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令和5年決算特別委員会 開催日: 2023-11-28

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  1. 富山県議会 2023-11-28
    令和5年決算特別委員会 開催日: 2023-11-28


    取得元: 富山県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-18
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  1 付託案件の総括質疑  (1) 質疑・応答    川上委員    ・新型コロナウイルス感染症の行政運営への影響につ     いて    ・安全・安心で持続可能な社会の実現について    ・県内産業の振興と人材育成について    澤崎委員    ・安全・安心の確保について    ・教育とスポーツの振興について    ・地域・産業の活性化等について    菅沢委員    ・県教育について    火爪委員    ・「県成長戦略」の家計消費拡大策について    ・PFI事業の活用について    ・マイナンバーカードの普及推進事業について    ・GIGAスクール構想と教職員の多忙化について    ・立山ケーブルカー耐用性確認調査について    ・利賀ダム建設と御母衣ダムについて
       佐藤委員    ・産業・経済の活性化について    ・子育て環境の充実について    ・デジタル化・産学官連携の推進について    ・農林水産業の振興について    ・観光振興について    ・教育の充実について    ・公営企業の経営について    永森委員    ・アフターコロナの経済財政運営について    ・子どものウェルビーイング向上について 渡辺委員長 それでは、発言の通告がありますので、これより順次発言を許します。  川上委員、あなたの持ち時間は40分であります。 2 川上委員 今回初めての総括質疑となりますので、よろしくお願いいたします。  自民党の川上浩でございます。  まず、第1問目としまして、新型コロナウイルス感染症の行政運営への影響について質問させていただきたいと思います。  新田知事が就任されて以来、私どもはウェルビーイングという言葉を呪文のように自分にも言い聞かせながら、そして、これは何たるものかということを常に考えてきたつもりであります。いろんな場面で我々も議論をして、その理解を深めようとしていたわけでありますけれども、実は先日、自民党の我々の部会のほうで、やっぱりウェルビーイングの先進地を見たいということで、デンマークに行ってまいりました。  御存じのように、デンマークのコペンハーゲンに伺ったわけですけれども、いわゆる北欧は幸福度の非常に高い国々です。その中でも特にデンマークについていろいろな書物を見たり、みんなで協議した結果、そちらを訪ねることになったわけであります。デンマークのウェルビーイングは一体どうしてそうなったのかということであります。  御存じのように、福祉国家ということであるわけですけれども、単純に考えると、福祉国家イコールウェルビーイングと思ってしまうのですが、決してそういうことではなくて、それにはちゃんとした裏づけがあってウェルビーイングな国になっているということを肌で感じてきたというのが正直なところであります。  実はデンマークは、1968年にいわゆる個人番号、CPR──セントラル・パーソンズ・レジストレーションというそうですが、10桁の番号をつけて、それによっていろいろな市民サービスの徹底を図ろうとしたそうであります。その中で、国が国民に対して明確に打ち出した言葉は、これから福祉国家を目指すために、このCPR番号を使いながら皆さんの公共のサービスの向上に当たっていくんだと、切々と訴えながらやってきたということであります。  日本のマイナンバーカードのように、その間はやっぱり10年も20年もいろいろなトラブルもあったりした。そういった経過を踏まえながらの運用であったというふうにも伺ってまいりました。結果として、今デジタル化、スマートシティー化も非常に進んでいます。ただ、見た感じは、やっぱり歴史と伝統のあるヨーロッパの町並みであります。  どちらかというと、デジタル化、スマートシティーと描いてしまうと、非常に何というんですか、きらびやかなニューヨークの摩天楼のような世界を想像してしまうわけでありますけれども、決してそうではなくて、きちっとヨーロッパ、コペンハーゲンの町並みに溶け込んだ形でのデジタル化、スマートシティー化が進んでいる、こういった状況だったと感じたわけであります。  そこで、先ほど申しましたように、この福祉国家はどういうことを目指したかというと、御存じのように医療、介護、教育、全てがほとんど無料であります。さらに、人の教育においても、育つ過程においていろいろな挫折もあるし、いろんなことが起きるのでありますけれども、そういったことについても社会的に税金で保障していくそうです。  今、所得に対してはほぼ50%の所得税がかかる。そして、消費税は25%ということでした。大変高い水も飲んでまいりましたけれども、本当にそういう中で福祉国家を回しているということでありました。そして、国民が今どう思っているのかということでありますが、表れるところが投票率です。選挙の投票率はほぼ90%だというんです。これが、やっぱりいかに国民が国を信頼しているか。いわゆる自分の意見をきっちりと述べようとするか。こういったことの表れでないかということも伺ってまいりました。  デンマークの中でこの福祉国家が進んでいるわけでありますけれども、ここでデンマークの国民について、いわゆる北欧の国民についてのお話を伺ってきたわけですが、その国民性として、いわゆるヤンテのおきてというものがありまして、これは何かといいますと、自己顕示をいさめる。そして、他人と融和することだそうであります。  こういったことをおきてとしてそれぞれの国民が心に描いている、持ち続けているということでありまして、そうだからこそ、人と人の触れ合いがあり、そしてまたストレスのない居住性のいい、そういった環境になっているということを伺ってきました。ヒュッゲというそうであります。それが、すなわち国民一人一人のウェルビーイングにつながっていると。福祉国家でありますから非常に安心して暮らせるし、互いに互いの立場を認めながらやっているということであります。  そこで、そういう中で国は施策をどうやって進めるのかということを質問してきたわけであります。今まさに富山県においても、ウェルビーイングを成長戦略の6つの柱に立てて施策として取り組むわけでありますが、そういう中にあって、コペンハーゲンではどうなんだという疑問を抱きながら聞いてきたわけです。その中で出てきた答えは、先ほども言いましたように国民と行政側との信頼性が非常に高い。この信頼性こそが、ウェルビーイングを支えている一番の基なんだと。  もっと言うと、今日本国内で税金を上げると言うと、国民はそれはもう減税、減税とよく言うんだけれども、デンマークでは国民はそうは言わない。デンマークでは、今のこの福祉のサービスを維持してもらうためであれば、多少の増税であっても我慢するといった、お互いの信頼の中でそういう考えも国民は示せるようになっていると。そして、そこでウェルビーイングが起きているんだということであります。これがウェルビーイングの一番の基本的な部分だというお話を伺ったわけであります。  いろいろ視察の件についてお話ししましたけれども、ともかく新田知事が就任されて以来、本当に大変だったと思います。あれは2020年1月ですか、新型コロナ感染症が発生して、3月末には富山県内でも感染者が見つかったわけです。それからは、このパンデミックとも言われる感染症に対して、その場その場での対応に追われたんじゃないかという思いも抱いているわけであります。  その後にまた、異常気象とか、今日の提案理由の中でもお話しされていましたけれども、知事に就任されて以来いろいろと降りかかってきた大きな課題があったのではないかと思っているわけであります。  そんな中で知事は、当初自らの公約として富山八策を挙げられて、また八十八の具体策に取り組んでいくんだと、こんなことを訴えられて知事に就任されたわけでありました。そうはいっても就任以来はコロナ対策やそれから物価高騰対策など、大変県民の中でもいろんな事業者が困ってしまう事情が発生し、何とかしてくれということもありました。そういう中で、掲げた公約までになかなかたどり着くことができなかったんじゃないかと、こんな思いも抱いているところであります。  そこで知事は、この富山八策のロードマップを公表し、八十八策の具体策に取り組んでこられたわけでありますけれども、現状についてどう受け止められているのかお伺いしたいと思います。 3 新田知事 実り多いデンマークの視察の状況も共有いただきましてありがとうございます。  知事就任直後から新型コロナという言わば未曽有の事態による経済活動の停滞を懸念していたわけですが、県民の皆様の暮らしと命を守るということを最優先にして、感染防止と社会経済活動の両立に取り組んできた3年間でした。また、本年度ですが、平成20年以来の災害救助法の適用となる豪雨災害も発生しました。早期復旧に努めるとともに、現役の総理として5年ぶりに来県された岸田文雄総理に復旧支援を要望し、その場ではしっかりと対応するとの回答を得、結果的にその後そのとおりになりつつあります。  その他、40年ぶりに自衛隊に災害派遣を要請することにつながりました大雪、また鳥インフルエンザもありました。物価高騰などにも今直面しているところですが、県議会をはじめ県民の皆様、企業の皆様の御理解と協力を得ながら、この課題にも迅速に対応してきました。  補正予算は35回を数えております。こうした中でも、県民の皆様に約束しました八つの重点施策、そして八十八の具体策の実現に向けて、全力で取り組んでまいりました。  令和5年度末までに約90%が実現可能と見込んでおります。例えばですが、富山県成長戦略を策定し、6つの柱ごとに具体的なアクションプランを展開しております。本年度は196の事業を実施しています。また、スタートアップでは、ハンズオンの支援をしておりまして、大学発ベンチャーなどでも成果が出てきております。また、県立大学では、来年4月から情報工学部にデータサイエンス学科が新設されます。  そして、初めての広域連携の取組となる北陸三県の知事懇談会も、もう2回開きました。さらに、静岡と石川を交えての三霊山サミット、さらにアメリカのオレゴン州やベトナムとの経済・人材交流の促進など、富山県のさらなる発展に向けた基盤づくりにも、この3年間取り組んでまいりました。また、八十八の具体策の中に成長戦略があり、そこから生まれたウェルビーイング、今、川上委員に触れていただきましたが、このウェルビーイングに関する取組は、全国的にも高い評価をいただいていると思っております。  残りの任期も、公約の実現はもちろんですけれども、本県発展の礎となる人づくり、それと新しい社会経済システム、この2つの柱を着実に進めて、来年度に向けてはウェルビーイング指標を活用した課題解決に取り組む予算編成も行ってまいりたいと考えております。 4 川上委員 ありがとうございます。  それでは、次に移りたいと思います。今後の財政見通しについて伺います。  2020年1月の新型コロナ発生当初は、恐らく手当てするお金もないものですから、各県が財調を1兆円ほど取り崩していたという報道もあったわけですけれども、その後、国が補正予算をつけて、いわゆるコロナ対策を行ったということかと思います。  令和4年度当初予算では、新型コロナウイルス感染症対策と社会経済活動の両立や成長戦略の推進に向け、必要な施策に取り組むとして、前年度補正予算と合わせて15か月予算を位置づけ、予算編成に当たられたという提案理由でありました。  その後も国の補正予算、いわゆる地方創生臨時交付金や、緊急包括支援交付金の交付もある中、コロナが発生して以降、年々そういうものによって財政を運営してきたということであろうかと思います。  ただ、令和4年度に入って、多少なりともその交付金は減少してきたということですけれども、実は富山県の決算の概要を見ていますと、この大変大きな交付金を受けることによって、決算規模の推移は、コロナ発生前の令和元年度に5,169億円だったものが、令和2年度6,300億円、令和3年度6,500億円となっているわけであります。  そして、令和4年度の一般会計決算額は6,534億円となっており、コロナ前と比べると約1,300億円の増額となっているわけであります。この要因をどう分析し、アフターコロナにおける今後の財政状況をどう見通しているのか、南里経営管理部長にお伺いします。 5 南里経営管理部長 令和4年度一般会計決算額がコロナ禍前と比べて大幅に増加しておりますのは、御指摘ありましたとおり、国の緊急包括支援交付金を活用し、新型コロナの感染防止対策に万全の対策を講じるとともに、国の臨時交付金を活用し、感染防止と社会経済活動の両立に向けた事業、影響を受けた事業者や県民への支援に積極的に取り組んだほか、制度融資の大幅拡充などが主な要因でございます。  今後の財政状況についてですけれども、物価高騰の動向を見通すことは大変難しいところですが、高齢化の進展等により社会保障関係費が増加する、それから金利の上昇に伴い公債費が高い水準で推移するほか、新たな財政需要としまして子供政策の充実、地域公共交通の維持確保、今後の施設整備に要する経費などの歳出増が見込まれますほか、歳入面では減税による地方財政への影響も懸念されるところでございます。  このため、今後の予算編成においては、歳出面では既存事業の抜本的見直し、再構築や部局横断による課題検討によりまして、必要な財源とマンパワーの捻出を図る一方で、歳入面ではふるさと納税等の新たな財源確保に努めながら、社会保障関係費の一層の増加や物価高、全国的な賃上げ、こういったことを踏まえた地方一般財源総額の確保に向けての国への働きかけを継続してまいります。こうした取組を徹底することによって、持続可能な財政運営に努めてまいります。 6 川上委員 大変な厳しさがこれから待っているというような言葉が答弁の中でうかがえるわけですが、一方ではこれまでの交付金によって継続されてきた事業もあり、その事業を立ち消えにしてしまうのか。またこれから大きな投資も計画されているわけですから、そこにどうやって取り組んでいくのかということも大きな課題になってくると思いますので、経営管理部長、しっかりやってください。  それでは、続いて、個別の項目についてお伺いしたいと思います。  第2問、安全・安心で持続可能な社会の実現についてであります。富山県訪問看護総合支援センター事業を踏まえて伺いたいと思います。  富山県訪問看護総合支援センターを設置して訪問看護提供体制の安定化、機能強化を支援されているわけであります。医師、看護師の働き方改革と人手不足を補う中で、公的・公立病院の機能分担が進み、在宅医療の必要性が高まり、それに伴い訪問看護の需要の高まりが予想されます。  現在、第8次富山県医療計画を作成中とのことでありますけれども、この富山県訪問看護総合支援センターの設置により、訪問看護提供体制の安定化や機能強化に向けて支援されているわけですが、県内の訪問看護の利用状況と現状の課題をどのように捉え、今後はどのような目標を持って取り組んでいくのか、有賀厚生部長にお伺いしたいと思います。 7 有賀厚生部長 訪問看護サービスの利用者は、高齢者、特に後期高齢者の増加等に伴い年々増加しており、令和元年の8,022人に対し、令和4年は1万896人となっており、この4年間で約36%、1年平均で9%伸びている状況でございます。  一方、訪問看護ステーションの数は、直近で全国比較が確認できる令和4年4月現在、人口10万人当たりで本県は8.4事業所、全国平均では11.4事業所となっておりまして、地理的条件や医療資源の状況等もあり、一概に直接の比較はできないものの、数値としては全国よりも少なく、十分とは言えない状況であると思っております。  また、地域別に見ますと、人口10万人当たりの事業所数は新川圏域が5.37、富山圏域は10.06、高岡圏域は10.15、砺波圏域は9.03となっており、新川圏域が比較的少ない状況となっております。  県としては、今後さらに訪問看護サービスの利用者の増加が見込まれることから、地域のバランスも踏まえた訪問看護ステーションの数の確保が必要であると考えております。現在策定している介護保険事業支援計画におきまして、地域ごとに必要な訪問看護サービス量の見込みを算定し、その確保を目標とすることとしております。その実現に当たりましては、新設や規模拡大に向けた基盤整備への支援や、訪問看護総合支援センターによる新設や安定運営のほか、訪問看護サービスの質の向上のための専門的支援を行うことで、県内の訪問看護体制の充実を図ってまいります。 8 川上委員 訪問看護については、これからの地域医療構想の話もありますし、いろんな中で非常に必要性が高まってくるかと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。  次にですが、医師確保対策として、いわゆる地域枠や就学支援金制度などを設けられているわけであります。先日、研修医の研修プログラムのマッチング結果が報道されておりました。県内13の公的・公立病院のうち、マッチング率100%は5病院にとどまっているという現状であります。  マッチング率と併せてですけれども、実は地域枠の導入が先行している医学部では、決められた期間よりも早く地域外へ流出することが現在課題になっていると報道されております。厚生省が2019から2020年度に行った調査では、9,707人のうち450人が流出したと。都市部より設備が劣る地方病院で専門性を高める難しさや、結婚、出産などとの両立が難しいことが背景にあると見られるということであります。  そこでですが、まず県内病院における臨床研修医のマッチング率と、研修後の県内定着率について、過去5年間の推移と現状の課題をどのように捉え、今後の医師確保対策に取り組んでいかれるのか、有賀厚生部長にお伺いします。 9 有賀厚生部長 臨床研修医の確保については、富山県臨床研修病院連絡協議会において様々な取組を進めておりまして、過去5年のマッチ者数は70名から80名程度で推移し、マッチ率は5年平均で71.4%となっております。  制度が始まった当初は、マッチ者数が五、六十名程度で、マッチ率も五、六十%程度でございまして、その当時と比べると人数は増えてきており、一定の成果は出てきているのではないかと考えております。  一方で、臨床研修終了後の県内定着につきましては、過去5年は40名前後で推移して、定着率は5年平均で51.0%となっており、臨床研修後の県内定着が課題であると考えております。富山大学や県内病院において専門研修の質の一層の向上、勤務環境のさらなる改善に取り組んでいただくとともに、県といたしましても、指導医講習会の開催や、医療勤務環境改善支援センターにおける労務改善支援などに引き続き取り組んでまいります。  また、協議会を中心として、専門研修プログラム合同説明会を開催するとともに、協議会ホームページをさらに充実させるなど、県内専門研修病院の魅力の発信に努め、一人でも多くの医師が県内に定着いただけるように取り組んでまいります。 10 川上委員 確かに医師の確保という面では、特に産科の問題が大変大きな課題になっておりまして、私は新川地域に住んでいる者ですけれども、何とか保ってはいるんですが、非常に不安を抱いているところであります。ぜひこの医師の確保について、なかなか難しいということは重々存じておりますが、いろんな手だてを取ってやっていただきたい。お願いしておきたいと思います。  続いて、公共・主要県単事業について伺います。  御存じのように、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策が現在進行中であるわけであります。その一方で、実は現場においてはどういうことが起こっているかというと、人手不足や燃油費、そして諸資材の高騰が事業進捗に影響を及ぼしたり、入札がなかなか調わなかったり、そういったことが起きているということであります。  また、今回のインフラの整備に当たって、令和4年度では、令和3年度下の補正予算と令和4年度の当初予算を合わせて、同じように15か月予算として前倒しでやっていくんだと、1年前倒しで取り組むと提案理由でもおっしゃっているわけでありますが、現実、地域においてはその前倒しされている事業成果を実感できていないという声もあるところであります。  そこでですが、今言ったように前倒しで進められている、いわゆる公共インフラ・ニューディール政策によって、地域の経済の活性化や加速化、いわゆる工事の前進がどの程度進んできたのか、その取組の成果をどのように捉えているのか、市井土木部長さんにお伺いいたします。 11 市井土木部長 県では、国の国土強靱化5か年加速化対策予算も活用し、令和3年度の補正予算と4年度当初予算とを合わせた15か月予算として、公共事業につきましては858億円を、また主要県単独事業につきましては183億円をそれぞれ確保し、令和の公共インフラ・ニューディール政策の推進に努めてまいりました。  この結果、緊急輸送道路で修繕を要するとされた道路橋212橋、トンネル19本につきましては、今年度末までの修繕着手としていた計画を1年前倒しして達成いたしました。