりまして、県立大学といたしましても研究や人材育成を担っていきたいというふうに考えてございます。
また、学内の有識者会議の中では、国内外の大学、それから研究機関との連携によりまして、特色あるカリキュラムとするということも提案いただいてございまして、学術研究拠点としての機能も発揮できるように、将来の誘致の可能性も見据えまして、各種機関と連携方策につきまして検討してまいります。
127 ◯副議長(宮本 俊君) 農林水産部長池田君。
〔農林水産部長池田禎孝君登壇〕
128 ◯農林水産部長(池田禎孝君) 私から1点、新規就農者の受入れの支援体制について、お答え申し上げます。
園芸カレッジでございますが、昨年度までの6年間で、県内で148名の修了生がいらっしゃいまして、就農、就業をしてございます。うち坂井の北部丘陵地、三里浜の砂丘地以外では約3割、47人の方が就農、就業されているところでございます。この割合は、当初は低かったわけでございますけれども、近年では三里浜砂丘地、北部丘陵地以外の数字は増えてございます。
県では、研修生の就農先を北部丘陵地、あるいは三里浜の砂丘地以外にも拡大することは大変重要と考えております。ふくいの農業基本計画にも明記をしてございます。市町と協働しながら農業人材育成拠点の整備を進めているところでございまして、今年4月には、美浜町におきまして農業人材育成拠点が開所しているところでございます。カレッジの修了生2名がキュウリやイチゴの栽培研修を始めているところでございます。
また、「夢ある福井の園芸タウン」という事業を今年から始めてございまして、こちらは1億円規模の産地規模を目指しておりまして、農地、それから機械、施設、栽培技術、販売を一貫してサポートする仕組みでございます。今年度から5か年で、県内全域10か所で育成をしたいというふうに考えてございます。こうした事業をさらに進めまして、新規就農者が県内全域で就農できる受皿づくりを進めてまいります。
129 ◯副議長(宮本 俊君) 土木部長西出君。
〔土木部長西出俊亮君登壇〕
130
◯土木部長(西出俊亮君) 私からは、災害復旧とインフラ整備につきまして2点、お答え申し上げます。
上下流で一体となった治水対策についての御質問でございます。
7月29日に福井市西部と越前町を中心に、局部的に福井豪雨に匹敵する猛烈な雨が降り、志津川、七瀬川、越知川の上流で浸水被害が発生いたしました。
この中で、七瀬川につきましては、まず布施田橋の九頭竜川の合流点から1,500メートルにつきまして整備を行っており、その後、内山梨子から大年間、事業区間3,100メートルにつきまして、圃場整備と一体となりました事業を進めてきて、下流から順次整備を進めてきているところでございます。これまで八幡町の大橋下流までの1,350メートルの整備を完了しているところでございます。
今後、八幡町の大橋から越水が起きた荒谷川の合流点までの1,200メートルの区間につきまして、地域の方々の協力を得て用地買収を促進させ、国の5か年加速化対策の予算を活用して早急に整備を進めてまいります。また、その上流区間については、しゅんせつ等を適切に実施するとともに、燈豊川、荒谷川の支川につきましても、適切な対応を福井市に促してまいります。
さらに、関係機関や地元住民と連携いたしまして、田んぼダム等の治水対策も進めていくことで、上下流一体での治水安全度の向上を図ってまいりたいと考えているところでございます。
続きまして、道路整備プログラムにおける福井外環状道路の位置づけの意味と早期事業化に向けた国に対する今後の戦略についての御質問でございます。
福井外環状道路は、本年7月に国が策定した新広域道路交通計画におきまして、中長期的に広域道路ネットワークを構成する高規格道路に位置づけられたところでございます。
路線全体の延長が長く、高規格道路として高いサービス水準が求められる福井外環状道路は、事業化までに長期の検討期間を要することが想定されることから、このたび事業主体を未定とし、道路整備プログラムに事業化検討箇所として記載したものでございます。今後、国や沿線自治体と連携しまして、幹線道路の整備状況等を考慮しながら、事業主体や実施時期、そして整備方針などの検討をより具体的に進めてまいりたいというふうに考えております。
131 ◯副議長(宮本 俊君) 以上で、畑君の質問は終了いたしました。
田中三津彦君。
〔田中三津彦君登壇〕
132 ◯9番(田中三津彦君) 県会自民党の田中三津彦です。前々回、前回と大雪対策やえちぜん鉄道の問題、あるいは中学校の再編統合と勝山市に密着したような問題を中心に質問させていただきましたが、今回はちょっと視野を広く持たせていただいて質問しようと思います。
ということで、まず東京2020オリンピック・パラリンピックについてです。
本定例会初日、知事が紹介されたように、今回のオリンピック・パラリンピックには、本県ゆかりの選手が過去最多の20人出場し、金メダルを獲得したフェンシング男子エペ団体の見延選手、野球の吉田選手と栗原選手、マラソン視覚障がいの部で入賞された西島選手など、私たちに大きな感動と勇気を届けてくれました。コロナ禍での1年延期という前例のない逆境と、開催に賛否両論が渦巻く状況でも練習に打ち込んで自らを磨き、厳しい行動制限と無観客という条件下においても全力を出し切って戦った我が県関係の全ての選手に、心から感謝と敬意を表したいと思います。
大きな感動を与えてくれたのは、世界中から参加したアスリートです。しかし、味も質も最高と評価された選手村の食堂、ボランティアの温かな笑顔、気さくに挨拶する自衛官や警察官によるソフトな警備など、周到な準備と臨機応変な大会運営に尽力した組織委員会スタッフやボランティアの功績を見逃してはいけません。開会前は懐疑的・批判的な報道をしていた海外メディアの大半が、コロナ感染拡大下で全ての競技を実施できたことに、並外れた成果だ、すばらしい6週間だったと称賛し、2024年パリ大会組織委員会のエスタンゲ会長は、「史上初の延期とコロナ禍に対応し、競技運営を完遂する適応力を見せた国が日本以外にあったろうか。驚くべきことで金メダルに値する」と絶賛しました。大会期間中に来日した各国要人も、日本だからできたことだと謝意を示しています。
また、オリンピックで9個の金メダルを獲得した陸上のレジェンド、カール・ルイス氏は、「日本はよくぞ大会を開いてくれた。このコロナ禍でオリンピックを成功させられる国はほとんどない。選手たちは大会を開いてくれたことに感謝して全力を尽くした。観客は失われたけれども、世界中の何十億という人がテレビを通じて同じ体験をできた。オリンピックは戦争、平和、怒り、幸せなど、何が起きても世界を一つにするのだと改めて感じた。今大会のヒーローは日本の皆さんだ。コロナ対策を怠らず、献身的な取組を通じ、このすばらしい機会をアスリートに与えてくれた。本当に心から感謝の気持ちを伝えたい」と、特別な言葉を残してくれました。
