富山県議会 2023-09-01
令和5年9月定例会 一般質問
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午前10時00分開議
◯議長(山本 徹)おはようございます。
ただいまから本日の会議を開き、直ちに日程に入ります。
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県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑
2 ◯議長(山本 徹)日程第1、県政一般に対する質問並びに議案第81号から議案第100号まで及び報告第15号から報告第20号までを議題といたします。
これより各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行います。
通告がありますので、順次発言を許します。
光澤智樹議員。
〔3番
光澤智樹議員登壇〕
3 ◯3番(光澤智樹)おはようございます。本会議の
一般質問トップバッターを務めさせていただくこととなりました、
自由民主党富山県議会議員会の光澤智樹でございます。
質問に先立ち、一言申し上げます。
去る4月の
富山県議会議員選挙においては、多くの皆様のお力添えをいただき、初当選させていただくことができました。そして本日、こうして質問する機会をいただくことができているのも、地元氷見市の皆様をはじめ、先輩議員、同僚議員の皆様、新田知事をはじめとする当局の皆様の日頃からの御指導のおかげであると感じており、この場を借りて改めて感謝申し上げます。
また本日は、氷見市からも大勢の皆様が傍聴に駆けつけてくださり、感謝申し上げる次第でございます。
さて、時代の転換点とも言われる今の日本において、若者の政治離れが叫ばれる中、人口減少問題をはじめとする未来に向けての諸課題に、私たちの世代が立ち上がらなければならない、そういった思いで国防の最前線から政治の最前線に身を移して、様々な諸課題に向き合う覚悟で富山県に戻ってまいりました。
富山県議会における初の平成生まれの県議会議員として、引き続き皆様からの御指導をいただきながら、富山、氷見の未来を守り抜くため、未来に対する責任を持って全力で取り組む決意であることを申し上げ、以下質問に入ります。
初めに、県民の安全・安心の確保について5点質問いたします。
県内では、去る6月28日と7月12日から13日にかけて記録的な大雨となり、人的被害のほか、農地、農業用水路、林道などにも多くの被害が生じました。南砺市では、市議会議員の赤池伸彦さんが土砂崩れに巻き込まれ亡くなられました。赤池さんとその御遺族に対し心から哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた多くの方々に心からお見舞いを申し上げます。
今般の豪雨を受けて、私の地元である氷見市においても、氷見市と高岡市の一部において利用している
西条畑地かんがい用水の守山揚水機場が浸水被害を受け、送水できない状況となっております。農家の皆様が、朝早くから給水タンクを積載した車両で水を運んでいる状況が続いております。
本災害復旧に対する支援として、氷見市は給水タンクの貸出しや仮設ポンプの設置に向けた取組をされていると聞いておりますが、農家の皆様の負担に加え農作物への影響も懸念されており、一刻も早い復旧が望まれております。
今般の豪雨に対し、県ではこれまでも被災者支援に取り組んできたものと承知をしております。先月30日には、今般の豪雨災害が激甚災害にも指定されたところでございますが、被害の状況と復旧に向けてどのように対応していくのか、新田知事に伺います。
次に、防災・減災分野におけるデジタル化について伺います。
近年、風水害、土砂災害等の気象災害をもたらす豪雨が増加傾向にあり、今年7月12日には県内においても初めて線状降水帯が発生し、激しい雨をもたらしました。豪雨も含めて、災害が激甚化、頻発化する中で、防災・減災分野におけるAI活用も含めたDXに対する期待が高まっていると感じています。
災害時には、様々な意思決定にスピード感が求められる中で、膨大なデータや情報をリアルタイムに統合、可視化し、先手を打つための意思決定をしていくためにも、デジタル技術の活用は有効であると考えています。また、最近では、被害予測にAIを活用している民間企業もあります。
被害を最小化するためにも、AI活用も含めたDXを推進すべきと考えますが、防災・減災分野におけるデジタル化にどのように取り組んでいくのか、
武隈危機管理局長に伺います。
次に、富山県国民保護計画に関連して質問いたします。
当計画において
生活関連等施設にもなっているダムは、治水機能や利水機能等、私たちの生活に必要不可欠な存在となっております。他方、今回の豪雨災害においても、ダムの水が脅威になる可能性も再認識することとなりました。
また、今年6月にウクライナ南部で起きた爆発によると見られるダムの決壊に際しては、決壊の理由ははっきりしておりませんが、洪水による大きな被害が発生しました。
ダムも含めた当計画における
生活関連等施設に対する自然災害以外の脅威への対処についても、平素から取り組むべきと考えますが、
武隈危機管理局長に所見を伺います。
次に、弾道ミサイルに関連して質問いたします。
防衛省によると、北朝鮮による
弾道ミサイル等の発射回数は2022年は31回となっており、昨日も、北朝鮮が発射した2発の弾道ミサイルが日本海に落下するなど、日本海側に位置する本県においても一定程度の脅威であると考えております。
例えば、地図上で北朝鮮から東京に向けて線を引くと、地図上では富山県の上を通ることになります。このような情勢の中で、2022年11月には、福井県において日本海側で初となるPAC-3等の機動展開訓練が実施されました。
このように、自衛隊も含めた関係機関と連携し、訓練の充実を図ることや継続的に訓練を実施することが、県民の国民保護に対する理解をさらに深めるとともに、ひいては県民の安全・安心の確保にもつながると思います。
以上の点から、弾道ミサイルを想定した訓練等の取組や関係機関との連携を進めていくべきと考えますが、
武隈危機管理局長の所見を伺います。
次に、警察署の再編に関連した道路整備について伺います。
県西部における警察署の再編に伴い高岡と氷見の両警察署が統合され、新たな警察署が現在の高岡西部中学校の敷地に整備されることとなりました。
新たな警察署から氷見市に向かうためには、能越自動車道を利用した出動が最短ルートとなる場合が多いとされておりますが、新たな警察署から
高岡北インターチェンジに向かう
主要地方道高岡氷見線を通る経路において、狭隘な区間が存在しております。
私も実際に現地を視察しましたが、道路沿いに家屋が立ち並んでおり、場所によっては、玄関を開ければすぐ目の前が道路になっている箇所も多数存在しておりました。
実際に走行してみると、道路に面した玄関付近で活動している人がいたり、路上の駐車車両による渋滞が発生していたり、緊急走行に適さないのではないかと感じました。
氷見市からの最重点要望の一つにもなっている本道路の整備でございますが、警察署が再編されても迅速に現場に到着できる体制、環境の確立が、県民の安全・安心の確保につながると考えます。本道路の整備についてどのように取り組んでいくのか、市井土木部長に伺います。
次に、少子化対策、こども・子育て政策について7点質問します。
我が国はもとより、富山県においても少子化は深刻さを増しており、令和4年の本県の出生数は6,022人と過去最少となりました。少子化の主な原因の一つには、結婚や子育てに関する意識の変化に伴う未婚化、晩婚化があると認識しております。
日本においては、未婚での出産が少ない傾向にあり、結婚が出産の前提となっている部分もございます。未婚化、晩婚化を解決するためには、進学、就職も含めた将来設計を考える高校生の段階から、大きなライフイベントである結婚、出産、子育て等について関心を持ち、正しい知識を得るとともに、それらを含めたライフプランを考える機会が必要であると考えますが、高校教育において
ライフプラン教育にどのように取り組んでいくのか荻布教育長に伺います。
次に、若い世代への結婚支援について伺います。
令和元年9月に実施された結婚等に関する県民意識調査によると、20代、30代の未婚者のうち、結婚に前向きな「いずれは結婚したい」と考える人が83.3%に上りました。年齢で考えると、例えばとやまマリッジサポートセンターの会員数を見ると、30代が一番多く、20代などの若年層に結婚への関心を持ってもらう必要もあると感じています。
また、本県の令和4年の合計特殊出生率は1.46となっており、依然として県民希望出生率1.9との差が生じています。県内における第1子の出生年齢が令和3年時点で30.4歳となっており、第1子を産む年齢が上がることで必然的に第2子以降を産む年齢も上がり、子供を断念せざるを得ないケースも少なからずあると認識しております。
晩婚化が進む中で出産年齢を引き下げるためにも、初婚年齢を引き下げることが必要と考えます。若い世代への結婚支援にどのように取り組んでいくのか、
川津知事政策局長に伺います。
次に、育児休業について伺います。
本県における男性の
育児休業取得率は15.6%と増加傾向にあるものの、全国の17.13%に比べて低い状況にあると認識しております。
私自身、2人目と3人目の子供の出産の際に、それぞれ約1か月間育休を取得しました。職場においては、私の仕事がそのまま同僚に振り分けられ、同僚の負担が明らかに増加していることに申し訳なさを感じながら、育休期間を過ごした記憶がございます。他方、家庭においては、育休期間を通じて、妻と育児や家事の負担を分かち合いながら妊娠、出産、子育て等に対する理解も深めることができました。
男性育休取得が進むことで、中長期的に見ても育児に理解のある男性が増加し、社会全体で全ての人が子育て中の方々を応援するといった社会全体の意識改革にもつながると考えております。
国の
こども未来戦略方針においても、男性育休は当たり前になる社会の実現に向けて、官民一体となって取り組むとされております。給付面においては、政府は育児休業をしている方の業務を引き継ぐ同僚向けの応援手当の支給に関する助成を拡充するとの報道もあったところであり、県としても積極的に推進すべきであると考えております。
男性の
育児休業取得率を上げるためには、職場において気兼ねなく育児休業を取得できるような環境整備が必要と考えますが、県としてどのように取り組んでいくのか、男性の
育児休業取得促進に向けての取組と併せて
川津知事政策局長に伺います。
次に、
レスパイトケア事業について伺います。
先月8日に、知事は、
こどもまんなか応援サポーター宣言をし、社会全体で子育てを支える「
子育て環境日本一」の実現を目指すとされました。
子供の
ウェルビーイングを高めるためには、まずは親の
ウェルビーイングの向上が必須であると考えます。核家族化が進む現状を踏まえても、子育て家庭の妊娠、出産、育児の心理的、身体的負担が課題となっており、この負担を軽減するためにも
レスパイトケア事業の拡充は必要不可欠であると考えております。
私も、3人の子供を育てる子育て家庭の一人でございますが、周りの声を聞いていても、自由時間のなさが心理的、身体的負担の原因の一つになっていると考えます。子供はかわいいが独りになりたい、自分の時間が欲しいと一度は思ったことがある母親は多いように感じます。
私は、7月に京都に行き、民間企業が経営している産前産後ケア施設や一時預かりサービスを提供している施設を視察してまいりました。産前から出産後まで宿泊しながら産前産後ケアサービスを受けることができる産前産後ケアホテルや、医療職スタッフが24時間滞在する産後ケア施設、観光客も含めて誰でも一時預かりサービスを利用できる
ホテル内託児所など、
レスパイトケアも含めて様々なサービスを提供する施設を伺ってまいりました。
夜泣きによる睡眠不足解消のための利用や、買物や美容室、観光の際に利用するケースなど、レスパイトとして活用されている実情を伺ってまいりました。
言うまでもなく、育児は24時間休みなしであり、二、三時間置きの授乳にだっこ、数か月続く夜泣きによる寝不足など、心理的、身体的負担がかかる中で、心に余裕を持って子供に向き合うためにも、毎日頑張っている母親のケアは必須であると考えます。
また、
レスパイトケア事業を充実させることにより、児童虐待の発生予防や子育て世代の観光客の誘客などにつながることも期待できると考えております。
以上の点を踏まえて、産前産後ケア事業や一時預かり等のサービスの拡充も含めて
レスパイトケア事業の拡充に取り組むべきと考えますが、新田知事の所見を伺います。
次に、今年度新規事業の
子育て家庭お出かけ推進事業について伺います。
本事業に含まれる託児サービスは、
レスパイトケアにもつながるすばらしい事業であると思っております。託児サービスを提供する事業所が増えることで、保護者の精神的負担の軽減が図られるとともに、気兼ねなく子供を預けることができる環境づくりにもつながると考えております。
他方、保育士等の人件費に対する補助上限額が、離乳食やおむつセットの提供と同じ25万円となっており、本事業における託児サービスを提供する事業所数の増加を促進するためには、補助の拡充が必要であると考えます。託児サービスの提供にかかる費用への補助の拡充などを検討していくべきと考えますが、
松井こども家庭支援監の所見を伺います。
次に、保育士の確保について伺います。
本県においては待機児童がいないとされており、共働き家庭にとっても、保育所、幼稚園に安心して預けられる体制が整っております。
他方、保育の現場からは、保育士の人材確保に対する懸念の声も伺っております。今後、
レスパイトケアの充実も含めた様々な
子育て支援サービスに取り組んでいく中で、保育士のニーズがさらに高まることが予想されます。
先ほどの質問の中で触れた京都の施設においては、登録制の求人をうまく活用しながら、潜在保育士を掘り起こし運営しているところもございました。フルタイムでは働けないが保育の仕事に携わりたいという人は、一定程度存在しているものと考えられます。このような潜在保育士も含め、保育士の確保に向けて先見性を持って取り組むべきと考えますが、どのように取り組んでいくのか
松井こども家庭支援監に伺います。
さて、今年の夏は特に暑かった、そう感じた方も多かったのではないでしょうか。環境省の発表によると、富山県の
熱中症警戒アラートの発表が29回に上るなど、本県においても今年の夏は猛暑となり、子供たちの生活にも大きな影響を及ぼしました。
例えば、私の長女が通う小学校においては、夏休みのプール利用が、猛暑の影響を受けて当初計画されていた10回のうち3回だけの実施にとどまりました。保育園や学童保育においても、屋外での活動を控えるなどの対策を講じているところが多くございました。
また、子育て家庭からは、暑くて行くところがない、屋内で遊べる場所をもっと増やしてほしいなどの声も多くいただいております。また、公園の遊具についても、滑り台等の遊具が高温になっており、遊ぶことができない状況も生起しておりました。
気象庁の将来予測においても、平均気温の上昇と極端な高温の頻度の増加が予想される中で、今後も子供たちの屋外での活動に影響を及ぼすことが想定されます。熱中症等から子供たちを守り、子供たちの遊び場などの居場所の選択肢を確保するためにも、既存の屋内施設の利用規制の緩和やサービスの拡充、施設の充実、民間施設との連携などに取り組むべきと考えます。
気候変動の影響により屋外での子供の活動が制限を受けている現状を踏まえ、屋内の居場所づくりに取り組むべきと考えますが、
松井こども家庭支援監の所見を伺います。
最後に、台湾と富山県の交流について1問質問いたします。
先月末、私は自民党青年局として、国会議員、地方メンバー66名で台湾を訪問いたしました。自民党において国交のない台湾との交流は、青年局に与えられた大きな役割の一つであり、これまでも青年交流を絶やすことなく行っております。
今回の訪問では、蔡英文総統をはじめ来年の総統選の各候補者を表敬し、安全保障、経済、
インド太平洋地域の平和と安定など、多岐にわたる分野について意見交換をしてきました。
訪問を通じて台湾側からは、地域レベルでのさらなる交流を求める声が多くございました。現在においても、台湾と本県とは様々なレベル、分野において交流していると承知しております。
私の地元の氷見市においても、高雄市鼓山区と
友好交流都市協定を締結するなどの交流がございます。7月には、国際交流協定を締結している中山大学の学生が氷見市でフィールドワークを行いました。また、今年度は台湾との間でチャーター便が運航されるなど、台湾からのインバウンドも回復しつつあるところでございます。
このような情勢の中で、台湾との交流を活発化することは本県にとっても重要であると考えます。台湾からの
インバウンド誘致など今後の台湾との交流についてどのように取り組んでいくのか、
竹内地方創生局長に伺います。
以上をもちまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
4 ◯議長(山本 徹)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
5 ◯知事(新田八朗)光澤智樹議員の議会初質問にお答えをさせていただきます。
まず、豪雨災害の被害状況と復旧対応についての御質問にお答えします。
今回の6月下旬、そして7月にかけての豪雨災害では、農地、農業用水路、林道などで約2,800か所の被害が発生しておりまして、現在、事業主体である市町において、土砂の撤去などの応急対応や国の災害査定に向けた準備を進められています。
県としましても、一部の市や町の求めに応じて災害査定に向けた設計書の作成に協力するなど、早期の復旧を支援しているところです。
また、災害復旧に当たっては、
災害公共事業費約45億円のほか、新設した県単独事業の災害対応・未然防止枠に1億円を計上しまして、例えば、対象基準に満たない小規模な農業用施設について、複数の被害箇所を1か所とみなして支援する範囲を、従来の300メートルから500メートルに言わば緩和して、今回の災害の特徴を踏まえて小規模な被災箇所の復旧についても支援することにしております。
議員から御紹介がありました地元の氷見市
西条地区畑地かんがい用水につきましてですが、氷見市長さんからの要請を受けて、当面の対策として県の企業局の西部水道用水から補給することとしておりますが、今後、揚水ポンプの設置など、本復旧に向けての準備が進められると承知しています。県としても、施設の復旧が早期に進むよう技術的な指導助言を行うこととしています。
引き続き、市町また民間企業とも連携して早期の復旧に努めるとともに、今回の災害の経験と教訓を基に今後の災害への対応力を高め、県民の安全・安心を確保してまいります。
次に、
レスパイトケア事業の拡充についての御質問にお答えします。
地域の母子保健や保育を担う市町村では、国の妊娠・
出産包括支援事業を活用して、退院後の母子が病院などに宿泊して心身のケアや育児サポートを受ける産後ケア事業や、保育施設などでの一時預かり事業などを行っています。
県では、こうした市町村事業を支援また補完をするため、市町村が実施する一時預かり事業や
ファミリーサポートセンター事業への支援、全市町村と連携して家事サポートを行う産後
ヘルパー派遣事業、今年度新たに、子育て家庭がお出かけしやすくするための
民間施設サービスへの支援などに取り組んでいます。
さらに、来年度から新たに導入する出産・
子育て支援ポイント制度では、子育て家庭に対して、
伴走型相談支援と併せて、妊娠期、出産期、育児期にわたって電子ポイントを付与し、産後ケアや一時預かり事業などの利用料に充てていただくとともに、専用アプリによる
各種子育て支援サービスをセグメント配信するなど、子育て支援の充実強化につなげていくこととしています。
子育て支援には、親や保護者などの心身の休養やリフレッシュする時間の重要性を周囲が理解することが大切であり、今後とも市町村と連携して、
レスパイトケアの視点を取り入れた
各種子育て支援施策を推進してまいります。
このことは、私も大賛成しております光澤議員の政策の柱の一つ、「子どもは『富山の未来』、社会全体で育てよう」、これにも大いに合致するものだというふうに理解をしております。
私からは以上です。
6 ◯議長(山本 徹)
武隈危機管理局長。
〔
武隈俊彦危機管理局長登壇〕
7
◯危機管理局長(武隈俊彦)私には3問、御質問をいただきました。
まず最初に、防災・減災分野のデジタル化についてお答えいたします。
災害が激甚化、頻発化する中で、防災・減災分野におけるデジタル化への対応は重要な課題と認識しております。
県では、これまでも
総合防災情報システムを導入し、気象情報や被害状況、避難所情報のほか、河川の水位や道路の規制状況、土砂災害危険度などの多くの情報を効率的に収集するなど、災害対応に活用しております。また、災害時にSNS等で発信される災害情報の中から、AI解析により信憑性の高い情報を抽出するサービスを利用し、リアルタイムでの被害状況の把握に役立てております。
また、新たな取組としましては、
各種ハザードマップを含む県、市町村等のオープンデータやセンサーデータを1つのデジタル地図上に集約し、河川の水位や道路の積雪状況などリアルタイムの情報を表示できます
デジタル防災マップの整備を、来年度の公開を目指して進めております。これによりまして、県民の皆さんには、1つの同じ地図上で県内の状況を一元的に見てもらうことができるようになりますとともに、また、災害に対応する職員は、リアルタイムの状況を踏まえた効果的な対策を講じることができるようになると考えております。
さらに、今年度の
サンドボックス予算を活用し、避難時に各自のスマホから登録することで、各避難所の人数ですとか誰がどの避難所に避難したかなど、これらの情報を瞬時に関係機関で共有できる避難所の運営管理に役立つプログラム開発を試験的に行っているところでございます。
県としては、今後とも、国や他の自治体の動きも注視しながら、先行事例につきまして情報収集を行い、優れた取組があれば順次導入を検討するなど、AIの活用も含めました防災・減災分野におけるデジタル化を積極的に推進してまいります。
次に、国民保護についての御質問にお答えいたします。
昨今の我が国を取り巻く安全保障環境は、大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散等によりまして大きく変化しており、新たな脅威や、平和と安全に影響を与える多様な事態への備えが求められております。
国民保護法第102条で定義されますダムや発電所などの
生活関連等施設につきましては、富山県国民保護計画では、武力攻撃事態が発生した際は、国や警察、消防などの関係機関と連携して情報収集及び共有を図るとともに、特に必要があると認めるときは、施設管理者に対し安全確保のために必要な措置を講じるよう要請することを定め、迅速かつ適切に対処することとしております。
また、平素からの備えとしまして、県では、国民保護法が施行されました翌年の平成17年度から昨年度まで毎年度、国民保護訓練を国と共同または県単独で実施しており、情報収集及び共有の手順等につきまして確認するなど、関係機関との連携強化を図っております。
議員からお話がありましたダムを想定した訓練ですけれども、これまで実施しておりませんが、石油化学コンビナートですとか空港、駅といった生活関連施設を想定した訓練は実施実績がございまして、対処の経験やノウハウを蓄積しているところでございます。
県としては、今後、ダムをはじめ様々な施設や事態などを想定しながら国民保護訓練を継続的に実施し、県民の皆さんの安全・安心の確保に向けて、関係機関との一層の連携強化を図ってまいります。
最後に、弾道ミサイル訓練についての御質問にお答えいたします。
北朝鮮による弾道ミサイルの発射は、昨日もありましたところですが、それも含めまして今年に入ってからも15回発射されており、我が国及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、また、議員からも御指摘のありましたとおり、本県にとりましても脅威であることから、断じて容認できない事態と認識しております。
