富山県議会 2023-06-01
令和5年6月定例会 一般質問
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午前10時00分開議
◯議長(山本 徹君)おはようございます。
ただいまから本日の会議を開き、直ちに日程に入ります。
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県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑
2 ◯議長(山本 徹君)日程第1、県政一般に対する質問並びに議案第71号から議案第77号まで及び報告第5号から報告第14号までを議題といたします。
これより各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行います。
通告がありますので、順次発言を許します。
安達孝彦君。
〔15番安達孝彦君登壇〕
3 ◯15番(安達孝彦君)おはようございます。
県議会改選後初となる令和5年6月定例会。その本会議の
一般質問トップバッターを務めさせていただくことになりました
自由民主党富山県議会議員会の安達でございます。2期生の中でも一番影が薄いということで、このような機会をいただいたものだと思っております。先輩、同僚各位に感謝をしながら、また、今回負託をいただいた県民の皆様の期待に応えられるよう努めてまいりたいと思います。
まず初めに、富山県武道館についてお伺いいたします。
富山県武道館については、一昨日の代表質問でも取り上げられていましたが、基本計画を見直し武道館に特化するという方向で、現在、有識者による検討委員会で建設場所や規模などについて検討がなされているところであります。
一方で、過去の議論では多目的機能を有しているということもあり、必ずしも
武道ファーストではなかったと思われます。今回武道に特化するという形であれば、いま一度、利用者が使いやすい施設となるよう、武道関係者からしっかりと意見を聞く必要があると思います。
今後どのような形で意見を聞き集約を図っていくのか、県としてどのような観点で議論を進めていくのか、また、意見の分かれている場所についてどのようなことを考慮して決めていくのか、今後の開館までのスケジュールと併せて廣島
生活環境文化部長にお伺いをいたします。
これまで武道館については、多目的機能を持つ武道館として基本設計まで終わっています。今回これを見直して新たに武道館に特化したものにするとなると、新たに基本設計をし直さなければならないと考えます。
これは、今後、テクノドームにおいても言えることですが、基本計画策定や基本設計、
民間活力導入可能性調査についても、ただでできるわけではありません。これまで長い期間と労力を要してきましたし、恐らく多額の費用もかかったことだと思います。
これまでどれだけの予算をかけてきたのか、また、今後見直すというのであれば、それと同じような予算がさらに必要となってくるのではないか、廣島
生活環境文化部長にお伺いをいたします。
次に、新田知事は、富山県武道館に民間活力を導入し、民間の柔軟な発想や創意工夫、専門的ノウハウを活用し、事業費の圧縮、稼働率やサービスの向上を目指すとおっしゃってきました。
しかしそれは、大規模大会やコンサート、
スポーツイベントなどを誘致、開催することにより収益力を向上させ、行政の負担軽減の実現を目指すということだと考えておりますが、今回の計画変更により武道に特化し規模も縮小するということになれば、これまで想定されていた収益も見込むことができなくなり、その効果も極めて限定的になることが予想されますが、そのことについてどのように認識をしているのか、新田知事の御所見をお伺いいたします。
また、この
武道館計画そのもののスタートは、平成28年策定の富山県経済・
文化長期ビジョンや平成30年策定の総合計画──元気とやま創造計画策定の議論の中で、大規模コンサートが開催できる
全天候型多目的スポーツ施設の整備を求める声が非常に強かったからだと認識をしております。その声を受けて県が実施した県民意識調査では、約2割の方が、このような施設がぜひ必要、約5割の方が、必要だが県の財政状況を考慮した上で検討を進めるべきと答え、条件付きではありますが約7割の県民がこれに賛同する結果となり、検討が本格的に開始されました。
具体的には、本県には県民が利用する文化・スポーツ施設は多数存在することから、それらとはすみ分けを図りつつ、県内外から集客できるスポーツ、文化、
エンターテインメント等を誘致できる大規模施設の整備をすることにより、都市間競争を勝ち抜き本県地域経済の振興を図る。また、若者から特に要望が強いことから魅力創出による人口流出の抑制を目的にした議論が進みました。
当初2万人規模のスタジアムから、1万人、8,000人、5,000人のアリーナ、3,000人、1,000人収容の武道館が検討され、その中でも8,000人規模のアリーナ建設が議論の軸として進みましたが、様々な検討の結果、そのような大規模アリーナでは、財政上また
ランニングコストの面でもハードルが高く難しいとされ、このアリーナ構想と老朽化した武道館の折衷案として3,000人収容の多目的機能を持つ武道館という結論に至ったと認識をしております。
しかし、今回の基本計画変更により、武道館に特化したものとなる見通しとなりました。私は、これ自体に反対するものではありませんが、それでは、当初この議論の始まり、発端であったアリーナ構想や、またこれまで県が折衷案として示していた多目的施設、それらの整備に期待をされていた県内外からの誘客、地域の活性化やにぎわいの創出、ひいては本県の魅力向上をどのように図っていくのか。本来、これこそ関係人口の拡大とウェルビーイングの向上に直接的につながる事業であったと考えますが、どのように考えているのか新田知事にお伺いをいたします。
現在、検討委員会では、現計画地のほかに富山市五福地内と
県総合運動公園内が候補地として挙がっており、現計画地である富山駅周辺を推す声はないと聞いています。そうしたことから、駅周辺に建設の可能性は極めて低いと考えていますが、仮にそのようになれば、駅周辺の活性化や中心市街地の活性化、にぎわいづくりについて県としてどのように考えているのか。
来春には北陸新幹線も、金沢開業に続く第二の開業と位置づける敦賀開業が迫っていますし、あと10年程度で大阪までの全線開業に向けても沿線各県で努力をしているところであります。今後、富山が素通りされる駅とならないためにも、ハード、ソフト両面から様々な手を打っていかなければいけないと考えます。
例えば、旧NHK跡地や県庁前公園などについても、今後有効活用することが大変重要だと考えますし、もっと言えば、県庁の本館についても、建設から88年がたち老朽化が進み、県職員の皆さんの職場環境としても劣悪であり、新県庁舎建設と現庁舎の利活用についても中長期的には検討を進めるべきだと思います。
いずれにしても、スピード感を持って検討を進めるべきと考えますが、今後どのような方向性でどのように考えているのか、
南里経営管理部長に御所見をお伺いいたします。
次に、
高岡テクノドームについてお伺いいたします。
私は、今からちょうど3年前、令和2年の6月議会において、当時の石井知事に対し、PFI方式で
高岡テクノドーム別館を建設し、5Gを駆使しVRやAR技術を活用し、体験型のミュージアムや博物館、4Kや8K技術を活用した空中散歩、
タイムスリップ体験等、世界の最先端を行く施設を併設してはと提案いたしました。
当時の石井知事からは、
地方創生拠点整備交付金や有利な地方債を使えば県財政への影響も軽減される、一方で、PFI方式を採用するとなるといろんな手続で非常に時間を取られてしまいタイミングを失ってしまうこともあり、PFI方式は検討したけれども採用はしないと、一方で今ほど議員から御提案のあった未来技術を使うということについても念頭に置いて、御意見を十分に踏まえた上で、10年や20年たっても、あのときなかなかいいものを造ったなという評価をいただけるよう努力をしてまいりたいとの答弁をいただきました。
私は、これまでその言葉を信じて、
テクノドーム別館の建設について期待を持って待っていました。また、地元高岡などの強い要望もあり、予算を大幅に積み増してでも建設することはやむなしと考えていましたが、今回の入札に応札者がなく入札中止となったことは大変残念であり、これで当初目標としていた
北陸新幹線敦賀開業に併せてということも絶望的となりました。今回の入札について、予算を大幅に上積みしたにもかかわらず中止となったことは、見積りが甘かったと言わざるを得ません。
先日、我が会派の宮本幹事長の代表質問の答弁で知事は、今回、意匠性の高い屋根を支える鉄骨の加工の難易度が高く、施工の確実性に課題があることが判明したとおっしゃっていましたが、これは本来、事前に把握し、それを含めた予定価格、見積りを出すのが積算のプロである土木部営繕課の役目ではないでしょうか。
このような事態となったことを県としてどのように受け止めているのか、その原因の分析はどうなっているのか、市井土木部長の御所見をお伺いいたします。
次に、実施設計の変更となれば、さらに二、三年建設が遅れることが予想されます。そうなれば、敦賀開業からもそれぐらい遅くなることとなります。
当初、この施設建設の話が持ち上がったときは、
北陸新幹線敦賀開業の効果を県西部地域にもたらし、地域の活性化につなげようと進められてきた計画でありました。これが数年遅れるということになれば、既に1年を切っている敦賀開業によるビジネスや観光需要拡大の効果を、どのように県西部地域に波及させ活性化を図っていくのか。来年秋にはJR各社による
北陸デスティネーションキャンペーンも開始されます。どのように対策を講じていくのか、横田副知事に御所見をお伺いいたします。
さきの石井知事は、今回の大型施設の整備にはスピード感が大事だとおっしゃっていました。
一方で新田知事は、知事選において武道館やテクノドームの建設の見直しを公約に掲げ、実際就任後はコロナ禍の厳しい財政状況ということもあり、精査するということで約1年間棚上げにされました。その後、民間活力の導入、いわゆるPFI方式の採用を打ち出されました。
新田知事におかれては、多少完成時期が遅くなっても財政負担の軽減を図るため、
民間活力導入可能性調査を実施されたのだと思いますが、その間にどんどん資材やエネルギー、労務単価が高騰し、結果として知事の判断による
建設スケジュールの遅れが、武道館で1.3倍、テクノドームで約2倍に事業費が膨れ上がった原因にもなったと考えられます。このことについてどのように捉えているのか。
当初のスケジュールであれば、テクノドームも武道館も既に完成し、知事が今年の春と夏に華々しくテープカットをされていたところであります。しかし、現状はどちらもいまだ着工すらせず、大変混迷を極めています。
また、これは武道館に特に言えることですが、これまで何年にもわたって、議会でも検討委員会でも、繰り返し繰り返し議論をされてきました。あの議論は何だったのか。また、これまで要した多額の費用等についても何だったのか。スピード感と民間の経営感覚をうたって知事となられた新田知事は、この現状についてどのように認識をし捉えているのか、知事の御所見をお伺いいたします。
最後に、今回のテクノドームの一件を見ていると、県の公共事業全般における積算、これがしっかりとなされているのかが大変心配になってきます。現に昨年、県の積算が実態とかけ離れている、価格反映のスピードが遅く実勢価格のペースに全然ついてこれていないという、悲鳴にも似た声が至るところで聞かれました。
現在、一部に落ち着きが見られるものもあるようですが、生コン価格や労務単価などはいまだに上昇を続けており、もっともっとスピード感を持って、県の公共事業全般において市場価格を適切に把握して設計、積算へ反映させる必要があると考えます。市井土木部長の御所見をお伺いして問いの1の質問を終わります。
4 ◯議長(山本 徹君)新田知事。
〔知事新田八朗君登壇〕
5 ◯知事(新田八朗君)安達孝彦議員の御質問にお答えをします。
まず、富山県武道館についての御質問にお答えします。
富山県武道館の整備手法につきましては、おさらいになりますが、令和3年度において
民間活力導入可能性調査を行い、その結果を踏まえて、導入方式として実施設計からのPFI─BTO方式を選定していたところです。
今回、基本計画を見直すこととしましたことから、令和9年度中の開館を目指す場合、設計、建設段階からのPFI手法の導入は、PFI法に基づく事業者の選定手続に、他県などの先行事例では約2年間を要することからスケジュール面で困難と見込んでおります。
一方、施設の運営に当たっては、利用者のニーズに対応した質の高いサービスの提供や経費の縮減の観点が必要であり、民間のノウハウを生かしていくことも必要ではないかと考えておりますが、どのような管理運営手法が効率的、効果的かは、よく検討してまいりたいと思います。
次に、富山県武道館の機能についての御質問にお答えします。
富山県武道館の第2回
見直し検討委員会では、見直しの方向性として、基本計画にある3つの施設のコンセプトについて、武道館競技の振興・競技力向上に寄与する施設に絞り込み、県民のスポーツ振興・健康増進に寄与すること、また、魅力あるイベントによる地域活性化、防災力の向上に寄与することなど、いわゆる多目的機能は取りやめる案を提示し、おおむね理解を得たところです。
多目的機能につきましては、具体的には一般の方々の
トレーニング利用、あるいはバレーボールなどほかの競技での利用、さらにコンサートの開催などによる地域活性化の機能、また防災備蓄倉庫や災害時の緊急避難場所としての活用など防災力向上の機能を考えておりました。
基本計画策定後、富山駅前近辺では民間のフィットネスクラブが複数立地をしておりますし、またオーバード・ホールの中ホールが来月開館するなど、地域活性化の機能向上は一定程度進んでいるものと考えております。
また、防災力向上につきましてですが、現計画地で想定される浸水の深さは、おおむね1000年の確率で最大3.0から5.0メートルとされているため、主道場とその観客席は高さ5メートル超とすることで、当該地域の緊急避難場所として活用できると想定をしておりました。
しかし、日頃から本県と県庁所在地である富山市とは、施設整備などを含めて様々な件について情報交換、また情報共有をしております。今回、この避難場所のことについても富山市と意見交換をしたところ、富山市からは、今回の見直しによって仮に整備地が変更になったとしても、市の防災機能が著しく低下することはないという所見を伺っているところであります。
なお、地域防災力の向上は、これは引き続き重要な課題でもありますことから、市とは引き続き連携を密にして対応してまいります。
私からは、最後になりますが、大型施設整備における事業費の増加についての御質問にお答えをいたします。
公共施設の整備、運営に当たっては、民間事業者の経営能力や技術などを効果的に活用することは
地域経済活性化などの観点から有効であることから、新たな大型の施設整備については、平成29年の4月1日に施行された富山県PPP/
PFI手法導入優先的検討規程に基づきまして、民間活力の導入可能性を検討することにしております。
県武道館と
高岡テクノドーム別館についても、
民間活力導入可能性調査として、民間事業者、関係団体に対するヒアリングなどを実施したほか、とやま
地域プラットフォームでの対話なども行った結果、従来の整備手法に比べて7か月程度プラスに要したものの、PFI方式をはじめとした公民連携手法による整備、運営への前向きな意見や、地域づくり、エリアの価値を高める取組に関する提言があるなど、民間事業者から様々な知見が得られました。
民間活力導入の目的としては、もちろん財政的にコストを圧縮することが一つありますが、もう一つはやっぱり民間の様々なノウハウや知見を導入する、この2つの目的があろうかというふうに私どもは考えております。
一方で、昨年来のウクライナ侵攻、あるいは大阪万博の工事の加速化など、社会経済情勢の変化によって資材及び人件費が高騰し、事業費の増加が見込まれる結果となっております。
私としましては、民間活力の導入により、県民から必要とされ、関係者が主体的に活用を推進していただける施設となることが大切だと考えており、今後40年、50年と使用される施設であることを考えると、その機能や利用可能性について、関係者の御意見あるいは県議会での議論を丁寧にお聞きし、十分な検討を行うことは必要だと考えております。
私からは以上です。
6 ◯議長(山本 徹君)横田副知事。
〔副知事横田美香君登壇〕
7 ◯副知事(横田美香君)私からは、県西部地域の活性化についての御質問にお答えいたします。
県西部地域は、アルミなど、
ものづくり企業をはじめとした高い産業集積、歴史文化遺産や豊かな自然など、多様で厚みのある様々な資源を有しています。県ではこうした資源を最大限生かして、ビジネスや観光需要の取り込みを進めているところでございます。
産業面では、高岡市と砺波市において、半導体関連企業による大規模な工場建設が着実に進んでいるほか、射水市においても、本年4月から新たな企業団地の分譲が開始されたところです。県としても、本年8月には東京で、10月には大阪で
企業立地セミナーの開催を予定しているなど、引き続き企業誘致に取り組むこととしています。
また、まちづくりにおいては、
認定中心市街地支援事業などにより、商店街などにおけるにぎわい創出に資する取組をハード、ソフト両面から支援しています。
また、観光面では、世界遺産バスなど二次交通の運行や雨晴駅の景観整備などへの支援のほか、県西部の観光資源を生かした大阪駅での映像放映など積極的にPRに取り組んでいます。秋には、
北陸デスティネーションキャンペーン全国宣伝販売促進会議で全国へその魅力を発信するとともに、さらなる資源の磨き上げや旅行商品造成を支援してまいります。
県西部地域の活性化が図られるよう、こうした施策を関係市とワンチームとなって着実に進めるとともに、
高岡テクノドーム別館については、関係6市や経済界の皆さんが主体的に活用いただける施設となるよう、引き続き取り組んでまいります。
以上です。
8 ◯議長(山本 徹君)廣島
生活環境文化部長。
〔
生活環境文化部長廣島伸一君登壇〕
9
◯生活環境文化部長(廣島伸一君)県武道館に関します2つの質問のうち、まず見直しの議論の観点などに関する質問にお答えをいたします。
県武道館の整備につきましては、委員からも御紹介等ございましたが、2月議会での議論などを踏まえ、その整備方針を再検討するため、4月に基本計画の
見直し検討委員会を設置しました。
1回目の会議におきましては、高騰した整備費の削減、
整備予定地周辺における環境の変化、これらを踏まえて、施設のコンセプト及び機能や規模についてどう見直すべきかを議論のポイントとして県からお示しし、委員から御意見を伺いました。
今月1日の2回目の検討委員会では、1回目の会議での意見を踏まえ、県から見直しの方向性の案として、施設のコンセプトは、武道競技の振興、競技力向上に寄与する施設とすることのみに絞ることとして、機能や規模につきましては、本県の武道の拠点となる施設として公式大会が開催可能なものとすること、また、現計画地における見直し後の整備費の試算を踏まえまして、さらなる整備費の削減を図るため、新たな候補地として五福公園と
県総合運動公園の2か所を提示したところでございます。
今後、2回目の検討委員会で各委員からいただいた意見──この中には武道館等の利用者の御意見もちゃんと聞いてほしいというような意見もございました。また、本議会における議論を踏まえまして、武道関係者、利用者、また近隣住民の方々などから聞き取りを行うなど御意見をよくお聞きした上で、夏頃をめどに基本計画の改定案を取りまとめ、目標としてまいりました令和9年度中の開館を目指し、取り組んでまいりたいと考えております。
次に、県武道館に係りますこれまでの経費に関しての質問にお答えをいたします。
まず、県武道館整備に関するこれまでの経緯の説明になりますけども、平成30年度に設置いたしました健康・
スポーツ環境充実検討会において、
全天候型体育文化施設の整備の在り方に関して御議論をいただき、令和元年8月に武道館機能を有する多目的施設を整備することが望ましいと報告をいただきました。
この報告を受けまして施設整備の検討を開始し、令和元年11月から令和2年4月にかけまして、武道館機能を有する多
目的施設整備基本計画検討委員会におきまして施設の基本計画を検討いただき、この基本計画に基づきまして令和2年度に基本設計を行いました。その後、令和3年度は
民間活力導入可能性調査を、令和4年度は
PFI事業者選定業務などを実施してきたところでございます。
こうした諸会議の開催、また設計、調査などに要した経費は、平成30年度から令和4年度までの間で合計1億4,640万円となっているところでございます。
以上でございます。
10 ◯議長(山本 徹君)
南里経営管理部長。
〔
経営管理部長南里明日香君登壇〕
11
◯経営管理部長(南里明日香君)私からは、県有地等の有効活用の検討についての御質問にお答えいたします。
富山駅は、新幹線をはじめとする交通機関の結節点であり、その周辺では文化施設等の集積が進み、連続立体交差事業とそれに伴う道路の新設や拡幅、路面電車の南北接続、環水公園等のにぎわい創出など、当該エリアの活性化に県と市が連携して取り組んでまいりました。
加えて、富山駅から富山市の町なかに至る動線上にある県庁前公園、県庁本庁舎、さらに今後取得が予定されているNHK跡地など、議員御指摘の場所は、将来の有効活用について様々な可能性を検討することが必要と考えております。
そのため県では、今年度、県庁周辺の県有地の効果的な活用方策について、組織横断の庁内プロジェクトチームを新たに設置し、様々な観点から検討を行うとともに、まちの活性化にも資する有効な活用方策についての調査を行うこととしているところでございます。
県民の利便性向上や県庁周辺のエリアの活性化に向けて、プロジェクトチームでの議論を深めるとともに、富山市をはじめとする関係機関や専門家等とも相談、連携して検討を進めてまいります。
12 ◯議長(山本 徹君)市井土木部長。
〔土木部長市井昌彦君登壇〕
13 ◯土木部長(市井昌彦君)私にいただきました2問のうち、まず
高岡テクノドーム別館の入札中止についての御質問にお答えします。
高岡テクノドーム別館(仮称)工事は、令和5年3月20日に入札を行う旨の公告を行いましたが、応札者がなく入札中止となりました。お尋ねの受け止めとしましては、誠に残念な結果となったと思っております。
基本計画から基本設計を経て実施設計へと精度を上げる過程の中で、資材や労務の高騰などを反映した予算を昨年11月議会で上程し、議決をいただいたところでございます。その上で、直近の状況を踏まえ、適切な積算に基づき施工費を積み上げ入札に付したものであり、応札いただけるものと考えておりました。
入札中止となった原因につきましては、いろいろな原因が想定され、入札を御検討いただいた全ての企業の御事情を把握しているわけではございませんので全容は分かりませんが、入札参加の確認を申請し、その後辞退された企業に聞き取りを行いましたところ、屋根を支える鉄骨の加工の難易度を踏まえ、施工の確実性を求め工事費を積み上げた結果、採算が合わなくなったと伺ったところでございます。
このことについては、聞き取り先の企業の事情として伺ったもので、一般論で申し上げますと、屋根の鉄骨確保だけでなく、ほかの資材や労務費の上昇等も含めた採算性、手持ち工事の状況や技術者確保の困難など、おのおのの企業がそれぞれの経営判断として入札されなかったものと受け止めざるを得ないと考えておるところでございます。