また、河川整備につきましては、令和4年度で1.1キロメートルの整備実績が積み上がったことから、令和8年度末までの目標整備延長428キロメートルの達成が1年前倒しとなる令和7年度末までに実現できる見通しが立ったところでございます。このように、この政策の推進により本県の社会資本の充実が図られたものと考えております。  また、こうした公共事業は、受注企業や下請企業、資材等を提供する企業などその投資効果の及ぶ範囲は広く、またストック効果もあることから、地域経済の活性化に寄与したものと考えております。  近年、自然災害が激甚化、頻発化する中、本年6月、7月には県内におきましても大雨による大きな災害があったところです。県といたしましては、県民の皆様が安全・安心に暮らせるよう、引き続き国にも働きかけ、必要な予算を確保し、見通しを持って計画的かつ着実に県土の強靱化を推進してまいります。 12 川上委員 引き続きよろしくお願いしたいと思います。ちょっと時間がなくなってまいりました。  続いて、富山県地域公共交通計画策定に向けた調査検討事業を踏まえて伺いたいと思います。  交通政策局を新設して、少子高齢化や人口減少など社会情勢が大きく変わる中で、持続可能な公共交通の構築に向けた体制強化を図り、地域交通戦略会議を立ち上げて検討していくということでありました。そして今、JR城端線・氷見線においては、再構築計画の取りまとめが進んでいると伺っているところであります。  そこで、地域交通戦略会議では、現在県東部の地域公共交通の現状と課題をどのように認識し、どのような検討を進めているのか、進捗状況を田中交通政策局長に伺います。 13 田中交通政策局長 県東部においては、あいの風とやま鉄道と富山地方鉄道を中心とした地域交通ネットワークが構成されており、広域にわたって県民や観光客の移動を支えております。一方で、こうした広域にわたる線路や施設の老朽化に対し、適切に維持管理、更新等を行っていくことが課題と認識しております。  8月に開催しました地域交通戦略会議では、地域交通サービスは公共サービスであり、地域の活力、魅力の向上に向けた役割、責任分担として、自治体、県民の役割を事業者への側面支援から自らの地域に対する投資、参画へとかじを切ることが必要とされました。  また、今月に開催しました鉄軌道サービス部会において、自治体の投資や国の支援を有効活用した鉄軌道整備の計画的な維持管理、更新の推進、沿線のまちづくりにおける鉄軌道の積極的な活用、カーボンニュートラルの実現に向けた取組の推進などについて検討、議論し、部会として計画に盛り込むこととしております。今後は、各部会で議論した結果を戦略会議に報告し、年度内に計画の策定に向けて議論を行っていくことになります。市町村や交通事業者など関係者と連携を図りまして、計画策定に向けて取り組んでまいります。 14 川上委員 県内の均衡ある公共交通の確立について、今後も進めていただきたいと思います。  続いて、指定管理鳥獣捕獲等事業、それから地域住民主体のニホンザル対策強化地域モデル事業を踏まえて伺います。  有害鳥獣対策として、電気柵でありますとか、いわゆる里山の整備など、いろいろな方策に取り組んできたわけでありますが、なかなか出没は抑えられない状況であります。と同時に、今年は熊の出没によって県民が亡くなるといった状況も起きています。「ワンチームとやま」連携推進本部会議においても、熊などの捕獲の空白地域解消が課題になっていると伺っております。  今後、環境省でも指定管理鳥獣の対象に熊の追加を検討するなど、県でもさらなる対策の強化に取り組む必要があると考えるわけでありますけれども、これまでの取組の成果や課題を踏まえ、今後どのような対策に取り組むのか、熊の指定管理鳥獣への追加に係る国の動向と併せて伺います。 15 廣島生活環境文化部長 この指定管理鳥獣等捕獲事業ですが、環境省所管で、今はイノシシとニホンジカが指定されております。県内では、令和元年度、イノシシによる農作物被害が8,330万円と、被害の全体の8割を超える状態になりました。このため、この事業を活用しまして、県内の捕獲専門チームを増やすなど、取組を進めております。この結果、令和元年度以降、農作物の被害は減少しているという状況にあります。  一方、ニホンジカですけれども、昨年度初めて県内で被害が確認されております。イノシシと併せましてさらなる捕獲従事者の確保、ICT技術を活用した捕獲の効率化を進めなければならないと考えているところでございます。  熊のほうでございます。本年その出没が多く確認されておりますが、現在、国の指定管理鳥獣には指定されておりません。しかし、今ほど御案内ありましたとおり、国では今般の伊藤環境大臣の指示に基づいて、熊の指定管理鳥獣への指定の検討を始めることとされました。去る11月16日の参議院の環境委員会で、同大臣からは、指定管理鳥獣への指定は熊類の保護管理上の大きな転換であること、このため、初めから結論ありきではなく、熊の最新生息状況等を整理し、専門家の科学的な知見に基づき、遅くならない時期に判断することが重要という認識が示されております。  本県としましても、この国の検討、また検討に基づく対応を注視しつつ、熊による被害防止に取り組んでまいります。 16 川上委員 有害鳥獣とはいうものの、人的被害まで起きているということで、本当にこれからも十分に取り組んでいただきたいと思います。  続いて、第3問の県内産業の振興と人材育成について伺います。  まず1問目で、GIGAスクールの運営支援センター事業を踏まえて伺いたいと思います。いわゆるGIGAスクールに関していろいろな施設整備が進んできたところであります。と同時にですが、令和4年4月から、高等学校において情報Iが必履修科目となったわけであります。そして、併せて令和7年の大学入学共通テストからは、必受験科目となると伺っております。  令和7年1月に実施の大学入学共通テストから新たに出題科目となる情報Iについて、今後、国立大学の入学者選抜では必須科目とされる予定であるが、教員や教材などの学校現場における準備状況はどうなっているのか、荻布教育長に伺います。 17 荻布教育長 令和7年1月実施の大学入学共通テストでは、新たに情報Iが出題科目に加わり、富山大学や金沢大学でも多くの学部などで情報Iを必須としているところであります。  県立高校の普通系学科では、必履修科目である情報Iを1年次もしくは2年次に開設しており、問題集やワークシートなどの教材を活用したり、情報技術を用いた課題解決に取り組んだりして、学習内容の定着を図っております。また、学校によっては3年次での情報に関する学校設定科目の開設や、個別のサポートを含めた支援体制を予定をしております。  県教育委員会としては、今年度、情報を専門とする教員を増員したほか、専門知識を持った情報科教員が複数校で指導するなどの工夫をしたところでありまして、情報Iの授業の時間数分の全てを情報の教員免許状を持つ教員が担当できるよう配置をしております。  また、令和4年度に富山大学と本県の情報科教育を牽引してくれている教員とが連携して、授業実践実例集を作成しまして、全ての県立学校と私立高校に配付いたしました。この実例集の活用によって、情報科教員の指導力向上と授業の充実を図っており、今年度はさらに実例集の改訂や動画コンテンツの作成に取り組んでおります。今後も、情報社会において生徒が問題の発見や解決に向けて取り組める力を育むため、また大学入試においても十分に力を発揮できるよう、指導体制充実に努めてまいります。 18 川上委員 ありがとうございます。  では続いて、官民連携人材育成事業について伺いたいと思います。
     これは、都市経営プロフェッショナルスクール北陸富山キャンパスに県職員を派遣し、まちづくりや地域課題解決を図る人材を育成するものでありますが、これまでの取組の成果と、今後どのような場面での活躍を期待しているのか、川津知事政策局長に伺いたいと思います。 19 川津知事政策局長 御案内のスクールにつきましては、都市の経営課題を公民連携事業で解決する人材育成を目的として、2015年に開校されたものでありまして、全国の自治体の職員などが受講しております。  昨年、県から主催者に働きかけまして、全国初のサテライトとなる北陸富山キャンパスが県内で開校されまして、現在、県職員16名、市町村職員ほかが5名の計21名が受講しております。受講生は、民間事業者を巻き込んで地域課題を解決するプロジェクトの事業化に向けて受講しておりまして、現時点におきましては、本スクールを契機に県庁前公園での受講生の取組を踏まえた県庁周辺県有地の有効活用の検討が開始されましたし、公民連携による新たなスキームによる伝統工芸品産業振興の実装化、それから富山グラウジーズとの包括連携協定もこちらの結果として成果が出ているところであります。  なお、県には民間事業者の皆様から大体日に2件ほど御提案をいろいろいただいているわけですけれども、そういう意味では、本県の官民連携事業の創出のポテンシャルは十分にありますが、さらなる事業創出のためには、こういった市町村や民間事業者との調整などを行って、官民の垣根を超えて迅速に取り組むことができる越境人材が重要だと考えておりますので、本スクールの受講者には、越境人材として官民連携プロジェクトに積極的に取り組むとともに、そのスキルやノウハウを庁内に浸透することによって、潜在的なプロジェクトもどんどん解決するように努めていきたいと考えております。 20 渡辺委員長 川上委員、持ち時間が少なくなっておりますので、質問は簡潔にお願いいたします。 21 川上委員 分かりました。最後の1問、くすりのシリコンバレーTOYAMA創造コンソーシアム事業について伺いたいと思います。  薬立県を目指していた富山県でありまして、間もなく1兆円産業と言われているときに、いろんなトラブルがあったわけですが、今回のこの事業の中で、予算額は9億9,700万円に対して決算は6億4,700万円になっているわけであります。医薬品の安定供給に向けて課題のある現状において、この実績をどのように捉え、今後の取組に生かしていくのか、有賀厚生部長に伺います。 22 有賀厚生部長 くすりコンソーシアムは、研究開発、そして専門人材の育成確保から成る事業でございますけれども、研究開発のほうについては、既に特許出願を完了して企業とのマッチングを図っている研究テーマが出てきております。また、人材育成については、全国の学生を対象としたサマースクールの受講生が県内製薬企業へ就職するなど成果が見られるところであります。  なお、令和4年度ですけれども、主に大学等における研究開発事業で、年度当初の研究計画から内容が変更されたということで、研究費に不用額が発生したものでございます。この不用額は国の交付金事業ということで、ほかの事業への転用ができないものとなっております。こうしたこともありますけれども、今後も引き続き関係者が連携協力して、連続生産をはじめとするような革新的な生産技術の導入ということ、また製剤開発、品質保証、品質管理に資する研究開発、そして人材育成に引き続き積極的に取り組んでまいります。 23 川上委員 終わります。 24 渡辺委員長 川上委員の質疑は以上で終了しました。  澤崎委員、あなたの持ち時間は40分であります。 25 澤崎委員 自民党新令和会の澤崎です。  ちょうど2週間前の11月14日から3日間にわたって、沖縄にある立山の塔の慰霊祭に県議会を代表して山本議長、そして知事代理ではありましたが、有賀部長とともに行ってから、喉の調子が悪くて、マスクをして質問させていただこうと思っております。  決算特別委員会での総括質疑については、県議会議員2期目になりましたけれども、これが2度目となりました。言うまでもなく、決算特別委員会は、予算で決めたことがどのように執行されて、それがどんな結果をもたらしたかということ、そしてその結果に基づいて、県民生活そのものがどういうふうに変わったのか、また課題はどんなものがあるのかなどを浮き彫りにするという意味で、大変重要なプロセスではないかと思っております。本日は、そのような浮き彫りになった課題に対して、今後どう打開、そして展開していくのかを中心に質問をさせていただきたいと思います。  まず初めに、県民の暮らしの安全・安心の確保という観点から、2問お聞きいたします。  昨今、激甚化、頻発化している自然災害の気象情報の収集についてです。特に今年の夏は、異常気象と言われるくらい記憶に残る大変な猛暑でありました。また、県内においては、6月28日に、私の地元でもあります県東部で豪雨、そして7月12日、13日には、これも記憶に残る線状降水帯発生情報が発表され、そして残念ながらお一人がお亡くなりになりました。県東部の豪雨では、先ほど知事からも触れられましたけれども、激甚化災害ということで白岩川の堤防が決壊、立山町のほうへも私がこの目で確認してまいりました。  逐次移り変わる気象情報を正確に早く、住民の皆さんに伝えることが、災害を未然に防いだり、被害を最小限に食い止めるものと考えます。これは当然のことであります。そこで、令和4年度におきましても、気象情報の収集について、1,000万円という多額の経費をかけて一般財団法人日本気象協会に委託されていますが、今後、気象台との連携を強化するなどにより、さらなる予算の効率的な執行に努めるとともに、収集した情報の効果的な活用、発信を図るべきと私は考えるわけです。  例えば、富山市では役場内に自前の気象予報士を配置し、予報の迅速化を図り、効果的な発信により市民に情報提供し、被害を抑える一つの手段にされていると聞いております。間もなく雪の降る季節となり、今日もちょっと寒いです──ちょうど2週間前の沖縄は20度を超える大変ぽかぽかした陽気でありましたが──しかしながら、暖冬予報などもありますけれども、武隈危機管理局長の気象情報の収集についての御所見をお伺いいたします。 26 武隈危機管理局長 県では、降積雪情報の収集等に関する業務を日本気象協会に委託し、除雪出動の判断をはじめ、大雪被害への備えなど雪対策に活用しているところでございます。具体的には、富山地方気象台の観測所10地点に県が独自に設置する観測所42地点を加えた県内52地点の降雪量、積雪量、天候や気温などを観測し、気象データを収集しているところでございます。  また、収集しました気象データを基に、最大48時間後までの降雪量を予測するとともに、この降雪量予測に併せて、午前9時と午後3時現在における降雪量と積雪量の実況値を、富山県降積雪情報のサイトを通じまして、毎日2回県民に情報を発信しているところでございます。  この委託業務につきましては、これまでも土木部で契約していた類似の業務委託との一本化による委託内容の見直しなどに取り組んできたところでありまして、今後とも気象台との連携強化を図るなど、効果等を十分に検証しながら予算の効率的な執行に努めてまいります。  また、収集した情報の活用、発信につきましても、引き続き富山防災WEB、県公式LINEや公式XなどのSNSを活用した迅速な情報発信に努めてまいります。  なお、委員からお話ありました気象予報士の配置につきましては、収集した気象情報を迅速かつ効果的に活用し発信する上で、とても有効な方策と考えておりまして、民間人材も含めて気象分野の専門人材の活用につきましてよく検討してまいりたいと考えております。 27 澤崎委員 ありがとうございました。  主に降雪情報等についてのお話も一例として挙げられたと思いますけれども、本当に自然災害というのは、もちろん集中豪雨であったり、あるいは異常高温予報であったり、あるいは先般も黒部の生地地区でも突風、竜巻、そんな事態も今まで考えられもしなかったような事態が起きているわけですので、それに関する危機管理をぜひともよろしくお願いをしたいと思っております。  続きまして、こんなことをやっていいのかどうか分かりませんけれども、「もしも私が家を建てたなら」で始まる歌──副知事はきょとんとされていましたけれども、実はこれは1973年、私が10歳のときにはやった小坂明子さんの「あなた」の一節であります。あの当時は、思い出すと田中角栄が首相になって列島改造論、そして「皆さん、国民の皆さんにはすばらしいマイホームを提供するんだ」というようなことで、住宅ブームだったと私は記憶しているわけであります。  その頃は、もちろん団塊の世代の方がちょうどマイホームをお建てになる時代でありましたので、一気に住宅の持ち数が増えたという状況であります。しかしながら、今後は人口減少が続く局面にあり、大量にそのように供給された住宅が必然的に空き家となってくる時代でもあります。世帯数より住宅ストック数が上回る状況となり、その他空き家と言われるものの割合が同時に増加して、中でも管理不完全の空き家が増加することが容易に予想されるわけです。  空き家の問題は、言うまでもなく防災、防犯上、景観、あるいは衛生環境の悪化、特に昨今では中山間地においては、野生動物のすみかにつながる。これはよく川上さんが質問されていましたけれども、野生動物のすみかにつながる社会問題であります。  空き家の実態をまず把握することが大事であります。5年ごとに行われる総務省による住宅・土地統計調査があり、来年には公表される予定でありますが、県や市町村、あるいは不動産関係の団体等で構成する空き家対策官民連絡協議会において、毎年県内における空き家の状況を確認されていることを承知しております。  これまでも、県は市町村や民間団体と共に空き家対策として発生の抑制、その活用促進、管理の適正化、除去の促進等に向けて取り組んでこられたことと理解をしております。そこで、空き家について毎年関連予算が執行されているわけでありますが、依然として数が増え続けております。県内の状況や課題をどう分析し、市町村への支援も含めて今後どのように対策を強化していくのか、市井土木部長に御所見を伺います。 28 市井土木部長 本県の空き家の数につきましては、御指摘のとおり、現在調査中である総務省の住宅・土地統計調査の結果が来年度に公表の予定でございますが、空き家対策官民連絡協議会でも確認しているとおり、人口減少等の進行の背景から、その数は増加するものと考えております。  県の空き家対策のうち、以前委員から実績が低いとの御指摘もあった市町村への支援制度につきましては、市町村から対象が限定され使いにくい等の御指摘があったことから、昨年度、支援対象となる利活用のための改修メニューに県外移住者の居住用住宅とするための伝統的家屋の改修等を追加したところでございます。  その結果、昨年度の支援実績は、一昨年度の1件から5件増加し6件となったところです。また、今年度は特定空家等の除却につきましても、市町村が国庫補助で実施する除却に県が上乗せ支援するよう制度を変更し、支援枠も拡大したところでございます。  一方、国では、来月施行予定の空家等対策特別措置法の改正の中で、空家等活用促進区域の創設、特定空家になるおそれのある管理不全空家への指導、勧告、固定資産税の減額特例解除などを盛り込み、空き家の有効活用や適切な管理、特定空家の除却を推進することとしております。  県では、この法施行に備えるため、今月10日に空き家対策官民連絡協議会を開催し、法改正の概要や改正を受けた対応につきまして、市町村や関係団体と情報共有したところであり、改正内容を踏まえ、空き家の利活用や除却の推進がさらに進むよう、国や市町村と連携して取り組んでまいります。 29 澤崎委員 まず1件から6件に増えたというのは大変喜ばしいことで、本当にありがとうございます。6件が10件、20件になるように頑張りたいと思っております。  また、国交省のほうも、この空き家の問題について大きな日本の社会問題であると理解をされ、今回空き家の特措法の改正をされるということですから、来年から本当に本腰を入れていくということが大切だと思っております。私も一生懸命頑張りたいと思っております。  続きまして、教育とスポーツの振興について、4問お伺いしたいと思います。  まずは専修学校についてであります。県内の専修学校は、本県の専門的かつ実践的な知識、技術習得をした人材の養成機関として、地元の産業を支える重要な役割を果たしております。また、令和4年度には高校卒業者の19.5%を占める1,665人の入学の受入れ進路先となっており、卒業生の県内企業への就職率は81.4%と、大変高いものとなっています。  一方で、本県からの大学進学時における県外流出には、なかなか歯止めがかかっておらず、令和2年度の文科省の学校基本統計から見ますと、マイナス26%の流出超過が見られ、その対策が求められているのは御案内のとおりです。そこで、専修学校においても、希望する分野の学校が県内になければ、県外へ通わざるを得ず、人材の流出につながってしまうのであります。経営基盤の弱い学校、専修学校でも様々な取組が行えるよう、補助金の充実を検討すべきではないでしょうか。  県内の若者のウェルビーイングの向上に資するよう、また、若者の県内定着の観点から、高校生等のニーズも踏まえながら、県内専修学校のさらなる特色化、魅力化を図るべきと考えます。専修学校への補助金をはじめ、県としてどのような方針で取り組んでいくのか、南里経営管理部長にお伺いします。 30 南里経営管理部長 本県の専修学校は、県内産業を支える専門人材を養成する職業教育機関として、御紹介ありましたとおり、卒業者のおよそ8割が県内企業へ就職するなど、県の産業振興の一翼を担うとともに、若者の県内定着の観点からも、重要な役割を果たしていただいていると認識しております。  県内の専修学校は、それぞれが建学の精神に基づき特色ある教育を展開するとともに、産業界の要望、県民のニーズを踏まえながら、新たな学科の設置など、魅力向上に取り組んでおられます。例えば、富山情報ビジネス専門学校では、令和3年度に建築・デザイン学科、今年度は情報ビジネス学科を新設されました。