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  1. 富山県議会 2022-11-01
    令和4年11月予算特別委員会


    取得元: 富山県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-14
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1                      午前10時00分開議 武田委員長 おはようございます。  ただいまから、11月定例会予算特別委員会を開会いたします。  本委員会の運営に関し、理事会で決定した事項は既にお配りしてありますが、ここで特に質問者に申し上げます。  持ち時間は答弁を含めて60分ということになっております。その具体的な取扱いについては、理事会確認事項として既に皆様方にお配りしている資料のとおりでありますので、留意の上、質問されますよう、改めてお願いいたします。  また、答弁者においては、簡潔な答弁に留意され、円滑な委員会運営に御協力いただきますようお願いいたします。  なお、委員席につきましては、ただいま御着席のとおりにしたいと思いますので御了承願います。  それでは、発言の通告がありますので、これより順次発言を許します。        八嶋浩久委員の質疑及び答弁 2 武田委員長 八嶋委員。あなたの持ち時間は60分であります。 3 八嶋委員 改めまして、おはようございます。マスクを外してもいいということなので、マスクを取らせていただきます。  自民党議員会の八嶋でございます。  今回、11月定例会予算特別委員会の最初の質問者ということでございます。機会を与えていただきました皆様方に対して、御配慮いただきました同僚、先輩議員の皆様方には感謝申し上げます。また、御指導いただきました皆様方にもこの場を借りてお礼を申し上げたいと思います。  さて、本日12月8日は、新高山登れ、ひとふたまるはち、1208。トラトラトラ。真珠湾、日米開戦の日としても有名でございます。この原因となったのが、エネルギーや食料の危機、周辺列強の脅威、資材、資源の不足、物価高騰などがございます。  コロナ禍というのはその当時なかったとは思いますけれども、現在、エネルギー、食料、経済安全保障、周辺国や大国の脅威など、当時と雰囲気がよく似ていると解説される方もおいでになります。大国ロシアがウクライナに侵攻するとは、世界中の誰もが驚いたわけでございます。  世の中には3つの坂があると言われています。1つ目は上り坂、2つ目が下り坂、3つ目がまさかということでございます。諸行無常、世の中に常はない。常にまさかに対応することを頭に置きながら、以下、通告に従い質問に入っていきます。  それでは問1、個と公の調和型社会の実現から6問質問させていただきます。  今、防衛費の財源をどうするかというような議論が国会ではされておりますけれども、私のほうからは、最初にふるさと納税について伺います。
     昨年度、2021年度、県のふるさと納税の寄附額が約1億6,500万円で過去最多になったと報道がございました。返礼品や受け付けるウェブサイトを増やしての成果だと思っています。  今年度は、教育委員会のふるさと母校応援プロジェクト、起業家の新ビジネス支援などで結果を残してほしいと思っています。  先般、ヤマト運輸の富山県に転勤になった幹部の方とお話しする機会に恵まれました。そこで、富山県もふるさと納税はちょっと苦戦されていますねと、頑張りましょうよという声というか激励を受けたわけでございますが、主観的には、富山県も伸びていても、全国比較のような客観的な評価は、全国から転勤で来ておられる方からするとまだまだのようでございます。  本年度の目標や現在の状況、今後の取組について、岡本経営管理部長にお伺いしたいと思います。 4 岡本経営管理部長 おはようございます。  ふるさと納税制度は、地方で生まれ育ち、その後に都会で暮らす方々のふるさとや地域に貢献したいという思いを生かすため、寄附金税制の一環として創設されたものでございます。  県としては、寄附金の多寡に関わらず、寄附をいただいた方々の志に感謝すべきものであると考え、目標額は設定していないところですが、関係人口の増加や新たな歳入の確保に有効であることから、返礼品の拡充やポータルサイトの追加などを行ってきております。  その結果、令和3年度の本県へのふるさと納税額は、前年度に比べまして1.5倍超えの1億6,500万円と過去最高となり、全国順位も28位から17位に上昇しているところでございます。  さらに、今年度からは寄附者に継続して富山県と関係がつながっていただけるよう、県警山岳警備隊の装備充実や県立学校の特色ある取組の充実など、具体的なプロジェクトを応援していただく仕組みを新たに導入しております。あわせて、寄附受入れのポータルサイトを4サイトから6サイトに増やし、さらなる返礼品の拡充も図ったところでございます。  こうした取組により、今年の11月末までの申込み状況でございますが、前年度の同月に比較いたしまして約1.4倍に伸びているところでございます。  現在、新たな寄附の使い道として、来年5月に開催されますG7富山・金沢教育大臣会合の開催支援を加えたほか、寄附者の来県につながるよう、旅行サイトで使用できるクーポンも返礼品として追加しているところでございます。  年末に向けては、さらなる返礼品の拡充に取り組んでいるところでございまして、今後ともたくさんの方々に本県を応援していただけるように努めてまいりたいと考えております。 5 八嶋委員 本来の地方税制としては、地方自治体の安定した行政サービスを使うという目的からすると、ちょっとハテナマークなところもあるのは私も重々分かっているのですけれども、制度がある以上生かしていくのは行政手腕だろうと思っています。  今年も、去年から比較してまた伸びているということでございますし、多分、補正予算の中でもあったのでしょうけど、G7のそういったものに関しても集めて予算化していくということでございますので、大きく期待したいと思っております。  引き続きまして、次に、企業版のふるさと納税について伺っていきたいと思います。  地方創生応援税制として平成28年度から始まりましたけれども、一時、申込みが終了するのかとも思いましたけども、全国的に浸透してきたようで、結果、令和6年度まで延長されることになっています。地方創生の事業予算化に向け、期待も大きいと考えています。  そこで、本県も大きく伸びたとの報道もございました。どのような実績になっているのでしょうか。  また、地方に資金が流れる税制であり、県としても期限の延長を含め、中小企業も利用しやすくするために制度活用のハードルが少しでも緩和されるよう、国のほうにも強く働きかけていく必要もあると考えていますし、令和6年度まで期限付の寄附税制、本県においてはさらに課税を図っていくべきだろうと考えています。あわせて、南里地方創生局長にお伺いします。 6 南里地方創生局長 平成28年度に創設された企業版ふるさと納税は、地方創生の取組に対する企業の寄附について法人関係税を税額控除する制度でございまして、令和2年度には全国知事会とも連携した本県の要望を踏まえて、適用期限の令和6年度まで5年間延長、税額控除割合の引上げ、認定制度の簡素化などの大幅な見直しが行われたところでございます。  こうした見直しの効果もありまして、全国的に企業版ふるさと納税の活用が進んでおりまして、寄附実績は増加してきているところでございます。  令和3年度実績──都道府県分と市町村分の合計ですけれども、こちらでは全国の寄附金額が約225.7億円、前年度比約2.1倍、件数が約2.2倍となっておりまして、制度開始以降では最多となったところでありますが、本県では寄附金額が約2億4,000万円、前年度比約3.1倍で、件数が約3.0倍の68件となり、金額、件数ともに過去最多となったほか、全国の増加率を上回ったところでございます。  なお、制度活用のためのハードルの緩和につきましては、令和2年度税制改正で本県が要望してきた内容等が一定実現されたところでございまして、現行制度は地方税の応益性の原則に照らしまして、適当な制度設計になっているものと考えておるところでございます。  県としては、企業版ふるさと納税の今後一層の活用を図っていくことは、官民連携による本県の地方創生のさらなる充実強化のために大変重要と考えておりまして、引き続き市町村とも連携協力しながら、企業側の理解を得るための働きかけの強化など、寄附獲得に向けた取組を推進してまいります。 7 八嶋委員 ありがとうございました。そうですね、やはり地方に流れてくる使える税制ということでございますので、令和6年度以降も延長とか、そういったことも含めて働きかけていっていただければと思っております。  ちょっと私は、中小企業としてはなかなか使い勝手がよくないなというふうに思っていまして、またそこら辺も国の方に働きかけていただければというふうに思っています。  続きまして、万葉線の支援についてお尋ねします。  本年、第3セクター化20周年を迎えられ、また海王丸パーク開園30周年を記念した万葉線「光の道」プロジェクトが地域おこし協力隊の協力の下で開催されました。またドラえもんトラムが10周年を迎え、企画フォトパネルを設置されたり、クロスベイ新湊においては3年ぶりに万葉線ビアガーデンも開催されたということでございます。コロナ禍で旅行者が激減する中でも必死に利用者増に取り組み、また地域づくりにも貢献いただいているところです。  これまで、県や高岡市、射水市が支援して地域公共交通としての役割を果たしてきました。  エネルギーや物価高騰の影響は万葉線だけには限りませんが、新たな5年、10年に向けてエールを送る意味でも支援強化が必要だと考えています。  補正予算にもちょっと入っているかもしれませんが、田中交通政策局長に御所見をお伺いしたいと思います。 8 田中交通政策局長 万葉線は、委員からもお話がありましたけど、平成14年4月に開業しましてから今年4月で20周年の節目を迎えております。  この間、低床型車両アイトラムの導入ですとか、幾つかの、委員からもイベントの御紹介がありましたけど、地域の祭りやイベントとタイアップした企画などに積極的に取り組まれ、開業から、コロナ前の令和元年度までは毎年100万人以上の利用者を記録するなど、観光客や通勤通学の足として、沿線住民をはじめ多くの利用者に親しまれていると、このように思っております。  県では、これまで万葉線が行いますレールや枕木、踏切の改良などの安全対策や、ICカードに対応するための車両の改修などの利便性向上策に対しまして、沿線の高岡市、射水市と共に支援するとともに、人気声優を活用した車内放送でありますとか、利用者に人気の高いドラえもんトラムのラッピング、車内装飾といったイメージアップを図る取組に対しても支援を行ってきております。  また、委員からもありましたけれども、コロナで大変厳しい状況であるということで、鉄道事業者の方にも、これまでいろいろな支援に努めてまいりました。  今月1日からは、万葉線の全車両のリアルタイムの運行状況が見られるよう、とやまロケーションシステムの機能を拡充いたしました。また、富山県MaaS環境構築事業を活用しまして、MaaSアプリmy routeにおいて、新湊きっときと市場など射水市内の店舗で利用できます、1,500円分のQRクーポン付き新湊海鮮グルメ堪能&万葉線1日フリーチケットの販売を開始しております。  今後もこうした取組も通じまして、万葉線の支援強化に努めてまいります。 9 八嶋委員 支援強化に本当に取り組んでいただいたということでございます。ちょっと私も知らなかったものがあったのですが、ぜひ今後とも支援強化をよろしくお願いいたしたいと思います。  それでは次に、県総合教育会議の中で学区廃止についての議論がされたという報道がございました。私は学区に絞ってお尋ねしたいと思います。  学区制度の廃止ということは、とても大きなインパクトがございます。志望する生徒にとっては、学区にとらわれず、例えば住んでいるところがちょっと違って、お父さん、お母さんと同じ高校を志望できるとか、あの学校、あの先生に教えてもらいたいなどといったような選択肢が広がってくるということになります。  一方で、人気、不人気の学校や人気、不人気の先生が明らかになってくるといったり、各地域にある学校では厳しい現実も明らかになる可能性が出てくるだろうと思います。  今後、さらに議論を進めていただきたいと思いますが、現時点での学区についてどのようにお考えなのか、荻布教育長に御所見をお伺いします。 10 荻布教育長 11月に2回開催された総合教育会議においては、学区の取扱いについての議論がされ、学級編制を考える際に、4学区それぞれの中学校卒業予定者数を基に設定しているということですとか、また通学区域としての学区の在り方について様々な意見をいただきました。  少し御紹介しますと、学級編制を考える際の学区については、もしこれをなくして地域別の中学校卒業予定者数を考慮せず全県一区で学級編制を行った場合には、志願状況などの実態から判断すると、地域によってはさらに学級減が加速する可能性があるとの意見がありました。また、通学区域としての学区については、子供たちの選択肢が増えるという観点からは、通学区域の縛りをなくしたほうがよいという御意見の一方、通学区域をなくした場合には学校選択の幅は広がるが、志願状況によっては特定の学校や地域に志願者が集中する懸念があるという御意見も頂きました。こうした点は、委員から御指摘のあったとおりでございます。  この学区の取扱いについては、第3回以降の総合教育会議において、さらに議論を進めていくこととされております。  これまでの議論を踏まえながら、さらに慎重に検討してまいります。 11 八嶋委員 教育長、ありがとうございます。いっときの人気、不人気が高校再編統合につながることのないよう、また御配慮いただければなと思っております。  引き続き、教育長にお伺いします。  富山市北部中学校での生徒自殺について、心からお悔やみ申し上げます。この件については、富山市教育委員会は第三者委員会を設置して真相究明を図るということでございまして、適切な対応だと思っています。2011年の滋賀県大津市のいじめ自殺問題のように、事実が隠蔽されることが絶対ないように、県教育委員会としても、富山市教育委員会に対して適切な指導助言をするべきだと考えています。  現時点でどのように取り組まれるのか、荻布教育長に御所見をお伺いします。 12 荻布教育長 このたび、富山県の中学生の尊い命が失われたことは誠に悔やまれ、心から御冥福をお祈り申し上げます。  小中学校の管理監督については、設置者である市町村の教育委員会が行うこととされておりまして、富山市の教育委員会は今回の事態を受け、外部有識者による調査組織を立ち上げ、調査を行う予定ということでございます。  県教育委員会としては、富山市教育委員会との連携を図り、対応などについて助言をいたしますとともに、生徒の心のケアや教職員のサポートを図るため、直ちに指導主事やスクールカウンセラーを学校に派遣しております。今後も連携協力して必要な支援に努めてまいります。  教育委員会では、これまでも命の大切さやSOSの積極的発信を児童生徒に指導をすること、またきめ細かな目配りと子供の変化の積極的な認知に努めること、スクールカウンセラーなどを活用した組織的かつ早期の対応に努めることなどの徹底について周知をしてきましたが、今回11月24日付で県内全ての学校に改めて通知をしたところでございます。  今後とも、富山市教育委員会と情報共有を図り、連携協力しながら、必要な支援や助言を行ってまいります。  また、県内各市町村教育委員会とも連携を深めまして、ささいなことでも積極的に認知をすることで、早期に適切な対応をすることを徹底して再発防止に努めてまいります。 13 八嶋委員 いじめ、自殺について、今、教育長からもありましたが、県教育委員会は県内全校に通知を出されたようでありますけれども、ここら辺はやっぱり通り一遍、ちょっと付け焼き刃的な感じも受けるわけで、人ごとのような感じも受けるわけでございます。できれば今こそ、前段にあったカウンセラーを派遣するとか、そういった具体的な指導力を発揮いただきたいなと思っています。  一番の問題は、学校側の認識と遺族の認識がやっぱり大きく違うということ、ここに真相究明の根幹があるようだと思います。  学校側と保護者側に対しても、起こる前に、認識の隔たりを縮めるようなものとして保護者への教育と言ったら変ですけども、ハンドブックみたいな──私、ちょっと日本PTA全国協議会のほうに出向していたときに、総務委員長というか、中教審のバックヤードをちょっとやっていまして、そのときに作ったのが保護者向けのハンドブックということでございまして、こういったものを26年度に作らせていただいております。  この中には、保護者の責務といったことも非常にたくさん書いてありまして、そういう認識を縮めるというのも非常に大切ですし、学校の先生も守っていかなければいけないということでございまして、ぜひそういったものにも取り組んでいただきたいと思います。  今年の夏ですが、部会で北海道へ現地視察に行ってきまして、札幌市では「ちくたく」というお医者さん──子ども心身医療センター児童精神科という施設で、そういった先生との連携もあったと。そういうところも勉強してきたのですが、そういった専門家に任せるというような具体的な策を出して、今後、保護者、教育もトラブルから守っていく必要があるのではないかと思っていますので、本当は聞きたいのですけど通告にないので、またお知らせしたいと思っております。  こういった遺族側と学校側の認識の違いのニュースに触れて、教員を志望する人は増えるのでしょうか。真相究明を明らかにして、今後、学校の初動対応が改善され、結果的に学校を守ることにもつながりますし、逆の言い方をすれば、教員を志望されている受験生は、今この瞬間も教育委員会の対応を見ているわけであります。未来の上司は本当に学校を守っているのか、教師を守るのか、客観的にこれを見ているのではないかと思うわけです。  そんな中、優秀な教員確保が課題となっているのが現実だろうと思います。  一方、ローカル、グローバル化の二極化、少子化の流れ、就職試験の早期化、企業内定が前倒しになっている実態も一つの原因であると思っています。  ここは時代の変化を受け入れてもらい、早急に新卒採用、教員採用試験の時期を変更するなど、教員採用試験の改革にチャレンジすることがよいと考えますけれども、荻布教育長に御所見をお伺いいたします。 14 荻布教育長 優秀な教員確保は、本県の次代を担う人材の育成に向けての最重要課題と認識しております。  近年、第2次ベビーブーム世代の就学などに合わせて採用された教員の多くが定年退職期を迎え、教員の採用数が大幅に増加する一方、民間企業の採用意欲が高いことに加えまして、教員の長時間労働などのイメージも広まり、学生が教職を敬遠する傾向も見られるといったことから、今日教員採用検査の倍率が大きく低下しております。このことは、教育の質の維持向上の観点から深刻な事態と受け止めております。  県教育委員会では、令和元年度にとやまで教員応援事業を立ち上げまして、本県教員として働く魅力を伝える講座やセミナーを県内外で開催しPRを強化してきたほか、教員採用検査では、検査内容の精選や1次検査の免除対象者の拡大など、受験者の負担を減らす大胆な見直しを行いまして、また次年度に向けては、従来の郵送による出願からウェブ出願への移行に向けた準備を行っております。  御指摘の教員採用検査の実施時期の早期化については、文部科学省が10月に協議会を立ち上げ、採用検査の複数回実施や通年採用などと併せ、検討に入りました。これまでの議論では、民間企業や他の公務員への教員志望者の流出の防止につながると期待をされる一方、大学の教育実習期間との調整などのクリアすべき課題が多いことが指摘をされました。  また、根本的な問題として、委員からもあったように、教員の働き方改革ですとか、処遇改善などの検討がより重要との意見もございました。  本県としても、このような国の動向を注視しつつ、本県の教員採用検査の在り方について、引き続き研究、検討し、また不断に改善にも努め、優秀な教員確保に努めてまいります。 15 八嶋委員 ありがとうございます。あまり悠長なことも言っておられないような気もするんですけれども、県独自の権限でできれば、国の話もありましたけれども、急いでそういったことも含めて対応していただければと思います。  これで大きな問1は終わります。  次、大きな問2、安全・安心を基盤とした豊かな暮らしの実現から2問質問をさせていただきます。  まず、1問目であります。  防犯カメラ補助事業の間接支援の質問であります。  例えば、県内全域で小学校の統廃合が進む中、通学路が長距離化するのも当たり前であります。その分、登下校中の児童のリスクが高まると考えられます。  県としては、防犯カメラ補助事業は打切りにされましたけれども、この問題についてどのような認識を持っておられるか。また、今後は何らかの支援に取り組むのか。それとも、基礎自治体の仕事だから各市町村にお任せしていくのか。各自治体においても、今後、小中学校統廃合の議論があり、富山市なんかは真っ最中です。この時期に県の事業打切りはどうなのかという感覚もあります。  各地区防犯団体の方々からは疑問視する意見も聞き及びますが、子供たちの通学路の安全確保という観点からも、防犯カメラの設置支援の必要性についてどのように考えているのか、今後の取組を併せて新田知事にお伺いいたします。 16 新田知事 本県では、まず北陸新幹線開業に伴う交流人口の増加を踏まえた対策として、防犯カメラの設置を市町村に促すモデル事業を平成25年度から27年度まで実施しました。駅周辺や犯罪多発地帯を中心に、延べ119か所に232台の設置を支援しました。あの頃は、新幹線と一緒に歓迎できない人たちも来るのではないかという、そんなことが言われていたものでした。それの対応です。  その後、平成30年の奥田交番襲撃などの凶悪事件の連続発生を受けまして、住宅街などにおける防犯設備の緊急整備事業として、令和元年度から3年度まで延べ194地区、340台の設置を支援いたしました。  緊急整備事業は開始時の目標である200地区への設置におおむね達したため、昨年度で事業を終了しました。累計では全市町村の延べ313地区、572台の設置を支援したことになります。それぞれ3年間行ったモデル事業、緊急対策事業としての事業目的は達成できたものと考えております。  こうした経緯の上で、本県では今年度から新たに富山県安全・安心アカデミーというものを開校いたしまして、犯罪が起こりやすい危険な場所に対し重点的にパトロールを行う、ホットスポット・パトロールの普及啓発などに取り組んでいます。また、市町村では、地域住民による子供たちの登下校時の見守り活動が実施をされているところです。  今後は、こうした取組と各市町村による防犯カメラを含む資機材の整備などのハード面の施策を両輪として、安全で安心な県を目指してまいりたいと考えているところです。  また、県民の皆さんの安全・安心の確保のため、県内の防犯、地域、事業所などの関係団体と行政で構成します安全なまちづくり推進本部という会議体がありますが、この場も活用して、今、議員御懸念の学校の統廃合による通学路のことも含めて、環境の変化など地域の実情をお聞きし、住民の皆さんの中に戸惑いや疑問の声があるようでしたら、また必要な対応については検討してまいりたいと考えます。 17 八嶋委員 知事、一応、検討していただくということで、いろんな地域の要望でも、こういった防犯カメラの設置であったり、そういったことも含めて出てくる時には、また御相談に乗っていただけるということでよろしいですか。 18 新田知事 はい。ただ、昨年終了した緊急対策事業も3年間という期間を取っておりました。ですから、私も町内会長を務めたことがありますが、各自治会で、例えば防犯カメラのことを話し合われる、そして結論が出るまで3年間あれば、これは十分な時期ではなかったかと理解をしておりまして、それで台数もほぼほぼ目標台数に行ったものですから、この3年間で事業としては終わったということでありまして。 19 八嶋委員 事業は終了と。見守り隊の方もえらい減ってますし、やはり子供たちのための防犯カメラというか、抑止といったものを含めて事業再開を検討されてはいかがかなと思っています。  また、ぜひそういう意味で、防犯カメラの効果というのをしっかりまた検証していただければと思っています。よろしくお願いいたします。  次に、本11月定例会提出の迷惑防止条例の改正についてお伺いしたいと思います。  まずは内容について、カメラの技術が急速に、さっきの防犯カメラじゃないですが、技術が急速に進むという時代変化に対応した踏み込んだ改正だと思っています。  特に、これまで盗撮があっても罪に問えない場所があったということは、私自身初めて知りました。この私的空間の盗撮規制を盛り込んだ条例改正は、全国的にはどの程度導入が進んでいるのでしょうか。そして、この改正によってこれまで見過ごされてきた行為について、少し事例紹介を交えて、今後期待される効果についてお伺いしたいと思います。  また、県民への周知などをどのように図るのか、併せて杉本警察本部長にお尋ねします。 20 杉本警察本部長 迷惑行為等防止条例の改正案についてのお尋ねでございます。  いわゆる盗撮行為は、本条例第3条の卑わいな行為の禁止として規定されておりまして、現在は公共の場所、乗り物に加えて、準公共の場所、すなわち学校や会社等、特定または多数の者が利用するような場所においても規制をされております。  しかし、盗撮行為は、委員に御指摘いただきましたように、住居内の浴室や脱衣場等の私的な空間においても発生をしており、この現状に対応するため、規制場所の制限をなくし、私的空間まで規制できるように改めるものでございます。  このような私的空間における盗撮行為は、全国で内容に多少の違いはございますが、本年7月の調査段階で約7割以上の35都道府県が条例で規制をしております。  このような規定がない現状ではどのように対応しているかと申しますと、例えば、自宅で入浴中に浴室の窓越しに盗撮をされたといった事案の場合には、盗撮目的での敷地内への立入り行為に刑法の住居侵入罪を適用したり、ホテルの客室でシャワーをしているところを部屋への侵入を伴わずに無断で撮影されたといった事案の場合には、軽犯罪を適用したりするなどして対応しております。  しかし、住居侵入罪の場合は、建物の構造において塀や柵等の敷地を隔てる明確な区画がない場合などは立件が困難でありますし、軽犯罪法は罰則がかなり軽いといった問題がございます。  本条例の改正により、これらの行為に対する適切な処罰が実現され、県民の平穏な生活がより確保されるものと考えております。  改正案は来年4月1日の施行を予定しておりまして、それまでの間、街頭におけるキャンペーンの実施や広報媒体の効果的な活用など、県民に広く周知するための活動を進めてまいりたいと考えております。
