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  1. 富山県議会 2018-02-01
    平成30年2月予算特別委員会


    取得元: 富山県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-14
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1                     午前10時00分開会 五十嵐委員長 おはようございます。ただいまから本日の予算特別委員会を開会いたします。  それでは、発言の通告がありますので、これより順次発言を許します。        川島国委員の質疑及び答弁 2 五十嵐委員長 川島委員。あなたの持ち時間は60分であります。 3 川島委員 おはようございます。自民党議員会の川島国でございます。質問に入る前に一言申し上げます。  平成30年度予算審議を行う本議会において、県議会当選来、3分の2が経過いたしました。私は今までさまざまな質問、提言をさせていただきました。おかげさまで、石井知事を初め当局におかれましては、提言を真摯に捉えていただき、新年度予算にも盛り込んでいただきましたこと、まずは冒頭感謝を申し上げます。  私の場合、どういうわけか胸元を飾る質問が多ございまして、菅笠やヘルプマーク、これでありますが、しっかり予算計上いただきまして、感謝であります。特にこのヘルプマークは、先日も平木議員から御紹介いただきましたが、県民の皆様に広く認知いただかないとあまり意味をなさないものでありまして、一見見てもわからないような障害を持たれた方でも困っていたら手を差し伸べる、手を貸してあげられるように共助の輪が広がるきっかけになってほしいと期待するものであります。  また、自民党青年局として提案した事業継承の政策である跡継ぎバンクもその趣旨をしっかり捉えていただき、新年度から本県政策、後継者人材バンクとして進めていただきますことに感謝であります。  1つ心残り、残念なのが、私が提唱してきました中長期構想であります富山JAMP構想が、富山新聞の社説において、行政用語としての「勉強します」は、それすなわち、やりませんとの表現がなされておりましたが、私は間違いだと信じております。  本県が、ジャパンアニメジャパニメーションといいますが、その聖地として世界中の若者に夢と希望を与える富山県づくりを目指すことは、世界を見据えた富山県の未来づくりと合致するものでありまして、しっかりと勉強をしていただいておるものと確信しております。  折しも今月9日から黒部峡谷一帯を舞台にしたオリジナルアニメアイコ・インカネーション」が世界23カ国語対応で1億2,000万人以上の人々に世界配信されております。ジャパニメーションの聖地としての本県を取り巻く情勢や環境が年々醸成されてきていると感じますし、ぜひとも勉強から研究へ格上げして取り組んでいただきたく、お願いするものであります。  そこで、1点目の質問ですが、県としてジャパニメーションの聖地を目指す取り組みに注力していくことが、世界を相手にした観光振興の強化につながると考えますが、これまでの対応も踏まえ、どう取り組んでいくのか、石井知事に所見をお伺いいたします。 4 石井知事 海外でも人気の高い日本のアニメーションを活用しまして、インバウンド観光の振興、国内観光も含めて進めることは国のクールジャパン政策でも取り組まれておりまして大変重要だと考えております。  富山県は、藤子不二雄A氏、藤子・F・不二雄氏、また細田守氏など著名な漫画家やアニメ制作者の出身地でありまして、皆様御承知のとおり、「おおかみこどもの雨と雪」、「クロムクロ」など、本県を舞台とする作品も多数制作されております。  また、今月9日から黒部峡谷一帯を舞台としたアニメがインターネット動画サービスで、これはむしろ世界各地に配信されております。  県ではこれまでも、「ロカルちゃ!富山」などの情報誌で本県を舞台としたアニメ、漫画等を紹介しますとともに、県内の市や町と連携しましてアニメコンテンツを使った体験型観光プログラムを造成しますなど、アニメを活用した観光誘客に取り組んでまいりました。  また、国内のみならず海外の誘客を促進するために海外メディアを紹介してアニメを生かした観光スポット、これはドラえもんトラム、藤子・F・不二雄ふるさとギャラリー潮風ギャラリー等々も取材いただいていますし、昨年は台湾の著名な方を起用して改めてこうしたものを取り上げた旅番組も制作して海外でも放送されております。
     新年度は、欧米、アジアからの誘客を促進するために、委員御承知のとおり、トリップアドバイザー、これは世界最大の旅行サイトでありまして、これの本県のページで富山県と関連の深いアニメを活用した観光スポットの紹介を行いますとともに、岐阜県と連携してアニメや漫画、映画ゆかりの地を組み入れた新たな周遊ルートのパンフレットを共同制作して、アジアの旅行博等でPRすることにしております。  委員御承知だと思いますけれども、アニメツーリズム協会が発表しました訪れてみたい日本のアニメ聖地では、本県から氷見市、南砺市、上市町が選ばれておりまして、北陸では1番ですし、全国でもトップクラスでございます。  こうしたことも生かしながら、今後も県内市町村とともに本県がアニメや映画の舞台となるよう誘致しますとともに、本県ゆかりのアニメコンテンツを観光資源として積極的に活用しまして、国内外への魅力発信及び観光誘客に取り組んでまいります。  単なる勉強ではなくて、しっかり研究もしてまいります。 5 川島委員 勉強から研究へということで力強く答弁いただきました。本日から高岡市美術館において、ドラえもん展、さまざまな著名なクリエーターが思い描くドラえもんのすばらしい展示会が開かれております。ぜひ皆さん足を運んでいただきたいなと思います。  ぜひ、富山新聞社さんにはこの議論を論説委員長にもお伝えいただきたいなと思います。  世界に誇るジャパニメーションの聖地が富山県であることを目指していくことは、本県全体のブランド力アップにもつながる重要な政策として、研究から構想の具現化へ向けて引き続きのお力添えをお願いしたいと思います。  本作品の主人公は入善町の学校に通っている設定でありまして、漫画連載が続いていく中において、世界に向けて本県魅力の発信に大いに期待が持てるところであり、例えば、食卓を囲むシーンで入善のカキや高志の紅ガニを食してもらったり、個人的には越中福岡のつくりもん祭りを楽しむシーンを期待するものでありますが、主人公を本県の観光大使としてアニメや連載される漫画の中で、本県の多くの魅力を世界中に発信してもらうよう働きかけてはどうかと提案するものであります。  県として本作品のPRに支援し、コラボレーションしていくことで本県の世界へ向けた魅力発信につながると考えますが、ここはやはり、私の尊敬する日本漫画界の巨匠、手塚治虫先生の面影を感じる蔵堀局長の所見をお願いいたします。 6 蔵堀観光・交通・地域振興局長 「アイコ・インカネーション」、この作品は富山県を代表する景勝地であります黒部峡谷一帯が舞台となっておりまして、この動画を全世界に向けて発信していただいたことは本県の観光の魅力をアピールする上で大変効果的であると考えております。  先ほど23カ国語対応というふうに述べていただきましたけれども、国数でいいますと190を超える国に配信されているということでもございます。  このため、まずは多くの方に作品を見てもらうということが大事だと思っておりまして、県の観光公式サイトのとやま観光ナビで紹介をいたしましたほか、フェイスブックやツイッターなどでもPRを行っております。  この作品をPRに使ったらどうかということですが、この作品は全12話ですけれども、3月9日に既に一括配信をされて、現時点では続編の予定がないということでございまして、作品の中で主人公に観光大使としてPRしてもらうということは難しいと考えておりますが、この作品をつくった制作会社のほうに、本県の魅力ある観光地を今後とも舞台として取り上げていただくということを強く働きかけてまいりたいと思っていますし、既に接触も始めたところでございます。  県としては、引き続き本県を舞台としたアニメーションを支援、PRし、富山県のさまざまな魅力の発信にしっかり努めていきたいと考えております。 7 川島委員 制作段階からこういうイメージを持ってかかわっていくということは大事でありますので、ぜひとも今後はお願いしたいと思います。  委員長、資料の配付と資料パネル掲示の許可をお願いいたします。 8 五十嵐委員長 はい、許可いたします。 9 川島委員 富山呉西圏域の活性化について、質問してまいります。  ありがたいことに米原議員より、本議会何十年ぶりの一般質問の場で財政難に苦しむ高岡市に対して温かい質問をいただきました。県西部の発展は高岡市が結節都市としてハブの機能が果たされてこそという見地から、県が考える多目的アリーナは新高岡駅周辺にという提言でありました。まことに感謝であります。  高岡としては重くその言葉を受けとめ、しっかりと財政健全化を市民の理解を得て果たしていかねばなりません。そのために努力を惜しまず、私も頑張ってまいる所存であります。  現場の雰囲気が少しでも伝わるようにということで資料を用意させていただきました。イノシシの写真であります。イノシシを見たことがない県民の皆様にもわかりやすいようにパネルも用意いたしました。  これは、先月小矢部方面から6頭のイノシシが出没した様子でありますが、あいの風福岡駅周辺のまちの中心部にまで来て、住民を追い立てたり、車に追突したりと住民を脅かせました。わかりにくいですが、これは車の運転手側のタイヤの上にイノシシが衝突した傷跡であります。  このように、少しかわいいですが、我が物顔で公道を闊歩するイノシシはもはや人間を恐れる様子はありません。この現場の様子からも対策の強化が早急に求められると考えるものであります。  なぜまちの中心部にイノシシが出てきたのか。最初、私はイノシシもびっくりの大雪のせいかと思っておりましたが、小矢部方面から来たということで、義仲・巴の大河ドラマ化がなかなか進まない状況に火牛が怒ってイノシシを追い立てたせいだという人も少なからずおられました。ぜひとも火牛の心を静めるためにも、大河ドラマ化を強力に進めていただきたいとまずはお願いするものであります。  このようにイノシシは、市域、県域を越えて、農作物被害だけでなくあらゆる被害をもたらしますことから、県西部連携中枢都市圏の今後の取り組みとして、イノシシ被害対策に注力していくこととなっております。県東部では、黒部、魚津市が中心となってイノシシの解体、加工、販売までの一体的な処理施設を新設していく運びにありますが、県西部においても捕獲からジビエ加工販売までのマッチングを向上させるためのジビエカーの導入や、中間処理機能を有した拠点を設けるような対策を進めるべきと考えますが、県西部圏域への支援を県としてどのように取り組むのか、芝田農林水産部長にお伺いいたします。 10 芝田農林水産部長 捕獲したイノシシの有効活用につきましては、県では安全な獣肉の流通を図るため平成24年にガイドラインを作成いたしまして、これまで県内4つの獣肉処理施設の整備に対し支援をするとともに、イノシシ肉の消費拡大に向けましてイベントでのPR、あるいは試食、ジビエフェアの開催といったことなどの取り組みを推進してきております。  委員御提案のジビエカー等の中間処理機能につきましては、現地で迅速な1次処理が可能になりますので、利用の促進につながる有効な方法であると考えられます。  ただ、課題といたしまして、解体技術を有する人材と管理運営主体を確保することが必要であるということ、それから、購入費用がジビエカー、非常に高額であって2,000万円以上するということで、採算性を確保するためには一定の処理頭数が必要であるということ。それから販売先の確保という面で、2次処理を行う食肉処理施設、できれば複数の食肉処理施設との連携が必要であること、こういったことなどの課題があるということでございまして、まずはこういったことにつきまして呉西圏域6市で十分議論していただくことが必要であろうかと思っております。  県では新年度捕獲いたしましたイノシシの有効活用を推進するため、市や町あるいは関係団体から成ります富山県ジビエ研究会、仮称でございますが、これを設置いたしまして、捕獲から処理加工及び流通までのさまざまな課題に対応する連携体制を強化することとしております。  現在、県東部におきまして、黒部市と魚津市が中心になって獣肉処理加工施設の来年度設置に向けまして検討が進められておりますけれども、今後県西部においても中間処理機能を持つ設備も含めました供給体制の整備が検討される場合には、県としても国の事業の活用などによる支援などを検討してまいりたいと考えております。 11 川島委員 ジビエカー、高いということでありますが、2,500万円ぐらいであります。東京ガールズコレクション、3,000万円。考え方いろいろありますが、知事、ぜひ農水部への予算拡充もお願いをいたします。  続いて、呉西圏域活性化に欠かせないのが広域的な公共交通基盤の構築であります。中枢都市圏事業においても見込み予算を大幅に組んで、その力の入れようが伝わるところでありますが、広域的な公共交通ネットワークを充実していくために県としてどのように支援していくのか、蔵堀局長にお伺いいたします。 12 蔵堀観光・交通・地域振興局長 呉西圏域の活性化のためには、新幹線の新高岡駅及び高岡駅を核といたしました鉄軌道網の利便性向上ですとか、利用促進を図りまして公共交通ネットワークを充実していくことが重要だと思っております。  このために、まず新幹線の新高岡駅につきましては新高岡駅を起点とした周遊観光の促進などを図りまして、利用者の確保、増加に努め、新幹線の臨時かがやきの増便、あるいは停車などが実現するように引き続きJRや国に対して働きかけをしていくことといたしております。  また、あいの風とやま鉄道につきましては、高岡以西の利便性向上のために、開業時に増便などを行ってきております。また、あした17日でございますけれども、高岡やぶなみ駅が開業いたします。この開業に合わせまして、石動駅始発の列車を新設するなど、さらなる利便性の向上に取り組むこととしております。  それから、城端線、氷見線でございますけれども、こちらにつきましては新幹線開業に合わせまして城端線の新高岡駅を設置いたしましたが、これに対して支援をしてきております。また、城端・氷見線活性化推進協議会にも参画いたしまして、城端線の増便試行なども支援してきているところでございます。  さらには、万葉線につきましては、低床車両の導入ですとか、安全設備の更新、それからドラえもんトラムなどの車両のラッピングにも支援して、その活性化に努めていくことといたしております。  また、バスなどにつきましても生活路線バスに加えまして、世界遺産バスや、わくライナーなどを支援いたしますとともに、新年度ではバスの乗り継ぎ情報の大手検索サイトを活用した提供、バス位置情報システムの導入促進などにも努めていきたいと考えております。  今後とも交通事業者、それから市町村の方と連携いたしまして、圏域活性化の基盤となります公共交通ネットワークの維持、充実にしっかりと取り組んでまいります。 13 川島委員 飛越能交流圏を見据えた県の力強い取り組みをぜひとも加速させていただきますようお願いをいたします。合わせて鉄路においてですが、強い要望が出されておりますあいの風鉄道のバリアフリー化されていない駅、これについてもしっかりと、やはりいろいろ国の考え方が変わってきておるところでありますので、ぜひともエレベーター、バリアフリー化を進めていただきたいと思います。  次に企業誘致であります。企業誘致については、申すまでもなく各自治体が躍起になって進めてきた施策でありまして、移住定住、雇用創出、税収拡大等に直結する取り組みとして誰もが認めるところであろうかと思います。であるからこそ、各自治体が独自のプランでさまざまな特色や特典をつけて企業にアプローチされるのだろうと考えております。そのような状況の中で、このたび、呉西圏域としてスクラムを組んで企業誘致に当たっていくことは、よく言えば互いの長所を生かして相乗効果が出るといえますが、悪く言えば互いの足を引っ張ることにならないかとも邪推するのであります。そうならないために、県は指導力を発揮して相乗効果が得られるように積極的に支援していくべきと考えますが、伍嶋商工労働部長の所見をお伺いいたします。 14 伍嶋商工労働部長 本県への企業誘致に当たりましてはこれまでも県と市町村が緊密に連携しながら個別企業への訪問や、三大都市圏での企業立地セミナーの開催などの誘致活動を行うとともに、企業立地助成金を初めといたします助成及び融資制度の活用や、立地予定先の環境整備などへの支援を行ってきております。  また、首都圏等からの誘致をさらに推し進めるため昨年9月に呉西圏域の各市が主催者となりまして、首都圏の企業を対象として開催されたとやま呉西圏域ビジネス交流交換会がありますけれども、これには県も共催者として積極的に協力するとともに、企業アンケートや訪問活動で協働するなど、圏域の企業誘致施策とも十分に連携を図ってきております。  企業誘致アドバイザー等につきましては3大都市圏での企業誘致活動についてはこれまでも活動拠点となります首都圏本部や、あるいは大阪、名古屋の本県事務所と県及び市町村の担当部署が連携をいたしまして随時必要な情報の収集や提供を行っております。  さらに有望な企業の誘致を着実に推進するため、各地の県人会とも連携しながら行っておりまして、具体的に申し上げますと、これまでも県人会の人脈などを活用いたしまして、該当企業の情報提供を受けるなど実質的なアドバイザーの役割も果たしていただいていると、こういったこともありまして、今後とも県人会とも連携しながら業界団体を初め、金融機関や業界紙等からの効果的な情報収集を得て、今後も市町村と共同で企業訪問を行いたいと考えております。  企業誘致は委員からも御紹介がありましたが、企業ニーズを的確に把握して用地の確保を初めとする環境整備や支援策を迅速に提供していくということが非常に大事でありまして、今後とも県人会との連携はもとより、県と市町村が一体となりまして相乗効果を高める形で企業誘致活動に積極的に取り組んでまいります。 15 川島委員 既に3大都市圏県人会とも緊密な連携をされておられるということでありますが、この際、企業誘致を効果的に推進するために、例えば3大都市圏の県人会に企業誘致アドバイザーをしっかりと設置して、県と市連携で活用を図ってはと提案するところであります。  ぜひとも一体的な企業誘致施策の展開をお願いいたします。  この項、最後の質問ですが、デザイン力を活用した本県の発展を担うクリエイティブ・デザイン・ハブは昨年11月に高岡市にオープンしたわけでありますが、国内外から非常に注目を浴びていると聞いております。世界のデザイン集積の地が本県、県西部から発信され、新たなデザイン開発を通じたものづくりが次々に生まれてくる効果は幾ばくのものかと大いに期待するものでありますが、企業の入居状況も踏まえて、今後どのような取り組みを進めていくのか、石井知事にお願いいたします。 16 石井知事 県の総合デザインセンターに開所しましたクリエイティブ・デザイン・ハブへの入居企業につきましては、県内を代表しますアルミ建材メーカーデザイン開発によってさまざまな商品開発に実績を持ってらっしゃる三協立山を初め、大手自動車メーカーの試作モデルを手がける日南のグループ会社であるウイン・ディーさん、日南は本社が神奈川県です。また、伝統的な木工技術を活用して新たなインテリア商品の開発を目指す県内の建具メーカーや、デザイン企画分野コンサルタント企業など、さまざまな業種の県内企業4社に入居または入居を決定いただいておりまして、さらに入居に関心、意欲を持つ企業も少なくありませんで、そう遠くない将来に、おっと思うようなところも入ってくるのではないかと期待をいたしております。  今後、こうした入居企業のニーズを踏まえまして、先端技術とデザインの融合による新事業の創出や、新商品の開発に取り組みますために、県内外のデザイナーや専門家に参画していただいてデザイン企画から試作開発、販路開拓までの事業化プランの策定を支援するということにしております。予算措置もしているわけであります。  さらに新年度に全国に先駆けてバーチャルリアリティー技術を導入したVR/AR検証施設(仮称)を整備いたしまして、これは4億7,000万円ですから相当な事業費ですけれども、デザイン開発プロセスにおけるコスト削減を実現しましてスピーディーな製品開発に取り組むことにいたしております。  また、入居企業のプロジェクトや、伝統工芸から先端分野までの多様なデザインを融合した商品開発事例を紹介する企画展、とやまデザインコンシャス2018(仮称)を開催するほか、首都圏のデザイン系大学と県内企業とのワークショップを開催しますなど、総合デザインセンター一帯を総合的なデザイン交流ゾーンとして全国に発信することにしております。  ちなみに、県内、こうした取り組みをしておりまして、例えば、首都圏等のデザイン系大学の学生さんが県内の企業に就職するという例も随分増えてきております。  今後、入居企業と県内ものづくり企業との連携を進めまして、デザイン開発を通じた新事業の創出や新たな商品開発につながりますように、また、それが県西部地域ひいては富山県全体の発展につながるように頑張ってまいります。 17 川島委員 非常に順調に進んでおるようでありまして、たくましい、すばらしい企業が多く集積して新しい価値を創造して、そしてUIJターンにもつながっていく、そういう流れなのだろうと思います。  冒頭質問いたしましたアニメ、漫画の世界もデザインとものづくりの固まりでありまして、ジャパニメーションとの連携、コラボという観点も捉えていただきまして、そして伝統工芸、この菅笠もそうでありますが、その分野とデザインとの融合を大いに進めていただき、本県の新たな価値の創造に尽力いただきますようお願いを申し上げます。  平成30年豪雪を教訓とした雪に強い富山県づくりについて、6項目にわたり質問してまいります。  年明けの大雪がうそのように雪1つなくなりまして、春を感じるきょうこのごろとなっておりますが、「富山県はめっぽう雪に弱い」、これが冬が明けて残念ながら私が感じた印象であります。38、56豪雪、近年では平成18年の豪雪、10年、15年に必ず一度は起こる豪雪災害に対して、我々はまだまだやるべきことがあると再認識させられた本年の豪雪災害でありました。  まず、突然の豪雪によって会社に出勤することができなかった県民がかなりの数おられたものと、SNSの投稿を見るにつけて捉えることができました。  県庁職員はどうだったのか。しっかりと検証していくためにも、まず1点目として、今回の豪雪で交通の断絶等によって県職員の登庁が困難なケースが想定されますが、県庁において業務の支障などどの程度発生したのか、滝経営管理部長にお答え願います。 18 滝経営管理部長 今回の大雪では鉄道などの公共交通機関に運休、遅延が生じましたほか、大きな道路渋滞も発生したこともありまして、職員の一部は勤務時間の開始時刻までに登庁できなかったということでございます。  このような災害等の原因として出勤がおくれた場合には、災害等出動困難休暇という特別休暇を申請できることとされております。この特別休暇の取得の状況を御報告申し上げますと、知事部局では特に雪のひどかった1月12日は全職員の約18%、2月6日は全職員の約11%がこの特別休暇を取得しております。  一方で、1月12日は特別休暇取得者のうち約9割が、2月6日は約7割が午後の勤務開始時刻までに出勤できた。すなわち、午前中に出勤できたということでございます。  加えて、勤務時間どおりに登庁できた職員と携帯電話等を使って必要に応じて連絡を取り合ったことなどもございまして、具体的に業務に支障があったという報告は聞いてございません。  なお、特に雪が多かった県西部の職員にお聞きいたしますと、何とか新高岡駅までたどり着けば、そこからほぼ定時刻で運行しておりました北陸新幹線を利用して富山市内まで移動することができたという職員もかなり多いと伺っておりまして、ここにも雪に強い北陸新幹線の開業効果が及んでいると承知をしております。  今後とも緊急連絡網など連絡体制ですとか、業務スケジュール等の情報の共有化などを初めといたします、いわゆる危機管理体制の再確認を各所属に対して徹底いたしまして、災害により交通が混乱したような場合でも災害対応などを初めといたします業務に支障が生じないように努めてまいりたいと考えております。 19 川島委員 北陸新幹線のおかげで業務に支障がなかったと、こういうところにも新幹線の効果が出ているのかなと、ありがたい限りであります。  しかし、やはり県民のよりどころである県庁職員の危機管理体制を強化していくということは大事でありまして、登庁が困難なケースにどのように対処していくかという危機管理をさらに強化していくべきと考えますので、御検討いただきたいと思います。  豪雪災害だけでなく、今回の交通断絶、滞留は、地震災害においても同様な状況が想定されると考えますので、県庁職員の危機管理体制、しっかり再構築していただきたいと思います。  私の地元では、消雪設備のある公営バス路線道路が散水されずにスクールバスが運行できず、やむなく小学校が休校になってしまう事案が発生いたしました。基本的には消雪設備のある県道、市道含めて、道路除雪区分に入っていないわけでありますが、地下水の管理も含めこれが弱過ぎるために重要路線下で公営バスや緊急車両も通行できない状況が生まれるわけであります。これは大問題でありまして、対策として消雪設備がある道路であってもその路線の重要度も鑑みて設備が十分に機能しない場合など、一定のルールのもとで早急に除雪車を出動させることができるように検討すべきと考えますが、加藤土木部長の所見をお願いいたします。 20 加藤土木部長 今冬につきましては強い寒波の影響で氷点下の日が続く、あるいはその激しい降雪が連続ということで、消雪施設の能力を上回る場合もございましたことに加えまして、地下水位の低下などで散水が不良となりまして、一部の道路では消雪施設の効果が十分に発揮されず、路面に雪が残るというような状況になったこともございました。  県ではこれまでも除雪計画におきまして、このような事態が発生した場合に備えまして、消雪施設が設置されている路線においても除雪作業が可能となりますようにあらかじめ除雪機械を割り当てておりまして、パトロール、あるいは住民の方々などからの情報提供によりまして消雪施設のふぐあいを把握した場合には状況に応じて機械による除雪作業を実施しているというところであります。  しかし、今冬の場合は大雪となりましたので、通常の機械除雪に時間がかかり、こういった箇所の対応に少し時間を要したということもあったのかなと思っております。  それで、消雪施設の稼働状況などの情報をリアルタイムで把握できるようにするということが大切でございますので、今現在、消雪施設集中管理システムの整備を県下全域で進めておりまして、一部既に運用を開始しておるところでございます。  県といたしましては、こういったシステムを活用いたしまして消雪施設のふぐあいを的確に把握した上で、通行の支障となるような路面状況の場合には委託先の共同企業体等に対しまして速やかに機械除雪を開始するように指示するなど、対応に努めていきたいと考えておるところでございます。 