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令和元年決算特別委員会 開催日: 2019-11-26

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  1. 富山県議会 2019-11-26
    令和元年決算特別委員会 開催日: 2019-11-26


    取得元: 富山県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-14
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  1 付託案件の総括質疑   (1) 質疑・応答    永森委員    ・安全安心を守る予算の執行について    ・子ども支援に関する予算の執行について    ・県有資産の活用について    ・富山米新品種「富富富」について    菅沢委員    ・「とやま未来創生戦略」(地方創生)事業について    ・富山きときと空港について    津本委員    ・乳幼児医療費助成について    ・西部水道用水供給事業について    ・教職員定数について    ・ALT(外国語指導助手)の採用について    ・県営住宅について    吉田委員    ・糖尿病対策について    ・中小企業の活性化について    ・防災・減災、災害に強い県土づくりについて
       上田委員    ・富山湾の活用について    ・富山湾を活用した観光振興について    ・富山湾の環境保全について    ・富山湾の水産資源の活用について 横山委員長 それでは、発言の通告がありますので、これより順次発言を許します。  永森委員、あなたの持ち時間は40分であります。 2 永森委員 まず、安全安心を守る予算の執行ということで、委員長、最初に資料の配付を御許可いただきたいのですけれども、よろしいでしょうか。 3 横山委員長 はい、よろしいです。配付してください。 4 永森委員 それでは、順次資料が配付されると思います。  平成30年度土木費の予算決算の乖離と繰越額という資料でございます。  簡単にこのグラフを説明いたしますと、一番上の青色の線が平成27年度から平成30年度までの予算現額の推移、そして、オレンジ色の線が決算額の推移ということになっております。その下に、決算額の内訳として、黄色の線が当年度事業分、グレーの線が繰り越しの執行分となっており、グレーの線と黄色の線を足すとオレンジの線になります。  見ていただくと、すぐにわかっていただけると思うのですけれども、予算額は平成27年度から平成30年度で202億円増加をしておりますが、他方で、決算額は67億円しか伸びていないということになっております。  どうしてこういうことになるのかと数字上だけで見ていきますと、予算額はぐんぐんと毎年伸びていっております。伸びていく中で、翌年度に繰り越しをしていくことが多くなっております。そして繰り越しにあわせるかのように、逆に当年度事業分は落ち込んでしまっておりまして、例えば平成29年度を見ますと繰り越しが50億円ぐらい伸びていますが、その分当年度事業分が同じぐらい減ってしまいまして、結果として決算額が伸びてこないということになっているわけであります。  そこで、繰越額が多いということは、事業の発注の平準化などさまざまな事情の中で、繰り越しがふえていくということは理解できるのですけれども、他方で、どうして決算額がふえていかないのかというところが非常に理解が難しい部分なわけであります。  今後も国の経済対策による補正等々でさらに予算額が膨れ上がっていくことが予測される中、こういうことをしっかりと分析、把握できていない状況のままでは、一生懸命予算を編成しても、現実に県土強靱化に結びつかないのではないかと思います。  そこで、県としてこういう状況の課題を何か把握しておられるのではないかと思いますけれども、石井知事の所見を伺います。 5 石井知事 今の御質問ですけれども、県の土木費については、防災・減災対策や地方創生にも資する社会資本整備ということで、できるだけ積極的に公共事業予算額を確保しようと国へ働きかけをしてまいりました。土木費の最終予算額歳出決算額の差ですけれども、主に翌年度への繰越額でありまして、委員御指摘のとおり、平成27年度以降、乖離は拡大しておりますが、これは当初予算に加えて国の補正予算に積極的に対応した予算編成を行ったからということでございます。  平成28年度は国が補正予算を早目に決めてくれたので、異例なことなので御記憶かと思いますが、10月に臨時議会を開いていただいて、これは私からぜひそうしましょうと言って、予算計上したので、このグラフをごらんいただいても、平成28年度の当年度事業分は結構大きかったわけです。しかし、通常国の補正予算は、御存じと思いますが、翌年1月末ごろに国会の冒頭に処理します。そうすると、うまくいって、土木部に国の内示などをいただけるのが2月に入ってしまうわけです。そうすると、精いっぱい我々が努力しても2月補正予算になり、その予算を県議会で議決いただくのはどうしても3月になってしまうので、あらかた翌年度に繰り越してしまうわけです。そういうことが続いていますが、ただ、翌年度の繰り越しがふえる分、その分だけ当然事業は執行するわけですから、決算額としては徐々には上がってきています。  ということで、平成30年度の数字が資料に出ていますが、平成31年度になれば、当然平成30年度の国の補正分は翌年度に事業費として上がってきますから、事業量は確保できていると思います。  ただ、一番いいのは国において、せっかく補正予算をつけてくださるなら、できればもっと早く、せめて年内ぐらいにやってもらえば、県も早く対応できるのですけれども、なかなか国もそうはいかないという事情だと思います。  今後も、県では、まずは国の3か年緊急対策に積極的に対応して、精いっぱい予算はいただくように努力したいと思いますが、同時に執行面でも気をつけまして、発注の平準化が大事ですから、先般来御相談をして議決いただきましたように、まず、今年度からは新たに9月補正予算繰越明許費を前倒し設定する。それから、11月補正予算案でもゼロ県債と繰越明許費を計上しまして、繰越明許費を適切に活用し、年度をまたぐ工期設定を促進して、従来春先はどうしても事業が少ないという傾向があったのですが、できるだけ年度間の切れ目のない工事施工に取り組みまして、できるだけ計画的に執行するように、今後も精いっぱい努力してまいりたいと思います。 6 永森委員 知事、すみません。今ほどの御説明で、国の補正に対応するので繰り越しがふえていくと、そこまでは非常によくわかります。他方で、これだけ予算額が総額としてふえていく中で、決算額そのものが伸びていないということと、繰越額が多くなっているということは必ずしも一致しないといいましょうか、繰り越しがふえることについては、私は別にとやかく言うつもりは全くありません。発注の平準化もございますので、それはそれで必要なことだと認識しています。他方で、どうして繰り越しがふえると当年度事業分が減ってしまうのか、ここがちょっと理解できないので、もう一度よろしければお願いいたします。 7 石井知事 技術的に細かなことはまた土木部長から答えてもらいたいと思いますが、予算執行そのものは迅速にということでずっとやってきております。ただ、繰り越し分がどんどんふえてきますと、当年分が少し押し出されてくるということはあるかもしれません。この資料はたまたま平成30年度で切れていますが、翌年、令和元年度では当年分の事業量もかなりふえているはずではないかと思うんですが、ちょっとこれ… 8 永森委員 わかりました。  ちょっと今年度どうなっているか、私も調べていませんけれども、実は令和元年度への繰り越しは280億円になっていまして、さらにふえているということになっております。  当年度事業分がしっかりふえていないことについて、先般の総合交通・県土強靱化特別委員会でも、土木部の発注等々の人員等に何か課題はないでしょうかと質問もしたのですけれども、とりあえず課題はないとお答えをいただきましたので、それではいったいどこに課題があるのだろうというところに大変な問題意識を持っているわけであります。  それで、もし事業をしたいのにできる体制にない、職員の関係もあれば、もしかしたら受注する建設業者の関係があるのかもしれません。どこに問題があるのかわかりませんけれども、でも、間違いなく何か問題があるからこういう状況になっていると思っていまして、このあたりもう少ししっかりと調査、分析をしていただかないと、やはり幾ら予算を計上しても事業ができないということでは、全く県土強靱化、あるいは地域経済の活性化というところに結びつかないわけです。  昨年も中川議員から同じような質問が出ていたと記憶しています。毎年同じことを聞いていてもしようがないと思いますので、ぜひともしっかりとこのあたりの調査、分析をお願いして、時間もありますので、次の質問にいきたいと思います。  それで、何でこんなことを言うかというと、やるべき事業が大変たくさんあると思っています。先般の台風による豪雨災害等々を見ましても、河川整備などにもっともっと予算を投入して、しっかりと県土を守っていく事業をやっていかなければいけないわけであります。そうした中で、予算がしっかり執行されていかないところに大変な問題意識を持っているわけであります。  きょうは河川のことはとりあえず置いておきまして、土砂災害についてお聞きをしたいと思っています。  土砂災害では、記憶に新しいところで昨年の平成30年7月豪雨により広島県などで大変な被害が出ました。  避難はもちろん大事ですけれども、他方で、避難しようにも容易にできない方々がいらっしゃる施設がございます。高齢者であったり、障害者であったり、あるいは医療機関等々の入院者など、要配慮者といわれる方々です。  本県の土砂災害警戒区域内にあるそういう方々がいらっしゃる施設、要配慮者利用施設土砂災害対策の整備状況は現在のところ35.6%となっておりますが、こういう施設こそやはり整備を急ぐべきではないかと思うわけですけれども、今後どのように取り組むのか、水口土木部長、よろしくお願いいたします。 9 水口土木部長 本年10月の台風19号による豪雨を初め、記録的な集中豪雨により、近年全国各地で多くの土砂災害が発生しており、人的被害につながる要配慮者利用施設土砂災害対策の必要性がますます高まっております。  本県の砂防関係施設の整備につきましては、県全体で土砂災害危険箇所が4,947カ所ございますけれども、このうち人家5戸以上や要配慮者利用施設がある1,804カ所の重要整備箇所について、優先的に整備を進めているところであります。  御指摘のとおり、土砂災害警戒区域内にある要配慮者利用施設は101施設ございまして、平成30年度末で36施設の対策が完了しているということで、整備率は35.6%となっております。このほか、現在19施設で整備を進めております。ハード対策には多くの費用と長い年月を要しますが、必要な予算の確保につなげまして、より一層の整備の推進を図ってまいります。  また、今回の台風19号では、事前に避難訓練等をしていた施設で安全に避難ができたという事例もございますことから、土砂災害に対する円滑、迅速な避難に向けたソフト対策につきましても、引き続き支援してまいりたいと考えております。  今後とも要配慮者利用施設土砂災害対策を着実に進めますとともに、警戒避難体制の充実、強化も図りながら、ハード、ソフト両面から総合的に土砂災害対策に取り組んでまいります。 10 永森委員 水口部長、ありがとうございました。  今ほどは水口部長からも、ハード整備だけではなかなか対処し切れない部分がある、ソフト対策も大事だという答弁があったかと思っております。  そこで、災害に対するソフト対策という面におきまして、県では地域防災力を高めようということで、地域防災力向上支援事業を行っておりまして、自主防災組織資機材整備への支援、早期避難訓練モデル事業の実施を促しております。  他方で、この予算額が3,300万円計上されているわけですけれども、執行額は500万円程度にとどまっている状況になっております。こうした事業の活用も含めまして、災害へのソフト対策にどのように取り組んでいこうと思っておられるのか、竹野危機管理監にお尋ねをいたします。 11 竹野危機管理監 万一の災害発生時に被害を最小限に抑えるためには、やはり自分の身は自分で守る自助、そして、地域で互いに助け合う共助など、地域防災力の向上を図ることが大変重要と考えておりまして、今ほど委員からも御紹介がありました地域防災力向上支援事業を県では実施しております。  資機材整備への支援、あるいは早期避難等訓練モデル事業、このほかにも年々メニューを見直しておりまして、今年度は地区防災計画策定を促進するための支援の事業を追加するなど、順次ふやして充実を図ってきているところであり、現在まで約2,000件の支援を行っております。  ただ、やはり今御指摘のとおり、事業予算3,300万円に対して、500万円程度の執行という状況でございまして、その乖離の原因としては、まず、自主防災組織数は、平成21年の1,445組織から現在2,305組織にふえておりますけれども、組織の活動が全部同じではなくてかなり差があること。また、組織の増加にあわせまして、できるだけ予算額を確保してきたこと。そして、これが一番の大きな原因かと思うのですが、補助を幅広く活用していただけるように、各補助メニューについて1組織一度の補助とする運用を行っているということ。そして、訓練や計画策定支援メニューは、組織として活動するために労力が必要で、かなり負担を伴うことや、制度を活用できるリーダーとなる人材がまだまだ不足しているというようなことなどが考えられます。  県としては、今後制度の周知や適宜見直しを行うとともに、防災意識の向上、自主防災アドバイザーの派遣などを通じまして、組織の活性化や人材の育成を図るなど、地域の防災力の向上につなげていきたいと考えております。 12 永森委員 竹野危機管理監、市町村はこうした事業の実行に対してどのようなかかわりを持っておられるのでしょうか。 13 竹野危機管理監 地域防災活動に対して市町村でも補助を行っているところもございます。それは個々の市町村によって、例えば補助の上限、定額であったり、あるいは割合を決めて出しているなどいろいろございますが、市町村でも地域の防災訓練などの活動に対して支援しているところはございます。  ただ、県のメニューはわかっているのだけれども、必ずしもそれをうまく使える人がいないということが組織ごとにいろいろな差がございますので、こういう状況につながっているのではないかと思います。 14 永森委員 ありがとうございます。  やはり地域の皆様方は、いきなり県というとちょっと遠いような感じを持っておられる方も多いので、市町村等としっかり連動しながら取り組むことも重要と思っております。よろしくお願いいたします。  次に、安全安心についての最後でありますけれども、防災をちょっと離れまして、持続可能な社会保障について1問伺いたいと思っております。  少子高齢化が進んでいく中で、本県財政の大きな課題は、医療、介護への財政負担増への対応と思っております。そうした中で、県においても、現在一生懸命健康寿命の延伸ということで取り組んでいただいております。  また、先般国では、介護予防自立支援に成果を上げた自治体に手厚く交付金を配分する方針を出すなど、自治体に競争を促しながら社会保障を持続可能なものにしていく方針を加速させているように映るわけであります。  本県でも、特定健康診査特定保健指導介護予防自立支援の促進に努めることが社会保障費の縮減や国からの交付金の獲得につながると考えます。平成30年度における現状と今後の取り組み方針市村厚生部長にお伺いします。 15 市村厚生部長 高齢化等による医療費や介護給付費の伸びに伴いまして、県の社会保障関係費の増加が見込まれる中、お話のとおり、疾病や介護の予防に取り組むことが重要と考えております。  このため、県では、特定健康診査特定保健指導の実施率の向上を図るために、国民健康保険の健診等を行います市町村への支援などを行っておりまして、平成30年度の市町村国民健康保険特定健康審査の実施率が44.7%、特定保健指導が31.7%と、前年度よりそれぞれ0.8ポイント、3ポイント向上しております。  また、県や市町村の取り組みや成果を評価して国が交付金を分配する保険者努力支援制度というものがございますが、これにつきましては、今年度の本県の評価点数は、県が全国で4位、それから、市町村が全国で15位となっておりまして、点数に見合った高い交付金をいただいております。  また、介護におきましても、地域リハビリテーション地域包括ケアサポートセンターを県内の4圏域で9施設指定して、市町村が実施する地域ケア会議等へのリハビリ専門職を派遣する体制を整えるなど介護予防自立支援に向けた取り組みも実施してきたところでございます。  これにつきましても、取り組みを評価する保険者機能強化推進交付金というものがあり、今年度の評価点数は県が全国9位で、市町村平均点数が全国の5位となり、交付金額も点数に応じて高い水準の配分となってございます。  今後も県、市町村等が連携して、今ほど申し上げました特定健診等の実施率の向上や、介護予防にしっかり取り組み、医療費、介護給付費の適正化に努めてまいりたいと考えておりますし、交付金の確保にも結びつくよう、しっかり取り組みを進めてまいりたいと考えております。 16 永森委員 ありがとうございました。  それこそ健康寿命日本一と、こういう取り組みは密接に結びついていると私は思っております。