    21 八嶋委員 そういうことで結構泣き寝入りするケースもあったのかと推察します。今後、カメラの技術ということで、いたちごっこの部分もあるかと思いますけれども、私的空間に絞ってお伺いしました。  広報がうまくいって、犯罪抑止につながることを期待したいと思っております。  次に、大きな問3、国際化を見据えた産業振興から5問質問させていただきたいと思います。  本当にお魚のおいしい季節になっております。氷見では寒ブリ宣言も先月出されまして、県の水産研究所からは、ブリの漁獲量も昨年よりも77%の増、平年と比べても10%程度多い見込みということで報道もされて、楽しみにしております。  とはいえ、漁獲量は約束されたものではありません。地球温暖化に伴う海水温変化による富山湾の漁獲量への影響について、県はどう捉えているのでしょうか。  また、世界情勢に影響を受けやすい燃料費の高騰や漁船の修繕費、建造費の高騰、漁師の高齢化、担い手不足なども含めて、今後どのように漁業者を支援していくのか。こういった問題も新田知事に質問させていただきたいと思います。よろしくお願いします。 22 新田知事 日本海や富山湾の水温は、この100年間で約1度以上上昇しておりまして、本県では、近年、ブリなどの回遊経路の変化によりまして漁獲量が減少する一方で、シイラなどの暖水性の魚類の増加が見られています。  このため、県では漁獲量の安定化に向け、魚種ごとの生態などの調査研究を行っております。今年度は新たにシイラの生態調査を行っています。  また、栽培漁業センターなどを活用した、クロダイやヒラメ、アワビなどの種苗放流によって水産資源を確保することもやっております。また、高級魚であるキジハタやアカムツの種苗生産技術の確立にも今取り組んでいます。  さらに、効率的な操業による漁業者の収益確保のため、水温や潮流などを観測するICT機器の漁場での導入を支援するなど、スマート水産業を推進しております。  また、委員御指摘のとおり、燃油価格は依然として高止まりしています。本県では6月及び9月の補正予算によって、国のセーフティーネット事業の漁業者積立金に対して支援をしています。そこからまた補填を受けているということです。  また、漁船の建造ですが、県の融資制度で支援をしておりますが、今後の利用を見込み、融資枠の拡充、また漁業者がより利用しやすいものとなるように、保証制度の導入などの見直しを検討しています。  さらに、担い手の確保ですが、これまで就業相談や新規就業者の技術研修を行っていますほか、今年度は効果的な求人手法などに関する他県の先進事例や魚の鮮度保持、急速冷凍などの高付加価値化を学ぶ研修も実施して、経営感覚を有する漁業者さんの育成に努めています。  今後も生産性の向上、経営継続などへの支援を行いまして、漁業者の皆さんが将来に夢を持って取り組めるように、我々も取り組んでまいりたいと思います。 23 八嶋委員 知事、本当に心強い答弁で、ありがとうございます。何とか知事のそういった気持ちも理解して、お互い一緒に頑張っていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。  次に行きます。  知床観光船KAZU I(カズワン)の沈没は事故なのか、はたまた事件なのか、いまだ判断は分かれるところでございますが、今後、富山県でこのようなトラブルが起こらないよう、乗客の安全確保の観点から支援が必要だろうと考えています。  現在、県内の観光船、遊漁船を含んで事業主ごとに研修会などを企画しても大変なコストがかかりますし、それ自体で採算が合うかどうかも不確かな部分が多いと思っています。結果、KAZU I(カズワン)のようなトラブルが発生する確率が上がると。事業主ごとに企画するよりは、例えば富山県旅客船観光事業者協会のような業界団体で開催した方が効率的ですので、そうした協会を経由した業界全体の支援も必要だと思っています。  乗客の安全・安心が確保されている印象は、観光産業全体にとっても大きなセールスポイント、何よりも一旦事故や事件として取り扱われると、地域観光の壊滅的なダメージにつながると考えています。  そこで、観光船運航事業者が取り組む安全に関する安全対策、講義であったり研修会であったりなどに対する支援も必要かと考えますが、南里地方創生局長に御所見をお伺いいたします。 24 南里地方創生局長 本年4月に北海道知床で発生した小型旅客船の痛ましい沈没事故を受けまして、国においては、小型船舶を使用する旅客輸送における安全対策を総合的に検討する知床遊覧船事故対策検討委員会が設置されました。  7月に中間取りまとめが行われまして、その内容としては、事業者の安全管理体制の強化、監査・行政処分の強化、船員の資質の向上、設備要件の強化など安全対策を重層的に強化し、安全・安心な小型旅客船を実現するための対策が示されたところでございます。  これを受けて、国土交通省の令和4年度第2次補正予算では、改良型救命いかだなど安全設備導入への補助や、各社で教育訓練を実施する際のガイドラインの策定や教材の作成など、小型旅客船の安全対策に必要な経費が計上されたところでございます。  また、県においては、観光船の運航事業者に対し、安全対策の強化と観光誘客を図るための取組への支援制度を設けておりまして、知床の事故後速やかに、県内の観光船運航事業者に個別に御案内したところでございます。  国は、年内をめどに小型旅客船の安全対策の最終取りまとめを行うこととしていると伺っております。  今後、安全対策の具体的内容や時期、国の支援策等について情報収集を図りまして、関係市町村や事業者と連携し、乗客が安心して観光船を楽しめる環境づくりに取り組んでまいります。 25 八嶋委員 県内の事業者、またそういった協会に入っていらっしゃらない方もおられるようでございますけれども、またお声かけいただきながら、そういった充実した安全対策に取り組んでいただきたいと思っています。  本年も、富山県内では幾つもの映画の撮影ロケがございました。  例えば、射水市では「僕の町はお風呂が熱くて埋蔵金が出てラーメンが美味い。」の撮影がされたり、ストーリーはあくまでフィクションなんですけれども、射水市が紹介されることになっております。  一昨年、国の重要無形民俗文化財の指定を受けた放生津八幡宮祭曳山・築山行事、これは映画「人生の約束」というもので御紹介されたのですけれども、そういった効果もあって、本年は曳山巡行では多くの県外からの観光客が来県され、地域振興、観光振興が図られたということだと思っています。  そこで、NHKの新スタジオもオープンしましたし、久方ぶりに朝ドラの誘致に取り組んではどうでしょうか。  「まんが道」ということで高岡市、「凛凛と」ということで魚津市、いずれもこれは男性が中心のストーリーということでございましたけれども、誘致に際しては富山の女性を主役にしたような朝ドラがよいのではないかなと思っていまして、朝ドラの誘致は、20年前に岐阜県の飛騨地方の「さくら」という女性の主人公がありまして、今年も「おかえり!さくら」のイベントで盛り上がっていると聞き及んでいます。  富山県ロケーションオフィスの努力もあり、富山県は映画のロケ地として全国的に知られるようになってきました。  さらに、朝ドラの誘致に成功すれば、未来に向けて長い期間、地域振興、観光振興、移住促進などで大きな効果が見込めると考えますが、引き続き南里地方創生局長にお伺いします。 26 南里地方創生局長 委員御提案の、富山の女性を主役とした朝ドラをはじめとした注目度の高いドラマや映画の誘致が実現すれば、制作関係者の来県による直接的な経済効果はもとより、県内のロケ地や原作の舞台がクローズアップされることで、ファンがロケ地を巡る聖地巡礼といった新たな観光誘客、地元の魅力の再発見による地域の活性化、さらには関係人口創出を含む移住、交流の促進につながることが期待されまして、本県にとって多くのメリットがあると認識しております。  こうしたことから、県では平成23年に富山県ロケーションオフィスを設置し、ドラマや映画の舞台、題材として本県が取り上げてもらえるように、全国から映像制作者が集まる展示会や商談会に積極的に参加して、人的ネットワークの構築を図っておりますほか、SNSを活用したロケ地情報の発信や、地元の丁寧な撮影支援に対する評価がさらなる誘致につながることから、きめ細かなロケ地情報の提供や事前下見への職員の同行など、ドラマや映画の誘致に積極的に取り組んでいるところでございます。  コロナ禍で誘致実績は一時的に落ち込んだのですけれども、映像制作者などからは、県内に美しく魅力的なロケ地が多い、県、市町村が撮影に協力的である、さらに北陸新幹線の開業で出演者のスケジュール調整がしやすいなどの高い評価を受けておりまして、最近ではドラマや映画の撮影件数は回復しつつございます。  今後とも、本県が朝ドラをはじめとしたドラマや映画の舞台として選ばれ続ける県となるように、市町村とも連携協力して誘致に取り組んでまいります。 27 八嶋委員 南里局長の明るい顔でぜひよろしくお願いします。知事もトップセールスしていただいて、よろしくお願いしたいと思っております。  土木部ではとやまビューポイント(ふるさと眺望点)が選定されていますが、ちょっと数が多くて目移りして、観光とのマッチングがなかなか絞れないと。観光目的としてもっと絞って、例えば金沢八景、琵琶湖八景などと同様の立山八景、五箇山八景、射水ベイエリア八景などとして、イナガキヤストさんのような新進気鋭の写真家にプロデュースしてもらいながらも、県当局のネットワークを使って東京駅や羽田空港をジャックして宣伝するとか、観光振興の起爆剤とすればいかがでしょうか。  南里地方創生局長に引き続き御所見をお伺いいたします。 28 南里地方創生局長 本県には、立山黒部や五箇山合掌造り集落、海越しの立山連峰など、世界的な景観に恵まれていると感じておるところでございます。また、富山湾で捕れる魚など食の魅力にも恵まれておりまして、食と絶景は本県の主要な観光の魅力だと感じております。  公益社団法人とやま観光推進機構が実施した調査でも、県の観光イメージは1位がグルメ、2位が自然となっておりまして、絶景と美食の打ち出しは非常に重要でございます。  このため、県では「富山で休もう。」観光ポスターにより、富山の景観の美しさと魅力をPRするとともに、県の観光公式サイトとやま観光ナビにおいても、大型で迫力のある写真を多数掲載しまして、富山の絶景をより魅力的に発信しているところでございます。特に富山の絶景を特集した記事は多くのアクセスがあることから、今後、県が指定しているとやまビューポイントも活用しつつ、絶景に親和性の高いSNSを活用し、金沢八景のように地域別にPRするなど、県内外の方々に富山の魅力として発信してまいります。  駅をジャックしてはという御指摘、委員からいただきました。11月に、名古屋の待ち合わせスポットとして有名な名鉄百貨店前にあるナナちゃん人形、こちらを富山湾鮨の衣装に着せ替えしまして、名古屋駅、金山総合駅等を含めて、ポスターなどで富山湾鮨のストリートジャックを行いました。担当の職員は、名古屋のほうの大学に通ったのですごく詳しくて、そのあたりの調整もよくやっていただきました。  地元テレビの取材やSNSなどで話題となるなど、多くの反響をいただいたところでございまして、今後ともインパクトのある写真やPR企画により、本県の強みである絶景や食の魅力を効果的に発信しまして、さらなる誘客促進に取り組んでまいります。 29 八嶋委員 八景、また八かよというふうにも言われるわけでございますが、私も八嶋ということで八でございますので、ぜひ八朗と共に八十八策にちなんで、ぜひそういう八の数字を、末広がりで本当に縁起もいい数字でございますので、よろしくお願いしたいと思います。  私からは最後になるのですが、今年は海王丸パークが開園して30周年を迎えました。  富山県のベイエリアの象徴である海王丸は進水後90年を超え、老朽化も顕著でありますけれども、伏木富山港・海王丸財団の職員の皆さん方の努力により、丁寧に維持管理されています。しかし、そうは言っても、保存の目安である100周年が8年後に迫っているところでございます。  富山県を代表するビュースポットでもございます。海王丸パークのシンボルとも言える海王丸の今後の維持や整備方針について、また海王丸総帆展帆には、少し踏み込んだ支援強化についても新田知事の御所見をお伺いします。 30 新田知事 帆船海王丸は昭和5年に建造され、現在まで海王丸パークのシンボルとして多くの県民の皆様に愛されています。これまで延べ221万人の方に御乗船いただいたということで、県としてはこの貴重な財産を未来にしっかりと引き継いでいきたいと考えています。  海王丸の総帆展帆や船舶内部の一般公開を引き続き行うためには、船舶安全法に基づいて5年ごとの定期検査を受け、航行可能な、いわゆる生きた船として保存し続ける必要があります。このため、定期的な修繕に努めてきました。平成24年度に実施した大規模修繕からこれで10年が経過し、また今年で建造から92年を迎え、船体の老朽化も進んでいることは地元に住んでおられる委員御指摘のとおりです。  まずは老朽状況を調査し、専門家の意見も聞きながら、大規模修繕について、地元射水市さんや伏木富山港・海王丸財団と共に検討してまいります。  また、総帆展帆ですが、ボランティアの協力が不可欠です。財団では、ボランティアの募集について、今年度から新たに総帆展帆作業を目の前で御覧いただく特別見学会を実施しております。また、養成機会を確保するために、訓練の実施回数を2回から6回に増やしました。  この成果が出ておりまして、多くの方に志を持っていただき、今年度の新規登録者は過去10年で最も多い42人となり、登録総数では767人となりました。このかいもあってか、11月6日の富山マラソンの日にはランナーを歓迎しようということで、久しぶりに29枚の全ての帆を広げることができました。  本県としては、射水市と共にこうした財団の取組を引き続き支援をしてまいりますほか、県や射水市の広報媒体を活用し、ボランティアの募集にも積極的に協力をしてまいります。 31 八嶋委員 知事、ありがとうございます。多分この質問は知事に初めてした質問だと思いますけれども、この時点で知事のこういう認識、力強いコメントをいただいたということで、地元としても非常にありがとう、いいなと思っているわけでございます。  総帆展帆、やっぱり本当にこれが一番県外からたくさんの誘客というか、この日に見に来られるということでございまして、ぜひこういったボランティアが持続可能な形で行われることを期待して、そこにまた政策を入れていっていただくということをお願いしたいと思っております。どうもありがとうございました。  引き続き、ちょっとまだ時間がありますが、今回の補正予算案、初日で52億5,594万円、それと国の予算決定に伴った、一昨日に提出されました追加提案308億5,114万円、足せばいいんですかね。合計361億708万円ということでございます。  その中でも、やっぱり知事の提案理由、9月定例会に続き安全・安心の柱があったことを非常にうれしく思っています。やはり安全・安心は行政にとって常に大切な柱だということを申し添えたいと思っておりますし、最後、今後も安全・安心の政策を柱に据えるようお願いしていきたいと思っております。  私事ですけれども、11月に長男が結婚しました。長男のお嫁さんの名前はさくらと言います。先ほど「おかえり!さくら」ということで盛り上がっていると岐阜県でありましたけれども、私は「ようこそ、さくら」で盛り上がっております。  御清聴ありがとうございました。終わります。 32 武田委員長 八嶋委員の質疑は以上で終了しました。  質問される委員の皆様方に少しお願いがありまして、予算特別委員会理事会決定事項の中に決め事としまして、配付資料、パネルの掲示についてというものがあります。  先ほどもありましたように、通告はなかったわけでありますが、委員長、副委員長に資料配付や掲示してもいいかという確認はなかったのですが、八嶋委員は出されました。そのときに、「委員長、掲示してもいいでしょうか」という一言をお願いしたいのと、できれば人数分、約70部の資料の準備をあらかじめしていただければ、皆様方にも大変分かりやすいので、これを徹底していただければと思っております。よろしくお願いします。        庄司昌弘委員の質疑及び答弁 33 武田委員長 庄司委員。あなたの持ち時間は60分であります。 34 庄司委員 おはようございます。  引き続きまして、質問に入らせていただきたいと思います。自民党新令和会の庄司昌弘でございます。  通告に従いまして質問します。  これからの富山の50年先、そして100年先を考える上で、これまで先人はどのような富山県のビジョンを掲げて、県政を進めてこられたのかを知ることも大変大切であると考え、先日、吉田実知事の著書、当時ベストセラーとなったと言われておりますが、「野に山に海に」を読みました。  昭和31年から昭和44年当時の富山県の課題は、県民の生活と産業の支えである水からの利益を最大限にして、水からの災害を最小限にするということで、富山県を幸福にすることを第一に考える点では、現在進められているウエルビーイングの考え方に共通するものであるとも感じました。  富山県は地理的にも恵まれた位置にあり、東京、大阪、名古屋など大消費地とのアクセスもよく、豊かな水が生み出す電力を活用したものづくり県として、皆さん御存じのとおり成長してきました。  当時の吉田知事は、新しいエネルギー、産業、農業の近代化や営農指導に尽力され、今も県民の財産として受け継がれる富山の社会インフラの整備に御尽力をされました。  変化する時代背景に柔軟に対応していくことは、これから大切であると思います。しかし、変えてはいけないものも多くあると思います。  先人たちはこれまでどのような富山県の未来、将来のビジョンを描いて県政を進めてこられたのか、またこれまでの歴代知事の政策をどのように評価し、今後どのように富山県を発展させようと考えておられるのか、新田知事にお伺いいたします。 35 新田知事 昭和22年に初めて本県の知事が県民の直接選挙で選ばれてから、私で7人目の公選知事ということになります。この間、歴代の知事の皆さんは、戦後復興期、あるいは高度成長期、さらにバブル時代など、世界の経済、社会情勢が変化していく中で国策なども踏まえられて、豊かな自然環境の保全や県土の有効利用、治水などによる災害防止や利水による電源開発と産業振興、北陸自動車道や北陸新幹線、空港、港湾などの社会インフラ基盤の整備、行財政改革など、それぞれの時代において、県民福祉の向上に向けた課題への対応と併せて、中長期的な展望に立って本県の未来のビジョンを描き、本県の発展に尽力されてこられました。  本県には、今、幸せの基盤がそろっているというふうに認識しておりますが、歴代の知事のリーダーシップと先人の方々が力を尽くされた成果と考えております。  私は時代や本県を取り巻く環境が大きく変わったとしても、県政を進める上で変えてはいけないものとしては、県民の福祉の向上はもちろんですが、本県の発展の礎である、委員おっしゃるように50年後、100年後の本県を担っていく人材の育成にあると考えております。歴代の知事におかれましても、人づくりを総合計画の重点政策に位置づけ、積極的に取り組んでこられたと理解をしております。  日本が成熟した国家となった現代は、経済成長により物質的な幸せを実感することは難しい時代であると考えます。だからこそ、お金に換算できない価値観が求められており、収入や健康といった外形的な価値だけにとらわれず自分らしく生きられる、そんな真の幸せ(ウエルビーイング)の向上が今の時代には大切だと考えています。  このため、私は新しい富山県のさらなる発展に向けて「幸せ人口1000万~ウェルビーイング先進地域、富山~」をビジョンとする成長戦略を進め、実際に県民の多様化する課題の解決にも努めるとともに、このウエルビーイングが向上することを目指しています。  この成長戦略におきましても、ウエルビーイングの向上を通じて次世代の価値を生む人材が富山に育ち、そして県外から集積をすること、この人づくりを戦略の核に据えています。  今後とも、様々な分野で新しい価値を生むデジタル技術を活用できるようなデジタル人材をはじめ、また英語を自在に操れるようなグローバルな人材、そのような次の時代を担うような人づくりに重点的に取り組んで、本県の発展と県民の幸せのために力を尽くしてまいりたいと考えております。  ちょうど昨夜もSCOP TOYAMAで、息子や娘のような世代の、いわゆる若い方々とかんかんがくがくの議論をしておりました。主に官民連携がテーマでありましたが、皆さん成長戦略カンファレンスなどを通じて知り合った方々です。それぞれ起業しておられる方ばかりです。県内に生まれ県内に育った方あるいは広島や大阪や兵庫から移住されてきて今富山に住んでいらっしゃる方、あるいは富山で生まれて今県外に在住しておられる方などなど、バックグラウンドは様々ですが大変に熱量の高い方々でありました。  このような方々との交流あるいは意見交換というもの、もしかしたらこれまでの歴代知事はあまりそういう機会はなかったのかもしれません。今、時代も変わってきたというふうに改めて思うことであります。  それから、今ちょうど地元の新聞で「歴代知事の肖像」という記事が連載されております。これもぜひ今後しっかりと勉強して参考にしていきたいと考えております。 36 庄司委員 ありがとうございます。人づくりがこれから本当に大事になってくるなと知事から答弁いただきまして、私もうれしく感じております。  いろんなインフラなどを残していくことも非常に大事だと思いますけども、やっぱりこれから先人の考えをしっかり継承していくことも非常に大事だと思いますので、ぜひ一緒に取り組んでいきたいと思っております。  引き続き、質問に移らせていただきます。  今、富山県の課題の根底にあるのはやはり人口減少社会、そして先行き不透明な、予測不可能な──VUCA(ブーカ)と、知事からも発信しておられますが、そういった予測不可能な時代であると思っています。  社会インフラの老朽化であるとか、地域公共交通の在り方、そして食、自然の守り手である持続可能な農業、この担い手づくり、そういったこれからの富山県の課題を解決するためには、やはり先ほど知事からも言われたとおり、人づくり、教育が非常に重要だと思っています。  富山県の県民性は、自然災害との戦い、そういった中からも生まれてきているのだと思っていますが、富山県の豊かな自然や、その自然から学んで教えられることも多くあると思っています。その豊かで厳しくも温かい自然から得られる幸せ、そういったものもあると思います。  富山県の成長戦略には、今ほど言われましたが、人づくりの議論が大変重要であると思いますが、富山県が掲げるウエルビーイングの向上に教育が果たす役割、これも大変大きいと思います。  そこで、これからの社会課題の解決のための核となる人づくりでありますが、総合教育会議や成長戦略会議、ここで知事が先頭に立って突き抜けた議論が必要なのではないかと考えます。言い換えれば、知事を先頭に教育委員会と他の部局との壁を取り払って、これからの富山県の人づくりに邁進していくと。そういった教育の改革、このスタートが、富山と金沢で開催されるG7教育大臣会合になるのではないかと考えますが、本県の教育改革にどのように取り組まれるのか、知事の所見を伺います。 37 新田知事 技術革新やグローバル化が進展する中、変化の激しい予測困難な時代に柔軟かつ適切に対応していくためには、主体的に考え、多様な他者と共に、いわゆる協働しながら解決策を生み出すような資質、能力を持つ人材が求められると考えております。  このため、教育委員会では、これまでも課題解決型の学習あるいはICTを活用した個別最適な──これは一人一人に合ったオーダーメードなという意味ですが、個別最適な学び、協働的な学びの推進などに積極的に取り組んでいるところです。  こうした中で開催される来年のG7教育大臣会合ですが、本県の教育の高さを国内外にアピールする絶好の機会と考えます。と同時に、県民お一人お一人に教育について考えていただくよいきっかけにもなると考えています。  3月には、中高校生を対象としたこどもサミットを開催するとともに、教育大臣会合の際には各国大臣と子供たちが触れ合う場を設けるよう国に提案をしております。先般、一般質問で瀬川議員から御提案の給食などもぜひ視野に入れていきたいと考えております。