県では、平成29年7月に初めて、国と共同で、高岡市におきまして弾道ミサイルを想定した住民避難訓練を実施しております。その後、米朝首脳会談の開催など国際情勢の変化によりまして、国が弾道ミサイル訓練を見合わせましたことを受けて中断しておりましたが、再び北朝鮮の脅威が高まったことから、昨年9月には魚津市で、今年7月には富山市で、国と共同での訓練を再開したところでございます。
今年の富山市の訓練では、内閣官房や消防庁、県警察本部、開催市である富山市などの関係機関と連携した情報伝達訓練と、芝園小中学校の教員と児童生徒が参加した、校舎内での避難誘導や身を守るための行動を取る訓練などを実施しておりまして、また、安野屋地区の住民の皆さんにも御参加をいただき、住民が相互に地下歩道へ避難する、そういった呼びかけを行いながら、実際に避難する取組を訓練メニューに新たに追加して実施をしております。
県では、まだ実施をしていない市町村に弾道ミサイル訓練の実施を呼びかけておりまして、さきに答弁いたしました国民保護訓練も併せまして、今後とも関係機関との連携強化を図り、訓練の充実と継続した実施に努めてまいります。
以上でございます。
8 ◯議長(山本 徹)市井土木部長。
〔市井昌彦土木部長登壇〕
9 ◯土木部長(市井昌彦)私から、
主要地方道高岡氷見線の整備についての御質問にお答えします。
新たな警察署の予定地から氷見市内へ向かう場合、能越自動車道の高岡北インターを経て氷見方面へ北上するルートが考えられ、インターチェンジへのアクセスとなる県道高岡氷見線は高岡市岩坪地内に、議員御指摘のとおり、幅員が狭く、一部で線形や見通しの悪い箇所がございます。
県では、これまで小矢部川左岸の堤防道路部分の約400メートルの拡幅整備を実施し、平成26年度に供用したところでございます。
令和2年度には、その先線に当たる集落手前までの120メートル区間の線形改良に着手しております。これまで、現地測量や河川管理者である国土交通省と協議しながら詳細設計を終えており、昨年度は用地測量を実施し、用地現況図の作成や境界立会いを行ったところでございます。今年度は、現在、用地買収に向けて買収予定地の権利関係について調整しているところです。引き続き地元の理解を得ながら事業の推進に努めてまいります。
そのさらに西側に当たる集落内の人家連檐部においては、先ほどの狭隘な区間が残っており、地元からも拡幅の御要望をいただいているところでございます。この西側区間の整備につきましては、県として、現在、集落手前で事業を実施していることから、この事業中区間の進捗状況を踏まえ、今後、高岡市とも協議しながら検討することとしております。
以上です。
10 ◯議長(山本 徹)荻布教育長。
〔荻布佳子教育長登壇〕
11 ◯教育長(荻布佳子)私からは、高校教育における
ライフプラン教育についての御質問にお答えをいたします。
県立学校では、生徒が生涯を見通し、自分の在り方、生き方を主体的に考えることができるよう、家庭科や特別活動などを通して
ライフプラン教育を行っております。
具体的には、県教育委員会が作成した副教材を授業で活用しているほか、起業家など地域で活躍しておられる方や産婦人科医などによるライフデザインセミナー、また、親子を招いての赤ちゃん触れ合い体験などを行うことにより、自分のライフキャリアを考え、妊娠、出産に関する正しい知識や、子育ての楽しさ、命の貴さなどを学ぶ機会としております。
昨年度のアンケート調査では、多くの生徒が乳幼児と触れ合い、命の貴さを自分ごととすることができたなどと回答しており、効果的な取組であると考えております。
なお、
ライフプラン教育の副教材については、多様な生き方や価値観を反映させる観点から今年3月に全面改訂を行い、学習活動例や指導の留意事項を記載した実践手引書とともに各学校に配布をしております。
改訂版では、多様な家族や暮らし方、専門家やロールモデルのメッセージなどを紹介し、働くこと、パートナーと共に生きること、親になることなどのライフイベントについて考えを深め、自分の理想とする
ウェルビーイングの高い人生を描けるようにしております。今後は、学校の学習以外の場面も含め幅広く活用できるよう、副教材のデジタル化も予定しているところでございます。
引き続き、高校生が主体的に自分の人生設計を考え、豊かな人生を歩むことができるよう、
ライフプラン教育の一層の充実に努めてまいります。
私からは以上です。
12 ◯議長(山本 徹)
川津知事政策局長。
〔川津鉄三知事政策局長登壇〕
13 ◯知事政策局長(川津鉄三)私からは、2問お答えいたします。
まず、若い世代への結婚支援についての御質問にお答えいたします。
議員御指摘のとおり、本県の第1子の出産年齢は全国同様、上昇傾向にあり、晩婚化が少子化の一つの要因となっていると考えており、初婚年齢を引き下げるため、ライフステージに応じた対策が重要であると考えております。
まず、学生生徒に向けては、先ほど教育長から答弁がありましたが、高校生に加えまして県内大学生等を対象に、思春期からの妊娠、出産に対する正しい知識を持ったライフプランなどを同世代の目線で助言するピアカウンセラーの養成などに取り組んでおります。
また、企業における従業員に対しましては、企業と連携した取組が効果的なことから、新たに企業の人事労務担当者に向けてのセミナーを開催いたしまして、従業員に向けては、ライフイベントとキャリア形成を併せて考える機会が必要であること、また、企業に対しては、従業員のライフプラン作成支援が人材の維持確保につながり、企業、従業員、両者にウィン・ウィンであることを理解いただくことによりまして、企業主導で若手従業員を対象としたライフプラン講座の開催に今後つなげていきたいと考えております。
さらに、民間の飲食事業者等と連携いたしまして、昨年度開設したTOYAMATCHにおきまして、若い世代の出会いにつながる様々なイベントを開催し、情報を集約、発信することで、広く出会いの場の創出、発信に努めながら、市町村の結婚支援事業やマリッジサポートセンター(adoor)へつなげることとしております。
今後とも、企業や民間事業者、市町村等と連携しながら、ライフステージに応じた結婚支援に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、男性
育児休業取得促進についての御質問にお答えいたします。
本県の男性育児休業の取得率は、令和4年度、直近調査でありますけど15.6%で、前年度の8.8%から大きく増加しましたが、全国平均を下回る状況にあります。
議員御指摘のとおり、男性が育児休業を取得するには、職場の理解や協力が必要であることから、県では、社会保険労務士による一般事業主行動計画の策定支援や、企業や団体が働き方改革や男性育児休業の促進等をテーマに開催されるセミナーへの講師派遣、人事労務担当者が情報交換できるSNSのコミュニティーの運営などに取り組んできております。
また、昨年10月に国の制度に上乗せして、男性の育児休業取得者とその事業主に対して、それぞれ5万円を補助する制度を創設いたしましたところ、昨年度は6か月で81社135人、今年度は8月まで79社153人と、5か月間で昨年度実績を上回って活用されており、本県の育児休業の普及に相当程度寄与しているものと考えておるところです。
現在、国におきまして、業務を代替する社員への応援手当に対する助成の拡充が検討されておりますが、県の男性育休取得補助金の活用をされた企業からは、御意見として、代替要員の確保が課題である、また、他の社員の負担増が課題との声が上がってきております。御指摘のとおり、代替社員等への支援を行うことは重要であることと考えております。
本県の男性育休補助は、職場の環境整備にも活用できる制度であることから、今後とも周知に努め、多くの企業に活用されるよう努めていきたいと考えております。
本県の男性育休取得率の目標は、令和8年度までに80%という大変高いものを掲げておりますが、職場、地域で男性の育児休業は当たり前となるように、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
14 ◯議長(山本 徹)
松井こども家庭支援監。
〔松井邦弘こども家庭支援監登壇〕
15 ◯こども家庭支援監(松井邦弘)私から、3つの御質問についてお答えをいたします。
まず、
子育て家庭お出かけ推進事業についての御質問にお答えをいたします。
県では、今年度新たに、子育て家庭がお出かけしやすい環境を整備するため、とやま子育て応援団に参加する民間事業者が、離乳食、おむつ替えセットの提供や託児サービスの提供、それから、おむつ替え、授乳ができる設備や子供が遊べるスペースの整備などに取り組む場合に、その費用の2分の1を補助する
子育て家庭お出かけ推進事業を実施しているところでございます。
この事業については、8月に募集を開始したところでありまして、その中で託児サービスの提供については、約半年間、週末に保育士1名を臨時的に配置していただき、サービスを提供した場合を想定して上限額を定めております。
今後、この事業のさらなるPRに努めるとともに、事業者へのアンケートや子育て家庭のニーズ調査などを実施することとしておりまして、それらの結果を踏まえまして、事業の成果や課題などについて整理しまして、さらに実態に合ったよりよい事業となるように検討してまいります。
次に、保育士の確保についての御質問にお答えいたします。
県では、潜在保育士に対して、県保育士・保育所支援センターに保育士再就職コーディネーターを配置し、潜在保育士の掘り起こしや職場復帰への支援などに取り組んでおります。
また、保育士を目指す学生などに対して、保育士資格取得のための修学資金貸付、高校生を対象とした保育所体験バスツアーの実施、また、県内外の保育士養成校の学生への定期的な情報レターの送付、それからオンラインを活用した就職説明会の開催など、様々な事業を推進しているところでございます。
さらに、施設側に対して、業務効率化のためのICT機器の導入や、低年齢児を中心に健康管理などを行う看護師の配置、それから保育補助者の雇い上げへの支援を行っております。
また、保育士の賃金について、経験年数や技能に応じた加算のほか、昨年度から収入を3%程度引き上げる加算が施設の運営費に組み込まれるなど、保育士の負担軽減や処遇改善などに取り組んでいるところでございます。
今年度は、「ワンチームとやま」連携推進本部会議のワーキンググループにおいて、さらなる保育人材の確保策について協議しており、今後、県と市町村が連携し取り組む新たな確保策を創出してまいります。
最後に、屋内の居場所づくりについての御質問にお答えいたします。
熱中症対策の一つとして、子供が利用する施設での環境づくりは大切なことであると考えております。国が策定されました熱中症対策実行計画において、暑さを避けるクーリングシェルターの確保、例えば、既存の公共施設や民間施設を活用することなどが、地方公共団体などにおける熱中症対策として示されまして、また県の役割として、市町村が行う熱中症対策に関する取組を支援することとされております。
このため、今後、県と市町村担当課長会議などにおいて、国のこの実行計画を踏まえまして、子供が身近で利用しやすい屋内施設の充実や民間施設との連携などについて、市町村と協議してまいります。
私からは以上でございます。
16 ◯議長(山本 徹)
竹内地方創生局長。
〔竹内延和地方創生局長登壇〕
17 ◯地方創生局長(竹内延和)私から、台湾との交流に関する御質問にお答えをいたします。
本県と台湾との交流については、観光面では、コロナ禍前の令和元年には、本県の代表的な観光地であります立山黒部アルペンルートへの外国人観光客の半数以上を台湾からの観光客が占めるなど、例年、多くのインバウンドを台湾からお迎えしていたところでございます。
近年は、コロナ禍で
インバウンド誘致が難しい時期が続いておりましたけれども、今年の春には富山─台北便の臨時便が3年ぶりに就航し、また、今月から来月にかけて秋の臨時便が就航予定となるなど、台湾からのインバウンドは回復しつつあると認識しております。
県では、今年度、台北で開催されました旅行博への出展、台湾メディアを本県へ招聘、そして現地商談会の開催、また台北の地下鉄での壁面広告等を実施しておりまして、本県の秋や冬の魅力等をPRすることによりまして、一年を通じた台湾からの誘客に努めているところでございます。
また、本年3月に新田知事が訪台した際に、台湾側から御提案いただきました富山湾岸サイクリングコースと台湾の主要サイクリングコースとの間での友好協定締結に向けた準備を進めるとともに、来年3月に台北で開催されます国際的な自転車展示会、TAIPEI CYCLE 2024、こちらに出展を検討するなど、自転車を通じた相互交流についても促進することとしております。
さらに、これは議員からも御紹介いただきましたけれども、県内市町村においても、氷見市さんを含む2市が、台湾の行政区との間で友好交流協定を締結するなど、観光面、経済面等、幅広い分野で交流がなされているところであり、引き続き市町村とも連携しながら台湾との交流及び誘客の促進に取り組んでまいります。
以上でございます。
18 ◯議長(山本 徹)以上で光澤智樹議員の質問は終了しました。
澤崎豊議員。
〔12番澤崎 豊議員登壇〕
19 ◯12番(澤崎 豊)よろしくお願いいたします。おはようございます。自民党新令和会の澤崎です。本日は都合によりましてマスクを着用しての質問をいたしますので、聞きにくい点はどうか御容赦をお願いしたいと思います。
さて、昨日、第2次岸田改造内閣が発足したわけであります。山積する課題解決に向けて、人心刷新、変化ということでしょう。季節も同様に移ろい、猛暑そして豪雨を越えて、県内、今は稲刈り真っ盛りであります。実りの秋を実感する今日この頃です。
海に目を転ずれば、地元の魚津では、この9月に入りカニの水揚げが始まっています。また、定置網の冬網も入りまして、漁業者にとっては待ちに待った季節となっております。鍋割月を越えて豊漁の季節になりますことを願い、質問に入らせていただきます。
まず、農業の振興について3問伺います。
現在、県において取り組んでいる中山間地域保全パートナーシップ推進事業は、人手不足に悩む地域と農業活動に参加したいと考えている企業あるいは団体のマッチングを進めるものであります。しかし残念ながら、まだまだその認知度が低く、その普及拡大に取り組むことが重要であると考えます。
SNSを活用した人材確保の事例もあり潜在的な供給はあると推察できるほか、高校生あるいは大学生のキャリア教育の一環としても有効と考えております。
この夏、この事業により、魚津市の中山間地域のブドウ園でありましたが、地元の新川高校の生徒さんが、鳥獣被害防止対策のネット張りなど地元の方と作業したそうです。地元の高校生が地域課題解決に向けて地元の方と一緒に取り組むことは、高校生にとって大変すばらしい体験であったというふうに思っております。
そこで改めて、特に中山間地域において、農業施設等の維持管理や鳥獣被害防止などを支える人材を確保する必要性が年々高まっている現状を踏まえて、今後どのように取り組んでいかれるのか津田農林水産部長に伺います。
今年の夏は、富山県内において記録的な少雨となりました。報道等にもありましたように、私の地元魚津市でも、沢筋の水やため池の枯渇が見られました。
来年以降も引き続き気温の上昇、少雨が続くことが容易に想定されることから、特に条件の悪い中山間地においては根本的な対策が必要であります。
沢筋の水で耕作されている方から、こんなことを言われました。水を何とかしてくれと。何ともならないわけでありますが、私の元に悲痛な声が届いておりました。もっと条件のいい場所で耕作をすればいいんじゃないかというふうに思う一方で、先祖代々受け継いだ田畑を守り続けるのだ、耕作放棄地にはしたくないという、御本人のそんな強い気持ちが私には伝わってまいりました。
中山間地域の水田を維持管理していくのは並大抵のことではありません。しかし、中山間地域で田んぼを作る人がいる限り、しっかりと寄り添うのが行政ではないでしょうか。
改めて伺います。中山間地域において持続可能な農業を推進するため水不足対策に取り組む必要があると考えますが、農林水産部長の所見を伺います。
さて、この項最後の質問となりましたが、果樹について伺います。
この夏の異常な気候により、リンゴや梨畑に水を当てている風景を本当によく見かけました。水道水をかけたなどとも聞きました。大変な水道料金がかかったことでしょう。
さて、このように気候変動が顕著となっている現下、果樹栽培において、例えば新種の病害虫が発生するおそれもあり、適宜適切に指導してくれる技術指導員の確保と指導が現場から求められているのであります。本県に適した栽培技術の開発、普及、そして暑さに強い新品種の開発、生産販売から経営管理に至るまで継続的に指導を行うことにより、果樹生産に取り組みやすい環境を整備していくことが重要です。
そこで、果樹生産の振興を図るため、新たな担い手の確保育成が急務となっていることから、果樹研究センターの研究員や農林振興センターの普及指導員の確保など研究、指導体制の強化に取り組むべきと考えますが、農林水産部長の所見を伺います。
続いて、教育と文化の振興について5問伺います。
まずは、県立定時制高校、通信制高校についての質問です。
全日制については、県立高校教育振興検討会議が開催され議論を深めていることと理解しております。しかし、全日制とは別に県立の定時制高校、通信制高校が、県内には新川みどり野、雄峰高校、志貴野、となみ野、富山工業、小矢部園芸があり、魅力向上に向けて取り組む必要性を感じています。
子供たちのそれぞれの事情や希望に応じて、学びの機会をしっかりと確保することが
ウェルビーイングの向上につながると考えます。私立の通信制高校が躍進する中、どんな課題、そして問題点があるのか、しっかり分析評価することが重要であると考えます。
そこで、子供たちの多様な学習ニーズに対応するため県立定時制高校、通信制高校の学科の充実を図るべきと考えますが、荻布教育長の所見をお伺いいたします。
次に、先日の自民党議員会の代表質問にもありました令和9年度に供用開始予定の新川こども施設について、私からも重ねてお伺いします。
整備予定の新川こども施設は、非認知能力、運動能力、創造性を育むというのが施設のコンセプトであります。しかし、なかなかこれを言葉で理解するのは難しく、施設コンセプトをテーマとしたイベントを開催することなどができないものでしょうか。そうすることで、より具体的に施設のイメージを持ち、建設に向けた期待感や高揚感、認知度も高まってくるものと考えます。
施設のコンセプトを運営業務の要求水準書にしっかりと明確に盛り込み、周辺施設との差別化を図るとともに、開館に向けて、芝生広場で事前のマーケティングも兼ねたイベントを開催するなど機運醸成に取り組む必要があると考えますが、新田知事の御所見をお伺いいたします。
続いて、この新川こども施設の建設予定地にある新川文化ホールをはじめ、県立文化ホールの修繕計画について伺います。
新川文化ホールは、平成6年の開館から30年が経過し、空調やモニター、また館内の雨漏りなど施設の老朽化が進んでいるほか、新川こども施設の整備と併せた一体的な魅力向上に取り組むことが重要であり、今後、計画的に改修を進めていく必要があると考えます。
そこで、県立文化ホールは、順次計画を立てて修繕を重ねながら長寿命化を図っているものと思いますが、新川文化ホールを含めた今後の修繕計画について廣島生活環境文化部長にお伺いいたします。
この項最後の質問となります。地域の伝統行事である獅子舞の維持、継承についてであります。
先般も針山議員が、獅子頭の新調で新聞にも出ておりました。富山県は言うまでもなく、全国屈指の獅子舞県です。ここ数年はコロナ禍のため休止になっていた獅子舞の奉納も、この秋には再開が見込まれます。既に各地域の公民館から、練習するピーヒャラピーヒャラ笛の音などのおはやしの音色が聞こえてくるわけであります。
しかしながら、人口減少に伴う担い手不足によって、この獅子舞の維持、継承は年々厳しくなっており、さらにはコロナ禍での休止によって住民の機運が低下し運営ノウハウが失われたことなどもあり、再開を断念する地域もあると聞いています。
こうした中、これまで伝統的に地元在住の男子のみに限っていた担い手を女子や他地域在住の子に広げるなど、慣例を変えて維持、継承しようと努力している地域があります。私の地元においても、踊り子の半分以上が何と女子になってきました。
そこで、将来にわたり、この獅子舞を維持、継承していくためには、その担い手となる子供たちが地元の伝統行事に理解を深め、そして親しむ機会を増やし、自分も参加したいと思える環境をつくっていくことが重要です。ふるさと学習で取り上げるなど、地域の伝統行事を学ぶことで地元への誇りや愛着の醸成につながるものと考えますが、教育長の所見を伺います。
続いて、安全・安心の確保等について5問伺います。
まずは、県立学校の体育館の冷房設備の設置についてです。
今年の夏は、何度も申し上げましたが猛暑の夏でした。例年は真夏でも私の家などは、山から吹く風が冷たくて戸を閉めんと寝れんくらいなわけでありますが、今年にあっては電気のクーラーをつけた次第であります。
我が会派の政調会長より教育企画課に資料請求して御提供いただいた令和4年9月28日の資料によると、県内における公立学校の普通教室の冷房設備の設置は100%。しかし、体育館では、公立小中学校で0.6%、公立特別支援学校で4.2%、公立高等学校で2.4%です。
従前、体育館の冷房設備などとは想像もつきませんでしたが、こうも連日記録的な猛暑が続くのであれば、やはり早急に、部活動の熱中症対策や避難時の環境改善のためにも設置が必要と考えます。災害発生時において地域の避難所としても利用される県立学校の体育館への空調設備の設置を進めていくべきと考えますが、教育長に伺います。
この夏は自然の脅威を改めて思い知らされ、特に南砺市議会議員だった、先ほども光澤さんがおっしゃっていましたけれども、赤池さんの命がけの行動には本当に心打たれました。御冥福をお祈りします。
いみじくも、この6月に土砂災害防止「全国の集い」が本県で開催され、地域の安全を確保する砂防の役割、大切さを全国に発信したところです。
しかし、一般の県民の皆様の砂防に対する認知度、理解度はまだまだ低いと、ふだんより感じています。
富山市出身の落語家、柳家さん生さんが立山砂防を題材にした創作落語、「さぼうさん」が砂防の大切さを伝えているように、砂防工事と治水について県民にこれまで以上に分かりやすく、そして効果的に発信する方法を考えていく必要があると考えます。
そこで、県民の防災意識を高めるとともに、ふるさと教育の一環として砂防の重要性を広く発信していくことが重要と考えますが、市井土木部長に所見を伺います。
次に、先月、厚生環境委員長として、富山県民福祉推進会議の意見交換会に出席しました。その際、富山県視覚障害者協会の方から要望されたことについて質問します。
この推進会議は、全ての県民が幸せに生きる福祉社会の実現を目指して、福祉、保健、医療関係団体、学識経験者、民間事業者団体代表者で構成されている会議です。
当日、その中で、富山県視覚障害者協会の方よりこんな御発言がありました。以前は、歩道と横断で接続する車道との境界について2センチの段差をつけてほしいと要望していたと。しかし、昨年より警告用点字ブロックの設置に要望内容を変えたところ、県から、県管理道路を新設する場合に設置しますよとの前向きな回答が得られたとのことで、大変喜んでおられました。
一方で、今後、視覚障害者協会の方は、新設だけではなく、既存の道路などの改善も求めていくこととしているとおっしゃっておられました。そこで、福祉のまちづくりの推進につながる車道との段差がない歩道への警告用点字ブロックの設置について、今後どのような方針で進めていくのか蔵堀副知事にお伺いします。
続いて、小規模警察署の再編に伴う新警察署の建設地について伺います。
この9月補正予算では、砺波エリア新警察署整備に係る予算が計上されています。しかし、県東部の上市署、滑川署、そして入善署、黒部署、魚津署の2エリアの再編建設地が決まっておらず、関係市町や自治会等がそれぞれ要望を上げています。もちろん、地域の意見も踏まえながら進めていかなければならないのでしょうが……。
私の地元魚津市においても、5月に交通の利便性や県内有数の飲食店を有することから、国道8号線に面する魚津市総合体育館の跡地を提案し、自治振興会連合会、公民館連合会一同で要望を提出したところであります。