自治体挙げてさまざまな予防活動をしっかりやっていくということが、ひいては健康寿命日本一にもつながっていくと思っております。今後とも取り組みを期待したいと思っております。  大きな問いの2番目は、子ども支援に関する予算の執行についてということで、まず1点目は、県立学校へのタブレット端末の配置について質問をさせていただきたいと思っています。  平成30年度でタブレット端末の普及率は48.5%となっております。また、直接タブレットとは関係ありませんけれども、政府では小学校5年生から中学校3年生までパソコンを1人1台使える環境の整備を検討しているということが最近報道されております。  学校現場でICT環境がしっかり充実していくことは、大変に歓迎すべきことですけれども、他方で、現在あるタブレット端末をしっかり学校現場で活用できているのだろうか、あるいは活用できるような体制を県教育委員会市町村教育委員会でとっているのか。もしかすると、せっかく配備されても使い切れずに持て余しているような状況があるのではないだろうかと懸念するわけであります。  これまでICT環境の充実に取り組んできておりますけれども、現在の利用状況、そして、県として活用策について各学校にどのような指導をしてこられたのか、伍嶋教育長にお尋ねします。 17 伍嶋教育長 まず、県立学校では、平成28年度から無線LANプロジェクターとあわせてタブレットの配備など、順次ICT環境の充実に取り組んできておりまして、来年度には全ての県立学校で整備を完了する予定となっております。  御質問の各学校での活用事例ですけれども、例えば福祉や看護の実習、あるいは化学や物理の実験の様子をタブレット端末で撮影して、その実験結果の検証や振り返りを行うなど、動画機能の活用による効果的な授業を展開すること。また、グループ別にいろいろな討議をして、意見をまとめ、それを端末に入力をすると瞬時にプロジェクターに出てくるということで、資料を配付する作業など教員の負担軽減が図られるなど、迅速かつ多様な授業の展開がされております。  また、教員のICTを活用した指導力の向上ということですけれども、これは学校ごとにいろいろな実情がありますので、それぞれ活用目標を定め、校内研修を企画する委員会を設けて、生徒の実際のアンケートに基づいて授業の改善策の検討を図る、あるいは、公開授業や研究協議を通して効果的な授業の実践に努めてきております。  また、総合教育センターにおいて、各校に配置しているICT推進リーダーの育成研修を行うほか、要請に応じて指導員が直接学校に出向いて研修を行うことにより、各校が教育効果を高めるためのノウハウを蓄積できるように努めております。  一方、こういった機器になれていない教員の負担軽減を図る観点から、ICT機器導入の翌年度に各実践校へICT支援員を派遣して、例えば授業中の機器のトラブル対応への支援や生徒の技能習得に向けたサポートなどを行っております。  今後ともこうした支援と授業の改善に努めながら、さらなるICTの利活用の促進に努めてまいりたいと思っております。 18 永森委員 ちょっと時間がないので、これ以上申し上げませんけれども、やはり上手に使っているところもあるという話はわかりましたが、他方で、上手に使えていないところもきっとあるのではないかと思います。配備開始から4年目を迎えていますので、せっかくの設備をどう活用していくのか、あるいはこれからの1人1台端末や5Gなどの時代を見据えて、どんな使い方をすべきだろうかというところは、もう少し県全体として考えていただきたいと思いますので、それを申し上げて次に移りたいと思います。  次は、子ども・若者支援地域協議会の設置に関することでございます。  平成28年度に県においてこの協議会が設置をされております。不登校やひきこもり、あるいは最近もSNSなどに端を発した子供たちが巻き込まれるさまざまな事件など、子供、若者を取り巻く環境が大変複雑化、多様化をしており、そうした問題の早期把握、解決が求められていると思っています。  他方で、本県の子ども・若者支援地域協議会に関する近年の決算額は二、三十万円程度で推移をしております。この事業の重要性等を考えると、少し広がりに欠けるという印象を持っております。  その理由ははっきりしておりまして、県ではこの協議会を設置しておりますけれども、大事な現場で直接地域の方々の相談を受ける市町村の支援地域協議会や、ほかの県では設置が進められている子ども・若者総合相談センターの設置には至っておりません。そうした現場とのかかわりがない中で、県だけで事業を展開していても、なかなか実効性は上がってこないと思っております。  この市町村等で設置に至らない理由をどのように考えているのか、また、設置を促すための支援措置を検討してはどうかと思いますけれども、市村厚生部長に伺います。 19 市村厚生部長 今ほどお話がありました子ども・若者支援地域協議会や子ども・若者総合相談センターは、法律におきまして、地方公共団体における設置が努力義務とされておりますが、県内の市町村には設置がございません。  なお、全国の市町村での設置も徐々にふえてきておりますが、その割合は、協議会、センターとも4%程度という状況でございます。  協議会や総合相談センターを設置していない理由として、県内の市町村からは、既存の相談機関がいろいろあり、個別対応しており、そのネットワークを活用し連携を図っている、あるいは、関係する部署が多岐にわたるので、実際どの機関が中心となってやっていくのか難しい、といったお話をお聞きしております。  県では、これまで市町村との連絡会議を毎年開催しておりまして、協議会やセンターの設置の意義、他県の設置事例を紹介することにより、市町村に設置を働きかけてきたところでございます。  委員御指摘のとおり、事業の広がりに課題があろうかと思います。住民に最も身近な市町村が個別具体的な支援に密接にかかわっていただくということは重要なことと思います。県のさまざまな専門相談機関が各市町村の福祉事務所などに対して支援を行うことはもちろんですが、協議会等の設置を引き続き働きかけますとともに、他県で設置をされているところもございますので、そういった取り組み、あるいは、他県における支援策の状況等も研究しながら、市町村の体制整備が進むように支援してまいりたいと考えております。 20 永森委員 ありがとうございました。  不登校、ひきこもりは、今までの枠組みの中ではなかなか対処し切れない部分があることはよく指摘されているところでありますので、ぜひとも市町村にそうした働きかけをさらに強めていただくようにお願いをしておきたいと思います。  問3は、県有資産の活用についてでございます。  本年末で県立近代美術館は閉館から3年ということになります。閉館以降、その活用手法についてさまざまな議論もなされてきたと認識しておりますけれども、ここしばらくはその議論も少し停滞気味のように感じております。さらには、今後は県立高校再編により新たな県有建築物の活用の課題も出てまいります。今回の県立近代美術館同様に、その活用をどうするのだろうかということで、宙に浮いてしまわないかということを大変懸念をしているところでございます。  この県有資産、それこそ各地域においては、財政的な県有資産の活用という観点もありますけれども、それ以上に、長年地域住民に愛されて、地域の活力の一端を担ってきた施設でありまして、その活用は地域に大きな影響を与えると思っております。スピード感を持って取り組むべきと感じておりますけれども、石井知事の所見を伺います。 21 石井知事 まず、旧近代美術館の施設の活用ですけれども、さまざまな調査をいたしました結果、耐震性やコスト面で課題が多いものですから、民間で活用していただいたほうがよいと考えまして、ことし2月の行革発表の際に、売却に向けて民間企業からの提案を募集するという方針を発表しております。売却に当たりましては、公募型プロポーザルを行うことといたしまして、これまでに順次必要な作業を進めております。  解体費用は今精査中ですが、積算に時間を要しており、また、富山市などとの隣接地の境界確定の問題もありますので、今後準備が整い次第、速やかにプロポーザルを実施することとしております。  それとはちょっと性格が違うと思いますけれども、再編統合の対象とされた高校の跡地活用については、県有地の活用ということもありますが、今、委員おっしゃったように、それぞれの学校の歴史や伝統、また、地域の皆様がそこにあった高校に熱い思いを持って支えてきていただいたということも十分踏まえる必要があると思っておりまして、県として活用方策を検討することはもちろんですけれども、まずは地元の市町において、地方創生の観点などから活用方法について検討していただくことが必要ではないかと考えておりまして、そのために、もし御入り用であればということで、県単の補助制度も昨年度から設けて支援しております。  例えば、朝日町では、昨年度に引き続いて今年度もこの補助金を活用して検討していただいていまして、先日開催された4回目の検討委員会では、例えば日本語学校、高等教育機関のサテライトキャンパスなどの教育施設、あるいは移住定住体験施設、学生の合宿施設、体育館などの複合型の施設、あるいは企業誘致などの活用方策を議論されておりまして、年内にはこうした方向性を取りまとめられる予定と伺っております。  それから、南砺市では、今年度この補助金を活用されまして、跡地の利活用を調査、検討されております。  また、高岡市では、御存じかと思いますけれども、この補助金を活用した検討を進められる予定で、伺っている限りでは、例えば小中学校の再編にあわせて、隣接の西条小学校と一体利用する方針で、今後用途を検討していくと伺っているわけであります。  今後も関係市町と密接に連携協力しながら、高校跡地の活用が地域の活性化につながるように、しっかりと取り組んでまいります。 22 横山委員長 永森委員、時間が少なくなっております。 23 永森委員 わかりました。簡潔にやります。  最後、「富富富」についてであります。
     2019年産米のJAの概算金は1万4,500円ということであります。コシヒカリよりも高いということですけれども、私は決して満足できる金額ではないと思っています。また、10月末の販売状況がけさ新聞に出ていました。昨年に比べ8%減ということになっております。やはりプロモーションに少し課題を残しているのではないかと思いますけれども、平成30年度のプロモーションの評価と今年度の改善点、そして、さらにどのように今後取り組んでいくのか、河村部長に伺います。 24 横山委員長 河村農林水産部長、簡潔にお願いします。 25 河村農林水産部長 「富富富」につきましては、デビュー年の昨年度、各種プロモーションを行いまして、ネーミングはもとより食味等についても一定の評価をいただいて、成果としても一定のものがあったと思っております。  一方で、産地精米のみの流通である、量目が2キログラムの袋だけであったといった課題もありまして、必ずしも小売店のニーズに十分応えられなかった点もあったと考えております。このため、今年度はさらなる認知度向上、販路拡大のため、玄米での県外出荷や米袋の量目の拡大等にも取り組んだところでございます。  販売状況についても、委員からお話がございましたが、県外での販売エリアが拡大しておりますので、生産量の増加に見合った販売量で推移していくものと考えておりますし、プロモーションにつきましても、全農県本部や卸業者の皆さんの協力を得ながら、職員が県内外の小売店を直接巡回訪問して、販売現場の生の声を伺いながら、今後のプロモーション活動に生かしてまいりたいと考えております。 26 横山委員長 永森委員の質疑は以上で終了しました。  菅沢委員、あなたの持ち時間は40分であります。 27 菅沢委員 委員長、資料の配付をお願いしたいのですが。 28 横山委員長 許可いたします。 29 菅沢委員 1問目ですが、時間の関係もあるので、ア、イ、ウ、一緒にまとめて知事にお尋ねさせていただきます。  まず、とやま未来創生戦略(地方創生)事業のKPI(重要業績評価指標)については、今平成30年度分の作業が進行中です。その地方創生推進交付金だけでも大きな事業が10事業、細目にわたりますと、もう200事業以上、関係している課の数でも五十数課になりまして、膨大なものでありますが、そのKPIの関係で2点申し上げたいと思います。  第1点は、平成30年度の県内への移住者数、905人となっておりますけれども、知事もたびたびこの数字はおっしゃっています。ただ、この中に新卒の学生百八十数名が含まれているという問題について、これはUターンの就職者であって移住ではないと、私は経営企画委員会でも指摘を申し上げ、総合政策局長もそういうことで私は理解いただいているものだと思っておりますけれども、ただ、それから大分経過しているのですが、課長から知事まで、ずっとおっしゃるのはこの数字です。従来のままなものですから、私はちょっとその辺、きょうはお話をしておきたいということが第1点。  同時に、この数字の問題では、きょうの本会議の提案理由でも、知事は富山県美術館について、一昨年3月末の一部開館からの来訪者数が250万人を超えると、大変多くの方に御愛顧いただき、ありがたく思っているという話でしたが、これも、私、以前にちょっと申し上げたことがあるのですけれども、美術館の来館者と常設展、企画展などの観覧者の数、これを使い分けるというのはいかがなものかと。  私はもちろん、来館者ということで、平成30年度の場合は八十数万人いらっしゃっていますが、これは屋上庭園の遊具などにふれたりするということも含めてのことで、その数を発表なさろうと、私はとやかく申し上げませんが、しかし、美術館の活動としてはしっかりと美術作品の鑑賞の数字を抑えた上で議論をすべきである。そういうことにどうしてならないのか、私は非常に疑義を持っているわけです。  私は数字というのは大変大事だと思っておりまして、水増しをしたり、それは水増しと言っては何ですけれども、そういうことでは、例えば移住者の数は、市町村にお伺いしましても、混乱とか、せっかくの事業なのに、やはりいろいろな努力に応えていない、水を差すというか、不信感ですね。私はそういう点でも数字の扱いというのは、知事さんを先頭にもっと綿密にすべきだと思っております。いかがですか。 30 石井知事 何か局長答弁、飛ばされたようですけれども、今までの経営企画委員会でも局長から御説明してきたと思うのですが、県が公表している移住者数は社会人を初め、学生のUターン就職者も含まれておりまして、例えば、平成30年度における県や市町村の相談窓口等を通した移住者905人のうち、県の相談窓口を通した学生のUターン就職者は170人から180人程度と従来も説明していたと思います。今回改めて確認したところ、178人だそうであります。  県としましては、県や市町村の移住相談窓口などを通して県外から本県に転入された方を移住者として集計しておりまして、毎年公表しております。Uターンの学生についても、県の相談窓口でいろいろお話を聞かれた上で、そういうことならということで、富山に住んで働くことがよいと判断をされて富山県に移ったということで、これまで移住者として整理しているわけでございます。  そういうことで、ちょっと紛らわしいというか、Uターンの学生さんの分も含まれているというのは、わかるようにしたほうが私もいいと思いますから、水増ししているという全く誤解を招いてはいけませんから、従来の数字もなるべく整理して、今後はその内訳に学生のUターン者数も入っているということを明確にするようにしたいと思っております。  ただ、富山県への移住者が平成20年度は207人、平成21年度は189人だったものが、平成30年度は905人になったと言っているのですけれども、平成20年度も精査してみますと学生Uターン者数が51名、平成21年度は52名いらっしゃいました。だから、学生のUターンを移住ではないと仮にして、差し引いたとしても、平成20年度は156人、平成21年度では137人だった移住者数が、平成30年度には727人と、約5倍近くにふえていますから、移住してくださる人が若い人を中心に非常にふえているという事実は全く間違いないのでございますので、ぜひ御理解いただきたい。  それから、昔なら大学に行って、卒業したら戻ってくるのは当たり前だと思っている人が多いかもしれませんが、今富山県でもUターンする学生さんは随分全国的に見ればすごく高いのですが、58%台です。全国では5割近いところが多く、低いところでは4割くらいのところもあって、かつての感覚、つまり大学、例えば東京都などの大都市圏へ行って戻ってくるのは当然という時代ではありません。そこで、いろいろ考えて、県の相談窓口、市町村の相談窓口でいろいろアドバイスを受けて、なるほどそういうことならやはり富山に行こうかと思って、来る人がそれだけいらっしゃるということなので、決して県の表示の仕方がおかしいということではないので、内訳を明確につけるということかと思っております。  それから、美術館の話がありましたけれども、これも、委員は観覧者と来館者を分けてというお話で、それは別に分けることはいいと思うのですが、念のために言いますと、富山県美術館というのは、まさにアートとデザインをつなぐということをコンセプトにしておりますから、いわゆる20世紀の名画などをごらんになる方も大事で、今後もそういう内容を充実していきたいと思いますけれども、同時に、子供たちには、佐藤卓さんが考案したオノマトペの屋上で、遊具で遊びながらデザインの感覚、デザインを楽しむというセンスを身につけてもらう。それから、アトリエのワークショップ、ここも無料ゾーンですが、お子さんたちのグループ、あるいは親子連れで来てもらって、ワークショップでおのずからアートやデザインに親しんでもらう。