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  1. 富山県議会 2012-02-01
    平成24年2月定例会 一般質問


    取得元: 富山県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-14
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前10時00分開議 ◯議長(坂田光文君)ただいまから本日の会議を開き、直ちに日程に入ります。 2 ◯議長(坂田光文君)日程第1、県政一般に対する質問並びに議案第1号から議案第80号まで、報告第1号及び報告第2号を議題といたします。          議案第66号から第80号まで 3 ◯議長(坂田光文君)議題のうち、本日提出されました議案第66号から第80号までについて、知事から提案理由の説明を求めます。  石井知事。    〔知事石井隆一君登壇〕 4 ◯知事(石井隆一君)ただいま上程になりました議案について御説明申し上げます。  議案第66号から第80号までは、平成23年度の一般会計及び特別会計の補正予算の追加であります。  一般会計の補正予算額は75億7,878万円の減額であり、この結果、予算総額は5,850億152万円となります。  歳出の主な内容としましては、国の補正予算を活用し、環境放射線モニタリングステーションの設置、農地防災事業などを行ってまいります。あわせて、貸付料充当に伴う新幹線整備事業負担金の50億円の減を初め、公共事業等の事業費の確定に伴い、所要の補正を行ってまいります。  また、歳入につきましては、法人関係税などの増収に伴い、県税を増額するとともに、今後の財政運営に備えるため、財政調整基金の取り崩しを約1億6,000万円、県債管理基金の取り崩しを9億円減額することとしております。  特別会計につきましては、物品調達等管理特別会計など14会計について所要の補正を行うものであります。  以上をもちまして、今回提出しました諸案件の説明といたします。  何とぞ慎重御審議の上、適正な議決をいただきますようお願い申し上げます。     県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑 5 ◯議長(坂田光文君)これより各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行います。
     通告がありますので、順次発言を許します。  奥野詠子君。    〔4番奥野詠子君登壇〕 6 ◯4番(奥野詠子君)おはようございます。  あさってで東日本大震災から丸1年を迎えます。テレビでは、この震災に絡んだ特番やドキュメンタリーが連日放送をされております。番組を見て改めて感じるのが、多くの人たちが大切なものを突然なくし、今もなお虚無感や後悔、そして孤独といった大きな痛みを抱えているということであります。それは、物質的な支援だけでは決して埋められるものではなく、人に寄り添い、希望をつなぐことこそが命をつなぐことにもつながるのだと感じております。人に寄り添うこと、そして、夢や希望をあすにつなぐことの大切さをいま一度胸に刻み、質問に入ります。  11月議会の予算特別委員会で、習慣性流産、いわゆる不育症への支援について質問をさせていただきました。  この症例について、厚生労働省の依頼で取りまとめを行ったのが富山大学附属病院の齋藤滋教授だったこともあり、知事からは不育症専門医を配置するなど、相談窓口の充実強化に取り組むとの答弁をいただいたところでありますが、いつからどのような体制で実施する予定であるのか、飯田厚生部長にお伺いをいたします。  また、この不育症は、県内でも潜在的な患者は300人から500人、現在治療中の方でも富山大学附属病院県立中央病院だけで150人以上もいらっしゃることがわかっております。その治療の大変さは前回議会で述べさせていただきましたが、正しい治療を行えば85%が無事出産に至るとの報告もされております。  しかしながら、正しい知識を持たずにあきらめてしまっている方、また、経済的理由から治療に二の足を踏んでいる方も、病気の周知を図り、治療費に補助がなされれば、前向きに治療に取り組む方も増えてくるのではないかというふうに思っております。  少子化対策に頭を悩ませる現在、治療の成功率の高さからも、治療する方が増えれば必然的に出生数も増加するものと思われます。費用対効果の面からも治療費を補助することは非常に有効であると考えます。  まずはどのぐらいの需要があるかを判断するためにも、不育症と診断された方に限り、現在の妊産婦医療費助成の対象に切迫流産の項目を追加することを提案いたしますが、石井知事の御所見をお伺いいたします。  次に、NPOとの協働事業について質問いたします。  東日本大震災後、NPOの被災地での支援活動が多く報道され、NPOという言葉もすっかりなじみとなりました。  日本におけるNPOは、1995年の阪神・淡路大震災を機に、市民団体やボランティア団体の法人格の必要性がクローズアップされ、98年に特定非営利活動促進法が制定されると、爆発的にその数を増やしてきた経緯がございます。県内でも、その翌年度8団体だったものが、12年を経て、今年度は303団体にまで増加しております。  日本でも近年は、国や地方自治体の財政逼迫などから、全国的に行政とNPOの協働が一つのブームのようになっておりますが、本県でもNPOとの協働事業が掲げられております。しかし、非営利団体でありながら、ボランティア団体と違い、人件費を確保しなくてはならない中での法人税の支払いや事業報告書の提出、変更登記など事務手続も多く、有意義な活動をしようと動けば動くほど、運営が厳しくなる団体が多いとも聞いております。  NPO法人を取り巻く現状と課題について、五十嵐生活環境文化部長にお伺いいたします。  そもそも世界的なNPOの歴史は古く、北欧、スウェーデンでは1809年、憲法に明記された近代的オンブズマンが起源であり、れっきとした行政機関で、政府の代理人として認識されております。またアメリカでは、各州の法律によってその活動が保護をされております。  日本でも、行政とNPOが独自のルールづくりに着手しているところもあるやに聞いておりますが、県として協働を掲げる以上、NPOへの支援策について、NPOへの期待や協働実績を踏まえて石井知事にお伺いいたします。  次に、障害者福祉等について質問します。  本県では、障害者自立支援法の施行に伴い、いわゆる授産施設等で働く方の賃金であります工賃の水準を引き上げるため、平成19年度から今年度までの5年間、工賃向上支援計画に取り組んできたところであります。  当初、1人当たり月額平均1万2,000円であった工賃を、この5年間で倍額、2万4,000円程度に引き上げることを目標にしてきたわけですが、昨年度の報告を見ますと、1万2,575円と計画開始時の4.8%増にとどまり、4年間の成果としては目標としていた倍額にはほど遠いのが現状であります。  この計画も終了が目前に迫っておりますが、この5年間の実績と目標達成度を踏まえた評価について、飯田厚生部長にお伺いいたします。  また、これまでの工賃向上支援計画の目標が達成できなかったということからも、引き続き支援するための新たな計画を作成中とのことでありますが、現状として授産施設等の工賃格差が広がってきている、これもまた課題として浮上をしてきております。  自主製品の製造、販売でうまく軌道に乗ったところは、倍額とまではいかなくとも、多少工賃が向上し、手ごたえやヒントを得ているようでありますが、まだまだ暗中模索といったようなところが多いのが現実であります。各施設の努力はもちろんですが、県としても各施設に通う方たちの能力や各施設の特性に合った、より効果の上がる現実的な支援策を講じるべきと考えます。  確かに、昨今の不景気で企業側も給与カットなどを余儀なくされている現状をかんがみますと、障害者工賃だけが向上するはずはなく、非常に難しい問題と感じますが、せめてその労働の対価として適正な金額を求めるものであります。  新たな計画の内容と目標設定の考え方について、これも飯田厚生部長にお伺いいたします。  障害に関連し、発達障害について伺います。  近年、知的障害を伴わない発達障害がクローズアップされてきております。発達障害として認知度の高いものにはADHD、いわゆる注意欠陥多動性障害や、対人スキル、社会性といったコミュニケーション能力に難のある自閉症やアスペルガー症候群、特定能力の習得が難しい学習障害などが挙げられます。  知的障害を伴わない発達障害については、性格的な問題と誤解されることも多く、本人が違和感を持っていても診断に至っていないケースや、また、本人や家族の意向で通常の学級に通っている児童生徒もたくさんおります。  しかしながら、集団行動が苦手である、友人とのコミュニケーションがとりづらい、勉強についていけないなどの理由から不登校となることも多く、その延長として引きこもりとなるケースが厚生労働省のひきこもり支援ガイドラインでも指摘されております。  発達障害の児童生徒を支援していくことが、結果として引きこもりの予防にもつながると考えますが、今後、県としてどのように支援をしていくのか。県内の現状と今後の方向性、取り組みを含め、寺林教育長にお伺いいたします。  次に、学校における運動部活動について質問いたします。  近年、特に地域スポーツクラブの台頭が目立ち、学校のクラブ活動や部活動には加入せず、プロのジュニアチームやユースチームで練習を行う児童生徒が増えております。  中学校、高校の学習指導要領では、前回の改訂で部活動に言及する記述がなくなっておりましたが、平成20年1月の中央教育審議会の答申では、生徒の自発的、自主的な活動として行われている部活動について、学校教育の一環としてこれまで果たしてきた意義や役割を踏まえ、教育課程に関連する事項として学習指導要領に記述する必要があるとの指摘がなされたところでございます。  その新学習指導要領が、中学校では来年度から全面実施をされ、高校では25年度の入学者から実施される予定でありますが、改めて見直された学校教育としての部活動の重要性について、村井教育委員長の御所見をお伺いいたします。  本県では、スポーツ振興に非常に力を入れております。今年度は駅伝、サッカー、野球の3競技に強化事業費として2,000万円が計上され、来年度はさらに拡大されるものとなっております。  そのおかげかはわかりませんが、昨年、野球では新湊高校が甲子園で活躍、また、年末年始に行われました全国高校サッカー選手権では、私の母校であります富山南高校が初出場にて、強豪九州勢を相手に初戦を突破いたしました。初出場、初勝利といいますのは、県勢としては48年ぶりの快挙でありまして、個人的にも非常にうれしい出来事でありました。  しかし、このように特別に予算をつけ、全国でも通用するような選手を育てたとしても、実力を発揮できない例はたくさんございます。その要因として一番に挙げられるのが、けが、故障であります。技術はトップレベルのものを習得していながら、成長期の体づくり、練習内容や休養の正しいとり方がわからず、けがに泣かされている選手も多いというのが現状であります。  昨年の全国都道府県対抗女子駅伝では、4区を走った選手が途中で右大腿骨を骨折、富山県チームが棄権したことは記憶に新しいと思います。私自身、長く競技をしておりましたし、また、スポーツ科学等も専門に学んでまいりましたが、疲労骨折としても大腿骨のような大きな骨で起こるというのは極めてまれなケースでありまして、非常に驚いた覚えがございます。  強豪と呼ばれるチームや学校の選手は、多少の故障では練習を休まないというのが当たり前のようになっておりますが、それも強靱な体と適切なサポートがあってこそなせるわざであります。まだまだ成長途中の中高生には、技術習得とともに長い競技人生に耐えられる体づくりに力を入れることが、全国で、また世界で戦える人材を育てることにつながると考えますが、寺林教育長の御所見をお伺いいたします。  また、新事業として、栄養士やトレーナーを派遣するトレーニングエキスパート事業が盛り込まれておりますが、トレーナー派遣といえば、触診やマッサージなども含めて、選手の心と体のケアに努めるものであります。全国では、男性指導者の女子選手に対する不祥事などが取り上げられております。適正な人材確保と派遣頻度、さらにどれぐらいのサポートが実際可能であるのかについて、寺林教育長にお伺いいたします。  続いて、学校における食育について質問いたします。  そばアレルギーというのは、食物アレルギーの中でも認知度が高く、命にかかわる重大なショック症状を起こすことでも知られているというふうに思いますが、これら食物アレルギーに近年変化があらわれているようであります。そばに始まり、小麦、卵、大豆、乳、甲殻類というのは、じんま疹やむくみ、ぜんそく、呼吸困難を引き起こすアレルゲン物質として、以前からかなりの数の報告例があったようでありますが、近年はそれらに加え、野菜や果物にアレルギー症状が出た例も報告されております。  また、食物アレルギーを持つ子供の数は増加の一途をたどり、県内でも、少子化で全体数が減少しているにもかかわらず、ここ10年で2倍近い人数になっており、23年度には小中学生合わせて1,923人にも上っております。  そもそも食物アレルギーは、離乳食が始まってすぐに発見されることが多いものの、成長するに従って症状が軽くなっていくのが一般的とされておりましたが、現在は症状が長引くようになってきているとも指摘されております。  食物アレルギーの児童生徒の現状についてどのように認識しているのか、寺林教育長にお伺いいたします。  また、これら食物アレルギーの児童生徒に対する学校給食の対応が、市町村ごと、さらには学校ごとにまちまちであるという相談が保護者から多く寄せられております。  対応としては大きく、除去食、代替食、学校では全く関与せず自宅から弁当持参というところに分けられますが、除去食一つとっても、アレルギーを引き起こすアレルゲン食材がまざった料理そのものを食べさせないという処置から、問題のアレルゲン食材をなべに投入する前に人数分だけ取り分ける方法で対応しているというところまで、その工夫はさまざまでありまして、栄養教諭や学校栄養職員の個々の知識や技能によるところが大きいのが現状であります。  同じ富山県でも対応に大きな差があるこの現状についてどのように認識しておられるのか、寺林教育長にお尋ねいたします。  この食物アレルギーに対し、学校が全く関与せず、とにかく心配ならば自宅から弁当を持参してくれと言われている保護者の中には、毎月の給食献立表を見ながら、毎日給食と同じメニュー、また似たメニューをつくって持たせている方もいらっしゃいます。この理由を伺いますと、給食の時間にみんなと違うものを食べていることで疎外感を感じたりしないか、好き嫌いではなく、体質、アレルギーということを子供同士できちんと理解しているのかといったような心配があるからだというふうにおっしゃっておられました。  給食も学校教育の一環ではないかと考えますが、学校教育の給食の位置づけについて、村井教育委員長の御所見をお伺いいたします。  最後に、学校給食業務は市町村の管轄ではありますが、食物アレルギーを持つ児童生徒が同じ富山県で育つ以上、一定レベルの配慮ある対応を求めたいと思います。市町村や学校によって、また担当する栄養教諭や学校栄養職員の関心度によって、保護者が負担を強いられるだけでなく、子供が間違ってアレルゲン食品を食べてしまうのではといった心配事をほうっておくというのは、最悪の場合、命にかかわるこの問題においては、県としてあまりにも無責任であると感じます。  栄養教諭や学校栄養職員の方に正しい知識を習得してもらい、学校現場において適切な対応をとっていただけるよう、ぜひ県がリードをして研修会等を定期的に開催しますとともに、市町村に対しても県下統一した一定レベルの対応を求めるべきと考えますが、県の取り組みについて寺林教育長にお伺いをし、質問を終わります。  御答弁、よろしくお願いいたします。 7 ◯議長(坂田光文君)石井知事。    〔知事石井隆一君登壇〕 8 ◯知事(石井隆一君)奥野議員の御質問にお答えをします。  まず、不育症についての御質問であります。  不育症につきましては、厚生労働省の研究班による調査研究の成果で、昨年9月に不育症管理に関する提言が示されまして、ことし1月から不育症の治療法の一つが新たに医療保険の適用になったということは、本当によかったなと思っております。これによりまして、患者の経済的負担が軽減されますとともに、的確な検査や診断がなされて、より適切な治療が行われるようになるものと期待をしております。  ただし、不育症につきましては、単一原因の疾患ではなくて、議員も御承知のとおり、流産を繰り返す多様な病態の総称でありますので、現時点では医療機関において治療方針が必ずしも定まっていないこと、また、胎児が原因で流産を繰り返すような症例に対しても、過度の治療が行われているケースもあるなどの指摘も伺っているわけであります。  こうしたことから、県としましては、まずは不育症の検査が可能な医療機関や専門の外来を持つ病院等のリストを作成しまして、関係医療機関との連携を強化することなどによって、まず不育症に悩む方々が適切な検査や治療を受けられるように努力していきたいと考えております。  また、不育症は認知度が低く、正しい情報を県民の皆さんに提供していくことが重要でありますので、新年度から新たに県の不妊専門相談センターにおいて、不育症に関する専門医師による相談を行いますとともに、この相談実施の周知や不育症への理解を深めるためのリーフレットを作成するなどしまして、相談体制の充実や正しい知識の普及を図ることにいたしております。  11月議会でも御質問いただいた不育症の方の経済的負担の問題につきましては、先ほど申し上げました治療法の医療保険適用によりまして、不育症の方の自己負担が大幅に軽減されて、不妊症の方が体外受精等の治療によって特定不妊治療助成を受けた場合に比べますと、一般的には、1回当たりで計算しますと負担額が軽減されたところであります。  お話は、それに加えて、妊娠22週未満の切迫流産を妊産婦医療費助成の対象として、不育症の方にさらに手厚い医療費助成を行ってはどうかというお話だと思いますけれども、今ほど申し上げました特定不妊治療を受けている方や、また、他の疾患を有する妊産婦の方などとの経済的負担の公平性を欠くんではないかということも考えられる。例えば、いずれにしても妊娠22週以上になって早産の場合には、一般の妊産婦の方と同じく県単医療費助成制度の対象になるわけでありますので、この問題はいろいろな観点からよく課題の整理をする必要がある、なかなか難しい問題ではないかと思っていまして、そのことについて御理解をいただきたいと思います。  次に、NPOとの協働についての御質問にお答えをいたします。  県では、これまでNPOとの協働を推進しますために、NPOへの理解を深める職員研修とか県民向けの協働セミナーの開催、また、協働マッチングを図る相談窓口の設置などを実施しておりまして、協働事業数は、平成16年度は25事業でしたが、23年度は58事業と2倍以上に相当大幅に増えております。また、特に23年度と24年度におきましては、国の新しい公共支援事業交付金、これを活用しまして、NPOの皆さんとの協働やNPOの基盤強化を集中的に進めることにしております。  NPOからの企画提案公募で、県や市町村とNPO等の多様な主体が協働で地域課題に対応する新しい公共モデル事業によりまして、例を挙げますと、東日本大震災で県内に避難されてきた方々に対する支援活動とか、あるいは和漢薬とか薬用植物の利用拡大を通した薬都とやまの推進事業、こういったようなものを進めております。  また、NPOと企業との協働を推進する基礎資料とするための、企業の社会貢献活動及び協働実態調査の実施をしましたり、また、ボランティアNPOフェスティバルの開催、NPO活動紹介ガイドブックやテレビ番組の制作等によります県民のNPO活動への理解促進などに取り組んでいるところでございます。  さらに24年度には、行政とNPOとの協働に加えまして、NPOと企業との協働、例えば森づくりをやろうというNPOが資金的な面で企業の支援をしてもらったり、あるいは人手が足りないときに企業からも人を出してもらう、あるいは一緒にやるといったようなことなども含めまして、新しくNPOと企業との協働セミナーマッチング会というのを実施しまして──企業も経済環境が苦しい中ですけれども、何か社会貢献をしたいなと思っていらっしゃるところもおありですので、そういうマッチングをして、NPOの基盤強化にも資するようにいたしたいと思っております。  NPOは地域のニーズにきめ細かく柔軟に対応できるという特色、強みがありますので、そうしたいい点を生かして、まちづくりや福祉など、さまざまな面で富山県をさらに元気にしていただけるように期待をしておりまして、これからもいろんな面で支援をしていきたい、こういうふうに思っております。 9 ◯議長(坂田光文君)飯田厚生部長。    〔厚生部長飯田久範君登壇〕 10 ◯厚生部長(飯田久範君)まず、不育症の相談窓口についての御質問にお答えをいたします。  不育症とされる方につきましては、たび重なる流産などによりまして深刻な悩みやストレスを抱えているとされており、これまでも県の不妊専門相談センターでございますとか、厚生センターなどにおきまして相談に対応してきているところでございます。  新年度におきましては、不育症に関する相談体制の充実を図ることとしておりまして、不妊専門相談センターにおいて、不妊カウンセラー等による不育症の相談に加えて、新たに不育症に関する専門的知識を有します医師による相談体制を整備し、月1回の相談に応じることとしているところでございます。また、この医師には、不妊カウンセラーの方などに対して、不育症に関する専門的な助言や指導なども行っていただくというふうにしているところでございます。  そして、まずこの4月からは、不育症に関する正しい知識の普及と、不妊専門相談センターにおきます専門医師による相談実施の周知を図るために、県民向けのリーフレットを作成いたしまして、市町村、そしてまた産科医療機関等に幅広く配布いたしますとともに、不妊専門相談センターの相談員と県や市町村の母子保健担当者等を対象としました研修を実施するなどの準備を進めまして、来る6月からは医師による相談を開始いたしたいというふうに考えております。  今後とも、市町村や医療機関等と連携し、不育症に悩んでおられる方々が相談しやすい体制の整備充実などに引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えております。  次に、工賃向上支援計画についての御質問ですが、障害者の方々が地域で自立して生活していくためには、工賃の向上が極めて重要であると考えております。  このため県では、平成20年3月に富山県工賃向上支援計画を策定し、県全体の目標工賃月額につきまして、平成18年度の1万1,999円を平成23年度末に2万4,000円となりますよう目標を定めますとともに、意識改革、経営ノウハウの導入、地域との連携強化の3つの取り組みの方向性を示しまして、各種事業に取り組んできたところでございます。  平成23年度の平均工賃月額につきましては、昨年12月の金額でございますが、1万4,383円と、平成18年度と比べて19.8%増にとどまっておりまして、目標工賃を達成することは大変厳しい状況にございます。  この原因としましては、就労支援事業所の約7割を占めます電子部品等の組み立てや段ボールの加工などを行う下請型事業所の受注が、厳しい経済状況の影響を受けて伸び悩んでいること。食品加工やパン製造などの自主製品の生産に取り組む事業所について、消費者ニーズを踏まえた商品の開発等が不十分であることなどが主な要因ではないかと考えております。  ただ、このような状況の中にあっても、自主製品の生産に取り組む事業所においては、平成18年度の工賃月額9,201円が昨年12月までで1万5,882円と70%以上増加いたしておりまして、工賃向上支援計画に基づいて行ってまいりました意識改革、そしてまた経営ノウハウの導入、地域との連携強化等の取り組みの成果が、ある程度というふうに考えておりますが、あらわれてきているものと考えているところでございます。  