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平成24年予算特別委員会 本文 2012-12-14
平成24年予算特別委員会 概要 2012-12-14

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  1. 福井県議会 2012-12-14
    平成24年予算特別委員会 本文 2012-12-14


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    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいタブが開きます) 平成24年予算特別委員会 本文 2012-12-14 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ窓表示 ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者一覧に移動 全 279 発言 / ヒット 0 発言 表示発言切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示 すべて選択 すべて解除 1 ◯関委員長 2 ◯知  事 3 ◯関委員長 4 ◯山本(文)委員 5 ◯知  事 6 ◯山本(文)委員 7 ◯副知事 8 ◯山本(文)委員 9 ◯副知事 10 ◯山本(文)委員 11 ◯知  事 12 ◯山本(文)委員 13 ◯知  事 14 ◯山本(文)委員 15 ◯知  事 16 ◯山本(文)委員 17 ◯新幹線交通政策監 18 ◯山本(文)委員 19 ◯総合政策部長 20 ◯山本(文)委員 21 ◯総合政策部長 22 ◯山本(文)委員 23 ◯総合政策部長 24 ◯山本(文)委員 25 ◯総合政策部長 26 ◯山本(文)委員 27 ◯総合政策部長 28 ◯山本(文)委員 29 ◯総合政策部長 30 ◯山本(文)委員 31 ◯総合政策部長 32 ◯山本(文)委員 33 ◯知  事 34 ◯山本(文)委員 35 ◯知  事 36 ◯山本(文)委員 37 ◯山本(文)委員 38 ◯知  事 39 ◯山本(文)委員 40 ◯知  事 41 ◯山本(文)委員 42 ◯関委員長 43 ◯細川委員 44 ◯農林水産部長 45 ◯細川委員 46 ◯農林水産部長 47 ◯細川委員 48 ◯農林水産部長 49 ◯細川委員 50 ◯知  事 51 ◯細川委員 52 ◯観光営業部長 53 ◯細川委員 54 ◯土木部長 55 ◯細川委員 56 ◯総合政策部長 57 ◯細川委員 58 ◯総務部長 59 ◯細川委員 60 ◯細川委員 61 ◯総務部長 62 ◯細川委員 63 ◯総務部長 64 ◯細川委員 65 ◯総務部長 66 ◯細川委員 67 ◯総務部長 68 ◯細川委員 69 ◯関委員長 70 ◯大森委員 71 ◯総合政策部長 72 ◯大森委員 73 ◯政策幹 74 ◯大森委員 75 ◯総合政策部長 76 ◯大森委員 77 ◯政策幹 78 ◯大森委員 79 ◯政策幹 80 ◯大森委員 81 ◯大森委員 82 ◯観光営業部長 83 ◯大森委員 84 ◯観光営業部長 85 ◯大森委員 86 ◯知  事 87 ◯大森委員 88 ◯観光営業部長 89 ◯大森委員 90 ◯知  事 91 ◯大森委員 92 ◯観光営業部長 93 ◯大森委員 94 ◯大森委員 95 ◯産業労働部長 96 ◯大森委員 97 ◯産業労働部長 98 ◯大森委員 99 ◯知  事 100 ◯大森委員 101 ◯関委員長 102 ◯関委員長 103 ◯斉藤副委員長 104 ◯仲倉委員 105 ◯知  事 106 ◯仲倉委員 107 ◯知  事 108 ◯仲倉委員 109 ◯知  事 110 ◯仲倉委員 111 ◯知  事 112 ◯仲倉委員 113 ◯知  事 114 ◯仲倉委員 115 ◯知  事 116 ◯仲倉委員 117 ◯知  事 118 ◯仲倉委員 119 ◯知  事 120 ◯仲倉委員 121 ◯総合政策部長 122 ◯仲倉委員 123 ◯総合政策部長 124 ◯仲倉委員 125 ◯総合政策部長 126 ◯仲倉委員 127 ◯新幹線交通政策監 128 ◯仲倉委員 129 ◯新幹線交通政策監 130 ◯仲倉委員 131 ◯新幹線交通政策監 132 ◯仲倉委員 133 ◯新幹線交通政策監 134 ◯仲倉委員 135 ◯新幹線交通政策監 136 ◯仲倉委員 137 ◯総合政策部長 138 ◯仲倉委員 139 ◯知  事 140 ◯斉藤副委員長 141 ◯糀谷委員 142 ◯知  事 143 ◯糀谷委員 144 ◯観光営業部長 145 ◯糀谷委員 146 ◯教育長 147 ◯糀谷委員 148 ◯総務部長 149 ◯糀谷委員 150 ◯総務部長 151 ◯糀谷委員 152 ◯糀谷委員 153 ◯土木部長 154 ◯糀谷委員 155 ◯産業労働部長 156 ◯糀谷委員 157 ◯観光営業部長 158 ◯糀谷委員 159 ◯土木部長 160 ◯糀谷委員 161 ◯産業労働部長 162 ◯糀谷委員 163 ◯知  事 164 ◯糀谷委員 165 ◯斉藤副委員長 166 ◯田村委員 167 ◯新幹線交通政策監 168 ◯田村委員 169 ◯新幹線交通政策監 170 ◯田村委員 171 ◯新幹線交通政策監 172 ◯田村委員 173 ◯新幹線交通政策監 174 ◯田村委員 175 ◯新幹線交通政策監 176 ◯田村委員 177 ◯新幹線交通政策監 178 ◯田村委員 179 ◯田村委員 180 ◯安全環境部長 181 ◯田村委員 182 ◯安全環境部長 183 ◯田村委員 184 ◯安全環境部長 185 ◯田村委員 186 ◯知  事 187 ◯田村委員 188 ◯田村委員 189 ◯警察本部長 190 ◯田村委員 191 ◯警察本部長 192 ◯田村委員 193 ◯警察本部長 194 ◯田村委員 195 ◯警察本部長 196 ◯田村委員 197 ◯斉藤副委員長 198 ◯斉藤副委員長 199 ◯関委員長 200 ◯山本(正)委員 201 ◯知  事 202 ◯山本(正)委員 203 ◯知  事 204 ◯山本(正)委員 205 ◯知  事 206 ◯山本(正)委員 207 ◯知  事 208 ◯山本(正)委員 209 ◯知  事 210 ◯山本(正)委員 211 ◯知  事 212 ◯山本(正)委員 213 ◯知  事 214 ◯山本(正)委員 215 ◯知  事 216 ◯山本(正)委員 217 ◯知  事 218 ◯山本(正)委員 219 ◯関委員長 220 ◯山本(正)委員 221 ◯知  事 222 ◯山本(正)委員 223 ◯山本(正)委員 224 ◯知  事 225 ◯山本(正)委員 226 ◯山本(正)委員 227 ◯教育長 228 ◯山本(正)委員 229 ◯山本(正)委員 230 ◯農林水産部長 231 ◯山本(正)委員 232 ◯農林水産部長 233 ◯関委員長 234 ◯山本(正)委員 235 ◯関委員長 236 ◯山本(芳)委員 237 ◯総務部長 238 ◯山本(芳)委員 239 ◯総務部長 240 ◯山本(芳)委員 241 ◯総務部長 242 ◯山本(芳)委員 243 ◯知  事 244 ◯山本(芳)委員 245 ◯山本(芳)委員 246 ◯総務部長 247 ◯山本(芳)委員 248 ◯総務部長 249 ◯山本(芳)委員 250 ◯総務部長 251 ◯山本(芳)委員 252 ◯総務部長 253 ◯山本(芳)委員 254 ◯知  事 255 ◯山本(芳)委員 256 ◯知  事 257 ◯山本(芳)委員 258 ◯知  事 259 ◯山本(芳)委員 260 ◯関委員長 261 ◯副知事 262 ◯山本(芳)委員 263 ◯副知事 264 ◯山本(芳)委員 265 ◯関委員長 266 ◯総務部長 267 ◯山本(芳)委員 268 ◯山本(芳)委員 269 ◯土木部長 270 ◯山本(芳)委員 271 ◯土木部長 272 ◯山本(芳)委員 273 ◯土木部長 274 ◯山本(芳)委員 275 ◯土木部長 276 ◯山本(芳)委員 277 ◯関委員長 278 ◯関委員長 279 ◯関委員長 ↑ リストの先頭へ ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯関委員長  ただいまより、予算特別委員会を開会する。  本日の傍聴人は7名である。傍聴人の方々はさきにお知らせをした留意事項を守って傍聴をお願いする。  これより、付託議案の審査に入る。  第73号議案、115号議案及び116号議案の計3件を議題とする。  まず、知事より議案の説明を求める。 2 ◯知  事  予算案については、提案理由等で説明申し上げている。よろしく審議を賜るようにお願いする。 3 ◯関委員長  説明は終了した。  本件については、予算特別委員会要綱の規定に基づき、去る12月5日の本会議において付託を受けた後、直ちに議長を通じて関係常任委員会に対し部局別質疑、調査を依頼しておいたところ、お手元に配付のとおり報告があったので、了承を願う。  これより総括質疑に入る。この際申し上げる。質疑の順序及び時間については、お手元に配付のとおり理事会で決定しているので、発言者はこの順序により、持ち時間の範囲内において発言を願う。  山本文雄委員。  なお、山本文雄委員より資料を使用したい旨の申し出があり、許可したので了承願う。         「北陸新幹線について」           山本 文雄 委員 4 ◯山本(文)委員  ことしもあと半月ぐらいになった。本年の歴史的な出来事というか、最大のニュースになると思うが、6月に北陸新幹線が敦賀まで認可されるという福井県にとって大きな出来事があった。しかし、北陸3県の富山、石川と比較すると、既にかなりおくれをとっている。金沢は平成26年度に開業、我が方は今から14年もたたなければ開業できない。これに対する知事の率直な考え、感想を伺いたい。 5 ◯知  事  40年近くにわたるさまざまな努力の成果で、ことし、認可着工が決まった。議連会長として長年にわたり新幹線問題について取り組んでいただいており、まずお礼を申し上げなければならない。しかし、敦賀開業は金沢開業からさらに10年後ということであり、なお相当の期間がかかることは事実である。  いずれにしても、いろいろな意味で変わり目というか、新しい日本の国土をどう強靭化していくのかという議論もあるし、さらには公共投資をどのような位置づけにするのか、さまざまな議論がある。我々としては、地方を重視した立場で新しい列島構想の中に新幹線を位置付け、早く完成するよう一緒に努力する必要があるという気持ちを抱いている。
    6 ◯山本(文)委員  先月7日、鉄道・運輸機構との検討会議が持たれた。大変結構なことだと思うが、その中でどういう話が出たのか。この事業を進めるに当たっては、最も大きなネックというか難所は、九頭竜川橋梁、そして長い新北陸トンネルが一番課題になると思うが、そのあたりの話は出たのか。その中身の部分について、わかれば答えていただきたい。 7 ◯副知事  11月7日の北陸新幹線建設事業推進会議の内容であるが、県側から鉄道・運輸機構に対し、早期の工事着手を要請した。新北陸トンネルについては、一部の工区が年度内に発注され、九頭竜川橋梁については、県の方とあわせて施工することになるが、設計等について協議を迅速に行い、設計に関する協定を年内に締結することなどを確認した。  このほか、県内企業の受注機会の確保については、12月17日に県の建設業連合会が主催する北陸新幹線建設概要説明会に鉄道・運輸機構が参加して、工事入札参加資格申請や工事の概要を事業者向けに説明するようお願いし、実現することになっている。事務的に一歩一歩進んでいる。 8 ◯山本(文)委員  きのうの新幹線・地域鉄道調査特別委員会の中でも工期の短縮の話があったとけさの新聞で見たが、その会議の中では工期短縮の話は出なかったのか。 9 ◯副知事  もちろんどこを何年という議論ではないが、迅速に手順を間違えずに行うよう、横浜の鉄道・運輸機構本体に対しても8月の段階からずっとお願いしているところである。 10 ◯山本(文)委員  工期の短縮については、九頭竜川橋梁、新北陸トンネルが大きな問題の一つである。それから、福井県内の工事にどこまで財源を充てることができるかという国側の問題もあると思う。その辺の見通しはどうか。 11 ◯知  事  国に対しては、総量にしても各年にしても、建設財源の確保とその配分が可能かということが大きな課題だと思うし、長期の工期が見込まれる九頭竜川橋梁など、物理的にどれくらい時間が早くなるか、また用地確保が課題だと思う。現政権において認可をいただいたので、これから新しい政権になると思うが、もう一回仕切りをはっきりして、一丸となって工期を早める努力を県議会の力を得て議論していく局面だと思う。 12 ◯山本(文)委員  先月の13日に4県の知事と北信越5県の議長が国土交通省に合同要請した。その中で、副大臣から、JRからの貸付料を並行在来線支援に回す制度をさらに強化したいという発言があった。財源のない中で、並行在来線に回すなんてもってのほかである。  私は、東京で大会があったとき、北信越5県の皆さんに申し上げた。それは、福井まで着工し、完成した暁にそれぞれの並行在来線に金を回すのならわかるけれども、金がないと言っておいて、副産物のほうに金を回すみたいなことはどうかということである。新幹線を建設することが主たる目的なのに、それを副産物に回すというのは、限られた予算を横取りされるということである。これを黙っていられるのか。そのことを徹底し、隣県の知事、関係者の皆さん方、あるいは国土交通省に対して強力に話をすべきだと思う。そのようなことがひとり歩きするとどうなるのか。何か言うと金がないと言うが、3年半前の自民党政権時代には財源が認められて、大体いけるという話だった。そして、その年の12月には認可されるだろうということであったのに、たまたま政権が変わった。政府はそのままなのに、話がちゃんとできているにもかかわらず、白紙にしてしまった。その3年半が福井県にとってどれだけマイナスになったかというと、はかり知れないものがある。  そのように考えると、並行在来線に予算を回すということについては絶対に阻止しなければならない。それについて、隣県の知事や関係の皆さんにどういった話をしているのか。その辺が納得できない。 13 ◯知  事  北陸新幹線は国土軸として極めて重要な路線であり、まず整備そのものをできるだけ早く完成させることが重要であって、早期に経済効果を発現させるためにもJR貸付料については整備新幹線に充当すべきであるし、建設にしっかり充てていくということである。  こうしたことについては、この夏以降、中央要請などさまざまな機会に関係省庁にも申し上げている。福井県としてこのことは強く申し上げている。 14 ◯山本(文)委員  それは当然だと思うが、北陸新幹線について、富山、石川の知事にはどのような話をしているのか。そして、向こうはどのようなことを言っているのか。石川県知事は、「そうは言ってもうちはやりたい」と言っているのか、「我慢しましょう」と言っているのか。 15 ◯知  事  そこまで具体的にああだこうだ、このときはこう言ったという議論ではないが、いずれにしても基本的な方向は押さえながら、一方で、政治として新幹線そのものを強力に進めるという大きな動きがなければ、いろいろな動きがまた出てくることになる。そこを福井県として一丸となって推し進めていくことがこの問題についての重要な方向だと思っている。 16 ◯山本(文)委員  私は、知事はちょっとおとなしいと思う。核心に触れるところはちゃんと言うのが正しい。海のものとも山のものともわからない長野オリンピックのときにも、何回も行って応援してきたではないか。そして、福井県も仲間に入った5県で、最後まで協力して福井県まで建設しようと申し合わせをしたのに、自分のところの腹が膨れたら違うところに行ってしまったことに対しては、もっと強力に言うべきと思う。富山県知事、石川県知事が、「それは福井県に回してくれ」と言えばそれで解決する。それくらいのことははっきり言ってもいいと思う。ぜひ、強力に申し入れしてほしい。要望しておく。  さて、予算が不足している中、白山車両基地ができるが、そこに駅をつくると森先生が言いだし、それは技術的によくないと一旦おさまった経緯がある。ところが白山市が白山新駅をつくろうと言い出した。どこまで話が進んでいるかわからないが、石川県が正式に県としてその運動を展開するということになれば黙ってはいられない。その分の予算がまたそっちに行くということになり、さらに福井県の工事が遅れる、あるいは予算額が減ってくるということになりはしないか。そのような気がする。 17 ◯新幹線交通政策監  石川県にいろいろな動きがあるが、11月15日に、議員連盟を代表している山本文雄委員に国に申し入れをしていただいた。申し入れどおり、白山新駅は今回認可された北陸新幹線金沢-敦賀間の工事実施計画に含まれておらず、現計画の変更を伴う認可駅として設置することは、委員が言われるとおり、工期のおくれや建設費の増大にもつながり、時間短縮効果も損なわれると考えている。 18 ◯山本(文)委員  この問題については、並行在来線の問題ではないが、黙っているとまた押せ押せモードで駅をつくることになりはしないかと危惧している。石川県と話をしているのか。 19 ◯総合政策部長  9月定例会で、工期の遅れや建設費の増大、時間短縮効果にマイナスの影響が出ると心配いただいた白山新駅に関する県議会での議論については石川県に伝えているし、県としても認可内容を順守すべきと伝えている。国に対しても、認可内容のとおり実施していただくよう申し入れしている。 20 ◯山本(文)委員  強力に申し入れして、福井県の目的が達成するまではそのことは待ってほしいと、そうした約束を取り付けるよう頑張ってほしい。  6月定例会で総合政策部長は、敦賀までの一括認可であり、部分開業はできないと答弁されたが、それはそのとおりであり、当初からそういう計画で認可をもらったことは私も認識している。  しかし、認可をもらってしまうと、福井県では平成30年の福井国体という大きなイベントがあり、できるものなら福井県まで新幹線を乗り入れてもらって、遠くから来る人が福井県の駅で降りて国体に参加してほしいと県民誰でも等しく思う。少しでも前倒しする方法がないか、何か考えたことはあるか。 21 ◯総合政策部長  3月14日の予算特別委員会において、福井駅での部分開業については、新幹線の運行管理に必要な指令システムの改修などソフト面とハード面を合わせて約250億円の費用が発生すると答弁したところである。今後、工事施工や用地取得、その他開業時期の判断に関わるような事象が生じた場合には、議員とも十分相談したいと考えている。 22 ◯山本(文)委員  福井開業があるかどうか、あるとすればどういう方法があるか、あるいはそれができないとすると何が課題か、もう少し具体的にはっきり言ってほしい。 23 ◯総合政策部長  今回の新幹線の工事については、あくまで金沢から敦賀までを、金沢から順に進めてくるのではなく、九頭竜川橋梁もやるし新北陸トンネルも掘るということで、全体として工事を行っていくことから、財源問題、それぞれの工期の問題等々の解決が必要になる。それから、物件移転を伴う用地取得などが重要なファクターになる。 24 ◯山本(文)委員  全体としてやることは私も知っている。しかし、部分的な福井開業を考えた場合、どういう方法があるのか、どういうことで不可能か、もう少し知りたい。九頭竜川橋梁は年数がかかってとてもクリアすることができないという話も聞く。そのあたり、少し詳しく明言できないか。 25 ◯総合政策部長  金沢から福井までということであれば、一番障害になるのは手取川橋梁と九頭竜川橋梁であろうと考えている。従前から9年程度はかかるという話を申し上げてきているとおり、昔、東海道新幹線が走ったころは、渇水期しか工事ができないということはなかったが、今は工事の時期も限られているので、物理的な年数の問題は生じてきていると思う。 26 ◯山本(文)委員  もっと重点的に、目的を持って施工するならば、私は可能ではないかと思う。専門家ではないのではっきりはわからないが、それくらいの意気込みで取り組むという道はあるのではないかと思う。例えば、福井開業は福井の操車場がなければできないことが大きなネックとなっている。それからもう一点、九頭竜川橋梁も工事の年数がかかり、これも難しい。それならば、せめて芦原温泉駅での開業が可能か考えたことはあるか。 27 ◯総合政策部長  芦原温泉駅での開業についても、今後の工事施工においては手取川橋梁があるし、加賀市での用地取得等々同じような条件が出てくるので、開業時期の判断に関わるような事象が生ずれば、そういうことも十分考えていかなければならない。 28 ◯山本(文)委員  そういうことを考えたことがないのであれば、検討してみることはできないか。 29 ◯総合政策部長  認可の内容に関わるので、軽々には検討すると申し上げにくいが、これから十分考慮に入れたい。 30 ◯山本(文)委員  検討くらいしてもいいのではないか。検討することまでとやかく言われないのではないか。前向きにやるということで、福井国体までに福井県の地籍に乗り入れることは大きなインパクトがあり、将来の福井県にとってはかり知れない効果があると思う。可能かどうかはやってみないとわからない。私も素人なのでわからないが、せめて福井県の地籍に足を踏み入れることまでできないか。費用がどれくらいかかるかはわからないが、可能であれば検討してもらいたい。 31 ◯総合政策部長  例えば、福井以南に大きな障害があるなどにより、開業時期がどうなるのかわからないという事象が生じた場合には十分に検討していきたい。 32 ◯山本(文)委員  あまりに口が重いのでどうかと思う。新幹線にどういう効果があるのか調べてみたら、新幹線の効果を上げるには受け入れ態勢が大事である。福井に新幹線が来れば必ず効果が出るというものではないと思う。やはり福井県が受け入れをするためには、新幹線で多くの人が来てもらえるような対応をどうするかにかかっている。青森県の八戸は60%アップである。何の変哲もない地域だったと記憶しているが、どうしてふえたか調べてみると、ひとつは屋台村である。首都圏や仙台からどんどんと屋台村へ行き、地域でとれた産物を買って帰るということと、JRとタイアップして、八戸往復の割引切符を販売するなど受け入れ態勢をちゃんとして、どんどん積極的に取り組んでいるということがある。  片や、岩手の沼宮内駅はマイナス14パーセントである。何も手を打っていないから減ってしまう。だから、福井県まで開業したときに効果があるかというと、便利になるものだから、ストロー現象で吸い上げられ、金沢まで30分で買い物に行くとか、東京まで日帰りで行くとか、そういう行動が起きる可能性が十分ある。それをどう防ぐかというのは、この地域がどう受け入れするかということであって、積極的に取り組まないとだめだと思う。今からやればある程度はできると思う。  ちなみに鹿児島は36.9パーセントアップ、熊本は20.6パーセントアップという数字が出ている。それなりに地域の積極的な取り組みが非常に大きな効果を出しているということである。これらについて、福井にはどういったことが欠けていて、どういうことをすればいいか、考えはあるか。 33 ◯知  事  北陸全体の関係はあるが、地域格差、時間格差が新幹線によって解消されるということであり、また、東京に対して新しい福井県としての局面が生まれるので、いかに地元として人口の交流なり、観光、産業なりの準備と実行を行うかが基本である。  北陸経済連合会の調査によると、敦賀開業で年間約800億円の効果があるという試算もあるので、少しでも早く、広域的な議論も必要であり、我々としても地元のいろいろな対策を進めていきたい。 34 ◯山本(文)委員  前にも知事に申し上げたが、石川県については、平成14年に「利家とまつ」の大河ドラマが放映された。それ以前の平成9年には、観光客は560万人くらいであった。「利家とまつ」を放映するとき、日本銀行金沢支店は約500~600億円の経済波及効果があると言ったが、結果的に800億円の効果があったと発表されている。そして、その観光客は800万人になり、今日までずっとふえている。あるマスコミの人は、石川県の観光資源は百万石一つしかないと言う。福井県には、掘れば掘るほど、宝の山のような観光資源が山ほどあると言う。それが一つも地域観光に、あるいは福井県の振興策に利用されていないのが現実である。だから私は、「利家とまつ」の大河ドラマの準備が立ち上がる前の平成6年に、お市の方という大河ドラマをつくったらどうかと言ったことがある。年配の方は知っていると思うし、関委員長も知っていると思う。平成6年に知事はいなかったのか。 35 ◯知  事  いなかった。 36 ◯山本(文)委員  そのとき、当時の知事は「やります」と言ったので、やってくれると思っていたが、石川県がやりにかかっても全然手を付けていなかった。少なくともいいと思ったら、勇気を持って取りかかる、実行することが大事であり、いつまでもリスクがある、失敗したらどうするかとか、そういうことであっては一向に発展しないし、振興策も根づかない。  いずれにしても、新幹線をいかに早くつくるか、方法も含めて、取り組んでもらいたいと思うし、新幹線に備えて福井県をどう振興させるかについては、新しいことへの挑戦をお願いしたい。いつまでも同じことの繰り返しでは、石川県や他県と格差がついてしまう懸念がある。その点は要望しておきたい。  福井には横井小楠や松平春嶽、あるいは由利公正といった、当時の借金をなくした偉人がたくさんいて、手本があるのだから、やろうと思えば借金をなくす方法はあると思う。ぜひお願いしたい。         「人口減少対策について」 37 ◯山本(文)委員  次に、人口減少対策について伺う。  福井県の人口が既に80万人を割ってしまった。かつて福井県の人口は83万幾らが最高であった。そのときに生活満足度日本一、人口100万人県を目指すということで高々と方針を打ち上げ、それに向かっていった。しかし、残念ながら、達成するどころか、どんどん人口が減ってきた。