富山県議会 2021-02-01
令和3年2月予算特別委員会
↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 午前10時00分開議
武田委員長 おはようございます。
ただいまから本日の
予算特別委員会を開会いたします。
それでは、発言の通告がありますので、これより順次発言を許します。
酒井立志委員の質疑及び答弁
2
武田委員長 酒井委員。あなたの持ち時間は60分であります。
3 酒井委員 おはようございます。
自民党の酒井立志です。通告に従いまして、順次質問させていただきます。
新田知事、御就任されて128日になります。この間、県民の命や暮らしに関わる様々な大きな事態に直面されました。
提案理由説明においても述べておられます。
御就任直後、
北陸新幹線敦賀延伸の延期、砺波市での土砂災害、
新型コロナ感染第3波、35年ぶりの記録的なゲリラ豪雪、県内初となる養鶏農場における高
病原性鳥インフルエンザの発生など。知事にとっては、県民の負託に応えるべく力強くスタートされた矢先だと思うのですが、それぞれがまさに大きな壁であったと存じます。
しかしながら、一つ一つしっかり乗り越えられて、11月定例会、また先の臨時議会、そして令和3年度当初予算案や財源対策、組織改編、
行財政改革等をまとめられ、本当に濃密の100日間であったと存じます。
私としては心から敬意を表しますと言いたいところでありますが、今現在、定例会中であり、予算審議中でありますので、
常任委員長という立場上控えさせていただきますが、そのような思いであります。県民に約束された二元代表制の下、議会とも相まみえ、共に切磋琢磨し、県民の負託に応えるため力強く前進していきましょう。
さて、そこでお伺いいたしますが、知事就任から100日経過するに当たり、本日まで知事職の執務に当たってどのような感想をお持ちか、また
後援会活動や
選挙活動等において各種機関、団体、多くの県民からの様々な声に触れて、予算編成に当たりどのように生かしてきたのか、新田知事にお伺いをいたします。
4 新田知事 御質問とともに大変温かいお言葉もいただきまして、ありがとうございます。
委員おっしゃるように、知事就任から4か月余りがたちました。今ほどもるる述べていただきました、いろんなことがありました。ただ、それぞれ全力で取り組んできたところでございます。
私の前職は民間企業の経営者として、約10万件の顧客、この中には個人の御住宅もありますし、また飲食店あるいは大規模な製造業の現場もあります。このようなお客様にエネルギーを供給するという、インフラに責任を持っていた時代もかなり重圧の日々でございましたが、今回改めて、103万5,000人という人口を擁する本県富山県の県政のトップとして務めるということ、危機管理の責任者として県民の皆さんの命と財産を守っていくということ、そして県民が豊かで幸せな暮らしを送っていただけるような富山県の実現に取り組んでいくということ、これらの決意を新たにしているところでございます。
知事の就任前は、委員も触れていただきましたように、個人の立場で県内をいろいろと歩き回る機会がございました。多くの皆さんとお話をし、その姿勢は就任後も変わっていないつもりでございます。県民の皆さんとの対話を重視する、休日といってもほとんどありませんが、たまに時間が取れるときは町に出て、ぶらりと出ましていろんな方々とお話をしたり、よく一緒に写真撮ってほしいとまだ言われますが、そんなことにもお応えをしながらいろいろな話をしているところです。
こうやって、私が県民と県政のつなぎ役という役目を務めることも大切にしてまいりました。また、各種の機関や、あるいは団体などから予算に向けてのいろいろな要望をいただき、その際に意見交換をする場もたくさんありました。これらの意見も重く受け止めているところでございます。
そしてまた、私は民間の頃から現場主義を貫いてまいりました。現在、本県にも多数の現場があります。また、先ほどの災害などもできるだけ早く現場に見に行ったという姿勢を貫いてまいりました。
そんな中でもいろいろな方々との触れ合いがあり、意見交換があり、新型コロナの感染拡大、あるいは事業の継続や生活、雇用への不安という声をたくさんいただきました。また、これに負けずに産業・経済の活性化、医療や福祉の充実、子育て支援、教育の充実、安全・安心な
地域づくりなど、本当に多様な御意見あるいは御要望をお聞きしてきたところでございます。県民の
皆さん一つ一つの大切な声を真摯に受け止めまして、これらを就任後初めてとなる令和3年度の新年度予算に最大限反映させていただいたつもりでございます。
ちょうど昨日、ある方の御訪問をいただきました。
介護福祉士の養成をしていらっしゃる学校で1つの団体をつくっておられますが、その責任者の方でございます。実はありがたいことに、お礼を言いに来たということで面会をさせていただきました。
それは、
介護福祉士養成枠について、介護人材は今後毎年550人ペースで増やしていかなければ需要に追いつかなくなるという予測を立てておりますが、実はその養成の中心になります
介護福祉士の養成校の定員割れが続いています。こういうことではこの先おぼつかないので、こういった学校の
魅力アップや、
介護福祉士という仕事の
魅力アップをアピールする予算を1,000万円計上するという提案をさせていただいています。多くの予算はゼロシーリングで厳しくやってきましたが、これは新
成長戦略枠の中の一環で予算案の中に入れてございます。この予算についてお礼を言いに来られました。
少し長くなって恐縮ですが、6,335億円の中の1,000万円の予算です。1,000万円は決して少なくはないのですが、それぞれの予算が現場にとってはとても大きな力になるのだということを改めて感じ、やはり県民の皆さんお一人お一人の声を大切にするということの尊さを改めて感じたところでございます。
そのほかにも、私は、政治家として県民の皆さんとのお約束であります8つの重点政策と八十八の具体策について、予算に関連しないものを除き、75項目について予算を入れさせていただきました。これらを戦略的に進めていくために、県庁の組織体制も整備させていただくこととしています。このほか、実現に向けた
ロードマップも作成し、ホームページ上で公開をしております。いわゆる見える化にも取り組んでいるところでございます。
今後も、県民の様々な御意見はもとより、先般立ち上げました富山県
成長戦略会議、あるいはこれから予定しておりますとやまワカモノ・サミット(仮称)などで若者などの提案も県政に生かしながら、若者からお年寄りまで全ての皆さんの希望に満ちた笑顔あふれる富山県、そしてチャンスがあり夢がかなえられる富山県、を現場感覚やスピード感を持って全力で取り組んでまいりたいと思います。それが今の決意でございます。
5 酒井委員 御丁寧に詳しく、本当に素直に伝えていただきました。どうもありがとうございます。
本当に数多くの災害がたくさんありました。その中で、地震が重ならなければいいと思っていたところですが、本当になくてよかったと思っています。
安全・安心を守る備えについて、順次質問してまいります。
2月13日午後11時8分、宮城、福島県で震度6強、マグニチュード7.3の地震が発生し、約150人の方がけがをなされました。政府の
地震調査委員会はこの地震が起きたことを受けて、
東日本大震災の余震とした上で、今後10年間は余震が続くとの見解を示しています。
東日本大震災から10年が経過しましたが、現在に至っても余震という言葉が使われると、いつどこで災害が起きても不思議でないことを改めて強く認識させられました。
さて、2018年の
大阪北部地震で小学校の
ブロック塀が倒壊し、女子児童が死亡した事故を受けて、安全点検や撤去、改修などの対策が求められています。
文部科学省が、昨年末に全国の公立、私立小学校や幼稚園などの
ブロック塀に関する安全対策の3回目の調査結果を発表したところ、全国5万1,082校の8.4%に当たる4,285校が未完了であったということであります。
そこで、本県の公立、私立の
小中高等学校における
ブロック塀の安全対策を含めた地震対策の状況と今後の対応予定について、公立学校は
伍嶋教育長に、私立学校は
蔵堀政策監にお伺いをいたします。
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伍嶋教育長 今ほど委員から御紹介のありました、平成30年6月に発生しました大阪府北部を震源とする地震直後の調査結果では、県内の
公立小中高校において、安全性に問題がある
ブロック塀は59校ありまして、その内訳は小学校が35校、中学校が20校、高校が4校となっていたところでございます。
その後、安全対策に取り組み、
公立小中学校では平成30年度に問題のある
ブロック塀について、一部の学校を除いて解体撤去が進められたところでありますし、県立高校4校についても平成30年度中に全ての解体撤去を完了しております。
昨年9月の時点の調査では、
公立小中学校でまだ安全性に問題がある
ブロック塀を有する学校は残り2校となっておりましたけれども、今月中に撤去を行う予定と聞いておりまして、今年度中には県内の全ての
公立小中高校における
ブロック塀の安全対策は完了する予定となっております。
また、建物本体の耐震化については、県立学校では既に完了しており、
公立小中学校については令和2年4月現在で97.3%となっておりますが、令和3年度中には100%完了する見込みとなってございます。
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蔵堀政策監 平成30年6月時点の国の
文部科学省の調査結果では、県内の私立の
小中高等学校で
ブロック塀等のある学校は、高校で7校でございます。小中学校ではゼロでございます。
高校7校のうち3校については、その後の
フォローアップ調査で安全性が確認されております。4校残るわけですが、この4校については、いずれの場合も三角コーンや
バリケード等で生徒が近づかないような安全措置は取られている状況です。この4校のうち2校については、令和3年度中に撤去等の安全対策を実施すると聞いているところでもございます。
また、校舎本体の建物の耐震化についてですけれども、令和2年4月の時点では、耐震化率は82.4%となってございます。今年度で1棟は耐震改修、1棟は取壊しをしたという状況でございます。各学校ともそれぞれの整備計画に基づいて耐震化を進められているところでもございます。
県としては、今後とも各私立学校におきまして、安全対策への取組をさらに進めていただけるように、改めて国や県の補助制度の活用についての周知に努めまして、安全対策の推進に取り組んでまいります。
8 酒井委員 ありがとうございます。もう少しだけというところでありますので、何とか支援をして、完了していただければと思ってございます。よろしくお願いいたします。
それでは次に、
庄川右岸地域の
用排水対策について質問いたします。
庄川右岸地域における
用排水対策については、県は、これまでも
庄川左岸防災事業の完了を待つことなく、老朽化が著しい
芹谷野用水路の上流で水路補修を進めていただいております。また、下流側についても来年度の
新規事業採択を目指して、今年度、事業計画を策定しています。
県は、昨年2月に
庄川右岸地域全体の
用排水対策の進め方について、県及び関係する砺波市、高岡市、射水市や土地改良区から成る検討会を設置しました。この検討会での議論を踏まえて、今年度から針山口六ケ用水路を含めた
用排水施設において、都市化による流入量の増加や用水の利用状況、断面不足や老朽化の進行度合いを把握するための施設調査を行っています。
今後は、地元要望も踏まえながら、溢水被害に有効な排水対策や用排水路の
老朽化対策の検討を進めていただきたく、また事業の推進に当たっては、
庄川左岸国営事業に倣い、地元における
庄川右岸地域用排水対策促進協議会、これは仮称でありますが、その設置を支援し、六ケ用水路と針山口六ケ用水路を同一路線として優先採択し、早急に事業着手されたいとの地元からの要望もありますが、今年度の検討会での検討状況と今後の事業化に向けた方針について、
堀口農林水産部長にお伺いをいたします。
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堀口農林水産部長 庄川右岸地域につきましては、県ではこれまで老朽化が著しい
芹谷野用水路の補修や、過去に溢水被害のありました針山口六ケ用水路のかさ上げなどの対策を実施してまいりました。
さらに、地元の要望等によりまして、当該地域全体の
用排水対策の実施方針を検討するため、委員御紹介のとおり、昨年2月に県や関係する3市6土地改良区から成る検討会を設置しました。検討会では、地域の都市化による流入量の増加や施設の老朽化の状況などを踏まえまして、溢水被害の原因となった下流域の排水対策を優先し整備を進めることとされたところです。
この方針に基づきまして、県では、流下機能が低下している六ケ用水路及び針山口六ケ用水路の排水対策を優先し、新年度にこの2つの用水路において基本設計や事業効果の算定等を行う地区調査に着手することとしております。その調査結果において事業効果が見込まれることを確認し、かつ地元の調整が整った段階で事業計画を策定することとしておりまして、令和5年度の事業着手を目指したいと考えております。
また、その他の水路については、老朽化の状況や全体事業の進捗等を踏まえまして、事業化の判断を行う予定としております。
なお、地元におきましては、事業推進に当たり、関係の市や土地改良区などから成る
協議会設立の動きがあるとお聞きしております。県といたしましては、事業促進のための必要な助言や指導を行ってまいります。
10 酒井委員 ありがとうございます。
地元からも強い要望がございますので、またしっかり受け止めていただいて、少しでも早く対応していただければありがたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
次の質問に入ります。
東京2020
オリンピック・
パラリンピック競技大会があと半年に迫っております。
過去に外国で開催された
オリンピックに際しては、昭和47年に
ミュンヘンオリンピック選手村の
イスラエル選手団宿舎において襲撃、人質テロが発生しました。また、平成8年にアトランタの100周年
オリンピック公園において爆弾テロが発生しております。大
規模国際スポーツイベントは、テロリストにとっては世界中の注目を集める格好の機会であり、各競技会場においてはもとより、
公共交通機関、宿泊施設、観光地など、いわゆる
ソフトターゲットのほか、首都圏以外の都市部などにおいてもテロに警戒する必要があると考えます。今月25日から聖火リレーがスタートします。
東京2020
オリンピック・
パラリンピック競技大会の開催に向けて、本県においても全庁挙げての情報収集、分析体制の強化を図りつつ、テロの未然防止や
各種不法事案等の早期把握に資する関係機関の連携が重要と考えますが、その
危機管理対策について、
杉本警察本部長にお伺いいたします。
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杉本警察本部長 酒井委員に御指摘いただきましたとおり、
オリンピック・
パラリンピックは国際的にも大きな注目を集めて開催される大会でございまして、テロや
サイバー攻撃の発生が懸念されております。
このため、県警察ではテロを未然に防止するため、幅広い情報収集、分析、水際対策、
爆発物原材料対策、
広報啓発活動など、関係機関、
民間事業者、地域住民の方々などと連携して、官民一体となったテロ対策の推進に努めております。また、
サイバー攻撃への対策につきましても、
重要インフラ事業者との間でサイバーセキュリティーに関する意見交換や情報共有を行っておりますほか、
サイバー攻撃の発生を想定した
共同対処訓練や
セミナー等を実施し、被害の未然防止と対応能力の向上を図っているところでございます。
県警察では、ただいま申し上げましたような対策につきまして、これまで平成31年4月に設置した、警備部長を長とする
東京オリンピック・
パラリンピック競技大会等警備対策室を中心として組織を挙げて取り組んできているところでございますけれども、来月の1日には、これを私を長とする
警備対策本部に切り替えまして、県警察の総力を挙げた体制とし、引き続き
関係機関等と緊密な連携を図りつつ、テロ対策に万全を期してまいりたいと考えております。
12 酒井委員 ありがとうございます。
続けて、
杉本本部長にお伺いいたします。
1月上旬に発生した大雪の110番通報は、1月8日は1,093件、9日は1,495件という情報を受けて、警察では通常の10倍に近い数の対応に忙殺されたことと察します。これにより、県下の警察署の当直体制が弱くなり、本来最優先されるべき重要犯罪や
人身安全関連事案等への対応が遅くなったのではないかと懸念いたしております。
1月8日から9日に発生した
スリップ事故の件数と特徴はどのようなものであったか、また、今回のような大規模な雪害時において、警察が本来対応すべき重大事案に関する110番通報への支障はなかったのか、
杉本警察本部長にお伺いいたします。
13
杉本警察本部長 1月8日から9日にかけての2日間で発生した
スリップ事故の件数につきましては392件でございまして、昨年1年間の1日当たりの
交通事故発生件数の約2.6倍に相当いたします。特徴といたしましては、昨年の交通事故全体に占める物損事故の割合が約93%であったのに対し、この2日間では約97%とやや高くなってございまして、これは積雪等による路面状態の悪化により車両の速度が抑えられて、物損事故の割合が高くなったものと考えられるところでございます。
県警察では、大雪に伴う110番通報の増加が予想されましたことから、1月7日に各警察署に対しまして通報の確実な把握と体制の確保、それから消防、
道路管理者等関係機関との緊密な連携等に留意するように指導するとともに、同日以降、
本部通信指令課におきましても110番通報の受理、指令を行う係員を増員して体制を強化し、その対応に備えたところでございます。
この間、110番通報への対応につきましては、積雪等による路面状態の悪化により現場への移動に支障が生じるものもございましたけれども、体制強化による漏れのない対応、あるいは
関係警察署、
本部担当課、
災害警備本部等との緊密な連携等に努めまして、犯罪等に係る通報についても、平時と変わらず、関係者の安全確保を最優先として対応をいたしました。この2日間におきましては、暴行等の犯罪に係る通報が5件、
交通事故等に係る通報が471件でございましたけれども、いずれも幸いトラブルや苦情等なく、適切に対応することができたところでございます。
県警察では引き続き、体制の確保や警察本部と警察署との緊密な連携に努め、人の生命や身体に危険を及ぼす事案等への対応に支障が生じないよう、万全を期して対応してまいりたいと考えております。
14 酒井委員 ありがとうございます。大変御苦労あっただろうと思います。
今回のような大規模な雪害時に、警察官の限られたマンパワーを効果的に活用できるよう、
スリップ事故等の人身被害が発生していない軽妙な物損事故については、将来には官民連携により、事故処理を保険会社などの民間企業に委託することを検討できないかと思ったのですが、
杉本警察本部長にお伺いをいたします。
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杉本警察本部長 令和2年中の県内の交通事故は2万8,000件でございまして、そのうち物件事故は約2万6,000件で、全体の約93%を占めております。
交通事故の取扱いにつきましては、交通事故の当事者から届出を受け、警察官が基本的には現場において道路環境や車両の損傷状況、当事者からの供述内容を確認するなど所要の捜査を行って、総合的に判断した上で対応をしております。軽微な物件事故につきましても同様でございまして、捜査を尽くした結果、判断をしているものでございます。これは
道路交通法第72条第1項後段におきましても、軽微な物件事故を含めて警察官が適切、妥当な判断をするため、運転者等に対して警察への事故の報告をする義務について定められているところでございます。
このように、軽微な物件事故であっても捜査を必要とする理由でございますけれども、当事者が飲酒運転や無
免許運転等の違反を行っている場合もございますし、故意に交通事故を起こして、あるいは交通事故でけがをしたと見せかけて、保険金をだまし取ろうとするような場合もございます。また、当初、物件事故として届け出られたものでございましても、後から症状が現れるなどとして人身事故となって
過失運転致死傷罪として送致しなければならない場合もございます。
このように、交通事故の発生数の多少にかかわらず、認知の段階から警察が直接事故の詳細を確認して捜査を進める必要が物件事故についてもございますため、委員から御提案ありました民間への事故処理の委託に関しましては、慎重な検討を要するものと考えているところでございます。
なお、大雪等により交通事故の多発が予想される場合には、各警察署や高速道路交通警察隊において、早めの出動や夜間における呼出し要員の確保など、迅速な事故捜査や渋滞の解消に努めているところでございます。
今後とも、迅速かつ適正な事故捜査の推進に努めてまいりたいと考えております。
16 酒井委員 ありがとうございます。また慎重に検討してみてください。
続いて、新型コロナウイルス感染対策関連について質問してまいります。
令和2年版の犯罪白書によりますと、令和元年の刑法犯の認知件数は戦後最少を更新しました。詐欺及び特殊詐欺の認知件数は減少しておりますが、新しい手口が大幅に増加したということでございます。
児童虐待や配偶者間暴力、ストーカー犯罪の検挙件数も高い水準で推移し、高齢者率は一貫して上昇しているような状況です。その高齢者率は22.0%となり、高齢者のうち70歳以上の者が占める割合は72.4%に上ります。
そこで、県内における令和元年度の各種犯罪の状況とコロナ禍による状況の変化も踏まえて、昨年度と比べ今年度はどのような特徴があると分析しているのか、
杉本警察本部長にお伺いいたします。
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杉本警察本部長 令和2年中における刑法犯の認知件数につきましては、前年比31件増の4,539件でございまして、昨年と同程度でございます。一方、検挙件数は前年比444件増の2,741件と大幅に増えまして、この結果、検挙率は24年ぶりに60%を超えたところでございます。
刑法犯認知件数に関しましては、発生した犯罪の種類にもより様々な要因がございますので、一概にコロナ禍の影響があるものを抽出することは難しいと考えておりますが、その中でも影響があった可能性があるもの、あるいはその可能性を否定できないものを挙げますと、次のようになるのかと考えております。
まず、刑法犯認知件数の内訳を見ますと、自転車盗や空き巣などの侵入盗がそれぞれ大幅に減少しておりまして、これは外出自粛の影響があったのではないかと考えられます。
一方で、増加したものとしては、暴行が前年比106件増の407件となっておりますけれども、これにつきましては、家庭内や交際相手といった身近な間柄の暴力事案の届出は、ここ最近、年々増加をしているところでございまして、コロナ禍による影響とまでは断言ができないですけれども、やはりその可能性は否定できないと考えております。
一方で、増加した犯罪としてもう一つ、万引きが前年比369件増の1,150件と大幅増になっておりますけれども、これにつきましては、1人で264件という多数の余罪を持つ被疑者を検挙したためでございまして、こちらにつきましてはコロナ禍の影響を明確に見てとることは難しいものと考えているところでございます。
また、個別の事案でございますが、昨年5月には市役所職員をかたって給付金支給名目の特殊詐欺事件がございまして、これを検挙しております。このように、コロナ禍に便乗した犯罪も発生しているところでございます。
県警察といたしましては、引き続きコロナ禍を含めて社会生活の変化にも柔軟に対応して、治安情勢を把握、分析して、犯罪の徹底検挙に努めていきたいと考えております。
18 酒井委員 ありがとうございます。コロナ禍によって心の問題等が浮き彫りになってきているのかと思ってございます。
次に、本県の心の病での教職員の休職者、退職者と児童生徒の不登校、退学者等の状況について質問してまいります。
文部科学省の調査では、鬱病など心の病が原因で、2019年度に休職した公立小学校、中学校、高校、特別支援学校などの職員が5,478人、また18年度に退職した公立学校教員が817人で、ともに過去最多であったと分かりました。今年度は新型コロナ対応でさらに教員の負担が増えており、勤務時間の管理徹底や相談窓口の整備等、働き方改革が急務と考えます。
そこで、本県の公立の小中高校、特別支援学校における教職員の心の病による休職者数、また退職者数の状況と対策はどのようになっているのか、
伍嶋教育長にお伺いいたします。
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伍嶋教育長 本県公立学校におきます教職員の心の病による休職者は、ここ数年45人程度で推移をしております。また、心の病による退職者については、これは5年平均でありますけれども、七、八人程度となっております。
教員の心のケア対策については、これまでも県教育委員会、または公立学校共済組合におきまして、例えば心の健康管理を行います医師が個別相談に応じることや、あるいは臨床心理士によるメンタルヘルスサポート事業を実施しております。このほか、心理カウンセラーによるカウンセリング、またインターネットで24時間相談の受付が可能なウェブ相談、こういったものを実施しております。
一方、学校現場におきましても、管理職による職員の勤務時間管理を含めた勤務状況、また疲労の蓄積等の把握に加えまして、スクール・サポート・スタッフなどの外部人材の活用などによりまして、業務の改善、効率化を進めております。
また、支援の手引を作りまして、日頃からメンタルヘルスを考慮した職場づくりに努めるとともに、仮に病気休職となった場合であっても、円滑な職場復帰に向けて様々な機関が協力して適切な支援ができるように働きかけているところでございます。
20 酒井委員 教員の働き方改革の一環で変形労働時間制が来年度から導入されると伺っております。変形労働時間制によって、公立
小中高等学校の教員を対象に、年度当初などの忙しい時期の勤務時間を延ばす代わりに、夏休み期間などに休暇をまとめ取りし、1年単位で労働時間を管理することができるということであります。
