等について
・
ブリ資源回復調査事業の結果について
(4) 質疑・応答
宮本委員
・美味しい富山米の店の
取り組みについて
・
農協改革に関する提言について
・
有害鳥獣対策の促進について
菅沢委員
・
ブリ資源回復調査について
・
黒毛和牛子牛価格高騰について
米原委員
・県産材の利用促進について
2 向委員長 報告事項に関する質疑及び
所管行政一般についての質問に入ります。
質疑・質問はありませんか。
3
宮本委員 報告事項の美味しい富山米の店の
取り組みは大変よいものであると思いますが、登録が35店舗というのは、周知されていないため少ないのか、富山米を使った飲食店が少ないのか、富山米を使いたいとは思っていないのか、分析しておられたらお答えください。
4 野尻食の
ブランド推進班長 取り組みが始まったばかりで周知が十分でないとは思っております。応募してみたいがどうしたらよいのかといった問い合わせの電話等も受けており、登録店舗はまだまだ伸びていくと期待しており、
取り組みが広がるよう進めてまいりたいと思います。
5
宮本委員 安い米を仕入れている
チェーン店等もあり、全ての店舗で富山米を使うことは無理ですが、登録してくれる有名店があると思いますので、引き続きPRしていただければと思います。
それでは、JAの
組織改革の質問にうつります。
この11日に政府の
規制改革推進会議の作業部会が、JA全農の
購買事業や販売事業、
信用事業について抜本的な
組織改革を求める提言をまとめられたと報道されています。また、きのうは県選出の国会議員とJAの皆さんが、JAの
組織改革について議論したという報道がありました。この作業部会の提言は、
生産資材の
購買事業からの撤退、銀行業務を抱える
地域農協の削減により、改革を求めるとまとめられているようです。
新聞紙上での状況しかわかりませんが、県としてどの程度把握しているのかお答えいただきたいと思います。
6
広沢農業経営課長 去る11月11日に、政府の
規制改革推進会議の
農業ワーキンググループにおきまして、6回にわたる審議を踏まえ、
農協改革に関する意見が取りまとめられたところです。
7日に親会議である
規制改革推進会議で、真に農業者の立場に立った提言を早急にまとめるようにとの指示を受けたものであり、主なポイントは3つあります。
1つは、全農が行う
生産資材の
購買事業について、農家から手数料を取るこれまでの方式を改め、JAや生産者に対し、資材調達のノウハウや情報を提供する少数精鋭の新組織に1年以内に転換し、関連部門については譲渡売却をしなさいという提言です。
2点目は、みずからリスクを取って真剣に取り組むことを明確にするために、1年以内に委託販売を廃止し、全量を
買い取り販売に転換をするようにという提言です。
3点目は、
信用事業につきまして、
農産物販売に全力を挙げるという目的から、農林中金への
事業譲渡等を積極的に進め、3年後をめどに
信用事業を営む
地域農協を半減するようにということであり、この3点が主なポイントです。
この提言に対し、同日付で全中や全農など、農業4団体の連名でコメントが出されており、
農協改革は
自己改革を原則とすべきであり、提言にある具体策は経営への過剰な介入である、また
農業所得増大の視点から、現実的ではない事業や組織の見直しの強制をされないことなど自主性の確保を大前提に、
自己改革を進める観点から検討するといった見解が示されています。
これに対する県の考えですが、現在、米政策の見直しなど農業を取り巻く環境が大きな転換期を迎える中、農業を魅力ある成長産業としていくために、改革を進めていくことは必要と考えておりますが、その検討、実施に当たっては、農協が中
山間地域を初め、
地域農業の振興や農村の活性化に果たしている役割や機能に十分配慮し、現場に混乱が生じないようにすることが重要だと考えているところです。
7
宮本委員 今の御説明もそうですが、確かに農業者をもうけさせるために、農業者に安く物を売って、生産物を一生懸命売ってあげなさいといった
