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  1. 富山県議会 2024-06-01
    令和6年6月定例会 一般質問


    取得元: 富山県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-18
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1       ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  午前10時00分開議 ◯議長(山本 徹)おはようございます。  ただいまから本日の会議を開き、直ちに日程に入ります。       ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2 ◯議長(山本 徹)日程第1、県政一般に対する質問並びに議案第95号から議案第105号まで、報告第3号から報告第12号まで及び議員提出議案第7号を議題といたします。       ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━           議 案 第 105 号 3 ◯議長(山本 徹)議題のうち、本日提出されました議案第105号について、知事から提案理由の説明を求めます。  新田知事。    〔新田八朗知事登壇〕 4 ◯知事(新田八朗)ただいま上程になりました議案について御説明申し上げます。  議案第105号は令和6年度の一般会計補正予算です。  内容としましては、先月31日に発表された国の財政支援措置を踏まえ、能登半島地震により地盤の液状化被害を受けた住宅への対応として、市町村と連携し宅地の地盤改良等の復旧を支援する制度を創設します。  また、国の事業採択を受け、地震の影響により部分開通となっている黒部峡谷鉄道や宇奈月温泉へのインバウンド需要創出等のため、付加価値の高い観光コンテンツの造成などに取り組みます。  これらに要する経費として11億9,500万円を追加しようとするものです。  何とぞ御審議の上、適正な議決をいただきますようお願い申し上げます。       ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━     県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑 5 ◯議長(山本 徹)これより、各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行います。
     通告がありますので、順次発言を許します。  八嶋浩久議員。    〔19番八嶋浩久議員登壇〕 6 ◯19番(八嶋浩久)おはようございます。自民党議員会の八嶋でございます。質問の機会を頂きました。感謝申し上げます。また、傍聴の皆様にも県議会にお出ましいただきまして、感謝、御礼を申し上げます。県政への関心、うれしく思います。  6月定例会一般質問初日ということでありますが、その中でも僣越ながら1番目の質問者を仰せつかり、恐縮しているところでございます。  早速、大きな問い1、個と公の調和型社会の実現から始めていきたいと思います。  私は、たつ年生まれ、今年、年男です。還暦の60歳。(「おめでとうございます」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。見た目は年相応と言われておりますが、最近、副鼻腔炎がひどくなりまして、右上前歯から奥に3本歯を抜きました。笑うと結構老人の印象だそうです。笑わないようにしたいと思います。ちなみに、議員の中でのたつ年生まれは、私のほかにお二方おいでます。  さて、中国では古くから、たつ年は大地震が起こると伝えられているようです。本年がたつ年、先般6月3日も早朝からアラートが鳴り、地震が発生いたしました。迷信だと思いますが、長い歴史の中では案外当たっているのかもしれません。漢字にすると、地震の「震」にはたつ年の「辰」という漢字が使われているからだそうです。  ということで、地震からの復旧・復興関連の質問から始めます。  先般、政府は石川県の災害復興基金を創設する方針を打ち出し、また、石川県から創造的復興に向けた(仮称)石川県創造的復興プラン(案)が発表されました。能登半島が中心の復興プランであり、大いに期待したいと思います。  これまでの能登との歴史的なつながりから、富山湾の活用、海の道の活用が、この湾岸地域の防災、広域観光の目線からもよいだろうと、先般の2月議会予算特別委員会では県当局からも一定の理解もあり、富山県の懐の深さを感じたわけでございます。  氷見市、高岡市、射水市なども相当な被害を受けていますので、私は、国にも能登半島の創造的復興について、富山湾を活用した石川県と富山県との広域連携を考えていただくことが必要だと思っています。  ここで、能登半島復旧復興アドバイザリーボード会議の議事録の中から、富山県成長戦略会議の特別委員を務める安宅和人氏のコメントを紹介いたします。  「毎日、富山湾側から能登を見て育ったので、非常に神妙に思っています。特に能登の場合は、陸路的には遠いが海から向かったほうが近いという離島的な土地なわけですね。なので、離島的なモデルを作る必要があるという認識です。何かあったときに海から支えるというような仕組みをしっかり作らなきゃいけないところに、道からこだわったところが今回の救済対応で難しかった原因の一つなんじゃないかと思います。」  また、「やはり海からのアプローチですよね」、このようなコメントを残しておられます。  富山県の地形や歴史的なつながりも盛り込んで、石川県との連携、また国には、液状化の交付税措置だけでなく、富山県への被災地支援や、石川県と富山県の防災連携、復興連携、観光連携についての検討も必要と感じています。今後の2県連携を国に働きかけていくのが賢明であると考えますが、新田知事の御所見をお伺いいたします。  次に、今回の地震において、液状化災害という土地の隆起、陥没、砂が噴き上がるといった特徴的な被害が目立ち、これらの対策が前面に出ているところですが、一方で、液状化がないところでも、災害復旧には採択されないような軽微な損傷により補修が必要な箇所は多くあるような気がしております。  例えば県道350号堀岡新明神能町線、富山新港の東側、国道415号海老江コミュニティセンター前付近など、路面で多くのひび割れが確認され、ひどい凹凸も確認されています。これでは一般車両の通行に明らかに支障を来しています。液状化の場所は、もちろん早期復旧を望んでいますが、面での取組が必要ということであれば、修繕、復旧の完了までかなりの時間を要すると思われます。  私は、できるところから支障をなくし、通行を再開させていく必要を感じます。今回の補正予算でも提案されていますが、どのように取り組んでいくのか金谷土木部長にお伺いします。  工業用水について、射水市鏡宮の漏水から始まり、同市今井の漏水工事も一段落したようです。今回の地震では、能登の上水道のような全く水が供給されないといった被害はないようですが、県内では漏水による供給支障が発生し、工業用水以外の水で対応したとも聞き及びます。  工業用水道は、県西部の主要産業を支える命の水を供給しており、管路は8割以上が敷設から40年以上もたち、その7割は耐震適合性がないようです。用心するにこしたことはありません。現在、管路の更新が進められている高岡本線の鏡宮から坂東までの区間をはじめ、管路の老朽化更新や耐震化を早急に進めるためどのように対策を講じていくのか、牧野企業局長にお伺いします。  県内全体で空き家の問題を抱えているように感じます。自民党議員会の政調会への要望においても、県内各地から空き家対策への要望がございます。  国交省でも勉強してきたのですが、昨年5月に空家対策特措法の改正があり、新たに管理不全空家が新設されました。要するに、このまま放置すれば特定空家になると判断された空き家で、指定されると固定資産税住宅用地特例が解除され、土地に6倍の固定資産税がかかってくる可能性がある空き家のことです。今後この法制度を周知する中で、空き家の解消が前進することを期待するものであります。  昨年度12月13日──地震の前です──に施行され、県としての関わりも明文化されましたが、元日に地震が発生し、取組が遅れているのもやむなしだったかと思います。今後、落ち着いたところで市町村との連携を進めていくのがよいと考えます。  そのような中、「ウェルビーイングを高め、支える住まいの確保事業」について、聞き慣れない用語もあり、県民への理解促進も必要と考えますが、この事業は、住宅の省エネ促進、工務店のリノベーション技術習得によるなりわい維持、空き家の解消など、幅広い事業効果が期待でき、空き家情報を最も把握している市町村との連携でさらに効果が高まると考えますが、金谷土木部長に御所見をお伺いします。  これまで県の教育委員会は、各地域の中学校卒業者数の動向などを踏まえて総合的に判断し、県立高校全日制の募集定員を決めてきています。しかし、少子化がとても速く進んでおり、昨年県内で生まれた赤ちゃんは過去最少の5,512人となりました。今後も中学生が大幅に減少していくことはほぼ確実です。  現在、高校再編について議論されていますが、私は、県立高校の学級編制についても、この少子化のトレンドを考慮して行うべきだと考えています。  令和6年度の学級編制は定員減による対応も取られたところですが、一昨年、昨年の教育委員会や県議会での議論の経験を基にして、もう少し議論がかみ合うように、少しでも早い段階で学級編制の考え方を示していただき、今議会中の議論を通じて相互理解を図る必要を委員長としても感じています。先般、6月10日の教育警務委員会でも、学級編制については、ふわっとした答弁内容でございました。  そこで、本年度末中学校卒業予定者の状況を踏まえ令和7年度における県立高校の学級編制方針案について、廣島教育長にお尋ねいたします。  昨年9月議会予算特別委員会でも取り上げましたが、とやまマリッジサポートセンター(adoor)においては婚姻数の増加に向けて、昨年実績を踏まえ本年度はどのように取り組まれるのでしょう。人口減少は極めて厳しい状況にあり、大変重要な取組だと考えております。  結婚、妊娠、出産の各段階で若い世代は不安や課題を抱えており、少子化の問題は、少成婚化を解消しないことには解決の一歩が踏み出せないと考えています。川津知事政策局長にお伺いし、大きな問い1を終わります。 7 ◯議長(山本 徹)新田知事。    〔新田八朗知事登壇〕 8 ◯知事(新田八朗)八嶋浩久議員の御質問にお答えをします。  富山湾の海路を活用した復興支援の取組などについての御質問にお答えをします。  おっしゃるように、古来、「山は隔て、海は結ぶ」とも言われたように、本県と能登地域は古くから富山湾を通じた往来があることから、産業面でもいろいろとつながりがある地域同士です。  例えば、能登杜氏が富山県の酒蔵で酒造りに携わっておられること、あるいは輪島漆器の元になる木地、これに庄川挽物木地が使われているようなこと。庄川もそれに基づいて発展をしてきたという歴史もあります。  震災に関する本県の能登地域への支援のうち、災害廃棄物処理に関する石川県の計画では、地震で発生した災害廃棄物の一部を海上輸送により本県に搬出することが想定されております。現在、廃棄物処理業者からの相談に応じているところです。今後、本県への搬出計画が具体化した後、廃棄物処理業者による港湾管理者港湾関係事業者との調整などを経て海上輸送が実現することになりますが、県としては、事業者や関係市町村との調整など円滑な受入れ、処理に向けた支援に努めてまいります。  また、今般の震災では、能登地域内の主要な道路が損壊し、一部海岸が隆起し、港湾も被害を受けており、発災直後は陸路、海路でのアクセスが困難であったことから、本県では消防ヘリやドクターヘリを活用し、空路からの支援を行いました。  現在、県では、今般の災害対応を検証しているところでございます。孤立集落対策も検証項目の一つとして、道路が寸断した場合の支援人員や物資の輸送方法などについて検討していきます。また、将来的な被災支援体制の在り方についてですが、空路に加え海路の活用についても、今後、国や石川県と話し合っていこうと考えます。  県では、復旧・復興ロードマップに基づき、本県の早期復旧・復興に加えて能登地域も支援することとしておりまして、今後も国や石川県とも連携し、北陸エリア全体の復興につなげていきたいと考えます。  また、広義の復興支援という意味では、広域観光についても一つのテーマかというふうに思っております。かつて珠洲の飯田港から富山の岩瀬港まで航路がありましたが、比較的短期間で航路が休止をした経験があります。42年前の話ですが、短期間で航路が休止した理由などを改めて確認しておきたいと思いますし、また15年前、平成21年には富山湾横断観光船の実験運航が行われました。これの船上のガイド費用などを県でも支援しておりますが、運航予定が37日間ありましたが実際は11日間の就航に終わり、単年度で終了しております。これも詳しくその理由をまた調べていきたいと思います。  その後の状況としましては、令和4年に例の知床の遊覧船の事故がありました。あれ以降、やっぱり国交大臣の許可も、安全設備や人材の確保など、かなりハードルが上がっているとも聞いております。このようなことも勉強していきたいと思いますが、富山湾の観光航路については、実は県内の市長さんたちからも要望が幾つかあります。そんなことも受け止めて勉強していきたいと思います。  1問目、私からは以上です。 9 ◯議長(山本 徹)金谷土木部長。    〔金谷英明土木部長登壇〕 10 ◯土木部長(金谷英明)おはようございます。私には2問頂きました。  まず、道路の復旧状況と今後の見通しについての御質問にお答えをいたします。  県が管理いたします道路あるいは橋梁のうち、能登半島地震におきます被害が確認された県道片口牧野線など50か所につきましては、4月末までに国の災害査定を終えており、詳細設計が完了し準備が整ったものから順次、工事を発注し復旧を進めている、そんな状況でございます。  また、議員御指摘のとおり、液状化した区域を面的に整備する場合には、地盤調査やその後行います復旧工法の検討のほか、地元との調整などに時間を要すると考えております。このため、道路の復旧に当たりましては、宅地などの面的な復旧を待って実施するのか、あるいは道路復旧を先行するかについては、市や地元住民の意向を十分に踏まえた上で実施時期や内容を判断していく、そんなこととしております。  一方、国の災害復旧事業の対象とはならない小規模なもの、舗装のみの被災などにつきましては、4月末までに176件確認をしておりまして、県単独道路災害復旧費を用いて順次対応を進めてきております。4月以降も、気温の上昇に伴い路面が柔らかくなっておりまして陥没する被害が相次いで見つかっている、そんな状況でありまして、追加の補正予算約7億円を本6月議会に上程させていただいたところでございます。  能登半島地震によって被災した道路が完全に復旧するまでには、今後、年単位の時間を要すると考えておりまして、引き続き、安全で円滑な交通を早期に確保できるよう、地域の方々の声をよく伺いながら復旧に努めてまいります。  次に、ウェルビーイングを高め、支える住まいの確保事業についての御質問にお答えいたします。  空き家対策のうち、利活用の面では、これまで、市町村などが行う空き家相談会の開催、あるいは有効活用のモデルとなる改修に補助するなどの支援を行っております。また、空き家対策官民連絡協議会を活用いたしまして先進的な取組を情報共有するなど、市町村と連携して空き家対策に取り組んでおります。  さらに、今年度新たに取り組みます、ウェルビーイングを高め、支える住まいの確保事業につきましては、県内の住宅メーカー等が町なかの空き家を再販売する際に行います高断熱化などの高性能リノベーションに対しまして、1棟当たり最大200万円の支援を行うものでございます。これにより町なかの空き家解消を図るとともに、高性能リノベーション住宅の流通促進や県内住宅メーカー等ノウハウ蓄積につなげたいと考えております。  空き家の利活用を一層進めるため、県では、住宅メーカーや関係団体等への事業の周知に努めますとともに、様々な空き家情報を有します市町村では、空き家所有者に対します広報のほか、住宅メーカーに対して有効な空き家情報を提供いただくなど、県と市町村が連携し、この取組を広く県民等に周知し活用につなげていきたいと考えております。  一方、管理不全空家についても御指摘を頂いております。この対策としましては、昨年改正されました空家対策特別措置法に基づきまして、市町村が行う指導、それから勧告権限や勧告後の固定資産税の特例解除を生かすなど、周囲に著しい影響を与える特定空家が増えていかないよう、市町村のほうともしっかり連携して努めてまいります。  以上であります。 11 ◯議長(山本 徹)牧野企業局長。    〔牧野裕亮企業局長登壇〕 12 ◯企業局長(牧野裕亮)おはようございます。私からは、工業用水管路老朽化対策についてお答えいたします。  今回の能登半島地震では、西部工業用水道埋設管路等からの漏水が10か所余りで発生しまして、漏水箇所の補修工事のため受水事業所1か所に給水停止の御協力をいただいたところでございまして、改めて関係の皆様の御協力に感謝を申し上げます。  西部工業用水道は、昭和46年に給水を開始しましてから50年以上が経過しておりまして、管路延長110キロメートルのうち法定耐用年数の40年を超える管路が8割以上となるなど、経年劣化が進みつつあります。  こうした中、近年の漏水事故や今回の能登半島地震の発生を踏まえ、企業局では、老朽化対策や耐震対策を大幅に強化していくこととしております。具体的には、毎年の投資額を大きく増額し、耐震適合性のない区間や断水により被害が多大となる区間等の重要な管路などを前倒して更新することとしておりまして、令和6年度は28億円余の予算を計上しまして、射水市鏡宮から坂東地内までの高岡本線の更新工事などを進めてまいります。  また、漏水発生時であっても供給が継続できるよう、工業用水の供給システム全体のリダンダンシーを飛躍的に高める新たなバイパス幹線管路の整備を検討しております。これまで地形測量や地質調査に着手しておりまして、今後、施工方法等の検討を進めてまいります。  こうした対策を最優先で進め、工業用水の安定供給に努めてまいります。  以上でございます。 13 ◯議長(山本 徹)廣島教育長。    〔廣島伸一教育長登壇〕 14 ◯教育長(廣島伸一)私からは、令和7年度の県立高校の学級編制についてお答えをいたします。  これまで、県立高校の募集定員は、1学級の定員は40人を標準とすること、公私比率を尊重すること、普職比率に配慮すること、これらを前提といたしまして、地域別の中学校卒業予定者数、また入学志願者の推移、そして、これまでの学級の増減の経緯、こうしたものを様々な観点から審議を重ね、総合的に判断して決定してきております。  今年度の中学校卒業予定者数については、現在、集計、確認を進めているところでございますが、令和7年度の県立高校全日制課程の募集定員は前年度並みの減少となる見込みでございます。  今後を見通しますと、令和20年度の中学卒業予定者数、議員からも御指摘ございましたが、現在よりも3割減るということを踏まえますと、令和7年度及びこれ以降の学級編制では、これまでの考え方を基本としつつ県全体で継続的に募集定員を減らしていく、そういう考え方が必要になってくると思っております。  また、令和6年度の学級編制では、県立高校教育振興検討会議で、今後の中学校卒業予定者数の減少への対応について議論をされておりました。そして議会での議論も踏まえまして、定員減で対応したところでございます。令和7年度の学級編制についても、前年度同様に定員減での対応が可能かどうかも含め、検討してまいりたいと思っております。  そして、この募集定員につきましては、今後とも県議会をはじめ市町関係者の御意見を踏まえながら、教育委員会で総合的な観点から検討いたしまして、7月には決定したいと考えているところでございます。  以上でございます。 15 ◯議長(山本 徹)川津知事政策局長。    〔川津鉄三知事政策局長登壇〕 16 ◯知事政策局長(川津鉄三)私からは、とやまマリッジサポートセンターの取組についての御質問にお答えいたします。  先日、厚生労働省から公表されました令和5年の人口動態統計によりますと、本県の出生数、婚姻数はいずれも過去最少を更新し、前年からの減少幅も大きくなっていることから、少子化に歯止めがかからず、そのスピードが加速し深刻さを増しているものと認識しております。  国内におきましては婚姻数と出生数は関係が大変深いことから、県では、結婚を希望する方に出会いの場を提供するため、とやまマリッジサポートセンター(adoor)を設置いたしまして、AIシステムによる個別マッチング、セミナー・イベントの開催、サポーターの養成等を行ってきました。さらに、令和5年度にはスマホによるシステム閲覧を可能としたこともあり、昨年度の婚姻数は過去最多の25組、平成26年以降の累計では137組となりました。  今年度は、昨年度の試行結果も踏まえまして、20代までの登録料の無料化を本格実施するとともに、ウェブ広告を強化し、若い世代へのadoorの浸透を強化しております。また、会員同士の引き合わせや会員の交際をフォローしていただくサポーターの皆様の活動を促進するための奨励事業、それから、実績のある民間の結婚支援事業者と連携しました会員向けの個別相談会などにも取り組むこととしております。  こうしたadoorの取組の効果を県内に幅広く拡大するために、近年増加しております婚活アプリの利用等も含む婚活の進め方セミナーを、新たに幅広い県民の方々を対象に実施する準備を進めております。  今後も県内の婚姻数が増加するよう、より実効的で波及効果のある対策に取り組んでまいります。  以上であります。 17 ◯議長(山本 徹)八嶋浩久議員。    〔19番八嶋浩久議員登壇〕 18 ◯19番(八嶋浩久)大きな問い2、安全・安心、豊かな暮らしの実現に入ります。  今日もとても暑いです。6月に入り本当に暑い日が続いています。観測史上最も暑い夏となった昨年2023年、「地球沸騰」という言葉もはやりました。  さて、気象庁からは2024年も猛暑との予報があり、4月に改正気候変動適応法が施行され、国において新たに熱中症特別警戒アラートの運用も始まったとのことです。夏の猛暑の中、自然災害も起こり得る中、避難所での熱中症対策はどうするのか、今とても心配はしていますが、本県の昨年の熱中症の救急搬送件数は過去5年間で最も多く、また県内の熱中症による死者数は、令和4年までの5年間の平均で人口10万人当たり1.5人と全国ワースト4位でありました。  県としても、熱中症対策の周知、県民個人への注意喚起、クーリングシェルターへの避難など自己防衛の周知に取り組む必要があると考えますが、竹内生活環境文化部長に御所見をお伺いいたします。  2024年1月施行の認知症基本法では、理念や施策において認知症に対する正しい知識や理解の増進を定められ、地方公共団体も施策を実施する責務を有するとされています。  今後の県としての取組について、認知症予防や理解促進には、実際の認知症の症状の深刻さをもっと県民に周知する必要を感じています。例えば、一例ではありますが実際の介護の現場では、認知症高齢者が汚損したパッドで自分の顔を拭ったり、排便した後、便器の中の自分の便を指で弄ぶ、弄便という行為を行う場面を目の当たりにすることもあります。こうした状況が自身にも起こり得ることに真剣に向き合い、理解していかなければなりません。  現在、薬の開発も世界的に行われていますが、やはり県民への周知や理解の促進こそが予防に向けた意識づけにつながると思います。有賀厚生部長に御所見をお伺いします。  要介護認定を受けた高齢者の家族の方から、特別養護老人ホームなどの介護施設に入所を希望しても、順番待ちで入所できないと聞きます。そんな県内の高齢者、いわゆる特養入所待機者の県内の現状はどのようになっているのでしょうか。他県の広域自治体では重要課題として取り組んでいるところも聞き及びますし、先般出馬表明をされた小池都知事は、最重要課題として公約に盛り込むともおっしゃっておられました。  介護施設に入所できない高齢者の問題について、近年の推移、傾向を踏まえ、今後の待機者解消に向けてどのように取り組まれるのか、有賀厚生部長にお伺いして大きい問い2を終わります。 19 ◯議長(山本 徹)竹内生活環境文化部長。    〔竹内延和生活環境文化部長登壇〕 20 ◯生活環境文化部長(竹内延和)熱中症対策についての御質問にお答えいたします。  御質問にもございましたが、昨年度、県内において平成27年以降で最多の772人の方が熱中症で緊急搬送されておりますが、今後も、地球温暖化の進行に伴いまして健康に係る被害がますます深刻になるというふうに懸念されます。