次に、公共工事の設計単価についての御質問にお答えします。
工事発注の際に用いる設計単価のうち、資材単価につきましては、毎月価格調査を実施し、その調査結果を踏まえて単価を定めており、昨年度は主要な資材の多くで単価の見直しを行いました。例えば、鋼板やアスファルト合材の令和5年4月の単価は、1年前の令和4年4月と比較して、前者は22%、後者は13%、それぞれ単価が上昇しておるところでございます。
また、労務単価につきましては、国が実施する公共工事労務費調査に基づき毎年1回改定しており、今年度は主要12職種平均で11年連続の上昇となる約6%の引上げとなったところでございます。
一方、工事契約後の工事材料の価格の急激な変動に対しましては、スライド条項を設けて対応しております。このうち、主要品目の急騰に対する単品スライドでは、受注者の購入価格が適当と認められる場合に、その購入価格を用いての変更が可能となるよう、昨今の状況を踏まえ、昨年10月に運用ルールの改定を行ったところでございます。
また、賃金水準の変更に対するインフレスライドにつきましても、物価水準の変更があれば複数回であっても適用できるよう、本年3月に運用ルールを改定し、適用範囲の拡大を行ったところでございます。
今後とも、公共工事の品質の確保が図られるよう、発注に当たりましては、建設資材の需給や価格の動向を注視し最新の実勢価格を反映するとともに、発注後におきましても、受注者と協議の上、その後の事情も踏まえた適切な工事価格の変更を行うなど、適宜適切な設計積算に努めてまいります。
以上です。
14 ◯議長(山本 徹君)安達孝彦君。
〔15番安達孝彦君登壇〕
15 ◯15番(安達孝彦君)次に問2、広域観光の推進について3問お伺いをいたします。
まず1点目は、いよいよ新型コロナウイルス感染症も5類となり、コロナ前の日常に近づいていることを日に日に感じています。私の地元南砺市においても、ゴールデンウイーク期間中は大勢の観光客の方が訪れ、福野夜高祭や城端の曳山祭も4年ぶりに通常開催となり、それぞれ約6万人の方が訪れられましたし、世界遺産の五箇山ではインバウンド、とりわけ欧米の方がたくさん来られ、コロナ前のようなにぎわいとなっています。
これからは、この観光業やインバウンドに経済立て直しの牽引役としての期待が高まっていますし、これからより一層、地域間競争も激しくなることが予想されます。
そこで、今後の鍵となってくるのは広域観光の推進であるということは、皆さんよく認識されているところだと思います。本県においては、金沢や石川県と一体的にPRすることももちろん重要ですし、
北陸新幹線敦賀開業を考えたとき、福井も巻き込んだ宣伝活動をすることも大切であり、このたび大阪駅近くに北陸3県合同の情報発信拠点が設置されることとなりました。
この動き自体は大変歓迎するものでありますが、富山県に一番近く、一番大きな観光地は飛騨高山であることを忘れてはならないと思うのであります。
高山市は、年間約450万人の観光客を数えます。一言で450万人と言ってもぴんとこないかもしれませんので例を挙げますと、本県の代表的な観光地である立山黒部アルペンルートと黒部峡谷と海王丸パークと五箇山を訪れる観光客を全部足しても、高山には勝てないのであります。さらに、高山は外国人観光客だけでも年間約60万人、また飛騨地方には年間約200万人を数える世界遺産の白川郷もあり、国内有数の観光地を有しています。
また、この地域には、ユネスコの無形文化遺産に指定された高山祭、飛騨古川祭もあり、本県の高岡御車山祭や城端曳山祭、魚津のたてもん祭りなどと連携し誘客を進めることも有効かと思われます。
そうした飛騨地域の経済圏、生活圏は富山と言っても過言ではなく、この地域と連携を強めるメリットは大きく、一体的な広域観光圏の形成に向けた取組をさらに強めていくべきだと考えますが、新田知事の御所見をお伺いいたします。
さらに、この飛騨地方から一番近い新幹線駅は富山駅や新高岡駅であり、一番近い空港は富山空港であります。本来であれば玄関口となってもおかしくないはずですが、残念ながら富山経由の飛騨地域への観光客はごく僅かであり、コロナ前の調査ですが、実に93%の方が北陸新幹線以外の方法で高山を訪れているとのアンケート結果も出ています。
また、富山まで来ても、高山へ乗換えなしで行ける電車は現在1日に4本しか運行していません。これではせっかくの立地も生かすことができません。
公共交通機関の広域的な利用拡大を一層進めるべきだと思いますし、まずJR西日本には、高山線の特急ひだの運行本数の増便を求める。「富山きときと空港」の名称を「富山高山空港」または「富山飛騨空港」に変更する。旅行会社をはじめマスメディア、インフルエンサーなどに、富山と飛騨高山を一体としてPRする。新幹線で東京から名古屋へ向かうと富士山が見えますが、これも大変大きなポイントではありますが、富山からは富士山に劣らない立山連峰が見えます。また、日本海も見えますし、高山にはないおいしい海鮮もあります。
ぜひともここは行政の垣根を取り払い、広域圏を意識した思い切った施策を打ち出し、様々な媒体を活用し富山と高山や飛騨地方の近さを周知させていくことにより、本県にとってもとても大きなプラスになると考えますが、田中交通政策局長に御所見をお伺いいたします。
また、飛騨高山を訪れる方で最も多いのが車利用であります。本県から飛騨地方へ抜ける主な自動車ルートとしては、富山市から国道41号線、県西部から国道156号線とそれに並行する東海北陸自動車道があります。
このうち国道41号線については、バイパス道路として富山高山連絡道路が建設中であり、一部供用開始されていますが、それは県内での話であり、岐阜県では、残念ながら一部を除けばほとんど事業化されていないというのが実情であります。富山県側がどれだけ道路がよくなっても岐阜県側が悪いままだと、その事業効果は限定的になると言わざるを得ません。岐阜県側にも強く働きかけを行うべきだと考えます。
また、東海北陸自動車道についても4車線化に向けての県内区間は全て事業化が決定しており、南砺市内の至るところで建設工事が行われています。一方で、最大の難所であり、国内3位の長さを誇る飛騨トンネルを擁する白川郷─飛騨清見インターがまだ事業化されていません。
全線4車線化により利便性、快適性、安全性などの向上を図ることは、観光客のためだけではなく物流や関係人口の拡大を大きくします。そうした観点から、一日も早い事業化、事業着手を国へさらに強く働きかけるべきだと考えますが、市井土木部長の御所見をお伺いして質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
16 ◯議長(山本 徹君)新田知事。
〔知事新田八朗君登壇〕
17 ◯知事(新田八朗君)2問目、私からは広域観光の推進についての御質問にお答えをいたします。
北陸の十字路というとてもよい立地にある本県にとりまして、観光面において広域で連携した取組が効果的だと考えます。まさに委員御指摘のとおり、経済、文化的な結びつきが強く、共に世界遺産を有し、多くの観光客が訪れる飛騨高山地域との連携も大切だと考えております。
このため、岐阜県としばらくバイの懇談会が途切れておりましたが、古田知事との懇談会を再開いたしまして、様々なことを話し合い、そして取り組み始めているところでございます。
国内向けには、首都圏や九州での共同のPRを昨年来行っております。それから、両県を周遊する旅行商品の造成や高速道路の乗り放題プランを活用しまして周遊観光の促進を行っております。また、海外向けには、現地商談会の開催やメディアインフルエンサーの招聘、SNSを活用した情報発信などに連携して取り組んでいます。また、高岡駅、新高岡駅と五箇山、白川郷をつなぐ世界遺産バスを運行支援するなど、二次交通の充実にも取り組んでおります。
さらに、今年度はJRさんと連携し、飛騨高山の玄関口である富山駅、世界遺産五箇山・白川郷や能登半島への玄関口である新高岡駅など、本県が北陸の十字路という立地にある強みを生かした新たな旅行商品の造成に取り組むこととし、調整を始めたところでございます。
また、観光とも大きな関係がありますが、東海北陸自動車道は、富山県部分は既に全て4車線化に着手しているところでございますが、まだ岐阜県部分では議員御指摘のトンネルなどがございます。ここにおいて、国交省に対しまして先般、古田知事、また白川村長、そして高山市長と共に要望活動を行ってきたことなど、連携を深めているところであります。
また、富山、岐阜、石川も交えて3県のほかに、飛越能エリアの14市、商工会議所・商工会では飛越能経済観光都市懇談会という組織をつくっておりまして、これまでも広域で連携した取組を行ってきたところです。また、伝統工芸やものづくり産業が盛んな南砺市をはじめ、高岡市、氷見市、小松市、飛騨市の3県の5市が連携し、クラフトバレーと銘打って魅力を発信する取組も行われており、昨日もそのような報道がなされているところです。
今後も、本県と飛騨、能登の観光資源や伝統工芸などを結びつけて広域周遊観光を促進するために、岐阜県あるいは石川県など近隣県や市町村、JRや地域交通事業者の皆さんと連携した取組を深めてまいります。
2問目、私からは以上です。
18 ◯議長(山本 徹君)田中交通政策局長。
〔交通政策局長田中達也君登壇〕
19 ◯交通政策局長(田中達也君)私からは、交通機関の広域的な利用拡大についての御質問にお答えいたします。
本県を訪れる観光客は、県内移動にとどまらず、飛騨高山など広域で周遊されることも多いと考えております。飛騨高山へは、富山駅から鉄道や高速バスが運行されており、鉄道では東京から富山経由のほうが名古屋経由より短い時間で到着すること、また、高山本線の特急「ひだ」は、今年3月のダイヤ改正から全列車に新型ハイブリッド車両が導入されたこと、こうした点を発信していくことが重要と考えております。
このため、地方創生局と連携しまして、首都圏等の旅行会社に対し、空港ですとか北陸新幹線、高山本線等の交通機関を活用することの利点をPRしますとともに、富山と飛騨高山を周遊する商品造成を働きかけてまいります。
また、空港に関しては、昨年からANAホールディングスと締結いたしました包括連携協定に基づき、四国、九州でプロモーション活動を行っておりますが、今年度の実施に当たりましては、さらなる需要の確保につなげるため、空港が飛騨高山への玄関口であることもPRしてまいります。
さらに、飛騨高山への交通アクセスを紹介しております空港ホームページのトップページに飛騨高山の玄関口であることを表示するなど、情報発信の強化に取り組みます。
なお、名称変更の話がありましたが、名称変更につきましては、先月の「ワンチームとやま」連携推進本部会議でも御意見がありました。その際知事からも発言がありましたが、現在、空港は民間活力の導入に向けた準備を始めておりまして、名称は大切な要素の一つであることから、多くの方に利用されるよう進めていきたいと考えております。
20 ◯議長(山本 徹君)市井土木部長。
〔土木部長市井昌彦君登壇〕
21 ◯土木部長(市井昌彦君)私から、東海北陸自動車道、富山高山連絡道路についての御質問にお答えします。
東海北陸自動車道については、現在、県内区間の全線で4車線化が進められており、これまで小矢部砺波ジャンクションから南砺スマートインターチェンジまでの区間が4車線で供用されるなど、整備が着実に進展しているところでございます。一方、岐阜県内では、議員御指摘のとおり、飛騨トンネルを含む約23キロメートルが未着手区間として残っており、早期事業化が求められておるところでございます。
こうした中、道路整備特別措置法等の一部を改正する法案が先月31日に成立し、高速道路の暫定2車線区間の4車線化の財源確保の道筋が示されたことで、未着手区間の事業化への期待が高まっておるところでございます。この高まりの中、先日、知事が国土交通省と財務省に対し、岐阜県知事はじめ沿線の市町村長の皆様等と共に、整備推進の要望を行ったところでございます。
また、富山高山連絡道路については、現在、国の直轄事業において、県内では猪谷楡原道路と大沢野富山南道路、岐阜県側では船津割石防災の整備が、両県でそれぞれ進められておるところでございます。
本道路につきましても、昨年の両県知事の懇談会で、連携して取り組んでいくことを双方で確認しており、本県では今般、国土交通省に対し、県議会県土整備農林水産委員会の安達委員長と鍋嶋副委員長から整備推進の働きかけを御要望いただき、また、知事からも整備推進の働きかけを行ったところでございます。
東海北陸自動車道や富山高山連絡道路は、富山、岐阜両県の産業、経済の活性化、広域観光の振興等に大きく寄与する道路であります。今後とも両路線の早期整備が実現するよう、国会議員や県議会議員の皆様のお力添えもいただきながら、岐阜県や沿線市等と連携し、国等に対し積極的に働きかけてまいります。
以上です。
22 ◯議長(山本 徹君)安達孝彦君。
〔15番安達孝彦君登壇〕
23 ◯15番(安達孝彦君)再質問させていただきたいと思います。
あまりにも議論がかみ合わないといいますか、聞きたいことがたくさんあり過ぎて、どこからしゃべればいいかよく分からないぐらいなんですけれども、まず知事にお伺いしたいと思います。
問1の(3)、PFI導入によって、専門的な民間のノウハウとか集客によって収益が向上して、行政負担が少なくなり、大変にぎやかな施設になるということでありましたけれども、先ほども申し上げましたように、今回、武道館に特化したという形になります。また規模も相当縮小されるということになれば、これまで想定されていた収益は、民間活力を導入しても、この効果というのは限定的になるのではないかと考えられます。
一方で、基本計画を見直しますから、この民間活力導入で事業者を新たに募集し直すということになれば、またそれだけの時間といいますか期間が必要となってきます。それだけ開館が遅れるということになります。導入の効果が少ないのに期間が延びるということでありますので、本当に民間活力を再び導入してやることを考えていらっしゃるのかどうか、改めてお伺いをいたしたいと思います。
それから、8番目の、知事が就任をされて1年棚上げをされました。それから民間活力の導入調査を採用されて調査をされたわけでありますけれども、その間どんどん事業費が上がっていったと。これはもちろん知事お一人の責任ではないと思いますが、一方で、前の石井知事が、少しでもスピード感を持って有利な起債を使ってやろうということをおっしゃっておられたにもかかわらず、PFI方式を導入されたことによって、結果としてこれだけスケジュールが遅れ、また事業費が膨れ上がったと。
今回、多目的機能を取り外して武道館のみを建設するという方針に転換をされたわけでありますけれども、現在で言えば、事業費はほとんど変わらないと。もともとの事業費は八十数億円でありましたけれども、多目的機能を取り外しても八十数億円かかるという見積りが現在出てきております。
また、
テクノドーム別館におきましても26億円から46億円へとほぼ倍増、しかも、屋根を小さくするなどして設計を若干修正したにもかかわらず、それだけの金額になり、また今回、その金額でも応札者がいなかったということであります。
この結果について、知事として、いまだにできずにいる、そして事業費も減るどころか増えているという結果に対してどのように認識をしておられるのか、改めてお伺いをして再質問とさせていただきます。
24 ◯議長(山本 徹君)新田知事。
〔知事新田八朗君登壇〕
25 ◯知事(新田八朗君)再質問をいただきました。
まず武道館の件でございますが、PFIの手順にのっとりまして民間活力の導入調査を始め、そしてPFI─BTO方式でやろうということを決めました。その時点でVFMが5.27%、約6.2億円の軽減、そして運営面でも民間の様々な知見を活用してということでやってまいりましたが、今回このような様々な議論が既に行われている状況にあるわけでありまして、議員おっしゃるように、PFIをここで基本計画の見直しに伴いやり直すと、また事業者の選定手続などで約2年を要するということでございます。
武道館のほうは老朽化がそもそものスタートでしたから、代替がなかなか利かないということでありまして、今、令和9年度の開館を目指しておりますが、この9年度の開館は何としても守りたいというふうに考えております。
なので、今から2年間をさらに要して事業者の選定手続をやるということは、スケジュール面で私は困難と見込んでおり、今回、武道館についてPFI手法の導入は難しいというふうに考えております。
ただ、施設の運営に当たっては、また利用者のニーズに対応した質の高いサービスの提供、あるいは経費の縮減の観点も必要だと思いますので、どのような管理手法が効果的かということはよく検討していきたいと考えております。
それから、そもそもの話でありますが、先ほど安達議員も、かつてこの富山県PPP/
PFI手法導入優先的検討規程に基づかれて、前知事時代にPFIの採用を御提案されたという話を聞きました。全く同志ということでありまして、これまで規程はあったんですが、なかなかPFIの実績はなかったということであります。私はそれに今挑戦をしようということであります。同志がおられるということで心強く思っているところでございます。
それと、先ほど選挙のことをおっしゃいました。この場で過去の選挙についてはいかがかとは思うんですが、議員がおっしゃったのでその当時のことを振り返ってみますと、武道館について基本計画が挙がりました。そして、それから基本設計という流れになるわけでありますが、その時点で私は既に立候補を表明しておりました。これはその当時でも80億ないし90億と言われていました。やはりこれは大きな投資でありますから、ここは一歩立ち止まって、選挙結果が出てから基本設計に入られてもいいのではないかということを申し上げましたが、残念ながら、そのときは一顧だにされなかったという経緯はありますので、申し添えておきたいというふうに思います。
事業費のこと、これはやはりウクライナの侵攻、そして大阪・関西万博の工事が佳境に入ってきたことなどから資材が上がる、そして人件費も上がる、そのようなことで結果的には今膨らんでいるということであります。これについて、結果、まだ議論の途中でありますが、現時点で事業費が膨らんでいるということについては、責任者としては大変残念に思っているところでございます。
以上です。
26 ◯議長(山本 徹君)以上で安達孝彦君の質問は終了しました。
尾山謙二郎君。
〔2番尾山謙二郎君登壇〕
27 ◯2番(尾山謙二郎君)皆さんこんにちは。
まず冒頭に、昨日、岐阜の市で2人の自衛官の貴重な命が奪われるという大変痛ましい事件が起きました。国家の防衛に準じてこられた大切な御霊に、まずは心から御冥福をお祈り申し上げる次第であります。
さて、改めまして、私は自民党新令和会の尾山謙二郎です。まずは、1年生議員の私に一般質問の機会を与えてくださった議会の先輩諸兄の皆様方に、心から感謝を申し上げる次第であります。
浅学非才の身ではありますが、頑張った人が報われる真っ当な社会、また、困った方や立場の弱い方々が諦めずに前を向いて歩ける社会、そんな社会をつくるために、目いっぱい務めさせていただく所存であります。
知事をはじめとされます県庁執行部の皆様方、先輩議員の皆様方、同期議員の皆様方、どうかよろしくお願い申し上げます。
今、我々が抱えている最重要課題は、少子高齢化が伴う人口減少社会にどのように立ち向かうかです。その中において、県民の皆様のウェルビーイングの向上に向けて、福祉と教育のさらなる拡充を図るためにも、その財源の確保に政治が責任を持って取り組んでいかなければならないと考えます。そして、そのためには、何としても経済の活性化を図り、所得と税収の向上を成し遂げなければなりません。
経済の語源は、中国の故事にある「経世済民」であります。世を治め民を救うという意味であります。この経と済を取って「経済」という言葉が生まれました。したがいまして、経済には、その語源が示すとおり、世を治め民を救う責任があるのです。
私は、約30年間にわたり、中小企業の経営者を務めさせていただきました。経済活動を通して学ばせていただいた理屈と経世済民の理念に基づき、本日は経済活性化に向けて8つの質問を魂を込めてさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。
まず、1つ目であります。本県におけるものづくり産業の現状認識と将来展望についてお尋ねをいたします。
インターネットの普及により情報量が爆発的に増える中、消費者の価値観の多様化が進み、世界の市場は、大量生産、大量消費型から付加価値の高い個別のオーダーメイド型へと大きく変化をしました。これは量から質への転換とも言えます。
本県の基幹産業であるものづくり産業にとって、この市場トレンドの変化を敏感に捉えて需要を満たしていく戦略への転換が、生き残るために必要であります。
富山県には、数多くの特許を有し、技術レベルが高く、自社で原材料から完成品までをオーダーメイドで一括生産できる製造会社があまたあります。また、銅や錫、アルミなどの素材産業から、切る、削る、磨く、曲げるなどの特殊技術産業、そして様々な分野で活躍する中間財や消費財を作り出す製造産業と、ものづくりの入口から出口までを担う幅広い技術を有した企業が集積しています。
世界市場の量から質へのトレンドの転換を取り込むためには、機動的に技術革新を成し得るものづくりのプラットフォームが求められますが、富山の製造業には既にそれを形にする素材があると言えるでしょう。
そこで、本県のものづくり産業の持つ可能性と問題点をどのように分析をされ、また、どのような戦略でものづくり産業の発展に取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお尋ねいたします。
2つ目であります。メイド・イン・富山のブランドをつくるプラットフォームの拡充についてお尋ねいたします。
富山県の素材をメイド・イン・富山のブランドに昇華させ、世界市場へ売り込みに行くときに欠かせないのが3つの質の高い情報です。いつ、どこで、誰が何を求めているのか、誰と組めば安心してビジネスができるのか、そして、イノベーション──技術革新を行い新しい価値を生み出すときに、県内にどのような技術を持ったパートナーがいるのか、この3つの質の高い情報を集積し、マーケティングとセールス機能を持った強力なプラットフォームをつくり、規模の大小を問わず、県内全ての製造業者に参画をしてもらい、メイド・イン・富山のブランドを構築して世界中の市場に売り込みに行きます。
そして、富山ブランドの価値が世界市場で高まれば、世界中の解決困難な課題が富山に集まってまいります。それによって、解決課題に取り組みたい世界中の技術者が富山に集まり、さらに富山ブランドの価値が磨かれるというスパイラルアップが期待できます。
現在、公益財団法人富山県新世紀産業機構が、ものづくり産業振興のプラットフォームとして第一線で奮闘し、様々な成果と実績を上げています。しかし、富山ブランドの世界市場への進出を視野に入れると、マンパワー、資金、戦略などが圧倒的な戦力不足と言わざるを得ないのが実情であります。
富山ブランドの世界市場への進出は、製造業者、いわゆる作り手側にもマーケティングなどの部署の拡充が必要となり、文系の学生がスキルを発揮できる職場をつくり出すことが可能となります。富山県の企業に構造的に不足している文系の就職先を創出するという側面においても、富山ブランドの世界市場への進出は万難を排して取り組まなければならない課題だと考えます。