規制改革推進会議の提言は理にかなっているように聞こえます。
私も約10年間農協におり、営農指導、生産指導を農協の本来の業務としてきましたが、米価の下落があり、
信用事業、共済事業もやっていかないと経営が成り立たないことがありました。農協での
生活必需品を含めた
購買事業等は、地域の核として非常に便利だったのに、中
山間地域の買い物の中でよく言っておりますが、そういった約700の
地域農協が、私の地元でも
各校下ごとに支所があったのが1軒もなくなってきているのが現状です。
今回のように、農業者の声が反映されないまま経済の理論だけで進んでいくと、農業者と農協の接点は薄れていきます。農家のために経営の体力をつけるための
取り組みとして、先般も
JAあおばとJA鵜坂が合併の調印をしたわけであり、この辺は農業者のための議論をしっかりしていかなくてはいけないと受けとめています。
今後、我々県議会からもいろいろな議論が出てくると思いますが、利便性が低下し農家が大変になる恐れもあり、県として、今後懸念されることはないのか、お聞かせいただきたいと思います。
8
広沢農業経営課長 今回の
規制改革推進会議の
農業ワーキンググループの提言につきましては、
農協関係者、農家、有識者などから懸念が示されております。
全農の
購買事業の抜本的な見直しについては、これまで全農がメーカーから
生産資材をまとめて仕入れて、JAに供給していたのが、情報収集や分析に制限されることになると、
購入ロットが縮小することにより
価格交渉力が低下し、必ずしも農家の
生産コストの低減につながらないといった指摘があります。
また、
信用事業の見直しについては、農林中金へ事業譲渡されると、
信用事業の対応が画一的になり、農家の所得増へ柔軟な金融支援ができなくなるのではないかという指摘や、銀行などの金融窓口がない中
山間地域では、JAの支店が地域のインフラとして
金融窓口サービスを実施していることもあり、
信用事業の縮小が農家の利便性の低下を招くといった懸念もあります。
また、
信用事業の収益が営農指導や生活事業を支えている事情もあり、改革はほかの事業にも影響が及びかねないという懸念もあります。
今回の
農協改革は、昨年8月の
農協法改正時の国会の附帯決議にもありますように、
農業所得の増大のための農産物の有利販売、
生産資材の有利調達が確実に達成されることが
農協改革の目的であり、
協同組合組織の発展を進める中で、農協が自主的な改革に全力で取り組むことを基本とするとされております。
国におきましては、
農協改革を進めるに当たり、こうしたこれまでの経過や、地域の実情なども踏まえて、農家の皆さんの不安や懸念がないように、現場に混乱が生じないようにしていただきたいと考えているところです。
9
宮本委員 誰のための改革なのか、誰のための農協なのかという視点で、私どもの会派としても意見を出していく時期も近いとは思っておりますが、県にとっても、米の
生産数量目標、1億円
産地づくりといった分野での農業団体との連携は重要であり、注視をしながら、声を発していただければと思っております。
次に、県東部における熊の人身被害が報道されています。
農林水産部の所管でないかもしれませんが、今年度の
有害鳥獣の捕獲状況についてお答えください。
10
南中山間地域振興班長 ことしはドングリの不作の影響で熊が餌を求め、人里に出没することが多くなっているということです。
熊の
有害捕獲状況は、昨日現在で90頭であり、昨年度の
年間捕獲頭数20頭に比べて多くなっている状況です。このため、県は10月4日に熊の出没警報を発し、1つとしましては、自宅周辺の利用予定のない果実の実を取り除くなどの熊の誘引物の除去、2つとしましては、熊の家屋侵入を防ぐための戸締り、3つとしましては、熊は朝夕活発に活動するので、その時間帯の外出、農作業等を控えるなど、注意喚起を呼びかけているところです。
熊以外の農作物に被害を及ぼす
有害鳥獣では、イノシシの
