富山県議会 2021-11-01
令和3年11月定例会 一般質問
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午前10時00分開議
◯議長(五十嵐 務君)ただいまから本日の会議を開き、直ちに日程に入ります。
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2 ◯議長(五十嵐 務君)日程第1、県政一般に対する質問並びに議案第134号から議案第142号まで、議案第144号から議案第157号まで及び報告第20号から報告第22号までを議題といたします。
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議 案 第 157 号
3 ◯議長(五十嵐 務君)議題のうち、本日提出されました議案第157号について、知事から提案理由の説明を求めます。
新田知事。
〔
知事新田八朗君登壇〕
4 ◯知事(新田八朗君)ただいま上程になりました議案について御説明申し上げます。
議案第157号は、令和3年度の
一般会計補正予算であります。
主な内容としましては、新型コロナの影響による
収入減少世帯等を支援するため、
生活福祉資金の特例貸付け等の申請期限を3月末まで延長します。
また、
感染防止拡大と
社会経済活動の両立に向け、健康上の理由等によるワクチン未接種者や
感染拡大傾向時における県民を対象とした
PCR検査等を無料化し、検査体制を強化します。
さらに、県内観光を促進するため、
県民向け観光キャンペーンの対象に近隣県民を追加し、期間を1月末まで延長します。
これらに要する経費として36億9,600万円を追加しようとするものであります。
何とぞ慎重御審議の上、適正な議決をいただきますようお願い申し上げます。
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県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑
5 ◯議長(五十嵐 務君)これより各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行います。
通告がありますので、順次発言を許します。
瘧師富士夫君。
〔26番
瘧師富士夫君登壇〕
6 ◯26番(
瘧師富士夫君)皆さん、おはようございます。
本日の質問者5名全員が
自民会所属議員ということでありまして、その露払い役をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いします。
まず、
アフターコロナ、ビヨンドコロナを見据えた県政運営についてであります。
新田知事には、昨年就任され、
コロナ感染症対策をはじめとする様々な
危機管理対応に追われる1年であったかと思われます。その中でも、スピード感、県民目線、現場主義等の民間感覚を取り入れ、自ら率先垂範して現場に足を運ぶ姿勢や、職員の
チャレンジ精神の醸成、自己決定力の育成など、自主性を重んじる手法が県庁内に新しい風を吹き込んでいるように感じられます。
リーダーにとって一番求められるのは、何かを決めること。一般にリーダーといいますと、強い
リーダーシップや
プレゼン能力に秀で、周りをぐいぐい引っ張っていく強い人をイメージされやすいのですが、現実的には、様々な状況と場面にふさわしいリーダー役が求められると考えます。
知事として1年経験された今、自ら描く知事としてのリーダー像とはどのようなものなのか、新田知事に伺います。
「ワンチームとやま」
連携推進本部会議においては、今後、未来志向型のテーマも加え議論が進められるとのことですが、そのテーマの一つに、中山間地域の活性化についても取り上げていただきたいところです。
中山間地域では、人口減少と高齢化が進んでおり、地域資源としての森林と農地はあっても、それを活用する人がいない、活用されていない状況で、地域共同体の力が年々弱まっています。
地域循環共生圏は、各地域が足元にある地域資源を最大限に活用し、地域の特性に応じて資源を補完し支え合うことにより、環境、経済、社会が総合的に循環し、地域の活力を最大限に発揮させることを目指す考え方であり、まさに中山間地域の課題解決に向けた取組と方向性が一致すると考えます。
そこで、人口減少が著しい中山間地域の活性化に向けて、
地域循環共生圏の理念を持って、市町村と連携して取組を進める必要があると考えますが、蔵堀副知事の所見を伺います。
富山県は、持ち家比率が全国2位、1住宅当たりの延べ面積は全国1位という地域特性があります。砺波地域等の
屋敷林保全活動にて発生する落ち葉や剪定枝のみならず、
県内一般住宅から発生する枝葉等も相当量あると思われ、エネルギーや堆肥等の活用につながれば有効な地域資源であります。
そこで、
一戸建て住宅から発生する落ち葉等の有効活用を図るため、複数市町村が連携して取り組めるよう、住宅等から発生する枝葉を活用した
地域循環共生圏(仮称)というようなテーマで、県のワンチームとやま
連携推進事項のゼロ
カーボンシティ富山の実現の
個別検討課題に加えてはどうかと考えますが、三
牧知事政策局長に所見を伺います。
富山県では、先月29日、デジタル化と働き方改革を進めるための基本方針と、その具体策となる
アクションプランがまとめられました。県への補助金や助成金の申請について、2023年度末までに全ての
スマートフォンやパソコンでできるようにすることなど、県民目線の
行政サービスの実現を目指すとされています。また30日から、
DX推進目安箱を設け、県民や県内外の事業者から意見を募っておられます。
折しも、岸田政権が、成長戦略の柱の一つに
デジタル田園都市国家構想を位置づけ、補正予算案では
デジタル田園都市国家構想交付金が新設されました。このような国の動きを追い風に、交付金を最大限に活用し、県民目線、県民本位のDXを推進していただきたいと考えます。
そこで、誰一人取り残さないDXの実現に向け、県民本位の
行政サービスの実現などを具体的にどのように進めていかれるのか、新田知事に伺います。
次に、城端線、氷見線のLRT化についてであります。
1897年5月9日、高岡─福野間に富山県で初めて蒸気機関車が走りました。現在の城端線の前身、中越鉄道の開通であります。富山県初の鉄道建設に力を尽くされた中越鉄道の初代社長、
大矢四郎兵衛は、
県教育委員会作成のふるさととやまの
人物ものがたりに登場する砺波市が生んだ郷土の偉人であります。私の地元砺波市鷹栖には、
大矢四郎兵衛翁の銅像が城端線の方向に向かって立てられています。今朝、その銅像の前に立ち寄りました。改めて
大矢四郎兵衛翁の功績を顕彰しつつ、質問いたします。
3月の城端線・
氷見線LRT化検討会では、城端線、氷見線をLRT化し直通化して
富山ライトレールと同じ運行本数にすれば、2040年には利用者は2019年よりも46%増えるという需要予測結果が報告されました。先月の検討会では、新駅を設置した場合の駅数ごとの需要予測が微増予測とされましたが、これまでの調査結果で目立つ点は、運行間隔を短くすれば利用者増につながるという点だと思います。
また、先月の検討会では、利用促進に向けた取組の必要性が再確認されはしましたが、あまり検討が進んでいない印象を受けました。城端線、氷見線のLRT化に向けた取組は、県が主体となり進めるべきと考えますが、両路線の存続を強く求める沿線自治体4市としては、稼働するまでに必要な費用や稼働中に必要となる費用がどの程度なのか、より現実的な調査結果を早く出してほしいというのが本音だと思います。
そこで、城端線、
氷見線LRT化に向け、検討会で
イニシャルコスト、
ランニングコスト両面のコストの調査結果を早く示し、沿線自治体と連携し議論を進めるべきと考えますが、県として今後どのように
リーダーシップを取っていかれるのか、
助野地方創生局長に伺います。
LRT化といえば
富山ライトレールをイメージしますが、富山駅から岩瀬浜駅までの間を走る
富山ライトレールと、総延長46.4キロ区間を走る城端線、氷見線をダブらせると、現実感が湧いてきません。
本年4月に、
自民党県西部の県議団で、福井県の福井鉄道、えちぜん鉄道の取組を視察しました。福井市の鉄道路線は、他の地方同様に衰退が進み存続の危機にありましたが、2016年、福井鉄道とえちぜん鉄道が連携し、新時代の
LRT化鉄道ネットワークに生まれ変わりました。福井市内を走る軌道と郊外を走る鉄道が乗換えなしで乗車できるという利便性が、
人口減少時代にあっても乗客数を増やしており、よいお手本となるような路線だと感じました。
ただ、もう一方では、県庁所在地である福井市内を主とする26.9キロ区間という地域条件の違いや、もともと電化されていた路線であったことなど、技術的な条件の違いは否定できないとも感じました。
一口にLRT化といっても、様々な手法があります。他の地域の導入事例などを参考に、地域の実情を踏まえ様々な手法を調査し、城端線、氷見線の存続を検討すべきと考えます。
乗り越えるハードルは高くとも、城端線、氷見線のLRT化は県西部の将来に大きな影響を与える事業と考えますが、その実現に向けて、新田知事の所見を伺います。
次に、農業問題についてであります。
国内の米需要が年間10万トンペースで減少する中、
米どころ富山としては、需要に応じた米生産と
水田フル活用を基本に据え、営農を進めてきましたが、コロナ禍による外食需要の落ち込みによって民間在庫量は適正水準を超え、米価は下落に転じました。
先週、
県農業再生協議会は、米余りに対応した措置として、来年の県産米の生産量の目標を2年連続の減産と設定したところです。今後、主食用米の需要減少に合わせた生産量を取る一方で、水田活用を他の市場ニーズのある作物へと切り替えていく農業生産が進むかどうかが焦点となります。
その後押しとなるのが水田活用の直接支払交付金であり、飼料用米、米粉用米の生産拡大、麦、大豆等の作付の拡大などを促しています。その中でも一定割合以上が都道府県に配分される産地交付金は、地域の裁量で活用が可能であり、地域の特色のある魅力的な産品の産地を支援するものであります。
この産地交付金の本県におけるこれまでの活用の推移をどのように認識しておられるのか、また今後、非主食用米や他の作物への転換をどのように促していかれるのか、
堀口農林水産部長に伺います。
米価が下落する一方で肥料が値上がりし、農家が悲鳴を上げています。高品質、食味の良い良質米生産に取り組む本県農業にとっては向かい風となります。
日本の農家で使用される肥料の原料のほとんどは輸入に依存しており、その原料が海外の穀物需要の高まり等によって高騰し、肥料の値上がりとなりました。今後は、化学肥料の原料に係る国際市況の影響を受けにくい
生産体制づくりを早急に進めるため、慣行の施肥体系から
肥料コスト低減体系への転換を進める必要があります。また
営農技術指導についても、従来の指導内容から転換することが求められます。
このような農業を取り巻く環境の変化に当たり、国の経済対策による補正予算等を活用し、農業事業者を支援すべきと考えますが、横田副知事に伺います。
農地は、食料生産の重要な資源でありますが、現実として高齢化や後継者がいないなど、農業が継続できない問題があります。
2014年度から本格実施された
農地バンク制度は、農地の貸し借りを仲介する制度であります。すなわち後継者がいない農家から
農地中間管理機構が農地を借り上げ、それをまとめて大規模農業者に貸し出すというシステムです。
農地中間管理機構が間に入り、個人間の賃借契約はありませんので、その点では農地を出す側も受ける側も安心です。出す側は固定資産税を賃料で補えますし、受ける側は農業経営の規模拡大、生産性向上につながり、農用地利用の効率化が図られるものであります。
しかし、農業する人の減少で受け手がなかなか現れない、農業生産の不利な農地には手が届かないなど、条件は年々厳しくなっています。
農地中間管理機構の創設以降、本県では農地集積に高い目標を掲げておりましたが、これまでの取組の成果をどのように評価しておられるのか、また今後どのように取り組まれるのか、
農林水産部長に伺います。
農地バンク制度は、受け手にメリットが大きいと言われていましたが、最近の農業情勢の変化から受け手の大規模農業者からは、そのような声は聞こえてきません。例えば
農地中間管理機構が農地を借り上げる期間は、原則5年以上とされており、今後、契約満了に合わせ、出し手の事情により農地が提供できなくなり、受け手の営農に支障が生じるリスクが考えられます。
農業者の減少や高齢化が進む中、受け手を支援する方策が必要だと考えますが、
農林水産部長の所見を伺います。
次に、教育環境の改善について伺います。
2020年度、全国の小中学校で不登校の児童生徒が19万6,000人を超え、過去最多となりました。また本県においても、5年連続で過去最多を更新しております。コロナ禍で孤立感を深める子供たちが増えていると、
新型コロナウイルスの影響を指摘する声があります。本県の実態をどのように認識しておられるのか。
また、県内において、不登校から学校生活に復帰する子供の割合は、小学校で3割、中学校で5割程度であるとされており、未然防止の対策強化が必要であります。教員の早い段階での対処や、
スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの増員等、相談体制の充実が必要と考えますが、今後、不
登校児童生徒を出さない対策にどのように取り組むのか、荻布教育長に伺います。
学校に行けない子供やその保護者にとっての心配事は、学習の遅れではないかと思います。そこで有効とされるのは、小中学校に配備された1人1台の学習用端末を使った
オンライン授業となるわけですが、家庭への持ち帰りを認めるかどうか、まだちゅうちょしている自治体もあるようです。
それは、端末を介したいじめやトラブルが懸念されるからであります。実際にネット上のいじめは年々増えており、他県では、端末の
セキュリティー対策が不十分で、本来学習のために使われるべき端末が、いじめの道具となる悲劇が起きています。SNSなどを用いたいじめは、外部から見えにくい、匿名性が高いといった性質があるため、学校が認知し切れていない可能性があります。
せっかくICTで開けた学びの可能性を、ここでつまずかせてはならないと考えますが、端末の
セキュリティー対策の徹底にどのように取り組むのか、教育長に伺います。
教員の働き方改革については、各学校が工夫しながら推進されていますが、これまでの経過を伺っておりますと、超過勤務時間という指標においては下げ止まりの傾向があると認識しております。
ここまで来ますと、学校現場における業務見直しだけでは限界があります。例えば中学校の場合、教員の勤務時間は8時15分から16時45分でありますが、生徒は7時30分から7時45分にかけて登校し、部活動を終えての下校時間が17時15分となるのは、運営自体、最初から不自然であります。
2交代制での対応も考えられますが、子供と向き合う時間を大切にすべき教員の立場からすると、現実的ではないと思います。また学校開始時間を遅らせ下校時間を早めれば、保護者、地域の理解を得られにくいと考えます。
したがって、教員の超過勤務を是正するには、学校現場の裁量だけでは難しく、
県教育委員会が中心となって抜本的な見直しを進めるべきと考えますが、教育長の所見を伺います。
最後にもう一点、超過勤務に関して伺います。
教員には時間外勤務手当は支給されません。時間外勤務手当の代わりに、給料月額の4%を基準とする教職調整額が支給されています。この月額4%という数字は、昭和41年度の
文部省実態調査で明らかになった、月8時間の超過勤務に相当する金額として算出されたものです。つまり教員という仕事は、残業が避けられない、月8時間ほどの残業が生じてしまうのは仕方がない、なので初めから、それに相当する分の金額を給料に含めておこうというわけであります。
しかし、現在の教員は、月8時間をはるかに超える時間外勤務をこなしており、その分の手当は支給されませんので、
サービス残業のようなことになっています。ここにも学校現場の実態に合わない現実が広がっています。
この教職調整額は、法律では、条例で定めるところによりとされていますので、都道府県の裁量で支給率をアップさせることが可能ではないかと考えますが、荻布教育長の所見を伺い質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
7 ◯議長(五十嵐 務君)新田知事。
〔
知事新田八朗君登壇〕
8 ◯知事(新田八朗君)
瘧師富士夫議員の御質問にお答えをします。
本日、5人続かれる
自由民主党富山県議会議員会の露払いと自らおっしゃいましたが、露払いとおっしゃるにはとても重たい質問が続きました。しっかりとお答えさせていただきます。
まずは、知事としてのリーダー像についての御質問にお答えをします。
私は、リーダーには様々なスタイルがあると考えます。また1人のリーダーが1つのスタイルだけではなくて、その局面に応じて様々な
リーダーシップが求められる、そんな多様な時代でもあるというふうに考えます。
私が知事に就任して以来、新型コロナや大雪など様々な
危機管理事案に直面をしました。このような場合、県民の命あるいは暮らしに関わる緊急で重大な事案に関する判断を要する場面では、やはりここはトップダウンで引っ張る、そんな
リーダーシップが必要になると考えております。
例えば、具体的には
ワクチン接種、菅前総理が1日100万回を提唱されました。それなら富山県は1日1万回だということで、職員の皆さんにお願いをしたところでございます。幸い、市町村の御努力、また医療関係者の御努力、そして市町村の様々な知恵によって、ピークでは週に8万回も実現をすることができました。
また一方で、多様な意見を取り込んで物事を進めていくのが今の時代、
ダイバーシティー&
インクルージョンの時代に求められるリーダー像ではないかと考えます。
県庁というとても大きな組織の中で、知事が権限を独占し、何でも自分で決めて部下に指示するのではなく、権限を分散し移譲して、職員がチャレンジをしやすい環境を整え、指示待ちではなく主体的に職員が取り組む、そんなマインドを醸成していくことが重要であり、持続可能な組織の運営につながっていくというふうに思っています。
例えば、結構有名になってしまいましたが、県庁内ではさんづけで呼び合いましょうという、そんなことでフラットな関係づくり、これがスムーズな
コミュニケーションを促すというふうに信じていますし、また
サンドボックス予算という新しい試みも、本年度、議会でお認めをいただき、今、有意義に使われています。このような新しい県庁の在り方につながっていく様々な試みも、リーダーとしてやっているところでございます。
引き続き、職員の皆さんには、県民目線、スピード感、そして現場主義、これらの徹底をしっかりと言い続けながら、私の考えや思いを伝えるとともに、
コミュニケーションを様々な形で深めながら、職員の皆さんとワンチームとなって、そしてまた議会の御指導もいただきながら、県政運営を進めてまいりたいと考えております。
次は、DX・働き方改革の推進についての御質問にお答えします。
瘧師議員御指摘のとおり、先般、基本方針、そして
アクションプランを策定いたしました。県民の真の幸せを追求していくために、やはりDXや働き方改革が必要です。これを加速させていかなければなりません。
おおむね3年後のありたい姿である5つのビジョンの実現を目指しまして、県庁として
チャレンジ重視の意欲的なKPIも設定し、10の
リーディングプロジェクトを推進してまいります。
具体的には、国が進めようとしておられます
デジタル田園都市国家構想を、我々も、追い風として帆を張ってしっかりと受け止め、新たに創設される交付金などを最大限活用しながら、約6,000件ある県庁の行政手続のうち、令和5年度末までに全ての補助金、交付金を含む5,300件の電子申請化を図るほか、
デジタルデバイド対策を推進し、県民の利便性を向上し、また誰一人取り残さないデジタル化を進めてまいります。
また、情報を発信する事業において、コンテンツの制作に加えて、伝えることを強く意識し、むしろ伝わらなければ意味がない、それぐらいに徹底をしてまいりたいと考えております。その情報が届いたかどうかを検証するため、制作には3、伝達には6、検証には1の割合で取り組む、いわゆるサーロインの法則を徹底し、必要な方に必要な情報はしっかりと届けるようにしてまいります。
そして、医療、福祉、防災など様々な分野で現場の課題を掘り起こし、デジタル技術や
オープンデータを活用して地域課題を解決するなど、地域の
デジタル実装を進め地域の活性化を図っていきます。
このような具体策を考えています。
また、新設をしました
DX推進目安箱に寄せられる意見や御提言に耳を傾けるとともに、PDCAを回して成果を検証し、必要に応じてもちろん見直しを行い、
プロジェクトをより進化させていきます。
今後も、県民目線に立ち、誰一人取り残さない人に優しいDXの実現に向け、スピード感を持って取り組んでまいります。
私からは最後になりますが、城端線、氷見線のLRT化についての御質問にお答えします。
城端線、氷見線のLRT化など新しい交通体系の検討について、沿線の4市、JR西日本と共に城端線・
氷見線LRT化検討会を組織し、これまで計3回開催してまいりました。
これから、LRT化や直通化などに要する事業費、あるいは技術的な課題の整理などを行うこととしておりますが、先般開催した第3回目の検討会では、複数の沿線市から、LRT化する場合のコスト、環境負荷の低減、利用促進が期待できる手法や、LRT以外の交通体系についても幅広く調査し、比較検討していく必要があるとの意見が上がりました。
議員からは福井県の事例も御紹介いただきました。地域にとって最も適した交通体系を実現していくために、ほかの地域の導入事例、成功事例なども参考にし、一方で地域の実情はしっかり踏まえて様々な手法を調査して、それらのメリット、デメリットを十分に比較検討していくことが大切であると考えています。
このため、先日の検討会においても、沿線市の意見を踏まえ、様々な交通体系について今後幅広く検討し、LRT化との比較検討を行っていくことで合意したところであります。
富山県としては、城端線、氷見線のLRT化は、県西部の活性化に向けた重要な
プロジェクトであり、夢のあるものだと思います。また高齢化社会の中で重要性を増してくる公共交通ネットワークの維持は、県にとっても大きな課題であると認識しています。一方で、やはり将来にわたって持続可能な運営が可能であるかどうかという点も十分に留意して進める必要もあると考えています。沿線4市、JR西日本とも連携を図って検討を進めてまいります。
そして、最近、私のところには、経済界からも様々な意見をお聞きするようになってきました。これはタイミングを見て、しっかりと経済界の御意見もお聞きする場を検討してまいりたいと考えております。
以上です。
9 ◯議長(五十嵐 務君)蔵堀副知事。
〔副知事蔵堀祐一君登壇〕
10 ◯副知事(蔵堀祐一君)私からは、中山間地域の活性化に関する御質問にお答えをいたします。
御指摘のとおり、地域資源を生かし自立・分散型の社会の形成を目指します
地域循環共生圏の理念は、中山間地域においても、持続可能な新たな地域社会の形成を目指します本県の中山間振興条例及び中山間地域創生総合戦略が目指します方向性と一致するものでございます。中山間地域の課題解決に取り組むことは、
地域循環共生圏の実現にも資するものと考えております。
県では、中山間の総合戦略に基づきまして、集落支援の推進や生活に必要なサービスの確保など、中山間地域の活性化に向けて各種取組を進めてきております。それぞれの地域で取組を円滑に進めますためには、住民に身近な市町村との連携が必要不可欠だと考えております。
このため、例えば、地域活性化に向けた第一歩は住民の話合いでございますけれども、県の地域コンシェルジュが地域を訪問いたしまして、住民の皆さんの話合いを支援する際には、市町村の職員にも同席をいただいております。
