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令和2年決算特別委員会 開催日: 2020-11-26

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  1. 富山県議会 2020-11-26
    令和2年決算特別委員会 開催日: 2020-11-26


    取得元: 富山県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-14
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  1 付託案件の総括質疑  (1) 質疑・応答    永森委員    ・経済の活性化について    ・人材不足対策について    亀山委員    ・チャンスがあり夢を叶えることができる富山県につ    いて    ・富山県赤坂会館について    ・富山県学生寮について    ・社会教育団体振興補助金の執行状況について    ・「立山黒部」の世界ブランド化について    ・警察官の人員確保について    ・市町村との連携について    ・県債残高の県民に与える影響や印象について    ・公務員の政治的行為の制限について    井加田委員    ・県単独医療費助成制度等について    ・県職員の働き方改革について    火爪委員
       ・2019年度決算の背景と特徴について    ・デジタル機器の調達について    ・県内観光の振興について    ・市街地再開発事業について    ・気候変動対策について    吉田委員    ・「防災・減災・国土強靱化対策」について    ・ドクターヘリの安定・持続的運用について    ・少子化の克服(不妊治療への支援)について    ・ひとり親対策について    ・複合的な地域生活課題への対応について    ・自殺対策について    ・地域住民の生命を守る災害発生時等の情報共有につ    いて    ・地域を守る建設土木工事の担い手を育てる公共工事    の平準化について    武田委員    ・富山きときと空港の効果的運営と民間委託に向けた    取組みについて    ・県立文化施設の利用促進等に向けた取組みについて    ・県民の安心施策のための予算執行等について 稗苗委員長 それでは、発言の通告がありますので、これより順次発言を許します。  永森委員、あなたの持ち時間は40分であります。 2 永森委員 自民党議員会の永森直人でございます。  本日から新田県政が始まりまして、初めての県議会が開会されたわけでございます。議場においての本格的な論戦は来週月曜日の代表質問から始まるものであると思っておりますけれども、今日はその前哨戦といいましょうか、新田知事におかれましても、初めての御答弁をいただけるということで、そうした役回りを頂戴いたしましたことを大変光栄だと思っております。  決算審査でございますけれども、これは予算で決めたことがどのように執行されてどんな結果をもたらしたのかということ、そしてまた、その結果に基づいて県民生活がどう変わったのか、そして課題は何なのか、そうしたことを浮き彫りにするという意味で、大変に重要なプロセスであると思っております。令和元年度決算でございますので、石井前知事の下で執行がなされているわけでありますけれども、この際にその実績、課題をしっかりと整理して、それを踏まえて次年度に向けてどのように新田カラーを打ち出していかれるのかと、そういう点にも踏み込みながら、以下質問をしていきたいと思っております。  新田知事の公約、富山八策を拝見させていただきました。先ほどの議場における御挨拶にもございましたけれども、八十八策にスピード感を持って取り組んでいきたいと、そうした旨をお話しいただいたかと思っております。その公約を拝見いたしますと、冒頭に富山県経済の低迷ということを指摘いただいているかと思っております。この是非につきましては、今後議場で様々な論戦が交わされることだと思っておりますけれども、知事にとりまして、富山県経済の再生は最重点課題であると認識をいたしております。  そこで、最初の項目として、経済の活性化ということについて質問をさせていただきたいと思っております。  まず、観光振興についてお尋ねいたします。国においては、観光産業を成長産業と位置づけをいたしまして、それに従いまして、富山県においてもその体制の強化を図ってきているということであります。具体的には平成28年6月に富山県観光連盟からとやま観光推進機構を創設しております。創設の狙いとすれば、ビッグデータを活用し、リピーターの動向などを把握し戦略的なプロモーションを行うということになっております。その後、平成29年11月に日本版DMOに登録しております。地域の稼ぐ力を引き出し、観光地経営の視点に立った観光地域づくりを行うこととしているわけであります。しかし、決算状況などを見ておりますと、まだまだ県の観光振興室の下請的な業務もたくさんございまして、主体的で戦略的な業務を行う体制に十分なっていないのではないかと思っております。  この点は決算特別委員会審査報告書(案)の要望指摘事項にもなっておりますが、本県のDMOは近隣県と比較しても職員数も少ないとされているところでありまして、専門人材の積極的な登用や人員増も求めているところであります。  日本版DMOに登録されて3年が経過いたしますが、県の観光振興室との役割分担を明確にし、DMO本来の役割を果たすための人員体制を整えるべきであると思っております。とやま観光推進機構の組織体制の強化と主体的、戦略的な取組の充実が不可欠と考えますが、中谷観光・交通振興局長にお尋ねいたします。 3 中谷観光・交通振興局長 平成29年11月に日本版DMOに登録されましたとやま観光推進機構では、新・富山県観光振興戦略プラン等に基づきまして、観光振興のために地域の多様な関係者と連携しながら、地域の稼ぐ力を引き出し、戦略的な観光地域づくりを推進されてきているところでありまして、ウェブアンケート、観光アプリを活用いたしました旅行者データ等の収集分析、その結果に基づきます観光資源の磨き上げや着地型旅行商品の造成、販売、効果的なプロモーションなどに取り組んでおられるところでございます。  こうした取組を推進するに当たりまして、日本版DMOへの登録前の体制に加えまして、マーケティングの専門人材を民間から登用するほか、昨年度よりインバウンドの受入れに関する専門のアドバイザーも配置するなど、順次組織体制の充実が図られてきているところでございます。  現在、県では新たなプランの策定に向けまして、本年7月に設置いたしました有識者や関係事業者の皆さんによる会議におきまして、ウイズコロナにおける観光振興に加えて、中長期的な視点に立った選ばれ続ける観光地域づくりやターゲットに応じた観光プロモーション、デジタル技術の活用、そういった方向性について今御議論をいただいているところであります。  今後これらの実現に向けまして、とやま観光推進機構におかれては、市町村や関係の団体、事業者との連携をより一層密にしていただくとともに、主体的、戦略的な取組が十分機能する体制の確保、機動的な事業の推進に取り組んでいただけますように、県としても努力をしてまいりたいと考えております。 4 永森委員 ありがとうございます。  いろいろと取組について御説明もいただいたと思っておりますけれども、観光地は他の地域との競争に常にさらされているということであります。ですので、県として当然やるべきことはやらなくてはいけないと思いますけれども、他県の動向などもまた十分に踏まえていただきながら、しっかりと先進地の研究等々も欠かさず行っていただいて、絶えず組織の体制強化というところに十分意識を持っていただきたいと思っております。  次の質問に移らせていただきます。  ベンチャーの支援について伺いたいと思っております。ベンチャー企業の創業実績をお聞きしたんですけれども、県においては創業実績については正確にはまだ把握し切れていないということをお答えいただいたところであります。実態はなかなか分からない部分もあるんですけれども、例えば、大学発のベンチャーでは、富山県は全国最少の3社であり、これは6年連続で全国最下位となっているということが先日報道されておりました。こうしたことを考えますと、本県のベンチャー支援、なかなか苦戦をしているというのが現状ではないのかと認識をいたしているところであります。  実績のある製造業が数多く立地している本県の環境では、かえってベンチャーというようなチャレンジする環境がなかなか生まれにくいのではないかと推察をするわけであります。他方で、新田知事は、公約におかれましても起業数の伸び日本一を目指したいということも言っておられるわけであります。また、富山市蓮町のほうに整備をしている創業支援施設がございますけれども、こちらの活用はUIJターンによる起業人材の確保の起爆剤にもなり得るのではないかと思っております。  本県ベンチャー企業支援の課題をどのように考え、創業支援施設等の活用も含めて今後その支援にどう取り組んでいかれるのか、布野商工労働部長に伺います。 5 布野商工労働部長 県内で新たな事業に挑戦する方が独自の優れたアイデアを形にして事業化し、ベンチャー企業として発展することは、本県の経済の活性化や雇用の拡大、特にこの新型コロナの感染拡大により受けた深刻な影響からの地域再生に向けて、大変重要であると考えております。  このため、県では起業を志す段階から、実際の起業、事業の安定、発展までの各ステージに合わせた支援が必要であると考えており、まず、よろず支援拠点におけます総合的な相談対応、そして、とやま起業未来塾や移住希望者向けの「スタートアッププログラムin東京」などによる人材育成、また、各種創業補助金等によります新商品開発・販路開拓等への補助、県制度融資の低利な融資による資金面の支援、交流会の開催等によりますネットワークの形成などによりまして、事業が持続的に成長できる環境を提供しています。  さらに現在、委員からもお話がございましたが、こうした起業家や移住者の受け皿として、富山市蓮町で旧県職員住宅を改修して、全国でも例のない、職住一体の「創業支援施設及びUIJターン者等向け住居」として、令和4年春のオープンを目指して整備を進めております。この施設が本県のベンチャー企業支援の拠点となることはもとより、多くのヒト・モノ・コトが交流します地域のコミュニティー創出と活性化の優良事例として、また、地域に誇りと愛着を持った地元高校生の夢を生かしたプロジェクトということで、全国のモデルになるものと期待をしております。  「富山が好きだ」というワカモノ、また、今は県外で活躍中の皆さんが県内で夢を持って起業できますように、市町村や産学官金の関係団体と連携して、オール富山で積極的に支援に努めてまいります。 6 永森委員 ありがとうございました。  そう簡単にベンチャーがぐっと増えていくということはなかなかないんだと思っておりますけれども、ぜひとも県としてもさらに支援を拡大していただいて、環境づくりに努めいただければと思っております。  続きまして、事業承継の問題についてお尋ねをさせていただきたいと思っております。全国的にもそうでありますけれども、本県においても、中小・小規模企業を中心といたしまして、後継者が決まっていない、未定であるとしている事業者が数多く存在しているという実情がございます。本県においても、新世紀産業機構内に、富山県事業引継ぎ支援センターを設置するなど、様々な取組を年々強化していただいてきていると認識をいたしております。しかし、他方で経営者の高齢化が年々当然進んでいくということがございます。そしてまた、今新型コロナウイルスの感染拡大という中で、なかなか事業活動を拡大できない、縮小せざるを得ない。また、将来的な先行きの不透明感、こうしたことも手伝いながら、どうしても事業を進めていく意欲を失ってしまって、大変残念ながら畳まざるを得ないと、そうした方々も今後出てくるのではないかと大いに懸念をされているところだと思っております。  そうしたことも含めまして、本県の中小企業における事業承継の実績はどのようになっているのか、また、新型コロナの影響などの現状認識も含めて、今後の支援体制のさらなる充実にどのように取り組んでいかれるのか、布野商工労働部長にお尋ねいたします。 7 布野商工労働部長 県が平成29年度に行いました調査におきましては、60歳以上の経営者の約4割で後継者が決まっていないという状況にございます。現在新型コロナによる県内経済の深刻な影響が続く中では、特に企業経営を次世代へ確実に引き継ぎ、さらには、この機会を捉えて事業承継を契機といたしました経営革新や事業転換により企業価値を向上させ、さらなる飛躍、発展につなげるということが重要だろうと思っております。  また、円滑な事業譲渡や雇用の維持に向けては、後継者不在や債務などの課題もある中で、M&Aも十分に選択肢の一つになるものと考えております。  こうしたことから、県ではこれまでも、今ほど御紹介のありました新世紀産業機構に設置した事業引継ぎ支援センターにおきます情報提供や相談対応、そして、後継者人材バンクを活用したマッチングなどに取り組んでおります。また、経済団体、金融機関、税理士会等の士業団体など、74団体で構成いたします事業承継ネットワークにおきまして、事業承継診断などの個別支援をきめ細かく行っております。  こうした取組の結果、事業承継診断の件数は、昨年度は2,220件、今年度は10月までに1,415件に達しておりまして、事業引継ぎ支援センターにおけますマッチング成約は、昨年度は20件で、うち10件がM&A、今年度は同じく10月までに16件成約されており、うちM&Aが8件の実績となっております。  支援体制の強化のため、本年度も国に呼応しまして、経営者保証を不要とします県制度融資メニューの創設、また、新世紀産業機構への経営者保証コーディネーターの配置など、さらなる体制の整備を図ったところであります。  現在国では、M&Aに取り組む中小企業へのさらなる支援を検討しておりまして、県といたしましても、国の動きを注視して、関係機関と連携して円滑な事業承継の支援に取り組んでまいります。 8 永森委員 ありがとうございました。成果のほうも大変出てきていると思っております。新田知事におかれましても、事業承継の面でも高い問題意識をお持ちだと認識しておりますので、ぜひとも今後さらにそうした支援が進んでいくようにお願い申し上げたいと思っております。  次に、商店街の活性化という点について伺っていきたいと思っております。どの市町村においても、商店街の疲弊や空洞化という問題が大変深刻な問題になっていると思っております。私の地元射水市におきましても、例えば小杉周辺では、小杉まちづくり協議会というものがあって、いろいろな支援をしていたり、あるいは川の駅新湊を中心といたしまして、新湊観光船の皆様方が内川などを生かしながらこの地域の活性化ということに懸命に取り組んでいるところであります。  しかし、資金面一つとりましても、市民の皆様方から御寄附を募って回ったり、あるいは市民の皆様方に一定程度の費用を御負担いただいたりしながら、大変苦しい運営をしているのが事実であります。そうしたことを支援しようと、県においても様々な補助事業が整備されているんですけれども、なかなか実績が伸びていっていないということが現状であります。  例えば、がんばる商店街支援事業、令和元年度実績4件で、執行率は40%、「まち・ひと・しごと」商店街支援事業は、実績ゼロ件、若手・女性商業者グループ元気プラン支援事業は1件で、予算の執行率は30%、まちなか開業促進物件整備事業、実績ゼロ件、買い物サービス支援事業、実績ゼロ件、こうした状況になっております。  この間ずっとこのような商店街への支援事業については、幾度となく我々県議会のほうからも、実績が少ないという話の中で、改善をお願いしてきているんですけれども、なかなかうまくいかない状況がずっと続いているということになっております。  しかし、先ほども申し上げましたけれども、現状商店街の実情を見ていくと、支援のニーズがないとは思えないんです。必ず行政に対して助けを求めている声というものがあって、しかし、それがそうした事業としてうまくいかないというところが、その理由は何なのかというところをしっかり突き詰めて検証をしていかないと、今後も同じ状況が続くだけなのかなと思うわけであります。  商店街の支援事業や買物支援事業について、実績と結びつかない原因をどのように考え、今後どう打開していこうと考えておられるのか、お伺いいたします。 9 布野商工労働部長 商店街は地域住民の身近な買物の場所として重要な商機能を有しておりまして、県といたしましても、地域をつくる主体的な役割を担う市町村と連携いたしまして、にぎわい創出に向けて取り組む商店街等を支援してきております。  委員御紹介の事業については、市町村と県が共同して一定割合を商店街等に支援するものでございますが、御指摘のとおり、活用実績が数件、あるいは年度によって申請がない事業もございます。県では、商店街の皆様に活用いただきますように支援制度を幅広く準備しているものの、事業の実施に向け、事業者の高齢化や後継者不足なども課題の一つになっているのではないかと考えております。  ただ一方で、新型コロナの感染防止とにぎわい創出のために、今年9月に補正予算で事業化をお認めいただいた新生活様式チャレンジ商店街等支援事業につきましては、既に2件事業採択、交付決定をしております。このほか、具体的な問い合わせを15件程度いただいております。こうした前向きな商店街もございます。県では引き続き各支援制度の周知を図りまして、商店街における前向きな取組に対して市町村と連携して支援をしてまいりたいと考えております。  また、今後の支援策といたしましては、商店街を買い物などの商機能を提供する場所ということだけではなくて、空き店舗などを活用いたしました地域交流スペース、また、企業等が入居しますシェアオフィスの設置など、複合的な役割を担う場として商店街の活性化を目指す、そういうことも重要な観点ではないかと考えております。  県としては、そのような支援策につきまして、市町村、商店街、商工団体の御意見も十分お聞きしながら検討してまいりたいと考えております。 10 永森委員 ありがとうございます。  今ほど新たに補正予算で設けた事業については応募もあるということであります。ということは、前の事業にはなくて、新たに今回設けた事業においては応募がある。その違いは一体何なのか、どういう理由でそっちはあってほかのものはないのか、そうしたことをぜひとも改めて考えていただきながら、次年度予算において十分そうしたところを反映いただいて、使い勝手のよい制度にしていただきたいということを要望させていただきたいと思います。  続きまして、県の制度融資について伺いたいと思っております。県の制度融資には多額の予算計上がなされております。今年は新型コロナの影響による経営難をしのぐために、多くの需要もあったと認識いたしておりますし、県においても大変迅速に御対応をいただいたと思っております。この点敬意を表させていただきたいと思っております。  今後当然第3波というような感染拡大も懸念される中で、中小企業の今後の資金繰りについても大変大きな懸念を持っているところでございます。迅速に十分な資金投入がなされますように、この点はまずお願いをしておきたいと思っております。  他方で、制度融資には資金繰り対策という観点とは別に、もう一つ、政策誘導的に融資が行われているということがあると思います。例えば、中小企業におけるIoTの導入支援であったり、あるいは地方創生であったりということが挙げられます。しかし、実績を見てみますと、IoT支援特別資金、当初予算2億7,600万円を積んでおりますけれども、貸付実績は約6,300万円であったり、あるいは新成長産業育成支援資金、当初予算10億円積んでありますけれども、貸付実績は約900万円であったりということになっておりまして、なかなか実績として伸び悩んでいる印象がございます。  そこで新田知事に伺いたいと思います。知事は御自身の公約におきましても、県信用保証協会会長の民間公募を検討したいとするなど、中小企業への金融支援改革に大変に意欲を示していらっしゃると思っております。民間出身の知事として、これまでの県の制度融資や中小企業への資金支援制度をどう評価し、今後どのように取り組んでいこうと考えておられるのか、お尋ねいたします。 11 新田知事 ありがとうございます。  まず、冒頭おわびがございまして、1年ぶりに喉をやられておりまして、たまに水を飲んだり、また喉あめをなめることを御容赦いただきたいと思います。  県の制度融資については、中小企業を取り巻く経営環境や企業の成長段階に応じて様々なきめ細かい制度を構築してきたと理解をしています。  こうした中で融資を使途別に見ますと、令和元年度では、経営安定に資する資金のメニューが約84億円ということで、87%に達しています。一方で、施設整備関係資金が約13億円、全体の13%という実績です。令和2年度について言いますと、委員がおっしゃったように、10月末時点では約1,700億円、桁違いの融資を実行しております。このうち91%、約1,550億円が新型コロナ対応資金の融資となっているところでございます。  この新型コロナ対応資金については3年間実質無利子、全期間無担保で利用できるというかなり使い勝手のいいものにしたわけであり、また、信用保証協会の審査体制も大幅に強化して対応をしました。このようなことにより、これまでのピークでありましたリーマンショック直後の平成21年の約927億円、これが過去最大であったんですが、これを大きく更新をして、過去最高の実績となる見込みです。  