• "還付金詐欺対策"(/)
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  1. 富山県議会 2011-09-01
    平成23年9月予算特別委員会


    取得元: 富山県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-18
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1                     午前10時00分開議 高野委員長 皆さん、おはようございます。ただいまから本日の予算特別委員会を開会いたします。  それでは、発言の通告がありますので、これより順次発言を許します。        武田慎一委員の質疑及び答弁 2 高野委員長 武田委員。あなたの持ち時間は60分であります。 3 武田委員 皆さん、おはようございます。  質問に当たる前に、まずもって、高志の国文学館の館長になっていただく予定でございました辺見じゅんさんの訃報を今聞きまして、本当に残念だなという気持ちでいっぱいですし、驚きを隠せません。心より哀悼の念を申し上げたいと思います。  質問に入らせていただきたいと思います。  歳入確保と行政改革について、質問させていただきます。  芸術、行楽、読書、スポーツ、食欲、そして、レビューと言えばオータム、秋を連想させます。もう死語かもしれませんが、このレビューが財政運営にとって重要でございまして、県民幸福度であったり、県民満足度であったり、どんどん上昇していきますように、24年度主要施策に向けて点検をしっかりやっていただきたいと感じております。  平成20年のリーマンショック以来、県内企業にあらゆる金融対策を講じてこられました。大変ありがたい制度だ。これからもお願いしたい。そんな声もよく聞こえてまいりました。しかしながら、県融資制度を活用しながらも残念ながら倒産となり、日本政策金融公庫の保険金ではありますが、代位弁済が発生している、いわゆる焦げつきのケースもあったと私は聞いております。  そこで、商工労働部長にお聞きしたいのでございますが、県内企業の倒産状況についてお聞かせ願います。 4 荒木商工労働部長 おはようございます。  平成20年のリーマンショックを契機としました世界同時不況を受けまして、県では、厳しい経営状況にあります中小企業の経営安定、倒産防止を図るため、経済変動対策緊急融資の創設、借り換え資金であります緊急経営改善資金の拡充を行ってきたところでございます。  また、東日本大震災の発生や急激な円高の進行に対応しまして、東日本大震災特別枠あるいは円高対策枠等の制度の創設や拡充、新規融資枠の拡大などを行い、中小企業を取り巻く経営環境に対して、随時、機動的に金融対策を講じまして、資金繰り支援に万全を期したところでございます。県の融資制度のうち経営安定関係資金の利用状況を見ますと、21年度が898億円、22年度が732億円となっておりまして、過去最高水準となっております。  こうした対策を講じたこともありまして、本県の企業倒産の状況につきましては、平成22年度は件数で101件、負債額で199億円となっております。前年度に比べまして件数では約3割、負債額では約6割の水準となりまして、大幅に減少したところでございます。今年度につきましては、8月末現在ですが件数で49件、負債額が84億円となっております。東日本大震災によります間接的な影響があったにもかかわらず、前年同期に比べまして負債額が約6億円減少しており、融資制度の拡充等が中小企業の経営安定にお役に立てたのではないかと考えております。  また、県融資制度を利用しました企業の保証債務残高のうち、富山県信用保証協会が代位弁済を行った率につきましても、平成20年度が2.68%、21年度が1.91%、22年度が1.43%と減少傾向をたどっております。  今後とも経済団体や金融機関等と連携を密にしながら、経済情勢や中小企業等を取り巻く経営環境を適切に把握し、中小企業の経営安定や倒産防止に万全を期してまいりたいと考えております。
    5 武田委員 ありがとうございました。  今、述べられましたように、融資枠の拡大であったり、融資条件の緩和であったり、あと、返済がなければ一番いいわけですけれど、そういうわけにもいきませんので、このことによって増収増益に転換したとは到底言いがたい企業も多くあります。しかし、県内企業の倒産防止と経営の安定化に効果を発揮していただいたと私は確信をしております。  そこで、この効果に対して県税収入が伸びていないのはなぜなのか、私は不思議に思っているわけでございます。ある新聞には、金沢国税局の発表によれば、北陸3県の2010年度租税収納額は4年ぶりに増加し、特に法人税が23%の増加で、消費税導入以降、最低であった前年度から反転したとお聞きしております。  そこのところを少し説明いただきたいと思います。 6 出口経営管理部長 先ほど御紹介がございましたように、金沢国税局が発表いたしました北陸3県の平成22年度法人税収納額は、対前年度比23%の増となっておりますが、富山県分に限りますと29.8%の増と北陸3県の平均を上回っております。  一方、本県におきます平成22年度法人2税の収入額は対前年度比10.4%の減となっておりますが、これは平成20年度の税制改正により、税源偏在を是正する観点から創設されました法人事業税の一部を、国税である地方法人特別税に移す措置の影響が大きいものと認識をいたしております。なお、国税である地方法人特別税は、その全額が地方法人特別譲与税として地方に譲与されることになりますので、全体として見ますと、地方税から地方譲与税に移り変わっているという仕組みになっております。この地方法人特別税分を法人2税に加算いたしますと、対前年度比では6.4%の増と前年度を上回る結果となっております。  なお、国税であります法人税に比べまして、県税であります法人2税の伸びが低い理由といたしましては、法人事業税の一部に外形標準課税が導入されているために、景気変動に対する感応度が低く、景気が回復する際には税収の伸びが大きくありませんが、一方で、景気の後退期には税収があまり落ち込まないといった税収構造などが影響しているものと考えております。  このように、平成22年度は景気が徐々に回復する過程にあったものと受けとめておりますが、今後は東日本大震災、現下の円高など、経済情勢が県内企業に及ぼす影響を踏まえまして、県税収入の動向を慎重に注視してまいりたいと考えております。 7 武田委員 県税収入の確保に努めていただいているわけでございます。そして今、御説明いただいたとおり、法人税はそこそこ伸びているということでございました。  しかし思うに、例えば自動車税などの個人的な税の確保はなかなかうまくいっていないのかなとも推察するわけでございまして、いわゆる収納率向上に向けての対策を、これからもお願いいたします。  県税収入だけでは、どこの県も歳入額の確保が非常に困難になってきているということでございます。その他の収入の確保に努めるべきだと私は思うわけでございまして、県が所有しております全く使っていない、県有未利用地の売却促進など、県有資産を有効活用した新たな歳入の確保について取り組んでいくべきではないかと思っております。  このことについてどのように思っておられるのか。また、どのような思いがあるのか。今後どのように取り組むつもりなのか。こういったことについて経営管理部長にお聞かせ願いたいと思います。 8 出口経営管理部長 お話がございましたように、県有資産を有効活用していくことは大変重要な課題であると思っております。  県では、毎年度、全庁的に未利用地の有効活用策を検討いたしまして、有効活用を図る見込みがないと判断いたしました土地については、売却をしまして財産収入の確保に努めております。平成11年度からこれまでに67件、約43億円の売却収入を確保いたしております。  現在保有しています土地には、土地利用規制ですとか経済情勢による需要の低下といった課題もございますが、引き続きさまざまな売却手法を活用いたしまして、積極的な売却を進めてまいりたいと考えております。  また、地方自治法の一部改正を受けまして、昨年度、県庁内の自動販売機につきまして設置事業者をモデル的に公募いたしましたところ、年間の貸付料が約667万円となったところでございます。今回の結果も踏まえまして、今後は出先機関におきましても順次公募を行いたいと考えております。  県有資産の広告媒体としての活用につきましては、平成19年度から本格的に取り組んでおりまして、平成22年度には広報誌等の刊行物、ホームページ、県有施設への企業広告の掲載などによりまして、12件、約430万円の収入がございました。  ネーミングライツにつきましては、現在の厳しい経済情勢下において、複数年にわたって大規模な広告を実施することについては、企業からは、やや消極的な姿勢が示されておりまして、本県では現時点で導入に至っていないものの、今後も導入に努めてまいりたいと考えております。  県といたしましては、こうした取り組みを引き続き実施するとともに、財源確保につながる新たな県有資産の発掘や有効活用などにつきまして、経済情勢の動向を見きわめながら検討を重ねてまいりたいと考えております。 9 武田委員 ありがとうございます。  今、広告媒体であったり、ネーミングライツの御答弁をいただきました。私は2年前にも9月定例会で同じ質問をさせていただきました。県民感情があったり、いろいろな課題もあるということで、前向きには検討していただけるという答弁だったと思います。しかし、その経過がなかなか見えてこなかったということでしたが、今、答弁を聞きまして、この経済状況の中、協力していただける企業があまり見つからないというようにも聞こえたわけでございます。  先日、スイスのアローザ村へ視察に行かせていただきました。ここは人口が2,000人の村でございまして、ウインターシーズンになりますと3万人に増えるわけでございます。クールという町からアローザ村までは1時間ほどかかるのですが、その1時間の間に360を超えるカーブがあります。そのカーブ一つ一つにスポンサーがついております。そのスポンサーからいただいている収入でスキー場の運営をしたり、また歳入に充当しているということでございました。  知事を初め、幹部の皆さん、立山有料道路がございますが、カーブが幾つあるかご存じでしょうか。実を言いますと71カ所あります。この71カ所の一つ一つにスポンサーをいただけないかという、私だけの考えでございますが、それこそ今、山ガールの登場でございますとか、室堂の人気でございますとか、こういったことをどんどん活用しながらやっていけば、いろいろなことにつながっていきます。  実質公債費比率も18%を超えてしまった。県民は今、不安に思っておられますよ。本当に大丈夫なのかな。また借金が増えて、私たちの負担が増えるのではないかな。ということでございます。背に腹はかえられないという気持ちで、ぜひこういったことにも取り組んでいただければいいのかなと思っております。  次に、知事にお聞きしたいのでございますが、企業誘致や地元雇用の確保による直接的な税源確保、また産業振興での産業の活性化等による間接的な税源確保、そういった政策を積極的に進めていただいて、税収増につながる財政構造をつくり上げていくべきであると考えております。税源の涵養として、税源としての人や物を増やしていくことが必要だろうと私は思いますが、今後どのように取り組んでいかれるのか知事の所見をお聞かせ願いたいと思います。 10 石井知事 委員のおっしゃるとおりでありまして、税収の確保・増大のためには、本県産業の活力の維持発展が大事であります。  4つあると思っていまして、1つ目は、やっぱり絶えざるイノベーションで、本県のものづくり産業の高度化を図ること。2つ目には成長力の高い企業の誘致をすること。3つ目には国内外での販路開拓をやること。それから4つ目には、人材の育成確保であります。  1つ目のものづくり産業の高度化という点で言うと、この4月にものづくり研究開発センターがオープンしまして、新商品、新技術開発の支援とか、先端ものづくり人材育成に取り組んでおりまして、企業の皆さんにも喜んでいただいております。また、次世代自動車産業への参入とか、医薬工連携、航空機産業、医薬バイオ、ロボット、環境・エネルギー等、県内企業の新しい成長産業への挑戦を応援していきたい。  2つ目の企業立地については、企業立地促進計画を全国トップで国の認定を受けました。経済産業省のデータですと、この数年、日本の地方の中では2番目に企業立地が進んだ県だと言われております。  3つ目の販路開拓では、例えば昨年8月に富山県ものづくり総合見本市をやりましたが、国内から177社、海外から171社の参加がありまして、成約額が約55億円。専門家に言わせると、これはもう名古屋市の周辺でやったのに匹敵するぐらいだ、と言う方もいらっしゃるわけであります。また、富山ものづくりセミナーinバンコクということで、この間、タイでもPRをしてまいりました。また、このほか上海のアンテナショップや、ウラジオストクなどにサポートデスクをつくりました。また、国内でもことしは浜松地区で改めて商談交流会を開催し、埼玉県では首都圏全体をにらんだ展示商談会を行っております。  4つ目の人材育成の点では、まずは県外進学者のUターン就職ですとか、もちろん県外出身者も含めた県内大学生の県内就職とか、とやま起業未来塾、とやま技能継承塾とか、企業ニーズに応じた人材の育成。それから、留学生の受け入れ体制も、これから改めて整備しようとしております。そんなことで富山県の有効求人倍率全国トップクラスになっておりますし、Uターン就職率も東京を除くと実質全国トップだと言えるのではないかと思っております。  今後もまさに委員の御指摘のとおり、物と人をしっかり集めて税源の涵養を図りたいと思っております。 11 武田委員 今、いい政策を聞かせていただきました。これからも続けていただきたいと思います。  石川県では、お盆のころに小松空港と能登空港で、Uターンや移住をしてくださいというPRを、市町村や県の職員が積極的に行っておられるということで、とにかく一歩前に踏み出すという姿勢を感じているわけでございます。ぜひ富山県も汗をかいて、職員の皆様方も大変でしょうけれども、源となって頑張っていただきたいと思います。  知事は、就任後の6年間において、歳入確保対策による財源確保の努力と、歳出削減対策としての行政改革の努力によって、財源不足を400億円から80億円にまで解消されておられます。それこそ、カットカットの石井さん、と言われながらも断行し、1年に20億円を解消されてきたわけです。このままいきますと、国の動向にもよりますが、あと4年で財源不足が0となってまいります。  引き続き行政改革による歳出削減に努めていただきたいと思いますけれども、職員の給与の削減や公共工事の激減といった負担にならないような行政改革、改善につなげてほしいと考えておりますが、知事の御所見をお聞かせ願いたいと思います。 12 石井知事 お話のように、平成17年度は財政再建元年ということで行政改革を進めてまいりました。行革というと、ややもすると県民サービスを削ることになりがちですが、まず私自身も含めて、県庁みずからが身を削ることが大事だということで、職員の数の計画的削減ですとか、また職員にも協力してもらいまして給与の臨時的減額といったことで、総人件費の抑制に努めてまいりました。7年間で一般行政部門では約17.7%の人員削減、また22年度までの6年間で、給与の臨時的減額を合わせますと2割を超える人件費削減ができた。年約60億円ですね。  それから、行政改革推進会議などの御提言もいただいて、例えば土地開発公社をこの3月末に廃止しましたが、これで御提言いただいた5つの外郭団体をすべて廃止いたしました。また公の施設を12施設廃止、4施設を移管し、また指定管理者制度の導入等もやって、行政改革の効果は年220億円ということでございます。  ただ、減らしているばかりではなくて、御理解いただきたいのですが、さっきも答弁にありましたけれども、例えば東京に偏在しがちな地方税制を暫定的に見直して、地方法人特別税、同譲与税を創設して、地方財政計画地方再生対策費を計上していただきました。富山県と市町村を合わせると毎年45億円から55億円の増収になっています。また、新幹線の地方負担の軽減や交付税措置率の引き上げなども国に働きかけまして、交付税措置率も50%から最大70%に上がって、累計で300億円ほど助かっているということであります。  おっしゃるように、富山県を元気にするには、建設事業、社会資本整備も含めてしっかりやりたいので、この9月補正でも、随分苦しい中で県単建設事業を頑張っているのを見ても御理解いただけると思います。  それから、職員の給与削減も、地域手当は別ですけれども、一般職員についてはこの4月から何とか解除できました。  今後とも県民の皆さんに対する行政サービス、そうした大切なものはできるだけしっかり維持して、場合によっては充実しながら、行政改革もあわせて努めていくことにいたしたいと思っております。 13 武田委員 ぜひ知事の手腕に期待をいたしたいところでございます。  次に、高齢者による万引きについてでございます。  生活困窮などが引き金となっております。また、心の寂しさもあるのかもしれません。スーパーマーケットホームセンターなどで万引きをしてしまう高齢者が多くいると聞きます。最近では、19歳未満より65歳以上の高齢者のほうが増えてきたということで、非常に変な社会現象といいましょうか、そうなってまいりました。  そこで、その実態や動機を警察本部長にお聞きいたします。 14 萓嶋警察本部長 高齢者の万引きの実態等についてお答えをいたします。  平成22年中の県内における万引き事件の検挙人員は659名であり、そのうち65歳以上のいわゆる高齢者は221名で、全体に占める割合は33.5%であります。本年8月末現在で380名が万引き事件で検挙されておりますが、そのうち高齢者は115名で、全体に占める割合は30.3%であります。一方、全国における万引き事件に占める高齢者の割合でありますが、平成22年中は26.1%、本年8月末現在で27.6%でございますので、本県のほうが若干高くなっているという状況であります。  また、平成22年と5年前の平成17年における高齢者の割合を比較いたしますと、全国は5.7ポイントの増加であるのに対しまして、本県はこれを2.8ポイント上回ります8.5ポイントであり、一層の高齢化の傾向が認められるということであります。  次に、本年、富山県で検挙されました高齢者115名の犯行場所を見ますと、委員の御指摘のとおり、最も多いのはスーパーマーケットで77.4%、次いでホームセンターの11.3%、コンビニエンスストアの5.2%となっております。  また、万引きの目的物といたしましては、最も多いものが食料品で77.2%、次いで衣料品の7.9%となっております。  また、動機でありますが、動機で最も多いものは、お金に困っていないにもかかわらず、食料品等の対象物そのものが欲しかったとして万引きをした者が75.7%、次いで生活に困窮していることによります者が12.2%となっております。この傾向は高齢者に限らず、万引き被疑者全体に共通しているところであります。 15 武田委員 るる説明ありがとうございました。  先日、政務調査を兼ねてある警察署へ行ってまいりました。漏れ聞こえてきたわけでございますが、おじいちゃんが連行されてきまして、その後に、おばあちゃんが引き取りに迎えに来たあの姿は、本当にかわいそうなものでございました。そういったふうに、だれしもが、そういったことに巻き込まれるかもしれない可能性がある状況になってきていると、私は感じているわけでございます。  今後どのように高齢者に対して対策を講じていかれるのか、また、現在、取り組んでいるのか、お聞かせ願いたいと思います。 16 萓嶋警察本部長 先ほど御説明いたしましたとおり、本県における高齢者による万引きの割合は全国に比べて高く、その動機面としては、万引き被疑者全体に共通するものでありますけれども、お金に困らないものの対象物は欲しいとして犯行に及ぶ者が75.7%を占めています。これは全世代で規範意識の低下が見られるものと考えております。  県警察といたしましては、こうした実態を踏まえまして、関係機関や団体と連携しながら、まず、高齢者をも含みます各種会議の場等を活用し、万引きは犯罪であるという広報によります規範意識の向上を図っております。  それから、スーパーマーケットコンビニエンスストア等におきまして、万引きをされにくくするような商品陳列方法の改善、そして防犯カメラ設置等の推進、また、店員がお客様に対しまして積極的にあいさつを交わすことで万引きをあきらめさせる、さわやか声かけキャンペーンの実施、さらには、県の緊急雇用創出事業によります万引き防止推進員と連携いたしました店舗内の巡回パトロール等、官民一体となっての取り組みを強化しているところであります。  こうした万引き防止対策等の推進とあわせまして、高齢者を社会全体で見守るなどのきずなづくり、こういうものを進めることも重要であると考えております。つきましては、私ども自治体、自治振興会、老人クラブ、民生委員等との協働によります訪問支援。さらには地区防犯協会が中心となりまして、地域の小学生から高齢者まで3世代が参加交流する防犯教室の開催などにも積極的に取り組んでいるところであります。  本格的な高齢社会を迎える中、高齢者の万引きを防止するためにも、県警察といたしまして、今後とも県や市町村との関係機関、地域の団体等と連携いたしまして、高齢者が孤立しないように社会全体で支援してまいりたいと考えております。 17 武田委員 あと2問ほどおつき合いをいただきたいと思います。  最近では、おれおれ詐欺や架空請求詐欺という問題の発生といいましょうか、報道はなかなか聞こえなくなってきまして、還付金詐欺という名称で振り込め詐欺が頻発しているということでございます。  おれおれ詐欺、架空請求詐欺、還付金詐欺、これらの振り込め詐欺に高齢者が巻き込まれる傾向について、被害状況はどのようになっているのか教えていただきたいと思います。 18 萓嶋警察本部長 県内における振り込め詐欺全体の認知状況は、9月15日現在で30件、約2,500万円の被害でありまして、昨年同時期と比べますと16件、約1,400万円の増加であり、倍増という状況でございます。特に医療費等の還付を名目といたしました還付金等詐欺、これは7月29日以降9月14日までの間に14件、約650万円と集中的に発生している状況でございます。また息子等を語りますおれおれ詐欺につきましても、7月以降は4件、1,050万円の被害を認知しております。  被害者の年齢につきましては、60歳以上の方が振り込め詐欺全体の約7割に当たります22名であります。特に還付金等詐欺とおれおれ詐欺につきましては、被害者18人中17人が60歳以上の方であります。  お話がありました架空請求詐欺につきましては、12件、約770万円の被害を認知しておりますが、今後も十分注意していく必要がございますけれども、事件の大半は昨年発生したものでありまして、本年は6月までに2件発生したものの、最近は発生を見ていないという状況であります。なお架空請求詐欺の被害者につきましては、年齢層は30歳代から70歳代までと幅広く、必ずしも高齢層には限られていないという状況にございます。 19 武田委員 それでは、今はやりの還付金詐欺対策はどのようにやっていかれるのかお聞きしたいのですが、おれおれ詐欺のときは警察も一丸となって、こんな大きなパネルを電話の横に置いておきなさいとか、そういうことでございましたが、この還付金詐欺についての対策をお聞かせ願いたいと思います。 20 萓嶋警察本部長 還付金等詐欺は、医療費等が還付されるなどと高齢者をだました上に、なれないATMの操作をさせてお金を振り込ませる極めて悪質な犯罪であります。このため、高齢者の方に安心して暮らしていただけるような安全な社会を守るという観点からも、警察といたしましては徹底した対策をとっていかなければならない重要な課題であると認識をしております。  対策でありますが、私ども警察といたしましては、被疑者の検挙に向けた捜査活動を徹底することはもとよりでありますけれども、高齢者の方を初め県民の方々が被害に遭わないようにするための取り組みが重要でありますことから、8月12日に、振り込め詐欺多発警報の発令をいたしまして、各種広報活動。それから、自宅訪問活動を通じまして、その手口などについて広く県民に周知を図り、注意を喚起しているところであります。  このほか、制服警察官や安心安全サポーター隊のATM設置場所への立ち寄り、あるいは金融機関との協力のもと、店舗外ATMへの注意喚起チラシの貼付、さらにはATMを利用されている方への声かけなどの対策を推進しているところであります。  なお、被害者の中には、振り込め詐欺は聞いていたけれども、詳しい手口は知らなかった、あるいは、まさか私が被害に遭うとは思わなかった、という声もございますことから、関係機関と連携を一層緊密にいたしまして、還付金等詐欺の手口を周知するなど、振り込め詐欺被害の未然防止に向け、対策を強力に推進してまいりたい、こういうことであります。 21 武田委員 ありがとうございました。これ以上被害者を増やさないようにお願いしたいと思います。  最近、暴力団絡みの児童買春などによる少女の性的被害に係る犯罪が増えてまいっております。いろいろなインターネットサイトでございますとか、いろいろな集団の中で仲よくなってというようなこともお聞きしておりますけれども、現状と今後の対策についてお聞かせ願いたいと思います。 22 萓嶋警察本部長 本年8月末までに県内で検挙いたしました少年の心身に有害な影響を与えます福祉犯事件は、42件でございました。保護した被害少年は41人であります。昨年同期と比較いたしますと、検挙件数で6件、被害少年の人数では17人増加となっております。このうち、性的被害に遭いまして保護いたしました少女は、昨年同期と同数の12人であります。また、被害少女12名のうち、携帯電話のサイト等を利用して被害に遭った少女は5名であります。  主な事件といたしましては、携帯電話のプロフサイトで知り合った少女に対しまして会社員が行いました児童買春事件。