富山県議会 2024-02-01
令和6年2月定例会 一般質問
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午前10時00分開議
◯議長(山本 徹)おはようございます。ただいまから本日の会議を開き、直ちに日程に入ります。
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県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑
2 ◯議長(山本 徹)日程第1、県政一般に対する質問並びに議案第1号から議案第68号まで、報告第1号及び報告第2号を議題といたします。
これより各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行います。
通告がありますので、順次発言を許します。
光澤智樹議員。
〔3番
光澤智樹議員登壇〕
3 ◯3番(光澤智樹)おはようございます。
自由民主党富山県議会議員会の光澤智樹でございます。
質問に先立ち、令和6年1月1日に発生した令和6年能登半島地震において、お亡くなりになられた方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げます。
また、被災地の復旧・復興、被災者の生活再建等に御尽力いただいている新田知事をはじめとする県当局の皆様、自衛隊、警察、消防をはじめとする関係機関の方々、各種団体等の方々に、改めて敬意を表するとともに感謝申し上げます。
そして、本定例会において
トップバッターとして質問の機会を与えてくださった先輩議員、同僚議員の皆様に対しても、改めて感謝申し上げるとともに、一日も早い被災地の復旧・復興、被災者の生活再建に全力で取り組むことをお誓い申し上げ、以下質問に入ります。
初めに、令和6年能登半島地震について10問伺います。
今般の地震では、能登半島を中心に大きな被害が発生し、私の地元である氷見市においても、人的被害、住家被害、公共施設・土木施設・農林水産施設の被害をはじめ市内全域での断水など、これまでに経験したことのない大きな被害を受けました。また、「ひみ寒ぶり」のシーズンとも重なり、飲食産業や宿泊業などの観光業、地域経済にも大きな影響を及ぼしました。
さて、地震の名称にも使われている能登半島についてでありますが、氷見市は、半島振興法に基づく
半島振興対策実施地域として、
能登半島地域に指定されています。魅力的な観光エリアの飛越能ラインを構成している氷見市を含めた呉西地区の復旧は、北陸応援割も見据えた観光需要の喚起に向けても大きなポイントになると考えています。
震災による人口減少対策も含め、地方創生や半島振興の観点からも、復旧・復興に向けて取り組む必要があると考えますが、
能登半島地域を構成する氷見市を有する富山県の知事として、改めて復旧・復興にどのように取り組んでいくのか、現在、復旧・復興本部で作成中のロードマップのポイントと併せて新田知事に伺います。
次に、農地や農業用施設の復旧について伺います。
氷見市においても、国営や
県営かんがい排水施設の用水路破損が多数確認されており、そのほかにも、圃場周りの農業用水路等や
西条畑地かんがい土地改良区施設についても被害が確認されています。
送水管については、実際に送水してみないと破損箇所が特定できない箇所も存在しており、今後さらなる被害が明らかになる懸念もあります。
春に向けて営農の時期が迫る中、作付に間に合うのかという不安の声も聞こえてきており、農地や農業用施設についても早期復旧が求められます。
国と県が連携し、国営や県営のパイプラインの調査を進めている中で、地元の農業関係者からは、末端水路についてどう対応したらよいのか分からないとの声も伺っております。末端水路の被害に対する対応について今後どのように進めていくのか、
津田農林水産部長に所見を伺います。
次に、
水産業振興関連施設の復旧について伺います。
氷見漁港をはじめ、県内でも多くの漁港関連施設が被害を受けたと聞いております。
氷見漁港においては、水産物を陸揚げする物揚場の背後が陥没し、初競りが延期されるなどの影響が出ました。また、関連施設では、近い将来にリニューアルを検討していた
氷見水産加工業協同組合の冷蔵庫などの施設も被害を受けており、原状復旧ではなく創造的復興を目指すべきと考えます。
氷見市に所在する富山県
栽培漁業センターについても、震災後に私が伺った際には、給水配管が破損するなどの被害を受けて、魚たちが避難している状況も確認させていただきました。
本県の水産業のさらなる発展のため、地震により被害を受けた漁港や水産業の共同利用施設の創造的復興に向けてどのように取り組んでいくのか、富山県
栽培漁業センターの復旧状況と併せて
津田農林水産部長に所見を伺います。
次に、水道の耐震化について伺います。
今般の地震に伴う氷見市内の断水は、完全復旧までに20日間を要しました。この間、トイレや風呂などの生活用水がなく、避難所も含めて厳しい生活を余儀なくされました。断水の原因は、言うまでもなく水道管の破裂であり、氷見市内は市が管理する管路のうち約190か所が破損しました。
国では、大規模自然災害に対する強靱な国づくりに関する取組として、
国土強靭化基本計画等の中で、水道においては、基幹管路の耐震適合率を2028年度までに60%以上に引き上げる目標を掲げておりますが、今回被害の大きかった氷見市の耐震適合率は僅か21.2%であり、富山県内も42.1%と、国の目標には程遠い値となっております。4月からは、水道の整備や管理が国土交通省に移管されると承知しており、国土強靱化の観点からも、水道の耐震化の促進について同省に期待する部分は大きいと考えています。
他方、水道の耐震化については、人口減少、少子高齢化が進む中で費用負担が大きな課題となっていることから、今後の地震に備えて、水道施設の耐震化を進めていくための補助率の引上げや過疎債の充当について、国に働きかけていくべきと考えますが、有賀厚生部長に所見を伺います。
関連して、水道施設の耐震化完了までには長い期間を要することから、それまでの間の災害時の対応として井戸の活用も考えられます。今般の地震でも井戸水が活用された事例が多くあると聞いており、防災の観点からの井戸の設置に向けた支援も検討すべきと考えますが、
武隈危機管理局長に所見を伺います。
次に、
液状化対策等について伺います。
県内各地において液状化現象に伴う家屋被害が発生し、県民の生活に大きな影響を及ぼしています。液状化現象等の被害を受けたエリアでは、
地域コミュニティーの維持、再生も課題になっており、早急な液状化対策が必要であると考えています。
液状化現象については、氷見市も含めて県内各地で大きな被害を受けている地域が存在することから、県が主体性を持って取り組むべきと考えます。
過去の例を見ても、例えば、東日本大震災時に千葉県では、液状化等の被害を受けた世帯に対する県独自の支援を実施したと伺っております。具体的には、千葉県
液状化等被害住宅再建支援事業として、敷地被害により一部損壊被害を受けた住宅の解体や、敷地被害により半壊または一部損壊被害を受けた住宅の地盤、基礎の復旧に対して、最大100万円の補助などを行っており、交付額は7年間で約51億円に上りました。
本県においても、安全・安心とやまの
住まい耐震化等促進事業について、既存制度の拡充を行うことが発表されました。しかし、こちらは耐震化工事が前提となっております。液状化被害の復旧に対して使えるケースは限定的な部分もあり、耐震化工事も含めて120万円の補助ではまだまだ不十分であるという声も伺っております。
県として、今後の復旧・復興に向けて、住宅地の液状化対策に係る県独自のさらなる支援策についての制度設計を急ぐとともに、
液状化等被害を受けた被災者の生活再建に向け、
被災者生活再建支援制度等の対象とならない世帯に対して県独自の制度を設けて支援すべきと考えますが、新田知事に所見を伺います。
次に、民間団体等と締結している災害時応援協定について伺います。
今般の地震において、協定に基づく応援の準備をしていたものの、県からの要請がなく、応援が実施されなかったケースもあると聞いています。先月の
厚生環境委員会の中で、協定の要請状況について、全ての協定先に連絡または要請を実施していなかった旨の答弁がありました。
このようなミスマッチを防ぐためにも、協定の運用について、適時適切に応援を要請し応援を受けられるよう、災害時に発生する状況をあらかじめ想定し共有した上で、いつ、どの団体等に、何を要請するかについて、時系列で整理する必要があると考えます。
今般の地震に際して、氷見市においても自衛隊の災害派遣による給食支援活動が実施されました。自衛隊の災害派遣の3要件は、緊急性、非代替性、公共性となっており、あくまで応急・復旧段階での活動を想定しています。震災後の地元経済を回すためにも、なるべく早期に、協定を結んだ民間企業や団体等に自衛隊の活動を引き継ぐ体制が構築されていることが望ましいと考えます。
また、協定の内容や調整先の関係から、部局横断的に対応すべきものもあると認識しており、協定が実効性あるものとなるよう、民間団体等と締結している災害時応援協定の運用については、タイムラインを作成するなど災害時の対応手順等を整備するとともに、全庁的に統括する体制を構築し、応援要請、受援の状況を把握できる仕組みが必要と考えますが、
武隈危機管理局長に所見を伺います。
次に、災害時における情報について伺います。
今般の地震では、
志賀原子力発電所の火災等に関する誤報や、過去に発生した災害の動画が流用されるなど、SNSなどにより、真意不明や誤った情報の拡散、災害に便乗した偽情報、デマ等が多く散見され、住民の避難行動等に影響を及ぼしたと考えられます。
災害時には、情報を受け取る側も、国や自治体、電力会社等からの正確な情報を得ることが重要となります。各機関との情報共有や情報発信の内容、タイミング等も含めた情報の取扱いについて、しっかりと検証し必要に応じた対策を講ずるべきと考えます。
また、県においては、被害状況の把握に役立てるため、AI解析により情報を抽出するサービスを利用していると伺っておりますが、
フェイクニュース等によるAI解析への影響も懸念されます。
災害時における関係機関との情報共有や、情報の発信も含めた情報の取扱いについての課題に対する認識と対応策について、
武隈危機管理局長に所見を伺います。
次に、原子力災害時の住民避難について伺います。
今般の地震に対して、幸いにも原子力災害は発生しなかったものの、福島第一
原子力発電所事故のように、地震などの影響を受けて原子力災害が発生するケースを想定し、対策を講じておく必要があります。
内閣府によると、災害などにより原子力発電所の状態が悪化した場合は、放射性物質の放出に備えて屋内退避を開始することとなっております。他方、今般の地震においては、氷見市内のUPZ圏内の地区においても、家屋被害のため、屋内退避が困難なケースが多く散見されました。
そこで、来年度の富山県
原子力防災訓練において、地震による家屋被害等の想定を盛り込み、住民避難等についての検証を行うとともに、避難計画等へ反映すべきと考えますが、
武隈危機管理局長に所見を伺います。
次に、富山空港における航空機等の活用について伺います。
能登半島地震においては、道路被害や地理的に厳しい状況の中で、人命救助、孤立集落からの避難支援、情報収集や物資輸送などについて、航空機が大活躍しました。自衛隊機や米軍機の任務に活用された能登空港は、ハブ空港としての機能をしっかりと果たしていたものと認識しております。
東日本大震災時にも、仙台空港を拠点に輸送支援等が実施されるなど、災害時における空港の役割は大きいものと考えております。
富山空港においても、令和4年10月に、内閣府主催の大規模地震時医療活動訓練の一環として、実機を用いた
広域医療搬送訓練が実施されました。今般の地震における自衛隊機等による患者の受入れについて、担当課からは、訓練の経験により、受入れを円滑に実施することができたと伺っております。
平素からの航空機や空港を活用した訓練は極めて重要であり、また、そのためには関係機関との協定も含めた平素からの連携が必要であると考えます。
少し話が変わりますが、防衛省では、3月16日の
北陸新幹線開業イベントにおける航空自衛隊の
ブルーインパルスの展示飛行に併せて、被災者の方々に対する能登半島上空での激励飛行に向けた調整が進められていると承知しています。
本県においても、
ブルーインパルス等による飛行が実現すれば、被災者の方々や被災地を元気づけることが期待できるとともに、航空機の活用の機会が増えることで富山空港の活性化にもつながるのではないかと考えています。
以上を踏まえ、災害時等の支援活動が円滑に行われるよう、富山空港の使用について自衛隊や米軍との協定を検討するとともに、空港活性化の観点からも富山空港における航空機等を活用した防災訓練等を積極的に行うべきと考えますが、
武隈危機管理局長に所見を伺います。
次に、
子育て支援施策について2問伺います。
知事は、令和6年度当初予算についての記者会見の中で、予算案の
キャッチフレーズについて「震災を超えて、
こどもまんなか社会へ」と表現されたものと承知しています。この
キャッチフレーズからは、震災からの復旧・復興はもとより、
こどもまんなか社会の構築にも重点を置きたいとの考えが伝わり、私自身、1人の子育て世帯としても、とてもありがたく感じております。
国においても、
こども未来戦略を進める中で、子ども・
子育て支援金制度の創設に向けた準備が進められるなど、子育て世帯を全世代、全経済主体で支え応援していく機運が醸成されているものと認識しております。
2023年の県内出生数が過去最少の5,859人となる中、少子化対策や物価高騰による保護者の経済的負担の軽減につなげるためにも、子育て世帯への支援は引き続き重要となってくると考えております。
令和6年度予算編成に向けても、例えば、
子ども医療費助成事業の助成対象年齢の引上げや学校給食費の無償化等も含めて、県内の各自治体から様々な要望があったと承知しており、市町村と連携した取組を引き続き推進していただきたいと考えております。
働き方や物価高騰等による子育て世帯を取り巻く環境の変化に加え、震災による影響も踏まえ、現在そして未来にわたって子育て世帯のニーズをどのように認識し、令和6年度においては子育て支援にどのように取り組んでいくのか、新田知事に所見を伺います。
次に、県の子育て応援券を拡充した新たな
子育て支援ポイント制度について伺います。
昨年6月の
厚生環境委員会の中で、本制度について、国の出産・
子育て応援交付金事業や市町村独自の支援事業も、この制度の中に加えることができればと考えている、そういった旨の御答弁をいただきました。将来的には、情報発信などの他の
子育て支援サービスとの連携も含めた運用ができる可能性も感じており、子育て家庭の利用者にとっての利便性向上につながることが期待できると考えています。
本制度について、今年10月から開始されるとのことですが、令和6年度においてはどのような運用となるのか、円滑な導入に向けた取組と現在の準備状況と併せて
松井こども家庭支援監に所見を伺います。
最後に、台湾と本県の交流について1問伺います。
今年1月13日、台湾の総統選挙において、与党・民進党の頼清徳氏が選出されたところでございますが、台湾は本県にとっても、基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人であると私は考えています。
今般の地震に際しては、台湾政府からの6,000万円の寄附や、民間からの25億円余りの寄附金など、多大なる御支援をいただいており、感謝の念に堪えません。
先月19日、私は、氷見市と
友好交流都市協定を締結している鼓山区が所在する高雄市政府を訪問し、本震災における本県の状況を説明するとともに、お見舞い、御支援に対する感謝の意をお伝えさせていただきました。高雄市政府からは、お見舞いのお言葉と同時に、引き続き協力、支援をしていきたいとのコメントもいただき、ふだんからの様々なレベル、分野での交流によって良好な関係を築くことができていることを改めて実感いたしました。また、
氷見市立博物館と友好協定を結んでいる
高雄市立歴史博物館では、たくさんの
応援メッセージなどの寄せ書きが展示されていました。
観光面においても、観光庁の
宿泊旅行統計調査によると、富山県内の台湾からの宿泊者数は全体の約25%を占めており、他国・他地域と比較しても圧倒的な差で第1位となっております。
以上を踏まえ、本県と台湾との交流は復興も含めて今後ますます重要となってくると認識しており、そのためには富山─台北便の定期便の再開が必要不可欠であると考えます。
今年度も、現在運航中の臨時便に向けた観光PR事業など様々な取組をされていると承知しておりますが、富山─台北便の再開時期が見えない中、令和6年度においては、全県的な
インバウンド誘致、アウトバウンドの旅行需要確保や、富山─台北便の早期再開も含め、台湾との交流にどのように取り組んでいくのか、先月台湾を訪問された新田知事に伺います。
以上をもちまして私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
4 ◯議長(山本 徹)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
5 ◯知事(新田八朗)光澤智樹議員の御質問にお答えします。
まず、今後の復旧・復興に向けた取組についての御質問にお答えします。
地震発災後、速やかに富山県では災害対策本部を設置しました。そして、迅速に対応を進めてまいりました。
また、私も、1月2日には氷見市を訪問し被災状況を確認するとともに、林正之市長や被災者の方々から直接お話をお聞きしました。
1月18日には「ワンチームとやま」
連携推進本部会議を開催しまして、各市町村の被災状況、ニーズ等の把握、また県及び市町村の相互の連携促進に努めてまいりました。
さらに、1月20日には
松村防災担当大臣が来県され、御一緒に再び氷見、そして姿地区まで足を伸ばしました。姿地区まで行きますと、もう少し足を伸ばせばもう七尾市との境界ということを聞いて、改めて氷見市がやはり能登半島の一部なんだなということを実感したところです。
富山県としては、県内の被災状況と復旧・復興に向けた取組の全体像とスケジュールをロードマップとして見える化することによって、県民や県内の企業の皆さんが安心な暮らしや安心な事業活動に取り組めるように、また、地域の話合いの取組やまちづくりへの支援など、
地域コミュニティーの維持、再生を後押ししたいと考えています。
また、ロードマップの策定、実行に当たっては、被災地のニーズや意向を丁寧にお聞きし、スピード感を持って取り組むとともに、一方で、随時、最新情報に更新していくことも大切だと考えています。
さらに、半島を有する道府県で構成されております
半島地域振興対策協議会において、現在、国への要望内容の集約を行っていると聞いておりまして、氷見市及び石川県12市町で構成される
能登半島地域の早期の復旧・復興に向けて、氷見市の意見を聞きながら適切に要望してまいります。
また、北陸応援割、これを契機として観光需要の回復に取り組んで、県全体、北陸全体の復興につなげてまいりたいと考えます。
復旧・復興に取り組む事業は多岐にわたっています。今後も市町村と県がしっかりスクラムを組みながら、必要に応じて「ワンチームとやま」
連携推進本部会議の場も活用し、市町村と十分に意見を交換し取り組んでまいります。
次に、住宅の液状化に係る御質問にお答えします。
このたびの地震による住宅地における液状化被害に対しては、これまで県議会や被災市と連携して、防災大臣などに対する財政支援を要望するとともに、被災者の方々に御活用いただく
支援パッケージをお示しし、
関係者総ぐるみで対応しているところです。
これまで、液状化対策に取り組むために、国から提案を受けました国、県、市町村による勉強会を2回開催しました。第1回目は、国と県の支援制度や公共事業として実施する
液状化防止事業の先進事例などの情報を共有しました。また、先月21日に開催した2回目の勉強会では、8年前に被災された熊本市の方から直接お話を伺ったところです。
また、被災者の生活再建に向けた支援策ですが、国の
被災者生活再建支援制度の対象とならない半壊世帯を県独自で支援する制度を創設しました。さらに、液状化被害により傾斜した住宅の補修については、災害救助法の住宅の応急修理の活用が可能となっていることに加え、被害の大きさを鑑み、住宅耐震化の支援制度を拡充しまして、本県独自の世帯による上限額の差を設けない一律の追加支援を行うため、市町村と共に今準備を進めています。
この追加支援により、液状化などにより被災した住宅を対象とした地盤改良などの基礎補強工事にも使えるようにしたいと考えておりまして、県としては、本議会で予算化いただけましたら、市町村と連携して積極的な周知を図り、これまでの支援策と併せ、被災者の方々に御活用いただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。
なお、参考までにですが、議員御紹介いただきました千葉県の制度も調べさせていただきました。上限額は、本県のほうが120万円と千葉県よりは拡充していることであります。とともに、千葉県の制度ですと、国の
被災者生活支援制度を利用すると、千葉県の独自制度を共に利用することはできないというふうに聞いております。参考までにお伝えします。
次に、
子育て支援施策の御質問にお答えします。
今年度の「ワンチームとやま」
富山連携推進本部会議では、出産・子育て支援や保育環境の充実などを新たな協議テーマとして、包括的な支援策の実施に向けて議論を積み重ねてまいりました。
市町村ごとのニーズを把握するために全市町村に出向かせていただき、個別の意見交換会や
アンケート調査を行ってまいりました。
また、昨年10月には、県内在住の子育て世帯を対象とした
子育て支援サービスに関する調査を実施しました。それによると、費用負担が大きいものとしては、生活用品や食費などの、まさに今の物価高騰の影響を受けた項目が上位を占めていました。また、今後の支援施策としては、家事支援や病児・病後児保育の充実などのニーズが高いという調査結果となりました。
新年度予算案では、こうした市町村との協議や子育て世帯の今のニーズを踏まえて、新たな
子育て支援施策を重点的に盛り込んでおります。具体的には、
子育て支援ポイント制度の創設、産前産後ヘルパーの派遣、第3子以降の保育料の完全無償化、病児・病後児保育の
広域受入れ体制の整備、震災などの発生後、保育施設への心理カウンセラー派遣体制の整備、これらのことに必要経費を今計上しているところです。
今後も、
こどもまんなか社会の実現に向け、市町村との協議、連携を重ねながら、あらゆる
子育て支援施策について取り組んでまいります。
私からは最後になりますが、台湾との交流についての御質問にお答えします。
本県と台湾との交流は、能登半島地震後も多くの台湾の観光客が県内観光地を訪れていただいているほか、県内市町村では、台湾の行政区との間で友好交流協定を締結しておられます。また、県内の企業15社が23の事業所を台湾内で展開しておられます。観光面、経済面など幅広い分野で交流が行われているところです。
私も、先月の21、22日、台湾観光協会などを訪問して、日台間の交流促進のため、インバウンドの誘致あるいはアウトバウンドの需要確保、また富山─台北便の定期便の再開について協議を行いました。
県では、これまでインバウンド需要の拡大に向けて、観光公式サイト及びSNSにおいて地震後も正確な情報発信に努め、風評被害を払拭するように努めてまいりました。また、台北市内の目抜き通りにありますビルの大きな太い柱をラッピングして広告をしたり、また、ウェブの広告を展開したりもしております。