また、耕作放棄地を利用したサツマイモの生産拡大を砺波市と連携して支援してきておりますし、中山間地域におけるドローンを活用した食料品等の配送の可能性を検討いたします実証実験につきましては、南砺市との連携協力の下、実施をいたしてきております。
このように、地域や地元市町村と連携した取組が行われるように努めてきているところでございます。
今後も、市町村と緊密な連携を図りながら、総合戦略に基づく中山間地域の活性化に取り組みますとともに、地域循環型共生圏の実現に寄与できるよう、しっかりと努めてまいります。
以上です。
11 ◯議長(五十嵐 務君)横田副知事。
〔副知事横田美香君登壇〕
12 ◯副知事(横田美香君)私からは、農業者の現状、特に肥料の値上がりについての御質問にお答えいたします。
瘧師議員御指摘のとおり、在庫の拡大などにより米価が下落していること、肥料原料となる尿素やリン酸アンモニウムの最大の輸出国である中国が国内需要を優先する政策を示したことから肥料価格が上昇するなど、農業経営において厳しさが増していると認識しております。
こうした状況を受け、今般国が公表した令和3年度補正予算案では、米の需給及び価格の安定に向けた事業に加えまして、肥料などの資材価格の低減対策として、堆肥の活用や肥料コストを低減する技術体系の転換実証などに対する支援が打ち出されています。
県としましては、この国の補正予算案の内容を市町村や農業団体、農業法人などに説明し、活用の働きかけや調整を行い、予算を確保し、農業者を支援してまいります。
特に肥料につきましては、海外での需要動向の影響を極力小さくするために、県では、コシヒカリに比べて施肥量が2割程度少ない富富富の面積拡大、土壌診断に基づく施肥量の適正化、畜産事業者との連携による堆肥や発酵鶏ふんなどの有機物資材の活用、土づくりをし肥料を減らすための緑肥作物の利用などを、営農指導において重点事項として進めていきます。
現在、農政審議会におきまして、富山県の農業の将来を見据えて、農業・農村振興計画の見直しの時期議論が進められているところです。
こうした農業経営をめぐる厳しい状況を踏まえて、新しい計画を策定し、本県農業を担う生産者を支援してまいります。
13 ◯議長(五十嵐 務君)三
牧知事政策局長。
〔知事政策局長三牧純一郎君登壇〕
14 ◯知事政策局長(三牧純一郎君)私からは、ゼロ
カーボンシティ富山の実現に関する御質問にお答えさせていただきます。
ワンチームとやまの連携推進項目であるゼロ
カーボンシティ富山の実現につきましては、これまでに4回のワーキンググループを開催し、先進事例や法改正などの情報共有や、今後進めていく連携事業、そして共同啓発の事業の協議など、幅広く取組を進めてきたところでございます。
このうち、9月に、複数市町村で今後取り組んでいくべき連携事業について市町村から提案を募ったところ、砺波市から、富山型バイオマスサイクルの研究、構築という御提案がございました。これは瘧師議員の御提案と同様に、不要な樹木等を広域で回収しバイオマスに活用できる体制を模索することで、持続可能な社会を構築するという内容でございまして、多様な関係者が連携して地域課題の解決を目指すという
地域循環共生圏の考え方にも非常に近い、それに基づきましたカーボンニュートラルへの取組であると考えています。
具体的には令和4年度からの研究を開始するという御提案でありまして、10月下旬のワーキンググループで提示されましたことから、今後、関心を持つ市町村が連携し研究を進めていくように、県も全力で支援していきたいと考えています。
県といたしましては、今後も、このゼロ
カーボンシティ富山の実現のワーキンググループの場をしっかり活用しながら、引き続き市町村と十分連携いたしまして、カーボンニュートラルの実現に取り組んでまいります。
15 ◯議長(五十嵐 務君)
助野地方創生局長。
〔地方創生局長助野吉昭君登壇〕
16 ◯地方創生局長(助野吉昭君)私からは、城端線、氷見線のLRT化についての御質問にお答えいたします。
城端線・
氷見線LRT化検討会では、これまで地域の実情や利用実態を踏まえた調査や、沿線のまちづくりの取組などの議論を着実に進めてきたところでございます。
今後、持続可能な運行に向けた議論を深めるためには、費用面の検証が必要と考えておりまして、高頻度運行や新駅設置によって必要となる車両数の増加や対向列車との待ち合わせ施設の増加等も考慮の上、LRT化等に要する
イニシャルコストについて調査を行うこととしております。
また、今後は、沿線市の意見も踏まえまして、先ほど知事からも答弁がございましたけれども、LRT化との比較検討を行うため、様々な交通体系についても幅広く検討することとしておりまして、これらの検討を基に、実現可能な方策についての議論をさらに進め、導入後の費用について調査するための前提条件が一定程度整理された段階で、沿線市の意見を踏まえた上で、ランニングコストについても調査を検討したいと考えております。
城端線、氷見線において、地域にとって最も適した交通体系が実現されますよう、地域の実情や利用実態、沿線市におけるまちづくりの検討状況などを踏まえつつ、持続可能性の確保の観点にも十分に留意しながら、引き続き沿線市やJRと役割分担、連携を図って、しっかりと取り組んでまいります。
以上でございます。
17 ◯議長(五十嵐 務君)
堀口農林水産部長。
〔
農林水産部長堀口 正君登壇〕
18 ◯
農林水産部長(堀口 正君)私からは、まず、主食用米から他の作物等への転換についての御質問にお答えいたします。
転換作物の拡大等に交付されます産地交付金につきましては、本県の活用実績は、近年、約20億円で推移しており、戦略作物助成等の支援策なども活用いたしまして食用米からの転換を図っております。令和2年産では、大麦で約3,200ヘクタール、大豆で約4,300ヘクタール、野菜等の高収益作物では約3,700ヘクタールなど、水田の約3割で転換が行われております。
また、最近では輸出用米や飼料用米の転換が進んでおりまして、例えば3年前の平成30年と比較しますと、輸出用米で200ヘクタール、飼料用米で720ヘクタール、それぞれ増加しているなど、地域の主体的な魅力ある産地づくりに十分活用されているものと認識をいたしております。
令和4年産の米の生産目標については、今月3日に開催いたしました
県農業再生協議会で、作物別生産方針と併せて議論いたしまして、今年の米の作付実績から650ヘクタール削減、麦、大豆や需要の高い飼料用米、タマネギ等の高収益作物への転換を推進することを決定しました。
今後、JAや市町村、地域の農業再生協議会と連携いたしまして、生産者に周知を図りますとともに、転換に向けた取組を支援することとしております。
主食用米からの転換、
水田フル活用の推進には、産地交付金等の予算確保が重要であります。先月、知事から中村農林水産副大臣に、関連予算の確保と本県への配分等を要望したところです。
今般の国の経済対策では、水田リノベーション事業の前倒し、増額なども打ち出されており、こうした国事業の活用や県独自の支援策も講じながら、非主食用米や高収益作物への転換を促進してまいります。
次に、農地集積に対する評価と今後の取組についての御質問にお答えします。
本県では、持続可能な農業構造の確立に向け、担い手への農地集積率90%を目標として推進してきており、令和2年度末では66.5%、
農地中間管理機構設立前の平成25年度末の50.7%から7年間で15.8%増加しております。増加率は全国5位となっております。また機構による令和2年度末までの貸付け実績は9,130ヘクタールで、耕地面積に占める比率は15.7%、全国3位であり、一定の成果が出ているものと考えております。
農地集積状況を地域別で見ますと、大規模な経営体の育成が図られ集積が進んでいる地域がある一方で、中山間地域など、いわゆる農業生産を行うには不利な条件の地域を中心に、集積が伸び悩む傾向にございます。
こうした状況を踏まえ、県としましては、地域特性を踏まえた農地集積率目標を掲げることとして、平場、比較的平たんな耕地が広がっている地域は引き続き90%、中山間地域や都市近郊地域は75%に変更し、県全体として80%とする方向で、県農業・農村振興計画の見直しの中で御議論いただいております。
今後、さらに市町村へのキャラバン等を通じまして農地中間管理事業の活用を働きかけますとともに、圃場の大区画化等の農地整備事業に合わせた機構による農地集積や、中山間地域等の条件が不利な農地でのあぜ倒しや用水路の補修等による集積支援などを進めることとしております。引き続き機構や関係機関と連携し、担い手への農地集積に取り組んでまいります。
私からは最後になりますが、農地集積の受け手に対する支援についての御質問にお答えします。
農地集積の受皿となる担い手が安定的な経営を行っていくためには、作物の作付や圃場の土壌改良などを計画的に取り組めるよう、長期間で農地を借り受けることが重要であります。このため本県では、
農地中間管理機構が扱う農地の借受期間について、できるだけ長く10年以上の権利設定を進めており、令和2年度までの実績では9割以上が10年以上となっております。
機構による転貸事業が開始されてから10年目となる令和6年には、当初権利設定した農地の多くが期間満了を迎えることとなります。機構では、円滑な更新が図られ、担い手の耕作が継続できますよう、昨年から期間満了の1年前に、担い手に対して更新手続を進めるよう通知し、早期に地権者の意向確認等を行っていただくこととしております。
また、仮に地権者の事情などにより、農地の借受けが更新されないような場合は、当該地区の人・農地プラン等を踏まえながら、機構が、市町村、農業委員会、JAと連携し、必要に応じて貸付け可能な別の農地を紹介するなど、担い手の農業経営に支障が生じないよう取り組むこととしております。
県といたしましては、機構や関係機関等と連携しながら、農業機械等の整備や条件不利農地の改修等への支援などにより、農地集積の受け手である担い手の経営基盤強化を図りますとともに、農地中間管理事業の安定的な運用に努めまして、地域農業の持続的発展に取り組んでまいります。
以上でございます。
19 ◯議長(五十嵐 務君)荻布教育長。
〔教育長荻布佳子君登壇〕
20 ◯教育長(荻布佳子君)私からは、まず不登校の実態と対応についての御質問にお答えいたします。
国の調査によりますと、令和2年度における小中学校の不
登校児童生徒数は、令和元年度と比較して全国、本県とも増加しており、過去最多となりました。その原因としましては、コロナ禍において従来とは生活のリズムが変わったこと、また学校生活でソーシャルディスタンスの徹底により子供同士が交わる機会が減少したことで、児童生徒は様々な悩みや不安を抱えながら、少しずつ孤立感を深め、登校する意欲が湧きにくくなり、結果として、欠席が長期化するというケースが少なからずあるのではないかというふうに考えております。
各学校では、これまでも児童生徒一人一人の様子や人間関係の状況をよりきめ細かに把握し、悩みや不安などの小さなサインを見逃さないよう未然防止に努めております。
また、
県教育委員会では、今年度、不登校の未然防止や早期発見、早期対応のための教員向けリーフレットを新たに作成配付し、各学校における
スクールカウンセラーなどの専門家を交えたチームによるケース会議の開催を促すなど、一人一人の状況に応じて、全校体制による組織的、計画的な支援の充実が図られるよう努めているところでございます。
今後、この新たに作成したリーフレットなどを積極的に活用し、研修内容の充実を図りますとともに、
スクールカウンセラーなどの専門家の配置の充実や専門家との連携強化を図るなど、相談体制の充実に努めてまいります。
次に、タブレット端末を介したトラブルの防止についての御質問にお答えします。
1人1台端末の整備に伴い、端末を介したいじめなどのトラブルが起こらないよう、多くの市町村では既にIDやパスワードについて適切に設定をしており、年内には全ての市町村で対応が完了する予定となっております。
また、
コミュニケーションツールの活用に当たっては、全ての市町村において、使用時のルールについて児童生徒への指導を徹底し、中には、ツール使用時は教員が管理する設定にするなどの工夫も見られるところでございます。加えて端末の使用時には、児童生徒の端末を介しての情報漏えいや不正アクセスの防止などに向けて、適切に
セキュリティー対策を講じていると聞いております。
県教育委員会では、教員のネットリテラシー向上を図りますため、これまでも情報活用能力や情報モラル、トラブル対応などのリスクマネジメントについての研修を実施しております。また小中学校では、児童生徒自身がネットルールをつくる取組や講演会などにより、児童生徒のネットリテラシーの向上を図り、トラブルの未然防止に努めているところでございます。
今後、児童生徒の端末の使用頻度が増すとともに、予期せぬトラブルが発生することも考えられますことから、未然防止に向けた取組をさらに進める必要があると考えております。
県教育委員会としましては、教員研修の充実を図りますとともに、市町村教育委員会とトラブルやセキュリティーに関する最新の情報を共有し、適切な対応を取るよう取り組んでまいりたいと考えております。
また、保護者向けの研修会を開催するなど、教育委員会、学校、保護者で連携し、
セキュリティー対策と子供の学びの保障の両面からデジタル教育の環境づくりに努めてまいります。
次に、教員の超過勤務の是正についての御質問にお答えいたします。
県教育委員会は、これまで富山県立学校の教育職員の在校等時間の上限等に関する方針を策定し、市町村教育委員会とも連携しながら教員の働き方改革の推進に努めてまいりました。具体的には、学校に課す業務の簡略化や研修等の軽減、部活動指導員などの外部人材の活用、作品募集などの関係団体への削減協力依頼、保護者や地域に対する協力依頼のリーフレットの作成配布などに取り組んでまいりました。
また、各学校においても、会議の効率化や行事の精選、部活動時間の短縮、学校閉庁日やノー残業デーの設定などに取り組んできたところでございます。
こうした取組により、教員の各月の時間外勤務は、春先の臨時休校がなかった一昨年と比べると減少傾向にはありますものの、多くの校種で依然、上限時間の45時間を上回っている状況でございます。
このため、
県教育委員会では、とやま学校多忙化解消推進委員会での議論、検証を踏まえ、本年度は、これまでの取組に加え、休日部活動の地域移行に向けた検討や試行、また、成績処理や分掌業務の効率化を図る統合型校務支援システムの令和4年度からの全県立学校での導入に向けた具体的な準備を進めております。
教員の多忙化解消は、教員の児童生徒に向き合う時間の確保はもとより、今後の教員確保に向けても喫緊の課題でございます。議員御指摘のとおり、さらなる抜本的な取組が必要であると考えております。
教員の大幅な増員は難しい中、今後とも市町村教育委員会や学校現場の声を聞き、地域や保護者の理解も得ながら、学校現場に課す業務や教員研修、学校行事のさらなる見直しなど、実効性ある取組を今後とも検討してまいります。
最後に、教職調整額についての御質問にお答えいたします。
教職調整額は、自発性や創造性に期待する面が大きい教員の職務の特殊性に基づいて、教員に時間外勤務手当を支給しないこととする代わりに、給料月額の4%に相当する額を支給するものでございます。
この支給割合については、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法、いわゆる給特法及び地方公共団体の条例に基づいて定められており、全国的にもこの支給割合を超えて支給している例はなく、現段階では県独自に引き上げることは難しいものと考えております。
ただ、この支給割合は、議員からも御指摘のありましたとおり、昭和41年度に文部省が実施した勤務状況調査の結果に基づき、当時の時間外勤務の月平均約8時間を根拠に設定されたものであり、最近、教員の時間外勤務に関する訴訟において裁判長が指摘もしておりましたが、現在の教員の勤務状況が給特法成立当時とは大きく乖離していることからしますと、現状に合わなくなってきている面があるのではないかというふうに考えております。
こうしたことから、
県教育委員会では、これまでも全国都道府県教育長協議会などを通じて、給特法の見直しや教員給与に係る処遇改善などについて国に要望を行ってきております。
先般、文部科学省が、来年度、教員の勤務時間などを調査する予定であり、その結果を踏まえ、給特法の法制的な枠組みを含めて検討するという報道もございましたが、
県教育委員会としては、今後こうした国の動きを注視しますとともに、引き続き給特法の見直しなどについて国へ要望をしてまいります。
以上でございます。
21 ◯議長(五十嵐 務君)以上で
瘧師富士夫君の質問は終了しました。
22 ◯議長(五十嵐 務君)酒井立志君。
〔14番酒井立志君登壇〕
23 ◯14番(酒井立志君)おはようございます。自民党の酒井立志でございます。11月定例会に当たり、さきの通告に従いまして4項目について質問いたします。
まず、1項目め、北陸新幹線延伸と地域公共交通計画についてであります。
11月9日、明治記念館で開催された北陸新幹線建設促進同盟会の総会に出席しました。この総会で、杉本福井県知事が会長に就任されました。北陸新幹線金沢開業は、日本海側沿岸地域の飛躍的な発展を図る上で、特にビジネス、観光の交流促進などに、私たちの想像以上の大きな効果をもたらしました。
令和5年の敦賀開業、さらに大阪開業に向けて、引き続き北陸地域に暮らし、ビジネスを行い、関わりを持つ私たちは、北陸新幹線をしっかりと活用し、その社会経済的効果を最大限に引き出す努力を継続していくことが必要であろうと考えております。
以下、北陸新幹線延伸と地域公共交通計画について併せて4点質問いたします。
初めに、北陸新幹線の敦賀開業が2年後に迫る中、石川県、福井県とも連携した広域的な観光誘客を進めながらも、両県との地域間競争に勝てるよう取り組むことが必要でなかろうかと考えます。
敦賀開業によって、北陸新幹線の特徴である温泉駅が新たに2駅誕生します。また北陸の冬の味覚、越前ガニ、加能ガニに負けない、安くて甘くておいしい高志の紅ガニがあります。今後、観光誘客に向けてどのような取組を展開するのか、地方創生局長に伺います。
2点目に、今後、敦賀開業により関西経済圏が一層近くなることから、富山県を基点に中京圏への南北軸、首都圏、関西圏への東西軸を基盤とする十字路構想を実現していくためには、関西地域の経済活動を富山に誘引し、ビジネス交流を活性化していくことが重要な鍵になるものと考えるが、どのような取組を行うのか、知事にお伺いをいたします。
3点目に、新田知事は、北陸新幹線建設促進同盟会の会長職は退任されましたが、副会長として、これまで同様、財源確保などの課題に力強く取り組んでいただきたく、また引き続き中心的な役割を果たすことで、本県と関西圏とのつながりも強固なものになるのではないかと考えます。
そこで、大阪までの延伸に当たっては、東京と大阪の中間点になる富山県の立場からも、引き続き中心となって、早期着工による計画の促進を積極的に働きかけていただきたい。知事に所見をお伺いいたします。
4点目に、先日の報道では、県は、昨年度の法改正で地域公共交通計画の策定が地方公共団体の努力義務になったことを受けて、年度内に法定協議会を設置して新たな計画を策定するとありました。
地域公共交通計画に求められる視点は、広域性の確保やまちづくり、観光振興などの地域戦略との一体性、また地域特性に応じた多様な交通サービスの組合せ、さらには住民の協力を含む関係者の連携など様々でありますが、私としては、特に地域住民の積極的な参加によって計画が策定され、市町村の意見を反映し、まちづくりと一体となった計画となることを期待いたします。
また、市町村をまたぐ幹線交通を踏まえ、県は広域的な視点で取り組み、幹線交通までのフィーダー的なつなぐ交通は市町村が中心に取り組んでいくものと考えますが、地域公共交通における県の果たす役割についても計画の中でしっかり整理していただきたい。またJR氷見線、城端線のLRT化と直通化の推進に当たっては、今定例会でもるる提案されておりますが、その検討に当たっても地域公共交通計画に反映すべきではないでしょうか。
そこで、地域公共交通計画には、どのような考え方で、どのような要素を盛り込むのか。また令和7年度以降、幹線バス等に関する国の補助金を受ける条件として計画の策定が必要となるが、策定スケジュールについて、地方創生局長にお伺いをいたします。
大きな2項目めは、図書館行政について質問いたします。
10月28日、サンフォルテにおいて、富山県図書館協会創立90周年記念講演で、講師の国立国会図書館国際子ども図書館館長、堀氏のお話を拝聴し、特に幼少期の読書の重要性を認識しました。
これを機に、図書館について調査研究しました。以下6点、荻布教育長に質問いたします。
初めに、文部科学省の調査で、小学生時代に読書量が多いほど、中学生、高校生になって授業が楽しく思える割合が高いことが分かり、幼少期の読書が将来に良い影響を与えることが改めて裏づけされました。
その内容は、2001年に生まれた子供2万4,000人以上を対象に毎年調査を実施しており、今回は7歳児、小学1年生に、「小説や絵本などを月に何冊読んだか」の質問への回答と、同じ子供が14歳、中学2年生になって「楽しいと思える授業がたくさんあるか」への回答が、どう関連するかを分析しています。その結果、小学1年生で「本を読まなかった」と答えた子供のうち、中学2年生になって「楽しい授業がある」と答えたのは66.8%でした。一方で月12冊以上読んだ子供のうち、中学2年時に「楽しい授業がある」と答えたのは74.1%です。
その結果、「楽しいと思える授業がたくさんある」の割合は、小学1年時の読書量に応じて上昇しており、高校生も同様の傾向が見られたとのことであります。また読書量が多い子供は、その後、「新しいことに興味があるか」などに関する質問に肯定的な回答が多かったとのことでもあります。
この調査結果について、教育長の所見を伺います。
岡山
県教育委員会は、今年度、公立中学校に通う生徒に1か月の読書数を聞いたところ、「1冊から2冊」が最も多く28%でありました。「1冊まではいかないが読んでいる」は22.7%、「5冊以上」は18.1%、「3冊から4冊」は15.2%と続いていきまして、「読んでいない」が12.8%であります。
当教育委員会は、2018年度に策定した第4次県子ども読書活動推進計画で、不読率を23年度までに8.6%とする目標を掲げているが、達成は難しい状況。そこで、
新型コロナウイルス禍で外出が制限される中でも本を借りることができ、読書習慣の定着につなげる狙いで、パソコンや
スマートフォンを使っていつでも電子書籍が読める中学生向けサイトを開設しております。
また、群馬
県教育委員会では、県民の読書活動の推進に関する条例に基づき、県民から読んでほしい本を募集して作ったブックリスト、本の扉をあけてみようを完成させました。
そこで、本県における小中学生の読書習慣の状況はいかがか、またその対策について、教育長に伺います。
公益社団法人日本図書館協会に所属する多文化サービス委員会は、2015年、全国の公立図書館等を対象に、多文化サービスの新しい動きがあるかどうか、サービスに当たって公立図書館が直面する課題は何かを探ることを目的に、多文化サービス実態調査を実施し、2017年3月にその結果のまとめを報告しています。
公立図書館は、地方公共団体が設置する社会教育機関であり、自治体と共に地域課題の解決に取り組むことが求められています。しかしながら、この調査により、自治体の多文化共生に関する施策等については、残念ながら大部分の図書館が、自治体と緊密に連携した多文化サービスを十分に展開していないといった状況が分かりました。
現状では、自治体内に国際化等を担当する部局や国際交流に関する団体があっても、図書館がその組織と意見交換や連携を行っているのは、図書館全体で約12%で、ほとんどの図書館では実施されていないということが分かりました。
その後、法改正があって状況は変化しているかもしれませんが、本県における県立図書館と15市町村の公立図書館の多文化サービスの状況と今後の対応について、教育長に伺います。