富山大原簿記公務員医療専門学校も、今年度、情報ITクリエイター学科を新設、富山リハビリテーション医療福祉大学校では、令和6年度に介護福祉学科の新設が予定されております。  県では、専修学校における多種多様な学科や教育内容を踏まえて、一定基準で一律に交付するという補助の形よりも、それぞれの学校が専門分野ごとに特色、強みをさらに伸ばしていってもらいたいと考えておりまして、特色教育振興事業費補助金により、各学校における最新技術教育や就職指導強化、産学連携、国際化事業など独自の取組に対して支援しているほか、教育の充実を図るための機器整備に対する支援も行っております。県としては、引き続き専修学校の特色ある取組を支援するなど、魅力向上に努めまして、若者の県内定着につなげてまいります。 31 澤崎委員 部長、ありがとうございます。  私立専修学校特色教育振興事業費補助金については理解をしているわけですけれども、これはどういう制度かというと、手を挙げる、手挙げ方式と聞いております。そこで、全国の中でこのような経常的な経費がある県はどれくらいあるのかなと調べたところ、結構な件数がございました。逆にない県が少ないということは、恐らく経営管理部のほうでも把握されていることだと思います。  私は、この教育振興事業費補助金、特色あるものに対して補助をするというのは決して悪いことではなく、とても筋のいいものだと理解しておりますけれども、コロンブスの卵と同じで、鶏が先なのか卵が先なのかということで、やはりしっかりとした経営基盤を専修学校が持つことによって、自前の、独自の新しい考え方で、いろんな学部、生徒のニーズ、子供たちのニーズを取り上げることにつながるのではないかと考えておりますし、今の専修学校の経営者の方々も、そのような情熱を持って経営に取り組んでこられたと私は思っております。ぜひ、この問題についてまた御検討いただければと思っております。ありがとうございました。  次に将来の富山を担う人材育成という観点からの質問であります。  人工知能AIやIoTなどの急速な技術の進展により社会が激しく変化して、多様な課題が生じている今日においては、これまでの文系、理系といった枠にとらわれない各教科等の学びを基盤としつつ、様々な情報を活用しながらそれを統合し、課題の発見、解決や社会的な価値の創造に結びつけていく資質、能力の育成が求められているのであります。中でもSTEM──サイエンス・テクノロジー・エンジニアリング・マスマティックス、数学ですね──の教育は、その幹をなすものであります。  そこで、本県において、理系人材を養成するため、例えば中高生を対象に実施しているとやま科学オリンピックについてですが、これまでの大会の成果をよく分析した上で、今後さらなる充実を図るべきものと考えられます。本県のものづくり産業を支える基盤は人材であり、将来の人材育成に向けて、まずは中高生の頃から科学に対する興味関心を高めることが肝要であります。そういった面から、今後どのように取り組んでいかれるのか。常日頃、人づくりには思い切った投資が必要とおっしゃっている新田知事に御所見をお伺いいたします。 32 新田知事 本県に集積しておりますものづくり産業を支える人材育成をする上では、子供の頃から科学に対して興味を持ってもらう、そんなしつらえが大切じゃないかと考えています。また、課題解決に向けて多面的な物の見方の養成というものも求められると思います。  御紹介いただきましたとやま科学オリンピックですが、子供たちの科学に対する関心を高めて、論理的な思考力や課題解決能力などを伸ばすことを目的として、実験、観察を伴う問題を解くコンテストでありまして、これまで成績上位の人たちが全国大会に出て上位入賞を果たすなど、いい成績を収めてくれています。STEAM教育を先取りする本県ならではの取組であると考えています。今年の官民協働事業レビューでもこうした趣旨を評価いただきました。一方で、参加者を増やす工夫についても御指摘をいただき、今後さらにPRに努めたいと考えております。  もう一つ、多面的な物の見方の養成という面では、県の教育委員会において課題発見能力、解決能力を養っていくために、企業や大学と連携をして、STEAM教育など探究的な学習を推進しています。さらに、ものづくりや6次産業を支える人材育成の一つとして、とやま高校生マイスターの育成・認定をしたり、商工労働部においても、企業等と連携して、中高生向けにものづくりに興味・関心を高めてもらうための企業見学会を開催したりもしています。  また、記憶の新しいところでは、先月末に行われましたT-Messe2023富山県ものづくり総合見本市、ここでは機電工業会の青年部がミニ四駆大会を開催したり、あるいは子供向けの出展もたくさんありました。多くの小中高生が今回のT-Messeには訪れてくれました。  今春にG7教育大臣会合が開催されましたが、そこでの成果文書、富山・金沢宣言の中で、今後の取組の方向性の一つとして「成長を生み出す人材の育成」が掲げられました。今後、ものづくり産業を支える人材育成について、商工関係団体、企業とも連携をしながら、幅広い取組を展開して、未来を切り拓く人づくり、人材育成を進めてまいります。 33 澤崎委員 ありがとうございます。  たしかT-Messeに本当変わったブースがあって、ポリテクカレッジであるとか、あるいは富山高専は出てもあまり違和感は感じないんですけれども、実は新川高校もT-Messe2023富山県ものづくり総合見本市に出ているということは、まさしく今知事がおっしゃられた内容なのかなと。これは知事肝煎りで新川高校にオファーを出されたんですか。 34 新田知事 今年は主催者である機電工業会の金森会長が、やはり子供向けのブースを増やそうというポリシーで、いろんなところに声をかけられたと聞いております。 35 澤崎委員 ありがとうございます。  中高生がものづくりの場面に出てくるということは、14歳の挑戦もそうでしょうし、いろんなものについても大事だと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  では次に、教員の資質向上についてお伺いいたします。  残念ながら、先週も男性教諭による女子児童に対するセクハラが明らかになったところであります。教育基本法をひも解いてみました。第9条です。「法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。」とあり、聖職とまでは言わないものの、法律上、他の職よりも厳格なモラルが求められております。  同時に、保護者も含めた周囲の方からは、教員たるものという無言の圧力がかかるのであります。教員の業務多忙化とも相まって、大変な心理的なストレスがかかっているんだと推測されるところです。今年度に入り、特に飲酒運転絡みの不祥事については、社会通念上絶対に許されるものではなく、教育者として子供や保護者の信頼を裏切る行為であり、大変遺憾でありました。  そこで、教員の資質向上のための研修や指導については、これまでも逐次行われているのでしょうが、教員の不祥事がこのように相次ぐ中、なぜこのような飲酒運転が起こるのか。いま一度要因を分析し、今後どのように対策を強化していくのか、1歩も2歩も踏み込んだ取組が絶対に必要であると感じております。荻布教育長の所見をお伺いします。 36 荻布教育長 本年度に入り、公立学校教員が酒気帯び運転で逮捕されるという事案が2件発生しました。また、先日には、女子児童に対するセクハラ行為で懲戒免職処分を行ったところでございます。  県教育委員会では、これまでも繰り返し教職員の綱紀の保持について各種研修会などを通じて強く指導してきたにもかかわらず、このような事態が生じ、児童生徒や保護者をはじめ、県民の皆様の信頼を損なったことはまことに遺憾であり、お詫び申し上げます。  先週11月24日には、改めて教職員の綱紀の粛正について通知を発出し、市町村教育委員会及び学校に対し、全体の奉仕者としての自覚を持つことはもちろんのこと、児童生徒を指導する教職員としての立場を再確認し、規範意識をさらに高めるよう伝えたところでございます。  また、来年度の新規採用教員に配付する教員研修ハンドブックにも、教職員の懲戒処分の指針を新たに掲載し、様々な研修会で具体的な事例などを活用することで、法令を遵守し、児童生徒の手本となる教員の育成を行うこととしております。  また、市町村立学校の教職員の服務を監督している市町村教育委員会においては、おのおのの実情に応じた取組をしていると理解をしております。アルコールチェッカーで自己点検をしたり、安全運転研修会を実施したりする市教育委員会もあると聞いております。  今後とも、教職員の綱紀の保持の徹底を図り、こうした事案の再発防止に向けて、研修の在り方や内容を見直すとともに、市町村教育委員会と連携しながら取組を進めてまいります。 37 澤崎委員 多くの教職員は本当に真面目に真摯に業務に取り組んでおられることは、十分に理解しておりますし、私の妻も元教員でありまして、こういう事態については非常につらいということも言っております。二度とこのような質問をしないでいいような、そういう環境をつくっていただければと思っております。お願いいたします。  次に、県立スポーツ施設の整備状況及び整備方針についてお伺いします。  県立スポーツ施設については、リフレッシュ事業等により改修や設備更新や用具の整備等が予算措置もされ、計画的に行われてきておりますが、老朽化が進み、集中的な修繕が必要な施設が多いことも踏まえると、もちろん緊急的な対応は別として、各施設に薄く広く予算配分するのではなく、必要な施設に対しては集中して重点的な改修を行うなど、改めて整備方針を整理する必要があるのではないでしょうか。  先般、我が会派、新令和会により県立スポーツ施設の現地視察を行いましたが、特に県総合体育センターは、雨漏りやタイル等の剥がれ、あるいは天井の板が剥がれてきており、相当傷みが激しく、その修繕が必要と感じました。この施設は、富山空港と直接結ばれており、国際的な一流アスリートや合宿などにも利用されていると聞いております。  今般、富山空港周辺は、県武道館をはじめ県総合運動公園等のスポーツ施設が集積することになり、さらに魅力的なエリアになるポテンシャルがあることから、県総合体育センターについては、これを機に修繕だけではなく、魅力向上にも資する改修を進めていくべきと考えますが、今後の方針を廣島生活環境文化部長にお願いします。 38 廣島生活環境文化部長 いただきました御指摘の繰り返しの部分も多くあろうかと思いますが、県総合体育センターをはじめ、県立のスポーツ施設──私どもは条例で10施設管理をしておりますが、県民が気軽にスポーツ活動に取り組めるよう、その基盤となるスポーツ施設の機能の充実と、利活用しやすい環境の整備を基本として、それぞれを運営しているところでございます。  御指摘いただいたとおり、建設から長年経過している施設が多く、現在は施設ごとに策定した長寿命化計画に基づきながら、緊急度や施設運営への影響を加味しまして、修繕や機能向上に努めているところでございます。  御指摘いただきました総合体育センターは、昭和59年3月の建設でございます。今、選手の強化、各種大会の開催、日本代表チームの合宿などで年間20万人に活用いただいております。また、これも御指摘いただいたとおり、同センターが立地する空港周辺エリアには、県総合運動公園、また空港スポーツ緑地のほか、富山市の富山南総合公園など、スポーツ施設が集積しております。  加えて、県総合運動公園内に令和9年度の開館を目指しまして、県武道館を整備することとしておりまして、これらの施設が連携してこのエリア全体の活性化に資する取組ができないか、検討したいと考えております。  県総合体育センターにつきましては、引き続き長寿命化計画に基づき必要な改修を行いますとともに、空港周辺エリア活性化の観点から、いただきました宿題等も含めまして、県内外の利用者から選ばれる魅力ある施設とするため、施設利用者や競技団体など関係者から意見を伺いながら、必要な改修や取組について検討してまいります。 39 澤崎委員 ありがとうございました。総合体育センターはひどい状況になっておりますので、よろしくお願いいたします。  最後に、地域・産業の活性化等について3問お伺いいたします。  まず初めに、中山間地域の活性化であります。先月、2日間にわたって全国過疎問題シンポジウム2023が本県で開催されました。過疎地域は、言うまでもなく人口減少や少子高齢化が進展し、産業衰退による地域社会の活力低下をはじめ、集落機能の低下等様々な課題に直面しております。  しかしながら、一方で豊かな自然や農地、森林などを有する過疎地域は、水源の涵養、食料の生産、自然災害の防止といった人々の生活や生産活動を支える公益的役割を担うとともに、自分らしく幸せに生きることを実感する幸せの基盤がそろっていると言えます。  中山間地域においては、豊かな自然資源を有し、それを求めて地域おこし協力隊が集落に入っております。地域おこし協力隊の方がその村を元気づけてくれている現状があります。まさしくウィン・ウィンの関係が構築されているわけであります。  そこで、中山間地域の活性化を図る上で、地域おこし協力隊による取組が有効であると思っております。まずは隊員の募集数を増やしていくことが必要と考えますが、現状の分析と今後の取組について、竹内地方創生局長にお伺いします。 40 竹内地方創生局長 人口減少が著しい中山間地域におきましては、地域活動を担う人材の育成確保が急務であろうと思っております。委員から御指摘ありましたとおり、地域おこし協力隊による地域の課題解決、そして活性化に向けた取組は、年々その重要性や存在感が増しており、県内では10年前の平成25年度末には3市町で6名だった隊員が、今年の9月1日現在では13市町で50名に増えて、活動分野も多様化してきているところでございます。  現在、県では、市町村や隊員の意見等も踏まえまして、市町村とともに、隊員の募集段階から任期終了後も含め、一体的な支援施策を実施しております。具体的に申し上げますと、全国の隊員募集の状況に精通した専門家から募集の心得やノウハウを学ぶ市町村向け研修会、こういったものを開催したり、専門家が市町村に直接赴いて、担当職員等にヒアリングをしながら魅力的な募集企画の作成等を助言するといった企画。また、元隊員が自らの経験を基に現役隊員にきめ細かなサポートを行うネットワーク組織の設立準備も現在進めているところでございます。  今後、国は地域おこし協力隊制度を活用した地域活性化をさらに推し進めることで、全国で現在約6,400人の隊員数を、令和8年度末までに1万人に増やすといった目標を掲げられて、隊員及び受入れ自治体のサポートを強化しております。  県といたしましては、隊員の主たる年齢層でございます20から30歳代の若年層は全国的に減少傾向にございます。そういった中、隊員希望者が全国各地の募集の中から本県に関心を持っていただいて応募してもらえるよう、その募集の工夫でございましたり、着任後の隊員のサポート体制の充実が、より一層重要になると考えております。こうした状況を踏まえまして、地域活性化を担う隊員の確保育成に今後も努めてまいります。 41 澤崎委員 局長、ありがとうございます。  そうしますと、国は1万人の目標、富山県は10年たって約8倍から9倍ぐらいに隊員数が増えておりますけれども、何か今後の目標みたいなものは、数だけではないと思うんですけれども、どんなものですかね。 42 竹内地方創生局長 基本的に地域おこし協力隊員の方たちがお勤めになられる先は市町村ということになりますので、私どものほうで目標の数といったものを定めることは現在しておりません。ただ、私どもとしましては、地域おこし協力隊を募集したいという全ての市町村に地域おこし協力隊員が来ていただけるようなお手伝いをしていく。つまり、市町村の充足度が100%になる状態を目指して取組を進めているところでございます。 43 渡辺委員長 澤崎委員、持ち時間が少なくなっておりますので、質問は簡潔にお願いをいたします。 44 澤崎委員 ありがとうございました。  次に、県産材の安定供給に関して伺います。  先般、県ウッド・チェンジ協議会で報告された県内事業者の木材利用に関するアンケートを見ますと、店舗の新設や改修に木材を利用したくないという回答が3割あったと報道されておりました。一方で、黒部のYKKがパッシブタウンの中で木造集合住宅の中高層のものを3棟建てると。それによって県産材1,450立方メートルを使うということであります。  今後、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、県産材を活用した木造建築を、公共建築物のみならず民間建築物においても増進することが重要と考えております。そのためにも、山元──山の持ち主ですね、伐採業者、製材業者、そして建築業者、工務店との一気通貫のサプライチェーンの構築が必要になってきます。  そこで、現在は富山県産材需給情報センターが実施する需給情報の共有化やマッチングなど、安定供給体制の整備に向けた取組を県として支援しているわけでありますけれども、その事業効果はどうなっているのか、津田農林水産部長にお伺いします。
    45 渡辺委員長 津田部長、答弁は簡潔に願います。 46 津田農林水産部長 はい。富山県産材需給情報センターは、平成30年から林業、木材団体により運営されております。令和3年10月には、木材利用促進法が改正され、その対象が公共建築物から民間を含む建築物一般に広く拡大されたことで、センターの役割は、需給調整はもとより県産材のマッチングの促進など、より重要度を増しております。  このため、県としましても、センターが行う需給調整に加えまして、民間建築物の施主や設計士に対する県産材の利用促進のためのプロモーションなどを支援しており、今ほど御紹介いただきましたが、県東部の木造集合住宅の建築においては、需給情報の共有化や需給マッチングが図られた結果、木材使用量全体の9割に当たる約1,450立米もの県産材が利用される計画が発表されるなど、成果があったと考えております。  さらに、県では今年度、川上から川下までの関係者が参画する富山県ウッド・チェンジ協議会を新設しまして、需給センターと連携しながらこれらの取組を共有、発信することで、県産材を利用しやすい環境づくりに取り組んでおります。こうした取組により、県産材の利用拡大が進み、需給センターを核とした円滑な安定供給が可能となるよう努めてまいります。 47 澤崎委員 ありがとうございました。  最後の質問であります。新たな航空需要を取り込むために、ビジネスジェット機の受入れを促進することが重要であり、施設整備とともに人員を含めた運用体制の一層の充実が求められるわけであります。そのために、現状をどう分析し、今後どのように取り組んでいくのか。これは、全国的に空港ではグランドハンドリングを担う人材が不足しているとも聞いております。さらに、定期便が戻らない状況の中では、新たな人材の雇用も難しいことから、ビジネスジェットの受入れに人員を割く余裕がないと聞いております。こんなことを払拭するために、今後どのように取り組んでいかれるのか、新田知事に所見をお伺いいたします。 48 新田知事 ビジネスジェットの受入れに当たっては、利用者のニーズに的確に対応していくことが大切です。県では、ビジネスジェットの駐機可能時間を前は90分だったんですが、1週間へと大幅に延長するとともに、CIQ専用施設の整備、また専用施設からビジネスジェットの乗降場所まで専用車での送迎を可能とすることなど充実を図ってきています。  また、受入れには施設整備のほかに、委員御指摘のように航空機の誘導や燃料の給油、搭乗手続、手荷物の搭降載など、グランドハンドリングや保安検査などの空港業務が必要となります。富山空港では、ANA富山空港所が業務を担っておりまして、新型コロナで減少した正規職員に加えて、アルバイトやほかの部署からの応援職員で必要な体制を確保しております。  正規職員の増員による体制強化には、定期便の運航再開が重要です。このため、各航空会社に対し繰り返し協議・折衝を続け、8月からは上海との定期便が再開しました。また、来年1月31日からは、期間が限定とはいうものの、台北への定期的な曜日が決まった運航が開始されます。県としては、ビジネスジェットなどの新たな需要を取り込む体制を強化していくためにも、定期便の復活に向けて努力をしていくことが必要と考えております。 49 澤崎委員 ありがとうございます。終わります。 50 渡辺委員長 澤崎委員の質疑は以上で終了しました。  菅沢委員、あなたの持ち時間は40分であります。 51 菅沢委員 決算特別委員会の趣旨に沿いながら、関連して令和5年度を中心にした施策の展開に質問が及ぶことがあろうかと思いますが、御理解ください。教育問題を中心に5問ほど考えていますが、時間の関係で3問ぐらいになるかもしれませんので、その辺はお許しください。  まず、学校の現場で大きな役割を果たしている臨時的任用講師、臨任講師のことに触れて質問します。  この問題では、9月議会で私らの会派の井加田議員も取り上げており、この臨任講師の給料の月額上限制度の撤廃については、県教委は検討課題として認識しているという答弁でした。これはちょっと分かりにくい。検討課題として認識しているという答弁はなかなか理解しがたいんですが、端的に質問に入ります。臨任講師の──これは非正規の教員のことです、給料月額上限設定の撤廃が進まないのはなぜかと。  小中学校の臨任講師さんは25万7,800円、高校は27万1,500円と、学校現場では正規から見たら極めて低いです。格差の差別があるものであります。全国では、35道府県で撤廃されております。