そのためにも、既存のプラットフォームである富山県新世紀産業機構の戦略的な戦力の拡充が重要課題であり、また、機構自体の県内の認知度のさらなる向上も図らなければなりません。この課題について、中谷商工労働部長の御所見をお尋ねいたします。
3つ目であります。世界市場の販路開拓に向けてお尋ねいたします。
2021年度の日本の対世界貿易額、輸出・輸入の合計は167兆円でした。日本の貿易額のおよそ半分が20%の人口圏──ASEAN、アメリカ、メキシコ、カナダから成るUSMCA、EUによってつくられているのが実情です。今後の貿易のトレンドは、経済安全保障政策の観点からも、一つの経済主体に大きく依存せず、可能な限り多くの経済主体との取引を視野に入れることが求められてまいります。
そのような中、富山県新世紀産業機構が現有する海外進出サポートチャンネルは、中国、韓国、ロシアに加え、シンガポール、ベトナム、タイなどのASEAN加盟国と、アジアが中心となっています。
今後は、日本の貿易額、世界GDPと共に上位を占めているUSMCAやEUなどの経済主体はもとより、インドやアフリカなど、今後大きく成長が見込まれる経済主体とのチャンネルをつくり上げるために、知事を筆頭に経済訪問団を積極的に編成し、市場開拓への強い意思を示す必要があると考えます。特に大手総合商社の現地駐在員との関係構築が必要です。この件について、知事の御所見をお尋ねいたします。
4つ目であります。本県における観光産業の現状認識と将来展望についてお尋ねいたします。
世界中で高まるポストコロナの観光需要を取り込むために、国内外の観光地は本格的な誘致活動に乗り出しています。令和5年3月28日に観光庁が発表した高付加価値なインバウンド観光地づくりのモデル観光地、全国11か所の選定地に北陸エリア──富山、石川、福井、白川村が選定されました。今後、北経連が中心となり北陸DMOが設置され、北陸の広域連携での富裕層観光客の誘致が進むと予想される中、富裕層の受入れ体制づくりは本県においても急務となります。
観光産業は、ものづくり産業と並び本県に外貨をもたらすことができる大切な輸出産業です。本県の観光産業は、国内市場においては京都や北海道など、世界市場においてはアメリカやヨーロッパなどのメジャーリーガーのような高い知名度は全くないのが実情です。そんな無名の観光地がメジャーリーガーと勝負するには、エッジの効いた確固たる戦略が必要です。弱者の戦略で有効なのがランチェスター戦略、いわゆる特定の市場でナンバーワンを目指す戦略です。
まずは、県内の観光資源を高付加価値に磨き上げ、富裕層、いわゆるセレブが訪れたい日本一の観光地を目指します。そして次はアジア一の観光地、最後は世界中のセレブが憧れる世界一の観光地へと進化をさせていく。セレブを対象にした観光のマーケットでナンバーワンを目指すことは、富山の有する素材を活用すれば十分に可能であると考えます。
特定のマーケットでナンバーワンになるということにより知名度が上がります。知名度が高まれば、セレブのみならず一般ツーリストの需要も喚起できます。
富山県の観光産業の飛躍的な発展のためには、今来ていただけるお客様に選んでいただくための仕掛けも必要でありますが、あわせてセレブ需要の取り込みに絞り込んだ中長期の戦略を立て、その実現のために大胆に投資をする、そんな必要があると考えます。
セレブ御用達の高付加価値の観光地を目指すには、新幹線のグランクラスのような質感のサービスを、ソフトとハードの両面で用意する必要があります。ソフトではコンシェルジュやトラベルコーディネーターなど、ハードではラグジュアリーホテルやリムジンバス、リムジンタクシー、はたまた宇奈月のトロッコ電車の特別車両、そういったものが考えられます。
特に、ソフト面でのコンシェルジュやトラベルコーディネーターなどの職種は、文系のスキルを生かせる新しい職場づくりを可能といたします。
本県における高付加価値観光産業の創出について、竹内地方創生局長の御所見をお尋ねいたします。
5つ目であります。顧客目線からの観光資源の発掘についてお尋ねいたします。
富山県は、食材、自然、文化などの素材に恵まれています。その素材のよさに触れ、国内外より多くのリピーターが富山を訪れています。そして、素材のよさが富山県の強みでもあり、また弱みでもあると考えます。素材が優れているからこそ、素材本来の持つ力で勝負をしようとしますが、それは言い換えれば、顧客目線不在のサービスに陥る可能性があるということです。
本県が取り組む第3次富山県観光振興戦略プランには、富山県の日常にある幸せと上質な暮らしや、立山黒部、富山湾などの特別感のある観光地を目指すなどの富山らしいコンテンツや、富山の強みを生かした高付加価値コンテンツの造成などの目標がありますが、果たしてその目標自体が顧客目線のマーケティングを行った上で設定されたものなのでしょうか。
我々日本人と宗教も文化も違う外国人のセレブ層が何に心を奪われ、何に価値を見いだすのか、その顧客目線でいま一度富山の観光資源を一から洗い直す作業が、高付加価値コンテンツ造成のプロセスに必要なのではないでしょうか。
例えば、北米やヨーロッパなどの有名なカメラマンを招待して、四季を通じて彼らがアメージングだと感じ、彼らが心を突き動かされた瞬間を撮影してもらい、それらの作品を富山県美術館と海外の美術館との併催で写真展を開催するなど、顧客目線に立った観光資源の発掘、発信を大胆に行うなどの取組が必要だと考えます。
我々が長年慣れ親しんだ「いい人 いい味 いきいき富山」から卒業し、次なる高みを目指すタイミングに来ているのではないでしょうか。この件につきまして、竹内地方創生局長の所見をお伺いいたします。
6つ目であります。松川の観光資源としてのポテンシャルについてお尋ねいたします。
世界有数の観光地である「グランドキャニオン」や「マチュピチュ」、「モン・サン・ミシェルとその湾」などには、歴史的価値がある、非日常を体験できる、そして雄大な自然環境という共通する3つの構成要素があります。
その視点で捉えると、富山県には、立山黒部や世界遺産の五箇山などの魅力的な観光資源が既に幾つか存在をしています。北陸広域連携での高付加価値の観光地を目指すためには、他県とは違う3つの構成要素を十分に満たす富山県独自のミックスが必要です。特に非日常の体験については、開発の余地が大いにあると考えます。
その可能性の一つとして、富山市内に流れる松川があります。松川は馳せ越し工事によって残された神通川の名残であり、まさに富山県の立県の理念である治水と利水の歴史を証明する川であります。
その歴史的価値と富岩運河をつなげることにより、松川から富岩運河を経由して岩瀬までの船旅を体験でき、岩瀬から松川までライトレールで戻る周遊ルートを商品化することにより、サンアントニオのような3つの構成要素を十分に満たす高付加価値のキラーコンテンツを富山市のど真ん中につくり出すことが可能となります。
この件につきまして、竹内地方創生局長の御所見をお尋ねいたします。
7つ目であります。奨学金返還助成制度の拡充についてです。
富山県からの転出超過が人口減少へ拍車をかけている中、特に20歳から24歳の女性の県外流出が大きな問題となっています。県外流出は様々な要因があるとされていますが、大きな要因の一つが、働く場所、自分のスキルを生かせる職場がないということです。本県の基幹産業が製造業であるために、理工学系の就職はしやすい環境がある一方で、文系のスキルを生かす職が比較的少ないのも事実であります。若者の県外流出に歯止めをかけるためにも、文系のスキルを生かせる仕事の創出に努めていかなければなりません。そういう意味においても、ものづくり産業と観光産業の活性化は大いに期待をできるところであります。
そして、文系女子の職場づくりに欠かせない政治的な取組があります。それは、奨学金返還助成制度の拡充です。本県における現行制度の助成対象は、理工学系学部生、大学院生、6年制薬学部かつ県外の大学と限定をされており、文系学部生や短期大学生が助成制度の恩恵を受けられない仕組みです。
ものづくり産業に寄与する人材確保という戦略的な理念に基づき設計された助成制度ゆえに、その対象者が理工学系学部などに限定されたものだと認識はしていますが、企業存続に向けた死活問題にすら発展している人手不足問題、ものづくり産業や観光産業をさらなる高みへ成長させるための幅広の人材確保、そして何よりも、若い女性の県外流出を食い止め県外からの流入を促進するためにも、現行の助成制度の対象者の要件を見直して、全ての学部生、短期大学生、かつ県内の学校を対象に、開かれた助成制度へと拡充することが強く求められると考えます。
この件につきまして、中谷商工労働部長の所見をお伺いいたします。
最後になります。頑張った人が報われる真っ当な社会に向けてです。
いつでも、誰でも、何度でもチャレンジが可能な開かれた職業訓練制度の整備についてお尋ねいたします。
我が国の戦後の高度経済成長は、終身雇用制と年功序列賃金に担保されたピラミッド型の組織が発揮する強固な組織力によりつくられてまいりました。車や白物家電、半導体などの高品質なものを大量生産する上において、この組織力は極めて効果的に力を発揮してきたと言えるでしょう。
しかしながら、量から質への市場トレンドの変化や広がる働き方の多様性などから、従来のピラミッド型の組織では、生産性の向上を図ることが極めて難しくなってまいりました。
そのような中、DXと親和性の高い業種では、その導入で生産性の向上に一定の成果を出しているところもありますが、他方、DXと親和性の高くない労働集約型産業においては、生産性向上の鍵はやはり労働者のスキルとモチベーションアップであります。とりわけ資本力に乏しいとされる中小・小規模事業所は、その傾向が強いと言えるでしょう。
現在、労働者のスキルアップ向上のために、国では、人材開発支援助成金を財源とした能力開発セミナーなどの職業訓練制度があり、大きく成果を上げている中、本県においても、リスキリング補助金を活用した人材育成制度が本年度より新たに始まり、期待できるところであります。
一方で、現在の職業訓練制度の多くは、企業に補助を出す仕組みであり、職業訓練受講の意思決定に企業側の利害が大きく絡む仕組みとなっており、労働者の自由意思によって受講の決定をできるものとは言えません。それは結果的には、企業による労働者の囲い込みにつながります。これでは、全ての労働者に公平に開かれたものとは言い難く、また、生産性向上の鍵である労働市場の流動化には到底つながらないものと言えるでしょう。
慶應義塾大学の創始者である福沢諭吉の言葉に「一身独立して一国独立する」とありますが、まさに強い国家は強い個によって成り立つものであります。強い個をつくり出すためにも、現行の企業を対象にした補助制度による職業訓練制度だけではなく、企業を介さない個人を対象にした県独自の職業訓練制度の創出が必要だと考えますが、中谷商工労働部長にこの御所見をお尋ねいたしまして、私からの質問に代えさせていただきます。
ありがとうございます。
28 ◯議長(山本 徹君)新田知事。
〔知事新田八朗君登壇〕
29 ◯知事(新田八朗君)さきの県議会議員選挙で新しく当選された議員の皆さんのトップを切っての、尾山謙二郎議員の質問にお答えをいたします。
まず、ものづくり産業の現状認識と課題についての御質問をいただきました。
本県には、言うまでもなく、医薬品などの化学、あるいはアルミなどの金属、そして機械、電気・電子部品を中心に先端的な技術を有する、議員もおっしゃったように特許もその中にたくさんありますが、そんな技術を持つ企業が集積をしています。多様化するニーズに対応して、国内外に誇るこの技術力を磨き、競争力を高めてきました。
本県では、これらの基盤を生かして、さらに成長できる可能性が高いと考えまして、県内企業の優れた技術を産学官そして企業間連携による「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアム、そして、とやまアルミコンソーシアム、これらの枠組みで製品開発や事業化の一層の推進を支援してきているところでございます。
一方で、近年、ものづくり産業を取り巻く環境は、やはり厳しく、また激しい変化の中にもあります。2050年カーボンニュートラルという世界共通目的にどう対応していくのか、これは、エネルギーや熱を多く使う本県のものづくり産業にとって大変に高いハードルであるというふうに理解をしております。
また、昨今の生産コストの上昇をどうやって価格転嫁していくのか、また、その中で消費者の生活を考えますと、いかに賃上げを促していくのか、このようなことも現行での大きな課題だというふうに考えています。
そして、議員も御指摘の、ものづくり産業にDXをどうやって導入していくのか、このあたりも大きな課題だと捉えて様々な支援も行っているところでございます。
そして、ものづくり産業の成長発展には、今やマーケットも競争相手もグローバルです。国際的な潮流を的確に捉えて高い付加価値を生み出していくことが大切と考えます。
そのために、成長戦略会議に幾つかのプロジェクトチームがありますが、その中の新産業戦略のプロジェクトチームでは、ESGなどの国際標準、こういう時代に対応するための取組を今年度、重点的に検討することにしております。そして、国内外から人、物、金を呼び込むウェルビーイング社会の実現に向けて必要な産業政策についても議論しているところでございます。
また、本年が計画期間の最終年度となりますが、新・ものづくり産業未来戦略の改定を予定しております。
成長戦略会議の議論も踏まえて、またこの未来戦略の改定も踏まえて、国内外のニーズを的確に捉えた高付加価値化への取組を産学官金一体となって推進していくことで、この変化の時代を乗り切り、本県のものづくり産業の将来への展望を開いていきたいと考えておりますが、なかなか厳しい状況を改めて認識したところでございます。
一昨日ですが、本県に工場を立地していただいておりますある大企業の社長さんがお見えになりまして、アメリカの状況を教えていただきました。今、アメリカは、ものづくり産業に物すごく補助金を出しているということであります。ただでさえ先進国の中で唯一人口が増えている巨大な国アメリカです。そして技術力もある。そして基軸通貨であるドルもアメリカのものです。そのようなアメリカが本気でものづくり産業を米国内に誘致をしよう、さらに強めていこうという、そことの戦いになります。
国との連携も取りながら、産学官金連携して、本県の誇るものづくり産業をしっかりと成長軌道に導いていきたいというふうに考えます。
次は、経済交流の促進に向けた海外経済訪問団派遣などについての御質問にお答えをします。
海外の国・地域の成長エネルギーを本県の成長に取り込むために、県ではこれまでも、中国、ベトナム、タイ、インドなどに知事を団長とする経済訪問団を派遣し、現地政府とのMOUの締結、現地大使館やジェトロとの意見交換、現地企業との商談会、進出企業への訪問などを通じて、交流の推進を図ってまいりました。
私が知事に就任してからは、県議会議長あるいは経済界の方々などと共に、昨年8月には友好提携関係にある米国のオレゴン州を訪問して、経済分野等における交流と協力に関する覚書を締結してまいりました。そして経済交流の促進、また富山県の大学生や高校生を派遣するなどの人材交流も図っているところでございます。
また、昨年の12月には、県内企業に対するアンケート調査で最も進出の要望が大きかった、また既に50社以上が進出しているベトナムを訪れまして、計画投資省のズン大臣と直接意見交換を行いました。その場で、計画投資省の中に富山デスクの設置を行い、富山県企業あるいは県民の様々な相談やニーズに応えていく、そのような強化版のMOUも締結をしたところでございます。この富山デスクについては、7月にはサービスを開始できるものと考えております。
このように、県内経済の活性化に向けて経済交流の拡大に取り組んできております。
また、先ほど申し上げたオレゴン州ですが、しばらく途絶えておりました職員の派遣を復活することにして、3日後には職員が旅立つことになりました。先進国の中で唯一人口が増えている、また巨大なマーケットを持つアメリカ。オレゴン州とは30年の長い付き合いですから、ここを起点にして、ぜひ県内企業にはアメリカに、そして全米に羽ばたいていっていただきたい、そのお手伝いをしてまいりたいというふうに考えております。
昨今の県内企業では、サプライチェーンの確保などのために進出先や販売先を見直す動きがありますが、巨大な市場や高度先進技術を持つ欧米、そして成長の著しいインド、アフリカとの交流など、多様化する県内企業のニーズにも的確に対応してまいります。今年度1月頃の米国におけるとやまフェアの開催、またT-Messe2023における様々な国・地域との商談機能をつくり出していくことに取り組んでまいります。
引き続き、ジェトロをはじめ新世紀産業機構の商社OBの人脈なども大いに活用して、対象国や地域との関係構築の強化を図っていく、そして国際経済交流に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
私からは以上です。
30 ◯議長(山本 徹君)中谷商工労働部長。
〔商工労働部長中谷 仁君登壇〕
31 ◯商工労働部長(中谷 仁君)私からは3問についてお答えをいたします。
まず、富山県新世紀産業機構についてお答えをいたします。
新世紀産業機構は、県、市町村、企業の資金を基に運営をされ、県内の個々の企業が直面する技術開発、販路開拓、経営革新など様々な課題にワンストップで対応する産業支援機関であります。本県ものづくり産業の成長発展に向けた支援に大きな役割を果たしていただいております。
具体的には、中小企業支援センターに中小企業診断士や製造業、IT企業の実務経験者等を配置し、経営革新や新商品の開発を支えますとともに、受発注取引のあっせん、大都市圏での商談会の開催など、本県ものづくり技術のブランド化に取り組んでいただいております。
また、アジア経済交流センターにおきまして、商社で活躍された方をアドバイザーとして配置し、現地情報を県内企業に提供いたしますほか、ものづくり見本市や海外バイヤーを招聘した商談会の開催などにより、海外ビジネスの展開を支援されております。
こうした支援制度の活用を促すために、企業、関係機関を対象としました説明会の開催、ホームページやSNS、ラジオなど多様なメディアを利用して認知度の向上に努めておられまして、今年度はホームページの利便性を向上させるためのリニューアルを行うこととされております。
議員からも御指摘をいただきました、本県ものづくり産業におけるメイド・イン・富山のブランドを構築し、海外展開を促進するためには、国内外のニーズを捉え、各企業の高い技術力を生かす戦略を策定し、技術開発や販路開拓などの支援をさらに充実することが必要であると考えております。
先ほど新田知事から答弁がありましたが、今年度改定を予定しております新・ものづくり産業未来戦略において、今後どのように県内企業を支援していくべきか、本日議員からいただいた御提案も踏まえ検討してまいります。
次に、本県の奨学金返還助成制度についてお答えをいたします。
県では、本県産業の発展を担う優秀な県外学生のUIJターンを促進するために、奨学金を受けた学生が県内企業に就職をし、10年を基本とした在職期間中、その返還に対し県と企業が折半をして助成を行う制度を設けております。
本県は日本海側有数のものづくり県であり、薬の県として発展してきた歴史もありますことから、それらの産業で働く人材を確保するため、対象を理工系の学部生・大学院生、及び薬学部生のうち、県内企業側からのアプローチが難しい、容易ではない県外の大学の卒業生を対象としてきたところでございます。
議員から御指摘がありましたとおり、人口減少、少子高齢化が進む中、本県では就職期の若者、特に女性が県外に出たまま戻ってくる方が少ないことが大きな課題となっております。また、県内企業が人材確保に苦労されている中、優れた若者の確保、定着を支援することは、本県産業の成長、ひいては県民のウェルビーイングを高めるために、とても重要なことであると認識をしております。
このため、まずは本制度の利用促進を図るため、学生に対する周知の時期や方法等を見直すこととしておりますが、さらに他県の制度や協力をいただく県内企業の皆さんの意向等も踏まえながら検討してまいりたいと考えております。
私からは最後になりますが、企業在職者の職業訓練についてお答えを申し上げます。
先ほど議員から御指摘いただいておりますように、現在のリスキリング支援策は、人材開発支援助成金や公共職業訓練の在職者訓練など、多くが企業経由で実施をされており、スキルを向上させた従業員が他社に流れるリスクを懸念する企業が、職業訓練をちゅうちょする可能性も考えられるところでございます。
また、政府は、近く閣議決定される予定の骨太の方針の原案におきまして、労働者が自らの意思でリスキリングを行い職務を選択できる制度に移行していくため、在職者への学び直し支援策について、5年以内を目途に効果を検証しつつ、過半が個人経由での給付が可能となるよう個人への直接支援を拡充するとされております。
県といたしましては、県内中小企業の人材確保が深刻な課題となる中、まずはそれぞれの企業内において、中高年層を含めた働く方々のリスキリングを推進され、配置転換やキャリアアップにより生産性向上や成長分野へのチャレンジにつなげていただけるよう後押ししていくことが重要と考えておりまして、とやまリスキリング補助金や、県技術専門学院の在職者訓練による支援に取り組んでいるところでございます。
今後はさらに、働く方一人一人が主体的に自らのスキルアップに取り組めるよう、個人への直接支援の普及充実についても推進していく必要があると考えております。富山労働局等と連携をしながら、個人の方から直接受講申込みが可能な技術専門学院の在職者訓練も含めまして、県内中小企業の成長の原動力となる人材基盤の充実強化が図られるよう取り組んでまいります。
以上でございます。
32 ◯議長(山本 徹君)竹内地方創生局長。
〔地方創生局長竹内延和君登壇〕
33 ◯地方創生局長(竹内延和君)私からは、観光産業に関する3つの御質問にお答えをさせていただきます。
最初に、高付加価値な観光産業の創出に関する御質問にお答えをさせていただきます。
富裕層と言われる高付加価値旅行者の誘客につきましては、旺盛な消費を通じて高い経済効果が期待されるため、昨年策定いたしました県の観光振興戦略プランでも、高付加価値旅行者の「誘客・滞在にもつながる上質な観光サービスの提供態勢整備等に取り組む」としておるところでございます。
高付加価値観光産業の創出に向けまして、ソフト面では、高付加価値旅行者のニーズに対応できる人材確保やサービスの充実が課題でございます。そこで、今年度は、来年6月に一般開放予定の黒部宇奈月キャニオンルートのインバウンド対応や、とやま観光塾での富裕層トラベルデザイナーによる特別講義、そして国内5つ星ホテルのコンシェルジュ等による研修等に取り組むこととしております。
ハード面におきましては、既存のホテル旅館の上質化支援に加えまして、来月、ホテル誘致検討委員会を設置し、県内で不足する高付加価値旅行者向け宿泊施設の誘致方針などを検討する予定でございます。
御指摘にもございましたが、高付加価値旅行者の誘客に当たりましては、本県の食や自然、インフラツーリズム、工芸など、我々が自分では価値があると考える観光資源の中でも、どの素材が高く評価されるのか顧客の目線で絞り込み、さらに磨き上げることが重要であるというふうに考えております。
