• "海底地形"(/)
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  1. 富山県議会 2024-02-01
    令和6年2月予算特別委員会


    取得元: 富山県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-18
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1                      午前10時00分開議 永森委員長 ただいまから、本日の予算特別委員会を開会いたします。  それでは、発言の通告がありますので、これより順次発言を許します。        寺口智之委員の質疑及び答弁 2 永森委員長 寺口委員。あなたの持ち時間は60分であります。 3 寺口委員 おはようございます。自由民主党富山県議会議員会の寺口智之でございます。今回初めて予算特別委員会にて質問の機会を頂きました。先輩議員の皆様、それから同僚の議員の皆様に感謝申し上げます。  まず冒頭におきまして、このたびの能登半島地震におきましてお亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。  そして、被災者の方への支援や復旧・復興に日々御尽力をいただいております新田知事をはじめといたします部局長、それから当局の皆様に深い敬意と感謝を申し上げ、私も一富山県民として諸課題に全力で取り組むことをお誓い申し上げ、以下質問させていただきたいと思います。  まずは災害対応について3点伺います。  1点目は、指定避難所とされている県立学校の対応についてお伺いいたします。  今回の災害において、指定避難所でありながら鍵を開けることができず、避難所として使用できなかったケースがありましたので、この点についての伺いであります。  私の地元の話のことになりますが、当時の状況を少し説明させていただきますと、私が住み暮らします魚津市の経田地区には指定避難所は3か所ございます。経田駅がまず海岸から大体500メートルの距離に並行に走っています。それと並行するような形で公民館が大体海抜4メートルのところにあります。この公民館から200メートル離れたところ、海抜6メートル地点に経田小学校、さらにそこから400メートルほど離れた海抜7メートルの地点に県立の学校があります。  午後4時10分、2度目の大きな揺れの後、結構車で移動される方も多かったんですけれども、私はまず経田小学校の状況を見に徒歩で移動したわけですが、鍵がないと騒ぎになっていまして、魚津市の職員が魚津市役所に鍵を取りに行って鍵を開けて、およそ4時30分に皆さん体育館に避難して避難所を開設するというくだりになりました。  公民館も、鍵をお持ちの方がいたので、すぐ解錠できたわけですが、問題になったのが県立の学校でありました。鍵がなくて、体育館は1階がピロティーなものですから2階から入るんですが、その階段に人が詰めかけて数十人が集まったと。それで、ガラスを割ろうかという話もあったわけですけれども、私たちが小学校で少しそこを電話でつなぎながら、状況はどうだと、少し待ってくれとかそういったお話をしながら、ガラスを割らず、鍵も開けられず、どうしたらいいのかという状況になっていたまま、その後500メートル離れたその小学校に移動してきてくれということで避難をいただいたわけであります。状況を考えますと、危険な動きだったのかなと、いろいろと反省している部分でもありました。  最初に述べましたとおり、つまり、県立学校は指定避難所でありながら避難所開設ができなかったということは問題であり、災害時には速やかに避難所として開設ができますように、鍵の取扱いや、それから避難物資の管理におきましても改善を図るべきと考えます。荻布教育長に御所見をお伺いします。 4 荻布教育長 今回の地震では、津波警報の発令に伴って、海岸部を中心に多くの地域住民の皆さんが一斉に避難を開始されたため、避難所の解錠、開設が住民の到着に間に合わなかった学校では、避難者が緊急避難的に窓ガラスや入り口扉のガラスを破壊され、開錠して校内に入られたという事例も多数発生しております。県立高校でも、滑川高校と富山北部高校で同様の事例が発生しております。  災害時の学校施設の解錠などについては、学校ごとに避難所運営マニュアルを策定して担当者を決めておりますが、避難所の開設は市町村で判断をされるものでありまして、今回の地震では、学校職員は市町村の避難所開設依頼を受け、解錠、開門のため学校に急行しましたけれども、交通渋滞などにより到着まで時間を要したため、避難者の受入れが遅れた事例もあったと認識をしております。  なお、委員からお話のありました経田地区の高校、魚津工業高校のことかと思いますけれども、この高校については、市から避難所開設についての依頼なり指示というものはなかったところでございまして、災害が発生した際に、やはり市町村における避難所開設指示等の御協力というのは必要だと思っております。
     そして、今回のような大規模災害時には、学校職員自体も被災者となる可能性も高いことから、県としても避難者が速やかに学校施設内に避難できるように、災害時における速やかな学校施設の解錠などについて検討の必要があると考えているところです。  地域や学校の状況に応じて、遠隔操作による解錠や震度を感知して開く、キーボックスの導入、また地元自治会での鍵保管など検討をしていきたいと思います。  また、市町村の防災担当部署とも連携協力しまして、市町村、学校、地元自治体の連携による迅速な避難所開設体制の構築や、避難所として必要な物資の備蓄管理なども含めて、検討を進めてまいりたいと考えております。 5 寺口委員 教育長、ありがとうございます。  市町村からの依頼があってということは、立てつけ上は分かるんですけれども、大変難しい状況も当然あるわけです。1月1日のあの時間というのは、公的機関の方におきましては、ちょっと市外にいたり、場合によっては県外にいたり、当然そういった場合もありますし、なるべく、いついかなるときでも開けられるという体制、市町村自身においても初めての経験でしたから、多分その高校に避難所開設の依頼をする余裕もなかなかなかったであろうと考えられますし、後半のほうで、遠隔システムキーボックス等の対応も検討するということをおっしゃっていただきましたので、なるべく早めにそれを実現できるような検討を出していただいて、すぐに避難所としてやはり開設できることが一番大切と考えますので、御対処のほうをいただきたいです。  さらに、ついでといいますか、魚津工業高校の場合ですが、防災倉庫が校舎からちょっと離れた場所にあります。避難所から離れた場所にあります。そこにわざわざ取りに行くそのリスクというのもかなり検討していただかないと、困った二次被害ということにもなりかねないので、十分に御留意いただきますようにお願いをしたいと思います。  次に参ります。2点目です。  防災マップデジタル化の件で伺います。  改めましてですが、災害はいつどこで発生するか分かりません。今議会の答弁の中でも、ハザードマップの再確認ですとか、いろいろと御答弁を頂きました。非常に重要な情報源でありますハザードマップですが、このハザードマップ、せいぜい自分の自宅とそこがどれぐらいの距離にあるかということぐらいで、離れた場所にいた場合、その場所のハザードマップとなるとまた難しいものでありますし、ハザードマップだけに頼るというのはやはり難しい状況です。そういった中で、デジタル化というのは非常に有益なものであると考えております。  先日の議会質問の中でも、川津知事政策局長武隈危機管理局長より答弁を頂いておりましたように、地図上にデータを組み合わせて、災害に備え市町村が指定した避難所のデータやハザードマップが掲載されるということは非常に大事なものでありますが、このデータやその地図、画面上のデジタル防災マップというものに、自分の位置情報が追加されることによって、例えば自分が今海抜何メートルにいて、津波がもし来るとしたらどのような危険度がある、どこまで逃げれば大丈夫かということが分かる、そういったことが判断できるようにすべきと考えております。  この防災マップについて、デジタル化に加え、自分の位置情報や、さらにそういったことを反映して危険度の情報が得られるように、その機能の充実を図っていくべきと考えます。新田知事の御所見をお伺いします。 6 新田知事 ありがとうございます。  全く全面的に賛成ですと言ったら終わっちゃうんで、もう少し説明させていただきます。  国や県あるいは市町村が保有するオープンデータを一元的に管理して、それを地図と連動させて分かりやすく提供するための基盤が必要です。そのデータ連携基盤を、今、県で構築中です。今年4月運用開始に向けて今準備を鋭意進めております。  令和6年度にはこの基盤を活用して、緊急性が高い防災関連の避難所のデータ、それから河川や津波のハザードマップ、このあたりは静的データなのですぐできますが、さらに国や県のセンサー、川の水位がどうとか、そんなことも地図上で提供できるようにすることにしています。  おっしゃるように、災害はいつどこで発生するか分かりません。富山県に旅行で来ておられる方が富山県で災害に遭うこともあるわけでありますから、より早い対応をしながら多くのデータを提供していくことが大切だと考えています。その際には、位置情報を可視化することがやはり大切だと思います。  このため4月には、防災デジタルマップをリリースした上で、様々なデータや機能を順次追加していくことにしています。実は、今構築中の地図では位置情報をそのままプロットすることはできないので、別に開発が必要になります。今、その費用感を確認中ですが、その予算規模感にもよりますけども、確認後、できればサンドボックス予算などを使って早急に対応したいと考えています。  そして、今の当初予算には耳で聞くハザードマップというものも提案をさせていただいております。これをお認めいただければ早期に導入しまして、スマホ上で、視覚障害のある方にも、これはまた健常者にももちろん役立つんですが、今、あなたはここにいますと、南東方向に1キロ逃げてくださいといったことまで全部、音声とともに指示が可能なんです。こんな情報もできれば早く提供していきたいと思います。  新年度のデジタル防災マップにこのセンサーデータ地図データなどを追加していきますが、マップ利用者の位置情報についても、今申し上げたように、早速検討の作業を進めてまいります。  今後とも、県民はもちろん、富山県に旅行で来ておられる方も含めた県内滞在者に対しましてスピーディーに、そして正確に災害の情報を届けるために、様々なアプリもうまく組み合わせていきたいと思っています。  最新の技術導入、やはり今防災もデジタルの時代だと思います。そのように進めていきたいと思います。 7 寺口委員 進めていただけることに、感謝申し上げます。  また、耳で聞く防災アプリに位置情報を加味していただけるということで、非常にありがたいことだと思います。  御存じかなと思いますが、一応御紹介もさせていただきますけれども、国交省さんがその位置データを活用しているので、そのデータを活用しながら、株式会社ウェザーニューズさんがAR浸水シミュレーター、拡張現実の浸水シミュレーターというアプリをつくっておられて、去年の豪雨の際とかには、雨がここまで浸水するというデータが出るような仕組みもつくっておりました。そういったこともぜひ御参考にしていただきながら、やはり危険度がどれぐらいか分かって、どこなら危険、どこなら安全というところの判断がつくようになると非常にいいのかなと思いますので、また御検討のほう、それから動いていただくことをお願いいたします。  3点目に入らせていただきます。  北陸応援割、とやま応援キャンペーンについてであります。  3月9日、そして12日の新聞にも出ておりましたが、3月8日から予約が始まっているこの応援割でございますが、予約枠がすぐに埋まってしまい、苦情が相次いだということでありました。  状況を整理するために少し遡りますけど、もともとは本年の1月26日に閣議決定されたということで、制度の概略が発表されたわけですが、割引と半額になるということだけ聞いて、国民の期待度は上がった上で、情報もあまり得られないまま月日が過ぎ去っていったような気がしております。  2月22日に富山県のホームページ上で実施が発表されましたが、参加施設などの詳しい情報ページが公開されたのは予約開始となる3月8日の前日の夕方という状況でございました。  1月に発表されてから予約開始までの期間は、応援割では半額になるということでありますから、宿泊控えが起こってしまったり、それから予約適用を見越して、3月16日以降の宿泊をホームページなどから仮予約するという動きが見られたということでありましたが、この仮予約がかなり今も課題というか問題となっている状況であります。  割引が適用されるものとして考えていたんですが、実際割引適用の枠が非常に小さかったものですから、3月8日から予約を取り直したら自分の分まで予約が行かない。そうなると、あなたは宿泊割引になりませんと言われると、何で半額にならないんだ、それではやめますという電話が非常に多い。その確認の電話をすると、そんなの知らなかったよと言ってやはり泊まらない。そういったことで、宿泊施設においては対応に苦慮して非常に困っていらっしゃる状況でありました。  キャンペーン対象施設の情報を速やかに示していただき、各宿泊施設に対しましては、予算上限等について早急に御案内、御連絡をしていただくような状況が望ましかったと考えております。  今回のこのキャンペーンの販売において混乱が生じた要因とその対策についてどのように考えていらっしゃるのか、竹内地方創生局長に伺います。 8 竹内地方創生局長 御質問のありました北陸応援割、とやま応援キャンペーン、こちらは国からの交付金を財源に、国が示します要綱の下行われた事業でございますけれども、その要綱におきましては、能登半島地震による風評被害を払拭し、旅行需要を早期に回復及び喚起することが目的だとされております。  コロナ禍の下、令和4年、5年に実施されました全国旅行支援に比べ、今回のこの事業は割引率、割引上限額が高く設定されております。その一方で予算規模は小さくなっております。  国、所管は観光庁でございますけれども、観光庁からは、その割引率、割引上限額が高いのは早期の回復を図るためであり、予算規模についてはキャンセル等により発生した被害の規模を算定し、必要な予算を確保した結果だという説明がございました。  応援割の実施が発表されて以降、多くの予約をいただいております。こちらは、風評被害の払拭や需要の早期回復という事業の目的の達成については一定の効果があったものだと認識しております。  一方で、御質問にございましたけれども、予約開始後短時間で、配分された割引原資額に達した宿泊施設が数多くあるといった点につきましては、地震で傷みました富山を観光に訪れることで応援しようという全国の方々の思いが、国の制度設計時の想定を上回ったためだと考えております。そして、その結果として、富山への旅行を計画されていた方々だけではなくて、予約をお断りいただくための説明、苦情対応など、宿泊施設等にも御負担をおかけした事例があると伺っておりまして、大変残念に思っております。  なお、事務的にですが、北陸応援割が1月26日に閣議決定され、国から詳細が2月27日に通知されました。その後、他県とも協議しました予約開始日、これは3月8日でございますけれども、この3月8日に向けて、まず参加いただける事業者に募集をかけております。もちろん事業者様にその日にお返事くださいというわけにはまいりませんので、一定期間、募集期間を見ます。それで3月5日に参加登録を締め切っております。7日にホームページ参加事業者を掲載し、配分額も参加事業者が決まらないと決められませんので、配分額を通知させていただいております。これが3月7日でございます。その間、我々県といたしましては、できる限りの対応をしたと認識をしております。  現在、予約受付を終了している宿泊施設をホームページに掲載するなど、周知に努めさせていただいております。これを随時更新するなど、今後宿泊施設の負担が増えないように努めてまいりたいと考えております。 9 寺口委員 局長、どうもありがとうございます。  日程的に非常に厳しい動きだったのかなということは理解できますが、これもほかと比べるのはちょっと恐縮なんですけれども、隣の新潟県では2月中に一度事業説明会のようなこともして、それをまたホームページに載せて、Q&Aとかそういったこともやっていらっしゃいます。向こうの締切りがどうだったかというのはちょっと確認は取っていないんですけれども、やはり前日までその様子が分からないというのは宿泊施設さんにとって非常に困難だったそうでして、前日の夜に予約のシステムや夕方にマニュアルが届き、予算の通知があり、こういうソフトで計算してくださいというのが来て、かなり混乱を招いたのはやはり事実であります。ただそうは言っても、どの宿泊施設さんも、この応援割を実施していただいたことには感謝を口にされております。  やはりこれで終わらずに、これをきっかけに第2弾、第3弾ということをぜひ国に要望いただきながら、たとえその期間が終わっても、また宿泊に行くとか、別の観光につなげるというような施策が必要ではないかと考えているわけですが、局長の見解をお願いいたします。 10 竹内地方創生局長 今ほどございましたように、たくさんの需要、多くの方々から応援してやりたいというお気持ちがあるということは確認できましたので、我々としても国に対しては、できるならば、第2弾としてこういったことができないかということは要望してまいりたいと考えております。  そちらに対しての国の判断ということはまだ分かりませんけれども、私どもとしては、そういったことはお願いしてまいりたいと考えております。 11 寺口委員 ありがとうございます。  ぜひとも要望していただきたいと思います。この観光業をしっかりフックにして、やはり復旧・復興を支えていただきたいと考えておりますので、ぜひ、困っておられる方、それからまた元気な方含めまして全部、観光の力で富山県を盛り上げるという動きを取っていただきたいと思います。ありがとうございます。お願いします。  次に参ります。  水産業の震災からの復興についてということで、4点お伺いします。  まず1点目ですが、今回震災による津波や、海底地滑りと言われる海底のがけの崩落により、漁具が流されたり埋もれたりして回収不能となるなど大きな被害が報告されております。  関係者の要望もあり、2月補正において漁具や漁船の復旧における支援事業をつくっていただき、その第一次締切りが3月1日だったと聞いております。  震災に伴う、津波や海底地滑りによって大きな被害を受けた漁具や漁網の復旧に対する支援策の内容や、それから事業者からの申込み状況について、また今後、例えば今まだ網が海中にあってそれを引き揚げてみたら被害が起こっていた、そういったことも発見されることが予想される中で、事業期間の延長も必要ではないかと考えております。  これらを併せまして、津田農林水産部長に御所見を伺います。 12 津田農林水産部長 県内の被害状況は、定置網では網やロープの損傷、アンカーの流出等で45件、かご縄及び刺網では、かごや網の流出等で38件、漁船では転覆が3隻、破損が5隻という被害状況になっております。  県では、被害を受けた漁船、漁具の早期復旧を図るため、国の補助事業を活用し、漁協等が事業主体となって、被災した漁業者が新たに漁船や漁具を導入する経費を支援するため、2月補正で4億500万円を専決しました。  なお、この事業では、県内の被害状況に鑑み、県費を追加して補助率を3分の2から4分の3にかさ上げするとともに、定置網のアンカー等の部分的な漁具の購入や、既に着手した事業も対象とするなど、柔軟な運用も可能としております。さらに、資金の確保を支援するため、漁業近代化資金の融資枠も拡充したところです。  現在、国の割当て内示に基づき、まずは被害の大きかった20か統の定置網、具体的には、入善1、魚津3、富山9、新湊9か統について、3月1日までに申請を頂きました。  申請は一旦3月1日で区切らせていただきましたが、現在も、夏季の定置網の網上げ時などに被害が見込まれる漁具も含めて、申請を受け付けているところでございます。  また、今後新たに被害が判明した場合には、国のほうにも要求し必要な予算の確保に努めてまいりたいと思っております。 13 寺口委員 まだ申請を受け付けていただいているというところで、安心をいたしました。ありがとうございます。  2点目ですが、震災に伴う海底地形の急激な変化、それからまた漁具が流されたということは、つまり、それらの漁具が埋まっていたり、場合によっては海中を漂っていたり、非常に危険な状況であります。  自分が漁をする漁場において、網やかごを仕掛けるポイントはどうなっているのか確認する必要が、漁師さんにはあると考えます。  今回このような漁業者が行う漁場の状況把握のための調査や、漂流、堆積物の除去、それから漁場環境の復旧活動の支援ということで、支援策が設けられるということを伺ったので、それは非常に歓迎をいたします。  3月にはホタルイカも解禁しました。この後4月にはシロエビ、そして5月には定置網、夏網の設置といったそれぞれの漁期に向けて、早期に調査等をし、準備させていく必要があります。  今後どのような体制で実施しようと考えていらっしゃるのか、津田部長に御所見を伺います。 14 津田農林水産部長 今回の地震では、富山湾内の複数か所で海底地滑り発生の報告があり、そうした急激な海底地形の変化が原因と見られる定置網等の漁具の破損や流出のほか、発災後の操業中に底引き網が破損するなどの報告も受けております。  また、被災で漂流した漁具などの海洋ごみも発生しておりまして、こうした湾内の漁場環境の変化による操業への支障が懸念されております。  このため、国におきましては、去る1月26日に石川県、富山県、新潟県を対象として、漁業者自らが漁場復旧を図るための漁場調査や漂流、堆積物除去といった漁場環境改善の取組を支援するための「漁場等機能回復対策事業」を創設されまして、本県分として1億2,000万円の予算が確保されたところでございます。  今後この事業を活用した漁場復旧の実施主体として、県漁連、沿海9漁協等が参加いたします富山県漁場等機能回復協議会が設立される予定となっております。県としても、協議会を指導する立場から、県漁連が行う活動ニーズ調査や予算調整等を支援してまいります。  また、この協議会が中心となって、漁業者が希望する漁場での水中ドローン等による海底調査をはじめ、海洋ごみ回収のための海底耕うんや、回収した漂着ごみの処理等が実施されることとなりますけれど、水産研究所においても技術的な支援や助言のほか、例えば海底の底質調査を受託するなど、協議会の取組を支援し、一日も早い漁場の復旧と操業の回復を図ってまいります。 15 寺口委員 ありがとうございます。ドローンなどで見えてくる部分が非常に多くあると考えております。御調整等いろいろあると思いますが、できるだけ早くその協議会を立ち上げていただき、準備をいただければありがたいなと思っております。  先日の報道で、海底地滑りの痕跡が見つかった、確認されたという報道がありました。海上保安庁が2月の27、28日に調査したデータからの発表ということでありました。富山市の沖合水深30メートルから370メートルの地点という非常に長いところ、南北3.5キロ、東西1キロにわたっての崩落が確認できたと。これが津波を引き起こした可能性があるというような報道がありました。  漁業者への調査等、支援メニューを頂くのは大変ありがたいのですが、やはり何といっても、国のちゃんとした調査により、どんな変化が起こったのか正しい事実が明らかにされていることが重要であると考えます。  そこで伺いますが、海上保安庁などの国の関係機関と連携し、調査結果の共有を図り、漁業者へ正確でかつ速やかな情報提供に努めていっていただきたいと考えます。津田部長の御所見を伺います。 16 津田農林水産部長 海底状況の調査につきましては、1月から2月にかけて、水産研究所の調査船立山丸を用いて、ベニズワイガニやシロエビ等の発災後の生息状況を把握するための最終調査を実施しております。  また、今後も、水中カメラを用いたベニズワイガニの海底での分布密度や、その生息域となる海底地形の状況などのほか、シロエビの分布調査も実施することとしております。このほか、先ほど御答弁申し上げたとおり、国の漁場復旧予算も活用して、海底環境の変化を把握するための底質調査も実施いたします。  一方で、今ほど御紹介ありましたが、海上保安庁が1月と2月に測量船による富山湾沿岸の海底地形調査を実施したほか、現在、東京大学や富山大学等の研究チームが学術調査船を用いて、富山湾近海を含む能登半島周辺海域の海洋環境や海洋生態系に関する調査も実施しております。  こうした調査結果を必要に応じて国や大学等の研究機関と互いに情報共有して、先ほども言いましたが、富山県漁場等機能回復協議会の場などにおいて、有用な情報を漁業者に提供してまいります。 17 寺口委員 ありがとうございます。学術調査船は白鳳丸かなと思いますけれども、調査しているという話がありました。しっかりと情報共有をお願いしたいと思います。  今御答弁いただきましたように、水産研究所におきましては立山丸で調査をされていると聞いております。  これまでずっと蓄積されたデータといろいろ比較しながら、ベニズワイガニの状況、シロエビの状況というのは非常に大切なことであろうと思います。しっかりとしたその裏づけとデータ管理が、水産業の持続のためには、より一層重要なものになると考えております。  しかし、立山丸ですが、平成10年、つまり今から26年前に竣工したものでありますし、機械などが大分古いものであると言わざるを得ません。海底の状況を把握するには、高性能なソナーを使用して音波測量という方式を取るということでありますが、これは船体に埋め込んで使うものだそうで、船そのものを更新していく必要がありますが、こういった音波ソナー等もやはり必要じゃないかと思うわけであります。それにまた、海中カメラや海中ドローン、それらもやはり、なるべくしっかりした設備で正確な情報を測って、現在の状況、それから今後のというところをまた御検討いただきたいなと思っております。  海洋の調査機能を強化する意味でも、船体の更新を含めた整備について御検討いただきたいと考えますが、津田部長の御所見を伺います。 18 津田農林水産部長 現在、水産研究所では、海面の調査船として、沖合の深い海域を調査する立山丸──これは御紹介いただきましたように平成10年竣工でございます──と沿岸の浅い海域を調査いたします、はやつき──これは令和3年竣工でございます──の2つの船を所有しております。  海底調査のための装備としましては、立山丸には深海生物の生息状況や底質を調査するため、深海用の水中カメラ、それから採泥器等が装備されております。また、はやつきには、委員から御提案いただきました海底地形等を調べるためのソナーや、海底等の状況をリアルタイムで観測できる水中ドローンが装備されております。  また、はやつきのサイドスキャンソナーにつきましては、主に藻場を調べるための水深の浅い海域用でございまして、今回の地震において、海底地形の変化による影響が危惧されております、シロエビや底引き網の漁場等の水深が深い海域には対応できておりません。  立山丸に自前のソナーを装備する場合には、船艇自体の改修が必要となりますので、機器の設置までに相当の期間を要するものと見込まれることから、今回の調査につきましては、協議会において民間の調査会社に委託する予定と承知しております。  将来的には、竣工から26年が経過している立山丸の代船建造ということも必要になってくると思いますが、その際には、高性能なソナー等の整備を含め、調査機能の向上について検討してまいりたいと考えております。 19 寺口委員 御検討いただけるということで、ありがたいと考えます。費用や時間はそれなりにかかるものなんだなと思っておりますが、例えば他県の状況、北陸の調査船等の状況というのは把握していらっしゃいますでしょうか。 20 津田農林水産部長 石川県と福井県では、立山丸と同じトン数程度の船がございますが、立山丸よりも数年経過しているものを現在、新しい代船を建造している最中で、2025年に竣工する予定と聞いております。 21 寺口委員 ありがとうございます。  石川県では検討中ということでありますが、水産業の課題ということで何度も私質問させていただいておりますが、やはりこれからの水産業、今回こんな大きな被害もあった中で、どうやっていくのかということをしっかりと考えていただくためにも、調査船の更新については、またぜひ御検討いただき進めていただきたいなと思います。どうかよろしくお願いします。  次に、教育に関する諸課題についてということで2問お伺いいたします。  1点目は、教育現場の負担軽減に向けた人員配置についてであります。  産休や育休、病休等の休職中の教員の業務を代替する臨時的任用講師、それから非常勤講師につきましては、年度途中で不足が生じないように余裕を持った配置の検討をいただきたいわけでありますが、ここ数年は、年度途中で教員の不足という状況が発生し、代わりにほかの教員が受持ちを増やしたり、仮担任として教室を持ったりと、現場は大変疲弊しているという状況が聞こえております。  前回の質問でも少し取り上げさせていただきましたが、この課題、ぜひとも早急に対策がなされる必要があると考えております。再度お伺いすることになります。  休業される教員の代わりとなる人材の確保、その方策について荻布教育長に伺います。 22 荻布教育長 近年、教員の大量退職期を迎えておりまして、教員採用数が96人と過去最も少なかった平成13年以降、ほぼ毎年増加を続けており、近年は300名以上の新規採用を続けてきております。  このため、若手教員の増加に伴って産休・育休を取得する教員が増えており、その代員となる臨時的任用講師の必要数は年々増加をしております。特に年度途中の代員の確保については、ほかの仕事に就かずに待機している講師登録者が少ないために、速やかな配置が難しい状況となっているところであります。  こうした状況を踏まえ、今年度から国の加配を活用し、年度途中から産休に入る一部の教員の代員を年度初めから配置したところであります。新年度においても、その配置数をさらに増加させ、年度途中での教員未配置を少しでも解消させていきたいと考えているところです。
