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  1. 富山県議会 2019-02-01
    平成31年2月予算特別委員会


    取得元: 富山県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-14
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1                     午後1時00分開会 五十嵐委員長 ただいまから本日の予算特別委員会を開会いたします。  それでは、発言の通告がありますので、これより順次発言を許します。        川島国委員の質疑及び答弁 2 五十嵐委員長 川島委員。あなたの持ち時間は60分であります。 3 川島委員 自民党議員会の川島国でございます。  私も、任期最後の予算特別委員会の質問ということであります。どうぞよろしくお願いいたします。  質問に入る前に、一言申し上げます。  今議会で勇退されます先輩議員各位には、県政発展へのたゆまぬ努力と多くを学ばせていただきましたことに、心より敬意と感謝を申し上げます。  特に、島村先輩におかれましては、思想は違うものの、平成の合併以前から、福岡町議会、高岡市議会と地域発展のためにともに頑張ってきた万感の思いを込めて、重ねて感謝を申し上げます。  我々地方議員は、当たり前でありますが、4年に1度、選挙を通じて、何千人、何万人もの県民市民の皆さんの軒先まで足を運び、そして握手をし、さまざまな声をいただきます。切なる願い、叱咤、激励、さまざまでありまして、まさに多くの言霊を賜るわけであります。  そして、この議会の場で、その言霊を最大公約数にして県当局にぶつけるわけでありますが、ぜひともその言霊の一つ一つの重みをしっかり受けとめていただき、政を行う全体の奉仕者として、元気とやま、県民の皆様に元気と勇気を与える答弁をお願いしたいと存じます。  地方議員として15年間の集大成の質問となるよう、来る4月に向けての私のスローガン、「来て良し!!住んで良し!!育てて良し!!の富山県」を実現する政策について質問してまいりたいと存じます。  自民党富山県連青年局長として、県内の大学、短大、専門学校を回り、学生さんに対して、政治、行政にはいくらでも無関心になれるが、絶対に無関係にはなれないんだということを訴え、議員や議会を通じて政治参加していく重要さを問うてまいりました。  本日も、多くの若者にインターネット中継を通じて見ていただいていますので、開かれた議会、極力見ている若者にもわかりやすいようにと、資料パネルも用意させていただきました。  委員長、参考資料の配付をお願いいたします。  あわせて、パネル資料の掲示も許可をお願いいたします。 4 五十嵐委員長 許可します。
    5 川島委員 県立高校の入試もスタートいたしました。ぜひとも、若者に勇気と元気を与え、胸に響くような魂の入った答弁をお願いしまして、質問に入らせていただきます。  まず初めに、「来て良し!!の富山県」を実現するための政策について質問いたします。  石井知事は、特に未来を担う若者に対しての思い入れが強く、本県発展を将来的に担っていくだろう方々に対しての未来への投資に重点を置かれています。  私も賛同いたしますし、行政運営は世代間のリレーであり、先人が未来への投資を怠らずやってきたことの上に、我々の安定した社会生活が営まれているものと考えます。  そのような考えから、若者が本県に対して何を思い、どのような政策や足りないものがあるのか、直接若者に問うことはとても重要でありまして、実際に、2年前の平成28年度に3,600人にも及ぶ県内外若者を対象にアンケート調査をされています。そのアンケート結果をもとにして、新総合計画、元気とやま創造計画が策定されているところであります。  アンケート結果では、富山県の今後10年間で必要な取り組みは、との問いに、「娯楽施設を増やすべき」との回答が最も多い4割以上の若者の声として上がっております。  ずばり、石井知事にお伺いしますが、この若者の要望、声をどのように受けとめ、今後どう取り組むのかお答え願います。 6 石井知事 一昨年、新たな総合計画の策定に当たりまして、若い人にアンケート調査を実施いたしましたところ、約8割の方が、このまま富山県に将来も住み続けたいや、一定の条件が整えば住みたい、など大変定住意識が高かったわけですけれども、同時に議員御指摘のとおり、今後、未来の富山県をよくするためにはどんな取り組みが必要かということのお答えとして、娯楽施設を増やすという回答が34.1%、また、人が集まる活気のある商店街をつくるというのが32.7%、こういった傾向がございます。  若者の県内定着や移住を促進して、活力ある県づくりを進める上でも、にぎわいの創出、若い人に魅力あるまちづくりが課題と思っております。  県としましてはこれまでも、にぎわい創出や中心市街地の活性化、観光振興、文化、スポーツの振興に向けまして、富山駅の南北一体化の推進を初め、新幹線駅の周辺整備、富山市の中心市街地や高岡駅周辺──末広西、高岡駅前の東地区のSorae高岡といった再開発への支援、また、海王丸パークの展望広場、富岩運河環水公園の整備、あるいは、富岩水上ラインも4艇目をつくる、富山県美術館などいろんなことをやってきました。また、スポーツイベントの実施、富山マラソン、湾岸サイクリングプロスポーツチームの支援や映画のロケ地としてのアピールなど実績も出ております。  新しい年度においても、引き続き、あいの風とやま鉄道の高架下の開発、富山駅北や駅前南西街区の開発、また、中心市街地の開発──高岡も含めて応援するつもりでおります。また、シアター・オリンピックスや極東杯の国際ヨットレース、それから5Gを体感できるeスポーツイベント、これは、高岡と魚津でぜひ大きな大会をやりたいと考えております。また、昨年に続いて東京ガールズコレクション富山も大規模なイベントとして開催するほか、富岩運河環水公園ももちろんですが、県内外の若い人や女性に対し、富山県の魅力発信に努めたいと思います。  さらには、黒部ルートの一般開放・旅行商品化やロープウエーの整備、室堂、弥陀ヶ原の滞在環境の整備による「立山黒部の世界ブランド化」、また、深海魚の調査、展示やマリンスポーツの振興による「美しい神秘の海・富山湾の世界的なブランド化」など、できるだけ次の時代を担う若い人、また、女性の皆さんに魅力ある県づくりを進めてまいりたいと思っております。 7 川島委員 知事、ありがとうございます。  さまざまな切り口から、特に、最近では高岡のeスポーツの大会などの支援もしていただいてありがたいなと思っておりますが、その効果がやっぱり新幹線の乗車率にもあらわれているのかなと思う一方で、もう一つ突き抜けた感をぜひお願いしたいと思っております。  次の質問に入ります。  今議会において同僚先輩議員からも、北陸新幹線の大阪延伸について、やはり1日でも早くと、早期整備を推進していく質問が多くなされておりまして、私も同感であります。  大ゴールデン回廊を結実することに全力を傾けることが、石井知事が標榜される裏日本とやまから表日本とやまへの近道であろうと考えます。  では、どうしていけばいいのか。もちろん、期成同盟会を重厚に構築して、要望の声を高めていくことも大事であります。  しかしながら、私は、それ以上に市場原理にのっとって、やはり北陸富山に行きたいんだという需要を喚起、拡大していくことが最も重要であろうと考えるわけであります。  世界から富山への観光需要、国内大都市圏から富山への観光需要、特に関西圏から富山への観光需要、これをどうやって高めていくのか、戦略を猪俣局長にお伺いいたします。 8 猪俣観光・交通・地域振興局長 北陸新幹線は、本県を初め北陸地域の活性化に大きく資することから、大阪までの早期全線整備に向け、関西圏から観光誘客を図ることは大変重要であります。  このため、昨年8月、JR大阪駅におきまして、瑞龍寺や富岩運河環水公園など本県の魅力ある観光地のPRや、鋳物製品や五箇山和紙といった伝統工芸品等の販売を実施したところでございます。  新年度におきましては、10月に関西で初めて開催されます世界最大級の旅行博でございますツーリズムEXPOジャパン2019大阪・関西に、関係団体や民間企業と共同で出展し、立山黒部アルペンルートや黒部峡谷など観光地の紹介や、地酒の試飲、おつまみの試食など食の魅力の発信等を行い、関西圏におけますプロモーションを強化する予算案を提案させていただいております。  また、北陸地域一体となった誘客を関西圏で行うため、石川県や福井県等と連携し、関西圏でのJRの駅などでの、本県など北陸3県の季節ごとの魅力をアピールする大型ポスターの張り出しや、観光季刊誌の配架、また、メディア招聘ツアーの開催、旅行会社向けの現地視察研修会を通じた旅行商品造成、誘客強化などの働きかけなど、年間切れ目ない北陸観光キャンペーンに取り組むこととしております。  県としましては、北陸新幹線の開業効果の維持、進化を図り、本県、ひいては北陸全体のさらなる発展につなげていくため、関西圏からの観光需要の喚起に努めてまいりたいと考えております。 9 川島委員 局長、ありがとうございます。  昨日の議論でも、薮田委員からも北陸観光局の提言もあり、やはり富山の魅力をしっかり伝えていくという、切れ目ないキャンペーン、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  ここで、配付資料の1を見ていただきたいと存じます。  とやまJAMP構想であります。  知事もちょっと笑っていただいていますが、富山県の魅力に触れたい、富山に行ってみたいと思わせる構想として、この4年間を通じて随分石井知事の頭からも離れないぐらい浸透してきたと思っております。  イメージがより浮かぶように、私の頭の中のイメージ図を起こしてみました。  右上は知事も御存じだと思いますが、若者に大人気のワンピース館であります。下が世界のサッカーファンが憧れる、日本のアニメ、キャプテン翼であります。そして、中年、おじさんにも人気のゴルゴ13館がございます。見られたとおり、とやまJAMP構想、ジャパン・アニメ・漫画・パーク構想の略でありまして、世界で唯一の日本のアニメ、漫画に特化したテーマパークをということを掲げて、この4年間提言をさせていただいておりました。  東京都豊島区にトキワ荘が復元するニュースが、なぜか富山県の地元紙のトップニュースになる。残念ながら、アメリカ、アカデミー賞は逃しましたが、日本アカデミー賞を受賞した細田監督の「未来のミライ」がさん然と輝きを放つ。ドラえもんのまちづくりに頑張ってきた先人たちの思いを受け継ぎ、大きく形にしていく。そんな思いでしつこいぐらいに提言し続けてまいりましたが、ようやくチャンスがめぐってまいりました。  先月の2月8日、自民党大会の前日、全国青年局長会議が開催されました。  青年局役付の国会議員の先生方20名を前に、質問する機会を得ました。  私は、「大都市東京一極集中がとまりません。地方創生と掲げながら、地方の若者に対して胸に響く政策が出されておらず、このまま統合型リゾートも、大阪夢の島、東京、横浜に3つとも誘致されれば、ますます地方は疲弊の一途をたどります。ぜひとも日本海側で1つ国家戦略として統合型リゾートを富山県に設置していただきたい。富山湾をあけてお待ちしております。」と力強く申し入れさせていただきました。萩生田幹事長代行からは、研究して、ぜひ富山県から申請してほしいとエールをいただきました。  本県に圧倒的な需要を喚起し、世界の若者からの注目と市場への多大なインパクト、そして、莫大な民間資本の呼び込みをつくり出すこと必至のIR誘致と、とやまJAMP構想を兼ね合わせた大胆な構想として、ぜひとも真剣に研究、検討を図っていただきたいと提言いたしますが、石井知事の答弁をお願いいたします。 10 石井知事 昨年7月に成立いたしました特定複合観光施設区域整備法、IR整備法ですけれども、カジノ施設の収益を活用して特定複合観光施設を整備する際には、その中核施設として、我が国を代表する規模の国際会議場、国際展示場、例えば展示場は最低2万平米以上と言われていますから、本県のテクノホールは大幅増改築して7,000平米ですので、かなり規模感が違います。  また、世界水準の面積を有する宿泊施設、客室の床面積が10万平米以上とされていますから、富山の全日空ホテルは約5,000平米でありますので、これもちょっとスケール感が違うと、そういう意味で、いろいろ日本の魅力をよほど幅広く紹介したり体験できる劇場、演劇場、競技場といったものが、今、申し上げたもののほかに要ると言われておるわけであります。  県内の既存施設では、残念なんですけれども、やはりいくら元気とはいっても地方の都市ですから、なかなかこの基準を満たすものがないので、全て新たに整備するということになりますと、施設の維持も含めてハードルは相当高いと考えております。  もう一つは、先般、共同通信が行った調査によりますと、大阪府市や和歌山県、長崎県などが、経済効果や雇用創出を見込んで国に誘致を申請すると。  長崎県は地方ですけれども、ハウステンボスが既にありますので、そういうことで国に誘致を申請する予定だとされる一方で、巨額の財政負担に加えて、カジノ設置による治安の悪化やギャンブル依存症への対応などの問題を懸念して、申請に否定的な県、政令指定都市が40団体で大半を占めていると報じられております。  富山県の場合、私も、もちろんいろいろと考えてみたわけですけれども、委員のJAMP構想に相当影響を受けていますので、ただし、巨額の設備投資やランニングコストが必要と予想されることと、確かにギャンブル依存症などそういった社会的リスクもありますので、正直、富山県の県民の皆さんの理解がどこまで得られるかと考えると、実現の可能性は、委員には申しわけないんですが、極めて低いと判断せざるを得ないと思っております。  ぜひ富山県として、あまり小さな構想でもいけませんけれども、富山県が持っているいろんな可能性を高めるという意味では、まずは、立山黒部、今、取り組んでいる世界ブランド化の取り組み、また、日台観光サミット、世界で最も美しい湾クラブ世界総会も開かれますので、美しい富山湾を生かした世界的な観光地となるような取り組み、ちなみに、世界で最も美しい湾クラブ世界総会の際には、道の駅雨晴で、子供たちによるドラえもんみこしをやることにしております。これは、ドラえもんの関係者とお話をして、特に貸し付けていただきました。それから、大規模コンベンション誘致に積極的に取り組み、また、委員のおっしゃる、富山ゆかりのアニメや映画コンテンツなども生かしながら、外国人旅行者に選ばれ続ける観光地となることをまず目指すということで最大限努力する、その先に、また委員のおっしゃるJAMP構想というのがあるのかどうか、しっかりまた勉強してまいりたいと思います。 11 川島委員 知事、ありがとうございます。  いろいろとフォローしていただきましてありがたいなと思いますが、任期最後の質問に難しいというのもつらいなと思うわけでありますが、常々知事がおっしゃる、やっぱり自分に限界をつくらず挑戦していくと、こういうことが大事でありまして、国の要件と合わない、規模感が違う、であるならば、北陸で、日本海側で観光DMOを結成して、しっかりと日本海側に光を当ててくれよと、こういったような挑戦が必要なんだろうと思いますので、諦めずにお願いしたいなと思います。  北陸新幹線の敦賀開業、大阪延伸に向けて知事が不安視する、通過県にならないための最善の方法として、また、富山空港羽田便をV字回復させる手法として、さらには、新幹線速達便かがやきが新高岡駅に5便は停車する需要喚起として、重ねて、この壮大な構想の研究に踏み出し、表日本とやまへの御旗を掲げていただきたいとお願いするところであります。  この項、最後の質問でありますが、何度か議会でも取り上げて紹介してきました「KIMONO プロジェクト」についてであります。  2020年東京オリンピックパラリンピックに向けて、世界196カ国をモチーフとした世界で唯一の着物を制作し、オリンピック時に一堂に会して世界平和を表現するプロジェクトでありますが、いよいよ残り24カ国を残すのみとなりました。  富山県からは、堂故茂富山県モンゴル友好協会長が中心となって制作したモンゴルの着物、富山ビューティーカレッジの林社長が中心となって制作したベトナムの着物、高岡青年会議所が制作した韓国の着物、パッケージメーカーのサクラパックスさんはウズベキスタンの着物を制作し、本県有志から多大な協力をこのプロジェクトに注いでおられます。  この「KIMONO プロジェクト」のさらなる周知とあわせて、本県が開催予定としている日台観光サミットや世界で最も美しい湾クラブ世界総会において、オープニングイベントエクスカーションなどに世界の着物ショーで花を添えるなどして活用することはできないか、猪俣局長にお伺いいたします。 12 猪俣観光・交通・地域振興局長 2020年の東京オリンピックパラリンピックに向け、今後、ますます外国人観光客が増加する中、本年、富山県で開催されます日台観光サミットや世界で最も美しい湾クラブ世界総会などの国際イベントにおきまして、海外からの参加者をおもてなしの心を持って受け入れ、また、日本の伝統文化を発信し、体験していただく機会を提供することは有意義であると考えております。  委員御提案の、和装を活用したおもてなしにつきましては、着物そのものを見せる機会は、日程がタイトであることもあり難しいと考えておりますが、歓迎レセプション等におきまして、おわら節やこきりこ節、麦屋節など、本県を代表します郷土芸能を披露し、和装を堪能いただくほか、エクスカーションにおきましても、和装に着がえて、町並み散策を楽しんでいただく体験プログラムの提供などを予定しており、こうした富山ならではのおもてなしを通して、日本の伝統文化であります和装の魅力発信に努めてまいりたいと考えております。  県としましては、日台観光サミットや世界で最も美しい湾クラブ世界総会の開催を契機として、本県の文化、歴史を初め、自然、産業、食などの多彩な魅力を世界に発信し、本県のさらなる誘客はもとより、観光振興、地域活性化につながるようしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 13 川島委員 そうなんですね、「KIMONO プロジェクト」は和装ということで取り入れられるということでありますが、観光振興の分野ということで猪俣局長にお伺いしました。ありがとうございます。  せっかくでありますので、花を添えるという意味では、やはり、生け花をたしなみ、常日ごろから花には水を、人には愛を注いでおられる蔵堀総合政策局長にも全庁的な面からも答弁いただきたく、お願いいたします。 14 蔵堀総合政策局長 着物は日本文化を代表するものでございまして、東京オリンピックパラリンピック組織委員会においても、オリンピックを契機に、日本文化、日本の伝統を伝えるということで、これは着物に限らずですけども、日本の伝統工芸や技術などについてもしっかりPRをしていくということで取り組んでおります。  県においても、今ほど猪俣局長から答弁しましたけれども、各種のイベントでいろんな外国からの観光客の方にも、しっかり日本の、あるいは富山の文化、伝統をPRしていくということかと思っております。  私の担当の総合政策局では、外国人の受け入れということも国際課があって担当しておりますけれども、着物を通じて日本の文化を理解していただくということと、地域の住民の方と外国人の住民の方も、着物をきっかけに交流していくといったような取り組みも可能かなと思っております。  いろんな機会を通じて着物をツールとしてPRをしていくということ、それから、相互理解を深めるということでしっかりと取り組むという気持ちでおります。 15 川島委員 局長、ありがとうございます。  私にとりましては、蔵堀局長はとやまJAMP構想の浸透に大きく貢献いただいた最大の功労者でありまして、アニメ、漫画の大巨匠である手塚治虫先生の遺徳をしのぶとともに、重ねて感謝を申し上げたいと思います。  次に、「住んで良し!!」の富山県を実現する政策について質問いたします。  景気は緩やかな回復基調と表現されますが、同時に、実感が得られないとも言われております。その最大の要因は、県内企業の90%以上を占める中小、小規模企業の従業員の皆さんの給料、賃金が上がらないから、景気回復の実感が得られないものと捉えております。  地域の福祉事業や祭りなどの伝統文化、はたまた、地域消防を支え、地域全般のあらゆる事業にかかわる中小、小規模企業の皆さんが元気にならなければ、当然、地域も元気にならないのであります。  「住んでよし!!」の富山県を実現するには、中小、小規模企業の皆さんが活気にあふれ、元気であってこそ実現できると言っても過言ではありません。  そこで、知事にお伺いしますが、元気とやまを実現していくために、中小、小規模企業を積極的に応援し、元気に活躍してもらうことが肝要かと考えますが、中小、小規模企業の振興に今後どのように取り組んでいかれるのか、お示し願います。 16 石井知事 中小、小規模企業の振興に向けましては、富山県中小企業の振興と人材の育成、小規模企業の持続的な発展の促進等に関する基本条例という中小、小規模企業に特に配慮した条例を持っている富山県でございます。  そこで、技術の高度化についても、IoT、AIの導入促進は大きな企業はもちろんですが、中小、小規模企業でもできるだけこうした考え方を取り入れていく。また、総合デザインセンターに今回バーチャルスタジオを設けますけれども、バーチャルリアリティー技術などを生かした効率的なデザイン開発を支援する、また、オープンイノベーションを進めまして、医薬品やアルミ、ヘルスケア、それから航空機、次世代自動車、水素ステーションの整備も支援して、そういった成長産業の育成、振興に取り組む。  さらに、販路開拓については、ものづくり総合見本市を開催しますとともに、日本最大の専門見本市への出展、機械要素技術展、また、例えば、トヨタ自動車さんなどの展示商談会に積極的に中小企業の皆さんもお連れして大いにアピールする。  また、経営の安定及び経営基盤の強化としては、県の制度融資の設備投資促進資金の中に生産性革命推進枠を新たに創設、創業支援資金の保証料率を0.2%引き下げる。また、人材の育成や確保では、人材活躍推進センターをとやま自遊館の中に設置し、ヤングジョブとやま、とやまシニア専門人材バンクに加えて女性活躍の支援センター、こうしたものを全部集約して、ワンストップで対応する。  さらには、せっかく国につくっていただいた東京23区在住者等が地方に移住した場合の移住支援金、あるいは企業支援金を生かしまして、全国で初めてだと思いますが、UIJターンによって富山での起業を志す首都圏の若者を対象とした起業家育成プログラムを実施する。