それから、携帯電話のプロフサイトに投稿した少女らに対しまして、暴力団員らが、高額なアルバイトがあると言って誘い出しまして、みだらな行為をさせていた児童福祉法違反事件などがございます。このように、携帯電話のサイト等を利用して少女が性的被害に遭うというケースは、全国的に多発してございます。  また、被害少女が、何と言いましょうか、精神的に未熟でございまして、目先の経済的利益に気を奪われますとともに、被害意識が希薄ということもありまして、積極的な被害申告がなされないという事情がございます。  このため警察といたしましては、引き続き街頭補導や少年相談所によります被害少女の早期発見、サイバーパトロールによります違法、有害情報の発見などを推進しまして、児童買春等の悪質な福祉犯の取り締まりを強化いたしますとともに、学校、教育委員会等の関係機関、少年警察ボランティア等と一層連携強化いたしまして、取り組んでまいりたい。  具体的には、学校との児童生徒健全育成連絡制度を有効活用することにより被害実態を踏まえまして、非行防止教室や広報啓発活動を行う。それから、児童が使用します携帯電話にフィルタリングをする制度がございますので、フィルタリング100%普及に向けました各種取り組み、さらには有害環境浄化活動など、諸対策を推進しまして、少年少女の被害防止に努めてまいりたいと考えています。 23 武田委員 先日、桜木町をちょっと横切ったわけでございます。見るからに少女でございました。もう寝そべってといいましょうか、あおむけになって携帯をさわりながら店の前で寝ているのです。私も勇気を持って声をかけたかったのですが、勇気がございませんでした。周りの大人たちも何も言わずに見ていらっしゃいました。  そういったインターネットのこともありますけれども、やはり声をかけていく。ちょっと怪しいといいましょうか、まずいなというところに出くわせば、少し声をかけることが改善につながっていくのではないかと思いますので、県の防犯協会長をなされております知事には、ぜひパトロールを頻繁にお願いしたいと思っております。  次に、児童虐待についてでございます。  県内の児童養護施設への児童の入所原因と、その背景になっている児童虐待──最近では育児放棄(ネグレクト)といった現状もあるように思いますが、どのように認識しておられるのか、厚生部長にお伺いいたします。 24 飯田厚生部長 平成23年9月1日現在の児童養護施設に入所しております児童は170人おりますけれども、その入所の原因についてでございますが、虐待が47.1%で約半数近くと最も多く、次いで経済的な困窮や親の養育能力不足などの家族環境が39.4%、保護者の傷病が8.8%の順となっております。また、従来一番多かった保護者の死亡であるとか、親の家出ということでの親のいない児童の割合は、現在は2.4%と非常に少なくなっているところでございます。  また、入所原因としまして最も多く挙げられております児童虐待の現状につきましては、県の児童相談所における児童虐待相談対応件数を見てみますと、平成19年度、これはピークでございますけれども336件で、以降減少を続けておりまして、平成21年度は257件、平成22年度は258件と、ここ2年間を見ますとほぼ横ばいという状況でございます。  一方、平成17年4月の児童福祉法の改正によりまして、現在、児童相談の第一義的な窓口とされております市町村での児童虐待相談対応件数につきましては、平成21年度は195件、平成22年度は214件と増加をいたしており、県全体としては増加の傾向にあると考えているところでございます。  そして、県の児童相談所における虐待相談の内容について見てみますと、虐待の種別では、保護の怠慢・拒否──いわゆるネグレクトでございますが、これが最も多く39.9%、次いで心理的虐待が29.4%、身体的虐待が27.9%の順になっております。  また、主な虐待者についてでございますが、実母が一番多く約6割となっております。虐待相談の経路について見てみますと、家族からの相談が年々減少している反面、近隣知人からの相談が増えているという特徴が見られるところでございます。 25 武田委員 それでは教育長にお聞きしたいのですが、最近のニュースでも、里親が里子を殺してしまうということで、大変まずい状況にあると思います。  今の答弁によりますと、親がいても、こういうふうに預けられているわけですよね。そういった中で児童虐待を防止するには、やはり親を育てるという観点も私は必要であると考えております。親の養育力を向上させるために、どのように取り組んでいるのか、教育長にお聞きします。 26 寺林教育長 子供の健全な成長には、親が親としての役割と責任を果たすことが重要でありますが、近年は、少子化、核家族化などの影響で子育ての知恵が伝わりにくく、子育てに悩みや不安を感じる親が少なくないと思っております。  このため県教育委員会では、子育て中の親世代には、子供との接し方や親のあり方について学び合う、親を学び伝える学習プログラムを活用いたしまして、PTAなどと連携して講座を開設するなど、普及に努めております。  講座は、子育てにいらいらし、つい子供に当たってしまうときの対処法など、具体的な事例をもとにグループワークで進めまして、参加者からは、親としての心構えや子供との接し方などがわかった、などと好評を得ているところでございます。今年度は、祖父母世代や地域、企業を対象としました新たな事例を追加しまして、子育て支援の輪を一層広げることとしております。  また、将来親となる中高校生のときに、子供を産み育てることの喜びや意義、家族の果たす役割などを学ぶことが大変であると思っておりますので、県教育委員会が作成いたしました副読本を活用して、すべての生徒が家庭科、社会科、道徳などの授業で、幼児の生活や幼児とのふれあい方、また、家族の一員としての役割などについて学ぶとともに、社会に学ぶ14歳の挑戦や、高校生のインターンシップでの保育体験や、高校生の赤ちゃんふれあい体験などを実施しているところであります。  こうした取り組みを通しまして、若いうちから親として果たすべき役割を学び、親となってからは自信を持って子育てができるよう、家庭、学校、地域、企業、行政が連携しまして、社会全体で子供の健やかな成長を支援してまいりたいと考えております。 27 武田委員 教育長、ありがとうございました。  社会に学ぶ14歳の挑戦が始まってから、もう親になって子供を持っているお母さんもいらっしゃいますので、また充実した社会に学ぶ14歳の挑戦になるようにお願いしたいと思います。  次に、県内建設企業による質の高い公共事業についてでございます。  公共事業における、いわゆる労務単価が決定されるわけでございます。この決定プロセスを少しお伺いしたいわけでございますが、どうやって決めておられるのか、土木部長にお伺いします。 28 牧田土木部長 公共工事に用います労務単価につきましては、国土交通省や農林水産省、県などの発注機関が、毎年、全国一斉に実施いたします公共事業労務費調査におきまして、公共工事に従事した労働者に支払われました賃金の実態を把握し、その結果に基づき、都道府県別に県下統一の単価として国が決定をしております。  この決定プロセスを具体的に申し上げますと、まず、調査対象工事の選定としまして、国土交通省や農林水産省、県などが発注した契約額1,000万円以上の工事で、かつ10月時点で施行中のものの中から、国において無作為に約6割を抽出いたします。次に、抽出した工事の元請企業及び下請企業に対し、労働者に支払った10月分の賃金実態について調査票の記入を依頼いたします。
     その後、各発注者は、調査票の記入事項と賃金台帳、振込明細、就業規則などとの照合を行いまして、賃金の支払い実態が確認できないものや賃金台帳が不備なもの、法定労働時間の遵守に疑義があるものなどを除いた調査データを国に提出いたします。  このデータに基づきまして、翌年3月に普通作業員や鉄筋工、型枠工など職種ごとの労務単価が、国において都道府県別に決定され、これを県の新年度公共工事に用いる労務単価として採用しているところでございます。 29 武田委員 部長、ありがとうございました。非常にわかりにくいという業者も増えてきました。それは急激に労務単価が下がってきているということです。ここで、委員長、お許しをいただきたいと思いますが、きょうはパネルと皆様方に机上配布をしたい資料がございますので、よろしくお願いをいたします。 30 高野委員長 はい、許可いたします。 31 武田委員 工種ごとの10年間の労働単価でございますが、やはり、かなり下がってきているということでございます。例えば普通作業員でございますと、平成13年が1万5,600円だった。しかし、その前、ちょうどバブル時期といいましょうか、国体があるからということで国体需要もあった。そのときは2万円近くだったと私は記憶しているのですが、この10年間で1万3,200円にまで落ちているのです。  例えば1カ月、大体22日間働くとすれば、わずか二十数万円にしかならないわけです。こういったところが非常に不思議だと、業者の方が言われるところではないかなと思います。  見てください。鉄筋工、特に型枠工、大工といったところが、10年前の70%台ですよね。今どのような現象が起きているかというと、鉄筋工や型枠工がどんどん廃業や倒産をしているような現状です。その背景といいましょうか、この数字と、倒産件数というか廃業件数は、まさしくマッチしたような状況になっているのでございます。まさしく、職人が維持していけないような状況、育っていかないような状況をつくり上げている単価であろうと私は思っております。  ですから、今、いろいろな設計書を少し調査させていただきました。コンクリート2次製品が多くなってきていると思っております。それこそ安いのかもしれない。コンクリート2次製品が悪いと言っているのではないのでありますが、そういった技術者も少なくて済むとしかとることができないわけです。  ぜひそういった国からのお達しといいましょうか、そういう調査だけではなくて、もっと建設産業を大切にしていかなくてはいけないという気持ちを持っていただいて、県からもっと国に働きかけていただきたい。また、これから県議の皆さんとも一緒に考えていきたいと思うわけでございます。  今、この労務単価の下落といいましょうか、低下傾向の中において、やはり質の高い公共事業を維持していくことが求められる。しかし、労務者に対して適正な賃金が払われていないような事例も、近年では見られるようになってきている。今、いろいろな調査、データをまとめて、そして算出するのだという御答弁もあったかと思うわけでございますが、もし賃金が安くて手抜き工事が起こったら大変なことになる。こういったことが起こらないように、ぜひ県からも請負業者に指導をしていただきたいと思いますが、土木部長の見解をお聞きします。 32 牧田土木部長 近年、建設投資額が公共や民間を通じて減少する中、低価格による落札などによりまして企業の利益率が減少し、結果として労務単価が下がる傾向にあることから、公共工事の質の低下が懸念されるところでございます。  このため県では、関係団体との意見交換の場などにおきまして、適正な賃金の支払いをお願いしてきているところでございます。  低入札価格調査制度におきましては、失格基準を設定し、著しい低入札を排除するなどの対策を講じておりまして、ことし8月には、低入札調査基準価格と失格基準ともに再引き上げを行ったところでございます。また失格基準額以上の場合でありましても、工事の品質や労働条件の確保に必要な額が計上されているかなど、厳しく調査をしているところでもございます。  下請につきましては、これまでも契約時に、建設工事の下請関係の適正化に関する留意事項を記載しました書面により指導するとともに、下請届によりまして下請金額が適正かをチェックしております。また国が行った下請取引等実態調査の結果に基づき、書面による契約締結がなされていないなど、手続に不備がある企業に対しまして国と合同で立ち入り調査を行うなど、元請企業への指導に努めているところでございます。  今後とも、いろいろな機会を通じまして建設企業に働きかけ、下請取引を含め公共工事において適正な賃金が支払われるよう努めてまいりたいと考えております。 33 武田委員 土木部長、ありがとうございます。  適切に指導、という言葉を使わせていただきましたし、少し偏っているのではないかと言われるかもしれませんが、建設産業が崩壊しないような、本当に妥当な労務単価を設定していただきたいという思いを私は持っているのです。  その単価は、現状で言いますと、まず予定価格が算出されるわけです。皆さんご存じのとおり建設業者は予定価格以下で落札をし、金額が決定することになっております。  しかし、業者は、最近の公共工事の縮減により少なくなった工事を、激しい競争による採算ぎりぎりでの価格で応札するわけでございます。下請業者も同じ理由から、企業努力でぎりぎりの価格で元請から仕事をもらっている状況です。当然、業者は企業継続と雇用を守るために、労働条件もだんだん厳しくなっていくわけでございます。  したがって、その工事が対象となる労務費調査結果では、設計価格より安いデータとなる。当然ですよね。これが次年度の設計労務単価に反映されるといったことが繰り返される構造に、今はなってきているということです。厳しい価格で受注に追い込まれれば、いずれ業者は倒産に追い込まれるストーリーになってくると私は思います。このことから、県内の建設産業に携わる企業の方は、ボーナスはほとんど出ていないといった状況でございます。  何度も幾度となく、どんな場所でも、除雪そして災害があったときに、一番早くに駆けつけて一番頼りになるのは、どこの産業なのか。それはやはり建設産業に携わる皆さんであろうかと思いますので、こういったことを忘れないようにしていただきたいと思っております。  次に、農林水産省所管の庄川左岸地区の国営総合農地防災事業における地元建設企業の受注について、なかなか地元業者が入っていけないということで、県からもっと国に対して強く働きかけていただきたいという思いでございます。北陸新幹線も長い間陳情して、ようやく3社JVのうちの3番目に入れるようになってきたということでございます。もう少し県からも強く国に働きかけていただきたいという思いがございます。このことについて、農林水産部長にお伺いをいたします。 34 寺井農林水産部長 庄川左岸地区の国営総合農地防災事業につきましては、平成21年度から工事を始めておりまして、北陸農政局が工事を発注しております。  これまでの県内建設業の受注実績は、平成21年度は2件で全体の66.7%、22年度は9件で81.8%でありましたが、本年度は8月末時点ですが、2件で33.3%と低く、県外大手の割合が多くなっております。これは8月末までの発注が、県内企業が参加資格を持たない大型工事などが多かったことなどが考えられます。  地元建設企業は、今ほど委員がおっしゃったとおり、社会資本整備や雇用の確保などで地域に貢献しておりますが、特に除雪や災害対応のことを考えますと、地域にとってはなくてはならないものでありまして、県としてはこれまでも国に対し、地元企業の受注確保が図れるよう要望してきたところであります。  こうした働きかけもありまして、これまで北陸農政局では、一定の要件を満たした地元企業については、上位等級への参加を認めるなどの見直しが行われており、昨年度は受注が増えましたけれども、本年度は少なくなってきており、さらなる見直しをしていただく必要があると考えております。  去る9月15日には、自民党県議会議員会からも北陸農政局長に要請活動をしていただきましたけれども、今後とも地元企業の受注拡大が図られますよう、さまざまな機会をとらえて国に働きかけていきたいと考えております。 35 武田委員 県の負担金も81億円、また29年まで事業が続くということでございますので、ぜひ粘り強く国に訴えていただきたいと思います。  次に、高校生の就職支援についてでございます。  来春卒業予定の高校生に対する採用試験が、今月の16日に解禁となったわけでございます。就職を希望する生徒の進路実現に向けてどのように取り組んでいるのか、教育長にお伺いをします。簡潔にお願いします。 36 寺林教育長 各高校におきましては、年度当初から校長が先頭に立って企業訪問を行い、高卒求人のお願いをするとともに、生徒の面談回数を増やし、きめ細かな進路指導を行っているところでございます。  県教育委員会におきましても、昨年同様、経済団体への求人確保の要請、また就職支援アドバイザーの配置、また生徒の希望に即した求人開拓や情報提供などに努めているところでございます。さらに各高校の進路指導主事等による連絡会議や、就職支援アドバイザーとハローワーク学卒ジョブサポーターとの連絡会議を実施しまして、情報やノウハウを共有し効果的な就職支援となるよう連携強化を図っております。  今後とも関係機関と一層の連携を図るなど就職支援体制の強化に努め、状況の変化などに迅速に対応し、就職を希望するすべての高校生が進路実現できるように取り組んでまいりたいと考えております。 37 武田委員 ぜひうまくいくようにお願いしたいと思っております。  最後になります。知事にお伺いしたいと思いますけれども、先日の新聞記事によりますと、高校生の技能検定、機械加工3級に合格した県内工業高校生が過去最多であったという、非常に明るい兆しの新聞記事を見たわけでございます。  今、団塊世代の大量退職などによる熟練技能の継承や、ものづくり技能人材の確保が急務になっているわけでございます。  そこで、将来、工業高校を卒業して就職を希望する生徒の進路実現のため、ものづくり教育を強力に推進していく必要があると考えておりますが、どのように取り組んでいくのか、お聞きします。よろしくお願いします。 38 石井知事 本県では、これまでも産業界からの御要望もいただいて、昨年4月に富山工業高校、それから高岡工芸高校の2校を、ものづくり中核校として開校しまして、その充実を図っております。この新設2校では、工業全般の基礎・基本をしっかり身につけるための、ものづくり学の導入とか、また企業の第一線の専門技術者による実践的な実習、また最先端の工作機械の導入などの環境整備を行っております。  また再編統合校の実習棟などについても、滑川高校、氷見高校、南砺福野高校など、いろいろと整備をしておりますし、また、他の専門高校──魚津工業高校、砺波工業高校等についても、さらに普通科高校についても、施設整備の充実を図って、ものづくり教育の水準を高めております。  団塊の世代の大量退職ということがあるものですから、熟練技能の継承、ものづくり技能人材の確保が急務となっていますので、昨年までの3年間、県内の工業高校と企業が共同しまして、高校生への実践的指導、それから教員自身も企業現場での研修を行う高校生ものづくり人材育成事業をやってまいりました。これに加えて、ことしは新たに、高校生ものづくり技能人材育成塾を開設しまして、高度技術を有する、とやまの名匠の方々を講師として派遣しまして、技能検定や高校生ものづくりコンテスト等に向けた技術指導などを進めております。  こうした取り組みで、ことし2月の第69回の全日本発明くふう展において、本県の工業高校生徒の作品が最優秀賞となりまして、かつ6月に特許権が認められました。またお話のように、本年度の機械加工3級合格者数が71名と過去最高となりました。さらに、昨年度末における工業科卒業生の就職内定率が100%ということであります。  人づくりは本当に大切でありますので、工業高校における人材養成、生徒の進路指導に、これからも教育委員会とスクラムを組んでしっかり取り組んでまいります。 39 高野委員長 武田委員の質疑は以上をもって終わりました。        山本徹委員の質疑及び答弁 40 高野委員長 山本委員。あなたの持ち時間は60分であります。 41 山本委員 それではまず、並行在来線について質問させていただきたいと思います。今定例会でも、並行在来線についてはきょうまで大いに議論をされてきたところでございます。  8月29日には高岡市におきまして、政策討論委員会を富山県議会の出前議会ということで、300名近い県民の皆さんにお越しいただき開催をさせていただきました。また、知事のタウンミーティングも開催されたのでございます。  富山県では、県そして市町村、経済団体で構成される富山県並行在来線対策協議会を平成17年7月に設立し、以来7回にわたって開催されました。幹事会開催に至っては実に19回を数えるわけでございますし、各種の調査も行ってこられたのでございます。  同協議会は、こうした慎重な議論の末、県と市町村、経済団体のコンセンサスをしっかりと得て、並行在来線の経営の基本方針を平成23年5月に取りまとめられたところでございます。いま一度確認をしておきますが、この基本方針の中では、本県につきましては、本県単独の運営会社とし、上下一体方式でこれを運営することが結論づけられたのでございます。  こうした中、政府・与党合意がどうであるとか、国の役割やJRの社会的責任がどうであるとかというお話が今さら出るのは、とてもナンセンスなお話であると思いますし、まして県境を越えた一体経営とか、上下分離方式が望ましいという議論は、6年間にわたるこの並行在来線対策協議会の結論を無にする、とても乱暴な話と言わざるを得ないと思うのでございます。  石川県では本県と同様、平成17年から並行在来線対策協議会が立ち上がっておりまして、こちらも1県単独、上下一体方式で第三セクター会社を設立するという基本方針が出されておりますし、新潟県では既に第三セクター会社が設立されております。また、富山県では、現在、並行在来線経営計画が取りまとめられておりまして、1歩も2歩も先に進んでいる状況でございます。  新幹線の開業は平成26年度でございますから、残すところ3年6カ月となるわけでございます。今なすべきことは、並行在来線対策協議会の長年にわたる議論をしっかりと踏まえること、そして形成されたコンセンサスをしっかりと生かして、開業に向けた準備を怠りなく進めていくことが最も肝要でありまして、そもそもなどといった議論で時間を戻すようなことがあってはならないと思いますし、そういう議論をぶり返すこと自体、不思議と言わざるを得ないのでございます。  隣県でも検討が進められております。本県でも単独会社、上下一体方式という現行方針に沿って、開業に向けた準備を着実に進めていく必要があると考えますが、今後、会社設立までのスケジュールについてどのように考えておられるのか、改めて知事政策局長にお伺いいたします。 42 吉田知事政策局長 ただいま委員から御紹介がございましたように、本年5月に県並行在来線対策協議会が取りまとめました経営の基本方針におきましては、普通列車主体に安定的な運行が図られるコンパクトな体制とするため、県単独の三セク会社を上下一体経営の第一種鉄道事業者として設立する方向で検討を進めることとしております。  また、この上下一体方式のほうが経営責任が明確となり、利用者への対応も一元的に迅速に行えるといったメリットがあるものでございますけれども、新潟県では、お話がございましたように既に単独会社を設立しておりますほか、石川県におきましても、上下一体の単独会社を設立する方向で検討が進められているところであります。  現在、この基本方針に基づきまして収支予測を改めて精査するとともに、経営の基本事項につきまして検討を進めており、また全市町村に対して出資要請を行ったところであります。  今後のスケジュールでございますけれども、年末の国の予算編成の状況も踏まえまして、来年1月ごろには並行在来線対策協議会を開催して会社の経営形態を決定し、経営計画の概要を固めていきたいと考えております。  また、三セク会社の設立の時期でございますけれども、先行事例では開業のおおむね1年半前に設立しておりますが、本県では当初予定でも、2年前の24年度末の設立としておりましたものを、さらに前倒しいたしまして、開業の約2年半前であります来年夏ごろに準備会社を設立する予定にしております。その後、JRとの鉄道資産の交渉等を踏まえまして、25年度に増資をし、本格会社へ移行する方向で検討しております。  今後とも開業におくれることのないように着実に準備を進めてまいりたいと考えております。 43 山本委員 来年夏ごろまでということでございますので、それにあわせてといいますか、3つの観点から質問させていただきたいと思います。  ことしの1月31日でございましたけれども、県内は強い冬型の気圧配置となりまして、朝から断続的な降雪となり、午前9時までの降雪量は富山市で77センチメートル、高岡市伏木で122センチメートルを記録したのでございます。この雪のためJR西日本金沢支社は、北陸本線、城端線、氷見線、高山線、小浜線、七尾線、大糸線で、始発から午後6時ごろまで列車のすべての運行を見合わせましたし、特急列車ではサンダーバード上下線19本や、しらさぎ16本など計38本が全区間で運休になったのでございます。  先日、自民党の並行在来線・公共交通等問題調査会で北越急行株式会社を視察した際に、大熊孝夫社長からは、除雪のための施設整備はとても大切なことだけれども、それを動かしていくのはやっぱり人である。しっかりと機能させていくには、人の手をふだんから入れていく必要がある。見回りをして、それらの装置がしっかりと働いているか、時にはおりてスコップを担ぐこともいとわない。そういう、何が何でも列車を走らせるのだ。という強い熱意が何よりも大事なのだ。という確信に満ちたお言葉がございました。まさにそのとおりだと思っております。こうした熱意あふれる技術者の育成には、もとより時間を要するのでございます。  除雪車につきましても、ラッセルと一体になった除雪車の導入ということもありますでしょうし、上からこの除雪する機械をかぱっとかぶせるやり方もあるとお聞きいたしておりますし、いろいろな除雪のための設備、装備もあるとお聞きいたしているわけでございます。  この1月31日の県内のJR全面運休については、県民生活に大きな影響があったのでございますけれども、並行在来線株式会社になって、この県民の通勤や通学の日常生活を支える足として、豪雪時においても、安全かつ確実にしっかりと列車を運行していくことがとても大切な使命であると思いますが、豪雪時の対応についてどのように考えておられるのか、知事政策局長にお伺いいたします。 