富山県は、検討課題として認識している程度で終わっておりますが、これは財源の確保ができないからですか。教育長、私の質問することにお答えくださいね。 52 荻布教育長 臨時的任用講師の給料の格付については、任期の定めのない職員と任用方法が異なることを踏まえ、上限を設けて運用しているところであります。しかしながら、御指摘がありましたように、全国的には上限を撤廃する動きが広がってきており、35道府県が上限を撤廃しているほか、現在、上限を設けている県の中でも、撤廃や段階的な引上げを検討している県が複数あると承知しております。  教育委員会としても、臨時的任用講師の給料の格付の上限設定の取扱いについては、検討課題であると思っております。どのような形で見直すことが適切であるか、様々な面から精査をして検討する必要があると考えているところです。 53 菅沢委員 検討課題として認識しているというお話でございますが、現在、臨任の教師は令和4年度で581人いらっしゃいます。どういう形で上限を撤廃するのか、どういうふうにして昇給をさせるかということがありますが、この制度の上限撤廃ということに踏み込んだ場合、例えば単年度、どれくらいの財源が必要と分析していらっしゃいますか。 54 荻布教育長 この臨時的任用講師の給料の格付、上限設定撤廃した場合の所要額については、多くの県で実施をしておりますが、60歳を超える再任用職員との均衡を考慮する措置というのをどうするかですとか、あるいは複数年をかけて段階的に実施するのかなど、前提となる制度設計によって大きくその経費というのは変動すると考えております。  ですので、一概に言うことは難しいのでありますが、おおむね数億円程度を要すると考えております。 55 菅沢委員 つまり、数億円程度は財源が確保できないということではどうもなさそうですね。検討課題として認識しているということで、いろいろ検討は始まっていると理解しますけれどもね。  次にお尋ねしますけれども、私は、当面でも財源は十分に確保できると思っております。臨任講師の給与については、正規の皆さんと同じように義務教育費国庫負担金、これは国が3分の1交付してまいりますが、教員の皆さんの給与はこの国庫負担金と、さらにあと残りの3分の2は交付税措置をされますが、臨任の皆さんも国庫負担金の対象となるということです。  この国庫負担金については、最高限度額が定められており、これは国が示す富山県の給与単価と教員定数を掛けて算出するという仕組みになっておりまして、その中には臨任の皆さんも入っております。こうして算出される最高限度額を、富山に交付される最高限度額──これは富山県の場合は教育委員会の予算ベースということになるんですが、実際にそれに対して県が支払う給与実績というものがあります。  この給与実績が最高限度額を下回る場合は、実績レベルに合わせて多分国庫負担金は減額される。したがって年度末にはその国庫負担金の確定という仕組みがありまして、令和4年度は確定額は754億円になっております。  そこで、つまり臨任の上限を撤廃して給与アップしても、この負担金の最高限度額内ならどうかということであります。私は、その最高限度額の内なら、臨任の皆さんの上限撤廃の財源は、先ほど数億円というお話ですが、単年度にどういう形で実施するか。いろいろ検討の余地はあるんでしょうけれども、それなりに財源は確保されるという仕組みになっていると理解をします。  この点について、私は、文科省の担当の職員の皆さんにお会いをして確認しましたが、全国の35道府県はそういう形でしっかり財源を確保して、国の国庫負担金の枠の中で、交付税の枠の中で確保される財源で上限を撤廃してきていると申しておられて、富山県もそのことは可能だと。つまり、財源はちゃんと国が用意をすると、しているというお話でしたが、いかがですか。 56 荻布教育長 義務教育費国庫負担金については、御紹介のありましたように、ここで計算上適用される教職員定数というのは、正規、臨任といった区別もございませんし、実際に交付される負担金額というのは、実支出額と国が算出する基準額で算出した額とのいずれか低いほうで見られるということですが、この制度全体の中で、正規、臨任かかわりなく教員の給与というのは財源が見られていると理解しております。 57 菅沢委員 教育長、つまり富山県の教員の皆さんへの支給の給与実績ですね。これが国庫負担金のレベルを上回っているんですか、下回っているんですか。私は下回っていると理解しますけれども、いかがですか。 58 荻布教育長 令和4年度のことで申しますと、実績額で確定しておりますので、国の基準を下回っているところです。ただ、その前の令和3年度、2年度については…… 59 菅沢委員 令和4年度は実績が国庫負担金を下回っているわけですか。 60 荻布教育長 そうです。 61 菅沢委員 臨任の皆さんの上限を撤廃することによって実績額が全体で──臨任の数の皆さんは教職員全体7,000人近くのうちの500人近くですから、僅かだと思いますが、上限を撤廃しても国庫負担金の枠を下回るから、そういうことでいうと、財源はしっかり確保されていると理解すべきです。いかがですか。 62 荻布教育長 実際に具体的な計算をしているわけではないので、そこにはまるかどうかは、ちょっと明確にお答えできませんが、考え方としては正規、臨任の区別なく、この財源で措置するとされているところです。 63 菅沢委員 つまり、臨任の皆さんの上限を撤廃するかしないかは、財源が用意されていますから、できます。やるかやらないかは、教育委員会のやる気。財源がないのではなくて、教育委員会のやる気がない。財源がないのではなくて、教育委員会のやる気がないから、全国の35道府県で撤廃されてきているのに富山県が残っていると、こういうふうに私は理解すべきだと思います。教育長、反論はありますか。 64 荻布教育長 先ほどもちょっと申し上げましたが、財政的にも費用を要する問題でもありますので、そこは知事部局ともしっかりと相談をして、今後検討していきたいと思っています。 65 菅沢委員 何で知事部局に投げるのか。不規則発言やね、すみません。  知事部局に投げたら駄目だ。これは教育委員会の権限の中で、判断でできる。そのことをやっていないだけです。文科省の職員の皆さんはそこまで言い切りませんでした。やっていないだけだ、そういう乱暴なことは言いませんでしたが、財源は用意されているのになぜできないのか。全国では35道府県で進んでいるという指摘でした。これは十分に受け止めてください。いいですね。  それでは次の案件に移ります。資料の配付をお願いします。 66 渡辺委員長 許可いたします。 67 菅沢委員 今、皆さんのお手元に配付させていただいておりますのは、文科省の作成資料です。公立小中学校等の教員定数の標準に占める正規教員の割合、令和4年度、まさに決算年度のものであります。これをぜひ見ていただきたい。  この表について若干の説明をいたしますと、青色のところは教員定数に対する正規教員の割合です。パーセントも書いてあります。富山県のところは正規教員96.3%で、高いわけですね。教育委員会も頑張っていただいていると、私は評価するところはしっかり評価しますよ。  赤色の部分は、臨時的任用教員、いわゆる臨任、この方々はフルで働いていらっしゃるわけですよ。黄色は非常勤講師です。これはこま講師とか言われるように、フルではない方々ですね。この表は、それぞれについての割合を示しております。  一番上の赤色の数字はトータルですね。トータルで富山県は100%。これは標準法プラス加配を含めた基礎定数のレベルをいいますけれども、100を超えて富山県は100.1と、0.1%いわゆる基礎定数を頭出ししているということです。  そこで、教員定数に占める正規、臨時的任用の割合が黒色の数字で示されているものであります。富山県の場合は正規が96.3%、赤色の臨任は2.7%で、黄色のところがちょっと頭出ししておりますね。100%のラインは、今申し上げましたように標準法プラス加配、基礎定数を示しまして、国の定める教員配置基準に基づくものであります。  そこで、100%を超える部分は、それにプラスする県の加配や臨任、非常勤講師を示しております。つまり、私は現場の教員の数の多さ、少なさの傾向とも見ることができると考えております。  そこで、富山県は正規の先生の割合が多いのですが、現場の教員の数は全国から見たら比較的少ないと。つまり100.1%でありまして、順位を見てみたんですが、富山県は25位で中位以下でありました。100.1%より多い県が25県、下が18県、富山県と同じ100.1が4県でありました。  そこで、何を言いたいかというと、富山県は正規の先生は確かに頑張って割合が高いのはいいんですけれども、現場の先生、教員の数は比較的に少ないと。つまり、現場では、今は本当に様々な教育課題に直面しておりますから、正規であろうと非正規であろうと人が欲しい。先生が欲しいんです。そういう意味では、富山県は現場のそういう先生が必要だという現状にしっかり応えているのかということが、問われているということでもあります。  文科省はこの表を大変自慢にしておりまして、これは全国的にも非常に関心を持って見ていただいている資料だとお話しされていました。私もこの表を見て、以前から非常に関心を持っておりましたけれども、教育長、私が今申し上げましたような富山県の傾向について、つまり現場に先生をもっと欲しいんだけれども、富山県は全国比較でもちゃんと配置されていない。そういうことについて、いかが受け止められますか。 68 荻布教育長 県教委では、これまでも学校への教員の配置については国の標準法による定数に加えて、県単独予算での配置も進めてきております。またさらに県単独の非常勤講師の配置にも努め、教育の充実に努めているところであります。例えば、小学校においては国より2年先行して本年度、全学年で35人学級を実施したり、また教科担任制を含めた専科指導を充実したりするために、標準法の定数に加えて、県単独での定数や非常勤講師を配置しているところであります。  また、小学校における複式学級の編制基準を国の標準より1人少ない15人としまして、今年度は該当校の8校に教員を手厚く配置もしております。また、近年、特別支援教育のニーズも高まっておりますが、特別支援学級については、児童の障害に応じたきめ細かな支援をするとともに、担任の負担を軽減するために、国の教員配置基準を超えて複数学年にまたがって、多人数の児童が在籍する4校には教員を追加で配置するなど、教員の充実に努めているところでございます。  御指摘のとおり、教育の充実のためには教員数を増やすことは非常に重要だと考えております。県独自の努力もしてきておりますけれども、例えば特別支援学級の学級編制基準の引下げですとか、中学校全学年での35人以下学級の実施などについては、国の定数措置の充実が必要だと思っており、これまでも要望してきておりますけれども、引き続きこれを国に要望してまいりますとともに、県としても配置の充実に努めていきたいと考えております。 69 菅沢委員 私の質問にしっかり──ゆっくりしゃべっているつもりですので、聞いていただいて答弁お願いしますよ。時間の関係もあるので、質問していないことにお答えいただくと困ります。  私がお尋ねしたのは、標準法プラス加配の100%ラインから上の頭出しが、どうして富山県は全国レベルから見たら低いのかなと。0.1ポイント上へ行っているだけで、全国25番目です。ほかに頭出しの多いところがたくさんあるわけです。  総額裁量制の下で教員の給与や人数については、都道府県教委の裁量が行われる仕組みにはなっております。したがって、富山県は正規が多いのは評価いたしますが、それ以外の非正規の先生も含めた先生の数が全国から見た割合を比較すると、少ないのはどうしてかということを質問しているんです。いろんな努力をしていてあっちこっちということをお話しなさったけれども、それは後で触れようと思っています。いかがですか。 70 荻布教育長 今ほど総額裁量制という言葉もありましたが、国の交付金の考え方としましては、その交付金で見る教員というのは正規の教員であっても臨任であってもそれは問わないという考え方をしておりますので、各県その交付金を活用して様々な教員の配置状況があると見ております。  人員──その100%を超える部分が大きいところもありますが、そこにおいても例えば臨任の方が多いとか、そのあたりはその各県の実情やニーズに応じて配置がなされてきているのだと思います。ただ、現場では確かに教員の充実というのは、非常にニーズが高いと思っておりますので、さらなる努力は必要だと思っております。 71 菅沢委員 今の後半の御答弁はいいので、もっと現場にちゃんと寄り添って、現場の現状をしっかり把握をしながら、どういう形で子供たちのよりよい教育のための支援をしていくのか。教育は何よりも人なんです。教育費のうち給与費の占める割合は富山県も75%を超えております。財源は国庫負担や交付税ではありますけれども、75%は教育費のうちの教員給与費です。  まさに教育は人。人が欲しいという現場の声にちゃんと、本当に耳を傾けていらっしゃるのか。その不十分さがこの文科省の表に表れていると私は指摘をせざるを得ません。そのことを率直に認めて、もっと現場の声に耳を傾けますとおっしゃれば満点の答弁なんだよね。それが正しい答弁なんです。いろいろ言い訳はおっしゃらないでください。  時間の関係がありますから先に進みますが、先ほどから35人学級をやったと。確かに35人学級は令和4年度は、4年生、5年生、令和5年度が6年生ですね。私は、令和4年度はよく頑張っていただいて4年生まで行ったと思います。それで、この富山県の県単の先生を増やして、そして人件費も数億円増えております。ちょっと細かい数字は省略しますがね。  ただ問題は、富山県の35人以下学級、少人数学級が全国に比較してどうなのかということを見てみました。中学は1年生は依然として選択制ですね。2年、3年は国基準です。標準法に基づく40名で計算したクラス編制になっておりますからね。  富山県は、少人数学級ではこれもまた後進県でありまして、さっき教育長は随分何かやっているようなお話しぶりでしたけれども、とんでもない、私はもっとそこを反省して力を入れる必要があろうかと思っております。教育長、あなたはそれじゃ中学校の1年生で完全に35人やって、2年生、3年生もやるとしたら、何人の教員を増やす必要がありますか。財源はどのくらいか算出していますか。 72 荻布教育長 財源については、すみません、ちょっと積算したものはございませんけれども、仮に35人学級、中学校2年生、3年生についても導入しようといたしますと、その学級数が増える分が、これは試算でございますけれども、おおよそ60程度の学級が増えることになると見ております。  また、さらに中学校においては、小学校のように担任が教科全てを見るというのではなくて、教科がそれぞれ異なりますので、学級が増えることによるその各教科の教員増への波及ということも見込まれますので、そういった意味ではちょっと正確な人数というのは今段階では積算できておりません。 73 菅沢委員 先ほどの議論からすると、それくらいの試算をして、学校現場や父兄の期待に応えると。我々も度々要望しているわけでね。私は中学校での完全な35人学級の実現、これは全国では相当進んでおりまして、もう富山県は全国で遅れている15県の中に入っているわけです。多くのところがもう何らかの形で少人数学級の実施段階に入っております。富山県が国基準ということで、この国基準というのは全国で15県あって、その中に富山県は入っているんですね。  こういうことが、先ほど申し上げました学校の現場の教員の数が、全国から見た割合でいうと低いという結果になっているんです。ですから、この間、小学校を完全に少人数学級にしたからといって、私はそんなに自慢にはならんと思いますよ。この議論の中では、その辺の着眼点を外した御答弁は納得できない。これはもう真剣な令和4年度の決算審査の場ですからね。この問題をやっていると時間がなくなりますから、次のテーマに移ります。  3番目は、学校の施設整備についてです。  学校の施設整備に係る予算を見ますと、令和4年度の決算は18億6,914万円ですね。この程度のレベルなのかなと。例えば県立学校施設の整備の状況を見ますと、これは高校のことですが、体育館の空調冷房設備の設置は非常に遅れています。比較がありますけれども、高校の全国の体育館の空調冷房の整備状況は8.1%ですが、富山県の場合は2.4%にとどまっております。これは、令和4年度の実績です。  特別支援学校は全国が28.9%まで進んでおりますが、4.2%のレベル。小中学校は、全国は11.9%ですが、8.5%のレベルです。これは市町村の事業になろうかと思います。令和4年度の学校施設整備の状況を見ましても、特に体育館で見るとレベルが、まだ全国レベルには非常にほど遠いという現状ですね。私はしっかり認識をすべきだと思います。  時間の関係がありますから、この辺の論議はひとつ置いておいて、決算から外れて令和5年度の事業に関連しますけれども、高志支援学校体育館改修が、令和4年度から浮上しておりまして、この11月議会の補正で実施設計195万3,000円が計上されております。これは、空調、冷房、断熱のための実施設計調査費ではないんです。そこが問題なんです。  そのことに関連して申し上げたいんですけれども、私は、なぜこの補正でせっかくの実施設計費をつけながら、単なる体育館の改修にとどめて、断熱や空調、特に冷房をやらないのかと。やるなら今だと思いますよ。そのことをこの決算特別委員会で申し上げたいんです。  なぜなら、国の学校施設環境改善交付金の制度も、その交付金の算定割合の見直しが進んでおりまして、つまり全国の体育館等の空調、冷暖房や断熱の促進が政府のほうにも目標がありまして、例えば令和2年度、これはちょっと前ですが、5.3%台のレベルを中長期の目標を持って、令和17年、ちょっと先になりますけれども、95%まで持っていきたいと。そのために、交付金の算定割合を現行の3分の1から令和7年度までに限って2分の1に格上げするという措置が取られているわけですね。  今このことを利用して、しっかりと令和5年度で、今度の補正のようなそんなみみっちいことじゃなくて、今だからこそ空調、冷房、断熱をやるべきだと。そのための11月補正の実施設計費でなければならなかったのではないかと思うんですね。これは本当は知事にお尋ねすればいいんですけれどもね。知事はいろいろパラスポーツの拠点施設としての整備についても本当はこの高志支援学校の体育館、考えていらっしゃるんじゃないですか。方向性は明確に打ち出していらっしゃらないのではないかと思うけれども、そういうお腹だと思いますよ。  これは知事にお尋ねします。知事、今度の補正はちょっとみみっちいし、今だからこそちゃんと空調、冷房、断熱工事をやるべきです。改修してしまったら、断熱の工事なんて後回しになるでしょう。もうずっと先になりますよ。なぜ今やらないのか。知事、今こそです。いかがですか。 74 新田知事 空調ももちろん大切だと思っていますし、今年の夏も体育館を使っていて緊急搬送された人が何人もおられました。ですから、知事会でもこの空調設置についての支援を国に対して要望している項目の一つに入れています。  この高志支援学校の件は、特に車椅子のバスケットの皆さんの練習場所が、今は富山市の施設をお使いですが、富山市がその施設を解体されるということなので、その代替が必要ということで、今この高志が比較的もともと施設がそろっているものですから、それにさらに手を入れて車椅子バスケットも使用可能なように、またほかのパラスポーツも使用可能なように改修しようということで、今補正に予算をお願いしています。 75 菅沢委員 今だからこそ国の助成もちょっと上積みされるわけで、今だからこそ私は高志支援学校の体育館の改修の中で断熱もやり、冷房もやると。冷房はちょっと先送りしても、断熱くらいは改修の中でやるべきですよ。時間がもうなくなりますので、最後に知事に質問をして、時間の関係で終わりになるけれども、委員長、お願いします。  それでは、知事が着任をされた令和3年度ですけれども、今は4年度の決算であります。新田知事が着任なさった後の教育費の当初予算とか、決算を見ますと、令和4年度は、予算は1,047億円、決算は1,008億円でした。令和5年度の予算は1,035億円ですが、前知事時代から見たら、教育予算は令和2年から5年だけで54億円減っていますね。したがって、決算も2年から4年、前知事時代から見ると36億円も減っているんですね。なぜこの新田知事になって教育予算がこんなに減ってきているのかと。  実は私、前の知事とも富山県の教育予算のレベルが全国の一般会計に占める割合の比較で40位とか38位とかいうて低かったもので、もっと教育に力を入れてもらいたいと、それは予算に表れると、予算の7割は人件費、給与なんですね。ですから、教育はまず人、そして予算を増やすと、このことをずっと議論してきたんです。あなたになって、増えるどころかさらに減っているんですよ。  私はこの間の決算特別委員会の総括説明でも、県の教育予算というのは来年のこの決算特別委員会ではいよいよ1,000億円を切るなと、900億円台。これは県の農業予算や土木予算と同じレベルだという議論をしなきゃならんと思うと教育長に申し上げたけれども、国庫負担がちょっと減っているからというちょっとピント外れの答弁でありました。私は、新田知事の県政に期待することも多いんですが、教育に関しては、予算は顔、知事の顔、知事が教育をどういうふうに考えているかの顔ですよ。どうですか、今の指摘。 76 新田知事 必ずしもその総額の比較だけでは見えないものもありまして、おっしゃるように教育費の総額についてはここ数年見ますと大体1,000億円台、一千何十億という感じできています。