大会前、確かに世論は割れていて、オリンピック開会式2週間前時点の世論調査では、全国で41%、東京都で50%の人が中止を求めていました。しかし、オリンピックが始まってアスリート、特に日本選手の活躍が報道されると空気は一変。オリンピック閉会後の読売新聞などの世論調査では、60%を超える人々が開催を「よかった」と評価しています。
驚かされるのは、あれだけ執拗に開催反対と中止を訴えていた一部の政党、評論家や芸能人とそれをあおるかのようなマスコミによる政府や組織委員会への批判がぴたりとやみ、日本選手の活躍報道一辺倒に豹変したことです。東西冷戦がソ連の崩壊によって終結したときのような見事な手のひら返しには、今さらながらあきれるしかなく、政府・与党批判がすなわち正論であり、公正な報道だと勘違いしているのではないかと思われる態度には本当にうんざりさせられました。ただ、マスコミなどにも、政府や組織委員会の対応を批判はしつつも一貫して開催を主張してきた冷静な人もおられました。とにもかくにも、日本はオリパラ開催という重い約束を果たし、海外から多くの信頼と敬意を表す声が寄せられていることを、私たちは真摯に受け止めるべきだと思います。
ところで、7月以降、コロナ感染が急拡大しているわけですが、それがオリンピックのせいだという声も聞かれました。本当でしょうか。立憲民主党の枝野代表は、オリパラを開催すると世界の変異株の展示会みたいになると反対されたとお聞きしますが、7月1日から9月6日の間、組織委員会が選手や関係者に徹底的なPCR検査を行い、対策も徹底した結果、この間の陽性判定は853人と、国内と比較して極めて低く抑え込むことができ、市中への感染拡大も確認されていません。枝野代表の指摘は全く見当違いで、いたずらに国民や世界の不安をあおっただけだったと言えます。
逆に、クリストフ・デュビIOC五輪統括部長の「短期間にこれほど検査した集団はない。我々は安全な大会を開催する約束を守った」、パーソンズ国際パラリンピック協会会長の「日本のような大会は諸外国ではできなかった。世界は日本が果たした役割を忘れない」という発言は、非常に的確なものだと思います。
冷静に見れば、この夏以降のコロナの感染拡大は、1年以上続く自粛や不便を強いられる状況に嫌気が差し、ある意味慣れてしまったことに加え、オリンピックを口実、言い訳にして自らの行動を正当化してしまった私たち自身へのしっぺ返しと、そういう側面もあるのではないでしょうか。7月22日からの4連休の来県者が昨年同期比で81%増、8月7日からの3連休の来県者も52%増、県内から大阪、愛知や石川県に出かけた人は22%増という数字がそれを物語っています。そこで、昨年に続き中止という選択肢もあり得た状況下でインターハイの開催を決断し、成功に導いた主催県のトップである知事にお聞きします。
世論が割れる中で開催され、内外から多くの称賛を受けたオリンピック・パラリンピックを知事はどのように評価されるでしょうか、所見をお願いします。
次に、コロナ対策についてです。
夏以降のデルタ株による感染拡大に伴い、個人の行動に制限をかけるなど、国のより強い対策を求める声が目立つようになりました。全国知事会も先月20日にまとめた国への緊急提言の中で、時限的な措置としてロックダウン、いわゆる都市封鎖や、特定の道路で課金を行うロードプライシングなど、人の動きや接触を減らすための強い措置を国が速やかに検討するよう求めました。ただ、ロックダウンを実施した国の多くで感染が再拡大して日本以上の感染者数となっているのを見ると、その有効性には疑問があります。一方、9月に入って感染者が減少傾向となる中、政府は11月頃をめどにワクチン接種済みを条件として行動制限を緩和することを決定しました。
そこで、夏以降のこれらの動きに対する現時点での知事の評価、所見をお伺いいたします。
また、見逃せないのが子どもへの感染拡大です。感染者に占める子どもの割合が明らかに増えていて、県内でも小中高校やこども園等で感染が拡大し、クラスターも発生しています。知事も8月20日の全国知事会において、ワクチン接種対象外の子どもの感染が増え、保育施設での感染リスクが高まっていることを指摘され、医療従事者とともに保育士に慰労金を支給することなどを提言しました。
そこで、保育施設で働く方々への慰労金支給などについて国に強く働きかけるとともに、要すれば、昨年、県が独自に実施した慰労金支給を再度行うなど、県も自らの支援策を検討すべきではないでしょうか、所見をお伺いします。
ところで、ワクチンの2回接種を終えた人に3回目の接種をする動きがアメリカやEUの諸国等で進んでいます。デルタ株への対応、時間経過による抗体量減少に対する追加接種によるブースター効果、こういったものが主な理由です。日本も、政府が3回目の接種をする検討を進めていて、メーカーと契約するなどしていますが、イスラエルは8月から、ドイツ、イギリスなどは今月から追加接種を既に始めているのと比べれば、出遅れ感は否めません。まずは希望者全員2回接種完了、これを優先すべきだという声もありますが、専門家によれば、2回接種では時間経過によって効果が落ちることは避けられず、3回目が必要になる可能性は高いということです。ならば、政府の迅速な意思決定が必要だとなるわけですが、厚生労働省の審議会での議論、薬事承認の変更手続、何でも反対で抵抗する一部政党とそれをあおるマスコミなど、我が国の政策決定にはとにかく時間がかかり、黙って見ていてはまたしても諸外国の後塵を拝し、国民がさらなる不安、不満を感じることになりかねません。
そこで、感染の収束を急ぎ、抗体量の減少防止と増加を期すためにも、3回目のワクチン接種を速やかに決定、実施するよう、国に強く働きかけるべきだと思いますが、所見をお伺いします。
次に、クマの出没対策です。
また地域に密着した問題に戻りますが、報道によれば、先月23日、県鳥獣保護計画検討委員会が開かれ、昨年度までの4年間のクマの出没数が年平均約700件と以前より倍増し、人身被害も増加していることから、捕殺上限を増やすことを含めて検討を進めることになったといいます。会合では事務局である県自然環境課が、県内のクマの推定生息数が嶺北で370~800頭、嶺南で230~240頭で出没数が倍増していることや、クマが里山や集落周辺まで生息域を広げ、人間とのあつれきが日常化していることを示した上で、環境省のガイドラインを基に、捕殺上限割合を推定生息数の15%と提案しました。委員会はこれを受けて検討を進め、本年度末までに、来年度から5年間を期間とする保護計画を策定します。
そこで、今回の委員会の詳細をお伺いします。特に、新たな捕殺上限割合に基づく捕殺数など、具体的にお願いをいたします。