今月には、台北で開催する国際的な自転車展示会へ出展をいたします。また、新年度に入りますと、現地商談会を開催したり、現地の旅行博への出展も予定しております。
台湾へのアウトバウンド需要の確保のために、令和6年度当初予算案では、旅行会社を対象としたセミナーの開催、旅行商品造成経費への支援、また、県民のパスポート取得促進を図るためパスポート取得費の助成要件を緩和した上で実施することとしています。
議員おっしゃるように、台湾は本県にとって重要なパートナーであると私も考えております。引き続き、観光、経済、教育、文化、スポーツなど、幅広い分野において活発に交流を行い、富山県日台親善協会など友好交流団体とも連携をしながら、本県と台湾との双方の交流の促進に取り組んでまいります。
私からは以上です。
6 ◯議長(山本 徹)
津田農林水産部長。
〔津田康志農林水産部長登壇〕
7 ◯農林水産部長(津田康志)私からは2問お答えいたします。
まず、農業用水路の被害への対応についての御質問にお答えいたします。
県内の農業用水路の被害につきましては、2月26日時点で1,362か所が報告されており、被害の大きかった氷見市では、圃場周りの水路やパイプラインの離脱など1,215か所が確認されております。このうちパイプラインにつきましては、現在、充水による不可視箇所の破損箇所の特定と補修が進められており、全延長の5割余りが通水可能となっております。
また、昨年7月豪雨で被災した
西条畑地かんがい土地改良区の揚水ポンプは、氷見市が仮復旧を今月中旬に完了予定で進めており、その後に充水調査等が実施されると承知しております。
現在、県では、春の作付に間に合うよう、国、県、市、土地改良区等の関係者が一丸となって復旧を進めており、団体営部分につきましては、事業主体である市に対して、仮復旧工事のほか、査定前着工制度を活用した応急本工事の実施などの技術的助言を行っております。
氷見市内では被災箇所が多いことから、末端水路等の復旧につきましては、土地改良区や地域が主体となって復旧される場合も多いと想定しております。復旧の進め方等について困り事や御懸念があれば、気軽に高岡農林振興センター等に御相談いただきたいと考えており、県としては技術的な支援や助言を行ってまいります。
続きまして、水産施設の復興についての御質問にお答えいたします。
まず、漁港施設では、県内10漁港で67か所の被害が確認されており、発災直後から臨港道路や岸壁等に生じた段差のすりつけなどの応急工事を実施したほか、国の災害査定に向け、漁港の被災箇所の測量や調査設計の準備を進めております。
次に、県内漁協等が所有する共同利用施設では47施設の被害があり、うち氷見漁協では、荷さばき所や製氷施設など9施設、
氷見水産加工業協同組合では、冷凍冷蔵施設や事務所など3施設で設備の損害や地盤沈下などの被害が確認されております。
共同利用施設の復旧につきましては、現在、漁協等の意向確認や経費の見積り徴収などの作業を進めておりますが、水産加工業協同組合の関係者からは、議員お話しのとおり、冷凍冷蔵施設の復旧に当たり、災害復旧事業による原状回復だけではなく、この機会に利便性の高い場所に新設し、例えば高度な衛生管理への対応や新たな急速冷凍技術の導入など、創造的な復興を目指すべきという意見もあると聞いております。
県としましては、組合として水産関係者や周辺の地域住民との協議の上、復旧方針を固められれば、具体の支援について検討していきたいというふうに考えております。
また、昨年4月にオープンした富山県
栽培漁業センターは、現在、飼育海水の給水配管の破裂のほか、展示室の壁や天井の破損などにより閉館しておりますが、ゴールデンウイークには多くの来場者が見込まれ、5月からは種苗生産が始まることから、4月中の開館を目指して鋭意復旧作業を進めてまいります。
以上でございます。
8 ◯議長(山本 徹)有賀厚生部長。
〔有賀玲子厚生部長登壇〕
9 ◯厚生部長(有賀玲子)水道施設の耐震化についてお答えいたします。
水道管の耐震化は、耐用年数が経過した管路の更新に併せて実施されており、県内の水道施設における基幹管路の耐震適合率は、令和4年度末現在で42.1%と全国平均並みでございますけれども、事業体別に見ると、進み具合に格差があるという状況でございます。
水道事業における施設の更新・耐震化や維持管理に要する経費は、原則として受益者からの料金収入によって賄われることとされておりますけれども、人口減少などによる給水量の減少に伴い料金収入も減少が見込まれる一方、更新費用や維持管理費が増大し、水道事業者の経営は厳しさを増しているものであります。
県では、これまでも各水道事業者に対して、施設の老朽化の状況なども踏まえまして、水道施設の耐震化を国の補助制度を活用して計画的に進めるように助言を行ってきたところでありますけれども、今回の地震を踏まえて、耐震化のペースをさらに加速させることが重要で、そのための財源確保は一つの課題であるというふうに考えております。
このため、これまで県の重要要望において、水道施設の長寿命化の戦略的維持管理・更新の実施への支援を求めてきたことに加えまして、去る1月20日には松村内閣府防災担当大臣に、知事から直接、補助率の引上げや過疎対策事業債の上水道事業への対象拡大も含めて支援を要望したところでありまして、引き続き国に働きかけてまいります。
私からは以上です。
10 ◯議長(山本 徹)
武隈危機管理局長。
〔武隈俊彦危機管理局長登壇〕
11 ◯危機管理局長(武隈俊彦)私からは、まず防災井戸の設置につきましての御質問にお答えします。
今回の地震では、氷見市において大規模な断水が発生し、住民が飲料水や生活用水を確保することが困難な状況が長く続きました。そうした中で、家庭の井戸水が避難所等において有効活用された事例が報告されております。
防災井戸につきましては、阪神・淡路大震災以降、その有効性に注目が集まっており、このため県では、昨年度、災害時地下水利用ガイドラインを取りまとめ、県内市町村に対して地域の実情に応じて防災井戸の活用を御検討いただくよう周知しております。
また、このガイドラインでは、個人や企業が有する井戸を災害時に近隣住民が無償で利用できる井戸として市町村に登録する、災害時協力井戸制度についても御紹介しているところでございます。
県としては、今回の地震において、防災井戸の有効性が県内でも実証されたところであり、この事例をアピールするなど、避難所の設置・運営主体となる市町村に対し、災害への備えとしての防災井戸の整備や活用を呼びかけてまいります。
また、武蔵野市や藤沢市では、防災井戸の維持や修繕に要する経費を支援している事例もありますことから、議員から御提案のありました防災井戸の設置に向けた支援、これにつきましても、先行事例の情報を共有しつつ市町村ともよく相談してまいりたいと考えております。
次に、災害時応援協定の運用についての御質問にお答えいたします。
大規模災害発生時には、県のリソースだけでは迅速かつ十分な対応が困難であり、それを補完するため、国の機関や自治体、防災機関、民間団体等との災害時応援協定の締結を推進しております。現在、県庁全体で165件の協定を締結しているところでございます。
今回の地震では、こうした協定を基に、避難所で配布する飲料水やパン、段ボールベッドの提供、仮設トイレの設置、災害廃棄物の処理など、幅広い支援をいただいているところであり、災害時における協定に基づく連携の重要性を実感したところでございます。
また、協定に基づく応援要請につきまして、今回の地震では各協定の担当課が協定締結先と直接調整を行っており、特に問題は生じておりませんが、今回を上回る災害が起きた場合には、被災市町村からの要請数が増えること、それに伴う調整先も大きく増えることが懸念されております。
こうした懸念事項を未然に防ぐため、議員から御提案のあったとおり、あらかじめ災害時の対応手順等を整備するとともに、全庁的に応援要請、受援の状況を把握できる仕組みをつくることが重要と考えております。
県としましては、来年度、今回の災害対応の検証を進める中で、協定の運用について課題を整理した上で、災害時応援協定が実効性のあるものとなるよう取り組んでまいりたいと考えております。
次に、災害時の情報発信の課題と対応についての御質問にお答えいたします。
災害発生時には、即座に被災状況等を把握できるSNS等のデジタル技術は効果的でございますが、今回の地震ではSNSを通して、原子力発電所での誤った情報や救助を求める偽情報が拡散される事例があったと承知しております。こうした偽情報の流布を許さないためには、公的機関が信頼できる情報の発信元として機能することが重要でございます。
県では、元日の地震発生直後から、SNSを活用して災害関連情報を発信しており、災害対策本部員会議の情報も県公式ユーチューブを通して全て配信をいたしました。その中で、志賀原発の火災に関する誤った情報につきましても、1日の会議において、北陸電力の出席者から火災はなかった旨の報告をいただき、正確な情報発信につなげたところでございます。
また、災害時に県民が必要とする的確な情報を発信するためには、あらかじめ、どこにどんな有効な情報があるか把握して整理をしておく必要があり、今後、災害対応の検証を通じまして、情報発信の内容やタイミングなどを市町村や関係機関等と協議してまいりたいと思っております。
また、県では、AI解析によりSNS等から信憑性の高い情報をリアルタイムで収集するSNS緊急警戒情報配信サービス──スペクティと言いますが、これを導入しており、災害時に活用しているところでございます。このサービスは、AIで収集した投稿を最後に人がファクトチェックをして配信されておりまして、今回の災害でも誤情報はほとんど確認されておりません。
今後もこのサービスを活用して、適時的確な情報発信につなげてまいりたいと考えております。
次に、
原子力防災訓練での住民避難の検証についての御質問にお答えいたします。
今回の地震では、原子力発電所が所在する石川県志賀町で震度7を観測、本県でも震度5強を観測し、特にUPZを含む氷見市では家屋の全壊が150件を超えるなど、甚大な被害が発生いたしました。仮に原子力災害が併発した場合には、屋内退避を自宅で実施することは困難な事例があったと認識しております。
これまでの
原子力防災訓練では、大量の放射性物質が排出する最悪の事態を想定し、自宅での屋内退避後に放射性物質による汚染を確認する検査場所を通ってUPZ外に避難する訓練を中心に行ってまいりましたが、今回のように家屋倒壊による自宅以外で屋内退避する訓練は行っておりません。
来年度の訓練内容は、今後検討することとなりますけれども、今回の地震による被害や対応を検証し、新たに把握した課題等を訓練内容に反映することが重要と考えております。このため、例えば家屋倒壊により自宅での屋内退避ができない想定を訓練に盛り込み、住民を自宅から近隣の学校や公民館等の一時集合場所に誘導し、その場で屋内退避を実施する訓練内容の見直しにつきまして、氷見市等関係機関と丁寧に協議をしてまいりたいと考えております。
また、その上で、訓練による検証を踏まえ課題等を洗い出し、県の地域防災計画や避難計画の見直しにつなげることにより、各種計画の実効性を高めてまいります。
最後に、災害時の富山空港の使用についての御質問にお答えいたします。
今回の能登半島地震では、特に奥能登地域において、道路が寸断され孤立集落が発生するなど、陸路での救助活動や物資輸送が困難なケースが多く見受けられ、能登空港を活用した空路での救助活動や物資輸送の有効性が確認されました。
富山空港も、珠洲市の患者さんの緊急搬送のため、自衛隊ヘリの着陸に使用されるなど、支援活動に活用されております。今回の事案でもそうでありましたとおり、御指摘の自衛隊や米軍との協定がないことが災害時の支援活動を行う上で妨げになるということはなく、必ずしも協定が必要とは考えておりません。
また、富山空港における航空機を活用した訓練につきましては、議員からもお話がありましたが、円滑な空港利用を図る上でとても重要であると考えておりまして、来年度の総合防災訓練の中でどういった形で訓練が実施できるかなどにつきまして、今後検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
12 ◯議長(山本 徹)
松井こども家庭支援監。
〔松井邦弘こども家庭支援監登壇〕
13 ◯こども家庭支援監(松井邦弘)私からは、
子育て支援ポイント制度についての御質問にお答えいたします。
県では、県の子育て応援券事業を拡充し、また、地域通貨を付与するポイント制度の導入に併せて、国の出産・
子育て応援交付金事業の経済的支援にも活用できる
子育て支援ポイント制度を整備することとし、これまで市町村担当課や県のデジタル化推進室と共に、ポイントの利用範囲や運用方法などについて協議を重ねてきたところでございます。
また、現在、ポイント配布に必要となる子育てアプリの作成、それから、ポイントが利用できる新規の店舗や施設の開拓などの準備を進めているところでございます。
こうした中、昨年11月に開催されましたこども家庭審議会分科会などの国の会議において、こども家庭庁担当課より、令和7年度からの国事業の法制度化に当たり、現金などによる給付を基本とする旨の説明があり、また具体的な内容については、今後、機会をつくって自治体に説明を進めていくとのことでありました。
このため、新年度は、県の子育て応援券事業のみをポイント制度として導入し、国事業はこれまでどおり現金で対応することとしております。また、令和7年度以降の運用については、今後、国からの具体的な内容などを確認した上で、改めて市町村と協議することとしております。
なお、市町村の独自支援事業について、このポイント制度に加えるかどうかについても、新年度に市町村と協議してまいります。
今後、新年度からの円滑な導入に向け、市町村と引き続き連携し、子育て家庭はじめ県民の皆様に対して、各市町村窓口や県ホームページなどで丁寧な事前周知や説明、分かりやすい広報に努めてまいります。
以上でございます。
14 ◯議長(山本 徹)以上で光澤智樹議員の質問は終了しました。
亀山彰議員。
〔22番亀山 彰議員登壇〕
15 ◯22番(亀山 彰)おはようございます。自民党新令和会の亀山です。よろしくお願いいたします。
年の初め元旦から令和6年能登半島地震が発生し、皆さんにも多少なりとも影響があったのではないかと思います。我が家にも親戚が津波を懸念して一時避難してきました。
被害に遭われた方にお見舞いを、お亡くなりになられた能登をはじめとする方々にお悔やみを申し上げます。一日も早く日常生活が取り戻せますようお祈りいたします。
また、国際情勢を見ますと、北朝鮮のミサイル発射、米中の経済戦争とも思えること、緊張感高まる国際秩序が危機的状況にあり、物価高騰、値上げラッシュなど経済にも激しい影響が出ています。物価の安定を望みます。
先日、「電車・バスで行こう!」推進事業と名前変更されました。自民党新和会は言い出しっぺでありますので、先日、会派全員、公共交通を利用して登庁いたしました。私も利用頻度が高いほうだと思いますが、皆さんも利用しましょう。
さて、質問に入ります。
1問目は、文化観光の推進と世界遺産登録に向けて伺います。
昨年9月に文化庁より、立山博物館を中核とした文化観光拠点計画が認定されました。立山信仰の拠点である立山エリアは、石川県と静岡県との連携による三霊山での取組も進められており、地元の立山町や観光協会もインバウンドを含めた観光誘客による効果に大変期待をしているところであり、力を入れて取り組むこととしています。
一方で、同じく立山エリアの観光誘客として期待されていた黒部宇奈月キャニオンルートの一般開放については、能登半島地震の影響により営業時間がずれ込む可能性があるとのことであり、誘客効果は当初の見込みどおりにはならないことも想定されるため、文化観光拠点の取組については期待をしているところであります。
この事業に係る予算総額の約4割を令和6年度に見込む、費やす予定としており、本格的な取組が始動する年となりますが、県民はこの取組に対してどこまで理解が進んでいるのでしょうか。県民への周知と理解促進にも併せて取り組み、県内全域での機運の盛り上がりを図り、国内外への積極的なPRに取り組むべきと考えますが、どのように取り組むのか廣島生活環境文化部長にお伺いいたします。
立山エリアの誘客促進を図るためには、観光客の交通アクセスの向上、とりわけ富山市街地からの向上が重要と考えられます。県道6号富山立山公園線は、今月23日に富立大橋の4車線化工事が完成しますが、橋東側道路についても、4車線化や路肩の整備、幅員の拡張は立山エリアへつながる観光道路として欠かせません。その先の二ツ塚以降の道路については町道の部分も含まれており、整備がどのように進むことになるのでしょうか。
立山エリアにつながる主要な道路の整備にどのように取り組むのか、市井土木部長にお伺いいたします。
次に、立山砂防の世界遺産登録に向けた取組についてお伺いいたします。
立山砂防の歴史的砂防施設群については、これまで関係機関や民間団体などとも連携協力しながら、世界遺産登録を目指して国内外での取組を進めてきたところです。昨年10月に開催された立山砂防国際シンポジウムでは、有識者による世界遺産登録の動向や立山砂防の文化的価値と登録の意義、今後求められる取組について、講演やパネルディスカッションが行われました。私も会場で傍聴しましたが、地元を巻き込んだ機運の高まりには、まだまだ届いていない感じがしました。
昨年9月の一般質問で、我々の会派の澤崎議員が、富山市出身の落語家、柳家さん生さんが立山砂防を題材にした創作落語をつくられたことに触れられました。私も、地元立山町、舟橋村の方々に県政報告会で聴いていただき、地元から機運を高めていくよう仕掛けたつもりですが、登録に向けては一体どのような観点での取組が不足しているのでしょうか。
県として、これまでの活動内容を踏まえ、世界遺産登録に向けての課題をどう認識し、今後の登録に向けた取組をどのように進めていくのか、竹内地方創生局長にお伺いいたします。
教育の推進について伺います。
国では、各都道府県に夜間中学の設置を呼びかけています。夜間中学のニーズは様々な理由であり、例えば、何らかの理由により義務教育を修了できなかった方や、不登校のためにほとんど学校に通えなかった方、本国で義務教育を修了していない外国籍の方などが対象とされています。昨年10月時点では、全国17の都道府県で44校が設置されており、今後の設置を公表している地域も12県あるとのことです。
新年度予算案に調査や検討に関する予算が計上されていますが、県として学び直しの意義や必要性をどう認識しているのでしょうか。また、取組を進めるに当たって、令和7年夜間中学の開校を、石川県など先行県の検討の経緯や準備の状況など十分に情報収集した上で進めることを期待しますが、今後の調査や検討にどのような考えを持ち取り組むのか、荻布教育長にお伺いいたします。
新年度予算案では、私立高校の授業料支援について、年収590万円から910万円までの多子世帯やひとり親世帯を対象として無償化に取り組む予算が盛り込まれました。子育て世帯の負担軽減や教育の機会均等などの実現に向けた取組として評価はできますが、東京都や福井県などでは、令和6年度から年収によらない高校授業料無償化の実施を予定しています。
県内でも、入善町では、国や県による制度の対象外となる年収910万円以上の世帯に対して、町独自のお祝い金という形で支援をする事業費を新年度予算に計上しています。
県としても、子育て世帯に向けたさらなる支援として、世帯年収910万円以上の世帯に対する支援の拡充もすべきではないかと考えますが、どうでしょうか、蔵堀副知事にお伺いいたします。
魅力と活力ある県立高校整備等検討事業の予算が計上されていますが、今度こそ県内各地での意見交換会での意見に耳を傾ける気はあるのでしょうか。
先日、来年度の入学者選抜志願状況が公表されましたが、各校の志願倍率を見ても、明らかに県下一円どこの高校でも受検できる影響が現れていると思いました。
これを踏まえて、富山いずみ高校は普通科であるようにも見えます。先日、上市町の方でいずみ高校総合学科に進学・卒業された方から、他の高校普通科と同様の勉強をしていたとお聞きしました。
昨年11月の予算特別委員会で総合学科の質問をさせていただきましたが、総合学科と普通科の具体的な違いは何でしょうか。普職比率を70.8%に収めるために、総合学科というものを隠れみのに使っているのではないでしょうか。これも過去からの繰り返しとなりますが、私立高校では普通科総合コースを普通科扱いとしており、これと同じではないでしょうか。
また、残る2高校の小杉高校と上市高校を雄山高校と比較すると、平成15年以降、小杉高校は増減を繰り返しています。上市高校は全く学級数の変動はありませんが、来年度の推薦・一般入試志願状況結果を見ますと、大きく定員に達していません。
比べられる雄山高校は、令和3年度に生活文化科が10名の減になり、高倍率であった学科がバタバタと落ちて、翌年、定員割れを起こしました。平成16年、商業科が閉科になって以来、令和5年度にまた普通科が減になりました。2次募集で定員が埋まっている高校ですが、県内全域で減っているにもかかわらず、中新川郡の生徒の数が減っていると言って、同一学区である雄山高校は、学区内の生徒見込数や志願倍率の状況、学科配置の状況などを勘案して変動させてきたとのことです。
上市町と立山町、どちらの生徒数割合が減っているのか。定員割れを起こしているのはどちらの高校が多いのでしょうか。町として、大学から教授に講演をいただいたり、台湾の高校に立山町民以外の方も含め雄山高校生を交流団で派遣したり、立山町は口だけではなく行動で示しています。
再編について検討する委員の皆さん、与えられた資料だけで判断してはいけません。質問を視聴してくださっていることを願っています。一昨年発行した私の県政報告だよりを読んでいただければ分かります。
県立高校整備等検討事業の予算が計上されていることの意義も踏まえ、県立高校の募集定員の設定についてはどのような考えにより行われているのか、県民に説明を願います。荻布教育長に伺います。
先月開催された県立高校教育振興検討会議において、今年度取りまとめを予定している県立高校教育振興の基本的な方針について提言が行われましたが、その中で、高校再編の方向性として、1学年4学級未満または160人未満の規模の学校については、再編統合の検討の対象とする内容が盛り込まれていました。
この再編基準の方向性の内容も含め、県内各地において意見交換会を開催することとしていますが、その場で出された県民からの意見について総合教育会議の場でも示し、今はなぜ小規模校となっているのかをしっかりと見極めていただき、再編統合に確実に反映させていくべきと考えますが、荻布教育長に所見を伺います。
能登半島地震からの復旧・復興について伺います。
国の「被災者の生活と生業(なりわい)支援のためのパッケージ」に盛り込まれている、なりわい再建支援補助金の申請受付が始まりました。この補助金により、被災した施設や設備の着実な復旧が行われ、事業の再開が進むことが期待されます。富山県としても、100%とは言えませんが頑張っている姿勢が見えます。
しかし、地震の影響により落ち込んだ事業者の業績が地震前の状態に戻るには数年かかるケースも想定されるため、継続的、中期的な支援も必要と考えますが、どのように取り組まれるのか中谷商工労働部長にお伺いいたします。
発災後の1月10日に県内被災地を視察してまいりました。倒壊した家屋や地盤の液状化により居住することが困難な家屋もあり、被災建築物応急危険度判定による赤や黄色の紙が貼られていました。