44 吉田知事政策局長 本県の並行在来線につきましては、通勤通学等の利用実態に即しまして、県内区間において普通列車の運行を中心とするとともに、県境を越える運行につきましては、相互乗り入れを行う方向で隣県と協議を進めているところでございます。  このため、現在よりも近隣県での風雪災害や事故等の影響を受けにくくなることが見込まれるところであります。ことしの冬のような大雪に対しましても、例えば福井県内での特急列車の立ち往生が原因となって県内区間が全面運休するといったことではなくて、普通列車の区間運行などのきめ細かい柔軟な対応を、可能な限り行いたいと考えております。  そのためには、大雪の際にも除雪体制が確実に確立できるように、ラッセル車両等の除雪車両の配備、運用に加えまして、必要な人員の確保もしっかり行い、隣県等とも連携しながらしっかりと検討してまいりたいと考えております。 45 山本委員 富山県の雪は特有のどか雪ということでありまして、なかなか大変だと思いますけれども、よろしくお願いをいたします。  次に、ICカードについてお尋ねをいたします。  9月補正予算では、並行在来線を含む公共交通機関におけるICカードの導入について検討をするということで、予算計上されております。また今年度当初予算では、富山地方鉄道のICカード導入への補助ということで、これもまた予算計上がされてきたところでございます。  富山地方鉄道では、平成21年から、市電、バスで順次ICカードを導入してこられました。これを鉄軌道にまで広げていきたいと、今年度は、来年3月の竣工を目指しておられるとのことですが、3年計画で独自規格であるICカード「えこまいか」の導入を進めてきておられるところでございます。これは今のライトレールのパスカとも相互乗り入れができるということで、路線バスやコミュニティバス、路面電車などとシームレス化を進め、乗客の利便性を図る上では大きな効果があるものと思っております。  富山地方鉄道にお話をお聞きしますと、独自規格でやっておられるということでございました。首都圏で使われておりますSuicaやPASMOと連携することは考えなかったのかとお尋ねをいたしましたところ、それについてはいろいろ議論したのですが、向こうのSuicaの規格がとても高くコスト高であることから、富山地方鉄道にとってはメリットがほとんどないということで、見合わせたということでございます。  もちろん経営の観点からすれば、そういうことでございましょう。しかし、本県のいろいろな状況、特に首都圏から観光客を呼び込みたいという思惑があるときに、SuicaやPASMOと連携をしていくことも、大きなメリットがあるような気がしないでもないのでございます。今年度の予算計上は、そのための調査ということなのでしょう。  もちろん先ほど申しました地域の公共交通のシームレス化を図るという観点から、並行在来線へのICカードの導入は必須であります。そこで、首都圏からの誘客という観点からも、SuicaやPASMOなどとのICカードの連携も考えていく必要があると思うのでございますが、知事政策局長の考えをお聞かせください。 46 吉田知事政策局長 交通ICカードにつきましては、本県では富山ライトレール、富山市内路面電車、地鉄バスに加えまして、本年度には地鉄鉄道線への導入が予定されており、さらに利用可能な交通機関が増えれば、乗り継ぎ利便性等が大きく向上するものと考えております。  並行在来線は多くの2次交通が接続し、多数の県民が利用する公共交通ネットワークの中心的な役割を担っていることや、その利用者の7割以上が通勤通学定期を利用していることから、並行在来線に交通ICカードを導入することは、その利用活性化策としても効果が期待できるものと考えております。  また、今、委員から御紹介がありましたように、首都圏等で利用されておりますSuicaやPASMO等の連携につきましても、観光振興や並行在来線の活性化に有効であると考えております。このため、今般の9月補正予算案に調査経費を計上しておりまして、並行在来線を含む県内公共交通機関への交通ICカードの具体的な導入手法、導入費用、維持管理費用のほか、Suica等との連携方法についても調査することとしています。  このSuica等との連携方法につきましては、完全にSuicaと同じシステムを導入する相互利用と呼ばれるものと、それから首都圏などで使っているSuicaを持っている人が、こちらの並行在来線に乗車したときに使うことができる片方利用というやり方とございます。こういったものも含めまして調査をし、費用対効果を検討することとしております。  今後、この調査結果も踏まえまして、並行在来線の経営計画概要の策定に向けて、並行在来線の利用活性化策を検討していく中で、並行在来線への交通ICカードの導入につきましても、関係機関と十分協議をしながら積極的に検討を進めてまいりたいと考えております。 47 山本委員 続いて、新駅の設置についてお尋ねをしたいと思います。  新駅設置ガイドラインで、思うような効果が上がらず、現在は1歩踏み込んだ形で、新駅設置可能性調査が進められているところでございます。  きょうの新聞にも出ておりましたけれども、射水市では、手崎地区に新駅を設置してほしいという住民からの強い要望によりまして、設置推進協議会が立ち上がったという記事が載っておりました。  先行するしなの鉄道でも4つの新駅を設置しておられまして、それぞれ誘客の効果を上げておられます。屋代高校前駅では、高校生の通学に生かしたいということでございます。テクノさかき駅は工業団地を後背地に持ちまして、通勤のお客さんにしっかりと利便性を図るということで設置されております。また、一番直近では千曲駅を開設されました。優良住宅団地が後背地としてありまして、通勤通学の両面から新たな利用客を生み出す効果を上げているのでございます。  私の高岡市でも、これまで高岡―西高岡間5.3キロ区間につきまして、高岡市では隣接駅との距離や勾配、曲折などの物理的条件が満たされているが、収益性を判断する情報が十分ではないとして、これまで調査を進められてこられました。高岡市議会の9月定例会における自民クラブの代表質問に対しまして、高橋市長は、新駅の設置が、第三セクターとなる並行在来線運行会社の収益向上に寄与するものであれば好ましいとし、県が進める新駅設置可能性調査の対象に加えていただき、評価してもらいたい。という答弁をしたのでございます。  高岡―西高岡間につきましては、今後、宅地開発に伴う人口の増加が大いに期待できる区間であることから、新駅設置の有力な候補地と考えますが、知事の御所見をお伺いしたいのでございます。 48 石井知事 本県では、新駅設置の基本条件とか検討手続を示しました新駅設置ガイドラインを平成21年度に策定し公表するなど、あまりよその県ではそこまでやっていないのですが、そういう取り組みをしてまいりまして、沿線市町村に検討を促してきたのですけれども、これまでは市町村からの具体的な提案がなかったわけであります。  先行事例では、そうした調査も実は地元の市町村が行った調査をもとに、新駅設置の検討をしているケースが大半ですけれども、そうはいっても並行在来線の開業が迫ってきており、時間がだんだんなくなりますので、そこで、今年度に改めて新駅設置可能性の調査を行っております。  この調査では、先行事例における新駅周辺の整備状況や新駅設置の効果の検証を行いますとともに、18年度の調査で取り上げた7カ所の新駅設置検討箇所の需要予測を、もう一遍最新データをもとに見直しまして、その中でモデルとなる事例を幾つか選んで、新駅の概算建設費の試算、パーク・アンド・ライド駐車場等の駅周辺整備、また近隣での宅地開発の規模などについて検討して、鉄道経営の観点、それから広域的なまちづくりの観点から、新駅設置の可能性を探っていきたいということであります。  調査結果がまとまりましたら市町村に提供して、市町村における検討材料の1つとして考えていただきたいと思っております。  現時点では、どの場所が候補地となるのか申し上げる段階にはないのですけれども、委員のお尋ねの高岡―西高岡間については、現在、区画整備事業が進められておりまして、団地造成による利用者の増加も期待できますので、今度の調査におけるモデル事例の有力な候補ではないかと思っております。  また、お話のように、高岡市長が当該区間を調査対象としてほしいと表明されました。これは市議会でもそうですし、先般の県のタウンミーティングでもそういう御発言がございましたので、適切に調査検討を進めて、そうしたお気持ちにも対応していきたいと思っております。 49 山本委員 大変力強いお言葉をいただきました。何とかいい形になるように、大いに期待をしたいと思います。  しなの鉄道の駅設置の事例を見ますと、この4駅とも地元市が、設置費用の大方を負担しているのでございます。もちろん県はさまざまな形で協力をしていらっしゃいますし、費用負担もしています。  駅舎の建設費でございますが、幾つか見させていただきましたが、おおむね駅舎そのものについては、これが適当かどうかは別として、最近では5億円程度のものが多いと見ております。今ほど知事のお話もございましたパーク・アンド・ライド方式の駐車場整備も含めますと、全体で8億円から10億円ぐらいというような大ざっぱな勘定ができるのかなと思っております。  新潟県の並行在来線開業準備協議会では、新駅は経営会社にとって利用者の増加が期待できる可能性もありますが、基本的には地域住民が直接的な利益を受けるものであり、そのため沿線市が地域のニーズを踏まえ、駅舎などの整備費用の負担を前提として経営会社に要望する、いわゆる請願方式をとることにしているのでございます。このあたりが、非常に厳しい財政状況である市町村が、なかなか思い切って手を挙げて新駅を設置したいと言えない大きな要因になっていると思うのでございます。  しかし、この射水市の例にありますように、地域の住民にしてみますと、やっぱり自分のところに駅があって利便性が高まってほしいという強い要望が、それぞれの市町村であるわけでございます。先ほど、それぞれの市町村に7つのポイントを設けて検討を促してきたという知事のお話がございましたが、その効果はそれぞれの市町村というよりは、むしろ地域の住民の皆さんにいろいろな議論を促してきたのではなかろうかと思っております。  この駅舎の建設費用につきまして、どのような負担を考えるかということが、今後の大きな1つの眼目になっていくと思っております。並行在来線株式会社そのものが厳しい収支見通しを示されておりますけれども、この多額の費用がかかる新駅整備、この費用負担についてどのように考えておられるのか、知事のお考えをお聞きします。 50 石井知事 並行在来線の新駅設置については、これまでは鉄道収支の改善につながるような箇所が、残念ながら見込まれていないこともありまして、委員もお話のとおり、それでなくても厳しい収支が見込まれる三セク会社ですから、これに負担を負わせるのは適切ではないと思っております。
     また、先行事例のしなの鉄道やIGRいわて銀河鉄道におきましては、新駅の設置基準として、新駅設置の費用は地元市町村等が負担することなど、地元市町村の全面的な協力が得られることを挙げております。このように先行事例は、新駅の設置は基本的に市町村が中心になって行っているのですけれども、一方で、すべての費用を市町村が負担するというケースはむしろ少なく、多くの場合、県が市町村負担の一部を助成しております。  また平成19年度に、地元市町村を中心とした新駅設置など、公共交通活性化の取り組みについての国庫補助制度が創設されました。しなの鉄道千曲駅などはこの制度を使って、国、県、地元市等の負担によって近年設置された新駅です。この補助制度を利用するには、地域公共交通活性化法に基づいて地元の市町村が、地域公共交通総合連携計画を策定する必要がございます。  なお、北陸新幹線の新高岡駅(仮称)に接続する城端線新駅、また新黒部駅(仮称)に接続する地鉄新駅についても、それぞれこの制度を利用して、地元の高岡市なり黒部市が、この連携計画の策定など新駅設置に向けた準備を進めておられます。  そこで、並行在来線に新駅を設置する場合、やっぱり地元負担の軽減を図るためにも、せっかく補助制度があるわけですから、これを積極的に活用することが適切と思っておりまして、その前提として計画主体となる地元市町村に、ぜひ、そういうお気持ちになってもらいたいということです。今後、地元市町村から新駅を設置したいという具体的な提案がありました場合は、もちろん鉄道経営の観点から検討を十分行った上で、設置が適切ということになれば、県としても、国に働きかけて補助対象にしてもらうなど、できるだけ前向きに検討したいと思っております。 51 山本委員 利用される方の利便性を向上する観点からも、またマイレール意識を持っていただいて地域の方に愛される鉄道になっていただくためにも、新駅の設置というのは大きな効果が望めるものと私自身思っております。  もちろんどこにでも、ぼこぼことつくっていいというものでは当然ないと思っておりますけれども、駅というのは地域の顔でありますし、何よりも、まちおこしの大きな起爆剤となる可能性を秘めているのでございます。土佐くろしお鉄道の中村駅では、電車を待つ時間に高校生や中学生が勉強できるような、待合い学習室というスペースを設けております。IGRいわて銀河鉄道では、駅舎内に茶室を設けまして、そこでお茶会などをやったり、地場産品の販売をしたりしております。文字どおり地域密着型の駅経営がなされているわけでございます。  ちょっと考えただけでも、コンビニをくっつけようとか、居酒屋をくっつけようとか、ギャラリーをくっつけようとか、楽しいことがいろいろと考えられるわけでございます。  こうした新駅の運営につきましては、三セク会社が直接経営するのが望ましい場合もありましょうし、地元の市が経営するのもいいと思いますが、今はやりの、例えば指定管理者制度であるとか地元の住民組織やNPOに任せるなどの公設民営の考え方を取り入れて、地元の皆さんに地元の駅を盛り上げていただくという作戦をとることも、とてもいいのではなかろうかと考えております。  新駅の運営を地元の住民組織やNPOに任せるなど、公設民営の手法を取り入れた新駅の運営についてどのように思っておられるのか、知事政策局長にお伺いいたします。 52 吉田知事政策局長 一般的に申しまして、駅の管理形態は有人駅と無人駅に大別されるわけでございますが、さらにこの有人駅につきましては、鉄道会社がみずから社員を置く駅と、そうではなく地元市町村や関連会社等の別の主体に委託する駅とがございます。  新駅を含めました並行在来線の駅の管理につきましては、運営を委託している場合には、もちろん地元市町村に委託している例もございますけれども、地元住民で組織している地域のまちづくり団体やNPO法人等に委託するケースも、相当数見受けられるところであります。  駅につきましては、鉄道会社のサービスの最前線としての機能も有しているものですから、駅の利用実態によっては、例えば駅の管理者には、異常運行時の旅客案内などの鉄道運行に関する専門的な知見が求められるケースもありますし、他方で駅というのは地域の顔であり、また、まちづくりの中心となるものでもありますので、地元住民に愛着を持って利用していただくことが大切であると考えております。このため、駅の運営を地元の住民組織やNPO法人に任せることで、沿線住民のマイレール意識が高まり、並行在来線の利用向上や駅周辺の活性化にもつながると期待されるところでございます。  並行在来線の駅運営のあり方につきましては、利用者の利便性と安全性の確保の観点や、三セク会社の運営体制、管理にかかるコスト等を考慮した上で決めていく必要があると考えておりますので、駅の利用実態や地元地域の意向も踏まえながら、今後、検討を進めてまいりたいと考えております。 53 山本委員 並行在来線株式会社は、先ほども申しましたけれども、残すところ開業まで長くても3年6カ月でございます。十分に準備を進めていただきたい、もちろん国やJRには積極的に支援を求めて、あらゆる可能性からあらゆる支援を受けて、少しでも有利な形で開業にこぎつけられるように、私どもも努力いたしたいと思いますし、県当局の関係の皆さん方の努力にも期待をしたいと思います。  続きまして、県民生活の安全・安心について質問をしたいと思います。まずは放射性物質の本県への影響についてお尋ねしたいと思います。  3月11日に起こりました原子力発電所の事故直後、東北、関東の一部では、水道水に放射性物質が検出されたのでございます。文部科学省はこの3月22日、都道府県が21日に採取した水道水の検査で、放射性物質のヨウ素とセシウムが茨城県、栃木県など、ヨウ素が埼玉県、千葉県などで検出されたことを発表いたしました。20日の採取分と比べ茨城県、栃木県で両物質が増加し、文部科学省は、雨が降ったのが大きな原因としております。検出されたのは計9都県でありまして、21日朝から24時間に採取した雨やほこりなどの降下物の検査で、前回分と比べ、降雨地域で増え、東京都でヨウ素が約11倍、セシウムが約9倍、静岡県では、初めてこの放射性物質の検出が確認されたのでございます。  多くは基準値の範囲内におさまっているものの、中には基準値の3倍を超えた場所があり、心配する声も上がったのでございます。この基準値でございますけれども、原子力安全委員会が定めます「飲食物摂取制限に関する指標」を暫定的に用いているのでございます。飲料水、牛乳、乳製品では、1キログラム当たり放射性ヨウ素が300ベクレル、放射性セシウムが200ベクレルとなっていて、100ベクレルを超えるものは、乳児用の調製粉乳には使用できないことになっております。  この基準値を超えた水道水を飲んだら一体どうなるのかということでございますが、数値を超過したものについては飲用を控えるように厚生労働省などで求めています。ただ、基準値を超えたものを飲んだからといって直ちに危険というわけではない。かわりになる飲み水がなければ飲んでも差し支えないし、入浴や手洗いの生活用水として使うこともできるとしていますが、それでも不安だということでございます。当たり前のことです。  例えば、基準値ちょうどの放射性物質を含んだ水を1リットル飲んだ場合でも、東京からニューヨークを旅客機で飛んだ場合に浴びる放射線の影響の14分の1にすぎない。基準値の3倍となった水を飲用しても、体に直ちに影響が出るレベルではないということでございます。  しかし、やっぱりこうしたことについては、何がどうなっているのかよくわからないので、とても不安なわけでございます。川の水や浄水場の貯水池、ダムの水などが汚染されることで、水道水にも放射性物質が紛れ込む可能性があるということでございます。  県で行っている水道用水供給事業についても、これまでも放射性物質について検査し、その安全性が確認され報道発表もされてきたところでございますが、その詳細と今後の対応についてどのように考えておられるのか、公営企業管理者にお尋ねするものであります。 54 柳野公営企業管理者 福島原発の事故直後から各都道府県におきましては、文部科学省からの協力依頼により、それまで年に1回だった水道水の放射性物質の検査を、3月18日から毎日実施しているところであります。本県におきましても、県環境科学センターにおきまして毎日、企業局の和田川浄水場の水道水を採取し、放射性ヨウ素及び放射性セシウムの検査を行ってきておりますが、これまで一度も検出されていないところであります。  また、重点モニタリング地域であります、福島県及びその近隣の10都県におきましても、5月以降、国の指標を上回る放射性物質は検出されておらず、9月時点では、大半の都県において不検出となっております。  なお、6月20日に本県の流域下水道の汚泥などから微量な放射性物質が検出されたことを受け、県民により安心感を持っていただくため、念のため和田川浄水場に加えて子撫川浄水場の水道水につきましても、7月5日に採取し、検査機関で放射性物質の検査を実施したところであります。検査結果では、放射性ヨウ素及びセシウムのいずれの放射性物質も検出されませんでした。また、同時に企業局のすべての工業用水につきましても検査を行いましたけれども、いずれの箇所におきましても放射性物質は検出されていないところであります。  本県におきましては、現在も毎日、水道水について県環境科学センターで検査を行っているところであり、引き続き水道水の安全の確保に万全を期してまいる所存であります。 55 山本委員 企業局の不断の努力に、感謝をしたいと思います。  上水道ばかりではありませんで、水面下ではもう1つの水の汚染問題が懸念されているのでございます。下水の放射性物質汚染のことでございます。台風15号の影響で被災地である福島県も床下浸水をしておりまして、この問題が改めてクローズアップされるのではなかろうかと心配をしているわけでございます。現在、水道水と違い直接的に摂取しないという理由で、対処が後回しとなっているわけでございますけれども、事態が深刻化すれば公共事業や農業への悪影響もあり得るのではないかと思っております。  先日から米や牛肉については放射性物質が検出されず、ひとまずほっとしているところでございますけれども、下水の汚泥につきましても、県民の安全・安心のため確認をしていく必要があると思っております。富山県が管理する流域下水道の下水汚泥における放射性物質の状況及び今後の対応について、土木部長にお尋ねいたします。 56 牧田土木部長 下水汚泥につきましては、セメントの材料や下水道工事の埋め戻し材として再利用してきましたが、福島原子力発電所周辺の都県において、下水汚泥から高濃度の放射性物質が検出されたことを受けまして、富山県でも、県管理の小矢部川流域下水道及び神通川左岸流域下水道の下水汚泥等の放射性物質濃度について、6月と9月に測定を行ったところでございます。  放射性セシウムにつきましては、国の基準では「1キログラム当たり8,000ベクレル以下であれば、防水対策等を行い、居住地等で使わなければ埋立て処分が可能である」とされており、また「100ベクレル以下であれば、放射性物質として取扱う必要はない」とされております。  6月の測定では、溶融スラグ──これは脱水汚泥を約1,350度で溶融処理したものでございますけれど、これから最大で21.6ベクレルが検出されましたが、微量で基準値以下であり安全でございます。また、9月の測定では検出はされておりません。  放射性ヨウ素につきましては、半減期が8日間と短いことから、下水汚泥等に関しての国の基準は定められておりませんが、6月の測定では脱水汚泥から最大で32.3ベクレル、9月では最大621ベクレルが検出されました。下水汚泥につきましては、むろん口にするものではございませんが、食品衛生法上の野菜類の暫定規制値2,000ベクレルと比べましても、この数値は大幅に下回っております。  なお9月の測定では、半減期の短い放射性ヨウ素だけが検出されたわけでございますが、国土交通省によりますと、他県でも放射性ヨウ素のみが検出された事例がありまして、放射性ヨウ素は医療面で診断や治療に用いられていることから、その患者の排せつ物に由来する可能性が高いとされておりまして、これによるものではないかとも推測されるわけでございます。  県では安全・安心の観点から、下水汚泥等の放射性物質の状況を確認することは重要と考えておりまして、今後とも定期的に測定を続けていきたいと考えております。 57 山本委員 ありがとうございます。  次は、えびす事件──集団食中毒事件でございますが、事件以降の食肉の安全確保についてお尋ねしたいと思います。  この5月に発生いたしました集団食中毒事件は、記憶に新しいところでございます。富山、福井両県の焼き肉チェーン店、焼肉酒家えびす、で食事をした男の子、計2人がO-111に感染し死亡したものでございます。  実際に販売した小売業者の責任はもちろんでありますし、食肉卸業者の責任、また生肉食を事実上放置した国の責任も追及されてしかるべきであろうかと思いますが、これが与えた社会的影響はとても大きかったと思いますし、廃業に追い込まれた焼き肉屋もあると聞いております。  もちろん、いろいろな要素が絡んで、とても複雑なことになっているのだと思いますが、生肉も含めて、おいしい牛肉を家族そろって楽しみたいという県民の望みもあることも忘れてはならないと思います。  9月13日の読売新聞の記事によりますと、富山市が、来月、市内に流通している食肉を買い上げて汚染度を調査するとしています。小売店で売られている肉の細菌の付着状態を公表することで、肉の食中毒の危険性を市民に認識してもらおうとしているものでございます。市内の精肉店やスーパーマーケット数店舗から、小売になっている牛肉、豚肉、鶏肉などを買い上げ、腸管出血性大腸菌やサルモネラ、カンピロバクターなどの菌の有無を約50検体で調査し、ホームページ上などで、肉の種類や加工状態別に結果を公表する予定になっております。  食肉の安全・安心を確保するため、富山市では、お話ししたような対策をとっておられるわけでございますが、県としてはどのように対応していかれるのか、飯田厚生部長にお聞きいたします。 58 飯田厚生部長 県といたしましては、食肉の安全性を確保するためには、食肉販売業者や焼き肉店等に対する監視指導と、県民に対する普及啓発などとともに、流通している食肉そのものの汚染の状況を調査することも重要であると考えております。  このため県では、平成18年度から、流通している牛レバーや鶏肉を買い上げて、腸管出血性大腸菌などの汚染状況の調査を実施し、その調査結果を踏まえ、食肉販売業者等に対する指導に活用いたしますとともに、平成22年度からは、県のホームページで公表しているところでございます。さらに今年度でございますが、牛レバーと鶏肉に加え、比較的汚染されやすい牛ひき肉なども対象としまして、汚染状況の調査を実施しているところでございます。  また、来る10月1日からは、生食用食肉につきまして新たな規格基準が施行されることになっておりますことから、今後はこれらの調査に加えまして、生食用食肉につきましても買い上げ調査を実施することといたしており、10月1日からは、細菌に汚染された生食用食肉が流通する可能性が低くなるものと想定をいたしております。  