次に、新たな工賃向上支援計画についての御質問でございますが、平成24年度からの新しい工賃向上支援計画につきましては、昨年9月に就労支援事業所、就労支援機関、保護者等から成ります検討委員会を設置し、事業所の実態調査でございますとか利用者のニーズ調査、そしてまた経営コンサルタントによる分析等をもとにしまして、計画に盛り込む工賃向上支援のための取り組みの方向性につきまして御審議いただいており、現在、計画素案の取りまとめを行っているところでございます。  取りまとめ中の計画素案におきましては、取り組みの方向性としまして、現計画のつくれるものから売れるものへの意識改革と、経営ノウハウの導入、地域との連携強化の3つに加えまして、新たに新規の就労分野へのチャレンジを盛り込むことといたしているところでございます。そして、特に下請作業から自主製品の生産への移行でございますとか、事業所外での就労の促進、農業などの新分野での就労の場の開拓などを重点的に支援することといたしているところでございます。  また、目標工賃額につきましては、先月下旬の国の基本指針案で、目標年次を26年度にすることや、各事業所の具体的な目標工賃額を積み上げて、県全体の目標工賃額を設定することなどが示されたところでございまして、現在この指針に基づいて新たな目標工賃額の設定を急いでいるところでございます。  今後、検討委員会で御審議をいただき、障害者団体等の御意見も聞きながら新しい工賃向上支援計画を取りまとめたいと思っておりまして、新年度からはこの計画に基づいた工賃の向上のための各種施策に取り組み、障害者の方々が地域で自立して生活していくことができますよう、引き続き努力してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。 11 ◯議長(坂田光文君)五十嵐生活環境文化部長。    〔生活環境文化部長五十嵐信夫君登壇〕 12 ◯生活環境文化部長(五十嵐信夫君)NPO法人の現状と課題の質問にお答えをいたします。  本県のNPO法人は、現在306の法人が認証されておりますが、全国と比較しますと、福祉、まちづくり、子供の健全育成等の分野で活動するNPO法人の割合が高くなっております。また、設立後に解散したNPO法人の割合が少なく、比較的堅実な運営がなされていると理解をしております。  しかしながら一方で、平成21年度に実施しましたNPOの実態調査によれば、県内のNPO法人は、組織的、財政的に小規模のものが多く、NPOの課題として活動資金の不足、活動スタッフの不足という声が多く聞かれるなど、議員からの御指摘もありましたが、組織や資金、人材の面でまだ課題が残っていると考えております。  このようなことから、県では富山県民ボランティア総合支援センターと連携いたしまして、NPOのマネジメント力の向上を図るため、1つは会計、税務、労務管理の研修や相談会の実施、2つには寄附募集や資金調達の研修や民間団体等の助成金の情報の提供、さらに、広報や情報発信力の強化を図る研修などを行ってきているところでございます。  今後とも、こうした施策を積み重ねまして、NPOの自立的な活動が推進できるよう、その支援に努めてまいりたいと考えております。 13 ◯議長(坂田光文君)村井教育委員長。    〔教育委員長村井 和君登壇〕 14 ◯教育委員長(村井 和君)中学校、高校での部活動の重要性についての御質問にお答えをいたします。  生徒の自主的、自発的な参加により行われます部活動については、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養、好ましい人間関係の形成等に資することから、新学習指導要領において、学校教育の一環として教育課程との関連を図ることが明記されたところでございます。  議員御指摘のとおり、近年、生徒や保護者のスポーツニーズの多様化や、よりレベルの高い指導を求めて地域のクラブチーム等に加入する生徒が増えてきておりますが、本県の中高校における運動部活動加入率は全国平均を大きく上回っておりまして、大変活発に取り組まれているものと考えております。  とりわけ学校の運動部活動は、1つには、異なる年齢集団の中で体と体をぶつかり合わせ、これは魂と魂のふれあいでもあると思っているんですが、そうしたもまれることにより、心遣いや礼儀を身につけるなど豊かな人間性がはぐくまれること。2つには、フェアプレーの精神を学ぶことを通して、規範意識や公正な態度など社会性が身につくこと。3つには、仲間とつらい練習を乗り越え、喜びを分かち合うなど切磋琢磨する中で向上心や忍耐力が育つことなど、授業では得ることのできない、人間の成長にとって極めて重要な活動であると考えております。
     このように、運動部活動は人間の成長に深みを与えるとともに、学校に活力を、地域の人々に元気と勇気を与えてくれることから、今後とも地域の指導者や関係団体等と連携を図りながら、生徒が積極的に参加し、一人一人の能力に応じた技能や記録の向上を目指せるよう活動の充実に努めてまいりたい、そう考えております。  もう1点、私のほうから、学校教育における給食の位置づけについてお答えをしたいと思います。  食育は生きる上での基本でありまして、知育、徳育、体育の基礎となるべきものであると考えています。子供たちが健全な体と豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身につけていくためには、何よりも食が重要であると考えております。  中でも学校給食は、教育の目的を実現するために、学習指導要領におきましても重要な教育活動として位置づけられておりまして、学校給食法にもありますように、1つには、適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ること。2つには、食事について正しい理解を深め、健全な食生活を営むことができる判断力と望ましい食習慣を培うこと。3つには、学校生活を豊かにし、明るい社交性及び協同の精神を養うことなど、児童生徒の心身の健全な発達を図る上で、大きな教育的意義があるものと考えております。  このため、アレルギー疾患を有する児童生徒につきましても、時にはクラスの仲間と一緒に安心して同じ給食を食べられる機会をつくる努力をするなど、学校全体でアレルギーを持つ児童生徒を支えていくという雰囲気をつくっていくことは大切なことであろうと思います。  と同時に、家庭との連携のもと、児童生徒の成長段階に配慮し、またアレルギーの程度を見ながらですが、自分自身で給食から適、不適を判断し、原因食材を除去しながら食べる力、いわゆる将来、社会の中で生きていく力を身につけるよう指導することも重要であろうと考えています。  今後とも、食物アレルギーを持つ児童生徒が、より一層健康で安心して楽しい食生活、そして学校生活を送ることができるよう、市町村教育委員会と連携協力して、適切に対応されるよう十分配慮してまいりたいと考えております。  以上でございます。 15 ◯議長(坂田光文君)寺林教育長。    〔教育長寺林 敏君登壇〕 16 ◯教育長(寺林 敏君)発達障害のある児童生徒についての御質問にお答えいたします。  通常の学級に通う発達障害のある子供につきましては、本人の行動特性に対する周囲の理解を図り、適切な支援を行うことで、2次障害としての不適応行動──例えば不登校、問題行動などでございますが、そうした不適応行動を未然に防止することが大切であると思っております。  このため、すべての小学校、中学校、高校に特別支援教育コーディネーターを置き、児童生徒の実態把握、支援のあり方等について検討を行う校内委員会を設置するとともに、校内研修を開催し、個々の教員の資質向上を図るなど、学校全体の支援体制の充実に努めているところであります。  また、学校の取り組みを支援するために、小学校、中学校への授業中の子供の個別支援を行うスタディ・メイトの配置を進めるほか、学校の要請に応じまして専門家チームや巡回相談員を派遣するなど、専門的な支援に努めております。さらに、関係機関と連携した地区相談会において保護者の相談に応じているところでもあります。  また、高校におきましては、平成21年度から2校で実践研究を行い、発達障害に対する理解に努め、授業改善を進めており、今後その成果の普及を図ることとしております。  さらに、今年度新たに特別支援教育専門支援員を配置しまして、専門的な助言により発達障害のある不登校生徒が立ち直るなどの成果を上げているところであります。  今後とも、これらの事業を発展充実させることによりまして、発達障害のある子供一人一人へのきめ細かな支援に努めてまいりたいと考えております。  次に、運動部活動における体づくりについての御質問にお答えします。  県ではこれまで、中学、高校の運動部活動に対しまして、専門的な実技指導力を有する地域の指導者をスポーツエキスパートとして派遣すること、全国優勝等の実績のある指導経験豊かな指導者をスーパーコーチとして派遣すること、顧問等を対象とした運動部活動指導者研修会を開催することなどを行いまして、運動部活動の活性化と指導体制の充実を図り、体づくりも含めて競技力向上に努めてきたところであります。  しかしながら、議員御指摘のとおり、全国都道府県対抗女子駅伝での骨折による途中棄権、また、主力選手の故障により、国体優勝が期待された女子ハンドボールの初戦敗退や女子ホッケーの北信越予選敗退など、選手のけが等によりまして日ごろの練習成果を十分発揮できなかったという残念な結果が続いたことから、スポーツ障害を未然に防止するため、日々の活動においても健康や安全面への一層の配慮の必要性を痛感しているところであります。  このため新年度におきまして、運動部活動運営マニュアルを作成し、中学、高校の全指導者に配付するとともに、県立学校に対して新たにトレーナーや栄養士などを派遣し、スポーツ医科学に基づいた体づくりや、スポーツ障害予防のためのトレーニング指導や栄養指導を行うこととしているところであります。  次に、トレーニングエキスパート事業についての御質問にお答えいたします。  トレーニングエキスパートとして派遣する人材の確保につきましては、スポーツ医科学的トレーニング推進委員会の推薦に基づきまして、栄養士については、スポーツ栄養士や健康運動指導士の資格を有する管理栄養士、トレーナーにつきましては、公認資格を有する県営体育施設や民間スポーツクラブの指導員などの方々に指導をお願いしたいと考えております。  派遣頻度についてでございますが、各学校の活動状況や要望に応じまして、部活動の活発な学校へは年6回、その他の全日制高校へは年4回、定時制高校などへは年2回の派遣を計画しているところであります。  また、サポート内容としましては、選手がけがや故障をしない強い体をつくるために、栄養士からは競技に必要な栄養と食事の質や量、スポーツ障害予防のための食事などについて、トレーナーからは競技や個人に応じた効果的なトレーニングや障害予防の方法などについて、専門的な指導やアドバイスが受けられるものと思っております。  今後とも、運動部活動を通してたくましい体と心をはぐくむとともに、本事業の実施により指導体制の整備充実を図り、より一層の運動部活動の活性化に努めてまいりたいと思っております。  次に、食物アレルギーを持つ児童生徒の現状についての御質問にお答えいたします。  県内において、卵や乳製品、小麦などの食物アレルギーを持つ児童生徒は、平成14年度は小学生が650人、中学生が431人でございましたが、平成23年度は小学生が1,236人、中学生が687人と、この10年間で約1.5倍から2倍へと増加しております。このように食物アレルギーを持つ児童生徒が増加し、これまで成長とともに改善されてきた症状が、議員御指摘のとおり昨今長引いております原因につきましては、食物が豊かになり、動物性脂肪やたんぱく質の摂取量が増えたこと。また、環境の変化により体内に変化が起こっていることなど、いろんな説がございますが、現在のところはっきりと断定されていない状況でございます。  次に、学校給食における食物アレルギーへの対応についての御質問にお答えいたします。  国が示しましたガイドラインによりますと、児童生徒のアレルギーの状況と給食調理の体制を考慮しまして、各家庭に詳細な献立表を事前に配布し、保護者に食材の内容を認識してもらうこと。アレルギー食材が複数含まれている場合は、保護者の理解と協力を得て、家庭から弁当を持参すること。原因食材を除いた除去食を提供すること。原因食材にかわる食材を使用した代替食を提供することなど、可能な限り組み合わせて実施することとされているところであります。  市町村や各学校の現状を聞きましたところ、学校給食調理場や給食センターなどの給食施設設備環境が一律ではないこと。学校給食調理員の人数が調理場により異なること。アレルギー原因食材が多岐にわたっていることなどから、十分とは言えないかもしれませんが、それぞれの状況に応じて可能な対応をしているとのことであります。  今後県では、市町村に対しまして、国のガイドラインの周知や先進的な取り組み事例の情報を提供しまして、先ほど教育委員長が答弁しましたように、弁当を持参している児童生徒につきましても、できる限り保護者の意向に沿いながら、時には児童生徒と一緒に安心して給食を食べることができるよう努力するなど、各学校においてさまざまに工夫しながら、食物アレルギーの対応ができるように努めるよう、市町村と連携してまいりたいと考えております。  最後に、食物アレルギーへの取り組みについての御質問にお答えします。  栄養教諭や学校栄養職員は、学校給食の管理、正しい食事のあり方など食に関するきめ細やかな指導、また食を活用した体づくり、児童生徒の食物アレルギーを含めた相談指導などに取り組んでおります。  こうした栄養教諭や学校栄養職員の資質向上を図るため、県では指導者養成研修会を開催するとともに、食物アレルギー疾患の対応などについて学ぶ中央研修の伝達講習会や研究授業などを実施しているところであります。さらに、県内すべての学校や市町村教育委員会に対しまして、「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」について周知するとともに、具体的な事例を示して解説がなされております、「学校の管理下における食物アレルギーへの対応」についてのDVDの活用を促すなど、食物アレルギーに対する適切な対応が図られるよう取り組んでいるところであります。  今後とも、栄養教諭や学校栄養職員が正しい知識を習得し、適切な対応ができるように、資質向上に努めるとともに、市町村と連携しながら学校での食物アレルギー対策にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 17 ◯議長(坂田光文君)以上で奥野詠子君の質問は終了しました。  上田英俊君。    〔27番上田英俊君登壇〕 18 ◯27番(上田英俊君)おはようございます。  東日本大震災から1年が経過しようとしています。政治家は、被災地の切実な要望にどれだけこたえてきたのでしょうか。被災地の生活をどれだけ回復させてきたのでしょうか。政治は結果責任であります。いかなる高邁な理想を雄弁に訴えても、行動が伴わず、実現できなければ全く意味を持ちません。自戒の意味を込めて、「言うだけ番長」にならないように、一つ一つの課題に真摯に取り組むことを表明し、以下質問に入ります。  まず、水資源について2点質問いたします。  水の王国とやまは、その分県の歴史から、河川のはんらんに悩まされながらも、積極進取の精神と災い転じて福となすの発想で、水をエネルギー資源として豊富な電力を起こし、日本海側有数のものづくり県として発展してきました。  また、水資源は新しく策定される総合計画においても、5つの重点戦略として掲げられている環日本海地域の「環境・エネルギー先端県」戦略の、地域特性を生かした多様な再生可能エネルギーの導入、効率的な活用としても位置づけられております。  今日まで、石井知事を先頭に県当局は、水資源の規模や事業内容に応じて、企業局、農林水産部、商工労働部等部局横断的に、小水力発電、マイクロ水力発電等においてその実績を積み重ねてきましたが、水の王国とやまにおける水資源の有効活用に対する知事の思いと、新年度予算において小水力発電について新たに工事や具体的調査に入る箇所はあるのか、知事に伺います。  「20世紀は石油をめぐる戦争であり、21世紀は水をめぐる争いである」との警告が示すように、世界各地で資源としての水をめぐる争奪戦が行われ、日本国内でも外国資本による水源地の森林買収が全国各地で繰り広げられています。水は、人間の生活に必要不可欠なだけでなく、国際社会においてもはや戦略物資となっており、外国資本による森林買収に対し、国会では超党派の議員連盟が(仮称)水循環基本法案を今国会に提出予定であり、北海道や埼玉県等地方自治体においても、水源地である森林買収を条例で抑止する動きもあるようです。  そこで質問いたしますが、県内における外国資本による水源地、森林買収の実態はどうか。国会や地方自治体の法律、条例制定の動きをどのように見ているのか。また、環日本海、東アジア施策を展開する富山県において、外国資本による水源地である森林買収の動きを抑止する条例制定の必要性について、知事の所見を伺います。  次に、北陸新幹線、並行在来線について4点質問いたします。  石井知事は、国土交通省や関係機関と粘り強く交渉し、貨物調整金制度の拡充や新幹線貸付料の活用によって、新幹線建設費の負担軽減を図り、あわせて並行在来線支援について前進させたことを高く評価いたします。  まず、新幹線建設費の増加問題について、現状と今後の取り組み方針について知事の所見を求めます。  並行在来線については、県当局だけでなく、県議会として、11月議会において並行在来線の持続可能な安定経営実現に関する決議を全会一致で可決し、JR西日本に対して要請を行いました。  平成24年をJR西日本との交渉の正念場ととらえて、さまざまなチャンネルでJR西日本に対し要請行動を続けることこそ大切であります。鉄道資産の譲渡価格こそ並行在来線安定経営の命綱でありますが、初期投資、イニシャルコストだけでなく、具体論として、設立される新会社が支出し続けるランニングコスト、経常的費用の軽減、つまり車両の維持費やJRから受け入れるであろう人件費負担のあり方も大切な視点であります。  また、今月17日のJRのダイヤ改正により、新型車両521系が運行されることになりますが、新型車両運行の評価と並行在来線の収支改善に対する効果について、知事政策局長の所見を伺います。  また、JR西日本から新型車両が譲渡されることにより、JR西日本としても金沢以西を走らせる車両が不足し、車両の発注、新造が必要となると考えられます。車両の新造には時間を要することから考えても、車両の譲渡についての協議を早急に進めるべきと考えますが、知事政策局長の所見を求めます。  JR西日本との交渉については、鉄道資産の譲渡、新型車両の導入、人件費支援、鉄道施設の事前修繕など幅広い協力、支援をJR西日本から引き出すことが重要と考えますが、改めて知事の、並行在来線問題について交渉の決意を伺います。  次に、道路問題について5点質問いたします。  まず、国道8号線入善黒部バイパスの整備について伺います。  国道8号線は、地域経済の大動脈として、また地域住民の生活基幹道路として一日も早い全線整備が必要です。  平成11年以降、8号線沿線の選出県議が結束し、国土交通省北陸地方整備局へ要望活動を積み重ね、また、石井知事、土木部の後押しを得て、大変国家財政が大変厳しい中、予算額を増額し、事業を進めてきました。要望活動の効果と認識していますが、黒部川にかかる四十八ヶ瀬大橋が約1年3カ月、入善町東狐から上野までの区間が約3カ月予定より早く開通し、渋滞緩和に大きく貢献しています。  しかしながら、バイパスの効果は、全線がつながってより効果を発揮するものであり、黒部市古御堂から魚津市江口間7.3キロメートルの開通が待たれますが、現在の進捗状況と今後の取り組みについて、先日も稗苗議員から質問がありましたが、土木部長に改めて確認いたします。  また、入善町上野から椚山間2.1キロメートルの現道拡幅については、23年度予算で1,000万円が計上され、事業が再び動き始めましたが、今後の具体的なスケジュールはどうか。入善町古黒部地内の自転車歩行者道の整備スケジュールとあわせて伺います。  次に、道路の除雪体制、消雪整備について伺います。  まず、地域住民の生活を守り、地域経済を支えていただいた建設業等の企業や、夜中に除雪作業に当たっていただいたオペレーターの方々、そして行政関係者の御労苦に深く感謝申し上げます。そのような努力があって雪国の私たちの生活が守られているのですが、この除雪体制がいつまで維持可能かが危惧されます。  富山県としても、除雪体制の維持に向けて、固定費の計上や情報連絡要員の待機費の見直しを行い、大型除雪機械のオペレーターの待機費の見直しに取り組むなど、また、24年度から新たに企業局において優良工事表彰制度の導入を図るようですが、社団法人富山県建設業協会が行った「富山県の除雪実態に関するアンケート調査報告書」によると、景気の悪化、公共事業の減少、建設業者の倒産、廃業や建設従事者の高齢化などの多くの要因により、除雪体制の維持がより困難になることが確実であります。  そこで質問いたしますが、県内建設業者等による機械除雪に当たる企業数、除雪延長はどのように推移してきたのか。また、今後の機械除雪体制をどのように維持していくのか、石井知事に伺います。  また、自民党議員会との予算折衝において、5年間で消雪の中抜け区間33カ所、約20キロメートルを解消することに取り組んでいますが、今後の新たな中抜け区間の解消については、地下水位の低下や地盤沈下、井戸の塩水化等も考慮し、河川水の利用についてもより積極的に取り組むべきと考えますが、将来の機械除雪体制の姿を念頭に、第2期計画とも呼べる新たな中抜け区間の解消への取り組みについて、土木部長の所見を伺います。  道路問題の最後に、JR北陸本線の踏切拡幅について伺います。  県、市町村において道路改良、歩道新設が着実に進められてきた結果として、道路は広いが踏切は狭い箇所の増加が目立ちます。交通安全上大変危険であり、順次、道路幅員に合わせた踏切拡幅を進める必要があると考えますが、現在、JR北陸本線において、道路が広く踏切が狭い箇所はどの程度あり、どのように踏切拡幅を図ってきたのか。また、JRから北陸本線が経営分離されることにより、鉄道、自動車、歩行者等のより安全性を確保するためにも、踏切拡幅の事業をスピードアップすべきと考えますが、土木部長の所見を求めます。  最後に、雇用問題について2点質問いたします。  バブル経済壊後の企業による大幅な人員削減策、労働者派遣法の制定と相次ぐ規制緩和策により、雇用の流動化が急激に進行し、派遣労働者を中心とした細切れ雇用の非正規労働者が増加し続け、社会全体が不安定化し続ける一方で、地位も賃金も安定しているはずの正規雇用、常用雇用の労働者においても、賃金、労働時間等の労働条件が悪化し続けていることが危惧されます。  労働基準法による時間外労働の割り増し賃金率の強化や代替休暇、時間単位年次有給休暇の創設、国内においてはワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)という用語が、国際労働機関(ILO)ではディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)という新しい言葉が使用されるようになったことは、労働条件の低下の証明でもあります。  そこで質問いたしますが、県内の常用労働者の賃金、労働時間、年次有給休暇の取得率はどのように推移してきているのか。また、労働条件を改善するためにどのように取り組んでいくのか、商工労働部長に伺います。  また、人口減少社会において労働力不足が想定される中、女性のより一層の活躍が期待されます。しかしながら、出産、育児、介護において男性以上に大きな役割を果たす女性に対し、育児切り、介護切りといった実質的な解雇もあるようですが、県労働委員会、富山労働局等ヘの労働相談等の状況はどうか。また、女性の積極活用について県としてどのように取り組んでいくのか、商工労働部長に伺い、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。 