それから、ポスターのタッチパネル、熊の彫刻、こういうものも親子連れやシニアの方に来て楽しんでいただく。そういうことが私はこれからの富山県におけるアートやデザイン、文化の振興に非常に大切だと思っていますから、来館者数で表示することは大変意義があると思っております。  ちなみに、金沢21世紀美術館では、観覧者数の合計は公表されてないのです。258万人といった数字をおっしゃっていますが、これは全部、いわゆる来館者数です。  ですから、美術館によっていろいろ考え方が違いますから、来館者数も表示する、それから、御関心のある方には観覧者数も発表する、こういうことで何の問題もないと思っていますので、御理解いただきたいと思います。 31 菅沢委員 知事ね、富山県の学生で、関東、中部、関西などの都会へ出ていく方は3,600人おられるのです。高校生では大学進学者の8割ほど。大学を卒業して就職される方のうち県内へUターンされる方は6割の1,500人といわれております。Uターン者は1,500人、その中に相談窓口を通した方も入っておりまして、相談窓口を通した方を移住者の枠の中で少し表記に工夫を凝らすということは、それはいいのですけれども、Uターン者はUターン者です。移住というのはライフスタイルの転換、Uターンは就職です。他県のことも聞いておりますけれども、石川県は、Uターンは移住には入れないと言っておられます。  それから、もう1点、県の相談窓口を通した移住者は平成30年度で398人です。ある意味ではこの398人のうち180人近くは相談窓口を通したUターンということになると、218人しか移住者がカウントできないのです。何かそんなこともあったりして、数字を少しいじるような傾向があるのではないかと、私の誤解かね、非常に疑問を持って見ております。 32 石井知事 それは全くの誤解です。私は前から相談窓口に来て、移住される方に、ひょっとしたら、別の見方をすれば、もともと富山にいて、大学に行って帰ってきたUターンの人がいらっしゃる可能性があるのではないかと。そこで、何度か担当者に調べてもらいました。最初はちょっと事務的な、市町村との関係もあるから、なかなかすぐに答えが出てこなかったのですが、きちんと整理してこのようにしてもらいました。ですから、今後もします。しかし、そうは言っても富山くらし・しごと支援センターの大手町オフィスや有楽町オフィス、あるいは大阪オフィスで相談をして、ああやっぱり富山を選ぼうと思っていたというプロセスを経てきた人がいることは事実ですから、それを表示することに何の問題もないと思うのです。ただ、その中に、いわゆるUターンに当たる人が入っているなら入っているで包み隠さず出しているわけで、何か隣の県がどうとかという話がありましたが、富山県はどこと比較しても全く数字にうそとかそういうことは一切しておりませんから、御理解いただきたいと思います。 33 菅沢委員 Uターンも大事です。学卒の方が東京で就職なさって、しばらくして家庭の事情などでふるさとに帰って生活をしようと考え直される、それはまさにUターンで、それはあります。これはもう少しまたいろいろ議論しましょう。  さて、次の質問に入ります。  この調子で議論をしていたら、全く先へ進みません。私の質問の仕方もいろいろあるかもしれませんが、知事の御答弁も長いので、私はできるだけ要領を絞ってということで、質問の(2)については、私の資料を皆さんごらんください。資料1です。これは、平成30年度における地方創生推進交付金事業の執行状況です。執行率という形で表記されております。採択額、実績額もあります。  それと、資料2は、地方創生拠点整備交付金事業の関係で、同じような執行率です。  これらをごらんいただきますと、地方創生推進交付金事業では一番最後の欄にありますけれども、執行率は82.5%で、3億2,000万円の不用額が計上されております。地方創生推進交付金事業の10の事業の中では50%から70%程度の執行率と、低いものもあります。ちょっと細かい数字で恐縮ですが、例えば3番目の事業の北陸次世代産業創出イノベーション推進事業は66%の執行率、移住・UIJターン・就職は『やっぱり富山』大作戦は74.7%の執行率、それから、9番目の「つながる」とやまものづくり産業の構築の執行率は54.7%に過ぎません。  したがって、地方創生推進交付金事業の場合だけでも3億円以上の不用額が出ております。さらに、地方創生拠点整備交付金事業では、いろいろな事業が資料2をごらんのようにございますけれども、ここでも5億円近くの巨額の不用額が出ているわけでございます。  そこで、資料1の地方創生推進交付金事業の4の移住・UIJターン・就職は『やっぱり富山』大作戦の移住・UIJターン促進課のところをごらんください。事業費一億数百万円で、執行額は約7,000万円、71.5%の執行率であります。これは、先ほどから移住のことを議論してまいりましたけれども、県の地方創生の重点施策になっているわけですが、非常に執行率が悪いと思います。  次に、資料3をごらんください。皆さん、資料3をごらんいただくと、その背景が何かということがいろいろ分析できます。この資料3の表の中の6)、ちょっと太く強調されている移住者受入モデル地域トータルサポート事業を見ますと、約2,400万円の事業に対して50万円近くしか実績額がありません。これは話にならないような数字でして、どういう事業かといいますと、移住者の受け入れに当たって、県下の移住者受け入れモデル地域、一番下に書いてございます7地域への助成、補助金です。  移住のための宿泊体験などさまざまな事業や、移住者の受け入れのための施設の整備について、市町村が事業を理解して受け入れていないという、つまり地方創生推進交付金事業が現場ではなかなか徹底されていないと、市町村との間に乖離があるということがここにあらわれております。そのことについて、総合政策局長に所見を求めます。 34 蔵堀総合政策局長 今ほど御指摘のあった事業でございますけれども、移住者受け入れモデル地域が取り組む施設、あるいは備品整備への補助事業でございます。昨年度は、この制度の活用を移住者モデル地域や市町村へ働きかけましたけれども、たまたま平成30年度の申請が少なく、採択額に対して実績が大きく下回ったということでございます。  この事業については、その前の平成29年度では2,280万円ほどの執行でございましたので、年度によって対象地域の皆さんの取り組む態勢や市町村の財源、地域の負担の事情もあろうかと思っています。今後とも制度の利用促進にしっかり努めてまいります。 35 菅沢委員 もう1つ見てみましょう。  資料1の地方創生推進交付金事業の3の北陸次世代産業創出イノベーション推進事業、これは4億円近くの事業費ですが実績額は2億6,000万円ほどで執行率は66%、大変低いものです。その中のくすり政策課所管分、これはこの事業の中心的なメニューになっておりますけれども、くすり政策課では、1億1,000万円近くの事業費に対して6,600万円程度の実績しかありません。執行率が60%です。この中身は、私の配付させていただいた資料4をごらんいただきますと、明確になってまいります。  ここの場合でも、1の医療品研究開発に係る助成事業の新製剤開発探索研究支援事業というのは、2,000万円の事業費に対して600万円くらいしか実績がありませんで、執行残1,400万円ほど残して執行率は31%です。理由は継続申請をしなかった企業があったためとなっておりますけれども、県が医薬品産業に非常に力を入れて、推進しているわけです。その中で企業の側がこの推進交付金のメニューを受けとめて積極的に申請すると、こういう姿勢が感じられませんね。どうして県の地方創生推進交付金事業と企業の意欲の間に乖離があるのか、このペーパーから私は少しいろいろ考えさせられるところがあるわけです。このことについて、厚生部長の所見を求めます。 36 市村厚生部長 くすり政策課所管分は資料のとおり3本柱になっていまして、医薬品研究開発に係る助成事業、薬事総合研究開発センターに係る事業と本県医薬品のPRに係る事業で、お話のとおりその中で執行率が低いのは医薬品研究開発に係る助成事業でございます。  この医薬品の研究開発に係る助成事業は、バイオや高薬理活性医薬品等の開発、独自性、専門性のある技術や新技術を活用した小児用医薬品等の高付加価値製品の開発などに要する費用を助成するというものでございます。  こうした先端的な医薬品の開発は、試験内容が多種多様で必要となる研究経費に幅があったり、また、市場の動向などによって開発方針が変わるということも珍しくないというものでございます。今回執行率が低くなった要因は、申請額が予算積算の基礎となります補助上限額よりも低かったこと、年度途中で中止を余儀なくされた研究があったことなどでございます。  なお、助成事業については、募集枠を上回る申請件数をいただいているところでございますので、企業のニーズに一定程度お応えできているものと考えてございます。  今後とも県内医薬品産業の発展を図るために、企業の研究開発の動向やニーズの把握に努めまして、県内製薬企業が行う付加価値の高い医薬品の開発を支援してまいりたいと考えております。 37 菅沢委員 もう1つ、地方創生拠点整備交付金事業の関係もあるわけですが、これは時間の関係があるので、私の資料で言いますと、5番目をごらんいただきますと、事業名と執行率がはっきりしていると思うわけです。  富山県産業技術研究開発センターや富山県総合デザインセンター等の事業で、研究開発のための建物などの拠点整備、設備機械等の拡充、製品開発や事業化の促進などの関連した事業が商工労働部商工企画課の所管として推進されておりまして、事業費が約23億円、実績は約19億円です。執行率は79.5%で、5億円近くの不用額が出ているわけであります。これも非常に大きいわけで、その原因について、私もいろいろ関係部局と議論をしてきたところです。  そこで、この問題を知事に総括的にお尋ねをしたいと、このように思っております。  知事、地方創生事業というのは、県民生活や地域振興に貢献するという意味で、いろいろ期待されてまいりました。県の第1期事業も151億円と大きなものになっているわけであります。しかし、その事業の執行率に非常にいろいろ問題がある。50%台や60%台のものがあったり、商工労働部関係の今申し上げました事業でも、5億円近くの不用額が出ている、巨額の不用額を残すような事態になっているということです。  そして、先ほど申し上げましたように、移住の関係では、市町村にメニューを示してもなかなか活用が進まない。市町村との間のギャップの問題、それから、くすり政策課の事業のことで申し上げましたように、医薬品の研究開発の補助事業のメニューがあっても、なかなか企業との間でマッチングができていないというそういう地域、市町村や企業との間の問題というものが何か明らかになってきているように思うわけであります。  こういう観点から、私は知事に、平成30年度の事業の執行面の問題を中心にしながら申し上げてまいりましたけれども、1期目の県でいうとやま未来創生戦略事業、国でいう地方創生事業のあり方の中で、知事はどういう問題意識を持っておられるのか。そして、これから第2期へ向けての今作業が進んでおりますけれども、どういう点を教訓として、今後さらに地方創生事業を発展させようとなさっていらっしゃるのか、所見を求めたいと思います。 38 石井知事 部長、局長答弁であるものを私に急に振られても困るのですけれども、わかる範囲で申しますと、例えば、移住者受け入れモデル地域トータルサポート事業は、たしか私の記憶では、朝日町の笹川地区では住民の皆さんが非常に熱心に取り組んで、移住体験交流施設をつくられました。当時の石破茂地方創生担当大臣が視察に来られて、全国的に話題になりました。私は本当にすばらしいことをやっていると思って、そういう取り組み、町と住民が一体となって非常に熱心にやっていらっしゃる。これはぜひ応援してあげたいと思って、地方創生の事業の一環としてこういう制度をつくりました。笹川地区を一つのモデルとして、ほかの市町村でもそういうものが出てくるかもしれない、皆さん大いにやったらどうですかと。実際氷見市でもやったケースがありますね、速川地区で。  しかし、そのように出てくる年もあるし、残念ながら、検討はしているけれども、住民の皆さんの中でもう少し時間がかかったりということなので、県の予算として、こういうことを積極的に応援しますよという姿勢を示しつつ、一方で、町、村、地域の事情で、ある程度やりたかったけれども、そこまでいかなかったりというものも出てくることはやむを得ないので、ぜひ今後も推進していきたい。  それから、医薬品の研究開発も、富山県は、製造技術はすばらしいのですけれども、創薬などはまだまだ非常に課題が多いですよね。そういう中でも、富山県は医薬品生産額が全国でトップ、2番目くらいになりましたが、東京に本社がある一流の企業から生産を受託してやっていることが非常に多いです。しかし、本当に富山県の医薬品産業をもっと発展させるには、自前で研究開発をして新しい医薬品をつくる、そういうこともある程度やってほしいといつも思っていまして、実際そういう試みで成功しつつあるところもあります。  ですから、例えば、先ほど2,000万円の予算で実績は620万円しかないとおっしゃいますけれども、これはそういう申請があれば、ということで、企業は企業秘密もあるのでこういうことをやりたいと余り早く言ってくれないわけです。ですから、この2,000万円の枠をきちんとキープして、意欲があれば応援しますという姿勢を示して、幸いそれに見合うものが出てくれば活用し、もっと多ければ補正予算ということになります。実際補正予算を組んだ年もあるはずですが、この年はたまたまこういうことだったということで御理解いただきたいと思います。  ただ、もちろん予算の見積もりですから、ある程度期待値が入るのは事業の性格としてやむを得ないのですけれども、どの程度の需要があるかということは、しっかり見積もって、そのために財政課もあるわけですから、予算査定はしっかりしてもらいたいと、このように思っております。  地方創生関係交付金事業の執行率の全般についてのお話であれば、平成30年度の一般会計の執行率が大体85.8%です。一方、地方創生関係交付金事業の執行率は82.5%、3ポイント違いますけれども、似たようなものですし、地方創生拠点整備交付金事業は執行率で見ますと84.5%ですので、多少でこぼこあるかもしれませんが、一般会計の執行率とほぼ同じだと思っております。  それから、一部の事業でハード事業とソフト事業の執行率に差が生じているものもありますけれども、地方創生関係交付金事業にかかわらず、産業振興施策では、施設や整備がソフト面での効果を発揮するまでに一定の期間を要する場合もありますから、ソフト事業の推進にも引き続き息長く取り組んでいきたいと思っております。  また、もう1つは、基本的な問題として地方創生関係交付金制度をもっと弾力化してほしいですよね。これは富山県としても、また、全国知事会でも話をして、全国知事会全体としての要望もしておりますが、例えば交付上限額や新規事業の申請上限数の引き上げ、それから、ハード事業の割合の引き上げ、何より交付決定時期が遅いですよね。かなり改善はされてきたのですが、まだまだ課題がございます。  こういった点は、今、年末に向けて国も予算編成中ですが、政府のそれぞれの持ち場にまでかなり具体的な提案をして、少しでも改善してもらうと。例えば内閣府が了解しても財務省が反対するという場合もありますから、そういったところも含めて、我々としても精いっぱい働きかけをして、できるだけ地方が自分たちのアイデアを生かして主体的にやれるように、これからもそういう制度改善も含めて努力してまいります。 39 菅沢委員 一般会計と地方創生関係交付金事業との執行率の差が3%近くで、大したことないとおっしゃるのだけれども、私はそのような考え方でいいのかなと、ちょっと疑問です。地方創生推進交付金だけでも3億円を超える不用額が出ているわけで、しかも、執行率が50%台、60%台のものがあるということも、先ほど御指摘させていただきました。  私は、県が財源不足を予算編成の際によく言ってこられて、いろいろな努力がなされたことは存じていますけれども、そういう財政事情や鳴り物入りの地方創生事業なので、その推進に当たっての計画性などいろいろなことを考えると、いろいろ比較をして申し上げた執行率の低さというのは十分知事も留意をなさって、2期事業の中ではこういうものを教訓化する必要があろうかと思っております。  知事ね、局長には申しわけなかった、2問ほど飛ばしたけれども、あなたに通告を申し上げたことしか聞いていませんよ。執行率の問題もちゃんとあなたに聞くことになっていますから。  もう時間がありませんが、次は富山きときと空港についてであります。  まず、平成30年度の空港の歳入歳出状況、キャッシュフローベースの収支状況は、実はまだ公表できない段階のようですが、資料7をごらんください。  私は総合交通政策室の航空担当の皆さんにいろいろ資料の提供を求め、まとめたものがこの表でありまして、平成30年度は仮置きになっておりますけれども、空港のキャッシュフローベースの収支は4億5,600万円の赤字となっております。昨年から見れば若干減っておりますけれども、しかし、問題は平成31年度で、平成30年度の決算の機会でありますが、また大きく5億3,000万円程度とふえてまいります。  備考のところをごらんいただきますと、空港の整備事業や管理費の面で大きな支出が続いております。今後滑走路や誘導路の補修など巨額の投資が必要になってまいります。  