利賀ダム建設事業の目的については、
洪水調節、流水の正常な機能の維持、
工業用水道です。そして、私が本会議でも質問した地元の
地滑り対策と、4点ぐらい論点があろうかと思っています。私は一緒くたにしないで一つずつ片づけていくことが大事だと思っております。
まず、庄川の
治水効果についてです。私は本会議の質問でも、限られた時間でしたけれども、この
利賀ダムの
治水効果は極めて限定的なので、ダムではなくて、いろいろな
パターンの降雨に効果のある
河道改修など、
庄川本川での対策こそ必要だと主張しました。
資料1の地図を見ていただきたいと思うんですが、
利賀ダム(建設中)と書いてあります。そして、その
上流部分を青く塗ってありますが、そこが降った雨が
利賀ダムに集まる
集水面積を表しています。
御存じのように、庄川というのは、岐阜県に始まりまして延長110キロに及ぶ大変長い河川で、しかも、見ていただければ分かるように、
上流部分の
集水面積が極めて広くて、下流になればなるほど狭くなっていくということで、上流の雨の量が洪水の
治水対策にとっては決定的な意味があるということは、一目瞭然だと思います。
利賀ダム(建設中)の下流にいきますと、
小牧ダムがあって、
庄川用水の
合口ダムがあって、その下流に雄神と小さく書いてありますが、これが
雄神基準点ということで、
治水対策の計算上一つの
ポイントになるわけであります。
私は本会議で、庄川の
集水面積は、
利賀ダム上流は8%しかないと。この8%にどれだけの雨が降るのかということが一つの
ポイントになってくると。ここにだけ異様に雨が降るのなら別だけれども、一番大事なのは、どんな
降雨パターンにも効果がある本川の対策ではないかと主張したわけであります。
しかし、知事は本会議の答弁で、
庄川水系河川整備基本方針において、
雄神地点で
基本高水流量を毎秒6,500トン──水ですから1立方メートルが1トンとイコールで、長いので私たちはトンと言うんですが、毎秒6,500トンと定めまして、
利賀ダムで500トンの
洪水調整を行う計画を採用したんだというふうにおっしゃいました。
そこで、資料2を御覧いただきたいと思うんですが、これは
利賀ダムの概要という、
国交省がホームページに出している資料であります。
知事が御説明になったのは資料の右下の部分だと思います。
雄神基準点で6,500トンという
基本高水を設定して、そして、700トンの
洪水調整をして、下流に毎秒5,800トン流す計画だということです。
では、
利賀ダムの効果はどれだけなのかというと、
利賀ダム上流の
集水地域に、もし仮に万々が一770トンの洪水があった場合は、
利賀ダム地点で500トン
カットして、
270トンを本川に流す計画だということであります。知事はこの6,500トンの計画、
庄川水系河川整備基本方針の計画を採用したんだと。だから、
利賀ダムが必要なんだと答えられたんではないかと思います。
そこで質問であります。
この計画の
雄神基準点で700トン
カットするというのは、どうやって
カットする内容になっているのでしょうか。
河川課長に答弁をお願いします。
6
二木河川課長 委員御指摘のとおり、
庄川水系河川整備基本方針では、その
基本高水は、
ピーク流量を
基準地点である砺波市庄川町
雄神地点におきまして6,500トンといたしまして、このうち流域内の
洪水調節施設により700トンを
カットして、河道への
配分流量を5,800トンとしているところでございます。
この700トンを調節する流域内の
洪水調節施設については、平成19年の国の
河川整備基本方針検討小委員会の資料によれば、
利賀ダムと
既存ダムの
有効活用により行うとされてございます。このうち、
既存ダムの
有効活用については、例えばダムの洪水吐きの改良により
洪水調節容量を確保するなどの再開発を行うことなど、様々な手法が考えられますが、今後
河川整備が進められていく中で、国において検討されていくことになるものと考えております。
7
火爪委員 伺っておきますが、この
雄神地点で、
利賀ダムでは幾ら
カットできるのでしょうか。
8
二木河川課長 700トンのうちの500トンを
カットする計画になっております。
9
火爪委員 本当ですか、500トン
カットできるのは
ダム地点です、
雄神地点ではありません。
洪水調節は下流になればなるほど小さくなります。だから、
利賀ダム地点で500トン
カットできても
雄神地点では500トン
カットはできません。どうですか。
10
二木河川課長 国によりますと、
利賀ダムは
基準点と比較的近い位置にございますので、