21 川島委員 そのシステムを導入、活用いただきまして、ぜひとも豪雪時緊急重要路線という、もう1つの網かけみたいなものをぜひ考えていただきまして、緊急車両やバスがとまらないようお願いしたいと思います。雪に強い富山県の公共交通基盤をしっかり実現していくために、本事案を教訓にしていただきまして来年の冬に備えていただきますようお願いをいたします。  消雪設備の集中的な散水によって地下水の低下があったと考えられますが、地下水位の観測データ等を踏まえ、今後、冬期間における地下水の保全やその適正利用について、県としてどのように取り組むのか磯部生活環境文化部長にお願いいたします。 22 磯部生活環境文化部長 御指摘どおり、ことしの冬は消雪設備の影響と考えられます地下水位の大幅な低下が見られました。  県が水位をリアルタイムで監視しております観測井では、例えば富山市で通常よりも最大15メートル、高岡市では最大13メートルとこの30年間でも最低のレベルとなる状況でございました。  その結果、井戸水が出ないなどの苦情ですとか、道路消雪設備の一時的な停止などが生じたところでございます。  県では、これまで冬期間の水位低下対策としまして、適正な散水量での消雪や、節水型の消雪設備の導入の促進、くみ上げ設備の立ち入り調査、あるいはリーフレットやホームページなどで節水の呼びかけなどを行ってきておりますが、年々増加する消雪設備の実態を踏まえまして一層の取り組みが必要であると考えております。  このため今年度改定を進めてまいりました地下水指針では、新たに冬期間の取水障害を防止するための指標といいまして、注意喚起水位というものを定めることとしております。  この注意喚起水位とは平成28年度までの取水障害の発生状況などを踏まえまして定められました水位を下回った場合、富山市、高岡市内の地下水条例指定地域におきまして道路管理者、消雪設備管理者や工場などへ情報提供いたしますとともに、節水協力の要請を行うものであります。  来年度は関係機関と協議いたしまして、具体的な連絡、連携体制づくりを推し進めることとしておりまして、今後とも市町村や関係機関、団体とも連携しながら地下水の保全や適正利用の推進にしっかり取り組んでまいります。 23 川島委員 ぜひとも豪雪時にも耐え得る地下水の安定管理、これ、磯部部長におかれましてはしっかり置き土産にしていただきまして、新しいスタートを切っていただきたいなと思います。  今回の豪雪で私が一番雪に弱いと感じた部分が、ライフラインの確保についてであります。  福井県の国道8号における車の滞留が3日間も続いたことで世の注目は福井県に集中しましたが、その一方で本県ではライフラインである水と電気がとまってしまうという最悪の事故に見舞われました。ライフラインの断絶という点では、今回の豪雪被害で一番甚大な被害を受けたのが富山県であっただろうと認識をしております。これをしっかりと教訓としていくために順次質問していきます。  まずは水道であります。低気温による水道管の破損が相次ぎ、大規模な断水に至る事例が氷見市で発生しましたが、原因をどのように捉え、今後県として市町村と連携してどのような対策につなげていくのか、前田厚生部長にお伺いいたします。 24 前田厚生部長 去る1月下旬の大雪や寒波では北陸地方を中心に屋外の給水管の凍結、破損による漏水事故が多発いたしまして、漏水の影響により配水池の水位が低下をし、大規模な断水に至る事例が氷見市などでも発生したところであります。  氷見市の断水は1月28日に発生し、2月4日までに復旧をいたしましたが、今回の断水被害では特に空き家での給水管等の凍結、破損による漏水対応に時間を要したことが報告されたため、水道事業者に対しまして空き家など水道の使用を中止している家屋での止水栓の閉栓や、水抜きの実施等を徹底するよう通知したところであり、今後市町村の水道担当課長会議等におきまして応急給水や応急復旧などの活動時の水道事業者、日本水道協会や厚生労働省等との連携や応援について再確認を行うこととしております。  今後とも水道事業者に対しまして、具体的、実践的な危機管理対策マニュアルの作成や、マニュアルに基づきます訓練の定期的な実施を助言するなど、関係機関と連携し、断水被害対策を図ってまいります。 25 川島委員 空き家も年々増加してきておりますので、緊密に市町村と連携を図って対策を強化していただきますよう、よろしくお願いいたします。  委員長、資料の配付とパネル資料の掲示の許可をお願いいたします。 26 五十嵐委員長 許可いたします。 27 川島委員 この資料は、北陸電力高岡支社さんの協力をいただきまして、高岡支社管内、呉西6市になりますが、今回の豪雪による停電被害の状況を、一番被害の大きかった高岡市福岡町周辺の中山間地域を抜粋して提示したものであります。  資料にありますように、雪の重みで倒木が発生し、高圧線を電柱ごとなぎ倒している様子がわかると思います。  4つの小さな集落の中で、6カ所もの配電線断絶事故が起こっております。なぎ倒された電柱が県道を塞いでいる様子もおわかりかと思います。  被害としては、一時最大で1,300戸の家庭が停電になり、30時間以上、3日間にわたって電気がない孤立状態が発生いたしました。想像してほしいのですが、あの大寒波の中、3日間、電気のない生活に身を置かれたら、死人が出てもおかしくない状況だったかと思います。  なぜ、このような事態に陥ったのか、しっかり検証を図って対策を講じなければ、いずれ大事故につながるのだろうと思います。現場の状況を聞きますと、倒木により除雪車が進入できず、配電復旧車両も入ることができなかった、大幅な現場到着遅延につながったと聞いております。一度復旧させた電柱に再度違う倒木が直撃するといった、同時多発的な倒木被害も復旧作業の大幅遅延につながったものと捉えております。
     そこで質問ですが、道路上への多数の倒木が出たために除雪車が入れず、除雪困難な箇所が生じ、電力などライフラインの復旧にも時間を要したわけでありますが、今回の状況も踏まえ、円滑な除雪のための速やかな倒木処理や、今回の倒木を踏まえた伐木処理など予防対策を県として進めるべきと考えますが、加藤土木部長の所見をお伺いいたします。 28 加藤土木部長 今冬のたび重なります寒波等によりまして県西部の山間部を中心に多くの箇所で倒木がございまして、県道を塞いだということであります。  今ほど委員のほうからお話ございましたように、高岡市福岡町の山間地域では、県道2路線、県道小野上渡線、そしてまた県道福岡宮島峡公園線でございますけれども、通行止めを余儀なくされたということであります。幸いにして迂回路となります県道がございましたことから孤立となるような集落の発生というのは免れたわけでございますけれども、こういった通行止めを早期に解除できますように地元建設企業等に委託をいたしまして、倒木処理、そしてまた除雪作業等を行ったわけでございますが、今ほどありましたように、倒木が配電線を切断した箇所では電線の管理者によります電線復旧作業をあわせて実施するという必要がございましたので、なかなか通行止めの解除までは時間がかかったという状況でございます。  県におきましては毎年降雪前に道路管理者だけでなく、電線管理者さんを含めます関係機関と各種会議を開催して、災害発生した場合の連絡体制などについて確認を行っているわけでございますけれども、今冬の通行止めの状況なども踏まえまして、迅速にその復旧作業を行うための連携方法等につきまして、改めまして電線管理者さんなどとも協議していきたいと思っておるところでございます。  また、委員のほうからありました倒木の予防対策でございますけれども、民有地の樹木については降雪前の時点では通行に支障がないというような状況であり、なかなかこういった段階で伐採していただくというのは難しい面もございます。しかしながら、やっぱり道路パトロール等におきまして倒木の可能性のある枯れ木などを確認できた場合には、その樹木の所有者に対しまして必要に応じて伐採、剪定をお願いしていきたいと考えておるところでございます。  また、地域として今後どのような取り組みを進めばいいのか、その地域の状況に詳しい地元の市町村、あるいは地域の皆さんの御意見も聞きながら適切に対応を進めていきたいと思っております。 29 川島委員 北陸、石川、福井においてはあまりこういうケースが見られなかったということであります。何らかの方法をしておるのかとも思いますし、北陸電力さんによりますと、当然点検はしておられるのですが、やっぱり枝打ちぐらいが関の山で、ただ、倒木になりそうな木は把握できるということであります。ぜひ、そこらへん連携していただきまして、地権者との対応もありますが、この資料ナンバーワンで先ほどお示ししました倒木危険箇所というものは、私が目視した限りでも多数存在しておりますので、ぜひとも県と森林組合、そして電気事業者と連携を図って、総点検と迅速な対策を図っていただきたいと要望いたしたいと思います。  地域防災計画雪害編においても、ライフライン施設等の応急対策がうたわれておりますので、今回の豪雪被害で判明したライフラインの脆弱性、それを総点検し、民間事業者や市町村とも緊密な連携を図って今後の対策につなげてほしいと考えますが、山本総合政策局長にその対応の課題について所見を伺いいたします。 30 山本総合政策局長 県におきましては本格的な降雪期を迎える前の11月下旬、行政やライフライン、公共機関などの関係者によります雪害対策連絡会議、道路除雪対策協議会などを開催いたしまして、交通の確保や生活関連施設の対策を確認し、情報共有するなど大雪に対する備えを進めてきたところでございます。  しかし、御指摘がありましたように繰り返しになりますけれども、ことしは一晩で50センチを超えるような降雪があり、また、氷点下の日が3日も続くことによりまして、凍った雪を取り除く作業におくれが生じたということ、あるいは指摘がありました給水管の凍結、破損による漏水、断水で、特に空き家での漏水対策に時間を要したこと、あるいは、これも指摘がありましたが、山間地等において倒木によって除雪困難な箇所、停電が発生しまして、応急復旧に不測の時間を要したこと等がありますし、さらに近年の暖冬の傾向のために雪対策についてなれがあった可能性もあるというようなこともございまして、県民の生活に大きな影響が及んだと考えております。  この冬の課題につきましては、ライフライン関係者において今後検証を進めていただくようお願いしますとともに、県におきましても市町村、あるいはライフライン関係者の方々から御意見をお伺いし、さらには県民と連携協力しまして、危機管理意識を持ってしっかり取り組んでまいりたいと思います。 31 川島委員 今回の豪雪をよき教訓として、県民総ぐるみの一層の対策強化に向けて地域防災計画雪害編や、県国土強靱化地域計画及びアクションプランの見直しを行う必要があると考えますが、石井知事の見解をお願いいたします。 32 石井知事 富山県ではこれまでも総合雪対策条例に基づいて毎年実施計画をつくって充実させる、また、高齢者世帯に除雪支援、空き家対策に取り組みまして、おっしゃるように県の地域防災計画雪害編でもさまざまな取り組みを期しまして進めております。  また、県の国土強靱化地域計画においても、除排雪活動の支援、雪崩対策、道路の雪寒対策等々進めてきておるわけであります。  それなりに頑張ってきたと思うのですが、ことしの大雪は昭和38年の豪雪にも匹敵する降雪がありまして、県としても改めて危機管理意識を持ってしっかり対応する必要がある。特にお話に出た1月12日は翌日が大学入試センター試験の日でありましたから、危機管理連絡会議を開催しまして、私も出席して、大雪に対する対策をしっかりやろうと、また、その後も大雪等に関する連絡課長会議を2回開催しまして、出先も含めて大雪に対する備えに万全を期してきたつもりでございます。大学入試センター試験については、おかげでうまく円滑だったというようなお礼を富山大学や県立大学からもいただいたこともありました。  ただ、今委員が大変いろいろと御指摘ありましたように、確かに県民生活にいろんな面で大きな影響が及んでおりますから、改めて雪対策の重要性を再認識したところでありまして、この冬の課題については今後速やかに検証作業を進めますとともに、国土強靱化のアクションプランを必要に応じて見直しますなど、また、例えば、総合雪対策については毎年総合雪対策推進会議というのを11月ごろに開いておりますが、ことしはその開催時期を早めて、私も出席しましてしっかりと取り組んでいきたい。  なお、今般の組織改正で総合政策局に危機管理監を設置したこともございますので、必要な事項があれば適切な機会に危機管理監も参画して総合雪対策基本計画とか、県の地域防災計画雪害編、また県の国土強靱化地域計画を見直して反映させるということについても検討させていただきます。  今後も市町村や、また、ライフラインの関係機関とか、また、県民の皆さんと連携協力して、しっかりと取り組んでまいります。 33 川島委員 知事のおかげで、私の長女も無事大学合格いたしました。お礼を言いたいと思います。  未来とやま、活力とやま、人づくりを実現していく根幹はやはり安心とやまの実現だと、これは知事も共感いただいておるところと思います。安心・安全があってこそ幸せな社会生活、発展的な経済活動が営めるんだろうと確信いたしますので、しっかり対策を図っていただくようお願いいたします。  続けて知事にお伺いしますが、県が新しく設置する、県防災・危機管理センター(仮称)の役割は大いに期待されるものであります。平成33年の供用開始に向けてはさまざまな角度から本センターの機能を議論し、安心・安全日本一の富山県につながるようなセンターにしてほしいと思っております。  例えば、センターの平時の際の活用として、自主防災組織の研修を行うだけでなく、災害時のライフライン確保のためにドローンやロボット等の最先端技術の研究や研修を行う恒常的な防災危機管理研究、研修拠点のような機能を持つなど、平時から「備えよ常に」の体制を強化していくべきと考えますが、日本ボーイスカウト富山県連盟長でもある石井知事に、センターや専任の危機管理監設置の意義も踏まえてお伺いをいたします。 34 石井知事 今回雪対策についてもいろいろとやはりしっかり取り組まなきゃいかんということを痛感いたしましたし、危機管理監も今回は常勤ということで、兼務ではなくて専任ということで置いたわけであります。  今回整備します富山県防災・危機管理センター(仮称)につきましては、非常時に備えて常設の災害対策本部室や政府の現地災害対策本部室のほか、自衛隊、警察、消防、知事会、他県などの防災関係機関等が活動する場合の受援のための部屋を設けますとともに、平常時にはお話のように自主防災組織等の研修を行う施設としても活用することにしておりまして、新たに設置する専任の危機管理監を中心に平常時から非常時でも一元的に迅速かつ的確に対応できる体制を構築したいと思います。  また、災害時のライフライン確保などの防災対応のための最新技術の研修、今委員から御提案ございましたが、これまで、広域消防防災センターにおいて、これは多分全国で最初ぐらいだと思うのですが、消防学校にドローンを配置して、操作、運用訓練なども行ってまいっておりますほか、そこには地下水没訓練スペース、実火災訓練室、潜水プールなど、最新の施設を活用した救助訓練等も実施しております。  今後もドローンなどを初めとして、いろんな新たな技術を積極的に取り入れたいと考えておりますので、県庁舎のスペースが限られておりますから今回、防災・危機管理センター(仮称)を整備したいと考えたわけでありまして、この広域消防防災センターともうまく連携して、役割分担しながら効率的な研修を実施したいと思います。  また、この点について、やはり専門家の御意見というのも大事ですから、兵庫にいらっしゃる室崎教授、全国的にも著名な方ですが、こういった方々を初め外部の専門家の御意見も伺って、防災・危機管理センター(仮称)の基本計画を策定する中で、富山県の危機管理体制がさらなる充実が図られますように、また、委員おっしゃるように、やっぱり安全・安心というのが一番大事ですから、全ての基本でありますので、これについてはしっかりと取り組んでまいります。 35 川島委員 はい、知事、前向きな答弁ありがとうございました。  少し時間がありますので、最後に、今議会においてもさまざまな角度から質問、意見があったかと思います。ストレスもたまるころであろうかなと思います。いい新年度を迎えられるために我がまちが誇る映画監督、滝田洋二郎監督の北の3部作「北の桜守」が今月10日から上映されております。ぜひ、いい泣ける映画ということでありますので、しっかり泣いていただきまして、ストレスを流していただきまして、新年度を新しく迎えられるよう祈念しまして私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。 36 五十嵐委員長 川島委員の質疑は以上で終了しました。        奥野詠子委員の質疑及び答弁 37 五十嵐委員長 奥野委員。あなたの持ち時間は60分であります。 38 奥野委員 今月1日、これまで議論を深めてきた性犯罪や性暴力の被害に遭った方を支援する性暴力被害ワンストップ支援センターが開設をされました。  開設初日から既に相談があったとも伺っておりますが、開設以降の実績とその反響について知事の所見を伺います。 39 石井知事 今月1日に開設した、性暴力被害ワンストップ支援センターとやまですけれども、専門的な知識、経験を有する助産師を責任者として配置しまして24時間365日電話相談に対応する。また、医療費等の公費負担を行うなど、質の高いサービスを提供することにしております。  委員お尋ねのこのセンターの実績ですけれども、14日夕方までの2週間で59件の相談に対応したということでありまして、個別相談の内容については相談者のプライバシー等もありますから控えさせていただきますが、深刻な性暴力被害についての相談が寄せられて法的支援にかかわる関係機関と連携して支援を行ったケースも既に出ていると聞いております。  また、相談者からは性暴力被害に特化した支援センターに期待する声も寄せられておりまして、残念ながら被害に遭われたような方、また、その御家族については1人で悩まずにぜひ御相談をいただきたいと思っております。  県としましては、まずは県民の皆さんにワンストップとやまの存在を知っていただきたいと思っておりまして、県広報等を活用する、新聞、ラジオ、ホームページ、リーフレット、また、どうしても事案の性格上未成年の方が多い、潜在化しやすいなどの特性がありますから、電話番号やQRコード等を記載した案内カードの配布、また、鉄道の駅や公共機関の女性用のトイレなどに掲示をいたしまして、支援を必要とする方に情報が伝わるように工夫をいたしております。  また、先月27日にはこのワンストップとやまの開設に向けまして、県と県医師会と県弁護士会等との間で性暴力被害者の支援に関する協定を締結したところでありまして、来年度は今年度支援員養成研修を受けた支援員に対するスキルアップ研修、また、2次被害を防止するために適切な対応が求められる医師や教員等に対する研修等を連携して実施したいと考えております。  今後とも関係機関と連携協力しながら、被害者をしっかりと支援してまいります。 40 奥野委員 開設に当たっては多くのマスコミにも取り上げていただいたことで、被害に遭って苦しんでいる方や、長い間相談することができずに悩んでいた方にセンターの存在が届いたのだと思っております。  また、県においては、場所が非公開という配慮に加えて、広報の仕方も限られる中これだけの相談件数があったということは大きな成果だ思いますし、また、知事の答弁の中にはありませんでしたが、この相談件数のおよそ半分が夜間であったというようなことも伺っております。夜の相談件数の多さというものを鑑みても、やはり24時間365日体制を決断いただいた知事には改めて感謝と敬意を申し上げたいと思います。  また、開設に至るまで担当課の山崎課長を初め専門看護師の木村さんや民間支援団体の方々など、準備に携わった多くの方々の御労苦にも感謝を申し上げたいと思います。  スタートを切ったばかりのセンターでありますが、誰もが安心して相談できる場所として定着するように注視していきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いをいたします。  次に社会的養護について伺います。  社会的養護とは、保護者のいない児童や保護者に監護されること──これは監督、保護されること──が適当でない児童を公的責任で社会的に養育し保護するとともに養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うことであります。  例えば、保護者が家庭で育てられない理由がある場合や、保護者から何らかの虐待を受けている児童を乳児院や児童養護施設で養育し、保護者への助言や指導を行うことなどもこれに含まれるわけであります。  このような子供たちは全国でおよそ4万5,000人、県内でも今年2月1日現在で125人が乳児院や児童養護施設で生活をしております。  平成28年6月に公布された児童福祉法等の一部を改正する法律では、これまで不明確だった児童の権利が明確化され、児童を中心に位置づけた上で、国民、保護者、そして国や地方公共団体が支える形で、その福祉が保障されることになりました。  この社会的養護を考える上で、県の果たすべき役割と社会的養護を必要とする子供たちが自己肯定感を持って社会へと自立していくことの重要性について、まずは知事の所見を伺います。 41 石井知事 委員からお話がございましたように、社会的養護を必要とする子供たちが社会へと自立するために支援を行うことは大変重要だと思います。  平成28年の児童福祉法等の改正で、子供が権利の主体であることが明確になりまして、また、全ての子供が健全に育成されるように児童虐待の発生予防から自立支援までの総合的な対策の強化を図ることとされました。  また、この法律で都道府県の責務が明確化されまして、市町村に対する必要な助言や適切な援助を行うとともに、一時保護や施設入所措置など専門的な知識や技術を要する支援、また、各市町村の区域を越えた広域的対応が必要な業務を適切に行うこととされまして、児童相談所には専門職の配置等による体制強化、里親の開拓から委託児童の自立支援までの一貫した里親支援等を実施することにされております。  そこで、県はこれまでも児童相談所の児童福祉司等を増員しますなど、相談支援体制を強化してまいりました。ここ3年ほどでも平成23年に2人増やし、29年に3人増やし、また30年に新たに3人増やして、今25名体制となっております。  また、里親支援機関等による里親制度の普及啓発、また、里親に対する研修の実施等を行っておりまして、こうしたことの結果、里親委託率は10年前の平成18年度は5.6%で、全国平均よりむしろ下回っていたのですが、平成28年度には17.2ポイント増加して22.8%、全国平均が18.3%ですから、むしろ富山県のほうが高くなっている。それなりの成果が出てきているなと思います。  新年度はさらに児童相談所の児童福祉司を増員して、相談体制のさらなる強化を図りますほか、新たに児童虐待対策や里親制度に対する理解を促進するための普及啓発事業に取り組むことにいたしております。  委員おっしゃるように、社会的養護を必要とする子供たちは自己肯定感や主体性を失っているお子さんが多い、そこで、安心感のある場所で大切にされる体験を提供し、自己肯定感を育んでひとりの人間として生きていく基本的な力を育む養育を行うこと等を通じまして、将来の自立生活能力を高めていく必要があると思っておりまして、県としては引き続き児童の自立に向けた支援にしっかり取り組んでまいります。 42 奥野委員 知事からも今ほどいろいろ答弁をいただきました。その中身について、順を追って議論をしていきたいと思います。  改正児童福祉法第3条の2では、地方公共団体の責務として3つのことが定められております。  家庭において心身ともに健やかに養育されるよう保護者を支援すること。  家庭で養育されることが適当でない場合には、家庭における養育環境と同様の養育環境において継続的に養育されるよう必要な措置を講じること。  家庭及び家庭と同様の養育環境が適当でない場合には、児童ができる限り良好な家庭的環境において養育されるよう必要な措置を講じること。  つまり保護者への支援をしても家庭で養育されることが適当でない場合には、里親や養子縁組で養育されるべきということでありますし、それも難しい場合には、できる限り小規模化を進めるなどした家庭的な環境に近づけた施設で養育されるべきとの方針が明確化されたということであります。  厚労省からは、特に就学前の子供については里親か養子縁組での養育が原則との通知もされております。  社会的養護を必要とする子供たちの本県の現状と課題について、改めて厚生部長に伺います。 43 前田厚生部長 県では平成28年3月に策定いたしました富山県家庭的養護推進計画に基づきまして、社会的養護を必要とする子供への家庭的養護の充実に努めております。  本県における施設入所や里親委託等、いわゆる社会的養護が必要な児童数ですが、平成28年度末で149人となっておりまして、10年前の平成18年度の213人と比較いたしますと約3割減少していることとなります。  また、人口10万人当たりで見ますと平成28年で14.0人ということになりまして、これ、全国が28.2人という数字でございますので、全国よりは低いという状況にございます。  入所等の状況といたしましては、乳児院や児童養護施設に入所している児童数は平成28年度末で115人でありまして、10年前の平成18年度の201人から約4割の減となっております。  また、里親等に委託をされている児童数は平成28年度末で34人、平成18年度の12人から約3倍という形になります。  また、里親委託率でありますが、児童相談所や里親支援機関による普及啓発、丁寧なマッチング等を実施してきたことによりまして、先ほど知事から御答弁申し上げましたが、平成28年度末で22.8%という形で全国平均を上回っている状況にございます。  今後の課題といたしましては、里親委託率につきましては2029年度までにその委託の割合を3分の1、33%とする目標を掲げておりまして、県民の皆様に里親制度への理解を深めていただくとともに、里親の新規開拓や里親家庭の養育支援等をさらに推進してまいります。 44 奥野委員 就学前の子供は、原則、里親か養子縁組で養育すべきとされたところであります。  今ほども知事や厚生部長から、本県の里親等の委託率について御答弁があったところであります。22.8%というのは全国平均をやや上回っておりますし、この富山県内、10年間でこの率は大幅に伸びてはいるわけでありますが、原則、里親や養子縁組での養育とするためにはさらなる取り組みが必要だというふうに思います。  日本の社会的養護の現状は、そもそも里親や養子縁組ではなく、施設に預けられる子供たちが大半であります。特に乳児院から児童養護施設に移行した子供たちは、施設生活が長期化するという指摘もされておりまして、現に私が交流している子の中にも15年以上を施設で過ごしている子がいます。  