     また、臨時的任用講師については、職務経験に応じて処遇を改善する方向で、現在の初任給の上限設定を見直すこととしており、人材確保やその質の向上を図ることとしております。  今後とも市町村教育委員会と連携して、多忙化解消、働き方改革をはじめ、教員としての魅力のPR、採用試験の見直し、定数の確保に向けての国への働きかけなど、教員確保の取組を総合的に進めてまいりたいと考えております。 23 寺口委員 ありがとうございます。  年度当初から手配をしていただく人数に関しては何人ぐらいの予算の確保ができているんでしょうかというのをお伺いできますか。 24 荻布教育長 予算額ということではないのですけれども、人数で申しますと、今年度については小学校での3名でございましたが、新年度については、これは今時点での見込みではございますけれども、30名近くの29名と見込んでおります。 25 寺口委員 当初3名だったのが29名まで増やしていただけたということの理解でよろしいんですよね。  ほかの仕事等に就きながら、臨時教員として呼ばれるのに待機というのはやはりなかなか難しいと思いますので、そういった教員になろう、なりたいという意識を持つ方をしっかりとつなぎ止めておくためにも、最初から雇い入れるということができたのは非常に大きな成果かなとも考えております。  そのための予算というのは、またしっかりと確保いただいて、ぜひとも、教員の手配が足りないといった状況にならないような状況をしっかりとつくっていただき、教育の質の低下ということにならないよう、また努力をお願いしたいと考えております。ありがとうございます。  2点目は、県立高校の再編に向けた取組についてお伺いいたします。  さきの一般質問でも予算特別委員会でも、再編方針については多くの質問が出てきているところであります。再編に向けての取組といたしまして、県立高校教育振興検討会議におきまして、時代やニーズを踏まえた県立高校の目指す姿や学科コースの在り方についての検討を進めていただき、それを踏まえて、来年度には新田知事が主宰されます総合教育会議にて議論を進めると、そして、この総合教育会議の場に、地域や産業界、また保護者にも出席してもらうというような御答弁を頂いております。  様々な意見を伺いながら丁寧に議論を進めるということは明言をいただいておりますし、ぜひそのように進めていただきたいわけでありますが、今回、総合教育会議を令和5年度は3回ほど開いていただいた、それが令和6年度は5回程度開くという御答弁を頂いていると思います。  ただ、それが県の考えの一方的な説明の場と、説明に対する質疑ではなく、学校の在り方そのものをしっかりと協議いただきたいと考えているわけであります。どのように進めていかれる方針なのか、新田知事に伺います。 26 新田知事 県立高校の再編については、これまでも県立高校教育振興検討会議において、有識者、教育関係者、またPTA、市町村の方々など、幅広い意見を持った方々によって検討いただいてまいりました。  また、先般は市町村長、また市町村の教育長との意見交換会も開催をしました。それから、「県立高校教育振興フォーラム」と題しまして、富山市と高岡市でより広く意見を聴く場も設けました。  これまでの議論と検討の概要を説明し、御意見を頂くことを目的としてそれぞれ開催したわけですけれども、頂いた御意見は先月の検討会議にもフィードバックしましたし、そして総合教育会議でも報告をされているところです。  今後は新年度の総合教育会議において、おっしゃるように、5回ないし6回になりますでしょうか、特にきちんと決めているわけじゃありませんが、小まめに開きたいと考えています。県立高校の在り方に関する基本方針などについて議論を深めていくこととしています。  会議では、今年度中に取りまとめられる予定の検討会議の提言を参考にして、地域の代表の方、また生徒や社会のニーズを踏まえた観点での教育体制の整備も大切だと思うので、保護者あるいは産業界の代表の方にも総合教育会議に御出席いただき、幅広く意見を伺い、検討をさらに進めていきたいと考えます。  私としては、地域の皆さんから御意見を伺う場があることはとても意義深いことだと考えております。意見交換会は、おっしゃるように、一方的に県の説明の場とすることは全く考えておりません。対象を限定せずに、希望する方には御参加いただけるようにしますし、幅広い御意見を頂いていきたいと考えています。  教育委員会には、新年度になっても意見交換会を学区ごとあるいは希望のある地域で複数回開催して、そこで頂いた御意見をまた総合教育会議にフィードバックしてもらう、そのような予定にしています。  こうした取組で関係各所の声を幅広くお聴きしながら、高校生にとって望ましい教育環境となるように、こどもまんなかの視点に立って高校教育の充実に取り組んでまいります。 27 寺口委員 ありがとうございます。  学区ごとの話合いも開くという言葉を今頂けたのかなと思っております。やはりそれが非常に大事なのではなかろうかと私は思っております。  例えば募集定員に満たない学校があった場合、その学校をどう変えていけばいいのか地域の皆様と話し合う。この学校、例えば工業高校の定員が少し割れている、じゃ、この工業高校をどう変えていこう。工業に対して、例えばデザインを入れていこうとか、ICTを入れていこうとか、皆様と一緒に話し合うということをぜひ行っていただきたい。その上で、小規模な学校がいいのか、やっぱり規模が必要なのかと。やっぱり順番は、最初に高校の在り方というもの、コースやカリキュラムの在り方というものが最初にあってからぜひ進めていただきたいと思っております。  総合教育会議で決まったことを説明するんじゃない、地元の声を拾い上げる話合いにぜひとも取り組んでいただきたいと考えております。お願いいたします。  次に、保育の現場における人材不足への対応について伺います。  当初予算におきまして、潜在保育士確保に向けた保育補助者雇用促進事業として、新たに予算額1,700万円という計上がなされております。その取組内容につきまして、松井こども家庭支援監に伺います。 28 松井こども家庭支援監 保育人材の確保の取組については、新年度はまず潜在保育士の掘り起こしとして、県保育士・保育所支援センターに専任コーディネーターを配置しまして、就職を希望する潜在保育士と保育所とのマッチングを行うなどの就職支援に取り組むほか、保育所に再就職することが決定した場合に、就職準備に係る資金の貸付けを行うこととしております。  また、新たに市町村と連携して取り組む、「潜在保育士確保に向けた保育補助者雇用促進事業」を新年度予算に計上しているところでございます。  それから、保育士養成校の学生に対しては、卒業後に県内で保育士として勤務することを要件とした修学資金の貸付けや、県内保育所の魅力を伝える情報レターの送付、さらに民間保育所による就職説明会の開催などを行うこととしております。  さらに、高校生に対しては、保育士の魅力を伝えるリーフレットの配布や、保育所体験バスツアーの県内4コースでの実施など、保育の担い手確保に取り組むこととしております。 29 寺口委員 ありがとうございます。  取組は非常に大切なものであり、ぜひその潜在保育士の方から保育の現場に戻ろうといいますか、やろうということになれば一番いいなと考えておりますが、先日その保育の現場の方々との意見交換をさせていただいたんですけれども、やはり人材不足、非常にせっぱ詰まった状況でお話が出てまいりました。  当然休憩する時間もないぐらいの仕事量で、何が大変なのかというと、やはり保育そのもの以外の仕事が非常に多いと。子供に触れる時間以外のことで、書類整理だったり雑務がかなり多くて、大変だということを伺ったわけであります。  保育士の免許を持っている方の雇入れというのも大事ですけれども、保育士免許がなくてもできる作業というのが非常に多いのではなかろうかというのが保育所の方の意見でございました。  小学校におきましては、スクール・サポート・スタッフといった考え方もあるわけでありますが、例えば保育計画をまとめた書類づくりとかそういったことに対して、本当に非常にたくさんの時間を今取られている現状におきまして、それ以外の清掃業務だったり、遊具の消毒だったりといった周辺業務などを手伝う保育支援者という考え方、そういった方を手配するということも必要じゃなかろうかと考えておりますが、松井こども家庭支援監の御所見を伺います。 30 松井こども家庭支援監 保育の現場では、保育士の負担を軽減し、本来の保育業務に注力できるように、保育士を補助する保育補助者に加えまして、今ほど委員から御紹介ありましたが、保育に係る周辺業務を行う保育支援者を配置することができます。  県の新年度予算案においては、まず潜在保育士を保育補助者として雇用し、保育現場への段階的な復帰を促進するための必要経費を計上したところでございます。  委員御発言のこの保育支援者の配置への支援については、一部の市町村では国の補助事業を活用して既に実施しております。また、今ほど御発言ありましたけど、一部の市町村からは、県と市町村との連携事業にしたらどうかといった御意見も頂いているところでございます。  こども・子育て施策の連携強化については、市町村や関係者と鋭意協議しているところでございますが、その中でも保育人材の確保策については大変重要な協議テーマであると考えておりまして、保育支援者の活用を含めまして、より効果的な取組について検討してまいります。 31 寺口委員 ありがとうございます。ぜひとも御検討いただきたいと思っております。  近年、非常に仕事がきついものですから、かなり離職率も上がってきてしまっているという状況も聞いておりまして、本当に今ちょっとあまりよくない循環になっているような気がします。  手厚い支援を基に、やはり学びの最初のところ、保育は非常に重要なものと考えますので、御対処をお願いしたいと思っております。  3点目は、産休時の代員保育士についてであります。  予算書を見てみますと、出産のために休業となる保育士の代員を務める保育士の雇入れに対する補助、これは今まで月額5,600円という補助があったということでありますが、それが今回はなくなったと承知をしております。  民間保育所など厳しい経営状況がある中において、経費削減の観点から、産休中の保育士への給与が支払われない給与未払いが発生するということも懸念されております。給与補助事業の復活をお願いしたいと考えますが、松井こども家庭支援監の御所見を伺います。 32 松井こども家庭支援監 今ほど委員から御指摘ありましたこの補助でございますが、産休等代替職員制度と言いますが、これにつきましては、これまで県単独事業として実施してきました。直近5年間の利用状況は、補助対象の保育施設が県内で約180施設あるうち、この補助事業を利用された施設数は5年間で各年度4から7施設あります。全体から言えば約3%の利用になっている状況でございます。  この事業の活用が少ない理由としては、保育施設側へのアンケート調査の結果によりますと、補助事業の要件である産休時の産休者への給与を支給しているのではなく、健康保険の保険給付としての出産手当金などを活用していること、それから、産休時における短期間の代替職員の確保が困難であり、代替職員を紹介してもらえる制度があればよいといった御意見を頂いているところでございます。  こうした状況を踏まえまして、より多くの保育施設が利用できる保育人材の確保や雇用につながる施策を講じていく必要があることから、この事業は今年度までとし、新たに県と市町村が連携して取り組む事業として、先ほども御紹介しましたが、産休時における代替職員の雇用経費にも活用できます保育補助者雇用促進事業や、県保育士・保育所支援センターによる潜在保育士へのリーフレットの配布、また、市町村への潜在保育士の情報提供などに要する経費を新年度予算に計上したところでございます。  また、これまでこの事業を利用されてきた施設に対しては、この補助事業については令和6年度まで経過措置を設けること、それから、ほかの保育施設での産休時における対応事例も紹介したり、さらに、新たな支援制度の内容等について丁寧な説明を行ってまいりたいと考えております。 33 寺口委員 利用が少なかったのは、制度上難しかったのかなというのもちょっと今聞いていて思った次第ではありますが、やはりそこも人手不足が原因であり、またさらに人手不足を生む要因にならなければいいなという思いであります。  その潜在保育士、保育補助者の雇用促進事業がしっかりとした動き出しになるように、また情報周知だったり、民間であってもしっかりと情報を伝えていただけるような取組をひとつお願いしたいと思いまして、次の質問に参りたいと思います。ありがとうございます。  最後に、少子化対策について伺います。  本年度の予算案につきまして、未来に向けた人づくりと新しい社会経済システムの構築を図るとともに、こどもまんなか社会の実現をはじめとした8つの重点政策としてまとめられておりますが、その重点政策の1つ目の柱が、少子化対策、女性活躍の推進、こどもまんなか社会の実現となっております。  子育て支援に関しましては、子育て支援ポイント制度、それから保育料軽減制度、病児・病後児保育利便性向上事業など、それからまた、フリースクールの支援やヤングケアラー支援対策事業など手厚い支援をいただいていることには非常に感謝申し上げておりますが、少子化対策事業に関しましては、とやまマリッジサポートセンター運営事業、これは拡充されたということでありますが、この事業のみなのかなと、少し心もとない予算なのかなと感じております。  富山県で生まれる子供が6,000人を切ったという、非常に何といいますか厳しいメディアの報告もあったところでありますが、このマリッジサポートセンターについて、会員数のさらなる増加を目指すということで、去年の2か月だけ20代の登録無料キャンペーンを試されたと聞いております。  この制度、そのマリッジサポートセンターの制度自身がなかなかまだ少子化対策、結婚の事業の成果につながってないかなとも認識しております。全国では民間と連携した取組を実施している例もありますし、マリッジサポートセンターも民間との連携を考慮していくべきではないかなと考えております。  これまでの実績を踏まえ、令和6年度の取組と成果見込みにつきまして、川津知事政策局長に伺います。 34 川津知事政策局長 とやまマリッジサポートセンター、愛称adoor(アドア)と言っておりますけど、結婚を希望する方に出会いの場を提供するため、平成26年10月に開設以来、全国で実績のありますAIシステムによります個別マッチング、セミナー、イベントの開催、サポーターの養成等を行ってきております。本県の婚姻数は平成25年以降年々減少しておりまして、近年はコロナ禍の影響もあり急減、というような報告もありましたが、減っております。その中で、adoorを通じた成婚数につきましては、令和3年度以降、数はそれほど大きいわけではないですが、着実に増加しておりまして、今年度は昨年の22件を上回る25件ということになっているのが現状であります。  今年度の取組をちょっと御紹介もいただきましたが、結婚支援に知見のあります民間のコンシェルジュを配置いたしまして、市町村との連携を強化しているほか、昨年の11月から12月の間、試験的に20代までの方なんですけど、登録料無料化を行っております。その結果、期間中、20代の新規登録者数は前年同期比10倍を超えます58人となりました。また、閲覧数、マッチング数も上期と比べて増加するなどの効果も見られたところであります。  このため、新年度は20代までの登録料無料化を本格的に実施するほか、成婚数をさらに増やすため、会員へのフォロー体制の強化策といたしまして、サポーター活動に対する奨励策の導入ですとか、民間事業者によります会員向けの相談会等を行いたいと考えております。  また、近年、民間の婚活アプリ利用が大変広がっておりますので、そうしたものも取り上げながら、婚活の進め方に関するセミナーも開催いたしまして、会員以外の方も対象とする事業にも積極的に取り組み、婚活に対する機運の醸成を図っていきたいと考えております。  今後とも他県の事例も参考にしながら、adoorの会員数、成婚数については今年度を上回る件数を目指すとともに、市町村や民間事業者の皆様とさらなる連携を促進いたしまして、県全体の婚姻数が増加するよう、より実効的で波及効果のある対策に取り組んでいくこととしております。 35 寺口委員 すみません、時間がない中で民間との連携ということもおっしゃっていただきましたが、やはり登録数が少ないと出会える絶対数が少ないというのがまず前提であると思う中で、登録数を増やすための民間の方との連携について、少し御所見、御説明があればお願いします。 36 永森委員長 川津知事政策局長、時間がほぼありませんので、簡潔にお願いします。 37 川津知事政策局長 民間の事業者の方に講師として来ていただきまして、一緒にいろいろ切磋琢磨しながら、婚活の方を支援するとともに、先ほども申し上げましたアプリなんかの活用についても、ちょっとそういった知見を使いながらやっていきたいとマリッジサポーターセンターは考えております。民間との連携をしっかりやってまいります。 38 永森委員長 寺口委員の質疑は以上で終了しました。        尾山謙二郎委員の質疑及び答弁 39 永森委員長 尾山委員。あなたの持ち時間は60分であります。 40 尾山委員 皆さん、こんにちは。私は自民党新令和会の尾山謙二郎です。  まず私からも冒頭に、元日に発災いたしました能登半島地震で多くの方々がお亡くなりになりましたことに、心から御冥福をお祈りするとともに、まだ復興道半ばの方がたくさんいらっしゃいます。その方々にも心からお見舞い申し上げる次第であります。  私の知人も何人か、この能登半島地震でお亡くなりになられました。御家族を失われたわけであります。お悔やみに行ってまいりまして、ある方がこんなことをおっしゃっておられました。息子が死んだんだけど、病気とか事故ではないんだと。病気なら病気だということで納得もできるし、事故なら事故で死んだ原因があるんだろうと。この地震で家屋の倒壊で亡くなるというのは、何で自分の息子が死ななければならないのか、亡くならなければならないのか、やはり理解ができないと。気持ちの出口がないと。非常に苦しいということをおっしゃっておられました。かける言葉がない中で、私も政治という、トップに立たせていただいて政治家という使命を与えていただき、その中で何ができるかということを本当に今真剣に考えなければならない。恐らく今回この議会に臨まれている先生方、皆さん、二度とこんなことが起きないように対応するためにはどうしたらいいのかということを真剣に考えなきゃならない、そんな思いで恐らく皆さん立っていらっしゃるんだと思います。  そんなことから、最初は能登半島地震の被災者の公的補助の在り方について2点お尋ねをさせていただきます。  まず1点目なんですが、なりわい再建支援補助金──なりわい補助金と言われるものについて少しお尋ねいたします。  このなりわい補助金について、今回の議会でも何名かの先生がお尋ねをされておりました。石川県では15億円、富山県では3億円の上限額があって、行政区によって上限が変わるのはおかしいんじゃないかという、そんな質問もあったかと思います。国税が入っているものでありますので、まさしく私も同感でありまして、そのような観点があるんですが、一方で、ちょっと今日は少し角度を変えてこのなりわい補助金についてお尋ねします。  まず、このなりわい補助金の事業の目的なんですが、「地域経済を支える中小・小規模事業者、農林水産業、伝統産業、観光業における、雇用の維持や事業継続の支援を手厚く講じ、持続可能な地域経済の再生を図る」とされています。  概要でありますが、「被災地である石川県、富山県、福井県、新潟県の被災事業者が行う施設・設備等の復旧費用を補助し、事業再開、継続に向けた十分な支援を行う。」とあります。  「なりわい」という言葉について調べてまいりました。なりわいとは、暮らしを立てるための仕事、職業であります。言い換えるならば、なりわいとは生活を営むための仕事全般を意味するということであります。物を作る人がいれば、それを運ぶ人もいる。それを保管してそれを店頭に並べて売る人もいる。これは全てなりわいであります。  そのような中で、本補助金は、概要にあるように、施設・設備等の復旧にしか適用できないものとなっています。  そこで資料の掲示をしてよろしいでしょうか。 41 永森委員長 許可します。 42 尾山委員 ちょっとこれを御覧ください。これは某家具店ですが、2階建ての大型店舗であります。発災のとき2階のスプリンクラーが故障いたしまして、2階にあった商品がほぼ水没をいたしました。当初の被害ですが、約1万5,000点近く、在庫金額にすると原価で1億3,000万円ほどの水没被害があったということであります。そして、その中でもきれいに化粧をし直して、ある意味原価に近いものでお客様に買っていただけるものということで販売をされたということなんですが、そのうち、どうにもならんものが約1万2,000点余。そして、金額で言うと5,000万円ほどの在庫なんです。  1枚めくっていただいて、いろんなものの被害があるんですが、また続きまして飲食店Aですが、当然ながら、地震でいろんなお酒のボトルだとかお皿だとかが割れて、被害総額が81万5,000円あるということであります。  1枚おめくりいただくと、これもひどい状況ですが、7階にある飲食店Bですが、ボトルが全て落ちて、新品のボトル、手をつけてないボトルの被害ということで聞き取りしたものが約15万円近くであります。入っているボトルはごめんなさいということで済むんだと思うんですが、実被害がこれだけあったということであります。  そこで、利益を上げるプロセスにおいて、物を作る製造業には生産設備が必要であります。物を売る小売には商品在庫が必要であります。生産設備も在庫も、それぞれの業態において利益を生み出す上においては、その価値は等価であるはずです。しかしながら、本補助金は在庫の損失補填には適用できないものとなっています。これでは、なりわい補助金とは言えないのではないでしょうか。  本事業の目的を鑑みると、補助金の対象を商品在庫にも拡充し、被害を受けている小売店舗の支援をすることができないでしょうか。現行の建屋や生産設備などの復旧にしか適用できない限定的な要件では全てのなりわいの支援につながらず、公平感を欠きます。  本補助金の適用要件の緩和を国に強く求めていただきますように、知事にその御所見をお伺いいたします。 43 新田知事 今回の震災によって、民間の事業者にももちろん広範囲な被害が発生しておりまして、震災直後の商工団体への聞き取り調査では、委員の御指摘のように、商品や原材料などの在庫が破損し、大型の家具や工芸品などの高額なものも含まれているという事例も聞いております。  国のなりわい再建支援事業、これはいち早く予算措置をされ、もう1月2日から本県にも連絡があったところであります。それを受け止めて県としても専決処分をし、その後準備を進め、先月28日にこのなりわい再建支援補助金の募集受付を開始しました。  この補助金は、事業者の損失を補填する制度ではなく、事業者が保有、資産計上している施設、設備の原状回復を促進するものです。まずは、この支援を必要とする事業者に行き届かせることが大切だと考えております。  委員が御紹介されました、原材料や在庫に被害を受けた被災事業者の事業再建に向けてですが、おっしゃるように、今のままのなりわい再建支援制度では対象にはなりません。  じゃ、どうするかということで、こちらで準備しているメニューとしては、信用保証料を県が独自に負担する特別融資があります。これでまずは資金の手当てを行っていただくということ。それから、売上げ減少の間接的な被害を受けた場合にも対象となります、これは国の制度、「小規模事業者持続化補助金」の災害支援枠、これを使っていただくということ。そして、県の「中小企業トランスフォーメーション補助金」、あるいは「とやま中小企業チャレンジファンド事業」などによって生産性を上げていただいたり、新商品あるいはサービスの再開発など後押しをして、再建に向けて立ち上がっていただくということ、このようなメニューを用意しています。  今後も商工団体やよろず支援拠点などの支援機関とも連携をしながら、各被災事業者の実情を踏まえて、災害による損害分を早く取り戻していただけるように支援をしていきたいと考えます。  なりわい再建支援事業の立てつけに関しても問題提起をされたことであります。これは受け止めさせていただきたいと思います。 44 尾山委員 小売とものづくりというのは、構造上、どうしても財務体質が小売は弱くなる傾向にあります。そんなところにぜひ必要なものを届けるということを、またぜひ受け止めていただきたいと考えております。ありがとうございます。  続きまして、2点目ですが、液状化対策のことについてお尋ねいたします。  このたびの液状化対策の予算措置として120万円を計上いただいたということは、知事と部局の皆様、これが県民の皆様にとって液状化が深刻な問題であり、最優先に解決のめどをつけねばならない課題であるとの強い認識の表れであり、国ともかなりタフな交渉をしていただいたと承知をしております。皆様の御努力にまずは心から感謝と敬意をお伝えいたします。ありがとうございます。  それを踏まえ、私から少し角度を変えてこの液状化について話をさせていただきます。少々長くなりますが、お付き合いください。  国家の構成要件はいわゆる3つあると言われています。国土と国民と主権です。その3つどれを欠いても国家は成り立ちません。政府はこの3つを守るために、財源を国民に課税という形で求めています。そして、その安定した国家の上に、国民の財産と安全と生命を守り、社会福祉の向上に務める、それが政治の果たすべき責務と考えます。
     その基礎となる国土の安全がこのたびの地震で毀損いたしました。国土の商業的な相対的価値ではなく、安全という絶対的価値の毀損であります。確かに我が国では私有財産として土地の所有を認めてはいます。そして、その土地の上に様々な人の営みが行われています。それは最低限、国土の安全という絶対的な価値が担保され、初めて成り立つものであります。  もし国土の安全という絶対的な価値が担保されないとするならば、人は安心してこの国で生活を営めるでしょうか。このたびの地震は自然災害であり、国土の安全という価値の毀損は個人の責任にはないわけであります。その責を個人に求めるというのは、国家としての責任を果たしていると言えるのでしょうか。国土の崩壊、その復旧費用は土地の所有者である個人が負担すべきものなのでしょうか。  例えば、県議会でも深く関わってきたイタイイタイ病、この汚染土壌復元工事、いわゆる客土の工事、この費用負担は、最初は国が40.4%、県が18.19%、市が2.02%、原因企業の三井金属が39.39%でした。福島の原発事故で汚染された汚染土の除染作業の費用負担は原則東京電力が担っています。そして民地内で発見された不発弾の処理、これは自衛隊が行い、費用負担は国費で賄います。全て国土の安全という絶対的価値が所有者の責任でないところで毀損され、所有者の個人負担が発生してないという事案です。  そして何よりも、最も根本的な問題は、民間の保険商品で液状化被害などから土地の価値そのものを守る手段がないということです。すなわち、土地の所有者に土地の価値を守る自衛手段、いわゆる自助の仕組みがないということです。  今後人口減少が進む我が国において、新築住宅を求める需要は確実に減少するわけでありますが、そのような中、住宅の基礎である国土の安全が担保されないことになれば、果たしてリスクを取って住宅を所有しようとする人がどれだけ出てくるでしょうか。この処理の行く末は、内政においては不動産、建築需要と言われる国益を左右する極めて幅の広い問題だと私は感じております。  そこで提案ですが、国営の土地保険制度を設立することはできないでしょうか。例えば、我が国における固定資産税の土地分税収は年間3.6兆円だと言われております。仮にその3%に当たる金額を土地の所有者に拠出していただくと、約1,080億円になります。その拠出分を復興基金として積立運用し、今後発生する地震被害で被災した土地の復興資金に充当する。その上で足りない分は国費で補填する。そのような自助、共助、公助を織り交ぜた液状化対策に対する制度の法制化を国にお願いしていただくことはできないでしょうか。  能登半島地震における液状化被害の件数は、新潟県で9,500件、石川県で約3,500件、富山県で2,000件、3県合わせると約1万5,000件と推定されています。他方、液状化対策工事の費用というのは、工法も様々あるわけでありますが、80万円ぐらいから上は800万円ぐらいと言われています。仮に1万5,000件全て800万円かかったとしても1,200億円です。国営の保険制度ができれば拠出可能な金額と言えるでしょう。  今後、発災の可能性が予測される南海トラフや関東大震災の被害予測は、我々が経験したそれとは桁が違うと言われる中において、一日も早い何らかの液状化対策の制度設計が急務となります。そして、その上で、制度が整う前の能登半島地震の液状化対策は特例的に国費で全額補填していただき、個人の経済的な負担が発生することのないように国に働きかけていただくことはできないでしょうか。  国土の安全は国民生活の基礎であり、国民皆保険制度や年金制度のようなナショナルミニマムよりも、より根源的なものとして国家が保障すべきと考えます。能登半島地震が発災してから、はや2か月半がたつ中で、自宅の液状化被害の展望が持てず、住み慣れた地を離れる決断をされた方も多いとお聞きします。  地震大国の我が国において、将来的に国民が安心して土地を所有し生活を営める制度が必要と考えますが、知事の御所見を伺います。 45 新田知事 国土交通省の「市街地液状化対策推進ガイダンス」では、「宅地及び住宅は個人財産であり、その復旧などについての費用負担等は原則として所有者等の責任となる。ただし、被害の大きな災害発生時には適用される支援制度を活用することが望ましい」というガイドラインがあります。  そんな中で、液状化への支援として、国の被災者生活再建支援制度、また住宅金融支援機構による融資制度、そして地方公共団体による宅地液状化防止事業などが挙げられています。  今回の地震でも政府の支援パッケージにおいてこうした制度の活用が可能とされました。県ではさらに半壊世帯の被災者生活再建支援制度を創設しまして、国の支援制度では拾えない皆さんも支援しようということにしております。また、液状化被害の大きさに鑑みまして、地盤改良などの基礎補強工事などを支援するため、国や県内市町村と協議の上で、住宅耐震化等促進事業について、令和6年度補正予算案11億9,100万円を計上して追加提案も行わせていただいているところです。