今後、「北陸」がモデル観光地に選定された高付加価値なインバウンド観光地づくり事業におきまして、誘客促進のためのマスタープラン策定を予定しておるところでございます。その際には、そうした視点も踏まえ中長期的な戦略を検討し、高付加価値観光産業の創出に取り組んでまいります。
次に、観光資源の発掘と発信に関する御質問にお答えをいたします。
本県には、世界的な山岳景観を誇る立山連峰から美しい富山湾までの変化に富んだ自然や、世界遺産五箇山、豊かな食、歴史文化、伝統工芸など多彩な観光資源がございますが、欧米など高付加価値旅行者の誘客は、彼らのニーズを捉え施策を展開する必要があるというふうに考えております。
昨年度は、欧米を対象にデジタルマーケティングの手法による市場調査を実施し、あわせてロンドンで観光物産PRを実施しました。その際、富山の伝統工芸等の観光資源が、イギリス、フランスの、文化など自分の興味があるものに対して高額な消費を行い本物の体験を重視する、いわゆるモダンラグジュアリー層と言われる方々に非常に興味・関心を持たれることが分かりました。そして、これを契機に、欧州メディア等の来訪が相次いでいるところでございます。
また、先週も、日常的に海外富裕層に対応していらっしゃる国内5つ星ホテルのコンシェルジュ等の視察研修を受け入れたところ、富山の観光資源を高く評価していただいたところでございます。
これらに加えまして、今年度はサンドボックス予算を活用しまして、実際に本県を訪れられる高付加価値旅行者の実態を調査することとしております。高付加価値旅行者を受け入れる県内の観光事業者や高付加価値旅行者本人にヒアリングを行い、富裕層の本県滞在の実態、旅行者が考える本県の魅力や滞在価値、ニーズ、地域の観光事業者が抱える課題や求める施策等を把握したいというふうに考えております。
こうした調査の結果を高付加価値旅行者目線での観光地域づくりに活用することで、本県への誘客を推進してまいりたいというふうに考えております。
最後でございますが、新しい遊覧船ルートの商品化に関する御質問にお答えをします。
松川から富岩運河、岩瀬までのエリアは、本県の治水と利水の歴史的価値のあるエリアでございます。また、国指定重要文化財の中島閘門や国登録有形文化財の牛島閘門、富岩運河環水公園などの観光資源を有する本県有数の観光エリアとなっております。このエリアにおいて、現在、松川では松川遊覧船、富岩運河環水公園から岩瀬までは富岩水上ラインが運航されており、多くの観光客に御利用いただいておるところでございます。
議員から御提案いただきました周遊ルート、これをもし実現するということになった場合には、松川からいたち川を経由して富岩運河まで船舶を運航させる必要がございます。
現在、景観や遊覧船の運航に配慮し、松川の水位を確保するために、治水上の観点を踏まえ2つの川──松川といたち川でございますが、こちらの合流点付近に固定式の堰が設置されるなど、落差があり運航が困難となっております。
また、いたち川から富岩運河環水公園に入るためには、先ほど申し上げました牛島閘門──こちらは国登録有形文化財でございますが、こちらを通行する必要がありますが、これは建設当時の姿を目指して復元したために、日常的な開閉を想定しておらず、開閉を繰り返す場合、耐久性などについての検討が必要だというふうに聞いております。
御提案の周遊ルートにつきましては、実現すれば本県の新たなコンテンツとなり得る非常に魅力的な素材だというふうに考えますが、本来の治水機能を確保しつつ、いたち川及び松川の景観にも配慮しながら、今ほど申し上げました課題の克服が可能か、関係部署等の意見も聞き研究していきたいと考えております。
以上でございます。
34 ◯議長(山本 徹君)以上で尾山謙二郎君の質問は終了しました。
暫時休憩いたします。
午前11時41分休憩
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午後1時00分開議
35 ◯副議長(奥野詠子君)休憩前に引き続き会議を開きます。
菅沢裕明君。
〔34番菅沢裕明君登壇〕
36 ◯34番(菅沢裕明君)立憲民主党議員会の菅沢です。
最初に、県議選に関連して今回の県議選の投票率でありますが、全県平均で45.69%で50%を切り、有権者の半数以上が投票に行っておられません。富山市第1選挙区などは39.54%と40%を切っております。
今回の50%を大きく切るような低投票率については、私は自らの問題として、県議会議員への期待や信頼が問われているように思えてなりません。ちょっと言葉がきついですけど、その正統性さえ疑いを持たれかねないような事態ではないかと、このようにも思います。
新田知事が当選された2年半前の知事選投票率は60.67%でありました。60%を超えているとはいえ、決して高いとは言えないように私は思います。
民主主義の根幹である選挙への有権者の関心、参加をどう図っていくのか、県政の、そして私たち県議会議員の重大問題でもあります。知事の所見を伺っておきたいと思います。
次に、新型コロナについてであります。
5類移行から1か月経過いたしました。県下の感染状況は3週連続で前週を上回ると報告され、いまだ感染は広がっております。
県は、過去の感染の波と比較して、定点把握の信頼性を強調します。しかし、実際は正確な感染動向が捉えにくくなっており、把握できている感染者は氷山の一角にすぎないのではないでしょうか。クラスター──感染者集団が増えているとの報告もあります。市町村ごとの感染者数の発表もなくなりまして、マスク着用も減りました。5類移行が事実上安全宣言になっていないか危惧されます。
コロナは高齢者や病気のある人にとっては引き続き恐ろしい病気であります。検査体制を確立して感染状況に気を配る必要があります。今後も変異株が現れ、広がることが起こり得ます。ワクチンについても、高齢者などには引き続き推奨されなければなりません。
5類移行後、原則全ての医療機関でコロナ患者を受け入れることになりましたが、コロナ患者を診るには医療現場の装備や人員体制の強化が求められます。入院調整については、原則、医療機関同士で行われることになりましたが、医療支援が大幅に削減される中で医療提供体制が逼迫するおそれもあります。
医療費についても、今後は1割から3割の自己負担が発生しますが、受診を希望しない患者が増える懸念もあります。治療薬への公費支援や、高額療養について自己負担限度額への助成なども必要になります。
こうした中で、今後予想される第9波以降の感染拡大に対し、それを防御し得る科学的根拠に基づく対応策、県民の命と健康を最大限守る医療体制などの確立について、県民にきちんと説明し準備していくことを厚生部長に強く求めます。
第3の質問は、県の少子化対策についてであります。
6月県議会の知事提案理由説明では、県の少子化の現状についての厳しい認識や政府の異次元の少子化対策が論じられ、こども未来戦略方針の素案が示されている段階においても、これらへの県の見解や対処方針も何ら示されませんでした。今こそ少子化対策のラストチャンスと言われる中で、私は、これでは少子化の現状認識が甘く、県の施策の見直し、抜本的強化への熱意が弱いのではないかと言わざるを得ないわけであります。
知事、反論できるのならおっしゃっていただきたい。いかがですか。
令和4年の県内出生数は過去最少の6,022人となり、この10年間で2,000人近く減少、今後も加速度的に少子化が進みます。その中で、例えば、私の氷見市は令和3年は195人ですが、10年後には100人前後、朝日町は33人でありますが、15人前後となると予想されております。
新田知事の時代に県人口が100万人を切り、出生数は5,000人を割ったと、富山県は超少子化の時代に突入したと後世に評されることになりませんか。
富山県の合計特殊出生率が一定水準を保ったとしても、人口維持の必要レベルから見れば極めて低いものであります。県も手をこまねいていたわけではなく、子育て応援券事業など様々取り組んできておりますが、少子化に歯止めがかかりませんでした。どこに問題があったのか、厳しい評価、徹底検証が求められますが、知事、いかがでしょうか。
あわせて、岸田内閣が13日に発表いたしましたこども未来戦略方針をどう評価し、これらを受けながら、今後、実効性ある県としての少子化対策をどう打ち出していくのかであります。
戦略方針で示された給付は、児童手当、保育サービスの拡充など多岐にわたります。肝腎の安定財源確保策が示されておりませんが、国、地方を合わせ年3兆5,000億円を投じて令和6年度から3年間で集中的に取り組むものであります。知事はどのようにこれを受け止め対処なさるか質問をいたします。
最近、県は、少子化対策の柱として、県外に流出している女性の多さに触れ、就職期の女性に選ばれる県を目指して、若い女性の県外流出を防ぎUターンを促進する諸施策を示しておられます。これは少子化対策の一つとしては理解できますが、最重点課題として特化するような動きは、いかにも視野が狭くて期待される対策とは程遠いと感じております。
少子化の進行には、若者の未婚率の上昇が大きく関わっております。その中で特に、女性に負担を強いる社会の在り方をジェンダー平等の視点で変えていく必要があります。また、子育てや子供の教育にお金がかかり過ぎるという問題があり、児童手当の大幅増や教育、子ども医療費の無償化などが強く求められます。
若者が結婚し安心して子育てができる、賃上げや労働環境の改善が急がれます。少子化が改善されないと、現在の人口の規模に合わせて築いてきた社会のシステムの維持が困難になってまいります。
知事には、少子化の厳しい現状への強い危機感を持って、県政の最重要、重点課題として少子化対策に取り組むことを強く求め、質問いたします。
第4点は、県高校教育に関してであります。
令和6年度の県立高等学校入学募集定員など学級編制に関する県教委の方針は、昨年の経過からすれば6月県議会の段階で示されてもいいと思っておりましたが、いまだ明らかにされておりません。来春の中学校卒業予定者が前年比で昨年以上の──昨年はマイナス127名でしたが、158人減るということになります。
昨年のように、どこかの学校で学級減などになるのではないかと教育関係者や地域で関心が高まっておりますので、来年度に向けての学級編制の方針は、そうした中でどのようになるのか、今後どのようなスケジュールで進められ、県議会や地域の高校関係者などへの説明がいつ行われるのか、教育長に質問いたします。
昨年は、こうした学級編制の提案の在り方、議論をめぐって、県議会や関係自治体の市・町長、議会、学校関係者などから、県教委に対し厳しい意見、鋭い批判が出されました。今年度は前年の教訓を生かし、どのように進めるのか注目されているのであります。
中卒者の減少が続く中での学級編制であり、また、普通科の全県一学区制も検討されているやに聞いておりますが、学区制の撤廃は、高校教育における競争的環境を徹底させて、高校の序列的再編に拍車をかけることになるとの指摘もあります。私もそう思います。
当面する学級編制は、今後の県高校教育の在り方の根幹に関わる重大な問題をはらんでおります。教育長の答弁を求めます。
生徒数の急減期を迎える中で、新たな高校再編への検討が始まっておりますが、従来のような適正規模、4学級から8学級の機械的適用による統合再編ではなく、小規模でも学校の魅力化事業の対象として存続を図るべきと考えます。知事に質問いたします。
従来の適正規模論は教育学的根拠があるわけではありません。県都などの周辺部の高校が小規模化しても、生徒と教師の親密な人間関係、きめ細かな指導が実現できることが特色の地域の高校が、存続してもよいわけであります。また、高校を核とした地域活性化と地域に誇りを持つ教育などが、もっと提起されるべきであります。知事に質問いたします。
第5は、県立施設の整備についてであります。
県立武道館の建設費が、当初の87億4,000万円から109億9,000万円、約30%増へ巨額化し、イベントなどの多目的機能を削除して武道館に特化することになりました。これは、私たちの会派が当初から主張してきたことでもありました。
さらに、建設予定地の変更と、その際の誘致合戦ですが、みっともない。県幹部の県議会への見苦しい根回しなんかも行われていた形跡があります。武道館をめぐる紆余曲折、混乱は、今や県政の一大汚点となってきていると思います。県民の県政への大きな不信を招き、県幹部職員の責任論も聞こえてまいります。
こうした中で、知事は、武道館に関する基本計画の見直しに言及されました。そうなら、この機会に武道館の機能をさらに柔剣道など主要な競技種目に限定し、その他競技を含めて既存施設の有効活用を最大限図ることを検討してはどうかということであります。
県の人口や競技人口の規模は、長野、新潟とよく比較されますが、富山県はその半分であります。そういった事情を勘案し、大幅な規模縮小を私は図るべきと考えます。建設地についても、利便性の観点と同時に整備費の縮小につなげることを考慮すべきであります。
こうしたことの結果として、現行計画の半額ぐらいに整備費を縮小できるという試算も──私も得ておりますが──あります。人口減少時代の最重要キーワードである各種インフラのダウンサイジングの時代に対応すべきであります。さらに、建設に当たってのPFI方式の導入についても、先ほどは否定的な見解もありましたが、前提条件が大きく変化をしてきており、見直すべきであります。
以上の点について、知事に質問いたします。
次に、
高岡テクノドーム別館の展示棟建設工事の入札が、入札者がなく中止となったことから、6月県議会の知事答弁で設計見直しの方向が示されました。屋根の施工に課題と。これは設計のずさんさが露呈したと言えませんか、営繕課には申し訳ないけれども。私はそうした課題があるとされ、今後の設計変更によってさらに建設費が増額することにならないか危惧するものであります。
テクノドーム別館の基本設計を受けての当初建設費26億5,000万円が、その後の建築資材高騰により、さらに県産アルミ資材の活用、施設整備の追加要望への対応などがあって、約20億円増加をし、46億3,000万円の巨額に膨れ上がったわけであります。資材高騰があるとはいえ、建設費の倍増は常識的にはあり得ない異常な事態でありました。
私たちは、この案件については、事業の趣旨に賛同しながら一定の賛意を示したわけでありますが、今、あれでよかったかなという反省も持っております。
今回の入札は、展示棟の建物部分、予定価格32億2,000万円であり、展示棟建物以外の施設整備、集客棟などの残工事、残事業費約14億円の入札、発注も今後残っております。その上に、屋根施工上の問題、ほかに現状の予定価格では利益が見込めないなどが入札中止の理由に挙げられておりますけれども、設計見直しを迫られたものでありまして、そうした背景の中で、さらに今後、建設費の増加が必至と言える状況であります。
この機会に、設計の見直しにとどまらず、基本計画に立ち返って、
テクノドーム別館の機能や規模、建設財源などについて見直すことであります。基本計画の再検討を行って、建設費の大幅圧縮を図るべきであります。
人口減少著しい高岡市など県西部地域の経済動向と、新たなコンベンションなどのニーズの変化にも、私は対応しなきゃならんと思いますよ。また、本館部分の機能強化や富山市の類似施設とのすみ分けをさらに図るなどして、再検討すべき課題が多いと考えるものであります。
北陸新幹線敦賀開業を見据えた令和6年3月開業も、今や不可能であります。こだわる必要はありません。
以上について、知事に質問をいたします。
第6の質問は、県の地震対策についてであります。
能登珠洲地方で地震活動が活発化し、5月4日には震度6強の地震があり、大きな被害が発生をいたしました。お見舞いを申し上げる次第であります。
今回も含めて、珠洲地震のメカニズムや今後予想される動向、富山県への影響について、県民の関心が高まっております。県西部・氷見地域は、北に邑知潟断層帯、南に砺波平野断層帯、そして富山湾西側の七尾~氷見沖断層の3つの活断層が地下で交錯をしており、珠洲地方の地震は決してよそごとではありません。これは専門家の指摘でもあります。
珠洲地震への警戒と本県への影響について早急に分析を進め、県の地震防災対策の拡充を図る必要があります。いまだに魚津断層帯や砺波平野断層帯(東部)など、県内の主要活断層の被害想定や評価が行われていないのは重大であります。新田県政になってもこういう点ではほとんど前進がありません。
国の施策待ちではなく、県自らが最大のリスクに備える危機管理の原点に立ち返って、積極的な対策を講ずることを強く知事に求めたいと思います。
さて、国会は通常国会の最終段階を迎え、軍拡財源法案が焦点となり、緊迫した情勢となっております。今後5年間で43兆円にも上る大軍拡の財源確保に向け、医療や年金に回す積立金からも財源を回すルール破壊の流用、増税の画策などで、防衛力強化資金を創設するものであります。こうした、明らかに憲法の平和主義を踏みにじり、国民、県民の暮らし破壊につながる法案の強行採決は断じて許されません。
何より、法案によって財源確保しようとしている敵基地攻撃能力の保有そのものが大問題であります。これは、他国領域へのミサイル攻撃を含む、アメリカの統合防空ミサイル防衛の一翼を担い、米軍の指揮統制下で運用される危険が明らかになっております。
この中で台湾有事が焦点になっていますが、台湾有事は日本有事に直結し、日本国内の米軍基地、自衛隊基地が攻撃目標となります。こうした案件に賛成する皆さんは、日本有事に備える構えや覚悟がありますか。問いかけたいと思います。
岸田政権が今やるべきことは、東アジア地域の分断と対立を拡大し、際限のない軍拡競争を招く軍事力の強化ではありません。憲法9条を生かし、地域の全ての国を包摂する平和の枠組みを発展させる外交努力、これこそ必要であります。
県民の中にも、軍拡財源法案強行採決への疑問、戦争の不安が広がっております。知事の所見を伺って、立憲民主党議員会の私の一般質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
37 ◯副議長(奥野詠子君)新田知事。
〔知事新田八朗君登壇〕
38 ◯知事(新田八朗君)菅沢裕明議員の御質問にお答えをします。
まず、県議会議員選挙の投票率についての御質問にお答えをいたします。
去る4月9日の富山県議会議員選挙の投票率は、おっしゃるように一部の選挙区では前回を上回りましたが、県全体では45.69%ということで過去最低となりました。また、全国の道府県議会議員選挙でも全体の平均投票率が過去最低の41.85%となり、投票率の低下は全国的な傾向であります。
議員が2020年10月の本県知事選挙についても言及されましたが、あのとき下がり続けていた投票率が60%まで行ったとはいうものの、私はそれ以来、常に、あとの40%の方は一体どこにいらっしゃるんだろう、そのことが頭から離れたことはありません。
投票率に関しましては、選挙の争点や関心の高さなど様々な事情が総合的に影響するために、その低下の要因を一概に申し上げることはできませんが、選挙は民主主義の根幹であります。できるだけ多くの有権者の皆様に投票に参画していただくように取り組んでいくことが重要だと考えております。
有権者の関心を高める観点からは、地域の課題を自分ごととして捉え、考え、行動することを目指す主権者教育の取組が重要であります。そのために、県の選挙管理委員会では、選挙に関する高校生への出前授業に加え、県内大学と連携し、政策形成と選挙に関心を持ってもらうことを狙いとするワークショップの開催も実施する予定と承知しております。
また、有権者が投票しやすい環境の整備に関しても、利便性が高い場所への期日前投票所の設置など、投票所を所管する各市町村で積極的に検討いただきたいと考えております。
さらに、県としても、県のホームページのリニューアルや県の公式SNSの双方向での運用などによりまして、多くの方々が県政に参加し双方向で意見交換できる機会を拡充するなど、県民が主役の富山県を目指して県政運営を行い、県民の皆様の政治に対する関心を高めることができるよう努めてまいります。
次に、少子化対策の認識についての御質問にお答えをいたします。
議員と同様、私も、少子化の進行は大変深刻な状況にあると認識をしております。その認識は全く同じであります。
日本の生産年齢人口がピークを打ったのは1995年です。また、総人口がピークを打ったのは2008年であります。それを遡ることかなり前から、国の社会保障・人口問題研究所では人口減について警鐘を鳴らし続けてこられました。以来数十年、国あるいは各自治体を挙げて、また、もちろん本県においても歴代の知事の下、知恵を絞り、結婚あるいは子育て、教育、雇用など、ありとあらゆる対策を講じてきたわけですが、少子化に歯止めがかかったとは言えません。
この状況に迅速かつこれまで以上に強力に対策を進めるべく、昨年設置した少子化対策・子育て支援専門部会において、民間の知見も大いにお借りしながら施策強化を図っているところでございます。
ここまでの反省をということもおっしゃいました。
やはり、出産あるいはそれの前提となる結婚ということは、甚だプライベートなことでありますので、もちろん行政で命令したりできるわけもありませんし、お願いするのも若干はばかられるところでございます。要するに、なかなか踏み込めない領域であるということ、これが一つあるのではないかと思います。
なので、結婚すること、あるいは子供を育てることの喜びなどについて、極力皆さんの心に響くようなメッセージを打ち出すこと、また、一方で子育ての経済的なコストをできるだけ下げること、そのようなことをこれまで主に行ってきたんだというふうに理解しております。
こうした中で一昨日、6月13日に国において、こども未来戦略方針が決定をされました。3つの基本理念──若い世代の所得を増やすこと、また社会全体の構造・意識改革を変えること、そして世代にかかわらず切れ目のない子育て支援策を打つということ、この基本方針は私も大いに歓迎をするものでございます。
これらの基本方針の下、児童手当の拡充あるいは保育サービスの充実など、今後3年間で加速度的に取り組む多くのこと──2030年を過ぎるとさらに少子化が加速度的に進むと言われております、これに対処するために多くの子供・子育て施策が盛り込まれたことを、私としては歓迎をします。
少子化対策の施策強化に向けては、国が全国一律で行う施策と、地方がその実情に応じてきめ細やかに行う事業がうまく組み合わさることで、より効果が発揮できるというふうに考えます。
今回、国で示された施策に加え、本県における課題に対応した本県独自施策にしっかりと取り組みながら、私の公約でもあります県民の皆様にお約束した大事な政策である「ストップ少子化!子育て環境日本一」の実現に向けて取り組んでまいりたいと存じます。
次に、少子化対策への取組についての御質問にお答えをします。
少子化の進行には複数の要因が絡み合っており、この状況を打破するためには、議員御指摘のとおり、子育てや教育費の負担を軽減するとともに、若者が安心して結婚、子育てができる労働環境づくりなど、様々な問題に取り組んでいく必要があります。
このために、本県では、妊娠時から出生時の伴走型相談支援と経済的支援を同時に行う子育て支援ポイント制度を構築しております。公立高校での授業料相当額の就学支援金の支給、また、私立高校の授業料減免補助の拡充などの経済的負担の軽減にも取り組んでおります。若い世代の雇用や収入の安定化に向けた非正規雇用者の処遇改善にも取り組んでおります。
また、家庭における女性の負担感が大きいことが少子化の進行の要因の一つともなっており、男女が共に仕事と子育てを両立できるよう働き方改革を進め、男性の育児休業取得を促進するほか、無意識の思い込み、いわゆるアンコンシャス・バイアスの解消を進め、男性の家事・育児参画の促進を図ることにもしております。