子供たちの成長につれてそれまでの子供たちの経験から育てにくさが顕著になったり、里親などとの関係構築が難しくなるといったような報告もなされております。  まずは、愛着形成にも重要な時期であり、関係構築が成されやすい乳幼児期に里親のもとで養育されるよう集中的に取り組むべきと考えますが、里親や養子縁組での養育推進にどのように取り組むのか、厚生部長に伺います。 45 前田厚生部長 子供の成長、福祉保護にとりまして、家族を基本とした家庭で養育されることは最も自然な環境でありまして、実の親による養育が困難な場合は特定の大人との愛着関係を築くことができる里親による養育等を推進することは大変重要であると考えております。  委員御指摘のとおり、特に新生児、乳幼児時期は安定した家族の関係の中で愛着の基礎をつくり、今後の人格形成に多大な影響を与える時期でもありますから、長期的に実親の養育を望めない場合などにおきましては子供が安心できる温かく安定した家庭で養育されることが大切であります。  県では、養育が必要な乳児が入所しております県立乳児院の管理運営と、里親制度の普及啓発や里親養育の相談支援を行います里親支援機関事業を日本赤十字社の富山県支部に合わせて委託をしておりまして、乳幼児の養育についての豊富な経験と里親支援に関する専門的な対応能力による相乗効果によりまして、乳幼児や里親への総合的な支援を実施しているところであります。  乳児院を退所した後、里親委託等に移行した実績は昨年度4件、本年度は年度の変動がございましてゼロ件ということでありますが、今後さらに里親委託を進めるために里親の確保や質の向上が重要でありますので、児童相談所や里親支援機関等と一層緊密に連携しまして普及啓発や、子供の発達や健康管理のポイント等乳幼児に関する内容を含めました里親に対する研修等にしっかりと取り組んでまいります。 46 奥野委員 里親などへの委託率について、全国の状況を見てみますと新潟市が全国で最も高く51.1%、半分以上が里親等の委託をしているということであります。続いて、静岡市の45.5%となっております。この富山県も過去10年の伸び率という話、先ほど知事からも御答弁いただきましたが、特にこの静岡市においてはこの10年で27ポイント以上増加しているということでありまして、里親委託等のコーディネートを請け負っているNPO法人の活動も非常に注目をされているところであります。  厚生部長の話にもありましたが、県の既存の計画でも里親などでの養育の割合をまずは3分の1にまで高めるというふうになっておりますので、まずはこの目標達成を第一歩に、着実に取り組みを進めていただきたいと思います。  次に、児童養護施設の小規模化について伺います。  児童養護施設の種類には従来型の大規模な児童養護施設から、いわゆるグループホームで民間住宅などを活用する定員6人の地域小規模児童養護施設、このほかに本体の分園型といわれるような定員6人から8人の小規模グループケア、また、養育者の住居において定員五、六人で養育を行うファミリーホームなどがあります。  国は、できる限り良好な家庭的環境での養育を掲げておりますので、従来の大規模な児童養護施設から小規模な施設への転換を図る、こういう方針を打ち出しているわけであります。  県内の児童養護施設でも少しずつ小規模化へ向けての取り組みが進められていますが、いまだに定員が100人の大規模施設も存在しております。  子供が中心の施策を展開する上で、施設の小規模化にはもちろん賛成の立場でありますが、その一方で施設を小規模化すると職員配置の問題や職員の当直回数の増加が見込まれまして、施設側の負担が大きくなるのではというような懸念もしております。  また、県内の児童養護施設の入所者は定員の半数程度となっている上、公営と民間の両方が存在しておりまして、財政状況や運営状況などもそれぞれ異なっているわけであります。  今後、施設の小規模化を推進していくには定数の見直しも含めて、各施設の実情に合った支援が必要だと考えております。現場のニーズを捉えるためにも、現場に足を運んで官民の連携を強化すべきと考えますが、厚生部長の御所見を伺います。 47 前田厚生部長 里親による家庭的養護の重要性について、今ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、仮に施設で養護する場合でありましても、施設の小規模化を推進することにより、できる限り家庭的な環境での養育を提供することが重要であると考えております。  乳児院や児童養護施設が小規模化を推進するため施設整備を行った場合は、次世代育成対策施設整備交付金等で重点的な助成を受けられるということになっております。これを活用いたしまして、県内では1カ所で小規模グループケアが実施されているところでありまして、児童養護施設が3カ所でありますので、今3分の1進んだというところでございます。  ほかの施設におきましても、施設の老朽化に伴う改修がそろそろ必要ではないかという形でお聞きをしておりますので、こういった制度の周知を図りまして小規模化についてもあわせて御検討いただきたいと考えております。  また、施設の運営面につきましては、小規模グループケアを実施する場合は、人員配置、厚い場合でも一定の人件費の加算等の措置がございますので、こうした仕組みを活用いただいて施設入所児童ができる限り良好な家庭的環境で養育されるように小規模化を推進してまいりたいと考えております。 48 奥野委員 今ほど御答弁をいただいたように、例えば施設整備であったりすればその費用の4分の3を国と県が負担をするということになっておりますので、確かに事業者の負担は軽減されるわけでありますが、ただ、どのぐらいの規模をこれから保っていくべきかというような点につきましては、やはり十分な検討が必要だという話を伺っております。  先日、児童養護施設を運営している事業者の方とお会いして、そういう話をしてまいりました。  施設の中には、今ほど老朽化といったお話もありましたが、耐震強度不足を指摘されているような、そういう箇所もありまして、大幅な定員割れが続く中で改築をする際には、改築する施設の規模であったり、今後の支援の方向性について、これによって計画が大きく変わってくるだろうというようなお話もなされていらっしゃいました。そういう点について、県と相談したいんだというような切実な声も伺ってきたところであります。
     民間事業者においても安心して安定した事業に取り組めるように、県が主体となって現場を大切にしながら子供たちの環境整備に努めていただきたいと、このように思うわけであります。  従来の社会的養護の課題と将来像に基づいて策定された都道府県計画については、法改正を受けて去年8月にまとめられた新しい社会的養育ビジョンに基づいて、平成30年度末、来年度末までに見直すこととされております。  新たなビジョンには、親子での入所機能の創設などのメニューを充実させて親子分離しないケアの充実を図ることや、就学前の子供については、施設への新規措置入所を原則停止することなどが盛り込まれております。  加えて、平成32年度には全ての都道府県で里親の募集や研修、支援などを一貫して行う包括支援体制を構築するよう記載がされているところであります。  本県でも新たなビジョンに基づきまして計画の見直しに着手するべきと考えますが、見直しのスケジュールについて厚生部長に伺います。 49 前田厚生部長 委員から御紹介いただきましたが、国では改正児童福祉法の理念を具現化するために、厚生労働大臣のもとに設置をされました新たな社会的養育のあり方に対する検討会におきまして、昨年8月に新しい社会的養育ビジョンが取りまとめられたところであります。  このビジョンでは里親への包括的支援体制の抜本強化と里親制度改革、子供のニーズに応じた養育の提供と施設の抜本改革、社会的養護が必要な児童の自立支援などが求められておりまして、この実現に向けた工程の1つとしまして、都道府県が策定しております家庭的養護推進計画につきまして平成30年度末までに見直すこととされております。  しかしながら、このビジョンに対しましては都道府県計画の見直しについて国の財政支援のあり方を示した上で柔軟なスケジュールとすべき、里親委託率の目標率等につきまして全国一律ではなく都道府県の実情を踏まえるべきなど、さまざまな意見がございまして、現在、国におきまして都道府県や関係団体等からの意見を踏まえながら都道府県計画の実際の見直しに当たりましての考え方や留意点が改めて検討されているところでありまして、本年度内には見直し要領として示す予定とされてございます。  県としては、見直し要領で示される内容やスケジュール等を踏まえまして、富山県家庭的養護推進計画の見直しについて検討してまいりたいと考えております。 50 奥野委員 私も、現在、国で作成しているガイドライン、これについては今月末をめどにまとめられるということを聞いております。社会的養護については国の検討会でも立場によってさまざまな御意見もあると伺っております。  ただ、国のガイドラインがまとまれば本県の状況を踏まえて速やかに見直しに着手していただきたいと、このように思うわけでございます。  次に、自立支援について伺います。  社会的養護を必要とする子供たちの中でも、児童養護施設に入所している子供たちの進路について見てみますと、全国の児童養護施設の子供たちのうち、平成28年3月に高校を卒業した子供たち、27年度卒ですかね、この子供たちのデータを調べてみました。すると、大学等に進学した割合は12.4%、専門学校等への進学を合わせても24%にとどまっております。  一方、全高校卒業者の大学等への進学率を見ると、こちらのほうは52.2%、専門学校等への進学を合わせると74.1%でありますので、児童養護施設に入所している子供たちの進学率の低さというのは顕著であります。  本県の状況を見ますと、これは分母が非常に小さいので一概には言えないわけでありますが、私が把握している過去6年間のデータを見ますと、大学へ進学した子は1人もいませんでした。また、専門学校等への進学者についてもここ3年ぐらいでようやく3割程度にまで上昇してきたといったところでありまして、進学率ということについては全国の傾向と同様に低いということがわかります。  本県の児童養護施設に入所している子供たちの高等教育機関への進学率が低い理由について、どのように分析をしているのか厚生部長に伺います。 51 前田厚生部長 本県の児童養護施設入所児童の大学や専修学校等、高等教育機関への進学率ですが、御紹介いただきましたとおり、平成27年度では対象児童数、少ない数字ではありますが、33.3%ということになっておりまして、全国平均と比べるとやや高いのですが、全国の全ての高卒者で見ますと74.1%でありますので、低い状況にあるということでございます。  こういった児童養護施設入所児童の進学率が低い理由でありますが、国の児童養護施設運営ハンドブック等によりますと、社会的養護を必要とする子供たちは自己肯定感や主体性を失っている子供が多く、将来に希望を持ち目標を立てて努力していく力、エネルギーが不足をしているため、本来持っている能力を発揮できないまま低学力に甘んじている子供も少なくないという形でされております。  本県の児童養護施設におきましては、児童の年齢や能力に応じた学習支援を行っておりまして、学習指導員やボランティアによる学習支援の取り組みがなされているところであります。  また、財政措置といたしましては、児童入所施設措置費におきまして学習塾に係る経費、受験を目指す中学生の数に応じまして学習指導員に係る人件費分などの加算措置を講じておりまして、施設に対しましてこうした制度の活用を促してきているところであります。  児童がみずから希望する進路に進むことは大切でありまして、高校卒業後の進学についてもできる限り支援できるよう、児童養護施設等の学習支援の取り組みを支援してまいります。 52 奥野委員 もちろん私も、高校卒業してすぐに就職すること自体を否定するつもりはないわけでありまして、例えば、下積みが必要な職業で、手に職をつけるために早くから現場に入りたいと、こういうような展望を持って進学よりも就職の道を選ぶ子供たち、こういう子はしっかり応援すべきだと思っておりますが、ただ、今、厚生部長からの御答弁にもあったように、支援を受けている子供たちが夢や希望を抱けないまま、もしくはそういうものを諦めたりして自身のキャリア形成について十分に考えることなく目先の自立、例えば施設を出てすぐにひとり暮らしがしたいとか、こういうようなものを優先しているのだとすると、それは養育という本来の目的を果たし切れていないと、このように思うわけであります。  私もいろいろ施設にいる子供たちと話をしていても、やっぱり施設から早く出て、自分でお金を稼ぐことが自立なんだというような、こういう思いを持っている子が非常に多いわけであります。ですので、まずは新年度からは必要とあれば原則22歳になるまで施設にて支援が受けられるというような新事業も始まるわけであります。  また、今ほど部長から答弁があったように、もしいろんな道を模索したい、進学をしたい、勉強したいという子たちには、国のほうでもさまざま手厚い、経済的な支援のメニューというのが用意されておりますので、恐らく問題はやはり今おっしゃったような自己肯定感であったり、将来展望が描けるかどうかと、こういうところにかかっていると思います。ですので、例えば、いろんな国の経済的支援のメニューがあるんだよということを県でしっかりと提示していただいた上で、その子の可能性をどうやって広げていくかということについてソフト面でもぜひ積極的に支援をしていただきたいと思っております。  新たな社会的養育ビジョンでは、平成30年度までに社会的養護経験者の実態把握を行うとともに、自立支援ガイドラインを作成して自治体による自立支援計画を策定するなど、包括的な制度的枠組みの構築や自立支援の方策を具体化するための検討の場を設けることとしております。  子供を中心に位置づけた施策を展開するためには、本県においても一刻も早く社会的養護経験者の実態把握を行い、本県の現状に応じた支援策を検討すべきと考えますが、これは知事の所見を伺います。 53 石井知事 国においては、今お話があったとおり、新しい社会的養育ビジョンを踏まえまして、自治体で行う自立支援に関するガイドラインの策定、自立支援計画の策定、実施過程の当事者参画に関するモデル事業の実施、また、施設における退所者支援や地域の生活支援の強化方策の検討が行われますとともに、この検討の過程でお話がありましたとおり、平成30年度に社会的養護経験者の実態の把握などを行うとされております。  今回改めて国にも問い合わせもしましたが、まだ具体的な調査方法や内容が未定ということでありますけれども、こうした社会的養護経験者の実態把握をなるべく早く国もやっていただいて、国における組織の検討状況、さらに実施される実態調査の具体的な内容や実施方法、また、その調査結果などを見定める必要があると思います。その上で、国の調査結果に加えてさらに県独自で調査すべき事項があればそれは検討させていただこうと思います。  なお、県独自の実態調査をするかどうかにかかわらず、児童の自立支援に向けた取り組みを行うことは大切でありますから、これまでも施設等における児童の自立支援計画の策定を児童相談所が支援しておりますほか、児童養護施設退所者等に対する自立支援資金の貸し付け事業などを行ってきたところでありまして、新年度からは児童福祉法の支援対象である18歳を超えて措置解除となった施設入所児童等に対しても22歳まで施設入所等を継続して必要な支援を行う、これは国の補助制度もありますので、こういったものも実施することにしております。  お話のように県としましてはこうしたいろんな応援する仕組みがあるということも児童にもしっかり伝わるようにして、そして、児童が将来に希望や夢を持てる、そして自立支援をしていく、こういったことにつながりますようにしっかり取り組んでいきたいと思っております。 54 奥野委員 まずは国の動向を伺うというようなことでありますが、社会的養護を受けている子供たちというのは、私たちが想像する以上にさまざまな思いを抱きながら成長しているのだろうというふうに思います。  例えば、首都圏か地方かといったようなことや、時代背景などによっても子供たちの置かれている環境というのは異なるだろうと想定されますし、子供たちへの支援施策は、これは机上ではなくて常に実態を把握することで実行力のある施策が展開できるのだと思います。ですので、私は実態把握ということに関しては、国がやるかやらないかは別として、しっかりと取り組まなくてはならない実効性のある施策を打ち出すためには、これは必ず必要になると思っております。  しかも、県内、こういう施設については、例えば施設で育った子を対象とするならば、乳児院は1カ所しかないわけでありますし、児童養護施設も3カ所しかないわけであります。とても国の手法と大規模な調査をするためにどんな方法がとられるかというようなことを検討するまでもなく、非常に手の届く範囲、もしくはここに入所している子供たちの数にしても、ここしばらくは100人強、150人前後で推移をしているわけでありまして、私はそんなに難しい話ではないと思います。ですので、もちろん国の調査の方向性や、項目といったことも重要ではありますけれども、本県の現状を踏まえて、本県の子供たちに何が必要なのかということをしっかりと把握してもらうように、これは速やかに実行に移していただくように要請をいたします。  次に、都市農業と都市計画について伺います。  平成27年4月に都市農業振興基本法が制定をされ、それに基づき、平成28年5月には都市農業振興基本計画が閣議決定をされました。  この都市農業振興基本計画では、市街化区域内農地、いわゆる都市農地の位置づけを宅地化すべきものから、都市にあるべきものへと大転換がなされています。  この国の方針の大転換をもとに質問をしていきます。  まずは農業政策の観点から、都市農業の必要性について農林水産部長に伺います。 55 芝田農林水産部長 都市農業振興基本法第3条に規定されている都市農業の基本理念によれば、都市農業の機能としては国土、環境の保全、防災、良好な景観の形成などに加えまして、都市住民への地元産の新鮮な農産物の供給、都市農業を営む者と都市住民、あるいは都市住民相互の交流の場、農業に対する理解醸成など、農業政策上の観点からも多様な機能を果たしているとされております。  本県におきましては、市街化区域内農地は約900ヘクタール余り存在いたしますけれども、市街地と農業振興地域が比較的近い距離にございますので、都市農業につきましては大都市圏ほどではないと思いますけれども、やはり農産物の供給や都市住民との交流の場などとして一定の機能を果たしていると認識しておりまして、今後ともこれらの機能が適切に発揮されるべきものと考えております。 56 奥野委員 市街化区域内農地の保全に関しては、一定期間耕作を続けることを条件に税制措置が受けられる生産緑地制度があります。  市街化区域内の農地には、宅地並みの固定資産税と都市計画税が課せられることで、農業としての採算性をとることはもはや不可能であります。また、多面的機能支払い交付金など、国の農業関係の補助制度の多くはこの市街化区域内農地では利用することができません。  市街化区域内の農地は宅地への転用が容易で、高度成長期のように宅地需要が見込まれた時代では、市街化調整区域との制限、このバランスが取れていたと思いますが、人口減少時代では宅地の需要も減り、逆に不公平感が強まってきております。  国はその不公平感の緩和や都市農地の、今、部長に御答弁いただいたような都市農地の必要性から生産緑地制度を行政にとっても、農家にとっても利用しやすいようにたび重なる要件緩和措置を行ってきておりますが、本県では制度の活用事例がありません。  その理由について、どのように分析をしているのか農林水産部長に伺います。 57 芝田農林水産部長 県内におきまして、生産緑地法に基づく生産緑地制度の対象となる地域は都市計画法上の市街化区域を有する富山市、高岡市、射水市の3市であります。  これまで生産緑地地区の設定を行っていない理由につきまして、先月、3市に聞き取り調査を行いましたところ、高岡市及び射水市では地域から生産緑地の指定を求める要望がないということでございます。また、富山市では一部の地域から都市農業基本法や生産緑地制度につきまして問い合わせがあったものの、具体的な要望は聞いていないということでございました。  生産緑地に指定されますと地区内の農地の固定資産税に関する優遇措置など、農業者へのメリットはあるものの現行では30年の営農継続が条件となっておりまして、そうしたことが制度の活用されない主な理由ではないかというふうに考えております。  一方で、昨年の制度改正等で生産緑地の指定に係る免責要件の緩和ですとか、設置可能施設の追加などが行われましたことから、これらも含めて対象3市と連携協力して制度の周知を図ってまいりたいというふうに考えております。 58 奥野委員 まず、今、部長が御答弁いただきました耕作について30年の規制がかかっているというふうにおっしゃいましたが、この制度は詳しくは30年の規制かもしくは主たる従事者が死亡するまでというものであります。ですので、これ、非常に30年という言葉ばかりがひとり歩きするわけですが、例えば、主たる従事者が御高齢の方の場合であっても、私、今から30年できんわというようなことを、今の部長の答弁を聞いていると、そういうふうに誤解をされる方がいらっしゃるかと思うのですが、そうではなくて、その方が自分の代はとにかく農業をしようと、息子の代になったらどうするかそのときまた考えるけれども自分の代は農業だと思っている方であれば、別に5年であっても10年であってもこの制度は使えるわけであります。ですので、そういう正しい制度の周知というのも必要だろうと思っておりますし、また、3市について要望がないといったような回答もあったと伺いましたが、この制度が誕生したときには実質大都市圏を対象とした制度であったと伺っております。ただ、近年は全国の市街化区域内においてその必要性が高まっているにもかかわらず、これは大都市圏の制度なんだというようなイメージが依然払拭されていないというのも1つの要因かと私は捉えております。  しかも、今ほども部長からはいろいろ緩和をされてきた経緯であったり、緩和について要件を御紹介いただいたわけですが、今後、みずからが営農を行わずとも農地を貸し出した場合でも税制措置が受けられるようになるといった、こういう改正も行われる予定でありまして、この生産緑地に関する議論というのは国のほうでも現在進行形で行われております。ですので、こういう制度がどんどん変わっている、把握しにくい、しかもこの3市に要望がないということがありますが、こうやってどんどん変わっていっている制度については、農業者がその制度の改正をいち早く捉えてどんどん要望していくというのはあまり現実的ではないと思います。ここは、私は行政主導の部分ではないかと思います。  国が、都市農地を都市にあるべきものとして、都市農業を都市の重要な産業と位置づけたことで、都市農業のあり方というのは大きく変わります。本県の主な農業振興政策というのは、農業振興地域であったり、中山間地域にて展開をされてきました。これについては、こっちが富山県の場合大多数でありますので、それでよかったのだと思いますが、これからは都市農地の保全も国の方針が変わったわけでありますので、視野に入れていく必要があると考えます。  主要な農業振興策に加えて、都市農業の保全と活用についても、農業・農村振興計画に位置づけて、国の方針が変わったことをわかりやすく示して施策展開してはどうかと考えますが、農林水産部長の所見を伺います。 59 芝田農林水産部長 県の新たな農業・農村振興計画につきましては、現在総合計画にあわせまして見直しを行っている最中でございますが、その中では、将来にわたり発展する競争力の高い農業と、豊かで美しい農村の実現を基本目標といたしまして、その実現のために競争力ある農産物の生産、農業経営の高度化、複合化、あるいは農産物のブランド力向上といったことなどを基本施策といたしまして取り組みを進める方向で検討しておるところでございます。  今、委員のほうからもありましたけれども、基本的にはこうしたことは農業振興地域を中心とした施策の展開ということを想定しておるところでございます。  一方で、都市農業は農業振興地域外のエリアで行われることから、現状では国の生産振興や担い手育成に係る各種事業の対象にならないなど、農業振興地域で行われる農業とはやや異なる部分があるのではないかと考えております。  ただ、都市農業は先ほども申し上げましたけれども、農業政策の観点からも多面的な機能を有しておりますので、新たな県の農業・農村振興計画におきましては、都市農業振興基本法の趣旨に鑑み、その機能が将来にわたって適切に発揮されますように都市農業の振興についても新たに記載することとしております。  今後とも国などからの情報収集、あるいは市町村との情報の共有を図りまして、制度が知られていないという実態もございますので、制度の周知などに努めてまいります。 60 奥野委員 そのように県の計画にも項目を盛り込んでいただいたり、位置づけていただければ、例えばそれを見た市町村の施策でも、この都市農地の保全というのは大都市圏の話だけではないのだなと、この富山県でも該当する地域があるといったようなことや、富山県でもこういうような現状に置かれている農家の方たちがいらっしゃるということを改めて認識していただくこともできると思いますし、そうなれば、市町村の農業振興策についても施策の幅が生まれると思います。ぜひとも、今ほど御答弁いただいたように、この都市農地の保全の位置づけ、お願いをしたいと思っております。  次に、都市政策の観点からこの問題を考えたいと思います。  都市農地の位置づけの大転換を受けて、都市政策の観点から都市農地の必要性について、土木部長に伺います。 61 加藤土木部長 平成28年5月に定められました都市農業振興基本計画におきましては、市街地及びその周辺農地の機能として3つ上げております。  まず、1つ目には災害時における延焼の防止、あるいは地震時における避難場所、仮設住宅建設用地等のための防災空間としての防災機能。2つ目には、緑地空間あるいは水辺空間を提供して、都市住民の生活に安らぎや潤いをもたらす良好な景観の形成の機能。3つ目といたしましては、都市の緑として雨水の貯留浸透、地下水の涵養、生物態様性の保全等に資する国土・環境保全の機能ということで多様なものがあると。これらの機能が発揮されることに期待が高まっているとされておるところでございます。  本県におきましても近年の人口減少あるいは高齢化、ゆとりや潤いを求めるというライフスタイルということもございますので、市街地及びその周辺農地については、都市政策の観点からも一定の役割を担っているというふうに理解しております。 62 奥野委員 今ほど部長から、例えば防災の観点であるとか、こういうような点についても認識をされているということでありました。  宅地化が急激に進んだ地域というのは、例えば雨水排水にも課題を抱えていて、非常に水がつきやすくなっている、こういうところもあります。  また、宅地化をどんどん進めていけば道路や水道や、今申し上げたような浸水対策、こういうものにも新たなインフラ整備をしなくてはならない、こういう必要性も生まれてくるわけでありまして、そういった観点からも、都市農地、一定程度保全していくということは全体の都市計画の観点からも、私は必要だろうと思っております。  