昨年12月に教員給与特別措置法の改正によって、教員の働き方改革の一環として、各自治体が条例を整備すれば、来年度から変形労働時間制度を導入できるようになりますが、本県での導入方針とその見解について、
伍嶋教育長に伺います。
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伍嶋教育長 委員から御紹介のありました1年単位の変形労働時間制については、業務の繁閑に応じて勤務時間を配分することを認める制度でありまして、法律改正により令和3年4月から各地方自治体の判断で条例等を整備した上で導入できることとなっております。
ただ、導入に当たりましては、相当程度の労働時間の総数が縮減されていることが前提とされておりまして、本県においても、まず教員の長時間勤務の状況を改善するということが大変大事であると思っております。
このため昨年度、とやま学校多忙化解消推進委員会を設置いたしまして、教職員の在校等時間の上限に関する方針を定めますとともに、教員の意識改革、また業務の改善等を行ってまいりました。このほか、部活動指導員など外部人材の活用にも積極的に取り組んできております。
この結果、今年度は昨年度比で長時間労働は一定程度縮減はできておりますけれども、これは新型コロナウイルス感染症対応ということもありまして、通常の学校運営ではないことから、なかなか取組の効果を見極められない状況にあると考えております。
また、この解消推進委員会においても、まずは引き続き多忙化解消の取組を進める必要があると言われていまして、変形労働時間制の導入は、現時点では時期尚早ではないかという意見が多いということでございます。
県教育委員会としては、引き続き多忙化解消の取組を進めまして、長時間勤務を相当程度改善した上で、市町村教育委員会の意見も踏まえながら、本県における導入について検討してまいりたいと考えております。
22 酒井委員 多忙化解消、できるだけ早く解消できるように願っています。
次に、本県の国公私立の
小中高等学校における児童生徒の不安や悩みなどによる不登校、退学者数の状況とその対策について、教育長に伺います。
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伍嶋教育長 本県の国公私立の小中高校の不登校児童生徒は、令和元年度は小学校では425人、中学校では46人、高等学校では480人となっておりまして、全ての校種で増加傾向にあります。また、令和元年度の高等学校の中途退学者は306人となっておりまして、主な理由は、学校生活や学業の不適応、進路変更などが主なものでございます。
各学校では、日頃から児童生徒の小さな変化を見逃さず、個人面談、また家庭訪問などによりまして丁寧な相談に取り組んでいますほか、スクールカウンセラー等の専門家と連携をしながら、心のケアの改善などの支援に努めております。
さらに、学校を支援するために、令和元年度以降で小中連携型のスクールカウンセラーの拡充を配置しましたほか、新年度はスクールソーシャルワーカーの緊急派遣時間を倍増するなど様々な支援を行っていくことにしております。
不登校への対応に当たりましては、一人一人の児童生徒にとって不登校や中途退学を生まない魅力ある学校づくりが何よりも大切だと考えておりまして、今後とも粘り強く取り組み、歯止めがかかるよう努めてまいりたいと考えております。
24 酒井委員 教育長、どうもありがとうございました。
先般テレビを見ていましたら、県が心の相談に乗っているという案内がありました。ありがたく思っています。
富山県心の健康センターやこころの電話の相談件数と主な相談内容について、コロナ禍による状況の変化も踏まえて、昨年度と比べて今年度はどのような特徴があると分析し、どのように対応しているのか、石黒厚生部長に伺います。
25 石黒厚生部長 昨年度と今年度、それぞれ2月末まででございますけれども、これで比較いたしますと、まず心の健康センターにつきましては、電話相談が昨年度の1,974件に対しまして今年度は2,007件に増加しております。相談内容につきましては、自殺に関するものが22件から143件、新型コロナに関するものが8件から217件とそれぞれ大きく増加しているところでございます。一方、来所相談につきましては、コロナ禍で外出自粛などの影響から、昨年度966件に対し今年度は865件に減少しておるところでございます。
次に、こころの電話の相談件数につきましては、昨年度の2,015件に対し今年度は2,511件と、これも大きく増加しております。また、相談内容につきましては、自殺に関するものが216件から388件、これもやはり大きく増加しておりますし、今年度は特に、死にたい、あるいは消えたいなど自殺を強く示唆する相談が増えているということでございます。また、新型コロナに関する相談はゼロから85件に増えているところでございます。
このように、コロナ禍の影響などによりまして、不安や悩みを抱えておられる方が増加していることから、こころの電話につきましては、昨年10月より1回線1名体制を2回線2名体制に拡充しております。来年度はこれを24時間365日体制に拡充し、相談体制をさらに強化することとしております。
また、心の健康センターとは別でございますが、昨年11月より
新型コロナ感染症やこれに関する仕事や生活への不安などに対応するため、LINEと電話による夜間相談窓口も開設しているところでございます。
今後とも、相談窓口のPRに努めるとともに、相談者に寄り添ったきめ細かな相談対応に取り組んでまいります。
26 酒井委員 ありがとうございます。
政府の新型コロナウイルス感染対策分科会の尾身会長は、1月26日の衆院予算委員会においてるる発言されました。私はメモを取っておりました。1つには、政府と地方自治体の間で感染状況に関する迅速な情報共有ができていないと述べています。また、国民への情報発信、責任と権限の一元化が改善すべき課題だとも訴えておられました。そして、情報発信については、コロナ疲れで国民の理解が得られにくくなっているのではないかと指摘しております。
特に私が印象に残ったのは、緊急事態宣言発令中は過去を振り返る余裕はないと発言し、その上で、感染が落ち着いた昨年の夏頃に医療提供体制や保健所機能の強化をしておけばよかったと述べておられました。
また、今後は変異ウイルスへの対応の備えも必要と思ってございます。
そこで、新型コロナウイルス感染症対応については、落ち着いている時期にこそ次に向けての準備が重要と考えるが、本県における新型コロナウイルス感染第4波に向けたさらなる危機管理の強化について、石黒厚生部長に所見を伺います。
27 石黒厚生部長 最近の県内の感染状況は比較的落ち着いている状況でございますけれども、首都圏におきましてはいまだ緊急事態宣言が発令されていること、あるいはウイルスの変異株による感染が徐々に拡大してきていることなど、やはり引き続き気を緩めることなく危機管理体制の強化に取り組むこととしております。
具体的に申しますと、新型コロナ対策の体制を強化するため、来年度は、健康課を拡充改組し、新たに50人規模の健康対策室を新設することとしております。また、最前線で新型コロナ対応に当たっている厚生センターの体制を強化するため、来年度は各厚生センターの保健師の定数を7名増員したほか、大規模な集団感染が発生した際に、県内市町村から保健師等の専門職の応援派遣を受けることができるよう協定を締結したところでございます。
さらに、変異株の監視体制を強化するため、2月2日から県衛生研究所で変異株PCR検査を開始したところでございます。加えて、通常の検査体制につきましても1日最大約3,900件の検査が可能な体制を継続するほか、医療提供体制につきましては、引き続き約430のかかりつけ医等の身近な医療機関で診察、検査の実施、病床確保計画に基づく平時で73床、最大で500床の入院病床の確保、軽症者等の宿泊施設の設置などに取り組んでまいります。
今後とも、感染拡大に備えまして、医療機関や医師会などと連携しながら、新型コロナに対する危機管理体制の強化に努めてまいります。
28 酒井委員 時間の関係で質問の順番を変えていきます。よろしくお願いします。厚生部長、どうもありがとうございました。
ちょっと飛びまして、北陸の十字路構想における呉西圏域連携について質問させていただきます。
新高岡駅は、首都圏からの観光交流の拡大やあらゆる産業の発展に向けて振興の拠点となる重要な駅であり、地域住民のみならず、首都圏や関西圏などから訪れる観光客やビジネス客の利便性を高めていく必要があるかと考えております。
また、新高岡駅は飛越能地域の玄関口であり、北陸の十字路構想でも能登、飛騨、金沢、富山を結ぶ重要な拠点であることから、北陸新幹線「かがやき」の新高岡駅への恒久的な停車と、JR城端線・氷見線の直通化、LRT化により拠点としての魅力を強化することで、県西部6市はもとより飛越能地域の発展につながると考えるのでありますが、新田知事の御所見をお伺いいたします。
29 新田知事 新高岡駅は県の西部圏域はじめ、飛騨高山、それから能登を含む飛越能地域の拠点駅であり、その利便性向上など魅力を高めることは、私が提唱しております北陸の十字路構想にとってもとても大きな意義があると考えています。
富山県ではこれまでも、新高岡駅の利用促進により、かがやきが恒久的に停まるようにつなげるべく首都圏や関西圏から来られる観光客、ビジネス客に対応するための案内所の設置、また新高岡駅と五箇山、白川郷を結ぶ世界遺産バス、和倉温泉を結ぶ「わくライナー」の運行について、高岡市をはじめ、関連する市と共に応援をしてきたところです。また、新幹線駅には城端線の駅もあるわけですが、城端・氷見線活性化推進協議会を通じて、城端線の増便を試みにやってみるという応援も沿線の3つの市と共にやってきたところです。
さらに、先日開催しました石川県谷本知事との懇談会では、北陸3県の連携による近隣県からの誘客の推進、また北陸3県、岐阜県、長野県も含めて新たなガイドブックを作ろうということも合意しました。これらにより交流人口を増やし、新高岡駅のさらなる利用促進につなげるように取り組んでまいります。
また、城端線・氷見線のLRT化についても、県西部地域にとっては非常に大切なプロジェクトと考えております。実現することができれば、観光、ビジネス客の利便性が向上し、ひいては新高岡駅の魅力のアップにもつながると考えます。
今後、将来にわたり持続可能な運行を実現していくためにどのような課題を解決する必要があるかについて、沿線の4市、またJR西日本さんと連携を図り、鋭意検討を進めてまいります。
30 酒井委員 ありがとうございます。知事、一緒に取り組んでいきましょう。よろしくお願いします。
新高岡駅にとっては、高岡テクノドームの存在はとても重要であります。そのことから高岡テクノドーム構想について質問いたします。
高岡テクノドームは、新年度に民間活力の導入可能性調査を行い、検討した上で整備に着手とのことでありますが、地域に長く親しまれる持続可能な施設となるように、整備内容をしっかりと検討した上で整備に取りかかっていただきたいと思っております。
呉西地区のみならず、今後の富山県全体の産業の発展に大きな役割を果たすことが期待される高岡テクノドームについて、既存施設のリニューアルと別館の新設を併せた、それこそ高岡テクノドーム構想の実現に向けて、今後の取組方針やスケジュールなど、どのように進めるのか、新田知事にお伺いをいたします。
31 新田知事 高岡テクノドームの別館につきましては、厳しい財政状況、それから北陸新幹線の敦賀延伸の1年の遅れを踏まえて、新年度に民間活力導入の可能性の調査を行い、まず財政負担の軽減を図ることができないか、また民間のノウハウを活用することができないかということを検討した上で整備に着手したいと考えております。
民間活力の導入方法としましては、復習ですが、設計、建設、管理運営をPFI事業者が包括的に行うという方式が多いわけでありますが、そのほかにも、設計までは公共で、そして建設、管理運営をPFI事業者が行った例もあります。また、設計、建設までは公共で、その運営権を
民間事業者に任せるという設定をするコンセッション方式などもあります。このほかPPPなども含め、どの方式が適しているのかを調査検討したいと考えています。
今回は設計の途中段階まで進んでいることでございます。建設段階からPFIを導入する場合でも、民間の知恵を生かすことで施設の利用促進やサービスの向上、建設、管理運営の一括発注によりコストの削減を図る、また本館との相乗効果の創出など、メリットについて検討したいと考えています。
別館整備基本計画の中で本館についても触れられておりまして、別館との相乗効果に向けた機能の充実や大規模修繕を検討し、別館の整備状況を見ながら可能なものから進めると書かれています。一方、別館は、地元の市や経済界から強い要望があり、県西部地域、ひいては県全体の発展にも大きな役割を果たすものと考えています。まずはこの別館について、完成時期は当初計画より遅れざるを得ませんが、新年度予算案では別館と本館との接続に係る改修工事の設計費を計上しております。
先般もこの仕事に当たっていただいております内藤廣先生に御来県いただきまして、いろいろ模型も見せていただきながら、現状の御説明を聞いたところです。エネルギーセンターという建物がありまして、その接続もちょっと工夫が要るようなことを先生はおっしゃっていました。そのようなことを新年度予算に盛り込んでいるところです。
引き続き、北陸新幹線の敦賀延伸を見据えながら、調査をできるだけ速やかに実施して、着実に整備を進めていきたいと考えております。
32 酒井委員 知事、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
続いて、北陸十字路の1つの要素、伏木富山港の活用について質問いたします。
新型コロナウイルス感染拡大の影響もあって、2019年9月以降、本県では伏木富山港に寄港するクルーズ船がありませんでしたが、今年の6月19日に「ぱしふぃっくびいなす」が寄港するとの報道がございました。この際には多くの乗客が県内を中心に観光を楽しむことになろうかと思います。
県は、2月に伏木富山港でのクルーズ客船受入れに向けてマニュアルが作成されたほか、当初予算案では安全・安心なクルーズ客船の受入体制確保事業やアフターコロナを見据えた観光
地域づくり支援事業が計上されております。
コロナ禍におけるクルーズ客船の受入れについて、水際対策や市中感染対策と、乗客に充実した本県観光を楽しんでもらうことの両立にどのように取り組むのか、中谷観光・交通振興局長にお伺いいたします。
33 中谷観光・交通振興局長 新型コロナの世界的流行に伴いまして、国内の全てのクルーズ客船が運航停止となっております。その再開に向けまして、昨年9月に国土交通省がクルーズの安全・安心の確保に係る検討・中間取りまとめを行いまして、また日本港湾協会や日本外航客船協会がガイドラインを策定されました。
これらを踏まえまして、本県におきましても、今年2月に日本船の国内クルーズを対象とする伏木富山港におけるクルーズ船受入れの際の感染拡大予防マニュアルを策定いたしまして、受入れ条件や緊急時の対応などについて定めたところでございます。
また、新年度予算案につきましては、クルーズセミナーの開催、寄港時の埠頭内の運営調整、市町村等が行う歓迎行事や感染症対策への支援を盛り込んでおりまして、ガイドラインやマニュアルに基づく寄港時の乗船客同士のソーシャルディスタンスや感染者発生時の動線確保など、水際の感染症対策を強化、徹底することとしております。
さらに、県内各地で安全・安心で質の高い観光を楽しんでいただくために、本県ならではの観光資源を生かした新たな旅行商品の開発や、感染防止対策も含む旅行者の受入れ環境整備に対する支援も盛り込んでおります。県内観光地の高付加価値にも取り組むこととしております。
今後とも、クルーズ客船の受入れに当たりまして、港湾所在市、国、県、市の衛生主管部局等、関係機関と連携をいたしますとともに、県内観光地等へも情報提供を行いまして、安全・安心な受入れ体制づくりに取り組んでまいります。
34 酒井委員 最後の質問になります。商工労働部長、調整させていただきましてすみませんでした。
新型コロナウイルス感染症対策関連について、1点残っておりましたので質問させていただきます。
昨年2月に安倍首相は、一斉休校を要請した際に収入が減る保護者に対して、小学校休業等対応助成金・支援金が設けられました。これは、企業などが従業員に通常の年次有給休暇とは別に、特別の有給休暇を取得させた場合、日額上限1万5,000円を助成するものであります。新型コロナウイルス感染拡大で子供が学校を休む際に、働く親も休みを取りやすくする政府の助成であったはずでありますが、十分に活用されていない状況であります。
厚生労働省は今年度補正予算で、フリーランスら個人事業主向けの支援金を合わせて合計1,719億円を確保しておりますが、給付は昨年12月中旬時点で407億円程度であり、執行率は24%にとどまっているとの報道がありました。このことについては、企業へのサポート対策も必要と考えております。
本県の新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金・支援金の給付状況と利用を促進するための取組について、布野商工労働部長にお伺いをいたします。
35 布野商工労働部長 小学校休業等対応助成金・支援金につきましては、厚生労働省から委託を受けました学校等休業助成金・支援金受付センターにおいて全国一律に申請の受付を行っております。3月12日現在、全国ベースでございますが、まず助成金につきましては約16万8,400件の申請があり、そのうち14万3,004件、約488億8,000万円の支給決定がされております。また、支援金につきましては約3万2,500件の申請のうち2万6,533件、約54億3,000万円の支給決定がされております。合わせまして約543億1,000万円、委員お話しの予算に比べまして約32%となっております。
都道府県別の支給状況につきまして富山労働局を通じて問合せをいたしましたが、各県ごとの申請件数あるいは支給状況等は集計しておられないということでございまして、把握はされていないとのことでございました。
この助成金・支援金につきましては、国におきまして、厚生労働省等から教育委員会等を通じまして、全国の小学校等へ周知依頼の通知が発出されておりまして、これは先月、再度の周知依頼ということで改めて発出もされております。またこのほか、昨年11月からは特別相談窓口が開設されるなど、利用者への周知、手続に関するサポートがされております。
県におきましても、この助成金・支援金、これを積極的に活用していただくために、これまで県のホームページや、あるいは毎月発行しております広報誌「労働とやま」を通じて県内企業等への周知啓発、また県労働相談窓口での相談対応のほか、富山労働局と連名で市町村教育委員会のほか、県教育委員会が所管しております各支援学校等に対しまして通知を行い、制度の周知をお願いしております。
県といたしましては、支援対象者にしっかりと情報が届くことが重要であると考えておりまして、ホームページにまだ掲載されていない学校があれば、そこへの改めての掲載の依頼や、あるいは各学校等によりますSNSの発信など、効果的な周知方法について関係部局とも御意見を伺いながら、今後も富山労働局等と連携して制度の周知啓発に努めてまいります。
36 酒井委員 ありがとうございました。
終わります。
37
武田委員長 酒井委員の質疑は以上で終了しました。
ここで、換気のため暫時休憩いたします。
休憩時間は10分間といたします。
午前11時01分休憩
午前11時09分開議
津本二三男委員の質疑及び答弁
38
武田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
津本委員。あなたの持ち時間は60分であります。
39 津本委員 皆さん、おはようございます。
早速ですが、通告に基づきまして質問に入ります。
最初の質問は、PFIについてお尋ねしたいと思っています。
PPP、PFIについては、射水市で次のような経験をしています。
民間事業者が公共施設を建設し、射水市が30年間借り受けるといったものがありました。射水市が30年間に支払う賃料は、24億2,000万円でした。一方、射水市が同様の施設を建てた場合、10億9,000万円にしかならない、ということが明らかになりました。もちろん建設費、30年間の維持管理費、修繕費を含めての計算であります。
そのときは、PPP、PFIでは財政負担がかえって大きくなるということが判明しましたが、公共スペースと民間スペースがある複合施設として
民間事業者から提案されていれば、チェックもなく、気がつかなかった可能性もあったと思っています。
もう一つ紹介したいものがあります。
PFIの発祥国であるイギリスの会計検査院が2018年1月に報告したレポートです。
イギリスが25年もPFIを経験しているにもかかわらず、PFIが公的財政に恩恵をもたらすという証拠が乏しいという結論づけをした上で、多くのPFIプロジェクトは、通常の公共入札のプロジェクトより40%割高であり、コスト削減効果もなく、透明性も悪化しているといったレポートであります。
ヨーロッパ会計監査院も、指摘された問題点が改善するまでPPPを広い分野で集中的に使うべきではないと勧告しました。
こうしたPFI推進国の報告をどのように受け止めているか、経営管理部長に所見を伺います。
40 滝経営管理部長 委員から御指摘がございましたとおり、いわばPFIの本国とも言えますイギリスにおきましては、従来手法に比べて費用が増加している事業もあったということでございまして、その費用の増加要因としましては、
民間事業者への事業リスクの移転の在り方に加えまして、民間における調達金利が、公共セクターが調達する金利よりもかなり高かったということも一因として挙げられているようでございます。
基本的な構造は我が国も同じではございますけれども、我が国では1999年からPFIという手法を導入しておりまして、その導入当初から事業手法の検討に際しまして、導入による財政負担の軽減がどれくらいあるのかという効果を重視してきたのが我が国のPFIの歴史だろうと思っております。
したがいまして、我が国におきましては、PFI手法を適用した事業において、従来手法に比べてコスト増になることがあらかじめ分かっている場合に、PFIを推進すること自体は極めてまれでございますので、あくまで、そういう意味で財政負担の軽減ということと併せて、民間活力の導入によりまして、施設の利用促進あるいはサービスの向上、こういったものを総合的に判断して、PFIを導入するかどうかを決めていると思っております。
41 津本委員 PPP、PFIというのはイギリスが発祥国ですよね、それが今、全世界に広がった。広がっているのか分かりませんが、日本でも採用されて、1999年でしたか、20年くらいの経験があります。イギリスはそろそろ30年、いわば、導入してから30年がたとうとしていると思いますが、イギリスではその総括が始まっており、その結果がこうだったと、私は大変重く受け止めるべきだと思っています。
先ほどの答弁では、日本は、同じ構造かもしれないけども、いろいろ面でちょっと違うかなというところを一生懸命強調されたのかなと思いますが、射水市の経験もあります。射水市で優先交渉者となった
民間事業者は、日本全国でPPP、PFIを展開されている業者だったんですね。その結果がこうだったというところを私は重く受け止めていますので、しっかりまたチェックすべきだと思います。
答弁はいただけるものですかね。
42 滝経営管理部長 ちょうど私が大学生の頃に、1999年から2000年でしたけれども、まさにゼミの研究テーマでもございました。公共だけで工事、あるいはいろいろな事業を実施する場合にかなり割高だったというところから、もともとスタートをしているものと承知をしております。
どのように、官民それぞれで上手にリスクを分担しながら全体としてコストを下げて、かつ利便性を上げていくのかというのが基本だったと思っております。その基本にのっとって、この問題もしっかり考えていくべきだと思っております。
43 津本委員 いずれにしても、しっかりとチェックしていくということが極めて大事だと思っていますので、よろしくお願いします。
次に入ります。
PFIは地元企業の参入も難しく、私は経済的にも優位とは思っていません。富山県武道館や高岡テクノドーム、新川こども屋内レクリエーション施設の整備に当たって、PFIの導入の可能性を調査するとされていますが、採用しないとの選択肢も示して検討すべきと考えますが、知事に所見を伺います。
44 新田知事 富山県武道館、そして高岡テクノドーム別館については、基本計画を踏まえて、今基本設計を進めている段階に入っています。また、新川こども屋内レクリエーション施設については、基本設計策定に向けた検討を行っているところです。
これらの施設は、いずれも数十億円規模と事業規模が大きいことから、PFIあるいはPPPなどの民間活力の導入可能性調査を行い、財政負担を軽減できないかなどのメリットを検討した上で整備に着手したいと申し上げてきたところでございます。
この民間活力導入可能性調査では、民間活力を導入した場合に、一括発注によりスケールメリットが発揮でき、県の財政負担を軽減できるのか、またサービス水準の向上が見込め、利用者の目的に沿った運営となるか、そして民間企業の収益性は確保しつつ、一定程度の公共性の確保ができるのかなどについて、県が直接実施した場合と比べて、民間活力の導入が適当かどうかを評価することに時間をかけます。当然のことですが、その結果によっては、PFIなどを導入しないという可能性もあるということは考えています。ですから、今委員のおっしゃったような、公共でやるという選択肢も当然出てくる可能性はあるということです。最初にPFI、民間ありきということではないということはどうか御理解ください。
今回の調査では、通常のPFI方式のほかにコンセッション方式なども含めて、どの方式がそれぞれの施設について適しているかを幅広く調査検討してまいりたいと考えています。
県としては、
民間事業者の知恵を生かして、施設の利用の促進、あるいはサービスの向上に努めるとともに、財政負担の軽減、そして施設の効果的な利用、また委員の言及された地元業者、あるいは県産品の活用についても検討し、最適な整備、運営手法を採用できるように取り組んでいきたいと考えています。
今ほど滝部長からもありましたが、イギリスでPFIというものが導入された当時、サッチャー政権という時代でありまして、サッチャーさんは御存じのように、かなり民間に振った方であります。そのような中からこのような考え方もできてきたのだと思います。
我が国のPFIも、理念はイギリスから引っ張ってきていますが、実際のやり方は、私は日本人独特の、日本流にいろいろとアレンジして導入しているのではないかと思います。ですから、イギリスとはまた違う形のPFI、理念は尊重しながら、具体的なところは日本流と考えています。