以上のことを含めて、観光・交通振興局長に空港の歳入歳出収支状況についてお尋ねします。 40 猪俣観光・交通振興局長 まず、富山きときと空港の平成30年度の歳入の内訳については、お配りいただきました資料にありますとおり、着陸料、土地建物貸付料、あるいは国庫補助金などの収入のほか、金額が未確定でございますが、航空機燃料譲与税がございます。前年度に比べまして、着陸料が減少しておりますものの、国庫補助金が増額となったため、約1,100万円の増収となり、資料の下から3番目の歳入項目の合計に記載のとおり、平成30年度の歳入は約2億9,300万円の見込みとなっております。  他方、歳出でございますけれども、航空灯火などの施設整備費、また消防、警備委託や除雪委託などの維持運営費のほか、環境対策費など、主に空港の機能を維持するための費用でございます。  また、人件費については、平成30年度は1億1,600万円が書かれておりますけれども、直近のデータでは1億1,800万円と見込まれております。そうしたものを勘案した結果、歳出項目の合計は資料の下から2番目、7億4,900万円とありますけれども、7億5,100万円の見込みとなっております。これによりキャッシュフローベースではマイナス約4億5,800万円となっております。  そして、平成31年度でございますが、これはあくまで予算ベースでの試算ということになろうかと思います。歳入につきましては、着陸料、土地建物貸付料、駐車場などの増額によりまして、平成30年度と比べまして約9,800万円の増収が見込まれ、約3億9,100万円の見込みとなっております。  他方、歳出につきましては、国庫補助事業であります滑走路の舗装補修事業などの施設整備費、また、消防、警備委託や除雪委託などの維持運営費、環境対策費などがございまして、先ほどの人件費を仮に平成30年度と同じ1億1,800万円と見た場合には、約9億2,900万円の見込みとなり、あくまで試算でございますけれども、キャッシュフローベースでは約5億3,800万円歳出が歳入を上回ることとなります。 41 横山委員長 菅沢委員、時間がほとんどなくなっています。 42 菅沢委員 そこで、知事、今のような空港会計の赤字の現状やその拡大、県費負担も大きくなっていくわけですが、この機会に空港の県政における位置づけというか、どこまでこういう赤字の経営を容認できるのか、私は一定の限界があろうかと思っております。知事のその辺の見解をお聞きしたいのと、ソウル便の運航や大連便の搭乗率など、海外路線が大きな問題を抱えて、これは着陸料にも大きく影響してまいりますけれども、いろいろな意味でこれからの空港行政のあり方について、知事の見解を求めたいと思います。 43 横山委員長 石井知事、簡潔にお願いします。 44 石井知事 富山きときと空港について、先ほど来、局長からも答弁がありましたが、直接の出入りでいうと、そういう数字もあろうと思います。ですから、今年度も今の説明だとマイナス5億3,800万円くらいの収支差が出るということであります。  ただ、富山県に空港があることによって、県内に非常に大きな経済効果をもたらしていると思います。直接的な経済効果では、もちろん国外、県外から訪れた方の県内消費による効果、また空港を利用して国外、県外へ訪れた方のターミナルビル内での消費、空港までの交通、あるいは空港の維持管理支出による県内産業への効果などが挙げられ、北陸経済研究所によれば、大体年間57億7,000万円くらいの経済効果があるという試算も出ているわけでございます。  ですから、私は、日本の地方空港では、計算の仕方はいろいろあると思いますが、4億円、5億円台の赤字というか、歳入歳出の差というのは、多分どこの地方空港でもその程度のものではないかと思っておりまして、これはある程度、それを上回る経済効果があるということでやむを得ないのかなと、もちろん努力はしなければいけませんが。  また、今後の空港のあり方としては、もっともっと利用率が高まるようにしなければいけないと思っていまして、御承知のように、例えば、ことし9月からは富山きときと空港と高山市を結ぶ高速直行バスの実証実験も行ったりしていますし、幸い来年1月からは、温泉やスキーに行きたいということで、台湾から22便の臨時便が新たに運航されることになりました。また、11月補正予算案でまさにお願いしている新規路線開拓等のための情報収集、発信のための商談会に出るなど、空港活性化の取り組みというのは、今後の富山県にとって北陸新幹線、東海北陸自動車道の完全4車線化、伏木富山港の日本海地域におけるハブ化とあわせて、すごく大事なことだと思っていますので、今後も、もちろんなるべく余計な歳出がふえないように努力しながら、精いっぱい活性化に努めてまいりたいと思っております。よろしくお願いします。 45 横山委員長 菅沢委員の質疑は以上で終了いたしました。  津本委員、あなたの持ち時間は40分であります。 46 津本委員 初めての決算特別委員会での総括質疑となります。どうぞよろしくお願いいたします。  最初の質問は、乳幼児医療費助成についてお尋ねしたいと思っています。  富山県の医療費助成は、皆さんも御存じのように、通院は3歳児まで、入院は就学までとなっています。平成30年度の決算額は、ざっくりした数字になりますが、3.9億円でありました。一方、県内の市町村は子ども医療費を、中学卒業まで、あるいは高校卒業まで無料化して子育てを応援しています。その財政負担は果たしてどれだけだったのか。これは県にもお願いしましたが、なかなか集計することはできないと言われましたので、私がざっくりとした計算を行いました。県の医療費助成分も含めたもので37億円を上回っていたと推測しています。県の決算額、先ほども言いましたが3.9億円の約10倍を支出して市町村は頑張っています。  子育てに最も身近な市町村が、安心して子供を産み育てることができる環境づくりの先頭に立つと思っています。これをさらに進めることができるように、県として乳幼児医療費無料化の対象年齢を拡大し、市町村を応援すべきだったと思っています。いかがでしょうか、知事にお尋ねいたします。 47 石井知事 この議論は議会でも何回も議論したお話でございます。本県の乳幼児医療費助成制度を検討した当時、平成17年度から平成19年度──ちょうど行政改革をやっている真っ最中でありましたが、議論した際に、医療費助成の対象年齢のさらなる拡大をするかどうかということが議論になりました。その際に、厳しい財政事情のもと、今でもそうですけれども、市町村の考え方に差異がございまして、対象年齢を広げる必要はないという強い御意見の市町村もございました。  そこで、県は基盤的な制度を維持することとして、入院は未就学児まで、通院は3歳児までとした上で、それ以上については、各市町村の考え方や実情に応じて実施するということになったわけであります。  その際、県でも何かやりたいということで、県単で全額県費で子育て応援券の配付事業を開始いたしましたほか、全国トップクラスの不妊、不育症治療費の助成──不育症治療への助成を県単位で始めたのは多分全国で初めてだったかと思います。  それから、県立中央病院におけるMFICU、NICUの増床、これは富山市民病院がやめてしまったので、その分を引き受けたということでございます。それから、第3子以降の保育料原則無償化や、低所得世帯の第1子、第2子に対する保育料の無償化は、比較的最近のことですが、市町村に呼びかけて始めました。このようにいろいろなことをやってきておりまして、今年度は不妊治療費助成をさらに拡充したり、国の制度の隘路になっていました保育所等副食費軽減事業を始めたり、全体として全国トップクラスの子育て支援・少子化対策だと思いますし、それをさらに今年度充実することにしているわけであります。  また、加えて、医療費について特におっしゃるのであれば、ここまでくると、少子化対策というのは本来国を挙げて取り組むべき課題です。このたび、幼児教育・保育の無償化など相当思い切ってやってもらいましたけれども、子育て世帯の経済的負担の軽減について、医療費助成も含めて国の責任においてそういった制度をつくってほしい。これは全国知事会とともに、国に働きかけもしておりまして、大臣のところにも直接お願いに行ったりしているわけでございます。そういう経過でございますので、御理解を賜りたいと思います。 48 津本委員 今ほどの御答弁の中で、多分医療費助成制度のあり方懇談会のことを言われたと思いますが、現在の乳幼児医療費助成制度でおさまった年度は、平成17年度と言われましたか、平成19年度と言われましたか。 49 石井知事 平成17年度から平成19年度までです。3年間いろいろなことを議論していました。 50 津本委員 私は、あの当時県としては拡大したかったというイメージは持っていません。市町村長へのアンケートを見ましたが、中身は制度を継続するか廃止するか、これを問うアンケートでした。設問がそういうもので、拡充はもう念頭にないようなアンケートでした。そういった中でも、2市が拡充してほしいと、その他欄、自由意見の欄に書いているわけで、あのとき県は実は拡大したかったと、でも、市町村側で異論がかなりあってということでは、ちょっと事情は違うのではないかと思います。  かなり時代もそのときから比べたら変わってきています。今では御存じのように、医療費助成制度のあり方懇談会当時はいろいろな温度差があったかと思いますが、今はもう大体県内市町村、ほとんど同じといいますか、また、違うところもあるのですが、そういった状況になっているわけですから、また改めて見直しをかけていくという時期に来ているのではないかと思いますが、どうですか。 51 石井知事 今言われたアンケートの話とは、直に関係ないんですね。確かにそういうアンケートを出したのはそのとおり、そうしたと思います。ただ、そのこととは別に、今後のあり方として、医療費助成の対象をもっと広げますかという議論をいろいろした際に、今言ったように、市町村の意見が分かれたということでございます。  そういうことであれば、県として市町村の負担が生じないやり方でどういう支援の仕方があるかと考えて、一例として、子育て応援券のようなものを始めたと。また、全国ではほとんど取り組んでいない不育症に助成したり、不妊症についてもトップクラスでやっている。  いろいろなことをやってきたということでありまして、各市町村で、それぞれ首長さんなり、それぞれの市議会や町議会もあるでしょうし、また、住民の皆さんの声を踏まえていろいろな判断をされたわけですが、それはそれぞれの市町村の首長の皆さんがそういう判断──最初とは違う意見というか、考え方を変えた方もいらっしゃるように見えますけれども、そういういきさつで、県は県できちっと自分でやれることをやるということにして、そういった仕分けになっていますから、むしろ今市町村が自分の負担でやっているものを県が負担することにしても、一般の県民から見たら全く変わらないわけで、そういうことであれば、県が新たに今まで十分ではなかった点について、さらに子育て支援策で拡充するべき点があるかどうかということを真剣に考える、そういう話だと思いますので、御理解いただきたいと思います。 52 津本委員 一応、私の意見だけは言っておきたいと思います。  県と市町村の役割分担、いろいろな議論はあるとは思いますが、私は子育て支援はまず身近な声をつかむことができる市町村がきっちりと第1にやる、それで対応し切れないような事柄については県が応援していくというのが、理想の姿ではないかと実は思っています。
     この子ども医療費については、まさに私は県がやる仕事だと、市町村は県と一緒にやっていく仕事だと思います。そこで子ども医療費助成については、子育て応援の中にあっては避けてはならないと、私は確信していますので、やはり県もかかわるべきだと思っていますので、この意見だけは言っておきたいと思います。  では、次の質問に入りたいと思います。  次の質問は、西部水道用水供給事業についてであります。言うまでもなく、水道事業は命にかかわる事業であります。安全な水を、安定して供給する努力が求められています。同時に、人口減少社会に対応する努力も大事になっていると私は考えています。人口が減っていけばいくほど、施設を維持していくための住民1人当たりの負担が大きくなっていくのは明らかです。このことから、住民負担の増大を抑えるために、人口減にあわせ、受水団体の負担も維持ではなく軽減していく、そういった県の努力が求められていると考えておりますので、それを踏まえて、以下の諸点についてお尋ねをいたします。  第1点は、水道事業の純利益についてであります。平成30年度の水道事業の決算は3.1億円の純利益、黒字が発生しております。この黒字は全ての施設の減価償却費を初め、この年度に発生した全ての費用を計上した上での結果であります。受水団体4市、ここから料金を取り過ぎていたことを示すものと私は理解しています。  受水団体からの料金収入は16.3億円です。この黒字額3.1億円というのは、その約2割にも当たる金額であります。平成13年度からの18年間の決算結果も見させていただきました。特別な事情があった平成27年度を除き、全ての年度で黒字であり、黒字額も2億円台から3億円台へと大きくなってきています。  言うまでもなく、県の水道事業はもうけを目的にするものではありません。水道料金の値下げを検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。公営企業管理者にお尋ねをいたします。 53 山本公営企業管理者 企業局が県西部の高岡市、射水市、氷見市、小矢部市の4市に供給している水道の料金でございますけれども、水道事業の持続的な経営の安定を図りながら、受水4市とも協議して、実は段階的に引き下げてきているという事実がございます。  平成26年度からの現在の料金は、1立方メートル当たり65円で、ピーク時は95円でございましたので、30円、率にして31%余の引き下げを行っております。  また、受水4市に供給する契約上の水量につきましても配慮をしているところでございまして、平成30年度は受水市と協議した上で、前年度比6%の引き下げ、ピーク時に比べますと16%引き下げるなど、継続的に受水団体の水道料金負担を軽減する努力をお互いの話し合いの中でやってきたところでございます。  料金は上げておりませんが、水道施設の大きな更新工事等を余りやっておりませんので、減価償却費の負担が軽減してきたという事情がございます。しかし、水道施設の老朽化、あるいは耐震化対策は、最近の重大な課題でございます。現在計画的に更新工事を始めておりまして、平成30年度では約7億1,000万円の建設改良を行いました。このうち約3億1,000万円はこれまで積み立てた建設改良積立金約20億円から充当したところでございます。  この西部水道用水供給事業でございますけれども、長年にわたって経営努力をかなりしております。職員数の削減等々によりまして、委員の御指摘のように、近年黒字決算が続いておりますけれども、今後中長期的には施設の耐震化や更新によって減価償却費、あるいは支払利息が増加することが当然見込まれるわけでございまして、経営の状況はそんな安閑としていられるものではないと思っております。  平成30年度の利益剰余金は約3億円出ましたけれども、これも建設改良に伴い必要となる企業債の借り入れを極力抑えて、将来世代への負担の軽減を図りたいと考えておりますので、現在の方針どおり建設改良積立金に積んでいきたいと考えているところでございまして、料金引き下げに直接結びつけて考えるのは、いかがなものかと考えています。 54 津本委員 時間もないですから、ここも私の見解を言って、次へ進みたいと思います。後ほども出てきますが、私はこの超低金利時代においては、料金を引き下げたほうがよほど住民のためになると思っていますので、よろしくお願いいたします。  次に入ります。  未処分利益剰余金、今回発生した黒字3.1億円を含めて6.3億円になりました。それを処分するとして、そのうちの3億1,400万円を建設改良積立金に積み立てる、3億1,500万円を資本金へ組み入れるといわれています。  そこで、もし、先ほどの答弁であった今後の設備更新や耐震化によって減価償却費が膨らみ、単年度損益で赤字が発生するようなことがあった場合、この建設改良積立金、あるいは組入資本金を取り崩して、水道料金の値上げを抑える考えはありますか、お尋ねいたします。 55 山本公営企業管理者 現在の単価や水道の供給水量というのは、向こう5年間の計画をもとにしておりますので、急に減価償却費がふえて赤字になるというようなことは、実は想定はしていないわけでございますけれども、もし万一何かあった場合は、いろいろな手法があると思います。  本来一番簡単なのは料金の引き上げでありますけれども、そういうわけにはいかないので、もし現在考えられる手法といたしましては、物の本によりますと、繰越利益剰余金を充てる、積立金を充てるなどいろいろな方法がございますので、そのときの経営状況や事業環境等を踏まえまして、どのような手法をとるかということについては考えたいと思いますが、まず、少なくとも赤字を出さない努力をするのが私たちの責務であると思っております。 56 津本委員 先ほどの、3億円の黒字は値下げに回したら大変だと言われたのと若干違ってきていると、私は理解しています。  この5年間は赤字が出るはずがないという前提を最初に言われました。そうであれば、この5年間、これからもこのままいくと黒字が出るのだから、18年間黒字が出たのだから、それで現在ふえていっているのだから、そして投資して減価償却費が膨らんで赤字になるようなことはこの5年間ないと言われるのだったら、私は値下げしていただきたいと思います。  