在住外国人の図書館ニーズを把握するために、当事者との懇談会や要望調査等を行ったことがあるかに対して、「事例がない」が85%を超え、突出しています。在住外国人のニーズを把握することが不可欠であるにもかかわらず、そのための活動が実際にはほとんど行われていないのが分かりました。
また、日本語が読めない在住外国人のために、母語による生活情報ガイドを発行している自治体は約3割でありますが、その母語による生活情報ガイドにおける図書館の紹介記事があるのは、そのうちの5割であります。専門家によると、多文化サービスの基本は、まずその存在やニーズに気づくことから始まるとしています。
そこで、県内在住外国人に対して、公立図書館の存在をもっと周知するとともに、その利用ニーズを把握することが必要と考えるのでありますが、教育長に伺います。
日本語教育の推進に関する法律が、2019年6月に公布、施行されました。同法第11条では、その施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針を定めるよう努めるものとする、となっております。
日本及び本県における日本語教室は、主に国際交流協会等が実施し、図書館での実施ケースは少ないのでありますが、例えば北欧等では、図書館による移民、難民への言語支援が盛んに行われているようであります。
図書館施設を使う日本語教室には、スペースや人員などの観点から対応できない場合があるにしても、教材の提供や日本語学習のための資料を使って調べたり、司書に尋ねたりできるメリットもあり、このような点から在住外国人の図書館利用につながると考えるのでありますが、いかがでしょうか、教育長に伺います。
昨年の決算特別委員会での富山県立図書館に係る指摘要望事項でありますが、検証の意味で質問いたします。
富山県立図書館の利用状況については、蔵書冊数、調査依頼件数は、人口規模で見ると全国中位以上の水準であり、この点は評価できますが、一方で来館者数は、人口規模の水準で見ても多いとは言えず、また近年、年々減少している状況であります。この背景には、情報化の進展をはじめとする社会情勢や県民ニーズの多様化があると考えられます。県民の多様なニーズを把握し対応することは、図書館の機能を果たす上でも重要であります。
また、県立図書館では、
アクションプランを定め、毎年度、運営に対する評価を行っているが、蔵書スペースも限界に近づいていることから、電子書籍の導入、他の自治体との連携等、その資料収集、保存の在り方も、中長期的な視点から計画的に検討していく必要があるということでありました。
そこで、県民の学習ニーズに広く応えるため今後の富山県立図書館の在り方について、教育長の所見を伺います。
3項目めに、拉致被害者の即時一括帰国を求めてであります。
11月13日、砂防会館にて1年ぶりに開催された、全拉致被害者の即時一括帰国を求める国民大集会に参加いたしました。被害者の救出を願う国民の声は、コロナ禍でも弱めてはいけないと強く感じました。救出実現を求める署名は1,500万筆を超え、また主要政党全てが全拉致被害者の即時一括帰国の方針に賛意を表明しています。
昨日の北朝鮮人権侵害問題啓発講演会には、新田知事も御出席をされました。御多忙の中、お疲れさまでございました。
北朝鮮の現状は、経済危機は悪化しており、兵士らは食料が枯渇し、とうとう政府の最高幹部らへの物資供給も止まり、中央銀行は紙幣が刷れなくなって、偽造が横行して発行を止めるといった体制危機が悪化していると言われております。
よって、引き続き、先圧力、後交渉に基づき、何としてもこの厳しい制裁を背景にして、日朝首脳会談で全拉致被害者の即時一括帰国を決断へと持ち込みたいと思っております。新田知事に、全拉致被害者の即時一括帰国に向けての所見をお伺いいたします。
なお、集会では、12月10日から16日の北朝鮮人権侵害問題啓発週間中に、全ての閣僚、国会議員、地方自治体首長、地方議員の全員、また多くの国民が、ブルーリボンをつけて救出への意思を示そうと決議されました。今後も北朝鮮による日本人拉致問題への理解をさらに深める必要があろうかと考えます。
文部科学省は、全国の小中高校に対して、拉致被害者御家族ビデオメッセージや、アニメ「めぐみ」の上映を働きかけておりますが、本県における状況と対応方針について、教育長の所見を伺います。
最後の質問になります警察機動センターについて質問いたします。
11月8日、県交通機動隊舎を委員会県内行政視察として訪問させていただきました。この交通機動隊舎の老朽化には驚き、ひび割れ、雨漏りなど、昭和時代の日本が貧しかった頃を思い出しました。一日も早く機動センターの竣工が待たれるところであります。
視察の際に、災害で活躍するオフロードバイクの訓練を見ましたが、現在の訓練コースには排水管や瓦礫など、都市災害を想定した訓練コースとなっておりますが、新たな機動センターでも、オフロードバイクの訓練コースは充実させる必要があろうかと考えております。女性の白バイ隊員も紹介していただきました。
そこで、新たな警察機動センターについては、オフロードバイクの訓練コースや、女性隊員の勤務環境を十分に配慮した更衣室やトイレの整備が求められると考えております。今後の整備計画と併せて、警察本部長にお伺いいたしまして私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
24 ◯議長(五十嵐 務君)新田知事。
〔
知事新田八朗君登壇〕
25 ◯知事(新田八朗君)酒井立志議員の御質問にお答えします。
まず、関西地域とのビジネス交流についての御質問にお答えします。
北陸新幹線の敦賀、さらには大阪延伸を本県経済の発展につなげるには、おっしゃるように、関西圏の経済活動を本県へ取り込んでいく、誘引する、そのようなことが大切です。
本県では、これまで関西圏とのビジネス交流の試みとしまして、県内企業の受注促進を目的とした大阪での商談会の開催、これは平成14年以来続いておりまして、累計で2,624件の引き合いがあり、153件の商談が成立しています。また県内企業の商談機会創出を目的とした、ものづくり総合見本市における関西圏企業からの出店を促進してまいりました。令和元年には関西から14社です。それからまた令和3年、今年度はコロナ禍の影響もあり、関西から4社の出展がありました。
そして、本県への企業誘致のため、大阪事務所と担当部局が連携し、本県ゆかりの企業をはじめとした関西圏企業へのきめ細かな訪問活動、関西圏での企業立地セミナーの開催により、本県の優れた立地環境のPRなどに取り組んでいるところです。
先月18日にも、大阪市内で企業立地セミナーを開催しました。この中で、日本海側屈指の産業集積や勤勉で進取の気性に富む県民性、また恵まれた生活環境など、本県が企業立地の場所として大変にアドバンテージがあるということを、私自らアピールをさせていただきました。
当日、基調講演をいただいたのは関西経済連合会の松本正義会長──住友電工の会長さんでもいらっしゃいますが、会長からは、北陸新幹線の大阪延伸に向けて共に取り組みたい、これまでも要望活動はいつも御一緒に終始付き合っていただいております、そのような方ですが、そして松本会長からは、関西・北陸大経済圏を創りたいという力強い、頼もしい御発言もいただいたところです。
今後も、県民、民間企業、市町村、経済団体がスクラムを組んで、関西圏とのビジネス交流を推進し、富山県が北陸の十字路として地方の時代のトップランナーになるように努めてまいります。
次に、北陸新幹線の大阪延伸についての御質問にお答えします。
北陸新幹線は、これまでも観光客の増加、企業誘致の進展、Uターン率の向上、移住の増加など、大きな経済効果をもたらしてきました。大阪までの延伸が実現すれば、さらなる経済効果が期待されるとともに、先ほどの質問にもありましたように、関西圏等との連携強化から生じる新たなビジネスや文化の創出、観光をはじめとする交流人口の拡大につながる大きなチャンスと捉えています。
現在、敦賀─大阪間についての検討を進めている与党の整備委員会では、建設財源の確保のほか、環境アセスメントの遅れ、また建設発生土の受入先確保など、様々な課題についても指摘されているところであります。こうした困難な課題を乗り越えて、一日も早い大阪までの延伸を実現するには、関西の自治体、経済界などと、これまで以上に一体となって機運を盛り上げていくことが重要だと考えています。
このたび、私は建設促進同盟会の会長は退任をしましたが、引き続き金沢─敦賀間の令和5年度末までの確実な開業、そして敦賀以西大阪までの早期着工、早期全線整備を政府などに強力に働きかけていく必要があります。
このため、昭和42年の北回り新幹線建設促進同盟会設立以来、会長県として長年にわたり培ってきました建設財源の確保や地方負担の軽減などの様々な課題に対応してきた経験、また人的ネットワークも生かしつつ、新しい会長の下で、本県も積極的に役割を果たしながら、関西圏との結束を強めるための取組を進めてまいり、国会議員の先生方、また県会議員の皆様、経済界のお力添えもいただきながら、沿線一体となって全力で取り組んでいくことが大切だと思いますし、そのようにやってまいりたいと考えます。
私からは最後になりますが、北朝鮮問題についての御質問にお答えします。
北朝鮮による拉致問題については、発生から44年以上の長い年月が経過していますが、多くの被害者の帰国は実現しておらず、また県内においても、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者が20名おられます。すなわち本県にとっても身近で、今でも続いている重要な問題であると捉えています。
こうした中、先月開催された全拉致被害者の即時一括帰国を求める国民大集会では、岸田総理が出席され、挨拶の中で、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に向けて、自ら先頭に立ち、政府を挙げて全力で取り組んでまいる、との強い姿勢を表明されたと報道されています。本県からも、酒井議員はじめ、この大集会に多くの県議の皆様も御参加されたことと聞いています。
県では、12月10日から始まります北朝鮮人権侵害問題啓発週間に合わせまして、例年、北朝鮮人権侵害問題啓発講演会を開催しております。ちょうど昨日も、富山県、また地方議員連盟、そして救う会富山、3者の共催で開催をしました。県地方議員連盟の皆様をはじめ、多くの県民の参加を得て、拉致被害者家族の横田拓也さん、救う会全国協議会の西岡力会長、お二方に御講演をいただき、救出に向けて思いを強くしたところでございます。
特に、横田めぐみさんの実弟である拓也さんの話は、昨日まで一家の団らんの中心だっためぐみさんが、今日家に帰らず、それ以来、横田家の食卓はいつも沈痛な空気に沈んでいたというお話。また、昨年来のコロナ禍で、拓也さん自身の啓発活動がなかなか思うに任せなかったこと。これによって、お姉さんのこと、また拉致被害者のことが風化をしていくのではないかと、とても気をもんでいた、そのような話が深く心に響きました。
県としましても、拉致問題の一刻も早い解決のために、引き続き国や関係の方々と十分連携協力しながら、全拉致被害者の即時一括帰国に向けて、県内の世論を盛り上げることにより毅然たる政府の対応の後押しをしていく、また全国知事会にも訴えて力強く取り組んでまいりたい、先頭に立って頑張りたいと考えております。
26 ◯議長(五十嵐 務君)
助野地方創生局長。
〔地方創生局長助野吉昭君登壇〕
27 ◯地方創生局長(助野吉昭君)私からは、北陸新幹線延伸と地域公共交通計画についての御質問のうち、まず観光誘客についての御質問にお答えいたします。
北陸新幹線の敦賀開業におきましては、関西方面等から北陸への誘客拡大が期待されますことから、北陸3県やJR等が連携し、大都市圏からの誘客キャンペーンの開催、それから観光季刊誌の首都圏、関西圏主要駅での配架を行っておりますほか、令和6年秋の北陸DC(北陸ディスティネーションキャンペーン)の誘致に向けまして、北陸3県が連携して準備を進めているところでございます。
また、来年、東京都内で開催が予定されております観光イベント、ツーリズムEXPOジャパンへの北陸3県による共同出展や、令和6年春の広域観光ガイドブックの発行など、北陸エリアの広域観光促進や北陸の一体感の醸成に、3県が連携して取り組むこととしております。
さらに、御指摘のとおり、連携した取組に加えまして、本県の優れた観光資源を磨き上げPRすることにより、地域間競争にも勝てるようにすることが必要でございます。
このため、敦賀開業と同じく令和6年に予定されております黒部ルートの一般開放に向けまして、旅行商品の企画やガイド養成等の準備を進めておりまして、これは北陸新幹線と立山黒部アルペンルート、黒部峡谷鉄道を組み合わせた新たな広域周遊ルートの形成につながりますことから、本県の山岳観光の魅力をアピールする絶好の機会としたいと考えております。
また、富山ならではの魅力であります、ユネスコ無形文化遺産に登録されました高岡御車山祭等の伝統文化、国のナショナルサイクルルートに指定された富山湾岸サイクリングコース、それから富山湾寿司など、多様な歴史、文化、美しい自然景観、豊かな食を大都市圏や近隣県でPRし、富山県を選んでいただけるよう観光誘客に積極的に取り組んでまいります。
次に、地域公共交通計画についての御質問にお答えいたします。
県では、策定から約5年が経過し、地域交通を取り巻く社会の変化に必ずしも十分に対応できなくなっている富山県地域交通ビジョンを見直し、今後、公共交通に関する法定計画であります地域公共交通計画を策定していくこととしております。
この計画に盛り込む内容につきましては、新たに設置する法定協議会で議論していくこととなりますが、主な論点といたしましては、1つには、人口減少社会における地域公共交通の持続可能性の確保、2つには、デジタル化やICTなど新技術の活用、3つには、ウイズコロナ、
アフターコロナを見据えた地域公共交通の構築など、こういったような観点が想定されると考えております。
また、県、市町村及び事業者等の役割分担なども議論する必要があると考えておりまして、まちづくりの主体であります市町村をはじめ、関係者の意見も十分伺いながら進めてまいりたいと考えております。
また、計画を策定するには、地域の現状、ニーズや将来の動向把握のための調査分析、調査結果を踏まえた法定協議会における課題の整理、それから整理した課題の解決に向けた施策の検討、さらには施策に関係する事業者等との調整やパブリックコメント等を通じた利用者等の意見聴取など、地域の実態を的確に捉え、実効性のある計画にするためのプロセスを経ていく必要がございます。
このため、計画の策定には一定の期間を要することになりますが、御指摘のとおり、幹線バス等に対する国庫補助の対象は、令和7年度の事業から地域公共交通計画に位置づけられたバス系統に限られる予定となっております。
このため、策定スケジュールは、この国庫補助の要件変更も念頭に置きながら法定協議会で検討していく必要があり、まずはできるだけ早く協議会を設置できるよう鋭意準備を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
28 ◯議長(五十嵐 務君)荻布教育長。
〔教育長荻布佳子君登壇〕
29 ◯教育長(荻布佳子君)私からは、まず読書の子供への影響についての御質問にお答えいたします。
酒井議員から御紹介いただきましたとおり、文部科学省の令和2年度青少年の体験活動の推進に関する調査研究の報告書によりますと、小学生の頃の読書冊数が多い子供ほど、中高校生で、楽しいと思える授業がたくさんあると答える割合が高くなっております。
子供にとって読書は、新しい発見をしたり、様々な疑似体験を通して考え方や視野が広がったりするなど、精神面での成長を促す効果がございます。そして、こうした心の成長が、授業においても様々な事柄、対象との出会いや、新たな価値観に触れることの楽しさというものに結びつき、授業を楽しいと思うことに結びつくというふうに考えられます。改めて読書は、子供の成長にとって重要な役割を果たすものであるというふうに認識をしております。
また、この調査では、子供の健やかな成長を確かなものにするためには、幼児期から読書以外にも多様な体験をすることが必要であり、体験の例として、遊びやお手伝い、自然との触れ合い体験などがあるとされております。
こうしたことを踏まえ、県内では、幼稚園などでの読み聞かせ、小学校での読書タイムなど、読書活動に取り組んでおります。さらに幼児教育施設の遊びを中心とした教育の展開や、小学校などでの野菜の栽培活動や、演劇鑑賞などの文化的な体験活動などを意図的、計画的に進めております。
今後とも、幼少期からの読書活動をはじめ、多様な体験を土台とした子供の成長を支える環境づくりの推進に努めてまいります。
次に、小中学生の読書習慣に関する御質問にお答えいたします。
県内の小中学校では、子供たちの実態に応じた読書の指導計画を作成し、例えば、朝や休み時間に読書タイムを設定しましたり、授業で計画的に図書室を活用したりするなど、学校教育全体を通じて本に親しむ機会を確保しております。
一方、令和3年度全国学力・学習状況調査によりますと、学校以外の読書について「全くしない」と回答した児童生徒の割合が、小学6年生で21%、中学3年生で45%となっており、中学生については全国よりも7.7ポイント高い状況となっております。
生涯にわたり読書に親しんでいけるようになるためには、幼少期から読書を楽しいと感じる体験を積み重ねることが大切であると考えております。
現在、県内の幼児教育施設や小学校では、地域ボランティアによる読み聞かせ、PTAによる良書の紹介、家庭と連携して取り組む親子読書などが行われているところでございます。また
県教育委員会では、幼児期から高校生までを対象に、絵本っておもしろい、ですとか、校種別の、すすめたい100冊の本、すすめたいふるさととやま100冊の本、などのブックリストを作成しており、県や総合教育センターのホームページに掲載をしております。また保護者向けのリーフレット家庭学習のすすめ、の中でも、家庭での読書習慣が身につくよう促しているところでございます。
県教育委員会では、今後、ブックリストの活用がさらに促進されますよう、市町村教育委員会、学校に改めて周知をいたしますとともに、PTA連合会とも連携し、保護者に対しても働きかけをするなど、子供の頃からの読書習慣の定着に努めてまいります。
次に、公立図書館における多文化サービスについての御質問にお答えいたします。
図書館における多文化サービスとして、通常のサービスや資料が利用しにくい外国人利用者の方に対して、その人に分かる言語とアクセスしやすい方法で情報を提供することは、地域社会での共生を進める上で重要であると考えております。
県立図書館におきましては、環日本海諸国を中心とする諸外国の各国語資料、約7,000点があり、館内の国際プラザで閲覧できるようにしております。また県立図書館では、英語、中国語、韓国語、ロシア語の多言語に対応した利用ガイドの提供を行っており、それらの充実を今後も図ってまいりたいと考えております。
県内の市町村立図書館においては、10の市町村で外国人利用者のための書籍を配架しておりますが、外国語に対応した利用ガイドの提供など、外国人の方の利用を促進するための取組はまだ少なく、多文化サービスは十分には整備されていない状況にございます。
国際化の流れの中で、在日外国人の増加が今後も見込まれます中、
県教育委員会としましては、県立図書館において、今後も外国語図書の蔵書の充実を図り、それらを利用しやすい環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
また、市町村立図書館に対しまして、今回の御指摘を踏まえ、図書館事務担当者会議などの機会を利用して、多文化サービスに積極的に取り組んでいる図書館の情報を共有してまいりたいと考えております。
次に、県内在住外国人の図書館の利用ニーズについての御質問にお答えします。
富山県に住む外国人住民の数は、この5年間で4,000人以上増え1万9,000人を超えており、多文化共生の取組の推進が重要となっております。
今後、図書館における多文化サービスを進めていくためには、御指摘いただきましたとおり、県内在住の外国人の方に対して、公立図書館のPRや図書館に対するニーズ把握に努めることが大事だと考えております。
現在、県内には17の日本語教室があり、
県教育委員会では、今後、庁内の関係課とも連携を取り、それらの教室を通じて、まずは県内在住外国人の方の図書館に対するニーズ把握ができないか探ってみたいと考えております。
また、県内在住外国人にもっと図書館を知ってもらえるよう、今後、日本語教室などの外国人の方が集まる場所での周知や、県立図書館のホームページによる情報提供について検討してまいりたいと考えております。具体的には現在の多言語に対応した利用ガイドに加えまして、難しい日本語を言い換えるなどした易しい日本語を使い、県立図書館の利用方法などを案内するリーフレットの作成やホームページ、SNSの活用などによる情報提供について検討をしてまいります。
次に、公立図書館における日本語教室の実施についての御質問にお答えします。
外国人の方の図書館利用を促進することは、日本語の学習の支援につながりますほか、日本の文化や生活のルールなど、外国人が日本で生活していく上で必要な情報にアクセスしやすくなるなど、多文化共生の取組を進めていく上でも有用であると考えております。
そのためには、外国人の方々に図書館を積極的に使ってもらうきっかけを増やすことが大事でありますことから、庁内関係課や県内の日本語教室と連携して、県立図書館で、例えば外国人の親子を対象とした読み聞かせを開催するなど、外国人の図書館利用の促進につながる取組ができないか、今後検討してまいります。
また、公立図書館において日本語教室を実施している事例は、御紹介のとおり国内ではまだ少ない状況ですが、先ほど述べました県内の日本語教室を通じたニーズ把握の際に、併せて外国人や関係者の方々のお考えを聞いてみたいと思っております。
今後とも、県内在住外国人も含め図書館利用を促進するため、市町村立図書館や関係機関などと連携して取り組んでまいります。
次に、県立図書館の在り方の検討についての御質問にお答えします。
少子高齢化、情報化が進展する中、県民の生涯学習へのニーズは多様化しており、県立図書館にも多くの機能が求められるようになってきております。このため県立図書館では、これまでもパソコン、
スマートフォンの普及や情報のデジタル化に対応し、インターネット上で県内の公立図書館や大学図書館の資料の検索や貸出し予約が行えるようにするなど、時代の変化に対応したサービスの提供に努めてきております。
また、今年の3月には、視覚障害などにより通常の印刷物での読書が困難な方々のために、図書を音声やテキストに変換した資料をインターネットで視聴できる視覚障害者等用データ送信サービスの提供を新たに開始し、利便性を向上したところでございます。また昨年度はコロナ禍で来館者数が減少いたしましたものの、インターネットによる蔵書検索者数は大きく伸びている状況にございます。
県教育委員会では、全国の状況などを調査しますとともに、有識者から意見を聞いたり、先進的な取組を行っている県外図書館を視察したりなどしております。これらを踏まえ、電子書籍の導入など県立図書館のDX化による機能向上や、書籍の収蔵能力に余裕がなくなりつつあることから、資料収集、保存の在り方などについて中長期的な観点で検討を進めているところでございます。
今後とも、高度化、多様化する県民の図書館サービスへのニーズに対応できるよう、市町村立図書館や他の施設とも連携しながら、図書館の機能向上、利便性の向上に努めてまいります。
最後に、日本人拉致問題に対する理解促進についての御質問にお答えいたします。
日本人拉致問題については、これが身近で起こり、過去のことではなく今も続いている問題であるということを、国民や県民がしっかり認識をし、風化させないことが重要であるというふうに考えております。
アニメ「めぐみ」は、県内全ての小中高校にDVDが配布されており、拉致被害者御家族ビデオメッセージにつきましても、今年度から視聴が可能となったことから、