加えて本県では、就職期において若い女性の社会減が続き、男女数が不均衡であることから、女性の転入を促進し就職期の女性に選ばれる環境づくりに取り組んでいきます。
少子化対策は、県の様々な施策の中でも最も難易度が高いものと理解をしております。しかも今、最も重要な施策であることから、子育て、教育、雇用、ジェンダー平等など、あらゆる施策を総動員して少子化に歯止めをかけるべく取り組んでまいります。
若い女性の流出対策あるいは転入の対策に特化して、視野が狭いということでしたが、決して特化しているわけではありません。その他、様々な施策を打ち続けております。それに加えてという意味でございます。
統計によりますと、本県で結婚されている方々は、しっかり2名前後のお子さんは産んでおられるんです。あと大切なことは、県内におられる方の未婚率を下げること、婚姻数を増やすこと、それから県外におられる女性──いつかは新婦に、あるいはいつかはママになる女性たちを、富山に一人でも多く呼び込むこと、ここがこれからのポイントだというふうに思います。
既存の政策はかなり効いていると私は理解をしています。それに加えてということで、どうか御理解をいただきたいと思います。
次に、小規模校の魅力化についての御質問にお答えをいたします。
教育委員会では、5月に取りまとめた令和の魅力と活力ある県立高校のあり方に関する報告書を踏まえまして、学校規模や学科・コースの基本的な方針など、今後の高校の在り方を検討するため、新たに県立高校教育振興検討会議を設置しました。
先般の第1回の会議では、委員から、「それぞれの高校の魅力が高まり、子供たちの幸せの総量が膨らむような再編であればよいのではないか」、「高校の在り方、各学校の特色などをしっかりと踏まえた上で、適正な在り方と規模を幅広い観点から深く洞察していく必要がある」などの御意見をいただいたと聞いております。
県内の県立高校では、学級規模に関係なく、地域連携をテーマとした探究活動など魅力的な教育活動が展開できるよう工夫して、どの学校においても教育の質を高めるよう努力をしておられます。
なお、小規模校については、文部科学省によると、生徒に目が届きやすくきめ細かい指導を行いやすいとのメリットがある一方で、部活動などの設置が限定され選択の幅が狭まりやすいとのデメリットを指摘されているところです。
ただ、全国では、小規模校であっても、地域社会の課題や魅力に着目した学びなどに取り組み、地理的に不利な条件の中で、地域の魅力、特色を生かし、活力と魅力ある高校づくりに努めておられる事例もあります。
検討会議においては多くの視点から丁寧に議論いただき、その意見も踏まえ、今後も、こどもまんなかの視点に立ちまして、小規模校も含めた高校の魅力ある教育環境づくりを進めてまいります。
次に、富山県武道館についての御質問にお答えします。
富山県武道館については、整備方針を再検討するために、4月に整備基本計画の
見直し検討委員会を設置し、議論いただいているところです。また、5月9日には県武道協議会から、大規模な大会も開催可能な規模の設備の整備などを求める要望書が提出されました。
こうした経緯を踏まえ2回目の検討委員会では、県から見直しの方向の案として、施設のコンセプトは、「武道競技の振興・競技力向上に寄与する施設」に絞ること、機能や規模は、本県の武道の拠点となる施設として公式大会が開催可能なものとすること、また、現建設予定地における整備費の試算を踏まえ、さらなる整備費の削減を図るため、新たな候補地として、五福公園と
県総合運動公園の2か所を提示させていただきました。
この結果、基本設計時の物価で比較すると整備費を約23億円減らし64億円程度とすることが可能となりましたが、最近の物価上昇を考慮すると、結果としては87億円ないし91億円の事業費になると見込んでおります。
しかし、施設規模については、御指摘のとおりダウンサイジングに努め、武道の公式大会が開催できる最小限なものとして、延べ床面積を2,000平米以上減らして必要最小限なものに絞り込みました。また、整備単価についても、近隣の類似施設を参考にさらに削減することとしました。
このように必要最小限の規模とする一方で、果たすべき機能を確保した結果であることに御理解をいただきたいと思います。
なお、競技種目の限定ということにも言及いただきましたが、現在の県営武道館においては、これまでも柔道や剣道以外に、空手道、合気道、少林寺拳法、なぎなた、銃剣道など多くの競技者に利用いただいており、武道競技に関して種目を限定することは考えていません。なお、柔剣道に加えてこれらの競技もできるようにすることによるコストアップという要因はありません。
今後、検討委員会での御意見、また、県議会での議論、武道関係者、利用者、近隣住民などの御意見もよくお聞きをした上で、夏頃をめどに基本計画の改定案を取りまとめていきたいと考えます。
なお、令和9年度中の開館を目指す場合、設計、建設段階からのPFI手法の導入は、事業者の選定手続に約2年間を要することからスケジュール面では困難であると見込んでおり、どのような管理運営手法が効率的、効果的かよく検討していきたいと考えております。
なお、参考までに、近隣で比較的最近できた同種の建物が新潟県と長野県にございます。議員御指摘のように、新潟県は富山県の人口の2倍強、長野県はちょうど倍ぐらいの人口規模でございます。ただ、剣道、柔道の高校、中学の生徒さんの登録人数ですが、剣道では長野県、新潟県の約8割が富山県の人数であります。それから柔道では長野県より富山県の方が多くなっております。そのような状況で、必ずしも人口規模だけではないということも御理解をいただきたいと思います。それでも必要最小限の2,000平米という広さに絞り込んだことは御理解をいただきたいと思います。
次に、
高岡テクノドーム別館整備についての御質問にお答えします。
高岡テクノドーム別館整備基本計画では、令和2年1月から同年6月にかけて3回にわたり開催した機能拡充に関する検討会の議論を踏まえ、多様なニーズに対応するため展示に係る施設機能を充実し、県民や企業にこれまで以上に親しまれ県西部地域をはじめとする県内経済の活性化に資する拠点施設となるよう整備するものとしています。
今般、展示棟建設工事を受注しようとする事業者が現れなかったことは誠に残念でありますけども、
高岡テクノドームの現在地は、北陸新幹線新高岡駅や大型ショッピングセンターに近接していることや、道路網の整備も進んでいることなど、将来的なポテンシャルが非常に高い場所だと理解をしております。基本計画に位置づけた機能拡充などの必要性は変わっていないものと考えます。
しかし、昨年来のウクライナ侵攻や昨今の大阪万博の工事加速化に伴う資材及び人件費の高騰など、基本設計当時とは経済情勢が大きく変化していることに加え、今回、意匠性の高い屋根を支える鉄骨の加工の難易度が高く、施工の確実性に課題があることが判明をしたところです。
こうしたことを踏まえて、現在の実施設計の内容のまま、最新の状況を踏まえた再見積りによる鉄骨など資材価格を単に反映させただけでは、建設の受注を期待するのは難しいことなどから、今回入札中止となった展示棟建設工事のほか、展示棟の設備工事や交流棟の工事分の設計を含めて、一度立ち止まって検討する必要があると考えております。
なお、別館整備の基本計画では、展示場の位置、また客席数、地場産工芸品などの建具等への活用など、機能拡充の方向性を示しており、この基本計画の方向性は維持しつつ、設計を含めて一度立ち止まって検討したいと考えていることを御理解いただきたいと思います。
次に、地震対策についての御質問にお答えします。
能登地方での一連の地震活動について、国の地震調査研究推進本部の評価によりますと、流体の移動が関与している可能性があり、これまでの地震活動や地殻変動の状況を踏まえると、当分続くと考えられ、強い揺れや津波に引き続き注意が必要とされています。
県では、この地震活動が近接する活断層と連動し、より大きな地震につながることなどを懸念して、先日行った国への重要要望に、この群発地震が本県に与える影響を早急に分析するよう求める要望を速やかに追加要望したところです。
また、議員御指摘のとおり、国の施策を待つばかりではなく、県として取り組めることは積極的に対策を進めることとします。
具体的には、ハード対策として、主要な道路や橋梁などの緊急通行確保路線の整備強化、木造住宅や社会インフラの耐震化を促進、震度情報ネットワークシステムの回線を二重化し災害に強い通信体制を構築すること。また、ソフト対策では、地震、津波に関する防災情報のSNS等による周知、地域防災のリーダーとなる防災士の育成や、共助の要となる自主防災組織の活性化のためモデル事業による地区防災計画の策定を推進してまいります。
天災は忘れた頃にやってくる、これは物理学者寺田寅彦の言葉でございます。寺田寅彦が被害調査に当たった関東大震災が発災したのは大正12年(1923年)、ちょうど今年から100年前であります。その100年の節目、災害に強い安全で安心な県づくりを進めてまいりたいと考えております。
私からは最後になりますが、防衛費の増額についての御質問にお答えをします。
国では、我が国を取り巻く国際環境を踏まえて、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で国民の命と暮らしを守り抜くため、防衛力の抜本的強化を行う必要があるとし、昨年12月に、国家安全保障に関する基本方針である国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画の3つの文書が閣議決定をされました。その中で、反撃能力の保有や防衛費総額は今後5年間で43兆円程度とすることなどとされ、現在、防衛費の財源確保に向けた財源確保法案が参院で審議をされています。
岸田総理は閣議後の記者会見で、国民の命、暮らし、事業を守り抜く上で、まず優先されるべきは、我が国にとって望ましい国際環境、安全保障環境をつくるための外交的な努力であり、多国間協力を推進する積極的な外交をさらに強化していくと述べられました。その上で、同時に外交には裏づけとなる防衛力が必要との見解が示されています。
また、国では、この反撃能力は憲法及び国際法の範囲内で、専守防衛の考え方を変更するものではなく、武力行使の3要件を満たして初めて行使され、武力攻撃が発生していない段階で自ら先に攻撃する先制攻撃は許されないことは言うまでもないとしています。
世界では、ロシアのウクライナ侵攻や北朝鮮による相次ぐミサイル発射をはじめ、国際秩序の根幹を揺るがしかねない深刻な事態が発生する可能性が排除されていません。
防衛の問題につきましては、我が国の安全の確保に関わる極めて重要な事柄であり、国会において丁寧に議論し、政府において適切に対処いただけるものと理解をしております。
私からは以上です。
39 ◯副議長(奥野詠子君)有賀厚生部長。
〔厚生部長有賀玲子君登壇〕
40 ◯厚生部長(有賀玲子君)私からは、コロナの科学的根拠に基づく対応策、県民の生活と健康を最大限に守る医療体制ということでお答えさせていただきます。
5類移行によりまして新規患者数の把握が定点調査となったことを踏まえまして、県では独自の取組として、新規患者数の推計値や感染状況の所見と評価を公表しております。また、衛生研究所において5類移行後もゲノム解析を続けており、ウイルスの流行状況の監視と遺伝子レベルでの病原性の解析に努めております。
引き続き、重層的な感染動向の把握に努め、国による情報提供と併せ、県民にとって分かりやすい情報発信に努めてまいります。
医療体制の確立についてですが、外来医療では、対応可能な医療機関が3月末の335機関から354機関に拡大しております。入院医療については、本県の場合、各医療機関の御協力により、自院に入院、通院している患者が感染した際の受入れが進んでいるほか、入院調整も既に医療機関同士で行っていただいているものでございます。
補正予算案では、入院に係る高額療養費の一部や高価なコロナ治療薬に対して公費支援を行うこととしているほか、医療機関での受入れ体制を充実強化するため、コロナの感染防止に科学的に有効とされている設備の整備等への支援に係る経費も計上しており、引き続き、発熱等の症状がある方々が安心して受診できるよう支援制度の十分な周知や、感染拡大時にも対応できる医療提供の体制の準備をしてまいります。
41 ◯副議長(奥野詠子君)荻布教育長。
〔教育長荻布佳子君登壇〕
42 ◯教育長(荻布佳子君)私からは、県立高校の学級編制に関する御質問にお答えいたします。
議員御指摘のとおり、令和5年度の県立高校の募集定員については、昨年、県議会や関係地域の首長などから多くの御意見をいただいたところです。
このため、昨年度、令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会や、3回開催された総合教育会議において、学級編制、公私比率、普職比率、学区の取扱いなどについて、全国の状況なども踏まえつつ議論を行ったところです。
総合教育会議では、各委員や有識者からの御意見を踏まえ、今後の方向性の主な論点が整理されましたが、学級編制については、これまでと同様に地域の均衡ある学びの確保を踏まえつつ、生徒数の動向、志願状況などを勘案して総合的な判断が必要とされました。
こうしたことから、令和6年度の県立高校の募集定員については、来年3月の中学校卒業予定者数の動向やこれまでの志願状況、学級増減の経緯などを踏まえ総合的に判断することとし検討をしておりますが、その前提となる学級編制の方針や考え方については、県議会などに丁寧に御説明をしたいと考えております。その御意見も踏まえて7月をめどに教育委員会で慎重に審議の上、決定していきたいと考えているところです。
また、通学区域については、総合教育会議で、普通科についても全県一区とすることを含めて検討するとされたことから、先般の教育委員会において御意見を伺ったところです。
現在、中学校では、生徒に対し、成績だけでなく、高校卒業後の進路や高校の特色などを踏まえ進路選択するよう指導がされており、普通科における通学区域の見直しが高校教育の競争的環境を徹底させることになるとは言えないのではないかと考えておりますが、御意見も踏まえて、引き続き教育委員会で検討をしてまいります。
43 ◯副議長(奥野詠子君)菅沢裕明君。
〔34番菅沢裕明君登壇〕
44 ◯34番(菅沢裕明君)教育長は私の質問にほとんど答えていない。
総合教育会議で学級編制を含めていろいろ議論があったということだけれども、生徒の急減期を迎えて、学校、高校の在り方の検討は基本的にはしている。けれども、当面する来年度の生徒の募集を中心にした学級編制については何も答えていなかったです。
恐らくこの県議会が終わる6月末に一定の案が示されるんでしょう。そして、生徒募集、さらには学級編制については7月に公表して、学校関係者、父兄に伝えるというのが最近の動向ですから、ほとんど我々県議会議員や、さらには学校関係者、父兄たちが、この問題で論議をする時間的余裕はありません。そういう時間的余裕を全く与えないで、昨年の立山や氷見を中心にした首長たちや学校関係者、地域の皆さんの、あの沸騰した議論。何を求めていたのか。真の意味で、高校生たちのさらなる成長と、地域で高校をどう支えていくかという、熱心な熱意に燃えた議論があったわけです。何にも受け止められ、生かされていない。
私は、先ほどのような教育長の答弁が続く限り、この壇上から下りたくない、そういう気持ちであります。
改めて、なぜ学級編制方針を、少なくともこの6月議会で議論できるように、7月の公表前に学校関係者や関係する学校の自治体、首長さんたち、議会の皆さんがちゃんと議論できるような時間的余裕、そしてちゃんとした情報の提供をしないのか、明確にここでその事情を説明していただきたい、このように思います。
知事、あなたに第1点質問したいのは地震の関係なんです。
私は、最大のリスクに備える危機管理、これこそが、今求められている富山県の防災対策の根幹だというふうに申し上げたつもりでありますが、例えば珠洲の地震が起きておりますけれども、内陸部から日本海側の沖合へと震央、地震の領域が広がっております。そのことによって津波が想定されておりますが、石川県の防災計画では、この能登沖の地震に起因する津波についての想定も既に公表されております。
富山県は、この能登沖の津波を伴う地震についての何らの情報も県民に公表していませんし、構えもありません。富山県というのは、こうした大きな災害が想定される糸魚川沖の地震にしても、石川県の様々な、能登沖のこういう地震、津波対策についても、全て参考にするという構えです。自らがしっかりと被害の調査をしたり評価をして、県民に明らかにするという構えが全くありません。
ですから、魚津の断層にしても砺波平野の東部断層にしても、国の指示待ちです。対応待ちです。自らが予算を組んで被害想定をするとか、そういう考えは全くないわけです。私は、新田知事になってもこういう基本姿勢が変わっていないことに大変残念な思いでおります。
知事、富山県のそういう対応の弱さ、私は、県自身が安全神話のとりこになっているんじゃないかというふうに思いますね。いかがでしょうか。
時間が5分間で切れますから、再質問、また予定いたします。
以上です。
45 ◯副議長(奥野詠子君)新田知事。
〔知事新田八朗君登壇〕
46 ◯知事(新田八朗君)再質問をいただきました。
津波に関してですけども、富山県の津波の主な特徴については、私どもなりに取りまとめております。
浸水の深さが5メートルを超える区域というものは、沿岸からおおむね10メートル以内で、沿岸のごく一部の地域に限られているということが分かっております。
また、津波の水位は入善町において10.2メートルが予測されますが、これが最高であります。
また、最高の水位は第1波または第2波で、その後急激に減衰する。すなわち継続する時間が短いということも分かっております。また、海面が変動を開始する時間が全般的に速い、また、最高津波の到達時間が早い地域もある、このような知見は得ております。
それから、例えば議員の地元である氷見市のことを申し上げますと、氷見市の最高津波水位と到達時間ですが、糸魚川沖で起きる場合、最高津波の水位は3.8メートル、そして津波の到達時間が15分ということ。富山湾の西側で起きた場合は、最高の津波の水位は7.2メートルで10分後。それから、呉羽山断層が動いた場合ですけども、最高の津波の水位は4.6メートル、最高
津波到達時間は25分などなどのデータを私どもでは持っているところでございます。
そして、平和ぼけ、安全ぼけしているんじゃないかということでございますが、そんなようなことは決してないように戒めているところでございます。
実は、この答弁書の原稿も大体「本県は災害が少ない県と言われているが」と枕言葉に入ってくるんですが、私は全部それを消しております。そのようなところから、なるべく安全ぼけしないようにしっかりと取り組む姿勢づくりをしてまいりたいと思います。
私からは以上です。
47 ◯副議長(奥野詠子君)荻布教育長。
〔教育長荻布佳子君登壇〕
48 ◯教育長(荻布佳子君)私からは、県立高校の学級編制に関する再質問にお答えをいたします。
令和6年度の学級編制について、県議会での議論や、事前に地域の意見を聞いた上で検討すべきではないかという御趣旨だったと思いますけれども、学級編制の具体的な案について、県議会や関係自治体に前もって提示をして御議論いただくということについては、誇りを持って高校生活を送っている対象校の在籍生徒の気持ちに影響を与えることですとか、関係する高校を目指す中学生やその関係者への影響などを考えますと、教育的な視点からも難しいのではないかというふうに考えております。
ただ、繰り返しになりますけれども、具体的な学級編制案の前提となる学級編制の方針や考え方については県議会に御説明をしたいというふうに考えておりまして、その御意見も踏まえた上で、具体的な学級編制案を7月をめどに教育委員会で審議したいというふうに考えているところでございます。
また、関係する市、町や学校への説明についても、編制の方針や考え方について丁寧に説明をしていきたいと考えているところです。
以上です。
49 ◯副議長(奥野詠子君)菅沢裕明君。
〔34番菅沢裕明君登壇〕
50 ◯34番(菅沢裕明君)教育長の御答弁には納得しかねます。
学級編制の中には、恐らく生徒減少の中での学級の増減も含まれる可能性があります。令和5年度の中学校卒業予定者は158名で、前年よりも減りますので昨年以上であります。この影響が学級編制にどう現れるのかは、学校当局だけではなくて、関係自治体、全市町村、さらには学校関係者の大きな関心でもあります。
同時に、今回の学級編制の中には、普通科の全県一学区制も含まれることになろうかと考えております。多分そうなるのではないかと。これは、県の普通科教育の在り方の根本に関わる、競争的教育環境の最後のとりでがなくなる、そういう点で私は非常に大変な危機感を持って見ておりますけれども、こういったことも含めて富山県高校教育の在り方に関する重大な中身が含まれる可能性があるわけであります。
こうした学級編制の大きな、ある意味では曲がり角に立ち至って、昨年の教訓がどう生かされるのかと。昨年のあの議論は何だったのかと。あの議論を踏まえて、総合教育会議や教育委員会で学級編制の発表の在り方を検討したということをおっしゃるけど、ほとんど検討もされていないし教訓も生かされていないということが、今の答弁から明らかになっているわけであります。
こうした重大な県教育の在り方に関わる学級編制について、去年の議会答弁と同じことを教育長は繰り返しておられます。去年はこんなことをおっしゃっておられるわけです。「県議会での御議論、また県民の皆さんを巻き込んでの議論ということについては、地域の学校が学級減となるということは地域にとって歓迎されるものではない」、こんな通俗的な言動なんですね。そしてそういったことを明らかにすることは、「かえって混乱を招いてしまうのではないかということも懸念されます」、これは先ほども何か同じことをおっしゃいました。「学級編制は教育委員会で責任を持って審議の上、議決するのが適切ではないかというふうに考えております」、これも、今日また私の再質問に対する答弁で繰り返していらっしゃるわけです。
教育委員会は全く官僚的な姿勢、もっと言えば、地域の学校関係者や父兄の意識からかけ離れた、教育委員会に閉じ籠もっているような、そういう印象を私は強く受けます。なぜこういう閉鎖的な姿勢を県の教育委員会が示されるのかと。県高校教育の在り方の前に、教育委員会の在り方が問われる言動ではないかというふうな印象を、私は今強く持っております。
そういうことで再質問をいたしますけれどもね、本当に残念です。
昨年、立山町長と氷見市長が参加した意見陳述の教育委員会がありまして、私も傍聴しましたが、ある教育委員が、そうした立山町長や氷見市長の発言というのは地域の個別の利害に基づく発言であって、それはアメリカのトランプ大統領と同じことで勝手なことを言っていると、そういう言動も実は教育委員会でなされていました。教育委員の名前は申し上げませんけれども。
私は改めて、今の教育長の発言も含めて、県教育委員会の在り方をこれから問うていかなければならない段階に至っていると、このような印象を強く持ちます。
以上で、再々再質問はできませんけれども、なぜ6月のこの議会の終わる段階で発表して、地域の議論を求めるどころか、7月にはもう発表なんですよ。議論の余地なし。これは、教育委員会の専権事項であるという宣言を、今日、荻布教育長がこの議場で行ったと。断じて私は許し難い。