5年前の平成29年の決算では約1,022億円でした。それに対して、今おっしゃったように令和4年は1,008億円、微減したと言えるかと思います。  ここには、実は児童生徒数の減少、平成29年に比べると児童生徒数は約1万人減っているんです。ですから、これに伴い教員の減少もあるということ。これは当然教育費の中の7割を占める、委員おっしゃるように人件費の減少につながっています。  また、その教員の中身を見ましても、大量退職の時期がありまして、それによって教員が若返りしているということも、当然人件費が下がる要因になります。そして、その一方、そういう意味で人件費は減る傾向にあるということです、これはトレンドとして。  一方で、学校施設の長寿命化改修工事を積極的に行っています。例えば、令和3年には富山西高校8.5億円、高岡南高校6.9億円、また令和4年には滑川高校4.7億円、砺波工業高校8億円などなどですね。そのようなことで、支出も増やしています。結果的に全体としては微減にとどまっているということで御理解をいただきたいと思います。  ただ、財源の中で教育費は令和4年度の決算では県全体の歳出総額の15.4%でありまして、これは主要な科目の中では最も大きなウエートを、うちの県の中で見ればそうなっているということは御理解をいただきたい。大変重要な行政分野であることは言うまでもなく、そのように位置づけているということでございます。 77 渡辺委員長 菅沢委員、持ち時間が少なくなっておりますので、質問は簡潔に願います。 78 菅沢委員 すみません、先ほど児童生徒の減少から教職員の減少につながったような現状の認識を、お話しなさったんだけれども、確かにそういう傾向はあるにしても、教職員の給与というのはベースアップもしていますし、それから、先ほど申し上げましたように、複雑多様化する教育ニーズに応えて、先生方のいろんな配置の仕方、例えば加配、県単の教員も増えております。  そういう中で給与費の決算というのは、知事、そんなにレベルは下がっていませんよ。令和4年度は754億円でありまして、あなたが着任なさった3年度は750億円、前知事時代でも788億円で、給与費の決算というのはあなたの代になってそんなに大きくは下がっていない。横並びです。  つまり、教育ニーズが多様化して、様々な行政ニーズが多様化して、人員の配置や行政内容の拡充があるわけであって、問題は、先ほど私が教育長と議論してまいりましたような──これは臨任の上限の撤廃に集中しましたけれども、そういう現場で働く人、先生を大事にしていないような待遇ですね。それと、全国比較しても少ない教員の配置の現状、それと、先ほどの特別支援学校などを含めた体育館の整備の遅れですね。  こういうところに表れるように、教育をめぐって様々な課題があるんですけれども、山積するそういう課題を真正面から取り組むというよりも、先送りしているような富山県教育行政の現状の中で、教育予算の決算を見てもずっと低下傾向があるんじゃないかという指摘をせざるを得ないんです。あなたも率直にそこを分析をして、新田知事として富山県教育の中でこういう役割を果たして県民の期待に応えるんだというところを強く打ち出す意味でも、今のお話のような分析の仕方には、失礼ですけれども、私はちょっと問題があるように思いますよ。いかがですか。 79 新田知事 そういう御指摘はしっかりと受け止めたいと思いますが、今、これから私が進める施策の柱が2本あります。1つは人づくり、1つは新しい社会経済システムをつくっていく。それが富山県の今後に向けての大切な仕事だと思って、その2本柱を進めてまいります。  当然、人づくりの中にはこの教育というものは大きなウエートを占める。また、本年G7教育大臣会合を開催した開催地としての責任も十分に感じております。今後、委員の御指摘も受け止めて、しっかりと人への投資、人づくり、それから教育への投資、これらも限られた予算、財源の中ではありますが、優先順位を高くしてやっていきたいと考えております。 80 菅沢委員 知事、頑張りましょう。 81 新田知事 頑張りましょう。 82 渡辺委員長 菅沢委員の質疑は以上で終了しました。  暫時休憩いたします。  休憩時間は10分間とし、再開は3時15分です。  〔休  憩〕 83 筱岡副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  火爪委員、あなたの持ち時間は40分であります。
    84 火爪委員 日本共産党の火爪弘子です。  2022年度決算審議であります。2022年度一般会計予算案の審議の際に、我が党は評価できる項目として、子供の医療費無料化の未就学児までの拡大と所得制限廃止、西部水道水供給事業の受水団体の負担軽減、少人数学級の拡大、立山ケーブルカー耐用性調査などを挙げつつ、一方で、PFI事業の推進、横ばいとなった民生費、新型コロナ対策の不十分さ、マイナンバーカード取得支援、利賀ダム建設などについては、問題ありとの立場から理由を挙げて反対の態度を取りました。決算審査に当たっても、その立場から、通告に従って幾つか取り上げたいと思います。  まず、県の成長戦略に関してです。昨年度、県は成長戦略の実践とその評価指標の検討などに取り組んできました。その過程で我が党は、県成長戦略の中にも県民の個人所得の向上や男女の賃金格差解消などを盛り込むべきと何回か提言をいたしました。1996年をピークに県民の実質賃金が下がり続けています。政府統計でも、これは全国ベースでありますけれども、実質賃金は年64万円も減少しています。  同じ政府統計で、2019年の県内の世帯主の勤労収入は全国34位、しかもこの5年ごとの調査で全国順位が下がり続けてきました。大企業の利益や生産性が向上しても、それが県民に還元されてこなかったところに日本経済低迷の最大の要因があります。岸田首相も、最近はコストカット型経済への反省を述べざるを得なくなっております。格差社会の中で圧倒的多数の県民の暮らしは厳しくなっており、その上、今コロナ禍や物価高騰が暮らしと中小零細企業の経営を直撃しております。  こうしたときに、経済指標にとらわれない主観的な幸福度の追求、ウェルビーイングといっても、それ自体を取り組むことに否定はいたしませんけれども、それでもこういう時期、多くの県民にぴんとくるのかと、昨年の11月議会でも指摘をいたしました。高度経済成長の頃、県民の暮らしがより豊かになっている時期、収入が増えている時期には、経済指標はともかく、経済指標にとらわれずとか、所得だけにとらわれずということが多くの県民から歓迎をされたかもしれません。  しかし、暮らしが厳しく家計消費が縮小している今、本当にそれが最重点で県民の自分事になるのかということであります。先ほどデンマークの事例も川上委員から御紹介ありましたけれども、暮らしと福祉がしっかり支援されている福祉国家であるからこそ、ウェルビーイングが成り立つと、私もそう認識をしております。  そこで質問ですけれども、賃上げと併せて医療や介護の負担軽減など、県民福祉の増進を図ることも家計消費の拡大につながる大事な県の成長戦略ではないかと思います。この間、議論をしてまいりましたけれども、決算審査に当たりまして、改めて知事の見解を伺いたいと思います。 85 新田知事 委員も言及されましたが、賃金データに関する統計の推移を見ますと、勤労者世帯の収入は全国的に見ても高いものの、物価の上昇に賃金の上昇が追いつかず、実質賃金という意味では低下する厳しい状況にあるとは認識しています。  こうした中にあって、本県経済が着実に成長するためには、事業収益の改善を県民の収入増加に結びつけることで、地域における好循環をつくり出すことが大切だと考えます。そのためには、雇用を生み出し、そして県民一人一人の所得の増加が必要。幅広い県民の皆様に経済成長の成果が行き届くように取り組んでいきたいと考えています。このあたりまでは認識していたのではないでしょうか。  委員御指摘の賃上げあるいは家計消費の拡大、そして男女の賃金格差是正について、これらも富山県成長戦略の6つの柱の取組を進めていくことで、私は実現が可能だと考えています。具体的には、今多くの企業に波及し始めているウェルビーイング経営を進めること、それから、女性活躍の推進などを重点的に進めることなどで、働く皆様一人一人が自分らしくやりがいを持って能力を発揮することができ、それが生産性の向上、中長期的な会社の成長につながり、ひいては賃金の上昇や男女の賃金格差の改善にもつながると考えております。  また、新産業戦略というのも柱の一つ、それからスタートアップ支援戦略ももう一本の柱。本県のウェルビーイングな環境に引き寄せられて、本県に県外から国外から来る人材が、本県の基幹産業の競争力の強化あるいは新たな産業の創出などを進めて、新たな雇用を生み出し、本県の経済をさらに発展させる、そのようなよい循環につながっていくと考えております。  県民の実質賃金の引上げ、あるいは適正な賃金水準の確保は、ウェルビーイングを構成する要素の一つである経済的ゆとり実感に直結するものです。アプローチは違っても、目指すところは同じであると考えております。令和5年度の具体的な取組としては、例えば国の制度と連動した富山県賃上げサポート補助金、あるいは富山県キャリアアップ奨励金などで、事業者による賃上げや非正規雇用労働者の処遇改善などの取組を支援するとともに、パートナーシップ構築推進事業によって、県内経済団体の適切な価格転嫁の実現に向けた普及啓発の取組を応援しています。  引き続き、国の総合経済対策とも連動させながら、本県の経済成長が県民一人一人の生活の向上、そしてウェルビーイングのさらなる向上につながるように取り組んでいきたいというのが私たちの考えです。 86 火爪委員 生産性の向上や今の知事が掲げる成長戦略の柱の成果を県民は待てないと。まずその下支えをするということを、家計消費の拡大こそ、内需の拡大こそ急がれているし、成長戦略のエンジンだという立場を求めたいと思っています。  そこで、次に移りますけれども、知事は賃上げサポート補助金を挙げられました。しかし、その成果が大変悲しいと思って私は見ています。政治の責任による賃上げというのが今叫ばれています。賃上げは、もともと基本的に各職場の労使交渉で決まるものだったかもしれません。しかし、今や非正規労働者が増え、未組織労働者が拡大し、特に賃金の下支えという点で政治が果たすべき役割は大きくなっていると思います。  私はこれまで、最低賃金の大幅引上げ、その分中小企業に対する賃上げ分の財政補助、非正規労働者の正規化の促進、ケア労働者の賃上げなどを繰り返し求めてきました。昨年度の県の地方創生臨時交付金ですけれども、決算報告書によると補助件数は僅か39件です。最低賃金についても、国基準以上の引上げを求める姿勢が県には見えませんでした。そこで、昨年度の賃上げに対する県の取組をどう評価をし、認識をしているのか、商工労働部長に伺います。 87 中谷商工労働部長 県内の春闘における賃上げ状況につきましては、9月25日に公表されました連合富山による220社の集計によりますと、賃上げ率は全体で3.5%、中小企業においても3%前後と、昨年同時期の2%前後に比べまして高い水準にあります。  また先月、県が県内企業を対象に行った調査では、回答をいただいた企業のうち、正規雇用者について今年度賃上げを実施した企業は約9割に上っております。しかし、賃上げの理由は何かといいますと、多くは従業員のモチベーションを向上させるとか、物価上昇への対応、離職防止などでありまして、県内の有効求人倍率が1.43倍と非常に高い水準にある中で、中小企業は人材確保のためにエネルギー、原材料価格高騰等の厳しい経営環境の中での賃上げを迫られているという状況にあると考えています。  このような中で賃上げが継続的に行われていくためには、適切な価格転嫁の下でDXや省エネ、人への投資等による生産性向上が必要不可欠であると考えています。これらを支援する県の主な取組の中で、今御質問がありました賃上げサポート補助金は、おっしゃるとおり昨年度の実績は39件、金額では360万円と小さい金額であります。これはあくまで国の助成金に10分の1を上乗せするものでありますので、企業にとっては国、県合わせますと5,500万円ぐらいの支援効果があったと認識しています。  ただ、これは一部の制度でありまして、適切な価格転嫁の実現に向けたパートナーシップ構築宣言の登録企業は、いろいろ各団体にも御協力いただいて、今年2月の200社程度が今810社に増えております。それから、生産性向上を後押しするビヨンドコロナ補助金は何度も県議会にもお願いしまして、結果、4回の募集で4,290件の支援をしております。生産性向上によって賃上げ要件を満たした企業の場合には、補助率を中小で4分の3に引き上げる、小規模では5分の4に引き上げるという形で、かつてない規模の補助金を実行させていただいたと考えております。  それから、従業員の新たな知識や技能の習得を支援するリスキリング補助金では、本年1月に創設しましたが、その後71件を支援しております。それから、非正規雇用で働く方々の処遇改善を支援するキャリアアップ奨励金は、5月に創設して以降、42件で274名分の申請がございます。多くの事業者に活用いただいていると思っておりますが、まだまだどんどん周知をして、活用いただきたいと思っています。  県では、賃上げが経済の活性化、生産性やスキルの向上をもたらし、それがさらなる賃上げにつながる構造的賃上げの実現が望ましいと考えておりまして、労働局、商工団体とも協力をして、賃上げに向けた支援のさらなる活用促進に取り組んでまいります。 88 火爪委員 報告がありましたけれども、連合富山220社の集計による賃上げは、組織労働者が圧倒的に少なくなっているので、こういうことだけ見ていて全体を評価するわけにはいかない。県が取り組まれたアンケートは、賃上げ9割と言われますけれども、回答企業の数を見るとまだまだですよね。ぜひ新年度、今後の取組でも、やはり経営が厳しい中小企業が、零細企業が、農業が賃上げをするためには、支援をしないと賃上げができない。こういうところに政治の果たすべき役割があろうかと思っていますので、しっかり取り組んでいただきたいと思っています。  次に、PFI事業の活用について伺います。  昨年度は、新川こども施設民間活力導入可能性調査事業として995万5,000円が支出されております。昨日、新川こども施設の事業者公募のための要求水準書案が公表されております。我が党は、PFI事業については今までもずっと丹念に調べながら、疑問を呈してまいりました。公共サービスを民間事業者の収益確保の場として提供するという、公共サービスの産業化が、新自由主義的な立場でずっと進められてきました。しかし、本当に公共サービスの向上や経費節減につながっているのか証明されておりません。  また、企業の利益を確保するために、低賃金や不安定雇用が横行するのではないか。運営への県民参加が保障されない。つまり、県が運営をしていれば議会が要求してもいろんな資料が出てきたが、公開が保障されない。何よりも、県民の財産としての県有施設への運営に県民参加が保障されているとは言えず、チェック機能が保障されていない。それから、長期間の契約になるために、民間事業者と行政の癒着を生みかねない、などなど指摘をしてきたと思っています。  そこで、今回の導入可能性調査結果を見てみました。疑問はやっぱり解けませんでした。ひたすら民間企業の参入を確保するため、参入してもらわなきゃいけないということで、聞き取りの中でどうすれば利益が確保できるかという条件整備が重視をされているように感じてなりませんでした。管理会社──SPCの管理費に1億5,900万円を確保しております。それから、県武道館の場合は20年だったわけですけれども、契約期間を15年と設定した。なぜ15年かという説明の中で、民間事業者に大規模改修をさせないでいいようにさせるためにという説明がされておりました。  私は、太閤山ランドのこどもみらい館にも子供と一緒に度々行きましたけれども、児童厚生員の資格があるスタッフの皆さんが丁寧に専門性を発揮した遊具や絵本や、いろいろな運営をしておられました。児童厚生員資格といった専門性の確保、職員の確保、職員の資質条件などは、この中では全く示されておりませんでした。そして、1年前、県武道館の決算審査の中でも申し上げましたVFM──利益率の算出に使われた割引率も、高岡テクノドーム別館は0.1%と設定されているのに、どうして新川こども施設は15年間で1.05%の高い利率が設定をされているのかという疑問も解けませんでした。  今回の調査内容を見ましても、どうしてもPFI─BTO方式のほうが従来方式よりも1億7,651万円、4.6%高くつくという内容を理解をすることができませんでした。恣意的な計算だと言われても説明できるんでしょうか。私はやはり大事な子供のための施設は、県が責任を持って設計、建設し、児童厚生員など専門職をしっかり配置し、民間事業者に運営してもらうにしろ、コーディネートはちゃんと県がする。そういう体制を確保すべきであると、今度の調査結果を見ても思いました。改めて知事の見解を伺います。 89 新田知事 新川こども施設につきましては、昨年度、民間活力導入可能性調査を実施して、定性評価、あるいは事業者ヒアリング、それから定量評価を総合的に評価した上で、PFI─BTO方式を採用することとしました。  定性面では、施設整備における民間提案余地が大きいということ、また、運営が重要な施設であり、運営者が設計段階から関与することが望ましい施設であることなどから、性能発注、一括発注であるPFIに適した事業と判断をしたところです。  また、定量面では、施設の整備、運営を性能発注とすることで事業費を抑制する民間の工夫が発揮できること、また一定の財政負担軽減効果が期待できるという結果も得たところでございます。なお、事業期間ですが、現時点で大規模改修の内容を想定することは困難なので、15年と言っています。  SPCの関連の経費ですが、SPCの開業あるいは運営に必要な経費──登録免許税とか弁護士費用とかいろいろありますけれども──、こういった経費を見込んだものですが、このような追加費用を踏まえてもなおVFMが出てくるという調査結果であります。割引率については、15年国債金利の15年間の平均値を基に設定しておりまして、またGDP年度デフレーターは令和4年8月15日のものでマイナス0.13%を利用しております。直近の金利と比較しても特に高い水準ではないと考えております。  今年度──昨日発表しましたが、事業者公募に向けた準備を進めております。今後、特定事業の選定や入札公告、事業者選定の各段階において、富山県新川こども施設PFI事業者選考審査会による客観的な評価や検証を行うこととしておりますほか、事業開始後は事業契約に基づき事業者の業務遂行状況を適切にモニタリングしてまいります。  子供たちのためいいものをつくりたい、ということは全く同じ意識を共有していると思いますが、ここもまたアプローチの違いだと思っています。 90 火爪委員 特に利用者、県民の運営に対する参加が保障されるということがとても大事だと思っております。今後も議論をしていきたいと思います。  次に、マイナンバーカード関連で伺います。  今回の主要施策報告書では、マイナンバーカード取得支援事業など関連事業に6,272万7,000円が充てられております。我が党は、国民にポイントをばらまき、市町村には交付金によって格差をつけるなどのやり方でマイナンバーカードの取得をあおることには問題ありとの態度を取ってまいりました。全国的には、今年9月末現在、マイナンバーカードの取得率は、人口比で72.5%、マイナ保険証の登録率57%、病院窓口でのマイナ保険証の利用率47%にとどまっております。この数字をどう皆さんが感じておられるでしょうか。  これだけ国が巨額の予算を使って、あめとむちを使って推進をしてきても、取得率は6割から7割。保険証の利用率については低迷しています。これは、国民の不安や抵抗感が決して小さくないことを示しているのではないでしょうか。私の周辺でも、マイナポイントがつくからカードは取ったと、でも使っていないと、しまってあるという方も少なからずおられるように感じています。こうした現状をどう認識しているのか、まず知事政策局長に伺いたいと思います。 91 川津知事政策局長 県では、マイナンバーカードの取得を促進するため、申請サポートやイベントを開催するほか、カード保有者に県有施設の無料クーポンを配布する実証事業などにも取り組んできた結果、直近の本年度の10月末時点の本県のマイナンバーカードの保有率は、全国の72.7%をちょっと上回ります76.0%となっております。  一方、マイナ保険証に関する統計につきましても、今ほど委員のほうからもありましたが、全国数値のみの公表ですが、直近の11月19日時点では、保険証の登録率は人口比の57.1%となっております。また、利用率は令和3年10月のオンライン資格確認の本格運用開始以降上昇しまして、今年4月には6.3%になったんですが、その後また低下しまして、直近の10月末時点では4.5%となっております。  ただ、マイナ保険証の利用によりまして、患者本人のデータに基づく診療や薬の処方を受けることが可能となるほか、健康保険証で受診した場合より初診時などの窓口負担が低くなるなど、多くのメリットがあるものと考えております。  このため、県としましては、今後とも安心して利用できる環境整備に努めながら、マイナ保険証としての利用や確定申告、転入転出時の手続など、カード利用によるメリットを周知するとともに、運転免許証との一体化に加えまして、県の実証実験の成果の横展開を図るなどしまして、利活用シーンのさらなる推進に努め、県民の利便性向上とDXの推進に努めてまいりたいと考えております。 