     こうした中、国では熱中症対策を強化するために気候変動適応法を改正し、重大な健康被害が生ずるおそれがある場合に環境大臣が熱中症特別警戒アラートを発令すること、また、特別警戒アラート発令時などに誰でも休息できる施設をクーリングシェルターとして市町村長が指定できることなど、熱中症予防や健康被害軽減のための措置を新たに盛り込み、本年4月に施行されたところです。  これら国の動きと連携し、県でも、熱中症特別警戒アラートが発令された場合には、県公式SNSなども活用して県民の皆様への周知に努めることとしておりますほか、県の関係部局や市町村担当課に速やかに情報が届くよう、一斉メールシステムを構築いたしました。また、厚生センターでも、県民から寄せられる熱中症の予防行動や応急処置方法などの相談に対応していくことを確認したところでございます。  さらに、これまで市町村に呼びかけてまいりましたクーリングシェルターの指定につきましては、今月11日時点で県内112か所が指定されておりまして、今後さらに追加指定されていく見込みとなっております。  今年の夏も猛暑が予想されており、熱中症予防や健康被害軽減に向けた確実な行動を県民の皆さんに促すことが重要と考えております。御指摘がありましたが、今後、熱中症特別警戒アラートやクーリングシェルターなど新たな仕組みの周知、そして、熱中症のリスクや対策を分かりやすく知っていただける普及啓発についても検討したいと考えております。  以上でございます。 21 ◯議長(山本 徹)有賀厚生部長。    〔有賀玲子厚生部長登壇〕 22 ◯厚生部長(有賀玲子)私からは、認知症についての御質問2点についてお答えいたします。  まず、認知症についての理解促進ということですが、現状として、本県の認知症高齢者は、2014年度に県が実施した調査では約5万人と推計されておりまして、2020年には約5万7,000人、2025年には約6万7,000人、2040年には約9万人、有病率27.8%と推計しております。  県では、県民が認知症の正しい知識や理解を深めるために、市町村と連携して認知症サポーターの養成に努めるとともに、認知症の日である9月21日に、認知症にやさしい地域づくり推進キャンペーンを、今年については高岡市内の大型ショッピングセンターで開催することとしております。キャンペーンでは、クイズやブース展示で認知症の人への接し方、支え方を学びつつ、VRで当事者の視点を体験するといったような形で理解を深めるように工夫をして実施していくところでございます。  また、運動不足の改善や生活習慣病の予防、社会参加による社会的孤立の解消や役割の保持等が認知症の発症を遅らせる可能性が示唆されているということから、県では、高齢者が集う通いの場にリハビリ専門職を派遣して運動機能維持に関する意識啓発を行うとともに、食生活改善推進連絡協議会と連携し、地域住民を対象にバランスのよい食事の摂取や低栄養予防に関する講習会を開催し、食生活の改善の普及啓発に努めているところです。  引き続き、こうした取組を進めてまいります。  次に、入所施設待機者についてでございます。  本県の特別養護老人ホームの入所待機者数は、平成25年にピークに達して2,153名となりましたが、その後は減少に転じておりまして、近年では1,800名から2,000名程度の間で推移、そして昨年4月の時点では1,698名となっております。  今年3月に策定いたしました第9期介護保険事業支援計画におきましては、介護予防の推進により要介護者の増加を極力抑えるとともに、身近な地域での介護サービスの普及など施設と在宅のバランスの取れた介護基盤の整備等により、特別養護老人ホームの待機者数について、ゼロを目指して減少させるということを目標にしております。  この目標達成に向けまして同計画においては、住み慣れた地域においてサービスを提供する小規模な特別養護老人ホームや認知症対応型グループホームの計画的な整備を推進するほか、訪問介護事業所や訪問看護ステーションなど在宅サービス基盤の整備の推進、さらには、中重度の在宅要介護者の在宅生活支援の強化のために小規模多機能型居宅介護事業所等の整備の推進に取り組むこととしております。  加えて、高齢者の生活機能の低下を予防し要介護状態にならないよう、あるいは状態が悪化しないよう、介護予防の普及啓発や介護予防活動の充実に取り組むということで、介護施設への入所待機者の解消に努めてまいります。  私からは以上です。 23 ◯議長(山本 徹)八嶋浩久議員。    〔19番八嶋浩久議員登壇〕 24 ◯19番(八嶋浩久)最後、大きい問い3、国際化を見据えた産業ビジョンからの質問です。  人口減少、県民100万人を割り込み、私からは、若い女性の県外流出が顕著になっている現状打開についてお伺いいたします。  私が聞いた範囲では、特に文系女子学生の県外流出が多いとのこと。富山県はものづくり産業が多いことから、理系の女子学生には就職先が確保できるケースがあります。  本年4月、射水の某倉庫会社に、Uターンでしたが文系女子学生が就職されました。十数年ぶりです。東京からは初めてということでございます。このことは、ほとんど絶妙のタイミング、マッチングでして、大半の文系の女子学生は、富山ではこれといった就職先が見つからず、なかなか厳しいとのことでした。  たとえ若い女性が県外に流出したとしても、しっかりと戻ってきてもらえるよう、本年度はどのように取り組まれるのでしょうか。3月の知事の記者会見では、不戦敗はなくしたいとのコメントも発表されており、危機感を持って取り組む必要があると考えます。  これまでの県の取組の効果をどう分析し、そして今後どのように取り組むのか新田知事にお伺いします。  本年、ホタルイカが空前の豊漁だった一方、シロエビ、カニ、富山湾の主力とも言えるブランド海産物が不漁です。今後、すしをメインに打ち出す富山県としてはダメージが大きく、おすし屋さん、飲食店、魚屋さんを含めた経済的な影響も懸念されるところです。断定はできませんが、やはり今回の地震による影響ではないかと想像しています。  そこで、近年の漁獲量と比較してどの程度不漁で、また今後の漁獲量確保に向け、補正予算も組んであるようですが、県としてどのように取り組むのか津田農林水産部長にお伺いいたします。  黒部・宇奈月キャニオンルートが地震の影響で本年度中の一般開放断念のニュースがあり、残念でなりません。そんな中、富山の魅力、海と山、2本柱の一つであります海に目を向けてみるのはどうでしょうか。世界で最も美しい湾クラブは加盟10周年を迎えます。昨年の11月議会、当時の竹内地方創生局長からも紹介がありました。  そこで、富山湾のブランド価値向上に向け、今年はどのような取組を予定しているのでしょうか。15日の新聞で、5万トン級のクルーズ船誘致に向け、県は海王岸壁で調査設計に取り組むとのグッドニュースも飛び込んできました。  これまでの活動を踏まえ、11年目以降の活動をどのように展開していくのでしょうか。湾岸地域の道路やマリーナは大きく被災しました。そろそろ海のシーズン。復興・復旧に向けて勇気づけられる取組に御期待申し上げ、蔵堀副知事に御所見をお伺いいたします。  一連の医薬品産業界の不正製造や、最近では健康サプリ紅こうじによる健康被害などが報道される中、現在、富山県では、県民、官民一体となって、信頼回復、復活を願い取り組んでおられることと思います。  先般2月に、残念ながらアクティブファーマへの行政処分、これは内部告発もあり特に悪い印象でした。その後、3月にキョクトウへの処分もありました。  富山県では信頼回復に真面目に貢献いただいている医薬品、健康食品製造企業も多く、今後輸出を伸ばしていこうと前向きな企業もある中、まだまだ厳しい状況にあると思います。また、厚労省のジェネリック医薬品政策にも翻弄されているような気もします。  富山の医薬品産業、健康食品産業、薬都富山の信頼回復、復活、あるいは成長産業育成に向けて、くすりのコンソーシアムの成果についても気になるところであります。  このため、県の薬事指導課には、医薬品産業の不正製造の再発防止徹底に取り組んでもらい、しっかりと足元を固めて、その上でコンソーシアムによるネットワークを最大限生かし、医薬・健康産業への投資を呼び込み、その先にある1兆円産業への育成に向けた取組にもつなげてもらいたいと思いますが、有賀厚生部長の御所見をお伺いします。  富山のお獅子について、昨年のブランディング対策特別委員会でも取り上げましたが、例えば射水市の百足獅子は全国的にも珍しく、てんぐが両手にたいまつを持って獅子と戦う「獅子殺し」などは勇壮で幻想的であり、このような獅子舞は全国でも珍しいとのことです。  そこで、もっと県外にPRすれば、大ブレークして県内誘客の目玉になる可能性があります。祭りを活用したインバウンド需要創出事業が観光庁事業に無事採択されたと聞いており、今後の展開にとても期待をしておるところでございます。  県としても、背中を押す何らかの売り込み等支援にどのように取り組むのか、田中地方創生局長に御所見をお伺いします。  今後も暑い日が続くと予想されますし、たつ年は地震があるということもあります。また、線状降水帯の発生や台風なども、いつ起こるか分かりません。何よりも富山県の災害が、日本の災害が起こらないことを願い、また御清聴に感謝申し上げ、質問を終わります。  ありがとうございました。 25 ◯議長(山本 徹)新田知事。    〔新田八朗知事登壇〕 26 ◯知事(新田八朗)若い女性の社会減についての御質問にお答えします。  就職期の女性に選ばれる企業となるためには、いろいろ議論の結果、経営者の意識がとても大切であるというふうに結論づけ、昨年度、経済団体のトップや経営者の皆様とセミナーなどを通じて危機意識を共有した上で、官民一体となって女性が活躍できる職場環境づくりに取り組んでまいりました。  また、進学前の中高生を対象に、将来のキャリア形成において多様な選択肢があることへ、言わば早めに気づきを促す、そのような交流会も開催しました。また、実務担当者によるワークショップ、企業への伴走支援型コンサルタント、とやま女性活躍企業の認定などを行っています。  これらの結果、様々な場面で女性活躍の機運が確実に高まりつつあると感じております。  今年度は、県外に進学した学生に県内企業の魅力を届けるために、就職セミナーや若手社員との交流会を開催いたします。また、就活ラインとやまを拡充しまして、これを活用していきます。県内で活躍する女性社員の動画や就活情報をプッシュ型で発信してまいります。  また、県外に旅立つ若者に対しては、富山とのつながりを感じられるように、「I'm Your Home.」プロジェクトを実施します。さらに、中高生向け交流会の回数を3回まで拡大して実施します。そして、複数の高校に県職員を派遣し、探究的な学習やキャリア教育の中で、人口減少、特に若い女性の社会減について考える機会を提供してまいります。  これらの取組により、議員御指摘の、製造業が多く文系女子の就職先がないといった思い込み、これを払拭していきたいと考えます。今後も経済界などと連携をして、就職期の女性に選ばれる富山県を目指してまいります。  3問目、私からは以上です。 27 ◯議長(山本 徹)蔵堀副知事。    〔蔵堀祐一副知事登壇〕 28 ◯副知事(蔵堀祐一)私からは、世界で最も美しい湾クラブに関する御質問にお答えをいたします。  世界で最も美しい湾クラブに加盟をいたします富山湾は、本県観光の大きな魅力の一つでございます。県では、富山湾を活用した多彩な取組を行います民間団体などへの支援を行いまして、官民が連携して富山湾周辺のにぎわい創出に努めております。また、民間組織、美しい富山湾クラブの会議にも参加し、本県の取組について広く周知を行いますなど、富山湾を活用した観光振興、それから環境保全に取り組んでまいりました。  今年1月に発生いたしました能登半島地震からの復興の思いも込めまして、「がんばろう、北陸!~サイクリングでつなぐ復興への絆~」をキャッチフレーズといたしました富山湾岸サイクリングを、4月に開催いたしております。  また、今年は富山湾の世界で最も美しい湾クラブ加盟10周年を迎えますことから、8月に、美しい富山湾クラブや関係団体と連携して、射水市においてジュニアヨットレースや海に親しむシンポジウムなどの記念行事を行うことといたしております。  あわせまして、11月にモロッコ・ダクラ湾で開催されます世界で最も美しい湾クラブ総会にも参加をして、富山湾の魅力を世界に広くPRしていきたいと考えております。  また、議員から御指摘もございましたけれども、震災で被害を受けました湾岸部の道路、それから港湾、漁港、マリーナの復旧にもしっかり取り組んでまいりますとともに、今後のクルーズ船誘致の促進に向けました岸壁機能の強化にも着手してまいります。  今後とも、富山湾の魅力、それから活用・保全の活動について積極的に情報発信を行いまして、富山湾のブランド価値向上につなげてまいります。  以上です。 29 ◯議長(山本 徹)津田農林水産部長。    〔津田康志農林水産部長登壇〕 30 ◯農林水産部長(津田康志)私からは、シロエビやベニズワイガニの不漁についての御質問にお答えいたします。  シロエビの漁獲量は、漁が解禁されました4月から5月までの2か月間で33トン、昨年比13%、平年比22%と大幅に減少しております。ベニズワイガニは震災後の1月から5月までで107トン、前年比74%、平年比50%と、こちらも減少し、特に新湊漁港での水揚げが減少しております。  県では、不漁となったシロエビとベニズワイガニの生息状況を調査しておりまして、シロエビにつきましては、今後の漁獲につながる幼生の数や大きさを調べる調査を、従来の岩瀬沖に加え新湊沖の海域でも11月までに計6回実施することとしております。ベニズワイガニにつきましても、来月にかけて、主に新湊漁協のかにかご漁業者の漁場などで一定面積当たりの生息数や大きさを調べる調査を実施いたします。  また、生息環境の調査としましては、5月から、富山湾の水深15から700メートルの74地点において、有機物量や生物量などの底質調査を実施しておりますが、今般、富山大学等でも富山湾環境調査が行われておりますので、相互の調査データを共有し活用を図ってまいります。  議員御指摘のとおり、シロエビとベニズワイガニの不漁は、漁業はもとより飲食業、流通業、観光業など幅広い分野にわたって影響があると認識しております。早期に調査結果を分析し漁業者へ情報提供することにより、漁獲量の回復につなげてまいります。  あわせて、8月に東京で開催されます北陸4県が連携した商談イベントに出展し、富山のさかなの魅力をアピールするとともに、栽培魚種としてのキジハタやアカムツなど、新たなブランド魚の創出にも取り組んでまいります。  以上でございます。 31 ◯議長(山本 徹)有賀厚生部長。    〔有賀玲子厚生部長登壇〕 32 ◯厚生部長(有賀玲子)私からは、医薬品産業についての御質問にお答えをいたします。  県では、GMP──製造管理、品質管理でございますけれども──これの調査体制を充実し指導を強化してきたところでございますけれども、改めて、再発防止と信頼回復のために、薬業連合会と連携協力し、企業倫理の醸成、法令遵守体制の整備などの取組を促進させる必要があると考えております。  これまで、経営層に対する講習会、品質担当者への参加型ワークショップ、製造管理・品質管理手法に関する県のGMP調査員と企業の意見交換会、こういったことを実施してきましたけれども、令和6年度は新たに、県内企業の従業員を対象としたGMPのeラーニング導入を支援しており、実施主体である薬業連合会からは、35社から698名分の申込みがあったというように聞いております。  また、「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアムにおいて、早期実用化が見込まれる大学等の研究シーズを発掘し、研究成果の実用化を伴走支援するとともに、医薬品業界が必要とする専門人材の育成に資するプログラムの構築に取り組んでおります。  今後とも、製造管理、品質管理体制の強化を着実に進めるとともに、各企業における製剤開発力や製造技術力の一層の強化、付加価値の高い医薬品の開発・製造、抗体医薬など新たな創薬分野への参入、また、それを支える専門人材の育成確保に、大学、薬業連合会と連携して取り組んでまいります。  以上です。 33 ◯議長(山本 徹)田中地方創生局長。    〔田中雅敏地方創生局長登壇〕 34 ◯地方創生局長(田中雅敏)私からは、観光政策における獅子舞の発信、誘客についての御質問にお答えいたします。  本県には、各地域に多彩で魅力ある祭りや行事が多数あります。県の観光振興プランにおきましても、祭り等の伝統文化など、富山の日常の幸せと上質な暮らしが多くの人に知られることにより、旅行者、滞在者、移住者が増加することを目指す将来像としておりまして、全国屈指の伝承数を誇る本県の獅子舞は魅力的なコンテンツであると考えております。  獅子舞を観光誘客につなげるためには、その魅力を国内外にしっかり発信することが重要と考えております。このため、これまでも県の観光公式サイト「とやま観光ナビ」に、県内の獅子舞の特徴や見どころなどをまとめた特集記事を掲載するなどの取組を行っております。  また、御指摘にもありましたけれども、観光庁の採択を受け6月補正予算案に計上いたしました、祭りを活用したインバウンド需要創出事業におきましては、祭りに加え獅子舞も対象とすることとしております。新たに制作する多言語に対応したブランディングサイトにおきまして、獅子舞のルーツや形態の違い、また各地の獅子舞の情報などを分かりやすく発信していきたいと考えております。  さらに、獅子舞の活用に当たりましては、地域の獅子舞が受け継がれていくことが重要であると考えております。そのため、この事業を通して、保存・継承につなげられるノウハウも積み重ねてまいりたいと考えております。  市町村や地域の皆様の御理解と御協力をいただきながら、獅子舞の魅力を国内外に発信するとともに、インバウンドを含めた観光誘客に活用できるよう取り組んでまいりたいと考えております。  以上です。 35 ◯議長(山本 徹)以上で八嶋浩久議員の質問は終了しました。  尾山謙二郎議員。    〔2番尾山謙二郎議員登壇〕 36 ◯2番(尾山謙二郎)皆様こんにちは。自民党新令和会の尾山謙二郎です。本日は質問の機会を頂きまして、ありがとうございます。  能登地震から始まって内政、外交、安全保障と、今、この国の大きな課題は山積でありますが、その多くが我々地域の人間に非常に密接に結びついた課題だというふうに感じております。国の方針に地域の我々の生活がのまれることがないように、しっかりと地域でいろんな議論をし、場合によっては国にしっかりいろんなことを働きかけていく、そんなことが必要かと思い、本日は6問の質問をさせていただきたいと思っております。  まず1つ目であります。働き方改革について御質問させていただきます。  日本の高度成長期を支えてきたのは、がむしゃらに働いてきた私たちの親世代の労働者の方々でした。労働時間が長い猛烈社員がもてはやされる一方で、特にバブル崩壊後は基本給を抑え、残業代で所得を増やすいびつな給与体系が定着し、長時間労働で働くことが是であるという労働観が広がってまいりました。  ところが、2013年、国連の社会権規約委員会が日本政府に対して長時間労働の是正に対する勧告を行ったことで、国際基準に照らし合わせると日本の労働時間の長さが突出していることが明らかになりました。そして2015年に、大手広告代理店の女性社員の方が長時間労働から来る過労で鬱病を発症し、自死に至るという大変痛ましい事件が発生し、長時間労働は重要な社会問題としての認知を高めることとなりました。  その後、二度とこのような犠牲者を出さないとの強い決意により、政府主導の下、働き方改革が進められてまいりました。そして、長時間労働を是とする労働慣習と決別し、ワーク・ライフ・バランスを重んじることで、より人間らしく人生を過ごすことを目的として、70年ぶりの労働法の大改正が行われました。これにより、労働者のウェルビーイングが高まることが期待されているところであります。  この働き方改革関連法は11の変更点から成りますが、その中で最も大きなインパクトがあるのが時間外労働の上限規制の導入です。従前の厚生労働大臣の告示、いわゆる行政指導による時間外労働の上限時間を改めて法律に定め、罰則規定を明確化し、その責を企業側に負わせるという制度へと転換を図ったものであります。  この法制化のきっかけは、さきにお示ししたとおり、将来ある若い女性の貴い命が失われたことでありますが、そこには長時間労働だけではなく、日本の労働環境が抱える複合的な問題が介在していると言われています。自らが意図した労働時間を超えて働かなければならない労働慣習、心身に変調を来す前に転職を可能とする柔軟性のある労働観、そして転職メカニズムなどの欠如であります。  このたびの改革で、本人の意図しない労働時間を強制されることが原則なくなりました。また、政府が推進するリスキリングを奨励する制度も少なからず整うことで、転職に対する柔軟な労働観とメカニズムを醸成しつつあります。  一方で、この法制化には幾つかの問題点があります。まずは長時間働きたい人が働けなくなったということです。厚労省が2019年に定めた働き方改革の定義には、「働き方改革とは、働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で選択できるようにするための改革」とあります。個々の事情には当然経済的事情も含まれますが、少しでも多く稼がなければならないという事情を持った労働者が困惑する事態が起こっています。手取りベースで月収が10万円減ってしまって生活に支障があるという方も少なくありません。