一方、9日の対策連絡会では、今年はブナの実が一定程度育っていて大量出没のおそれは低いという報告があったそうですが、クマの生息数自体が増え里山に恒常的に生息している可能性を考えますと、餌を求めて人里に出没するおそれは十分にあります。今回策定される計画はあくまでも来年度から5年間を対象とするものですが、私が昨年9月と本年6月の定例会で、クマの捕獲数の拡大など、より早くより強い対応を求めた際、必要であれば今年度中においても捕獲の強化に乗り出す旨、答弁いただきました。
そこで、秋以降、新たな捕殺上限割合に基づく捕殺数を直ちに適用して、県民の安心・安全の資とするべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
また、里山のクマを人から遠ざけるための対策が必要だと思いますが、これまでにない具体策など、併せてお伺いをします。
最後に、県外事務所の体制について伺います。
今月1日、福井県名古屋事務所が開設されました。東京、大阪、京都に続く4か所目の県外事務所となり、本県への企業誘致、移住、観光誘客などでの成果を期待します。ただ、一部の事務要員を除いて県外事務所のほとんどの人員が県から派遣され、平均3年から5年で交替しているという現状はベストの体制と言えるのでしょうか。
副業やリモートワークの拡大という働き方の変化を踏まえれば、観光や旅行、求人や人材派遣など、県外事務所に期待する分野の業界で働くプロを、東京や大阪で現地採用するということも考えてはどうでしょう。県の正規職員として採用するのではなく、それぞれの業界に身を置きながら、副業として県の企業誘致、移住、観光誘客などでそのプロのスキルを発揮してもらうわけです。県から派遣されている職員の方も、お聞きしますと同様の業務経験があるということですが、やはりプロのスキルやノウハウ、あるいは地域の業界の人脈やつてという面では太刀打ちできないのではないかと思います。現地でプロを採用できれば、県から派遣する人員は削減できますし、その分、県内で実力を発揮してもらえばいいと思います。
また、何も県からの派遣を全てなくしてしまえというのではありません。県外事務所には中央省庁や行政機関、各種団体などとの調整や交渉の窓口という重要な役割もあり、県職員の皆さんのそういう必要なスキルというものは十分活用するべきです。言いたいのは、業務の内容と期待する役割に応じて配置する人材を変えるということです。
では、実力と経験を備え、幅広い人脈などを持たれるプロをどう見つけ出すかですが、幸い東京、大阪など都会には、県人会とか、ふるさとを応援してくれる方々がたくさんおられます。東京若越クラブのメンバーである私の友人にも聞きましたが、クラブの会合などがあると、メンバーの方が、「もっと俺は福井の役に立ちたい」、「福井の人はもっと来てほしいんだけど、あまり来てくれないんだよな」、あるいは「自分はもうそれなりの年になったし動き回る馬力はないけど、すばらしい若い人はたくさん知っているから、来てくれれば紹介するんだけど」というようなことをおっしゃる方はたくさんおられるそうです。ならばこちらから誠意を持って頼っていって、そのお知恵と力を拝借すればいいと思います。
現地の経済界、旅行観光業界、求人業界などから優秀な人材を登用して企業誘致、移住、観光誘客などで成果拡大を目指す等、県外事務所の体制を見直してはいかがでしょうか、所見を伺います。
以上、よろしくお願いいたします。
133 ◯副議長(宮本 俊君) 知事杉本君。
〔知事
杉本達治君登壇〕
134 ◯知事(
杉本達治君) 田中三津彦議員の
一般質問にお答えを申し上げます。
まず、オリンピック・パラリンピック開催への評価について、お答えを申し上げます。
私も本当に東京2020オリンピック・パラリンピック、連日拝見をさせていただいて、ある意味はらはらどきどきしながら見せていただきました。御指摘もいただきましたけれども、始まる前は直前でも結構多くの人たちが開催そのものを反対するというような状況でしたけれども、始まったその日から状況は一変したなというふうに感じました。
もちろん会場にはお客さんが入らなかったわけですけれども、ただ、やはり私も感じたのは、アスリートの皆さんの本当に強靭な精神力というか、あれだけ直前まで反対も多い、それから悩みも多かったということはずっと言われていました。私たちはこんなところで東京オリンピックに出ていいのかという悩みも訴えていらっしゃいましたけれども、それでもその当日に向けてしっかりと体調を整えて、自分の最高のパフォーマンスを見せていく、こういうアスリートの強さというものをしっかり見せていただけた。また、パラリンピックも含めて、先ほど鈴木議員のお話にもありましたけれども、一生懸命自分の持っている力で何とかそれを乗り越えようとしている姿、多様性ということもしっかり国民の胸に刻み込まれたというふうに、大成功だったのではないかと私も感じているところでございます。
福井県ゆかりの選手方も20名出場されました。私も感じたのは、諦めないというところを強く思いました。もちろん見延選手とか吉田選手、栗原選手、金メダルを取られた方もすばらしかったですし、西島選手もふらふらになりながら、最後、走り抜いた。山口茜選手も本当に疲れ切っている感じでしたけれども、ずっとシャトルを追い続けていた。ああいう姿も子どもたちにはとても感動、それから勇気を与えたのではないかなと思っているところでございます。
ちょうど同じ時期に福井県ではインターハイを開かせていただきました。無観客ということでしたけれども、また、一部感染者も出てしまいましたが、それでも大きくは日程に変更がなく終えることができた。これも我々にとっても、また、一緒に戦った生徒さん、それから支えた生徒さん、見て応援をした生徒さん、こういう方々にとっても大きな思い出になったのではないかなと思っております。
こうしたスポーツに向けての地域を元気にする力を、次のオリンピックとかパラリンピックにまた結びつけていく。夢や希望とか、それから元気というものを若い皆さんに受け取ってもらって、また元気な県にしていく。こういったことに力を尽くしていきたいと考えているところでございます。
続きましてコロナ対策につきまして、ロックダウン等の強い措置の実施とワクチン接種後の行動緩和について、お答えを申し上げます。
コロナも、もう1年半にわたって闘っているわけでございまして、感染拡大の防止は、基本的にはやはり個々人の皆さんの行動の在り方というものを変えていただくことが大事ではないかなというように思います。
ただ、感染が拡大をしているときに、今回の感染拡大も大変苦労しましたけれども、そういう中で、やはり一時的に何とかそれを大きく変えるような手法として、ロックダウンというような手法というのもあるのではないかと。ただ、今の緊急事態宣言のようにいつまでも継続して、延長していくというやり方ではなくて、エリアとか期間をしっかり限って、その代わり徹底的にやる、こういう手法というのも、あるかないかといえばあるのではないかということで、全国知事会でもそういう提言をさせていただいている。そのための法律等の措置を今のうちにしっかりと取っておく必要があるというふうに訴えさせていただいているところでございます。