富山工業高校の女子生徒さんの発案による旧県職員住宅を活用した創業支援施設やUIJターンの方向けの住居の整備などに取り組む。  さらには小規模企業者への支援としまして、県の制度融資の小口事業資金の利率を引き下げますとともに、商工会議所や商工会と連携して実施します販路開拓の取り組みについても積極的に支援することにしております。  今後とも、やっぱり中小企業、特に小規模企業に元気になっていただく必要がありますので、商工団体や金融機関と連携しながら、生産性の向上や競争力の強化、そういった支援に積極的に取り組んでまいります。 17 川島委員 知事、ありがとうございます。  さまざまな切り口から、県単独としても行っているということであります。  ここで、参考資料2を見ていただきたいと存じます。  安倍政権といたしましても、中小、小規模企業の生産性を向上させて最低賃金の引き上げを図っていくために、このような施策を講じております。  業務改善助成金制度というものであります。  生産性向上のための設備投資などを行い、最低賃金を一定額引き上げた企業に対し、設備投資費用の7割、最大100万円を国が支給しております。  店舗の改装や機器の更新だけでなく、教育訓練や経営コンサルティングなどソフトサービスを利用した場合も支給対象となるというのが特徴でありまして、採用率が9割と、申請すればほとんど採用されておるというものであります。  2018年度からさらに拡充されまして、この参考資料3のように小規模事業者への支援を特に手厚くされています。  従業員30人以下で、事業所内の最低賃金が時給800円未満の企業が設備投資を行い、30円以上の賃上げを行った場合、設備投資費用の最大9割、最大100万円を国が負担するというものであります。  こんないい制度があるのに、参考資料3にありますとおり、ほとんど消化されていないのが現状であります。  ごらんのとおり、平成27年度でも16億5,000万円が不用額となっておりまして、平成30年度も15億6,000万円もの国家予算が不用見込み額となっており、実にもったいないことになっております。  なぜなのか。本県におけるこれまでの申請数や採用状況、それらをどのように捉えて分析しているのか、伍嶋商工労働部長にお伺いいたします。 18 伍嶋商工労働部長 今ほど御紹介のありました業務改善助成金制度につきましては、所管する富山労働局に確認をいたしましたところ、本県におけます直近3カ年での実績では、平成28年度は申請及び支給とも12件、また、平成29年度では申請6件に対して支給が3件、さらに、平成30年度2月末現在でありますが、これでは申請11件に対して支給が3件となっております。  富山労働局では、これまでもこの助成金につきまして、ハローワークでの求人受理説明会など各種説明会、あるいは、働き方改革推進支援センターでの紹介、また、富山県労働基準協会などの広報誌への掲載や助成金の活用事例集の作成や配布により、周知を図ってきているというものの、他の助成金に比べて、委員御指摘のとおり、利用件数が少ないということを聞いております。  その要因といたしましては、1つには助成金の対象となります用途が、生産性向上のための設備投資、これには教育訓練等も入りますけれども、そういった投資対象が限定されていること、また、この助成金の特徴といたしまして、助成金の用途である設備投資を行う場合には、先に交付決定を受けなければならないということで、設備投資とその経費に対する支給決定を年度内に行う必要があることから、その申請期間の期限が1月31日までと短かった、こういったことなどが挙げられると聞いております。 19 川島委員 ありがとうございます。  県内でも1桁台の申請の状況にあるということで、この問題、国会でも議論になっておりまして、非常に手続も煩雑で、非常に周知もされていない、厚生労働省が所管だからなのか、商工会、商工会議所、経済産業省ラインじゃないからなのかよくわかりませんけれども、手続も簡素化して、しっかりと伝わるようにしていこうということになっておりますので、ぜひともしっかり捉えて、周知、活用を図っていただきたいと思います。  続けて、次に、同じくこれも厚生労働省所管で、地方における景気底上げや安定した雇用の実感を、特に中小、小規模企業の従業員の方々に感じてもらうためのキャリアアップ助成金制度について、積極的に周知、活用を図っていくべきと考えますが、石井知事の答弁をお願いいたします。 20 石井知事 本県経済につきましては、個人消費は緩やかに回復して、生産は緩やかに増加しておりまして、雇用情勢も1月の有効求人倍率は1.98倍と全国トップクラスの水準が続いており、景気は緩やかに回復していると思っております。  実際、県内を歩きますと、経営者の皆さん、実は仕事は結構あるんだと、人手がないんだと、だからせっかくお話があってもお断りしているという話をよく聞くんです。また、本県の正規雇用者の割合は直近の平成29年の調査結果によりますと、66.9%と全国第3位でありまして、特に若者、15歳から34歳については平成24年に比べて約5%改善して77.8%と全国で1位となっております。  県ではさらなる安定雇用に向けまして、あくまで正社員として雇用していただくことを前提とした企業による合同企業説明会を開催することとしております。  また、国の地域活性化雇用創造プロジェクトを活用しまして、新分野に進出する中小企業が新たに正社員を雇用する場合には、その雇用費用を助成しますなど、正社員の雇用創出を通じた中小企業支援に取り組んでおります。  また、厚労省では、委員御指摘の賃金水準の底上げを図る業務改善助成金──ちょっと使い勝手が悪い面もあるんですが、また、労働者の方の正規雇用や処遇改善を図るキャリアアップ助成金を支給しまして、県としても、県が発行する「労働とやま」に、キャリアアップ助成金など国の助成金の案内を掲載しまして、せっかくの仕組みですから、できるだけ使っていただこうということで関係団体等に配布しておりますほか、県主催の会議の場で労働局等から、こうした助成金がありますよという紹介する機会を設けますなど、制度の周知徹底に努めております。  今後も富山労働局を初め、関係機関と連携しながら、国や県の助成金制度について積極的に周知を図りまして、より多くの中小企業、小規模企業、あるいは社会福祉法人も含めて利用していただいて、県内の勤労者の方々の雇用の安定につながりますように、また、中小、小規模企業の従業員の方々が、確かに景気回復があると実感できますようにしっかり取り組んでまいります。 21 川島委員 ありがとうございます。  せっかくある国の助成制度であります。しっかり伝わるようにお願いを申し上げたいと思います。
     中小、小規模企業が抱える大きな問題の1つに、事業承継の問題があります。  県内企業、約5割の経営者の皆さんが、自分の次の代が決まらず廃業も考えているというショッキングなデータも見受けられるところであります。  富山県後継者人材バンク事業の開始から約1年が経過いたしますが、本事業の成果と課題をどのように捉えているのか、伍嶋商工労働部長にお伺いいたします。 22 伍嶋商工労働部長 昨年3月26日に事業引継ぎ支援センター内に開設いたしました後継者人材バンクの登録者は、平成31年2月末現在で、創業を目指す起業家、いわゆる買い手と言われる方については29人が登録、また、後継者不在の事業主、いわゆる売り手と言われる事業者が31社となっております。  この登録情報は、実際に事業承継の仲介や相談対応を行っている事業引継ぎ支援センターにおいて、買い手と売り手のマッチングを行う際の関係情報として役立てております。  一方、事業引継ぎ支援センターの一般的な相談などによります成約件数、マッチング件数は、開設後3年半で8件となっているものの、後継者人材バンク登録者の成約には結びついていない状況にあります。  今後、MアンドAなどの第三者承継を促進してくためには、買い手と売り手をつなぎます人材バンクが必要不可欠であること、また、創業を志す方への支援効果も期待できるということですので、引き続きその登録情報を充実し、多様な経営環境下にあります事業承継の相談に的確に対応していく必要があると考えています。  このため、今後バンクのメリット、例えば、買い手にとっては顧客や仕入れ先、店舗等の経営資源を引き継ぐため、創業リスクやコストを抑えることができること、他方、売り手にとっては代々承継してきた事業を残すことができること、また、事業の存続を望む従業員や地域の期待に応えることができることといったメリットを、チラシやホームページ等で紹介するなどバンク制度の周知徹底に取り組みまして、円滑な事業承継につなげてまいりたいと考えております。 23 川島委員 ありがとうございます。  県としても、危機感を持って取り組んでおられるというところであろうかと思いますが、全国の成功例や、こういうことが課題だということの共通認識を持つ中小企業庁が主管となってネットワークを組んでおられますので、そういったところにもしっかりと入っていって、中小企業庁が進めている事業承継計画の策定であったり、課題解決のための専門家の派遣、さらなるきめ細かな支援を積極的に受け入れていく体制が求められるのだろうと思います。  国のプッシュ型事業承継支援高度化事業を活用した、事業承継支援の取り組み強化をさらに図っていくべきと提言いたしますが、伍嶋部長の見解をお願いします。 24 伍嶋商工労働部長 県におきましては、今年度、国のプッシュ型事業承継支援高度化事業を活用し、新世紀産業機構等とも連携をして、事業承継診断などの個別企業等への支援を行っております。  事業承継診断につきましては、今年度の目標であります500件に対しまして、2月15日現在で1,166件の診断を行うことができておりますけれども、実施機関別、地域別に見ますとばらつきが見られるといった課題もありました。  こうした状況などを踏まえまして、新年度は、より実施期間や地域に密着した形で事業承継の機運の醸成や支援体制の強化を図りますため、県内3ブロックでそれぞれ重点地域を選定いたしまして、市町村、商工会、商工会議所等と連携したミニセミナーを開催することや、業界のつながりを利用した取り組みを進めますため、重点業種を選定いたしまして、研修会、個別相談会を開催することとしております。  また、こうした取り組みとあわせて、県では新たに県内3カ所で支援機関関係者による講座や承継の経験者による講演などを行うセミナーを開催いたしますほか、制度融資の創業支援資金に係る保証料率を0.2%引き下げるとともに、元気とやま中小ベンチャー創業支援ファンドの投資対象として、新たに「事業承継を契機に経営革新等に取り組む者」を加えることとしております。  中小企業者の経営資源等を次世代に確実に引き継ぎまして、また、事業承継を契機として経営革新や事業転換を図り、さらなる飛躍、発展につながりますよう、円滑な事業承継への支援に積極的に取り組んでまいります。 25 川島委員 ありがとうございます。よろしくお願いしたいと思います。  元気とやま創造の源は、やはり活力ある元気な中小、小規模企業の地域における活躍であります。  地元の、富山県商工会連合会長の石澤義文氏が全国を駆け回り、制定にこぎつけた小規模企業振興基本法の理念に、しっかりとのっとっていただき、元気とやまをつくり出していただきたいと重ねてお願いを申し上げます。  最後の項、「育てて良し!!」の富山県を実現する政策について質問いたします。  まず、この参考資料4を見ていただきたいと思います。  本県の放課後児童健全育成事業、いわゆる学童保育と、とやまっ子さんさん広場推進事業の施設数、県負担補助金額の推移をグラフにして比較したものであります。  この黒線の折れ線グラフが、学童保育の設置数であります。大きく右肩上がりであります。青色の棒グラフが、学童保育の対象児童数であります。右肩下がりであります。赤色の棒グラフは、学童保育に登録している児童数であります。平成25年をピークに、やはり右肩下がりであります。緑色の棒グラフは、県が負担する補助金額の推移であります、これは大きく右肩上がりであります。  何が言いたいかと申しますと、一言で言いますと、バランスが悪い、ということであります。ちなみに、ここに1施設当たりの県負担補助額を算出して書いております。これには初期投資費用が入っておりませんので、大体1施設3,000万円、4,000万円とすると、これが倍増、3倍ぐらいになるんだろうと思います。140万円以上かかる学童保育を拡充していくのがよいのか、滝部長が推進する共助の力を引き出した行財政改革、地域の教育力を醸成するとやまっ子さんさん広場推進事業や寺子屋サロンを拡充していくのがよいのか。私は後者に力点を置いて、富山オリジナルの富山型地域協働放課後児童育成事業を確立していくべきと提唱いたします。  加速度的な少子高齢化にあわせ、高齢者福祉と児童福祉、これは聖域なんだ、という風潮にあろうかと思いますが、学童保育を否定しているものではありません。ただし、ニーズがあるということだけで、このように需給ギャップを考えず、ただただ拡充していくことが子育て支援の成果なんだということは、私は安直過ぎるのではないかと考えるわけであります。  まず、県財政の健全運営の観点から、滝経営管理部長にお伺いしたいと思います。  義務的経費である扶助費については、高齢化の進展や少子化対策強化のために増加傾向にありますが、県財政に与える影響をどう捉えているのかお示しをお願いいたします。 26 滝経営管理部長 医療や介護、子育て支援などの社会保障関係費が大宗を占めます扶助費は、委員から御指摘がありましたとおり、高齢化社会の進展、少子化対策の拡充といったようなことで増加傾向にございます。  数字で申し上げますと、例えば10年前、富山県におきましては、当初予算で432億円でございましたけれども、平成31年度では579億円ということで、この10年で約3割程度増加しているという状況でございます。  お尋ねの扶助費の増加が県財政に与える影響でございますが、扶助費はそのほとんどが、いわゆるセーフティーネットであります社会保障関係費でありますので、法律上、県の支出が義務づけられているものも多いということがございます。  また、国の場合は赤字国債を国会の承認のもとに発行して、歳入と歳出全体の収支差を埋めることができるわけでありますけれども、地方財政におきましては、地方財政法で建設事業費など限定的な経費の、いわゆるハード的なものにのみ地方債を充当することができるとされております。  したがいまして、扶助費の財源ということで申し上げますと、地方債を発行して賄うということはできませんので、県税収入を初めとする一般財源で工面する必要があるということがございます。  したがって、予算総額に占めます扶助費の割合が高まってまいりますと、毎年度限りがある一般財源のやりくりが厳しくなるという意味で財政の硬直性が高まり、弾力的な財政運営が難しくなってくるという側面があるわけでございます。  もとより、社会保障関係費初め扶助費は、県民生活を支える重要な性格の予算でございます。これまでも厳しい財政状況の中でございますが、定員削減など国を上回る行財政改革により歳出削減に努めまして、扶助費の増に対応してまいりましたけれども、ただ一方で少子高齢化が続く中で、今後も扶助費の増加が見込まれるわけでございます。  したがいまして、社会保障関係費の増分につきましては、県単独事業分も含めて的確に地方財政計画に反映し、一般財源総額を充実するように、これは全国知事会とも連携してとなりますけれども、国に働きかけていくということがまず大事であります。  また、健康づくり、介護予防などの取り組みを通じまして、高齢化が進む中にも、医療費等の急激な上昇の抑制に努めるということも、県財政の健全な運営において重要だと考えております。 27 川島委員 ありがとうございます。  学童保育を例示させていただきましたが、私は、学童保育は適正箇所に必要と当然考えております。高岡青年会議所の地域協働モデル事業として寺子屋サロンを立ち上げてから14年、小学校1年生の長女を預けてから早いもので大学1年生となりました。長い間現場をよくよく見てきた中で、学童保育の拡充イコール「育てて良し!!」の富山県につながっていないことを確信しております。  なぜなのか。学童保育は子供たちを地域から隔離してしまうシェルター的要素の側面を持つということ、地域の大人たちから子供たちの距離がどんどん離れ、地域コミュニティーの希薄化を増大させる側面があるということ、この2つが言えると思います。  私が常々提唱してきた、学童保育を補完する機能を富山型地域協働事業として、地域の大人たちが子供たちの成長にかかわる仕組みを確立し、拡充していくことが大事であります。  高度経済成長期に確立した学童保育制度は、時代を経て、制度疲労を起こしていると考えるものであります。  子供たちを取り巻く環境は、温かい地域の目があって、多くの地域の大人たちと安心してかかわれる地域社会が理想でありまして、千葉県で起きた悲しい児童虐待のような事件を起こさせないような地域づくりこそが大事なのであります。  実際に、小学校放課後の現場において、毎年の新1年生を受け入れるがためにあぶれてしまう3年、4年生を補完的に受け入れる受け皿があれば、学童保育を新設、増設しなくてもいいわけであります。  加速度的な少子化の見込みの中、10年を待たずして、学童保育の統合再編が新たな問題として顕在化してくることを懸念するのであります。  学童保育一辺倒に頼るのではなく、地域の共助による子育て支援を拡充していく側にもう少し力点を置くべきと考えますが、寺子屋サロンのような取り組みをどう評価しているのか、前田厚生部長にお伺いします。 28 前田厚生部長 子供の健やかな成長のため、家庭や地域が連携し、地域全体で子供を育てることは重要な要素でございますけれども、仕事と子育てを両立させたいという保護者のニーズや、地域の実情、特色に応じて、さまざまな子供の居場所づくりが進められているものと考えております。  こうした中、女性の就業率の上昇などに伴う保育ニーズの高まりを踏まえて、放課後児童クラブによる留守家庭の児童に対する適切な遊びや生活の場の提供に加えて、県独自の事業であるとやまっ子さんさん広場による、地域の力を生かした多様な形での自主的な子供の居場所づくりが進められております。  委員御紹介の寺子屋サロンは、とやまっ子さんさん広場推進事業を平成27年度から活用いただき、週に2日、挨拶や礼儀、地域の歴史や文化を学びながら児童が安全に過ごせる場所を提供いただいているということで、子供たちの健やかな成長に向けまして有益な活動がなされているものと考えております。 29 川島委員 ありがとうございます。  ぜひとも、それこそ部局横断型で、公民館を活用した放課後の寺子屋や、本議会でも議論されていました空き家を活用した放課後の寺子屋など、はたまた、高齢者福祉として定着しているいきいきサロンを放課後の子供たちと居場所を共有するなど、取り組めるアイデアがあふれているんだろうと思います。ぜひともそういう形に力を入れていただきたいと思います。  知事におかれましても、子育て支援には相当力を入れて、バランスよく複合的に支援策を講じていきたいと、今議会でも答弁されておられます。  さきの議論にありましたように、私はバランスがいかがなものかなという思いがありました。ぜひとも石井知事には、この議論を捉えていただき、本県独自の教育、子育て支援として地域社会の温かい目を醸成することによる子育て環境の向上と、扶助費抑制による財政健全化とを兼ね備えた富山型地域共育モデルを確立すべきと強く提言いたします。そうすれば、必ずや児童虐待やいじめ、ネグレクト問題の未然防止につながると確信しておりますので、石井知事の答弁をお願いいたします。 30 石井知事 富山県の未来を担う子供たちの健やかな成長のためには、学校や家庭、地域が連携して地域全体で子供を育てる教育環境が重要であります。  委員から御紹介のありました寺子屋サロンは、地域の民間団体やボランティアの方が協力されまして、地元の学校教育を支援、補完するすばらしい活動だと思います。  内容を見ますと、週2回、茶道、礼儀、昔の遊び、お菓子づくり、軽スポーツ、着つけ教室など、福岡町のいろんな方が御協力されていると聞いていますし、川島委員も大変に御尽力されていると伺っております。  幸い本県では、今、お話しの寺子屋サロンを初めとして、県内各地で多くの地域の方々の御協力をいただきながら、子供たちを育てていただいておりまして、例えば、射水市では地元に伝わる放生津曳山祭りの祭り囃子を教わる教室、小矢部市では公民館において3世代でミニ門松づくりをする伝承教室、滑川市ではスイカやサツマイモの種植え、収穫、調理までを体験する農園教室など、各地で工夫されております。  寺子屋サロンのさきほどの数字を拝見しますと、コスト的な面でも大変リーズナブルな形でやっておられますから、だんだん膨張する傾向にある扶助費、社会保障費の膨張を少し抑制するといった面もあろうかと思います。また、地域社会のいろんな皆さんが温かい目で子育て環境の醸成と、扶助費の抑制ということで、財政健全化といった視点も持ってやっていらっしゃる。そういう意味では、富山型地域共育のモデル的な取り組みだろうと感じております。  今、申し上げたように、本県では各地域でそれぞれの地域の特色や強みなども生かしながら、さまざまな形で子育てを支援していただいております。  県がこういうふうにしなさいというのは、またいろいろ差しさわりもあると思いますが、できるだけ各市町村で各地域の特色を生かしながら、地域共生、教育の取り組みをしっかりお願いできたらと思っております。  寺子屋サロン、大変立派な取り組みでありますから、これまでも教育委員会ではいろんな機会に、県内の関係者に、こういった取り組みもありますよといった貴重な事例の1つとして御紹介もさせていただいていると伺っております。これからも市町村や関係団体と連携しまして、各地域の特色、実情にも十分配慮した子育て環境の整備が進みますように努力してまいります。 31 五十嵐委員長 川島委員の質疑は以上で終了しました。        笠井和広委員の質疑及び答弁 32 筱岡副委員長 笠井委員。あなたの持ち時間は60分であります。 33 笠井委員 県議会県民クラブの笠井和広でございます。所属は無所属でありますが、富山で初めての地域政党の政策チーム光のお世話をしながら、生活に密着した中での教育と子育て、医療、介護、福祉、本当に生活者の声を拾い上げる政治をさせていただいておるつもりであります。  ライフワークとして海岸清掃をしておりますが、きょう、開会直前に、富山湾海岸をきれいにする活動の会の代表であります方と主唱者の方がお見えになりまして、これを質問して欲しいということで質問を持ってこられましたが、通告してありませんのでできませんから、富山湾の状況を少し説明したいと思います。  