ピークがそのまま下流に伝わるというふうに聞いてございます。
11
火爪委員 そんなことをうのみにしてはいけません。
河川工学に関わっている方なら常識だと思います。比較的近いところとおっしゃいますが、地図をもう一度見ていただきたいと思います。
利賀ダム地点と
雄神基準点というのはこれだけ離れています。しかも、支流から本流に入ります。間には
小牧ダムや
合口ダムがあります。それでも
洪水調節能力というのは全く下がらないということですか。
12
二木河川課長 利賀川は、
河川勾配が割と強い河川でございます。その流域も地形が急峻であるため、庄川のほかの流域と比較しまして、洪水の集まりが悪いとは考えておらず、先ほども申しましたように、
利賀ダム地点から
雄神基準点までの距離は約15キロと、割と近いということもございまして、その
ピークの
カットは
基準点でもその効果が保たれるというふうに考えております。
13
火爪委員 これ以上いいでしょう。
この
国交省の資料に、わざわざ
利賀ダム地点に
マイナス500トンと書いてあることに注目しておいていただきたいと思うんです。今課長が答えられたことが本当であるならば、
雄神基準点のところに
マイナス500トンと書いてもよかったわけです。しかし、そうではないから、わざわざ
ダム地点に書いてあるのだと私は理解をしております。
疑問点の一つにしておいていただきたいと思います。
それで、700トン
カットをどうやってやるのかについては、将来国がやるんだという答弁でありました。
利賀ダムだけははっきりしていて、ほかの計画は国が考えるんだと。こんなことでいいんでしょうか。
今、答弁をいただきました平成19年の国の
庄川水系河川整備基本方針の策定に先立って、その前の年に
コンサルが、
株式会社建設技術研究所というところが
報告書を出しています。平成18年の
報告書に基づいて平成19年に
基本方針が策定されたと思って間違いないと思います。
情報公開請求でこの資料を取りました。
この700トン
カットをどうやって実現するのかということについては、今お話がありましたように少し上流の
既存ダムの工事をして
洪水調節容量を確保するんだと。
境川ダム、
利賀川ダム、
和田川ダム、3つぐらい可能なダムがあると思いますが、
コンサルの
報告書には、その3つでおよそ100トンと書いてあります。もし仮に課長が言うように500トン
カットできるとしても、少なくとも300トンは足りない。どうするのかと、これが大問題なわけです。
6,500トンの
基本高水は高過ぎるという議論があります。だから、当面30年は4,200トンを目標とした
河川整備計画でやろうじゃないかということにした。それなら現実的に計画が立てられる。だけれども、どうしても
利賀ダムを造りたい
人たちが、本来
基本方針の6,500トンではめられていた
利賀ダムを、4,200トンの当面30年間の
河川整備計画の中に無理やり持ってきた。ここに計画のそごがあるわけであります。300トン以上足りません。さあどうするんですか。
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二木河川課長 今300トン足りないとおっしゃったのは、委員御紹介の
報告書の中に記載されている昭和58年の洪水のことだと思われます。庄川の
基本高水の設定に当たりましては、繰り返しになりますが、昭和40年の洪水が
基準地点で6,500トンと最も大きくなると。その洪水で決めているということでございますので、
利賀ダムの効果が500トンとして算出されたというものでございます。
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火爪委員 ちょっと答弁のつじつまが合わないんですよ。なかなか難しい議論なので、聞いても分からない方が多いと思うんです。議員の方々にも、分かる人も多いと思いますが、分からない方もおられると思うので、私は本会議で
土木部長に、
地滑りも含めて普通の
人たちでも分かりやすい資料を作って、それを提示して、そして議論をしてから採決をしたらどうだと提案したわけであります。
元に戻って、さっき課長の答弁の中で、足りないことは認められました。国が将来いろいろな方策を検討することになっているという御答弁でありました。
そこを詰めないで、
庄川本川の6,500トンの
基本高水に対応した
治水計画ができるんだと言うこと自体、無責任だと思います。課長は認められませんでしたけれども、もし仮に300トン不足だとすると、例えばこの
コンサルの計画だと、岐阜県の中でもう
一つダムが必要だということになっているんです。このダムの計画は、