先ほど申し上げたような農業の観点の需要であったり、必要性であったりと、この都市政策の観点からの必要性であったりと、こういうような関係部局で多様な問題や課題があり、必要性があるということをまずは共有していただきたいと思うわけであります。  次に、新年度から都市計画法及び建築基準法の改正によりまして、住居系用途地域の1つとして新たに田園住居地域が創設をされました。  ここまで議論してきた都市農地が、都市にあるべきものへと転換されたことや、住宅需要の鎮静化、また住居専用の用途地域には農業用施設などは原則として建てられないといったような状況だったことを踏まえて新設されたものであります。  市町村が今後、都市農地の保全のために、この田園住居地域の指定や先ほど触れた生産緑地制度を活用するということになったとしたら、考えたとしたら、県としてはどのように考えるのか、そのスタンスについて土木部長に伺いたいと思います。 63 加藤土木部長 生産緑地地区は市街化区域内の一定面積以上の農地におきまして良好な生活環境の確保に寄与する緑地機能を有し、かつ、将来、公園、緑地など公共施設等の敷地に適している農地を自治体が計画的に保全するということが必要と認めた場合に定めるということであります。  また、もう一方の田園居住地域でございますけれども、委員のほうから御紹介がございましたように、都市計画法の改正、これは平成30年4月に施行ということでありますが、農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護する地域として新たに創設されたものでございます。  この地域におきましては、住宅、老人ホーム、診療所など、あるいは農産物直売所などの農業用施設の建築が可能となっております。また、この地域内の農地につきましては、市街地環境を大きく改変するおそれがある一定規模以上の開発行為等は規制されるということになっておるところであります。  生産緑地地区あるいは田園居住地域につきましては、いずれも市町村が定める都市計画でございまして、まちづくりの主体でございます市町村において都市農地の持つ多様な機能、まちづくりにどういうふうに生かせるのかなどにつきまして、都市施策あるいは農業施策の観点から検討されると理解をしております。  県といたしましては、こういった制度の変更に伴いまして毎年国の動きなどをお伝えする担当者会議などの場を通す、あるいは国や他県から収集いたしました新たな情報を市町村さんに提供するなど、周知を図ってきたところでございまして、市町村から適用について相談があればしっかりと対応していきたいということを考えております。 64 奥野委員 確かに今ほど御答弁にあったように用途地域であったり、生産緑地の指定というのは県ではなくて市町村が担っております。しかしながら、広域都市計画を持つ以上、県の役割は全県的な視点で計画のフレームを示したり、国の方向性を市町村に伝えながら市町村が目指す取り組みをサポートする、こういうことだろうと考えております。  今後は本県でも人口が著しく減少していくわけであります。市街化区域内であっても農地を初め緑地として保全する、こういうめり張りをつけたまちづくりというのが求められるだろうと思っております。  あと、今ほど生産緑地の指定は将来公園等への転換が望ましい場所というようなこともありましたが、実際、新しくまた制度が改正されまして、自治体が公園として緑地として買い取るというだけでなく、さらに延長するという10年生産緑地を延長するというような、こういう取り組みもまた改正されてきていて、公園でなくて農地として保全していくのも緑地だというような考え方になってきているという点もあります。ですので、そういういろんな選択肢をしっかりと県のほうで示していただく、それをもとに市町村で方向性を立てていただく、こういうような流れかと思います。  さらに、県や市では今後も核家族化が進むことを前提に人口が減少しても宅地需要がまだ伸びると試算しておられます。ですので、先ほど御答弁があった、この3市、900ヘクタール余りの市街化区域内農地があるという話でしたが、この全てを住宅用地として開発することを前提にした計画になっています。  ただ、一方で新年度には県の空き家対策として新たに空き家をつくらないための対策事業も盛り込まれております。人口が減少する中で新たな住宅が建てば、将来的に空き家が増加するという、これは明白でありまして、長期的な展望と戦略を持って持続可能なまちづくりに努めていかなくてならないと思います。  県の都市計画区域マスタープランにもこの都市農地のあり方についてしっかり明記して、これからの時代に合ったまちづくりを推進すべきと考えますが、知事の所見を伺います。 65 石井知事 県では、都市計画区域ごとに都市計画区域マスタープランを改定しているわけですけれども、平成25年から28年にかけて委員も御承知だと思いますが、関係市からのいろんな御意見も踏まえて種々調整しながら改定をしたところでございます。  このマスタープランでは今後の人口減少、少子高齢化を見据えて拡散型の都市構造から集約型の都市構造へと転換して、都市機能の適正な集積や配置、無秩序な市街化の抑制、公共交通の活性化などに取り組む、快適で活力ある都市づくりを進めるということであります。  一方、国では今お話があったように、平成28年5月に法に基づく都市農業振興基本計画を閣議決定されておりまして、先ほどお話があったような点がありました。  都市計画区域マスタープランは、いろいろと関係市の意見調整も終えて平成28年に策定を終えたばかりでありますから、現時点で見直しを行うことは考えていないわけですけれども、次回見直しを行う際には今般、都市農業振興基本計画が閣議決定されて国としての新たな都市農地の位置づけが示されたことから、都市農地の多様な機能を考慮しまして、地域の事情や住民ニーズを踏まえて、関係市町村の意見もお聞きしながら検討を行いたい。  例えば、市街化区域、市町村によっても違うと思うのですが、ある市の中でも、ある地域については例えば公園緑地は十分に確保されているから、まあ、いいんじゃないか、あるいはこの地域は公園緑地も少ないし、ここは都市農地があってもいいなというような場合もあると思います。  いろんな議論、これは市町村からの御意見、地域住民のニーズも踏まえて検討を行っていくということではないかと思っております。 66 五十嵐委員長 奥野委員の質疑は以上で終了しました。  暫時休憩いたします。  午後の会議は1時に開会いたします。                     午後0時00分休憩        菅沢裕明委員の質疑及び答弁 67 筱岡副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  菅沢委員。あなたの持ち時間は60分であります。 68 菅沢委員 社民党・無所属議員会の菅沢でございます。知事並びに関係部長に質問をいたします。  最初に、委員長、資料の配付についてお願いいたします。 69 筱岡副委員長 許可します。
     〔事務局職員 資料配付〕 70 菅沢委員 最初にちょっと、時間の関係もあって論議はなかなかできないかもしれませんが、財務省の決裁文書改ざん問題について、知事にどのようにお考えになって受けとめていらっしゃるかお尋ねしたいと思います。  国政の中核を担うエリート官庁ともいわれる財務省の考えられないような決裁文書の改ざん問題が惹起いたしております。国権の最高機関である国会と国民を愚弄するものとして、また、民主主義の根幹を揺るがす言語道断の犯罪、と私は言わなければならないと思います。  県民の皆さんも、この15日に確定申告が終わっていますけれども、財務省の佐川前国税庁長官の長官起用について、安倍首相が適材適所としたことはあきれたものだという批判も多くあります。  これ、私のことじゃありませんよ、安倍首相のことでありますが、私や妻が国有地売却に関係していたということになれば、首相も国会議員もやめるとの国会答弁があったわけでありますが、この首相答弁が改ざんの始まりではないかという見方もあるわけであります。麻生財務大臣や安倍首相への厳しい批判が県民の中にもあるわけでありまして、私は政権全体の責任を問う声が日増しに強まっていると考えるわけであります。  この問題について、石井知事、私はぜひ知事に、石井隆一知事の政治家としての所見を伺いたい、このように思います。 71 石井知事 財務省が去る12日に明らかにされた決裁文書についての調査結果によりますと、昨年2月に森友学園への国有地売却に関する件が国会で取り上げられて以来、昨年2月下旬から4月にかけて、同省理財局において、計14件の決裁文書について書きかえが行われたということが確認されたとのことであります。  安倍総理はその12日中に会見を行われまして、行政全体の信頼を揺るがしかねない事態であり、行政の長として責任を痛感している。国民の皆様に深くおわび申し上げたい、また、国民の皆様から厳しい目が向けられていることを真摯に受けとめ、なぜこんなことが起きたのか全容を解明するため、調査を進めていく。麻生財務大臣にはその責任を果たしていただきたい。その上で、全てが明らかになった段階で、二度とこうしたことが起きることのないよう、信頼の回復に向けて、組織を立て直していくために全力を挙げて取り組んでもらいたい、という旨を述べられたところであります。  国などの諸活動や歴史的事実の記録であります公文書等は、公文書等の管理に関する法律にも定めておりますけれども、民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として利用されるものでありますから、これに鑑みますと、国民主権の理念にのっとって適正に管理されなければならないのは当然のことだと思います。  森友学園への国有地売却をめぐる問題は、かねてより国政の場で議論されてまいりましたが、今回の決裁文書の書きかえは、行政全体の信頼を揺るがしかねない事案であって、あってはならないことと考えております。  財務大臣の監督責任や政権全体の責任については、基本的には国政の場で議論されておりますので、知事としての見解は差し控えたいと思いますが、一般的には、まずは現在調査中の全容解明が最優先されるべきでありまして、当面はこれに向けた動きを見守りたいと考えておりますし、また、この機会に改めて、私も含めて職員一人一人が公正で適正な事務事業の執行に努めますとともに、引き続きオープンでわかりやすい県政の推進にしっかりと取り組んでまいります。 72 菅沢委員 知事が県政の執行、そして知事や県の職員、公務員としての姿勢、あり方にも触れられて見解を述べられたことは、非常に敬意を表したいと思います。お話全体は、政治家石井隆一さんというよりも、立派な公務員、官僚的なと言うと失礼かもしれませんが、答弁ではなかったかと思います。しかし、今、再度申し上げますが、県政の執行や県の職員の皆さんのあり方について触れていただいたのは非常によかったなと思っております。  さて、きょうの質問、次に入りたいと思います。  第2番目は、県の地震、津波などの対策についてであります。  きょうは7枚ほど資料を用意いたしておりますので、いろいろごらんをいただきたいと思いますが、適宜指摘もしてまいります。そこで、まず、資料の1、こういうのを配付させていただいておりますのでごらんください。  私は、この地震、津波に関する断層、活断層や弥陀ヶ原火山の位置について、マグニチュードなどの地震規模、さらには地震発生の確率──これは30年以内というようないろいろ発表はあるわけですが──などの情報を盛り込んだ総図、部分的ではなく総図を作成し、公表して県民に広く情報提供し、学校教育などの中で防災教育に活用できないかと考えております。総合政策局長の所見を伺いたいと思います。 73 山本総合政策局長 委員のお尋ねは、地震や津波など、自然災害に関する情報を県民にわかりやすく提供してはどうかと、そういうためのものをつくってはどうかという御指摘だと思っておりますが、県では昨年度、平成28年度に実施しました津波シミュレーション調査、これは海域の活断層の調査で、また、ことし、平成29年度に実施しました地震被害想定調査、内陸部の活断層の調査がございます。これを対象とした主要活断層などを示すとともに、地震、津波の基礎知識、避難行動、日ごろの備えといった県民の普及啓発活動のための冊子であります地震・津波防災読本というものを今月中に作成したいと考えております。  また、御指摘の弥陀ヶ原火山につきましても、現在火山防災協議会で、火山ハザードマップについて協議をしておるところでございまして、来年度以降、噴火警戒レベルや、立山町などが策定いたします避難計画、あるいは火山に関する情報を県民や観光客にわかりやすく示した火山防災マップ──これには避難場所、避難経路、火山の解説等を付加したものを想定しておりますけれども──についても協議することにしておるところでございます。  さきほど紹介しました地震・津波防災読本におきましては、委員は総図という話をされましたけど、私どもが今考えておるのは20ページほどの冊子でございまして、地震や津波の基礎知識を詳細に解説できて、対応の異なる避難行動をいろいろ盛り込めるというメリットもありますし、1つの図面でいろんなものを重ね合わせて記載した場合に、かえって個々のものが割とわかりにくくなるのではないかというような懸念もございますのでどうかなと思っています。  ただ、私たちとしましては、まずはこの地震・津波防災読本の活用を促進して、委員御指摘のように、防災教育などに活用したいと思っておりますが、自然災害に関する情報を県民にわかりやすく提供することが大切であるというのは同じ気持ちでございますので、今後とも、委員御指摘の総図のあり方等も含めまして、わかりやすい資料のつくり方等についていろいろ工夫をさせていただきたいと思っています。 74 菅沢委員 この資料1をごらんいただきたいと思いますが、この下のほうに富山県地域防災計画(地震・津波災害編)の改定案からということで最近取り上げております地震の断層帯、呉羽山から砺波平野西部、森本・富樫、邑智潟が載っております。この呉羽山断層帯の図をごらんください。これ、海に伸びている断層帯が削られています。こういう認識というか、ここを私、実は問題にしているわけです。正しく県民に知らせる、そういう基本姿勢。地震だけではなくて、津波の波源についても、富山湾から日本海海域に広がっている断層帯がありますけれども、それもあわせて載せると。  国の地震調査研究推進本部等が既にホームページ等に載せている、富山県に関係した地震だけでも13ありますけれども、こういったことも含めて、県が地震や津波の対策のために取り上げている内陸の断層帯、津波の波源になる海域の断層帯をしっかり載せる、その中に立山火山なんかも触れる。そういう形で、総図といいますか、トータルに正しく理解できるものを求めているわけです。  防災読本ができるようでありますが、この1枚は、私が調整したものですが、既にそれらの活断層、断層については、その諸元、パラメーターは、既に全て県もシミュレーション調査などをやっていますから、もう把握されているわけで、図面に落とそうと思えばしっかりできます。私はこれ、ちょっと書き込んだわけで、不正確な面があろうかと思いますが、ぜひ総図をわかりやすく大きくつくって、どこにでも掲示したりして県民に情報提供すると、教育の場でも活用することはできるのではないですか、局長、どうですか? 75 山本総合政策局長 委員みずからおつくりになった図面等を見させていただきました。そういうふうに、いろんなところにいろんな断層帯があって、要するに地震や津波の起源になるというところはどういうところにあるかというのを見るという意味では一覧性があってよろしいかと思いますが、その諸元なりいろんなデータを一緒にということになると、またいろんなデータもございます。だから、1枚にどこまで書き込めるかという問題もございますので、そういう委員の気持ちというのは、県民に正しく、わかりやすく伝えるということかと思いますので、それについて、あり方等については今後またいろいろ工夫させていただきたいと思っています。 76 菅沢委員 次に、この富山県の防災・危機管理センター(仮称)でございますが、これについて知事にお尋ねしたいと思います。  知事、私、この緊急性を持つ重点課題に緊急防災・減災事業債を活用する、有利な財源を活用しながら取り組むことをあなたが直ちに判断、決断されたことについて高く評価したいと思います。立派でした、本当にこの決断は。  本議会でも、代表質問、一般質問、この予特でも取り上げられておられますので、もう重ねてお尋ねすることはほとんどないのでありますけれども、あらためて設置の意義や目的をもっと明確に、危機対応能力の向上、地域防災力の向上に活用していくということもありましたが、それらの目的、意義を踏まえながら、もっと具体的な機能、そして、さらには具体的な整備方針をもう少しお尋ねしたいなと思っているわけです。いかがですか。 77 石井知事 富山県防災・危機管理センター(仮称)の整備は、大規模災害等が発生した場合に迅速に初動体制を構築して、速やかで的確な応急対応等を行うことができるようにするためのものでございます。  今、久しぶりにというか、御評価をいただきましたけれども、具体的な機能といたしましては、常設の災害対策本部室や、また、政府の現地災害対策本部室のほか、防災関係機関が活動する受援のための部屋を設けますなど、非常時の防災・危機管理機能に加えまして、平常時には地域防災力向上のための自主防災組織等の研修を行う機能をつくりたいと考えておるわけでございます。  また、規模や整備内容については、新年度基本計画等を策定する中で、専門家の御意見も伺いながら議論していきますので、現時点で事業費を示すことは難しいのですが、幸い交付税措置のある緊急防災・減災事業債などの有利な財源、これは、この間もお話ししましたように、平成32年度まで何とか延ばしてもらっておりますので、これを最大限活用して進めてまいりたいと思っております。  県としましては、ゲリラ豪雨や豪雪などの自然災害、また、北朝鮮による弾道ミサイルなどの危機管理事案が増加する中で、迅速かつ的確な災害対応等を可能とする県防災・危機管理センター(仮称)を早期に整備しますとともに、新たに専任の危機管理監を設置させていただきまして、この危機管理監を中心として、一元的に迅速かつ的確に対応できる防災危機管理体制を構築しまして、県民の皆さんに、こういうことなら安心だなと思っていただけるように万全を期してまいります。 78 菅沢委員 知事、もう1つ。私、あなたが議会答弁の中でも、現時点でという条件つきでしたでしょうか、県庁南別館の一部を解体して、あいたスペースにセンターを建設したいと。これも物すごくいい御判断だと思います。  現在、県庁南別館の1階はああいうピロティーみたいな、倉庫みたいになっていまして、4階まで事務所になっています。恐らくそれも残しながら、8階建てぐらいのものをお建てになる予定ではないかなと推察をいたします。8階建てでどうなのでしょうか。1階1,000平米ぐらいになるのでしょうか。そうしますと、恐らく県庁の事務に使うところは緊急防災・減災事業債の対象にはならないかもしれませんが、4階、5階、6階、7階、8階までは対象になるのかもしれません。1,000平米で、大体事業費も計算すれば出てくるのではないでしょうか。  近いところでは滋賀県の防災センターは、私は視察はしておりませんが、60億円ぐらいおよそかかったと聞いておりまして、富山県もそのへん、どうなのかなと。やはりここまで来たら、ことしは基本計画と基本設計をやるような予定のようでございますが、おおよその見通しを示すことが、県民も、おおっ、石井知事、本気でやる気だと、ますます評価が高くなるのではないかと私は思いますが、そのへんの見通しなどもきょうは出していただいていいのではないか、いかがですか。 79 石井知事 これから専門家の御意見を伺って基本計画をつくるということですから、具体的には申し上げにくいのですけれども、今、委員のお話にあった滋賀県の危機管理センターの場合は、鉄筋コンクリート造りで地上5階建て、延べ床面積約5,500平米ほどで、約60億円となっております。  富山県の場合には、今度一部解体してつくり直すとしても、そこに今まで必要だった事務棟もありますから、そのスペースもどう確保するかということもございますが、大体今、滋賀県の危機管理センターなども念頭に置いて考えていただく。そうなると、恐らく一般庁舎の部分はそういう有利な起債が対象になりませんけれども、交付税なども恐らくは十数億円ぐらいは期待できるのではないかと、こんなふうに思っておりまして、できるだけ県民の皆さんの負担を少なくして防災危機管理体制を強化したいということで努力、工夫していきますので御理解をいただきたいと思います。 80 菅沢委員 私は、熊本地震の視察で熊本県庁をお訪ねしたときに、熊本県の防災危機管理センターの整備状況や活動ぶり、活躍ぶりをじかにいろいろ見聞いたしまして、非常に感動的でした。熊本地震に対するあの悲惨な災害への思いと同時にそういうことを思ったわけです。  私ども会派としても、重点要望で平成30年度の予算要望をいたしまして、知事が本当に即決、即断というか、その中で、しかも危機対応能力の向上と同時に地域防災力の向上なども含めた研修機能も、そして、備蓄、それから受援体制の構築も含めてこのセンター機能の中で果たしていきたいという構想を示されたことを本当によかったなと思って、今、整備方針のそれなりの方向性もお聞きをして、ますます早く、平成30年度の基本設計から31年度の実施設計、平成32年度、33年度の工事、34年度の供用開始と積んでいるだろうと思っていますけれども、ぜひ着実に早期の完成を願いたいと、このように思います。  それでは、次に、経営管理部長にお尋ねしますが、平成30年度から専任の危機管理監が新設されます。防災危機管理機能が一層強化されることにつながっていくことで、非常にいい発想だし、この具体化は評価したいと思います。専任の危機管理監の掌握事項や課の体制、職員の配置などはどうなるのかお尋ねしたいと思います。 81 滝経営管理部長 県では、現在も危機管理監というポスト自体は設けておりまして、ただ、総合政策局長が兼務をしているという位置づけにしているわけでございます。  今回の組織改編に伴いまして、移住、定住を推進する部門を総合政策局に一元化するということに伴いまして、業務上どうしても総合政策局長が東京や大阪等に出張して県内から離れるという機会が増えるだろうということでございます。  これまでも総合政策局長が県外に出張する場合には、総合政策局の次長を危機管理監代理としておりましたので、そういった意味では必ず危機管理体制がとれるように体制は整えておったわけでございますけれども、そういった総合政策局の業務がさらに加わるということに加えまして、近年の地震災害、それから自然災害等が増加している、国民保護事案が増えているというようなこともありますので、やはりここは部長級の専任の危機管理監を配置するほうが、県民の安全・安心の確保にとってもよろしいだろうということで、今回設置したところでございます。  そういった意味で、危機管理監自体のポストは今までと同様に、その所掌事務につきましては危機管理の総括、各部局長との連絡調整、各部局の初動対応、応急対策等の総合調整、危機管理対策本部の設置運営、危機管理連絡会議の運営、危機管理マニュアルの作成などでございます。また、防災・危機管理センター(仮称)等の建設を円滑に進めるということも当面の重要な職務であると思っております。  直接の監督下にございます組織の体制でございますが、消防課につきましては10名の職員、それから防災・危機管理課には、防災・危機管理センター(仮称)等の設置がございますので、1名を増員いたしまして、計20名の配置を予定しているところでございます。引き続き緊急時に適切かつ迅速に対応できる組織となるように努めてまいりたいと考えております。 82 菅沢委員 しっかりやっていきましょう。  次の質問はちょっと、知事、難しく厳しいお話にもなろうかと思いますので。  皆さん、資料の2と3をごらんください。  まず、富山県は災害が少ない、大きな地震、津波の心配もなく安全な県という思いが、物すごく浸透しています。本当にこれでいいのかと。私、県のいろんな議会の会議もありますが、いろんなところで、県の職員の皆さん、知事さんから県の職員まで、県庁の中でもこのような発言をたまに耳にすることがあるものですから、大変いかがなものかと思ったりします。  私は、県のリスクマネジメント、危機管理の問題として、これでいいのかと。やはり安全神話からの脱却ということが、東日本大震災以降、福島原発のこともあっていわれています。知事さんは、いろんなところで想定外をなくすというような発言をなさっていらっしゃるわけで、これは極めて大事なことだと思っております。  東日本大震災から7年、日本各地で地震や噴火、熊本地震もありましたし、御嶽山の爆発から最近は新燃岳と、いろいろ続いております。日本列島は1,000年ぶりの大地変動の時代が始まっているという地球物理学者、専門家の警鐘もあるわけであります。  そういう中で、私は知事にお尋ねをするわけであります。地震や津波で最大のリスク、危険を不問にしたり、参考扱いを繰り返すようなことはしてはいけないということであります。その点で、私のこの資料2をごらんいただきたいわけです、知事。  これは、私が県の資料からちょっと苦心してつくったのですが、今、県の地震対策で取り上げております邑智潟断層帯は、平成30年の2月の公表、これは今の検討ですね。氷見、高岡、小矢部では呉羽山よりも被害が甚大でマグニチュード7.6、初めて取り上げられるようになりましたが、これは平成23年の県の地震対策のときは、石川県の断層として取り上げられなかったんです。ようやく、7年ぶりですね。ですからバツ、マル。砺波平野の断層帯も、今度はマルになりましたが、以前はシミュレーションをやったが、参考扱いです。ようやく7年ぶりに取り上げられるようになった。  以前から津波では申し上げてまいりました糸魚川沖の地震に連動する場合は参考扱いでした。これは、実はバツがマルになった。平成26年の国交省などの公表された断層帯として、糸魚川沖F41というのは糸魚川沖の連動と同じものと参考扱いだったのが、しっかり取り上げられるようになりました。それが、実は富山湾の西側の断層帯、一番下のTB1、TB2をごらんください。  これは、シミュレーションをやった結果、全県の沿岸域に他の断層帯を超える津波が短時間で来ると出たが、何でこれもまた参考扱いに。確かに国が公式に認めていない断層と、文科省が東大でこのことを公表した後、参考扱いでシミュレーションがあった。点、点、点と、しっかりと実線にしなかったのは、実はこのTB1、TB2の浸水想定、これはこの際の国交省と文科省の断層帯、先ほどの私の総図でごらんください。どういう断層か全部名前が出ておりますが、これを全部重ねたもので浸水想定をして、浸水では取り上げたのですが、津波の高さとか到達時間は依然として参考扱いですよ。  資料3をごらんください。資料3は、非常に重大なことを示していると私は思っています。  皆さん、参考扱いの富山湾西側の断層、TB1、TB2をごらんください。