45 津本委員 知事の答弁の中で、採用しない可能性もちゃんと示されたということですので、よろしくお願いいたします。
次の質問に入りたいと思います。
国民健康保険についてであります。幾つかあります。
まず、子供の均等割保険料の軽減についてお聞きしたいと思っています。
政府は今国会に、未就学児の子供について国民健康保険料の均等割を2分の1に軽減する法案を提出されています。このことは私たちも求めてきたことでありまして、一歩前進と喜んでいます。
そこで、県内における対象人数と軽減額について、どの程度を見込んでいるのか、厚生部長にお尋ねいたします。
46 石黒厚生部長 国民健康保険の保険料につきましては、低所得世帯に対しまして、被保険者数に応じて課されます均等割の軽減措置を講じているところでございますが、これに加えまして、医療保険者間の公平と子育て支援の観点から、子供に係る均等割保険料の軽減措置の導入につきまして、これまでも全国知事会と連携して国に対して要望してきたところでございます。
こうした要望も踏まえまして、国におきましては、財政支援の効果や国保財政に与える影響などを考慮しながら議論が進められてきたところでありまして、今国会に提出されました法案においては、子育て世帯の経済的負担軽減の観点から、令和4年度から未就学児の均等割保険料を最大5割軽減し、軽減相当額を公費で支援する制度の創設が盛り込まれたところでございます。
この制度が導入された場合、県内の国保世帯における未就学児約3,000人が保険料軽減の対象となりまして、軽減額につきましては概算で約4,000万円となる見込みでございます。
47 津本委員 では、次に入りたいと思います。
引き続き、子供の均等割の質問です。
一昨年の6月定例会の一般質問でも言いましたが、国民健康保険では、子供が多くなればなるほど保険料が重くなるという矛盾を抱えています。1人につき約3万円の均等割保険料がかかるためですが、組合健保や協会けんぽなど、ほかの医療保険ではこのようなことは起きません。
そのときの部長答弁は、今ほどもありましたが、全国知事会と連携して改善を国に求めていくといったものでした。それが功を奏したんじゃないかと私は思っています。今回の改善は、こうした均等割は少子化対策に逆行するといった地方からの指摘を認めた格好になったと思っています。
しかし、今回の改善でも少子化対策に逆行するという状況は変わっていません。未就学児という狭い対象ではなく、高校卒業までの拡大がせめて必要だと思います。また、2分の1の軽減では重くなる程度が少しは低くなりますけど、それでも重くなることには変わりません。全額減免が求められます。
軽減措置をさらに拡充するよう、国に働きかけるとともに、県単独であっても軽減措置の拡充を実施すべきだと考えますが、厚生部長の所見を伺います。
48 石黒厚生部長 最初に、経緯的なことを申し上げますけれども、子供に係る均等割保険料の軽減措置の導入につきましては、平成30年度からのいわゆる国保制度改革、この検討段階で国と地方の間で協議が行われてきたところでございます。その際の議論の取りまとめにおきましては、国民健康保険の保険料が被保険者の受益と負担能力に応じて設定されていること、低所得世帯には軽減措置が既に講じられていることから、引き続き議論していくこととされたところでございます。
国保制度改革以降も全国知事会から国に対して要望を行うとともに、国と地方で継続的な協議が重ねられ、今般、国の社会保障審議会医療保険部会においての結論を得まして、未就学児を対象として均等割保険料を軽減する制度が創設されることとなったものであります。
県といたしましては、国において子育て支援の観点を取り入れて今回の制度創設を判断されたものであり、かねてからの要望が一定程度実現したものと評価できると考えております。
ただ、全国知事会におきましては、やはり未就学児に限らず子供──これは高卒までのことであります──に係る均等割保険料の軽減措置の導入を求めてきたところでありますので、県といたしましても、今後ともその対象範囲の拡大につきまして、全国知事会と連携し、国に働きかけてまいります。
なお、県単独の軽減措置の拡充につきましては、ほかの被保険者の保険料負担の増加、または法定外の一般会計繰入れが必要となりますことから、国保財政の運営上はあまり望ましいことではないと思われます。このことにつきましては、やはり国の責任と負担による国保制度全体としての対応をすべきと考えているところでございます。
49 津本委員 引き続き国には強く働きかけていただきたいと思います。県はやれないというのは大体いつものパターンの答弁なんですが、残念です。でも、前向きにぜひ県としても考えてほしいということは要望しておきたいと思います。
次の質問です。似たような感じに聞こえますが、国民健康保険料の減免であります。
まず、事例を紹介したいと思います。
年金が月額で11万円余り、新聞配達で10万円ほどの計21万円余りの収入があった方です。高齢で足が痛くなって、昨年2月に新聞配達を辞められた。貯金もなく、4月からは市民税、国保税──ここは富山市でないので国保税ですね──の支払いが困難になってしまった。市民税には市の減免要綱があって減免を受けられた。しかし、国保税は受けられなかったということであります。
国保料はとても重い保険料です。昨年の収入に基づいて保険料が算定されます。そのために、収入が激減した時点でとても払えない状況に追い込まれてしまいます。そのこともあって、倒産、解雇、雇い止めなどによって離職し、収入が激減した場合には、国の制度において、前年の給与所得を100分の30とみなして保険料の軽減が行われています。しかし、病気や、先ほど紹介したような体調による離職の場合には、これは適用されていません。改善が必要と考えます。
制度の拡充を国に働きかけるとともに、県単独であってでも軽減を実施すべきと考えますが、厚生部長の所見を伺います。
50 石黒厚生部長 国民健康保険につきましては、被保険者全体の相互扶助で成り立つ社会保険制度でございまして、その財源となります保険料は、制度の維持と負担の公平を図る観点から、被保険者の皆様方に御負担をお願いしているものであります。
保険料につきましては、国保加入世帯の前年度の所得に応じて市町村が賦課徴収しておりまして、それぞれの負担能力に応じた保険料が決定されているところでございます。さらに、低所得世帯には均等割の軽減措置が講じられているとともに、市町村につきましては、条例の定めるところにより、特別な理由があるものに対して保険料の減免等ができるという制度となっております。
前年よりも収入が激減した世帯に対しては、その減少の程度等に応じまして、保険料の減免や、あるいは徴収猶予等の措置が取られます。その際には、市町村が個別の被保険者の事情に応じて減免等の可否を判断すべきということになっております。一般的には、軽減措置につきましては、国や県の制度としてすることはあまりなじまない、その実情に応じて市町村が判断するというスキームになっておるわけでございます。
ただ、今般のコロナ禍の影響は非常に大きなものがございまして、前年よりも収入が3割以上減少する世帯に対する保険料の軽減措置が、今度は国の制度として特例的に今回は講じられて、国による財政措置も講じられたところでございます。
今後、今おっしゃられたような保険料の軽減措置の拡充については、コロナ禍の影響も十分に踏まえた上で、さらに行う場合には、国として制度的に対応すべきものと考えております。必要に応じて、全国知事会や市町村の意見をよく聞きながら、連携して、国に対して働きかけをしてまいります。
51 津本委員 県がやるという話は出てこないけれども、国に対しては改善を求めていくということですね。国の改善はやはり大事だと思っていますので、強くやっていただきたいと思います。
ただ、これはすごく重要な問題だと思っておりまして、収入がなくなって払えなくても、昨年の所得に応じてかかっているためにそのまま滞納として残っていく。では、翌年払えるのかというと、翌年はまた新たに国民健康保険税がその年の分にかかってきて、その収入に対しては重いものです。だから、今回病気などで収入がなくなった分で払えなかった国民健康保険税について、翌年に2年分払ってくださいと言われれも払えない。結局、ここの年で滞納した分は、それ以降は収入が少ないためとても払えないから滞納が続いてしまう。長期滞納が続いてきて、国民健康保険の滞納者が多いというのは、それにも原因があると思っています。
しかも、滞納しただけでは済まない。今、市町村で差押えが頻繁に実施されています。さらに保険証も取り上げるといったことになっています。そういった人たち、言わば高齢者を救う手だてを本当に早急に実施する必要があると思っていますので、国に対しては強く、そして県としても真剣に考えていただきたいと思います。
では、次に入りたいと思います。
西部水道用水供給事業についてであります。
新年度予算において、受水団体の基本水量を2年間前倒しして6%減量するとしており、大変喜んでいます。受水団体から強く要望があったとのことであり、私も2019年11月の決算特別委員会で、水道事業は大幅な黒字であり、水道料金の引下げで受水団体の負担を軽減するよう求めました。
そこで、関係4市の負担はどの程度軽減されるのか、4市それぞれの負担軽減額、そして合計額はどうなるのか、公営企業管理者にお尋ねいたします。
52 山本公営企業管理者 今ほど御紹介いただきましたように、西部水道用水供給事業につきましては、使用水量の減少に伴いまして、受水団体4市の皆様、市長さんや企業の皆様方から負担軽減について強い御要望をいただいているということでございまして、今回4市と協議検討をした上で、受給協定を5年間のところを2年前倒しをして見直すことにいたしまして、基本水量を現在より6%減量しようということになった次第でございます。
お尋ねの基本水量の見直しによりまして、年間の基本水量は4市合計で、現在の1,711万立方メートルから約1,608万立方メートルとなりまして、102万6,000立方メートルの使用水量の減になります。
これによって各市の負担軽減額でございますが、それぞれ毎年、高岡市で約2,111万円、射水市で約1,767万円、氷見市で約2,631万円、小矢部市で約829万円、4市合計で毎年約7,340万円の軽減となります。協定期間は2年分前倒しでございますので、トータルすると1億4,680万円軽減したということになろうかと思っております。
53 津本委員 私は本当に喜んでいます。ただ、さらに引下げを検討してほしい、関係市の負担軽減を検討してほしいと思っています。
令和元年決算は2億8,000万円の黒字を出しています。令和3年の新年度予算では、収入は9,100万円の減です。その中に、今御報告いただいた7,340万円は、基本水量の見直しで減額があるのだろうと思っていますが、やはり黒字の幅はまだまだあると思いますので、さらなる努力をお願いしたいと思います。
では、次の質問に入ります。
境川ダムの未利用水の暫定利用についてであります。
西部水道用水供給事業は、水源として3つのダムを持っています。その水量は合計して日量で25万立方メートル、一方、給水実績は約10万立方メートル。水源ダムは給水実績の2.5倍という、あまりにも過大なものとなっています。とりわけ境川ダムは、日量19万立方メートルのうち、半分以上の11.5万立方メートルが未稼働分として全く使われていません。
県西部4市の住民は、現在でもこれら過大なダムの減価償却費、維持管理費を水道料金で払っています。人口が減っていけばいくほど1人当たりの負担は大きくなっていきます。市民の負担軽減のため、過大な水道水源のダウンサイジング、縮小が課題となっています。
そこで、境川ダムの未利用水についてであります。当局からは、平成29年度に小水力発電への利用ができないか、暫定利用を検討したが、採算が合わず、困難との結論だったと報告をいただいています。しかし、諦めずにさらに検討を進め、可能性を追求してほしいと考えます。いかがでしょうか。公営企業管理者に所見を伺います。
54 山本公営企業管理者 御紹介いただきましたように、企業局につきましては、西部水道の受水市の負担軽減のためにいろんな方法を考えてきたわけでございますが、かつて、御紹介いただいた平成29年度でございますけども、暫定利用を図るということで、発電で活用できないかということを検討させていただきました。
具体的には、水道として取水地点となっております砺波市庄川町三谷地内の雄神発電所の放水路の下流、──この上が電力の水利権なものですから、その下を活用できるということで検討したわけでございますけども──ここで排水路から庄川への落差を使って小水力発電ができないかということを検討した経緯がございます。
当時の検討によりますと、日量11万5,000立方メートルとかなり大きい数字に見えますが、毎秒にしますと1.46立方メートルと少ない水量、かつ高低差も16メートル程度しかないということで、発電電力も極めて少なく、投資をした分を回収するにはちょっと危ういという結果になったということで、検討を停止をした経緯がございます。
ただ、このように発電になりますと即収入が得られるというメリットがございます。これに着目して発電の検討をしたわけでございますが、現在の状況からすると、なかなか水の活用は難しゅうございますけれども、現在低コストで高効率な発電や小水力発電施設の技術開発がどんどん進んでおりますから、企業局といたしましては、それらの情報収集を引き続き行いまして、発電での活用など、収益確保、あるいは収益の拡大の可能性について引き続き検討させていただき、それで4市の負担軽減につながるように努力してまいりたいと思っております。
55 津本委員 大変うれしい答弁をいただいたなと思っています。本当に諦めずに可能性を追求していただきたいと思います。これからの人口減少で、呉西4市はもっと大変になっていくと思いますので、その努力を企業局としてお願いしたいと思います。大変ありがとうございました。
では、次の質問に入りたいと思います。
気候変動対策についてです。
IPCC報告書では、基本上昇1.5度以内を実現するためには、温室効果ガスの排出削減のスピードを上げなくてはならない、とのことで2030年までに2010年水準から45%削減する必要があるとしました。温室効果ガス排出を削減する意欲的な取組が求められています。それを踏まえて、3点お尋ねいたします。
1点目は、建物のゼロエネルギー化についてであります。
私は聞きなれない言葉だったんですが、建物のゼロエネルギー化とは、文字どおり消費するエネルギーがゼロの建物だということだそうです。基本的な考え方は、建物の断熱対策を施し、省エネの電化製品を使うことによって消費するエネルギー量を減らす。2つ目に、太陽光やガスによる発電などで敷地の中で再エネを作る。3点目は、こうした省エネと再エネで年間のエネルギー消費量収支をゼロにするというものであります。
勉強して驚いたことですが、高い断熱効果のあるガラスやサッシ、壁、床など、現在既にある技術を活用することで、一般住宅やオフィスビルなどの多くの建物で直ちにゼロエネルギー化の取組を行うことができるとされています。
国では既にZEH(ゼッチ)という新築のゼロ・エネルギー住宅に対する補助制度をつくっています。また、東京でも建物のゼロエネルギー化を2019年に策定したゼロエミッション東京戦略の大きな柱の一つとしました。
県としても、建築物のゼロエネルギー化に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。知事の所見を伺います。
56 新田知事 国においては、経済産業省や国交省などが関係の省庁と連携して、先端的なゼロエネルギー住宅などの技術開発や普及をはじめ、建物の省エネ化に向けた施策を積極的に推進しておられます。また昨年の10月、菅総理大臣が御就任のときに、2050年カーボンニュートラルを宣言されたことはまだ記憶に新しいところです。それを受けて、その実現に向けて様々な検討や取組が各分野で行われているところです。
富山県では新とやま温暖化ストップ計画を策定するとともに、昨年3月にはとやまゼロカーボン推進宣言を行っています。県民挙げて、CO2などの温室効果ガスの排出削減に取り組んでいます。建物に関しても、建築士や住宅メーカーなどに対して、国の施策や制度を周知するとともに、富山県住みよい家づくり資金融資による支援を行うなど、省エネ性能の高い住宅の供給を促していくことに取り組んでいます。
今、委員が御指摘いただいた東京都の例ですが、省エネや再生可能エネルギーの利用によって脱炭素化を進めるゼロエミッションビルの拡大のような先導的な取組を進めておられます。富山県としてもこうした施策を参考にしながら、建築物の省エネ化、CO2などの排出削減に取り組んでまいります。
57 津本委員 参考にして臨んでいくということを答弁いただきました。
私がすごく衝撃を受けたのは、建物でゼロエネルギー化ができるというところなんですね。このゼロエネルギー化というところがやはり大事ではないかと思っていますので、その1点だけ、県としてはそれにも取り組む、いわば単なる省エネではなくて、住宅や建築物のゼロエネルギー化に正面から取り組むんだということを御答弁いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
58 新田知事 建物ごとに使うエネルギーを極力減らす、これは省エネや、今、委員おっしゃったようにいろんな技術があります。例えば、先端的なビルですと、ブラインドを太陽の光の動きに応じて自動的に調整して極力室内の温度を保つ、あるいは時には、冬場は光を取り入れるようなことも含めて、できるだけ使うエネルギーを下げるとともに、今おっしゃったように、エネルギーをつくれないかということ、──太陽光パネルなどが一般的ですけども、ビルとしてのエネルギー収支をゼロに持っていくという試みは、どんどんやっていけばいいと思います。
ただ、なかなか単独のビル1つで、エネルギー収支をゼロにするというとハードルも高くなりますが、例えば面的にそんなことをすることは可能なんです。こっちのビルではちょっとプラスだけども、こっちでは大分マイナスだと。そのため、ビル単独という取組よりも、面として、エリアとしてやっていくといった考え方もこれから必要だと考えています。
いずれにしても、エネルギー収支を個別のビル、あるいは面としてゼロにしていくということはとても大切なことです。それが今後のカーボンニュートラルを目指して取り組んでいく1つのことだと理解しています。
59 津本委員 なかなか、ビル一つ一つでエネルギー収支をゼロにするということは言っていただけませんでした。ただ、今、国が言っているのは、ゼロエネルギー化は既にできますということです。私も驚きましたが、今までのガラスだと、熱の出入りがあったのですが、今の高断熱性能の高いガラスはそれがない。言わばガラスでも熱の遮断ができるとか、サッシ、床や壁、そういうものも今技術的には可能になっているということらしいので、私はゼロエネルギー化は可能なんだろうと思っています。ぜひこれからも一緒に勉強できたらと思っています。
では、次に入りたいと思います。
今の話に絡んでですが、県がこれから整備する施設についてはゼロエネルギー化を目指すべきだと私は考えますが、どうでしょうか。現在計画されている富山県武道館などの整備に当たって、この視点は入っているのか、生活環境文化部長にお尋ねします。
60 竹野生活環境文化部長 公共施設をはじめとします建築物、設備につきましては、内閣官房長官を議長とする国・地方脱炭素実現会議におきまして、地域脱炭素
ロードマップの対象となる主要分野の一つとされておりまして、更新、改修の機会に脱炭素化する方向で議論が進められております。
県におきましても、本年3月に策定しました新県庁エコプラン、第5期の計画におきまして、新築時等における省エネルギー化等を推進するため、1つには最新の省エネ設備の導入や断熱化、遮熱化の検討、2つ目としまして、施設の改修に合わせた照明のLED化や高効率化、3つ目としまして、可能なものについてはネット・ゼロ・エネルギー・ビル化の検討などを計画的に進めることとしております。
委員お尋ねの富山県武道館や高岡テクノドーム別館につきましては、現在、総合政策局や商工労働部におきまして詳細を検討中でございますが、基本設計段階におきまして、省エネ対策に加え、再生可能エネルギーの活用も検討されております。
今後とも、新県庁エコプラン等に基づきまして、施設の所管部局や設計担当の土木部と連携しまして、計画、設計段階から県有施設のゼロエネルギー化の推進に努めてまいります。
61 津本委員 進めていただけるということなのですが、もう少しはっきりしていただきたいなと。
県が率先してこのゼロエネルギー化ビルといいますか、施設を造っていくことが大事だと思います。いわば牽引する側ですよね。ぜひやりましょうよ。その答弁をいただけないですか。
62 竹野生活環境文化部長 我が部としましては、できるだけゼロエネルギービル化というものを進めてまいりたいと思いますが、財政的な面もございますし、費用対効果もいろいろとあると思います。いずれにしましても、そういう視点をしっかりと持ちながら、計画的に進めてまいりたいと思います。
63 津本委員 ぜひ最初のゼロエネルギー化施設として位置づけて、私は取り組んでいただきたいと思います。確かに調べてみると、初期投資はお金がかかる。ただし、その後は電気代が要らない。結果的には、経済的にかえって効率がいいという話が多いので、ぜひ検討していただきたいと思います。
では、次に入ります。
今度は、新築の建物ではなくて、既存建物の断熱対策について伺いたいと思います。
新築の建物だけでなく既存の建物の断熱対策、省エネ、リフォームも重要だと考えています。この面でも研究や技術が進んでいまして、大がかりでなく手軽な工事でできるようになっているとのことであります。例えば、部屋の窓は内側に新しいサッシを追加して二重窓にする、工事に1時間もかからない、空気は熱を通しにくいため、二重窓にするだけで断熱効果はかなり高くなるといった話です。また、外壁は断熱性が高い新たな壁を外側に張るなどして、解体なしでできるといったことになっているそうです。
このような既存建築物の断熱対策について、専門家は、短期間で実施でき、かつ経済効果が大きく、省エネ対策として最も優れていると指摘しておりまして、私も注目しています。
既に国は、既存住宅の断熱対策、省エネ対策として4つの支援制度をつくっています。そこで、その中の1つである、長期優良住宅化リフォーム推進事業について、県内における実績はどうなのか、土木部長にお尋ねいたします。
64 江幡土木部長 御紹介いただきました長期優良住宅化リフォーム推進事業は、良質な住宅ストックの形成を図ることを目的としまして、既存住宅の長寿命化や省エネルギー化など、住宅の性能を向上させるリフォームについて、国が建築主に直接支援を行う事業でございます。
補助対象となりますのは、住宅の劣化状況等について建築士による事前調査を行った上で、柱や土台などの劣化対策、また住宅全体の耐震性、また外壁の断熱性など、省エネルギー性の以上の3項目がそれぞれ一定基準となるように改修工事を行うものでありまして、県内の実績でございますけれども、国のほうに確認しましたところ、平成30年度が23戸、令和元年度が19戸でございまして、令和2年度は現在集計中と聞いてございます。
65 津本委員 柱、土台劣化対策、耐震対策、断熱対策。私は耐震化もすごく大事だと思っているのですが、実は今、物すごく関心を持っているのは、やはり断熱対策の取組です。この質問通告をした後で、また別な補助要綱もありまして、こちらを聞けばよかったかなと思ったりしていますが、いずれにしても国が断熱対策、地球温暖化対策を急ぐとして、こういった既存住宅に対する断熱対策で省エネに入っていくという取組を重視しているということが分かりました。この2年間で40軒くらいですが、少しずつ進んでほしいと思っています。
そこでですが、県内において、今ほどの既存建物の断熱対策など、省エネ化を広げることが重要と考えています。どのように取り組むのか、土木部長に所見を伺います。
66 江幡土木部長 断熱性能や機密性の高い住宅は、冷暖房等によるエネルギー消費を抑制することができる省エネ性能の高い建築物でありまして、CO2の排出削減にも大きく寄与すると考えられております。
そのため、新築される建築物につきましては、令和3年4月から床面積300平方メートル以上のものについては、断熱対策も含め、省エネ性能に関する基準を満たすよう、法制度の改正が行われております。また、住宅など300平方メートル未満の小規模な建築物につきましては、建築士から建築主に対して省エネ性能を説明することが新たに義務化されておりまして、これまで以上に建築物の省エネ化を推進することとしております。
一方、断熱対策を施す上で制約の多い既存建築物につきましても、内窓や屋内から施工できる薄型の断熱パネルなどの建材も開発され、短い工期での施工も可能となっておりまして、以前より改修が行いやすい状況になりつつあると考えております。
県としましては、引き続き県内の建築士や住宅メーカー等の団体と連携協力いたしまして、省エネ性能基準に適合した住宅等の供給に取り組みますとともに、断熱改修等に対する国や県の各種の支援制度の周知、省エネ住宅のメリットの啓発などを通じて、県内の建築物の省エネ化に取り組んでまいります。
67 津本委員 周知はいいんですが、県として国がつくっているような支援制度を設ける、でも国の制度には該当しないようなケースも県として進める、そういった考えはないんですか。
68 江幡土木部長 県のほうでもこれまで取り組んできてまいりましたけれども、住みよい家づくり資金融資制度というものがあります。これは補助ではなくて、あくまで融資の制度でございます。これも耐震改修やバリアフリー、省エネ改修、そうしたものはもちろん対象になっているということでございます。
ただ、これも年間20件程度の利用ということで、それほど多くはないわけでございますけれども、こうした取組など推進していきたいと考えております。
69 津本委員 富山県の場合、温室効果ガス排出のうち4分の1は建物由来だと思っていますので、ここをどうやって抑えていくか。私は、ゼロエネルギー化になれば物すごいことになると思います。一気に全部やれるわけではないと思いますが、温暖化を食い止める対策が急がれていますので、県としても前向きに、断熱化対策について、普及のため支援していくということをぜひ考えていただきたいと要望したいと思います。
では、最後の地震と防災対策について、質問したいと思います。
時間も迫っていますので、少し早口で質問します。
2月27日に「富山大地震に備える」という竹内章富大名誉教授の講演を聞いてまいりました。教授は、富山県の活断層について現時点での知見を紹介されるとともに、危機意識が大事だと言っておられました。私は、自らの危機意識の足りなさを反省しながら聞いた次第です。
