富山県議会 2010-11-01
平成22年少子高齢対策特別委員会 開催日: 2010-11-01
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少子高齢社会に係る総合的な対策について
(1) 報告事項
熊野知事政策局課長
・県民参加型の「
子育て支援の
気運醸成キャンペー
ン」の実施について
(2) 質疑・応答
島田委員長 報告事項に関する質疑及び
少子高齢社会に係る総合的な対策についての質問に入ります。
なお、事前に御案内したとおり、質問に当たっては、
執行部出席者の分掌事務の範囲内でお願いいたします。
質疑・質問はありませんか。
2
山本委員 お疲れさまでございます。
先月の26日に、
民主党政府が進めます子ども・子育て新
システム検討会議作業グループの第8回の会合が行われました。政府は、今これを推し進めようとしておりますが、さきの6月の定例会でも意見書が出されました。
厚生労働省や
文部科学省など複数の所管にまたがる政府の
子育て支援の推進体制の財源を一元化する、あるいは地域の実情に応じた施策を実現するためとして、保育の実施を初めとする
子育て支援に関する権限と財源を地方にゆだねるといったことを柱とした新
システムでございます。
よい
うたい文句がたくさんある一方で、地域間で財政状況に格差がある現状で、今これを無理に推し進めると、財政に余力のない地方自治体では、保育所の運営費の削減や安易な詰め込みなどで、
サービスの低下につながっていくのではないかという問題があります。また、地域の実情や利用者のニーズに応じて地方がそれぞれ創意工夫するというのはとてもよいことなのですが、その土台の部分で責任があやふやになったりはしないか。あるいは、財政的な基盤はどこが保障するのかというような、いろいろな問題がまだ解決しないままに進められていて、拙速に結論を出すことに危惧の感を持つわけでございます。
この中身については、これからの議論にしたいと思いますが、仮にこの子ども・子育て新
システムが導入されたとしたら、本県ではどのような影響が出ると考えておられるのか、
熊野知事政策局課長にお聞きしたいと思います。
3
熊野知事政策局課長 お答えいたします。
本年6月に子ども・子育て新
システム検討会議がまとめました
基本制度案要綱によりますと、子ども・子育て新
システムは、1つには、すべての子どもへの良質な成育環境を保障し、子どもを大切にする社会。2つには、出産・子育て・就労の希望がかなう社会。3つには、仕事と家庭の
両立支援で、充実した生活ができる社会。4つには、新しい雇用の創出と、女性の就業促進で活力ある社会を実現するために、幼稚園と保育所の一体化、多様な
保育サービスの提供、ワーク・ライフ・バランスの実現など、子育てを社会全体で支援するため、制度、財源、給付を一元化しようとする包括的、一元的な
システムでありまして、平成23年通常国会への法案提出、25年度の施行を目指すとされているところです。
国では、この新
システムの構築によりまして、新成長戦略と連携した新たな市場と雇用の創出を図るとともに、地域主権を前提とした住民の多様なニーズに応える
サービスを実現するため、
基礎自治体である市町村を新
システムの実施主体といたしまして、1つには、新
システムに関するすべての子ども・
子育て関連の
国庫補助負担金、
労使拠出金等からなる財源を一本化し、市町村に対して包括的に給付する子ども・
子育て包括交付金(仮称)の導入。また、2つには、地域の実情に応じた
現金給付と
現物給付の組合せ(配分)や
給付メニューの設定(選択)。3つには、
現金給付・
現物給付の
一体的提供。4つには、
サービスメニューの多様化。5つには、
幼保一体化、これは幼稚園と保育所を、
認定こども園の垣根を取り払って、新たな指針に基づいて幼児教育と保育をともに提供するこども園(仮称)に一体化するというもの。これらを実現し、国や
都道府県等は、市町村が実施する事業を重層的に支援するという制度設計を検討しているところです。
具体的な制度の内容等がまだ不明なため、本県への影響につきましては、今の段階では何とも申し上げられないわけですが、例えば
サービスの実施における市町村の裁量が拡大することによりまして、地域の実情に応じた施策展開がしやすくなる一方、規模が異なる市町村の間で子ども・
子育てサービスの地域差が拡大するおそれはないか。また、例えば
幼保一体化につきましては、幼稚園や保育所など、それぞれの立場から十分議論がなされることが大事であり、混乱が生じないようにしていただきたいと考えているところでございます。