現在は引き続き厳しい経済情勢下にありまして、経営安定面での利用が多いわけでありますけれども、県の制度融資は、中小企業の設備投資と資金繰りの両面において円滑な資金供給に重要な役割を果たしていると考えています。今後新型コロナに打ち勝ち、新しく力強くワクワクする稼げる、そんな新産業を創出するために、多様な事業者のニーズに応えるべく、これからも工夫をしていろいろなメニューも考えていきたいと考えております。  引き続き、中小企業や金融機関の皆さんの御意見も踏まえて、市町村や関係団体と連携をして必要なときにスピーディーに資金供給を行う、利用しやすい制度となるように取り組んでまいりたいと思います。  もう一つ、この前信用保証協会にちょっと行ってまいりましたが、信用保証協会さんでは、女性だけのチームをつくられたり、そんな工夫もしておられて、とても好評だと聞いております。大変に創意工夫をして資金ニーズに応えるように、また、マーケットの関心も集めるように頑張っておられるということを実感してまいりました。 12 永森委員 ありがとうございます。  就任間もない時期でございますので、なかなかつぶさに現在の制度融資の課題というところは、これからというところもあるのかなと認識をいたしました。富山県にいると分からないんですけれども、各県の制度融資を比べるといろいろ使い勝手に差があるという話を我々も時折耳にいたします。どのようにしたら中小企業に生きた資金をどんどん投入していける環境をつくれるのかという点について、ぜひとも今後とも研究をいただきたいと思っております。  時間もございます。次に移ります。  大きな問いの2番目です。人材不足対策ということで伺いたいと思っております。決算を見ておりまして、今後の行政運営を行っていく上で大きく2つ問題があると思っています。1つは、当然財政の問題であります。今後とも厳しい財政が予想されるということであります。  しかし、もう一つは、人の問題であると思っております。幾ら予算があっても、例えば建設業一つにとっても、受注する建設業者さんの問題、あるいはそれを発注する県側の職員のマンパワーの問題、そうしたところが懸念となって、十分に予算を積んでも実行できないケースも今後大いに懸念されるのではないかと思っております。そして、そういう点を見ていきますと、医療、福祉や教育など私たちの暮らしの身近なところにも今後そうした影響が出てくることが懸念されるわけであります。  初めに、医療の問題について少し触れてみたいと思っております。医務課の決算書を少しぱらぱらと眺めておりましたら、ふと目に留まったのが、へき地医療拠点病院費補助金という制度であります。中山間地を含む医師のいない地区、無医地区に医療を提供するために、巡回診療などを行う際に補助を行う制度であります。  その補助制度ですけれども、実績が少し減少傾向にあるように見受けられました。今後さらに医師や看護師が不足をしてくる、また、富山県の地域医療構想の実行、さらには新型コロナなど不測の事態、こうしたことを考えると、へき地医療の中心的な役割を担っている公的病院は経営的にもマンパワー的にもますます厳しさが増してくるのではないかと思われます。こうしたことを踏まえると、限られた人材で持続的にへき地医療を守っていくために、オンライン診療の併用など、工夫をしていかなければいけないのではないかと考えたわけであります。中山間地等の医療の確保に当たり、今後どのように取り組まれるのか、石黒厚生部長にお尋ねいたします。 13 石黒厚生部長 県内ではへき地医療拠点病院といたしまして、8つの病院を指定しております。これらの病院は無医地区への巡回診療、あるいはへき地診療所への代診医の派遣を行っておりまして、住民の健康管理、あるいは医療の確保に努めているところでございます。  それで、まず人材の確保でございます。県では自治医科大学で養成した医師をへき地医療拠点病院へ派遣しているほか、富山大学や金沢大学の医学部における特別枠の創設、また医学生への修学資金の貸与、あるいはへき地医療拠点病院におきまして総合診療医の養成、こういうことを行って医師確保対策をしております。また、看護学生に対しましても、修学資金の貸与などを行っておりまして、看護師の確保対策に取り組んでおるところでございます。今後ともへき地医療拠点病院も含めまして、必要な人材が確保できるよう、今後も努力してまいります。  それと、オンライン診療でございますけれども、オンライン診療は在宅等で診療が受けられる利点がありまして、過疎や高齢化にも柔軟に対応が可能となることから、中山間地での医療提供に有効であると考えているところでございます。  ただ、その一方で、オンライン診療につきましては、疾患の見落としの危険や十分な情報セキュリティー対策が課題となっておるところでございます。現在、国において恒久化に向けた議論も行われているところでございます。年明けにもオンライン診療指針の見直しが行われる見通しとなっておりますけれども、県といたしましては、こういった国の動向も注視しながら、関係医療機関に対して適切に情報提供するとともに、オンライン診療を活用した取組についても、今後推進してまいりたいと考えております。 14 永森委員 ありがとうございます。  医療計画のほうも見させていただいておりますけれども、課題として、ITを利用した遠隔医療システムを利用し、へき地診療所の支援をしていきたいというようなことも記載されています。課題はあるんだと思っておりますけれども、まさにこの人材不足待ったなしという状況の中で、ぜひとも積極的に運用できないかということを検討いただければと思っております。  次に、教員不足について質問をさせていただきたいと思っております。今回の決算特別委員会審査報告書(案)の要望指摘事項におきましても、優秀な教員の確保の問題を指摘させていただいているところでございます。学級担任などの臨任講師の未配置の問題はもとより、教員採用検査の志願者の減少など、既に大変に苦労している現状がそこにあるわけであります。他方で、国においては、萩生田文部科学大臣は30人学級の実現に向けて法改正に意欲を示すなど、少人数学級に向けての流れが加速しているという現状もあるわけであります。  新田知事も公約において少人数学級の実現に意欲を示しておられます。他方で、本県ではこれまで少人数学級・少人数指導選択制という方針できているわけでもあります。新田知事の考える少人数学級のイメージとはどのようなものなのか、これまでの少人数学級・少人数指導選択制の評価、教員確保の現状認識も含めまして、お尋ねをさせていただきます。 15 新田知事 ありがとうございます。  本県の少人数教育は、これまで市町村とも連携を図りながら、小学校3、4年生及び中学校1年生において、今委員がおっしゃいました35人学級、または少人数指導の選択制を導入するなど、各学校の実情に応じた効果的な少人数教育が展開され、学校現場からは一定の評価を受けていると理解をしています。  現在、国においては学級編制の標準の引下げを含め、少人数によるきめ細かな指導体制の整備、授業での本格的なICTの活用など、新しい時代の学びに向けた検討がなされています。本県においても、児童生徒一人一人に応じた最適な学びを実現する少人数教育の取組の推進に向けて、国の動向を注視しながら教職員定数の改善について引き続き国に強く要望していきたいと考えております。  また、例えば少人数学級の対象学年の年次進行によるさらなる拡充を図るという手もあり、本県の教育現場の実情に沿った少人数学級の推進の具体策を教育委員会において検討してもらいたいと考えております。
     なお、教員の確保につきましては、本県のみならず全国的に厳しい状況にあるということは承知しております。昨年度からは「とやまで教員」応援事業として、教員志望者を対象に教員UIJターンセミナーの開催、これは東京、京都、名古屋で開催しました。それから、教員養成講座の実施に加えて教員採用検査における特別選考枠の拡大など、教員の確保にも努めていると聞いています。  今後とも教員の採用確保に最大限努め、効果的な少人数教育の積極的な推進に向けて教育委員会と十分に議論し、施策を展開してまいりたいと考えております。  なお、選挙中にこのことを申し上げていたのは委員の御指摘のとおりであります。仮に現在、現時点で小・中・高全て30人学級にすると、新たに793人の教師が必要になり、人件費としては68億円増えるという試算をしているところです。今の数字はやはり現実的ではないので、国の動向も見ながら、少人数学級の旗は引き続き下ろしませんが、富山県の少人数学級・少人数指導選択制は現場ではとても評価を受けていますので、このようなことの拡充も含めて今後考えていきたいと思います。 16 永森委員 ありがとうございます。  教育の問題、国の動向もありますけれども、県としても今ほどおっしゃっていただきましたけれども、いろいろなことを果敢にまた御挑戦をいただければと思っております。  最後の質問に移りたいと思っております。  いろいろお話ししたかったんですけれども、時間がもうなくなってきましたのですぐ質問に入りますけれども、どうしてもこれだけ人が少なくなっていく未来が明らかな中で、私たち富山県の豊かな暮らしをどう維持していくのか、そして、維持していくための人材不足問題をどう解決していくのかという中におきましては、これまでの発想にとらわれない新しい発想、ビジョンを持って取り組んでいくことが大事だと思っておりますし、そのキーワードはやはりデジタル化ではないかと思っております。  行政サービスのデジタル化を推進する行政組織の整備等を大胆に進めることも重要であると思いますけれども、どのように対応していくのか、新田知事に伺います。 17 新田知事 今回のコロナ禍ではっきりしたことは、東京一極集中は、これまでは自然災害に対して脆弱と言われていたのが、こういう感染症の拡大という事態にとってもとても脆弱な状況であるということが証明された形になりました。これがきっかけになって、また、委員がおっしゃったようなテレワーク、オンライン診療、あるいはリモート授業など、デジタル化を進めることによって、まさに若者や女性など、多くの方々に富山県への移住、あるいは、まずは二地域居住などを始めていただく、そういうチャンスなのではないか。ただ、これは全国どこでも考えていることなので、そんな中で選ばれる富山県になっていくのにはどうするかということを考えていかなければなりません。そのために、私の選挙公約でもございましたが、富山県成長戦略会議を設置します。そして、人材の確保、育成も含めて、これからのデジタル社会における富山県の経済、産業、社会のビジョン、このようなものを描いて、移住戦国時代において選ばれる富山県になっていくべく戦略を練っていきたいと考えています。  また、委員御指摘の県庁のデジタル化、ちょっと私も来て見て、紙の多さにとても驚いているところですが、コロナ禍でのテレワークの大規模な展開のため、そして、各種行政手続のデジタル化を推進するために、11月補正予算案として4億3,000万円を計上しています。それによって、庁内LANネットワークの環境の強化を図ってまいります。  また、来年4月には県のデジタル化の司令塔と位置づけますデジタル化・生産性向上本部(仮称)を設置して、民間の人材の活用も図りながら、IoT、AI、ロボット等の新技術の導入によって、行政サービスの効率化をさらに進めるということを考えます。  さらに、民間企業などの働き方改革、革新的技術による新たな付加価値の創出など、県民、企業、そして市町村等と連携し、御指摘のようにこれまでの官の発想にとらわれず、民間の発想も柔軟に取り入れながら、県全体のデジタル化を推進していきたいと考えております。 18 稗苗委員長 永森委員の質疑は以上で終了しました。  亀山委員、あなたの持ち時間は40分であります。 19 亀山委員 自民党新令和会の亀山です。初めての決算特別委員会の総括質疑ということで、質問項目にふさわしいか分かりませんが、御理解のほどをよろしくお願いいたします。  今もなお首都圏などでは第3波と見られる新型コロナウイルス感染拡大が危惧されています。富山県内でも感染拡大しないことを願うばかりです。医療従事者の方々、学校関係者など、感染対策に御協力をお願いいただいている皆様に敬意を表します。  それでは、クタベバッジマスクをつけて質問に入ります。  新田知事におかれましては、「若者からお年寄りまで希望に満ちた富山県」、「ワクワクすることがたくさんある富山県」、「チャンスがあり夢を叶えることができる富山県」を実現していただきたく、協力を惜しまない所存であります。  チャンスがあり夢を叶えることができる富山県に含まれるであろう項目について質問をいたします。  とやま起業未来塾の修了生の起業の状況について、令和2年2月の調査では、創業したが今は廃業、または休業している方が40人、11.5%に及んでいるとのことです。この理由は、収益が上がらず資金繰りに苦慮したとの意見が多かったとされています。コロナ禍では廃業、休業している方がもっと増えているのではないでしょうか。  このような中で、国の持続化給付金は令和3年1月15日まで申請可能ですが、富山県事業持続化・地域再生支援金は今月16日で終了してしまっています。ちなみに、隣の石川県の石川県経営持続支援金は、国と同様に令和3年1月15日までです。  さきの調査では、創業したい気持ちがあっても創業しなかった方と合わせると約30%にもなっています。令和2年度から若者・女性等スタートアップ支援事業費補助金を増額したことはよいことですが、平成30年度決算に係る要望指摘事項に対する措置状況には、今後、創業後のフォローアップも含めた切れ目ない支援に努めたいとあるが、どのように対応していくのか。さらに、知事は富山八策の八十八の具体策において、官民連携でベンチャー企業を支援していく方針を示されているが、どのように取り組んでいかれるのか。チャンスがあり夢を叶えることができる富山県にぜひともなるよう期待を込めて、新田知事にお伺いいたします。 20 新田知事 ありがとうございます。  まず、とやま企業未来塾ですが、ちょうど先週土曜日に今回16期になりますけれども、その修了式がありました。私も参加させていただきました。これまで修了生406名を送り出したことになります。  修了生には、同塾の講師陣、あるいは地元の経営者の方々や中小企業診断士などプロの方々にも役職者として御援助いただいていますが、それから、学士会と称しまして、卒業生のいわば同窓会のようなものがあります。これはこれで同じ塾を出た先輩として、塾生たちの相談に乗るコミュニティーとして役に立っていると聞いておりますが、そのような様々な形でサポートしているところです。  また、資金面ですが、創業補助金に修了生向けの特別枠を設けております。とやま起業未来塾卒業生に特にちょっと割増しして出せるような特別枠を設けております。それらの手だてで創業準備期からスタートアップ期、そして成長期の各段階に応じた切れ目のない支援制度を設けていると理解しています。  また、委員御指摘のとおり、ベンチャー企業の支援というものはこのとやま起業未来塾卒塾生に限らずですが、関係機関が連携して切れ目のない支援を行っていくことが重要です。現在本県経済には新型コロナの深刻な影響が続いているわけでありまして、今こそ次の時代の成長の種をまくために、年齢やキャリアにかかわらず、誰もが起業できる環境をつくっていく、そして、企業の数の伸びはぜひ日本で一番に、そんな県にしていきたい。そうすることによって雇用が生まれ、また、ビジネスのあるところに人が集まってきますから、移住者も増やし、そして、新しく、力強く、ワクワクする、稼げる、そんな産業を創出していく、これを公約に従って進めてまいりたい、これから現実にしてまいりたいと思っております。  それから、御質問の中で御指摘がありました富山県事業持続化・地域再生支援金につきましては、実はここのところ、申し込みがもう落ち着いてまいりましたので、一旦ここで一区切りということにさせていただいたことは御理解いただきたいと思います。 21 亀山委員 ありがとうございました。知事の答弁を聞かせていただきまして、大変希望が持てる答弁であったのではないかと思っております。これからも部局と連携を取って、しっかりと進めていただきたいと思っております。  次の質問に入ります。  富山県赤坂会館について質問をいたします。富山県赤坂会館の利用促進のための取組をいろいろと講じられていますが、コロナ禍にあって国のGo To トラベルやGo To Eatを最大限活用するなど、あらゆる方法でさらなる利用促進に努める必要があると考えますが、どのように取り組むのか。  例えば、大使館のように赤坂会館は富山県内と考え、Go To Eatの富山県版の食事券を赤坂会館で使用できるように国に要望するなど、できないでしょうか、布野商工労働部長にお伺いいたします。 22 布野商工労働部長 富山県赤坂会館は、御案内のとおり本県関係者を中心としました東京都内における割安な宿泊施設としての役割のほか、東京で富山の食の魅力を楽しめる施設でもあることから、県関係者等の交流、情報交換の場としても御利用いただいております。  本年2月頃から新型コロナの影響によりまして、利用者が大幅に減少したことから、感染防止対策を取った上で外食での感染リスクを低減するための夕食付プラン、あるいはテレワークプランの創設のほか、SNSによる情報発信等に取り組んでおります。  Go To Eatの富山版食事券につきましては、委員からせっかくの御提案もありましたので、農林水産省のほうに事情を説明して相談と確認をいたしました。地域の飲食店を当該地域で支援する趣旨で、県内の飲食店を支援するものであり、残念ながら県外では利用できないとのことでありました。  一方で、赤坂会館はGo To トラベルの割引対象施設でありますので、県民の皆さんにはその割引を活用し、夕食付プラン等を利用して宿泊いただけるよう、PRに努めているところであります。  また、東京都民の利用に際しましては、都民割の適用施設の申請に加えまして、早速Go To Eatの東京版食事券の申請も行ったところであり、その周知に努めてまいります。  都民割につきましては、割当ての50泊が全て完売となったところでありまして、今後ともあらゆる方法でさらなる利用促進に努め、幅広い富山県民の皆さんの利用はもちろん、首都圏の住民のマイクロツーリズムにも御利用いただきますように、取り組んでまいります。 23 亀山委員 ありがとうございました。富山県版が使えないというのはちょっと残念だったのですが、これは質問と関係ないですけれども、富山県の赤坂会館、何か失礼ですけれども、タクシーに乗って迷ったことがございます。何か目印というか、タクシーの運転手さんに理解していただけるような何か方法があればと思います。  次の質問に入ります。  富山県学生寮について質問いたします。富山県学生寮に対しては、県としても運営費などの支援をしています。寮の申込者の資格に、大学や大学院内定者(志願者含む)及び在籍者とありますが、コロナ禍で財政的に厳しい状況にある家庭も増えているのではないかと思います。こうした中で、現在は第3次までの入寮者選考を行っていますが、第3次の申込み締切日が3月5日までと、締切りが早いのではと感じています。新たに第4次入寮者選考を3月末に行うことができないか、法人へ働きかけてはどうかと思いますが、伍嶋教育長にお伺いいたします。 24 伍嶋教育長 富山県出身者のための学生寮といたしまして、東京都において公益財団法人が設置運営いたします富山県学生寮では、毎年度申込者やその家庭の事情にも配慮いたしまして、11月から3月にかけて3回に分けて、首都圏の大学、大学院への入学内定者、入学志願者等を対象として、入寮生の募集選考を行っております。  令和3年度入学生における第3次募集選考の申込み締切りは、委員からも御紹介ありましたように、3月5日となっておりまして、これまでも第3次選考終了後に入寮定員を満たしていない場合には、さらに3月末までに第4次の募集選考を実施してきております。令和3年度分も同様の方針で進めていくことと聞いております。  なお、当初から恒常的に別枠で定員枠を確保して、第4次募集を実施する場合には、結果として全体の募集定員の確保が難しくなるというおそれもあること、また、入寮するまでの手続期間が短くなるなど課題もありますけれども、委員御提案のとおり、入学予定者の利便性を考慮して、今後少しでも後ろ倒しができないか、財団法人に働きかけてまいりたいと考えております。 25 亀山委員 ありがとうございました。いい答弁と言ったら怒られますけれども、本当にそのとおり進めていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。  4番目の質問に入ります。  社会教育団体振興補助金の執行状況について質問いたします。先輩議員からも指摘がありましたが、なかなか難しい、切り込みにくい質問ですが、社会教育団体振興補助金の執行額の推移を見ますと、ボーイスカウトやガールズスカウト、県高等学校PTA連合会の事業費に対する補助金は100万円台ですが、県婦人会へは745万円と群を抜いています。内部干渉と言われるかもしれませんが、青年活動が中止になっていく中で、活動費のチェックが必要ではないでしょうか。  特に目を引くのは、ウイメンズセミナーです。23学級の使用料が約250万円、23学級の消耗品費141万円、参加者が約900名です。補助金実績報告書について数値が適切なのか、参加人員などの規模と比べて金額が過大となっていないか、使い切り前提となっていないかなど、執行状況の確認が必要と考えますが、伍嶋教育長にお伺いいたします。 26 伍嶋教育長 社会教育団体振興費については、社会教育振興基金条例に基づきまして、社会教育振興協議会に加盟する10団体に交付しております。