こうした家屋に居住していた被災者の方々は、生活再建に向けた見通しが立たなければ地元を離れてしまう懸念もあるため、生活再建に必要な手厚い公的支援を被災者に示すとともに、それらを速やかに受け取られるよう早急な罹災証明書の発行が必要と考えます。
一方で、被災者の中には、罹災証明書の判定結果に納得ができず再調査を求める方もいると聞いております。県内における罹災証明書の発行状況を踏まえ、県としてどのように市町村の発行体制の支援に取り組むのか有賀厚生部長にお伺いします。
富山県成長戦略の推進について伺います。
成長戦略は令和4年2月に策定され、取組は3年目を迎えることになります。戦略に設定されたKPIの達成に向けて、思い切った取組が行われる時期なのではないかと思います。
こうした中、成長戦略の策定時から取り組んでいるのが成長戦略カンファレンス「しあわせる。富山」であります。カンファレンスは、成長戦略や戦略のビジョンを発信するとともに、多様な人材の連携を創出し、戦略のアップデートにもなり、新たな政策やプロジェクトを組成するために開催されてきました。
今年度は、「地方から新しいモデルをつくる。」をテーマに、昨年10月に立山町で開催され、各分野の専門家を招聘して活発な議論が行われました。様々な観点から多数のセッションが繰り広げられましたが、その議論を経て成長戦略はどのようにアップデートされ、どのような政策やプロジェクトの組成につながり新年度予算案に反映されたのでしょうか、新田知事に所見を伺います。
最後に、違法薬物取締りへの対応について伺います。
先日、富山中央署にお邪魔させていただき、署長さんとのお話合いの中で、覚醒剤取締法や違法薬物等についてお話をお聞きしました。
県内でも高校生が薬物使用により逮捕されるなど、薬物乱用の低年齢化が懸念されています。高校への出前講座で体に与える影響について教授する必要があります。大麻等の類似成分を含む危険ドラッグの広まりも近年増加しており、対策が必要であります。
本県における近年の薬物事犯の検挙件数と年齢層の状況はどのように推移しているのか、危険ドラッグを含む違法薬物の取締り強化と蔓延防止に向けた今後の対応について、石井警察本部長にお伺いいたします。
明るい話題として、大谷翔平選手が昨日結婚されたと。おめでとうございます。もう一つめでたい話ですけど、我が中川会長、本日誕生日です。おめでとうございます。
以上をもちまして質問を終わります。
御清聴ありがとうございます。
16 ◯議長(山本 徹)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
17 ◯知事(新田八朗)亀山彰議員の富山県成長戦略の推進に関する質問にお答えをいたします。
今年度の「しあわせる。富山」、もう3回目になりますが、今回は議員のお膝元、立山町で開催をさせていただきました。KOTELOという、とても自然に囲まれたオフィスということであります。
成長戦略のビジョンを広く発信し県内外の方々の共感の輪を広げていく、これが「しあわせる。富山」を開催する1番目の目的です。次に、多様な人材連携の創出をする、これは2つ目。そして、成長戦略をアップデートしていく、時点に合わせて更新をしていくことによって新たな政策やプロジェクトの組成を行う。この3つが「しあわせる。富山」の主な目的です。
令和3年度以降、毎年開催しているわけでありますが、今年度は10月13日から15日までの3日間にわたって行いました。テーマは「地方から新しいモデルをつくる。」ということで開催をいたしました。
今回の成果としては、ウェルビーイングのセッションでの、ウェルビーイングは経営に不可欠という議論がありまして、それを受けて、ウェルビーイング経営推進事業を本予算案に計上しております。
また、地方ブランディングのセッションでは、強みの言語化が必要、人材の確保育成が不可欠という議論を受けまして、本県のすしの強みを地形や地質の観点からひもといて発信する「寿司といえば、富山」県民・事業者参画促進事業、あるいは寿司職人マッチング支援事業として取りまとめて、これも予算案に盛り込んでおります。
さらに、スタートアップセッションというセッションでは、起業家をつくり出すには民間企業との連携促進が不可欠という御意見をいただき、とやまスタートアップエコシステム形成促進事業をつくりまして、これによって起業家をサポートする民間事業者などへの支援を強化することにしました。
それから、官民連携をテーマとしたセッションもやりましたが、ここでは登壇者の提案を受けまして、県内市町村における官民連携協定の締結が進んでいます。カンファレンスの効果がこうやって広がっていっていると考えています。
引き続き、このカンファレンスを開催することによって、県内外の多様な方々との連携を広げ、戦略を常にフレッシュにアップデートしていく、新たな政策・プロジェクトをつくり出していく、官民連携をさらに促進していく、そのように、カンファレンスをカンファレンスで終わらせるのではなく、その成果をしっかりと政策に、事業に落とし込んでいく、これを繰り返していきたいと考えております。
私からは以上です。
18 ◯議長(山本 徹)蔵堀副知事。
〔蔵堀祐一副知事登壇〕
19 ◯副知事(蔵堀祐一)私からは、高校授業料の支援についての御質問にお答えをいたします。
高校授業料支援の拡充につきましては、これまでも県議会や私学団体から御意見、御要望をいただいてまいりました。
県としても、こどもまんなかの視点に立ちまして、子供たちが経済的な制約を気にせずに自由に進学先を選択できるような環境が望ましいと考えております。
新年度予算案では、年収910万円未満の多子世帯や子育てと生計の維持を1人で担っているひとり親世帯について、生活面や経済面で様々な課題を抱えておられる状況を踏まえまして、入学料を県立高校の負担相当額まで軽減いたします。また、授業料につきましては実質無償化を図ることといたしました。
他方で、さらなる高所得者層などへの拡充につきましては、県民の理解がどこまで得られるのか、また、子供の選択肢の確保についてどういった課題があるのか、さらに検討が必要だと考えております。
県といたしましては、県立高校、私立高校がそれぞれ魅力と活力ある学校づくりに取り組んでおられる中で、子供たちの可能性を引き出し、未来を切り開いていくための選択肢をより多く用意できますように、引き続き必要な検討を進めてまいりたいと考えております。
以上です。
20 ◯議長(山本 徹)廣島生活環境文化部長。
〔廣島伸一生活環境文化部長登壇〕
21 ◯生活環境文化部長(廣島伸一)立山エリアの文化観光に関する質問についてお答えをいたします。
昨年9月に国の認定を受けました立山博物館を中核とした文化観光拠点計画に基づきまして、令和9年度までの5か年間、立山博物館とその周辺エリアの情報発信やインバウンド対策の強化などを重点事項に位置づけまして、様々な事業を展開していくこととしております。
情報発信の強化の観点から、まず今年度は新たに、県の観光情報サイト「とやま観光ナビ」や、とやま観光推進機構のサイト「VISIT富山県」で、立山の霊山としての魅力や山岳信仰ゆかりの地を巡るツアープランを紹介していますほか、立山博物館独自のウェブサイト「オンライン立山博物館」、こちらの今月中の開設に向け、今準備を進めております。
こうした情報につきまして、県のSNSも活用しましてプッシュ型で、県民の皆様をはじめ多くの方々に周知を図っていきたいと考えております。
さらに、新年度におきましては、立山駅やアルペンルート内のホテル、山荘において、立山博物館や立山曼荼羅のPR動画の配信・放映やパネルのサテライト展示に取り組むほか、インバウンド対策としましては、海外からの観光客のニーズに詳しい専門家を招きまして観光モデルルートを造成する、このほか、立山博物館のウェブサイトへの英語版の追加など、立山博物館とその周辺の魅力など文化観光の取組についてPRを強化していきたいと考えております。
以上です。
22 ◯議長(山本 徹)市井土木部長。
〔市井昌彦土木部長登壇〕
23 ◯土木部長(市井昌彦)私から、立山エリアにつながる主要な道路の整備についての御質問にお答えします。
富山市と立山町の市街地を結び、立山エリアに至る県道富山立山公園線は、本県の産業経済活動や地域の活性化を支える主要な幹線道路でございます。このうち県では、常願寺川に架かる富立大橋について、平成27年度から4車線化整備を進めてきたところであり、今月末に完成の予定でございます。
議員御指摘の富立大橋東側の隣接区間では、令和3年センサスにおいても既に1万4,000台余りの交通量があり、橋の4車線化に伴い、今後さらなる増加が見込まれております。このため、橋の東側、立山町利田から横沢地内までの延長約1キロメートルの区間について、令和6年度の国の交付金の新規事業として採択されるよう要望しております。
この富山立山公園線と同様に、立山エリアへのアクセスルートとなる県道立山水橋線につきましても、今年度から国の交付金事業により、立山町下田地内で延長約350メートルのバイパス整備を進めており、現在、用地交渉を行っております。また、立山エリア周辺におきましては、大型観光バスなどの利用も多いことから、県道富山立山公園線の立山町横江地内の路肩拡幅や芦峅寺地内の歩道設置にも取り組んでおります。
こうした道路整備は、安全で円滑な交通の確保に加え、観光振興や交流人口の拡大にも寄与する重要な事業であることから、必要な予算の確保に努め、整備促進に努めてまいります。
私からは以上です。
24 ◯議長(山本 徹)竹内地方創生局長。
〔竹内延和地方創生局長登壇〕
25 ◯地方創生局長(竹内延和)立山砂防の世界遺産登録についての御質問にお答えいたします。
立山砂防の世界遺産登録に向けましては、これまで、歴史的な砂防施設の調査研究、国際シンポジウムの開催、国際学会でのPR等を通しまして、砂防施設の文化財指定、そして国際的な評価の確立、こちらの2つに取り組んできたところでございます。
その取組が実を結びまして、白岩堰堤、本宮堰堤、泥谷堰堤の3つの砂防堰堤の重要文化財指定が実現し、技術的な観点から国際的な評価を明らかにすることができたというふうに考えております。
一方で、国内候補リストであります暫定一覧表への記載を見据えますと、ユネスコが定めた作業指針と評価基準に合致する本質的な顕著な普遍的価値の精査と、その価値を証明する資産範囲の特定、そして世界の類似資産との精緻な比較研究、防災機能の保持に欠かせない施設の改修や強化と貴重な文化遺産の保存の両立、こういった課題が残されていると専門家から指摘を受けているところでございます。
このため、今年度に、世界遺産や砂防、土木に関わる専門家を交えたワーキンググループを設けたところであり、こうした課題解決に向けた調査研究の方針や内容を検討した上で、着実に進めていきたいというふうに考えております。
また、県民の皆様や国内外の理解、関心を一層高めることも大変重要であるというふうに考えておりまして、今後は、体験学習会や国際学会でのPRに加えまして、立山砂防の特設ホームページの開設などインターネットを活用した積極的な情報発信にも努めてまいりたいというふうに考えております。
立山砂防の世界遺産登録には、まだまだ息の長い取組が必要だというふうに考えておりまして、引き続き新たな国内候補の掘り起こしに向けた国の動きを注視しつつ、国や関係機関・団体と連携協力して、残されました課題を一つ一つクリアしながら粘り強く進めてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
26 ◯議長(山本 徹)荻布教育長。
〔荻布佳子教育長登壇〕
27 ◯教育長(荻布佳子)私からは3問お答えをいたします。
まず、夜間中学についての御質問にお答えいたします。
夜間中学は、義務教育を修了していない方や、不登校などにより十分な教育を受けられないまま中学校を卒業された方、外国籍の方など、様々な背景を持つ方々に義務教育を受ける機会を実質的に保障して、学び直しなど多様な学びに応える役割が期待をされております。
夜間中学での学び直しは、自らの能力を高め希望する進路を選択できることや、生きがいを持って心豊かに生きることにつながるものであり、希望する方が安心して学べる機会や場所を提供することは大切なことというふうに考えております。
夜間中学については、まずは就学を希望する方の志望動機や年齢層、必要となる外国語など具体的なニーズを把握した上で、教育環境の整備を検討していくことが必要であります。
そこで、新年度においては、夜間中学について県民の皆さんに広く周知をするとともに、学び直しのニーズを把握するために、はがきやSNSを活用した
アンケート調査、そして関係団体への聞き取り調査などを実施したいというふうに考えております。
また、これまでも、夜間中学が既に設置をされている自治体や開設準備を進めている自治体に対して、訪問ですとか電話での聞き取り調査などを実施してきておりますが、今後さらに現地での視察などを行い、成果や課題、取組状況などについて、より詳細に情報収集を行っていきたいと考えております。
今後、こうした調査により把握した学び直しのニーズや、議員御指摘の石川県など先行県の情報を参考にしながら、市町村教育委員会や関係機関・団体とも十分に協議検討を重ねてまいりたいと考えております。
次に、県立高校の募集定員についての御質問にお答えをいたします。
県立高校の募集定員については、公私比率や普職比率に配慮することなどを前提としまして、地域別の中学校卒業予定者数の動向、また、各学校の入学志願者の推移、そして、これまでの学級増減の経緯など、様々な観点から検討を重ねまして、教育委員会で総合的に判断をして審議の上、決定をいたしてきております。
こうした考え方により、議員から御指摘のあったように、平成15年には上市高校を1学級減としております。一方、雄山高校の普通科については、平成22年度に1学級増、平成26年度に1学級減としており、令和3年度には、生活文化科を10名減として、上市高校もこの年は10名減としているところであります。
また、令和5年度の雄山高校の普通科1学級減と生活文化科10名の増につきましては、新川学区内の中新川郡で、前年と比べ中学校卒業予定者数が大きく減少したことや、平成26年度以降、中新川郡の中学卒業予定者数が累積で120名余り減となっていることに対し、中新川郡内の県立高校では募集定員を20名減じたのみで、学級数の減をしてきていなかったことも考慮したものであります。
議員からは、定員割れについても御指摘がありました。定員割れについては、中学生の志願動向として考慮するものの一つというふうに考えておりますが、まずは第1次選抜が第1志望と考えることができますので、その動向を示す一般志願倍率は重要な指標であるというふうに考えております。
上市高校では志願倍率が1倍を超える年度もございましたので、こうした志願状況を考慮し、また、全県的な学科の設置状況についても配慮した上で、判断をして募集定員を設定してきたところであります。
県立高校の募集定員は、こうした様々な観点から総合的に判断をしてきたものでございますが、今後も中学校卒業予定者数が減少し、募集定員の減が避けられない中、適切な定員設定となりますように対応をしてまいります。
次に、高校の再編への県民の皆さんの意見の反映についての御質問にお答えいたします。
教育委員会では、県立高校教育振興検討会議におけるこれまでの議論と検討の概要を御説明するため、今年1月に県立高校教育振興に関する市町村との意見交換会を開催しまして、市町村長、そして教育長の皆様に御参加をいただき御意見を頂戴したところであります。この意見交換には、新田知事にも御参加いただいたところです。また、県立高校教育振興フォーラムを富山と高岡の2会場で開催いたしまして、県民の皆様からも御意見を頂戴しました。
これらの意見交換会やフォーラムでいただいた御意見は、先月12日に開催された知事主宰の総合教育会議において報告をし、新田知事からは、「令和6年度は総合教育会議の場でも、地域、産業界、保護者など幅広く御意見を聞いた上で議論を進めたい」との発言があったところでございます。
こうしたことも受け、令和6年度の総合教育会議においては、地域や産業界、保護者の代表の方などに御出席をいただいて、今年度末に取りまとめられる予定の検討会議の提言も踏まえまして、幅広く御意見を伺いながら、県立高校の在り方に関する基本方針や新しい学科・コースの開設などについて丁寧に議論を進める予定とされております。
また、あわせて総合教育会議での検討概要に関する意見交換会を県内各地域において開催する予定としておりまして、地域をはじめとする様々な方からいただいた御意見は、総合教育会議において、知事を含め教育委員の皆様にも御報告をして、丁寧に検討を進めていただきたいというふうに考えております。
私からは以上です。
28 ◯議長(山本 徹)中谷商工労働部長。
〔中谷 仁商工労働部長登壇〕
29 ◯商工労働部長(中谷 仁)私からは、震災の影響を受けた事業者に対する支援についてお答えをいたします。
今回の能登半島地震により被災された事業者の中には、当面の応急処置により生産体制を維持されている事例も多くあるというふうに聞いております。
なりわい再建支援補助金等による施設設備の復旧支援に当たりましては、各事業者の実情に即し、今後、時間をかけた検討などにも寄り添った支援に努めてまいりたいというふうに考えております。
また、御質問いただきましたとおり、あわせて震災の影響で落ち込んだ業績の回復を図るために、各事業者の実情に応じ、国、県等の各種補助金や融資制度などを総合的に活用いただくことにより支援をしたいと考えております。
融資制度につきましては、1月15日に震災対策特別融資を創設するなど、中小企業の資金繰り対策に取り組んできておりますが、当初予算におきましては、直接被害を受けた事業者に加え、地震の影響により売上げが減少した事業者も対象とすることを盛り込んでおります。
また、売上げ回復のため、国の小規模事業者持続化補助金や県の中小企業チャレンジファンド事業による販路開拓、新商品開発等への後押しのほか、生産性向上、省エネ等による付加価値の向上を図るため、先月26日から募集を開始いたしました中小企業トランスフォーメーション補助金を御活用いただくなど、DX、GXの取組も促進してまいりたいと考えております。
さらに、消費の活性化につなげるために、被害を受けた商店街等がにぎわいを取り戻すために行うイベント、商工団体や商店街等によるプレミアム商品券の発行等の支援に取り組んでいるところでございます。
今後とも国、市町村、支援機関とも連携をし、復旧はもとより事業再建に向けた意欲的な取組を支援し、地域経済の再生を図ってまいります。
以上でございます。
30 ◯議長(山本 徹)有賀厚生部長。
〔有賀玲子厚生部長登壇〕
31 ◯厚生部長(有賀玲子)私からは、罹災証明の発行についてお答えいたします。
罹災証明の発行は市町村で行われるべき業務でございますが、地震の発生後、県内の各市町村では、速やかに罹災証明書の申請受付が開始されております。県全体としては、2月25日時点で罹災証明書の申請件数1万5,378件に対して、約75%の1万1,519件が交付済みとなっております。
県では、罹災証明書の発行が速やかに進みますよう、被災市からの求めに応じまして、1月6日から本日までに延べ269名の県職員を高岡市、氷見市、射水市に派遣するとともに、県内市町村や福島県などの全国の自治体にも御協力をいただき、必要な職員を派遣できるように努めております。
今後とも、罹災証明書の速やかな発行や被災者からの再調査の依頼があった場合の対応に万全を尽くすため、県職員の派遣を継続するほか、県内市町村や他県自治体の協力も得て、市町村の罹災証明書の発行を支援してまいります。
以上です。
32 ◯議長(山本 徹)石井警察本部長。
〔石井敬千警察本部長登壇〕
33 ◯警察本部長(石井敬千)私からは、違法薬物への対応についての御質問にお答えいたします。
まず、薬物事犯の検挙につきましては、過去3年の県内における検挙人員──検挙した人数でございますが、令和3年以降昨年まで、順に70人、58人、55人となっております。そのうち5から6割が29歳以下の若年層であり、とりわけ薬物事犯のおおむね半数を占める大麻事犯については、若年層の検挙が令和3年以降36人、22人、25人と推移しており、大麻の検挙人員の約9割を占め、昨年は高校生2人を含む20歳未満の者11人が検挙されるなど、若年層における薬物、とりわけ大麻の蔓延が懸念される状況です。
また、危険ドラッグについては、県内の検挙は昨年までの3年間で3人ですが、全国的には大麻等の類似成分を含む危険ドラッグによる健康被害が確認されるなどの状況が認められております。
県警察では、若年層が薬物と接点を持ちやすいサイバー空間に対する警戒をはじめ、末端乱用者の徹底検挙や、昨年は、県内過去最多の押収量となる覚醒剤約113キロの大量密輸事案を大阪税関との合同捜査で検挙しておりますが、このように県内外における密売組織の摘発を推進しております。
また、大麻を中心に蔓延が認められる若い世代に対して、早い時期から心身への影響等薬物乱用の恐ろしさに対する正しい知識と自分を守る対策を身につけさせるために、これまで、教育機関との連携による薬物乱用防止教室やSNS危険防止研修会を開催し、昨年1年間で小中高校等に対して延べ102回、約1万4,500人の児童生徒や保護者の皆さんを対象として実施し、危険ドラッグを含めて違法薬物の有害性を周知しております。
県警察では、引き続き関係機関とも連携しながら、末端乱用者を含む薬物犯罪の検挙を徹底するとともに、広報啓発活動などを行うことにより薬物乱用防止に努めてまいります。
34 ◯議長(山本 徹)亀山彰議員。
〔22番亀山 彰議員登壇〕
35 ◯22番(亀山 彰)教育問題では、予算特別委員会でやらせていただきましたけど、一般質問のほうがインパクトがある。納得いく答弁がいただけなかったものですから、させていただきました。
まず、県下一円、受検生にとっては選べる高校となったわけですが、「新川学区内においても」という表現が出てきます。新川学区は──もちろんそうやって地域的なことを言うのは分かりますけど、例えばですけど中部厚生センターは富山地域医療推進対策協議会の中に入っていると。富山市と中部──要は滑川、上市、立山町、舟橋村、そういう感じのところで広域圏をつくっていると。そして、小矢部にもある砺波厚生センターは砺波学区ということになりますが、そこには総合学科はございません。
ということは、学区で分けるというのはいかがなものかと。今、これだけ、生徒は移動するものという表現で幾つかの答弁をいただきました。そういう中で、今の答弁は分かるのかどうか。
それと、第1次選抜試験を優先という、それは、第1志望のとき同数であれば、それはそれでよし、多ければ多いでよしなんですけど、結局、最終的に定員割れを起こすということは、第2次選抜も志望校だと言ったのは、これは教育長ですよ。それからすると、ちょっと相反する答えではないかなと思っております。
今、立山町の中では、先ほどもちょっと中身を言いましたけど、この中には上市高校を卒業された方がたくさんおいでになります。おいでになりますけれど、1つだけ、はっきりしておかなきゃいけないと思います。立山町の中でどういううわさが立っているか。前教育長が上市町の方だから、委員の中に仕えている人がおいでになるからだ、そういううわさが立っています。これはどう捉えるんですか。やっぱり中身をしっかりと精査していただき、総合的とはどういう意味なのか、ちょっと判断していただきたいなと思います。
総合的な判断について、もう一度お伺いいたします。
36 ◯議長(山本 徹)荻布教育長。
〔荻布佳子教育長登壇〕
37 ◯教育長(荻布佳子)亀山議員からの再質問にお答えをいたします。