     また、DX化するための投資が困難であり、折からの人手不足の中、少ない労働者を最大限に活用することで生産性を維持してきた資本力の乏しい中小・小規模事業所の中には、労働倒産と向き合わなければならない経営者もたくさんいます。また、労働集約型産業のとりわけサービス業においてDX化の余地は少なく、労働生産性イコール労働時間というのが実態であります。業種、業態の持つ特性や事業所の規模などを勘案せず一律で進めるこの改革は、地域経済を支える中小・小規模事業所の体力と、そこに働く人たちの体力を確実に奪っていくでしょう。  この働き方改革は、一体誰のための改革なのでしょうか。ものづくりを行う資本力の強大な大企業と、十分な所得があり豊かな暮らしを送る労働者のための改革なのではないでしょうか。  本来、どのように働くかというのは、本人の意思に基づいて決定され、それが最大限尊重されることが自由主義社会においては最も自然なことであり、大切にされることなのではないでしょうか。頑張りたい人が頑張れる社会、そしてその頑張りが報われる社会、この仕組みがない社会は必ず活力が失われ、衰退の一途をたどるでしょう。  そこで、地域経済の担い手である中小・小規模事業所の健全な発展のためにも、意欲のある働き手のためにも、働き方改革関連法の規制緩和を国に強く働きかけていただけないでしょうか。新田知事にその御所見を伺います。  2つ目であります。子供の政策について2つ御質問させていただきます。  1つ目、いじめに対する行政アプローチについてです。  我が県の学校におけるいじめの認知件数が増えています。令和4年度の我が県におけるいじめの認知件数は1,963件で、前年度に比べ400件余り増え、過去10年で最も多くなっています。特にSNSでの誹謗中傷などのネットを介したいじめが増加傾向にあり、このうち、いじめによる不登校などの重大事態は11件でありました。  先月末、県で行われたいじめ問題対策連絡会議において、会議の出席者からは、「重大事態が発生しているのに、学校の内部で処理をしてしまっている。検証をオープンに進めてほしい」などの重大事態の報告への対応を求める意見が出ていたと聞いています。それに対し県教育委員会では、「いじめ対策としてスクールカウンセラーのスーパーバイザーを派遣するなどの相談体制の充実を図る」としています。  私ごとではありますが、昨年、とあるいじめの重大事態に関わらせていただく機会がありました。その中で痛切に感じたのは、教育現場の最前線で生徒に関わる先生の多くが業務多忙により余裕がなく、気持ちがあってもいじめの案件に注力することが難しいという実態があるということです。  いじめは、生徒のその後の人生を大きく左右しかねないデリケートな案件であり、生徒自身の命に関わってくる場合もあります。その防止と解決には、長い時間と強い情熱、そして専門的なアプローチが必要であります。しかし、残念ながら今の学校現場にそのマンパワーが不足しており、十分な対応ができているとは言えない状況です。  先日、我が会派で、大阪の寝屋川市が取り組んでいる、いじめゼロに向けた新アプローチ、いわゆる「寝屋川モデル」を視察してまいりました。寝屋川市で発生したいじめ事案は100%このモデルで解決済みという驚異的な実効力を持った仕組みであります。このモデルでは、教育委員会が行う従来の教育的アプローチに加え、市長部局に監察課といういじめ案件に専門的に取り組むチームを設けて、行政的アプローチを同時に行うものであります。  この行政的アプローチは、いじめを人権問題として捉え、人権を侵害する行為の即時停止を目的としており、教育委員会が行う教育的な指導による人間関係の再構築を目的としたアプローチとは一線を画するものであります。  学校の立場からすると、いじめている側もいじめられている側もともに大切な生徒であるため、調査と事実認定に細心の注意を払う必要があり、短期間での解決に結びつけることが困難であります。そのため、時間が経過することで、いじめが重大事態に発展するおそれがあります。  寝屋川モデルにおける行政的アプローチの手法は、監察課の専門チームが客観的な立場で介入することにより、早い段階で「加害生徒」、「被害生徒」という概念で人間関係を整理するなど、いじめの事実認定を最短距離で行うことが可能であり、重大事態へと発展する前に迅速に解決の道筋をつけることを実現しています。  いじめは重大な人権侵害です。ところが我が国の法律では、人の体を傷つけると傷害罪になりますが、人の心を傷つけても傷害罪にはなりません。体の傷は治りますが、心の傷は一生残ります。罪刑法定主義のはざまで苦しんでいる生徒やその家族が多くおられます。また、いじめが原因で失われる命があることは、社会として決して許容していいものではありません。  国は平成25年にいじめ防止対策推進法を施行し、その法律に従い、我が県でも富山県いじめ防止基本方針が策定され、教育現場におけるいじめ防止に取り組んでいるところですが、これらの枠組みには、いじめの定義と調査・報告の手法が示されているだけで、介入や解決の具体的な方法論の記述はありません。救わなくてはならない命が今この瞬間に目の前にあるのです。発生した事案に対しスピーディーに対応し、人権侵害がもたらす不幸な影響を最小化する仕組みがあるとすれば、導入しない手はありません。  寝屋川市は、人口約22万5,000人の中規模の基礎自治体であります。行政的アプローチの仕組みは、現場に近い市町村に設置することで機動力を発揮できます。ただし、小規模な自治体では個人の特定が容易に可能で、いじめ被害者である生徒やその家族がプライバシーの漏えいを恐れ、相談することをためらうことが考えられます。また、寝屋川モデルにおける監察課のマンパワーに求められる専門性や均質性などを考慮すると、基礎自治体ではなく県で主導していくことが望ましいと考えられます。  そこで、県における行政アプローチのための対策本部を設置し、県下の市町村と共に、その規模や実態に合わせた細やかな組織づくりを行うことにより、より効果を発揮できる仕組みづくりを実現できると考えます。  重ねて申し上げます。いじめは極めて卑劣な人権侵害であります。未来を担う子供たちが被害者、加害者のどちらにもならないよう、我々大人が愛情と強い決意を持って踏み込んだ対応を取ることが求められると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。  2つ目であります。中学校で使用する教科書の採択についてお尋ねいたします。  私は昨年度の9月と2月議会の予算特別委員会において、県下中学校で使用されている現行の教科書、歴史、公民について取り上げさせていただきました。その際に、現在採択され使用されている帝国書院の教科書と採択されていない育鵬社の教科書において、幾つかのテーマを両者がどのような視点で論じているかをお示しいたしました。  例えば、「戦後の我が国の平和に貢献したのは平和主義に基づく憲法9条である」と思想から論じる帝国書院、それに対し、「自衛隊とアメリカの軍事的なプレゼンスが我が国の平和を守ってきた」と実行力で論じる育鵬社。どちらの考えも間違ってはいないと思いますが、史実や状況を一つの視点で捉えているにすぎません。  将来、子供たちが国際社会で生き抜いていくためには、単純な一面からではなく、様々な角度から多面的に物事を捉える感性とスキルが必要なのではないでしょうか。現在子供たちが使用している教科書だけでは、その感性とスキルを育む上では問題があると考えます。  教科書の採択権限は、一義的には市教育委員会にありますが、それに当たり、県教育委員会が指導や助言を行うことができるとされています。その際に、県教育委員会からの諮問に対して教科用図書選定審議会が答申を行い、指導助言はその答申に基づくとされています。  そこで、適正な教科書採択に向けてどのような諮問を行っているのか、廣島教育長にお尋ねをいたします。  4番目であります。人口減少社会における地域コミュニティーの維持についてお尋ねいたします。  戦後、我が国の地域コミュニティーは、自治会に始まり、民生委員、消防分団など、自助、共助の精神に基づく相互扶助により成り立ってまいりました。決して豊かとは言えない時代だったからこそ、互いに肩を寄せ合い、助け合うことで安心して暮らすことができたのです。  その後、高度経済成長を経て、我が国は豊かになり、成熟した社会へと変化をしてまいりました。国民の暮らしが豊かになり、価値観が多様化することで個と社会の関わり方も変わり、人と人が以前のように濃密に関わらなくても、おのおのの暮らしが成り立つようになってまいりました。  そのような中、伝統的な価値観で構成されてきた地域コミュニティーは徐々に力を失い、次世代の担い手も不足する事態に陥っています。長期にわたり停滞してきた経済環境の下、自らの生計を立てることで精いっぱいの人がますます増え、善意に基づく任意で原則無償、かつ感謝をなかなかされにくくなった活動に、進んで身を投じたい人が減るのは止めようのないことなのではないでしょうか。  一方、自治会などの運営には改善すべき点も多く見られます。自治会は昭和の時代に発足したものがほとんどで、その組織や事業の内容の多くは、多世代が同居し専業主婦がいる家庭、磯野家モデル、いわゆるサザエさんモデルを想定して決められています。長寿の祝い、児童会への補助、女性部の活動など、現代社会の家族構成に照らし合わせると、必ずしもそぐわないものもあります。  その傍ら、住民の自治会への加入率は低下傾向にあり、地方で8割から9割、都会では6割から7割と言われています。加入率が5割を切るようなことになると、その存在価値も問われることになるでしょう。  我が県の人口も100万人を割り込む中で、地域コミュニティーを支える人材の不足にも目を向けていかなければなりません。新しい時代に適合した地域コミュニティーの形を示し、人や社会のお役に立ちたいという善意を大切にしながらも、組織の維持発展のためには、活動に対する金銭的な支援や税制控除などのインセンティブの付与など、抜本的な見直しが必要と考えます。  県におきましては、新田知事を本部長として、全ての部局長の幹部の皆様で人口未来構想本部を立ち上げ、年度内には新たな人口ビジョン案も作成されると伺っております。地域コミュニティーの維持に向けた議論もぜひ行っていただき、構想案にしっかりとしたビジョンをお示しいただきたいと存じます。人口未来構想本部の事務局長である田中地方創生局長にその意気込みをお伺いいたします。  5つ目であります。県内におけるクレジットカードの不正利用についてです。  私ごとでありますが、最近、クレジットカードの不正利用で大変嫌な思いをいたしました。4月29日、アマゾンで4万円のアマゾンギフトカードが160万円分、私のクレジットカードで購入されたという通知をパソコンで発見いたしました。大変驚き、すぐにカード会社に連絡をし、カードの利用停止の措置を取ってもらうと同時に、アマゾンに連絡をして、身に覚えない取引が私のクレジットカードを通して行われていることについて調査を依頼いたしました。  数日後、アマゾンからメールで返信があり、不正利用は確認できませんでしたという回答が来ました。その回答に納得のいかない私はアマゾンのカスタマーセンターに電話をいたしました。取引の不当性を改めて訴え、再調査を依頼いたしました。5日後にメールで届いたアマゾンの回答は、今回は調査の結果、不正利用が発見されたので、購入は全て取り消しますというものでありました。結果的には事なきを得たのですが、残念ながら私の今年のゴールデンウイークはあまり楽しくないものとなりました。  後から、それはフィッシングという手口であることが分かりました。金融機関、電力会社、宅配業者など様々な肩書を語り、巧妙な誘導でクレジットナンバーなどの個人情報を入力させ、不正利用で利益を得る手口であります。この数年間で激増しているということであります。問題は、それらのメールの内容がその会社のロゴなどを使用して本物と見間違うような内容になっているということであります。ある程度の予備知識がなければ、簡単に引っかかってしまう可能性がある巧妙なわなであります。現状では自己責任で被害を防ぐことしか方法がないようですが、本当にそれでいいのでしょうか。  最新の調査によると、高齢者のスマートフォンの所有率は80代全般で6割超にもなっています。若い人でも簡単に引っかかってしまうこれらのわなに対する耐性は、高齢者においてはさらに低いものなのではないでしょうか。私は声を上げたことで実害を防げましたが、中には泣き寝入りをしてしまう方もおられることでしょう。社会としてこの卑劣なわなを野放しにすべきではないと考えます。  そこで、県内におけるフィッシング等のサイバー犯罪被害の実態と今後の防止に向けた取組の指針について、石井警察本部長にお尋ねをいたします。  最後であります。戦後80年の節目についてお尋ねをいたします。  来年2025年は終戦から80年という節目の年であります。この80年で、日本は戦後の悲惨な状況から立ち上がり、力強く発展を遂げ、我々の暮らしは豊かになりました。これもひとえに、先人の皆様方の並々ならぬ御努力のたまものであります。節目の年を迎えるに当たり、改めて心から敬意と感謝をささげたいと存じます。  さきの大戦で我々日本人は多くのものを失いました。再びあのような戦禍に見舞われないためにも、その悲惨さを後世に伝えていかなければなりません。  しかし、80年という時間の経過は確実に戦争を風化させています。遺族会、語る会などの会員の方々の高齢化も相まって、社会における戦争に対する意識が近年、急速に希薄化していると感じます。田中角栄元総理が、「戦争を知っているやつが生きている限り、日本は安全だ」と生前おっしゃったそうです。戦争は絶対に起こしてはいけません。戦争の先に失われるもの、犠牲になるもの、その損失は計り知れないものがあります。  富山県においては、新湊町中町──現射水市──をはじめ、富山市においても市街地の99.5%を焼き尽くし、被災された方、およそ11万人、亡くなられた方が2,700人を超え、地方都市の爆撃被害としては人口比で最も多くの犠牲者を出した筆舌に尽くしがたい過去があります。  戦争が民衆の生活に及ぼす凄惨さを、色あせることなく後世に伝えていくことが、戦を起こさないための社会意識の醸成につながり、何よりも現世に生きる我々が取り組まなければならない課題だと思います。戦後80年に向けての取組について有賀厚生部長にお尋ねをして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。 37 ◯議長(山本 徹)新田知事。    〔新田八朗知事登壇〕 38 ◯知事(新田八朗)尾山謙二郎議員の御質問にお答えします。  まず、働き方改革についての御質問にお答えします。  県内で働き、暮らす全ての方々のウェルビーイング向上を図るためには、長時間労働の削減や労働生産性の向上などを通じて多様な働き方を選択でき、健康で豊かに生きていける社会を実現する働き方改革を推進することが大切だと考えます。  こうした中で、2019年に施行された働き方改革関連法により時間外労働の上限規制が導入され、本年4月からは、猶予期間を経て、建設業、自動車運送業、医師にもこの規制が適用されたところです。  県としては、同法の趣旨をしっかりと受け止め、地域経済の担い手である中小・小規模事業所で働く方々が、長時間労働を削減しつつ、労働生産性を高め、収入を確保できる環境を整えることが重要であると認識しています。  このため、生産性向上に向けて、中小企業トランスフォーメーション補助金によるDX・GX推進支援、賃上げサポート補助金による賃上げと設備投資への支援、リスキリング補助金拡充による人的投資への支援を積極的に推進してきました。併せて中小企業の労務費などの適切な価格転嫁の実現に向けた環境整備など、多角的な取組を展開しております。  これらの働き方改革や賃上げの取組が広く浸透し実を結ぶまでには、一定の時間を要すると認識をしております。議員御指摘の時間外労働の上限規制による収入の減少の問題についても、もうしばらく注視する必要があろうかというふうに思います。  ただ、議員も経営者でもあられるというふうに理解しておりますが、長時間労働なのか、あるいは収入減少なのかという二項対立に陥ってはいけないというふうに思います。そこに最適な解を官民共に目指していければというふうに考えております。  次に、いじめの対応についての御質問にお答えします。  いじめに悩む子供や家族を学校外の立場からアプローチすることは、学校や教育委員会の取組と相まって、いじめの長期化、重大化の防止につながると考えます。  県のいじめなどの相談機関としては幾つかありますが、まず県総合教育センターでは、相談者と面談を行い、迅速に県立学校や市町村教育委員会に伝えるとともに、必要に応じてスクールカウンセラーを派遣しています。  また、次は知事部局の一部門ですが、児童相談所では、いじめ問題を含む家庭養育相談を行いまして、必要に応じて医療や福祉などの関係機関と連携して対応しています。さらに、子ども・若者総合相談センターでは、いじめや不登校などの子供や家族の不安に対し、一時的な受皿となって支援機関の紹介や助言などを行っています。  さらに、これら3つの相談機関と県警少年サポートセンターの4つの機関を集約して、令和7年度開設予定のこども総合サポートプラザ──まだ仮称ですけれども──では、各相談機関の強みを生かし、いじめ問題の背景にある複合的な問題を弁護士などの専門家に相談できる体制を整備します。そして、家庭や学校などに直接出向き、問題解決に向けた支援を行うことにしています。  今後さらに、市町村の首長の部局に対して議員御指摘の寝屋川市の事例も紹介をし、市町村とも連携しながら、いじめ問題に適切に対応していくことにしています。  また、こども総合サポートプラザの整備に当たっては、さきの2月議会で新令和会から御紹介のありました福岡県いじめレスキューセンターの事例も参考として、今後運営体制を確立していく上で検討の一環としてまいりたいと考えております。  私からは以上です。 39 ◯議長(山本 徹)廣島教育長。    〔廣島伸一教育長登壇〕 40 ◯教育長(廣島伸一)私からは、県の教科用図書選定審議会に関する質問にお答えいたします。  議員からも御紹介ございましたが、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律、これには、県教育委員会は市町村の教育委員会が行う教科書採択に対し、適切な指導、助言、援助ができるとされております。また、これを行う場合は、あらかじめ教科用図書選定審議会の意見を聞かなければならないとされておるところでございます。そして、この選定審議会の所掌事務を定めましたこの法律の施行令におきましては、選定審議会は、都道府県教育委員会の諮問に応じ、市町村教育委員会が行う教科書の採択に関する事務について、3つございますが、1つは採択基準の作成、2つ目に選定に必要な資料の作成、3つ目にその他指導、助言または援助に関する重要事項等を調査審議し、必要と認めるときは都道府県教育委員会に建議すると規定されているところでございます。  こうした仕組みに基づきまして、これまで県教育委員会では、市町村教育委員会が児童生徒の実態、また地域の実情を踏まえ適切な教科書採択が行えますよう、採択基準と選定に必要な資料、この2点について県教科用図書選定審議会の意見を求めてきております。  諮問の内容でございますが、昨年度を例に取りますと、まず採択基準につきましては、教科書の採択権限の所在とか同一教科書の採択期間の規定など採択に関する法的事項、これが1つ目です。2つ目に教科用図書採択の公正確保の徹底などの、法定事項と運用事項の2項目につきまして、県教育委員会の案を付して意見を頂いております。  次に、選定に必要な資料になりますが、こちらのほうは、市町村教育委員会が教科書を採択するに当たり、より具体的な参考となるよう、対象となる全ての教科書について所見を取りまとめ、資料として作成いただくよう、審議会のほうに依頼しているところでございます。  以上でございます。 41 ◯議長(山本 徹)田中地方創生局長。    〔田中雅敏地方創生局長登壇〕 42 ◯地方創生局長(田中雅敏)私からは、地域コミュニティーの維持についての質問にお答えいたします。  地域コミュニティーの維持活性化は、住民主体の地域づくりを進めていく上でもその基盤となることから、非常に重要なものと認識しており、基礎自治体である市町村と共に、県としてもその活動を支援してきたところでございます。  一方、現在、人口減少や若者の割合が減少し続ける人口構成の大きな変化に加えまして、若年層における地域への関心やつながりの希薄化など様々な要因によりまして、地域コミュニティーの維持において重要な役割を担う自治会活動、消防分団、民生委員、さらには祭りなど、広範な活動分野で担い手不足が課題となっております。  このような中、本年4月に設置いたしました富山県人口未来構想本部におきましては、人口減少を抑制する対策に加えまして、人口減少下においても社会を維持していくための対策についても今後議論することとしております。  この人口未来構想本部における議論や、県議会はじめ皆様からの御意見を踏まえながら今後の施策を進めていくことになりますが、市町村と連携協力して取り組むことや国へ要望していくことなども含めまして、人口減少下における地域コミュニティーの維持活性化に向けて、様々な観点から大胆な発想かつ部局横断で知恵を出しまして、これまでの視点にとらわれず新たな施策を生み出せるよう議論を進めてまいりたいというふうに考えております。  以上です。 43 ◯議長(山本 徹)石井警察本部長。    〔石井敬千警察本部長登壇〕 44 ◯警察本部長(石井敬千)私からは、フィッシングによるクレジットカードの不正利用についてお答えいたします。  クレジットカードの不正利用につきましては、日本クレジット協会によりますと、昨年の被害額は全国で約540億円と過去最多になっており、県警への相談についても、令和5年は195件、被害額2,500万円、本年は5月末現在の暫定値で107件、被害額約1,000万円と増加傾向にあります。  被害の多くはクレジットカード番号盗用によるもので、実在する企業、団体、官公庁を装うメール等でフィッシングサイトへ誘導され、カード番号などを盗み取られる事案も発生しております。  こうした情勢を踏まえて、警察庁では本年3月に、金融業界、電子商取引業界、法曹、学術、セキュリティー関係団体など、部外有識者から成る「キャッシュレス社会の安全・安心の確保に関する検討会」におきまして、被害に遭わない環境整備や警察の対処能力の向上など様々な対策──SMSの受信を拒否するであるとか電子商取引における本人認証を強化するなど、様々な対策を検討した報告書をまとめておりまして、こうした議論も踏まえて、県警としてもさらなる対策を推進する必要があると考えております。  具体的には、警察で把握したフィッシングサイトのURL情報を集約し、セキュリティー関連事業者などに提供して閲覧防止対策を推進するほか、個人向けにはメールやSMSに記載されたリンクをクリックしない、カード利用履歴を随時確認するなど、フィッシングの手口や対策を内容とする注意喚起を動画やメールで配信、サイバーセキュリティー研修会など各種会合を通じて関係機関・団体とも連携しながら実施しております。  今後とも、サイバー空間での手口が増えている特殊詐欺やSNS型投資、ロマンス詐欺の対策も併せて、本年度導入予定の安全・安心アプリやデジタルサイネージなど様々な広報媒体を用いた注意喚起を継続するとともに、サイバー事案に関する全国統一の警察庁オンライン受付窓口、あるいは警察相談専用電話#9110などの相談方法の周知を図るなど、県民のディフェンス力を強化する取組を推進してまいります。 45 ◯議長(山本 徹)有賀厚生部長。    〔有賀玲子厚生部長登壇〕 46 ◯厚生部長(有賀玲子)戦後80周年の節目に向けた取組についてお答えいたします。  御指摘のとおり、悲惨な戦争の体験と記憶を風化させず、平和の尊さを次世代に語り継いでいくことが、私たちの重要な使命と考えております。  これまでも、昭和38年以来、毎年8月15日に県戦没者追悼式を継続開催し、さきの大戦で亡くなられた戦没者の御冥福をお祈りするほか、戦争の悲惨さを伝えていくため、戦後50年の平成7年から、戦時下の暮らしや富山大空襲に関する資料などを展示する戦時下の暮らし展の開催や、小中学校への戦争体験者による語り部派遣など、戦争体験談や平和への思いを語り伝える事業に取り組んでおります。  また、県遺族会からの要望を受け、戦後80年の節目に向けた整備として、戦争の悲惨さと平和の尊さのシンボルで次世代に伝える重要な施設である富山県忠霊塔について、昨年度は外壁等の改修を終え、今年度は駐車場の拡張整備を行っているところです。  戦後80年の節目となる来年度の戦時下の暮らし展の実施に向けまして、今年度はコロナ禍で中止していた語り部講演を復活し、来年度には若い世代に対象を広げて実施することができないか等、開催方法の拡充を検討していきたいというふうに考えております。  今後とも戦争体験等を継承する事業に取り組み、戦争を二度と繰り返さないための社会意識の醸成に努めてまいります。 47 ◯議長(山本 徹)以上で尾山謙二郎議員の質問は終了しました。  暫時休憩いたします。  午前11時35分休憩       ───────────────────