再々答弁に際して、もっと開かれた教育委員会、子供たちの成長を本当に真剣に考える、そういう高校教育の在り方の先頭に立つ教育委員会の姿を取り戻していただきたい。あなたにそういうことも期待しながら、再々質問を終わります。
以上です。
51 ◯副議長(奥野詠子君)荻布教育長。
〔教育長荻布佳子君登壇〕
52 ◯教育長(荻布佳子君)菅沢議員からの再々質問にお答えしたいと思います。
生徒の減少が毎年進む中で県立高校の適正な配置について考えるということは、年の経過とともに非常に難しくなっているということを感じつつ、ただ、やはりそうした環境の中でも、少しでもよりよい学びを実現するために、また県内のバランスも取れるようにということで苦慮してやっているところであります。
教育委員会が閉じ籠もって、専権事項だから意見は聞かないんだというようなお言葉もありましたが、そういったことを思っているわけではございません。(「そのとおり発言したじゃないか」と呼ぶ者あり)先ほども申し上げましたけれども、具体的な学級編制について提示して、この議会で議論していただくというのは難しいというふうに考えておりますが、(「議会だけじゃないよ、地域の子供達や父兄のためにも言っているんだよ」と呼ぶ者あり)その前提となる学級編制の考え方については、議員の皆様にこの後御説明をしていきたいと今考えているところでございます。(「いつやるんだ。議会はその最高の場じゃないか」と呼ぶ者あり)具体的な日程等については、また調整をさせていただきたいというふうに思っております。
そうしたことで、非常に難しい課題なんですけれども、関係の皆様の御理解をなるべく得ることができるように、丁寧な議論、説明に努めていきたいと考えております。
以上です。
53 ◯副議長(奥野詠子君)以上で菅沢裕明君の質問は終了しました。
鍋嶋慎一郎君。
〔7番鍋嶋慎一郎君登壇〕
54 ◯7番(鍋嶋慎一郎君)こんにちは。
自由民主党富山県議会議員会、新人の鍋嶋慎一郎です。
私にとって初めての県議会でありますこの6月定例会において、質問の機会をいただき、先輩議員をはじめ同僚議員には感謝申し上げます。
先般行われました富山県議会議員選挙において、多くの皆様の温かい御支援をいただきまして、この県議会の壇上にて発言する立場を賜りました。このことに深く感謝するとともに、誰もが生き生きと安心して暮らしていける富山県づくりに少しでも力になれるよう、一生懸命活動していく所存でありますので、これからも皆様方の御指導、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
先日、この議事堂からの帰り、夕日がきれいなときを見計らい、私の地元であります入善町の舟見城に行ってきました。まだ開館中だったので天守閣まで上がり、展望デッキともなっている外に出た瞬間、どかんと広がるオレンジ色の世界は、世界の夕日ランキング的な番組で紹介されてもおかしくない超ド級な景色で、視界いっぱいに飛び込んできました。眼下に広がる黒部川扇状地は、あらかた田植が終わり、多くの水の張られた田んぼに夕日が反射し、遠く能登半島の先まで見渡す限りをきれいな夕日色に染めていました。そして、時間とともにオレンジ色からピンク色、そして日没後に広がるピンク色から青色、夜空へのグラデーションの空も、見ている人たちを吸い込んでいました。
入善町では、今はもう帰ってしまいましたが、入善の沖合に洋上風力発電の風車を3基建てるために、巨大な作業船、SEP船というのが来ており、その船や作業風景を見に、町内外はもとより、県外からも多くの方々が海岸に集まっておられました。巨大船ゆえにかなりの存在感で遠くからでもはっきり見え、昼夜問わず作業しているため、暗くなるとまぶしいぐらいに発光し、入善スカイツリーとまで言われるほどでした。そのひとときの風物詩を見るために多くの人たちが訪れ、町も思わぬにぎわいを見せていました。
何げないことで感動でき、身近にあるすてきな景色をこれからも守りたいと思うとともに、この町、そして富山県のさらなる発展に向けしっかりと行動しなければいけないと、改めて自分に課せられた責任の重さを感じながら質問へ入らせていただきます。
まず初めに、富山県の農業振興について質問いたします。
先日の宮本議員による代表質問と重複するところもありますが、よろしくお願いします。
昨年度の県の肥料高騰化対策は、農家に今年度栽培する農作物の生産意欲を与えていただきました。ただ、新型コロナの影響により、販売額がまだまだ落ち込んでいる農家が多いのも現状であると思われます。
そこで、新型コロナの影響、ロシアのウクライナ侵攻、円安などにより、輸入に依存している肥料、燃油、飼料などの価格の高騰が農業経営に大きな影響を与えており、さらなる対策の拡充を行うべきと考えますが、津田農林水産部長の所見をお聞かせください。
電気料金の値上げは県民の大きな負担になっており、たくさんの方々から、どうにかならないかと多くの御意見もいただきました。
この電気料金の大幅な引上げは、農業経営にとっても大きな影響を与えます。肥料会社では、原料価格が安価になった分、価格の高騰を抑えられると思った矢先に、これだけの電気料金の引上げは、販売価格にかなり影響が出るだろうということも聞いております。とりわけ農家で使用する乾燥調製の機械装置の電気料金は、相当高騰するものと思われます。
そこで、電気料金の引上げに対し、JAの乾燥調製施設や乾燥調製の機械装置を所有する大規模経営体への支援策は取られましたが、今後のさらなる引上げに対する支援や、大規模経営体以外で同様の機械装置を有する経営体にも支援が必要と考えますが、津田農林水産部長の所見をお聞かせください。
次に、現在、県内の各地において基盤整備事業が行われています。現在の基盤整備は、スマート農業と言われるロボット技術やAI、IoTといった、先端技術を活用した超省力・高品質生産のための大型トラクターなど、スマート農機が作業するのに適した圃場の大規模化や、園芸生産を推進するために暗渠排水の対策をしっかりとして排水性を高めることが、かなり重要であると考えます。
水橋地区など国の基盤整備事業に続き県の事業も始まっていきますが、これらを進めていく上で各市町村の整備進捗に格差が生じないよう、市町村や地元の負担を最小限にすべきと考えます。
市町村ごとの圃場整備事業の進捗に格差が生じると、市町村間における経営体の格差にもつながりかねないと考えますが、津田農林水産部長の所見をお聞かせください。
現在、年間1人当たりの米の消費量は、令和2年度で50.8キログラムだったそうです。昭和37年度がピークで、年間1人当たり118キログラムの米を消費していたとのことなので、現在では半分以下にまで減少したということになります。そして、平成26年以降、1世帯当たりの年間のパンの支出金額が米の支出金額を上回っています。
富山県では、コシヒカリやてんたかく、てんこもりや富富富など、多くの品種が生産されております。生産者はもちろん知っていても、消費者にはまだまだ認識されていないのが現状です。県産米消費拡大に向けて、様々なスポーツまたは様々なイベントなどで、知事をはじめ各市町村長によるトップセールスによって、もっともっと県産米の消費をアピールしていくべきと考えます。知事、いかがでしょうか。
県内に工場があるパック御飯は、県内のみならず全国、そして世界でも人気の高い商品となっております。炊飯から、簡単でおいしく衛生的な富山県産のパック御飯に代えていくことにより、県産米の消費拡大のほか、学校給食をはじめ介護・福祉施設で発生している調理師のマンパワー不足を補う一つの手だてになるのではないかと思います。県産米の消費拡大の策として、学校給食や介護・福祉施設の給食におけるパック御飯の活用などをさらに進めてはどうかと考えますが、津田農林水産部長の所見をお聞かせください。
本県の園芸産出額が全国最下位であることから、昨年より市町村等による「稼げる!園芸産地プラン」の策定と、プランに基づく取組を支援していると聞いています。
本県農地の約95%が水田であることも、園芸産出額が伸びない理由の一つであると思われます。しかし、水田の多い県は富山県だけではないことから、このほかにも幾つか理由があると考えられます。同じような条件でも、園芸産出額の多い県の事例を基に解決していく手だては大いにしてあると思います。
本県の園芸産出額が少ない要因についてどのように考えているのか、また、今後の取組と併せて津田農林水産部長の考えをお聞かせください。
次に、就農に向けた取組についてお聞きします。
多くの業種で人手不足が課題になっている中で、農業においても地域の農家にとって人手不足が喫緊の課題であり、次世代を担う農業者の育成確保に向け、幅広い関係機関が連携して対応していくべきと考えます。
就農者数の増加に向け、とやま農業未来カレッジや農業系高校など関係機関が連携を強化し、知恵を絞っていく必要があると考えます。近年のとやま農業未来カレッジ、農業系高校からの就農者数と併せてお聞かせください。
近年の学校再編により、募集数に対する受検者数はかなりばらつきが出ているように思います。先日の荻布教育長の高等教育の場に及ぼす人口減少問題の話の中にもありましたが、もちろん人口減少、少子化の影響も受けているのは理解できますが、県内外の人気校などを参考にするなどし、せめて各学校が募集者数同等の受検者数になるようにしていかなければいけないのではないかと考えます。
その中でも、農業系の高校において著しく入学者数の少ない学校がありますが、入学者数を増やす方策などをどのように考えておられるのか、教育長の考えをお聞かせください。
とやま農業未来カレッジが開校して以来、多くの就農者が出ていますが、現場では授業と違い、今後の不安を抱えている人も多いと聞いています。授業の在り方を検討していくことで、不安の解消につながるのではないかと考えます。
とやま農業未来カレッジにおいては、様々な実習をするに当たり、カレッジが管理する13アールの農場に加え、サテライト農場として県内の数軒の農家に出向いて実習をしています。
そんな中、より見解を深めたい、経験を重ねたいと、以前から、1年制だけではなく2年制コースもつくってほしいとの要望を多く聞いていたことが、前向きに進んでいるということで非常にうれしく思っております。
様々な授業を行う中で、座学はもとより、実際に土に触れ機械を使い作物を育てる農業実習は、就農を考えている人にとっては実際の現場作業に近いこともあり、非常に大切なものと思っております。ただ、カレッジが管理する13アールの農場と数か所のサテライト農場だけでは、全然足りていないとも聞いております。
そこで、中央農業高校や県農林水産総合技術センター農業研究所の圃場も利用して、実習を行ってはどうかと考えます。とやま農業未来カレッジから距離にして7キロメートル、車で10分程度で行ける中央農業高校には、大規模で多区画の圃場があるほか様々な最新の農機具があり、時には中央農業の生徒と共に実習するなど、お互いの刺激にもなるのではないでしょうか。
また、農業未来カレッジすぐ近くの県農林水産総合技術センター農業研究所の圃場を借りることで、様々な作物を生産でき、時には職員の方々と会話しながら作業することで様々な知識も身につき、見聞も広がると思いますが、津田農林水産部長の考えをお聞かせください。
現在、県では農業経営体の経営継承に力を入れていると承知しておりますが、現状は親元就農や第三者継承が進んでいるという認識でおられるのでしょうか。私が見ている限り、継承ができないであろう経営体が多く見受けられますが、そのような経営体にどのような対策をしていくのでしょうか。
農業経営体の経営継承について、親元就農や第三者継承に係る現状認識と今後の対策をどうするのか、考えをお聞かせください。
最後に、「ワンチームとやま」連携推進本部会議についてお聞きします。
県と市町村が共通の課題について話し合う「ワンチームとやま」連携推進本部会議が定期的に開かれており、まさにワンチームとなって富山県のこれからについて非常にまとまっている感じは高く評価するところであります。
ただ、知事や市町村長が一つになっても、様々な事業を展開していくに当たり、県側と市町村側にはまだまだ差があるように感じております。とてもいい事業や様々な補助制度を県のほうで計画されても、各市町村の財政具合によって、受け入れられるもの、受け入れられないものがあると思いますし、そのことが市町村間の格差にもつながりかねないと思います。
県と市町村で連携して実施する事業について、事業を進める前から市町村側とよく話をしながら、お互いに納得のいく着地点をつくってこそワンチームだと考えますが、知事の所見をお聞かせください。
以上で質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
55 ◯副議長(奥野詠子君)新田知事。
〔知事新田八朗君登壇〕
56 ◯知事(新田八朗君)鍋嶋慎一郎議員の御質問にお答えします。
まず、県産米の消費拡大についての御質問にお答えします。
県産米の消費拡大については、これまでも、米飯給食を推進するとともに、御飯のおいしい炊き方や食べ方を料亭の御主人に紹介していただいたり、また御飯の優れた栄養面をアピールする動画配信に加えまして、県産米粉の活用を図るための商品開発への支援など、多様な活用方法の普及も進めてきています。
私自身も、これまで富富富のCMや農林水産省さんの動画配信サイトに出演したほか、富富富の新米出荷式、あるいは米穀卸業者さんとの懇談会、コンビニでの富富富おにぎり発売など、県民をはじめ全国の皆さんに、おいしい富山米をもっと食べていただきたいとの思いで、機会があるごとにトップセールスをしてまいりました。
今年度は、コロナの感染症法の位置づけが5類に移行し、県内外で多くの食を伴うイベントも予定されています。県産米のPRについても、議員御指摘の
スポーツイベント、これは、栄養があっておいしくて消化のいい──食とスポーツというのはやっぱり親和性があるので、各種
スポーツイベントでの試食販売──ジュニアスポーツ大会などで行いますが、あるいはアスリート食として栄養面で優れているお米をアピールしたりとか、そういうようなこともやってまいります。
また、お米マイスターによる御飯教室、今月開催の食育推進全国大会inとやまなどもアピールの場にしておりますが、機会があれば各市町村長さんにもお声かけをして、様々なPRイベントに参加をしてまいりたいと思います。
全国的には、米の需要量は毎年10万トンずつ減っています。議員をはじめ県内生産者の御努力で、県産米は高品質で良食味の点から実需者や消費者から高く評価されています。
県産米の消費拡大に向けまして、引き続き市町村あるいは農業関係団体、流通業界と連携をしてアピールしてまいります。
次に、県と市町村の連携についての御質問にお答えをします。
「ワンチームとやま」連携推進本部会議は、令和3年1月に設置して以来、これまでに14回の本部会議を開催しております。市町村から提案いただいた連携推進項目のほか様々な重要課題について、首長同士で忌憚のない議論、検討や意見交換を重ねてまいりました。
また、本部会議の前には、市町村の企画担当課長から成る幹事会というものを設定しておりますが、そこにおいて、より必要な調整や意見交換を実施したりもしております。それから、連携推進項目については、実務担当者レベルでのワーキンググループも設置しておりまして、令和4年度は計26回の会議を開催するなど丁寧な議論、検討を重ね、16人の首長によるトップ会議に、ある程度形を整えて物事を提案する、そのようなことになっております。
その結果、自治体行政のデジタル化あるいは農林水産物などの輸出促進など、様々な事業分野において着実に成果が上がっていると理解しています。
さらに、今年度、エネルギー価格や物価高騰などに対応する補正予算編成に当たっても、市町村の事業担当課の皆さん、あるいは財政担当課とも連絡を密にして、情報共有や調整に努めました。
県と市町村はそれぞれが独立をしておりまして、自らの権限と責任において行政運営を行っていること、また、私ども県は、やはり15市町村全体の最適を求めたり、あるいは近隣の県との調和なども求めます。また一方で、市町村はそれぞれの地域の事情があり、施策が多岐にわたる中では必ずしも常に細部まで意見が一致するわけではもちろんありません。でも、日頃から風通しをよくしておいて、意思疎通や意見交換を図るベースをつくっておく、それが大切だというふうに考えています。
そのために、県の予算や施策の検討に当たりましては、ワンチーム会議の時期にかかわらず、県、市町村の担当部局間において、十分な情報共有や協議を行った上で調整を進めていきたいと考えます。
今後も市町村との連携を一層密にしながら、ワンチームとやま、15市町村プラス県、16の自治体がそれぞれの持ち場での役割を発揮しながらも、全体として同じ方向を向いて富山県の発展に取り組んでいく、そのようなことを推進してまいります。
私からは以上です。
57 ◯副議長(奥野詠子君)津田農林水産部長。
〔農林水産部長津田康志君登壇〕
58 ◯農林水産部長(津田康志君)私からは8問お答えさせていただきます。
まず、肥料等の価格高騰対策についての御質問にお答えいたします。
県では、これまでも国の支援に加え、肥料コスト低減のための緑肥作物の作付支援や、化学肥料や燃料の低減に取り組む販売農家に10アール当たり500円の奨励金を交付したほか、飼料につきましても、配合飼料の購入量に応じてトン当たり上限5,000円の奨励金の交付や、牧草等の自給飼料について生産資材高騰分の相当額を助成するなど、農業経営を支援してきております。
しかし、今年4月時点では、令和2年の年平均価格と比べ、肥料は約1.56倍、燃料は約1.31倍、配合飼料は約1.47倍となっており、生産資材の高騰が引き続き農業経営に影響を及ぼしていると認識しております。
このため、今年度5月補正で、昨年同様、肥料等については10アール当たり500円、自給飼料につきましても10アール当たり1,000円の助成を措置するとともに、今月2日に農林水産省に対して、影響緩和対策や価格補填対策の継続と拡充を要望したところでございます。
今後とも、生産資材価格の動向や国の対策、価格転嫁の状況等を注視するとともに、これまでの施策の効果を見極めつつ、関係機関と連携し、農業経営の安定に向けた支援に努めてまいります。
また、あわせて食料安全保障の観点からも、過度な輸入依存を低減していくことが大切であります。このため、肥料につきましては、土壌診断に基づく化学肥料の適正施用、窒素肥料に代わる緑肥作物の作付を加えた輪作体系の推進、堆肥などの地域資源の活用を進めるほか、飼料につきましても同様に、牧草や稲発酵粗飼料等の増産、耕作放棄地等を活用した放牧、食品残渣等の未利用資源の利用などに引き続き取り組んでまいります。
次に、電気料金の高騰に対する農業施設への支援についての御質問にお答えいたします。
電気料金の高騰に対しましては、国において激変緩和措置が講じられており、本年10月までの間は燃料単価の引下げ支援が行われておりますが、JAのカントリーエレベーターや大規模経営体の乾燥調製施設など特に処理量の大きい施設では、大きな影響が見込まれております。
このため県では、令和4年度2月補正予算におきまして、中小規模の農業者の多くが利用しているJAの乾燥調製施設等や、県が経営体のモデルとして育成を進めております、おおむね水稲作20ヘクタール以上の経営体を対象としまして、前年からの電気料金の高騰分に対する2分の1助成を措置しております。また、一部の自治体では、支援対象となる経営体を県よりも拡大して支援する予定とも聞いております。
電気料金引上げによる農業経営体の負担増につきましては、処理量のほか作物の種類や作業期間、それから電力会社との契約内容、乾燥調製機械等の設備の種類などにより異なりますが、引き続き経営に与える影響の精査に努めるとともに、国の対策や激変緩和措置の継続の有無等を注視しながら、必要に応じて負担軽減に向けた対策を検討してまいります。
次に、基盤整備事業の実施についての御質問にお答えいたします。
人口減少や少子高齢化により主食用米の需要が減少している中、非主食用米への転換や水田での園芸作物導入により、農家所得を向上させることが重要となっております。
このため県では、農地の集積・集約化を図る圃場の大区画化や園芸作物等の導入に適した汎用化を図る基盤整備を進めており、その際には基盤整備に係る農家負担の軽減を図っております。例えば、農地整備事業の場合では、中心経営体への農地集積率に応じて促進費が助成され、農家の負担の償還に充当できるほか、農地中間管理機構を介して、一定の要件を満たす場合には農家負担がなくても事業を実施できるなど、負担の有無によって整備状況に差が生じにくい仕組みを設けております。
また、市町村に対しても、起債充当率や交付税算入率が高い補正予算を活用するなど、市町村の財政状況への影響も考慮しながら計画的に事業を実施しているところでございます。
農地整備事業につきましては、市町村から多くの要望を受けておりますが、今後とも農家負担や市町村財政に配慮した事業の活用や予算確保に努めるとともに、各地区の実施状況や事業計画の調整状況を踏まえながら、計画的に農地整備等の基盤整備を進めてまいります。
次に、パック御飯を活用した米消費拡大についての御質問にお答えいたします。
全国的には米の需要量が毎年減少している中、無菌包装米飯──いわゆるパック御飯につきましては、令和4年の生産量が約21.3万トンと、10年前の平成24年の11.7万トンに比べ約2倍に増加しております。
昨年、食の王国秋フェスタで実施いたしましたお米に関するアンケート結果でも、8割がパック御飯を食べたことがあると回答しており、1人分でも簡単に調理ができて楽、あるいは炊きたてのようにおいしいとの回答があるなど、消費者の支持が確実に広がっているというふうに考えております。
パック御飯は調理時間が短く、必要な量だけ食べられる手軽さから、共働き、単身世帯、高齢世帯などを中心に一層の利用が進むと見込まれ、米の消費拡大の一翼を担うことが期待されております。
議員御提案の学校給食での活用につきましては、関係者の意見として、既に現在、県産米を用いた米飯給食が週平均で3.9回実施されており、あえてコストの高いパック御飯を導入することは難しいとも聞いております。
一方、介護・福祉施設では、コスト面での課題はあるものの、急な変更で御飯が足りなくなった場合や厨房機器トラブル等の際には活用したいという意見もあり、常食だけではなく、介護用のおかゆなどへの対応が可能となれば利用が進む可能性があるというふうに考えております。
こうしたことから、パック御飯の製造業者と連携し、介護・福祉施設への情報提供を行うことにより、県産米の消費拡大につながるよう努めてまいります。
次に、園芸の生産振興の取組についての御質問にお答えいたします。
本県の園芸産出額は近年90億円前後で推移しており、園芸産出額が少ない要因としては、水田率が全国一の本県においては排水不良等により収量・品質が不安定なこと、水稲に比べ労力が必要なため特に収穫作業で労働力不足となり規模拡大が困難であること、園芸を希望する新規就農者の受入れ体制が十分ではないことなどが挙げられます。
県ではこれまで、暗渠排水の整備などの水田の汎用化や1億円産地づくりにより、タマネギ等の機械化体系が確立した品目を中心に生産拡大を推進してまいりましたが、米の需要が減少する中で農家の経営安定を図るには、収益性の高い園芸作物への転換が求められます。
このため、県として、市町村等が作成した「稼げる!園芸産地プラン」に基づき、機械化体系や集出荷体制が確立している品目の生産拡大、生産向上、2点目はリーディング経営体の育成、3点目は新規生産者の受入れ体制の整備等に対して支援しております。