     世界的な会合に関わることで、子供たちの自信や誇りにつながり、主体性や行動力を高めることになることを期待しています。  教育大臣会合の開催を契機として広く世界に目を向け、夢や志、情熱を持って地域社会や全国、そして世界で活躍し、自ら未来を切り拓く人材の育成に取り組んでいき、真の人間力を育む本県ならではの教育を、この会合を経験することで一層推進していきたいと考えています。  今後も総合教育会議や成長戦略会議において、有識者や県民など幅広く御意見をお聞きしながら教育委員会とも十分連携し、子供真ん中の視点に立った本県教育の振興を図り、全ての県民のウエルビーイングの向上と、持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現を目指してまいりたいと考えます。 38 庄司委員 ありがとうございます。人口減少の中で、やはり支える側の負担が大変大きくなってくると思います。そういった中でもやっぱり次の世代が夢を持って、やっぱりそこに、何ていうんですか、希望を持ってこの富山県で持続可能な富山を一緒につくっていくんだというような、そういった希望の持てる教育に取り組んでいっていただきたいと思います。  今ほどありましたとおり、G7教育大臣会合を一過性のものとはせずに、教育分野とウエルビーイング、これを一体として融合させた教育、子供、若者の自己肯定感の向上、こういったことに継続的に取り組む必要があると思っています。  今回の補正予算でも、先ほどおっしゃったように、いろんな関連の事業が今企画されているということでありますが、富山県の自然や歴史が育んできた人づくり、先ほど言いましたが、富山ならではのそういった教育、これを知事もおっしゃったとおり、広く内外に発信していくことがこれからの教育改革、そしてまた富山県の特色ある学校づくりに生かしていく、そういったG7教育大臣会合にならなければならないと思っております。  どのように取り組んでいかれるのか、荻布教育長に伺います。 39 荻布教育長 本県では、これまでも子供たちが地域の自然や歴史、伝統文化、産業などについて学び、優れた先人などに学び親しむふるさと教育を通して、郷土に誇りを持つとともに、他の国や地域を理解し尊重する気持ちも育成をしてきました。また、学校、家庭、地域の連携の下、子供たちの豊かな人間性を育むチーム富山の教育を推進しております。  こうした教育の取組や成果については、県のホームページなどの広報媒体や様々な機会を活用して情報発信を検討してまいりたいと考えております。  第3期教育振興基本計画では、教育を通して目指す姿として、「すべての県民が生き生きと自分らしく暮らせる「真の幸せ(ウェルビーイング)」の向上」と、「誰一人取り残さない持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現」を掲げております。  子供たちが世界的な会合に関わることは、主体性や行動力を高め、社会の中での自己肯定感の向上につながると考えております。  教育委員会としては、教育大臣会合の開催を契機としまして、これまでの本県の取組の上に、プロジェクト学習やSTEAM教育といった課題解決型の学びや、ICTを活用した個別最適な学び、また協働的な学びの一層の充実を図って、真の人間力を育む本県ならではの教育を通して、子供たちのウエルビーイング向上につなげてまいりたいと考えております。 40 庄司委員 ありがとうございます。教育県富山と言われておりまして、私もそうだとずっと思っておりますが、なかなかそういった教育力が、特色ある学校などといったところでちょっと落ちてきているんじゃないかなと最近感じています。そういった意味では、もう一回魅力ある教育、地域と一体となって進めていくということも非常に大事だと思っております。  そしてまた、G7で子供たちに体験させるということもありますが、限られた人数でありますので、シビックプライドというか、ふるさとを誇りに思うような若い人たちが育つような機会もどうやってつくっていくか、そういったこともまた検討していただいて進めていただければと思っております。  引き続き質問させていただきます。  社会に学ぶ14歳の挑戦については、今ほどG7の話もありましたが、全国に先駆けて実施したということもありまして、県民はもとより、全国からも評価を受けている大変いい事業であると思っています。これをぜひ発信していけばと思いますが、中学2年生が5日間学校を離れて、地域の企業や地域の方々の指導の下、ボランティア活動などをされるという事業であります。社会性や規範意識、そういったものを高めて将来の自分の生き方を見詰める、生涯にわたってたくましく生き抜く力を身につけることが、やはりこの14歳の挑戦の大きな目的であると思いますし、ただその一方で、今コロナ禍でなかなか地域の受入れが困難であるといった状況もあります。  地域の子供は地域で育てるといったような機運の醸成、これも再度つくり上げていくということも大事だと思いますし、地域全体でこのキャリア教育に取り組んでいかなければならないと考えております。  中学生が進学したい高校を、14歳の挑戦から自分の夢や職業などを感じて学校を選ぶといった流れも一つつくっていくことが大事であると思いますし、どういった夢を実現したいか、生徒一人一人がウエルビーイングを追求することで自ら進んで考え行動できる、自分で学校を選ぶことのできる、そういった流れをつくっていくことも非常に大事だと思っています。  14歳の挑戦については、官民協働事業レビューでも取り上げられています。事業の見直しや拡充がされるということですが、G7教育大臣会議を契機に富山県のキャリア教育をさらに発展させ、幸福度が上がる、自分の人生を自分で切り開くことができる教育を一層推進すべきと考えますが、教育長に伺います。 41 荻布教育長 キャリア教育は、社会的、職業的な自立に向けて必要な基盤となる人間関係形成能力や自己管理能力などの資質、能力を育む教育とされており、小学校から高校までの教育活動全般を通じて行われております。  例えば、中学校では各教科における学習や生徒会などの自治的な活動を通して、自己の能力や特性の理解を深め、またボランティア活動や地域行事への参加などを通して、多様性への理解やコミュニケーション能力を育んでおります。  また、総合的な学習の時間を活用した身近な人の職業調べのほか、14歳の挑戦では職場体験を通して社会性や規範意識を高めるとともに、働くことの意義や勤労感を地域の中で学んでおります。  また、進路指導についてもキャリア教育の計画の中に位置づけており、生徒一人一人が自分の能力や特性を踏まえ、夢や目標を持って自身の将来設計について考え、生徒自らが進路を選択できるように指導しております。  来年度開催されるG7教育大臣会合は、本県の教育を国内外に発信するとともに、今後の教育の方向性について見詰め直す貴重な機会と考えております。  県教育委員会としては、子供たちが自らの人生を切り開く力を身につけられるよう、市町村教育委員会や地域、企業などとも一層連携を深め、進路指導や14歳の挑戦なども含めまして、キャリア教育のさらなる充実に向けて取り組んでまいります。 42 庄司委員 ありがとうございます。ぜひ積極的に取り組んでいっていただきたいと思います。  先ほど言ったように、コロナ禍でなかなか協力していただける企業が減っているということもありますので、そういったことも含めて新しくつくり上げていくことも多々あると思いますが、ぜひ取り組んでいっていただきたいと思います。  今ほど進路の話も少ししましたが、中学生が担任の先生や進路指導の先生からだけではなくて、やはり自分が一緒に学んだ先輩方や部活の先輩も含めて、いろんな身近な先輩から学ぶということ、実際の話を聞くということも非常に進路選択のアドバイスにつながると思っています。  進路選択や職業選択のアドバイスの機会が必要で、そういった取組もぜひ併せて進めていけばどうかと考えますが、教育長に伺います。 43 荻布教育長 中学校における進路指導については、生徒が自分の能力、適性を基に将来への目的意識を持って、自らの意思で進路を選択できるよう支援しているところでございます。  このため、中学校では進路指導をキャリア教育の計画の中に位置づけて、3年間を通して段階的、計画的な指導を行っているところです。  具体的には、1、2年生では身近な人の職業調べや地域で働く人の講演を聴いたり、またものづくり企業の見学などを行ったりします。また、14歳の挑戦などを通して様々な職業について知るとともに、勤労観や職業観を学んでいます。また、高校などの上級学校について調べ、高校をはじめ専門学校や大学などについても学びまして、自分が就きたい職業に向けて将来構想を立てるなどの活動もしています。また、3年生では、委員から御紹介のあった卒業生に学ぶ会を開催する学校もあり、進路選択に向けてアドバイスを受けるなどしておりまして、これは身近な先輩から聞く非常に貴重な機会となっていると思います。また、高校の教員を招いた進路懇談会やオープンハイスクールなどによって、学科の特性や実際の高校生活についての理解も深めています。  こうした活動を通して、生徒一人一人が自分の将来設計について考え、自ら選択できるよう指導しております。  中学生が自ら考え、自分の意志で適切に進路を選択するためには、幅広い経験や学びが必要だと考えております。  教育委員会としては、今後とも市町村教育委員会と連携し、卒業生も含めまして様々な人から話を聞く機会を充実させるなど、キャリア教育のさらなる充実に努めてまいります。 44 庄司委員 ありがとうございます。教育長は、実は中学校の大先輩でありますので、本当にいろいろ日頃から御指導いただく、そういった先輩に学ぶような機会がまたあればと思っております。  引き続き、質問に入りたいと思います。  先日、富山県成長戦略会議の座長、中尾哲雄さんのお話を聞く機会がありました。中尾さんは、これまで経済人として「際」──ものとものの際、これを意識して活動されてきたとお話をしておられました。学際化であるとか、地域と地域の地域際化、世代と世代の世代際化、事業と事業の業際化など、異なるものをつなぎ合わせて組み合わせる。そういったことで、それが創造につながるということでありました。  異なるもの同士の交流や組合せで新しいビジネスやチャンスが生まれるということであります。  そういったことで、以下、この際を意識して質問に入りたいと思います。大変答えにくい難しいところであると思いますが、ぜひ前向きな答弁をお願いしたいと思っております。  現在、活発に行われている高校再編の議論でありますが、これは大変重要であると思っております。市町村と連携し、限られた社会資本を有効に活用した学びの拠点づくり、これも進めていかなければいけないと思っています。他の市町村と連携すると、先ほどからもありましたが、県だけではないということです。  県では、公共施設マネジメントも推進しておられます。特色のある教育も併せて地域の特色ある学び、文化芸術、スポーツなどの拠点、中心地をつくるということが地域の活性化にもつながっていくと思っています。  ちょっと事例を言うと、そういった拠点は県内に幾つかあると思っています。例えば、呉羽高校の周辺ですが、富山市の芸術創造センターがあります。そこに桐朋学園の大学院大学もあります。音楽や文化芸術の拠点として1つできています。高岡工芸高校周辺も、高岡市美術館があったり、富山県の高岡文化ホールがあったりということで、そこが中心となって文化芸術、工芸美術、そういった拠点が1つできています。  県だけではなくて、市、民間の施設などがを合わさった特色ある教育を県立高校だけじゃなくて、そういった特徴ある高校の核を、やはり拠点をつくっていく必要があると思っています。地域が一体となって、地域に愛される特色ある学校がそこでまたできてくるんだと思います。  このことについては、教育委員会だけでは進めることができない課題であると思っております。  また、今ハード面で言いましたが、ソフト面も必要で、部局横断的に取り組む必要があると考えますが、知事に所見を伺います。 45 新田知事 第2期富山県教育大綱においては、次世代を担う子供の文化活動の推進あるいはスポーツに親しむ環境づくりの推進、これらを基本方針に掲げておりまして、地域にある文化芸術やスポーツ施設と一体となって、特色ある学校づくりを進めていくことが大切だと考えています。  委員御指摘のとおり、呉羽高校では生徒が富山市芸術創造文化センターを積極的に活用しておられますし、音楽を含めた芸術分野の活動が盛んに行われています。また、高岡工芸高校では、高岡市美術館と連携を図り、ものづくりの学習や魅力の発信を行うなど、学校の特色づくりの一翼を担っていると理解しています。  現在、教育委員会で設置した令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会において、県立高校の今後の魅力ある学校づくりの方向性などについて様々な意見をいただいています。  今後の高校における特色教育の充実に向けては、これら今まで述べたような文化、スポーツなどの地域資源だけではなく、試験研究機関などの本県が持つ様々なリソースをフル活用する、またさらには富山経済同友会が取り組んでおられる、企業経営者が教壇に立たれる課外授業のような企業や関係団体等の連携など、ハード、ソフト両面から部局横断的に取り組んでいくことが重要だと考えております。  例えば、本県の試験研究機関でも、農林水産部に属するものあるいは商工労働部管轄のものなどなど、まさに部局にまたがっておりますので、部局横断的に取り組むということをしっかり進めなければならないと考えております。  さらに、先ほどの例にもあります高校が所在する市町村との連携、市町村の設備を使わせていただくこと、このあたりもしっかり連携を取って検討していくことが必要だと考えます。  引き続き子供真ん中の視点に立って、生徒にとってどのような高校教育が望ましいかを第一に考えて、よりよい教育環境の充実に向けて様々な可能性を探りながら検討を進めていきたいと考えております。 46 庄司委員 ありがとうございます。本当に積極的に取り組んでいただけるような答弁をいただきまして、ぜひこれは市町村とも連携していかなければいけないと思いますし、経済界ともしっかり連携していただいて、いろんな拠点、富山県の中でもそういった拠点づくりを進めていっていただきたいと思います。  続けて質問に入りたいと思います。  今ほど拠点という話もしましたが、文化芸術についてですが、コロナ禍で大きな被害を受けていると思っています。昨今の物価高の影響などもありまして、文化芸術を継続、発展させ、その力を生かして地域の活性化を図るということは、これからの地方創生にとっても大変重要であると思っています。  地域における公演などの開催や、子供たちの鑑賞や体験の機会の確保、振興をこれから一層加速させる必要もあると思います。  先ほどから申し上げたように、県や市町村、民間などの施設が合わさった拠点を有効に活用して、学生や地域を巻き込んで、文化芸術の振興や日常的にその文化芸術に親しむことができる環境やイベントを開催して、富山の豊かな食文化というものもそこに入れて、心と体の栄養を県民に与えることができるといった場所、そういったイベント、こういったものをつくっていく必要があると思っています。  地域のにぎわいを創出して、文化芸術の普及振興にこの拠点づくりをつなげていってはどうかと考えますが、廣島生活環境文化部長に所見を伺います。 47 廣島生活環境文化部長 本県の文化振興におきましては、地域の文化資源を活用したにぎわいづくり、まちづくりも大切な視点だと考えております。  これまで学生の皆さん、地域住民の皆さんに参加いただく地域の文化資源を活用したにぎわいの創出は、県内においても行われてきております。  例を挙げますと、富山県美術館、環水公園や富山駅北エリアにおきまして、美術、造形作品の展示、発表、また食品の提供などにぎわいイベントが開催されております。南砺市ではスキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド、また新川学びの森天神山交流館では音楽祭といったような、文化を生かして地域のにぎわいを創出しようとする取組が多数開催されておりまして、県としてもこれらの開催を支援してきているところでございます。  例えば、今ほど申し上げたような取組をベースとして、週1回など定時性のある日常的なイベントの開催、これにつきましては身近で文化を鑑賞する機会、また次世代を担う子供たちの文化活動の充実などそういったことが期待できて、地域のにぎわい創出にもつながると考えます。  県としましては、こうした県内各地で実施されます文化芸術の普及振興に資する新たな取組ですとか、こういったものに対する支援について検討してまいりたいと考えております。  また、富山県美術館や高志の国文学館などの県立文化施設においては、今後もより多くの方々に気軽に足を運んでいただく取組を進めたいと考えております。  この取組の検討に当たりましても、人の流れをつくるような日常的な文化芸術との触れ合い、にぎわいのある地域づくりという観点を持ってまいりたいと考えております。 48 庄司委員 ありがとうございます。新型コロナがありましたので、今ちょっとずつ元に戻っているとは言いながら、地域のつながりやイベントがなかなか開催できないようなことが続いておりますので、何年か続くと、また今までやってきたことがなかなかできないというような状況なども発生しておるかと思いますので、ぜひ県も協力してそういったイベントを、地域と一体となってということで進めていっていただきたいと思います。よろしくお願いします。  今ほどは文化芸術の話でありましたが、県立図書館について質問したいと思います。  富山県の知の拠点である県立図書館の隣に富山市が管理しておられます公園がありますが、その公園などとも連携することで新しい可能性や学びが生まれると思っています。県立図書館は呉羽丘陵の自然の中にありまして、今ある図書館の概念、壁を取り払うということも大事かなと思っています。  子供は自然の中で育てる、そして外で遊ぶことが大事だと思いますが、そういった中にも本があれば、そこでまた読書にも親しむことができるということです。大人も自然や読書を通じて、教養や美的感受性を養うということも大事だと思っています。  そういった図書館と自然を融合させた学びのフィールドを創出すれば、今の県立図書館そのままでも新しい読書の魅力が創出できるんじゃないかなと考えます。  そしてまた、今ほど高志の国文学館という話も出ましたが、次期館長には室井滋さんの就任が決まったということであります。  これを好機として、図書館が高志の国文学館ともしっかり連携して、子供からお年寄りまでワクワクする、行きたくなるような、そういったコラボをぜひ進めていっていただきたいと思いますが、教育長に所見を伺います。 49 荻布教育長 読書や自然体験活動は、子供の健やかな成長に大変大切であり、大人にとっても心の豊かさや潤いをもたらしてくれるものと思います。  文部科学省が令和2年度に実施した21世紀出生児縦断調査の分析によりますと、小学校の頃に自然体験などの体験活動や読書などを多くしていた子供は、その後、高校生のときに自分に対して肯定的である、また自分のことを活発だと思う、将来に対して前向きであるといった傾向が見られると報告をされています。  こうしたことからも、県立図書館の運営に呉羽山公園などの周辺環境を生かした自然体験活動を取り入れるということは重要な視点と考えます。  県立図書館では自然を楽しむため、今年6月に中央植物園から講師を招き、呉羽山公園や図書館周辺で、一般の皆様を対象に植物観察会を開催いたしました。自然豊かな環境を生かそうと考えての初の試みでありましたが、参加者から植物に関する質問が次々とあったり、また次回以降の開催を希望する複数の声が上がるなど好評でございました。  このため、例えば気候のよい時期に呉羽山公園内で行う子供向け行事のほか、委員から御提案のあった高志の国文学館と連携した企画など、世代を問わず本に親しむ経験ができるような新しい取組を検討したいと考えております。  今後とも利用者のニーズを把握し、地域や周辺施設、学校などの多様な主体と連携することで、新しい読書の魅力も創出しながら県民の皆さんの情報拠点、学びの場としての役割を担い、県民に親しまれる図書館となるよう努めてまいります。 50 庄司委員 ありがとうございます。そういった事例をさらに展開していっていただきたいと思いますし、室井滋さんのコメントの中でも、よそ様とコラボを進めたいというようなことがありますので、ぜひ一緒にコラボしていっていただきたいと思います。お年寄りから子供まで読書に親しめる、そういったイベントも開催したいということなので、ぜひ連携していっていただきたいと思います。よろしくお願いします。  引き続き、質問に入りたいと思います。  これからは、農業高校について質問したいと思います。  みどりの食料システム戦略に基づいて、これからの農業高校は、環境に配慮した持続可能な農業の担い手を育成するといった学校でなくてはならないと考えています。  農業は国の基であり、また自然の番人でもあると思っています。どれだけ経済が苦しくても、守らなければいけない大事な産業であります。今は先行き不透明、予測不可能といった時代ではありますが、災害が起これば、食料や水やエネルギーはできるだけ小さな地域で地産地消できる体制をつくっていくことがこれからも大事だと思いますし、そういった観点でも農業高校、そしてその担い手を育てるということが大事であると思っています。  農業高校はその担い手づくりに集中すべきじゃないかなと思っていまして、先ほど知事の答弁からもありましたが、農業研究機関などともしっかり連携して、担い手の育成を進めていく、そしてまた農業未来カレッジなどもありますが、いろんな施設があると思います。そういった施設や、サポートしてくれる人材も県にはたくさんおられます。そういった専門職の皆さんともしっかり連携をして、施設や人材を活用して、もっとこの農業高校の学びに生かしていくことが大事ではないかなと思っています。  これからの農業高校が担うべき役割、これは大変大きいと思いますが、高校と農業研究機関等とのさらなる連携についてどのように取り組まれるのか、知事に伺います。 51 新田知事 農業の就業人口の減少や農業従事者の高齢化が進んでいまして、地域農業を持続的に発展させていくためには、次代を担う若い農業者を育成、また確保していくことが大切だと考えます。  高校の農業科で育成を目指す人材像ですが、これは学習指導要領でうたわれておりまして、農業や農業関連産業を通じ、地域や社会の健全で持続的な発展を担う職業人とされておりまして、農業高校には地域農業を支えるとともに、地域や社会を発展させる人材の育成という大切な役割があるわけであります。  本県としましても、学校と農林水産部の関係各課、また試験研究機関などが連携して、農業高校の授業や実習などの充実を図る必要があると、これが生徒さんたちのためになると思います。  そのために、これまでも取り組んでいることもありますが、例えば農業研究所での米の品質、食味分析の指導、また、とやま農業未来カレッジでのICT園芸ハウスの活用、そしてスマート農業普及センターでの小型ドローン操縦体験実習などに連携して取り組んでいます。また、県の中央植物園でも、魚津市のカノコユリや入善町の桜など、地域の貴重な植物の保護、増殖などについての研究を高校生と共同で行ってきました。  現在、本県では農業教育と研修に関するあり方検討会などにおいて、保護者を含めて農業への理解や、農業高校生の就農意欲の向上につながるように、農業高校ととやま農業未来カレッジ、農業研究機関などとのさらなる連携方策などの検討を進めてまいります。  今後も、農業高校で学ぶ生徒が一人でも多く農業の魅力と可能性を感じ、農業を通じての自己実現、農業による地域貢献を志すように、教育委員会とも連携して支援に努めてまいります。 52 庄司委員 ありがとうございます。確かに農業高校を通じて社会貢献するということも非常に大事ですけれども、現状はなかなか担い手が不足しているという現状もありますので、なるべく担い手が育つような高校でなくてはならないと思っておりますし、そういった夢を持って農業に取り組めるような、今いろいろスタートアップや起業などの後押しもされていますけど、農業分野でそういったものが1つできれば非常に明るいなと思っていまして、それも含めてまたお願いしたいと思います。  次に、今ほどもスタートアップと言いましたが、スタートアップ支援の拠点SCOP TOYAMAがスタートしました。  開所式では、社会課題を見つけ、その穴を埋めることがスタートアップにつながるというお話が成長戦略会議の藤野委員からあったと思っています。本当にそのとおりだと思います。この蓮町の地は馬場はるさんが寄附をされて、大正13年に開校した旧制富山高校があった場所です。昭和25年に閉校しましたが、富山大学の文理学部に引き継がれています。  先ほど、質問のテーマになった「際」のお話をしていただいたインテックの中尾哲雄さんが学生時代に学ばれた場所でもあります。そう考えれば、富山のインテックが大きく成長したように、このスタートアップの聖地になり得る大変いいストーリーがもう既にあると思っていまして、これをいい場所だなと思います。  こういったストーリーを発信して、起業支援や移住・定住といったことにつなげていっていただきたいと考えますが、三牧知事政策局長に所見を伺います。 53 三牧知事政策局長 今、委員からも御紹介ありましたとおり、SCOP TOYAMAがあります蓮町は、馬場はる氏が創設に尽力されました富山大学の前身、旧制富山高校のあった地でございまして、インテックの社長を務めた中尾哲雄氏を輩出するなど、学びやチャレンジに対して歴史的なつながりを感じる環境でございます。  今申し上げた取組の背景でございますが、当時、若者の県外流出が止まらない中で、若い世代の学びやチャレンジの支援のための環境を整備した結果、富山を誇るIT企業の誕生につながったという点では、まさに現在我々が進めております県の成長戦略が目指す姿と重なるところが多く、SCOP TOYAMAの情報発信の際には、そうした背景もしっかりとPRしていければと思っております。  また、チャレンジへの理解といったこの地域の強みを十分に生かしながら、SCOP TOYAMAをハブとして、ネットワーク構築や新たなビジネスやプロジェクトの組成を進めていきたいと考えております。