また、その補助金については、毎年度事前に事業内容を確認して交付決定をして、年度終了後に事業内容及び計画を精査した上で額を確定するという手続をしております。  御指摘のありました県婦人会についてですけれども、同団体は男女共同参画の推進や環境保全活動、また、青少年健全育成など、多種多様な公益事業を実施しておりまして、組織内においても委員会を設けまして、活発な活動を行うなど、他の団体と比較して補助対象となる事業や、あるいは参加者が多いことから補助金額についても多額となっております。また、過去においても国の委託事業として家庭教育及び成人教育に取り組まれてきた経緯もあります。  ただ、執行状況の確認は必要と考えており、また効率的な事業の執行に向けて助言を行う必要があることから、毎月、団体で開催されています理事会に県の担当職員が参加をしておりまして、その都度各事業の執行状況を適切に確認しております。  県婦人会をはじめ、各団体に対する事業費補助については、他の団体との均衡の観点にも配慮しながら、随時活動内容の把握に努めますとともに、今後とも効果的な事業の遂行に向けまして、適切な助言など、補助金の適正な執行に努めてまいりたいと考えております。 27 亀山委員 ありがとうございました。県のほうからもそういうふうに、監視という言い方は正しくありませんけれども、しっかりとチェックが入っておるということが分かりましたので、これからもよろしくお願いいたします。  それでは、次の質問に入ります。  「立山黒部」世界ブランド化と戦略的な国際観光の推進について質問をします。立山黒部の世界ブランド化に向けたプロジェクトの推進の中に、ロープウェイ整備環境調査事業で環境調査費があります。今年はコロナ禍ということで、立山ケーブルカーの始発の時間が遅く、最終が早いため、晴れた日は繁忙期のボトルネックとまではいかないものの、輸送人員を制限されていますので、日帰り登山がしづらいとお聞きしています。しかし、一方で、称名滝方面は昨年よりも入り込み客は増加したと聞いています。今年3月に同期議員と千寿ケ原で降雪のあった日の朝、ケーブルカーが運ばれてきました。整備はあと何年でできるかなどと頭をよぎったのを覚えています。立山町側が長期運行休業にならないようにお願いしたいものです。  ロープウエーが整備されても輸送人員が制限されれば日帰り登山がしづらいことから、今年と同様に利用が伸びないことが起きかねません。コロナ禍で企業側は大変に御努力をなさっておられます。今後進めるに当たり、県有数の観光地として企業負担が過度にならないような支援が必要と考えますが、中谷観光・交通振興局長にお伺いいたします。 28 中谷観光・交通振興局長 立山黒部が国内はもちろん国際的にも選ばれ続ける観光地であるためには、立山ケーブルカーの老朽化、それから待ち時間の解消、バリアフリーへの対応というのは非常に重要な課題であります。そのために、これまでも立山黒部貫光が行う立山─美女平間のロープウエー整備について、取組を支援してきているところでございます。  具体的には、整備に当たりましては、自然環境の保全に十分配慮する必要があるということから、昨年度県ではイヌワシ等への影響を検討するため、猛禽類の調査を実施し、また、立山黒部貫光では、整備ルートに係る希少な動植物に関する調査を実施するなど、役割分担をしながら環境調査をしてきております。  また、今年度は立山黒部貫光におきまして、ロープウエー整備に向けて、支柱の位置、それから乗降場の位置を検討するための地質調査等を実施しておりまして、県はその経費を支援しているところであります。一方で、今委員からお話がありましたように、今年度は新型コロナの影響によりまして、アルペンルートが4月の全線開通直後に営業を休止する、6月19日の運行再開後も本数を減らして運行するなど、入り込みについては厳しい状況が続いております。  まずは立山黒部貫光の状況をよくお伺いいたしまして、今後の進め方について協議をしてまいりたいと考えております。 29 亀山委員 ありがとうございます。それこそ失礼ですけれども、本当に御理解を得られた上で工事というか、先へ進んでいっていただきたいと思っております。  次の質問に入ります。  同じく「立山黒部」ホテル・旅館ハイグレード等促進事業について質問いたします。この事業は、ハイグレードな宿泊施設の整備を支援する事業ですが、補助要件の見直しを行い、現行の要件では新規開設の場合、1泊1名4万円以上、改築の場合は客室10室以上が対象となっています。補助要件を見直した後、補助対象者が現れたのでしょうか。山岳地帯だけに雲の上のような数字ですけれども、中谷観光・交通振興局長にお伺いいたします。 30 中谷観光・交通振興局長 県では、国内外から訪れる観光客の皆さんの多様なニーズに対応するため、「立山黒部」世界ブランド化推進会議における有識者からの御意見も踏まえまして、平成30年度からよりハイグレードな宿泊施設の整備に対する支援について、予算計上してきているところであります。  ホテルや旅館の新築、改築は大きな投資でありまして、実施に当たっては事業者において慎重な検討が想定されますことから、令和元年度には、関係事業者が参加された県事業の説明会におきまして、改めて予算計上していることを周知いたしますとともに、立山黒部地域の宿泊事業者の御意見も伺い、今年度、改築については要件を緩和するということなどによりまして、制度の明確化を図ったところでございます。  昨年度、実際に県内の宿泊事業者から御相談をいただいております。しかし、昨年度末からの新型コロナの影響によりまして、現時点では見通しが不透明な状況にあると伺っております。  県といたしましては、引き続き制度の周知に努めますとともに、新型コロナの影響で宿泊事業者を取り巻く経営環境が大きく変化しておりますので、今後地域の宿泊事業者の皆さんの御意見も伺いながら、要件についても、本事業が効果的に利用いただけるよう検討をしてまいりたいと考えております。 31 亀山委員 ありがとうございます。利用者はバラエティーに富んでおられて、そういう高級なところに泊まりたいという方もおいでになろうかと思いますけれども、私はやはり山小屋というのは、ごろ寝といったら変な言い方ですけれども、相部屋が一番いいかなと思っている一人であります。またその辺も御考慮願えればと思います。  次の質問に入ります。  警察官の人員確保について質問いたします。警察官の5年未満若手警察官数は400人前後となっています。2019年度は99名の方が合格されていますので、割合を考えますと、辞退、あるいは転職された方が相当数おられることになります。実際に採用された人数と採用後5年未満で辞職した方の数及びその辞職理由などの分析はなされているのか、また、他県の警察を早期退職した方の雇用制度はあるのか、早期離職させないためにどのような対応をしているのか、大原警察本部長にお伺いいたします。 32 大原警察本部長 警察官の採用につきましては、平成28年度から令和2年度までの5年間で454名を採用しており、そのうち約15%に当たる66名が辞職しております。主な辞職理由としては、警察学校での規則正しい生活に耐えられないことや、仕事が難しく、続けていく自信がなくなったことなど、警察業務に対する本人の認識と実態とのギャップに由来するものと考えております。  これまで就職説明会としてのオープンキャンパスや職場体験をしていただくトライアルアカデミーといった場を通じ、警察官志願者に対して警察業務が正しく理解されるよう、努めてきたところであり、こうした状況が見られることは残念であります。今後ともオープンキャンパスなどにおいて志願者に対する丁寧な説明に努めてまいります。  一方で、他県警察を退職した人材の再雇用についてですが、本年度から新たな再採用制度を導入し、かつて警察官として一定期間勤務し、職務執行能力及び適正を有する者について選考して採用できるようにしたところであります。 33 亀山委員 ありがとうございます。警察官の確保については、なかなか倍率も下がってきているところでありますので、他県で実績を積んでおられる方の再採用制度は本当によいと思っておりますので、ぜひとも実行していただきたいと思っております。  次の質問に入ります。  市町村との連携について質問をいたします。富山県災害時受援計画の策定に向けた取組を見てみますと、市町村における受援体制整備の重要性の理解促進、受援計画の策定支援に取り組んでいるとあります。まさしく知事の言われる市町村との連携であります。  4月に1市で受援計画の策定に至ったとのことですが、そのほかの14市町村は準備中とのこと、これは市町村の進め方が遅いのか、あるいは受援計画研修会で市町村の御理解が得られていないのか、市町村の計画策定に向けた今後の対応について、砂原危機管理監にお伺いいたします。 34 砂原危機管理監 大規模災害時には被災自治体において膨大な災害対応業務が発生し、これに速やかに対応することが求められますので、国や他県などからの人的、物的な支援を円滑に受入れられるよう、体制を整備しておくことが重要であります。  このため県では平成31年3月に、富山県災害時受援計画を策定しますとともに、市町村に対しましても、昨年度に研修会を2回開催し、受援計画を策定することの必要性や具体的な策定方法について説明を行い、働きかけてまいりました。  この結果、富山市が今年3月に計画を策定されますとともに、10の市町で今年度中の策定を予定されており、残りの4市町村においても策定に向けた準備を進めているとのことであります。  今後も14市町村の進捗状況に注視しながら必要に応じ受援計画のひな形や先進自治体の受援計画を情報提供しますとともに、当該市町村の状況を随時ヒアリングし、個別にアドバイスを実施するなど、きめ細やかに対応を行い、全市町村において早期に計画が策定されますよう取り組んでまいります。 35 亀山委員 ありがとうございます。確かに市町村との連携というのは大切なことでございます。富山県の災害時受援計画の概要をホームページから見ましたけれども、この一覧表じゃないですけれども、分かりやすいものを各市町村のほうに配ればよいと私は思っております。また、できればよろしくお願いいたします。  次の質問に入ります。  次は、県債残高の県民に与える影響や印象について質問をいたします。  県債残高の捉え方について伺います。新聞紙上にも載っていましたが、令和元年度末で1兆1,969億円、県民1人当たりだと約113万円、国が将来負担する臨時財政対策債、これが約3分の1ありますが、これを除いても約76万円となります。コロナ禍では、国も税収不足等になるため、臨時財政対策債分が地方交付税として戻ってくるかも非常に不安であります。臨時財政対策債の債務を返済するのは発行体の地方自治体である富山県であります。  2018年度総務省都道府県決算状況を見ますと、歳出額比では、富山県の県債残高は246%と、都道府県の中では2番目に高くなっています。また、歳出総額中の公債費の割合は約19%で、都道府県の中でも最も大きくなっています。財政健全化指標である実質公債費負担比率は13.1%と、起債に総務大臣の許可が必要となる18%には届いていないものの、このような状況をどのように捉えているのか。臨時財政対策債、赤字公債と言ってもいいんでしょう、この発行は将来の世代への負担先送りに過ぎない。移住先を考えている方に悪い印象を与え、移住先に本県を選ぶことにも影響を与えるのではないかと心配しますが、山崎副知事にお伺いいたします。 36 山崎副知事 県債残高につきましては、今ほどお話にあったような状況でございますが、これは、例えば北陸新幹線の整備のための多額の地元負担がございましたが、これを県債で賄ってきたこと、それから、本県は急流河川が多いというような特性があり、河川整備や砂防事業などの事業費が大きくなっているということなどがございます。  これまでいろいろな努力をいたしまして、2019年度末まで5年連続で減少しておりますものの、依然として高い水準で推移をしております。一方で、こうした社会資本の整備に向けて県債を発行して投資していることによりまして、防災・減災対策などは着実に進んでいると思っておりますし、例えば道路整備率は全国1位であります。他県に比べて水害や土砂災害の被害が少ないといったことで、「暮らしやすく、安心・安全な県」という評価もいただけるようになっているものと考えておりますが、借金が多いということは必ずしも望ましいことではないわけでございます。  今後も県債の発行の縮減、残高の縮減に向けて取り組んでいかなければならないと思っておりますけれども、現在のようなコロナ禍、御承知のように県内経済は大変厳しい状況にございます。こうした経済状況によって、県税収入が大きく減少するといったようなことになりますと、財源確保のために県債を発行せざるを得ないということも想定されます。そうした場合、今後一時的に増加するということも考えられるわけでございますが、いずれにしても、県財政の持続可能性という観点が大事ということで、県債残高の状況にも留意しながら、今後も予算編成にしっかり取り組んでいかなければならないと思っております。  不要不急の事業の見直しはもとより、県債を発行する場合にも、できるだけ発行しなくても済むように、また、発行しても財源措置がある県債の発行に努めるという形での財政運営に努めてまいりたいと思っておりますし、国に対しては、今ほど臨時財政対策債のお話がありましたが、できるだけ臨時財政対策債を発行しなくてもいいようにしっかり安定的な地方交付税総額を確保充実していただくように働きかけていきたいと、このように思っております。 37 亀山委員 ありがとうございました。確かに県債残高は、5年ほど前から少しずつ気をつけて下げていただいていると思っております。ただ、昨年度も700億円という新たな県債が発行されております。この辺をどう捉えているのか、ちょっと分かりませんけれども、これからも、今後とも少しでも減らすという努力を惜しまないでいただきたいと思っております。  それでは、最後の質問に入りたいと思います。  これはちょっと質問しづらい質問ですけれども、公務員の政治的行為の制限について伺います。  先般の知事選に絡み、前知事の政治活動に絡む資料の一部が県幹部によって公用パソコンで作成され、外部に流出するなど、公務員の政治的行為の制限などから誤解を受けかねないものと考えるが、この一連の問題に対して、どのような対応を取ったのか、また、今後再発防止に向けてどのように取り組むのか。  これは県民の皆さんから、どうなったのかと聞かれまして、知らないと答えていましたけれども、菅沢委員が昨日経営企画委員会で質問され、答弁いただきましたが、県民は本会議や予算特別委員会の質疑はよく見られますけれども、他の委員会はあまり見ていないということがあるものですから、改めて山崎副知事にお伺いいたします。 38 山崎副知事 一般職の地方公務員については、御案内のとおり地方公務員法により政治的行為が制限をされております。先般、職員が個人的に、勤務時間外ではございますが、庁内LANで使用するパソコンを使って、県知事選立候補予定者討論会に関する資料の一部を作成していたことが分かりました。この行為は、地方公務員法上の政治的行為の制限等に違反するものではございませんが、服務規律の確保や情報セキュリティーの観点から遺憾な行為であることから、対象職員に対し、10月7日付で厳重口頭注意を行ったところでございます。  再発防止に向けましては、10月16日付で服務規律の確保、公益通報制度の活用及びコンプライアンスの推進に関する通知を庁内に発出いたしますとともに、今月20日には県の顧問弁護士にも相談をした上、「情報セキュリティー事故等に係る懲戒処分等の基準」を改正いたしまして、職員の違反行為の動機が極めて悪質な場合などに処分を加重することとし、職員に周知をいたしました。  今後とも服務規律の確保とコンプライアンスの推進などを図り、県庁が県民から信頼される組織となるよう努めてまいります。 39 亀山委員 今の質問に対しては、これで終了したと、私の中では理解しておりますので、今後ともまたよろしくお願いします。  以上で質問を終わります。
    40 稗苗委員長 亀山委員の質疑は以上で終了いたしました。  ここで換気のため、暫時休憩いたします。休憩時間は10分間といたします。 41 宮本副委員長 それでは、休憩前に引き続き会議を開きます。  井加田委員、あなたの持ち時間は40分であります。 42 井加田委員 社民党議員会の井加田でございます。続いて質問させていただきます。  午前中、知事就任の御挨拶と提案説明がございました。御挨拶含めて知事のお人柄が本当ににじみ出ているなという印象を持ちました。県民の好感度が上がったかなという印象でございます。  提案理由は11月補正が中心でございましたので、様々な方針については今後の議論の中でということになるかと思いますけれども、この間の報道等を見ておりますと、知事の財政運営については、フレーズで申し上げて申し訳ないんですけれども、行財政改革待ったなし、効率的な行政、民間活力重視、デジタル革命による新成長戦略などといった方針を重点的に打ち出されております。また、一方で子育て支援・女性活躍の推進に官民連携で取り組むこと、教員の働き方改革の推進、また、県庁を働き方改革のモデルとして県内企業にも働き方改革を促す、そして、女性活躍、働き方改革で子育て環境日本一を目指す、このことを公約にも掲げておられると思います。  先ほど申し上げましたけれども、具体的な政策の中身については、今日以降の議会での討論や新年度予算編成の過程で示されてきますので、ぜひ注目をしてまいりたいと思っておりますけれども、子育て環境日本一を目指すという点についてはぜひ応援していきたいと考えておるところでございます。知事におかれては、子育て世代にとって子供を産み育てやすい環境をつくることに積極的に取り組まれることを期待しております。  一方で、富山県は全国に先駆けて少子高齢化が進行しております。そのような富山県における県の役割としては、これまでの社会を支えてきた県民が老後安心して過ごせるように守っていく役割、また2つ目には、様々な困難を抱えていらっしゃる生活弱者の皆さんを救済していく役割、そして、これからの社会を支える県民を育てていく役割が求められていると言えます。  申すまでもなく、地方自治体の役割は住民の福祉の増進を図ることにございます。そういった意味で、安心して子育てできる環境整備は、男性でも、女性でも、独り親も、生計を維持して健康で働いていくためには必要不可欠な社会基盤でございます。少子高齢化時代を乗り切る重要な政策課題であります。  決算審査の過程で総括質疑が設けられたのは、今年が4年目と承知しております。永森委員も冒頭に言われましたけれども、決算審査の中で問われているのは、具体的な施策や予算の使われ方について県民目線で評価をし、チェックをすることにあると私自身は承知をしております。  また、昨年は想定もできなかった今年のコロナ禍の経験も踏まえて、県民要望の高い福祉や医療の拡充に向けて、過度に効率性や採算性を求めるものではなく、厳しい財政事情にあっても福祉の充実に必要な予算については積極的に拡充をし、県民から信頼されるような、そして、支え合うセーフティーネットとして継続させていくということも大事な視点でございます。  そうした観点を踏まえつつ、今日の質問は、県民への医療費助成制度の現状と課題について、また、2つ目には、県の行政に携わっていらっしゃいます県庁職員の働き方について、働き方改革の観点から、現状と課題について質問させていただきます。  まず1点目に、県単独医療費助成制度についてでございます。この制度は、県の予算、決算の総額に占める割合については大きくはありませんけれども、これは本当に県民のセーフティーネットの要であります。また、自助、共助、公助と言われますけれども、自助、共助を支える大事な公助の部分、基本的なセーフティーネットであると私は思っております。  そこで、この制度は妊産婦、乳幼児、独り親家庭、重度の心身障害者、高齢者の心身障害者への必要不可欠な医療支援でございますけれども、県民の福祉、暮らしに直結する重要な事業でありながら、低水準のまま据え置かれている現状にございます。昨年度は市町村との協議の中で、精神障害者への医療費助成が一部拡充をされましたけれども、保健福祉手帳1級所持者に限定をされております。さらに支え合うシステムとして、全体としての拡充が求められていると認識しております。  そこで、今日お伺いするのは、財政負担についてでございます。県と市町村の負担割合はそれぞれ2分の1ということでございます。ちょっと見てみますと、少子化の進行に伴いまして、例えば妊産婦、乳児、18歳以下の独り親家庭への助成額については、この間年々減少しております。そしてまた、決算総額についても減少傾向にあると言えます。この間の決算総額の推移と県と市町村の負担状況の推移について、石黒厚生部長にお伺いしたいと思います。 43 石黒厚生部長 まず、県単独医療費助成制度でございますけれども、お話がありましたとおり、妊産婦、乳幼児、独り親家庭、重度心身障害者、高齢の心身障害者を対象として県と市町村が2分の1ずつ負担して、医療費の負担の軽減を行っておるものでございます。県民の保健福祉の増進に重要な役割を果たしていると考えております。また、本年10月からは、重度の精神障害者を対象としたところでございます。  本制度の県の決算額の推移でございますけれども、直近3年間を申しますと、平成29年度が約20億6,600万円、平成30年度が約20億8,200万円で、対前年度比約1,600万円の増、令和元年度が約20億3,900万円で、対前年度比約4,300万円の減ということになっております。年度によって増減しますけれども、10年のスパンで見ますと、全体としてやや減少傾向で推移しておるということでございます。 44 井加田委員 経年的に見れば、ただいまおっしゃったような流れにあると思っています。