有害捕獲状況は今年10月末時点で2,613頭であり、昨年度の1,715頭、一昨年852頭に比べると、
捕獲頭数が年々増加しています。
ニホンザルの
捕獲頭数は、10月末現在で177頭、ニホンジカは、9月末現在で18頭となっています。
11
宮本委員 熊による
農産物被害はそう大きくはないのかもしれませんが、生活する上で被害が大きいので、県を挙げて対策や
取り組みをしていただきたいと思います。
イノシシ、サルについても、特にイノシシは、平成22、23年の捕獲数は何百頭単位であったと思いますが、それに比べると捕獲数が増加しているようです。
自然保護課に個体数を聞くと、確定は難しいながらも約5,000頭と言われており、今が一番苦しいときであるが、捕獲はかなり進んでおり、めどが立つかもしれないという雰囲気であり、一層の努力が必要だと思いました。
このイノシシの電気柵の整備については、以前から県、私ども議員も挙げて、国に対して予算要望をしてきており、被害があったところだけでなく、
予防的措置にも活用できるように要望しています。
ことしも、委員長、副委員長が国に出向き要望しましたし、我が会派も9月に党本部に対して要望しておりますが、本省の
鳥獣対策室長、対策室の皆さんにお会いする機会があり、予算枠の拡大と
予防的措置での活用の要望をしたところ、少し前向きな対応ができるという話でありました。
被害がでたA集落に隣接するB集落において、被害がなくても計算値を算出し条件を満たせば、
予防的措置ができるという話でした。被害地に隣接する地域においても一部条件を満たせば、
予防的措置等が可能であるといった流れについて説明いただきたいと思います。
12
南中山間地域振興班長 国の交付金を活用した
鳥獣被害防止対策に係る電気柵の設置は、国の
交付金実施要綱で
被害対策効果分析を行うことが義務づけられています。
国が定めた算定方法により、
耐用年数期間の効果の合計額を総投資額で割り返した値が1を超える場合には、交付金の活用が可能とされています。
改めて、
農林水産省に
予防的措置の適用について確認したところ、周辺地区で被害が発生している場合、現時点で鳥獣被害が発生していない地区においても
予防的措置としての効果を対象とし、
当該被害額をもとに費用対効果分析を行い、それが1を超えれば、国の交付金の活用が可能であるとの回答を得ているところです。
国の交付金を活用し電気柵の
予防的措置をした例は、これまで県内ではありませんが、この
農林水産省の見解を踏まえ、該当する地域があれば、来年度に向け積極的に国の交付金を活用するよう市町村等へ周知するとともに、
予防的措置にも対応できる十分な予算の確保、本県への予算の配分について国に対して引き続き強く働きかけてまいりたいと考えているところです。
13
宮本委員 被害が出ていないところにも
予防的措置ができることは、市町村にとって非常にありがたいことですので、しっかりと周知していただきたいと思います。
予算を確保することも非常に重要な課題であり、我々も汗を流したいと思いますので、市町村にはそういった
取り組みを強化するよう進めていただきたいと思います。
14
菅沢委員 報告を受けた
ブリ資源の
回復調査事業の結果については、テレビの特集やけさの新聞でも取り上げられておりました。
きょう報告がありましたが、ブリの漁獲変動の背景分析が中心で、
ブリ資源の現状についての危機意識はなかったと思います。日本海の冷水塊が
能登半島北西沖で発達するかしないかが、富山湾に回遊する割合に影響しているというのは当然です。
ブリ資源の回復調査には、
ブリ資源そのものに問題があるといった現状認識があるのでしょうか。
平成28年度の寒ブリ──3歳もので8キロから10キロ以上の魚体──の漁獲量はそうふえず、平年を下回るという見通しであり、寒ブリの分類に入ってくる6キロ前後の2歳ものは平年を上回る見通しということで、
漁業関係者にも歓迎されると思いますが、その程度の分析で
ブリ資源そのものの問題に迫ったことになるのか疑問です。