このあたりは御評価いただいたということで、大変にありがたく思っています。  現在、国の技術支援の下で、国、県、市町村による勉強会も開催しています。国の交付金事業の宅地液状化防止事業をはじめとする液状化対策について、8年前にやはり被災した熊本などの事例報告も受けたりしながら、情報共有、また知見を深めることを続けております。  ただ、この制度はあくまで公共施設と一緒に地盤を改良するということで、3,000平米以上かつ10戸以上という縛りもあり、いち早い支援にはなかなかつながりづらい。実際、熊本でも、当初8つの液状化の地域がある中で、住民のコンセンサスが得られたのが2つということであります。その2つも、今8年たちましたけども、まだ完了していないものもあると聞いております。なかなか息の長いことになるということであります。  そんな中で、私ども富山県としては、いち早く少しでもお役に立てるようにということで、独自の制度を国と市町村と調整しまして設けたということであります。  この液状化の被害は、建物に加えまして宅地の復旧も必要ということで、被災者にとってはより負担の大きいことになることは承知しております。国の支援がここにはやはり必要不可欠と考えています。  県としては引き続き国に対して、県内の被災支援はもとより、本県同様に液状化被害が発生している石川県あるいは新潟県とも密接に連携をして、さらなる財政的支援や技術的支援について県議会と共に働きかけていきたいと考えております。  今、尾山委員からは、税にも関わる大変に大きな提案を頂きました。国土、国民主権、これを守るのは国の仕事であるということで、液状化についてもそういうような視点で考えられないかということは全く私も同感であります。  ちょうど100年ちょっと前になりますが、関東大震災が起きました。そのときに帝都復興院、その復興の中心となったのが帝都復興院の総裁の後藤新平でありまして、後藤新平の下で帝都復興計画という、大変に大きな、まさにビルド・バック・ベター、よりよい復興をするという、そんな計画でありまして、そのときに被災地を全部国で買い上げようという大変にスケールの大きい話でありました。そういう構想は、残念ながら必ずしも後藤新平の思いどおりには行かなかったわけでありますが、今の委員の御提案を聞いて、そのスケールの大きさを感じ、我々政治家として常に大きな視点で物事を考えていく、特にこのような大きな災害の被災地となったからには、そのような視点をしっかりと持ち続けることが改めて大切だと感じたところでございます。  私としても、政治家としての宿題として受け止めさせていただきたいと思っております。 46 尾山委員 人はどんな状況でも、希望があれば生きていくことができると思います。政治の仕事は、私は、希望を配ることだと思います。今後、皆さんの希望をぜひしっかりと配っていくためにも、今この被災をされたところの県知事の方々とまたいろんな話をしていただいて、ぜひこの能登半島を地震の復興モデルとして国に働きかけをしていただければと思っております。ありがとうございます。  続きまして、価格転嫁推進事業の実効性についてお尋ねを2点いたします。  1つは、この価格転嫁推進事業についてですが、本格化する人手不足の中で、商工労働部所管の新規事業で、労務費を含む価格転嫁の機運を醸成するために制度や取組事例の紹介を行うシンポジウムの開催や、実態把握に向けた調査を実施するとありますが、この実態把握に向けた調査、これはどのような取組をされるのか、中谷商工労働部長にお尋ねいたします。 47 中谷商工労働部長 県では、適切な価格転嫁を促進するために、県内経済団体と連携して、パートナーシップ構築宣言の普及啓発に取り組んでまいりました。  この機運醸成は進んできたと考えておりますが、今お話がありましたように、国の調査では、特にやはり労務費を含めた価格転嫁について課題があるということ、また、今年度、県が支援をしました、各経済団体が実施されたセミナー、研修会、それから相談窓口では、中小・小規模事業者の、原価計算に関するノウハウなど価格交渉力の強化が課題となっていると伺っております。  このため、新年度予算案には、御紹介いただいたパートナーシップ構築宣言登録済みの県内企業を中心にアンケート調査を実施いたしまして、価格転嫁の実態把握を行う費用を盛り込んでおります。パートナーシップ構築宣言の登録によって、下請取引の改善など、実効性を伴った取組につながったかも検証したいと考えております。  また、アンケート結果を踏まえまして、課題が見られる業種などを中心に、個別企業へのヒアリング調査も実施したいと考えています。これらによりまして、価格交渉や価格転嫁に関する県内下請企業の課題を把握しますとともに、中小企業診断士等の専門家の皆さんにも同行をお願いして、価格交渉の際の注意事項、それから原価計算による適正な価格転嫁での売上利益のシミュレーション、原材料の実勢価格のデータの活用など、賃上げに必要な付加価値の確保のための助言も併せて実施をしたいと考えております。 48 尾山委員 一歩一歩確実に進んでいると感じます。ありがとうございました。  続きまして、これは知事にお尋ねをさせていただきたいんですが、この価格調査の実態把握、これを行った上での話なんですが、一昨年、公正取引委員会──公取が行った独禁法の優越的地位の濫用に関する緊急調査の結果、独禁法第43条の規定に基づき、全国各地で多くの企業の実名が公表されました。その結果、実名公表された企業と下請業者の間において、時流を反映した適正な契約条件に向けた健全な話合いの場が持たれるようになったと聞いております。  他方で、大手国産自動車メーカーにおいては、下請業者への支払い代金を不当に減額したとして、公取から下請法違反で勧告を受けるなど、いまだ下請いじめの悪商習慣が横行しているのも実態です。  過去に経験したことのない人手不足で苦しむ中小・小規模事業所にとって、働き手確保のための賃金アップは必須であり、その原資を取引価格に適正に反映させることができなければ事業所の存続すらかなわない、そんな事業所も多くある中で、発注者、受注者間における適正な取引慣行に向けた機運醸成に万難を排して取り組んでいかなければなりません。  そこで、県下の事業所における価格転嫁調査の結果、パートナーシップ構築宣言を履行していない、または優越的地位の濫用などの適切でない事例が判明した場合の取扱いについてどのように考えられるか、知事にお尋ねいたします。 49 新田知事 国では、公正取引委員会あるいは中小企業庁の取組で、書面調査や下請Gメンのヒアリングなどによりまして、実態把握の取組を強化されています。  委員御指摘のとおり、下請企業との取引で適切ではない行為が認められた企業名を公表したことによりまして、価格協議の実施状況や価格転嫁を推進する環境が改善されてきていると考えております。  ただ、この企業名の公表は、これをもって独禁法あるいは下請法の違反であると認定したものではないことは注意をしなければならないと思います。あくまで価格転嫁の円滑化を進めるための措置ということであります。  県においても、新年度予算案にパートナーシップ構築宣言に登録済みの県内企業を中心にアンケート調査を実施し、登録による効果などと併せて、下請取引に関する価格転嫁の実態把握を行う費用を盛り込んでいます。もちろん、個別企業の情報は秘密厳守ではありますけども、この調査で明らかになった各業種における下請取引に関する課題などについて、国や商工団体と共有し、対応を検討します。  仮に調査においてパートナーシップ構築宣言の内容が履行されておらず、独禁法や下請法にも抵触する可能性がある場合には、下請かけこみ寺の相談も通じて、国とも情報共有し、必要な対応がなされるように取り組んでまいります。  適切な価格転嫁を推進するには、受注側の企業の交渉力の強化も大切だと思います。零細の企業にあっては、原価の計算もなかなかうまくできていないというようなこともあり、受注元との価格転嫁の交渉においてもいま一つ理論武装できない、そんな例もあると聞いています。  県としても、専門家の助言など、あるいは専門家と一緒に伺うなども含めて、付加価値分をしっかりと確保できるように、そしてこれが賃上げにつながっていくように後押しをしてまいります。 50 尾山委員 ありがとうございます。  私も企業の経営者という顔も持ち合わせる中で、10年ぐらい前というのは価格交渉すらできる空気がなかった中で、ここ10年で随分その取引価格に様々なものが反映されてきたというのも事実であります。  ただ一方で、まだまだそういうテーブルに着かない、それから着いても十分な価格の支払いがない、もっと言うと、支払いサイトが6か月とか9か月という長いサイトもあります。御存じのとおり、貸借対照表の左側の資産の部分、ここが流動化しないとやはり利益が出ないわけなんです。そういったことを考えて、ぜひ中小・小規模事業者がしっかりと原資を確保できる取組を進めていただきますよう、心からお願いを申し上げる次第であります。ありがとうございます。  続きまして、県立高校の再編に向けた私学の在り方について3点お尋ねをいたします。  まずは1点目なんですが、私学の学費助成制度の拡充についてということであります。  令和6年度の予算措置として、富山県私立高等学校生徒奨学補助金の拡充が行われ、年収590万円から910万円、多子・ひとり親世帯の入学金及び授業料が実質無料となりました。私学を目指す子供たちの選択を、経済的な事情、いわゆる大人の事情で断念させるわけにいかない、こどもまんなか社会の実現に向けた知事の強いリーダーシップと部局の皆様の熱量が感じられる予算措置だと評価をいたします。  一方で、近隣の福井県などで学費の無償化についての所得制限の撤廃が行われ、全ての家庭で無料になっています。地域間競争においてはまだ後れを取っているのも事実であります。  現在私学に通う、年収590万円から910万円の世帯に属するのは、1,873人という統計が出ています。その生徒のうち430人が今回の予算措置の対象となり、無償化の恩恵を受けることになりますが、依然1,440人の子供たちのいる家庭では、授業料の負担が発生する中で、経済的な問題で私学希望の進路を県立に変更せざるを得ない子供たちが出てくる可能性が大いにあります。  教育は国家百年の大計であります。その目的は、国家の繁栄を支える人物の輩出だと考えます。そこで、改めて地域間格差がないように、国費で私学の奨学金補助を全国一律で取り組んでもらえるよう、国に強く働きかけていただきますように知事に求めますが、御所見を伺います。 51 新田知事 こどもまんなか、この視点に立って、子供たちが経済的な制約を気にせずに自由に進学先を選択できる、そのような環境に少しでも近づけていきたいと考えております。  新年度予算案では、国において、令和7年度から高等教育機関に通う多子世帯の学生などの授業料を無償とすることを踏まえて、まず私立高校の授業料については、年収910万円未満世帯の多子世帯に加えて、子育てと生計の維持を1人で担っておられる、生活面や経済面で様々な困難を抱えるひとり親世帯を対象に、入学料は県立高校の負担相当額まで軽減、授業料は実質無償化を図っています。  さらなる世帯の拡充ということですが、私学への経費の補助はこれで2年連続ということになります。そこはまず御理解をいただきたいと思います。  さらなる世帯への拡充にということですが、より冒頭の理念、自由に進学先を選択できるような環境ということに向けて検討を進め続けてまいりたいと思います。  おっしゃるように、国の責任において必要な措置が講じられることが望ましいと考えております。他県の例も言われました。地方で、富山県などで教育を受けた人材が都会へ出て活躍し、豊かな税収がある東京都、全国知事会でも、テーマによっては46道府県対東京都という構図がよくあるんですが、そんな東京都、あるいは特定の歳入のある県、これは文脈で読み取っていただきたいと思いますが、そういったところのみが高い教育や子育てサービスを享受するということは、やはり決して公平とは言えません。また、地方創生あるいは東京一極集中是正の観点からも望ましくないと考えます。繰り返しますが、国の責任において必要な措置が講じられるべきと考えています。  おっしゃるように、県議会の皆さんと共に、ぜひ国に対して就学資金支援金制度の拡充を強く要望していきたいと考えております。 52 尾山委員 ありがとうございました。  続きまして、公私間比率の見直しについてお尋ねいたします。  富山県では、県立高校、私立高校への入学生徒数を、公私連絡協議会で公私間比率を決めることにより割当てをしています。  この公私間比率は全国47都道府県で独自に決められており、公私間比率の定めがない県は19県、策定ありが18県、目安ありが10県となり、我が県は策定ありの18県に入っています。策定と目安の違いは、その比率を厳密に定め遵守するか、あくまで比率を目安として運用するかにあります。富山県はその比率を70.8対22.6と厳密に決め、その比率を遵守するという取決めになっています。そして、それが県立高校の1次募集後の定員割れによる2次募集につながる根拠ともなっています。果たして2次募集を行うことが本当に子供たちの進学の重要な選択肢を担保することにつながっているのでしょうか。  令和6年度より私学の学費助成が拡充されますが、その恩恵を受けられない世帯が多く残る中で、家庭における経済的な問題、いわゆる大人の事情で本人の意思とは別の選択を余儀なくされることがあってはならないと思います。  本人の人生はその選択に責任があるということで、その原則に沿って、本人の選択によって進路を自己決定できる仕組み、これを子供たちの未来のためにつくらなければなりません。  高校再編の議論においては、県立高校の特色化が求められる中で、折しも南砺平高校が令和7年度より全国の生徒に向けて門戸を開こうと準備を進めておられます。大変すばらしい取組であると私は思っております。今後、独自の強みを持つことが求められる県立高校が、地元私立との戦いに勝ち残れる強さ、特色を持たなければなりません。ましてや、県を越えた戦に勝つには真剣に足腰を鍛えなければなりません。  そのために、公私問わず、特色ある選ばれた高校となるように、県内において互いに切磋琢磨できる環境づくりが必要だと考えます。県立高校の2次募集を取りやめ、生徒本人の意思決定を支援するためにも、また公私間において健全な切磋琢磨ができる環境を整えるためにも、公私間比率の撤廃もしくは策定を目安に変えて、弾力的な制度運営を図れるように、現行制度の変更に取り組む必要があると考えますが、これはまず最初に南里経営管理部長にお尋ねをいたします。 53 南里経営管理部長 県立高校と私立高校の入学定員割合を定める公私比率については、県立及び私立の関係者で構成されます公私立高等学校連絡会議において、中学校卒業者の学習機会を確保すること、また各学校が生徒の収容に係る将来計画を策定することを目的として、中学校卒業者の進路などの実態を踏まえて、公私の合意に基づき比率を設定してきました。  現在の公私比率は、令和7年度までの入学定員について合意されたものであり、新年度には令和8年度以降の公私比率について協議を進めることとしております。  今年度の連絡会議では、私学の関係者から、これまでの考え方を維持することは難しい、新しい考え方が必要とか、私学経営の安定化を図ることができるのであれば公私比率はなくてもよいなどの意見が出されております。  今後も中学校卒業予定者の減少が見込まれる中、公私比率については、これまでの考え方をそのまま維持することに限界が来ており、何らかの新しい考え方が必要ではないかと考えております。引き続き公私立高等学校連絡会議の場において、公私双方の協調の下、協議を進めてまいります。 54 尾山委員 ありがとうございます。  同じ質問を荻布教育長にお尋ねいたします。 55 荻布教育長 公私比率については、公私の実態に基づいて公私間で合意し設定をしてきており、県教育委員会では公私比率を尊重し、これまで県立高校の募集定員を設定してきております。  また、県内の県立及び私立の全日制高校に入学を希望する全ての生徒に就学の機会を保障することが重要であり、そのための定員設定をすることは適切なことだと考えております。  また、第2次選抜についてですが、経済的、地理的、いろんな理由などによって県立高校を志願する生徒に高校教育の機会の提供をすること、公私比率の範囲内の募集であること、また、第2次選抜では毎年相当数の志願があり、これを行わず募集枠が残った状態にしておくことについては、県立高校への入学を希望する中学生や保護者から十分な理解が得られないのではないかといったことなどが考えられ、今後とも実施することが必要ではないかと考えているところであります。  なお、公私比率については、経営管理部長からも御答弁申し上げたように、公私連絡会議において意見交換がされているところであります。  今後も中学校卒業予定者数の減少が見込まれる中、これまでの公私比率の考え方を維持することに限界が来ており、何らかの新しい考え方は必要ではないかと教育委員会としても考えているところであります。  公私で協調しまして、第2次選抜のことも含めて、様々な観点から引き続き協議を重ねてまいりたいと考えております。 56 尾山委員 ありがとうございます。  それぞれのお立場で、それぞれに見える景色があるんだと思うんですよ。またいろんな御意見もあるんだと思うんですが、やはり主役は子供なんです。子供の未来のために何がいいか、ここにしっかりと腰を下ろしていただいてぜひお取り組みいただきたい、そのように心からお願いをしまして、次の質問に入らせていただきます。  3つ目でありますが、私学公費補助の増額についてお尋ねをいたします。  富山県下の私立高校を大井委員と共に回らせていただき、現下の課題について意見交換をさせていただいてまいりました。私も委員も富山第一高校の卒業ということがあって、2人でタッグを組んで県下の私立を回らせていただきました。  まず驚いたのは、校舎の老朽化。これは非常に激しく、もうぼろぼろの校舎で我が国の将来を担う子供たちが学んでいるというのが実態です。耐震基準を本当に十分に満たしているのか不安になるほどの校舎のたたずまいが多く散見されました。  また、近年の物価高で、学校経営が大変厳しいという意見を多く聞かせていただいてまいりました。そのような中、一方で県立高校においては校舎の長寿命化が進められています。国家の将来を担う子供たちに公私の別があろうはずもなく、全ての子供たちが公平な教育環境において安心して学ぶことができる体制を整える責任が政治と行政にあると考えます。  そこで、時流に即した、私立高校が抱える様々な課題、これに能動的に耳を傾けていただき、その解決を図ることが求められると思いますが、南里経営管理部長の所見をお尋ねいたします。 57 南里経営管理部長 県内の私立高校は、建学の精神の下、国際交流、スポーツ、中高一貫教育などの特色ある教育を実践され、県立高校と共に本県の高校教育を支える重要な役割を担っていただいております。  そのため、資格、技能の取得、習得など教育カリキュラムの充実、国内外で優秀な成績が期待できる部活動の強化、情報通信技術活用支援員やスクールカウンセラー、ソーシャルワーカーの配置など、特色ある取組や経常的な経費にも助成してきておりまして、令和5年度生徒1人当たりの経常費助成の補助額は、全国的にも高い水準の支援を行っている状況でございます。  また、施設設備については、国の予算を活用して校内LAN整備や空調設備工事、耐震補強工事等の整備を進めております。県では随時、私学団体関係者や各学校と意見交換してきておりますが、今年度はその中でも原油価格等の高騰の状況を踏まえて、初めて私立高校の光熱費、燃料費について県単独で支援を行ったところです。  生徒数の減少、進路選択の多様化が進む状況も踏まえまして、私立高校がさらに特色のある教育を展開できるように、私学経営の課題についても、丁寧にお伺いしながら私学振興に取り組んでまいります。 58 尾山委員 ありがとうございます。  隙間風が入ってくるんですよ、隙間風が。そして、建て替えになると半分が国の補助、恐らく半分が実費になるんですが、そうなるとやはりきついと、なかなか大変だという実態を耳にしました。ぜひその辺を小まめに聞き取りいただいて、何とか子供たちが安全・安心して学べる建屋を御提供いただけるように、よろしくお願いしたいと思います。  最後に、県立高校の再編は、私立高校を要素として含まなければ、子供たちの未来のために最善の策というのは考えていけないんだと思います。ぜひ、木を見て森を見ずの議論にならないように、しっかり県立、私立共に、まないたの上に乗っけて議論を進めていただきたいと思います。  それでは続きまして、中学校の教科書選定について入らせていただきます。  また教科書かと皆さん思われるかもしれませんが、私は別に教科書が特別好きなわけでもありません。学問が好きなわけでもないんですが、これはやらなければならないという思いの下、今回も取り上げさせていただきます。  今から、富山県下の中学校で使われている帝国書院、使われていない育鵬社の教科書の中から、公民で3点、歴史で1点、同じテーマで取上げさせていただきます。目的が同じテーマでも、取り上げる論調によって、受け手側の印象にいかに大きな差が出るか、皆様に認識していただくためです。この2つの教科書はともに文科省の検定を通過しているものなので、中身の記述は事実でありますが、その論調によって受ける印象と培われる認識が全く変わってまいります。  事実とは物事の一面を捉えた価値観であり、真実とはその事実を多面的に組み合わせ、あらゆる角度から俯瞰的にその本質を捉えた価値観です。今後ますます多様性が進む国際社会において子供たちが力強く生きていくためには、多くの情報の中から真実を見抜く力が必要となります。その力は一面的な事実だけを見ることでは育まれません。可能な限り多面的な事実に触れ、何が真実なのか、自らの物差しによって判断し選択する経験を繰り返すことによって育まれます。大人の価値観でフィルターをかけた一面的な事実だけを子供たちに伝えてはいけないのです。選択するのは子供自身であるべきです。そのような視点に基づき、委員長、よろしいですか、少し掲示をしたいと思います。 59 永森委員長 どうぞ。 60 尾山委員 まず、象徴天皇制というところのくだりから少し論じさせてください。  これ、皆さんのお手元にあるのは、現在使われている帝国書院というところの教科書のくだりであります。どのように書いてあるかというと、ちょっと読ませていただきます。  「日本国憲法の制定により、日本国の主権者は国民になりました。それでは、それまで主権者だった天皇の地位はどうなったのでしょうか。憲法1条は、天皇は「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」だと定めます。これは、象徴という特別な役割を天皇が果たすことを宣言する規定というよりも、主権が国民に移った結果、天皇は象徴の地位を持つだけになったことを宣言する規定です」。「大日本帝国憲法の下で、天皇の名を使い一部の軍人・警察や政治家が権力を濫用したことを踏まえ、日本国憲法は、国会に責任を負う内閣を通じて、天皇の国事行為を国民全体でコントロールすることにしています」とあります。  1枚めくってください。育鵬社の教科書について論じます。  「皇室は、日本の成り立ちや、その後の歴史に深く関わってきました。とくに天皇は、国の繁栄や国民の幸福を祈る民族の祭り主として、古くから国民の敬愛を集めてきました。また、その精神的・宗教的な権威によって自らは権力をふるわないものの、そのときどきに権力をにぎる幕府などに権限をあたえる立場にありました。例えば幕府の将軍も征夷大将軍として、天皇から任命される形をとることで正当な権力となりました」。「日本の歴史には、天皇を精神的な支柱として国民が一致団結して、国家的な危機を乗りこえた時期が何度もありました。明治維新や、第二次世界大戦で焦土と化した状態からの復興は、その代表例です」。「天皇は、憲法に定められたこれらの国事行為以外にも、外国への親善訪問や外国からの賓客との会見、国内各地、福祉施設などの視察、国民体育大会や全国植樹祭への臨席などの公的行為と、国家と国民統合の象徴にふさわしい数多くの職務にたずさわっています」とあります。  1枚おめくりください。平和主義と憲法、自衛隊についてお示しをしたいと思います。
     最初は帝国書院の教科書の中身です。  「日本が武力攻撃を受けた場合に自衛のために武力を行使するのは、例外的に許される」と書いてあります。そして、隣のページには「自衛隊の設置が9条に適合しないという見解もあります」として違憲だというふうに書いてあります。  その下が、「第二次世界大戦後、日本は、他の国を武力で侵略することはなく、武力攻撃を受けることもありませんでした。将来に向かって、憲法9条をどのように位置づけ、平和のためにどのような努力をすべきかは、国民全体で考え続けるべき課題です」と、憲法9条が日本の安全を守っているというふうなくだりであります。  1枚めくってください。  育鵬社ですが、「主権国家には国際法上、自衛権があるとされ、世界各国は相応の防衛力をもっています。日本政府も、日本国憲法前文に「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と記した国際政治の理想と、現実の国際政治とが異なっていることから、防衛態勢の整備や強化など、現実な対応をしてきました」と書いてあります。「自衛隊は日本の防衛には不可欠であり」というくだりがあります。  1枚めくってください。  「戦後の日本の平和は、自衛隊の存在とともにアメリカ軍の抑止力に負うところも大きいといえます」と書いてあります。その右のほうには、北朝鮮の状況、それからここしばらくの中国の、覇権をもって力による現状変更を促すというような動きが書いてあります。  1枚おめくりください。  3つ目でありますが、国民の基本的な人権の尊重という考え方にある国民の権利と義務について少し述べさせていただきます。  最初、帝国書院でありますが、この右側の基本的人権の構成というところを御覧ください。個人の尊重の上に平等権、様々な権利が載っているというわけであります。これが42ページからスタートいたしまして、1枚おめくりいただくと54ページ、ずっと権利の話が続く中で、最後に国民の義務が巻末に載っているという形であります。  「憲法は、自由を手厚く保護する一方、国民に果たしてもらう必要のある義務を三つ定めています」。これが現在の帝国書院です。  1枚めくってください。育鵬社の教科書であります。  先ほどのこの図、権利の図の横に国民の義務というのが並列で書かれております。そしてこの右下には、「これらはいずれも社会生活を成り立たせ、国を維持・発展させていくために欠かせない重要な義務となっています」と書いてあります。「憲法の理念に沿って国民生活を営むためには、この三つの義務に加え、すべての国民が憲法を尊重し、等しく憲法に保障された権利と自由を享受できるように心がけなければなりません。」と書いてあります。義務と権利が同列のものだということだと思います。  1枚めくってください。  今度は、歴史の教科書の巻末になります。北方領土のことについて書いてあります。「日ソ中立条約を破って北方領土4島にも侵攻していたソ連は、サンフランシスコ平和条約に署名しませんでした。」というのが書いてあります。  1枚めくってください。  育鵬社の教科書、北方領土の欄には、北方領土は「一度も外国の領土になったことないわが国固有の領土です」。下には「北方領土の不法占拠」とはっきり書かれています。  私、2月3日に令和6年「北方領土の日」記念大会というのに参加をしてまいりました。県下の中学生の「私たちと北方領土」という作文コンクールの表彰式が行われておりました。富山県知事賞をはじめ、特別賞が6名、入選が14名表彰され、県知事賞、以下3名の作文が朗読されました。どの作品も大変すばらしいものでありましたが、その中において、3人共通の大変印象に残っているフレーズが、「不法占拠されている」という言葉がはっきり入っているということであります。そして何よりも感じたのが、富山県知事賞を取った子の作文のくだりに、若い世代が自発的に知り、現実から目を背けない活動が必要だと、こんなものが盛り込まれておりました。大変力強いフレーズであります。  北方領土も竹島も我が国固有の領土であり、不法占拠されているという事実から、真実から大人が目を背けずに子供たちに伝えていく、そんな責任があると感じました。  皆さん、今るる教科書を御覧いただきましたが、いかがだったでしょうか。それぞれの価値観に基づき、いろんな思いが皆さんの胸にあったと存じ上げております。  天皇象徴性を明治憲法の天皇大権濫用のくだりから否定的に捉えるのも事実。また一方で、過去からの歴史の中で、日本国民の精神的支柱であり、現在は象徴にふさわしい活動をしておられるという肯定的な捉え方も事実であります。日本の平和を憲法9条が守っているのも事実。他方、自衛隊と日米安保のアメリカの軍事的なプレゼンスが守っている、それも事実であります。  教科書の採択、この権限は一義的には市町村の教育委員会にありますが、県の教育委員会は、市町村の教科用図書採択に関する事務について適切な指導、助言または援助を行わなければならず、そのときには、県に設置された教科用図書選定審議会の意見を聞かなければならないとされています。  令和6年度は、4年に一度の中学校における教科用図書選定の採択年度に当たります。教育長には、ぜひ子供たちの輝かしい未来のために、生きる力を育むために、どのような教材を使うことが適切なのか、その審議会においてしっかりと御議論いただく、そんな場を設けていただきますようにお願いしまして、御所見を伺います。 61 荻布教育長 子供たちが多様化が進む国際社会においてたくましく生きていくためには、情報を主体的に捉え、何が大切かを判断し活用していく力の育成が必要であります。そのためには、内容が正しく充実しており、児童生徒の学ぶ意欲を高め理解を深めることに資する、そういった教科書の採択が重要であります。  教科書は学習指導要領に準拠しているかという観点ですとか、児童生徒が学習内容を理解する上で支障を生じないよう、教材の客観性、公平性、中立性が確保されているかという観点から、特定の事柄を特別に強調し過ぎていたり、一面的な見解を十分な配慮なく取り上げたりしていないことや、授業時数に照らして内容が適切に配分されているかといったことを基準として検定をされており、公立小中学校においては、その採択の権限は市町村教育委員会が有しているところです。