県予算に占める割合については決して大きいとは言えないと思いますけれども、私から見れば低水準というのが固定化していると感じております。  この助成制度のうち乳幼児医療費助成制度の拡充が必要であると、一般質問や委員会の質問で度々取り上げさせていただきました。そのたびに返ってくるのは、平成17年から平成19年当時に行政改革中の議論と並行して議論した際に、財政事情が厳しく、市町村長の中に反対・慎重の意見があり、県は基盤的制度にとどめて、子育て応援券の配付などの施策を拡充してきているとの答弁が繰り返されてきております。  そうした中で、県の補助額と市町村の負担割合については、基本は県2分の1、市町村2分の1ですけれども、令和元年度の乳幼児医療費負担額だけを見てまいりますと、総額約10億円余の割合は県が35%、市町村が65%の割合になっております。県の補助額に比べて市町村の負担額が重いといえます。合計の補助額も特にここについては、昨年度を下回っているという実態がございます。この推移について、石黒厚生部長にお伺いいたします。 45 石黒厚生部長 乳幼児医療費助成の県の補助実績額でございますけれども、まず、10年前には4億3,800万円でございましたが、令和元年度には3億7,600万円と、約10年前に比べて14%の減となっておるところでございます。ただ、直近の3年間で申しますと、増減はあるものの大体3億7,000万円から3億8,000万円台と、ほぼ横ばいということになっております。  一方、市町村の負担額につきましては、はっきりとした数字として出ておりませんで、県に提出されました実績報告をもとに、県の補助実績額を減じた数で推計しております。ですから、これで市町村の長期の推移を見ることはなかなか難しいんですが、直近3年間にわたって試算したところ、平成29年度は7億2,000万円、平成30年度は7億8,200万円、令和元年度は7億600万円と、県と同様でございますが年によって増減があるという状況でございます。 46 井加田委員 現状を言われたわけですけれども、この間、財政が厳しいと言いながらも、市町村が先駆けて助成対象年齢を拡充してきている中で、県の制度は依然として据え置きのままということで、その負担増については市町村が全部支出をしなければいけないという構造になっていると思っております。  県内市町村の対象年齢の拡充状況については、令和2年4月時点で、入院については中学校3年生まで助成しているのが10市町村であります。18歳まで助成しているのが5市町であります。また、通院でも、中学校3年生までが11市町村、そして、18歳までが4市町となっております。積極的に対象年齢を拡充してきた市町村を中心に、県に対しまして、今年度の予算要望において8つの市と町から財政負担の軽減を求める要望が県に対して行われている実態がございます。  県と市町村が連携して基盤整備を図る観点からも、助成対象年齢の拡充を検討すべきと考えますけれども、石黒厚生部長の見解を伺います。 47 石黒厚生部長 今委員からお話がありましたとおり、各市町村における実際の補助対象につきましては、平成20年度以降、それぞれ各市町村が徐々に拡充されてきたということでございます。  それで、現状で申しますと、今年4月現在で入院・通院とも中学生までを対象としているのが10市町村、入院・通院とも高校生までを対象としているのが4市町、そして、1市が入院は高校生まで、通院は中学までということにしておるところでございます。  この市町村の現状につきましては、制度の在り方を検討してきた平成19年当時と比べまして、県制度と市町村制度の乖離が大きくなっていることは十分承知しております。ただ、県といたしましては、県と市町村がそれぞれの役割分担を行いながら子育て施策を充実していくことが重要であると考えているところでございます。 48 井加田委員 ここでちょっと資料配付をお願いしたいのですけれども。 49 宮本副委員長 許可いたします。  〔資料配付〕 50 井加田委員 各都道府県の子ども医療費助成制度の実施状況について、資料を配付しております。御承知のように富山県の制度は小学校就学前までですが、資料を見ていただきたいと思います。  入院については、ほぼ変わってないんですけれども、下を見ていただくと、小学校まで、例えば小3、小6、中学校まで、高校生までということで、過半数を超える都道府県が県の制度として小学校以上に対象を拡充している実態がございます。  また、通院のほうも見ていただきたいのですけれども、何と富山県は4歳未満の残る3県の中に入っておりまして、半分くらいの都道府県が小学校就学前までの引上げをしているという入院・通院の対象拡大状況でございます。こうした現状の中で見れば、この据え置いたままの県の制度については、46都道府県の中でも子ども医療費助成制度に関しては、富山県は随分後進県になってしまっているんじゃないか、こんな印象を持ちます。  国が2018年に未就学児助成に係る減額措置を撤廃したことで、その後、入院・通院とも小学校就学前まで拡充する県が増えたという実態であるかと思っております。富山県は従来どおりの制度のままになっているわけですけれども、ここに挙げた県やその県の市町村では、高校生までなどさらに支援対象を広げている事例が数多くございます。ですから、全国では対象年齢の拡充をすることに県が後押しをしていると言えると思っております。  少子化対策の一環であります本当に重要な政策だと思っております。県と市町村は、先ほど役割分担とおっしゃいましたけれども、その当時の状況とは事情も違うし、制度も違うし、要望も違っていると思っています。国に先駆けて県内一律に県と市町村が連携する形で、入院・通院とも高校生まで対象年齢を引上げていくべき、このように考えておるところですが、新田知事の所見をお伺いいたします。 51 新田知事 井加田委員、ありがとうございます。  私が読もうとしている答弁は、先ほどおっしゃったとおりの平成17年から平成19年に在り方を検討しましたと、そして市町村によっていろいろ差異がありますと、そして県は基盤的な制度を維持すると、そういうことになっていますが、まず、この状況はそうだとは思います。  委員の御指摘も十分分かりますが、子育て環境日本一というのを確かに私は申し上げております。これはトータルで考えるべきことであって、もちろん医療費の助成も大きな部分だと思いますが、一方で、子育てに関する様々なメニューというものはこれまでも拡充してきました。その一つは、子育て応援券の配付というもの、これは助成制度の見直しの際に所得制限をつくったことによりできた財源で開始し、年々拡充をしてきていることは委員も御承知のとおりだと思います。  ですから、もちろん医療費のことはとても大切な部分だと思いますが、でも、子育て環境をよりよくするというトータルのことで考える視点も大切なのかなと思います。今年度からさらに産後家庭の家事サポート使用に対して拡充し、モデル市町村と連携して支援にも取り組んでいることでございます。  繰り返しますが、子育てというトータルで考えた中で、いろいろなメニューを拡充していく、もちろんその中で医療のこともより充実させるにこしたことはないんですが、全体として子育て環境をよくしていきたいという視点で取り組んでおります。  ただ、委員おっしゃるように、もう10年以上たっているというのも事実でございます。市町村からそのような要望も多いとすれば、今後「ワンチームとやま」連携推進本部──別の視点で県と市町村の連携をどんどん良くしていこうということで立ち上げたいと考えており、準備を進めているところでございますが、そのような場で市町村の御意見をしっかりと聞いて、制度の在り方についてはさらに勉強していきたいと考えております。 52 井加田委員 ぜひ県民に分かりやすく、子育て環境日本一ということを実現させていく過程において、先ほど市町村とも御相談をしてということもおっしゃっていただいたわけですけれども、繰り返しますが、全国の都道府県の状況については提示させていただいた状況のとおりでございますので、トータルで考えていただくという中に、優先的に取り組んでいただければということを申し上げておきたいと思っております。  それから、関連いたしまして、とやまっ子子育て応援券の拡充について申し上げたいと思います。とやまっ子子育て応援券については、対象サービス拡充で若干利用率も向上しているわけですけれども、1割以上は利用されていない現状があります。利用率の推移と評価について、厚生部長にお伺いいたします。 53 石黒厚生部長 子育て応援券でございますけれども、平成20年10月から本年9月まで、市町村を通じて配付いたしました応援券は約10万1,200人分、金額にして約13億7,600万円となっておるところでございます。このうち、3年間の有効期間が満了した応援券の利用率につきまして、直近3年で見ますと、平成26年度発行分が86.2%、平成27年度発行分が88.7%、平成28年度発行分が87.8%となっておるところでございます。それ以前も含めまして、いずれの発行年度も80%以上、直近3年間ですと、80%台後半という高い利用率で推移しているということでございます。  応援券の配付対象者にアンケート調査を行っておりますけれども、利用された87.2%の方は、「満足している」との回答をいただいております。その理由として多かったのが、「任意の予防接種に利用できるのはありがたい」、「経済的に助かった」などの声を多くお寄せいただいているところでございます。  これまでも応援券につきましては、保健分野、保育・育児支援分野、いずれの分野においても幅広く利用されているところでございます。今後ともその利用できるサービスや利用方法等を記載したチラシ等も配布いたしまして、きちんと周知を図っていくこと、また、期限内の利用を呼びかけることにより、サービスを充実することと併せまして、さらなる利用率の向上に努めてまいります。 54 井加田委員 今ほど経過についておっしゃっていただいたんですけれども、3年で利用するということで、ありがたい制度ですので、大事に使うということで、使うきっかけを失って残っているものも若干あるのかと思います。  私が思うのは、そもそも子育て世帯への経済的負担の軽減が大事なことで、そうした場合に、使途を拡充はしていただいておりますし、例えば第1子、第2子、第3子と若干支給額に差がありますが、子育て応援を子供への直接支援につながる制度に見直して拡充してはどうかと考えております。  これも毎年要望させていただいているんですけれども、一律5万円程度の「誕生お祝い金」として、あるいは生まれた人にとっての生活必需品、例えば紙おむつの現物支給など、もう少し家計に寄り添った子育て世代の意見を取り入れた制度、アンケートではそういう結果が出ていますけれども、もうちょっと実際の子育てのママさんたちに少し実態もお聞きいただいて、直接子供に区別なく支援されるものに見直し、拡充すべきではないかと考えますけれども、新田知事の見解をお伺いしたいと思います。 55 新田知事 ありがとうございます。保育サービスや予防接種などに利用できる子育て応援券ですが、これは子育て世帯の精神的、身体的、そして経済的な負担の軽減に加えて、地域における各種の子育てサービスの利用促進を図ることも大きな目的にしています。ですから、県の一般財源を活用し、市町村と連携をして配付をしているものだということは、委員も御理解のとおりだと思います。  平成20年10月から配付を開始して、平成23年には有効期間の延長も行いました。そして、対象サービスの拡大なども順次行ってきているところです。子育て家庭のニーズを踏まえて使いやすい制度となるよう、改善を努めてきたところです。  90%という利用率は、世の中のいろいろなサービスがもちろんあるわけで、いろいろな分野で民間でもやっておりますが、90%というのはかなり高い利用率だと私は理解をしております。いろいろな積み重ねの成果だと思います。  また、子育て家庭に対する意識調査では、子供の数が多くなるほど子育てに係る経済的な負担を課題として挙げる割合が高いということで、第1子より第2子、第2子より第3子の金額、それぞれ2倍、3倍と増やしていっていることも御理解いただきたいと思います。  子育て世帯の経済的負担の軽減については、これまでも限られた予算の中で様々な施策を組み合わせて、必要な方に必要な支援を重点的に行ってきているところでございます。  子育て応援券には、先ほども言いましたように、地域の子育てサービスの利用促進という側面もあります。財政確保の課題と併せて考えますと、現金給付に切り替えることや金額を一律に引き上げることは実は難しいと考えておりますが、子育て家庭のニーズも踏まえて対象サービスの充実など、より利用いただきやすい制度となるように取り組んでいきたいと考えているところです。 56 井加田委員 先ほどの医療費助成の県と市町村の負担の在り方も踏まえつつ、トータルで私は駄目と言っているわけじゃないので、さらに県民の、とりわけ子育て世代の皆さんが、それこそ知事がよく言われるワクワク感を持って子育てに取り組んでいけるように、そういう背景となるような制度に、制度も10年経過しましたので、そういった意味では中間的にも一度検討いただいて、さらに充実するような制度にしていただければと思っております。  時間もありませんので、2問目の県職員の働き方改革についてお伺いをいたします。  令和元年度の主要施策報告書の中に、令和元年度実績では一般行政部門について、平成17年から平成31年4月までの15年間で、930人の削減目標を上回る972人、23.4%の職員削減数を達成して、その間の人件費の累積削減効果額は約2,038億円と記載してございます。  また、「令和2年度の行政改革の取組み」(令和2年2月)では、新たな行政需要に対しては見直し等により生み出した人員を必要性を厳選の上配置して対応する、また、県外被災地等への中長期派遣要員の確保と平時に技術職員不足傾向にある県内市町村の支援のため、別に3年間で10人の災害派遣枠を設けるとされております。  この間、職員の削減は相当程度進められてまいりました。現行の定員管理計画の中では、依然として行政の簡素効率化に取り組む必要から、平成31年4月当初の定員3,187人について3年間維持するという計画でございます。この15年間、ある意味では定員の適正化ということで、大変多くの削減が先行いたしました。結果、管理計画の目標を40人上回る削減が実行されてきたことになります。  もちろん新たな行政需要に対応しながら、必要な見直しを行った結果と考えるものですけれども、こうした簡素効率化で全国トップクラスの削減と評価をされる一方で、県職員の働き方の改革について、長時間勤務の実態や健康への悪影響も一方で危惧されてきたと思っております。  平成31年度からの定員管理計画の現状はどうなっているのか、新たな行政需要への具体的な人員配置等の考え方について、滝経営管理部長にお伺いします。 57 滝経営管理部長 今ほど委員から御指摘いただきましたとおり、今年3月に策定いたしました定員管理計画では、大変厳しい財政状況下ではございますけれども、削減を前提とはせずに、平成31年4月の職員数を令和4年4月までの3年間維持するということを目指したところでございます。  もともと三位一体改革以降、大変厳しい財政状況の中で、職員の方々にも大変な御努力をいただいて、職員数を削減してきたという経過があるわけでございますけれども、やはりそれは財政状況を考えるならばやむを得なかったところはあっただろうと思ってございます。  ただ、社会経済情勢や県民のニーズというのは常に変化をしておりますので、県政の重要課題、それから新たな行政需要の対応が必要な部分に対しましては、今ほど委員からも御紹介ございましたとおり、事務事業の見直し等により見直した人員の範囲内で、必要性を厳選の上配置するということを基本としているところは、現在も変わらないということでございます。  実際に今年4月の人員配置に当たりましては、例えば冬季国体スキー競技会、あるいはシアター・オリンピックス2019は終了しておりますので、そうしたものの担当については減員を行う一方で、新幹線の敦賀開業・早期大阪延伸に向けた取組の強化、子供・子育て支援の充実、5G利活用の推進、移住・UIJターンの促進といったような重要施策につきましては、総合的、戦略的に進める必要があるということから、重点的な人員配置や配置の見直しを行っているという状況でございます。  なお、今年度に入りまして、県内でも発生しておりますコロナへの対応ということもございますけれども、4月以降、本県でも感染者が増加しているという状況を踏まえまして、担当する健康課、あるいは衛生研究所の体制強化、それから、応援職員を中心とした対策本部事務局の設置、コロナ関係業務への緊急的な動員など、状況に応じて臨機応変に人事面での対応を行ってきたところでございます。  いずれにいたしましても、職員の方の健康管理に十分に留意をしながら、各職場の実情も十分把握して、効果的、弾力的な人員配置に引き続き努めてまいりたいと考えております。 58 井加田委員 ちょっと質問時間も残り少なくなってまいりましたので、少し質問を詰めてお願いいたします。  先ほど配付いたしました資料の裏側は知事部局における職員数と平均時間外勤務時間の推移ということで、これは2年前にもお示しさせていただきました。過去2年間については若干減少傾向ですけれども、しかし、これは平均なので、場合によっては1人当たり平均で400時間を超える、あるいは300時間を超えるところも相当数あり、なかなか縮減には至っていないと思っています。依然として時間外勤務が多い状況の中ですが、必要な人員を増やさずに新たな行政需要には配置の見直しで対応するという現行計画でございます。こうした中で、令和元年度の時間外勤務時間が月100時間以上、2か月から6か月で平均月80時間以上の厚生労働省が示すいわゆる過労死ラインを超える職員も相当数報告をされていると思っております。  そこで、厚生労働省が示す過労死ラインを超えて時間外勤務を行っている職員の過去数の推移及び健康保持のための対応について、その中で産業医はどのように指摘していらっしゃるのかも含めて御答弁いただきたいと思います。 59 滝経営管理部長 厚生労働省が示します月100時間、または2か月から6か月で月平均80時間の基準を超えて時間外勤務を行った職員数の過去5年間の推移でございますが、平成27年度から平成29年度まではおおむね延べ600人前後、平成30年度は延べ377人、令和元年度は延べ245人となっております。この2年間では大きく減少しているところであります。  こうした職員に対する保健指導につきましては、産業医が面接を行っておりまして、疲労の蓄積や配慮すべき心身の状況がないかなどの確認、あるいは生活指導を行うほか、当然所属に対しましても、業務量軽減などの事後措置の必要がないかを判断しているところでございます。  産業医のほうから事後措置の必要があると判断された職員につきましては、私ども人事当局と各所属が協議、連携をいたしまして、事務分担の見直しによる担当職員の業務量の軽減、バックアップ体制整備などの改善を行いますほか、必要に応じて保健師が定期的に面談を実施して、アフターフォローを行っているところでございます。 60 井加田委員 今年はコロナ禍ということで、新たな困難が降りかかっており、かなり逼迫した職場の指摘もさせていただきました。昨年度の働き方の実態は平時における実態であると思っています。ですから、定員管理計画を上回る職員数の削減の結果が時間外労働の増加につながっているのは確かかなと思いますし、上限時間が設定をされてもなお、平時における職員への負担というのは軽減をされていない、このように言わざるを得ないと思っております。  職員の健康障害の未然防止の観点からは、業務量に応じた適正な人員配置、業務の見直しや支援体制の構築など、実効性ある対策が求められると考えております。具体的な対策について、経営管理部長にお伺いします。 61 滝経営管理部長 時間外勤務の縮減に向けまして、具体的にはICTやAIの活用、繁忙期のオフィスサポートスタッフの増員、事務サポートセンターの設置といったようなことにも取り組んでおりますし、新たにパソコンの使用時間やタイムカードを利用した時間外勤務の正確な把握にも努めているところでございます。  また、御指摘がありましたように、今回のコロナウイルスのような危機発生時におきましては、これまでも担当部門の増員や会計年度任用職員の配置を機動的かつ柔軟に行っております。加えまして、例えば、今回の新型コロナ対応におきましては、事業持続化・地域再生支援金など県内事業者の方に対する支援金の支給業務といった一時的に業務量が急激に増大する業務につきましては、外部に委託するといったようなことで、職員の負担軽減を図りながら対応をしていたところでございます。 62 井加田委員 前提に申し上げました行政改革の評価ということについて改めて申し上げたいんですけれども、職員の削減数や人件費の削減効果のみを取り上げるのではなくて、一方では、職員が健康で働き続けることができる働き方改革の実現が求められていると認識しております。  過労死ラインという月100時間、それから、半年間で平均80時間を超える、あるいは、1月80時間という方もたくさんいらっしゃる。これはコロナ禍以前の平時の状況でございます。こうした、いわゆる過労死ラインの時間外勤務をまずは解消していく必要があると、このように思いますけれども、県庁が率先して法令を遵守していただくことが最も大事なことだと思っております。  知事にお伺いするんですけれども、新たな行政需要を現行の定員管理計画の中で達成するという現在の方針については、働き方改革の観点から見直していただいて、業務量に応じた適正な定員管理が求められていると思いますけれども、知事の見解を聞かせていただきたいと思います。 