大変きれいになってきたことは認めます。知事も一生懸命にやっていただいています。この10月には、富山県で世界で最も美しい湾クラブの世界総会も開かれるということで、一段と力がこもっておりますが、まだまだ海底の中にはたくさんのごみが埋まっておるし、一たび波が起こればヘドロと化した泥が上がってくるということで、臨機応変な対応をしていただきたいということであります。  ごらんのとおり、大変御高齢であります。後継者問題も浮上しております。そういう意味で、県庁一丸となってやっていただきますようお願いを申し上げまして、順次通告どおり質問させていただきます。  まず、あいの風とやま鉄道についてお伺いしたいと思います。  北陸新幹線が開業するに当たりまして、どうやら地方に押しつけられた並行在来線という名前、これがあいの風とやま鉄道になって開業し、4年がたつわけであります。状況は大変いいようでありますが、その安定した経営を支える中で、従業員さん、職員さんの働きは十分大きいと思います。  そんな中、働いている方々の声を代弁することになりますけれども、調べていきますと随分と問題が多いかなという思いはあります。第三セクターでありますから直接県当局に監督権はあるんでしょうけれども、なかなか言いにくいこともありましょう。しかし、その原資となります資本金はほぼほぼ税金が投入されておるということでありますし、企業からの出資もありますが、その比率はわずかであると思っております。  県を初め15市町村が出資をしまして立ち上がっているあいの風とやま鉄道でありますから、みなし公務員ではありませんが、準公務員である従業員さんの声を拾い上げて説明、質問させていただきたいと思います。  まず、労働環境があんまりよくない。給与水準がちょっと低いんじゃないか、そういった問題もあります。そして人手不足が解消されていないのではないか。次のシフトを決めるときに、最初からもう休日出勤が決まっているという状況もあるやに聞いております。  人の命を預かる公共交通の運行体系を維持していくために、やはりそういうことにちょっと問題意識を持って、早期に改善していく必要があるのではないか。  なぜ人手不足なのかなということを考えてみますと、今ほど言いましたように、給料水準が低い。それと、JRさんからの出向の方々との給与体系の格差が歴然とわかってしまう。その上で、JRに守られているJRからの出向社員と後ろ盾のないプロパーの社員の方の意識の高さの違いというものが大変顕著になっております。  将来的にこの会社、本当に大丈夫なのかなという不安を口にされた方もいらっしゃいます。「たくさんやめていくんですよ」と。何でやめていくかというと、労働環境がよくないから、将来展望が持てないからと言うんです。  私は、このあいの風とやま鉄道が並行在来線という位置づけではありますけれども、富山にとってこれから先も、展望の見込める大変貴重な富山県の財産だと思っております。ですから、そこで働いていただく皆さん方のやっぱりモチベーションを上げるといいますか、よし、俺は富山の鉄道を担っているんだという意識を持っていただくために、もっとやっぱり社員の声を聞くべきではないかと思います。  そこで、特に安全運行に必要な人員の体制の確保や育成、途中での運転士の資格を取得するために出向しなきゃならないということもあります。その課題を県としてどのように認識しているのかを、観光・交通・地域振興局長にお伺いします。 34 猪俣観光・交通・地域振興局長 あいの風とやま鉄道では、安全を確保しながら利便性向上も進めるため、人材の確保、育成を計画的に進めることとしていると伺っております。  具体的には、まず、人員体制、採用についてですけれども、あいの風とやま鉄道では、開業から10年目となります2025年をめどとして、順次即戦力となりますJR西日本からの出向社員からプロパー社員に切りかえることとしております。切りかえに伴い必要となります開業後の社員採用につきましては、鉄道技術職の確保が近年厳しくなっております。おおむね退職状況、業務の増減等を踏まえた採用計画数を確保しておりますものの、採用活動が年々前倒しになっていることなどを踏まえ、引き続き優秀な社員を確保するため、就職支援会社の活用や、県主催等の各種合同企業説明会への参加など積極的な採用活動を展開していくと伺っております。  次に、社員の育成、特に運転士の育成につきましては、平成29年6月から自社内に乗務員養成所準備室を立ち上げ、自社独自での運転士の養成を開始し、平成30年には7名、また、ことし以降も12名程度の養成を予定していると伺っております。  また、運転士以外におきましても、社員一人一人の実務能力の向上のため、業務能力の向上、モチベーションの維持、高揚を目的とした振り返り研修、また、駅社員の接客サービスの向上を目的としたサービス研修、サービス競技会を実施するなど知識、技能等のレベルアップに取り組んでいると伺っております。  そのほか、初任給や給与、各種手当の改定、見直しにつきましても、経営状況や社員の能力、経験、専門性、また、ほかの鉄道事業者の状況等を踏まえ対応してきていると伺っております。  あいの風とやま鉄道は、県民の日常を支える重要な公共交通機関でありますことから、県としましても、引き続き安全の確保や利用促進、また、経営安定に向けて必要な助言を行ってまいりたいと考えております。 35 笠井委員 ありきたりな答弁でありましたね。  高卒で入りますと18歳なんですね。頑張っていても、年齢制限があって30歳にならないと主任に昇任できないし、中途採用の人が入ってきて、突然抜かれてしまう。そこでも一番最初から入った人たちのモチベーションが下がるという実態があると。  私は、これの何が問題かといいますと、あいの風とやま鉄道の会社に団体交渉権がないということ。私は、労働組合の出身じゃないんですけれども、国民の権利として、働く者の権利としてあるべきものの団体交渉権がないことが問題であろうかと思います。  別に県が主体としてつくれ、つくってくれとは言いませんけれども、社員さんの声を大事にして、そういうものを整備していく方向に協力していただくことを、これは要望しておきます。  次に、あいの風とやま鉄道の下り線の高架供用が始まりました。これで歴史的に駅前、駅裏という概念がなくなって、駅北、駅南という形になりますけれども、歴史的な瞬間だったと思っております。  私が子供のときにはちょっと言葉は悪いですけど、駅裏と言ったら小学校の先生が、「駅裏、行かれんぞ」と、「あそこに行ったら何がおるかわからん」、「臭くて汚い」と言われました。そういったところが、知事も一生懸命やられた結果、今、環水公園として世界に誇れる観光地になったということや、駅の高架化がすごく効果的であるということだと評価しているところであります。  ところが、県民の意見は、新幹線が開業してもまだ工事しているのか、と経過がわからないことから、そういった声が大きいのも事実であります。  そこで工事も継続し、これからも仮設工事の状態が続くことから、状況に合わせて道が使いにくい、行きにくい、北口に出にくい、また今まで使っていた改札口がなくなったわけですから、ちょっと戸惑う方もいる。駅にはコンシェルジュの方もいらっしゃいますので丁寧に説明はできますけれども、やっぱりちょっと戸惑うことがあるので、もう少し案内板や広報に力を入れるべきだと思いますが、土木部長に伺います。 36 水口土木部長 あいの風とやま鉄道富山駅につきましては、下り線の高架工事が完了いたしまして、去る3月4日に全線高架供用をいたしました。これによりまして、これまであいの風鉄道線のホームを連絡しておりました跨線橋を利用して、駅南北を自由に行き来できるようになりました。  このことを利用者の方にお知らせをいたしますため、県では、駅構内などに掲示しております連続立体交差事業の説明図の修正、ホームページや報道機関などを通じて広報をいたしましたほか、あいの風とやま鉄道では案内看板などを跨線橋の北側の入り口などに適宜設け、また、列車内で北口方面へは旧ホームと旧跨線橋を利用して通り抜けができる旨、アナウンスを行っております。  また、富山市などでは、新幹線改札前の自由通路の柱に掲示されております誘導サインの修正を行っております。この後の歩行者通路につきましては、仮線の撤去工事の進捗に合わせまして利用しやすいものとなるよう改善していくこととしております。まず、4月下旬までには、駅南北を高低差がなく行き来できる幅5メートルの仮設の通路を整備し、供用することとしております。  さらに、10月には、JCの全国大会や世界で最も美しい湾クラブの世界総会が開催されます。これに間に合わせるよう県が実施します仮線の撤去後、富山市が南北自由通路を暫定的に幅12.5メートルで整備、供用し、来年3月には幅25メートルで完成、その際には路面電車の南北接続もあわせて完成となる予定であります。  このように、今後も歩行者通路の変更などを予定しておりますことから、引き続き、あいの風とやま鉄道や富山市と連携し、利用者の立場に立って、しっかりと丁寧に対応してまいります。 37 笠井委員 まだまだちょっと工事期間が続き、南西街区の建設も始まります。工事の音は仕方ないんですけれども、工事風景を包んだりして、景観への配慮をしていただきたいなと思います。今後とも努力をお願いします。  次に、ずっと私も提唱してきました観光列車、これが「一万三千尺物語」という形で、ついに4月から運行を開始いたします。どうやら今、あいの風とやま鉄道が2年間ほどやっていましたアテンダントもまた復活して、その観光列車に配置をする旨、募集をかけているようにも聞いております。
     「一万三千尺物語」は昔でいう第二機関区で運行試験をしていまして、私は今見えるんですね。もう涙が出るほどうれしくて、富山にこれを走らせてくれた知事に本当に感謝したいという思いでございます。  この観光列車を本当に、有名な富山県の宝として育てていくために十分やっていただきたいのですが、県としてどのようにして連携を図っていくのか、支援していくのかということをお伺いしたいと思います。  それと同時に、いろんな使い方もあると思うんです。県外からのお客さんだけじゃなくて、平日のウイークデー、前も言いましたけれども、町内会の福寿会でカラオケ大会をやりながら、延長100キロの行程のあいの風とやま鉄道を使って十分に楽しんでいただく内需型の観光もしていただきたいという思いがありますので、ひとつ知事に答弁をいただきたいと思います。 38 石井知事 来月6日から運行します、今おっしゃったあいの風鉄道の「一万三千尺物語」、外装はオレンジ色の朝日によって色づく立山連峰と富山湾をイメージしまして、内装は氷見の里山杉──立山杉よりは少し明るい色調になりますが、それを使いますほか、客室車両の山側の窓を雄大な立山連峰がよく見えますように大型化しているわけでございます。  また、車両内で握りたての富山湾鮨や県産食材を活用した懐石料理──富山の海の幸、山の幸に工夫を凝らした懐石料理を提供しますほか、ガイドによる本県観光のPR──ガイドブックに載っていない話をする、それから県産品の展示販売、富山の地酒の紹介と販売、富山のお土産の配布など、またビューポイントで停車して撮影タイムをとるなど本県ならではのサービス、おもてなしを実施しようと思っております。  加えまして、各停車駅で社員による手振りを行いますとともに、沿線各地域でもできたらお手振りをやってもらえるように、住民の皆さんに呼びかけを市や町にお願いしております。  また、乗客へのサービスとしまして、あいの風とやま鉄道の一日乗り放題や、富山県美術館の観覧料の割引などの特典つきの記念乗車証の発行などを行うことにしております。  また、観光列車の顔となるアテンダントにつきましては、これは1便当たり6名を配膳、接客業務ということで配置しまして、心のこもったおもてなしができますように、今研修を一生懸命やっていただいております。  さらに、県外のお客さんだけでなく、委員のおっしゃるとおりでありまして県民の皆様にも親しんでいただけるように、沿線の市や町と連携した取り組みを実施する、そういう方向で今調整いたしております。町内会などの懇親会などにも大いに使っていただければと思います。  県としましては、首都圏向けの「ねまるちゃ」といった雑誌や、BBTさんの「元気とやまみんなのクイズ」のような県政広報番組なども活用しまして御紹介をして、また伏木富山港にクルーズ客船が来る際には、その寄港に合わせて「一万三千尺物語」を活用したオプショナルツアーの造成を新たに支援しまして、乗船客の皆さんにも「一万三千尺物語」の魅力を体験していただく、そういう意味では、クルーズ・アンド・レール・オプショナルツアーとなるわけです。  また、観光列車の運行は、車窓からの景観や食、文化といった富山ならではのすぐれた魅力を発信するなど、観光振興や沿線地域の活性化のほかに、あいの風とやま鉄道の利用促進にもつながるということで、沿線の特徴を生かしながら全国あるいは海外にも誇れる観光列車となるように、県としても必要な支援、連携を行ってまいります。委員におかれましても、ぜひ御愛顧いただきたいと思います。 39 笠井委員 夢が広がるお話でありましたが、期待していた以上にやっぱり楽しそうな内容が盛り込まれて、特に地酒が飲める、富山湾鮨が食べられる、ガイドブックに載っていないところを紹介するアテンダントがいるなど本当に楽しみなことであり、久しぶりに明るい話題になったかなと思っております。  次に、水産業の振興について質問させていただきます。  「富山の魚はうまいね」と県外の方は言われます。日本国中に名をとどろかせる、薮田委員の地元の氷見のブリも大変有名になってまいりましたけれども、漁獲高全体はそんなに減ってはいなくても、魚種別ではとんでもなく減っている種類がたくさんあるんです。  今、皆さん、何が旬だと思いますか、本当は。ホタルイカなんですよ。全くとれていないとは言っていませんが、とれないんですよ。私も四方におりましたが5キロでした。どうやって競りにかけるんだと本当に心配しているんです。需要はあるんですが、供給がおぼつかない。  そういうことがありまして、その上で、台湾に魚を送るだとか、岐阜県に魚を送るだとかといっております。供給が少ないものですから、競りですから、都市部の人がどんどん値を高くつり上げていく。皆さんの口に入るときには、とんでもなく高くなってしまうというのが現状であります。  大衆魚でありますイワシやサバなどでも、今、高級魚に近い単価になりつつあります。アジ1キロ1,800円って信じられますか。実際そういう世界なんですよ。ですから、富山は魚で観光や食文化などがすごく振興、発展を遂げてきましたが、漁獲量が減少する中、この先、安定供給に対してどうやって県として取り組んでいるのか、芝田農林水産部長にお伺いします。 40 芝田農林水産部長 本県沿岸の漁獲量は、昨年は約2万5,000トンで、過去10年平均の14%増となりましたが、その前年の平成29年はマイワシの漁獲量が極端に少なかったことなどによりまして、その半分程度にとどまっているといったように、近年、やはりおっしゃったように、魚種ごとでも、総量におきましても大きな変動が見られると認識をしております。  本県沿岸漁業の中心は、待ちの漁法である定置網漁業であり、回遊魚の来遊状況によって一定程度の変動があるといったことは避けられないと考えておりますが、こうした極端な漁獲変動は、漁業経営を不安定なものとしかねないと思っております。  このため、県水産研究所では、沿岸域の水温などの影響や各魚種の生態、それから回遊経路などにつきまして調査研究を進めておりまして、今後、より詳細に要因を分析していく必要があると考えております。  現在、県では水産業振興計画の見直しを進めておりまして、特に富山の魚の安定供給を図るというためにも、サステーナブルな資源管理型漁業とつくり育てる漁業のチャレンジ加速化ということを重点に推進していくこととしております。  資源管理型漁業につきましては、ICTの活用等による小型クロマグロの放流技術の開発、電子タグを用いたブリの回遊経路の解明、最新調査機器を使用した漁場環境調査などに取り組みます。  また、つくり育てる漁場につきましては、キジハタ、アカムツ栽培漁業の技術開発の加速化、氷見栽培漁業センターの海水井戸試掘等の栽培漁業推進方策の調査検討などを行うこととしております。  さらに、長期保存することで漁獲物の少ない時期に供給が可能となりますように、漁協が行う鮮度保持施設の整備等を引き続き支援することとしておりまして、水産資源の持続的な利用を進め、富山の魚の安定供給にしっかりと取り組んでまいります。 41 笠井委員 そして、安定供給について、富山県の定置網漁業は待ちの漁業ですが、高齢化が進んで担い手不足が顕著です。私も船に乗りますと、アルバイトで会社に行く前に来られる方がほとんどで、専業の方はちょっとおられないんです。専業は親方ぐらいで、あとはみんな本業を持っていらっしゃって、朝早起きして、アルバイトといいますか、好きなんでしょうね、そういう方がいて、漁業が支えられておるのが現状なんです。  去年の予算特別委員会でも同じ質問をしたんですが、農業の担い手の予算に対して、漁業の担い手の予算が非常に少な過ぎると指摘したんですが、この1年でどれぐらい変わったのかということを、もう一度、農林水産部長にお願いしたいと思います。 42 芝田農林水産部長 本県の漁業就業者は年々減少してきておりまして、平均年齢は若返りつつあるものの、60歳以上の者が約4割を占めておるということでございます。今後、さらなる減少が危惧される中で、本県水産業の持続的な発展のためには、漁業の担い手を継続して確保することが大変重要であります。  このため、県では、とやま漁業担い手センターの設置、運営を支援し、県内漁業の特徴や求人の情報提供、それから求職手続の相談、短期、中期、長期にわたります研修などに取り組んできております。  今年度につきましては、中期研修受講者が昨年度の5人から13人に増えました。また、これらのセンター事業を通じた就業者は、昨年度の6人から12人に増えたところでございます。  こうした若者を初めとする新規就業者を確保するためには、やはり本県漁業を魅力ある産業としていくことが必要でございます。先ほど申し上げましたように、新たな水産業振興計画では、サステーナブルな資源管理型漁業の推進、つくり育てる漁業のチャレンジ加速化に加えまして、富山のさかなのグローバルブランド化というものを施策推進の重要な3つのポイントに掲げて、漁業経営の安定化と本県水産業の発展に積極的に取り組むこととしております。  今後も、担い手の対策や成長産業化に向けた取り組みをさらに充実いたしまして、本県水産業の未来を担う漁業者の確保に努めてまいります。 43 笠井委員 御期待申し上げます。  次に、クロマグロの資源管理について、大変厳しい数字が富山県に割り当てられています。捕獲したクロマグロを放流する技術などいろんなことを言われておられますが、なかなか現場では難しいのではないかという声があることを何回も言っています。一遍網の中に入って動きがとまった魚というのは、放流してもなかなかもとに戻らなく、亡くなってしまうということが多いわけであります。  ですから、私は、定置網の漁獲割合を割り当てるよりも、大型巻き網──あれは何をするんでしょうか、ツナ缶にするのか何にするのか知りませんけれども、大手の会社が巻き網でがーっととってしまう、それこそ総量規制をして、沿岸漁業は数をフリーダムにすることが必要ではないかと思っています。  小型クロマグロは魚群もつくってくるものですから、一旦大量の魚群が来ると、規定量を一遍に超えてしまう。去年でもそうでしたでしょうか、北海道でとり過ぎたものですから、割り当てががーっと狭まってしまったという実情がある。そのへんについて、もう一度、農林水産部長にお答えをいただきたいと思います。 44 芝田農林水産部長 県では、昨年から定置網における小型クロマグロの放流技術の開発を進めておりまして、今年度は2回の放流試験を行いました。  通常のたも網による放流では、クロマグロを生きたまま放流することが難しいとの御意見がありますので、どのような作業の影響が大きいかということを検証したところ、たも網で船上、船の上へ取り上げる際に網内の魚の密度が高まるとき、これは酸欠状態になるということでございますけれども、あるいは船上への取り上げや放流の選別に時間がかかるときに魚が衰弱しやすいということが確認できました。  また、標識をつけて定置網内に放流をして生存確認を行ったところ、迅速に取り上げ、放流した場合は、多くが翌日も生存することが確認をできました。  こうしたことから、いかにして網内の魚の密度を高めずに迅速に取り上げ、選別、放流できるかが課題であると考えております。  このため、来年度は、国と連携をいたしまして事業費を大幅に増額し、クロマグロの入網状況を確認するための魚群探知機や水中ドローンの導入、船上への取り上げ過程でクロマグロ等の中大型魚とマイワシ等の小型魚を選別しながら素早く船に取り上げるためのたも網の改良、選別した中大型魚の中から、さらにクロマグロを素早く選別するための船上選別機、こういったものの開発に取り組みまして、本県の実情に合った放流技術の開発を加速化することとしております。  委員が今おっしゃったように、定置網等の沿岸漁業と沖合漁業との適正な漁獲配分、これにつきましては、従前から国に対し要望してきております。引き続き国のほうに要望していきたいと思っております。今後とも、漁業者が安心して操業できるように取り組んでまいります。 45 笠井委員 そうですよね。放流技術を確立するよりも、やっぱりとれたものは、船主さんの漁獲に上げてあげると。クロマグロの稚魚でもいい値段するんですよ。キロ2,000円から大体3,000円。高級魚なんです。味もおいしいですし。  ただ、毎日とれるというものではなくて、大群が来たときだけとれるということなので、どうしても浮き沈みがあるということなので、そのへんはちょっと国のほうへ、知事からもお願いしていただきたいという思いであります。大型巻き網の会社は、私は水産庁の天下り先ではないかなと思ってうがった見方をすることもあります。  次、アカムツの種苗の生産技術の開発に向けて、今どうなっているのかということを聞きたいなと思っております。  キジハタについては、今回はっきりと予算の説明書に文言がありました。栽培の加速化をするということが新年度予算に盛り込まれておりますが、アカムツの4文字が消えておりました。アカムツはどうしたのかなという思いであります。  実は、皆さん、報道で御存じのとおり、先日、アカムツの稚魚が大量死したということがあります。これは何が原因でどうなったのか。せっかくアカムツを育てて、これは結構高い魚ですから、テニスの錦織圭さんがノドグロと言ったおかげで日本全国とり合いになっております。  