県教育委員会では、市町村教育委員会や小中県立学校に対して、その活用について通知をいたしますとともに、小中学校校長会や県高等学校長協会に対して、DVDなどを活用し拉致問題の理解を深めるよう働きかけをしております。
これまでに、アニメ「めぐみ」を視聴し拉致問題の理解に取り組んだ学校は、小中高校合わせて、令和元年度は71校、令和2年度は69校で、今年度は、予定も含めて約150校で活用される見込みとなっております。
県教育委員会では、内閣府が主催する拉致問題に関する教員研修会に教員を毎年派遣しており、派遣後、県内の教員を対象とした研修会でその内容を伝達するなど、教員の拉致問題に係る人権課題意識の高揚に努めております。また毎年、学校でのアニメ「めぐみ」の活用状況を調査し、拉致問題についての取組促進を図っております。
引き続き、啓発アニメ「めぐみ」や拉致被害者御家族ビデオメッセージ等を活用した人権教育をさらに充実するよう、しっかりと取り組んでまいります。
以上でございます。
30 ◯議長(五十嵐 務君)杉本警察本部長。
〔警察本部長杉本伸正君登壇〕
31 ◯警察本部長(杉本伸正君)最後に、私からは警察機動センターについての御質問にお答えいたします。
議員御指摘のとおり、現在の交通機動隊庁舎は、築60年を経過しておりまして老朽化が著しいほか、耐震工事も施されていないことから、新たに富山市下飯野地内におきまして警察機動センターを整備し、交通機動隊庁舎の移転先とするとともに、県下一円において広域的に活動する機動警ら隊の拠点として活用することとしております。
新たに整備する警察機動センターは、鉄筋コンクリート造2階建て、延べ面積約1,650平方メートルの庁舎棟のほか、敷地内には車庫棟や白バイの訓練コースを整備するなど、事案発生時の初動対応力、機動力が十分に発揮できる施設計画となっております。
御質問いただきましたオフロードバイクの訓練コースにつきましては、大規模災害発生時における道路のひび割れや段差等、悪路走行に対応できるための訓練もできるよう、敷地内の一角に訓練場所を整備する予定でございます。
また、庁舎内には武道場や会議室のほか、現状、女性隊員が1名おりますけれども、女性用トイレや仮眠室、更衣室等を設けるなど、女性も男性も働きやすい職場環境に配慮した設計となっております。
今後の整備スケジュールでございますが、現在、入札手続を行っているところでありまして、順調に進めば年内に建設工事に着手し、令和4年度末の竣工を目指すこととしております。
以上でございます。
32 ◯議長(五十嵐 務君)酒井立志君。
〔14番酒井立志君登壇〕
33 ◯14番(酒井立志君)1点、地方創生局長に確認の意味で質問させていただきます。
地域公共交通計画の中に盛り込む要素として、るる御説明をいただきましたが、今、我々が注視している城端線、氷見線のLRT化、また直通化の計画について、この計画の中に反映させる必要があるのかどうかということについて質問させていただきます。よろしくお願いします。
34 ◯議長(五十嵐 務君)
助野地方創生局長。
〔地方創生局長助野吉昭君登壇〕
35 ◯地方創生局長(助野吉昭君)酒井議員の再質問にお答えいたします。
地域公共交通計画につきましては、これから法定協議会を設置して議論していくことになりますけれども、城端線、氷見線のLRT化の検討につきましては、別途、沿線4市とJRと検討会を設けておりまして、そこで議論しているということもございます。
ただ、いずれにしても、まちづくりの主体である市町村の御意見を伺いながら、まちづくりと連携してこの法定計画もつくっていくということにもなってまいりますので、そこは沿線市の御意見も伺いながら、この法定計画で議論すべきことはして、反映できるものは反映していきたいと、そのように考えております。
36 ◯議長(五十嵐 務君)以上で酒井立志君の質問は終了しました。
暫時休憩します。
午前11時51分休憩
───────────────────
午後1時00分開議
37 ◯副議長(武田慎一君)休憩前に引き続き会議を開きます。
川上浩君。
〔11番川上 浩君登壇〕
38 ◯11番(川上 浩君)私は、自由民主党の川上浩でございます。中堅を預かるということでありますので、寄り切られないように頑張りたいと思います。
3問について質問します。
まず第1問、ウイズコロナ、
アフターコロナ社会に向けてであります。この中で、コロナ対策について4問伺いたいと思います。
4,868人、死者52人、昨日現在の富山県の感染者数であります。新たなコロナ感染症の変異株──オミクロン株の感染拡大が脅威となってきております。感染力と危険度など詳しいことが分かっていませんが、監視体制を強化するとともに、私たちは定められたルールを守って、大幅な行動制限を受けることのないような生活を送らなければなりません。
これまでも、感染症の先行きが見えない中、即断即決を迫られてきた医療、介護、福祉の現場、そして停滞しそうになる地域経済の金融、財政面の思い切ったてこ入れにより、感染症がようやく踊り場にたどり着いたかと思えば、また新たな脅威と向き合わなければならなくなっています。
12月2日から3回目の
ワクチン接種が始まりました。さらに本日、追加補正予算として、健康上の理由などでワクチン未接種者が陰性証明をするためのPCR検査を無料化する事業などの事項が提案されました。現在、第5波が一段落しコロナ感染症が鎮静化するこの機に、対策の再検討が必要であります。
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置など強い対策については、
ワクチン接種の進行や治療薬開発などの状況を見ながら、都道府県が医療機関の逼迫状況を基準として判断するとしておるのであります。
11月補正予算案にも、今後の感染拡大期に備え、入院待機者に用いる施設への必要機器等の整備費や、自宅待機者の急激な増加へのフォローアップなどの事業費が計上されております。
第5波では、入院が必要な発熱患者であっても、調整がつかなく自宅待機が余儀なくされたこともありました。また宿泊療養施設への無症状者の入所についても、施設対応の遅れもあり、自宅待機せざるを得ない状況が発生し、感染者からは不安の声が上がっておりました。
今回、感染症対策協議会では、第6波に備え、逼迫感のあった医療現場の状況に配慮し、各医療圏において医療崩壊を引き起こさないため、病床の確保などの連携について話し合われたとのことであります。
感染者を受け入れる医療機関側と、どのような連携や見直しが行われたのか、またフェーズごとの対応について懸念事項は残っていないのか、厚生部長の所見を伺いたいと思います。
感染者と判定された場合、入院可能な病床は確保できているのか、また軽症、無症状の場合に宿泊療養施設への入所は可能なのか、自宅療養となった場合は、日々の病状の相談や診療、医薬品の供給はどうなるのか、さらに自宅療養中に食べ物に不足を来さないか、などの不安が募ります。
入院病床の確保や宿泊療養施設への入所の状況、自宅療養の場合のフォローアップ体制について、県民の不安に応えるべく、分かりやすく対応を伝えていただきたいと思うわけでありますが、厚生部長の所見を伺いたいと思います。
オミクロン株が新たに出現した状況下で、ワクチン・検査パッケージの活用による行動制限の緩和など、いかに感染症対策と日常生活を両立させていくかは、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を要請できる知事の判断に委ねられています。
今後、県のロードマップの見直しをする中で、時期を逸することなく必要な対応を行い、感染症と日常生活をどのように両立させていくのか、知事の所見を伺いたいと思うのであります。
さて、コロナ感染症が発生する前までは、厚生労働省は、今後の人口動向による医療需要や高度な医療に対する地域ごとの適正な病床を配置することなどを求め、公的・公立病院の再編統合を求めてきたわけであります。令和元年9月に厚生労働省が、公的・公立病院の再編統合について議論が必要とし、対象の病院名を公表に踏み切りましたが、一方的な発表に県内外で多くの不平不満の声が上がりました。
コロナ感染症の爆発的拡大は状況を一転させました。医療機関や医療従事者は待ったなしの状況で臨み、身を粉に働き続けました。感謝の限りであります。
コロナ禍では、感染症病床や病棟確保への補助金、
新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金などにより病院経営は支えられてきました。しかし2日の種部議員の質問にもあったように、令和6年4月に医師の時間外労働時間の上限規制が適用されるとのことであり、医療現場の対応と医療機関の経営に大きな影響を及ぼすと考えます。
今後、需要に応じた医療提供と依然として続くであろう医師不足に対応するためには、医療従事者の確保と専門医の集中、医療機関、連携機関の集約、そして機能分担による再編は避けられません。
県全体の高度急性期医療体制を維持しながら、新たな感染症も見据えた地域の医療体制を守り続ける地域医療構想をどう練り上げるのか、厚生部長に所見を伺いたいと思います。
次に、コロナ後の観光産業の回復を目指す諸施策について3点伺います。
令和3年は、富山県の山岳観光ルートの世界ブランドである立山・黒部、その立山黒部アルペンルートが50周年を迎えるというアニバーサリーイヤーとして大きな期待が寄せられていたわけであります。しかし残念ながら、コロナ禍の影響で観光客が大きく落ち込み、経営にも大きな打撃を受け、県から経営支援にも乗り出していたわけであります。
コロナ禍を経た時代に求められるのは、デジタルトランスフォーメーション化、そして東京一極集中の是正であり、そのための高速大容量通信網の整備など、企業におけるリモートワーク、サテライトオフィス、ワーケーションなど、地方にとって新しい観光産業の取組にもつながるインセンティブをもたらすものと考えます。
早期のインバウンド観光の回復が望めない中、国内、近隣県への旅行やマイクロツーリズムによる立て直しを図ることが必要です。2024年3月の北陸新幹線敦賀延伸開業、6月には関電黒部ルートの一般開放、そして2025年には大阪・関西万博と、ビッグイベントがめじろ押しであり、この機を逃さず観光産業を一気に回復基調に乗せなければなりません。
これまで、Go To キャンペーンや県民割引、各市町村のキャンペーンにより、観光関連事業者は、一時的ではありますが急場をしのぐことができたというのが本音でありましょう。
インバウンド再開を見据え、国ではモニターツアーを実施する方針を示しており、この流れに乗って、インバウンド需要回復に向けて県としてどのように取り組んでいくのか、地方創生局長の所見を伺いたいと思います。
コロナ禍の中、こんなお話を聞きました。ある富裕層をターゲットとしている観光事業者からで、人気の観光スポット金沢へのアクセス時間を比較すると、和倉温泉駅からは67分、黒部宇奈月温泉駅からは36分ということをセールストークとしているとのことでありました。そのためには旅館では、最高級のおもてなしに心がけているということでありました。生き残るための経営戦略の一端をお聞きしたような気がしたところであります。
石川県においても県民キャンペーンを1月末まで延長し、富山、福井県、両県民にも広げるとのことであります。1月中旬以降実施される新たな政府のGo To トラベル実施まで、つないでいくとの報道であります。
11月30日の代表質問に対し、知事答弁では、北陸3県連携宿泊キャンペーンの実施や県民割引キャンペーンの延長に言及され、本日、その追加提案があったところであります。県民向け割引キャンペーンの延長や近隣県との連携した宿泊割引キャンペーンの実施は、観光需要を確保していく上で重要であり、近隣県との連携は引き続き緊密に行っていくべきと考えるが、どう進めるのか、また、これから冬季に向けた観光振興策にどのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺いたいと思います。
マイクロツーリズムへの注目度が高まる中、地元観光事業者の育成は欠かせません。観光事業の企画提案、営業、資金決済など、オペレーションを担う観光協会や観光局をはじめとした地域の観光事業者の育成に向けた支援が必要と考えるわけでありますが、地方創生局長の所見を伺いたいと思います。
次に、2問目に移りたいと思います。女性が輝く農業をはじめとした新たな農業施策について3点伺います。
新たな県農業・農村振興計画の骨子が示されたところであり、これまで進めてきた1億円産地づくりの戦略品目の総販売額目標を廃止するとの報道がありました。そんな矢先、先ほども出ておりましたが、
県農業再生協議会が、22年産の生産を本年度産米よりさらに3.1%減の17万トンとし、面積にして650ヘクタール減──いわゆる転作面積の増でありますが、とすることを目標に決定したとの報道がありました。
今後、さらに園芸作物など転作作物の増産が必要とされる中、1億円産地づくりについて、どのような問題点があり今回の見直し方針となったのか、また今後、園芸作物の生産拡大に向けてどのように取り組んでいくのか、
農林水産部長の所見を伺いたいと思います。
農業の担い手育成問題は、安全・安心の国民の食料を生産するためにも、また農地を守り国土の保全を図るためにも喫緊の課題であります。
内閣府の調査によれば、コロナ禍の影響から、首都圏の若い世代において地方移住への関心が高まっており、若者や女性の新規就農者を増やしていくチャンスとも言えます。
就農支援策の成果を振り返り、女性の割合や支援期間後の就業率はどのようであったか、また、その結果を踏まえ、今後さらに新規就農者を確保していくためにどのように取り組んでいくのか、
農林水産部長の所見を伺いたいと思います。
農作業に従事している女性は大変多くいますが、事業主となるとどうしても男性が多いのが実態であります。また農産物の付加価値を上げるためにも、取り組んでいる6次産業化の場面には女性が欠かせません。農業の3K的イメージからの脱却、面的集積・集約による効率化、さらにスマート化を進めるとともに、これまで決して女性の働きやすい環境とは言えなかった現場を変えていく必要があります。農業への女性就業率の向上や輝く農業女性の登場につながるものと考えます。
副知事は、元の職場である農林水産省では、女性活躍や働き方改革を担当しておられたと伺っております。農業従事者に対する女性の割合をどうつかんでいるのか、また農業分野で女性が輝くため、農林水産省ではどのような取組をし、今後どう取り組んでいこうとしているのか、併せて県としても令和4年度に向け事業展開を図っていくべきと考えますが、横田副知事の所見を伺いたいと思います。
安全・安心な地域社会の実現について2点伺いたいと思います。警察署の再編についてであります。
富山市内の警察署の再編には、2013年から取りかかり、2020年、令和2年11月24日、4署から3署体制とする機能強化し再編した富山市内の警察署体制がスタートしました。さらに県東部、県西部の再編に取り組むべく、令和3年2月15日に富山県警察の機能強化に関する提言がまとめられました。5署体制を二、三署になるパターンが示され、各警察署別、エリア別に協議されたとのことであります。
この地域協議会の開催資料を見ますと、地域の日常的安全・安心に交番、駐在所が果たしている役割は大きく、再編により信頼、結びつきなどの安心感が失われるのではないか、本署、分庁舎の人員が確保されるのか、署の組合せは既に広域事業として組み込まれている他事業における組合せを考慮すること、また登山者、観光客などを多く抱える地域の特殊性や犯罪の多様化、広域化を考えるとき、鉄道・道路網を考慮すること、などの意見が述べられています。
今後、この意見を元にまとめた案をパブリックコメントに付し、令和3年度中に県内東部、西部の警察署の再編案を示したいとのことであります。
その中で、富山市内の再編に当たっては、本署と幹部交番として配置されておりましたが、今回の東西の再編に当たっては、統合される地域の旧警察署を分庁舎とするとのことでありますが、幹部交番と分庁舎の違いや本署と分庁舎の機能分担について、本部長の所見を伺います。
また、年度内に再編案をまとめるとのことでありますが、その後、設置場所の選定を含め再編のロードマップについて、本部長の所見を伺いたいと思います。
次に、学校運営協議会の役割と設置状況について2点伺います。
学校が抱える課題は、少子化が進行する中にあって、学校再編統合や教育の在り方など複雑、多様化しています。
私は、いわゆるゆとり教育が叫ばれた平成4年前後にPTA活動に参加いたしておりました。学校週5日制が定着していく中、時代の変化とともに、いじめや子供が関わる悲惨な事件も明らかになり、家庭、学校ばかりではなく、地域との関わりの中で子育てをすることの大切さを議論したことを思い出しております。これまで家庭、学校、地域の連携が必要であると言われ続けてきましたが、今もその点には変わりはないと考えております。
2020年から新学習指導要領では、「よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創る」という理念を学校と社会が共有すること、社会と連携、協働しながら、未来のつくり手となるために必要な資質、能力を育む「社会に開かれた教育課程」の実現を重視すること、そのためには組織的、継続的に地域と学校が連携、協働していくことが大変重要としています。具体的な取組として、コミュニティ・スクール──いわゆる学校運営協議会制度や、地域学校協働活動の一体的推進が重要だとしております。
平成12年に学校に学校地域評議員制度が導入され、さらには平成16年、学校運営協議会制度が創設され、平成29年には学校運営協議会の設置、いわゆるコミュニティ・スクール導入が努力義務化されました。
そうした中、先日、富山県内のコミュニティ・スクールの指定状況が伸び悩んでいるとの報道がありました。まずは全国的設置状況と県内の小中県立高校の学校運営協議会の設置状況を、教育長に伺いたいと思います。
あわせて、富山県において設置が進まなかった要因と学校運営協議会の必要性、そして今後の取組について、教育長の所見を伺いたいと思います。
以上であります。
39 ◯副議長(武田慎一君)新田知事。
〔
知事新田八朗君登壇〕
40 ◯知事(新田八朗君)川上浩議員の御質問にお答えします。
まず、新型コロナ感染症への対応についての御質問です。
先月19日に決定された国の基本的対処方針では、医療逼迫の状況を重視した新たなレベル分類、またワクチン・検査パッケージの活用によって感染リスクを減らしながら、経済社会活動の継続を可能とする新たな日常の実現を図る、そういう方針が示されています。
県では、こうした国の方針に加えまして、先般見直しを行いました県の保健・医療提供体制確保計画を踏まえまして、ロードマップに定める要請内容や警戒レベル移行の判断基準の見直しなどについて検討しているところです。まさに本日の夜、有識者の意見を伺った上で対策本部を開催し、新たな方針を決定する予定でございます。
一方で、
ワクチン接種が先行する諸外国では、ブレイクスルー感染や大幅な規制緩和の中でのリバウンドが多く発生している状況が見られます。WHO並びに国立感染症研究所では、「懸念される変異株」に指定した新たな変異株──オミクロン株が国内でも確認されるなど、予断を許さない状況になっています。
引き続き、全国、県内の感染状況や国の動向などを注視しつつ、有識者の御意見も踏まえながら、感染拡大の防止と日常生活を両立させていくために必要となる対策を、適時適切に実行していきたいと考えております。
次に、私としては2問で最後ですが、観光振興策についての御質問にお答えをいたします。
本県では、厳しい状況が長期間続いている観光・宿泊事業者を支援するために、県民向けの観光キャンペーンを当面1月末まで延長するとともに、県民を対象とした宿泊割引額の上限を5,000円から1万円に上げておりますが、これを継続することにしています。
また、今月の15日からは、北陸3県で連携をして、それぞれで実施している宿泊割引事業の対象に相互の県民を追加することにしています。あわせまして、長野県と新潟県の県民の皆さんについては同日15日から、また岐阜県の県民の皆さんについては調整中ですが、調整がつき次第、本県のキャンペーンの対象に追加して、県内の観光需要を維持、そして拡大をしてまいりたいと考えます。
また、これから、今もう冬ですが冬季に向けては、北陸3県とJRなどが連携した誘客キャンペーン、また県内宿泊者に新酒や冬の特産品をプレゼントするキャンペーンが大変御好評をいただいておりますが、そういうものを実施しております。
また、11月30日は、県の公式ホームページ「とやま観光ナビ」をしばらく休んでおりましたが、リニューアルしてオープンをしました。あわせてSNSを活用したウェブキャンペーンによるオンライン広告などにも取り組むことにしています。
今、インバウンドがおられないので、あまり使われていませんがAIを使って、AIチャットボットによる英語の観光客ガイド、これもまたインバウンドが戻ってこられれば、AIですから使われるにつれて賢くなっていきます、これもまた力を発揮してくれると思っています。
また、今後は名古屋での物産と観光展の開催、全国版の情報誌などで、これからの旬を迎えるブリ、議員もおっしゃったベニズワイガニなど、冬の味覚、富山の地酒、温泉、これらのPRに取り組んで、冬ならではの富山の魅力を大いに発信をして、冬季に県内外からの誘客を図ってまいります。
今後も国の施策の動向や県内外の感染状況に注意しながら、近隣県と連携して相互に誘客を図り、ウィン・ウィンになるような関係、そして効果的な観光振興策に取り組んでまいりたいと考えます。
私から以上です。
41 ◯副議長(武田慎一君)横田副知事。
〔副知事横田美香君登壇〕
42 ◯副知事(横田美香君)私からは、農業分野で女性が輝くための取組についての質問にお答えいたします。
農業従事者に対する女性従事者の割合ということですけれども、これは5年ごとに調査されます農林業センサスにおいて把握をしているところでございます。
直近では、2020年の農林業センサスにおきましては、自営業に従事した女性の割合は全国で43.9%、富山県では42.8%となっており、また60日以上農業に従事した方のうち女性の割合は、全国37.7%に対しまして富山県では25.5%と少し低くなっております。
農林水産省では、農業分野での女性活躍を推進してきておりまして、遡ると、平成4年に農山漁村女性に関する中長期ビジョンを発表しておりまして、農山漁村における男女共同参画社会の形成を実効あるものとするということで、農業や地域社会の方針決定の場への女性の参画促進、労働環境を改善する家族経営協定の締結などを進めてまいりました。
また、平成25年には農業女子
プロジェクトを立ち上げて、職業として農業を選択する若手女性の増加を推進し、そして令和2年には、農村における意識改革、女性が体系的に農業経営、組織マネジメントなどを学ぶことができる環境づくりを進め、地域をリードする女性農業者を育成する方策をまとめました、女性農業者が輝く農業創造のための提言を示しております。
さらに、女性活躍の環境整備のために、女性農業者を対象とした研修のほか、農業と子育てを両立するための保育、農作業を支援する仕組みの構築や、更衣室、男女別トイレなどのハード整備などを支援しておりまして、今回の緊急経済対策にも盛り込まれています。
一方、県では、女性の経営参画や地域参画の促進、男女共同参画意識の醸成を目的として、平成8年2月に農山漁村女性ビジョンを策定し、研修会の開催など取組を進めてきました。
現在、同ビジョンを引き継ぐ農山漁村女性活躍プランの見直しを進めており、今後、国の事業の活用も念頭に、リーダー育成のための研修会などを強化するとともに、女性が働きやすい環境の整備の支援を検討し、農業において女性の活躍を推進してまいりたいと考えております。
43 ◯副議長(武田慎一君)木内厚生部長。
〔厚生部長木内哲平君登壇〕
44 ◯厚生部長(木内哲平君)私からは、まず医療提供体制についての御質問にお答えをいたします。