     午後1時00分開議 48 ◯副議長(井上 学)休憩前に引き続き会議を開きます。  岡崎信也議員。    〔21番岡崎信也議員登壇〕 49 ◯21番(岡崎信也)皆さんこんにちは。立憲民主党の岡崎でございます。  井上副議長には、初仕事ということで、御就任おめでとうでございます。どうかしっかり私を見守ってください。私も全力で頑張らせていただきたいと思います。  それでは早速ですが、立憲民主党より6月補正予算案件並びに県政一般に関する質疑を行います。  さて、日本の人口は減少の一途をたどり、富山県においても人口100万人を切りました。一方で、世界人口は2022年に80億人を突破し、欧米、アジアを中心に増加をしています。  相関関係にあるのは実質賃金であり、欧米諸国が1992年からの30年間で30%伸ばしたのに対して、日本は僅か3%でしかありません。この環境の中で結婚や子育てに展望を抱くのは非常に難しく、少子化が顕著になっているのは至極当然のことではないでしょうか。  この間の政策は企業利益を一番に据えて展開され、企業が潤えば全てが潤うとされたトリクルダウンでしたが、労働者の賃金は改善されなかったばかりか、不安定な非正規労働者を倍増させました。円安、物価高騰の中、実質賃金引上げが行われていますが、賃金引上げの一番の課題となっている価格転嫁は進まず、相変わらずの弱肉強食の世界が垣間見えます。  また、企業と密接になっている構図が裏金問題を引き起こし、現在、国会では、政治資金規正法の改正をめぐり激しい論戦が展開をされています。先ほどの報道では明日が山場になるようでございますが、ぜひ国民の期待に応える分かりやすい結論を出していただきたいものだと考えています。  労働時間短縮を進める働き方改革も、長時間労働削減のため労使で進められていますが、簡単に解決することができない状況にあります。  教員職場の時短については、過労死も発生していることから早期の改善策が必要ですが、中教審の答申は、給特法上の定率上乗せといった教員の時短を求める思惑に対して的外れなものになっています。時短と逆行した定額働かせ放題対策であり、人が大事にされていません。  こうした課題解決には、小手先の改善ではなく、生活という当たり前の人の営みに焦点を当て、人に優しい政治を実行することが求められています。利益ではなく、人に的を当てるということであります。  県政も災害からの復興など様々な課題が山積していますが、安心・安全で当たり前に暮らせる県、そうした県民生活を大切にする県政を着実に進める、そうした思いを持って質疑をしてまいりたいというふうに思います。  まず問い1といたしまして、物価高対策としての賃金引上げについてでございます。  大手企業においては賃金の引上げが進むものの、中小企業では厳しい経営状況にあり、大手との格差が広がっています。  連合が6月3日時点の回答状況を集計したところ、平均の賃金引上げ率は5.08%となり、大企業と比べて中小企業が低い傾向が続いています。このうち従業員300人未満の中小企業は率にして4.45%となっており、企業規模が小さいほど格差が広がっていると推測ができます。  実質賃金が過去最長の25か月連続でマイナスとなっている中、物価高騰対策、生活改善策として、中小企業や労働組合のない企業も含めてこれに見合った賃上げが必要です。  一方で、賃金引上げの一番の課題と言える価格転嫁については、交渉を経て価格転嫁を実現しても、数か月後に突然取引を解消され倒産に至るといった事例が発生しています。また、公正取引委員会から価格転嫁について問題があると指摘される企業もあり、強い者が弱い者を踏み台にする構図は変わっておりません。  このような中、知事がこの間推進してこられたパートナーシップ構築宣言は、企業の信頼関係を深めるものと理解をしておりますが、賃金引上げや価格転嫁に向けて県として今後どのように取り組んでいくのか、この間の賃金引上げや価格転嫁の現状と併せて新田知事にお聞きをいたします。  続きまして、問い2といたしまして、女性活躍の推進や働き方改革についてお伺いをします。  まず1番目として、女性が働きやすい職場環境の整備についてでございます。  女性からお話を伺うと、今後の結婚や出産を考えると今の職場に復帰できるのか不安であるという声をよくお聞きいたします。育児によるキャリアの寸断が不安材料になっています。男女ともに育むという環境整備が必要です。  県は、人口減少の観点から女性の県外流出に着目し、女性の働きやすい職場環境を整備しようとされていますが、そのことは、男性中心の職場環境や男性の長時間労働が大きく影響していることを強く意識するべきであります。男性の長時間労働を改善して、男女ともに仕事と家庭を両立できるようになる取組を通じて、女性が働きやすく住みやすい県となり、ひいては女性の県外流出を防いでいくことにつながるのではないかと考えます。  そこで、女性が働きやすい職場環境の整備を進めるため、男女ともに仕事と家庭を両立できるように企業には長時間労働の是正を地道に求めていくべきと考えますが、知事に所見をお聞きいたします。  次に、教員の労働時間短縮についてお伺いをします。  先般の中央教育審議会は、特別部会で審議を取りまとめの上、教職調整額の率の引上げを示しましたが、労働時間短縮を求める教職員団体は定額働かせ放題に陥る可能性を指摘し、強い反対の意思を示しています。  労働時間短縮には、教育環境の充実と教員の負担軽減を両面から推進するため、少人数学級を中学校まで早急に整備するなど教員の人員増が必要です。少人数学級は、現状では中学校においては1学年のみであり、2学年で再度学級編制を行うことを考えれば効果が出にくい状況であります。このことは、少人数でしっかりと育むことや教員の負担軽減の両面から推進する必要があります。  2016年に発生した教員過労死は忘れてはならない事件であり、二度と教員の過労死を起こさない対策が必要です。教員の労働時間短縮に向け今後どのように取り組んでいくのか、これまでの対応状況と併せて廣島教育長にお聞きをいたします。  次に、県立中央病院に勤務する職員の処遇改善についてお聞きをいたします。  厚生労働省は、医療従事者の賃上げに向けた取組を含む診療報酬改定を、本年6月1日から適用しています。県立中央病院においても、6月より利用者が負担する診療報酬の引上げに踏み切ったところであり、これに応じた賃金の引上げ、2年間で4.5%が求められることになります。  人事委員会は、4月分の給与を基準とした民間賃金実態調査を6月14日までに報告するよう協力を求めています。これでは、厚生労働省が求める6月以降の賃金引上げが含まれないことや、医療職場に特化した調査でないことから、診療報酬の引上げ額を確定することは難しいとする見解もあります。  県立中央病院は、地域医療の中心的役割を果たし、県民に高度な医療を提供する公的病院であり、県内の公的病院、民間病院従事者の給与水準の参考にもされているところでもあります。県が率先して行うことが、医療の人員確保や処遇改善、働きやすい職場につながると考えます。  そこで、県立中央病院に勤務する職員の処遇改善について、令和6年度診療報酬改定を踏まえどのように取り組むのか、所見を南里経営管理部長にお聞きをいたします。  続いて問い3といたしまして、能登半島地震の経験を踏まえた今後についてお聞きをいたします。  能登半島地震については今なお継続し、去る6月3日には震度5強の地震が発生したところでもあります。今後も年単位でマグニチュード6から7の地震が起こる可能性が指摘をされています。このことから、能登半島地震で得た教訓を検証して、避難方法や避難所施設の機能強化を進める必要があると考えます。  5月17日に会派として輪島市を視察しましたが、道路や法面の崩壊、倒壊した家屋、大規模火災で焼失した瓦礫など、被害の大きさを痛感いたしました。また、避難所の施設運営に携わる皆さんからは、富山県では経験しなかった停電や火災など、被災直後や時間を経ていく中で体験されたことや運営の御苦労をお聞きすることができました。これらを踏まえて、現状からの復興、そして備えておくべきことについて質疑をしてまいります。  まず、今回の地震の既存断層への影響や新たな活断層の調査についてお聞きをします。  去る6月3日に発生した震度5強の地震は、1月1日の能登半島地震とは異なる断層が動いた可能性が指摘をされています。日本は地震の活性期に入っていると危機感を持ち、既存断層への影響や新たな活断層の調査に積極的に取り組む必要があります。続発する能登半島地震に対応するため、今回の地震における既存断層への影響や新たな活断層の調査に積極的に取り組むべきと考えますが、所見を武隈危機管理局長にお聞きをいたします。  次に、宅地の液状化からの自力復興支援についてお聞きをします。  住宅復興支援で一番の課題は、復興に要する時間とお聞きします。とりわけ、液状化による被害は地盤改良の対策手法の決定など、工事に入る復興への道のりは遠く、最低でも3年から4年はかかると言われています。  このような中、宅地の液状化対策について、被災者の中には全半壊に至っておらず、住宅の傾斜や地盤改良工事を自力で早期に実施し復興したいという県民もいらっしゃいます。こうした被災者の要望に応える支援策に取り組むべきであると考えますが、所見を新田知事にお聞きをいたします。  次に、住宅の耐震化促進に向けた施策についてお聞きします。  6月3日の地震において、震源地付近では、1月1日の地震で全壊とされていた家屋5棟が倒壊しました。県内震度は3であり、倒壊被害はなかったものの、安全確保を急ぐ必要があります。  能登半島地震を受け、昭和56年以前に建設された家屋の耐震化については県民の関心が高まり、工事に至るまでに長期間を要している事例が多いと聞きます。耐震化診断を簡易にして即座に実施設計に入ることを可能にするなど、スピードアップを図る方策を検討すべきです。  そこで、住宅の耐震化促進に向けて、耐震診断を簡易にして早急に実施設計や工事に着手できるような方策を検討すべきと考えますが、昭和56年以前に建てられた家屋の耐震化状況と併せて、金谷土木部長に所見をお聞きいたします。  続いて、原子力防災訓練についてお聞きをいたします。  能登半島地震においては志賀原発が停止しており、放射能漏れなどの重大事故には至りませんでしたが、主変圧器の漏油事故など所内電源喪失につながりかねない重大な事故も発生しています。そして、家屋の倒壊や想定以上の道路損壊、津波の襲来など、複合災害の恐ろしさを経験したところでもあります。  そこで、今年度の原子力防災訓練については、放射性物質の漏えい事故となった場合において、家屋の倒壊により屋内退避が不可能となる可能性や道路の寸断、津波など、地震による複合災害の発生を想定して大幅に見直す必要があると考えますが、所見を武隈危機管理局長にお聞きをいたします。  避難所の運営及び機能強化について2問、武隈危機管理局長にお聞きをします。  まず、今回の震災を踏まえて、今できる備えは早急に進めることが必要であると考えます。特に避難所の鍵開けなどは自治体においてまだ方針が定まらないため、自主防災組織から鍵の貸与要望もあるところであり、手法の確定を急ぐべきではないでしょうか。また、食料、簡易トイレを各避難所でも備蓄するなどの取組を進めるべきと考えますが、所見をお聞きいたします。  今回の震災を受けて、避難所が一定期間、自律的に機能する設備を備えておくことの重要性を痛感いたしました。トイレの我慢や寒さなどのストレスが関連死を誘発しているのではないかと心配しております。  能登半島で起こったブラックアウト──全停電です──を想定し、太陽光発電と蓄電池を併用した緊急電源システムの構築や、飲料水対策として給水タンクの装備やポンプアップによる配水を確立すること、また、トイレについては長期的には避難所の汚水処理施設について整備を検討していくことが必要であります。  そこで、災害公営住宅の設置までの間、避難所が自律的に運営可能となるよう設備の充実を図っていく必要があると考えますが、避難所の機能強化について今後どのように取り組んでいくのか、所見をお聞きいたします。  最後に、県政の諸課題について3問質問をいたします。  まず、富山地方鉄道の再構築について伺います。  富山地方鉄道の再構築については、富山市が中心となり沿線自治体で協議が始まっているところであります。課長レベルの勉強会とお聞きしていますが、話合いの中では県主導で進めてほしいという意見もあったと報道されているところです。  そこで、公共交通を維持していくためには、各自治体がマイレール意識を高め、まちづくりや乗車数の向上をどのように図るのか議論を重ねることが求められるところでございますが、具体的に進めるためには財源問題なども考えられることから、県が今後どのように関わっていくのか、県としての支援の在り方について蔵堀副知事にお聞きをいたします。  続いて、地方自治法の改正案について知事にお聞きします。  今国会において地方自治法の改正が審議をされています。このことについては2月議会においても各会派で論戦されたところであり、私は反対の立場で知事に見解を求めたいと考えます。  地方自治法は、国家が暴走した戦前の反省から憲法に明記をされているところであり、国の権限を制限することに重きを置いています。したがって、現行法では、災害対策基本法など個別の法律に規定がある場合にのみ、国は自治体に指示ができると国の役割が限定をされています。  これに対し改正案は、大規模災害や感染症の蔓延など、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態と政府が判断すれば、個別法に規定がなくても自治体に指示できると定めております。すなわち、政府判断である重大な事態要件が極めて曖昧で、国の指示権を拡大しようとしています。このことは地方分権の流れにも逆行するばかりか、国と自治体の対等な関係を上下関係に戻すことにつながるおそれがあります。  このような中、新田知事には、地方自治法の改正案について、地方分権を推進し地方自治を守る観点から、本法案に対して積極的に反論すべきと考えるところですが、所見をお聞きしたいと思います。  最後に、知事に旧統一教会との関係について伺います。  旧統一教会は、これまでも元信者などから訴訟が提起され、損害賠償請求が認められる事案が複数あります。現在も違法な勧誘で献金被害に遭ったとして、最高裁で元信者の遺族との間で争われています。  知事はこの間、コンプライアンス上の問題がある団体とその関連団体とは関係を持たないとしておられますが、旧統一教会に対する知事の対応は曖昧と言わざるを得ず、この表現は県民からは分かりにくいとされています。  このような中、知事選を控え、政党と協定が結ばれるようでありますが、この中で旧統一教会との関係について明確な意思表示が行われるのではないかと報道され、県民の関心は高まっています。  そこで、まず議会の場で県民に対してはっきりとお答えいただきたいと思います。旧統一教会との関係について、その後の心境の変化はあったのか、また、なぜ関係を絶つと明言しないのか新田知事にお聞きをし、質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。 50 ◯副議長(井上 学)新田知事。    〔新田八朗知事登壇〕 51 ◯知事(新田八朗)岡崎信也議員の御質問にお答えします。  まず、賃金の引上げと価格転嫁についての御質問にお答えします。  県内の春闘における賃上げ状況ですが、連合富山の5月末時点の集計によると、賃上げ率は全体で5.02%、中小企業においても約4.3%と、昨年同時期と比べますと高い水準にあります。  一方で、大企業と中小企業を比較すると約1ポイントの開きがあり、大企業を中心とした賃上げの流れを中小企業にも波及させることが大切だと考えております。  また、価格転嫁についてですが、国の調査によれば、価格交渉の実施状況などに改善が見られるものの、コスト別では特に労務費において依然として価格転嫁が十分に進んでいない状況にあります。  このような中、持続的な賃上げを可能とするためには、適切な価格転嫁の実現とともに、DXや省エネ、人への投資などによる生産性向上の支援が不可欠と考えます。  このため県では、今年度さらなる価格転嫁の環境整備を図るため、新たに価格転嫁の好事例を共有するシンポジウムの開催、また下請企業の実態把握調査、そして発注側企業との価格交渉力の強化に向けた助言など、多角的に取り組んでまいります。  あわせて、生産性向上に向けて中小企業トランスフォーメーション補助金によるDX・GX推進支援、また賃上げサポート補助金による賃上げと設備投資への支援、そしてリスキリング補助金拡充により人的投資支援をすることによって、県内企業の取組を後押ししてまいります。  国が今月中に取りまとめられる骨太の方針には、賃上げの促進や価格転嫁対策を一層推進する方針が盛り込まれる見込みでありまして、県としても、持続的な賃上げと経済活性化の好循環の実現に向けて、国や経済団体と連携して取り組んでまいります。  次に、長時間労働の是正についての御質問にお答えします。  本県の労働者1人当たりの年間総労働時間は減少傾向にはありますが、直近の令和5年は1,694時間、月換算で141時間となり、全国平均の1,636時間、月換算136時間を若干上回る水準にあります。  企業における働き方改革を進め労働時間の短縮を図ることは、仕事と家庭の両立、ひいては女性活躍の推進や少子化・人口減少対策にもつながるものであり、大変重要であると考えます。  このため県では、長時間労働の削減に向けて、県内の経済団体や労働団体に対し、富山労働局と連携し、長時間労働削減などの働き方改革の取組の要請を行うとともに、仕事と子育ての両立を推進するため、一般事業主行動計画の策定を義務づける対象企業を、条例によりまして法定の101人以上から30人以上に大幅に拡大し、その策定を支援しております。  また、経済、業界団体が実施する働き方改革セミナーなどへの講師を派遣しております。さらに、優良事例の横展開、そして社会保険労務士や中小企業診断士などの方々を働き方改革・女性活躍サポーターとして登録し、県の支援策の周知や取組の働きかけを行っていただいているほか、男性の育児休業取得に対する支援にも取り組んでまいりました。  さらに、今年度は働き方改革・女性活躍サポート補助金を創設し、コンサルティングを活用した業務改善、従業員の家事代行サービス利用への助成などに幅広く支援することにしています。  長時間労働の是正は少子化・人口減少対策にも資することから、今後も富山労働局や関係団体、経済団体と連携をして、県内企業の取組をしっかりと支援してまいります。  次に、液状化被害に対する支援についての御質問にお答えします。  御指摘のように、液状化被害を受けた復旧については、住宅の傾斜や地盤改良工事を個人で早期に実施し復旧したいとの要望があると、被災市からもお聞きをしていたところであります。  こうした中、先月の31日には国の復旧・復興本部において、液状化に係る地方単独事業に対し措置率8割の特別交付税による財政支援が決定されました。同日、岸田総理に追加の支援策に対するお礼と今後の技術的助言などを要望しましたところ、総理からは「政府としても状況の変化も踏まえつつ、中長期的にしっかり支えていく」という言葉も頂いたところです。  県としては、今回示された国の措置を速やかに活用して、新たに宅地液状化等復旧支援事業を創設することとしまして、市町村と連携して液状化被害を受けた宅地の復旧や地盤改良、住宅の基礎の傾斜修復などを行う予算案を本日追加提案したところであります。  また、議員御指摘の支援対象ですが、住宅被害の程度を、全半壊を含む準半壊以上としておりますが、液状化で相応の被害が認められる場合には、一部損壊についても対象となる場合があると見込んでおります。  さきに予算化いただきました住宅耐震化促進事業、今議会に提案しております自宅再建利子助成事業、これらに加えまして、今回の支援策の3つをパッケージとして実施することで、これまで以上に被災者の生活再建を後押しできるものと考えておりまして、市町村と連携して被災者に寄り添った支援に努めてまいります。  次に、地方自治法の改正案についての御質問にお答えします。  今国会で審議されている地方自治法改正案は、新型コロナ対策などで直面した課題を踏まえ、個別の法律で想定していない国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生した場合に、国が自治体に必要な指示ができる規定となっています。  今後起こり得る想定外の事態に万全を期す観点から、その必要性は私は理解をしておりますが、県としては全国知事会と連携しながら、政府に対して、まず事前に地方公共団体と十分な協議、調整を行うこと、そして目的達成のために必要最小限度の範囲とすることなどを法案に明記するように求めてまいりました。  この結果、本法律案では、国の補充的な指示が国と地方公共団体との関係の特例と位置づけられ、必要な限度において国の指示権が行使されることや、適切な状況把握や講ずべき措置の検討のために事前に地方公共団体に意見を求めることなどが努力義務として規定されました。また、衆議院可決時には、指示は必要最小限とし、自治体との事前調整を行うとの附帯決議も採択されております。  もとより、憲法で保障された地方自治の本旨や地方分権改革により実現した国と地方の対等・協力関係が損なわれることはあってはなりません。本法律案の運用はいまだ不明確なところがあることから、附帯決議にあるとおり、指示を行う際には事前に地方公共団体と十分な調整を行い、また指示の内容も必要最小限の内容とするよう、国会審議を経て制度創設の過程で十分に議論を尽くしていただきたいと考えております。  私から最後になりますが、旧統一教会についての御質問にお答えします。