今の質問の件、はっきり言っていただきたいと思うのです。建設改良積立金、組入資本金は赤字の補填に使う考えはありますかと聞いていますので、はっきり言ってください。 57 山本公営企業管理者 組入資本金につきましては、既に施設建設費に充当しているという形で使っておりますので、赤字補填に使える性質のものではないと理解をしております。 58 津本委員 では、建設改良積立金はどうするのですか。 59 山本公営企業管理者 組入資本金に組み入れた3億1,500万円と、建設改良積立金の3億1,400万円、数字は似ていますからなんですけれども、それは積立金として次の投資の財源として回していきたいと考えております。 60 津本委員 答弁になっていません。  組入資本金は、これはもう資本金ですから、崩すということは基本的に考えられない。損益勘定の赤字のために補填するために崩すというのは基本的には考えられない。ただ、法律で認められてはいる。ただ、今聞いているのは、建設改良積立金は赤字があった場合、値下げのために補填する考えはありますかと聞いているので、「ありません」か「あります」と答えれば、もう答えですよ。 61 山本公営企業管理者 ありません。 62 津本委員 これですよ。結局黒字分は投資にしか回さない。これは受水団体4市の住民のお金です。資本金で出資したわけではない。料金として払ったその余り、余りと言ったら怒られますが、剰余金として残ったお金です。これを水道用水供給事業に出資したような扱いにするのは、私は考えものだと思っています。この問題だけでも物すごい時間がかかると思いますので、次へ進みたいと思います。  次の質問に入ります。  今後の施設更新や耐震化に当たっての課題についてお尋ねしたいと思います。  平成30年度の水道事業の決算書等によると、西部水道用水供給事業の給水能力、これは日量で約13.5万立米と紹介されています。給水実績、実際に水を送ったのは幾らか、使われたのは幾らかといいますと、7割で約9.6万立米でした。現状でも実際の水の必要量に比べ、施設規模が大き過ぎる、こういった状況になっていると私は理解しています。さらに、今後は人口が減少し、水の需要も減少していくものと理解しています。  住民の水道料負担をできるだけ抑えていくために、今後の施設更新や耐震化に当たっては、人口減少社会も踏まえて、身の丈にあった規模にダウンサイジング、縮小することを検討すべきと考えていますが、いかがでしょうか。 63 山本公営企業管理者 西部水道用水供給事業で整備を進めております諸設備、浄水場、送水管路等については、先ほど申しましたように、老朽化対策をやっているわけでございますが、特に送水管路につきましては、耐震適合性のない区間が全体の約44キロのうち約7キロありますし、また、法定耐用年数の40年以上を経過している区間が約41キロございます。平成25年度から更新計画をつくって更新工事を始めたところでございます。  この際に、近年、御指摘のように給水量が減少している現状も踏まえまして、受水市の意見をお聞きしながら、計画に反映したところでございます。具体的には、現在更新工事をやっている高岡市国吉から東海老坂間については、送水管のダウンサイジング、直径80センチのものを70センチにする工事を行って、負担の軽減に努めているわけでございまして、これからも受水市と協議し、水需要の動向、経営見通し等を含め勘案しながら、ダウンサイジング、あるいは集約化の検討などいろいろなことを考えていきたいと考えております。 64 津本委員 これは本当に切実だと思いますので、よく知恵も出しながら、できるだけ効率よくダウンサイジングしていくといいますか、できるだけするという方向でお願いしたいと思います。  次に入りたいと思います。  次は、境川ダムについてであります。水が過剰であることから、境川ダムの水は和田川浄水場の水源としてその多くは使われていません。そうした状況にもかかわらず、境川ダムの建設費負担を減価償却費という形で給水料金に上乗せをし、受水団体に求めています。  これはちょっとだけ言っておきたいと思いますけれども、市と県の間ではいいかもしれませんが、住民から見ると、多分納得できない、私はそう理解しています。水が使われていない、しかし、建設費負担金を払わされている、これを知ったら大変な思いが広がると私は思っています。  このことを申し上げた上で、次の点についてお尋ねしたいわけです。  決算によれば、境川ダムの減価償却費、年約2億円になっています。全額を県西部の受水団体4市が負担することになっているように見えています。しかし、ダム建設について、受水団体側の意思だけで水需要の将来予測を行い、建設を進めることができたとは思えません。県の助言があったからこそ、過大ではあるけれども、進んだものと私は理解しています。  過大なダム建設について県にも責任があるのではないか、境川ダムの減価償却において、水源として使われていない多くの部分について県も一定の負担をすべきではないかと考えますが、いかがですか。 65 山本公営企業管理者 西部水道用水供給事業の境川ダム水源につきましては、県西部における将来の水需要に対処するということで、関係4市から受水申し込みをいただきまして、長期的な水源という形で日量19万立方メートルを確保してあるものでございます。  御指摘のように、未利用となっておりますのは、現在日量11万5,000立方メートルでございまして、将来の水需要の発生、あるいは渇水や災害等の発生に備えるということで、必要な水源であると考えているものでございます。  この未利用資産につきましては、委員御指摘のように、現在営業資産に振りかえております。ただ、平成5年度のダム完成時には振りかえをしておらず、料金の引き上げを抑えるということで、建設仮勘定に計上していたのですけれども、平成16年度にようやく水道事業が安定してまいりまして、料金引き下げも可能なタイミングで、関係4市の御理解をいただいた上で、営業資産に振りかえたという経緯があるものでございます。  ダムの規模につきましては、受水申し込みを踏まえてやっているものでございますが、県は全く関係ないかと申しますと、県はそれなりに出資、あるいは支援などしておりまして、県の一般会計から境川ダムの建設費として15億8,000万円余り、企業債元利償還等として34億4,000万円余り、合わせて50億2,000万円の出資をしているところでございます。この出資によりまして、企業債の支払利息が軽減され、水道料金の抑制に効果があったものと理解しているところでございます。  水道用水供給事業は、受水団体からの料金収入によって運営するというのが基本でございますので、受水団体と今後も意思疎通をしながら、企業局もコスト削減に努めますけれども、事業をいかに安定的に運営するかということについて、意を用いてまいりたいと思っております。 66 津本委員 なかなかすごい御説明、丁寧だったのだけれども、中身がよく見えない説明だったのではないかと思っています。時間もありませんので、どうしようかと迷っています。ただ、言っておきたいと思います。  境川ダム水源の未利用水は日量11万5,000立米です。現在の和田川、子撫川水源は日量13万5,000立米で境川ダム水源と日量が余り変わらない。しかも実際4市が使っている量は日量9.6万立米で、まだ子撫川、和田川水源の日量相当の境川ダム水源が未利用である。そして子撫川、和田川水源そのものもまだ使い切れていない、これが現状ですよ。さらに、これから人口減少になってくるのに、先ほどの答弁では将来の水需要があると、それ以外にも活用する方法を今検討していますと言いますが、私はないと思います。  私が聞いているのは、実はダムの減価償却費、年2億円、4市が払っていますが、水道料金に含まれています。それを耐用年数分払ったらダム建設費が全部賄えるのですよ。県は出資しました。これは大変ありがたいと私は思っています。ただ、無利子の資金を出資しただけで、実際必要な建設費はこの中では見えない。建設費は4市で全部出すのですよ。このようなことでいいのだろうかという提案、提起ですので、きょうはもうこれ以上はやれませんが、ぜひ検討いただきたいと思っていますので、よろしくお願いします。  では、次に入りたいと思います。  教職員定数についてです。平成30年度、県は市町村立学校の県費負担教職員の定数を43人減らしました。しかし、逆に多忙化解消に向けて、教職員の定数をふやす必要があったのではないかと私は考えています。現在臨時的任用講師の不足が解消できず、深刻な事態となっている、私はそのように思っています。臨任講師が募集に比べ応募が少ない要因の一つは、何と言っても教職員の多忙にある、その解消は喫緊の課題になっていると私は考えています。  当時──これは決算の審査ですので平成30年度のことを言っています──教師の増員や少人数学級の推進など、教職員の多忙化解消に真剣に取り組み、あわせてそれをアピールすることが大事だったのではないか、このように私は思っています。国が定数を改善しないのであれば、県単独での正規職員の確保も必要だったのではないかと考えますが、知事にお尋ねいたします。 67 石井知事 御承知の上でおっしゃっているわけですけれども、教職員定数は、法律によって児童生徒数や学級数に基づいて算定される基礎定数と、さまざまな教育課題に対応するために配置される加配定数──少人数教育や特別支援教育などいろいろございますが、それを積み上げて条例で定めておりまして、平成30年度の小中学校教職員の条例定数は、加配定数の増加を上回る児童生徒数や学級数の減少によりまして、結果として平成29年度と比較して43名の減となりました。  教職員定数の改善については、小学校における英語教育の充実などを図るために、これまでも国の加配定数を活用しまして、平成30年度では26名の増員配置をしております。さらに、条例定数には算入されない非常勤講師として、県単独予算で小学校専科教員や初任者研修の指導教員等を配置しておりまして、教員の負担を軽減して多忙化解消につなげているわけでございます。  今後さらに教員の多忙化解消を図りたいと思っておりますけれども、まずは、国において教職員定数のさらなる純増を図っていただくことが何よりも重要であると考えておりまして、この点については、引き続き、学級定員の改善や教職員定数の改善を図っていただくように、国に対して強く働きかけをしてまいりたいと思っております。  また、学校現場に必要な教員確保のためには、学校における働き方改革を進めることも大切で、魅力ある教育環境の整備をする必要があるということで、スクール・サポート・スタッフ、それから、部活動指導員などの外部人材の活用を積極的に進めておりまして、今年度はこのいずれもさらに拡充したところであります。  今後とも教育現場に必要な教員の確保に向けて、さらなる教育環境の整備に努めてまいりたい、このように思っております。 68 津本委員 国に求められることでもありますが、県としても努力していただきたい。私は特に多忙化解消は本当に喫緊の課題で、これが克服できなかったら、悪循環に入っていくのではないかという予感までします。当事者はもっと痛感されていると思うのですが、本当に教員を思い切ってふやす、ふやしたいと思っても来ないのだから、多忙化を解消しますというアピールも必要になってしまう事態に来ていると思いますので、ぜひ努力をお願いしたいと思います。  次の問題に入ります。  ALT、外国語指導助手の採用についてお尋ねします。  来年度から小学校5、6年生で英語教科化になります。そこでJET-ALTというものがありまして、いろいろな問題があると私は思っています。この問題点の改善を国に求め、JETではなく民間事業者などのALT──市町村の半分は民間事業者によるALTを採用している印象だと思いますが、これを採用する市町村への補助を検討するとともに、教育委員会がALT事業を所管すべきと考えておりますが、どうでしょうか、教育長にお尋ねいたします。 69 伍嶋教育長 平成30年度のJETプログラムによるALTは、県内9つの市と町で活用されておりまして、任用に要する経費は、地方交付税措置が講じられているというところであります。しかしながら、その方の住居探しや生活支援については市町村の教育委員会が行っており、仮に中途退職者が出ると、その調整に2カ月から4カ月かかることが課題とされています。  一方、民間事業者によるALT派遣については、7つの市村で活用されており、その経費は市村が単独で負担ということになっています。ただ、生活支援などは民間事業者が担い、中途退職者が出た場合の代員についても、短期間で確保されていると聞いております。  それぞれの市町村教育委員会では、こうした経費負担を初めとする制度上の違いを十分に認識しながら、それぞれJET-ALT、あるいは民間事業者によるALTを活用されているわけでありますので、県から民間事業者利用者分だけを助成するというのは、今のところなかなか難しいのではないかと思っております。  なお、県の教育委員会では、これまでもJETプログラムの取りまとめ団体とされています国際課と協力し、JETプログラムによるALTの活用を推進しております。それにあわせて、JETプログラムを所管する一般財団法人自治体国際化協会に対しても制度の改善等を要望しております。やはり先ほど言った課題、退職者が出た場合に早く補充されるようにということで、これについては、平成24年度から4月の来日者を拡大するなど改善されているという実績もございます。  今後とも各学校の意見を踏まえながら、より活用しやすい制度となりますように、市町村教育委員会とも連携して、国への働きかけにも取り組んでまいりたいと考えております。 70 横山委員長 津本委員、時間が余りありません。 71 津本委員 では、次の問題に入ります。  県営住宅についてであります。県営住宅維持管理費の平成30年度の決算は3億円の黒字、黒字というよりは収支を差し引きすると3億円が余った。一般財源が余ったというか、家賃が残ったと言ったほうがいいですか、というふうになりました。さらに、表にはあらわれていませんが、地方交付税において3億円余りの財源が保障されています。維持管理への支出をふやしてもよかったのではないか、私はこのように考えています。  県営住宅の入居率、昨年度は82%にとどまりました。入居者の住環境の改善など、住みやすい県営住宅へ維持管理にこれまで以上に取り組む、それとともに保証人を不要とし、入居しやすくすべきと考えますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。 72 横山委員長 水口土木部長、簡潔にお願いします。 73 水口土木部長 県営住宅でございますが、その多くが昭和40年代から50年代に建設されており、県では毎年度計画的に長寿命化に向けた修繕、改善を行ってきております。また、高齢化の進展にあわせまして、住戸のバリアフリー改善を進めますとともに、生活スタイルの変化に対応するため、例えば電気容量アップの工事を実施するなど、入居者の住環境の改善に努めてきております。  家賃収入と維持管理費の比較の収支では、御指摘のとおり黒字となっておりますけれども、家賃収入につきましては、このほかにも入居者の住環境の改善のための工事費用、施設の長寿命化のための工事費用、さらには過去の建設費用等に係る地方債の償還金にも充てております。  県としましては、引き続き家賃収入の確保に努めまして、入居者の修繕要望を丁寧に把握し、住環境の向上に努めてまいりたいと考えております。  また、連帯保証人でございますけれども、民法の改正や国の標準条例の一部改正等が行われたところでございます。一方、県営住宅の家賃収入を高めるという観点からは、連帯保証人制度が有効であるという面もございます。このため、引き続き他県の状況等も調査をし、あり方について検討してまいりたいと考えております。 74 横山委員長 津本議員の質疑は以上で終了しました。  暫時休憩いたします。休憩時間は10分間といたします。 75 五十嵐副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  吉田委員、あなたの持ち時間は40分であります。 76 吉田委員 それでは、総括質疑、公明党より質問をさせていただきます。  初めに、糖尿病対策についてお伺いをいたします。  糖尿病は放置しますと網膜症、腎症、それから神経障害などの合併症を併発し、さらに人工透析導入となると、年間500万円もの医療費がかかり、患者の日常生活に支障を来すだけでなく、医療費適正化の点でも大きな課題があると考えます。  国民健康保険制度は昨年度大きな改正があり、県が財政運営の責任主体となり、県に特別会計も設置されましたが、糖尿病患者の多くが高齢者で、その高齢者の加入率が高い国民健康保険での糖尿病への取り組みは非常に重要と考えます。  また、医療費の適正化に向けた取り組みを支援する保険者努力支援制度が平成30年度より本格施行されましたが、本年8月に改訂された内容を見ましても、糖尿病等の重症化予防の取り組みは、配点の高い項目となっており、国が将来の医療費削減のために、糖尿病の重症化予防を重要視していることがうかがえるわけであります。  そこで、本県の糖尿病対策について質問をさせていただきます。  1つは、本県の糖尿病患者及び透析患者それぞれの人数及び医療費、それから透析患者のうち糖尿病が原因で透析になってしまった方たちの割合について、市村厚生部長にお伺いをいたします。 77 市村厚生部長 本県の糖尿病患者数は、平成28年度の国民生活基礎調査をもととします推計によれば約5万人で、医療費については、県が把握をしております国民健康保険、協会けんぽ、後期高齢者医療の3医療保険において、レセプトの主な傷病名が糖尿病である患者の平成30年度の医療費の計は約130億円となっております。  