この新
システムにつきましては、現在、国におきまして、子ども・子育て新
システム検討会議の
作業グループのもとに、基本制度、
幼保一体化、
こども指針(仮称)の3つの
ワーキングチームが立ち上げられまして、検討が始まったところでございます。今後、これらの
ワーキングチームにおいて検討が進められるとされておりますことから、県としましては、今後とも、これらの
ワーキングチーム等での議論を注視しながら、情報収集に努めてまいりたいと考えております。
4
山本委員 ありがとうございます。
国は、新
システムの制度設計を担うとともに、市町村への子ども・
子育て包括交付金の交付など、制度の円滑な運営のために必要な支援を行う。都道府県は、
広域自治体として、市町村の業務に関する広域調整や市町村に対する情報提供など、市町村における制度の円滑な運営のための必要な支援を行うとともに、子ども・
子育て支援施策のうち都道府県が主体となって行う事業を行うことになっております。そして、市町村の権限や責務のところでは、今ほどお話がございました
現金給付・
現物給付のお話があるわけでございます。まことに
うたい文句はすばらしいわけです。
給付の仕組みのところなどでは、利用者が
サービスを選択可能な仕組みとするため、市町村の関与のもと、利用者と事業者の間の
公的保育契約制度を導入する。要するに、
保育事業者と保育を求めようとする人が直接契約しなさいということになるわけです。また、必要な給付の保障責務や利用者の支援など市町村の責務として明確化を図るということで、要するに、給付の保障責務や利用者の支援は、まるっきり市町村にお願いするということでございます。
また、市町村は子ども・
子育て特別会計をまずつくらなくてはいけないということです。その特別会計において、子ども・
子育て包括交付金と地方からの財源を合わせ、地域の実情に応じ、市町村が給付を行うということになっています。しかし、
事業費拠出のあり方は、社会全体で子ども・子育てを支える視点や
両立支援における企業の果たす役割を踏まえると。どう言ったらいいのか、全体のイメージが、こういう感じなのだということがなかなかイメージしにくいことがたくさん書いてあるように感じます。そういうことを取りまとめるために、国の責任とか、
幼保一元化とは、保育の問題なのか、教育の問題なのかということの国の指針を出すという意味で、
こども指針がつくられようとしているのだろうと思うのですが、これも今の段階ではなかなか難しいのかなと思います。
これを見ると、
子ども家庭省を新しくつくることも検討したいということです。今までは、各省庁から来ていたものを、1つの特会にして、そこでまとめてやると。市町村のほうにも、その受け皿をつくってやりなさいということで、大幅に変更することになって、市町村の裁量はもちろん拡大することになると思います。でも、富山県内でも、既に保育料などで格差が見られます。これらがさらに拡大するおそれもあると思っています。
ここに制度設計のイメージがあります。ほとんど国と市町村が直接やる。都道府県については、
市町村支援事業、
社会的養護などの
都道府県事業というように、2つだけ少し書いてある。あとは個人給付のところで、
子ども手当や一時預かりなど、県が後ろから少し出してやらなければいけないような給付のところだけが書いてあります。
そういうことになると、地域の裁量が増加して、市町村は、それぞれの市町村の実情に合ったというか、実情に合わせざるを得ないようなやり方になっていくのだと思いますし、そのような状況の中で、都道府県のかかわりがより薄くなっていくわけですけれども、お金だけは格差是正のために出さなければならない状況になるのではないかと懸念するわけですが、この辺についてどうお考えなのか、
熊野知事政策局課長にお伺いします。
5
熊野知事政策局課長 お答えいたします。
委員が御指摘のとおり、子ども・子育て新
システムでは、市町村が
現金給付と
現物給付の組み合わせや
給付メニューの設定など、自由度を持って地域の実情に応じた給付を設定することとされているところでございます。
また、新
システムに関するすべての子ども・
子育て関連の
国庫補助負担金、
労使拠出金等からなる財源が一本化され、市町村に対して包括的に交付されます子ども・
子育て包括交付金が導入されることになっています。
一方、都道府県は、市町村におきます制度の円滑な運営のための必要な支援を行うとともに、