そして、法に基づき、県教育委員会は市町村教育委員会が行う採択に対して適切な指導、助言、援助を行わなければならないとされております。  そのため、対象となる全ての教科書について、「学習指導要領に示す内容の取扱い」、そして「使用上の便宜」、「構成・排列・分量」、「印刷・造本」、「創意工夫」といった観点において調査、研究を行い、各教科書の内容の特徴を公平な視点からまとめた選定資料を作りまして、市町村教育委員会に提供をしております。  そして、この選定資料の作成に当たっては、教科用図書選定審議会の意見を聞いているところであります。市町村教育委員会採択地区においては、この選定資料を参考にしつつ、独自にまた選定委員会を設けて調査研究を行い、教科書を採択しているところであります。  県教育委員会としては、市町村教育委員会が児童生徒や地域の実態を踏まえて、最も適した教科書の採択が行えるように、今後とも適切に指導、助言、援助を行ってまいります。 62 尾山委員 ありがとうございます。9月のときの質問より一歩踏み込んでお答えいただいたと認識をしております。  子供たちの物事に対する認識、その基礎をつくるのは極めて責任の重い役目、それは果たすのが教科書であります。全ての教科書と言いません。理数系や英語などの絶対的な答えが一つの学問ではなく、歴史や公民などの教科書によって、子供たちの白地で柔らかい頭や心に育まれる認識が大きく違う。そんな学問、それを負う教科書の選定のプロセスには、より慎重にかつ大胆に大人が関わる責任があると思います。  もし、そのエネルギーがないとしたら、日本の社会、教育界にはもう子供たちを健全に育てる底力が残っていないと感じられるかもしれません。ぜひしっかりとお取り組みいただけますように心からお願い申し上げます。  さて、最後になります。  有事における指揮命令系統化についてお尋ねをいたします。  能登半島地震が発災し、被災現場は混乱を極めました。経験したことのない規模の地震に対して一時的に命の危機を感じ、平常心を失い、適切な行動が何かすら分からなくなる方も多かったのだと思います。私は家族の安否を確認した後、地元避難所の設営のお手伝いに関わらせていただきました。種部委員も御一緒いただきました。  その際に感じたのは、指揮命令系統の大切さであります。ひとときには300人ほどの方々が避難しておられた避難所において、正確な情報がない中、様々な判断を速やかに下し実行しなければなりません。  幸い、我が校区は平素から自治振興会長を筆頭に、非常に密な人間関係を築いておりますので、有事の際も、自治振興会長のリーダーシップの下、大きなトラブルもなく避難所運営を行うことができました。  そのような中で、1つ気になることがありました。18時頃に市の職員の方が、市の災害本部に水や非常食、毛布などの物資の要請をしてくださいました。結果、物資が避難所に届いたのは23時を少し回った頃であります。そのときには、300人余りいた避難者の方は30人ほどになっていました。  私の住んでいる校区は町なかであり、市役所まで車で10分ほどの距離なので、物資を直接車で取りに行きますよという旨を市の職員の方から本部に伝えていただいたのですが、返事はノーでありました。必要な物資が必要な人に必要なタイミングで届かない、このミスマッチはなぜ起こるのか。これは市の職員の方の責任ではありません。  実際、市の職員の方は、御自分の御家族のケアを後回しにされながらも、本当によく頑張っておられました。現場が一番適切な判断、それが有事の際の指揮命令系統に出てくるのだと思います。これは指揮命令系統の問題なのだと私は理解をいたしました。現場の適切な判断ができる、そんなものが大事です。それが人の命に関わることなら、なおさらのことです。  有事の際には、現場に決定権を委譲して判断を委ねる。特に今回のような人命のかかった災害が発災した場合に、生存の確率が比較的高いとされる72時間以内は、現場で人道的見地に立ち、自己決定した行動の行政的な責任は本人には帰さないと、そのような有事の指揮命令系統の構築が必要だと考えますが、武隈危機管理局長に御所見をお尋ねします。 63 永森委員長 武隈危機管理局長、間もなく持ち時間がなくなるので、簡潔にお願いいたします。 64 武隈危機管理局長 県の地域防災計画では、地震が発生した場合に迅速な指揮命令体制を確立することとしております。こうした指揮命令系統の確立によりまして、本部から現場へとマニュアル等に沿って迅速に指示や指令が発令され、適時適切に組織的な対応が可能になるものと考えております。  その一方で、今回の震災では、これまで経験したことない大規模な災害でありまして、対応した職員にとっても前例のない対応であったことから、様々な問題が起こったものと考えております。  県としては、来年度、今回の災害対応を検証する中で、本部、現場などでどのようなことが起こったか、様々な場面でどういう状況であったかなどについて実態把握に努めるとともに、有事の際、対応としてどうすべきであったか、また実情に即して臨機応変に対応できなかったかなどにつきまして、指揮命令系統の問題も含め、市町村と共に協議してまいりたいと考えております。 65 尾山委員 ありがとうございました。 66 永森委員長 尾山委員の質疑は以上で終了しました。  暫時休憩いたします。  午後の会議は1時に開会いたします。                      午後0時02分休憩                      午後1時00分開議        瀬川侑希委員の質疑及び答弁 67 川島副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  瀬川委員。あなたの持ち時間は60分であります。 68 瀬川委員 自民党議員会の瀬川です。午後もよろしくお願いします。  私は、何年ぶりというわけではなく、むしろ3か月ぶりの連続登板なんですけれども、フレッシュな気持ちで頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願いします。  最初に、まず通告に従って始めていきますけれども、能登半島地震からの復興についてというテーマで4問お聞きします。  いよいよ今週土曜日から北陸新幹線が敦賀まで延伸して、それに合わせる形で、開業日から約1か月間、北陸応援割が始まります。予約開始数時間で割引分が完売する宿泊施設が続出するなど混乱もあり、もっとこういう制度だったらという声もあるようですけれども、こればっかりはやってみないと分からない部分もあったと思います。割引の有無にかかわらず、ぜひこの機会に北陸を楽しんでほしいと思いますし、割引はなかったけど、とっても楽しかった、と思ってもらえるように、しっかり私たちもおもてなしをしたいなと思います。  しかし、県においては、これだけ需要があった、予算額よりも大きな経済効果が生み出せる政策でもありますので、ぜひ第2弾、第3弾を国に求めてほしいと思います。  また、県独自の応援クーポンは、北陸応援割が始まるまでのつなぎの期間の需要喚起にもなり、すばらしい施策だったと思います。予算増額も検討されているとのことで、ぜひ飲食業や土産店など宿泊周辺産業にもよい効果が続くように、思い切った予算増額でも結構ですので、よろしくお願いしたいと思います。  県内への人の呼び込みと同時に、県外での販促も大切だと考えます。旅行という形で支援したいけれども、なかなか行くことはできない。だけど、北陸の物を購入、そういう応援だったらできる、そういう応援をしたいという方も多くいらっしゃると思います。そういう方に購入の機会を届けることも富山県庁の大事な仕事だと思います。県内の消費も県外の消費も、生産者の支援には変わりありません。  全国ニュースでは、都内などでの石川県の物産展はよく報道されますが、富山県はどうでしょうか。能登半島地震からの復興支援としての、県外での農産物のフェアや県産品の物産展などの現状と今後の取組についてお聞きします。  横田副知事、皆さん一昨日の予算特別委員会で断定していましたが、まだあくまでうわさだと思っています。ただ、そのうわさ自体は大変寂しいものではありますが、引き続き富山ファミリーだと思っています。関係人口のお一人として、本省での富山農産物フェアも大いに期待しながら、横田副知事にお聞きします。 69 横田副知事 地震による直接的な被害のほか、観光客の減少により売上げが減少したことなどを受けまして、県としましても、民間や関係市とも連携して、被災地応援フェアなどを推進してきております。  今回の地震で被災した地域のために今何かしたいと、全国の方々が被災地の物品を買って応援しようという機運が高まっておりまして、これは大変ありがたいことだと思っております。  発災直後の1月には、特に被害が大きかった地域で急激に観光客や地元での購買が減ったということが起きましたけれども、その際には、緊急的に富山市内のととやまや東京の日本橋とやま館において、被災地の農林水産物やお菓子などの加工品、工芸品が販売されたということです。そして、県主催では、1月に浦和駅、東京駅での「とやまの観光とうまいもの展」で海産物や地酒、工芸品などを販売したほか、首都圏の飲食バイヤーを対象としました食材フェアも開催いたしました。多くの方々に来ていただきまして、購入、活用いただいたところでございます。  2月に入りますと、断水も解消されて和菓子屋さんなどが営業を再開されたり、観光客も被災地の応援ということで訪れる人も増えて、そして首都圏の小売業者などでは、民間主体ではありますけれども、石川、そして富山も含まれているところも結構あり、富山、新潟といった被災地の物産展が行われたり、被災地の特産品の販売ということで支援の輪が広がってきております。  2月から今月末までは、日本橋とやま館で石川の特産品販売など被災地応援企画も実施中でございまして、そのほか、富山市と金沢市、福井市が連携して、東京駅で観光と物産展というものも開催されました。  今後も引き続きまして、例えば今週末でありましたら、大阪駅で北陸新幹線敦賀開業イベントでの物販、そして来月、福井市で春の新酒まつりというのがありますけれども、これも震災で被害を受けた酒蔵の支援ということで実施します。それから、日本橋とやま館でも、販路の開拓やテストマーケティングなどを行っていく予定としております。  いずれにしても、本県産品の魅力をちゃんと発信しまして、消費喚起に努めたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 70 瀬川委員 ありがとうございます。県内の呼び込みと同時に、外での販売にもぜひ力を入れていただきたいと思います。  今申し上げた県外でのフェアをするにも、応援クーポンを予算増額するのにも、全てに財源が必要です。また、様々な国の制度に加えて、県独自の被災者支援メニューも多くつくっていますけれども、それでも、それらの制度ではこぼれ落ちる、例えば神社や自治会公民館の復旧など、今の補助金や負担金では対応できないものがあります。こういうところにも財源が要ります。  熊本地震のときは、そうした国の補助金や負担金でカバーできない分野への対応として、復興基金をつくって手当てをしていたと聞いています。現在、石川県のみに復興基金をつくる向きもあるようですが、要求しないと何も始まりません。  富山県としても、国に対し復興基金の創出を引き続き要望するとともに、しかし、復興基金が創出されなくてもこぼれ落ちている部分があるのは事実ですから、現在の制度では対応できない事業は必要な財源を確保して実施するべきだと考えますが、南里経営管理部長にお聞きします。 71 南里経営管理部長 今回の地震被害は甚大かつ多岐にわたっておりまして、早期の復旧・復興に向けてスピード感を持って取り組む必要があると感じております。  このため、なりわい再建支援や液状化被害を受けた住宅耐震化支援の対象拡充など、国の支援制度を有効に活用するとともに、被災者生活再建支援事業の対象拡充や、北陸応援割に先駆けた県内宿泊者へのクーポン配布など、本県の被災状況に応じた県独自の上乗せ事業を実施しておりまして、これらに必要な財源は財政調整基金の取崩しなどで対応してまいりました。  今回の能登半島地震に際しまして、国は、復興基金の創設は、巨大な災害が発生し毎年度の措置では対応が難しい場合の極めて例外的な措置としていますが、松本総務大臣に要望した際には、自治体の財政運営に支障がないよう、地方交付税など既存の制度を使ってしっかり対応していく旨の回答をいただいております。  引き続き、県内の被害状況を踏まえ、被災自治体の声に耳を傾け、必要な事業の実施に当たっては、本県基金のさらなる取崩しも含めて検討するとともに、今後とも国に対し、予算の確保や補助制度の弾力的な運用、国補助制度の対象にならない復旧・復興事業への財政支援などを強く求めてまいります。 72 瀬川委員 ありがとうございます。  地震に関して、被災者の生活再建、液状化対策、応援クーポンもそうですが、産業支援、県としてもいろいろやっています。ですが、引き続き困っている方がいるのも事実ですので、制度で拾えていない部分もあると思います。ぜひ、県にはこれで十分と思わずに、次々と手を打っていただければと思います。  天災ですから、国にも積極的に財源をはじめとした支援を求めてほしいと思います。ですが、その国に財源を求めるに当たり、富山県の新年度予算案は、財政調整基金──これは自治体の貯金ですね──を取り崩さずに編成しました。では、県債──自治体の借金ですね──はどうか。県債も、震災がありましたけれども、令和5年度、令和6年度と減らす計画になっています。  国に対して災害支援をしてほしいと言っていますけれども、県債を減らして財政調整基金も崩さない状況であれば、震災復興を求める本気度が伝わりにくいのではないかと思います。実際、総務省の幹部の方からも、先日話す機会があり、例えば県債を減らして真剣度が伝わりますかね、と言われました。確かにそうだと私も思いました。  私はこれまで、将来世代にツケを残さないでほしい、県債を減らしてほしいとお願いしてきましたけれども、今回の地震ばかりは、借金をためらわずに被災者の支援に使ってほしいと思います。県内だけではなく、兄弟県ですから、困ったときは助け合って石川県の支援もしてほしいと思います。  2月と3月の補正予算案では、財政調整基金を取り崩していますが、今後、取崩し分などに対して災害に関わる特別交付税等が交付された場合には、全て基金に積み戻すことなく、速やかに被災者のための事業に活用するべきだと考えますが、新田知事に所見をお聞きします。 73 新田知事 現在は、今回の能登半島地震発災後、被災者の生活となりわいの再建、早期の復旧・復興、これを最優先に、必要となる予算を速やかに編成して対応してまいりました。  令和5年度の2月補正では、緊急的に19億円余りの財政調整基金を取り崩して対応しました。新年度の当初予算案では、県税や地方交付税などの財源を一定程度確保できる見込みとなりましたので、財政調整基金を取り崩さずに編成をしましたが、その後、地盤の液状化被害を受けた住宅耐震化支援の拡充に際しては、財政調整基金を6億円活用することとしておりまして、これに伴い、基金残高は約5億4,000万円まで減少します。  財政調整基金は、その性格上、大規模災害や経済不況などの不測の事態に備えて積み立てておくべきものということです。今後も緊急に財源が必要な場合に対応できるようにしておくことは極めて重要であり、できるだけ速やかに一定額は積み戻すべきだと考えております。  今年度の特別交付税については、現時点で例年の交付規模となる35億円を予算計上して、既に全て財源に充当していますが、今回の震災対応などで見込みを超えて交付された場合は、今後の復旧・復興事業への充当や基金の積戻しなどに有効に活用したいと考えております。  今後とも、一日も早い復旧・復興に向け、基金などを有効に活用して機動的に対応するとともに、このような被災県の財政状況について、国に対して理解を求め、特別交付税措置など十分な財政支援が講じられるように強く要望してまいります。もちろん石川県の支援もしっかりとやっていきたいと考えます。 74 瀬川委員 ありがとうございます。約30億円程度あった財政調整基金ですが、今5.4億円まで減っているということでした。  ただし、ここに使ったなりわい再建支援の15億円は、そのほとんどが特別交付税で戻ることが見込まれるものだと思っています。減っているのは事実ですけれども、この減った分の大部分、半分以上が戻ってくることが見込めるわけですから、ぜひこの分も被災者支援に使っていただきたいなと思っております。  そして、先ほども言いましたが、カバーできていない被災者支援がまだありますから、こういうところにもぜひ支援していただきたいなと思います。  この項最後の質問に移りますが、カバーできていない被災者支援の例として、例えば液状化対策を支援するために、「安全・安心とやまの住まい耐震化等促進事業」を拡充しました。大変ありがたい拡充でした。  一方で、この制度は耐震補強が前提となっており、耐震補強まではしないけれども、普通に住むために傾きだけは直したい、こういう方はこの制度は使えません。そして、こういう方が多くいらっしゃる現状も、市井土木部長、聞いていらっしゃると思います。  3月1日の光澤議員の液状化に関する質問では、液状化対策をメニュー化してくれてありがとうございます、ですが、これで拾えない方もいるんです、と。耐震補強を伴わない液状化対策への支援を求める趣旨でしたが、答弁がかみ合っていなかったように感じます。先日の高岡市長の要望も、まさしくこの点を言っていたんじゃないかと思います。  「安全・安心とやまの住まい耐震化等促進事業」について、約2,000件もの申請を見込んでいるのか。耐震補強を前提とする改修がそこまであるのかなと思いつつ、改めて傾斜修繕など、耐震補強を前提としない液状化への支援制度もお願いしたいと考えますが、市井土木部長にお聞きします。 75 市井土木部長 今回の宅地液状化被害に対し、県では、個人の住宅が支援対象となる、国の住宅・建築物耐震改修事業の交付金を活用する「安全・安心とやまの住まい耐震化等促進事業」の拡充で対応できないか、国と市町村と協議を行いました。  この協議を踏まえ、準半壊以上の罹災証明を受けた木造住宅について、建替え時の基礎補強工事や、耐震補強と併せて実施する基礎補強工事も対象に加え、上限120万円で支援することとし、先週、所要額を補正する予算案を追加提案したところです。
     この事業を御活用いただき、被災住宅の基礎や居室の耐震性が高まることにより、被災者の方々にこれまでより少しでも安心してお住まいいただければ、またこのことを通じ、本県全体の住宅耐震化の向上も達成できればと思っております。  この事業の中で、ジャッキアップ等と併せて実施する耐震改修につきましては、被災者の方の費用負担もございます。そこを考慮して、居間や寝室など居室の一部のみ耐震改修する場合も可としております。  委員御指摘の2,000件につきましては、2月中旬時点での全壊から準半壊の総数でございます。本来、被災市での必要数を積み上げて、国、県、市それぞれで予算措置するところ、申請に最大限対応できるよう、県予算に計上したものでございます。  現在、被災市による被害認定調査も進み、被災市では、被害の大きな地区における住民説明会や住民アンケートが実施されており、高岡市でも4回開催されたと伺っております。  この中で、どのような支援がどのくらい必要なのかといった被災者ニーズの把握にも努めておられるところでございます。その中で、居室の耐震化を前提としない、住宅の沈下、傾斜対策のみ実施する場合も支援してほしいという御要望があることについては、承知しております。  県といたしましては、耐震化に資する、追加提示させていただきました支援メニューを周知し、これを十分御活用いただくとともに、現在進められております説明会で寄せられる被災者の皆様のニーズを丁寧に市町村からお聞きしながら、被災市等と共に必要な支援について検討してまいります。 76 瀬川委員 再質問しますけれども、耐震化等促進事業は120万円の制度なんです。耐震化ともなったら、この120万円もここで使ってしまうんです、耐震化で。液状化部分に充てられません。この120万円、では、どういう内訳になっているかというと、60万円が国で、県が30万円、市が30万円です。耐震化というのは再発防止の制度なんです。  次に地震が起きたときに耐えられるようにとの、耐震化です。でも、耐震化だけじゃなくて生活再建、今住めなかったり、住んでいても、傾いた家に住んでいる方に対して、国の制度を絡めたら120万円かもしれませんが、県で30万円、市で30万円出すと、この60万円の確保を決めたわけですから、この耐震化を伴わない県の30万円と市の30万円だけで、60万円でメニューをつくれると思うんです。  耐震化を伴わない制度について、今検討していますみたいな話でしたけれども、現在住んでいなかったり、傾いた家に住んでいる方がいるのは事実ですから、ぜひメニュー化してほしいと思いますが、改めて市井土木部長にお聞きしたいと思います。 77 市井土木部長 先ほども申し上げましたが、現在それぞれの市において、地区説明会の開催やアンケートの実施など、被災者ニーズの把握に努められているところでございます。その中で、今回の追加メニューへのニーズや、それ以外のニーズがおおむねのボリュームとともに明らかになってくると考えております。  現在追加させていただいた120万円の上限の支援制度は、その5分の1が個人負担、要は150万のお仕事をしていただくことになりまして、これまでは耐震化のみ対象としておったものを、液状化対策として行うジャッキアップ等についても充当できるということについては、従前よりも補助範囲が広がったと、私どもは思っております。  まずはそこを最大限に、国からも御支援いただけるものを活用するというところを踏み出したいということで、今回提案させていただいております。  また、液状化対策につきましては、国の支援も不可欠と考えております。現在、県議会の先生方、国会議員の先生方とも連携し、また被災市とも連携し、国へ支援を働きかけておるところでございます。  その状況も踏まえて、それぞれの市町村にも思いはいろいろあると思います。その思いを汲んで、それぞれの被災地区に適した支援が充当できるように対策を考えてまいります。その中で必要となれば、委員御提案のそういった支援も出てくるのではないかと思っております。 78 瀬川委員 今ニーズ把握をしていらっしゃるということですが、国の支援が60万円なくても、もう出すと。制度をつくった県の30万、市の30万円、この60万円だけでも一定のボリュームになりますから、再発防止の耐震化を伴わない、生活再建のための液状化支援をメニュー化することをぜひ検討いただければと思います。ありがとうございました。  次は、県立高校の再編についてお聞きします。  まず、今の県立高校の志願状況を振り返るために、私立高校の授業料の話から入りたいと思います。  新年度、私立高校の授業料無償化対象世帯を拡充することにしました。国の無償化対象外である年収590万円から910万円未満の世帯に対し、現在の支援に加えて、3人以上の子供がいる世帯、独り親世帯の授業料が実質無償化となります。  生徒が学びたい環境で学ぶべきだ、本当は私立のこの高校で学びたいけれども、授業料が高いから親に反対されている。家庭環境で行きたい高校を選択できない、といった状況が現実に存在します。この状況を少しでも変えたいと、個人的にも会派としても要望してきたので、この拡充は大変ありがたく感じています。  どのような意図で対象世帯拡充の決断に至ったのか、南里経営管理部長にお聞きします。 79 南里経営管理部長 お答えいたします。  授業料支援の拡充については、これまでも県議会や私学団体から御意見や御要望をいただいてきました。  県としてもこどもまんなかの視点に立ち、子供たちが経済的な制約を気にせずに自由に進学先を選択できるような環境が望ましいとの観点から検討を進めてまいりました。  まず、県ではこれまで私立高校の授業料について、年収590万円から910万円未満の世帯に対し、県単独で国の就学支援金制度に上乗せする形で支援してきたほか、入学料についても県単独で低所得世帯や多子世帯に対する支援を行ってきました。  新年度予算案では、子育て世帯の負担軽減を図るため、国において令和7年度から高等教育機関に通う多子世帯の学生等について授業料等を無償とするということも踏まえて、まず私立高校の授業料については、年収590万から910万円未満世帯の多子世帯に加え、子育てと生計の維持を1人で担い、生活面や経済面で様々な困難を抱える独り親世帯を対象に、授業料の実質無償化を図ることとしました。この年収区分における実質無償化は、東京、福井に次ぐ取組となっております。  また、私立高校の入学料については、年収910万円未満の多子世帯、独り親世帯について、県立高校の負担相当額まで軽減することとしており、こうした多子世帯、独り親世帯に対する入学料の支援は他県でも例がなく、全国的にも積極的な取組と考えております。 80 瀬川委員 これは本来、国でやるべき事業だと思います。県でやるべきなのか、いろいろ葛藤もあったかと思いますが、本当にありがとうございました。  これを受けて次の質問に移りますが、この拡充に残念ながら反比例して下がっていっているのが県立高校の志願倍率です。  今年の県立高校志願倍率は、3年連続で最低を更新する1.01倍となりました。数年前まで1.1倍台とかありましたけれども、この数年でぐっと下がっています。私立高校と県立高校は金額条件が同じではありません。無償化の対象世帯は拡充されてきていますけれども、まだ私立高校のほうが高いんです。  それでも県立高校の志願倍率は徐々に下がって、ついに1.01倍まできました。仮に金額の条件が同じであれば、県立高校より私立高校のほうが魅力があり、県立高校は生徒に選ばれにくいということの表れではないでしょうか。  問題は、選ばれない原因が何であるか特定できているのかだと思っています。現在取り組んでいる県立高校の魅力化。取り組んでいないとは思いませんけれども、今の取組のままでは生徒にとって魅力的に映っていないのではないかと考えますが、荻布教育長に所見をお聞きします。 81 荻布教育長 県立高校の志願倍率については、高倍率が続いている学校、学科がある一方で、委員御指摘のとおり、近年、県立高校全体の平均志願倍率は低下してきております。  こうした背景には、私立高校の授業料実質無償化などによる県内私立高校の専願者の増加や、中学校においても、行ける学校より自分が行きたい学校を選ぶよう指導していることなどによる進学先の多様化などがあると考えております。  このため、県立高校では、生徒にとって魅力があり選ばれる学校となるよう、地域課題をテーマとした探究活動や地域のイベントへの参加など、地域や小中学校との連携を深め魅力化を図り、またその成果を学校紹介パンフレットや動画に載せ、中学校説明会やオープンハイスクールなどを通して発信もしております。  また、県立高校教育振興検討会議においては、これまで委員から、「各高校の取組をもっとPRしてほしい」ですとか、「うまく情報発信できればもっと学校の魅力が伝わるのではないか」といった御意見もいただいているところです。  課題解決型学習などの探求活動においては、今年度から配置した県立高校連携活動コーディネーターが連携先との活動の調整や活動動画の制作に当たって助言を行ってきており、この活動動画はホームページなどで中学生や保護者などに発信していきたいと考えているところです。  検討会議では、高校教育の充実について議論を重ねており、先般示された基本的な方針の素案には、魅力ある高校づくりを実現するための目指す姿や、学科、コースの見直しとともに、ホームページやSNSを活用した情報発信の強化についても示されているところです。  今後とも、県立高校の魅力向上と情報発信にも努めて、中学生に選ばれる県立高校となるように取り組んでまいります。 82 瀬川委員 数字は残酷ですけれども現実です。年々志願倍率が下がっているという状況を、何もやっていないとは思いませんけれども、やっぱり今のやり方を変える必要があると思いますし、変わるチャンスだとも思いますので、ぜひ取り組んでいただければと思っています。  さて、その高校再編に向けて新年度新たに予算化されました「魅力と活力ある県立高校整備等検討事業」ですけれども、620万円が予算計上されています。どのような内容の取組に、それぞれ幾らかける予定なのか、事業の詳細を荻布教育長にお聞きします。 83 荻布教育長 教育委員会では、今年度は県立高校教育振興検討会議において、高校再編検討の方向性など、県立高校の教育振興の基本的な方針について年度内に提言を取りまとめる予定としております。  新年度は、この検討会議の提言を踏まえて、知事主宰の総合教育会議において、地域や産業界、学校などの状況をよく理解されている関係者などをお招きして、幅広く意見を伺いながら丁寧に議論を進めていくものと考えております。  教育委員会としても、新年度、県立高校の再編に関する基本的な方針や、新たな学科、コースの設置などについてさらに議論、検討を進めて、生徒から選ばれる魅力ある高校づくりに取り組むために、「魅力と活力ある県立高校整備等検討事業」として620万円を計上しているものでございます。  具体的には、まず総合教育会議での検討概要に関する県内各地域での意見交換会などの開催費用や、学科、コース改編などに係る県外の先進地視察などの事務的な経費に200万円、そして2点目に、全国募集を実施する場合の、県外の中学生や保護者に向けた各種の広報活動や、地元自治体などとの協議に係る費用を想定して170万円余、そして3点目に、全国募集の実施について検討がされている南砺平高校の生徒寮の環境整備に係る実施設計費用として250万円程度を見込んでいるものでございます。 84 瀬川委員 この事業の中には、今御説明もありましたが、県内各地での意見交換会も事業内容に含まれています。  一方で、この1月に県内2か所で行った県立高校教育振興フォーラムとはどのような違いがあるのか、これも教育長にお聞きします。 85 荻布教育長 教育委員会では、この1月に市町村長、そして教育長から御意見を伺う、またさらに県民の皆様や地域から幅広く御意見を伺うために、まずは市町村との意見交換会、そして2つの会場でこのフォーラムを開催したところであります。  この意見交換会などでいただいた御意見は総合教育会議においても御報告をし、知事からは、「令和6年度は総合教育会議の場でも、地域、産業界、保護者などに幅広く意見を聞いた上で議論を進めたい」との発言があったところであります。  