どうしてそうなったのか。残念であるが、現実には達成できず、いつの間にか看板をおろしたのが実態である。しかし、こういう目標を立てることは大変な勇気がいることである。私は当時の知事に敬意を表したいと思うが、達成するのには目標を達成するためのそれなりのプロセス、あるいはいろいろな政策が大事である。その部分が欠けていたと思う。  福井県は人口減少をとめるために、「ふくい3人っ子応援プロジェクト」という政策を打ち立てた。これは間違いなく西川知事がやった。それを打ち立てた途端に出生率が、よその県よりも非常にいい成績で日本一になった。大したことだと思う。知事に上手を言うわけではないが、数字目標を立てることを決行したということは高く評価している。  ところが、それを始めてからもう何年もたっている。同じようなことを毎年、「ふくい3人っ子応援プロジェクト」をそのままずっと続けている。もうメッキが剥げるのではないか。だから、どうするのかということを具体的すべきだと思う。一口で言うと、3人っ子応援でなく、3人っ子実行プロジェクトのように、実行してほしい。実行すれば必ずできると思う。実績があるのだから、日本一の人口増加県をつくるという目標くらいは打ち立ててもいいのではないか。 38 ◯知  事  いろいろな提案もいただき、「ふくい3人っ子応援プロジェクト」を全国に先駆けて実行し、その成果も出てきた。全国的に類似の政策を追随される県も多く、何年かたったが、さまざまな問題、全国的な問題であるが、社会減の問題が生じている。毎年3千人が東京や大阪に出て、4年後には若い方は千名しか戻ってこれない。先ほど新幹線の話もあったが、交通網の整備を積極的に進めながら、企業誘致や新しい産業を興す、あるいは地元の中小企業や観光などの、あるいは農業もそうかも知れないが、事業を進め、社会減対策を行う。大学の問題もあると思う。もう一つは、今申し上げた自然増の話であるが、医療費助成あるいは保育料軽減、そして第三子を産む割合を増加させるとか、いろいろな対策をさらに工夫して行う必要がある。  今回、これは国家的な課題でもあるが、各政党の公約にこの問題は、残念ながら余り取り上げられていない。一部医療費の無料化とか、子育て対策の予算をふやすことについて、限界もあるが、政策的に国を挙げて実行すべき時期であり、我々としては国にいろいろな要請をし、福井県としてできることをさらに工夫をして進めていく努力をしていきたい。 39 ◯山本(文)委員  知事の言っていることは素晴らしいことである。企業を誘致して、産業が発展する。あるいは大学をつくってこちらに定着してもらう。県外に出た人に帰ってきてもらう。そういうことは大変いいことだと思う。しかし、その裏では恐ろしい社会状況になっていることを認識してもらわないとだめだと思う。  国土交通省の試算を見ると、これは平成23年の調査であるが、2100年の日本の人口は中位推計では4,700万人で、これは明治の初めの人口に匹敵するとのことである。そして、恐ろしいことのもう一つは、8年前の平成15年の調査では、2100年の人口は6,400万人という推計が出ていた。それが、その8年後には4,700万人に減ってしまう。8年間で社会の人口減少がこれだけ進んだということである。4千万人ということは、明治から江戸時代の人口に移る可能性が十分ある。福井県に例をとると、今の人口が大体30万人台になる。そうすると福井市の人口がちょっと多くなっただけで、あとは全部消えてしまうのである。そのような状況である。  その中間の30年、50年先、ずっと加速度的に人口が減っていく状況を考えたとき、企業誘致と言っても、人口が減るのにどうして企業が生きていけるのか。大学だって成り立たない。そういうことを前提で県づくりを考えないといけない。  人口減少社会でこれだけ減っている人口を維持するのにはどうすればいいかについて、もう少し具体的に実行するということで、3人っ子実行プランくらい出してもいいのではないか。そして、人口減少に対してどうすればいいかを具体的にして、各市町に割り当てをし、そして人口増加の施策を講じる。知事がどこかに行って、3人っ子政策と挨拶で言っても一般の人はそんな感じない。だから、具体的に各市町に割り当てをし、各市町が具体的に人口増加や出生について、県と一緒になって強力に政策を推し進めるという体制づくりが大切だと思う。 40 ◯知  事  「ふくい3人っ子応援プロジェクト」などの政策については、引き続き、先進県として特徴的に進める必要がある。今、全国の合計特殊出生率を見ると、東京、大阪は大体40位台で、特に東京は47位である。それから、30~35歳の未婚率は、福井は3位であるが、東京は47位、大阪は44位である。大都市に人が集まりすぎると出生率は下がるということであり、地方で暮らす国づくりを促すことが基本になると思う。  各市町に割り振るというのは、今の社会体制では難しいかも知れないので、その辺をどのように考えるかということだと思う。 41 ◯山本(文)委員  私は違うと思う。やはり知事が福井県を真剣に考えて、将来に憂いを持つならば、各市町に割り当て、協力を求める。言葉尻をとったらだめである。県下全体が一緒になって、その目標達成のために頑張ることが大事である。  知事はいみじくも都会の方に人が集まると言ったが、10年後に人口が増加するのは、東京や大阪、決まり切った大都会だけである。10年後、ほかは全て下がる。そういうことで大都会に集中しているという現象があるが、結局は全部下がるのである。  福井県だけ偉業を成し遂げ、福井県の県勢を維持していくには、知事が方針を立てないといけない。我々議会が三十何人いても、知事と比較すると、顕微鏡で見ないとわからないくらいの力しかない。知事の一言ですべて決まるのである。それくらいの信念を持って福井県の将来のために、何か胸を張れることをやってほしい。全ての産業、年配の人を支えるにも若い人がいないとだめであるし、子供がいないと将来も成り立たない。恐るべき状況が出てくると思っており、その点は前向きに取り組んでいただくようお願いしたい。新幹線についても前向きに取り組んでほしい。                               ~以  上~ 42 ◯関委員長  以上で山本文雄委員の質疑は終了した。
     細川委員。         「地域振興のコンセプト」          細川かをり 委員 43 ◯細川委員  細川かをりである。地域振興について伺う。  以前、東京の老舗企業の社長たちから、欧米は田舎が美しいと言われ、ずっと気になっていたのであるが、この秋に美しい田舎を見に、英国湖水地方に行く機会を得た。そこには築何百年ものオールドハウスが多く、それを手入れして大事に使っていた。見渡しても派手なインフラや新しいインフラというのはほとんどなくて、手を加えているのは内装程度であり、古いものを丁寧に手入れして、田舎ならではの落ちついた、ゆったりした町並みがあった。そして、それが自然と調和して、聞きしにまさる美しさであるとともに、その地方の伝統や文化を強く感じ、衝撃を受けた。  おじいさんやおばあさんが使っていた古い家具や食器を今でも大事に使っているし、上手に飾ったりして生活を楽しんでいる。日本人が見失いかけたものをイギリスの人たちは大事に育み、育てて、若い人たちに伝えようとしている。イギリスの建築家はこんなことを言っている。「戦前までは農業が発達し、歴史があって質素な暮らしを続けてきた日本の環境というのは、イギリスとよく似ていた。ところが、今や日本は小さなアメリカである。かつては日本にはすばらしい伝統があったのに、人々はそれを忘れてしまっている。だから、今の日本の家や暮らしの中には何もないのだ。」  その湖水地方であるが、そこには大きな観光スポットがあるわけではなく、交通も決して便利ではなかったが、都会から美しい田舎と文化を求める多くの観光客を集めていた。リピーターどころか、魂のふるさとを求めて定期的に通っているという状況であった。  美しい田舎の、例えば一例を挙げると道路であるが、広くなく、がたついたけれども、除草が行き届いていた。福井の中山間地域の道はそれに比べたらずっと新しいけれども、歩道を割った雑草が伸び放題のところも多くて、傍らの空き家や遊休地、耕作放棄地が寂れた感じを増幅させていたりする。つくるときにお金がかかっていても、手入れが行き届かなければ廃れた感じがして、人を案内していて恥ずかしくなることもある。福井も美しい田舎を構築すべきだと思う。日本人の魂のふるさとになれるような資源というものが福井にはたくさんあると思う。  新幹線の金沢開業を前に、これから観光に力点を置いていくわけであるが、観光スポットを磨くだけではなく、面として都会の人に美しい田舎、そして文化を提供できるように磨かなくてはならないと強く思う。  廃れた感じになる一番の要因は雑草にあると思うが、中山間地域は過疎・高齢化が進み、人の手ではとても追いつかないのが現状である。昔は家で飼っていたヤギや牛などが河原や土手の草を食べてくれたと聞く。昔のように家畜の力をかりて除草することを進めてはどうか。 44 ◯農林水産部長  県では、牛の飼養農家の飼料代の軽減、あるいは里地の獣害対策を目的として、平成16年度から若狭牛の放牧を推進している。本年度は県下で飼育されている若狭牛──全部で1,700頭いるが──そのうちの38頭を7市町、15カ所で放牧している。ヤギについては125頭が7市町、14カ所で飼育されていて、勝山市と池田町においては河原や土手に放牧されている。  放牧は、家畜が身近にいることによって畜産業への理解が醸成されるとか、あるいは委員が言われたように除草によって景観が維持されるとか、あるいは子供たちの情操教育に非常に役立つとされている。また、特に高齢化や過疎化など人手が足りない集落からは、農地の荒廃を防ぐ手段の一つとして有力なのではないかという期待もある。そういうこともあって、今後、若狭牛やヤギの放牧を拡大していきたいと考えている。 45 ◯細川委員  たくさん飼うということもあるが、昔は一頭飼いをしていた。たまたま私の家の隣人などはペットのようにして、今、軒下でヤギを飼っている。産業としてというよりは、そういう生活の中に家畜などが入ってきて、そこら辺の草を食べてくれるというようになれば、もうちょっと手軽に広がるような気もするが、そのあたりはどうか。 46 ◯農林水産部長  委員の言われるとおりだと思う。畜産というのは単なる産業というだけではなく、恐らく平地だと割と大規模化してやっていけるが、中山間地においては何らかの施策の中の一つの手段として、ヤギとか牛とかがいる風景、一頭飼いでそういう風景ができてくるというようなことをやっていくのは重要なことだと考えている。 47 ◯細川委員  ぜひ、機械化とか薬とかということではなくて、以前から家畜を飼って利用していたなど、中山間地の文化というものを大事にしていってほしい。「アニマルモウ計画」とか何か名前でもつけて調査研究とか、そういったことを具体的にスタートしていただけたらと思う。再度お答えいただきたい。 48 ◯農林水産部長  今もやっているが、「ふくいの農業・農村再生計画」の見直しの中でも、項目の中にそういう風景をつくっていくことが書かれているので、来年度以降もそういう方向に向かって頑張っていきたい。 49 ◯細川委員  「日野川の河原なども、昔は飼っていた牛が草を食べてくれたからきれいになっていた」という話を聞く。たくさんの予算をかけて掃除をしていっても切りがない。そういったことをぜひ進めていただきたい。強く要望する。  次に、福井の伝統文化について述べる。  若狭の古墳群は、1,500年前には力のある豪族が権勢を誇っていて、福井が大陸からの玄関口であったということを示している。また、福井には和紙、漆、織物など、伝統工芸の手わざの産地が集積している。こんなに集積しているところは珍しいと聞く。このことも、この地域が大陸から来た渡来人からの文化伝来の原点だったということを示している。日本文化の源が福井にあったということを総合的に理解し、内外に誇れるようにすることが大事だと思う。  それに当たるのが県立博物館だと思うが、県民も、あるいは来県者も、来館すれば福井が日本の文化の源の地だと納得できるような内部構成に努めていただきたい。 50 ◯知  事  県立歴史博物館等を例にとられての質問であるが、現在、ものづくりを中心に、主に本県の歴史を紹介する構成となっていて、委員が言われるように、必ずしも福井のすぐれた歴史、文化を理解する状況にはなってない部分があり、なじみがやや薄いという感じがある。  そのため、今後はこれを見直して、本県を通史的にわかりやすく、うまく紹介する展示への転換を図っていきたい。  また、企画展についても、福井県のすぐれた歴史をさらに深く掘り下げることが重要だと思う。例えば、紹介もあったが、若狭地域の文化であるとか、白山と越前の宗教文化とか、いろいろあると思うが、そうしたことで全国に発信できる、また観光にも役立つということである。  また、若狭歴史民俗資料館については、嶺南地域の歴史文化観光の拠点としての役割を強化するため、若狭の特徴であるさまざまな仏像や民俗芸能を展示し、それを充実するといったリニューアルを考えていきたい。 51 ◯細川委員  ぜひお願いする。福井県人は何となく奥ゆかしいから、ここが文化発祥の地だとか、そういうことは余り言わないが、福井へ行ったらやはりすごかった、今もすごいのだということを感じて誇りに思えるような場になってくれたらと期待している。  次に、福井県民というのは、日本海側の雪国で、郷土を愛して信仰心が厚く、謙虚で、実直に生きている。そして、歴史を振り返ると、中世には越前農民による一揆が強く、信長も手を焼いたほどであるから、真には鋼のような強さと爆発力が秘められていると思う。一言で言うと質実剛健、これが福井の県民性を最もよくあらわしているように思う。  県都デザイン戦略では、福井城址公園の整備など、歴史や文化、伝統を生かしたまちづくりが中心の一つに据えられているし、こうした歴史資源や歴史的人物のブラッシュアップについては、今後、新幹線をばねに県全域で促進されていくと思われる。あちらこちらでばらばらに歴史を掘り起こすことになるかもしれないが、このような人がいたとか、あのような有名人がいたというだけではなく、一本筋の通ったものであってほしい。古くは継体天皇、戦国時代には柴田勝家、お市の方、朝倉義景、松平春獄や幕末の志士、戦時中の佐久間艇長など、誇るべき歴史的人物が数多くいる。彼らも福井の土と水で生活した福井県人である。  県は市町の地域振興を支援していくとしているが、福井のブランド戦略として歴史を語る際には、福井の郷土が生み、育んだ歴史なのだという意識を強くして、来訪者が福井人の姿やスピリットを感じることができる、そういうコンセプトを持たせることが県の役割だと思うが、所見を伺う。 52 ◯観光営業部長  今言われたとおり、本県は我が国の歴史や文化の変革期において多くの功績を残された先人をたくさん輩出している。こうした先人の功績について県民が理解を深めることで、ふるさとに自信と誇りを持ち、さらにそれを県内外に語り広げていくことが、県のブランド力の向上に必要不可欠なものであると考えている。  このため、県ではこども歴史文化館において、継体大王から南部博士まで約60名余りの先人の功績を紹介しているほか、歴史に関する書籍の出版やブランドハンドブックの作成・配布、考福学の活用などを通じて、県民の歴史に対する認識の向上や県内外に向けた情報の発信に努めているところである。 53 ◯細川委員  ぜひお願いする。  さて、福井の女性の会話で、大阪や神戸でいいと思って買った洋服が、福井で着ると浮いて見えるとか、着ていくところがないと、そういう声をしばしば聞く。町なかは出かけるのにおしゃれをしたくなる魅力的で刺激的なところであってほしいと思うが、私は一つに、まち全体の色合いが大きく影響していると思う。例えば私の感覚でいうと、福井のまちの基本的な色は灰色。路面の色、冬空の色である。越前瓦も、きれいではあるが、銀ネズ。鮮やかな色の服装では浮き立ってしまって、きょうも道行く人の服装は黒が多いのである。  同じく灰色のイメージを、例えばロンドンに感じている。雨の多いところで空はグレー、人の服装も黒が多くて、正直余りいいイメージではなかったのであるが、本当に先日、何十年ぶりかで行ってみて驚いた。まち全体がおしゃれなイメージに変わっていたのである。オリンピックを終えて何か変わったのかと観察していたのであるが、えんじ、モスグリーン、黒と銀といった看板や飾りがベースのグレーに映えて、全体を引き立たせていた。アクセントカラーが灰色の風景をシックで上質でしゃれたものに一変させており、こんなにも変わるのだなと感じた。ちょうど男性ならネクタイ、女性だったら着物の帯締めとか、あるいはスカーフも、同じグレーでもちょっと少し違う色を持ってくると変わったふうに見えたりする。まちがしゃれていたら、当然、人もおしゃれをしたくなるし、実際、道行く人は、粋でさっそうとしていた。  デザインは表面を飾ることによって美しく見せる行為であるとも言われるが、美しく、特に女性にとって刺激的なまちづくりであるために、まちのカラーを統一した方向に誘導するなど、地域を巻き込んだ景観形成を進める考えはないか。 54 ◯土木部長  美しい町並み景観を形成するためには、住民の方々がその土地の歴史や風土を認識し、色彩だけでなく地域固有の素材であるとか、特徴を生かすとともに、新しい時代の要素も取り入れながら、何よりも十分に住民のコンセンサスを得て進めていくことが重要である。  全国的に見ると、景観法に基づき景観計画を策定している市町があるが、まちのカラーを統一するということは個人の自由を制約するということもあり、限定的なものにとどまっている。建築物等の明度であるとか彩度に基準を示して、周囲と調和した町並みの景観を目指すといったケースが多い。  県においては、モデル地区で地域住民の方々と話し合いながら、地域の特性を生かした町並み景観づくりを進めている。例えば、越前市のタンス町かいわいでは、自分たちの住んでいる歴史の町並みのよさを確認し合いながら、例えば家屋を改修するときには外壁や屋根をまちに合ったものにしていただくよう取り組んでいる。  まちづくりに当たっては、市町が主体的な役割を果たし、景観形成に対するコンセンサスをつくることが重要である。こういったものを県としても支援していきたい。 55 ◯細川委員  本当に美しい都市を、市街地をつくるというときには、行政の力だけでは限りがあって、民間と協調して歩んでいくことができると、ぐんぐんと民間の方が協力して同じ方向に進み、変わっていくという話を、先日も経済同友会の研修会でも伺った。ぜひ地域を巻き込むような動きとなるよう、特に県都デザイン戦略がそのような方向に行くといいと思う。  次に、デザインを広い意味で捉えれば、人の行為をよりよい形でかなえるための計画を意味する。まちにもっと活力が必要だと思うが、まちの活気というのは、私たちの後継者たる若者たちの姿にあると思っている。通学する学生の姿を見かけるが、それ以外に町なかを濶歩する生きのいい若者の姿は激減していると感じている。若者が町なかで楽しめる場、活力を表現できる場が必要だと思う。県都デザイン戦略の中で何か議論や工夫はあるのか。  あわせて、以前より屋根のあるパークを求める若者たちの声がある。モトクロス用の自転車でジャンプや回転など華麗なわざを競うBMXは、地域のイベントでも老若男女の衆目を集め、人だかりができる。西口の計画にある屋根つき広場などでこういった若者の声に応えるなど、そういったことが必要なのではないか。 56 ◯総合政策部長  県都のまちづくりを進める上で若者の活力を生かすことは、委員言われるように非常に重要であると考えている。懇話会においても、若者をまちなかに呼び戻す仕掛けが必要だという意見があり、さきに開催したフォーラムにおいても、活動する拠点があると若者の活力が生かされるといった提案があった。  若者の活力をまちづくりに生かすためには、若者が文化、スポーツ活動、あるいはまちづくり活動などを展開できる広場、オフィス、ギャラリーといった要素が必要と考えており、県都のデザインに反映させていきたい。  また、提案のあったBMXなどで遊べる場所というか、そういうところについては、今、福井市が整備することにしている再開発ビルに隣接する屋根つき広場を、市が公表している施設の基本方針案によると、平常時は休憩スペースとして利用するが、ミニコンサートや物品販売イベント、あるいはフットサルとかミニバスケットなどのスポーツ競技などで利活用することとしているようである。 57 ◯細川委員  ああいうことをしようと思ったら、がたがたとしたところよりも真っすぐなところがいいとか、そういった工夫をどんどん盛り込んでいっていただきたい。  私が住んでいる集落は、10軒そこそこの小さな集落である。いっとき子供がいなくなったというか、成長していなくなったことがある。集落の中から子供の声が消えた時期があったが、こんなにわびしくて、こんなに寂れた感じがするのかと思った。たまたま子連れの家族が入ってきてくれて、キャッキャ、ワアワアという子供の声がまた響いたのであるが、それがけんかする声であっても、どんな声であっても、全然活力が違った。地域の中に若い人たちの声や姿があるのは本当に大事だと思う。どうかよろしくお願いする。  以上、中山間地域にあっては美しい田舎、それから市街地にあっては歴史と郷土や文化が感じられる生き生きしたまちといったようなコンセプトで、市町の地域振興を県が面的に、総合的、広域的に調整してはどうか。 58 ◯総務部長  各市町の地域づくりについては、まずはその主体である市町において、地域の実情において進めていくことが重要だと考えている。  一方、田舎の美しい風景であるとか、地域の歴史性あるいは郷土色が感じられる町並みなどは県民共有の財産であって、これらを生かしていくことも重要だと考えている。  このため、県が平成24年度から実施している「ふるさと創造プロジェクト」では、自然や歴史、伝統を大切にした地域づくりを進めるため、計画策定段階から県職員が参画して、市町とともに事業を進めている。  また、市町や地域が実施する「ふるさと百景」であるとか、伝統的民家など地域資源を活用したまちづくりについても、県として基本的な方針を出して支援を行っているところである。例えば、若狭町の熊川宿であるとか南越前町の今庄宿については、地域住民による景観を守り育てるための活動に支援を行っている。  これからも市町等と協力して、景観や歴史など、ふるさと福井のよさを実感できるまちづくりを進めていきたい。 59 ◯細川委員  日本人が忘れかけた魂のふるさととか文化とか、福井はそういったものが逆にリゾート化され過ぎておらず、いろいろな資源もあるので、都会の方が魂のふるさとを求めてここへしょっちゅうやってくるような地域づくりができるといいと心から願っている。         「県財政について」 60 ◯細川委員  次に、県財政について伺う。  平成23年度決算の財政状況では、歳入における一般財源が2,472億円である一方、歳出の性質別支出を見ると、人件費、扶助費、公債費の義務的経費が2,226億円を占めていて、一般財源はほとんど義務的経費に消えることとなり、一般財源に余裕がない。臨時財政対策債の発行により新規事業の県負担分を捻出するだけという実態しか見えてこない。認識を伺う。 61 ◯総務部長  現下の経済情勢による税収の減少であるとか社会保障費の増嵩などによって、地方財政は極めて厳しい状況にある。地方財政計画においても、臨時財政対策債を含む一般財源のほとんどが義務的経費に費やされているという状況である。  臨時財政対策債は本来、国が地方交付税として交付すべき額の不足分を県が肩がわりをして発行しているものであって、その性格は地方交付税そのものである。したがって、決算上は県債に区分されているが、その性格は県税などと同じ一般財源であり、通常の県債のように特定の事業の財源の手当てのために発行するものではない。 62 ◯細川委員  臨時財政対策債は優良起債であり、当然、今年度分の交付税算入によって元利金が補填されていると思うが、例えば100の支出に対してどの程度実質的に算入されているのか。また、平成25年度発行予定額はどの程度か伺う。 63 ◯総務部長  臨時財政対策債の元利償還については、地方財政法の附則第33条の5の2第2項によって、後年度に全額交付税措置されることが明記されている。具体的には、交付税算定の基礎となる基準財政需要額に元利償還額が加算されることによって、その全額が補填されているところである。  また、来年度の発行額については、現在、地方財政計画の収支や地方財政対策の内容が明らかになっていないので、地方交付税の不足額は不明であり、現時点で県が地方公共団体として見込むことは困難である。 64 ◯細川委員  国は赤字国債発行、地方は臨時財政対策債発行というように、優良起債とはいえ、二重の後世代負担が余儀なくされていて、もはや臨時とは言えず、恒常化していると言える。この臨時財政対策際を毎年発行し続けることに危機感を覚えていないのか。 65 ◯総務部長  臨時財政対策債については、国が地方財政法の関係法令において元利償還額を後年度の交付税によって全額を措置することが明記されているが、本来は全て交付税として交付されるべき性格のものである。  ただ、根本には交付税が本来必要な額に対して不足しているという現状がある。このような状況の中で、本年8月には社会保障と税の一体改革関連法が成立して、平成26年度以降、地方消費税の税率引き上げ及び消費税に係る交付税が拡充され、地方の税財源の充実が図られることとなった。しかしながら、これによってもなお地方の財源不足が見込まれることから、引き続き全国知事会等とも連携して、交付税の増額を含む地方の一般財源の安定的な確保を国に要請していきたい。 66 ◯細川委員  福井県は人口も少ないし、都会に比べて条件的に不利だと本当に思うし、今、本当に東京ひとり勝ちみたいな、こういう税のあり方というのもいかがなものかと思う。この先、選挙があって、どのような政権ができ上がって、そして地方の税収というものをどういうふうに調整していくのか、水平調整なのか、垂直調整なのか、そのあたりにも注目しているところである。私は臨時財政対策債を余り当てにし過ぎるべきではないと思っている。今年度だったか、たしか臨時財政対策債の発行額は少し少なくなったと思うが、そういう方向のほうがいいのではないかと思ったりもしている。  最後に、結構、柔軟性がないというか、硬直化したと言っていいのかどうか、経常収支比率93.6%という県の状況であるが、「主要施策の成果に関する報告書」には、結局、政策推進のための財源などを捻出するためには行財政改革プランをやっていかなければいけない、もうそれしかないという書き方がしてあった。  平成25年度予算に向けて、具体的な行財政改革による捻出額をどの程度見込んでいるのか、最後にお聞かせいただきたい。 67 ◯総務部長  来年度の予算編成に当たっては、徹底した事務事業の見直しを行うほか、特別会計や基金の本来の目的を精査して、当面利用する必要性の低い資金を有効に活用するなど、第3次行財政改革実行プランに基づいて約40億円程度の財源を生み出し、福井新々元気宣言を実現するための政策的な事業に充当していきたいと考えている。 68 ◯細川委員  松平春嶽は徹底した行財政改革をやって、財政を立て直したという過去の経緯がある。行政の仕事を見ていると、事務事業が非常にややこしくて非常に手間がかかっていたりする。行政と一緒に仕事する業者のためでもあるが、そのあたりを何とか簡素化して手間を省くとか、いろいろ工夫して少しでも健全な財政状況になればと思う。                               ~以  上~ 69 ◯関委員長  以上で細川委員の質疑は終了した。