福井県は、基本的にはまずエビデンスということを県民の皆さんにしっかり言わせていただく。例えば県外由来がほとんどだとか、もしくは感染している場面というのはマスクのない方がほとんど、もう8割以上で、それ以外に本当の接触感染というのは一、二%しかないとか、そういったようなことを言わせていただいて、「おはなしはマスク」とか、または、ただの旅行で県外に行くときではなくて、親しい方と会うとか、それから親戚、帰省してきた子どもとマスクなしで親しくしているときが危ない、そういう意味で「親しき仲こそマスクあり」とか、こういったエビデンスに基づいたことを県民の皆さんに訴えさせていただいて、何とか感染を抑えてきていると、こういう状況だと考えているところでございます。
行動制限の緩和についてのお話もありましたが、これについては我々も、やはり先にともしびをともす、こういうことは大事だということで申し上げてきました。ただ、あまりそういった緩和の話だけが出ると、どうしても気持ちが先に緩んでしまって感染が拡大するということも言わせていただいております。そういう意味では、具体的にどんなタイミングでこういうことにしていくのか、例えば接種2回目が終わってどれだけたってからしか駄目ですよとか、こういったことを同じように示していただく必要があるかなと考えておりまして、いずれにしても国民的議論──接種ばかりではなくて、接種できない方もいらっしゃいますので、そういうときにはPCR検査をするんだとか、ただ、PCR検査にもお金がかかる、これをどうするんだといった国民的な議論ということを知事会のほうでも一緒に求めて、国と地方で協議しましょうということも提案をさせていただいています。そういったことをこれから、私も知事会のコロナ対策本部の幹事長になりましたので、国に対して求めていきたいと考えているところでございます。
そのほかにつきましては、担当より御答弁申し上げます。
135 ◯副議長(宮本 俊君) 地域戦略部長前田君。
〔地域戦略部長前田洋一君登壇〕
136
◯地域戦略部長(前田洋一君) 私から1点、県外事務所の体制見直しについて、お答えいたします。
県外事務所の体制につきましては、企業誘致や観光PRの業務経験のある職員を積極的に配置しております。このほか民間人の活用という点におきますと、移住定住をサポートするUターンアドバイザーの方も、キャリアコンサルタントの資格を持つ人材ということで採用しているわけでございます。また、企業誘致の面におきましても、都市圏の企業で役員として働いておられる本県出身者の方を企業誘致アドバイザーとして委嘱しまして、助言や情報提供をいただいているということでございます。
今後も、大都市圏での企業誘致、観光誘客におきまして、こうした県人会等のネットワークを積極的に活用していくとともに、実効性の上がる、より効果的な方法、手法につきましても検討していきたいと考えてございます。
137 ◯副議長(宮本 俊君) 安全環境部長野路君。
〔安全環境部長野路博之君登壇〕
138
◯安全環境部長(野路博之君) 私からはクマの出没対策につきまして2点、お答え申し上げます。
1点目、クマ保護計画検討委員会の詳細についてでございます。
先月23日の検討委員会では、嶺北地域と嶺南地域に分けてクマの推定生息数と捕獲上限割合などを議論したところでございます。嶺北地域につきましては、人身被害など人間とのあつれきが恒常的になっていることから、捕獲上限割合を現行の12%から15%に引き上げ、捕獲上限数を91頭から120頭に上げる案を提示いたしました。嶺南地域につきましては、これは京都府や滋賀県を合わせた生息数が一定規模以上に増えてございまして、人間とのあつれきも生じているということから、現行の上限割合は8%ですが、これを15%に引き上げ、捕獲上限数を15頭から36頭に上げる案を提示いたしました。
委員会では、嶺南地域の引上げ幅が大き過ぎるんじゃないかという意見があった一方で、地元嶺南の市町の委員からは、人身被害が出ている状況から15%への引上げを求める意見もございました。今後、さらに検討委員会で議論を行い、今年度中に計画を策定することとしております。
続きまして、新たな捕獲上限数の適用とクマを人から遠ざける対策につきまして、お答え申し上げます。
今年は餌となるブナの実などが一定程度実っているとの調査結果が出ておりまして、昨年、一昨年のような大量出没となる可能性は低いと考えてございます。このため、現時点で直ちに新たな捕獲上限数を適用するということは考えてございません。しかし、御指摘がありましたとおり、委員会では、近年クマの行動範囲が広がっており、里山に恒常的に生息している可能性も指摘されております。このため、今月9日のクマ出没対策連絡会におきまして、人身被害のおそれがある場合には上限数にかかわらず捕獲するよう、猟友会などに要請したところでございます。今後も出没状況を注視し、関係者との連絡を密にして対策に万全を期してまいります。
また、今年度から、柿などの伐採に対する市町への補助やクマ対策専門家の助言を受ける際の支援など、クマを人から遠ざけるための対策を強化したところでございます。その効果を検証しながら、新たな対策を研究してまいりたいと考えてございます。
139 ◯副議長(宮本 俊君) 健康福祉部長窪田君。
〔健康福祉部長
窪田裕行君登壇〕
140
◯健康福祉部長(
窪田裕行君) 私から2点、お答えいたします。
まず、保育施設で働く方々への慰労金支給についての御提案をいただきました。
本県では、第5波がこれまでの感染規模を大きく上回っておりまして、7月20日から始まったとされておりますけれども、おととい全ての感染件数の半分を上回りました。今日の時点で2,877人の陽性者の方のうち1,456人、割合にして50.6%の方がこの第5波で陽性が分かっている、これまでとは桁違いの感染規模になっております。
そういった中で、多くの困難に立ち向かっておられます保育士の方、それから医療従事者を含むエッセンシャルワーカーを社会全体で応援していかないといけないということで、全国知事会の中でも、特にこれは保育士の方を中心に福井県から提案をさせていただきまして、国への要望に加えることになりました。
また、保育現場の皆さんからは、子どもさんの感染が急速に増加していることもあって、早期のワクチン接種を望む声が多く上がりました。安心して業務に従事をしていただくという観点から、接種を希望しながら予約ができていなかった保育士の方を中心に、先週からですが、福井県済生会病院での接種の枠をつくりましたし、県職員の職域接種で捻出した2,200の枠の中で、保育士の方の優先の接種を進めさせていただいております。