     具体的には、県内ではHATCHやSketch Lab、そして県外では渋谷キューズなど、民間の創業支援機関ともしっかりと連携し、起業家や移住者が集い交流できるイベントを開催するほか、コミュニティマネジャーに常駐していただきまして、良質なコミュニティーをしっかりと創出していくと。その結果センターを核として、起業家や移住者、企業、学生、自治体など多様な人材のネットワークを構築するとともに、様々な人が交わり、そして共に成長できる、そうした場を設けることで、新たなビジネス等のロールモデルを輩出し、次の起業や移住につなげる好循環につなげていきたいと考えております。  こうした取組を発信し、SCOP TOYAMAが、地域の方や県内外の多様な方々が交わって新たなプロジェクトやイノベーションを継続的に生み出し、地域の活性化に加えて日本全体や世界の社会課題を解決するような拠点となるよう、しっかりと取り組んでまいります。 54 庄司委員 ありがとうございます。まだスタートしたばかりで、なかなか入居者であるとか、利用率がまだ低いというような質問もありましたが、ぜひこの発信をしていただいて、きちっと若い人が集まってくるようなスタートアップの拠点となるように取り組んでいっていただきたいと思います。よろしくお願いします。  最後、2問でありますが、社会課題の解決という話を先ほどしましたが、医療のそういった社会課題に穴を埋めるために頑張っておられる救急医療現場からの声について、質問をしたいと思います。  御承知のとおり、2025年には、団塊の世代が全て75歳以上となる超高齢化社会を迎えることになります。高齢者の増加に伴いまして、救急車の出動件数は年々増加しています。今後、現在よりも減ることはないであろうと考えられています。  県内のがん診療連携拠点病院の8病院は、全て2次救急の輪番病院に参画しています。本県の救急医療の根幹を担っておられるということです。しかし、これらの2次輪番病院に救急搬送される患者の入院率は約50%ということなので、軽症者がかなり搬送されているんじゃないかと思います。こういった状況が続けば、先ほど言ったように高齢者が増える中で、現状と同じ医療が提供できなくなるのできなくなるのではないかといった懸念があります。  そしてまた、今発生しています新型コロナのような感染症、パンデミックや災害時の対応を考えれば、重症者や中等症の患者が2次病院に搬送されることになります。一旦そういうようなことが発生すれば、多くの軽症者は受入先がなくなってしまうということです。  本定例会で酒井議員から救急安心センターの事業の質問があったと思いますが、その答弁では、今は救急における本県の状況は、人口当たり救急出動回数が全国で5番目に少なくて、搬送者に占める軽症者の割合も低いという答弁でありましたが、それでは人口の集中している富山医療圏ではどのような状況になっているのか、利川危機管理局長に伺います。 55 利川危機管理局長 富山医療圏における救急搬送の状況のうち、まず人口1万人当たりの救急出動件数ですけれども、全国と比較できる令和2年で417.3件でございまして、県内の4医療圏の中では最も多くなっております。富山県全体の出動件数は384.4件ということでございまして、これを約30件は上回っておりますけれども、全国平均は470.5件ということで約50件少なくなっております。  次に、搬送者に占める軽症者の割合でございます。富山医療圏では37.1%となっておりまして、富山県平均の38.2%よりも約1ポイント低くなっております。また、全国平均の45.6%よりも約8ポイント低くなっております。  ということで、県としては富山医療圏におきましても、救急車はおおむね適正に利用されているものと考えております。  今後とも消防本部などの関係機関と連携いたしまして、救急車の適正利用について周知啓発を行いますとともに、救急出動件数や軽症者割合の変化が救急活動に与える影響を注視してまいります。 56 庄司委員 ありがとうございます。現状はそういったことであるということでありますけども、先ほど申し上げたように、高齢化率がどんどん上がってくると、なかなかそういったわけにもいかないと思っておりまして、やはり事前にその準備をしておくということも大事だと思っています。全国平均を下回っているから安心だということでもないと思いますので、そういったことに関しても注意して進めていっていただきたいと思います。よろしくお願いします。  最後にですが、今の質問に関連した話になります。  厚生労働省では2024年度から、救急医療機関の役割分担を明確化して、搬送や転院をよりスムーズにする取組をスタートさせるということであります。  富山県内の救急医療提供体制においても、先ほど37.何%というような話がありましたが、軽症者の方がそれだけ搬送されているという現状もあります。そういった軽症者の方が2次救急輪番病院に搬送されており、本来救命救急を要する重症患者の2次救急病院での受入れに支障が出てくると、将来的にそういった状況にあると考えています。  今後、増加の一途をたどると予想される救急需要にどのように取り組んでいかれるのでしょうか。  現在、2次救急病院の逼迫を回避するために、県内でも軽症者を事前に受け入れようとする民間の救急医療機関の設置の動きが実際あるとも聞いています。  そしてまた、今後ドクターカーなども活用して、1次救急──軽症者ですね──1次救急の医療の充実、これも必要になってくると考えています。  県としてどのように今後取り組んでいかれるのか、有賀厚生部長に所見を伺います。 57 有賀厚生部長 富山県内の救急医療は、患者の症状の程度に応じて適切な医療が受けられるよう体系的に整備が行われております。  具体的には、初期救急医療として、各医療圏において休日夜間急患センター及び在宅当番医制を医師会等の協力の下、提供しております。第2次救急としては、公的病院を中心とした病院群輪番制により重症救急患者に必要な治療を行っておりますが、これは約20病院が担当しております。第3次救急には、県立中央病院と厚生連高岡病院が当たっております。  また、2015年度から運航を始めたドクターヘリも、基地病院や消防機関等との連携の下、救急搬送の重要な手段の一つとして定着しております。加えて、砺波医療圏では症例に応じてドクターカーの活用も図られていると聞いています。  他方、余病を多く抱える高齢者を中心に、もともとの疾患が急に悪化したということでの搬送が増加しております。これは、コロナのところでもあからさまにというか、明らかになってきているところでありますけれども。  こうしたことから、患者の日頃の状態を把握しているかかりつけ医、ファーストタッチに関わる救急医療機関、そして高度救命救急まで各段階における医療をシームレスに提供するため、関係機関の連携をなお一層充実していく必要があると考えております。  県としては、こうした状況を踏まえまして、来年度策定する県の第8次医療計画において、消防機関、医師会、公的病院等関係機関と連携しながら、より適切な救急医療提供体制の構築に向けて検討していくこととしております。  また、ドクターカーについても、現在、国において、各都道府県における運用状況について調査が行われておりまして、この調査結果も参考にしながら、今後の医療計画策定の場において議論していきたいと考えております。 58 庄司委員 ありがとうございます。現場では、一般の医療が逼迫しないように救急医療もされているということですけれども、先ほども申し上げたように、高齢化が進んできて、逼迫ということもやっぱり出てくるという事態にならないように、事前にそういった志を持って、民間で1次救急を立ち上げようという動きが今あるということなので、ぜひ検討していただいて、何か支援策みたいなことがあれば、ぜひ県も一緒になって進めていっていただきたいと思います。  以上で質問を終わります。 59 武田委員長 庄司委員の質疑は以上で終了しました。  暫時休憩いたします。  午後の会議は1時に開会いたします。                      午前11時55分休憩                      午後1時00分開議        火爪弘子委員の質疑及び答弁 60 永森副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  火爪委員。あなたの持ち時間は60分であります。 61 火爪委員 日本共産党の火爪弘子でございます。  まず、旧統一協会と知事の関係について、改めて伺いたいと思います。  12月5日の各紙が、11月に共同通信が行った全国の知事、地方議員と旧統一協会の関係に関するアンケート結果を報道しております。このアンケートによれば、旧統一協会と接点があった知事15人のうち、石川県の馳知事は回答がまだ曖昧なわけでありますけれども、知事選挙で支援を受けたと答えた知事は新田知事だけということになっております。知事は不勉強だったと反省を述べておられますので、そうなんだと思うんですが、その後の知事の言動がこういうことから大変注目されているのは、仕方がないわけであります。  9月県議会の後、世界平和統一家庭連合県支部の幹部が、報道番組の中で「私たちの応援が新田知事の当選に貢献したことに誇りを持っている」と堂々と述べているのを聞いて大変驚きました。県民の中に不安が一気に広がりました。知事は、こうやって旧統一協会から誇りにされていることをどう受け止めておられるのでしょうか。知事が見ておられるかどうかは分かりませんけれど、今ネットでは、昨年の旧統一協会の礼拝で東海、北陸トップの幹部が、「教団の助けを借りて選挙に勝った知事がいる」「今後、救国救世の典型的な事例にしたい」と述べている動画が拡散されております。知事は典型的な事例とされているわけであります。  また知事は、旧統一協会側から受けた選挙支援を、電話作戦と名簿や演説の場の提供だけだったと説明をしておられます。しかし、脱会した信者の証言によれば、支援は旧統一協会の中部地区組織を挙げたもので、マスコミ報道では名古屋方面からバスなどで信者が動員され、戸別訪問なども行われたとの証言が紹介されていました。こうした支援が行われた認識はおありかどうか知事に伺っておきたいと思います。 62 新田知事 令和2年の知事選挙の際に、旧統一教会の関連団体であります世界平和連合から受けた支援は、後援会入会申込者の紹介、いわゆる電話作戦へのボランティア、4回の演説会の提供でありました。  私の後援会事務局も含めて、私が把握している支援はこれだけであることから、これまでの記者会見や県議会の場でそのように説明させていただきました。世界平和連合内部のことまでは把握はできていません。  当時も、旧統一教会がコンプライアンス上の問題がある団体だと認識はしておりましたが、旧統一教会が世界平和統一家庭連合であることや、世界平和連合が旧統一教会の関係団体であることを把握していなかったことにより支援を受けてしまったものでありまして、適切ではなかったと認識しております。大変に不勉強であったことを反省しているところであります。  私の当選は、県民の皆様の御支援のたまものだと理解をしております。今後も公平公正な県政運営を行い、公約の達成、また、ウエルビーイングの実現などの実績を積み重ねまして、信頼回復に努めてまいりたいと思います。 63 火爪委員 御答弁はありませんでしたけれども、マスコミでは中部地区組織を挙げたものということで、県民は知事の説明よりもかなり大がかりな支援だったのではないかという印象を抱いております。  伺いたかったのは、知事の選挙への支援に旧統一協会が相当力を入れ、成果を上げたと。それが旧統一協会の活動に利用されている、励みになっている典型的な事例とされているということについて、どう思うかということであります。反省も述べられました。その後の言動が私は大事だと思います。  富山市の藤井市長は9月市議会で、統一教会に政治的意図があったとすれば、自ら恥じなければならない。今後は一切の関係を絶つと明言されています。  つまり、今後利用されないようにするためには、そして、これ以上信者の被害を広げないためには、知事が、コンプライアンス上の問題がなくなれば付き合ってもいいのではないかだとか、強い発言をすることは宗教への抑圧になると今おっしゃっていることが、旧統一協会に加勢し、信者の被害を食い止める活動の障害になると、霊感商法対策弁護士連絡会が繰り返し指摘をしています。そのことに対してどう感じておられるのか、自分が統一協会の活動に利用されていると、藤井市長は恥じなければならないとおっしゃいました。そこら辺についてもう一度答弁をお願いしたいと思います。 64 新田知事 何度も繰り返しになるわけですけども、選挙支援を受けたときは、旧統一教会との関連団体であるということは不勉強ながら認識はなかった。支援を受けてしまったことは適切ではなかったと認識しております。今後は、公平公正な県政運営を行いまして、公約を達成する、またウエルビーイングの実現など実績を積み重ねていくこと、そして政策の中で何ら影響を受けていないんだということは見ていただければよく分かるわけでありまして、そのようなことで、県民の皆様の信頼を一つずつ回復していきたいと考えております。  藤井市長は藤井市長の政治家としての立場で、そういう発言をされたんだと理解しております。私は、今、火爪委員がおっしゃっていただいたように、県内の3,900の宗教団体も管轄をする立場でございます。言葉遣いは慎重に選ばせていただきたいと思います。言葉でどうこう言うよりも、政策の内容、また政治のスタンス、そのようなものでしっかりと見せていきたいと思っております。 65 火爪委員 知事が、見解をいささかも変えないと繰り返しおっしゃっていることは承知をしております。  しかし、その態度に対して、県民の中からも、全国的にも、様々な意見、そして大きな不安があるということを認識していただきたいと改めて申し上げておきたいと思います。  さて、被害者救済法案が今日にも国会で委員会採択が行われるという動きになっております。マインドコントロール下の献金に本当に対応できるのか、取消期間10年は短すぎるのではないかなど、現に被害の実態に即した規制ができるような内容にしていかなければならないと思っています。  富山県も相談窓口を設置し、当初9月末までだった期限も延長をしてきました。これまでに34件の相談があったと本会議でも言及があったと認識をしております。多額の献金問題や、2世への虐待など、相談内容の特徴はどうなっているでしょうか。そして、相談を受けただけではなくて、その後も問題だと思います。事例によっては解決につなげる真剣な努力も求められます。11月24日には全国被害者弁護団が218名の弁護士によって結成されています。県内にもおられるのだと思います。この弁護団などとも連携をしていくことが大事なのではないかと思っています。今後どう取り組んでいくのか、併せて経営管理部長に伺います。 66 岡本経営管理部長 県では、9月14日から旧統一教会問題に関する総合電話窓口を開設し、12月2日現在で旧統一教会に関する相談は35件となっております。  相談内容は、多い順に申し上げますと、金銭的被害を取り戻したいなど金銭的トラブルが22件で全体の63%、信者である親族との関係を修復したいなど親族間の問題が6件で17%、脱会するか迷っているなどの心の悩みに関することが3件、9%となっております。なお、12月7日現在でも、相談件数は35件と変わっておりません。  旧統一教会に関する問題は、金銭トラブルを中心に、本県に限らず全国的に大きな問題となっており、国では、被害者救済を図る消費者契約法などの改正案や、新法である法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案について、今、国会での成立に向けて審議が行われているところでございます。  また、国の電話相談窓口を引き継いだ法テラスをはじめとした無料法律相談の実施、全国統一教会対策被害対策弁護団の結成など、全国的な被害者救済支援に向けた動きが高まっているところでございます。  さらに、国の旧統一教会の問題関係省庁連絡会議におきましても、宗教に関することのみを理由として消極的な対応をしないことが確認され、関係省庁から都道府県を含む関係機関に対して、適切な対応を依頼する通知が発出されているところでございます。  こうした動きを踏まえまして、県内では、弁護士会による霊感商法等の被害に関する無料法律相談も開設されております。  県としては、新法の制定など被害者救済支援に関する情報を収集し、その周知を図るとともに、解決に向けて、例えば相談を受けてから法テラスあるいは法務局の人権相談担当、また、県の機関である消費生活センターや児童相談所とそれぞれ連携を図りながら、被害者救済支援への取組を着実に進めることにより、被害者に寄り添った問題解決に努めてまいりたいと考えております。 67 火爪委員 ありがとうございました。  次に、知事政策局長に県の成長戦略に関連して3問伺いたいと思います。  県の成長戦略とウエルビーイングですが、本会議の答弁を聞いていても、ウエルビーイングの知名度がなかなか上がりません。もちろん広報の努力もされているわけでありますけれども、私は、多くの県民にとって、自分ごとには必ずしもならない理由があるのではないかと感じています。県の成長戦略の柱を見ても、ブランディングだとか、新産業支援だとか、スタートアップだとか、一般の県民にはよく分からない言葉が並んでおります。私も県政学習会などで説明をするのですが、行動計画などを見ても、これで幸せになれそうな気分になんかならないと言われました。  さきに公表された今年度の県政世論調査でも、県政に望むことの上位は、雪に強いまちづくりはともかく、物価対策を含む景気対策、子育て支援、医療体制の充実、高齢者福祉の充実などになっています。9月のウエルビーイングに関する県民意識調査でも、理想的な生活の実現に特に必要なことの問いへの答えで多いのは、心身の健康、家族との良好な関係、家計にゆとりがあることなどとなっています。県の成長戦略とウエルビーイングがこの願いにかみ合っているかが、県民の自分ごとにする上では必要なのではないでしょうか。局長の見解を伺います。 68 三牧知事政策局長 成長戦略やウエルビーイングの理解促進には、委員御指摘のとおり、県の戦略、施策を県民の求める幸せ、まさにウエルビーイングですけれども、それに結びつけ、県民に自分ごととして感じていただけるものとすることが非常に重要であると考えております。  まず、成長戦略の策定に当たりましても、昨年度、新田さん自ら県内にて15市町村を訪問し、県民の皆さんと富山県の未来や成長戦略を考えるビジョンセッションを開催したところでございます。  策定後においても、今年度もビジョンセッションやカンファレンスを通して、県民意見の成長戦略への反映や理解促進に努めてきたところでございます。  6つの戦略がございますけれども、そういう意味では、県内の多くの方にとってやはり重要に関わってくるところが1つ目のウエルビーイング戦略のところでして、今後具体的な施策をいろんな分野に落とし込んでいく中で、多くの県民の方にもより自分ごとに感じてもらえるのかなと考えておりますので、そこはしっかり取り組んでまいります。  そういう意味で、ウエルビーイングの理解促進に向けましては、今ほど委員から御指摘ありましたが、多様な広告媒体を使って、その発信に努めてきたところでございます。一定の認知度の向上は見られますが、さらなる努力が必要であると考えております。  こうした中、県では今、これまでにない視点に立ち、県民意識調査の結果分析を踏まえて、様々な主観的な評価項目を組み合わせ、一人一人の多様性にも配慮しながら、県民の幸せにつながる指標の策定に取り組んでいるところでございます。まずはこの指標について、県民が自分ごとと感じるようなものとしていきたいと考えております。  また、県政世論調査によりますと、職場や学校での取組がウエルビーイングの認知の機会となっていることから、ウエルビーイングの向上に資する具体的な行動を促すような県民参加型の事業も通じまして、県民により自分ごとと感じてもらえるよう努めてまいります。 69 火爪委員 それで、そのお話にありました、年内にウエルビーイングを測る指標を策定するとのことですが、どうもイメージがまだつかめないわけであります。調査、指標作成に当たって、3つの観点、支える、広げる、高めるという図表を頂いたんですけれども、年内ですので、公表できる範囲で結構ですので、どんなグループに分けて、何項目ぐらいの分量を想定しているのか。私たちもできるだけ意見が出しやすいようにということで、現段階で可能な範囲で説明をいただきたいと思います。 70 三牧知事政策局長 ウエルビーイングの指標の策定と基礎となる県民意識調査に当たりましては、まず、専門家や成長戦略プロジェクトチームの委員からも意見を伺いつつ、また、先進的な研究や国内外の調査事例などを参考に設計いたしました。調査対象者自身の状態、そういう意味では、今ほどお話しありました、例えば心の状態、健康の状態、経済状態、そうしたものに加えて、家族や職場、地域とのつながりなどに対する主観的な実感をきめ細かく問う内容としたところでございます。その結果につきましては、速報版として先月21日に新田さんから公表していただきました。  調査結果からは、年代、性別による様々な実感の違いや、一方で共通の傾向が見えてきたところでもございます。今後、年内ではございますが、県立大学の協力や専門家の助言を得てさらに分析を進め、意識や行動、そして社会とのつながり等の主観的な評価項目について、県民のウエルビーイングとの関連度が高いものを抽出し、指標を県民が自分ごとと捉えやすく、分かりやすい形や項目数に整えた上で、年内をめどに公表することとしております。  そういう意味では、項目数はまだ確定しておりませんけれども、20、30というよりは、なるべく1桁か、それに近い個数かなとは考えております。  指標項目、調査項目は、いろんな事例を踏まえてつくりましたので、かなり網羅的でございます。そういう意味で、あまり抜けている項目もないと思いますので、それに対する県民の御意見に関する調査結果を踏まえて、極力そのまま反映して指標にしていければと考えておりますが、本議会含め、速報版の内容について寄せられた御意見も参考にしながら策定してまいりたいと思っております。  一方、県としては、指標の策定自体がゴールではなく、これを契機として、その主観的な実感を重視するウエルビーイングの考え方をしっかりと政策に反映していく、そうした政策形成のプロセスをつくっていくことが大事だと考えております。  今後、そうした政策形成のプロセスの確立の中で、どの指標をそうした政策目標にしていくのかとか、その向上につながる政策の在り方については、県議会をはじめとして、県民の皆様としっかり議論を深めていきたいと考えております。 71 火爪委員 説明がなかなか難しくてよく分かりません。  分かったのは、1桁ということぐらいしか、なかなかこう……。新しいことをやろうとしていることなわけで、年内ってもうすぐですので、ぜひ私たちも、県民も自分ごととして議論しやすいような発信をお願いしたいと思います。  そこで、今1桁と言われたので、あんまり具体的な項目にならないのかなと思ったりしているのですが、昨年、私は成長戦略特別委員会で、ウエルビーイングは主観的幸福度を重視するといっても、所得が低いままで真の幸せを感じることは難しいでしょうと述べました。例えば、県内の平均賃金や家計消費支出の向上、男女の賃金格差の改善など入れたらどうですかと。まだイメージが全然湧かないところで、県民の率直な希望として述べていたので、なかなか当たらないわけですよね。でも、富山県は同居家族が多いので、世帯当たりの相対的な所得というのは高いわけでありますけれども、世帯主の勤め先収入は極めて低いわけですね。全国家計構造調査によれば、2019年で全国34位です。これを20位ぐらいまで引き上げるという目標設定をすると、自分ごとになる人が多いんじゃないかと思うわけであります。それから、安心というのも幸せという点で共通の願いです。人をケアする仕事の底上げも要望としては高いのではないかなと思います。  でも、成長戦略の成果指標には全然取り上げられませんでした。成長戦略の成果指標というのは、もうちょっと大きい、概念が違うと言われて、違うスタイルのものになったわけですね。ですので、ウエルビーイングの指標に期待をしているわけであります。  成長戦略の成果指標の中に、令和5年度に県民1人当たりの県内総生産を2%増加というのもあると思います。でも、県内総生産というのは、一般県民にとって自分ごとにはなかなかならないと思うんです。大事なのは家計のゆとりです。アベノミクスで大手企業の経常利益が最高になっても、ずっと賃金が上がりませんでした。家計は冷え込んできました。そういうことに対して、今いろんな不安が広がっているときだと思います。  そこで、さっきの説明がよく分からなかったので、かみ合っているかどうか分からないのですが、指標の選定に当たっては、県が示すところの「支える」──心身の健康、衣食住の安定、健全な環境の部分を大事にして、より充実させてほしいと思います。局長に伺います。 72 三牧知事政策局長 なるべく分かりやすく、かみ合うように答弁したいと思います。  今委員から御指摘ありましたけれども、経済的な要素といいますか経済的なゆとり、そうした要素につきましては、県民意識調査においても、自分自身の実感としての経済的なゆとりを問う設問を設定しておりまして、ウエルビーイングを構成する非常に重要な指標の候補であると考えております。  一方、ウエルビーイングにつきましては、身体的、精神的、社会的な状況など様々な面が関連し、その捉え方も一人一人異なると。年収200万で十分な方もいれば、足りないなと感じる方もいらっしゃいますので、最終的には、このウエルビーイングについては主観的なアンケートで、あなたはウエルビーイングとして満たされていますかということで把握することになるのかなと考えております。  ただ、そうしたアンケートによる把握だけでは、具体的にどのような施策がその実感の向上につながるかという分析は困難ですので、今回御質問には出なかったですけれども、平均賃金であったり、家計消費支出、そうした客観指標も併せて、きめ細やかな捕捉を行っていく必要があると考えております。  今後、先ほど申し上げたとおり、ウエルビーイング指標の策定と併せて、そうしたことを踏まえた政策形成プロセスをつくっていくことで、県民の幸せの実感につながる一人一人に寄り添った施策の展開につなげていくことが重要であると考えております。  例えば、経済的なゆとりが最終的な指標になる可能性は高いと思いますけれども、なった場合には、その指標を性別や年齢別、家族構成等で分析した上で、それらの経済状況をしっかりと把握して、改善につなげていくための参考になる客観指標──先ほどの平均賃金であったり、家計消費の世代別とか、そうしたデータをしっかりと整理した上で、政策の立案につなげていきたいと考えております。  例えば30代の方が、経済的なゆとりがない、ウエルビーイングでないと答えた場合に、それが収入の問題なのか、一方で、やはり子育てで出費がすごく多いのかなど、そうしたところを丁寧に見ていく必要があるのかなと考えております。  現行の総合計画では、経済的な要素にかかる指標としては、製造業の付加価値額や就業者数など、どちらかというと県全体の状況を示すものが多いと。一方で成長戦略──何回も答弁させていただいております現行の総合計画を補完するという意味では、そうした県全体の状況を示すものが多い総合計画の指標に対して、ウエルビーイングの把握、向上の観点に立つような、県民や事業者の個別の状況を示すような経済的要素に関する統計データにもしっかりと留意していきたいと考えております。  あわせて、成長戦略のKPIは、こういう状態に持っていくという思想でつくられていますので、それに至るような客観指標につきましては、総合計画の施策ともしっかり連携して取り組んでまいりたいと考えております。 73 火爪委員 受け止めていただいたと信じたいと思います。ありがとうございました。