募集定員を設定するに当たっての総合的な考え方ということでございますが、繰り返しにはなってしまいますが、これまでの募集定員の考え方としましては、地域別の中学校卒業予定者数の動向、そして入学志願者の推移、これまでの各学校の学級の増減の経緯など、様々な観点から検討をして判断しているところでございます。
地域の考え方ということについても御指摘を頂戴しました。新川学区の中で生徒数を見ていくというのが、今後もそれが適切なのかという問題提起を頂戴したのかなというふうに思います。
これまでのところ、各学校の生徒の通学状況を見ますと、やはり地元の学校に通う生徒さんというのが最も多くなっているというのが一般的な傾向としてございました。ほとんどの学校がそういったことでございまして、そういったこともあって、学校の地区の中学校卒業予定者数の推移というのに着目してきているところでございます。
ただ、圏域を考えるときに、行政分野についていろんな区分の仕方も別にあるという御指摘も頂戴しましたし、これまでの定員を考えるに当たっても、例えば立山町、雄山高校というのは新川学区という考え方で本当によいのだろうかという問題提起をいただいたことも正直ございます。本日もそういった御意見だったかと思います。
そういった御意見も踏まえまして、今まさに今後の高校の在り方として検討会議の中で検討を進めておりますし、来年度、総合教育会議の中で、高校の在り方、再編ということも含めて大きな議論をしてまいりますので、様々な視点に立って検討を進めていきたいと思いますし、こうした検討を踏まえつつ、今後の学級編制についても適切な設定になるように検討をしてまいりたいと考えております。
以上です。
38 ◯議長(山本 徹)以上で亀山彰議員の質問は終了しました。
暫時休憩いたします。
午前11時47分休憩
───────────────────
午後1時00分開議
39 ◯副議長(奥野詠子)休憩前に引き続き会議を開きます。
菅沢裕明議員。
〔34番菅沢裕明議員登壇〕
40 ◯34番(菅沢裕明)立憲民主党議員会の菅沢であります。
最初に、能登半島地震に関して質問します。
冒頭、亡くなられた方々に心から哀悼の意を表するとともに、県内、氷見市でも多くの方が被災され、今このときも苦しみながら歯を食いしばって生活しておられます。心からお見舞いを申し上げます。
さて、氷見のこのまちで、この地区で住み続けることができる希望が欲しい。これは被災者の方々の切実な願いであります。被災者の命と健康を守り、生活となりわいの再建を全力で支えることが県や関係自治体の最優先の責務であります。
ところが、政府が決定した
支援パッケージはどうか。住宅再建のための被災者生活再建支援金は最大でも300万円。これは2004年、20年前の水準のままで、資材高騰、経済社会情勢の大きな変化を考えるなら、こんな金額では住宅再建はできないと増額を求める声が強いのであります。支援対策についても、半壊、準半壊、一部損壊まで拡大すべきであります。県は半壊について独自の支援を実施することにしましたが、そもそもこの制度の根幹に問題があります。知事はそう思いませんか。
全国知事会が拡充の方向で動いていると知事は述べられますが、事態を動かすような力強いものにはなっておりません。知事には、この支援金が従来並みの支援にとどまるのではなく、被災者の生活再建に必要な現実的な金額となるよう、大幅な引上げと支援対象の拡大に向け、もっと力強く訴えていただいて、迫力のある行動も、もっと展開していただきたい。いかがですか。
被災者生活再建支援金について、2月27日、政府は、高齢者世帯などに住宅再建を支援するため最大300万円を追加する新たな交付金制度を発表しました。既存の支援金と合わせると最大で600万円が支給されることになります。
ただ、この追加される交付金は、対象が高齢者世帯などに限られるだけでなく、能登地域6市町に限定されるもので、氷見市など富山県や新潟県は対象外です。同じ被災者と地域を差別する不当な取扱いで、批判が相次いでおります。
知事も28日の代表質問に対し、富山県でも同じように実施されるよう、全国知事会と共に政府に求めていくと答弁されました。しかし、全国知事会の中には、負担増に、つまり交付金の財源の2分の1を負担しなければならないことから、慎重論があると報道されております。それなら、国の財源負担を3分の2などに増やすことを強く求めたらどうですか。
また、県内においても、被災者支援に関係自治体で格差がないようにするための県の役割が問われております。県として自ら、災害の特別の深刻さに見合った独自の支援策をもって、被災者や関係自治体を支援すべきであります。知事に質問いたします。
液状化で廊下が波打ち、畳が盛り上がり、家が傾いている半壊の罹災証明を受けた住宅で暮らす老夫婦の方を訪ねて話をしました。この家にいると気分が悪くなると話し、引っ越すところを探しているが、お金のことがあると訴えておられました。家屋では、傾きが100分の1を超えると住んでいる人は苦痛を感じ、傾きが100分の1.5になると、長期的に居住すると健康障害が出ると言われております。
今回の地震で、液状化による建物の傾斜、倒壊、沈下などの被害が多発しましたが、どれくらいの数になるのか。被害の状況は把握できているのでありましょうか。また、液状化はどのような場所で発生しているのか。
氷見市では、海岸沿いの砂地の町部や集落、川沿いの低地などに被害が集中し、2月28日現在で、全壊が158戸、半壊が340戸、準半壊が608戸、一部損壊が3,055戸となり、県下でも住宅の損壊は2万近くになっておりますが、これらのうち液状化による被害は、氷見の場合は2,000戸を超えると推計をされております。
液状化の中での住宅再建には大きな費用負担が伴い、地盤改良には特殊の技術が必要で、支援が求められます。県は、準半壊以上の木造住宅の液状化復旧に最大120万円の補助制度を創設しましたが、液状化対策の概算費用のモデル、建物補修で最高200万から300万円、建て替えで最高150万から800万円が示されておりますけれども、こうした状況の中で120万円では低過ぎるという声が多くあります。
氷見市などでは、家並みが続く海岸近くの県道沿いで、延長約1.5キロ、幅100メーターから200メーターの広範な地域に液状化の被害が集中いたしております。そうした中で、特別な調査や対策が必要になっております。熊本地震の例などを参考に、基金の創設、活用等ができないのかであります。
知事は、液状化により多発する被害の実態を具体的に深刻にもっと受け止めて、被災者の声に耳を傾けて、私はもっと手厚い支援策を取るべきだと考えております。
液状化による被害は、建物、住宅以外にも道路、下水道などの公共インフラ施設、河川堤防、港湾施設などでも多発いたしております。噴砂、噴水の現象があちこちで起き、地盤の沈下、浮上箇所が数多く見られ、地盤の流動も確認をされております。こうした中で、道路の陥没、亀裂、上下水道の破損が多発し、建物の傾斜、倒壊、損壊などの被害が甚大でありました。堤防、護岸、擁壁なども大きな被害を受けております。
こうした被害状況はどのように把握をされているのか。今回の災害は液状化によるものが多いと考えられますが、液状化対策を踏まえた復旧はどのように進められるのか、土木部長に質問いたします。
また、農地、農業用水施設や漁港などにおいても、液状化の被害が多発をいたしております。被害状況はどのように把握をされているのか。今春の作付に向けて復旧の見通しはどうなるのか、農林水産部長に質問をいたします。
震災からの生活となりわいの再建に向けた支援策と同時に、強烈な地震による県内の被害は甚大かつ多岐にわたっております。住宅被害の多発のほかに、公共インフラの被害、農業・漁業施設の災害も大きなものがありました。また、観光業はキャンセルが続き、中小の製造業でも深刻な影響が出ております。
こうした中で、早期の復旧・復興が急がれますが、今回の災害の全体像や被害総額、既に県は1、2月の補正予算などで復旧・復興に着手をいたしておりますし、令和6年度当初予算でも対処されますが、必要財源の確保や事業の見通しはどうか、知事に質問いたします。
県は、2月27日に復旧・復興に向けたロードマップを公表いたしましたが、骨子にすぎません。今回の災害の深刻さに見合った思い切った異例の措置を、国がやらないなら県がやるぐらいの気概と使命感を持って、ちゅうちょなくスピード感を持って実行する必要があります。そして、関係自治体、市にしっかり寄り添って徹底して支援していくことを求め、知事に質問いたします。
被災後、地域のコミュニティーをどう維持していくかが大きな課題であります。もう一度家を建て直して頑張ろうと言ってみても、高齢であったり、若い方でも支援金などが少なく、お金を借りられるのか、また返す見通しが立たない。被災した地域、氷見市内に残って生活を続ける困難が多いという話をたくさん聞くのであります。
そこで、宅地は公有地や寄附などで対応し、そこに災害公営住宅を建てて、住み慣れた土地で住み続けることができないかということであります。それができればコミュニティーを少しでも残せるのではないか。関係自治体、氷見市などは、この事業への意欲を示しておりますが、どのように、どこまで協議が進んでいるのか、県として実現に向けて積極的に支援できないか、土木部長に質問いたします。
能登半島地震の1月1日午後4時10分の発災時、突然の5強の強震、これは県民が初めて経験する大地震でありました。そして、津波の襲来予告に驚愕したものであります。そして甚大な被害を受けました。
この地震は、専門家の解析によると、2020年12月頃からの石川県珠洲市周辺の群発地震に連動して、能登半島北側の海域の活断層が長さ150キロにわたって震源域となったもので、マグニチュード7.6の巨大地震でありました。
これまでは、能登半島北方沖の活断層──F43と言われておりますが──については長さ50キロの想定でマグニチュード7が、石川県の地域防災計画の被害想定で取り上げられ、建物全壊120戸、死者7人とされておりました。こうした想定と今回の被害の実態の大きな開きに、私は愕然といたします。
今回の地震については、石川県だけでなく富山県としても、事前に予測はできておりませんでした。被害想定も全くありません。備えも全く行われてこなかったことは重大であります。これは、私は県の防災担当部局の責任を問われる──知事自身もそうだと思いますが──事態と言えると思っております。
この地震について、石川県災害危機管理アドバイザーで、富山県防災会議地震対策部会長の室崎益輝神戸大学名誉教授は、「自戒を込めて、想定が甘かったと言える。多くの犠牲者を出したという意味で、過去の教訓を生かせなかった面があった」と、新聞報道ですが率直に述べていらっしゃいます。
県はこれまで、能登群発地震の本県への影響や県内の主要活断層の調査を国に要望する程度の動きでありまして、自ら進んで何かをしようとしたことはほとんどありません。過去6年間、県の地震対策部会は開かれてもおりません。
こうした事態をどのように反省して、ある意味ではちゃんと責任を取って、今後どのように生かそうとしておるのか、危機管理局長に質問したいと思います。
県内主要活断層、例えば砺波平野断層帯東部、魚津断層帯など、加えて高岡断層、射水断層などについても、被害想定は、もちろんでありますが、いまだ国頼みで、地震に備える県の積極的な姿勢は全く見えないのであります。甚大な被害が想定される富山湾西側の断層TB1、TB2は連動によると巨大な地震と津波が想定されておりますが、これは参考扱いにされたままであります。こうした県の判断の背景には何があるのか。
こういうことが県の幹部から発言があって、以前に私は驚いたのでありますが、「想像を絶するような地震や津波高の想定は、防災対策への県民の意欲を断絶してしまうという逆効果を生む。適度な被害想定にする必要がある」、これは県の幹部がちゃんと公式に述べた見解ですよ。こういうことを皆さんは受け入れられますか。こうした発想、基本姿勢は今も変わっていないのではないか。知事や危機管理局長はいかがですか。
能登半島地震の余震が続き、専門家は再び大地震の可能性を指摘し、周辺の活断層、例えば氷見市、高岡市などに甚大な被害が想定されている邑知潟断層帯との連動が、専門家によって今警告されております。富山湾の海底地滑りによる津波についても指摘されております。最大のリスクを想定し備えることが、県の防災危機管理の基本でなければなりません。
全国県庁所在地都市との比較で地震発生確率が低いことを殊さら宣伝したり、地震の少なさを企業誘致で売り込んだりする姿勢は、改めるべきであります。富山県は地震が少ないなどの安全神話にとらわれ、県の地震・津波対策は新田県政になっても全く進んでおりません。安全神話から脱却をして、防災先進県こそ目指すべきであります。知事に質問いたします。
今回の地震では、震源となった能登半島北側の断層帯についての基本的な認識を欠き、警戒感もなく、もちろん備えも不十分だったことは、石川県はもとより富山県としても大きな反省点であります。
加えて、能登地方では救助活動の遅れが指摘されました。県内でも道路の渋滞で避難行動が混乱し、避難所が開かれない、体制が整わないといった避難所整備が課題となっております。また、水道の断水の長期化、避難住宅の用意が進まないなど、暮らしへの応援にも支障がありました。液状化による被害も多発いたしました。
東日本大震災以降、ここ数年でも全国で大きな地震が続発し、2020年12月からは能登半島群発地震も続いておりました。しかし、先ほど申しましたように、過去6年間、県の地震対策部会は開催されず、新田県政に替わっても県防災計画の見直しは進みませんでした。こうしたことを後回しにする県政は改めなければならないと私は考えます。
今回の地震を経験した中で、反省と検証を中心に据えて県の地域防災計画を見直すべきであります。知事に質問をいたします。
今回の地震で、北陸電力志賀原発は想定を超える揺れに襲われました。重大なトラブルが続発をしました。外部電源から電力を受ける変圧器が破損、一部途絶えたままで復旧に半年を超えるという見通しが示されております。
この事故で、2万リットル以上の油漏れ、原発周辺のモニタリングポスト116か所のうち18か所が欠測の状態になるなど、地震で志賀原発のリスクが露呈されました。今回の地震での活断層の活動範囲は、北陸電力の想定を超え、専門家は志賀原発から北9キロの富来川南岸断層が連動して動いたことを立証しております。
こうした重大なトラブルが続発する中で、国は、警戒事態に当たるとして原子力規制委員会・内閣府原子力事故合同警戒本部を設置し、PAZ、5キロ圏内の要配慮者の避難の準備を求める事態となっておりました。
こうした志賀原発の事故の発生と経過は、北陸電力から逐一的確に県に情報提供されたのでありましょうか。二転三転があったとされていますが、どうだったのか。こうした重大なトラブルの続発を知事はどのように受け止めておられるのか、質問をいたします。
最後に、今回の地震で志賀原発の30キロ圏内の通行止めは、能登地方では16路線30か所に及び、氷見市内でも数か所ありました。能登地方の避難道路の過半が寸断され、避難不能となりました。能登では、道路寸断により8日間も孤立した集落もありました。また、能登地方の放射線防護施設も損傷し、その実効性が問われました。
原発事故が起きたら、住民は避難さえできないことが白日の下にさらされました。原発事故の際の避難計画が机上の空論にすぎないことは明白であります。地震と原発事故が同時に起きる原発震災では、避難が難しいことが目に見える形で実証されたわけであります。
それでも再稼働と言うのでしょうか。志賀原発が再稼働していなくてよかったとの声が地域に多くあります。知事はこうした事態をどのように受け止めておられるのか質問をし、一般質問を終わりたいと思います。
時間の関係で早口になったかもしれません。お許しください。
41 ◯副議長(奥野詠子)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
42 ◯知事(新田八朗)菅沢裕明議員の御質問にお答えします。
まず、被災者生活再建支援金についての御質問でした。
被災者生活再建支援制度は、従前から全国知事会としても支給額の増額を国に求めてきており、昨年7月にも、支給額の増額、適用条件の緩和、また国負担の強化など、さらなる充実を要望しているところです。
また、今回の能登半島地震を受け、私からも、
松村防災担当大臣をはじめ国に対し、被災者生活再建支援金の増額など、さらなる生活再建支援の拡充を要望しております。
今回の震災を受け、県ではいち早く、国の支援制度の対象とならない半壊世帯に対し、県独自に最大100万円を支援することとしたほか、今回の液状化被害を受け住宅の耐震化支援制度を拡充し、新たに地盤改良などの建物の基礎補強工事などを対象に、最大120万円を支援できるよう準備を進めています。
こうした支援策の拡充により、国の支援制度に加え、災害救助法の住宅の応急修理制度、また、今回の液状化被害を受け新たな住宅の耐震化補助金の活用のほか、知事見舞金の支給を最大限に組み合わせることにより、ある程度まとまった支援を受けていただけるものと考えております。
県としては、生活再建に向けた被災者の負担を少しでも軽減できるように、引き続き全国知事会とも連携し、被災者生活再建のための支援のさらなる充実を国に働きかけてまいります。
次に、被災者支援の格差についての御質問にお答えします。
被災者支援については、従前から全国知事会として、被災の実情に応じた公平な救済制度とすることを国に求めてきていますが、国は、石川県内の特に被害が大きいとされる6市町のみを対象に、被災者生活再建支援金300万円に加え、新たな交付金300万円を合わせ、最大で600万円を交付することを決定されました。その理由として、「能登半島は高齢化率が高く、家屋を建設できる土地が極めて少ないといった地理的制約がある」としておられます。
私自身も、国の制度は、対象地域と隣接しており同程度の被害を受けている富山県の被災者も対象とすべきと考えており、
松村防災担当大臣をはじめ国に対し、その旨を強く要望しております。引き続き国に対して、同程度の被害に対して不公平な取扱いとならないよう、県議会の皆様と共に強く求めてまいりたいと考えます。
一方で、今回の地震における液状化などの住宅被害や被災者のニーズは、地域によって事情が様々に異なっていることです。そのため、市町村において各地域の実情に応じた独自の支援策が講じられています。
県においては、被災市の声を聞きながら、国の
被災者生活再建支援制度の対象とならない半壊世帯に対し県独自に支援することとしましたほか、議員御指摘の災害の特別の深刻さに見合った独自の支援策として、住宅再建に大きな支障となっている液状化被害の深刻さに鑑み、住宅耐震化の支援制度を拡充し、地盤改良などの建物の基礎補強工事にも活用していただけるよう、被災市と共に準備を進めています。今、それぞれの市と丁寧に議論をして意見交換をしているところです。
県としましては、被災者が今後の生活再建を円滑に、そして安心して進められるよう、引き続き市町村と連携して被災者に寄り添った支援に取り組んでまいります。
次に、液状化についての御質問にお答えします。
今回の地震による住宅被害は、2月26日現在で1万2,185件となっています。このうち液状化が原因と見られる被害については、国、県、市町村による勉強会において、氷見、高岡、射水、富山の4市から状況報告をいただいたところ、いずれも海沿いの砂質土が分布する地域を中心に発生しているとのことでした。
こうした状況を踏まえて、各市と情報共有をするとともに、防災大臣や国交大臣に対し、液状化対策への技術的・財政的支援を働きかけるなど、県議会、市町村、関係機関と共に、総力を結集して対応に当たっているところです。
液状化で被災した住宅の復旧については、災害救助法の住宅の応急修理制度、国や県の
被災者生活再建支援制度の活用が可能です。今回の被害の大きさに鑑み、国や市町村と調整し、住宅の耐震改修の支援の対象に地盤改良など建物の基礎補強工事等を追加することとし、準備を進めています。ちょっと繰り返しておりますが、私たちとしても工夫をしたところなので、ぜひ御理解をいただきたいと思っております。
また、技術的な支援についてですが、さきの勉強会において、公共事業の先進事例などの情報を共有するなどにより培われた知見を基に、今後、調査などの取組が進んでいくものと理解しています。
さらに、住宅所有者に対しては、さきに実施した相談会に続き、今月、実務的なセミナーを氷見市と高岡市で開催し、建て替え、補修方法などの具体的な相談支援を実施する予定としております。
議員は、復興基金の創設活用などについても言及をされました。熊本地震における復興基金は、国による補正予算編成と地方交付税法の改正を経て創設をされたものと理解しております。被災者の生活支援や被災宅地の復旧支援、住まいの再建など、主として被災市町村が行う事業に活用されています。
今回の能登半島地震に際して、本県としても国に対して、復興基金等の手厚い措置などについて要望をしてきております。
国においては、災害に係る自治体の財政需要は特別交付税などにより対応することを基本としており、基金の創設については、巨大な災害が発生し毎年度の措置では対応が難しい場合の極めて例外的な措置とされており、これまで、東日本大震災と熊本地震のときなどに、特に被害の大きい県に限定して設置されています。松本総務大臣からは、自治体の財政運営に支障がないよう既存の制度を使ってしっかり対応していく旨、回答をいただいております。
引き続き、県内の被害状況を踏まえて、市町村からの声に耳を傾けながら、被災自治体に寄り添った支援を求めていくとともに、国に対しては、復旧・復興のための予算の確保、補助制度の弾力的な運用をはじめ、国補助制度の対象にならない単独事業への財政支援を要望してまいりたいと考えております。
次に、被害の全体像、復旧・復興の支援についての御質問にお答えします。
今回の地震、先ほど述べました液状化現象の影響もあり、大変に甚大であり、かつ多岐にわたって被害が生じています。家屋については1万2,000件を超える損壊が確認され、県では、損壊した住宅の応急修理、賃貸型応急住宅の一時提供、また、国の
被災者生活再建支援制度の対象とならない半壊世帯を県独自で支援する制度を創設するとともに、液状化被害の深刻さを鑑み補助制度を拡充する準備を進めています。
公共インフラ関係は、道路、河川、港湾等の公共土木施設では計288か所、土地改良施設や漁港などの農林水産関係では計2,501か所の被害が確認されています。土木関係は、現在、災害査定を順次受けており、農林水産関係は、被害状況の調査や応急工事を現在進めており、農林水産業の継続に向け復旧に取り組んでおります。
また、県内企業の再建については、先月6日に、なりわい再建支援事業費を含む補正予算を専決処分し、先月の28日、おとといから補助金申請の受付を開始しています。
宿泊施設では、キャンセルなどにより1月分の推計で20億円を超える損失が見込まれており、観光産業を一刻も早く支援するため、先月20日から県独自の応援クーポンを配付し、また、今月の16日からは北陸応援割を開始する予定にしています。
今後の復旧の見通しを県民の皆様、企業の皆様と共有できるように、先月27日に開催した復旧・復興本部員会議におきまして、中長期的な視点を持って取組を進めるロードマップの骨子を取りまとめたところです。骨子ですから骨子です。これからこれを肉付けしていくということで御理解をいただきたいと思います。
引き続き、被災者、企業の皆様のニーズや市町村の意見を丁寧に聞きながら、一日も早い生活やなりわいの再建に取り組んでまいります。
次に、県の地震・津波対策が進んでいないことへの御質問にお答えします。