富山でとれたノドグロは、全部が富山におるんじゃない、多くは金沢に流れていってしまう、こういう状況の中で、アカムツを育てて、おいしくして、産業として育てていこうということでありますので、今回の大量死についてしっかり検証することが必要でありますし、予算に対して遺失利益はどれぐらいだったのかなということもあわせて聞かせていただきたいなと思っております。農林水産部長にお願いします。 46 芝田農林水産部長 付加価値の高いアカムツの栽培漁業の事業化に向けまして、水産研究所では、平成25年度に国内で初めて稚魚の生産に成功し、平成29年度からは水産庁の委託を受けまして、現在5カ年計画で種苗生産技術の開発を進めているところであります。  こうした中、昨年秋にふ化をしました稚魚1万1,000尾が12月下旬から1月上旬にかけてへい死いたしましたが、その原因は、ポンプの水漏れ箇所から空気が吸い込まれ、ポンプ圧で飼育水中の空気が過剰になったことによりまして、その空気がえらや血管に詰まって窒息死したものであります。  事故後、ポンプを直ちに修理したところでございまして、今後、ポンプ等の設備の点検と維持管理を徹底いたしますとともに、ガス圧計というものを購入いたしまして、飼育水中の空気濃度の計測を行うこととしております。  今回の大量死により放流ができなくなったことは大変残念ですけれども、稚魚はきちんとふ化をしているわけでございまして、現段階の事業の目的は大量生産技術を開発するということでございます。その次に放流効果を高める、放流技術を研究するということにしておりますので、稚魚がしっかりふ化をしていることから、大量生産技術の開発に向けた必要なデータは得ることができたと考えております。  今後は、今回のことも教訓にしながら、まずは健全な種苗の安定生産技術の開発を急いでまいります。その上で、現在、滑川市で整備を進めておりますキジハタ・アカムツ種苗生産施設において、先行して取り組んでおりますキジハタの次にアカムツの種苗の大量生産に取り組むことにしておりまして、それによりその放流効果を高める技術の開発にできるだけ早期に着手できるよう努力してまいります。 47 笠井委員 責任とか、そういうことを言うつもりはありません。ただし、キジハタは強い魚なんです。本当に釣り上げて、そこに1時間置いておいてもまだ生きていますよ。ノドグロは弱い魚なんです。ですから、そのへんをやっぱり考えてやってほしいなという思いがあるのと、流通単価がキジハタは安いんですよ。高級魚と言われていますけれども、価格が安いんです。ノドグロはキロ6,000円から1万円が相場であります。それでも高級店さんでとり合いになるということで、皆さんの口に何回年間入りますか。職員の方でも食べられる方はいらっしゃるかもしれませんが、ノドグロの刺身を食べたことありますか。ないと思うんですよね。ある方もいらっしゃるかもしれません。一切れ幾らするかわからないんですよ。氷見の寒ブリよりも高くなることがあります。  そういうこともあって、この種苗の生産技術、放流して育てる漁業は大変有効な策だと思いますので、積極的に進めていただきたいと思います。  その次に、決済などのキャッシュレス、電子化の推進について質問させていただきます。  この問題については、予算要求について電子決済の推進ということで知事に要望もさせていただきました。消費税率の引き上げに伴い、本当にやるのですかね。おととい、内閣府が景気後退ということを発表しました。実際、私たちも生活していて、肌感覚としてデフレ状態から脱却していないのも事実である。デフレ脱却とインフレターゲットも達成できない。そして国の景気は、大企業やお金持ちだけが得している。一般生活者が本当に苦労している中で、本当に消費税を上げる状況にはないと思いますが、上げると言っている以上、国は一生懸命、今キャッシュレスに向かっていろんなことをやっています。ポイント還元、プレミアム付き商品券や、車の取得税を廃止し、新たな税体系をつくる、住宅ローン減税を行うなど、もう手当たり次第に飴をまきまくっているような状態の中で、電子決済について国のカード活用促進の事業を利用しながらやらなければいけないんですけれども、どのような支援を行っていくのか商工労働部長にお答えをいただきたいと思います。 48 伍嶋商工労働部長 キャッシュレス化については、店舗での会計時の効率化や、あるいは決済データによります新たな商品開発やサービスの提供など、経営戦略の面からの効果や、あるいは事業者の生産性向上につながるとされております。  また、消費税率の引き上げに伴い、キャッシュレス決済によるポイント還元も予定されているということもありまして、この機会にキャッシュレスを推進していくことが肝要ではないかと考えております。  一方、キャッシュレス化は、決済端末の導入費用や、あるいは決済事業者の手数料支払いのコストなどの負担に加え、制度内容の理解が深まっていないということもありまして導入に躊躇される事業者も少なくない状況にあります。  特に、委員からも御指摘ありましたけれども、小規模事業者においてはキャッシュレス化への関心が非常に低く、導入に向けた動き、取り組みも少ないということがあり、今後、キャッシュレス化のメリットなどの有益性などについて丁寧に説明していく必要があるのではないかと考えております。  このため、国においては事業者の負担軽減を図るためのさまざまな支援制度を設けるとともに、制度内容の理解と活用促進に向けた普及啓発に取り組まれているところでございます。  県としても、こうした国の取り組みとあわせて、例えば中小企業支援センターや商工会、商工会議所等を通して、制度の周知や相談対応を行いますほか、必要に応じて専門家の派遣などの支援を行っております。  また、新年度におきまして、県内企業による事例の紹介や、あるいはキャッシュレス導入に対する国の支援制度の周知、また、個別相談などを行いますセミナーを開催することとしております。  今後とも、中小、小規模事業者の理解が深まり、円滑な導入が図られるようしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 49 笠井委員 事業者の関心がないというよりも、零細の商店はお年寄りが多いんですね。もう理解できないんです。何かそういう機械を入れてまで何かするなら、商売をやめるかなということで、これが本当に採用されましたら、経済界の大きな変革が起こるのではないかと私は思っております。  もうできないんです。年をとられたお父さんとお母さんで商売していて、「あなたのところで買ったら、5%ポイント還元があるのか、ないなら、よそへ行くわ」って、そうなりますよね。  ですので、本当に今、経済環境が変わるような大きな事件になると思うので、やっぱりもう少し丁寧にしていかなければならないと思います。上がらないことを祈っておりますけれども。ひとり言でした。  その上で、県の各種収納において、インターネットやクレジットカードでの収納が始まっております。それでも出先機関の収納などいろんなことについてもっともっとキャッシュレス化を進めていただきたいと思います。行政サービスの向上になると思うんです。  もう私はほとんど、現金、持ち歩かないようにしています。千円札を5枚ほどポケットに入れて、あとクレジットカード、スマートフォン、これで全部やっています。手数料もかからないそうです、スマートフォンで払うと。PayPayやLINEPayは導入コストもゼロ円、決済手数料もなしということで、使う方も電話1本持っていけばできるので、全部これでできたら私はいいなと思うんですが、そういう意味で、県の収納機関において電子化、キャッシュレス化を進めるためにはどう取り組んでいくかということを、会計管理者にお答えをいただきたい。 50 酒井会計管理者 インターネットバンキングやキャッシュレス化が進展する中で、公金の収納方法の多様化や決済の電子化などを進めていくことは、県民の利便性を高め、収納率の向上や公金収納事務の効率化、省力化を図る上でも重要であると考えております。このため、これまでも自動車税のコンビニ収納やふるさと納税のクレジット収納などに取り組んできております。  また、本年度より自動車税のクレジット収納を開始したほか、昨年10月からは、自動車保有関係の手続のワンストップサービスを導入いたしまして、この手続の一環としてマルチペイメントネットワーク──これは県と金融機関、それから利用者間で発生する決済データを電送する基盤、プラットホームでございますけれども、そのネットワークを活用した自動車税や自動車保管場所の証明手数料等の電子収納を開始したところでございます。  新年度におきましても、10月から国において地方税の共通納税システムが全国一斉に導入される予定でございまして、本県においても、このシステムにより法人県民税と法人事業税について電子収納を開始することとしております。これによりまして、納税者の皆様方には金融機関の窓口へ行かずに納税がネット上で可能になるということでございます。  また、個人事業税と不動産取得税につきましても、2020年度からコンビニ収納を、また、2021年度からネットによるクレジット収納を開始できるよう、税システムの改修等の準備を行うこととしております。  そのほか、県の公金は種類が多くて、取り扱いもそれぞれさまざまで異なっておりますけれども、今後とも、導入の費用対効果、それから他県の動向等も踏まえながら、収納方法の多様化や電子化の推進に取り組んでまいりたいと考えております。 51 笠井委員 少しずつ前に進めていっていただきたいと思います。100%になれば家計簿をつける必要がなくなるんですよ。全部明細に出てまいりますので、便利になりますので、よろしくお願いします。  次に、農業用水路の管理体制などについてお伺いをいたします。  土地改良区の運営基盤強化のために、さまざまな国費や県費など税金が投入されていると思っております。まだまだ適切な支援を行うことが必要と考えますが、富山県としてどのように対応しているのか、芝田農林水産部長にお伺いいたします。 52 芝田農林水産部長 土地改良区は、農地や農業用の用排水路など農業用施設の整備主体となりますとともに、その維持管理を担っております。  しかしながら、その多くは、近年、組合員である農家の減少や組合員が負担すべき賦課金の未徴収額の増加などの課題を抱えております。  一方、農業の生産性や収益性の向上を図るためには、農地の集積、集約化を推進する必要があり、現在、県では、農地の大区画化や汎用化を行う土地改良事業を積極的に推進しておりますが、農地中間管理機構を通じた担い手への一定の農地集積や高収益作物の導入といった取り組みが事業の採択要件とされるということなどから、地域における調整を担う土地改良区の役割はさらに大きくなっていると思います。  県では、土地改良区の運営基盤を強化するため、これまで小規模土地改良区の合併を促進してきておりまして、平成4年に206団体あった土地改良区は、現在70団体となっております。  また、土地改良区が行う小水力発電事業の支援もしてきており、その売電収入は土地改良区の財務基盤の強化に大きく寄与していると考えております。  このほか、役職員の技術向上に向けた研修会に補助するなど、組織運営面での強化も図っております。  県としては、土地改良区の合併を引き続き促進するなど、土地改良区における財務や運営面の体制整備、基盤強化に向けた取り組みを支援してまいります。 53 笠井委員 そうなんですよ。生産組合の高齢化、管理する人がもう年をとっていてできない、草刈りができないなどということが顕著になっています。特に市街化の中で、私が住んでいる南部地区でも、住宅ばっかり建っているんだけど、そこに歴然と用水路がある。その用水路の管理が全くなされていないために、上ぶたが外れたりずれたりして、そこに車が落ちたり事故が起きても直接話をするところがわからないということが問題になっております。  用水管理組合や土地改良区などでしっかりパトロールしながら管理してほしい、直してほしいと用水管理組合に言ってもなかなかやってくれない。富山市の道路の整備事業の予算でやっていただいたということも、少なからずあります。  こういったことが市街地の中に山ほどあるんですよ。管理が誰かわからないということで、もうどうしようもないところがたくさん出てまいりますので、この維持管理に向けてどうやって取り組んでいるのか、もう一度、芝田農林水産部長にお願いいたします。 54 芝田農林水産部長 農業用水路が本来の田畑への水の供給のほか、消火や消雪、雨水の排水、生態系の保全、景観の形成など多面的な機能を発揮するには、適切に維持管理されることが重要でありますが、近年の農村地域における集落機能の低下によりまして、御指摘のように、管理が十分に行われていないものもございます。  このため、土地改良区が基本的にパトロールをするといったことも大事でございますし、国の多面的機能支払交付金を活用しまして、農業者だけでなく地域住民が共同で取り組む農業用水路のえざらい、法面の草刈りといった活動や、植栽による景観形成、生態系保全の活動などを支援してきておりまして、県内の多くの地域でこれらの活動が実施され、農村コミュニティーの再生強化にもつながっております。  県といたしましては、今後ともこうした地域ぐるみで行われている農業用水路等を守る活動を推進いたしますとともに、広く県民に農業用水路が果たす役割を伝える事業、例えば、とやま水土里フォーラムなども開催しておりますけれども、こういったことに取り組むなど、県内の農業用水路が適切に維持管理されるよう努力してまいります。 55 笠井委員 ぜひ整備をよろしくお願いしたいと思いますが、本当に管理している方が私は無責任だと思います。無責任だし、それを訴えても前に動こうとしない、用水管理組合、富山市南部といえばどこかおわかりになると思いますが、ここに苦言を呈しておきたいと思っております。  農業用水路などについて、いろんな事故が起こっていることが表面化してきて、警察、消防、市町村などの各管轄で把握していない、県の把握が一番少なかったのかなという思いでありますが、このことを特集したNHKの番組を見まして、ちょっと問題が大きいなという思いがありまして、ここで取り上げさせていただきました。  事故の詳細を十分に把握していないようなことで防止ができるのかなという思いがふつふつと湧いてくるわけでありますが、今後、しっかりと状況を把握した上で、必要な対策を施すべきではないかと思います。これは知事に質問させていただきたいと思います。 56 石井知事 県としましては、これまでも農業用水路の事故防止対策として、水路を管理する土地改良区等から事故の詳細を確認して共同で現地パトロールを行ったり、危険箇所における注意看板の設置や、事故防止を呼びかけるチラシの配布など、注意喚起に努めてまいりました。また、土地改良区などが行う転落防止柵などの安全施設の設置に対しては、県単独事業によって支援したところでございます。  こうした中、農業用水路での死亡事故は、大変残念なことなんですけれども、今年度もこれまで12件発生しておりますので、先般、専門家から成ります農業用水路事故防止対策推進会議を設置して、ソフト、ハード両面で総合的な事故防止対策を検討しますとともに、事故発生の可能性が高い13カ所には既に昨年の11月補正予算で債務負担行為を設定して、平成31年度の当初予算で県単独の農村整備事業によって必要な施設整備をすることにしております。  今後、県内各地でモデル的に地域住民の方々に地域の自主防災組織などと連携しまして、体験事例や安全対策などを話し合うワークショップを開催しますとともに、事故内容を詳細に検討、分析する調査研究を専門家に委託しまして地域の危険箇所や事故の類型化を行って、効果的な事故防止対策を立案することにいたしております。  事故が起こるんだから、柵をしたりふたをすればいいじゃないかと当然私もそう思うんですけれども、実際に地域の声を聞きますと、「いや、知事、そういう単純な問題じゃないんだ。ここに柵を置かれたら、冬、除雪するの、大変になるんだよ」と結構根強い声でございますので、そういった声も踏まえまして、営農活動や除排雪用水、また防火用水など、農業用水路の有する多面的な機能をどうやって維持していくかという観点にも十分留意しながら、とは言いながらやっぱり事故は防ぎたいわけで、事故防止対策推進会議において十分議論していただいて、ことしじゅうにも事故防止対策のガイドラインを策定して、地域の皆さんと行政が一体となって事故防止対策にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。 57 笠井委員 知事、ありがとうございます。積極的な御意見でございました。本当にお願いしたいと思います。  次に、児童虐待への対応について質問したいと思います。  痛ましい事件がありました。生まれてきて幸せな思いをしたのかなという思いは、あの子はどうして命を絶たれてしまったのかと思うと、胸を締めつけられる思いであります。
     教育警務委員会で、教育機関と警察との連携を質問させていただきました。今後、十分連携していくということでありましたが、厚生部として、今度はこれを踏まえて連絡体制──この連絡体制がうまくいっていなかったこともありますし、おのおのの部署が何か責任逃れのようなことをしたことなど、たくさんの複合的な要素によって、事件が発生したのではないかと思っております。  もうこれは日々継続して起こっている、どこかで必ず虐待が起こっているわけであります。ですから、そのことをしっかり踏まえながら、関係機関が連携を密にするという簡単な言葉ではなくて、本当に親身になってやっぱりやっていかないと、児童虐待はなくならない。なくすことは非常に厳しいかもしれないけれども、それによって不幸な事態になる子供たちを救わなければならないということなのであります。  そのことについて、知事にお答えをいただきたいと思います。 58 石井知事 児童虐待の早期発見、早期対応のためには、今お話があったように、関係機関との緊密な連携、情報共有が必要であります。まず、児童相談の一義的な窓口はやはり各市町村に設置されていますので、各市町村に設置されている要保護児童対策地域協議会、これには市町村、警察、医療機関、学校、保育所、幼稚園、民生委員、児童委員、こういった方が皆さん参加されているわけですけれども、そこに児童相談所も参加しまして、各市町村の個別事例の援助に対して助言を行っております。  また、児童虐待の通告に当たりましては、関係機関との連携や情報共有によりまして速やかに児童の安全確認や援助等を実施いたしております。  こうした連携を、さらに深めるために、県と県警察では、昨年の4月に協定を結んでおりまして情報共有を図りますほか、市町村や学校、また医療機関、民生委員、児童委員等関係機関向けの研修等を、県が主催いたしまして定期的に実施しているわけでございます。  委員のおっしゃったように、先般の本当に痛ましい事件の発生を踏まえまして、国では、昨年7月に子供の安全確認の徹底や、警察、学校、病院等の関係機関の連携強化を含む緊急総合対策が取りまとめられまして、ことし2月には、要保護児童の学校の欠席が7日間続く場合、児童相談所へ情報提供を行う新たなルールの設定がなされますなど、対策のさらなる徹底、強化策が示されております。  県としましては、こうした国の対策に適切に対応しますほか、従来の取り組みとあわせまして、新年度は、児童相談所に児童福祉司を3名、児童心理司を2名増員することに加えて、新たに学校や保育所、幼稚園等の職員向けの研修の実施、また、これまでもあったんですけれども改めて虐待を発見するポイントや初期対応マニュアルなどを記載した児童虐待対応のハンドブックの作成とその説明会、そして、配るだけではなかなか徹底しませんから、ハンドブックを活用した関係機関の緊密な連携を図る研修会の開催によって、さらなる連携強化を図ります。  今後も、発生を予防することから、早期に発見して早期に対応する、そして自立の支援を行うことまで、児童虐待対策は本当に大きな問題だと思いますから、総合的に取り組んでまいります。 59 笠井委員 国会でも、安倍総理大臣みずからが児童福祉司の増員を国策としてやるということを明言されておりました。  随分体制が整備されてきたと思うんですが、そこで1つ問題なのは、人数をそろえたからいいというものではなくて、キャリアが問題である、対応能力が必要であるということを、厚生部長にはしっかりと認識していただきたいと思っております。人数ではない、中身だということであります。  それで、児童虐待の早期発見、対応を図るために、今、24時間365日対応、共通ダイヤル189の整備を、県としましても1,193万3,000円の予算を組んでおられます。実は東京都では、SNSを使ったいじめ相談とよく似たシステムを試したほか、国においてもSNSの活用について検討しているということであります。その取り組みについて、電話がかけられないけれどもSNSなら使いやすい世代でもありますので、みずからが通報できるようなシステムをとっていただきたいと思いますが、厚生部長に見解を聞きたいと思います。 60 前田厚生部長 県では、相談通報体制の充実に向けまして、これまで児童虐待通告や電話相談に対して24時間365日対応できる体制の確保のほか、今ほど知事から御答弁申し上げた児童福祉司、児童心理司の増員、職員の研修の充実、さらに弁護士の配置といったような児童相談所の相談体制の強化、児童相談所全国共通ダイヤル189や、市町村の相談窓口等についてポスター掲示やリーフレットの作成、配付により周知を行い、児童虐待の早期発見、対応に取り組んでまいりました。  県としては、昨年12月、国において策定されました児童虐待防止対策体制総合強化プランも踏まえ、児童福祉司等のさらなる増員、研修の充実による体制強化を図りますほか、今ほど知事より御紹介申し上げました児童虐待対応ハンドブック、これを8,000部ほどつくり、関係の民生委員、児童委員や学校、あるいは警察、市町村にも配布して初期対応のポイント等の周知を図るなど、学校などにおける児童虐待の発見、通告等に遺漏のないよう徹底していきたいと考えております。  御指摘をいただいたSNSを活用した相談対応につきましては、従来、電話受付では相談件数が少ないとされている子供、あるいは家族から匿名で気軽に相談を受けることを狙いとして東京都などで試行が行われております。国でも新年度に補助制度が設けられるという状況にございますけれども、そういった子供や保護者の方々からの相談の割合が高くなるということが期待される一方、テキストベースのやり取りであるため、面談であれば表情や声色がわかりますし、電話であれば声色がわかるということで、同じ内容、メッセージであっても、相手がどのように受けとめているか、相手の反応がわかりづらいという課題もありますので、他県の状況の注視、研究をいたしまして、児童相談体制の充実に努めてまいります。 61 筱岡副委員長 笠井委員、持ち時間が少なくなっております。 