     次に、県立学校の在り方に関連して伺っておきたいと思います。  県の総合教育会議が今年度中に4回も開催されるというので、今まとめて言っておかないと駄目かなと思って、議論をしたいと思っています。  令和4年3月に約9,000人だった県内の中学3年生が、令和15年3月には3,000人を割り込むので、今後、高校再編の議論は避けられないということになっております。しかし、子供たちが少なくなるのなら、その分、その子供たちには予算をかけて充実した教育を提供したいものだと思います。  私は9月定例会で、1学級40人を標準とする前提を変えて、地域の高校を残しましょうと提案いたしました。先日、本会議の答弁で、一律35人学級にするためには、170人の教員と約13億円の予算が必要との試算が公表されましたけれども、私は、教育の充実のためには決して過大な額ではないと思います。国と県が分担をしてその額を負担するということも必要かと思っています。  福井県に行ってまいりました。福井県では、既に2008年の高等学校教育問題協議会の答申で、高校の1学級当たりの生徒数は36人程度と答申をしております。うち職業系専門学校は30人程度が望ましいと明快に書いてありました。そして、先ほどの試算とは違って、一律学級規模を35人ということではなくて、地域の子供の数、そして地域の実情に応じて柔軟に決定しているということでありました。  福井市の進学校は40人でありました。しかし、奥越や嶺南、丹南地区の学級は、普通科で30人のクラスもありますし、30人から38人と、地域の子供の数や実情に応じて決められているということがよく分かりました。これもぜひ参考にしていただきたいと思います。  少子化に当たって、教育の充実について知事の見解を伺います。 74 新田知事 教育環境の充実のためには、教職員定数の改善が極めて重要な要素だと思っております。県ではこれまでも、標準法の見直し、あるいは新たな教職員定数改善計画の策定などについて、国に強く要望し続けてまいりました。また、本県では、学科などの特殊性も踏まえまして、全ての農業科、福祉科、一部の工業科、水産科、国際科において少人数学級を実施しておりますほか、各高校の教育活動に応じて、多様な選択学習や習熟度別の学習など実質的な少人数指導が行えるよう、国の加配の措置を最大限に活用して教員を配置してきたところです。  標準法による教員の定数というのは、学級数ではなく生徒数を基本として算定されるので、仮に学級数を維持するために、1学級の生徒数を一律に例えば40人未満とした上で、これまでと同様の教員配置としますと、県単独で継続的に大きな財政負担が必要となります。そのため、持続可能な運営には、何よりも国の定数改善が必要となります。今ほど火爪委員が先般の一般質問での数字を挙げられたとおりであります。あのようなことになります。  また、地域の高校存続のために少人数学級を導入すべきとの意見もございますが、仮に学級定員を順次減らしていったとしても、学級定員減による各学校の小規模化は引き続き進行するわけで、近い将来、再び学級減や、あるいは大きな学校再編の議論が避けられなくなるということを考えております。  今後は、地域での高校存続、学級数や学級定員の議論のみならず、子供真ん中の視点に立って、将来を担う高校生にとって、どのような高校教育、高校の在り方が望ましいのかという検討が必要と考えております。  総合教育会議、あるいは令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会において、火爪委員にいただいた御意見も参考にしながら、さらに検討を深めてまいりたいと考えます。 75 火爪委員 知事、福井県の答申や学級編制について御紹介をしました。9月定例会で私から紹介していますので、大体今までの県政だと、議員が要望したものは必死で他県に調査をして、次の答弁で生かされたものですけれども、見ておられるでしょうか。 76 新田知事 私はまだ見ていません。すみません。 77 火爪委員 結構です。ありがとうございました。  やはり真剣に考える上で、県議会は政策討論委員会で集中的に教育問題もやっていますし、様々な意見が議会側から出ているわけであります。議会への答弁を準備するに当たって、ぜひ、挙げた事例などについては、当局においては真剣に調査して答弁を準備していただきたいと、改めて強く強く要望をしておきたいと思います。  次に移ります。  10月に開催された令和4年度公私比率連絡会議で、私学関係者から、「私学は経営的には現在の定員でぎりぎりの状況である。今後の生徒数の減少に対しては、県立学校のほうで調整できないか」との発言があったということです。しかし、それでは県立学校への進学を希望する生徒や保護者の願いには応えられなくなってしまいます。  憲法が保障した教育の機会均等、どこに住んでいても、どんな経済状況でも子供たちの学ぶ権利を保障するために公教育があり、県立学校があります。だからこそ、必要な予算は国が責任を持って措置することになっているんです。県教委が実施したアンケートでも、子供たちや保護者が学校を決める理由の1番目は学力ですが、2番目は通学距離となっております。  公私比率についても、私学の立場を十分尊重して決めてきたと思うんです。公私比率があるから、県立学校の定員は抑えられてきていると思います。なくしたら、かえって私立学校には厳しい状況になりかねないのではないでしょうか。特色ある教育を実践する私立高校が頑張って、専願する生徒が増えることは悪いことではありません。県が私学への支援を経済支援も含めてさらに強めることが必要です。だからといって、私学の経営を優先して、県立学校の定員を必要以上に減らすことには賛成できません。教育長の見解を伺います。 78 荻布教育長 公私比率については、県内の中学校卒業者の学習機会の確保や、各学校の生徒の収容に係る将来計画などの観点から、県立高校と私立高校の設置者などで構成する公私立高等学校連絡会議において、中学校卒業者の進路動向などの実態を踏まえて、双方の合意に基づいて設定をしてきております。  本県ではこれまで、県立高校は主に、広く県内高校生の教育の機会均等や教育水準の維持向上を担い、私立高校は、建学の精神の下に特色ある教育を実践するなど、ともに本県の高校教育を支える重要な役割を担ってきたと思っております。  公私比率については、総合教育会議で、今ほども御紹介ありましたが、私立高校を代表する有識者からは、生徒がこれ以上減少すれば経営が成り立たない、今後の生徒数の減少については県立高校で募集定員を調整してほしいとの意見がありました。  一方、県立高校を代表する有識者からは、仮に募集定員を中学校卒業予定者数の減少に合わせず、そのまま維持したり、過大に設定した場合には欠員が多くなり、生徒にとっては好ましくないとして、一定の取決めが必要との意見がありました。また、複数の出席者から、公立私立双方で調整して適正な募集定員とすべきとの御意見をいただいたところです。  県教育委員会では、全日制高校に入学を希望する全ての生徒に修学の機会を保障することが重要であり、そのための定員設定が望ましいと考えています。公私比率の在り方や、相互に学校の魅力を高めるための方策については、総合教育会議での議論も踏まえ、公私連絡会議などの場において、公私で協調して引き続き協議していく必要があると考えております。 79 火爪委員 総合教育会議の議事概要を拝見していて、やはりいかがなものかなと思うことがあります。  学校教育の中身、子供たちにどういった教育を保障するのかという中身の議論が活発にやられるのではなくて、制度の問題、そういうものが先行して、その裏づけとしての教育内容が議論をされていない、深められていないということを感じざるを得ません。ぜひ、そこら辺も意見として聞いておいていただきたいと思います。  学区の廃止であります。先ほど御答弁がありました。学区の廃止も私は大変危険だと思っております。答弁にもありましたように、ますます高校のランクづけが進み、答弁でこういう言葉は使われませんでしたけれども、競争教育が加速します。通学距離の長さも高校生にとっては負担です。  子どもの権利条約に基づく国連子どもの権利委員会は、2019年の日本政府報告書に対する総括所見の中で、過度に競争的な日本の学校システムの改善を求めております。日本の子供の自殺が多いことも、過度に競争的な教育システムが生み出すストレスと関係があると指摘をされております。学区をこれ以上広げるべきではないと思いますが、教育長の見解を伺います。 80 荻布教育長 11月に2回開催された総合教育会議で、学区の取扱いについての議論もいたしまして御意見をいただきました。  会議では、先ほど御答弁申し上げたように、子供たちの選択肢が増えるという観点からは、通学区域の縛りをなくしたほうがよいという御意見もありました一方で、通学区域をなくした場合、選択の幅は広がるが、志願状況によっては、特定の学校や地域に志願者が集中する懸念があるという御意見もいただいたところです。  また、教育委員会で実施した県立高校のあり方に関するアンケートの調査結果においては、中学3年生が高校選択の際に重視することとして、自宅からの距離や時間などの通学条件の項目が2番目に多くなっており、約4割の生徒がこの項目の選択をしておりました。  生徒やその保護者のニーズは多様化しており、仮に通学区域を全県1区とした場合には、学校の選択肢の幅は広がり、生徒たちのウエルビーイング向上につながる可能性があると考えられます。  一方、志望の状況によっては、どの地域においても流出入はさらに大きくなり、特定の学区や学校に志願者が集中し、地域バランスが崩れるといった課題が生じる懸念もございます。  この学区の取扱いについては、第3回以降の総合教育会議においてさらに議論を進めていくということとされております。これまでの議論を踏まえながら、さらに慎重に検討をしてまいります。 81 火爪委員 今回公表されました県立学校のあり方に関する調査結果を見ますと、望ましい県全体の高校像を問う質問に対して、保護者や教育関係者、企業を含めて、いずれのグループにおいても、学級数が多い学校から少ない学校までバランスよくあることが望ましいとの回答がいずれも最多数でした。中学3年生においては一番高かったわけでありますが、69.8%に上ります。小規模な学校が決して否定をされていないということが、これから読み取れるのではないでしょうか。  先ほど御紹介いたしました福井県でありますけれども、福井県は2年前の2020年に、高等学校教育問題協議会の新しい答申が出ております。この福井の答申では明快に、今後は1学年4学級以上にこだわらず、小規模校となることが見込まれる高校においても、できる限り存続させることが望ましいとしております。富山県も、前回の高校再編の際に、1学年4から8学級が望ましい、3学級以下は再編の対象などとした基準を見直すべきと考えます。教育長に伺います。 82 荻布教育長 委員から御紹介ありましたように、平成28年4月の県立学校整備のあり方等に関する報告書においては、県立学校の学校規模は、1学年5から6学級を基本とし、1学年4から8学級の規模の学校を配置することが望ましい。そして、1学年4学級未満または160人未満の規模の学校については、再編統合の検討の対象とするとされております。  県立高校のあり方に関するアンケート調査については、第5回令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会で結果を御報告したところです。望ましい県全体の高校像の質問では、御紹介のあったように、どの調査対象においても、学級数が多い学校から少ない学校までバランスよくあることが望ましいとの回答が最も多かったところです。  また、有意義な高校生活を送るための学校の規模の質問では、1学年4から5学級、または3から4学級の回答が多い傾向にございました。  会議では、委員からどのような高校があればよいかの質問において、中高生が友達ができる学校を求めていることから、それなりの学校規模は必要との御意見や、中学生やその保護者は規模の小さな学校を望む回答が多いのに対し、高校生や卒業生は規模の大きい学校を望む回答が多い傾向が読み取れるなどの御意見をいただきました。  高校再編に関する学校規模や基準、県立高校の学科などの見直しなどの基本的な方向については、令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会や総合教育会議の議論を踏まえまして、来年度以降、できるだけ速やかに新しい検討の場を設け、慎重かつ丁寧に検討をしていきたいと考えております。 83 火爪委員 よろしくお願いいたします。  県立学校についての質問の最後に、今議会に請願が提出されております県立高校への養護教諭の配置について伺いたいと思います。  来年度の県立学校の募集定員が5学級減らされたことにより、7学級以上の高校が3校減りました。7学級以上の高校には養護教諭が複数配置されていたことから、来年度は県全体の養護教諭の法定数が3名減るとのことでした。  これまで富山県は、複数配置された先生を分校や定時制の高校に振り分けて、全ての高校に養護教諭を配置してまいりました。それができなくなるということであります。今、新型コロナの対応や心のケアのため、養護教諭は県立高校にどうしても必要だと思います。  新年度、法定数が減るわけでありますが、県単独で予算を確保して全校に養護教諭を配置すべきだと強い要望が現場から寄せられておりますが、どう取り組んでいくのか、教育長の見解を伺います。 84 荻布教育長 養護教諭は、校内でのけがの救急処置や生徒への保健指導、健康相談などをはじめ、身体測定、予防接種などの保健計画や、保健室の管理運営を担当しております。  また、近年は病気やけがだけでなく、学業や友人関係、進学、家庭の悩みなどを抱えて保健室を訪れる生徒も多くなっております。さらに、新型コロナウイルス感染防止への対応なども加わり、各学校の教育活動を円滑に行う上で、養護教諭の役割は非常に大きいと考えております。  県立高校の養護教諭の配置については、従来、御紹介ありましたように、国の法定数を有効活用することで、法令上配置対象となっていない学校も含めて、全ての学校に養護教諭を配置してきたところでございます。  一方、養護教諭の法定数は、各学校の収容定員によって定められているわけですが、令和5年度での県立高校の募集定員の減によって養護教諭の法定数も減少することが見込まれ、次年度に向けて、これは検討が必要な大きな課題と考えております。  県教育委員会としては、従来どおりの養護教諭の配置ができるよう最大限の努力をいたしますとともに、保健室の業務に支障が出ないよう、また、生徒の心身の健康、安全・安心の確保の観点からも、どのような対応ができるかしっかり検討してまいりたいと考えております。 85 火爪委員 ぜひよろしくお願いいたします。  この間、県立学校の図書館司書も正規を臨任に置き換えるという動きがありまして、それに対する強い改善の要望が寄せられて、図書館司書も正規職員での配置が広がっております。安易に臨任の先生で補填をすることなく、正規の先生できちんと県単で配置されるよう、強く要望しておきたいと思います。  では最後に、地域の課題の中から幾つか伺っておきたいと思います。  まず、あいの風とやま鉄道であります。  あいの風とやま鉄道の石動駅での折り返し運転ができるように、対策工事が待たれていました。現在高岡止まりの列車の石動駅までの延伸が可能となるよう工事をする。そうすると、大雪で電車が福井県内でストップした際も、県内での運行も確保することができるようになるからであります。  今年9月の参与会の場で、あいの風とやま鉄道の社長も、2027年をめどに実現したいと答えておられました。ところが最近、約2億6,000万円とされてきた事業費が3億8,000万円に高騰することが分かって、小矢部市が費用対効果を検討し直していると聞きました。しかし、これは小矢部市だけの問題ではありません。県西部地域と県全体の交通政策に関わる問題です。金沢へ向かう列車が減るのではないかという心配が寄せられているわけであります。あいの風とやま鉄道が朝夕には増便できないと言っていることもあって、再議論になっているのだと思うんです。  しかし、県がしっかり主体性を持って、どうすれば問題がクリアできるのか、小矢部市の財政負担を減らすことができるのか、県西部の便益が向上をするのか、しっかり県の公共交通政策の問題として捉えて取り組んでいただきたいと思います。交通政策局長の見解を伺います。 86 田中交通政策局長 石動駅での折り返し運転については、9月の総合交通特別委員会においても取り上げられておりまして、参考人のあいの風とやま鉄道の日吉社長からは、信号、分岐施設の整備、運行管理システムの改修などが必要であり、令和2年の試算では3億8,000万円の費用を要する。また、現状、資材価格が非常に上がっており、さらに費用を要するのではないか。このため、どうしても国の補助採択が必要と発言されております。また、県や小矢部市と連携して実現に向けて取り組んでいきたいと、こういった御発言もありました。  石動駅での折り返し運転については、これまでも共産党の県内議員の皆さんから、予算編成に対する要望を聞く機会に繰り返し要望をいただいております。この折り返し運転が可能となれば、増便による利便性の向上や大雪時の影響が軽減でき、沿線の広範囲に効果があるものと考えております。  このため、県と共に施設整備費用を負担することになる小矢部市に、新年度の事業着手について状況を確認しましたところ、整備に多額の費用を要すること、またそれに相当するメリット、特に市民が求めている通勤通学時間帯の増便が確約されない限り困難であり、現時点では慎重に対応したいとの回答がありました。  施設整備に当たりましては、県、小矢部市、あいの風とやま鉄道が連携を図り進める必要があると考えます。今後、あいの風とやま鉄道と小矢部市と共に対応を検討してまいります。 87 火爪委員 ありがとうございました。  ぜひ、あいの風とやま鉄道に増便を働きかけるということが、県の第一の仕事ではないかと思っております。しっかり取り組んでいただきますよう要望しておきます。ありがとうございました。  次に、浸水対策です。  今月2日に、富山市浸水対策基本計画第1回合同会議が開かれました。今年8月の富山市内の浸水被害も経験して、都市型浸水被害への対策も大いに期待されております。検討委員会には、県土木部からも委員として参画していると思います。  新しい計画は2023年度中に策定される予定で、気候変動による降雨量増加に対するハード整備や、流域治水の考え方による対策も盛り込まれ、新たな対策区域指定の検討も行われることになっています。  この計画に期待をしつつ、同時に、今年8月に床上浸水被害があった一級河川冷川流域、準用河川がめ川上流域、山室小学校近くの秋吉周辺などについては、計画に着手するから工事が遅れる、対策が遅れるということがないようにしていただきたいと思います。  地下の調整池の設置などハード整備も組み合わせて、計画策定と、それぞれの対策としっかり取り組んでいかれることを要望し、土木部長の見解を伺います。 88 市井土木部長 富山市街地における浸水対策については、現在ハード対策として、県では、冷川や太田川などの河川の改修を、市においては、下冨居地区などにおける雨水貯留施設の整備や、宮地川の河川改修をお互い調整の上、進めております。  また、委員から御紹介いただきましたとおり、富山市においては、現在、新たな浸水対策基本計画の策定に取り組まれており、去る12月2日に、その第1回検討委員会が開催され、学識経験者や自治振興会などの委員と共に、県からも関係する河川課、都市計画課、農村整備課の各課長が出席いたしました。  今回の委員会においては、気候変動を踏まえ、ハード対策の根拠とする計画降雨の見直し、多様な主体と連携して取り組むソフト対策を含めた被害軽減対策について討議がなされたところであり、委員会でのこうした検討を踏まえて、令和5年度に対策が取りまとめられることとなっています。  県としては、従前から進めている県管理河川の整備に引き続き努めるとともに、市の浸水対策基本計画策定にも協力するなど、行政、民間企業、住民と一体となった市街地の浸水対策が進むよう取り組んでまいります。 89 火爪委員 富山市からは新年度予算に対する要望も上がっていると思います。しっかり取り組んでいただくよう期待をしておきます。  最後の質問になります。  富山市の住友運河の環境整備事業が進んで、米田水面貯木場周辺の緑地化が完了すれば、遊歩道も一巡できるようになります。  15年前、この住友運河の矢板が腐食しまして、管理道路の土砂が運河に流れ出し、周辺の管理道路が陥没しました。地元犬島1丁目の町内会から大変強い要望がありまして、町内の公民館に富山県からも参加していただいて、対策の懇談会、学習会をやったことをよく覚えております。ヘドロの悪臭が海風に乗って周辺に広がっておりました。15年かかりましたけれども、矢板の打ち直しがほぼ完了し、遊歩道も整備をされて見違えるようになりました。立山連峰も、歩いておりますと…… 90 永森副委員長 火爪委員、時間が少なくなっております。 91 火爪委員 きれいに望めて、ウオーキングを楽しんでいる人の姿も見かけるようになりました。  今、そうした住民の方々から寄せられているのが公衆トイレの設置であります。日常の管理には、公衆トイレというのはなかなか手がかかるわけでありますが、特に高齢者は、トイレがなければウオーキングも楽しめません。適切な委託先を探すなどして、ぜひ設置検討していただきたいと思います。土木部長の見解をお伺いします。 92 市井土木部長 委員から御提案いただきました、住友運河沿いで現在県が整備中の遊歩道周辺でのトイレの設置については、緑地や遊歩道の利便性を高めるものであると考えております。  一方で、維持管理などの面にも課題がございます。実際に、既存の富岩運河沿いのトイレでは、この3年間で施設破損、排水詰まりなどによる修繕工事を10件行っており、今年度も自治振興会等から、トイレ利用時の防犯面を不安視する声が寄せられ対応したところです。また、日常管理を受託いただいている地元団体においても、トイレットペーパーの盗難やごみの不法投棄などもあり困っていると伺っており、その対応に苦慮しているところでございます。  現在整備中の住友運河沿いの遊歩道においても、静穏な環境を求める沿道にお住まいの方々の御要望を受け、プライバシーに配慮し、隣接した住宅との間に目隠しフェンスを設置した区間もございます。  このように、トイレの設置には、設置を望まれる方々のお気持ちも理解できますが、地元においても様々な御意見があり、周辺の生活環境に与える影響も考慮する必要があると考えております。引き続き、地元の御意向を十分伺い、慎重に検討してまいります。 93 火爪委員 終わります。 94 永森副委員長 火爪委員の質疑は以上で終了いたしました。        井上学委員の質疑及び答弁 95 永森副委員長 井上委員。あなたの持ち時間は60分であります。 96 井上委員 よろしくお願いいたします。  今日は、大きな項目4項目で16問の通告をさせていただきました。ちょっと欲張ったかなとも思いますが、テンポよく進めてまいりたいと思いますので、どうか簡潔な答弁をよろしくお願い申し上げます。  以下、質問に入らせていただきます。  まず最初は、物価高騰等に直面する県民生活への支援についてお伺いしたいと思います。  本県に限らず、全国において、長いコロナ禍に加え、気候変動、さらにはウクライナ危機の影響による輸入小麦、そして食料油脂等の急騰によりまして、食料品を中心に、ガソリンや電気料などの物価が目に見えて高騰してきております。  民間の調査会社の調査結果によりますと、今年10月に6,700品目の値上げがあり、今年1年間で2万件を超える品目の値上げがあるとのことであります。この調査結果と総務省の家計調査を基に試算しますと、2人以上の世帯では1年間で家計の負担が6万8,760円増加するという試算もあります。全国的に値上げラッシュとなりまして、県民生活への影響は避けられない状況であります。  こうした物価高の負担軽減を柱とする総合経済対策の裏づけとなる国の第2次補正予算が先週成立しました。これを受けて県では一昨日、追加の補正予算案が提案されたところでございます。  そこで、まず県として、このコロナ禍において物価高騰等に直面している県民生活への影響をどのように捉えていらっしゃるのか伺うとともに、特に大きな打撃を受けている生活困窮者や子育て世帯等の暮らしを支えるため、今回の追加提案されました補正予算を含め、今後どのように取り組んでいかれるのか、新田知事にお伺いします。 97 新田知事 原材料価格の上昇や円安の影響などによりまして、エネルギー、食料品などの価格高騰が県民生活、とりわけ生活困窮者、低所得世帯、子育て世帯などへ及ぼす影響は大きいものと考えております。