本県の透析患者数は、平成29年度の日本透析医学会の統計によれば2,547人となっております。医療費については、透析患者のみの医療費の把握は難しいことから、レセプトの主な傷病名が腎不全の患者──透析患者は腎不全と密接に関連しております、の平成30年度の医療費の計は約146億円となっております。  また、透析患者のうち糖尿病が原因である者は952人で、本県の透析患者2,547人の37.4%となっております。 78 吉田委員 やっぱり相当大きいものがあると感じます。  そこで、厚生労働省の補助金を活用して取りまとめられました「糖尿病性腎症重症化予防プログラムの改訂、標準化に向けた研究班からの10の提言」の中におきまして、透析医療費を削減するためには、市の健診を受診した方たちだけでなく、健診を受けていない方たちにも介入することが必要とされておりますが、残念ながら全国的に取り組みは進んでいないようでございます。本年3月に厚生労働省保健局国民健康保険課から出された糖尿病性腎症重症化予防に関する事業実施の手引きによりますと、国保データベース──KDBと呼ばれる国保のレセプトデータを分析すれば、健診未受診者層の中から治療中断者が抽出でき、そこに受診勧奨できるとのことでありますが、県内市町村の健診未受診の治療中断者への受診勧奨の取り組み状況はどうなのか、市村厚生部長にお伺いをいたします。 79 市村厚生部長 糖尿病性腎症の重症化を予防するためには、治療中断者の医療機関への受診勧奨が重要と考えておりまして、県では糖尿病性腎症重症化予防プログラムにおきまして、受診勧奨者の抽出基準を、特定健診受診結果により糖尿病の受診勧奨基準を超えた者に加えまして、過去に糖尿病治療歴があり治療を中断している者と定めております。  県内市町村においても、全15市町村において、特定健診受診者で基準値を超えた者への受診勧奨は行われておりまして、また、12市町村において、受診勧奨に応じて受診を開始したものの治療を中断している者を、レセプト情報から把握し、再度受診勧奨を行っておりますが、委員御指摘の厚労省の糖尿病性腎症重症化予防に関する事業実施の手引きが、本年3月に発出をされ、あわせて国保データベースシステムに機能が付加されたことによりまして、健診未受診者で、糖尿病の治療を中断している者をレセプトデータから抽出できるようになったというところもございまして、県内では、1市において、国保のレセプトデータを活用して、健診未受診者で治療中断者を抽出した受診勧奨が行われております。 80 吉田委員 糖尿病対策の実施主体は市町村であるということは認識しているのですが、広域自治体としての県の支援も必要と考えております。糖尿病への取り組みを促進するため、県として市町村にどのような支援を行っているのか、本県の現在の取り組みについて、市村厚生部長にお伺いいたします。 81 市村厚生部長 糖尿病は適切な生活習慣によりまして、予防可能な疾患でありますし、住民一人一人の特性を踏まえ、地域の実情に応じたきめ細かな取り組みが必要であることから、身近な市町村において、住民を対象とした糖尿病予防教室等を開催しますとともに、早期発見のための特定健診等の実施をしております。また、医療保険者として、糖尿病重症化予防の観点から、未治療者や治療中断者への受診勧奨、重症化リスクの高い治療中の患者に対する保健指導を実施しております。  県では、こうした市町村の重症化予防の取り組みを支援するため、専門医や保険者、市町村等の関係者からなる協議会を設けまして、富山県糖尿病性腎症重症化予防プログラムを作成し、市町村が特定健診結果や、レセプトデータを活用して効果的な受診勧奨や保健指導が行えますよう受診勧奨の対象者の抽出基準や保健指導方法等を示しております。  このほか、糖尿病発生予防のための啓発や教育、相談に対する支援、糖尿病保健指導指針や指導用媒体の作成、普及、研修会の開催などを通じまして、市町村の保健指導技術の向上、人材育成や技術的な支援にも努めており、今後とも医師会、国保連合会などの関係機関と連携して市町村を支援してまいりたいと考えております。 82 吉田委員 市町村と連携をとることがまず大事なことだと思います。  そこで、最後になりますけれども、糖尿病の重症化予防を推進するには、先ほど言いましたように実施主体となる市町村が取り組みやすい環境の整備が必要と考えます。埼玉県や高知県では、以前より国保連合会と協力してレセプトデータを分析し、特に健診未受診の治療中断者の方たちの受診勧奨リストを市町村に提供しているとのことであります。こちらで調査したところ、今年度から市町村の支援のため、同様の取り組みを福井県、滋賀県、京都府、茨城県、佐賀県、沖縄県が始めています。このレセプトデータは、過去5年間までのデータが保存されていると聞いているわけでございます。  治療中断期間が長くなるほど、重症化リスクは高くなりますので、本県でも国保のレセプトデータを持っている国保連合会と連携して、過去5年までさかのぼって糖尿病の治療中断者を抽出して、市町村の治療中断者対策を支援できないのか市村厚生部長の御所見を伺いたいと思います。
    83 市村厚生部長 委員御指摘のように、健診未受診者で糖尿病の治療を中断している者を、国保のレセプトデータから把握できるツールの開発提供を行っている県があると承知しております。しかし、今般、国保データベースシステムにこうした対象者を把握する機能というものが付加をされまして、各市町村においても利用できることとなっております。今年度は4年分で、令和2年度から5年分さかのぼれるようになる見込みでございます。  このため、県ではその効果的な活用のための市町村向け研修会を12月に行うこととしておりまして、健診未受診者で治療中断者に対する受診勧奨の取り組みを支援してまいりたいと考えております。 84 吉田委員 最初の質問者の永森委員からも、社会保障費の増大ということで、いろいろな質問があったわけでありますが、健康寿命を延ばすという意味からも、先ほど言いましたように、市町村に全て任せるのではなくて、地味なことですが県も一応データを拾った上で、市町村を支援するというようなスタイルも必要ではないかと私は思います。医療費が毎年膨らみ続けているわけでありますから、ちょっとしたことから少しでも削減の目安が出てくるのではないかと思いますので、若干仕事はふえるかもしれませんけれども、ぜひ頑張っていただきたいと思う次第でございます。 85 市村厚生部長 先ほど少し言葉足らずだったかもわかりませんが、県では、国保連合会と連携をして、例えば、特定健診結果とレセプトデータを突合し、特定健診受診者で糖尿病の受診勧奨基準値を超えた方の過去の特定健診結果や、糖尿病、高血圧等によります受診状況を把握することで、市町村が行います保健指導等の効果的な実施につなげるようなツールも開発して、市町村に提供しております。先ほどの健診未受診者で糖尿病の治療を中断している者の件については、国保中央会で国保データベースシステムに、そういった機能の追加をしておりますので、現在、各市町村においても利用ができるような状態になってございます。  いずれにしましても、今後とも糖尿病重症化予防や特定健診の実施率向上を初めとします、市町村の保健事業全体の底上げに資するためにも、いろいろと御要望をお聞きしながら、市町村の保健活動を支援するツールの開発、改良に取り組んでまいりたいと考えております。 86 吉田委員 市町村はいろいろ大小ございますので、全て市町村に任せる、研修だけで終わらせずに、しっかり取り組んでいただきたいと思います。  次に、中小企業の活性化について伺います。  これまで、公明党は中小企業に対する各種支援策を非常に重要視してきたわけでございますが、一方でいろいろな支援策はあるが、中小企業へその情報が行き届かず、現場ではそもそも制度すら知らないということが理由で支援策を十分に利用できていない現状もあります。  そこで、地域の事業者と密接な関係にある商工会や金融機関等がよろず支援拠点などを初めとした産業支援機関と連携して、支援策の周知徹底とともに、中小企業に対する積極的な働きかけ、あるいは相談に対する親身な対応に取り組むことが中小企業支援の基本であると考えるわけでございます。  そこで、これらの関係者と連携をして、中小、小規模事業者等の課題や悩みなどに適切に対応するために、今後どのように取り組んでいかれるのか、芝田商工労働部長にお伺いします。 87 芝田商工労働部長 本県企業の大宗を占めます中小、小規模企業は本県経済を支える重要な存在でございます。県では、商工団体や金融機関と連携しながら、技術の高度化や商品開発、雇用の安定、販路開拓、経営基盤の強化、円滑な事業承継などに取り組んでございます。  特に、中小企業の課題や悩み等に迅速、的確に対応するために、御紹介がございましたけれども、新世紀産業機構によろず支援拠点を設置いたしまして、さまざまな経営課題に関する相談をワンストップで受け付け、専門家の派遣や各種支援制度の紹介、段階に応じたフォローアップなど、解決に向けた伴走型の支援を行っております。本年2月には相談内容の高度化、多様化を受けまして、それぞれ法務、税務、IT化が専門の3名のコーディネーターを増員し、計15名体制にして、体制の強化をしたところでございます。また、SNSの活用や、ラジオ番組でのPR等による相談窓口の周知、あるいは、夜間、土日の相談対応を行うことで、利便性の向上にも努めているところでございます。  さらに、このよろず支援拠点が中心となりまして、商工団体や金融機関などの関係機関との連絡会議を定期的に開催してございます。近年は相談件数が大変増加し、事案内容も複雑化しているということを受けまして、各支援機関が一体となって課題を共有することで、それぞれの強みを生かした、きめ細かな相談対応につなげており、支援機関が共同で出張相談会を開催するといった取り組みも増加しておりまして、今成果を上げているところでございます。  今後とも中小企業に親身に寄り添うことで、さまざまな経営課題の早期解決につながりますように、また、御指摘がございましたように、情報が行き届きますように、関係機関と一体となって支援をしてまいりたいと考えております。 88 吉田委員 相談にのってやっているんだというような姿勢で、ちょっと敷居が高い印象を、多くの中小、小規模事業者の方たちがお持ちですから、もう少し垣根を低くしてバリアフリーな対応になるように、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  大企業であればいろいろな面で話が通じていくところがあるのですけれども、小さい会社には特にそういった点が必要でございますので、ひとつ、よろしくお願いをしたいと思います。  2番目に入りますが、現在、中小企業では、新聞にも載っておりましたけれども、事業承継が喫緊の課題となっているわけであります。高齢化が進んで、今後10年の間に引退期を迎える中小企業の経営者は、全国で245万人。そのうち、半数以上が後継者は未定ということで、事業承継を終えていないという状況でございます。  とりわけ、地域の経営者の高齢化による後継者不足が深刻でございまして、黒字経営にもかかわらず倒産、廃業せざるを得ない中小企業が存在する、黒字経営にもかかわらずやめなければならないことは、本当に大きな問題だろうと思います。  地域の伝統ある中小企業の技能を守って、事業をさらに発展させるためには、各種の支援機関が連携する事業承継ネットワークを全国展開して、金融機関、あるいは事業等の専門家が直接働きかけけるプッシュ型の相談を行うとともに、専門的技術を兼ね備えた相談員が適切に事業者の悩みなどに対応できるよう、事業引継ぎ支援センターの機能強化を進めることが必要と考えます。  そこで、地域の活力を支える中小、小規模事業者が魅力を発揮し、次世代へ円滑に事業承継ができるよう、事業引継ぎ支援センターなど関係機関と連携して、今後どのように取り組んでいかれるのか、石井知事にお伺いをいたします。 89 石井知事 今ほどお話があったとおりですけれども、県が平成29年度に60歳以上の経営者に行ったアンケート調査結果では、約4割の企業で後継者が決まっていないと回答されますなど、事業承継に対する意識が不足しているといいますか、やはり対応がおくれがちだということでありまして、このままだと地域経済に厳しい影響を及ぼすことが懸念されるところでございます。  そこで、県では新世紀産業機構の中に、お話の事業引継ぎ支援センターを置きまして、その相談員を昨年4月に1名から2名に増加し、体制強化をしました。  また、昨年6月に経済団体、金融機関、士業団体等73団体で、事業承継ネットワークを構築しまして、事業承継診断や国の補助金の活用の支援を充実することにしております。  こうしたことによりまして、事業引継ぎ支援センターの相談件数は、平成28年度では27社、延べ43件だったのですけれども、平成30年度には130社、延べ275件、さらに今年度は10月末までに、既に76社、延べ209件と大幅に増加しておりまして、成約件数も平成28年度は1件だけだったのですけれども、平成29年度は2件、平成30年度は7件、今年度は10月末までに12件と相当ふえてきております。  また、事業承継の機運を高めますために、昨年度は中小企業の未来を考えるシンポジウムをやったのですが、今年度はより地域に密着した形できめ細かな支援につなげたいということで、「事業承継1dayセミナー」を県内3カ所、高岡市、魚津市、富山市で開催しておりまして、それぞれ専門家の講座、承継の経験者の講演などを通じて、さらなる普及啓発を図っております。  このほか、制度融資の創業支援資金の事業承継支援枠の保証料率を下げる、また、元気とやま中小ベンチャー総合支援ファンドの投資対象を拡充するといったこともやっております。  なお、国にも平成30年度補正で、事業承継補助金というものをつくっていただきまして、これは大変ありがたいということで、制度を紹介して活用を呼びかけるなどのサポートをいたしましたところ、早速申請がありまして、県内で建設業、製造業、食品製造業など、9件の採択を受けたところでございます。  今後とも、お話のように黒字でも廃業するというようなことは非常に残念なことですから、中小企業者の経営資源等が、次の世代に確実に引き継がれるように、また、せっかく事業承継される際に、日本はやっぱり労働生産性が低いとかねてから言われていますので、経営革新や事業転換を図ったりして、さらなる事業の飛躍、発展につながるように、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 90 吉田委員 知事、どうも本当にありがとうございます。  相談件数は相当ふえてきているというのは、本当に感じます。ぜひ、今後ともまた、引き続きお願いしたいと思います。  次にまいりますが、日EU経済連携協定、あるいは、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定などの経済連携を契機にしまして、ジェトロなどの支援機関と連携した県内企業の海外での販路開拓の支援に今後どう取り組むのか、芝田商工労働部長に伺います。 91 芝田商工労働部長 昨年末に発効いたしました環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定や、本年2月に発効いたしました日EU経済連携協定につきましては、関税撤廃、あるいは関税の削減だけではなく、投資や知的財産等に関して高いレベルでのルール構築が行われましたので、県内企業にとっても貿易、投資の促進が期待されるところでございます。  県内企業の海外展開につきましては、県ではこれまでも、経済訪問団の継続的な派遣や現地企業との商談会の開催、富山県新世紀産業機構のアジア経済交流センターにおける海外投資や貿易等に関するワンストップ相談体制の構築、各国要人を招いてのビジネス交流会議や投資環境セミナーの開催、富山県ものづくり総合見本市の開催による海外企業との商談機会の創出などによりまして、総合的に支援しております。  こうしたこともございまして、本年10月現在では、県内企業721事業所が海外に進出をしておりまして、10年前と比べますと約2.5倍に増加してございます。  ジェトロ富山にも少し聞いてみましたところ、やはり、連携協定の制度などに関する実務的な相談は受けているとのことでございました。  県といたしましては、県内の産業空洞化を招かないように、研究開発拠点やマザー工場は維持していただくということが重要と考えておりますが、今後ともTPP等の経済連携協定を契機といたしまして、ジェトロや新世紀産業機構等の関係機関とさらに緊密に連携して、きめ細かな情報提供や、相談、コンサルティング対応、見本市への参加や隣県との連携による商談機会の創出などに取り組み、海外販路開拓を行う県内企業を積極的に支援してまいりたいと考えております。 92 吉田委員 これからもグローバル化が大事だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  この課題の最後になりますけれども、県は今年度、富山県人材活躍推進センターを設置して、ワンストップで人材確保を支援していく体制を整備されました。  若者、女性、それから高齢者を含め多彩な人材の発掘から、確保、定着、また、高度外国人材や外国人留学生と企業とのマッチングなども含めて、中小企業の人手不足の解消に取り組むことが重要だと思います。今後どのように取り組んでいかれるのか、石井知事にお伺いをしたいと思います。 