こうしたことで、令和6年度の総合教育会議においては、地域や産業界、保護者の代表の方などに御出席をいただき、今年度内に取りまとめられる予定の検討会議の提言を踏まえて、幅広く御意見を伺いながら、県立高校の在り方に関する基本方針や、新しい学科、コースの開設などについて丁寧に議論を進める予定としております。  魅力ある学校づくりに向けては、新年度予算案に各地区での複数回の意見交換会を開催するための経費を計上しております。今年度行ったフォーラムは、時間にして1時間余りというものでございましたが、新年度の意見交換会については、より十分な時間を確保しまして、総合教育会議での検討概要について、地域をはじめとする様々な方から多くの御意見をいただきたいと考えているところでございます。  この意見交換会をより広く深い議論の場とするための具体的な開催方法については、今後検討してまいりたいと考えております。 86 瀬川委員 時間は1月よりももっと取るということですけど、中身に関しては1月と近いものだと思っていいんでしょうか。 87 荻布教育長 新年度、総合教育会議で議論を重ねてまいりますので、その議論の経過、検討内容について丁寧に御説明をし、地域で御意見を聞くということになると思いますが、実際の進行の具体については、今後しっかりと、また総合教育会議での中でも検討しながら決めていきたいと考えております。 88 瀬川委員 何でこんなことを聞いたかといいますと、私たち会派が求めている地域協議会、この名前にこだわっているわけではありません。この際名前はどうでもよくて、議論したいのは中身だと思っています。  地域協議会の議論、残念ながら、私たちと県庁側でかみ合っていません。その理由は私、2つあると思っています。1つは、再編対象校を存続させるための圧力の場だと思われているんじゃないかと、そう感じています。そんな理由で地域協議会を求めているわけではありません。もう一つは、私たちの言う地域協議会と1月に行われた県立高校教育振興フォーラム、この2つは私たちは違うと思っているんですけれども、皆さんは一緒に捉えている節があるんじゃないかと感じています。  お互い生徒のことを考えて進めようとしているのに、なぜかみ合わないのか。なぜ私たちが地域協議会を求めているのか、もっと知ってほしいと思っています。いつまでもかみ合わないままではなくて、合意形成したいじゃないですか。  地域協議会をつくれ、つくらないという言葉じゃなくて、お互いどういう意図だという、もうちょっと深いところを話し合いたいと思って、以下2問質問します。  まず、私たち会派が求めてきた地域協議会に関して、代表質問で提案の趣旨は十分に酌み取る、そして先週の藤井議員の質問に、提案する地域協議会の趣旨を一定程度実現できるのではないかとの答弁がありましたが、新田知事は地域協議会のメリットをどのように現在考えているのか、お聞きしたいと思います。 89 新田知事 昨年の12月になりますが、自由民主党富山県議会議員会の「富山県教育の未来を考えるプロジェクトチーム」の皆さんとの意見交換会において、「各学区に地域協議会を設置し、いろんな声を聞いて、地域が主体的にこれからの教育を考えていく機会をつくってほしい」という御提案をいただきました。  それを受けて、示された先例を私たちでも調べるようにという指示を教育委員会にしました。教育委員会の報告によると、例えば愛媛県では、県立学校振興計画を策定するために県立高校振興検討委員会が設置され、その委員会では、地域の御意見を聴取するために地域協議会を設置して検討経過を説明し、ここで出た御意見を委員会の資料の一つとして検討が進められたと理解をしています。  このように、地域協議会については、当事者意識を持った地域に関わる方々が協議検討に参加することで、その地域の御意見をじかに伺える、地域からの支援や地域と高校との連携を強化できるなどのメリットがあると考えています。  私としても、地域の皆様から丁寧に御意見を伺う場があることは意義深いと考えています。教育委員会には、新年度においても、意見交換会を学区ごとや、また希望のある地域で複数回開催し、じかにいただいた御意見を総合教育会議において報告してもらう予定としています。  また、総合教育会議では、地域や産業界、保護者の代表の方々にも御出席いただき、多様な観点からの意見を伺いたいと考えています。  現時点では、こうした取組を重ねることによって、設置の御提案をいただいている地域協議会の趣旨を一定程度実現できるのではないかと考えております。 90 瀬川委員 1月に行った県立高校教育振興フォーラムでは、御説明の中で地域の意見を聞くという言葉がありました。  私たちが求めているのは、まさに今知事も言ってくれましたが、主体的に考える場、ここが2つ違うところだと思っているんです。  ちょっと振り返ると、安達議員も先日言っていましたが、私からもちょっと触れますけど、まちづくりと教育は別という発言がありました。別でいいと思います。ですが、まちづくりとは別であっても、地域と教育は現在も密接に関わっています。  今の高校生が授業の中でどれだけ地域を題材にしているか。地域だけじゃなくて、市町村も物すごく授業に時間を割いているんです。アントレプレナーシップや職業体験などで地域の企業はどれほど関わっているか。そして、高校ではありませんが、なぜ県内外の大学生が地域でフィールドワークするのか。社会課題の解決が教育の主要なテーマでもありますし、学校も学生も望んでいるからだと思います。  知事も参加した、富山大学で2月に開催された、富山県の高校生による探究フォーラム。ほとんどが地域を題材とした研究でした。こういう活動が地域への愛着につながり、将来戻ってきたいとか、このまちのために何かしたいという感情につながってくるのではと思っています。  そのために、県と市町村、地域がばらばらに高校に関わっていては、生徒のためにならないと思うんです。私たちが地域協議会を求めるのは、もはや高校や高校生のことを県だけで考えるのには限界があると思っているからです。  今、県だけで考えていても、倍率は1.01倍になっています。「こどもまんなか」という言葉がありますけれども、これは県だけで考えればいいわけじゃないと思います。市町村や地域も一緒になって考えることが「こどもまんなか」だと思います。だから、県立高校教育振興フォーラムのように、意見を述べてもらう場ではなくて、市町村や地域が自分たちにできることは何か一生懸命考えてもらう場、言いっ放しじゃなくて責任を持って関わってもらう場として、地域協議会が必要だと思っているんです。まちづくりのために地域協議会が必要だと思って言っているわけではありません。  南砺の平高校の全国募集だって、取っかかりは県が進めたわけじゃなくて、地域や市町村から出てきた案です。こういうことがもっと増えてほしい、そういう富山県になってほしいと思って主張しています。  高校教育をよりよいものにするために、県だけで考えるのではなく地域でも考えてもらう必要があり、そのためには、地域や市町村から提案が出てくるような、地域も主体的となって議論する場が必要だと考えますが、新田知事に所見をお聞きします。 91 新田知事 委員おっしゃるように、多くの高校が地域と連携した探究活動に取り組んでおります。本当におっしゃるように、富山大学を舞台にして開催されました探究フォーラム、私も本当に楽しく、かつ教えられました。地域や市町村からも、よりよい活動となるように、様々な御提案や御協力を頂いているのも全く事実です。  また、地域が協議会など──今おっしゃっている協議会ではなく、地域が協議する場を設けられて、地元の学校の振興や支援のために尽力いただいている市町もあります。地元高校の教育をよりよいものにするための議論もいただいているところです。  全県的な県立高校の在り方については、県立高校教育振興検討会議において検討されていますが、地域の代表者からは、各市町村に伝統産業や文化財があるんだと、探求活動のため、そうしたフィールドを提供する、そういった地域の素材はいっぱいあると。それから、地域や市町村、民間と連携した学習活動は富山県らしいのではないか、などの御意見、御提案もいただきました。  また、1月に富山市と高岡市で開催した教育振興フォーラムでは、地域資源を生かした活動をしてほしい、地域と協働した特色ある活動を行っている高校があることを広く知ってもらえるとよい、といった意見もいただいています。  新年度では、総合教育会議において、地域や産業界、保護者の代表の方に御出席いただいて、幅広く意見を伺いながら、全県的な県立高校の在り方に関する基本方針などについて丁寧に議論を深めていく予定としています。  また、教育委員会には、新年度も意見交換会を、学区ごとや希望のある地域でも複数回開催してもらう予定としておりまして、高校教育をよりよいものにするために、地域、市町村からの御意見もいただきたいと考えています。そうした過程を通して、高校生にとっても望ましい教育環境になるように取り組んでいきます。 92 瀬川委員 再質問させてください。シンプルになんですけれども、意見を聞く場だけじゃなくて、地域が主体的になって議論する場、これが大切だということは御理解いただけているということでよろしいでしょうか。お願いします。 93 新田知事 そのような御理解でよろしいと思います。  先ほどの例も言いましたけども、それはこれまでも行われてきました。まだ全ての市町村、あるいは全ての学区というわけでありませんけども、これまでも幾つかの市や町で行われていることです。本当にそういうことに我々教育関係としても大変に助けられていると思っていますし、何よりも子供たちにとって、学校がある地域をフィールドとしての様々な探究活動というのは、学びに非常に広がりも、深みも、潤いも与えるものだと理解をして、大変にありがたいと思っています。 94 瀬川委員 ぜひよろしくお願いします。言いっ放しじゃなくて、市町村にも関わってほしいと思っていますし、そういう場をつくってほしいと思いますので、ぜひ、意見を聞く場じゃなくて、考えるような仕掛けづくりをしていただければと思います。  最後に、新年度予算案について4問お聞きします。  まず、冒頭も言いましたが、今週土曜日、いよいよ北陸新幹線が敦賀まで延伸します。北陸3県のいろんなところを巡ってほしいということで、機運を高めるために、「北陸三県並行在来線周遊促進事業」として観光列車の乗り入れを計画するとのことです。  北陸3県でJR以外の観光列車は、富山県の「一万三千尺物語」だけです。その観光列車が北陸3県を走り、観光の機運を高める盛り上げ役となることは大変楽しみですけれども、現在の「一万三千尺物語」は、提供する料理も車内販売も富山県に特化した内容になっています。  他県を走る際には、提供する料理や車内の販売にどのような変化を加えるのか、田中交通政策局長にお聞きします。 95 田中交通政策局長 北陸新幹線金沢・敦賀間の開業に伴い、福井県のハピラインふくいが開業します。それで、あいの風とやま鉄道、石川県のIRいしかわ鉄道と合わせて、北陸3県が並行在来線で結ばれると、このようになります。  この機会に、北陸3県と並行在来線各社が連携して、北陸を訪れる観光客の方に並行在来線を活用して周遊を楽しんでいただくための事業費を、新年度予算案に計上しております。具体的には、委員からも御紹介ありましたけど、観光列車の共同運行ですとか、3つの並行在来線の駅を巡るスタンプラリーなどを予定しております。  このうち観光列車については、今年秋の北陸デスティネーションキャンペーンに合わせて、あいの風とやま鉄道が運行している「一万三千尺物語」の石川県、福井県への乗り入れを検討しております。内容については、今後、石川県、福井県、また並行在来線各社と詰めていくことになりますが、観光列車は車内での食事や特産品、またお土産の販売が魅力の一つと考えております。  このため、富山県だけではなくて、各県の食材や特色を生かした食事の提供、また、沿線各地の趣向を凝らしたお土産や特産品の販売について検討していきたいと思っております。  委員からも御紹介ありましたが、3県の並行在来線で唯一観光列車を運行しております、あいの風とやま鉄道のノウハウや運行実績を踏まえまして、北陸の豊かな食、特色ある伝統文化を満喫していただけるよう取り組んでまいります。 96 瀬川委員 ありがとうございます。  観光の話を1問挟みましたが、荻布教育長、すみません、高校再編じゃない教育の話も2問させてください。  小中学校における1人1台端末の更新整備事業は、新年度予算に計上されています。しかし、市町村管轄の小中学校ではなく、県が所管している肝腎の県立高校の端末更新は、どのように計画しているのでしょうか。  現在は全生徒にタブレット端末を配布していますが、高校に関してはスマートフォン所持率も高いため、必ずしも小中学校のような学習端末ではなく、BYOD──Bring Your Own Deviceと言いますけど、個人が私物として所有しているスマートフォンやタブレットを使うことです。これも有効であると考えますが、BYODの検討状況と併せて、荻布教育長にお聞きします。 97 荻布教育長 昨年11月に成立した国の令和5年度補正予算を受けて、県では新年度当初予算案に、小中学校段階の児童生徒用1人1台端末の更新を助成する経費を計上したところであります。  高校の1人1台端末については、文部科学省が昨年7月に公表した、高等学校における学習用コンピューターの整備状況によりますと、公立高校に1人1台端末を導入した47都道府県のうち、導入時に本県のように学校設置者負担を原則として整備した自治体が25府県、保護者負担を原則とする、いわゆるBYODを導入して整備した自治体が22都道府県となっております。  本県と同様に、公費負担を原則として整備をしたものの、次期更新の令和6年度以降は保護者負担に変更する県も複数出てきているという状況であります。  本県の県立学校の端末については、導入からおおむね5年を経過する令和7年度から8年度頃には、更新が必要になると考えております。更新には多額の費用がかかることが想定されますことから、県の重要要望、また、全国知事会や全国都道府県教育長協議会を通じて、国に対して更新費用などのICT環境整備に関して必要な財源措置を講ずるように、引き続き要望をしてまいります。
     今後とも、国や他県の動向も見ながら、更新費用の負担の在り方について検討してまいります。 98 瀬川委員 令和7年度ですから、もう結論を出さなくちゃいけない時期だと思っています。  タブレット配布よりBYODを中心に考えているのか、再度荻布教育長にお聞きします。 99 荻布教育長 御答弁いたしましたとおり、国に対して財源措置要望しているところでございますが、おっしゃるとおり、だんだんとタイムリミットというのも近づいてきている厳しい状況にございます。  他県の動向、また国の動向を見ながら、更新費用の在り方について早急に結論を出すように検討していきたいと思っております。 100 瀬川委員 ありがとうございます。  もう1問は、再任用教員とその研修に関してお聞きします。  教育警務委員会でもこの前段の部分に触れましたけれども、教員の採用試験倍率向上に向けた富山県の取組には、一定の評価をしています。しかし、近県や全国平均と比べても倍率がかなり低い状況です。例えば令和6年度の採用倍率、富山県は2.3倍でした。前の年は2.1倍だったので、若干上昇しています。  しかし、同じ令和6年度、石川県は3.0倍、福井県は3.5倍。全国平均も3.0倍なんです。募集人数がそんなに変わらないので、応募人数にそもそも開きがあると思っています。だから、まだまだやれることがあると思っています。  そういう点でも、再任用教員は大変ありがたい存在ですが、自分の経験に自負があるため、あまり研修に参加していないのでは、という話も聞きます。彼らも自分たちの知識を常にアップデートし、自分を高める姿勢という面でも、後輩教員のお手本になってほしいと思います。  定年後に再任用となる教員の割合はどのように推移しているのか、そして、再任用教員に対してこそ、身につけてきたものをアップデートする研修が必要だと考えますが、現在の取組状況はどうか、荻布教育長にお聞きします。 101 荻布教育長 定年退職を迎えた教員の中で、再任用となった教員については、令和元年度では32.3%でございましたが、令和5年度においては51.3%と増加をしております。  教員は、法によっても「絶えず研究と修養に努めなければならない」とされておりまして、技術の発達や新たなニーズなど、時代の変化を前向きに受け止めて、常に学び続けていくということが求められております。  また、法改正を踏まえ、令和5年4月からは各学校において、教員と校長等の管理職との対話による、研修受講奨励というものが行われております。  この研修受講奨励は、対話を繰り返す中で、教員が自らのニーズに基づいて必要な学びを選択して主体的に研修を行うということにつなげるものであって、再任用の教員も対象となっております。  また、県教育委員会では、教員自身が学校教育を取り巻く環境変化を前向きに受け止めて主体的に学び続けることを支援する観点から、昨年10月に「教員等の資質向上のための指標」を改定しております。  この指標には、ICTや情報、教育のデータ利活用など、新たに必要な資質向上についても盛り込んでいるところです。この指標を、各学校において、対話による研修受講奨励で活用してもらっています。  委員御指摘のとおり、再任用教員が身につけてきたものをアップデートするには、これまでのやり方に固執せず、時代の変化に対応して求められる能力や知識、技能を柔軟に学び続けていくことが大切であります。  引き続き、再任用教員も含め、全ての教員が資質能力を高めていくことができるように、対話による研修受講奨励の推進や、研修の機会、内容の充実に努めてまいります。 102 瀬川委員 事前に聞いたところでは、再任用教員がどれだけ研修を受けているかすぐには分からないという回答でした。教員ごとにどのような研修を受けているかを把握するのは、そんなに難しいことではないと思いますので、ぜひそういう面の整備もよろしくお願いしたいと思います。  最後の質問に移ります。  委員長、ここで資料の掲示の許可をお願いします。 103 川島副委員長 許可いたします。 104 瀬川委員 最後の質問ですが、昨年秋に県庁職員に対してアンケートが行われました。これがその結果なんですけれども、特に40代以下の職員に目立ちましたが、全体として職員のモチベーションが低いというものでした。  7段階に分かれていまして、真ん中の平均点以下を赤色で網かけするとこのような形になりますが、「めったに感じない」「ほとんど感じない」「全くない」だけを抽出するとこのようになります。一番真ん中のピンク色の部分を除くと、前向きな方と後ろ向きな方の割合で見ると、後ろ向きというか、モチベーションを感じられていない方のほうが多くなっているという現状でした。  これは初めての調査でありまして、過去と比較できるものではありませんけれども、この数値は決してよいものではなく、このモチベーションでいい仕事ができるとは、あまり思えません。  しかし、新田知事になってから、残業時間削減や休暇取得に力を入れてきました。ビジネスパーソン、タックスペイヤー、ヒューマンビーイングという言葉も知事はおっしゃいますけど、これにも表れるように、職員の意識改革にも力を入れて取り組んできたと思っています。  県庁の改革、県庁の活性化に優先的に取り組んでいたように私自身受け止めていたため、とても意外な数字でした。知事就任以来の県庁活性化の取組でこの数値は上昇してきていると御自身で感じているか、今後の改善策を含めて新田知事にお聞きします。 105 新田知事 委員お持ちの問題意識、同じことを私も持っています。なので、今年度、人材育成・確保基本方針というものを策定することとしました。その上で、現在値を知った上でやろうねということで、このエンゲージメント調査を行ったわけであります。  おっしゃるように、結果は、年代別では20代、30代のスコアは低め、40代はほぼ平均値、50代は高いという結果が出ています。年齢が上がるほどスコアが高くなるのが、この調査では一般的とされているとのことです。全体的な底上げのために、職員がやりがいを持って働ける職場づくりが必要との思いを改めて認識しました。  私はやってみてよかったと思いますし、これ以上下がることはないんじゃないかと思いますが、上げる一方だと考えています。継続的にこのエンゲージメント調査はやっていきたいと考えています。  それと、国際比較をされている先生もおられまして、日本は他国より相対的に低く出るそうです。というのは、例えばこの1番目の質問、「仕事をしていると、活力がみなぎるように感じる」というのは、日本人だとちょっと照れる感じがする、このような質問もあるということで、そんなことで日本人は低めに出るんじゃないかと思います。  ちなみに、2016年、ちょっと古いんですが、日本の平均スコアは2.7から2.8程度ということでした。今回、本県職員の平均が2.52ということで、オールジャパンより若干低いのかなという結果です。ちょっと古いので単純に比較できませんが、そんなことであります。  私は、知事就任以来、職員の皆さんには、県民目線、スピード感、そして現場主義を心がけること、それから、今委員おっしゃっていただいたヒューマンビーイング、タックスペイヤー、ビジネスパーソン、そんなことも言い続けてまいりました。  富山県をよくするには、職員も知事もない対等な立場だと。文鎮型組織のような気持ちで、そんな関係を構築したいと。それから、職場以外にもぜひ居場所を持って広い視野を養ってほしい、こういうことも言い続けています。他流試合をしろとか、いろんなことを申し上げているところです。  また、県庁の活性化という意味では、業務の見直し、DXによる働き方改革のほかに、職員の政策提案や庁内複業、ポストの庁内公募、頑張る職員を紹介する広報、また、若手職員チャレンジプロジェクトというのは、令和3年に職員から提案があり、すごくいいねということで、令和4年に事業化をして今実際に行っています。それから、ジョブチャレンジ制度というのを新しく始めました。職員の挑戦意欲に応えるために事業単位で庁内公募を実施するということであります。などなど、いろいろとやっております。  それから、外部の研修にも積極的に派遣をしております。これまであまりなかったことなんですが、多少お金をかけても人を育てるということで、都市経営プロフェッショナルスクール、これ、何人かの県議の方にこの前見ていただきましたが、大変に厳しい研修です。でも、それを喜んで受けている職員の姿を見て、大変たくましく思っているところであります。  今回初めてのアンケート調査なので、なかなか比較はできませんが、今年度予算の作成において、ウェルビーイング指標を活用した予算編成ということで、部局横断の様々なテーマも提案されました。これなど前向きな姿勢の表れだと考えております。  今後、人材育成・確保基本方針を踏まえて、職員の主体的なキャリア開発を支援する、そのための新しい組織もつくります。職員へのエンゲージメント調査も続けて実施することで、これからはしっかりと変化も把握しながら、より職員がやりがい、働きがいを持つ。Z世代に限らず最近の仕事をされる方は…… 106 川島副委員長 新田知事、委員の持ち時間が終了しますので、簡潔にお願いします。 107 新田知事 最近の方は、働きがいや成長を求める傾向にあります。だから、そういったことを提供できない職場は離れられるということになります。しっかりと職員を確保し、そして定着してもらえるような、そんな組織運営、職場運営をしてまいりたいと思います。 108 川島副委員長 瀬川委員の質疑は以上で終了いたしました。        種部恭子委員の質疑及び答弁 109 川島副委員長 種部委員。あなたの持ち時間は60分であります。 110 種部委員 お疲れのところ、質問の時間をいただきましたことを感謝申し上げたいと思います。  私からも、まず地震に関する課題から御質問させていただきたいと思います。  まず、発災時における備えについて3問お伺いしたいと思います。  私も地震の5か月前に、地元の自主防災と地区センターと、それから学校の合同で避難所の設営訓練をやりました。このときの経験を踏まえて、昨年の9月議会で質問もさせていただいています。そして、1月1日の発災の当時は地元の避難所設営をやりました。  委員長、サイネージへの資料の掲示を許可いただけますか。 111 川島副委員長 許可いたします。 112 種部委員 今回、学びになりまして、非常によかった点と残念だった点がありました。  9月議会のとき質問させていただいて、武隈危機管理局長にリクエストをしていた液体ミルクの乳首は、やっぱりなかったです。男の方、お父さんで赤ちゃんを連れてこられる方がやっぱりおられましたのに、これは残念だったところです。もう一つ、体育館は私たちの選挙のときはスロープがあって車椅子は入れると思っていましたが、スロープがなかったです。残念な点です。  よかったことは、訓練の成果が出ていたということです。たった1回で終わりましたけれど、ちゃんとこの意思決定の系統をつくるとか、避難所の名簿を作るとか、非常に早く対応できたということが1点。そしてもう一つは、PTA会長が女性だったということは非常によかったです。  何が起きたかといいますと、よかったこととして、すぐにファミリーテントを立てているんです。これは訓練の成果でもあります。このファミリーテントをなぜ立てたかというと、発災直後から授乳が必要な人がその場所にはいました。こういうことに気がつく人が必要、画面ではちょっと小さくて分かりづらいかと思うんですけれども、女性の方がビブスをつけているんですね。話しかけやすいということで、このファミリーテントを使っていいですかと真っ先に声かけをされたのは、発達障害のお子さんを持った親子でした。そういう見えないところの要配慮者というのを受入れしやすい状況にしなければ、発災直後からの女性の参画とか、あるいは男女共同参画の視点での避難所運営というのはできないなということはよく分かりました。  県の避難所運営マニュアルの策定指針は、避難所開設準備組織のリーダーに、自主防災、自治会、町内会の役員その他を挙げておられます。資料の1を見ていただければと思うんですけれども、内閣府が定期的に調べているものであります。富山県は、自治会長に占める女性の割合は非常に低いです、下から6番目です。私はこれが富山のジェンダーギャップの象徴だと思っております。  自主防災組織の基盤となる自治会等コミュニティーに対して女性の発言権がなければ、先ほどのように声を上げて避難所を設営しようということはなかなかできないということでありまして、当日そこでリーダーを決めるなんて無理な話ということがよく分かりました。平時に女性にリーダーの役割を当てておく必要性があると思います。救急とか防災というのは、どうしても男性の仕事というアンコンシャス・バイアスがあると思います。これも過去に質問させていただきました。防災・危機管理課の、女性の当直室がなくてガラス張りだったということがあって、今回きれいな当直室を造っていただいていると思うんですが、こういうところにアンコンシャス・バイアスがありました。  これを払拭するということ、そして女性の自治会長を育成するとか、あるいは防災担当の役員にあらかじめ女性を充てておく、このようなことをポジティブアクションとしてやらなければ、避難所運営は難しいということを実感しました。  何か富山を去られるかもしれないということで、今日はたくさん質問をさせていただいているんですけど、横田副知事に御答弁をお願いしたいと思います。 113 横田副知事 今回の能登半島地震では、避難所の設営に当たりまして、自主防災組織や防災士に、お食事やお風呂の手配など大きな役割を担っていただきました。一方で、御指摘のとおり、本県の防災士につきましては、女性防災士19.8%、それから自治会長に占める女性割合は御指摘ありましたように3.1%ということで、全国7.2%よりもかなり低い水準となっております。  男女共同参画に関する意識調査におきまして、ジェンダーギャップは特に地域社会において高くなっております。そのため、富山県の男女共同参画計画におきましては、地域社会における方針決定過程への女性参画拡大を重点課題に位置づけております。私も講演などを通じまして、地域社会の集まりへの女性の参加を働きかけているところでございます。  地域社会で女性参画が進まない原因は、性別の役割分担意識とそれに基づく生活スタイルの男女差、それを前提としました地域活動の進め方といったものがあるのではないかと考えております。  性別役割分担意識も含めたこの無意識の思い込み、アンコンシャス・バイアスは、誰しも持っているものではございますが、まずはこれに気づいて、今の目の前にある状況、課題を捉えて、対処方法を学んで一つ一つ行動を変えていく必要があると考えています。  今年度は、このアンコンシャス・バイアスの解消を女性活躍対策の中心に据えまして、事例収集や特設サイトの開設を進めております。例えば、懇親会を開いたときに女性だけに準備をさせるといったような、そういったバイアスがかかった行動について、気づき、また、いろんなコミュニケーションにおける女性参画を阻んでいる事例というものを学びながら、対策を講じていきたいと考えております。  今後、男女共同参画の推進委員の協力も得まして、具体的なこのバイアスを分かりやすく示して発信してまいります。そして、女性の視点を取り入れた地区防災計画の策定が進むように、防災組織と連携した研修会を実施してまいります。  この、防災を一つの切り口としまして地域における女性参画を推進することも、大変有効だと考えておりますので、働きかけを強めてまいります。 114 種部委員 ぜひレガシーを残していっていただきたいと思います。地域にリーダーを充てるというところからやっておかないと当日は難しいということがよく分かるので、何か作戦としてレガシーを残していただければと思います。ありがとうございます。  次に、福祉避難所について伺います。  何人かの議員からも質問していたかと思いますけど、今回も、人工呼吸器を必要とする重症心身障害児を在宅で看護している保護者から、個別避難計画で指定されている福祉避難所が海のそばにあるので逃げられないという連絡をいただきました。隣の市町村の支援学校のほうがむしろ近いので、そっちを指定してほしかったという御意見でした。  課題は2つあると思います。1つは実効性のある指定福祉避難所なのかということ、もう1つは広域での指定ができないのかということです。