     このため、6月の補正予算では子育て世帯への支援として、食費などの価格高騰に直面する低所得の独り親世帯への支援や、こども食堂の活動が維持継続できるよう、運営に対する支援を行いました。  また、9月の補正予算では、国の生活困窮者世帯などへの緊急支援として、価格高騰による負担増を踏まえ、住民税非課税世帯などの低所得世帯に対する緊急支援給付金の支給が決定されました。  さらに、今月2日に成立した国の第2次補正予算では、電気、ガス料金や燃料油価格の高騰に対する家庭などの負担軽減措置や、妊娠、出産時に相談支援とともに10万円相当を支給する、出産・子育て応援交付金が盛り込まれています。  県としてもこれに呼応し、県内の物価高騰の影響などに積極的かつ迅速に対応するため、去る6日、追加の補正予算案を提案したところでございます。具体的には、子育て世帯への支援として、安心して出産、子育てができるように、市町村と連携し、妊婦や子育て家庭に対し伴走型相談支援の充実を図るとともに、経済的にも支援をすることにしています。  物価高騰などに直面している県民生活への影響を注視し、生活困窮者や子育て世帯などの暮らしを支えるため、今回の補正予算の効果が速やかに発現されるように努力してまいります。 98 井上委員 どうもありがとうございます。しっかり県民に届くように、お願いいたします。  次、さらに食料品や電気料をはじめとしまして、県内においても原油価格や原材料価格等の高騰が続いておりまして、県内中小企業者にとっては企業活動や経営状況に大きな影響を受けております。今後もこの傾向は続くと思われますが、県内の中小企業者への影響について、県ではどのように捉えていらっしゃるのか。また、今回の追加補正予算も含め、今後どのように中小企業者の経営支援に取り組んでいかれるのか、商工労働部長にお伺いします。 99 中谷商工労働部長 県内中小企業は、コロナ禍に引き続き、エネルギーや原材料価格の高騰によりまして収益性が低下し、依然厳しい経営状況にあるものと考えております。  先ほど御説明のありました、今月2日に可決成立した国の第2次補正予算におきましては、中小企業に対する生産性向上や事業再構築等の支援策が盛り込まれているところでありまして、本県におきましてもこれらの活用も視野に入れながら、あわせて独自の支援策を盛り込んだ補正予算案を追加提案したところでございます。  具体的には、県内中小企業の生産性向上等の取組をさらに推進するために、ビヨンドコロナ補助金の新たな募集枠を盛り込んでおります。  新たな募集に当たりましては、カーボンニュートラル枠を新設し、DX──従来のDX枠もそのままあります。こういったものと共に、計画策定費用も補助対象といたしたいと考えております。  今回の予算は、令和5年度への繰越しも前提にして、中小企業の皆さんの計画的な取組を推進し、国の各種補助金──これは限度額が大きい一方で、ハードルも高いという状況にございますが、こういうものにつきましても、この県の補助による計画策定を基にして獲得を目指していただきたいと考えております。  また、一般質問で平木議員にもお答えいたしましたが、リスキリング促進の独自支援策も盛り込んでおります。働く方々のスキルアップによる生産性向上等を進めていただきたいと思っております。  さらに、国の信用保証制度において、ゼロゼロ融資の返済対応を念頭に、売上げ減少要件の緩和や、今度は利益率減少要件も追加をされていく予定になっております。来年1月に開始される予定でございます。県のビヨンドコロナ応援資金につきましても、これに対応することといたしまして、新規融資枠も40億円拡大し、500億円としますとともに、引き続き県の補助により、信用保証料を無料にするということを追加提案しております。引き続き、県内中小企業の動向を注視いたしまして、国の経済対策も踏まえ、必要な対策を検討してまいりたいと考えております。 100 井上委員 大変期待されておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  また、原油価格、原材料価格の高騰は、農業分野においてもその影響が懸念をされております。本県の基幹産業であります農業の持続的成長を考えたとき、この原油・原材料価格の高騰の影響によって、農業従事者の収入の減少や生産意欲の減退につながることも考えられ、その対策も急がれると思います。  原油・原材料価格の高騰による農業分野への影響をどのように捉えておられ、本県農業の持続的成長に向けた今後の取組について、追加提案された補正予算も含めてどのように取り組んでいかれるのか、農林水産部長にお伺いいたします。 101 堀口農林水産部長 燃料や肥料、飼料等の生産資材価格は、高騰前の令和2年と比べまして約1.2倍から1.5倍と増加しており、農業経営に深刻な影響を与えているものと認識しております。このため、6月及び9月の補正予算により、経費の一部を助成するとともに、コスト低減に取り組む農家に対して奨励金を交付するなど支援に努めております。  また、本県農業の持続的発展に向け、20年、30年後を見据えた新たな農業・農村振興計画を作成するとともに、富山県農業の将来を語る会やJA、各農業者団体との意見交換等を通じまして、様々な御意見をいただきながら、競争力の高い農業の実現に向けた施策を実施しているところです。  具体的には、就農前研修の充実や園芸産地での就農希望者の受入れ体制づくり、産地を牽引するリーディング経営体の育成、生産性向上を図るスマート農業の推進、飼料用米や稲WCS──稲発酵粗飼料でございますけれども、これらの自給飼料の生産供給体制の整備、さらには、輸出促進や食のとやまブランドの魅力発信による販路拡大などの取組を進めております。  今回追加提案しました補正予算案には、水田農業における生産コスト低減や園芸産地の収益力強化、担い手等の経営発展に必要となります施設、機械の導入への支援のほか、農地の大区画化、汎用化等の基盤整備などの事業費を計上させていただいております。  引き続き、市町村やJA等と連携しまして、本県農業が将来に向けて持続的に発展していけるよう取り組んでまいります。 102 井上委員 農業分野の期待が大きいので、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。  続きまして、観光産業の回復についてお伺いをいたします。  5月のゴールデンウイークの頃から、この富山市内におきましても県外ナンバーの車が多く見られるようになったような気がします。観光客の姿も増えてきているように感じております。また、徐々にではありますが、県民の外食の機会も増えつつあるということも聞かれるようになってきました。  これまで2年以上の間にすっかり冷え込んでしまったこの観光産業や県内の飲食業において、復活に向けた兆しが見えてきていることは、何よりの明るい話題ではないかと思います。  しかしながら、本来の姿にはまだまだ遠いわけでありまして、まず現在の観光産業の現状に対する御認識と、今後の観光消費の回復に向けた県の基本的な取組戦略について、地方創生局長にお伺いいたします。 103 南里地方創生局長 本県の観光客入込数について、令和3年は対前年比6.1%増の約2,347万人で、令和2年を底に回復してきておるところでございます。また、令和4年の1月から11月までの県内主要観光地について令和3年と比較してみますと、立山黒部アルペンルートでは約60%増、黒部峡谷鉄道や五箇山では約50%増と大幅に伸びているところでございます。  県観光振興戦略プランでは、アフターコロナを見据えて、新たな時代の観光への対応、持続可能な観光地域づくり、ターゲットに応じた戦略的なプロモーションを柱に、着実で力強い観光需要の回復に取り組むこととしております。特に令和6年は、本県が国内外から注目される大切な年でございまして、北陸新幹線敦賀開業や北陸デスティネーションキャンペーンの開催、黒部宇奈月キャニオンルートの一般開放などを控えております。  県ではこうした機会を最大限生かすために、3県連携による首都圏メディアへのPRや誘客キャンペーン、関西情報発信拠点の検討、黒部宇奈月キャニオンルートの令和6年1月の商品販売に向けた準備、インバウンド水際対策緩和への対応に取り組んでおります。  また、ホテル、旅館の上質化支援など、満足度の高い受入れ環境の整備充実を進めております。  なお、先日、11月補正予算案を追加提案させていただいたとおり、引き続き、全国旅行支援等の需要喚起策によりまして、関係事業者を支援するとともに、アフターコロナを見据えた取組についても関係事業者や市町村と連携いたしまして、戦略的に進めてまいります。 104 井上委員 ありがとうございます。回復の兆しが見えているということは大変うれしいことであります。  国の観光政策として、水際対策が10月から大幅に緩和されました。入国者数の上限が撤廃されて、個人の外国人旅行客の入国も解禁されるなど、制限はほぼコロナ前の状態に戻ることになりました。  インバウンド需要のほとんどを失った今、今後の本格的な観光需要回復策としては、戦略的なインバウンド対策が重要であると考えます。海外からの誘客に向けた現在の取組状況と今後の方針について、地方創生局長にお伺いいたします。 105 南里地方創生局長 10月11日からインバウンドの水際対策は大幅に緩和されまして、10月の観光目的での日本への新規外国人入国者数は、円安の効果も相まって約29万人、前月比で15倍と大幅に増加しております。国際クルーズの受入れも再開となりまして、本格的に観光需要が回復するものと期待しているところでございます。  県では、近年増加している個人旅行客に向けたSNS情報発信、さらなる認知度向上を図るためのインバウンド向けウェブサイトのリニューアル、不足している外国語サイン等の受入環境整備の緊急支援等に取り組んでおるところでございます。  このほか、訪問先を決めないで来日する富裕層の個人旅行客に、お勧めの旅行先として富山県の魅力を伝えてもらうために、10月には、東京の外資系ホテルのコンシェルジュ3名を招待したモニターツアーをANAと連携して実施したところでございます。  また、今月は台湾の旅行会社を訪問、来年1月には台湾でサイクリングPR、2月にはタイ旅行博出展、3月には岐阜、長野県と連携して台湾で観光説明会と商談会を行うほか、富山空港への国際便を運航する航空会社に対しまして、運航再開への働きかけを強化しているところでございます。  加えて、新たに欧米豪におけるターゲット市場や、訴求するコンテンツを調査分析の上、効果的な誘客を行って訪日需要を取り込むこととしております。  今後、観光庁が四半期ごとに行う訪日外国人消費動向調査や訪日旅行統計調査等で示される旅行目的のトレンド等も踏まえまして、個人旅行客への情報発信、欧米豪における新規市場での認知度向上、受入れ環境整備等について取り組んでまいります。 106 井上委員 ありがとうございます。  富裕層向けのPRというのも大事だと思うんですが、現実的に言うと、やっぱり今ほどありましたように、台湾とか東南アジアからのお客さんが富山県は多いと思うんですね。そちらのほうにも、今答弁もありましたけども、また力を入れて誘客していただきたいと思います。ありがとうございました。  続きまして、第2番目の項目、防災対策について伺います。  まず、マイ・タイムラインについて伺いたいと思います。  災害時の一人一人の行動計画でありますマイ・タイムラインは、自分がいつ、何をするかを時系列で整理した行動計画であります。作成により命を守る行動を適切に判断できる効果が期待されています。  本県におけるマイ・タイムラインの普及状況をいろいろ調べてみたんですが、詳しいデータは公表されていませんでした。  そこで、いろいろ探しているうちに見つけたのが、広島県が実施された県民意識調査でありまして、マイ・タイムラインを作成した人の割合は6.8%と低迷していました。作成しない理由を尋ねているのですが、「作成しなくても、避難すべきときは適切に避難できるから」という、ちょっとね、そういう方は多いんだと思うのですけれども、32.1%で一番多かったわけであります。  作成が低迷している要因について、調査結果を基に社会心理学者や防災の有識者に意見を求めると、認知度の低さというのがやっぱり一番多く指摘された点であります。  調査では、地域の災害リスクの把握や避難経路の確認、それから、食料や飲料水の備蓄などの、いわゆる避難の準備行動ができていたのは僅か4%だったとのことであります。広島県では、この指標を25年度までに60%に引き上げるとされています。そして、目標達成には、このマイ・タイムラインの作成が鍵を握ると見ておられまして、学校での出前講座や県民向けの防災教室などで作成方法の浸透を図るということにされています。  そこで、本県におけるマイ・タイムラインの作成状況というのはどうでしょうか。これまでのマイ・タイムライン作成の取組と、また、先ほど言った避難の準備行動というのができている方の状況というのはどうなんでしょうか。危機管理局長にお伺いいたします。 107 利川危機管理局長 マイ・タイムラインを作成することで、いざというときに命を守る行動を適切に判断できる効果が期待できる。委員御指摘のとおりでございます。  県ではこれまで、防災ハンドブックというパンフレットの中に、折り込みでマイ・タイムラインの作成シートを入れて普及啓発してまいりましたが、さらに、御高齢の方ですとか子供でも簡単に作成できるよう、作成シートやシール様式を県ホームページからダウンロードできるようにするなど、マイ・タイムラインの普及作成促進に努めてまいりました。  一方で、本県におけるマイ・タイムラインの作成状況については、その作成の有無を直接聞いた調査は実施しておりませんけれども、本年7月に実施しました防災に関する意識調査におきまして、避難の準備行動など県民自身の防災対策が進んでいるか質問いたしました。その結果、「進んでいない」「どちらかというと進んでいない」「どちらとも言えない」と回答した方は、回答者全体約1,600人のうち86%となっておりまして、マイ・タイムラインの作成はまだまだ進んでいないのではないかと推察されます。  また、同じ質問で、自身の防災対策が「十分進んでいる」「どちらかといえば進んでいる」と回答した方は全体の14%でありまして、避難の準備行動ができている方は、こちらもまだ少ない状況にあるのではないかと思っております。  こうしたことから、県としても自主防災組織向けの研修会や出前県庁、防災セミナー等の機会を通じて、私も講師として参加する機会がございましたけれども、多くの方にマイ・タイムラインについて周知啓発しましたほか、11月には、防災危機管理センターで開催しました県民向け防災啓発イベントや防災士養成研修でも参加者にマイ・タイムラインの作成体験をしてもらうなど、今年度はこれまで、県が関わったものだけですけれども、合計約800人の県民の方々にマイ・タイムラインの普及啓発を行ってきたところでございます。 108 井上委員 まだまだこれから促進しなきゃいけないと思います。  先ほど例に挙げました広島県ですが、広島県はスマートフォンのアプリを使ったマイ・タイムラインの作成を呼びかけておられます。住所を入力すると、洪水や土砂災害の危険度を示すハザードマップが表示されます。そして、近くの避難所を確認できるという機能もあります。動画投稿サイトのユーチューブで、その作成方法を説明した動画も公開されています。昨年8月にこのサービスが追加された無料アプリであるYahoo!防災速報の機能を活用したということでありました。設定に応じて避難を始めるタイミングがスマホに通知されるということでございます。そして、世帯の人数や世帯構成などを入力すると、必要な備蓄品のリストも確認できるというものでございます。  本県もヤフー株式会社と協定を締結して、同社の防災速報アプリを活用して災害情報を発信していると承知しておりますけども、この広島県の例は大いに参考になるものではないかと考えます。  本県において、今後、このマイ・タイムラインの作成促進にどのように取り組んでいかれるのか、局長にお伺いします。 109 利川危機管理局長 県と防災に関する協定を締結しております、ヤフー株式会社が提供されておりますYahoo!JAPANアプリ、それから防災速報アプリは、今ほど委員から御説明のとおり、マイ・タイムラインをスマホアプリ上で作成しておくことが可能であります。そして、防災速報アプリでは、作成されたマイ・タイムラインに基づいて、避難を始めるタイミングでプッシュ通知が届くという機能も備わっているわけであります。  これらのアプリは無料ということもありまして、ヤフー株式会社の調べでは、全国のインターネット利用者の8割以上がこのアプリにアクセスされているということでありまして、本県でも県人口の4割から6割の登録数があるということでございます。  このアプリを活用してマイ・タイムラインの作成を促進することは、特に若者向けには大変有効だと考えておりまして、県ホームページなどで、スマホアプリを活用したマイ・タイムラインの作成方法を紹介いたしまして、作成を呼びかけていきたいと考えております。  また、これまで防災イベントや出前県庁など様々な機会を捉えて、県としても直接県民へ、自助の取組として、マイ・タイムラインの作成を呼びかけてまいりましたが、さすがに県だけの取組には限界がございます。このため、県ではこれまで共助の取組の促進といたしまして、防災士など防災リーダーの養成や自主防災組織の組織化に努めてまいりました。これら養成、組織化されました防災リーダーや自主防災組織には、市町村とも連携していただいて、地域住民へのマイ・タイムラインの説明会ですとか、作成体験会などを実施していただくことで全県域的な取組にしていきたいと考えております。 110 井上委員 そうですね。市町村と連携して、そして自治振興会とか、そういったところと連携して進めていくことが大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。  次に、被災時における移動手段の確保に向けた取組についてお伺いいたします。  国の災害救助法に照らして、被災者に避難所を含む仮設住宅等の住まいの支援や、備蓄の食料、物資の輸送、電気の供給など、そういったものに対応できるよう、県は様々な企業、団体と連携協定を結んでおられると聞いております。  被災地では、車も破損や水没被害を受けます。とりわけ、本県のように日常生活に車が欠かせない地域では、車を失うことが大きな痛手となって生活再建の妨げとなります。  今後起こるかもしれない災害への備えにおいて、移動が重視すべき観点の一つであることは間違いありません。  被災地支援において見過ごされがちなこの移動に係る支援の在り方、支援充実に向けた官民連携の枠組みでありますモビリティ・レジリエンス・アライアンス──聞き慣れない言葉でありますが、災害時の移動回復協定とでも訳すんですかね。この協定は、岡山県や熊本県、それから東北各県など全国で広がりつつあります。  県ではこの動きをどのように捉えておられますでしょうか、また、この動きをどのように評価していらっしゃるのか、危機管理局長にお伺いいたします。  失礼しました。厚生部長でした。 111 有賀厚生部長 厚生部の担当ですので、お答えさせていただきます。  委員御紹介のありましたモビリティ・レジリエンス・アライアンスですが、これを推進する日本カーシェアリング協会と自治体との間で、移動手段の確保に関する協定の締結、これが全国的に進んでいるということで、協会によりますと、現在、全国で5県、そして2市の自治体と協定が締結されているとのことです。  協定を締結された自治体のうち、例えば熊本県では、令和2年7月の豪雨災害の被災地において、被災者等に貸し出された車が自宅の片づけや買物等に活用され、被災者の生活再建に大きく寄与し、その後、令和3年2月、協定締結に至ったと伺っております。  東日本大震災では、20万台以上の車が被災したとされておりまして、今後、こうした大規模な災害が発生した場合、単独の自治体、企業、団体の力だけでは支援を必要とする被災者に車を提供することは困難だと思います。  近年、全国的に自然災害が多発する中、本県にとっても災害時における被災者等の生活再建の観点から、こうした先進事例については有効な取組であると考えております。 112 井上委員 答弁者を間違えまして申し訳ございません。思い込みでした。失礼しました。ありがとうございます。  東日本大震災では、20万台以上の車が被災されたということであります。そして、被災者の多くは、必需品であった車を失って、移動に大変困難さを抱えておられました。そうしたときに、この日本カーシェアリング協会という石巻市にある協会ですが、その協会が、その被災された方へ支援として、寄附で集められた車を無償で貸し出したということであります。  その後、2016年の熊本地震でありますとか、2017年の九州北部豪雨、2018年の西日本豪雨などでは、災害時、多くの現場において、同協会は被災者に対して移動手段確保と提供に尽力されています。  例えば、2018年7月に岡山県真備町で発生した水害がありました。そのときには、発生から10日後には真備町に車が到着し、軽自動車、軽トラを中心に、年末までに貸出し件数は600件を超えて、被災者の移動手段の確保に大きな貢献をされています。  一方、岡山県は被災直後、水害での車の水没が相次ぐ中、行政がどのように被災者支援を行うべきかの検討をすぐに開始されました。そして、県職員がこのカーシェアリング協会の存在を知って支援を仰いだということであります。  この協定のポイントは、行政の財政負担が発生しないということであります。行政は移動手段確保の活動環境を整えること、そして、後方支援活動に徹底できるという点であります。  この岡山県での例は、被災者への支援が迅速に行き届いた好例であると思います。井原木岡山県知事のコメントでは、災害発生後、車に関しては様々な規制がかかっており、非常に扱いにくく管理しにくいことが分かったと。そこで、この分野で経験豊富なカーシェアリング協会に任せ、県はバックアップするほうが被災者にとってメリットが大きいと判断したということであります。住居確保は国の支援もあり、体制はしっかりしているが、移動手段確保は公的な支援がうまくできていない中でのこのカーシェアリング協会の活動は非常に助かったとコメントされています。これは本当に生の声だと思います。  全国では、今ほどありましたが、岡山県や熊本県、そして宮城県、岩手県、福島県など、過去に本当に大きな災害に遭った県がこの協定を締結しておられる実態があります。つまり、これは本当に必要な枠組みである証拠であると思います。本県においても、災害時の移動支援体制の構築に、災害のないときこそ検討すべきではないかと考えますが、知事の所見をお伺いします。 113 新田知事 被災時に車の破損や水没被害によりまして移動手段を失うことは、被災者の生活再建に影響を及ぼすものと考えています。車を失った被災者にとって車の貸出しを受けるということは、自宅の片づけや買物、行政手続などの生活再建にいち早く取り組むことができるなどのメリットがあるとされています。  委員から御紹介のありました、平成30年7月の岡山県での豪雨災害、また令和2年7月の熊本県での豪雨災害では、被災者に車の無料貸出しが速やかに行われ、多くの被災者から、小さい子がいるので通院や買物などに利用できてとても助かった、自宅の片づけが大いにはかどったなどの感謝や喜びの声が寄せられたと聞いています。  岡山県では被災直後、車の水没が相次ぐ中、同協会に支援を要請し、行政の財政負担を伴わずに移動車確保のための後方支援に徹することができたとのことであり、メリットは大きいと理解をしています。  災害発生時に被災者などの円滑な移動手段を確保することは、先ほど部長も答弁したとおり、被災者の早期の生活再建の観点から有効であり、こうした移動支援体制を平時から構築していくことは大変重要だと考えます。  県として、まずは先行自治体の状況を把握するとともに、市町村や自動車販売団体の御意見もお聞きし、その上で、モビリティ・レジリエンス・アライアンスをはじめとした災害時の移動支援体制が構築できるように検討してまいります。 114 井上委員 どうかよろしくお願いします。災害のない富山県ですが、やっぱり準備は大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。  次に、大規模建築の耐震化についてお伺いいたします。  全国の大規模建築物の耐震化の遅れが目立っていると報道がありました。  2013年に施行した改正耐震改修促進法は、不特定多数が利用する旧基準に基づく大きな建築物を要緊急安全確認大規模建築物──長い名前ですが──と定義しておりまして、所有者に耐震診断を求めています。自治体はその結果を公表しています。しかしながら、改修工事の義務づけは行っておられません。  国交省の資料によりますと、2021年4月時点で、この要緊急安全確認大規模建築物、1万1,026棟あるそうですが、そのうち、震度6強以上で倒壊や崩落の危険性が高いまたはあると診断された建物は1,109棟あったそうであります。3年前の2018年4月時点では約1,700棟あったということでありますから、3年間で減ったは減ったんですが、なお1割を占めているということであります。  本県におけるこの要緊急安全確認大規模建築物について、その用途区分ごとの耐震化の状況と、今後の課題について土木部長にお伺いしたいと思います。 115 市井土木部長 旧の耐震基準で建てられた要緊急安全確認大規模建築物は、県内に43施設ございます。このうち耐震化されているものは、昨年度末時点で43件中32件で約74%となっています。用途区分ごとの耐震化の状況を見ると、学校や病院などの公共施設は27件中24件で約89%となっています。一方、ホテル、旅館や店舗など民間施設は16件中8件で50%となっています。  公共施設と比較して民間施設においては、所有者の改修費の負担や改修中の営業、利用との両立もあり、その耐震化は伸び悩んでいるところでございます。今後の課題としては、この民間施設の耐震化推進が最大の課題であると考えております。 116 井上委員 ありがとうございます。  公的な施設は89%、民間の施設が50%ということで、やっぱり民間が遅れているわけですよね。