63 新田知事 ありがとうございます。行政改革というのは、納税者、タックスペイヤーである県民の皆様方への責任ということで、これは終わりがないことだと思っています。ただ単に人員や予算の削減ありきということではなくて、組織として県庁が簡素で効率的かつ総合的な組織になるように、そして、その結果、県の発展や県民の幸せにつながる仕事ができるように、そういう視点が重要だと思います。民間でいうところのコストパフォーマンス、幾らコストが下がってもパフォーマンスも一緒に、あるいはそれ以上落ちたら意味が全くないわけでありますから、その辺りのバランスをよく見ながら、でも、やはり行政改革というのは不断の努力を続けていかなければならない、これは変わらないことだと思います。  また、最近民間でもよく言うのは、顧客満足度というのが大切ですが、一方で、従業員満足度ということもよく言います。従業員が気持ちよく働けて、顧客の満足度も上がっていく。そして、エンゲージメントと言いますが、従業員の満足度が高まってその仕事に対する頑張りといいますか、これも発揮できる、そんなことだと思っています。ですから、委員おっしゃることはもっともだと思っております。  それで、職員の定員管理につきましては、これまでも県民の行政ニーズに留意してめり張りをつけながら取り組みを進めてきたと理解をしています。そして、去る2月に策定した一般行政部門の定員管理計画では、働き方改革による職員の健康保持やワーク・ライフ・バランスの観点にも留意して、先ほどもありましたように、約15年間削減を続けてきたトレンドを今回改めまして、平成31年4月の職員数を平成31年4月から令和4年4月までの3年間維持をするということを目指しているところでございます。それもどうか御理解をいただきたい。  また、時間外勤務の縮減については、ICTの活用や繁忙期のオフィスサポートスタッフの配置など、業務の効率化、簡素化に積極的に取り組んで、今年度の時間外勤務実績は10月末で対前年比9.2%減という実績も出ていることを御紹介します。  一方で、新型コロナウイルス対策など緊急に対応が必要な業務が生じたことは御理解をいただきたいと思っています。今回の新型コロナのような危機発生時においては、担当部門の増員、あるいは応援職員などの配置を柔軟かつ機動的に行うほか、業務の一部を外部委託するなど、職員の負担軽減を図ってきたことは、先ほど滝部長からもお話ししたとおりです。  コロナの影響で厳しい経済、財政状況にあることを踏まえますと、現時点で定員管理計画の見直しを行うことは困難だと考えておりますが、今後とも職員の健康保持等にも十分に配慮して、業務の効率化、簡素化に取り組むとともに、各職場、現場の実態もよくお聞きをして柔軟な人員配置を行い、時間外勤務の縮減に一層努力をしてまいりますことはここで表明をいたします。 64 宮本副委員長 井加田委員の質疑は以上で終了いたしました。  火爪委員、あなたの持ち時間は40分であります。 65 火爪委員 日本共産党の火爪弘子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  まず、2019年度決算について、新田知事の認識と今後の決意について、3問伺います。  1点目は、2019年度の県内経済をどう認識しているかという点です。前知事は今年2月段階でもなお「本県経済は緩やかに回復している」との認識でした。我が党は、県民生活の実態、地域経済の実際とは違うのではないかと批判をしてまいりました。その後、内閣府の景気動向指数研究会が7月30日に、「2018年10月をピークに景気は後退局面に入っていた。それまでの景気拡大期においても、賃金が上がらず、消費は伸びなかった」との見解を示しております。個人消費も、2014年の前回の消費税8%への増税以降と比較をいたしますと、2人以上の世帯の実質家計消費支出で、例えば昨年度の10月、11月、12月の3か月間を平均しますと、年額31万4,000円も減少をしております。2019年の年間のGDPは実質成長率で結局0.0%ということになりました。この点について、まず知事の認識を伺っておきたいと思います。 66 新田知事 富山県における経済情勢につきましては、個人消費をはじめ生産、雇用情勢など、主要項目中心に各種経済統計の県内データを収集分析するとともに、県内企業や団体の御協力をいただき、ヒアリングした結果や政府が毎月公表している月例経済報告も参考にしながら、本県としての景気の情勢を取りまとめ、毎月報告しているところです。  委員おっしゃった昨年、平成31年1月の予算編成時から昨年度末、令和2年3月までの本県の経済情勢につきましては、平成31年1月から4月までは、単に「緩やかに回復している」としたところですが、5月、6月には、2か月連続下方修正をしております。さらに12月には、「一部に弱さがみられるが、緩やかに回復している」と再度下方修正した上で、令和2年3月には、「このところ弱い動きとなっており、足下では新型コロナウイルス感染症の影響により、厳しい状況にある」とし、都合4度にわたり下方修正をしたところです。この傾向は多少の前後はあるんですが、内閣府が毎月公表している国の月例経済報告でも同じでございます。  なお、今年度に入ってからは、新型コロナの影響で大変厳しい経済状況となっていることは御承知のとおりです。今後とも新型コロナウイルス感染症の影響を含め、国の景気判断や経済動向も注視し、県内の経済情勢の把握に努めてまいりたいと考えております。  なお、今委員が御指摘をされたもう一つの内閣府の景気動向指数研究会のことでございますが、これは月例経済報告とは入れ込んでいる指標が違うんですね。例えば第3次産業活動指数や住宅着工件数、公共工事など、とても大きなGDPの割合を占めるものが景気動向指数には入っていないということもぜひ御留意いただきたい。結局研究会のほうは、後から前を振り返って、いわば歴史に残すというような趣旨だと私は思っております。ですから、それと必ずしも一致しないことは御理解いただきたいと思います。 67 火爪委員 一致しない数字がいろいろあるので、結局知事の実感としてどの数字を取るかという判断が大事だと思うんです。  私が先ほど申し上げました家計消費が大変厳しくなっているという状況の下で、2019年度予算の編成と運用に当たって、景気が回復していると県が表明をするということには異論がありますとずっと申し上げてまいりました。ぜひ地域経済を判断するときに、全体を見つつ、県民の生活実態、それから、中小零細企業、地場産業の困窮、そういうところにしっかりこれから目を向けていきたい、要望しておきたいと思います。
     次に移ります。  地方自治法は、第1条で地方自治体の目的を住民の福祉の増進を図ることとしています。先ほど井加田委員から御指摘があったとおりであります。今後知事にもぜひその姿勢が伝わるように堅持していただきたいと思っております。  その際に重要なのが、知事がとりわけ強調してこられたように、市町村の思いによく耳を傾けて、とりわけ県民生活に心を寄せて、福祉の増進に取り組んでいる市町村の事業を思い切って支援することに注力をしていただきたいということであります。  この後は井加田委員と同じことになるわけでありますけれども、例えば乳幼児医療費助成の対象拡大について、先ほど知事は子育て支援はトータルで考えていくとおっしゃいました。しかし、その中で医療費助成制度というのは、県民の要望も強いですし、先ほど指摘があったように、今年度でも県内8自治体から実際に重点要望項目として挙がってきている大事な問題であります。  しかし、今回の決算では、いまだ約3億7,000万円、通院で3歳までというのは、先ほど指摘があったとおり、ほぼ全国最低、予算額で見ても全国最低であります。ちなみに、決算に占める民生費の割合も、2017年度決算でいいますと、全国37位です。  私は、今後の県政の大きな課題として、市町村とよく話し合って、この医療費助成、福祉分野について、新たな展開を真剣に検討していただきたいと思っております。知事に伺います。 68 新田知事 市町村とよく意見交換をしてという御指摘は全くそのとおりだと思いますので、そのためにも今「ワンチームとやま」連携推進本部(仮称)を設置するべく各市町村にもヒアリングをしておりまして、おおむね前向きな御返事もいただいているところで、その場でこの件につきましてもよくよく話し合っていきたいと考えています。そんな市町村に寄り添うという姿勢でまいりたいと思います。  そしてまた、今の医療費助成制度につきましては、これは国のことにも関わってくると思います。国の責任においてこのような制度も創設していただくということも全国知事会とも連携して働きかけてまいりたいと考えております。  いずれにしましても、今の制度もそれなりに経年しておりますので、制度については一層勉強していくことはここで表明しておきたいと思います。 69 火爪委員 大事なお答えをいただいたと思っています。子ども医療費助成制度を含む県単独医療費助成制度、特に子ども医療費助成制度については勉強していただくということで、ワンチームの中で市町村と協議をしていただくということを明確にお答えいただきました。今後市町村、それから県民と一緒に、この制度の拡充のために議会側も取り組んでいきたいと思っております。  次に移ります。  県債残高の話も亀山委員からお話がありました。お話があったとおりであります。2018年度決算の全国比較でありますけれども、歳出総額に占める公債費支出の割合は全国1位、同じく歳出総額に占める県債残高の割合は全国2位というのが冷厳な現実であります。  我が党は、北陸新幹線建設費の地元負担を進んで引き受けた自民党県政を正面から批判してまいりました。新幹線は、国家プロジェクトとして国の責任で財源を確保すべきものでした。また、近年でいえば、安倍内閣の地方創生の様々な事業、様々な国のプロジェクトに積極的に手を挙げるあまり、その県負担分が重なるという課題もあったのではないでしょうか。きちんと地に足をつけて、本当に必要な政策を選択していくという姿勢を新しい県政に要望をしたいと思っています。  しかも、今年度はコロナ感染の影響で税収も大幅に減少し、財政運営は厳しくなっています。しかし、今後も民生費の増大は避けられません。その中で知事は、来年度に向けて、また選挙の中でも、令和の公共インフラ・ニューディール政策と称して関連事業を前倒しする姿勢を表明されています。  明確にこの予算を増やすと公約をする場合は、どこを削るかということを具体的に示す必要があると思います。細目で示せなくても、どういうところを削ってどういうところを積み上げていくのかという姿勢をアピールするということは大事かと思っています。  2019年度決算の県債残高や公債費の現状を直視し、今後公約実現にどう取り組んでいかれるのか、伺っておきたいと思います。 70 新田知事 ありがとうございます。  まず現状認識ですが、県債残高につきましては、今委員のお話にもありましたように、北陸新幹線の整備、また、本県の地勢的特性から河川整備、砂防事業等の事業費がかさむことなどから、累次の行革努力により2019年度末で5年連続減少となっておりますが、依然として高い水準で推移しているということです。  一方で、こうした積極的な投資によって、本県の社会資本整備は着実に進んでおりますが、近年全国各地で大規模な災害が頻発している状況を踏まえますと、災害に強い道路の整備や河川改修、土砂災害対策、社会インフラの老朽化対策など、県民の安全・安心の確保や本県のさらなる成長、発展に向けて取り組むべき事業はまだまだ多くあると思います。  県としては、引き続き各地域のニーズや県民の皆様の要望を踏まえつつ、事業の緊急性や必要性、効果等を十分勘案し、選択と集中により計画的に社会資本整備を進めていくとともに、これらの整備に必要な財源の安定的、継続的な確保を国へ強く要望してまいります。  県債残高につきましては、県財政の健全化の観点から、原則として減少させていくという方向性は必要だと思いますが、一方で、現在コロナ禍で低迷する県内経済を早期に回復させ、急減している県税収入の早期の増収を期待する観点からは、県債残高につきましては、一時的に増加することもちゅうちょせず、選択肢に含めたいと考えております。今後の予算編成において柔軟に考えていきたいと考えております。  また、県としては、県庁全体で不要不急の事業を見直し、新規発行の抑制や有利な県債を発行するなど、将来世代の負担に十分配慮した持続可能な財政運営に努めていきたいと考えております。 71 火爪委員 一旦増えることもあり得るというお話でありましたが、その賛否は別にしまして、県民の身近な生活道路や公共事業、治水や、先ほど来お話がある民生費、福祉に関わるようなものを削減することのないように要望しておきたいと思います。  次に移ります。  それでは、教育長に1問伺っておきます。  コロナ対策も手伝って、デジタル化の促進がうたわれております。最近の予算でも一気に様々なデジタル機器の導入、GIGAスクール構想なども含めて、多額の予算が計上されております。行政ですので、年度内に予算を消化しなければならないという事態がしばしば起きているわけでありますけれども、特にデジタル機器については、年度内に調達が至上命題になっているからといって、慎重を欠いた調達はあってはならないと思っております。  例えば、今回の決算の中に、教育委員会がリース調達した県立学校の職員執務用パソコン1,700台の経費が含まれています。しかし、今回教育委員会が調達したパソコンは、Windows10であったにもかかわらず、メモリの容量が4ギガバイトとなっていたために、なかなかソフトなどが立ち上がらないなど、教育業務に多大な障害を与えることになりました。しかも、現場からの指摘があったにもかかわらず、対応が非常に遅かった。今回の事態がこうなった要因を教育委員会はどう考え、今後どう対応し、そして、再発防止にどう取り組んでいこうと思われているのか、伺っておきたいと思います。 72 伍嶋教育長 今ほど委員から御紹介のありました昨年末に更新のために各県立学校に配備いたしました執務用パソコンについて、起動時に時間がかかる、あるいは動画を編集する場合など大きな負荷がかかる状況において処理速度が遅くなることから、今後動作環境の改善を図る方向で取り組みたいと考えております。  また、パソコンの動作環境の不具合の要因ですけれども、これまで教育委員会では県内の8つの高校を訪問しまして、その動作状況等の調査を行ってまいりました。その結果、例えば、各学校現場で使用する用途がデジタル化に対応した授業を行うための動画や、あるいは画像、写真を編集するなど、大きな負荷がかかる業務が当初の見込みよりも多くなったことにより、例えば、委員から紹介がありました装備した4ギガのメモリ容量ではなかなかパソコンの動作環境が十分に確保できなかったことなどが支障を来した要因と考えております。  このため、今後のICT機器の調達に当たりましては、活用する業務に対して適切な処理能力を有し、業務の改善につながる仕様となりますよう、教育企画課内に設けています仕様策定委員会におきまして、各学校現場からの意見を聞く機会を設けることとしたいと思っています。  また、入札方法の見直しにつきましても、単なる価格だけではなくて技術点を考慮して納入業者を決定する総合評価一般競争入札を導入して、実際に機器を操作する教員に技術審査員として参加してもらうなど、利用者の意見を確実に調達内容に反映できるように検討を進めてまいりたいと考えております。 73 火爪委員 教育長、改善に取り組みたいと考えているというお話がありましたが、年度内に改善していただけるんでしょうか。 74 伍嶋教育長 このことについては、そのような方向で迅速に対応してまいりたいと考えております。 75 火爪委員 よろしくお願いします。  このことは教育委員会だけではなくて、デジタル化の促進作業に関連して、全庁的な今後の戒めにしていただきたいと思っています。  次に移ります。  観光の振興について、3問伺っておきます。  県内観光については、安倍内閣の観光戦略に沿ってひたすら稼ぐ観光や外国人観光客誘致を強調した進め方に、私はしばしば異論の声を上げてまいりました。担当の常任委員会でも、地元住民や地元観光業者の誇りや利益、自然環境を大事にした「住んでよし、訪れてよし」の本来あるべき観光振興を、業者は稼ぐというのは大事なんだけれども、県はこういう立場を忘れてはならないと提起をしてきたと思っております。  そこで、「立山黒部」ホテル・旅館ハイグレード化促進事業についてです。先ほど亀山委員からも御指摘がありました。亀山委員とようやく同じ認識、同じ意見になってきたかなと思って、大変先ほどの質問をうれしく聞きました。  昨年の決算特別委員会の際に、私は2年間実績がないことを取り上げて、改善を提起しました。要望指摘事項にも取り上げていただきました。それはよかったと思います。ところが、今年度その要望指摘事項に対する措置状況について、観光・交通振興局長の報告を聞いていて、大変驚きました。  この補助事業の規定として、内規ですが、昨年度から既に、過去5年間以内に著名な格付機関から高い格付を付与されたホテルブランドを使用するもの、または価格が平均単価1泊4万円以上との規定があったことが明らかになりました。  実をいうと、昨年の決算審査の過程やその後の常任委員会で、この制度の規定について私は質問しているんです。ハイグレード、ハイエンドというのは、結局どういう規定なのかと質問した。私の質問に対して、当局は、今年説明があった内規について、かたくなに説明を避けました。新聞記事にもなりましたので、覚えておいでの方もおられるかと思っています。私は、決算審査に対する県当局の姿勢の在り方として、これでいいのかと、今年の決算審査の中で改めて思ったわけであります。局長の見解を伺っておきます。 76 中谷観光・交通振興局長 先ほど亀山委員にお答えした答弁の繰り返しが一部ありますことをお許しいただきたいと思うんですが、県では国内外から訪れる観光客の多様なニーズに対応するために、平成30年度からよりハイグレードな宿泊施設の整備の支援を予算計上してきているということでございます。なかなかホテルや旅館の新築、改築というのは大きな投資になりますので、事業者が慎重な検討をされる。なかなか実際の提案には至らないということもありまして、令和元年度には関係事業者が参加いたします県事業の説明会におきまして、予算計上していることの周知や、立山黒部地域の宿泊事業者の皆さんの御意見も伺いまして、今年度改築については要件を緩和するなどして制度の明確化を図ったというところでございます。これは先日申し上げたところでございます。  昨年、私は観光・交通振興局にいなかったんですが、どうも昨年の11月の決算審査の時点では、事業者のニーズを把握するなど、それまでの予算編成過程で想定していた補助要件の再検討、それから、他県の状況も踏まえた詳細な内容についての検討を続けていた段階だったことから、委員への説明が至らなかったと伺っております。  昨年度この見直しの議論がありまして、実際に県内の宿泊事業者から補助の活用について御相談をいただいていたということで、今年見直しをしたということなんですが、昨年度末からの新型コロナの影響によりまして、経営環境が大きく変化しております。今後地域の宿泊事業者の御意見も伺いながら、要件も含めまして、本事業が効果的に利用いただけるように検討してまいりたいと考えております。 77 火爪委員 質問に答えていませんよね。私が伺ったのは、どうして昨年議会で正式に問われたときに、この事業内容について、固まっていないかもしれないけれども、こういう内規があるんだという答弁をしなかったのかと聞いたんです。 78 中谷観光・交通振興局長 大変恐縮ですが、その時点ではいろいろ検討されていたということで、説明が至らなかったと聞いているところでございます。 79 火爪委員 ぜひ今後の戒めにしていただきたいと思うんですよ。大分聞いたんですよ、去年。そのときは前の局長だったんで、僕は知らないと言わないように。ちゃんと県庁の仕事は引き継いでいるわけですから。  私はこの事業について、ずっと疑問を呈してきたので、答弁をしづらかったのかもしれませんけれども、それこそ2年間使われていないということも決算審査の中で明確に説明がなかったのはおかしいんじゃないかというやりとりが前段にあるんですよ。だから、ぜひ一緒に考えていくという姿勢で、胸襟を開いて議論をしていきたいと思っています。  そこで、本来の質問はこの次ですけれども、昨年の決算特別委員会の指摘を受けて、地元業者にも補助をしやすく、リニューアルということで要綱が改定されたことは良かったと、大変評価をしております。しかし、肝心の部分が改善されていないのではないかと。  私は、国立公園内に新たにハイグレードの宿泊施設を建設、新設することには賛成できないとずっと述べてまいりました。しかも、わざわざ県外ブランドの業者を呼んでくるということには重ねて賛成できません。ほかの地域はいざ知らず、立山駅から上の国立公園内の自然を厳格に守るこれまでの立山らしい観光スタイルこそ私は世界ブランドだと思っているからであります。局長に見解を伺います。 80 中谷観光・交通振興局長 立山黒部地域の国立公園内におきましては、歴史があり、かつ質の高い山小屋やホテルが営業されております。県としましては、それらの老朽化も踏まえまして、安全や自然環境にも十分留意しながら、国内外から訪れる観光客の多様なニーズに応えられるようにすることが大切であると考えております。  「立山黒部」世界ブランド化推進会議では、立山黒部地域の宿泊施設の整備に関しまして、滞在の拠点は山の上よりも自然の改変が少ない下に置いたほうがよいという御意見がございます。