62 笠井委員 簡潔にやります。  今の質問ですが、いじめは自分で言わなければなりません。虐待は、客観的に見て通報です。そのへんも強く考えて対応していただきたい。  次の問題、積年の課題の対応について質問します。旧富山県営スキー場の債務が残っております。この返済については、駐車場収入によって充てると言っていましたが、一向に減っていないのではないかと思います。収入が一応ありますけれども、収入が年々減ってきておりまして、しっかり返済できるのかどうか、ひとつお答えをいただきたいと思います。 63 山本公営企業管理者 旧県営スキー場の債務のうち、企業会計で負担することとされた24億円でございますが、地域開発事業の内部留保資金と同会計内の県営駐車場事業の収益で順次債務処理をしておりまして、平成29年度末までに約18億4,000万円の債務処理をしておりまして、残りは約4分の1ぐらい、5億6,000万円になっております。  この間、平成24年4月から県営駐車場に指定管理者制度を入れたり、効率的な事業運営、利用の促進を図りながら収益確保をしてまいりまして、着実な債務処理を行ってきております。  今後も、駐車場の収益によりまして、2028年度、平成にすると40年度になるんですが、これまでに計画どおり返済を完了することができるものと見込んでおるところでございます。 64 筱岡副委員長 笠井委員、もう答弁時間がないと思うので、何かあるなら要望でも。 65 笠井委員 伍嶋商工労働部長、よろしいでしょうか。  富山勤労総合福祉センターのとやま自遊館の件であります。再生するに当たって、いろんな問題があるということでありますが、その中で1つ言っておきたいのは、民間の支配人の方を配置するということも伺っておりますが、なかなか民業圧迫でありますなどいろんな意味で難しい状況にあると思います。  スポーツジムを改修するとも聞いておりますし、具体的な名前も挙がっておりますけれども、そういった中で、もうちょっと県民に使いやすいものにするということと、利用促進に向けて一層の努力をしていただくことを要望しまして、私の今期最後の質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。 66 筱岡副委員長 笠井委員の質疑は以上で終了しました。  暫時休憩いたします。  休憩時間は10分間といたします。                     午後3時01分休憩                     午後3時15分開議        上田英俊委員の質疑及び答弁 67 五十嵐委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  上田委員。あなたの持ち時間は60分であります。 68 上田委員 よろしくお願いします。  弥生3月は、受験生にとって試練の月であります。全ての受験生の健闘を祈ります。  今から約35年前、私は受験生でありました。受験生であった私は、国語、現代国語に大変悪戦苦闘をしておりました。しかしながら、ある一冊の参考書が私に一筋の光明を与えてくれました。一筋の光明であって、決して「みつあき」ではございません。  参考書には、こう書かれておりました。正解は必ず文章の中にあると。作者の言いたいことは繰り返されると。繰り返されることは言いたいことと記されていました。  要求なきところに査定なし、議会人として主張、言いたいことを繰り返し訴えてまいりました。なぜならば、人は意外と人の話を聞いていないからであります。  政策目的を実現するために、また実現するまで、これからもこのスタンスで訴えてまいりたいと考えております。  以下、通告に従い質問に入ります。  水の王国とやまの水資源について伺います。  まず、海洋深層水について質問いたします。  富山湾海洋深層水は、日本海固有冷水とも呼ばれ、清浄性、富栄養性、低温安定性を特徴として、昭和60年に科学技術庁のアクアマリン計画として、富山湾の洋上から取水されて以来、水産庁や資源エネルギー庁等からも注目され、水産、非水産の分野で県内の公的研究機関、民間企業で構成されております富山県深層水協議会が中心となって事業化に取り組んできました。  平成10年代初頭の熱狂的ブームこそ去ったものの、深層水の評価、価値が下落したものではないと考えます。まだまだ、水産、非水産の分野で可能性とマーケットが広がる成長分野と確信をいたしております。  まず、水産分野についてお伺いしたいと思います。  滑川市や入善町において海洋深層水取水施設を整備して以降、深層水を活用した水産分野での利活用が行われてきました。水産研究所での研究、あるいは入善町におきましては、漁協等が中心となって畜養やアワビの養殖、最近ではカキの浄化等にも取り組んできておられます。近年ではサクラマス、あるいは海藻等の養殖にも取り組んでいる、またこれから取り組むということであります。  まず、農林水産部長に、海洋深層水の水産分野におけるこれまでの成果と現状についてお伺いいたします。 69 芝田農林水産部長 委員御指摘のとおり、海洋深層水には、低温性、富栄養性、清浄性のすぐれた特性があり、各施設で取水された深層水は、それらの特性を生かし、本県水産業の振興に有効に活用されております。  滑川市に整備されました施設で取水されている深層水につきましては、県水産研究所におきまして、その低温安定性を生かし、水槽内で海底の状況をつくることにより、世界で初めてベニズワイの成長に伴う脱皮の間隔や脱皮1回当たりの成長量を明らかにし、資源管理に活用されております。  また、富栄養性を生かし、昆布等を通年生産できる技術を開発したところでございまして、現在、新湊でのマコンブの海面養殖に活用されております。  また、清浄性を生かし、サクラマス親魚の陸上飼育により、安定的に大量の卵を供給できるようにいたしますとともに、滑川栽培漁業センターでは低温性を飼育水温の調節に利用して、ヒラメの種苗生産に活用しております。  入善町に整備された施設で取水されている深層水につきましては、入善漁協がアワビの畜養事業に活用していることに加え、平成26年から民間事業者が世界で初めて無菌の海洋深層水で清浄化した生食用のカキを全国へ出荷しており、出荷個数は平成29年、平成30年ともに570万個と聞いております。平成28年から漁協と近畿大学がサクラマスの陸上養殖の事業化も進めているところでございます。  さらに、県水産研究所では、海洋深層水を活用して、アカムツの種苗生産技術の開発を行っているところでございます。  今後とも、つくり育てる漁業を一層推進させるように取り組んでまいります。 70 上田委員 ありがとうございました。  水深300メートル以下というのは、基本的な考え方なんだろうと思いますけれども、もとより海水でありますので、水産分野での利活用といったものがスタートラインになってくるんだろうと思います。  先ほどの、笠井委員の質問にもありましたけれども、研究ということもありますので、一朝一夕に結果が出ない部分もあろうかと思いますけれども、その点においては、やはり富山県の財産だと思っておりますので、じっくり腰を据えてしっかり取り組んでいいただければと思います。  次に、当初、この海洋深層水というのは、あくまで試験研究的なものにとどめるという話でありましたけれども、どういうわけか、高知県が富山県より一足先にビジネスとして利活用し始めたということであります。  富山県においては、平成12年度に商業利用を目的とする分水が開始されて以降、企業等において多彩な商品化が進められてきたと認識をしております。  そこでお尋ねいたしますけれども、海洋深層水の非水産分野において、これまで商品化を行った企業数、商品数、そして商品売上高の推移といったものはどのように変遷してきているのか、その実績について商工労働部長にお伺いいたします。 71 伍嶋商工労働部長 海洋深層水を活用した非水産部門の深層水ビジネスの状況につきましては、今ほど委員がおっしゃいましたが、分水が開始された平成12年度から平成29年度末で、商品化を行った企業数が総計で169社、商品数では総計で535品目となっております。これは平成12年度の45社、100品目と比較しますと、大幅に増えてきているという状況にあります。  一方、商品売上高につきましては、分水開始後の年間統計のとれる平成13年度では約1,590億円であったものが、平成29年度は約119億円と減ってきております。このうち、売上高が大きく、変動の影響が大きい大手飲料メーカーの売上高を除きますと、平成13年度は約110億円であったものが、平成29年度は約59億円となっておりまして、この10年間では約50億円から約70億円台の間で推移をしているというものでございます。 72 上田委員 先ほどの水産の分野とは異なりますけれども、当然、非水産の分野においても大変有効性があるということで商品化が進められてきたと認識をしております。当初の段階では、やはり食品や飲料水、あるいは保湿性にすぐれているということで化粧品といった分野において先行して商品化されてきたんだろうと思います。  ただ、そうした中において、やはり富山県自身も掲げておられますけれども、健康寿命日本一ということで、長寿社会において、いかに健康であり続けるかということが非常に大きな命題となってきている中で、健康関連分野、あるいはもしかしたら、さらに一歩進んで医薬品関係の分野にもこれからしっかりと商品化がされていくんだろうと思いますし、また現時点においても健康関係、医薬品関係の分野において、研究関係もしっかり進められているんだろうと思いますので、御期待を申し上げたいと思っております。  さて、新年度予算案においては、継続事業として深層水利用研究費と深層水「富山ブランド」推進事業費が深層水産業推進事業費として盛り込まれておりますけれども、どのような成果といったものを期待されておられるのか、商工労働部長にお尋ねしたいと思います。 73 伍嶋商工労働部長 深層水利用研究費につきましては、県の試験研究機関や県立大学等を中心として、平成8年度から各テーマに基づいて研究開発に取り組んできております。  新年度では、魚の鮮度保持効果の検証と医療現場への応用など、新たに2つの研究テーマに取り組むということにしておりまして、さまざまな分野での深層水の研究開発を通じて、深層水を活用した商品開発や、あるいは深層水の販路開拓の可能性が広がることを期待しております。  また、深層水「富山ブランド」推進事業では、これまで深層水の非水産分野での一層の活用や、県民への普及を図ることを目的とする深層水フォーラムや、あるいは日本橋とやま館での深層水PRイベントを開催しております。さらに、新年度におきましては、県内で開催されます国際会議等でブース展示を行うなど、本県の深層水の魅力を世界に向けて発信したいと考えております。  このほか、富山県深層水協議会が取り組みます首都圏等での物産展への出展や、深層水商品カタログの配布などのPR事業に支援をしており、こうした活動を通じて富山ブランドとしての深層水のさらなる認知度の向上と深層水関連ビジネスの拡大が期待されるものと考えております。 74 上田委員 あえて継続事業としてというふうにお尋ねしたのは理由があります。  大変皮肉めいた聞こえ方になったら、御容赦いただきたいわけでありますけれども、決してそうは思っておりません。部長の答弁にもありましたけれども、平成8年度から継続事業としてやってきているということで、やはり仕事というのは、作業の部分も必要であるけれども、決してルーチンになってはならないと、新しい視点といったものも必要なんだろうという思いで、あえて継続事業としてというような聞き方をさせていただきました。  部長の答弁では、冒頭の深層水利用研究費の分野においては、各テーマ、今回も新たにテーマを設けたということでありますけれども、絶えず新しいフロンティアの分野を開拓していくという姿勢も大切だろうと思いますし、また深層水「富山ブランド」推進事業費においては、新しいマーケットをどんどん、どんどん拡大していく、探していくという姿勢も見受けられましたので大変ありがたく評価したいと思っております。もちろん平成31年度の予算案はまだ可決されておりませんが、これからも深層水に引き続き、やはり、深層水は今やかつてのブームは去りましたけれども、それは評価が下がったわけではないということであります。現に高知県としても1つの大きな成長分野として取り上げられているのでありましょうから、価値のある深層水のフロントランナーとして富山県は走っているという認識でありますので、引き続き、新しい分野への開拓、フロンティアを開いていくという姿勢や、マーケットを開拓していくという姿勢で取り組んでいただけたらと思っております。  次に、知事にお尋ねしたいと思います。  今ほど、水産分野においては農林水産部長、非水産分野においては商工労働部長から成果や商品化、そしてまた、新年度予算での取り組みといったものをお尋ねいたしました。  改めて、知事に確認の意味も含めてお尋ねしたいと思います。  まず第1に、知事自身として、富山湾の海洋深層水、日本海固有冷水といったものを富山県の成長分野として見ておられるのかということと、当然見ておられるとしたならば、これからも富山県として、行政として、民間企業や試験研究機関に対するさまざまな援助、もちろんそれは予算措置を伴うものもあるでしょうし、人的援助といったものもあるでしょう。そうしたことが期待されると思いますけれども、富山県の海洋深層水は、富山県内においてこれかも成長分野として見ておられるのか、また、深層水は今後どのような分野において事業化の可能性があるといったことが期待されているのか、知事の所見を伺いたいと思います。 75 石井知事 海洋深層水につきましては、委員もおっしゃるように、一時のブームは過ぎたような感じもしますけれども、私は、まだまだ可能性がある分野で、これまでかなりの年月を積み重ねてきたものが、これから花が開く、そういう時期、全部が全部じゃありませんが、そういうタイミングに来ているんじゃないかと、もう一押し、二押ししなきゃいかんと、そういう感じでおります。  海洋深層水を利用した事業化ということで、やはり新商品開発にしっかりつなげていくためには、深層水の有効性の科学的根拠の解明ということをやらなければいけないということで、県立大学や食品研究所など、県の試験研究機関中心に健康、医薬分野を中心とする基礎研究に取り組んでまいりました。  具体的には、県立大では深層水から収集した海洋微生物を利用した抗菌剤などの医薬品シーズの研究や健康機能成分の生産の研究など、食品研究所では深層水から抽出した乳酸菌などの食品加工への応用の研究など、また衛生研究所では深層水の保湿や保温効果の研究などを行っており、さらに富山大学では海洋深層水の炎症を抑制する効果研究などを行っておられます。  これまで、全部で55の基礎研究に取り組み、そのうち、健康医薬品関連分野等においては、16の研究が実用化に結びついております。御承知のように健康飲料のキレアウォーター、体液に近い浸透圧で肌に負担をかけずに洗浄する医療用洗浄剤のメディウォッシュ、保湿クリーム、深層水食パンや入浴剤の海の物語など、いろんなものができているわけでございます。  このほか、私が注目しておりますのは、県内企業で経済産業省のサポイン事業を活用して、iPS細胞の研究用の細胞培養液の開発で細胞の活性や増殖などに一定の効果が今確認されていまして、事業化に向け取り組みが進められている。また、深層水に含まれていますアミノ酸類にアンチエージング効果が確認されて、近く美白の効果を付与した高機能化粧水の商品化も予定されているといったようなことで、一定の成果が出ているんじゃないかと思います。  今後を考えますと、もちろん断定的なことは申し上げにくいんですけれども、深層水については、今例に挙げましたように、再生医療など健康、医薬バイオ分野を中心として商品開発が進み、大きな事業化の可能性もあるのではないかと、これは期待でございます。県としましては、引き続き深層水の研究開発、商品開発、こういうものはどうしても息長く、地道にやらないといけない分野でもありますから、引き続き積極的に取り組んでまいりたいと思っております。 76 上田委員 今ほど知事からも答弁がありましたけれども、健康、医薬バイオ分野、そういったものについては、当然科学的根拠が必要であって、きょうやると決めたからあしたすぐ結果が出るわけではないということでありました。  私もこの質問は2年前にもしておりますので、息長く質問をして、なるべく成果が出るように頑張っていただければと思います。  さまざまな分野において、これから花開くものと、もちろん花が開いているものもありますけれども、これからもまだ可能性があるという認識であろうかと思います。そうした中において、当然花には水が必要であるように、事業化をどんどんしていくためにも、水がさらに必要になってくるということだろうと思います。  今現在、富山県内では3カ所と記憶しておりますけれども、海洋深層水を取水しております。  身近な部分の話をさせていただきますと、入善町では、まず深層水の多段階利用として、日本海固有冷水の特徴である2度から3度という低温安定性をまず利用いたしまして、熱交換システムでエネルギーとして活用した後にカキの浄化に利用して、そしてさらにさまざまな利用を模索した後で、最終的には海に戻すと、この海に戻すこと自体も栄養分が残っているということで海の肥沃化と言っておりますけれども、そうした形で、多段階で利用しているということであります。  また、今ほどの知事の答弁にもありましたけれども、今後も、今日まで積極的に利用されてきた食品、飲料以上に医薬品や健康増進等の幅広い分野においてまだまだマーケットが広がると思いますし、深層水のさらなる利用拡大といったものがニーズとして出てくるんだろうと思います。必要だからといって、あしたまた新たに取水管を一本敷設してくださいといってもこれはできる話ではありません。そうしたものに備えておくといった姿勢も必要だろうと思いますし、やはり深層水の多段階の利用、研究といったものを考えた場合に、これこそまさしく地方創生といったものにも当てはまりますし、現実的に、熱交換システムを利用して企業誘致や企業の設備の拡大といったものにも大きな効果があったということを御紹介しておきたいと思います。  ただ、そうした中において、やはり平成の10年代前後から取水してきておりますので、取水管を設置して以来、もう15年から20年以上経過しているということで、老朽化しているという部分も当然否めないわけでありますし、また供給能力といったものもパワーアップしたとしても当然そのパワーアップにも限界があるというふうに思います。新しく海洋深層水の取水管の敷設といったものも考えてみたいと思います。  ただ、この問題についても、2年前の2月定例会でも質問させていただきました。なかなか難しいということでありますけれども、さまざまな視点を加えて、特に地方創生の視点だと思いますけれども、何か新しい支援メニューといったものが考えられないかということを知事に御相談させていただきたいと思います。  現実的に、当然海洋深層水は海の水でありますから、水産庁にも新しい支援メニューはないかということで、当時の山本有二農林水産大臣のところにも御相談にも行きました。また、エネルギー関係ということでありますので、経済産業省にも相談に行きました。  しかしながら、新しい深層水の取水管の敷設について当てはまるようなものがなかなかないというのが現時点での状況であろうと思いますけれども、新しい取水管の敷設に当たって、国の補助金や、あるいはもっと地方の裁量の度合いが大きい交付金といったものの財政支援も含めて、どのように支援していくのかということをぜひとも知事のお知恵を拝借したいと思いますが、いかがでしょうか。 77 石井知事 上田委員におかれましては、いろいろと数年来努力をされて、いろいろ考えられた上での御質問だと思うのですけれども、海洋深層水の取水施設をもう少し拡張したいと、また、今は何とかなっていても、何年かたつと老朽化という問題もあるということでございます。  よくおわかりの上でおっしゃっているのだと思いますが、水産庁の水産業強化支援事業というものもありますけれども、これは漁業所得の10%以上向上ということを目的にして、地域水産業再生委員会が策定する浜の活力再生プランに位置づけられた地域資源活用施設等の整備を支援するというものです。  この事業の採択を受けようとすると、やはり現在実施中のカキの浄化だけではなくて、例えば入善町長さんもそういうことでやっていらっしゃるんだと思いますが、サクラマスの養殖の将来的な事業化など、要するに水産分野で新たな利用計画があって、それが何とか物になりそうだと。そうなると今の深層水の設備では足りないと、もう一本必要だと、こういう理論構成がうまくできるかどうか。  結局サクラマスの養殖の将来の事業化の見通しが、全くの希望的観測じゃなくて、何らかのそれらしい根拠を持って説明できるかということがやっぱり基本かなと思っております。