きょうの報告も数枚に要約したものであり、新聞やテレビの報道の前に、
常任委員会の委員に詳細な調査結果報告書を配付してもよかったのではないかと思います。
能登半島北西沖合の冷水塊が発達するかしないかが原因であるということですが、冷水塊が発達するもしくはしない原因、背景はどうなのでしょうか。
テレビ報道では
地球温暖化の影響を取り上げていたようですが、冷水塊が発達するかしないかは、
日本海規模、いや地球規模の問題であると思うのですが、報告ではそういうことに全くふれられず、漁獲量の多少の背景として冷水塊を取り上げた説明だけです。
ブリ資源の回復という根本的なことにふれてないようですが、ことしは去年よりは少しよさそうだといった程度の調査にすぎなかったのですか。
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津田水産漁港課長 委員御指摘のとおり、ブリの漁獲量は冷水塊の発達が原因であることが研究の発表で出ているわけですが、それがどういう構造であるのかという抜本的な調査も必要であると思っています。
今回は、今年度の
県単独事業の調査結果だけであり不十分であったかもしれません。昨年この調査をするに当たり、広域的で抜本的な調査をしていただくよう国に要望し、平成28年度から平成32年にかけて、5年計画で、国の
水産研究機構である日本海区
水産研究所に、新潟県、富山県、石川県、福井県、京都府が加わり、抜本的な調査をすることになっております。
16
菅沢委員 ブリ資源の根本的な問題に対するアプローチや認識はないわけですね。
17
津田水産漁港課長 ブリの資源量が十分であるか調査することは必要であることから、国では水温と同時にブリの資源量の調査もやっています。
18
菅沢委員 しっかりやっていただきたいと思います。同時に、当面は漁獲の問題であることも間違いないわけで、きょうの報告であれば、冷水塊を避けてブリが行くわけだから、日本海の海水温を科学的に探査しながら、回遊の通り道にまき網漁をするといった漁法の問題になるわけです。定置網のように待っている漁業から自然の海流、海水温の状況も見ながらブリを追っかけて、定置網でない方法で待ち伏せするといった漁法の問題になってくるのです。
さらには、漁業資源のことになれば、養殖等の富山湾での新しい分野の漁業について検討となるわけです。国も含めた調査を5年間しっかりやる必要があると思います。
19
津田水産漁港課長 引き続き、調査をしていきたいと思っています。
20
菅沢委員 ことしはブリ漁が去年よりは期待されるということですので、黒字になればよいと思います。
次に、農家数は多くはありませんが、氷見は黒毛和牛、肉牛の畜産業が盛んです。きのう、氷見の生産農家と話をしていた際、
黒毛和牛子牛の価格が1頭90万円と高騰し、なかなか手が出ないと言っていました。高騰はここ数年続いており、特に今年がひどく高いそうです。
県内の
和牛生産農家に供給される
黒毛和牛子牛1頭の価格について、資料もいただいておりますが、北陸3県の平成28年度5月の平均は75万円で、90万円に比べると少し安くなっています。去年は68万円であり、10%高くなっており、5年前に比べると倍になっています。
黒毛和牛子牛1頭の価格の推移についてお答えください。
21
飯田農業技術課長 北陸三県では、金沢に
和牛子牛の市場があり、その
市場データを見ますと、子牛1頭の平均価格は、5年前の平成23年度が39万9,000円と約40万円、平成25年度から上がり始めまして、平成27年度が68万円で、直近の9月データは75万6,000円です。
22
菅沢委員 去年と比較すると、1頭当たり10%増、5年前から見れば倍になっています。きのうの話では90万円もしたと悲鳴を上げていました。
全国的な状況かもしれませんが、こうした価格高騰の背景、原因には、供給量の問題があるのでしょうか。
23
飯田農業技術課長 価格の高騰の要因には、市場の需要と供給のバランスで、競りがあり、その影響が大きいと考えております。
本県も同様ですが、全国的に