ざっくり紹介しますと、富山県は地震を起こす可能性の高いSランク、Aランクの断層で占められている。このような県はほかにない。さらに、1854年に南海トラフの南海大地震が起きたとき、その4年後に鳶山が崩れ、富山県内に大きな被害を出した安政の飛越大地震が起きた。このように、太平洋側の海溝型巨大地震と日本海側の内陸にある活断層による大地震は連動し、誘発されて動くことも踏まえなければならない。
南海トラフによる巨大地震は、いつ起きてもおかしくない状態にある。巨大地震が起きれば、それ自体で県内に震度5以上の揺れがあり、大きい被害が出るおそれがある。さらに、それに連動して、呉羽断層あるいは石川県の森本・邑知潟断層が動くことにも備えなければならない。いずれも大きな被害が発生する。いつ起きるか分からない地震の危険は、富山県も例外ではないというのが私の受け止めでした。
それを踏まえて、以下3点についてお尋ねいたします。
1点目は、地震、津波に対する危機意識についてです。
地震、津波、豪雨、台風など災害を警告する情報がたくさん流れるようになりました。しかし、実際に避難しようとするスイッチ──避難スイッチと言っておられましたが、この避難スイッチが入らない。避難しないで済ませてしまおうとする人が少なくない。これが
東日本大震災の教訓の一つでもあったそうです。
災害警報が自らの行動にリンクするかどうかは、ここには危機意識があるかどうかにかかっているということでした。県民にしっかりとした危機意識を持ってもらう必要があると考えます。また、そのためにも県が率先して危機意識を持つ必要があります。しかし、この後に取り上げる防災士養成の取組の遅れ、活断層の被害想定の遅れなどから、県の危機意識に疑問を感じています。
また、先日、一般質問でも触れられた富山県企業立地ガイドでは、富山県を地震の発生も非常に少なく、リスク分散に最適な安全・安心な地域と紹介されています。しかも、これは新田知事挨拶の中で知事自らの言葉として出ています。ここにも危機意識がどうなっているのか、表れているのではないかと疑問に感じています。
そこで、地震発生の最大のリスクを率直に伝え、県民に危機意識を持ってもらうとともに、県としても率先して危機意識を持つ必要があると考えますが、いかがでしょうか。知事に所見を伺います。
70 新田知事 近年、全国各地で地震や台風など、深刻な自然災害が頻発しているところですが、本県でもその発生リスクが常にあるということは承知をしています。
このため、ハード面では各種防災・減災対策はもとより、県総合防災訓練などの実施、災害救助物資の備蓄、災害時の人的、物的支援の受入れ体制の整備、自主防災組織の活動強化や各種広報媒体による県民への防災意識の啓発などなど、ハード、ソフト両面から防災対策に取り組んでいます。
また、仮に災害の発生が事前に予想される場合には、時間的余裕を持って、メディアの協力もいただきながら、県民に適切な対応を呼びかけることが重要だと考えます。
県では、今回の大雪被害の検証も踏まえ、防災関係機関が横断的に連携して行動を取るタイムラインを作成することとしています。台風などの災害についても、こうした観点から有識者等の意見も聞きながら検討していきます。
そして、津本委員御指摘の県の企業立地ガイドの記述についてですが、これは企業誘致活動のツールとして、主として首都圏や関西圏など県外企業に配布をしています。ここでは地震について、本県の過去30年間の震災回数や国の地震調査研究推進本部が公表している今後30年間の全国地震動予測地図を掲載しています。また、水害については、国土交通省の水害統計による過去10年間の全国水害被害累積額分布図を掲載しています。
今の全国的な企業誘致、戦国時代と私は呼んでおりますが、この中で他県との差別化を図った上で、県外企業に富山県へ興味・関心を持っていただき、本県での立地に向けた決断を促すため、過去の文献や統計など客観的なデータに基づいて、地震や津波、台風が少ないという本県の安心・安全な立地環境をPRしているので、これは、富山県企業立地ガイドの目的に照らして、どうか御理解をいただきたいと考えます。
なお、今般1月初旬の雪の被害を経験して、雪に関する記述は、次の企業立地ガイドの作成ときには見直しを検討したいと考えております。
71 津本委員 雪の点は見直されるわけですから、地震も私は削除したほうがいいと思います。
では、次に入りたいと思います。
防災士の養成についてです。
災害級の地震があった場合、どう行動すればよいのか、それぞれの地域によって違ってきます。近くに断層があるのか、液状化はあるのか、避難ルートの近くにため池などがないかなど、平時から地域のチェックを進め、かつ住民の危機意識を高める。こういったことは防災士、防災のリーダーがいないと進みません。
しかし、防災士の登録者数は、石川県約7,300人、福井県3,500人に対し、富山県は1,700人と遅れています。せめて1町内会に1人くらいは必要と考えます。さらに石川県では、防災士養成研修会に中学生が多く来る、女性も来る、会社や事務所からも来るとのことです。地域だけでなく、学校や保育所、企業、事業所においても防災士が必要と考えます。
防災士養成を被災の備えとして、できるだけ急ぐ必要があると考えますが、どれくらいの規模の養成を目指しているのか、危機管理監にお尋ねいたします。
72 砂原危機管理監 防災・減災に関する知識と技能を有される防災士の方々に災害時の避難所運営のリーダーとして活躍いただくなど、地域防災力向上の一翼を担っていただくことは有意義と考えております。一方、全国的には、資格を取得しただけで防災士の活動に参加していない資格保持者の増加も課題として指摘されております。そこで県としましては、市町村からの推薦者を中心に研修を受講いただくことにより、意欲のある質の高い防災士の養成を図りたいと考えております。
防災士養成の目標数につきましては、県内市町村が災害時に指定する避難所が約1,000か所であり、各避難所に複数の防災士が必要と考えているため、県の国土強靱化地域計画におきまして、防災士登録者数を令和2年度から6年度までの5年間で約1,000名増加させ、令和6年度末までに登録者数を約2,600名にしたいと考えております。
こうしたことを踏まえまして、県では新年度から防災士養成の研修を拡充し、受講定員のうち市町村からの推薦枠を20名増やし160名、一般枠を含め全体で200名としますとともに、研修会場を1か所追加し、年2回の開催とする予定であります。また受講料の支援につきましても、市町村との負担割合を本人負担額を除き、これまでは県と市町村2分の1ずつでございましたが、市町村の負担等も配慮いたしまして、新年度からは県4分の3、市町村4分の1と、県の負担割合を高めたいと考えております。さらに、女性の視点を取り入れた避難所運営等を促進するため、市町村推薦枠のうち、女性優先枠を30名増やし60名とする予定であります。
こういう形で防災士の養成にもしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
73 津本委員 規模の問題ですね。避難所に複数の防災士の配置、私はやはり町内会に1人くらいずつ入ってもらう規模がいいなと思います。そうなると石川県並みになってしまうのですね。富山県で町内会の数は4,600と聞きました。それを考えると、あと3,000人増やさないといけない。今お話しがあったように、1年間に200人養成していくと、3,000人を養成するには15年かかるのかと思いながら、なかなか大変な課題だと思いました。実際に震災がある、津波がある、警報が出る、こういったときに実際に効果があるといいますか、それを発揮するにはどれだけの規模が必要かということをまずしっかり押さえた上で検討いただきたいと思います。
では、最後の活断層の被害想定について、入りたいと思います。
6年前に射水断層と高岡断層が新たに活断層とされました。射水断層は水戸田、串田を通り、砺波のほうに走るもので、近くに多くの集落があります。高岡断層は、瑞龍寺、あいの風とやま鉄道高岡駅、富山県高岡文化ホールの近くを走り、市街地の中を縦断しています。そして魚津断層もあります。しかし、この3つの断層については、今も被害想定が行われていません。
被害想定は、県土強靱化に取り組む前提だと私は理解しています。この調査によって、地域の弱いところ、強化すべきことなどを洗い出すことができ、その地域の強靱化に取り組むことができます。放置したままであってはなりません。早急に行うべきではないでしょうか。危機管理監にお尋ねします。
74 砂原危機管理監 活断層が動いた場合の被害想定を行うためには、まずは活断層が過去にいつ、どれだけ動いたかを調査分析する必要がございます。具体的には、断層を横切るように調査用の溝を掘るトレンチ調査、あるいは地表から筒状の穴を掘って地層を採取するボーリング調査等を行い、その結果を国の専門家により詳細に分析していただくことが必要でございます。これらは、国の地震調査研究推進本部におきまして全国統一的に行われております。
県内の主要活断層の一つであります魚津断層帯につきましては、平成19年5月に地震発生可能性の長期評価が国より公表されましたが、個別地域の被害想定を行うためには、より詳細な調査分析を行う必要があるとされております。
また、高岡断層、射水断層につきましては、平成27年11月に国土地理院が空中写真の判読等により活断層であることを発表されましたが、国による現地調査等は行われておりません。
このため県では、これらの断層の調査分析の実施を県の重要要望事項に位置づけまして、毎年国に働きかけております。今年度は魚津断層帯に加え、高岡断層、射水断層の調査も明記して要望いたしました。引き続き、国に要望してまいります。
なお、県では活断層の実態調査を国に要望しつつも、一方で、万が一の大震災への備えも重要でございますので、毎年震度7を想定した県総合防災訓練を実施しますとともに、学校や一般住宅、公共土木施設等の耐震化も進めております。こうした地震防災対策にもしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
75 津本委員 国に要望されたということで、私は大変喜んでいます。本当に急ぐ必要があると思っています。もし、国が、調査対象がいっぱいあってなかなか着手できないというなら、富山大学で詳細までいかなくても基本的な調査はできるというお話を聞きましたので、その点も検討いただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
76
武田委員長 津本委員の質疑は以上で終了しました。
暫時休憩いたします。
午後の会議は1時10分に開会いたします。
午後0時09分休憩
午後1時10分開議
八嶋浩久委員の質疑及び答弁
77 平木副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
八嶋委員。あなたの持ち時間は60分であります。
78 八嶋委員 皆さん、こんにちは。自民党議員会の八嶋でございます。11月議会に続き質問の機会を与えていただきまして、皆さん方にはお礼申し上げたいと思います。
東日本大震災から10年が経過したわけでございます。片田先生の防災教育をはじめ、教訓を生かしていくよう、改めて胸に刻んだところであります。
まずはおさらいです。新田知事におかれましては、一般会計当初予算約6,336億円、そして2月補正の365億円を足して、14か月予算では、6,701億円という県政史上最も大規模な予算、前年より773億円もの増額予算、編成中は、自らの政策実現の可能性も模索しながら、さぞかし重い責任をお感じになっていたんであろうとお察しする次第であります。そして、当局の皆様におかれましても、コロナ対策を含めた2月補正、そして令和3年度当初予算編成、行革、政策の取りまとめ、御労苦に感謝申し上げ、質問に入っていきたいと思っています。
まず、問1、個人と公共のバランスの取れた調和型社会の実現から、9問お願いいたします。
令和3年、国の予算案は衆議院を通過し、国からの財源も確保されました。国家財政は少し横に置くとして、県としては大規模な予算案となりました。また、その分、コロナ対策、経済政策もより目配りができ、よりきめ細かくと、単純に思うわけであります。とはいっても、全員協議会の説明では、配付された資料を見る限り、コロナ関連費、サンドボックス枠の予備費を除けば、その他の事業については、そんなに財源があるようにも感じられない。
そこで、新型コロナ対策関連予算を除いた前年度との比較では、事業規模を含め、どんな特徴があるのでしょうか。おさらいの意味もありますが、滝経営管理部長の御所見をお伺いいたします。
79 滝経営管理部長 今ほど委員からも御指摘ありましたとおり、令和3年度当初予算案の一般会計の予算額は6,335億円でございます。ここからコロナ関連予算といたしまして、コロナ関係の融資実績に伴います金融機関預託金等の増加分約500億円、それから新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金や新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金などの国支出金、これは約140億円ございまして、それを除きますと、大体約5,700億円ということで、令和2年度の当初予算5,712億円を若干下回る、ほぼ横ばいというような規模になっております。
令和3年度の当初予算案につきましては、県民の命と暮らしを守ることをまず最優先にしながら、税収減など財政状況としては非常に厳しかったわけでございますけれども、ビヨンドコロナを見据えまして、民間活力を生かし、スピード感を持って必要な施策を重点的、効率的に推進いたしますため、事業の見直しなどの行財政改革を進めながら、富山八策と八十八の具体策の実現に向けた事業をできる限り盛り込んだことが最大の特徴だろうと思っております。
また、予算編成に当たりましては、新しい富山県の創造や官民連携の取組を推進いたしますため、新型コロナへの対応は所要額での要求を認めた上で、富山県新
成長戦略枠、民需主導枠の要求特別枠を設けまして、産業、経済、女性活躍、子育てなど、八つの重点政策として整理をしております。
また、これも委員から御指摘ございましたとおり、現場の視点やアイデアを生かして新たな課題に迅速果敢に対応するためのサンドボックス枠というものを新たに設けたということも、今回の予算の特徴の一つだろうと思っております。
80 八嶋委員 滝部長、分かりやすくありがとうございました。
コロナの予算がないと仮定した場合の令和4年度以降の財政見通しもとても気になるところではございますが、今回ちょっと質問も多いので割愛します。要するに、通常の事業をやっていく上では、4年度以降も、行革など財源確保が大切だということがうかがい知れたと思っております。
そこで、昨年の11月時点では、税収の大幅な減少を見込み、既存事業の見直しが必須との方針も出て、私もそこでスクラップ事業の見える化を問うたわけでございます。スクラップ・アンド・ビルドについては、新田知事の考え方が大きく影響を与えることも想像できますし、理解もできます。財源の捻出を含め、新田知事の考え方を予算編成にどう反映させたのか。要するに、新田知事はスクラップに焦点を当てていますが、何をスクラップしたのか、県民に見える形にすることが大事だと思います。
今回配付された資料によると、全体で602の事業を見直したと発表されております。見える化としてホームページにも載せてあります。ただ、602の事業のうち、主な見直し事業ということで、見える化されたものが22の事業にとどまっております。細かいものまではということもあったかもしれませんが、あまりにも少ないと思いませんか。
改めて、今回の当初予算編成に当たり、どのような視点で事業見直しを行ったのか、また、見える化をすることがとても大事なことと考えますが、新田知事の御所見をお伺いいたします。
81 新田知事 昨年の11月の時点で、やはり大変大幅な減収が見込まれました。厳しい財政状況が予想されました。今若干、当時よりは好転したとはいえ、そのような状況で、私は令和3年度の予算編成方針を出しました。
新規事業の要求に当たっては、既存事業の効果や必要性などをゼロベースで見直し、スクラップ・アンド・ビルドを徹底するように各部局に対して指示を出したところです。その上で、12月下旬に出てきたものを各部長から直接ヒアリングし、その内容について議論をしました。結果として、委員御指摘のように、602件の事業で合計約10億6,000万円を削減いたしました。
11月の定例会でも見える化については御質問いただいたところです。見直した事業の廃止、事業の組替え、事業費の削減、中止、延期、その他の4区分に分けて、各区分ごとの事業数、見直し額を新年度当初予算案と併せて先月公表したところです。ホームページにも載せてございます。その際には、見直し額の大きな事業を中心に、事業ごとに見直した内容や見直し額を公表しています。
事業数としては602分の22ということで、確かに委員のおっしゃるように少ないわけでありますけども、額としては、半分近い額に積み上げたらなります。そのようなことで、主立ったものという意味で見える化をしたということでございます。
今後も、より見える化のやり方については、またアドバイスもいただきながら検討していきたいと考えています。
82 八嶋委員 事業をスクラップして変化に対応するということは大切であります。しかし、そのことは、やはり県民にできるだけ公表しないといけないと思っております。それを頼りにした方、団体もあるかもしれません。令和4年度の事業見直しも含めて、令和4年度以降も予算編成が続きますから、この初年度が新知事にとって一番大切だと思うんですね。規模や内容にもよりますが、事業が、こそこそスクラップされるのではなくて、改革は小さいところから始まる、これはアリストテレスさんの有名な言葉でございますが、できる限りのオープン化、本当に小さいことからもオープン化をお願いする次第であります。
次に、民需主導特別枠について質問させてもらいます。
予算編成方針の際に出された民需主導特別枠について、当時、どんな事業が枠に入るのか漠然としており、11月議会では質問もしなかったのでございますが、今、ある程度具体化したということで、例えばこれまでも産学官、官民連携、成長戦略の象徴であったくすりのコンソーシアム、たしか10年の期限があり、自立型だったとも思っております。とやまアルミコンソーシアム事業では4つの研究テーマもあったと思います。昨日、富山が軽金属の研究拠点となるというような報道もございましたが、私自身、高く評価していたところでございます。
成長戦略事業として展開されることを今後も期待したいと考えますが、どのように取り組まれるのでしょうか、新田知事に御所見をお伺いいたします。
83 新田知事 「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアム、まずこのことですが、県内の産学官の連携で世界水準の医薬品の研究開発、また専門人材の育成に取り組んでいるところです。
令和3年度は、引き続き、医薬品開発の専門家の支援の下、研究開発を行い、早期事業化を目指すとともに、全国の学生を対象としたサマースクールの開催、バイオ医薬品など、企業ニーズに対応した人材育成事業を実施することにしています。
また、国の交付金による支援終了後、コンソーシアムの自走化の検討、またクラウドファンディングを活用した資金調達にも取り組んでいければと考えています。令和5年から9年にかけては自走をする必要があります。これを目指してしっかりと、今やるべきことをやっていきます。テーマは、令和3年は12テーマで走ることになっています。この間、テーマの組替えなども行って、厳しい目で進めているところはぜひ御理解をいただければと思います。
アルミのほうです。とやまアルミコンソーシアム、これも産学官連携の下で、アルミの特性を生かした研究開発プロジェクトの事業化、また、県内外の学生を対象としたインターンシップを含めた人材育成にも引き続き取り組んでまいります。
令和3年度の新たな取組としては、脱炭素社会に向けたアルミリサイクルの研究開発に着手、また、企業が有する課題を把握して、伴走支援をしながら、必要に応じ、規制緩和などで新たな事業を創出するために、アルミ関連産業の規制緩和に向けた取組としてアルミサンドボックス事業を実施します。
県としては、両コンソーシアムの活動を推進しまして、本県の産業を支えてきた薬、そしてアルミ、それの関連産業のイノベーションを後押しすることによって、産業競争力のさらなる強化につなげていければと考えております。
84 八嶋委員 知事、丁寧な御答弁ありがとうございました。本当、そのほかの新成長戦略、民需主導特別枠予算に期待していきたいと思っております。
次に、防災と利便性の観点から、港湾の施設強化について質問していきたいと思います。
まずは、不法係留についてです。個人と公共の調和型の典型的な事例かと思いますが、個人の所有するプレジャーボート、これが内川、新堀川の環境や住民の安全を守るという視点で、多くの所有者が理解を示され、移動されたこと、そして、当局のこれまでの献身的な交渉努力に心から敬意を表したいと思っています。
そこで、あと一歩、この2つの川周辺の片づけについて、いまだ残る船や、例えばタイヤチューブやロープ、くい、釣り具など、今後の片づけなどの取組について、江幡土木部長にお伺いいたします。
85 江幡土木部長 内川や新堀川、新湊漁港等から成る新湊地区の不法係留船対策につきましては、昨年3月に河川区域における重点的撤去区域を告示するなど規制強化に取り組んでまいりました結果、令和元年10月時点で217隻あった不法係留船が令和2年12月時点には21隻と、大幅に減少したところでございます。
まだ残っております不法係留船につきましては、まず所有者不明の船は、6月ごろに代執行を行いまして順次撤去する予定であります。次に、所有者が判明している船につきましては、所有者に個別に連絡を取り、本人に移動を促すこととしております。
なお、不法係留船が移動した後に残されている古タイヤ、鉄パイプなどの係留施設につきましては、今月から撤去作業に着手したところでありまして、順次撤去を行っていくこととしております。引き続き、新湊地区における不法係留船の早期解消に取り組んでまいります。
86 八嶋委員 部長、どうもありがとうございます。本当にどんどんすっきりしてきて、また新たな内川の景観も楽しめるようになり、楽しみにしたいと思っています。
内川、新堀川などからプレジャーボートが移動したことで、新湊マリーナへの県内オーナーの係留が増えているとのことであります。
一方で、マリーナでは、水面係留に人気があり、空きがないという話も聞き及びますし、利用促進には県外オーナーの誘致も重要であり、保管スペース確保が重要かと、また、マリーナには貸しボート事業もありますが、コロナ禍での実績を踏まえて今後どのようにマリーナ活用に取り組んでいくのか、中谷観光・交通振興局長にお伺いいたします。
87 中谷観光・交通振興局長 新湊マリーナに係留する船舶数につきましては、3月1日現在で339隻、昨年3月と比較いたしますと32隻増加しておりまして、昨年3月から取り組んでいます新湊地区における不法係留対策により、マリーナへの移動が進んだことがその要因と考えるところであります。
県外オーナーの所有ボートにつきましては、現在13隻係留されておりまして、県では、県外からの誘致促進のため、これまでもボートショーへの出展、モニターツアーの実施、マリーナ関係雑誌における特集などを通じましてマリーナの魅力発信に努めてきたところでございます。実際に、名古屋のボートショーの富山県ブースを訪問された長野県在住の方が新湊マリーナのオーナーになられたという実例もございます。
また、平成29年度から、先ほど御紹介にありました県外在住者を対象にレンタルボート事業を実施しております。これまで延べ217件の利用がありまして、長野県、石川県、岐阜県などの近隣県のほか、大阪府、愛知県、埼玉県など遠方からの御利用もございました。今年度の利用者アンケートでも、ほぼ全員から、新湊マリーナのロケーション、施設、機能やサービスについて満足と回答いただいております。高い評価をいただいておると考えております。
コロナ禍におきまして、クルージング、釣りなどの密にならない屋外でのマリーンレジャーの人気が高まっていくことが期待されております。新年度におきましても、首都圏や中部圏へセールス強化のためのボートショーへの出展や、レンタルボートなどを通じまして、新湊マリーナや富山湾の魅力を発信いたしまして、県外オーナーの誘致につながりますよう積極的に取り組んでまいります。
88 八嶋委員 今後も観光に生かして、交流人口の増とか、そういったことに結びつけていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。
次に行きます。
先般、新聞報道でもありましたが、富山新港国際港物流ターミナルのガントリークレーンの更新の記事が載っておりました。当然、最新で防災型で機能も強化される、タフでかっこいいクレーンが設置されるものと思いますが、完成までの予定と更新により期待される効果を江幡土木部長にお伺いいたします。
89 江幡土木部長 富山新港の国際物流ターミナルには2基のガントリークレーンが設置されておりまして、このうち1号機は、平成3年の建造から29年経過し老朽化が進んでおります。近年、故障が頻発していることから、残りの2号機に負荷がかかっている状態となっております。
このため県では、今年度から1号機の更新に向け実施設計を進めており、本議会ではクレーン本体の整備に係る新年度予算と債務負担行為の設定をお願いしております。来年度にクレーンの製作に着手いたしまして、令和5年度の完成を予定しております。
国際物流ターミナルでは、これまでも岸壁の延伸やコンテナヤードの拡張など機能強化に取り組んできたところでありまして、このガントリークレーンの整備により、荷役の効率の向上や安定した荷役作業が図られ、荷主企業や船社の信頼性も増すことから、伏木富山港の利用促進が期待されると考えております。
90 八嶋委員 部長、丁寧な答弁、ありがとうございます。
これは、さすがにコロナ予算は使えないと思いますけれども、アフター、ビヨンドコロナを見据えた反転攻勢、インフラ投資であろうと思っております。コンテナの取扱い増とか、今後のポートセールスは必死に頑張る必要がありますが、一旦、商工労働部とか部局横断的な取組でポートセールスのほうを頑張っていただきたいと思います。
以前から、機能強化などがあるので、土木部に港湾振興をつけるのが望ましいと思っておりましたが、今ほど言ったとおり、部局横断で、実際来年度は対応していただければと思っております。コロナ収束後には、知事の言われる経済成長に大いに貢献できるガントリークレーンになると思いますので、ぜひ整備のほうを進めていっていただきたいと思います。