社会的養護などの事業も行うこととされております。また、市町村への子ども・
子育て包括交付金にも都道府県が一定の財源負担を行うことが検討されていると聞いているところです。
ただ、具体的な都道府県の役割ですとか、費用負担の考え方、規模につきましては、まだ明らかになっていないところでございまして、今後の
ワーキングチーム等での議論を注視してまいりたいと考えております。
6
山本委員 ありがとうございます。
新
システムの目玉の
幼保一体化、これは
自民党政権下でも
幼保一元化ということで、今は一体化という言い方をしているようですけれども、それぞれが長い歴史を持って、それぞれの文化の中でやってきたわけで、一体化と言っても、それはなかなかうまくいかない。この流れは今も変わっているわけではなくて、
子どもたちに何を施すのかという明確な指針が立たないと、2つを1つにするのはなかなか難しいかと感じています。
そして、そのことと同時に、先ほど申し上げましたが、事業者と親御さんが直接契約することになるということで、自分で自分の子どもを入れる園を探すという形になる。それに加えて、新しい公共という考え方があって、NPOとか民間の企業が保育の分野にも参入することができるようになるということです。
保育サービスは、ある意味では充実するかもしれませんが、どこかでしっかりと地方の
保育システムをどうするのかということを考えておかないと、すべてを競争原理にさらしてしまうと、やはり濃淡が出たり、格差が出たりするのではないかという気がしています。
さらに保育士さんの適正な処遇ということもきちんと確保されるのかという部分もあります。何か保育ママみたいな制度で、保育をする
お母さん方に交付金を入れて、保育ママになってもらうということも考えておられるようですが、そういうことできちんと保育士の適正な処遇とか保育士の確保が本当にされるのかという心配もあります。
ベネッセコーポレーションの調査では、地方の人が保育園や幼稚園を選ぶときに、一番何を考慮するかというと、実に8割の方が家に近いことを挙げています。これはなぜかというと、子どもが交通事故に遭わないかということを一番心配するということで、近いことをやはり一番望んでいるわけです。そうすると、規模は小さくても、たくさんあるほうが、それを担保できるわけです。でも、競争原理にさらされていくと、やはり集約されたりするのではないかと思っています。
そのようなことを考えると、やはり国の制度は国の制度で、いいところは伸びるように、地方の裁量でやらせていただけるのはありがたいことだと思いますが、
肝心かなめの一番大事な
子どもたちの福祉的な環境をしっかりと整えていくことが確保されないようになると、とても困ったことになるのではないかと思っています。
そして、もう1つ、先ほどの課長のお話にもございましたが、出産・子育て・就労の希望がかなう、仕事と家庭の
両立支援、女性の就業促進ということで、子どもによい環境を与えるということもありますが、ちょっと言い方は悪いですが、女性がもっと働けるようにということに重きが置かれ過ぎているのではないかというような懸念もあるわけです。そのようなことも含めて、今後、富山県の保育がしっかりと担保されていくように、国の動きを注視しながら、言うべきことは申し上げていかなければいけないのではないかと思うのですが、この辺のお話をお聞かせいただきたいと思います。
7
須河児童青年家庭課長 今ほどの熊野課長の答弁にもございましたように、現在、
ワーキングチームが3つ立ち上げられておりまして、基本制度と
幼保一体化と
こども指針の3つの
ワーキングチームで議論が始められたところでございます。
今、委員から御指摘のありました保育、幼児教育のあり方につきましては、主にこの
幼保一体化の
ワーキングチームで議論が進められていくことと考えております。また、国、都道府県、市町村の役割分担につきましても、これらの
ワーキングチームの中で今後検討を進めるということにされているところでございます。
この子ども・子育て新
システム制度案要綱の決定を受けまして、
全国知事会では既に7月16日付で提言を行っております。5項目にわたる提言となっておりますが、例えば全国一律の
現金給付は国、
サービス給付は地方で行うことですとか、恒久的・安定的な財源確保と地方の創意工夫を可能とする制度改善を行うことですとか、地方と十分協議を行うことなどでございますが、こういったことで地方としての意見を既に表明している状況でございます。
また、この3つの
ワーキングチームのうち、基本制度の
ワーキングチームと
幼保一体化の