これは、県下の全市町村沿岸域に最大の水位の津波をもたらし、到達時間も呉羽山に劣らない速さでまいります。これは参考を外すべきです。参考を外して、浸水想定は重ねて取り上げたのですから、津波高も到達時間などもしっかり正式の対策に取り上げるべきです。こういうことも含めて、知事、私は県のリスクマネジメント、地震や津波に関係しての危機管理の中で、こうした不問に付したり参考扱いにするような取り上げ方はもう脱却しなきゃならんと、そういう時期に来ていると思ってこの質問を知事に投げかけるわけであります。いかがでしょうか。 83 石井知事 県の津波防災対策のために今実施した津波シミュレーション調査の対象とした断層については、県の防災会議の地震対策部会の専門員の御意見を踏まえまして、1つには津波防災地震地域づくり法に基づく対策の基礎となります津波浸水想定の設定に必要な調査の対象とする断層は、国として公式に検討し公表された糸魚川沖F41及び富山湾西側F45の断層並びに呉羽山断層としまして、また、東京大学の地震研が公表した日本海地震・津波調査プロジェクトの研究成果につきましては、現時点ではいまだ個別の調査研究であり、国として公式な評価等がなされないものと位置づけられていますけれども、県民の安全・安心のためには、念には念を入れまして、国の地震調査研究推進本部における長期評価の公表を待つことなく、防災上の観点から参考として調査を行ったものでございます。  ですから、この東大地震研の調査で、富山湾西側のTB1、TB2の連動、あるいは能登半島南東沖の断層TB3等々いろいろございますけれども、そうしたものは、まだ個別の調査研究だとされているわけであります。ただ、県民の安全・安心のためには、全く取り上げないのはいかがなものかということで、県としては努力をしまして、法律に基づく手続はできませんが、最新の科学的知見を最大限活用するという意味で、参考として調査を行ったものでございます。  なお、専門員の方々からも、国として公式な検討がないために、参考という位置づけで調査を行うことについては適当であると御意見をいただいております。参考とはいいましても、日本海地震・津波調査プロジェクトの断層も含めた津波浸水想定につきましては、お話のように、私もそう思いますが、専門委員からも、今回のシミュレーション結果は、想定外をいかになくすかという点でとても重要なものであるので、この結果を生かしてほしいという御意見もいただきましたので、避難場所や避難経路などを市町の地域防災計画に定めていただくために、沿岸市町や沿岸地域においてお住まいの住民の皆さんが避難場所などを具体的に検討される際に想定外ということがないように、県としては、日本海地震・津波調査プロジェクトの浸水想定ラインより外側に緊急避難場所等を指定しますなど、積極的に活用していただくように、沿岸の市や町に助言してきたところでございます。  ちなみに、近県ではこうした日本海地震・津波調査プロジェクトなどの独自に設定した断層による津波シミュレーション調査は実施されていないわけでして、むしろ富山県は非常に丁寧にやっていると、これをぜひ御理解いただきたいと思います。  今後、この日本海地震・津波調査プロジェクトの断層につきましては、国の地震調査研究推進本部において長期評価等がなされて、また、日本海における大規模地震に関する調査検討会において最大クラスの津波断層モデルとして位置づけられた際には、その評価結果に基づいて、津波防災地域づくり法に基づく津波浸水想定の設定の手続を進めることになりますので、県としては、これは菅沢委員さんにぜひ御理解いただきたいのですが、国の調査をただ待っているんじゃない、早くやってくれって毎年のように言っているわけです。ただ、国もいろんなところをやらなきゃいかんからもうちょっと待ってくれと、こう言っているわけで、何とかこの地震調査研究推進本部における長期評価の早期実施、公表について、これからも国にしっかりと働きかけてまいります。 84 菅沢委員 知事のお話は半分しかわからない。なぜかというと、浸水想定は確かに全てのシミュレーション、国交省のも、文科省、東大のも含めて7、8本のシミュレーション結果を全部合わせて、最高水位で浸水想定を設定すると、それはそれでいいですが、では、例えば入善でよく、これは入善の議会や新聞報道もありましたけれども、入善に来る津波は10メートルが最高だと、これは富山湾西側、F45の数字です。  参考では、つまり、富山湾西側の断層のTB1、TB2では、入善は11.5メートルです。しかも、到達時間も速いです。入善は10メートルが一番高いという発表です。ところが、11メートルが来るので、つまり、浸水の想定は重ねて最大を見たけれども、津波高は依然として参考だからこれを採用していません。市町村はそういう取り扱いです。参考ですから、津波の水位や到達時間はこれを採用しません。  そこの矛盾を、せっかく浸水想定をそういう高いので示しながら、津波の水位や到達時間は採用しないという矛盾です。これはぜひ、どうしても再検討が必要です。国がまだ認めていないなんてことは、想定外を強調される知事でしたら、国に要望はなさっていらっしゃるでしょうけれども、それは克服すべきです、もう。県民の安全の立場に立って、リスクマネジメント、危機管理を徹底する、そのことを強く求めたいと思うのですが、ちょっと時間がどんどん過ぎてまいります。知事、いかがですか、もう一回。 85 石井知事 私は、富山県のこの問題についての姿勢というのは、本当に想定外ということがないようにということで、念には念を入れていると思います。例えば、よく議論、以前菅沢委員がおっしゃいましたが、TB1、TB2とTB3の連動を考えなくていいのかとか、いろいろおっしゃっておりますけれども、こうした点も、県の防災計画の地震対策部会津波断層ワーキンググループで一連の議論がありましたが、実際にそれについて調査研究されている東大地震研の佐藤教授自身が、TB3の断層については断層があるかないか専門家の意見が分かれるだろうという御意見でしたし、また、活断層の取り扱いについて専門家の意見が分かれるのであれば、調査対象としないほうがいいのではないかという、これは京都大学の名誉教授の川崎専門員からそういう御意見もありましたけれども、専門家の意見が分かれても参考として調査対象とするという考え方もあるという竹内富山大学の教授の御意見があったために、防災上の観点からTB3を調査することになったわけであります。  しかし、TB1、TB2とTB3の連動については、TB1、TB2の断層はきちんと見えているのにTB3の断層が見えないというのは、TB3の存在も怪しいし、活動性も顕著ではないと。活動性が顕著ではないということは、動きが一緒ではないので、3つの断層が連動して動くと考えるのは評価を大きくし過ぎているという御意見、これは東大の地震研の佐藤教授の御意見で、皆さんそうだなということになりまして、県の防災会議地震対策部会の報告でも、TB1、TB2との3つの断層の連動については、今後さらに調査研究が進んで、国の地震調査研究推進本部等において連動が明らかにされた段階で改めて調査対象とすることが適当だという御報告をいただいておりますので、そうした3連動については今後の調査研究が進むのを待つということにしたわけでして、こういうふうに実に丁寧に議論しているので、私はどうして菅沢委員がこういう富山県の姿勢を評価されないのか本当に残念に思います。よろしくお願いします。 86 菅沢委員 知事、御丁寧に富山湾西側の断層について、文科省、東大で公表したものですけれども、私はTB1、TB2の連動を問題にして、今、参考になっているのを外してもらいたいと、せっかく浸水域については外したのですから、津波の水位や到達時間についても参考を外せば、それに基づいて市町村のハザードマップ、さまざまな津波対策が進むということを申し上げている。ここはどうも平行線。時間がないから先に進みます。  次に、今度の県の地震対策で、平成30年の2月に取り上げられている邑智潟断層についてです。  邑智潟断層帯について今回取り上げられたのですが、これはシミュレーション結果を見ても、氷見、高岡、小矢部等に甚大な被害、呉羽山を超える被害をもたらします。そこで、この邑智潟断層帯の特徴をどういうふうに県は把握をしているのか、認識をしているのか、この断層帯は、七尾市から羽咋市を経由してかほく市に至る四十数キロ、幅も20キロ近くであって、活断層は、地上には県境を越えた石川県側ですが、地下深く斜めに沈み込んでおって、地震の震源域は氷見、小矢部、高岡の地下だと、しかも海域にまで及んでいるという専門家の解析があるわけであります。  こうしたこの邑智潟断層帯の特徴を、さらには、私がきょう皆さんにお配りした資料4をごらんいただきたいのですが、富山湾西側の海底地下に、アスペリティ、地震を起こす弱面、固着域といいますけれども、このナンバー4の資料の上の図の緑色のところ、ここがアスペリティです。これは海域に存在しているわけで、ここが動くと津波を起こすという、これは専門家も指摘をしております。  実は、この邑智潟断層帯のシミュレーションに当たっては、津波のシミュレーションは行われませんでした。私は極めてこのシミュレーションは不完全だと思います。そういう意味では、総合政策局長は邑智潟断層帯のこういった問題をどのように認識し、地震対策をとられようとしているのかお聞きします。 87 山本総合政策局長 邑智潟断層帯の特徴でございますが、国の地震調査研究推進本部が公表しております震源断層を特定しました地震動予測地図、いわゆる震度分布図を見ますと、今、委員から少し紹介がありましたけれども、氷見、高岡、小矢部市のほとんどが震度7、震度6強の区域となっておりまして、その人的被害、建物被害は、県全体で見ますと呉羽山断層帯の被害量が最も大きくなっておりますけれども、呉西地域を捉えますと、こちらのほうが被害量が上回っているというのは御紹介のとおりでございます。  今回結果を公表しました被害想定調査の対象断層のうち、県全体で最も被害量の大きかった邑智潟断層帯のケース4、いわゆる内陸部に大きな揺れを引き起こす断層面があり、震源が海域にあるというケースでございますけれども、これを具体的に見ますと、氷見市、高岡市、小矢部市の3市で、人的被害のうち死者数は3,113人、全体の87.5%、建物被害のうち全壊は7万5,124棟で、全体の84.3%などとなっておりますほか、県防災会議地震対策部会におきましては、上下動の揺れ、あるいは地殻変動によりまして想定以上の被害が起こり得るという御意見もいただいております。  この断層帯でございますが、地震調査研究推進本部でありますとか、日本海における大規模地震に対する調査検討会におきましては、本県に最大クラスの津波を発生させる断層帯として取り扱われてはいないところでございます。本県ではF45とF41、それから呉羽山断層帯の3つが対象でございまして、平成27年度に津波シミュレーション調査について審議いただきました県防災会議の地震対策部会におきましても、この邑智潟については調査の対象とされていないところでございます。  また、昨年12月に県防災会議地震対策部会におきまして、専門委員会からでございますが、震源域が富山湾に存在している、これは委員御指摘のとおりでございますが、存在しておって、地殻変動による津波は発生するものの、小規模であるという御所見をいただいておりますので、今回津波による被害想定までは考えていないというところでございます。 88 菅沢委員 津波は全く関心を持たなくていいなんていう専門家の意見もありません。専門家はむしろ津波についても関心を持つべきだと。でかい津波の想定をちゃんとしているから、小さいやつは心配しなくてもいいという議論にはならないわけで、邑智潟の富山湾海域のアスペリティが動いて津波が来たとき、どの地震でどこが波源でどういう津波が来るのかということは、情報としては津波対策のかなめです。でかいやつの備えをしているから、小さいやつは──小さいかどうかわからんのですよ──考えなくてもいいなどという津波対策はあり得ません。そこの根本的なところについての認識が私と合わないのです。私が申し上げているのは、科学者がそういう見解を示しています。あんまり時間がないから、どこかでまたやりましょう。  それから、邑智潟断層帯による、これを震源とする地震の特徴は、いわゆる横ずれは、活断層は石川県側のほうに存在しています、地表に。そこで多分横ずれがあるかもしれませんが、氷見、高岡、小矢部はいわゆる逆断層で、つまり、逆断層ですと、地表にあらわれる震度、地震の形はかなり違います。  そうしますと、そういう地震に対するいわゆる耐震化の問題があるわけです。これも、そういう邑智潟の地震の特徴を踏まえた耐震化の考え方を打ち出さないと、相変わらずの富山県全体の72%の耐震化率を、5年、10年先には90%にして減災していきますという考え方しか示されていない。  ですから、私は、この耐震化の対策も、診断とか耐震化の予算もついていますけれども、全く邑智潟の特徴を踏まえた対策がなされていない、打ち出されていないという問題意識を持っています。これは原稿を見てやるようになると時間だけたつので、土木部長、私の見解をどう聞かれますか。単なる邑智潟の地震の特徴を踏まえて、逆断層型の下から突き上げるような地震ですから。横ずれじゃない、そういう中での耐震化の問題、どのように考えておられますか。 89 筱岡副委員長 これは知事答弁で……。 90 菅沢委員 いや、土木部長でしょう、耐震化は。 91 加藤土木部長 住宅の耐震化のお尋ねでございますけれども、現在耐震化率については72%ということでございますが、平成37年には目標90%に上げるということでございまして、これによりますと、邑智潟の断層帯における被害想定、今現在72%でいきますと3,600人ということでありますが、これが90%にいたしますと1,700人と半減できるということで、しっかりと住宅の耐震化を進めたいと考えておるところでございます。その目標に向けて一生懸命いろんな施策を展開しているということであります。 92 菅沢委員 それでは全くですね、大体、72%の耐震化の現状というのは県全体の数字です。県の土木部の専門部門の関係者は、耐震化率は、富山市を中心にして、県の中央部では非常に高くなっているけれども、周辺の氷見とか朝日町は低いと。では、どれだけ低いのか、耐震化率は一般住宅でどれだけなのかお尋ねしたら、その数字は示すことはできないとおっしゃる。一般的な、抽象的な72%で計算をして耐震化を図ろうなんていう、そこからまず、出発点からこれはおかしいということだけ指摘をしておきます。  最後に、実はきょう、幾つか質問、私の質問の仕方もまずいのかもしれませんが、予算特別委員会の質問というのは、もう長い間いろいろやっているけれども、なかなかうまくいきませんね。  最後に、これはぜひともというのが1つあるので、これだけは。いわゆる災害の際の要支援者の対策です。これは全ての災害で今、強調されています。しっかり名簿を把握して支援計画をつくるという。  厚生部長、これは資料7で示していただきました、あなたからいただいた資料です、皆さんもごらんください。  これ、A、B、Cとありましょう。Aというのは、総人口の中から要支援の対象になる方々で、例えば75歳以上のひとり暮らし、知的障害者、身体障害者、さまざまなそういう障害をお持ちの方などを中心にして、このAの名簿というのは自治体でつくることができます。その名簿の中から全ての住民に、関係者に発送して、Bの、情報提供していいですか、あなたの名簿が例えば表面化するわけです、地域の防災組織の中で名簿が広がってもいいですかということ。わかりましたというのがBです。そのBの人に対してCの計画をつくるわけです。ですから、A、B、Cというのは、定義がはっきりしております。  ところが、このAというのは、氷見市の場合は4万7,000人の人口に対して3,000人で6%です。その中で、例えばずっと見ていきますと、滑川市2%、射水市1%。おかしい、どうしてこんなに開きがあるのですか。私はこの表を見ながら、そして、計のところをごらんください。そういう、ある意味では質的な違いのある統計資料をトータルして一般化してしまって、全体が6%になっています。  したがって、Aの捉え方、そしてBというのは、そういうふうにAに対して案内を出して、同意をいただいた、未回答の人もおるのであります。したがって、氷見市は3,000人の人たちに対して1,700人しか今は情報提供していないわけです。そのほかに回答のない人や、もうそういう対応はいいですという人もおられる。Aに対するBの割合でちょっとびっくりするのは、滑川市、射水市も100%。どうしてこんなことになるのですか。必ず情報提供はいいですと、うちは障害者の人がおるけれども、家族で対応しますという人もおありでしょう。  ですから、このA、B、Cの定義がはっきりしているのに数字に違いがあって、例えば魚津市は要支援者が全部情報提供していいって言っている。氷見市では、そういう問い合わせをしたら、相当な人たちが必要ない、回答がない人がいて、それをどうするかというので、市役所の担当者や地域と協議しながら個別にまた対応して、本当に支援が必要かどうかということの相談をしているわけです。したがって、この数字を見て、その違いという意味で、この数字は私が申し上げたために平成30年の3月1日で再調査をしていただき、せっかくいただいた資料、全くですね。疑問がさらに深まるということであります。そういうことで、厚生部長、このあなたたちからいただいている調査結果をどうごらんになるかお聞かせください。 93 前田厚生部長 避難行動要支援者について、今、御指摘をいただきましたけれども、これは災害対策基本法におきまして、市町村長がその把握に努め、避難支援等を実施するための基礎となる名簿を作成しておかなければならないということでありまして、市町村の御判断があるというところがございます。  現在、本県では全ての市町村で名簿が作成済みですが、これも本年度に入ってからということもございますので、少しずつ名簿の作成が進んで、ようやく全市町村で名簿が作成されたということで、その人数も現在6万4,000人ということであります。今年度当初から9,000人増えているというところでありますので、これは逐次進んでいる状況かと思っております。  また、御指摘をいただきました個別計画でございますが、国の指針の中で策定することが望ましいとされているものでございます。こちらに関しましても、個別計画の策定に向けて情報提供、個人情報を伴うものでございますので、まず一旦同意をいただきますが、それが2万7,000人、これは1年で1,000人増えているという形でございます。また、策定済みの方も今1万人でございますが、4月1日には9,000人ということでありましたので、今年度当初から1,000人増加という形になってございます。  そういった意味では、市町村の判断をいただきながらということでございますが、逐次策定の数は増えてきておりますので、県も引き続き、全国でどういった形で避難行動要支援者の定義でありますとか個別計画の策定を進めて、どういう形で同意をとっておられるかといった先進事例の紹介等を通じて、より個別計画が広く作成していただけるよう働きかけてまいりたいと考えております。 94 筱岡副委員長 菅沢委員、時間がもう2分切っております。 95 菅沢委員 いろいろ御答弁ありがとうございました。  しかし、先ほど申し上げましたような矛盾というか、A、B、Cのそれぞれ要支援者の数は出てくるわけです。そして、照会をしながら情報提供していいか、そして、その方々についての個別の計画になるので、A、B、Cそれぞれ一定の基準がありますが、全くこの市町村によってその基準がしっかり適用されていない、ばらばらと。そういうばらばらのものを集計して、つまり、質的に違いのあるものを集計して計が出ているわけです。これはある意味では計は無意味と。このへんの理解をしないと。市町村のこういう支援者の状況の把握や対策については、私は再構築をしていただかねばならないと思っています。そのことを指摘させていただいて、質問を終わらざるを得ません。  きょうは、本当はいろいろ準備をして、石井知事ともっとお話をするのを楽しみにしておったのですが、まだ議員の任期が1年あるから、さっき3分の2にしておったけど、4分の1がまだ残っているので、まだまだお話する機会があろうかと思って楽しみにいたしておりますので、きょうは掘り下げられなかったところは機会を見て、知事と大いに、関係部長さんとも議論をしたいと思っております。いろいろありがとうございました。 96 筱岡副委員長 菅沢委員の質疑は以上で終了しました。
           山本徹委員の質疑及び答弁 97 筱岡副委員長 山本委員。あなたの持ち時間は60分であります。 98 山本委員 予算特別委員会は大変難しいと言われながら、でも、すごく調査されて、大変厳しい菅沢先生の質問、大変勉強になりました。先生、どうもありがとうございました。  私も先輩の質問に負けないようにしっかりと切り込んで、予算特別委員会らしい質問をさせていただければありがたいなと思っております。  今回は、富山県の発展と富山湾という大きな表題をつけて質問をしたいと思っておりましたが、問いがそんなに大きなものにあんまりならなくて、問1から問3まで、少し細かくして御質問をさせていただきました。  最初に、クルーズ船の誘致ということで質問をさせていただきたいと思います。  昨年伏木港へ寄港したクルーズ客船ですけれども、これは延べ5隻でございました。ダイヤモンドプリンセス号が、当初2回の予定でしたけれども、1度は台風の影響で寄港できなくなりまして、1度ということになりました。あとは飛鳥IIが4度ということでございます。ちなみに2016年の実績でいきますと、飛鳥IIの5回のみということで私としては把握をしておるところでございます。  先日の四方議員の質問にお答えになられまして、寄港回数が昨年の5回からことしは8回へと増加する見込みだということで、大変うれしい答弁だったなとお聞きをいたしておるところでございます。  ちなみにですけれども、金沢港の寄港実績でございますが、昨年は延べ53隻でございました。2016年の実績は26隻でございましたので、27隻大幅に増加をしております。  国土交通省によりますと、こうした大型クルーズ船のツアーの予定というのは、募集したり、いろいろ準備、調整が必要でありますので、1年先までほぼ決まってくるということでございます。  金沢港振興協会のホームページを拝見いたしますと、2018年の寄港予定が既にずらーっと記載をしてございます。ことしに入りまして、2月24日にアマデアという2万9,000トンの船がもう既に寄港済みでございます。それ以降、4月には8回、これを皮切りに11月まで、もう既に41隻の寄港予定となっておるところでございまして、このほか、鳥取県の境港の管理組合のホームページにも、2018年の寄港予定、これもびっしりと書かれているところでございます。  先日、向議員の質問にお答えになって、MSCスプレンディダ号が寄港することを私、初めて知りましたけれども、伏木港関係のホームページ、ちょっとそこを探してみましたけれども、実はことしの予定というのは、なかなかざっと一覧にして見ることができないわけでございます。ホームページに予定を記載するということは、関係者もいろいろ準備がしやすいわけでございますし、関心のある方々にもいろいろ周知が図れると、メリットが多いと思います。  そこで、最初の質問でございますが、2018年の伏木富山港へのクルーズ寄港の予定について、どのようになっておるのか、また、あわせてホームページなどで公開すべきであると考えますが、観光・交通・地域振興局長にお聞きいたします。 99 蔵堀観光・交通・地域振興局長 クルーズ客船の寄港準備につきましては、これまで地元の市、関係団体、事業者と個別に連絡調整を行って実施してきていたところでございます。また、その寄港予定につきましても、関係者間では随時緊密に情報共有もしてきたところでございます。  ことしの伏木富山港へのクルーズ客船の寄港回数は、御指摘のとおり8回と現在なっております。昨年の5回からは増加しているというところでございます。  クルーズ客船の寄港予定の公表につきましては、御指摘もございましたとおり、関係団体、事業者の寄港の際のおもてなしですとか受け入れ準備等の利便性を高めるといった観点、それから県民のクルーズ客船への理解、関心を高めていくという点からも意義があると考えておりますので、できるだけ早い時期にホームページで公表することといたしたいと思っております。 100 山本委員 それでは、資料を配付させていただきたいと思いますので、許可願います。 101 筱岡副委員長 許可いたします。  〔事務局職員 資料配付〕 102 山本委員 ただいま配付をさせていただいております資料でございますけれども、国土交通省のホームページから引き出してきたものと、特別につくっていただいたもので成っておりまして、そこに記載してありますとおりでございますが、クルーズ船の寄港回数、あるいは、また外国人の旅客数ともに、ここ二、三年急激に増加をしている状況が見てとれるかと思います。  国土交通省では、2020年に、このクルーズ船によりまして500万人の外国人の旅客を迎えたいということで目標を立てて、躍起になって取り組んでおられますが、この500万人に達するかどうかはちょっと微妙な感じかなと見ております。でも、その分力が入っているわけでございます。  特に見ていただきたいのは、日本地図にして落としてあるものでございますが、2017年にクルーズ船が寄港した港湾は全国で130港でございます。これ、去年は123港でございました。また、10万トン以上の大型船が寄港したのはこのうち28港でございまして、この中に伏木港が入っているのかと思います。  日本海側をざっと見ていただきますと、当面のライバルということで言うと、やっぱり金沢、境あたりが頑張っているなと。あと、秋田も黄色マルで頑張っているなというような感じかなと思っております。  九州方面──博多、長崎、鹿児島への寄港がこのへんが大変高い数字になっておりますが、これは、やっぱり中国発着のクルーズ船が大変多うございまして、ここの取り込みに成功しているということでございます。  ちなみに世界のクルーズ船人口でございますが、1位はアメリカ、2位が中国ということでございますから、やっぱりこの中国の市場というのは大変大きいのかなと思います。ところが、中国人の方の休暇というのは、例えば国慶節、春慶節を見ましても大体1週間ぐらいですね。そうすると、クルーズ船に乗って日本へ行こうというときに、船でやっぱり2日かかるよということになると、往復で4日とられちゃいますので、それはおまえということになりまして、やっぱり船で1泊というのがぎりぎりのラインじゃないでしょうかということです。  それで、実は金沢でも中国発着の寄港というのは大変少のうございます。境港がぎりぎりかなという感じですね。先日、向議員への答弁で、中国発着クルーズについては旅行日数の長期化を見据えということで答弁をされておられますが、これは果たして現実的なのかよく考えなくてはいけないところかなと思っています。  また、客船に乗ってこられる客層、これも大きな要素でございますし、答弁ではカテゴリー別に効果的な取り組みをしたいということで蔵堀局長も言っておられますから、十分了解済みのことだと思いますが、例えば今回、いろいろ質問の中で登場してきましたラグジュアリークラスというものの上に、大型本格客船で来るプレミアムクラスというのがございますし、このラグジュアリークラスよりも、もっと軽い感じのちっちゃい船で来るカジュアルクラスというのもあるわけでございます。  