19 ◯議長(坂田光文君)石井知事。    〔知事石井隆一君登壇〕 20 ◯知事(石井隆一君)上田議員の御質問にお答えをいたします。  まず、水資源のエネルギー活用についてであります。  本県は大変豊かな水資源に恵まれておりますし、また急峻な地形でもありますので、水力発電は大変重要でありまして、お話のようにぜひともこれからも推進していきたいと思っております。  県では、これまで仁右ヱ門用水発電所を整備しましたほか、現在、企業局で庄発電所(仮称)、それから県営土地改良事業で山田新田用水発電所(仮称)の整備を進めております。また、市町村や民間でも4カ所が整備中で、2カ所で整備計画が公表されますなど、小水力発電所の整備が加速していると思っております。  また、企業局におきましては、仁右ヱ門用水発電所や庄発電所(仮称)の建設で培った技術、ノウハウを生かしまして、昨年来、適地調査を進めてまいったんですが、現時点で入善町の小摺戸地内の黒東合口用水に、最大出力約290キロワット規模の発電が見込まれる有望な地点が見つかりました。これまで関係者と協議を重ねまして、おおむね理解もいただけましたので、新年度においてこの地点における事業化の可能性調査を実施することにしております。  さらに、小水力発電に取り組みますために、新年度には小水力発電利活用研究会(仮称)の開催や、新たな建設可能地点をリストアップするための基幹農業用水路341路線を対象とした適地調査に取り組みますほか、マイクロ水力については、入善町でも農業用水路を活用した発電──水の小径とおっしゃっているようですけれども、街頭や掲示板の照明に使う実証実験などの取り組みを進めておられますが、県としても大規模な工場などに対する導入意向調査を行うなどによりまして、ほかにさらに候補地がないか発掘をしていきたいと思っております。  また、県内には小水力発電の技術開発に取り組んでいらっしゃる企業もございまして、県としてもらせん水車やぜんまいを活用した発電機の開発などを支援してきたところでございまして、引き続きものづくりの伝統の技術をこういう分野でもぜひ生かしていただきたいと思っております。  今後とも、国のエネルギー政策の見直し、それから固定価格買い取り制度の動向、これがあんまり低いとなかなか難しくなりますので、そういったものも見守りながらというよりは、むしろいろいろ働きかけておりますが、新規開発箇所の調査、企業の技術開発の支援に取り組んで、お話のように豊かな水資源を活用した小水力発電に積極的に取り組みたいと思います。  次に、水源地の買収に関する御質問にお答えをいたします。  今お話がありましたように、近年、外国資本による森林買収が進んでいるようでありまして、国の調査結果によりますと、平成18年から22年までの5年間に、北海道など5道県で40件、620ヘクタールの買収事例が確認されております。  そこで、私も気になりまして、県としても調べてみたんですけれども、県内では、まず国の調査では買収事例が確認されておりません。さらに国土利用計画法に基づく届け出を点検しますとともに、森林組合や市町村などに対しても聞き取り調査をさせていただいたんですが、現在のところ買収事例は確認されていないわけでございます。  そうした中、国会では、自民党、民主党、公明党など超党派の議員連盟で、国や地方公共団体の水循環に関する責務などを定めた水循環基本法案(仮称)を議員立法として提出するという動きがあるようであります。また、森林法の改正によりまして、ことし4月から、新たに森林の土地の所有者となった場合に、森林が所在する市町村長への届け出が義務づけられますとともに、市町村と都道府県でその情報を共有することとなりました。  現在、北海道や埼玉県では、議員御指摘のとおり、水源地の保全に関する条例案が提出されておりまして、水源地域内の土地の売買をする場合に、事前の届け出制を導入すると伺っております。  県としましては、現時点では外国資本による水源地の買収事例がないことも確認できておりますので、また、森林法の改正によって、今後、事後にはなるんですけれども、土地所有者の異動の実態について正確に把握できるようになるということで、今までよりはよくなったと。  ただ、土地取引の規制は、法律によらなければ取引の禁止など実効性のある措置を規定できませんので、北海道などで導入する事前届け出制というのは、適正な土地利用の助言や無届け、虚偽の届け出等に対する勧告などを条例で規定するということにとどまっております。ですから、森林法の改正によっても事前のチェックができないのは難点なんですけれども、かといって条例でやっても、じゃ拘束力ある規制ができるかというと、そこはできないということでありますので、この問題の根本的な解決のためには、先ほど申し上げたように、国会でも超党派の議員立法の動きがあるということでもありますので、やはり基本的にはまず国がしっかりとした対応をしてもらいたいということかと思っております。  ただ、今後とも県民の貴重な財産であります森林等の水源地の保全は大切なことですから、市町村の協力も得まして情報収集に努める。県民の不安が生じないように対処していきたいと思いますし、そうした事態の推移を見ながら、どういうことが考えられるかよく勉強してまいりたいと思います。  次に、北陸新幹線についての御質問にお答えをいたします。  新幹線の建設費について、物価上昇などがあったりということで、国から本県分の負担額としまして約260億円の増加が見込まれるという提示が平成20年度にあったわけでございます。  北陸新幹線については、これまでもあらゆる機会に、26年度末までの確実な金沢開業、また金沢以西の延伸、並行在来線の経営安定の対策の拡充とあわせまして、この新幹線建設費の地方負担の軽減について、特に建設費の増嵩分に関して新たな地方負担が生じないように、関係者と──まさにこれは国会の先生方もそうですし、県議会各位の皆様ともそうですけれども──連携を図って幅広く働きかけてきました。その結果、鉄道・運輸機構の利益剰余金の一部を活用するということで、並行在来線の貨物調整金が倍増されたほか、貸付料を新幹線建設の財源に充てることが可能になり、今般、本県で言えば今年度分として50億円、開業までの4年間で約200億円が軽減される見込みとなりまして、この点については相当大きな成果と思っております。  それからもう一つ、富山県の場合は、幸い21年度の国補正予算による交付金によりまして、本県負担の減額73億円ということを実現しております。この交付金の配分を結果としてお受けにならなかった県もあるわけでありまして、そういったことも考えますと、20年度に提示のあった地方負担の増嵩の見込み260億円を上回って、結果として国の支援が得られたということになりますので、新幹線の地方負担軽減、また並行在来線支援ということについても、それなりに配慮してもらったものだと受けとめております。  他方、本県の増嵩分については、その理由の説明と、260億円というコスト自体がもう少し下がらないんですかということで交渉してきたわけですけれども、今回、国から、建設物価の上昇とか地質不良地盤の判明とか、法令基準の改正による安全対策の増加等によって、なぜ増嵩が生ずるかという説明もありました。と同時に、前回提示額を、ささやかと言えばささやかですが、4億円下回る256億円になるという通知を正式にいただいたところでございます。  先ほど述べたとおり、新幹線建設費については増嵩分に関して新しい負担は生じないということになりましたのと、また、26年度末までの金沢開業のために必要な工事はやはりどんどん進めなきゃいけない。また、そのための事業予算は確保しなければならないということを考えますと、国が工事予算を増額する工事実施計画の改定認可を行うことは基本的にやむを得ないと考えております。ただし、今後とも工事実施に当たってのコスト縮減、貸付料の活用によるさらなる地方負担の軽減を求めてまいりたいと思っております。  今後とも、まずやっぱり金沢開業をしっかり26年度末までやってもらう。それから敦賀までの速やかな認可、着工、大阪までの整備方針の明確化、また並行在来線の経営安定対策、地方負担の軽減、沿線県とも協力して、県議会の各位、またもちろん国会の先生方等々のお力もいただいて、努力してまいりたいと思っております。  次に、並行在来線のJRとの交渉についてでございます。
     今ほど申し上げましたように、並行在来線については貨物調整金が倍増という大幅な拡充にはなりましたけれども、開業後の収支はなお厳しい状況にございます。そこで現在、JRに対して、車両を含む必要資産について極力低額での譲渡となるように粘り強く交渉しているところでございます。  この三セク会社を将来にわたって安定的に経営していくためには、初期投資の大半を占める鉄道資産の譲渡価格はもちろん重要な交渉事項なんですけれども、議員の御指摘がありましたように、新型車両の導入とか、開業後の人件費の支援とか、あるいは施設修繕の前倒しとか、開業後の投資や経常的経費ができるだけ軽減されるように、幅広い観点から交渉していくことが大切だと思っております。  そこで、JRとの交渉に当たりましては、まず鉄道資産については、精査の上、必要な資産のみを極力低額で譲渡するよう引き続き強く求めておりますほか、車両については、本県区間には極めて古い車両が走っているわけですけれども、昨年10月、佐々木社長に強くお願いをしまして、今月17日から富山駅まで運行することになった新型車両をできるだけ多く、かつ低廉な価格で譲渡をしてもらう。  また、鉄道事業の円滑な引き継ぎと安全確保、これも大切なことですから、やはりJRから必要な社員を派遣してもらわなくちゃいけませんが、その人件費は相当高いものですから、JRにその人件費を相当程度負担して支援してもらうということも今交渉しております。  また、譲渡施設については事前に調査・点検しまして、あらかじめ必要な修繕を行った上で譲渡することなどを重点的に求めて交渉しているところでありまして、三セク会社の経営安定のために、トータルで見てJRから、お話のようにさまざまな協力や支援をしっかり獲得するということが大事ですから、これはもう全力を挙げて折衝していきたいと思っております。  また、開業後にJRが国に支払う貸付料に並行在来線の赤字解消分が含まれている。そのことがまたJRさんの、いや、資産を無償というのはとんでもない、減額もとんでもないという理屈の根拠になっているわけですので、国に対してもかねてから、この貸付料の活用などによって並行在来線への支援をしてくれ、また地方負担の軽減もやってくれと言ってきたわけです。また、鉄道資産の譲渡に関するJRとの交渉についても、国に側面的な支援をしてもらいたいと昨年から何度もお話をしておりまして、国もやってくれるんじゃないかと期待していますけれども、引き続き強く求めてまいりたいと思います。  また、JRとの交渉に当たっては、県議会の議論を初め、タウンミーティングなどでも県民や経済界からもいろんな御意見いただきました。そうしたことも踏まえて粘り強く交渉してまいりたいと思っておりますので、県議会の各位にも、これまでもお力添えいただいていますが、よろしくお願いしたいと思います。  最後に、除雪体制についてお答えを申し上げます。  この冬は記録的な大雪になりましたが、県の管理道路につきましては、幸い大きな支障が生じないで交通の確保ができましたのは、何といっても昼夜を分かたず除雪作業に従事していただいている建設企業の皆さんの御努力のおかげと思っております。  本県の除雪状況ですけれども、10年前と比較しますと、車道除雪の延長は約1,600キロメートルとほぼ変わらないんですけれども、担当する企業数は24社減少して207社となっております。また、県民の皆さんからの御要望の強い歩道除雪の延長は、約350キロ増えまして966キロとなって、担当する企業数は29社増えて107社となっていますけれども、1社当たりの除雪延長は相当増えておるわけでございます。  そうした中で、富山県建設業協会がなさったアンケート調査の結果によりますと、多くの企業が今後の除雪機械やオペレーターの確保、採算性等に懸念を持っているということでありました。  そこで県では、これまでも安定的な除雪体制の維持のために、除雪業務に係る対象経費を見直してきておりまして、19年度からは民間保有機械の借り上げ料について、保険料などの必要経費を固定費として支払う契約をいたしましたほか、昨年度からは除雪要員の待機費用について、除雪機械の出動がなかった場合のみ支払っていたものを、出動があった場合でも情報連絡要員の人件費を支払う契約に見直しをいたしました。また今年度は、大型除雪機械のオペレーターの人件費についても、出動までに必要な準備作業に係る費用を支払う契約に見直しまして、実情をより反映した算定としたところでございます。  また、企業の負担を軽減しますために、県が貸与します除雪機械を従来よりも増やす。また、除雪オペレーターを育成するための実地研修や表彰を実施している。また、機械除雪を効果的に行うための消雪施設の中抜け区間の解消、さらには県民との協働によります除雪推進のための地元自治会等への歩道除雪機械の貸与など、幅広く取り組んでおるわけであります。  今後とも、建設企業の皆さんがそれなりの意欲を持って除雪に従事していただけますように、県としましては、県議会はもちろんですけれども、関係する皆さんの御意見も承りながら、安定的な除雪体制の維持に努力していきたい、こういうふうに思っております。 21 ◯議長(坂田光文君)吉田知事政策局長。    〔知事政策局長吉田 修君登壇〕 22 ◯知事政策局長(吉田 修君)初めに、JR北陸本線の県内区間における新型車両の運行開始の評価についての御質問にお答えいたします。  現在、北陸本線の県内区間を走行している普通列車は、製造後おおむね45年以上が経過した3両連結タイプの極めて古い車両であります。このため、昨年10月、知事からJR西日本の佐々木社長に対して、現在金沢駅以西を走行している新型の521系の車両の県内区間への早期導入について直接要請したところであり、その結果、今月17日のダイヤ改正で県内への運行が実現したところであります。このことは、現在の北陸本線の利用者にとって、車内に段差がないことでバリアフリー対応が図られることや、乗り心地が改善することなど、利便性が向上するものと考えております。  また、今回新たに県内区間を走行することで、現在JRが保有する新型の521系車両の譲渡の可能性が高まるのではないかと期待しております。この車両は製造後2、3年しか経過しておりませんが、仮に譲渡が実現すれば、譲渡時までの減価償却を考慮すると、新造価格に比べ相当程度の減額を求めやすくなり、車両の新造に比べ初期投資額がかなり軽減できる可能性があると考えております。  また、この新型車両は2両連結タイプであることから、朝、夕、日中の時間帯ごとの編成車両数をより細かく増減することができ、効率的な運行が可能となること。また、2両で1編成と短いことから、客車と貨物車の走行車両数の割合をもとに算定される貨物線路使用料の計算上有利となること。車両が新しいことから、車両の検査や修繕に要する経費の軽減が見込まれることなど、大きな収支改善の効果が期待できるものと考えております。  次に、車両に関する協議のスケジュールについての御質問にお答えいたします。  車両に関するJRとの交渉におきましては、現在の車両は極めて古い列車であることから、新型の521系の県内区間への早期導入とあわせ、できるだけ多くの新型車両について低廉な価格で譲渡を受けることを重点に交渉を進めているところであります。  また、現在走行している新型車両の譲渡を受ける場合には、議員の御指摘のとおり、JR西日本が引き続き運行する金沢以西で使用する車両が不足することとなることから、その場合には、JRにおいて経営分離までに新造する必要があるものと認識しております。  521系車両の新造に要する期間についてですが、車両の製造台数や受注時点における工場の製造ラインの稼働状況などにより異なるものではありますが、今後、北陸新幹線車両の新造等の大規模な新規需要が見込まれることや、新造車両の試運転などのため、運行開始の約3カ月前には納車される必要があることなどを考えますと、JRが車両の新造に着手してから運行開始までには少なくとも2年以上は要するものと聞いており、JR社内での手続をも含めると、さらに時間がかかるとされております。  こうしたことから、JRとの交渉につきましては、全体としては代表質問で知事から答弁しましたように、年内には全体の交渉にめどをつけるよう努力することを基本としつつも、車両につきましては、低廉な価格で新型車両が譲渡されるよう、車両新造に要する期間も念頭に置きながら、時期を逸することなく、特に精力的に交渉を重ねてまいりたいと考えております。 23 ◯議長(坂田光文君)牧田土木部長。    〔土木部長牧田 潔君登壇〕 24 ◯土木部長(牧田 潔君)まず最初に、国道8号入善黒部バイパスの未開通区間の現在の進捗状況等についての御質問にお答えをいたします。  国道8号は、本県の産業、経済、社会活動を支える大動脈でございます。このうち、北陸新幹線(仮称)新黒部駅へのアクセス道路ともなる入善黒部バイパスにつきましては、これまで入善町上野から黒部市古御堂までの延長6.7キロメートルが暫定2車線で供用されております。残る黒部市古御堂から魚津市江口までの延長7.3キロメートルにつきましても、国土交通省において平成26年度までに暫定2車線で供用できるよう鋭意整備が進められております。  これまでに用地取得を終えた箇所から順次道路改良工事が進められるとともに、片貝川、布施川などの橋梁工事も進められており、平成26年度の暫定供用に向けた進捗状況は、平成23年度末で約9割となる見込みでございます。来年度は魚津市経田や江口での高架橋などの工事が進められることとなっており、その後、JR北陸本線をまたぐ堀切跨線橋などの工事が実施される予定であります。  また、用地取得につきましてはほぼ終えているものの、一部取得が難航している箇所につきましては、任意交渉と並行して土地収用に向けた手続が進められております。  県としましては、入善黒部バイパスの黒部市古御堂から魚津市江口までの未供用区間を初め、当バイパス事業全線の整備促進を図るため、これまでも知事みずから国土交通大臣等に要望してきたところであります。今後とも、沿線の市町や同盟会とも連携を図りながら、平成26年度の北陸新幹線開業までに供用されるよう、引き続き国に強く働きかけてまいりたいと考えております。  次に、入善町上野-椚山間の整備などについての御質問にお答えをいたします。  入善町上野から椚山までの延長2.1キロメートルは、国道8号入善黒部バイパス事業の事業区間の一部として位置づけられておりまして、現道を4車線に拡幅する計画となっております。  国におきましては、まずはバイパス区間である入善町上野から魚津市江口までの間を暫定2車線で全線供用を図ることとし、平成26年度までに開通できるよう優先的に整備を進めてきたところであります。  このバイパス区間の整備が進んできましたことから、入善町上野から椚山までの現道拡幅区間につきましても整備を進めるため、本年度、全線の測量が実施されたところであります。現在、概略設計が進められておりまして、来年度からは地元協議を始めるとともに、協議が調った箇所から実施設計を始める予定と聞いております。  また、国道8号入善町荒又から古黒部地内の自転車歩行者道1.2キロメートルの整備につきましては、周辺の小中学校や高校への通学利用者等の安全を確保するため、平成21年度から国において事業が進められております。これまで用地取得を終えた箇所から順次工事が実施され、平成23年度末では約4割の進捗になる見込みで、今後も平成26年度までの事業完了を目指し、鋭意整備を進める予定と聞いております。  県としましては、国道8号の交通の円滑化と歩行者や自転車の安全確保を図るため、両区間の整備がより一層促進されるよう、引き続き国に強く働きかけてまいりたいと考えております。  次に、消雪施設の中抜け区間の解消についての御質問にお答えをいたします。  道路除雪は機械による除排雪を基本としておりますが、昨年度から機械除雪を効率的に行うため、消雪施設が一定区間抜けているいわゆる消雪施設の中抜け区間の解消にも取り組んでおります。  中抜け区間の整備につきましては、33カ所、約20キロメートルを選定し、平成22年度から平成26年度までの5年間での完成を目指し、水源確保等の要件が整った箇所から順次工事を進めてきております。今年度までに9カ所、6.9キロメートルが完成したほか、現在7カ所4.1キロメートルで整備を進めております。  消雪施設の水源につきましては、中抜け区間に限らず、地下水位の低下など環境への配慮から、極力新たな地下水の利用を控えており、今後とも地元関係者や河川管理者等と協議、調整を行いまして、交互散水による既存地下水の利用や付近の河川水、農業用水などの活用に努めてまいりたいと考えております。  議員御提案の次期計画の策定につきましては、現計画の進捗状況や今後の除雪体制も勘案し、検討することとしており、まずは消雪施設の更新はもとより、中抜け区間等の整備を計画的に進められるよう必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。  最後に、踏切道についての御質問にお答えをいたします。  踏切道改良促進法施行規則等による構造改良が必要な踏切は、踏切道前後の車道部幅員が5.5メートル以上ある道路で、踏切内の車道部幅員が前後道路の車道幅員に比べ1メートル以上狭い踏切、あるいは踏切内の歩道幅員が前後道路の車道幅員に比べ1メートル以上狭い踏切とされております。JR北陸本線においてこれに該当する踏切は、県管理道路で11カ所、市町村道で12カ所あります。  踏切道の拡幅に際しましては、鉄道事業者との協議や、警察、運輸局等も構成員といたします踏切道調整連絡会議において、協議、調整を図りながら進めてきているところでありますが、鉄道事業者から踏切事故を防止するために踏切の統廃合を強く要請され、踏切道の拡幅は進まない状況にありました。  しかしながら、全国で踏切事故が多発していることを踏まえ、平成18年度、国において緊急に対策が必要な踏切が指定され、歩道部の拡幅につきましては重点的に整備を進めることが可能となったところでありまして、順次整備を進めてきております。  入善町の下飯野踏切において、踏切道を拡幅し、新たに歩道を設置する件につきましても、現在JR西日本金沢支社と協議を進めており、来年度実施設計を行い、平成25年度には工事に着手したいと考えております。  残る拡幅が必要な踏切につきましても、引き続き鉄道事業者と鋭意協議を進めていくこととしておりますが、北陸新幹線開業後、北陸本線の鉄道事業者はかわるものの、事故防止等の基本的な考え方は変わらないと考えております。しかしながら、普通列車の運行が中心となるなど運行形態も変わることが想定されますことから、踏切道の拡幅が実現できますよう、地域の実情を十分説明するなど積極的な協議に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 25 ◯議長(坂田光文君)荒木商工労働部長。    〔商工労働部長荒木 勝君登壇〕 26 ◯商工労働部長(荒木 勝君)雇用問題の関係ですが、まず常用労働者の勤務条件、労働条件に関する御質問にお答えをいたします。  本県の常用労働者の賃金につきましては、賃金構造基本統計調査によりますと、平成19年度が26万9,000円、リーマンショックでその後一時下がっておりますが、平成23年度は27万4,000円と、平成19年度と比べまして増加をいたしております。また、総実労働時間につきましては、毎月勤労統計調査ですが、平成19年が1,919時間で、平成22年は1,859時間と短縮の傾向にございます。年次有給休暇の取得率につきましては、賃金等労働条件実態調査によりますと、平成19年度が45.3%、平成23年度は43.9%と、やや減少となっております。  労働者の方々が仕事と生活の調和を図りながら、健康で心豊かな生活を送ることは大変重要なことであると考えておりまして、引き続き、年次有給休暇の取得や労働時間の適正化に向けた環境づくりが必要であるというふうに考えております。  