ワーキングチームにつきましては、
全国知事会からも
高知県知事がメンバーとして参加をしておられまして、地方代表としての意見を述べていただくことになっております。
県としましては、この子ども・子育て新
システムの導入が結果的に地方の保育の質の低下を招いたりすることのないように、
全国知事会を通じまして、あるいは個別にしっかりと今後要望してまいりたいと考えております。
以上でございます。
8
山本委員 ありがとうございます。
先ほど説明がありましたように、
作業グループが立ち上がって、1月には
法律案大綱ができて、3月上旬には法律案として国会に上がっていくということです。この間、今ほど御答弁にありましたとおり、地方の意見を十分に聞く機会がどの段階で持たれるのか、とても不安な思いをしております。そのあたりをしっかりと富山県のことを申し上げて、やっていただけるようにしていただくことを強く要望して、質問を終わりたいと思います。
9 湊谷委員 きょうは
雇用対策等について、
商工労働部ではなく、
県教育委員会に高校生の問題について伺いたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。
先般、
新卒者就職応援本部が設置されまして、新卒支援宣言なるものが採択されております。
富山労働局を中心にして、県からは
商工労働部なり、
県教育委員会などが参加されているわけでございますが、こうした宣言を採択して、来春卒業予定の学生に対する支援を強化していこうというほどに、現状は依然として厳しい雇用情勢にあるということだろうと思っているわけでございます。
その中身を見ておりますと、学校や行政が取り組むこととして、中小企業の情報等を十分に伝えて、
地元中小企業とのマッチングを図ろうということが強調されておりますし、
就職支援アドバイザー等を活用した求人の開拓、さらに担当者制による個別の支援の強化ということがうたわれております。私はそれを見ておりましても、この二、三年来の厳しい雇用情勢の中で、そうした結果を踏まえて、来春卒業予定の学生に対する積極的な支援の展開を図っていこうということなのだと理解をしているのでありますが、まず、この点について
県教育委員会の見解を伺いたいと思います。
10
山崎県立学校課長 お答えいたします。
さきの
新卒者就職応援本部会議においても
いろいろ話があったわけでありますけれども、来春
高校卒業予定者の
就職内定状況についてですが、9月末現在、県及び県教委の調査によりますと、本県県立及び私立高校を合わせた全体の内定率は56.8%となっております。また、前年同期との比較においては、県立高校に関しては9月末現在61.6%となっておりまして、前年同期の50.9%に比べ10.7ポイント高くなっているものの、全体としては依然として前年同様厳しい状況にあると考えております。
そうしたことから、これまで各校においては、年度当初から全校体制で企業訪問、あるいは生徒・保護者を対象に進路相談を実施しているほか、
県教育委員会においても、経済団体に対する求人確保の要請、それから、昨年度から配置している
就職支援アドバイザーの配置期間の拡大、また各高校の
進路指導主事と
就職支援アドバイザーによる連絡会議の開催、
就職支援アドバイザーや
就職支援教員とハローワークの
高卒就職ジョブサポーターによる
担当者会議の開催など、支援に努めているところであります。
今後、各高校においては、未内定者に対しまして詳細な企業情報の提供ときめ細かな進路相談を行うとともに、さらに支援を継続していきたいと考えております。
11 湊谷委員 今、課長から県立、私立をあわせた状況についてお話をいただきました。私は私立のほうの情報、資料は持ち合わせていないのでありますけれども、私が持っている資料によりますと、9月の内定率は59.7%、60%弱ですが、これは前年同期と比較いたしますと、10.2ポイント上回っている。そういう意味では、よくなってきているのだろうと思いますが、しかし、一昨年の平成20年9月は、まさに
リーマンショックが起きた時点だろうと思いますが、そのときと比較してみますと、約6ポイント弱低く依然として厳しい情勢であろうと思っております。
ことしの7月の新聞報道であったと思いますが、富山県の来春
大学等卒業予定者の
有効求人倍率は0.73倍、全国が0.67倍ということでありまして、まさにかつての
就職氷河期のレベルにあると、大変厳しい受けとめ方がされていたわけでございます。こうしたことも、今回、