次に、新湊大橋にプロムナードがあることは、皆さんよく知っておられるとは思います。先般このプロムナードで、観光客から、せっかくの景観なのに窓が汚いと指摘をされました。個人的には相当怖いので下を眺めたくはないのですが、窓が汚れているとの観光客の声もあり、ぜひ何か対応できることがないのか、江幡土木部長に引き続きお伺いいたします。
91 江幡土木部長 新湊大橋は、国直轄事業により整備されました日本海側最大級の斜張橋でありまして、平成25年6月に歩行者道であるあいの風プロムナードが開通し、現在、県が管理を行っております。このあいの風プロムナードは、雨や雪などの天候に左右されず歩行者が通行できるよう、車道の下に設けられており、両側に周囲の景色が楽しめるよう窓が設置されております。
御指摘のとおり、窓の清掃は、平成29年に行ってから4年ほど経過しておりまして、汚れが目立ってきているということから、新年度の早い時期に窓清掃を実施する予定としております。
今後とも、県内有数の観光スポットである新湊大橋を訪れた方々が眺望を楽しめますよう、適切な維持管理に努めてまいります。
92 八嶋委員 すばらしい眺めが楽しめるということでございます。観光面でも、中谷局長、ぜひ活用していっていただきたいなと思っておるところでございます。
次に、大雪について2問質問いたします。
今回の大雪で我が社も敷地の除雪が大変だったわけでございます。敷地だけでも早朝から人の手配等がもう大変ということで、このときに公道を除雪するオペレーターの皆さん方のありがたさ、確保育成が大切であると再認識したところでございます。
それで思うのですが、除雪オペレーターの実績払いの契約では生活の保障がないため、一部シーズン契約にするなど工夫しないと、成り手不足の解消ができないのではないか、あるいは、民間業者の体力低下に伴う請負除雪作業からの撤退も懸念をされるところでございます。実績支払い制度から最低保証などへの契約自体の見直しによる支援が必要になってきたのではないかと考えています。
除雪オペレーターを確保していくためには、除雪共同企業体との契約において、いわゆる最低保証制度の導入ができないのか、江幡土木部長に引き続きお伺いいたします。
93 江幡土木部長 県では、将来にわたり安定的な除雪体制を維持していくことが極めて重要と考えておりまして、これまでも除雪オペレーターの育成支援をはじめ、委託契約の見直しなど、除雪を担う建設企業等に対する必要な支援を行ってまいりました。
具体的には、建設企業が保有する除雪機械を借り上げる場合の委託経費につきまして、除雪機械の稼働状況にかかわらず必要となる保険料や税金などの経費を固定費として支払ってきております。今年度からその計算方法を見直しまして、機械損料のうち償却費の半分を追加計上し、企業の負担軽減に努めております。
委員御紹介のいわゆる最低保証制度につきましては、全国で5つの道県で導入されておりまして、このうち北海道は昭和53年と、早くから導入されております。福島県が平成19年、新潟県が平成21年に導入しておりますが、その後の導入はなかったんですけれども、昨年度の少雪を受けまして、今年度から青森県と山形県が加わって、合計5道県で導入されているということでございます。
一方で、国では、昨年12月に開催されました有識者会議の中で、少雪時──雪が少ない場合においても、道路の除雪体制を維持していくために必要となる固定的な経費の積算の在り方について検討していくこととされておりまして、県としましては、まずこうした国の議論などを注視していきたいと考えております。その上で、除雪を担っていただいている企業からの御意見も伺いながら、必要に応じて委託経費の見直しを行うなど、安定した除雪体制が維持できるように努めてまいります。
94 八嶋委員 部長、丁寧な答弁ありがとうございます。今さら、本当に私からの浅知恵かもしれませんけども、確保育成につながるならば、そういったことを積極的に進めていっていただければとお願いいたします。
さて、もう一つは万葉線でございます。先般の大雪では小此木国家公安委員長、名前はたしか八郎さんでしたね。小此木八郎特命大臣が来県されております。その際、大雪災害で万葉線の復旧が大変遅れましたので、県当局の配慮で直接要望する機会もつくっていただいたと伺い、地元の一人としても大変感謝しているところでございます。
若干、LRT化の陰に隠れがちですか、子供たちやお年寄り、車に乗れない方々には大切な足でございます。今後も県としてどう支援するのか、中谷観光・交通振興局長に御所見をお伺いいたします。
95 中谷観光・交通振興局長 本年1月の大雪につきまして、県では交通対策の検証会議を開催いたしまして、公共交通の運休もかなり多く発生したということで、各事業者の皆さんにも御出席をいただいて協議検討を行ってまいりました。
会議では、公共交通事業者から大雪時の対応状況を御報告いただきましたが、万葉線からは、「記録的な降積雪により除雪車両、それから消融雪設備による対応が追いつかなかったこと、また軌道敷への車両の進入による圧雪や、道路渋滞による排雪困難な状況が発生したということによりまして、結果として復旧に時間を要し、運休をしたということをおわび申し上げたい」という発言がございました。
このため、今後は、交通事業者と道路管理者、交通管理者等と連携を強化するとともに、除雪車両や消融雪設備等の更新、充実に努めるとの認識を共有したところでございます。
県といたしましては、これまでも公共交通事業者の安全対策を支援してきたところでございますが、今回、さきの臨時議会で議決をいただきました補正予算、それから今回提案しております新年度予算案におきまして、新型コロナにより厳しい状況にある公共交通事業者に対する支援とともに、万葉線の除雪能力の向上について、高岡市、射水市と連携した支援を盛り込んでおります。
また、今、委員からお話ありました、小此木大臣に対しまして、新田知事から交通事業者が行う除雪対策の強化のための設備導入に対する予算の十分な確保につきまして働きかけを行ったところであります。
引き続き、国庫補助制度も活用し、安全な運行が確保されますよう、関係機関と連携して取り組んでまいります。
96 八嶋委員 ありがとうございます。なかなか富山地鉄のほうも結構大変だったと思いますけれども、やはり道路に敷設した路面電車でございますので、ぜひ引き続きの御支援を賜りたいと思っております。
次は、問2の豊かな暮らしの実現から4問質問させていただきます。
昨年30周年を迎えた県立大学、今日あたりも別件でニュースになっていましたけれども、30年もたつと社会にもたくさんの人材を輩出し、貢献度も上がり、さらにこれからの情報系人材の育成を見据えて、昨年の4月には電気電子工学科、情報システム工学科が開設されています。また、令和3年度予算には、DX教育研究センター、仮称でございますが、整備の予算も計上されております。
改めて、センターの整備に至る狙いや背景について、
蔵堀政策監にお伺いします。
97
蔵堀政策監 DXにつきましては、日本がこれまで抱えてきた多くの課題解決、そして今後の経済成長に大変資するものだと考えております。ただ、単なる新技術の導入ではなくて、社会全体のトランスフォーメーションを進めていくことが重要でもございます。そのために、社会全体として、今後DXを担う人材育成とDX分野の研究教育が必要だと考えております。
県立大学におきましては、DXの研究と教育の中心施設といたしまして、県内企業やほかの大学など、産学官の連携拠点となりますDX教育研究センター(仮称)を整備したいと考えております。
このセンターでは、1つには、教育や実験、研究に必要なスペースを確保したいと思っています。2つ目には、県内企業や研究機関と共同研究に利用できるスペースも備えたいと考えております。こうしたことによりまして、県内産業の振興にも寄与していきたいと考えております。
また、人材の育成の面でございますけれども、令和4年度からは、知能ロボット工学科と情報システム工学科の入学定員を拡充いたしまして、データサイエンスなどDX教育に必要なカリキュラムを充実させていく予定でございます。
さらに、学生に対してだけではなくて、社会人の方の学び直しや新しい知識の習得ニーズに応える──リカレント教育でもございますけれども──こうしたことが大変重要でもございます。DX教育研究センターへの企業研究員の受入れといったことの充実なども検討を進めてまいります。
県全体として、あらゆる分野でDXを推進してまいりますけれども、県立大学におきましても、研究教育、そして人材の育成にしっかり取り組んでまいります。
98 八嶋委員 社会全体としての取組に、本当に高い志を感じるところでございます。昨年、夢や希望を持って入学した学生が4年生になる頃までには、先生も教授もそろってくると思います。どんな先生がおいでるかも楽しみにしながら、こういった研究センターの機能充実も併せて取り組んでいっていただければと思います。ありがとうございました。
次に、都市公園、太閤山ランド魅力向上につながる事業について質問いたします。
私は、海水浴よりは、どちらかというとプール派でありまして、太閤山ランドのプール遊びは毎年楽しみでもあるわけでございます。昨年はコロナでプールもちょっと行けなかったし、冬は左義長も行っておりましたが、それもなくなったということで、ちょっと寂しい感じがしておりましたけれども、今、ICTテクノロジーを利用して大人も楽しめる公園ということなら、単なる施設更新ではない、実際に出来上がって利用することで魅力向上につながる、そういうことが望ましいとも期待しているところであります。
そこで、当初予算にも計上されている調査事業について、予算化至る経緯やその狙い、また今後どのような展開を考えているのか、柿沢総合政策局長に御所見をお伺いします。
99 柿沢総合政策局長 県民公園太閤山ランドにつきましては、昭和58年に開園いたしまして、1平方キロメートルを超える広大な敷地に芝生広場など屋外施設、各種イベントに利用できるふるさとパレス、こどもみらい館、プール広場などがありまして、ファミリー層を中心に年間約80万人が訪れる県内最大の県立都市公園でございます。
一方、開園から37年が経過し、施設の老朽化が進んでいるほか、今年度実施いたしました利用者へのニーズ調査では、幼児、子供が遊べる施設やカフェ等の飲食機能の充実、駐車場から施設までが遠いことなどの課題があるとされております。
また、太閤山ランドの魅力向上ということに関しましてでございますけれども、新年度の予算編成過程におきまして自民党からも御要望をいただいているところでございます。
こうしたことから、県では、新年度予算案におきまして、太閤山ランドが既存の施設の魅力を生かしつつ、最先端のデジタル技術等の活用により新たな魅力を創出し、子供から大人までが楽しめるわくわくする施設となることを目指しまして、調査検討費を計上したところでございます。
具体的には、
民間事業者と協力いたしまして、全国の先進的な事例等を調査いたしますとともに、例えばということでありますけれども、無人運転自動車の実証実験などを通じました園内移動の円滑化や、ドローンを活用したアトラクションの実施など、太閤山ランドの魅力向上策を検討したいと考えております。
また、併せまして、安全性など、法令等の規制を踏まえました実現に向けての課題や、施設整備、運営の方法、事業費の規模などにつきましても検討したいと考えているところでございます。
100 八嶋委員 それこそ、コロナ禍前までプール開放や民間のリレーマラソン大会、あるいはあいの風、公共交通、ワンチーム富山の一員である射水市との連携もあり、さらにイベントもブラッシュアップされる公園に期待が膨らみます。自民党からの要望もあったわけで、永森議員もよろしく言っておられましたし、共産党の津本議員からも「八嶋さん、頑張ってください。」という激励もいただいております。よろしくということで伝えておきますので、ぜひ柿沢局長、進めていっていただきたいと思います。
次に、祭り、文化財の価値についてお聞きします。
祭り、文化財について、安達議員、また針山委員からも本定例会で取り上げられておりましたけれども、本議会中に放生津八幡宮祭曳山・築山が国重要無形民俗文化財として正式指定されたこともあり、地元では地域文化財への関心が高まっています。
少子高齢化や新しく曳山を造ると何億円ものお金がかかるといった時代の変化の中では、文化財が公共財産として認知され始めたのではないかと感じているわけでございます。
伝統文化財に対する行政の支援、例えば射水市であれば下村の加茂祭「やんさんま」が国の指定に、そして海老江、大門の曳山については、県の文化財指定を受けるべく地元関係者からも要望が寄せられていますが、県の考えはどうでしょうか、
伍嶋教育長にお伺いします。
101
伍嶋教育長 下村の加茂祭は、流鏑馬をはじめ走馬や牛乗式など、五穀豊穣を祈る貴重な祭りとして県の無形民俗文化財に指定をされております。
一方、海老江と大門の曳山祭りは、委員からも御紹介がありましたが、近隣の放生津八幡宮祭や高岡御車山祭りの影響を受けて、海老江の曳山は江戸時代後期、大門の曳山は明治時代に成立されたとされておりまして、いずれも市の有形民俗文化財に指定をされているというところであります。
下村の加茂祭の国の文化財指定に向けては、まずは、射水市におかれまして行事の歴史や形態、また内容などの詳細な調査を実施され、全国的な観点から祭りの特色を抽出して、我が国の生活文化史における歴史的、文化的な価値を解明する必要があるのではないかと考えております。また、将来にわたって保存・継承が図られる必要がありますことから、保存団体等の組織化や体制整備を図ることも求められるものと考えております。
また、海老江や大門の曳山の県指定に向けましては、県内各地に伝承される多彩な曳山行事との比較分析を行い、他の曳山行事には見られない典型的な特色や文化的価値を導き出すなど、地元射水市においてさらなる調査を行っていただく必要があるものと考えております。
その結果を踏まえまして、県の教育委員会としても学術的、専門的な見地から評価を検証していくこととしており、今後の調査について市から御相談があれば、必要に応じて文化庁の指導も得ながら適切な助言を行うなど、支援をしてまいりたいと考えております。
102 八嶋委員 丁寧な答弁ありがとうございます。ぜひそういった御指導、支援のほうよろしくお願いしたいと思っております。
とやまビューポイントの事業についてお伺いいたします。
富山のビューポイントを増やそうという政策です。新たに30か所程度は選定されたということで、その選定経過と結果はどうであったのか、また既に選定されているところと合わせて60か所程度のビューポイントが設定されたと思いますけれども、観光誘客的な観点も含めてどのようにPRしていくのか、江幡土木部長にお伺いいたします。
103 江幡土木部長 本県は、立山連峰に代表される山岳景観、海王丸や内川の美しい水辺の風景、砺波平野に広がる散居村など、優れた景観に恵まれております。このため、平成14年に富山県景観条例を定めまして、県内の優れた景観を眺望できる30地点をふるさと眺望点として指定したところであります。
この取組を発展させ、県内外の観光客の方々からも関心を持っていただけるよう、令和元年度から愛称をとやまビューポイントとして追加公募を行ってまいりました。追加公募は、昨年度秋以降、季節ごとに行いまして、合計275件の応募があり、景観審議会内に設置したとやまビューポイント選定部会において、現地調査の上、審査を行い、去る2月1日に開催されました景観審議会において候補30地点を選定したところであります。これにより、既に指定されている30地点と合わせまして60地点が指定場所となっております。
今後、県内外から多くの方々にとやまビューポイントを訪れていただけるよう、現地での銘板の設置や県ホームページ、観光季刊誌等の活用などによりまして県内外のPRを行い、観光客の増加にもつながるよう努めてまいりたいと考えております。
104 八嶋委員 ぜひ関東を含めてPRのほう、よろしくお願いしたいと思います。
ちなみに、先ほどちょっと言いました新湊大橋のプロムナードはポイントに入っていましたでしょうか。通告なかったですね。
105 江幡土木部長 新湊大橋のプロムナードにつきましては、特に新たな30か所には入っているわけではございませんで、新湊市につきましては、海王丸パークから見るベイエリアと内川沿いの街並みの2つが入っている状況でございます。
106 八嶋委員 入っていなかったですか。私も窓拭きを一生懸命頑張りたいと思っております。では、土木部長、ありがとうございました。
副委員長、資料配付を忘れておりまして、ここで質問の順番を変更したいと思いますが、許可、いいでしょうか。
107 平木副委員長 資料配付を含めて許可いたします。
108 八嶋委員 副委員長、ありがとうございます。
次に、国際化を見据えた産業から4問質問させていただきます。
SDGs実践による産業振興の取組を紹介します。
氷見の定置網漁業が農業遺産に登録され、少し陰に隠れましたけれども、実は先般、農林水産省の主催するサステナアワード2020で射水市の富山湾しろえび倶楽部が全国より選ばれて、見事大賞を受賞しました。代々受け継がれている遺産的な価値とはちょっと意味合いが違って、これからの世界標準、SDGsのゴール12に合致して、どちらかというとこれまでの漁法から持続可能な漁を目指してのイノベーション的な意味合いが強く、そこが客観評価されたものだと思っています。
立ち上がったばかりですので、これからも支援していく必要があると思いますが、さて、このSDGsについては、県でもその普及啓発に努めているところでございますが、県民総参加でこのSDGsの取組を促進するために、今後どのように取り組んでいくのか、柿沢総合政策局長に御所見をお願いいたします。
109 柿沢総合政策局長 SDGsの促進につきましては、本県は令和元年7月、国のSDGs未来都市に選定されたところでございます。その際、策定いたしました環境・エネルギーをテーマといたしました本県のSDGs未来都市計画に基づきまして様々な分野の事業を推進いたしますとともに、企業、団体、県民の皆さんのSDGsに対する理解を深めていくことが重要であると考えております。
このため、新年度におきましては、まず普及啓発ということでございますけれども、県政世論調査の結果によりますと、SDGsの認知度は35%程度ということでございまして、まだまだ普及啓発が課題であると考えております。
こうしたことから、新年度におきましては、SDGsに取り組む企業、団体等からSDGs宣言を募集したしまして県のホームページ等で紹介するとともに、SDGs宣言の募集に当たってのキックオフフォーラムを開催したいと考えております。また、県内各地でのワークショップの開催や市町村や企業、団体によるセミナーの開催への支援を行いたいと考えております。
委員から御紹介いただきました富山湾しろえび倶楽部におかれましても、ぜひSDGs宣言のほうに応募いただければと思っております。
このほかでございますけれども、県が取り組みますSDGs推進の取組につきましては、とやま版グリーンイノベーション推進事業といたしまして、カーボンリサイクル等の推進に向けまして産学官が連携した研究会等の実施、スーパー等でのプラスチック容器の削減の促進、エシカル消費のPRなど、官民連携いたしまして取り組みたいと考えております。
SDGsは17の目標がございまして、幅広い分野に関わりますことから、今後、市町村や企業、関係団体、県民の皆様と様々な分野で連携を深めながら取組を推進してまいります。
110 八嶋委員 SDGsの実践による産業振興ということでございます。国際共通語でございますので、やはりこういったものを早めに富山県も取り入れて普及していければと思っております。
先ほど渡しました資料でございますが、これは観光船の話でございまして、シロエビの解禁は4月1日からでございます。このシロエビ観光は、ちょっと日付が入っていませんけど、4月26日月曜日からシロエビ観光をやっておりますので、ぜひ御利用いただきたいと思います。宣伝でございます。
では、次に、ちょっと戻りますけれども、新しい産業ということでございまして、eスポーツについて幾つか質問させていただきます。
eスポーツは、非接触型としてコロナ禍でもやれる事業とも言えるわけでございまして、県においては未来の産業という位置づけもあるかと思います。
毎年少しずつ普及されてきており、eスポーツイベント支援事業の今年度の実績と、来年度の開催が企画されております全国マスターズeスポーツ大会(仮称)の今後の取組について、滝経営管理部長にお伺いいたします。
111 滝経営管理部長 まず、今年度でございますが、4つの市町で計9つのeスポーツのイベントに県としても支援してまいりました。コロナ禍ということで、多くの方々が集まるイベントの開催は難しかったわけではございますが、例えば、賞品としてベニズワイガニ約130杯を用意したToyama Gamers Dayをはじめといたしまして、万葉線に乗車してスタンプラリーをしながら高岡市と射水市のeスポーツ拠点を巡るイベント、また、次世代のゲームクリエーターを育成する小学生向けのプログラミング体験教室など、各地域の特色や様々な工夫を凝らしたイベントが行われたところでございます。
新年度予算案では、全国マスターズeスポーツ(仮称)の開催に向けた経費を計上させていただいてございます。この企画につきましては、富山県eスポーツ連合の堺谷会長と御相談をして、県としても一緒になって練り上げてきているものでございます。
具体的な内容につきましては、今後、大会の実施に中心的な役割を果たします富山県eスポーツ連合とさらに相談をしていくことになるわけでございますが、現時点として考えておるものでお話し申し上げますと、60歳以上の方を対象にいたしまして、認知症の予防にも一定の効果があるだろうと思われます複数のゲームにおいて、全国8ブロックの代表者から成る決勝大会を県内で開催するという方向で今考えております。
こうした大会を本県から発信するということを通じまして、シニア層にもeスポーツの裾野を広げますとともに、富山県の魅力、あるいはeスポーツに対する先進的な取組を全国にアピールしてまいりたいと考えております。
112 八嶋委員 部長、ありがとうございました。
本年度、各市町村いろんな取組があって、裾野を広げていこうという取組とすれば、来年度は世代間の広がりということで御期待申し上げていきたいと思います。小学生の普及にもルールづくりからいろんな学びの場があったということでございます。中学生には1,000万円を超えるプレイヤーもおるそうでございますので、新たな成長の、お金を稼ぐと言ったら変ですけど、経済成長の糧になるのだろうと、御期待申し上げたいと思っております。
ところで、国際化という意味で、実はこのeスポーツイベント、当初はインバウンドの需要もにらんで予算化もされておったわけでございます。eスポーツの振興とインバウンドの需要の掘り起こしの観点から、次の展開についてどう考えているのか、引き続き滝経営管理部長に御所見をお伺いいたします。
113 滝経営管理部長 今、委員から御指摘ございましたとおり、今年度当初予算におきまして、台湾からeスポーツのプロの選手を招請しまして、県内の観光地やeスポーツイベントの様子をSNS等を通じまして海外に発信してもらうことで、海外からの誘客促進、また富山・台湾便の搭乗率の向上にもつなげたいということで考えておりましたけれども、新型コロナの影響で残念ながら中止ということにならざるを得なかったということでございます。
なかなか新型コロナの状況、変異株による感染の拡大といったようなこともございまして、水際対策の強化ということも非常に重要な課題にもなっているわけでございます。
一方で、eスポーツにつきましては海外でもかなり広く認知をされておりますので、eスポーツを通じた交流ということにつきましては、eスポーツそのものの振興もそうでございますけれども、コロナ収束後のインバウンド回復への効果という意味でも大変期待ができるものだと思っております。
とにもかくにもコロナの状況次第ということではございますけれども、状況が許しましたならば、今後、県内で開催、実施しますeスポーツ関連イベントを通じまして、海外との連携方策につきましても積極的に考えてまいりたいと思っております。
114 八嶋委員 コロナ禍で、開催は残念でありましたけれども、部長が言われるとおりコロナ収束後とか、アフター、ビヨンドコロナに向けた大きな反転攻勢という意味では、新たな国際的な交流や、産業の話であろうと思っております。来年度は、さすがにやっぱり無理かもしれませんが、収束後、再事業化に期待したいと思っておるところでございます。
最後、eスポーツ介護予防促進事業についての質問でございます。
2020年12月12日に読売新聞で紹介されておりましたけれども、eスポーツが介護予防に期待という記事が出ておりました。県と県立大学によるお年寄り向けのeスポーツ体験会のことでございましたが、とても発想が面白く、今ほど滝部長からも言われましたけれども、eスポーツのイベントではシニア層をターゲットにしたマスターズ大会も開催されるという答弁もいただきました。それこそ、情報と介護、また、研究していただける若者とをつなぐ新しい取組として、eスポーツを活用した介護予防を促進すべきでないかと考えますが、石黒厚生部長の御所見をお伺いいたします。
115 石黒厚生部長 今年度、新たにモデル的にですが、地域の公民館などを活用して高齢者が自主的に介護予防に取り組んでおります通いの場2か所におきまして、eスポーツ体験による高齢者の社会参加を促進した介護予防活動に、お話がありましたとおり県立大学との共同研究として取り組んできたところでございます。体験会では、「太鼓の達人」などの既存のゲーム、これだけではございませんで、県立大学が独自に制作いたしました腕の関節の可動域を測定する「窓ふきの達人」、こういうゲームも利用していただきまして運動機能の向上に取り組んできたところでございます。
参加した高齢者の方々からは、やはり「楽しかった」あるいは「健康につながるのではないか」、あるいは「ゲームをすることで周りとの会話が増えた」と、こういった感想をいただいておりまして、高齢者の方の介護予防や、あるいは健康維持にもつながるものと考えておるところでございます。
また、新年度におきましては、介護予防教室や通いの場等におきますeスポーツの体験会の実施会場を増やすとともに、反射速度や心拍の測定、複数の会場をつないでのチーム対戦の実施、あるいは高齢者向けゲームの開発などに取り組んでいくこととしております。
引き続き、市町村とも連携いたしまして、eスポーツ体験会を通じました高齢者の介護予防教室への参加の促進、あるいは高齢者、大学生など、多世代の交流によります介護予防活動の推進として取り組んでまいりたいと考えております。