     大森委員。         「県都デザイン戦略について」        大森 哲男 委員 70 ◯大森委員  自民党県政会の大森哲男である。今ほどの山本文雄委員、細川委員の話を受け、県都デザイン戦略及び新幹線に絡めて幾つか質問する。  先日、同僚議員とともに広島、関西方面へ政務調査に出かけた。広島では大名庭園の民間交流協議会が開催した大名庭園サミットに参加した。この協議会は広島の縮景園、水戸の偕楽園、金沢の兼六園、高松の栗林公園など江戸時代に大名が築いた庭園を保存する活動を行っている民間団体が主催しており、交流を深めることができて大変勉強になった。サミットの会場になったのは浅野家の庭園である縮景園に隣接する広島県立美術館であった。  縮景園は現在、県立公園となっており、その横には県立美術館を配置してある。それぞれがお互いの見ばえをよくし、すばらしい景観であった。また、公共施設がその周辺に固まって配置され、市中心部の一つの求心力となっているように見えた。縮景園と県立美術館は共通入場券を販売していたり、縮景園の景観を生かして美術館にカフェが配置されるなど、相乗効果をうまく活用していた。また、周辺にはたくさんの魅力的なカフェやレストランがあり、アートの後、また散策の後、四季や食事を楽しめるぜいたくな空間だと感じた。  広島は、さきの太平洋戦争では原子爆弾が投下され、まちは焼土と化し、建物もほとんど残らなかった。その後、復旧の努力が重ねられ、縮景園付近は都心地中心のオアシスとして多くの来園者に四季折々の自然の変化を見せており、県外からも来訪者が訪れ、魅力のある一角となっていた。また、浅野家の庭園である縮景園は原爆ドームとともに広島県民の誇りのよりどころとなっているように感じた。  さて、我が福井県の県都も広島同様、第二次世界大戦中の福井空襲やその後の福井大震災により、まちのほとんどが焼け落ちてしまった。そこから現在の姿まで復興を遂げ、フェニックス、不死鳥の都市と呼ばれている。戦災、震災から60年が経過して、現在、県と市は新しい県都の姿を検討しており、このほどビジョンの骨子をまとめた。その中では、福井城址や養浩館庭園など、当時の福井藩の歴史を味わえる構造物を重視したデザインが描かれており、また、描いてほしいと思う。それが福井県民の地域への誇りを高めることにもつながると思う。  広島の縮景園では周辺の民間レストランと連携したキャンペーンも行っており、アートだけではなく、食や自然なども楽しめる。また、金沢市でも兼六園近くの旧県庁舎の跡にボール・ボギューズという高級フレンチレストランがオープンし、先日は我々議会も勉強に行った。一気にしゃれた空間になったように思う。ぜひ県都デザインにおいても、城址から中央公園の付近については民間の投資を誘発し、求心力をさらに高めるため、県立、市立、民間にこだわらず、文化や芸術の薫りがする施設を集中的に配置するとともに、一流のレストランであったり料亭であったり、県外客もわざわざ訪れるような一角になるようにするとよいと思うが、所見を伺う。 71 ◯総合政策部長  県都の将来を考える上で、福井城址と中央公園を一体化した福井城址公園は非常に重要な場所であると考えている。懇話会においても、歴史を生かすとともに、新たな文化を育む、育てる、そして発信するため、福井城址公園周辺に芸術文化拠点を配置してはどうかといった提言もなされているところである。既存の施設の耐用年数なども考慮する必要があるが、県と市が協働してこうした長期的な方向性を示すとともに、活用できる空き地を使い、公共的な空間をつくり上げるなど、新しいまちづくりを進めることによって、民間投資の誘発や一流レストランの立地も可能になるのではないかと考えている。 72 ◯大森委員  県外客に見てもらうためには、福井へ初めて来た県外の人が城址や中央公園に自然にたどり着くような流れをつくることが大事だと思う。現在は福井駅からは建物に阻まれ、城址あるいは中央公園の存在は直接には余りわからない。せっかく駅から近い距離にある。県外客が駅におり立ったときにその存在を感じられるようにするためには、どうしたらいいのか。意識せずに自然に、まず城址を訪れたり、中央公園に向かって歩き出すような仕掛けが必要だと思う。福井駅におりた観光客に対し、そういう誘導ができるような雰囲気がまず必要だと思うが、所見を伺う。 73 ◯政策幹  委員も言われるように、現在、駅からおりても、福井城址付近は直接見えない。福井の場合、駅と福祉城址は全国的にまれに見る非常に近い位置にあるが、その辺がはっきりわかるような形になっていくことは大事なことだと思う。懇話会の中でも、駅におりたときの視点の重点として、中央大通りをきちんとすることと、城址公園のほうに向けては、今、県庁のほうへ向かう斜めの道があるが、ここをきちんと整備していくことが重要であると言われている。このためデザイン戦略の中でも、早期の事業検討項目の中に、こういう道路を緑豊かな歩行者空間として整備することなどが上げられている。さらに、今、市が進めている福井駅西口全体空間デザインの中でも、広場の北側のほうを緑のネットワークの起点として、県庁のほうへ向かう、福井城址のほうへ向かう線のつながりを強化することを考えており、県としてもこういう市の考え方と合わせ、協力してそういう動線の整備を進めていきたい。 74 ◯大森委員  私は、道路に融雪装置ぐらいつけてほしいとか、いろいろなことを何度も質問で言っている。デザイン戦略自体は年度内に完成させるとのことであるが、今後どのような過程で最終的な県都デザイン戦略を決定していくのか。もう時間がない。ぜひその辺のステップというか、シナリオをお聞きする。 75 ◯総合政策部長  県都デザイン戦略の今後の進め方については、まず、今議会において骨子等について審議いただいた後、いただいた意見を踏まえながら、骨子に具体的内容を肉づけしていきたい。その後、県と福井市で成果を取りまとめていく。  1月末に懇話会を再度開催したいと考えており、具体的内容について議論するとともに、県、市で行うパブリックコメントなどによって、できるだけ多くの県民、市民からの意見を募集する。懇話会での意見、提言やパブリックコメントの結果を踏まえて、その内容を見直し、見直した案を2月議会に示し、審議いただく。そして、議会からの意見や提案を盛り込み、年度末に公表したい。 76 ◯大森委員  スケジュールはまことにタイトであり、デザイン戦略を拙速に決めてしまうのはどうかという気持ちが私自身にはある。こういう構想の類いは、つくることに精力を傾け、その後がおざなりになってしまうということがある。まちづくりのプランは幾つも、恐らく十数個、戦後につくられていると思うが、どれもそのとおりとなっていない。いつの間にか棚に入ってしまって、次のものができてくる。こういうことにならないように、デザイン戦略は骨子程度にして、なおかつきっちりかかわっていく地域の方や地権者の方、または外部の学識経験者等も踏まえて、年度ごとの計画を積み上げ、関係者と実施計画をつくる中で十分に議論してやっていくというやり方もあるのではないか。これから先の事業化段階においても、関係する住民や民間団体との連携が確保されるようなデザイン戦略にしてほしいと思うし、今度は年度ごとの計画をつくってほしい。 77 ◯政策幹  このデザイン戦略については2050年というかなり先を目標としているものであり、そういう年次計画はそぐわないのではないかと思っている。ただ、一方では、やれることはやっていくという考え方のもと、短期のものを示している。  いずれにしても、こういうまちづくりに関しては、県庁とか行政だけで仕事ができるわけではない。市民、県民の意見、意識を共有して、協働して仕事を進めることが非常に重要である。そのため、戦略の策定方針の中でも、県民、市民、大学、まちづくり団体等とも一緒になって、社会実験やワークショップを実施するなど、目的を共有していきたいとしている。  また、石川県や富山県にも負けないまちづくりを進めるためにも、ややもすると個々の利害関係をいろいろと考える方が出てくるが、広く公共の精神も持っていただき、この戦略をみんなで進めていくという仕組みづくりが大事である。  また、歴史的な資源の復元など多額な費用がかかる事業については、県民、市民、いろいろな方から寄附などの形で協力いただくという意味でも、まちづくりについての機運を盛り上げていくことが重要である。 78 ◯大森委員  今、政策幹が言われるとおりのことをやっていくためにも、合意形成に時間をとっていただきたい。福井駅西口の問題や駅前線延伸の問題でいろいろな対立の構図があるが、そうならないように注意して、県都ビジョンをつくることと現実化することに注力していただきたい。  さて、今回参加したサミットは、縮景園友の会など、庭園の保護やガイドに取り組む全国の8団体でつくる協議会によって開かれた。庭園の保護や継承を話し合うもので、今回が7回目である。そもそも私がこの庭園サミットに参加したのも、金沢の兼六園を守る会の方から、養浩館という歴史的にも景観としても価値ある庭園を持つ福井にも参加してほしいという要請があり、まちづくりの参考にできないかということからである。ほかにもいろいろな資源を持つ都市が交流することにより民間活動の励みになる。今回、広島のサミットに参加し、県、市、民間、それぞれの地域で努力されている方が交流することによって、自分の至らないところなど、非常に参考になった。養浩館はアメリカの庭園の専門誌からは日本庭園ランキング4位という評価を受けるなど、海外の専門家からは注目され、養浩館は小さいけれどもすごいという評価を受けているが、全国的にはまだまだ知られていないし、我々県民、市民にも行ったことのない人がまだたくさんいるのではないか。このような民間主導のサミットに参加して他の先進地と交流すること、また、こういうものを県内で、養浩館周辺で開くことは全国にアピールするきっかけになるのではないかと思った。もちろんこうした活動は民間が主導で進めるべきものであるが、まちづくりは守っていく人と行政との連携が大事だと思う。広島サミットでも、広島県が事務局に対して積極的に、強力にバックアップしていた。  要望であるが、今後このような自主的な活動が福井で始まった場合、ぜひ県として応援していただきたい。所見を伺う。 79 ◯政策幹  養浩館は世界的にも認められ、すばらしい公園で、我々も大事に思っている。県都デザインの中でも城址公園、養浩館、足羽川、足羽山へと続く一帯を福井の特徴として捉え、それがコンパクトに駅前にまとまっていることから、こういうところをきちんと整備していくという方針や考え方をみんなで共有したところであり、そういう一つ一つの民間の活動は非常に大事だと思っている。そういう意味で、一つ一つ全部を県が支援するというわけにはいかないので、それが輪になって、全体として力になっていくところを我々としては応援していきたい。 80 ◯大森委員  県、市、民間が協力してやれるようなものができたらいいと思う。         「北陸新幹線の金沢開業をにらんだ観光政策について」 81 ◯大森委員  次に、北陸新幹線金沢開業をにらんだ観光政策について伺う。  9月に議会の産業常任委員会は経済同友会と意見交換会を開いた。密度が濃い話し合いができたと思っている。これは二元代表制ということで、知事部局だけではなく、議会も県内の各団体や関係者と話をしたいということから行ったものである。我々議会も中小企業の経営者や実際のプレーヤーである市長の声を聞いていく必要がある。これからも定期的に会合を持ちたいと思うが、その意見交換会の中で北陸新幹線の金沢開業問題がテーマとなった。石川県、富山県は、開業はもう2年後であるから、どうやって新幹線の座席数を埋めていくとか、どうやって途中でおろすとか、そのために行政が何をすべきか、企業はこういう作戦を立てるということで、取り組んでいる。福井県もおくれることなく、金沢開業をターゲットにして、やれること、戦略を組んでほしい。開業のときには100%の力が出せるように、今から観光拡大の準備をしていくべきであるという意見が多く出た。  そして、11月22日にはJR九州の唐池社長の講演会が福井市内で開催され、私も講演を聞いてきた。鹿児島駅まで新幹線が到達したことで、鹿児島駅から1時間圏内の観光地の客数が大きく伸びたという報告があった。鹿児島から1時間圏内の観光地というと、例えば指宿であるとか宮崎の集客が相当多くなったということである。「指宿のたまて箱」という特別仕様の列車が鹿児島中央駅から指宿までを1時間弱で結んでおり、こうしたJR九州の仕掛けもあって、頑張れば、逆に終着駅から1時間圏内が最も効果が出る地域であるという話を伺った。  そうなると、県内でも、全部がエリアに入るというわけではないが、例えば恐竜博物館はこのエリア内ではないかと思う。金沢はみんな知っており、金沢まで何度も来た方が金沢から先を目指してくるということであれば、恐竜博物館に行こうと思うような工夫をすべきである。羽田空港からはディズニーランド行きの直通バスが日に何本も出ていて、休日は長蛇の列ができている。空港や新幹線の駅から簡単に、短い時間でパッケージされていて行けるような仕掛け、例えば金沢駅から恐竜の絵でラッピングした直行バスを走らせ、福井へ連れてくるという仕掛けができないか。こういうアイデアもあるのではないか。 82 ◯観光営業部長  現在、恐竜博物館の来館者は近畿、中京、北信越からの自家用車利用者の方が多数を占めている現状にある。今後、新幹線の金沢開業によって、関東からのJR利用者が多くなることが見込まれる。このような観光客を金沢から本県へいかに運ぶかということが、委員が言われたとおり、重要な課題だと考えている。このため、県においては、県内観光地への直通バスの運行も含めた金沢駅からの二次交通アクセスについて検討を行っているところであり、直行バスの運行については、今回の貴重な提案の趣旨も含めて、よりよいルートや運行方法等をバス事業者の意見も伺いながら検討していきたい。 83 ◯大森委員  恐竜博物館の所蔵物や研究は、当然のことながら世界的レベルのものであると、我々も行ってみて感じる。他県から訪れる動機が十分にあると思うし、単体だけでなく、県内観光全体への経済波及効果が少なくないと思う。やはり受け皿となる関連産業をつくっていくべきではないか。  私は、特に土産品のことが気になる。恐竜博物館は年間、昨年度は51万人を超える人が来ている。館内のミュージアムショップも大変にぎわっている。現在、そのショップは県外企業が受託して運営しているが、そのためかどうか、商品は県内で製造したものが少ないように感じる。観光消費額という視点がやはりこれからは大事になってくる。本県の宝と呼べるような恐竜博物館を恐竜ブランドとして地域でもっと利用すべきである。恐竜関連の土産産業を本格的に興すような支援を行っているのか。恐竜博物館において、県内でつくった土産の取り扱いを広げることはできないのか、また、県内単独企業で恐竜博物館の土産を製造することはできないのか。 84 ◯観光営業部長  現在、恐竜博物館のミュージアムショップにおいては、子供向けを中心に、恐竜のフィギュアやおもちゃなど恐竜関連の商品約360種類を販売しているが、確かに県内で製造された商品はネクタイやマグカップなど10数種類にとどまっている現状にある。今後、商工会議所などと連携したセミナー等を通じて、県内の事業者による恐竜ブランドを生かした新たな商品の開発、販売に我々も一生懸命取り組みたい。 85 ◯大森委員  福井市内のホテルには、恐竜博物館の入場券と宿泊をセットにした恐竜プランや恐竜のフィギュアをちりばめた恐竜ルームを用意しているところがある。また、大阪のユニバーサルスタジオには、レックスカフェなど恐竜をモチーフにした飲食店やショップもある。横浜での大恐竜展も大盛況だったとお聞きする。恐竜ブームはもう全国に定着してきており、もっと恐竜を生かした観光戦略を展開するとよいと思うし、特に子供のいる家族連れをターゲットとした観光ビジネス展開の余地は広いと思う。四国のアンパンマン電車を模して、えちぜん鉄道の勝山行きを恐竜列車が走ったり、恐竜お子様ランチを出すレストランのネットワークをつくったり、子供や家族連れの視点からいろいろと考えてみてはどうか。恐竜をテーマに面的、多角的に広がっていく観光戦略を検討すべきと思う。 86 ◯知  事  恐竜博物館の活用・戦略であるが、家族連れが約7割を占めており、家族連れ、親子対策が重要だと思う。こうしたことから、平成26年度オープン予定の野外博物館の整備に加え、アミューズメント性の向上、あるいは館内レストランの充実などを含めて、恐竜博物館全体の幅広い魅力の向上に取り組んでいく。また、恐竜博物館を中心に奥越全体において、星空観察とかそば打ちとか、周辺の観光施設、宿泊施設との連携強化も行い、家族連れを中心に、観光客が周辺エリアで何泊かするという、こういう商品をぜひともつくりたい。さらには、今年度実施したあわら温泉と恐竜博物館を結ぶ直行バスなど二次交通の充実、それから、今言われた恐竜グッズの質、量、両方ともの拡大と県内産業との関連、そういうものも含めて、恐竜ブランドを生かし、誘客、観光消費額のアップにつなげていきたい。いろいろ仕掛かり品というか、そういうものはあるが、最終商品になっていないものが多い。いま一度馬力を上げたいと思う。 87 ◯大森委員  ぜひともそういった取り組みをしながら、みんなが応援するような、面へと広がるような展開をお願いしたい。  さて、先日、JR特急で大阪から直接、金沢へ行く機会があった。2時間40分かかった。金沢までずっと電車に乗っていると、やはり大阪から金沢は遠いと感じた。ところが、福井までは1時間50分。これは余り苦痛ではないわけで、このあたりの優位性も生かすべきと思う。北陸の中では大阪が近いというのが大きな一つの切り口であって、福井の強みではないかと思うが、これがいま一つ生かされていないのではないか。金沢開業というと、首都圏からの観光客を重視しがちである。これももちろんやらなければいけないと、今、答弁があったが、忘れてはならないのが、当たり前のことであるが、関西の大マーケットである。福井は関西に近く、可能性は高い。例えば、JR西日本に助成し、大阪から恐竜列車を走らせてもらう、あるいは、関西からの客に特別割引をするなど、関西に対する戦略性を持った取り組みが必要だと思う。関西に対する観光戦略を今後どのように展開していくのか伺う。 88 ◯観光営業部長  関西からの誘客拡大については、これまで県においても、関係団体などと連携して観光商談会などを開催し、本県の観光の魅力を積極的に売り込んできている。平成26年度には舞鶴若狭自動車道が全線開通することにより、時間、距離がますます縮まる。こうしたことから、これまで以上に関西は本県の観光にとって重要な地域になると考えている。このため、県においては、何度訪れても本県を楽しんでいただくことができるような、温泉情緒あふれるあわら温泉のまちづくりであるとか、敦賀の金ケ崎の赤レンガ倉庫の整備・活用など、観光地の魅力アップを急ぎたい。さらに増加傾向にある教育旅行や学生合宿の誘致にも力を入れるとともに、まち歩きコースの設定や旬の食の提供、あるいは体験メニューの開発などによって地域の観光素材に磨きをかけ、滞在型の観光を拡大していきたい。 89 ◯大森委員  頑張っていただきたい。ただ、今後、金沢開業に向けて、観光戦略や関西からの誘客に関連して一つ気になることがある。それは、気象の影響でJR北陸本線が頻繁にとまったり、おくれてしまったりすることである。実は先日の土曜日、早朝の食事会があって、夜中に金沢に着いて、前泊した。金沢発8時5分のサンダーバードに乗ったのであるが、福井へ着いたのは何と午後6時である。季節風がまあまあ強い日であったし、いろいろな予定があり、本当は福井に10時に着かなければならなかったのであるが、10時間かかってしまった。手取橋梁において風速25メートル以上の風が15分間以内に一度でも吹いたら列車をとめるという規定があるとのことであり、その規定を満たすまで動かなかった。3時55分に動き出したが、また美川駅でとまり、ほとんどの人は携帯電話の電池もなくなっていた。手取付近、小松付近ではそういう風の状態だったらしい。また、これはいつも言うことであるが、関西からの湖西線も風でおくれる。東海道線回りになった場合は大変おくれる。こういうことがあると、幾らいい資源があっても、福井へ行くのをためらってしまう。特に冬場はそうである。あわら温泉が今大変な不況にあるということも、こういうことが影響しているのではないか。北陸自動車道もそうである。冬の対策が必要である。この大きな幹線を定時運行できる、または雪の災害、風の災害からいかに克服するかということをまずやらないといけない。幾らいいものがあっても、予定が立たない、翌日帰れないかもしれないというリスクの中では誘客は実現できないのではないか。また、こういうことを踏まえて、冬については、雪でどうなるかわからないということをどうにかしてほしい。JR西日本に働きかける等、雪や風に強い北陸本線、北陸自動車道にしたいという意見は何度も出ていると思うが、ぜひともやらないといけない。 90 ◯知  事  鉄道等の雪や風対策であるが、鉄道は基幹交通として安定、安全な運行確保が求められるのはもちろんであるが、一方で、しっかりした安全対策をさらに強化して、交通が時間どおりに円滑に進むというのは極めて重要であり、毎年、強風対策や雪害について要請している。その結果、強風関係では湖西線に防風柵が整備され、雪害については、毎年の積雪強化対策の中でさまざまな強化が図られているが、北陸地域は峠を越える場所では気候が非常に激変するし、気象条件の厳しいところであるので、他のJR会社の安全対策とどの程度違うのかということも調べて、さらに時間どおり運行できるような安全投資、強化を図るようJR西日本にも働きかけていきたい。 91 ◯大森委員  新幹線の技術を在来線にも応用するとか、特に金沢-福井間については、そういう意味では絶対に安定した運行を確保しないといけないし、福井開業についてはタイムラグがあるという中、在来線のそうした強化をぜひとも要望していただきたい。福井県が10年間おくれてしまうことに対する代替措置としても強く要望していただきたい。  さて、広島からの帰りに姫路のフィルムコレクションを視察してきた。ここは姫路の観光コンベンションビューローが事務局となっている。姫路市からの委託を受けて運営しているものの、トム・クルーズが主演したハリウッド映画「ラストサムライ」も誘致しており、スタッフの宿泊や飲食など直接の経済効果だけで1億円を超えるほどであった。その後、「ラストサムライ」の世界的ヒットによる間接効果も含めると、予想を上回る効果があって、姫路市自身がびっくりしているという状況であった。今、いろいろ工事をしているが、再来年は姫路城の修復工事の完成と同時期に、NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」が放映される計画になっている。先ほどの山本文雄委員の話ではないが、こういう計画性というか戦略性が大事である。秀吉の参謀であり、姫路城で生まれた黒田官兵衛を主人公として、さらなる観光誘客の増加につなげようと、姫路城を修復している様子も観光資源として見せており、戦略性を持って取り組んでいる。本県も大変参考になると思う。福井県の朝倉氏遺跡なども全国のテレビCMの舞台になり、知名度も上がってきた。金沢の兼六園は美しい庭園であるが、先ほど細川委員の話もあったが、歴史的に大したドラマもなく、静かなものである。一方の朝倉氏遺跡は、朝倉義景を初めとする戦国時代の激動のドラマが展開しており、また養浩館庭園は幕末の福井藩の活躍がしのばれる。これら福井のものは十分にストーリー性が高く、歴史的にも決して金沢に負けるものではない。こうした福井県の歴史の特色を生かして、県外にアピールしていくことが重要である。  今年度の組織改正で文化振興部門を観光営業部に持ってきたことはすばらしい観点だとサミットでも評価していただいた。サミットの中で、福井県には観光営業部があると報告したのであるが、それはすごいことだと、県外の栗林公園の方や、そういう庭を守っている方、民間の方もびっくりしていた。文化振興部門を観光営業部に移したことも踏まえて、今後どのように歴史を踏まえた文化を観光に生かしていくのか、戦略を含めて伺う。 92 ◯観光営業部長  本県には朝倉氏の遺跡、あるいは若狭の文化財群など魅力的な歴史文化資源は数多くあるが、これらが宝の持ち腐れにならないよう、地域づくりや観光に結びつけていくことが重要であると考えている。こうした観点から、本年度は朝倉氏遺跡で「戦国あさくら市」を開催するなど、遺跡観光を楽しんでいただく仕掛けづくりを進めたほか、また、若狭においては秘仏を特別公開し、それに合わせて若狭歴史民俗資料館のガイダンスを組み入れたバスツアーを行うなど、これまでにはなかった観光的視点を取り入れた施策を実施した。