この夏のいわゆる第5波では、県内、入院による療養が必要と医師が判断をする方については、速やかに入院させるという方針で対応をいたしました。全体でピーク時には400床程度の病床を確保する一方で、入院は重症化リスクの高い方を優先したことから、最大の入院患者数は264人となったところでございます。
今般見直しを行いました保健・医療提供体制確保計画では、県内の医療機関の御協力の下、病床をさらに拡充いたしまして、今年の夏を上回る最大371人の入院というのを想定し、かつフェーズ3では481床、最終フェーズでは571床を確保するといった計画としたところです。
計画における病床数につきましては、各医療機関、各病院と書面で合意を行うこととしております。今回の計画の見直しに当たりましても、病院と十分協議をいたしまして、患者の受入れが可能ということで病院と合意をした内容を、各病床に計上しているところでございます。
さらなる感染拡大への備えということでございます。医療機関、関係団体とも連携をしながら、引き続き医療提供体制の強化に努めてまいります。
次に、療養中のフォローアップの体制についての御質問にお答えをいたします。
まず、入院につきましては、今お答えしましたとおり、今年の夏を上回る病床数を確保するとしております。また宿泊療養施設については、無症状、軽症の方が増加をするといったことも見据えまして、合計3棟、最大500人の入所に対応できるといった体制を維持しております。この宿泊療養施設では、患者さんの体調の急変時に施設の中で速やかに対応できるようにということで、医師によるオンコール体制、また投薬や一時的な酸素投与の可能な体制を構築したところです。
一方、自宅で療養いただく方につきましても、パルスオキシメーターを御自宅に貸し出す、また厚生センターにより毎日、健康観察を行うということ、そして体調急変時には速やかに入院いただけるような体制を整えています。また御自身で食料の調達などが困難な方には、必要な食料をお届けできるような体制も構築をしました。
加えまして、自宅療養者が急激に増加した場合に備えるため、本11月補正予算案に健康観察業務を補完するコールセンターの設置経費、また医師会の御協力の下、必要な方に電話等による遠隔診療を実施し、薬の処方や宅配を行うための経費を計上しています。
引き続き医療提供体制、そして医療従事者に対する支援の充実に努めますとともに、県ホームページなども活用しまして、これらの取組について県民の皆様に情報発信をしてまいります。
最後に、地域医療構想についての御質問にお答えをいたします。
この地域医療構想ですが、中長期的な人口構造の変化への対応ということで、医療機関の機能分化や連携、そのために必要な病床の機能転換などにつきまして、関係者と協議を行ってきたものです。
国では、昨年12月に改めて今後の考え方を整理していますが、コロナ対応、医療機関に大変御対応いただいているという中ではありますけれども、人口減少及び高齢化というのは、この間も着実に進むと、またマンパワーの制約も一層厳しくなるといった地域医療構想の背景となる中長期的な状況や見通しは変わっていないと、そのような認識が示されました。
その上で、こういった新興感染症が急速に拡大する、そういった場合の短期的な医療需要には、医療機関における機能の転換といったものに機動的に対応するといったことを前提として、病床の必要量など基本的な枠組みは維持しながら、着実に地域医療構想の取組を進めていくといった方針が打ち出されています。一方でコロナへの対応はまだ継続をしておりまして、具体的な工程といったものは示されていないところです。
県では、この間のコロナ禍の感染拡大への対応、また、その中で公立・公的医療機関の重要性というのも再認識をされたわけでありますけれども、国に対しまして、そうした新興感染症などに対応する公立・公的医療機関の重要性も十分に踏まえて、医療圏ごとの調整会議の議論を尊重するなど、地域の実情に即した柔軟な取扱いを認めるよう要望をしてまいりました。
引き続き各医療圏の地域医療構想調整会議において、今後の感染症や医師の働き方改革の対応も含めまして、各医療機関が担うべき役割や機能を十分に御議論いただきたいと考えております。また個別の医療機関からも御相談があれば丁寧に応じていきたいと考えております。
以上です。
45 ◯副議長(武田慎一君)
助野地方創生局長。
〔地方創生局長助野吉昭君登壇〕
46 ◯地方創生局長(助野吉昭君)私からは、観光産業に関する御質問にお答えいたします。
まず、インバウンドの需要回復に向けた取組についての御質問でございます。
インバウンド団体観光の入国再開に向けて、年内に予定されておりました国の実証事業は、オミクロン株に対する水際措置の強化に伴いまして、実施が先送りされたところでございまして、インバウンド再開については、いまだ見通しが立たない状況でございます。
こうした中、県では、インバウンド需要の回復を見据えて受入れ環境の整備に取り組んでいるところでございまして、具体的には、国や近隣県等と連携して、在日ライターやインフルエンサーによるSNSを活用した情報発信を行っておりますほか、
スマートフォンで観光情報を入手できるAIチャットボットの導入、それからコロナ収束後のトレンドを見据えたインバウンド対応スキルアップセミナーの実施、さらには宿泊事業者に対する感染拡大防止対策や露天風呂つき客室への改修、非接触チェックインシステムなど、新たな需要を取り込むための前向き投資に対する助成等を行っているところでございます。
また、成長戦略会議のブランディング戦略ワーキンググループでは、海外誘客について、富裕層に受け入れられる高付加価値の商品や体験などのコンテンツを検証し進めるべきとの提案があったところでございます。
さらに、現在策定しております新たな観光振興戦略プランの骨子案におきまして、海外誘客の推進の目指したい姿として、1つには、外国人旅行者が富山に滞在し、県内及び周辺観光を楽しむとともに富山の上質なライフスタイルに触れ、富山の魅力を体験できる、2つには、海外において、オンライン等により富山の魅力に触れ興味を持ち、富山旅行を検討することができることを掲げております。
今後、こうしたことも踏まえまして、インバウンド需要の回復を見据えて、本県の強みを生かした誘客に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、地域の観光事業者への支援についての御質問にお答えいたします。
コロナ禍をきっかけに人々の行動や価値観が変化し、いわゆるマイクロツーリズムやワーケーション、オンラインツアー、感染防止に配慮した安全・安心な観光など、新たなニーズへの対応が求められているところでございまして、観光協会や観光局など地域の観光事業者においても、これらの変化に的確に対応していく必要があると考えております。
このような状況を踏まえまして、県では、各地域の観光地域づくりを牽引する人材の育成確保に向け、とやま観光塾を開講いたしておりますし、また県DMO──とやま観光推進機構が、各観光協会を訪問し、食のブランド化やまち歩きの魅力向上などの観光資源の磨き上げに取り組んでおります。また地元の食、文化、伝統工芸等を体験する着地型の旅行商品の企画、販売支援などにも取り組んでいるところでございます。
さらに、今年度新たな補助制度を創設し、
アフターコロナを見据え、デジタル技術の活用や新たな商品、サービスの開発等に取り組んでいる地域の観光事業者を支援しているところでございます。
また、現在策定中の新たな観光振興戦略プランの骨子案におきまして、戦略的な観光地域づくりを進めるため、1つには、観光人材が県内各地で観光地域づくりを牽引し、多くの商品、サービスが創出され域内循環が高まること、2つには、観光人材や観光関連事業者が、地元の上質な暮らしの魅力を理解し誇りを持って旅行者に商品、サービスを提供することを、目指したい姿としておりまして、今後とも、これらを踏まえて地域の観光事業者の育成に向けた支援に取り組みまして、県内観光協会や観光局にDMOや市町村も含めたワンチームとして観光振興に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
47 ◯副議長(武田慎一君)
堀口農林水産部長。
〔
農林水産部長堀口 正君登壇〕
48 ◯
農林水産部長(堀口 正君)まず、1億円産地づくりと園芸作物の生産拡大についての御質問にお答えします。
1億円産地づくりにつきましては、平成22年度から、各JAが定めた戦略品目に対して、栽培実証や機械、施設の整備等に支援してまいりました。この戦略品目全体の販売額は、取組前の平成21年度の4.8億円から令和2年度には13.9億円と約3倍となるなどの成果があったところです。
しかしながら、戦略品目の中には、近年の気象変動により生育状況に応じたきめ細かい栽培管理が十分に行えず、収量、品質が安定しないことや、収穫や選別作業等に手間がかかることが多いが、労働力が確保できないことなどの課題により、規模拡大が進まない事例も見られております。
このため、地域の特色ある作物の生産や規模拡大等に意欲的な園芸産地を中心に、機械化が確立しているニンジンなどの品目では、収量、品質を向上するために、産地をリードする経営者に対して重点的な指導を行い産地全体への横展開を図ること、地域の特産ではあるが手間のかかるネギなどの品目では、労働力を確保するために作業の受委託を行う農業支援サービスを活用することなどによりまして、園芸作物全体の生産拡大を進めていきたいと考えております。
こうしたことから、現在見直し作業を進めております県農業・農村振興計画では、1億円産地づくりの戦略品目に限定した生産額目標ではなく、園芸全体の生産額目標を設定してはどうかと提案したところでありまして、目標設定につきましては、さらに検討することとしております。
引き続き、これまでの1億円産地づくりの成果やノウハウを活用し、JAや市町村、農業団体等と連携しまして、意欲ある担い手や産地の育成、生産から流通、販売までの一体的な支援などによりまして、園芸作物の生産拡大を図ってまいります。
次に、就農支援についての御質問にお答えします。
国においては、農業法人が新規就農者を雇用した場合の研修等への助成や、就業者に対する準備あるいは経営後の必要な資金手当てなどの支援策を講じております。
県では、こうした国支援策を活用するとともに、就農に必要な農機等への助成のほか、とやま就農ナビの開設や、とやま農業未来カレッジの開講など、就農に向けての啓発や就農前の技術、経営面の研修などを強化し、新規就農者の確保に努めてきたところです。
この結果、平成20年度以前は年30人程度だった新規就農者は、平成21年度以降、令和2年度までの平均で言いますと年70人程度まで増加し、昨年度は80人となっております。そのうち女性は、平成20年度以前は年4人程度、全体の約1割でありましたが、平成21年度以降は平均で年12人程度、約2割と増加をしております。
また、就農後5年間支援する国の農業次世代人材投資資金の交付を終了した人は、これまで29人いらっしゃいますが、1年後の調査では1人を除く28人が県内に定着をしております。
議員御指摘のとおり、コロナ禍で首都圏等での地方移住に対する関心が高まっている中、現在、改定作業を進めております県農業・農村振興計画におきまして、より積極的な新規就農者の確保目標を設定し、その達成に向け、地域や産地が主体となった人材の呼び込みから就農定着までの一貫した受入れ体制づくりを進めていきたいと考えております。引き続き若者や女性を含め、県内外からの新規就農者の確保に努めてまいります。
以上です。
49 ◯副議長(武田慎一君)杉本警察本部長。
〔警察本部長杉本伸正君登壇〕
50 ◯警察本部長(杉本伸正君)まず、分庁舎についての御質問にお答えいたします。
議員御指摘のとおり、昨年11月に完了しました富山市内警察署の再編整備におきましては、旧警察署庁舎を幹部交番として運用し、指揮運用機能を持ちつつ本署と連携した即応体制を確保するとともに、地域に密着したパトロール活動などを行っているところでございます。
一方、現在議論している再編につきましては、市町村の行政区域をまたぐ広域的な警察行政となることから、地域住民に不便がないよう、統合される地域の警察署を分庁舎として活用し、これまでの幹部交番の機能に加えまして、道路使用許可申請等の交通関係許認可業務や高齢者運転免許証更新等の免許関係業務といった県民ニーズの高い行政手続の受付も行うことにしております。
今ほど申し上げましたとおり、分庁舎は幹部交番の機能をも有していることから、事案発生時には、交番、駐在所やパトカー警らの警察官に加えて、分庁舎に配置された地域警察官が初動対応に当たり、その後、体制が強化された本署から刑事や交通等を専務とする警察官が対応に加わることとなります。
県警察としましては、再編後におきましても、本署と分庁舎が連携して事案対応力や捜査力の強化を図ることで、引き続き地域の安全・安心の確保に努めてまいりたいと考えております。
次に、再編へのロードマップについてのお尋ねにお答えいたします。
現在議論を進めております警察署の再編につきましては、今後実施するパブリックコメントやこれまでの地域協議会における御意見等を十分に考慮した上で、年度内を目途に計画を取りまとめていくこととしております。
御質問の計画策定後のロードマップにつきましては、再編によって中規模以上の警察署となることで総合的な治安機能の強化が図られることになりますので、速やかに計画を実行していきたいと考えております。
しかしながら、既存の老朽、狭隘化した警察署庁舎をそのまま再編後の庁舎として利用することは現実的ではないと考えておりますので、建設適地の選定を行った上、十分な規模、機能を有した新たな警察署庁舎を建設し、その整備時期に合わせて再編を実施することが適当と考えております。
県警察といたしましては、厳しい財政状況の中で、今後、複数の警察署建設が必要となってくることも考えられることから、建設手法や有利な財源の確保等について、財政当局とも連携し検討を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
51 ◯副議長(武田慎一君)荻布教育長。
〔教育長荻布佳子君登壇〕
52 ◯教育長(荻布佳子君)私からは、まず学校運営協議会の設置状況についての御質問にお答えいたします。
平成12年、国は、地域に開かれた学校づくりを推進するため、保護者や地域住民の意見を聞く仕組みとして学校評議員制度を導入いたしました。本県では、現在、約9割の学校に導入されております。県立学校では100%、小学校で86.7%、中学校87.3%という状況でございます。
さらに、平成16年より、学校、家庭、地域が当事者意識を持って目標やビジョンを共有し、子供たちの健全育成や学校運営の改善に取り組むための意見を述べることができる学校運営協議会、これを設置した学校、いわゆるコミュニティ・スクールの導入が可能となったところでございます。
コミュニティ・スクールは、学校と保護者や地域の方々が共に知恵を出し合い、学校運営に意見を反映させることで、一緒に協働しながら子供たちの豊かな成長を支え、地域と共にある学校づくりを進める仕組みでございます。
国は、平成29年にコミュニティ・スクールの設置を努力義務化したところでございます。その設置状況でございますが、令和3年5月1日現在で、全国の公立学校のうち33.3%に当たる1万1,856校が導入しております。内訳は、小中義務教育学校は設置率37.3%で1万485校、高等学校及び特別支援学校は設置率23.6%で1,091校となっております。
一方、本県の状況でございますが、公立学校全体としての設置率が4%で、小中義務教育学校で13校設置をしておりますが、高等学校及び特別支援学校には設置をされていないという状況でございます。
続きまして、学校運営協議会の設置状況の背景と今後の方向性についての御質問にお答えをいたします。
本県での学校運営協議会の設置が進んでいない背景には、県内の多くの小中高等学校などで、校長が学校運営について保護者や地域住民から意見を聞く学校評議員制度が導入され、地域との緩やかに連携した学校運営の体制が既に整えられているという状況があるのではないかと考えております。
御質問の学校運営協議会制度は、この学校評議員制度よりもさらに学校と地域との連携強化を図るもので、学校と地域の双方が当事者として主体的に取り組むことにより、組織力を発揮した学校運営を可能とする仕組みでございます。また地域の協力が得られることから、教員の働き方改革につながるなどのメリットもあるとされております。
一方、導入に当たりましては、地域からのさらなる協力が必要となりますことから、教育活動に深く関わる人材を開拓できるか、地域からどの程度、どういった協力が得られるかなどの検討、調整すべき課題もございます。
県教育委員会では、市町村教育委員会や県立学校に対し、文部科学省の推進員による講演会への参加を呼びかけましたり、導入のメリットなどを周知したりしてきております。
来年度以降、小中学校では、既に導入している自治体を含め、10の自治体で導入を予定し、また他の5自治体においても導入を検討しているところでございます。また県立学校においても、導入を予定している高校や導入を検討している高校があるという状況でございます。
今後も、市町村において導入が進むよう働きかけますとともに、県立学校には、他県での具体的な運用事例を紹介するなど情報提供を行い、導入に向けての検討が進むよう努めてまいります。
以上でございます。
53 ◯副議長(武田慎一君)以上で川上浩君の質問は終了しました。
54 ◯副議長(武田慎一君)山崎宗良君。
〔16番山崎宗良君登壇〕
55 ◯16番(山崎宗良君)通告に従い、早速質問に入ります。
初めに、富山県成長戦略関係について3問伺います。
去る11月13日に、上市町にてビジョンセッションが開催され、私も見学させていただきました。新田知事と中川町長の挨拶の後、新田知事が自ら、ウエルビーイングや関係人口1,000万人など富山県成長戦略について概略説明をされ、その中で心に残った言葉を参加者がおのおの発表し、その後、関係人口1,000万人を達成するために上市町でできることをグループに分かれて討論し、グループごとに発表が行われました。そのまとめは、文字だけではなくプロジェクションマッピングの手法を取り入れ、絵を交えて分かりやすく記録され、大画面で映し出されました。
日頃から、まちづくりに積極的に関わっている商工会やハッピー上市会の面々、福祉団体、そのほか積極的に応募された老若男女が30人ほどで、町の発展のためのアイデアを語り合う、とても白熱したよいものでした。知事は日頃から、県は市町村を支援するためにあるとおっしゃっており、その取組姿勢は積極果敢ですばらしいと思います。
一方、今回のビジョンセッションは、富山県の成長戦略を具体化するために開催されていると認識しています。しかし町のビジョンは活発に語られていますが、富山県の戦略としてどのように落とし込まれていくのか、その道筋が見えません。発表されている中間とりまとめは6つの戦略が挙げられていますが、具体策が盛り込まれていないため、議論も具体性を欠くことになります。これは大変もったいないことだと思います。
新田知事の志の柱は、富山県の柱となるようなベンチャーを育成することで産業経済の活性化を図り、富山県を豊かに発展させることにあるのだと認識しています。もしそうであれば、その具体的な手法や方向性を明らかにすることで、富山県の成長戦略にふさわしい具体的で有効な議論になるのではないかと思いますが、新田知事の所見を伺います。
富山県では、富山県武道館、高岡テクノドーム別館について、PPP、PFIなどの民間活力導入のための可能性調査を進めておられます。
9月の一般質問において三
牧知事政策局長からは、当初の計画では、令和4年度末に予定されていた北陸新幹線の敦賀開業に向けて、早期に施設整備を行うことで北陸新幹線の効果を持続、深化させるため、公設公営とする判断をしたものの、コロナ禍を受けた経済情勢の中で厳しい財政状況となってきたことから、多少の完成の遅れが生じても財政負担の軽減をさらに図っていくことができないかと、民間活力の導入可能性調査を行った上で整備に着手することとしたとの答弁がありました。
PPP、PFI手法には、公設民営、民設民営など幾つかのパターンが考えられますが、民間活力導入により建設費の圧縮や運営面での集客の増大、サービスの向上などが期待されます。一方、県内業者が参加しにくくなる、また業者選定に時間を要するなどデメリットも考えられ、建設業界をはじめとした団体から懸念の声も根強くあります。
現在、可能性調査の取りまとめが行われていると聞いていますが、従来手法と新たなPPP、PFI手法を導入した場合のそれぞれの開業までのスケジュールの見込みと、VFM──費用対効果についてどのように試算しているのか、現時点での考え方や見通しについて、蔵堀副知事に伺います。
さきの衆議院議員選挙で、めでたく当選された県議会議員の先輩でもある上田英俊さんと共に辻立ちをさせていただき、町民に思いを訴えていたところ、上田英俊さんは、持論の中で、合計特殊出生率が2.0を切ったのは昭和50年であるとおっしゃいました。そんな早い時期に2を切っていたのかと驚き、その背景と原因を改めて調べてみました。
内閣府のホームページでは、まず非婚化、晩婚化、晩産化を挙げ、続いて女性の社会進出、価値観の多様化が挙げられていました。対策として女性と高齢者の就業促進が挙げられており、女性活躍が推進される中においても産み育てやすい環境をつくることが求められています。
合計特殊出生率が2を切った昭和50年から今日まで46年も経過しており、この構造的課題解決のためには、働き方改革や男性の育児参加促進などの制度や仕組みづくりと並行して、子供を産み育てることへの肯定的イメージの醸成や価値観の転換、また生産性の向上など、抜本的に見直す必要があると思いました。どのような思いで取り組んでいかれるのか、新田知事に伺います。
次に、農業の振興と安全・安心な地域づくりについて6問伺います。
今年の5月に、野上浩太郎農林水産大臣から、化学農薬の使用量50%低減や有機農業の取組面積を25%に拡大する、みどりの食料システム戦略が発表されました。これは大変意義深いすばらしい政策で、地元からも評価の声が上がっており、私自身も高く評価しています。
健康増進や医療費の削減、農作物の付加価値向上、環境負荷の低減など、多くの利点があり、いち早く取り入れ推進することで、富山県のイメージアップ、子育て世代の都会からの移住促進も期待できます。
富山県としてどのように取り組んでいかれるのか、普及指導員の育成と併せて、
堀口農林水産部長に伺います。
コロナの影響で外食が減ったことなどにより、令和3年産米の概算金が昨年産米と比べて大きく下げられました。このことにより離農に拍車がかかることが容易に想定され、地元からも何とかしないと大変なことになると、先行きを懸念する声が強く上がっています。一方で気候変動などにより、今後、食糧不足になるという予測がされていることから、農地の維持保全は重要であり、農地整備も含めて継続的に取り組んでいく必要があります。
離農者及び耕作放棄地の現状と、我が会派の宮本議員の代表質問で超早生樹の質問もありましたが、県として離農対策、耕作放棄地対策にどのように取り組んでいかれるのか、
堀口農林水産部長に伺います。
薬用植物指導センターでは、医薬品産業の原料としてシャクヤクやトウキの栽培を主に展開しておられる一方、一般県民向けの薬草のセミナーも開催するなど、地域に密着した活動を実施しておられますが、今後は薬草の使用を県民生活に浸透させるなど、健康寿命延伸に向けた取組を強化すべきと考えます。
この春に薬草の本を購入したところ、ドクダミは有名ですが、どこにでも生えているヨモギ、オオバコ、タンポポ、スギナなど、身近な雑草が薬草として用いられることを知り、早速スギナを採ってきて乾燥させ粉末にし、お湯に溶かして飲んだところ、何と抹茶の味がしてびっくりしました。
このように楽しみながら生活に取り入れることでウエルビーイングにもつながるのではないでしょうか。今後どのように展開していかれるのか、木内厚生部長に伺います。
富山県では、毎年10億円強のたばこ税収がありますが、これは一般会計に繰り入れられ、この税が何に使われたか明確にはなりません。富山県のたばこ業界からは、たばこ税を有効に使ってほしいとの要望が毎年継続して上がっており、喫煙者と非喫煙者が共存できる社会の構築を求めておられます。