93 石井知事 県では、ことし5月に人材活躍推進センターを開設しましたけれども、このセンターを中心に、若者、女性、高齢者など多様な人材の確保、定着に努めております。  これまで、まず、若者については、合同企業説明会や移住・転職フェア、それから県内学生と若手社員との交流、さらには、企業訪問バスツアーを実施しておりまして、それぞれ、相当程度の学生さんにも御参加いただいております。  また、女性については、就活女子応援カフェの東京や京都、名古屋等での開催、新たに設置した女性就業支援センターによる潜在的な求職者や働きやすい職場の開拓、それから、高齢者については、シニア専門人材バンクによる出張相談会、これは県内各地でやっておりますし、企業説明会も実施してマッチングを進めております。  今後はさらに、若者については富山大学と連携しまして、保護者を対象とした就職セミナーを開催し、県内定着を一層促進する、それから就職氷河期世代の就業状況を調査しまして、その意欲や能力に応じて活躍できる環境整備を進めることとしております。  また、女性の若年層の転出超過がやっぱりなかなかまだとまっていませんので、70歳までの就業機会の確保に関する国の動向等も踏まえまして、女性、高齢者についても、さらに重点的な取り組みを行いたいと思っております。  それから、外国人材については、これまで留学生向けの合同企業説明会や、ASEAN地域等からの留学生の積極的な受け入れなどを行って、なかなか評判もいいのですけれども、今後、ベトナムのトップクラスの理系大学生とのマッチングや、雇用後の日本語研修の充実など企業における受け入れ態勢の整備を支援して、外国人材の活用、定着をさらに促進することにしております。この12月に、ホーチミン市で採用選考会なども行うことにしております。  今後とも、人材活躍推進センターを核としまして、中小企業の人手不足の解消に全力で取り組んでまいります。 94 吉田委員 とにかく、人手不足は本当に富山県内におきましても、深刻な課題ではございますけれども、ただ外国人を酷使すればいいというような状況など、いろいろな話も少し聞いたりすることもあるので、ぜひ、人権にも十分配慮した形で解消に努めていただきたいと、このように思っております。  最後になりますが、防災・減災、災害に強い県土づくりについてお伺いをしたいと思います。  非常に昨今の災害は、大変凶暴化しているというか、大変な状況で、なかなか行政の力だけでは防ぎきれない状況が続いているわけでございます。しかも、忘れたころにやって来るどころか、毎年やって来るというような状況になってきたわけであります。と同時に、いろいろな声かけにも限界があるということで、一人一人の防災を常に意識した判断というか、自分のことは自分で守っていくということが、ひいては地域を守っていくことにもつながっていくと言われているわけであります。  もちろん自治体や関係機関のタイムラインである防災行動計画の整備とともに、地域防災計画に基づいた防災・減災対策は毎年強化していかなければなりません。  また、住民一人一人の防災行動計画でありますマイタイムラインの普及や、住民に周知、活用されるハザードマップの整備、普及を促進しなければならないと私は考えるわけであります。  まだまだ、マイタイムラインの普及、認識が非常に低いと感じるわけでございますが、こういったことに対して、今後どのように取り組んでいかれるのか、竹野危機管理監にお伺いをいたします。 95 竹野危機管理監 まず、タイムラインにつきましては、例えば水害対応では、国直轄河川流域などの市町村で策定されているほか、県管理河川でも一部市町村で策定されております。未策定の市町村の策定を今後支援するとともに、タイムラインを生かした的確な災害対応を実施いただくように助言してまいりたいと考えております。  また、ハザードマップにつきましては、例えば洪水の場合、県ではその基礎となる想定最大規模降雨の洪水浸水想定区域図を全ての水位周知河川で公表するとともに、市町村が新たなハザードマップを速やかに作成できるよう事前の情報提供等の支援をしており、各市町村で順次公表されております。引き続き、その整備、普及を支援してまいりたいと考えております。  さらに、みずからの住む地域の災害リスクを知り、自身や家族のとるべき防災行動をあらかじめ整理したマイタイムラインの作成は、住民の防災意識を高め、住民による自助を進める観点から非常に有効であると考えております。  先般の台風被害を踏まえまして、国では高齢者等の避難の実効性の確保等について現在議論されておりますけれども、今後、国や他県の取り組みの事例等も参考にいたしまして、市町村と連携、協議しながら、その作成や普及について取り組んでまいりたいと考えております。 96 吉田委員 マイタイムラインの作成や地域の自主的な防災訓練には意味があると思いました。呉羽でも小単位ですが、朝早くから、非常にわいわい、がやがやと防災訓練に取り組みました。改めて地域の中で避難をどうするかということを、本当に住民一人一人が考えた訓練だったと思います。そういった中からマイタイムラインなどが出てくるのではないかと思いますので、今後ともそういう活動が広がっていくようにお願いしたいと思います。  最後になりますけれども、防災士、消防団、地域防災リーダー等の地域防災を支える防災人材の育成、確保のための支援とともに、女性や若者の加入による消防団の充実、強化を促進させなければならないと思います。また、地域の防災コミュニティーや地域住民等による自主防災組織を支援する取り組みを推進しなければなりませんが、これまでの成果をどのように認識し、今後どのように取り組んでいくのか、竹野危機管理監にお伺いをいたします。 97 五十嵐副委員長 竹野危機管理監、簡潔にお願いします。 98 竹野危機管理監 これまで、県では防災人材の育成につきましては、防災士養成研修講座や、地域の自主防災組織リーダー研修会、講演会などを開催して、その育成について進めてきているところであります。  消防団の充実、強化につきましても、団活動活性化に支援するほか、映画館での団員募集CMの放映や、消防団協力事業所の支援拡大など、団員確保にも努めてきております。今年度も、ケーブルテレビやユーチューブを活用した効果的なPR、あるいは学生向けパンフレットの作成等によるさらなる入団促進に努めてまいりました。  また、自主防災組織への支援につきましては、市町村と連携して、防災資機材整備避難訓練等への支援、組織化研修会等の実施のほか、今年度は新たに地区防災計画を作成した自主防災組織に対する資機材整備避難訓練等への支援制度を創設して、その支援を強化しているところであります。  これらの結果、防災士につきましては、10年前は232人だったものが平成30年度末で1,434人に、自主防災組織につきましても、10年前が57.2%の組織率だったものが令和元年10月で86.3%と大きく向上しており、消防団員数につきましても、全国では減少しているところでありますが、本県はほぼ横ばいの状況であります。  今後とも市町村等と連携いたしまして、防災人材の育成、確保や、自主防災組織の活動促進、消防団員の確保などに取り組んでまいりたいと考えております。 99 五十嵐副委員長 吉田委員の質疑は以上で終了しました。 100 横山委員長 上田委員、あなたの持ち時間は40分であります。 101 上田委員 本日の質問に当たりまして、決算特別委員会における審査の目的とは何かということや、あるいは、総括質問といったものをどう位置づけるかということを自問自答しながら、質問を作成いたしました。よろしくお願いいたします。  富山県庁正面玄関脇に戒石銘と題する石碑があります。昭和42年、吉田実知事の時代に佐伯宗義氏から寄贈されたようです。石碑には、「爾の俸、爾の禄は、民の膏、民の脂なり。下民は虐げやすく、上天は欺き難し」、繰り返します、「爾の俸、爾の禄は、民の膏、民の脂なり。下民は虐げやすく、上天は欺き難し」と記されています。この意味をかみしめて、決算特別委員会の総括質問を行います。  今回、富山湾の利活用をテーマに、観光振興、環境保全、水産資源について、質問いたします。  自民党議員会では、平成29年6月、富山湾未来創造調査会を全議員で設立いたしました。海洋資源、港湾物流、海上交通、観光、レジャー、国際交流、環境保全、富山湾学等を主たるテーマに勉強会、視察、意見交換を重ね、平成30年の11月に「富山湾が未来を拓く」とのタイトルで、石井知事、県当局へ提言を行いました。この2年間の中間的な取りまとめと位置づけ、今後、各分野でさらに深掘りしていく予定であります。  以下、質問に入ります。  まず、石井知事に質問をいたします、  富山県では富山湾の持つ幅広い可能性を、県政の発展に生かすべく、自民党富山湾未来創造調査会の提言等も踏まえ、富山湾を活用したさまざまな施策を平成30年度、平成31年度予算に反映し、取り組みを総合的に推進していると認識をいたしております。  特に本年10月には、世界で最も美しい湾クラブ世界総会が本県で開催されたところであり、富山湾の魅力向上や情報発信による観光振興、海岸漂着物対策など海洋環境の保全、メタンハイドレートや海洋深層水、富山のさかなのブランド化など豊富な海洋資源の利活用などの事業が総合的に展開されてきたと考えております。  そこで、これまでの取り組みをどのように評価し、今後、どのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。 102 石井知事 県ではこれまでも、富山湾のさらなる活用に向けまして、富山湾を核とした総合的な事業に全庁を挙げて、また、官民連携を図りながら積極的に取り組んでまいりました。お話に出た先月の世界で最も美しい湾クラブ世界総会の開催を、新たな飛躍のきっかけとすべく、一つには富山湾岸サイクリングの一層の充実やサイクリングコースの整備と美しいサイクリング環境の国内外へのPR、また、新湊マリーナへの県外船舶オーナーの誘致、そして、例えば、世界最大の旅行サイト、トリップアドバイザーの活用や世界の加盟湾が属する欧米やアジアなどへのプロモーション活動など本県の多彩な魅力の発信によりまして、国内外からの誘客を図っていきたいと思っております。  また、産業振興への活用としては、伏木富山港への貨物の集荷促進による物流の活性化、これは9月に、伏木富山港からシベリア鉄道を利用してモスクワまで、最短12日で輸送できたといったような事例も出てきましたし、日本海側の表層型のメタンハイドレートの開発促進、また、付加価値の高いキジハタ、アカムツの栽培漁業の事業化に向けた研究の加速化、そして、富山のさかなのブランド化と海外への発信、それから、海洋深層水を活用した新たな商品化、この分野でも民間も随分努力されて、成果が出つつあります。  また、沿岸部の観光拠点を結ぶ湾岸道路やサイクリングコースの整備に取り組みますほか、海岸清掃などの環境保全活動、海洋プラスチック対策などを進めることにしております。  昨年、自民党富山湾未来創造調査会からいただいた御提言、「富山湾が未来を拓く」も踏まえ、世界で最も美しい湾クラブの加盟湾との連携も図りながら、富山湾のブランド価値を一層高めて、自然環境保全と観光振興、地域活性化の両立を持続可能な形で推進して、美しい神秘の海、富山湾を活用したさまざまな施策にしっかり取り組んでまいりたいと思います。  私が言うとやや自画自賛になって、遠慮しないといけないのかもしれませんが、世界からいらした名だたる湾の代表の皆さんが、私どもが思っていた以上に富山県と富山湾の自然環境保全や観光振興の取り組みを高く評価してくださいましたので、これもひとつ契機にして頑張っていきたいと思っております。 103 上田委員 次に、富山湾を利用した観光振興について、お尋ねしたいと思います。今ほど知事からも話がありましたけれども、本年10月に日本で初開催となる世界で最も美しい湾クラブ世界総会が本県で開催され、加盟湾同士の連携強化などを目指した富山宣言が採択されました。また、平成30年度にはプレイベントの世界で最も美しい湾クラブ国内加盟湾連携シンポジウムも開催されました。  それらをどう評価し、今後、国内には加盟している5つの湾があるわけでありますが、国内加盟の5湾や、県内の沿岸市町と連携した観光振興施策をどのように展開していくのか、猪俣観光・交通振興局長に伺います。 104 猪俣観光・交通振興局長 先月開催しました世界総会では、国内加盟湾にも御参加いただきまして、エクスカーションや夕食、昼食交流会等を通じて本県の自然、歴史、文化、産業等の魅力を発信し、参加者の皆さんからは、おもてなしなども含め高い評価をいただいたところでございます。  県としましては、この成果を一過性のものとせず、今後とも国内加盟湾を含めました全世界の加盟湾同士のネットワークを大切にして、富山湾の魅力のPRを促進し、海外からの誘客につなげてまいりたいと考えております。  そのためにも、今回の開催を契機としまして、沿岸市町や民間団体との連携による取り組みを充実し、富山湾の国際的なブランド価値を一層高めてまいりたいと考えております。  委員から御紹介のありましたプレイベント、昨年の8月に高岡市で開催した国内加盟湾連携シンポジウムでは、5湾の関係者が意見を交わし、5湾への誘客や情報発信で協力し合い、魅力向上のため国内加盟湾が連携を図っていくこととされました。こうした結果も踏まえまして、来月から国内加盟5湾への誘客を促進するため、国内加盟湾各湾にまつわるエピソードを募集する企画を実施することとしております。今後とも国内加盟湾と連携した観光振興施策を検討してまいりたいと思っております。  さらに、今回の世界総会の開催を契機に、引き続き、沿岸市町や民間団体と連携しまして、富山湾を活用した観光振興を一層促進してまいりたいと考えております。 105 上田委員 今ほど局長の答弁にもありましたけれども、やはりせっかくの予算を使うわけでありますから、一過性であってはならないと思っております。やはり、税金でもって行われる事業でありますので、一石二鳥の効果を生むような事業展開といったものが必要だろうと思っておりますので、国内加盟5つの湾の地域の方や県内市町との連携にしっかり取り組んでいただければと思います。  さて、県内を車で移動していると、至るところの道路にサイクリング用のブルーラインが引かれています。そして、多数のサイクリストをよく見かけます。身近なところで言いますと、パワーポイントで自分の姿を見てもらっている方もおられるようでありますけれども、湾岸サイクリングの充実に当たり、平成26年度に富山湾岸サイクリングコースが整備され、それ以降、関係市町村等と連携したコースの延伸、あるいは誘客のためのツアー商品造成やプロモーションなどのソフト事業が進められており、また、昨年富山県自転車活用推進条例が制定され、それを踏まえて本年3月に策定された富山県自転車活用推進計画でもサイクリングコースを活用したイベント、ツアーの充実等により、魅力ある観光地域づくりを推進することとしており、サイクリングコースの整備が進められると認識をしております。  そこで、サイクリングコースの整備の進捗状況や、海外も含めた誘客のための取り組み状況を踏まえ、今後、どのように事業を展開していくのか、ハードの部分のコースの整備については、水口土木部長に、ソフトの部分の誘客については、猪俣観光・交通振興局長に伺いたいと思います。 106 水口土木部長 ハードの部分の湾岸サイクリングコースの整備について、お答えいたします。  御紹介いただきましたとおり、県では平成26年に美しい富山湾を堪能しながら走行できる富山湾岸サイクリングコースを整備いたしました。さらなるサイクリング環境の充実に向けまして、昨年度市町村や国の協力を得ながら、石川、新潟両県の県境までそれぞれ延伸し、今年度は入善町におきまして、海岸管理用通路を活用した新たなコースを整備しております。さらに、朝日町の宮崎海岸沿いに自転車専用道を整備できるよう、現在、測量や設計を行っております。このほか、田園サイクリングコースといたしまして、上市町から朝日町に向けて約61キロメートル延伸する整備に取り組んでおりまして、これについては年内を目途に、富山湾岸サイクリングコースに接続させたいと思っております。  今後とも関係機関の意見をお伺いしながら、さらなるコースの整備充実に取り組んでまいりたいと考えております。 107 猪俣観光・交通振興局長 加えまして、ソフト面での取り組みにつきましては、サイクリストの受け入れ環境の充実や海外も含めた情報発信に努めているところでございます。例えば、受け入れ環境の充実につきましては、引き続き、沿岸市町と連携したサイクルステーションの整備の促進や、市町村等が行いますレンタサイクル施設の設置支援、また、市町村や民間団体が実施する自転車を活用した健康づくりイベント事業への支援などに取り組んでまいりたいと考えております。  また、情報発信につきましては、今後とも、富山湾岸サイクリングの開催にあわせた台湾サイクリングツアーの誘致や、発信力のあるサイクリストブロガー等の招聘、サイクリングマップの改定、また、世界最大規模の訪日観光客向けポータルサイト、ジャパンガイドを活用した魅力あるサイクリング環境の世界への効果的な情報発信などに取り組むこととしております。  こうしたソフトの取り組みと、先ほど土木部長から答弁がありましたハードの取り組みの両面から、国内外にアピールできるようなサイクリング環境の創出を目指し、国内外からの誘客につながるよう、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 108 上田委員 関連してでありますけれども、私もいろいろなサイクリングコースを見てきました。土木部の所管かもしれませんけれども、やはりサイクリングコースには、当然県道もあれば、管理用道路のような道路もあれば、旧街道のような道路、広い道路もあれば狭い道路もあると。そうだなと思って見ていたわけでありますけれども、やはり、旧街道のような狭い道路になってくると、当然道路も狭い上に人家が連檐しているということで、スピードを出しているサイクリストにとっても住んでいる方にとっても、非常に危険で、残念な事故といったものもあり得るのではないかと思いますし、また、そのような声も聞きますけれども、現状等把握しておられたらお願いいたします。 109 水口土木部長 先ほども申し上げたのですけれども、平成26年に富山湾岸サイクリングコースを整備いたしました。既存の道路を活用してブルーラインを引かせていただいたということで、委員御指摘のとおり、自転車の専用道は、例えば、富山海岸浜黒崎のあたりに一部あるなど、非常に限られているということでございます。  安全にサイクリングを楽しんでいただき、美しい富山湾も堪能いただくという観点に立ちますと、なるべく車とは一緒に走らないように専用道化できるところはしていきたいとして、先ほど申し上げましたが、例えば入善町内におきましては、入善海岸、直轄管理海岸でございますけれども、管理用通路を活用させていただいて、約10キロメートルになりますけれども、車が余り通らないようなサイクリングコースの整備をしたということでございます。  宮崎海岸沿いにつくりたいと思っているものもそういった道路でありまして、今後とも快適にサイクリングを安全に楽しんでいただけるように努めていきたいと思っております。