92 火爪委員 マイナ保険証の利用率、全国9月末現在4.54%。47%と言ったかもしれません。訂正しておきます。  保険証が、紙ベースのほうが高くなると、だからマイナ保険証のほうが安いと、答弁の中でそんな話がありましたけれども、それでいいのかと。オンライン診療だとか、全国的に病院窓口のオンライン化というのはほとんど進んでいないわけで、利便性があるかという点では、当事者は否定的な声を上げているということだと思います。  そこで、知事に伺っておきたいと思います。前回6月議会で知事と議論をした後ですけれども、日本情報システム学会が、今のマイナンバーカードの制度設計自体に欠陥があると指摘を行っております。この団体は、マイナンバー制度の目的に賛同する立場に立ってきた団体ですけれども、そうであっても、今のシステムには欠陥があるという指摘であります。  まず1つは、実現したいことが多過ぎて議論が混乱し、目標が曖昧なままシステムが設計されたこと。2番目に、機能の全てを1枚のカードに入れ込もうとしたこと。3つ目に、運用面の考慮が事前に十分行われないままシステム設計を行ったことと3点挙げております。  さっき、デンマークの共通番号の話がありましたけれども、1枚の番号に何でもつなげることはやっていないというのが世界では──カードがあっても一つ一つ切り離したりされているし、何よりも個人情報保護という点で政府への信頼が担保されているということだと思うんです。今の日本の制度設計は違うのではないかという指摘であります。  昨年来発生しているマイナンバーのひもづけの誤りなどのトラブルも構造的な問題で、国の再点検では解決しないという指摘であります。改めて知事に制度設計の見直しを国に求めるとともに、今後の取得や利用促進には慎重な態度をぜひ考慮して当たっていただきたいということであります。あわせて、この間、富山県と富山市はマイナンバー情報の総点検の対象となっていると思います。その調査の状況と併せて知事に伺っておきたいと思います。 93 新田知事 まず、マイナンバー情報の総点検について御質問がありましたのでお答えしますと、本県において該当とされたのは、ひもづけを行う全ての自治体が個別データの点検対象とされている障害者手帳、これは身体、療育、精神の障害者手帳についてでありまして、そういう意味ではほかの全ての自治体と同じということであります。  県分は5万1,521件を点検完了しました。数件のひもづけ誤りはありました。しかし、第三者によるマイナポータルの閲覧記録などはなく、個人情報の漏えいはなかったと認識しています。なお、富山市さんの分、これは身体ですが、についてはひもづけ誤りがなかったと聞いております。これが総点検の結果です。  マイナンバー制度は、私はデジタル社会の基盤となるものと考えておりまして、その信頼性の確保というのは極めて重要であることはおっしゃるとおりです。全国において、マイナンバーと健康保険証や公金受け取り口座のひもづけにおける誤登録など、マイナンバー制度への信頼を損ないかねない事案が続いたことは、誠に遺憾なことと思います。  そして、マイナンバー制度の安全、安定的な運用に向けては、国において制度のメリットや安全性に関する国民への丁寧な説明を行うなど、国民のマイナンバー制度への理解促進に向けた取組の強化、また関連システムを含めた安定的なシステム運用により、安心してサービスを利用できる環境を構築することが必要だと考えております。  こうしたことから、県におきましても全国知事会を通じて総点検の円滑な推進、誤操作の発生を前提とした対策を講ずる考え方を取り入れた再発防止対策の早期構築、信頼回復に向けた取組の早期実施に向け、地方との意見交換を丁寧に行ってほしいことなど、現場の声に寄り添いながら実施することを要望をしております。  ということで、私は委員が御指摘、言及された団体の構造的に問題があるという考えにはくみしません。やり方についていろいろ問題があったというのは事実だと思います。むしろ、私はもっとひもづけするものは多く、例えば所得のこととか、そんなこともひもづけできれば、今大変な議論になっている、減税をするのにどんな手間がかかるんだということも、かなり解決されるんですね。ですから、デジタルの基盤であるマイナカードはしっかりと維持をして信頼性を高める一方で、もっともっといろんな活用をしていくことが必要だと考えております。 94 火爪委員 知事の言うようにデータがどんどん集積されると、プロファイリングによって個人情報が企業の利益の、もうけの手段に使われていくということで、どうなのかなと大変疑問に思っております。また議論をしていきたいと思います。  次に、GIGAスクール構想に関連して伺っておきたいと思います。  教育現場によるデジタル教育の推進で、教職員の多忙化が加速することは避けなければなりません。昨年度からGIGAスクール運営支援センターの整備やICT教育支援員派遣事業が行われてきましたけれども、生徒が一斉にパソコンを立ち上げると画面がフリーズして授業にならないとか、デジタル端末への不具合の対応で先生が苦戦しているという話を度々聞いてきました。  こういうことにたけている先生には負担が集中して大変だ、またデジタル教科書の作成や利活用などどんどんやることが増えているという悲鳴も聞いております。学校にぜひ専門知識のある事務職員を配置するなど、さらに支援を強めていただきたいし、学校現場の活用方法は現場の裁量に大いに任せるということが必要ではないかと思っています。ICT教育の推進の中で教職員の多忙化をどう解消していくのか、教育長に伺います。 95 荻布教育長 国のGIGAスクール構想に基づき、県と市町村教育委員会では、1人1台端末やネットワークを整備するとともに、校務支援システムなどを導入して、校務用パソコンやネットワークを用いて校務のDX化を進め、教職員の負担軽減を図っているところです。  一方、課題として、御指摘もありましたように、ICTに詳しい一部の教員に負担が集中しがちであるということや、端末などを家庭に持ち帰った際のトラブル対応などもあることから、県と市町村では、令和4年度から国の補助事業を活用してGIGAスクール運営支援センターを開設し、教職員や生徒などからの端末利活用に関する各種問合せに対応するコールセンターを導入するなどして、学校を支援しております。県立学校においては、平日は午前8時から午後8時まで、休日は午前8時から午後5時まで電話応対が可能となっております。  また、ICTを活用した教育を支援するため、外部人材である情報通信技術支援員を各学校の要望に応じて派遣し、授業の準備やソフトウエアの更新などを支援し、併せて教職員の負担軽減にも努めてきたところです。市町村教育委員会においても同様の取組が行われています。今後とも、学校の実情に応じて情報通信技術支援員などの外部人材を積極的に活用し、教職員の負担軽減が一層図られるよう努力をしていくとともに、ICTの利活用に関する学校、教職員からの相談に適切に丁寧に対応してまいりたいと考えております。 96 火爪委員 次に、立山ケーブルカー耐用性確認調査について伺いたいと思います。  「立山黒部」世界ブランド化事業の中で提案されたロープウエーの構想について、最後に残った立山駅─美女平間のロープウエー構想がまだ残っていると認識しています。しかし、立山ケーブルカーが将来にわたってしっかり運行可能であるならば、要らないのではないかと私たちは考えてまいりました。  昨年度から県が立山黒部貫光に対して支援をしている立山ケーブルカーの耐用性確認調査は、まだ最終結果は出ていないということですが、必要な修理を行えば、今後も長期にわたって運用は可能という方向になることを期待をしています。この調査の進行状況と、今のところ言えることについて確認をしておきたいと思います。 97 竹内地方創生局長 令和4年度の立山ケーブルカーの耐用性等の確認調査への支援につきましては、立山・美女平アクセス施設耐用性確認調査支援事業といたしまして、運行事業者であります立山黒部貫光株式会社へ支援したものでございます。  これは、運行開始から65年以上が経過します立山ケーブルカーの老朽化、そして待ち時間の解消、バリアフリー対応などが課題となる一方で、新型コロナの影響による経営状況の変化から、当面の間、大規模な工事や調査に取りかかることが困難となりました同社との協議も踏まえまして、立山ケーブルカーの延命化の可能性も含めた幅広い検討調査に対して支援したものでございます。  お尋ねの調査の現状については、令和3年度から今年度まで3年間の計画で、既存ケーブルカーの耐用性や安全性などの確認調査が行われております。3年度は、車両に設置が義務づけられている自動ブレーキの更新やトンネルの健全性、4年度は道床──こちらは線路を支えるコンクリートのことでございます、そして路盤──道床を支える地盤のことでございますが、路盤や落石対策、擁壁の調査などに支援したところでございます。  これまでの調査では、例えば自動ブレーキは新たな部品の供給やブレーキだけの交換が困難となっており、更新が必要となった際は車両一式での更新が現実的であること、また、道床、路盤については、適切な補修対策を行うことで当面供用は継続できるものの、恒久的な対策とはなり得ないなどが報告されていると承知しております。  調査の最終年度である今年度は、駅のプラットホームの耐用性調査と3年間の各調査結果を踏まえたケーブルカー施設全体の総合評価が行われる予定となっております。 98 筱岡副委員長 火爪委員、時間がありませんので簡潔にお願いします。 99 火爪委員 最後です。2020年に国の方針を受けて、岐阜県にあります御母衣ダムについての治水協定が締結されたと聞いています。その資料によれば、御母衣ダムは貯水量3億7,000万トンで、洪水調整可能容量は1,422万立米となっています。これがしっかり庄川水系の河川整備計画の中に位置づけられれば、利賀ダム本体の建設は要らなくなるのではないかと認識しております。巨額の予算で地滑り対策をする必要もなくなるでしょう。  地元が念願した工事用道路が完成した今が、一つの節目だと考えています。これまでの利賀ダム建設の進捗状況、決算ベースでの進捗率と併せて土木部長に伺います。 100 市井土木部長 既存ダムの事前放流は、庄川流域においても県、国、利水者の関係者による治水協定に基づき、御母衣ダムでもダムを管理する電力事業者により行われることとなっております。この事前放流は、既存ダムの有効貯水容量を洪水調節に最大限活用することにより、下流の浸水被害の防止、軽減が図られ、災害が激甚する中、治水上有効な対策の一つとなるものと考えております。  一方で、事前放流は、利水者の協力の下、予測降雨量に基づき確実に貯水位の回復が見込める範囲内で実施するものであり、降雨の規模や分布等によって効果が異なることや、降雨予測の精度向上などの課題もございます。このため、県としましては、現在の河川整備計画に定められた利賀ダムの着実な整備を進めていくことが重要であると考えております。  利賀ダムの整備につきまして、令和4年度末までの建設費は約704億円、進捗率は約42%となっており、今年度は国道471号となるトンネル工事や転流工工事が進められ、本体着工に必要な予算が計上されているところでございます。災害に備え、利賀ダムを早期に完成いただき、河川改修の推進、さらには既存ダムにおける事前放流が着実に実施されることにより、流域にお住まいの県民の皆様が安全・安心に暮らせることが大切であり、その実現に向け努めてまいります。 101 火爪委員 終わります。 102 筱岡副委員長 火爪委員の質疑は以上で終了しました。  佐藤委員、あなたの持ち時間は40分であります。 103 佐藤委員 公明党の佐藤則寿でございます。  令和4年度決算に関する総括質疑をさせていただきます。私のほうから、主要事業実施状況と幾つかの事業に基づいて端的に伺いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  初めに、産業・経済の活性化について伺います。  県創業支援センターと創業・移住促進住宅が一体となった施設、いわゆるSCOP TOYAMAが令和4年10月に開所しました。施設は、全国の高校生らが建築のアイデアやデザインを競う2017年の建築甲子園で優勝した富山工業高校の生徒の作品が基になっており、私の地元地域でもございまして、取り組む様子も伺っておりましたので、大変親近感を持って注目してまいりました。  そこで、開所以来、起業や移住の拠点施設として、創業支援センターによる創業相談やチャレンジショップなどの取組を実施してきたと認識しておりますが、本県の成長産業の発展や新産業の創出につながる成果などについて、どのようなものがあったか、川津知事政策局長に伺います。 104 川津知事政策局長 SCOP TOYAMAは、誰もが起業にチャレンジできる環境づくりを進め、新産業の創出や既存産業の競争力の強化等につなげるため、昨年10月に、委員からもありましたように職住一体の起業支援の拠点として整備したものであります。  創業支援センターでは、熱意あふれる人材が富山県内で自由に伸び伸びと活動できるよう、オフィスやチャレンジショップの貸出しなどハード面の支援のほか、ソフト面の支援として、創業の相談や定期的に上場経験者の方をお呼びしたセミナー、ワークショップ、施設利用者の交流会などを開催し、ネットワークの構築や具体的なプロジェクトの創出を図っているところであります。また、移住促進住宅では、日々の交流や定期的なイベントを通じて、移住された方々のコミュニティー形成につなげております。  こうした取組によりまして、これまで、移住促進住宅の入居者同士が意気投合されて、チャレンジショップで新たな飲食店を開業されたほか、県外から移住して住宅とオフィスに入居された事業者が、上場を目指す県のT-Startup企業の6社のうちの一つに選定されるなどの成果につながっております。  また、IoTを活用した製造業向けの業務効率化支援システムの開発を行うオフィス入所者が、県のデジタル技術を活用した実証実験に採用されまして、県内で実装されております。それから、東京への進出を果たされた入所者も出てきています。さらに、富山高等専門学校も入所されまして、学校として将来の県内経済を引っ張る企業人材の育成に一緒に取り組んでいるところです。  今後とも、センターが核となり、本県の経済成長の起爆剤となりますスタートアップの創出に向け、産学官金のオール富山で取り組んでまいりたいと考えております。 105 佐藤委員 ありがとうございます。さらに、その成果が実っていくことを期待しております。  知事においても、成長戦略を策定し、関係人口の拡大やスタートアップ支援など、「幸せ人口1000万~ウェルビーイング先進地域、富山~」の実現へ取組を推進をされてきたと認識しております。そこで次に、今ほどもお話ありましたけれども、首都圏での新産業スタートアップマッチング事業について伺います。  この事業は、社会課題解決、価値創造の共創施設である渋谷キューズを活用して、新産業の創出に向けた実証実験の誘致や、企業のマッチング等の取組を進めてきたと承知しております。その結果をどう分析し、今後の県内スタートアップ企業に対する取組としてどのように展開されていくのか、新田知事に伺います。 106 新田知事 渋谷にキューズという施設があります。今委員が言及されたように、共創、共に創造する、創る、そんな施設であります。年代や属性にかかわらず、いろんな方が集まってアイデアを交換し、そして新しい価値を生み出す、そんな場づくり、場になっているということです。  昨年1月から、この渋谷キューズを活用した新産業スタートアップマッチング事業により、首都圏のスタートアップ関係者との交流促進に取り組んでいます。これは会員制の施設ですが、本県も渋谷キューズの会員となりました。パブリック会員というカテゴリーで会員になっています。それで、その会員の権利を使いまして、県内のスタートアップ関係者を首都圏の関係者に引き合わせることを行っています。  県内の起業支援施設に、hirakuというものがありますが、それと渋谷キューズをオンラインでつないで、地域の課題解決のアイデア創造をテーマとしたワークショップを開催しました。また、県内自治体と学生の起業を支援する一般社団法人T-Engine──これは学生主体で学生の起業を支援する組織が立ち上がったわけでありますが──、ここと連携し、NEXs Tokyoというところで本県の起業家支援環境PRや首都圏の支援者を募る交流イベントも実施したりしております。  こういった取組を通じて、これまで本県スタートアップ関係者と首都圏関係者合わせて221人がビジネス交流を進めることができました。また、渋谷キューズの会員である民間の大手企業からの、個室空間としての車の有効活用というテーマの実証実験の提案にもつながりました。まだこれは実現はしていません。さらに、富山市内の課題解決に向け、来訪者データを活用して地域の魅力発信を図るIT系スタートアップ企業の本県への進出を検討することにも、つながっていると聞いています。  本県におけるスタートアップを促進するためには、県内のみならず県外のリソースも活用することが大切だと考えておりまして、今後も首都圏の起業家誘致を図るとともに、県外の支援施設とも連携をして、県内の起業家の皆さんに必要な支援者などをつなげる、マッチングさせることにより、スタートアップをつくり上げるシステムの充実に努めていきたいと考えております。  勢い横文字が多くなってすみません。いろんなことに活用しております。 107 佐藤委員 共創という言葉でございますけれども、私はすばらしい言葉だと、パブリック会員にもなって、さらに、今ほど様々な希望が見えるような施策を具体的に知事からお話しいただきましたので、またこれも成果を期待していきたいと思います。  知事は県民目線、そしてスピード重視、現場主義を徹底し未来に向けた人づくり、新しい社会経済システムの構築を目指して総仕上げに臨むということも言っておられましたので、併せて期待したいと思っております。
     さらに、子育て環境日本一の実現にも大きく期待しているところでございます。それで、次の質問に移りたいと思いますが、子育て環境の充実について1点伺います。  小児医療提供体制の強化に向けて、令和4年度には県リハビリテーション病院・こども支援センターの児童精神科医の増員や医療クラークの配置を行ったとのことでありますが、その成果を踏まえて、今後整備が予定されている児童心理治療施設とどのように連携を進めていくのか、有賀厚生部長に伺います。 108 有賀厚生部長 県では、令和4年度、県リハビリテーション病院・こども支援センターに児童精神科医を1名、医療クラークを3名増員配置するなど、センターの機能強化に取り組みました。これによりまして、小児科の初診の待機期間が5か月から3か月に短縮するというように、子供への支援体制の強化に一定の成果をもたらしたと認識しております。  児童心理治療施設ですけれども、これは心の問題を抱える子供への支援に当たりまして、県リハビリテーション病院・こども支援センターをはじめとする子供の心の診療に対応する関係機関等との連携が重要であると思っております。具体的には、医師、看護師、心理職などの専門職、そして児童心理治療施設の職員とが緊密に連携して、医療機能を生かしたケースワークなどを行うといったことで、入所や通所の子供に対する迅速かつきめ細やかな医療面からの支援が期待できるものと考えております。  今後、児童心理治療施設に関する勉強会において、連携の在り方についても検討いたしまして、心の問題を抱える子供への支援体制の強化につながるように努めてまいります。 109 佐藤委員 ありがとうございます。  児童虐待対策にもつながると思うんですけれども、子供の心のケアを行うそういった児童心理治療施設に、大変期待をしているところでございます。心理的治療や生活指導を行うこういった施設が、北陸では初めてというお話も伺ったような気がします。併せて設けられるということですので、困難な状況に置かれている子供たちや家庭をいち早く見つけ、支援につながることを期待しております。  続いて、デジタル化・産学官連携の推進について伺います。  産学官金の連携教育研究拠点として、これも昨年4月、富山県立大学ではDX推進に向けた人材育成と研究を目的として、DX教育研究センターが開設されました。学生による県庁DX化に向けた支援に取り組むなど、地域を巻き込んだイノベーションの創出に取り組んでおられると認識しておりますが、これまでの成果と今後の展開について、南里経営管理部長に伺います。 110 南里経営管理部長 県立大学DX教育研究センターは、令和4年4月に開設されて以降、ものづくり、医療、介護などの分野において企業等との共同研究を積極的に進めてまいりました。  具体的には、生産現場の機械の異常や故障を予知する技術構築に向けた研究ですとか、ウエアラブルセンサーから得るビッグデータの解析により、健康異常の兆候等を捉えることを目指した取組、老朽化した水道管に設置したセンサーの振動計測による漏水をいち早く検知するシステム開発、こういった社会課題や現場のニーズを起点とした研究活動によるイノベーションの創出とその社会実装が進められております。  そのほか、現在まで約260社、480人が会員として登録し、コワーキングスペースを利用しておられまして、教員や学生、訪問した企業の間でDXを活用したイノベーションの推進に向けた新たなつながりが生まれてきております。学生団体POLYGONは、当該会員制度の会員でもありまして、デジタルツールを活用した県庁の業務効率化支援や企業との連携に積極的に取り組んでくださっています。  