そこで、警察署の再編整備について、建設地が決まっていないこの東部エリアの手続の進捗と今後のスケジュールについて、石井警察本部長に伺います。
この項最後の質問となります。
芸能人は歯が命と言ったのは、東幹久と高岡早紀さん。議員も同様であります。私自身60歳を超えて本当に身にしみて思う口腔の大切さ、口腔の健康増進について伺います。
口腔の健康──デンタルヘルスは、健康寿命の延伸に深く関係していると言われています。これまでも、80歳までに20本の歯を残すことを目標にした8020運動などが推進されてきました。また、口は食べ物の入口であるとともに健康の入口であり、そのケアは命の分かれ目とも言われております。近年、口腔の健康と全身の健康の関連性も大変注目されています。
県は、今年度、県民歯と口の健康プランを改定する予定とのことですが、国の動きや研究結果なども踏まえ、県民の口腔ケア、オーラルフレイル予防の推進に今後どのように取り組んでいくのか、有賀厚生部長にお伺いします。
最後に、本県の魅力の向上、発信について2問伺います。
まずは、会派代表質問にもありましたが、ふるさと納税について伺います。
昨年度の本県の実績が全国最下位だったことを受け、知事は、せめて出入りでマイナスにならないようにしていきたいとコメントされました。
ふるさと納税制度は、財源の確保だけではなく、本県の魅力の発信を通じて広く本県への愛着や共感を深めてもらうチャンスであり、関係人口1,000万人を目指す本県としては、この制度をもっと積極的に活用すべきでありましょう。
2023年度、我が魚津市のことを言ってもあれなんですけれども、納税ランキングは2位でありました。そこには情熱にあふれた担当者が、このふるさと納税を牽引しています。
そこで、やっぱり人なんだなというふうに思う一方で、ふるさと納税制度のさらなる活用に向け、先進事例の研究や寄附者の属性あるいは動機、情報入手先等のデータ分析、それを踏まえた集中的なPRを行うなど、取組を本格的に強化すべきと考えますが、南里経営管理部長にお伺いいたします。
先週、富山県武道協議会設立10周年記念武道祭に出席してきました。そして、演武を拝見して、改めて武道のすばらしさを体感してきました。
それでは、最後の質問です。富山県武道館について伺います。
この9月補正予算に、富山県武道館の整備に係る基本設計の費用が盛り込まれました。第一は、示されている整備費と整備スケジュールを遵守し、令和9年度に開館供用を開始することです。考慮すべき点は幾つかあろうかと思いますが、公共交通機関との連携が多くの方より御指摘があるわけでありまして、早急に具体的に検討すべきであろうかと思います。
また、建設予定地の県総合運動公園のびのび広場には水飲み場等がなく不便を感じるなど、県総合運動公園そのものの魅力も向上する必要があります。
そして、新武道館のある県総合運動公園を中心に、多くの市、県のスポーツ施設が集積している場所となることから、それぞれが相乗効果を持つような、そして夢のあるイベント、大会の誘致、実施が必要でありましょう。
そこで、これらの諸課題にどのように取り組んでいかれるのか、最後に富山県武道館開館に向けた意気込みと併せて知事に御所見をお伺いし、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
20 ◯議長(山本 徹)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
21 ◯知事(新田八朗)澤崎豊議員の御質問にお答えをします。
まず、新川こども施設の機運醸成への取組についての御質問にお答えします。
新川こども施設は、令和3年度に作成した基本計画で、「変化に向き合い、未来を創る力の育成」をコンセプトに、雨天や降雪時、猛暑でも利用できる屋内型の施設、遊びを通じて子供たちの非認知能力、運動能力、創造性を育む施設、また、音楽や芸術などの新川文化ホールの特性と連携した施設などを整備方針としています。
現在、設計業務や建設業務、運営業務など、各業務ごとの要求水準書案を検討しております。基本計画が目指す方向性を実現できる施設となるように進めてまいります。
この施設は、遊びを通して子供たちの健全な育ちに寄与することに加えて、魅力的な地域づくりにも貢献する施設にしたいと考えています。施設の設備、提供するサービスともにオリジナリティーある特徴的な施設を目指すことで、近隣の市町の子供関連施設とは異なる特徴を有するとともに、また、それらの施設との連携についても十分に留意していきたいと考えます。
また、開館に向けた機運の醸成が大変重要であると考えておりまして、その一環として、子育て世代がこの施設に求める具体的な機能やサービスについて把握をするため、SNSを使ってアンケートを実施しているところです。直近で100名以上の方々からお答えをいただいています。
今後は、令和6年度に事業者が決定し、施設のイメージが示された段階で、例えば子育て支援団体などと連携したイベントの開催や、施設についての参加型の意見交換会などを開き、令和9年度中の完成が待ち遠しくなるような、また子供や保護者がワクワクするような、ちょうど待っている時間も楽しい東京ディズニーリゾートのように、そのような機運醸成に努めていきたいというふうに考えております。
次は、富山県武道館についての御質問にお答えをします。
富山県武道館については、基本計画策定後の情勢の変化を踏まえて整備方針を再検討するために、本年4月に設置した基本計画の見直し検討委員会での検討内容、また6月県議会での議論などを踏まえて、今月4日に基本計画を改定し、県総合運動公園のびのび広場に整備することとしました。
また、武道館の施設整備を機会に、今後、県総合運動公園及びその周辺地域の魅力向上を図っていきたいと考えます。具体的には、まず、検討委員会でも議論になった公共交通の利便性の向上については、バスの増便、シャトルバスの運行、バス停の増設などについて事業者と協議するなどの検討を進めます。
また、武道館利用者と同公園内のトレーニング室など既存施設の利用者が、相互に利用してもらえるようPRを行うとともに、他の自治体のスタジアムでも取り入れられている官民連携によるパークマネジメントの導入、また、Jリーグ・カターレ富山と連携した地域活性化プロジェクトの実施などを検討したいと考えます。
さらに、県総合運動公園周辺は、本県、また富山市さんのスポーツ施設が集積しているエリアでもあることから、魅力あるスポーツやイベントが実施できるように、今後、富山市あるいは関係機関と協議を進めます。
富山県武道館が、本県武道の拠点施設としてはもちろん、県総合運動公園周辺エリアの地域活性化や県民の
ウェルビーイングの向上にも寄与できる施設となるように取り組んでまいります。
私からは以上です。
22 ◯議長(山本 徹)蔵堀副知事。
〔蔵堀祐一副知事登壇〕
23 ◯副知事(蔵堀祐一)私からは、警告用点字ブロックに関する御質問にお答えいたします。
県管理道路の歩道につきましては、現在、高齢者の方や車椅子等の利用者の方の安全な通行の支障とならないように、歩道と車道を同じ高さにするフラット歩道を基本として整備をいたしております。
その場合、視覚障害者の方が歩車道境界──歩道と車道の境界ですが──を識別できるように、公共交通機関の駅などと視覚障害者の利用が多い施設を結ぶ歩道におきまして、視覚障害者用の点字ブロックを設置して対応してきております。昨年度も、入善駅に近い入善町入膳地内の県道入善朝日線などに新たに設置をいたしました。
さらに、富山県視覚障害者協会からの御要望を踏まえまして、歩道の新設時に点字ブロックを設置する箇所として、駅周辺に限らず広く都市部で行う歩道整備も対象とすることとし、設置範囲を拡大いたしました。
これに基づきまして、昨年度、新たに高岡市姫野地内の国道415号などで、合わせまして5か所設置をいたしました。今年度も、富山市中市地内の都市計画道路双代線など8か所で設置することといたしております。
県といたしましては、歩道新設に係る点字ブロックの設置を推進いたしますとともに、既存の道路における設置について検討いたしますため、市街地において改善の可能性のある箇所の現状把握に努めてまいります。
引き続き、県視覚障害者協会など関係者の皆様の御意見をお聞きしながら、安全性と快適性に配慮した歩道整備に取り組んでまいります。
以上です。
24 ◯議長(山本 徹)津田農林水産部長。
〔津田康志農林水産部長登壇〕
25 ◯農林水産部長(津田康志)私からは、農業の振興に関して3問の質問にお答えします。
まず、中山間地域における農業活動の人材確保についての御質問にお答えします。
県内の多くの中山間地域では、中山間直払い等により、営農活動や農業用施設の維持管理のための協働活動が行われておりますが、高齢化により、その継続が難しい集落もございます。
このため県では、中山間地域の人材確保を目的とする中山間地域保全パートナーシップ推進事業を実施し、集落と社会貢献活動を希望する企業・団体等とのマッチング支援のほか、個人に対しては、とやま農業・農村サポーターへの登録を促しているところでございます。
今年度の実績としましては、今ほど議員から御紹介がありましたが、魚津市の西布施ぶどう組合と新川高校の生徒との協働により鳥獣侵入防止柵が設置されたほか、県内8つの地域で延べ144名に、用水路の泥上げやジャガイモの収穫等の活動に参加いただき、受入れ地域や参加者にも大変喜ばれたところでございます。
一方で、若者の主体的な参加が減り、参加者が固定している実態があるなど、認知度の向上が課題だと考えております。
このため県では、農村活動への若者参画を促すため、今年度、
サンドボックス予算の活用により、大学生などの4団体を都市農村交流事業広報アンバサダーとして任命し、実際に活動に参加して農村の魅力をSNSで発信するとともに、この体験を基に若者目線で効果的な広報企画案を御提案いただくこととしております。
ライフスタイルが多様化する中、中山間地域の活動に関心を持つ方は一定数おられると考えております。そうした方々に刺さるような効果的な広報を行い、活動に参加していただくことにより中山間地域における協働活動が継続できるよう努めてまいります。
次に、中山間地域における水不足対策についてお答えいたします。
中山間地域では、年間を通して農業用水の確保が困難な地域があり、そのような場所では、沢水等をため池に貯留して農業用水として使用しておられます。
県では、例年6月から8月に県内の主要なため池29か所で貯水量の調査を行っておりますが、今年は8月末において貯水率が5割を下回るため池が12か所あったことから、高温少雨の気象の影響により、例年に比べ用水が十分でなかったものと考えております。
この間、県内の各地域では、土地改良区、県、市町村等の関係者が連携し、節水協力依頼、番水体制の実施等の用水配分の調整を行っており、さらに対策が必要な箇所では、河川管理者の協力を得て、河川水のポンプ車移送により農業用水を確保されたところであります。
県としましては、今後も同様な高温少雨の気象条件が想定されることから、関係者との連携の下、今回の各地域における用水確保の取組を検証し、課題があれば改善を図ることとしております。また、その際には、関係者と共に地域の皆さんの営農の方向性を踏まえて、費用対効果も勘案しながら、例えば下流の用水を反復利用するためのポンプの設置や効率的な水利用を行うための用水路のパイプライン化など、必要な施設整備についても検討してまいります。
最後に、果樹の生産振興についての御質問にお答えいたします。
近年、果樹産地では、高温条件などで生じる収量・品質の低下、農業者の高齢化による担い手不足などが課題となっております。
このため、果樹研究センターでは、近年の高温傾向に対応した栽培技術の確立、本県の気象条件等に合った品種の選定、ドローンによるリンゴの生育診断など、省力化や品質向上に資する技術開発に取り組んでおります。
また、農林振興センターでは、果樹研究センターで開発した技術の普及や経営管理への指導、産地を牽引するリーディング経営体の育成、新たな担い手の育成や既存産地の活性化に取り組んでおります。
こうした中、魚津市では、約30の企業・団体と連携し、果樹の郷うおづ地域食品産業連携プロジェクトを立ち上げ、地域として果樹を活用した新たな付加価値を生み出す取組が進められており、県としても、新商品開発時には必要な助言を行うなどの支援を行ってきたところでございます。
県としましては、引き続き優秀な人員の確保に努めるとともに、OJT研修やスマート農業技術の研修、さらには国研究機関等への派遣研修等を通じて職員の資質向上を図ってまいりたいと考えております。また、国の交付金や委託研究等を活用しまして必要な予算を確保して、技術開発と指導体制の充実にも取り組んでまいります。
以上でございます。
26 ◯議長(山本 徹)荻布教育長。
〔荻布佳子教育長登壇〕
27 ◯教育長(荻布佳子)私からは3点お答えをいたします。
まず、県立の定時制高校、通信制高校の学科充実についての御質問にお答えいたします。
本県では、県立高校6校に定時制課程15学科を設けており、普通科以外に工業科や商業科をはじめ、全国的にも珍しい農業科や家庭科を設置し、多様な学習ニーズに柔軟に対応しているところでございます。
生徒が自分の生活スタイルに合わせて、午前、午後、夜間のいずれかで学ぶことができる3部制や、通常は修業期間が4年間でございますが、より多くの単位を修得することで3年間で卒業できる制度もございます。多彩な授業が少人数で開設されており、自分の関心や能力などに合わせて所属する学科以外の授業を受講することができ、個のニーズに応じた学びや多岐にわたる進路選択につなげられるようになっております。
また、雄峰高校には、より自分のペースで学習ができる通信制課程2学科を設けており、各学期に9回の登校日を設定するなど、一般的な広域通信制高校と比べ丁寧な指導を行っているところです。ここで学びながら、天文学や物理など様々な学術分野のオリンピックに挑戦している生徒さんもいるなど、それぞれが自分のスタイルに合わせて学習をしているところであります。
また、多様な生徒への支援についても、スクールカウンセラーや、特別な支援が必要な生徒の自立を促す通級指導担当教員、就職支援教員などを配置して充実を図っております。
昨年度の令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会では、定時制・通信制高校について、委員からは、多様性が求められる中、今後の教育に必要な要素が詰まっていると評価も頂戴したところでございます。
今後とも、生徒のニーズに合わせ、習熟度別授業や学び直しもできる教育課程編成の工夫など充実した教育を推進するとともに、中学生や保護者に対し学校の魅力や特色の一層の発信を図り、生徒の
ウェルビーイングにつながる、個々の希望や事情にも応じた学びの機会の確保と学びの充実に努めてまいります。
次に、獅子舞など伝統行事の子供たちへの継承についての御質問にお答えします。
議員から御指摘のとおり、本県には全国屈指の伝承数を誇る獅子舞が受け継がれておりますが、人口減少や少子高齢化などによる担い手不足に加え、コロナ禍により中止や規模縮小を余儀なくされたことから、所作や技術の伝承が大きな課題となっております。地域の伝統行事である獅子舞を次世代へ確実に継承していくためにも、子供たちが地域の伝統行事に理解を深め親しむ機会を増やすことは重要と考えております。
このため、教育委員会では、これまでも国の補助事業や民間の助成事業、公民館でのふるさと学習などを活用し、地域の伝統行事の伝承や後継者の育成などの支援に取り組んできたところでございます。
幸いにも、各地の獅子舞の保存会等では、コロナ禍を乗り越えて、子供たちの獅子舞への参加とともに踊りや笛、太鼓の継承が再開をされております。また、魚津市など多くの小学校では、ふるさと学習の一環として地元の獅子舞を学び、創立記念式などで披露する取組を行っておられるところです。
地域で大切に保存・継承されてきた獅子舞は、地域の宝であり住民の方々の誇りでもございます。県教育委員会では、富山県文化財保存活用大綱において、文化財の保存活用に関する基本方針の一つに「文化財の保存・活用を担う人材の育成」を掲げております。
地域の伝統行事である獅子舞が末永く保存・継承され、子供たちがそれに触れることで地元への誇りや愛着の醸成につながるよう、今後とも保護団体からの御相談に応じるとともに、国の補助事業の積極的な情報提供を行うなど、国や市町村と連携しながら支援に努めてまいります。
私からは最後ですが、県立学校の体育館への空調の設置についての御質問にお答えします。
災害発生時に被災の危険性がある場合や被災により自宅に戻れなくなった場合に、住民が滞在するための指定避難所として、現在、県立学校45校が指定を受けております。
災害時に避難所となる体育館においては、避難者の安全・安心のため熱中症や寒さ対策として空調設備を導入し、避難所としての環境改善を図ることは重要と考えております。ただ、現在のところ体育館に空調設備を常設している学校はないため、避難所開設時には、各学校に配備されている大型冷風扇や暖房機を活用することとしております。
体育館への空調設備の導入の課題としては、既存の体育館の多くは断熱性能が確保されておらず冷暖房効率が悪いことから、建物全体にわたる大規模な改修工事が必要となること、また、災害時は停電やライフラインの遮断が予測されるため、熱源方式についても考慮する必要があるというふうに考えております。
このため、体育館への空調設備の導入については、他県の導入状況や先進的な導入事例を参考にするとともに、熱源方式やランニングコストなどの観点も考慮しながら、対応について引き続き検討してまいりたいと考えております。
私からは以上です。
28 ◯議長(山本 徹)廣島生活環境文化部長。
〔廣島伸一生活環境文化部長登壇〕
29 ◯生活環境文化部長(廣島伸一)私からは、文化ホールの修繕に係る質問にお答えをいたします。
県立文化ホールの修繕につきましては、4つの観点、1つには利用者の安全性の確保、2つ目に装置などの機能の維持強化、3つ目に長寿命化予防保全、4つ目には魅力向上、この4つの観点から、主要県単独事業でございます文化施設修繕費によりまして、緊急性、損傷の度合いなど優先度を踏まえて計画的に実施してきているところでございます。
御質問の新川文化ホール、平成6年に魚津市と共同設置して開館から約30年。現在、空調や音響設備など施設や設備の不具合が若干生じております。このため近年では、舞台照明用ケーブルやステージ上のワイヤーロープを更新しました。また、今年度から来年度にかけましては、空調自動制御機器の更新を進めております。また、今後も照明のLED化など、引き続き計画をしているところでございます。
こうした中、議員の御紹介のとおり、令和9年度中の完成を目途に整備を進めることとされております新川こども施設、そちらの整備方針には、隣接することとなります新川文化ホールの特性──この特性は音楽と芸術というものが掲げられておりますが、これと連携した施設とすることということが掲げられております。
新川文化ホールから見ますと、来館者の年齢層がさらに広がることが期待されるところでございます。
このため、今後の新川文化ホールの施設や設備の修繕、更新に当たりましては、こども施設の整備方針も踏まえまして、相互の連携にも配慮し優先順位をつけるなど計画的に対応し、新川文化ホールの魅力向上に努めてまいります。
以上でございます。
30 ◯議長(山本 徹)市井土木部長。
〔市井昌彦土木部長登壇〕
31 ◯土木部長(市井昌彦)私から、砂防の重要性の発信についての御質問にお答えします。
本県では、治水分県以来、今日まで100年以上にわたって、砂防をはじめとする防災事業が続けられてきました。こうした先人の不断の努力が積み重ねられ、また、現在も営々と事業に取り組まれ、私たち県民が安心して暮らせる県土が保たれているところでございます。
しかしながら議員御指摘のとおり、県民の砂防事業に対する認知度や理解度については、まだ十分とは言えず、幅広い世代に対し、その重要性を将来にわたり継続して伝えていく必要がございます。
その取組として県では、本年6月の土砂災害防止月間に合わせ、土砂災害防止「全国の集い」in富山を開催し砂防事業の重要性を発信し、6月と7月には小学生を対象としたこども砂防教室を開催したほか、また8月から11月にかけて県民を対象とした出前講座や講習会を実施いたします。
さらに、富山県を代表する砂防事業である立山砂防の世界文化遺産登録に向け、立山砂防の文化的価値や登録の意義について理解促進を図るため、立山カルデラ砂防博物館による体験学習会に加え、7月から8月にかけては高校生、大学生や親子向けの学習会ユースプログラムを実施したほか、10月には国際シンポジウムも予定しておるところでございます。
今後とも、落語やアニメなど分かりやすいコンテンツやSNSなど新たな媒体も活用し、砂防事業の認知度、理解度向上に努めてまいります。
以上です。
32 ◯議長(山本 徹)石井警察本部長。
〔石井敬千警察本部長登壇〕
33 ◯警察本部長(石井敬千)私からは、警察署の再編整備についての御質問にお答えします。
県東部における警察署の再編整備につきましては、自治体の規模や事件事故などの発生件数が拮抗しておりますほか、先ほど澤崎議員からも御紹介ありましたように、関係自治体や地元関係者の方から、それぞれ警察署存続の強い要望を受けていることなどから、現段階で建設地の決定に至っていない状況でございます。
新警察署の整備のスケジュールにつきましては、建設手続を進めるために必要な体制や財政負担などを考慮すると、建設工事時期が県西部と県東部で重複しないようなスケジュールで進める必要があると考えております。また、小規模警察署の脆弱性等の課題を解決するため、可能な限り早期に手続を進めることが望ましいと考えております。
したがいまして、現在、民間活力導入の可能性調査の手続や、今回の9月補正予算案で必要な経費を計上し用地買収等の手続を進めている県西部の警察署の建設工事時期に引き続くタイミングで、県東部の警察署についても建設を開始できるよう手続を進めたいと考えております。
現時点、県西部の具体的な建設時期が確定していないため、県東部の建設地決定の時期についても確定的なことは申し上げられませんが、まだ検討する時間的猶予は残されておりますので、年内に改めて県東部の関係自治体で広聴会を開催し、地域の方々の意見を聴取しながら、分庁舎の機能や警察署を支援する本部の機能強化なども含めて検討を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
34 ◯議長(山本 徹)有賀厚生部長。
〔有賀玲子厚生部長登壇〕
35 ◯厚生部長(有賀玲子)私からは、今後の県民の口腔ケア、オーラルフレイル予防の推進についてお答えいたします。
オーラルフレイルとは、食物をそしゃくし飲み込む機能が低下するために食事の種類や量が制限され、低栄養、心身機能低下が進行することであり、要介護状態の前段階に位置づけられるフレイルの大きな要因の一つとされております。
介護の予防と健康寿命の延伸を図るためには、オーラルフレイル予防の取組を強力に推進していく必要があると考えております。
これまで県では、成人の歯科健診受診の促進による歯周病重症化予防や普及啓発に取り組んでまいりました。昨年度に行った県民歯と口の健康プランの最終評価では、御紹介ありました8020、こちらの達成者の増加が認められております。その一方で、成人における歯周病有病者の割合の増加と、60歳以上におけるそしゃく良好者の減少が課題となっています。
県といたしましては、この最終評価を踏まえ、次期県民歯と口の健康プランにおいて、歯科健診の機会拡充や、歯科医療機関への受診勧奨を強化するとともに、歯科と医科との連携による全身的な健康管理、管理栄養士や言語聴覚士と連携した食生活の見直しや、嚥下機能訓練による栄養状態の改善など、介護予防の活動とも一体となったオーラルフレイル予防対策の推進に、県歯科医師会や市町村、関係機関等と連携しながら取り組み、県民の生涯を通じた歯と口の健康づくりと健康寿命の延伸に寄与してまいりたいと思っております。
以上でございます。
36 ◯議長(山本 徹)南里経営管理部長。
〔南里明日香経営管理部長登壇〕
37 ◯経営管理部長(南里明日香)私からは、ふるさと納税制度のさらなる活用についての御質問にお答えいたします。