また、御提案の保育施設で働く方への慰労金の支給の実現につきましては、まずは都道府県の総意として要望をすることになりましたので、引き続き強く国に要望していくとともに、今後も保育施設など現場の声をお聞かせいただきながら、子どもさんや保育士の方が安心して過ごすことができるような支援を充実させていきたいというふうに思っております。
それから、3回目のワクチン接種、国への働きかけをどうするのかという御提言でございます。
新型コロナワクチンにつきましては、2回接種した後に、時間の経過に伴って効果が低下するのではないかという可能性が指摘されております。特に海外におきましては、幾つかの国で3回目接種を、例えばイスラエルでは既に開始しておりますし、アメリカ等では3回目の接種の実施を決定したということでございます。
こうした中、我が国でも近く3回目接種についての議論を始めるというアナウンスが出ておりまして、厚生科学審議会におきまして、2回接種の効果がどの程度持続するのか、それから、3回目接種の必要性とか時期などについて議論が行われるというふうに考えております。
3回目接種につきましても、全国知事会として、国の方針を速やかに示すよう求めておりまして、必要量のワクチンを必要な時期に供給すること、それから接種費用の全額を国費で賄っていただくこと、さらに人員体制に対する財政支援も行っていただくこと、こういったことと併せて、今後も引き続き国に求めていきたいというふうに思っております。
141 ◯副議長(宮本 俊君) 田中三津彦君。
142 ◯9番(田中三津彦君) 前向きな答弁、いろいろとありがとうございました。
ただ、一つだけ、県外事務所の件ですけれども、既に現地で専門家の人にお願いをしているということなんですが、私がこの話をアイデアとしていただいたのも実は東京で企業誘致アドバイザーとして委嘱されている友人で、彼らがそういうようなことを認識して必要だと言っているということも添えておきますので、前田部長、ぜひよろしくお願いいたします。
以上で終わります。
143 ◯副議長(宮本 俊君) 以上で、田中三津彦君の質問は終了いたしました。
松崎君。
〔松崎雄城君登壇〕
144 ◯3番(松崎雄城君) 県会自民党の松崎雄城でございます。
東京オリンピック・パラリンピックが閉会いたしました。日本は過去最多のメダルを獲得し、非常に盛り上がり、感動いたしました。これと同じくらい感動いたしましたのは、インターハイの総合開会式でございます。生徒たちのパフォーマンスや動画がとてもすばらしく、また、照明などの演出もあって、非常にすばらしいものだったなというふうに感動いたした次第でございます。こういった御時世で生徒にとっても発表する場が減っておりますので、とてもいい機会になったのではないかなというふうに感じております。改めまして、すばらしいしつらえをしていただきましたスタッフの生徒含め、関係者の皆様に敬意を表するとともに、この場をお借りして感謝を申し上げたいと思います。
また、昨日、将棋の藤井聡太棋士が叡王位を獲得いたしまして、最年少、10代三冠となりまして、なかなか10代で政治家というのは無理でございますけれども、私も県政で唯一の20代政治家として、そういった若い世代に負けない若さと情熱を持って本日も質問と提言をさせていただきたいというふうに思います。
1点目は、行政のデジタル化についてでございます。
現在も世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルスでございます。これまでの生活様式を一変させたことは皆様も御存じのとおりでございます。生活様式の変化の中で、私が昨年9月議会の
一般質問の中でも取り上げましたのがデジタルの急速な進展でございます。これまで日本ではITの推進をうたっていながらもその推進力は弱く、世界の先進国の中では後れを取っていたと思います。それは、今回の新型コロナウイルスへの対策によりあらわになりました。昨年の10万円の一括給付や新型コロナ対策用のアプリでありますCOCOAなどの例を見ましても、手続が煩雑で、不具合も多かったと思います。
また、それぞれの自治体によりデジタルのシステムがばらばらなため、支援の速さが違ったことも課題に挙げられ、それは例えば現在の国の緊急事態宣言における飲食店などへの協力金、また、持続化給付金の配付などにも言えます。福井県ではなるべく早く希望する企業に配付できるよう動いていただいたおかげで、持続化給付金などの配付が遅いというような批判を、少なくとも私はほとんど聞きませんでした。全国の報道などを見ると、都市部などではもらえていないところがまだまだ多いように報道されています。これらの課題が制度改革について早くから取り組み、しっかりと議論をした上で、デジタル化が早く進んでいれば問題がなかったものと思われます。
これらのことも含め、これまで浮き彫りとなった課題を解決するため、9月に入り国のほうでデジタル庁が立ち上がりました。これまで政府、都道府県、市町村など各行政、自治体ごとにシステムの管理や運営をそれぞれで行っていたものが、これから国により一元化され、より早い情報共有が行われ、住民への支援体制が構築されることが期待されます。また、行政改革とともに、これまでデジタル化できなかった部分にも制度改革を行って、これから進めていきたいという話も平井デジタル担当大臣からございました。
しかし、国によるシステムの一元化や情報統制などの言葉を聞くと、自分の情報が悪用されるのではないか、セキュリティー面は大丈夫なのかと抵抗感が強くなり、そのマイナス面ばかりが先行してなかなか前に進めないというこれまでの流れもございました。いかにしてデメリットを軽減し、より大きなメリットを提示し周知していけるかが行政のデジタル化にとって重要なことではないかと考えます。
そこで、デジタル庁が立ち上がり、今後福井県においてどういったメリットがあると考えられるのか、また、行政手続などのデジタル化のために必要なマイナンバーカードの普及率向上など、デジタル化に向けたこれからの福井県の取組を知事にお伺いします。
デジタル庁の目玉は、デジタル監の民間人登用やシステムエンジニアの大量雇用など、これまでの官僚とは毛色の違う民間人の採用にあると考えられます。これによるメリットは専門性の高い者を固定して安定した運営ができること、これまで外注によって競争に勝った企業がその後のシステム運営までずっと担い続けるベンダーロックインが解消され、予算の軽減につながることが期待されます。先日もオリンピック・パラリンピック専用アプリの作成に使われた予算が多過ぎることで問題があったことなどが話題になりましたが、専門家から見れば減額した金額でも相当大きいという話がございました。
もちろん福井県において考えた場合、外注により県内企業に予算を使って伸ばしていくことも重要であると考えますし、システムをゼロから構築、運用していくのは企業のやることであって行政のすることではないというのもよく理解できます。ただ、平井大臣もおっしゃっておりましたが、誰でも扱えるプログラムに設計し、行政内でシステム運用、管理ができるほうが事務効率が上がり、さらには日々進化しているデジタルの波に置いていかれるリスクが減ることは間違いありません。