県として一層、分煙施策の推進に努めるべきと考えますが、木内厚生部長に伺います。
近年、親の介護や兄弟のケアなど家族の身の回りの世話を担う、いわゆるヤングケアラーの生活ぶりがテレビで放送されるなど、全国的に注目されるようになりました。家事に追われ勉強に割く時間が取れず、さらに金銭的理由も手伝って、自分の進みたい将来を諦めざるを得ないのですが、それが当たり前で、自分がヤングケアラーだと認識していない人が多いと言います。
このため、実態がつかみにくいのですが、県として早急に実態を把握し、若い世代に有効なSNSを活用するなど、相談体制を整備し孤立化を防ぐ必要があると思います。県としてどのように取り組んでいかれるのか、木内厚生部長に伺います。
今年もいよいよ12月を迎え、雪の季節に入ってまいりました。さきの豪雪は50年ぶりとも言われましたが、ラニーニャ現象によって今シーズンも大雪になるとの報道もあります。先シーズンの経験を大いに役立てて、雪害対策に備えなければなりません。
千葉県八街市の通学路での事故は記憶に新しいところですが、富山県においては、雪によって通学路の歩道が塞がれ、児童生徒がやむなく車道を通行するところも多く見受けられました。
PTAの役員さんから、除雪体制について、国道や県道、市町村道など、管理者が異なる道路を通学路として通行するケースについて、安全を確保するために、管理者が異なっても除雪車が相互乗り入れするなど、歩行者の安全を中心とした道路管理を強く要望されています。
富山県と富山市においては、相互に連携協力しているところがあると聞いていますが、県、国、市町村の連携をどのように行われるのか、江幡土木部長に伺います。
次に、
新型コロナウイルス感染症の影響について3問伺います。
今年度、障害者施設で
新型コロナウイルス感染症のクラスターが、上市町の四ツ葉園、射水市のいみず苑と相次いで発生しました。障害者施設においては、利用者さんに対して感染症対策を徹底しにくい特性があります。
しかし、感染者と感染していない利用者を分けるゾーニングが徹底できると、感染拡大しにくいことが経験として分かり、第6波に備えるポイントが明確になりました。またデイサービスなどで家庭から通ってくる人、就労訓練で別の施設へ通う人など外部との交流があるので、初動においての外部との情報伝達の速さが感染拡大防止へのポイントとなります。
これらの経験を踏まえ、今後、第6波に向けてどのように取り組まれるのか、木内厚生部長に伺います。
コロナウイルス感染症の拡大により企業の生産活動に影響が出たため、あらゆる分野で部品供給が滞る現象が起きています。建設資材においても例外でなく、当初予定されていた工期が遅延するなどの影響が出ています。
また、これに伴い資材単価が高騰していることから、富山県発注工事にも影響が出ているものと思います。これにより、単品スライド条項により増額の変更契約を行った県発注の工事件数と増額の総額、また資材不足により遅延している県発注工事の件数とその解消に向けた今後の対策について、江幡土木部長に伺います。
コロナ禍において、昨年度の無利子・無担保融資、いわゆるゼロゼロ融資の実施に当たり、金融機関と信用保証協会の融資姿勢の違いが一部にあったと聞いています。コロナ禍で売上げが減少し、コロナ対策の設備投資を行うなど、財務体質が悪化している企業や小規模事業者が、本業で蘇生するための投資に対して本来受けられるはずの融資が受けられないなど、いわゆる貸し渋りのような状況が懸念されます。
今は、1件でも多くの事業者に生き延びてもらい、産業の勢いや雇用を維持することが肝要と思います。今後どのように対応していかれるのか、布野商工労働部長に伺います。
最後に、学校教育について3問伺います。
学校での働き方改革の推進に当たり、中学、高校の部活動支援に地域のスポーツチームや指導者の方に指導をお願いし、教師だけでなく地域で支えていただく取組が進められています。その際、外部指導者の資格として公認スポーツ指導者制度がありますが、多くの方に取得していただくにはハードルが高いのではないかと懸念する声が聞かれます。
地域の皆さんに支えていただくために、一定の知識を確認の上、県独自の資格を付与し、また責任賠償保険に加入することで支援しやすくする仕組みを検討してはどうか、荻布教育長に伺います。
小中学校における特別支援学級の学級編制の標準は、現在8名となっています。それぞれの児童生徒の特性に配慮した十分な教育ができていないことから、現場の教員や保護者から体制の拡充を求める切実な声が寄せられています。これまで私がPTAに関わった中で、現場の先生方から切実な要望が上がってきたのは初めての経験ですので、とても困っておられるのだと思います。
学級編制の標準を6名に引き下げるよう国に求めるとともに、国で措置されるまでの間、県単で措置すべきと考えます。通常の学級における特別支援教育支援員の拡充見込みと併せて、荻布教育長に伺います。
最後の質問です。
コロナ感染を防ぎ、またコロナ禍においても授業が進められるように、GIGAスクール構想により、小中学生に1人1台のデジタル端末が配備されることとなり、本県においても、全ての学校にタブレット端末が配備され授業で活用されるようになっています。
一方、タブレット端末のチャット機能を使ったいじめにより、都内の小学生が自殺する事態が発生していますが、本県においてタブレット端末によるトラブルは発生していないのか、また今後どのように対処されるのか、荻布教育長に伺って質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
56 ◯副議長(武田慎一君)新田知事。
〔
知事新田八朗君登壇〕
57 ◯知事(新田八朗君)山崎宗良議員の御質問にお答えをします。
まず、成長戦略ビジョンセッションについての御質問にお答えします。
成長戦略につきましては、富山県のさらなる発展に向けたビジョンや戦略を御議論いただいて、成長戦略の中核となる6つの柱、また施策の方針、方向性などを、中間とりまとめとして8月にお示しをしました。
役所でよく、中間報告、ニアリーイコール最終報告というようなケースもあるんですが、この中間とりまとめは、本当に文字どおり中間製品であると考えております。これを完成品に仕上げていく、そのために県民の皆さんと共に考え、共につくり上げていく場として、15市町村でのビジョンセッションを企画して開催をしているところです。11月13日、上市町ビジョンセッションにも御参加いただきまして、どうもありがとうございました。
そして、参加された皆さんからは、地域の魅力向上などについて様々なアイデアや御意見をいただいています。こうした県民の皆さんの思いを、ボトムアップで成長戦略の施策に反映させていくことが重要であると考えているところです。
このため、議員御指摘のとおり、具体的な施策を示した上で議論を進めるということも一つの方法だとは存じますが、今回のビジョンセッションでは、成長戦略の考え方を私から説明し、まずは、広く市町村住民の皆さんが日頃感じておられる地域への思いや御提案などを、お聞きすることにしています。
確かに、ビジョンセッションでいただくアイデアは、言わば、私は、宝石の原石のようなものだと思っています。そのままで県の施策になるものはあまり多くはないかもしれませんが、それでも幾つか使いたいものはあると思います。地域ならではの貴重なアイデアにあふれているというふうに思い、やっている意義は大いにあると思います。
また、県主催のビジョンセッション開催の後に、幾つかの地域では、引き続き自発的にビジョンセッションあるいはビジョンセッション的なものが開催されている例もあると聞きまして、まさにこれも目的の一つとして思っていたところでございます。
これらを踏まえて、思いなどを具体的な施策にまとめて、現在開催しております成長戦略の各ワーキンググループにそれをお示しします。そして、そのワーキンググループで有識者の目などを通して、その宝石の原石を磨き上げて、本当の宝石にしていく、そのような流れにしています。そして県民のさらなる御意見は、パブリックコメントに付して伺うことにしています。これがビジョンセッションから
アクションプランへの流れということになります。
そして、これをさらに整理した上で、令和4年度の当初予算に反映をして、年度末には富山県成長戦略としてまとめていきたいと考えています。この後も、PDCAサイクルを回しながら進めることとしておりまして、その中で、県民や各市町村の御意見をより一層反映していきたいと考えております。それが、ビジョンセッションで出た意見を政策に反映させるまでの流れということにしております。
次に、子供を産み育てやすい社会についての御質問をいただきました。
山崎議員御指摘のとおり、女性が社会のあらゆる分野で活躍しつつ子供を産み育てやすい社会を実現するには、女性に限らず、男性や子育て世代でない世代も含めて、これまでの価値観を転換し、女性の負担軽減に取り組む必要があると考えます。
そのためには、あるべき姿を目指して意欲的な目標を掲げることで、社会を変える強いメッセージを発するとともに、家庭や企業、さらには社会全体のそれぞれで施策を総合的に実行し、目標達成に向けてPDCAサイクルを回しながら取り組んでいくことが大切だと考えます。
具体的には、家庭や企業においては、子育て世代の夫婦間で大きな開きがある家事・育児時間の差を是正するため、男性が家事や育児に取り組むきっかけづくりや意識改革のためのキャンペーン、例えば1日あと18分増やしましょうとか、そんな分かりやすく取り組みやすいキャンペーンを考えています。あるいは男性の育休取得の促進、さらにはコンサルタントの伴走型支援などによる働き方改革なども進めていきたいと考えています。
また、社会全体で子育て家庭を支えていくことも大切であり、出産後間もない家庭に家事や育児を代行するヘルパーを派遣する民間サービス活用の促進、また本県も参画しております青年会議所で行っておられるベビーファースト運動などにより、県民の中に機運を醸成していくことにも努めていきたいと考えております。
このように、施策をいろいろと考えていくことは十分可能なんですが、悩ましいのは、施策を打ちづらい問題として、男女共にあるアンコンシャス・バイアスと言うべきもの、これがなかなか難しいと私は感じています。このアンコンシャス・バイアスが、若い女性が県外に出ていくことにつながっているのではないかと考えています。
女性の心の自由度が低く、多様な生き方をなかなか認めない、都会よりもそういう風潮が地方には根強いように思います。そういった周囲の目あるいは風土、こういったものが若い女性にとって居心地を悪く感じさせ、匿名性を求めて県外、東京に出ていく理由になっているのではないかとも感じます。
なかなかこういうことについては、何とかしなければならないと思いつつも、役所としては対応が苦手な分野でもあります。でも幸い、このアンコンシャス・バイアスについては、これをブレークスルーしようという勇気あるファーストペンギンあるいはセカンドペンギンも出てきておられるので、こういった方々を応援して道を切り開いていきたいとも考えています。
様々な意味での女性の負担軽減、女性活躍の推進や少子化対策に加えて、ウエルビーイングの向上を通じて成長戦略の実現にもつながると考えております。本県の持続的発展のために大切なテーマとして、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
私からは以上です。
58 ◯副議長(武田慎一君)蔵堀副知事。
〔副知事蔵堀祐一君登壇〕
59 ◯副知事(蔵堀祐一君)私からは、富山県武道館、それから高岡テクノドーム別館のスケジュール見込み等に関する御質問にお答えをいたします。
まず、富山県武道館及び高岡テクノドーム別館の民間活力導入可能性調査につきましては、現在、取りまとめの途中でございますけれども、まず武道館の民間活力導入方式については、現在のところ、従来の方式──従来の方式と言いますのは、県が設計を行い建設をして、運営について指定管理者にお願いするという方式でございますけれども、その従来方式と比較をいたしますと、実施設計、建設、維持管理、運営の各業務を一括して発注することになりますDBO方式(デザイン・ビルド・オペレーション)、それからPFIのBTO方式(ビルド・トランスファー・オペレーション)、この2つの方式が有力ではないかとの報告を受けているところでございます。
DBO方式は、各事業者、設計業者、建設業者、維持管理業者が、協議体をつくって一括して仕事を受けるというやり方になります。PFI・BTO方式のほうは、法律上の特定目的会社を設立した上で、PFI法の手続に基づいて実施をするということになってございます。そうした法律上の位置づけがちょっと違うけれども、やり方としては、極めてよく似ているやり方をするということでございます。
御質問の開館時期でございますけれども、従来方式では令和7年度中の開館が見込まれるところでございますけれども、今ほど言いました有力な2つの方式では、PFI法に従って行います事業者選定手続に2年程度の期間が必要でございまして、開館時期は令和9年度中と想定をいたしております。
次に、高岡テクノドーム別館でございますけれども、こちらのほうは従来方式と比較をいたしますと、維持管理運営業務をPFI法の手続に基づいて長期発注いたしますPFI・O方式、それから実施設計以降の業務を一括して発注いたしますPFI・BTO方式、この2つが有力ではないかとの報告を受けているところでございます。
開館時期でございますけれども、従来方式では、北陸新幹線敦賀開業から間もない令和6年度中、PFI・O方式では、事業者選定手続を県が行います実施設計、建設と並行して進めることができますので、こちらのほうも令和6年度中の開館が見込まれます。
なお、PFI・BTO方式では、事業者選定手続にやはり2年程度の期間が必要となりますので、開館は令和8年度中と想定をいたしております。
県といたしましては、民間活力の導入によりまして、1つには、建設や運営、維持管理のコストを抑えることが期待できますこと、2つ目には、運営面での効率化、それから活性化が進むことが期待できるというふうに考えております。
なお、VFMにつきましては、現在、算定の精査を進めておりまして、今後、最終取りまとめが提出される予定でございます。県議会の御意見も伺いながら、民間活力導入方式を確定してまいりたいと考えております。
今後も、基本計画及び基本設計の方向性は維持しつつ、引き続き着実に整備を進めてまいりたいと考えております。
以上です。
60 ◯副議長(武田慎一君)
堀口農林水産部長。
〔
農林水産部長堀口 正君登壇〕
61 ◯
農林水産部長(堀口 正君)まず、有機農業等の取組についての御質問にお答えします。
県では、有機農業等を推進するため、有機JAS認証の取得に対する助成をはじめ、国の農業直接支払交付金を活用した減化学農薬等の環境負荷を低減する農業への支援、県内量販店等小売と連携した流通のマッチングなどに取り組んでおります。
また、有機農業は、技術指導の面で一般的な栽培方法と比べまして、取り組む農業者による栽培手法や技術水準に違いがあることから、普及指導員には、現場の実態に応じた栽培技術を指導するスキルが必要となります。このため県では、国が行います有機農業の基本技術研修や全国農業改良普及支援協会が行います実践的な研修に、職員を今年度までに延べ31名派遣するとともに、関係機関で構成するとやま有機・エコ農業パワーアップ協議会の研修会で、実際に有機農業に取り組んでいる農業者の事例を学ぶことなども行っております。
一方、国の経済対策の補正予算案には、みどりの食料システム戦略緊急交付金が計上され、地域の実情に即したモデル的な有機農業の取組や、化学農薬、化学肥料の使用量を低減するグリーンな栽培体系等の技術実証への支援策などが打ち出されております。
今後、こうした交付金を積極的に活用し、スマート農業と環境に優しい農業技術を組み合わせた栽培技術体系の確立や、地域のモデル的な取組による面的普及を進めますとともに、農業普及指導員が有機農業の幅広い技術にも対応した適切な現地指導ができますよう指導力の向上に努めてまいります。
次に、離農や耕作放棄地対策についての御質問にお答えします。
県では、これまで将来にわたって持続可能な農業構造の確立を目指し、経営の法人化や複合化等の経営体質の強化、担い手への農地集積・集約化に取り組んでまいりました。
農林業センサスによれば、本県の農業経営体数は、令和2年で1万2,356経営体と、平成27年に比べ、個人経営体を中心に約3割減少したものの、法人経営体は約1.3倍と増加が顕著になっております。また、担い手への農地集積率は、66.5%で全国6位、耕作放棄による荒廃農地面積は、全国で2番目に少ない352ヘクタールとなっております。
一方で、県内の農業従事者は、65歳以上が約8割を占めております。議員御指摘のとおり、令和3年産の米価下落等を契機として、今後、
離農者の増加も懸念されるところであります。
このため、県としては、担い手の法人化等による経営基盤の強化、収入保険への加入支援や制度資金の周知、とやま農業未来カレッジでの研修などによる担い手の確保対策を進めるとともに、耕作放棄地対策として、農地中間管理事業による農地の集積・集約化、農業委員会の遊休農地発生防止の取組や荒廃農地の復元等に対する支援に加えまして、放牧等の粗放的な農地利用によるモデル的な事業にも取り組むこととしております。
引き続き、市町村や関係団体等と連携を図りながら、地域の営農体制が維持発展していけるよう努めてまいります。
62 ◯副議長(武田慎一君)木内厚生部長。
〔厚生部長木内哲平君登壇〕
63 ◯厚生部長(木内哲平君)私からは、まず薬用植物指導センターについての御質問にお答えをいたします。
県薬用植物指導センターは、薬用作物の栽培普及を図るための施設として、薬用作物の栽培試験研究及び栽培農家に対する栽培技術指導、種や苗の供給などを行っています。栽培者に対する研修会や現地指導も年50回程度実施をしています。
あわせまして、一般の県民の皆様に対しましても、薬草標本園を常時開放し、薬草に親しんでいただいています。特にセンターで栽培している約230品種のシャクヤクの花が見頃となる5月中下旬には、5,000人を超える方々がセンターを訪れているということでございます。また毎年秋には、一般県民を対象に薬草観察会を開催して、薬草に関する知識の普及にも努めています。薬草に関する相談も受け付けていまして、栽培方法に関するものや利用法、薬効、副作用に関するものまで、年間300から400件程度の相談が寄せられているところです。
今後も薬草の普及の取組を引き続き推進してまいります。
次に、受動喫煙対策についての御質問にお答えをいたします。
喫煙につきましては、喫煙される御本人のみならず、受動喫煙によりまして周囲の方の健康にも影響を及ぼすということでございます。
望まない受動喫煙の防止を図るため、令和2年4月から改正健康増進法が全面施行されています。この中で事業所や飲食店等は、原則、屋内禁煙が義務づけとなりました。屋内に喫煙専用室などを設置する場合には、技術的な基準などを満たす必要があるほか、屋外で喫煙を行う場合にも、周囲の状況に配慮しなければならないなど、受動喫煙を防止するための措置が強化されたところです。
県では、県内各施設におきまして、この法令により求められる受動喫煙防止対策をしっかり講じていただくために、事業者向けの説明会の開催や、リーフレットの配布による制度の周知徹底、厚生センターなどにおける個別の助言指導に努めています。
県民の健康を守るため、引き続き受動喫煙防止対策の推進にしっかりと取り組んでまいります。
次に、ヤングケアラーについての御質問にお答えをいたします。
ヤングケアラーでございますが、御紹介もありましたとおり、本来大人が担うと想定されるような家事や家族の世話などを、子供が日常的に行うことによりまして、子供自身がやりたいことができないであるとか、子供の育ちや教育に影響があるといったことでございまして、実態の把握や支援の強化が求められています。
本年5月に公表された厚生労働省と文部科学省による
プロジェクトチームの報告書では、早期に発見して適切な支援につなげるため、地方自治体により実態把握をすることの必要性が報告をされています。県としましても、今後の国の動きも注視しながら、調査の必要性について検討したいと考えます。
また、相談体制については、これまで児童相談所での家庭の問題等に関する専用相談ダイヤルの設置や、市町村と協力して支援を行うこども食堂での子供の見守りなどにより、子供が抱える悩みや家族の状況などを個別に把握して相談に応じてきています。
さらに、昨年7月、子供、若者やその家族からの様々な相談の受皿となって支援機関につなぐ総合相談窓口としまして、子ども・若者総合相談センターを設置いたしました。このセンターでは、今年度中にSNSを活用した相談にも対応できるよう準備を進めておりまして、今後とも子供、若者からの相談をしやすい環境づくりに努めてまいります。
最後に、障害者施設での感染症対策についての御質問にお答えをします。
議員から御指摘がありましたとおり、障害者施設では、障害特性からマスクの着用が難しい場合があるなど、感染リスクを前提に、いかに影響を抑えていくかが課題とされています。
さきのクラスター発生事案を踏まえまして、施設に聞き取り調査を行ったところ、施設職員の感染対策の徹底、そして感染者の早期把握、ゾーニングの徹底が重要と報告があったところです。
県では、これまで障害者の特性に配慮した感染防止対策のDVDの施設への配布や、医師、看護師などによる防護服の脱着、さらに手洗いの演習を含めた巡回相談や研修会を実施してきました。また衛生用品などの購入経費やICTの導入への支援、職員向けの抗原簡易検査キットの配布など、障害者施設の感染予防対策を支援してまいりました。
先日、新たな変異株出現に伴いまして、施設に対する感染対策の注意喚起を行ったところでありますけれども、感染の拡大の状況などにつきましては、逐次、最新の情報を施設に周知し注意喚起を行うとともに、引き続き障害者施設において感染防止対策を徹底していただけるよう支援してまいります。
また、感染者が発生した場合には、これまでの経験も踏まえ、早期のゾーニング対応など迅速な対応に努めてまいります。
以上でございます。
64 ◯副議長(武田慎一君)江幡土木部長。
〔土木部長江幡光博君登壇〕
65 ◯土木部長(江幡光博君)まず、除雪における連携についての御質問にお答えをいたします。
本年1月の大雪時には、車道を除雪した雪が路肩や歩道に高く積み上がりまして通学児童等の歩行の妨げとなるなど、県内の道路交通に大きな支障が生じたところであります。このような状況から、円滑な道路交通や安全な通学路を確保するためには、御指摘のように、各道路管理者などがより連携して除雪を行うことが重要と考えております。
具体的な除雪の連携に関しましては、除雪関係機関会議などを通じて、毎年、降雪前に国や市町村と様々な調整をしております。今年度は、県道と市町村道が交互に連続する道路を、同一機械で効率的な除雪を行う連携除雪について、新たに26区間増やしまして計62区間で実施することとしており、このうち歩道については4区間増やしまして10区間で実施する予定であります。
御指摘の通学路の除雪につきましては、県と市町村の連携はもとより、地域の方々の協力も不可欠と考えておりまして、これまでも県が保有する歩道除雪機械を地元自治会や保護者会などに貸し出しまして、除雪の御協力をいただいているところでございます。
また、情報面の連携につきましては、県のウェブサイトで、各道路管理者の監視カメラ338基の画像を共有するとともに、国の冬期情報共有サイトでは、より詳細な気象予測や交通規制情報等を全ての市町村や国、県等で共有するなど、道路情報の連携強化にも取り組んでおります。
県としましては、今後とも降雪後できるだけ速やかに、通学路などの安全で円滑な道路交通を確保できますよう、国や市町村等と連携を密にし、また県民の皆様の御協力をいただきながら道路除雪に取り組んでまいります。
次に、建設資材の需給状況と対応についての御質問にお答えいたします。