     旧統一教会は、これまでも元信者などから訴訟が提起され、損害賠償請求が認められた事例が複数あり、私はコンプライアンス上の問題がある団体だと認識をしています。  政治家として、また県知事として、コンプライアンス上の問題がある団体とその関連団体とは関係を持たない、このことは、約2年前ですが、令和4年8月9日の定例記者会見以降これまで繰り返し明確に申し上げてきました。関係を持たないことは明言しているわけで、この考え方については変わっていません。  一方で、県知事の権限は強く影響力も大きいものと認識しており、県内の3,900の宗教法人を管轄している立場からも、宗教団体への圧迫に当たらないように、また一部の県民の方を切り捨てるような言い方にならないよう、私としては言葉遣いは慎重にさせていただいております。この点を御理解をいただきたいと思います。  私からは以上です。 52 ◯副議長(井上 学)蔵堀副知事。    〔蔵堀祐一副知事登壇〕 53 ◯副知事(蔵堀祐一)私からは、富山地方鉄道の再構築に関する御質問にお答えをいたします。  今年2月に策定をいたしました富山県地域交通戦略でも定めておりますとおり、持続可能で最適な地域交通サービスを実現していきますためには、市町村のまちづくりとの連携が重要でございます。また、地域の住民の方が自分ごととして考え、自らの地域に対する投資、参画により積極的に関わっていくことが大切でございます。  とりわけ鉄道事業の運営につきましては、沿線住民の皆さんへの影響はもとより多額の費用負担を伴うことも想定されますため、自治体及び地元関係者による主体的な議論の積み重ねが重要だと考えております。  城端・氷見線再構築計画を策定することができましたけれども、これは沿線4市を中心に、交通事業者、経済団体や自治会など幅広い関係者で構成いたします城端・氷見線活性化推進協議会を設置されております。これは昭和62年12月に設置され──今から38年ぐらい前ですが、そこで法定の地域公共交通計画を策定されるなど、関係者が連携協力して路線の活性化にこれまで取り組まれてきました。長期間にわたりますこうした真摯な過程を経て、具体的な利便性向上策を取りまとめることができ、再構築計画の認定に至ったわけです。  富山地方鉄道につきましては、県ではこれまでも沿線市町村と連携をいたしまして、レールや枕木などの更新、それから燃料価格高騰等への支援を行ってまいりました。直近10年間程度で見ますと、県としても20億円程度の財政支援をいたしております。  再構築の検討に当たりましては、沿線自治体において地元関係者の意見を幅広く聞いた上で、具体的な方策を明確にしていただく必要があると考えております。  県の支援の在り方につきましては、現在、富山市が中心となって課長レベルでの勉強会の枠組みが設けられておりますので、ここでの具体的な議論の内容を聞いた上で、どのような支援が必要になるか検討することになると考えております。  市町村全体での議論というのはこれからということになると考えておりますけれども、各市町村、住民の皆さんで、今後どのくらいの利用見込みがあって、それぞれのまちづくりとの関係がどうなのか、この点をよく御検討いただく必要があると考えております。そうした議論を踏まえた上で、県に相談があればしっかり対応していきたいと考えております。  以上です。 54 ◯副議長(井上 学)廣島教育長。    〔廣島伸一教育長登壇〕 55 ◯教育長(廣島伸一)私からは、教員の労働時間短縮に関する質問にお答えをいたします。  県教育委員会では、学校における働き方改革推進のため、長時間勤務の教員に対する管理職面談の実施などを通しまして教員の意識改革に努めますとともに、スクール・サポート・スタッフや部活動指導員などの外部人材の活用、中学校の部活動の地域移行などに取り組んでまいりました。  また昨年度は、小中高、特別支援学校の各若手教員で構成しますワーキンググループにおきまして、働き方改革について議論をし、ICTを活用した業務の効率化など新たな取組に関する提案がまとめられたところでございます。  これまでのこうした取組に加えまして、今年度は、小中学校につきましては、教頭先生の負担軽減を図るため、教頭マネジメント支援員の配置、また、若手ワーキンググループから提案のありました県立高校へのデジタル採点ソフトの試験導入、これに加え、県立学校と県教委事務局の間で各種申請や承認手続のデジタル化をさらに推進するなど、取組を進めてまいりたいと考えております。  県教育委員会としては市町村教育委員会とも連携し、これらの取組を着実に進めますとともに、令和2年度から毎年作成しております多忙化解消を周知する啓発リーフレットなども活用して、保護者や地域の皆様の御理解も得ながら学校現場における働き方改革に取り組んでまいります。  なお、議員から御指摘のありました中学校におきます少人数学級の実施を含めた教職員定数の改善充実についてでございますが、これは、まずは国がその財源を含めて措置すべきものということで、引き続き県の重要要望や全国都道府県教育長協議会を通しまして国に働きかけてまいります。  以上でございます。 56 ◯副議長(井上 学)南里経営管理部長。    〔南里明日香経営管理部長登壇〕 57 ◯経営管理部長(南里明日香)県立中央病院に勤務する職員の処遇改善についてお答えいたします。  中央病院に勤務する職員をはじめ県職員の給与水準は、毎年秋に実施される人事委員会勧告を尊重し、勧告に基づいて決定しております。この人事委員会勧告につきましては、県内民間給与の実態調査結果や国家公務員の給与の状況などを総合的に勘案して行われているものと認識しております。  令和6年度診療報酬改定では、最近の物価高騰や賃上げなどの経済社会情勢が医療分野にも大きな影響を与えていることから、病院等に勤務する医師及び歯科医師を除く医療従事者の人材確保や賃上げに向けた特例的な対応としてベースアップ評価料が新設され、今月1日から適用されております。  中央病院に勤務する医療従事者の勤務環境や処遇改善を進めることは、必要な人員を確保し、良質な医療提供体制を維持していくために必要なことだと考えております。  県といたしましては、本年秋の人事委員会勧告を踏まえ、適切に対応してまいります。 58 ◯副議長(井上 学)武隈危機管理局長。    〔武隈俊彦危機管理局長登壇〕 59 ◯危機管理局長(武隈俊彦)私からは、4問頂きましたうち、まず活断層の調査についての御質問にお答えいたします。  6月3日に発生した能登地方を震源とする最大震度5強の地震では、県内でも震度3を観測し、県民の皆さんからは「元日の地震の記憶がよみがえった」などの不安の声が聞かれました。  この地震につきまして一部の専門家から、「1月の地震の余震ではなく、令和2年10月から能登地方で続く群発地震の一部として考えるべきで、今後も警戒が必要」との指摘があると承知しております。  県では、能登地方での地震活動が近接する活断層と連動し、より大きな地震につながることを懸念して、昨年に引き続きまして、今月5日に県議会の先生方と共に国に重要要望を行い、一連の能登地方での地震が本県に与える影響について早急な調査の実施を要望しております。  また、県におきましても、今年度、地震や津波の専門家によるワーキンググループを設置しましてこれまで2回の会合を開き、海域断層や海陸断層に加え、複数の断層が同時に活動する連動型地震なども含めまして、被害想定調査に関して調査対象断層や被害想定項目等について現在検討をいただいております。  被害想定は、地域防災計画をはじめ各種計画の基礎となるものであり、より正確で幅広い調査の迅速な実施が重要であることから、県としてはできるだけ早期に調査を実施し、被害想定の見直しに着実に取り組んでまいります。  次に、原子力防災訓練の見直しについての御質問にお答えします。  今般の地震では、原子力発電所がある志賀町で震度7を観測し、能登地域では道路の寸断やそれに伴う集落の孤立、海岸部の隆起等が相次いで発生いたしました。  県内でも津波警報の発表に伴い、沿岸部から高台に避難する車で交通渋滞が発生したほか、UPZ区域がある氷見市では家屋の全壊が220件を超えるなど甚大な被害がございました。  仮に原子力災害が併発した場合、自宅で屋内退避ができなくなる困難な事例があったと認識しておりまして、今回明らかになった課題を今後原子力防災訓練に反映させることが必要となってまいります。  これまでの訓練では、大量の放射性物質が放出する最悪の事態を想定し、自宅で一定期間屋内退避した後に、UPZ圏外に退避する訓練を中心に行ってまいりましたが、今回起こったように家屋が倒壊し自宅以外で屋内退避する訓練は行っておりません。  このため、例えば自宅での屋内退避ができない状況を想定し、学校や公民館などの一時集合場所で屋内退避するような訓練を新たに組み込むことや、道路の寸断や津波など地震による複合災害の発生など、様々な被害状況を想定したより実践的な訓練となるよう、訓練の見直しにつきまして今後氷見市などと丁寧に協議をしてまいりたいと考えております。  次に、避難所の鍵開けや備蓄の取組についての御質問にお答えします。  今回の地震では、県内全ての市町村で417か所で避難所が開設されたところであり、避難所の開設・運営につきまして数多く課題が明らかになりました。  具体的には、30年ぶりに発表されました津波警報を受け、住民の皆さんが大変素早く避難し、鍵当番の職員より先に避難所に到着したため、鍵開けが遅れた施設ではガラスを割って中に入った住民がおられたことや、一部の市町村では想定以上の住民の方が避難所に殺到し備蓄が不足したこと、備蓄拠点施設から各避難所までの距離が考えていた以上に離れていたため、避難者に物資が届くのが間に合わなかったなどの課題が報告されております。  こうした課題を踏まえまして、県内の6つの市町では、揺れを検知して自動で鍵が開くキーボックスの設置や、遠隔操作で解錠するスマートロックの導入などに取り組んでおられます。  また、食料や簡易トイレの備蓄につきましては、庁舎などでの集中備蓄から各地区の拠点となる避難所での分散備蓄への切替えを進めておられるところもございます。  今後、県民アンケートなどで避難所の問題点や改善を求める意見などを幅広く拾い上げ、災害対応検証会議におきまして対応策を検討してまいりたいと考えております。  また、「ワンチームとやま」のワーキンググループにおいて、各市町村の課題や対応策について情報共有を図りますとともに、海外ですとか他県の先行事例を調査検討するなど、避難所の環境改善に向けた取組を進めてまいります。  最後に、避難所の機能強化についての御質問にお答えいたします。  今般の地震では、本県や石川県において停電や断水が長く続き、多くの避難者が長期にわたり避難所での厳しい生活を余儀なくされました。  県ではこれまでも、大規模災害時における避難所の自律的な運営のため、運営の中心となる自主防災組織が行う発電機やポータブル電源など避難所運営用資機材等の整備を支援しております。  また、国の機関や自治体、防災機関、民間団体等との間で災害時応援協定を締結しており、今回の地震でも、飲料水や段ボールベッドの提供、仮設トイレの設置など幅広い支援を受け入れまして、避難所で役立てることができました。  県としては引き続き、こうしたハード、ソフト両面から避難所の設備等の充実を図りたいと考えております。  また、今月10日に開催されました政府の復旧・復興支援本部では、能登半島地震を踏まえた有効な新技術を、自治体等活用促進カタログとしてまとめ、今後国において活用を推進する方針が示されました。その中には、国が配備した照明車の避難所の電源車としての活用ですとか、水循環型シャワーシステムや可搬式浄水施設、トイレカーなど、電力や水の確保対策をはじめ災害対応上有効と考えられる数多くの方策が紹介されております。  県ではこうした国の動きも参考にしつつ、また、議員から御提案のありました緊急電源システムの整備につきましても、「ワンチームとやま」のワーキンググループにおきまして避難所運営を担う市町村と共に検討を進めるなど、避難所の機能強化に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 60 ◯副議長(井上 学)金谷土木部長。    〔金谷英明土木部長登壇〕 61 ◯土木部長(金谷英明)私からは、住宅の耐震化促進についての御質問にお答えをいたします。  昭和56年以前に建てられました住宅を含め、本県における住宅の耐震化状況につきましては、現時点で最新となります平成30年住宅・土地統計調査によりますと、耐震化率はその5年前に比べ8ポイント増え、約80%となっているところでございます。  元日に発生いたしました能登半島地震以降、住宅の耐震化へのニーズは急速に高まっておりまして、県が富山県建築士事務所協会に委託している耐震診断の実績は、令和5年度がその前年度の約2.8倍となります557件、そして今年度は、5月末までに診断待ちも含めまして659件の受付と大幅に増加しております。  このため、診断を委託しております設計事務所を9者増やしまして44者で対応しているものの、診断までに時間を要している状況でございまして、県民からは「早く耐震診断をしてほしい」、また「早く耐震改修を行いたい」という要望があることは承知しているところでございます。  こうした中、簡易な診断に関する御提案を頂いておりますが、耐震診断は耐震改修促進法に基づく計算方法でございまして、簡便化することは容易ではないと考えておりますが、耐震改修を早めるためには、例えば住宅メーカーや工務店等に対しまして、診断から補強設計、あるいは耐震改修の一連をお願いする方法も考えられると思っております。  県民の耐震化に対するニーズや意識が大きく変化している状況でありまして、市町村や関係団体と連携そして協力し、耐震診断の運用の検討や国の耐震改修補助金の確保など、早期に住宅の耐震改修が進むよう努めてまいります。  以上であります。 62 ◯副議長(井上 学)以上で岡崎信也議員の質問は終了いたしました。  嶋川武秀議員。    〔5番嶋川武秀議員登壇〕 63 ◯5番(嶋川武秀)自由民主党富山県議会議員会の嶋川武秀でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  昨日は父の日ということで、今日は息子からプレゼントしてもらったネクタイを締めてまいりました。ふだんは「母心」をさせていただいていますが、父心もいいもんだなというふうに思っております。  私のウェルビーイングが向上したところで、早速質問に入らせていただきます。  本日は、人口減少対策を主軸といたしまして、大項目3つ、合計13問、質問させていただきます。  さて、富山県ではいよいよ人口が100万人を切りました。減少をたどる中、自然動態、社会動態はもちろん、年代別動態、外国人動態、あらゆる動態を注視する必要があります。  中でも社会動態の実情を見てみますと、県内の転出転入の一番激しい層である15歳から34歳までの社会動態では、ここ5年の合計で、市町村にばらつきはあるものの、日本人に限っては減少をしております。また、最新の富山県人口移動調査結果報告書で、富山市を含む県内5市が社会増と示されておりますが、内訳を見ますと外国人の社会増が要因であることが分かりました。  つまり、ここ5年の合計で、県内の15歳から34歳の社会動態では、日本人が転出超過、外国人が転入超過の状況であります。全体として人口減少している中で、割合として日本人が減っており、外国人の割合がどんどん増えていると。これはますます大変な状況であります。  今定例会初日に新田知事は、この状況を憂慮し、成長戦略会議において、「関係人口の拡大と定住人口の減少緩和の好循環を生み出すため、特に関係人口・交流人口の拡大を重点に据えて、議論を進める」と明言されました。  そこで、大項目1つ目、幸せ人口1,000万人に向けた関係人口の創出について、7問質問をいたします。  まずは、二地域居住の推進についてであります。  二地域居住とは、都市部と地方部に2つの拠点を持つライフスタイルのことであります。今月7日に開催された県の成長戦略会議におきまして、複数の委員からは、転勤や進学などで一時的に富山に住む「風の人」を増やすなど、関係人口を拡大して富山に愛着を持ってもらうための方策に意見が集中し、その中には、二地域居住を推進する必要性にも触れられていると聞いております。  そこで、都市と地方の双方に生活拠点を持つ二地域居住について、その意義を県としてどう捉えているのか、本県における取組の現状と課題とを併せて田中地方創生局長にお伺いをいたします。  コロナ禍を経て、UIJターンを含めた若者、子育て世帯を中心とする二地域居住へのニーズが高まっております。地方への人の流れの創出・拡大の手段として二地域居住の促進が重要となる中、その促進に当たっては、住まい、なりわい、コミュニティーに関するハードルが存在するなど課題も多いことから、国は、先月5月に広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律を改正し、県と市町村の連携した取組を後押しするということにしております。  具体的には、二地域居住に係る事項を内容に含む整備計画を県が作成したときに、市町村は二地域居住の促進に関する計画を立てられるということになっております。つまり、実施主体である市町村が二地域居住の促進をするには、県があらかじめ整備計画をつくっておかなければならない。つくっておかなければ、市町村が取り組めないということであります。先月の法改正の話ではありますが、それこそスピード重視、いち早く取り組むべきであると考えます。  そこで、市町村における二地域居住の取組の拡大を後押しするため、二地域居住に関する基本方針や拠点施設の整備等を記載する広域的地域活性化基盤整備計画を、県が先導的に策定してはどうかと考えますが、県の所見を、本計画の担当所管であります土木部の金谷部長にお伺いをいたします。  関係人口で掲げます幸せ人口1,000万人、ここには当然、現在住んでいる県民も含まれます。100万人を切った富山県民ですが、全ての人が幸せとは限りません。中には生きづらさを感じている方も少なからずおられます。  本県の共働き世帯は約6割と全国上位である中で、国や県は、こどもまんなか社会に向けて様々な施策を行っておりますけれど、子育て世帯では、特に子供の急な発熱などで親が仕事を休まざるを得ないことが多く、会社所定の有給休暇だけでは不足するなどの実態も聞いております。働きながら同時に子供を産み育てる、とても苦しい現実がそこにはあります。  この状況を解決すべく、県では、主に経営層をターゲットに、働き方改革の意識改革を促す施策に取り組んでおります。中でも、特に小規模事業所で働く子育て世帯に寄り添ったきめ細かな伴走フォローや柔軟な仕組みづくりなど、真に子育てしやすい職場づくりに向けた施策の充実が求められております。ただ人口を増やすのではなく、幸せ人口を増やす。そのためには、共働き世帯の多い富山県において、働き方の改革も大事ですが、同時に休み方の改革も必要なのではないでしょうか。  例えば、県が条例で独自に定めております一般事業主行動計画の要件を30人未満の小規模事業所に拡充することや、夫婦で有休をシェアする仕組みの導入の促進など、仕事と子育ての両立を実現する富山県独自の休み方改革を推進してはどうかと考えますが、川津知事政策局長にお伺いをいたします。  働き方や休み方の改革というのは、そもそも働く人がいなければ議論になりません。ここで思う1つの懸念は、これから世に出て働くようになる若者世代の動向であります。生徒数減少による県立高校再編の議論が活発化している中、高岡法科大学の学生募集の停止は、やはり大きな衝撃が走りました。何か手だてはなかったのか、県としても今後を見据え対応を考えていく必要があります。  そこで、高岡法科大学が2025年度以降の学生募集を停止したことを踏まえ、県では官学が連携する研究会議を発足させるとしておりますが、この会議にどのような役割を期待して取組を進めるのか、県内の高等教育機関の現状と課題とを併せて南里経営管理部長にお伺いをいたします。  さて、冒頭で述べましたように、県内で増えているのは外国人であります。関係人口の創出において、この外国人の存在は極めて重要です。  県は、県内企業の特定技能外国人や高度外国人材等の受入れを後押しするための総合的な支援窓口として、とやま外国人材活用支援デスクの開設や、外国人材との地域交流や共生の取組を支援しておりますが、現状では、例えば高度な外国人材とのマッチングはこの5年間で18名であるなど、大きな成果が出ているとは言えない状況にあるのではないでしょうか。  そこで、県内企業における外国人材の活用促進について、県として目標や課題をどう捉えて取組を進めているのか、県内企業のニーズや供給サイドの実態把握と併せて山室商工労働部長にお伺いをいたします。  これまで述べてきたように、人口減少対策として関係人口を創出するには、総合的な政策で取り組まなければなりません。  県が設置しました新たな富山県人口未来構想本部においても、新田知事自ら、人口減少社会への対応に発想を大胆に変えて、様々な切り口で真正面から取り組みたいと、部局横断で対策に取り組む姿勢を示されております。やはり今必要なことは、関係人口の創出に向けた部局横断的な取組の推進です。  本年9月に取りまとめる人口未来戦略では、特に関係人口、交流人口の拡大を重点に据えるとされておりますが、戦略において、県庁における部局横断的な取組展開の必要性をまず第一に掲げるべきであると考えますが、今後どのような対応をされるのか新田知事にお伺いをいたします。  この項、最後であります。気合を入れてお伝えしたいと思います。