116 八嶋委員 17問もあったので、スピード感を持って質問してきたわけでございますが、多少時間あります。石黒厚生部長、ありがとうございます。
介護予防ということで健康寿命延伸、これがまたグローバル産業になったり、国際貢献の意味もあるし、医療費削減のということで、分析や効果についても、データサイエンティストの世界であったりもしますけれども、大いに産業としても期待申し上げていきたいと思っておるところでございます。
多少時間が余りましたので、私のほうから一言お話しさせていただきたいと思いますが、今回の予算案ということでちょっと感じたところを言うと、やはり新田知事の方向性を表現するための組織改編がメインだったのではないかと思っております。組織改編がいいか悪いかという話ではなくて、これが機能するかしないかという議論でございます。最後はやってみての結果論で論じるしかございませんが、より結果が出るよう、県民のために知事、そして新体制の組織には、新年度、御活躍を御期待申し上げる次第であります。
年初より、県内ではコロナ感染症第3波、豪雪災害、高
病原性鳥インフルエンザが発生したわけでございますが、本当に被害に遭われた方、損害を受けられた方には心よりお見舞い申し上げたいと思います。
また、対応に当たられた新田知事をはじめ、県庁職員の皆様方には大変御心労があったろうと思っています。今後の意識など様々な課題があるにしても、私は、当局におかれましては、総合力を発揮され、事に当たられたと思っています。委員会でもお伝えしましたけれども、改めて敬意と感謝を申し上げ、質問を終わりにしたいと思います。
どうもお疲れ様でございました。ありがとうございました。
117 平木副委員長 八嶋委員の質疑は以上で終了しました。
ここで、換気のため暫時休憩いたします。
休憩時間は10分間といたします。
午後2時07分休憩
午後2時19分開議
杉本正委員の質疑及び答弁
118 平木副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
杉本委員。あなたの持ち時間は60分であります。
119 杉本委員 富山県民期待の大相撲朝乃山関、昨日は負けましたが、今年中に横綱になることを期待して質問に入ります。
先般の新年度予算の説明の記者会見で新田知事は、新年度の予算案のキャッチフレーズを問われると、「ビヨンドコロナのワクワクを目指して」、アフターコロナではなく「ビヨンドコロナ」がいいと杉本県議会議員からアドバイスを受けたと新田知事からお話いただき、大変ありがたく思います。
新田知事がビヨンドコロナがよいと言われる前は、県の説明書には、ウイズコロナやアフターコロナという言葉が多く使われていましたが、ウイズコロナというと、コロナちゃんと仲よく手をつないでままごと遊びをしている感じです。アフターコロナというと、ただ単にコロナ後ということで、コロナを克服しようという意欲が感じられません。ビヨンドコロナだと、コロナを乗り越えて頑張ろうという強い気持ちが伝わってきます。これは、藤井大輔県議会議員から教えてもらいました。
ビヨンドコロナの施策について6問質問いたします。
質問の第1、新型コロナウイルス感染症軽症者等宿泊施設確保・運営事業についてであります。
新型コロナの感染状況は比較的落ち着いてきておりますが、感染の再拡大に備え、引き続き高い緊張感を持って感染患者の受入れ体制の確保を進めておくべきだと考えます。
新型コロナウイルス感染症軽症者等宿泊施設確保・運営事業について、新年度はどこの施設を確保し、どの程度の収容人員を見込み、どのように運営していかれるのか、石黒厚生部長にお伺いいたします。
120 石黒厚生部長 県におきましては、新型コロナウイルス感染症に関する医療提供体制、療養体制を確保するため、昨年の4月以降、民間宿泊施設等の運営者の御協力や、あるいは施設が立地する地域の住民の方々の御理解をいただきまして、軽症者や無症状者が療養するための宿泊施設を確保し、運営してきているところでございます。
現在、県内の感染状況は、県民の皆さんお一人お一人の御協力の結果、比較的落ち着いておりますけれども、委員からお話しありましたとおり、感染の再拡大に備えまして、新年度においても軽症者等が療養するための宿泊施設を確保、運営することとしております。
新年度におきます施設の施設名や場所につきましては、今現在、施設側と協議の最終局面にございます。協議がまとまり次第、お知らせいたします。
また、収容人数につきましては、これまで1日最大の入所者数が64人であること、また、退所後の居室の除菌清掃やリネン類の補充に一定の時間を要することから、100名から200名は収容できる規模が必要だと考えております。
さらに、運営につきましては、引き続き看護師2名と県職員複数名が24時間常駐し、医師は24時間オンコール対応できる体制とするなど、入所された方が適切に療養できる環境を整えることとしております。
今後とも、感染の再拡大に備えまして、緊張感を持って感染患者の療養体制の確保に取り組んでまいります。
121 杉本委員 質問の第2、介護施設等における感染症対策の支援についてであります。
新年度予算案では、複数の人が一緒に入居している部屋、多床室の個室化改修費やサービスの継続のかかり増し経費に対する定額補助が盛り込まれておりますが、介護施設等における感染症対策の支援について、介護施設のどのような現状を踏まえて新年度予算案を盛り込まれたのか、支援の活用見込みを含め、厚生部長にお伺いいたします。
122 石黒厚生部長 コロナ禍におきましても介護サービス事業の継続は、社会的にも必要であり、要請されているところでございます。これまでも、県といたしましては、ソフト、ハード両面から、介護事業者に対して支援を実施してきたところでございます。
新年度予算案には、お話のありましたとおり、施設での感染対策として、多床室の個室化改修や、あるいは2月補正予算におきましては感染発生時の対応や拡大防止の観点から、生活空間の区分けを行いますゾーニング、あるいは家族との面談が円滑に行われるような面会室の整備など、ハード面の支援を盛り込んだところでございます。
また、万が一介護施設等で感染者等が発生した場合、施設内の消毒に要する経費や、あるいは応援職員の割増し賃金、旅費などのかかり増し経費に対する支援も盛り込んだところでございます。
このほか、感染症対策実施のため、現在は通常より職員の業務負荷がかかっていることから、その負担軽減のための介護ロボットの導入やICTの導入に対する支援も盛り込んだところでございます。
これらの活用見込みにつきましては、介護事業者へのニーズ調査を踏まえて事業化を見込んだものでございまして、事業者の皆様にはこれを大いに活用していただき、感染症対策に役立てていただきたいと考えているところでございます。
また、来年度の介護報酬改定におきましては、感染症対策に対する特例的な評価がなされることとされておりまして、新年度予算案に盛り込んだ感染症対策に資するこれらの事業とともに、介護サービスが安定的かつ継続的に提供されるように支援してまいります。
123 杉本委員 ありがとうございます。
質問の第3、児童福祉施設等感染防止対策事業についてでありますが、保護者が感染した場合に児童の児童相談所での一時保護体制を強化するとしておられますが、具体的にどのように取り組むのか、厚生部長にお伺いいたします。
124 石黒厚生部長 保護者が新型コロナウイルスに感染して、保護者の方が入院または宿泊施設による療養が必要となり、ほかに養育できる親族がいない子供がいる場合、そうしたお子さんについては、児童相談所で一時保護する際に、看護師等を配置して子供の適切な健康管理、あるいは保健所との連携を図ることとしております。これが事業の内容でございます。
ただ、実際の運用に当たりましては、児童相談所で保護することのほか、子供の年齢や保護者の症状なども踏まえまして、例えば看護師等が常駐しております軽症者等の宿泊施設を利用したり、あるいは保護者が入院する病室で過ごすなど、個々のケースに応じて判断していきたいと考えておるところでございます。
125 杉本委員 質問の第4、予算案には新型コロナに係る公共交通支援事業として、減便を控えた運行継続のための運行経費や感染防止費用に対する補助、事業継続のための車両維持費に対する補助が盛り込まれていますが、新型コロナの影響により利用者が減少し、厳しい状況にある公共交通事業者に対し、どのような支援を講じ、住民生活の足の確保にどの程度の効果が期待できるのか、中谷観光・交通振興局長にお伺いいたします。
126 中谷観光・交通振興局長 今、委員からお話のありましたように、新型コロナの影響によりまして、公共交通事業者は大変厳しい経営状況にございます。さきに議決いただきました補正予算に加えまして、新年度予算案におきましても支援措置を盛り込んでおります。
具体的に申し上げますが、運行維持に対する支援としましては、電車や路線バスの運行経費に新型コロナの影響等によりまして収入が減少した割合を乗じて、その2分の1を支援することとしております。また、感染防止対策に対する支援としましては、駅や車両等の抗菌対策などに要する経費を支援することとしております。さらに、タクシーや高速バスなどにつきまして、車検や保険料などの車両維持経費を支援することといたしております。
加えて、市町村長の皆さんに対しましても、県と連携した支援を検討いただくように、1月に開催いたしました「ワンチームとやま」連携推進本部会議におきまして、新田知事から協力を求めたところでございます。
これまで各事業者におかれましては、厳しい経営状況の中にあっても住民の生活の足を確保するため、極力減便を控えた運行を行っていただいていると考えております。
しかし、コロナ禍によりテレワーク等が推奨されるとともに、現在、国のGo To トラベルが停止されるなど、来県者が大きく減少しております。公共交通の利用者の回復にはまだ時間を要するものと考えられます。また、事業者におきましては、多額の借入れがなされるということで、利用者が回復した後も厳しい経営状況が続くものと認識しております。
県といたしましては、引き続き国に対し、交通事業者に対する手厚い経営支援を求めますとともに、各事業者の実情を十分把握しながら必要な支援措置を検討してまいります。
127 杉本委員 ありがとうございます。
質問の第5、ウェルカム富山県キャンペーン事業についてであります。
先日も川上議員、吉田議員も触れられておりましたが、新年度予算案に北陸3県連携による宿泊割引キャンペーンなど、ウェルカム富山県キャンペーン事業が盛り込まれていますが、観光振興の観点から魅力的な事業であります。
国のGo To トラベルの再開や新型コロナの影響がいまだ不透明な状況にありますが、本県など感染症患者の少ない地域が連携して、臨機応変にキャンペーンを実施すべきであります。どのように取り組まれるのか、中谷観光・交通振興局長にお伺いいたします。
128 中谷観光・交通振興局長 今、委員からお話がありましたとおり、観光宿泊事業者には、依然として厳しい状況にございます。そこで、感染拡大防止と観光需要回復の両立というのは、これからも大事なテーマになってくると思っております。
ウイズコロナにおきまして観光需要を下支えするために、具体的には、県内宿泊者に対し本県ならではの特産品等をプレゼントするウェルカム富山県キャンペーンを継続することで、本県への誘客を図ってまいります。
また、マイクロツーリズムの推進と国のGo To トラベル終了後の反動減への対応として、Go To トラベル終了後を想定し、北陸3県が連携して近隣県民を対象とする宿泊割引を実施する、そういう想定で予算計上しているところでございます。
北陸3県が連携した宿泊割引につきましては、感染状況が流動的な中で、広域にわたる誘客キャンペーンを展開するということは、他県の状況をいかにして評価をしていくかということでなかなか難しい面がございますので、現在、県民に限定して実施しているところでございます。
また、首都圏、1都3県の緊急事態宣言が再延長され、この後どうなるかというのがありますが、Go To トラベル再開時期も現在不透明という中にございます。
北陸3県が連携した取組につきましては、今後、国の施策の方向性に加えまして、県内及び他県の感染状況を踏まえ、実施時期や実施内容については、北陸3県で継続的に協議しながら決定をしていきたいと考えております。
また、その際には、県内宿泊者に対する特産品等のプレゼントや宿泊割引の実施と併せまして、北陸3県が一体となって各県の強みである観光商品や観光素材を相互にPRしますなど、北陸周遊観光というのを促進してまいりたいと考えております。
129 杉本委員 ありがとうございます。
質問の第6、県産品販売強化支援事業では、EC販売プラットフォーム──エレクトロニックコマース(電子商取引)を確立し、購入者に観光情報を提供するとしておられますが、大手通販サイトと連携した県産品のEC販売により、どのように本県への観光誘客につなげるのか、観光・交通振興局長にお伺いいたします。
130 中谷観光・交通振興局長 今年度、県では、新型コロナの影響により販売機会が減少しております本県特産品の需要喚起と、その後の誘客促進のために大手通販サイトと連携いたしまして、全国の消費者の皆さんに対し、富山県ならではの魅力的な特産品について、割引価格でEC販売を行うということ、それから、購入者に対して旬の観光情報を提供してまいりました。新型コロナの影響で来県を控える方によるもの、それから、訪れることを控える遠方の家族や友人等への贈物として、県内外の多くの方に御利用いただいたところでございます。
新年度予算案におきましても、今、委員からお話がありましたように、県内の事業者及び特産品を広く公募の上、大手通販サイトと連携したEC販売を継続するということにしております。
今年度の購入者の嗜好、それから情報を分析いたしまして戦略的な物販を行いますとともに、本県特産品の認知度向上と販売促進を図るため、WEB物産展などを開催したいと考えております。
購入者に対しましては、商品の発送と併せて、県内観光地や県が実施いたします観光キャンペーン案内パンフレットなども送付いたしまして、また県の観光ホームページや観光季刊誌などのPR情報にもアクセスしてもらえるように誘導を図ってまいります。
また、今年度の購入者を含めまして、継続的に県産品の最新情報や旬の観光情報等を提供することで、本県特産品や観光地への関心を一層深め、富山県のファンになっていただいて、ビヨンドコロナの本県への誘客と観光消費の拡大につなげてまいります。
131 杉本委員 ありがとうございます。
質問の第7、飲食店への時間短縮要請に伴う事業者支援として、給付金の申請が昨日、3月15日までとなっておりますが、申請状況はどうなっているのか。また、対象は飲食店と直接取引がある酒屋さんなどの事業者や運転代行業ですが、大学生や独り親が多いと思われるコンパニオンにも支給されるのか、厚生部長にお伺いいたします。
132 石黒厚生部長 県におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、営業時間の短縮要請に御協力いただきました酒類を提供する飲食店と直接の取引がある事業者及び密接に関連する運転代行業者のうち、経営に大きな影響を受けました事業者に対しまして、1事業者当たり20万円を支給する富山県飲食業関連事業者支援給付金を創設し、先月15日から昨日、3月15日まで申請を受け付けたところでございます。
給付金制度の周知に当たりましては、2月臨時会の議決日に県ホームページに掲載するとともに、市町村や商工団体、あるいは食材や酒販関係の業界団体にも個別に周知依頼を行ったほか、運転代行業の方は組織がないので、業者の方全てに申請受付要項を送付したところでございます。
15日現在での受付状況は281件となっております。12日現在の業種別の内訳を申しますと、運転代行業が109件、酒類の小売が65件、鮮魚卸が25件、人材派遣が19件、お話のありましたコンパニオン、これは人材派遣の業種に該当します。人材派遣が19件、青果卸や食材加工など、その他が37件となっているところでございます。
133 杉本委員 今言いましたように、コンパニオン会社で働いておられる人は、大半が大学生や独り親の女性です。大学生は大学の授業料が支払えなかったり、独り親の子供の場合は、文房具は値段の高いものは買えないと、友達が24色のクレヨンを持っているのに自分は14色のクレヨンしかないと、子供がこう言って恥ずかしい思いをしているという話も聞いておるわけです。
今、厚生部長は、コンパニオンのことについて、支給されるのかどうか言われなかったのですが、入れてもらってもいいし、後から補充してもらってもいいし、もし答弁があればお願いします。とにかく何人もの人から頼まれています。
実際、私が言ったのは、全然仕事がないからです。分かるでしょう。だから、そこも考えてください。答えることがあったら答えてください。
134 石黒厚生部長 今申したとおり、この給付金の事業につきましては飲食店と直接の取引のある業者で、しかも経営に大きな影響を受けたということになっております。コンパニオン等につきましては人材派遣という業種の形態に該当して、人材派遣につきましては19件の申請があったところでございます。
コンパニオンさん個人に支払われるかどうかは分かりません。申請のあった業者に対しては、そういうことで申請を受け付けておるということでございます。
135 杉本委員 コンパニオンさんはホテルとね──ホテルも飲食店だから、そこと直接関係あるわけですよ。だから、収入についてはほとんどありませんよ。それは皆さんよく御存じだと思うんですよ。
だから、そのことについて、これ以上言いませんが、よく考えて、よろしくお願いしたいと思います。
それで、予算書をチェックしてみますと、物すごくびっくりする、ワクワクする施策はありません。ちょっとだけワクワクする施策は幾つかあります。ワクワクする施策について6問質問いたします。
質問の第1、新田八朗知事の名前にちなんだ8つの重点政策、富山八策と八十八の具体策については、新年度予算案に可能な限り関係予算を計上したとのことですが、その中で、特に県民がワクワクする施策を名前にちなんで8事業選ぶとすればどれか。どのような富山県を目指して8つの事業を選んだのか、新田知事にお伺いいたします。
136 新田知事 八十八の具体策は、去年、10か月にわたり県内いろいろ回って、約250回、大小の集会などを積み上げ、いろんな方々のお話を聞いて私なりに取りまとめたものであります。ですから、それぞれ思い入れがあり、その中から幾つか選ぶというのは大変難しいことですが、あえてという御質問ですので申し上げると、まずはやっぱり
成長戦略会議です。これまでにないやり方で産業経済の発展、変革に取り組み、経済だけではなくて、ワクワクするような気持ちの持てる幸せな社会づくり、そんな富山県を目指していく、こういう議論を期待しているところです。
そして、企業数の伸び日本一を目指すベンチャー支援協議会の設置、どちらも金額としては、予算は大きくはないのですが、いずれも思い入れのあるところでございます。これまでも、企業の様々な取組は富山県としてやってきましたが、より目線を上げて、より大きく育っていくような企業を育てるようにしたいと考えております。
また、3つ目は、コロナ禍で大変な御苦労をされている中小・小規模事業者の再建、また事業承継、そして新たな挑戦を支援する中小企業リバイバル補助金です。これは15億円と、結構な規模感になっています。
4つ目としましては、2030年までに女性の管理職割合を全国トップ20には上げていきたい、それを目指す女性が活躍する環境づくり。
5つ目には、地域コンシェルジュの増員、あるいはドローンによる物流の実証など、持続可能な中山間地域を支援するというような予算でございます。
6番目として、スマート農業や農林水産物の輸出を促進するなど、稼げる農林水産業を育てていく予算。
そして7つ目には、少人数教育あるいはICT教育など教育の充実。
8つ目には、データサイエンスやDX教育など、デジタル化の推進ということです。
これでもう8つになってしまいましたが、その他にも元気な高齢者による介護助手制度の導入検討、立山黒部、あるいは先ほども質問がありましたが、太閤山ランドの新たな魅力づくり、城端線・氷見線のLRT化の調査事業、オレゴン州との30周年を機にまた関係を深めていく事業などなど、私としてはいろいろとワクワクすることがたくさんある予算だと自負をしているところでございます。
今後、新型コロナの収束に努めることがもちろん最優先ですが、その上で、これらの施策を着実に実行していく。そして、若者からお年寄りまで、希望に満ちた笑顔にあふれる富山県、チャンスがあり、夢がかなえられる富山県、そのようなものを実現していきたいと考えております。
137 杉本委員 ありがとうございました。
質問の第2、新しく、強くワクワクして稼げる新事業の創出に向け、新年度に設立されるとやまベンチャービジネス支援協議会(仮称)は、どのような役割を担い、どのようにベンチャー支援につなげていくのか。新規創業の数の増加など、目に見える成果を期待いたしますが、新田知事のお考えをお伺いいたします。
138 新田知事 起業や事業拡大を目指す方々に対して、本県ではこれまでも創業講座を開いたり、あるいは新世紀産業機構で御相談に対応したり、各種補助金や低利の融資、またネットワークの形成などの支援に努めてきました。
ただ、それだけいろいろやってきたんですが、開業率は全国では35位と、依然低迷をしている。また、シリコンバレーで起きているように、大きく急成長するベンチャー企業あるいは大学発のベンチャーも今は生まれにくい、そのような点が私としては本県における起業家育成の課題だと捉えています。
このため、今月末に開催する第2回の
成長戦略会議でも、ベンチャー創業支援を主要なテーマに議論をしていただくことにしています。私は、成功したベンチャーの創出が次のベンチャーの創出にまたつながっていく、そういうベンチャーの生態系といいますか、ベンチャーがそうやって循環していく、エコシステムとも言いますが、それを富山に構築したいと考えています。
そのエコシステムに必要なのは、やはりベンチャー支援のノウハウ、そしてネットワークだと思います。杉本委員御質問の協議会は、その中心として、県内外の産学官、それに金──金融機関の代表者や市町村等にも参画いただき、今年中に設立をしたいと考えています。
この協議会において、より目線を上げて、新しい発想で、ベンチャーからスモールビジネスまでの、あらゆる起業家に対して、企業の成長段階があります。最初の卵のような種の段階、それからビジネスモデルがだんだん練られてきて、起業しようかという段階、そして事業が軌道に乗り、場合によってはIPOや企業の売却なども見通せるような段階、その後さらに成熟していく段階などのような各成長段階で必要な施策を、特に金融面では金融機関やベンチャー企業、ベンチャーキャピタルが、寄り添いながら伴走しながら応援をしていくような下で、体制づくりをしていきたいと考えています。スピーディーに実施をして、起業家を力強く応援をしていきたいと考えております。
新年度はこのほかにも、富山市蓮町地内の創業支援施設の来年春のオープンに向けた整備も引き続き続けてまいりますし、ハード、ソフト両面から起業家を支援していく。あわせて、庁内組織も創業・ベンチャー課を新たに知事政策局に設置をして、部局横断的に取り組んでまいります。
そのようなことで、起業が増え、そこでまた雇用が生まれ、新しく、力強くワクワクする富山県となるよう、オール富山で取り組んでいきたいと考えています。
139 杉本委員 特に今述べられました蓮町の施設については、私は以前にもここで大きい声で言って、順調に行っておるわけで、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
質問の第3、日本から欧州、ヨーロッパへの貨物輸送手段として、国土交通省は、ロシア・シベリア鉄道の活用を後押ししています。このシベリア・ランド・ブリッジは船便に比べ輸送日数が短く、航空便よりコストが安いため、再び注目されています。ヨーロッパ向けの製品は、現在、多くがインド洋、スエズ運河経由の貨物船で輸出され、約50日かかります。シベリア鉄道を使えば20日程度で運ぶことができます。
欧州自動車メーカー向けに部品を製造する首都圏、中京圏の企業など、県内外の荷主に対する営業活動の強化や、試験輸送に対するインセンティブ、報酬が必要だと思います。
本県における新年度の取組について、布野商工労働部長にお伺いいたします。
140 布野商工労働部長 県では今年度、ロシア物流に精通いたしますシベリア・ランド・ブリッジ戦略アドバイザーを新たに配置いたしますとともに、シベリア・ランド・ブリッジを利用いたします際の国内輸送費への助成制度を創設いたしまして、各種インセンティブ制度や利用の優位性などを積極的にPRしてまいりました。
この結果、今年度のトライアル輸送補助金は、昨年度実績2件に対しまして、現時点で、首都圏や中京圏の企業を含めて7件の実績があり、PRの成果が上がってきているものと考えております。
委員お話のとおり、伏木富山港からモスクワ、欧州方面へのシベリア・ランド・ブリッジを利用いたしました貨物輸送は、もともと航空便に比べてコスト面で、また海上輸送に比べて輸送日数で優位性がありますけれども、昨年からのコロナの影響もありまして、航空便運賃が減便の影響により高騰していること、そして海上輸送でも巣籠もり消費、自動車関連品等の貨物増により運賃が高騰していることなどの動きを受けまして、一層シベリア・ランド・ブリッジの利用に注目が集まってきております。
このため県では、シベリア・ランド・ブリッジのさらなる利用促進に向けまして、新年度におきまして、現行のトライアル輸送補助制度について補助対象期間の延長と補助限度額の引上げによる拡充を行いまして、荷主企業が行います試験輸送の支援充実を図ることとしております。
また、貨物輸送実験を引き続き実施いたしますほか、ポートセールスでは、東京、名古屋での利用促進セミナーを開催するとともに、戦略アドバイザーを中心に、首都圏や中京圏での営業活動を強化し、自動車部品など、モスクワ、欧州方面との取引が多い物流事業者や荷主企業に対しまして、シベリア・ランド・ブリッジ利用の優位性などを積極的にPRしてまいります。
141 杉本委員 これは非常に重要な問題だと思います。民間出身の新田知事の腕の見せどころであると思います。ぜひ県庁を挙げて、前向きにひとつ話を進めていただきたいと思います。
質問の第4、先ほどの八嶋委員も述べられましたが、県民公園太閤山ランドの魅力向上に向け、新年度予算案に調査・検討経費が盛り込まれましたが、ICT情報通信技術など先端技術を活用し、ドローンや自動運転を活用した新たなアトラクションを検討するということでありまして、県民の関心は高いと思われます。子供から大人まで、しっかりと県民の意見を吸い上げていただきたいと思います。