県内における主な建設資材の価格につきましては、本年4月以降、軽油が34%上昇しているほか、型枠合板が32%、H形鋼が26%上昇するなど、多くの品目で著しい上昇傾向にございます。これを踏まえまして、県では、工事期間中に主要な工事材料の価格が急激に一定以上変動した場合に請負代金を変更する、いわゆる単品スライド条項について、適切な運用に努めるよう各出先機関に改めて周知したところでありまして、これまでにコンクリートを主要な工事材料とする2件の工事で増額変更をしており、その総額は約167万円でございます。
一方、今年度におきまして、資材不足を理由に工期を延長した工事は2件ございまして、いずれもトンネル照明灯用ケーブルの納期が全国的に遅れていることによるものであります。
また、世界的に不足している半導体を使用するダムの警報装置や営繕工事におけるエアコン等にも、納期の遅れが生じておりまして、このほかにも幾つかの工事で受注者から相談を受けているところであります。
こうした状況を踏まえまして、例えば、コンクリート製品に不足が生じた砂防工事や公園の工事では、入手可能な資材へと設計変更したほか、体育館の屋根改修工事では、フッ素の不足に配慮して塗装の種類を変更して発注するなど、対策を講じているところであります。
引き続き、建設資材の需給や価格の動向を注視しまして、最新の実勢価格等を反映するとともに、資材の不足等が生じた際には、受注者とも協議の上、適切な工期の延長や工法、資材等の変更などに努めてまいります。
以上でございます。
66 ◯副議長(武田慎一君)布野商工労働部長。
〔商工労働部長布野浩久君登壇〕
67 ◯商工労働部長(布野浩久君)私からは、制度融資における関係機関の融資姿勢についての御質問にお答えいたします。
昨年度の3年間実質無利子・無担保の県制度融資は、国の運用改正に応じ、融資限度額の拡大や借換え制限の緩和を行い、また融資状況を踏まえて融資枠を順次拡大してまいりました。国の協力要請を踏まえ、金融機関や信用保証協会、県が緊密に連携協力し、最大限柔軟な資金繰り支援を行い、その融資実績は1万4,833件、融資総額は約2,486億3,000万円と過去最大となり、相当の役割を果たしたものと考えております。
山崎議員御指摘の点につきましては、例えばコロナ禍以前の負債を背景に借入れが困難な経営状況にあるなど、やむを得ずゼロゼロ融資に至らなかったケースもありましたが、その場合においても、経営改善計画の策定支援や条件変更等の別の方法による資金繰り支援に柔軟に対応しており、いわゆる貸し渋りではないと聞いております。
今後、新型コロナの感染状況によっては、売上げが戻らず追加融資が困難な場合も懸念されますことから、金融機関や信用保証協会が参画します中小企業支援ネットワーク会議等を通じて、事業者支援の目線をお互いにそろえるなど引き続き連携体制を一層強化するとともに、現在も、実情を積極的に把握し経営改善支援に注力されております。
先月も、国から、金融機関等に事業者支援の徹底等について通知がなされ、改めて追加融資も含めた柔軟な対応が求められております。
県といたしましても、今年度、金融機関の伴走支援を要件に、県補助で保証料をゼロとするビヨンドコロナ応援資金を創設し、多数の御利用をいただいておりますが、その周知に一層努め、引き続き金融機関等と連携し、事業者に寄り添った支援に努めてまいります。
以上でございます。
68 ◯副議長(武田慎一君)荻布教育長。
〔教育長荻布佳子君登壇〕
69 ◯教育長(荻布佳子君)私からは、まず部活動指導に際しての条件整備についてお答えをいたします。
議員御指摘の公益財団法人日本スポーツ協会の公認スポーツ指導者制度につきましては、講習を受けることで誰でも取得できる資格となっておりますが、講習に多くの時間がかかることなどの理由から、この指導者資格を望む者は多くない現状となっております。
県教育委員会では、高度化、多様化する生徒のニーズに対応するため、より専門的な実技指導力を有する指導者を、平成13年からスポーツエキスパートとして学校に派遣をしてきたところでございます。この場合、公認スポーツ指導者等の資格を保有していない場合には、県が行う研修会について、2年に1回の受講を義務づけしてきたところでございます。
また、活動に係る賠償責任については、スポーツエキスパートは、傷害保険や賠償責任保険等が附帯しているスポーツ安全保険に、県教委及び市町村教委が費用を負担して加入をしております。また今年度、休日部活動の地域移行について実践研究を行っている地域部活動の指導者につきましては、運営主体となるクラブなどの団体が費用負担をして保険に加入をしております。
県教育委員会としましては、部活動の地域移行を進めていく際には、地域の方々や保護者の部活動への参画が不可欠であるというふうに考えております。
今後も、運営主体による保険の加入を含め、部活動指導に参画していただきやすい環境づくりや、指導者の資質向上を目的とした研修会の充実、研修への参加の促進に努めてまいります。
次に、特別支援学級の学級編制の標準などについての御質問にお答えをいたします。
特別支援学級については、その対象となる児童生徒が増加していることや、障害が多様化、重篤化しており、学校現場からは、学級編制の標準の引下げについての要望が大きい状況にございます。
学級編制の標準の引下げについては、本来は国が、その財源も含めて定数措置すべきものであることから、
県教育委員会としては、これまでも県の重要要望として国に対して働きかけをしてきていることに加え、全国教育長協議会とも連携し、国に要望をしてきております。
本県では、学級編制の基準を8人としておりますが、国の加配を活用して、自閉症・情緒障害学級において多人数の学級を有する4つの学校に対しては、教員を1名増の配置をするなど努力もしてきております。
一方、特別支援教育支援員につきましては、国の普通交付税措置を活用して市町村が配置をしており、今年度は公立小中学校の83.7%に424名が配置をされています。
県では、国に対して、配置に係る財政措置の拡充を、毎年度、要望してきており、年々増額される傾向にございます。今後とも特別支援教育の充実のため、学級編制の標準の見直しや必要な支援員の配置に係る十分な予算確保を、引き続き国に対して働きかけてまいります。
最後に、タブレット端末のチャット機能によるトラブルについての御質問にお答えいたします。
県教育委員会では、都内での事案を受け、端末使用時のセキュリティーなどの状況について市町村に調査を行いました。多くの市町村では、IDやパスワードが他人に簡単には使われないような工夫をしており、チャットなどの使用時のルールについても、全ての市町村で児童生徒への指導を徹底し、中には、チャット使用時は教員が管理する設定にしているなどの工夫も見られたところでございます。
パスワードについては、他人に推測されやすいのではないかと思われるものもありましたので、
県教育委員会では改めて注意喚起をし、年内には全ての市町村で対応が完了する予定となっております。
今のところ、県内での端末を介したいじめなどのトラブルの報告は受けておりませんが、近年、スマホなどの所持率の高まりに伴い、ネット上のトラブルが増えてきていることもございます。学校においては、危機意識を高め対応していくことが重要だと考えております。
県教育委員会では、これまでも児童生徒自身がネットルールをつくる取組や、児童生徒のネットリテラシー向上を図るための講演会などについて支援をしてきております。またネットパトロールにより不適切な書き込みをチェックし、ネットトラブルの未然防止、早期発見にも努めております。
今後とも、市町村教育委員会のICT担当者会議において具体的なトラブル事例なども取り上げ、市町村において適切な対策が進むよう支援をするとともに、県で実施している研修についても内容の充実を図り、端末利用時のトラブルの未然防止に努めてまいります。
以上でございます。
70 ◯副議長(武田慎一君)以上で山崎宗良君の質問は終了しました。
暫時休憩いたします。休憩時間は10分間といたします。
午後2時53分休憩
───────────────────
午後3時05分休憩
71 ◯議長(五十嵐 務君)休憩前に引き続き会議を開きます。
渡辺守人君。
〔34番渡辺守人君登壇〕
72 ◯34番(渡辺守人君)それでは、早速でございますが、質問に入らせていただきます。
最初に、カーボンニュートラルについてお尋ねをいたします。
先日、地方創生産業委員会で、国、県のエネルギーミックスや再生可能エネルギーについて、産業振興の観点、生活者の視点で幾つか質問させていただきました。エネルギーは、産業の米、生活の血液と言われ、電気が止まると交通も通信も全て止まってしまう。まさに人々の生命線であります。また大変大きな問題と私は捉えております。
昨年、菅前首相は、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を宣言。さらに本年4月、2030年度までに温室効果ガスを13年度比で46%削減すると表明。COP26で岸田政権もこの目標で引き継ぐ方針。エネルギー政策は、まさに今、大きな転換点に立っております。国際社会においてカーボンニュートラルを掲げたこと、脱炭素社会のビジョンを共有したことは大きな意義があります。
本県においても、2050年までにカーボンニュートラルを目指す、とやまゼロカーボン推進宣言を昨年3月に宣言。しかしながら、私は、カーボンニュートラルの実現は産業革命以上のこと。生活や産業構造の大転換を意味しており、環境と経済成長を両立させ、低炭素かつ安価で安定供給もできるエネルギー技術を手に入れる必要があると考えます。
そこで質問ですが、カーボンニュートラルの実現に向けた本県のエネルギー政策を考える上で、どのような視点を重視すべきと考えておられるのか、横田副知事にお尋ねをいたします。
また、カーボンニュートラルの実現のためには、民間や市町村との連携が必要不可欠と考えます。どのように取り組んでいくのか。
また、カーボンニュートラルの取組は、幅広い分野で施策を確実に進めていく必要があると考えます。急ぎ過ぎた議論は違うリスクを生み出す可能性があり、本県の産業構造も踏まえ慎重に進めるべきではありますが、取組の持続性が失われないよう確実に進めてほしいと考えます。では、どのように前進をさせていくのか、三
牧知事政策局長にお尋ねをいたします。
次に、太閤山ランドの魅力向上についてお尋ねをいたします。
太閤山ランドは、1983年(昭和58年)、富山県の置県100年を記念して設けられた県内最大規模の県民公園であります。プールや展望塔、こどもみらい館などがあり、レンタサイクルも利用できる県西部の憩いの場として、長年多くの県民に親しまれてきました。私も、子供たちがまだ小さい頃、家族でプールやこどもみらい館を数回訪れた記憶がございます。
40年を経過した現在、県は、新年度、太閤山ランドの魅力向上に乗り出すとし、調査費3,000万円を計上。ICTや5G移動通信システムなど先端技術を活用し、ドローンや自動運転を活用した新たなアトラクションを検討するとしております。また日本JCが提唱しているベビーファースト運動に富山県もいち早く参画し、新田知事は、子育て環境日本一の富山県を実現しますとの活動宣言を発表しており、子供から大人まで楽しめ、夢があふれる県民公園を目指しております。
そこで質問ですが、現在、太閤山ランド魅力向上調査が進められておりますが、利用状況等を踏まえ現状をどのように分析しているのか、県民や地元からの意見と併せて、三
牧知事政策局長にお尋ねをいたします。
次に、デジタル技術を活用した実証実験として、新たな周遊、回遊の移動手段として期待される利用者向けの電動キックボード試乗会が開催をされました。新たなアトラクションとしての可能性や課題についてどのように考えているのか、三
牧知事政策局長にお尋ねをいたします。
今後、県民のニーズや実証実験の結果等を踏まえ、ICT技術の活用や民間活力導入の視点も取り入れ、調査をどのように取りまとめていかれるのか、三
牧知事政策局長にお尋ねをいたします。
次に、税財政問題についてお伺いをいたします。
コロナ禍での安定的な財源確保、将来のさらなる成長に向けて投資を行っていくためには、県債は重要で不可欠な財源の一つ。富山県は、本年、市場公募地方債を導入し、11月30日、全国型市場公募債を発行したが、その目的は何か、岡本経営管理部長にお尋ねをいたします。
県債を取り巻く状況は、令和2年度、9年連続で減少をしておりました。本県の県債残高が増加に転じたことや、国においても、財政投融資制度改革等から、公的資金から民間資金への転換が進むなど、地方債、資金の質にも変化が起きており、このような状況下で資金調達を安定的に行うためにも、調達手段を多様化することは大変重要と考えます。
近隣県では、令和3年度の全国型市場公募債の発行計画額は、福井県1,053億円、新潟県1,200億円、岐阜県は620億円としておりますが、富山県も、今後、地元金融機関の引受額を確保しつつ、全国型市場公募債の発行額を増やしていくことを検討すべきと考えます。また、あわせてPFIやPPP等を活用した民間資金の調達についても検討すべきと考えますが、岡本経営管理部長に御所見を伺いたいのであります。
次に、地方拠点強化税制の充実についてお伺いをいたします。
たしか平成27年に、この制度が本県で確立し、YKK株式会社が第1号だったと記憶をいたしております。当時、本県では企業誘致やUIJターンに力を入れており、本社機能を東京23区から地方に移転する場合、地方で拡充する場合、東京23区以外から地方に移転する場合、税制の優遇措置を受けることができるという制度であります。今日まで多数の企業が富山県に拠点を移して活動をいたしております。
私は、この地方拠点強化税制の継続はもとより、雇用促進税制の大幅な拡充や、支援対象として移転に関連する施設、例えば職員住宅や社員寮等の追加など制度の充実を行い、企業誘致の促進を図るべきと考えますが、布野商工労働部長の御所見を伺いたいのであります。
次に、平成31年4月に地方税共同機構が設立をされました。電子納税が推進されておりますが、納税者の利便性の向上、官民双方のコストの削減、地方団体の事務の効率化と適正かつ公平な課税の実現等を図るため、地方税の一層の電子化のみならず、税外収入、手数料等の電子化の推進状況と併せて、岡本経営管理部長にお伺いをいたします。
次に、財務省の現事務次官、矢野事務次官が、「文藝春秋」11月号に寄稿し、数十兆円もの大規模な経済対策がうたわれ、一方では財政収支黒字化の凍結が訴えられ、さらには消費税率の引下げまでが提案されていると疑問を投げかけ、衆議院選挙を控え与野党が展開するばらまき合戦に苦言を呈しました。国においては、パブリック・デット・オーバーハング(公的債務過剰)の仮説について、私は、もっと研究を進める必要があると考えます。
先般閣議決定されました国の経済対策及び補正予算案について、財政健全化を踏まえどのように評価をしているのか、新田知事の御所見を伺いたいのであります。
次に、国の財政指標についてお伺いをいたします。
高岡市において、平成30年地方公共団体の財政の健全化に関する法律に基づく健全化判断比率は、問題はなかったが、突如として40億の財源不足の問題がクローズアップされました。議論の結果、毎年8億円ずつ5年間で財源不足を解消することとなり、来年解消いたします。
各市町村においては特有の基金があり、それぞれうまく運用していると私は考えます。高岡市においては、財政調整基金を残し、借金──市債を発行していく方向に、なぜ持っていかなかったのか。財政調整基金は、元来、景気変動に備え、市税収入がよいときは積み増し、災害など緊急な歳出に備える必要がある。行政の財政はやりくりであり、うまくマネジメントをやっていれば何ら問題は発生しなかったと私は考えます。
この間、県当局におかれましては、大変なアドバイスをいただいたと、今、感謝の気持ちでいっぱいであります。
そこで質問ですが、二度とこのような過ちを起こさないよう、財政調整基金が標準財政規模では本来どのぐらい残高があるべきか、新しい指標が必要ではないか。また現在の指標は決算統計に基づく収支の結果であり、預金に相当する基金に着眼した経営マネジメントへの助言となるような新しい指標づくりが必要と考えますが、
助野地方創生局長の御所見を伺いたいのであります。
次に、たびたび各議員より質問がありましたが、私からも富山県成長戦略についてお尋ねをいたします。
知事は令和4年度予算編成方針について、成長戦略の中心にウエルビーイングの向上を目指し、斬新で効果的な事業に優先的に予算を配分すると言及。過去、成長戦略といいますと、アベノミクス3本の矢として金融緩和、財政政策、成長戦略が経済再生の基本であったが、3本目の矢がうまく機能しなかった。特に地方では実感として感じられないという声が大変多かったように記憶をいたしております。
平成から令和へと時代が変わり、政治、経済、社会など、あらゆる場面で昭和型のモデルが機能しなくなってきております。次々と新しいものを考え生み出さないと生き残っていけない時代に入っていると、私は強く感じます。
一方、既存の経済統計の成長指標だけで、県民の豊かさをつかまえることはできない。逆に、経済学的な指標で計り切れないところをいかに充実させるかが、今後、重要になるのではないかと私は考えます。また、今議会の論戦を聞いていても、自立した個人や個性、多様性を重んじる社会へ今どんどん移行しているように感じてしようがありません。
私にも、ウエルビーイングについては具体性を帯びていない分、様々な声が届きますが、政治で重要な視点は時間軸。現時点で県民から何をやっているのか分からない等、様々な意見等があっても、長期展望を持って後世のために絶対にやる必要がある政策があると私は考えます。
私は、場当たり的な人気取り政策を打ち出す政治よりは、現在やっておられることについて非常に評価をいたしておりますが、何といっても政策評価の時間軸が短くなってしまった。そしてネットやSNSがこのことに拍車をかけていることが、大きな問題だと、今、私は思っております。大事なのは構想を具体的に示すことで、多くの県民と目標を共有し共感を得ること、手段を提示することと考えます。
そこで質問ですが、現在、戦略の6つの柱ごとのワーキンググループや市町村でのビジョンセッション等で議論が進められておりますが、どのような意見が出ているのか。今後、これまでにない施策を具体的に実行しようとする場合、法令や制度、財源にハードルが生じると考えます。必要に応じて、特区制度等を活用した大胆な規制緩和などを国に働きかけるべき。
また、自主財源には限りがあり、国の交付金等の活用など、国に働きかけて歳入確保に努める必要があると考えます。新しいことを実現するには国との連携が不可欠であり、必要ならば国にもっと働きかけを強めるべきではないかと思いますが、新田知事の御所見を伺いたいのであります。
最後に、行財政改革についてお伺いをいたします。
新田県政になり、1年が経過をいたしました。この1年間、経営感覚を持った民間出身の知事の下、行政改革を進めてこられたと感じます。
そこで、新田県政におけるこの1年間の行政改革の取組状況はどうなっているのか。また今後は成長戦略の柱の一つである県庁オープン化戦略、職員の意識改革、総合交通とまちづくり、中山間振興、「こどもまんなか」改革の実現に取り組むべきと考えます。今後の課題をどのように認識しているのか、併せて岡本経営管理部長にお伺いをいたします。
また、令和4年度予算編成方針において、知事は、歳入確保に最大限努めるデジタル化や技術革新、生活スタイルの変化など社会経済情勢の変化を踏まえ、従来のマイナスシーリング方式から事業の抜本的見直しや再構築に重点を置く方式に転換する。また、これまで以上に選択と集中を徹底すると言及されました。
そこで質問ですが、知事が重視する現場重視、スピード感を持って八十八策を推進し、成長戦略を実行に移すには行財政改革が欠かせないと考えます。事業の抜本的見直し、再構築の過程で第三者の評価を交えるなど、従来のやり方を超えるような取組が求められますが、新田知事の御所見を伺い、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
73 ◯議長(五十嵐 務君)新田知事。
〔
知事新田八朗君登壇〕
74 ◯知事(新田八朗君)渡辺守人議員の御質問にお答えします。
まず、国の経済対策及び補正予算案についての御質問にお答えします。
我が国の国、地方を通じた債務残高は、令和3年度末見込みで約1,200兆円となって、これはGDPの何と2.5倍という、先進国の中でも巨額なものとなっています。
行政サービスを実施するに当たり、国家財政と地方財政は密接不可分であり、共に将来世代にツケを残さない持続可能な財政運営に最大限努めていかなければならないと考えます。基本認識はそういうことでございます。
現在、国会において審議されておりますコロナ克服・新時代開拓のための経済対策に基づく補正予算ですが、新型コロナの影響で厳しい状況にある日本経済について、一日も早く通常に近い
社会経済活動の再開を図るために、まずは感染拡大の防止を最優先にし、厳しい状況にある方々の事業、あるいは生活困窮者の方々の暮らしを支える。またウイズコロナの下での
社会経済活動の再開、さらには経済成長と人への投資を通じて成長と分配の好循環を図っていくものとなっています。
このことは、コロナ禍で急速に起こってきた社会変化の兆しに対応しつつ、将来を切り開く成長戦略を目指していくという点では、私が目指したい成長戦略、ウエルビーイング戦略とも通じるものだと考えております。
県としましては、補正予算と一体的な対応を行う当初予算編成の中で、国のほうは16か月予算とおっしゃっていますが、私どもも切れ目なく進めていきたいと考えておりますが、そんな予算編成の中で、事業の抜本的見直しや再構築を行っていきたいと考えます。現下の財政需要に応えつつも、財政健全化も踏まえまして、将来世代の負担に留意をしながら施策に取り組んでいくことが大切だと考えております。
私は、知事就任のときに、我々はお給料も、もちろん事業を行うのも全て原資は税金であると、そのことを常に意識しましょうということを幹部の皆さんに申し上げました。そして、あわせて我々自身も納税者であるというタックスペイヤーとしての視点も常に持とうということを申し上げました。我々の税金というのは、国のお金も県のお金もない、色がついていないわけでありまして、全て国民の税金ということであります。そんなことも申し上げて、この精神で、ぜひワイズスペンディング──賢い財政支出に努めていきたいと考えております。
次に、成長戦略についての御質問にお答えします。
現在、成長戦略の6つのワーキンググループにおいて、具体的な施策について議論をしていただいているところです。様々な意見、これも本当にいろんな意見をいただいて、うれしい悲鳴といいますか、そんなことであります。もちろんまだ成案ではありませんが、御質問をいただいたので、今議論されていることについて少し御紹介をさせていただきます。
ワーキンググループの一つ、新産業戦略ワーキンググループでは、自然エネルギーの活用やリサイクルの促進などによる地場産業の強化、また、渡辺議員、先ほど冒頭の御質問にありましたカーボンニュートラルの推進について、また実証実験立県富山を目指した実証フィールドの調整。さらに、まちづくりワーキンググループでは、まちづくり関連業者の業界の垣根を越えた連携づくりによってイノベーションを創出してはどうか。新たな取組に向けた御意見もいただいています。
そして、ビジョンセッションでは、先ほど御質問いただいた中にもありましたが、地域の魅力向上などについて、これも様々なアイデアや御意見をいただいているところです。
今後、ワーキンググループで議論された具体的な施策について、県議会やビジョンセッションでの御意見なども踏まえて、
アクションプランとして整理をして令和4年度当初予算案に反映し、年度末には富山県成長戦略として取りまとめてまいりたいと考えております。