来年新設する情報工学部においては、DXセンターと連携した教育研究活動を展開することとされています。今後とも、企業等との連携を推進しまして、DXセンターの活用がより一層進められるよう、引き続き県立大学の取組を支援してまいります。 111 佐藤委員 ありがとうございます。  先ほど来の知事の、まさに未来を拓くような、そういった人づくりに対して、これも大きく富山県──私も県議になって初めてあの施設の中をじっくりと見させていただきましたけれども、本当にすばらしい施設ができたと思っておりますので、さらにまた世界をリードするような人材も生まれてくることだろうと確信をしております。  続きまして、農林水産業の振興について伺います。  農林水産物の輸出拡大については、令和4年3月に制定された富山県農林水産物等輸出拡大方針において、令和8年度までに現状の10倍となる120億円を目標として設定されていると承知しております。  本県においては、主要農産物である米の販路拡大を図ることも、私としては重要だと認識しております。令和4年度の取組の状況を踏まえて、目標達成に向けて今後どのように事業を展開していくのか、期待をしておりますけれども、横田副知事の御所見をお聞かせください。 112 横田副知事 令和4年度は、輸出ジャンプアップ計画に基づきまして、とやま輸出コミュニティによる輸出に取り組む事業者、つまり仲間の拡大ということと、香港へ冷凍品、フランスへお酒を輸出するリーディングプロジェクト、地域商社による小ロット産品の輸出を推進してまいりました。この結果、米、日本酒、干し柿、鶏卵、アイスクリーム、健康食品などの事業者や輸出品目も増えまして、輸出実績は令和2年度12億円から令和4年度33.3億円まで拡大しております。  今年度は、市町村と連携した事業者、品目の発掘と支援、ジェトロと連携した経営の伴走支援のほか、台湾やドイツでの国際見本市への出展、観光部局と連携した英国・アイルランドでの商品紹介、タイ、インドネシアでのプロモーションなど、海外市場の販路開拓を進めております。  それぞれの国の商社、飲食店などから前向きな反応もいただいており、米、酒、米菓や魚、キノコ類、調味料など、今後それぞれの個別商談や輸出に向けた調整を進めてまいります。  今後、目標達成に向けては、まずは今年度の海外での活動でつながった現地の輸入業者と具体的な商談を進めていくとともに、引き続き、事業者、品目の拡大を目指し、展示会などへの出展を続けます。また、規制の違いや先方のニーズに合わせた輸出商品の開発、改良などの課題解決も支援しまして、着実に輸出が拡大していくように事業を展開してまいります。 113 佐藤委員 ありがとうございます。  やはり稼げる日本、富山県になっていくことが重要だと思います。ただ、富山県はどうしてもお米を作る方が多いものですから、また新しい主品目になるようなものも当然開発をしていってもらいたいし、まさに、そういった取引する国との販路の開拓は当然期待をしております。和食が大変人気になっておりますので、米価も結果的には上がっていくとなれば、お米を作っておられる方の励みにもなるだろうと思いますので、ぜひともまずは120億円を目指して、着実な成果を期待していきたいと思います。  富山県内で生産される農林水産物、食品は、県民へ品質の高い食料を安定的に供給し、地域を形づくり、また富山ブランドを形成するもの、そういった意味でマーケットインの発想で幅広い品目に、またチャレンジをしてもらいたいと思います。  次に、とやまプレミアム食事券事業について伺いたいと思います。  本県では、新型コロナウイルス感染症や物価高騰の影響を受ける飲食事業者や農林水産業者を支援するため、プレミアム食事券発行の取組を数次に渡って実施しておられました。その成果を踏まえ、さらに今また物価高騰が続いている状況も踏まえて、再実施も検討すべきと考えますけれども、今後の方針について、津田農林水産部長に伺います。 114 津田農林水産部長 とやまプレミアム食事券事業は、新型コロナによる消費の減少等により深刻な影響を受けた県内の飲食店や食材を提供する農林漁業者を応援する事業として、昨年度実施したものでございます。この事業では、1冊1万2,000円分を1万円で販売したほか、キャッシュレス決済による20%のポイント還元を実施したものであり、食事券では用意した70万冊のうち58万3,000冊が購入されるなど、県内の飲食店事業の回復等に一定の効果があったものと考えております。  現在、県では、令和3年度から県内の商工団体や商店街等が実情に応じ、飲食店に限らず幅広い業種で利用できるプレミアム商品券の発行支援事業を実施しております。本事業では、プレミアム率20%を基本としながらも、市町村の支援により最大30%まで上乗せが可能となるものであり、今年度も12の市町で27件実施されていると承知しております。  県内の個人消費は緩やかに回復し、関係団体からの聞き取りによれば、県産農林水産物の需要も回復してきており、また、市や町、商工団体や商店街などが地域の実情に応じて創意工夫を凝らしたプレミアム商品券事業が実施されていることから、現状としてはプレミアム食事券の再実施を必要とする環境にはないと考えておりますが、引き続き状況について注視してまいります。 115 佐藤委員 ありがとうございます。  国の重点支援地方交付金については、試算で約30億円の見込みがあるということでございました。この重点支援地方交付金につきましては、御存じのとおり推奨メニューがありまして、生活支援等においても、こういった組合せで今までのマイナポイントを配付することも考えられるような、プレミアム商品券も当然そうです。  いずれにしても、今、各市町村が取り組んでいることにも、県としてしっかりサポートをしていただければと、また知事がおっしゃったように、早期の波及効果があるような積極的な活用を図っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  続いて、観光振興について伺います。  新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行して半年が経過し、インバウンドを含めた観光需要が大幅に増えるなど、社会経済活動が活発化しております。こうした中で、全国から選ばれ続ける観光地となるためには、コロナ禍で変化した消費者のライフスタイルや消費行動を捉え、適切に対応する必要があると考えます。  そこで、令和4年度はコロナ禍により減少した観光需要を喚起するための全国旅行支援や、地域ブロック県民割などの観光キャンペーンを実施してきたところでありますが、この成果を踏まえて、アフターコロナの観光振興として今後どのように取り組まれるのか、竹内地方創生局長に伺います。 116 竹内地方創生局長 本県の観光入り込み客数──これは延べ数でございますけれども、令和4年は3,419万人となりました。令和元年が3,500万人でございましたので、コロナ前の水準をほぼ維持しているのではないかと考えております。今年の県内の宿泊者数──こちらはビジネス客も含むんですけれども、これは8月までの集計で、やはりコロナ前の約9割まで回復してきております。  これは、コロナ禍における観光キャンペーンなど、切れ目のない需要喚起策に加えまして、受入環境整備支援やデジタルマーケティングによる調査分析など、アフターコロナを見据えて準備を進めてきたことが一定の成果を収めたのではないかと考えております。  御指摘がありましたけれども、コロナ禍を経て、人口減少や旅行形態の個人旅行への移行の加速化など、観光を取り巻く環境は大きく変化しております。これらに対応したインバウンド誘客や観光地の高付加価値化、滞在・体験型観光へのシフト、デジタル化に対応したプロモーションなどが求められていると思っております。このため、県では来秋の北陸DCに向けまして、観光素材の開発や磨き上げの支援を実施しております。また、今月開催されました全国宣伝販売促進会議で旅行会社にアピールしてきたところでございます。  さらに、国際定期便再開を見据えた台湾、韓国等からの誘客に加えまして、高付加価値旅行者の誘致のため、先月末から今月初めにかけまして、英国ロンドンとアイルランド・ダブリンにおいて観光PRや現地の商社等への商品提案を実施し、本県の自然や伝統工芸、食などについて高い評価を得たほか、宿泊施設誘致など高付加価値な観光地づくりを進めているところでございます。  これに加えまして、インバウンド向け観光公式サイトやウェブ広告、SNSなどデジタルを活用した情報発信にも取り組むなど、思いつく限り、できる限りのことをやっているところでございます。アフターコロナにおいても富山が選ばれ続ける観光地となるよう、観光再始動に向けて市町村や関係事業者等と連携しながら、積極的に取り組んでまいります。 117 佐藤委員 ありがとうございます。  まさに様々なニーズがあって、今後も対応していくだろう変化の時代だと思いますし、そういう中ででき得る限りの知恵を絞りながら、またそういった変化にも耐えながら、希望があるような観光施策の期待をしております。よろしくお願いいたします。  引き続いて、教育の充実について伺います。  少人数教育の推進について、本県では国の制度に先駆けて2年前倒しで、小学校の35人学級の実現に向けて取組を進めてきたところであります。私は、少人数教育は子供たちに目が届き、多様性が育まれるなどの効果が期待できることから、先ほど菅沢委員からも関連の質問がございましたけれども、今後は中学校における35人学級の拡充も、しっかり検討すべきではないかと考えております。そこで、これまでの成果をどう認識し、今後どのように取組を拡充していかれるのか、荻布教育長の所見を伺います。 118 荻布教育長 国において、義務標準法が改正され、令和7年度までに小学校の全学年で35人学級を実現する計画が示されております。本県では、国より2年先行する形で、本年度は国からの加配定数と県単独の定数措置16名を活用しまして、5、6年生で35人学級とし、小学校全学年で35人学級を実現したところです。  35人学級を実施した学校からの声としましては、「児童の学習意欲が高まった」、「自信を持って発言する児童が増えた」、「分かる、できると感じる児童が増えた」、「児童が落ち着いて授業を受けられるようになった」と聞いております。また、教員からは、「児童一人一人に目が行き届き、個別指導ができる」、「多くの児童に声をかけ、児童の心のサインなどを適切につかめる」、「トラブルが発生したときに迅速に対応できる」と聞いておりまして、児童、教員双方においてよい効果が生まれていると認識しております。  本県では、中1ギャップへの対応や少人数でのきめ細かな指導を行うため、これまでも中学1年生での35人学級選択制を実施しております。中学校の全学年での35人学級実施については、まずは国における財源も含めた定数措置が必要であると考えておりまして、教育委員会としては、これまでも県の重要要望や全国都道府県教育長協議会の要望として、国に対して働きかけをしてきております。引き続き国に要望をしてまいりたいと考えております。 119 佐藤委員 ありがとうございます。  まさに子供たちの評価ですよね。教育ですので、先生たちもそうですけれども、子供にとっては先生も環境の一つです。どこまでも未来を担う子供目線、子供をしっかりと育てることを最優先に、また私ども公明党としましてもまさに同じ思いで──当然知事会等でも要望されていると思いますけれども──これまでも強く主張してきましたが、しっかりとその財政確保も進めていきたいと。ともに同じ思いですので、またよろしくお願いいたします。  それでは、最後の項目になります。公営企業の経営についてですけれども、まず初めに、地熱発電について伺います。  富山県カーボンニュートラル戦略──令和5年3月ですけれども──においても、高温の蒸気や熱水を要するフラッシュ方式での地熱発電については、立山温泉地域における地熱資源開発調査で、現段階での技術・仕組みでは導入リスクが高いとの結果でありました。また一方で、比較的低温の熱でも利用できるバイナリー方式での地熱発電については、導入の可能性を調査するとされております。  経営企画委員会で福島県の土湯温泉、元気アップつちゆが運営するバイナリー発電を視察をしてまいりました。そこで、改めてこの進捗状況について籠浦企業局長に伺います。 120 籠浦企業局長 バイナリー方式による地熱発電は、今ほど委員からお話もありましたとおり、フラッシュ発電と呼ばれる地下深くの200度を超える高圧の蒸気を直接使う方式と比べますと、蒸気や熱水の温度が比較的低い100度前後でも発電できること、あとは規模が小さいために採算面での課題は多少ございますが、その分工期は短いという特徴もございます。  バイナリーに限らず、地熱発電の導入効果としては、エネルギーの地産地消が図れること、それから、発電後の熱水の二次利用をすることで、経済効果も期待できることもあります。その一方で、周辺地域の理解と協力が不可欠でございまして、導入時や開発段階だけでなく、発電開始以降も地域との良好な関係の下で運用していく必要があると考えております。  こういうことを踏まえまして、今年度はバイナリー方式による地熱発電の可能性を探るために、ノウハウを有する専門業者に委託しまして、7月ぐらいから既存資料を活用した文献調査、それから現地調査、さらには事業採算性の検討なども行っていただき、有望地点の洗い出しなど県内での導入可能性を探っているところでございます。  現在、事業者のほうで慎重な調査が行われている最中でして、調査結果を現時点で申し上げることはなかなかできないのですが、この調査は、来年1月には報告書が提出される予定でございます。その報告の内容を踏まえまして、地域の意向、それから事業の採算性なども見極めながら、今後の方向性について検討していきたいと考えております。 121 佐藤委員 ありがとうございます。  当然お金をかけての調査になりますので、来年度決算でその成果、その費用対効果が云々と責められることのないよう、しっかりと成果に結びつくことを期待しております。  二次利用の温排水を生かした淡水エビの養殖をやっている、また地域の方々の理解を得て本当に丁寧に進めていっていただいている、これも新たな基幹産業といった大きい夢じゃないですけれども、そういった効果が期待されるんじゃないかと思っていますので、速やかにと言うと変ですけれども、形になることを期待して終わります。  最後に、工業用水道事業について伺います。  既に方針が示されているとおり、工業用水道における漏水対策は、AIやIoTなどの最新技術を活用した管路管理に積極的に取り組むべきだと考えております。先ほど、DX、大学の新たな研究等の成果というお話もありましたけれども、これまでの実績と今後の施策について、籠浦企業局長に伺います。 122 籠浦企業局長 企業局では、県内の93の事業所に工業用水を供給しております。ただ、施設の多くはもう建設から50年が経過して、老朽化による漏水が頻発している一方で、この間、市街化が進んでしまって、管路更新が難しくなっている地域もございます。  一旦大規模な漏水が発生しますと、管路を修繕するために一定期間水の供給を止めなければなりません。そうすると、産業活動に多大な影響を及ぼすことから、漏水の早期探知というのが重要だと考えております。  そこで企業局では、令和4年度にIoTを活用した漏水検知センサーを富山新港周辺の区間に設置して試験運用をしました。その結果、管の口径が500ミリ未満の送水管については、一定の検知性能が確認できたので、今年度からこの地区での運用を開始しております。  また、今年度に入って国内でも検知技術がまだ確立していないとされる口径500ミリ以上の大きな管についても、その実用化に向けた研究を、先ほど経営管理部長からも話ありましたとおり、富山県立大学と共同して研究を進めております。こうした取組を通じまして、富山県の土壌特性に合った漏水検知技術の開発を目指しているところでございます。  さらに、これまでは老朽化した管路を順次更新してきたところですが、AIを活用して管路の劣化度や重要度に応じた更新順位の見直しが可能となるようなシステムの構築にも取り組んでおり、今後の管路の管理、それから更新計画にも利用していきたいと考えております。企業局としては、こうしたAI、IoTの最新技術の活用を図りながら、今後も工業用水の安定供給に努めたいと考えております。 123 佐藤委員 ありがとうございました。  いずれにしても、最新技術を的確に、また先ほど来あるとおりこちらで開発することも大事ですし、また有効な手段、方法があれば、アンテナを高くして、早く、より安心して利用者さん、事業者の方々がそういった経済活動ができるように、またサポートをしていただきたいということを願いまして、私の質問を終わります。 124 筱岡副委員長 佐藤委員の質疑は以上で終了しました。 125 渡辺委員長 永森委員、あなたの持ち時間は40分であります。 126 永森委員 本日ラストバッターということで、よろしくお願いいたします。皆さんも大分お疲れの色が顔に出てきているかと思っています。簡潔に質問をさせていただきたいと、また有意義な議論になればいいなと思っております。  先ほどから知事が答弁しておられる様子を拝見しておりまして、思い出したんですけれども、2020年11月26日が3年前のこの総括質疑でありました。知事が御就任されて議会の場──提案理由ではもちろんお話しされておられますけれども、11月議会がデビュー戦になられますので、質疑でいうと、実は私がトップバッターで質問をさせていただいたのを、今思い出して必死に日を調べておりましたところ、2020年11月26日でありました。  私は、その後2年間、監査委員をさせていただいておりましたので、3年ぶりにこうしてまた質疑の機会をいただいたことを、感謝したいと思っております。改めて思い起こしてみますと、激動の3年間だったと改めて感じておりますし、その最も大きな要因は、やはり新型コロナウイルスだったのではないかと思っています。さっきの御答弁でも、補正予算を35回編成されたということが、それを表しているのだろうと思っております。  それこそ、医療提供体制やワクチン接種、また行動制限によって影響を受けた事業者への支援であったり、冷え込んだ経済への対策などなどについて、国からも多分たくさんのお金が入ってきていると思いますが、たくさん出ていっていると思っております。そこで、新型コロナ感染拡大が本県財政にどのような影響を与えたのか、南里経営管理部長にお尋ねをいたします。 127 南里経営管理部長 新型コロナの感染拡大により、県では感染拡大防止や医療提供体制の整備を進めるとともに、コロナの影響を受けた県民生活や県内経済を支援するため、数多くの事業を実施してまいりました。とりわけ令和3年度は、まん延防止等重点措置地域の指定や検査体制の充実、ワクチン接種体制の整備などにスピード感を持って対応するため15回、令和4年度は7回にわたる補正予算を編成したことから、歳出総額が大幅に増える結果となりました。  これらのコロナ対策に要する経費の多くは、国の緊急包括支援交付金地方創生臨時交付金など、国の交付金を財源として活用しましたけれども、それを超える対策の実施に当たっては、財政調整基金の充当などにより財源確保してまいりました。  一方、税収については、新型コロナによる企業収益の減少などの影響もありました。令和2年度の実質税収は前年度比で2.1%の減となりまして、令和3年度では、前年度比で増加はしたものの、実質的な比較ではコロナ禍前の令和元年度の水準にまでは回復しておらず、歳入面においても本県財政に影響を及ぼす結果となっております。  現在、新型コロナの感染防止対策経費は減りつつある一方で、物価高騰等に伴い影響を受ける県民、県内事業者の支援が喫緊の課題となっております。さらに、今後、高齢化の進展等により社会保障関係経費が増加するとともに、公債費が高い水準で推移するほか、新たな財政需要として子供政策の充実、地域公共交通の維持確保などの歳出増、歳入面では減税による地方財政への影響も懸念されることから、引き続き本県財政を取り巻く環境は厳しく、予断を許さない状況と認識しております。 128 永森委員 ありがとうございます。  それこそたくさん補正予算も組まれましたし、私たち自民党議員会としても、たくさんの緊急要望もさせていただいて、そうした諸課題に常に迅速に対応くださったことを改めて思い起こしました。  そこで、財政が非常に厳しいというお話をされたばかりで非常に言いにくいことですけれども、令和4年度の決算を見てみますと、県税収入の当初予算比は、決算ベースだと100億円以上増額になっていたり、また地方交付税についても、当初予算比で70億円程度が増額補正されて、決算もそうした形で出ていることを見ました。  お話あったとおり、財政は、常に余裕がない状況が続いていることもありますけれども、先ほど、佐藤委員のお話にあったように、消費喚起みたいなことをしっかりやらなきゃいけないと思っております。また、先ほど菅沢委員のお話にあったように、教育などを含めて子供たちに対してしっかりと投資といいましょうか、歳出をしっかりかけていくことも、非常に重要ではないかと思っております。  令和4年度はそういう形でありましたけれども、令和5年度についても、国税収入などの様子を見ておりますと、きっと同様の傾向が見られるのではないかと思っているところです。  そこで、令和4年度の決算において、税収等や地方交付税が大幅に伸びていますが、どのように受け止め、どのように活用されたのか。