和牛子牛を生産する
繁殖農家の高齢化や
小規模農家の廃業により、
繁殖農家戸数と
繁殖雌牛の頭数が減少しています。全国で平成25年度に約5万3,000戸あったのが、平成27年度には4万7,200戸に、富山県で31戸あったのが現在21戸と、全国とも富山県ともに、減少しております。
また、生産する
繁殖雌牛も同様に、全国で平成25年度に61万8,000頭だったのが平成27年度には58万頭と減少しています。富山県では、781頭であったのが711頭となっています。
和牛子牛を生産する母体の総数が減少し、
和牛子牛の供給が少ないために、競りが高値になっているとみております。
24
菅沢委員 富山県の畜産業は、全国的にみると桁違いに規模が小さいと思いますが、富山県においては大きな産業であり、農家も頑張っており、大事に育てていかなければなりません。
今、
繁殖農家と
繁殖雌牛の減少を、数字で示していただきましたが、国でも子牛不足の解消のためにいろいろ施策に取り組まれていると思います。県においても繁殖基盤の一層の強化策が求められていると思いますが、いかがですか。
25
飯田農業技術課長 繁殖農家の基盤強化に尽きると思っております。国では
繁殖雌牛の増頭に取り組む方針を出しており、県も畜産・
酪農収益力強化総合対策事業、いわゆる
畜産クラスター事業を活用し、積極的に農家の施設整備や機械導入に支援することにしております。県はそれに上乗せをして、
繁殖農家の経営基盤を強化し、将来、子牛の生産拡大をしていただきたいと考えております。
今年度は、立山町において
繁殖雌牛60頭の増頭を、また国の補正予算に対応した10月補正予算で、南砺市において
繁殖雌牛50頭の増頭が事業採択されるよう申請中であり、
和牛子牛をたくさんつくるためのハード面での支援をしております。
また、
繁殖農家の経営の安定化も大事であり、委員のお膝元、氷見でよく見られる水田放牧は、
繁殖雌牛が妊娠してから分娩までの残り四、五カ月を、主穀作農家に面倒を見てもらい、試算は難しいのですが、水田の雑草を食べることは労力軽減にもなっています。また、稲全体を発酵させて餌にする、稲ホールクロップサイレージにおいて、
繁殖農家と主穀作農家との連携にも取り組んでおり、地域、行政、農家が一体となって、生産費用の低減について支援し、経営基盤強化に向けて取り組んでまいりたいと思っております。
26
菅沢委員 この数年の間に、
繁殖雌牛が781頭から711頭に減少し、経営基盤を支える事業をしっかりやらないと農家は大変です。平成28年度当初、そして10月補正で、約100頭の
繁殖雌牛の増強に向けての措置がされ、経営農家に対する支援策も検討されているということで、しっかり実績を残していただきたいと思います。
次に、11月6日の日本農業新聞で、JA東日本くみあい飼料が、母牛への受精卵移植を組み合わせて、双子牛生産のモデル事業に着手しているというトップ記事がありました。
繁殖雌牛の増強とともに、進展する畜産技術を駆使して、コストダウンを図りながら優良な子牛を生産していく試験研究も随分進んでいるという印象を受けました。富山県も技術力を生かして、積極的にいろいろなことを考えていただきたいと思いました。
次に、黒毛和牛肥育経営の現状ですが、黒毛和牛取引頭数の推移を見ると、平成27年度は744頭で、前年度と比べると9%減っており、四、五年前から見たら十四、五%減っています。増えていると思っていたら意外にも減ってきており、このことについてはいかがですか。
27
飯田農業技術課長 富山県内の黒毛和牛は、富山食肉総合センターに出荷され、枝肉にされ、精肉されております。そこでの取引頭数、出荷頭数につきましては、5年前の平成23年度で年間854頭、平成27年度では744頭と年々減少しており、全国も同様の傾向にあります。
28
菅沢委員 氷見牛というブランド化したような名もありながら、出荷頭数が減っているとはいかがなものかと思います。