どのようなスケジュールで調査検討を進め、いつ頃までの整備を目指すのか、柿沢総合政策局長にお伺いいたします。
142 柿沢総合政策局長 県民公園太閤山ランドにつきましては、県内最大の都市公園でございますけれども、昭和58年の開園から37年が経過いたしまして施設の老朽化が進んでいるほか、今年度実施いたしました利用者へのニーズ調査におきましては、幼児、子供が遊べる施設やカフェ等の飲食機能の充実、駐車場から施設までが遠いことなどの課題がございました。
こうしたことから、県におきましては、新年度予算案において、太閤山ランドが最先端のデジタル技術等の活用によりまして新たな魅力を創出し、そしてワクワクする施設となることを目指しまして調査・検討費を計上したところでございます。
調査等に当たりましては、まずプロポーザルにより
民間事業者に調査委託を行います。その上で、県庁内にプロジェクトチームの設置も考えたいと思っております。そして、全国の先進的な事例等を調査した上で、例えば無人運転自動車の実証実験などを通じた園内移動の円滑化や、ドローンを活用したアトラクションの実施など、太閤山ランドの魅力向上策や、またあわせまして、安全性など法令等の規制を踏まえた実現に向けての課題、施設整備、運営の方法、事業の規模などについて検討いたしまして、令和3年度末を目途に対応策を取りまとめたいと考えております。その中で、今後の整備スケジュールにつきましても検討したいと考えております。
また、検討に当たりましては、県民の皆さんの御意見をお伺いすることは大事であると考えております。このため、太閤山ランドの利用者に加えて、子供から大人まで幅広い方々を対象といたしまして、デジタル技術の活用方法など、魅力向上策につきまして、アンケート調査などによりニーズ把握に努めてまいりたいと考えております。
143 杉本委員 この事業は、ワクワクする事業としては大関クラスのものだと思います。ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
質問の第5、ナショナルサイクルルート候補として富山湾岸サイクリングコースが選定されましたが、ナショナルサイクルルート推進事業では、サイクルステーション機能の強化、サイトの改修やロゴマークの設置などが予定されていると聞いておりますが、コースのさらなる魅力向上やPRにどのように取り組まれるのか、総合政策局長にお伺いいたします。
144 柿沢総合政策局長 富山湾岸サイクリングコースにつきましては、先般、ナショナルサイクルルートの候補の一つに選定されたところでございまして、今後コースのさらなる魅力向上やPR強化に取り組みたいと考えております。
このため、まず走行環境の整備につきましては、現在約21キロメートルございます自転車専用道の延長整備、自転車走行空間の確保のため、新たに矢羽根型の路面標示の設置などを進めたいと考えております。
また、受入れ環境の整備につきましては、県内外からのサイクリストの受入れ拠点となるゲートウエーの整備、食事、休憩や修理工具の貸出し等を行うサイクルステーションの充実などに取り組みたいと考えております。
さらに、正式に指定されるということになりますと、日本を代表するサイクルルートとして国内外にPRされるということになります。こうしたことに合わせまして、コース上の案内標識、路面標示にナショナルサイクルルートのロゴマークの設置、今年度作成いたしますウェブサイト「とやまサイクルナビ」、仮称でございますけれども、これをナショナルサイクルルートに対応したものに改修いたしまして、コース自身の魅力のほか、周辺観光地等を含めまして魅力発信の強化などに取り組みたいと考えております。
今後、ナショナルサイクルルートの候補として選定されたことを契機といたしまして、市町村や自転車、観光、交通など、関係団体と一体となりまして積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
145 杉本委員 質問の第6、副知事の2人体制、特に女性の登用は県民をワクワクさせるものと評価できますが、多少評価は分かれますが、大ざっぱに言えばワクワクされるほうになると思います。事務分担と、特に期待する役割について、新田知事のお考えをお伺いいたします。
146 新田知事 御評価いただきましてありがとうございます。
副知事につきましては2人体制とし、多様化、複雑化、またグローバル化する県政の課題にスピード感を持って取り組む体制にさせていただきたいと考えております。今まで同様、副知事には、私の理念や理想を共有していただき、私を補佐いただくことにより、知事の仕事を分担して、わくわくする富山県の実現に共に目指していただきたいと考えています。
副知事の候補者のお一人は、本県農業の課題の克服や女性活躍の推進を進めていただく立場から、農林水産省から御推薦いただいた女性を起用する方向で今調整をしているところです。この女性の副知事には、具体的には農林水産部、また女性活躍をはじめ複数の部局を担務していただき、女性活躍あるいは少子化などの重要課題に対するマネジメントを期待しているところです。また、これまで以上に農林水産省と連携をすることが可能となりますので、本県農林水産業の発展にも大きく寄与していただけることと期待をしています。
改めて、今定例会において候補者を提案させていただきますので、その際には何とぞ議員各位の御理解を賜りますよう、よろしくお願いをいたします。
147 杉本委員 どうもありがとうございました。
少子化対策について、2問お伺いいたします。
質問の第1、県内における子供が1人いる家庭、2人、3人、4人以上の家庭の割合はどのようになっているのか、滝経営管理部長にお伺いいたします。
148 滝経営管理部長 直近の平成27年国勢調査で把握できる範囲で申し上げますと、県内の夫婦のいる一般世帯、これは約24万世帯ございますが、そのうち18歳未満のお子さんがお一人でもいる世帯というのが約8万世帯ございます。この8万世帯を分母として、御質問の件につきまして割合を見てみますと、子供が1人の世帯割合は32.1%、世帯数でいきますと2万6,000世帯になります。それから、子供がお二人の世帯割合は50.7%、4万1,000世帯でございます。子供が3人の世帯割合は15.1%、1万2,000世帯でございます。そして、子供が4人以上の世帯割合は2.1%、世帯数でいきますと1,700世帯ということになってございます。
149 杉本委員 ありがとうございます。今ほどそれぞれの家庭で何人子供がいるかという説明を聞きましたが、4人以上は2.1%と極端に低くなるわけですね。3人が15.1%、2人が50.7%ということですね。
それで、質問の第2ですが、第4子以上誕生お祝い事業について、対象を、子供が3人いる、第3子以上に拡充すべきだと考えますが、どうでしょうか。新田知事にお伺いいたします。
150 新田知事 第4子以上誕生お祝い事業は、第4子以上のお子さんが生まれた御家庭をお祝いするため、県知事名でお祝いのメッセージをお送りするとともに、県立の文化・スポーツ施設などの利用料を無料化、または割引するパスポートをお配りする、県広報紙での紹介を行うものです。多子世帯の御家族に家族の触れ合いの機会を多くつくっていただく観点から実施をしています。
パスポートの利用については、今年度は新型コロナウイルスの影響で減少していますが、発行枚数の増加や制度の周知に伴い、年々増加傾向にあります。
また、平成30年度に、有効期限を生後6年間から、親子での外出の多い小学校6年生まで延長しました。令和10年度まではパスポートを所持する家族が増えていきます。今後も利用件数の増加が見込まれるところです。
加えて、県では、3人以上のお子さんを持つ家庭の支援として、子育て応援券の手厚い配付や保育料の原則無償化、がんばる子育て家庭支援融資の対象拡大及び実質無利子化、とやまっ子すくすく電気事業の実施などに取り組んでまいりました。
また、新年度からは、子育て応援券の対象サービスに、新たに子供同伴でのタクシー利用を追加することとしています。
今後も、様々な施策を組合せながら、子育て支援、少子化対策を実施するとともに、委員の御提案も含めて、どのような施策が効果的なのかについても、割引対象施設の負担等の観点も考慮しながら引き続き検討してまいります。
151 杉本委員 第4子以上誕生お祝い事業でありますが、この間も新田知事に詳しくお話しいたしましたが、子供が4人以上いれば、とやまっ子お祝いパスポートを発行して、家族全員が県立の文化・スポーツ施設を利用できる施策で平成28年から実施されていますが、当初はこのお祝いパスポートの有効期限は、第4子が小学校入学までとされていました。これでは利用者の数が少な過ぎる、文化施設やスポーツ施設の利用は、小学校入学前の保育所、幼稚園、またそれ以下の幼児より、むしろ小学生、中学生が利用するもので、義務教育が終わる中学3年まで範囲を広げるべきだと私が本会議や委員会で大きな声でしつこく言うものですから、当局は今、新田知事が言われましたように、平成30年の4月から、このパスポートの利用期間を小学6年生まで拡充されたわけです。そのおかげで、パスポートの利用状況は、平成28年度は116件、29年度は530件、30年度は1,427件、令和元年はコロナの関係でほとんど変わりませんが、利用件数はそういう具合に来ております。
先ほど述べられましたが、第4子以上では対象者が少ないため、第3子以上に拡充すれば少子化対策として有効だと思います。県の施策の中では重要なものがたくさんありますが、私は最も大事な施策は少子化対策だと思います。少子化対策、やれることは何でもやるべきだと思います。
第3子以上に拡充することによって県の支出が増えるわけではありません。収入が少なくなるという話を県の関係者から聞いたことはありますが、例えば県美術館の特別展にパスポートを利用して参加した子供が、「あの特別展、面白かったよ」と学校のクラスで話をすると思います。それがPRとなって、そんなに面白いなら僕も行ってみたいなと、特別展の収入もそんなに減らないと思います。むしろ、ひょっとしたら増えるかもしれません。
お父さん、子供を3人つくれば、県立の文化・スポーツ施設、県の美術館にも海王丸パークにも太閤山ランドにも、家族みんなで無料で入場できるのよ、お父さん、もう1人頑張りましょう、これがまさにワクワク富山でないでしょうか。
ワクワク富山、スピード県政を売りにしておられる新田知事の前向きの答弁を改めてお聞きしたいと思います。
152 新田知事 大変な声量に圧倒されてしまいました。改めて、先ほど申し上げましたが、それをすることによる効果なども十分に考慮して、委員の御提案に対して考えてみたいと思います。
153 杉本委員 ありがとうございます。これで質問を終わります。
154 平木副委員長 杉本委員の質疑は以上で終了しました。
暫時休憩いたします。
休憩時間は10分間といたします。
午後3時12分休憩
午後3時24分開議
渡辺守人委員の質疑及び答弁
155
武田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
渡辺委員。あなたの持ち時間は60分であります。
156 渡辺委員 御苦労さまでございます。
今日は喫緊の経済問題、そして本県とも大変なじみのある、新田知事も理念に共鳴をされている渋沢栄一と本県の発展について、最後に、最も大事な予算議会でございますので、滝経営管理部長を中心に少し財政問題等も質問をしていきたいと思っております。
最初に、新田知事におかれましては、知事になられましてから4か月、疫病対策、大雪、高
病原性鳥インフルエンザ等、大変御苦労の多い日が続いたのではないかと思っております。また、2月定例会の初日に提案理由も聞かせていただきまして、予算等も組織変更等も、しっかりと見せていただきました。予算においては、正直、薄化粧しかできておらず、新田知事色はまだまだかなと、このようにも思いました。
しかし、しっかりと種はまかれてあり、非常にこれが大きく育っていけばすばらしいものになっていくなと思った次第でございます。
一方、組織はかなり思い切って切り込んでおります。これが機能すれば、県庁は相当チャレンジする県庁に生まれ変わっていくのではないか、高く評価をいたしたいと思っております。ただ、そういう中で、あとは県職の皆さんが知事の思いを酌んでどれだけ動けるか、この一点にかかっているのではないかと、このようにも思っております。
そして、新田知事の目玉政策として、経済の下、財政があるという考えの中、成長戦略やワンチーム、民間の当たり前、こういう言葉が随分と並びます。ただ、財政におきましては、やはり民間とは別物でございます。そして、県は、国の施策に敏感に反応をしていきます。市町村はそこまでは反応しませんけども、県は国の施策に、今日までの論戦を聞いていても本当に敏感に反応しているなと思っております。
これから知事におかれましては、内外の不都合な現実に直面をされると思いますが、ぜひ、前知事がなし得なかったことをしっかり取り組んでいただきたいと思います。そして、今日は先ほども言いましたように、できれば知事の理念等も答弁で少し加えていただければ、大変うれしく思います。
それでは、質問に入らせていただきます。
昨年のコロナ禍の中にあっても、マクロ経済においてGDPの成長率等々、株の値上がり等、よい経済指標が並んでおりますが、なかなか私の実感とは合いません。
そこで、最初の質問ですが、コロナ禍における現在の日本経済情勢と県内企業の経営状況や雇用状況はどのようになっているのか、布野商工労働部長にまずお尋ねをいたします。
157 布野商工労働部長 委員御指摘のとおり、マクロ経済ではGDPの2期連続プラス、そして日経平均株価の3万円台の回復ということで好調な指標がございます。
ただ一方で、個人消費は弱含んでおり、企業収益は、非製造業では弱さが見られるなど、好調とは言えない業種もあり、国の景気の全体判断といたしましては、「新型コロナの影響により依然として厳しい状況にある中、持ち直しの動きが続いているものの、一部に弱さが見られる」とされております。なお、今ほどの株式市場につきましても、実体経済と乖離した株高に高揚感は乏しいとの見方もあります。
本県の経済につきましては、生産は緩やかに持ち直し、個人消費もこのところ持ち直しの動きが見られており、景気の基調といたしましては、「新型コロナの影響により依然として厳しい状況にあるが、持ち直しの動きが見られる」と分析をしております。
具体的に見てみますと、県内の上場企業では、業績予想を上方修正する動きが増えてきております。このほか倒産件数も2月は2件と、平成以降で過去最低となっております。
雇用情勢は、1月の有効求人倍率が1.24倍と2か月連続上昇傾向にありますものの、ただ新型コロナの影響による解雇、雇い止め、これは見込みも含めて、3月12日現在で1,041人となっておりまして、このうち製造業、宿泊業、運輸業が全体の6割を占めております。
業種別では、製造業を中心に持ち直しの動きが見られる一方で、飲食店、観光関連事業者など、新型コロナの影響が色濃い事業者もまだまだ数多くおられます。
こうしたことから、県としては引き続き新型コロナの感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意して、高い緊張感を持って対応してまいります。
158 渡辺委員 それでは次に、東京にある県の施設、富山県赤坂会館についてお尋ねをいたしたいと思います。
この赤坂会館というのは、過去数々の政治的なドラマも多々ありました。草月会館の横の細いところを入っていって、赤坂の本当に一等地にあるすばらしい県の施設でございます。赤坂会館は昭和48年の開館以来、県関係者の東京における宿泊先や交流の場として、また東京で富山の食を提供する施設として、長年営業をしてまいりました。
しかしながら、昨年以降、新型コロナウイルス感染拡大に伴って首都圏との往来が大変難しくなってまいり、赤坂会館においても、利用者の激減等により厳しい経営状況にあると思います。では、どのような状況なのでしょうか。
また、北陸新幹線開業前には本会議場でも、この赤坂会館をめぐってどうするかというやり取りもございまして、あの周辺一帯の再開発計画の動向も踏まえながら、今後の対応を見て広く検討するという当時の荒木商工労働部長から、そういう答弁もございました。
私は、収支状況によっては今後も営業を継続するかどうかも含めて、今、検討してもよい時期に来ているのではないかと思います。同館の今後の在り方について、他県の東京における宿泊先施設の現在の状況や再開発計画の進捗状況と併せて、布野商工労働部長にお伺いをいたします。
159 布野商工労働部長 赤坂会館は県有の宿泊施設といたしまして、一般財団法人富山会館に管理運営を委託しております。収支が赤字の場合は、県が手当てする形で営業を継続してまいりました。平成25年度以前はほとんど赤字でありましたけれども、その後の営業努力、あるいは訪日外国人の増加を背景とするホテル需要の増加などによりまして、26年度から4年間、黒字化をしております。30年度も僅かな赤字補填にとどまったところでございます。
しかし、おっしゃられたとおり、コロナ禍で全国的に宿泊業が厳しい中、今年度でございますが、先月までの宿泊者数が前年同月比マイナスの79.4%、8割の減少ということになっております。当初予算で1,200万円余りと、それから11月補正分と今回2月補正予算でもお願いをしている分を含めまして、数千万円以上の赤字補填となる見込みであります。
他県では、かつて多くの道県が東京に宿泊所を設けておりましたけれども、ほとんど現在廃止をされております。現在残っているのは、本県と島根県の2つの県のみでございます。
また、委員御指摘のとおり、周辺一帯の再開発計画も進んでおります。現在、再開発準備組合が令和5年度の都市計画決定を目指し、
関係機関等と調整を進めております。目標どおり進めば、その都市計画決定の二、三年後には建物を引き渡すスケジュールだと聞いております。
県ではこれまでも、包括外部監査での指摘、そして行政改革の一環といたしまして、再開発計画の動向も踏まえながら赤坂会館の在り方について幅広く検討してまいりました。コロナ禍で収支が悪化して、近い将来に大幅な改善を見込むのが難しい中、この夏の
東京オリンピック・
パラリンピック後に営業を終了することも選択肢の一つではないかと考えております。
東京オリンピック・
パラリンピック期間中は首都圏での宿泊需要、これが見込まれることから、県民の皆さんの東京での活動拠点の確保のため、当面は十分な感染防止対策を講じた上で利用促進に努めてまいりますとともに、今後の在り方について、その検討を加速してまいります。
160 渡辺委員 これも時代の流れといいますか、致し方ないのかなと、私もそのように思います。
それでは、次の質問に入ります。県内経済のこれからの取組について、お尋ねをいたします。
日本経済は、冷戦終了前は比較的安価な労働力や大きな1.2億人の国内マーケットの中、薄利多売で経済が成り立ち、高度成長を続けてまいりました。しかしながら、冷戦の終了後、世界が大きく変わり、一気に経済のグローバル化が進み、対応できなくなり、失われた何十年という話が出てきたのではないかと思っております。
そして、新田知事も目玉政策として成長戦略をうたっておられますが、この言葉が初めて言われたのが、今から13年前の平成20年、実は麻生内閣のときでございました。消費税引上げをにらみ、財政の健全化をしていく、増税、歳出の削減、そして成長戦略だったのではないかと思っております。
一言で言えば、少量生産、高付加価値なものに日本の経済のエンジンを載せ替えていくという作業ではなかったかと思っております。しかしながら、抽象的でよく分からないというのが、県内中小企業の声であったのではと思っております。ぜひ、これから始まります成長戦略の見える化をやっていただきたい。
県内においては、中堅・中小企業がほとんどでございまして、これらの企業にぜひ主役の一人になっていただき、やる気を出してもらう。それには、やはりAIやIoTを駆使してもらい、例えばワンクリックすれば、中央政府や県の施策(試験研究開発資金、コンサルタント)、またジェトロを通して海外の市場動向などの情報を中小企業にフィードバックし、アイデアを提供し、やる気になってもらう、そして実現するプラットフォームを用意してはどうかと私は考えます。
そこで質問ですが、中小企業の成長発展やベンチャー企業の育成に向け、IoT活用や関係機関の連携により必要な情報にアクセスしやすい環境を構築すること、モデル事業や伴走支援などによる成功事例を増やすことが必要だと考えます。では、どのように取り組んでいかれるのか、新田知事の御所見を伺いたいのであります。
161 新田知事 麻生総理が就任された時期もリーマンショックから日本経済を復活させる、そのような大変に厳しい中での船出だったと記憶しています。今もまた、コロナ禍による深刻な影響から富山県経済を再建していく、そのために新たな事業や産業を興していくための種を育てていかなければなりません。新たにチャレンジする事業者に必要な情報をタイムリーに提供していく、そして県としても事業者のチャレンジに寄り添い、成功させることで、またほかの事業者のチャレンジも促すこと、そういったチャレンジの連鎖といいますようなことが大切でないかと考えています。
外郭の新世紀産業機構、TONIOと言っていますが、ワンストップで、国や県の施策に加え、試験研究機関や海外市場動向、さらには今委員もおっしゃった最新のIoT技術などに関する情報提供や相談の支援、専門家派遣などを行っています。
また、新年度には国のグリーン成長戦略の策定も踏まえ、県内企業の参入が期待される関連産業に関するセミナーや研究会などもどんどん開催していきたいと考えています。開催してくれると期待をしています。企業の新たなプロジェクト推進をバックアップする体制を、新世紀産業機構と商工労働部、また県庁各部局一体となって、強化していきたいと考えています。
また、成功事例の創出に向けて、とやまベンチャービジネス支援協議会(仮称)を立ち上げ、関係機関とも連携をして集中的な支援を行い、ベンチャーの成功事例を生み出す取組を進めてまいります。
あわせて、組織改編で官民連携・規制緩和推進課というものを新設したいと考えておりますが、ここにおいて必要な規制緩和についても十分に検討し、事業者の意欲を制度が邪魔をしないようにしていく体制を整えられたらと思います。
今後も事業者目線の産業政策の検討、実施、これを強化していくことで、県内の事業者の皆さんが新しい事業に取り組みやすい環境整備、また、成功事例をつくることによってほかの事業者への波及効果、これらをつくり上げる、そんなことを進めてまいりたいと考えております。
162 渡辺委員 ぜひよろしくお願いをいたします。
それでは次に、渋沢栄一と本県の発展についてお伺いをいたします。
渋沢栄一は本県でも多くの足跡を残しております。そして、私の選出市であります高岡市にも大変ゆかりが深く、近代日本経済の父と言われる渋沢栄一の書簡が新たに見つかり、2月13日から高岡市立博物館で展示が始まっておりました。
私も早速足を運びましたが、展示は、渋沢が明治15年頃、高岡共立銀行の初代支配人に宛てた書簡でありました。書簡には、当時第一国立銀行の頭取であった渋沢が、朝鮮半島で開港する仁川港について日本から派遣された領事と協議したいと記されてあり、朝鮮への経済進出がうかがえる大変貴重な資料でもございました。
渋沢栄一は現在のみずほ銀行をはじめ、約500にも及ぶ数多くの企業の設立に関わっております。よって、近代日本経済の父と言われております。また、社会事業にも関わりが深く、約600の社会事業にも関わっております。そして、高岡市とのゆかりが大変深く、赤レンガの銀行として親しまれている富山銀行の元本店の建築にも寄与しており、今日はその足跡をたどりながら、幾つか質問をさせていただきます。
最初に、新年度予算ではベンチャー企業の資金調達をオール富山で推進するため、とやまベンチャービジネス支援協議会(仮称)を設立されました。必要な施策を検討、実施することといたしております。
そこで質問ですが、中小企業金融支援、新産業創出等における渋沢栄一が残した本県金融機関をどのように評価をし、地域密着金融としてどのような役割を期待されているのか、新田知事にお伺いをいたします。
163 新田知事 渋沢栄一さんの話をいろいろと聞かせていただきまして、ありがとうございます。今、大河ドラマの主人公でもありますし、また、私が11月の定例県議会で就任の御挨拶をしたときにも、私が敬愛する方ということで話させていただきました。
渋沢さんは、金融というものをこんなふうに言っておられました。川がちょろちょろ流れているのではあまり意味はないんだけども、それを集めて大きな川にすればとても大きな力になっていくんだと。それが金融というもので、一人一人の小さなお金を集めることによって、それが大きな束になって世の中の変革を促していく、そのようなことが金融機能だとおっしゃっています。
今の御質問ですが、県内経済がコロナ禍で深刻な影響を受けている中、県内の金融機関におかれましては、県の制度融資の実質3年間無利子・無担保の新型コロナ対応資金を大いに活用していただき、中小・小規模事業者に寄り添い、資金繰りを積極的に支援いただいていることを大変にありがたく思っています。
また、今ほど委員がおっしゃったとやまベンチャービジネス支援協議会(仮称)ですが、これにもぜひ参加を促したいと思っております。創業支援、また事業承継、商談などのマッチング、事業者の多様化するニーズにきめ細かく対応されるなど、まさにリレーションバンキング、地域密着金融としての役割を果たしていただいていると思っています。この場を借りまして、県内の金融機関に対してはお礼を申し上げたいと思います。
昨今、人口減少や低金利の環境が続きまして、金融機関の経営も決して楽ではなく、再編統合の議論もあるなど、経営基盤の強化が求められているところです。地域を支える銀行には、利用者の利便性は最大限に重視されつつ、経営の効率化も図り、安定した収益と将来にわたる健全性を確保していただきたいと考えます。
その上で、ビヨンドコロナの新しい生活様式やデジタルトランスフォーメーションなど経済社会構造の急速な変化にも対応し、また、事業者の皆様の経営安定はもとより、感染症対策や経営革新、業態転換など意欲的な取組への支援を通じて、地域経済の牽引役として本県経済の力強い回復、ワクワクした成長を県と共に実現する役割を期待したいと考えております。
繰り返しますが、大変厳しい経営環境の中とは思いますが、金融機関の皆様には大いに期待をしていますし、これからも県と共に歩んでいただければと思っております。
164 渡辺委員 今ほど答弁もございましたように、従来は産学官まででしたけども、新田知事は金まで入れていただいて、ぜひ市中の銀行にも、これからいろんな事業に対して支えるよう、よろしくお願いをいたします。