歴史や文化を生かした観光については、いかに深さや広がりを持たせていくかが課題であると思う。  今後は、文化財の公開の拡大や各地の歴史資源を結びつけたストーリー性のある観光商品の開発、提供など、博物館等の研究成果や地域のつながりなども生かしながら、誘客拡大に結びつけていきたい。 93 ◯大森委員  私は産業常任委員長を務めており、この前は県立博物館の泰澄とその仏像展とか、県の美術展とか、いろいろな誘いや、また挨拶をしてほしいということで案内をいただき、参加するようにしている。来年は「ミケランジェロ展」を福井県立美術館で行うという計画もあるようである。すごいと思う。ある雑誌に載っていて、家内から「今度、福井でこんなのがあるが、東京と2カ所しかない」と聞いた。この辺はまた観光営業部長に伺いたいが、福井はこういうすばらしい、いろいろな資源を持っている。私は20年前に宝探し運動をやったが、それぞれの地域が行っているブラッシュアップについて、全体として戦略性を持ったブラッシュアップの仕方というか、そういうものを心がけていただきたい。         「原子力政策と県内産業の将来について」 94 ◯大森委員  次に、今は非常に難しいタイミングであるが、原子力政策と県内産業の将来について伺う。これも経済同友会との意見交換会において出た話である。原子力やエネルギーをテーマで議論したところ、経済界からは、原子力発電所についての国の方向性もわからない中、福井県の強みをどう生かしていくのかが課題であり、福井がこれまで培ってきたエネルギー技術、安全技術、インフラ等を生かして、次の世代の雇用に生かしていけないのかという意見が出た。福井経済新戦略には、新たな成長産業の一つとして、「新「クールアース」環境・エネルギー産業化プロジェクト」がある。太陽光発電や蓄電、新エネ、省エネ関連や資源リサイクル関連の研究開発の産業化を進めるとしているが、これは今後伸びが期待できる分野である。「新「クールアース」環境・エネルギー産業化プロジェクト」の現在までの進捗状況と今後の見通しについて伺う。 95 ◯産業労働部長  「新「クールアース」環境・エネルギー産業化プロジェクト」は、今、委員が言われたとおり、経済新戦略の一つの柱で、全県的な、県全体のプロジェクトとして位置づけており、昨年度からは事業ごとに工程表を作成し、産学官が連携して一つずつ進めている。少し具体例を申し上げる。例えば太陽電池を織り込んだ布の開発についてはことし成功し、平成27年度に商品化を目指すということで、平成25年度は表面処理技術であるとか、あるいは量産化のための専用織機を開発するといった段階である。また、炭素繊維については、航空機とか自動車の部材を狙っているが、平成26年度に量産化できるよう、平成25年度には高速の成形装置を開発するといったところまできている。あるいは、ヒートポンプを使ったオールシーズンの園芸用のハウス、これは現在高浜町に建設中であるが、来年3月に完成見込みとなっている。こういったように一つずつ成果が出ているという状況である。  また、このプロジェクトに関連して企業誘致も進んでおり、リサイクル事業を行うJX日鉱日石金属、あるいは三徳といった会社が敦賀市に、それからデータセンターの日本ユニシスが小浜市、LEDを生産している高槻電器工業が若狭町に立地するなど、こういったことを一つずつ進めていくという状況である。 96 ◯大森委員  今ほど嶺南の企業のことが話に出ていたが、この取り組みの中に嶺南の企業はどの程度参画しているのか。また、こうした分野の中で工業技術センターや産業支援センターが嶺南地域の企業を積極的に支援しているのかどうか。この辺のところについて、もう少し詳しく説明願いたい。 97 ◯産業労働部長  このプロジェクトは、産学官の共同研究、企業の事業化支援など、さまざまなものを含んでいるが、そういったものをいろいろ入れると、プラスチックや機械、電子・デバイスといった嶺南の企業が24社参加している。工業技術センターにおいては、こういった企業と、例えばLEDの応用技術や廃プラスチックの再利用の技術、あるいは火力発電の石炭灰のリサイクルといった共同研究を行っており、そういった支援を進めているところである。  また、製品化したものをどうやって売り込むかという産業支援センターによる支援については、例えば三菱電機との展示商談会で大型の配管部材、あるいはマツダとかホンダとの展示商談会では歯車とかプレスの特殊加工技術といったものを商談会の場で売り込んでおり、そうした製品開発、研究開発から最後の売り込みのところまで工業技術センター、産業支援センターが力を合わせて応援していきたいと考えている。 98 ◯大森委員  相当な取り組みが行われているということであり、ちょっと安心したが、嶺南の皆さんは大変苦労されている。  もう一つ、重ねて要望したいが、嶺北にも技術力を持っている企業がある。そういう企業が嶺南に行って雇用を起こすということに対しても、用地などでの嶺南との連携、福井県全体での連携という意味で、そういうことも含めて、第2段階になるかどうかわからないが、ぜひともオール福井でそういうことに取り組んでいただきたい。また、嶺南の雇用問題に取り組んでいただきたい。これは要望にとどめておく。  今、敦賀原発2号機の問題も議論されているが、原子力発電所を今後どういう方向に持っていくかにかかわらず、遅かれ早かれ、順番にというか、40年以上たって経年化すれば、廃炉にする時期が必ずやってくる。その際には、まず使用済み核燃料の処理等についての明確な方向が示されていなければならない。それが前提であるが、同時に廃炉に向けての技術の確立を進めていく必要もある。また、福島の事故を踏まえて、さらなる安全対策も検討しなければならない。  福井県は原発と共存してきた歴史がある。企業と情報を共有し、一緒に技術開発を行っていけないだろうか。福井県の中小企業の中からも、人材派遣だけではなく、廃炉や事故対策等に関連して福井の企業が取り組めるような分野、または可能性について、どういうスキルや技術が必要なのか、どういう情報が県内企業にいわゆる行き渡っているのかといった意見が出てきた。これまで福井県がエネルギー研究開発拠点化計画において取り組んできたこと等を県内企業界にもっと広く情報提供して、産官学、民も含めて、いろいろな取り組みを行っていくことが必要だと思う。原発の廃炉措置や事故対応に関連し、県内企業も含め、産官学が連携して、全国に先駆けて新技術の開発、そして事業化を進めるべきと思う。 99 ◯知  事  エネルギー研究開発拠点化計画では、新産業の創出を促進するため、若狭湾エネルギー研究センター、産業支援センターが中心になって「ふくい未来技術創造ネットワーク推進協議会」を設け、拠点化計画の取り組み、研究開発等について情報交換を行っている。  今後、福島では廃炉措置が行われるが、先般、こうした分野や事故対応については議論を行った。この新しい産業については、拠点化計画の来年度の推進方針においては充実・強化分野という位置づけをし、県内の大学や企業も参加して技術開発を推進することにしている。具体的には、電力事業者と県内大学、企業4社が連携し、放射線環境下での重作業、厳しい作業に対応するパワーアシストスーツの開発を進めることとしており、12月6日には国の委託事業の採択を受けたところである。また、レーザーによる放射能除染や防御服等の資機材についても、若狭湾エネルギー研究センターや県内の繊維企業等が中心となって開発を進めることになっている。県としてもこうした活動を支援して、新しい産業の創出につなげていきたい。 100 ◯大森委員  ぜひそういった明るい部分というか、これからの雇用について示しながら、一歩一歩具体化していって、福井県の未来が少しでも元気の出るような形となるよう進めていただきたい。 101 ◯関委員長  以上で大森委員の質疑は終了した。                               ~以  上~ 102 ◯関委員長  ここで休憩する。再開は午後1時とする。
                                  ~休  憩~ 103 ◯斉藤副委員長  休憩全に引き続き、委員会を開く。  質疑を続行する。  仲倉委員。         「原子力政策について」           仲倉 典克 委員 104 ◯仲倉委員  県政会の仲倉典克である。「総選挙における県政の課題について」というタイトルで通告したが、先に原子力政策について伺う。  今、各党が政権公約を発表し、特にエネルギー政策については各政党によってさまざまな方針が示されているところである。しかしながら、12党も政党が乱立していると、反原発というような一くくりであっても、その対応もさまざまであって、ましてや工程表も示されていない中、なかなかそういった各政党の具体的な政策の本質というようなものを見きわめるのが非常に難しい状況にある。大阪で出発した政党が反原発を掲げて東京と一緒になったら、何がなんだかわからなくなってしまったと、そのような状況もあるし、また、隣の滋賀県の知事が、肌が違う人たちとどういう形になったのかわからないが、そういった原発政策に対するいわゆる評価というか、姿勢というか、そのようなものが非常にあいまいになって、争点も非常にわかりにくい選挙になってしまったというのが率直な印象である。いずれにしても、今回の国政の大きな転換の中で、エネルギー問題というのは確かに争点であるべきであるし、しっかりと国民に開かれた形の中で材料を提供して国民に真を仰ぐ、やはりそういう選挙でなければいけないと思う。  我々地元の自治体にとっても、こういった国政が動くこの事態を貴重なチャンスと捉えて、我が県の思いというものをしっかりと国政に反映していく、そういう姿勢というものが大事だと思っている。また、従来、どちらかというと、我が県を素通りして、いろいろものが決まっていったが、そういったことが今後ないように、しっかりと我が県が政策過程のプロセスの中に位置づけられるようにしていかないといけない。そういう仕組みづくりをしっかりとつくっていかなければいけないと思う。  まず、今までの教訓として、国と地方、あるいは供給地と消費地、そういったねじれというものが根本的にあって、そういう意思の違いというか、思いの違いというものがこのエネルギー問題をこじらせてきた。こういった関係を抜本的に改善して、その関係の構築に取り組む必要があると思うが、その仕組みについて知事の所見を伺いたい。 105 ◯知  事  原子力を含め、エネルギー政策については、国民生活全体の影響、発展、また国家の安全保障に直接かかわる重要事項である。電力供給地と消費地、あるいは立地自治体と国、事業者のそれぞれの立場の責任と役割について冷静に議論し、理解を進めることが重要である。このため、県では県民、そして地元の安全──これは科学的かつ良識を持った考え方で臨まなければならないが──安全の確保と原子力の重要性を立地自治体から一貫して国に訴えてきたところである。これを受けて、6月8日には総理大臣が記者会見において、国民生活を守るため大飯3、4号機の再稼働が必要であると表明された。この問題に関しては、県が提案した特別な監視体制を実現させるとともに、使用済み燃料の問題についても、県の要請を受け、国は消費地を交えた協議会の設置を決めたところである。県としては、今後とも国に対し、原子力問題に責任を持って対応してきた立地自治体の立場を強く主張していきたい。  いずれにしても、重要な問題であり、心をしっかり定め、また真剣にこの問題に取り組んでいきたい。 106 ◯仲倉委員  全くそのとおりだと思うが、今、特に選挙を見てみると、私が最も気になるところは、隣の滋賀県の知事が国政に対して一つの物を言っていく、意思を伝えていく手段として、自身が党首となって一つの政策のうねりをつくっていこうという試みの中で新しい党を立ち上げて、全国的なキャンペーンを行っていることである。一国のあるじである知事の職務をないがしろにして、そういった国政に首を突っ込んでいくという姿勢を私は非常に危惧している。政党の代表を兼ねるというこの姿勢について、同じ知事として、西川知事はどのように考えているのか。 107 ◯知  事  知事、あるいは市町村長もそうであるが、住民の負託を受けて、県民のために仕事をするのが使命であり、現実にそういうほかのことに時間をとったりする余裕と暇は実際にはない。 108 ◯仲倉委員  全くそのとおりである。そういうところは私と意見が合うと思う。  仮に、嘉田さんの党である未来の党か、将来の党かが国政において、ある一定の影響力を行使するようなところまで行ってしまうと、福井県として非常にやりにくい状況が生まれてくることもたしかである。特に今、隣接県であるから、当然、住民避難や原子力防災について、あらゆる観点でいろいろ協議をしていかなければいけない。パートナーであるといっても過言ではないだろうと思う。こういった嘉田さんの姿勢に対して、今、この選挙の時期にしっかりと、そういうことをしてもらっては困ると、軽率ではないのかと、同志の知事としてしっかりと指摘をしていかないといけないと思う。どちらかというと、今の西川知事の話では、まあまあ勝手にやっていると、彼女の勝手だからというようにも聞こえる。そういったところに少しくぎを刺すという姿勢をとるつもりはないか。 109 ◯知  事  いろいろな機会に、いろいろなことは、もう実行しなければならないが、今申し上げたとおりである。 110 ◯仲倉委員  話をちょっと変える。一方、原子力規制庁であるが、新たな基準を決める7月を待たず、方針がまとまった段階で再稼働に向けた事実上の手続を前倒しすることになった。ただでさえ、原子力安全・保安院から原子力規制庁に移行するに当たって、しばらくの間、規制行政そのものが停滞していたわけであり、スピード感を持って、しかも冷静かつ慎重に、前のめりをしないような形で丁寧にこれから安全確保の作業を進めていくことが大切である。しかし、その基準も示されていない中で、今回、敦賀2号機の真下に活断層が通っている可能性が高いと判断し、この評価でもって田中委員長は再稼働を容認しないと表明された。科学的な根拠を持たず、断定せずに可能性というものだけで結論に至ったというのは非常に残念である。そういうことになると、日本じゅう、どこにも原発はもうつくれないというような、そんな印象を持ってしまうのは私だけではないだろうと思う。たった2日間の現地調査で白か黒かをはっきり決めてしまったというところにも拙速感を感じる。県は、県民が納得できるような、もう少し科学的な、客観的な根拠に基づいた調査をするように国に申し入れをすると言っているが、規制委員会そのものに対しての法的な申し立てのルールは今のところない。そういう中で、今、県としてそういった意思を国に対してどのように反映していくのか、その辺の手法について伺いたい。 111 ◯知  事  今言われるように、原子力規制委員会については、限られた人数の委員が限られた期間で現地調査をし、事業者とどれくらい十分な議論をしたのかというのも問題であるが、見解を示されているわけである。事業者の立場からは、今後も調査を継続するということであり、さまざまな反論や意見も出されると思う。また、こうした問題のほかの専門家からも意見が出ると思う。いずれにしても、活断層の問題については、活断層というのがどの程度の規模なのか、どのように動くのか、その危惧性はどの程度なのか、発電所に与える影響はどういうものなのかなどについて、耐震工学など幅広い科学、そして技術の両面から意見を聞きながら、学問的にいろいろな解明と対応をする必要があるのではないかと思う。  県としては、こうしたいろいろな判断のもとに、慎重に判断していくことが重要であると考えている。そして、規制委員会を設置した国が責任を持ってこうした問題に対応するよう、引き続き強く求めていきたい。 112 ◯仲倉委員  規制委員会は、産声を上げた、まだ新しい組織である。組織の中がどのような成熟を持って成り立っているのか、その辺が非常につかみにくい。しかしながら、きょうも新聞にも出ていたが、放射性物質の拡散予測が本県を含む17原発でまた訂正されるというように、何回も何回も訂正している。こういった状況を見ると、本当にこの規制委員会は大丈夫なのか、国民のよりどころである規制行政としての役割を本当に全うしているのかと非常に不信を感じる。そういったところが、規制行政たるこの規制委員会への信頼を損ねてしまう。スタートしたばかりの組織でありながら、最初からそういった信頼を持てない組織になってしまうということは、やはりこれからの原子力安全行政においても非常に問題があると思う。こういった規制行政の体質というものに対して隣の石川県の谷本知事が非常に厳しいコメントを出されているが、西川知事はどのような思いを持っているか。 113 ◯知  事  規制委員会はことしの9月に発足したが、発足において国民的な、国会の同意も得られておらず、基本的な前提にさまざま課題がある。また、指摘もあったように、実際のさまざまな調査や発言についても問題が多過ぎるというか、そういう状態である。また、何より重要な原発の安全対策がどのように強化されたのか、これからどのように強化していくかということを十分議論しないで、避難とかそういうことが先に論じられ過ぎるとか、いろいろな問題があり、規制組織としての仕事の進め方、人材や専門能力が十分でないと見る。さらに、原子力災害対策指針の検討に当たっても、我々地元、地方から述べた意見を反映しようとせずに、東京での机上の議論というのが多過ぎると思っており、活断層の問題についても、我々に何の説明もない状態である。いずれにしても、本当の安全を守るという責任をしっかり果たすことができないと信頼は得られないと思う。 114 ◯仲倉委員  知事の言うとおりである。安全というものにしっかりと責任を持てる組織とするために、独立した規制委員会を立ち上げて、そこに一元的に安全というものを委ねているという規制行政であり、やはりもう少し組織の中を検証しながら、本当にこの組織でいいのかどうかということも含めて、根本的にまたやらなければいけないのではないかと私はつくづく感じている。敦賀2号機がこういう結論ということは、隣接している1号機も恐らくまた同じような結果であろう。ましてや、今から3、4号機増設ということになると、客観的に、現実として、なかなかハードルが高い状況になってしまったという印象として持っている。さらに言えば、次にターゲットとなっている全国の6施設、県内では大飯と美浜、もんじゅの3施設が、同じような手法でやられると、また同じような結論に至ってしまうのではないかと非常に危惧している。また、きのうの発表によると、東通も同じような形でだめだということになった。そうなると、福井県全体でのエネルギー政策の位置づけはおろか、エネルギー研究開発拠点化計画も、また、雇用、産業、まちづくりの総合的な県政の中での位置づけ、そしてあり方というものを変えてしまわなければいけない事態にまで発展していく嫌いがある。こういった事態を何とか打破していく、切り込んでいく、そういうエネルギーというものも県政の中には必要だと思うが、この危機的な事態に知事はどのような政治手法で打開を図っていくのか、見解を伺いたい。 115 ◯知  事  原子力発電所の問題は、規制委員会が行う技術的な判断のみならず、最終的には国のしっかりした責任判断に立つべきである。そうしたことから、11月に政府主催の全国知事会議があったが、原発の安全基準、手続など基本的事項を曖昧なまま放置せずに、規制委員会を設置した国が責任を持って方針を示すよう、政府として決断と対応を急ぐべきと総理大臣に申し入れた。  今、選挙が行われている。選挙の結果がどうなるかとかいろいろあると思うが、新しい政権に対し、長年にわたり国のエネルギー政策に積極的に協力してきた立地地域の声が反映されるよう訴えていくし、新たな政権の仕組みの中で、全力を挙げて、そういう問題を解決してほしい。 116 ◯仲倉委員  そのとおりだと思う。国に、新しい政権にいろいろなことを進言していくという姿勢は大事だと思うが、まず、外からいろいろなことを突き上げて物を言っていくという姿勢と同時に、国はこれからどういう形でエネルギー政策を決めていくのか、戦略会議なのかどうなるのかわからないが、最終的に結論を出す機関に参画を認めてもらい、その中の一員として参画するという仕組みでないと、外からなかなか物を言っても、今までのようにどうしても言いっ放しで終わってしまうというところがある。これから新しい政権になって枠組みが変わって、いろいろな物の決め方も変わるというときに、我が県の思いを反映させるためには、その中に参画し、決定させていただくと、そういう仕組みづくりの中へぜひとも要望を取り入れてほしい。  先般も知事が少し触れたが、国が新設する使用済み核燃料対策協議会に県は参加する意思を示した。供給県としては当然の姿勢であり、また、今までの立場と同様、消費地の責任で中間貯蔵を対応すべきという従来の主張は変えていないと思うが、一方、立地の自治体である美浜町の町長が、今は無責任な消費地での理解が得られる状況にはないということで、町内誘致を前向きに考えるとの認識を示した。このように県内の足並みがそろわない中、協議会に入る前に、美浜町長としっかりと膝を突き合わせ、意見調整をして、県としての統一した考え方を整理する必要があると思う。そういった協議を行う考えはないか。 117 ◯知  事  原子力発電所の中間貯蔵の問題であるが、電力の生産を担ってきた福井県の問題ではなく、電力を消費してきた消費地の責任において対応すべき問題であり、事業者が更地の状態にして立地地域に戻してもらう必要があると思っている。美浜町長の発言については、直接聞いていないが、同じ考えだと思っている。 118 ◯仲倉委員  同じ考えではないということを表明しているから、直接話を聞いていないということではなくて、やはり協議会に入る前に、同じ県内にいて、いつでも会おうと思えば会えるわけだから、その真意を含めてしっかりと協議して、統一した意思の疎通を図っていくことが必要だと思う。そういった考えはないということか。もう一度答弁を求めたい。 119 ◯知  事  そういう意味ではなくて、同じ考えだと認識しているが、また、いろいろ考えは伺っていきたい。         「北陸新幹線と並行在来線について」 120 ◯仲倉委員  次に、北陸新幹線と並行在来線について伺う。  ようやく金沢-敦賀間の認可を得て、午前中もいろいろ話があったように、用地買収に向けて取り組みが始まり、また、今年度、一部のトンネル工事が発注される見通しになるなど進捗を見ると、目に見える形で動き出したという実感がある。敦賀までの一日も早い開業の前倒しについては、仮に自民党が政権に戻るということになれば、私どももしっかりと何らかの役割を果たしていきたい。頑張っていきたいと思う。  それはそれとして、同時に敦賀以西、大阪までの戦略もこの時期にしっかりと持ち合わせていなければならない。こちら側の戦略とは別に、関西広域連合でもいろいろな議論がなされているようであり、今年度末にも関西広域連合としてのルート案をまとめるということである。私は、それぞれの県の県益を考えると、不利益も含めて、統一したルートの案を設定していくにはハードルが非常に高いと思うが、暫定的なフリーゲージ導入については、それぞれの県、府が了承した。  北陸-大阪間を乗りかえなしで、利便性を高める手段としてわいてきたフリーゲージであるが、フリーゲージに対しては我が県として毅然と反対の姿勢を貫くべきと思う。身近な例として、午前中の大森委員の話にもあったが、金沢との10年のタイムラグによって、金沢のまちづくりに比べておくれが出るのではないか。北陸新幹線だけではなく、東北新幹線あるいは九州新幹線の事例を見ても、部分開業の駅というのは、短期間であれ、非常に経済効果を生むことは明らかである。やはりフル規格を敦賀どまりにして、在来特急の利便性をしっかりと確保することが、県益に見合った考え方だと思う。知事の所見を伺いたい。 121 ◯総合政策部長  フリーゲージトレインは国の整備新幹線小委員会で、敦賀での乗りかえ利便性の確保策として、大阪延伸までの間の暫定的な接続方法として提案されたものと理解しており、まだ正式に導入が決まったものではない。認可された金沢-敦賀間の工事実施計画においても、新幹線と在来線をつなぐアプローチ部分については、フリーゲージトレインにもホーム・トゥ・ホームにも対応できる施設整備になるとされている。また、フリーゲージトレインについては開発途上の車両でもあり、寒冷、積雪地での十分な耐久試験や他ルートでの運行実績、安全かつ安定した走行の確認などの課題解決が導入の条件となっている。  県としては、敦賀での乗りかえ利便性の確保について、関西、中京方面とともに、その低下を回避する最善の方策を講じるよう、今後とも国に求めていきたい。 122 ◯仲倉委員  質問の趣旨に答えていないようだが、暫定であれ、フリーゲージに乗るよりは、フル規格で敦賀どまりにするほうが県益を生むのではないかという質問である。それに対して、イエスかノーか答えていただきたい。状況はよくわかっている。 123 ◯総合政策部長  あくまでフル規格の新幹線は敦賀どまりであり、その中でサンダーバードあるいはしらさぎをどうするかという議論がなされている。 124 ◯仲倉委員  それも答えになっていない。暫定的であれと私は言っている。福井県の県益からしてどうかという判断をするときに、暫定的であれ、フリーゲージというものが果たして県益に見合うのかという質問である。イエスかノーで答えていただきたい。 125 ◯総合政策部長  直ちに二者択一という答えはしかねるところであり、どのように乗りかえ利便性の不便さを回避するか、十分な議論が必要と思う。 126 ◯仲倉委員  何回言っても一緒であり、もういい。  将来、フル規格だ、あくまでもフリーゲージは暫定だと言われても、二重投資が発生する。こういう事業に、そう簡単に、将来、事業費を確保できるのかどうか非常に疑わしい話である。ましてや、20年、30年先になると、暫定という言葉すらとれてしまうのではないかと非常に心配している。もしそうでもなれば、20年先の将来にとって、当時というか今、政治は何をしていたのだと指摘される、後世に責任を負わされる、そういう状況が生まれる心配をしている。私は今、この時期にしっかりと意思を伝えておきたいと思う。  