県全体のふるさと納税の確保のためには、県と市町村がそれぞれ、寄附者の動向や人気のある返礼品のトレンドなどのマーケティングを意識するとともに、積極的にPRし、自治体への愛着や共感を深めてもらう必要がございます。
このため県では、令和2年から県内市町村との合同勉強会を開催し、全国の先進事例や返礼品のトレンド、効果的なPR手法を学ぶなど、連携を図りながら取組を強化してきました。議員御指摘の魚津市も、事業者との商品開発や掲載ポータルサイトの追加など工夫を凝らしておられると承知しております。
こうした結果、県では、旅行サイトで利用できる宿泊クーポンを返礼品に取り入れたほか、本県の具体的な取組、例えば、本県高等学校の卒業生に母校の特色ある取組を応援していただくようなプロジェクト型の対象事業を導入するなど、寄附者の動機づけなどを意識した取組を進めています。
また、市町村でも、オーダーメード型の海鮮定期便や、路面電車の貸切り運行など来県を促す体験型の返礼品、現地決済型ふるさと納税の導入など、全国的なトレンドを踏まえた返礼品を開発されています。
加えて県では、今年度新たに、ふるさと納税を熟知する外部人材を活用しまして、大半の寄附者が利用するポータルサイトからは限定的な情報しか提供されないんですけれども、寄附者のデータなども分析しながらPR強化に取り組むこととしております。
今後とも、効果のあった取組は市町村と情報共有するなど一層連携を深めるとともに、「幸せ人口1000万」に向けて関係人口の増加を図るため、できる限り多くの方々に応援していただけるよう積極的に全国へ情報発信してまいります。
38 ◯議長(山本 徹)以上で澤崎豊議員の質問は終了しました。
暫時休憩いたします。
午前11時45分休憩
───────────────────
午後1時00分開議
39 ◯副議長(奥野詠子)休憩前に引き続き会議を開きます。
井加田まり議員。
〔23番井加田まり議員登壇〕
40 ◯23番(井加田まり)立憲民主党の井加田でございます。立憲民主党議員会からは、私、井加田が一般質問に立たせていただきました。時間に制約がございますので、早速質問に入ります。
まず初めに、県民の暮らし、雇用を守る物価高対策について3問質問いたします。
長引く物価高騰によって、県民生活や地域経済への影響は相当深刻です。そうした中で豪雨災害による被害が発生し、県民生活を直撃いたしました。被害状況を把握し、速やかに災害復旧に取り組むことが求められているところです。
まず、9月補正予算の考え方について伺います。
過去最大となる公共災害復旧事業費が計上されました。エネルギー価格・物価高騰対策については、これまでの施策を継続する経費が計上されていますが、立憲民主党から要望してきた低所得者、年金生活者をはじめとした県民の暮らしに直接届く対策には、程遠いと考えます。
今回の補正予算の考え方について知事に伺います。
今回の補正予算には、県単独事業による災害対応・未然防止枠として、国補助の対象とならない小規模な道路や河川、農業施設、林道などの復旧に10億円計上されました。
既に取り組まれていると認識していますけれども、迅速な災害復旧を進めるに当たり、国補助の対象外となる小規模な被害状況について、市町村を支援する県として、市町村と分担をしてどのように取り組んでいくのか市井土木部長にお伺いいたします。
次に、雇用を守る対策について伺います。
本県の最低賃金は、10月1日より948円に改定をされます。一方で、県内の倒産件数は昨年同月を上回っており、物価高騰等が事業活動に大きく影響を及ぼしているものと考えます。
そうした中で、県内の雇用情勢についてどのように把握しているのか。また、事業者が実施している雇用安定や賃上げへの取組状況はどうか。非正規から正規職員への転換等の処遇改善の取組等の現状はどうなっているのか。引き続き県内の雇用を守る対策に県はどのように取り組んでいくのか、中谷商工労働部長に伺います。
2項目めは、県政運営について2問、知事への質問です。
高岡テクノドーム別館の整備について伺います。
別館展示場の建設工事について、応札者がなく入札中止に至ったことで、さきの6月議会で知事は、設計を含めて一度立ち止まって検討する、また、県西部地域の活性化が図られるよう、関係6市や経済界の皆さんが主体的に活用できる施設となるよう、引き続き取り組むと答弁をされています。
設計の見直しを含めた検討作業の進捗状況はどうなっているのか。物価高騰や事業者等の意向を踏まえると、検討の結果、さらなる建設費の増加も見込まれ、引き続き受注者が決まらない場合には建設断念も想定をしているのか。
また、テクノドーム別館について、県西部地域の活性化に向けた施設として県が主体的に事業を進めていくべきと考えますが、設計見直しや事業主体の考え方を含めてどのように検討を進めていくのか、検討状況及び課題について新田知事に伺います。
次に、JR城端線・氷見線の活性化について伺います。
公共交通をめぐっては、鉄道事業者の約98%が赤字事業者となっており、運転手不足が年々深刻化するバス、タクシー事業を含め、厳しい経営環境に陥っています。
そうした中で県では、鉄軌道や生活圏内の身近な二次交通を含めて地域公共交通の利便性、持続性の向上を進めるために、地域交通戦略会議を設置し今年度中に具体的な施策を取りまとめる方向にあります。
9月6日、第2回の城端線・氷見線再構築検討会において、突如、JR城端線・氷見線の運行を、あいの風とやま鉄道に引き継ぐことを前提とすることに大筋合意と報じられました。地域交通戦略会議の議論が取りまとめの方向に向かっている一方で、城端線・氷見線再構築検討会が先行して、あいの風とやま鉄道への運行移管を決めることは、いささか拙速過ぎるのではないかとの印象を持つものです。
JR西は、1日当たり輸送密度2,000人未満の線区を見直す方向を示しており、路線廃止、JR撤退により地域の衰退が進むのではないかとの懸念が広まっている中で、現段階で、城端線・氷見線についてはJR側の見直し対象とはなっておらず、県内の地域公共交通の持続性を確保するために、城端線・氷見線の活性化と利便性確保で利用者増を図ることが当面の課題となっていると承知をしています。
新幹線開業と同時に廃線となった旧北陸線について、地域の公共交通としても存続させるために、議会でも様々な議論を闘わせ、県民を巻き込んだ議論を踏まえた結果、あいの風とやま鉄道は、JR及び県と県内全ての自治体の支援を受けて運営をされています。将来にわたって地域の公共交通として持続させていくために、安全運行の維持や利便性の確保に向けて、今後とも、県と県内全ての自治体の支援やJR西からの支援継続は欠かせない状況にあると考えます。
こうした状況を踏まえれば、JRからの運行移管を前提とする前に、まずJR西に路線継続の経営努力を求め、活性化に向けた策を共に検討し、経営責任を果たしてもらうことを優先すべきと考えますが、知事の答弁を求めます。
3項目めの質問は、持続可能な農業経営への支援策について農林水産部長にお聞きするものです。
今回の豪雨災害では、小規模な農地被害が多く見られました。今夏の猛暑と平年を下回る降水量の影響で一等米比率が下がるなど、等級低下による収入の減少が懸念されています。県による経営所得安定対策が求められています。
畑作物の直接支払交付金などの安定対策だけでは十分とは言えず、インボイス導入の影響も今後懸念されています。燃料や肥料などの資材価格の高騰の影響もあり、収入減少に対する補填について、持続的に農業生産に取り組めるよう県独自で米価への上乗せ直接支払いによる支援が必要と考えますが、津田農林水産部長に所見を伺います。
稲作単一経営からの転換や高付加価値農作物の導入などが課題となっている中で、今夏の猛暑を踏まえて、暑さに強い富富富の生産拡大にも期待が高まっております。富富富の生産拡大を含めて今後の県内の米生産方針については、生産者の意向やJAの取組状況など県内農業の担い手の実態を調査し、環境整備を図ることが必要ではないかと考えます。
今後とも、意欲を持って富山米を供給していく環境整備としても必要ではないかと考えます。津田農林水産部長に所見を伺います。
4項目めの質問に入ります。
県民の暮らしや、安心・安全を守る観点から4点質問いたします。
県では、第3子以降の保育料について、ゼロから2歳児を対象に、令和6年度より所得制限を撤廃し無償化するとしています。一歩前進ではありますが、第1子、第2子への無償化の拡大や、保育士人材の確保など保育環境の充実、出産・子育て支援の拡充など、子育て施策にスピード感を持って取り組む必要があります。今後どのように取り組んでいくのか新田知事に伺います。
次に、県内の医師確保の現状と課題についてお聞きします。
高岡市民病院が来年度から産科を休診することとなり、これから妊娠、出産を控えている方々に、少なからず不安と動揺が広がっています。
高岡市民病院は、コロナ禍においても中心的な役割を担い、リスクを伴う分娩にも対応する周産期医療や地域医療の拠点としての役割を果たしてきています。高岡医療圏の二次救急を担う拠点病院であり、医療水準を後退させないよう産婦人科医師を含めた医師の確保の取組が非常に重要であります。
県の医師確保対策として様々な施策が進められているところですが、富山大学、金沢大学の特別枠による就学資金貸与などの拡充や、自治医科大学出身者や県内出身医学生への働きかけの強化など、とりわけ不足する診療科への配置が確実となるよう、身近に地域に定着する医師の確保拡充を検討すべきではないかと考えます。どのように取り組んでいかれるのか新田知事に伺います。
長時間で不規則な勤務が、成り手不足の一因とも言われています。県内公的病院でお産を取り扱っている9病院の産婦人科医師数は、この5年間、増えておりません。小児科医師数についても同様に増えていない現状にあります。女性医師が増える中で、医療機関での勤務環境改善がなかなか進まないことも大きな要因ではないでしょうか。
そうした中で、医師確保につながる研修医、専攻医などを確実に確保していくことが重要です。県内の公的病院における研修医などの確実な確保に向けてどのように取り組んでいくのか、課題と併せて有賀厚生部長にお伺いをいたします。
次に、現在、感染拡大傾向にある新型コロナ対策についてお聞きします。
新型コロナの5類移行後も感染拡大傾向にあることから、ワクチン接種の促進を図り感染拡大を抑える必要があります。
一方で、ウイズコロナを進めていくためには、医療機関の協力は欠かせません。引き続き医療体制に万全を期すなど、感染症対策を緩めることなくしっかり取り組んでいくべきと考えます。対策の強化について新田知事に伺います。
次に、安全・安心を守る観点から県警察にお聞きをいたします。
安全対策強化の観点から、自転車のヘルメット着用が努力義務化されたところであります。自転車運転の安全対策として、一方でスマートフォンを見ながらの運転や傘差し運転など、自転車による自損事故や加害事故についても十分に対策を講じていく必要があります。
安全確保を第一に、取締りの強化に取り組んでいくべきと考えますが、自転車に関わる交通事故発生状況と併せて石井警察本部長に伺います。
5項目めの質問に入ります。
5項目めの質問は、県職員及び県教職員の雇用と処遇改善についてお聞きするものであります。
まず初めに、県職員の任期付職員の処遇改善について伺います。
県の福祉施設等において任期付で採用されている福祉指導員や保育職について、制度の趣旨を超えて任用期間が長期にわたっており、処遇面においても昇給上限などで不利益となっている実態が認められます。
本来であれば正規職員として採用すべき人材であり、そうした勤務実態を踏まえれば、適切な処遇改善を図る必要があると考えます。南里経営管理部長に改善についてお伺いをいたします。
次に、教育長への質問を2点いたします。
教員の欠員の代替を担う講師の成り手不足も、大きな課題となっております。教員の成り手もいませんが、講師の成り手も不足になっている状況がございます。
正規職員と同様の仕事内容であるにもかかわらず、臨時的任用講師や任期付職員に対して、賃金の格付や昇給上限が設けられているなどの実態があり、勤務年数を重ねても賃金が頭打ちになっている現状があるとお聞きをしています。同一労働や同一賃金の趣旨を踏まえれば、適正な改善が求められているところであります。
正規職員と同様に、初任給の格付や昇給を算定すべきと考えますが、臨時的任用講師や任期付職員に対する改善を求めて荻布教育長にお伺いをいたします。
この項、最後の質問になりますが、教員の長時間労働の是正に向けた取組についてお伺いをいたします。
学校現場では、給特法による特殊な処遇によって、長時間労働が常態化し教員の現場は非常に疲弊しています。また、過酷な労働環境が教員の成り手不足にさらに拍車をかけ、深刻な現状になっているのではないでしょうか。
富山県公立学校教員の勤務の状況によれば、時間外勤務の上限である月45時間を超えて働く教員がいまだ多く、これまでの取組により若干改善されたとはいえ、
過労死ラインである月80時間を上回る教員も依然として見受けられる現状にあります。
平成28年に
過労死した滑川市内の中学校教諭の遺族が起こした訴訟においては、遺族側の勝訴となりました。判決では、市県側が過重な労働に従事をさせ、疲労蓄積させていたこと、安全配慮義務違反が認められると指摘をされたところです。この判決結果について、県教育委員会としては重く受け止めるべきと考えます。
改めて、安全配慮義務違反に相当する違法な教員の長時間勤務の是正に向けて、あらゆる対策を講じる必要があると考えますが、県教委としてどのように具体的に取り組んでいかれるのか、何より子供たちのためのよりよい教育の実現には、教職員の働き方改革を強力に進めていくことが重要と考えるものです。荻布教育長の答弁を求めたいと思います。
時間の制約の中で前半部分は非常に早口になって、お聞き苦しい点があったことをおわびいたします。若干時間を残しましたけれども、最後に教育長への質問、答弁を求めて、私からの質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
41 ◯副議長(奥野詠子)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
42 ◯知事(新田八朗)井加田まり議員の御質問にお答えします。
まず、予算編成の考え方についての質問にお答えします。
今回の9月補正予算案では、豪雨災害からの復旧、これを最優先とさせていただきました。とともに現下の社会経済情勢や現場の声も踏まえまして、原油・物価高騰に対する支援などにも取り組んでおります。
具体的には、災害対応として復旧に向けた迅速な対応とともに、河川の護岸改良やしゅんせつなどの将来に向けた災害の未然防止対策も実施をいたします。
また、現場の声を踏まえて、価格転嫁が困難な業種の光熱費などへの対策について、現在検討中の国の経済対策を待つことなく、従来財源としておりました地方創生臨時交付金の活用ではなく、一般財源により、他県と比べても一歩踏み込んだ緊急的な支援を実施していることは、御理解いただければと思います。
これによりまして、高齢者施設や障害者施設、保育施設や医療機関などで、質の高いサービスの提供や経営の安定化、利用される県民の負担軽減にもつながってまいります。
また、一般公衆浴場や私立学校に対する支援も盛り込んでいます。加えて、県制度融資、ビヨンドコロナ応援資金の融資枠を100億円拡充し、原材料価格などの高騰の影響を受ける中小企業の資金繰りを支援しています。
生活者の皆さんも、多くは勤労者でもあると思いますので、中小企業、零細企業の支援、これはまた、生活者支援にもつながることと思います。公共交通の維持活性化も図り、地域経済を下支えしてまいります。このようなことで、県民生活、生活者支援につながる取組にいろいろと配慮しているつもりでございます。
補正予算が成立した暁には、これらの対策をスピード感を持って進めまして、一日も早い災害復旧に取り組むとともに、事業者の経済活動や県民の暮らしの安定に向けて迅速に対応してまいります。
次は、高岡テクノドーム別館整備についての御質問にお答えいたします。
入札中止以降、一度立ち止まり建設市場の動向を注視しながら、県西部地域の県民から必要とされ、高岡市をはじめ関係6市や経済界の皆さんが主体的に活用を推進していただける施設となるよう、基本計画やその後のデジタル技術の進展などを踏まえて、費用対効果も考慮した機能などの検討を、今、進めているところです。
建設市場では、資材の高騰、労務費の上昇の影響により建設コストは高止まりしており、大阪万博関連をはじめ全国的にも大型施設の建設において計画どおりに手続が進まないこと、また、不落の事例も多く見受けられるということです。言わば、公共の仕事は取りたくないというような状況にあると専門家は言っております。こうした状況が当面続くことも見込まれているところです。
高岡テクノドームは、本県にとって、将来的なポテンシャルも大変高い地域に立地していると考えております。県の西部地域発展の重要な施設であると認識もしております。また、県庁内において部局横断的に、本館も含めた利活用について検討しているところです。関係の皆さんの御理解、御協力を得ながら進めてまいりたいと考えております。
次に、城端線・氷見線についての御質問にお答えします。
城端線・氷見線については、これまでも、県や沿線市からJR西日本さんに対し、新型車両の導入、ICカード対応など利便性向上を求めてきたんですけども、利用状況を理由に慎重な姿勢を示されてこられました。
こうした状況は本県に限ることではなく、JR西日本さんの他の地方路線においても同様であるわけですけども、金沢支社管内を見ますと、令和3年度に福井県の小浜線や越美北線、石川県の七尾線において、減便になったり、あるいは最終列車の繰上げ、あるいは始発列車の繰下げなどの措置も実施されている例はあります。
一方で、あいの風とやま鉄道は、地元のニーズを踏まえ、運行本数の増加、新駅の設置など利便性、快適性の向上に積極的に取り組んでおられます。
今月6日に開催された再構築検討会では、沿線の市長から、あいの風とやま鉄道へ移管し利便性向上を求める意見が出され、同社の日吉社長からは、一体的な運営により料金やダイヤの改善が見込め、県西部の交通ネットワークが強化されるという発言も出ました。
再構築検討会と今並行して開催しております地域交通戦略会議では、幅広い分野の委員に参画いただき、鉄道だけではなく、バスなどの交通も含めた最適なサービスの実現に向けて議論を行っています。城端線・氷見線についても、戦略会議の議論と整合性を取りながら、利便性、快適性の向上が図られるよう検討を進めてまいりたいと考えます。
次に、子育て施策の拡充についての御質問にお答えします。
県では、保育環境の充実として、これまでに、保育士養成校の学生への就学資金の貸付け、また、高校生へ保育士の魅力を伝える取組、保育士・保育所支援センターでの潜在保育士の掘り起こし、保育士の処遇改善などに取り組んでまいりました。
また、出産・子育て支援として、保険適用外の特定不妊治療費の助成や、産後
ヘルパー派遣事業の全市町村への拡大、来月から実施するプレ妊活健診スタートアップ事業の準備などに取り組んでいます。
さらに、「ワンチームとやま」連携推進本部会議においては、新たに「こども・子育て施策の連携・強化」について共通のテーマとして取り組んでいるところで、先月の会議では、まずは、出産・
子育て支援ポイント制度の創設や、第3子以降の保育料の完全無償化について、来年度から実施する方向で県と全市町村が一体となって準備を進めていくことにしました。
今後さらに、県と市町村が連携して新たに取り組む保育人材の確保策や出産・子育て支援施策などを、つくり出していきたいと考えております。
このため、各市町村からの提案やアンケートの結果を踏まえまして、また、県からの提案としては、組織の枠を超えて、こども・子育て施策について検討している庁内のこども未来プロジェクトチームからの提案も組み合わせながら、さらに幅広くかつ深掘りをして検討を進めていきたいと考えております。
医師の確保拡充についての御質問にお答えをします。
本県が富山大学と金沢大学に設けている、それぞれ10、それと2、合わせて特別枠12名ですが、毎年、国で決定される医学部の臨時定員枠を活用した医師養成枠でありまして、これは県だけの判断で増やせるものではないということです。
特別枠の医師として現時点で53名の方に、これまで県内公的病院などに勤務いただいておりまして、そのうち産婦人科は5名、これは9.4%に当たります。小児科も同じく5名、これも9.4%に当たります。分母が53名です。これを確保しておりまして、身近な地域での定着に一定の役割を、この特別枠というものが果たしていると考えています。
これに加えまして、富山大学では、医学部の恒久の定員──通常の定員という意味ですが、定員100名の枠内に、卒業後、附属病院に3年間従事することを要件とした独自の地域枠25名を設定されているほか、県が特別枠以外の学生を対象に特定診療科を従事の要件とする修学資金を設けておりまして、その利用者の中から産婦人科12名、あるいは小児科10名などの勤務実績も出てきているところです。
今後、さらなる医師の確保を図るためには、こうした特別枠や大学独自の地域枠以外の学生、差引きしますと75名ということになりますが、この学生さんたちに対して1名でも多くの県内定着を図るために、富山大学が県内病院などと連携して取り組んでいただくことが重要と考えております。県としてもその取組が進むように、協力してまいります。
一方で、人口減少は確実に進行しており、その中で安全で質の高い医療を効率的に提供するためには、医療資源の集約化、重点化や医療機関における機能分化、連携を進めることは不可欠であると考えております。関係者の意見をよくお聞きしながら、医師の確保を含め持続的な医療提供体制の確保に努めてまいります。
最後は、新型コロナ対策についての御質問にお答えします。
ワクチン接種ですが、今月20日から各市町村において、現在、国内で流行しているオミクロン株XBBに対応する新しいワクチンの接種が、全ての年代を対象として開始されます。このXBB対応ワクチンは、重症化予防に有効とされておりまして、接種に不安を感じられる方もおられますので、相談には丁寧に対応するため専門相談窓口は引き続き設置しておりますが、市町村とも連携をして、希望される方への接種が円滑に進むように取り組んでまいります。
医療提供体制ですが、入院医療は、患者数が9月10日時点で254人と、7月以降緩やかな増加が続いているところでありますが、本県では、病床確保計画に協力をいただいている24の医療機関に加えまして、幅広い医療機関での受入れが進んでいます。いわゆるウイズコロナの政策が少しずつ進んでいるということです。
また、外来医療については、感染対策に必要な設備整備の支援などに取り組んでおりまして、対応可能な医療機関は3月末の335機関から366機関に拡大しておりまして、感染拡大時においても必要な治療を受けることができる体制への移行が、着実に進んでいます。
井加田議員御指摘のとおり、今後も感染拡大の波は、大小あるとは思いますが、続くことは想定しておかなければなりません。引き続き、感染拡大防止、医療提供体制の確保には取り組んでまいります。
私からは以上です。
43 ◯副議長(奥野詠子)市井土木部長。
〔市井昌彦土木部長登壇〕
44 ◯土木部長(市井昌彦)私から、災害時における市町村との連携についての御質問にお答えします。
今般の6月から7月の豪雨災害では、県内で広く甚大な被害が発生していることを踏まえ、土木部では、県の管理する公共土木施設の被害状況を把握するため、各土木センターや事務所などの出先機関が行う臨時のパトロールによる調査を行った上、さらに漏れがないか改めて出先機関から市町村に問合せを行い、地元から寄せられた被害に関する情報をいただき、被害状況の取りまとめを行い情報共有に努めたところでございます。
その結果、県管理施設の被害箇所は、8月18日時点で大小含め合計478か所を数え、このうち65か所が市町村からの情報提供によるものでございました。この市町村から情報提供された箇所のうち46か所は小規模な被災箇所であり、道路の下の横断暗渠ボックスの詰まりや、河川堤防の裏側の法面の欠損といった臨時のパトロールでは把握しづらい箇所も含まれ、被害の把握において、議員が言及された市町村との連携は大変有効であったものと捉えております。
県では、今回把握した小規模な被災箇所につきましては、このたびの9月補正予算案で新たに盛り込んだ災害対応・未然防止枠を活用し、復旧を図りたいと考えております。