県としましては、生食用食肉の調査も実施することによりまして、安全確保対策に万全を期してまいりたいと考えております。 59 山本委員 食肉にかかわる食中毒を防止して県民の安全を守っていくためには、消費者一人一人が注意していただくことももちろん大切ですけれども、県として消費者に対する啓発をどのように進めていかれるのか、改めて厚生部長にお伺いいたします。 60 飯田厚生部長 食肉の安全性を確保するためには、委員が御指摘のとおり、県民への啓発を進めることが大変重要であると考えております。  このため県では、これまでも牛肉に限らず、牛レバーでございますとか、鶏肉の生食の危険性につきましても注意喚起をさせていただいてきたところでございます。  また、去る4月下旬の牛肉の生食による食中毒の発生を踏まえまして、新たにリーフレットを作成配布し、生肉や加熱不足の肉を食べることの危険性につきまして、小学生、中学生、高校生のいる世帯を初め、県民の皆さんに対しまして改めて周知を図らせていただいたところでございます。  さらに先月でございますが、内閣府食品安全委員会の事務局次長を講師とした食品安全フォーラムを開催し、食肉の安全性、食中毒予防につきまして、広く県民への啓発を行ったところでございます。  また生食用牛肉に関しましては、来る10月1日から、加熱殺菌や細菌検査などを義務づけた食品衛生法に基づく新たな規格基準が施行され、あわせて生食に関する店舗側の消費者への注意喚起の表示が義務づけられることとなっております。  県としましては、これらの新たな規格基準や表示義務につきまして、食肉取扱業者に周知徹底を図りますとともに、県民の皆さんに対しましても、パンフレットの配布や、食肉の安全性の確保に関する県民フォーラムを開催することなどによりまして、さらなる啓発に努めてまいりたいと考えております。 61 山本委員 ありがとうございました。今ほどお話がございました、県民の意識を啓発していくこと、そして情報をしっかりといろいろな意味で開示していくこと、さらに、その影響について、いたずらに風評被害が大きくならないように、しっかりとした対処法などを示していくことなども大切だと思っております。いずれにしても、県民の生命と身体と財産については、やっぱり県がしっかりと守っていくことが何よりも大切だと思いますので、今後ともよろしくお願いをしたいわけでございます。  最後に、高等特別支援学校の開設についてお尋ねしたいと思います。  高等特別支援学校開設検討会は、これまで4回の検討会議を進めてこられまして、開設に関する最終的な取りまとめを3月に行われたところでございます。  この高等特別支援学校は、全国23都道府県で45校設置されているところでありまして、本県にも早々に設置されることが期待されているのでございますが、本県県立学校再編の一環として4月で閉校となる大沢野工業高校、二上工業高校の施設跡地を活用して、高等特別支援学校が設置されることから、関係者の関心はとても高いのでございます。  今回の取りまとめに当たりまして、1学年当たり3学級24名程度とすると示されたのでございますが、近年、知的障害者の皆様方は増加傾向にありまして、少しでも多くの生徒を引き受けていただきたいという切実な思いがあるわけでございます。1学年当たり3学級、1クラス8名ですから24名程度とするということでございますけれども、その根拠について教育長にお尋ねをいたします。 62 寺林教育長 昨年度、高等特別支援学校開設検討会を開催しまして、学校規模等について検討を進めていたところでございますが、平成24年度から26年度に中学校特別支援学級等を卒業する軽度知的障害のある生徒は、1学年当たり100名程度であり、そのうち2校への進学を希望する生徒は40名から50名程度と見込まれること、また、企業等への就労に向けた系統的な職業実習の実施や、集団活動を通した社会性の育成のためには、一定の学校規模が必要なことなどから、「2校とも募集定員は、1学年3学級24名程度とすることが望ましい」とされております。また「開設後、入学希望者が増加し募集定員を上回る傾向が見られる場合は、募集定員を増やすことなどについて検討することが望ましい」とされているところでございます。  こうしたことから、高等特別支援学校2校の募集定員につきましては、開設当初は最終報告で示された24名程度を軸に準備を進めることといたしたいと考えております。  なお高等特別支援学校ができることによりまして、現在設置されております知的障害特別支援学校の高等部におきましても、障害の程度に応じたきめ細かな教育が可能となり、教育内容を一層充実できるのではないかと考えているところでございます。 63 山本委員 知的障害者の皆さん方につきましては、障害の程度や質に個人差がありまして、年代別、障害の程度別、またそれ以上に幅広い対応が求められております。その部分がとても大変なことになっておりまして、現場の皆さんは大変苦労されているわけでございますが、一方、社会の中で自立していくために、本人の努力はもちろんでございますけれども、保護者や関係機関の支援協力体制が、より一層拡充されることが求められていると思っております。  今回、新たに設置されます高等特別支援学校についても、そうした大きな枠組みの中で一体どのようになっていくのか、皆さんの思いが寄せられているところでございます。教育内容などの詳細は今後検討していくということでございますが、どのような理念に基づいて検討が進められていくのか、教育委員長にお聞きしたいと思います。 64 村井教育委員長 軽度知的障害のある生徒に充実した職業教育を行い、就労を支援し、生徒の自立と主体的な社会参加を促進することは、だれもが相互に人格と個性を尊重し支え合い、地域の中でともに生きる、いわゆる共生社会を実現する観点からも、大変重要であると考えております。  この3月に高等特別支援学校開設検討会で取りまとめられた最終報告では、「企業等での就業において必要となる知識・技能・態度等の基礎を習得させるとともに、広く社会生活に必要な能力を育てる」ことを目標としておりまして、設置学科は職業科とし、ものづくり、流通、環境、福祉関連などの実習を系統的に行うことが望ましいとされております。  また、基本的生活習慣の指導やコミュニケーション能力の育成、教科指導の重視など具体的な提言もなされているのでございます。  私としましては、これらの提言は入学してくる生徒の障害の実態に応じたものであり、また就労先のニーズにも合致した妥当なものと考えております。この最終報告を踏まえ、現在、教育委員会事務局では、特色ある教育活動の取り組みなども含め、教育内容について十分に検討を重ねているところでございます。  軽度知的障害のある生徒本人や保護者にとって、就労や社会参加は時代を超えた大きな願いでございます。北陸初の高等特別支援学校であることをしっかり認識し、関係機関や企業などの御理解や御協力を得て、こうした期待にこたえる学校になるよう努めていきたいと考えております。 65 山本委員 検討内容の設置学科の部分では、製造業を初め企業などで実際の就業で必要となる技能等の基礎が修得できるようにすることを目指すということで、今ほど委員長のお話がございました。  大沢野工業高校も二上工業高校も、とても大きな敷地と施設を有しているわけでございます。地元の皆さんは、なくなってしまう高校施設の跡をどうしていただけるのか非常に興味を持って見ておられます。そうした中で、高等特別支援学校としての教育内容にふさわしい施設となるように、教育環境を整備していくことについてどのように考えていかれるのか、教育長の見解をお聞きいたします。 66 寺林教育長 新たに設置いたします高等特別支援学校につきましては、大沢野工業高校と二上工業高校の既存の普通教室棟や実習棟、体育館、グラウンドなどを有効に活用しまして、外部リフレッシュや耐震補強、内部改修などを行い、新たなカリキュラムに対応した普通教科の学習や作業学習の実習などが十分に行えるよう、施設設備などの整備を進めたいと考えております。  その際には、就業動向や企業の雇用ニーズなどを踏まえ、例えば、ものづくりや流通、環境、福祉など、実際の就労に役立つ実習を行う学科を設置することとしておりますので、これらの学習に必要な実習室を設けること。また、日ごろから職場でのマナーの修得やコミュニケーション能力の育成を図ることが必要なことから、地域の皆さんと交流できる場を設けること。また、部活動などの特別活動につきましても積極的に取り組むために、体育館やグラウンドを十分活用すること。さらに地域への学校開放にも努めること。こうした観点を大切にしたいと思っております。  今後、生徒の卒業後の就労を目指し、企業ニーズや生徒の実態などに即した効果的な実習や指導などが着実に行えるよう、教育環境の整備充実に努めてまいりたいと考えております。 67 山本委員 ありがとうございます。軽度知的障害のある子どもたちを集めて、一般就労できるように必要な教育や訓練を施すというのは、とても大事なことです。障害者雇用数がなかなか上がっていかない本県の雇用の状況もありますので、大きな期待をしたいと思います。  また、15歳を迎えて、これからどうするか進路に悩む知的障害の児童の皆さん全体の枠の中でも、一般就労の高等特別支援学校の24名の枠組みの分があくわけですから、先ほど教育長の答弁にありましたが、知的障害特別支援学校の高等部におきまして、よりきめ細かな教育が可能となるのでございます。そこら辺をしっかりしていただきまして、知的障害者の皆さんを取り囲む状況が少しでもよくなるように要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。 68 高野委員長 山本委員の質疑は以上をもって終わりました。  暫時休憩いたします。  午後の会議は1時に開会いたします。                     午前11時58分休憩                     午後1時00分開議        井加田まり委員の質疑及び答弁 69 矢後副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  井加田委員。あなたの持ち時間は60分であります。 70 井加田委員 どうもお疲れさまでございます。  6月の一般質問に続きまして、今回、予算特別委員会での質問の機会を与えていただきました。少し緊張しておりますので、ぜひ温かく見守っていただければと思います。  昼の時間に災害の報道がまた入っているわけですけれども、本当にこうした災害がことしは非常に多うございます。改めて自然災害への恐れ、そして日ごろから災害に対応していける地域づくりが極めて大事だと再認識いたします。あわせて、被災された東日本の方々が一日も早く普通の生活に戻れることを願ってやまないところでございます。  では、質問に入らせていただきます。  午前中の質問とも少しかぶるわけでございますけれども、並行在来線の運行形態と、国とJRによる支援の拡充について何点か質問させていただきます。  9日の知事の提案理由説明の冒頭におきまして、並行在来線につきましては、関係県とも調整をしており、現在、初期投資や出資の規模、運行水準などの経営計画概要について検討が進められている。8月には全市町村に対して、三セク会社への出資協力の要請を行った。とのことでございました。  あわせて、県の実質公債費比率が18.2%と全国5位の水準になっていること、今後、公債費負担適正化計画も実施される予定になっていることも申されておりますけれども、この公債費負担の主たる原因として、新幹線建設費の負担に係る負債もかなり大きな比重を占めているところでございまして、この負担金とともに、並行在来線問題は依然として県政の重要課題であると認識をしております。  ところで、この間の議論におきましては、並行在来線の運営を引き継ぎました三セク会社は、運賃値上げにより乗客が大変減少して、軒並み赤字と報告されているところであります。値上げをしてさらに厳しい経営を余儀なくされているのが実態であります。  このような中で、市町村の立場からすれば、平成24年度の夏をめどに設立されます準備会社に出資をする。そして平成25年度には、鉄道資産譲渡価格の交渉いかんでは、さらなる増資額が負担追加となる。そして開業後には、将来の赤字分も背負うことになる。現在の枠組みではこのようなことになると思っております。  8月の三セク会社設立に向けて、県内15市町村に対して要請されました出資金額とその負担割合の考え方について、どのようなお考えなのか吉田知事政策局長にお伺いをいたします。 71 吉田知事政策局長 本県の並行在来線は、県内を東西に走る幹線鉄道でありまして、県内の公共交通機関のネットワークの結節拠点となっており、多くの県民の日常生活の足となっております。  先般の並行在来線対策協議会におきましては、三セク会社は、県、市町村、民間がみんなで負担していくという意見や、マイレール意識を持ってもらうため県内全体で支えていくことが大事であるといった意見が出されたところでございます。  このため、県といたしましては、来年度の三セク会社の設立に際しましては、県内全市町村において出資いただくことが重要であると考え、先月、全市町村に対しまして三セク会社への出資協力の要請を行ったところでございます。  具体的な出資額や割合の考え方といった御質問でございますけれども、現在、開業準備費などを含む収支予測を精査しておりますので、その結果や先行事例を踏まえ、出資額や県、市町村等の割合などにつきまして、市町村等の関係者と相談してまいりたいと考えております。その後、JRとの鉄道資産の交渉等を踏まえまして、25年度に増資をして本格会社に移行する方向で検討しているところでございます。 72 井加田委員 ありがとうございます。収支予測を踏まえ出資額等を確定するという理解かと思います。
     各市町村におかれましては、この具体的な出資額を決める際に、住民の皆さんに対して十分な説明と理解を得ることは最低条件だと思いますし、また議会の承認を得ることは当然のことでございます。  7月1日の新幹線・総合交通対策特別委員会に、私も委員として参加しておりましたけれども、JR側からの参考人によりますと、鹿熊委員が質問されました駅舎の整備・修繕や鉄道資産の譲渡の考え方について、株主への説明責任を理由に資産譲渡は簿価を考えており、修繕については検討と、お答えをされております。  つまりJR側は、修繕は検討するが、新車両のことも話題になっておりますけれど、年数がたっている車両も含めて129億円と試算されている譲渡資産は、その時は簿価での譲渡が基本と答えられておりますので、これはいかにも不平等な考え方ではないかなと感じました。  そして、市町村に対しまして、こうした多額の追加負担も考えられるものですから、やっぱり簿価での譲渡については、どのように丁寧に説明すれば県民の同意は得られるのかと、私は非常に疑問であります。  鉄道資産譲渡につきましては、協議会としては無償譲渡を基本とすべきと考えますが、そのことについての御見解をお伺いしたいと思います。 73 吉田知事政策局長 並行在来線につきましては、初期投資が抑えられれば運営会社の負担の軽減につながりますことから、JRからの鉄道資産の譲渡に当たりましては、収益性を勘案した適切な価格評価を行い、無償または極力低価格での譲渡をすることなどにより、三セク会社の初期投資が軽減されるよう、これまでも国土交通大臣を初め各方面に対し再三求めてきたところであります。  一方で、先行事例を見ますと、これまでにJRから無償譲渡された事例はございません。JRは簿価による譲渡を基本としておりまして、本県区間につきましても、JR西日本は、民間企業であり株主に対する説明もあるため、資産譲渡に関しては基本的に簿価としております。  このため、鉄道資産の譲渡に関するJRとの交渉に当たりましては、譲渡価格ができる限り低廉な価格となりますよう、先行事例の分析はもとより、有識者や鉄道事業関係者等からのアドバイスも得ながら、譲渡資産の絞り込みや譲渡前の修繕など、粘り強く交渉を進めているところであります。  今後とも、JRには協力と支援を求めていくとともに、国に対しまして、新幹線の貸付料の活用など経営分離に伴う初期投資への支援策について引き続き要請し、こうした取り組みについて県民や市町村の御理解が得られるように、説明に努めてまいりたいと考えております。 74 井加田委員 限りなく無償譲渡に近い形で頑張っていただいていると理解いたします。  次の質問ですが、今は北陸本線の線路には県境はございません。しかし、上下一体・単独会社の運営となりますと、各県への乗り入れや運賃調整の問題に限らず、さまざまな課題が出てまいります。  県境での折り返し、減便なども想定されております。これまでの議論を聞いておりますと、現在走っている特急については、関西方面のものが議題になっていますけれども、県境を越える特急は双方にありまして、新潟方面もあります。県境を越えて、高校生あるいは大学生などが通学に、それから通勤の足として、現在、境目のない線路で通勤通学されているわけです。こういった県境を越えての利便性について心配されるのです。  この並行在来線のマイナス面ばかりが見えるのです。本当に健全で安定的な運営が行われるように、今の段階からの県民への説明は非常に大事だと思っております。そうした意味におきまして、どのように並行在来線の活性化につなげていくのか、しっかりと将来の展望が見えるような取り組みが必要だと思っております。  そこで、現段階におきまして、JRそして関係各県との調整、検討状況等、具体的に課題となっていることについて、お示しいただきたいと思います。 75 吉田知事政策局長 5月の県並行在来線対策協議会で取りまとめられました経営の基本方針におきましては、富山県単独の三セク会社を設立する方向で検討を進めること。それから普通列車の通勤通学等の利用実態に即して運行ダイヤ等を見直すこと。県境を越える運行に関して隣県と協議を進めること。車両基地等JR施設の活用や車両の留置についてJRや隣県と協議を進めること。鉄道資産や人員などについてJRの協力、支援を得ながら検討を進めること。としておりまして、現在これに基づいてJRや隣県と協議、調整を進めているところでございます。  具体的な協議の中身でございますけれども、まず初めにJRとの協議につきましては、先ほど申し上げました譲渡対象となる鉄道資産のほか、521系と呼ばれている2両編成の新型車両の導入。関西、中京方面等の広域運行に対する利便性の確保。城端線など枝線との乗り継ぎ利便性の向上や県内区間における相互の乗車券の発券。三セク会社とJR枝線が結節する駅の改札口の共用化。運行に必要な人材の確保育成などについて協議をし、JRに対し協力を求めているところであります。  それから、隣県との協議の内容でございますけれども、利用実態に即した通勤通学などの利便性の確保を図るため、県境を越える相互乗り入れを行うことを共通認識として、相互乗り入れの区間や運行本数、会社間での乗り継ぎ割引きなどにつきまして、現行ダイヤや先行事例を参考にしながら、隣県とも協議を進めているところでございます。 76 井加田委員 現在の協議状況について、お示しいただきました。現段階での状況ということで理解をいたします。  7月6日の参考人質疑について、さらに申し上げたいわけですけれど、その中で、北陸線・ローカル線の存続と公共交通をよくする富山の会の参考人の方から貴重な御意見をいただいております。  まず、北陸本線の施設につきまして、車両基地、線路やまくら木、電気設備、架線、信号、駅舎、エレベーター等の構造物、これらの整備、点検が行われ、維持修繕がうまくいって初めて、安全な運行が確保できるとの御説明でございました。例として、まくら木交換には1本3万円から3万2,000円が必要だということで、それも含めまして、線路の維持、駅舎の修繕、定期検査などに膨大な費用がかかることなども、あわせて指摘をされております。  そこで、経営分離後の並行在来線が、北陸本線と同水準の施設を維持するために必要とされる費用につきまして、具体的に試算がされているのか、お伺いしたいと思います。 77 吉田知事政策局長 並行在来線につきましては、これが上下一体であっても、あるいは上下分離でありましても、いずれにしましても並行在来線の安全な運行を図るためには、高い技術力を有する保守管理要員と、施設の修繕、点検等に要する費用を確保するなど、鉄道施設を適切に維持管理することが必要でございます。  このため、平成19年度に実施した収支予測調査におきましては、先行三セク会社の実績をベースにしまして要員数や修繕費用等を算出しているところであり、具体的には、要員数としましては施設・電気要員が70名程度、それから修繕費用につきましては施設保存費が21.4億円程度と見込んでいるところであります。  ただ、現在、経営計画の概要の検討にあわせまして、この収支予測につきましても改めて精査をしているところであります。普通列車主体の運行計画に即した要員数や修繕費など、必要な経費を積み上げていく予定としております。  また、高い技術力を有する保守業務等の核となる要員につきましては、まず開業時には相当部分をJRからの出向者で対応することが現実的でありますので、JRに対しまして、必要な出向者の確保とプロパー職員の育成への支援を求めているところであります。  さらに、並行在来線の長期的な安定経営のためには、できるだけ早い時期に、JRの出向職員から三セク会社のプロパー職員への転換を進める必要があると考えておりますので、三セク会社の将来的な要員体制を含め、具体的な検討を進めているところであります。  最初に申し上げましたけれども、平成19年度の収支予測では、上下一体方式の場合でも上下分離方式の場合でも、上下全体の収支は変わらないことが明らかになっていることから、線路や電路等の鉄道資産の保守管理費につきましても同様であると考えております。 78 井加田委員 いずれにしましても、現在の北陸本線と同水準の維持管理を前提に、それから新しい運営になるに当たっての要望を踏まえた中身ということを前提に試算をいただきたいと思っております。  続きましてもう1点、貨物に対する問題でございます。  5月30日の並行在来線対策協議会で示されております経営の基本方針では、現在のJRの広域的な運行体制を、普通列車主体に安定的な運行が図れるコンパクトな体制とすることを目指す、となっております。そのことが前提で進んでいると思っております。これは旅客の輸送のみを念頭に置いた考え方であると思います。現在の北陸本線は、旅客輸送のほかに、日本海縦貫貨物鉄道としての物流の大動脈という重要な役割を持っております。  県は、3月から4月にかけて、並行在来線(北陸本線県内区間)の経営基本方針(素案)の概要に対するパブリックコメントを求められておりますけれども、鉄道施設の所有については7件の意見が寄せられておりまして、5月30日の資料にはそのうち5件の意見の概要と、それに対する回答が載っておりました。  しかし、この5件のうち、上下一体という素案に対しまして、賛成の意見はわずか1件で、4件までが上下分離もしくは上下一体に疑義を述べる意見であったと理解をしております。  その中の1件に、北陸本線の施設は、貨物列車が高速で走行しても耐え得るものとなっており、新幹線開通後も同水準の施設を維持していく必要があるが、高度な技術力や莫大な費用を三セク会社が担うのは厳しいのではないか。という指摘がありまして、それに対してのコメントは載せてございませんでした。こうした高度な技術力や莫大な費用を三セク会社が担うのは厳しいという意見に対して、回答がなされていないわけです。  一方で、昨年7月に新潟県並行在来線開業準備協議会が出された資料の中には、貨物が走行する路線は、旅客列車が必要とする施設水準を超えている。貨物が通ることによる施設水準を維持するためには約7倍の余分な経費が必要である。と示されております。  貨物輸送に対する鉄道施設水準の維持は、安全輸送が根幹であると思っております。上下一体・県単独の三セク会社におきまして、こういった高度な技術力や莫大な費用を今後も負担して担っていくことは、やや困難ではないかという思いもいたすわけですけれども、これに対しましてどのようにお考えでしょうか。 79 吉田知事政策局長 まず、パブリックコメントにつきましては、これは並行在来線の経営の基本方針の素案に対して寄せられたものでございますが、白紙の状態で、上下一体がいいのか、あるいは上下分離がいいのか。と聞いたものではありません。上下一体という方向性を示した上で御意見を募ったものでありますので、それとは異なる御意見が出やすいという状況であったかと思っております。  それを踏まえまして、貨物につきましては、委員が御指摘のとおり、並行在来線の本県区間は、1日40本以上の貨物列車が走行する広域幹線物流ネットワークを形成している路線であります。このため、国に対しまして貨物調整金の拡充による貨物にかかる経費の応分の負担などを求めてきたところであります。本県が強く求めてまいりました利益剰余金の活用につきましては、本年の6月に法案が成立したことにより貨物調整金が拡充されました。このことは1歩前進したものと受けとめており、貨物の走行に伴って増加する経費に対して手当てが行われたものと考えております。  それから保守管理業務を行う要員につきましては、これはJRに対しまして、高い技術力を有し保守管理業務の核となる出向職員を確保してもらうこと。それから三セク会社のプロパー職員の育成に協力することを求めているところであります。  なお、先行事例を見ましても、本県区間と同様に貨物が多く運行されている、例えばIGRいわて銀河鉄道においても、三セク会社が線路の保守管理を担っているということでございます。  こうしたことから、上下一体・県単独の三セク会社であっても、貨物の安全運行が確保されると考えており、今後とも国やJRに対して支援策を要請するとともに、三セク会社の組織・要員体制につきましてさらに検討を進めてまいりたいと考えております。 80 井加田委員 ありがとうございました。  続きまして、5月27日の国鉄清算事業団の債務等に関する法律の附帯決議の中に、並行在来線については、地域の足としての重要性、物流の大動脈としての役割、新幹線鉄道ネットワークの補完・充実に資する機能等にかんがみ、沿線自治体等と協力しつつ、その維持及び経営の安定化に十分配慮することとされております。  