     商業ビルなど不特定多数の人が利用するこの大規模建築物で耐震化が遅れれば、人的被害の拡大に即つながるわけであります。  国は、2025年度をめどに、ほぼ全ての要緊急安全確認大規模建築物の耐震不足解消を目指しておられ、対策は急務であると思います。  防災に詳しい名古屋大学の福和伸夫名誉教授は、公共施設に比べ民間の建物では耐震化が不十分だと指摘しておられます。耐震化を進めるには、公的補助の拡充のほか、金融機関による低利子融資などの支援策も不可欠である、そして、部分的な改修で済む場合もあって、費用を抑えた対応を周知する必要があると訴えておられます。  本県において、この要緊急安全確認大規模建築物の耐震化に向けて、今後どのように取り組んでいかれるのか、土木部長にお伺いします。 117 市井土木部長 本県では、令和3年度に改定した富山県耐震改修促進計画において、県内の実情を踏まえ、要緊急安全確認大規模建築物の耐震化率を令和7年度までに80%とすることを目標としております。  こうした建築物、特に民間施設の耐震化を推進するため、耐震化の進んでいない、委員御指摘のありましたホテルや店舗など、不特定多数が利用する民間施設を対象に、県は平成28年度に、国や市町と合わせて補助率が最大約45%となる支援制度を設けたところです。  これまで所有者に対し、耐震改修の重要性や補助制度についての説明に努めてきたところでございますが、残念ながら、昨年度末まで活用実績はない状況でございます。  このため、今年度、担当職員の施設訪問を開始いたしました。訪問の中で、施設の改修に対して前向きに検討していただけるよう、営業への影響を軽減するため、設備更新に合わせた改修工事の提案を行ったり、集中投資を避けるため、段階的な改修計画の策定について紹介するなど、施設の状況に応じた助言を行ったところ、具体的に検討を始めていただいた施設もありました。  県としましては、今後も国や市町村と連携しながら、さらなる耐震化の促進に向けて粘り強く啓発や指導に努めてまいります。 118 井上委員 ありがとうございます。  令和7年までに80%を目標にするということで、専門家が指摘しておられるように、公的な補助だけじゃなくて、金融機関による低利子融資なんかも働きかけていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。  次に、3番目の項目、過疎対策について伺いたいと思います。  昭和45年以来、4期にわたって過疎法が制定されてきました。昨年の4月、第5期の新過疎法が施行されました。新設された前文では、過疎地域の役割や課題を、東京圏への人口の過度の集中により大規模な災害、感染症等による危険増大等の問題が深刻化している中、国土の均衡ある発展を図るため、過疎地域の担うべき役割は一層重要なものとなっていると明確化されました。過疎問題は過疎地だけの問題ではなくて、過密地の問題でもあるという認識であります。  また、法の目的を、過疎地域の自立促進から持続的発展に見直されています。そして、人材の確保育成、情報通信技術の活用、再生可能エネルギーの利用促進等が目標の項目に追加されるなど、旧法の考え方を基本として見直しが図られたと受け止めています。  しかし、若干気になるのが、旧過疎法にはなかった人材の確保及び育成が支援の目的のトップに座っておりまして、雇用機会の拡充がこれに続いて、旧過疎法ではトップに位置していました住民福祉の向上がこれらの後に置かれていることであります。住民福祉の向上の位置づけが下がっているのではないかと、ちょっと危惧するところであります。  この法律を受けて、県では昨年8月、富山県過疎地域持続的発展方針を、そして本年1月に富山県過疎地域持続的発展計画を策定されました。これまで県では、新法制定に向けて、重要要望などを様々な機会を通じて国へ要望してこられたと認識しています。県内の市町村では、指定が外れたところはないと認識しますが、新しいこの過疎法は本県の要望が実現された内容になったのでしょうか。県としての評価をお伺いしたいと思います。地方創生局長、お願いします。 119 南里地方創生局長 新過疎法──過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法は、令和3年3月末に期限を迎えた旧過疎法に続く過疎対策法として令和3年の4月1日に施行されました。  御紹介があったように、昭和45年に初めて施行されて以降、議員立法として制定あるいは改正の延長がされてきまして、全て全会一致で可決されている法律でございます。  新過疎法の制定に向けましては、本県も過疎地域の振興が引き続き図られるように、重要要望や日沿連要望など、様々な機会を通じて国に要望を行ってまいりました。  新過疎法は、近年の都市部から農山漁村への移住・定住の関心の高まりや、情報通信技術を利用した働き方への取組など、過疎地域を取り巻く社会情勢の変化も踏まえまして、過疎地域を地域格差是正の対象地域と捉えるだけではなく、都市と異なる独自の価値を有する地域として捉えることで、その豊かな地域資源を生かせる人材を育成するなどして、持続的に住み続けられる新しい仕組みづくりを目指しているところに大きな特徴がある新法だと考えております。  本県では、平成31年に県議会の御提案により制定されました、中山間地域における持続可能な地域社会の形成に関する条例に基づきまして、中山間地域創生総合戦略を策定いたしまして、人口減少社会、長寿社会にふさわしい中山間地域施策に積極的に取り組んでまいりました。  地域の持続的発展を支援する新過疎法は、まさに本県の姿勢と方向性を同じくするものでございまして、県では、この新過疎法の規定に基づきまして、県過疎方針を昨年度策定いたしまして、移住・定住、人材育成、地域における情報化のほか、子育て環境の確保、高齢者等の保健及び福祉の向上など11項目を掲げまして、重点的に取り組んでおります。  今後とも、過疎地域を含む中山間地域の持続可能な地域社会の形成に向けまして、市町村と連携し取り組んでまいります。 120 井上委員 ありがとうございます。  次に、人口減少に直面している地域において、農林水産業や商工業等の地域産業の担い手を確保するため、特定地域づくり事業の推進に関する法律が2020年6月に施行されまして、この法律に基づく特定地域づくり事業協同組合というのが設立できることになりました。  この組合は地元事業者で設立され、職員を通年雇用して、職員は必要な時期に必要な場所へ派遣されるというものであります。例えば農繁期の4月、5月には農家のお手伝いをして、そして6月から10月は飲食店とか観光関連施設で働いて、そして11月から3月は酒造りをするといったぐあいで、年間を通じて働き先を確保できて一定の給与も保障されるのが利点であります。  総務省は、組合が職員1人当たりに年400万円程度の給料を支払えるよう、運営費の一部を補助することにしておられます。収入が安定すれば移住者の呼び込みにもつながると思います。  総務省の調査では、今年9月1日時点で、26の道府県に57の組合が設立されておりまして、さらに400以上の自治体で検討中と書いてありました。全国で広がりつつあるわけであります。  人口減少に苦しむ県内市町村への波及が望まれるところでございますが、この特定地域づくり事業協同組合の現在の県内の状況はどうでしょうか。そしてまた、今後の推進に向けての取組方針についてお伺いしたいと思います。 121 南里地方創生局長 特定地域づくり事業協同組合は、委員御紹介のとおりでございまして、地域の担い手を確保し、地域社会の維持と地域経済の活性化を図るものでございます。また、組合の設立経費や運営費については、国や地方公共団体によるかなり手厚い財政支援が行われるものでございます。  委員御指摘のとおり、本事業の活用により過疎地域等の担い手不足の解消につながるほか、若者の移住・定住の促進や、地域おこし協力隊の任期終了後の受入先としても活用できるなど、地域づくり人材を確保し、その活躍により地域の活性化につなげる重要な取組だと考えておりまして、積極的に活用してほしいと考えているところでございます。  全国では、令和4年12月1日現在ですと、さらに広がっていまして、27道府県で66組合が認定を受けております。特定地域づくり事業協同組合の制度の活用が進んでいるところでございます。  本県においては、まだ特定地域づくり事業協同組合の設立はないところでございますけれども、現在、南砺市において、令和5年4月の事業開始に向けて、組合設立の手続を進めておられるところでございます。  県では、総務省の担当者による市町村向けの説明会を開催するなど、周知を図っているところでございますけれども、引き続き様々な機会を通じて情報提供を行うなど、本制度の活用について働きかけを行ってまいります。 122 井上委員 これは大変いい制度、手厚い制度ですが、完全にPR不足ですね。市町村も多分御存じないと思いますので、ぜひPRしていただきたいと思います。ありがとうございます。  次に、本年7月の参議院議員選挙でも、昨年の衆議院議員選挙でも、人口減少の進む過疎地域を含む中山間地域における投票率が非常に高かったわけであります。これは取りも直さず、政治に対する各地域の大きな期待が寄せられているという証拠であると認識します。  しかしながら、年々受益者が減少することから、インフラ整備や克雪対策に係る要望は山積しているにもかかわらず、事業採択の要件を満たせず新規採択が困難になっていたり、また、地域から商店がなくなったり、病院の再編、統廃合や公共交通の減少など、厳しい現実があります。  県では、このような状況をどのように受け止め、そして今後どのように過疎地域や中山間地域の活性化に取り組んでいかれるのか、知事の所見をお伺いします。 123 新田知事 本県の中山間地域は、面積で言いますと県土全体の7割を占め、そこに県の総人口の2割の方々がお住まいです。  中山間地域は、県土の保全、水源の涵養、文化の継承、自然と触れ合う機会の提供、食料の安定的な供給等について重要な役割を担い、県民の生活や本県経済の安定に寄与する一方、御指摘にもありましたが、急速な人口減少やそれに伴う生活を支えるサービスの減退などが住民の暮らしに深刻な影響を与える状況にあると認識しております。  こうした状況の下で、平成31年に県議会の御提案により、中山間地域における持続可能な地域社会の形成に関する条例が制定され、これに基づき中山間地域の総合的な対策を進めるため、中山間地域創生総合戦略を策定しました。この戦略により、地域コンシェルジュなどが地域の未来像やアクションプランの策定を支援する地域の話合い事業のように、コミュニティーの再生、維持を図るもの、また、中山間地域の特色を生かした農業経営の支援などにより農業所得の向上を目指すもの、そして、ドローンなどを活用した物流実験や、新たなモビリティーサービスの創出の支援など、生活に不可欠なサービスの確保に向けたもの、さらに、テレワークやワーケーションの推進などによる関係人口の増加を目指すものなど、様々な施策に取り組んでまいりました。  引き続き中山間地域の課題解決に積極的に取り組むとともに、新たな時代の潮流を踏まえた地域の魅力向上やその発信に努め、中山間地域の活性化により一層の努力をしてまいります。  なお、来年、本県で全国過疎問題シンポジウムが開催をされることになっております。そこでもまた新たな知見も得られると思いますので、これも今後の政策に生かしていきたいと考えております。 124 井上委員 期待も大きいですから、またよろしくお願いします。ありがとうございます。  最後の項目になります。  地域公共交通計画についてお伺いをいたします。  県では、2023年度末を目途に、地域公共交通計画を策定するために、現在、富山県地域交通戦略会議を設置して検討されていると思います。  先月の会議で、県民1人当たりの公共交通の年間利用回数を、2021年度の36.5回から2028年度までに50回に増やすという目標案が承認されました。  コロナ前までは年間40回程度で推移していたわけでありますが、コロナ後は、2020年度は33.8回、2021年度は36.5回とのことであります。これを50回までに引き上げるというのは、かなり高い目標でないかと感じました。相当に利便性を向上させないと厳しいのではないかと感じますが、この数値設定の根拠と今後の利便性向上への具体策についてお伺いしたいと思います。交通政策局長にお伺いします。 125 田中交通政策局長 今回の計画策定でございますけど、欧州の持続可能なモビリティー計画、いわゆるSUMPの考え方に基づき進めており、SUMPの目標値は明確で計測可能なものとなっております。  このため、利用回数の目標設定に当たりましては、分かりやすく日頃から目標を意識してもらえ、かつ、過去のトレンドにとらわれないワンランク上の水準である1人当たり50回としました。  会議では、計画目標は極めて県民がはっきり分かりやすく測定可能な形で、野心的かつ現実的な目標であるといった御意見や、達成には利便性のステージアップ、これが前提との御意見をいただいたところであります。  委員御指摘のとおり、目標の達成には利便性の向上が必要と考えておりまして、戦略会議では部会を設置し、利用者の視点に立った利便性向上のための鉄軌道サービス改善策、また、マイカーだけに頼らない生活圏内の身近な移動サービスの確保策、さらに、移動サービスアプリの周知、利用促進策などの議論を行っております。  県としましては、計画の基本的な方針、考え方、目標に基づきまして、市町村や交通事業者をはじめ、幅広い関係者と連携を図りながら、施策の検討を進めてまいります。 126 井上委員 なかなか高い目標でありますが、頑張っていただきたいと思います。県民に公共交通を親しんでいただくことが大事だと思いますので、よろしくお願いします。  最後になります。  最後に、高齢者の移動手段確保のための未来型交通システムの構築について、お伺いしたいと思います。  高齢化社会における移動手段の確保というのは、社会全体で高齢者の生活を支えるために大変重要な課題であると思います。  令和2年の国勢調査によりますと、本県の65歳以上の高齢者人口は33万7,000人でございます。総人口の約3分の1に上ります。年齢を重ねて身体機能の低下や認知機能の低下が進んで、自動車の運転が困難になりますと、気軽に移動することなどが難しくなってしまいます。  一方、交通事業者のほうも、採算性や人手不足の問題から、地域のバスなどの公共交通は年々便数や路線が減少して、利便性が悪くなっています。利用者がさらに減少するという悪循環に陥っており、国や県もその重要性は認識しつつも、移動環境が十分に整っているとは言えない状況であります。  このような高齢者の不自由な状況を解消することが、現役世代に希望の持てる未来を示し、将来の不安を解消する方法であり、このような課題に対しては格段に進歩していますデジタル技術を活用する以外にはないんじゃないかと考えます。  例えばですが、茨城県では、自動運転バスを実用化することや、時刻表にとらわれず、AIを活用して利用客の待つ場所に応じてルートを変えながらバスを走らせる、そういう呼出型最適経路バスというものがあるそうですが、それなどを使ってすばらしい成果を上げつつあると聞きます。  自宅から目的地まで、利用したいときに自由に利用できる、自動運転バスと鉄道やタクシーとも組み合わせた複数市町村による広域交通ネットワークとして、富山型、未来型の交通システムを県主導で構築してはどうでしょうか。  高齢者の移動手段の確保に対するビジョンを県民に示して、実現することで不安を解消し、県民幸福度ナンバーワンの高齢者が住みやすいウエルビーイング先進県富山をぜひ目指してほしいと思いますが、最後に知事の所見をお伺いします。 127 新田知事 人口減少や高齢化が進展する中、自家用車を運転されない高齢者を含む全ての県民が社会と関わりを持ち、生き生きと暮らせるようになるには、生活の足の確保は重要な課題であり、そこにはデジタル技術の活用が有効な分野であると考えております。  委員御紹介の茨城県内の自治体においては、国内初の自動運転バスの社会実装の取組や、AIを活用し、利用者からのリクエストに合わせて運行経路とダイヤを最適化してバスを運行する取組が行われていて、注目を集めていることは承知しております。  本県内では、地域の移動を支える新たなサービスの創出に向けた市町村や地域住民の意欲的な取組を後押しするために、今年度から新たに、AI、ICTを活用したサービスの導入を補助対象としました。この支援を受け、例えば砺波市では、茨城県の事例と同様に、運行経路の選定時にAIを活用したデマンド交通のチョイソコとなみの実証運行が始まっています。また、朝日町では、有名になりましたが、予約受付などにICTを活用するノッカルあさひまちが運行されています。  地域交通戦略の基本的な方針、考え方では、高齢者も含めて誰もが利用でき、使いやすく便利で安全、快適に移動できるなど、ウエルビーイングの向上をもたらす最適で持続可能な地域交通サービスの実現を目指すことにしています。  次回の会議では、今年度の様々な検討を踏まえて、地域交通ネットワークの目指すべき姿を示したいと考えております。  市町村や交通事業者など幅広い関係者との連携を図りまして、高齢化社会においても利便性の高い交通システムの実現に向けて取り組んでまいります。 128 井上委員 どうもありがとうございました。大変期待しておりますので、よろしくお願いいたします。終わります。 129 永森副委員長 井上委員の質疑は以上で終了しました。  暫時休憩いたします。  休憩時間は10分間といたします。                      午後3時00分休憩                      午後3時10分開議        筱岡貞郎委員の質疑及び答弁 130 武田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  筱岡委員。あなたの持ち時間は60分であります。 131 筱岡委員 最後ですが、よろしくお願いします。  つまらんことを言いますが、今年の流行語大賞は、プロ野球で大活躍しました村神様でした。この中で神(上)がつく人は1人だけいると思います。川上様。きっとさらに立派な議員になられることと確信しております。  さて、先ほど井上委員の質問にもございましたが、10月から外国人観光客の入国が大幅に緩和されまして、富山空港の国際便の来春の再開を切に願うものでございます。  訪日外国人観光客にとって今ブームの一つになっているのが山岳観光でありますが、まずは山岳観光の取組の推進について6問伺います。  県では、令和4年3月に、第3次富山県観光振興戦略プランを改定し、他に類を見ない富山の魅力をさらに磨き上げ、ハイエンドの旅行者を含めたさらなる誘客につなげるなど、持続可能で進化し続ける観光の実現を目指すこととされました。その中で、立山黒部の高付加価値化と魅力の維持向上を掲げられました。  コロナ以前、県では、立山黒部を世界水準の滞在型、体験型の山岳観光地とするための、「立山黒部」世界ブランド化推進会議を5回開催されました。そこで、この議論等も踏まえ、保全と利用の好循環が生み出されるよう、様々なプロジェクトに取り組んでこられました。  その後、推進会議は開催されていませんが、2024年度中の黒部キャニオンルートの一般開放に向け、立山黒部エリアにおいて上質な滞在環境の整備や、新しい魅力の発掘、磨き上げ、顧客層に合わせた受入環境の整備などに積極的に取り組んでこられたと思います。そこで、準備は万全なのか、現状の認識も含め、今後の取組について新田知事に伺います。 132 新田知事 そういうことなんですね。イントロの意味が分かりました。川上様のお膝元である黒部宇奈月キャニオンルート、全国的にも注目を集める新たな観光コンテンツと認識をしておりまして、2024年の一般開放を契機として、立山黒部エリアはもちろん、県内全域にその効果を波及させるための、ルート提案や魅力の磨き上げが必要と考えております。  そのため、県内の滞在周遊を促進するためのモデルルートの設定、また、手荷物や車両の回送など利便性向上に向けた検証、そして、現地ガイド育成の準備などによるルートの魅力の向上を行うとともに、黒部市さんとも連携をして、宇奈月温泉街のホテル・旅館の客室上質化、また、廃屋などを撤去するという、受入環境の整備に対する支援を行うなど、2024年6月の一般開放、旅行商品化に向けて、着実に準備を進めています。  また、キャニオンルートに接続して、新たな周遊観光ルートを形成することとなる立山黒部アルペンルートや黒部峡谷鉄道に関しましても、滞在周遊を促進するためのモニターツアーやアクティビティーの実施、美女平や弥陀ヶ原の魅力を発信するためのVRを活用したプロモーション、立山黒部貫光株式会社や黒部峡谷鉄道株式会社が開催するイベントへの支援など、立山黒部エリア全体を意識しながら、新しい魅力の発掘や磨き上げに取り組んでいます。  今後は、2024年1月の商品販売開始を目標に、観光事業者向け説明会の開催や、メディア招聘などによるプロモーション強化に取り組むこととしています。  引き続き、黒部市さんや関西電力さんなどの関係者はもちろん、県内観光・宿泊事業者とも連携して、2024年6月の一般開放、旅行商品化に向けて、その機運を高め、着実に万全の準備を進めていきたいと考えます。 133 筱岡委員 「立山黒部」世界ブランド化推進会議において、立山黒部の高付加価値化のため、登山道についても計画的に整備することとされ、例えば、歩くアルペンルートの整備、案内看板、道標の英語表示やデザインの統一、植生の踏み荒らし防止のための木道の新設や再整備、環境配慮型トイレの整備などが計画されておりました。  現在の整備状況と今後の取組について、廣島生活環境文化部長に伺います。 134 廣島生活環境文化部長 委員御指摘のとおり、この「立山黒部」世界ブランド化推進会議では、28のプロジェクトの1つに登山道の整備を掲げられました。その取組の方向性といたしまして、登山道の整備、案内看板、道標の多言語化やデザインの統一、環境配慮型トイレの整備などについて、国の交付金等を活用して計画的に実施していくことが示されたところでございます。  県ではこれまで、環境省の直轄事業と補助事業、これを組み合わせまして、登山道や環境配慮型トイレの整備を進め、中部山岳国立公園、立山黒部のクオリティー向上に努めてきたところでございます。  具体的には、歩くアルペンルートにつきまして、検討開始の平成28年度から今年度までの間において、千寿ケ原弘法線や弥陀ヶ原園地などにおいて、木道など登山道を3.2キロメートル、案内看板、道標等を28基整備してきたところです。  また、環境配慮型トイレにつきましては、2か所新たに整備し、中部山岳国立公園内においては、従前から整備してきたものと合わせて、計53か所となっております。
     県としては、今後も多くの方が立山黒部の山岳景観に親しみ、安全で快適な登山を楽しんでいただけるよう、登山道などの整備に関しまして、国の予算の確保に努めてまいります。 135 筱岡委員 委員長、ここで資料の配付と掲示をお願いします。 136 武田委員長 はい、許可いたします。 137 筱岡委員 私の地元に山田信明さんという方がおりまして、富山県の山岳連盟会長をしておられました。県職員OBでもありますが、その方はめでたくこの秋の叙勲をもらわれました。この山岳連盟を長らくお世話された功績が認められ、私どもも今大変うれしく思っております。  その山岳連盟や県の自然保護課が中心となって、今、配布の資料にあります、この「富山の百山」という本ね。これはあるマスコミから出されたのですが、この中心になられたのが山岳連盟と。それと、県から「富山県 山のグレーディング」というのも出されまして、特にこのグレーディングについては、その裏面に、ちょっと小さいですが、左下が一番易しい山、右上に行くほどハイレベルな山というふうに、初心者用から、もう超上級者用の山が分かりやすく書いてあるということでございます。  山岳連盟の皆様、自然保護課もですが、大変頑張っていただいており、敬意を表するところでございます。  近年、コロナ禍ではありますが、老若男女の多くの人たちが山を訪れる、戦後3回目の登山ブームにあるとも言われております。  登山において宿泊機能を担うのは山小屋でありますが、山小屋は宿泊機能だけでなく、安全な登山に資する登山者への情報提供や指導、遭難者の救助対応、登山道の維持補修、トイレや野営場の維持管理など、登山者の安全・安心や環境保全に大変重要な役割を果たしています。しかしながら、これらの活動、特に登山道の整備にかかる経費などが、山小屋の経営に大きな負担となっている側面もあるやに聞いております。  そこで、県として、山小屋や山岳連盟が行っている登山道の整備や維持保全などにかかる経費について支援できないか、ぜひとも検討していただきたいと思います。  その財源として、例えば、入域料を導入してその一部を充てる、もしくは、クラウドファンディングで資金を募ることも考えられるのではないかと思います。  クラウドファンディングの例を挙げると、先般、県内のトレイルランを通じた地域の活性化に取り組むグループが、高岡市の二上山の登山道の整備、老朽化した案内看板の更新などに乗り出し、それらの経費は、高岡市のクラウドファンディング型ふるさと納税の仕組みを活用して資金を募っています。  ぜひ、山小屋や山岳連盟への支援を検討していただきたいと考えますが、廣島部長にお伺いします。 138 廣島生活環境文化部長 まずは、私どもの先輩、山田先輩の受賞に対して、これまでの取組に対して敬意を表させていただきたいと存じます。  山小屋は宿泊機能だけでなく、安全な登山に関する情報の提供や指導、遭難者の救助対応、山小屋周辺の登山道の補修のほか、トイレや野営場の維持管理など、様々な役割を果たしています。また、委員の紹介もありましたとおり、県山岳連盟では、登山技術の指導や登山道徳の普及の一環として、登山道整備に自主的に当たっていただいていると伺っております。  県では、これまで山小屋に対して、中部山岳国立公園内の山小屋や山岳関係団体、企業等で構成され、公園の美化清掃や登山道の維持管理に取り組んでいる立山黒部環境保全協会を通じた補助などにより、山小屋等の活動を支援しております。  また、コロナ禍での山小屋経営を支援するために、昨年度は登山道の草刈り、補修等の環境整備に要する機材の購入に対する支援を実施いたしました。登山の安全確保等、幅広く活動いただいている山小屋の経営については、コロナ禍の際には厳しい状況にあったとも伺っております。  今後は、本県が誇る自然、観光資源を守る観点からも、クラウドファンディングによる支援などにつきまして、山岳連盟の取組の現状なども確認させていただきながら、関係者、関係団体の御意見を伺って研究してまいりたいと思っております。 139 筱岡委員 ぜひ前向きにお願いします。  次に、日本一とも言われておる富山県の山岳警備隊について伺います。  近年の登山ブームを背景に、山岳遭難の発生は高止まりの状態にあると聞きます。  そこでまず、山岳警備隊の出動状況について杉本警察本部長に伺います。 140 杉本警察本部長 近年の山岳遭難事故の発生状況ですが、自然志向や健康増進等を目的とした中高年の登山者の増加などを背景としまして、年間100件以上の高止まりの状態にあります。令和2年は新型コロナ感染症の影響により74件に減少しましたが、令和3年は104件、本年も11月末現在で115件と再び増加に転じている状況にあります。  山岳警備隊では、年間を通し、室堂や馬場島警備派出所等の警備拠点に隊員を常駐させ、登山者に対する安全指導や情報提供などの遭難防止活動のほか、遭難事故が発生した際には、速やかに隊員を出動させ、迅速な救助活動を行っております。  また、登山者が増えるゴールデンウイークや夏山シーズン等においては、警備拠点の隊員を増員して、特に体制の強化を行っております。  山岳遭難事故に伴う山岳警備隊員の出動状況については、令和3年は104件の遭難事故に対し、延べ127日間、445人の隊員が対応しております。うち71件は、県警ヘリや消防防災ヘリと連携して救助を行っております。  本年ですが、11月末現在で115件の遭難事故に対し、延べ146日間で471人の隊員が対応しており、うち80件がヘリコプターと連携しての救助活動となっております。  引き続き、登山者の動向や遭難事故の傾向を分析して、安全を最優先としながら、迅速かつ的確な救助活動に努めてまいります。 141 筱岡委員 延べ471人の隊員が、いろいろ頑張っていただいたことに敬意を表したいと思います。  この山岳警備隊の活動がますます重視されていますが、迅速かつ的確な救助活動の遂行には、県内外を問わず、優秀な人材の確保が重要です。  富山県山岳警備隊員には、県外出身者も多いと聞いております。憧れて隊員に志願してこられる方が多いとも聞いておりますが、この優秀な人材の確保や体制強化にどのように取り組むのか、杉本警察本部長に伺います。 142 杉本警察本部長 現在の山岳警備隊の体制でございますが、隊長以下27人です。このうち富山県出身者が12人、県外出身者が15人ということで、県外出身者が隊員の半数以上となっております。  