県では、災害に強い安全・安心な県づくりに向けて、これまで、国の施策を待つばかりではなく、また安全神話にとらわれることなく、県としてできる対策を着実に進めてまいりました。具体的には、ハードの対策としては、主要な道路や橋梁などの緊急通行確保路線の整備強化、木造住宅や社会インフラの耐震化の促進、震度情報ネットワークシステムの回線を二重化し災害に強い通信体制を構築する。また、ソフト対策では、地震、津波に関する防災情報のSNS等による情報発信の充実、地域防災のリーダーとなる防災士の育成・拡充、共助の要となる自主防災組織による地区防災計画の策定促進などに取り組んでいます。
今回の地震では、県内においていまだかつてない住家被害が発生しており、今後の大規模災害に備える上で、これまで以上に地震・津波対策を強化する必要があることを強く実感をしております。多くの教訓を得られているというふうに考えております。
県では、これまでも地震被害想定調査及び津波シミュレーション調査を実施しているが、議員御指摘のとおり、県内の主要活断層や海域断層の中には調査が十分進んでいないものがあるのも事実です。
こうした断層を含め、県としてどのような調査が必要か、また可能かなどについて、専門家の意見を聞きながらスピード感を持って検討を進めます。県としては、最大のリスクを想定し備えることを旨として、今後とも地震・津波対策を進めてまいります。
次に、地域防災計画の見直しについての御質問にお答えします。
発生する可能性のある大規模な災害を予測して被害を想定することは、防災対策を推進する上で重要であり、県の地域防災計画においても、科学的知見を踏まえ、あらゆる可能性を考慮した最大クラスの地震や津波を想定し、その想定結果に基づく対策を推進する必要があります。
今回の地震は、これまで経験したことのない甚大な災害であり、議員御指摘のように、災害対応において様々な問題が発生したことから、こうした現状と課題等を確認するため、先月中旬に県内市町村との振り返り会議を開催しました。市町村からは、住民の避難行動や避難所の開設・運営についての意見が多く出ました。
県では、こうした意見も踏まえて、新年度には、住民の避難行動や県の初動対応、応急対策などについて検証する外部有識者も交えた検証会議を開催することとし、必要な予算を今議会に提案させていただいております。今後、迅速に検証作業を進め、令和6年度中には、防災体制の見直し、地域防災計画をはじめとする各種計画、マニュアルの改定に反映をさせます。
また、これまでの本県の地震想定は、跡津川断層、呉羽山断層帯、法林寺断層及び砺波平野断層帯西部、また本県に隣接する森本・富樫断層帯及び邑知潟断層帯を震源とする地震が発生した場合を想定してまいりました。今回の震源として可能性の高い能登半島北部の断層については想定しておりませんでした。
こうした点についても、外部有識者の御意見をお聞きをして、今回の震災を教訓として十分な検証を行い、引き続き災害に強い安全・安心な県づくりの実現に努めてまいります。
次に、
志賀原子力発電所の事態についての御質問にお答えします。
今回の地震により、原子力発電所が立地する志賀町において震度7を観測したことから、国の防災基本計画に基づき、原子力規制委員会・内閣府原子力事故合同警戒本部を立ち上げています。
地震により、変圧器からの油漏れや使用済み燃料貯蔵プール水の飛散をはじめ、外部電源の1系統が損傷し使用できなくなるなど、志賀原発内でも様々な事象が生じました。北陸電力からは、情報提供に関する連絡基準に基づく通報や、原子炉施設の安全確保及び外部への放射能の影響はない旨の報告を適時いただきました。
そうした中、国への報告の修正が相次いだことから、経済産業省から北陸電力に対し、正確な情報発信をするよう指示があり、本県からも北陸電力に対して、安全対策の徹底と正確かつ迅速な情報提供を申し入れています。
志賀原発については、現在、原子力規制委員会において新規制基準への適合性審査が行われており、断層の活動性評価などについても、今回の地震による知見も追加的に考慮して審査が進められると認識しています。
県としては、専門家による様々な視点からの科学的調査、分析、検証等を行った上で、総合的に判断していただくことが重要と考えており、国において安全・安心の確保を最優先として審議を進めていただきたいと考えております。
最後に、原発事故の際の避難計画についての御質問にお答えします。
県及び氷見市では、国の原子力災害対策指針を踏まえた県避難計画要綱及び氷見市住民避難計画を策定し、あらかじめ避難方法や避難経路などを定めています。
今回の地震では、能越自動車道などの道路が通行できなくなったわけですけれども、氷見市内では孤立集落は幸い発生しておらず、あらかじめ定めた代替経路を用いることが可能となっていました。
しかしながら、今回の地震は本県にとってこれまでに経験したことのない規模の災害であり、議員御指摘のとおり、UPZ内でも全壊する家屋などが発生し屋内退避が難しいケースもありました。
氷見市住民避難計画では、自宅における屋内退避が困難な場合には一時集合場所において屋内退避を実施することとしていますが、仮に原子力災害が併発した場合に、一時集合場所への案内や屋内退避が継続できたかなど、改めて、氷見市と共に詳細に検証する必要があると認識をしております。
屋内退避については、今後、実施期間を含めて原子力規制委員会で効果的な運用を検討し、原子力災害対策指針が見直されると聞いております。その結果や避難計画の検証などを踏まえ、できるだけ早く県防災会議の原子力災害対策部会において地域防災計画や避難計画の見直しに取り組み、UPZ内の住民の安全が確保できるよう万全を期してまいりたいと考えております。
私から以上です。
43 ◯副議長(奥野詠子)市井土木部長。
〔市井昌彦土木部長登壇〕
44 ◯土木部長(市井昌彦)私にいただきました2問のうち、まず公共土木施設の液状化被害についての御質問にお答えします。
能登半島地震による被害のうち、土砂や水の噴出に加え、地盤の隆起・沈下、構造物の隆起・沈下・傾倒などの現象が見られた場合に、被災要因の一つとして液状化があると考えております。
県管理施設では、現在、典型的な液状化被害の形態が確認できる箇所だけでも、氷見市の県道薮田下田子線や上庄川など計36か所としておりますが、災害査定に向け今後増える可能性もあると考えております。
このうち公共土木施設の復旧予算につきましては、約86億円を1月補正として専決し、約12億円は先月28日に議決いただいたところです。復旧工事につきましては、新年度にかけて現在進められている国の災害査定を経て、発注準備が整った箇所から順次発注していくこととしております。
被災した施設の復旧に当たりましては、被害の程度や周辺隣接地の液状化の状況などを踏まえ、箇所ごとに液状化対策の要否を判断し工法選定を行っております。例えば、液状化が確認された上庄川の堤防の復旧では、ボーリング調査を実施した上で必要となる対策を講じることとしているほか、市町村の下水道管渠の復旧におきましては、継ぎ手部分への可とう性継ぎ手の採用や砕石による埋め戻しの検討を行うなどの対応が取られているところでございます。
県といたしましては、液状化など被災の状況を十分踏まえ工法を選定し、被災した施設の早期復旧に向け取り組んでまいります。
次に、災害公営住宅についての御質問にお答えします。
災害公営住宅は、地震などの災害が原因で滅失してしまった住宅の戸数が一定以上となった場合、その滅失した住宅に居住していた低額所得者に賃貸する目的で整備されるものであり、
地域コミュニティーの維持にも寄与するものであると考えております。
このたびの能登半島地震により、県内で最も住家被害の多かった氷見市におきましては、現在、その整備の検討が始まっております。今回の氷見市の場合、滅失戸数が多いとして国の特例措置の適用区域とする旨の告示がなされた場合、議員御紹介のとおり、収入要件なしで入居可能な災害公営住宅を、滅失戸数の5割までの戸数の範囲内で、国から4分の3の補助を受け整備することが可能となります。
この災害公営住宅について検討するため、一昨日、氷見市と国土交通省と県による打合せを行いました。その中で、地域の方々の意向調査や、公営住宅の供給計画の策定などに対する国のサポートを受けられる制度も紹介されております。
県といたしましては、引き続き国土交通省とも連携し技術的な支援を行うなど、被災市が進める住まいの復興に向けて取り組んでまいります。
私からは以上です。
45 ◯副議長(奥野詠子)
津田農林水産部長。
〔津田康志農林水産部長登壇〕
46 ◯農林水産部長(津田康志)私からは、農水産関係の液状化被害についての御質問にお答えいたします。
農水産関係の被害のうち液状化による影響としましては、圃場内の噴砂のほか、地盤が軟弱な地域では水路等の段ずれ、漁港施設としては、県営・市営漁港の岸壁エプロンの沈下、野積場や臨港道路のひび割れ・段差などが該当するものと想定しております。
御質問の春の作付に向けての復旧でございますが、まず農地につきましては、農林振興センターの職員が現地で適宜状況を調査しておりまして、対策としましては、圃場に噴砂がある場合は、除去または圃場全体に均平に広げ、入水後に漏水がないか確認すること、それから、圃場に亀裂が見られる場合には、必要に応じて粘土質の土壌改良資材で埋めること、水稲の作付においては、丁寧なあぜ塗りや代かき、生育状況を確認しながら追肥などの管理の徹底を行うこととしておりまして、農林振興センターを通じて対策に向けた情報を提供してまいります。
また、農業用施設でございますが、今春の営農に支障が出ないようスピード感を持って早期の復旧に努めており、査定前着工制度を活用するほか、パイプラインなどの管路につきましては、本復旧に際し、従来の砂による埋め戻しを砕石による埋め戻しに変更するなど、地盤の状況に応じた対策を着実に進めることとしております。
引き続き関係団体と連携し、できる限りの早期の被害全容把握と復旧・復興に努めてまいります。
以上でございます。
47 ◯副議長(奥野詠子)
武隈危機管理局長。
〔武隈俊彦危機管理局長登壇〕
48 ◯危機管理局長(武隈俊彦)私からは、県の地震・津波対策についての御質問にお答えします。
元日に発生した能登半島地震について、政府の地震調査研究推進本部によると、能登半島及びその北東側の海域を中心とする北東から南西方向に延びる150キロ程度の範囲において地震活動が発生しており、また、複数の活断層が今回の地震に関連した可能性が高いとされております。
県では、昨年5月に発生した能登地方での地震活動を受けて、この地震活動が近接する活断層と連動し、より大きな地震につながることを懸念いたしまして、昨年6月に行った国への重要要望におきまして、この群発地震が本県に与える影響を早急に分析するよう国に求めたところでございます。
また、知事からも答弁がありましたとおり、県では、国の施策を待つばかりでなく、県としてできる地震・津波対策に取り組んでおり、主要な道路や橋梁などの緊急通行確保路線の整備強化をはじめとするハード対策、防災士の育成や地区防災計画の策定推進などをはじめとするソフト対策、ハード・ソフト両面で取組を進めておるところでございます。
今後は、これまで調査実施に至っていない断層に係る被害想定調査につきまして、県としてどのような調査が必要なのか、また可能なのかなどにつきまして、専門家の意見を聞きながら十分検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
49 ◯副議長(奥野詠子)菅沢裕明議員。
〔34番菅沢裕明議員登壇〕
50 ◯34番(菅沢裕明)知事、関係部長に再質問いたします。
知事、被災者生活再建支援金ですけど、全国知事会を通して強く求めているというお話ですが、いろんな来県された関係大臣にも要望したりしておられますが、もう2か月たちましたけど、一向に前向きな状況になりませんね。これは知事、どう考えられますか。
先ほど申し上げましたように、知事会自身が、例えば今度示された新たな制度、能登6市町について高齢者、障害者等を中心にした300万円の増額については、これは都道府県の負担にもなるわけであって、そういう負担に応ずるということについてはいろいろ意見があるという新聞報道もあります。ですから、知事会とおっしゃってもなかなかまとまっていないんじゃないかと。新田知事の御努力は多といたしますけれども、一向に前進しないこのことについて知事はどうお考えなのか。
今回上乗せがあったわけですけれども、この必要性を政府が認めたわけでしょう。したがって、被災者生活再建支援法に基づく金額では足りないということを政府が認めたと同じであって、そういう意味では、被災者生活再建支援法の抜本的な改正、つまり、支援金の増額が当然必要だということを認めているというふうに私は言っていいんじゃないかと思ったりするわけです。そんなことも含めて、もっと力強く、この生活支援金の増額に向けて、もう少し努力をしていただきたい。
実際に、被災者は、例えば全壊の場合でも最高300万ですよね。半壊については、県も最高額100万円ということで努力をなさいました。これは評価いたします。しかし、今、氷見の現状を見ていますと、全壊はもちろん解体撤去ですが、半壊についても──これは損壊の程度が20%でありますが、ほとんど解体ですね。半壊、全壊は解体ということで。したがって、100万円と300万円、これ、差もありますが、これではそうした事態に対処できないという非常に大きな強い声があります。知事はいかが受け止めなさるか。もう少しこの改善に向けて最大限の努力を求めたいと思います。
次に液状化の問題でありますが、土木部長にお尋ねをしたいと私は思います。
液状化で、建物、非常に損壊が大きいわけですが、公共インフラ施設なんかも含めて甚大な被害が出ておりますけれども、財政負担が非常に大きい。技術的支援も必要になり、住民の悩みが非常に大きいわけでして、そこで、県は勉強会を重ねておられますが、この勉強会を今後どういうふうに発展されて、県としてどんな役割や方向を出そうとしておられるのか、私は大変注目をいたしております。
そういう中で、例えば被害が大きい地域で、県は地盤構造を細かく調べる必要があるわけであって、ボーリング調査の実施なんかについてもっと積極的な予算措置もする体制に入る、それから、地盤に合った工法の検討も必要なわけでありまして、全国都道府県のいろんな事例の中で、例えば千葉県ですか、地下水位低下工法などというものを編み出していろいろ対策を進めていらっしゃる。
そういう意味では、土木部長には、ぜひ富山県においても、もう少し突っ込んだ具体的な方策、例えば宅地と道路を一体化して、氷見の場合も薮田下田子線という県道沿いの砂地の住宅地が1.5キロ、幅100メートルから200メートルにわたって液状化の影響が出ているわけでありまして、そういう中では道路と宅地を一体にした液状化対策をやるとか、さらには、今、大きな面での砂地の被災地を申し上げましたが、面的な視点での液状化対策とか、そういう意味では県として調査研究、知見を集約いただいて、具体的な支援策をぜひ取っていただきたいなと思っております。
最後に、これは時間がないので間に合わないかもしれんけど、防災、地震対策についての危機管理局長の答弁は、私は全く承服できません。時間がないので、これは日を改めて、機会を改めてまたやりたいと思っております。
以上です。
51 ◯副議長(奥野詠子)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
52 ◯知事(新田八朗)再質問をいただきました。お答えできる範囲でお答えしたいと思いますが、まず、知事会が何か一本化していないんじゃないかというお話ですが、知事会としては、終始、昨年以来、今回についても、知事会長も発言をされましたが、趣旨は一貫しております。ただ、47人もいますので、それぞれのお考えを述べられることは、それはあるんだろうというふうに思っております。
そして、被災者生活再建支援金のことですが、今回、能登の6市町に上乗せされるもの、これ、今名前がつきまして、地域福祉推進支援臨時特例交付金ということになったようであります。
先ほども申し上げましたが、能登の6市町は全国に比べても圧倒的に高齢化率が高い、それから、家を十分に建てる土地が少ないという理由が述べられています。それはそうなのかなと思いますが、ただ今回、地域福祉推進支援臨時特例交付金と名がつくとともに、高齢者云々だけじゃなくて、ローンの一定以上の残債がある人とかなどなど、ちょっとまた範囲が広まったんですね。これにつきましては私もちょっと納得ができないことがあります。引き続き、しっかりと不公平のないように要望していきたいと思います。
もう2か月もたったじゃないかと、何をしているんだとおっしゃいますが、確かに2か月たったんですが、でも一方で、まだ2か月、されど2か月だというふうに思っています。実際に、これまでも要望し続けてきたことについて、例えば今日も総務省から回答が戻ってきました。港湾の被害について、県でやっていることだけども補助しましょうということ、あるいは下水道などについても支援しましょうと、それで財政措置をしましょうという、そういう答えが総務省から返ってきました。
なので、何を言いたいかというと、そういうふうにしっかりと諦めずに言い続けていれば、必ず声が届き、返ってくるというふうに思っております。なので、諦めずにしっかりとやっていきたいというふうに思います。
支援金の支援の金額ですけども、もちろん多いにこしたことはありません。ただ、今の制度、県で拡充したことも入れれば、氷見は全壊が150件以上ですけども、全壊の場合、最大で500万6,000円という金額になります。これは、被災者の方々がもう一回立ち上がられて前を向いていかれるのにはある程度力になる金額ではないかというふうに思っています。
また、大規模半壊の場合は最大で445.6万円。さらにここに、今本当に多くの御芳志が集まり、義援金が10億円を超しております。これをできるだけ早く、今月、3月の上旬には配分の委員会会議をやりまして、これもスピード感を持ってできるだけ早く、公正公平を考えるあまり結構遅くなるのがこれまでですけども、今回はできるだけ早くまずは配分をさせていただきたい、そのように思っています。そうすれば、その分も今言った金額に乗ってくるわけでありまして、こういったことでいろいろかき集めて、被災者の皆さんにぜひ立ち上がって前を向いていただきたい。もちろんこれからも、お金のことだけではなく、いろんな形で私も被災者の皆さんの背中をどんどん押していきたいというふうに考えております。
私からは以上です。
53 ◯副議長(奥野詠子)市井土木部長。
〔市井昌彦土木部長登壇〕
54 ◯土木部長(市井昌彦)私にいただきましたのは、今後、液状化対策に対して県としてどのように取り組むのかという質問だったと思っております。
議員からも御紹介いただきましたとおり、今現在、国交省と被災市を含めた勉強会を一緒に県でやっております。
1回目の勉強会は、国と県の液状化に対する支援諸制度の紹介と、国のほうでお持ちの液状化に対する国の支援制度、先ほど議員からもお話のありました、国の公共事業で地方がやります
液状化防止事業というものがございます。これによって地下水位低下等をやった上で、液状化が発生しにくいようなことをやるよと。その事業というのは、一般の宅地も範囲として含めるんですけれど、その採択の要件としては、道路であるとか公共施設と一体的に地盤の安定性を図るためにやるという事業になっております。
なので、行政と地域の皆さんの思いを一つにした上でこの事業を進めていく必要があるということで、現在、先進事例であります自治体から直接、そのときどうやって調査をやって事業化に至ったかであるとか、そこのところの苦労話も含めてお話を伺っておるところであり、先月、熊本市から直接こちらでお話を聞いて、氷見市、高岡市、射水市、富山市の皆さんはじめ、県内の市町村の方にも一緒に聞いていただいたところでございます。
現在、氷見市におかれましては、市の単独事業で予算を確保されて調査に取り組むと伺っております。実は、この公共事業をやる前に、事業にかかる前の調査につきましても国の補助制度がございます。それについても市町村と共有した上で、調査費の国への要望も各市町村のほうで検討をされておられると伺っております。
そこの調査の中で、国のほうから先進事例も踏まえて、どういった調査がこの場合ふさわしいのかということについては、液状化の実態も市町村によって様々でございます。勉強会では、それぞれの市から、私たちの市ではこのような液状化の現状でございますということの状況報告、被害報告もいただくこととしております。それぞれの市町村にふさわしい調査の方法でありますとか、対策の方法でありますとか、その勉強会の中で学んでいくことにより、現地にふさわしい工法が選定されるというような手順を踏んでいきたいと思っております。
そこの勉強会には県も中に参画しております。市町村と一緒に悩みながら、工法選定にも寄り添って、あと、国のほうからも最新の知見もいただきながら対策に取り組んでいきたいと思っております。
私からは以上です。
55 ◯副議長(奥野詠子)以上で菅沢裕明議員の質問は終了しました。
針山健史議員。
〔16番針山健史議員登壇〕
56 ◯16番(針山健史)自由民主党、針山健史でございます。
私からも、元日の能登半島を震源とする大きな地震により犠牲になられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。また、災害復旧に尽力いただいております関係者の皆様には、心から感謝を申し上げます。
そして、家屋被害や断水も経験した被災者の一人として、被災地の方々の悲痛な声を議会に届けつつ、地域の復旧・復興の実現に向けて全力で取り組むことをお誓い申し上げ、質問に入ります。
知事も言われておりますが、令和4年に整備された富山県防災危機管理センターが、こんなに早く本格活用される場面が来るとは思いもよりませんでした。総事業費64億円を投じ、地上10階建て中間免震構造、屋上ヘリポートなど幾つかの特徴を持って備えられた施設であります。防災危機管理センターは、今回の能登半島地震の対応でどのような機能、役割を果たしたのでしょうか。また、現在もどのような機能、役割を果たしているのでしょうか。
平成23年東日本大震災、平成28年熊本地震は、防災拠点となる行政庁舎が被災し、初動の遅れや災害応急対策に支障を来したと言われております。そのような事例を教訓としているにもかかわらず、残念ながら富山県防災危機管理センターの入り口の一つであります南側の道路──松川側と言えばよいのでしょうか、被災を受けていまだに通行止めとなっております。
入り口はほかにもあるからいいんじゃないかと。県庁構内駐車場、有料の休日開放は開始されております。何かあったらどこから車が入るんでしょうか。防災の拠点としての役割を担うには課題を残す結果となっていると思いますが、センター周辺の被害状況と復旧の見通しと併せて
武隈危機管理局長にお尋ねいたします。
令和6年度の県庁組織の見直しの中で、知事政策局の成長戦略室戦略企画課に復旧・復興担当が組成される予定となっております。今後3年間をめどに取り組む復興計画の工程表(ロードマップ)の骨子でも示されているように、生活再建やインフラ復旧、産業再生などのほか、多岐にわたる問題や課題の解決が求められております。
私は、復旧・復興の担当はプロジェクトチームなど部局横断で組織されるべきであると考えますし、今日からでも、今すぐにでも新設して取り組むべきと考えますが、復旧・復興担当が知事政策局成長戦略室戦略企画課に設置される目的と役割を南里経営管理部長にお尋ねいたします。