これは、船社やあるいは船によって客層が違うわけでございます。家族連れで来るようなカジュアルクラスとプレミアムクラスで来るようなお客さんとでは、やっぱり寄港したときに求めるニーズが当然違ってくるはずでありますので、そういうことについても丁寧に把握をしていく必要があると。また、情報の提供についても、ファミリー向けにはこう、プレミアム向けにはこう、中堅向けにはこうといったような、角度を変えた紹介が必要じゃないかと思います。  また、1度の寄港でお客さんが使える時間、これは6時間から8時間とされていますので、この限られた時間内でどうやるか、先ほどの1週間のうちどうのこうのという話がございました。伏木港に着いて、立山まで、黒部まで行くのが1時間で、よく見て向こうでお昼を食べて帰ってきて、これが6時間から8時間。そういう、やっぱり時間が非常に貴重なクルーズ船のことでございますので、過度な歓迎レセプションはかえって迷惑だというお話もあるぐらいでございます。  金沢港、先ほど申し上げました、ここ近年ぎゅーっと伸ばしてきておりますが、富山と同じでございます。中国発着のクルーズには大変弱い面がございます。これは何で伸びておるかというと、2016年では、例えばイタリアのコスタ社と組んで、日本海周遊クルーズというのを企画して、これが年間、2016年だけで32回寄港しています。レールアンドクルーズということで、首都圏から北陸新幹線で来てもらって乗ってもらうと、こういう試みも当たったようでございます。  本県とすれば、やっぱりこういうことをしていかなてはいけない、中国発着というよりも国内発着に目を向けて、やっぱりいろんな港と連携をしていきたい。世界で最も美しい湾クラブで交流のあるところだとかそういうところと連携を深めていく必要があるのではないかと。  秋田は竿灯祭りに合わせています。竿灯祭りに合わせて誘致をしていまして、例えば伏木でおりると、伏木のけんか山を見てもらうような設えでいけるのか、おわらに合わせてやろう、ユネスコの無形文化遺産に山鉾屋台が登録されましたけれども、こういうことに合わせて誘致できないか、こういうことだと思います。そういう従来型のもの以上に、もう少し踏み込んだ企画というのが必要になってくるのではないかと思っています。  また、船長さん、これも、一度も入ったことのない港に入るのは非常に不安だということでございますので、船長さんの安心度を高めるいろいろな施設や仕組みの整備、これも必要だと思いますし、逆に言うと、一度来てもらうと、ああ、伏木か、あそこいいねと言ってもらうと、次また来ていただけるのではないかということでございます。  新年度予算では、環日本海クルーズ推進として4,735万円ということで計上されておられます。トリップアドバイザーやミシュラングリーンガイドを活用するというのは十分お聞きをいたしました。このほかに言いますと、コーディネーターの配置ということで、プロフェッショナルを使いたいということでございますし、ここを大変期待しておるところでございます。  先ほど申し上げましたMSCスプレンディダ号の寄港が決まったのは、2016年の商談会で、伏木港の関係の皆さんがフルアテンドをして綿密な対応をされて、このことが決まったとお聞きをしておるところでございます。こうした頑張りのほうは、国交省の担当者の方もお認めになっておられました。  こういう粘り強い対応が寄港に結びついているわけですので、このコーディネーターさんに期待をしたいと申し上げたわけでございます。これは、高岡市あるいは港湾関係者それぞれが個別に当たるのではなくて、県も入れて、コーディネーターさんも入れて、まとめてしっかりと取り組みをするのはいいのではないかと思っているところでございますが、前置きが長くなりました。  クルーズ客船の寄港につけて必要とされる要素についてどう考えているのか、また、ポートセールスに具体的にどのように取り組んでいかれるおつもりなのか、蔵堀局長にお聞きしたいと思います。 103 蔵堀観光・交通・地域振興局長 クルーズ客船の誘致につきましては、これまでも地元の港湾所在市とも連携して積極的な取り組みを行ってきたところでございます。その際には、クルーズのお客さんのニーズに応じた観光、モデルルート、食などそういったものを提示して誘致に取り組んできたところでございます。  今後の誘致活動につきましては、まず、国別や船舶のグレードの違いによるお客さんのニーズの違い、これをしっかり意識して効果的な取り組みを進めていくということが必要だと思っております。先ほどカテゴリー別におっしゃいましたけど、一番上がラグジュアリーで、真ん中がプレミアムで、3番目がカジュアルということでございます。  1つは中国発着クルーズでございますけれども、これについてはカジュアルというカテゴリーに入るのが多いのですが、御指摘がありましたように、中国発着クルーズは4泊5日程度に設定されることが多くなっていまして、そのために、沖縄とか九州までしか来られないということが大多数となっております。  船会社のほうにお聞きをしますと、中国の発着クルーズについては、中国の経済や市場がさらに成熟化すると、旅行日数が長期化するだろうと考えておられまして、私たちとしても、そういったことを見据えて船会社のほうに粘り強く働きかけていきたいと思っています。  また、日本の港からの発着クルーズがあるわけですが、この場合はお客さんの大半は日本人となりますので、それぞれの地域の新たな観光資源の紹介、おもてなしをどうするかということを主として提案しまして、また、北陸新幹線を使って首都圏から港へ来てもらって、そこから発着クルーズに乗るといったことも提案していきたいと思っています。  それから3つ目ですが、主にラグジュアリーやプレミアムのところの船を動かしている欧米の船会社に対してでございますが、これらは世界をぐるっと回るようなワールドクルーズを主として動かしていまして、こういったところは欧米の富裕層の方が比較的多く乗るということでございますので、そういった方向けの特に体験型のメニュー、観光メニューを提案したりしてセールスを強化していきたいと思っております。  こうしたことで戦略的に取り組む必要があると思っていまして、来年度はクルーズ誘致のコーディネーター、これを配置していきたいと思っています。これを配置する理由といたしましては、船会社のほうとコーディネーターとの間で顔が見えて、電話でやりとりしても十分に話が通じるというような関係を築く必要があると思っています。そのためにコーディネーターを配置したいと思っています。それからトリップアドバイザーを使ったり、そういったことでも取り組んでいきたいと思っています。  あとは、これはこれまでもやってきていることではございますけれども、それぞれのクルーズのところの見本市、先週はアメリカのフロリダでありましたが、そちらのほうにも県の職員を派遣して誘致活動も行っているところでございます。そうしたことをしっかり取り組んでいきたいと思っています。  また、御指摘のあった船長さんへの情報提供、港がどうだとかそういったことも、船会社のほうを通じて港の特徴や施設の状況についてもしっかりお伝えをして、富山県伏木富山港への寄港の増加にしっかり取り組んでいきたいと思っております。 104 山本委員 国土交通省のほうで、まとめて紹介するホームページもつくっておられます。また御活用いただきたいと思います。  先日のお話でちょっとありましたけど、向議員がMSCスプレンディダ号の寄港時間が大変短いというお話でございました。先ほど来申し上げておりますとおり、寄港するというのも、寄港したその時間というのも大変貴重なものでありますので、この短いというのは何か問題があったのではないかと大変心配もしておりますし、そうでなくても何事かのヒントになるのではないかと思いますので、この理由についてどう考えておられるのか蔵堀局長にお聞きしたいと思います。 105 蔵堀観光・交通・地域振興局長 クルーズ船の寄港に際して、県ではクルーズ客の滞在時間ができるだけ長くなるようにと働きかけは常にやっておるところでございます。  今回のMSCクルーズ社のスプレンディダにつきましては、伏木富山港へ来る前日の夕方に、時間としては4時半ですが、横浜を出発して、そのまま津軽海峡を通って昼に伏木富山港へ入るということで、航海の距離が長くなっています。そうした関係上、寄港時間が8時間ということになっているわけでございます。  ただ、このスプレンディダの全体の航海日程を見ますと、例えば釜山では6時間、鹿児島でも8時間ということになっていて、特別伏木富山港が短くなっているということではないと考えております。また、これも会社のほうでクルーズ行程を考えた上での結果だということでございます。  それから、この船は横浜を出て横浜へ戻るということで、基本的には入国手続は横浜で終わっております。伏木富山港での入国手続は不要ということでございますので、その入国手続等を行う時間のロスというのはなくて、着いたらすぐに観光に行っていただけるということでございます。だから、8時間であってもそれなりに有効には使えると思っております。  また、MSCクルーズ社に対しましては、県の観光地の情報や魅力的なオプショナルツアーについても情報提供をして御検討いただいておりますし、高岡市におかれても、まちなかの周遊などそういったことも御検討いただいております。そうしたことをしっかり提案して、富山県での観光をしっかり満喫していただけるように取り組みを進めたいと思っています。  それから、今後のクルーズ船誘致に当たっても、当然のことながら滞在時間ができるだけ確保できるように、そこは船会社のほうにしっかりと働きかけをしてまいります。 106 山本委員 今の答弁をお聞きして大分安心をしたわけでございます。また繰り返し来ていただけるように、いいおもてなしになるようにお願いをしておきたいなと思います。  来月、いよいよフランス総会のほうへ知事みずからが行かれるということでございますけれども、その際も、船会社を訪問していろいろ誘致活動をされたいということでございました。知事みずから行かれるということで、これは大変期待もしておるところでございます。口のうまいところという言い方はおかしいかもしれませんが、ぜひ魅力的なプレゼンをしていただきたいなと思います。  例えば美しい湾クラブの総会にクルーズ船で来ていただくような企画はできないかなど、こんなことを考えたりもするわけでございます。このクルーズ船の誘致につきましてどのように取り組まれるのか、石井知事にお伺いをいたします。 107 石井知事 クルーズ客船の誘致ですけれども、これまでも気持ちとしては本当に積極的にやっているつもりですが、新年度は、今、局長からも答弁申し上げましたが、クルーズ誘致等のコーディネーターの配置、発着クルーズ誘致のための補助制度の創設などをやりまして、また、国内はもちろん、欧米の船社へのセールスも行うと。また、トリップアドバイザーの活用等々でございます。  お話に出たように、来月には、先方の都合がつけば欧州の主要な船社への訪問も検討しておりまして、伏木富山港のすぐれた港湾機能はもとより、湾クラブに加盟している富山湾、また、2019年総会が開催される富山県の魅力を、伏木のけんか山なども含めまして、私から大いにアピールしたいと思っております。  委員御提案の、総会日程に合わせまして客船を誘致することは、実現すれば大変魅力的な提案だと思っております。ただ、富山県総会の日程については、湾クラブの事務局等とこれから調整する段階でありますことと、それから県総会の正式決定がまだないわけですので、それから外国のクルーズ客船のスケジュールは、先ほど委員がおっしゃったように、一般的にはことし、来年のスケジュールはほぼ決まっていることが多いことなどから、なかなかそれを実現するハードルは高いのではないかと思っておりますけれども、総会日程がある程度固まった段階で、国内船社に対して打診してみたいと考えております。まあそう簡単ではない、難しいのではないかと思いますが努力します。  今後も、世界で最も美しい湾クラブに加盟する富山湾を初め、富山県全体の魅力をこれまで以上に国内外にアピールしまして、伏木富山港、また、高岡を初め、県西部の魅力、また、本県の多彩な観光資源の認知度をさらに高めまして、また、具体的なクルーズのルート、他の港と連携した魅力あるクルーズルートの提案を行いながら努力してまいります。 108 山本委員 先ほどお配りした資料の中で、伏木富山のところは水色の丸になっています、5回以上10回未満と。これがやっぱり黄色とかオレンジにまずはなってほしいなと思っておるわけでございます。これまでなかなか成果が上がらなくてやきもきしておりましたが、また来年はいいねというふうになるように頑張っていただきたいなと思います。  世界で最も美しい湾クラブの総会に合わせて、美しい湾のビューポイントを公募してはどうかという御提案の質問を最後にさせていただきたいと思います。  富山湾越しに見える立山連峰というのは1つの絵面になっているわけですけれども、例えば伏木の岩崎ノ鼻灯台から見る展望、立山カントリークラブから遠くに富山湾がぼーっと見えまして、新湊大橋が見え、建造物がちっちゃくなっている、ああいうのも実はすばらしい展望の1つじゃないかと思いますし、先日澤谷議員からは、氷見のすがたから見る富山湾の眺望が絶景だという、桃源郷にしてはどうかというお話もございましたけれども、いろんなところがあると思います。そういうところを公募して、美しい富山湾のビューポイントというのをつくってみてはどうか、全部回ってスタンプを集めたら最も美しい湾クラブ記念500円コインがもらえるなど、いろんな企画ができるのではないかと思いますが、蔵堀局長のお考えをお聞きしたいと思います。 109 蔵堀観光・交通・地域振興局長 富山湾岸の地域には、御指摘もございました海越しの立山連峰を初め、多くのビューポイントがあると考えております。こうしたビューポイントの景観の美しさを県民の皆さんあるいは観光客の皆さんに再認識してもらうということは、富山湾の魅力を活用、保全していくという上でも非常に意義のあることですし、そういったことの機運醸成も進めていきたいと思っております。  このため、昨年でございますけれども、「大人の遊び、33の富山旅。」という観光の冊子がありますが、これの中で、富山湾を題材にいたしましたインスタグラムのフォトコンテストを開催いたしました。また、民間の団体におきましても、美しい富山湾クラブと富山大学の経済学部の学生との連携によりまして、湾岸地域を対象としたSNSフォトラリーが開催されてもおります。これまでも官民においていろいろ取り組まれているところでございます。  世界で最も美しい湾クラブの総会の開催もございますので、富山湾岸の景観の美しさを県民の皆さんにさらに認識していただくとともに、国の内外にその魅力をアピールする新たな取り組みとして、御指摘の意見も踏まえまして、どういったことが効果的かしっかり検討してまいりたいと考えております。 110 山本委員 ありがとうございます、よろしくお願いします。  続きまして、水産業の振興について質問をしたいと思います。  富山県の漁獲量は、年ごとに多少ばらつきはあるものの、おおむね横ばいでこれまで推移してきておりました。生産額のほうは、バブル時がピークで250億円ほどありましたけれども、平成25年の調査では150億円程度まで縮んできているということでございます。漁業に携わっておられる事業者の方も減少しているということでございます。  特に昨年は、今議会でもいろんな方が言われましたけれども、例年に比べて55%の漁獲量しかございませんでした。1万2,600トンということでございます。特にイワシがとれなかったということでございます。  私の認識では、とれなかったらとれないなりに、市場に品薄になるので価格が上がって、それなりにちゃんとお金になるんだという認識でおりましたけれども、そんな話をされたこともありましたけど、昨今は物流が発達していてそうでもないということで、どこからでも持ってこれるということでございまして、とれてもとれなくても魚は安いんだというようなことを嘆いておられることもございました。  1つ、この特に漁獲量についてはそれなりのデータがあるのですが、水産生産高みたいなものになるとちょっと、何か統一的なデータが見たことがなくて、やっぱり漁業で幾ら稼げているというような1つの考え方として大事な話だと思うので、漁獲量だけではなくて、漁獲高についても何か整理したデータを集めるようにするのがいいのではないかと思ったので、ちょっと指摘をしておきたいと思います。  そこで、まず第1の質問ですが、昨年、2017年は大不漁の年になりましたが、県内水産業者への影響、それと不漁の原因をどのようにお考えか、改めて芝田部長にお聞きしたいと思います。 111 芝田農林水産部長 委員御指摘のとおり、昨年の本県沿岸漁業につきましては、漁獲量が平年の半分程度、55%程度、特にマイワシ、それからブリにつきましても6割程度ということで、イワシは平年から比べると1%以下という、そういう数字でございました。  そこで、県内水産業への影響につきまして漁業者に聞き取ったところ、漁獲量減少が1年間だけであれば何とかなるが、長く続くようであれば厳しいと。また、水産加工業者につきましては、加工原料であるマイワシとアジの価格が上昇して、収益が悪化しているといったような声がございました。  ただ、ことしに入りましてからスルメイカやマイワシの豊漁がございまして、特にマイワシにつきましては、1月、2月の漁獲量は平年の13倍ということになってございまして、明るい兆しも見えているところでございます。  定置網漁業は、さまざまな回遊魚を待ち受けてとる漁法のため、漁獲量の一定程度の変動は避けられないものの、大幅な漁獲量の減少は漁業経営を不安定なものとし、担い手の確保にも影響を及ぼしかねないと考えてございます。  昨年の不漁の原因につきましては、現段階ではなかなか明確にはできないわけですが、水産研究所では、今年度から3カ年をかけましてブリの回遊経路調査を実施しているほか、マイワシにつきましても、資源の変動要因の解明に向けまして、他の研究機関とともに調査研究を進めております。今後、より詳細に漁獲変動要因を明らかにいたしまして、漁業者に対し情報を提供してまいりたいと考えております。 112 山本委員 ことしに入って、捨てなければならないほどイワシがとれておるという話もあって、それはまあよかったかなと思って、急にとれなくなるとやっぱりあたふたしないといけないので、大変なことかなと思っておりましたが、ちょっと安心をしておるところでございます。  先日、滑川の栽培漁業センターさんのほうへちょっと行ってまいりました。今回は何人もの議員さんから栽培漁業についての質問がありました。やっぱりキジハタ、アカムツのことについて関心が高いのかなと思っております。予算のほうも、種苗生産施設の増設ということで3.9億円が計上されているところでございます。  2013年、世界で初めて種苗の生産に成功したというアカムツでございますが、去年から本格的な放流に着手しておられます。漁獲できる大きさになるまで4年程度かかるということでございますが、試験的な放流を既にその前からされておられて、来年ぐらいからちょっと漁港でとれてくるかもしれないなということを言っておられました。  生態は、このアカムツ、未知の部分がまだ大変多いと。海岸域を回遊しているので、能登半島を回り込んで金沢のほうでよくとれているのではないかという説もあって、ちょっとこの回遊の実態を調査結果で明らかにしていきたいというお話もお聞きをしたところでございます。  アカムツは弱い魚種でありまして、調査のためタグを打つことができないと。どうやって見分けるのですかということをお聞きしますと、この種苗生産という形で水槽で育てると、鼻がつながったように見える個体が半分ぐらいできあがるそうで、それをめどにやりたいということです。  ブランド化についてのネーミングで、高野議員から、喉は黒いが腹が白いと、それで「ハラジロ」と言われましたが、僕は、あーらびっくり、1つになった「ハナツナガリ」というのをひとつ提案しておきたいなと思います。  また、キジハタですけれども、キジハタのほうは、量産技術開発というのは前段階で一旦、実はこの種苗生産は休止になっていましたけれども、2011年から改めて再開をしたということでございまして、水産研究所の所長さんは大変楽しい方で、高岡あたりじゃこのキジハタのことを何ていいますかって言いましたら、いや、僕は先輩方からよく聞いておる「よねず」といいますわって、あっ、私のところも「よねず」っていいますということで、その「よねず」ってどんな字を書くか知っていますかって言うんですよ。ええっ、「よねず」、どんな字を書くって、「夜、寝ず」と書いて「夜寝ず」なんだそうで、夜行性で、僕ら、夏場なんかでも釣りに行く方は夏場の夜釣るということで、「夜寝ず釣る」の「夜寝ず」なのかなとかいろんなことを思ったりして、こっちのほうも物語性も何かあるようなないような感じでブランド化して、食べておいしい魚でございますので、何とかめどが立たないかなということを思っております。  大変期待の高まるこれらの栽培漁業の種苗生産でございますが、キジハタ、アカムツにつきまして、それぞれの種苗の量産、本格放流、漁港などでの地先調査といった今後の目標並びにスケジュール、あわせて種苗の価格あたりもどのようにお考えか芝田部長にお聞きしたいと思います。 113 芝田農林水産部長 まず、「よねず」につきましては、これまで県水産研究所で実施してきた種苗生産技術の開発にめどがつきつつありまして、放流技術を確立する段階に来ております。このため、来年度滑川に整備する施設では、種苗をこれまでの3万尾から6万5,000尾に増産をいたしまして、平成31年から条件別試験を行うこととしておりまして、例えば放流の適地あるいは適期、サイズ、こういったものを比較、検証いたしまして、回収率を確認しながら事業化を検討することとしております。  キジハタ種苗は、放流してから成長して漁獲されるまでやはり三、四年程度の期間を要しますので、事業化までには相応の期間が必要と考えておりますが、できるだけ早期の事業化を目指して取り組んでまいります。  一方、アカムツにつきましては、水産研究所において、今年度から5年間水産庁の委託を受けまして、毎年安定的に5万尾程度の良質な種苗を生産する技術開発に取り組んでおります。キジハタの事業化後には、今般整備をいたします滑川の新施設において、生産尾数を6万5,000尾に増産いたしますとともに、放流技術の確立に取り組みまして、事業化を目指すこととしております。  また、種苗の価格設定につきましては、現在栽培漁業センターで生産しておりますヒラメやアワビといった魚種では、放流地点からの回遊性や定着性を考慮いたしまして、直接生産経費のうち3分の2を漁業者に負担していただいております。キジハタとアカムツは現在研究段階にありますので、今後量産試験を行う中で、事業化に当たって必要となる生産経費を算定いたしまして、種苗単価を検討してまいりたいと考えております。 114 山本委員 この栽培漁業でございますが、まずは種苗生産技術、親魚をとるだとか、自然界からとってきてそれを大きくするという技術ですけれども、これをまず確立して、その後、大量生産、稚魚を大量に生産しないといけない、この技術をやらなくてはいけない。そして、放流につきましても試験を繰り返して的確なポイントに放流するということで、本格放流にようやく着手できると。かつ、先ほど申し上げました回収率ということで、漁獲の中にどのくらいまじり込んでいるか調査しなくてはいけないと。鼻がつながったやつがおったら、あっ、来たなという感じだと思います。  ここまでになるとすると、やっぱり事業として軌道に乗るまでには大変な御苦労が当然あるわけですし、大きくなるだけでも四、五年かかるわけですので、大変な時間がかかるわけでございます。効果が実感しづらい、その上、成果の判断も大変難しい。放流するときは5センチから7センチぐらいで放流するということなんですが、これが漁獲されてお金になるような大きさになるのは、これ、やっぱり四、五年ということでございます。  これだけのやつがこのぐらいになるまでに四、五年かかる上に、どのくらいなのかというと、一説には100分の1ぐらいでないかと。50分の1という話もあるし、それは解明されていないそうですが、さらに、大きくなったやつが実際に沿岸域に根づくのはどのくらいかよくわかりません。そうすると、やっぱり成果が非常に判断しづらいと思います。そういうことなどもあって、栽培漁業は20年後にはなくなっているのではないかというような声も聞こえるくらい、大変厳しい状況でございます。  先ほど部長からは、事業化まではできるだけ早期にというお話もございましたけれども、成果を急ぐよりは、じっくりと検証してしっかりとしたものを確立するほうがよほど将来的じゃないかと私は感じております。何といいますか、安定的な沿岸漁業をつくっていくという上で栽培漁業をこれまで取り組んでこられたわけですから、これがしっかり根づくようにしていただきたい。  種苗生産の段階、大量生産の段階、放流技術の段階、放流した後の検証の段階、それぞれの段階で、何かわかりやすい評価の基準みたいなものを設けていって、そして栽培漁業をしっかりと評価するということがあってもいいのではないかと思うのですが、芝田部長の見解をお聞きしたいと思います。 115 芝田農林水産部長 今ほど委員のほうから御紹介がございましたけれども、栽培漁業の事業化に当たりましては、まず、技術開発の面では、受精卵から稚魚まで育成する種苗生産技術、そして、その次に良質な種苗を安定的に大量生産する技術を開発した後に、その種苗を用いて場所や時期、大きさ別に放流試験を行うということで、放流技術を確立するという必要がございます。  その上で採算面の検討が必要でございまして、市場において水揚げされた放流魚の尾数やその市場価格を調査いたしまして、漁獲収益として得られる便益と種苗生産や施設整備にかかる経費などを比較することにより事業化を決定することとしております。  このように新魚種開発には長い年月を要しますので、水産研究所では種苗生産や放流試験などの段階ごとに評価基準を設定しております。