JRが運営するにしても、三セク会社が運営されるにしても、並行在来線が地域の公共交通機関として安全に運行され、将来にわたっての地域の足としての重要性、物流の大動脈としての役割を維持し続けるためには、鉄道の点検や修理、そして要望の強い新駅設置等もありますけれども、必要な設備投資が国の施策として計画的に行われるべきであると思えてなりません。  こういった仕組みと財政支援について、国とJRに対してさらに求めていくべきではないかと考えます。先行事例とは若干違う富山県の事例ということ。それから東日本大震災以降、新幹線の位置づけがさらに重要になってきていること。そういう状況をかんがみて、国やJRに対してさらなる支援を求めていくべきであるという思いに立つわけでございますけれども、この件についてお答えをいただければありがたいです。 81 石井知事 本県の並行在来線は、いずれの先行事例もそうですが、大変厳しい収支見通しになっております。従来のスキーム──これは平成2年と平成8年ごろに決まったわけですけれども、この見直し、また新たな支援策などを要望しております。特にJRからの鉄道資産の譲渡に当たっては、今ほども議論がありましたが、できれば無償、または極力低価格で譲渡することなどによりまして、三セク会社の初期投資の軽減を図ってくれるように、これまで何遍も国土交通大臣などにお願いしてきたわけでございます。  あわせて、並行在来線の経営支援策として、鉄道・運輸機構の利益剰余金の活用についても働きかけをしたわけですけれども、この点につきましては少し残念な面もありましたが、法案は成立しておりまして、貨物調整金の拡充がなされましたので、これは一歩前進したと受けとめております。  せっかく働きかけて制度ができたわけですから、本県の並行在来線への具体的な配分について、できるだけ重点配分してもらうように、現在、働きかけているわけでございます。  やっぱりJRからの譲渡資産や車両に対する多額の初期投資が見込まれますから、依然として経営見通しは厳しいわけでありますので、新幹線の貸付料については、並行在来線の維持確保の財源として活用すべきではないかと、この点は引き続き強く要請をいたしております。  また鉄道資産の譲渡については、JRとしては民間企業であり株主に対する説明もあるということで、譲渡資産は簿価だとおっしゃっているわけですけれども、本県としてはできるだけ低廉なものにしていただくことで、1つには、譲渡される資産も、並行在来線の運営にとってどうしても必要な必要最小限度のものに絞り込むこと。また、譲渡される鉄道資産についても、もう使い道がないような状態になってからもらっても困りますから、事前に必要な点検を行って計画的に修繕を行うことをJRに強く要請しております。  さらに、金沢以西で運行している新型車両を富山県内にも早く導入してもらいたいですし、運行に必要な人材の確保育成にも協力してほしいということで、強く要請しておりまして、引き続き粘り強く交渉したいと思います。  並行在来線は客観情勢が厳しいのですが、何といっても県民の皆さんの通勤通学の足でありますし、またそれ以外の城端線、氷見線、ライトレール、地鉄、いろいろなものとのネットワークの結節点であります。また40本以上の貨物が走行する広域幹線物流ネットワーク路線でもありますから、経営安定ができないと我々も困りますが、国もおかしいのではないかということになりますので、しっかり粘り強く働きかけていきたいと思います。 82 井加田委員 ありがとうございました。  貨物調整金の拡充については、拡充の枠は示されていますけれども、具体的な配分は今後の交渉次第であると思っております。いずれにしましても、県財政も厳しい中ではありますが、市町村への過分な負担とならないように、どこが運営するにしても、そのことが基本かと思っておりますので、そうした観点で引き続き御努力いただければと思います。  続いて次の質問に入らせていただきます。原発問題について何点か質問させていただきます。これも午前中の質問とダブる部分もございますが、お願いしたいと思います。  まず、原子力災害対策部会において検討されております、県の地域防災計画の事故災害編第6章原子力災害対策についての見直しの状況について、御報告がございました。  現行の計画における災害の想定につきましては、志賀原発から県境まで最短で21キロメートルということで、防災指針では、住民の屋内退避等の措置を検討する必要があるとされる量の放射線が、本県に達することはないと想定されております。これが現行の計画でございます。つまり、県内に影響が及ばないとすることが前提とされれば、この計画自体は大きく見直す必要がないわけでございます。  ですから、この14日に菅沢議員からも質問させていただいたのですけれども、知事は、このEPZの考え方については、拡充強化を不可欠としながらも、国の対応を踏まえながら県として取りまとめる。と答弁をなされております。  県がどのような前提に立って見直されるかについては、先ほど申し上げたような関係から、同様な見直しが行われている県内各市町村にも大きな影響が考えられると認識しておりますので、そうした意味で改めてこのEPZについてどのようにお考えか、お示しいただければと思います。知事に御質問いたします。 83 石井知事 これまでも議論がございましたが、本県は志賀原発から県境まで21キロメートルですので、国の原子力安全委員会がこれまで定めてきた現時点でのEPZの範囲外ですけれども、今回の福島第一原発の教訓にかんがみますと、これではいかがなものかということで、県としましては既に6月に、このEPZの範囲をより広範かつ適切なものに改めることが必要ではないかと考えて、国に対して提言をしております。これは、よその県よりも相当早く申し入れたと思っております。  また県としましては、もちろん国の原子力防災対策の見直しもしてもらいたいわけですが、それをただ待っているだけではなくて、県として主体性を持ってやらなければいけないということで、去る6月9日に県の防災会議を開催しまして地域防災計画の見直しに着手し、また9月2日には第1回目の原子力災害対策部会を開催して、EPZの拡大などの課題について検討を進めております。  国におかれては、現在、原子力事故調査・検証委員会を設置されて、年内の中間報告を目標にして、今回の事故原因の究明等を行うこと、また、原子力安全委員会では、EPZの範囲を含めた防災指針の見直しについて、専門部会やワーキンググループで検討することで、今進めておられます。10月までにEPZの見直しに向けた考え方についての検討、取りまとめを行って、来年3月までにはEPZを含めた防災指針の見直しについての中間報告を行う予定とされております。  県としましては、今後、国の対応等も踏まえながら、県の防災会議できちんと議論を重ねまして、そこで取りまとめられた方向に沿って、EPZの範囲も含めた原子力災害対策についての富山県としての方針をまとめて、地域防災計画の見直しに取り組んでいきたいと思っております。 84 井加田委員 ありがとうございました。いずれにしてもEPZでくくるのが現実的かということとは別の議論になるわけでありますけれども、その基本をどこにするかということでは、県内各市町村に与える影響が大きいこと、それと対策についてもかなり内容が変わってくるという観点から申し上げさせていただきました。  県民の命と暮らしにかかわる重要な課題でございます。志賀原発から100キロメートル圏内にある富山県としては、知事のおっしゃるように主体性を持って、例えばEPZ見直しに当たっても県独自の判断で、ぜひ御検討いただければと思っております。私どもの会派では、最低でも50キロメートルまで拡大すべきだと申し上げております。この内容については、そのような関心を持って見ております。  続いて、今、検討が進められております原子力災害対策部会について何点か申し上げさせていただきたいと思います。  14日の菅沢議員の再質問に対しまして知事は、主体性を持っているからこそ見直すのであり、県の防災会議の部会の委員には、全国レベルの専門家や見識の高い方に来ていただいたから、御心配いただかなくてもちゃんとやっている。このような内容の答弁だったと私は認識をしております。  そこで、この原子力対策部会の進め方について何点か申し上げます。  9月2日に開催されました部会におきまして、北陸電力の関係者がオブザーバーで出席をされて、志賀原発の安全対策がいかに万全かについて会議の半分の時間を費やして説明をされ、そして委員長から、簡単に、と注意を受けられたと、傍聴されていた方からお伺いをいたしました。  また、委員は、それぞれ専門家ということでお探しいただいたと思いますけれども、原発推進論者あるいは原発政策に直接責任がある立場の方も何人か見受けられます。今、県民の関心が非常に高い中で、原発災害の収束のめども立っていない中で、国民の不安や不信が高まっている中で、少なくとも災害対策、計画づくりにおきましては、福島の事故の原因究明をしっかりやった上で、科学的根拠や裏づけに基づいて公正に行われるべきではないかと考えております。  委員の構成につきまして、女性が1人もいないというのもかなり問題ではありますけれども、委員の中に原発推進の立場ではない学者の方も入っていただくなど、いわゆる富山県版の原子力ムラと後からやゆされることがないように。聞くところによりますと、さるお方は、私は原子力ムラの中で生きてきたと会議の中で述べられたと、傍聴の方からお聞きしているところでございます。  やっぱり科学的見地に基づいて検討がされるべきと思いますが、委員の構成はどのような考え方でお決めになったのか、知事にお伺いをいたします。 85 石井知事 原子力災害対策部会は、専ら専門的な見地から科学的、技術的に原子力災害対策を検討するということで、県の防災会議の審議を経て設置したわけでございます。この部会の委員及び専門委員は、災害対策基本法なり県の防災会議条例に基づいて、防災会議の会長である私が指名することになっているわけです。  まず、部会の委員については、災害対策基本法に細かな規定がありまして、防災会議の委員に充てるとされている方々の中から、原子力災害対策の検討に欠くことができない方々として、災害対策に関連する国の地方行政機関、それから陸上自衛隊の代表者、県の教育長、県警本部長、防災担当局長、それから消防機関の長、また日赤や医師会といった医療機関や団体の代表者の方など、13名の方を指名しております。  お話の専門の事項を調査する専門委員については、原子力工学、放射線防護、危機管理医学、原子力防災、それから放射線被曝医療といった、原子力災害対策を検討するに当たって必要不可欠な分野の全国レベルの5名の専門家や、県内の関係市長など8名の方々を指名させていただいております。  このように、幅広い分野から御就任いただいておりまして、今後、原子力災害対策部会において、専門的、科学的な見地に基づいて議論を尽くしていただきたいと思っております。  今、原子力ムラ云々という話がありましたけれども、非常に御見識の高い経験豊かな方々で、お一人はもともと京都大学などで長く教鞭をとられて大変評価の高い学者でいらっしゃるし、もう一人の方も放射線関係、核燃料サイクル開発機構、いろいろな経過、経験を踏まれた方で、別に今回の福島事故に直接責任があるとかそういう方々でもありませんし、むしろ、よくこういう立派な方々が受けていただいたなと思っているわけでございまして、今後もしっかり議論していきたいと思います。 86 井加田委員 ありがとうございます。私は福島原子力事故に直接原因のある方と申し上げたつもりはございません。そこは若干訂正いただきたいのです。  お一人は、原子力安全基盤機構から来ていらっしゃるのですけれども、これは政府の原子力安全・保安院と一体化した組織でありまして、原子力の実際の保守整備、検査にもかかわっておられる機関です。そういう意味では、独立性を保っている機関とは、ちょっと言いがたいのではないかなという認識を持っていますし、そのような指摘も多くされているところです。  いずれにしましても、法に基づいて知事が御指名されるということでありますから、今回はそのような人選だったと思います。やっぱり国民的な関心が高いので、例えば過日7月27日に衆議院の厚生労働委員会で参考人が何人か意見陳述をされておりますけれども、その中で本当に事実を指摘された、例えば児玉龍彦先生のような方をお呼びするとか、私はそういった意味で少し配慮をいただきたかったなと思います。  また、女性や市民の方の中にも、それなりに専門的な知見をお持ちで、それぞれ取り組んでいらっしゃって、さまざまな提言をしていただける市民団体の方もいらっしゃるわけですから、知事が御指名ということであれば、ぜひ、そういう方々も一緒に入って議論できるような位置づけで御検討いただきたいということで、これは要望として申し上げておきたいと思います。  次の質問に移らせていただきます。  関連しているのでございますけれど、岐阜県では、原子力に関する一定の専門的知識や経験を持たれた民間の方を新たに職員採用して、地域防災計画の見直し作業のほかに、近隣施設で事故が発生した際の状況分析や被害の想定、緊急対応などにも当たってもらうこととし、原子力発電を担当していらした経験6年以上の電力会社従業員のほか原子力問題を専門とされる大学教授ら複数人を、早ければ来年の1月から募集して対応されるというような報道がなされております。  いずれにしましても、福島原発事故の実態を見れば、原発災害は本当に県民の命と暮らしに直結する重要課題でございます。富山県におきましても、原子力に関する一定の専門的知識や経験を持たれた職員が必要ではないかと考えますけれども、その件に対してはいかがでしょうか。 87 吉田知事政策局長 原子力防災業務に携わる職員の育成は、危機管理の観点から大変重要であるため、県ではこれまで、防災・危機管理課に配属され原子力防災業務に従事することとされた職員に対し、外部専門機関が実施する研修等を計画的に受講させることなどにより育成に努めてきております。  具体的に申し上げますと、財団法人原子力安全技術センターや、独立行政法人原子力安全基盤機構が実施する研修を職員に受講させ、原子力施設の概要や事故事例、原子力防災対策などを習得させるとともに、志賀原発において実施される原子力災害実働訓練にも参加させており、今後とも人事担当部局と連携しながら、職員の育成に努めてまいりたいと考えております。  このように、原子力に対する一定の専門的知識を持った職員の人材育成につきましては、重要な課題であると認識しておりまして、現在、原子力災害対策部会においても議論しているところでありますが、専門の職員を採用するかどうかにつきましては、どういったレベルの職員が必要なのか、常勤がいいのか非常勤がいいのかなど、業務の量や必要性との関係でよく検討する必要があると考えており、引き続き国の動向等も踏まえながら地域防災計画の見直しの中で検討してまいりたいと考えております。 88 井加田委員 ありがとうございました。職員の方の研修とともに、ぜひ前向きに検討いただければと思います。  続きまして、先般、たしか9月2日の報道だったと思いますが、原子力安全・保安院が福島第一原発の1号機から3号機での全電源喪失を想定し、炉心溶融を予測した緊急時対策支援システム──ERSSと言うそうでございますけれども、その解析結果が約半年たって公表されております。このERSSを開発された原子力安全基盤機構は、3月11日、保安院の依頼で実はERSSを起動されまして、全電源喪失を想定したパターンを使って1号機から3号機の原子炉内の水位や圧力、温度の水位予測結果等も出されていたことが判明しております。保安院の職員が、データを危機管理センターに常駐していた保安院職員を通じて内閣府の職員に手渡されましたけれども、結果としては住民への指示には活用されなかったことがはっきりしております。  すなわち、保安院は、1号機について解析結果を使った推定放出量などもSPEEDIで拡散予測を既に実施していたのですが、すぐには公表されなかった。データは分析をされていながら直接活用されず、被曝を最小限に防ぐことに生かされなかったということだと思います。  こうした問題は、今後の政府における事故調査委員会の中で、事故原因の究明とあわせて検証がなされていかなければならないと認識しているところでございます。  そこで、これは意見でございますけれども、このSPEEDIを活用すれば、福島第一原発と同レベルの原発事故による拡散予測は可能であります。データに基づく本県独自の原子力防災対策を検討すべきと思いますが、これに関してはいかがでございましょうか。 89 吉田知事政策局長 原子力安全委員会が定める防災指針におきましては、気象情報と放出源情報を入力することによって「迅速に放射能の影響が予測できる緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の整備を進めることが重要」とされており、また、「あらかじめ国、地方公共団体、原子力事業者等の間で十分に協議し、平常時から各種システムのネットワーク化や、緊急時の際の協力体制を整えておくことが必要である」と定められております。  国では、この防災指針に基づきまして、現在、原発立地県や関係隣接県など20カ所にSPEEDIの操作端末を設置しており、原子力安全技術センターを中心にネットワークが形成されているところであります。  本県につきましては、原発立地県ではないためSPEEDIの操作端末が設置されておらず、また国から情報の提供を受けることは難しいことから、現時点ではSPEEDIのデータに基づくシミュレーションは困難な状況にございます。  しかしながら、有事の際には、放射能影響予測情報は住民の安全を守るための重要な情報であることから、6月に国に対しまして、緊急時における住民の避難誘導を円滑に行う観点から、SPEEDIの放射能影響予測情報や実測値の情報について迅速な情報提供を行うよう提案、要望を行ってきたところでございます。今後ともこのことについて、国に働きかけてまいりたいと考えております。  現在、国の原子力安全委員会では、SPEEDIについて記載されている防災指針の見直しを行っているところであり、県としましては、今後ともこうした国の動きも踏まえながら、放射能影響予測情報の確保方策も含め原子力災害対策の見直しについて原子力災害対策部会で検討してまいりたいと考えております。 90 井加田委員 いずれにしましても、今回、あり得ないという事故が起きて、安全神話は崩れたわけでございます。先ほど提案したように、50から60キロメートルをも含めた汚染状況がホットスポットとして残っている状況であり、この状況をどう克服するかということで本当に大変な状況になっているわけです。  そうしたことから考えましても、志賀原発から100キロメートル圏内に位置する立山連邦に囲まれた富山県においては、降雪時期、風の強い時期、風向き、雨の状況、自然気象によって大変な影響があります。一たび事故となれば、そういう状況に陥ることを、もっと危機的にとらえておかなければならないと思っております。何としても今、放射性物質の環境への垂れ流しを本当に食いとめなければならない、このような事態にあると認識をしております。  また、現存する原子力発電所の安全性については、将来にわたっていかに確保されていくのか真剣に考えることは、今を生きている人間として、将来の子供たちに対する今の人間の責任であると思っております。そうした思いもありまして、北陸電力志賀原発1、2号機について、この100キロメートル圏内に位置する富山県においては、安全対策も不十分であり、事故原因の究明もされていない今の段階で、再稼働の話が出ること自体、私はあり得ないという思いであります。  何度もお尋ねして恐縮ではございますけれども、この原発事故が真相究明中であること、そして事故が収束されていない中で、少なくとも現在停止中の志賀原発の稼働はあり得ないと考えます。知事には、真相究明や事故収束がない中では稼働はないと明言をして、お答えをいただきたいわけです。改めて知事に所見をお伺いしたいと思います。
    91 石井知事 志賀原発につきましては、2基とも停止中ですけれども、北陸電力では、まず国の原子力安全・保安院からの指示に基づいて、当面の対策として緊急安全対策それから過酷事故対策を講じておられます。  また7月に決定された、定期検査中のすべての原子力発電所について再稼働前にストレステストを行うという政府の方針に基づいて、8月10日に2号機でストレステストに着手されたわけです。  野田総理は、9月2日の記者会見で、原子力発電所の再稼働問題について、ストレスチェック等を踏まえて安全性をきっちりと確保しながら、地元の皆様の御理解を前提に定期検査の原子力発電所を再稼働する。と、おっしゃっているわけです。  また枝野経済産業大臣は、9月の記者会見で、ストレステストに当たっても、IAEAのさまざまな知見を生かさせていただきたいと一般的には思っている。ただ、具体的には今後詰めたい。と述べられた。  さらに細野原発事故担当大臣は、同じく9月19日にIAEAの天野事務局長と会談されまして、ストレステストについては、専門知識を持つIAEAからの積極的なアドバイスをいただきたい。と要請して、天野事務局長はこれを受け入れたということであります。  こうした発言を踏まえますと、IAEAが国際的に高い知見を集約していることにかんがみて、政府もその知見を生かして対応されていると受けとめております。  県民の安全を守ることは、もちろん県政の最重要事項でありますけれども、原子力発電所の再稼働については、まずは法律上の権限と責任は国が持つことになっていますから、厳正にチェックして判断すべきものでありまして、まずは国において、このストレステストの評価結果を踏まえ、原子力発電所の安全性の確保や再稼働の判断基準との関係を明確にして、しっかりした責任ある見解を示していただく必要があると思っております。  志賀原発の再稼働については、今後2号機のストレステストの評価結果も踏まえて国において判断されるわけですけれども、IAEAの知見の活用も含めて、その対応をしっかり見てまいりたい。  また、いずれにしても志賀原発の再稼働は、やっぱり地元である石川県と志賀町の理解、同意が得られることが大前提になる。これは総理自身もそう言っているわけですし、また北陸電力も、運転再開に当たって国や石川県、志賀町の同意を得る場合には、当然、この富山県や氷見市など周辺自治体や県民に対しても、しっかりと理解が得られて懸念が払拭されるように、これまで以上に丁寧な説明を行って適切に対処していただきたいと思っております。 92 井加田委員 地元の皆さんの同意を前提にされる、それで責任を負わされるのは大変たまらない話でございますけれど、今や原発問題は、立地県を越えて全国民的な課題になっていることを十分踏まえていただいて、御対応いただければと思います。  時間もございませんので、次に3点目の質問に入らせていただきます。改正介護保険法の問題について、なかなか利用者、県民に見えにくい状況もございますので、少し質問をさせていただきます。  過日、介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律が制定されております。今回の改正は、それぞれの報道によりますと、介護給付の増大に関する課題は、社会保障と税に関する一体改革へ事実上の先送り、そして給付と負担に関する見直しについても先送りされた内容でございます。ですから全体として小幅の改正案になったという評価でございますけれども、さりとて内容においては何点か問題があると思っております。要支援1、2の軽度者に対し、さらに給付の抑制やサービス制限が進むことなどを初め、現場に混乱を来しかねないことも何点かございます。  ちょっと指摘させていただきますと、まず介護予防・日常生活支援総合事業が創設されておりますけれども、これは軽度の要支援者について、介護保険をかけながら、介護保険の外に押し出すような道を開きかねない危険性をはらんでいることです。  それから、介護職員にたんの吸引などを含めた医療処置を認めることになっておりますけれども、これは看護師不足の代替で、介護士に過重な負担となることが現場では懸念されます。  それから、地域密着型サービスに24時間対応の定期巡回や随時対応型サービスが導入されておりますけれども、現段階でも夜間対応型のサービスがあるわけです。これはなかなか実現困難というような状況にある中で、これは衣替えをしたもので、しかも24時間に拡大した制度になっており、例えば富山県に当てはめた場合に、本当に機能するのかどうか全く疑問だということであります。  こうしたことも含めまして、事業者主体でありますこの法改正に伴って、新たなサービスの低下や市町村間の格差拡大も懸念されるところでございますが、この改正介護保険法について、県としてはどのように考えておられるのか、所見を伺っておきたいと思います。知事、お願いいたします。 93 石井知事 介護保険制度ができて10年たって、先般、介護保険法等の改正がありました。比較的小幅な改正とおっしゃったけれども、3点ぐらいあると思うのです。  1つは、介護予防・日常生活支援総合事業ですけれども、これは高齢者の生活を支える総合的で多様なサービスを提供するために、要介護認定にならない程度の虚弱な高齢者等を対象とする介護予防事業と、それから要支援者を対象とする介護予防給付サービスを一体化して、これに食事の配送とか見守りなどの生活支援サービスを加えた事業としておられます。  国会審議では、市町村が対象者を判断されますので、要支援者がこれまでの介護予防給付サービスを受けることができなくなるおそれがあるのではないかとか、あるいは市町村によってサービスの提供量に格差が生ずる可能性があるのではないかといったようなことが議論されたわけであります。現時点では省令等が示されていませんから、事業の詳細はまだ不明確な点もあるのですけれども、そういった国会で指摘されたような問題が起こらないように、国に対して要望してまいりたいと思っております。  また定期巡回・随時対応型訪問サービスについては、どんな地域においても事業者が参入してサービスが十分に提供されるのか。