それでは、次の質問でございますが、重要伝統的建造物群保存地区、山町筋にある大正3年に高岡共立銀行本店として建設をされました同建物、これは旧富山銀行本店でございますが、来年度、高岡市が補強計画と保存利活用の方針を策定することとしております。同建築物の価値を踏まえ、県としても私はぜひ助言、支援をしていただきたいと考えますが、
伍嶋教育長の御所見を伺いたいのであります。
165
伍嶋教育長 高岡市山町筋にあります旧富山銀行本店は、赤レンガの銀行として親しまれてきた、商都高岡を象徴する歴史的建築物でございます。本店移動に伴い建物を譲渡された高岡市では、委員からも御紹介がありましたが、文化財としての価値を保存しつつ、利活用に必要な耐震補強や改修のための指針を定める保存活用計画の策定を進められております。
本県も、文化庁と連携しながら財政的支援を行うとともに、検討委員会に参画をして、その計画の方向性、そして内容について助言を行っているところです。
今年度は2か年計画の1年目ということで、建物の歴史や現状、また文化財としての価値の調査や耐震診断、こういったことが実施をされまして、この結果、建築時の構造補強に関する技術的な工夫や現存する国内最大規模の豪華な金属製の格天井、さらには詳細な設計図や構造図などの図面類の発見などの知見が得られております。
来年度は、こうした文化財としての価値や耐震診断の結果を踏まえて、利活用できるエリアの検討、またその活用方法、耐震補強策を盛り込んだ保存活用計画を策定することとされています。
県教育委員会では、今後とも、この赤レンガの銀行が歴史的な魅力を生かしつつ多くの人々に親しまれる施設となるよう、保存活用計画の策定に向けて、文化庁の指導も仰ぎながら、助言や必要な財政的支援に努めてまいりたいと考えております。
166 渡辺委員 ぜひよろしくお願いいたします。
それでは次に、渋沢栄一は富山城址にあった県議会の議事堂にも訪れております。経済人として多くの地方政治家も共鳴を得たことと私は考えます。渋沢栄一は「論語と算盤」いう著書で、倫理、道徳と経営のバランスを取って経済を発展させる考えを示しております。
そこで質問ですが、富山県
成長戦略会議において、新しい富山県のさらなる発展に向けたビジョンや戦略を策定することとしておられますが、経済に偏ることなく、バランスある発展に向けてどのように進めていかれるのか、新田知事の御所見をお聞かせ願いたいのであります。
167 新田知事 「論語と算盤」は、私も折に触れてページを開く本の一つでございます。経済を重視する一方で、公益、道徳も同じように大事だというようなことであります。最近、ESG投資というものが大変に脚光を浴びており、高まっています。マーケットでもESG投資が2割、3割、だんだん増えてきている、そんな状況であります。
でも、言わんとすることは、渋沢栄一さんが150年前に言っていたことだと思います。さすが我が国の先輩と思うわけでありますが、今御質問の
成長戦略会議では、富山県の新しい未来に向けたビジョンや戦略を策定し、県民の福祉の向上、暮らしの安心・安全のためにも、まずはこれまでにないやり方で産業、経済の発展改革に取り組む、そして経済だけではなく、ワクワクするような気持ちを持てる幸せな社会づくりを進めていく、そのような経済、産業に限らず、より幅広い議論を期待しているところでございます。
先月、第1回目を開催いたしましたが、これからの新地方都市のビジョンというテーマでいろんな意見が出ました。具体的にはウェルビーイングによる立県、富山の従来のブランドに新たな視点を掛け合わせた
地域づくり、二地域居住など、そんな話で議論が進みました。
第2回会議からは成長戦略の柱となる提言をいただいていくために、ベンチャー創業支援と規制緩和・官民連携、デジタル化とデータサイエンス教育、観光、移住、子育てなどをテーマとして、引き続き突き抜けた議論をお願いしたいと考えております。
成長戦略会議において、経済を中心としながらもバランスのある発展に向け、渋沢翁が目指されたような日本社会を富山の地で進めていく、そのような議論が進むことを期待していますし、そのような方向に持っていければと思います。
168 渡辺委員 今ほど知事の答弁を聞いておりまして、やはりそれぐらいの信念と覚悟を持って、これからいろんな諸施策に取り組んでいただきたいなと思います。
それでは次に、渋沢栄一の社会事業のほうについて少し質問させていただきます。
当時、上新川郡奥田村にありました樹徳学園感化院、後の富山学園の前身でございますが、ここを訪れております。富山学園は、1900年公布の感化法の施行に基づいて、感化院の代用として指定をされ、1934年に少年教護院となり、児童福祉法制定後は教護院と呼ばれておりましたが、1998年に同法の改正も踏まえて児童自立支援施設と改称することとなりました。
では、富山学園の現状と、これまで果たしてきた役割について、石黒厚生部長にお尋ねをいたします。
169 石黒厚生部長 富山学園につきましては、明治42年4月に、不良行為をなし、またはなすおそれのある児童等の生活指導を行う施設として創設され、令和元年には創立110周年を迎えたところでございます。お話のありましたとおり、渋沢栄一記念財団のホームページによれば、大正7年6月5日に渋沢栄一が富山学園の前身であります県立樹徳学園を訪問し、職員及び園生に訓話を行ったという記録がございます。
富山学園につきましては、様々な理由により生活指導を要する児童を幅広く受け入れる児童自立支援施設として、約7歳から17歳までの児童を毎年約15名程度受け入れております。児童が抱える問題を克服できますよう、児童の状況に応じた学習や自立訓練などを通じて児童の健康な心身を育て、自立する力を培ってきたところでございます。
また、平成26年には、富山市立北部中学校及び浜黒崎小学校の分校として松風分校が開校したほか、現在、寮舎の改築を進めているなど、施設機能の充実にも努めておるところでございます。
今後とも、富山学園が入所児童に対して必要な指導を行い、その自立を支援できますよう、生活環境の充実を図るとともに、職員の資質や専門性の向上にも努めてまいります。
170 渡辺委員 それでは、次の質問に入りますが、現在、コロナ禍をはじめ、子供を取り巻く環境が大変大きく変化をしております。児童の虐待、いじめ、不登校、子供の貧困、発達障害児への支援など課題は多岐にわたっており、私は切れ目のない支援が必要であると考えます。
よって、児童相談所の施設整備、機能強化のほか、様々な機関が連携して子供たちの課題に対応していくことが必要であると考えておりますが、どのように取り組んでいかれるのか、新田知事の御所見を伺いたいのであります。
171 新田知事 明治維新を経て近代国家を目指していこうという日本の揺籃期、渋沢さんが生きた時代その頃で、日本全体が坂の上の雲を目指して、さあ行くぞというときと、今、先進主要国の一角として成熟した国家になった日本、いろいろ課題も違うと思いますが、委員御指摘のとおり児童虐待などという問題は、極めて今日的な課題だと思います。全国的にも年々児童虐待に対応する件数が増えてきていて、本県でも増えています。
そうした中で、昨年1月の児童虐待防止対策に係る提言をいただきましたが、児童虐待の発生予防や発生時の迅速な対応、関係機関との連携強化や児童相談所の整備方針などについて提言をいただいたところです。
先般、奥野委員からも詳しく御質問いただきましたが、この提言を踏まえて、県では新年度、富山児童相談所の移転改築を含む機能強化に係る検討を行う委員会を設置したいと考えています。また、現在、県では児童相談所における児童福祉司の増員などの人員体制の強化にも取り組んでいます。
子供を取り巻く環境の向上のためには、妊娠期から子育て期間にわたる切れ目のない支援の充実が必要です。このため県では、市町村が設置する子育て世代包括支援センターの体制整備に係る市町村間の情報共有や人材育成、要保護児童対策地域協議会への児童相談所職員の参加などにより、関係機関と連携して支援に取り組んでいます。
安心して子育てできる環境の整備は、私が公約したことの一つで、大切なことでございますが、今後も県と市町村、関係団体、連携して、子供や子育て家庭への支援の充実に努めてまいります。
172 渡辺委員 先日も奥野県議と大変な論戦を、石黒部長と知事もされておりました。
この件は、厚生労働省が児童虐待防止対策体制総合強化プランにおいて、厚生労働省が二、三年前からこういうことを思っておりまして、児童相談所の強化という面では本当に今、力を入れております。児童福祉司の増員の数というのはとんでもない数を増やして、いかに体制を強化するかということで、これはもう本腰ではないかと思っていますので、よろしくお願いを申し上げます。
それでは最後に、税財政問題についてお尋ねをいたします。
先ほど薄化粧と言いましたけども、今回の予算は、大変厚化粧でございまして、それらをしっかりと化粧されました滝経営管理部長を中心に質問をさせていただきたいと思います。
最初に、昨年12月10日でしょうか、我が党、自民党税制調査会において令和3年度の税制大綱が示されましたが、その主な内容がコロナ禍における県民生活や中小企業の経営、県税収入にどのような影響を与えるのか、滝経営管理部長にお尋ねをいたします。
173 滝経営管理部長 今ほど委員からも御指摘がありました令和3年度の与党税制改正大綱でございます。その基本的な考え方といたしましては、ウイズコロナ、ポストコロナの新しい社会をつくり、改めてデフレ脱却と経済再生を確かなものにしていくと掲げられております。そうした基本的な考え方の下で、地方税の税制改正も行われているわけでございます。
まず、県税でございますけれども、自動車税の環境性能割につきまして、新たな2030年度燃費基準の下で、いわゆる環境に配慮した車がより普及するようにということで税率区分の見直しが行われております。また、自家用乗用車を取得した場合の税率を1%軽減する措置、これはもともと消費税の駆け込み反動減対策として行われたものでございますが、これが今月末で切れるということでございましたけれども、今年の12月末まで9か月延長するという措置が講じられております。あわせまして、個人県民税で申し上げますと、住宅ローン控除の特例措置の適用期限の延長等も行われております。
こうしたことによりまして、令和3年度の県税収入への影響ということで申し上げますと、環境性能割の税率を1%分軽減する措置で約2億5,000万円程度の減収の影響があると見込まれますが、これにつきましては全額国費で補填するということにされております。
また、県ではありませんが市町村税で申し上げますと、コロナ対策といたしまして、令和3年度に限りまして、コロナの影響で一定程度の減収となった中小企業者の方が所有をする償却資産、それから事業用家屋に係る固定資産税、都市計画税の軽減措置を講じるとされています。
あわせまして、令和3年の税制改正においては納税者の負担感に配慮する観点から、令和3年度に限り、負担調整措置等により税額が増加する土地につきましては、前年度の税額に据え置く特別な措置も講じられたところでございます。
以上のように、全体としまして、新型コロナ禍における県民生活や中小企業の経営にも大きな影響を及ぼすことがないように配慮しつつ、公共サービスの提供に必要な財源の調達という税本来の機能が発揮できるように工夫されていると考えております。
174 渡辺委員 消費税が10%に上がるまでは、結構大玉もあったんですけども、今はほとんどの感染対策をはじめ、いろんな経済対策に置かれているのではないかと思っています。この先、新田知事がいろんな施策を実施されますけれども、税制はいろんな面で敏感に影響を私は及ぼしてくるのではないかと思っております。
それでは次の質問ですが、令和3年度当初予算において、特別法人事業譲与税を含む実質税収は162億円と大幅な減収となりましたが、県税収入の減少率は前年度比1.7%と、他県と比べて大変小さいわけでございますが、その理由は何なのか、滝経営管理部長にお尋ねをいたします。
175 滝経営管理部長 御指摘がありましたとおり、令和3年度の当初予算におきます、実質税収でございますが、これにつきまして詳細を申し上げますと、法人二税と特別法人事業譲与税、いわゆる法人関係税で130億円の減収、それから個人県民税で約10億円の減収ということで、法人、個人ともに所得に対する課税については減収が大きくなっていると、こういうことでございます。したがいまして、全体として、令和2年度の当初予算比でいきますと、実質税収ベースでは160億円の減収ということでございます。
一方で、この税収は、一度県として形式的、名目的に受けた上で、市町村交付金などで払うものがあるものですから──そうしたものを考慮したものを実質税収と言っておりますけれども──そうしたものを考慮しない形式的な税収で申し上げますと、新年度におきましては、当然、地方消費税以外の税目では減収になると見込んでおりますが、一方で、地方消費税につきましては令和元年の10月に税率が引き上がっていまして、この影響というのは徐々に上がってまいります。
そうなりますと、60億円程度むしろ新年度は増収になるだろうということでございまして、それを加味しますと全体で25億円、1.7%の減収にとどまっているということでございます。
ただ、その1.7%という減につきましては、他県も少し高いんですけれども、令和2年度の当初予算におきましては、かなり私ども地方消費税の、特に税率の引上げの影響というのがまだ余り出ないだろうという前提で、堅く見積もっておりました。
ところが、実際に蓋を開けてみますと、予想よりも早く税率引上げの影響が大きくなったということがございまして、そういったことも加味しまして、形式的な税収ベースでいきますと減少幅が小さくなったという状況になっています。
176 渡辺委員 よく分かりました。
それでは、それを踏まえて1問質問させていただきます。
新型コロナの影響により令和3年度の実質税収は大幅に減少しましたが、消費税率引上げ分を除いて比較した場合、平成20年9月のリーマンショック後の状況と比べてどうなのか、滝経営管理部長にお尋ねをいたします。
177 滝経営管理部長 令和3年度当初予算におきます実質税収は1,323億円と見込んでおります。これは平成29年度当初以来4年ぶりに対前年度比でマイナス、それから平成26年度決算以来7年ぶりに1,400億円台を下回る規模となっております。
一方で、平成20年9月のリーマンショックの影響を受けて税収が大きく落ち込んだ平成21年度、このときの税収はさらに200億円程度下回って1,100億円程度でございましたので、その頃に比べると200億円程度はまだ高い水準だという状況でございます。
ただ、この200億円の増収のうち、地方消費税の引上げ分につきまして大体140億円程度あると思っていますので、今御質問がありました消費税の影響を除くと、平成21年度当初と比べればまだ60億円程度は税収があるという状況でございます。
この要因でありますけれども、数々の要因が考えられますが、1つには、平成21年度と比べて税制上大きな違いと申しますと、資本金1億円超の大法人に対しては、法人事業税に外形標準課税というもの、この割合が非常に大きくなっていますので、景気の変動に対して税があまりぶれなくなってきているということが1つ大きな効果としてあると思っています。
加えまして、リーマンショックのときは金融危機でありましたので、大企業ほど実は減収が大きかったということがございます。一方で、今回、先ほど商工労働部長等からも御答弁ありましたけれども、影響が大きいのはサービス産業等の比較的規模の小さい企業でございまして、大企業の実態を見ますと、今朝ほどの報道にもございましたけれども、固定費がむしろ出張などが減って、減収だけど増益だというような動きも見えているということもございまして、税収ということだけで見ますと、リーマンショックのときよりは、まだ幾分そのときほど落ちてはいないという状況になっていると思っています。
178 渡辺委員 それでは次の質問に入ります。市場公募債は針山先生が先日質問されましたので、1問飛ばします。
それでは、地方交付税に代わる財源確保として、赤字県債である臨時財政対策債についてお伺いをいたします。
新型コロナの影響により地方税等が大幅に減少となりました。臨時財政対策債の発行が大幅に増加をしていくことが予想されます。
それでは、これが今後の地方財政対策にどのような影響を及ぼすと考えておられるのか、滝経営管理部長にお尋ねをいたします。
179 滝経営管理部長 令和3年度の地方財政対策におきましては、コロナの影響で地方税収等が大幅に減収となっておりまして、いわゆる地方全体での財源不足というのは10.1兆円になりました。これは、令和2年度と比べますと5.6兆円財源不足が増えたということで、この不足分をどうやって穴埋めするのかというのが、令和3年度の地方財政対策の極めて大きな論点、課題だったわけでございます。
結論といたしましては、地方財政対策特例加算という名称でございますけども、要すれば、1.7兆円を国の一般会計から交付税の原資に回してもらったということが1つ。それから、今ほど委員から御指摘がありましたとおり、臨時財政対策債の発行を2.3兆円増やして、全体として5.5兆円に大幅に増額したということで、何とかやりくりができて、地方一般財源総額を確保できたということでございます。
今後、コロナの状況にもよりますけれども、社会経済活動の回復に伴い地方税収も回復していくということになりますので、基本的には臨時財政対策債の発行額というのは縮小していきますし、そうしていかなければいけないと思っていますが、一方で、税収の回復をするには一般的には数年かかります。税法上、欠損が繰り越されるということもございますので、簡単には、税収はすぐにはV字回復はしないということがございます。
したがいまして、当面は一定程度、臨時財政対策債の発行に頼らざるを得ないだろうと想定をしております。
一方で、この臨時財政対策債、元利償還金の全額が交付税で措置されるわけでありますけれども、この発行額は地方全体でも非常に大きくなっていますので、いつまでも臨時財政対策債に頼っている地方財政対策をしていますと、やはりこれは持続可能と言えないのではないかと。我々としましては、早く、地方交付税に回す原資、これは国税の一定割合でございますけども、その割合を増やすことによって、地方が臨時財政対策債に頼らなくても、きちんと財源確保できるというところを目指すのが本道であると思っておりまして、県といたしましては、知事会等とも連携して、国にしっかり働きかけていく必要があると考えております。
180 渡辺委員 滝部長、後半の答弁は私も全くそのとおりだと思います。交付税率の引上げによる地方交付税の必要額の確保、そのためには地方税の拡充、またやはり制度改革が私は必要なのではないかと、このようにも思っております。
それでは次の質問ですが、令和3年度は60億円の要調整額を歳入歳出両面の取組で解消されましたが、今後の経済環境は大変不透明であります。そういう中で、財政運営は厳しい状況が続いていくのではないかと考えます。
令和4年度以降の県財政の収支見通しについて、どのように想定をされているのか、滝経営管理部長にお尋ねをいたします。
181 滝経営管理部長 今回の予算編成では、昨年11月時点で、今ほど委員から御指摘があったとおり要調整額60億円ということでございましたが、今ほど申し上げました地方
財政対策等もあります、事務事業の見直しも取り組みまして、何とかこれは解消できました。
一方で、今後の経済情勢にも大きくよるわけでございますが、要調整額につきましては、現時点で令和4年度には26億円、令和5年度には31億円程度はあると見込んでおります。
この理由でございますが、やはり税収の減、あるいは経済対策のための起債の発行が増えたことによりまして、──これは今の危機的な状況を踏まえれば当然の措置だと思っておりますけれども──その分、後年度の公債費というのは増加傾向にあるということは避けられないと思っています。
また、高齢化の進展に伴いまして、本県でも社会保障関係費は毎年10億円程度増えておりますし、この傾向は恐らく今後も続くだろうということもございます。加えて、人件費で申しますと、退職手当が当面高水準で推移するということもございます。
一方で、歳入につきましては、経済情勢、それから税制改正の動向、地方財政対策の状況等にも大きく影響されるものでございますけれども、県税につきましては、国の成長実現ケースと言われる名目経済成長率によっても、減収の回復には数年を要すると考えられます。
また、コロナ禍の中で措置された臨時的な財政措置、例えば地方創生臨時交付金のようなものというのは、恐らく永続的に存在することはあり得ませんので、こうしたものが終了することを踏まえますと、機械的に試算するだけでも、先ほど申し上げたような26億円あるいは31億円といった要調整額が見込まれるところでございまして、引き続き予断を許さない状況にあると考えております。
182 渡辺委員 私も今後の経済財政運営については、経済あっての財政の考えの下、当面は感染症対策に全力を挙げていくべき、そして経済の再生に取り組んでいくべきだと思っております。そして平成21年度は、先ほども申しましたけども、安定的な財政運営に必要となる一般財源の確保はしっかりとなされております。そして、その中でも地方交付税の総額の確保が最大の課題であったのではないかと思っております。今後も御指導をよろしくお願い申し上げます。
それでは、本日最後の質問に入ります。県内市町村と連携した事業推進について、お尋ねをいたします。
この件につきましては、3月12日、奥野委員との論戦を聞いておりまして、非常に具体的な例を挙げていただいたなと思っております。それは何かと言いますと、富山児童相談所の複合拠点化についての質問の中で、知事への富山児童相談所の複合拠点化について、県内市町村、この場合は富山市との協働についての所見を問う質問がございました。
私は、公共施設の再編というのは、やはりスケールメリットが大変有効であると考えます。県有施設は、当該立地市町村の利便増進のみを考えて設置をされているのではない、仮に集約化という視点に立てば、市町村域を超えた吸引力となると考えます。その際、県有施設に附属する市町村の施設を立地させることができれば、多方の施設の魅力向上につながっていくのではないかと思います。
それでは、質問に入ります。
現在、コロナ禍で地方財政が脆弱な状況において、県内一円で課題となっております事業に対し、県と市町村が連携し、事業や支援制度を推進することは、限られた財源の活用として有効な手法であると認識をいたします。一方で、県において、市町村ごとに既存事業との調整や予算編成時期等の諸事情があり、県からの一方的な方針、事業決定とせず、市町村と事前に、実情も踏まえた十分な調整が必要であると考えます。
例えば、今回、これは安達議員が本会議場で質問していましたけども、私から言えば地方回帰の支援について、地域おこし協力隊や地域プロジェクトマネージャーとして任用する経費については、新たに特別交付税措置がなされております。これは安達議員も非常に喜んでおられましたのでいいのですが、では、受け入れる市町村は、果たしてそういう人たちを本当に使いこなしていただけるかどうなのか。
私はこの辺が、以前タウンマネージャーをぜひ連れてきてほしいということでやってもらったんですけども、なかなかうまくマッチしないという問題も自ら経験をいたしておりますので、そういう意味で、これから市町村の実情は十分な調整が必要であるのではないかと思っております。そういう中で、「ワンチームとやま」連携推進本部会議の議題にも、市町村ニーズに基づく県の補助事業創出のための仕組みづくりという提案が市町村から出ております。
そこで質問ですが、新たに市町村の負担を伴う事業を実施する際には、連携に必要な標準的なスキームを設定することなど、各市町村の予算編成のタイミングを踏まえつつ連携を適切に進めるという仕組みづくりが必要と強く感じます。では、今後どのように進めていかれるのか、新田知事の御所見を伺いたいのであります。
183 新田知事 各地域の課題解決に取り組む場合や、事業効果をさらに高めようというような場合に、県の一部の事業に対して市町村から一定割合を乗せてもらったり、いわゆる上乗せの負担をいただきながら協調して事業をするということは、これまでよくあったことでございます。
市町村の財政負担を伴う場合は、市町村の財政事情や予算措置作業等に配慮し、県庁内の各課には、市町村と事前に十分に協議をするようにということはもちろん伝えてあります。当初予算編成時に各課の情報を取りまとめたものを、できるだけ早く市町村にお知らせするようにしてきたところです。
しかし、予算編成に当たって、令和3年度の予算を編成する際にも、議会の各会派からいろいろな御意見も頂戴し、要望もいただきました。また、様々な団体あるいは関係機関からの御要望をいただくわけでございます。いずれもごもっともな、大変重要な御要望ばかりなので、極力それを予算編成に盛り込もうと思っておりますと、結局、市町村へ情報提供するのが予算編成の終盤の時期になってしまいがちです。新型コロナ対策は迅速な対応が必要ですが、市町村と十分な事前調整ができなかったこともあったと反省をしているところです。
委員おっしゃったように、「ワンチームとやま」連携推進本部会議を、1月に第1回目を開催いたしました。当面取り組む連携推進5項目をその場で皆さんと合意したんですが、市町村からその他にも、43にも上るいろんな提案をいただきました。その中にも、まさに今、委員おっしゃったような、市町村の財政負担を伴う県事業の創出に当たっては、市町村と協議の場を設置してほしいという提案もありました。本当に切実な声だと思います。
この「ワンチームとやま」連携推進本部のそもそもの目的は行政の効率化、また政策の推進力を向上するためですが、これを達成するためにも、やはり市町村の実情を踏まえて寄り添っていくということが不可欠だと考えております。今まさに委員が最後に御提案いただいたように、市町村のニーズや実情を十分踏まえた上で、県の事業を創設、また展開していけるように、今後このワンチームの場などを大いに活用して、市町村の意見も伺いながら1つの仕組みを構築できないか、本当に大切な検討事項だと認識をいたしました。今後しっかりと考えていきたいと思います。ありがとうございます。
184 渡辺委員 終わります。
185
武田委員長 渡辺委員の質疑は以上で終了しました。
以上をもって本日の日程は終了いたしました。
なお、3月18日の
予算特別委員会は、午前10時から開会いたしますので、定刻までに御参集願います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後4時20分散会
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