フリーゲージの話を変えて、並行在来線の話をしたい。県は、一にも二にも北陸新幹線の認可を得ることが第一だと今まで主張してきた。並行在来線の話は、認可が通るまでずっと、私の中でも少し封印していたが、認可が決まって、新幹線事業が動き出した。並行在来線の協議会の設立が当初の見通しよりも随分おくれていると思う。設立がおくれている原因について伺う。 127 ◯新幹線交通政策監  並行在来線の対策協議会については、富山、石川県など先行県の取り組みを調査しながら検討しているところである。  現在、構成メンバーや運営方法について非沿線の市長や町長に意見を聞くなど、協議会設置に向けて準備を進めている。今後、おくれることのないように、年度内には設置して、沿線の皆様に存続についての心配がないようしっかり対応していきたい。 128 ◯仲倉委員  当初、協議会ぐらいはもうちょっと早く立ち上がると思っていたが、この時期になってもまだ立ち上げられてないのは非常に残念である。この協議会という組織は、恐らく富山県などの先行事例を見て、大体のメンバーとか組織のあり方とか、そういうところも似通った形になるだろうと思っているが、だれが責任者で、どういった方々が入ってくるのか、組織のおおよその内容について伺う。 129 ◯新幹線交通政策監  先行県のほとんどの事例は、おおむね知事を会長として、県と沿線市町で協議会を構成している。石川県においては、これに加えて経済団体や利用者団体、鉄道、バス事業者がメンバーに加わっている。  今後、石川県の事例も十分に参考にして構成メンバーや運営方法を検討し、協議会の中心となる沿線市町と協議を進めて、設置していきたい。 130 ◯仲倉委員  沿線市町はわかったが、沿線ではない市町もこの協議会に入る予定なのか。 131 ◯新幹線交通政策監  先ほど答弁したように、非沿線の市長や町長にも意見を伺っており、市長会、町村会という形、またはいろいろな形があるとは思うが、そういう中で石川県の例を参考にして、そういった方々の意見も聞くような方向で設置していきたい。 132 ◯仲倉委員  新幹線の駅とまちづくりは、切っても切れない大変大きな視点であって、今まで県議会でも随分議論がなされてきた。一方、在来線についても、在来線の駅とまちづくりは切っても切れないという相互関係にある。今まではどちらかというと、新幹線の駅とまちづくりという観点の議論をしてきたが、これからは、在来線がどうなるかによってまちづくりというものも変わってくるという視点を県政の中でも持ってもらわないといけない。そういった観点からしっかりと地域戦略を考えていく必要がある。  並行在来線についても、協議会で大体どういった懸案が生じているのか、あるいは、いつまでにどういった問題をクリアしなければいけないのか、いろいろな課題はあると思うが、新幹線の認可を得て半年もたつわけであり、ある程度大まかなこれからの見通しや工程表ぐらいは県民に示すべきと思う。その辺の見解について伺いたい。 133 ◯新幹線交通政策監  協議会においては、第三セクターの経営形態、運行区間や運行本数などの運行方針、またこれらを支える負担、支援の方法など経営の基本方針について十分協議して、経営計画案を策定していく。富山、石川県の先行事例においては、まず現状の旅客流動の調査等を行い、将来の需要予測や列車の運行計画なども検討して、収支を十分見通した上で、開業3年前となる昨年度に負担、支援の方法を含む経営計画案を策定し、今年度、第三セクターを設立しているところである。  本県においても、今後、先行事例を十分参考にして、大まかな工程表というか、開業までの全体スケジュールを年度内に設置する予定の第1回の協議会で示していきたい。 134 ◯仲倉委員  新幹線の場合はスキームが決まっていて、財政負担がどれくらい発生するのかおおよそ検討がついたが、在来線についてはいま一つ、地元にしてみても、どれくらいの将来財政負担が発生するのか、なかなか見通せない状況である。ただ、富山県の先行事例を見てみると、財政負担が大体どういうような形になるのか、当然見通せると思う。財政負担は大まかにどのような形になっていくのか。 135 ◯新幹線交通政策監  富山県、石川県の例では、開業3年前に策定した経営計画の中において、第三セクターへの出資、JRからの鉄道資産の取得などの初期投資に関する具体的な財政負担というものを明らかにしている。  また、両県においては、先ごろのJRとの資産譲渡交渉等の結果、初期投資額が大幅に減額されて、現在、最終的な負担額の見直しを行っているところである。  本県においても、協議会において十分調査、検討を行い、両県と同様、経営計画案の中で財政負担を明らかにしていきたい。 136 ◯仲倉委員  今、新幹線・交通政策監がいろいろ話をされたが、新幹線の認可がとれるまでは新幹線建設推進課が一つの独立した課として担当してきた。これから並行在来線が一つのテーマになってくることを考えると、県庁の中にもそういった、一つの独立した課とはいかなくても、室とかそういったセクションぐらいはしっかりと設けて、県民に開示していく、あるいは沿線市町にいろいろな情報を開示していく、協議していく、そういう窓口をつくるべきだと思う。そういった組織再編の考えはないのか。 137 ◯総合政策部長  現在、並行在来線については、担当者2人で対応しているが、委員が言われるように、これからいろいろな事務が膨らんでくれば、そうしたことも検討しなければならない。 138 ◯仲倉委員  私の地元、南越前町は在来線の駅を四つ持っている。私自身も高校時代は電車で学校に通っていた。今でも、特に年寄りなどは、地元に大きい病院がないため、電車で隣の市の病院に通ったり、もちろん今でも高校生は地元に高校がないことから電車で高校に通っている。地元にとって身近な足であるこの並行在来線が今後どうなっていくのかは、まちづくりにとって、また、町全体にしても大きな課題である。だから、そういった心配、不安を払拭する責任は行政にあると思う。今まで、特に認可をとるまでは、こういった話は私の中では封印してきたし、また、地元からいろいろな声もあったが、ある程度それを抑えてきた。しかしながら、これからそういった地域の身近な足が本当に抹消されるということになると、県政に汚点を残してしまうのではないかと思う。住民に対してその辺の不安を払拭するために、もう少し情報を開示して、並行在来線の利便性は低下しないということについても知事からしっかりとメッセージを発信すべきだと思う。知事の総括的なメッセージがあれば答えていただきたい。
    139 ◯知  事  並行在来線については、組織をつくってスタートすると皆さん安心するし、かつ具体的に駅がどうなるのか、時間やダイヤがどうなるのか、負担がどうなるのかについては、新幹線が開通する後半戦で決めるような状態であり、先行事例もあることから、それをできるだけタイムリーにお知らせして、話を進めていく。                               ~以  上~ 140 ◯斉藤副委員長  以上で仲倉委員の質疑は終了した。  糀谷委員。         「「希望学」と福井県政について」      糀谷 好晃 委員 141 ◯糀谷委員  民主・みらいの糀谷である。質問通告に従って、大きな項目2点について伺う。  昨年の秋、法政大学の研究で、本県は幸福度日本一の県とされたことは記憶に新しい。本県では、平成21年から県内各地において福井県民の希望についての調査が進められ、これまで東京大学を初め、日本を代表する一流の研究者ら総勢40名を超える皆さんが参加したと聞いている。去る12月1日と2日の2日間にわたっては、嶺北は福井、嶺南は小浜で最終報告会が開催され、多くの県民の皆さんが参加された。私自身、昨年12月に敦賀市内で開かれた中間報告会に参加し、このプロジェクトチームの皆さんが地元民の声を少しでも吸い上げようとする意欲のある取り組みに意を強くした思い出がある。  本来、希望は夢や目的、個人的な欲求であり、人それぞれの心の問題であるが、一方で、社会的背景と無関係ではないという着想から生まれたのがこの新しい学問と聞いている。ただ一般的には、大変取っつきにくいテーマであるだけに、いかに県民にわかりやすく理解してもらえるかが問われている。大学の先進的な知見を活用しての県民性の本格的な分析は希有なことである。地域社会に根差したその成果に私も注目と期待をしてきた。議会でもこの問題についてはお互いに余り触れられてこなかったと思うので、あえて今回伺う。  まず、4年間にわたる調査研究成果が今回発表されたが、最初、どのような狙いでこの企画に取りかかろうとしたのか。その経緯も含めて知事に伺う。 142 ◯知  事  希望学をスタートさせたのは、福井に暮らす、主に子供たちや若者の未来を想像したときに、やはり希望というものがある地域づくりが大事だと思ったことにある。全国学力調査でも、福井の子供たちは学力、体力はトップである一方、同じ調査の中で、学習状況の調査であるが、将来の夢や目標を持っている割合は小・中学生とも全国でトップではなく、下位の状況であった。本県は、幸福度日本一に選ばれた暮らしやすい地域であるが、将来への幸福とかあるいは希望、さらには、活動性というか、そういう点では必ずしも十分ではないということで、私がこういうことを思っていたところ、東大に関係するその他の大学の皆さんが希望学プロジェクトをやっているということで、福井のことを申し上げて、強い関心をいただき、平成21年度から今年まで4年間、主にUターン、女性労働、地場産業、歴史文化など幅広い分野で本県の希望に関する地域調査が行われた。4年間続けてきたが、大学側は教育、産業、労働、歴史などさまざまな分野で福井での研究継続に意欲を持っており、今後とも東大と協力しながら、これまでの成果を活用し、発信を図るとともに、希望に関する調査も行っていきたい。  いずれにしても、我々が普通考える視点とか近づき方とは全く違う分野であるし、そういう中で県民との接触や交流も行われている。また、福井のことを彼らに知っていただく機会も多くなったし、逆に発信もしていただいているので、こういうものをさらに次の新しい段階にどうやって発展させていくかが課題になると思う。 143 ◯糀谷委員  今後、この調査研究の知見をいかに県政に生かしていくかが重要である。その報告内容は、今、知事言われたとおり、まさに多種多岐にわたっているので、きょうは若い世代や女性の視点に絞った身近な現実的な課題について伺う。  この調査の中では、福井県のよさとして、家族で支え合う、地域とのつながりなど、きずなが上げられている。このことに関連して、今月2日には希望学の研究代表者である東京大学の玄田教授らによって、福井市内の中学生約50名を対象とした地域の未来と希望を考える出前講座が開催された。この中で、それぞれが自分の住む地域について漢字一文字であらわすと何になるかという質問に対し、答えは、先ほどのきずなのほか、「愛」、「福」、福井県の福、それに「平」、平和の平といった若い世代にふさわしい未来への希望あふれるものであったと聞く。昨今、暗いニュースが多い中、私自身も個人的に大変うれしく感じた。  地域の未来と希望には若い世代が重要である。希望学の中間報告では、高校時代にイメージした将来の居住地が大人になってからも実際に居住している場所と一致していることが多いということが明らかにされている。例えば、県外進学時にUターンするだろうと考えていた人のうち、76%が実際にUターンしていると聞く。一方、Uターンしないだろうと考えていた人の場合には、57%が実際にUターンしていないという統計がある。福井で生まれ、育ち、そのまま地元に住み続け、地元福井で活躍する、または県外大学等で知見を広め、福井に戻って次代を担ってもらうことが地域には重要である。この点について、まず、大学生等の福井県出身者のUターン就職の現状と県の取り組みについて伺う。 144 ◯観光営業部長  Uターン就職に向けた取り組みについては、東京、大阪、名古屋、金沢で企業研究セミナーや合同企業説明会などを開催し、企業の魅力や採用情報などを伝えている。その結果、本年3月卒業の大学生等のUターン就職者は800人を超え、ここ数年毎年着実に増加している。また、今年度は新たに大学4年生を対象に、5月と6月に大阪、京都、金沢の大学等で合同企業説明会を行ったほか、大学3年生に対しては県内企業でのインターンシップに新たに2週間の長期コースを設定したところである。さらにインターネットで県内企業を紹介する「ふくいUターン支援TV」を開設して、学生や保護者等に対して広く企業情報を発信している。  今後とも学生や企業のニーズを聞きながら、きめ細やかな支援に一層努めていきたい。 145 ◯糀谷委員  次に、学校教育についてである。今のUターンの話ではないが、地域への愛着を深めることが重要と考える。県の所見を伺う。 146 ◯教育長  学校教育の中で地域のことを考えたり、あるいは地域への思いを深めることは大切であり、ふるさとの歴史、文化への関心を深め、そして将来、福井に住み、地元を拠点に広く世界に活躍するような人材の育成を進めている。ただ、これだけではなく、やはり地元に住んでいても外に買い物行ってしまうとか、そういったことではなく、地元で消費をするというような、地域を支えていくような、そういう考え方も大切である。  そういった中で、まず地域への愛着を深めるということについては、お膝元の敦賀でも敦賀スタンダードということで、地元の素材を生かしたような教科を勉強しているが、これに合わせて県内全部の学校で、福井藩の財政を立て直した後に明治国家の基礎を築いた由利公正の、本県に本物があるが、五箇条の御誓文の草案のレプリカをそれぞれの学校において子供たちが常に意識できるような場所に展示する、あるいは、これからはそういったことを知るだけではなく、心に感じるということも大事であり、例えば県民歌とか、あるいは地元の民俗芸能といったようなものも使いながら、ふるさとへの思いを強くするような教育を取り入れていきたい。  また、こども歴史文化館でもさまざまな郷土の偉人を展示している。  そして、高校では、今、地元で活躍している先輩方に来ていただき、生徒自身が福井で頑張る姿がイメージできる講演会、さらには地元で物を買って売るといった形では、例えば武生商業高校が武商デパートというのをやっているが、自分たちでそういったことを実践的にやってみることで地元への貢献を高めるということについても学校に広げていきたい。 147 ◯糀谷委員  三つ子の魂百までという言葉もあり、若年期のそういう教育は大変重要である。引き続き、よろしくお願いしたい。  女性が希望を持って元気に活躍してもらうためには、やりがいのある仕事につくことが必要である。本県は女性の就業率が高く、結婚後も働き続ける共働きも全国1位であることは有名である。そのように社会進出が進んではいるが、その一方で、管理職についている人が少ないのも定評と聞く。  まず、「隗より始めよ」である。いろいろと事情はあると思うが、この福井県庁において、例えば、少なくとも、きょうこの議場にきていただく部長級の皆さん、全て男性である。  そこで、現在の県庁における女性管理職の割合と管理職登用についての今後の方針についてお聞きしたい。また、一般論として、働きがいのある職場で女性がキャリアアップを図るにはどのようなことが必要なのか、その辺のことも含めて伺う。 148 ◯総務部長  まず、県庁における女性管理職の割合等であるが、平成23年度は5.8%である。これは全国20位という状況であり、平成24年度には6.3%と増加している。また、女性管理職比率は6%台という全国中位水準であるが、これはそもそも管理職の大半を占める50歳代の一般行政部門の女性職員の割合が約12%になっていて、若い世代に比べて少ないという面がある。40歳代の女性職員の割合は22%、30歳になると33%と高くなっていることから、まずはこれら中堅、あるいは若手の女性職員が早くから将来を考え、意欲を持って実績を重ねていくことが重要である。こうしたことから、女性職員にもさまざまな分野の職務経験を積ませるとともに、組織マネジメント、あるいは政策立案力を高めるための研修を実施して、女性の能力が発揮できる環境づくりに努めていきたい。  2点目の女性がキャリアアップを図るためにはどのようなことが必要なのかという点であるが、女性自身の能力を高めるということと、その能力と意欲を発揮しやすい、働きやすい職場環境を整えるという、この2点が必要と考える。  そのため、県では今年度から管理職となる女性を育成するため、コミュニケーション能力や企画力、あるいはチーム協働力等のスキルを養うための研修、「未来きらりプログラム」と称しているが、これをお茶の水女子大学と共同で実施して、女性のキャリアアップを支援している。さらに働きやすい環境づくりとして、仕事の悩み相談やモチベーションアップ等を図るためのアドバイスをしてくれる先輩や上司、いわゆる「メンター」と言われているが、これが重要な役割を果たすことから、制度の導入方法、あるいは養成のための研修を実施している。また、女性活躍推進員の設置や積極的登用により女性の能力を生かすなど、女性の活躍を進めている「ふくい女性活躍支援企業」の登録を促進しているところである。 149 ◯糀谷委員  女性の就労、特に既婚者や子供を持つ母親が働き続けるためには、各家庭における理解と協力によるいわゆるワーク・ライフ・バランスが重要であると考える。家庭内における男性の家事への参加の現状と課題について伺う。 150 ◯総務部長  平成23年の社会生活基本調査によると、本県の男性の1日当たりの家事、育児時間は20分となっており、女性の160分に比べると大幅に少なく、こうした傾向はその前回の平成18年の調査とも変わっていない。また、希望学の研究プロジェクトチームの調査によると、共働き夫婦の家事、育児の負担割合は、3世代同居世帯においては妻が59%であるのに対して夫が9%、また核家族においては妻の70%に対して夫が20%という結果が出ていて、男性の参加はまだまだ少ない状況である。女性が働き続けるためには、性別による固定的な役割分担意識を払拭して、男性の家事、育児への参加を促すことが必要である。このため、県では配偶者の出産や子供の行事参加のための特別休暇など、父親の子育てを応援する制度を導入し、利用している企業の表彰、あるいは家族がともに過ごす時間を延ばす運動など、仕事と家庭の調和を推進するとともに、特に今年度からは男性が興味を持ちながら家事に参加できるよう家事チャレンジ検定などを実施して、男女が協力して家事を行う風土づくりを進めている。 151 ◯糀谷委員  いずれにしても、この希望学は福井県、それも西川知事ならではの試みであると私は思う。ふるさと知事ネットワークの共同研究プロジェクトとして、ふるさと希望指数を基点とした政策づくりを広く進めていっていただきたい。県内における地域と県行政にかかわる諸課題等についても、いろいろと気鋭の研究者による問題提起がなされているので、これらをしっかりと有効活用していただきたい。         「敦賀港振興の全体像について」 152 ◯糀谷委員  次に、2番目の大きな項目に入る。敦賀港振興の全体像についてである。  2年後に迫った舞鶴若狭自動車道の全線開通により、特に関西方面への物流について、敦賀港の重要性は一層増すことが考えられる。  そこで、まず敦賀港全体について、港湾のハード整備の現状と今後の計画について伺う。 153 ◯土木部長  敦賀港のハード整備についてであるが、現在、敦賀港の静穏度を向上させるため、国が鞠山防波堤の整備を行っている。また、鞠山南地区では小口貨物の荷さばき施設であるコンテナ・フレート・ステーションを県が4億7,000万円で整備することとしており、来年度には完成させる予定である。  また、農産品などを扱うための薫蒸施設については、今後の需要動向を見ながら、整備の必要性について検討することとしたい。  現行の港湾計画にある鞠山南地区のターミナル整備の2期計画であるが、これは石炭や木材などの外貿バルク貨物を取り扱う計画となっており、これらの貨物の公共埠頭における取り扱い貨物量が近年横ばいで推移をしているため、今後のコンテナを含めた貨物需要の動向を見ながら、鞠山南地区の港湾機能の強化に必要な岸壁等の整備を国に要望していきたい。あわせて必要となる港湾計画の見直しについても、時期を見ながら検討していきたい。 154 ◯糀谷委員  敦賀港の本年のコンテナ貨物量は既に昨年実績を超え、ことしも過去最高を記録している。また、11月9日には中国航路船が6年ぶりに敦賀港に入港し、新しく定期国際コンテナ船の就航が始まっている。当時の歓迎式典には西川知事も出席され、敦賀港と中国を結ぶ航路の開設は県内ニーズが高い県にとっても長年の悲願と挨拶している。  いずれにしても、この定期航路定着のためには、1便当たり20フィートコンテナ100個が目安とされている荷扱いが課題である。定期コンテナ船やRORO船など、国内外に対するポートセールスの現状と今後の推進方針について伺う。 155 ◯産業労働部長  敦賀港のポートセールスであるが、今年度11月末までに約580社の企業、県内180社、県外400社を直接訪問したり、あるいは説明会を開いてポートセールスを行うなどしている。特に韓国との間のRORO船についてはスピードと定時性にすぐれているという特徴があるので、従来、東京、大阪から下関を使って韓国に出していた、例えば半導体製造装置メーカーなどに韓国の船会社と一緒に訪問し、営業を行っている。また、中国航路のコンテナ貨物については、約1カ月経過したが、特に県内事業者を中心に営業活動を行っており、この11月9日からの5便で液晶ガラス、繊維製品、雑貨など約100TEUの取り扱いとなっている。  今後もそうした集荷を拡大するため、県の助成制度、陸送コストの優位性、例えば福井から上海に送る場合、名古屋まで陸送して上海に持っていくのと敦賀まで陸送して上海に持っていくのとでは、陸送コストで例えば最大2万円ぐらい差があるケースもあるので、そういったことを具体的に説明して、県内企業、それから滋賀県などの企業にも集中的に営業をしていきたい。それから、コンテナ船の大連などの中国航路の拡充についても、引き続き、国内外の船会社等に対する営業活動を一層強化していきたい。 156 ◯糀谷委員  私は敦賀港の発展のために、物流とあわせ、人の流れもしっかりとつくりたいと思っており、その中では、敦賀港の魅力を観光分野においても活用すべきと考えている。敦賀市では、行政が支えつつも、「市民が主体的に考える港町」をキーワードに、金ヶ崎周辺を核とした観光まちづくりの計画が進められており、そのグランドデザインとして「敦賀ノスタルジアム」──これはかつての情景を想像するという意味であるが──ことし作成されている。  一方、県でも今年度より観光まちなみ魅力アップ事業として敦賀港周辺整備の支援に取り組んでいるが、この中でどのように敦賀港の魅力を活用するのか、県の所見を伺う。 157 ◯観光営業部長  敦賀市は、5月に学識経験者や地元団体の代表等による金ヶ崎周辺整備構想策定委員会からの提言に基づいて、「鉄道と港」をテーマに、民間活力の導入によるにぎわい創出を目指している。  現在、県では赤レンガ倉庫の耐震補強を施し、その上で、鉄道や港をテーマにしたジオラマの設置やレストランの整備など、金ヶ崎地区の魅力向上が図られるような検討を進めている。また、近接する博物館通りには、市立博物館を初め、歴史的な建物が多く残っており、敦賀市ではこうしたまちなみ景観を生かしたにぎわいの創出も進めている。これら敦賀港周辺の観光資源をつないで回遊性を高めることにより、観光拠点となるよう支援していきたい。 158 ◯糀谷委員  いずれにしても、港町は物の流れと人の流れとが合体して形成されると思う。少なくとも、東洋の波止場ともてはやされた戦前の敦賀港のいんしんぶりはそうであったと思う。現代に港を再生するには、このことを港だけでなく、交流体系全体の中で考えるべきである。  次に、クルーズ客船の誘致対応について、6月議会の場でも若干触れたが、質問する。  県としてのクルーズ客船誘致に向けた現在の取り組みと今後の計画はどうなのか、変わった点、進んだ点について伺う。 159 ◯土木部長  クルーズの寄港であるが、敦賀港への寄港は昨年が11回、ことしは7回であって、以前は年平均3回程度であったので、増加傾向にあると考えている。ことしの7回のクルーズは、乗客数でいうと約2,200人の方が利用されている。  クルーズ船の誘致については、船社のクルーズの企画担当の方と直接面会して、寄港地に選定されるためのアピールポイント、他港のクルーズ船で受け入れの実例などの情報収集を行っている。また、共同での勉強会なども行っており、敦賀港への寄港を働きかけている。また、ことしの外航クルーズ船の寄港の際には福井県産食材を提供し、さらなる次の誘致につながるような活動に努めている。  今後は、敦賀市はもとより、関連部局が一層連携して、クルーズ船社や旅行会社に県内あるいは周辺の観光地をアピールするとともに、観光客にとって魅力ある港となるような施設整備、あるいは維持管理に努めていきたい。 160 ◯糀谷委員  外航クルーズ船や国際フェリーなど旅客の受け入れには港の環境整備、いわゆる港湾施設というハード面と港周辺のにぎわい創出というソフト面の施策が求められている。敦賀港振興にかかわる県の現行の行政体制は土木部が港湾の施設整備と維持管理を行っていて、港湾の至近地には嶺南振興局敦賀港湾事務所が存在する。また、産業労働部が貨物集荷や航路誘致など、いわゆるポートセールスを展開し、さらに観光営業部がインバウンド観光を手がけるという構造である。このように、港湾整備とクルーズ誘致などの活用策、さらにポートセールスなどについては、県の所管が複数の部局にわたっている。施設整備はハード整備後にソフトを模索するのではなくて、効果的な活用策があって、これにあわせてハード整備をするのが本来の姿だと思う。県としても、敦賀港を活用した地域振興を推進するため、例えば産業振興のためのポートセールスとクルーズ客船誘致を一体的に行うなど、各部局の連携を強化し、効果的に港湾利活用が進むよう組織体制を整備すべきと考えるが、県の所見を伺う。 161 ◯産業労働部長  敦賀港の利活用であるが、当然ソフト、ハード、両面で進めていく必要がある。このため、平成19年度から敦賀港・福井港利活用チームを産業労働部に置いて、土木部と一体となって、船会社、あるいは物流企業への訪問などを行っている。  クルーズ船の誘致に関連しては、私も船会社に行ったが、やはり観光の視点が非常に重要である。日帰りだったらどこ、1泊だったらどこといった観光コースを具体的に提案しながらアピールを行い、誘致していく必要がある。今後、観光営業部と産業労働部、土木部も当然であるが、一体となって進めていきたい。 162 ◯糀谷委員  私の質問の特に前半の部分について理事者には大変熱心に説明していただいた。最後に、いずれにしても、今申し上げたように、関係者間の横の連携を密にして、単なる港湾整備にとどまらず、敦賀や嶺南のにぎわい創出につなげていただきたい。これが地元の願いである。港湾管理の最高責任者である知事の所感を少し聞かせていただきたい。 163 ◯知  事  今回、改めて質問をいただいたが、どう答えるかとか、そういう協議をすると多くの課がまたがっていて、だれが責任を持って答弁するのだとか、こういう問題が抜けているということがある。連携はもとより全体をまとめる部局、あるいはこの分野はこちらということで統制をとってやらせていただきたい。 164 ◯糀谷委員  最後に知事が言われたように、皆さんが一生懸命、各部局がいろいろやっていることは私もわかっている。ただ、それが全体的な中で大きな発展となるような方向に持っていくためには、やはり皆さんの横の連携というか、部局横断がまさに必要だと思う。これからの課題としてしっかりと取り組んでいただくことを切望して終わる。                               ~以  上~ 165 ◯斉藤副委員長  以上で糀谷君の質疑は終了した。  田村委員。        「新幹線建設に係る諸問題について」      田村 康夫 委員 166 ◯田村委員  自民党県政会の田村康夫である。緊張感を持って質問させていただく。  きょうは、山本文雄委員を初め、大森委員、仲倉委員から新幹線の話があったが、私も新幹線について少しお聞きする。  昭和48年に整備計画が決定して40年余り、ようやく認可をいただいた。ことしの中では非常に明るい話題と思う。ただ、県民ひとしく手放しで喜んでいるかと言えば、どうかと思う。ただ、私も新幹線が好きなので、一日も早くつながってほしいと本当に思うし、つながった暁には県民みんなが喜んでくれると思っている。その中で、やはり山本委員も言われたが、一日も早い開業に向けて今後、県も県議会も地元も市町もさらに知恵と汗を出して、国に要請したり、用地取得等を進めていく努力をしていかなくてはならない。  そこで、まず北陸新幹線の用地取得に向けた住民説明会について伺う。  北陸新幹線については、今議会の提案理由の中でも、現在、沿線各地区で鉄道・運輸機構と県、市町が一体となって住民説明会を行っており、来年3月から中心線測量に着手する予定であると知事は表明されている。一日も早い開業、事業のスピードアップを図る上でも新幹線用地の取得を円滑に進めていくのが大きなかぎになる。