     関係人口、交流人口の拡大に欠かせない取組が、副業・兼業人材等の活用です。他の自治体でもしのぎを削って取り組んでおり、マッチング人材も今や奪い合い、取り合いの争奪戦であります。  そんな中、成功している福島県の事例を御紹介いたします。福島県では、地域特有の課題や事業課題を抱える県内事業者と、高い専門性や地方貢献意欲を有する都市人材とが課題解決を図ることで、両者の交流から生まれる関係人口づくりにより移住・定住のきっかけとなる取組を進めております。  具体的には、福島県内の事業者が抱える課題について、必要なスキルを見える化し、専門のマッチングサイトから都市人材に副業の募集を分かりやすくかける。そして、福島県内の人材紹介業資格を持つ委託事業者が、福島県内事業者に対し、都市人材を相性も含めて丁寧にマッチングするというものであります。マッチング後のフォローアップも含めた丁寧な伴走支援を行っており、これまでのマッチング件数は2020年から4年間で合計490件に上っております。  さらに、こうしたマッチングを進める中で、都市人材が所属する企業の中には、社内規定で有償では関われない層がいることが把握できたことから、複数の都市人材がチームを組んで無報酬で企業や地域に関わる取組として、プロのボランティア活動ともいうべきプロボノプロジェクトも進めております。ちなみに、富山県での同期間での副業・兼業人材活用の取組マッチング数は74件であります。  分かることは、報酬ありきの副業・兼業を禁止する企業に勤めながら、無報酬でも地域に関わりたいというプロボノ人材が潜在的にいるということであります。報酬ありなしで参加できない層を取りこぼすことのないよう、福島県では既存の副業マッチングの仕組みにうまく取り込んでいるということです。  肝はマッチング後の寄り添い方にもあります。県による伴走支援に力を入れる手厚いマッチング支援というのは、正直、手間がかかります。しかし、都市人材にも県のその苦労や思いは必ず伝わりますし、それだけリターンも大きいと言えます。だからこその実績値であり、福島県庁もそれを分かっていて、かなり手間をかけて取り組んでいるわけです。ぜひ推進するべきです。  また、今年は、能登半島地震からの復興で富山県に新たに関わりを持とうとする潜在的な関係人口層が期待できます。県におけるこれから1年先の取組の手厚さや汗のかき方次第で、10年先の富山県の復興の到達点が変わってくるという重要な1年になるはずです。だからこそ、部局別に課題を捉えて取組を進めるのではなく、真の関係人口の拡大という大きなビジョンの下、推進するべきです。  そこで、関係人口の拡大には、有償の副業・兼業に加え、福島県のようにプロボノ活動を行う都市人材を活用した県内の企業や地域の課題解決をするプロジェクトが効果的でありますが、本県でも部局横断的なプロジェクトとして、都市人材をターゲットに、どこよりも伴走支援に優れた手厚いマッチングに取り組んではどうかと考えますが、新田知事にお伺いをいたします。  次に、大項目2、再生可能エネルギーの導入促進とその課題について3問お伺いいたします。  先日、北陸電力は、脱炭素化に向けて、二酸化炭素を大量に排出する火力発電所で、再生可能エネルギーであるバイオマス燃料の導入を加速させると発表いたしました。それにより年100万トンの二酸化炭素排出が削減されるわけですが、と同時に、言うまでもなく、世の中の流れとしまして他の再生可能エネルギーへの期待も高まってきております。  そこで、2050年までのカーボンニュートラルの実現に向け、再生可能エネルギーの導入促進について、太陽光や水力、水素などの導入ポテンシャルをどのように捉えて取組を進めるのか、現状と課題とを併せて川津知事政策局長にお伺いいたします。  ここで少し注視したいのが太陽光発電であります。2012年に固定価格買取制度(FIT)が導入されて以降、県内でも多くの太陽光発電設備が見られるようになった一方で、太陽光発電設備における環境破壊や火災のニュースが目立つようになってきました。  静岡県熱海市の土石流の発生では、傾斜地への太陽光パネルの設置との関係が指摘をされておりますし、今年に入っては、鹿児島県伊佐市や宮城県仙台市のメガソーラー発電所での火災が挙げられます。その発生要因も様々なものが想定される上、消火活動において太陽光パネルは感電のおそれがあり放水しづらく、またパネルの破損により有害物質が漏出するリスクもあるなど、通常の火災と比べて消火時間もかなりかかり対応が難しいと言われております。  そこで県は、県民や県内企業に対し、太陽光発電設備等の導入経費を支援するなど再生可能エネルギーの導入を促進しておりますが、太陽光パネルの火災発生時のリスクへの対応として、市町村の消防機関に対してどのような指導助言をしているのか、県内の火災発生状況と併せて武隈危機管理局長にお伺いをいたします。  また、太陽光パネルの製品寿命は約25年から30年であり、2035年頃には有害物質を含む太陽光パネルの大量廃棄が想定されるなど、持続可能な資源循環型の社会の形成に向けて中長期的に対策を検討する必要があると考えます。  そこで、今後想定される太陽光パネルの大量廃棄について、持続可能な資源循環型の社会の形成に向けて、県としてどのような対策をしていくのか、県内で想定される廃棄量の今後の見通しと併せて竹内生活環境文化部長にお伺いいたします。  最後は、大項目3つ目、公共交通政策についてであります。3問お伺いします。  公共交通政策は人の往来を生み出すものであり、関係人口の創出につながるため、人口減少対策でもあります。この3月に敦賀まで延伸した、これは人の往来が多く生まれる、その波及効果に大きく期待をしております。北陸新幹線は大阪までつながってこそ、その効果が最大限発揮され、交流人口や関係人口の増加をもたらし人口減少対策につながると考えますが、大阪までの延伸にどのように取り組むのか新田知事にお伺いをいたします。  さらに、北陸新幹線により大都市圏との連携を深めるとともに、近隣県との連携を図っていくことも人口減少対策にとって重要と考えます。つながっている線路をどう生かすか、乗りたくなる仕掛けづくりが必要になってきます。  そこで、交流人口や関係人口を増やすためには、北陸新幹線の整備とともに並行在来線の各社での連携も重要と考えますが、どのように取り組んでいくのか田中交通政策局長にお伺いをいたします。  新幹線や在来線で大きく移動ができたとしても、肝腎なのは駅から降りた後のアクセスです。駅からのアクセスを確保するための取組は、高齢社会にとって重要であり、車を使わない方にも二地域居住を広め、交流人口を増やすことにもつながると考えられます。  県内では、地域住民が参画するサービスも見られます。私も、なるべく公共交通機関を利用するようにしております。今日もバス、電車を乗り継いでここまでやってまいりました。利用し続けて初めて課題が見えてくる。地理的空白、時間的空白、また時期的空白など、交通空白にもいろいろあります。  交通空白地など自宅までの身近な移動を支えるため、県としてどのように取り組んでいくのか田中交通政策局長にお伺いをいたします。  移動手段は様々ございます。自転車の活用も有効かと考えております。  自転車といえば、昨日、4市合同市民体育大会の自転車競技部門というものが富山競輪場で開催をされました。私、実は出場いたしまして、1キロメートル一般男子の部、高岡地区部門にて、おかげさまで無事優勝をさせていただきました。ありがとうございます。ちなみに、高岡地区部門、競技人口は私1人であります。こんなところにまで人口減少問題がいろいろ波及してきていると。引き続き、総合的に私も取り組んでまいりたいと思っております。  以上で私の質問を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。 64 ◯副議長(井上 学)新田知事。    〔新田八朗知事登壇〕 65 ◯知事(新田八朗)嶋川武秀議員の御質問にお答えします。  まず、関係人口の創出に向けた部局横断的な取組についての御質問にお答えします。  県では、去る4月に私が本部長となり富山県人口未来構想本部を設置し、人口減少やそこから生じる課題に真正面から取り組み、人口減少を抑制する対策、また人口減少下においても社会を維持していくための対策、これらについて部局横断で検討を進めています。  また一方、富山県成長戦略会議においても6月4日に今年度第1回会議を開催しまして、本県の発展を牽引する人口のうち、特に関係人口を中心にして、様々な場面での関わり方や関わり度合いなどについて、県内外の民間委員により突き抜けた議論を始めたところです。今後、成長戦略会議では、人口未来構想本部とも相互に課題を共有しながら議論を深め、9月末を目途に人口未来戦略を取りまとめる見込みです。  県では、この提言や県議会、人口未来構想本部での議論を踏まえ、その内容を令和7年度の予算などに重点的に取り組む項目として反映したいと考えます。  人口減少の影響は県民生活の多方面に及ぶことから、その対応には、県庁全体のみならず、経済、地域社会全体から様々な切り口で取り組むことが必要だと考えています。今後、成長戦略会議での議論も踏まえ、部局横断や官民連携などにより高い事業効果が見込めるものなどについても積極的に対応してまいります。  次に、関係人口の創出に向けた部局横断的な取組の推進についての御質問にお答えします。  現在、成長戦略会議では、関係人口の拡大、深化により人口減少社会に起因する社会課題を克服するため、県外から呼び込む人の明確化と関わり方を整理し、どのように関係人口として呼び込むかなど議論を進めています。  先般開催した第1回の会議では、特別委員の安宅和人さんから、どのような場面、あるいはどのような理由で人が本県に来るのかを深く議論することが重要であると、長くマーケティングに携わってこられたお立場からそのように御提言を頂きました。例えば、ワーケーションや教育など、人が訪れる理由となる場面、空間を徹底的につくり込んでいくべきだという提案も頂きました。  議員御提案の福島県のプロボノプロジェクトは、地域課題などを抱える県内団体などと高い専門性や地域貢献意欲を有する都市部の人材をマッチングして、社会貢献活動を通して課題解決を図ることで、よりよい地域社会と関わりの深い関係人口を創出していく取組として、大変効果的なモデル事例の一つと考えます。実績もたくさん出ているということであります。我々ももちろんベンチマークしています。  本県においても、実は同じようなといいますか、工夫した取組はやっています。それは、大都市圏で活躍する人材が半年間本県に移り住んで、そして富山大学の協力研究員としてリカレント教育を大学で受けながら──ここが一ひねりしてあるところですが、県内企業の課題解決に取り組む産学官のプログラム「富山“Re-Desing”ラボ」を令和4年度から実施しておりまして、4年、5年、今年で3年目、この前開校式を行ったところであります。事業終了後も、その方々が県内企業へ就職したり、また業務委託につながったり、また富山県に本格的に移住という事例も出ております。  議員御指摘のとおり、関係人口の拡大、深化という戦略目的をいま一度全庁で共有し、部局横断で関係人口を拡大する様々な取組を連携して相乗効果をつくり出すとともに、今後、成長戦略会議での提言も踏まえて、県庁が一丸となって関係人口を拡大、深化させ、人口減少社会に起因する地域や企業の課題克服、そして地域の魅力や求心力の向上につなげてまいります。  私から最後になりますが、北陸新幹線の大阪までの延伸についての御質問にお答えします。  北陸新幹線は3月に金沢─敦賀間が開業いたしましたが、全線整備されると富山─新大阪間の所要時間は、現行の2時間31分から約1時間40分と、50分ほどの大幅な短縮になります。  移動時間の短縮は、本県の経済産業の活性化のみならず、食や数多くの観光地が気軽に楽しめるようになるとともに、移住・定住や二地域居住、テレワーク、ワーケーションなど、新しい暮らし方や働き方の実現にも寄与するものです。  また、以前、北陸経済連合会、関西経済連合会、大阪商工会議所が実施した調査結果によりますと、大阪までの全線開業により関西の交流人口は約1,650万人増加すると見込まれています。  このように、北陸新幹線の大阪までの延伸は交流人口の拡大に寄与するものであり、私が掲げております「幸せ人口1000万~ウェルビーイング先進地域、富山~」の実現につながるものであり、人口減少対策にも効果を果たすものと考えます。  来月の31日には、大阪駅西地区の商業施設KITTE大阪に関西圏情報発信拠点「HOKURIKU+」を開設します。北陸3県が連携して関西圏への北陸の魅力発信に取り組むことで、延伸に向けた機運を高めてまいります。  今後とも、沿線の自治体や経済界はもちろん、特に関西の経済界との連携をさらに進め、国会議員や県議会議員の皆様のお力添えも頂きながら政府に対し強力に働きかけてまいります。  以上です。 66 ◯副議長(井上 学)田中地方創生局長。    〔田中雅敏地方創生局長登壇〕 67 ◯地方創生局長(田中雅敏)私からは、二地域居住の推進についての質問にお答えいたします。  二地域居住の意義といたしましては、都市部から地方への人の流れを生み、地域の担い手確保や消費等の需要の創出、新たなビジネスや雇用の創出、また関係人口の創出・拡大等に寄与しまして、ひいては東京一極集中の是正や地方創生にも資するものであると考えております。  このため県では、これまでも二地域居住を移住の一つの形と捉えまして、促進に努めてきたところでございます。具体的には、まず移住者の受入れに意欲的な地域をモデル地域として選定しまして、地域での日常生活を体験できる施設の整備などを市町村と連携して支援しておりますほか、また、市町村や県内企業と協働で行う東京での移住相談イベントの開催、そして、富山の交通事情や雪のある暮らしなどをテーマにしたオンラインセミナーの開催などに取り組んでまいりました。  さらには、関係人口の創出や二地域居住、将来的な移住促進を図るため、県外企業の社員、個人事業主等が富山県内で行うワーケーションやテレワークへの助成なども行っております。  他方、令和4年度に国土交通省が実施しましたアンケート調査によれば、約3割の方が二地域居住に関心があると回答しておりまして、二地域居住への関心は高まっているとは考えられますが、本県移住相談窓口への二地域居住に関する相談はそれほど多い状況とは言えず、二地域居住希望者特有の関心やニーズが十分把握できていないことが課題と考えております。  今後、移住セミナーなどにおきまして二地域居住をテーマに取り上げるなど、希望者のニーズ等を把握した上で、今後どういった取組が必要か探ってまいりたいと考えております。 68 ◯副議長(井上 学)金谷土木部長。    〔金谷英明土木部長登壇〕 69 ◯土木部長(金谷英明)私から、二地域居住の広域的地域活性化基盤整備計画についての御質問にお答えをいたします。  これまで本県では、石川県などの近隣県と連携した広域観光活性化計画を策定するなど、主にアクセス向上を図る道路整備に取り組んできたところでございます。  去る5月15日に成立いたしました「広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律」では、新たに二地域居住促進のための市町村計画制度が創設されたところであります。  具体的には、議員からも御紹介ありましたが、県が二地域居住に係る基盤整備計画を作成したとき、市町村が二地域居住を促進する具体的な整備内容や期間などの計画を作成することで、新たに国の支援を受けられるものでございます。  その支援の主な内容につきましては、空き家改修、それからコワーキングスペースや交流施設の整備、あるいは道路などのインフラ整備、観光、地域交通、デジタルといった様々な分野があるとされておりますけれども、制度の詳細はいまだ明らかになっておるところではございません。現在国におきまして、実施に向けた基本方針やガイドライン等の制度の検討が進められているというふうに伺っております。  この制度は、住まい、それから、なりわい、そしてコミュニティーと幅広い分野にわたりますことから、制度の活用につきましては、庁内関係部局と連携いたしまして、市町村の意向を十分に反映する必要があると考えており、秋頃に示される国の検討状況と併せ情報収集に努め、前向きに対応を検討してまいりたいと考えております。  以上であります。 70 ◯副議長(井上 学)川津知事政策局長。    〔川津鉄三知事政策局長登壇〕 71 ◯知事政策局長(川津鉄三)私は2問頂いております。  まず、職場環境、休暇についての御質問にお答えいたします。  議員御指摘のとおり、共働き世帯が多い本県におきましては、こどもまんなか社会を実現するために、真に子育てしやすい職場環境が重要であり、とりわけ子育て世帯の柔軟な休暇取得は大切だと考えております。  このため県では、休暇の取得を促進するため、時間単位の有給休暇や病休、育休、介護休暇等の普及促進を図るとともに、人事労務担当者等が情報交換できるSNSコミュニティーの運営などを行っております。  また、男性の育児休業につきましては、県独自の助成制度を令和4年度に設け普及に努めたこともあり、令和5年度の男性の育児休業取得率は、令和4年度の15.6%の倍以上となる33.9%に上昇いたしました。  議員御提案の夫婦間の年次有給休暇シェアにつきましては、大変興味深く、実現できれば効果的な御提案であると考えておりますが、付与日数や条件は法律で決められておりまして、就業者ごとに定められておりまして、仲がよい夫婦であっても休暇のやりくりをするということは法制度上ハードルがあるものと考えております。  もう一つの御提案であります一般事業主行動計画の活用については、既に計画を策定されている事業者の多くが休暇取得の促進目標を設定されており、様々な好事例があります。一例を御紹介いたしますと、年間最低18日以上の年次有給休暇を達成継続していくというふうに言われている企業ですとか、誕生日や結婚記念日などの記念日休暇を制度化しているという事例もあるところであります。  こうした好事例を明らかにして横展開を図ることによって、県内企業の多様な休暇制度の導入、休暇の取得促進につなげてまいりたいと考えております。  休暇の取得促進、長時間労働の是正は少子化・人口減対策、そして幸せな県民生活に大変有効なことから、富山労働局や関係団体、経済界と連携し、県内の働き方改革のみならず休み方改革も推進してまいりたいと考えております。  次に、再生可能エネルギーの導入促進についての御質問にお答えいたします。  県のカーボンニュートラル戦略では、県内の再生可能エネルギーの導入ポテンシャルを推計した上で、各エネルギーごとに導入目標量を定めております。  2022年度時点における導入目標量と実績を比較したところ、水力発電やバイオマス発電は順調に導入が進んでいる一方で、新規導入目標量が最多の太陽光発電の導入量は、目標の9割を下回る実績にとどまっております。  このため、太陽光発電の導入を促進するということで、本県のポテンシャルや電気料金節減のメリットなどをPRしながら、融資や補助金の点検、周知を行うとともに、脱炭素先行地域の高岡市や民間事業者によりますPPA──第三者所有型モデルですが、そういった取組とも連携しながら導入拡大に努めてまいりたいと考えております。  加えまして、折り曲げ可能な次世代型のペロブスカイト太陽電池についても、国の協議会に本県としても参加いたしまして最新の技術動向等の収集に努め、さらなる普及につなげてまいりたいと考えております。  また、包蔵水力──利用可能なエネルギー量ですけど、こちらのほうが全国3位の水力発電につきましては、先月、小水力発電の有望地点を公表したところであり、民間による新規参入を促進してまいりたいと考えております。  また、本県の産業集積を生かすことができます水素エネルギーにつきましては、今後の需要増を見据えたサプライチェーン構築が課題となっていることから、新たに伏木富山港で水素等の受入れに必要な設備、体制等を官民で調査検討することとして取り組んでおるところであります。  2050年のカーボンニュートラルの実現に向けては、運輸部門や家庭部門等における省エネルギー推進、エネルギー転換など、乗り越えなければならないハードルが数多くありますが、発電量拡大の切り札となり得る再生可能エネルギー、次世代エネルギーの導入促進に向けまして、本県のポテンシャルを最大限生かしながら取組を促進してまいりたいと考えております。  以上です。 72 ◯副議長(井上 学)南里経営管理部長。    〔南里明日香経営管理部長登壇〕 73 ◯経営管理部長(南里明日香)県内高等教育機関に係る官学連携の研究会議等についてお答えいたします。  人口減少や少子高齢化の急速な進展などにより、全国的に地方大学、とりわけ地方私立大学等の学生募集を取り巻く状況は厳しさを増しております。  本県でも、去る4月、高岡法科大学が令和7年度以降の学生募集を停止する旨の発表がありましたが、ほかの県内の私立大学、短期大学においても入学定員を満たさない状況が見られるところでございます。  こうしたことを受け、今般、県が県内高等教育機関を対象に実施したヒアリングでは、国公私立を問わず年々学生確保には苦労されていることから、「県内大学等への進学促進について各大学等が連携、協議する場が欲しい」ですとか、「高校生の受験ニーズを詳細に知りたいが単独では調査がしにくい」など、連携して取り組める場づくりを求める意見を頂きました。  このため、今回開催を予定しております県と県内高等教育機関との研究会議では、今後、県で実施予定の県内高校生や保護者へのニーズ調査や、県外高等教育機関の先進事例等も活用しながら、富山県で学ぶことの魅力の伝え方や効果的な学生募集の方法などについて、県と県内高等教育機関が連携して検討することとしております。  県内高等教育機関は、若者の県内各分野への人材供給や関係人口創出など、本県にとって重要な役割を果たしております。県としては、今回の研究会議での検討も踏まえ、県内高等教育機関の魅力が高まり、県内外の学生に選ばれる進学先となるよう支援してまいります。 74 ◯副議長(井上 学)山室商工労働部長。    〔山室芳剛商工労働部長登壇〕 75 ◯商工労働部長(山室芳剛)私からは、外国人材の活用促進についての御質問にお答え申し上げます。  人口減少の進行やコロナ禍からの経済活動が正常化することによりまして、県内企業の人材不足が深刻化する中、外国人材の活用は県内企業にとって重要な選択肢となっております。特に、技能実習生が多く受け入れられている一方で、高度外国人材はいまだ身近な存在とは言えず、その受入れを後押ししていく必要があると考えております。  このため県では、令和元年度からアジア高度人材受入事業を実施しております。具体的には、アジア諸国の理系人材と県内中小企業とのマッチングを行い、その採用内定者の県内定着を促進するため、入国前に日本語教育や富山県内での生活のレクチャーを行う富山県就職プログラムに取り組んでおります。これまで、コロナ禍による入国制限などの影響を受けながらも、昨年度までに18件のマッチング実績となっております。  外国人材活用の課題といたしましては、企業の認知度の低さや、企業と外国人材の求める条件のミスマッチなどが挙げられます。こうした課題に対応するため、昨年9月に外国人材活用支援デスクを設置し総合的な支援を行っております。このデスクでは、県内企業が外国人材に対する理解を深めるセミナーを開催しましたり、各種の相談に対応するなど、高度外国人材の受入れを後押ししております。