また、介護職員によるたんの吸引も認めることになったわけですけれども、その実施については、専門的かつリスクのある業務を追加することで、介護職員に身体的、精神的な負担が生ずるのではないか、といった指摘もあったようでありまして、国会では適切な措置を講ずるべきとの附帯決議もされております。  したがいまして、今後こうした新たなサービスについて国から具体的な取り扱い等が示されることになりますけれども、介護保険制度のサービスの低下などが生ずるおそれがある場合は、市町村との協議の上で、国に対して必要な働きかけもしてまいりたいと思っております。 94 井加田委員 ありがとうございました。  知事もおっしゃいましたけれども、介護保険制度創設から10年、走りながら考えると言われている制度でございます。ぜひ制度への信頼やサービスの質と量について問題点を確かめつつ、さらに制度の充実強化が求められていると認識をしております。ぜひとも今おっしゃっていただいたように、県が調整役として、法改正を踏まえながら、市町村との連携を強化されて、地域の実情や利用者の実態に合ったサービスの拡充のために積極的に働きかけを行っていただきたいと考えているところでございます。  緊張しておりまして若干時間が残りましたけれど、そうしたことを述べさせていただきまして、質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。 95 矢後副委員長 井加田委員の質疑は以上をもって終わりました。        上田英俊委員の質疑及び答弁 96 矢後副委員長 上田委員。あなたの持ち時間は60分であります。  なお上田委員から、辺見じゅん氏の逝去について通告外の質問をしたいとの申し出があり、理事会でこれを認めることとしましたので御了承願います。  上田委員の質疑を始めます。 97 上田委員 ただいま矢後副委員長からも話がございましたが、理事会の了解をいただきまして、1点緊急的に質問をさせていただきたいと思います。  きょう、北日本新聞を初め新聞報道等で大変残念な訃報を知りました。歌人であり作家である辺見じゅんさんの死亡であります。  御案内のとおり、辺見さんは角川書店創立者の角川源義氏の長女であって、旧水橋町にお生まれになられました。富山県内においては、越中万葉をこよなく愛して、県内各地でさまざまな教室等を開いて、短歌等の指導に当たっておられたということを存じ上げております。  また、来年7月に開館されます高志の国文学館の館長にも就任することが決定しておられて、昨年から県内各地を意欲的に視察しておられたということでございます。大変残念なことでございます。  そこで、知事にお尋ねいたしますけれども、辺見さんの今日までの御尽力を踏まえて、辺見さんの遺志を生かした、そして県民に愛されて県民が誇りを持てる文学館開館に向けて、しっかりと取り組んでいかなければならないと、私は感じるものでありますけれども、知事の所見を伺うものであります。 98 石井知事 辺見先生の突然の訃報に接しまして、驚きもありましたけれども、本当に悲しみにたえないことであります。心からお悔やみ申し上げます。  辺見先生は今お話にあったように富山市の御出身でありますけれども、私も、この7年程の間に毎年数回はお会いしてお話する機会があったと思うのですが、何といっても富山県の自然や風土、歴史、文化、こうしたものに本当に心から愛情を持っておられたと思います。  全国的にも大変立派な賞をたくさん受賞されていらっしゃることは皆さん御承知のとおりでありますし、また、お話に出ましたように高志の国文学館の館長もお願いして、起工式も先般終わり、来年夏の開館に向けて、その力を大いに発揮していただきたいと思っていた矢先でありますので、本当に残念無念ということでございます。  辺見先生は、この高志の国文学館については、これまでの文学館の枠にとらわれずに、子供からお年寄りまで多くの人が楽しめる文学館にしたいとおっしゃっていました。  例えば、越中万葉を1回目の企画展示にしようと議論を進めているのですが、かるたとかクイズなども取り入れたりして、子供たちに万葉集を楽しく知ってもらいたい。また、映画の企画のときには、ゆかりの作品を上映するとともに、監督や俳優などによる講演会とかトークショーも行って、今まであまり文学に関心のなかった方にも文学館に来てもらいたい。そして施設面では、授乳室を設置するなどお子さんを持ったお母さんにもやさしい施設にしたいなど、大変具体的な御提案をいただいております。  また、文学館の名称を、高志の国、高い志として条例も上程しているわけですが、大変この言葉が気に入っていらっしゃいまして、まさに文学館に対する自分の気持ちのあらわれであるとおっしゃっていたのであります。  したがって、今回は本当に残念でございますが、この文学館が、こうした辺見先生のお考えも受け継いで、お子さんから大人まで多くの県民の皆さんに愛される施設として富山県に大きく文化の花が咲くように、しっかり取り組んでいきたい。この場をお借りしまして辺見先生にお誓いしますとともに、謹んで先生の御冥福をお祈りする次第でございます。 99 上田委員 ありがとうございました。私のほうからも改めて辺見さんの御冥福をお祈り申し上げますとともに、今、知事からも述べられましたが、やはり遺志を生かしていただいて、先ほどの質問の中でも述べさせていただきましたけれども、県民が愛する、また県民が誇りを持てる、しっかりとした文学館に整備していただきますよう、御尽力を改めて要望しておきたいと思います。  さて、通告に従いまして質問させていただきます。  今回、海洋深層水について質問させていただきます。  新政権が誕生し、不完全な内閣のもとで、東日本大震災の復旧・復興の財源調達のため、また人口減少時代、少子高齢化社会における社会保障関連費用の増大に対応するため、国民に新たな負担を求める増税論議がスピードアップして展開される様子であります。  増税の大前提として、事業仕分けであるとか埋蔵金の発掘や公務員制度改革を行うとしておられますけれども、私は行財政改革の必要性は認めますが、それは単なる哲学なき場当たり的なダウンサイジングやスクラップだけであってはならないと考えるものであります。それと同時に、新しいものをつくり上げていく日本という国家が、生きていくために必要不可欠な成長戦略を描いて、政策として推進させていくことこそ大切であり、私は、それが民主党政権に欠落していると大変強く危惧いたします。  政治の役割は経世済民であり、新しい事業、必要とされる事業、伸びていく事業を創造し育成することも同時に進めていかなければなりません。海洋深層水は今後も富山県を成長させていく分野であるという認識に立ち、質問いたします。  海洋深層水には清浄性、富栄養性、低温安定性という3つの特徴があります。厳密な定義はありませんが、水深300メートルより深い海水、最近では200メートルとも言われているようですが、いわゆる表層水とは異なり、そうした深い海域を流れているため、排水等で汚染された河川水の影響を受けないことから、化学物質による汚染がなく細菌学的にも清浄であり、ミネラル成分を多く含み、水温が年間を通じ安定しております。特に富山県で取水される深層水は太平洋側と比較して2度から3度低く、日本海固有冷水とも呼ばれています。  日本における深層水の利用研究は、昭和60年代に当時の科学技術庁のアクアマリン計画により、高知県では陸上型、富山県では洋上型で取水が始まり、水産分野、食品、医薬品、健康増進、エネルギー関係といった非水産分野での試験研究、商業利用が進められてきました。  平成11年当時、テレビ、新聞等で、深層水は血液がさらさらになるとか保水性にすぐれているため化粧品によいなどと大々的に取り扱われたため、熱狂的なブームとなりました。今はブームも落ち着き、関連商品の売り上げも頭打ち、伸び悩んでいるというところが現実でありましょう。  しかしながら、それはただブームが去っただけであって、深層水の評価が下がったためではないと私は考えます。深層水は、依然として未知の可能性を秘めた分野だと認識しております。  今回、質問に当たって高知県の室戸市、静岡県の焼津市、伊東市、三重県尾鷲市などを視察してきました。  高知県では、有名な化粧品メーカーとリゾートホテル会社が経営するホテルに宿泊せずに、観察をしてきました。ホテル代も大変高くて、満室だったこともありまして、宿泊をせずにいろいろな話を伺ってまいりました。  そこでは、海洋療法、いわゆるタラソテラピーを受けるであろう方々がおられました。これは私の目から見てではありますけれども、そのタラソテラピーを受ける方々は、若い人、かつて若かった人、きれいな人、これからよりきれいになろうとする人が、大変優雅にたたずんでおられ、また隣接する道の駅に併設された温浴施設では、多くの方々が深層水のお風呂を楽しんでおられました。  また静岡県では、飲料水、化粧品やサプリメントといった健康食品を取り扱う民間企業が、みずから深層水を取水して事業を展開していました。  それらの光景を見て、深層水事業の持つ可能性を私は改めて確信する一方、現実として深層水事業から撤退する民間企業もあり、また取水管を船のアンカー、いかりで切断された県もあったり、あるいは地震によって従来どおりの深層水を取水できなくなった県もありました。そういった厳しい現実も見てまいりました。  そこで、まず商工労働部長にお伺いいたしますけれども、全国の海洋深層水の取水施設について、その建設状況と今日までの運営状況について伺いたいと思います。 100 荒木商工労働部長 全国の海洋深層水の取水施設の建設につきましては、先ほど委員からもお話がありましたように、昭和63年度に当時の科学技術庁のアクアマリン計画に基づきまして、本県では洋上型の、また高知県では陸上型の施設が設置されております。その後、本県でも陸上型の取水施設を建設しまして、これまで全国では11都道府県で17カ所が建設されているところでございます。  これら17施設のうち、平成13年度に神奈川県三浦市で建設されました民間の取水施設につきましては、設備の老朽化や売り上げの減少により、平成21年3月に廃止されているところでございます。また、平成15年度に東京都の伊豆大島で民間企業により建設されました取水施設につきましては、平成21年度に東京大学へ寄附されまして、研究施設として利用されているところでございます。  現在、10都道府県の16施設で深層水の取水が行われておりまして、その管理運営の主体につきましては自治体が13施設、大学が1施設、民間が2施設となっております。また、利用形態別では試験研究用の施設が2施設、試験研究のほかに分水も行っているものが14施設となっております。  本県では、平成6年度に水産試験場で、また13年度には入善町で、14年度には滑川市ということで、現在3施設で取水を行いまして、深層水の利活用に関する研究や企業の商品開発に取り組んでいるところでございます。 101 上田委員 全国いろいろなところで取水されておりますけれども、深層水の取水地というのは、取水管の整備コストの観点から急激に海が深くなっている地点が、初期投資のコスト面から大変有利であります。具体的には、日本国内では3つのパターンが考えられます。まず1つ目は半島の先端であります。2つ目には島、アイランドであります。そして3つ目には、富山湾や駿河湾のように急激に深くなっている湾を有しているところがよいと言われています。  さらに今後、後ほどまた伺いますけれども、立地条件を考えますと、深層水の運搬、いわゆるオフラインの運搬あるいは深層水を取水している場所への企業誘致を考えると、やはり富山県は、半島の先端や島と比較して大変有利な条件にあると私は認識しています。  そこで、知事にお尋ねしたいと思います。  知事は、最初の選挙に出馬した際のマニフェストにおいて、深層水商品化の企業数を、平成15年では94社あったものを平成20年には150以上にしたいと掲げられております。  また、現在の県の総合計画においても、2つの観点から記載がされておりまして、まず1つ目は、健康増進、食品などの分野において、特定保健用食品に認定されるような科学的裏づけを持った深層水関連商品の開発への支援や研究の推進であります。2つ目には、海外市場を視野に入れた深層水関連商品の販路拡大に積極的な支援を行うということで、この2つが総合計画で述べられております。  そこで、今ほど申し述べた知事のマニフェスト、あるいは県の総合計画の「活力とやま」の分野において、海洋深層水を活用した具体的な成果目標が掲げられてきましたが、今日までの達成度と今後の展開について知事に伺いたいと思います。 102 石井知事 現在の総合計画におきましては、海洋深層水産業を新たな成長産業だと位置づけまして、海洋深層水に関する産学官による利活用研究、また関連商品開発への支援、深層水商品のPR、販路開拓などを盛り込んでおります。県民参考指標として、商品化企業数と深層水の年間分水量を挙げているわけです。  お話がありました深層水商品化の企業数について言いますと、17年度末で113社だったものを、27年度末には200社とすることを目標としていたのですけれども、22年度末では146社です。それから年間分水量については、17年度の2,326トンを27年度で3,800トンにするという目標に対して、22年度では3,316トンとなっておりまして、それ相応におおむね順調に伸びてきていると思っております。  また深層水関連商品の売り上げでは、残念ながら深層水を使った県外大手企業の発泡酒の売り上げ減などがありまして、少し減少した形にはなっていますけれども、新しい企業の参入や着実な商品開発も行われているところであります。  例えば、先ほどもお話に出ましたが、清浄性を利用した肌に負担の少ない洗浄水、また、深層水を利用することによって熟成期間を短くした焼酎、それから、すり身に深層水を加えたスナック菓子などが新しく開発されています。さらに地元の入善町では、米飯企業が深層水の低温性を空調に利用するとともに、そこで温まった深層水を漁協がアワビの陸上養殖に再度活用するとか、大変知恵を出しておられますし、また商工会が中心となって、深層水をめんに練り込んだラーメンが商品化されるということで、大変熱心に取り組んでいらっしゃいます。  県では水産研究所で、深層水の特色を生かした水産部門での研究開発に取り組んでおります。これまでトヤマエビ、マダラの種苗生産の技術開発に取り組んでいますほか、現在では、サクラマスの親魚の養成、ベニズワイガニ、カガバイ等の飼育実験、昆布の培養実験などに取り組んでおります。  それから、産学官連携で深層水の特色を生かした商品開発をする。また、海洋深層水を利用した運動温浴によるメタボリック症候群対策に関する研究や、ブドウの糖度等の品質改良など、新しい深層水の活用法の研究を行う。  それから、これまで首都圏などでも、深層水フォーラムをずっとやってきていますし、アンテナショップを活用したPR、観光雑誌や新聞への広告掲載。また、海外市場というお話もありましたけれども、先般もタイ、シンガポールへ行く途中でしたか、国際路線で深層水を売っておりましたが、中国の大連でも深層水をPRしたり、いろいろな取り組みをしておりまして、これからも努力してまいりたいと思います。 103 上田委員 具体的な売上高の金額等について質問しませんでしたので、答弁されなかったわけでありますけれども、平成22年度においては146社ということで、知事のマニフェストでは平成20年度で150社以上でありますので、若干どうかなというところではありますけれども、知事の答弁の言葉を借りると、それ相応という表現が多分妥当な表現なのだろうと思います。  私も高知県を訪ねてデータをいただいてきました。高知県は富山県より約5年早く民間企業に対して分水をしておりまして、平成10年では26億円で、一番のピークが平成16年の154億円で企業数は117社であります。この年は、にがりがブームになったようであります。  平成22年においては、企業数は118社でありますから、16年当時から1社しか増えていないという数字でありますし、売上高についても127億円でありますから、ピーク時より27億円減っておりますので、高知県においては、平成20年度に入ってから大体120億円から130億円ぐらいで推移しているという表現が妥当なのだろうということであります。  当然ほかの県でありますので論評する立場ではありませんけれども、富山県においては発泡酒の売り上げが大変多くありますので、高知県よりも若干上回っていると思いますが、商工労働部長、そんな数値でよろしいですか。発泡酒を除いたら大体150億円ですか。 104 荒木商工労働部長 全体では、平成13年度で約1,591億円でしたものが、17年でも大体1,523億円で、19年度では849億円、21年度では387億円です。発泡酒を除きますと、13年では115億円、最近では57億円ぐらいとなっております。 105 上田委員 最初1,500億円と言われましたけれど、もう1回確認しますが、発泡酒を除いた数値を言っていただけますか。 106 荒木商工労働部長 発泡酒を除きますと115億円でございます。 107 上田委員 何年ですか。 108 荒木商工労働部長 平成13年です。21年で57億円となっております。 109 上田委員 トータルでたったの57億円。 110 荒木商工労働部長 はい、そうでございます。 111 上田委員 突然振りましてすいません。やはり大分頭打ちになってきているというのが正直なところなのだろうと思います。  それぞれの現場でそれぞれの方々が一生懸命やってきておられるのでありますけれども、やはり全般的に取り扱い企業数、そして売上高の推移を見てもわかるように、伸び悩んでいる、頭打ちになっているというのが正直なところなのだろうと思います。  とは申しましても、全く何もなかったところからそれだけの企業数、売上高を生じてきたということでありますから、これはやはり評価すべきだと私は思います。  そうした中において、水産の分野においても非水産の分野においても、やはり大きな役割を果たしてきたのは、私は富山県深層水協議会ではなかろうかと考えております。この協議会は、民間企業、県内大学、そして富山県といった関係機関が集まって、まず、平成11年12月に富山湾深層水活用研究会が設立され、これを受けて、商売をしようではないかということで深層水の事業化を目的に、平成12年6月に富山県深層水協議会が設立されたものと考えております。  私は、富山県深層水協議会の行ってきた活動に対して大変高く評価をしているものでありますけれども、今日までの活動内容はどのように推移してきたのか、商工労働部長に伺います。 112 荒木商工労働部長 委員から御紹介がありましたように、平成12年6月に、深層水を有効活用して事業化を促すということで富山県深層水協議会がつくられております。  協議会では、平成12年度には、富山の深層水を使った商品の公認ブランドマークを制定しまして、現在、115の商品で活用されているところでございます。また平成13年度からは、毎年、県内や首都圏で深層水フォーラムを開催しまして、深層水利用企業の開拓や関連商品の販路拡大を行っております。  最近の新たな取り組みといたしましては、平成20年度から大手小売店のインターネット販売によります販路開拓、また21年度には新たにマスコットキャラクターや持ち歩きやすいハンディ型のカタログを作成しまして、イベントや展示会等でPRしているほか、パッケージデザイン相談会も開催いたしております。また平成22年度には大型小売店仕入れ担当者との商談会の開催や、高速バスへの車体広告なども実施をいたしております。  今年度におきましては、富山県の深層水のPRを兼ねまして、深層水の認知度や深層水に期待する分野に関するアンケート調査を実施し、会員企業の商品開発に役立てていくことといたしております。 113 上田委員 ありがとうございました。  以下、具体的な個別論に入っていきたいと思います。  当然、深層水は海水でありますので、水産分野への利活用が進められているわけでありまして、何点かお尋ねしたいと思います。  知事の答弁にもありましたように、水産分野においては、トヤマエビの種苗生産であるとかサクラマスの親魚養成、マダラの肥育、カガバイの稚貝生産などが行われてきておりますけれども、水産研究所や栽培漁業センターでの活用も含めて、今日までの水産分野での海洋深層水の利活用の成果と今後の取り組みについて農林水産部長にお伺いします。
    114 寺井農林水産部長 県の水産研究所におきましては、海洋深層水の持つすぐれた特徴を生かしまして、委員から御紹介いただきましたような、さまざまな研究に取り組んできております。具体的な成果を御紹介いたしますと、サクラマスについて、親から大量に卵を確保することが可能になりまして、実際に各内水面漁協のふ化場に卵を供給しております。ベニズワイガニにつきましては、長期間飼育、観察することによりまして、世界で初めて海底における成長プロセスや脱皮の状況を水槽内で確認しており、資源管理に活用いたしております。  今後の計画としては、昆布の生産は海水温の低い北海道と東北の一部でしか行われておりませんが、昆布の食文化が進んでおります富山県で生産できないかと考えまして、まず深層水で昆布の種苗を育成し、それを用いて海水温の低い期間に富山湾で養殖して大きくする技術を開発中であります。  また、市場価値の高いアカムツ──ノドグロでございますが、これは冷水性でもありますので深層水を使って大量に種苗生産し、栽培漁業の対象にできないか研究していきたいと考えております。  また、氷見の栽培漁業センターが施設の老朽化と夏場の海水温の問題がありますことから、ヒラメの種苗生産は、深層水を利用し水温管理ができる滑川に一本化して生産を拡大することとし、施設の整備を進めることにいたしております。 115 上田委員 今ほど述べられましたし、知事の答弁にもありましたけれども、私の出身の入善町においても、全国で初めて海洋深層水を利用してのアワビの養殖をやっております。今日まで入善漁協、いわゆるJF入善が全国初となるアワビ養殖事業に取り組んでまいりました。県からもしっかり応援をいただいておりますけれども、その実績と今後の県の取り組みについて、農林水産部長にお尋ねします。 116 寺井農林水産部長 まず委員からもお話がありましたとおり、入善漁協のアワビ養殖事業につきましては、国、県の補助事業を活用しまして、平成14年度から、海洋深層水を利用するという点では全国初となりますアワビ養殖を実施しております。  しかし、開始早々の平成15年度に、ろ過設備が十分に機能しなかったこと等によります、へい死や成育不良が発生したことや、アワビを成長させるためには深層水の水温を上げる必要がありますが、平成17年度には燃油が大変高騰したことによりまして、事業を一時縮小しておりました。  こうした問題に対処するため大変知恵を絞りまして、平成20年度から水槽を循環型飼育システムに改修しますとともに、隣接しております米飯製造企業の冷却水として深層水を利用し循環させまして、深層水の加温に要する燃料費を大幅に下げることが可能となりましたことから、22年度からは本格稼働いたしております。  アワビの販売個数も、これらの対策を実施する前の平成20年度は約2万8,000個でありましたが、22年度には約3万5,000個に増加しておりまして、今後さらなる生産、販売の拡大を計画しております。  県としては、これまでも農林水産公社の栽培漁業センターからアワビの種苗を供給いたしますとともに、水産研究所による技術的な助言指導を行ってまいりました。また、魚のブランド化の一環でPR経費に助成しておりますほか、明日のとやまブランド育成支援事業にも選定をするなどの支援を行っております。  今後とも地元入善町とも連携しながら、深層水アワビの生産、販売が伸びていきますように漁協に対する支援を行っていきたいと考えております。 117 上田委員 今ほどの答弁にもありましたけれども、やはり深層水を使っての全国初の養殖ということもあって、技術的に確立されていないことも多々あったと思います。当事者はもちろんでありますけれども、県や町など、さまざまな方に大変御尽力をいただいて、今日にたどり着いております。そして今日たどり着いた先が、部長の答弁にもありましたけれども、明日のとやまブランド育成支援事業対象品となった。これは、しっかり頑張れば富山県推奨とやまブランドになれるものなのだと考えておりますので、今後も御指導いただきますようお願いしたいと思います。  次は、海洋深層水を利活用した農業分野について、農林水産部長にお尋ねしたいと思います。  高知県を訪ねた際、たまたま高知県知事のアポをとることができまして、知事とも話をすることができました。  やはり高知県はもとより園芸王国でありますので、ナス、トマトなどに対して、従来から海洋深層水を活用して作物をつくっていました。今回初めて聞いたのが、深層水から塩をとった後に出てくる、にがりでありますが、にがりを田んぼにまいているという話も聞きました。農業の分野において新しく取り組んでいこうという姿勢を、しっかりと見た思いであります。  また、海洋深層水からミネラル調整液が抽出されるそうでありますが、それを利用して園芸への取り組みをしっかり進めていくというのが高知県の考えでありました。  後ほど話をさせていただきますけれども、私は今後の深層水の利活用においては、農業分野は、大きく伸ばしていかなければならない分野だと思います。農業分野において海洋深層水を利活用した今日までの取り組みと今後の取り組みについて、農林水産部長にお伺いします。 118 寺井農林水産部長 農業分野での活用の事例といたしましては、現在、小矢部市のトマト水耕栽培農家におきまして、養液に深層水を混ぜて、味が濃くて糖度の高いトマトを生産し、深層水トマトといった商品名で販売しておられます。また、射水市のナシ農家では、深層水を葉っぱの表面に散布して糖度の向上に活用している事例もございます。  食品加工の分野では、深層水協議会のホームページにおいて現在46件紹介されておりますが、例えば、食品研究所や農林振興センターが県内の企業や農産加工グループと共同して開発したものとして、大豆や米を深層水に浸してうまみを強調した特選味噌、それから大豆や里芋などを深層水で水煮した食品などもございます。  