このため県におきましては、労働局と連携をいたしまして、広報誌やホームページ、あるいは毎年11月に実施しておりますキャンペーン活動を通しまして、労働時間の適正化や連続休暇取得促進の普及啓発に取り組みますとともに、労働局が主催します賃金・労働時間問題懇談会におきましても、労使に対する適正な労働時間の管理に努めるよう働きかけを行っているところでございます。  また、今年度新たに企業の経営者等を対象にセミナーを開催いたしまして、仕事と家庭生活が両立できる職場環境づくりの重要性について啓発普及を行ったところでございます。  さらに新年度におきましては、企業の管理職を対象といたしまして研修会を開催し、先進的な事例等を通しまして、ワーク・ライフ・バランスの促進が優秀な人材の確保、定着や生産性の向上につながること。また、企業経営の面からも有益であることについて理解を深めまして、企業における取り組みを一層促進することといたしております。  今後とも、労働時間の短縮や年次有給休暇の取得促進に向けまして、働きやすい職場づくりなどを進めてまいりたいと考えております。  次に、女性が働きやすい労働環境の整備についての御質問にお答えをいたします。  労働者が妊娠や出産、育児休業、介護休業等の申し出や取得をしたことなどを理由として、解雇その他不利益な取り扱いを受けるということにつきましては、男女雇用機会均等法、あるいは育児・介護休業法で禁止されております。しかしながら、近年、全国的には不利益な取り扱いに関する労働者からの相談が増加しているという状況にございます。  本県の状況ですが、本年度、介護休業の不利益な取り扱いに関する相談は寄せられておりません。育児休業につきましては、県で4件ございました。富山労働局では7件。また妊娠、出産につきましては、県のほうではございませんが、労働局では18件あったと聞いております。  労働局におきましては、法違反の疑いのある事案につきましては、迅速かつ適正に指導、勧告等を実施することとされておりますが、本年度に是正指導等に至ったケースはないというふうに聞いております。  県では、これまでも不利益な取り扱いを未然に防止する観点から、労働局と連携しながら、仕事と子育て両立支援推進員による企業訪問、あるいは広報誌等を通じまして、事業主への育児・介護休業法などの関係法令の周知に取り組んでおります。また、育児、介護など家庭生活と両立して働き続けられる環境整備を促進するため、一般事業主行動計画の策定を支援いたしますとともに、そうした取り組みに積極的な企業の表彰や啓発セミナーの開催などに努めてきております。  さらに新年度におきましては、新たに企業の経営トップがみずからの言葉で子育て応援宣言を公表するそういう仕組みづくりや、企業経営者を対象とするシンポジウムの開催などに取り組むことといたしておりまして、今後とも女性が働きやすい職場環境づくりを一層促進してまいりたいと考えております。  以上でございます。 27 ◯議長(坂田光文君)以上で上田英俊君の質問は終了しました。  暫時休憩いたします。  午前11時47分休憩      ─────────────────────  午後1時00分開議 28 ◯副議長(横山 栄君)休憩前に引き続き会議を開きます。  酒井眞次君。    〔31番酒井眞次君登壇〕 29 ◯31番(酒井眞次君)最近の政治、経済情勢を俯瞰しながら質問してまいりたいと思います。  まず、地方議会改革と地方分権改革についてであります。  皆さん御承知のとおり、1995年に地方分権推進法、2000年に地方分権一括法が施行されました。国と地方の役割分担の明確化がなされたということであります。委任事務は廃止され、国の関与の制限とルール化が図られたのであります。着実に、確実に地方は力をつけてきているというふうに思います。  その最たるものが、首長の権限が多いに強化されたということであります。これは首長自身が実感していることではないかなというふうに思います。  最近は、地方自治体の長が国に対して対等に交渉している姿に頻繁に接することができます。その地方分権のフロントランナーが三重県知事の北川正恭氏、宮城県知事の浅野史郎氏、片山知事もそうでしょう。最近では神奈川県の松沢成文氏、埼玉県の上田清司知事に引き継がれたと思います。現在は、石原知事は別格として、大村知事、河村市長、松井府知事などがその改革を担っているのであります。  特に改革派のリーダー橋下市長が誕生して、役所組織に政治任用等で刺激を与え、圧倒的な政治力をもって住民や国政に大きな影響力を与えています。その背景には、政権交代後も改善されない政治の閉塞感があるということであります。しかし、地方分権の流れはもう後戻りできないと、私はそう思います。  質問の第1、この改革派首長のさっそうとした登場をどのように受けとめているのか、知事のお考えをいただきたいのであります。  また、2010年、橋下当時の大阪府知事による「議員内閣制」の提言や、その後の総務省の地方行財政検討会議による「地方自治体の構造」の提示によって、国民の間で地方自治の姿の議論が今後深まると予想されたのであります。意外と議論は深まりませんでしたけれども。予算編成権と行政執行権を議会が担うのか首長が担うのかといったような問題を提起して、それをまず地域住民全体で決めることができて、初めて地域主権の意思決定者たる強力な地方政府が誕生すると、私はそう思います。  今まさに話題の中心にいる、「維新八策」を発表した橋下知事の大阪都構想や道州制の実施について、知事の見解をお聞きしたいのであります。  片や、二元代表制の一翼を担う地方議会に触れなければなりません。監視、立案、討論機能はもちろん、ダイナミックに住民の意見集約を担う再生地方議会が必要なのであります。しかし、いまだ全国的に旧態依然としており、必ずしも議会そのものが本来の機能を果たしていない。各種の世論調査でも、地方議会への住民の信頼は総じて低いままであります。その結果、議会不信や政治不信が高まることが強く危惧されるのであります。富山県を例に出して言っているわけではありません。全国的な傾向であります。  地方議会のミッションは、首長と対等に対座し、たゆまない改革を実行し、住民の信頼を勝ち得、真の分権時代の地方議会の改革を推し進める必要があるのであります。  そのためには、1つは、議会の基本原則を定める議会基本条例の制定。これは栗山町が一番最初だったのです。2つ目は、通年議会を開催してできるだけ専決処分はさせない。しっかり議論する。3つは、出前、夜間、休日議会、あるいは住民の身近な会議の開催をするということであります。4つは、国会における質問主意書に準じた書面による質問制度の導入などで、議員がいつでも自由に闊達に議論ができるということであります。5つは、世界的に大変高価な議員報酬の削減。欧米ではほとんど交通費しか支給しておりませんので。6つ目は、議員定数の削減。時代の流れは、せいぜい5万人に1人ということになると思います。7つは、専門スタッフの配置による議会事務局の機能強化があります。  橋下知事が誕生し、その発言に刺激されたのでしょう。2年後には関西の経済同友会が地方議会改革の提言をしています。知事と対座する議会に期待を込めて提言したと私は思います。先ほどの7項目が含まれていますけれども、今もこの提言は輝きを失っていません。この関西経済界の提言に対して、知事はどのような考えをお持ちか、所見を伺うものであります。  知事は、地方自治をみずから実践し、地方自治の生き字引のような存在であります。経歴を見れば一目瞭然、昭和44年に自治省に採用、平成3年に静岡県の総務部長、平成6年に自治省の財政課長、平成14年に消防庁長官、さらに早稲田大学大学院で教壇に立ち、恐らく地方自治の何たるかを学生に教えられたのでしょう。私たちにもぜひ教えていただきたいのであります。日本で地方自治とはどうあるべきか、半生をささげられた知事から所見を伺いたいのであります。  次に、地方公務員制度改革についてお聞きをしてまいります。  国家公務員の制度改革関連法案は、協約締結権を国家公務員に付与、内閣府公務員庁を新設、かわりに人事院を廃止する内容になっています。  地方公務員も働く労働者ですから、労使で給与や勤務時間を決める協約締結権を与えることが私は必要だと思います。しかし、成果や勤務実績により給料や昇級に反映させる。このことが重要なのであります。そして、経営感覚に合った能力主義で人事管理をするべきと考えるものであります。知事に御所見をお伺いするものであります。  地方公務員の給与を検証してまいりましょう。  国家公務員給与を削減する法律が成立いたしました。来年度の国家公務員給与は平均で7.8%引き下げられることになりました。この削減によって、平成22年度には99.2だった富山県のラスパイレス指数は一時的に100を大きく超えることになると考えます。どのような数値になるのかお答えいただきたいのであります。  また、震災復興のためにという特殊な事情があったとはいえ、地方公務員が国家公務員の給与を上回ることについてどのように考えているのか、御所見をお聞きするものであります。知事会では、地方は影響を受けるものではないとのコメントを出していますけれども、私はやはり地方公務員の給料も下げるべきだというふうに思います。  一昨日のテレビで報道していましたけれども、新聞でもきょうありましたけれども、人事院の報告書では、民間企業の退職金2,547万円、国家公務員2,950万円、その差額は400万円以上になったとのことであります。人事院は官民格差の是正を含めた報告書を総務省に提出しました。今後是正されるでしょう。  さらに、中小企業が主な富山県内のサラリーマンと、富山県職の受け取る金額の差はもっとあると、私はそう思います。給料や退職金を含めた民間と県職員との生涯賃金の比較をしているのかどうか。また、毎年格差が広がっている県職員の生涯賃金を本県サラリーマンの賃金に近づける必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。  地方公務員制度改革について、昨年、知事会や市長会、労働組合などの意見を政府はまとめたのであります。知事としてはどのような意見をお持ちなのか、お答えください。また、知事はどのような発言をされたのか、お答えいただきたいのであります。  知事は今議会の行財政改革の発言で、職員数の適正化に取り組まれたことを述べておいでになります。私は、これはいまだ道半ばというふうに考えているのであります。  次は、日本再生の息吹の話をします。  ここ15年で太平洋ベルト地帯が変貌します。言いかえれば三大都市圏が再生するということであります。
     まず1つ、中日本高速道路はことし4月、第二東名、いわゆる新東名・御殿場ジャンクションから三ヶ日ジャンクションまでの162キロを開通させます。設計速度はクオリティーの高い140キロ、静岡県は120キロで走行できるように働きかけているようであります。もう高速道路も、長距離移動と中距離移動に役割分担をする時代に入ったというふうに思います。この高速道路での移動時間というのは国力に直結する重要なファクターでありますので、全線開通は20年度ということであります。  いま1つ、日本の社会、経済を一変させることがあります。三大都市圏で一大プロジェクトが始動しました。建設費5兆6,000億円、経済効果は10年で11兆円などとエコノミストは試算しています。これでおわかりだろうと思いますけれども、リニアモーターカーであります。  JR東海は、2027年、中央新幹線をリニアで開業させます。ルートは南アルプスルート、Cルートということですね。富山県益から言うと、北アルプスにずっと近いAルートだと中部縦貫に近いし、多いに私は期待していたのであります。しかしCルートに決定。最高設計速度は505キロ、東京-名古屋間を40分、東京-大阪間を1時間で結ぶ計画であります。東京、名古屋、大阪は通勤圏内に入ってくると。大都市3,000万の人口が一体となる。皆さん、その世界を想像していただきたいと思います。  日本海側との大きな差が生じる可能性があり、中央新幹線は地元負担なし。この大動脈の開通によって、三大都市圏は大きな経済の感受ができると思います。この経済効果をどのように富山県はとらえておるのか、お答えいただきたいのであります。  また、少なからず我々のふるさとにも効果が期待でき、北陸経済にどのように影響を与えるのか、お答えいただきたいのであります。15年後ですから、調査していないのなら北陸経済研究所などに研究を委託する必要があると私は思います。  2027年にリニアが完成し、北陸新幹線がいまだ完成していない状況では漫画チックで、これはしっかり全線整備をしなければならないというふうに考えるわけであります。また、リニアの大阪までの完成の暁には、米原-大阪間のダイヤが随分あいてくるわけであります。そのリニアという大動脈を、富山県や北陸地区が受益を受ける仕掛けが必要であるわけであります。北陸新幹線の米原乗り入れも視野に入れる必要があると。こういったことを総合計画に取り入れる観点も必要と考えますが、いかがでしょうか。  次は、膨らむ公的債務の件で質問してまいります。  昨年、茨城県環境保全事業団がレベニュー債と呼ばれる新型の地方債を発行し、独自で100億円を調達しました。同事業団は、無理な借入金返済が経営を圧迫、それでも10年度は1億円の黒字を達成しておりました。民間のムーディーズ・ジャパンからA1、これは上から5番目ぐらいなんですが、確実な投資先として評価されておりました。  茨城県も、10年度当初で55億円に膨らんだ事業団への短期貸付金の縮減を迫られていました。そこでレベニュー債に目をつけたわけであります。この債券の発行によって短期貸付金を解消し、45億5,000万円の長期貸付金に切りかえたのであります。これで事業団の返済額は年間4億円に平準化されることになりました。  我が国の地方自治体は、資本市場からの資金調達を効率的かつ安定的に行うため、より一層の創意工夫が必要なのであります。償還原資を特定の収入源に限定したレベニュー債の導入は、大いに検討に値すると考えるものであります。アメリカ地方債市場では、今60%、70%がこのレベニュー債。サンフランシスコなどはこれを多用して資金調達をしておるわけであります。メリットとしては、財政運営の透明化、効率化、償還財源の切り出しによる資金調達手段の多様化ということがありますが、富山県も1.2兆円ある債務、民間の発想を取り入れたらこんなに大きく膨らまなかったのにと私は考えているのであります。  富山県では、今後、包蔵水力の建設や太陽光発電にも取り組まなければならないでしょう。また、並行在来線の収入部分を証券化する手法もあるわけであります。私は、レベニュー債導入を検討し、民間の経営視点を公的債務にも取り入れたらどうかというふうに思うわけであります。  最後に、公文書管理について質問してまいります。  最近は、原発事故で、日本政府に議事録がないとしています。本当にないのか、公表できないのか。その矢先、2月21日にアメリカ原子力規制委員会が日本の福島原発事故に関する議事録を公開しました。アメリカの議事録では、1号機から3号機までメルトダウンしているとし、実際そうなっていたんですけれども、半径80キロ圏内の自国民に避難勧告をしました。  公文書は、そのときの政府や地方政府の高官の決定を後世の人に正しく判断してもらう材料になるのであります。年金紛失事件、大分県の教員採用試験の書類の不備、公文書に関する国民の不信が生まれたのであります。公文書は、国民ひとしく歴史的な事実を記録したものであります。知的財産でもあるわけであります。国では、公文書等に関する法律が制定され、政府全体が当法律によって公文書の作成、管理を行うことになりました。  富山県では、残す書類、捨てる書類はだれが判断し、どのような基準になっているのか。また、公文書や歴史書は県民の知的財産であるという考え方を考えると、公文書の管理規定や条例を制定することが必要と考えるがどうか、お答えいただきたいのであります。  東日本大震災では、少なからず公文書の紛失が危惧されることになりました。大事な公文書や歴史書が災害で紛失する危険があるわけであります。東日本大震災はまさにそのことを教えてくれました。手法としては、あらゆる災害に強いと言われるクラウドを活用し、保管や保護を確実にすることも必要だと考えますが、いかがでしょうか。  時代は日々劇的に変化しています。社会、政治、経済がガラパゴス化しないように、広い視野を持って今後とも行動し、発言をしていきたいと考えています。  以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 30 ◯副議長(横山 栄君)石井知事。    〔知事石井隆一君登壇〕 31 ◯知事(石井隆一君)酒井議員の御質問にお答えをいたします。  まず、いわゆる改革派首長の誕生についての御質問であります。  大阪市の橋下市長あるいは名古屋市の河村市長など、それぞれ大阪都構想や市民税減税など独自のカラーを強く打ち出されまして、地元の住民の皆さんの支持を得て市長に当選されました。こうした市長の誕生につきましては、それぞれ地域の事情があって地元の住民の皆さんの民意が反映されておりますので、富山県知事としてコメントするのは差し控えたいと思います。  ただ、一般論で申し上げれば、いわゆる改革派と呼ばれる首長が誕生される背景には、停滞している中央政治になかなか希望が持てない、国全体に閉塞感が漂う中で、旧来の行政における課題を明らかにした上で、現状を変革して、地域社会を元気にしてほしいと、こういう住民の皆さんの希望、期待があるんじゃないかと思っております。  一方で、橋下市長や河村市長は、一定の地域の政治テーマを実現するために、大阪維新の会や減税日本といった独自の地域政党をみずから主導して組織をされ、結果として、首長が提起された単一の争点について、あたかも住民投票のような形で議員の選挙を行うようにしていらっしゃる。これは、やり方によっては首長が議会を強くコントロールしているようにも見えまして、そうしたことが好ましいと考える風潮が広がりますと、本来の首長と議会との二元代表制の趣旨という点からすると、いささか疑問だなと感じられる方もおられるんじゃないかと思っております。  私としましては、首長と議会はそれぞれ住民から直接選挙で選出されて、多様な県民の皆さんの意見を県政に反映させるという重要な役割を果たす車の両輪でありますので、チェック・アンド・バランスを確保して、個別の政策について意見や主張が異なる場合には、議場において徹底した議論を展開していくことが大切で、そのことがまた同時に、県民の皆さんからその論点がよく見えて、地方自治なり民主主義につながる、それが基本だろうと思っております。  これからも県民の皆さんの御意見をお聞きしながら、議員の皆さんと力を合わせてしっかりと県政に取り組んでいきたいと思います。  次に、大阪都構想など最近の地方自治をめぐる動きについての御質問にお答えをいたします。  都道府県と大都市との関係については、かねてからの議論を御紹介しますと長くなりますのでちょっと省略しますが、いろんな経過があって、どのような制度が望ましいか、いろいろ議論がございます。  橋下大阪市長が提唱されています大阪都構想では、大阪府と府内の政令指定都市である大阪市及び堺市との二重行政の解消を目的として、大阪市と堺市を新たな区に分割して基礎自治体の機能を担わせて、大阪府が都として広域行政を担うといったものであると認識をしておりまして、これはこれで大都市問題を解決するための一つの考え方ではあると思います。  また最近では、御承知かと思いますが、指定都市市長会から、現在の政令市を府県から独立した存在とする特別自治市制度の創設も提案されておりまして、これはベクトルが逆にも見えますけれども、それぞれの地域で大都市問題の解決策、こうしたらいいんじゃないかというそれぞれの動きがあるわけであります。  そこで、国におきましては、地方制度調査会で大都市制度に関する審議が始められたところでありまして、大いに議論を尽くしていただきたいと思います。  幸い富山県では、県内市町村と十分協議を行って、条例による事務処理の特例等により適切な役割分担を行っておりますので、今、例に挙げたような形での、いわゆる大都市問題は存在しないところでございます。  道州制については、政権交代後、道州制を審議する組織が設置されておらず、本格的な議論は今のところ行われておりません。また近年、国の出先機関廃止の動きに合わせて、関西広域連合や九州行政機構──仮称ですけれども、こうしたものなど広域行政体制の整備が図られていますけれども、あくまで国の事務・権限の受け皿としての体制整備でありまして、必ずしも、いわゆる道州制に直接結びつくものではないと考えております。関西広域連合の場合も、その規約の府県議会における議決に当たって、これは道州制に転化するものではないという附帯決議もついている、そういう府県もあるわけであります。  それから、なかなか、これはそうかなと思うんですが、例えば橋下大阪市長は地方制度調査会の専門小委員会において、「道州制は今すぐにはできない」と、また「関西のような経済圏がしっかりある道州においては、道州と基礎自治体との間にもう一つ中間的な広域行政が必要である」とおっしゃっているわけです。そうなると、いわゆる道州制というのは、従来は、都道府県をがらがらぽんにして道なり州にして、あとは基礎的自治体だけという二層制だったはずなんですけど、どうも橋下市長のおっしゃる道州制というのは三層制なのかなという気もするんですね。よく考えを整理して問題提起をしてもらう必要があると思っております。  本県を含む中部圏においては、国の出先機関の所管区域が錯綜して課題が多く、都道府県単位の国の事務・権限の移管をできるだけ進めていただくということが、まずは肝心だと思っております。  私は何度もこの議場でも申し上げておりますけれども、議員のお話がそうだという意味ではありませんが、一般論で言うと、何かこう道州制ありきで抽象的、観念的な議論が先行しておりまして、制度導入によるメリットやデメリットをよく検討しなくちゃいかん。  具体的には、やっぱり1つは、道州制をつくった場合に、それじゃ中央政府は一体何の仕事をするのか、それを含めた国全体の形をどうするか。それから、道州間の格差是正のための税財政調整制度をどうするか。どうしても東京都を含めた南関東州あるいは関東州が断トツに力があることになってしまいますので、今でさえ格差があるんですから、そこをどうするかということを、私は何度もいろんな場で問題提起を中央政府にもしていますが、いまだに何の回答もない、そういう状態であります。  またもう1つは、自治体のエリアが広くなればなるほど住民から距離が遠くなるという問題があります。例えば横浜市のような人口300万を超すような基礎自治体で、本当にこれが住民自治、基礎的自治体としてうまくいっているのかという議論もやっぱりあるわけですね。そういうようなこともよく考えて、そしてしっかりと国民的な議論を行うことが先決である、こんなふうに思っております。  次に、地方議会改革の提言についてお答えをいたします。  平成22年5月に関西経済同友会がまとめました提言ですけれども、お話にありましたように「議会の見える化」をテーマにされまして、議会基本条例の制定、また公聴会、説明会などの機会の増加、それからインターネットでの動画配信、また定数の大幅削減などを提言されております。  こうした議会のあり方については、これまでも都道府県議長会での研究や地方制度調査会等で議論が行われておりますけれども、この問題については、議会の自主性、自律性の観点から、議会の中で議論していただく課題だと思っております。  本県の議会では、これまでも議員定数の削減とか政務調査費の公開とか、また政策討論委員会での議員間討議などの改革的な取り組みを、全国の議会に先駆けて実施されてきたところであります。最近でも、会議のインターネット録画の中継ですとか、政策討論委員会の議事堂外での開催とか、議案の賛否の公表などに積極的に取り組まれておりまして、こうした点については敬意を表する次第でございます。  私としては、かねがね申し上げていますけれども、やはり首長と議会はそれぞれ住民から直接選挙で選出されて、県民の皆さんの意見といっても非常に幅が広いわけですから、そうした皆さんの意見を県政に反映させるという重要な役割を担う車の両輪であると考えておりまして、議会の議員の皆さんと力を合わせて、しっかりと元気な富山県をつくっていきたいと思っております。  次に、地方自治はどうあるべきかという御質問でございます。  