買った子牛はおよそ2年後に出荷されますが、子牛を買うのに80万円、これに飼料代がかかります。1カ月約2万6,000円が相場ということですから、2年間では大体60万円近くになり、これでもう140万円、それから人件費が必要ですから、枝肉が200万円くらいでないと経営は難しくなると思います。
枝肉相場の資料で、黒毛和牛の上物A4以上の平均枝肉単価の推移を見ると、富山県は平成28年度がキログラム当たり2,536円と昨年よりも約5%上がっており、四、五年前と比べると二十五、六%と高騰しています。Aは歩どまり、4は肉質ですが、それが平均ということです。
富山県では、直近で11月25日に県東部地区共進会で競りが行われていますが、A4で枝肉重量が約500キログラムとすると、取引の市場価格がキロ当たり2,600円ですから、130万円でしか取引されていないことになります。
子牛を高い値段で購入し、餌をやって一生懸命育てても、餌代と子牛代だけでも140万円、労賃を入れて200万円としても、実際は約130万円の取引にしかなっていないのです。これでは、農家の経営はどうかどころの話ではなく、将来期待を持ってやっていける状況でないと思いますが、どうお考えですか。
29
飯田農業技術課長 枝肉価格としては最近単価が上がってきて2,600円弱、平成28年度でも10月までの平均で2,500円がついています。500キロの枝肉が平均ですので、約130万円となります。
農家からは子牛価格が高騰して儲けがないという声も聞いており、コストの低減を図り、高い単価で生産物を出すように指導していくのが重要だと思っております。
和牛子牛の価格高騰対策につきましては、肥育農家からの要望を受けて、今年度から、県単独の
和牛子牛高騰対策事業でとやま和牛増頭支援事業を実施しており、和牛の増頭に対して一頭当たり5万円を上限に補助をして、子牛の導入に影響が出ないようにしています。
30
菅沢委員 枝肉相場は好調ですが、子牛相場がそれを上回っており、肥育農家に利益が出ない、赤字になっているのが現実であり、畜産業の将来の先細りに非常に危惧感を持っています。経営の実態を見ながら、実効性のある補助事業、支援策をしていく必要があると思います。
きょう報告された県産牛の
ブランド力向上の
取り組みもしっかりやっていく必要があると思いますが、現場の声を聞いて、今最も緊急に支援しなければならない観点からすると、いかがなものかと思います。
畜産農家は高齢化していますが、大変頑張っており、氷見牛、黒毛和牛のブランド化の一翼を担っています。畜産業の現状を踏まえて、平成29年度当初予算に向け強力な支援施策をしていただきたいと思いますが、部長はどのように考えておられますか。
31
伍嶋農林水産部長 今ほどは県産肉のブランド化ということで、特に肉用牛につきまして、これからしっかりと支援すべきという御意見をいただきました。
担当課長からも答弁申し上げましたとおり、肉の価格は、需要と供給によって決まりますので、県が支援していくとすれば、
生産コストをいかに下げるかということに絞られてくると思います。
飼料費の占めるコストが3割弱とかなり大きいので、県内産の飼料用米に置き換えコストを抑えるとか、子牛を買うときの購入価格が高騰しているので、全体数を増加させる場合には支援をして、畜産農家の収入を高める工夫をしっかりやっていきたいと思います。
今、国では、飼料用米を生産する耕種農家と通常の飼料をつかう畜産農家が連携して
畜産クラスター事業を行う場合には、施設整備に対して補助するといった施策を示しており、積極的に活用しながら、
生産コストの低減に努めてまいりたいと考えております。
一方で、PR不足と御指摘を受けましたが、富山の肉は非常に品質がよく、おいしいということをしっかり宣伝していくことが大事だと思います。そういう意味では、今回の黒毛和牛のA5の等級が全国1位になったということは、本当に誇らしいことであり、こういった技術的な要素を背景に、これからも耕種農家、畜産農家が、夢と希望を持って経営に向き合えるよう、積極的に支援をしてまいりたいと考えております。