県内の被災者への支援措置について、発災後これまで、国、県はもちろん被災市町村がそれぞれに支援を打ち出しております。結果としてほぼ横並びの支援にはなっておりますが、発表時期や一部支援内容で足並みがそろわないことで、被災者にとって支援内容が分かりにくくなっている、そういう声が上がっております。せめて、県と市町村ができるだけ足並みをそろえて、いわゆるワンチームで情報などを共有しながら取り組むべきではないかと考えますが、市町村の支援措置に本県はどのように関わっているのでしょうか。
知事は、一昨日の代表質問の答弁で、罹災が一部損壊と判定されている建物についての支援の検討について明言をされました。これまで支援の行き届いていなかった被災区分であり、地元の被災者も非常に関心を持っております。今後、市町村と連携し、住民に分かりやすく周知するべきものが出てくるのではないかと期待しておりますが、新田知事に併せてお尋ねをいたします。
建物が損壊したり土地が液状化したり、被災した地域の県民の財産が毀損し、その価値が大きく減損しているものも多いわけでございます。
例えば、市町村税の固定資産税は、毎年1月1日時点で所有している資産に課せられるものであります。県内自治体によって、被害に応じ徴収猶予や減免など特例対応も見られますが、本来なら、その現況を踏まえて実態に即した評価額で課税されるべきと考えますが、竹内地方創生局長にお尋ねいたします。
税制度は、公平性の観点が大変重要であることは理解しておりますが、今回の災害では、多くの方が将来の先行きに不安を抱えており、税制面でもそうした気持ちに寄り添う対応がなされてもよいのではないかと思っております。
災害により流出、埋没、崩壊などで被害を受けた資産は全額免除となるケースもあり、実際に東日本大震災でも適用されております。今回の液状化した土地や建物は、まさにその条件に合致していると考えるものであります。
高岡市では、職員による住民説明会が連日開催されており、下水道で2年、その後本格的に手がける道路に1年、合わせて3年、復旧までに時間が必要と説明しております。3年の間で誰がそのような不動産を買い求めると思いますか。ぜひ、自分が被災に遭って、そのような地域の状況の中で生活していくことを想定していただきたい。
今回の震災で、県内の液状化による被害範囲、そして建物の被害状況をどのように認識しているのでしょうか。国や県、市町村も、液状化被害の危険性を示した液状化ハザードマップを公表していますが、今回、県内での液状化が発生した事実の中で見直すべき点があるのではないでしょうか。
富山県地域防災計画でございます。第2章「地震・津波災害予防対策」、第2節「都市基盤等の安全性の強化」、第5「地盤の液状化対策の推進」によりますと、「液状化による被害発生の危険性も増えている。地盤の液状化による影響調査を進めるとともに、耐震基準の適用や各種対策工法の普及に努める。」と記載されております。液状化ハザードマップなどの見直しを含め、今後の防災・減災対策にどのように取り組むのか
武隈危機管理局長にお尋ねいたします。
新聞を見ておりますと、連日、企業、団体、個人などから続々と、ありがたい善意が数多く寄せられている記事を目にしております。それだけ今回の災害被害の深刻さ、甚大さを表しているのだと思っております。
災害義援金は、現時点でどのくらい寄せられているのでしょうか、今後の配分基準の決定方法や配分時期と併せて有賀厚生部長にお尋ねいたします。
せっかくの善意であります。被災者の生活支援、被災地域の復旧・復興のために適時適切な対応をお願いしたい。配分のスケジュール感が分かれば、再建の計画を立てやすいはずであります。
今回の災害対応に充当するために、2月の補正予算で財政調整基金を大きく取り崩すことになっております。令和5年度末残高は11億1,400万円となることが見込まれておりますし、令和6年度も積み増しがないままの計画となっております。非常事態で機動的に対応するため積み立てられているものであり、ちゅうちょなく有効利用されるべきではありますが、一方で、来るべき危機に備えて一定の必要額は確保されなければならないとも考えております。
今後、財政調整基金はどのように推移していくのか、今後の財政運営の見通しと併せて南里経営管理部長にお尋ねいたします。
2月20日に、今後5年間の地域交通のあるべき姿などを盛り込んだ地域交通戦略の最終案が取りまとめられました。ただ、富山県地域交通戦略の策定に向けたこれまでの議論の中で、災害に関する議論はなかったと承知しております。今回の震災でJR氷見線も被災しており、発災から数日間運休を余儀なくされ、沿線住民の通勤通学などの移動に支障を来しております。
特に、JR氷見線・城端線については、全国で初めて国による再構築計画が認定され、新型車両の採用やパターンダイヤの導入など、公共交通への投資がまさにこれから進められようとしているところであります。
今回の公共交通への震災の経験を踏まえて、災害時における地域公共交通の在り方がどのように見直されるのか田中交通政策局長にお尋ねいたします。
伏木富山港も震災による被害が大きく、いまだ手つかずの箇所も残っております。伏木万葉埠頭は、港までのアクセス道路の損傷や隆起で波打っている岩壁、石油のパイプラインの損壊も見られております。
昨日の新聞では、2023年、我が国の訪日クルーズ客が35万人、ピークだった2017年に比べて14%ということでありましたが、外国の船会社が運航するクルーズ船の寄港先数は過去最多の92となったそうであります。
今年は大型クルーズ船の寄港が幾つも予定されており、地元も、にぎわい創出に期待をしておりましたが、受入れについて変更などはないのか、今後の見通しを市井土木部長にお尋ねいたします。
今議会でも県立高校の学校再編について大いに議論をされており、2月12日には総合教育会議が開かれ、2027年度以降に予定されている再編基準の検討状況が報告されたところであります。
これまでは、学校の規模、定員や学級数の削減、学校の統廃合、学科やコースに焦点を当てた議論が進められてきています。また、統廃合となった学校の跡地利用の検討もされてきてはおりますが、地域の活力を維持する観点、本県の遊休資産の有効利用の観点からも、現在の県立高校にある空き教室や空きスペースなどを利活用することも検討されるべきではないかと考えますが、荻布教育長にお尋ねをいたします。
高岡市伏木地区、お隣の吉久地区は、液状化による深刻な被害を受けております。実際に被害を受けている被災現場を、今後の液状化対策の研究や県民の皆様の防災教育のためにも生かすこともできると考えております。液状化被害の深刻な地域、例えば県立伏木高校の空きスペースなどに、国や県などの公的機関で液状化に関する研究教育機関を誘致してみてはどうかと考えますが、蔵堀副知事に所見をお伺いいたします。
なかなか対策の難しい液状化被害地域の復旧・復興までの歩みの中で、学ぶべき点は非常に多いと思います。伏木高校の生徒の皆さんには、積極的に地域の災害ボランティアに参加していただき、復旧に大きな力をお貸しいただいております。国や県などの公的機関による研究や防災教育などの機関が存在しているとなれば、住民の皆様も液状化から復旧・復興に向けた兆しが見える安心感の中で、改めて地域の復興、活力の維持にもつながっていくのではないかと考えております。ぜひ御検討をお願いしたいと思います。
新田知事がとても慎重に進めてこられている高岡テクノドームについて質問をします。
機能拡充に向けた調査として1,620万円が令和6年度も計上されております。これまで、取り巻く環境が変化するごとに整備計画が二転三転してきたのが、高岡テクノドームであります。
今回はまた、新たな取り巻く環境の変化として地震が発生をいたしました。これにより今後の進捗に影響がないのか、地元では、本館の稼働率向上、別館の新設を見据えた利活用への促進活動のために、機能拡充調査の途中でも進捗の報告が欲しいとの声が出ております。現在の進捗状況と併せて新田知事にお尋ねいたします。
県内全ての地域で大きな揺れが観測された能登半島地震でございます。被害の比較的小さかった地域では、災害の記憶が既に風化してきていると感じております。ブランド総合研究所の第3回地域版SDGs調査2021でのアンケートにおいて、富山県は、自然災害に関心の高い都道府県ランキングでも最低であり、もともと災害への関心は低かったところでございます。災害はいつどこで起こるか分からない中で、今回の震災をどのように記録として残し、今後、県民の災害への関心、意識を高めていくのか新田知事にお尋ねいたします。
知事はじめ県職員の皆さん、議長はじめ県議の皆さん、政府からも松村防災大臣、堂故国土交通副大臣、橘代議士はじめ国会議員の先生方に、私の地元であります高岡伏木地区をはじめ県内の被災地に足を運んでいただきました。激励もいただきました。心配もおかけをしております。
このままでは、先ほど質問もさせていただきましたが、土地や建物など財産だけでなく地域を支える人も含めて、いろいろなものが失われていくのではないかと大変に懸念をしておりますし、実際に、愛着があっても住むことができない状況の中で、地域を離れていく方々が後を絶ちません。私自身、政治家として、地域住民として、こんなにつらい光景はありません。
それでも、被災者は誰も諦めていませんし、下を向いてばかりではありません。できれば自分の子供たちにも住み続けてもらいたいと思っています。高岡や氷見、小矢部、射水の一部で起きている災害ではない、富山県で起きている災害であることを、どうか皆さんに認識していただきたい。そして、どうか皆さんに助けていただきたい。力を貸していただきたい。
新田知事には、強力なリーダーシップで県内市町村をまとめていただき、あわせて国にも強く厚い支援を要望いただきますことを心よりお願い申し上げまして、質問を終えさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。
57 ◯副議長(奥野詠子)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
58 ◯知事(新田八朗)針山健史議員の御質問にお答えします。
まず、県と市町村が足並みをそろえてという御質問でした。
地震発生後の1月4日に、一刻も早く被災者の力となれるよう、前を向いていただけるよう、被災者
支援パッケージを発表しました。その後も、被災者のニーズ、市町村の意見を聞きながら、必要な支援措置を適宜拡充してまいりました。また、各市町村でも、住宅の被害や被災事業者さんへの支援など、それぞれの被害状況に応じた独自の支援策も実施されてきています。
まず、根幹となる国の被災者生活再建支援法に基づく中規模半壊以上への支援が県内全市町村に適用されることに加え、この対象とならない半壊世帯に対して、県独自に最大100万円を支援することにしました。
また、液状化被害について、住宅の耐震化支援制度を拡充し、新たに建物の基礎補強工事などを対象に、最大120万円を支援できるよう被災市と連携して準備を進めております。また、特にこれは、一部損壊、10%未満の損壊についても、市町村とやり取りをしまして、市長さんがこのエリアはこれでやろうということをお決めいただければ、一部損壊にも適用できるようなスキームにしております。
一方で、県と市町村で支援措置が別々に発表されてきたこともあるために、一体自分はどんな支援があるのか、受けられるのかという、支援の全体像の把握が難しいという声もあるのは事実です。県民や事業者が必要な支援内容を一目で理解できるように、支援の実施主体を県と市町村で区別をつけずに、被災者目線に立って、住宅被害に関するもの、また事業者に関するもの、農業・漁業関係者に関するものに整理したパンフレットを今お示ししているところです。
新年度では、「ワンチームとやま」
連携推進本部会議におきまして、「災害対応・危機管理体制の連携・強化」について、令和6年度の連携推進項目に新たに取り上げることとし、市町村の意見を丁寧に聞きながら、一日も早い復旧・復興の実現に向けて取り組んでまいります。
次に、高岡テクノドーム別館整備についての御質問にお答えします。
高岡テクノドームについては、11月議会において、本館でどのような機能強化が可能か、別館にどのような機能が必要か、そのためにどのような整備が必要で、それにどの程度の費用や期間がかかるかなど、専門的・技術的調査に係る費用をお認めいただき、12月から2月にかけて、この調査検討業務委託の公募型プロポーザル手続を行い、先般、受託者を決定し、本館の現況調査に着手しています。
今回の地震では、既存の本館や敷地内に大きな被害が見られませんでしたが、今後、被災地域の復旧・復興に際して、資材や人手が集中することによる建築コストの上昇なども懸念をされるところです。今回の検討は、概算費用や工期の見積りなども調査した上で行うこととしておりまして、地震による影響についても注視をしていきます。
また、テクノドームは地域の皆さんに活用されていくことが最も大切であると認識しておりまして、調査の委託期間は8月末までを予定していますが、地域における利活用計画にも配慮し、県西部の6市あるいは経済界等関係の皆様方へ、調査の期間中どこかで中間的な報告をお示しし、少しでも早くその利活用計画に地元の皆さんが取り組んでいただけるようなことにもつなげていきたいと考えています。
私からは最後ですが、県民の災害への関心、意識の向上についての御質問にお答えします。
今回の地震を受けた県と市町村との振り返り会議では、車で避難し多くの渋滞が発生した、あるいは、日頃から防災訓練を実施しているが実際の避難行動に生かされなかったなどの反省意見がありました。また、昨年度実施した県民の防災意識調査でも、防災に高い関心はあるが、実際の防災対策には至っていない傾向が見られました。
このため県では、市町村と共に、住民の方々が災害につながるおそれのある状況で適切な避難行動が取れるよう、防災行動を時系列でまとめておくマイタイムラインの普及に努めています。また、自主防災組織が実施する地域の避難訓練を支援しているほか、地域の防災リーダー向け研修会を開催するなど、県民の皆さんの防災意識の向上を図っています。
さらに、できるだけ地震の記憶が鮮明なうちに、災害への意識と地震発生時の行動などを把握するための県民アンケートを実施したいと考えます。この調査結果も踏まえて、新年度は、住民の避難行動や県の初動対応、応急対策などについて検証するため、外部有識者などを入れた検証会議を開催し災害対応検証報告書を取りまとめるとともに、検証結果を地域防災計画はじめ各種計画、またマニュアルの見直し、実践的な避難訓練の実施に反映をさせていきます。
今回の地震を経験し、県民の防災意識は高まっているところであると思います。こうした機運を大切にして、引き続き県民の災害への関心、意識の向上に努めてまいります。
私からは以上です。
59 ◯副議長(奥野詠子)蔵堀副知事。
〔蔵堀祐一副知事登壇〕
60 ◯副知事(蔵堀祐一)私からは、液状化に関する研究教育機関の誘致に関する御質問にお答えをいたします。
今回の地震では、氷見市、高岡市、射水市、富山市の4市などの海沿いの砂質土が分布する地域を中心に、県内各地で液状化被害が発生をいたしております。これに対応するため、これまで答弁してまいりましたけれども、液状化に関する勉強会を設置して対応してきております。
この勉強会の中では、液状化の状況は地域によって様々であり、それへの対応策も異なること、また、根本的な対策を実施しようとすると、時間も費用もかかるということなどが分かってまいっております。
今後は、これまでの全国各地での液状化被害とその対策によって得られた知見を、本県での対策に生かしていく必要があると考えております。このためには、研究者の方々、また国や大学等の研究機関に県内の実情を見て把握していただいて、県内での対策に生かしていくこと、これが大変有意義であると思っております。
今後の勉強会におきましても、こうした方々を招聘いたしまして知見を深めるとともに、今後の対策についてもアドバイスをいただきたいというふうに思っております。
まずは、研究機関を直ちに誘致するということではなくて、今回の液状化への対応を早急に進めたいというふうに考えております。
以上です。
61 ◯副議長(奥野詠子)
武隈危機管理局長。
〔武隈俊彦危機管理局長登壇〕
62 ◯危機管理局長(武隈俊彦)私からは、まず防災危機管理センターについての御質問にお答えいたします。
令和4年10月に供用開始した防災危機管理センターは、平常時は訓練や研修等を通じて地域防災力向上を図り、災害時は災害応急活動の司令塔機能を果たす県の防災・危機管理の拠点として整備をしております。
今回の地震では、発災直後に災害対策本部をセンター内に設置し、県職員がセンターに緊急参集して被害情報の収集に当たりますとともに、警察や自衛隊、気象台、国土交通省、日本赤十字社など関係機関の職員も本部に常駐し、情報の共有や伝達、対応方針の決定などに参画いただきました。
今回の地震の大きな揺れにより、県庁本館のほうでは空調の故障などが発生したわけですけれども、センターではそうした被害もなく、また、センターには参集職員や応援職員が活動するための十分なスペースや本部会議用の大会議室が常に確保されていることから、速やかに初動対応を取ることができ、さらに余震が続く中でも落ち着いて災害対応に専念することができました。
その一方で、発災直後、エレベーターが緊急停止する中、10階に備蓄している物資を1階まで下ろして外部に移送しなければならないというような事態も発生するなど、運用上の課題もありましたことから、来年度、県の初動対応などを検証する中で、課題を整理しまして対応を検討してまいりたいと考えております。
また、御質問のありましたセンター周辺の被害ですけれども、県庁南側の市道、これが大きく破損し車道や歩道が使用不能となっております。先月5日から災害復旧工事が始まっておりまして、5月中旬には復旧するものと聞いております。
次に、今回の地震での被害状況や今後の防災・減災対策についての御質問にお答えいたします。
今回の地震では、2月26日時点で1万2,000件を超える家屋被害があり、このうち液状化が原因と見られる被害につきましては、今ほど蔵堀副知事からも答弁があったとおり、氷見、高岡、射水、富山の4市の海沿いの砂質土が分布する地域を中心に発生しております。
また、今後の主な防災・減災対策の取組といたしましては、ハード対策として、主要な道路や橋梁などの緊急通行確保路線の整備強化、木造住宅や社会インフラの耐震化に取り組むとともに、県民の耐震化ニーズを踏まえまして、新年度予算案に木造住宅を対象とした耐震改修事業の拡充を計上しております。
また、ソフト対策として、地震や避難等の住民の方が求める情報発信の迅速化や、自主防災組織による資機材整備等への支援の拡充、防災士に非常時の防災リーダーとして活躍いただくためのスキルアップ研修の新設などを行うこととしております。
こうした取組に加えまして、住民の避難行動や県の災害対策等について検証するため、外部有識者を入れた検証会議を開催し、各種計画やマニュアル等を総点検することとしております。
県としましては、この検証結果を踏まえまして、令和6年度中には地域防災計画をはじめとする各種計画、マニュアル等の改定に反映したいと考えております。
また、富山市、高岡市などにおいて液状化マップが示されておるところでございますが、今回の地震による被災状況を踏まえまして、必要に応じて液状化対策に関する指導助言を行うなど、今後ともハード、ソフト両面から防災・減災対策に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
63 ◯副議長(奥野詠子)南里経営管理部長。
〔南里明日香経営管理部長登壇〕
64 ◯経営管理部長(南里明日香)まず、復旧・復興担当の目的と役割についての質問にお答えいたします。
今回の地震による県内被害は甚大かつ多岐にわたっていることから、課題解決のためには部局横断でスピード感を持って取り組む必要があり、復旧・復興本部に、くらし・生活の再建、公共インフラ等の復旧、地域産業の再生、北陸全体の復興に向けた連携について、部局横断型の4つのチームを結成し、ロードマップの策定に鋭意取り組んでまいりました。
先日2月27日の復旧・復興本部員会議では、ロードマップの骨子案を公表しました。今後、年度内に中間取りまとめを行い、本ロードマップの事業を着実に推進すべく県庁一丸となって取り組むため、県の企画立案を担う知事政策局成長戦略室に、新たに復旧・復興担当を配置し、司令塔として取り組む体制をさらに強化いたします。
今後とも、被災現場の課題やニーズをきめ細やかに把握するとともに、国や市町村、関係機関とも連携し、富山県のいち早い復旧・復興によって北陸エリア全体の復興につながるよう取り組んでまいります。
次に、財政調整基金と今後の財政運営の見通しについての御質問にお答えいたします。
地方自治体は国と異なりまして、原則、収支不足を補うための赤字地方債の発行ができないため、大規模災害や経済不況等の不測の事態で緊急に財源が必要となる場合に備えまして、財政調整基金を積み立てており、本県においても、近年30億円程度を確保してまいりました。
2月補正予算では、国の
支援パッケージ決定後、速やかに被災者の生活再建や事業者の早期復旧、事業再開を実施するため、緊急的に19億円余りの財政調整基金を取り崩して対応いたしました。加えて、液状化被害を受けて準備を進めている住宅耐震化支援の対象拡充にも大きな財政負担を伴うことから、財政調整基金の活用が必要な状況であり、残高はさらに小さくなることも想定されます。
こうした中、震災が企業収益等に及ぼす影響によって税収が変動すること、今後、復旧・復興に向けた取組を進めていくためには相応の財政負担を伴うことなどから、不確定な要素は多いものの、今後の財政運営は厳しい状況が続くと考えておりまして、復旧・復興に向けた財源確保が重要であると認識しております。
今回、財政調整基金の残高が一時的に大幅減少することは、設置目的から見てやむを得ないと考えておりますが、今後の緊急対応への備えとして、できるだけ速やかに一定額を積み戻してまいります。
県民、事業者の一日も早い復旧・復興に向けた取組に対しては、国制度の柔軟な運用や特別交付税措置など十分な財政支援が講じられるよう、引き続き国に強く要望してまいります。
65 ◯副議長(奥野詠子)竹内地方創生局長。
〔竹内延和地方創生局長登壇〕
66 ◯地方創生局長(竹内延和)被災した資産に係る固定資産税についての御質問にお答えをいたします。
固定資産税は、土地や家屋等の所有者に対しまして、その資産価値に応じて主に市町村が賦課徴収を行う地方税でありますが、この固定資産税は市町村税収の4割以上を占めておりまして、市町村の運営に欠かせない基幹税目となっております。
今般の令和6年能登半島地震におきまして、県内でも多くの被害が発生した中、固定資産税の取扱いにつきましては、発災後、総務省から数次にわたり通知が発出されております。
被災者に対する減免措置や被災住宅用地の特例措置等の適切な運営のほか、被害を受けた土地及び家屋については、賦課期日──これは令和6年1月1日になりますけれども、賦課期日時点における被災の状況に基づいて評価をすることとなります。
家屋は、1月1日のうちに全壊、焼失などで建物が滅失した場合は課税しないなど、被災者の状況に十分配慮することが求められております。また、宅地につきましても、賦課期日現在のそれぞれの状況に基づき、所要の補正を行うことが可能であるとされております。
これらの技術的助言に係る通知につきましては、県から速やかに各市町村へ連絡をしております。それを踏まえて、課税庁であります各市町村が賦課や減免等を行うということになろうかと思います。
なお、激甚な災害における地方税等の減収につきましては、それを補う起債──歳入欠かん債と申しますけれども、こういった起債の発行が認められております。こうした財政運営も含めまして、市町村が適切な対応を行うために必要な情報提供や助言などの支援に努めてまいります。