地方自治とは──これは私の理解ですけれども──それぞれの地域に生きる住民の皆さんが生きがいや働きがいを感じて、また幸せを感じながら暮らすことができるように、地域で生ずるさまざまな課題に自治体が住民の意思に基づいて適切に対処できるようにするための仕組みであり、また、その運用であると考えております。そのために、地方自治体は住民の皆さんの幸せの充実や地域の振興を基本目標にして、住民の意見に耳を傾けて、その参加も求めながら、身近な地域の課題を自主的かつ総合的に広く担うべきであると、こういうふうに思っております。  一方で中央政府は、大きく変化する世界の中で日本が進むべき道を国民に明確に示して、例えば外交とか防衛とか根本的な経済政策、エネルギー政策、こういった国の基本にかかわる政策をしっかり担っていただくべきでありまして、国と地方はそうした関係にならなきゃならないと思っております。  そのためには、国と地方の役割分担について、補完性の原則に基づいて、住民に身近な行政はできるだけ地方団体にゆだねて、いろんな許可とか同意とか承認とか、いろんな拘束を外して地方の自主性、主体性を極力高める必要がある。また同時に、その裏づけとなる必要な税財源が確保される仕組みが必要でありまして、特に偏在性が少なくて安定性の高い地方税体系の構築、また地方交付税の充実によって、東京など大都市と地方との財政力格差を是正する。できるだけ多くの自治体が自立できる地方税財政制度を実現していくということが大事だと思っております。  これまでも全国知事会と連携しながら、地方分権改革の推進に私なりに努力もしてまいりましたが、今後とも、富山県知事としてはもちろんですけれども、全国知事会の地方税財政特別委員長も仰せつかっておりますので、地方の実情を踏まえながら、地方の自立と格差是正のバランスのとれた、国民の皆さんにとって本当の幸せにつながるような地方分権改革が推進されるように積極的に取り組んでまいりたいと思います。  また同時に、やはり地方自治体も、大変、今いろんな面で日本という国が厳しい状況に置かれている中ですから、地方分権を唱えるからには、これまで以上に住民の皆さんの意見に耳を傾ける一方で、目先のことばかりじゃなくて、人気取り的なことだけではなくて、10年先、20年先を見据えて、本当の意味で住民のためになる、今ここにいる有権者だけではなくて、次の時代を担う子供や孫のためにもなる、そういう政策を責任を持って進めていく必要があると考えております。  特に、元気で心豊かな地域社会をつくっていくためには、やっぱり夢とか情熱、志を持った人材を育成していくことが大事でありまして、そうしたことが結局は地域の活性化にもつながる。また世界の中で日本が名誉ある国として今後も持続していく、そのための一番大事なことだと思っております。これからも努力してまいりたいと思います。  次に、地方公務員への協約締結権の付与についての御質問にお答えをいたします。  国におかれましては国家公務員制度について、御承知のとおり昨年4月に改革の全体像というものを決定されて、6月には協約締結権の付与を含む国家公務員制度改革関連4法案を国会に提出されましたが、現在のところ国会では審議が進んでおりません。  地方公務員への協約締結権の付与については、政府においてその方向で地方公務員法の改正が検討されているところでありまして、昨年12月に総務省より「地方公務員の新たな労使関係制度に係る主な論点」が示されました。この主な論点に対して、全国知事会としては幾つか懸念を表明しております。  1つには、実質的な身分保障が確保されたままで地方公務員に協約締結権を付与して、労使交渉で勤務条件を決定するシステムを導入しますと、民間の労使関係との比較において公務員が優遇されているという批判を招くんじゃないかと。民間の場合は、労使がいろいろ仕事そっちのけでやっていますとつぶれてしまうという問題がありますけれども、公務員はそういうことが普通はないわけで、そういう身分保障がある中で協約締結権だけを付与すると、ちょっとやっぱりどうかなという議論があると思います。  それから2つ目には、人事委員会勧告制度を廃止して、給与水準の客観的な指標がないままに労使交渉によって勤務条件を決定するシステムですと、労使交渉にふなれな自治体では適切な水準で妥結することが困難とならないかと。富山県はそういうことはないと思いますけども。  それから、交渉の長期化によって全体として行政の執行能力が低下して、行政サービスの低下につながる可能性があるんじゃないかといったようなことを、知事会としては心配をしております。  こうした大きな制度改正は、本当はやはり国と地方の協議の場などでしっかりと議論して、地方側の懸念を解消していく必要がある。たまたま東日本大震災ということがあったから、その財源が足りないからその給与を下げたい、それにはつじつまを合わせるのに団体の労働権なんかを見直すとか、ということになるんだとすればすごく残念なことだと思います。  本県では、従来から勤務評定を実施しますとともに、年功重視から職務職責重視への転換、また、勤務実績のより的確な反映を行う観点から、18年から本格的に業績評価制度を導入していますし、22年1月期の昇給から査定昇給というものを実施しております。また、長期、短期の民間企業への派遣研修によりまして民間の経営感覚を身につける機会の拡大に努めておりますほか、初任層から所属長までの各階層で、民間企業の経営者から民間の改革マインドによるチャレンジ精神などを学ぶ研修も実施しているわけでございます。  今後とも、協約締結権のあるなしにかかわらず、人事管理の面で能力主義あるいは経営感覚の導入、こうしたことに積極的に取り組んでまいりたいと思います。  次に、地方公務員制度改革についての御質問にお答えをいたします。  今ほども申し上げたのですけれども、地方公務員法の改正について、昨年6月に「地方公務員の労使関係制度に係る基本的な考え方」、また12月には「地方公務員の新たな労使関係制度に係る主な論点」が示されております。この「基本的考え方」で、制度の概要としては、今ほどの話と重なりますけど、1つは一般職の地方公務員に協約締結権を付与する。それから勤務条件に関する人事委員会の勧告制度を廃止する。それから3点目は、勤務条件を定める条例の制定や改正を必要とする内容の団体協約を締結した場合、地方団体の長は条例案の議会への提出義務を負うなどが示されております。  率直に言って、私もそうですけれども、全国知事会全体としては、この総務省から示された改革案の理念、目的、効果などについて大変疑問を感じていまして、これまで総務省に対して繰り返し、1つにはこの制度改革の基本的な理念をしっかり示してほしい、それから2つには地方自治制度の特性に配慮してほしい、3番目には、当事者である地方側と十分議論してほしいということを申し入れております。特にこの問題は、地方行政の運営に大きな影響を与える問題であるにもかかわらず、正式に国と地方との協議の場で議論を一度もされていないというのは非常に問題だと思います。  国が示した地方公務員制度改革については先ほどもお答えしましたが、やっぱり実質的な身分保障を確保したまま地方公務員に協約締結権を付与する、労使交渉で勤務条件を決定する、ちょっとこれは民間の皆さんから見ると疑問が出るんじゃないかと思います。人事委員会勧告制度を廃止することについても、先ほど申し上げたような懸念がございます。  何か改革、改革と言うとよくなるように見えますが、改革もひょっとしたら悪くなるかもしれないんで、ぜひ、拙速に制度化を進めるんではなくて、国、地方の協議の場なども活用して丁寧に議論を進めて、地方の実情や国民の皆さんの本当の気持ちに沿った改革になるようにしていかなきゃいかんと思います。  最後に、公文書管理についての御質問にお答えを申します。  国では、社会保険庁で年金記録の不適切な管理などずさんな公文書管理に係る問題が相次いで発生したということをきっかけに、公文書管理法というのを制定されました。この法律では、現在業務に使用している公文書の保存や公文書館への移管、それから歴史的な価値のある公文書の利用や保存など、国の公文書管理の統一的なルールを定めております。  本県におきましては、公文書管理条例は制定していませんけれども、現在業務に使用している公文書の保存とか公文書館への移管については、富山県情報公開条例あるいは富山県文書管理規程等におきまして、歴史的な価値のある公文書の利用や保存については、富山県公文書館条例において公文書管理法とほぼ同様の内容を定めております。  お話のように、県民の知る権利の担保とかいったようなことから、公文書を適正に管理していくことは重要だと思っておりまして、これまでも文書管理研修の開催、また、文書管理状況の実地調査、公文書の整理とか公文書館への移管の全庁的、集中的な実施など、公文書管理についての職員の意識を高める、また適正な管理を行うためのシステムの構築にも努めております。  今後とも、全庁的に公文書の保存や利用等の適切な運用にしっかり取り組んで対応していきたい、こんなふうに思っております。 32 ◯副議長(横山 栄君)出口経営管理部長。    〔経営管理部長出口和宏君登壇〕 33 ◯経営管理部長(出口和宏君)まず、地方公務員のラスパイレス指数についての御質問にお答えをいたします。  本県のラスパイレス指数は、本県が国に先んじて臨時的給与減額を実施してまいりましたことから、平成17年度から22年度までは100を下回っております。平成22年度のラスパイレス指数は99.2となっておりますが、この指数は月例給を比較するものでございますので、これに地域手当の削減を加味した場合のラスパイレス指数は97.2となっております。  ラスパイレス指数は、国家公務員の俸給月額を100とした場合の地方公務員の給料水準を示す指標でございますので、国家公務員の給与を平均で7.8%引き下げるいわゆる臨時特例法の成立によりまして、これまでと同様にラスパイレス比較を行うとしますと、平成24年度からは、本県のみならず大部分の地方自治体において指数が一時的に100を超えるのではないかと考えております。  しかしながら、これまで地方は独自の給与削減や定員削減を断行するなど、国に先んじて行財政改革を実施してきたことを踏まえますと、国において東日本大震災に対処するために2年間に限定して給与を削減し、指数が100を超えることがあったとしても、それをもって国が地方に対し給与削減を実質的に強制するようなことは、決してあってはならないものと考えております。  地方公務員の給与水準につきましては、地方公務員法に定める原則に基づきまして、地方がみずからの判断で決定することとされております。県としましては、今回の臨時特例法の趣旨や国、他の都道府県の動向を見きわめながら、人事委員会の意見なども踏まえ、適切な給与となるように努めてまいります。  次に、サラリーマンと県職員の生涯賃金の均衡についての御質問にお答えをいたします。  地方公務員の給与水準につきましては、人事委員会勧告制度に基づいて毎年度人事委員会が実施する民間給与実態調査において、県職員の月例給及び特別給と、県内の50人以上の従業員を有する民間の企業、事業所で同じような職務に従事する者の月例給及び特別給を比較することによって、県職員の給与水準を民間の同年代の給与水準に均衡させる制度となっております。  県職員の給与は県民の理解と納得を得られるものでなければなりませんので、このような第三者機関である人事委員会の調査に基づく勧告に従って給与を定め、これを条例に規定して、議会で承認をいただいて決定することは適切なことであると考えております。  一方、公務員の生涯賃金のうち、大きな比重を占める退職手当につきましては、これまでも国が定期的な調査を行って、その結果に基づき、随時国家公務員の退職手当制度の見直しを行われております。県におきましては、この国の制度見直しに合わせて同様の改正を行っておりまして、これらの見直しを通して生涯賃金の均衡が図れるよう努めているところでございます。  次に、レベニュー債についての御質問にお答えをいたします。  いわゆるレベニュー債は、公営企業などにおいて料金収入を伴う事業の資金調達を行う場合に、その償還財源を事業の収益のみで行う債券と理解しております。日本国内ではこれまでのところ発行の事例はございません。  御指摘がありました茨城県の例は、県が全額出資する廃棄物処理を行う財団法人が、長期資金の調達に際してレベニュー債に似たレベニュー信託という手法をとった事例でございますが、これは財団法人の資金調達手法でございまして、地方債には該当いたしません。  日本におきましては、公営企業等についても、独立採算がなじまない部分については基準を定めて一般会計からの繰り入れによって借入金の償還財源を賄っており、地方税や地方交付税制度に基づく財源保障、地方公共団体財政健全化法に基づく財政状況のチェックによってその信用を維持するとともに、これを通じて低利の資金調達が可能になっておりますので、レベニュー債による資金調達の必要性に迫られておりません。  レベニュー債の発行を通じて投資家が事業の収益性を判断するため、財政規律の確保に有効という意見もございますが、事業収入を償還財源とする場合には投資家側にリスクが生じますので、当然高い金利の支払いが求められることになります。また、そもそも投資のすべてを事業収益で賄うような事業を、県や公営企業が実施するのが適当なのかどうかといった議論もあろうかと思います。  本県におきましては、これまでも資金の調達方法や調達先の多様化を進めているほか、高利の公的資金の繰り上げ償還、また新幹線に係る起債の財政措置の拡充などによりまして、財政負担の軽減に努めてきております。  今後とも、県の財政運営を持続可能なものとするために、行財政改革を引き続き推進してまいりたいと考えております。  次に、公文書管理へのクラウドサービスの導入についての御質問にお答えをいたします。  本県におきましては、平成16年度に文書管理システムを導入しまして、適正な公文書管理を行ってきたところでございます。現在の文書管理システムは稼働後8年が経過しまして、新たなシステムへの更新を見据え、現在クラウドサービスの活用も含めた検討を行っております。  公文書管理におけるクラウドサービスの活用につきましては、民間の外部データセンターが免震構造など大規模災害に耐えられるようつくられておりますので、大規模災害が発生した際においても電子化された公文書が破損、滅失のおそれが少ないというメリットがございます。  一方、課題としましては、公文書管理についてはクラウド化が始まったばかりであるため、サービスを提供する企業が少なく、自治体への普及も進んでおりませんので、競争性やいわゆる割り勘効果が働かずに、現行システムに比べてコストが高くなるという可能性が否定できないこと。また、情報漏えい等が生じないよう、情報セキュリティー確保を十二分に講ずる必要があることなどの課題でございます。  このため、公文書管理におけるクラウドサービスの活用につきましては、災害時における業務継続の必要性や、それに対するコストなどにも留意しながら検討を進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 34 ◯副議長(横山 栄君)吉田知事政策局長。    〔知事政策局長吉田 修君登壇〕 35 ◯知事政策局長(吉田 修君)まず初めに、新東名・名神高速道路やリニアの開通による三大都市圏への経済効果についての御質問にお答えいたします。  新東名・名神高速道路は、本年4月には御殿場-三ヶ日間が部分開通し、平成32年度には東京-大阪間が全線開通する予定であると聞いております。また、リニア中央新幹線は、昨年5月に整備計画が決定され、今後、JR東海が整備を進めることになっております。相当将来の話にはなりますが、平成39年には東京-名古屋間が開通し、平成57年には大阪まで延伸されて、東京-大阪間が1時間余りで結ばれる予定であると聞いております。  中日本高速道路株式会社やJR東海の資料によりますと、新東名・名神高速道路及びリニア中央新幹線の整備により、三大都市圏間の移動時間が大幅に短縮され、人や物の流れがスムーズになり、三大都市圏の連携が強化されることによって社会経済活動の活性化などにつながることや、既存の高速道路、新幹線とのダブルネットワーク化によって、三大都市圏を結ぶ交通インフラとしての信頼性、安定性の向上や、災害に対するリスク分散が図られることなどの効果があるとされております。  また、新東名・名神高速道路につきましては、既存高速道路の渋滞の抜本的解消が図られることも大きな効果として挙げられているところであります。
     次に、新東名・名神高速道路やリニアの開通による北陸や富山県への効果についての御質問にお答えいたします。  新東名・名神高速道路やリニア中央新幹線については、整備がなされれば、交流の活発に伴う経済効果の波及や観光、企業誘致などの面で、本県を初めとする北陸地域に一定の効果も見込まれるものと考えておりますが、完成するまでにはいずれも相当の期間を要するものであり、先ほども御紹介しましたように、新東名・名神高速道路の全線開通は9年後、リニア中央新幹線の名古屋開通が15年後、大阪開通は33年後というふうにされているところであります。  したがいまして、県としましては、三大都市圏からほぼ等距離にあるという地理的優位性を生かしながら、北陸新幹線の開業を初め、整備が着実に進んでいる伏木富山港や富山空港の一層の機能強化など、まずは陸海空のネットワークの充実に全力を尽くすことが重要であると考えております。  本格的な環日本海・アジアの時代の到来が見込まれる中、今後ともこうしたネットワーク基盤を生かして、ものづくりや海外展開の促進などの産業振興、広域国際観光の推進、魅力あるまちづくりやにぎわいづくりなどにつなげ、元気な県づくりを進めてまいりたいと考えております。  最後に、新東名・名神高速道路やリニアの開通と新総合計画の関係についての御質問にお答えいたします。  富山県は、三大都市圏からほぼ等距離にある地理的優位性や、着実に整備が進んでいる陸海空のネットワークなどの特色を最大限に生かしながら、三大都市圏と環日本海・アジアを結ぶ結節点として発展していくことが重要であると考えております。  このため、この春に策定します新総合計画におきましては、三大都市圏との連携交流を視野に入れ、例えば企業立地の分野では、三大都市圏での企業立地セミナーの開催など積極的な誘致活動の展開、観光の分野では、三大都市圏等での観光PRや、関東・富山・中京及び中京・富山・関西を結ぶ2つの大三角形の周遊観光ルートの推進など、各般の施策を盛り込むこととしております。また、これらの施策をさらに推進するための基盤整備としまして、北陸新幹線の大阪までの全線整備の促進や、東海北陸自動車道の全線4車線化の推進などについても盛り込むこととしております。  先ほど申し上げましたとおり、将来的には新東名・名神高速道路やリニア中央新幹線の開通により、例えば2つの大三角形周遊観光がより短い時間で行えるようになるなど、富山県にも一定の効果が見込まれるのではないかと考えられますが、そのいかんにかかわらず、今後とも三大都市圏との関係を重視しながら、本県に活力を呼び込めるよう、新総合計画に基づきしっかりと施策を展開してまいりたいと考えております。 36 ◯副議長(横山 栄君)酒井眞次君。    〔31番酒井眞次君登壇〕 37 ◯31番(酒井眞次君)知事に地方自治に関する格調の高い答弁をいただきまして、答弁書がなくても自分の頭の中にきっちり整理されておったんではないかなと私は思います。答弁を参考にさせていただいて、また私も学生になった気分で一回、再度読ませていただきたいというふうに思っているわけであります。  1つ、再質問は生涯賃金のことなんですけども、公務員というのは地位がしっかり確保されておるわけですね。それから、株式会社に勤めておるように、何というか、もうけ主義というか、利益を毎日毎日のように追求されるわけでもありません。勤務態度も、民間からするとちょっとゆったりしておる感じになるわけであります。ちょっと語弊があるかもしれませんけど、そういうふうな感じを民間から見ると持っておるわけであります。  さらに、日々の給料、月の給料は、それは上がったり下がったりするかもわかりませんけれども、全体として生涯賃金がこの10年、どんどん開いていく感覚があるんです。私も別に一つ一つ調べたわけではありませんけれども。さらに、役所にいて賃金を退職までもらって、退職金ももらって、さらに退職後は意外と第二の人生を、県に関係した団体に──天下るという言い方は県の場合はどうかと思いますけれども──勤めたりして、さらに民間との格差が出てくる。さらに年金をもらう段になると、共済年金と厚生年金──企業年金なんて、100人、200人の企業でもかけてない企業も随分あるわけでありますので、さらに広がってくる。これからもどんどん広がってくる可能性があるわけであります。  ここのところは、税金を汗水垂らして払っている人が苦しんでおるのに、その払ったお金で生活している人が裕福では──裕福とまではいかんかもしれんけれども、豊かでは、これは世の中本末転倒、私はそういつも感じておるし、民間の人も私に常にそのようにおっしゃいます。  ですから経営管理部長、生涯賃金の比較をしていないというニュアンスだったんですけれども、ぜひとも全国に先駆けてこういうことを調べていただいて、少なくとも民間の生涯賃金の平均を上回らないように目を配っていただきたいなというのが庶民の切実な願いでありますので、いま一度御答弁をいただきたいと、かように思います。よろしくお願いします。 38 ◯副議長(横山 栄君)出口経営管理部長。    〔経営管理部長出口和宏君登壇〕 39 ◯経営管理部長(出口和宏君)生涯賃金ということになりますと、実際は、これは一定のモデルの推計でしか把握できないという問題がございます。このため、これまで各企業の生涯賃金が幾らであるかという調査は行っておりません。  現在の仕組みでは、人事委員会がその年度年度において、その時点で支払われている給与を同種同等の職にあるものと比較することを通じて、民間との間での均衡を図るということ。そして、先ほど申し上げましたように、退職手当につきましては、国家公務員が随時調査を行った上で、その結果に基づき均衡を図られることとされていますので、そのタイミングで県も同様の見直しを行うことを通じて、民間の賃金との均衡を図ることとしていること。それを通じまして、全体として生涯賃金の均衡を図れるような制度の運用を行っているところでございます。  現在の仕組みは、民間企業との比較につきましては、第三者機関であります人事委員会の調査に基づいて毎年度勧告を行い、これを定めるという法律の仕組みになっておりますので、その定める仕組みに従いまして、適切な給与制度の運用を行ってまいりたいと考えております。  以上でございます。 40 ◯副議長(横山 栄君)以上で酒井眞次君の質問は終了しました。  矢後肇君。    〔19番矢後 肇君登壇〕 41 ◯19番(矢後 肇君)去る2月、私は我が党経済建設部会のメンバーとして、近年本県との関係が順調に拡大しつつあるタイ王国を視察してきました。今回の質問はタイ語でやろうと思いましたが、通訳の手配がつかないということでしたので、このまま日本語で続けます。  本県と東南アジアとの交流拡大と関係強化について、何点か質問いたします。  タイ王国には本県ゆかりの企業が数多く進出しておられ、本県出身者もその関係でたくさん居住しておられます。現時点でバンコク富山県人会の会員数は100名を超えており、各企業では当会の活動に積極的にかかわっておられます。  今回、私たちはそのような企業の中から、田中精密工業株式会社様、タカノギケン株式会社様、佐藤工業株式会社様などの現地法人を視察させていただくとともに、バンコク富山県人会の総会にも参加させていただくことができました。  今回視察した本県ゆかりの各企業では、それぞれ高いモラルを持って業務に精励しておられますが、その中でもとりわけ注目すべき点は、タイ人従業員に対する日本教育、日本語教育の充実であります。例えば、各企業では独自にタイ人従業員に対して日本語勉強会などを催しておられ、その仕組みもさまざまな工夫が凝らされています。本県に所在する親会社への留学、出張経験のある先輩タイ人従業員がみずから講師となって後輩従業員に日本語を教える、タイ人によるタイ人向け日本語勉強会などはその好例であると言えます。  