    110 上田委員 部長、別に私が下新川郡選出だからといって、朝日と入善のことばかり言っていただかなくて結構なので、見ていると土日だけではなく平日もサイクリストが大変多くなってきているということであります。私が危ないと思ったのは、入善、朝日ではなくて別のところで、これは本当に狭いところを走っているなということでありました。多分、市町村の方々がそういった部分を一番把握しておられると思いますし、せっかくこれだけ健康づくり、また、競技人口としてふえてきている中で、大変不幸な事故が起きないように対応していくことも大切だと思いますので、市町村、あるいは警察さんと連携して、しっかり御配慮いただければと思います。  次に、富山湾の環境保全について質問いたします。  やはり、魅力ある富山湾の大前提というのは、どこからどなたがどう見ても美しいということだろうと思います。そのためには、環境保全が大変大切なのではないかと思います。  富山県では石井県政のもと、環境先端県として、さまざまな事業に取り組んでこられました。  具体的には、県内5つの海岸で地元小学生などによる海岸漂着物の調査活動や漂着物アート作品を展示する、また、漂着物への関心を高め、何よりも発生を抑制するという考え方が大切だと思いますので、発生を抑制するための学習、あるいは、啓発活動も含めた海岸清掃活動の充実といったものが、積極的にボランティアも含めて、多くの県民の方々の参加のもと展開されていると思います。  今後もまず、海岸清掃など海岸をきれいにすることは大変大切な意義のあることではありますけれども、その大前提として、海岸漂着物の発生抑制を徹底することが大切ではないかと、そのためには、事業者だけではなくて、県民一人一人がさらなる意識の向上に取り組んでいかなければならないと考えますが、プラスチックごみの発生抑制に向けた事業者への働きかけなども含めて、須河生活環境文化部長にお尋ねをいたします。 111 須河生活環境文化部長 本県におきましては、海岸漂着物は約8割が県内由来とされていることからも、その発生抑制を図るために、県民意識の向上が重要でございます。  このため、県では今ほど御紹介いただいたとおり、環日本海環境協力センター、NPECとも連携いたしまして、小学生等による海辺の漂着物調査や、大学生等による漂着物アート作品の制作、展示、また、親子等を対象とした海岸清掃体験バスツアーの開催などの環境教育や啓発を行っております。  また、これも御紹介いただきましたとおり、清掃活動なども展開しておりますが、行動を通じての意識の向上ということもあると考えておりまして、市町村と連携した県民総参加の清掃美化活動の実施、また、大型イベント、例えば世界で最も美しい湾クラブ世界総会などを契機とした海岸一斉清掃の展開等を通して、海岸漂着物への認識を深めていただいております。  さらに、海洋プラスチック問題の解決に向けまして、プラスチック廃棄物の発生を抑制するため、とやまエコ・ストア制度を通じたレジ袋削減や、食品トレーなどの使い捨てプラスチック削減に向けた調査を実施するとともに、事業者から排出されます産業廃棄物につきましても、プラスチック廃棄物の再生利用等に取り組むエコ事業所の認定、PR、また、産学官のプロジェクトチームによるプラスチック廃棄物の削減方策の検討や、これに基づく事業者への助言などを実施しております。  今後とも県民総参加での清掃美化活動を推進するとともに、プラスチックごみを含めた海岸漂着物の発生抑制について、県民や事業者の皆様のさらなる意識の向上に努めてまいりたいと考えております。 112 上田委員 やはり、どこがスタートラインかというと、当然発生を抑制することがスタートラインだと思いますので、引き続きの御尽力、働きかけをお願いしたいと思います。  さて今回、この富山湾の質問をするに当たって、海岸線沿いをいろいろ見て回りました。今の海岸漂着物に関してですけれども、これは川からの水の流れによって海岸漂着物が海に流れ出て、海の潮の流れによって同じ町であっても漂着してしまうところもあれば、漂着しないところもあるということで、発生抑制の努力はされているにもかかわらず、大変残念ながら、発生抑制の努力を上回る残念な結果が出てきていると思います。特に、通常時でさえそうでありますので、昨今はゲリラ豪雨といわれている集中豪雨や台風が頻発することによって、風水害が発生しているということであります。  ボランティア活動も積極的に行われていますが、異常気象が続くであろうと想定される中、今後も海岸漂着物の増加が非常に懸念されています。先ほど来話をさせていただいておりますけれども、発生抑制の徹底に加え、漂着物が発生した場合、やはり美しい富山湾の環境保全のためにはどうしても土木部さんの力も借りなければならないということだろうと思います。  早期の回収処理等の対応、また、必要な予算の確保が求められると思いますが、県及び市町における平成30年度の海岸漂着物の回収、処理状況や、今年度の状況について水口土木部長に伺います。 113 水口土木部長 海岸漂着物につきましては、県、市町等の役割分担などを定めました富山県海岸漂着物対策推進地域計画に基づき、人力では回収が困難な漂着物等については県が、それ以外の細かな漂着物については市や町がボランティア等の協力をいただきながら処理することとしております。  ただし、昨年の7月豪雨のように、一度に大量の海岸漂着物の処理が必要となった場合には、県が災害関連事業を活用して、処理しているところでございます。  お尋ねの平成30年度の海岸漂着物の回収、処理状況につきましては、平成30年7月豪雨等の影響により、大量の流木等が漂着したことから、例年を大きく上回る量となったところでありまして、その処理量は、県分として約5,200立方メートル、市町分として約2,100立方メートル、合わせて約7,300立方メートルとなりました。平成25年度から平成29年度の平均の処理量が約2,750立方メートルということですので、大変多かったということでございます。  一方、今年度の処理量につきましては、台風19号等による豪雨はありましたものの、先月10月末時点で、県分として約700立方メートル、市町分として約700立方メートル、合わせて約1,400立方メートルと、速報値でございますが、そういうこととなっております。  県といたしましては、今後とも必要な予算を確保し、また、海岸漂着物の速やかな状況の把握に努めまして、沿岸の市町との連携を密にし、県民の皆様方の御協力もいただきながら、海岸漂着物の早急な回収、処理に努めてまいりたいと考えております。 114 上田委員 ありがとうございました。  最後の項目の質問をさせていただきたいと思います。  いよいよ、富山湾にブリの季節がやってきました。富山湾の水産資源の活用について、2項目質問をさせていただきます。  平成30年度予算において、富山湾の藻場──魚の住みかとなるところでありますけれども、の保全や造成、あるいは、漁場環境の調査、富山のさかなや水産加工品として幸のこわけなどに代表されるようなブランド化に向けて、一生懸命取り組んでおられるということを大変高く評価しておきます。具体的な事業として、平成30年度には海の森づくり事業、漁村再生事業、富山湾漁場環境調査など水産資源の保全や、先ほども述べましたけれども、富山のさかな・水産加工品ブランド化推進事業など、観光資源化に向けた取り組みも進められました。一層の水産資源の活用が事業として展開されることを期待したいと思います。  そこで、今ほど申し上げたような水産資源の保全、活用の取り組み状況や、効果を踏まえて、今後どのように展開していくのか。富山のさかなを、県内だけではなくて県外、また、海外に輸出している動きもあるようでありますけれども、今後の取り組みについて、河村農林水産部長に伺いたいと思います。 115 河村農林水産部長 富山湾の水産資源につきましては、適切な漁場管理や、資源管理により持続的に利用し、さらにブランド化により、観光資源として活用していくことが重要であると考えております。このため、良好な漁場環境の保全に向け、水質等の環境調査や、漁業者が行います藻場造成への支援等に努めておりますほか、水産資源の適切な管理に向け、ブリなどの資源動向調査も進めており、この結果につきましては、漁業者による自主的な資源管理等に活用いただいているところでございます。  今後、代船建造中のはやつきの最新調査機器も活用して、より詳細な漁場環境や資源動向の調査に努めますとともに、資源の増大に向けて、ことし8月に完成した種苗生産施設を活用して、キジハタ、アカムツの栽培漁業の事業化等についても加速化を図ってまいりたいと考えております。  また、富山のさかなのブランド化につきましては、首都圏でのPRや高志の紅ガニのブランド化等に取り組んでおり、メディアの調査等において、魚の県といえば富山県といったような評価もいただくなど、成果が上がってきているかと思っております。  今後は、海外も視野に入れながら、さらにワンランク上を目指すこととし、今年度におきましては、新たにおいしい魚を生み出す人や漁の現場等を含めて、富山のさかな、水産資源の魅力を発信するため、県外の料理人等を招いて、富山のさかなを実感してもらう魅力体験ツアーや、漁師、料理人の方々をホームページで多言語で紹介するといったような取り組みを進めているところであります。  また、サスティナブルな本県漁業もPRするため、漁業者の水産エコラベルの認証取得等への支援も行っているところでございます。  今後とも、漁業者や市町村、関係団体と連携いたしまして、富山湾の水産資源が持続的に活用されるように取り組んでまいりたいと考えております。 116 上田委員 最後に、黒部川の連携排砂について、知事に質問したいと思います。  御案内のとおり、黒部川の連携排砂というのは、上流部においては関西電力出し平ダム、そして下流部においては国土交通省の宇奈月ダムにおいて、ある一定の時期に一定の条件が満たされれば、排砂ゲートを開けて、土砂を流すというものが連携排砂であります。  平成の最初のころから排砂といったものが行われてきました。国土交通省宇奈月ダムが完成したことによって、連携排砂といったものが行われたわけであります。大変さまざまな、大きな地域を巻き込んだ、あるいは地域だけではなくて、漁業者、農業者、環境を調査している方々など、多くの方々を巻き込んで大きな問題を起こしたこともございました。私は連携排砂はやむなしという立場をとるものであります。  しかしながら、連携排砂やむなしといったとしても、そこには当然大前提があるわけであります。農業、あるいは漁業、環境に対してより大きな負荷をかけない、より自然に近い連携排砂といったものが、絶えず追求されるべきと考えます。  地質学者の方々の話を伺っておりますと、黒部峡谷というのは、大変歴史が浅いところで、崩壊が激しいところだと言われています。かつてダムがない時代には、その上流部において崩壊した土砂が黒部峡谷、黒部川、黒部川扇状地を通って、富山湾に流れ込んできたということで、上流からの土砂の供給と、海岸における海岸浸食とのバランスがとれていたということで──今は国土交通省の直轄海岸になっておりますけれども、下新川海岸は100メーターから150メーターの砂浜がありました。現に、私の住んでいる入善町の、今直轄海岸に指定されているところでは、砂浜が100メーター、150メーターもあったというところもありますし、いまだに海の中に地面を持っておられる方もおられるということであります。  かつては、上流からの土砂の供給と、海岸における海岸浸食のバランスがとれていたことによって海岸線が維持されてきたと考えますけれども、上流部からの土砂の供給がストップしたことによって、また、大きく減少したことによって、海岸浸食が一方的に激しくなっているのが現状だろうというのが私の認識であります。  漁業者の方も栄養分のある土砂、栄養分のある水というものは欲しいわけであります。そうであるがゆえに、農業や漁業、環境に対してより大きな負荷をかける連携排砂には大変不安を持つしかないというのが率直な感想だろうと思います。  そこで、黒部川の連携排砂に当たり、今年度、連携排砂の実施機関である国土交通省黒部河川事務所や関西電力北陸支社において、深海土砂の底質調査や水生生物の影響分析、河川に堆積した土砂の撤去などが行われていますが、漁場環境に与える影響や漁獲高との因果関係の証明といったものは、現実的には大変難しいと私は認識しております。しかしながら、漁業者の方の不安を払拭できるような、より自然に近い連携排砂といったものを、絶えず模索していくべきだと思います。  具体的には、より自然に近い形で排砂が行えるよう、今日までも検討がされてきたと考えておりますけれども、排砂する際の、例えば、出し平ダム、宇奈月ダムの流量に係る実施基準の緩和といったものも考えられます。ほかにもいろいろな方法が考えられると思いますが、漁業者、あるいは農業、環境等を心配される方々、そして何よりもその地域で生活されている方々の不安を払拭するための連携排砂といったものが求められると考えますけれども、知事の所見を伺いたいと思います。 117 石井知事 連携排砂の影響については、これまでの黒部川ダム排砂評価委員会では、大きな影響を及ぼしたものとは考えられないと評価されておりますが、お話のように漁業者の皆さんが大変憂慮されているということもございますので、県ではこれまでも排砂実施機関であります国土交通省黒部河川事務所、関西電力北陸支社に対して、本県漁業者の不安を払拭するよう、水産生物への影響調査や深海の底質調査のデータを提示すること、それから、土砂動態が自然に近い形で実現できるよう連携排砂の実施方法を改善すること等について申し入れを行いますとともに、土砂管理協議会においても、重ねて要請してまいりました。  こうした要請も踏まえて、排砂実施機関では、今年度の環境調査におきまして、新たに県水産研究所の協力も得て、深海から泥を採取して分析する底質調査、これは県の調査船の立山丸を使用して、カニかご漁場における深海土砂の採取をやっているわけでございます。  それから、河川、海域の底生生物への影響分析も開始しております。  また、土砂動態をより自然に近い形で実現する。これはまさに委員が今おっしゃったとおりですけれども、そのために、細砂通過放流期間を延長する案、現行では6月から8月までとしているのですけれども、これを9月まで延長することも検討しまして、例えば排砂実施後に洪水が発生した際に、新たに流入した細かな土砂を放流する措置をとってはどうか。それから、出し平ダムと宇奈月ダムの両ダムの排砂操作のタイミングを調整して、移動土砂量を分散する案のほか、委員御提案の宇奈月ダムからの排砂を実施する基準流量を引き下げる案などが検討されております。  排砂実施機関では、排砂操作のタイミングの調査や、実施基準流量の引き下げについては、有識者の意見を踏まえた慎重な事前検証が必要とされていますけれども、その事前検証をなるべく早くやってもらうことを含めて、漁業者の声をしっかり受けとめて、漁業や漁場環境に極力影響を与えないよう、具体的かつ真摯な取り組みを進められることを、県としても今後も排砂実施機関、国土交通省や関西電力に強く働きかけてまいりたいと、このように思っております。 118 上田委員 ありがとうございました。  知事初め県当局にも御努力をいただきまして、新しい取り組みといったものもされていると認識をしております。  ただやはり、漁業者の方々の話を伺っていると大変、非常に強い危機感というものを持っておられるということを最後にお伝えして、より自然に近い形の連携排砂を模索できるように、お互い努力していきたいと思います。  終わります。 119 横山委員長 上田委員の質疑は以上で終了しました。  以上をもって、本日の総括質疑は全て終了いたしました。  終わりに、本委員会の運営に終始御協力を賜りました議員各位、県当局並びに報道関係の各位に対し、深く敬意を表します。  これをもって本日の決算特別委員会を閉会といたします。  御苦労さまでした。 Copyright © Toyama Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...