現在、県ではDX推進監を外部人材登用しており、その下で未来戦略課のDX推進室4名が事務担当をしているわけでありますが、さらに専門性の高い人材を数名登用し、デジタルシステムの管理、運用を行政内で完結できるようにすることで、福井県内の行政サービス、これは事務手続だけでなく、現在行っているふく割なども含めて一つのアプリで運用できる各部局横断的な構想を、将来に向け今から考えてはどうかと思います。
そこで、福井県にもデジタルの専門性が高い人材を登用したデジタル課を設置してはどうかと考えますが、所見を伺います。
145 ◯副議長(宮本 俊君) 知事杉本君。
〔知事
杉本達治君登壇〕
146 ◯知事(
杉本達治君) 松崎議員の
一般質問にお答えを申し上げます。大変歯切れのいい、元気な御質問でして、今日、大変な応援団の方もお越しになられていて、その勢いに負けないように、私も御答弁を申し上げたいというふうに思っております。
今ほどのデジタル庁設置に伴う本県のメリットですとか、行政デジタル化に向けた本県の取組についての御質問にお答えを申し上げます。
今月発足いたしましたデジタル庁ですけれども、自治体とも連携を深めまして、一つには行政サービスですとか、あと県民の暮らしのデジタル化を進めていくということで大変期待をしているところでございます。
行政といたしましては、例えば自治体のシステム、それからデータを統一化したりとか標準化するということは、非常にコスト削減につながるというところがございます。また、住民生活の面から言いますと、例えばいろんな行政手続をオンライン化できるとか、ワンストップではなくてノンストップ化ができる。家にいながら手続が終えられる。例えば出生届を出したら、その結果として児童手当の申請も終わっているということもできますし、また、引っ越しのときに住民票の異動願を出したときに、行政だけではなくて、例えば電気とかガスとか水道の引っ越しもできる、こういうようなことにも結びつくわけでございます。そういった非常に大きなメリットがあるというふうに考えております。
その中でもセキュリティーのお話もありました。世界でも本当に指折りの高いセキュリティーを持っているマイナンバーカードも活用しながら、福井県の場合でしたら、国がシステム化すると言っておりません、例えば食品の営業の許可ですとか、それから水道の開始とか休止の届けも、県内では市や町と県が一緒になってデジタル化を進めていく。今、こういうアイデアを持って進めさせていただいています。いろんな形でデジタル化を進めることで県民の生活を豊かにする、また、行政サービスを高度化する、コストを安くする、こういったことをしっかりと実現していきたいと考えているところでございます。
147 ◯副議長(宮本 俊君) 地域戦略部長前田君。
〔地域戦略部長前田洋一君登壇〕
148
◯地域戦略部長(前田洋一君) 私からは1点、デジタルの専門部署の設置について、お答えいたします。
デジタル技術に対しましてより迅速かつ柔軟に対応していくというためには、システム運用やDX推進を担う人材を確保、育成していくことが重要でございます。
まず、人材確保という面におきましては、今年度から、職員採用試験にアピール枠というものを創設いたしまして、DXなど専門的な知識や経験を持つ人材の採用を進めているというところでございます。また、人材育成の面でございますが、DXの研修でありますとか実践型のRPAというものに取り組んでおりまして、その結果、職員自らがコロナワクチンの接種予約システムを開発するなど、スキルが高まっているというところでございます。
今年の4月からDX推進室及びICT戦略室を設置したところでございまして、これらをハブにして職員全体がリテラシーの向上、底上げを図るということで、職員自身が当事者意識を持って、全庁を挙げた形で行政のデジタル化を進めていくことが大事かというふうに思ってございます。
149 ◯副議長(宮本 俊君) 松崎君。
150 ◯3番(松崎雄城君) ありがとうございます。デジタル化によって、今ほど知事もおっしゃいました、県民の生活をより豊かにしていくこと、これがDXのそもそもの目的でございますので、単にIT化することだけがDXではございませんので、ぜひそこを目指して頑張っていただきたいなと思います。デジタル化についても行政全体でということですが、専門性が高くなればなるほど、全体で引上げというのはなかなか難しくなってくるかなと思いますけれども、ぜひ頑張っていただきたいなというふうに思います。
2問目、若者のUIターン施策について、質問させていただきます。
先日、議会の広報会議において、福井県出身者で県外大学に進学した学生と意見交換をいたしました。4人中3人は地元に帰るつもりだとおっしゃっておりまして、これはよいことだというふうに思いました。こういった県外に進学した学生に、いかにして帰ってきてもらうかが課題であると感じます。
以前も少しお話しいたしましたが、日本全体で一般的に考えられている幸せな人生設計として、よい大学に行ってよい企業に就職するという考え方があり、この、よい企業というのは全国的にも有名で名の売れた企業だという考えがなかなか拭えないように感じます。実際、福井県にも多くのよい企業はございますが、私の周りでは県外の4年制大学に進学した方で福井にUターン、あるいはJターンしているのはほとんどが公務員、あるいは銀行員ではないかと実感しております。
現在、教育格差をなくすために経済的な支援などを行い、大学への進学率は上がっております。また、朝一で山浦議員が質問されたように、これからどんどんそういった課題がなくなってくると、さらにこの進学率というのは増えてくるように感じられます。現在も半分以上が大学へ進学するという状況です。この進学者を全て公務員などで雇うことはとてもできませんので、必然的にUターンする人数も減ってまいります。
現在運行本数の減便で話題になっておりますJR小浜線の駅長さんとお話ししておりましたら、本当に鉄道を残すなら働いている人に乗ってもらわないと難しいが、そもそも若者が帰ってきたいと思えるような働く場所が少ないということを話しておられました。そこまで働く場所が少ないかと言えば実はそんなこともないと思いますが、実際に仕事の選択肢が少ないということはあるかもしれません。ただ、それ以上に企業のことを知ってもらえていないことや、都会の企業と比べると賃金に差があることが大きな原因かと思います。また、比較的製造業が多いという印象がございますが、その製造業に対する求職の少なさということも考えられるかと思います。
これらの若者、とりわけ大学進学者の仕事に関する意識を県はどのように認識しているのか伺うとともに、その意識に見合った企業誘致、あるいは若者の起業を推進していくべきだと考えますが、所見を知事にお伺いします。