     また、環境省の温度差熱の利用による再生可能エネルギー活用事業というようなことで、環境省の事業を活用することも考えられますけれども、その要件としては、CO2削減について費用対効果の高い取り組みが求められますので、効率的なエネルギー活用の設計が必要だということ。また、環境省の補助金は大体そういう傾向があるんですが、ともかく国全体の額が少ないので、例えば予算額50億円のところに、特定の自治体の1件10億円超すような事業に配分してほしいと言っても、そもそもそのへんのところの難しさがあります。  そういうことから、いっそ地方創生でどうかというようなことをお考えなんだと思いますけれども、御承知のように地方創生推進交付金の1,000億円は、基本はソフト事業との制約がございます。  補正予算で最近は割に多いわけですけれども、地方創生拠点整備交付金を組んでいただくケースが増えていますが、これは建物が対象となっておりまして、一般の公共事業はもちろん対象外で、そうすると深層水の取水施設は、普通に財務省や内閣府が調整しますと対象にならないと、こういうことになるわけですね。  ただ、今後いろいろと入善町でも、もちろん上田委員におかれましても、お知恵をお出しいただいて、例えばさっきのサクラマスの事業化にめどが立つということも1つの方向でしょうし、国に建物だけじゃなくて、こういう趣旨のものであれば設備でもよいのではないかという説得ができるかどうかと、これはハードルがすごく高いだろうと思うんですね。  結局余りこれを使いやすくすると、財務省などから見るとどんどん要望が出てきて、収拾がつかないと。また、何にでも使えるようにすると、地方交付税とどこが違うんだということになって、これを理由に交付金をゼロ査定にしようと狙っているところもありますから、そういったことをいろいろ念頭に置いて、今の委員の御意見、御要望も念頭に入れながら、私としても今後勉強してまいりたいと、かように思っております。 78 上田委員 ありがとうございました。  非常にハードルが高いという答弁でありましたけれども、関西電力黒部ルートほどハードルは高くないと思っておりますので、言いたいことは実現するまで粘り強く主張していきたいと思っております。  次に、小水力発電についてお尋ねしたいと思います。  小水力発電については、再生可能なクリーンエネルギーということで、富山県が富山県土地改良事業団体連合会に調査を委託して、その調査結果を受けて、土地改良区が事業主体となって整備を進めてきたという経緯がございます。  私ども入善町の入善土地改良区においても整備をさせていただきました。大変ありがたいことに、その財源のフレームワークは、農山漁村地域整備交付金が50%、富山県が10%、残りの40%を土地改良区と当該市町村とで負担するということだろうと理解をしております。大変ありがたい制度だと思っております。  そこで、農林水産部長にお尋ねしたいわけでありますけれども、農業用水を利用した小水力発電施設の設置が県内各地で進められている中、国において農山漁村地域整備交付金の確保といったものが大変厳しい状況になってきているのではなかろうかと危惧をいたします。国における行政事業レビューの結果や、あるいは私どもも農林水産省等に農山漁村地域整備交付金の補正予算として、農林水産省として財務省に要求してくださいと要望しても、要望自体が上がらなかったという現実があります。きっと、農林水産省にしてみると、交付金という形よりも補助金のほうが政策効果が高いという考えに基づいてのことであったんだろうと当時は思っておりました。  そこで、農林水産部長にお尋ねいたしますけれども、農業用水を利用した小水力発電施設の設置が県内各地で積極的に進められておりますが、国における農山漁村地域整備交付金の確保、今ほど述べました危惧すべき点もあろうかと思いますけれども、その状況や見通しはどうかといったことを芝田農林水産部長にお尋ねいたします。 79 芝田農林水産部長 農山漁村地域整備交付金は、国の予算が近年減少傾向にございます。平成30年度の当初予算では、対前年度比91%となりましたので、県では、それにかわる財源といたしまして、国が新たに創設をしました小水力発電の整備にも活用できます非公共事業でございますけれども、農業水路等長寿命化・防災減災事業の予算の確保に努めたところでございます。  その結果、小水力発電施設を整備中の地区につきましては、計画どおり完成、あるいは進捗をする見込みとなってございます。  農山漁村地域整備交付金につきましては、今年度国の行政事業レビューの公開プロセスにおきまして、有識者から、「国としての優先順位をもっと意識すべきだ」、「予算配分の戦略性が希薄である」といったような指摘がありましたので、さらなる減額の懸念もございましたけれども、今年度各地で災害が相次いだこともあり、国の平成30年度補正予算におきまして、臨時・特別分として、35億円が計上されますとともに、平成31年度当初予算においても増額が図られ、対前年比107%となっております。  また、先ほど申し上げた非公共事業の農業水路等長寿命化・防災減災事業につきましても、対前年度比104%となってございます。  このため県では、これらの交付金や補助金をうまく組み合わせることによりまして、来年度工事の実施を予定している小水力発電施設5カ所──継続3カ所と新規2カ所を想定しておりますが、その整備に必要な予算につきましては、計画どおり確保できると見込んでおります。 80 上田委員 ありがとうございました。  今の答弁で、非公共の農業水路等長寿命化・防災減災事業に当てはめることができると、ほかの財源もあるということだろうと思っております。大変ありがたいことだと思います。  そこで、知事にお尋ねしますけれども、やはり今部長の答弁でもありましたが、確かに補正等もあわせて農産漁村地域整備交付金の確保といったものは平成31年度においては、まあまあだろうと思いますけれども、やはり考え方として、もしかしたら縮小傾向になってくるかもしれないという認識でいたほうがいいのかなと思います。  そこで、ほかの財源もあるということでありますけれども、知事にお尋ねしますが、まだまだ小水力発電の適地といったものがあるんだろうと思いますし、富山県における小水力発電の適地に係る県土連の調査結果というものも踏まえ、そして、国における農産漁村地域整備交付金の見通し等も踏まえて、やはり富山県の特徴であり、富山県の地方創生にとっては1つの大きな目玉である小水力発電を引き続き推進すべきと考えますが、知事の所見を伺いたいと思います。 81 石井知事 富山県は、御承知のとおりで包蔵水力が全国2位という恵まれた環境を生かして、全国に先駆けて農業用水を活用した小水力発電施設整備に取り組んでおりまして、現在30カ所が稼働、また3カ所が整備中、さらに2021年度まで整備目標の35カ所の稼働を目指しておりまして、新年度には新たに2カ所の着手を予定しております。  今ほど部長からも御説明しましたとおり、これらの財源としては国の農山漁村地域整備交付金や、今年度新たに創設された農業水路等長寿命化・防災減災事業の予算確保に努めてきておるわけです。  先行きにちょっと不安も持っておりましたけれども、国の新年度の当初予算案では、これらの増額が図られておりまして、特に農業水路等長寿命化・防災減災事業は、公共事業を補完するということで、全国的にも要望が多いこと、また農山漁村地域整備交付金は使途が県の裁量に委ねられておりまして、小水力発電施設の整備にとって貴重な財源でありますから、こうした予算の確保と本県の重点配分を国に対してしっかり働きかけていきたいと思っております。  今後の小水力発電施設の整備については、県の予算の動向や地域バランスなども踏まえながら、やっぱり小水力発電が全く未整備の土地改良区もなるべく優先したいということも考えなければいけませんので、適地調査の候補地のうち、管理者である土地改良区から熱心で強い御要望があり、採算等の面で事業効果が見込まれる箇所、また、売電収入を活用した土地改良区の体制強化に取り組む箇所などを優先して整備を支援し、土地改良施設の維持管理費の負担軽減を図りますとともに、全国トップの整備を誇る小水力発電の取り組みをさらに推進してまいりたいと思います。  ということではあるんですけれども、一抹の懸念は、富山県が全国で見ますと、本当に特出してよくやっているのですね。だから、あまり富山県が目立ち過ぎますと、この予算は結局富山県のためにあるのかと、極端に言えば。そうするとなかなか予算が伸びない、場合によっては、もうそろそろいいんじゃないかということになりかねないので、やはりうまくお友達もつくりながら、これからの時代、できるだけ再生可能エネルギー、自然エネルギーというものをしっかり活用しながらやっていくのがまさにSDGsの時代ですから大事なんだということを、もちろん粘り強く、また理論も整理しながらできるだけこうした予算が国のほうで先細りということにならないように努力をしてまいりたいと、こういうふうに思います。 82 上田委員 ありがとうございました。  富山県は、もちろん水の王国ということで、県内を縦横に走る農業用水路等を調査した結果、土地改良区が事業主体となって取り組んできたということであります。大変ありがたいことだと思っております。  何よりもありがたいことは、電力を起こすことによって売電収入の使い道が土地改良区にとって大変ありがたいものだということだからであります。  従来であれば、売電収入の使い道は、発電施設の運転経費や関連施設の維持管理費といったものに限定されていましたけれども、知事自身が大分御尽力いただきまして、それから拡大されてきております。土地改良区が管理する水路等土地改良施設全体の維持管理費にも充てられるようになってきたということであります。ハードの部分において拡大されてきたということであります。  ただ、我々土地改良区、私は土地なし非農家でありながら、土地改良区の理事長をやらせてもらっているんですけれども、理事長として何が一番心配かというと、圃場も整備されました、水路も整備されました、発電施設もありますと。だけど、担い手がいませんというのが一番怖いわけで、それだったら何のためにやっているのかということでありますので、ハードの整備といったものも大切でありますけれども、やはりその一方で、ハードを生かすソフトの分野での利活用といったものも考えられないかと思います。  農家の担い手の確保、育成といった、ソフト事業にも拡大できれば、それこそ地方創生につながるのではないかと考えます。  そこで、農林水産部長にお尋ねしますけれども、土地改良区が設置した小水力発電の売電収入の使い道の対象として、農業振興、あるいはまた、担い手も含めたソフト事業へも充当できるように拡大すべきだと、これは確かに粘り強くやっていかなければならないと思います。現在農林水産省において売電収入の使い道について検討されていると認識しておりますけれども、現在の検討状況も踏まえて部長の所見を伺いたいと思います。 83 芝田農林水産部長 平成29年に会計検査院が小水力発電を実施する全国の土地改良区を対象として売電収入の運用に関する検査を行いまして、発電所建設に係る国庫補助事業と売電収入の両方の同時活用が農業農村整備事業の枠組みにおける公平性を損なうおそれがあるということで、1つには、発電会計における発電施設と共用しない一般水路等の建設改良積立金の廃止、2つには、発電所の建設改良積立金の積み立て限度額の引き下げなどの改善措置をことしの4月から農林水産省に求めております。  土地改良区の売電収入の運用は、慎重に行わなければならないという必要性に迫られているわけでございます。  委員御提案の売電収入を農業の担い手の確保育成などにも使途を拡大することにつきましては、地域の農業振興にとって大変有意義であると思いますが、会計検査院の指摘を受けまして、この4月に見直される農林水産省の取扱規定においても、その売電収入の使途の変更予定はないと聞いております。  県といたしましては、今後とも小水力発電による収益を適切に活用して、土地改良区の財政基盤の強化と地域振興につながる活動に積極的に取り組んでいただけるよう、適切な指導助言に努めてまいりたいと思っております。  また、売電収入を土地改良施設の維持管理以外の使途に拡大するには、広く国民の理解を得ることも必要でございます。土地改良区の役割や小水力発電の地域効用に関するPRを積極的に行いまして、売電収入の使途拡大への理解が広がるように努めてまいりたいと思います。 84 上田委員 小水力発電における売電収入というのは、土地改良区にとって大変ありがたい財源であります。  もちろん土地改良区の施設の維持修繕といったものに使うことは大切であろうかと思いますし、それが大前提であります。  しかしながら、やはり、確かに交付金という形で税金としていただいておるということでありますけれども、地方創生といった視点、独自性といったものはあってもいいのではなかろうかというのが私個人の考え方であります。  引き続き、農林水産省ともしっかり協議をしていただいて、もちろん大前提は農業用水路といった土地改良施設を利用しての売電収入でありますので、土地改良施設の維持修繕ということが大前提でありますけれども、それ以外の使い道という独自性もあってもいいのではなかろうか、やるやらないは別として、そういったことも考えておりますので、またお知恵をかしていただければと思います。  水資源について、最後に1点土木部長にお尋ねしたいと思います。  昨年と異なり、ことしの冬は土木部にとって大変ありがたい冬だったんだろうと思います。  特に、消雪関係については、改めて機械除雪に当たっていただいている事業主の方々に対して大変感謝を申し上げたいと思っております。また、機械除雪以外の部分では、水の王国とやまにおいて消雪施設といったものが大変整備されてきております。  ただ、今後のことを考えてみますと、除雪を担う建設業者が増えていくことはなかなか考えられないだろうということであります。除雪に当たる建設業者の方々が減少していくだろうということを想定した場合に、改めて消雪設備の比重といったものが増してくるのが当然だろうと思います。  そこで、既に整備されている老朽化した施設もあれば、自民党議員会としてかつて取り組ませていただきました消雪の中抜け区間というものは、もちろん中抜けの定義もまた変わってくると思いますけれども、あろうかと思います。  更新や中抜け区間の解消といったものが大切だと考えますし、そのためには、従来は温かい地下水を基本としておりましたけれども、これからの世の中、富山高岡というエリアでは地盤沈下ということも危惧されておりますので、確かに水温は冷たいかもしれませんし、水利権は当然発生するかもしれませんけれども表流水も含めた水源の確保といったものが大切だと思います。そこで老朽化した消雪施設の更新や中抜け区間の解消についてどのように取り組んでいくのか、土木部長に伺いたいと思います。 85 水口土木部長 県管理道路の除雪につきましては、コストや環境への負荷軽減の観点から機械による除排雪を基本としております。  消雪施設につきましては、人家が連檐し、路肩幅員が狭く堆雪スペースが確保できない区間、積雪による交通障害が発生しやすい主要な交差点や急勾配の区間、機械除雪をより効率的に行いますため、いわゆる消雪施設の中抜け区間等において設置をしておりまして、現在、県管理道路の消雪施設の整備延長は約740キロメートルと長くなっております。  県管理道路の消雪施設は、昭和46年から整備してきておりまして、施設の老朽化が進んでおりますことから、今後の整備に当たりましては、まずは老朽化した施設の更新を優先することとし、新設につきましては、機械除雪が非効率な中抜け区間や人家連檐部など個々の具体的な状況に応じ整備を検討していきたいと考えております。  消雪施設の水源につきましては、現在地下水の利用が約7割で、表流水等の利用が約3割となっておりますが、委員御指摘のとおり、環境への配慮から河川水や農業用水など、表流水の確保に努めており、河川や水路等の各管理者と水利権や施設の占用について協議し、表流水の活用を図っておるところでございます。  このほか、箇所は限定されますが、下水処理水やトンネル湧水、温泉排水なども活用し、整備してきております。  県といたしましては、国の防災安全交付金を活用するなど、必要な事業費の確保に努め、今後とも老朽化した施設の更新など消雪施設の整備に着実に取り組み、冬期における安全で円滑な道路交通の確保に努めてまいります。 86 上田委員 ありがとうございました。  次に、教育についてお尋ねしたいと思います。  総合計画の中で大きな3本柱というのが、活力、未来、安心であります。その土台となっているのが人づくりというのが富山県の総合計画の考え方なんだろうと思います。  これからの富山県の姿を考えた場合に、人口減少時代の中で、もちろん大切な施策、課題というのはたくさんあろうかと思いますけれども、何か1つだけ上げろと言われると、私はまごうことなき教育と訴えたいと思います。  やはり富山県の小学校、中学校、高等学校という過程の中でどのような教育を実践していくかということが大変大きな課題だと思います。  教員の多忙化というものが訴えられている中で、スクール・サポート・スタッフの充実や部活動指導員、またスクールカウンセラーの充実といったものが予算化されてきて、進められてきておりますけれども、やはり教員の多忙化といったものが大変大きな課題となっております。  そうした中で肉体的にも精神的にも多忙化をきわめる学校の先生方の休職者が大変増えてきているのではないかということを危惧いたしますけれども、そうした状況について、教育長の所見を伺いたいと思います。 87 渋谷教育長 県内の公立学校教員の病気休職者数は、平成29年度は69人で、平成20年度の72人からこの10年間は大きな変化はなく、全教員に占める割合も平成29年度は8.7パーミルで、10年前の8.8パーミルから大きな変化はありません。また、その内数になりますが、精神性疾患による休職者数や全教員に占める割合も同様の状況にあります。  文部科学省の資料によりますと、教員がメンタルの不調を訴え、受診のきっかけとなった要因は、生徒指導が最も多く、次いで職場の人間関係、校務とのことでありますが、御指摘のとおり、その背景には長時間労働がある可能性もあります。  こうした精神性疾患による休職者を出さないようにするためには、日ごろから管理職が教員の勤務実態や健康状態をしっかり把握いたしますとともに、働き方改革を進めることが大事であります。このため、来年度、スクール・サポート・スタッフと部活動指導員の配置数を拡充いたしますとともに、スクールカウンセラーにつきましても、派遣時間を拡充することとしております。 88 上田委員 ありがとうございました。  休職者においては、大きな変化はないという答弁でありました。  ただ、いろんな話を聞いてみると、学校の先生の多忙化といったもの、肉体的にも精神的にも御苦労が多いということは直接やはり伺っております。本当に御苦労が多い仕事だなと思います。  休職者においては、大きな変化はないということでありましたけれども、それでは、もしかしたら早期に退職されている方は増えているのではないかということを危惧いたしますけれども、富山県における教員の早期退職者はどのように推移してきているのか、またその状況をどう判断しているのか、教育長にお尋ねしたいと思います。 89 渋谷教育長 県内の公立学校教員の定年前退職者数は、平成29年度は115人で、平成20年度の99人からこの10年間は若干増加しておりまして、全教員に占める割合も平成29年度は14.5パーミルで10年前の12.2パーミルから若干増加しております。一方、その内数になりますが、50代の定年前退職者数は、平成29年度は62人で、平成20年度の74人から若干減少しておりまして、全職員に占める割合も平成29年度は7.8パーミルで、10年前の9.1パーミルから若干減少しております。  平成29年度の県立学校における50代の教員の定年前退職者に退職理由を確認しましたところ、親の介護、孫の世話など家庭の事情やみずからの健康状況というのが多い状況になりますけれども、休職者と同様に、その背景にはやはり長時間労働がある可能性があります。このため、今ほどお答えしましたように、教員の働き方改革にしっかり取り組んでいくこととしております。 90 上田委員 今ほど教育長から休職者と早期退職者の数字をいただきました。すぐにこの場でコメントできる内容ではないと思っておりますので、しっかり教員の多忙化の解消に向けて検証してまいりたいと思っております。  やはり何よりも学校の先生が小学校、中学校、高等学校において、生徒に与える影響というのは大変大きいと思っておりますので、学校の先生、教師の方々が教育に専念できるような環境を、改めて再構築しなければならないということを検証していきたいと思っております。  次に、県内の職業科について、1つお尋ねしたいと思います。  県内の農業科の卒業生の進路状況はどうなっているのか。  今日、富山県内でも有効求人倍率が高いということで、さまざまな職業科でも当然就職されるわけでありますが、農業科に絞って、農業科の卒業生について農業分野への進路状況はどうなっているのか、教育長にお尋ねしたいと思います。 91 渋谷教育長 現在、県立高校の農業系学科は5校に設置されておりますが、この学科を昨年度卒業いたしまして、進学した生徒のうち、農業分野に進学した生徒の割合は48.7%で、過去5年間はほぼ同じ割合で推移しております。また、昨年度就職した生徒のうち、農業分野に就職した生徒の割合は37.8%で、平成25年度から28年度までは20%台から30%台で推移しております。 92 上田委員 最後に、教育の問題について、農業に特化して質問したいと思います。  知事にお尋ねしたいと思います。  私は昭和40年生まれでありますけれども、私が子供のころ習ったときは、世界の人口というのは40億人でありました。今、70億人であって、そう遠くない将来には90億人になるだろうと言われています。  中でも、現在の70億人の中でも大きな比重を占めるのが、中国とインドということで、2つの国合わせて、大体40%であります。70億人の40%であります。  これらの国は、経済的にも成長がどんどん著しいということで、どんどん裕福になってきておりますので、衣食住をどんどん充実させてきています。特に、食の分野においてどんどん充実させてきているということもあって、お隣の中国は、もう既に、米にしても、大豆にしても、小麦にしても、トウモロコシにしても輸入しているという国家であります。  今、日本は人口減少、少子高齢化ということでありますので、日本人全体としての胃袋は小さくなってきておって、そうであるがゆえに日本の農業はこれからどうなっていくのだろうかと、先行き明るくないよね、というイメージがあるかもしれないけれども、全世界に目を投じてみると、中国やインドといった国がどんどん経済が豊かになって、食料を全世界から調達してきております。  今日において、日本人は、お金を出せば食料といったものは調達できるかもしれないと考えているけれども、90億人になるということを想定してみた場合に、地球が大きくなっているわけでもありませんし、農地が増えているとも特段聞かないわけであります。そうすると、やはり食料をどうやって調達してくるのか、食料安全保障という観点が大切だと思いますし、その一方で、中国やインドは新たなマーケットとしても当然可能性があると思います。現に、米の輸出やパック御飯の輸出といったものも行われているし、これから拡大していくということであります。  そうした中において、やはり高等学校の農業科で学ぶ生徒さんたちに、農業の可能性といったものを伝える、マーケットが広がっていくという夢を伝える、そうしたことも大切ではないかと思います。  現実的な課題として、入善高等学校の農業科の農業クラブにおいては、入善乙女キクザクラやコシノフユザクラのバイオ技術による増殖、小水力発電を生かした養液栽培など、さまざまな取り組みをしております。その中で、農業のプロである農業普及指導員の方々にも、農業クラブ、農業科の生徒さんと交流をしていただいて、農業といったものは大変楽しく、広がっていくんだというスタンスを教えるべきだと、教えると言ったらおこがましいかもしれませんけれども、そうした観点を共有すべきだと思います。  そこで、農業が持つ可能性や魅力があるというスタンスで県内高等学校の農業科における教育内容や研究調査機能の充実を図るべきと考えますが、現在の取り組み状況と今後どのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺いたいと思います。 93 石井知事 高校の農業科の授業や部活動において研究調査を行って、その成果を実社会に生かしていくことは、農業者等にとっても高校生の柔軟で斬新なアイデアを得ることができますし、また、高校生の皆さんにとっても、実社会での活動に触れて、実践的な技術、技能を身につけることができるということですから、県内の県立高校ではこれまでもそれなりに積極的に取り組んできたと思います。  例えば、入善高校の農業クラブ活動では、バイオ技術を活用したコシノフユザクラ等の増殖技術の研究を、富山大学や県の農林水産総合技術センター、中央植物園と共同で行っております。また、南砺福野高校の農業環境科では、授業の中で三社柿を生産して、干し柿として商品化し、販路拡大、6次産業化に取り組んでいるわけであります。  新年度は、農業科の研究調査機能をさらに充実させるために、予算案に泊高校と入善高校による新高校の農業科のバイオ機器の更新、また南砺福光高校と南砺福野高校による新高校の食品加工室、入浴実習室など一体的に整備する実習棟の設計に要する経費も計上しておりますし、また中央農業高校に、今度とやま農業未来カレッジのICT活用による環境整備型園芸ハウスもできます。  こういったことで、ぜひ農業高校の皆さんに、農業は、お話しのようにまだまだ可能性がむしろあるんじゃないかと思っていますので、新たなICT技術なども生かした高収益の農業経営、この展望も持って、大いに切磋琢磨していただけるように農業関連施設設備の研究調査が進むようにしっかりと取り組んでまいります。 94 上田委員 一筋以上の光明が見えましたので、ありがとうございました。 95 五十嵐委員長 上田委員の質疑は以上で終了しました。        鹿熊正一委員の質疑及び答弁 96 五十嵐委員長 鹿熊委員。あなたの持ち時間は60分であります。 97 鹿熊委員 予算特別委員会の13番手、ラストを務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  新年度予算案は、富山県のあすを切り開こうとする積極予算であり、また、石井知事らしく周到に組み立てられた予算、そして、私たち自民党会派の要望、提言を相当程度盛り込んでいただいた予算であり、評価いたします。その上で、日ごろの問題意識をもとに、提言を交えて質問をいたしたいと思います。  提言はささやかでありますが、答弁は大胆に、そして簡潔にお願いをいたしたいと思います。それと、客観的な数字を前にして質問したほうがわかりやすいと思いますので、資料を用意いたしました。  委員長、よろしいですか。