また、例えばタカノギケン株式会社では、過去7年間にタイ人従業員約700名のうち延べ300名以上のタイ人を富山市内の本社で研修させておられ、その結果、現在約30名のタイ人従業員が日本人とほぼ同等に日本語を駆使できるようになり、従業員の出勤率98%以上という高いモラルを形成されました。  また、田中精密工業株式会社では、リーマンショック、東日本大震災、タイ洪水のいずれの事態が発生したときも、ただの一人も首切りを行わずに乗り切られたそうです。さらに、いわゆるQCサークルを充実され、去る2007年にはタイ現地法人チームが本社でのQC本大会に出場するという快挙も生まれたと伺いました。  タイ人は我々日本人と物の考え方、とらえ方が非常に似ており、それゆえタイ王国ではいわゆる日本式経営がとてもうまくいきやすいようであります。  以上の事例に基づき、以下何点かお伺いします。  まず、現在、本県ゆかりのタイ進出企業では数多くのタイ人従業員を雇用しておられ、そのほとんどが親日的な方ですが、私たちが訪問時に持参した本県の英文観光パンフレット等をお見せしたところ、全員の方が「知らない」「見たことはない」とのことでした。  そこで、経済界と県が協力して、まず本県ゆかりの企業に勤めるタイ人従業員とその家族の方々に本県の熱烈なファンとなっていただく取り組みをすればよいと考えますが、夏野観光・地域振興局長のお考えをお尋ねいたします。  昨年7月、本県から石井知事を団長とする東南アジア経済・観光訪問団がシンガポールとタイ王国を訪問されました。その際、知事はタイ王国において、タイ工業省、タイ保健省、タイ国際航空、タイ船会社等を訪問されたと伺っております。タイ王国から本県を訪れる観光客は平成22年で約3,200人だったそうですが、今後は大きく飛躍することが期待されております。  県はこれまで、タイのトラベルフェアに3回、シンガポールでのトラベルフェアに隣県と共同で4回出展しておられ、新年度新たにマレーシアでのトラベルフェアに出展するほか、タイでの観光説明会の開催も計画されていると聞いております。  新年度からは、これまでのトラベルフェアのように県職員を1名派遣するのではなく、知事みずからが先頭に立ってトラベルフェアや観光説明会に出席され、他県が本腰を入れる前に本県観光のPRを大々的に展開すべきと考えますが、その幾つかは開催予定時期が秋の知事選挙以降であることから、お答えしづらい面もあろうかと思います。しかし、あえて知事の東南アジア向け観光振興施策にかける思いをお聞かせいただきたいと思います。  さらに、本県ゆかりの企業に東南アジア市場により積極的に展開していただくためには、中小企業にとっての海外展開のリスクをより軽減すべく、行政の積極的なサポートが必要であると考えます。県では、昨年10月に実施した本県企業の海外進出に関するアンケートをもとに、新年度新たな施策を展開されると聞いていますが、具体的に本県ゆかりの企業のアジア進出にどのような支援を行っていかれるのか、荒木商工労働部長に伺います。  今回の視察で感じたことの一つに、本県は海外における県人会のような組織が強固で頼もしいという実態でありました。私たちが訪問したバンコク富山県人会の総会、懇親会においても、異なる企業の方が「本県ゆかり」ということをキーワードとして、縦横に強く結びついておられるのを目の当たりにすることができました。これから将来に向けて、本県の海外での知名度向上、親近感向上のためには、このような海外各地における県人会等、県ゆかりの組織の実態を県として統一的に把握し、一貫したパイプをつくることが重要であると思います。  今後、県として、世界各地の本県ゆかりの組織とどのように協力していかれるのか、観光・地域振興局長にお尋ねします。  また、現在本県に留学している外国人留学生にさらに本県ファンになっていただくことも、本県と海外との連携強化のためには欠かせないポイントであると思います。本県に来県している留学生の中には、本県の持つ人、物の魅力に引かれ、そのまま本県で就職を希望する人が少なくないと聞いております。しかしながら、国籍や習慣、言葉のハンディのある外国人留学生が日本人と同等の土俵の上で就職活動を行うことは不可能であることから、現実には本県での就職を希望しながら果たせずに帰国する留学生も多いようです。  そこで県として、本県における外国人留学生の就職活動に対して組織立てて支援していくことが重要と考えますが、どのように取り組んでいくのか、商工労働部長にお伺いいたします。  次に、陸上自衛隊富山駐屯地について伺います。  本県には、自衛隊唯一の施設として砺波市に富山駐屯地があり、主として第382施設中隊が活動しています。全国的に見れば指折りの小規模駐屯地ですが、急峻な山岳と日本海に囲まれ、また全国有数の降雪県であることからも、常に自然災害の恐怖と闘わなければならない本県にとっては、災害支援、災害救助活動の面ではなくてはならない駐屯地です。  陸上自衛隊では1年間に平均約270回もの災害派遣出動の実績があり、昨年発生したあの痛ましい東日本大震災での自衛隊の活動と活躍は、私たちの記憶にも新しいところであります。特に山火事や土砂崩壊、津波被害等によって陸上の交通網が寸断された場合でも、孤立地域や山岳、海上の遭難者等を救助し、または遭難者、孤立者等に延命物資を輸送できる陸上自衛隊所有の大型ヘリコプターの有効性については、昨年の大震災の際に改めて広く国民に認識されたところです。  この自衛隊の大型ヘリコプターCH-47チヌークは、これまで国内においては阪神・淡路大震災、新潟中越地震、東日本大震災のときに、海外にあってもスマトラ島大津波、パキスタン洪水被害のときに派遣され、多くの人命を救助してきました。このチヌークは最大で約12トンの物資を輸送することが可能であり、陸上自衛隊富山駐屯地で所有している各種工作車等を迅速に災害現場に搬送することができます。チヌークの活躍で、災害時の人命救命率は飛躍的に増大すると言われております。  ところが、まことに残念なことに、陸上自衛隊富山駐屯地にはCH-47チヌークが離着陸できるスペースがなく、駐屯地で所有している工作車等を迅速に災害現場に搬送する手段がありません。このことから富山駐屯地では、昭和63年以来約四半世紀にわたって、ヘリポート拡張の要求を上級部隊に提出しておりますが、いまだに何の進展も見せておりません。  これは、自衛隊法に定める自衛隊の主たる任務の中に災害派遣の項がなく、自衛隊の行う災害派遣、災害救助活動はあくまでも自衛隊の副次的任務とみなされることに起因していると言われております。しかし現実には、自衛隊の災害派遣は今や、自衛隊の主たる任務である国の防衛や国際協力と並んで、自衛隊の三大任務の一つと一般に認識されており、災害派遣が自衛隊法上の主たる任務でないことを理由として富山駐屯地の拡張が認められないのは、どう考えても理不尽であります。  知事は、天変地異その他の災害に際して、県民の生命、財産を保護するために自衛隊に出動を要請する権限を持っておられます。先般の原子力災害に対する防災計画の見直しの中で、新たに設定されるUPZに本県の一部も含まれることとなった今、県として、より効果的、迅速な災害派遣を目的とした陸上自衛隊富山駐屯地ヘリポートの拡張を国に対して働きかけるべきと思います。  県は、その地域防災計画上、自衛隊に期待する役割についてどのように認識しておられるのか。そのために陸上自衛隊富山駐屯地はどうあればより効果的と考えておられるのか、知事の所見を承りたいのであります。  次に、食のとやまブランドについて質問します。  県では、昨年まで25年間にわたって開催してきた銀座みゆき通りフラワーカーペットを廃止し、新たに新年度よりJR東京駅前の丸ビルにて開催する計画を進めておられます。言うまでもなく、東京駅は北陸新幹線開業時には始発駅となる駅であり、東京駅前で新たに試みる価値はあるものと考えます。その一方で、従来の銀座みゆき通りのときと同様以上のPR効果が得られるのかは、これからの課題であります。  そこで、県として、これまでの銀座みゆき通りフラワーカーペット事業の成果についてどうとらえているのか。新たに開催するチューリップフラワーカーペットinマルキューブ事業ではどのような新たな効果を期待するのか、寺井農林水産部長にお伺いします。  また、ことしも東京丸の内ハウスにおいて本県の食を大々的にPRするイベントが行われます。このイベントはことしで3回目を迎えますが、過去2回は大成功であったと聞いております。私自身も農林水産常任委員長時代に開催された第1回のフェアに自費で飛び入り参加してきましたが、大変な混雑ぶりで、新丸ビル7階の全レストランが満席になり、何も食べられなかった記憶があります。かつて予算特別委員会の席上でも申し上げましたが、知事はちゃっかり試食しておられたのを今でも恨めしく覚えています。  新年度に開催される富山県フェアin丸の内ハウスではどのような工夫、改良を加えて開催されるのか、農林水産部長にお尋ねいたします。  次に、グローバル人材の育成に関して幾つかお尋ねいたします。  言うまでもなく、世界に通用するグローバル人材を育成するためには、早い段階からの英語教育の充実が不可欠であります。県では新年度に、とやまの高校グローバル人材育成促進事業を開始されると聞いていますが、高度な英語力を生徒に身につけさせるためには、何といっても教える側の英語教員の指導力、英語力を向上させることと、生徒自身の英語を学ぶ意欲を高めることの両側からのアプローチが肝要です。  そこで、県教育委員会では新しい事業をスタートさせるに当たり、どのようにして教員と生徒の双方の英語力を向上させるよう取り組むのか、寺林教育長にお伺いします。  また、これも新年度から新たに、本県の文化、自然、観光資源、産業などを英語で表現した冊子を刊行し、高校の英語の授業や部活動、国際理解教育等で活用されると伺っております。本県の高校生が自分のふるさとのことを英語で自由自在に表現できるようになることは、大変に意義があることであると思います。  この新たに作成される冊子をどのようにして具体的に活用していかれるのか、教育長にお尋ねいたします。  本年8月8日から、県内15市町村すべてを会場として、第36回全国高等学校総合文化祭が開催されます。県では、知事を名誉会長、教育長を会長とする実行委員会を立ち上げられ、万全の体制をとって準備を進められていると思います。  一方で、今回の総文祭では、県内各校の生徒で組織する生徒実行委員会なるものも設立されており、既に一昨年よりさまざまな県内イベントに参加して事前PR活動に活躍しておられます。高校生のイベントであり、あくまでも高校生が主役なのですから、この生徒実行委員会にはこれから本番までにさらに活発に活動していただくべきと考えますが、生徒実行委員会に期待する役割についてどう考えておられるのか、教育長に伺います。  また、この総文祭に先立つ7月28日から8月7日まで、本県などを会場とする北信越かがやき総体が開催されます。本県では、バレーボール、ソフトボール、柔道、フェンシングの4競技が開催されることとなっており、本県選手の活躍が期待されるところです。  この北信越かがやき総体に、さきの全国総文祭を加えて、本県では7月28日から8月12日まで16日間連続で、高校生の全国イベントが文武両道にわたって開催されることとなります。これはめったに得られないチャンスであり、これを契機として、新年度は、これらのイベントに直接出場、出演しない生徒も含めて、県内のすべての高校生に精神的にも大きく飛躍してほしいと願うものであります。  今回連続して大型イベントが開催されるのを契機として、県内の高校生にどう精神的に飛躍してほしいと考えておられるのか、村井教育委員長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。  今回の文武両面における全国レベルの大会の同時招致の成功は、全国的に見てもあまり例がないと聞いており、石井知事以下関係者の御努力に敬意を表したいと思います。この成功は本県の元気づくりにおいても多大な成果をもたらすことが期待されております。ビッグイベントの連続開催という大きなチャンスを、単に高校生のためだけに終わらせずに、県民全員、さらには観光産業等県内産業へも波及させていければよいと期待します。  今回のような全国レベルのイベントの誘致と、その効果的な活用に今後も力を入れていくべきと考えますが、知事はどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせいただきたいと思います。  最後に、自転車の交通安全対策について伺います。  県内における自転車事故は昨年も583件発生しており、死者も3人を数えております。県警察では、以前より県内の小中高校生を対象とした各種の自転車交通安全教室を開催するなど、早くから自転車事故の撲滅に力を入れておられます。通常、自転車通学は中学生から始まることが多いと思いますが、特に朝の登校時などは時間に追われているせいもあってか、小学校時代に交通安全教室で習った自転車の乗り方があまり守られていないような気がします。やはり自転車交通安全教育に関しては、継続して実施していくことが必要だと思います。  そこで、これまでの自転車交通安全教育の成果と課題を踏まえて、新年度ではどのように取り組んでいかれるのか、萓嶋警察本部長にお伺いして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 42 ◯副議長(横山 栄君)石井知事。    〔知事石井隆一君登壇〕 43 ◯知事(石井隆一君)矢後議員の御質問にお答えします。  まず、東南アジアでの観光PRについての御質問にお答えをいたします。  東南アジアでは、お話のように、最近の経済成長によりまして所得水準が向上して、訪日観光客が急速に増加しております。また、非常に温暖な地域でありますから、雪にふれあう機会があまりない、ほとんどないということで、富山県の雪の魅力を生かせる有望なマーケットだと考えております。  そこで、昨年7月に私が団長を務めさせていただいて、経済・観光訪問団がシンガポールとタイのバンコクを訪問した際、現地で富山県としては初めての観光説明会も開催させていただきました。この説明会には現地の旅行会社や航空会社、メディア等から多くの関係者の方々に御参加いただいて、私から立山黒部アルペンルート、あるいは世界文化遺産の五箇山合掌造りなどの世界的な観光地を初め、富山県の新鮮な海の幸や、またおいしい水ではぐくまれたお米、地酒等の食の魅力などを大いにPRさせていただきました。また、雪の大谷、それから五箇山の冬景色や立山山麓での雪遊びなどを紹介しましたところ、高い関心を集めて、大変手ごたえがあったと思っております。  タイの観光業界の大変な実力者という方も来ておられまして、富山県をこれまで訪問した旅行者は皆よい印象を持っていると。きょうのプレゼンも聞いて、22年度は3,200人だったけど──富山県に行った人ですね、立山・黒部──近い将来1万人を超えるんじゃないかというふうに、大変に好意的な発言をいただきました。  さらに、昨年10月には国と連携しまして、シンガポールとタイの旅行会社や報道関係者の方を招聘して、雪だけではなくて紅葉に彩られた富山の魅力もアピールしますとともに、また、タイ観光サービス協会の会長さんに私からも富山県への誘客を働きかけますなど、フォローアップに努めております。  こうしたこともあったかと思いますが、去る2月にバンコクで開催されました東南アジア最大規模の旅行博では、開催初日で雪の大谷を観光するツアーが売り切れになってしまったという旅行会社がありましたほか、複数の旅行会社が富山を訪れるツアーを新たに造成して販売するということで、富山県への認知度や関心がかなり高まったかなと思って喜んでおります。  そこで、議員御指摘のとおり、今はチャンスですので、東南アジアからの誘客に弾みをつけるために、新年度においては、まずシンガポールやタイに加えまして新たにマレーシアの旅行博にも出展をする。また、バンコク市内で旅行会社とメディアを対象とした観光説明会等も開催して、ツアー商品の造成をさらに働きかけることにしております。  この観光説明会の時期はまだ実は未定というか、検討中なんですけれども、これに私が出席できるかどうかにつきましては、ほかの日程との調整もありますし、また、御指摘のように私の任期が11月の初めでありますので、そういったこともいろいろ勘案しまして、しかしできれば御期待にこたえられるように今後検討していきたい、こういうふうに思っております。  次に、自衛隊についての御質問にお答えをします。  今般の東日本大震災におきましては、自衛隊は大変よくやっていただいた。被災者の捜索、救助、医療チーム、負傷者の搬送、それから救援物資の輸送、避難所における給水、給食、入浴支援。また道路、空港、港湾の応急復旧とか瓦れきの撤去。さらに、原発事故の対応として原子炉の冷却のための放水とかモニタリング、行方不明者の捜索等々、多方面にわたって昼夜を問わず尽力いただいたと。これは大変感謝しなきゃいかんと思います。  本県においても、昭和56年の豪雪の際には応援を要請して、除雪作業や物資輸送の面で御尽力をいただきました。近年では幸い自衛隊に応援を要請するような災害は発生していませんけれども、例えば平成20年の高波被害のとき、あるいは集中豪雨の際には、本県に自衛隊から連絡員を派遣していただいて、情報提供などの面で御協力もいただいております。  そういうことで自衛隊の役割は大きいと思いますので、現在見直しを行っている地域防災計画においても、被害状況の把握、避難援助、それから被災者の捜索、救助、応急医療、救護、防疫、それから人員や物資の緊急輸送、給水や給食などの生活支援、また道路や水路が損壊したようなときにそれを啓開するといいますか、障害を除くわけですが……とか危険物の保安、除去、多岐にわたって重要な役割を担ってもらって、県民の命や財産を守ってもらいたいと、こういうふうに思っております。  そこで、砺波市の陸上自衛隊の富山駐屯地なんですけれども、そうした重要な役割を担っていただくためには、敷地面積の関係から大型ヘリコプターの離発着が難しいというふうに聞いています。そこで、東日本大震災の際の教訓を踏まえますと、やはり被災地域への物資、人員の輸送、あるいは迅速な人命救助の面で大型ヘリコプターは確かに有効だと思いますので、県民の安全・安心のために、基本的には大型ヘリコプターが離発着できるようにしていただくと大変ありがたいと思っております。  一方で、周辺に活用可能な土地があるのかどうかということの確認とか、やっぱり何といってもこれはまちづくり、また住民の皆さんの受けとめもあると思いますので、地元市との連携が必要であります。そこで、まず地元市、地元の意向を伺って、地元のほうでも受け入れたいということでありますれば、県として政府や関係方面に必要な働きかけを行うなど、これは適切に対応していきたいと、こういうふうに思っております。  それから最後に、イベントの活用についての御質問にお答えをいたします。  学会や全国大会等のコンベンション、あるいはイベントは、交通費や食費などの消費のほか、その前後の宿泊、観光視察や土産品の購入など、本県の産業の振興や交流人口の拡大、それから地域活性化に大きな効果がありますだけではなくて、この機会にいらした方々が、富山県はいいとこやな、また来たいという気持ちになっていただく絶好のチャンスだと思っております。  そのために県では、これまでも開催支援制度の拡充、また富山コンベンションビューローの事業の充実などに努めてきたところでありまして、例えば24年度には日本消化器外科学会、それから全国産業安全大会、それぞれ7,000人とか1万人とかといったような大規模なコンベンションが開催されることになっております。また新年度に、お話のように全国高等学校総合文化祭、全国高等学校総合体育大会などの開催もありますし、また世界こども舞台芸術祭とか全国中学校スキー大会といったものも予定されております。  こうした大きなコンベンションの場所を決定する要素としては、やっぱり会場の施設、それから交通の便、宿泊規模が重視されるということであります。幸い富山県では、県民会館や国際会議場、オーバード・ホールなど、さまざまな規模に合わせたコンベンションの開催が可能でありますほか、スポーツ施設とか宿泊施設もかなり充実しております。  また、北陸新幹線の開業によって東京から約2時間となりますので、これは非常に全国規模のコンベンションやイベントを誘致する際のセールスポイントになる。また、例えば国際会議なんかの場合は、中国とかいろんなところからお客さんに来てもらうということもあるわけですけれども、そういうときには、北京便とか大連便とか、こういったものもセールスポイントになると思っております。  これからの全国大会としましては、平成27年に全国豊かな海づくり大会、これは大体5,000人ぐらいの方に来ていただけるんじゃないかと思いますし、また平成30年には全国健康福祉祭、普通「ねんりんピック」と言っていますけれども、これも選手だけで1万人、また、4日間で観客の方を合わせますと延べ50万人ぐらいだというふうにも言われておりまして、こうした大規模な開催を予定していますし、今後もできるだけ誘致したいと思っております。  今後とも、県庁の各部局が市町村や経済団体、また大学とか文化、スポーツ団体と連携しまして、なるべくアンテナを高くして、次の全国大会はいつごろ決まるかとか、そういったことも含めて情報収集をして、また、新幹線開業に伴う交通アクセスの向上とか、開催支援の制度も富山県は結構充実していると思いますので、そういったこと、また富山の食の魅力、観光地としての魅力、こうしたものを積極的にPRして、お話のように全国的なコンベンション、イベントを精いっぱい誘致していこうと思っております。  以上であります。 44 ◯副議長(横山 栄君)夏野観光・地域振興局長。    〔観光・地域振興局長夏野 修君登壇〕 45 ◯観光・地域振興局長(夏野 修君)本県ゆかりの企業に勤めるタイ人従業員に対する取り組みについてお答えいたします。  本県からタイへは27の企業が進出されていまして、現地で34の事業所が設置されております。現地に進出されました企業が社員教育の一環として、自社の揺籃の地であり、また本拠地でもある富山県について従業員の理解増進に取り組んでいただくことは、現地の従業員に誇りを持って勤務していただく上でも重要なことではないかというふうに思っております。