今後、被災した施設の復旧工事を円滑に進めるためにも、引き続き、地域事情に精通した市町村と連携して対応に当たってまいります。
以上です。
45 ◯副議長(奥野詠子)中谷商工労働部長。
〔中谷 仁商工労働部長登壇〕
46 ◯商工労働部長(中谷 仁)私からは、賃上げなど働く方々の処遇改善についてお答えをいたします。
県内の春闘における賃上げ状況につきましては、連合富山による203社の集計では、賃上げ率は全体で3.51%、中小企業においても3%前後と、昨年同時期の2%前後に比べ高い水準にございますが、厚生労働省の毎月勤労統計調査では、実質賃金は前年同月比マイナスが続いております。
また、県内の有効求人倍率は1.43倍と引き続き高い水準にありまして、中小企業は人材確保のため、エネルギー、原材料価格の高騰等の厳しい経営環境の中での賃上げを迫られている、そういう状況にあると認識しております。
このような中、県内中小企業における継続的な賃上げが実施されていくためには、適切な価格転嫁の下、省エネ、人への投資等による生産性向上が必要不可欠と考えております。これらを支援するため、県が設けております主な支援策等の利用状況につきましては、ビヨンドコロナ補助金につきましては、これまでの3回の募集で合計3,781件、国と協調した賃上げサポート補助金については、昨年7月のスタート以来39件となっております。
また、県内労働者の3人に1人を占めるとされる非正規雇用労働者につきましては、賃金水準が正規職員の6割台にとどまっておりまして、雇用や収入が不安定といった課題があるということから、その処遇改善を進めることが必要であると考えております。
県では、今年の5月補正で国と協調した富山県キャリアアップ奨励金を創設いたしまして、事業者による非正規雇用労働者の処遇改善の取組を支援しております。この利用状況は現時点で12件でございます。国と協調した補助につきましては、国の補助手続が済んだ後の申請ということになりますので、今後利用が進むことが見込まれております。
県といたしましては、労働局や商工団体等と協力をし、これら支援の活用をさらに促進し、賃上げが消費活性化をもたらす経済の好循環につながるよう取り組んでまいります。
以上でございます。
47 ◯副議長(奥野詠子)津田農林水産部長。
〔津田康志農林水産部長登壇〕
48 ◯農林水産部長(津田康志)私からは、農業経営への支援につきまして2問お答えいたします。
まず、農業者への経営支援についての御質問にお答えいたします。
農業を取り巻く環境は、生産資材価格の高止まりにより農業経営を圧迫しているほか、今回の豪雨によりまして被災した農業者もいらっしゃいますことから、大変厳しいというふうに認識しております。また、一部の農業者からは、来月から始まるインボイス制度に不安や負担を感じているとの声も伺っております。
一方、JAが農家から米を集荷する際の今年の概算金は、米の需給の改善や生産資材の価格高騰を反映して、2年連続で上昇しておりますが、この夏の高温等により、特にコシヒカリの品質低下が懸念され、等級が下がることによる生産者手取り額の減少も懸念されるところでございます。
県では、国に対して、生産資材の価格高騰に対する影響緩和対策や経営所得安定対策等の予算の確保充実を要望してきたほか、県独自の支援として、化学肥料等の低減に取り組む販売農家に対し、昨年度に引き続き、10アール当たり500円の奨励金を交付しております。
また、気象災害等に対しましては、農業共済制度による補償があり、収入減につきましても、国のナラシ対策や収入保険による補填が実施された場合、減収額の一定割合が補填されますが、県としても資金繰りに支障が出ないよう、つなぎ融資等の周知に努めているところでございます。
現在、国におきましては、食料・農業・農村基本法の見直しを踏まえて、適正な価格形成に関する協議会を設置し、食料システム全体で適正な取引が推進される仕組みの検討が行われております。
さらなる県独自の支援につきましては、こうした国の動きや施策の具体化の状況を注視するとともに、今後の米価の動向、農家の経営状況を踏まえて、適時適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
次に、富山米の生産方針についてお答えいたします。
県では、需要に応じた米生産と水田フル活用の推進に際して、農業法人等の担い手やJA等を巡回し、主食用米の生産意向、飼料用米などの非主食用米の取組状況、さらには、園芸作物の導入意向などを確認しているほか、振興センターの普及員が経営体を訪問して聞き取りを行うなど、様々な機会を捉えて農業者の経営状況の把握や意見、要望の聴取に努めております。
この中で、例えば、富富富につきましては、高温や倒伏に強く安定した需要が見込まれることから、生産拡大したいという声や、ドローンの活用は、作業負担の軽減につながるが導入コストが大きい、園芸作物を導入したいが、必要な機械の整備や技術習得の支援が必要などの意見を伺っております。
県では、こうした意見等を踏まえ、本年度、富富富の生産拡大に必要となる乾燥調製施設の改修・整備への支援、意欲的に経営発展に取り組む担い手に対するスマート農機等の導入支援、園芸作物の導入等に当たっての品目の選定や栽培技術指導などに取り組んでおります。
引き続き、水田フル活用による生産性、収益性の向上をはじめ、県と農業団体等で構成します米作改良対策本部が定めた生産振興基本方針に基づく対策を実施し、消費者に選ばれる米づくりを進めるとともに、若い農業者をはじめ担い手が意欲を持って営農できますよう、農業団体や市町村等と連携しながら、機械、施設の整備や栽培技術指導の充実などハード、ソフト両面から支援してまいります。
以上でございます。
49 ◯副議長(奥野詠子)有賀厚生部長。
〔有賀玲子厚生部長登壇〕
50 ◯厚生部長(有賀玲子)研修医等の確実な確保に向けてということで、お答えさせていただきます。
初期臨床研修医の確保に当たっては、富山県臨床研修病院連絡協議会において、医学生に対する合同説明会や病院見学会を開催するなど、県と県内の臨床研修病院とが連携協力しながら、様々な取組を進めてきております。昨年度は、過去最高のマッチ者数、マッチ率となったことから、一定の成果は出てきているというふうに考えておりますが、引き続き、各病院における初期臨床研修医の確保に向けて支援に努めてまいります。
一方で、専攻医の確保については、県内病院への採用は近年50名程度で推移しており、全国と比べると少ないことが課題であると認識しております。
引き続き、富山大学や県内病院において、専門研修の内容の質の向上、勤務環境の改善に取り組んでいただくとともに、県においても、協議会を中心として専門研修プログラム合同説明会を開催するなど、県内研修病院の魅力を発信してまいります。
以上です。
51 ◯副議長(奥野詠子)石井警察本部長。
〔石井敬千警察本部長登壇〕
52 ◯警察本部長(石井敬千)私からは、自転車の指導取締りについてお答えいたします。
まず、交通事故の状況でございますが、本年8月末現在で、自転車の利用者が関係する交通事故は164件ということで、全体の事故の約14%で、前年同期比で44件の増加となっておりまして、全体の交通事故が減少している中で自転車の事故は増加しているという状況でございます。
また、自転車が加害者となる事故──自転車対歩行者あるいは自転車同士の事故ですけれども、これについては重傷事故が4件、軽傷事故が1件、合計5件を把握しておりまして、いずれも重過失傷害または傷害事件として捜査するなど対応しております。
県警察では、このように自転車の事故が増加傾向にあることに加え、自転車の事故のうち約7割程度については、自転車利用者側に一時不停止等の何らかの交通違反が認められること、また、交通ルールを守らない自転車利用者への苦情が多く寄せられていることなどを踏まえまして、自転車利用者の交通ルール遵守意識を促進するため、現在、自転車の交通違反に対する指導取締りを強化しておりまして、悪質、危険な交通違反に対しては、積極的に検挙措置、いわゆる赤切符と言われる交通切符処理を行う方針でございます。
本年8月末現在の取締り状況につきましては、二人乗りや傘差し、携帯電話を使用しながらの一時不停止や信号無視などの交通違反に対する指導警告が880件、また、検挙措置については6件で前年同期比より5件増加しておりまして、その内訳は、傘を差しながらの信号無視と一時不停止がそれぞれ1件、二人乗りをしながらの一時不停止が1件、ブレーキのない自転車の運転が2件、遮断機が閉じようとしている踏切内への立入りが1件であります。
県警察といたしましては、県民の安全確保に向け、引き続き自転車利用者に対する交通ルールの遵守や損害賠償責任保険などへの加入促進についても呼びかけながら、交通事故に直結する悪質、危険な交通違反に対する取締りを強化してまいります。
以上でございます。
53 ◯副議長(奥野詠子)南里経営管理部長。
〔南里明日香経営管理部長登壇〕
54 ◯経営管理部長(南里明日香)私からは、県の任期付職員の処遇改善についての質問にお答えいたします。
議員御指摘の県の社会福祉施設の黒部学園と砺波学園の件だと理解しておりますけれども、これらの施設については、中期的に民間移管していくことを前提として、平成18年より福祉指導員と保育士は任期付職員として採用してまいりました。
一方、子供と向き合うという職務内容などから、その任期は、通常3年であるところを、法令の特例により5年として運用してきました。この福祉指導員等の任期付職員の給与については、この事情にも鑑み、正規職員と同様に昇給も行っております。
具体的には、5年間任用された任期付職員を引き続き同一の職に任用する場合、任用日の前日の級号給を初任給として格付し、引き続き給与が下がらないような体系としております。また、職務給の原則に基づき、職務内容や責任、職務経験等を考慮し昇格することもできます。
任期付職員として採用するこの方針ですが、平成17年度に策定した富山県立社会福祉施設のあり方懇談会の報告書の趣旨を尊重してきたためではありますが、社会情勢の変化に伴い、社会福祉施設の県が担うべき業務の在り方などについても厚生部と協議し、今後の方向性を十分に見極めながら適切な制度運用に努めてまいります。
55 ◯副議長(奥野詠子)荻布教育長。
〔荻布佳子教育長登壇〕
56 ◯教育長(荻布佳子)私からは、まず臨時的任用講師の処遇改善についての御質問にお答えをいたします。
臨時的任用講師の給与の格付については、任期の定めのない職員と任用方法が異なることなどを踏まえ、上限を設け運用をしてきているところでございます。これは、本県の他の任命権者においても同様の取扱いであるというふうに承知をしております。
教員については、原則として、県立学校の教員に適用される教育職給料表(1)では1級69号給、小中学校などの教員に適用される教育職給料表(2)では1級57号給を超える号給とすることはできないものとしており、経歴にもよりますが、早ければ大学卒業後8年から11年程度で上限に達することとなります。ただ、全国的には上限を撤廃する動きが広がってきており、教員については、35の道府県が上限を撤廃しておりますほか、現在上限を設けている県の中でも、撤廃や段階的な引上げを検討している県が複数あるというふうに承知をしております。
県教育委員会としても、近年、臨時的任用講師の成り手が不足している状況もありますことから、臨時的任用講師の給料格付の上限設定の今後の取扱いについては検討課題として認識をしております。今後、他の任命権者における取扱いとの均衡などにも留意しつつ、対応を検討してまいりたいと考えております。
次に、教員の長時間勤務の実態と是正に向けた取組についての御質問にお答えをいたします。
今年7月、平成28年に亡くなられた県内の中学校教員の公務災害認定事案に係る国家賠償請求訴訟において、校長の安全配慮義務違反が認められる判決が出されたところでございます。教育現場で、高い志や情熱を持って頑張ってこられた教員の方が、いわゆる
過労死で亡くなられたことは、まさに痛恨の極みであり、改めて心よりお悔やみを申し上げます。
県教育委員会としては、このことを重く受け止め、県立学校長に対し、改めて所属教職員の勤務状況及び健康状態の適切な把握と、在校等時間の一層の削減、及び労務管理の徹底に努めるよう通知をするとともに、市町村立学校の教職員の服務監督権を持つ市町村教育委員会に対しても、同様の対応を取っていただくよう情報提供をしたところでございます。
県教育委員会及び市町村教育委員会におきましては、令和元年度より、全ての県内の公立学校教員の出退勤時間の把握を行っており、昨年度、月80時間以上の時間外勤務をした教員の割合は、小学校は3%で、これは令和元年度に比べ10ポイントの減、中学校は16.1%で、これは18.7ポイントの減、高等学校は9.7%で4.8ポイントの減、特別支援学校は0.4%で0.2ポイントの減となっており、全ての校種において、その割合は減少しているところであります。
しかしながら、依然として長時間勤務の教員は少なくない状態にあり、今年度、県教育委員会では、時間外勤務が月80時間を超える教員への個別面談などに重点を置くことに加え、働き方改革や業務の改善を含めた自由な議論をする若手教員によるワーキンググループを設置し、そこでの意見を今後の取組に生かしたいと考えているところです。
また、教員の負担軽減には、国による教職員定数の改善が必要不可欠と考えており、今後とも国に対し、教職員定数の改善や加配措置の充実を強く求めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
57 ◯副議長(奥野詠子)井加田まり議員。
〔23番井加田まり議員登壇〕
58 ◯23番(井加田まり)教育長と知事に、それぞれ再質問いたします。
今ほどの教育長の答弁にありました、臨任講師の8年から11年で上限に達する現状について、検討課題と認識しているという趣旨の御答弁でありましたが、質問でも申し上げました、何より子供たちのためのよりよい教育の実現には、教職員の処遇改善を含めた働き方改革を進めていかなければならないという観点に立てば、検討に終わらず、しっかり是正に取り組んでほしいということを改めて申し上げて再答弁を求めます。
知事には、城端線・氷見線の活性化についての再質問でございます。
あいの風の現状についても様々申し上げたところですけれども、城端線・氷見線再構築検討会においての方向性の運行移管を前提とすることについては、いささか拙速ではないかという趣旨で申し上げました。
県の地域交通戦略会議の中では幅広く検討を進めていただいているということでございますけれども、鉄軌道部会の中では、今回の再構築検討会に参画をしておられない検討会でありますので、戦略会議の鉄軌道部会での議論と、今回の運行移管というのがかみ合っているのかどうかということも非常に懸念をされます。
簡単に聞くと、知事はどのように考えておられるかということをお伺いしたかったわけで、その辺の知事の見解を求めて再答弁を求めます。
59 ◯副議長(奥野詠子)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
60 ◯知事(新田八朗)再質問、ありがとうございます。
地域交通戦略会議では、基本的に
ウェルビーイングを高めるために公共交通の在り方をどうしていくのがよいのかという、その基本方針の下に様々な議論を進めているところであります。
今回の城端線・氷見線についても、今回の検討会に先立つ、いわゆるLRT化の検討会というのが続いておりましたが、そこでの最終的な取りまとめにありました利便性を上げていくということ、それは新型車両の導入であったり、あるいはICカードの導入、さらにダイヤの拡充、そして高岡駅での直通化、そのようなことを実現していこうということになるわけですが、これらのことは、やはりこの地域交通戦略会議での
ウェルビーイングを上げていく、利便性を高めることによって利用者を増やしていく、そのような方向性と全く合致するものだというふうに理解をしております。そこに何らそごはないというふうに考えております。
以上です。
61 ◯副議長(奥野詠子)荻布教育長。
〔荻布佳子教育長登壇〕
62 ◯教育長(荻布佳子)井加田議員からの教員の勤務状況の改善、また、臨時的任用講師の処遇改善についての再質問にお答えいたします。
今、教員の勤務環境が長時間勤務が常態化してきていて、非常にハードであるという認識が広がっており、実情としてもまだ改善の道半ばだというふうに思っております。また、少子化ということもございます。そうした中で、教員自体の成り手の不足、教員採用試験においても倍率の低迷などがある。それに伴って臨時的任用講師の成り手というのも不足してきているという実態にございます。
臨時的任用講師の不足ということは、これは例えば、年度途中での教員の未配置などということにもつながることになってしまう事態であります。こうした事態は、やはり改善したいという思いは強く持っております。
御答弁申し上げたとおり、全国的にもその上限の撤廃の動きがあるということなども踏まえて、今後の上限の取扱いについては、しっかりと課題として取り組んでいきたいというふうに考えております。これは、知事部局ともしっかり協議をして検討を進めていきたいというふうに考えております。
以上です。
63 ◯副議長(奥野詠子)以上で井加田まり議員の質問は終了しました。
山崎宗良議員。
〔25番山崎宗良議員登壇〕
64 ◯25番(山崎宗良)6月18日と7月12日から13日にかけて、これまで経験したことのない線状降水帯による豪雨災害が発生し、県内でも多くの方が被災され、1名が亡くなられました。亡くなられた方と御遺族に心からお悔やみを申し上げ、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
以下、質問に入ります。
まず、災害復旧と未然防止対策について6問伺います。
富山県においても線状降水帯は甚大な被害をもたらしました。今もその爪跡が深く残っていますが、今回の経験をしっかりと検証し、ぜひとも次に生かしたいと思います。
白岩川ダムにおいては、ダムの水位が急激に上昇し事前放流の時間がなく、緊急放流せざるを得ない状況でした。9月7日の県土整備農林水産委員会では、ダムでの降雨量は22ミリだったが、上流の小又では88ミリが観測されており、降雨量の予測の難しさが浮き彫りになりました。
現在、県内の各ダムでは、緊急放流のためのマニュアルが定められていますが、今回の線状降水帯のように急激に水位が上がる想定はされていません。今回のようなことが繰り返されないように、運用マニュアルを見直し、もっと早い段階から放流を開始できるように対応する必要があると思いますが、市井土木部長の所見を伺います。
大岩川の千巌渓は、大岩山日石寺の横を流れる観光景勝地です。豊かな森の中を流れる大岩川は、勾配があるために約200メートルにわたって滝のような段差が連続し、遊歩道が整備され、避暑地としても訪れる人が多いところです。
6月28日と7月12日の豪雨により、2メートルを超える巨石が複数流され、もともと堆積岩の軟らかい土質のために滝つぼが深く掘られ側壁が崩れるなど、また、上流の樹木が多く流され流木が水流に影響を与えるなど、荒れている状況です。今後も、異常気象による線状降水帯などによる増水が予想されることから、放置すれば千巌渓の下部付近にある人家にも影響が及ぶ可能性があります。
現在、砂防堰堤を補強する計画を進めておられるところですが、景勝地でもある千巌渓を、さらに維持管理していく必要があると思います。具体的には、増水によって下流へ押し流された巨石を洗掘された場所へ移動させるなど、川の流れを整える工事、その工事などの管理をしやすくする管理道の設置、流木の流入を抑える透過型砂防堰堤の設置などです。
観光資源の維持や人家への被害を防ぐために維持管理のインフラが必要と考えますが、市井土木部長の所見を伺います。
上市川第二ダムは、洪水調節や発電を目的として、上市川ダム上流にロックフィルダムとして昭和60年に竣工し、38年が経過しています。この間も度々しゅんせつが行われてきましたが、洪水調節と発電機能を維持するためにはダムの容積を最大限生かす必要があり、流入した土砂のしゅんせつはとても重要です。
今回の豪雨災害で、上市川第二ダムの上流にある小又では時間雨量が100ミリを超え、ダムに流入する2つの谷から土砂と流木が流れ込み、流入口付近にある堰堤は埋まってしまい機能を果たしていません。流木については早々に撤去していただき、湖面から姿を消しており大変助かっています。
上市川第二ダムの湖面は、県カヌー競技場として利用されており、例年4月から7月にカヌー競技の練習はもとより北信越大会などが行われており、このままではゴール付近の水位が確保できないと先行きを懸念しています。
ダム上流の山間部での土砂崩れ等で大量の土砂が流れ込んでいることから、早急に土砂をしゅんせつする必要があると思いますが、今後どのように対処していかれるのか市井土木部長に伺います。
今回の災害で、避難指示により実際に避難された方の防災意識は高くなっていると思いますが、一方で、被災しなかった地域の住民の防災意識は、まだ向上の余地があると思います。
今年2月の経営企画委員会で、地域防災班長に、自主防災訓練を地域の自主性に任せるのか県主導で訓練を促すのか質問したところ、自主防災組織の自主的、主体的な活動を促すと回答がありました。
今回の災害を経験したことで、地域住民の防災意識が高まっているうちに、今こそ県から積極的に自主防災組織の訓練を促す必要があると思いますが、県全域での防災意識をどのように向上していくのか
武隈危機管理局長の所見を伺います。
白岩川水系にある舟橋村の細川などの農業用水においては、高齢化により管理が難しくなったことを受け自動水門が設置され、今回のような水害に遭っても、おかげさまで田畑が冠水せず事なきを得ました。大変ありがたいことでした。
一方、上市町内では、農業用水が越水し県道が冠水するなどの被害が発生しています。地元自治会では、水門の設置により越水が回避できるとの判断で鋼製水門設置を検討しましたが、予算の確保がままならず解決できずにいます。これは、上市町だけでなく、県内各所で起こっていることなのだと推察します。
今回の災害を契機として、県下全域で取水ゲートの新設、自動化を計画的に進めるべきと考えますが、津田農林水産部長に伺います。
上市町の白岩川千保橋付近では、6月28日の豪雨で堤防が大きく削られ、もう少しで決壊するのではないかと懸念されましたが、危うく難を逃れました。その後、土のうによる応急処置が行われましたが、7月12日の豪雨で土のうが全て流されてしまい、再度決壊の心配に直面しました。
今回の経験から、テトラポッドなどの流出しにくい設備を事前に準備し、水害時に適切に設置できるように備えを充実させる必要があると思われます。また、決壊を回避するために夜間作業も行われましたが、こうした緊急時に夜間照明が準備しにくく、一刻を争う現場では苦労があったようです。
夜間照明などの備品も含めて、事前に備える必要があると思いますが、市井土木部長の所見を伺って最初の問いを終わります。
65 ◯副議長(奥野詠子)市井土木部長。
〔市井昌彦土木部長登壇〕
66 ◯土木部長(市井昌彦)4問いただきましたうち、まず、白岩川ダムの事前放流についての御質問にお答えします。
事前放流は、台風の接近などにより大雨となることが見込まれる場合に、大雨のときにより多くの水をダムにためられるよう、水力発電や水道等のために確保されている利水容量の一部を、河川の水量が増える前にダムから放流して、一時的にダムの貯水位を下げておく操作を申します。この事前放流を実施することで、ダム下流河川の洪水被害の防止、軽減を図るのです。
この事前放流を円滑に実施するため、河川の各水系ごとに、河川管理者やダム管理者、発電事業者や水道事業者などの利水者との間で、あらかじめ治水協定を締結し、発電や水道などの利水容量のうち、洪水調節に利用可能な容量を定めておるところでございます。本県では、ダムが設置されている直轄5水系、県7水系の全てで治水協定が締結されております。
実際の事前放流は、最長84時間先までの予測等に基づいて、国が一定時間ごとに示す予測降雨量が、ダムごとに定めた基準降雨量を上回った場合に実施することとしており、今回、白岩川ダムでは、予測降雨量が基準降雨量を超えていなかったことから実施しなかったものでございます。このため、先月、知事から岸田総理に対し、線状降水帯の予測精度の向上等について働きかけたところでございます。