67 ◯副議長(奥野詠子)有賀厚生部長。
〔有賀玲子厚生部長登壇〕
68 ◯厚生部長(有賀玲子)私からは、災害義援金のことについてお答えいたします。
県では、去る1月5日から、日本赤十字社富山県支部、富山県共同募金会、日本放送協会富山放送局の御協力の下、災害義援金の受付を開始しております。2月26日現在、県内外からお寄せいただいた災害義援金は約11億1,500万円余となっております。
県では、関係団体や被災市町村で構成する配分委員会を設置し、2月上旬に書面開催した第1回委員会において、配分対象世帯について検討し、人的被害は死亡された方、重傷を負われた方を対象に、住家被害は全壊、大規模半壊、中規模半壊、半壊、準半壊、一部損壊をそれぞれ対象とすると決定したところでございます。
今後は、3月4日に第2回の配分委員会を開催いたしまして、配分基準や配分額などの配分計画を決定し、県から速やかに市町村へ義援金を配分の上、3月中旬頃から市町村を通じて被災世帯へ義援金をお届けする予定としております。
私からは以上です。
69 ◯副議長(奥野詠子)田中交通政策局長。
〔田中達也交通政策局長登壇〕
70 ◯交通政策局長(田中達也)私からは、災害時における地域公共交通の在り方についての御質問にお答えします。
先月20日に取りまとめた地域交通戦略は、地域公共交通活性化再生法に基づく地域公共交通計画となっております。
国においては、この計画を、地域にとって望ましい地域旅客運送サービスの姿を明らかにする地域公共交通のマスタープランと位置づけているところであり、災害時についての議論は行っておりません。
災害時における地域公共交通の対応については、県地域防災計画において定められております。計画では、「公共交通機関は、地震発生時において、適切な初動措置を講じ、被害を最小限に止め乗客の安全を確保するとともに、速やかな応急復旧の措置を講じ、輸送の確保に努める」こととされております。
今般の能登半島地震では、1月6日には県内鉄軌道の全線の運行が再開しました。災害対策基本法に基づき、指定公共機関や指定地方公共機関となっている公共交通事業者には、安全確保や早期の復旧・運行再開に尽力いただきました。
新年度には、外部有識者等による地震対応の検証会議を開催し、地域防災計画等を総点検することになっております。地域公共交通についても、この総点検の中で対応してまいります。
71 ◯副議長(奥野詠子)市井土木部長。
〔市井昌彦土木部長登壇〕
72 ◯土木部長(市井昌彦)私から、伏木富山港の被害状況とクルーズ船の受入れについての御質問にお答えします。
今回の能登半島地震により、伏木富山港におきましては、臨港道路や埠頭用地、荷役機械、緑地など多くの港湾施設が被災したところでございます。
中でも伏木地区では、外港の野積場が被災したほか、小矢部川の左岸側を通る臨港道路が橋梁の取付部の損傷により通行止めとなり、万葉埠頭緑地でも亀裂や段差が全面的に発生し立入禁止となるなど、甚大な被害が発生しております。
被災後の応急措置として、これまで一般車の利用も多い臨港道路の段差解消などを実施したところでございます。また、損傷の大きな施設の本格復旧につきましては、現在進めております国の災害査定を経て、準備が整った箇所から順次工事を発注することとしており、直轄代行による国の支援もいただき早期の復旧を目指します。
令和6年度、伏木地区におきましては、クルーズ船の寄港が6回予定されております。このたびの地震では、クルーズ船が接岸する万葉岸壁の本体には大きな損傷はなく、また、岸壁背後の埠頭用地や臨港道路には一部陥没等の被害はあるものの、仮舗装などの応急復旧工事は完了しております。このため、4月以降のクルーズ船につきましては、予定どおり寄港していただくこととしております。
県といたしましては、今後、港湾の機能回復を図りながらのクルーズ受入れとなるため、復旧工事の受注者や荷役業者等と十分調整を行い、ツアーバスの待機場や観光案内ブース等に必要なスペースを確保するなど体制を整え、クルーズ船で訪れていただく乗客の皆様に富山を楽しんでいただけるよう準備してまいります。
私からは以上です。
73 ◯副議長(奥野詠子)荻布教育長。
〔荻布佳子教育長登壇〕
74 ◯教育長(荻布佳子)私からは、高校の空き教室などの利活用についての御質問にお答えいたします。
県立学校において、普通教室などに余裕がある場合、現状では、多様な学習方法に対応するための選択教室や多目的室及び自習室などとして利用されているところであります。
空き教室については、文部科学省では、将来においても利用する計画がなく不要となる普通教室というふうに定義をされており、こうした定義上の空き教室は県立学校では現在はなく、いずれも教育活動で活用されているという現状にはございます。
ただ、今後は生徒数の減少によりまして、さらに普通教室に余裕が生じ空き教室が発生することも想定がされます。これを地域などで活用するという場合には、富山県財産管理規則に基づきまして、公共用や公益性を有するもののほか、災害などによる応急施設などへの利用を対象に許可を受けて活用するということが可能というふうになっております。
議員から御指摘のありました地域の活力を維持する観点で空き教室を活用するということについては、例えば、現在も多くの高校などで実践されている、学校が地域や企業と連携して取り組む課題解決型学習などの取組の中で、空き教室を活用することも一つの方策ではないかというふうに考えます。
このほか、今般の地震を踏まえて、避難所機能の観点から、備蓄倉庫などとして有効に活用することも考えられるかと思います。
県教育委員会としては、関係部局とも連携し地域の実情やニーズなどの把握に努めながら、議員からの御発言の趣旨も踏まえて、今後想定される空き教室の活用について様々な角度から研究してまいりたいと考えております。
以上でございます。
75 ◯副議長(奥野詠子)針山健史議員。
〔16番針山健史議員登壇〕
76 ◯16番(針山健史)知事のほうに1問、質問といいますか、確認をさせていただきたいと思います。
罹災が一部損壊と判定された住宅建物についての支援の検討についてであります。
先ほど知事の答弁の中で、市町村の首長が「このエリアを頼む」と言えば支援を受けられるスキームになっているという答弁だったというふうに記憶をしております。この支援の判断は市町村に委ねられているということでいいのか、確認をさせていただきたいと思います。
先ほども申しましたが、一部損壊というのは大変支援の行き届いていなかった被害区分でありまして、先ほど有賀厚生部長のほうからは、災害義援金は一部損壊も配分されるんだということで大変期待もしております。住宅支援についても、いま一度知事に確認をさせてください。よろしくお願いします。
77 ◯副議長(奥野詠子)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
78 ◯知事(新田八朗)再質問というか確認でありますが、市長が「頼む」というのは、ちょっと言葉が違ったのかもしれません。やり取りをして、じゃ、このエリアには一部損壊まで適用しましょうというようなことを、県とやり取りをして、それは本当に丁寧に市に寄り添ってお話合いをしたいと思います。その結果、じゃ、そこも指定をしましょうねということになれば、そこの一部損壊の住居についてもスキームを適用しようということであります。(「ぜひお願いします」と呼ぶ者あり。)
以上です。
79 ◯副議長(奥野詠子)以上で針山健史議員の質問は終了しました。
暫時休憩いたします。休憩時間は10分間といたします。
午後2時55分休憩
───────────────────
午後3時05分開議
80 ◯議長(山本 徹)休憩前に引き続き会議を開きます。
井上学議員。
〔26番井上 学議員登壇〕
81 ◯26番(井上 学)本日の最後を務めさせていただきます。
元日の激しい揺れを経験して、安全と言われたこの富山県が決して安全ではないということを実感された皆さんも多いんじゃないかというふうに思います。私もその一人であります。
私からも、今回の地震でお亡くなりになられた皆様に心からお悔やみを申し上げますし、被災された全ての皆様にお見舞いを申し上げます。そして、災害対応に当たっておられる全ての皆様に心から敬意を表したいと思います。
やはり、今日は地震の質問から入っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
まず、災害時の初動体制の確立について伺います。
私たちの命や財産を守るため、各自治体の担当者は様々な準備をしたり発災時の対応に備えていますが、有事の際には、想定外のことが発生したり情報が錯綜したり、多くの困難があることは容易に想像がつきます。自治体の防災担当者は、災害発生時、一体どのような課題に直面しているのでしょうか。
ある民間企業が、自治体で防災・災害対応に携わる約1,000人の方々を対象に調査を実施しています。「災害発生時に直面する課題は何ですか」との質問では、「初動対応が迅速にできない」という回答が42%と最も多く、次いで「刻一刻と変化する状況を把握することが難しい」38.6%、「情報の正確性を確認することが難しい」37.5%という回答が続きます。
初動対応に最も大きな課題感を持たれていることが分かります。また、発災時の混乱の中で、迅速かつ正確に情報を得ることの難しさもうかがえます。
そこで、このたびの地震では、本県としての初動対応はどうだったのでしょうか。初動対応や情報把握をどのように評価しているのか、また、今後の災害へ備えるため万全の初動体制の確立に向けどのようにしていかれるのか、新田知事にお伺いをいたします。
続いて、「直面する課題に対してどのような対策をしていますか」との質問には、「関係機関との連携を含めた訓練」という回答が41.5%と最も多く、次いで「インターネットのウェブサイトを通じた情報収集」41.1%、「職員間のコミュニケーションツールの導入」34.6%と続きます。
有事の際に適切な行動が取れるように日頃から訓練を行うとともに、様々な方法での情報収集やコミュニケーションについて模索されていることが分かります。
そこで、今後、市町村をはじめ関係機関との連携を含めた日頃の訓練や情報収集にどのように取り組んでいかれるのか、
武隈危機管理局長にお伺いします。
次に、「災害発生時、住民からはどのような要望を受けますか」との質問には、「正確で迅速な情報提供」という回答が52.1%と最も多く、次いで「避難所の開設と場所の情報提供」47.8%、「適切なタイミングでの避難指示」44.2%と続きます。
住民からの要望に応えるには、災害の状況、避難所に関する情報、避難指示などを正確かつ迅速に提供することが重要であることが分かります。
そこで、今後の被災された住民への正確で迅速な情報提供という点において、どのように市町村と連携し情報発信していくのか、今回の地震発生時の対応の評価と今後の取組方針について危機管理局長にお伺いします。
次に、「災害現場の状況を把握するのに、SNS情報は有効だと思いますか」との質問には、実に87.9%の方が「はい」と回答しました。
災害対応に当たる人員が十分でない中、災害時に速報性、正確性、網羅性に優れた防災・危機管理ソリューションが提供されています。AIを活用しての情報解析、SNSに投稿された情報から、自然災害や火災、事故などの緊急性の高い情報を、市町村、空港や駅、観光地周辺といった対象と組み合わせて、どこで何が起きているか、被害状況や規模はどの程度かなどを即座に確認できるもので、多くの企業や自治体に採用されています。
本県においても、令和3年度からSNSを利用して防災情報を収集するSNS緊急警戒情報配信サービスを導入していると承知しますが、今回の地震に当たり、どのように活用され、どのような効果や課題があったのか危機管理局長に伺います。
次に、道路啓開計画について伺います。
道路啓開とは、災害時に緊急車両等の通行のため、早急に最低限の瓦礫処理を行い、救援ルートを開ける作業を指します。国では、災害後に円滑かつ迅速に復旧を行うため、道路啓開計画の策定を進めています。総務省は、昨年4月、国土交通省に対して、地方整備局等が主体となって協議会等を設置するとともに、道路啓開計画の策定などの備えを推進することを求めました。
南海トラフ地震への備えとして太平洋側では策定が進む一方で、日本海側の今回の地震の被災県である石川、富山、新潟の3県ではこの計画がなく、計画を立てるための協議会も設置されていないことが報じられました。これに北陸地方整備局も反応され、実にタイミングよく、昨日この協議会が設置されたとの情報をいただきました。
災害発生時の円滑かつ迅速な道路啓開の実施に支障を生じさせないためにも、本県の道路啓開計画を早急に策定すべきと考えますが、この計画の概要と今後の方針について市井土木部長にお伺いをいたします。
次に、今回の地震では、様々な事情や理由から、自治体があらかじめ定める指定避難所ではなく、近所の公民館や集会所などを自分たちで自主避難所にして生活する被災者が多くいました。これからの災害でも同様のことは必ず起きます。自治体があらかじめ指定した避難所だけ被災者が来るというストーリーは、現実的ではありません。
今回の地震がそうであったように、今後の災害では、帰宅困難者や外国人旅行者など行政側が想定していなかった被災者が、指定避難所に大量に押し寄せることも大いにあり得ます。自治体は、多様な避難先、いわゆる分散避難に対応するようかじを切るべきではないでしょうか。
自治体がマネジメントする指定避難所とは別に、地区避難所のように、住民に任せるけれども自治体側もあらかじめ存在を把握しておく、そういった準指定避難所というカテゴリーを設けるなど、今後の分散避難への対応を強化すべきと考えますが、危機管理局長の御所見を伺います。
次に、避難所におけるトイレの問題についてお伺いをいたします。
被災地では、多くの場所でトイレをめぐる切実な問題が発生したと言われます。汚物で使用不能になった便器、数人で使わざるを得ない携帯トイレ、課題を抱える仮設トイレ、これまでも災害のたびに同じ問題が起きています。生理現象はインフラ復旧を待ってはくれません。
NPO法人日本トイレ研究所が熊本地震の被災者を対象にした調査によると、災害発生後3時間以内にトイレに行きたくなった、そういった人の割合は39%だったそうです。6時間以内を合わせると73%に上ったそうです。日本トイレ研究所の加藤代表は、「水や食料の備えはもちろん大事ですが、より早く必要になるのは実はトイレなんです。トイレの問題は感染症や排せつの我慢を招き、災害関連死の原因にもなる」と警鐘を鳴らします。
私は過去の質問でも紹介しましたが、阪神・淡路大震災を経験した兵庫県では、災害時にトイレで使う水を確保するため、避難所に指定されている全公立小学校に、停電時でも使用できる手押しポンプ式の井戸を設置されました。
今日の光澤議員からも防災井戸の普及についての質問がありましたが、本県は豊かな地下水に恵まれ、井戸水の確保が可能であります。避難所での水の確保のために、避難所に指定されている学校や施設等に井戸の設置を市町村へ働きかけ、県が支援してはどうかと考えますが、危機管理局長の所見を伺います。
地震関連の最後に、応援職員の宿泊場所について伺います。
能登半島地震の被災地にずらりと並ぶキャンピングカーがニュースで紹介されました。全国から応援に駆けつけた自治体職員向けの宿泊場所です。
被災地ではホテルや旅館が軒並み休業しています。道路も寸断され、金沢市などから通うのも難しい。珠洲市では200人を超える応援職員が毎日活動していますが、当初の仮眠場所は市庁舎の廊下や会議室の床だったそうであります。
改善に動いたのは、1月4日に現地入りした熊本市の応援チームです。2016年の熊本地震の経験を生かし、日本RV協会に支援を要請しました。協会は、全国の加盟販売店に試乗車などの提供を呼びかけ、珠洲市に30台、輪島市に20台の計50台のキャンピングカーが投入されたとのことです。
松本総務大臣は記者会見で、全国の自治体から派遣された応援職員の宿泊施設について、被災県が独自にキャンピングカーなどを確保した場合、県が負担する費用の8割を特別交付税で措置する方針を明らかにしました。
そこで提案ですが、本県において県と市町村が連携して、各自治体でそれぞれキャンピングカーを準備し、融通し合ってはどうでしょうか。いざというときには派遣職員の宿泊場所や貸出し用として、また自治体においては災害対策本部員の仮眠場所としても利用できると考えますが、危機管理局長の所見をお伺いして最初の項目を終わります。
82 ◯議長(山本 徹)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
83 ◯知事(新田八朗)井上学議員の1問目の質問にお答えします。
本県の初動対応や情報把握の評価、体制の確立についての御質問にお答えします。
今回の地震は、本県で観測史上初めて震度5強を観測し、大きな被害が想定されたので、16時10分の発災と同時刻に災害対策本部を設置しました。約843名の職員が、当日、本庁と出先機関に参集し、初動対応に当たりました。元日であり、また県外に出ている方もおられたことと思います。そういう中で、よく集まったのではないかというふうに考えています。
具体的には、それからやったことですが、各市町村から被害状況と支援のニーズを聞き取りました。それから、1月1日に内閣府と調整の上、魚津市と入善町を除く13市町村への災害救助法の適用を決定いたしました。さらに自衛隊に災害派遣を要請しました。
また、避難所運営の人員不足が、1日の時点でしたが、やはり氷見が大変そうだということは把握できましたので、氷見市への応援職員を、県内市町村と調整し翌日の2日から派遣を実施するなど、初動体制を迅速に行うことができました。
また一方で、今回の災害対応の課題などを確認するために、県庁の振り返り会議では、職員の安否確認に時間がかかったという反省点が出ました。また、被害状況の迅速かつ正確な把握のため、県職員の市町村への派遣の在り方を検討すべき、いわゆるリエゾンといった意見も出ております。今後につなげたいと思います。
こうした今回の地震の経験を今後の災害対応力の強化につなげるため、県の初動対応や応急対策などについて検証するための予算を、新年度当初予算案に計上させていただいております。県としては、早期に検証を進めて、来年度中には各種計画、マニュアル等の改定に反映させ、災害に強い安全・安心の県づくり、万全な初動体制の確立に取り組んでいきたいと考えます。
1問目は以上です。
84 ◯議長(山本 徹)
武隈危機管理局長。
〔武隈俊彦危機管理局長登壇〕
85 ◯危機管理局長(武隈俊彦)私からは6問いただきましたうち、まず関係機関と連携した訓練や情報収集についての御質問にお答えいたします。
県では、国や市町村、警察、消防、自衛隊などの防災関係機関や多くの県民の皆さんにも御参加いただき、総合防災訓練を毎年実施しております。
昨年、高岡市で実施した訓練では、13の市町村の応援職員が連携して、住民の避難所への受入れや緊急支援物資の受入れの流れを確認する訓練のほか、倒壊家屋からの救出救助訓練や住民避難訓練など、関係機関が連携した実践的な訓練を行っております。
また、情報収集につきましては、総合防災情報システムにより、気象情報をはじめ河川の水位や道路の規制、土砂災害危険度など、災害の状況把握や避難の判断に必要となる各種情報を、関係機関の連携の下で迅速に収集する体制を整えておりまして、こうした情報は市町村等にもリアルタイムで情報提供しているところでございます。
先月開催した県庁内の振り返り会議では、気象台や国土交通省、自衛隊等の関係機関から県の災害対策本部に派遣された応援職員との連携や情報共有が不十分であったとか、初動時は市町村のマンパワーが不足するため県職員を応援職員として派遣したほうがいいなどの意見をいただいたところです。
こうした意見も踏まえまして、新年度、外部有識者の意見も伺いながら、今回の災害対応の検証を進めることとしております。その中で、有事の際に適切な連携行動が取れるように、有効な訓練手法や迅速かつ正確な情報収集体制につきましても検討してまいりたいと考えております。
次に、災害発生時の正確な情報提供についての御質問にお答えします。
県では、元日の地震発生直後から、県のホームページや富山防災WEB、県公式Xなどを活用しまして、知事メッセージや避難所情報を周知したほか、災害対策本部員会議を6回開催しておりますが、その全ての動画を速やかに県公式ユーチューブで公開するなど、県民の皆さんへの情報発信を行ってまいりました。
ただ、さきに開催した県庁内の振り返り会議では、速やかな情報発信ができなかったとか、県庁内の情報共有に課題があったなどの意見があったところでございます。
また、市町村との振り返り会議では、公式LINEでの給水所の開設やブルーシート配布等の情報発信が非常に効果があったという評価がありました一方で、避難所の開設状況について職員の手が回らずに細かい情報発信ができなかったとか、デジタル媒体を使わない人には情報が行き届かないといった意見がありまして、今後、改善すべき課題が見つかったところでもございます。
県では、新年度、地震等の防災気象情報や避難所情報などを県公式Xに自動投稿する機能を追加しまして、情報発信の迅速化を図ることとしております。
また、今回の災害対応の検証を進める中で、市町村等とも連携して、災害発生時に被災された県民の皆さんに正確な情報を迅速に提供できる有効な手段がほかにないものかどうか検証を行いまして、情報提供の改善に努めてまいります。
次に、SNS緊急警戒情報配信サービスについての御質問にお答えします。
本県では、令和3年度からDXの推進として、AI解析によりSNSから災害情報をリアルタイムに収集するSNS緊急警戒情報配信サービス──スペクティと言いますが、これを導入しております。
このサービスでは、SNSからの情報のほか、気象庁やLアラートと連携しており、地震情報をはじめ各種気象警報等の情報も収集できることから、地震・津波のほか風水害、雪害時など、幅広い災害で活用が可能でございます。
元日の地震においては、発災直後など市町村から被害報告がなかなかない中で、このサービスを活用して、県内の建物及び道路の被害や断水状況、交通情報など、様々な災害情報をリアルタイムに収集することができました。
また、このサービスは、文字情報だけではなく地図、画像、動画情報も閲覧できるため、県内の被害状況を把握する手段として非常に効果があったというふうに考えております。加えまして、収集した情報を自動で音声再生する機能がありまして、他の業務を行いながら情報共有ができる点も大変役立った点でございます。
一方で、このサービスで得られました情報を県民の皆さんにどのように発信していくかなど、情報の活用面での課題も見つかったことから、今後、今回の災害対応を検証する中で、集めた情報の有効活用方策についても研究してまいります。
次に、分散避難への対応についての御質問にお答えします。
県内では、令和5年4月1日時点で、市町村によって指定された避難所が1,014か所ありまして、そのほとんどが小中学校や公民館、コミュニティーセンターなどで、今回の地震でも多くの県民の皆さんが各指定避難所に避難されたところでございます。
また、議員からお話がありました分散避難につきましては、災害時に避難所だけではなく、自宅や親戚・知人宅などにとどまる在宅避難や、車中泊、ホテル等宿泊施設を利用した避難所以外の場所に避難する方法でありまして、今回の震災でも一部の市町村においては、指定避難所以外に自主的に避難所を開設したり、ホテル、旅館に一時的に避難するなど、分散避難が行われていた事例も見受けられました。