また一方で、現在国立公園内にある施設の老朽化も踏まえまして、宿泊される方の幅広いニーズに応えられる品ぞろえが大事といった御意見もいただいているところでございます。  また、現在国の中央環境審議会におきまして、国立公園を含む自然公園制度の今後の在り方につきまして、自然を保護しつつ、地域資源としての価値を活用、向上させる好循環を生み出すという方向で議論がなされていると聞いております。  県といたしましては、今後の国の動向を注視するとともに、引き続き民間事業者や関係市町と協力をいたしまして、自然環境の保全にも十分配慮しながら、立山黒部の世界ブランド化を推進してまいりたいと考えております。 81 火爪委員 さて、新たな観光振興戦略プランの策定作業が進んでいると思っております。今年度はコロナがあって仕方がないわけでありますけれども、これまでの新・富山県観光振興戦略プランの令和元年度の実績と目標と比較をしますと、コンベンションの誘致以外はかなりの開きがあると認識をしております。延べ宿泊者数で目標520万人に対して、令和元年度380万人、外国人宿泊者数でいっても、目標56万人に対して32万8,000人、私が特に重大だと思うのは、満足度ですよね。平成26年71.0%で目標は81%以上なんですが、令和元年は66.4%、かなり開きがあると思っています。  私は無理をして背伸びをすることは、先ほど来言っているようにいいとは思っておりません。状況に応じては目標が現実離れしていたんじゃないかとも思っているわけであります。  私はこれまでも常任委員会の中で、新しい観光振興戦略プランの策定に当たっては、キャッチフレーズを見直したらいいんじゃないのとか、もっと地産地消を重視して、地元調達率の可視化に取り組んだらどうかなど、いろいろ提案をしてきたつもりであります。国の方向は方向なんですけれども、一旦立ち止まって、現実的かつより積極的なプランをつくっていただきたいと期待をしております。これまでの実績をどう認識し、新しいプランの策定にどう取り組んでいくのか、局長に伺います。 82 中谷観光・交通振興局長 先ほど永森委員にも少しお答えいたしましたが、県ではこれまで、平成27年度に策定いたしました新・富山県観光振興戦略プランに基づきまして、本県観光の振興に取り組んでまいりました。計画策定時に掲げた指標のうち、今御指摘をいただきました観光消費額や外国人宿泊者数については目標の達成には至りませんでしたが、昨年度までは北陸新幹線の開業効果、それから訪日外国人旅行者の増加によりまして、おおむね増加基調で推移してきたところと考えております。  現在このプランが5年を経過しておりますので、本県観光の発展に向けました新プラン策定に向け、本年7月に設置いたしました有識者、それから関係事業者の皆さんによる会議におきまして、ウイズコロナにおける観光振興に加え、中長期的な視点に立った選ばれ続ける観光地域づくりや、ターゲットに応じた観光プロモーション、デジタル技術の活用など、その方向性について御議論をいただいているところでございます。  会議におきましては、例えば、今委員御指摘のような地域が潤っていく域内調達や、地域を挙げての観光などの御意見もいただいております。引き続き策定会議における検討に加えまして、県議会、それから市町村をはじめ関係団体のほか、11月補正予算案に設置が盛り込まれております富山県成長戦略会議における御意見等も踏まえながら、指標の項目、目標値も含めまして、新たなプラン策定を進めてまいりたいと考えております。 83 火爪委員 なかなか素直でないというか、確かに減少はしていませんが、満足度は落ちていますよね、さっき指摘したように。私は全体として外国人宿泊者数は国を挙げてやってきたので、落ちるわけないわけで、それはいいんですけれども、目標と現実の開きをどう見ているのかと伺ったわけで、一つ一つちゃんと深い分析をして、県民や議会も納得させられるような、ぜひ答弁や対策を今後期待していきたいと思います。頑張ってください。  次に移ります。  土木事業に関連をして土木部長に伺います。  2019年の予算審議の中でも、我が党は必要な民生費を増額し、不要不急の事業は厳しくカットすべきだと提起をしてまいりました。最低限、我が党は利賀ダムの建設費負担金、国道8号線豊田新屋立体の直轄事業負担金、富山市中心市街地再開発事業補助金等々、現実に即して見直しが必要だと提起をしてきました。この間、いろいろ言ってまいりましたので、今日は富山市中心市街地再開発補助金について取り上げておきたいと思います。  予算審議の過程で問題点として挙げたのは、1つは、県外大手開発事業者主導の民間事業であり、多額の県補助金支出に疑問がある。県内の事業者を必ずしも潤していないという問題です。2つ目には、合併前の富山市の周辺部がやはり廃れてきているというか、優遇されていないんじゃないかと。合併前の富山市に偏った、全県という点でも地域バランスを欠いているんではないかと。3つ目に、高層マンションに偏った再開発が決して地元の商店街や地域の活性化につながっていないことなどを指摘してまいりました。  今回の決算を見ても、補助金を支出して再開発ビルやマンションがいっぱい建っているわけですけれども、例えば西武デパートの跡地の総曲輪三丁目再開発ビルは、昨年5月に竣工しました。見てまいりましたが、いまだ1階の重要場所のテナントが決まっておらず、3階までのオフィステナントも全く埋まっておりません。県予算の使い方がこれでいいのか、疑問に感じているわけであります。  そこで、確認でありますが、富山市中心市街地再開発事業のこれまでの総事業費と、そのうちの県の補助金総額、そして、事業効果をどう認識しているのか、伺っておきたいと思います。 84 江幡土木部長 委員御指摘の市街地再開発事業につきましては、防災や土地の高度利用のために、再開発を行う市街地再開発組合や民間事業者に対して市町村が補助金を交付し、支援する事業でありまして、県では、その市町村が補助する額の4分の1ないし5分の1を市町村に補助しております。  富山市中心市街地の再開発事業につきましては、民間主導による事業が進み始めた平成16年度から令和元年度までを見ますと、事業を実施した地区は11地区──計画策定中の中央通りD北地区を含めておりますけれども──の総事業費(実績額)の合計額は約819億2,000万円となっております。これらに対しまして、県が富山市に交付した補助金は、令和元年度までで総額約48億7,000万円となっております。  これらの再開発事業によりまして、図書館やガラス美術館、総曲輪フェリオやパティオさくらなどの公共施設や商業施設が整備され、新たな拠点となっております。また、中心市街地に700戸の住宅が供給されまして、交流人口の拡大、またにぎわいの創出など、中心市街地の活性化に効果があったものと考えております。  県としましては、今後とも富山市のみならず、市町村が進める魅力と活力あるまちづくりの推進を支援する観点から、市町村と十分に協議しながら再開発事業の適切な支援に努めてまいりたいと考えております。 85 火爪委員 48億7,000万円、約50億円ですよね。にぎわい創出に効果があったと言われましたが、本当にそう思いますか。マンションにお住いの方は地元の商店街でお買物をなさいません。グランドプラザなどでイベントがあったときは通りも少しにぎわっているように見えるんですけれども、本当の地元の活性化、商店街の活性化にプラスになっているとは私には到底思えません。再考を求めておきたいと思います。  最後に、知事に伺っておきます。  昨年度に新とやま温暖化ストップ計画を策定しております。ところが、年度末の3月になりまして、県を含む三者で、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目指すとやまゼロカーボン推進宣言をすることになりました。異常気象による風水害も相次ぎ、世界的な温暖化対策の機運も広がる中で、当然の宣言だったと思っております。しかし、そうなると、作成したばかりの新とやま温暖化ストップ計画で掲げた目標でいいのかと問われることになりました。2030年までに温室効果ガス30%削減というのが昨年つくった計画の目標ですけれども、これで2050年にゼロカーボンは実現できるのでしょうか。  世界的にはこの10年の取組が大事だと言われております。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が産業革命前より1.5度以内に地球の気温上昇を抑えるために提起している目標は、2030年までに2010年水準から45%削減です。これは2010年水準からに45%であって、その後増えているんですよね、日本は。2013年比に直せばどうかということも検討をしなければならないわけであります。  それから、2030年に30%削減を目標としたといっても、ここ4年間で削減した率は5%ぐらいです。わずかなわけです。まだまだ足りないと。中身の見直しも必要なんじゃないでしょうか。  国連が決議したSDGs、知事もバッジをつけて、民間事業者としては大変取り組んでこられたと思うんですけれども、石炭火力発電の停止や節電、再生可能エネルギーの飛躍的拡大など、新とやま温暖化ストップ計画の目標とともに充実する必要もあるのではないかと思っています。新田知事が県政の最重要課題の一つとしてどう取り組んでいくのかと、あわせて見解を伺っておきたいと思います。 86 新田知事 ありがとうございます。  時系列で言いますと、今おっしゃったように、昨年8月に新とやま温暖化ストップ計画を策定、これが30%という話です。その後今年3月に、2050年までに実質ゼロを目標としたとやまゼロカーボン推進宣言を関係の団体と共同宣言しております。その後飛びますが、直近には、菅総理が所信表明演説で2050年カーボンニュートラルということをおっしゃいました。一昨日お会いした際も、大変に力を込めておられました。それから、経済産業省の幹部を訪問した際も、資源エネルギー庁だけじゃなくて皆さん全員が口々にそのことをおっしゃいました。かなり気合が入っておられます。当然当県の計画も今後必要な見直しを検討してまいりたいと考えております。  今年はコロナがあって多分下がってしまいます。エネルギー業界ではよく不況が最大の温暖化対策と、ちょっとブラックに言いますが、これではいけないわけでありまして、温暖化対策が最大のイノベーションであり、最大の新産業創出策にならなければいけない、菅総理もそういうお気持ちだとおっしゃっていました。これを決して重荷と捉えるのではなく、チャンスとして、富山県でも新しい産業の創出につなげていく、そういうふうな気合で臨んでまいりたいと考えております。 87 火爪委員 ありがとうございました。終わります。 88 宮本副委員長 火爪委員の質疑は以上で終了しました。  ここで換気のため、暫時休憩いたします。休憩時間は10分間といたします。 89 稗苗委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  吉田委員、あなたの持ち時間は40分であります。 90 吉田委員 公明党より質問させていただきます。  初めに、防災・減災・国土強靱化対策につきまして、3問質問させていただきます。  本県でも豪雨、それから河川の氾濫、土砂崩壊など、自然災害の頻発化、激甚化にさらされております。コロナ禍にあっても激甚化する台風災害や豪雨災害などから県民の命と暮らしを守るため、防災・減災対策、国土強靱化を引き続き強力に進めなければなりません。  政府の骨太方針にも防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策終了後の中長期的な取組の方針が明記されました。また、11月10日の閣議におきましては、菅総理から、防災・減災、国土強靱化の推進などを柱とする第3次補正予算案の編成について指示があったところであります。近年の自然災害の発生状況を踏まえると、まだまだ対策が不十分なことは明らかであります。  そこで、本県でもこの3か年の緊急対策におきまして、治水対策、土砂災害対策などの防災・減災事業が大幅に進捗したとは思いますが、これまでの進捗状況をどう評価し、防災・減災、国土強靱化緊急対策をこの3か年で終了させることなく、来年度からさらに5年間、新たな計画を策定し、インフラ老朽化対策なども含めて必要十分な予算を確保するため、どのように国に対して働きかけをしていくのか、令和の公共インフラ・ニューディール政策を掲げておられる新田知事の所見を伺います。 91 新田知事 吉田委員、ありがとうございます。  近年、全国各地で大規模な災害が頻発している状況を踏まえまして、本県でも国の防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策を大いに活用し、道路事業で98か所、河川事業で30か所、ため池事業で17か所など、3か年全体で302か所において防災・減災対策に取り組んでまいりました。  このうちの6割に当たる183か所が今年度までに完成の予定です。うち31か所は完成が1年前倒しとなっています。また、残る119か所についても事業が進捗しており、この3か年緊急対策により、災害に強い県土づくりが着実に進んだと理解しています。  こうした災害に強い道路の整備や河川改修、土砂災害対策、農業水利施設の防災・減災対策、社会インフラの老朽化対策など、県民の安全・安心を確保するための事業は今後とも計画的に取り組む必要があります。このため、県では、令和2年度までとされている国の3か年緊急対策後も、社会インフラの老朽化対策など対象事業の拡大や、事業期間を5か年とした別枠による予算の確保など、国土強靱化のために必要な財源を安定的、継続的に確保されるよう、国への重要要望や全国知事会などの場を通じて要望しているところです。  県としましては、令和3年度以降も防災・減災対策を含む社会資本整備を着実に進めるため、必要な公共事業者の確保について、県議会や国会の先生方と一致団結して、また、市町村や関係団体等ともしっかりとスクラムを組んで、引き続き国に強く働きかけていく中で、委員おっしゃっていただいた令和の公共インフラ・ニューディール政策の進展も図ってまいりたいと考えております。 92 吉田委員 本当に前向きの答弁、ありがとうございます。とにかく防災・減災は政治の主流にまで上げてもいいくらいだと私自身は思っておりますので、しっかり頑張っていただきたいと、このように思っております。  次にまいります。  昨年は台風被害が相次ぎ、今年も7月豪雨により、熊本県をはじめ九州や中部、それから東北などで甚大な被害をもたらしました。政府は新たな取組として、全国の109の一級水系を対象とした流域治水プロジェクトを表明いたしました。言うまでもなく、富山県の歴史は水を治めてきた治水の歴史でありまして、昨年度決算を見ても、河川改修などを行う河川海岸費で200億円以上を支出しているところであります。全国で今年度中に策定予定の流域治水プロジェクトの実行に当たりましては、縦割りを打破し、国と地方のみならず企業や住民も巻き込み、流域全体の関係者が一体となって、ハード、ソフトにわたる水害に強い地域づくりを着実に進めていくべきと考えます。  全国各地で豪雨による河川の氾濫や土砂災害等の甚大な被害が発生しており、本県におきましても治水対策は非常に重要な課題でありますが、これまでの県の取組をどう評価し、今後どのように取り組んでいくのか、江幡土木部長に所見を伺います。
    93 江幡土木部長 本県には、全国屈指の急流河川が多くありまして、過去に大きな被害を受けてきたことから、これまでも洪水を安全に流すために、川幅の拡幅や堤防のかさ上げなどの河川整備、また、洪水時の水位を低下させるダムの整備、土石流を捕捉する砂防堰堤の整備など、治水対策を積極的に進めてきたことによりまして、浸水等の自然災害の低減が図られております。  しかしながら、近年全国では災害は激甚化、頻発化しておりまして、国ではこれを踏まえ、堤防などの施設だけでは防ぎ切れない洪水が発生することを前提に、全国全ての一級水系において、あらゆる関係者が協働して、流域全体で早急に実施すべき対策の全体像を流域治水プロジェクトとして示すこととしております。  本県においても、神通川など5水系におきまして、県や市町村などとの協議を踏まえて、今年度末頃までに策定し、公表することとしております。  県としましては、流域治水プロジェクトに位置づけられた堤防などの施設整備を引き続き推進するとともに、住民が行うマイ・タイムラインの作成に対する支援や、市町村等が行う雨水排水施設等の整備、電力会社が行う利水ダムの事前放流などにおいて積極的に連携を図るなど、流域全体の関係者が一体となった治水対策に取り組んでまいります。 94 吉田委員 とにかく想定を超えるというのが現状でございますので、今のところ富山県におきましては、急所を外れているような状況で、直接的な被害は出ていないところでありますが、いつ何時来るか分かりませんので、ぜひ流域治水プロジェクトを頑張っていただきたいと思っております。  この防災・減災の最後のところでありますが、本年7月豪雨の被災地、熊本県におきましては、気象庁防災対応支援チーム(JETT)など専門家による気象情報の分析や解析などを通じた市町村への支援が重要な役割を果たしました。また、災害発生地域において、地方気象台OBなどローカルな気象災害情報に精通した人のアドバイスが的確で有益だったといわれております。  災害時には、気象情報の分析や解析が重要であることから、気象の専門家である地方気象台と平時から連携を密にするとともに、災害時における初動対応体制の構築が重要と考えますが、これまでの取組をどう評価し、今後どのように取り組んでいくのか、砂原危機管理監の所見をお伺いいたします。 95 砂原危機管理監 災害時に県や市町村が適切な対応をとるためには、防災気象情報を迅速に入手し、災害対応に活用することが非常に重要でありますことから、県では日頃から気象の専門家であります気象台との連携に努めております。具体的には、本県に大型の台風が接近する場合など災害発生の可能性があるときには、気象台から職員を県に派遣していただき、危機管理連絡会議等の場におきまして、直接気象状況や警戒ポイントの解説をしていただいております。  また、例えば県内で震度6弱以上の地震が発生したり、昭和59年のような豪雪に見舞われたりしたときは、災害対策本部を設置することになっておりますが、こうした場合にありましては、気象台の職員が速やかに県庁に駆けつけ、常駐し、気象情報の分析や解説を行い、県の災害対応を支援する体制を整えていただいております。  さらに、平時におきましても、県の総合防災訓練や原子力防災訓練など各種訓練や、県総合雪対策推進会議などに参加いただきますとともに、県と合同で防災気象講演会を開催するなど、顔の見える関係の構築に御協力いただいております。今後とも県と気象台との連携を深め、協力関係をより密接なものとなるよう努めてまいります。 96 吉田委員 熊本県では気象庁防災対応支援チームが大変よかったという声が出ておりますので、またぜひよろしくお願いしたいと思います。  次にまいります。  ドクターヘリの安定・持続的運用についてお伺いをいたします。  ドクターヘリは道路事情に関係なく、医師や看護師を乗せて時速200キロで現場に急行し、患者を機内で治療しながら医療機関に搬送できます。2001年の本格運航以来、これまで全国43道府県に53機が配備されております。搬送件数も年々増加し、2018年度には2万9,000件を超えました。7月に九州地方を襲った豪雨被害でも出動をしており、空飛ぶ治療室の役割は着実に増しております。  一方、ドクターヘリの要請、そして出動件数の増加に伴い、整備費や燃料代、さらにはスタッフの人件費などの諸経費増に直結するため、運航事業者の費用負担は年々重くなっていると聞いております。  そこで、本県のドクターヘリの運航に係る現状の課題をどう認識し、ドクターヘリが今後も救命救急の切り札として引き続き多くの人命救助に貢献するとともに、安定的かつ持続的な運用ができるよう、どのように取り組んでいくのか、石黒厚生部長の所見をお伺いいたします。 97 石黒厚生部長 ドクターヘリにつきましては、平成27年8月に運航を開始したところでございますけれども、通年運航となった平成28年度の出動件数は、年間で730件、運航可能日1日当たり平均で2.0件でございました。昨年、令和元年度につきましては、年間で749件、1日当たり2.4件と増加してきているところでございます。  これは運航開始から5年が経過いたしまして、基地病院や消防機関等との連携が進み、ドクターヘリを活用した救命救急医療活動が着実に浸透してきたことが反映されているものと思っております。  一方、ドクターヘリの運航経費につきましては、運航業務の委託契約時に国の基準額を参考に入札を行って契約を締結しているところでございますが、当初の見込みより出動件数が多いことや燃料費の高騰等から、運航業者からは運航経費の増嵩を認めてほしいという要望も時折あるわけでございます。令和元年度につきましては、国の基準額の変動等も踏まえまして、途中で委託料の増額も行ってきたところでございます。  現在厚生労働省におきましては、令和3年度の概算要求において、ドクターヘリの運航の実態に対応した基準額の見直しを要求しておるところでございます。県といたしましては、こうした国の動向も注視するとともに、運用を工夫するなど運航事業者に過度の負担にならないよう配慮に努めるなど、ドクターヘリを活用した高度救急医療体制が今後も安定的、持続的に提供できるようしっかり取り組んでまいります。 98 吉田委員 ぜひ安定的、そしてまた持続的な運用に努めていっていただきたいと思います。東京都ももうそろそろ入れるという話でございますので、全国的に導入していないところはもうほとんどないくらいになってきておりますので、しっかり安定的な運航ができるように、よろしくお願いしたいと思います。  