事前放流は、治水上効果の高いものであると考えております。このため県では、今後、当時の気象状況や豪雨への対応を振り返ることとしており、白岩川ダムにおける流入や放流の状況、ダムや河川の水位の状況も確認することとしております。この中で、将来の豪雨に備えたダム管理者としての対応についても検討してまいります。
次に、大岩川千巌渓についての御質問にお答えします。
上市町大岩地区の大岩川千巌渓は、延長約500メートルにわたって多くの巨石や滝を有する渓流で、大岩山日石寺にも近いことから、その参拝客を中心に多くの方が訪れる景勝地となっており、その景観を楽しむため渓流沿いの遊歩道や休憩施設等の環境整備が、上市町によって平成24年度までに行われているところでございます。
上市町によりますと、本年6月、7月の記録的な豪雨の際、遊歩道の一部が損傷し観光客の散策に支障が生じているほか、上流から流れてきた土砂や流木が巨石に引っかかるなどして、景観が損なわれているとの声が寄せられたと伺っております。
県では、この大岩川の流域における土砂災害対策として、浅生川などの支流も含め砂防事業に平成21年度に着手し、千巌渓の約1キロメートル上流の大岩川に、透過型砂防堰堤を令和2年度までに整備したところでございます。この堰堤については、今回の豪雨の際にも流木や土砂を捕捉しており、千巌渓など下流への被害を一定程度軽減し効果があったものと考えております。
今後、この流域において、議員御提案のあった透過型砂防堰堤や施設を管理するための管理道を新たに整備する場合、砂防法に基づく砂防指定地の指定や用地買収などが必要となることから、上市町の意向を伺った上で、まずは地元関係者の理解を得られるよう努めてまいります。
次に、上市川第二ダムについての御質問にお答えします。
上市川第二ダムは、洪水調節や流水の正常な機能の維持、発電を目的として建設され、これまで下流域における洪水被害の防止などに大きな効果を発揮してきたところでございます。また、土木部が管理する他のダムと同様、ダムの機能を維持するため、毎年、貯水池の測量を実施し堆砂の進行状況を把握するとともに、土砂の撤去を計画的に実施してきておるところでございます。
こうした中、6月28日の豪雨によりダムの貯水池内に大量の土砂と流木が流入したことから、国の災害復旧事業で土砂及び流木を撤去することとしております。
このうち、流木につきましては、8月上旬までに水面からの撤去が可能な300立米を搬出し、年度末までに水位調整の上、搬出する200立米を加え、合計500立米を撤去する予定でございます。
また、土砂につきましては、今回の災害復旧事業において工事用進入路の制約があることから、今年度と来年度の2か年で合計約1万5,300立米を撤去することとしております。工事は7月に進入路工事に着手し、現在、掘削工事を実施しておるところでございます。さらに、別途、県単独事業による約3,800立米を加えた合計約1万9,100立米の土砂を撤去することとしております。
県といたしましては、上市川第二ダムの洪水調節などの機能を確保するため、また、県カヌー協会からも流木や土砂の早期撤去の御要望をいただいていることから、県カヌー競技場利用者の方、また利水者の方、この皆様の御理解を得ながら堆積土砂の撤去を進めてまいります。
最後に、水害時の応急措置についてお答えします。
国や県及び水防管理団体である市町村においては、水害の発生に備え、水防活動や被災した河川管理施設の応急復旧に用いる水防資材を備蓄しております。そのリストは富山県水防計画に掲載されており、関係者で情報を共有しておるところでございます。
県では、8つの土木センター・土木事務所において、計2,700袋を保有する大型土のうをはじめ、ビニールシート、鉄線蛇籠などの資材を水防倉庫で備蓄し、水害時に備えております。
また、一般社団法人富山県建設業協会と県が締結した災害時における応急業務に関する基本協定に基づき、センター・土木事務所それぞれの管内ごとに、災害時に提供可能な協会支部の建設資機材の把握にも努めており、即応体制を敷いておるところでございます。
6月の豪雨の際、白岩川では、被災した堤防や護岸等12か所で、先の協定に基づき地元協会支部の御協力をいただき、立山土木事務所で備蓄していた大型土のう300袋を含む約1,800袋を使用して、応急復旧に当たったところでございます。
その後、議員御紹介のとおり、7月の豪雨では、後背地の住宅等への被害は防げたものの3か所で再度被災したことから、大型土のうに加え、基礎部の洗掘を防止するためコンクリートブロックや袋詰め玉石を併用し、強固な復旧に努めたところでございます。
県といたしましては、今回の被害も踏まえ、平時においては災害時に必要な資材の確保に努めるとともに、非常時においては県内の水防倉庫間の資材を弾力的に用い、幅広い建設関係企業の協力を得ながら、被災箇所の状況に応じ、即応性の高い土のう、確実性の高いブロックや袋詰め玉石など、資材を組み合わせての工法も含め、現場に適した工法を選定し、対応してまいります。
以上です。
67 ◯副議長(奥野詠子)
武隈危機管理局長。
〔
武隈俊彦危機管理局長登壇〕
68
◯危機管理局長(武隈俊彦)私からは、県全域での防災意識の向上についての御質問にお答えいたします。
6月、7月の豪雨災害を経験し、県民の皆さんの防災に対する関心はこれまで以上に高まっており、議員御指摘のとおり、こうした機会を捉えて広く防災意識の向上を図ることは大変重要と考えております。
県では、これまでも災害時に住民の皆さんが適切な避難行動を取れるよう、自主防災組織が取り組む避難訓練や避難所運営訓練の実施、避難計画や避難所運営計画の作成などに対しまして、市町村と連携して支援を行っております。
また、あらかじめ地域の避難行動を定めておきます地区防災計画を策定する取組を全県的に広げるため、モデル地区を定めて策定に要する経費を支援するとともに、この取組の横展開に向けて手引きや事例集を作成し、説明会を開催するなど、計画策定のノウハウの普及に努めておるところでございます。
県としましては、今後、これらの取組を改めて市町村に周知し、住民や自主防災組織等への積極的な働きかけを依頼するなど、地域における避難訓練の実施や地区防災計画の策定を促してまいります。さらに、県民の皆さんの防災意識のさらなる向上につながる新たな取組につきましても、市町村や防災士会などの関係団体とも連携しながら検討を進めるなど、取組の強化にも努めてまいります。
以上でございます。
69 ◯副議長(奥野詠子)津田農林水産部長。
〔津田康志農林水産部長登壇〕
70 ◯農林水産部長(津田康志)私からは、水門の自動化についての御質問にお答えいたします。
水門の開閉操作につきましては、通常の管理に加えて、近年の豪雨等により開閉頻度が増えております。また、水門管理者の高齢化により、人力操作による対応に非常に苦慮している地域もあると聞いております。
河川等の水位を感知して自動で開閉を行う取水ゲートや、土地改良区等の中央管理所が遠隔で一元的に行う分水門の操作、監視は、水管理労力の大幅な省力化や、水管理の適正化による水稲の減収抑制それから高品質化、さらには節水などの効果が期待できるほか、議員御指摘のとおり、主目的ではないものの道路や田畑への冠水対策など、農村地域の防災・減災対策につながるものと考えております。
このため、これまでも一部の県営のかんがい排水事業や、農村地域防災・減災事業、議員から御紹介がありました舟橋東部地区などの団体営基盤整備促進事業において、水門の自動化や遠方操作の整備を進めてきております。
一方で、整備費用だけではなく、電気契約・電気代などの新たな農家負担が生じることから、整備事例としては少ない状況にございます。
今後、計画的に農業用用排水路の老朽化対策を進める必要がございますが、必要な箇所における水門の自動化につきましては、省力化や溢水等の未然防止にも有効な手法の一つではございますが、このような課題もあることから、整備に当たっては、管理者である土地改良区や地域防災を担う市町村とも連携して検討してまいりたいというふうに考えております。
以上です。
71 ◯副議長(奥野詠子)山崎宗良議員。
〔25番山崎宗良議員登壇〕
72 ◯25番(山崎宗良)続いて、安心・安全で持続可能な社会の実現について9問伺います。
人口減少に伴い消防団員数も減少し、合併するなど団員の確保に苦慮されていますが、テレビ番組では「ハヤブサ消防団」が放映され、楽しみに見ております。また、市内電車にも消防団のラッピング電車が登場し、住民の命と財産を守る消防団を応援してくれています。
一方で、地域の消防団の活動経費への支援について、県内の市町村間で地域格差が生じているとの声が上がっています。県として実態をどのように認識しているのか、また、地域格差が解消されるよう調整されてはいかがかと思いますが、
武隈危機管理局長に所見を伺います。
今年の夏は豪雨災害もありましたが、猛暑日や真夏日が1か月以上続き、人にとっても農作物にとっても厳しい夏となりました。このことで、富山県内でも田畑の渇水が発生し、収量や品質に影響を与えています。
高温少雨など農作物の異常気象への対策として、栽培技術の徹底や指導だけでなく、新潟県のように水を引くためのポンプ車の設置等にかかる費用を補助するなど、県と市町村が連携して対策に取り組むべきと考えますが、津田農林水産部長に伺います。
県道富山上市線の舟橋村地区内は消雪設備がなく、除雪車による除雪が行われています。このため玄関先に硬い雪の壁ができ、高齢者の住宅の場合、これを自力で取り除くことができなくなってきています。
地元では、井戸の掘削位置を県道北側の白岩川寄りにすることで、水量確保ができるのではないかという声が上がっていますので、消雪設備を新設してはどうかと考えます。ちょうど5年前の9月定例会でも同様の質問をさせていただいていますが、よい回答をいただけることを期待して市井土木部長に伺います。
上市町にある薬用植物指導センターでは、毎年5月頃にシャクヤクが辺り一面に大輪の花を咲かせており、その姿は「立てば芍薬」と言われるくらいで壮観です。チューリップフェアには遠く及びませんが、多くの県民の方々が来園され、園内を散策したり花を求めたりして楽しんでいただいています。
4年前に整備された建物も駐車場もきれいにしていただきましたが、シャクヤクの開花時期になると駐車場が不足して路上駐車が多くなっています。このため周辺住民からは、安全確保に支障が生じているとの指摘があります。
県として実態をどのように把握し、今後どのように対策されるのか有賀厚生部長に伺います。
この質問も、ちょうど2年前の9月定例会で質問させていただいています。県道北馬場上市線の釈泉寺から中村までのルートは、特に急峻で狭いつづら折りが多く、また平日はダンプカーが多く通るため、かなり気を遣うルートになっています。
このため、東部山麓道路のルートに、上市川第二ダムのダムサイトから中村までを抜ける早月トンネルが要望されていますが、このルートが実現すれば、釈泉寺から中村までの急峻で狭いつづら折りを回避することができ、上市市街から上市川第二ダムまでは融雪装置も整えられた安全性の高い道路を利用することができ、時間も短縮できます。
東部山麓道路は、魚津市内でも一部路線が完成し、だんだんと上市町へ近づいてきているため、ワクワクしているところです。早期の着工が望まれますが、今後の展望について市井土木部長に期待して伺います。
昨日、インドネシアの教育関係者が、知事を表敬訪問されました。富山県のトップ並びに幹部の方々と意見交換ができ、今後の強固な関係づくりに期待を寄せられておられました。富山県の温かいおもてなしに心から敬意を表し、感謝を申し上げます。
外国人の方々は、我が国の維持発展になくてはならない存在だと思います。しかし一方で、文化や生活習慣の違いで悩んだり苦しんだりされている側面があることも事実です。
富山県内で多くの外国人の方々に活躍していただくためには、外国人が抱える日常生活の問題などを寄り添って解消できるよう、世話人や支援団体を育成強化する必要があると考えます。ある意味、この支援の広がり以上には受け入れることが困難なのだと思います。今後どのように取り組んでいかれるのか、廣島生活環境文化部長に伺います。
近年、障害を持つ方と共に暮らしておられる親御さんの高齢化が進み、8050問題として取り上げられています。障害を持つ子の親とすると、自分が死んだ後に我が子が地域でちゃんと暮らしていけるのか心配するのはもっともなことです。
そんな中で、富山県手をつなぐ育成会では、松の木プロジェクトと称して支援プログラムを展開し、心配を取り除く取組をされています。その核心部分として取り上げられるのは、成年後見制度だと思います。成年後見制度を利用すると、金銭管理などを後見人が支援してくれますが、財産状況に応じて費用がかかります。その費用を各自治体で一定程度支援する制度をつくってくださっていますが、あまり知られておらず、利用率は高くないようであります。
また、地元住民が組織する成年後見を主とした非営利団体があるものの、全県下での広がりは見られず対処の難しさがうかがわれ、現状では、成年後見制度を活用して地域での受入れが進みやすい環境にあるとは言えないと思います。
成年後見制度の活用を促すため、今後どのように支援していかれるのか有賀厚生部長に伺います。
近年、様々な理由で学校に登校しづらい、いわゆる不登校などの困難を抱える子供が増え、保育所や学校現場でも、それぞれの特性や成長に合わせた教育の機会が求められ、そのニーズは増加傾向にあります。
先日、文部科学省から、不登校特例校と夜間中学校が富山県にないということで、わざわざ説明に来られました。不登校特例校と夜間中学校は文部科学省の仕組みなので、学習の単位や予算の内容などは一定の枠組みがあります。
一方で、県内でも取組があり、また今後新設されるフリースクールについては、文部科学省でも厚生労働省でもその枠組みの中に当てはまりません。
不登校や非行など様々な困難を抱える子供が、学校以外の居場所で安心して過ごすには、民間団体等によるフリースクールという選択肢も重要ですが、県としてフリースクールの位置づけをどのように認識し、今後、具体的にどのような支援に取り組んでいかれるのか新田知事に伺います。
最後の質問です。
新田知事は、成長戦略のビジョンとして、「幸せ人口1000万~
ウェルビーイング先進地域、富山~」の実現に向けて取り組んでおられます。最近では、
ウェルビーイングって何、という質問は聞かれなくなり、言葉そのものは県民に浸透しつつあるように思えます。
一方で、県民がどんなアクションをすることが
ウェルビーイングにつながるのか、その具体的なアクションや方向性はまだ打ち出されていません。この具体的なアクションが明確に打ち出されれば、ああ、
ウェルビーイングってこういうことだったんだとイメージしやすくなるのだと思います。
今年度は、
ウェルビーイング指標の活用を試行する30事業を選定し、取組を進めておられますが、来年度には本格的な取組を進めると聞いています。私もそうですが、県民の皆さんも、
ウェルビーイングをイメージしやすい、分かりやすい具体的なアクションが明示されることを、楽しみにしていると思います。
ウェルビーイング指標を基に、県民の満足度向上に向けて政策立案にどのように活用していかれるのか、現在の進捗状況と今後の展開について新田知事に伺って質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
73 ◯副議長(奥野詠子)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
74 ◯知事(新田八朗)山崎宗良議員の御質問にお答えをいたします。
まず、フリースクールの充実についての御質問にお答えします。
不登校など様々な困難を抱える児童生徒への支援、これは個々の状況に応じて多様な教育機会を確保する必要がありまして、学校や市町が設置する教育支援センター(適応指導教室)だけではなくて、フリースクールなどの民間施設と積極的に連携し、協力、補完していくことが大切だと考えます。組織の線引きに当てはめたりするのではなく、組織や大人の側が連携協力していくのが子供センターの考え方だというふうに思っております。
このため、教育委員会設置の不登校児童生徒支援協議会では、今年度から、フリースクールなどを運営する民間団体で構成する富山県不登校を考えるネットワークの方々にも加わっていただいておりまして、市町村教育委員会や校長会との連携強化を図るとともに、多様な学び場のよりよい連携について協議を進めています。
また、県では、今年度新たに、子供の居場所を支援するため、民間団体による開設や改修などのハード面への支援、また、運営団体の特色ある取組のソフト面への支援を行うこととし、今月より募集を開始したところです。フリースクールで構成する団体、富山県不登校を考えるネットワークの会員にも案内をしておりまして、現在、数件の事前相談を受けたところです。
不登校の子供については、子ども・若者総合相談センターや児童相談所などでの相談を契機にフリースクールに通う子もおり、これらの機関とフリースクールとの連携を深めていくことが有用だと考えております。
言うまでもないことですが、我が国の、そして本県の学校教育制度は、長く本当によく機能してきたと思い、これを堅持していくことは大切だというふうに思います。そして、プラスして現代は、子供たち誰1人取り残さないためには、このフリースクールのような民間の施設とも、しっかりと協力、連携をして、子供の居場所、言わば家庭、学校へ行く以外のサードプレイスということですが、これへのさらなる支援策を検討していきたいと考えております。
次は、
ウェルビーイング指標の活用についての御質問にお答えをいたします。
指標を活用した政策形成に当たっては、職員一人一人の
ウェルビーイングへの理解、共感が重要だと考えています。よって、昨年度来、職員向けの広報や職場勉強会、意見交換会を随時実施してまいりました。本年度に入っては、私と各部局長で意見交換をしながら、
ウェルビーイングを意識した政策展開に向け、基本認識、方向性を共有しながら進めているところです。
一方で、具体的かつ効果的な活用方法の整理のための試行的な取組も進めています。まず、30の事業を対象とした指標活用試行事業では、担当課で事業対象者を具体的にイメージして、成果がどの指標の向上にどう寄与するか検討し明確化をします。事業展開に関しても、
ウェルビーイング推進課と意見交換を実施しています。新たな課題、ニーズの発見や事業効果の検証のために、担当課によるアンケート調査や本年度の県民意識調査に質問項目を追加したりもしております。
そして、現在、議会に提案させていただいております9月補正予算の編成においては、要求事業──各部課からこういった事業をやりたいということを財政当局に提案することですが、
ウェルビーイングの向上にどうつながるのかを考えて、それぞれの指標項目と関連づける検討の仕組みも試みているところであります。
これらの取組を踏まえて、来年度の当初の予算編成に向けて、引き続き職員の意識向上を図りながら、指標、またそのデータを政策形成に生かしていきたいと考えております。
私からは以上です。
75 ◯副議長(奥野詠子)
武隈危機管理局長。
〔
武隈俊彦危機管理局長登壇〕
76
◯危機管理局長(武隈俊彦)私からは、消防団の活動経費への支援についての御質問にお答えいたします。
少子化、人口減少の進展に伴いまして消防団員も減少が進んでおり、喫緊の課題となっております。国では、事態の改善には消防団員の処遇改善が不可欠との認識から、令和3年4月に、報酬の増額と団員個人への直接支給、報酬費と消防団の運営費を区分し、それぞれ適切に予算措置することなどを市町村に求める通知を発しておりまして、各市町村においては、この通知を踏まえた予算の見直しが行われております。
今回の御質問を受けまして市町村に聞き取りを行いましたところ、消防団の活動経費への支援につきましては、おおむね適切に予算措置されていることが確認できました。
また、議員から御指摘のありました市町村間の地域格差につきましては、市町村間で違いや差は見受けられましたが、これは、各市町村ごとに、消防団の規模ですとか、活動内容、支援に至るまでの経緯、地域の支援ニーズなど、地域の実情を反映し予算計上されたことにより生じた違いであるというふうに聞いております。
さらに、準中型免許の取得費ですとか団員家族への協力費など、各市町の判断で、団員確保に向けた独自の支援が行われることも確認できたところでございます。
消防団員の減少傾向は今後も続くものと見込まれておりますが、県としましては、消防団の活動経費への支援の状況を含めまして、引き続き市町村の予算の把握に努め、必要に応じて適切な助言を行うとともに、団員確保に向けて他の市町村にとって参考となるような取組につきまして情報共有を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
77 ◯副議長(奥野詠子)津田農林水産部長。
〔津田康志農林水産部長登壇〕
78 ◯農林水産部長(津田康志)私からは、農作物の高温少雨対策の御質問についてお答えいたします。
県では、今回の高温少雨による農作物被害の未然防止に向け、水稲では、刈取り5日から7日前までの間断かん水と速やかな刈取りによる胴割れ米の防止、大豆や果樹ではハダニ類の防除、白ネギでは早朝や夕方の追肥、土寄せ、キュウリなどの施設栽培ではハウス内の換気などの指導を行ってきたところでございます。
議員御紹介のとおり、新潟県では、高温に伴う農作物の管理対策や、用水確保に向けた対応に努めてこられましたが、用水量が不足しがちな中山間地域等を中心に、水稲や大豆等での渇水被害の拡大が懸念されたことから、ポンプ車等の借り上げやポンプ等の購入経費を、市町村と連携して補助する応急対策を講じられたと伺っております。
本県におきましても、一部の地域では渇水被害が心配されましたが、多目的ダムにおける発電事業者等への協力要請や、ため池の給水活動等により利水量が確保されたほか、農家の皆さんの節水、番水等の協力により、地域間で水の融通を図るなどの運用管理が行われたところでございます。
県としては、今後とも関係機関と連携し、気象状況に応じた栽培技術対策の指導、農業用水の状況把握など適切な運用管理に努めるほか、今回の各地域の取組を検証する中で、新潟県をはじめ他県の例も参考として、今後の渇水被害などの軽減に向けた対応を検討してまいります。
以上でございます。
79 ◯副議長(奥野詠子)市井土木部長。
〔市井昌彦土木部長登壇〕
80 ◯土木部長(市井昌彦)私にいただきました2問のうち、まず、舟橋村地区内の消雪設備の新設についての御質問にお答えします。
県管理道路の除排雪は、コストや環境への負荷の軽減の観点から、除雪車による除排雪を基本としており、消雪施設については、人家が連なり路肩の幅が狭く堆雪スペースが確保できない区間、積雪による交通障害が発生しやすい主要な交差点や急勾配区間などにおいて、必要な水源を確保できた場合に設置してきておるところでございます。
令和5年3月現在、県管理道路の消雪施設の整備延長は約740キロメートルであり、このうち約220キロメートルの更新を終えているものの、設置後30年以上経過した施設が約260キロメートル残っており、施設の老朽化は現在も進行しておるところでございます。
議員御指摘のように、自宅前の除雪が困難などの理由から、消雪施設の新設や延伸の御要望も数多くいただいておるところでございますが、老朽化の現状を踏まえ、まずは既存施設の機能を維持できるよう、施設の更新を優先して進めておるところでございます。
舟橋村の県道富山上市線におきましては、歩行者の安全確保を図るため、竹内地内では平成25年度から、また舟橋地内では平成30年度から、歩道や路肩などを拡幅する改築事業を実施しており、それぞれ4年前よりも整備が進んだところでございます。この道路拡幅により、冬期間の堆雪スペースが確保されることから、引き続き除雪車による除排雪を実施することにより、安全な道路交通の確保に努めてまいります。
次に、剱岳へのアクセス道路の質問にお答えいたします。
剱岳の登山口である馬場島へのアクセスルートは2つございます。一つは、上市川沿いから上市川ダム手前で峠を越える県道上市北馬場線を経て県道剱岳公園線に至るものであり、もう一つは、早月川沿いに県道宇奈月大沢野線を経て、同じく県道剱岳公園線に至るものでございます。