     そこでまず、現在、地区を幾つに分け、どのような段取りと体制で住民説明会を実施しているのか、現状を伺う。 167 ◯新幹線交通政策監  新幹線事業の住民説明会については、事業主体である鉄道・運輸機構が主催し、現在、あわら市から敦賀市までの全線において、ルート沿線の住民に対し、小学校区単位で34地区に分けて実施している。  開催に当たっては、事前に地元の自治会長などからの意向も踏まえて、鉄道・運輸機構と関係市町が日程調整を行い、市町の広報紙等でスケジュールを周知しながら実施している。  また、実施体制については、鉄道・運輸機構の工事課長や用地課長が事業概要や今後のスケジュールについてパワーポイント等を使って説明し、県からは私や新幹線用地対策室長、市町のほうでは担当部長や課長が出席して説明を行っているところである。 168 ◯田村委員  私の地元である鯖江市にも新幹線ルート上に位置する地区がある。これらの地区の住民説明会も行われているが、実際地元住民の皆さん方の声を聞くと、この説明会の持ち方、仕方そのものに大変な不満が出ているのが実態である。鉄道・運輸機構には、「もう工事が決まったのだから、機構はもう仕事をするだけ」という考えがあるのかもしれないが、非常に事務的、一方的に進められていると聞く。特にこの工事により集団移転や移転を求められる地域住民にとっては、長年住みなれた仲間と別れて移転するという、その方々のことを考えると非常に深刻な問題だと思う。説明自体が余りにもしゃくし定規に淡々とやられるので、今後の用地取得が本当にスムーズに進むのかと非常に疑問を覚える。聞いている住民は鉄道・運輸機構も県も市も全然関係ない。  そこで、知事は「機構と県と市町が一体となって」と述べているが、この住民説明会に、県と地元市町はどのような立場で出席し、どのような役割を担っているのか細かくお聞きする。 169 ◯新幹線交通政策監  新幹線事業は国家プロジェクトということで、住民説明会では、建設主体の鉄道・運輸機構が中心となって説明している。県は新幹線への理解を促進してもらうため、新幹線には、東京、長野、北関東などから大幅な時間短縮効果があり、また、新たな観光やビジネスの可能性などの交流人口の増大といった効果や必要性があるといった説明や、また並行在来線についてはしっかりと存続を図っていくことなどを説明している。  一方、市町は地元に身近な行政として、生活関連道路や農道、水路など、新幹線ルートの関係でつけかえ工事なども必要になってくるが、こういったことについて地元の調整や地元要望の窓口を担っている。 170 ◯田村委員  この説明会で出ているいろいろな不安は、やはり騒音とか振動問題、日照の阻害であると、そんな声を聞く。けれども、全国で新幹線が完成し、着工しているのであるから、これは福井県だけの問題ではないと思う。こういった騒音、振動問題に関して、こういう意見をどのように解決しているのか。全国で共通して出ているであろう意見を、よそのところではどういうふうに解決しているのかと思う。その点、どうやって対応していくのか、お聞かせ願いたい。 171 ◯新幹線交通政策監  騒音問題とか、振動問題、日照阻害に関する意見や質問は、どの地区でも多く、共通して出ている問題である。これらについては、環境基準とか数値での説明など、言葉であらわしてもなかなか御理解いただくのは難しいという状況である。そういった点については、わかりやすい説明に改善するとともに、今後類似の関連の質問については、県や市町のホームページや広報紙等も活用して、Q&A集などをつくり、住民の方に示ししていきたい。また、当面の対策としては、長野新幹線や福井駅周辺のJR特急の走行映像や騒音状況を県が独自に収録し、説明会でビデオ放映するなど、工夫、改善も図っている。 172 ◯田村委員  実際、時間が早くなるとか、たくさんの人が来てくれるとか、正直な話、地元の人には全然関係ない。ここを動かなければならないのでどうするか、東京になど行ったことがないという声が非常に多い。その中で、今も言われたが、全国のスムーズにいっている先行事例を見ていただくことはいいと思うし、地区の代表の方を実際に現地に連れていくという機会を設けるのも一つの手ではないかと思う。そこら辺はどうか。 173 ◯新幹線交通政策監  先行地域の視察などは要望をいただいている。実際の騒音や振動を現地で体験していただくことは、理解を促進し、住民の不安軽減にもつながるものと考えており、事業主体の鉄道・運輸機構に、先日の推進会議等を初めとして、早期に実施するよう要請しているところである。 174 ◯田村委員  そこで、新幹線ルートの設定であるが、昭和60年に小松-芦原温泉間のルート概要が示されて、昭和62年には芦原温泉-南越間もルート公表がなされ、ある程度の線が示されていると思う。示された後に家を建てたのか、そこら辺は非常に微妙なところであるが、今回のこういった手続の中で、地元にあらかじめ市サイドから説明があったルートと、今回、鉄道・運輸機構から説明のなされるルートに若干のずれが生じていると、こういう細かい指摘を地区から聞いている。こういった地区では、あらかじめ新幹線用地に自分の土地がかかると思われた住民の土地が外れたり、その一方で、自分には関係ないと思った住民が、用地にかかるということで、混乱しているように聞いている。  そこで、新幹線ルートの設定にずれが生じた理由と、ずれが生じたことによって沿線地区内で起きているこういった問題について、県はどのように対応していくのか。 175 ◯新幹線交通政策監  昭和62年の環境影響評価で公表されたアセスルートについては、図面の縮尺が1万分の1である。現在、地元説明会や県や市町の役所では、2,500分の1の図面を作成し、供覧している。  この図面については、中心線測量前の参考図としての取り扱いであることを鉄道・運輸機構は説明会でも説明していて、今後、現地で中心線測量を行い、中心線が確定した図面を作成し、改めて地元に提示したいとしている。住民にはいろいろな疑問や懸念があると思うが、正しい情報を提供していくことを鉄道・運輸機構に要請していきたい。 176 ◯田村委員  新幹線の用地取得等について数点質問をした。これからということであるが、最初が肝心だと思う。今はこういった時期で、いろいろな集会があちこちで行われている。  先般も大久保委員ともども、新幹線用地の地区の人たちとばったり会って、大分強い口調で言われた。これが実態だと思う。地区の人から言われたから今こうやって言っているのではなく、収用すればいいという問題でもない。将来、禍根を残すことも非常に問題である。そういったことを理解いただいて、スムーズに協力していただくことが非常に大事だと思い、入り口の段階で少しお聞きした次第である。  ときには鉄道・運輸機構の進め方に苦言を呈するなど、県としてもっとリーダーシップを発揮して、常にやり方を見直しながら事業を進めていってほしい。今後の説明会や事業の円滑な実施について、最後に知事の決意、所見を伺う。 177 ◯新幹線交通政策監  新幹線用地の早期取得については、地元の理解と協力が重要である。このため、本県では独自に地元説明会の開催の手順や公平性を確保するため、ルート図の閲覧開始日を統一するなど、地元市町の首長にもあらかじめ相談して、その上で鉄道・運輸機構が市町や議会の協力も得ながら事業説明会を、自治会連合会、地区役員、地区住民へと段階的かつ丁寧に開催してきているところである。今後とも説明会や事業の円滑な実施を図るため、事業主体の鉄道・運輸機構だけでなく、県としても主体性を持って用地対策に取り組んでいきたい。 178 ◯田村委員  認可されてよかったと言っている現状でないということだけは申し上げたい。スムーズにいくように、今後ともいろいろ汗をかきながら努力いただきたい。       「SATOYAMAイニシアティブ国際会議開催について」 179 ◯田村委員  次に、質問の二つ目としてSATOYAMAイニシアティブ国際会議開催についてお聞きする。  9月議会で糀谷委員が質問されたときはまだ正式決定ではなかったが、10月6日に正式に決定された。SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ第4回定例会合と、横文字がたくさん入ると非常にわかりにくく、一般県民も何かなと首をかしげるのではないか。略称はIPSI-4、「イプシーフォー」と言われるようであるが、来年に開催される国際会議であり、県民に親しみやすい愛称があったらいいと思う。私なりにSATOYAMA国際会議と簡略化して呼ばせていただき、質問させていただく。  環境問題については、私も、過去に一般質問や予算特別委員会において、鶉地区の環境保全の取り組みや、コウノトリの活用などを質問してきた。越前市の坂口や白山地区においてまだ取り組みが行われる前に質問したと思う。その後、福井新聞社のコウノトリ支局などが新聞に出るようになり、たしか昨年のちょうど今ごろに兵庫県から一つのつがいのコウノトリを借り受け、本県の自然再生のシンボルとして定着させようと、県も地元もさまざまな努力をしてきた。しかし、今シーズン、5月ごろだったか、残念ながら繁殖が不調に終わり、コウノトリの話題が何か少なくなっているように感じる。県としてもかかわってきたので、継続的にこの取り組みを盛り上げていく責任があると思う。福井新聞でもコウノトリ支局を見なくなったので先日記者に聞いたところ、「いや、まだある」ということであった。余談であるが、担当者がかわったように聞く。  そこで、コウノトリの定着に向けて、県及び地元の取り組みの現状をお聞きしたい。 180 ◯安全環境部長  フリーに訪れている方は別として、これまでに県内21の小・中学校や県外の大学など、約730名が訪れている。また、コウノトリの生態などに関する出前講座を28回開催し、約1,600人の方が受講している。さらに、コウノトリに親しみや関心を持ってもらうため、ホームページで日々の状況についても楽しくわかりやすく発信しているところである。  現在は、来年の繁殖成功に向けて、兵庫県のコウノトリの郷公園や多摩動物公園の飼育の専門家の助言をいただき、それをもとに繁殖環境を安定させるための早期の羽切の実施や、巣台を選べるよう複数設置するなど、飼育環境を改善している。  また、地元の取り組みであるが、地元越前市ではことし、1俵2万4,000円と聞いているが、高値で取引されたコウノトリを呼び戻す農法米や休耕田を利用した餌場ビオトープを拡大しており、企業の支援による市民参加型農業の実施や人工巣塔の設置などさまざまな取り組みを行っているところである。 181 ◯田村委員  国際会議が開催されることになったことから、来年の春には、先ほども言ったが、何としても借り受けたコウノトリに元気なひなを産んでもらい、国際会議の一つの目玉になることを期待している。引き続き、関係者一丸となった努力をお願いしたい。  今回のSATOYAMA会議であるが、このように県内各地で自然環境の保全に一生懸命取り組んでいる方々を元気づけるものにしなくてはならない。鯖江でもいろいろ携わっている方がいて、その方から国際会議が開かれるということを聞き、今回私も質問に取り上げた。県は会議運営に直接かかわることはできないと思うが、会議の開催時期には広く県民の参加を得て、会議を盛り上げていくイベント等、さまざまな工夫が必要と考える。これはチャンスだと思う。現時点でどのような県民参加型の取り組みを検討しているのか。 182 ◯安全環境部長  この会議について、委員と同じようにSATOYAMA国際会議と呼ばせていただくが、SATOYAMA国際会議自体は国連大学高等研究所の主催である。しかしながら、会議期間を含む1週間をSATOYAMAウイークと位置づけて、県民が参加できる独自のイベントをあわせて開催することにより、里山保全に対する県民の理解を深めていきたい。  具体的には、里山保全に取り組む県内の小学生が活動成果を発表し合う「こども環境フォーラム」、国際会議に参加する外国人が小・中学校訪問や農業体験、農家民泊などを行う「里山ステイ」、里山保全・利活用の先駆者を全国から招聘して県内の団体と相互に学び合う「里の達人会議」、こういった事業を検討しているところである。  また、国際会議に先立ち、若者を中心とした自然再生の人づくり、地域ごとの保全活動のネットワークづくり、国連大学高等研究所との共催によるプレシンポジウムを行うことで、本県の里山を世界に発信する準備を着実に進めていきたい。 183 ◯田村委員  ぜひ成功していただきたいと思うが、すばらしい里地里山を有している本県だから、こういった国際会議が来ていただけると思う。何か見ていると、いろいろな国際会議や全国大会が本県で開催されている。私も議員になってから10年目であるが、そのように思う。それら一つ一つがいい形で効果を出すことを期待するが、せっかく誘致したこの国際会議を県全体として盛り上げるためにも、県庁内の体制づくりはもちろん、県内のさまざまな地域や団体、企業などを含めた推進体制も必要と考える。今後の取り組みを伺いたい。 184 ◯安全環境部長  10月6日にSATOYAMAの国際会議の本県誘致が正式決定したことを受けて、県では全部局から成る環境計画推進会議において、部局横断的に準備に取り組むこととしている。また、11月には市町との連絡会議を開催し、来年度上半期における里山関連イベントの開催など、国際会議への積極的な協力を要請している。  今後は企業やNPOなど行政以外の主体にも参画を求めて、今年度中をめどに各自治体から成る推進会議を開催し、気運の醸成を図っていきたい。 185 ◯田村委員  何遍も言うが、SATOYAMA国際会議については、一過性のものではなく、会議における成果をその後にいかにつなげていくかということも非常に重要だと思う。今から十分に作戦を練っていく必要がある。  けさのワイドショーで、全国の行ってみたい都道府県のランキングが出ていたが、1位は北海道、2位は京都、3位は沖縄、最下位が群馬県であった。群馬県が何とかしなくてはいけない、そういう指標が出るといろいろな形で右往左往しているということをテレビで言っていた。福井県が入っていなくてよかったと思ったが、このすばらしい自然を有している本県は、来年の国際会議に向け、ポスト国際会議を念頭に入れて、福井県の環境政策をこれからどうやって発展させていこうとしているのか、最後に知事の所見を伺いたい。 186 ◯知  事  SATOYAMA国際会議が目指すのは、主に生物多様性の方面から接近しているが、生物そのものの保全だけではなく、きょうもいろいろ質問、提言があった地域の伝統文化の承継であるとか、田舎をきれいにするとか、あるいは地域経済の活性化、もうかる農業はどうだとか、そういういろいろなところに関係すると思う。そのため、国際会議をきっかけに、狭い意味の環境政策だけではなく、伝統産業の振興、各地に伝わる祭りや伝統民家の保存、有害鳥獣対策など、総合的に里地里山の地域で進めることになる。  特に白山、坂口地区でのコウノトリのシンボル事業については、引き続きいろいろな配慮をしながら進めなければならないし、三方五湖においても多様な自然再生活動がなされている。また、全国的にも水準の高いものがほかの地域にもいろいろあるので、里山の魅力、広い意味の今後の継続というか、これを進めていきたい。 187 ◯田村委員  あと1年を切っているわけであり、ぜひ成功させてほしい。         「交通取り締まりのあり方について」 188 ◯田村委員  最後に、交通取り締まりについて本部長にお聞きする。  前議会の予算特別委員会でも走行違反の取り締まりについてお聞きしたが、今回は駐車違反の取り締まりについてである。  年末、せわしくなってきていることもあって、ついつい路上駐車もふえるのではないかと思う。円滑な交通を阻害する悪質な駐車違反は徹底的に取り締まっていかなくてはならないが、そんな中、先般、駐車違反の取り締まりに関して苦情を聞いたので、それについてお聞きをする。  駐車違反取り締まりを放置車両確認機関というか、民間法人に所轄の出先の警察署長が委託して、福井市中心部を重点地域として駐車監視員が取り締まりに回っている。私も見かけたことがある。この方はみなし公務員ということで、何で駐車違反にするのかということで殴られたり、何かそういうことをされたら、公務執行妨害に当たる。また、もちろん守秘義務を課せられているようである。そういった駐車監視員の委託条件というか基準をまずお聞きする。 189 ◯警察本部長  警察においては、事務の効率化等の観点から、道路交通法や警備業法等に基づいて調査、講習等の事務について民間に委託している部分がある。放置車両の確認事務もその一つである。  この放置車両の確認事務は、平成18年の道路交通法改正によって行っており、放置車両の確認及び標章の取りつけに関する事務を警察署長が民間に委託するという形になっている。  なお、運転者に対する反則告知の手続き、つまり反則者の認定や反則事実の告知、いわゆる交通切符の作成であるが、これは従来どおり警察官が行っており、その意味で、取り締まりそのものを委託しているというわけではない。  なお、委託先は一般競争入札により決めており、現在、福井郵便逓送株式会社に委託している。  この委託先の法人であるが、道路交通法第51条の8第4項等で、車両、無線通話装置、地図、写真機、電子計算機等を用いて確認事務を行うことができること、福井県内に事務所を有すること、それから公安委員会が実施している監視員の資格者講習を受講して修了考査に合格した者、これが駐車監視員なのであるが、これを2名以上雇用していることが要件となっている。その他、この駐車監視員の年齢は18歳以上であるとか勤務時間、服装、必要な研修、これらについては事務委託仕様書に定めているところである。  また、委員の指摘のとおり、これら駐車監視員、その統括責任者は道路交通法第51条の12によってみなし公務員ということで、保護されるとともに守秘義務を課せられている。 190 ◯田村委員  警察業務は煩雑であるから、悪質な駐車を取り締まり、実際、切符を切るわけではないが、駐車違反を告知すると、そういったことを民間委託することはいいことだと思う。  調べてみると、3日間の講習を受けてそういう監視員になるように聞いている。私が何の苦情を受けたかというと、順化の繁華街の中の裏通りで荷物の搬入をしていて、15分ぐらいとめていたらしい。20分はとめていなかったらしい。いろいろ聞くと、駐車違反でとまっている車はたくさんあり、目の前でずっと10分、はかっているらしい。10分過ぎたら告知をしている。駐車違反の監視員の役割が何かについては聞かない。ただ、この委託業務にノルマがあるのか、本部長にお聞きする。 191 ◯警察本部長  駐車監視員の業務については、ノルマというものは一切ない。また、駐車監視員は車両の確認をするのみであって、原則として、運転者に対して告知をすることもない。 192 ◯田村委員  駐車違反の確認をすると言われるが、最寄りの警察署に行っていただきたいということが書いてあるはずである。  取り締まりする方がそこを歩いていたらしく、搬入していただけと言ったらしいが、署に言っていただきたいということだったらしい。それはそうである。変な苦情を聞きたくないし、そのような対応もしたくない。マニュアルでそうなっているのだと思う。  今の話は、15分とめていた駐車違反をなくしてくれという話ではない。その方はすぐ警察署に行って文句を言った。ただ、どうにもならない。警察署で警察官が切符を切り、罰金をすぐ払いに行ったらしい。それで、ゴールド免許がなくなった。腹を立てたその心情もわかるのである。ノルマはないと言われるが、そういった委託業務の確認はどのように行っているのか。違法駐車を取り締まる委託であったら、とまっていた車をどかしてほしいと何件声かけをしたのか。声をかけることで移動させたのであれば、それはそれで大変すばらしい仕事だと思う。ただ、駐車違反のシールを張られれば、まじめな人は警察署へ行って罰金も払わなければならず、点数も引かれる。ほったらかしにしておいたら罰金の通知だけが来て、支払いだけすれば点数は引かれないと聞く。まじめな人がばかを見るような、こういった委託業務をどう思うか。本部長にお聞きする。 193 ◯警察本部長  まず、点数を引かれないという話があったが、これは道路交通法第51条の4の放置違反金の制度というものであり、駐車監視員の話とはちょっと別の話である。これはもともと運転者の責任追及ができない場合に、いわゆる逃げ得という不公平を生じさせないため、当該車両の運行管理義務に着目して、当該車両の持ち主等の使用者に対して放置違反金の納付命令をかけるという制度である。これは委員が言われたとおり、持ち主等の使用者に対するもので、当該車両の運転者に対するものではなく、運転免許に係る違反点数の付加は行われないことになっている。  ただし、当該車両の運行管理義務はあるわけであり、一定期間に繰り返し納付命令を受けた場合は、道路交通法第75条の2第2項の規定によって、都道府県公安委員会が最長3カ月の範囲内で当該車両の運転を禁止する命令を出すことになっている。本県では車両の使用制限命令は今のところ7件出している。  また、この放置違反金を納入しない場合は車検が拒否されるという仕組みになっており、これまで513件、車検拒否のケースが発生している。  いずれにしても、放置違反金の制度については、趣旨及び内容について引き続き広報、啓発活動に努めていきたい。 194 ◯田村委員  明らかに交通量が多く、交通を阻害している場合はやっぱり徹底的に取り締まらなくてはいけない。今、事例を挙げたが、私だけではなく、いろいろな方が首をかしげると思う。  いつもこの駐車違反に関して思うのであるが、レッカー移動というのはどのように行っているのか。どんどんレッカー移動し、切符も切り、レッカー代も払い、車もとりにきており、そこら辺をまず徹底してやったほうがいいのではないか。悪質な人というのは大体は常習である。今、実際にどれだけレッカー移動が行われているのか、人手がなくて行われていないのか、現状を教えていただきたい。 195 ◯警察本部長  違法駐車車両があって、現場に運転者等がいない場合、道路交通法第51条3項、5項等によって、警察官あるいは交通巡視員が当該違法駐車車両に対する措置として車両を移動することができると規定されている。さらに、これは道路交通法第51条の3に基づいて、法人に委託することができるという仕組みになっている。  委員の指摘のとおり、レッカー移動というのはレッカーの料金もとられるので、大変大きい負担になるというのは全く事実としてそうだと私も思う。ただ、この制度は、あくまで早急に交通の安全と円滑を確保すること、そこにとめてあって邪魔であるから、とりあえずすぐどけてしまうというためのものであって、制裁を直接の目的としているものではない。  本県では、先ほど申し上げた平成18年の道路交通法改正で新しい放置駐車対策が導入され、それ以前と比較して駐車秩序がかなり改善されているということもあり、平成21年以降、警察官あるいは法人等が車両の移動を行わなければならなかったというケースはない。しかしながら、駐車秩序が今後また悪くなり、平成20年の段階まで戻ってしまうということであれば、当然、早急に移動させる必要があるわけであり、再度レッカー移動を開始する、あるいは検討を始めるということになる。