    98 五十嵐委員長 資料を配付してください。 99 鹿熊委員 質問は、地方創生と人づくりの2項目であります。  まず、地方創生に関し、数点質問いたします。  初めは、人口社会動態についてであります。  今お配りした資料1をごらんいただきたいと思います。  総務省住民基本台帳人口移動報告であります。右の転入超過数の欄を見ていただきたいと思います。  2018年の富山県からの人口転出超過は前年より859人増加し、マイナス1,585人となりました。その内訳、特に若者世代の男女がどの程度転出超過なのか、並びに転出超過が倍増した要因について、滝経営管理部長に伺います。 100 滝経営管理部長 委員御紹介のとおり、総務省の住民基本台帳人口移動報告によると2018年の転出超過は1,585人となっております。  その内訳でございますが、まず性別で分けますと、男性が542人、女性が1,043人の転出超過ということでございます。また、年齢別で分析をいたしますと、10歳未満、それから40代から60代の世代では転入超過になっております。一方、10代で364人、20代で1,217人の転出超過となっているところでございます。  また、2017年との比較で転出超過が倍増していると、今配付いただきました資料でもそういう数字になっておりますが、これにつきまして、2017年との比較では、10代の転出超過というのは減少しております。一方、20代で386人、30代で321人転出超過が増えていることが倍増している要因と考えられます。  また、その転出先、地域別で見ますと、東京都へ724人、神奈川県へ305人など、東京圏1都3県に1,228人、愛知県など名古屋圏へ290人の転出超過となっています。  全国の状況を見ますと、転入超過が最も多いのは東京都の7万9,844人で、これは22年連続の転入超過ということでございます。一方で、本県を初め29の道府県では転出超過が拡大しておりまして、残念ながら東京一極集中に歯止めがかかっていない現状と思っております。 101 鹿熊委員 一方で、資料2をごらんいただきたいと思います。  2018年富山県人口移動調査結果速報であります。  国外を含む県外からの転入が1万8,388人、転出が1万7,869人で、519人の転入超過となっております。これは、国外からの転入者増が寄与したと考えられますが、その実態について滝経営管理部長に質問いたします。 102 滝経営管理部長 御指摘のとおり、県の人口移動調査が国内外全ての移動を対象とする一方で、総務省住民基本台帳人口移動報告は国内の移動のみを対象にしておりますので、御指摘ありましたとおり、国外からの転入増が県の人口移動調査における転入超過に大きく寄与していると思っております。  この転入超過の内訳など、2018年、平成30年の調査結果の詳細につきましては、3月下旬の公表に向けまして、現在データの集計、確認作業を進めておりますけれども、ことしの1月1日現在の富山県内におけます住民基本台帳の外国人住民数で見てみますと、昨年度に比べまして1,625人の増となっております。このうち国籍、地位別で見ますと、ベトナムが1,181人、フィリピンが126人の増加となっておりまして、人手不足対策として県内の企業が外国人技能労働者の採用を増加させていることが一因と分析しております。 103 鹿熊委員 2018年の国外からの転入者増の実態については、現在集計中ということでございます。そうであろうということから、資料3を用意させていただきました。  これは、前年の同じ富山県人口移動調査結果の内訳でございます。この黄色く塗ってあるところですね。  2017年は358人の転入超過でありましたが、そのうち国外から2,145人の転入超過ということでありますので、2018年の最新のものであれば、これ以上の国外からの転入超過であろうと思われます。  ただいま見たように、519人の転入超過は、国外からの多数の外国人増加が寄与していることがわかりました。そこで、改めて最近5年間の県内居住外国人の数及び外国人労働者の数の推移を見てみたいと思います。  資料4を見ていただければと思います。  外国人居住者数は、平成26年から4年で40%も増えて、平成30年末には1万8,262人であります。この数は、朝日町の人口をはるかに超えております。この増加傾向を見るときに、私は改めて居住外国人の受け入れ環境の整備を急ぐべきであろうと思います。  そこで、知事に質問いたしますが、外国人材活躍・多文化共生推進プラン、仮称でありますが、この検討内容と策定時期はいつごろか。また、外国人ワンストップ相談センターの設置時期はいつごろか。また、居住外国人が地域や学校、職場に円滑に順応していくためには、彼らに対する日本語教育の充実がとても大切かと思いますが、その現状と課題、改善策について質問いたします。 104 石井知事 外国人材活躍・多文化共生推進プラン(仮称)につきましては、外国人材活躍と多文化共生の2つの観点から議論いただいているわけでございます。  まず、多文化共生の観点からは、地域におけるコミュニケーションの支援、外国人児童生徒などの教育に関する支援、また、医療、福祉、住宅環境などの生活支援の充実、それから地域住民への啓発などの多文化共生の地域づくり、といった4つの方向性が示されまして、現在それぞれの課題を踏まえた対応策について協議しておりまして、ことしの秋ごろまでにはプランを策定したいと考えております。  また、外国人住民の急増を受けまして、外国人を対象とした一元的な相談窓口の設置が喫緊の課題だということで、外国人ワンストップ相談センターにつきましては、このプランの策定を待たず、ことしの6月ごろに公益財団法人とやま国際センターの中に開設したいと思います。  また、特にベトナムの方が増えておりますから、県の国際課の中にベトナム人の国際交流員──ネーティブのベトナム語が話せて、かつ日本語もできる方を、新たに何とかこの夏ぐらいまでには着任していただくように、今、手配をいたしております。  やはり富山にいらっしゃる方への日本語教育の充実が重要であります。これまでも、日本語が不得意な外国人の方を対象にした生活オリエンテーションも兼ねた初期日本語教室の開催、また、住民ボランティアが運営する日本語教室への支援、さらに外国人技能実習生の日本語教育の研修への支援の実施をしております。  これは、もちろん監理団体は、技能実習生の方を受け入れる以上、日本語教育をある程度は当然予定されているわけですけれども、それだけではちょっと不十分ではないかということで、平成29年度からは県で上乗せして支援しております。  また、外国人児童生徒等への日本語指導教員等の配置などにも取り組んでおりまして、新年度からは日本語指導教員の拡充なども行うことにしております。  いろいろ課題ももちろんございますけれども、県といたしましては、外国人材活躍・多文化共生推進プラン策定委員会における今後の議論、それから市町村や関係団体、関係企業、また、地域住民の皆さん、外国人住民の皆さんの御意見も踏まえまして、ヒアリング、アンケート調査を今取りまとめ中でございます。ヒアリングは39団体、アンケート対象は外国籍の児童生徒さんの保護者、県内在住留学生、県内在住技能実習生、県内企業、地域の住民の皆さん等々を合わせまして、約5,000件のアンケート調査をしておりますので、こうしたものも踏まえてしっかりと対応してまいります。 105 鹿熊委員 しっかりとよろしくお願いいたします。  以上、人口社会動態を見てきましたが、この質問の最後にもう一点知事に質問いたしたいと思います。  とやま未来創生戦略には、2020年人口社会増転換への目標というものがありまして、それは、2020年に若者、女性の社会移動を移動均衡、つまりプラス・マイナス・ゼロにして、その後さらに増やしていく、そして全世代を通して2020年にはプラス100人の転入超過を目指そうというものでありますが、今まで見てきたように、外国人の増加により既にこの目標は達成したと思います。  そこで、新たな目標として、国内移動による人口の社会増、外国人に依存しない社会増を目指すべきでないかと考えますが、所見を伺います。 106 石井知事 今お話がありましたように、とやま未来創生戦略では、平成31年に全世代の社会動態を100人の転入超過とするということ、また、15歳から34歳の若者、女性の社会動態の均衡も目標としておりました。  とやま未来創生戦略をつくったときに基準としました平成25年では、全世代の社会動態では1,810人の転出超過、また、15歳から34歳でいいますと、1,550人の転出超過だったことを考えますと、外国人の方が増えていることが大きな要素とはいえ、転入超過となったことは大変よかったと思っております。  平成30年の富山県人口移動調査では、外国人も含めて世代全体で、先ほどお話があったように、519人の転入超過と、現時点では目標を上回っておりますし、また、若者世代では182人の転入超過と、目標の移動均衡を上回っているんですけれども、内訳を見ますと、20歳代の女性の転出超過がやや減少傾向ですが依然として続くなどの課題も残っております。  今後の本県のさらなる飛躍のためには、もちろん外国人材も大切ですけれども、首都圏等からの転入の増加と特に若年層の女性の県内定着が重要だと思っております。  そこで、新年度予算案におきましては、移住者1,000人を目標に、移住、UIJターンの推進として、富山くらし・しごと支援センターの充実強化、また、移住支援金、起業支援金といった国で思い切った制度をつくっていただきましたので、これを活用します。また、産業振興や観光振興、若者の雇用創出に取り組みますほか、特に若い世代の女性を対象に、女子学生キャリアフォーラムや就活女子応援カフェ等の開催、また、女性が働きやすい職場環境づくりの促進に取り組むこととしておりまして、さらなる社会増の上積みを目指していきたいと思っております。  ただ、もちろん日本全体が人口減少時代、特に若い人の数が、生産年齢人口が減っている中ですから、富山県だけの力でどこまで行けるかというのはなかなか課題も多いんですけれども、しっかりと取り組んでまいります。  この平成31年度は、ちょうど今の未来戦略の最終年度でございますから、新年度に当たっては、次期戦略の策定に取り組むことにしておりますが、その中で社会増の目標については、性別や年齢層、国内外の区分など、社会移動傾向もよく分析した上で、その上でいろんな施策の効果なども見積もりまして、適切な目標を県民の皆さんにお示しできるように検討、努力をしてまいります。 107 鹿熊委員 さまざまな対策を講じておられるわけでありますので、次の戦略においてはぜひチャレンジングな目標を設定していただきたいと思います。  次は、中山間地域振興策についてでございますが、知事は、私たちの条例提案に呼応して、新年度、組織面、予算面において中山間地域振興元年ともいうべく対策を打ち出されたと思います。そのことを評価しつつ、2点質問いたします。  資料5を見ていただければと思いますが、昨年実施した中山間地域の実態調査によれば、集落活性化の効果的な取り組みとして、移住促進が38%と最多となっております。これが集落の代表者の真の声であろうと思います。県はこれにこたえて、中山間地域の移住促進に力を入れるべきと考えます。  そこで、まず、2017年度に富山県に729人の移住があったとのことでありますが、そのうち中山間地域への移住者数はどれぐらいであったのかをお伺いいたします。  また、中山間地域への移住を促進するためには、移住支援金──これは新年度の目玉事業かと思いますが──移住支援金の中山間地域加算や光回線未整備地区の整備促進など、移住促進策の一層の強化が必要と考えますが、知事に方針をお伺いいたします。 108 石井知事 平成29年度の県や市町村の移住相談窓口等を通した移住者のうち、具体的な居住地区まで把握できる移住者は市町村の相談窓口等を通した405人であります。そのうち、中山間地域への移住者は112人、27.7%となっております。今後、できればもう少しどの居住区に行かれたかということがより正確にわかるように努力したいとも思っております。  また、中山間地域の集落を対象とした実態調査で、委員御指摘のとおり、移住の促進が効果的だということを挙げた集落が全体の37.9%ですから、皆さんの移住促進についての期待も高まっているということかと思います。  これまでも、地元でそういった体制をとっていただけるところ、全部で7地域を移住者受け入れモデル地域として指定していますが、そのうち5地域は中山間地域でありまして、この地域の空き家を改修した宿泊体験施設の整備等に対して支援しております。  新年度では、中山間地域において、移住者の方や地域おこし協力隊員の移住方策や受け入れなどを住民の皆さんで話し合っていただく取り組みへの支援、移住セミナーや移住PR動画の作成についても中山間地域の暮らしや仕事についてわかりやすくPRすることを検討いたします。もちろん移住してくる方には、いろんな御希望がありますから、みんながみんな中山間地域というわけにはいかないと思いますけれども、中山間地域の魅力もPRしてまいりたいと思います。  また、移住支援金については、国が定めるルールに基づいて、国、県、市町村が連携して取り組むものでありますので、現時点で委員から御提案のあった中山間地域加算制度というのは、中山間地域といってもさまざまな実態等もございますので、これは慎重な検討が必要で、また、市町村の意見も聞かなくてはいけないと思っております。  なお、光回線の整備といったことも課題になるんですけれども、今のところ、例えばサテライトオフィス誘致に熱心な市や町におかれましては、既に光回線がカバーしてあるところに、まずはサテライトオフィスを誘致したいといったお考えで進めているようです。ただ、もちろんできるだけこの光回線の整備が進むことも大切でありますから、通信事業者等に働きかけて、国庫補助金の確保なども含めて、引き続き国に働きかけをいたします。  また、今後も、国でああいった思い切った移住支援金もつくってもらうのはうれしいんですが、考えてみると、これで今までさほど熱心でなかった県も熱心になりますから、競争がますます激化するということでございます。  そこで、これまでも御答弁申し上げましたように、富山県はロケットスタートといいますか、もう今年度内から企業者の皆さんにぜひ移住支援金を活用して移住者をゲットするように、希望者は手を挙げてくださいということも始めましたし、また、新年度上半期に集中的に個々の受け入れ企業の魅力のアピールや、県としても富山県のビジョンや夢のある将来の展望などの魅力のアピールをして、ぜひ富山を移住先として選ぼうと言ってもらえるように努力いたします。 109 鹿熊委員 よろしくお願いいたします。  その中で中山間地域の移住の実態の数字をしっかり把握できるように、少し方策を考えていただきたい。やっぱり実態をつかんでこそ、その対策が的を射ると思いますので、よろしくお願いいたします。  次に、資料6を見ていただきたいと思いますが、同調査によれば、集落活性化の取り組みに必要なものとして、活動の担い手となる人や若者が61%、活動を引っ張る世話役の存在が50%、住民のやる気や意欲の醸成が41%であり、いかに人材を必要としているかがうかがえます。  その点で、新年度予算にあります集落支援のための地域コンシェルジュの配置や中山間地域サポート人材の育成事業は、的を射た事業と言えます。しかし、的を射るための矢と言うべき人材が少ないのではと危惧いたします。1,300近くもある集落の数を鑑みると、新年度に1人のみの配置となっている地域コンシェルジュの複数配置がぜひ必要であります。  また、中山間地域サポート人材も相当数必要であります。彼らは、集落に入って、住民による話し合いをリードしたり、住民のやる気を醸成したりするキーマンであります。これらの人材の確保、育成について、猪俣観光・交通・地域振興局長に取り組み方針を伺います。 110 猪俣観光・交通・地域振興局長 新設する中山間地域対策課に置く地域コンシェルジュにつきましては、県や関係市町と連携しますとともに、NPO、地域おこし協力隊など、多様な担い手と協働しながら、集落に出向いて地域住民の取り組みを支援するなどにより、地域の事情にも明るく、高度なスキルを持つ人材が必要となります。  議員御提案の複数配置でございますけれども、人材の確保がなかなか難しいと想定されますことから、当面1名の配置とさせていただき、他方、中山間地域対策課には2名増員となっておりますので、それで対応し、現場主義で集落支援に取り組んでまいりたいと考えております。  また、中山間地域をサポートします人材の育成につきましては、中山間地域対策課内に地域人材育成担当を配置し、地域おこし協力隊を初め、地域の活性化を担う多様で有為な人材を育成するため、地域運営の仕組みや住民の合意形成のサポート方法に関する研修などに取り組むこととしております。  中山間地域の振興のためには、地域のさまざまな面で支える人材の確保が大変重要であり、県としましては、地元市町と連携して人材の育成に積極的に努めてまいりたいと考えております。 111 鹿熊委員 よろしくお願いいたします。  地方創生の3つ目の項目は、観光振興、世界ブランド化についてであります。  北陸新幹線富山駅開業前後からの本県の観光施策は、青天井予算とも言えるくらい実にボリュームのある施策を次々と講じてこられました。それらの施策の目標とするところは、新・富山県観光振興戦略プランに掲げる2019年目標値でありまして、多くの項目は、その目標値に向かって着実に推移していると思います。  また、資料の7にありますコンベンションのところでありますが、これに関しては、参加者数も開催件数も目標値を既に超えております。ただ、この2017年で2019年の目標値から大きく乖離しているのが1人当たりの観光消費額単価と外国人宿泊者数の2項目であります。資料7の黄色のところと青のところであります。  まず、観光・ビジネス宿泊客の1人当たり観光消費額単価は、目標値の2019年3万4,000円に対して、2017年実績は2万4,422円と、約1万円近く低い現状です。単価をとれないということは、やはりなかなか労多くして益少なしということで、いろいろ弊害があって、再投資ができず客が来ないなど、悪い流れにもなっていきますし、労働生産性が低い要因でもあると思います。  そこで、もう一泊ということに向けた強化など、単価アップによる目標達成策について猪俣局長にお伺いいたします。 112 猪俣観光・交通・地域振興局長 委員御指摘のとおり、新・富山県観光振興戦略プランの数値目標の1つとして、宿泊客1人当たりの観光消費額を2019年に3万4,000円という高い目標を掲げております。  県では、こうした目標の達成へ向け、まず、観光客の県内周遊を促進するため、新幹線駅、空港と観光地を結ぶ観光路線バスの運行支援、大規模イベント開催時に観光地に向かうタクシーの利用料金や県内観光のためのバスチャーター料の助成、とやま観光推進機構や関係事業者等と連携した着地型旅行商品の販売促進などに取り組んできたところでございます。  また、滞在時間を延ばし、宿泊につなげますため、五箇山合掌造り集落のライトアップ、富岩水上ラインのお花見ナイトクルーズ等の夜の観光の魅力創出、また、富山湾鮨や富山のさかな料理を十分堪能いただくため、食の魅力のPRにも取り組んでいるところでございます。  さらには、外国人観光客は日本人観光客と比べ、観光消費額が比較的大きいことから、訪日外国人客の誘客に力を入れてきており、ことしは日台観光サミットや世界で最も美しい湾クラブ世界総会の開催に加えて、欧米豪の誘客やキャッシュレスの推進など、さらなる誘客、消費拡大に取り組むこととしております。  県としては、目標と実績にまだ乖離はございますが、引き続きこうした周遊滞在時間や旅行支出の増加に向けた取り組みを進め、プランの目標の達成に向け鋭意努力してまいりたいと考えております。 113 鹿熊委員 頑張っていただきたいと思います。  もう一つは、外国人宿泊者数でありますが、目標の56万人に対して平成29年度、約半分の28万人余りと、そして、資料8にありますとおり、これは観光庁の先月に出た速報値でありますが、富山県は、残念ながら対前年微減ということであります。ただ、昨年までは順調に上がってきておりますので、私はあまり高望みせずにじっくりどうしたら外国人観光客に満足をしていただけるかを落ちついて考えて、宿泊者増に取り組むことが必要であろうと思っておりますし、目標値を下げても構わないのではないかと思っております。  