さらに、県の農林水産総合技術センターにおきましては、深層水の豊富なミネラル成分に着目した稲の種もみの消毒への利用など、これまでも開発を行ってきておりますが、現在は、食品研究所でも、山菜の水煮加工への利用の研究を、また園芸研究所においては、ブドウに深層水を散布して糖度や色をよくする研究などに取り組んでおります。  今後とも農業分野の6次産業化の観点も含めまして、海洋深層水の特長を生かして、付加価値の高い農業生産に結びつくように努めていきたいと考えております。 119 上田委員 農林水産部には農林水産技術センターがございまして、その中に農業研究所であるとか、園芸、果樹、食品、畜産等の研究所がございます。当然、未知のものを新たに発見する、発明することは大変御苦労も多いかと思いますけれども、しっかり対応していただければと思います。  また、米づくりに特化している富山県農業の今後でありますけれども、農林水産部においては、経営体を複合化していくことにより足腰の強い富山県農業をつくっていくのだということで、例えば1億円産地づくり支援事業をやっておられますが、私はこれを大変高く評価しています。  しかしながらその一方で、2005年から人口がどんどん減少してきているこれからの日本を考えた場合に、その流れをとめることは、なかなか難しいのだろうと思います。人口が減少していく、その一方で、それに拍車をかけるように少子化、高齢化がどんどん進んでいく。これは、私は日本人の胃袋が相対的に小さくなってきているということだと思います。  となると、食料自給率を上げることも大変結構でありますが、胃袋が小さくなってきている中、消費者の方々に購入していただけるような、いわゆる付加価値のついた農作物をつくっていく必要性もあるのだろうと思います。いわゆる深層水を使った栽培の試験研究をより一層行っていく、そして生産の現場に引き渡していくことが大切ではなかろうかと思います。  私は技術者ではありませんので、単なる思いつきと思われても仕方ありませんけれども、具体的には、水耕栽培も1つの方法だろうと思います。もちろん大前提として、試験研究として科学的な根拠をしっかり持った上で提供することが大事だと思いますけれども、深層水はミネラルが豊富でありますから、水耕栽培も今後の新しい富山県農業のあり方の一つなのかなと思います。  たまたまきのう、ある会社を訪ねました。先般、地元のテレビ局でも放映しておりましたので、見られた方もおられると思いますけれども、異業種で水耕栽培に取り組んだ会社がございました。スマイルリーフスピカという会社であります。本業は交通安全関係の信号機であるとか標識とか、そういったものに携わっている企業でありますけれども、その会社を設立されて、無農薬、高品質、安定供給、衛生的をキャッチフレーズにした、いわゆる人工の光である蛍光灯と培養液によるレタスとハーブの生産工場でございます。  私は、きのう見てきましたが、知事も視察されたことがあると伺っております。これも、熱源として深層水を利用する、あるいは水耕栽培の水の部分として利用するといったこともあろうかと思っています。  具体例として申し上げましたけれども、やはり水耕栽培も新しい富山県農業をつくっていくための一つの武器なのかなと思っておりますので、部長もまた見ていただくなりしっかり研究していただいて、これからの富山県農業のために御尽力いただければと思います。  次に、海洋深層水の教育分野における利活用について、寺林教育長にお尋ねしたいと思います。  県立入善高校の農業科の生徒は、平成17年から、それぞれの年度ごとにテーマを決めて、深層水が農業に利活用できないかということで取り組んでこられました。具体的には、トウモロコシ、ミニトマト、地元特産の入善ジャンボスイカであるとか、あるいは、交流がある中国の哈密市でつくっているハミウリといったものの栽培研究に取り組んでこられましたけれども、県立入善高校農業科における海洋深層水の利用研究について、その実績をどのように評価しておられるのか、教育長にお尋ねいたします。 120 寺林教育長 委員からお話がありましたとおり、入善高等学校農業科におきましては、課題研究で海洋深層水を利用しました農作物の栽培をテーマに、トウモロコシ、トマト、ハミウリなど7種類の農作物にさまざまな濃度の海洋深層水を与え、生育や果実の糖度上昇の効果を研究しております。  ミニトマトの研究におきましては、海洋深層水原液を5倍または10倍に希釈したものを、それぞれ株元に1日1リットル与えまして、草丈、果実の大きさと糖度を調べ、深層水原液を与えた場合、糖度8を超える果実が得られることを明らかにしたところであります。  このほかトマト、メロンでも海洋深層水を与えることで果実の糖度が上がる濃度を実証しておりまして、農業クラブ全国大会を初め、県大会や町のイベントなどで地域の皆さんに成果を発表しております。これらの研究成果は入善町海洋深層水課に提供され、地元の高校生が海洋深層水を農業に利用できることを実証したことで、大変深く感謝されているところであります。  このように未知の分野について研究を深め、新しい、より価値の高い作物をつくることへの喜びを感じることで、将来、職業を通じて挑戦しようとする意欲を高め、産業人としての資質の向上につながったと考えております。  今後とも、入善高校生が海洋深層水の利活用について研究を深め、地域産業の振興に直結するような、さらなる成果を上げることを期待しております。 121 上田委員 ありがとうございました。  当然、高校生の研究も大切でありますが、最後に教育長が述べられたように、やはり生産の現場で使われていくことも大切だろうと思います。農業生産の現場にどのように生かされてきたのか、教育長にお願いいたします。 122 寺林教育長 入善高校は研究成果を踏まえまして、生徒が実習で栽培した海洋深層水を利用したミニトマトを町民に販売したところ、甘くて大変おいしいと好評であり、一定の付加価値がついたのではないかと思っております。  こうした研究成果をもとに、地元トマト生産農家が海洋深層水を活用しましたトマトの生産に取り組みましたが、水耕栽培ではなくハウス栽培であるためコスト面で課題があり、商品化を断念し、現在、生産農家によって継続的に商品化されている事例はないと聞いております。  このため、現在、入善高校では、一般市民を対象に生徒が野菜等の栽培を教えます共学農園などの機会をとらえ、海洋深層水を農業分野で有効活用する技術をパンフレットを通して普及しているところであります。  これまでの研究成果が商品化される段階には至っておりませんが、地域ならではの素材を活用して付加価値を高める研究は大変重要であると思っておりますので、引き続き生産現場や地域と連携して入善高校での研究が継続されるよう、県教育委員会といたしましても支援してまいりたいと思っております。 123 上田委員 ありがとうございました。  やはり高校生における研究というのは大変すばらしいことだと思いますし、またそれが生産の現場に生かされるともっといいと思っておりますので、県内さまざまな職業科、中央農業高校等もありますので、高校生の研究の場に深層水を利活用していただければと思います。  次に、商工労働部長に、海洋深層水を利活用した企業立地、誘致の取り組みについてお伺いしたいと思います。  今日まで、商工労働部が中心となって年2回、富山と東京で深層水フォーラムを開催されるとか、あるいは平成17年から平成19年まで、新商品開発セミナーを行ってこられました。富山県は、先ほど冒頭で述べましたけれども、全国各地の深層水を取水している箇所と比較しても、立地のよさは大変定評があると思いますが、今日までの企業誘致、企業立地の実績と、今後の進め方について商工労働部長に伺います。 124 荒木商工労働部長 御紹介いただきましたように、毎年、東京と県内で、とやま深層水フォーラムを開催しまして、県内における新商品開発の状況等について紹介をしています。特に東京で行われますフォーラムでは、企業立地セミナーと同時開催して相乗効果を生かせるように努めているところでございます。  これまでに、深層水関連工場を増設した県内企業があるほか、入善町の海洋深層水企業団地におきまして、製塩工場や無菌化包装米飯製造工場が立地しているところでございます。  本県におきましては、大学や各種研究機関など産学官の連携によりまして、商品開発に向けた成分分析や効能等を研究分析する支援体制が整っていること、また、本県では飲料水、酒類、菓子、食品、調味料、化粧品、入浴関連商品など、多彩な分野の商品が開発されており、多様な業種が集積していること、さらに、先ほど委員から御指摘がありましたように、本県の取水施設は、離島や半島の先端等にある他県の取水施設と比べ、大都市圏への交通アクセスが大変よいことなどを、積極的にPRしながら、今後とも関係市町村と連携し深層水関連企業の誘致に取り組んでまいりたいと考えております。 125 上田委員 今ほど答弁をいただきましたけれども、商工労働部、特に商工企画課だと思いますが、平成17年から19年まで新商品開発セミナーを行っておられます。私は、これは非常にいい事業だったのだろうと思います。富山県の深層水はいいですよと、外に向けて宣伝することも確かに大事であるけれども、地元県民、地域の方々に、生活の中で深層水を利用していただくという観点から、私は新商品開発セミナーを復活させるべきではないかと思います。具体的には、市町村、商工会、JA、JFと連携して行うべきではないかと思いますけれども、商工労働部長の所見を伺います。手短にお願いします。 126 荒木商工労働部長 新商品開発のセミナーにつきましては、その商品をPRすることが主眼だったかと思いますが、協議会でいろいろ議論され会員の意見も踏まえまして、新たなPR方法ということでセミナーにかわるものを考えて実施しているところでございます。 127 上田委員 多分、質問と答弁がかみ合ってないと思うのですけれども、私が言ったのは、新商品そのものを宣伝することも大事だけれども、その一方で、富山県の県民の方々に、深層水はこうですよ、もう少し生活の部分でいろいろな利用のパターンはないですか、ということで地域の方々に知ってもらうことも大切なのではないかということです。  1つの切り口として、市町村、商工会、農協、漁協といったところと連携してやっていく。事業としてより深層水を広めるという意味で、新しい事業として、いわゆるリニューアルみたいな形でやったらどうかと提案させていただきましたので、新年度予算編成の際には、提案していただきたいと思います。よろしくお願いします。  次は、経営管理部長にお尋ねしたいと思います。  私も今日まで深層水をいろいろ調べてまいりまして、深層水の商品化、商業化、そして売上高に大変御協力をいただいているお二人の先生の名前を、いろいろなところで聞きました。高知県に行っても、その先生の名前を聞きました。  どなたかと言えば、県立大学の客員教授の古米先生と葭田先生であります。さまざまな地元の小さな個人商店の商品開発から、大きな分野の企業の商品開発等においても、県立大学の果たしてきた役割、特に古米先生と葭田先生──現在は客員教授のようでございますけれども──私は大変すばらしいと認識をしております。  そこで、県立大学の海洋深層水の基礎的研究における今日までの実績と、今後の取り組みについて伺いたいと思います。 128 出口経営管理部長 県立大学におきましては、平成8年度から海洋深層水の基礎的研究や利用促進のための応用研究などに取り組んでまいりました。具体的には、海洋深層水中の微生物から抗がん性作用などのある新規抗生物質を抽出する研究のほか、海洋深層水の殺菌や鮮度保存に関する研究、海洋深層水を活用した食品の開発研究、海洋深層水の健康増進に関する研究など、幅広い研究に取り組んできておりまして、これまでに6件の特許の取得もなされております。  また、最近、商品化された主な例としましては、海洋深層水を栽培に使用した糖度の高いナシですとか、海洋深層水と県内産の大麦を使用した焼酎などがございます。  現在、基礎的研究といたしまして、海洋深層水中の微生物の探索のほか、企業との共同研究などによりまして、深層水の食品分野への利用研究などに取り組んでいるところでございます。  今後とも県立大学におけるこれまでの海洋深層水に関する研究成果を生かしながら、引き続き研究に取り組んでまいりたいと考えております。 129 上田委員 ありがとうございました。  新商品を開発するにしても、企業を誘致するにしても、やはり基礎的研究が一番大切なのだろうと思います。今日までの取り組みに大変感謝するとともに、こうした基礎的研究は、人に帰属するものではなくて、やはり組織に帰属すべきものだと思います。こうした基礎的研究の蓄積と継続に、しっかり対処していただければと思います。  次に、厚生部長にお伺いします。  高知県、静岡県の方と話をしていて、深層水については、富山県は、医薬品、特に薬関係、健康医薬品関係、医薬部外品関係に力を入れていかれるのだろう。富山県はそこに強みを持っている。と言っておられました。  くすりの富山として、医療、医薬品、健康分野での産学官連携も含めて基礎的研究が重要と考えますが、今日までの衛生研究所、薬事研究所などにおける実績と今後の事業展開について、厚生部長に伺います。 130 飯田厚生部長 海洋深層水を活用しました医療、医薬品、健康分野におきます研究につきましては、これまで県立大学生物工学研究センターや衛生研究所、薬事研究所などにおいて、富山大学、また県内企業などとの連携のもとに、研究が進められてきたところでございます。  県の深層水協議会によりますと、医薬品、健康関係等の分野では現在、化粧品が37品目、入浴剤、健康食品なども同じく37品目販売されているとのことでございまして、例えば、県立大学と県内企業との共同研究による海洋深層水ゲルを配合した薬用石鹸でございますとか、特定保健用食品として許可を受けた清涼飲料水などが、既に商品化されております。  そして現在、県立大学の研究においては、スギ花粉症アレルギーの抑制効果などが期待されており、また、深層水由来の乳酸菌を活用した健康食品の開発が進められております。  また衛生研究所においては、水道水に比べ酸素消費量の増加でございますとか深部体温の上昇が見込まれます、深層水を活用した運動温浴などに関する富山大学との共同研究が行われております。  さらに薬事研究所においては、富山大学薬学部附属薬用植物園から提供を受けた麻黄、甘草に加えて紫根などの薬用植物の深層水を用いた生育研究が行われるなど、いろいろな分野での研究が進められているところでございます。  県といたしましては、今後とも健康の増進、また医療への貢献などを図るために、産学官が連携をしまして、本県の地域資源でございます海洋深層水を活用した、くすりの富山ならではの研究開発の推進に引き続き取り組んでまいりたいと思っております。 131 上田委員 やはり深層水の利活用については、今後、水産はもちろんでありますけれども、富山県において何を伸ばしていくかを考えると、私はやはり農業分野と薬の分野だと思います。富山県が圧倒的な力を持っているのは、私は医薬品あるいは健康関係の分野だろうと思っています。特に医薬品関係は、基礎的なデータや証明といったことがしっかりしていなければなりません。きょう研究して、あしたすぐ成果が出るというものではないことはわかっておりますけれども、しっかりそのあたりは対処していただければと思います。  次に、商工労働部長にお伺いします。  今、新しい総合計画が策定されておりますけれども、この海洋深層水は、まだまだ魅力的な未知の分野があろうかと思っておりますし、やはり、これだけ多くの税金を使って取水しておりますので、多分、県民の方々が思うのは、まだもっと可能性があるのではないか、もっとうまく利活用できるのではないかというのが、私は率直な思いだろうと思います。  新しい総合計画に海洋深層水をどのように位置づけていくのか、商工労働部長に伺います。 132 荒木商工労働部長 深層水につきましては、これまでも数多くの関連商品が開発、販売されておりまして、今後とも重要な資源であると考えております。  現在、策定作業を進めております新しい総合計画の中間報告案におきましても、現行計画と同様に、深層水につきましては成長ができる産業として位置づけを行っていくところでございます。  深層水関連産業の振興を図るためには、富山の深層水ブランドの確立や新商品の開発、販路開拓等を進めていくことが大変大事だと思っております。  今後とも、富山県深層水協議会など関係機関と連携しながら、富山湾の恵みであります深層水の活用を一層促進しまして、深層水関連産業が他の地域との競争に打ち勝って、富山県ならではの地域産業として根づくよう支援に努めてまいりたいと考えております。 133 上田委員 最後に知事に質問したいと思います。  私の能力不足もあって、限られた60分という時間では、なかなか深層水の魅力を語り尽くせないのでありますが、私もさまざまな人と会って意見交換をしてきて、まだまだ深層水は未知の部分が多くある、未知の可能性がたくさんあると思っています。  富山県には、全国に誇れる、しかも立地条件のいい海洋深層水が、滑川市と入善町にある。これは大変すばらしいことだと県民に対してしっかりアピールしていくことが大事だと思います。そして2つ目には、立地条件から考えてみると、やはり、医薬関係、健康関係を中心に企業誘致を進めていくことも大変大切なことだと思います。内に向けての動き、外に向けての動きもあります。  ただ、これは富山県単独でやっていたのでは、なかなか全国的なマーケットが広がらないだろうと思います。高知県の尾崎知事とも話をさせていただきましたが、高知県は富山県をよきライバルと見ている。アクアマリン計画のときから、また今日まで深層水の取り扱いをめぐっていろいろありましたけれども、そうした中において、お互いの意見が合ったのは、全体として深層水のマーケットを広げていかなければならないということです。同じパイを高知県と富山県で分捕り合う形ではなくて、パイそのものを広げていくことが必要だということで、意見の一致を見ました。  これは高知県だけではなくて、北海道や、島、アイランドにおいて海洋深層水を取水している鹿児島県や沖縄県においてもそうであります。やはり、取水している全国の知事、行政機関が連携して、深層水の魅力を外に向けてしっかりアピールしていくべきであると思います。これは県内に来られる方、県民の方に対してもそうであります。  今回、深層水が富山県内においてどれくらい宣伝されているのだろうということで、富山空港、CiCとか、いろいろなところを見て回りました。申しわけなさそうに片隅に置いてありました。もちろん、それぞれの商品はその商品の場所に置いてあるわけでありますけれども、深層水関連商品として置いてあるところは、数少なかったと思います。  こうした中において、今後、やはり外に向けて全国市場を拡大することが私は大切だと思います。そうした中において、深層水を取水している高知県、あるいは静岡県、北海道、沖縄県、鹿児島県であるとか、そういった県と連携して深層水のマーケットを拡大していくことが大切だと思いますけれども、知事の所見を伺いたいと思います。 134 石井知事 深層水の活用についての大変御熱心な御意見を、本当にありがとうございました。  富山県では、これまでに深層水関連商品が419品目販売されていますし、またお話にも出ましたけれども、肌に負担の少ない洗浄水とか、熟成期間を短くした焼酎とか、またラーメンとか、いろいろ着実に頑張っていただいていると思います。  お話のように内と外の問題があるのですけれども、富山県の深層水は、日本海固有水とも呼ばれており低温で安定していること、ミネラルが豊富でバランスがよいこと、また有機物や細菌類が非常に少なくて清浄だということ、よその県以上にすぐれた深層水だというところも大いにPRしなくてはいけない。そのために、首都圏などにおける深層水フォーラムとか、アンテナショップを活用したPR、観光雑誌、新聞への広告掲載など、努力したいと思います。  同時に、お話のように深層水全体のイメージアップ、マーケットの拡大も確かに大事でありますから、よその県と連携してやっていくということも大事で、去る7月には初めて5つの取水県市──高知県、石川県、沖縄県、新潟県の佐渡市ですが、これらが連携して首都圏アンテナショップ海洋深層水フェアを開催しておりまして、それなりの成果がありました。特に富山県の会場となったいきいき富山館では、フェアを開催した7日間で約2,100人の来場者があってにぎわったと聞いております。  今後とも富山県の深層水のよさもアピールして差別化も図ると同時に、おっしゃるように深層水のマーケットを拡大するために、よその県とも連携するということで、二正面作戦で頑張っていきたいと思います。 135 矢後副委員長 上田委員の質疑は以上をもって終わりました。  暫時休憩いたします。  休憩時間は10分間といたします。                     午後2時59分休憩                     午後3時10分開議        杉本正委員の質疑及び答弁
    136 高野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  杉本委員。あなたの持ち時間は60分であります。 137 杉本委員 今9月定例会は、我が自民党議員会の四方会長の代表質問から始まって、先ほどの上田委員の質問まで21名の議員が質問されました。今定例会の最後、22番目の質問者。紅白歌合戦で言えば、大みそかの最後に歌う大トリの歌手、昔なら美空ひばり。大相撲で言えば、千秋楽結びの大一番、横綱白鵬のような立場で質問できますことを大変光栄に思います。  7月の20日、21日、我が自民党議員会で、今回の大災害のあった東北、宮城県の石巻市、東松島市、七ヶ浜町へ視察に行ってきました。委員長、写真を見せたり配ったりしてもいいですか。 138 高野委員長 はい、許可します。 139 杉本委員 これは、84名の生徒と先生が死亡、行方不明になりました大川小学校のすぐ横にある、北上川にかかる新北上大橋です。海岸から8キロメートル上流にありますが、津波がこの川をさかのぼってきて、その勢いでフェンスもこんな状態に壊れています。  次の写真が大川小学校です。川の堤防より低いところにあります。  次は観光バスの写真です。特別変わったバスではありません。変わっているのは、バスが建物の2階の屋上に上っているということであります。津波の威力、怖さを改めて感じてまいりました。  津波対策について7点お尋ねいたします。  質問の第1点。東日本大震災における津波による甚大な被害が生じた事態を踏まえ、富山県では、沿岸地域における津波被害のシミュレーション調査を実施し、津波対策の拡充強化を図ることとしておられますが、富山県防災会議における現在の津波対策の検討状況について、知事政策局長にお尋ねいたします。 140 吉田知事政策局長 ただいま御紹介いただきましたように、東日本大震災におきましては津波が甚大な被害をもたらしたことを踏まえまして、県におきましては、5月から津波シミュレーション調査に着手するとともに、6月に県防災会議を開催し、8月には同防災会議の地震対策部会を開催しまして、津波対策の拡充強化など地域防災計画の見直しに取り組んでいるところであります。  8月に開催いたしました第1回の地震対策部会におきまして、各委員から、震災対策の見直しについて重点的に検討すべき事項に関し、さまざまな御発言をいただいたところでございます。その中の津波に関する主な発言を御紹介させていただきますと、幼いころからの防災教育が大切である。情報伝達体制の強化が必要である。比較的頻度の高い津波等に対しては、引き続き海岸保全施設の整備が必要である。といった御意見が出されたところでございます。  また、国におきましては、中央防災会議の専門調査会において、この津波対策につきまして議論をされているところであります。その中の議論といたしましては、超長期にわたる津波堆積物調査等をもとに設定される最大クラスの津波と、もっと頻度の高い津波──これは防波堤や防潮堤などの構造物によって侵入を防ぐとされておりますが、この2つに分けまして検討されております。  特に、最大クラスの津波に対する対策としましては、住民避難などのソフト面の防災対策を拡充する方向で、既に6月26日に中間取りまとめが出されておりますけれども、今月の28日には最終報告を取りまとめる予定とのことでございます。  県といたしましては、第1回の部会で委員からいただきました御意見や、こういった国の動向も踏まえながら、次回の第2回部会においては、防災教育の拡充や情報伝達体制の強化、海岸保全施設の整備、ハザードマップの見直しや津波避難施設の指定、整備などを中心に論点整理を行いたいと考えております。 141 杉本委員 富山県民の皆さん、特に沿岸部の皆さん方の関心は非常に高いものがあります。よろしくお願いしたいと思います。  質問の第2点目。富山湾沿岸市町では、津波が発生した場合に備えた避難訓練を実施すべきと思いますが、その実施状況はどうなっているのか、知事政策局長にお尋ねいたします。 142 吉田知事政策局長 沿岸の9の市町に確認いたしましたところ、今年度、市町村が実施します総合防災訓練において津波訓練の実施を予定しているのは、魚津市と射水市と氷見市の3市でございました。氷見市につきましては、県との合同訓練が予定されているところでございます。  また、この総合防災訓練のほかに、地域の自主防災組織や小中学校が主体となっての津波避難訓練も実施されておりまして、既に沿岸9市町村すべてにおきまして96カ所で実施済みで、64カ所が今後実施を予定しております。  なお、今後の本格的な津波訓練につきましては、今年度、県が実施しております津波シミュレーション調査結果を活用しまして、各市町村が避難場所や避難経路を記載した津波ハザードマップを作成し、その後、それに基づいて実施されるのではないかと考えております。 143 杉本委員 先ほど述べました、84名もの小学生と教職員が死亡、行方不明になりました大川小学校では、海岸から8キロメートルも離れているため、今まで一度も津波の被害に遭ったことがありませんでした。そのため、近くの人たちは、津波が川をさかのぼってくると聞いて、それを見にわざわざ川の堤防や橋の上に集まってきたそうであります。  