     キジハタとアカムツの評価基準といたしましては、種苗の目標生産尾数の達成度、それからふ化したばかりの子供の魚から放流魚までの生き残る率、生残率、稚魚の成長度合いや形態、それから放流から漁獲されるまでの回収率、こういった基準を設定しておりまして、それぞれ水産研究所年報で公表いたしますとともに、研究の進捗状況につきましては、部内に設置しております農林水産技術会議や個別の専門部会において評価をしておるところでございます。今後はさらに年度ごとの成果なども詳細に確認しながら、さらに効率的に研究を進めてまいります。 116 山本委員 ぜひわかりやすいのでお願いしたいと思います。  アカムツですけど、今育てておる個体では、ちょっとどちらだか失念しましたが、ほとんどが雄なんですね。要するに、深いところで育つから、もっと冷たい水温で育てないと雌ができないのではないかということで、ことしは今、それをやっているということです。  やっぱり1つ1つのことに1年ずつ時間がかかってきますので、なかなか大変な話かな、あまり急いで答えなさい、答えなさいと言うと、ちょっと現場はやっぱりかわいそうかなと思いますので、むしろじっくりと見てあげるのが大切かなという気がしております。  続きまして、養殖について質問したいと思います。  澤谷議員からも養殖の質問がございましたけれども、やっぱり栽培漁業に対して養殖は直接漁獲につながるわけで、放流しませんので、育てた分、その分揚がるということになります。  世界の食用魚のうち50%が養殖魚、今、そんな時代になっているということでございます。この間インターネットを見ておりますと、最先端技術で漁業に革命をということで、IoT×ドローン、クラウド漁業ということで、大変、何かスケールの大きな取り組みが載っておりましたが、サバの加工販売を手がける鯖やさんが中心となって、福井県小浜市、福井県立大学、小浜市漁協、福井県立栽培漁業センター、KDDI、こうした方々を巻き込まれて、サバの養殖技術開発から店舗での販売まで一貫して手がける漁業版SPAをやろうということで、壮大なプロジェクトでございます。ネット上で資金を集めるクラウドファンディングの手法で3,700万円以上集められました。既に事業に着手しておられるようでございます。  生けすに自動計測するブイを設置して、水温、塩分濃度などを計算して、自動で餌をこんなふうにやれということをやって、それも水中ドローンみたいなやつでびゃーっと行って、無人でまいてくるということで、また、その養殖日誌についてもデータ化してプログラム管理して、ゆくゆくはもう人の手をかけなくてAIに判断をさせるようになるということで、新時代の養殖漁業の1つの形なのかなと見ておりまして、今後ちょっと注目したいと思っています。  射水市ではサクラマスの完全養殖に成功して、今、JRさんと組んで独自の販売戦略など展開をしようとしておられますが、べっ嬪さくらますさんでしたね。この間答弁で言っておられましたけれども。この田子所長のお話では、サクラマスはあちこち回遊する天然物に比べまして、変なものをもらってこないと。要するに、アニサキスやサナダムシなどの寄生虫がつきにくいんだそうです、養殖だと。そのため、刺身でも食べられるということで、これは大変いいんじゃないかと、食べましたかと聞いたら、おいしかったですと言っておられました。  また、実際に海上で養殖するのは半年でいいということで、漁場を荒らす心配がないということで、漁業者の理解も得られやすいのではないかということで、また、半年で大きくなるので、これは回収率も非常に高いと。これ、やらない手はないのではないですかということで、利点が多いということでございました。  また、これまでは寄り回り波など、富山湾特有の波で網が壊されるといったような心配もあったようでございますが、それについても、網業者さんから聞いてところでは技術開発で、ぐーっと沈めるそうです。それで、そういうこともかなりの部分回避できるということになりましたので、いよいよ現実的な話かなと思います。  安定的な漁業が営めれば、若手の漁業者さんも活気づくということでございますので、こうした、特に今、射水市さんが先行しておられますサクラマスの養殖でございますけれども、県としても後押しをしてこれを進行していくべきではないかというふうに思いますが、芝田部長にお聞きします。 117 芝田農林水産部長 今、委員のほうからも御紹介がございました、射水市におけるサクラマス養殖、平成22年から地元漁協が中心となって取り組んでおり、内水面漁協である大門漁協でふ化をした幼魚を、堀岡養殖漁協で陸上養殖していらっしゃいます。平成29年からは、射水市と連携協定を結んでいるJR西日本等へ試験出荷をされまして、関係の飲食店において、主に刺身として提供されております。  さらに、生産規模を拡大するためには、現在の取水量と養殖水槽に限りがあるため、射水市沖合におきまして海面養殖の取り組みを始めておられまして、来年度は今年度よりも規模を大きくして養殖試験を行うと聞いております。  本県ではこれまで、冬期間の波浪や富山湾特有の寄り回り波によりまして養殖用の生けすが破損するおそれがあることから、魚類の海面養殖は事業化には至っておりませんけれども、今ほど網を沈めるというお話もございました。  養殖は安定した水揚げが見込まれまして、漁業経営の安定に寄与すると考えております。このため、水産研究所では、射水市のサクラマス陸上養殖の研究当初から飼育技術指導や魚病診断を行っておりますが、来年度は海面養殖におけるふんや餌の残りが周辺海域の環境に与える影響調査、こういったことに協力をすることとしております。  また、ICT技術の活用のお話がございましたが、ほかの県でも、やはり飼育されている魚の尾数や体重をIoT機器で計測をしまして、AIで自動的に餌の最適な量とやるタイミングを決定するといったようなシステムが先進的に導入されている事例もございまして、こうした情報の提供や助言を行いますとともに、今後本格的な養殖が行われる場合には、国の事業の活用による支援なども検討してまいりたいと考えております。 118 山本委員 ぜひ安定的な漁業に帰する養殖を考えていただければいいかなと思います。  そして、いろんな技術を考えてといいますか、試行錯誤しながら取り組んでおられる水産研究所ですけれども、これからも富山県漁業のあり方を描いて、それを現実の形にしていくためには、大きな役割を果たしていただかなければならないと思っております。  漁業従事者、県内では1,200人から1,300人といわれております。全体としては年々減ってきているのですが、年齢構成を見ておりますと、若い方が入ってきておられまして、いや、それなりに漁師になりたいという人が増えているという状況をこの間漁連の谷専務からお聞きをしてまいりました。  こうした若い人たちがしっかりと将来にわたって漁業に取り組まれていけるように、富山湾の資源を大事にしていくためにも、この水産研究所の果たすべき役割は大変大きいと思いますが、今後どのようにしていかれるのか、知事の所見をお聞きしたいと思います。 119 石井知事 水産研究所では、これまでも定置網漁業におけるブリやホタルイカの来遊量の予測技術の確立、小型底引き網漁業におけるシロエビ、かご縄漁業におけるベニズワイガニの生態調査、また、ヒラメやアワビの種苗生産技術の確立などに取り組んできておりまして、漁業者の経営安定や資源管理につながる成果を上げてきていると思います。  また、現在策定を進めております富山県農林水産試験研究推進プランでは、中長期の視点に立ちまして、水産部門が取り組む3つの推進目標としまして、1つは水産資源の持続的利用のための資源管理の推進、また、水産資源の維持増大のための技術開発の推進、それから議員が先ほどからおっしゃっておられます漁業環境の保全の推進を掲げておりまして、資源管理としては、ブリの回遊経路の解明や小型クロマグロを定置網から効果的に逃がす手法、また、資源の維持・増大としては、お話のございましたキジハタやアカムツの種苗生産と放流技術の確立に向けて重点的に取り組みます。漁場環境の保全としましては、調査船はやつきの代船建造にあわせまして、県立大学や環境科学センターと連携しまして、富山湾全体の保全につながる調査研究にも取り組むことにしております。  やはり、今後も漁業者の皆さんが将来にわたって明るい展望を持てる、また、若者が漁業に魅力を感じることができる、こういうことが大事ですから、水産研究所が核となりまして、沿岸漁業の振興はもちろんですけれども、委員の御提案、御指摘のあった栽培漁業の推進、養殖魚への取り組みなどの支援についても精いっぱい努めてまいります。 120 山本委員 続いて問いの3ですが、富山湾の環境保全について質問いたしたいと思います。  今議会では、3Rあるいは食品ロスについてはいろいろ質問があったところでございます。来年度も新しい取り組みが予定されておりまして、G7環境サミット、富山物質循環フレームワークについては着実に進展をしておるのではないかと思います。  これと同時期に開催されました北東アジア地域の専門家会合で採択されました2016とやま宣言について、進捗を確認しておきたいと思います。  昨年の10月には、この北東アジア地域自治体連合の環境分科委員会及び漂着物対策関係者会議が本県で開催されまして、5カ国9自治体の参加を得て、活発な議論がなされたとお聞きしております。  かつては日本海沿岸諸国といえば、環境保全に意識が低い向きがあったわけでございます。例えば中国でいうと、黄河の海洋汚染など大変ショッキングな報道がされたことなんかもありましたけれども、最近ではそれぞれ積極的に取り組んでおられる、先日の新聞報道では中国に生態環境省が設立されたということも出ておりまして、非常に積極的な姿勢になっているのではないかと思っております。  環境先端県を標榜する富山県として、豊かな海洋環境を次世代に引き継いでいく、あるいは対岸諸国と問題意識を共有して連携を強めて、実効性のある施策に取り組んでいくというのは本県としても大切なことかと思いますが、知事にこの宣言について、富山県としてどう取り組んでおられるのか改めてお聞きしたいと思います。 121 石井知事 国際的な環境保全ですけれども、さかのぼりますと、平成19年に首都以外の地方都市で初めて日中韓3カ国環境大臣会合が開かれまして、その際に、せっかくの3カ国環境大臣会合ですから、周辺国の自治体や大学、企業の研究者などが集まってはどうかということで、そこで、北東アジア環境パートナーシップフォーラムというものを開催したのですけれども、できればせっかくだからとやま宣言というのもまとめてはどうかということで、案外うまくいきまして、黄砂の視程調査とか青少年の環境教育、環境情報の共有などがまとめられたわけでございます。  今回G7環境大臣会合ということにもなりましたから、この機会にもう一度やろうということで、北東アジア自治体環境専門家会合というのが幸い開けましたが、この際にも2016年とやま宣言がまとまりますなど、富山県としては、私が言うと少し恐縮ですけれども、北東アジア地域の環境保全の取り組みをリードしてきた自治体の少なくとも1つであると言えるのではないかと思います。  昨年10月にこの北東アジア地域自治体連合環境分科会、それから漂着物対策関係者会議が富山県で開催されたわけでございますが、2007年とやま宣言に基づく実績と新たな2016年とやま宣言の趣旨を踏まえて、環境教育や漂着物の発生抑制に力点が置かれた活発な議論がなされました。  委員御指摘のとおり、私どもなり担当者がややびっくりするぐらい、以前、5年前、10年前に比べると、周辺国の国々の方針も変わったと思いますが、各自治体が海洋環境保全に非常に真面目に取り組んでいらっしゃるということがわかりまして、非常に心強く思った次第でありまして、これからも情報共有をしたり、それぞれ環境教育に積極的にこれを生かそうということで合意をしたところでございます。  具体的には、県内の富山市、高岡市、射水市、氷見市、朝日町の5海岸で、この沿岸の小学校等と連携して実施しております海辺の漂着物調査におきまして、来年度は各国の取り組み、韓国でも企業と連携して、1社1沿岸手入れ運動というようなことをやっていらっしゃったり、ロシアでも廃棄物を使ったエコ工作コンクールといったようなこともなさっている。こういった各国の取り組みも参考にする学習会を実施しますほか、通常、各国持ち回りで開催しております子供環境ポスター展についても、3R推進全国大会が開かれますから、そこでサテライト展示をしたいと思っております。  そのほか、これまで実施してきましたNEARの個別プロジェクトに加えまして、韓国の忠清南道から提案のありました環境学習プログラムに新たに参加をする、カキの稚貝の成育を通じて炭素固定化と水質浄化作用を学ぶといったようなことですけれども、こうしたものにも新たに参加して、2016年とやま宣言を踏まえた取り組みを推進してまいります。  また、NPECは来年20周年を迎えますので、県とNPECのこれまでの取り組みを県民の皆さんに紹介する記念講演会も開催してまいります。  今後も豊かな海洋環境を次世代に引き継いでいくために努力してまいります。 122 筱岡副委員長 簡潔にお願いします。 123 山本委員 時間がなくなって、最後のところ、思いっきり5分ぐらい語らねば思っておったのですが。  最後は、海老議員も質問をされて、大変いい質問だったと思っています。農水部長も土木部長も答弁をいただきました。  今は国際的な環境保全の話をしましたが、富山湾の汚染といいますか、富山湾の漂着ごみは8割が富山からの出たものだということですので、富山湾をきれいにするのも汚くしてしまうのも県民次第だという中で、やっぱり県民が決意して富山湾の環境保全に取り組む。漁業の問題にしても環境保全の問題にしても、いろんなお話があろうかと思います。もちろん生活環境文化部がリードしていかなくてはいけないでしょうけれども、部局を挙げて、総がかりで、県庁挙げて取り組んでいただきたい。神秘の海富山湾から、県民が守る奇跡の海富山湾といわれるように頑張っていただきたいと思いますが、このことを最後に知事にお聞きをしたいと思います。 124 石井知事 おっしゃるとおりだと思います。昨年12月に開催した環日本海環境協力シンポジウムでも、実は高岡高校の生徒さんが漂着ごみに関する調査結果を事例発表しまして、国連の職員からも高く評価されるといったように、県内の若い世代の意識は着実に高まっていると思います。  また、来年はさらに3R推進全国大会もございますので、これは今、議員の御指摘も踏まえて、県内全域の海岸で、県民一丸となって清掃活動を展開する、いつでもどこでも3Rということで、ごみのさらなる削減を進めたいと思っております。  また、下流域だけではなくて、上流域の皆さんにも参加していただくということで、親子等を対象にした海岸清掃バスツアーを拡充する、新たにスマホアプリを活用して、若い世代を中心に自主的な清掃活動日を手がけていくなど、全国のお手本となるような政策を積極的に進めてまいります。  また、定期的に開催しております富山県海岸漂着物対策推進協議会などの機会も生かしまして、全庁的に富山県の環境保全、これは市町村とも連携しながら進めてまいります。 125 筱岡副委員長 山本委員の質疑は以上で終了しました。  暫時休憩いたします。  休憩時間は10分間といたします。                     午後3時02分休憩        鹿熊正一委員の質疑及び答弁 126 五十嵐委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  鹿熊委員。あなたの持ち時間は60分であります。 127 鹿熊委員 それでは、1時間よろしくお願いいたします。  最後ですから、伸び伸びと答弁をいただければと思います。気持ちは伸び伸びと、答弁は短目短目でお願いします。  私は、昨年度6月議会の自民党代表質問において、中山間地域の現状と、このままでは中山間地域の持つ貴重な多面的機能が喪失するおそれに言及して、地域政策と産業政策から成る総合的な中山間地域振興策の必要性を述べました。また、この1月には、全会派で構成する県議会山村振興議員連盟から知事に、組織の見直しと人的支援の充実を要望いたしました。  それを受けた形で、知事は平成30年度、組織の改編を表明され、また、幾つかの新規事業予算を提案されました。次代に引き継ぐべき県民全体の財産である中山間地域、その振興にかける知事の意気込みを評価いたします。  ところで、中山間地域振興策に係る条例は、1つは平成15年4月施行の都市との交流による農山漁村地域活性化条例、もう1つは平成28年9月施行の富山県産材利用促進条例であり、いずれも議員提案条例であります。そして今、自民党議員会は、集落機能の維持、基幹集落の育成、生活環境の整備等を柱とする新たな条例を検討しているところであります。  きょうは、この条例化を念頭に置きつつ、中山間地域振興についてさまざまな観点から質問をいたしたいと思います。なお、中山間地域と言ったり農山漁村と言ったりしますが、何らかの条件不利性を持つ地域という意味で、同意義で使わせていただきます。  最初に、都市との交流による農山漁村地域活性化条例に関して、3点質問いたします。  施行からほぼ15年が経過いたしましたが、これまでの成果をどう見ているのか質問いたします。 128 芝田農林水産部長 県では、都市との交流による農山漁村地域の活性化に関する条例に基づきまして、NPO法人グリーンツーリズムとやまを交流地域活性化センターに指定した上で、グリーンツーリズムなどによる都市との活発な交流、農山漁村における定住の促進、地域の担い手となる人材の確保・育成などに取り組んできております。  具体的には、これまでに都市との交流を通じて活性化に取り組む12市町47地域を重点地域に指定いたしまして、都市住民との交流活動や、活動に必要な簡易施設の整備、推進組織の育成などを支援してきておりまして、こうした取り組みにより、農山漁村地域の活性化に向けた機運が醸成され、交流人口の拡大が図られてまいりました。  例えば、都市の小中学校からの修学旅行等の受け入れによる小中学生が、平成20年度の105名から今年度は2,001名と増加をいたしましたほか、とやま帰農塾による田舎暮らし体験には、これまで延べ1,273名が参加をいたしまして、本県への移住も35名いるなど、移住につながっております。  また、とやま農山漁村インターンシップの取り組みでは、首都圏等の大学を中心に、3年間で7地域において、延べ107名が地域の活力再生に向けた提言を行い、特に朝日町においては、県のインターンシップ事業を引き継ぐ形で独自の取り組みも進められるなど、各方面で一定の成果が上がっていると認識しております。 129 鹿熊委員 相当の成果が出ているということで、うれしく思うわけでございます。  成果を聞きましたので成果でいいのですが、課題もあるだろうと思います。いろんな課題の中で1つだけ挙げろということであれば、この条例の3条の基本目標にある中で、地域住民の生活の安定向上というのが目標になるわけです。すなわち所得の向上ということだと思いますが、それについては、これからまだまだその面の施策を打っていく必要があるのではないかなと思っております。  ところで、条例施行後の新たな潮流、例えば地方への移住定住志向の高まり、外国人の地方への関心の高まり、多彩なツーリズムの普及、それから関係人口の増加など、これらの新たな潮流は、農山漁村地域の活性化にとり追い風であると思います。県は、この潮流に呼応し、市町村や県民と連携し、さまざまな交流によって、農山漁村の活性化を一層図っていくべきと考えます。  特に、総務省が設置したこれからの移住・交流施策のあり方に関する検討会、この座長は、田園回帰や農山村問題の第一人者であります明治大学の小田切徳美教授が座長でございますが、この検討会が1月に公表した最終報告書にあるように、関係人口、すなわち本人や親の出身地、または学生時代の居住地、あるいは勤務経験地など、特定の地域に思いを寄せて、継続的にかかわりを持つことを通じて貢献しようとする人々を指すわけですが、そういった関係人口の動きを積極的に受けとめる仕組みの検討を求めたいと思います。多分総務省は、平成31年度か近いうちにこれを具体化する事業を始めると私は思います。  そこで、これらの近年の潮流に呼応し、新たな支援制度を整備するなど、この条例の一層の活用策について、石井知事の所見を伺います。 130 石井知事 近年、委員の御指摘のとおり、都市部の若者を中心に、移住を含めた田園回帰の動きや、都市の住民が農村に何らかの形でかかわろうとする、いわゆる関係人口の広がりもありますし、また、訪日外国人の観光需要を農村に取り組む流れなどもあります。こうした新しい潮流を踏まえまして、県や市町村を初め、NPOや県民が一層連携して、条例に基づく活性化施策をより効果的に推進していくことが重要だと思っております。  富山県としましては、これまでNPO法人グリーンツーリズムとやまと連携いたしまして、移住促進を図る、また、次世代の担い手育成、多様な外部人材を活用した取り組みなどを支援しておりまして、そうした中には、例えば朝日町の笹川地区、氷見市の速川地区などいろいろございます。  特に各地域の関係人口の増加に向けまして、今ほどもありましたけれども、とやま農山漁村インターンシップによりまして、地域と若者との継続的な交流を支援するほか、集落等と企業や団体等とのマッチングを初めとしまして、棚田オーナー制度、これは南砺市、氷見市、富山市八尾等でもございます。こういった活動の情報提供やPRなど、幅広く支援を実施してまいりました。  また、東京のアンテナショップ等においても、本県の農産物や6次産業化商品等の販売、PRを通じましてリピーターを増やすことによって、都市住民との関係づくりを進めることも取り組んでおります。  また、中山間地域の資源を活用した訪日外国人向けツアー商品の企画開発、これは、先般も八尾に行きましたら、原井さんという女性の方が大変頑張っていらっしゃる。ほかにもたくさんそういう方が出ていらっしゃる。こうしたことも県として支援したいと思っていまして、今年度、そうした幾つかの成果をほかの地域にもさらに広げていくためのセミナーも開催したところであります。  今後も、条例の趣旨や、最近の潮流を踏まえて、農山漁村地域に関心を持つ都市住民などの地域外の人材等と集落との多様なかかわりや結びつきが一層深まりますように、また、都市との継続的な交流が活発に行われることによって、富山県の農山漁村が元気になる、活性化するということになりますように、市町村とも連携しながら、関係施策の充実に一層努めてまいります。 131 鹿熊委員 よろしくお願いいたします。  ところで、サイクリング、これはエコアンドヘルスツーリズムでありまして、ますます普及し、それは農山漁村の活性化にも寄与すると、そのように思います。  そこで、田園サイクリングコース、この整備を急ぐべきと私は考えております。現在、富山地方鉄道上市駅からあいの風とやま鉄道高岡駅までの71キロメートルが整備区間とされていますが、私は上市駅から東に延伸をして、滑川、そして魚津、そこでは桃山公園に行ってみたり、あるいはまた、黒部では黒部牧場まきばの風に行ってみたり、そして宇奈月に入り、赤い色の愛本橋を通って、入善町、この舟見街道を過ぎて朝日ヒスイ海岸まで延ばして、湾岸サイクリングコースにつなぐと。  この田園サイクリングコースは、県サイクリング協会の皆さんも推奨のコースであると聞いております。標高100メートルから200メートル前後のところを走って、富山湾を一望に眺める景観はまさにビューポイントでありまして、新たな富山湾の魅力を生み出すと思います。そこで、整備方針を伺います。 132 加藤土木部長 県では、世界で最も美しい湾クラブへの加盟を契機といたしまして、平成26年に富山湾岸サイクリングコースを整備したほか、平成28年には、今、御紹介がございましたように、高岡駅から上市駅までの間について、田園風景の中を走行する71キロの田園サイクリングコースというものを整備いたしました。  これまでのコース整備に当たりましては、ルートの選定、コースの目印となりますブルー色のナビゲーターラインといっておりますけれども、この設置につきましては、各道路管理者であります市町と個別に調整を行ってきたところでございます。  北陸新幹線開業4年目を迎えまして、開業効果をしっかり持続・進化させ、また、地方創生を進めるためには、湾岸サイクリングコースだけではなくて、田園サイクリングコースの充実にも取り組んでいくことが重要であると考えております。  委員の御提案がありました田園サイクリングコースの県東部への延伸につきましては、中山間地域の観光施設をめぐりまして、迫力ある山々の景色、そして、また山腹から富山湾の眺望を楽しめることができるコースとなり、大変魅力的なものとなると思われます。先ほどありましたように、桃山運動公園、黒部牧場まきばの風などなどあります。こういった施設をめぐるということでございますので、整備に当たりましては県道以外のルート設定の必要も考えられますことから、関係市町などと十分相談しなければならないところですが、委員から急ぐべきというお話もございましたので、なるべく早く整備ができるように検討したいと思っております。 133 鹿熊委員 関係市町村の理解は得られると思いますので、なるべく早く進めていただきたいと思います。  先日、上市駅に行ってきましたが、私の見て回った限りでは、どこにもこの田園サイクリングコースという文字もなければ、ここが起点です、あるいは終点ですというのもなかったように思うので、ここはちょっと1回点検していただければと思います。本気になってやっていただきたいと思います。  続きまして、中山間地域振興策について幾つか質問いたします。  最初に、集落機能の維持、基幹集落の育成の観点から5点質問いたします。  平成27年、農林業センサスによる中山間地域主要指標を見ますと、平成22年のそれと比較して高齢化率が5%上昇し、35.3%になった以外は、私の見るところ有意な変化はないと見ました。これは、さきに述べた2つの条例に基づく施策や、中山間地域等直接支払交付金事業等の施策が効いているということだと思います。また、中山間地域に住む住民が、地域を次の世代につなごうという強い意志があることの結果であって、中山間地域は今、小康状態にあるのではないかと、このように思います。  これを年代構成で見ると、団塊の世代がまだ元気な前期高齢者であり、彼らが集落の中枢を担い、集落機能を維持している状況であります。私の住む地区の集落は、まさにこの世代がリーダーとなっております。  しかし、あと六、七年で全ての団塊世代は後期高齢者となり、集落を担うべき前期高齢者の層が非常に薄くなります。したがって、今、何としても持続可能な集落の運営形態を模索すべきときと考えます。  そこで質問ですが、4月から地域振興課に新設される地域活力・中山間支援班は、県庁内における施策の一元的な企画調整だけでなく、市町村や県出先機関とのネットワークを図り、また、集落の担い手、リーダー等とコミュニケーションを上手にとることが求められると思いますが、どのような人材を配置し、どのような機能を持たせようとしているのか、知事に質問いたします。 134 石井知事 県内市町村におきましては、平成の大合併を経て、全体としては財政基盤が強化されたり、住民サービスの維持充実が図られている一方で、人口減少が進む中で、特に中山間地域においては、やはり過疎化、高齢化が進行して、集落機能や生活機能の低下も今後特に懸念されるわけであります。  そこで、県議会でも条例制定について検討されていますし、また、県議会自民党からも、中山間地域の振興について、産業政策と地域政策を総合的に推進されたいと、こういった御要望をいただきました。  そこで、今回地域振興課に地域活力・中山間支援班を新設いたしまして、産業や福祉など、各部門にまたがる中山間地域対策の総合的な窓口としたい。また、市町村合併後の各市町村の現状を踏まえた地域振興を、より機動的、積極的に行うことにしたいと思っております。  組織体制としては、専門の班長以下計5名ですけれども、構成としましては、現在地域振興課で市町村振興を担当しております2名の職員、それから市町村支援課から地方創生交付金等に関する業務を担当している職員1名を移管しまして、さらに市町村振興機能を強化することにしております。さらに、農業職の職員を1名配置しまして、農村振興課の中山間農業支援班や農林振興センターとの連携協力の円滑化を図ることにしております。  中山間地域の振興方策を実効性あるものとするためには、地域の状況や課題を十分に把握することが必要でございます。委員の御指摘のとおり、集落のリーダー等の担い手と意見交換を重ねますなど、そういったことが大事だと私は思っておりまして、私自身も昨年12月には入善町、今月には旧八尾町に出向きまして、住民の皆さん、リーダーの皆さんのお話を直接伺いましたけれども、地域活力・中山間支援班の職員にも、積極的に現場に出向いて、地域のニーズに耳を傾けて、丁寧に酌み取ってほしいと思っております。  その上で、関係部局や市町、関係団体等が十分に連携して、農林水産業も含めた産業政策や、買い物、交通、福祉といった生活機能などを総合的にサポートすることによりまして、集落機能の維持・活性化に努めてまいりたいと考えております。