また、収穫・調製作業等の労働力確保のための農業支援サービスの実証に引き続き取り組むほか、とやま農業未来カレッジでの園芸研修のさらなる充実に向けた検討を進めております。
さらに、今年度からは、マーケットインに基づく生産から販売までの一貫した取組を推進するため、マーケットから考える園芸拡大研究会を立ち上げ、全国の先進事例も研究しているところです。
引き続き、市町村や農業団体と共に、園芸振興を着実に進めてまいります。
次に、就農に向けた取組についての御質問にお答えします。
県では、令和8年に新規就農者を年間120人以上確保することを目標に掲げ、就農に向けた研修の充実や経営開始後の資金の交付、新規就農者向けの機械の導入支援等を手厚く実施しております。
近年の新規就農者数は年間60人から80人台で推移し、このうち、とやま農業未来カレッジからは年間約10人、農業系高校からは年間約6人が就農しております。
これまでも、農業系高校等との連携につきましては、中央農業高校の敷地内にカレッジ生、高校生双方が活用できるICT園芸ハウスを設置したほか、高校生とその保護者を対象とした就農への理解を促す相談会の開催、農業団体等と連携したファームステイ等による実習を行う、いわゆる緑の学園事業などの活動を着実に実施しております。
しかしながら、議員御指摘のとおり、より多くの新規就農者を増やすには、とやま農業未来カレッジや農業系高校など、関係機関の連携を強化していくことが大変重要と考えております。
このため、保護者等を含めた就農相談会における実施校数の拡充や、中高生を対象とした農業の魅力発信のほか、市町村等とも連携し、就農希望者へのサポート体制づくりを進める産地等を支援するなど、就農希望者に安心して就農、定着してもらうための取組を促進することとしております。
今後とも、とやま農業未来カレッジや農業系高校、市町村や農業関係機関、団体等と連携しながら、より多くの新規就農者を確保育成できるよう取組を進めてまいります。
次に、カレッジの実習についての御質問にお答えいたします。
とやま農業未来カレッジでは、就農希望者が本県の営農条件に即した実践的な知識や技術を習得できるよう、座学、実習両面でバランスよく研修を行っております。
このうち作物実習は、現在、校舎に近接した基礎圃場13アールと県内農家等の圃場に設置する10か所のサテライト農場で実施しております。
この基礎圃場では、野菜の一連の栽培管理について実習を行っておりますが、敷地が手狭で研修生の十分な作業量を確保することが難しいこと、また、サテライト農場では、主に基礎圃場では行えない果樹や施設野菜等の実習を行っておりますが、県内各地に点在するため移動に時間を要することや、協力農家の事前準備の負担が大きいなどの課題がございます。
議員御提案の中央農業高校や県農業研究所の圃場を利用した実習につきましては、現在の圃場に比べて広大な面積を確保できることから、一部のサテライト農場での実習を移行できる可能性があること、さらに県の研究員や農業高校教員から知見を得られるなどの点で効果が見込まれますが、その実現には、圃場の管理それから利用調整などの課題についても検討する必要がございます。
県では現在、昨年開催しました農業教育と研修に関するあり方検討会報告を踏まえ、カレッジの通年研修の定員増や園芸希望者向けの2年目コースの新設に向けた検討準備を進めており、その中で実習圃場の拡充整備についても検討してまいります。
私からは最後になりますが、農業経営体の経営継承についての御質問にお答えいたします。
令和3年度に県が実施しました担い手の経営継承事例調査では、36件の継承事例のうち、親元就農による親子間継承が19件53%、第三者継承が8件22%となっており、現在のところ親元就農による親子間継承が主流となっております。
今後、農業の就業人口の減少や高齢化の進展により、後継者がいない農業経営体の増加も想定される中、第三者継承は、新規就農の希望者にとっても新たな農地の取得や機械等への投資が抑制されるメリットがあることから、本県農業の持続的な発展を図る上でも有効な手法と考えております。
このため、県では、農業経営継承セミナーの開催や「とやま農業経営継承ハンドブック」の作成配布によりまして、情報提供と意識啓発を行っているほか、リタイアを希望する経営体と就農希望者とのマッチング、富山県農業経営サポートセンターを活用した経営継承に向けた専門家の派遣など、経営継承を推進しております。
また、円滑な第三者継承には、スマート農業による生産性向上や高収益作物の導入などにより農業経営の安定化を進めることが重要でございます。そのために必要な機械、施設等の導入支援など、経営体が継承者を確保しやすい経営環境を整備できるよう、引き続き支援してまいります。
以上です。
59 ◯副議長(奥野詠子君)荻布教育長。
〔教育長荻布佳子君登壇〕
60 ◯教育長(荻布佳子君)私からは、農業系高校の入学者増についての御質問にお答えいたします。
議員御指摘のとおり、本県の農業系高校においては、志願者が増えず入学者数が少ない学校もございますが、県立高校の農業教育においては、これまでも農作物の栽培や家畜飼育などの基礎はもとより、将来につながる実践的な学習を通して、農業の魅力と可能性を実感できる特色ある教育の展開に努めてきているところです。
具体的な事例としましては、氷見高校では、地域と連携しイノシシ肉を利用したカレーなどの新たな特産品の開発をしておりますし、入善高校では、入善乙女キクザクラなどの地域の希少な植物の保護、増殖などについての研究、また中央農業高校では、アイガモロボットやGPSトラクターなどを導入したスマート農業の先進的な実習などを行っています。また南砺福野高校では、新設した食品加工実習室を活用し、みそなどの生産から加工販売までを手がける6次産業化に関連した実践的な学びも行っています。
学校では、こうした取組を学校紹介動画として作りまして、ホームページに掲載しましたり、中学校訪問での説明に活用したりしております。また、中学生を対象とした高校での農業体験学習や、高校生による中学校での作物の栽培指導、また、農業理解のための保護者説明会など、様々な取組によって中学生やその保護者に充実した教育内容や実習環境について発信をし、志願者の増加を目指してきているところです。
なお、近県においては、商標登録されたブランドによる加工品の販売を行うなど、魅力的な取組を実施することで定員が充足された高校の例もありますことから、今後こうした事例なども参考にして県の農業関係機関などとも連携しながら、さらに魅力ある農業教育となるよう努め入学者増を図ってまいりたいと考えます。
以上でございます。
61 ◯副議長(奥野詠子君)以上で鍋嶋慎一郎君の質問は終了しました。
暫時休憩いたします。休憩時間は10分間といたします。
午後2時46分休憩
───────────────────
午後3時00分開議
62 ◯議長(山本 徹君)休憩前に引き続き会議を開きます。
瀬川侑希君。
〔14番瀬川侑希君登壇〕
63 ◯14番(瀬川侑希君)自民党議員会の瀬川侑希です。2期目として帰ってくることができました。1期目と同様の緊張感を持って、そして2期目としての気概も持って、県政の課題に取り組んでいきたいと思います。
本日、私からは14問、分割して質問します。いつもより少し厳しい口調のものもあるかもしれませんが、いいものはいい、納得いかないものは納得いかないという是々非々のスタンスなので、お許しいただければと思います。
最初は、富山県政の課題や進捗についてというテーマで8問質問します。
まず、富山県武道館についてお聞きします。
富山県武道館の建設予定地には、新たに五福公園と
県総合運動公園の可能性が示されました。しかし、なぜ前回の候補地を検討することなく新たな候補地が示されたのか、唐突に感じています。廣島
生活環境文化部長にお聞きします。
前回は、4か所の候補地が示され、選定基準に基づき基本計画検討委員会で富山駅周辺に決定しました。
ここに来て駐車場の議論も中心になっていますが、ここにも違和感があります。これまでも駐車場の議論をさんざんしてきたじゃないですか。アリーナ機能を使う場合だけでなく武道をする観点でも、生徒、学生、運転できない人も利用できるよう、公共交通機関のアクセスがよいところにすべきだと結論を出しました。基本計画検討委員会で選定基準があって、公共交通機関を利用してアクセスが容易であることなどの基準です。土日の大会だけでなく、100億円近いお金をかけるわけですから、平日の利用者のことも考えてのことでしょう。
どの場所がいいとまで言っているわけではありません。それぞれメリットがあるのだと思います。ですが、バスで1時間に1本の場所を選ぶんだったら前回と真逆の決定をすることになります。前回の決定までのプロセスはそれなりに積み上げがあり、だからこそ、決定をある程度尊重もしています。しかし、今、全く逆の理屈になろうとしていることに、それで県庁いいんですか、その場その場で流されて新たに理屈をつくっていませんかと思ってしまいます。
2問目ですが、ですから、見えるように示してください。五福公園と
県総合運動公園のメリットとデメリットは何か。
見直し検討委員会だけに示すのではなく、決定する前に、県民や、これまで議論してきた議会にも、しっかり示してほしいと思います。廣島
生活環境文化部長にお聞きします。
次の質問に移ります。
G7教育大臣会合の開催は実り多いものであったと感じています。警察の警備を含め大変な調整もあったかと思いますが、おかげで富山県の大きな資産につながりました。関係者の皆さん、お疲れさまでした。私もこの場で要望しましたが、一緒に給食を食べるなど少しでも多くの生徒と触れ合える場をつくってくれて、ありがとうございます。
さて、G7教育大臣会合では、世界の方々に観光地としての富山の魅力をアピールできたのも大きな成果でした。参加者に満足してもらえ、食事や観光地など、関わった方々の大きな自信にもつながったのではないでしょうか。これをきっかけにもして、欧米の観光客の誘致に一層力を入れてほしいと思います。
教育大臣会合でのアピールを、その場で終わりにはせず、今後の観光客の増加にどうつなげていくのか、竹内地方創生局長にお聞きします。
次の質問です。
教育大臣会合関連行事では、特に参加した生徒が、今後の自分の人生にとって大きな意味があると話したことは、本当にすばらしいことだと感じています。私も、こういう生徒が一人でも生まれる仕事をしていきたいなと改めて思いました。今後は、共同宣言の理念に沿った施策や成果が、県民や、特に子供たちに広がることを期待しております。
また、共同宣言をしたからには、相応の責任も生まれると思います。教育大臣会合を開いた県であるからには、教育に最も力を入れている、そのための予算も惜しまない、そういう県になってほしいと思います。
そういう意味では、7年前に私たちは環境大臣会合を富山で開きました。開いて終わりではなく、どのようなことを進めてきたのか。教育大臣会合をきっかけに7年前の開催意義を改めて振り返り、歩みが遅ければ、より力を入れてほしいと思います。これまでどのような進捗があるのか、廣島
生活環境文化部長にお聞きします。
次に、先ほど欧米の観光客の誘致に一層力を入れてほしいと言いましたが、航空定期便として現実的なのは、まず台湾便、台北便かと思います。定期便は3年間運休が続いておりますが、4、5月のチャーター便は搭乗率が95%であり、定期便再開の期待が高まりました。
知事も自ら台湾に行き交渉しておりますが、台北便定期運航再開のために台湾側から指摘のあった、富山から台湾への訪問者数をどう増やしていくのか、新田知事にお聞きします。
続いて、厚生部関連で1問。
高齢化の進展に伴い、富山県内の認知症である方は、人数も割合も、これからも年々増えていく予想がされています。現在、人数でいうと、富山県で6万人から7万人が認知症であるという推計がされていますが、さらに増えていく予想です。
なるべく発症しない、発症しても進行を遅らせるといった取組が必要ですが、毎年、行方不明になる事案が起こり、そして残念ながら痛ましい事故も発生しています。ハードルがあることも理解しますが、行方不明は命に関わる。そういう意味で、行方不明になっても早期に発見できる、そんな仕組みが、発症者はより多くなるので、ますます必要になってくると感じます。
先週の教育警務委員会で、私、質問しましたが、県警としても多くの時間を認知症行方不明者の捜索にかけています。近年、毎年200人から300人が行方不明者として出ている、そんな状況です。
ここが第一義だとは思いませんが、認知症の行方不明者の早期発見は、家族や地域住民の安心につながるだけでなく、警察業務の負担軽減にもつながる面があります。QRコードやGPSグッズの活用など、これまでより発見に向けて踏み込んだ取組をすべきだと考えますが、有賀厚生部長に見解をお聞きします。
次の質問に移ります。
ここ最近、若い女性の流出が課題と言われるようになりました。男性に比べて女性は戻ってこないと、ある頃から頻繁に言われるようになったと感じています。しかし、この課題設定は本当に合っていますでしょうか。
確かに、男性と比較すると若干、女性のUターン率が低いのは事実です。ですが、最新の人口移動調査では、富山県の男性のUターン率は沖縄県に続いて全国2位、女性のUターン率は全国3位です。どちらも全国でトップクラスなんですね。「流出」とか「Uターン率」という言葉を出すとき、一人残らず戻ってもらう、Uターン率100%が正義のように考えるのかもしれませんが、そんなことはあり得ません。
若い女性の流出が課題ではなく、入ってくる方が少ないことが課題であり、全国で既に男性2位、女性3位。伸び代が少ないUターン施策から県外の方の流入増施策に大胆にシフトチェンジするべきだと考えますが、新田知事に所見をお聞きします。
この項、最後の質問になります。
2022年度の県内の法人倒産率は、残念ながら全国ワーストとなってしまいました。個人事業主を含めた倒産件数は63件。その内訳を見てみると、新型コロナウイルス関連倒産は27件で半数近くを占めています。
このニュースを見て、自分も議員という仕事をしている者として責任を感じました。残念、悔しいですし、何かできなかったのかと思いました。
当然ですが、新型コロナは事業者に責任があるものではありません。コロナが広がったとき県は警戒レベルを上げ、街への人出は減り、特に飲食店の事業者からは悲鳴のような声を聞きました。
困っている方を、しかも目の前で困っている方を救うのが政治や行政の仕事だと思って、私も何度も議会で取り上げ支援を求めてきました。
県は何もやらなかったと言うつもりはもちろんありません。ビヨンドコロナ補助金など、いろんなメニューもつくりました。でも、倒産率全国ワーストと結果が出たからには、やってきたことは正しかったのか、ほかに何かできなかったのか振り返る必要があると思うんです。
およそ1年前、国のお金だからいいでは駄目だと、「まん防」の適用を国に求めず、飲食店への支援を求めなかったこともありました。今だからこそ振り返って、この判断は正しかったのか、だから倒産率が増えたのではないか。現実で目の前で出血して苦しんでいる方がいたら、モラル云々ではなく、何よりもまず助けようとすると思うんです。事後の今だからこそ見えるものがあると思います。
新型コロナでダメージを受けている業種への支援メニューをつくるなど、県としてもっとできることがあったのではないでしょうか、新田知事の見解をお聞きします。
64 ◯議長(山本 徹君)新田知事。
〔知事新田八朗君登壇〕
65 ◯知事(新田八朗君)瀬川侑希議員の御質問にお答えをします。
まず、台北便の運航再開についての御質問にお答えします。
台北便ですが、定期便運休前──これは令和元年度(2019年度)ですが──の利用客数は4万7,208人。うち外国人の割合が75%、日本人の割合が25%と、大きく率が異なっています。こうしたことから、アウトバウンドの需要喚起は重要な課題であると認識しています。
先月開催された県内各界各層108の団体から構成されています富山空港国際路線利用促進協議会の総会で、会長の金井豊さんから、「定期便の運航再開のためには、海外からだけではなく国内からの利用を確保することも重要である。各会員には、運航再開に向けた動きがあった際には、各路線の利用促進への協力をいただきたい」旨の御発言をいただきました。
今年4月には、県内旅行会社に協力いただき、臨時便が飛んできた初日の4月13日の折り返し便を利用した富山から台湾へのツアーが企画されました。
また、県では、来月、県内旅行会社を対象として、台湾の観光地や宿泊施設などの現況を説明、意見交換するアウトバウンドセミナーの開催も予定しております。セミナーには台湾観光協会の鄭憶萍東京事務所長もお招きをし、台湾旅行に対する支援内容や食、文化などの魅力をPRしていただくことにしています。
台北便は重要な国際路線と捉えており、春に続き10月頃の臨時便の運航を今、協議しているところです。
県としては、定期便の早期再開に向けて、富山からより多くの方に台湾へ行っていただけるよう、富山空港国際路線利用促進協議会などと連携をして取り組んでまいります。
次に、女性の流入増施策についての御質問にお答えします。
国立社会保障・人口問題研究所が発表した2016年の人口移動調査報告書によれば、議員御指摘のように、本県出身女性のうち県外に移動した方のUターン割合は49.4%ということで、沖縄県、静岡県に次いで3番目という結果でした。全国順位は高いわけでありますけども、この数字が示すことは、県外に移動した女性の約半数は戻ってきていないということでもあります。
議員御指摘のとおり、私も、若い女性の流出が課題ではなく、出入りでマイナスになる社会減が課題であると考えています。成長戦略の基本的な考え方でも、出入りの活性化ということを挙げているところです。
このため、県内への移住・定住により流入増、社会増となるよう、移住・UIJターン施策を実施してきています。今年度は、移住・定住促進サイトのリニューアルをし、女性に関心が高い情報を分析する仕組みの整備、また、東京で開催する移住促進イベントで、とやま女性活躍企業によるPRに取り組むことも考えております。また、相談窓口やイベント会場におけるVRの活用や、富山の交通事情や雪をテーマにした移住セミナーの開催などによりまして、本県にゆかりのない女性にも、ありのままのリアルな富山暮らしの魅力が伝わるよう工夫をして、移住・定住を促進することとしています。
さはさりながら、御本人やパートナーが本県出身であることは、移住先として本県を選ぶ上で有力なきっかけとなり得ると考えます。本県出身者も含めて、若い女性の流入促進を図っていきたいと考えます。今後とも、移住・UIJターン施策を充実させ、女性の流入増加に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
1問目、私から最後ですが、事業者への支援についての御質問にお答えをいたします。
議員御指摘の、昨年度の個人事業主を含めた県内倒産件数は63件、10人未満の企業の倒産が51件と80%以上を占めております。
建設、製造、卸・小売など幅広い業種において、少子高齢化などにより課題を抱えておられた事業者が、コロナ禍やエネルギー・原材料高騰などの影響により、そのままでの事業継続を断念せざるを得なかった例が多かったのではないかと考えられます。
県では、コロナ感染拡大防止に取り組むとともに、社会経済活動との両立を目指して、実質無利子・無担保のいわゆるゼロゼロ融資や、保証料をゼロとするビヨンドコロナ応援資金などにより資金繰りを支えるとともに、ビヨンドコロナ補助金などによって事業の再建、成長発展を図るための取組を支援してまいりました。
特に小規模事業者には、補助率を引き上げて手厚い支援を講じてきました。さらに、飲食店や観光・宿泊事業者、商店街などを支援する消費喚起策なども講じてまいりました。
また、各支援機関においても、例えば、商工会連合会では経営サポートセンターを新設され、相談体制を強化していただきました。信用保証協会では、専門家の派遣や経営改善講座の開催も行っていただいています。中小企業活性化協議会では、専門家によるアドバイスと併せた中小企業の収益力改善や金融調整など、中小企業などの支援に取り組んでおります。
県としては、県民の暮らしを支えつつ、生産性の向上や適正な価格転嫁などにより賃金の引上げが行われ、消費が活性化する経済の好循環を実現することが重要であると考えています。今後とも、県民や事業者の実情を丁寧にお聞きし、必要な対策を講じてまいりたいと思います。
1問目、私からは以上です。
66 ◯議長(山本 徹君)廣島
生活環境文化部長。
〔
生活環境文化部長廣島伸一君登壇〕
67
◯生活環境文化部長(廣島伸一君)私には3問いただきました。
初めに、県武道館の整備候補地についての御質問にお答えをいたします。
まず、新たな候補地の提示に至った経緯ということでございますが、まず基本計画の見直し、こちらのほうは、基本計画策定後の高騰した整備費、そして現計画地の周辺環境の変化というものを踏まえたものでございます。それを踏まえまして基本計画の見直しに当たり、現計画地におきまして、武道館機能に絞ることなどの見直しにより整備費の削減を検討したところでございますが、物価の高騰もあり、削減幅は限定的になるという試算でございました。
このため、さらなる整備費の削減に向け、建物の構造について2層構造から単層構造への変更を検討しましたところ、基本計画策定時と同程度の水準まで整備費の削減が期待できると試算されたところでございます。一方で、現計画地では敷地面積が狭く、単層構造での建設が困難であるため、新たな候補地を検討することとしました。
新たな候補地の検討に当たりましては、整備費が増額とならないこと、また、令和9年度中の開館を目指すため用地取得に時間を費やさないこと、この観点から県有地を前提としたところです。その上で、単層構造で整備が可能で敷地内に一定の駐車場が確保できる広さ、これを有します五福公園と
県総合運動公園の2か所を提示させていただきました。
議員から御紹介がございましたが、基本計画の策定時には、現計画地のほか、五福公園、富山操車場跡地、高岡スポーツコアの3つの候補地を対象に検討をしておりました。
このうち富山操車場跡地につきましては、令和2年度にその大部分を民間企業に売却済みであります。また、高岡スポーツコアにつきましては、敷地が県有地でないこと、また、前回の検討におきまして、新川地域からのアクセスに要する時間に課題があるとされたことから、今回の立地場所の候補地に含めなかったものでございます。
次に、新たな候補地のメリット、デメリットについてお答えをさせていただきます。
新たな案としました候補地2か所は、いずれも県有地で、かつ単層構造による建設が可能な広さを有しております。
各候補地につきまして現時点で考えられるメリット、デメリットでございますが、まず五福公園につきましては、メリットとして、市内電車や路線バス等の公共交通が充実していることが挙げられます。
一方、デメリットとしましては、都市計画法上の用途地域の変更手続が必要になります。場合によりましては、手続に時間を要するおそれがございます。また、主要渋滞箇所とされる交差点が近隣にございます。加えて、陸上競技やサッカーなど現在の利用者の理解が必要となるというようなことを、検討委員会でも提示させていただいております。
次に、
県総合運動公園に関してですけども、メリットといたしましては、敷地面積が大きく、敷地内に300台分の駐車場を新たに整備できる。また、既存の1,200台分もありますので併せて利用できること。富山インターチェンジから近く、県内全域からのアクセスがよいこと。