大川小学校は堤防より低いところにありますので、本来ならば裏の山を登って逃げればよかったのですが、じいちゃんやばあちゃん、たくさんの大人たちが堤防のそばや橋の上に集まっていたので、そこが安全だろうということで、先生方がその場でそのとき相談して決めて、橋に向かって行列を組んで歩いていたところへ、川をさかのぼってきた津波が橋にぶつかり、堤防を乗り越えて生徒たちに襲いかかったということです。行列の後方にいた生徒何名かは裏山まで流され、かろうじて助かったということであります。  それに対し、今までちょくちょく津波が近くまで押し寄せてきていたほかの地区の小学校では、日ごろより避難訓練を定期的にしていたため、1人の被害者も出さなかった。日ごろから避難訓練をやっていたか、いなかったかが明暗を分けたとのことであります。日ごろからの避難訓練を行う重要さを、今度の東日本大震災に学ぶべきだと思います。  そこで質問の第3点目ですが、本県では11月に氷見市と連携して津波訓練を行うと聞いていますが、どのような内容なのか。また、その成果や課題を活用して、他の市町村の訓練等でも実践的な取り組みをすべきと思いますが、どうでしょうか。石井知事のお考えをお伺いいたします。 144 石井知事 東日本大震災では、津波被害が甚大でありました。そこで、対策としては大きくハードとソフトの両面があるわけですが、ソフト面の対策では、お話のように、やはり避難訓練を常日ごろ実践的にやっていくことが大切だと考えております。  この11月に、氷見市と連携して実戦的な津波避難訓練をやるのですが、その内容としましては、まず1つ目には、市町村による防災行政無線や広報車等を使った津波警報や避難勧告等の住民の皆さんへの迅速な情報伝達訓練。それから2つ目には、津波ハザードマップですが、これは氷見市では既につくってらっしゃいますので、これに基づく避難経路をたどった高台などの避難場所への住民による迅速な避難訓練。3つ目には、自主防災組織による高齢者や障害のある方などの災害時要援護者の避難支援訓練。それから4点目として、自衛隊、消防機関、警察、海上保安本部等の防災関係機関による捜索、救助訓練などを予定しております。  それぞれの訓練について、その成果や課題などを十分検証して、県の地域防災計画の見直しや今後の訓練に反映させたいと思っております。  また御承知のとおり、県では今、予備費を使って津波シミュレーション調査をやっている最中でして、今年度中に津波の到達時間、津波の高さ、それから津波の浸水域の調査結果をまとめまして、市町村に提供することにしております。  既に津波ハザードマップを作成されている氷見市も含め、市町村においては、この調査結果を活用していただいて、避難場所とか避難経路を記載した津波ハザードマップを新たにつくっていただきたい。既につくってらっしゃる氷見市でも、見直しが必要であれば見直していただくということで、お願いしようと思っております。  このハザードマップの作成に当たっては、これは市町村でまず考えていただかなければいけませんが、避難場所として高台を指定するか、あるいは、その適地がない場合には、いわゆる津波避難ビルの指定、整備に努めていただきたいと考えております。  県としましては、市町村が、このハザードマップを活用した訓練を実施する際には、先ほど申し上げましたが、ことし実施します津波避難訓練で得られた成果や課題などの情報も提供しまして、実戦的な津波避難訓練が実施できますように市町村と十分連携して、しっかり取り組みたいと思っております。 145 杉本委員 今ほど述べましたように、避難訓練を定期的に行うことは非常に大切なことだと思います。よろしく御指導のほど、お願いしたいと思います。  次に、土曜、日曜、祝日、夜間の避難対策についてお尋ねいたします。  津波からの避難に適した高台等がない場合は、小学校や中学校が津波避難施設に指定されることも多いと思いますが、津波の発生に備えて津波避難施設を早急に指定、整備する必要があると思います。富山市では25カ所の津波避難施設を指定していますが、小中学校も数多く含まれています。富山県内の指定状況と今後の見込みについて、知事政策局長にお尋ねいたします。 146 吉田知事政策局長 県の地域防災計画におきましては、市町村は海岸付近の津波の避難場所として高台を選定することとされておりまして、適地がない場合には、いわゆる津波避難ビルの指定、整備に努めることとされております。そして津波避難ビルを指定した場合には、施設管理者と休日夜間等の使用について協議し、その内容を住民に周知徹底することとされております。  こうした津波避難ビルを含む津波避難場所につきましては、現時点で、県内沿岸9市町村のうち3市町村において、55の津波避難場所が指定されておりますが、このうち24カ所が小中学校であります。  また、今後市町村におきましては、現在、県が実施している津波シミュレーション調査結果をもとにハザードマップを作成されることになると思います。その際には、津波の到達時間や津波高、津波浸水域等を踏まえまして、新たに津波避難場所の指定がされていくものと考えておりますので、小中学校につきましても、そういった中で津波避難場所に指定されていくのではないかと考えております。 147 杉本委員 この9月2日に、私が委員長をしております防災対策等特別委員会で、富山市沿岸部にある四方小学校、浜黒崎小学校、富山北警察署を視察してまいりました。  四方小学校は屋外階段がありません。また、屋外に落下防止の手すりが設置してありませんので、避難訓練は2階の廊下で行っているという話であります。ですから、屋上までの避難訓練は行われていません。  小中学校に屋外階段がなく屋内にかぎがかかっている場合、当然、土曜、日曜、祭日の夜間はかぎがかかっておりますが、そういう場合は速やかに屋上に避難することができません。また、屋上に手すりがない場合は、先ほど述べましたように日ごろの避難訓練が危険でできないし、東日本大震災の場合も、屋上の手すりにつかまって助かったという人もおられたと聞いております。  市町村が小中学校を津波避難施設に指定し、屋外階段や安全対策として屋上に手すり等を整備する場合、県は市町村を支援すべきだと思いますが、教育長のお考えをお伺いいたします。 148 寺林教育長 先般、文部科学省の有識者検討会において取りまとめました緊急提言では、学校施設の津波対策としまして、児童生徒の避難経路の整備や、地域住民の避難を考慮した屋外階段の設置、安全対策としての屋上の手すり設置などについて示されているところでございます。  既に県内におきましても、今後発表される県の津波シミュレーション調査の結果を踏まえまして、避難場所の見直しや屋外避難階段などの整備を検討すると表明している市町村もございます。屋外避難階段や屋上への手すりの設置を含めました小中学校における避難経路の整備につきましては、現在の国庫補助制度の中において財源措置が既になされているところであります。  今後、県教育委員会としましては、まず児童生徒の安全を第一に、地域住民の避難所であることも考慮し、早期に学校施設の耐震化の完了を目指しますとともに、津波シミュレーション調査の結果や地域防災計画の見直しを踏まえまして、学校の防災機能の向上について検討していくこととしております。  あわせて緊急提言を踏まえた国庫補助の拡充などについて国へ働きかけ、市町村を支援してまいりたいと考えております。 149 杉本委員 よろしくお願いしたいと思います。  また、今ほど申しましたが、海のすぐそばにある浜黒崎小学校も視察してまいりました。この学校には2階建ての校舎と4階建ての校舎があります。4階建ての校舎は屋外階段もついて屋上まで上れるようになっておりますが、耐震化が行われていないため、津波が来る前に地震で校舎が崩壊してしまわないか心配であるとの声もお聞きしました。  地震により津波が発生した場合、避難施設となっている沿岸部の小中学校を含む公立学校には、耐震化が行われてないところがあります。耐震化を早急に進める必要があると思いますが、教育長のお考えをお伺いいたします。 150 寺林教育長 委員が御指摘のとおり、津波発生時には沿岸部の公立学校が避難所として指定されている事例も多く、津波や地震に対して強い建築物であることが求められており、早急に耐震化を進めていくことが重要であると思っております。  県立学校の耐震化につきましては、厳しい財政状況ではございますが、Is値に建物強度を加味した本県独自の耐震化優先度に基づき、耐震性が低い建物から順次、耐震化を図ることとしており、平成27年度末までに耐震化が完了するよう取り組んでいるところでございます。  市町村立の小中学校につきましても、ほとんどの市町村において県の耐震化方針に準じて計画的に耐震化に取り組まれており、先般の県耐震化方針の前倒しなどを受けまして、既に小中学校の耐震化の前倒しを表明された市町村もあり、各市町村におきましても前向きに御検討いただいているものと考えております。  県では現在、県地域防災計画の見直しにあわせ、津波シミュレーション調査を実施しているところでありますので、今後、津波高、浸水想定図、被害想定を作成することとしております。  県教育委員会におきましては、この調査結果などを踏まえまして、引き続き県立学校施設の耐震化を推進するとともに、各市町村に対しましては、津波対策も考慮した早期の学校耐震化の完了について要請し、加えて予算確保を国に働きかけるなどの支援を行ってまいりたいと考えております。 151 杉本委員 よろしくお願いしたいと思います。  また、地震による津波被害が出た場合、当然、警察署は災害対策の拠点となるわけであります。視察してまいりました富山北警察署は、2階建てですので耐震性はありますが、岩瀬浜から約2キロメートル、海抜6メートルの場所に位置しております。津波が来た場合、水の下になってしまうことも十分考えられます。富山市の沿岸部の災害対策の拠点となる富山北署が、龍宮城みたいに海の中というのでは笑い話にもなりません。早急に建てかえすべきだと思いますが、どうでしょうか。警察本部長のお考えをお伺いいたします。 152 萓嶋警察本部長 富山北警察署は、海抜が約6メートル、庁舎は2階建てでございまして高さが約8メートルございます。委員が御指摘のとおり、耐震性がございますものの、大規模な津波が発生した場合、災害拠点施設としての機能に影響が生じることも考えられるところであります。  このようなことから、仮に現段階で富山北警察署の機能が津波で大きく影響を受けた場合には、一定の高さを有し、通信設備や必要な装備資器材などを備えております機動隊庁舎や装備センター、運転免許センターが富山北警察署管内にございますので、被害状況等を見きわめつつ、これらの庁舎を災害拠点施設であります警察署の代替拠点として活用することとしております。  また津波対策として、現在、県では、先ほどからお話にございます、富山県沿岸域で想定されます津波の高さや津波浸水想定図等の津波シミュレーション調査を進めていると承知しておりますので、この調査結果も今後の災害対策の参考にしたいと考えております。  なお、富山北警察署の建てかえにつきましては、先般の予算特別委員会でもお答えいたしましたけれども、県警察では、富山市内警察署の管轄区域のあり方について検討することとしておりまして、その結果を踏まえ、Is値が0.3未満の富山中央警察署、そして今お話のありました県下警察署で最も古い富山北警察の移転を含めた整備を、順次図ってまいりたいと考えおります。 153 杉本委員 よろしくお願いしたいと思います。  言い忘れましたが、この富山北警察署は建設後52年経過しております。全国的に見ても、最も古い警察署の一つに数えられております。世界遺産の候補か文化財の指定を受ければどうかとの一部の人の声もありますが、県民の命と生活を守る拠点である警察署が、龍宮城になったり世界遺産や文化財では似合いません。ぜひ早急に建てかえをお願いしたいと思います。  次に、小水力発電についてお伺いいたします。  福島第一原子力発電所の事故を受けて、再生可能エネルギーへの関心が高まってきております。富山県は立山の雪解け水で水量が多く、資源エネルギー庁の調査では、水力の埋蔵量に当たる包蔵水力は、岐阜県に次いで全国第2位。北陸電力本社の北側にあるビルは、百の川と書いて百川ビルでありますが、恐らく富山県に大きい川が100ほどあるという意味だと思います。また、オランダのデ・レーケが「これは川ではない、滝だ」と表現した常願寺川のように急流が多いのです。  小水力発電は新エネルギーの主軸。サッカーで言えば、なでしこジャパンのキャプテン、澤穂希さんみたいなものだと思います。主軸ということは一番大事ということです。キャプテン、4番バッターという意味です。  農業用水を利用した小水力発電の整備を推進すべきだと思います。本県では、平成21年度から平成27年度までに4カ所から5カ所以上を目標に整備に取り組んでいると聞いておりますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、農林水産部長のお考えをお伺いいたします。 154 寺井農林水産部長 農業用水を利用した小水力発電につきましては、本県は農業用水路網が整備されており、年間を通じて水量が豊富で安定した用水が確保できますことから、そのエネルギーを有効活用するとともに、土地改良区の農家負担の軽減にもメリットがありますので、これまでも積極的に進めてきております。  これまで、最近完成した庄川合口発電所や、企業局の仁右ヱ門用水発電所など現在9カ所で運転されておりまして、さらに現在、南砺市の山田新田用水発電所など3カ所において建設中であります。これらが完成すれば、今ほどおっしゃいましたように、21年度以降では合計5カ所の設置となります。  県内には、こうした農業用水を利用した小水力発電が可能と思われる場所は、以前の調査では30カ所近くあると把握しておりますが、実際に事業化していくためには、発電用水利権の取得に2年程度かかりますので、その手続の簡素化を図ることや、土地改良区が管理運営する場合の売電収入の充当範囲が限定されているため、それを拡大することなど、大幅な規制緩和を図ることが必要であると考えております。  こうした制約を緩和すれば、全国的にも再生可能エネルギーの開発が進むものと考え、県としましては、国に対して制度の見直しと整備に必要な土地改良事業予算の確保を強く働きかけております。また同時に、県内でも新規開発箇所の事業化調査を進めることとしておりまして、本年度は滑川市の鋤川用水で調査を行っております。  こうした取り組みによりまして、本県の特徴を生かした農業用水を利用した小水力発電を推進していきたいと考えております。 155 杉本委員 このことにつきましては、石井知事はちょくちょく東京の中央官庁に足を運んでおられると聞いております。そしてまた、富山県知事は非常に熱心な知事であるという声も聞いております。ひとつよろしくお願いしたいと思います。  次に、県営パークゴルフ場の建設について述べます。  石井知事の前の中沖前知事は情熱的な人で、3つの日本一を目標にされていました。その中の一つに、日本一のスポーツの県がありました。2000年国体のときも、私は議会で、今までどの国体もすべて主催県が無理をして優勝している。この際、優勝せずに2位か3位になったほうが全国的な話題になってよいのではないか。と言いましたら、中沖前知事はそこにおられて、そんなゆゆしきことはあってはならない。必ず日本一にならなければならない。と、そこの席で真っ赤な顔をして発言されたことが思い出されます。  大体、富山県の力は全国47都道府県中、人口は全国38位、県の当初予算など財政力は35位くらいで、総合力では下から数えて10番目、37番目ぐらいであります。  私もスポーツは大好きであります。テニスもやります、1年に2回ほどですが。ボウリングも、パークゴルフもやります。スポーツは県民に元気をもたらす。そのとおりだと思います。だけど福祉も、教育も、道路の整備も、学校の耐震化も、みんな大切であります。日本一のスポーツの県というのは、富山県の人口や財政力を考えると無理だと思います。国体の成績も37番ぐらいがちょうどよいと思います。そのかわり、私は、富山県は、日本一の健康・生涯スポーツの県を目指すべきだと思います。  いろいろな生涯スポーツがありますが、その中で一番中高年の皆さんに爆発的な人気があるのは、パークゴルフであります。私の家から2分ぐらいのところに、富山市パークゴルフ場があります。私の家の庭みたいなものであります。私も時間をつくって、よくこのパークゴルフ場でパークゴルフをやっております。土曜、日曜はできるだけ行くようにしております。そこで聞く話は、杉本さん、富山県でも4コース以上ある県営のパークゴルフ場をつくってください。ということであります。  パークゴルフは北海道が発祥の地であります。富山県は北海道に次いで、本州では一番パークゴルフの盛んな県であります。日本一の健康スポーツの県の象徴として、本州随一の県営パークゴルフ場を整備すべきだと思います。公認コースに位置づけられた県内のパークゴルフ場は最大でも3コースであるのに対し、北海道では185ある公認コースのパークゴルフ場のうち4コース以上のものが12カ所あります。中には7コース126ホールもあるパークゴルフ場もあります。  パークゴルフをしておられる皆さんは、ほとんど病院にも行かず元気です。私も頭ははげてつるつるですが元気です。元気な中高年を売り物にしております。私と同じ中高年の石井知事の考えをお伺いいたします。 156 石井知事 パークゴルフは年齢を問わずに手軽にプレーできるということで、大変愛好者も増えているわけです。  調べてみましたら、県内では、昨年は中高年を中心に年間延べ56万人の県民が親しんでいらっしゃる。また、日本パークゴルフ協会への登録会員数も、設立時と比べると約10倍の4,228名となっておりまして、大変活発に活動されております。  その整備の状況ですけれども、県内ではパークゴルフ場が県営で2つ、それから市町村で38、民間施設が2つで合計42施設であります。そのうち2コース36ホール以上の公認施設が6カ所あり、この施設を活用して、これまで例えば昨年の全国スポレク祭や、全国パークゴルフ交流大会などの全国大会を開催されておりまして、全国的にトップレベルの整備状況かと思っております。  かねてより委員から、4コース以上ないとなかなか全国的な大会が開きにくいというお話がありましたので、私も、そういうこともあるのかなと思って調べてみたのですが、昨年のスポレク祭の場合でも、例えば射水市には、下村パークゴルフ場と南郷パークゴルフ場と2つあって、これを効率よく活用されて全国大会を支障なく開催できたと聞いております。  お話のように、なるべく全国1番になれば一番いいのですけれども、おっしゃるように数よりは質の問題です。今お話のように、パークゴルフ場で数が一番多いのは北海道で、185の公認施設がありますが、そのうち道がつくった施設は3つしかありません。多くは市町村がつくっていらっしゃる。数から言っても、北海道は富山県と比べると面積が20倍、人口は5倍ですから、質的な面で数を比較すると、実は今でも富山県は日本一すばらしいパークゴルフ場の水準にあるということであります。  ただ、お話のように競技人口も大分増えていますから、これからも整備されることが望ましいのですが、幸い県内でも、例えば砺波市や朝日町で新たな整備あるいは拡張計画があると聞いております。全国的にも市町村が中心でやっていらっしゃいますので、できるだけそういう方向で県も協力できるところはしていきたい。  いずれにしても、スポーツ、レクリエーションを活発にして、できるだけ皆さんがいつまでも健康で、なるべく病気にならないようにする。スポーツをやっているから病気になりにくいという面と、病気ではないからスポーツができるという面の両方があると思いますけれども、生涯スポーツ県、これをしっかり頑張っていきたいと思っておりまして、委員の御意見も十分参考にさせていただきたいと思います。 157 杉本委員 知事は、県営のパークゴルフ場が2カ所あると言われたけれど、1カ所は健康プラザで、あれはもともとゲートボール場だったのですが、ゲートボールははやらないから、とにかくパークゴルフ場をつくりなさいと、私が最初に議会で言ったのです。県は、ゲートボール場を1カ所、パークゴルフ場を1カ所やっていた。そのうちに、ゲートボールは人気がなくてパークゴルフのほうがいいということで、2カ所にしたのです。だから狭いのです。ああいうところが県営パークゴルフ場というものでないですよ。  それで知事にお尋ねします。何回も私は言っておりますが、あなたは一度でもパークゴルフ場に行かれたことがありますか。 158 石井知事 前に、たしか委員のお手配というか御案内で、富山市のパークゴルフ場に行きました。それから健康プラザのそばのパークゴルフ場へは、私が自分で行っております。 159 杉本委員 知事はいつも現場主義と言っておられます。行ってこられたと言っても、1回行ったぐらいでは行った中に入らないと思うのです。それで、パークゴルフ場に私と一緒に行って、そこにいる皆さんの意見を聞いていただきたいと思うのです。  富山市営のパークゴルフ場は、聞きましたら年間利用者が7万人で、管理運営費もほとんどかかっていませんので、委託しておりますが赤字ではありません。  それで、これは県内だけではなく、県外からも人が呼べるのです。毎年、北海道へ三、四日行って、何カ所もパークゴルフ場めぐりをしておられる夫婦を何組も知っております。また先日も富山市営パークゴルフ場で、見たこともない顔の中高年の皆さんが20名ほどおられましたので、あなたたちは、どこの青年団ですかと聞きましたら、愛知県からバスに乗って来た老人会だということでありました。聞きますと、氷見の民宿に泊まって、前の日は下村のパークゴルフ場、そしてきょうはこのパークゴルフ場に来たのです。富山県は魚もおいしいし、パークゴルフ場もたくさんあるから、毎年こうしてパークゴルフ場ツアーで来ている。ということであります。  今、パークゴルフ場がたくさんあると言いましたが、大きな施設がないのです。大会があっても、1コースは一般客のためにあけておかなければいけないので、3コースの場合は2コースしか使えません。大体200人だと目いっぱいだと思います。  ここに7月24日に行われました北日本新聞社長杯パークゴルフ大会の新聞記事があります。今ほど知事も言われましたが、各市町村から272人に絞り込んだとのことであります。4ホールスタートでスタート地点ごとに各17組ありますが、最初のスタートから最後のスタートまで1時間20分かかりますので、もう少し広い施設をつくってくれという話なのです。  それで、4コースのパークゴルフ場なら3コースで試合ができて、300人くらいの全国大会ができると思います。年に何回も全国大会をやってもよいわけです。そんなに準備は要りません。人はたくさん集まってきます。全国から多くの人たちに来ていただき、富山のおいしい魚を食べていただく。  大体、定年を過ぎた人たちはお金もほどほどにありますし、暇がたくさんあります。ですから全国大会に来た人は、2日も3日もかけて県内各地のパークゴルフ場めぐりをされると思います。同じ中高年の石井知事、よろしくお願いしたいと思います。  最後に、県庁の職員の休憩時間について触れてみます。  ことしの夏に初めて、エネルギー対策として、県庁では職員の休憩時間を1時間ずらして午後1時から2時までに変更されましたが、その取り組みについてどのように評価しているのか、経営管理部長にお尋ねいたします。 160 出口経営管理部長 東日本大震災、福島第一原子力発電所の事故を契機といたしまして、全国的に電力の供給能力が低下し、この夏は徹底した節電の取り組みが求められました。北陸電力管内におきましても、電力供給の余力がわずかとなりまして、万が一にも供給力が不足する事態になりますと、社会的な影響が極めて大きいこともありまして、県では御指摘がありましたように、県庁節電アクションの一環として、北陸電力管内の電力需要がピークとなります時間帯の電力消費の抑制、いわゆるピークカットに寄与することを目的としまして、7月と8月の2カ月間、休憩時間の変更を実施いたしました。  この休憩時間の変更につきましては、電力不足への懸念から緊急に取り組んだものでございまして、県民の皆様や市町村などからは、特に変更直後の時期にはいろいろと苦情もいただき、実施期間中には御不便をかけた点もあったかと思いますが、6月当時の電力供給への危機感を考えるとやむを得ない、必要な取り組みであったと考えております。
     なお休憩時間の変更によりまして、8月における13時から14時までの間の本庁の電力消費量は、昨年の同時期と比べまして24.2%の大幅な減となりまして、ピークとなる時間帯の電力消費の抑制に多少なりとも貢献ができたものと考えております。 161 杉本委員 部長、そういうことを言われるけれど、これはあんまり評判がよくなかったのですよ。市町村の職員からも、また私個人にしましても、先日、昼食を食べて1時過ぎに市役所へ行って、その後県庁に来たら、部屋の電気が真っ暗。待てよ。この時間は職員の休憩時間だったなあ。と思いましたが、そこへ県民から電話がかかってくるわけです。職員の方は、電話を取らないわけにはいかないのです。だから昼食もそこそこにして電話の応対をしておられる。非常にかわいそうだと思いました。ですから、この変則的な休憩時間は、よく皆さんの意見を聞かれて、今度限りにしたほうがいいと思います。  それだけ申し上げまして私の質問を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。 162 高野委員長 杉本委員の質疑は以上をもって終わりました。  これをもちまして本委員会の質疑は全部終了いたしました。  委員各位におかれましては、長時間御苦労さまでした。  終わりに、本委員会の運営に終始御協力を賜りました議員各位、県当局並びに報道関係の各位に対し深く敬意を表します。  これをもって平成23年9月定例会の予算特別委員会を閉会いたします。                     午後3時59分閉会 Copyright © Toyama Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...