次に、少子化の克服(不妊治療への支援)について伺います。  昨年の合計特殊出生率は1.36と、4年連続で低下し、出生数は86万人と、初めて90万人を下回りました。少子化は想定を上回るスピードで進んでおり、抜本的な対策が不可欠でございます。そのためにも不妊治療につきまして、早期の保険適用や公費助成の抜本的な拡充に向けて、検討を加速化する必要があります。その一環として、不育症についても検査・治療方法の確立を急ぎ、有効性、安全性が認められたものは速やかに保険適用すべきであり、保険適用に向けて国に求めていくべきと考えます。  本県におきましては、国に先駆けて特定不妊治療費助成制度を創設し、全国でもトップクラスの不妊治療、不育症治療の助成を行っていると認識しておりますが、これまでの取組をどう評価し、不妊治療の質の向上や仕事との両立、相談支援、死産、流産の悲しみに寄り添うグリーフケアなど、さらに幅広い支援の充実も求められている中、今後県としてどのように取り組んでいくのか、石黒厚生部長の所見を伺います。 99 石黒厚生部長 本県の特定不妊治療助成制度は、委員からもお話のありましたとおり、国に先駆けて創設し、国の助成範囲を上回る手厚い制度となっているところでございます。令和元年度の助成件数は1,342件と、10年前の平成21年度の646件に比べ、約2倍となっているところでございます。また、平成29年からは不育症に悩む方への経済的支援も実施しており、毎年約60名の方が検査・治療費の助成を受けているところでございます。  不妊治療につきましては、経済的な負担に加えまして、心身に大きな負担がかかることから、県では、不妊専門相談センターを設けて、相談に応じる体制を整備しているほか、全国知事会と連携して、国に対し不妊治療への支援拡充、不育症治療に係る助成制度の創設、不妊治療の治療日数に応じた休暇制度の企業への導入促進などについて、制度要望を行ってきているところでございます。  現在国では、新年度から所得制限の緩和などを含めた不妊治療費助成制度の拡充、次の診療報酬改定での保険適用などについて検討を進められております。また、報道によると、近く不育症への支援策も検討する予定と聞いておるところでございます。  今後とも国の予算編成の動向等を見極めながら、子供を授かりたい方の希望がかなう施策について、引き続き市町村や、また関係団体とも連携しながら取り組んでまいります。 100 吉田委員 前向きな答弁、ありがとうございます。ぜひ頑張っていただきたいと、このように思っております。  続きまして、独り親対策についてお伺いいたします。  独り親の支援に取り組む民間団体の調査によりますと、シングルマザーのうち、減収、無収入の割合は7割超に上り、新型コロナウイルスに感染して家族をケアできなくなるおそれから、自発的に休職、退職した方が3割に及ぶなど、独り親家庭は非常に深刻な経済的影響を受けております。  国の第2次補正予算により、低所得の独り親世帯への1世帯5万円の臨時特別給付金が支給されました。また、県におきましては、これまでも独り親世帯に対する経済的支援として、児童扶養手当の支給や医療費の助成、市町村と連携した放課後児童クラブ等の利用料の助成などを行っており、加えて今年度はコロナ禍での生活の安定を図るため、独り親世帯を対象にお米券や商品券を提供する事業を行ってきたところであります。  引き続きコロナ禍の出口が見えない中、独り親世帯に対して今後さらなる支援の充実が必要と考えますが、石黒厚生部長の所見を伺います。 101 石黒厚生部長 新型コロナウイルス感染症への影響の支援として、国におきましては、低所得の独り親世帯への臨時特別給付金の支給を実施されましたほか、各市町村におかれましても、独自に独り親家庭に対し、給付金等の支給を実施しているところでございます。  また、県におきましても、委員からお話のありましたとおり、独り親家庭の実情を踏まえて、市町村と連携したお米券の送付やこども食堂等への支援を実施したほか、今月より独り親家庭等を対象にいたしまして、県内スーパーで利用できる商品券を送付する事業を行っているところでございます。  また、これも話しましたとおり県ではこれまでも独り親家庭へ、まず経済的支援といたしましては、児童扶養手当の支給、医療費の助成、修学資金等の貸付、放課後児童クラブ利用料等の助成を行っておりますし、就労支援といたしましては、就業相談や就業支援講習会の開催、資格取得に係る給付金の支給などに取り組んできたところでございます。  県といたしましては、今後とも市町村とも連携し、独り親への支援に継続的に取り組むとともに、国の独り親への追加支援の動きなども注視しながら、県独自の給付金についても検討してまいりたいと考えております。 102 吉田委員 積極的にまた頑張っていただきたいと思います。前向きな答弁、ありがとうございます。  次に、複合的な地域生活課題への対応について伺います。  少子高齢化、人口減少が進む中、80代の親がひきこもりの50代の子供を養う8050問題や、介護と子育てを同時に担うダブルケアなど、個人や家族が抱える生きづらさやリスクが複雑化、多様化しております。複合的リスクに社会全体で対応するため、様々なニーズや生活上の課題を受け止める包括的支援体制の整備が急務でございます。  地域が抱える課題が複合化してきたため、相談を受ける市町村でも、介護、障害、子供、困窮など、相談者の属性に関わらず様々な相談を一体的に受け止めるため、県ではこれまでも多職種連携の研修会の開催などに努めてこられました。今般、社会福祉法が改正され、高齢、障害、生活困窮等が複合化した支援ニーズに対応し、市町村への財政支援を一体的に行う仕組みにより、断らない相談支援を含む重層的支援体制整備事業が創設されました。  この制度が来年度から、希望する市町村で本格的にスタートするに当たり、これまでの県の取組をどう評価し、市町村が包括的な支援体制を構築する際に、県としてどのように支援をしていくのか、石黒厚生部長にお伺いいたします。 103 石黒厚生部長 平成29年及び本年の社会福祉法改正によりまして、高齢、障害、生活困窮等が複合化した支援ニーズに対して、市町村におきまして断らない相談支援、社会参加への支援、孤立しない地域づくりなどの包括的体制を整備することや、既存の福祉制度の国庫補助等を一体的に執行できる重層的支援体制整備事業が創設されたところでございます。  改正法では、県は市町村を支援する努力義務が定められているところでございます。県では、これまで市町村職員向けの先進事例研修やアドバイザー派遣、多職種連携研修を実施しており、改正法施行に向けた機運醸成と個別支援の技術向上に関し、市町村に一定の支援を行ってきたところでございます。  さらに、今年度は、モデル市町村における制度の隙間の実態把握や具体的事例に基づく地域連携の展開などの支援事業を実施しておりまして、今後その成果を横展開していく考えでございます。  市町村の重層的支援体制整備事業の実施に当たっては、ニーズや地域支援を把握し、地域住民や関係機関と議論しながら考え方を共有するプロセスも重要とされているところでございます。このため、来年度から全市町村一律の導入ではなく、準備の整った市町村からの手あげに基づき実施する枠組みとなっているところでございます。  また、市町村につきましては、事業実施計画の策定の努力義務があるところでございますが、策定に当たりさらに具体的な情報が必要とされているところでございます。これらのことから、現在県内市町村の状況につきましては、令和3年度からの実施が今年度の国モデル事業実施の1市、令和4年度からの実施に向けて検討中が2市にとどまっているところでございます。  今後とも必要な情報収集等に努めまして、市町村が円滑に実施できるよう、県として支援してまいります。 104 吉田委員 断らない相談支援というものは、これから経営者相談など全ての相談支援業務において必要になってくると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、自殺対策についてお伺いいたします。自殺者数は本年7月以降、全国では昨年同時期と比べまして、3か月連続で増加しており、特に本年8月は30代以下の女性の自殺者が74%も増えており、看過できない状況であります。本県の状況はいかがでしょうか。  SNSを活用した相談事業も利用者が増加傾向にあり、十分な対応が必要であります。対応の質を担保しつつ相談員を増やすことや、相談から個々の問題解決へ具体的支援につなげることが大切であります。  県ではこれまでも自殺防止総合対策事業として、こころ・いのちの電話の運営や各種の予防啓発事業などに取り組んできておりますが、これまでの県の自殺対策をどう評価し、コロナ禍の影響を踏まえ、今後どのように対応していくのか、石黒厚生部長にお伺いいたします。 105 石黒厚生部長 県におきましては、平成30年度に富山県自殺対策計画を策定し、特に自殺死亡率が高い若年層及び高齢者の自殺対策を重点施策として取り組んできました結果、平成30年の本県の自殺死亡率は15.5と、全国平均16.1を下回ることができたところでございます。しかし、今年度はお話にありましたとおり、コロナ禍の下、全国的に自殺者が増加する中、本県の今年の自殺者数も、2月と7月を除き、前年同月を上回っておりまして、特に10月につきましては、厚生労働省統計の暫定値で26人と、昨年同月の8人を大幅に上回った状況でございます。  県では、これまでも新型コロナやそれに関連した仕事や生活への不安などに対応するため、10月1日から心の電話相談の回線を増設し、相談員を1名増員するとともに、11月6日からはLINE及び電話による相談窓口を開設し、相談等に応じてきているところでございます。  さらに、10月の自殺者数の急増を受けまして、緊急的な対応として、3月に実施予定でありました検索連動広告を今年から3月末まで緊急的に実施すること、悩みを抱えず相談を呼びかけるスポットCMを放映すること、県の相談窓口等の案内や生活資金等の各種支援策を掲載した啓発用チラシの作成、配布に取り組むこと、こういうことの対策を行うこととしております。  また、昨日緊急的に市町村や自殺対策に取り組むNPOにお集りいただきまして、緊急対策会議を開催し、各機関が連携して自殺対策に取り組むことを確認したところでありまして、引き続き相談しやすい体制づくりとその周知に努めてまいります。 106 吉田委員 しっかりよろしくお願いいたします。  次に、もう一回防災・減災対策のような感じになりますけれども、地域住民の命を守る災害発生時等の情報共有についてお伺いいたします。  近年、大規模震災、それから大規模水害など、想定を超える災害が頻発しております。これらの大規模災害に対しまして、現場の正確な情報を関係者が共有し、的確な判断の下で適切に対応することが重要であります。例えば内閣府では、近年の災害事案などの教訓を踏まえ、戦略的イノベーション創造プログラムにより開発された基盤的防災情報流通ネットワークと都道府県の災害情報システムとの情報共有自動化のための連接技術の開発、実証を推進するとも聞いております。  このネットワークが実用化されれば、全国共通の仕様により、刻々と変化する被害推定情報やインフラ被災推定情報を地図上へ表示することができ、関係者間で迅速な情報共有が期待されます。  災害を含む危機管理事案発生時における地域住民の生命、財産への被害を最小に抑え、迅速な初動対応はもとより、的確な救援や迅速な復興を進めるためにも、情報収集とその共有が不可欠であります。  そこで、現在防災・危機管理センター(仮称)が整備中であり、令和元年度までに実施設計が完了し、今年度本体工事に入っているわけですが、この防災・危機管理センター(仮称)における危機管理事案発生時等の情報共有体制の強化促進について、砂原危機管理監の御所見を伺います。 107 砂原危機管理監 委員御指摘のとおり、大規模災害等の危機管理事案の発生時には、迅速かつ的確な情報収集とその共有を行い、初動対応などの応急対策、そして復旧対策、さらにその先の復興対策へとつなげていくことが大切であり、市町村及び防災関係機関等との連携体制や情報収集、伝達手段の確保など、ハード、ソフト両面の充実が必要であります。  こうしたことから、現在整備しております防災・危機管理センター(仮称)におきましては、常設の県災害対策本部室を整備しますとともに、国の現地対策本部や防災関係者が活動するためのスペースを配置することとしております。また、新たに複数の映像の同時表示や関係機関との情報共有が可能な映像情報システムを整備し、情報収集、伝達体制の強化に努めることとしております。  このほか、これまでも毎年の総合防災訓練や原子力防災訓練、国民保護訓練などを通じまして、市町村や防災関係機関等と顔の見える関係を築いておりますが、引き続き人的な協力体制の整備充実にも努めてまいります。  県といたしましては、防災危機管理の中核的な施設となります防災・危機管理センター(仮称)について、着実に整備を進めるなど、ハード、ソフトの両面から情報共有体制の強化に取り組んでまいります。 108 吉田委員 それでは、よろしくお願いします。  最後になりますが、地域を守る建設土木工事の担い手を育てる公共工事の平準化についてお伺いさせていただきます。  近年、大規模震災や大規模水害など想定を超える自然災害が頻発しております。これらの自然災害に対して、住民の安全を確保し、被害を最小限に食い止めるためには、地域の建設土木事業者の協力が必要不可欠であります。少子高齢化、人口減少社会において、地域の中での人材確保が年々難しくなっている中で、建設業界の活性化による担い手確保のためには、公共工事の平準化が必要不可欠でございます。  公共工事の平準化により、地元の労働者は年間を通して安定的に仕事ができ、計画的な休日取得なども可能になります。また、事業者の機材の稼働率向上により、重機等の保有も促進され、地域の建設事業者の災害への即応能力も向上します。さらに、行政にとっても、発注職員等の事務作業が一時的に集中することを回避することができます。  県では、繰越明許費の設定を9月議会において設定することで、9月補正予算における公共事業の発注を早期に進めており、また、11月議会におけるゼロ県債の設定額を順次拡大し、年度内の早期発注と翌年度春先における早期工事着手の取組を進めておられます。  このほか、公共工事の柔軟な工期の設定のため、落札日の翌日から一定期間内に受注者が工事着手日を選択できる工事着手日選択可能期間を定め、ゆとりある工事を促す余裕期間制度にも取り組んでいると聞いております。  これらの取組をさらに推し進めることにより、県発注の公共工事が平準化され、建設事業者にとっては年間を通した安定的な事業量が確保でき、建設業界の不足する担い手確保にもつながるものと考えますが、これまでの取組をどう評価し、今後どのように取り組んでいかれるのか、江幡土木部長の所見をお伺いします。 109 江幡土木部長 建設企業は社会資本の整備、維持、更新の担い手でありまして、除雪や災害対応など地域の安全・安心を守る役割も果たしております。したがいまして、将来にわたって健全に経営していけるよう、建設現場における人材の有効活用や生産性向上などにもつながる年間を通じた工事の平準化が重要と考えております。  県ではこれまでも、県発注工事における施工時期の平準化、特に気候の良い春先における工事量を確保するため、11月議会においてゼロ県債や繰越明許費を設定するとともに、発注に当たっては一定の余裕をもって工期を弾力的に設定できる、いわゆる余裕期間制度の試行にも取り組んできております。また、昨年度からは9月議会でも繰越明許費を前倒しして設定しまして、早期発注に努めております。  こうした取組の結果、土木部における令和元年11月から令和2年5月までの発注件数は、昨年度に比べ133件増加して、767件となっております。また、令和2年4月から6月までの、いわゆる春先の1か月当たりの工事の稼働件数につきましては、昨年度に比べ104件増加して680件となっておりまして、春先の工事量確保など、県発注工事の平準化に向けた取組は一定程度の効果があったのではないかと考えております。  県としましては、今後も地域ごとの建設企業の受注状況を十分に把握しまして、発注時期の適切な設定や余裕のある工期設定など、きめ細かな発注管理にも留意しながら、引き続き公共工事の平準化に取り組んでまいります。   〔「委員長、時間もないという中ですが、審議の進め方   で意見があるんですけれどもよろしいでしょうか」と呼   ぶ者あり〕 110 稗苗委員長 はい、どうぞ。 111 菅沢委員 吉田委員をはじめ皆さんの一生懸命の質疑には敬意を表します。ただ、決算審議の在り方の根本を私は逸脱していると。当面の県政一般に関する質問のようなやり取りが目立ちます。本来決算審査というのは、令和元年度の予算の執行を踏まえた決算をめぐる審議が要ではないでしょうか。  そういう点では、先ほどから質疑を聞きながら、私は委員長の委員会の進行についてもそういう意味では問題があると思います。答弁するほうも、その趣旨に沿っての答弁になっているのか。私はそういう意味では、議会の決算審査の在り方の根本に関わる。私は予算の執行と決算、さらには決算の大切さについて十分にいろいろ意見を言ってきた一人であり、こうした総括質疑の場の設定をされたことは良かったと思っているのでありますけれども、これまでの質疑に関係して言えば、大変遺憾であります。委員長の進行にも問題あると思います。いかがですか。 112 稗苗委員長 御意見を承りましたので、後ほど理事会で協議させていただきます。 113 吉田委員 以上で終わります。ありがとうございました。 114 稗苗委員長 吉田委員、あなたの持ち時間はこれで終わります。  武田委員、あなたの持ち時間は40分であります。 115 武田委員 まず初めに、富山きときと空港の効果的運営と民間委託に向けた取組についてお伺いします。  北陸新幹線が開業して5年ということで、ほとんど富山きときと空港を利用することがなくなってしまったわけであります。空港内がどうなっているのか、航空機の離発着がどうなっているのか、気にならなくなっていることに、無責任感を感じるのは私だけではないと思っております。  東京便については、コロナ禍の現状において、1日2往復となっており、こちらのほうが効率、利便性がいいのかと思うほどになってまいりました。当然着陸料収入や施設利用料の減収など、厳しい状況が続いていると思いますが、富山きときと空港及び富山空港ターミナルビル株式会社の過去5年における収支の推移はどうなっているのか、まず、中谷観光・交通振興局長にお尋ねいたします。 116 中谷観光・交通振興局長 富山きときと空港の歳入の主なものは、着陸料、停留料でありますが、全体では、平成27年度に約3億5,000万円でありましたものが、新幹線開業に伴う羽田便の2便減便や航空機の小型化による着陸料などの減収によりまして、令和元年度では約2億9,000万円となっております。  歳出の主なものは、空港施設、消防や警備、除雪など安全・安心な運航に不可欠な維持管理費用でありまして、全体では平成27年度に約6億7,000万円でありましたものが、老朽化による空港用化学消防車の更新や滑走路等の大規模修繕などの増額によりまして、令和元年度では約8億5,000万円となっております。この結果、キャッシュフローベースでは、平成27年度では歳出が歳入を約3億2,000万円上回っておりましたが、令和元年度では、その額が5億6,000万円となっております。  また、空港ターミナルビル株式会社の平成27年度の収支につきましては、収益合計が約12億7,000万円、費用などの合計が11億5,000万円と、純利益約1億2,000万円、令和元年度の収支につきましては、収益合計が約11億3,000万円、費用などの合計が約10億円と、純利益1億3,000万円となっておりまして、過去5年間は毎年約1億円程度の黒字となっております。  なお、今年度は新型コロナの影響によりまして、空港、ターミナルビルいずれにおきましても、これまでにない厳しい決算が見込まれております。 117 武田委員 これまで何度も富山きときと空港の決算が課題となっておりまして、何人もの議員、また、委員がただしてこられたと思っております。そろそろ何かの手を施すべきだと私は思っておりますので、今おっしゃったように、毎年7億円から8億円の予算をかけて、維持や管理をされているということでありましたが、3億円程度の収入しかないわけでありますので、こうやって放っておくわけにはもうそろそろいかなくなっているのではないかと思うわけであります。  そこで、県としてこれまでも国際定期便やチャーター便の働きかけをしてこられました。飛騨高山エリア等への利用促進のPR等にも力を入れてこられたわけであります。しかし、残念ながらその効果は決していいわけではありません。もしかすると諦めに近いものがあるのかもしれないということであります。  数年前から力を注ぎこんでこられました飛騨高山、能登、長野等を含めます広域周遊観光の増加など、富山空港を拠点としたインバウンドの増加の政策をもっと充実させるためにも、空港の魅力向上をどのように実行されてこられたのか、また、今後どのような考え方で進めていかれるのか、中谷観光・交通振興局長にお尋ねいたします。 118 中谷観光・交通振興局長 県では、空港の魅力向上を図るために、まず、これまで航空会社に対する乗り継ぎ利便性の高いダイヤや割引料金設定の働きかけをしてきております。2つ目には、空港へのアクセス改善のための富山駅から空港への直行バスの増設や空港連絡乗合タクシー制度──空タクと言っておりますが──の新設、また、3つ目には、就航路線の積極利用を目的といたしましたサポーターズクラブ制度の創設、そして、4つ目には、搭乗客以外の方の空港利用を促進するための滑走路バスツアー等のイベント開催などに取り組んできたところでございます。  また、国内外からの誘客につながりますよう、国際定期路線やチャーター便の増便、富山駅と飛騨高山を空港経由で結ぶ高速バスへの補助などにも取り組んでまいりました。  一方、空港ターミナルビルでは、展望デッキのウッドデッキ化などの施設整備のほか、特色あるテナントを誘致いたしまして、各テナントにおいて富山県産品の料理提供や物品販売を行っていただくなど、本県の魅力を伝える取組を行っていただいております。