    196 ◯田村委員  毎回、警察のことを余り言いたくはないが、最初に言ったとおり、業務委託自体は重要なことだと思うし、有意義に活用するべきだと思う。  この駐車監視員について、どのようなことをしているのか、どういう認定なのかとインターネットで調べてみた。そうしたら、警察OBの天下り先とか、コインパーキング会社との蜜月関係が指摘されているということがすぐに出てきた。北海道の小樽市ではそういう問題が大きいということで、民間委託を取りやめたということも出ていた。これを見ると、また、昼の12時ごろの車が通ってない順化の裏通りの車を指摘するような交通監視員のことを見ると、ここに書いてあることと一緒だなと思うのである。意味がない。だから、ノルマがあるのか、どういう委託をして、どういう実績を求めているのかとお聞きした。  私は、別に警察をいじめているわけでない。夜の繁華街には、中心街にコパビルというのがあるが、あそこら辺には外車が、誰の外車とは言わないが、違法駐車されている。そこにミニパトカーが通って、指摘もせずに、通り過ぎるのである。警察の動きを県民みんなが見ている。警察に言ってもだめだ、取り締まりもしないのだと、みんな見ている。だからもう一回、しっかりといろんなことで襟を正してやっていただきたいとお願いして、私の質問を終わる。 197 ◯斉藤副委員長  以上で田村君の質疑は終了した。                               ~以  上~ 198 ◯斉藤副委員長  ここで休憩する。午後3時10分より開会する。                               ~休  憩~ 199 ◯関委員長  休憩前に引き続き、委員会を開く。  質疑を続行する。  山本正雄委員。  なお、山本正雄委員よりパネルの使用及び資料配付について申し出があり、許可したので了承願う。         「原発行政について」            山本 正雄 委員 200 ◯山本(正)委員  民主・みらいの山本正雄である。師走選挙と県議会の12月定例会が重なって、本当に多忙な中での質問になるが、できるだけこれまでの議論を踏まえながら質問するので、よろしくお願いしたい。  質問の第1は、原子力行政についてである。仲倉委員の質問と2カ所ほど重なるが、念を押させていただきたい。  日本原電敦賀発電所の再稼働が極めて難しくなってきた。今月1日、2日に現地調査をした上で、原子力規制委員会が専門家を交えて開いた評価委員会では、2号機建屋直下に活断層がある可能性が高いとの判断で一致した。D-1破砕帯のすぐ上にある地層の変形に着目して、十数万年前以降にできた地層で、浦底断層とずれ方が似ているとの見解で一致し、浦底断層と連動する可能性があり、活断層と言って差し支えないと判定した。今後、規制委員会は大飯原発の追加調査のほか、美浜原発、もんじゅ、東通原発、北陸電力志賀原発の5カ所の現地調査をすることになっている。  日本原電は受け入れがたいとして、今後は追加調査を実施し、活断層ではないという主張を実証するというコメントを出した。今回の調査結果で、D-1破砕帯は活断層の可能性が高い黒判定となったことについて、立地県知事としての見解を伺う。 201 ◯知  事  原子力規制委員会は少人数の委員というか、そういう方々が2日間程度の現地調査を実施して、事業者の説明などに対しても十分な議論がなかったようであり、そういう中で見解が示されている。電力事業者は今後も調査を継続し、さまざまな反論もすると伺っており、他の地震学、あるいは地形地震学というか、変動学というか、そういう皆さんからも意見が出ると思う。  それはともかく、活断層については、どの程度の規模なのか、どのように動くのか、危惧度はどの程度なのかなどの活断層としての意味、また発電所の建造物にどのような影響を与えるかなど、耐震工学などの幅広い分野の専門家の意見を集めながら、学問的に解明していく事柄ではないかと思う。 202 ◯山本(正)委員  知事は、科学的見地から、地球物理などいろいろな学問的な分野も入れた、きちんとした調査をしなければいけないという見解であるが、これについて、知事として規制委員会あるいは国に申し入れをしたのか、それともこれからなのか。 203 ◯知  事  いろいろな状況の中でいろいろなことは申し上げているが、これから新しい政権の立場で政治的な判断というか、政府としての判断も必要であろうし、そういう中でいろいろ話を申し上げることになると思う。 204 ◯山本(正)委員  敦賀原発を廃炉にするかどうかについては、日本原電の経営問題にもかかわってくる。規制委員会は政府から独立した立場で安全性を厳格に審査し、政府が原発の存廃を判断し、その手続やルールを明確にする必要があると思う。  政府にどのような内容の働きかけをしてきたかということについては、さまざまな場面でとの答弁も今あったが、きのう、野田総理はTBSのテレビ番組の中で、規制委員会が安全上、問題があるとすれば廃炉になるというようなことを述べている。これについてはどういう見解を持っているか。 205 ◯知  事  どのように言われたのか正確にはわからないが、いずれにしても原子力発電所の存廃というようなことになると、規制委員会が行う技術的な観点から──この技術的な観点にしてもさまざまな意見があるところであるし、最終的には国の責任において物事が決められるべきだと思う。  こういうことから、11月には政府主催の全国知事会議において、直接、野田総理大臣にも、「原発の安全基準や手続などの基本的事項をあいまいなまま放置せず、規制委員会を設置した国が責任を持って方針を示すように政府として決断と対応を急ぐべき」と申し入れているところである。  今回の選挙後、新しい政治の枠組みもできると思うが、県としては、安全の確保はもとより、長年にわたり国のエネルギー政策に積極的に協力してきた立地地域の声を反映し、東京を中心で物事を考えるのではないということを強く申し上げなければならないと考える。 206 ◯山本(正)委員  立地地域としては、納得できるいろいろな証拠が挙がってきて初めて、廃炉とかそういうことになっていくと思うが、慎重な丁寧な調査の上でそうした判断があるものと解釈している。  きょうの新聞にも、野田総理は、規制委員会が安全上、問題があると判断すれば廃炉になるという言い方をしたと出ている。見ていただいて、慎重に検討願いたい。  次に、広域避難対策について伺う。  私どもはチェルノブイリや福島原発事故の被災地を視察してきた。その悲惨さと、その範囲の広さ、またこれから何万年もの長期にわたる放射線被害が実際にあるということで、大変驚いたわけである。  原子力施設における事故を絶対起こさないということで、第一義的に安全確保は大変重要であるが、なお続く福島の被災地あるいは被災者の避難者の実態を見ていると、あの3.11の悲惨さは相当重たいものである。しっかりと受けとめていただき、速やかに原子力防災、あるいは避難対策を講じていただきたい。立地県としてはそれが当然の責務であり、重要な政治課題だと思う。  我が会派の野田議員が、原発防災について一般質問をした。国が防災計画に必要不可欠な避難の判断基準を示さないまま、地域防災計画については3月18日を目安に作成するとしているが、こうした国のあいまいな姿勢は地元としては迷惑であるとの知事の答弁であった。県としては地元住民の安全を守るため、できることからということで原発5キロ圏内の訓練を実施したが、知事は、広域避難についてはあくまでも国主導による対応を求めている。しかし、チェルノブイリや福島を見ると、一旦事故が発生すると広範囲にわたる避難が必要になる。  知事は福島を視察されたようであるが、どのあたりを視察し、広域避難の状況に対してどのような感想を持たれているのか伺いたい。 207 ◯知  事  昨年5月に福島県の災害対策本部、国の原子力災害現地対策本部を訪問し、佐藤知事、池田経済産業副大臣から現地の状況を聞くとともに、原発事故の支援、あるいは避難などについて意見交換を行っている。  福島原発事故における避難については、さまざまな報告や報道等のいろいろなまとめもあるが、問題としては、市町村、住民に対し、事故の状況や避難指示など具体的な情報が適切に十分に伝わっていなかったこと、また、多くの住民が自家用車で避難し、住民の所在確認ができなくなったこと、また、避難範囲が段階的に拡大され、多くの住民が何度も次のところへ避難を強いられたということで、混乱の中でさまざまなことが行われ、情報も行き届かなかったという課題がある。こうした反省を十分に生かす必要があると思う。 208 ◯山本(正)委員  私どもも現地へ行って、今なお林道などのところを伐採しては、少しでも除染しようといろいろやっているのを見てきたが、いつまで続くかわからない状況である。それから、避難した方については、20ミリシーベルト以下の一部のところは帰村できるというニュースもあったが、ほとんどの人がまだ帰れないという状況にある。初期の情報発信の仕方や、あそこまで混乱が起きた初動体制のまずさ等々については、福井県においても、きちんとそれを踏まえた形で避難の基準とか対応をしていくべきだと思う。  隣の石川県では、志賀原発事故に備えて、UPZを国の指針を参考に半径30キロに拡大し、住民避難や孤立対策、あるいは富山県との連絡会議などの検討に入ったとのことである。一方、島根県も、島根原発の重大事故を想定して、30キロ圏内40万人の避難計画を策定し、岡山県、広島県との調整も行い、3県61市町に避難させるという広域避難計画を公表した。  また、福井県内でも、県の動きが鈍いとして、UPZ30キロ圏内に含まれている12市町のうち、10市町が協定を結んで避難先確保を進めている。残り二つの町は、国や県の指示を待つとの対応である。  今回、12月10日の原子力規制委員会による日本原電敦賀原発の活断層調査の結果、原子炉直下に活断層があるとの評価があった。活断層が原発の直下にあるということで、もし地震が来れば、緊急避難、広域避難が考えられる。  県は防災計画を3月末までに策定し、その上で実効性のある避難訓練を行うのか、また、広域避難に向けた隣接県との協議や実施訓練をどのように位置づけていくのか、これについて伺う。 209 ◯知  事  原子力に関する防災避難対策であるが、原子力規制委員会の動きとしては、原発の安全対策に手がつけられていないという問題が一つあって、今回の事故の教訓を踏まえ原発の安全はどこまで安全になったのか、また、どこまで安全性がさらに強化されたのか、さらに何が必要だと思っているのかということが明瞭でなく、仕事が進んでいない状況にある。  それから、地域防災計画に必要な避難の判断基準等を示さないまま、防災計画の改定時期は3月中旬という目安を示しているわけであって、県としては国が具体的な防災対策を明らかにしていないため、立地、隣接市町の避難先をあらかじめ定めたということである。また、今年3月には、敦賀原発の5キロ圏内の住民を対象として、定められた避難先への移動を想定した避難訓練を実施した。  今後は何といっても被害のリスクや頻度、万が一の場合の損害が大きいと考えられる原発に近隣する地域の防災対策を最優先に考え、自衛隊や海上保安庁の支援を得て、原発5キロ圏の住民をいかに速やかに、本当の意味での避難がどうやってできるかという実効性のある避難計画に基づく訓練ができるよう、市町と協力してやりたいと思う。自衛隊、海上保安庁とも相談しているところである。  また、広域的な議論については、周辺地域の協議、調整の主導的役割を果たすことを国に要請し、周辺地域との議論を進めたい。 210 ◯山本(正)委員  前回の代表質問や、あるいは一般質問での答弁とほぼ同じ内容である。私どもが非常に心配するのは、知事が言われたように、事故を起こさないよう、まずは原発の機器そのものの安全性だということはわかる。万が一のときに5キロ圏が最優先なのは一番の周辺であるからというのもわかる。  しかし、直下型とか、あるいはまた突然の大規模地震が起こり、シビアアクシデントが起こったときには、幾ら原発がとまっていても、滋賀県や京都へ逃げたほうがより人命救助になるときには──これは隣の石川県や島根県でもやっているのだから、国がたとえ遅くなっても立地県として積極的に働きかけ、県内の人命を大事にする広域避難対策をすべきと思う。再度質問をする。 211 ◯知  事  何といっても本当の実効性を上げないといけないのであり、まずは5キロ圏をしっかりやらないと、他の広い地域についても形だけの準備に終わるということになりかねない。ぜひとも県民の安全のために注意を払う必要がある。  また、広域避難については、いろいろな方針を早く出すよう国に申し上げているところであり、これは我々もそうであるし、他の30キロ圏内の他県においても同じような状況にある。 212 ◯山本(正)委員  国の対応策を早く確立すべきということは当然だと思うが、要望すると同時に話し合いも進めていくべきと考える。そこはちょっと見解が違うようであるが、次に進めさせていただく。  次に、バックエンド対策、中間貯蔵施設について伺いたいと思う。  11月16日、政府は47都道府県に対し、使用済み核燃料の処分方法などの話をする協議会への参加を呼びかけた。これも仲倉委員と重複するが、これを受けて西川知事がこの国の対策協議会に参加すると県議会で表明したことに対し、美浜町の山口町長が今月6日の記者会見で「いいことだ」と評価をした上で、「国、県から、美浜町に使用済み核燃料の貯蔵庫を設けたいと相談があれば十分相談に乗って進めていきたい」と中間貯蔵施設の設置に前向きな姿勢を示した。この背景には、2004年に町議会が中間貯蔵施設の誘致決議をしているということもある。  これまで西川知事は、電力消費地の責任で対応すべきとずっと言い続けてきた。私ももちろんそれに賛成であり、県外へということを望むものであるが、美浜町長のこのような姿勢に対して、知事としてどのような見解をお持ちか伺いたい。 213 ◯知  事  原子力発電所の敷地は更地にして、立地地域に戻していただく必要があり、原子力発電所の中間貯蔵施設については、消費地においてこういう対応が必要である。  美浜町長の発言については、これまで県と同じような考えだと理解しているが、また機会があればいろいろ話を伺いたい。 214 ◯山本(正)委員  今回の福島事故の後、瓦れき処理の全国の受け入れ状況を見ていて、これは地元としてはなかなか大変なことであり、ましてや放射能を含んだ核のごみ捨て場につながるようなことになったらとの危険性も感じるわけである。  これについては、まだ国が十分確立していないが、バックエンド対策の道筋を国が早くつくるよう知事会等できちんと要望し、その道筋がついた上で、これについての課題や中間貯蔵を協議会の中で位置づけてやってほしいと思う。そのあたりの知事の見解を伺いたい。 215 ◯知  事  さっきの避難は国がやる前にやるという話で、こっちは国がやらない前にはやらないということか。 216 ◯山本(正)委員  中間貯蔵施設については、先に国にバックエンド対策のきちんとした方針を出させて、その上で中間貯蔵の問題について協議会の中で要望をしていくとか、そういったことをしたらどうかという意見である。 217 ◯知  事  国がそういう体制をしっかり整えるよう我々が要請して、国がそういう協議会を設けることから、我々が参加するという状況である。それ以上の何か違う仕組みは、今は起こっていないという状況である。 218 ◯山本(正)委員  ちょっと誤解があるようであるが、バックエンド対策については国のきちんとした方針がまだ定まっていない。最終処分地ができていないのだから、国が先に確立した後で、中間貯蔵施設についての議論を進めていくべきだと私は思う。 219 ◯関委員長  これは質問か、それとも……。 220 ◯山本(正)委員  コメントがあればお聞きする。 221 ◯知  事  そういうことであるから、その協議会を通して中間貯蔵のいろいろな議論をしたい。 222 ◯山本(正)委員  ぜひ、その方向でお願いできるとありがたい。         「県都問題について」 223 ◯山本(正)委員  次に、県都デザイン戦略について伺う。  私は学校の教員時代、美しい石垣とお堀が残るこの福井城址に、鉄筋の強大な県庁舎が建つということで非常にがっかりしたことを覚えている。そこで、議員になるとすぐに、何とかできないかというようなことで会員を募り、福井城復元の運動に取りかかった。  県議会の平成13年12月定例会の質問に対しては、当時の知事から福井城復元については貴重な提言だと受けとめていただき、盛り上げていく仲間が必要と考え、福井城の復元をすすめる会の仲間を募りながら運動を進めてきた。その結成総会が平成14年9月8日に県民会館で開催され、県議会議員では大戸好夫議員にも参加していただき、歴史学者の松原先生、舟澤先生、吉田純一先生らと始めたのである。その後、坂川議員にも加入いただき、その後福井市長になられたことから、早く実現するかに思ったが、大変残念なことに急逝されてしまった。今は、屋敷委員、大森委員、笠松議員を初め、多くの県議会議員や福井市議会議員にも参加していただいて運動を進めている。  そこで、この県庁舎建設問題の歴史を振り返ってみる。皆さんに資料を分けてあるが、昭和50年12月19日の地方新聞である。その図面でわかるように、後で教授になられた建築工学の桜井先生らがまだ助手のころに、福井大学の先生方が新建築家技術者集団福井支部としてこういう案を出した。今の県庁のある福井城跡を城跡公園として、県議会議事堂を総合文化センターに、お堀はそのまま残して、左手に市役所、旧館もあるが、県民会館があって、その間に県庁舎と書いてある。ああ、なるほど、当時はこんなことを考えていて、この中につくるのはいろいろ話題になったのだな、そしていろいろ提案をされたのだなということがわかる。  これ以外にも、県議会議員の中には、幾久公園がいいとか、あるいは郊外の国道8号のところがいいとかいう意見があったが、中川知事のとき、9月県議会において現在地に改築したいという意向が表明され、昭和52年までに測量や設計を終えたということで、結果的にこういう形になったわけである。
     これに対して、新建築家集団は、現在地への建設は福井城址やお堀、石垣など、文化、歴史的な遺産を破壊してしまうこと、16階建ての庁舎がここにそびえれば、景観上も好ましくないとの結論から、県庁は隣接の中央公園西寄りに移転して地上12階地下2階建てとし、警察本部は郊外に移転して、跡地を城址公園として県民の憩いの場とするとともに、県議会議事堂のところには文化センターを建築し、県民の文化の中心とするという計画案をまとめ県に要望した。これは37年前の話である。  この地に県庁建設に反対した議員も2人いた。西藤島から出て福井市議会議員も務めた東郷重三さんと、建築家であった渡辺三郎さんであった。二人とも景観上からも、文化遺産として福井城址公園として整備し、県庁舎の郊外移転を強く主張され、最後まで反対をしたが、議員の多数がこの案に賛成して、現在地に建ってしまったという経過がある。  1980年、お堀の中に県庁ができ、まちの中心に歴史的、文化的なシンボルができる可能性が十分あったにもかかわらず、そのランドマークがなくなってしまったということで非常に無念に思い、その後、東郷重三さんからたくさんの資料をいただいて、それを参考にしながら運動してきた。  先覚者の夢が潰れ、県庁や警察本部がそびえてから32年。新幹線も来ることになり、将来の50年後を見据え、福井城址公園を目玉に、福井城址の復元や足羽山、足羽川の整備も含む大きなゾーンとして、県都ビジョンが本格的に策定されようとしている。福井城の復元をすすめる会の11年間の運動を初め、県民や県外観光客の意向も踏まえ、西村東京大学副学長ら県都デザイン懇話会の多方面から検討された骨子案をもとに、県議会の意見を丁寧に何回も聞きながらまとめようとしているところである。福井県政史上、歴史に残ることにもなる。歴史的な意義は大きいように思う。ここまでしてまとめようとしている知事や部局の取り組みに敬意を表するところである。県都デザインに対する知事の思いをお聞かせいただきたい。 224 ◯知  事  県都福井市は戦災、震災から60年余りが経過した。都市全体が再改造する時期にある。西口再開発や県民会館の解体が現実となり、具体的な事業も節目を迎えている。  また、北陸新幹線の金沢開業、県内延伸が具体化し、目に見えてきた。これらを生かした観光誘客やまちづくりそのものを積極的に進める大事な時期である。さらに、国体も近づいている。今後もまちづくりについては、短期的に実現すべきことを明確にした上で、中長期的な方向性、デザインが示されなければならない。  どのようなまちを築いていくか、今こそ再設計が必要である。民間の盛り上がり、協力、応援のもとで、また、県議会の各議員の皆さんからも積極的なさまざまな意見をいただいて、よい案になるように期待をしているところである。  この年数をみると、ちょうど裏を返すと、今我々が論じているこのデザインが最初のときと重なり、将来の人は我々をそんなふうに見ているかなという感じで聞いていた。 225 ◯山本(正)委員  資料もしっかり見ていただいてありがたい。50年後を見据えた将来の福井県の県都の大きな方向が出されるということで、今出している案が新聞で報道され将来に残ると、あのときみんなが一生懸命議論してくれたのだなということで、これからの伝統や、また将来の夢もできるということで、大変ありがたいと思う。ぜひよろしくお願いする。         「教育行政について」 226 ◯山本(正)委員  質問の第3は教育行政についてである。  高校再編の中間総括と、今後の方針について伺う。  地元にさまざまな意見がある中で、県内高校再編は半ばに差しかかったところである。最初に奥越地区はほぼ計画どおり、若狭地区は小浜水産高校が若狭高校と統合することになったが、二州地区はまとまらず見送りとなった。坂井地区が終盤となっているが、開校までの校舎建築が課題となっている。代表質問では、中間総括を伺った。再編計画も第2次実施計画の半ばとなった。新しく時代のニーズに合わせて、総合産業高校は校舎や施設もその対応がなされて充実していくようであり、うれしい限りであるが、嶺南や奥越・坂井地区の普通科高校の対応策が見られない。偏差値によるピラミッド型の普通科と、地元指向型の普通科の系列があるようにも推測できるが、普通科高校の充実、大学進学の対応策について伺う。 227 ◯教育長  これまでの高校再編における普通科高校の充実であるが、若狭高校については来年のスタート前の今年度から文理探究科を設け、例えば医学部、あるいは国際分野で学問を深めようとするような人材を育てている。新年度からは、これまでの商業教育の実績を生かした商業系の大学進学コースを設けるなど、新しい特色を持った普通科高校としてスタートする。  また、坂井地区では、これからも議論していくが、再編後の普通科単独校となる学校では、例えば同窓会とも一緒になって、介護分野への進学コースが設けられないかといった検討も進められているし、これからの社会ニーズに対応できる普通科高校の進学指導や教育カリキュラムの充実に向けた協議を進めているところである。  こうした再編計画とあわせて、現在検討を進めている併設型中高一貫校の導入など、生徒一人一人の能力、個性に応じた教育の選択肢を広げることもあるし、またこれはすべての学校で進めていくが、例えば進学を希望する生徒に対しては、1年生のときから土曜チャレンジセミナーであるとか、これから受験が迫ってくる3年生には入試直前の冬季セミナーの開催といった形で進学支援の強化を行っている。  いずれにしても、普通科系、職業系にかかわらず、進学とか就職といった社会の姿に合わせて、それぞれの生徒の目標が達成できるような学校環境を整えていきたいと考えている。 228 ◯山本(正)委員  一方で難関校への進学といった目標があるが、地域における普通科高校の充実も、いろいろな意味で重要性を増してくると思う。これからの子供たちの夢や希望をかなえるということで、その地域の特徴を生かして、そういったことになっていってくれるとありがたいと思う。         「福井県人口減対策について」 229 ◯山本(正)委員  質問の第4は、先ほど山本文雄委員も触れたが、本県の人口減対策について伺う。  80万人を割ってしまったということで大変残念である。大きな要因は、少子化とともに若年層の都市部への流出による減少が一つ、それからもう一つ、福井県の場合には、農村部における過疎化によって集落までなくなるというようなこと、この二つが大きな要因ではないか。  皆さんのところにお分けした年齢別人口をちょっと見ていただきたい。これは前回も示して強調したが、福井県を示した赤線を見ていただくと、18~19歳から33歳ころまでが特に低く落ち込んでいる。27~28歳から少し戻るのであるが、隣の石川県と比べると、まだこの差が大きい。全国の平均と比べてこういう状況である。大学や専門学校のキャパシティーが狭いからと考えられ、これについての検討をぜひお願いしたいと前回申し上げた。  今回は、農村部のほうについてお願いしたい。  日本の農家集落数は、2000年には13万5,000であったのが、2020年には11万6,000となり、約2万の集落が消滅するという方向とのことであり、地方に人がいなくなると専門家が警鐘を鳴らしている。そこで、農山漁村の自立策について伺いたい。  福井県における農業集落数、農家数の推移とともに、減少の要因を伺う。 230 ◯農林水産部長  農林業センサスによると、2010年の福井県の農業集落数は1,818で、2005年から8集落減少しており、総農家数は2万7,523戸で、80%に減少している。  これらの要因としては、都市化の進展、あるいは農業者の高齢化、中山間地における離農などが考えられる。 231 ◯山本(正)委員  福井県においては、私も小さいときから農業をやってきたが、本当に農地が荒れている。遊休地、耕作放棄地が多いということで、これをしっかりと見た上で対策をとっていかなければいけない。  福井県における耕作放棄地の面積とその傾向、また耕作放棄地解消対策について現状と今後の対策を伺いたい。 232 ◯農林水産部長  農林業センサスによると、2010年の福井県の耕作放棄地面積は1,738ヘクタールで、東京都と大阪府を除くと全国で最も少なくなっている。