洪水容量1,350万トンですから、
利賀ダムに匹敵するダムです。それだけのお金をかけなければ、この
治水計画は完結しません。だから、6,500トンの
基本高水を設定すること自体、
専門家の中で議論があるわけです。到底無理だと。これを
河川工学上設定することは無理なので、当面30年は4,200トンの
河川整備計画にして、そして、あとは150年に一度の確率の雨が降っても堤防が決壊しないように、
庄川本川できちんと対策を立てるようにするべきだと。到底こんなものできませんよ。
利賀ダムだけで1,640億円なのに、もう
一つダムを造るなんて。
もう一つ言いましょうか、6,500トンもの
計画高水を設定すると、
合口ダムは幾らですか。
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二木河川課長 すみません、今手元には資料がございません。
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火爪委員 ごめんなさい、突然聞いて。
合口ダムというのは
洪水流量3,680トンです、
小牧ダムは3,619トンです。この改修が必要になるでしょう、6,500トンの水が流れるという計画にすれば。どうですか。
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二木河川課長 ダムにより6,500トンから5,800トンに洪水を下げるというものでございます。仮に
合口ダムの改修が必要となる場合であっても、当然
洪水流量は少ないほうが
改修費は少なくなると考えておりますので、金額は押さえてございませんけれども、普通に考えれば洪水を
カットしたほうが
合口ダムの
改修費用は小さいと思います。
19
火爪委員 当然ですよ。6,500トンを5,800トンに
カットする。5,800トンの水を流すという計画ですと。しかし、
合口ダムは3,680トンしか流せないことになっているわけです。大体この
コンサルの計画だと、
合口ダムだけで35億円から40億円かかると。つまり、
自分たちがダムを造りたいところを取り上げて、こうなんだと言うけれども、この計画が一体どういう計画なのかということが、県民は分からない、地元も分からない、議会もよく理解できないような高度な計算がある。そういう説明をしないでおいて、とにかく地元の
政治家と
国交省を信用しなさいと言っても、信用できないから、分かりやすい説明をお願いしますというふうに言っています。
延々とかかるので、次に移りたいと思います。
知事は本会議で、
基本高水が6,500トンの設定は、
雄神地点で流量が最大となる
降雨モデルである昭和40年9月型の
降雨モデルに基づいて、48時間雨量368ミリと設定して定めたものと答弁されました。今も
二木課長に、そういう
降雨モデルのお話をしていただきました。
資料3を見ていただきたいと思います。これが、知事が答弁された
降雨モデルであります。これも
建設技術研究所の
報告書から分かりやすく作りました。これも難しい話になるんですが、
基準降雨モデルに最近の2日間で150ミリ以上降った雨の
パターンを引っ張り出して、それを引き伸ばすんです。2日間雨量368ミリメートル降ったことに引き伸ばすんです。本当にこれだけ降っているわけじゃないんです。引き伸ばして、そしてちょっと極端なものを外して、降雨の
パターンを11
パターン選んだわけであります。
知事がおっしゃったのは、昭和40年9月17日の
降雨パターンです。
利賀地域に異様に雨が降った
パターンです。しかし、そういう
ケースはこれだけで、ほかの10
パターンはいずれもこんな感じです。ほとんど200トン
カットできないと。平均でも157ミリメートルしか降っていないということなんです。要するに、あの狭い8%の地域に770トン雨が降るという
ケースを考えたら、その
ケースだけは効果があるけれども、ほかは効果がないというのが
利賀ダムです。知事はそういうふうに主張をされていました。
私が、
治水効果が極めて限定的だと主張する一つの根拠はここにあります。どうでしょうか。
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二木河川課長 御紹介いただいた
基本方針において定められている
基本高水については、流域内の過去の11洪水でございますけれども、この洪水の中から
雄神基準点で最大となる昭和40年9月の
降雨モデルで6,500トンと決めたというものでございます。