なお、成長戦略を実行するに当たって、まずは民間事業者の巻き込みによる民間の活力や知見の活用を進めたいと考えます。その上で、事業の財源については、これまでも国の交付金や補助制度などを活用し、様々な事業の財源確保に努めてきてはいますが、今までにない新しい施策で、国の交付金などの対象にならないような場合や、法令や制度上の規制が支障になる場合があれば、必要に応じて国に対して要望や提案を行うほか、全国的な共通課題については、全国知事会などとも連携して、新メニューの創設や規制緩和などについて働きかけていきたいと考えます。
議員おっしゃるように、できるだけ近い将来には、それぐらい突き抜けた施策を考えていきたいと考えております。
私からは最後になりますが、行財政改革の今後の取組についての御質問にお答えします。
知事に就任して以来、成長戦略会議の開催、あるいは八十八の具体策の実現に向けた予算化の推進、「ワンチームとやま」連携推進本部やDX・働き方改革推進本部の設置など、県民の皆様にお約束した公約の実現に向けて、これまで県民目線、スピード重視、そして現場主義を大切に、民間企業の当たり前も県政に取り入れていこう、そんな思いで県政運営を進めてきました。そして本県のさらなる発展と県民の幸せのために取り組んでまいりました。
しかし、財源や人的資源が限られている中で、成長戦略等の重要施策を着実に実行していくためには、議員御指摘のとおり、従来のやり方を超える思い切った行財政改革の取組が不可欠と考えています。このため、議員もお触れいただきましたが、令和4年度予算編成においては、従来、昭和58年から続いてきましたマイナスシーリング方式から、事業の抜本的見直しや再構築に重点を置く方式に転換しようということを、予算編成方針で職員に投げかけているところでございます。
また、先日、富山県法人会連合会さんから要望をいただきました。行財政改革には、民間のチェック機能を生かした手法が有効であるといった提言もその中に含まれています。こうした意見を踏まえまして、現在、民間の経営者あるいは未来を担う若者など県民の皆さんにも参加をいただき、第三者の評価を交えて官民協働で事業見直しに取り組む新たな手法の導入について、来年1月をめどに試行的に実施することを検討しています。
今後も、県議会はもとより、県民の皆さんから幅広く御意見をいただきながら行財政改革に取り組んでまいります。
私からは以上でございます。
75 ◯議長(五十嵐 務君)横田副知事。
〔副知事横田美香君登壇〕
76 ◯副知事(横田美香君)私からは、カーボンニュートラルについての御質問にお答えいたします。
国では、10月にエネルギー基本計画が閣議決定されまして、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、今後の進むべき道筋が示されたところであります。県としましても、低炭素化や省エネルギーなどを促進しつつ、太陽光や小水力、バイオマスなど再生可能エネルギーの拡大などに取り組むことが必要であると考えております。その際には、渡辺議員御指摘のとおり、脱炭素と地域経済の発展との両立が大事であり、脱炭素を目指したエネルギー関連技術の研究開発や脱炭素に関わる新たなビジネスの創出などを促進し、本県産業の成長につなげる視点が重要です。
このため、県では、今年度、本県の産業集積の活用が期待できる水素・燃料アンモニア関連など、グリーン成長戦略3分野に意欲ある企業が参加する研究会を立ち上げ、技術セミナーや先進地視察などを精力的に行うなど、事業化への取組を促進しています。
また、再生可能エネルギーを地域で導入し、エネルギーの地産地消を進め、災害時におけるエネルギー供給を確保するといったレジリエンスの強化につなげていくこと、それからプラスチックの削減、代替素材への転換など、新しいライフスタイルを促進していくことも必要です。
カーボンニュートラルの実現はチャレンジングな課題ですが、こうしたことを重視しつつ、引き続き地域や民間事業者の前向きな挑戦を応援することにより、脱炭素と地域経済の発展の両立につなげてまいりたいと考えております。
77 ◯議長(五十嵐 務君)三
牧知事政策局長。
〔知事政策局長三牧純一郎君登壇〕
78 ◯知事政策局長(三牧純一郎君)私からも、まず、カーボンニュートラルの実現に向けた民間や市町村との連携についての御質問にお答えさせていただきます。
県では、現在、富山県再生可能エネルギービジョンの改定作業を進めているところでありますが、その中に盛り込みます重点
プロジェクトの設定に当たっては、民間主導の取組や市町村との連携による取組を検討するほか、SDGsへの関心やグローバルなサプライチェーン上の要求が高まる中で、産業育成やビジネスを継続していくと、そうした視点をしっかりと持って、ビジョンに基づく施策の実施が本県の成長にもつながっていくよう、その内容を検討しているところでございます。
また、午前中もお答えさせていただきましたけれども、ワンチームとやまのゼロ
カーボンシティ富山の実現ワーキンググループにおきましても、これまでの4回の開催を通じまして、市町村の皆様との様々な情報共有、そして今後進めていく連携事業や共同啓発事業の協議を進めるなど、市町村との連携を深めてきており、来年以降も継続していく予定でございます。
まさに、地域の特色を踏まえたカーボンニュートラルの取組を県として後押ししていく、このことも非常に重要であると考えてございます。
なお、渡辺議員からも御指摘ありましたけれども、カーボンニュートラルの取組を進めるに当たっては、性急な変化が社会的コストの増大につながることも大変懸念されているところでございまして、その中で製造業が基幹産業であるという本県の産業構造もしっかり踏まえて、戦略的、持続的に取組を進めていくことが重要であると考えてございます。
カーボンニュートラルの実現に当たりましては、まさにあらゆる分野で取組をしっかりと進めていくと。その中で、やはり民間や市町村と、施策だけではなくて具体的な
プロジェクトをしっかりと組成していく必要があることから、民間や市町村としっかり連携するのは当然でございますが、引き続き県庁内におきましても、4月に創設されたカーボンニュートラル推進課を中心に、各部局しっかり連携しまして、そして一貫性を持ってしっかりと取組を進めていきたいと考えてございます。
続きまして、太閤山ランドの魅力向上についての御質問にお答えさせていただきます。
こちらも議員御指摘のとおり、現在、魅力向上策の検討をしておりまして、利用状況等を分析した上で、県民や地元からの意見をしっかりと反映していくことを目指しまして取り組んでございます。具体的には、まずは施設の利用状況の分析、そして施設の老朽化の状況の把握、そして国内の先進的な事例の調査、そして利用者など県民ニーズの調査等を実施しており、まさに分析を行っているところでございます。
現状分かっていることでございますけど、まず利用者につきましては、やはり暖かい時期というところで、月別では8月が最多でございまして、4月からの5か月間で年間の約7割を占めております。プール、こども未来館、野外劇場、あじさい祭り等のイベントの人気が非常に高いと。一方で年齢別、これは回答者のアンケートでございますけれども、主に30代から40代のファミリー層が多く、また高齢者の方にも一定程度利用される一方で、若い世代が少ない傾向にございます。
利用頻度は、ファミリー層を中心に、年に複数回訪問されている方も全体の約6割を超えておりまして、一定程度のリピーターを獲得しておりますし、当然ながら利用者の満足度は総じて高く、緑が豊かで自然を楽しめ多様な施設がある、またあわせて、子供が安心して遊べるというところが強みであると考えてございます。
また、議員から御指摘ありました県民や地元の意見につきましては、県政モニターのアンケート、そしてインターネットによる意向調査、そして利用団体の個別ヒアリング、そして地元の保育園、小中高生や大学生、そして地域住民のグループヒアリングなど、多種多様な手法によりニーズの把握を順次行ってございます。この中には利用者だけではなくて、利用されていない方も含まれてございます。
その中の声といたしましては、老朽化対策を求める声のほか、新たな魅力や機能として、レストランやカフェ、子供向けのイベントや遊具、そして四季の花や自然体験、そしてデジタル技術を活用したアトラクション、そして中が広いので便利な移動手段などの御意見や御提案をいただいているところでございます。
引き続き広く意見をお聞きしながら、一方で費用対効果もしっかり精査しながら、多くの方々に活用いただくための魅力向上策の検討を進めていきたいと考えてございます。
次に、電動キックボードについての御質問にお答えさせていただきます。
先ほどの御回答でもありましたけれども、太閤山ランドは、施設老朽化などの課題がございまして魅力向上を図る必要があることから、現在、新たなアトラクションとしての可能性を検討するために、ちょうど先週末に施設利用者向けの電動キックボード試乗会を実施したところでございます。
電動キックボードは、新しいモビリティーでございまして、県内ではまだまだ普及が進んでおりません。ただ、軽くコンパクトで小回りが利き、スマートに格好よく移動できるため、運転自体が魅力になるアクティビティーとなり得る可能性があると考えてございます。
また、太閤山ランド内の専用エリアですと、運転免許が不要で中高生なども運転ができ、一方で施設側にとっては、大規模な設備投資が不要というメリットもございまして、新たなアトラクションとしての可能性は秘めていると考えてございます。
一方で、実際に太閤山ランドで利用する場合に、ほかの施設利用者との接触であったり、急な坂道等での転倒などが想定されまして、こうした事故の防止、施設内での安全な利用が課題であると考えてございます。その対策といたしましては、例えば施設の一角を区切り、電動キックボード専用エリアとすることも考えられるのでございますが、エリアが狭くなれば電動キックボードの運転の魅力が低下すると。一方でエリアが広くなれば、ほかの施設利用者への影響が大きくなるなどの懸念もございます。
今後、試乗会でのアンケートなどの利用者の声も踏まえまして、関係部局と連携しながら、新たなアトラクションとして、どのような可能性で、どのような形であれば実現できるのか、それともやはり難しいのか、そうしたことをしっかりと検討していきたいと考えてございます。
私からは最後になりますが、太閤山ランドに関する調査の取りまとめについてのご質問にお答えいたします。
これまでの調査結果も踏まえまして、現状のところ、太閤山ランドが目指す姿としては、歴史、文化など太閤山らしさを次世代に継承し、今あります豊かな自然も生かした都市公園としての機能はしっかりと保ちつつ、一方でビヨンドコロナであったりSDGsであるような新たなライフスタイルにも、しっかりと対応した公園であること。また議員からも御提案がありましたけれども、最先端のデジタル技術や民間活力を活用し、新たな発見や学び、そしてワクワクする魅力を取り入れ、多くの方々の来園につなげるとともに、サービス向上とコスト削減も実現し、環境負荷にも配慮したスマートな公園であることが望ましいと考えてございます。
あわせて、利用者がウエルビーイング──真の幸せを実感でき、それをまた発信できる、そうした拠点となるような公園とすることで、特に現状、少ない若者を中心とした来場者を増加させること。そしてリピーターの獲得につなげることで、子供から大人まで誰もが楽しめる。そして、そういう方々、多世代が集うことで、また新しい価値が生み出される。そして、その結果、周辺地域の活性化にしっかりとつながっていくと。そうした好循環を生み出す公園を実現していくことが大事かなと考えてございます。
県民のニーズを受けた機能改善や、このたび実証実験を行った電動キックボードはじめ新たなアトラクション及び設備投資等の導入の検討に当たっては、新しいICT技術やアイデア、ノウハウ、そしてコスト削減の面からも、民間の活力、アイデアや知見をしっかりと取り込んでいく必要があると考えてございます。
今後の調査では、引き続きさらなる利用状況の分析や県民ニーズの把握は進めるんですけれども、全国の先進事例の調査、法的規制の確認、そして必要経費を概算することで、民間事業者へのサウンディングや民間活力の導入手法の検討までも総合的に行うこととしております。民間企業と積極的に連携し、費用対効果の観点からも複数案の検討を進めて、今年度末に魅力向上策のアイデアを取りまとめたいと考えてございます。
以上になります。
79 ◯議長(五十嵐 務君)岡本経営管理部長。
〔経営管理部長岡本達也君登壇〕
80 ◯経営管理部長(岡本達也君)私のほうからは、税財政問題のうち、まず全国型市場公募債の導入についてお答えをいたします。
本県では、これまで県債による資金調達のほとんどを、県内を主とする金融機関に安定的に引き受けていただいてきているところでございます。
他方で、国、地方を通じた公債残高が累増する中、コロナ禍を乗り越え地域経済を立て直すための経済対策をはじめ、防災・減災、国土強靱化、公共施設の老朽化対策の推進、地域活性化に資する施設整備といった将来への積極的な投資など、資金需要はさらに増加し、経済財政情勢を踏まえ機動的な対応が必要となると考えております。
このため、今年度新たに導入いたしました全国型市場公募債につきましては、県の財政運営にとっての危機管理の一つの方策として、従来の銀行等引受債を基本的な調達手法としつつ、全国の機関投資家等に広く県債の購入を募集する手法を導入することにより資金調達手段の多様化を図り、将来にわたって安定的かつ機動的に適時適切に、必要な資金調達を可能とすることを目的としたものでございます。
なお、今回、本県初となる全国型市場公募債につきましては、公募債市場での最小ロットとされている100億円を発行し、発行利率も同時期に発行する他団体と同じく0.13%と、条件決定日においても全国で一番低い利率となったほか、発行日に即日完売となるなど、全国の投資家の皆様から高い関心が寄せられたところであり、安定的な資金調達はもとより、今後の県内企業への投資の呼び込みや県内経済の好循環に向けて、改めて本県を認識していただく好機にもなったものと考えております。
次に、全国型市場公募債の発行を増やしていくことや、PFI、PPPを活用した民間資金の調達の検討についての御質問にお答えをいたします。
今回の全国型市場公募債の導入の目的が、県の財政運営にとっての危機管理の一つの方策として、資金調達手段の多様化を図ることにあることから、今年度の発行額は県債の発行総額とのバランスを勘案し、市場から調達する際の最低ロットである100億円としたところでございます。
銀行等引受債などの従来の県債と市場公募債には、それぞれ手数料や利率の面におきまして特性があり、また今後とも一定程度、地元金融機関に安定的に受け入れていただく必要もあります。そのため全国型市場公募債につきましては、当面、今年度発行額の100億円を基本として、県債の発行総額とのバランスも勘案するとともに、市場状況を注視して発行の継続を検討してまいりたいと考えております。
次に、PFI、PPPによる民間資金の調達については、資金調達の多様化を図り、安定化につながると考えております。そのため、その実施に当たりましては、従来方式と比較し、運営費等を含めた費用総額での財政負担や民間活力の導入による施設サービスの向上、さらには資金調達に係る市場の状況などを考慮し、総合的に判断する必要があると考えております。
なお、先ほど武道館、高岡テクノドームにおきまして、山崎議員の御質問に対し副知事からお答えをしましたとおり、PFIの中でも幾つかの手法、方式がございまして、資金調達の面でも異なることから、現在進められております民間活力導入可能性調査の取りまとめを踏まえまして、県議会の御意見も伺いながら検討をしてまいりたいと考えております。
次に、地方税、手数料等の税外収入の電子化についての御質問についてお答えをいたします。
地方税の電子化については、納税者の利便性を高め、それにより収入率の向上、公平な課税を実現するため、県独自にクレジットカードやスマホアプリでの決済をいち早く導入してきております。これらの取組の結果、例えば今年度の自動車税種別割の期限内納付は、件数ベースで、キャッシュレス決済が26.5%、収納割合も85.3%と過去最高となっており、収入率も年々上昇傾向にございます。
さらに、現在、地方全体として、納税者等が地方公共団体に対して行う全ての申告・納付手続について、地方税共同機構が全国の自治体向けに提供するeLTAX等のシステムを活用することで、オンライン化を目指しており、本県も順次活用に取り組んでおります。具体的には、令和元年度から法人2税、本年10月からは利子割等に対応したほか、地方税の電子化を一層推進するため、本定例会に御提案をしております補正予算案におきまして、現在、普通自動車のみの保有手続のワンストップサービスを、軽自動車の環境性能割にも拡充するための導入に関する経費を計上させていただいているところでございます。
一方、税外収入の電子化につきましても、DX・働き方改革推進を図るため、証紙で納付する手数料について、申請から納付までを一貫してデジタルで完結することを目指し、準備が整ったものから電子申請とセットで行う電子納付を可能とするため、来年10月から、その施行を開始することとしております。
今後も、税、税外にかかわらず、電子申請、電子納付を順次拡大してまいりたいと考えております。
最後に、行政改革の取組と今後の課題についての御質問についてお答えをいたします。
令和3年度の行政改革につきましては、本年2月に行革発表したところでございますが、順調に進めているところでございます。
まず、組織改編におきましては、優先度の高い重要課題に取り組むため知事政策局を設置し、成長戦略をはじめ官民連携や規制緩和、ベンチャーの創出、カーボンニュートラルの推進などの施策を部局横断的に推進してきております。
このほか、危機管理、災害対応体制を強化する危機管理局の設置や、ワンチームとやまを推進する地方創生局への改組など組織体制を整備してきているところでございます。
また、人材育成として、庁内公募を行い、政策提案活動を支援する若手職員チャレンジ
プロジェクトを実施し、意欲ある若手職員の育成にも取り組んでいるところでございます。
また、県庁のデジタル化の推進につきましても、庁内テレワーク環境の大幅な拡充を進めており、令和7年度までに、県庁職員全員が、自身の執務用パソコンでテレワークの実施が可能となるよう計画的に進めております。その他、本庁舎及び議会棟の庁内LANの無線化、ビジネスチャットの導入、カメラ付きパソコン導入によるオンライン会議ができる環境整備などにより、県庁のデジタル化に一定の効果が出始めていると考えております。
一方、議員御指摘の総合交通や中山間振興など、社会情勢の変化の激しい時代に迅速に対応していくためには、多くの関係機関との調整機能を強化して進めていく必要があると考えております。
また、先ほど知事からも御答弁を申し上げましたけれども、官民協働の手法で事業の見直しなどを進め、八十八策の推進や成長戦略を積極的に進めていく必要があると考えているところでございます。
私からは以上でございます。
81 ◯議長(五十嵐 務君)布野商工労働部長。
〔商工労働部長布野浩久君登壇〕
82 ◯商工労働部長(布野浩久君)私からは、地方拠点強化税制等についての御質問にお答えいたします。
県では、地方拠点強化税制に基づく県の計画として、「とやま未来創生」企業の地方移転・拠点強化促進計画を平成27年度に策定し、首都圏からの本社機能の移転、県内での研究開発拠点の強化拡充等に積極的に取り組んできております。
これまで人事部門や財務部門などの本社機能の移転、国内に点在していた研究所の県内への集約など、先月末までに29件の移転・拡充計画を認定しており、全国でも上位クラスの認定件数となっております。先月も、コロナ禍ではありますが、首都圏のIT企業が本社機能の一部を本県に移転し事業を開始するなど、地方拠点強化税制の活用による企業誘致が進んでおります。
このため、議員お話しのとおり、今年度末で適用期限を迎えます地方拠点強化税制について、県の提案要望として、また全国知事会とも連携して、同制度の継続はもとより、雇用促進税制の税額控除の大幅拡充や、移転に関連する施設である職員住宅、社員寮等の支援対象の追加など、制度のさらなる充実を国に働きかけているところであります。
コロナ禍でのリモート会議の導入が進む中、災害等のリスク分散の観点からも、地方への移転を検討する企業が増えており、企業を呼び込むチャンスであると捉えております。引き続きリアルやオンラインでの立地セミナーや企業誘致ホームページのリニューアルなどを実施しまして、市町村と連携しながら、災害の少なさや勤勉で進取の気性に富んだ県民等の本県の強みを積極的にアピールし、首都圏からの企業誘致に一層取り組んでまいります。
以上でございます。
83 ◯議長(五十嵐 務君)
助野地方創生局長。
〔地方創生局長助野吉昭君登壇〕
84 ◯地方創生局長(助野吉昭君)私からは、税財政問題のうち、市町村の財政調整基金についての御質問にお答えいたします。
地方公共団体では、年度間の財源の不均衡を調整するため、条例の定めるところにより基金を設けており、そのうち財政調整基金につきましては、主として経済事情の著しい変動等により財源が著しく不足する場合や、災害により生じた経費等の財源に充てるなどの目的で積み立てられております。
平成29年に総務省が行った基金の積立状況等に関する全国調査によりますと、市町村における財政調整基金の積立ての考え方として、「決算状況を踏まえ、可能な範囲での積立て」の回答が最も多く、次いで「標準財政規模等の一定割合」、さらに「過去の取崩し実績から必要と考えられる額」の順となっております。
市町村における財政調整基金の規模は、税収や想定される災害の備えなど個々の事情を踏まえて決定されておりますので、お尋ねの県として一定の基準や指標を示すことは難しいと考えており、今後も各市町村において、それぞれの事情や規模などを踏まえて適切に御判断いただくものと考えております。
しかし、各市町村において、ほかの市町村の状況を把握して判断することも重要と考えられますので、県では、県内市町村の財政状況につきまして、毎年公表し、標準財政規模に対する財政調整基金の割合の経年分析も明らかにしているところでございます。また県と市町村で財政制度に関する諸問題等の理解を深めるため、研究会を毎年開催しておりまして、これまで各市町村の財政調整基金の積み方についても意見交換するなど、情報共有に努めてきたところでございます。
今後とも、決算統計のヒアリングを行いながら、基金残高も含めた市町村の財政状況について、しっかり確認いたしますとともに、適宜適切に相談に応じてまいりたいと考えております。
以上でございます。
85 ◯議長(五十嵐 務君)以上で、渡辺守人君の質問は終了しました。
以上をもって本日の一般質問、質疑を終了いたします。
これをもって県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を終了いたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
常任委員会への審査付託
86 ◯議長(五十嵐 務君)次に、ただいま議題となっております議案第134号から議案第142号まで、議案第144号から議案第157号まで及び報告第20号については、お手元にお配りした議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
87 ◯議長(五十嵐 務君)次に、お諮りいたします。
議案調査のため、明12月7日及び9日は休会といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
88 ◯議長(五十嵐 務君)御異議なしと認めます。よってそのように決定いたしました。
以上で本日の日程は終了いたしました。
次に、議会の日程を申し上げます。
12月8日及び10日は予算特別委員会を、13日は常任委員会及び議会運営委員会を開催いたします。
次回の本会議は12月14日に再開し、諸案件の審議を行います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後4時02分散会
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