近年でも、例えば坂井北部丘陵地では、遊休農地は50ヘクタールぐらい解消してきている。しかし、2005年との比較では、県全体で中山間地域を中心に103ヘクタール増加しているところである。  県では、297の傾斜地の集落に草刈りとか水路の泥上げ等を支援する中山間地の直接支払交付金を年間約4億円投入するなどして、耕作放棄地の解消に努めているところである。  また、条件不利農地が耕作放棄地にならないように、農作業等を応援するための本県独自の地域農業サポート事業を創設して、本年度は11月末までに743集落、1,238ヘクタールで実施しているところである。  さらに、やはり鳥獣害が非常に問題になるので、その対策として電気柵の設置ほか、山際の除間伐、あるいは緩衝帯の整備、有害捕獲などを市町、住民と協力しながら実施しているところであり、今後とも引き続きこのような対策を進めていきたい。 233 ◯関委員長  山本正雄委員に申し上げる。時間である。 234 ◯山本(正)委員  わかった。農村再生の最高のチャンスということで、再生可能エネルギー買取法ができており、農村が経済的に自立できる方向へぜひ持っていっていただきたい。                               ~以  上~ 235 ◯関委員長  以上で山本正雄委員の質疑は終了した。  山本芳男委員。             「知事の政治姿勢」         山本 芳男 委員 236 ◯山本(芳)委員  自民党県政会の山本芳男である。今議会に提案されている当面の県政課題について、意見と提言を交えて知事の政治姿勢を初め3項目について質問する。  まず、知事の政治姿勢について伺う。  平成25年度当初予算編成についてである。国の予算編成作業が衆議院総選挙の影響で事実上ストップしている。19年ぶりになる越年予算となるのは確実な情勢であり、景気後退に直面している日本経済、そして国民生活にまで影響が及ぶ可能性も指摘されているが、地方においてはおくれることなく、県政課題に的確に対応した予算編成を進めていかなければならない。地方財政も厳しい状況であるが、本県においては北陸新幹線の県内延伸や、中部縦貫自動車道の整備、足羽川ダム整備、福井国体に向けた取り組みなど、大型プロジェクトが控えており、こういった事業にどのくらい県の負担が必要なのか的確に把握することが重要である。これからの財政運営を考える上で、県として重要なプロジェクトの経費や、さらには社会保障費の増加も考慮しなければならないが、県はこういった負担をどのように見込んでいるのかを伺う。 237 ◯総務部長  厳しい財政状況が続いている中、新幹線を初めとする大型プロジェクトが集中する時期を迎えることから、中長期的な財政収支の見通しを持ちながら、県の財政を的確に運営していくことが重要である。  大型プロジェクトについては、できる限り高い精度で見込みを立てたいと考えており、今後具体的な事業計画や、それに伴う県負担額が明らかになる都度、財政収支見通しに反映させていきたい。  また、社会保障費については、国の推計や県における伸び率の推移等を参考にしながら、適切に見込んでいきたい。 238 ◯山本(芳)委員  内容は十分わかった。そうなるべく期待をしていきたい。  特に北陸新幹線については、本県の地方負担額が約7,800億円と想定され、JRの貸付料や交付税措置を考慮した実質負担額は約800億円となっている。財政収支見通しにおいて、北陸新幹線の負担分をどのように見込んでいるのか。 239 ◯総務部長  新幹線の県負担分であるが、昨年度の2月議会でお示しをした平成27年度までの中期財政収支見通しにおいては、他県での事例などを参考にして、地元説明会や調査測量設計、用地取得などの経費を見込んでいるところである。  今年度当初予算では約7億円を見込んだほか、来年度以降も数十億円程度の負担を見込んでいるところである。  今年度に入って事業費や県負担額など事業全体の姿が明らかになってきていることから、年次ごとの事業計画を見込んで、財政収支見通しに反映させていきたいと考えている。 240 ◯山本(芳)委員  今後、13年余りにわたって背負っていくわけであるから、そのことを視野に入れながら的確な対応してもらいたい。  県政発展のためには必要な大型プロジェクトを実施しながらも、健全財政を保つためには県債残高や基金残高を的確に見込むとともに、歳出の見直しはもちろん、歳入の確保に取り組む必要がある。  そこで、平成25年度当初予算編成に当たり、県税を初めとする自主財源の歳入額の見込みと、その確保策について伺う。 241 ◯総務部長  来年度の県税の見通しに関しては、現在、アンケート調査を主要企業に対して行っているところである。一方で、税制改正の不確定要因もあることから、現時点で全体を見込むことは困難である。  今年度の経済状況から見ると、来年度税収の大きな伸びを期待することはできないことから、その他の歳入確保策として、基金の有効活用、遊休地の売却や貸し付けなど、収入の確保を図ることとしている。  こうした努力を継続していく一方、中長期的には安定した税収構造をつくり上げていくことが何よりも必要であり、企業や人の誘致が何よりも重要であると考えている。 242 ◯山本(芳)委員  そのような心構えで取り組んでいただきたい。  現在進められている平成25年度当初予算編成については、行財政改革の推進を図りながら、県民からの要望の高い政策に予算を重点的に配分する必要がある。こういった大型プロジェクトはもちろん必要であるが、知事も言われているとおり、経済対策や嶺南地域における産業の創出、高速交通ネットワークを見据えた観光事業にも積極的に対応しなければならない。厳しい財政状況の中で政策の選択と集中が必要となるが、県民本位の予算編成に向けた知事の基本姿勢を改めて伺う。 243 ◯知  事  選択、集中、県民本位の予算編成をどのように取り組むのかということであるが、今後、新幹線、あるいは足羽川ダムの建設、さらに国体の開催などの大きなプロジェクトが並行して進む、極めて大事な、厳しい局面もある時期を迎える。また、これまでもさまざま議論を願っている林業の長期の債務の問題も、この際解決していく必要がある。したがって、中長期的な財政収支の見通しを持って、県債残高や基金残高をコントロールしながら的確に財政運営を行っていくことが重要である。  来年度の予算編成であるが、このような前提に立って、新幹線などの国家プロジェクトについては事業の進捗を図るため、国に強く働きかけ、県としても必要な予算額をできるだけ確保しなければならない。  また、国体開催、あるいは経済・雇用の充実など直面する県政の重要課題を推進していくため、歳入確保に努めると同時に、行財政改革を進めながら事業の選択と集中、また事業の必要性や進め方を精査するなど、十分な既存事業の見直しを行って必要な財源を確保していく。  なお、今後の財政運営の指針となる中長期の財政収支見通しについては、年は明けるが、来年度の予算に合わせて示していきたい。 244 ◯山本(芳)委員  来年度予算であるが、緊縮財政のもとでの予算編成となる。なかなか骨が折れるかもわからないが、知事は財政には造詣深く、思い切った明るい見通しの県政課題の事業展開につながるよう、予算編成を期待する。         「2巡目国体について」 245 ◯山本(芳)委員  次に、2巡目国体について伺う。  馬術競技の県内開催に向けてである。  本年の岐阜国体では、福井県チームは天皇杯において昨年より順位を6つ上げ、24位という結果をおさめた。大変喜ばしいことであり、今後も競技力向上に努めていただき、福井国体につなげるよう、さらなる奮闘を願っている。  平成30年の福井国体の開催に向けては、「福井しあわせ元気国体」の愛称のもと、「織りなそう 力と技と美しさ」をスローガンに、各方面で着々と準備が進められている。西川知事を初め、関係者の努力に対し敬意を表する。  しかしながら、国体開催に向けて一つずつ着実に前進している状況の中において、県内開催が確定せず、こういった機運の高まりを感じることができず、寂しい思いをしている競技団体があることも事実である。  先日、馬術競技に関し、関係競技団体の役員から意見を聞く機会があった。ぜひ選手には他のスポーツと同じように県内でプレーさせてあげたいとの何とも言いようのない悲痛な声には胸を打たれたものがあった。それと同時に、これまでの県との協議の不十分さを何となく感じたものも事実である。  福井国体については、9月定例会の予算特別委員会でも馬術競技の県内開催の可能性などを含めて質問したが、その際、関係競技団体が提案した福井市菖蒲谷地区で開催した場合、県の試算では馬場整備費、仮設費、運営費など約6.5億円の経費が必要との答弁があった。それに対して私から、「4億円でできるのではないか」、さらには専門家と話をして、「経済波及効果も含めるとさらに割安になる」との話をさせていただいた。県では馬術競技を県内で開催した場合の経済波及効果について、どのように算定しているのか伺う。 246 ◯総務部長  経済波及効果を数字で端的にあらわすのはなかなか難しいが、こうした考え方としてこういうことは言えるという観点で申し上げると、馬術競技の開催経費は大きく三つに分類される。
     一つは、大会運営費である。これは本大会やリハーサル大会の運営に携わる競技関係者の人件費であるとか、テント、いすなどの物品、あるいはその他消耗品の調達経費である。それから二つ目は、仮設整備費である。これは国体の基準に合わせて開催をするために一時的に必要な厩舎であるとかプレハブのほか、障害物などの設備関係費用である。三つ目が土木工事費であって、底地の整備費であるとか電気、上下水道などの整備費用である。  このうち、大会運営費は県内開催、県外開催を問わず必要になる経費である。それから仮設整備費は、これまでの国体でもそうであったように、ほとんどが県外の専門業者への発注となる経費である。したがって、波及という点では、これらの経費は県内開催、県外開催で差はそれほどないと考えている。  三つ目の土木工事費は、県内業者への発注が見込まれるが、これは県内開催の場合に上乗せしなければならない経費である。いわば増嵩経費が波及効果をもたらすことになるわけであるが、その波及の程度となると不確定要素が多いことから未知数ということである。 247 ◯山本(芳)委員  波及効果の試算はなかなか難しいと思う。努力した跡は見えたので、御苦労さまと申し上げておく。  一方、県外で開催した場合、県は約3億円の経費がかかると見込んでいる。県外開催の場合、本県に対してどの程度の経済的な還元があるのか伺う。 248 ◯総務部長  今、お答え申し上げたとおり三つの経費から成るということは同じである。  県外開催の場合は既存の施設を使うことから、土木工事費はほとんど必要ない。また、仮設整備費は県内、県外開催を問わず、ほとんどが県外の専門業者への発注となる。これは先ほども答弁申し上げた。  県内への波及については、人件費であるとか消耗品等の大会運営費の一部が考えられるが、これも不確定要素が多く、さらに検討を要するという状況である。 249 ◯山本(芳)委員  県外で開催した場合、なかなか応援にも行かれない。私はゼロに近いのではないかと考えている。  我が会派の代表質問に対し、県は水泳の一部の種目について関係競技団体との協議が整い、準備委員会において県外開催を決定するとの答弁があった。馬術競技については県外開催を基本に検討し、今年度中に会場地を決定したいとしている。馬術競技について、今後、関係競技団体から県内の会場候補地の新たな提案があった場合、県は県内開催を検討するのか伺う。 250 ◯総務部長  国体については、大会5年前の6月、来年6月であるけれども、開催申請書を提出することとされている。それに向けてさまざまな手続が必要であり、現在のところ市町からの開催希望もなく、具体的な新たな提案もないことから、年内に方向性を出すと申し上げてきたところである。  会場地について新たな提案があればまたお聞きはするが、関係機関とのさまざまな調整、手続の詰めに時間がかかることを考慮すると、年内に方針を決定したいと考えている。 251 ◯山本(芳)委員  ところで、仄聞するところによれば、先月下旬から、馬術競技の開催場所として別の場所での実施案が急浮上している。県職員の立ち会いの上で、日本馬術連盟の現地視察が行われたとのことであるが、その概要について説明願いたい。 252 ◯総務部長  新たな候補地については、競技団体のほうがいろいろ検討していると聞いているが、いずれにしても正式な提案ということではない。いろいろな相談というか、そういうこととして聞いているということは承知している。 253 ◯山本(芳)委員  知事にお尋ねしたいが、県の職員の立ち会いのもと、そういう話があることは伺っていないか。 254 ◯知  事  具体的に聞いていない。 255 ◯山本(芳)委員  そうすると、知事は知らぬ存ぜぬという立場なのか。  11月29日に公益財団法人日本馬術連盟理事長と業務部長、それから県の新国体推進課の職員ほか二人の同席で会場を視察している。そこは、馬場を増設する必要がなく、土も砂も何も手を加えずに、そのまま馬場として使用可能である。練習馬場は現在の土地に砂を上積みするだけでよく、仮設厩舎は舗装済みの現駐車場でできる。打合会場やおもてなしの会場としては現建物を利用すれば大型テントは必要ではない。通常、ホースマネジャーの宿舎が必要だが、隣にあわら市の北潟湖畔荘があり、建てる必要もない。あわら市の北潟213号の21、芦原温泉駅から10分という場所であるが、以上のことから最適地だと日本馬術協会から認定を受けたと馬術連盟は言っている。  なぜ県の職員が立ち会っているのに、知事が知らないのか。連携不足である。取り組みのやり方が、私には考えられない。競技人口は150人と言っているが、それだけではない。もう少し馬術競技連盟の皆さんと一緒に、体協にしろ、また各種競技団体、県民の一部の皆さんも、そして若きアスリートたちのために、何とか検討していただきたいという願いなのである。ああ、よかったという安堵を県内のスポーツ関係界に示してほしい。先ほど総務部長からは、これから提案があったら検討するという言葉があったが、改めて検討についてはどうか、知事に伺う。  そして、もう一つ、副知事が馬術協会会長とお会いしている。11月30日の3時と聞いているが、真相をお聞きする。 256 ◯知  事  この仕事のみならず、仕事においていろいろことがあると、事務局というか職員が現場に出かけていろいろな方とお会いすることはあると思う。これもそのような話だと思うが、一つ一つ具体的に承知をしていないという話を申し上げたわけである。しかし、その具体的な話が、この問題と一体何の関係があるのかということで物事を処理しないと問題は解決しないので、そのような方向でぜひとも議論いただきたい。 257 ◯山本(芳)委員  最後の話は、図面もできている。ホウレンソウという言葉があるけれども、県の職員は何事も知事に対して報告と連絡と相談はしっかりとやってもらいたいと思う。知事はそういった職員の一丸となった体制を把握すべきだと思っている。県民もそう思っていると思う。 258 ◯知  事  申し上げたように、あらゆる事柄についていろいろなことが起こるし、それについて担当の職員がいろいろな方とお会いしたり、いろいろな団体と話をし、いろいろところへ行ったりするけれども、それはそれとして、一定の事務処理をしなければならない。必要なものは聞くし、具体的に承知していないものは承知していないものとしてあるという話を申し上げたわけである。 259 ◯山本(芳)委員  ちょっとおかしい。知事まで行かなくても、課長もいるし、部長もいるので、相談や連絡はあってしかるべきだと思う。最高責任者として、そういう指示をしたり、教育をしなければだめだと痛感している。話は終わる。 260 ◯関委員長  ちょっと待って、山本芳男委員。さっき総務部長は12月末に決めたいと言ったように思う。 261 ◯副知事  公式な記録に残るので、ここは事実関係が違うと一言だけ申し上げたい。11月30日に馬術連盟会長に会って何か協議をしたという話であるが、この名前を今確認してわかったが、県内のいろいろな仕事の関係でこの方にお目にかかっているが、馬の「う」の字も一切出ていない状態であったし、先方からもそんな話も全く何もなかった。何か違う話が委員のところへ入ったものと思うが、申しわけないが、そこだけはここで一言だけ申し上げたい。 262 ◯山本(芳)委員  私はその馬術の関係の話でお会いしたということまでは追求していないから、その答えでいいと思う。 263 ◯副知事  名前は伏せるが、県内を代表する方でいろいろな役職を持っていらっしゃるその方にはいろいろな仕事で会っているが、このことであなたは会ったであろうと言われても、今回の競技の関係の話を個別にしたことは全く誰ともないので、ちょっとびっくりした。  先ほどの話に関連して申し上げると、ともかくいろいろなことであった重要な話は、私も含めてみんな知事に報告するように努めているし、そういうことはあらゆる場面で心がけているので、そういう形で、多くの件についてきちんと報告して、県行政をやっていっているということを理解いただきたい。 264 ◯山本(芳)委員  副知事の気持ちは十分わかる。私も指摘をしたわけでもないのであるから、副知事が言われるとおり、やはり副知事として知事に進言する、また報告する、そういった義務はもちろんあるから、そういう立場で今後も頑張って、働き願いたい。総務部長から答弁は何かあるか。 265 ◯関委員長  ちょっと待っていただきたい。よろしいか。国体は、どこかわからないけれども、どこかの市町が、私のところで面倒を見るというところが出てこなければ成り立たないのである。総務部長は先ほど12月に一遍に決めたいと言われたと思うが、今からいうと20日しかない話である。だから、事務的に考えても、何らかの形ではっきりするところはしていかないと、こんな議論を幾らやっても駄目である。それに、余り長いことだらだらしているとけが人が出る。そこらも考えて答弁してほしい。 266 ◯総務部長  今、先ほど言及があったような新たな提案はないわけである。相談はあったし、現地を見たということもある。ただ、経費的な面を見る場合も、いろいろな条件を考慮していく必要がある。それと、地元の市町がどう考えるかという条件が整わないことには、会場地選定ということにはならないということを先方にも申し上げている。そういうやりとりがあるということは報告を受けているし、そういう状況であるということをお伝えさせていただく。 267 ◯山本(芳)委員  これからそういう提案があったら、またお聞きしたいということを総務部長は言っているから、そのことに対して期待をする。いずれにしても大事なことは、関係競技団体との腹蔵なき十分な協議であり、県はこれまで以上に関係競技団体との話に耳を傾け、十二分に説明するという姿勢が必要である。  また、福井国体については県民総参加のスローガンのもと、広く県民の方々に募金を呼びかけたらとの声も一部有識者から上がっている。検討願いたい。答弁は要らない。         「入札制度について」 268 ◯山本(芳)委員  最後に、入札問題についてである。  今定例会の提案理由で知事は公共工事の入札制度の見直しを表明した。その内容は、来年度から最低制限価格を引き上げること、来年1月から設計額が1,000万円を超えない比較的規模の小さな工事について、地域要件を原則として、土木事務所単位から市町単位とすることといったものとなっている。  会派の代表質問でも述べたが、9月定例会の閉会後、我々自民党県政会は民主・みらいの会派役員と一緒に、入札制度の見直しに係る要望書を提出した。この要望書は、競争性を確保することを理解した上で、県下一律に制度に固執することなく、指名競争入札の弾力的な運用など、現行の入札制度を地域の実情に十分考慮した制度に見直すよう強く求めたものである。今回、我々議会からの要望を受けて入札制度の見直しを実施した県の姿勢については評価したい。  県は今回の入札制度の見直しに当たり、どのような問題意識を持って検討を進めてきたのか伺う。 269 ◯土木部長  今回の入札制度の見直しに当たり、どのような問題意識であったのかということであるが、工事の手抜きであるとか下請業者へのしわ寄せが生じないように、不当な安値での受注、いわゆるダンピング受注を排除するため、これまでも国に準じた最低制限価格の引き上げを行ってきた。  平成23年7月の引き上げ直前の数字であるが、平成23年度第1・四半期の平均落札率は89.6%であった。最近の落札率、平成24年度第2・四半期で申し上げると90.4%にとどまっている。そこで、今回、建設資材や労務費などの実情に応じた価格での受注がなされるよう、最低制限価格を引き上げることとした。あわせて、不良不適格業者を排除するための営業実態の点検を強化することとした。  また、1,000万円以下の小規模な工事については、地域の実情に通じた地元の業者が施工できるように地域性を重視することとした。 270 ◯山本(芳)委員  今後も広く耳をそばだててお聞きしていただき、その声に真摯に対峙していただきたい。  また、入札制度の見直しに関しては、議会からだけでなく、建設業者などからも意見や要望が出されているのではないか。入札制度に関し、これまで県には建設業界等からどのような意見が届いているのか。 271 ◯土木部長  入札制度については、建設業連合会を初め、建設業に係る各種の団体から要望書や意見をいただいている。  主なものとしては、分離分割発注の徹底による中小業者への配慮、あるいは業者の力量を適切に評価したJVの活用などによる県内建設業者の受注機会の確保などである。また、地元建設業者への受注を拡大すべきとの意見がある一方で、一部の専門工事の関係団体からは、特殊な工事では地域要件を細分化せず、県全域を対象とすべきとの意見もいただいている。このほか、低入札やダンピング対策の強化、専門技術者の適切な配置、総合評価方式における災害協定などの社会貢献の評価など、さまざまな意見をいただいている。  なお、今回の見直しの考え方については、現在のところ、このような業界団体からは否定的な意見はない。 272 ◯山本(芳)委員  今回の知事からの提案理由において入札制度の見直しが発表されたが、建設業界からは今回の見直しではまだまだ不十分という意見も聞いている。当然、建設業者にもこれまで以上の経営努力が必要であることは言うまでもないが、こうした声が届いている理由の一つは、250万円以上は一般競争入札という本県の入札制度が、3,000万円以上を一般競争入札の対象としている石川県、2,000万円以上を対象としている富山県と比べて、依然として北陸3県の中で見ても厳しいことにある。こういった現状をどのように認識しているのか伺う。 273 ◯土木部長  本県の入札制度については、これまでも地元業者の受注機会の確保のために分離分割発注などを進めており、工事の県内受注率は、土木一式工事で申し上げると、平成20年度91.5%であったものが平成23年度は99.9%まで上昇している。  また、石川、富山を含む40を超える多くの県では、入札に参加できる業者数は20者以上としているが、本県では土木事務所管内で地域要件を設定できる場合、12者程度というような柔軟な対応もしている。  この結果、指名競争入札を実施していた平成19年度と比べても、平均応札社数は14者から13者に減少するような状況に至っている。このように、制度全体としては本県の入札制度が特に厳しいものとは考えていない。 274 ◯山本(芳)委員  今、一番関心があると注目されているのが入札問題である。今後もさらに努力していただきたい。  今回の見直しで1,000万円以下の小規模な工事について、地域要件を市町単位としてより地域性を重視するとしているが、これまでのように同一地域内の応札可能業者が12者に満たない場合、隣の市町に地域要件を拡大するのであれば、実質的には変わらないのではないか。今回の制度改正で本当に県が考えているように、地元業者の受注機会の確保につながるのか、改めて県の所見を伺う。 275 ◯土木部長  これまでの入札制度では、小規模な工事であっても、土木事務所管内の広い範囲から工事施行箇所以外の市町の業者も入札に参加することができて、参加者数も近隣県と比べ多くなることがあった。  今回小規模な工事については、一定の競争性を確保しつつ、地域要件を原則として市町単位とし、応札可能業者数の考え方を柔軟に対応することで、地元の工事については市町内の地元業者が受注する機会はふえると考えている。 276 ◯山本(芳)委員  引き続き、鋭意努力していただきたい。  この入札問題はまだまだ改善の余地があると思う。しっかりと取り組んでいただきたい。 277 ◯関委員長  以上で山本芳男委員の質疑は終了した。                               ~以  上~ 278 ◯関委員長  以上で通告による質疑は全部終了したので、ほかにないものと認め、総括質疑は終結した。  これより付託議案に対する討論に入るのであるが、ただいまのところ通告はないので、討論は終了とする。  これより採決に入る。  採決は一括して起立によって行う。  それでは、第73号議案及び115号議案及び116号議案の計3件をお諮りする。  本件を原案のとおり決定することに賛成の諸君は起立願う。
          〔賛成者起立〕 279 ◯関委員長  全員である。  よって、本件は、原案のとおり決定とすることにする。  以上で、今回付託を受けた議案に対する審査は終了した。  委員長報告については、理事会に一任願う。  また、委員会記録の作成については、委員会条例第27条の規定により、私に一任願う。  以上をもって、予算特別委員会を閉会する。                               ~以  上~                    予算特別委員会                      委員長  関    孝 治 発言が指定されていません。 Copyright © Fukui Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...