分散避難は、新型コロナ感染症の拡大を契機に、避難所の密を避ける手段として関心が高まり、ウイルス感染の拡大防止を図りながら、同時に、自然災害からの犠牲者を出さないための新しい避難の在り方でございます。
今回の地震では、能登地域の広い範囲で多くの方が被災され、長期間の避難生活を余儀なくされる中、石川県では、公的施設やホテル旅館、公営住宅など多様な避難先を用意し対応されていると承知しております。
県としても、こうした対応を参考として、今回の災害対応を検討する中で、分散避難の対応の強化につきましても、課題の一つとして市町村と共に研究してまいります。
次に、避難所における井戸の設置、またトイレの確保についての御質問にお答えします。
災害時の避難所において安定した避難生活を確保するためには、飲料水や生活用水など、またトイレの水の確保が極めて重要でございます。
県の地域防災計画では、市町村は、避難所において避難住民の生活を確保するため、飲料水兼用の耐震性貯水槽や井戸、また簡易トイレなど必要な施設設備の整備に努めることとし、県は市町村を支援するとされております。
県では昨年度、災害時の水の確保手段として有効な防災井戸の活用方策について、災害時地下水利用ガイドラインを取りまとめ、市町村に対して、このガイドラインを参考として防災井戸の活用を積極的に検討いただくよう周知を図っているところでございます。
避難所における水の確保、またトイレの確保は、まずは避難所の指定や運営を行います市町村において適切に対応されることと考えておりますが、県としては、今回の地震により長期間の断水を経験して、防災井戸の活用の有効性やトイレの必要性を再認識したところでございます。
このため、来年度設置するワンチーム会議のワーキンググループの中で、市町村と共にその設置について検討してまいりたいと考えております。
最後に、宿泊場所としてのキャンピングカーの活用についての御質問にお答えします。
今回の能登半島地震では、特に珠洲市や輪島市など奥能登地域において、全国から派遣された自治体の応援職員が利用できる宿泊施設がほとんどなく、宿泊場所の確保が課題となっております。
こうした中、議員からもお話しありましたとおり、熊本地震でキャンピングカーが災害対応に有効であると感じた熊本市の職員が日本RV協会に相談し、同協会の会員企業が所有するキャンピングカー数十台を応援職員の宿泊のために貸与されたと聞いております。
キャンピングカーにつきましては、移動が容易であり余震等による急な避難にも迅速に対応できることや、車内はパーソナルスペースが確保されておりストレスから解放されて落ち着いて過ごせること、電気や水、ガスなど生活に必要な設備が備わっており被災地でも基本的な生活が可能であること、トイレやシャワーなどが整った車両であれば衛生的な環境の下で健康的に過ごせることなど、数多くのメリットがあり、奥能登地域でも大変重宝されていると伺っておるところでございます。
県としても、今回の災害対応を検証する中で、その導入について市町村と共に研究してまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
86 ◯議長(山本 徹)市井土木部長。
〔市井昌彦土木部長登壇〕
87 ◯土木部長(市井昌彦)私から、道路啓開計画の策定についての御質問にお答えします。
東日本大震災の教訓から、地震などによる大規模災害発生時においては、緊急通行車両の移動ルートを切り開く道路啓開が、救援・救護、救出活動を行う上で必要不可欠なものとなっております。
これまで全国では、首都圏直下地震や南海トラフ地震が想定される地域等を中心に道路啓開計画が策定されているところでございます。
こうした中、北陸地方における大規模災害発生時の道路啓開を迅速かつ円滑に実施するため、北陸地方整備局や富山県、NEXCO等の道路管理者をはじめ、各県の警察や建設業協会、電線管理者などの関係機関を構成員とする北陸圏域道路啓開計画策定協議会が設立され、議員御紹介のとおり、1回目となる会議が昨日開催されました。
昨日の会議におきましては、協議会設立の趣旨説明と併せ、今回の能登半島地震における道路啓開に関する報告もございました。協議会は今後も継続して開催され、その中で、北陸地方における道路啓開計画の策定に向けた具体的な議論や調整が進められる予定となっております。
県といたしましては、今般の能登半島地震において道路啓開の重要性を改めて認識したところであり、国や石川、新潟両県など関係機関と連携協力し、早急に道路啓開計画が策定されるよう協議を進めてまいります。
以上です。
88 ◯議長(山本 徹)井上学議員。
〔26番井上 学議員登壇〕
89 ◯26番(井上 学)2番目の項目は、有害鳥獣対策についてお伺いをいたします。
最初に、イノシシや猿など有害鳥獣による農作物被害が絶えず、農山村に深刻な影響を与えています。耕作放棄地など里山が荒廃すれば野生鳥獣の生息域が拡大し、その結果、平野部、都市部にも影響が及ぶことから、有害鳥獣対策は県民全体の問題と捉え、多くの皆様とこの課題を共有したいと思います。
県では、これまでも様々な対策により被害防止等に努めておられると承知しますが、有害鳥獣による被害額や捕獲数、対策予算の推移と今後の取組方針について
津田農林水産部長にお伺いをいたします。
次に、熊対策について伺います。
熊による人身被害が全国でも過去最悪となっています。環境省のまとめでは、今年度に熊の被害を受けた人は、1月までに全国で218人に上り、統計を取り始めてから初めて200人を超える過去最悪の被害となっています。本県でも1人の方がお亡くなりになっております。
こうした中、環境省が設置した専門家による検討会が、先月8日、熊を指定管理鳥獣にする対策方針を提言しました。伊藤環境大臣は、提言を受けて4月中にも指定管理鳥獣とする方針を表明されました。
そこで、熊が指定管理鳥獣に追加されると、本県にとってどのような意義やメリットがあるのか、また、来年度の熊対策にどのように取り組んでいかれるのか、廣島生活環境文化部長にお伺いをいたします。
次に、ニホンザル対策について伺います。
昨年までの報告では、ニホンザルの農作物被害額は年々少なくなってきているとのことですが、被害額に表れない家庭菜園などの自家消費のための作物や、作付を諦めてしまった畑での本来収穫できるはずだった額も加えれば、相当の被害額になることが予想されます。
猿による被害防止や人身の安全確保のためにも、捕獲の強化に取り組むべきと考えますが、本年度の事業の成果と併せ今後の猿対策にどのように取り組んでいくのか、生活環境文化部長にお伺いします。
2番目の項目の最後に、捕獲の担い手の確保について伺います。
有害鳥獣による被害を軽減するには、追い払い等の対策では根本的な対策にはなりません。やはり個体数の調整、捕獲が大事であります。捕獲の担い手となる猟友会などのハンターの確保が極めて重要です。ハンターの高齢化や減少に対して、これまで県ではどのような対策を取ってこられたのでしょうか。
また、長期的な視点で、若い世代の狩猟免許の取得推進や訓練用の射撃場の整備など環境整備も必要であります。これからの有害鳥獣捕獲の人材の確保育成が急務と考えますが、今後の取組について知事にお伺いをして2番目の項目を終わります。
90 ◯議長(山本 徹)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
91 ◯知事(新田八朗)2問目、有害鳥獣対策についての御質問にお答えします。
御指摘のように、有害鳥獣対策として、捕獲による個体数管理は重要な対策の一つであると捉えておりまして、県では、これまでも県の猟友会などと連携して、捕獲の担い手の確保育成に積極的に取り組んできました。
具体的には、狩猟免許の所持者を増やすために、試験の回数を、従来の年1回から平成19年度には2回に、平成26年度に3回と順次増やしてきました。また、狩猟の魅力を紹介するガイダンスや、初めて狩猟免許試験を受験する方を対象とした講習会を開催するなどの取組を行ってまいりました。その結果、平成18年度に876人まで減少した狩猟免許所持者数は、令和5年度には1,427人まで回復いたしました。
また、狩猟免許保持者に占める60代以上の割合が、ピーク時は平成23年ですが約6割に達しておりましたが、本年度は約5割ということで、幾分若返り傾向にはあると考えております。ただ依然として御高齢者の割合が高く、後継者の確保も課題となっております。
このため、県が指定管理鳥獣対策のために、県内の熊がいそうな山側の8地区に設置しております捕獲専門チームでは、ベテランと若手が一緒に猟を行うなど、ベテランの技術を若手に伝承するように努めています。そうやって若手メンバーの育成を図っております。
さらに、新年度においては、主に40代未満の方々を対象として狩猟に興味を持ってもらうため、新たに狩猟PR動画を作成しSNSで発信するほか、狩猟体験イベントを開催するなど、若い世代の狩猟免許の取得の促進につなげていきたいと考えます。
今、県内における狩猟者向けの訓練施設としましては、南砺市のクレー射撃場と、そこに隣接しておりますが大口径ライフル射撃場がありまして、県では、県の猟友会に対して射撃場での訓練に係る経費を支援しているところでございます。
今後も、鳥獣管理の担い手確保育成に努め、関係部局や市町村と連携し、有害鳥獣被害の防止に向けて取り組んでまいります。
2問目、以上です。
92 ◯議長(山本 徹)
津田農林水産部長。
〔津田康志農林水産部長登壇〕
93 ◯農林水産部長(津田康志)私からは、有害鳥獣による農作物被害等についての御質問にお答えいたします。
有害鳥獣による農作物被害につきまして、直近5年間で見ますと、被害額は、令和元年度の約9,800万円から近年は6,000万円前後で推移し、5年度も前年度同期比で約1,700万円減少しております。
捕獲数につきましては、イノシシは、元年度の過去最多数7,558頭から2年度は豚熱の影響により約3,000頭まで落ち込んでおりましたが、4年度には4,437頭と再び増加傾向にあります。ニホンジカは、元年度の49頭から年々増加し4年度には332頭となっております。一方、ニホンザルは、元年度の394頭から減少し4年度は258頭となっております。
続いて、農林水産部と生活環境文化部を合わせました有害鳥獣対策予算の推移につきましては、元年度の約3億2,000万円から、耐雪型侵入防止柵整備費の増額や豚熱緊急対策の実施、指定管理鳥獣捕獲に従事する捕獲チーム数の拡充等により、6年度予算では約4億2,000万円となっております。
今後の取組の方針といたしましては、耕作放棄地の発生防止のため、これまで地域ぐるみで実践していましたイノシシを引き寄せない集落環境管理、侵入防止対策、効率的な捕獲対策の3つの対策を引き続き推進するとともに、6年度からは、現在5市町で実施しております広域捕獲をさらに2市追加して行うほか、都市部でも目撃件数が増えているニホンジカについて、ICT技術を活用した捕獲実証を行うなど、被害防止対策を強化することとしております。
加えて、引き続き、電気柵の設置等に係る農村ボランティアを広く募集するなど、有害鳥獣対策を県民全体の課題として捉え、多くの方に協力いただけるよう取り組んでまいります。
以上です。
94 ◯議長(山本 徹)廣島生活環境文化部長。
〔廣島伸一生活環境文化部長登壇〕
95 ◯生活環境文化部長(廣島伸一)いただきました2問のうち、まず熊の被害防止についてお答えをいたします。
今年度、全国的に熊による人身被害が多発したことを踏まえまして、環境省では、集中的かつ広域的に管理を図る必要があるとされます指定管理鳥獣に、現行のイノシシとニホンジカに加え、熊類を追加する手続を進めておられます。
今後、省令改正を経まして4月中には追加指定され、そうなりますと、国の交付金でございます指定管理鳥獣捕獲等事業が熊被害防止対策にも活用が可能になると考えております。
現時点では、交付金の対象となります経費は指定されていないところですが、これまで本県で熊被害対策として取り組んでまいりましたパトロール、捕獲等の個体数管理ですとか生息環境の整備などが対象となると想定されまして、指定後は、この交付金の積極的な活用を期待しているところでございます。
また、今年度の状況を踏まえまして、新年度は熊対策の充実を図りたいと考えております。具体的には指定管理鳥獣化に対応します、県の熊管理計画の改定の基礎資料となります生息状況調査のほか、国の令和5年度の補正予算を活用しました熊の行動圏調査に取り組みますとともに、熊の出没件数が多い地域における緩衝帯整備ですとか電気柵設置への支援、河川の伐木や草刈りなどの生息環境の管理に加えまして、市町村が取り組まれます熊対策への支援につきましては、放任果樹の除去やパトロール経費の補助上限額を撤廃するなど、クマ対策推進事業費補助金の拡充を考えているところでございます。
引き続き、国、市町村、関係機関と緊密に連携し、熊による人身被害の未然防止に努めてまいります。
次に、ニホンザルの被害対策についてお答えいたします。
ニホンザルの被害防止対策としまして、今年度は、加害群が確認されております9つの市町を対象に、群れを感知するための受信機を貸し出し、その使用方法や効果的な捕獲、追い払い方法などに関する研修を開催した上で、受信機を有効活用し捕獲やパトロールに取り組んでいただいております。また、県が毎年実施しております群れの行動域調査では、新たな群れが確認されるなど、群れの生息状況の実態把握にも努めております。
一方、今年度、市や町から報告がございましたニホンザルによる人家周辺の生活環境への被害は、家庭菜園での野菜・果樹などの食害、屋根瓦・網戸などの破損、人に対する威嚇・取り囲みなど、1月末時点で367件と、既に昨年度の259件を上回っている状況でございます。市や町の担当者、地域住民の方々からは、もっと捕獲すべき、捕獲上限数を増やすべきといった御意見がございます。
このため新年度は、先ほど申し上げました受信機を有効活用した捕獲、追い払い、これに引き続き組みますとともに、新たに、特に大きな生活環境被害や農作物被害を起こしている群れを対象といたしまして、その群れの正確な個体数の調査に取り組みたいと考えております。
その調査結果を速やかに市町に提供し、捕獲上限数に反映いただき適切な個体数管理につなげ捕獲の強化を図るなど、市町や地域住民の皆さんと連携し被害防止に取り組んでまいります。
以上でございます。
96 ◯議長(山本 徹)井上学議員。
〔26番井上 学議員登壇〕
97 ◯26番(井上 学)最後の項目は、ブランディングの推進についてお伺いいたします。
ユネスコの無形文化遺産に和食が登録されて、日本の食が、国内外を問わず旅行者を引きつける大きなインセンティブになっています。
「『寿司』と言えば、富山」の一点突破にも大いに期待したいと思いますが、富山の伝統文化や食文化、自然環境など、富山県が世界に誇れる魅力を県内外、国内外にもっと知ってもらうことが、本県のブランド力強化につながると思います。
県では、これまでもホームページやXなどのSNSや様々なツールを使って情報発信に努めてこられたとは思いますが、幸せ人口1,000万人を目指すには、思い切ったPR予算を確保して、さらなる情報発信の工夫が必要でないかと感じます。
地域ブランドを確立して広く世間に認知されるようになるには、まず国内外へアピールする今まで以上の発信力の強化が必要と考えます。これまでの県のブランド力強化のための情報発信の取組と今後の方針について、知事の所見を伺います。
次に、毎年、民間の様々な会社による都道府県魅力度ランキングが発表されています。ブランド総合研究所による都道府県魅力度ランキング2023では、本県は22位でした。昨年より1つ上がりました。しかし、ポイントの伸び率でいえば8位タイとなっており、もっと22位より上位を目指せると思います。
また、リクルートじゃらんの宿泊旅行調査2023では、「地元ならではのおいしい食べ物が多かった」という項目で、本県は2年連続の第3位となっています。
このような調査結果について、県としてどのように受け止め、さらなる上位を目指して今後どのように取り組んでいかれるのか、川津知事政策局長にお伺いをいたします。
最後に、「『寿司』と言えば、富山」についてお伺いいたします。
来年度当初予算に、県民のおすしに対する愛着を深めるため、「寿司といえば、富山」県民・事業者参画促進事業が盛り込まれています。毎月、県民家庭の日である第3日曜日に家族でおすしを食べ、富山の食文化に触れる機運を醸成しようとするものと聞いています。大変よい取組だというふうに思います。
しかし、土日の夕方は県内のおすし屋さんは、今でも大変混雑していると思います。それがさらに混雑するのではないかと若干心配もいたします。
そこで提案ですが、第3日曜日に限定せず、食べるだけで終わらせないで、例えば、そのレシートを貼って申し込めば抽せんでまたすし券が当たると、うれしくないでしょうか。リピートにもつながります。そういう制度設計にすれば、さらに盛り上がるのではないかと考えます。
「『寿司』と言えば、富山」の定着のためには、この事業の運用に当たっては、リピートや国内外への発信につなげていく工夫も必要ではないかと考えますが、知事政策局長の所見をお伺いして私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
98 ◯議長(山本 徹)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
99 ◯知事(新田八朗)3問め、ブランド力の強化についての御質問にお答えします。
御指摘のように、本県のブランド力の強化を図っていくためには、すしに加えて雄大な自然や特有の文化など本県の魅力を国内外に発信し、多くの方々に知ってもらうことが大切です。
このため県では、公式LINEでの利用者の関心分野に応じた情報発信、またインスタグラムでの風景・スポットの紹介、アバター職員を活用した動画配信のほか、本県の隠れた魅力を紹介するポータルサイトも開設して、多彩な魅力を発信しています。
また、すしの戦略においても、有識者やすし職人によるトークセッションの開催、特設ウェブサイトやSNSの活用、本県出身の大使が赴任されているアイルランドでの県産品のPRイベントなどを通じて、すしを入り口に、高低差4,000メートルのダイナミックな自然と、その自然がすしに不可欠な海鮮などの食材を生み出すということ、また、酒や伝統工芸といった伝統文化など、本県が世界に誇る魅力の発信に取り組んでいます。
新年度ですが、延期しているキックオフイベントの開催、また新たなPR動画の放映に加えまして、すしをはじめとする富山の食の強みを本県の特異な地形や地質の観点から──美食地質学と言われますが、そういった内容を書籍化して県内の図書館に配布したいと考えております。
また、毎月第3日曜の県民家庭の日に合わせてすしに関するキャンペーンを実施するなど、今ほど議員から御提案もいただいたところですが、県民の皆さんにも楽しく参加いただけるような情報発信を行ってまいります。
今後も、「幸せ人口1000万」の実現に向けて、必要な財源を確保しながら、本県のブランド力強化に向けて強力な発信に取り組んでまいります。
3問めは以上です。
100 ◯議長(山本 徹)川津知事政策局長。
〔川津鉄三知事政策局長登壇〕
101 ◯知事政策局長(川津鉄三)私は2問いただいておりますが、まずブランド力向上に関する御質問にお答えいたします。
議員御紹介のとおり、じゃらん宿泊旅行調査におきましては、食の部門におきまして2年連続で全国第3位という評価をいただいておりますが、じゃらんリサーチセンターによりますと、海鮮類の印象がランキングを上げているとの分析でありまして、本県の魚介類が大変高い評価を受けているものと認識しております。
一方、本県には、こうした食の魅力に加えまして、雄大な自然、多彩な歴史、文化など、国内外に誇る様々な魅力があるにもかかわらず、都道府県魅力度ランキングなどでは全国中位という状況が続いており、その魅力が十分に伝わっていないのが現状であると考えております。
このため、各県の様々な取組に埋没せず本県の認知度を向上させるためには、富山を象徴する突出したコンテンツに絞り込むということが重要なことから、本県のキラーコンテンツであります魚介類を最大限に活用しながら、お米をはじめとする農林水産物、お酒、工芸品など幅広い富山の食を、楽しみながら食べるというコト消費にも結びつけることができるすしに焦点を絞りまして、他の都道府県に先駆けまして、一点突破で本県の魅力を発信しているということで取り組んでいるところであります。
県外の方に、すしを入り口として、富山の自然環境、歴史、伝統文化、それから食文化、伝統工芸などを知っていただいて、関心を持っていただいて、その他の分野も含めたウェルビーイングな富山の魅力に触れていただくことで、様々な民間の調査等でも評価いただけるよう、他の追随を許さない差別化、民間事業者との連携、関係業界の活性化、人材の育成、幅広い県民の皆様の巻き込みなどにしっかり取り組みまして、県のブランド力の向上につなげてまいりたいというふうに考えております。
次に、県民家庭の日に連動したすしブランディングの取組についての御質問にお答えいたします。
「『寿司』と言えば、富山」のブランディング確立に当たりましては、県民に、これまで以上にすしに親しんでいただくとともに、富山の食文化などへの理解を深めていただくことが重要であると考えております。
このため、新年度、ファミリー層を
メインターゲットに、お年寄りから子供まで幅広く家族が集まりやすい日曜日、毎月第3日曜日に設定されております「とやま県民家庭の日」に合わせまして、多くの県民の皆様に多様なすしに触れていただくキャンペーンを、民間の方々と連携して展開したいと考えております。
現在、具体の運用につきましては検討を進めているところでありますが、まず家庭での展開としましては、すしを食べながら富山のすしのおいしさを自宅の食卓で再認識していただけるよう、四季折々の旬の魚介ですとか、県産米などの地元食材、すしに合わせる地酒等に関する耳寄り情報を、持ち帰りのすし店ですとか商業施設の皆様と連携して発信していきたいというふうに考えております。
また、すし店──先ほどもありましたように日曜は大変混んでいるという話もありますが、そちらの展開といたしましては、すし屋の大将から、四季折々の旬の魚介類の特徴ですとか、おすしをおいしく仕上げる職人の技など、プロの技と経験に裏打ちされた話を聞いていただき会話が弾むようにするなど、様々な事業展開が考えられると思っております。その際には、議員御指摘のとおり、本当に混んでいる中でも、県民の皆さんに繰り返してお店に行っていただくとともに、県外の方にも参加しやすい仕掛けが大事だというふうに考えております。
議員御提案の手法をはじめとしまして、より多くの皆様に参加いただけるよう、業界団体や事業者の皆さんの御意見も伺いながら、実施内容や情報発信に工夫を凝らしてまいりたいと思いますので、またいろいろ御相談させていただきながらやっていきます。
以上であります。
102 ◯議長(山本 徹)以上で井上学議員の質問は終了しました。
以上をもって本日の一般質問、質疑を終了いたします。
次に、お諮りいたします。
議案調査のため、3月4日は休会といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
103 ◯議長(山本 徹)御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
以上で本日の日程は終了いたしました。
次回の本会議は3月5日に再開し、各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後4時05分散会
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