これは、法改正があって広域でやっていいということになっているんですけど、実像が伴っていないと思っています。  福祉避難所の指定とか個別避難計画が不十分だということで何人かから御指摘があったかなと思うんですけど、県もその理由の調査をちゃんとしておられまして、なかなか目詰まりがあるということ、市町村の中にも課題があるということを分かっていらっしゃるかと思います。  実際この福祉避難所として協定を結んでいらっしゃる複数の事業所に行って、協定の中身とか事情を調べてまいりました。そうすると、市町村が公示している福祉避難所の多くは高齢者施設です。特養などの高齢者施設は、酸素はあります。しかし、無停電の電源とかバッテリーはないんです。そして、自施設の入所者だけへの対応だけで精いっぱいなので、例えばスペースの確保をして、大きな呼吸器をつけてバギーで来るような人を入れられますかというと、とてもそんな状況の中にはないということでした。  市町村との協定書にはそのような条件は書かれていませんでした。医療的ケア児とか神経発達症とか多様なニーズを持つ方がいらっしゃいます。そんな要配慮者の受入れができるのか、こういうスペックがそれぞれの避難所によってあるのかということは、全くリストを見ても分からないんです。  これは、それぞれ個別避難計画を策定する、サポートしていらっしゃるケアマネさんとか障害相談支援員の方たちに自分で調べろというのは、とても無理な話だろうと思います。この負担が大きいということが、なかなか計画策定にならない理由の一つかなと思っております。  県がこの広域化した福祉避難所を指定して、そして電源、酸素、スペース、せめてそのあたりの確認をして、そしてその確保ができているのかということを、設置設備の有無なんかをリストにしていただくと、随分と負担が減るのではないかと思います。  どのように取り組むのか、御所見を有賀厚生部長に伺います。 115 有賀厚生部長 内閣府の福祉避難所の確保・運営ガイドラインでは、市町村は、非常用電気、非常用発電機等の設備の準備等について、指定福祉避難所の施設管理者等とあらかじめ調整し、必要な支援を行うことや、市町村が行う福祉避難所の指定要件として、避難生活に必要な空間が確保されていることが求められているものであります。  このため県では、今回の災害を契機といたしまして、今後、市町村を通じて、改めて各指定避難所において、ガイドラインが遵守され必要な準備が整っているかどうかの確認作業を働きかけてまいります。  その結果を踏まえまして、県では市町村と協議いたしまして、県内全ての指定福祉避難所を対象に、必要な設備やスペースが確保されているかなどの実態把握を行いまして、リスト化を進めていきたいと思っております。  その上で、福祉避難所の立地市町村だけではなく、他市町村による広域的な利用が考えられる場合には、必要に応じて県が関係市町村と調整の上、福祉避難所の広域的な確保の検討を進めてまいります。 116 種部委員 ありがとうございます。  内閣府のガイドラインのレベルに合わせていただきたいなと思います。市町村の中を見てみますと、マニュアルはあるんですけれど、中を見ると、本当に必要なものが書かれてないなという実感が非常にありましたので、ぜひお願いしたいと思います。  続けて、神経発達症などの障害のあるお子さんたちも、これまた要支援者であります。このようなお子さんをお持ちの保護者の方たちから、災害時ではなくて平時に、保育、学校、放課後等デイ、児童発達支援事業所、医療機関、市町村などで、このたびは秋になると就学相談があったわけですけど、どこの窓口に行っても、毎回小さいときからの履歴を全部しゃべり、今どんな状況なのかをしゃべり、どんなサポートが必要なのか、子供の特性、病歴を全部、毎回しゃべっていると。そして、全部しゃべっているのに、それが伝達されているかと思うと、次の窓口でまたもう一度同じことを全部しゃべっているということでありました。  この移行支援というのを何とかしてほしいということで陳情を受けたんですけれども、資料を持ってまいりました。  これはほぼ全ての都道府県で取り組んでいらっしゃるそうですけど、サポートファイルというものをつくっています。都道府県または市町村がつくっているサポートファイルというものがありまして、ここには履歴、これまでの病歴も含めて、どんなことに配慮が必要かも書かれています。  富山県も実は「にこにこファイル」というのを過去につくっておられます。ですが、今日ここになぜ資料にないかというと、ダウンロードできるところがなかったからです。ほかの県は全てダウンロードできるんです。今どき入力するでしょう、というか、手書きで書くことあまりないよね、ということなんです。  ダウンロードができる市町村があるかと思って調べてみたら、氷見市にマイファイルというのがあっただけで、ほかの市町村にはありませんでした。  これは非常にいいものなので、インストールされていないのが非常に残念で、障害児を持つお母さんから、これがあるんだったらもっと早く欲しかったという声を聞きました。  このサポートファイルに個別避難計画を挟むというのが、私は理想だと思います。災害対応の記述があるところを調べてみたら、資料の右上ですけど、宮城県には、あるんです。東日本大震災があった後に、このサポートファイルの中に災害時のサポートブックというものが1枚入るようになっている形を取っていました。ここだけでした。ほかにはなかったんです。  富山県も被災県でありますので、この経験を生かして、スムーズな移行支援、平時もちゃんとできている、プラス災害対応を見据えて個別避難計画つきのサポートファイルを運用できるように取り組んでみたらどうかと思います。有賀厚生部長に御所見を伺います。 117 有賀厚生部長 神経発達症や障害のあるお子さんが、それぞれのライフステージに応じた支援を切れ目なく得られるよう、県と県教育委員会では、医療、保健、福祉、教育、労働等の関係機関等で構成する、富山県発達障害者支援地域協議会及び富山県特別支援連携協議会において、個別に発達の状況や必要なケア、配慮等の情報、支援内容などを書き込んで支援に活用する、御紹介ありましたサポートファイルの整備と活用に取り組んでおります。  このサポートファイルと、避難支援者や避難先、避難経路のほか、障害の状態や特に配慮すべき事項等の情報が整理されている個別避難計画、これを日頃から一元的に管理、保管しておくことで、避難の際の必要な配慮、最適な支援を受けやすくなるということが期待されると思います。  さらには、市町村の個別避難計画の作成に当たっても、サポートファイルに記載されている内容を参考にすることで、より実効性の高い計画につながるケースもあると考えられ、要は双方向的な話になるかと思います。  こういったことから、これらの相互活用につきまして、個人情報の取扱いには留意しつつ、保護者や医療、保健、福祉、教育等の関係機関をはじめ、個別避難計画の策定者である市町村の理解を進めるように努めてまいります。 118 種部委員 ありがとうございます。ぜひ前向きにお願いしたいと思います。  これが待ち切れなくて、医療的ケアをやっていらっしゃるお子さんたちは、また別途ほかのファイルをもう運用されているんです。そちらには呼吸器の取説とかも含めて入っています。ですから、様々なスペックの人がいると思うんですけれども、できれば共通言語があったほうが進めやすいと思いますので、ぜひお取組をお願いしたいと思います。ありがとうございます。  では次に、子育て支援について4問伺いたいと思います。  資料の3番を見ていただければと思います。  虐待による死亡事例、厚生労働省は毎年統計を出して検証事業をしています。これは19年間の統計でありますけれども、虐待による死亡事例については、この多くがゼロ歳児であります。特に出生ゼロ日目の死亡が一番多いわけでありますけど、ゼロ歳児が圧倒的ということで、心中以外の死亡については479人ということであります。
     じゃ、なぜこのゼロ歳で虐待が起こるのかといいますと、虐待の主な加害は、圧倒的に多いのはお母さんなわけでありますけれど、養育者の心理的、精神的な背景を見ますと、それはもうほとんどが養育能力の低さと育児不安なんです。これを解決することって、そんな難しいことではないはずです。  一旦起こってしまった虐待から、今度分離をするということは大変なエネルギーがかかるんですけれども、育児支援をすることでこの虐待を防ぐというのは本当にあるべき姿だと思っています。  今回国は、伴走型支援10万円の給付金という事業を創設しました。この給付金につきましては、令和7年度から子ども・子育て支援法で法制化すると言っています。妊娠すると5万円、さらに出産すると5万円もらえると。そして、子育てに不安や困難を持っている親子をそこでキャッチして、伴走型ですから、そこから切れ目なく時々こういう支援の手を入れていくということのために、うまく使ってほしいという意図が酌み取れます。  県は、この伴走型支援の10万円をポイントにして、時期がかぶらないように、子育て応援券に代わる「とみいくデジタルポイント」の付与を3万円にしていただいていたんですけど、これを1歳半にしました。なぜかというと、国事業が5万円、プラス5万円で、妊娠したら、そして生まれたら出てくるからであります。  しかし、国からの通知で10万円は原則現金給付ということになりました。これまで本当に県では一生懸命尽力してこられたと思います。ポイント運用のためにも多大な努力を払ってこられたと思うんですけど、非常に私は腹が立っています。  このポイントを1歳半までにしたことによって、1歳半まで使うのはお預けなわけです。これまでは産後ケアとか産後ヘルパー派遣とか、あるいはお子さんがお熱を出されるのが一番多いのはゼロ歳ですから、そんなときの病児保育などに使ってきたんですが、これが1歳半までお預けということになるわけです。  私は現金給付というのはあんまり賛成はしていません。なぜなら、それはやっぱり本人がちゃんとそれを子育てに使ってくれればいいんですけれども、メンタルに問題を抱えるお母さんなんかは、生活保護1か月分を全部ゲームに1日で課金してしまったりとか、そういう方こそ支援が必要なんです。  ですから、現金ではなくてポイントの運用をとても期待していたんですけれど、改めてこれ、ポイント運用を検討する余地はないのか、もうちょっと国へも地方自治体の裁量を大きくするように働きかけるべきじゃないかと考えています。新田知事に御所見を伺います。 119 新田知事 国の出産・子育て応援交付金事業では、現在、育児用品の購入や支援サービスの利用が可能となるクーポンやポイントによる経済的支援を推奨しておられます。  県では新年度より、国事業と県の子育て応援券を統合した新たな子育て支援ポイント制度の導入に向けて、プラットフォームをつくったり、準備を着々と進めてまいりました。  ところが、そのような中、昨年11月開催のこども家庭審議会分科会などの国の会議において、こども家庭庁より、令和7年度からの国事業の法制度化に当たり、現金その他確実な支払いの方法による給付を基本とし、サービスやクーポンなどによる支給は、本人が希望した場合にのみ可能とする旨の説明がありました。  それ以上の具体的な運用方法については、先般2月22日付で動画配信をされた自治体説明会においても、まだ具体的には示されていません。こども家庭庁に確認しましたところ、具体的な運用方法については今後さらに自治体に説明を進めていくということであります。  県では1月に全国知事会を通じて、現金その他確実な支払いの方法の中に、地域通貨などの現金と同等の価値を有するものを含めることや、実質的に各自治体で育児用品やサービス、クーポンなどによる給付が進むように、独自に給付の上乗せをする場合の補助などについて検討するよう、国に対して申入れを行いました。  今後も県の重要要望などあらゆる機会を通じて、国に対して強く働きかけてまいりたいと思いますので、また助言やバックアップをよろしくお願いいたします。 120 種部委員 ありがとうございます。国の資料にクーポン等と書いてあるのでエクスキューズできるのかなと思ったら、なかなか強固な感じの姿勢ということで。  ただ、これまでに県職員の方は大変な労力を使われたと思うんです。それで果たして本当に──これはもう声を大きくして言っていいことではないかと思いますので、またぜひ知事のほうからも強く働きかけをお願いしたいと思います。  次に、病児保育について伺います。  病児保育の利便性向上について、この3年間取り組んできましたが、これに対して今回、広域化について一歩前進という予算を取っていただきました。新年度予算案で、市町村間の協定金の精算制度の支援、ここにお金を使うことで広域化を進めようというものであります。  広域化の目的というのは、これは地理的な利便性だけではないと私は言ってきたかと思います。病児保育を担う事業所の経営の持続可能性とも関係がありまして、例えば風邪というのは、同じエリアで皆さん風邪になるわけでありまして、その地域の病児保育がすごくいっぱいになったときに、結局電話をかけたって使えないじゃないかということで使われないと。でも、お隣のエリアは空いているということがあるわけです。これを使えるようにしないと、病児保育の事業所というのは空のままランニングコストもかかるわけです。  ですから、その事業所の経営の持続性という意味でも、確実に空きを確保するということのために広域化は必要と言ってきました。これでお母さんが仕事を休むことになる例が多いので、男女の賃金格差にもつながっていきます。  富山県ではこれに取り組んでいただいておりまして、令和5年度事業でウェブ予約システムの導入の費用を補助してきたと思います。資料6に示しておりますけれど、「あずかるこちゃん」という、これは一番大きなベンダーだと思います。許可を得て掲載をさせていただきました。  富山県を見ますと、まだ電話マークが圧倒的に多いんです。そして、赤とオレンジのポイントがあるところが、これはウェブでポチれるところであります。比較対象として大分県、こちらは都道府県と市町村、両方とも取組を一生懸命最初からやっていまして、病児保育の施設は少ないんですけど、もう電話マークは1個だけなんです。この取組の違いはとても大きいと思います。  利用当日までに熱が下がった場合は──夜のうちに熱が下がることがあるわけです──朝までに予約をキャンセルしてもらうと、次の人、ほかの人が入れるというメリットがあるので、ウェブ予約でポチれるようにすることと併せて広域化することに意味があると思ってきました。  このシステム補助の予算、今年導入しているはずなんですけれど、ウェブ入力システムの導入はどのぐらい進んだのか。このポチることができるようになる時期と合わせて、松井こども家庭支援監にお伺いいたします。 121 松井こども家庭支援監 病児・病後児保育の利便性の向上のためには、広域化とともに、受入れする保育施設のICT化が大変重要でありまして、県では、先ほども委員から御紹介ありましたが、今年度から施設がインターネットでの予約受付のためのシステムを導入する際、施設側の負担部分を支援する制度を創設しました。また、新年度予算案においても、病児・病後児保育利便性向上事業の中に、支援のための必要経費を含めております。  それから、新年度から導入します「当日キャンセル対応加算」は、運営事業者にとっては体調回復などによる当日キャンセルに対して補助がなされまして、安定した運営を確保できることとなり、また、施設側がICTを活用したことなどにより、利用者にとっては、当日キャンセルによる空き状況を迅速に確認できることになり、各関係者にとって有益なものであると考えております。  広域受入れは今のところ10の市町が参加する方向で、本年7月の開始に向けて準備を進めておるところでございます。現時点では、この予約受付システムを導入している施設は、おっしゃるとおり少ない状況ですが、こうした県支援制度の丁寧な周知や広報に努めてまいります。 122 種部委員 お取り組み、ありがとうございました。  本当にこういうふうに比べられると、富山県、もうちょっと頑張らなきゃと思うんですが、東京よりは圧倒的に多かったです。東京に勝ちたいという思いがありましたので、ぜひ導入してくれる人を増やしていただければと思います。ありがとうございます。  次に、自動車税の減免について伺います。  先日、NICUから呼吸器をつけたまま在宅移行したお子さん──身障の1級の認定を受けておられる方です──その保護者の方から、状態が悪化して4月1日にはお子さんが入院しておられたということで、自動車税の減免が受けられなくて心が折れたという陳情をいただきました。  資料を見ていただけますと、難しい文章なんですけど、富山県税条例では、「身体障害者等と生計を一にする者」が運転する車1台は自動車税の減免対象とされています。この根拠は何なのかということを税務課の方に教えていただきました。そうすると、この制度の根拠は昭和45年3月31日の自治省通知でした。もう見て解読するのは難しいようなぐらいの、手書きの文書でありました。  ここには、「身体障害を克服し。健全な者に伍して社会生活を営むことができるよう」に配慮をすると。法律というのは第1条に全ての目的があると思っているんですけど、この場合はこちらが上位だと私は思いました。そして、その後にどういう条件かというと、「通学、通院もしくはなりわいのために」運転に車を使っているということが書かれていました。  そうなりますと、確かに入院というくくりにしますと、通院ではなくなるので自動車税の減免対象にはならなくなります。しかし、保護者の面会とか付添いというのは、小さなお子さんの場合は、精神的な安定とか愛着形成とか、あるいは新生児の脳発達の促進とか、このような治療と同じ意味を持っています。  昭和45年の時代、この手書きの文章です。この時代に呼吸器をつけたお子さんも一緒に親子が川の字になって寝るなんていうことは考えられなかったと思うんです。そして、子供の脳発達にそういう川の字になって寝ることとか、触れ合いがあるとか、タッチングをするとか、そういうことがどう影響するかということは、多分想定はしていなかったと思います。  時間的、精神的にも、この呼吸器をつけているようなお子さんたちのケアは本当に大変な状況でありますので、入院も在宅も同じです。  次年度予算に、NICUに長期入院しているお子さんを在宅移行する在宅移行促進事業というのが予算化されていました。これを見ますと、在宅している間に、大変なときはレスパイトができるんですよね。そのときだけ入院していただいて、お母さんとお父さんがちょっとリフレッシュしたらまた帰ってくるということに使ってくださいね、という予算をつけていました。  となると、4月1日にこのレスパイトで入院したときは、自動車税減免になりませんが、3月31日に退院してれば減免になるという、どう見ても整合性は取れるとは私には思えません。できればこのお子さんたちの、ちょうど愛着形成のため大切な年齢の間だけでも、身障1、2級の子供の保護者については自動車税減免の対象とすべきだと思います。南里経営管理部長に御所見を伺います。 123 南里経営管理部長 県ではこれまでも、障害のある子供や保護者等への支援として、医療的ケア児等支援センター等の相談体制の整備、重症心身障害児等を受け入れる事業者に対して必要な施設改修費等を助成することによるサービス提供体制の拡充、重症心身障害児の交流活動を行うことによるレスパイトの提供などを行っているところです。  委員御指摘の子育て支援、通院支援などの福祉施策としての御指摘というのは、ある種お気持ちは理解するところではあるのですけれども、一方で自動車税ということについては、自動車の所有の事実に担税力を見いだして、その所有者に課するものでございます。道路等との間に極めて直接的な受益関係を持つ特殊な財産税としての性格を持つほか、道路損傷負担金的な性格も持っておりまして、自動車を利用される方には負担を行ってもらうものでございます。  そのような中で、御指摘の自動車税の減免ということについては、歩行困難な障害者御本人の移動手段に限定して、国からの要請に沿って障害者お一人につき1台に限って減免している税制上の配慮でありまして、税負担の公平性といった観点から減免の対象を拡大することには慎重な議論が必要と考えています。  このような趣旨から、子育て支援、通院支援の面からどのような支援が必要かということについては、厚生部とも協議しながら、その運用について勉強してまいります。 124 種部委員 ありがとうございます。  福祉で支援したほうが早いからという理由なんだと思うんですけれども、やはりこれじゃ、線引きという意味で、昭和45年と今の状況は違うだろうと思うんです。  これは示されているのは法律というわけではなくて、根拠になっているのは自治省の通知です。ぜひ国に対しても、こういう状況でいいのかと。例えば医療機器でケアを行う方は大変増えています。昔は助からなかった命が皆助かるようになってきている代わりに、医療ニーズが増えているわけです。この状況になっていて、それでも子供を持とうとしている人たちが、次にもう一人持とうという気持ちになれるかとか、これこそ子育て支援という視点で考えると、税の負担の公平性と言いますけど、3月31日に入院していたのか、4月1日に入院していたのかでということで線が引かれるというのは、私はどうもやっぱり納得がいかないので、これはやっぱり引き続き国に働きかける必要があると思いますが、南里部長、どう思われますか。 125 南里経営管理部長 減免の対象については、実態をよくお聞き取りしながら判断しているところではありますけれども、自動車税の趣旨、それから子育て支援、通園支援の面から、どういった支援が必要なのかということも踏まえて勉強してまいりたいと思います。 126 種部委員 ありがとうございます。ぜひ地方の声として届けていただきたいです。総務省の方は実際ケアをしている方たちの近くにいらっしゃる声というのは聞こえているかなということ、非常に疑問に思います。ぜひ声を届けていただくようにお願いしたいと思います。ありがとうございます。  次に、産後ケアについて伺います。  資料の8を御覧ください。先ほどの続きであります。  ゼロ歳児の中でも、虐待で死亡する事例は生後何か月が多いのかというと、圧倒的に多いのはゼロ日なんですけれども、やっぱりゼロか月、1か月、2か月、3か月、子供が生まれて子育てを始めた最初のスタートのところでの虐待死亡事例が多いです。  当然、理由は、赤ちゃんは泣くものなわけですけど、この泣きに耐えられないということで、養育能力や、あるいは育児不安というのが背景にはあります。  こういう事例というのは、助けてくださいと言ってくれません。ハイリスク扱いされたり特別扱いされたり、あるいは支援を求めて怒られたりしたくないので助けを求めにきません。  改正児童福祉法は令和7年から施行されますけれども、この中で母子保健と児童福祉が一体化されて、こども家庭センターとなる。私は、こども家庭庁ができて一番大きな、いい政策だと思っています。  こども家庭センターができます。この中で、リスクの高い人もそうじゃない人も分け隔てなく、ポピュレーションアプローチですよね、全ての人がこの産後ケアだとかいろんなケアを使っている中に紛れ込んでいるという形をつくりたいという姿勢が見えてまいります。  これらの支援メニューの中で、たくさんメニューがあって、子ども食堂とかショートステイとかいろいろあるんですが、唯一早い時期から、生後6か月以内に関われるのは産後ケアであります。  国もこの産後ケア事業を拡充してペアレントトレーニング、親になる、子供は泣くもんなんだよという、こういうことをやりつつ、ハイリスクの親子もふわっと中に入れていくということを、方針として打ち出しています。  全国の状況を聞きますと、やはり育児不安の強い母子とか、精神疾患を持ったお母さんとか、そういう様々なトラブルを防いできた好事例がたくさん報告されているんですが、富山県は他県の利用数と比べると、産後ケアの利用普及が非常に低いと認識しています。特に宿泊型の場合、費用負担が発生します。7,000円とか8,000円とか、なかなか費用が大きいということ。あるいは、兄弟がいると一緒に利用できないとか、いろんなメニューの産後ケアが欲しいけど市町村で全てのメニューは準備できないとか、このような問題があるということを認識しています。  まずはこの利用率を上げるために、できる支援をすべきではないかと思います。松井こども家庭支援監にお伺いいたします。 127 松井こども家庭支援監 産後ケア事業の実施箇所数は本当に増加してきております。今年度は、病院実施の宿泊型が12市町村で6か所、また病院や助産所で実施されているデイサービス型が14市町村で16か所、それからアウトリーチ型、居宅訪問ですが14市町村で28か所となっております。  また利用件数では、昨年度の実績ですが、1,024件の利用がありまして、令和元年度と比較して329件増となっております。さらに実施施設のうち、所在市町村以外の市町村と契約しているのは22施設となっておりまして、例えば宿泊型では、富山広域連携中枢都市圏内の市町村が富山市運営の施設を広域利用している状況にあります。  現時点で県内の市町村からこういった産後ケア事業の、例えば集合契約などに関する意見、要望は受けておりませんが、委員からの御発言も踏まえまして、新年度において、県内市町村に対して産後ケア事業に関するアンケート調査を実施したいと考えております。また、その調査結果による課題等への対応策について検討してまいります。 128 種部委員 ありがとうございます。これから多分広げていかなきゃいけないところだろうと。  事業所が増えているのは分かるんですけど、例えば妊婦健診は全県どこも一緒です。広域化されています。ですから、産後ケアも同じように、自分がずっと通院していたところの近くとか、慣れているところに行くとか、そういう利用の仕方ができないと広がらないかと思うので、まず調査を期待しております。また御報告をお願いいたします。  次に、困難を抱える女性と子供の支援について5問伺います。  4月から施行される困難女性支援法に伴いまして、暴力から逃れてきたり、あるいは貧困、そのような状況の女性の支援範囲が広がります。そして、自立支援の強化が求められている中なんですが、富山県は昭和55年に葉月寮が廃止されてから婦人保護施設がありません。そして、唯一の母子寮だった富山市の和光寮が廃止されるということになりました。  そうなりますと、今、女性の自立支援の役割を唯一の民間シェルターが担ってくれています。民間シェルターは、一時保護から自立シェアまで切れ目なくできるという非常に強みがあるんですけれども、民間であるということで、とにかく財政基盤が弱い。若い職員さんとか支援員を養成したくても、なりわいにならない。給料が安い、安いというか払えないので担い手がいないということでありました。  自立支援の段階で就業支援とか心のケアに携わる人件費というのが、大体出ても時給1,000円とか1,100円とか、そんなものだと伺いました。これに対して、県単で補助のための予算を取ってもらっているんですけれども、補助額は2分の1が事業者負担になります。  これは、担ってくださっているのがNPO法人なんですが、その半分はNPO法人の方たちの会費と、寄附なんて本当に微々たるもので、それで成り立っているということで、例えば1,100円の仕事を1時間すると550円は自腹を切っているという、そんな状況であります。それじゃ、やっぱりビジネスとして成り立たないので、担い手がいないのは当たり前だなと思いまして、存続が非常に厳しいと聞いています。  今後の民間シェルター存続にどう取り組んでいくのか、松井こども家庭支援監にお伺いいたします。 129 松井こども家庭支援監 県では、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律に基づきまして、基本計画を今月中に策定するため、女性や民間団体を対象とした実態調査を行いまして、その結果を踏まえ、基本計画検討委員会を設置し協議してきたところでございます。  これらを通じて、行政では行き届かない、柔軟できめ細やかな支援を強みとする民間団体との連携、協働や、資金不足の中、困難な問題を抱える女性に寄り添い、居場所の提供などを行う民間団体への支援等について御意見をいただいているところでございます。  こうした御意見を踏まえまして、基本計画案においては、今後取り組む施策として、民間団体と互いの活動を補完しながら対等な立場で連携、協働を進めることや、民間団体との協働事業の実施によりまして、民間団体の活動継続に対する支援に取り組むことを盛り込んでおります。  現在、県内のNPO法人が運営する民間シェルターのような、民間団体の支援活動に対しては、国の補助事業を活用した支援を行っているところでございますが、困難な問題を抱える女性への支援を推進するためには、民間団体との連携、協働は大変重要であり、活動継続に向けた支援の在り方について検討してまいります。 130 種部委員 ありがとうございます。  国の補助でこれをやっている事業はとてもいいと思うんですけど、国事業のお金が入っていると、例えば一時保護委託をすると同日には使えないとか様々な目詰まりがあると思っています。  そこを、できるだけ使えるものを使いつつ、やはり継続してやっていけるような形で、何か補助だけではなくて仕組みかなと思うんですけれど、またお取組をお願いしたいと思います。  次に移ります。  先日、シングルマザーの皆様の御意見を聞くシンポジウムに参加しました。知事にも来ていただきました。松井支援監にはずっと最後まで御参加いただきまして、ありがとうございました。  部局の方皆さん全員にお付き合いいただきまして、生の声を聞いていただいて、本当によかったなと思っております。  県でも、子供の生活実態調査でひとり親家庭の困窮というのは明らかになったかと思います。これはひとり親というくくりだけだと思っていたら、シンポジウムのときに大きな声が聞こえてきたのは、離婚成立前のひとり親の孤立と経済的困窮が非常に厳しいという生の声を聞きました。これはお母さんじゃなくて子供からの、助けてくれという悲鳴でありました。  離婚成立する前は児童扶養手当の支給対象にはなりません。新年度予算に「ひとり親家庭向け生活支援講習会開催事業」というのが盛り込まれていますが、これも離婚成立前のひとり親は対象にはならないということでありました。  この離婚の理由の中で多いのはやはりDV被害を受けてきた人でありまして、精神疾患で就業できない人も多いので、そうすると収入が全くない状況です。そんな中で、養育費を受け取ればいいじゃないということになるんですけど、そんな簡単ではありません。