     県といたしましては、新型コロナの感染状況を見極めながら、航空会社や旅行会社をはじめ、関係者の皆さんと連携、協力いたしまして、西日本方面や東南アジア方面などとの国内・国際航空ネットワークの拡充やビジネスジェットの誘致に取り組むなど、さらなる富山きときと空港の魅力向上に努めてまいります。 119 武田委員 局長、ありがとうございます。  こうやって今まで取組をしてこられた。けれども、過去には各委員、議員から富山きときと空港という名称をやめて、富山高山空港にすればいいのではないかということであったり、過去を振り返ると、本当に飛騨ナンバーや岐阜ナンバーというのはなかなか見当たらない駐車場でありました。本当にその政策がよかったのかどうか、本当にPRの効果があるのかどうかということも今後また課題として持っていただければと思っております。  続きまして、機内のAシート(窓側)にて私がいつも気にかかるのは滑走路の補修なんです。先ほど補修のこともおっしゃっていただきましたが、やはり重い機体が離発着するわけでありますので、大規模改修にかかる経費は莫大なものと思っております。お聞きしましたところ、予算の関係で一気に補修することは不可能であると。毎年工区を分けて発注されるということでありました。  そこで提案でありますが、大規模改修に係る経費負担の軽減や期間の短縮のため、民間資金の活用も検討してはどうかと思います。老朽化に伴う滑走路等の改修について、これまでの進捗状況も踏まえて、今後どのように進めていかれるのか、中谷観光・交通振興局長にお尋ねいたします。 120 中谷観光・交通振興局長 富山きときと空港におきましては、昭和59年のジェット化から30年以上経過いたしまして、各施設の老朽化が進んでおります。県では、計画的に修繕を行い、施設の長寿命化を図っているところでございます。  現在滑走路、誘導路におきまして、老朽化に伴う舗装、照明設備の大規模改修工事を平成29年度より国の補助事業で実施しておりまして、令和2年度末進捗率の見込みは約20%であります。令和6年度に完了することを目標として実施しております。  他県では、空港運営を民間委託いたしまして、施設の維持管理や大規模改修も民間が行っている事例がありますが、富山きときと空港におきましては、昨年度末からの新型コロナの影響によりまして、利用者が現在激減しているということでございます。今委員からお話があったとおりでございます。  そういうことを踏まえますと、当面は民間事業者に空港やターミナルの一体的経営等による空港施設の大規模改修の検討を期待することは、現時点ではなかなか難しいのではないかと考えております。次期の改修工事に当たりましては、他の空港での事例等も参考に、民間のノウハウの活用も含めまして、経費負担の軽減や期間の短縮に取り組んでまいります。 121 武田委員 局長、余り難しい難しいばかりではなくて、ちょっと前向きに捉えていく、考えていくということも、私はやはり富山県独自の政策だと思っておりますので、隣県や他県と比べるのではなくて、積極果敢に進めていただければと思います。  自民党議員会の南砺市選挙区選出の武田慎一です。よろしくお願いします。  近年では、とりわけ仙台空港、高松空港、福岡空港、北海道内では新千歳空港など7空港、また、熊本空港、広島空港でターミナルビル経営等の民間委託が開始されたり、予定であったり、検討、実行され、国内の空港が変革を遂げているわけであります。そして、ダブルトラックで運航しておられますお隣の小松空港までが検討に入っているというものであります。そもそも成田空港株式会社のような民営化ではなく、全体が国や県の持ち物として民間が県から委託を受けて運営するのですから、そんなにびっくりするようなことでもないと私は思います。  富山きときと空港の運営が民間委託されることにより、いろいろな発想や資金、活力が生まれてくると思います。例えば、空港へのサテライトオフィス、魅力的な店舗等の誘致、ブルーラインの実施に伴うサイクルツーリズムと併せ、様々な魅力向上策が考えられると思います。  そこで、空港運営の民間委託の効果と必要性をどのように考え、今後富山きときと空港の運営民間委託に向け、どのように取り組んでいくのか、新田さんにお尋ねいたします。 122 新田知事 武田委員には、9月定例会でも空港について深い興味を示していただいております。ありがとうございます。問題意識は共有しております。  今年は特にコロナがあり、利用者が前年度比90%マイナスという大変厳しい状況です。今は耐える時期かなと考えております。ただ、耐えながらも全日空さんとの関係を何としてでも維持をしていく、これも大切なことだと、今事務方ではいろいろと動いているところでございます。  コロナ収束後を見据えて、今いろいろ手を打つべきところでもあると思います。羽田を中心とした国内外とのネットワークの活性化、国内外の新規路線の開設、航空機の乗降以外のサービスの向上などにも取り組んでいければと考えております。  こうした取組を実現するためには、全日空さんなど航空会社やその他民間サービス事業者との連携、協力を図り、その資金やノウハウを活用することも不可欠です。民間の力を活用して、富山きときと空港の活性化を図るため、まずは他の空港における具体的な取組を勉強していきたいと考えております。  さらに、富山きときと空港の優位性、将来性、競争力等に関する調査や、コロナ収束後の民間委託へ向けた具体的な方策の可能性についても検討していきたいと考えておりますが、やはり民営化、あるいは民間委託は魔法のつえではないわけでありまして、ちゃんと受けてもらえるような形にしていかないとならないと思います。そういう意味で、また委員のお知恵もぜひお借りしたいと思います。  ちなみに、富山高山空港、これも高山の方がもしお金も出してくださるなら楽しみですけれども、ネーミングライツということも当然、ここまで苦しいと、考えていくことも一つだと思います。等々、またいろいろと一緒に考えていきたいと思います。  ちなみに、私は就任後もう3回乗っております。どうか先生方にも利用の促進をお願いできればと思います。 123 武田委員 隣県というか、国内にはもう民間委託をされた空港が幾つもあるわけですから、スピード感を持ってやっていただきたいと思っておりますし、新田さんのカラーというか、民間の資本を使うというか、こういったことが一番やりやすい分野ではないかということを思いますので、ぜひ前向きにお願いしたいと思います。  続きまして、県立文化施設の利用促進等に向けた取組についてお伺いいたします。美術館や博物館、そして、文化ホール等の県立文化施設等の入り込み客数や利用状況がかなり気になってくるところであります。もともと利益を出す施設ではないにしろ、県民感情としてはどうなんだろうと思います。今年度は新型コロナウイルスにより、かなりの入り込み客数減となっておりますが、これからを考えますと、やはり対策が必要と考えるわけであります。  大変余談でありますが、県民の健康と福祉の向上が目的の施設、富山県国際健康プラザというのがございます。富山県国際健康プラザでは、温水プールのガス料金が莫大であり、施設の運営については決算の要望指摘事項にも挙げられておったわけで、新田さんに相談すべきだったなと思います。  私の提案ですが、県立文化施設での結婚式等の様々なイベントの開催による施設の活用や、今おっしゃっていただいたネーミングライツの導入促進などにより利用の促進や収支の改善が図られるものと確信いたします。  そこで、今後の利用促進や財政負担の軽減にどのように取り組んでいかれるのか、竹野生活環境文化部長にお尋ねいたします。 124 竹野生活環境文化部長 美術館や博物館等の来館者数につきましては、平成29年の富山県美術館の開館により、それまでの年間合計約40万人前後から100万人前後まで大幅に増加しております。大変多くの方に利用をいただいているところでございます。また、話題性のある企画展の開催、あるいはWi-Fi環境の整備、また、キャッシュレス決済の導入、多言語環境の整備など、利便性向上の取組が利用拡大や収支改善につながっておりまして、今後さらなる利用促進に取り組みたいと考えております。  自主財源の確保につきましては、これまで県民会館の壁面を広告媒体として利用してきたという実績がございます。委員御提案のネーミングライツにつきましては、現在県全体で施設を特定せずに随時募集を受け付けているところでございますが、施設によっては企業名や商品名が付されることによって、行事の主催者に制限がかかる可能性があるといった課題があることや、応募する企業にとっても多額の費用を要することなどから、本県の施設ではいまだに導入事例がないのが現状でございます。  幾つか例示をいただきました、例えば結婚式ですが、富山県美術館ではこれまで2件やっておりますし、また、県民会館の分館の内山邸では結婚記念写真の前撮りを年間200件から300件と、非常に多くの利用をいただいております。そのような形で、少しでも自主財源を確保しようという努力はしておりますけれども、今後ともネーミングライツの募集を継続するとともに、新たな利用者ニーズの把握に努めまして、他県の例も勉強しながら、結婚式などのユニークベニューとしての利用への積極的な対応、あるいはミュージアムコンサートなど各種イベントの開催を企画いたしまして、多くの県民が様々な形で県立文化施設を利用していただけるように、また、県財政の負担軽減となるように取り組んでまいりたいと思っております。 125 武田委員 ネーミングライツについては、どうも石井前知事のときから、非常に後ろ向きな回答、答弁ばかりなんですね。例えば、射水市では、積極的にやっておられるわけでありまして、本当にその主催者にとってマイナスになっているのかどうかということを個人的に検証してみると、そんなことはないと私は思うわけでありまして、命名権の料金をいただければ、少しでも早く収入を得られるのではないのかな思いますので、余りそのようなことを気にされずに進めていただければと思います。よろしくお願いします。  次に、県民の安心施策のための予算執行についてお尋ねいたします。  ちょっと個人的なことで申し訳ございませんが、先日、私の父親がデイサービスにて顔面蒼白になって、よだれを垂らしながら倒れ込みました。元気過ぎてちょっと暴れるということで、お宅のお父さんはドクターヘリには向いておりませんと言われました。そこで、ドクターカーを出動しましょうということで、ドクターカーを出動していただきました。一生懸命看護や介護をいただいた医療従事者や救急救命士、そして、福祉サービス従事者の方々に感謝と御礼を申し上げます。  委員長、ここで資料の配付を許可いただけませんでしょうか。 126 稗苗委員長 認めます。 127 武田委員 よろしいでしょうか。ありがとうございます。  ドクターヘリのことについて少しお伺いしたいんですけれども、昨年度の本県におけますドクターヘリの出動件数は、先ほどおっしゃっていただきましたように、749件と隣県と比較いたしましても、非常に多いということであります。ある県の倍ぐらいになっているところもありますし、これはコンパクトな富山県でありながら、山岳地帯を抱える特徴、また、消防機関からの出動要請の基準が広いことなどにより、運航受諾事業者の経費等の負担が大きくなっているのではないかと懸念されるわけであります。  その運航業務の委託先については、今年6月に静岡エアコミュータが落札しました。しかしながら、どういう理由なのか分かりませんが、落札したものの契約締結に至らなかったと。昨年度までも静岡エアコミュータがどうも運航してきたらしい。今年度も締結しようと思ったんだけれども、至らなかったというようなことでありました。  8月に県は委託先を変えて、東邦航空と契約を結ばれたということでありました。国が大体2億2,800万円でしたか、予算を出していただける。県はその3分の1ほど負担しないといけなかったでしょうか。運航受託事業者にとって、経費等の負担が大きいのではないか、それによる運航の委託契約が難しい状態になっているのではないかと懸念しておるわけであります。  先ほど吉田委員からも、課題や取組についてただされたわけであります。本県ドクターヘリの持続的、安定的な運航に当たって、出動件数が隣県と比較して多い理由を踏まえ、それに対する受託事業者の採算性の確保にどのように対応していかれるのか、ちょっと踏み込みましたけれども、すみません、石黒厚生部長にお伺いいたします。 128 石黒厚生部長 先ほど吉田委員にもお答えしたことと重なるところがありますけれども、ドクターヘリの運航経費は国により基準額が定められておりまして、本県におきましては、運航業務の委託契約時に、国の基準額を参考に予定価格を決定し、入札を行って契約をしているという仕組みになっております。今頂いた資料にもありますとおり、昨年度、令和元年度の本県の出動件数は749件で中部ブロックの平均よりも約200件多いと。これはこの数年大体そういう傾向が続いておるということでございます。そういう当初の予定よりも出動件数が多いことや燃料費の高騰等を勘案しまして、昨年度につきましては途中で委託料の増額を行ったところでございます。  本県のヘリの出動回数が多い要因として、幾つか考えられるんですけれども、119番通報の際に消防機関がドクターヘリを要請するときに、キーワード方式をやっておりまして、例えば自動車にはね飛ばされた、息が苦しい、あるいは呼びかけに反応がないといったキーワードでドクターヘリを要請していただく。それを幅広に適用していることが出動要請の多い一つの要因ではなかろうかと考えられております。  実際、救急隊員が現場に到着後、ヘリの出動には及ばないということでキャンセルされたケースが全体の約3割、令和元年度ですと227件と、全国的に見てやはりちょっと高い数字ではないかと言われておるところでございます。ただ、こういう要請の空振り、これ自身は悪いことではないと思っております。やはり積極的に空振りしていただいて結構だと思っておりますけれども、県としては、今後こういうキーワードの検証も含めまして、なるべく出動後キャンセルとならないよう、適切なキーワードの運用について工夫できないか、また運航業者に過度な負担にならないように、例えば消防機関の関係者や病院関係者と協議しながら今後対応していきたいと思っております。  また、先ほども申し上げましたけれども、厚労省では、令和3年度の概算要求におきまして、ドクターヘリの運航実態に合わせた基準額の改定を今検討されておりますので、そういった国の動向も注視しつつ、運航事業者の理解と協力を得まして、ドクターヘリによる高度救急医療体制の維持、協力、充実に今後も努めてまいります。 129 武田委員 部長、ありがとうございます。  増額をして対応していただいたということでありますけれども、それでも採算が合わないということなのかどうか分かりませんけれども、辞退された、契約を締結されなかったということであります。お聞きしますところ、静岡エアコミュータは、新潟県では契約をして運航しておられるということですが、資料に新潟県の運航実績がないのが残念であります。その辺を少し調べていただいて、そういったことにならないように、また取り組んでいただきたいと思います。  次に、かかりつけ医等での初期診療の結果を県立中央病院に送って診察を受けたり、中央病院で術後、回復期の簡易な検査等を地域の医療機関等で行うなど、連携を促進することで中央病院の医師等の負担や外来患者の時間的負担の軽減が図られるのではないかと思います。  そこで、県立中央病院と地域の医療機関等の連携を一層促進し、県立中央病院の業務負担軽減や経営のスリム化を図ってはどうかと思うわけでありますが、石黒厚生部長にお伺いします。 130 石黒厚生部長 県立中央病院につきましては、高度急性期医療を担う、いわば基幹・中核病院としての役割を担っております。県立中央病院は、高度で専門的な医療の提供に注力いたしまして、その他の回復期や慢性期の治療は地域の医療機関が担うといった役割分担を進めているところでございます。  具体的に言いますと、中央病院の地域連携室が中心的な役割を果たしまして、高度な治療が必要な患者については地域の医療機関から中央病院へ紹介を受ける。中央病院で手術後の回復期、慢性期の患者につきましては、積極的に地域の医療機関へ逆紹介する。このほか、地域の医療機関が中央病院のMRIなど高度な検査機械を共同利用し、その検査結果を基にそれぞれ地域の医療機関において治療に当たっていただくと、こういうことを今やっているところでございます。  こういった取組によりまして、昨年度、令和元年度の紹介率が84.0%、逆紹介率が78.1%で、共同利用検査予約件数が2,128件と、いずれも近年増加傾向にございます。今後とも県立中央病院と地域の医療機関との役割分担をさらに進めることによりまして、中央病院の業務負担の軽減、あるいは効率化に努めてまいります。 131 武田委員 部長、ありがとうございます。  大きな病気に罹患しますと、施設も医療機器も充実したところへ行って診てもらいたい、これが本当の患者の思いだと思っております。回復期になりますと、地元へ帰って、血液検査を少しやりましょうというようなことで、簡易な経過などを見たりするわけですよね。そういったときに、1日仕事になってしまうと、もう疲れて大変だというのが患者さんの思いである。また、長い時間待たせて、医師のほうも大変だと思うし、少しでも医師の負担軽減ができれば、お互いにいいのではないかというようなことで、このような質問をさせていただいたわけでありまして、これからもさらなる検討というか、前向きにお願いしたいということであります。  最後になりますが、県立学校におけますエアコンの設置についてであります。富山県教育委員会の御指導、御尽力により100%カバーいただけたものと感謝いたします。昨年度までに空調施設を完備いただいたわけでありますが、学校の老朽化が進んでエアコンの効果が悪くなっていると認識しております。調べてみますと、長寿命化計画の概要で、とりわけ特別支援学校の建築経過年数では、富山視覚総合支援学校並びに富山高等支援学校、高岡高等支援学校がそれぞれ56年です。富山聴覚総合支援学校は52年、高岡支援学校が49年と、もうそろそろといった感が否めないわけであります。  特に特別支援学校の子供たちは、体温の調節がどうもしづらいということで、まずエアコンをお願いして、真っ先にカバーしていただいたという経緯があったと思います。  そこで、伍嶋教育長には、老朽化が進んでいる特別支援学校の校舎等の建て替えについて、どのような計画で取り組んでいかれるのか、お伺いしたいと思います。よろしくお願いします。 132 伍嶋教育長 ただいま委員から御紹介のありましたとおり、特別支援学校に通う生徒については、特に心身の障害の状況などに配慮いたしまして、エアコンについては全ての教室に完備をするという取り扱いをさせていただいております。今後ともそうした心身の障害、あるいは衛生上の観点を十分に踏まえて、施設改修に取り組んでいかなければならないと考えています。  ところで、特別支援学校を含む県立学校の校舎の建て替えでありますけれども、平成30年度に学校施設長寿命化計画を策定いたしまして、約20年周期で教育環境を改善すること、また、約20%のコストの縮減を図ると、そういうメリットがあることから、例えば従来の築50年を経過したところで建て替える建て替え型から、築80年まで20年おきに改修をする長寿命化型に転換して、計画的に進めることにしています。  ただ、特別支援学校については、建築経過年数だけではなくて、例えば学習スペースを拡張するなど機能性に十分配慮しなければなりませんし、現在のコロナ禍におきまして、感染症対策にもしっかりと取り組む必要があるという特別な配慮の在り方を検討していく必要があると考えています。  また、委員からも御指摘がありましたけれども、エアコンの効果をしっかりと確かめるといった環境改善のための工法の検証についても今後検討していきたいと思っています。  現在国においては、来年春をめどに特別支援学校の設置基準を明確化する検討をされていまして、今後その設置基準についてしっかりと注視をしてまいりたいと思いますし、それを踏まえて各特別支援学校の実態の把握、また、効果的な整備手法も検討して、できるだけ早く長寿命化改修に取り組めるように検討を進めていきたいと考えております。 133 武田委員 教育長、ありがとうございました。  長寿命化計画ですから、なかなか建て替えは難しいのかなということが予想されるわけでありますが、しっかりとした対応をお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。 134 稗苗委員長 武田委員の質疑は以上で終了いたしました。  以上をもって本日の総括質疑は全て終了いたしました。  終わりに、本委員会の運営に終始御協力を賜りました委員各位、県当局並びに報道関係の各位に対し、深く敬意を表します。  これをもって本日の決算特別委員会を閉会といたします。  ありがとうございました。 Copyright © Toyama Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...