     また、議員御提案のとおり、これらの事業所に勤めるタイ人従業員の皆様、それからその家族の方々は、富山のいろいろな魅力をPRすることによりまして、一般の方々以上に本県への関心ですとか親近感を抱いていただくことが期待できることから、ひいては誘客のすそ野を広げるという点においてもかなり大きな効果があるんではないかというふうに思っております。  このため、現地に進出されております企業と御相談の上、本県の四季折々の観光ポスターですとか、タイ語で作成いたしました観光パンフレットを事業所に送付させていただきまして、オフィス街ですとかパーティー会場等でのポスターの掲示、従業員への観光パンフレットの配布等を要請していきたいというふうに考えております。  また、例えば複数の現地進出企業が連携されまして、勤務成績が優秀な従業員とその家族を対象に、例えばですが、富山への研修旅行や親睦旅行等を企画していただくような機会がありますれば、県としても観光PRグッズの提供ですとかメディアへの広報なども通じまして、協力させていただきたいというふうに考えております。  次に、海外各地におきます県とゆかりのある組織についての御質問にお答えいたします。  海外各地におきます県とゆかりのある組織といたしましては、まずは県人会が想起されるわけでございますが、そのうち南米諸国の県人会につきましては、第二次世界大戦以前からの移住によりまして、現地に定着されました県人とその子孫が会員となっておりまして、普通ですと周年記念時の県からの訪問団の派遣、県費留学生や海外技術研修員の受け入れ等の深いつながりがございます。このほか、本県ゆかりのものといたしましては、研修や留学などで本県滞在経験のある中国の方々の人的ネットワークとして、富山ファン倶楽部というものが組織されているところでございます。  しかしながら、南米以外の県人会につきましては、近年の本県企業の海外事業の進展に伴って組織されたものが多く、一部の県人会との間で、県からの訪問団の派遣がある場合に交流がある程度にとどまっているということでございます。  こうした海外の県とゆかりのある組織は、現地の国や地域との友好交流ですとか、相互理解のかけ橋となる重要な存在でありまして、県にとりましても、その人的ネットワークは貴重な財産となるものと考えられますことから、既存の組織につきましては、県関係の情報を定期的に提供するなどの関係を深めるよう努めますとともに、場合によっては新たな組織の立ち上げの支援なども行いまして、その上で、本県の観光PRはもとより、本県企業とのビジネス交流の橋渡しなどの効果を念頭に置きまして、こうした組織との連携協力を進めていきたいというふうに考えております。 46 ◯副議長(横山 栄君)荒木商工労働部長。    〔商工労働部長荒木 勝君登壇〕 47 ◯商工労働部長(荒木 勝君)まず、東南アジアに展開する県内企業のサポートについてお答えをいたします。  伸長著しい東南アジア市場は、近年、県内企業の進出が増え、関心も高まるなど大変重要な地域でございます。昨年7月には知事を団長とする経済・観光訪問団を派遣するなど、同地域とのビジネス交流の強化に努めているところでございます。  県内企業に対するアンケート調査によりますと、中小企業の海外展開に当たりましては、現地の制度、進出の適地、取引相手などの情報が少ないこと、また現地での手続や法務、労務、税務等の面でさまざまなリスクが進出の障害になるケースが多いということから、適切な情報提供も含めましたリスク軽減のための積極的なサポートが必要であるというふうに考えております。  このため県といたしましては、新年度におきまして、生きた現地情報の提供といたしましては、タイ投資委員会等と連携しました県内での貿易・投資セミナーの開催。進出の際のサポートといたしましては、海外販路開拓サポートデスクによる販路開拓支援、法務、労務、税務面等の諸手続に関するアドバイス、また、県内企業の海外展開拠点となります、海外の貸し工場を活用しましたとやまものづくりパークの適地の選定。単独で進出することに伴いますリスクの低減といたしましては、中小企業のグループ化によります海外展開戦略の策定を支援するモデル事業の実施。また、取引先の開拓といたしましては、富山県ものづくり総合見本市2012の開催などに取り組むことといたしております。  今後とも、県内企業によります東南アジアなどへの海外展開が円滑に進みますよう、ジェトロや県内金融機関等とも連携しながらしっかりと支援してまいりたいと考えております。  次に、外国人留学生の県内就職への支援についてお答えをいたします。  グローバル化が進行し、県内企業の海外展開が活発化する中で、海外ビジネスを担う優秀な人材の確保が課題となっております。高度な知識や技術を有する外国人留学生の県内就職を促進することが、大変重要であるというふうに考えております。  留学生アンケートによりますと、県内の外国人留学生の約5割が県内就職を希望しておられますが、言葉等のハンディや就職・企業情報がなかなか得られないということから就職活動に不安を感じ、実際に県内で就職されます方は1割程度というふうになっております。また、県内企業におきましても、留学生の採用意欲はあるものの、採用に当たり問題や不安を感じているという企業もございます。  こうしたことから、県では今年度から留学生向けの専用ホームページを開設し、就職活動に役立つ情報の提供に努めるほか、就活ハンドブックの作成や各大学等への巡回によるカウンセリングを実施しているところでございます。  さらに新年度におきましては、留学生と企業とのマッチングを促進するため、新たにコーディネーターを配置しまして、企業、留学生に対する相談や情報提供、企業訪問等による求人ニーズの開拓、企業向けの留学生人材活用セミナーの開催、留学生インターンシップの推進、合同企業説明会の開催など、大学など関係機関と連携しながら、留学生や企業のニーズを踏まえてきめ細かなマッチングを支援していきたいというふうに考えております。  こうした取り組みによりまして、外国人留学生の県内就職の促進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 48 ◯副議長(横山 栄君)寺井農林水産部長。    〔農林水産部長寺井幹男君登壇〕 49 ◯農林水産部長(寺井幹男君)まず、銀座みゆき通りフラワーカーペットなどについての御質問にお答えします。  銀座みゆき通りフラワーカーペットにつきましては、当初、地元商店会であります銀座みゆき通り美化会のほうで企画されて、本県にチューリップの花首の提供の依頼がありまして、こちらも富山県のPRになると考えて協力することでスタートしたもので、昨年まで25年間続いておりました。  毎年4月29日には、全長約300メートルのみゆき通りに色鮮やかな花のじゅうたんが敷きつめられて、約5万人の目を楽しませ、銀座の春の風物詩として定着してまいりましたが、残念ながら商店会の財政的な事情などによりまして、25回を区切りに終了することになったものであります。この間、富山のチューリップの知名度が向上したばかりでなく、春の観光シーズンに合わせて県の特産物や観光地を花のデザインに使ってPRできたことや、準備に多くのボランティアに参加いただいて、都市との交流が図られたことなど、大きな成果があったと考えております。  来年度は、その成果を引き継いで後継事業を企画しておりまして、4月24、25の2日間、東京駅前の丸の内ビル1階のイベント広場マルキューブにおきまして、「チューリップ・ファンタジア」の名称で開催を予定しております。今回は草月流とタイアップしまして、草月流のほうに展示のデザインや雑誌への掲載などの協力をいただく予定にしております。  これは、御質問のとおり、新幹線の開業をにらんだ東京駅前のイベントでありまして、会場のマルキューブは平日約7万人の人が来場されると。その上吹き抜けでありますので、ビル内の各フロアから下を見おろせるということになっております。また、同じ4月11日から22日まで、隣の新丸ビルで食のイベントを開催します。その相乗効果も期待できるといったメリットがあると考えておりますので、ぜひ富山の食と観光の魅力を大いに発信していきたいと考えております。  次に、新丸ビルでの食のイベントについての御質問にお答えします。  平成22年度から、春の観光シーズン前の4月に、東京駅前の新丸の内ビル7階の丸の内ハウスを会場にして12日間にわたって食のイベントを開催しておりますが、ことしで第3回目になります。7階フロアの飲食店全店の9店舗において、富山の食材を使用したオリジナル料理を提供することを基本としまして、第1回目は滑川市出身の室井滋さんのトークショー、富山の文化や観光地を表現した室内装飾をするほか、昨年の第2回目は提供メニューを増やすとともに、地酒やチューリップをテーマにしたセミナーなど、それぞれ工夫を凝らして開催しております。  この結果、料理のオーダー数は2回とも12日間で2,200食以上と、他県が実施した例に比べても大変多く、昨年は節電のために営業時間が短縮されたにもかかわらず、売り上げは落ちなかったということであります。満席のために、議員には口に入らなかったということで大変申しわけないわけですけれども、それほど好評いただいたということで御理解いただきたいと思います。  それから、来月11日からの第3回目は、「とやまの発酵 丸の内リトリート」というテーマで、今大変ブームになっております塩こうじなどの「発酵」をテーマにして注目度を高めることにしております。リトリートと申しますのは「隠れ家」ということで、御存じのとおりですが、塩こうじについては、実は私は全く知りませんでしたが、家族に聞きますと、そんなことも知らんがけというくらいに、今大変に話題になっているということであります。  それで今回は、食材にはホタルイカやシロエビなどに加えまして、富山ならではのこうじや酒粕などの発酵食品を使うこと。それから、北陸で唯一の種こうじ店や地酒杜氏を講師に招いてセミナーを開催すること。また、女性をターゲットとした雑誌に今回のイベントや富山の食の魅力を紹介していただいて観光客の増加につなげることなど、新しい工夫を加えております。先ほど申し上げました、お隣の丸ビルでのチューリップ・ファンタジアとの相乗効果もねらって、注目度の高い効果的なイベントとなるように努めていきたいと考えております。  以上であります。 50 ◯副議長(横山 栄君)村井教育委員長。    〔教育委員長村井 和君登壇〕 51 ◯教育委員長(村井 和君)北信越かがやき総体と全国高等学校総合文化祭の開催についての御質問にお答えをいたします。  本年7月28日から8月7日までの11日間、県内4市で開催されます北信越かがやき総体と、それに引き続いて8月8日から12日までの5日間、県内15市町村で開催される高等学校総合文化祭は、我が国における高校生のスポーツ、文化の最大の祭典でございまして、選手や出演者、役員等約4万人、観客と応援等を含めますと延べ35万人が来県する一大イベントでございます。  この祭典は、高校教育の一環として開催されるものでありまして、本県高校生の日ごろの成果を全国に発信する絶好の機会であることから、選手や出演者として出場することはもとより、全国トップレベルの競技や演技、演奏等に直接接すること、それから大会の企画運営や補助員等で参画すること、広報誌の作成やパレードによるPR活動等に携わることなど、すべての高校生が一人一役の意識でもって、大会開催の準備や運営を含め、積極的に参加することとしております。  県教育委員会ではこれらの大会を通して、1つには日本一を目指して全国トップレベルの選手や出演者と競い合うチャレンジ精神の高揚、2つには全国の高校生との積極的な交流による新たな自分の発見、3つには来県者に対する富山ならではのおもてなしの心の醸成など、個性の伸長と調和のとれた豊かな人間性を育成する最大のチャンスであるととらえております。  このような文武両面にわたる活動を通して、人が輝く「元気とやま」を全国に発信しますとともに、この祭典を契機として、すべての学校においてスポーツ、文化活動の振興と持続的な発展への基盤づくりとなるよう取り組みますと同時に、あの2000年とやま国体に参加し活躍した人が、今、立派な指導者となって本県スポーツ界を引っ張ってくれていますが、こうしたように、これからの富山を担う人づくりのよい機会にしていければいいなと、こう考えております。  以上でございます。 52 ◯副議長(横山 栄君)寺林教育長。    〔教育長寺林 敏君登壇〕 53 ◯教育長(寺林 敏君)教員と生徒双方の英語力向上についての御質問にお答えいたします。  高度な英語力を生徒に身につけさせるため、とやまの高校グローバル人材育成促進事業におきましては、県内4地区にそれぞれ拠点校を指定しまして、英語で発表し質疑応答できるなど生徒の学習到達目標の設定、またスピーキングテストの導入、加えて教員がすべて英語で授業する指導法などについて実践研究し、県内の英語教員にその成果の普及を図ることとしております。  また、英語教員研修会を開催し、5年間で中学、高校の全英語教員を対象に、先進的な指導法にたけた大学教員によるセミナーや模擬授業を取り入れた実技演習などを実施し、英語指導力の向上を図ることとしております。  さらに、生徒の学習意欲や英語力の向上のために、英語のプレゼンテーションコンテストやディベート大会の充実を図り、英語を用いた自己表現能力、調査研究能力、情報活用能力など、幅広いプレゼンテーション能力の育成を目指してまいりたいと思っております。  こうした取り組みを通じまして、英語教員と生徒の双方の英語力を一層向上させてまいりたいと考えております。  次に、高校生とやま英語表現ハンドブックの活用についての御質問にお答えいたします。  国際社会において日本人としての自覚を持つ国際人を育てるためには、自国や郷土の歴史や文化を知り、世界に情報発信する機会を充実することが重要でありますので、高校生とやま英語表現ハンドブック作成活用事業では、富山の文化、自然、観光や産業などを高校生が英語で学び、表現できる教材を作成し、ふるさと教育の一環としても広く普及を図ってまいりたいと思っております。  具体的内容につきましては今後検討することとしておりますが、例えば越中万葉、合掌集落、立山・黒部の豊かな自然、林忠正など世界に飛躍した郷土の偉人、富山の年中行事など、各テーマにわたって構成する予定であり、生徒を初め、教員やALTなどが世界的視野で富山を理解し、情報発信できるものにしたいと思っております。  活用の方法につきましては、本教材をすべての県立高校、図書館などの関係機関、英語教員、ALT等に配付することとしており、授業では、富山についての知識を英語で身につけ、ALTに富山を紹介するなどの活動、また、総合的な学習の時間や部活動での本県在住の外国人との交流、県内の国際的なイベントでの交流活動、海外修学旅行、海外の高校生とのメールのやりとりなど、積極的な活用を進めてまいりたいと思っております。この教材を活用することで生徒が郷土への誇りを高め、根なし草ではない、真のグローバル人材となることができるよう努めてまいります。  次に、全国高等学校総合文化祭についての御質問にお答えいたします。  全国高等学校総合文化祭の主役は高校生であり、演劇、合唱、文芸など23部門に全国の約3,000の高校から2万人を超える高校生が参加し、日ごろの取り組みの成果を発表し、わざを競い、交流を深めることとしております。  この大会では、約4,500人の県内高校生が司会進行、受付、誘導などの運営に当たることとしており、その中心となるのが生徒実行委員会であります。その役割は、おもてなしの心を持って参加者を迎えること。また、総合開会式や国際交流、広報などにおいて高校生の視点でアイデアを出し、積極的に運営に取り組むこと。また、ふるさと富山を全国、そして韓国、ロシア、中国の高校生との国際交流を通して海外に発信することなどであり、生徒実行委員はこれまで学校の枠を超えて知恵を出し合い、中田かかし祭、福岡町つくりもんまつりなど地域のイベントや祭りでのPR活動、またプレ大会などの企画運営に取り組んできたところであります。  今後は、細やかな気配りが行き届く富山ならではの大会とするため、生徒実行委員には運営生徒のリーダーとしての役割を担い、礼儀正しい振る舞いやさわやかなあいさつ、ふるさとのよさをアピールできる富山の高校生の核となることを期待しております。  さらに、この大会を契機としまして、生徒実行委員のみならず、大会を陰で支える多くの高校生たちが、社会性を身につけ、責任感を持って最後までやり抜く実践力を培うなど、次代を担う人材として成長してくれることを期待しております。  以上でございます。 54 ◯副議長(横山 栄君)萓嶋警察本部長。    〔警察本部長萓嶋満津保君登壇〕 55 ◯警察本部長(萓嶋満津保君)自転車の交通安全対策についてお答えをいたします。  県内の自転車事故は、平成7年の1,420件をピークに以後減少し、昨年は583件と約4割までに減少しております。一方、小中高校生の自転車事故も減少はしておりますものの、昨年は187件発生し、自転車事故全体の32.1%を占めているほか、平成22年9月には中学生が被害者となる死亡事故が発生しているところであります。また、依然として無灯火運転や傘差し運転、携帯電話を使用しての片手運転、さらには歩行者の安全に配意しない歩道上でのスピード走行などのルール違反、マナー違反等が見受けられるところであります。  このことから、自転車事故の防止につきましては、年齢に応じた体系的な交通安全教育が大切であると考えており、これまでにも教育委員会等と連携し、各種の交通安全教室を実施するなど、自転車を利用する上での交通ルール等の周知啓発、指導に取り組んでいるところであります。  平成24年度は、新規事業といたしまして、各警察署管内の小学校1校をモデル校に指定いたしまして、4年生以上を対象に、これまでの自転車教室の内容をより充実させた実技指導とともに、交通ルール等の学習とマル・バツ式による理解度の確認テストを行い、修了後には児童の名前や顔写真を入れた運転免許証サイズの修了証を交付し、自転車の安全な利用をより一層認識していただく自転車交通安全教室を開催することとしております。  また、中高校生に対しましては、これまでも各学校から10名前後をサイクル安全リーダーに委嘱いたしまして、学校周辺での自転車のマナー指導など、自主的な啓発活動を推進していただいていることに加えまして、本年夏休み期間中には、各中学校からサイクル安全リーダーの代表者それぞれ2名に参加していただき、富山市内に所在いたします交通公園内の自転車練習コースでの実技講習の受講、及び生徒の学校での活動事例発表やディスカッション等を内容とする研修会を開催することとしております。  県警察では、今後ともこれらの事業を継続し、より一層自転車交通ルールの遵守と実践、マナーの向上に取り組み、児童生徒が交通社会の一員として自覚を持って行動ができるよう、その指導、育成に努め、自転車事故の防止を図ってまいりたいと、このように考えております。  以上であります。 56 ◯副議長(横山 栄君)以上で矢後肇君の質問は終了しました。  暫時休憩いたします。  休憩時間は10分間といたします。  午後2時58分休憩      ─────────────────────  午後3時10分開議 57 ◯議長(坂田光文君)休憩前に引き続き会議を開きます。  杉本正君。    〔34番杉本 正君登壇〕 58 ◯34番(杉本 正君)富山平野に春が訪れ、小鳥たちが愛をささやく季節になりました。ことしはたつ年です。悪いことは断ちましょう。よいと思ったらしょって立ちましょう。いざというときは奮い立ちましょう。そんな気持ちで頑張っていきたいものです。昇龍の年、復興の年にしたいものです。  観光振興について3点お尋ねいたします。最初に、たつ年にちなんだ質問をします。  国土交通省中部運輸局、北陸信越運輸局などは、ことしの1月23日、東海地域から北陸地域を南北に結ぶ観光ルートを設定するプロジェクトを、昇る龍の道、「昇龍道(ドラゴンルート)」と銘打って、中国や台湾などから旅行者等を誘致すると発表しました。昇龍道とは、具体的には能登半島を龍の頭に見立てて、セントレア空港に至る南北縦の軸を龍の姿に重ねてイメージしております。五箇山、白川郷が龍の背中、立山黒部アルペンルートが龍のつめに当たります。  中部運輸局では、中部圏は各地に観光資源があるが、関東や関西に比べ海外での認知度が低い。中国人が行ってみたいと思うきっかけづくりをしていきたい。本年2012年は日中国交正常化40周年の年である。中国では、龍は縁起のよいものとされ、人気があり、ことしのえとがたつ年であることから、プロジェクト開始が決まったものであります。  このプロジェクトは、東海北陸自動車道全区間4車線化への追い風になると思います。このプロジェクトに我が富山県も参加すると聞いておりますが、具体的にどのように取り組むのか、夏野観光・地域振興局長にお伺いいたします。  昨年の11月に、県議会自民党の文教公安部会で北ヨーロッパのフィンランドとベルギーを視察してまいりました。主に教育政策を対象とした視察でありましたが、一番印象に残ったのは、ベルギーの幼稚園や小学校で肌の黒い子供たちの数が多かったことです。どのクラスでも3人か4人に1人、肌の黒い子供がいました。  ベルギーはフランスとドイツの中間に位置し、EU(ヨーロッパ連合)の本部はベルギーのブリュッセルに置かれております。アフリカはフランスやイギリスの植民地だった歴史もあり、現在多くの人たちがフランスやイギリスに渡っております。オリンピックの代表選手、特に陸上の選手には肌の黒い人が多くおられます。皆さんもテレビで拝見されたことと思います。  EU(ヨーロッパ連合)ができてからは、フランスからベルギーに流れてくる人たちが増えているそうです。今述べましたように、ヨーロッパはアフリカ、アメリカはメキシコなどの中南米との交流によって繁栄を維持しています。日本の場合はアジアとの交流に道を見出すべきだと考えます。  石井知事は世界に羽ばたく富山ということをよく言っておられますが、一口に世界と言っても世界は広うございます。世界の中でも、日本にとって効率的、効果的な日本海を取り巻く環日本海、漢字を使う漢字圏、仏教の盛んな仏教圏、そして言い方はちょっと問題があるかもしれませんが、大東亜共栄圏などのアジア諸国との国際交流、国際観光についてどのように取り組んでいかれるのか、石井知事のお考えをお伺いいたします。  先日、近くのスーパーに買い物に行きましたら、1枚のポスターが目につきました。富山県安全なまちづくり推進本部が万引き防止のために作成したポスターで、「万引きゆる3隊」として、元気とやまのマスコット「きときと君」と、高岡市マスコットキャラクターの「利長くん」と、射水市マスコットキャラクターの「ムズムズくん」、緊張した気持ちを緩める、いわゆる「ゆるキャラ」3体の写真を大きく写し出し、非常にわかりやすいポスターで、なかなか味なことをするもんだなと感心しました。  平成19年の国宝・彦根城築城400年祭に合わせて登場した、猫に彦根藩の武士のかぶとをかぶせた滋賀県彦根市の人気キャラクター「ひこにゃん」への年賀状は、減少したというものの、ことしもまだ1万通以上来ているそうです。そのほか全国でいろんなゆるキャラが活動しています。県内では、きときと君が幼稚園、保育所、小学校を巡回し、きときと夢体操を指導するなど活躍していますが、もっと活用できるようにすべきだと思います。さまざまなイベントなどに出向いて宣伝、広報に努められるよう、きときと君の着ぐるみの数を増やし、もっと活用できるようにする必要があると思います。  また、本県では「パノラマきときと富山に来られ」という新しいキャッチフレーズで富山県のPRに取り組んでおられますが、そのPRポスターにも元気とやまのマスコットきときと君を活用すればよいと思いますが、どうでしょうか。当局のお考えをお伺いいたします。  伏木富山港がこのほど日本海側拠点港に選定されました。これを機に伏木富山港の整備をさらに進めるべきだと思います。私の地元である富山港周辺の整備について、2点お伺いいたします。  第1点、富山港の東側と西側を結ぶ臨港道路西宮線の整備を早急に推進すべきと思います。臨港道路西宮線の必要理由を述べます。  1、現在は背後の野積場が狭く、5,000トン級のRORO船が限界でありますが、道路整備により運河に隣接する野積場と一体化することにより、RORO船の大型化を可能にします。2、岸壁及び野積場が東西に分断され、物流が非効率になっていますが、道路整備により効率がよくなります。3、東西岸壁間の貨物輸送及び船積み用重機の移動は国道415号や県道富山港線を経由していますが、各交差点の渋滞の原因となっており、その解消を図る必要があります。  以上の理由から、臨港道路西宮線の整備を推進すべきだと思いますが、どうでしょうか。石井知事のやる気あふれる答弁をお願いいたします。  また、現在利用されていない老朽化した2号上屋を撤去して、ヤードを効率的で多機能な使用のできるよう整備すべきと思いますが、どうでしょうか。牧田土木部長のお考えをお伺いいたします。また、先日、海老議員も述べられましたが、富山港と新港を結ぶ道路、四方荒屋から新湊七美地区を結ぶ国道415号線バイパスの整備も早急に進められますよう要望しておきます。  次に、富岩運河のにぎわいの創出について2点お伺いいたします。  質問の第1、宇奈月温泉旅館協同組合と富岩水上ラインを運営する学習支援船運営委員会が、今月、利用者の増加に向けて相互PRの連携協定を締結されましたが、具体的にどのように取り組んでいかれるのか、夏野観光・地域振興局長のお考えをお伺いいたします。  また、富岩運河環水公園のにぎわい創出のために、環水公園にヘラブナを放流してヘラブナ釣りができるよう、釣り好きの人たちのスポットにすればどうでしょうか。釣り好きの人の話によりますと、釣りはヘラブナに始まりヘラブナに終わるということであります。子供連れ、家族連れの多いこの富岩運河環水公園ならば、色鮮やかな服装の釣りガールも集まりやすいと思います。  私はいつも言っておりますように、理想的な郷土というのは、潤いとにぎわいの調和したものです。「潤い」という字には水をあらわすさんずいが入っています。海とか、川とか、湖、運河には潤いがあります。そこににぎわいが加われば最高です。富岩運河環水公園は県都富山市の玄関口にあり、まさに潤いとにぎわいの調和した郷土の象徴的な場所であると思います。夏野観光・地域振興局長のお考えをお伺いいたします。  次に、水産政策について2点お伺いいたします。  私たち県議会自民党議員会の中に水産問題調査会をつくって、毎年、年に何回か、富山県水産8団体の方々と意見交換をしております。その中でお伺いしました重点要望事項について触れてみます。  質問の第1点、平成27年度に本県で開催される全国豊かな海づくり大会を成功させるために、今後どのように取り組んでいかれるのか。また、豊かな海づくりを進める上で中心的な施設となる栽培漁業センターの整備にどのように取り組んでいくのか、石井知事にお伺いいたします。