このうち、上市川沿いのルートでは、峠を越える区間には急勾配やカーブが多く、大型車両の擦れ違いが困難な場所もございます。このため、議員御提案の峠部分におけるトンネル構想が実現すれば、走行性や安全性の改善に効果が期待できますが、約2キロメートルのトンネルが想定され多額の費用を要することや、それほど多くの交通量が期待できないことなどの課題がございます。
剱岳へのアクセス道路の整備としては、2つのルートに共通する県道剱岳公園線の上市町伊折地内において0.3キロの拡幅整備を実施し、令和3年度に供用したところでございます。また、上市川ルート上の県道上市北馬場線では、上市町釈泉寺における法面対策に昨年度着手したところでございます。さらに、早月川ルート上の県道宇奈月大沢野線では、滑川市上大浦から蓑輪地内に至る約2.5キロメートルのバイパス整備のほか、上市町中村地内においては、令和3年度から1.2キロメートルの拡幅整備にも取り組んでおるところでございます。
県としましては、剱岳に至るアクセス道路は、観光振興はもとより地域の活性化の面でも重要と考えており、まずは、現在利用されている道路の整備促進に努めてまいります。
以上でございます。
81 ◯副議長(奥野詠子)有賀厚生部長。
〔有賀玲子厚生部長登壇〕
82 ◯厚生部長(有賀玲子)私からは2問、お答えさせていただきます。
まず、薬用植物指導センターのシャクヤクが見頃を迎える頃の駐車場の不足についてということでございます。
今年については、5月11日から14日の週末を含む4日間におきまして、来場者の方が安全に駐車できるようセンターの職員4名が誘導し対応したものの、5台ほどの車が1時間程度、路上に駐車されていた時間帯があったというように、センターから聞いております。実情として、センターの駐車場は、平成31年4月の新研修棟の整備に併せて拡張し、令和3年12月に白線を引く工事が完了、計63台の駐車が可能となっております。
センターは、医薬品の原料となる薬用植物の栽培普及を図ることを目的として設置した施設であり、栽培・調製加工法の確立といった栽培試験研究、栽培農家への種苗の供給及び栽培技術指導といった業務を実施している場所でございます。
これらの業務を行う場所としての駐車場の規模としては適当であるというふうに考えておりますが、一方で、県民の方々に薬草に親しんでいただくべく、薬草標本園や栽培試験圃場を常時開放しているということもあることから、周辺の住民や企業の方々の御迷惑にならないよう、来場者や周辺住民の安全確保のためどのような対策が取れるか、関係者間で検討してまいります。
次に、成年後見制度の活用についてでございます。
県では、これまでも、市町村や市町村社協職員を対象とした研修会を毎年開催し、制度の理解促進と関係機関との連携が図られるように支援しております。今年度は10月に、市町村の体制整備を促進するため、身寄りがないなどの理由で申立てをする方がいない方の保護、支援を図るための市町村長申立てや、御本人の意思を尊重した意思決定支援をテーマとした研修会を開催することとしております。
また、制度の利用が進まないことの一因として、後見人等へ支払う報酬が高いといったことが挙げられます。このため市町村では、国や県からの補助により、低所得の知的または精神障害者に対する成年後見制度の申立て費用や、成年後見人等の報酬の助成制度を設けているところでございます。
県では、今後とも、制度をはじめ、こうした市町村の支援策が十分に周知されるよう、地域の身近な相談窓口である市町村や市町村社協、相談支援専門員を対象に、研修会等の機会を活用し積極的なPRを働きかけてまいります。
私からは以上です。
83 ◯副議長(奥野詠子)廣島生活環境文化部長。
〔廣島伸一生活環境文化部長登壇〕
84 ◯生活環境文化部長(廣島伸一)私からは、外国人の支援団体などに関する御質問にお答えをいたします。
県では、令和元年9月に、それまで取り組んでおりました多文化共生の推進に、新たに外国人材活躍を加えました富山県外国人材活躍・多文化共生推進プランを策定しております。
プランでは、安全・安心に生活できる環境を整え、外国人から暮らしたいと思われる県となるということなどを目標としておりまして、これまで、県、市町村に加えまして、在外外国人を支援する団体にも参加いただき、外国人材活躍・多文化共生推進会議を設置し、教育、医療、就労など生活に密接に関連する意見を伺うなど、取組を進めてきております。
在住外国人の日常生活を支える方々の育成や支援といたしまして、まず、重要性が増しております日本語教育を担う人材の育成として、これまで日本語学習インストラクター養成講座を開催し、日本語教師の確保を図りますとともに、日本語教室の運営を担われるボランティアのスキルアップ指導などにも取り組んでおります。
また、国際交流や支援事業を行います民間団体への財政的支援をあっせんしますほか、富山県外国人ワンストップ相談センターでは、在住外国人に加えまして、その生活を支える方々の相談にも対応しているところでございます。
引き続き、推進プランに基づきまして在住外国人の生活を支え、地域住民との橋渡しを行う方々や団体への支援などに、市町村や関係機関の皆さんと連携して取り組み、在住外国人の日常生活の問題の解消に努めてまいります。
以上でございます。
85 ◯副議長(奥野詠子)以上で山崎宗良議員の質問は終了しました。
暫時休憩いたします。
休憩時間は10分間といたします。
午後2時55分休憩
───────────────────
午後3時05分開議
86 ◯議長(山本 徹)休憩前に引き続き会議を開きます。
永森直人議員。
〔27番永森直人議員登壇〕
87 ◯27番(永森直人)本日のラストバッターを務めさせていただきます、自民党議員会の永森直人でございます。
3つのテーマにつきまして分割質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
初めに、県立高校再編の進め方について質問いたします。
これまで2回にわたり県立高校教育振興検討会議が開催されていますが、令和18年度まで見通せば、中学校卒業者数が約3割減少、学級数については44学級程度の削減が必要と試算されており、極めて厳しい状況に置かれていると言わねばなりません。
一見、大ピンチとも言えますが、逆に言えば、これまで抜本的に手をつけることができなかった高校教育を大きく変えていくチャンスとも言え、検討会議における議論は、これまでの常識にとらわれない発想が必要かと思います。
明治から続く現代の教育は、どちらかといえば、人材の同質性を高めることに重きを置いてきましたが、これからの教育には、まさに個性の発揮をどうサポートしていくのかが問われています。
こうしたことからも多様な学校の形が求められており、その一つの形として中高一貫校が挙げられます。高校受験がないため、6年間かけて多様なチャレンジを行うことができる重要な選択肢であり、各県においても設置が進んでいます。うまくいっている例、うまくいってない例があるようですが、公立の中高一貫校がない県は富山県と鳥取県の2県のみとなっている状況を考えれば、今回の再編議論においても、中高一貫校の導入を視野に入れながらの本格的な議論が必要かと思います。
県立学校における中高一貫校については、どのようなメリットが考えられ、今後の県立高校再編議論の中でどのように検討を進めていくのか、荻布教育長に伺います。
高校再編を進める上での重要なポイントは、30分から60分程度の通学圏内に、規模や学科などを含めて、いかに幅広い選択肢を子供たちに与えてあげられるかにあると思っています。
また、仮に再編の基準のようなものを定める場合にも、前回再編のように単純に小規模校から統合していくのではなく、これからの時代に求められる学校配置のあるべき姿を描いた上で、そうしたあるべき姿にどう近づけていくのかを念頭に置いた再編でなくてはならないと思っています。
こうした観点で考えると、私立高校の選択肢が少ない新川、砺波学区においては、より慎重な議論が求められるのではないかと考えています。
さらに、他県の状況を見ると、仮に一定の再編統合基準を定める場合にも、1市町に県立高校が1校しかない場合には特例的な扱いを別途定めている県もあり、こうした事例も参考になるのではないかと考えますが、荻布教育長に伺います。
県立高校再編の問題は、これからの県政の最大のテーマであると思っています。そういう点で、新田知事が県立高校再編についてどのように考え、これからの高校教育がどんなふうに進化していくことを期待しているのか、知事の言葉で大いに語ってほしいと思います。
県には、教育委員会と共に、知事と教育委員会が意思疎通を図るために総合教育会議があります。県立高校再編議論はこれからの私立高校の未来像にも密接に関わることであり、知事部局として私立高校関係者とも十分に意見交換し、公私の適切な役割分担についても総合教育会議の場でしっかりと議論を重ねるべきです。
現在、教育委員会が中心となって県立高校再編議論が行われていますが、総合教育会議では、教育委員会の議論が終わるまで高校再編についての議論は行われないのでしょうか。こうしたことも含めまして、県立高校再編議論においては知事はどのような役割を果たしていくことになるのかお伺いして、1つ目の質問を終わります。
88 ◯議長(山本 徹)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
89 ◯知事(新田八朗)永森直人議員の質問にお答えします。
県立高校再編議論の御質問にお答えします。
本県の公立、私立高校の教育の在り方について、昨年度、総合教育会議を3回開催して、公私の比率あるいは学区、学級編制などについての検討の方向性を確認したところであります。
この総合教育会議で示された方向性や、令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会──昨年度走っていた委員会ですが、この報告を踏まえて、教育委員会では、本年の6月、新たに県立高校教育振興検討会議を設置し、私学関係者にも議論に御参加をいただいているのが現状です。
まず、この会議で、県立高校の在り方や再編に関する方向性について十分に議論いただきたいと考えておりまして、中学生の進路希望が基本ですけども、社会の変化、地域、産業界のニーズも踏まえて幅広い角度の議論を期待をしています。
また、私立高校については、生徒の多様な希望をかなえる点からも重要な役割を担っていると認識しています。そのため、各設置者の建学の精神に基づく学校運営を尊重しながら、公私立高等学校連絡会議で、公私比率や公私の役割を踏まえた魅力向上について、公私協調ということが大切だと考えておりますが、公私協調の下で協議したいと考えています。
そして、総合教育会議については、今年度は秋と冬の2回を予定しております。教育委員会の会議が終わったら総合教育会議が出てくるというわけではなくて、都度そのように開催していることでございます。それぞれの会議の進捗について報告を受ける予定にしています。
ちょっと気が早いんですが、来年度について、これは予算などもまだですから、あくまで今のめどということですけども、来年度は、県立高校教育振興検討会議の取りまとめを受けまして、総合教育会議は5回程度開催する腹積もりでおります。
ここで、再編の基本方針や新しい学科、コースの開設などについて検討を進めていく予定にしております。県立高校の再編や公立と私立の役割など、高校の在り方について幅広く議論を進めていきたいと考えます。
私としては、子供ファーストの視点に立って、公私が共に選ばれる学校であるように高校教育の充実に取り組んでまいります。
1回目は以上です。
90 ◯議長(山本 徹)荻布教育長。
〔荻布佳子教育長登壇〕
91 ◯教育長(荻布佳子)私からは、まず中高一貫校についての御質問にお答えをいたします。
中高一貫校のメリットについてでございますが、6年間の計画的、継続的な教育指導を展開することができること、そして、6年間にわたり生徒を把握することができ、個性や優れた才能を発見し伸ばせるということ、また、生徒にとっては安定した環境の中で6年間の学校生活を送ることができ、議員御指摘のとおり、個に応じた多様なチャレンジができることなどがあると考えております。
県内での中高一貫校の設置については、これまでも令和2年度の再編統合に向けた検討委員会などでも議論をしてきておりますが、当時の主な意見としては、人材育成のために導入すべきである、また、生徒や保護者の選択肢が増えるといった積極的な御意見があった一方で、少子化が進む中、他の公立中学校に影響を及ぼすなど新たな地域格差が生じるおそれがある、難関大学に入学させるためならば疑問を感じるなどの慎重な御意見もあったところでございます。
また、昨年度の令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会においても議論をしておりまして、本年5月に取りまとめた報告書では、社会を変革するリーダーの育成には全人格的な教育が必要との観点から設置に積極的な意見がある、その一方で、市町村立中学校の学級編制などへの影響から慎重に考えるべきとの指摘があり、市町村教育委員会を含めた関係機関と協議しながら議論を進める必要があるとされたところであります。
これを受け、6月に設置した県立高校教育振興検討会議において引き続き検討することとしておりまして、進路状況や今後の生徒数の将来推計を踏まえるとともに、生徒及び保護者のニーズ、市町村の意見の把握に努めまして、他県の先進的な事例も参考にしつつ、本県における中高一貫教育の在り方についてさらに検討を重ねてまいりたいと考えております。
次に、県立高校の再編についての御質問にお答えをいたします。
昨年度実施した県立高校のあり方に関するアンケート調査の結果では、望ましい県全体の高校像として、学級数が多い学校から少ない学校までバランスよくあることが望ましいとの回答が最も多かったところです。また、高校選択の際に重視することとしては、自宅からの距離や時間などの通学条件の割合が、平成17年度の同様の調査と比べて、低下してはいるものの「成績」に次いで高かったところであります。
こうしたことからも、議員御指摘の新川や砺波学区を含め、どの地域においても、一定の通学時間内にいろいろな規模や学科の選択肢があるということが大切であるというふうに考えております。
これまで2回開催された県立高校教育振興検討会議では、学校規模について、生徒の学習環境の維持や部活動の活気という観点から、1学年4から6学級の規模は必要だという御意見が多く出された一方、基準を引き下げるべきという御意見や、一つの基準で決めるのではなく、いろいろな観点を持ちながら考えてほしいという御意見、また、いろいろな地域の事情なども考えてもらいたいなどの御意見も聞かれたところであります。
こうしたことから、今後、県立高校再編に係る学校規模、基準の基本的な方針などを考えるに当たっては、他県の先行事例も参考にしつつ、私立高校を含めた各学区の状況や県全体のバランスも踏まえるなど、様々な観点から慎重に議論をしてまいりたいと考えております。
私からは以上です。
92 ◯議長(山本 徹)永森直人議員。
〔27番永森直人議員登壇〕
93 ◯27番(永森直人)次に、豪雨災害への対応について伺います。
6月28日及び7月12日からの記録的な豪雨により、県内で広範囲にわたり甚大な被害が発生し、県民生活に大きな影響が生じました。地域住民に避難を呼びかける中、土砂災害に巻き込まれお亡くなりになった赤池伸彦議員に対し心より哀悼の意を表し、また、被災された皆様方にお見舞いを申し上げます。
7月12日からの線状降水帯による豪雨により、私の地元射水市においても、床上浸水3件、床下浸水45件の被害がありましたが、浸水被害は和田川沿いに集中して起こりました。今回の豪雨に際して、上流にある和田川ダムが大きな洪水調整機能を果たしたことは言うまでもございません。
一方で、今回やむを得ず行われた緊急放流以後、和田川の水位は急激に上昇するわけですが、この緊急放流の情報提供の在り方については課題が残ったと感じています。
新たに設置される検討会議では、現場の声を十分に聞いていただきたいと思います。そして、十分な検証を行うとともに、緊急時に際して地方自治体などが適切に水門管理や避難の呼びかけができるように、水位計や河川監視カメラの増設などの整備促進にもしっかりと取り組む必要があると考えますが、市井土木部長に伺います。
ダムの洪水調整機能を最大限発揮させるために、豪雨が想定される場合に、事前にダム水の放流を行い水位を下げておく事前放流の仕組みがあります。一方で、国の事前放流ガイドラインによる実施判断条件は厳しく、予測の難しい線状降水帯による豪雨においては、実質的には運用することは難しくなっています。
そこで、事前放流まではいかなくとも、一定程度の降水が想定され、利水者に与える影響がある程度限定的であることを条件に、予備的にダムの水位を下げておく仕組みを構築できないものなのでしょうか。
洪水調整機能を果たしているダムが、まるで悪者かのような評価を受けることは残念であり、運用を改善して、より市民に理解されるダム運用にしていただきたいと感じますが、市井土木部長に伺います。
今回の豪雨に際しまして、土砂災害警戒区域である射水市生源寺地内において土砂災害が起こり、住宅の一部が破損しました。現場を見てまいりましたが、まさに危機一髪という状況です。
こうした急傾斜地の土砂災害対策のために、県には小規模急傾斜地対策事業がありますが、この事業は対象となる住宅が5戸以上であることが要件となっており、5戸未満の地域においては対象となっていません。
5戸未満の小規模急傾斜地についても小規模急傾斜地対策事業の対象とし、対策を考えている市町村に何らかの支援ができないものなのか市井土木部長にお伺いし、2つ目の質問を終わります。
94 ◯議長(山本 徹)市井土木部長。
〔市井昌彦土木部長登壇〕
95 ◯土木部長(市井昌彦)私にいただきました3問のうち、まず、ダムの緊急放流の情報提供の在り方等についての御質問にお答えします。
射水市では、和田川ダムで緊急放流が行われた7月の豪雨の際には、県が提供したダムや河川の情報も踏まえ周辺住民に避難指示が出され、また、ダム下流の和田川へ合流する水路周辺の住宅地において浸水被害が発生いたしました。
これを受け、市の定例会見で合流部に設置された市の水門操作が取り上げられ、その後、市において住宅地へのカメラ設置の予算化がなされたと伺っております。
和田川のように県管理ダムを有する県内15河川における水位やカメラの情報につきましては、これまでに通常型水位計と危機管理型水位計を合わせて25基、河川監視カメラは15基設置し、富山防災WEBで一般公開しております。
和田川におきましても、ダム下流から庄川への合流点までの間に、水位計と監視カメラが射水市本江地区に1基ずつ設置しておるところでございますが、今回の豪雨では、その下流の住宅地で浸水被害が発生したところでございます。
ダム下流の河川の水位はダムの放流の影響を直接受けることから、下流河川の水位や監視カメラの情報は、水門操作も含めた流域市町村による迅速な水防活動や、緊急放流の通知を受けた市町村長による適切な避難指示、ひいては住民の早期避難行動につながる重要なものと考えております。
流域市町村であり水門管理者でもある射水市に対し、当時の対応を伺った上で、今後県が設置する(仮称)ダム等に関する情報提供のあり方検討会において、ダム下流河川の水位計や監視カメラによる情報提供についても御意見をいただきたいと考えております。
次に、和田川ダムについての御質問にお答えいたします。
先ほどの山崎議員の御質問に対し答弁申し上げた白岩川ダムと同様でございますが、事前放流は、国が一定時間ごとに示す予測降雨量がダムごとに定めた基準降雨量を上回った場合に実施することとしておりますが、今回、和田川ダムにおきましても、予測降雨量が基準降雨量を超えていなかったことから実施しなかったところでございます。
県では、事前放流は治水効果の高いものであると考えており、現在、国において、線状降水帯及び洪水等の予測精度の向上や最新の気象予測技術を活用したダム運用の高度化が進められていることから、その動きを注視しておるところでございます。
県では、今後、当時の気象状況や豪雨への対応を振り返ることとしており、和田川ダムにおける流入や放流の状況、ダムや河川の水位の状況も改めて確認することとしております。この中で、将来の豪雨に備えたダム管理者としての対応についても検討してまいります。
最後に、小規模急傾斜地の御質問についてお答えします。
急傾斜地崩壊対策事業は、急傾斜地の高さが10メートル以上で人家10戸以上ある等の箇所につきましては、国の補助事業で県が事業主体となって整備しております。
また、議員御紹介のとおり、国の補助対象とならないが、高さ5メートル以上で人家5戸以上ある等の箇所につきましては、市町村が事業主体となって県の補助事業で整備しております。また、お尋ねの人家5戸未満でも、要配慮者利用施設や公共性が高い避難所等が含まれる箇所、こういった箇所におきましては、県の補助事業による施設整備を進めておるところでございます。
急傾斜地崩壊のおそれがある土砂災害警戒区域は、県内に2,845か所が指定されております。そのうち人家5戸以上ある等の1,004か所を重点整備箇所と位置づけて施設整備を進めておりますが、その整備率は、昨年度末、令和4年度末時点で39.6%と、まだまだ低い状況にあるところでございます。
このため、現在は施設整備を効果的、重点的に実施する段階にあると考えており、県の補助制度において5戸以上としている人家戸数等の補助要件の緩和は、困難な状況にあるところでございます。
こうしたことから、土砂災害からハード対策だけで貴い人命や財産を守るには限界があると考えておるところでございます。このため、ソフト対策として、土砂災害警戒区域の指定を行い、住民の皆様方に土砂災害警戒情報を随時提供するとともに、市町村が進めるハザードマップの作成を支援するなど、県民の防災意識向上や警戒避難の支援に努めてきたところでございます。
今後とも市町村と協力して、県民の皆さんが安心して暮らせるよう土砂災害対策に取り組んでまいります。
以上です。
96 ◯議長(山本 徹)永森直人議員。
〔27番永森直人議員登壇〕
97 ◯27番(永森直人)最後に、成長戦略と
ウェルビーイングについて伺います。
1点目は、若年女性に焦点を当てた施策についてであります。
若年女性の県外流出について、県のエグゼクティブアドバイザーの天野馨南子さんは、「富山県では専門学校や大学を卒業した女性が就職を機に県外に流出している。これだけ突出して22歳女性が男性より出ていく県はほぼ見かけない。石川と富山くらい」と指摘し、富山県の若年女性流出の状況に警鐘を鳴らしています。
感覚的には、富山には女性の進学先が少ないことから、特に進学を機として若年女性が流出しているという感じを強く持っていましたが、就職を機とした女性の県外流出が富山県や石川県で突出しているというデータは意外であり、純粋に疑問が残りました。
そこで、富山県の若年人口流出において男女差が大きい要因をどのように分析しているのか、また、県内進学女性の県外就職の状況や、県外進学女性のUターン就職率を含め、富山の若年女性の県外流出の状況は全国的に見てどのような状況になっているのか、
川津知事政策局長に伺います。
一方で、就職がきっかけであろうと進学がきっかけであろうと、富山県から若年女性が多く流出している状況は事実です。この現実をしっかり受け止めるとともに、その要因をしっかりと分析する必要があると思います。
昨今、若年女性流出の代表的な要因として挙げられるのが、職場や地域にはびこる女性への差別の問題や、地方の保守的な地域性や家族観であります。翻って富山のことを考えてみると、確かに保守的な考え方や閉鎖性が強い県の一つであることは事実であろうと思います。
一方で、少し前の意識調査ではありますが、県では平成27年に富山県への定着に関する大学生意識調査を行っていますが、その結果によれば、県外に出ている女子大学生のうち54%は「富山県で就職したい」と答えており、「就職地にこだわらない」30%を除けば「県外で就職したい」と答えたのは15.5%にすぎませんでした。
また、富山で就職したい理由を尋ねたところ、複数回答ですが、「家族がいるから」は83%、「富山に愛着があるから」は63.8%と高く、富山県から若年女性が逃げ出しているかのイメージとのずれを感じています。