    135 鹿熊委員 次に、新年度事業の集落の実態調査、これは、県、市町村が実態をつかむためのみならず、集落の住民自体が現状を知って、問題意識を持って集落の将来を考えるためにも、大変意義のある事業だと思います。これからの実効ある中山間地域振興策の出発点になるものと考えます。  そこで、この調査の実施方法、調査項目、調査結果の活用策について質問いたします。 136 芝田農林水産部長 新年度予算案に盛り込んでおります集落調査の実施方法につきましては、県内の中山間地域の全892集落を対象といたしまして、市や町の協力も得て、集落の代表者の方へアンケートを配付いたしまして、回答いただいた内容を集計、分析することにより実施したいと考えております。  また、調査項目につきましては、各集落の現状や課題、ニーズ等を的確に把握できるものとする必要があり、例えば、生活機能の維持に必要な食料品の購入の方法やその際の交通手段、地域での見守りや防災等の地域活動の状況とその継続性の見込み、集落の今後を考える話し合いの状況、次世代を担う人材の有無などが考えられます。  具体的な項目やその詳細な内容につきましては、今後他県の事例なども調査をいたしますとともに、中山間地域振興条例案の制定に向けて検討を進められております自民党議員会を初め、県議会や市や町の御意見もお聞きして検討してまいりたいと考えております。  これらの調査結果につきましては、中山間地域の住民の方々や市や町に還元をいたしまして、現状についての共通認識を持ってもらうと。あわせまして、今後の中山間地域の産業政策や地域振興政策の企画立案に生かしてまいります。 137 鹿熊委員 アンケート調査ということでございますが、本来は他県のように、市町村の協力を得て訪問聞き取り調査が望ましいと私は考えますが、アンケート調査にいたしましても、その実施や調査結果の活用の際は、市町村との連携が今の答弁のとおり大変大事であると思っておりますので、その調査の実施に当たっては、関係市町村とも十分なすり合わせを改めて求めておきたいと思います。  次の質問に行きます。この調査結果を集落にフィードバックして、集落の住民が当事者意識、あるいは危機意識を持って、主体的に集落の運営や将来像について考えていくことが重要であります。その話し合いや合意形成をサポートする人材、ファシリテーターが必要でありますが、どのように養成していくのか問います。 138 芝田農林水産部長 中山間地域の維持・活性化のためには、そこに生活する住民の皆さんが、地域の課題や将来像についてみずから主体的に考えていただくことが重要であります。今後の取り組みも含めまして、住民同士の持続可能な地域づくりに向けた話し合いが活発に行われるように支援していく必要があると考えております。  来年度実施いたします集落調査の結果につきましては、それぞれの地域づくりに活用していだたけるように、他の集落との比較等も可能となるような形で公表し、地域に還元してまいりたいと考えております。  また、住民同士が話し合いを進める際には、中立的立場で住民の合意形成をサポートできる人材、いわゆるファシリテーターの育成確保が不可欠であると考えておりまして、来年度、地域おこし協力隊やNPO職員など、地域を支える人材を対象としたファシリテーション研修を開催するということにしてございます。  現在も、県内でも住民自治組織による将来の地域づくりに向けた取り組みが積極的に進められているというところもございまして、今後ともそうした取り組みを後押しできる人材の育成に努めてまいります。 139 鹿熊委員 まさに、本当に集落で話し合いをするときの媒介者となるような人材、ファシリテーター、それはとても必要だと思いますので、その養成にしっかり努めていただきたいと思います。  そして、そのファシリテーターがうまく機能すれば、私は集落のワークショップ等を通して、まさに集落が主体的にハード、ソフトのさまざまなアイデアが生まれてくるのではないかなと、そのように思っております。そして、そのように集落で計画された事業は、できる限り私は生かしていくべきだと、そのように考えております。  そこで、集落が主体的に計画した事業を、自由度の高い、スパンの長い交付金でもって支援をしていくということが重要であると考えますが、所見を伺います。 140 芝田農林水産部長 県ではこれまで、中山間地域の振興を図るため、地元集落が企業、団体などと連携をして取り組む特産物の加工販売や生活支援サービス、伝統文化の継承、定住促進など、幅広い活動に3年間の継続した支援が可能な中山間地域チャレンジ支援事業、農林漁業者の新たな商品開発や販路開拓などに複数回の支援が可能な6次産業化とやまの魅力発信事業、あるいは地域ぐるみでのグリーンツーリズムや都市との交流拡大に向けた取り組みに2年間支援が可能なとやまの田舎交流支援事業など、複数年にわたって活用できる事業メニューを用意してきております。  また、市町村の実施する先導的な取り組みを支援しますまちづくり総合支援事業では、観光関連施設の整備や生活環境の保全など、ソフト、ハード両面にわたりまして中山間地域の活性化に向けた取り組みを支援しております。  委員御提案の、集落のワークショップなどを通して、地域の主体的な取り組みに対する自由度が高くてスパンの長い支援ということでございますけれども、やはりビジョンを描いてから事業運営が軌道に乗るまで、一定のスパンや弾力的な使い方が必要な場合もあると考えられますが、そのあり方につきましては、今後他県の状況をよく調査いたしまして、また、市や町の意見等も十分伺いながら、既存事業の活用も含めて今後検討してまいりたいと考えております。 141 鹿熊委員 ひとつよろしくお願いをいたします。  今、まちづくり総合支援事業の中にある中山間地域活性化事業についても言及がなされました。これは、ハード2,000万円以内、ソフト200万円以内の補助が出るという大変よい事業ではありますが、平成27年度から平成29年度までの実績を調べてみますと、1件のみでございます。これは、申請する市町村が、この中山間地域活性化事業を含めて全部で9つほどメニューがあるわけですが、他のメニューとの関係で、こればかり申請はできないからであろうと、このように思っております。  そこで、市町村の計画策定による申請を要件とせず、集落の計画を支援する新たな仕組みの必要性を私は申し上げたわけでございまして、今の答弁では、いろいろ他県等の状況も見ながら検討してみるということでございますので、ぜひ私の意見も参考にして前向きに検討していただきたいと、このことをお願いしておきます。  次に、生活環境の整備と産業振興という観点から質問いたします。  高齢化が進んで、単身世帯も多く、病院や介護施設から遠いという中山間地域の特性から、地域包括ケア体制の構築は大変重要であると、このように思います。中山間地域における地域包括ケア体制の構築に向けた取り組み方針を質問いたします。 142 前田厚生部長 地域包括ケア体制の構築に向けまして、特に中山間地域では、在宅医療や介護サービスの基盤の整備等をよりきめ細やかに推進する必要があると考えております。  中山間地域の実情に応じました在宅医療等の充実が図られますよう、県在宅医療支援センターによる地域の開業医の連携・グループ化への支援、例えば新川では、平成23年には20人ほどのお医者さんがグループ化をしてございましたが、28年には36人という形で、着実に増加をしているところもございます。郡市医師会の広域連携等の取り組みへの支援、訪問看護ステーションのサービス提供地域を広げるためのサテライトの設置等の機能強化やテレワークの導入、テレワークについては、南砺市や氷見市でも導入が進んでいるところでございます。また、複合的なサービスを柔軟に提供できる介護サービス基盤の整備などに取り組んでおります。  加えて新年度からは、新たに在宅療養支援病院等の充実強化に必要な施設整備支援といたしまして、中山間地域を抱えますあさひ総合病院への支援や、郡市医師会等が取り組むICTを活用しました地域医療・介護連携の情報共有基盤整備への支援などに取り組むこととしております。  今後とも、中山間地域を初めといたしまして、地域の実情に応じた地域包括ケア体制の構築が図られるよう、在宅医療・介護サービス等の一層の充実に努めてまいります。 143 鹿熊委員 よろしくお願いいたします。  さて、春、秋に、各集落で長く継承されてきたお祭りがあります。そのお祭りは、特に今、子供たちをふるさとに根っこのある人間として成長させてくれる、また、集団への参加意識を芽生えさせてくれると思います。まさにかけがえのない文化であるというふうに思います。自分自身もそういう中で育ってきたなということを思うわけでございます。  今、山本局長とも目が特に合ったわけではありませんが、地元では山本さん、獅子舞の大変な踊り手です、ぜひ披露してもらいたいなというぐらいに。よくあれだけ伸びたり縮んだりできるなと思うわけですが、そろそろ後継者はできましたか。  何を言いたいかといいますと、これらの集落における伝統行事や祭りを大人から子供たちへ伝承する活動というものを支援し、また、伝統芸能、文化を保存、継承する後継者を育成確保していくことは大変重要なことだと、このように考えます。  近く策定される県総合計画の重点戦略の1つに、人口減少社会にしなやかに対応する人と地域の活性化戦略というのがあります。そこのところに、文化活動を通じた活力ある地域づくりの推進として、今言いましたことがしっかりと明記されております。  私は、まずは伝統行事やお祭りの各集落の現状調査が必要と考えます。そこで、現状調査と、それから伝承活動や後継者育成確保への支援について、取り組み方針を教育長にお伺いいたします。 144 渋谷教育長 平成13年度に取りまとめられました県の調査報告書によりますと、本県には539件の伝統行事や祭りがあるとされております。それぞれの地域におきましては、地元の方々の熱心な活動によりまして伝承に努めておられますが、高齢化や人口流出により、次の世代への継承が課題となっております。  このため、地元の小中学校では、総合的な学習の時間などを活用いたしまして、子供たちへの伝承に努めております。例えば朝日町の小学校では、鹿嶋神社の稚児舞を3年生全員が体験いたしまして、その歴史を保存会の方から学んでおります。また、魚津市の全小学校では、せり込み蝶六の踊りを保存会の方々から御指導いただきながら練習を重ねております。  伝統文化につきましても、国や県の調査によりますと、民謡が621件、農具の製作などの民族技術が45件あるとされております。県では、その後継者を育成するため、例えば氷見市論田・熊無の藤箕、これは農具でございますけれども、それから高岡市福岡の菅笠の製作技術を伝える後継者育成教室や、後継者の発表の場となる民謡民舞大会の開催を支援しております。  こうした支援につきましては、来年度、御提案の現状調査、これは従前の調査の追跡調査になろうかと思いますけれども、そうした調査を実施いたしまして、その結果を踏まえ拡充に努めることとしております。  今後とも、市町村教育委員会や関係団体と連携いたしまして、中山間地域を初め、各地域の伝統行事などの伝承と後継者の育成確保にしっかり取り組んでまいります。 145 鹿熊委員 よろしくお願いいたします。  次に、集落崩壊の直接の引き金となり得る自然災害から集落を守るために、土砂災害対策と中小河川の氾濫対策はとても重要であると思います。私の住む地区においても、背後に山を抱えている集落が幾つもあって、大雨のときにはいつも大丈夫かなと、本当に心配になるわけでございます。  そこで、この対策の現状と今後の方針をお伺いいたします。 146 加藤土木部長 県ではこれまでも、土砂災害対策、あるいは河川改修につきましては、近年、土砂災害あるいは局地的な集中豪雨等によりまして住宅等への被害があった箇所などを優先いたしまして、砂防堰堤や川幅の拡幅等の整備を進めてきたところでございます。しかしながら、土砂災害危険箇所の整備率、河川整備率ともに、それぞれ約34%、約56%にとどまっているような状況でございます。  国土交通省では、昨年7月の九州北部豪雨を受けまして、中小河川緊急治水対策プロジェクトというものを今後おおむね3年間で緊急的に進めることといたしております。その中身でございますけれども、本県にもありますが、土砂・流木対策としては、全国で745の渓流におきまして、土砂や流木の捕捉効果の高い透過型砂防堰堤等の整備を行うこととしておりまして、本県では朝日町南保地内の石谷川など、16渓流で整備を推進することといたしております。  また、氾濫防止対策としては、全国では438の河川において、多数の家屋等の浸水被害を解消するための堤防整備等を行うこととしておりまして、本県では小矢部市小神地内の横江宮川など、5河川で整備を推進するということとしております。  県民の安全・安心というのは最優先で確保する必要があるということから、予算のさらなる確保に努めまして、今後とも土砂災害対策あるいは河川の氾濫対策にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。 147 鹿熊委員 よろしくお願いいたします。  もう1つの集落の崩壊といいましょうか、それも心の崩壊、諦めを生むのが、農作物の有害鳥獣被害であります。  私も、このイノシシにやられて茫然とたたずむ農民の姿というものをやはり見ます。それを思い出すと胸が痛くなるということがあります。その対策として有効なのが、耐雪型侵入防止柵でありまして、計画的に、できるだけ早期に整備する必要があると考えております。  そこで、この耐雪型侵入防止柵設置の現状と、県内市町から県に届いている設置要望の総延長と総事業費、今後の整備方針を質問いたします。 148 芝田農林水産部長 耐雪型侵入防止柵につきましては、各市や町の鳥獣被害防止対策協議会において、国の交付金や県単独事業等を活用して整備してきておりまして、これまでに7市町で21.6キロメートルが設置されております。  各市や町からの平成30年度以降の設置要望につきましては、8市町から総延長55キロメートル、総事業費1億5,400万円の要望が寄せられておりまして、県としては、その財源となる国交付金の本県への配分につきまして、先月知事が直接農林水産大臣に要望するなど、国に力強く働きかけてきております。  また、B/Cが1.0未満などの理由によりまして、国の交付金の対象とならないものにつきましては、県単独事業で支援することとしておりまして、その際には、地域ぐるみによる捕獲と一体となった柵の整備計画や、継続した維持管理体制を整えた市町の協議会に対し、高齢化や人口減少が著しく進み、電気柵の維持管理が困難となった地域を優先して支援することとしております。  県としては、有害鳥獣による農作物被害の広域化、深刻化を踏まえまして、要望の強い耐雪型侵入防止柵の整備が着実に進むよう、引き続き国の予算の確保と十分な配分について国に働きかけてまいります。 149 鹿熊委員 次の質問に移ります。  集落のコミュニティーが、住民の通院、あるいは商業施設へのアクセス、子供の通学等、生活交通の自主運営を行ったり、あるいは共同売店や共同給油所を設立する、いわゆる課題解決型のコミュニティービジネス、それは地域の実情に応じた活動であり、また、地域の創意工夫によるきめ細かい支援が可能となる活動であります。県内においてもその動きが広がってきていると思います。  そこで、今後このコミュニティービジネスが一層推進されるよう支援する必要があると考えますが、所見を伺います。 150 伍嶋商工労働部長 県におきましては、いわゆるコミュニティービジネスへの支援内容としまして、これまでもニーズに即した幅広い支援を行ってきております。来年度におきましても、引き続き新世紀産業機構に設置しております中小企業支援センターにおきまして、コミュニティービジネスに関する総合的な窓口を設けて相談対応を行いますほか、特に創業に対する支援については、とやま起業未来塾のコミュニティービジネスコースにおいて企業を支援するということのほか、新規性あるいは独自性の高い地域貢献型の事業に対する助成などを行うこととしております。  また、資金面での支援といたしましては、県の制度融資の中に地域貢献型事業支援枠を設けておりますし、また、元気とやま中小ベンチャー総合支援ファンドを活用いたしまして、社会福祉法人などの借り入れに対する債務保証などを行うこととしております。  このほか、生活基盤への充実支援といたしまして、例えば中山間地域などにおきますバス路線の維持など、生活の足の確保に対する支援を初めとして、地域活性化に向けたNPOなどの活動に対する支援や、また、若者や高齢者、女性など、多様な就業ニーズに応じた雇用の確保などにも取り組むこととしております。  今後とも、多様化、複雑化しております地域の課題等の把握に努めまして、関係団体と連携・協力しながらコミュニティービジネスに対する支援に取り組んでまいります。 151 鹿熊委員 ひとつよろしくお願いをいたします。  続きまして、私自身、地元の土地改良区の理事長をしておるわけでありますが、小水力発電というものに携わってみて、あらためて一定の売電収入が確保されるという事実、これは間違いなく希望でありまして、この再生可能エネルギー導入による地域づくりの可能性というものを実感している1人であります。  そのような観点から、私は、中山間地域においてこそ、河川や農業用水を利用した、土地改良区のみならず、地元企業や住民等の協働による地元主導の小水力発電の導入、あるいはまた、間伐材など、未利用材を活用する木質バイオマス発電の導入を図るべきと考えております。中山間地域におけるこれらの再生可能エネルギー導入の推進方針について、知事に質問いたします。 152 石井知事 中山間地域におきます水資源や木質バイオマスなどを活用した再生可能エネルギー導入につきましては、非常に委員の御指摘のとおりで、大変これから重要になってくると思います。県内の小水力発電は全国でもトップレベルの導入がなされておりまして、特に農業用水を利用した小水力発電は、当初目標である33カ所を上回って、平成33年には35カ所が稼働する見込みとなっております。  また、委員の御指摘の、地元企業や住民の方々の協働による導入事例としましては、南砺市の小瀬地区において、地域住民の方が会社をつくって整備した小瀬谷小水力発電所がありまして、これ、出力160キロワットですけれども、売電収入を地元の羽馬家などの文化財の維持管理や観光振興に役立てておられます。今後も、こうした地元企業や住民の皆さんの協働による小水力発電の導入を通じまして、地域づくりを促進したいと考えております。  一方で、木質バイオマス発電についても、未利用間伐材を活用した木質バイオマス発電所が射水市で稼働しておりますほか、県では、県の中央植物園に県内最大規模の木質ペレットボイラーを導入しますとともに、南砺市でのペレット製造施設を支援しております。  今後のバイオマス発電については、県産材の計画的な利用のもとで、これは間伐材の計画的な出材等も必要ですから、コスト等も考慮しながら、実現可能な範囲で積極的な導入を図りたいと考えております。  今後も住民の皆さんや地元企業、関係市町村とも連携しながら、委員のおっしゃるとおりですので、中山間地域の多目的な機能に着目した再生可能エネルギーの導入の普及展開を推進してまいります。 153 鹿熊委員 どうもありがとうございます。その推進方針に沿って進めていただきたいというふうに思っております。  木質バイオマス発電について、やはり間伐材を発電所まで持ってくるときの作業等がネックになっておるという話もありますので、そこらへんの整備もしっかりと進めていくことも促進には大事だと思っておりますので、その点もよろしくお願いをいたします。  それでは、次に移ります。  新年度の新規事業に、とやま型水田スマート農業の中の中山間地域振興型モデルというのがございます。それはどのようなものを指すのか、また、どのようにしてその普及を図るのか、普及に向けての支援方針等を質問いたします。 154 芝田農林水産部長 新年度実施を予定しておりますとやま型水田スマート農業推進事業では、ICTやロボット等の新たな技術の活用に向けて、例えば200筆を超える圃場を管理する大規模経営型モデル、あるいは1ヘクタールを超える大型の圃場管理をする大区画圃場対応型モデル、そして中山間地域振興型モデルということで、本県の地域や経営体の特性に応じたモデル実証に取り組むこととしております。  このうち、お尋ねの中山間地域振興型モデルにつきましては、圃場が小さくて分散している、それから畦畔が大きく、勾配が急である、こういった中山間地域の特性を踏まえまして、1つにはスマートフォンやパソコンにより水管理を遠隔操作できる自動給水栓、それから2つには重労働で危険な草刈り作業を実施する除草ロボット、3つには効率的な圃場管理ができる経営管理システム、そして4つにはドローンによるセンシング技術といったことなどの個別技術を総合的に活用したモデルを考えております。  こうしたモデルを普及していくため、現地にモデル農場を設置いたしまして、農業者の皆さんに体感していただき普及の拠点とするとともに、機械メーカーなどの民間企業やJA等から成るコンソーシアムを設立、運営することにより、スマート農業を主導できる人材の育成や、日進月歩で進化する農業機械などの情報の収集、さらには開発メーカーへの現場ニーズの提供などを行うこととしております。  また、今後これらのモデル実証により本県での実用性が確かめられた先進的な技術の導入に当たりましては、国の補助事業の活用などによる支援に努めまして、中山間地農業の維持、発展に取り組んでまいります。 155 鹿熊委員 そのモデル農場によって一定の成果が出て、それが中山間地域に普及されていくことを本当に願うものであります。  それでは、次の質問に行きます。  中山間地域でのサテライトオフィス、すなわち本社から離れたところに設置されるオフィスのことをいうわけでありますが、この中山間地域でのサテライトオフィスは、情報通信設備が整備されていれば十分可能であると思います。そこで働く人にとっては、豊かな自然、恵まれた子育て環境の中で、みずからのライフスタイルに沿った生活をしながら、大都市にある本社の仕事やグローバルな仕事ができるという魅力があります。  全国に先駆けて、官民挙げてサテライトオフィスの誘致に取り組む徳島県では、40社を超えるサテライトオフィスが展開されております。中でも、人口約5,800人、森林面積80%の神山町には十数社、また、人口7,700人の海沿いの美波町という町にも十数社など、農山漁村のまちにその誘致が進んでおるという現状です。朝日町においても、意欲的に取り組もうと、そのような動きがございます。  そこで、本県でも中山間地域でのサテライトオフィスの誘致に積極的に取り組むべきと、このように考えますが、石井知事の御所見をお伺いいたします。 156 石井知事 委員の御指摘のとおり、中山間地域でのサテライトオフィスにつきましては、高速の情報通信設備が前提となりますけれども、それが整備されれば、首都圏等と同様にグローバルな仕事等が可能であると考えております。  サテライトオフィスにつきましては、私も徳島の例も調べてみましたけれども、首都圏等の親元の企業にとっては、地方でのそうした新しい働き方を導入することで、そういうことならということで、むしろ入社希望者の増加が見込まれるなど、人材確保につながりやすい、また、サテライトオフィスを地方のそういう魅力ある地域で展開することで、若者の働く上での生産性が向上するといったことも伺っているわけであります。  また、受け入れる側の市町にとりましては、若者や女性の就職希望が多いIT企業など、魅力的な雇用の創出が図られまして、UIJターンや移住の促進につながりますとともに、空き家等の地域資源の活用や元気な地域づくりが期待できるなど、多様な効果があると考えられます。  このサテライトオフィスの誘致に当たりましては、地元市町村による地域の魅力のPRですとか、オフィスとして活用できる空き家等の情報提供のほかに、地域住民の皆さんの理解のもとに、よその方を円滑に受け入れる土壌づくりということも大切であります。  朝日町などは、実際に笹川地区で努力がされておりますから、そうした経験も生かされて、よく思って取り組んでいただければ、これは県としても一緒になって連携して取り組みたいと思います。  新年度、そういう考え方で、サテライトオフィスの設置を希望する首都圏等の企業と、ぜひ受け入れたいと希望される自治体とのマッチングイベントに市町村が出展される場合、また、サテライトオフィスの設置を検討している企業が参加する現地の説明会を市町村が主催する場合の開催経費等について、県として補助を行いたいと思っております。  中山間地域の振興を初め、新しい働き方の提案ですとか、また、女性や若者などの新たな雇用形態の創出、移住・UIJターンの促進につながりますように、こうしたことに意欲を持って取り組む市町村と連携しまして、ぜひこうしたサテライトオフィスの誘致に取り組んでいきたい、かように考えております。 157 鹿熊委員 これまで、こちらの中山間地域振興策をめぐっていろんな観点から質問をさせていただきまして、知事を初めとして6人から答弁をいただきました。改めて中山間地域問題の間口の広さというものを認識させていただいたわけでございます。したがって、私は、この4月から班が新設されるわけでありますが、早晩、中山間地域振興室を設置して、しっかりと体制を整備することが必要ではないかなと思っております。  ただいまは知事を初め、関係部局長からとても前向きな答弁をそれぞれいただいたことを励みにして、自民党議員会、そして議会全体が当局と一体となって中山間地域振興に取り組む気持ちを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。 158 五十嵐委員長 鹿熊委員の質疑は以上で終了しました。  以上をもって本委員会の質疑は、全て終了いたしました。  委員各位におかれましては、長時間御苦労さまでした。  終わりに、本委員会の運営に終始御協力を賜りました議員各位、県当局並びに報道関係の各位に対し、深く敬意を表します。  これをもって、平成30年2月定例会の予算特別委員会を閉会いたします。                     午後4時06分閉会 Copyright © Toyama Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...