     質問の第2点、これまで当局は、うまさ一番富山のさかなキャンペーン、富山のさかなキトキトフェアなどのPR事業を、また地域と一体となった地産地消、学校給食への地元食材の提供、ブランド化推進等の消費拡大に取り組んできておられますが、富山の魚のPR事業を引き続き実施するとともに、富山の魚の消費拡大への支援を継続すべきと考えますが、どのように取り組んでいかれるのか、寺井農林水産部長にお伺いいたします。  最後の質問は、団塊の世代の活用についてであります。  私は昭和24年1月21日生まれです。先日、私の町内の老人会の世話役の人が家に来られ、「杉本さん、今度63歳になられたそうで、おめでとうございます。ところでお願いなんですが、老人会に入ってくたはれんけ」「えっ、老人会」「なーん、杉本さん、岩瀬の場合は老人会いうても、老人会ちゃいわんがで、岩瀬福寿会というがです。孫がいる人には特に入ってもらうようにと執行部の方針ながです」ということで、福寿会という老人会に入会することになりました。私は今まで元気な中高年と言われてきましたが、これからは元気な老人会青年部で頑張っていきたいと思います。  元気な高齢者の代表である団塊の世代がこれまで培ってきた能力を、地域社会で活用すべきであります。また、団塊の世代がその意欲や能力に応じて活躍できる環境づくりも重要であります。団塊の世代を地域社会の担い手として活用すべきと思いますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、飯田厚生部長にお伺いして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 59 ◯議長(坂田光文君)石井知事。    〔知事石井隆一君登壇〕 60 ◯知事(石井隆一君)杉本議員の御質問にお答えをします。  まず、アジア諸国との国際交流、国際観光の振興についてであります。  本県では、アジア、特に中国遼寧省とは友好提携を結びまして、また韓国の江原道とも交流がありますほか、国際航空路や海上航路を有して、また県内には海外事業を積極的に展開する企業も多いということでありますので、最近の諸情勢、本格的な環日本海・アジアの時代、これはやっぱり富山県が発展していくために非常にいい、そういう点では環境になっていると思います。特に中国、台湾、韓国、東南アジア、インドなどとの関係を重視していくべきと考えておりまして、その成長エネルギーを富山県に取り込んでともに繁栄していく、ウィン・ウィンの関係を構築していくということが大事だと思っております。  具体的には、まず人的交流ですけれども、先ほども議論がありましたが、留学生の受け入れ拡大。特に現状では中国からの方が圧倒的に多いんですけれども、中国ももとよりですが、東南アジアからの留学生をもっと受け入れていきたい。また、就職の支援。これも約5割の方が県内就職を希望していらっしゃいますが、実際には県内で就職した留学生は1割程度ということでありますので、この就職をしっかり支援をして、同時に富山県内の企業のグローバル化を進めていきたい。また、日本語を学ぶ学生への奨学金の支給などによる人材育成。アジアを代表する舞台芸術の拠点づくり。今既に利賀村はそういう方向になっていると思います。また、環日本海インターハイ開催などによります文化・スポーツ交流。日本海の環境保全協力など、多面的な国際交流、国際協力に取り組んでいきたいと思います。  また経済面では、ことし富山ものづくり総合見本市を2年ぶりにやりますけれども、これは前回を上回って、海外からもできれば200社ぐらい、国内と合わせて400社ぐらいにはしたいものだと思っております。また、とやまものづくりパークですね。海外の貸し工場を活用した本県の中小企業の海外展開の拠点づくり、こうしたものの体制整備をしまして、県内企業が、県内はもちろんしっかり守ってもらいたいんですが、同時にアジアに雄飛してもらう、こういうことの支援もしてまいりたい。また、台湾や東南アジア、インドとの経済交流拡大を念頭に置きまして、今ほどもいろいろお話がありましたが、経済訪問団の派遣、貿易投資セミナーの開催などを進めていきたいと思います。  国際観光の観点からは、環日本海・アジア地域は、幸い北京便、台湾便などの開設、拡充で大変交通の便の利便性が高まっていますので、所得水準の向上に伴って訪日の旅行者も増加しているわけですから、今申し上げたような国々を重点的なターゲットとしていきたい。特に中国の北京や広州、また台湾で観光説明会を開催しまして、私もこの5月に中部圏の知事を代表するような形で行ってまいりたいと思います。また、各国の国際旅行博への出展、旅行会社、メディアの招聘により富山県というものの認知度を高める。また、日本海をめぐる外航クルーズ。これも、シンガポールにも行きますけれども、やっぱり中南米なんかも念頭に置いて、アメリカ──北米ですね、マイアミなんかにもクルーズコンベンションに出かけていって、出展をしたいと思っております。  新しい総合計画でも、重点戦略5つのうちの1つにグローバル競争を勝ち抜く環日本海・アジア戦略というふうに言っておりますので、議員の御意見も体しまして、先見性と戦略性を持った国際交流、国際観光にしっかり取り組みたいと思います。  次に、富山港の臨港道路西宮線の整備についてお答えをいたします。  富山港につきましては、西側の岸壁ではこれまで主として石油製品や北洋材等を取り扱ってきましたが、ロシアの丸太輸出関税のアップに伴って北洋材の輸入が減少し、埠頭用地に余裕が生じている。また、住宅地に近い東側の岸壁では中古車や金属くず等を扱っていますが、中古車輸出は一たん激減しましたが、再び増加しておりますので、埠頭用地が手狭になっていることや金属くずによる粉じんが発生するなどの課題がございます。そのために港湾施設の有効利用や効率的な荷役作業などの観点から、取り扱い貨物の配置見直しの調査を今進めております。  これまでの調査結果、また港湾利用者からの御意見も伺いますと、東西に分散している富山港の埠頭用地を一体的に利用するためには、東西の連絡強化が重要である。また、東側の埠頭用地が手狭でありますので、現在余裕のある西側の埠頭用地についても中古車ヤードとして活用することで、さらに大量の中古車を取り扱うことができるようになって、また大型のRORO船の入港も期待できる。また、東西の岸壁で荷役するために、現在、大型フォークリフトや大型トレーラーなどが市街地を頻繁に行き来しておりまして、騒音、振動の低減、交通安全の向上が求められておりますので、東西の埠頭用地を直結する、お話の臨港道路西宮線の必要性を改めて認識したところでございます。  こうしたことから、元気な答弁をというお話がありましたが、臨港道路西宮線の整備を推進しますために、新しい年度には地元の関係者や港湾関連企業等の御意見も承りながら、道路法線や構造について検討することにいたしております。  今後とも、せっかく伏木富山港が日本海側の総合的拠点港になりましたので、富山港についても港湾機能の充実強化を図ってまいりたいと思います。  最後に、豊かな海づくりについての御質問にお答えをいたします。  この全国豊かな海づくり大会は、何といっても天皇皇后両陛下が御臨席をされ、全国から多くの皆さんに来ていただける大会でありまして、北陸新幹線開業直後の平成27年度に本県で開催するということになっております。このチャンスをぜひ生かしたいと思っております。  本年度は庁内のプロジェクトチームにおいて、先行して開催した県の状況も改めて調査しまして、実務的な検討調査を進めてきましたが、新しい年度におきましては実行委員会の前段階の準備委員会を立ち上げまして、大会のテーマやキャラクター、また大会の骨子となる基本構想の案、それから放流会場と式典会場となる候補地の案などにつきまして、これは市町村の希望もあると思いますし、また漁業団体等からの御意見も承りまして、十分検討していきたいと思います。また、その際には富山県の特色を生かす。神秘の海富山湾とか、何しろ500種類の魚がこの富山湾にはいるとか、いろんないい点がありますから、そういうものも生かして富山の魅力を全国に発信できる大会としたいと思っております。  また、県民の皆さんの機運を盛り上げるということも大事でありますから、24年度から県内各地でお子さんたちの参加もいただいて、魚のリレー放流というのを実施しますほか、藻場の再生などの海の森づくり活動を支援しますとともに、豊かな海づくりフォーラムを開催することにしております。さらに、海岸、河川の環境保全活動、森づくり活動、森、川、海の環境を守る取り組みとの連携を図りますことで、幅広い県民の皆さんの関心を高めたいと、こういうふうに思っております。  それから栽培漁業センターにつきましては、県の農林水産公社が事業主体となりまして、滑川市においてヒラメの種苗生産施設の拡充整備を今進めております。昨年末に幸い既存施設の隣接地が取得できましたので、3月中に取水管やろ過施設の発注を行って、来年度は種苗生産棟などの整備を行うことにしております。  せっかくやるんでございますので、この大会が心に残るすばらしいものとなりますように、また、これを機会にますます多くの皆さんが富山県に来ていただけますように、県議会各位を初め、市町村や漁業関係者、観光関係者、多くの皆さんの御協力もいただいて、しっかり取り組んでいきたいと、こういうふうに思っております。 61 ◯議長(坂田光文君)夏野観光・地域振興局長。    〔観光・地域振興局長夏野 修君登壇〕 62 ◯観光・地域振興局長(夏野 修君)まず、昇龍道(ドラゴンルート)プロジェクトへの取り組みについてお答えいたします。  昇龍道(ドラゴンルート)プロジェクトは、議員御紹介のとおり、能登半島を龍の頭に見立てて、東海地方から北陸地方を南北に結ぶ広域観光ルートをPRすることにより中国、台湾などからの誘客を図るもので、ことしのえとがたつ年であるということ、それから中華圏ではたつ、龍は縁起のいいものであるということに着目したユニークな企画であるというふうに思っております。  このプロジェクトは、元来、知多半島にあります中部国際空港(セントレア)から東海北陸自動車道や能越自動車道を軸として行うという広域観光ルートを想定して、能登の観光事業者の方々が発案されまして、それに富山県内や岐阜県など近県の事業者が参加して、昇龍道をPRするポスターですとか、パンフレットを作成されたのが契機となっているというものでございます。  本県は、このプロジェクトの初期の段階から、これら民間の方々から相談を受けておりまして、協力をしてきたところでございますが、一方、このアイデアを高く評価されました国のほうでも急遽、中部北陸9県の地方自治体、観光事業者等が参加する取り組みに発展させることとなりまして、折しも本日、名古屋市内におきまして昇龍道プロジェクトを推進する協議会が立ち上げられまして、本県からも担当者が今出席しているところでございます。  本県には、立山黒部アルペンルートや世界遺産五箇山合掌造り集落などの世界的な観光地に加えまして、国宝の瑞龍寺や井波彫刻など、龍にゆかりのある観光資源も各地にありますことから、中国や台湾などで開催いたします観光説明会等におきまして、昇龍道のテーマに沿った観光コースなどを紹介してまいりたいというふうに考えております。  また、このプロジェクトが、国、関係自治体、観光事業者等の間で連携を密にして発展していくよう、県としても協力していきたいと考えております。  次に、きときと君の活用に関する御質問のうち、観光PRへの活用に関する部分についてお答えいたします。  元気とやまマスコット、きときと君につきましては、以前から県内外で実施しております観光PRイベントや物産展等で大いに活用しているところでございます。その愛らしい姿から、イベント会場でも子供を中心に大変人気があります。今年度、新たにきときと君用に、観光シンボルマークと標語の入りましたスペシャルサイズの観光PR用のはっぴを特注いたしまして、観光PRのイベント等では着用していただいておりまして、一段と人気を集めているというところでございます。  一方で、きときと君はスポレクとやまのPRキャラクターとして生まれたという経緯がありまして、半そで半ズボン姿でありますことから、現在作成しております県の観光ポスターは「富山で休もう。」というシリーズでございまして、そのシリーズの観光ポスターには必ずしも合わないのではないかなという御意見がございます。  さはさりながら、このようないわゆるゆるキャラというものは、非常に効果的なPR手段の一つでありますことから、全国的にも活用例が多く見られます。今後もPRイベントでの活用はもちろんですが、ポスター以外の、例えば一部の観光パンフレットですとか観光ノベルティーなどで、きときと君を大いに活用していきたいというふうに思っております。  次に、宇奈月温泉と富岩水上ラインとの相互PR協定についてお答えいたします。  宇奈月温泉旅館協同組合と富岩水上ラインの相互PR連携につきましては、県内の観光スポットを尋ねられる機会が多いということから、昨年10月に富岩水上ラインを体験乗船していただきました宇奈月のかたかご会のおかみさん方から、宇奈月温泉を利用された方に駅周辺の観光スポットを尋ねられた際に富岩水上ラインを勧めたい、お互いにPRの連携ができたらいいんじゃないかという御提言がありまして、それがきっかけで協定を結んだというものでございます。  具体的な取り組みといたしましては、宇奈月温泉を利用されたお客様は、旅館でお渡しいたします富岩水上ラインの優待割引券によりまして、1割引きで乗船いただけるようになるということですとか、富岩水上ラインの環水公園の船の乗り場、それから各旅館にお互いのポスターを掲示するなど、さらにホームページでリンクを張りましてお互いに紹介し合うなどのことによりまして、さらなるお客様の誘致に向けて相互にPRの連携を図るというものでございます。  平成24年度の富岩水上ラインの運航は、4月1日の運航開始から4月20日まではお花見運航ということで行いますし、また4月21日からの通常運航は、11月25日までの土曜、日曜、祝日に行いますが、これまで日曜と祝日のみ運航しておりました岩瀬便を土曜日にも運航することにするほか、ゴールデンウイークですとかお盆、おわら期間中には平日にも特別運航を予定しております。  このような富岩水上ラインの運航内容の充実に加えまして、さらにとやま駅特選館など、富山駅周辺の物産店や岩瀬の物産店等ともPR連携を図ることで現在協議を進めておりまして、今後とも富岩水上ラインを組み込みました富山の旅の魅力アップと、富山を訪れるお客様の満足度の向上に努めていきたいというふうに考えております。  最後に、富岩運河環水公園のにぎわい創出のための釣りについての御質問にお答えいたします。  富岩運河環水公園につきましては、3年後の新幹線開業に向けまして新たな名所となりますよう、にぎわいづくりに取り組んできたところでございますが、昨年の見晴らしの丘の完成によりまして全体の整備が完了し、大変魅力ある公園となったところであります。  県と民間で構成いたします実行委員会によりまして、夏と冬の花火大会など四季折々のイベントを実施しておりますほか、音楽フェスティバルやマラソン大会など民間主導のさまざまなイベントも開催されまして、それぞれ多くの来園者でにぎわっているところでございます。  そこで御提案の釣りでございますが、運河周辺では既にヘラブナやコイ釣りを楽しむ方も数多く見受けられまして、いろいろお聞きしたところ、釣り人からはヘラブナを初めいろんな魚種が大変よく釣れる場所だという声も聞いております。今後、愛好家の方々によります釣り大会などを、公園利用のルールに従いまして安全に行っていただければ、にぎわいづくりの上でもよいのではないかと考えております。  今後とも、釣りに限らず環水公園のにぎわい創出のため、その魅力向上に努めますとともに、民間団体の積極的な利活用を促してまいりたいと考えております。 63 ◯議長(坂田光文君)寺林教育長。    〔教育長寺林 敏君登壇〕 64 ◯教育長(寺林 敏君)きときと君の活用についての御質問にお答えいたします。  本県で開催されました全国スポレク祭のPR活動で大活躍しましたマスコットのきときと君は、子供から高齢者までの幅広い方々から人気を博しまして、スポレク祭終了後もきときと君にまた会いたいという声が根強く、現在も元気とやまのシンボルマスコットとして、スポーツ振興や観光イベントなどで大活躍しているところであります。  きときと君の活用状況でございますが、平成23年4月からきょうまでの間を見ますと、県内の幼稚園、小学校への巡回指導に497回、全国高校総体のPRや各学校の運動会等に72回、本県の観光PRや地域のイベント等に86回、合計655回派遣しております。これまで派遣要望にはしっかりとおこたえし、多くの方々から大変喜ばれているところであります。  また、イベントの出演のみならず、イラストのデザイン画として、県の広報パンフレットや啓発物品、雑誌やインターネットのホームページ、テレビの情報番組など、さまざまな広報活動で活用いただいているところであります。  今後は、平成26年度の新幹線開業も控え、元気とやまを全国に発信する絶好の機会となることから、関係部局とも調整し、きときと君のさらなる活用について検討し、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 65 ◯議長(坂田光文君)牧田土木部長。    〔土木部長牧田 潔君登壇〕 66 ◯土木部長(牧田 潔君)富山港の2号上屋、2号岸壁についての御質問にお答えをいたします。  富山港は、伏木富山港の3地区の中で中古車輸出の取扱量が最も多く、また、ライトレールなどにより富山市中心部へのアクセス性にすぐれ、富岩水上ラインもありますことから、国際RORO船や2万トン級のクルーズ客船の寄港地として計画しております。  議員御提案の2号上屋を撤去し、老朽化した2号岸壁を整備することは、1号岸壁から5号岸壁を一連の岸壁としての利用を可能にするほか、背後の埠頭を一体的に活用でき、効率的で多機能な使用が可能になると考えております。  具体的には、RORO船につきましては、着岸する船の長さに柔軟に対応できること。今後さらに増加が見込まれます中古車や船に直接乗り込むトレーラーなどの駐車スペースが確保できること。大型フォークリフトなどの荷役機械を一体的、効率的に運用できることなどの機能強化が図れるものと考えております。  また、クルーズ客船の寄港に際しましても、埠頭を一体的に活用できることで、県内外の観光地へ向かうバス、タクシーの駐車場を確保できるとともに、入港時の歓迎行事開催の場としても活用できることから、地域の活性化にも貢献するものと考えております。  2号岸壁の整備に当たりましては、耐震強化岸壁にすることとしており、災害にも強い港湾にしたいと考えております。  今後とも、富山港が県東部の産業を支える重要な港湾としてさらに発展するよう、港湾機能の充実に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 67 ◯議長(坂田光文君)寺井農林水産部長。    〔農林水産部長寺井幹男君登壇〕 68 ◯農林水産部長(寺井幹男君)魚のPR事業等についての御質問にお答えします。  富山湾の魚は新鮮でおいしく、種類が多く、本県の大きなセールスポイントであります。県ではそのブランド力を一層向上するため、平成22年度から「うまさ一番 富山のさかなキャンペーン」を展開しておりまして、1,277の協力店でのぼり旗やタペストリーの掲示をしていただいておりますほか、ブログやホームページを活用して店舗情報やイベント情報、料理方法などを発信しております。  また、県外での「富山のさかな」の評価を高め、それを目当てに本県に来ていただくため、東京で「富山のさかなキトキトフェア」や、新丸ビルでの食のイベントを開催するなど、誘客、PRにも努めております。漁業者においても、氷見寒ブリの産地管理の徹底やシロエビの地域団体商標登録など、ブランドを守り高める取り組みが行われており、県としてもこれに支援しております。  魚の消費拡大につきましては、おさかな普及協議会と連携し、県内のすべての児童生徒約9万人に県産魚を学校給食で提供しているほか、学校や公民館等でお魚料理教室を開催しております。また、民間の料理教室と連携して、ヤングファミリー向けの料理教室とやまお魚クラブの開催や、県漁連が行う学校給食メニューの作成に助成するなど、いろいろな取り組みを行っております。  今後とも、キャンペーン協力店の輪をさらに広げるなど事業を積極的に推進し、平成27年の全国豊かな海づくり大会や北陸新幹線の開業に向けて、漁業関係者や飲食店などと連携しながら、「富山のさかな」の評価を一層高め、県内外の消費者に進んで選んでいただけるように努力していきたいと考えております。  以上であります。 69 ◯議長(坂田光文君)飯田厚生部長。    〔厚生部長飯田久範君登壇〕 70 ◯厚生部長(飯田久範君)団塊の世代の活用についての御質問にお答えをいたします。  いわゆる団塊の世代──昭和22年から24年生まれの方々でございますが、本県の人口の約6%を占め、おおむね6万5,000人余りの方々でございますが、これらの方々に地域社会の担い手として御活躍いただくことは、少子高齢化が進展する中で大変重要なことであると考えております。  このため県では、これまでも高齢者の方々の健康づくりでございますとか、教養、趣味活動等の生きがいづくり、NPO活動やボランティア活動等への参加促進、シルバー人材センターによる就業支援やこれらの取り組みの普及啓発等に取り組んできたところでございます。  また、現在策定中の新総合計画の重点戦略におきましても、エージレス社会──これは元気な高齢者が活躍する生涯現役社会でございますが、この実現に向けた環境づくりを掲げることとしておりまして、今後、高齢者の仲間入りをされる団塊の世代に対する早い段階からの取り組みが必要と考えております。  このため県では、24年度から新たに、65歳以上は老人という意識を転換し、生涯現役意識を醸成するための各種の普及啓発、退職前の社員の方などを対象とした社会活動推進セミナーの開催、高齢者による社会貢献活動への支援、専門的知識や技術等を有しておられる高齢者の方々を対象とした人材バンク設置による就業促進等に取り組むこととしているところでございます。  県としましては、今後とも、団塊の世代を初め高齢者の方々が、地域社会への参加はもとより、企業での就業やNPO、ボランティア活動など、さまざまな場面で意欲と能力に応じて大いに活躍していただけるような環境づくりに積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。 71 ◯議長(坂田光文君)以上で杉本正君の質問は終了しました。  以上をもって本日の一般質問、質疑を終了いたします。 72 ◯議長(坂田光文君)次にお諮りいたします。  議案調査のため、3月13日、15日及び19日は休会といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 73 ◯議長(坂田光文君)御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  以上で本日の日程は終了いたしました。  次に議会の日程を申し上げます。  3月12日、14日及び16日は予算特別委員会を開催いたします。  次回の本会議は3月21日に再開し、県政一般に対する総括質問並びに提出案件に対する質疑を行います。  本日はこれをもって散会いたします。  午後3時58分散会 Copyright © Toyama Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...