また、今年度も同様の傾向が見られると思いますけれども、今後どのように対応されるのか、新田知事に所見を伺います。 129 新田知事 令和4年度の一般会計歳入決算では、県税は企業収益の回復に伴う法人事業税が増加しまして、当初予算と比べて約57億円の増となりました。これは、好調な企業収益や雇用、賃金、消費動向に伴い、主要な税目で税収が増えたことによるものでありまして、これまで積極的に講じてきた政策の効果もあって、コロナ禍からの経済の回復が一定程度進んだことなどが背景にあると受け止めています。  また、地方交付税等につきましては、その原資となる国税も増加、それから国の経済対策による地方負担の増加が見込まれることに対応して追加交付が行われ、当初予算比で約54億円の増加となりました。  この税収や交付税の増加分についてですが、国の経済対策を受けて編成した令和4年度の11月補正予算、また2月補正予算などにおいて、喫緊の課題である物価高騰対策をはじめ、こども・子育て世代への支援、DXの推進、賃上げの促進、防災・減災などの安全・安心の推進、観光、交通需要の喚起などの施策に活用したところです。  今年度の税収ですが、原油価格・物価高騰による影響が不透明な状況の中で、消費や県内経済に与える影響が危惧されておりまして、現時点で明確に見通すことは困難と言わせていただきたいと思います。  一方で、現在国会で審議中の国の補正予算案には、地方交付税の増額が計上されておりまして、本県にも追加交付が見込まれることから、国の経済対策に伴う県の負担額や、県民の暮らしや事業者の経済活動を支える県単独事業などに活用することで、経済対策の効果を県内に最大限波及させていきたいと考えています。 130 永森委員 ありがとうございます。  そうなんです。今、国がいろいろと経済対策ということで出しておりまして、これを早期に県民経済に波及させていくことが非常に大事な点だと思っております。  先ほど提案理由のほうでも個人消費は緩やかに回復しているとか、経済は緩やかに回復しているというお話もありましたけれども、やはり足元を見てみますと、事業者さんも非常に疲弊している状況が見られるわけです。それこそ先ほどの数値の話ではないですけれども、そうした数値にとらわれずに、この実情をしっかり捉えていただいて、今後の予算編成等々に期待させていただきたいと思っております。  続きまして、とやま観光キャンペーンについてお尋ねしたいと思います。  今ほど佐藤委員からも少しお話がありましたけれども、コロナ禍において、感染拡大防止の観点から、人の流れが非常に制限されたことであったり、また水際対策ということで、インバウンドも壊滅的な状況になっていたことでありまして、それに対応するために、とやま観光キャンペーンということで、いわゆる旅行支援事業を実施していただきました。最終的にどの程度の事業費を活用してきたのか、その事業効果や経済波及効果について、竹内地方創生局長にお尋ねしたいと思います。 131 竹内地方創生局長 本県では、令和3年5月から令和4年10月まで、約1年半になりますけれども、「地元で愉しもう!とやま観光キャンペーン」、いわゆる県民割と申しておりましたが、こちらを実施しておりました。そして、令和4年10月から令和5年9月までは、こちらは約1年間になりますけれども、全国旅行支援「富山で休もう。とやま観光キャンペーン」を実施して、県内観光需要喚起を図ってきたところでございます。事業費は、県民割が54億5,000万円、全国旅行支援は59億1,300万円、合計113億6,300万円となっております。  事業効果としましては、全体で延べ180万人の宿泊需要を創出し、宿泊及び観光関連事業者の下支えとなったほか、県民割では多くの県民の方の富山の魅力再発見の機会になったり、特産品キャンペーンでは、富山の特産品のファンづくりにつながるなど、副次的な効果もあったと考えております。  また、こちらは推計になりますけれども、観光関係の経済波及効果でございますけれども、利用実績などを基に直接的な効果で約370億円、さらに、一定の条件下で間接効果も考慮すると、波及効果は約631億円と推計しております。これは、本県が感染対策と社会経済活動の両立を目指し、切れ目のない観光キャンペーンの実施や、宿泊事業者のアフターコロナに向けた前向きな投資の支援、積極的なプロモーションに取り組んだことで、多くの方々に利用いただけた結果と考えております。  6月末に全国旅行支援──これは個人型のほうですけれども、これが終了したところでございますが、その後の7月から8月にかけての本県の日本人延べ宿泊者数は、前年比で119.3%となっておりまして、良好に推移しております。今後とも、宿泊及び観光関連事業者等と情報共有を図りながら、本県の観光再始動に向け、観光需要確保に取り組んでまいります。 132 永森委員 ありがとうございます。
     113億円を投じて波及効果が最終的に631億円ということで、非常に効果的な事業だったのではないかと思っております。これも、先ほど佐藤委員からもプレミアム食事券の話がありましたけれども、こういう事業ってやっぱり非常に波及効果の大きい事業なんだと改めて感じているんです。  それで、この旅行支援は、ほとんどの県でもうやっていないのかと思っていたら、実はこの12月から新たに旅行支援事業に取り組み始めている県が、調べてみたらそれなりに、たくさんはないですけれども、2桁ぐらいの数があるんですね。  例えば京都は冬場に観光客が少なくなるので、そうした需要を喚起したいとか、ある県では、例えば平日はどうしても観光客が少なくなるので、平日に限定して観光キャンペーンをやるとか。そういう形で、今でもそうした観光支援、旅行支援の事業に取り組んでいる自治体があるということをぜひ受け止めていただいて、何か竹内局長からコメントがあればお願いしたいと思います。 133 竹内地方創生局長 今ほども申し上げましたけれども、現時点では本県の観光需要は、回復しつつありますし、その状況を見定めて、今後の対応については検討させていただきたいと考えます。 134 永森委員 回復しているからということですけれども、今後の観光需要の推移を見極めていただきながら、積極的により需要を拡大していくことについて、ぜひ御検討いただければと思っております。  一方で──これは先般竹内局長といろいろとお話しさせていただいた中でお聞きをした話でもありますけれども──、コロナの中で、宿泊業や飲食業に従事する方の数が実は非常に減ってしまっていたり、また観光バスの運転手さんも減ってしまった中で、これ以上需要が伸びてもなかなか供給能力が追いつかないということも、1つ課題としてあるとお聞きをしました。  県では、来年の北陸新幹線敦賀開業なども含めまして、積極的に観光キャンペーンもやっているわけですけれども、せっかく観光客が来てもなかなか受け入れられないという状況では、元も子もない話であります。そうした観光の供給力の低下に対してどう対応していくのか。また、観光関連産業をどう守り、成長させていくのかということについて、竹内局長に引き続きお伺いします。 135 竹内地方創生局長 本県の観光入り込み客数は、先ほど佐藤委員のお尋ねにもお答えしましたけれども、令和4年度はほぼコロナ前の水準を維持しております。国内外からの宿泊者数は、ビジネス客を含みますけれども、今年度の8月までの集計で、コロナ前の約9割まで回復してきております。  観光需要が比較的維持されていることにつきましては、やはり先ほども申し上げましたように、観光キャンペーンやマイクロツーリズムなどの切れ目ない需要喚起策に加えて、受入れ環境整備への支援や、デジタルマーケティングによる調査分析など、アフターコロナを見据えた準備を進めてきておりましたので、それが一定の成果を収めたものだと考えております。  一方、国の統計によれば、全国の飲食業や宿泊業の就業者数は、コロナ前の令和元年の421万人に対し令和4年は381万人と、約10%減少しております。富山県の数字が国の統計では示されていないですけれども、北陸地域で見ても、16万人から14万人へと約13%減少しております。  また、本県の飲食業や宿泊業の雇用情勢を有効求人倍率で見ますと、コロナ前に比べると人手不足感は、やや緩和しているんですけれども、他産業に比べてやっぱり高い水準にあるところでございます。  観光需要が回復傾向にあることを踏まえますと、人手不足感は当面続くと考えております。県では引き続き、とやま観光塾での人材育成、そして宿泊施設の上質化、デジタルの活用による省力化など、受入れ環境への支援や、インバウンドに対応した高付加価値な観光地づくりを行う。そして、冬の北陸旅キャンペーンやインバウンド誘客の促進による観光需要の平準化に取り組むことを考えております。  来年の北陸新幹線敦賀開業や北陸DCの開催、黒部宇奈月キャニオンルートの一般開放など、本県が国内外から注目される絶好の機会でございますので、これを最大限に生かして、本県観光産業がさらに成長できるように、関係事業者等と一体となって取り組んでまいります。 136 永森委員 ありがとうございます。しっかりよろしくお願いしたいと思っております。  続きまして、問いの2番目、子供のウェルビーイング向上について質問させていただきます。  今、まさに県立高校再編も含めて、いろんな議論がなされているわけであります。一方で、これまでも前期後期ということで、2回にわたって県立高校再編が実施されております。後期再編のときにも、この高校再編は決して行財政改革の観点からやるものではないということをさんざんお互いに議論してきていることは承知しながらも、一方で、当然学校を運営するには大きなコストがかかっているということであります。学校を統廃合したことによって、結果的には財政上のメリットも出ているのではないかと思っております。  こうした中で、令和3年度末までに2回の県立高校再編が完了しているわけでありますけれども、これにより、教育費の歳出がどのように変化しているのか。もし仮に再編により歳出が減っているのであれば、その分はやはりしっかり既存の高校における教育であったり、教育の充実にしっかり回していただきたいと思っているのでありますけれども、荻布教育長に伺いたいと思います。 137 荻布教育長 これまで2回の県立高校再編がございまして、それに伴って県立高校全日制課程の数は、平成24年4月に5校、令和4年4月には4校減となり、現在は34校でございます。  教育費の総額ですが、ここ10年余り1,000億円規模で推移しておりまして、平成22年度高校再編前の平成21年度決算は約1,031億円、対して令和4年度決算は約1,008億円となっておりまして、微減傾向になろうかと思います。  この要因としましては、児童生徒数の減少に伴う教員減──この間、生徒数減に対して教員数の減はかなり抑えられているのですが、それでも一定程度減となっているということ──、また、教員の大量退職期における教員の年齢構成の若返りなどがあり、人件費が減少しております。  その一方で、学校施設の長寿命化改修工事の積極的な実施や、再編校などにおける施設設備の充実に取り組んでおります。事業費──給与費ではなくて事業費──の決算額で見ますと、平成21年度が176億円、令和4年度が236億円ということで、34%ほど増となっておりまして、全体として微減にとどまっていると考えております。  限られた財源の中、令和4年度決算で、県全体の歳出総額の15.4%と教育費は大きな割合を占めているところでございますが、引き続き教職員定数の改善や予算の拡充を国に対しても要望しながら、これからの富山県を支える大切な子供たちのウェルビーイング向上につながっていく教育環境の整備充実と、生徒が主役となった教育の充実に向けて、さらに取組を進めてまいりたいと考えております。 138 永森委員 ありがとうございました。  なかなかこの数値で統廃合の効果を表すことが難しいことは承知しているわけでありますけれども、一方で、高校再編をしていく中にあって、この統合によりどう高校教育が充実のほうに向かったのかというところがもう少し明らかになると、今後の再編議論においても、それは非常に意味のあることなのではないかと思いまして、質問をさせていただいたわけであります。引き続きそうしたことについても分析をしていただければと思っております。  一方で、今日も先ほどから教員のいわゆる多忙化解消といいましょうか、教員の確保について、各会派から議論が出ておりました。我々としてもいろんな教育現場であったり、あるいは市町村の議員さんたちとの懇談の場でも、学校現場での人手不足については、やはり非常に厳しい状況にあるという訴えをお聞きしているところであります。  それこそ価値観、生き方も多様化しておりますし、一人一人により向き合っていかなければならない時代になっているということなんだろうと思っております。そこで、教員の多忙化解消や子供たちに寄り添った教育の実現のために、教職員やスクール・サポート・スタッフの配置の充実や、処遇改善にしっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。荻布教育長の所見を伺います。 139 荻布教育長 県教育委員会では、これまでも教員の多忙化解消や子供たちに寄り添った教育の実現のため、国の標準法定数に加えて、県単独予算での教員配置を進めております。また、スクール・サポート・スタッフについては、今年度、国の配置基準である学校規模が14学級以上の学校だけではなく、市町村との連携により、配置を希望した全ての公立学校に配置するなど、教員の多忙化解消を進め、教育の充実にも努めているところであります。  そうした中、本年8月に中央教育審議会、質の高い教師の確保特別部会が、文部科学省に対して、学校・教師が担う業務の適正化の一層の推進、教職員定数の改善、スクール・サポート・スタッフなど支援スタッフの配置充実、教員の処遇改善についての議論を深めていくことなどの緊急提言を行ったところです。今後、国においてこの提言も踏まえた具体的な施策の検討が進むものと考えております。  県教育委員会としては、教員の勤務実態を踏まえた処遇改善やスクール・サポート・スタッフなどの外部人材の配置の充実に向けて、国において制度設計や必要な財政措置を講ずることについて、これまでも県の重要要望や全国都道府県教育長協議会の要望として働きかけてきております。  今後とも、教員の働き方改革を推進し、子供たちに寄り添った教育を実現するため、国の動向を注視し、引き続き国に強く要望するとともに、県としても取組の充実に努めてまいりたいと考えております。 140 永森委員 国のほうにいろいろと要望もしていただいているということですけれども、それこそウェルビーイング先進地域を掲げる上で、やはり県として一歩踏み込んだ、全国に先んじた様々な施策の展開も期待させていただきたいと思います。  次に、私立高校の授業料支援のことでありまして、今年度から県単独の上乗せ措置を拡充していただいたことについては、非常に評価しているところですけれども、依然として県立高校、私立高校の授業料には、一定の所得層において格差がある状況が続いています。  今、高校再編の議論もありますけれども、県立、私立が互いに切磋琢磨をしながら、より互いに魅力を高めていくためには、やはりその格差がより少なくなっていくことが望ましいと考えているわけです。さらには、子供の数も今後減っていくということですので、そういう点では、子供が減れば当然1人当たりにより多くの予算を割くことも可能になるのではないかと考えます。  そこで、これまでこの授業料支援に係る予算は、どのように推移をしていて、今後どのようになっていくと見込んでいるのか、また制度拡充に向けての所見と併せて南里経営管理部長にお尋ねいたします。 141 南里経営管理部長 私立学校に対する県単独の授業料等支援に係る予算の推移につきましては、年収590万円未満に対する国の実質無償化制度が始まった令和2年度は、県単独の支援の予算額は約1億円でございました。その後、令和3年度に入学料支援の拡充として、年収590万円未満の多子世帯も対象にしまして、さらに今年度は授業料支援の拡充を行ったことにより、予算額は約1億7,700万円になっております。  今後の推移については、現在の公私比率を前提として、あくまで機械的に試算したものになりますけれども、委員お見込みのとおり、生徒数の減少に伴いまして予算額も少し減少して、5年後の令和10年度の予算額は1億6,300万円、令和5年度比の約1,400万円減となるものの、財源論でいえば、制度拡充を図るための十分な財源の捻出とまでは至らないものと考えられます。  ただ、授業料の公私間格差の是正につきましては、これまでも県議会、それから私学団体から御意見や御要望をいただいております。もとより教育の機会均等の観点に立てば、所得に応じた格差や都道府県間での格差が生じないよう、国の責任において格差是正に向けた措置が講じられることが望ましい姿と考えております。県としては、引き続き、県議会とともに国に対し就学支援金制度の拡充を粘り強く要望してまいりたいと考えております。 142 永森委員 ありがとうございます。  これもある保護者の方とお話ししていたときのことですけれども、世帯収入ですぱすぱと切っていくと、例えば590万円から910万円の所得層でも、高校生の子供が1人しかいない家庭と2人いる家庭、あるいは大学生の子供も1人いる家庭では、同じ収入であってもやはり家計の厳しさというのは全然違うわけですね。分けて制度をつくっている県も実はありました。  なので、やはりその辺の実態もしっかり研究しながら、限られた財源だと思うので、どこまでも出せるということではないと思いますけれども、よりその家庭、家計の実際のところをしっかり見ていただき、効果的な支援策について、ぜひ検討していただきたいと思っております。  最後、こどもの生活状況調査のことについて触れたいと思います。  令和4年度に、いろいろとお願いをしてきた中にあって初めて実施をしていただいたこの調査ですけれども、子供の貧困の状況、特にこの貧困が学習、教育機会の制約につながっていることが明らかになったわけであります。調査結果を踏まえてどのように取り組んでいるのか、松井こども家庭支援監にお尋ねします。 143 松井こども家庭支援監 昨年度実施しましたこどもの生活状況調査の結果を踏まえまして、県では今年度、学校以外の居場所でも子供が学習支援などを受けることができるよう、民間団体による居場所の開設や特色ある取組に対して支援を行う、こどもの居場所づくり推進事業を実施しているところでございます。  これまで6つの民間団体から申請がありまして、学習支援を行う際に必要となる教材や備品の購入経費、新たな学習支援カリキュラムの導入、それから体験学習の実施等に必要となる経費などに対して助成することとしております。  また、こども食堂が学習支援の要素を取り入れ、子供の居場所、つながりの場として発展できるよう、こども食堂への学習支援ボランティアの派遣などを行う、こどもの居場所・つながりの場づくり支援事業を実施しているところでございます。これまで2つのこども食堂の開催時に、教員OBの方やフリースクールを運営している職員を派遣しまして、子供たちの学習支援に取り組まれており、さらに学習支援の実施に向けて準備を進めているこども食堂もあると聞いております。  今後とも経済的な困窮を含め、様々な困難な環境にある子供たちが学習支援を受けられる居場所づくりが促進されますよう、民間団体と連携した各種施策に取り組んでまいります。 144 永森委員 ありがとうございます。  この調査結果、特に中学生の皆さんのアンケート結果によると、単純な食堂というよりは、やはり学習の支援をしてほしいという需要が非常に多いわけであります。そういう点もしっかり踏まえて、より手厚い支援を求めたいと思います。  最後の質問をさせていただきます。  昨年度、初めて調査をやっていただいて、調査結果も出たんですけれども、コロナ禍や、今、物価高騰ということもあって、より貧困の状況が悪化しているんじゃないかということも懸念されております。そういう意味では、こういう調査を──事業費にしたら250万円ぐらいの予算でやっておられますので、状況を見ながら、置かれた環境で未来や可能性、チャンス、そうした芽を奪われる子が一人でも減るように、ぜひ継続的に行っていただきたいと思います。御所見を伺います。 145 松井こども家庭支援監 本県が実施しましたこどもの生活状況調査については、全国の状況と比較しながら、その調査結果を分析するため、令和2年度に国が初めて実施した子供の生活状況調査の調査方法やその内容、また令和3年度に国が公表した集計や分析に準じて行ったところでございます。  今ほど委員から御発言ありましたが、子供を取り巻く状況は常に変化しておりまして、また県が実施している様々なこども・子育て支援策の効果を検証していく観点からも、今後、同様な調査を継続的に行う必要があるものと考えております。今後、国が実施する次の全国調査の動向も踏まえながら、本県における調査方法やその内容、調査時期等について検討してまいります。 146 永森委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。終わります。 147 渡辺委員長 永森委員の質疑は以上で終了しました。  以上をもって本日の総括質疑は全て終了いたしました。  終わりに、本委員会の運営に終始御協力を賜りました議員各位、県当局並びに報道関係の各位に対し、深く敬意を表します。  これをもって本日の決算特別委員会を閉会いたします。  御苦労さまでした。 Copyright © Toyama Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...