     県では、企業のニーズを把握するためのヒアリングや、外国人材紹介会社など供給サイドとの意見交換を通じて、外国人材の活用促進に向けた実態把握に努めております。これらの知見を生かしながら、さらに多くの優秀な外国人人材が県内企業で活躍できるよう積極的に取り組んでまいりたいと思います。  私からは以上でございます。 76 ◯副議長(井上 学)武隈危機管理局長。    〔武隈俊彦危機管理局長登壇〕 77 ◯危機管理局長(武隈俊彦)私からは、太陽光パネルの火災事故についての御質問にお答えいたします。  太陽光パネルの火災発生時のリスクにつきましては、外部から発電を遮断できないため感電事故の可能性があることや、棒状に放水すると水を伝わって感電する危険性があること、はりや柱、屋根等が火災の影響で炭化し太陽電池モジュールが重みで落下するおそれがあることなどが指摘されております。  これに関して消防庁から平成25年に通知が発出されておりまして、県では、この通知に基づく消防活動時の対策としまして、放水は噴霧状にして粒状で水がかかるよう距離や筒先の調整を行うことや、水がしみ込んだ手袋で建物に触れないよう絶縁性の高い手袋を使用すること、太陽電池モジュールの屋根からの落下に注意することなど、各消防本部に通知し注意を喚起しております。  また、今年3月の鹿児島県の太陽光発電施設での火災事故を受けまして、消防庁から4月26日付で電気施設の火災時の留意事項が示されました。これを踏まえ県から、感電防止のため電路遮断前──電気の通り道を遮断する前──にはむやみに進入しないこと、リチウムイオン蓄電池を用いた設備では可燃ガス等による爆発の危険性に留意し安全管理を徹底するよう、各消防本部に改めて注意を促しております。  なお、今回の質問を受けまして各消防本部に聞き取りを行ったところ、県内のメガソーラー発電所において太陽光パネルが直接的に火災の原因となった事例はないものと聞いております。  県としては引き続き、各消防本部において迅速円滑な消防活動が実施されるよう、適切に助言を行ってまいります。  以上でございます。 78 ◯副議長(井上 学)竹内生活環境文化部長。    〔竹内延和生活環境文化部長登壇〕 79 ◯生活環境文化部長(竹内延和)私からは、太陽光パネルの廃棄に係る御質問にお答えをいたします。  環境省のまとめました太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドラインによりますと、2030年代の後半には、全国で年間約50万から80万トンの太陽光パネルの排出が想定されております。その中で本県は、発電能力ベースで全国の0.5%であることから、年間3,000から4,000トンの排出があるというふうに推計をしております。  太陽光パネルにはガラスやアルミなどの有用金属が含まれる一方で、鉛などの有害物質を含む場合もあることから、国の検討会におきましては、含有する有害物質の情報開示を太陽光パネルメーカーに対して求めることや、使用済みパネルの確実な引渡し、引取りの仕組みの構築が必要といった提言が行われております。  現在、国において、リサイクルの促進と適切な廃棄に向けた体制構築等が検討されているところでございます。  県内には、先ほど申し上げました発生が想定される太陽光パネルの破砕やリサイクルに対し、十分な処理能力を持つ施設が既に存在はいたしますが、今後の大量廃棄に向け、国の動向を踏まえつつ、パネルの設置者に対しては適切な処理方法を、リサイクル業者に対しましては先進的な処理技術への支援制度について、周知してまいります。  また、こうした太陽光パネルの適切な処理に加えまして、高岡市が取り組んでいらっしゃいます使用済み太陽光発電設備のリサイクルを中心としたサーキュラーエコノミーモデル構築の取組との連携や、県で取り組んでおりますとやまアルミコンソーシアム事業によるアルミのグリーン化技術の研究支援、人材育成の取組など、こういったことを通しましてアルミをはじめとするリサイクル素材の活用が促進され、資源が循環する持続可能な社会の形成に取り組んでまいります。  以上でございます。 80 ◯副議長(井上 学)田中交通政策局長。    〔田中達也交通政策局長登壇〕 81 ◯交通政策局長(田中達也)私からは、まず並行在来線各社との連携についての御質問にお答えいたします。  人口減少対策として、北陸新幹線による大都市圏との連携に加え、並行在来線各社での連携した取組も有効であると考えます。  これまでも、あいの風とやま鉄道では、石川県や新潟県との県境を越えて移動する利用者の利便性を確保するため、相互乗り入れを行ってきております。また、昨年度は石川県と連携し、サイクルトレインの県境をまたぐトライアル運行を相互に実施いたしました。  えちごトキめき鉄道とは、特別企画として春の時期に観光列車、富山のほうは「一万三千尺春物語」、「えちごトキめきリゾート雪月花」、このそれぞれの車両の相互乗り入れを特別企画として実施しております。  さらに今年度は、北陸新幹線金沢─敦賀間の開業を契機に、北陸3県と並行在来線各社が連携し、並行在来線を利用した周遊促進キャンペーンに取り組んでおります。現在、3県の並行在来線区間が2日間乗り放題となる共通フリー切符を販売しておりまして、4月末時点の実績は約3,700枚となっております。  また、秋の北陸デスティネーションキャンペーンに併せ、並行在来線の駅や沿線の観光地を巡るデジタルスタンプラリーの実施や、観光列車「一万三千尺物語」の石川県、福井県への乗り入れの企画、準備を進めております。  県としましては、並行在来線の各社との連携を推進しまして、交流人口や関係人口の拡大につなげてまいります。  最後に、身近な移動を支える取組についての御質問にお答えいたします。  2月に策定しました富山県地域交通戦略では、地域の方がこれまで以上に社会と関わりを持ち生き生きと暮らせるようになる、最適な地域交通サービスの実現を目指しております。その実現のためには、並行在来線など鉄軌道サービスとともに、生活圏の身近な移動を支えるサービスの確保も重要であると考えております。  このため戦略では、地域住民や地元企業、店舗、NPO等がサービスの支え手にもなる交通空白地の解消を目指す新たなモビリティーサービスの立ち上げを推進することを、施策に位置づけました。  県内では既に、地域住民がドライバーとなるノッカルあさひまちが、高齢者等のスムーズな移動に貢献したことなどから総務大臣賞を受賞するなど、先行した取組も見られます。こうした取組も参考に、新たに、市町村が組織する公共交通会議の下、地域住民や交通事業者等の関係者による協議を通じて取り組む移動サービスの立ち上げを支援する制度を設けることとしております。  県としましては、二地域居住や高齢の方の移動が確保できるよう、市町村や交通事業者など関係者と連携を図り取り組んでまいります。 82 ◯副議長(井上 学)以上で嶋川武秀議員の質問は終了いたしました。  暫時休憩いたします。休憩時間は10分間といたします。  午後2時44分休憩       ───────────────────  午後2時55分開議 83 ◯議長(山本 徹)休憩前に引き続き会議を開きます。  瘧師富士夫議員。    〔29番瘧師富士夫議員登壇〕 84 ◯29番(瘧師富士夫)皆さん、お疲れさまでございます。  本日最後の質問者となりました。締めにふさわしい質問にならないかもしれませんが、最後までお付き合いいただくよう、よろしくお願いを申し上げます。  私のほうからは、まず人口減少対策について、Uターンの促進に絞って質問をいたします。  地方の若者の多くは大学進学で大都市へと流れます。その背景は様々ありますが、自分の学びたい学部・学科が地元にないとか、自分の学力に見合う大学が地元に少ないため都会に出ていくとか、また、交通の便がよく、遊ぶところもあって刺激の多い大都市のほうが若者には魅力的に映ることもあるのではないかと思います。その流れに歯止めをかけるのは難しく、むしろ都会暮らしの学生時代をよき経験とし、ふるさとに帰って就職してくれることに期待したいところでございます。  本県では、企業ナビとやまやSNS等を活用した情報発信、県内での就職活動に要する交通費を助成するなど、Uターン就職促進対策事業に取り組んできましたが、これまでの成果をどのように分析し、今後さらなる県外に出た学生の就職応援にどう取り組んでいくのか、山室商工労働部長に伺います。  大学卒業後、そのまま都会で就職、あるいは就職を機に都会に出る若者たちの中には、30歳代に入ると気持ちに変化が表れる人が一定数いると思われます。Uターンといえば、以前は定年退職した人が出身地に帰って老後を暮らす隠居生活のイメージがありましたが、最近は若い世代でUターンを検討する人が増えており、特に30代でその割合が高くなっていると聞きます。  通勤ストレスを抱えながら今の働き方を定年まで続けられるのか、30代は結婚、子供の誕生、マイホームの購入、子供の就学など、人生設計を考えるライフイベントを次々に迎える時期に当たります。それぞれのタイミングで、このまま都会生活を続けるのか、故郷に帰るのか、生まれ育った故郷に思いを寄せるときがやってくると想像します。  地元に戻って転職するには、家族の同意が前提にありますが、課題として、地元にどんな企業があるのか情報がつかめない、自分の希望に合う働き口が見つからないというケースをよく耳にします。一方、地方の企業では、都会の企業で腕を磨いた人材を即戦力として期待します。  そこで、本県においては、Uターン転職希望者に対してきめ細やかな企業情報の提供を図る必要があると考えますが、どのように取り組んでいくのか商工労働部長に伺います。  Uターン転職者やその御家族が以前よりウェルビーイングが向上することを願うものであります。転職そのものはできたとしても、理想と現実のギャップに戸惑い、こんなはずではなかったと後悔することになっては残念なことであります。  10年以上都会生活を続ければ、物の見方や価値観も変わってまいります。例えば、地域との関わり方という点です。都会では隣人との関係が希薄なことが多く、隣に住む人に関心が向かないのですが、田舎に行くほど人間関係は濃くなります。いい意味では、人と人との結びつきが深いと言えますが、別の言い方をすれば、詮索や干渉が気になるということです。  納得のいくUターンを叶えるには、地元に戻りどう生きていくのか、キャリアデザインと人生観の確立が必要だと考えます。本県への積極的なUターンを促すことは必要ですが、その先にある幸せを考えれば、仕事観や人間観までにつながるような掘り下げた相談に乗ってあげるべきと考えます。  真に幸せなUターン実現に向けたマッチングにどのように取り組むのか、新田知事の所見を伺います。  Uターン就職、転職を促進していくに当たり、その前提として大事なのは、やはり教育であると考えます。小中高にわたるふるさと教育やキャリア教育、高校でのライフプランニング教育は、以前から総合的な探究の時間等で取り組んできましたが、特に人材流出が著しい県立高校普通科での取組を強化すべきではないかと考えます。  県外の大学に進学してもいずれUターンしてくれるよう、富山の強みである産業や知識集約型産業、魅力ある企業の情報についてももっと伝えていくべきであり、富山にも女性がやりがいを持って活躍できる働きの場があることを伝えていくべきだと思います。  偏差値ではなく、生徒の成長を求める学校でありたいと願いますが、廣島教育長の所見を伺います。  次に、地域医療を担う医師等の確保について2点質問いたします。  全国的な地域偏在による医師不足の中、本年4月から医師の働き方改革により新たな時間外労働規制が適用されたことから、これまで以上に地域医療を担う医師の確保が課題となっております。  富山県では、将来、富山県内の地域医療を担う人材を育成する観点から、富山大学医学部医学科及び金沢大学医薬保健学域医学類の入試特別枠による入学者に対し、修学資金制度を設けています。この制度は修学資金の貸与期間を6年間とし、大学卒業後、医師となり、その後知事が指定する臨床研修病院で2年間の臨床研修を修了した後、富山県内の医療機関において地域医療に必要な診療に従事し、9年間勤務した場合に修学資金の返還が免除されるものであります。  勤務する医療機関の選定については、県や大学による本人面談を経て、大学側の医局人事として決定されることとなっていますが、医療機関側では、特別枠で卒業した医師がどれほど自院に勤務したかは把握できず、本制度の効果については不明であるとの声を聞いております。公金を投入して医師確保を目指す以上、本当に前に進んでいるのかを示す必要があると考えます。  そこで、富山県特別枠卒業医師について、県内指定医療機関における従事実績はどうなのか、また、医師派遣の権限を持つ大学側に対して、本人の希望を尊重しながら、病院側の医師配置事情なども考慮した形で要請を行っておられるのか、有賀厚生部長に伺います。  次に、これも深刻化しております薬剤師不足についてであります。  厚労省の統計によれば、富山県における薬局、医療施設に従事する薬剤師の数は全国平均を下回り、人口10万人当たり186人で全国順位36位となっています。  特に、医師の働き方改革で、今後は医師に処方薬や服薬計画について積極的に提案することなど、治療へのさらなる関与が求められる病院勤務の薬剤師は、極めて確保が困難な状況です。  そうした中、昨年度、富山大学薬学部薬学科に県内高校生を対象にした受験枠「地域枠」が新設されました。地域の病院にとって、定着度の高い地元出身の薬剤師を育てる地域枠への期待は大変大きいと言えます。  そこで、この県の奨学金制度を活用した地域枠の薬剤師が、卒業後に県内で一定期間勤務するコースとして、多岐にわたる臨床薬学の経験を積むことにより薬剤師としてのスキルアップが期待され、薬剤師の総合的育成支援を可能とする地域の中核病院への配置について特に配慮されるべきと考えますが、厚生部長の所見を伺います。  次に、農業・農村問題についてであります。  農業の生産条件が不利な中山間地域の農業生産活動が継続されるよう、国及び地方自治体が支援を行う中山間地域等直接支払制度は平成12年度から実施されており、今年度、第5期対策の最終年度を迎えています。継続は力なりと、これまで毎期の対策の課題を評価分析し、加算措置の継続や新設を加えた対策で今に至っております。  期が進むに従って、担い手の高齢化と後継者不足が顕著になってきており、次の第6期対策においても取組を継続することができるのか悩んでいる地域があると聞いています。平場との農業生産条件の不利を補正するだけでなく、中山間地域の農業が魅力的なものとなる取組に地域が一歩踏み出せるよう、支援の充実が必要だと考えます。  制度は今後も継続されると思いますが、次年度からの第6期対策において、県としてどのような対策内容の充実を期待しておられるのか、新田知事の所見を伺います。  中山間地域等直接支払制度の中には、新たな人材の確保や集落機能を強化する取組を行う場合に加算される対策があります。イメージとしてこれをさらに充実させた取組が、農村型地域運営組織「農村RMO」のように感じております。  昨秋、山村振興議連で島根県の事例について調査する機会がありました。どの形成事例も地域ごとの実情に応じた独自性の強い組織運営であり、組織を支える事務局対応のスキルの高さに驚かされました。  農村RMOの形成は複数集落で実施することとされており、中山間地域においては広域的な活動はハードルが高いと思われますが、本県の現状はどうなのか、本県の農村RMO形成の課題と今後の展望について、代表質問の答弁でも言及されました佐藤副知事に改めて伺います。  中山間地域において、地域活性化のため何か行動を起こそうとする地域を支援することが大切であり、その事業の一つが中山間地域チャレンジ支援事業であります。砺波市においても、栴檀野、栴檀山、東山見地域で活用しています。この事業は、各地域から応募された提案を予算の範囲内で審査により採択されるもので、今年度は例年より多くの提案が応募されていると聞いており、やる気のある全ての気持ちを酌んであげたいところですが、採択されないケースがあるのではないかと思います。  そこで、審査に当たりどのような明確な審査基準を示しておられるのか、また、継続事業も採択から3年間しか続けることができませんが、何とか柔軟な運用とはならないものでしょうか。これまでの成果をどう評価し、今後どのように取り組むのか、田中地方創生局長に伺います。  農業者の減少が進む中、営農組織や経営体の方々からは、将来自分たちの地域の農業がやっていけるのだろうか、農地を適切に利用していけるのだろうかと不安の声があります。  こうした中、現在各市町村では、地域の中心経営体や関係機関と共に、今後、農業者が耕作する受け手を調整するなど、おおむね10年後の農地利用の姿を示す目標地図を含めた地域計画の策定を急いでおります。  この地域計画の策定期限は令和7年3月末までとなっておりますが、県としてこの地域計画策定についてどのように認識しておられるのか、また、市町村の取組にどのように支援しているのか、津田農林水産部長に伺います。  農業の将来に光を照らす対策の一つは、スマート農業による省力化、効率化を進めることにあります。  個人的には、本県の稲作中心の水田農業においては、農業用ドローンの活用にあると考えております。既に、肥料、農薬散布で実用されていますが、それだけでは利用頻度が低いわけで、これが農業用ドローンによる水稲の直播栽培が本格運用されれば劇的に変わってまいります。人手のかかる田植作業が省かれることはもちろん、田植以前の播種作業、育苗管理がなくなります。よって、1か月程度しか使用しない育苗ハウス設置の必要もありません。課題としては、初期費用やオペレーターの育成が想定されますが、直播後の圃場管理によって秋の収穫がどの程度になるのか気になるところであります。  県内の営農組織では、県と連携しながら現地実証が行われていますが、これまでの実証結果をどう分析し、本格運用に向けどのように展望しておられるのか農林水産部長に伺います。  最後の項でございまして、森林政策についてであります。  人口減少時代に入り、林業、木材産業分野においても人材の確保育成や関係人口の拡大が課題となっており、ウッドショックの影響は鎮静化したものの、国内の林業経営は全体として厳しい環境にあります。  その一方で、2050年カーボンニュートラル実現に向け、森林、林業、木材産業の役割は大きなトレンドの中にあります。また、持続可能な開発目標においても、森林経営には様々な目標が関連し、貢献度が広がっています。  近年、森林経営管理法の施行、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律の成立など、法律の制定等の新たな動きもありました。  富山県では、昨今の社会情勢変化等を踏まえ、新たな森林・林業振興計画を策定するとされていますが、平成31年に策定された計画内容からどのような大きな見直し点があるのか、新田知事に伺います。  昨年、林野庁はスギ花粉発生源対策において、10年後に花粉発生源となる杉人工林を2割減少させることを目指す方針を示しました。本格的な利用期を迎えた人工林の主伐、再造林の増加が見込まれることを踏まえ、花粉の少ない多様で健全な森林への転換を促進していくものであります。目標として、令和15年度までに、国全体の杉苗木の年間生産量に対し、花粉の少ない苗木の占める割合を9割以上に上昇させるということですから、増産体制の確立が求められます。  本県が独自に開発した「立山 森の輝き」は、無花粉スギのまさにフロントランナーであります。現在、挿し木による苗木生産や、コンテナ苗生産に取り組む民間生産者への支援等により増産を図っておられますが、生産体制の整備の進捗はどうなのか、また、増産しても県内で植栽面積が確保できない場合、今後、県外への出荷等に向けてどのように取り組むのか、津田農林水産部長に伺います。  無花粉スギ等の植栽面積を広げるには、利用期にある人工林を切らなければなりません。主伐から再造林へと森林の循環利用をより進めることが必要です。将来にわたり持続的に木材生産を行うためには、急傾斜地や谷の向こう側などの路網の開設が困難な険しい地形の森林においても木材生産に取り組む必要があります。このような林業現場における作業システムについて、現在どう検討されておられるのか。  また、奥深い山間部の林業現場では、スマート林業の導入に必要な電波が届かない、通信が途絶えるといった箇所が多く、事故が発生した場合、緊急連絡が取れない可能性もあります。  生産性の向上や安全の確保につながるスマート林業の推進にどう取り組んでいかれるのか、農林水産部長にお尋ねいたしまして私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。 85 ◯議長(山本 徹)新田知事。    〔新田八朗知事登壇〕 86 ◯知事(新田八朗)瘧師富士夫議員の御質問にお答えします。  まず、Uターンの促進についての御質問にお答えします。  Uターンを希望されるきっかけは、転職、結婚あるいは子育てなど、様々なその方のライフステージの変化が挙げられると思いますが、そのUターンに当たり、御家族も含めて本県の生活環境などを十分に理解していただいた上で、その後のライフプランをイメージしていただくことが、Uターン希望者やその御家族のウェルビーイング向上につながるものと考えています。  このため、Uターン促進に向けて希望者の就職ニーズに応えるのみならず、改めて本県の生活環境などを理解いただき、Uターン後の暮らしにおけるミスマッチを防ぐことは重要と考えています。