庄川流域につきましては、これまでも度々洪水による被害が発生しております。流域の広い河川では、降雨の量だけではなく、おっしゃるように雨ごとに時間分布、
空間分布が異なるということもございまして、実際の降雨には様々な
パターンがございます。このため、
利賀ダムの計画は、この
雄神基準点での流量が最も大きくなる
降雨パターンに対して効果的な
洪水調節ができるよう立案されたものでございます。
ちなみに、昭和40年9月17日の洪水でございますが、調べましたら、台風24号により県内に満遍なく雨が降っております。200ミリメートル以上を観測したところが県内に何か所もございますので、決して
利賀地域だけに偏って降った特別な雨というわけではないと思っております。
21
火爪委員 利賀地域にだけというか、満遍なく降っても、要するに
利賀ダム上流の
集水面積は8%でしょう。だから集まる量が少ないと言っているわけです。
これ以上やりませんけれども、
治水効果というのは極めて限定的で、11の
洪水パターンの、11分の1だと。ほかにもっといい対策があるのではないかと言うのは当然だと思うんです。しかも、今回1,150億円から1,640億円に増額されるということでいいのかと。もっとこの計画についてきちんと分かるように説明をして、そして、議論が必要なのではないかと指摘しておきたいと思います。
それでは、次に移りたいと思います。
事業費1,640億円の中で、治水に使われる予算が幾らなのかということをまず考えてみたいと思います。
資料4を御覧ください。これは平成28年の
国交省のダム再検証の時の資料であります。
前にこの
委員会でも申し上げましたけれども、
ダム建設を推進してきた
国交省が再検証をやって、どうして再検証になるのかと。
第三者委員会をつくって、いろいろな立場の
専門委員も入れて検証をやってこそ再検証でしょうと。茶番じゃないかとは言いませんけれども、自分で自分を監査してどうするんですかという話であります。
資料に戻りまして、資料4の総合的な評価(案)で費用の比較がしてあります。私は本会議で、
洪水調節のところをまず取り上げました。
平成28年の時点で、
利賀ダム案の
残り事業費520億円、表のいちばん左の
洪水調節というところです。
河道掘削案が360億円で、
治水対策に限って言えば、
利賀ダム案のほうが高いよね、この時点では160億円もダムのほうが割高だよねという資料です。
国交省の資料です。
それで、私は本会議で、この時点でも
こんなに差があったと。
治水対策についていえば、今回
地滑り対策が225億円余り、それから、
異常洪水になりそうな時に事前に放流する
施設整備に27億5,000万円、素人目に見ても、ダムがなければ要らない
事業費があります。520億円と225億円余りと27億円余り、足すと773億円に私の計算ではなるんです。そうすると、
河道掘削案の360億円と773億円を比較したら、ダムのほうが倍以上高くなるんじゃないかと聞いたんですが、
知事答弁はありませんでした。改めて答弁を求めておきたいと思います。
22
森田開発班長 平成28年度に行われました
利賀ダムの検証におきまして、ダムの持つ治水、
新規利水、流水の正常な機能の維持の3つの
目的別に、
ダム案とダムに代わる案を
コストのみならず、安全度、実現性、環境への影響などの様々な観点から
比較検討を行った上で、総合的に
利賀ダム案が最も有利であると評価、判断されたものでございます。
委員が配付されました資料の説明を簡単にさせていただきますけれども、この資料につきましては、平成28年度の
ダム検証時の際に総合的な評価をしたものでございまして、
対策案としまして4案ございます。
まず、一番上の
利賀ダム案につきましては、
洪水調節、流水の正常な機能の維持、
新規利水を一つのダムで行うものでございます。
2
目的ダム案につきましては、
洪水調節は
庄川本川の
河道掘削を行うこととしまして、流水の正常な機能の維持と
新規利水の2つの目的を、規模を縮小してダムを建設するものでございます。
単独案につきましては、
洪水調節、流水の正常な機能、
新規利水ごとに最も
コストの安い対策をそれぞれ別々に行うものでございます。
4つ目の、2
目的水系間導水案につきましては、
洪水調節は
庄川本川で
河道掘削を行いまして、流水の正常な機能の維持と
新規利水の2つの目的を神通川と庄川を導水します
導水路で連絡するものでございます。
4案の費用でございますけれども、
ダム検証時におけます平成28年度以降の
残事業費でございまして、委員が手書きされた数字は令和2年度以降の
残事業費となっております。
今回の