したい仕事の創出とともに重要なのは、生活における幸せの在り方かと思います。自民党の政調会長を務めている下村博文氏が、今年2月の国会の予算委員会で、コロナ禍にありましても、国民の視点で幸福を高める政策をどう実現するのかが重要になっており、国民一人一人のウエルビーイング──幸福充実度をはかる物差しとして、これまでのGDPからGDW──国民の総充実度を新たな物差しとして考えたらどうかという提案がございました。実際に生活の質的向上を狙い、実感できる豊かさを測定するGDW、こちらグロス・ドメスティック・ウエルビーイングの略称でございますけれども、ウエルビーイングというのは「幸福」などという意味です。国民総充実という指標の重要性が最近指摘され始めております。幸福度ナンバー1の福井県としては、GDWの説はよい話かと思いますが、実際に幸福度をどう捉えているのかということが重要です。
最近の若者は仕事にやりがいと福利厚生のよさを求めているという話はそのとおりかと思いますが、先ほど話した公務員が多いということを踏まえると、やはり安定志向も強いように感じられます。また、福利厚生を重要視するという話からは生活の安定を望んでいることも見受けられます。若者の中でのこの生活という部分には休みの日の過ごし方、例えば娯楽を楽しむということが大きいように感じます。
実際、県が行ったアンケートによる若者が求めるものの大きい要素として、娯楽・商業施設の充実や都市部への交通利便性がございます。意見交換をした大学生の意見にも福井県の公共交通の利便性への懸念がございました。なかなか娯楽・商業施設をつくることは容易ではございませんが、都市部へのアクセスという意味ではこれから新幹線が来ることにより改善の見込みはございます。では、あと娯楽というところですが、これは憧れの要素が強いように感じます。実際に住んでみると、そもそもそういった娯楽施設などに何度も通えるほどの経済的余裕も時間もないというのが現実でございます。その現実と理想のギャップを埋めるよう、中学、高校のうちから教育していくことも必要かと考えます。ただ、最近の生徒は論理的思考を養ったり、探究により「なぜ」という理由を求めたり、非常に賢い子が増えているという印象がございます。
現在も、県では学習の中に将来設計などの人生プランの教育を取り入れておりますが、より具体的な数字や実際に都市部に住んでいる先輩方からの意見も取り入れた、幸せの在り方に関する学習をしてはと考えますが、所見をお伺いします。
また、娯楽施設などに頼らない、例えば最近ではスキージャム勝山でのグランピングなどがございましたが、これらの楽しみを促進するイベントをもっと積極的に行っていくことが重要かと思いますが、所見をお伺いします。
151 ◯副議長(宮本 俊君) 知事杉本君。
〔知事
杉本達治君登壇〕
152 ◯知事(
杉本達治君) 私から若者の仕事に関する意識の把握とその意識に見合った企業誘致などについて、お答えを申し上げます。
昨年、県内の高校を出て、県内外の大学とか短大を出た新卒者に対して、県としてアンケートをとらせていただきました。その中で、どんな会社がいいですかというようなことを聞いていますけれども、その答えとしては、一つには経営が安定しているとか、福利厚生がいいとか、給料が高い、こういうようなことが上位に挙げられておりました。一方で、福井県の企業において足りないものは何ですかということを聞いたところ、給与の水準ですとか、あと自分を成長させてくれるかどうか、それから知名度、こういったことの指摘がなされていたところでございます。
こういったことを踏まえまして、今年度から、私どもの企業誘致の補助金の中身を変えまして、要は、今までは投資額とか雇用人数で補助額というのをどんどん決めていく、そういうようなことをターゲットにしてやっておりましたけれども、そういうことではなくて、これからの成長性とか付加価値の高い企業に対してできるだけ補助金を払っていけるような制度に変えさせていただいています。
さらに、そういった企業でも、例えば給与の水準が都会並みであるとか待遇がいいとか、さらには働き方改革のような職場の環境がいいところには上乗せでその補助をさせていただくというようなことで、魅力的な企業を福井に呼んでくる、こういうような制度に変えさせていただいたところでございます。
さらに、御指摘いただきましたように、一人一人が起業する、創業するとか、新たに事業の承継をするために帰ってくる方もいらっしゃいますので、ベンチャーピッチというような形で、若い方が起業するときのお金を集めるような手段も含めて県としては後押しをさせていただいて、若い方がUIターンしたい、福井でチャレンジしたい、そういうような県にしていきたいと考えているところでございます。
153 ◯副議長(宮本 俊君) 交流文化部長白嵜君。
〔交流文化部長白嵜 淳君登壇〕
154
◯交流文化部長(白嵜 淳君) 私からは1点、楽しみを促進するイベントの積極的な開催について、お答えさせていただきます。
県ではこれまで、一流のアーティスト、アスリートが参加するワンパークフェスやアスリートナイトゲームズの開催など、若者に魅力あるイベントの創出を支援してまいりました。
さらに、「ふくいをもっとおもしろく」を合い言葉に、町なかでのストリートカルチャーフェスや3x3(スリーエックススリー)フェスティバルの開催など、新しいイベントも企画しているところでございます。今後とも、観光、文化、スポーツなどのとがった魅力で多くの若者を呼び込み、身近なところで参加でき、楽しめる機会の創出を進めていきたいと考えております。
また、県外の若者に向け、就職情報の提供時やSNSなど様々な機会を捉え、仕事も遊びも「おもしろい」福井をPRして、交流人口、関係人口、ひいてはUIターンや移住の促進につなげていきたいと考えております。
155 ◯副議長(宮本 俊君) 教育委員会教育長豊北君。
〔教育委員会教育長豊北欽一君登壇〕
156
◯教育委員会教育長(豊北欽一君) 私からは、より具体的な数字や実際に都市部に住んでいる先輩方からの意見を取り入れた幸せの在り方に関する学習をしてはどうかとのお尋ねでございます。
県では、家庭科の副教材として「私のしあわせライフプラン」を作成し、県内の高校生に配布しております。東京と福井の家計の収支差や子育て・教育環境の違いを学び、自身のライフプランを作成する学習を行っております。
また、オンライン講座「ふくいの産業」では、企業経営者等を講師に招き、地元産業や企業の魅力だけでなく、地元で働くメリットをアピールしていただいており、学科、学年を問わず視聴できるようにアーカイブを設置しているところであります。また、幸せの在り方を考えさせる、学習させる優れた講師がいれば、ぜひオンライン講座で実施してみたいと思います。