一方で、デメリットとしては、カターレ富山のホームゲーム開催時には駐車場不足のおそれがあること、公共交通は近隣を通るバスに限られている、こういったことが挙げられるところでございます。
私からは最後になりますが、G7富山環境大臣会合後の取組についてお答えいたします。
平成28年に開催されましたG7富山環境大臣会合では、気候変動や環境汚染といった地球規模の課題について議論され、中でも資源効率性、3Rにつきましては、食品ロス・食品廃棄物対策などの取組を掲げました富山物質循環フレームワークが採択されたところでございます。
これを受け、県では食品ロス削減対策といたしまして、これまで3015運動や、期限が間近な商品の優先購入の県民向けの啓発、未利用食品のフードバンク活動、フードドライブなどに取り組んでまいりました。その結果、食品ロス削減に取り組まれる県民の割合は、平成28年の62.9%から令和4年度では89.7%と大幅に上昇をしたところでございます。
また、環境大臣会合に合わせまして本県で開催しました北東アジア地域の専門家会合では、海洋ごみや気候変動対策などに自治体レベルで取り組みます2016とやま宣言が採択されました。
県では、この宣言に基づき、海ごみ対策として、河川の上流と下流地域が連携したごみの発生抑制の啓発、また清掃活動、日本海沿岸各国の自治体と連携した海辺の漂着物調査などを実施しました。
また、気候変動対策としましては、北東アジア地域において、身近な生物の活動──本県では特に桜の開花時期に焦点を当てておりますが、これを観察する生物季節調査などに参加するなど、県内にとどまらず国境を越えた環境問題に継続的かつ積極的に取り組んできております。
さらに、本年3月には富山県カーボンニュートラル戦略を策定いたしました。今後、省エネの徹底ですとか再生可能エネルギーの最大限の導入など、脱炭素の取組をより一層推進することとしております。
以上でございます。
68 ◯議長(山本 徹君)竹内地方創生局長。
〔地方創生局長竹内延和君登壇〕
69 ◯地方創生局長(竹内延和君)私からは、G7教育大臣会合の成果、観光面での活用に関する御質問についてお答えをさせていただきます。
G7教育大臣会合のエクスカーションでは、八尾中学校での伝統芸能おわらの披露、体験、高志の国文学館や富山市ガラス美術館の視察などを盛り込みまして、各国大臣等の代表団に富山の歴史、文化、伝統などに親しんでいただきましたほか、勝興寺などを巡る同伴者向けのツアーも実施したところでございます。
また、歓迎夕食会では、すしや白エビ、とやま和牛などの県産食材をふんだんに使った料理や地酒など、富山のおいしい食を堪能いただくとともに、食器や装飾に伝統工芸品を用いるなど、富山の多彩な魅力をアピールさせていただきました。
さらに、国内外のメディアに対して積極的なPRを行い、4月の在京海外メディアを対象としたプレスツアーでは、勝興寺、富山県美術館、富山市岩瀬などを取材いただき、観光地の動画も活用しながら本県の魅力を発信したところでございます。
大臣会合後も、広島サミットに合わせて発行されまして、国際メディアセンターでも配布されたジャパンタイムズの特別号で、本県の四季折々の観光素材を紹介し、富山湾鮨のインパクトのある広告も掲載したところでございます。
御指摘いただきましたが、県としては、今回のG7教育大臣会合では、観光資源としての富山の魅力を世界に発信できたものと考えております。引き続き、欧州での現地コンサルティングを通して旅行会社やメディアに本県の観光の魅力をセールスするほか、東京や近隣県と連携いたしまして欧米市場に強い旅行会社やメディアの招聘、欧米に向けてのオンライン広告等により本県の魅力を発信するなど、各国からの誘客を進めてまいります。
以上でございます。
70 ◯議長(山本 徹君)有賀厚生部長。
〔厚生部長有賀玲子君登壇〕
71 ◯厚生部長(有賀玲子君)私からは、認知症の行方不明者の早期発見についての御質問に対してお答えいたします。
認知症の行方不明者については、市町村域を越えて連携して迅速に対応することが必要でございます。
県では、市町村と連携して認知症サポーターの養成や、地元企業や警察等と連携する認知症高齢者SOSネットワークの構築など、地域での見守り体制の整備に取り組んでいるところでございます。
このほか、一部の市町村では、発見時に身元を特定するQRコードつきシールを活用しており、今年度は4つ増えまして13市町村で実施予定と伺っております。また8市町で、位置情報を把握するGPS端末を希望する家庭に貸与されております。
こうした取組に対しては、一部の利用者側から、認知症のレッテルを貼られ、常時位置情報を捕捉されることへの心理的抵抗感があるというようにも伺ってはおりますが、その一方で、人命尊重の観点から有効な取組であるとも考えております。
県といたしましては、こうした市町村の取組を、9月に開催する認知症にやさしい地域づくり推進キャンペーン等で紹介し、県民の認知症への理解促進に努めるとともに、引き続き市町村会議等を通じて、効果的な取組について意見交換、情報共有してまいりたいと思っております。
72 ◯議長(山本 徹君)瀬川侑希君。
〔14番瀬川侑希君登壇〕
73 ◯14番(瀬川侑希君)続いて、富山と高岡の2つのエンジンについてと題して6問お聞きします。
聞き慣れない方もいるかもしれませんが、富山と高岡の2つのエンジン、これは知事が高岡に対して表現するときによく使うフレーズです。私はよく聞くのですが、この機会に調べると、県議会でこのフレーズが登場したことはありませんでした。恐らく高岡の地でよく出るフレーズなのかもしれません。であれば、これがリップサービスなのか、本心で思い取り組んでいることなのか、今日はこの点、お聞きしたいと思っています。
富山大学から高岡市民病院へは、お二人、産科医師を派遣してもらっていましたが、来年度から派遣が停止されることになりました。
医師の働き方改革が来年度から始まります。医療資源を分散させるのではなく、ある程度集約することが多くの命を救うことにつながる。厚労省に行ったり勉強会を開いたり、様々なことを私自身もやってきて、今そう思っています。産科医師の派遣停止は仕方のないことだと思っています。
ですが、このことで、市民も役所も高岡市は大混乱になっています。市民は不安がり、問合せの多い市役所は、いろんなところに事情説明に奔走しています。何でこんなことになったのか。それは、事前に連絡がなく、合意形成の時間が欠けていたからだと思っています。
産科医師の派遣停止は仕方のないことだと思っています。ですから、「2年後に停止したい。半年前に発表したいから、1年半かけて市民や関係各所と合意形成を図ってくれませんか」、この連絡があれば、こんなに市民や役所は混乱せずに済みました。停止は避けられない現実だとしても、そこに向けて関係者で合意形成し、市民の不安を取り除くのが政治や行政の仕事じゃないでしょうか。
県も派遣停止について知っていたのなら、同じく大きな責任があると思っています。派遣停止について県は事前に知っていたのか、有賀厚生部長にお聞きします。
恐らく県も知らなかったのではないでしょうか。であればですよ、地域医療構想調整会議を主催し機能集約の調整を進めている県に連絡がなく、医師の派遣が停止されるのは、地域医療構想調整会議の開催意義にも関わる。より多くの命を救うために、エリア全体の視点で、それぞれの医療機関がどの医療を提供するのかを話し合うのがこの場だと認識しています。この会議を飛ばして物事が進むのなら、地域医療構想調整会議の開催意義にも関わる大きな問題だと感じますが、県の所見を有賀厚生部長にお聞きします。
次に、先ほどのフレーズです。「富山と高岡は2つのエンジン」と知事はよく言いますが、高岡がエンジンであるとはどういうことなのか。また、エンジンであり続けるために高岡に向けて就任以来どのような事業を行ったのか、改めて確認させてください。新田知事にお聞きします。
最後3問は、テクノドームの質問をします。
高岡テクノドームの別館は、そのエンジンの重要な部分になると期待しています。
また、テクノドームの別館は、建設することになったものの、当初、それぞれの市、団体、個人、いろんな考えがありました。県庁が整備しますけれども、私たちも他人ごとではなく、県庁の方に負けないぐらい汗をかかなければいけないと、ばらばらではなく、なるべくいろんな考えを持った方が同じ方向を向くように、意見集約、合意形成を頑張ってきたつもりです。ですから、今回の延期は個人的にも大変残念に思っています。
ですが、こうなったからには、より県民に喜ばれるには、そして、今生きている人だけではなく何十年も使っていく施設になります。将来世代にとってどうあったらいいのか必死に取り組んでいきたいと思っています。
何点か確認させてください。
高岡テクノドームの別館は、資材価格の高騰を受け、床面積や屋根面積を縮小し、中の機能も当初の想定より若干省くなど、設計を修正して建設費を見直しました。そして、その建設費を昨年11月議会にて議決しました。
設計の修正を挟んだことで、通常より1回多く積算しているわけです。本来望まれていない苦肉の策で機能を縮小するに当たり、ふだん以上に慎重な作業が求められるように思います。なぜ半年前に設計費を見直したものの入札が中止になるのか、市井土木部長にお聞きします。
また、
テクノドーム別館だけ市場価格を反映できなかったとは考えにくく、構造的な問題はないのでしょうか。テクノドームの別館に限らず、県の積算が市場価格を反映できていない可能性があるのではないか。先ほど安達議員からの質問も同様のことがありました。既に取組をしているという答弁でしたが、ではなぜ、いまだに事業者から声が上がるのか。
今やっていることで十分だと言わずに、今やっていること以上の取組が必要ではないか。より反映できるよう対策を取る必要があると感じますが、市井土木部長に所見をお聞きします。
最後の質問です。
繰り返しになりますが、
高岡テクノドームの別館は、エンジンの重要な部分になると期待しています。
整備費を上積みする、設計を修正する、基本設計をそもそもやり直すなど、幾つかの大きな方向性がありますが、おととい、「立ち止まって検討する」と言いましたけれども、先ほど、「基本設計を維持しつつ」という発言もありましたが、最終責任者として知事はどの方向がよいと考えているのかお聞きします。
その際、どうせ見直すのなら、これまでは県単独の施設を前提としていましたが、これまで想定した機能は県で整備しつつ、例えば追加でコンサートができるよう音響を整備する、その部分は市に出してもらうなど、市と共同で整備する可能性はあるのでしょうか。
県と市で共同で整備する例は、全国に幾つもあります。そして、住んでいる人にとっては、県単独なのか市と共同なのか、そこはあまり関係がありません。この立ち止まりをチャンスにして、住んでいる人にとって本当に喜ばれる施設を造るために検討してはどうかと思います。市と共同で整備する可能性はあるのか、新田知事にお聞きします。
以上で私の質問を終わります。
74 ◯議長(山本 徹君)新田知事。
〔知事新田八朗君登壇〕
75 ◯知事(新田八朗君)2問目、まず高岡についての御質問にお答えします。
まず、本音で言っております。
県内第二の都市である高岡市は呉西地域の中心であり、また、経済の発展を牽引しておられるということ、県全体の成長を促進する重要な役割を担っていただいていると認識をしておりまして、また、歴史を遡れば、本当に富山市に勝るとも劣らない、そんな活気のあった時期もあったと聞いています。そういった認識で富山県のエンジン、2つのエンジンのうちの1つと申し上げているところです。
高岡市は、言うまでもなく加賀前田さんを起源とする高岡銅器や漆器といったものづくりの歴史と伝統を受け継ぐまちとして発展し、それが近代に至って、アルミ産業をはじめ製造業が集積する日本海側屈指の産業都市となったと理解しています。
また、飛騨や能登と本県を結び、氷見や砺波をつなぐ結節点として、さらに観光面でも国宝の瑞龍寺、さらに勝興寺、雨晴海岸、高岡御車山など魅力的な資源が、もう、てんこ盛りの重要な拠点だというふうに考えます。
こうした高岡市の特徴も踏まえて、就任以来、高岡の活性化に取り組んできたつもりでございます。例えば、今議員が御指摘になった
高岡テクノドーム別館の準備──今ちょっと立ち止まることになっていますが、でも着実に進めたいと思います──をはじめ、富山大学が同大学の高岡キャンパス内に新設予定であります、アルミリサイクルの実用化を目指した産学連携拠点の整備を支援したところです。
また、交通面では、県道高岡環状線の整備促進、城端線・氷見線について新型鉄道車両の導入を目指すことを決定し、利便性の向上策とともに実現に向けて高岡市などと連携して取り組んでいます。
さらに、観光面では、大型クルーズ船の万葉埠頭への誘致のほか、勝興寺の国宝指定を記念した宝物展を秋に開催いたします。来年秋のJRグループの
北陸デスティネーションキャンペーンに向け、高岡市の魅力のPRや旅行商品づくりも支援をしています。
などなど、高岡が今後も県西部の中心都市として、本県の成長のエンジンとなっていただけるよう、高岡市と連携して取り組んでまいりたいと考えます。
次に、
高岡テクノドーム別館整備についての御質問にお答えをします。
高岡テクノドームの現在地は、本県にとって将来的なポテンシャルが非常に高く、議員御指摘のとおり、別館は、県西部地域発展のエンジンの重要な部分となる施設と位置づけています。
別館の建設については、令和3年4月に取りまとめた基本設計に基づいて、令和6年春の
北陸新幹線敦賀開業の効果を、県内、特に西部地域に波及させるため、令和6年度中の開館を目指して実施設計に取り組んできました。
しかし、代表質問で宮本議員にもお答えをしたとおり、昨年来のウクライナ侵攻や、昨今の大阪万博の工事加速化に伴う資材及び人件費の高騰など、基本設計当時とは情勢が大きく変化していることに加え、今回、意匠性の高い屋根を支える鉄骨の加工の難易度が高く、施工の確実性に課題があることが判明をしました。
こうしたことを踏まえ、現在の実施設計の内容のままで、最新の状況を踏まえた再見積りによる鉄骨など資材価格を単に反映させるだけでは、建設の受注を期待するのは難しいことから、設計を含めて、一度立ち止まって検討する必要があると考えております。
今般、工事の入札が中止になったことについては誠に残念です。しかし、可動式の客席や5Gを活用したイベントやコンベンションを行える別館が、これまでも活躍してきている本館と一体となって、関係6市や経済界の皆さんに主体的に活用を推進していただけるように、関係の皆さんの御理解、御協力を得ながら、県において整備を進めてまいります。
私からは以上です。
76 ◯議長(山本 徹君)有賀厚生部長。
〔厚生部長有賀玲子君登壇〕
77 ◯厚生部長(有賀玲子君)私からは、富山大学から高岡市民病院への産科医師の派遣停止に関しての御質問を2点、続けてお答えいたします。
まず、5月25日に高岡市議会民生病院常任委員会において、高岡市民病院の令和6年度産婦人科の体制について発表があったところです。県においては、その後に高岡市民病院に問い合わせ、その発表内容について把握したところでございます。
これまで、地域における医療提供体制の確保のため、県全体では医療審議会等で、各医療圏では地域医療推進対策協議会や地域医療構想調整会議等で、各医療圏の機能や役割分担等について協議と認識の共有を行っております。
周産期医療についても同様で、関係する各医療機関が、必要な人員確保を含めて、それぞれの医療機能に応じた分担と連携を行うことにより、各地域において安全・安心な出産ができる産科医療体制を確保していくことが大変重要であると認識しております。
県、市町村、周産期医療機関、大学との間において、これまでに開催された会議等を通じ、こうした認識を共有していると考えておりますが、引き続き各医療圏での協議等を通じて、地域の医療提供体制の確保に努めてまいります。
私からは以上です。
78 ◯議長(山本 徹君)市井土木部長。
〔土木部長市井昌彦君登壇〕
79 ◯土木部長(市井昌彦君)私からまず、
高岡テクノドーム別館の入札についての御質問にお答えします。
今回の設計は、直近の資材等の状況を踏まえ、国の積算基準に基づき施工費を積み上げ入札に付したものであり、県としては、応札いただけるものと考えていたところでございます。
このうち、屋根を支える鉄骨の設計について、県では、見積りを徴取の上、施工費を積み上げております。鉄骨の製作工場には、品質管理能力や加工設備、検査体制などから、国が認定した5つのグレードがございます。今回の設計では、屋根を支える鉄骨加工の難易度を踏まえ、国の示す5段階のグレードのうち、難易度が最も高いものから2番目に当たるHグレード工場を有する3社に見積りを依頼いたしました。
その結果、いずれの社からも対応が可能として見積りが提出されたことから、そのうちの最低金額を設計に計上したところでございます。このように、県としては適切に積み上げたものと考えております。
一方、入札を辞退された企業への聞き取りでは、採算が合わないと伺ったところでございますが、鉄骨につきましても併せて伺ったところ、企業の判断として確実な施工のできる工場を選定され、見積りを依頼されたということでございました。県が採用した見積り先とは異なる見積り先であったことから、金額も異なることは生じ得ることだと考えております。
お尋ねの中止となった原因につきましては、一般論で申しますと、屋根の鉄骨加工だけでなく、ほかの資材や労務費の上昇等も含めた採算性、手持ち工事の状況や技術者確保の困難など、いろいろな原因が想定され、入札を検討された全ての企業の御事情を把握しているわけではございませんので全容は分かりませんが、おのおのの企業がそれぞれの経営判断として、入札されなかったものと受け止めておるところでございます。
次に、県の積算についての御質問にお答えします。
公共工事の発注に当たりましては、工事の品質確保を図るため、適正な予定価格を設定する必要がございます。このため県では、最新の実勢価格を毎月調査し、その調査結果を踏まえた資材単価を工事の積算に採用しておるところでございます。
昨年度は、主要な資材の多くで単価を見直しており、例えば、鋼板は1年間で4回の見直しを行いました。その結果、令和5年4月の単価は1トン当たり18万円と、昨年同時期の1トン当たり14万7,000円から22%上昇しておるところでございます。
また、工事契約後における工事材料の価格の急激な変動に対しましては、スライド条項を設けて対応しております。昨年度は、資材単価や労務単価の高騰があったことから、これを受け、主要品目の急騰に対応する単品スライドと、賃金水準の変更に対応するインフレスライドの双方において運用ルールを改定し、適用範囲の拡大を行ったところでございます。
令和3年度と令和4年度の実績件数を比較しましたところ、単品スライドは3件から46件、インフレスライドはゼロ件から11件と、大幅にスライド条項を適用した工事が増えたところでございます。
今後とも、建設資材の需給や価格の動向を踏まえ、最新の実勢価格を反映した発注に努めるとともに、発注後においても受注者と協議の上、適切な工事価格の変更を行うなど、さらなる改善に取り組んでまいります。
以上です。
80 ◯議長(山本 徹君)瀬川侑希君。
〔14番瀬川侑希君登壇〕
81 ◯14番(瀬川侑希君)2問再質問させてください。
1つ目は1項目めの8番で、県としてもっとできることがあったのではないかと私は質問しました。ですが、回答はやってきたことを述べられたと思いますので、それじゃなくて、できることがあったのではないかということにお答えください。新田知事にお願いします。
もう一つは、一番最後の質問です。
これも、市と共同で整備する可能性はあるのかと私は質問したので、そこに関して新田知事にお答えいただきたいと思います。
特に1の8番目に関しては、いろいろ県の施策でやることには応援もしますし、また、疑問のあるところは議会の場を通して質問もしますけれども、やるのはいいんですが、やっぱり結果に責任を取るのがリーダーの役割だと思っています。
先ほど午前中の安達議員の質問で、テクノドームと武道館、当初の計画より遅らせたことで結果的に整備費がかかった。今回もいろいろ新型コロナの対策をやってきたけれども、結果的に倒産率が全国でワーストになった。ここの結果に対して正面から向き合っていただきたいなというふうに思っております。
以上になります。
82 ◯議長(山本 徹君)新田知事。
〔知事新田八朗君登壇〕
83 ◯知事(新田八朗君)再質問にお答えをいたします。
普通法人の倒産率が全国ワーストとなったということの報道に基づいて質問いただいたというふうに理解をしています。
これは、分母が1万9,608で分子が51、その割り算の結果、全国47都道府県の中でそのようになったということです。
ただ、倒産件数としては、この30年の統計の中で一番低くなってはいるんです。ただ、他県では前年に比べてよくなった県もありますし、でも悪くなった県が40都府県あるんです。ですから全国的にといいますか、倒産率は悪化をしたということ。その中で、計算の結果としては本県がワーストになったということは真摯に受け止めなければならないと思いますが、実数では30年来で一番少なかったということは御理解をいただきたいと思います。
先ほど言及されたことで、コロナのとき、もうオミクロンになっていたときです。あの時点で、本県の場合は飲食店由来の感染の拡大はなかったんです。ほかの県は分かりません。ですから私は、コロナ対策としてのまん延防止等重点措置は本県には適用の必要なしということを申し上げました。
まん延防止等重点措置は、決して飲食店の支援策ではなかったということであります。国からのお金もコロナの対策として様々な手当てをされましたが、飲食店の支援策ではなかったということ。ですから、あの時点では私はそのように申し上げたということでございます。それは御理解をいただければと思います。
それから、
高岡テクノドームに関しまして、県と市の公共施設の合築という話。これは私は、一般論ですが、十分にあることだというふうに思っています。まだ本県ではあまり例はないんですが、私もそういう研究はいろいろとしております。確かに全国的にそういう例はあります。
ただこれは、現在のところ、ここまで単独で進めてきましたので、私どもから申し上げる話はなく、もし高岡市側で、あるいは高岡の県議の皆さんが、何かとても魅力的なプランでもあるとすれば、それはもう共に検討するにやぶさかではないと思います。
今後、そういった県と市でファシリティーマネジメント、あるいは施設整備を共にやるということは大いにやっていきたい、挑戦をしていきたいことでございます。
84 ◯議長(山本 徹君)以上で瀬川侑希君の質問は終了しました。
以上をもって本日の一般質問、質疑を終了いたします。
次にお諮りいたします。
議案調査のため、明6月16日は休会といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
85 ◯議長(山本 徹君)御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
以上で本日の日程は終了いたしました。
次回の本会議は6月19日に再開し、各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行いますとともに、議会運営委員会を開催いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後3時58分散会
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