基本計画の変更でございますけれども、4案とも
物価上昇や消費税の改正などによる増額がございます。それと、
利賀ダム案と2
目的ダム案につきましては、
地滑り対策費が増額となっているところでございます。今回の変更に伴いまして、総額でいいますと、
利賀ダム案が一番安いんですけれども、約1,117億円、次に2
目的ダム案が約1,275億円となっているところでございます。
委員御指摘の
治水対策に限ってのお話でございますけれども、
ダム検証時におきまして、この資料のとおり、
コストの観点といたしましては、
河道掘削案が360億円ということで有利となりますけれども、
利賀ダム案につきましては、実現性や安全度の観点から有利であるとされてきましたことから、最も有利な案は平成28年度の検証時には明確に得られず、有利な案は
河道掘削案、
利賀ダム案とされていたところでございます。
今回の変更におきましても、
コストでは委員御指摘のとおり
河道掘削案が有利であるという評価は変わりませんけれども、実現性や安全度を加えまして、
利賀ダム案が有利であり、
ダム検証時の評価が変わるものではないというふうに国から聞いております。
23
火爪委員 そんなにいっぱい答えていただかなくても結構なんで、聞いたことに答えていただきたいと思います。
費用から見れば、私が言ったことは間違いではないと認めていただいたのかなと思っております。それで、費用がさらに倍以上に開いて、そんなんでいいのかというふうに申し上げました。
次に、
地滑り問題にいきたいと思います。私がずっと危惧してきたのが
地滑り問題です。この地域にダムを造るというときに、どうしてここなのかと。ここは
地滑り対策を重視して、県が何十億円とお金をかけて対策を取ってきた地域であります。その努力を無にするような計画ではないのかと思って、11年前に現地に入っていろいろ聞かせていただいたり、調査をさせていただいたりしたわけです。
専門家の中でもいろいろな意見があるわけですが、そこに住んでいる
人たちの身になったら、
地滑りは対策をしたから安全だということはないんです。どんなに対策を取っても分からない滑り面が発見され、どんなに対策を取っても地震が起きたり、集中豪雨が降れば、それに誘発されて
地滑りは起きるんです。だから、
地滑り地帯にダムは御法度なわけでありますけれども、その危険を無視してどうしても造りたいということで計画されていくわけであります。
私は本会議で
土木部長に問いました。資料5を見ていただきたいと思うんですが、実を言うと、国土交通省は私たちが資料をくれと言ってもくれません。本当に秘密主義です。5月に本会議の前に、
利賀ダム貯水池斜面の対策についての検討
委員会がたったの1回だけ開かれております。
土木部長も出席されたと、本会議で答弁がありました。私が検討
委員会の資料をください、議事録をくださいと言っても、
国交省はくれないわけです。それで、
河川課長と開発班長が頑張ってもらってきてくれたんです。私に取扱注意でくれました。でも、ここで配っちゃ駄目と。議事録に至ってはくれないんですよ。課長と班長が頑張って、くれと言っている議員がいて、出さないと県議会でいろいろ言われると言っても、それならその人に直接来てもらってくださいと言われたと。いや、今の課長や班長がなめられているんじゃないですよ。国はずっとこういう態度なんです。3分の1の
事業費を払う県民をばかにしているんじゃないかと思います。こんな情報非開示の状況で、本当の議論ができるかということです。それで、残念ながらもらった資料はお配りできませんでした。
こんな汚くて申し訳ないんですが、これは私が作ったものです。前回、10年前に
国交省に直接行ってもらった資料に、分かりやすいように書いたもので、少し正確さは欠きますけれども、大ざっぱにはこれで見ていただきたいと思います。
これは利賀で、緑色に塗ってあるところがダム湖です。ダムサイトが左にあって、この緑のところはダム湖を満杯にした時の図です。だから、ダム湖の周りの黒い線は一番水位が高くなった時だと見ていただきたいと思うんですが、ここに赤色で書いてあるのが
地滑りブロックであります。県が長年、一生懸命お金をかけて
地滑りが起こらないように対策を立ててきました。
この
地滑りブロックが本当に滑らないのかと。水を抜いてきたけれども、ダムができることによって水を供給する。雪が解けたり、雨が降ったりすれば水位が上がる。これで大丈夫なのかということです。
全部議論する時間はないので、大豆谷地区の巨大な1.5キロの