過去には代理徴収制度について、それを求めて質問したことがあったんですけれど、母子家庭等就業・自立支援センターの法律相談、あるいは高葛藤で対立がある場合は調停を紹介するということでしたが、弁護士さんの費用が払えないということでありました。  とにかくお金の負担がある割には何も入ってくるものがない、また、離婚成立までは大体2年ぐらいかかるということで、その間、本当にお金が全くない状況の中、子供が進学を迎えたりということがあるわけであります。  このプレシングルの状態、この間の孤立と生活困窮というのは非常に厳しいと思いますので、どうやってその自立支援に取り組むのか、松井こども家庭支援監にお伺いいたします。 131 松井こども家庭支援監 県では、ひとり親家庭の自立支援のため、母子家庭等就業・自立支援センターにおいて就業相談や、就業支援講習会、また弁護士による法律相談を行うほか、個々の状況に応じた自立目標を設定し様々な支援メニューを組み合わせた自立支援計画の策定に取り組んでおります。  これらの支援については、今年度より母子家庭の母や父子家庭の父などだけでなく、離婚前から支援が必要な方も利用できることとしたところでございます。  今のところ、離婚前から支援が必要な方からの利用実績はございませんが、丁寧な周知や分かりやすい広報が必要であると考えておりまして、新たにSNSやホームページを活用した周知を図るとともに、離婚を考える父母などを対象とした講座を実施しまして、そこで弁護士や有資格者による養育費の取決めや、離婚の際の子供の接し方などに関する講義、それから離婚前後に利用可能な支援制度に関する情報提供などに取り組みたいと考えております。  また新年度において、ひとり親家庭等自立促進の新たな計画を策定するための検討委員会を立ち上げる予定でございます。  こうした検討委員会の中で、委員御発言がありました、離婚成立前の実質的なひとり親の生活困窮や孤立、自立支援についても検討してまいります。 132 種部委員 ありがとうございます。離婚前にも広げるということで、もう少し拡大して──コロナ禍の大変だったときに、おこめ券でしたっけ、やっていただいたことがありました。これ、全てのひとり親っていうくくりになったのは画期的だったと思いました──そういう制度上の問題があるかと思いますけど、引き続きお取組をお願いしたいと思います。  次に、改正児童福祉法に関して2つお伺いします。  児童福祉法改正で子供の権利擁護の視点から、一時保護をするときに措置に際して、子供の意見を聞くようにということが義務づけになります。  これも昨年6月の予特で、チャイルドアドボカシーセンターを造ってはどうかという話をしました。そのときは弁護士会に委託することなど検討しますという答弁でありました。  新年度予算案には改正児童福祉法を踏まえて、こどもの権利擁護環境整備事業という事業を上げてくださっていまして、意見表明等支援員を養成するということが書かれていました。お取組ありがとうございました。  これは、既存組織、例えば児童相談所などの支援員のスキルアップとして実施するのか、新たにそういう方を養成していくのか。ただでさえ忙しいので、なかなかその方たちに次なる仕事をかぶせるというのは、とても気の毒でできないなと思うわけであります。  実際担う役割は、恐らく一時保護時の子供の意見聴取じゃないかなと思うんですけど、この方たちをどこに派遣して、どういう形で活躍していただくことを想定しているのか、松井支援監に伺います。 133 松井こども家庭支援監 昨年12月にこども家庭庁が作成されましたマニュアルによりますと、意見表明等支援員については、児童相談所などの機関との間に利害関係がないという意味での独立性が必要とされております。このことから、児童福祉に関わる職能団体やNPO法人などに委託する、あるいは補助をするなどの方法をとるべきとされておりまして、県では、公募型プロポーザルを実施して業務委託することとしております。  募集に当たりましては、支援が必要な場面や、子供のニーズの多様性を踏まえまして、専門職の資格を有する者、また、児童福祉分野における多様な経験や強みを持つ者の確保に努めてまいります。  それから養成については、都道府県が認める養成研修を終了することが必要であり、子どもの虹情報研修センターや先行県などで実施されております研修プログラムを活用するなど、子供の権利擁護やアドボカシーに関する考え方や実践に必要な知識、技術を習得できるカリキュラムを検討してまいります。  さらに派遣先については、意見表明等支援員の役割を踏まえまして、社会的擁護に関わる子供が幅広く対象となるよう、各児童相談所の一時保護所や、児童養護施設などを想定しております。
    134 種部委員 ありがとうございます。  利益相反のない人ということで、外部から派遣するという形ということ、要は中にいる人ではないということで、ちょっと安心しました。大変忙しい状況なので、1人で持っていらっしゃるケースも多いので、関わる人が少し増えてくださるのはありがたいことかなと思っています。  もう1点、改正児童福祉法に関することでお伺いいたします。  今後、児童相談所の一時保護開始時に、司法審査が導入されます。これも前回の予算特別委員会で、司法の関与について質問をさせていただいていました。  これまで、一時保護というのは児童相談所長の権限で実行できていました。この措置を延長するときだけ、家庭裁判所への申立てを行って措置延長しているということですが、簡単な話ではなくて、この1件1件が裁判と同じぐらい大変です。事実、証拠を探して申立てのための書類を作るだけで大変なエネルギーだということを以前にも質問させていただきました。  しかもこれ、申立てから司法審査まで、先に一時保護した子供の安全を守った後に、1週間という短い期間の間に、戸籍を取り寄せる、そして裁判と同じようなぐらいの相談記録を抜き出して書類を作ると。とんでもない負担だというのは、知れば知るほど大変なことになっていると思いました。  弁護士配置の強化を求めてきたんですけど、先ほどの質問でお伺いしたとおり、この一時保護時の子供の意見聴取については、その支援員の方を養成するという予算が盛り込まれていましたが、弁護士配置については、新年度の予算には盛り込まれていませんでした。  この司法審査の導入に向けての対応、そんな簡単に短い期間でできることではないと思っておりますが、どうやってこの1年間で取り組んでいかれるのか、松井こども家庭支援監にお伺いいたします。 135 松井こども家庭支援監 児童相談所等機能強化基本計画に基づきまして、富山、高岡の両児童相談所が随時弁護士の相談支援を受けられる体制の強化や、各種法的手続を弁護士に依頼することなどによる、一時保護開始時における適正手続の確保、それから児童相談所職員の負担軽減について、具体的な検討を進めることとしております。  そうした検討を進めるに当たって、委員からもお話を聞いておりますが、先月、岐阜県のほうにこども未来課職員と児童相談所職員が出向きまして、いろいろお話を聞いてきたところでございます。  岐阜県では、弁護士による法律相談業務や法的援助業務などは、単一の弁護士事務所ではなく、岐阜県弁護士会に委託され、弁護士会所属の中から担当弁護士を選定しているとのことでありました。それから各担当弁護士が、岐阜県内にある5つの児童相談所に直接来所しまして、例えば児童相談所の援助方針会議への出席、それから児童虐待等の法的問題への助言、さらに各法的手続事務の援助などを行っておりまして、児童相談所職員が担当弁護士から様々な相談や援助を受けることができる体制を整備されているとのことでありました。  令和7年6月の改正児童福祉法施行に向けて、今後、岐阜県を含む他県の状況を参考としつつ、弁護士からの助言や援助などの下で、児童相談職員が円滑に法的対応業務を遂行できる体制となるよう、引き続き検討してまいります。 136 種部委員 ありがとうございます。岐阜まで行っていただいたということでありまして、富山県においては、一時保護件数は年間120件ぐらいだったかなと思います。これが今まで司法手続がなかったわけですけれど、児童福祉法第28条の措置だと多分何年かに1回しかなかったものが、一時保護開始時に必要なると、120件。もう裁判に近いものがあるというのは大変ですし、事前にその記録の取り方が大事だと思います。  例えば私たちは、犯罪被害者の方たちの支援に当たっていますけれども、何の研修も積んでないとカルテ一つ書けないんです。これはやっぱり研修を積んでスキルがある人が適切にカルテを書くということをやっていないと、裁判の中で事実証拠として採用されません。  ですから、これを職員の方たちに伝えていただくという意味では、準備に時間がかかると思いますので、しっかりと手厚い支援、目配りをしていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  ではこの項目最後に、アンコンシャス・バイアスについて、またお伺いしたいと思います。  先日ある高校にライフプラン教育の授業に行きました。結構面白い授業で、小グループに分かれて、どうしたらこの社会がよくなると思うかということを、皆さんグループ討論をしながら、自分たちが思っていること、勝手に思っていることを全部発表していただくという授業でありました。  そこに出てきた課題が面白くて、それぞれの高校生、何に興味があってどうすれば社会よくなるかという課題として上げたのが、女子が上げている課題の中で、イクメン育成計画とか、赤ちゃんポストとか、セカンドパートナー、分かりますかね、恋愛以上不倫未満だそうです。それから夫婦別姓と事実婚とか、これ、高校生の意見です。  こういうものを社会課題として捉えて、これに対して真剣にいろんなアイデアを出しているんです。それを発表している女性たちがきらきらしてしゃべっているんですけど、その横で男子は発表に積極的に加わっていませんでした。そして女子の発表を退屈そうな感じでタブレットをしゃーってやりながら聞いているという感じで、ここから性別役割分担意識というのが、もう分かれているんだなということを感じておりました。  アンコンシャス・バイアスというのは、職業選択とか家族形成とか、あるいはDVにも、これは支配の構造でありますので、大きく関係することであります。  このジェンダーギャップができてくる理由の背景には、アンコンシャス・バイアスによるものがあるわけでありますけど、これに対して新年度予算で、先ほど副知事から御紹介がありましたが、「アンコンシャス・バイアス気づき発信事業」というのが盛り込まれていました。  内容を見せていただくと、小学校から講師派遣をするということで、大きく賛同しました。高校生ではもう遅いと思ったので、やっぱり小学校、中学校とも大変いいターゲットだなと思いました。これは、実効性の高いジェンダー教育、DV防止教育だと私は考えています。そしてそれが、多分少子化対策ですね。高校生たちの発表の中でこういう社会課題を見ながらも、結婚は面倒くさいからとか、恋愛も面倒だしコスパが悪いという意見が出ていました。こう言わせないためにも真剣にインストールしたいなと思っています。  全ての小学校で実施するとか、あるいはしっかり浸透させるために、どう取り組んでいかれるのか、横田副知事に伺います。 137 横田副知事 アンコンシャス・バイアス、無意識にこうだと思うことでございますけども、社会を学んで生活を円滑にしていくために持ってしまうものであると思います。  子供に関しては、幼少期は家庭において、そして成長するにつれて社会の影響を受けて形成されていくものだと考えています。子供の頃から素直な気持ちで現実を捉えて様々な疑問を持ち、それぞれの個人の思いや他者の考えを尊重するとともに、自分がどうしたいかを考え伝えることができるような教育、あるいは学習機会を提供することが重要だと考えています。  県の男女共同参画計画では、多様な選択を可能とする教育、学習の充実というのを新たに基本施策として掲げておりまして、例えばパートナーと出会う、命を育むなど、自らの人生を主体的に切り開いていくライフプラン教育に取り組んでおります。そして種部委員にも協力をいただいております。  また、今年度初めてアンコンシャス・バイアスをテーマに小学生を対象としたトークセッションを開催いたしました。子供たちに無意識の思い込み、例えば職業選択における性別の思い込みなどに気づいてもらって、意見交換をいたしました。思い込みに気づくと、自己の可能性を広げて、男女に関わらず個人を認め合うことにつながるといった意見が多く出されておりました。  この取組、大変重要だということで、来年度も続けてまいります。そして、子供たちにはやはり周りにいる大人とか学校の先生が大きな影響を及ぼしますので、新年度はPTAの御要望も受けまして、小中学校の保護者と教員の皆さんに向けて、アンコンシャス・バイアスに気づくための出前講座を開催いたします。  受け止め方の男女差があるという話ですけど、この原因はいろいろあるかと思いますけれども、教育の場では、教材の作り方についても、きちんと専門家の知見を入れて男女ともにキャリアや家庭、家事マネジメント、そしてライフプラン、これを考える機会を提供したいと思っております。 138 種部委員 ありがとうございます。  PTAにということなんですけど、ぜひ直接子供にという機会をこの後、何とか道筋をつけていただけるとありがたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  では最後に、医師の確保と育成についてお伺いしたいと思います。  地域の基幹病院の診療体制を維持するために、大学が人材バンク的に機能してきました。働き方改革でも、勤務間インターバルを取るために大学から医師を派遣してきたことで、何とか成り立ってきたと思っています。  今後、人口が減少すれば地域医療構想を進めざるを得ないと思っていますが、そのときにどういう形にするのかということを見据えて、戦略的に必要な診療科の医師を育てるということが、地域医療の存続の鍵だと思っています。  今現在、二次救急がパンクしています。第8次医療計画でも、今策定中ですけれども、救急医療の適正化とか機能分化についてもちゃんと方針が示されていました。  今後、集約化は避けられないと私は思っていますけれど、県民の皆さんのはしごを外すことがあっちゃいけないので、やっぱりお医者さんが遠くなったら、その途中で、運ぶ途中に死んだらどうするんだと大変心配になるのは当たり前の話でありまして、途中に中継地点、ハブを置いていくということは大事だと思います。  このハブになるところにちゃんとトリアージをして、そして救命措置をして、そして三次に運ぶというような中継地点、そういうところが必要だと思うんですけど、ここに救急科の専門医を置いておくということも必要なんじゃないかと思っています。  修学資金貸与事業とか、お医者さんの確保という意味で学生に富山大学を選んでもらえるように今年少し地域枠を進めていただいていますけど、地域への縛りをお金でつけても、入り口としては響きますけれども、若いお医者さんたちが残るかと言われると、お金では残らないと私は考えています。彼らが求めているのは、やりがいと働き方です。そういう意味では、やりがいのない仕事につけられてしまうと、貸与したお金を全部返して遠くに行ってしまうんです。これを防ぎたいと思っておりまして、何とかこのやりがいを富山県の中につくる必要があるんじゃないかと思います。  新年度予算には、富山大学の第一種感染症指定医療機関への指定を予算計上していただきました。これはとても大きいことだと思っています。感染症対策という意味だけではなくて、感染症の専門医を目指そうとする学生とか研修医にとっては、いい経験を積める、そして、そういうきらきらしたところを見て、この県で頑張ろうと思ってくれる人が残ってくれる可能性があると思っています。  それと同じように救急も捉える必要があると思うんです。私が医師になったころは、皆さん軒並みブラック・ジャックに憧れて外科医を目指した時代だったんです。ですけど今は違いまして、今若い学生さんたちはER救命救急室、ああいうものを見て憧れているという時代であります。  となると富山大学附属病院を高度救命救急センターに指定して、そして救急医療を目指す医学生が、アーリーエクスポージャーですよね、学生のうちにもう強いインパクトで、ここに残りたいんだというイメージを植え付けるということのほうが、富山県に残ってくれることにつながるのではないかと思っています。  富山大学附属病院が高度救命救急センター指定を目指すということをぜひ支援していただきたいなと思っております。  新田知事に御所見を伺います。 139 川島副委員長 新田知事、持ち時間が少なくなっておりますので、簡潔にお願いいたします。 140 新田知事 高度救命救急センターについてですが、第三次救命救急センターであること、それから広範囲のやけど、指肢切断──指と手足ですね──、急性中毒などの特殊疾病患者に対する診療機能を有すること、常時高度救命救急医療に対応できる医師等の体制を有することなどの機能が求められています。  本県における高度救命救急センターの在り方については、現在策定を進めております第8次医療計画において、安定的かつ機動的に高度救命医療ができるよう、特定機能病院である富山大学附属病院と第三次救急医療機関の県立中央病院を中心として、関係機関と連携しながら引き続き検討することにしています。  また、救急医療に携わる医師など医療専門人材を確保していくことは非常に重要であると思います。富山大学救急医学講座や、救急救命センター、地域救命センターを有する県内4病院と連携して、質の高い救急科専門医の育成に努めるとともに、救急科専門医連絡会議を設置し、県全体の救急医療体制を視野に入れ、若手医師のやりがいや働き方にも配慮した、救急医の育成と救急医療の質のさらなる向上の方策について議論をしております。  今後、県内の第三次救急医療を一層充実して、専門性の高い救急医療ニーズや救急患者の増加などに備えるため、富山大学附属病院における救急医療提供体制について、関係機関と連携しながら検討してまいります。 141 川島副委員長 種部委員の質疑は以上で終了いたしました。  暫時休憩いたします。  休憩時間は10分間とし、再開を3時15分といたします。                      午後3時05分休憩                      午後3時15分開議        瘧師富士夫委員の質疑及び答弁 142 永森委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  瘧師委員。あなたの持ち時間は60分であります。 143 瘧師委員 本日予算特別委員会最後の質問者となりました。あと小1時間ほど、よろしくお願いしたいと思っております。  私のほうからも、まず能登半島地震に関連した質問をしたいと思います。地震発生時、自宅におりました私は、あまりの衝撃に凍りつきました。まさか、ということで、自分も根拠のない安全神話にとらわれていた一人であったと気づかされました。  その後、消防団長として消防署へ行き、地域の被害状況の把握も含めて地区内巡回を全分団に要請したところ、夜の7時頃だったと思いますが、庄川方面隊長から「庄川水記念公園に高岡市と射水市から避難されてきた御家族が10家族いらっしゃいます。近くで開設した避難所へ誘導しました」と報告がありました。それを聞きまして、庄川まで避難させてしまうような、それほど大きな地震であったということを改めて認識しました。  その後、日を追うごとに震源地である石川県での壊滅的な状況であるとか、富山県の状況を知ることとなりました。私からも、お亡くなりになられた方々、御遺族にお悔やみを申し上げますとともに、被災された多くの御家族にお見舞いを申し上げます。また、被災地それぞれの立場で復旧支援に御尽力をいただいておられます多くの方々に敬意を表し、感謝を申し上げたいと思います。また、富山県においては、新田知事をはじめ県当局の皆さん方、災害対応、被災地の支援、本当にお疲れさまですとねぎらいを申し上げたいと思っております。  それでは、まず災害救助法の適用について伺いたいと思います。  能登半島地震では広範囲で被害が出ていることから、石川、新潟、富山、福井の4つの県で災害救助法の適用が決められ、富山県では魚津市、入善町を除く、震度5弱以上を観測した13市町村に災害救助法が適用されました。  これは震度の差によって線が引かれたのかなと推測をいたしております。富山県のようなコンパクトな県においては、被害が県内どこにでも発生する可能性がありますので、被災者への支援は、これこそまさにワンチームとなって、県と市町村が足並みをそろえるべきものではないかと思います。  そこで、災害救助法の適用については、面的な適用を内閣府に強く求めるべきではなかったのかなと考えるものであります。結果的に、災害救助法の適用の有無により、被災者への支援に差は生じなかったのか、まず武隈危機管理局長に伺います。 144 武隈危機管理局長 災害救助法ですが、都道府県知事が国の示す基準に基づきまして、市町村単位で範囲を定めて適用を決定することとされております。今回の地震では発災直後に国と協議を行いまして、本県では県下一律の適用を希望しましたが、これに対して国からは、石川県や新潟県などを含め、震度5弱以上の地域を対象にするという基準が示され、やむなく魚津市、入善町を除く13市町村の適用を判断いたしました。  県では災害救助法を適用できなかった魚津市、入善町においても被災状況に応じた必要な被災者支援を行っており、両市町からは、避難所運営経費を市町で負担していることを除きまして、適用市町村とほぼ差はなく、支障は感じていないと聞いております。  また、県では今回の震災において、被害の程度が同じであれば、支援も同じであるべきだという考えの下から、1月に松村防災大臣が来県されたところですが、防災大臣をはじめとしまして、政府・与党に要望し、融資のセーフティネット保証4号につきまして、これまで災害救助法適用市町村のみが対象であった制度ですけれども、これを県内全市町村に適用することにしていただいたところでございます。  委員御指摘のとおり、比較的コンパクトな本県におきましては、震度による一律の適用ではなく、飛び地のない面的一体性を持った適用が必要という意見をいろいろなところからお伺いしております。  県としましては、石川、新潟両県とも連携をとりながら、今回の災害を踏まえた適切な法律の運用について、改めて内閣府と協議してまいりたいと考えております。 145 瘧師委員 今ほど、その適用単位は、市町村単位であって、その適用を決める大きな目安というのが、震度の観測値になるのだろうと思います。  そこで、震度を観測する震度計についてであります。  地震情報は地震災害が発生した際、被害の推定、迅速かつ適切な初動体制や広域応援体制の確立など、地震防災上不可欠なものとなっています。  その地震情報に連動する震度観測点は、平成の合併前の市町村ごとに少なくとも1か所に配置されておりますが、同じ自治体エリアでも観測点が違えば、観測に差が出てしまいます。例えば今回の能登半島地震における南砺市の場合、気象庁が公表する震度観測点は南砺市に9か所ありますけれども、震度5強を観測したのが1か所、震度5弱が7か所、震度4が1か所となっており、また富山市においても沿岸部と中山間地域では観測に差が生じております。  したがって、震度計の設置箇所が少ない自治体エリアにおいては、それだけ揺れの把握に粗さが出るのは否定できないのではないかと思います。  そこで、地震の揺れをより正しく把握し、的確な初動体制を図るために、本県の地域防災を統括する危機管理局として、震度計の増設を気象庁に働きかけてはと考えますが、危機管理局長の所見を伺います。 146 武隈危機管理局長 現在県内では、震度計は県設置分が28地点、気象庁設置分が8地点、防災科学技術研究所──これ略して防災科研と申しますが、文部科学省の外郭団体でございます──この防災科研が設置する分が9地点、合計45地点、震度計が設置されております。  このうち都道府県が設置する震度計ですが、阪神・淡路大震災を契機としまして、地震による被害状況の早期把握と迅速な初動対応の実施を目的として、1市町村1観測地点を原則として、消防庁の補助事業を使って整備をしております。  その際、気象庁及び防災科研の震度計が既に設置されている市町村については、それらを活用することとされまして、そうしたものも併せまして、本県では平成9年4月に全市町村への震度計の設置が完了しております。  また、気象庁及び消防庁が平成21年にまとめました震度に関する検討会報告書によりますと、地方公共団体が設置する震度計の設置基準として、平成の大合併前の市区町村ごとに少なくとも1か所は整備すること。また、1市区町村内に人口集中地区、または、新たに大規模な開発地域がある場合には、1つの震度計から10キロ以上離れている地域にも震度計を設置すること、という考え方が示されております。  本県では、このように設置基準による整備が既に完了しておりまして、震度計増設というのはかなり難しいのではないではないかと考えておりますけれども、委員御指摘のとおり、観測地点が違えば計測に差が出まして、市町村などの災害対応に影響があった可能性もございます。  こうした点も踏まえまして、県としては今回の災害対応を検証する中で、もし、地震の観測体制に問題があるということが分かれば、速やかに気象庁をはじめ、国に対して、震度計の増設等を相談してまいりたいと考えております。 147 瘧師委員 要望にはきりのないところだと思いますけれども、せめて1自治体に、平野部と、中山間地域に近いところとに震度計があってもいいのではないかと私は思っております。どうもありがとうございました。  次に被害想定調査について質問をいたします。  能登半島地震の教訓を踏まえ、新たな地域防災計画の策定が急がれております。その前提として重要とされるのが、被害想定であります。地震被害想定は、地域で発生しうる切迫性の高い地震に対して、その被害の様相を事前に把握しておくことで、有効な予防、応急復旧対策を図ることを目的に策定する防災計画の基礎的資料となるものであります。  本県では、平成23年度に呉羽山断層帯、平成29年度に砺波平野断層帯西部、また、森本・富樫断層帯そして邑知潟断層帯の被害想定調査が実施されました。  しかし、国の地震調査研究推進本部が公表する活断層の長期評価において、30年以内の地震発生確率が3%以上のSランクとされている砺波平野断層帯東部の被害想定調査は、いまだ行われておりません。  被害想定調査の実施主体について、砺波市が国に確認したところ、長期評価や広範囲の災害が想定される地震、例えば南海トラフのような地震は国で実施するが、各地域の活断層については、県や地方自治体で実施されたいといった報告を受けたそうであります。  そこで、砺波平野断層帯東部の被害想定調査は県において早急に行われるべきと考えますが、新田知事の所見を伺います。 148 新田知事 砺波平野断層帯東部は、本県の主要活断層の一つです。政府の地震調査研究推進本部の長期評価によると、想定される地震の最大規模は、マグニチュード7.0程度、30年以内の地震発生確率は0.04%から6%となっておりまして、委員がおっしゃるように、県内では呉羽山断層帯と砺波平野断層帯東部の2つが、いわゆるSランクということになっております。また、この規模の地震が発生した場合の県内での最大震度は6強と予測されます。  本県の被害想定調査は、跡津川断層、呉羽山断層帯、法林寺断層及び砺波平野断層帯西部、また、本県に隣接する森本・富樫断層帯及び邑知潟断層帯を震源とする地震について、建物の耐震状況や国の調査研究に関する知見などを踏まえ、調査を行っております。  しかし、砺波平野断層帯東部については、県が実施する被害想定調査の精度を高めるために必要となる、国による調査がいまだ行われていないことから、これまで国に調査の実施を要望してまいりました。  県としては、発生可能性のある大規模な災害を予測して被害を想定し、そうした科学的根拠に基づいて、県民に災害への備えを呼びかけ、適切な防災対策を推進することが重要と考えております。  このため、引き続き国による早期の調査実施を強く要望するとともに、また国任せにするのではなく、県としても専門家の意見を聞きながら、どのような調査ができるか検討を進めてまいります。 149 瘧師委員 国に任せておいても時間が経過していくばかりでございますので、ぜひ今回の地震の記憶が風化しないうちに、できるだけ早く実施していただくよう、よろしくお願いしたいと思っております。  次に、一昨日、山崎委員が質問されました内容に近いのですが、改めて防災士について伺いたいと思います。  災害発生直後では、自分で自分の命を守る自助、そして、それぞれの地域ごとの判断による自主防災組織、共助の活動が必要であります。その中心的な役割を担う存在が、防災に関するスキル、専門知識を持った防災士であります。  防災士の主な活動としては、平常時では地域における防災知識の啓発、災害発生時では避難誘導、災害対策本部や避難所運営の総括サポートなどの率先した行動であります。