     県はこれまで、Uターン希望者に対して移住希望者へのサポートと同様に、本県での暮らしの理想と現実のミスマッチを少しでも減らせるよう、市町村とも連携を図りながら、都内などに設置する県の相談窓口において、就職相談のみならず生活環境などの相談に丁寧に応じてきました。  また、本県での生活をあらかじめイメージいただくための下見に伴う交通費や宿泊費への補助のほか、各地域での暮らしやコミュニティーの状況などを取り上げたオンラインセミナーの開催などの取組も行っています。  今後、市町村ともさらに連携して、Uターン希望者のニーズ等の把握に努めてサポートの充実を図るとともに、相談窓口やサポート事業を多くの方に活用いただけるようにPRにも努めてまいります。  我々、「UIJターン」と言いますが、UIJターンそれぞれ、移住の一つの形だよねというふうにまとめて考えがちだったわけですけども、議員の問題意識は、「U」はある意味では特によりきめ細やかさが必要なのではないかということだと理解をいたしました。  すなわち、かつて住んでいたんだから分かるだろうというわけではなくて、逆に、離れておられた間に本人も変化しておられる、富山に残っておられる御家族も変化しておられる、また、ふるさと富山県も変化をしている、そのような様々な変化の変数がたくさんあるということです。なので、話はやはりより複雑になるケースも多いというふうに理解をしております。  東京、大阪などにありますくらし・しごと支援センターの相談員に対して、常にフレッシュな情報を提供してアップデートを怠らないようにする、そして適時適切なアドバイスができるようにしていく、そういうようなことで、特にUターン希望者の方には一人一人のニーズや悩みに寄り添ってまいりたいと考えます。  次に、中山間地域等直接支払制度についての御質問にお答えをします。  この制度は、本年度が現行の第5期対策の最終年度となっておりまして、国において次期の対策に向けた検討がされていることを踏まえて、本年の2月には、富山県として設置する交付状況の点検などを行う第三者委員会において、この第5期対策の最終評価を行ったところです。  その中では、さらなる高齢化や人口減少による担い手不足などが予想され、集落のレベルだけではなくて、よりもうちょっと広く地域のレベルで、人と農地をどうするかの視点が必要な段階になりつつあるという認識が示されました。  次期対策の意見として、まず、AIソフトの導入などによって事務負担の軽減化を図るべきであろうと、それから、人材の融通などで利点のある広域的な相互協力を推進するための集落協定広域化加算の拡充が提案されたところです。これは、富山大学名誉教授の酒井先生を委員長とする12名の委員会であります。  国に対しては、先般、この提案も含めて、制度の継続的な実施に必要な予算の確保と十分な配分について要望をいたしました。県としても、広域化や外部人材の活用の推進など、中山間地域で農業生産が持続的に発展していくように努めてまいります。  最後に、森林・林業振興計画の策定についての御質問にお答えします。  現行計画の策定以降、国では、2050年カーボンニュートラルを見据えた森林・林業基本計画の策定や、杉人工林の伐採・植え替えなどの花粉症対策の加速化、また、県においても富山県森づくりプランや県産材の利用促進に関する基本計画を改定しておりまして、こうした国や県の新たな計画や昨今の社会情勢の変化も踏まえ、昨年度から県の計画の見直しを進めてきたところでございます。  この新たな計画では、目標年次を令和13年度とします。ちょうどこれが本格的な利用期を迎えた人工林資源を背景にして、主伐による森林循環の加速化と持続可能な森づくりを基本目標に定めまして、これまでの間伐中心の施業から主伐へと大きくシフトするということ──始まって以来のことでありますけども──そういうふうに大きな転換期にあるということでありまして、そのための基本施策としては、林業事業体の経営力の強化や生産性の向上、また主伐に対応した担い手──これ、すなわちより若手ということを意味しますが──の育成や関係人口の拡大、また災害に強い多様な森づくりなどを盛り込むことにしています。  特に令和8年度までの3年間で重点的に取り組むプロジェクトとして、スマート林業による生産性の向上、また民間建築物への木材利用の拡大などのウッドチェンジ、そして人口減少社会での担い手の確保育成、また、山地災害の早期復旧などの能登半島地震からの復旧、これらにこの3年間で重点的にスピード感を持って取り組みたいと考えております。  新計画の策定に当たっては、関係の皆様からの御意見も伺いながら、震災復興も踏まえた本県の将来の森林・林業の姿を共有し、森林資源の循環利用と豊かな森に育まれる県民のウェルビーイング向上につながる施策を取りまとめてまいります。  私からは以上です。 87 ◯議長(山本 徹)佐藤副知事。    〔佐藤一絵副知事登壇〕 88 ◯副知事(佐藤一絵)私からは、農村RMOについての御質問にお答えをしたいと思います。  農村RMOは、総務省が推進をしております地域運営組織の農村版ということで、地域資源を活用した様々な取組に加えまして、農業生産活動や農用地保全活動に取り組む地域コミュニティー機能の維持強化を図るための重要な役割を担う組織として、農林水産省が支援を始めまして、令和4年度から本格的に支援事業を立ち上げたところでございます。  このときに、複数集落での実施、広域的な活動を行うことを支援の要件としているところでございますけれども、複数集落というのは、基本としては旧小学校区単位というエリアを想定しておりますので、広域的ではありますけれども、従来からつながりのあるそういった地域同士の連携においてこの農村RMOやっていただく、そういう仕組みにしております。このため今、令和6年度で全国では60を超える地域において、国や県の支援事業を活用した取組が広がってきているところでございます。  また、将来的には、やはりこの農村RMOにおいても活動を自走して運営していただきたい、そういう観点では取組エリアに一定の広がりが必要という考えの下、このような複数集落での実施ということになってきております。  本県においては、全国の中でも大変積極的に取り組んでいるほうでございまして、現時点においては4市1町の7地区で、国そして県の支援策を活用して既に取組がスタートしているところでございます。この複数集落を対象とする将来ビジョンを策定し、地域の多様な主体を巻き込みながら、それぞれ特色ある活動が進められているところでございます。  ただ、農村RMOを進めていくに当たりましては、やはり地域の住民の皆さんが主体性を持って継続して、地域資源の利活用や生活支援に取り組んでいただくことが肝要でありまして、その合意形成から運営に至るまでは、地域のリーダー的な人材の方が中心になって対応されていることが多いのですけれども、この運営を軌道に乗せていくためには様々な課題に直面することもございます。  このため、地域と伴走し取組をサポートする、そうしたサポート人材というのが非常に重要であると考えておりまして、その確保が課題でございます。  まず県におきましては、そのような課題を踏まえまして、農林水産省が主催をしております農村プロデューサー養成講座というものがございますが、こちらにこれまで県の職員8名が参加をしております。この講座を受けて8名の職員はサポート人材としてのスキルを習得しておりますので、県内の各地域の話合いなどを実際に今支援しているところでございます。  また、県としましても昨年度、令和5年度から市町村やNPO法人など関係者を対象に、農村RMOの伴走者育成講座を開催しております。先ほど、島根県の調査をされたということでございますが、島根は確かに先進的な地域の一つでございます。この島根での事例なども講義の中に交えながら、それを学んで人材育成をしていただく、そういった取組をしているほか、今年度はこの伴走者育成講座の中で、地元の優良事例ということで、立山町の釜ヶ渕地区というところがみらい協議会というのをつくって農村RMO活動をされておりますけれども、その形成から運営までのプロセスを学ぶような現地研修も予定をしているところでございます。  中山間地域はやはり人口減少に伴う様々な課題に直面をしておりますけれども、こうした農村RMOを通じて課題の解決に向けて意欲的にチャレンジしてもらえるように、地域の住民の皆様方に寄り添いながら、引き続き、県としても農村RMOの形成をさらに推進してまいりたいと考えております。  以上です。 89 ◯議長(山本 徹)山室商工労働部長。    〔山室芳剛商工労働部長登壇〕 90 ◯商工労働部長(山室芳剛)私からは、2問頂いたうち、まず学生のUターン就職促進の御質問にお答え申し上げます。  県では、県外学生を対象に、Uターン就職の意向が高まると思われる県の就職活動に係る支援ニーズを調査しました。その結果、県内企業の情報提供が53.7%、Uターン就職活動時の交通費助成が38.6%と上位を占めました。  このため、本年3月に、これまで複数に分かれていた既存の企業情報サイトを統合しまして、「就活ラインとやま」として全面リニューアルを行いました。これにより県内企業の魅力を動画でアピールするほか、LINEを活用した学生本人へのプッシュ型の情報発信など、若者に寄り添い、かつ心に響く内容へと改善したところであります。  また、平成29年度から実施している交通費助成制度につきましても、当初より利用実績が低調でありましたので、令和5年度に助成対象範囲を拡大しまして制度の見直しを行ったところでございます。その結果、昨年度の利用実績は189件、対前年度比約32倍と急増いたしました。さらに、利用者の7割超の県外学生がUターン就職に結びつくなど、制度拡充による明確な効果が確認されたところでございます。  今後ともこうした支援策を広く御活用いただくべく、積極的な広報活動を展開するとともに、Uターン就職に関する意識やニーズを綿密に調査、把握しながら、県外学生が大学生活での貴重な経験を経てふるさとに戻り活躍していただけるよう、一層の取組を進めてまいりたいと存じます。  次に、Uターン転職希望者に対する企業情報提供の御質問についてお答え申し上げます。  県では、県外在住者のUターン就職希望者に対し、富山くらし・しごと支援センターと就活ラインとやまの2つの取組を通じてきめ細やかな支援を行ってまいります。  Uターン就職希望者の相談窓口である富山くらし・しごと支援センターは、東京の有楽町、大手町、大阪、名古屋に設置しておりまして、キャリアコンサルタントの資格を持つ相談員が、希望者の経験やスキル、働き方などに応じて希望に沿った県内企業を紹介するなど、丁寧なサポートを行っております。特に、大阪オフィスにつきましては、本年4月に県大阪事務所が入っております近畿富山会館内に移転をしまして、相談体制の強化を図ったところでございます。  あわせて、本年3月から全面リニューアルした就活ラインとやまでは、最新の県内企業情報を分かりやすく発信しております。これにより、Uターン就職希望者が自分に合った職場を見つけやすくなったところと考えております。  今後とも、富山くらし・しごと支援センターと就活ラインとやまを両輪として活用しまして、Uターン就職希望者一人一人に寄り添ったきめ細やかなサポートと効果的な情報発信に努め、本県へのUターン就職が一層促進されるよう積極的に取り組んでまいります。  私からは以上でございます。 91 ◯議長(山本 徹)廣島教育長。    〔廣島伸一教育長登壇〕 92 ◯教育長(廣島伸一)私からは、県立高校普通科のキャリア教育に関する御質問にお答えをいたします。  県の教育委員会では、小中高の各段階に応じまして、子供たちの郷土への誇りや愛着心を育む教育、また、子供たちが進学や就職などで一旦本県を離れたとしても、富山県に戻り、富山県で働き、豊かな人生を送る具体的なイメージを持つような教育に取り組んできており、これからも取り組んでいきたいと考えております。  御指摘の県立高校普通系学科の生徒へのキャリア教育につきましては、令和元年度からの取組として、社会へ羽ばたく17歳の挑戦におきまして、生徒の地元の企業への理解を深めた上で将来の選択ができるよう、昨年度までで県内126の企業におきまして体験活動を実施してきております。  参加生徒からは、「県内にも魅力的な企業があることを知り、大学卒業後、県内で就職したい」、また「職業を意識して将来を思い描く機会となった」との感想が聞かれております。  昨年度に参加した生徒の意識調査によりますと、「将来の就職先として県内企業を選択したい」と答えた生徒の割合ですが、体験前が44.8%であったものが体験後では62.2%という数字が出ているなど、地元企業の魅力を感じ、進学後の地元就職について考えるよい機会になっているのではと考えております。  今後とも、この事業に関しましては、協力いただける企業の拡大など、一人でも多くの生徒が本県企業の魅力を知ることができるよう改善していきますとともに、生徒たちが自らの生き方を考え成長していく中で、地元の企業を視野に入れて進路を選択できる取組の充実を図ってまいります。  以上でございます。 93 ◯議長(山本 徹)有賀厚生部長。    〔有賀玲子厚生部長登壇〕 94 ◯厚生部長(有賀玲子)私からは2問お答えいたします。  まず特別枠の医師ですが、特別枠の医師、現時点で64名が初期臨床研修を終えており、そのうち25名が富山大学や金沢大学等で引き続き専門研修を受けるとともに、39名が、黒部市民病院、県立中央病院、厚生連高岡病院、市立砺波総合病院など、県内12の指定医療機関に勤務しております。  診療科別では、麻酔科15名、救急科9名、総合診療科9名、外科8名、感染症内科6名、小児科5名、産婦人科5名となり、大学との連携により、不足する診療科や身近な地域での医師の確保に貢献していると考えております。  これまでも医師の派遣の決定につきましては、医学部の5、6年生及び臨床研修1、2年目の研修医との面談等を通じて本人の希望を確認するとともに、医師確保総合支援協議会や医師派遣検討会といった場で各自治体や病院からの要望をお聞きしながら、富山大学に設けた寄附講座が運営する地域医療総合支援センターにおいて、指定医療機関への医師派遣について一元的に管理をしていただいております。  今後も、本人の希望やキャリアパス、公的病院の要望を考慮しながら、大学と連携して医師確保に努めてまいります。  続きまして、薬学部の地域枠奨学金の制度についてでございます。  富山大学薬学部の地域枠生に対する奨学金制度は、卒業後、県内の公的病院、製薬企業または行政機関で9年間勤務した場合にその返還を免除することとしております。  地域枠卒業生の病院での勤務については、奨学金の制度内容を議論しました薬剤師確保対策推進協議会の取りまとめにおいて、地域医療で中核的役割を果たす公的病院の中で、原則として規模や機能などが異なる施設を9年間で3か所程度ローテーションするプログラムを組むこととされたところでございます。  この取りまとめを踏まえまして、今後、具体的なプログラムの内容を設定することとしており、富山県病院薬剤師会や県内公的病院などの関係者と十分に協議しながら、地域をリードする薬剤師の育成を目指してまいります。  私からは以上です。 95 ◯議長(山本 徹)田中地方創生局長。    〔田中雅敏地方創生局長登壇〕 96 ◯地方創生局長(田中雅敏)私からは、中山間地域チャレンジ支援事業についてお答えいたします。  中山間地域チャレンジ支援事業は、中山間地域が課題解決や活性化に向けて取り組む試行的な活動を支援するものでありまして、住民の交流の促進や、生活支援、移住・定住の促進など、様々な活動に御活用いただいております。  審査基準につきましては募集要項等で周知しておりますが、新たなアイデアや先進的な取組が含まれているか、事業計画に具体性があるか、地域住民と連携が図られているか、地域の活性化が期待できるかなどのポイントを基に、外部委員に審査いただき、予算の範囲内において事業を採択しているものでございます。  近年、先駆的な取組をほかの地域でも紹介するなど、横展開に取り組んできた効果もありまして、応募数も増加基調となっております。平成23年度の制度創設以来、昨年度までに101地区において事業が実施されておりまして、この支援事業は県内中山間地域の活性化に一定の役割を果たしてきていると認識しております。  一方で、今年度は、令和3年度に新規枠を拡充して以降初めて予算枠を超える応募を頂きまして、採択できないケースが生じました。また、事業期間後の4年目以降につきまして、例えばコミュニティービジネスの持続的な運営についての悩みなどもお聞きしておりまして、課題もあると認識しております。  県では、地域コンシェルジュによる相談活動や、ビジネスモデルづくりのノウハウ習得等を目的とした研修会の開催など、支援を実施しているところではございますが、今後とも地域の取組が持続可能なものとなるよう、地域の声に耳を傾けながらニーズに応じた支援ができるよう取り組んでまいりたいと考えております。  以上です。 97 ◯議長(山本 徹)津田農林水産部長。    〔津田康志農林水産部長登壇〕 98 ◯農林水産部長(津田康志)私からは、4つの質問についてお答えいたします。  まず、地域計画についての御質問にお答えいたします。  高齢化、人口減少の進行により、農地を次の世代に確実に引き継ぐことが課題となっている中、地域計画は、将来の地域農業の在り方について農業者が話し合い、それを踏まえ市町村がおおむね10年後の農地利用の全体像や目標地図を作成するもので、本県農業の持続的発展に向けて極めて重要な取組と認識しております。  現在、県内では全237地域で担い手などの意向把握と協議の場の設置が進められており、このうち24地域が策定済み、残りの地域も令和7年3月末までに策定を終えると聞いております。  一方で、御指摘のとおり、協議中の地域からは、担い手の高齢化が進み将来の姿が見いだせないとの声も聞いていることから、県の農林水産公社が地域の話合いが円滑に進むよう、協議に参加しサポートしているほか、県としましても地域計画実行の鍵を握ります担い手の確保に努めております。  具体的には、県農林水産公社に配置した就農コーディネーターのマッチング機能を強化し、農業経営の第三者継承や雇用就農を促進するほか、産地や地域の就農希望者の受入体制づくりを推進しております。また、本年度は新たな取組としまして、経営継続に課題がある集落営農組織同士の広域連携を推進するためのモデル事業を実施することとしております。  引き続き、地域計画の策定と着実な実行に向け、市町村やJAなどの関係機関等と連携して取り組んでまいります。  次に、農業用ドローンについての御質問にお答えします。  農業用ドローンは、農薬や肥料の散布といった農作物の栽培管理作業に幅広く対応可能で、低コスト化や作業負担の軽減につながることから、県内でも導入台数が着実に増加しております。  一方、水稲の直播栽培での活用は、今年度の予定では全体で29ヘクタールにとどまっており、さらなる拡大に向けた技術の確立が必要です。  このため県では、御紹介もありましたが、令和4年度から南砺市の営農組合と共同して現地実証を行っており、種子のコーティング資材の種類や、播種量、水管理方法などの検討のほか、収量等の調査や結果の解析につきましてもJAと連携して取り組んでおります。  昨年度までの結果では、品種による違いはあるものの、慣行栽培並みの収量を確保する事例も見られる一方で、手動操作による播種むらの発生、播種深度が浅くなったことによる鳥害の発生、それからコーティング資材等の負担などの課題も明らかになったところです。  令和6年度では、ドローンの自動飛行による播種むら改善効果の検証、適正な播種深度を確保するための水管理、さらなるコスト低減に向けた播種量やコーティング資材の検討など、収量や品質の高位安定、低コスト化に向けた実証を行うこととしており、結果を県全体で共有し、早期の技術の確立につなげてまいりたいと考えております。  また、県では、これまでのドローン操作に必要な資格取得やスマート農機の導入支援に加えて、今年度から、ドローンがより高精度で自動飛行し、正確な播種作業等が可能となるための通信環境を整備することとしております。  引き続き、デジタル技術の活用による生産性の高い営農体制整備に取り組んでまいります。  次に、「立山 森の輝き」の生産についての御質問にお答えいたします。  優良無花粉スギ「立山 森の輝き」につきましては、現在、種から育てた苗を年間10万本生産しており、令和8年度には、生産期間が短く低コストで大量生産が可能となります挿し木苗の生産を加えて、年間20万本の生産を計画しております。  この計画実現に向け、まずは必要な挿し穂を安定供給するため、令和4年度までに砺波採穂園等で約1万5,000本の採穂木の植栽を完了したほか、栽培技術の向上のため、新川森林組合など苗木生産者5者に対して、毎年研修会の開催や技術指導を行っております。  加えて、新規生産者を拡大するために、無花粉スギの生産技術に関する講習会を開催しており、本年6月までに新たに3者を追加して生産者登録しております。  また、議員御懸念のありました県内で植栽面積が確保できず余剰苗が発生する場合も想定し、令和2年度から県外出荷を進めており、福井県、新潟県、石川県に対し合計で約2万4,000本の苗木を出荷し、今年度は新たに福島県にも出荷を計画しております。  全国的にも本県の無花粉スギに対する需要は高く、収益増も期待できることから、県ホームページ上に無花粉スギの情報を充実させるなど、全国に向けたPRにも努めてまいります。  最後になりますが、路網の開設が困難な森林での木材生産についての御質問にお答えいたします。  本県の木材生産は、現在は主に林道、作業道などの路網を活用した車両系の作業システムが中心となってございますが、今後、杉人工林の利用を進めるためには、地形が急峻で路網の開設が困難な森林においても木材生産を行う必要がございます。  このため、県では今年度から、路網の開設を必要とせず、木材をつり上げて集材する架線系の作業システムについて実施を行うこととしております。  具体的には、支柱と集材機を備え、架線を用いた集材ができる高性能林業機械タワーヤーダを用いた生産を行い、収益性や適用条件等を検証するとともに、県内に架線集材に対応できる技術者がいないことから、県林業カレッジにおいて県外から講師を招き、効率的に集材するための索張──架線を張る計画でございますが、その計画や架線の設置方法等に関する研修などを行い、人材の育成に取り組むこととしております。
     また、林業イノベーション推進協議会ではこれまでもスマート林業の推進に取り組んでおり、例えば、マーキング機能つきの高性能林業機械を使用すれば、原木の仕分けの生産性が約2割向上することなどを実証したところでございます。  本年度はドローンを活用し、これまで困難であった広葉樹の資源量把握や、携帯電話圏外の林業現場において安全を確保するため、低軌道衛星と簡易無線機を活用した緊急時の連絡体制の構築に取り組むこととしております。  今後ともスマート林業技術の実証等を進め、生産性の向上や作業現場の安全性の確保など、林業が魅力ある成長産業となるよう関係者と連携して取り組んでまいります。  以上でございます。 99 ◯議長(山本 徹)以上で瘧師富士夫議員の質問は終了しました。  以上をもって本日の一般質問、質疑を終了いたします。  次に、お諮りいたします。  議案調査のため、明6月18日は休会といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 100 ◯議長(山本 徹)御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  以上で本日の日程は終了いたしました。  次回の本会議は6月19日に再開し、各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行いますとともに、議会運営委員会を開催いたします。  本日はこれをもって散会いたします。  午後3時48分散会 Copyright © Toyama Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...