地滑りブロックと、今回全く対策を取らないというふうに削られてしまった利賀地区──岩淵地区と大豆谷地区の間に学校のマークがあると思うんですが、ここは小学校、中学校があり、行政センターもある、人が住んでいるとても大事なところです。ところが、今回の計画変更で、大豆谷地区については、その赤い巨大なブロックの下のほうにアンカーを少し打つので、いいんだということになったと。今の計画よりも減らされたんです、対策が。そして、利賀地区は全くやらなくても大丈夫だと、これまで県がやってきたから大丈夫だということで、対策を全く打たないという地区にされてしまったんです。
そこで、この2つの地区を象徴的な地区として取り上げております。国はこのダムを造ったときに、どうやって対策を立てるかということで、「貯水池周辺の地すべり等に係る調査と対策に関する技術指針」というのを決めております。平成31年3月の資料を読みました。
それで、資料6は、その中の説明のページです。小さくて眼鏡がないと判読できない方もおられると思うので、大きい字と赤で書いてきました。
土木部長が本会議で答弁をされました。概査という時点で80地区118ブロックの
地滑り危険ブロックが想定をされたと。それを精査と解析をして、最終的に対策地点として選定したのは6地区16ブロックだと書いてあるわけであります。
それで資料7が大豆谷地区の下部ブロックと中部ブロックの断面図です。赤い線が
地滑り面です。それで、紫色の線が洪水時最高水位、満水にしたときのダム湖の水の高さであります。
今回、下部ブロックは、いろいろ対策を立てる予定だったけれども、やめたんです。それで、下部ブロックにある2つの
地滑り面の上のほうの間にアンカーを186本打つだけで終わりということになった。私が心配しているのは、この
地滑り面が本当に動かないのか。ダムに水がたまったり、雪解けになって地下水位が上がったりしても、
地滑り面に浮力の影響が本当にないのか。そして、下のほうがわずかでも地震などで動いたときに、全部連動して1.5キロの
地滑り面が一気に動くということは本当にないのか、それを証明できるのか。班長はどう思われますか。
24
森田開発班長 今回の
地滑りの検討におきましては、今ほど委員が御説明されました国の技術指針に基づきまして、航空レーザー測量により作成した詳細な地形図を判読して80地区118ブロックにおきまして現地踏査などを実施した上で、家屋などの保全対象施設や
地滑りの規模を評価いたしまして精査を実施しているところでございます。
精査に当たりましては、従来の調査ボーリングに加えまして、より乱れの少ないコアを採取できます高品質ボーリングを実施いたしまして、滑り面が確認されなかったブロックや、滑り面がダムの湛水池よりも上部にあり、湛水の影響を受けないと判断したブロックを除きました7地区17ブロックに対して解析を行った上で、6地区16ブロックにつきまして対策工法の検討がなされているものでございます。
委員御指摘の大豆谷地区の上部ブロックにつきましては、高品質ボーリングを行いました結果、滑り面の末端部が固い岩盤──花崗岩です──に挟まれておりまして、また、岩盤内に
地滑り性の破砕は認められないということと、湛水池から約9メートル高い位置にございますことから、湛水による上部ブロックへの影響はないと判断されているところでございます。
25
火爪委員 読んだんですけれども、本当にそうなのかと。要するに、今の技術で調べてそうだったかもしれないけれども、
地滑りというのはいろいろな可能性があるので、これで安心はできないよね。だって、今回変更する計画で、より高品質のボーリングを実施したって、じゃ、もっと高品質のボーリングが出てきて、ほかの滑り面が見つかったらどうするんですか。その計画でやらなかったらよかったねという話になると思うんです。不安がいっぱいだということを指摘しておきたいと思います。
利賀地区は対策を全く立てないということなので、図面はないんですが、資料8ページを見ていただきたいと思うんです。
利賀地区はダムサイトの周りに民家があるので、重要地域だと思うんです。対策工の計画安全率と保全対象の重要度一覧という表で、家屋があるところの計画安全率は1.15から1.20だと。ところが、この利賀地区の滑り面の対策基準は1.0です。1.0に到達したところは全部対策から外されています。子供たちが滑り面の上にいるという状況で、こんなことでいいのか。改めて国に対してもっと厳しい対策を求めるべきではないかと思いますが、開発班長に聞いておきたいと思います。
26
森田開発班長 地滑り対策につきましては、1.0を下回った場合に対策することになっております。利賀地区には、保全対象として小中学校や行政センターがありまして、まずは