     今回の地震応急対応においても、防災士のリーダーシップが発揮された地域においては、自主防災組織が機能されたと伺っております。また今後、各自治会単位で策定が望まれる地区防災計画に関しても役割は大きいと考えます。  富山県の防災士数は、近隣の石川県、福井県と比べると格段に少なく、人口当たりの人数でも全国20位にとどまっており、数的な確保も課題でありますが、今後は資格取得にとどまらず、能登半島地震の教訓を踏まえ、さらなる知識、技能の向上を図る必要があると考えます。  令和6年度に防災士スキルアップ研修事業が予定されていますが、より専門性を高める研修としてどのように取り組んでいかれるのか、危機管理局長に伺います。 150 武隈危機管理局長 今回の地震に関する県と市町村との振り返り会議では、防災士の対応につきまして、自発的に公式LINE等から情報を入手し、主体的に避難所運営を行った地域があったという意見がございました。  その一方で、災害時にどのように活動してよいか、防災士さん自身が分からなかったですとか、地域によって活動に差があった、自主防災組織の活性化のためにも防災士の養成が必要、といった課題も聞かれました。  今回の震災を経験しまして、大規模災害時における共助の重要性と併せまして、共助を担う防災士など、防災人材の育成の必要性を強く感じたところでございます。委員から御紹介があったとおり、県では新年度、防災資格の取得者を対象としまして、災害時の防災リーダーとして活躍いただくためのスキルアップ研修を新設することとしております。  この研修では、防災に係る専門的な知識や技能の習得はもとより、被災地と研修会場をリモートで結びまして、災害対応従事者や被災者から直接災害現場の実情を学んだり、また、HUGなどの避難所運営ゲーム等を使いまして、避難所運営のノウハウを地域住民の方に教えるための指導者研修ですとか、避難所の開設や運営をロールプレイングで実践し身につける研修など、専門性を高める実践的な研修によって、防災士のさらなる知識や技能の向上を図りたいと考えております。  県としては、市町村や県防災士協会と連携いたしまして、防災士のスキルアップに取り組むことで、地区防災計画の策定促進にもつなげるなど、地域防災力の向上に努めてまいりたいと考えております。 151 瘧師委員 防災士の役割は大変大きいと思います。  私も知人に何人か知っておりますが、経験を積んだ防災士の皆さん方は、既に地区内でアンケート調査をされ、1月中に調査結果を回収して、次の防災に役立てようと努力されております。  自主防災組織の中で、防災士は今はアドバイザー的な存在ですけども、今後大きな影響力を発揮できる防災士の養成に、ひとつ御尽力をいただきたいなと思います。どうもありがとうございました。  次に、多文化共生について伺いたいと思います。  本年1月1日時点で県内の外国人住民数は2万1,917人となり、2年連続で過去最多を更新しました。近隣の石川県や福井県と比べても5,000人以上多い数であり、その背景としては、本県では企業の労働力不足を外国人材で補おうとする取組が進んでいると見込まれます。また、外国人材に来てもらわなければ、社会経済は成り立たない時代に来ていると感じるわけであります。  国では、管轄官庁が違う技能実習制度と特定技能制度の課題を改善し、新しい制度の創設も進められております。それを基に受入れ体制を整える必要性に迫られているわけでありますが、受け入れる側に求められる、以前からの変化ですよね、それは大きく3つのテーマがあります。1つ目は、外国人の人権保護、2つ目は外国人のキャリアアップ、3つ目は、安全・安心の共生社会、これらが主なテーマと国は示しております。  特に安全・安心の共生社会という点では、仕事だけではなく、外国人を地域社会の一員として受け入れ、距離感を持たずに接していくことが共生社会の第一歩だと思っております。  県は、外国人住民の暮らしやすい環境を整えるために、外国人ワンストップ相談センターを開設し対応されてきましたが、これまでの成果をどのように評価されているのか。また、能登半島地震を踏まえた、県災害多言語支援センターにおいて、どのように外国人住民を支援していかれるのか、廣島生活環境文化部長に伺います。 152 廣島生活環境文化部長 令和元年6月に開設いたしました外国人ワンストップ相談センターの相談件数は、元年度、6月からですから、10か月になりますけど477件。これが4年度では1,704件となっております。5年度も2月末で1,500件を超すということで、大体同じトレンドかなと感じております。  4年度の内訳を御説明いたしますと、外国籍の方からの相談が7割以上の1,307件を占めておりまして、内容といたしましては、多言語対応が可能な病院の紹介、また外国籍の児童生徒の保護者から通訳の依頼があったりする、そういうような状況で、生活に関連するものが多くなっております。外国籍の方々の安全・安心な暮らしを支える上で、一定の役割を果たしているものと認識しております。  このたびの能登半島地震では、このワンストップセンターを県災害多言語支援センターとしても位置づけた形といたしまして、1月の2日、3日及び続く3連休の6日から8日、この時期も臨時に開設いたしまして、外国人の相談対応や多言語による情報提供を行いますとともに、センターの職員と県職員が一緒になって避難所を巡回しまして、外国人の方から避難生活に関する相談を受けたり、市役所など関係機関との連絡調整にも当たったところでございます。  関係者の方からは、1月2日から速やかに開催したことは評価できるというお褒めの言葉がある一方で、センターを臨時開設していることについて、その周知があまり図られてなかったのではないか、より広く外国人住民に発信すべき、との御意見もいただいているところでございます。  こうしたことも踏まえまして、新年度におきましては市町村担当者会議の場などを活用しまして、今回の発災後の対応を振り返りますとともに、今後に向け災害情報の発信方法、また、提供すべき情報の内容、そのほか実践的な避難訓練などについても意見交換したいと考えております。  引き続き、日常生活も含めまして、外国人の安全・安心な多文化共生社会の実現に向け、必要な改善点に対応するなど取組を進めてまいります。 153 瘧師委員 対応の中では、やはりその言葉と文化の違い、習慣の違い、そういうものが大きいのだろうと思います。それを乗り越えていくためには、日頃からの日本語の教育が基本にあるだろうと思います。  そこで2問目は、外国人住民が働きやすい、暮らしやすい環境を整える上で最も必要となるのは、日本語教育の充実であり、共生社会実現のための大きな要素ではないかと思います。  日本語を正しく理解できることで、仕事上での不要なトラブルを回避することができますし、また、行政や地域のお願い事をきちんと理解できれば地域社会になじみやすくなるのは間違いないところであります。  県内で増加傾向にある外国人住民が、地域社会の一員として活躍できるよう、日本語教育の環境をさらに整える必要があると考えますが、どのように取り組むのか、生活環境文化部長に伺います。 154 廣島生活環境文化部長 本県の外国人住民数、先ほど委員も触れられましたが、本年の1月1日現在で2万人を超えて過去最多となっております。こうしたことから、生活支援としましての日本語教育の環境整備、この重要性が増しております。  県では、これまで関係団体や有識者からなります日本語教育に関する総合調整会議を設置しまして、地域の特性や外国人の方々の実態に基づき、課題や方向性を協議してまいっております。この協議を踏まえた取組としまして、まず、日本語の基礎力が十分でない方を対象としまして、初期日本語講座を開催しておりますほか、県内各地域に存在し、主にボランティアの方々により運営されております日本語教室、こちらに対しまして、地域日本語教育コーディネーターによって授業内容のアドバイスを行っております。また、このほか県生活者日本語講師会の講師による、ボランティアの方々へのスキルアップ指導などの支援にも取り組んでいるところでございます。  この総合調整会議で、お住まいの場所が日本語教室会場から遠距離であるという理由で、特に冬場の受講を断念している事例があるという御意見もいただいているところでございます。  このため新年度には、試行的にですが冬場において、先ほど触れました県主催の初期日本語講座をオンラインで開催し、受講を希望される方がどの程度おられるかを把握し、また、講座の内容の理解度を検証するなど改善も検討していきたいと考えております。  市町村や関係機関との連携というのがポイントにもなろうかと思いますが、外国人住民の方が地域社会の一員として活躍できるよう、より効果的な日本語教育の環境整備に努めてまいります。 155 瘧師委員 観光客として外国人の方が富山県にたくさん訪れておりますけれども、インバウンドのおもてなしもそうですが、住む場所としても外国人に選ばれる、そういう富山県であってほしいと思いますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。  次に、外国人児童生徒への支援についてであります。  急速な少子化の進展により、県内の児童生徒数、これは小中高合わせてですが、この25年間減り続け、約4万人も減少しています。  一方、文部科学省の学校基本調査によれば、県内の外国人児童生徒の数は2023年で990人、同期間にその数は3倍に増えております。この数には、不就学の子供、外国籍の子供は義務教育の対象ではありませんので、そういった学校に通えてない方や、日本国籍を持っているが日本語教育を必要とする子供の数は含まれていませんので、外国にルーツを持つ子供は、その数以上に増えていると言えます。  また、制度の切替えによって、家族を帯同できる外国人労働者が増えれば、右肩上がりの傾向は今後も続くと見込まれます。学校において日本語指導が必要な外国人生徒を受け入れる際には、異なった文化を互いに理解するとともに、相互に助け合う、そういった態度、資質を育むことが大切です。しかしながら、担任教師には負担が重くのしかかります。  そこでサポートに入っていただくのが、日本語指導担当教員や外国人相談員の方々であります。日本語の習得はもとより、母語を使った相談により、外国人児童生徒や保護者の学校生活や進路に関する悩みの対応に当たるなど、その役割は大変大きいと伺っております。その一方で、日本語指導担当教員や外国人相談員の不足、確保、育成を課題とする自治体が多いという現実がございます。  そこで、本県の外国人児童生徒への対応状況をどのように認識しておられるのか、また今後も増加する外国人児童生徒への支援の充実にどう取り組まれるのか、荻布教育長に伺います。 156 荻布教育長 県教育委員会では、外国人児童生徒の個別の状況に応じた指導を行うため、日本語指導が必要な児童生徒が多く在籍する学校に日本語指導担当教員を30名──これは小学校23名、中学校7名ですが──配置しております。  配置校からは、一人一人の実態に応じた個別の指導計画を作成して指導することで、基礎的な日本語や生活習慣が身につき、コミュニケーションがとれるようになってきているとか、児童生徒の語学力に応じて学習用語の説明を補うことで、基礎的な学力が向上したなどの成果が報告されているところでございます。  また、児童生徒の母語による相談に当たる外国人相談員を105校、小学校72校、中学校33校に配置し、外国人児童生徒と保護者への教育相談などに対応をしているところであります。  さらに、日本語指導担当教員などの指導力の向上を図るため、児童生徒への指導や支援などに関する実践講座を開催いたしておりますほか、就学や学習指導などに関する留意点などをまとめた手引を──これは平成6年から毎年作成をし──各学校に配布をしているところであります。  また、令和4年度からは、県内3市の公立小学校3校をモデル校に指定をしまして、外国人児童生徒教育コーディネーターを配置して、校内の指導体制の整備や近隣校への相談・助言などの支援も行っているところです。  今後も外国人児童生徒の増加が見込まれますことから、児童生徒への支援のための定数措置の充実について、引き続き国に強く働きかけをするとともに、日本語指導担当教員や外国人相談員を対象とした研修を充実させるなど、人材の育成にも努め、外国人児童生徒への支援充実に取り組んでまいりたいと考えております。 157 瘧師委員 富山県は外国人の方が富山市、それから高岡市、射水市でほぼ7割ということですが、外国人散在地域と言われていまして、同じ市の中でも、各自治体にばらばらに散らばって居住しておられるという傾向があります。  したがって、同じ市町村にある学校でも、外国人児童生徒がいたり、いなかったり、1人だったり2人だったりということで、なかなか対応が難しいのかなと思いますけれども、将来的には富山県民として活躍していただきたいわけでございますので、どうかよろしくお願いしたいと思っております。  次に、外国人児童生徒の高校進学についてであります。  県内の外国人児童生徒の990人のうち、高校生の数は113人と極端に少なく、現状として、高校への進学のための入試突破は、日本語を母語としない外国人生徒にとって非常に困難であるという数字を表しております。  また、県内の外国人高校生数は年々増えていますが、増加分のほとんどを私立高校が請け負っているということも、文部科学省の学校基本調査から読み取れてまいります。  日本語というフィルターのみで、外国にルーツを持つ子供の学びの機会が断たれ、本来持っている力を発揮することも伸ばすこともできずにいるのは、富山県にとって損失だと思います。日本語のハンデを補うような試験方法、日本語のフィルターをかけずに生徒の能力や可能性を見極めるような、多様な評価指標、評価基準による入試選抜方法が求められます。  文部科学省は、各教育委員会に公立高校の外国人生徒向け定員枠の設定を求めています。本県より外国人住民数の少ないお隣の石川県では、2024年入試から全日制7校、定時制6校で定員枠を設けました。入学後の対応に難しさがある中で、石川県ではサポート体制が整えられたと理解をいたします。特定の高校のみに定員枠を設けることが望ましいかどうか議論の余地はありますが、本県と石川県の公立高校入試の対応に地域差を感じてしまいます。  本県において、外国にルーツを持つ生徒が自分の関心や適性に応じて学校選びができるよう、県総合教育会議等の場で検討してはどうかと考えますが、新田知事の所見を伺います。 158 新田知事 県内に居住する外国人が増加しております。外国にルーツのある方が地域社会の一員として安心して暮らし、活躍できる多文化共生の地域づくりを推進することは大切だと考えております。  教育委員会においては、これまでも外国人生徒のための高校進学に関する説明会において、各種制度の説明や相談に応じることによって、外国にルーツを持つ生徒が自分の関心や適性に応じて高校を選択できるよう対応してまいりました。  一方で、石川県の入学者選抜では、本県でも実施しているルビ振り対応だけでは生徒の日本語の能力や適性などを測る難しさもあり、外国人生徒等に係る特別入学枠を設けたと聞いています。外国人生徒に係る特別入学枠については、県立高校教育振興検討会議において全国の導入状況や先行事例などもお示しをし、議論を重ねてきています。  委員の中からは、高校に行きたいと思う外国籍の生徒にはその機会を保障してほしい、外国人生徒を受け入れる場合、日本語指導の人員の確保などの支援体制の整備が必要である、といった御意見をいただいています。提言の素案では、特別入学枠の導入に向けて検討を進める必要があるとされています。  また、全国の夜間中学では、学齢期を超えた多くの外国籍の方も学んでおられるということから、外国籍の方を含めた学び直しのニーズ調査を新年度の予算に計上しています。  検討会議の提言を踏まえて、新年度の総合教育会議において、外国人特別枠を含めて、県立高校の在り方に関する基本方針などについて検討を進めていく予定です。  今後とも外国人の子供たちの学習環境の一層の充実、支援体制の構築に努めてまいります。 159 瘧師委員 外国人児童生徒の中には経済的な理由で進学したくても行けないという状況もあろうかと思いますが、そういう意味では、私立高校の授業料無償化というのは大きな前進であるのかなと思います。  一方、公立高校でも、栃木県、群馬県、長野県、福岡県の4県では、定員は設けませんが面接などの外国人向け特別選抜というのを実施しておりますので、そういったところも調査研究をしていただいて、検討をしていただきたいと思っております。  今ほど、お話の中に夜間中学ということがございましたが、それについて質問をいたしたいと思います。文部科学省が都道府県教育委員会に夜間中学の設置を促しており、本県においても導入の可能性を探る調査に入るということであります。  確かに近年、小中学校における不登校の状態にある子供の数は増加の一途をたどっており、先ほどからも言っておりますが、義務教育の対象とならない外国籍の子供の数も右肩上がりですから、そういった人たちに学び直しや新しい学びの場がつくられることは有意義なことだと思います。  ただ、昨年9月に県内市町村に対して行った調査では、住民からのニーズはなかったという結果にあるように、通り一遍の調査では、潜在ニーズを掘り起こしできないのではないかと考えます。不登校のまま形式的に卒業が認められた方、学齢期に不就学のまま経過してしまった方、途中で学びを中断してしまった外国籍の方は相当数いると思われますが、そういう人たちは表に現れにくいのではないかなと思います。  学びの気持ちを行動に踏み切るための受入れ態勢が必要であります。夜間中学の学びは、人生を豊かにする魅力にあふれていると、県民に広く発信していくとともに、どんなニーズがあるのかを細かく調査した上で、そのニーズに柔軟に応える必要があると考えますが、荻布教育長の所見を伺います。 160 荻布教育長 夜間中学は、義務教育を修了していない方や、不登校などにより十分な教育を受けられないまま中学校を卒業された方、外国籍の方など、様々な背景を持つ方々に義務教育を受ける機会を実質的に保障し、学び直しなど多様な学びに応える役割が期待されております。  新年度においては、「夜間中学の学びは、自らの能力を高め、希望する進路を選択できることや、生きがいをもって心豊かに生きることにつながるものである」といったことを、チラシやホームページなど様々な媒体を通じて県民の皆さんに広く周知したいと考えております。  また、夜間中学については、就学を希望する方の志望動機や年齢層、必要となる外国語など具体的なニーズを把握した上で、教育環境の整備を検討することが必要と考えております。  新年度、学び直しのニーズ調査を実施するに当たっては、広く意見を求めるため、はがきつきのチラシですとか、SNSによるアンケート調査において使用する言語を多言語としましたり、直接関係団体に出向いて夜間中学の説明を行い、聞き取り調査を行ったりするなど、当事者だけでなく支援を行っておられる機関、団体の御意見も伺いながら、制度の周知とニーズの掘り起こしに努めたいと思っております。  今後、こうした調査の結果から把握した夜間中学に対するニーズに応えられるよう、市町村教育委員会や関係機関団体とも十分に協議検討を重ねてまいりたいと考えております。 161 瘧師委員 次に問いの4、城端線・氷見線の再構築について伺いたいと思います。  実施計画が国土交通省の認定を受けまして、計画された向こう10年間の再構築事業がスタートいたしました。知事の決断の下、事業再構築実施計画を昨年のうちに国に申請され、法改正後、全国初の認定にこぎ着けられた、田中交通政策局長はじめ担当の皆さんに敬意を表したいと思っております。これから、さらに協議が進められますが、県として調整役をどうかよろしくお願いしたいと思います。  そこで質問ですが、JR西日本からあいの風とやま鉄道に移管される時期は、新型鉄道車両導入が完了する、計画開始からおおむね5年後とされております。したがって、前半5年間の工程が利便性向上策に取り組む重要な期間と思われます。特にスタート段階の要は、どんな新型鉄道車両を配備するか、こういったことが事業全体の根幹に関わるのではないかと思います。  その選定によって人的な問題、運行システムや細部の積算等が明らかになり、詰めの話合いがなされると考えます。計画では電気式気動車を基本としていますが、新型鉄道車両導入の完了までをどのようなスケジュールで進めていかれるのか、田中交通政策局長に伺います。 162 田中交通政策局長 新型鉄道車両については、昨年10月に開催しました第3回の再構築検討会において、委員の沿線市長から「車両は、城端線・氷見線が変わったという印象を一番受ける」との発言もございました。車両が新しくなりますと、沿線住民をはじめ県民の皆さんには、利用しやすく便利な路線になったと実感していただけるのではないかと思っております。  車両については、電気式気動車などの新しいタイプの気動車とし、車両全面にオリジナルデザインを取り入れ、事業主体変更後の増便も見据えて現行の24両から、10両増車の34両の導入を計画しております。  今後はまず、車両の仕様やデザインを検討した上で設計に着手することになりますが、設計に着手するまでにおおむね2年程度、その後、設計、製造に2年半程度の期間を見込んでおります。  車両の使用やデザインの検討は重要なプロセスであると考えており、県としては利用者が路線に愛着を持てる、乗りたくなる路線を目指して、沿線市や鉄道事業者と共に検討を進めてまいります。 163 瘧師委員 どうかよろしくお願いしたいと思います。  次に、交通系ICカードのことについてでございますが、交通系ICカード対応の自動改札が全国に普及しております。最近、首都圏のほうでは、インバウンドにも対応できる鉄道のクレジットカード決済が広がりつつあります。  このように、鉄道のキャッシュレス化が進む中、城端線・氷見線においても、おおむね2年後をめどに交通系ICカード対応改札機を全駅に設置する計画となっております。これも利便性向上の大きな前進でありまして、期待をするところであります。  ただ、私、沿線の駅を見て回ったんですが、沿線の駅の約半分は無人化されておりまして、もともと券売機もなく、駅舎や待合室は簡易な造りの施設がほとんどでありまして、そのような放置されたような場所に交通系ICカード対応改札機を設置することができるのかなという、どうしても東京の地下鉄をイメージしてしまいますので、何か素人感覚では、監視のない吹きさらしの場で、改札機の劣化が進むんじゃないかという感じもいたします。  その辺は、JR西日本のノウハウにお任せなのかもしれませんが、沿線の老朽化した駅舎の改修も含め、交通系ICカード対応改札機の設置を機に、一部の駅舎で改修が必要なのではないかと思いますが、交通政策局長の所見を伺います。 164 田中交通政策局長 交通系ICカードの対応ですが、キャッシュレス化による利便性の向上はもとより、既に交通系ICカードに対応しております、あいの風とやま鉄道など他の路線とのシームレスな乗り継ぎが図られます。  新型鉄道車両の導入、運行本数の増加など、計画に位置づけた利便性、快適性向上に向けた事業の中では、このICカードが最初に実現する取組になるものと考えております。ICカード改札機の整備に当たっては、JR西日本が現地を調査した上で、駅舎の改修の必要性を含め、あいの風とやま鉄道の意見も踏まえて検討することになります。  JR西日本に確認しましたところ、JR西日本ではこれまで管内のいろいろな形態の駅にICカード改札機を設置しており、今少しお話がありましたけど、無人でホームに待合室のみが設置されている駅についても設置した例があると伺っています。  具体的には待合室までの利用者の動線上に、雨風や雪を防ぐ囲いを設け設置されているというケースがあるそうでございます。具体の設置場所については、各駅の形態を踏まえて判断されるものと考えております。  県としましては、利便性向上のために設置するICカード改札機がスムーズに利用いただけるよう、鉄道事業者や沿線市と共に協議してまいります。 165 瘧師委員 素人感覚では、吹きさらしな待合室に設置できるのかなと思っておりましたが、少しほっといたしました。どうもありがとうございました。  そして、この項の最後でございますけれども、利便性向上対策として進めるのは、今ほどありました新型鉄道車両、それから交通系ICカード、そのほかに運行本数の増加であるとか、最終的には直通化という4つの柱となっておりますが、4つそろえば全て事が運ぶというわけではございません。  沿線の人口減少が進む中、利用者を増やすには、各駅と市営バスの連結強化や新しい地域モビリティサービスとの連携など、住民と鉄道をつなげる施策や、駅周辺のまちの活性化、また観光資源を磨き上げるというようなことなど、まちづくりと一体となった取組が必要であります。  実施計画には盛り込まれていませんが、利便性に直結し、まちづくりに連動するキーワードとして、新駅の設置があると考えております。駅の効果は大きく、駅周辺の宅地開発を進め、観光誘客にもつながり、人の流れを変えます。  当初の実施計画にはなくとも、国の財政支援を受けられる事業と認識しておりますが、城端線・氷見線の沿線における新駅の設置の効果について、どのようにお考えか、新田知事の所見を伺います。 166 新田知事 新駅設置効果ですが、具体的な事例で申し上げると、あいの風とやま鉄道においては開業以来2つの新駅をつくりました。  このうち、平成30年3月に供用を開始した高岡やぶなみ駅。周辺の土地区画整理事業による宅地開発、また、都市計画道路の新設などにより人口の増加が見込まれる地域に駅を設置することで、利便性の向上とともに、利用者の増加による駅周辺地域の活性化が図られています。乗車人数は、平成30年に1日当たり307人でした。その後、毎年言いますと399人、378人、これはちょっとコロナ禍で落ちました。でも、令和3年には451人、そして令和4年507人と順調に伸ばしているところでございます。  そして先日取りまとめた富山県地域交通戦略においても、駅を中心としたまちづくりや、駅の交通結節機能の強化を、施策の一つに位置づけています。  具体的な取組としては、市町村が策定するまちづくり計画に、地域の拠点として位置づけられた駅や改札口の整備、パーク・アンド・ライド駐車場や駐輪場の整備による駅へのアクセスの改善など、駅を中心としたまちづくりや交通結節機能の強化のための地域の取組を推進することにしています。  新駅の設置は、まちづくりの取組と連携が図られれば、沿線住民の利用はもとより、駅を中心とした新たな需要を取り込み、利用者の増加につながることから、大きな効果が得られると考えます。  県としては、沿線市において、駅を中心としたまちづくりの検討を進めていただき、その動向を踏まえて、城端線・氷見線の利便性の向上、活性化に努めていきます。 167 瘧師委員 どうもありがとうございました。
     それでは、最後の質問でございますが、子供の医療費助成についてでございます。  今回の県予算案では、子育て・教育関連事業に過去最高の407億円が計上され、子育て世帯や困難を抱える子供への支援に重点が置かれております。まさに、こどもまんなか社会の実現に向けた施策と認識しております。  また、知事の八十八策の中に、県と市町村の垣根を壊し、「ワンチームとやま」で全県展開を推進とありますけれども、ではここで、市町村が県に重点事業として強く要望されておられる子供医療費助成制度の拡充については、どうあるべきなのか。  県内の各市町村では、子供医療費助成制度が実施されておりまして、子供が安心して医療を受診できるよう支援体制を築いていますが、各市町村が独自に制度を運用しているために、対象年齢や一部負担金の額など、市町村の財政力等により対応が異なっております。  また、少子化対策・子育て支援の一環ということで、独自に実施する制度拡充が進んでまいりまして、かえって自治体間の競争をあおる結果となって、財政負担の拡大に拍車がかかる状況でございます。  こうした問題を解消し、県と市町村が一体となって、県内全域どこに住んでおっても、同じ制度の下で医療が受けられるよう、県内一律の子供医療費助成制度の創設が求められますが、新田知事の所見を伺います。 168 新田知事 子供医療費の助成についてですが、これまで通院の対象年齢を未就学児まで拡大するなど、支援の拡充に取り組んでまいりました。未就学児までが最も医療費がかかる年代でもあることから、県の支援対象としたわけであります。  この制度は子供の命と健康に関わることであり、また、少子化対策や子育て支援としても大きな意義があることから、全国の都道府県や市町村の財政力の差によって地域間の格差が生じないよう、全国一律の包括的な制度を創設するなど、国の責任において行う施策として取り組むべき課題であると考えています。  これまでも政府等への県の重要要望や全国知事会を通じて、所得や地域等に関係なく、誰もが安心して子育てできる環境を整備するため、全国一律の子供医療費助成制度の創設について要望してまいりました。  こうした中で、昨年12月に公表された国のこども未来戦略では、子供医療費助成について、国民健康保険の国庫負担減額調整措置を廃止するとされ、長年諦めずに要望してきたことが、一歩進んだものと思っています。  子供医療費の助成をはじめ、国が全国一律で行う施策と、県や市町村がその実情に応じてきめ細かに行う事業、これらがうまく組み合わさることで、より効果的な結果が出ると考えておりまして、引き続き、あらゆる機会を通じて、国に対して強く働きかけてまいります。 169 瘧師委員 富山県はこうやっていますよという、インパクトの強い取組があってもいいのかなと思っております。その1案として、県内市町村の子供医療助成制度の対象年齢は、富山市と上市町が通院、入院ともに15歳年度末、残り13市町村が通院、入院ともに18歳年度末となっております。  現在、県による財政支援は、先ほどお話があったように就学前まででありますけれども、全国都道府県における子供医療費に対する援助の実施状況からすると、上位の部類ではなくて、子育て環境日本一と胸を張れる状況とまではいかないんじゃないかと思います。  そこで、まず段階的に県の医療費助成制度を15歳までに拡充し、市町村が他の子育て支援策を行えるよう財政の余力を与えてあげるべきではないかと考えますが、新田知事の所見を伺います。 170 新田知事 「ワンチームとやま」連携推進本部会議においても、子供医療費の助成拡充については、いつも強い意見があります。市町村長さんから、来年度の協議テーマにするように要望をいただきました。  今年度の新たな連携推進項目の一つである、こども・子育て施策の連携強化について、市町村と共に協議を行った結果、県の新年度予算案に、市町村と新たに連携して取り組む10事業を計上しております。また、こども・子育て施策の強化に向けては、今後も市町村が行う新たな施策に対して、県として引き続き後押しする必要があると考えています。  このため、来年度の本部会議では、こども・子育て施策の連携強化について、引き続き連携項目として協議を続けます。この中で、子供医療費の助成についても協議を行い、令和7年度に向けて県の助成制度の見直し、拡充について検討してまいります。  なお、県も様々な子育て支援政策を実施しなければならず、財源に余裕があるわけではありませんが、拡充されることとなった場合に、市町村で浮いてくる財源については、ぜひとも、できれば市町村の新たなこども・子育て施策に活用していただき、県と市町村の子育て施策のベストミックスが実現されるように協議をしていきたいと考えております。 171 永森委員長 瘧師委員の質疑は以上で終了いたしました。  以上をもって、本日の日程は終了しました。  なお、3月15日の予算特別委員会は、午前10時から開会いたしますので、定刻までに御参集願います。  本日はこれをもって散会いたします。                      午後4時15分散会 Copyright © Toyama Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...