しかし、ここ数年で若者の意識が大きく変わっている可能性もありますので、現時点での正確な要因分析を改めて行っておく必要があると考えますが、富山県の若年女性に対する意識調査を行い、若年女性の県外流出の実態を正確に捉える必要があると考えますが、
川津知事政策局長に伺います。
若年女性の流出が富山県の人口減少の大きな要因になっていることは事実であり、また、若年女性の流出が富山県の地域性に根差していることを否定しません。また、より女性が活躍できる社会をつくること、職場や地域における女性への差別を解消していくことが重要であり、そうした機運を高める政策意義は大きいと思っています。
一方で、女性活躍についての様々な事業を通じて、若年女性の
ウェルビーイング向上や女性への差別解消に先進的に取り組み始めた県とアピールする狙いが、SNS上などでは狙いとは逆に、全国でも突出して閉鎖的で暮らしにくく、若年女性が逃げ出している県の代表県として喧伝されつつあるような気がしております。
なお、富山県の取組が、某報道機関において次のような見出しで報道されました。「若い女性の県外流出著しい富山、『男性の結婚相手見つからない』…官民で現状打破へ」、こんな見出しでありました。これに対しSNS上では、男性の結婚相手がいないという理由で女性をつなぎ止めようとすること自体が富山の閉鎖性の象徴と、炎上ぎみです。
企業経営者をはじめ県民に意識改革を促す意図は理解しますが、少し刺激が強いような気がしております。現時点においては県の対策が裏目に出ているような気がしてなりません。
こうした状況は、これから進路を決めようとする県内外の若年女性に誇張した悪いメッセージとして伝わり、結果的にさらに若年女性を遠ざけることになるのではないかと危惧していますが、新田知事の認識を伺います。
職場や地域などでの女性への差別が解消され、女性が安心して活躍できる社会をつくっていくことが重要です。しかし、それだけでは女性の県外流出を食い止めることはできないのではないでしょうか。
先ほども引用しましたが、平成27年に県は、富山県への定着に関する大学生意識調査を行っています。この調査によれば、県外進学女性が県外での就職を希望する理由のうち圧倒的に多いのは、富山に希望する仕事、就職先がない、富山には娯楽が少ないとなっていました。こうした若年女性のニーズにしっかり向き合い、選ばれるまちにするための対策をさらに進める必要があると考えます。
同意識調査において、富山に不足している職場として女性で突出していたのは、クリエーティブ産業や一般サービス業でありました。ものづくり県富山においては、どうしても女性が働きたいと考える職場が少なくなりがちなのではないでしょうか。
そこで、現在策定している次期富山県地域未来投資促進計画においては、ものづくり産業だけではなく、まちづくりや観光、ブランディングなど、女性活躍の視点からもより幅広い分野を対象とすべきと考えますが、新田知事にお尋ねします。
若年女性の県外流出の要因として、もう一つ代表的なものは、富山には娯楽が少ないというものでありました。どうしてもコンサートなどのイベントについては都市圏に集中しがちであり、若者がこうした感想を抱くのもやむを得ない部分があります。
一方で、先般のバスケットボールワールドカップなどでの盛り上がりを見ても感じますが、スポーツ観戦は世代を超えて楽しめ、老若男女を問わず熱狂できるすばらしい娯楽であり、それはひいきのチームがあればなおさらです。
では、例えば、県内高校生や大学生が本県のプロスポーツチームの試合を観戦する機会があるかといえば、これは非常に少ないのではないかという気がしています。会場の熱気や一体感を体感してもらうことができれば、富山県の一つの娯楽の形として認知してくれる若者も出てくるのではないかと思いますし、県内プロスポーツチームにとってもファンの裾野を広げるチャンスになります。
県内高校生や大学生に対して、本県プロスポーツチームの試合を観戦する機会を創出してはどうかと考えますが、廣島生活環境文化部長にお尋ねします。
北海道のエスコンフィールド、現在建設中の長崎のスタジアムシティ、近隣では小松においても民間主導のアリーナ構想などがありますが、スポーツや音楽イベントなどを中心に据えたまちづくりを行い都市のブランド価値を高める取組は、全国各地でこれまで以上に活発になってきている気がします。
こうした中で、富山県武道館は武道館機能に特化することとなり、多目的施設としての部分がなくなったわけでありますが、若年女性からは、コンサートなどのできるアリーナへのニーズは依然として高いと言えます。
現在、富山市においても、富山市総合体育館の改修などについての議論がなされていると聞いていますが、同施設を中心とした周辺まちづくり環境の整備などを含めて、県としても積極的に議論に関与して、いわゆるアリーナ的な施設を中心に据えて、若い方に支持されるまちづくりを行うために汗をかいていただきたいと思います。
県として、富山県内におけるアリーナ的機能をどう確保していくのか引き続き検討していく必要があるのではと考えますが、新田知事に伺います。
次に、障害者スポーツの拠点確保について伺います。
富山市水橋の体育館が廃止されることを受けて、車椅子バスケットボールの練習場所など障害者スポーツの拠点がなくなることが明らかとなって以来、何度かこの問題を取り上げさせていただき、6月定例会においては新田知事から、障害者スポーツの拠点整備について県立学校の学校開放を検討する旨答弁がありました。大変歓迎するわけであります。
一方で、改修等の必要があるならば、整備期間は来年度、令和6年度を残すのみとなることから、そろそろ具体的な場所を明確にして、利用者のニーズに寄り添いながらしっかりと準備を進める必要があると考えますが、新田知事の見解を伺います。
最後に、2024年度当初予算編成について伺います。
本年1月に、県では
ウェルビーイング指標を公表しており、この
ウェルビーイング指標を生かした政策形成について、知事は、2024年度当初予算では全ての部門で指標を生かした政策形成をしたいと意欲を示しています。
この秋から本格化する2024年度の予算編成作業に当たり、
ウェルビーイング指標を具体的にどのように用い、新田県政の1期目の任期最後となる予算編成にどのような意欲で臨むのか、新田知事に伺い私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
98 ◯議長(山本 徹)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
99 ◯知事(新田八朗)分割の3回目、まず私からは、若年女性の
ウェルビーイングについての御質問にお答えをします。
人口減少が進んでいるわけでありまして、これが企業の働き手という意味では人手不足、また企業の顧客の減少ということにつながりまして、地域経済への影響は、やはり深刻だと考えています。
特に、この20年来続く若い女性の急激な社会減は、さらにその人口減少を加速させるということにつながります。ですから、若い女性が多様な働きをしながら、この富山県で自分のキャリアを形成できる取組を推進していくことが大切だと考えています。
先月、このような中で企業トップセミナーを開催し、500名を超える方々に参加いただきました。多くの経営者の皆さんとこの危機意識を共有し、若い女性に選ばれる職場環境づくりや企業の魅力発信などに取り組む決意を新たにしたところです。今後とも、意欲ある企業を後押しして、本県の取組を発信していきたいと考えます。
一方で、議員から御指摘いただいたように、SNSではこうした取組の一部を取り上げ、若い女性の流出や本県のイメージ悪化につながるとの投稿も見受けられます。ただ、議員もネット上での議論の盛り上がり方という傾向は御存じのとおりだと思いますが、このような声も実際にあるということは真摯に受け止めなければならないと思っております。
大切なのは、若者を本県にとどめておこうということではなく、県外や海外に出て知見を深めて大きく成長していただきたい、多分この中にもそういう方々がおられると思いますし、私もその一人であります。そして一方で、県の出身者に限らず、より多くの若者に富山で活躍したいと思ってもらえる、そんな富山県にしていくということ、これが大切だというふうに考えています。
富山県成長戦略の基本思想は、出入りの活性化ということであります。出ていかれて知見を広める、さらに成長する、そのようなことは大切なことだと思いますし、一方で、入ってきてもらう、そのネットで入ってきてくれる人が多いほうをもちろん目指しているわけであります。
そんな出入りの活性化を進めることによって、活力ある人が集まる富山県、そして
ウェルビーイングを高める富山県にしていくことで、富山に新しい産業や企業が生まれ、新しい価値も生まれる富山県にしたいと考えております。
ネット上という話を議員がされたので、ネット上のことで言うと、このような
ウェルビーイングに取り組む「幸せ人口1000万~
ウェルビーイング先進地域、富山~」というビジョンは、ネット上で大きく高く評価しておられる方も多いということも、ぜひ申し上げておきたいと思います。
女性が自己実現できる富山県であるために、男女の役割の固定観念、また女性の住みにくさ、生きにくさにつながるアンコンシャス・バイアスを払拭していくことが大切です。具体的な事例とその解消に向けたアクションを広く募集するアンコンシャス・バイアス解消アクションというものを、本年度展開することにしております。一つ一つ潰していきたいと思います。
また、中高生世代を対象とした女性管理職との交流会も実施をしました。また、大学生を対象とした県内企業の情報発信などに取り組むなど、若い女性に選ばれる富山県を目指し、多様な政策を実施してまいります。
特に、先ほどの議員の御指摘でも、富山にはやりたい仕事がない、就きたい職業がないという認識を持たれる方、若い人も多いわけですが、実は、自分の親の会社さえ知らないという若い人も多いわけでありまして、そんな状況で県外にどんどん行かれるということは、とても残念だというふうに思っております。
言わば、まず選択肢の一つとして県内企業も考えていただきたい、そういった土壌をだんだん整えていかなければならないというふうに考えています。そういうことによって、県内企業を知らないまま県外に出ていかれる、そんな不戦敗というような状況はなくしていきたいと考えております。
次に、地域未来投資促進計画についての御質問あるいは御提案についてお答えをしたいと思います。
県では平成29年9月に富山県地域未来投資促進計画を策定しまして、医薬品関連産業や電子デバイス関連産業など、本県の強みであるものづくり産業を中心に7つの分野を設定し、積極的に企業の投資活動を支援してきたところです。
現在、新たな基本計画の策定に向けた作業を行っていますが、その対象については、昨年2月に策定した成長戦略において、新たな製品、サービスの創造や新しい価値観を生み出す地域づくりを進めているということを踏まえて、ものづくり産業に特化するのではなく、デジタル、観光・スポーツ・文化・まちづくり、農林水産業、環境・エネルギーなど、幅広い分野とする方向で市町村と協議を行っています。
こうした分野の拡大を図ることにより、技術革新によってものづくり産業やサービス業のデジタル化やAI化を進める、また観光業の高付加価値化を進める、また脱炭素化の促進などによりまして、対応する様々な企業の投資を呼び込むことができると考えております。御存じのように、国としても、脱炭素化に向けた投資を呼び込むことに巨大なファンドもつくっておられます。このようなものを活用していく受皿をつくっていかなければならないと思います。
さらには、クリエーティブやデザインといった創造的な知的活動を行う人材も呼び込むことで、女性をはじめとした若い世代が活躍できる場の創出にも資するものと考えております。
現行の計画でも、ものづくりイコール女性には働きづらいという、これも固定観念があるのではないかというふうに思っています。実際に、ものづくり産業の経営者の方も、ある会議の場で、うちはものづくりだから女性は……というような発言がありました。こういったことではいけないわけでありまして、デジタル化、AI化を進めることによって、ものづくり産業にも女性が活躍する場は大いにある、またつくり出していく、そのようなことを促していかなければならないと考えておりますので、議員の御質問にあります、また御提案いただいた、この富山県地域未来投資促進計画において幅を広げていくということは、本当に大切な視点だというふうに考えております。
このようなことで、県としては、高い付加価値をつくり出して、地域経済を牽引するような民間事業者の投資を幅広く支援をしていきたいと考えますし、女性が活躍しやすい産業を育成するという観点も踏まえて、次の計画の策定を進めてまいります。
次に、アリーナ的機能の確保についての質問にお答えします。
アリーナ施設については、令和元年8月、健康・スポーツ充実検討会での検討結果として、集客面でのにぎわい創出が限定的な上、当時の試算では150ないし170億円の整備費に加え、毎年の収支差額を多額の税金で補填することは、多くの県民の理解が得られないのではないかとされまして、武道館機能を有する多目的施設を整備することが望ましいと取りまとめられました。
これを受けた県武道館の整備ですが、今般の資材高騰などによりまして建設費の上昇、また建設予定地周辺の環境変化など、情勢の変化を踏まえて基本計画を見直したところです。
見直しの検討に当たっては、富山市において、オーバード・ホールの中ホールが開館し、また富山市総合体育館の改修が計画されているなど、アリーナ機能の向上は一定程度進むことも踏まえて、県武道館の3つのコンセプトであった、武道の振興・競技力の向上、2番目が県民のスポーツ振興・健康増進、3番目がイベント開催による地域活性化──これがアリーナ機能に関わるのだと思いますが、その中から武道競技の振興・競技力の向上に絞り込んだところであります。
こうした経緯や現状を踏まえますと、議員御指摘のコンサートなどのできるアリーナ施設の整備について、現時点で改めて、県において主体的に検討する状況ではなくなっているのではないかと考えております。
近隣の県では、計画の策定や資金調達について、民間が中心となってアリーナ施設の計画が進められている例もあります。行政主導で進められている状況はないと聞いております。また県内において、民間などからアリーナ整備について相談があった場合には、適切に対応してまいりたいと考えます。
次に、障害者スポーツ拠点整備についての御質問にお答えします。
障害者スポーツの活動拠点については、今も利用されておりますが、富山市さんの施設が来年度、令和6年度末で閉鎖されることを踏まえまして、これをどのように確保するかを検討しているところであります。
検討に当たっては、県立学校施設を一般に開放する学校体育施設開放事業の一環として、既に通路やトイレなどバリアフリー対応が一定程度施されていて、車椅子を使用される方々などが利用しやすく、また今後、車椅子スポーツでも利用できる可能性のある体育館を持つ学校を候補に、教育委員会と協議してきたところでございます。
その結果、現在、高志支援学校を、その候補として調整を進めております。先月、車椅子バスケットボール関係者に、実際に高志支援学校の体育館を見ていただき、どのような施設整備や改修が必要かなど意見を伺ったところです。
今後、施設整備や改修に係る経費の積算、利用時間や他の利用団体との調整方法などについて検討を詰めていきたいと考えておりますし、また、高志支援学校の生徒の保護者の皆さんに対しても、詳細を説明し周知を徹底してまいりたいと考えております。
引き続き、同校の保護者、教職員、障害者スポーツ団体、関係部局などと調整を図りながら、できる限り早期に利用開始できるよう準備を進めてまいります。
私からは最後になりますが、
ウェルビーイング指標を用いた予算編成に関する質問にお答えします。
今年度の当初予算には、本年1月に公表した
ウェルビーイング指標を活用して進めていく事業を盛り込んでおりまして、先ほど山崎議員の御質問にもお答えしましたが、現在、30の事業をモデル的に選定し、実施や効果把握の各段階での指標活用の試行を行っているほか、モデル的なテーマを選定し、指標などを活用しながら県庁横断的に政策立案する取組を進めています。
また、県民の
ウェルビーイング向上を図るための方策などについて、年度開始早々に各部局長と意見交換を行いました。各部局の主要な施策をテーマに、ありたい姿や実現したい未来及びそれに向けた現状の課題を共有したところであります。今後、県民の
ウェルビーイングを念頭に置いて政策展開を行っていくんだということを、各部局長と確認し合いました。
そして、今提案しております9月補正予算ですが、その事業の実施により、実現したい未来、そして対象となる県民を明確にした上で、具体的に県民にどのような成果をもたらすことができるかということを議論しております。
例えば、事業者を支援するという政策であっても、その先におられる最終的な受益者である県民の
ウェルビーイングの向上を職員が意識できているかどうか、こういった議論を積み重ねていくことによって、本来あるべき届けるべき、税金を使うべき相手は誰なのか、そのようなことへの思いがより至るようになってきたというふうに思います。
民間では、たとえBトゥーBの企業でも、お取引先の先にある消費者を意識して様々な事業展開をするわけでありますが、我々公務員もそのような視点を常に忘れてはいけないということ、そのようなことで職員の意識も今変わりつつあると考えております。
引き続き職員のさらなる意識向上に努め、来年度予算編成では、ターゲットとする県民により届く政策形成ができるように、そして幸せを実感できる富山県を将来世代にしっかりと残して引き継いでいく、このような気概を持って取り組んでまいりたいと思います。
私からは以上です。
100 ◯議長(山本 徹)
川津知事政策局長。
〔川津鉄三知事政策局長登壇〕
101 ◯知事政策局長(川津鉄三)私からは、2問お答えさせていただきます。
まず、若年人口流出についての御質問にお答えいたします。
この春に県内大学を卒業して県内企業に就職された学生は46%で、女性に限ると52.2%でありました。また、令和3年に商工労働部が実施しましたアンケート調査によれば、県外の大学等に進学され県内企業に就職された学生は57.9%で、男女別の女性に限りますと57.2%と、ほぼ同じような状況になっておりました。
20代前半は、大学や短大の卒業期で、新規に就職した勤務地の役所に住民票を提出する時期でありまして、学生時代に住民票を移さずに県内から県外へ転出される方がいらっしゃる一方、本県には、ものづくり企業を中心に、全国規模、世界的に有名な企業もありますし、そういった事業所が多数所在することから、就職に際して他県から本県に転入される方も相当数いらっしゃるものと考えております。
こうした様々な移動の結果を示す統計といたしまして、住民基本台帳人口移動報告があるわけなんですが、こちらの統計の令和4年度の本県の20歳から24歳の社会動態について見ますと、男性が190人の転出超過、女性につきましては690人、男性の3.6倍の転出超過という状況にありまして、全国的にも突出した状況となっております。
具体的に見ますと、令和4年度のこの調査で比較しますと、女性の流出割合が高かったのは、栃木県が5.1倍という状況でしたが、本県はそれに次ぐ状況でした。それから、近県の石川県を見ますと0.9倍、福井県は1.6倍、隣の新潟県は1.2倍といった状況になっておりました。
また、この若年女性の転出超過の傾向は20年以上一貫しておりまして、その結果、本県の階層別人口、いわゆる人口ピラミッドとして表されておりますけど、その中の20歳から34歳の年齢層は、男性の6万8,000人に対しまして女性が5万9,000人ということで、男性に比べて女性が約9,000人少ない状況となっておりまして、この男女差が人口減少の主要因の一つであると認識しておる状況であります。
まず1問目は以上です。
次に、若年女性の意識についての御質問にお答えいたします。
議員から御紹介いただきましたように、県が平成27年に就職活動前の大学3年生を対象に行った意識調査によりますと、県外大学に進学した女性の54%が富山県を就職先として希望しておりまして、その理由は確かに、「家族がいる」「富山県に愛着がある」「給料と生活費を考えた」「富山県は暮らしやすい」といったような順番でありました。
この調査に加えまして、令和4年には県外大学等の卒業生を対象とした調査も行っておりまして、これを見ますと、実際にUターン就職した女性にその理由も聞いておるところであります。そちらの内容を見ますと、多い順番ですけど、「家族がいるから」「友人がいるから」、それから「経済的に楽だから」「愛着がある」という順番でありました。
一方で、Uターン就職をしなかった女性に理由も聞いておりまして、そちらのほうもまた同じように多い順番でいきますと、「現在の居住地のほうがプライベートで刺激が得られるから」「富山県内に志望する業種がない」「買物や交通などの日常生活が不便だから」「県内に志望する職種がない」といった順番になっておりました。
このように、Uターン就職をした女性は、地縁、血縁や経済的メリット等を重視しておられるというふうに見えますが、Uターン就職をされなかった女性は、プライベートに加えて、志望する業種や職種を求められた結果というようなものだと認識しております。
先ほど知事からも答弁がありましたように、本県出身者に限らず、より多くの若者が富山で活躍したいと思っていただけるようにすることが重要であると考えておりますので、このため、今後とも大学生を対象に、県の様々な情報に加えまして県内企業の情報発信に取り組むほか、県外大学との就職協定に基づく各種イベントを開催するなどして、県内外の若い女性に選ばれる富山県を目指して多様な施策を推進していきたいと考えております。
私からは以上でございます。
102 ◯議長(山本 徹)廣島生活環境文化部長。
〔廣島伸一生活環境文化部長登壇〕
103 ◯生活環境文化部長(廣島伸一)私からは、高校生や大学生のプロチームの試合観戦に関する御質問にお答えをいたします。
県では、これまで多くの県民の方にプロスポーツチームに関心を持っていただき試合観戦いただけるよう、各チームに対しまして、ホームゲームに併せて選手と県民が触れ合うイベントの開催、試合の告知PR、シャトルバスの借り上げに係る経費などを支援してきております。
また、各チームにおかれましても、市町村デーや県民デーを設け、無料招待や割引チケットを販売するなど様々な企画を行っていますほか、高校生以下の方々に対して割安な料金を設定するなど、来場者数の増加に向けて取り組まれております。
県のスポーツプランにおきましては、県民がそれぞれの興味・関心、ライフステージに応じて、スポーツを「する・みる・ささえる」活動に参画することを施策の目標に掲げております。
議員から御提案いただきました高校生や大学生が試合を観戦すること、こちらのほうは、一人一人の「みる」活動であると同時に、スポーツチームを「ささえる」活動にもなる、また各チームにとってもファン層の裾野の拡大につながりまして、ひいては地域活性化に資する有意義なものと考えます。
プロスポーツのスタッフの中でも、御提案の若い年齢層の観戦者を増やしたいという積極的な御意見もいただいております。今後、その方策につきまして各チームと知恵を出し合って検討し、そうしたことを通じまして、地元チームを応援するマインドの醸成、地域活性化、そして県民一人一人の
ウェルビーイングの向上に取り組んでまいります。
以上でございます。
104 ◯議長(山本 徹)以上で永森直人議員の質問は終了しました。
以上をもって本日の一般質問、質疑を終了いたします。
次にお諮りいたします。
議案調査のため、明9月15日は休会といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
105 ◯議長(山本 徹)御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
以上で本日の日程は終了いたしました。
次回の本会議は9月19日に再開し、各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後4時05分散会
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