今後は、卒業生を講師に招く「ようこそ先輩」などの事業において、県外に進学、就職した先輩だけでなく、Uターンや県内に就職した先輩を積極的に招き、都会と福井での生活の比較や幸せの在り方を内容に盛り込んだ話をしていただくよう、各学校に促してまいりたいと思います。
157 ◯副議長(宮本 俊君) 松崎君。
158 ◯3番(松崎雄城君) ありがとうございます。この幸せの在り方というところが非常に重要になってくるかと思います。経済の発展がなかなか難しくなってくる中で、では、自分の幸せはどこにあるのかというところで、今後GDWを意識して、若者のウエルビーイングというところを大切にするということが重要だと私も考えますので、ぜひそのあたりも県には検討していただきながら、頑張っていただきたいなというふうに思います。
最後、農林水産業の諸課題についてお話しさせていただきます。
現在、新型コロナウイルスの影響により、大きく損害を被っているのが一次産業です。飲食店への客足が減ると、そこに出荷していた農業者や漁業者の収益も減り、福井県全体としてこれから新幹線が来るまでに県産品のブランドを上げようと、都会へ出荷していた業者は特に大きな損害を被っております。今回の補正により、より広い業種にわたって支援していただけるのはとてもありがたいことですが、今後、この都会への出荷も取り戻す必要がございます。私の地元でも、コロナで出荷がままならないブランド魚を育成している事業者からは、アフターコロナで需要が戻ったときに、ブランド名を忘れられないように今からPRに力を入れてほしいという要望もございます。
県産のブランド品目を扱う業者に対し、より大きな支援が必要だと考えますが、所見をお伺いします。
新型コロナウイルスによる影響のみでなく、以前から抱える課題に対する政策も必要です。水産業では、以前から私も担い手不足や収入の不安定などを申し上げてまいりました。それに対し、県立大学に増設される先端増養殖科学科やふくい水産カレッジによる若手新規就業者の育成、栽培漁業センターによる、捕る漁業から育てる漁業への転換などでの収入の安定や、新たな養殖魚種の研究開発にも大きく期待しているところでございます。しかし、なかなか魚価は安定せず、まだまだ就漁者は少なく、人手不足は否めません。特に海だけでなく内水面での漁業者の減少は顕著でございます。
現在の水産カレッジの成果とさらなる漁業への新規就漁者の育成について、所見をお伺いします。
以前から海面漁業について質問と提言を行ってまいりましたが、内水面漁業への可能性も期待してございます。現在、魚価が最も高いのはウナギであり、三方五湖は天然の養殖場として非常によい条件が整っていると、すぐ近くでお聞きいたしました。また、たたき網漁での伝統漁法は観光資源としても期待が持てます。しかし、ウナギだけでなくコイやワカサギ、フナ、シジミに至るまで漁獲量は年々減少しております。育てるにしてもウナギやワカサギは県外からの種苗や卵に頼らざるを得ず、供給量も不安定で高騰しているのが課題だと聞いております。
また、川や湖ではその育てる環境も課題に挙がっております。山林の荒廃や、度重なる大雨などによる災害で流れた土砂により、川や湖の保全が難しくなっております。
種苗の高騰に対して、また、稚魚の放流に関して助成を行ってはどうかと考えますが、所見をお伺いするとともに、魚のすむ環境改善としての石垣護岸や三方湖のしゅんせつについて、現状と対策をお伺いします。
159 ◯副議長(宮本 俊君) 農林水産部長池田君。
〔農林水産部長池田禎孝君登壇〕
160 ◯農林水産部長(池田禎孝君) 私からは3点、お答えいたします。
まず、県産ブランド品目への支援でございます。
まず、県内でございますけれども、コロナの感染状況が改善した際には、マスク会食キャンペーンの実施によりましてフグやマダイの消費喚起を図るとともに、さらに、あわら温泉でマハタのメニュー化を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
また、首都圏におきましては、今月末から高級スーパーでありますとかショッピングモールにおいて、福井産品フェアを開催します。また、11月には県産食材メニューを提供する飲食店フェアを銀座等において開催する予定でございます。また、現在、甘えびや若狭ぐじなどの代表食材について、PR動画を制作しております。こちらを11月以降、新宿アルタでありますとか丸ビルの街頭ビジョンで放映するとともに、新たなメニューの開発でありますとか有楽町でのマルシェの開催などにより、首都圏での認知度向上、販路拡大を進めてまいります。
次に、水産カレッジの成果、それから今後の新規就漁者の育成についてでございます。
平成27年度に開校した水産カレッジでございますけれども、これまでに26人が修了しており、そのうち23人が県内で活躍されておられます。また、修了後も底引き網の休漁、お休みのときに、刺し網などの技術研修を行っております。底引き網と刺し網の複合化により、安定した収入が得られるよう支援をしてまいります。
さらに、今後でございますが、安定的な漁獲量を見込むためには養殖業の人材確保が必要でございます。こちらにつきましては、来年開設される県立大学の先端増養殖科学科と連携しまして、養殖生産の拡大に向けた新たな仕組みを検討したいというふうに考えております。
3点目でございます。三方五湖の稚魚の放流に関する御質問でございます。
三方五湖の重要な魚種である、まずワカサギについてでございますけれども、こちらについては、今年度から資源の回復に向けまして、放流する卵やふ化した稚魚の生き残りを高めるための研究を行っているところでございます。また、ウナギにつきましては、生息環境を改善する石倉かごをこれまでに40基設置しまして、今後さらに増設することといたしております。
今後はさらに、資源量の動向や種苗単価の状況を見ながら、稚魚の放流、あるいは漁場の改善など、漁獲量を確保するための効果的な、新たな支援策を研究、検討してまいります。なお、今後、湖岸堤のかさ上げを行う箇所につきましては、漁業協同組合など関係者の意見も聞いた上で、魚の生息環境に配慮した方法を検討してまいります。
161 ◯3番(松崎雄城君) 終わります。
162 ◯副議長(宮本 俊君) 以上で、松崎君の質問は終了いたしました。
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163 ◯副議長(宮本 俊君) 以上で、本日の議事日程は全部終了いたしました。
明15日は、午前10時より会議を開くこととし、議事日程は当日お知らせいたしますので、御了承願います。
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164 ◯副議長(宮本 俊君) 本日は、以上で散会いたします。
午後4時32分 散 会
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