隊員の中には、学生時代に山岳部所属という者だけではなくて、陸上やサッカーといった他の競技をしていた者も多数在籍しておりますし、また、本年度は初めて女性が入隊をして、現在活躍をしております。  各隊員が山岳警備隊を志した理由として共通することは、全国の登山者の憧れである雄大な北アルプスを舞台に仕事がしたいとか、全国でも名高い山岳レスキューである富山県警察山岳警備隊の一員として、人命救助という崇高な任務に携わりたいというようなものがございます。  山岳警備隊員の資質でございますが、県内外といった出身地や、男女の性別、あるいは本格的な登山の経験の有無などとは関係なく、危険な任務であるということを認識した上で、強い志を持つことこそが重要な資質ではないかと考えております。  このことを踏まえて、優秀な人材確保につきましては、広報動画やSNSなどを活用した募集や、山岳関係者の研修会での勧奨等、様々な機会を通じて、山岳警備隊の魅力を伝える取組を行っております。幸い、現在でも、こうした熱い思いを持った若者は確実にいるという手応えを感じているところでございます。  県警察といたしましては、引き続き優秀な人材の確保に努めるとともに、各季節における山岳地帯に長期滞在しての遭難救助訓練等を通じて、登山者から信頼される隊員として育成し、山岳警備隊のさらなる強化を図ってまいりたいと考えております。 143 筱岡委員 それだけ熱意のある人が県外から隊員になってくれるということは、本当にありがたい話ではないかなと。ますますの活躍、また能力向上に努めていただきたいと思います。私も熱い思いがあれば志願したかもしれませんが、ちょっと精神面が弱いところがございまして、体力もですが。そういう点からいうと、ちゃんと移住してくれているわけですから。やっぱり山の魅力を知っている人が、富山県にさらに移住していただければ、そういう点でもまた部長、頑張ってくださいね。  本県の周辺には、長野県の白馬エリアや上高地、岐阜県の乗鞍エリアや奥飛騨など、本県の立山黒部アルペンルートや黒部峡谷、黒部宇奈月キャニオンルートとともに、世界に誇れる山岳観光地が数多くあります。これらの観光地が連携して、その魅力を国内外に発信することが重要と考えます。  そこで、広域的山岳観光の振興について、長野県や岐阜県と連携した取組を進めていくべきと考えますが、どのように取り組むのか新田知事に伺います。 144 新田知事 北陸の十字路に位置する本県にとっては、広域で連携した観光PRが効果的だと考えております。  そのため、これまで長野県や岐阜県とは、国内向けとして、首都圏、中京圏での共同PRや、県境をまたいで周遊する旅行商品の造成を行うとともに、海外向けには、台湾、香港、韓国など東アジア圏や東南アジア圏をターゲットとした現地商談会の開催、また、インフルエンサーの招聘、SNSを活用した情報発信に連携して取り組んできました。  委員御指摘のとおり、特に富山県と長野県、岐阜県の両県には、世界に誇れる山岳観光地が数多くあります。これらの観光地が連携してその魅力を国内外に発信していくことは、観光誘客を促進する上で大変有効であると考えており、各県知事との懇談会などの機会を捉え、連携方策について提案をしてきました。  例えば、先般7月に行われました富山県・岐阜県知事懇談会を契機に、11月には福岡県において、富山・岐阜観光物産展を共同で開催し、雪の大谷などをPRしました。  また、長野県については、既に立山黒部アルペンルートによって富山県立山町と長野県大町市が結ばれており、黒部宇奈月キャニオンルートのモデルルートとして、大町温泉郷も宿泊拠点の一つとして組み込みます。また、来年の黒部ダム60周年では、連携してPRなどに取り組むとともに、両県で盛り上げていこうとしております。  令和6年6月の黒部宇奈月キャニオンルートの一般開放をさらなる機会として、広域的な山岳観光の一層の展開に向けて、引き続き近隣県と連携した取組を深めてまいります。 145 筱岡委員 静岡、石川と三霊山の取組も大変すばらしいと思いますが、今言われた、近隣の県と山で結ばれたそこら辺の観光連携も、また引き続き頑張っていただきたいと思っております。  続いては、農業をめぐる諸課題について4問質問いたします。  今月1日には、富山県農業再生協議会において、令和5年産米の生産目標が決定され、前年度の作付面積と同水準での生産量に相当する17万1,211トン、面積換算で3万1,300ヘクタールと提示されました。  今後、生産目標に沿った最大限の作付や、本県産米の高品質、良食味への取組を進めていく必要があると考えます。県には、適切に生産現場を指導していただきたいと思います。  また、生産現場においては、やはり米価がどのようになるのか、また、肥料、農薬などの資材価格の高騰の影響を気にする声が聞かれます。  そこで、最初に、米の生産目標にかかる今回の決定を県としてどのように評価しているのか、また、今後高品質な富山米の生産にどのように取り組んでいくのか、新田知事に伺います。 146 新田知事 今、委員からも御紹介いただいたように、令和5年産米の生産目標は、先般、県の農業再生協議会において、令和4年産の作付面積と同水準での生産量に相当する17万1,211トン、面積換算で3万1,300ヘクタールと決定されました。  この決定に関してですが、まず、国が全国的な主食用米からの転換を背景に需給の改善を見込んでおり、令和5年産米の生産量の目安を669万トンと令和4年産と同水準としたこと、また、県産米の本年6月末の在庫量が前年に比べ14%、1割以上減少するなど、引き続き需給は堅調に推移すると見込まれること、これらを考慮されたものと承知しています。  本県としましては、県産米の取引価格が昨年に比べ上昇し、取引数量が増加しているものの、全国の米の需要量は毎年10万トン程度減少していることを踏まえますと、前年産と同水準とした目標は、妥当なものではないかと考えております。  令和5年産に向けては、この目標に沿って、各地域でしっかりと作付いただき、消費者から選ばれる高品質で良食味な富山米の生産に一層取り組む必要があります。  具体的には、まずは地域農業再生協議会、これは県内12ありますが、これを通じて生産目標の周知と指導に努めるとともに、高温などの気象変動に打ちかつ高品質な米づくりに向け、1番として、適期での田植や生育に応じた水管理などの技術対策の徹底、2番目には、土壌診断などによる適切な施肥──肥料の与える量への誘導や、病害虫の発生に応じた防除、そして、高温や倒伏に強く、肥料や農薬を節減できる富富富の生産拡大などを進めることにしています。  引き続き、意欲ある農業者が安心して営農できるよう、JAさんとも連携し、高品質な富山米の生産に取り組んでまいりたいと思います。 147 筱岡委員 資材価格の高騰に関連して、価格対策としての支援ももちろん重要ですが、資材価格の高止まりが予想されるとすれば、自助努力も必要になってくるかと思います。例えば、有機質資材の有効活用や、緑肥作物による地力の向上なども肝要と考えます。  令和4年7月に施行された、みどりの食料システム法では、環境負荷の低減に取り組む農林漁業者の事業計画を都道府県知事が認定し、認定を受けた者が計画に従って導入する機械等について、税制、金融上の措置を講ずることとしています。  現在、県では、みどりの食料システム法に基づく基本計画を検討されておりますが、その内容と策定のスケジュールについて、堀口農林水産部長に伺います。 148 堀口農林水産部長 国におきましては、みどりの食料システム法に基づきまして、農林漁業に由来する、環境への負荷低減の事業活動を促進するための基本方針が示されました。都道府県と市町村が連携しながら、地域の現状や特性を踏まえ、環境負荷低減に関する目標や、事業活動の具体的な内容等を盛り込んだ基本計画を策定することとされました。  本県では、県と県内15市町村が一体となって環境負荷低減に取り組むため、共同で基本計画を策定することとし、現在協議しながら作業を進めております。  本計画には、農業分野のKPIとして、国の目標や県農業農村振興計画等との整合も図りながら、有機農業の取組面積や、化学肥料等を5割削減した特別栽培農産物の栽培面積などを掲げますとともに、農業者等が取り組む環境負荷低減活動として、耕畜連携による堆肥の施用、地力増進作物等の導入、肥料の脱プラスチック化のほか、スマート農業技術の活用やDXの推進などについて記載することとしております。  また、市町村や各地域での特徴的な事例として、例えば、南砺市でのオーガニックビレッジの取組なども盛り込むこととしております。  さらに、林業、漁業の分野では、森林整備や藻場保全等による炭素吸収、省エネ設備機械の導入などを掲げまして、農林水産業全体の環境負荷低減を促進していきたいと考えております。  策定スケジュールにつきましては、引き続き市町村等との協議を進めまして、農林水産省とも協議した上で、本年度中の策定を目指しております。  今後、この基本計画に基づき、国の交付金や低利融資等の支援策なども活用しながら、市町村をはじめ、生産者、事業者の皆さんとも一体となって、持続可能な農林水産業の実現に取り組んでまいります。 149 筱岡委員 今年、私の地元で、献穀田を見事に仕上げられました。今日、宇川農産のおやじさん──おやじさん言うたら失礼か──も来ていただいておりますが、田植式には横田副知事も来ていただいて、花を添えていただいて本当にありがとうございました。  その宇川農産は、本当に先進的といいますか多角的といいますか、もともと米はもちろん、あとハト麦、飼料用米もやっておられて、最近は評判のいいイチゴも栽培しておられます。それに加えて今年から、県内初の子実用トウモロコシも20ヘクタールほど栽培されたわけでありまして、それを養鶏農家へ初めて持っていかれたという、本当に先進的にやっていただいておりますが、これを養鶏農家に提供するとともに、養鶏農家から産出される鶏ふんを栽培圃場に還元する取組が今年開始されたところです。今ほどの、みどりの食料システム戦略に合致するものであります。  また、耕種側と畜産側が上手に連携した事例であり、何より養鶏農家にとっては、高騰する輸入トウモロコシを地場産で代替えできる、いわば、生産資材の地産地消の好事例でもあります。  そこで、本年度の取組状況、成果はどうであったか、課題があるとすればどのようなことか、それらを踏まえ、次年産に向けてどのように取り組むのか、堀口部長に伺います。 150 堀口農林水産部長 飼料の原料となります輸入トウモロコシの価格高騰を契機といたしまして、自給生産に挑戦しようと、小矢部市で耕畜連携の取組をされております稲作、養鶏の4経営体で組織された合同会社におきまして、本年、県内初めて約27ヘクタールの子実用トウモロコシの生産が行われました。  この生産に当たっては、県におきまして、栽培管理等の技術指導を行うとともに、小矢部市では、国の水田リノベーション事業等の活用への支援、また、JAいなばでは、乾燥調製したトウモロコシの保管や、鶏への給与に必要な粉砕作業を行っております。  収穫されました約100トンの子実用トウモロコシは、養鶏業者で飼料として利用される予定であり、今後、県から、具体的な給与計画や、飼料設計を進めるための指導助言なども行うこととしております。  生産者からは、栽培管理にあまり手間がかからないため、令和5年産は作付面積を拡大したいと、そういった意向が示されている一方で、単収が──単位当たりの収獲でございますけれども、単収の目標が5割程度にとどまり、圃場によっては湿害による発芽不良や生育不足、収穫作業の遅れによります収穫ロスの発生等の課題が見られたところです。  このため、次年産の収量改善に向け、排水対策や施肥計画の見直し、品種や播種時期の変更を含めた適期収穫のための栽培計画の作成などに、関係者が連携して取り組むこととしております。こうした耕畜連携の取組は、地産地消や飼料自給率の向上にもつながりますことから、県としても積極的に支援してまいります。 151 筱岡委員 よろしくお願いします。初年度だから、単収が残念ながら低かったみたいですが、またできるだけ指導助言をよろしくお願いいたします。  これまでの議論のように、国においては、食料安全保障の観点からも施策が講じられると思いますが、本県においても、地域の資源を有効に活用し、米や園芸、さらに畜産を有機的に連携させながら、農業生産の担い手をしっかり確保する、そして、生産者のやる気をしっかり引き出す、消費者が本県の農業生産を応援するといった、いわゆる好循環をつくり出していくことが大切と考えます。  このような視点を踏まえ、農業の振興にどのように取り組むのか、横田副知事にお伺いします。 152 横田副知事 本県の地域資源は、豊富な水に、先人が積み重ねてこられました整備された農地とかんがい施設、生産に係る技術力、知見だと思っております。これらを、地域活性化と食料供給のために活用し続けることが重要であります。しかしながら、現在、生産資材の多くを海外に頼り、また、急激な高齢化、担い手の減少が予測されています。  将来に向けて持続可能な農業とし、食料安全保障を確保していくためには、御指摘の、米、園芸と畜産との耕畜連携をさらに進めていくこと、そして担い手の確保、消費者の理解と応援がますます重要な課題となると考えています。  このため、今後の方向として、まず、先ほどの部長答弁にもありましたとおり、小矢部市の事例のような地域内での耕畜の循環を進めていくとともに、飼料作物の生産拡大、畜産頭数の増加を推進してまいります。  また、担い手の確保としましては、農業未来カレッジや受入れ体制整備など、様々な施策を現在実施しておりますが、何より、農業経営体が稼げる、もうかるということが必要です。このため、販売力、価格形成力を向上させる対策、例えば、10月下旬に運用を開始しました、生産者とバイヤーとのマッチングシステムの活用拡大や輸出など、販路拡大に向けた対策を進めてまいります。さらには、データ活用や機械化による品質、生産性向上も重要と考えています。  消費者に富山県農業を理解して買って応援していただくための対策としましては、農業関連イベントで、安さを売りにするのではなく、農業の魅力、重要性を伝え、また、デジタル技術を活用して、県産食材の具体的な販売情報や、応援する方法を効果的に示せるよう工夫していきたいと考えています。 153 筱岡委員 今、大きな懸念の一つは、鳥インフルエンザですね。もう10月からですか、全国で猛威を振るってきたわけであります。10数件確認され、もう既に対策は始まって、国でも緊急対策本部みたいのを立ち上げたようでございます。富山県も野鳥に出だして、非常に危ない状況かなと思っているわけでございまして、特に家畜保健衛生所なんかピリピリしていると思いますが、そこを中心に、ぜひ富山県で発生しないように、奮闘よろしくお願いしたいと思っております。  続いて、道路における交通安全について2問伺います。  日本自動車連盟(JAF)が毎年調べている、歩行者のいる信号機のない横断歩道での車の一時停止率が発表されました。富山県は37%でありました。昨年の25.1%より11.9ポイント上昇し、全国で25位となりました。全国平均の39.8%を下回っている状況です。隣県の長野県では82.9%となっており、7年連続1位となっています。本県はまだまだかなという状況であります。  今後の横断歩道での停止率の向上に向けて、どのように取り組んでいくのか、杉本本部長に伺います。 154 杉本警察本部長 ただいま御紹介いただきました、日本自動車連盟(JAF)が毎年公表している、信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止率につきましては、サンプル数が少ないといった限界はございますが、県警察としても参考になるものと考えております。本年10月に公表された最新の結果を見ますと、当県の一時停止率は、御指摘のとおり、いまだ全国平均に届いていないという状況にございます。  県警察では、重大事故に直結する歩行者事故を防止するため、令和2年2月から、「横断歩道おもいやり作戦2020」と銘打ちまして、この一時停止のことも含めまして、広報啓発と交通指導取締りの両面から、横断歩道における安全対策を強力に推進しているところです。  広報啓発活動としましては、ドライバーから認識しやすく、幅広い世代が実践しやすいハンドサインのコンテストを開催したほか、県出身俳優を起用した啓発ポスターや動画を広く県民に発信するなど、横断歩道における歩行者優先意識の高揚を図っているところです。  また、交通指導取締りでは、令和2年2月から横断歩行者等妨害等違反の取締りを強化しておりまして、令和2年は年間で3,938件であった検挙数が、本年は11月末現在で既にこれを上回る4,643件となっておりまして、取締りの強化の効果が現れていると考えております。  これらの取組の結果、横断歩道上における人身事故件数を見ますと、平成29年の123件が昨年は83件と減少傾向にありまして、本年も11月末現在で44件と、前年同期比で27件減少するなど、一定の成果が見られつつあるのかなと考えております。  引き続き、このJAFの調査結果への関心の高まりなども捉えまして、関係機関・団体と連携した広報啓発と、交通指導取締りの両面に粘り強く取り組み、横断歩道の安全対策のさらなる推進を図ってまいりたいと考えております。 155 筱岡委員 もう12月になりまして、いよいよ雪の季節に近づいてきたわけでありますが、昨年の1月の大雪を思い出してしまいます。公共交通が麻痺し、幹線道路は積雪と大渋滞で、多くの県民に大きな影響が出たことは、まだ記憶に新しいところであります。  富山地方気象台によれば、今年の冬も大雪の可能性があるということであり、油断することなく対策を講じることが重要であります。県をはじめ、国土交通省、市町村、中日本高速道路などの関係機関には、万全の体制を取っていただきたいと思います。  そこで、除雪体制の関係機関の連携はどうなっているのか、また、情報収集や発信の強化に向けて、どのように取り組んでいるのか、さらに、タイムラインに基づいた関係機関の連携をどのように進めていくかなど、この冬の道路の雪対策について、市井土木部長に伺います。 156 市井土木部長 今冬に向けましては、昨冬と比較して、まず、除雪体制の強化については、市町村との連携除雪を7区間拡大し、69区間とするとともに、共同利用する雪捨場1か所を拡張いたしました。  次に、県民との協働については、県道の歩道除雪における協力団体数を14団体増やし、43団体とし、住民協力の拡大を図りました。  さらに、情報発信についても、中日本高速道路等21か所を加えた合計359か所のカメラ画像を、富山県道路情報のホームページで公開し、充実に努めたところです。
     委員御紹介いただきましたとおり、今冬の降雪量は、平年並みか多いとの予報もなされており、今後、気象台からの大雪に関する情報で災害級の大雪が想定される場合には、段階的な行動計画であるタイムラインを活用し、関係団体で構成する大雪警戒本部などの開設や、企業の臨時休業や学校の休校、車での不要不急の外出自粛や広域迂回などに御協力いただけるよう、企業の皆様、県民の皆様に強く呼びかけることとしております。  また、冬の冬期情報共有サイトを通じ、詳細な気象予測や交通規制情報等を、県内全ての市町村や国、県、中日本高速道路等で共有するなど、連携の強化に取り組んでまいります。  さらに、県としましては、令和3年1月のような大雪時の交通障害発生時への備えとして、早期に復旧できるよう、あらかじめ、圧雪処理や拡幅除雪等に必要な除雪機械やオペレーターの体制を整えるほか、積雪状況や降雪予測に応じ、早朝に限らず行う機動的な除雪にも努めてまいります。  今冬も、災害級の大雪を想定し、国、県、市町村及び企業、県民が一丸となって、雪に強い富山県となるよう取り組んでまいります。 157 筱岡委員 市井部長の力強い答弁、間違いないと期待しております。  最後に、今日の午前中もいろいろ、今議会でもいろいろ質問等ございますが、G7の教育大臣会合について2問伺います。  石川県の馳知事が、激戦を制して、この春めでたく知事になられて、御案内のとおり、小矢部市生まれでございますから、隣の南砺市の武田委員長もすごく強力な応援をされてましたが、私もしばらくたってから、5月に石川県庁の知事室に初めて入ってきまして、表敬訪問させていただいたところです。そのときに、私もちょっと聞いたんです。「石川県と富山県は、両県とも教育大臣会合の誘致をやっておられるけど、馳知事、どうなるんですか」と言いますと、馳知事はやっぱり太っ腹ですね。そのとき既に「両県でやればいいんですよ。警備や移動は、警備しやすいように、つるぎがあるから、つるぎを使って移動すればいいんですよ」と言われてね、馳知事はさすがに太っ腹、もう既にそういうことを言っておられて、本当に心強かったことを記憶しているところでございます。  7年前に本県で開催されたG7環境大臣会合に続いて、来年5月にG7教育大臣会合が富山県、石川県で共同開催されることになりました。去る12月1日には富山県委員会も発足したところであり、今後準備が進められていくことと思います。  世界に向けて、両県の教育のすばらしさを発信できる絶好の機会であります。これは、新田知事と、今も申し上げた小矢部市出身の馳石川県知事の連携した誘致活動の結果であり、私もとてもうれしく思っております。  全体日程4日間のうち、前半2日間は富山市で行い、エクスカーションや歓迎レセプション、大臣会合、夕食会などを行う予定と聞いており、こうした機会に、14歳の挑戦やふるさと教育など、特色ある富山県教育を世界に発信していくことが大変重要と考えています。  開催することだけに意義があるのではなく、富山県教育のどのような優れた点を世界に向けて発信するのか、また、開催によって今後の富山県教育をどのように発展させようとしているのか、新田知事の所見を伺います。 158 新田知事 来年開催のG7教育大臣会合は、やはり言うまでもなく貴重な機会ですから、本県の教育に関する先進的な取組を国内外でアピールすることが重要だと考えております。  今月1日に開催された富山県委員会においては、本県の教育のよさや教育の大切さを再認識する機会にしてほしいという御意見をいただきました。  例えば、とやま科学オリンピックなどによる、科学的なものの見方を踏まえた総合的な課題解決能力の育成、社会に学ぶ14歳の挑戦をはじめとする中高生のキャリア教育、郷土の先人の偉業や生き方を学ぶことによる社会貢献できる人材の育成など、本県がいずれも全国に先駆けて実施してきた取組を積極的にPRしたいと考えています。学校現場での紹介や、会場内でのパネル展示など、様々な手法を活用してアピールすることを、今後国と協議していきたいと考えます。  私としては、教育大臣会合のプレイベントとして、中高生を対象に開催するこどもサミット、仮称ですが、あるいは大臣会合のエクスカーションとして実施される学校視察などを通じて、世界的な会合に関わったり成果を感じたりすることは、子供たちの自信や誇り、さらには、ウエルビーイングの向上につながると考えております。  教育大臣会合の開催を契機として、ふるさと富山に誇りと愛着を持ち、夢や志、情熱を持って、地域社会や全国、そして世界で活躍し、未来を切り開く人材の育成に一層積極的に取り組んでまいります。  また、馳知事は、2016年の倉敷での教育大臣会合で、日本の文部科学大臣として議長を務められました。また、本県は2016年に、富山市で環境大臣会合を開きました。この両方の強みを生かして、単独開催よりも2倍3倍よかったねと言われるような共同開催を目指したいと思います。 159 筱岡委員 知事の答弁も、力強く頼もしく思います。ぜひ頑張っていただきたい。  今もおっしゃいましたけど、両県とも教育に優れた面があることから、国内の候補地の中から選ばれたものと考えていますが、教育関係者のためだけの会合でなく、新田知事が提唱するウエルビーイングの富山県を世界に発信する機会とすることはもちろん、子供たちが参加するこどもサミットなど、多彩な関連行事が開催され、子供たち自身も、高い関心を持って参加することを期待しているところです。  また、富山市だけでなく、西の玄関口、小矢部市なども含めた県内全域での取組を進め、富山県全体の活性化に結びつけてほしいと考えます。  開催までの期間は、残すところ6か月となりましたが、現時点でどのような関連行事が検討されているのか、また、それによってどのような効果を期待しているのか、岡本経営管理部長に伺います。 160 岡本経営管理部長 県では、9月のG7教育大臣会合の開催決定後、直ちに庁内関係課長などから成る部局横断的な推進チームを設置いたしまして、国や石川県、そして県内関係団体の意見もお聞きしながら、教育大臣会合を契機とした関連事業の検討を開始したところでございます。  現在、11月補正予算案におきまして、中高生を対象としたこどもサミットや、教育分野の著名人による教育講演会、県内高等教育機関の特色ある取組を発表するシンポジウム、アンテナショップの連携によるPR、こういった事業費などを計上しております。  加えまして、県内の教育、経済団体等で組織するG7教育大臣会合富山県委員会におきましても、今後、県内事業者や関係団体を対象に、全県的に機運醸成や、参加国への富山県の魅力を生かしたおもてなしにつながる取組や、教育、ウエルビーイングに関する企画などの応援事業を募集する予定でございまして、官民挙げて、県民の皆様が教育を考える機会の創出や、全県的な開催機運の醸成、国内外への魅力の発信を図ってまいりたいと考えております。  今月1日の富山県委員会におきましても、富山ならではの魅力を発信し富山ファンを増やしてほしい、子供をはじめ県民が国際会議を経験できるまたとない機会である、こういった御意見をいただいたところでございます。  G7教育大臣会合関連行事の実施によりまして、今ほど知事から御答弁を申し上げましたとおり、まず、本県の自然、歴史文化、そして豊かな食材、味覚などの魅力の発信はもとより、子供たちの自信や誇り、さらには、ウエルビーイングの向上、真の人間力を育む本県ならではの教育の推進につなげていきたいと考えており、県民の皆様と一緒に、県内全域にその効果が行き渡るよう努めてまいりたいと考えております。 161 武田委員長 筱岡委員の質疑は以上で終了しました。  以上をもって本日の日程は終了いたしました。  なお、12月12日の予算特別委員会は、午前10時から開会いたしますので、定刻までに御参集願います。  本日はこれをもって散会いたします。                      午後4時11分散会 Copyright © Toyama Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...