地滑りブロックの末端部でございますけれども、湛水池から約100メートルと高い位置にあると。また、下部の湛水の影響を受けるブロックにつきましては、現在地盤の変動が見られないということから、現況の安全率を1.05に設定いたしまして、ダムの湛水に伴います最小安全率が1.03と1.04という解析の結果が出ております。いずれも1.0を下回らないということでございまして、利賀地区につきましては対策が不要とされたものでございます。
国におきましては、現在も地盤の変動の状況や、地下水の観測をしておられまして、この後もそういった観測を継続されていくと伺っております。県としましては、この後、実際に詳細な設計が進められる段階で、
地滑り防止法などの協議がしっかりと行われるように国に働きかけてまいりたいと考えております。
27
火爪委員 まだこれで対策は終わりではないということを認められたと思うんです。何があるか分からないと。私は計画安全率の設定で1.15から1.20必要とされているこの大事な地区は、対策をするときの判断もやはり1.15、1.20にしてほしいと言っているんですよ。分かっていただきたいと思います。
最後に、
土木部長に伺っておきたいと思います。
今の答弁でもお分かりのように、大変難解な議論があるわけであります。こういうことを私たちにもきちんと資料を使って説明をしていただきたいと、地元にも説明していただきたいと。だから、分かりやすい資料が必要だと、検討
委員会の
専門家も言われたわけですから、そういうものをちゃんと示して、よく説明をして議論をしてほしいと、本会議で再々質問までしました。私のこういう疑問にも丁寧に答えて議論をしてほしいということを申し上げました。今の議論だけでは到底納得できないことが山積しているわけであります。
今日は、
地滑り対策についてだけ部長に質問しておきたいと思うんですが、今回の知事意見案の中に、早くやってほしいとは書いてあるんですけれども、
地滑り対策について、今後も万全を期してよく説明をすることという注文がないんです。私はこれが大変不満なわけです。そういうことを意見案にきちんと入れて、対策に万全を期すよう求めていただきたいと思いますが、改めて部長の所見を伺います。
28
江幡土木部長 利賀ダムの建設に関する
基本計画の変更の件についての議案の話でございまして、御指摘がありましたのは、知事意見案の中に、
地滑りという言葉がないということでございましたけれども、知事意見案で触れておりますのは、「沿川住民の生命と財産や地域の安全を守るため、計画的かつ一日も早い完成を図ること」と、もう1点は、
コストの関係でございます。私はこの、沿川住民の生命と財産や地域の安全を守るためという部分については、もちろんダムのこともありますけれども、当然沿川の
地滑り対策についてもしっかりやれということが含まれた内容ということで御理解をいただければと思っております。
私も昨年、
利賀ダム建設事業管理
委員会に出席させていただいて、文面ではございませんけれども、
地滑り対策に万全を期すようにお願いしたところでありますし、また、これまでもいろいろ議会で議論していただいた内容について、
利賀ダム工事事務所とも話をしたことも踏まえて、今回の
基本計画の変更につながっているというふうに考えておりますので、今後とも
地滑り対策についてはしっかりと要請していきたいと思っております。
29
火爪委員 時間の都合で、利水の関係や、流水の確保の議論はできませんでした。しかし、利水について言えば、
利賀川ダムで十分だと。
利賀川ダムで今も利賀川
工業用水道事業で工業用水を供給していますよね。それから、本会議でもさんざん議論があったように西部水道用水供給事業の利水も十分余裕があると思います。
渇水対策についても、20%の取水制限をしたときがあるという話がありましたけれども、20%ですよ。やはり力を合わせていろいろな形で乗り切っていく方法はほかに幾らでもあると私は考えております。
これだけ質疑の時間を取らせていただいたので、反対討論の上乗せはやりません。この質疑で私の反対の意思を十分酌んでいただきたいと思います。
30
薮田委員長 ほかにありませんか。──ないようでありますので、質疑なしと認めます。
(3) 討 論
31
薮田委員長 これより討論に入ります。
討論はありませんか。──ないようでありますので、討論なしと認めます。
(4) 採 決
32
薮田委員長 これより
付託案件の採決に入ります。
本
委員会に付託されました諸案件のうち、まず、議案第91号
利賀ダムの建設に関する
基本計画の変更の件について、原案のとおり決することに賛成の委員の挙手を求めます。