これは指摘だけにさせていただきます。  次に、立山黒部の世界ブランド化についてでありますが、先月、立山黒部を愛する会の主催で、立山黒部世界ブランド化推進委員であります山田拓氏の講演を聞く機会がありました。そこで山田氏は、立山黒部の世界ブランド化の取り組みに当たって、「サスティナブル・ツーリズム国際認証」の取得を検討することを提言されました。  この持続可能な観光とは、旅行者、観光関連産業、自然環境、地域社会の需要を満たして、現在と将来にもたらす経済面、環境面の影響も十分考慮に入れた観光のことと国連世界観光機関が定義しています。いわば観光のSDGsを目指すものであります。そして、山田氏は、環境問題に関心が高い高所得層や若者層の旅行者が持続可能な観光を好む傾向は、世界中で広がるだろうと話をされました。  私は、立山黒部こそこれを目指す価値があると考えておりますし、今、立山荘の改装、あるいはロープウエー構想もこの方向に私は進んでいるんじゃないかと思っております。  そこで、立山黒部の世界ブランド化を目指すに当たって、サスティナブル・ツーリズム国際認証の取得を検討することを提言しますが、猪俣局長の見解をお伺いいたします。 114 猪俣観光・交通・地域振興局長 県では、立山黒部は今でも国際的な観光地でございますが、アジアのみならず、欧米豪などの旅行客も含めて、立山黒部が世界から選ばれ続ける観光地となりますよう、一昨年の6月に「立山黒部」世界ブランド化推進会議を立ち上げ、プロジェクトを推進しているところでございます。  委員御紹介の「サスティナブル・ツーリズム」は、「観光客や観光産業のみならず、地域社会全体の需要を満たしつつ、経済、社会、環境の持続可能性を考慮した観光」とされており、委員から御提言のとおり、国際認証制度が設けられております。  ただ、国際認証制度の取得につきましては、グローバル・サスティナブル・ツーリズム協議会というものがございまして、そこから認められた認証団体が認証を行うこととなりますが、日本ではまだ認証団体は国内にはなく、そのため申請する場合には、海外の認証団体に対して外国語で行う必要があり、グローバル・サスティナブル・ツーリズム協議会のホームページによりますと、現在のところ認証を受けた国内地域はまだないと承知しております。  さらに、認証の取得に要する費用は無料ではないようで、一説によりますと100万円以上かかるとも言われております。また、年会費などもかかると調べたところでは書かれております。  そうした費用対効果をよく見きわめる必要があると考えておりますが、いずれにせよ、立山黒部の世界ブランド化に際しては、山田拓氏含め、「立山黒部」世界ブランド化推進会議やその下に設けられておりますワーキンググループ等の有識者、専門家の御助言もいただきながら検討を進めてまいりたいと考えております。 115 鹿熊委員 ぜひ前向きに積極的に、100万円というけちなことを言わずに、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。  次は、景観条例です。  16年前の2003年4月に富山県景観条例が制定されましたけれども、その条例には、景観法や他県の景観条例にあるように、良好な景観によって地域の活性化や観光振興、交流人口の拡大を図っていこうという視点がないように私は思います。やっぱり良好な景観というのは、観光の重要な要素であります。加えて、景観条例の運用が弱いと言わざるを得ません。  具体的には、例えば条例第18条のふるさと記念物の指定というのは、条例制定以来、指定実績ゼロ。また、第29条の景観づくり重点地域指定は、2009年の立山・大山地区の1件のみ。  この景観づくり重点地域指定というのは、幾つものメニューが条文にありまして、やる気になればこの指定する地域が、どれだけでもといいましょうか、県内に適する地域はたくさんあると思うんですね。また、第37条のふるさと眺望点の指定も、ただ指定するだけで、その景観を保全するための高さや色彩規制がありません。そして、そもそも良好な景観保全や景観形成については、私は全庁的に取り組める組織体制の検討も必要だと思っておりまして、現在の建築住宅課景観係では荷が重過ぎるのではないかなと思います。  そこで、富山県景観条例には、地域の活性化や観光、交流人口の拡大という視点がないように思いますが、景観にすぐれた観光地づくりという観点から、この条例の改正、そして、また、景観行政の取り組み強化が必要ではないかと考えますが、知事の所見を伺います。 116 石井知事 立山連峰の山岳景観や、砺波平野に広がる散居村等に代表される本県のすぐれた景観は、重要な観光資源でありまして、景観条例、観光的な視点がないと言われましたけれども、改めて条文を読みましても、当時としてはそれなりのことは書いてあるんですが、確かに今の時点で見ると、見直してもいいのではないかと。今後検討してみたいと思います。  新年度からこれまで30地点を指定してきたふるさと眺望点につきましても、まさに御指摘の観光振興等の観点から、旅行者からももっと関心を持っていただけるように、愛称をとやまビューポイントとして、30地点程度の追加指定を行うことで考えておりますし、また、大規模行為の届け出制度、公共事業の景観づくり指針等によって、眺望景観の保全等を進めてまいります。  海王丸パークを中心に展望台、あるいは新湊マリーナ、内川などいろんな各地域、思い出していただければ、条例はともかくとして、自然景観、都市景観と随分観光振興的なセンスで配慮しながらやってきたと思いますが、景観条例はお話のように施行後15年余りも経過していますから、北陸新幹線の開業や、観光客、移住者が増えている、また、世界で最も美しい湾クラブに加盟して、その世界総会が富山で開かれるなんてことは、当時予想もしていなかったと思いますので、非常に社会状況も変化しております。  そういう意味で、国の景観施策、他県の景観条例の状況、せっかくですから景観審議会の専門家だけではなくて、もう少し幅広くいろんな御意見を承って、御指摘の景観条例の改正等も含めて、そのあり方、富山県の今でも魅力のある自然景観、都市景観、そういったものをいかに持続させて、さらに磨き上げる。そのことで、もちろん景観づくりにも役に立つし、富山県への観光振興、ひいてはそんないいところならここでいっそ住もうかといって移住も進むということにつながるようにしていきたいと思います。その検討に当たりましては、地域活性化、観光、交流人口の拡大、また、最終的には国の内外の方々から選ばれる、活力と魅力あふれる富山県ということだと思いますから、土木部だけではなくて、観光・交通・地域振興局、総合政策局等、関係部局でしっかり連携をとって取り組んでまいりたいと思います。 117 鹿熊委員 ぜひ条例の改正の検討も、多分今の答弁にあったんだろうと思うので、よろしくお願いしたいと思います。  さて、道路は地方創生の基盤であることは言うまでもありません。本日午前、国交省は、東海北陸道白川郷インターチェンジ─五箇山インターチェンジ間、15.2キロメートルの中の五箇山インターチェンジから南へ約2.8キロメートル区間について、財政投融資を活用して実施する4車線化候補箇所に選定したと発表しました。4車線化要望区間67.5キロメートルの中の2.8キロメートルではありますが、大きな一歩を記したと思います。
     石井知事はこれをどのように受けとめておられるのか、お伺いいたします。 118 石井知事 本日、国土交通省におきまして、財政投融資を活用して暫定2車線区間の機能強化による防災・減災対策として、4車線化等を実施する候補箇所が公表されまして、東海北陸自動車道では、五箇山インターチェンジから白川郷インターチェンジまでの15.2キロのうち、約2.8キロが付加車線設置の候補箇所に選定され、予算額は事業費300億円と公表されたわけでございます。付加車線といっても、実質4車線化ということかと思います。  今後、国において有識者委員会での審議などを経て手続が進められますけれども、非常に大きな一歩になったと思います。  東海北陸自動車道は、北陸と東海、日本海側と太平洋側を結ぶ中部圏、日本列島のど真ん中を通る大動脈でありまして、国土強靱化の観点からも極めて重要な道路でありますから、これまでも県議会の皆様のお力添えもいただきながら、県として全線4車線化に向けて全力を挙げて取り組んでまいりました。  現在、平成28年度から付加車線の設置工事が2区間、延長10キロで進められておりますが、その所要額は大体150億円で、平成32年度に大体でき上がるということになっております。  今回、これに加えて、五箇山インターチェンジから南に向けて2.8キロ区間ということですから、真木トンネルがそこに含まれることになるわけでありまして、今まではいろいろ努力したんだけれども平地だけに付加車線ができていました。今回初めてトンネルが4車線化になるということは、大きな一歩でありまして、本当に喜ばしく、県民の皆さんとともに喜びたいと思います。  お力添えをいただいた国会の先生方や、また、県議会の議員の皆様初め関係各位に心からお礼を申し上げたいと思います。  今後とも実施がスムーズに、来年度から早速設計等も進めていただくように、また、さらに五箇山インターチェンジから白川インターチェンジ、その先にもまだいろいろございます、その手前にも袴腰トンネルなどいろいろございますので、逐次4車線化していく大きな第一歩として頑張っていきたいと、こういうふうに思います。 119 鹿熊委員 地方創生の質問の最後は、全天候型多目的施設についてであります。  なぜこれが地方創生マターかといえば、全天候型多目的施設が地方経済の振興や魅力創出による人口流出抑制に寄与するのではないかとの考えで、その検討が今なされているからであります。そして私は、その議論が、県民の意向をどう見るかの判断から迷路に入っているように思っております。  結論から言えば、私は、全天候型多目的施設についての県民の意向や、その建設費や運営費、それに対する地域経済振興や人口流出抑制への寄与度、すなわち費用対効果を考えると、この議論は早々に収束したほうがよいと考えております。  県民の意向についてでありますが、資料9をごらんいただければと思います。  一昨年に県が行った健康と運動・スポーツに関する県民意識調査であります。施設整備に関する行政への要望で、2つの設問をしております。  左をまず見ていただければ、県に求める施策という設問に対し、多目的な全天候施設の整備が42.7%、体育館など屋内スポーツの施設の整備が30.1%となっています。この結果に対する県の見方は、県の文書をそのまま引用いたしますと、「体育館など屋内スポーツ施設も全天候型多目的施設であるから、7割以上が全天候型多目的施設を要望していると判断できる」としています。また、右の円グラフでありますが、多目的全天候型施設整備の必要性という設問に対し、ここにありますとおり、約70%が必要としております。この円グラフは、常任委員会の説明資料そのものでございます。  そして、その後の議会質疑では、県民意識調査の結果、全天候型多目的施設の整備が必要であるとする回答が約7割に上っているという答弁が時々なされております。  私は、これはどうかなと思います。7割というほどの県民の盛り上がりは感じられませんし、私の周りの方々も消極的であります。そして、もう一度この資料9を見ていただきたいのでありますが、この調査の回答率、左の下にありますが、わずか37.1%。60%以上の方は、理由はともかく、回答していません。  統計の専門家ではありませんが、統計の読み方として、この種の質問、すなわち行政に求めるものは何かという設問に対して、答えないという人は特に求めるものはないと類推できます。とすれば、真に必要としている人の割合は、1,200人のアンケート対象者のうち回答した37%の中の70%、すなわち26%ということになるわけで、これは私の感じる県民の皆さんの意向に近いと思います。  一方で、地域経済振興や魅力創出による人口流出抑制の効果については、県が基礎調査委託した三菱総研が検討の俎上にのるとした、8,000人規模のアリーナが年間に生むであろう2億円から3億円の赤字を県民が理解、納得できるほどの効果ではないと思います。  そこで、全天候型多目的施設について、県民の意向や、建設費、運営費に対する地域経済の振興や人口流出抑制への寄与度などの費用対効果から考えると、この議論を収束し──この収束はどの字を書こうか迷ったんですが、エンディングではなくて、要はおさまりをつけることという意味での収束し、運動、スポーツに関する多様な県民意思の合意形成に早期に取り組むべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 120 石井知事 全天候型多目的施設整備の検討につきましては、3年、4年前からいろいろな立場の方、お考えの方がおられまして、そういう方々の御意見、また、2020年東京オリンピックパラリンピックとやま戦略会議においても話題になりましたので、この機会に健康・運動・スポーツに関する県民意識調査をしようということで、一昨年12月に実施したわけでございます。  おっしゃるように回答率が37.1%で、必ずしも高いとは言えないものの、スポーツの試合や文化教養、コンサートでの活用ができる全天候型の多目的施設の整備について、前向きに検討すべきが17.1%、必要だと考えるが既存施設の統廃合や行財政を考慮した上で検討すべきが52.6%、不必要だというのが約25%でありました。  前2者を合わせると、必要が約70%とも言えますけれども、全体の52.6%は、既存施設の統廃合や行財政事情を考慮すべきという、いわば条件つきでやることに十分留意する必要があると思っております。  これまで事務方を含めて、どういうふうに説明をしているかはありますが、私はそういう理解をしておりまして、必要だという人が7割だという表現はあまり使ってこなかったつもりでございます。  これら県民意識調査の結果等を踏まえまして、より幅広い御意見や、また、専門的な立場からのより掘り下げた議論を伺う必要があると考えまして、健康・スポーツ環境充実検討会を開催して、健康やスポーツ環境充実のための、ソフト、ハード両面の基本的な方向について検討いただいております。  全天候型体育文化施設の整備については、調査委託会社から施設整備の実現可能性についての報告が、とりあえず第2回検討会であったわけでございますけれども、委員からは、「多額の投資を行う施設なので、多くの県民が納得できるよう、もう少し詳細な調査や丁寧な議論が必要だ」という御意見をいただいたところであります。また、もちろん中には、「施設の費用対効果だけではなくて、地域活性化のために広い視点で検討すべきだ」という御意見もございました。  現在、施設整備し運営した場合の収支や地域経済への寄与度を検討するための経済波及効果も含めて、詳細な調査を行っているところであります。  人生100年時代において、スポーツ振興は、人づくりや健康寿命の延伸、地域活性化に重要な役割を果たすと考えておりますので、調査結果、検討会の議論も踏まえて、地域経済の振興やにぎわい創出、人口流出抑制の効果、さらには、持続可能な施設整備や運営のあり方、県議会や県民の皆様の御意見を幅広く伺いながら、一方で、お話のように県財政の健全性の確保、ようやく今、相当健全度が増した財政になっておりますけれども、そういったことにも十分留意しながら、総合的かつ多角的な観点から丁寧に検討いたします。  この問題については、本当いろんな御意見があるんですね、運動スポーツについての多様な県民の皆さんの御意見、これの合意形成に努めまして、いろんな議論がありますからなかなか頭が痛い面もあるんですけれども、できればことしの秋か年末ぐらいまでには一定の方向性の取りまとめを行っていきたい、かように考えております。 121 鹿熊委員 大変でしょうが、一つ一つ整理をして、県民の合意形成に早期に取り組んでいただきたいとお願いいたします。  次に、幼児教育について質問いたします。  新年度に設置される見込みの幼児教育センターについて、その機能、組織体制、運営方針について、渋谷教育長に問います。 122 渋谷教育長 幼児期の教育は、人格形成の基礎を培う役割を担っておりますので、さらなる幼児教育の向上が求められております。このため、来年度、新たに教育委員会内に幼児教育センターを設置いたしまして、幼児教育の向上に取り組むこととしております。  この幼児教育センターでは、幼児教育の内容や指導方法などに関する検討を進めることとしておりまして、担当教員1名と幼児教育スーパーバイザー1名、合わせて2名を配置することとしております。  また、この検討結果に基づき、幼稚園や保育所などを巡回いたしまして、子供たちの非認知能力などを高めるため、幼児教育施設の教職員を対象とした訪問研修も実施することとしておりますし、そのスタッフとして幼児教育アドバイザー3名を配置することとしております。  幼児教育につきましては、公立、私立の幼稚園、保育所、認定こども園という幅広い施設で実施されておりますので、関係者から成る組織を設置いたしまして、幼児教育の向上に取り組んでいくこととしております。 123 鹿熊委員 答弁にもありましたように、幼児教育は、幼稚園、保育所、認定こども園など、合わせますと県内に353カ所もあります。その設置主体も異なるわけでありますし、対象幼児は約4万人となることでありますので、幼児教育アドバイザーの質とその数の確保は極めて重要であると考えるわけでございますが、その養成方針や確保策について質問いたします。 124 渋谷教育長 来年度は、幼児教育アドバイザーの方々を24の幼児教育施設に派遣いたしまして、訪問研修を実施することとしております。  御指摘のとおり、県内には数多くの幼児教育施設がありますので、来年度、幼児教育センターでは、望ましい訪問研修のあり方、例えば研修サイクルをどうするのか、また、そのためにアドバイザーは何名必要となるのか、そして、このアドバイザーはいずれの機関が担うかなどにつきましても検討を進めていくこととしております。 125 鹿熊委員 幼児教育というのは、やっぱり家庭教育や地域社会と分けて考えることはできません。特に家庭教育との結びつきというのは、私は重要だと思っております。非認知能力と言われる意欲や協調性などは、家庭での親や祖父母とのふれあいの中から養われることが多いように思っております。  4歳の孫が私の家におりまして、私がいますとしょっちゅうオセロをしたいと、こう言うんですね。私、忙しくても真剣に向き合って勝負をしております。ただ、議会におくれない限りはでありますが。  彼女は、勝っても負けても、おっちゃん、もう一回やりたいと。おっちゃんと言うんですけど、私は時間がなくて泣きたくなるんですけれども、やっぱり向き合ってオセロをします。ただし議会におくれない限りはであります。そんなことが、私はとても大事なように思うんですね。  そこで、親学び推進事業を含む家庭教育と幼児教育充実・強化事業との連携について、どのように取り組むのか、渋谷教育長にお伺いいたします。 126 渋谷教育長 先ほどお答えしましたように、幼児教育センターでは、幼児教育の内容や指導方法などに関する検討を進めていくこととしておりますが、この検討の中で御質問の家庭教育と連携した幼児教育のあり方についても検討していくこととしております。  この検討結果に基づきまして、必要に応じて親学び講座で使用いたします親学びノートの改訂や、保護者と幼児教育施設の望ましい連携のあり方を周知するなど、幼児教育が実効あるものとなるように取り組んでまいります。 127 鹿熊委員 それでは、最後になりますが、この資料の一番裏、資料10、地域との協働による高等学校教育改革推進事業。これは文科省の新しい事業でありまして、この特徴は、高校をど真ん中に置いて、自治体と大学、産業界等とコンソーシアムを構築して、地域課題の解決等の学びを推進することで、地域振興の核としての高校の機能強化を図ろうというものであります。  狙いは、ここに書いてありますとおり、地域における活動を通じた探究的な学びの実現、多様な社会体験、それから高校生のうちに地元を知ることで地元への定着やUターンの促進、そして地域の活動に高校生が参画することによって地域活力の向上を図るとあります。  そこで、県もこの事業に申請していると聞いておりますが、文科省の採択の見通しはどうなのかということと、また、国の採択の有無を問わず、やはり私はこれからの高校の教育のあり方の1つだと思っております。地域としっかりと協働していくと。高校にとってもよいし、地域にとってもよいと。こういった取り組みの趣旨は、採択の有無を問わず、本県の高校教育に生かすべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 128 石井知事 今、御質問の事業、資料もお出しいただきましたけれども、国が新年度から新たに実施されるもので、この図にあるようなコンソーシアムを構築して、地域課題の解決等の探究的な学びを実現することで、未来を担う人づくりを目指す高校の機能強化を支援するものと思います。  教育委員会に確認したんですけれども、国の事業説明会には、全国から450名もの高校関係者が参加しておりまして、全国の高校は公立、私立合わせて5,000校ございますから、その中で採択されるのは50校程度ということですので、大変狭き門なんだろうと思います。  教育委員会では、地元の御意見も伺って調整した上で、提案内容を学校と協議、検討して、先月2校の提案を国に申請しているということでございます。  第1次の書面審査結果の連絡が何か本日あるかのような話も聞いておりますが、この1次書面審査を通過した提案は、さらにヒアリング審査を行って、今月末までに事業採択がされる予定と伺っております。  私としては、もちろんいずれの提案も採択されることを期待しておりますけれども、教育委員会には、今後とも今回の国事業の採択の有無にかかわらず、地域の未来を担う人づくりをしっかり担う高校教育は大事ですので、今後ともしっかり取り組んでほしいと思っております。 129 鹿熊委員 終わります。 130 五十嵐委員長 鹿熊委員の質疑は以上で終了しました。  以上をもって本委員会の質疑は全て終了いたしました。  委員各位におかれましては、長時間御苦労さまでした。  終わりに、本委員会の運営に終始御協力を賜りました議員各位、県当局並びに報道関係の各位に対し、深く敬意を表します。  これをもって、平成31年2月定例会の予算特別委員会を閉会いたします。                     午後5時17分閉会 Copyright © Toyama 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