新卒者就職応援本部が設置されたことの背景なのだろうと思っております。
これからの残りの期間は、大変わずかでありますけれども、こうしたことを考えていきますと、より具体的に、特に
就職支援アドバイザーなども配置されているわけですから、従前以上に積極的な就職支援をして、一人でも多く就職ができるようにしていただくことが必要ではないかと思うわけでありますが、この点について、もう一度伺っておきたいと思います。
12
山崎県立学校課長 今お話があったとおり、さきに労働局からも発表がありましたが、高校生に対する求人につきましては、9月末現在でございますが、1.03倍になっていると聞いております。そういった意味で、非常に厳しい状況にあると考えております。今ありましたように、
就職支援アドバイザー等の配置によりまして、
求人開拓等も含めていろいろ指導に当たり、就職を希望するすべての生徒の就職が実現できるように支援していきたいと考えております。
13 湊谷委員 今、課長がおっしゃったように、求人倍率が1.03倍に対して内定率が59.7%です。これをどう見るかということも1つあると思います。9月の求人倍率は前年度と比較すると、ほぼ変わらないのですけれども、一昨年と比較すると0.52ポイント低いということであって、大変厳しいものがあるのかなと見ているわけでございます。
そこで次は、今回、
新卒者就職応援本部が設置された折にも、これからの取り組みの1つとして提起されているのでありますけれども、
県内企業人材養成モデル開発事業が1つの柱になっているのではないかと思っております。
この1年間を振り返ってみて、いろいろとお考えを聞きたいと思っておりますが、これは、ことしの5月の段階でありますけれども、県立、私立を合わせて就職できないまま卒業している生徒は31人であります。私は大変なことだと思っているのですが、そこで、今言いました
県内企業人材養成モデル開発事業でありますけれども、このことについては、ことしの1月に
合同面接会が行われました。そのときに参加された方は合計で260名、大卒が155名で、高卒が45名、そして一般が60名でありました。結果、高卒45名のうち、二次面接を経て就職が決まったのは、わずかに1人でありました。これだけ深刻な雇用情勢の中で、この結果には大変疑問に思っているわけでございます。なぜだろうという思いをしているのでありますけれども、先ほど言いましたように、5月の段階で県立、私立を合わせて31名の高校生が就職できていなかったという数字は、大変厳しく見ていかなければならないと思います。
この結果をどうだと課長にお聞きしても何ですが、何を言いたいかというと、受託企業の開拓は富山市の
商工会議所に委託しているということでございますので、9月にお訪ねしてみました。担当者からいろいろ伺いますと、やはり高校生の場合はいま1つ、面接会に臨む姿勢として、いささか懸念されるといいましょうか、ここはしっかりとした対応が必要ではないかと。ぜひそうしたことを考えてもらいたいというお話がありました。高卒の場合、45名の方が第一次
合同面接会に参加しているわけですけれども、学校としても、それから
県教育委員会としても、このことにどうかかわってこられたのか。そして、その結果が、45名のうちお一人だけが就職されている。このお一人は大変高い評価をいただいているようでありますけれども、このことについて見解を伺いたいと思います。
14
山崎県立学校課長 お答えいたします。
昨年度実施されました
県内企業人材養成モデル開発事業におきまして、受託指定された企業は22社だったかと思います。その22社中、高卒を募集対象として説明等を行った会社につきましては17社でありまして、本年1月に開催された採用選考のための合同企業面接会には、県立高校については4校9名が参加したところであります。会場においては、各校の進路指導担当教員、あるいは
就職支援アドバイザーが付き添い、生徒がより多くの企業と面談できるよう支援した結果、最終的には1名が応募し、内定したところであります。
採用実績が少なかったことにつきましては、昨年12月末段階におきまして就職未内定者の県立高校生は83名いたわけでありますが、そのうち、応募先企業を決めることができず、学校と面談中であった生徒は46名でありまして、そのうち9名が先ほど申した合同企業面接会に参加したと聞いております。採用実績が1名であっても、こうした支援制度が用意されたことにつきましては、大変ありがたいと考えております。
各高校においては、就職未内定の生徒に対しまして、企業とのマッチングを重視し、きめ細かな相談を重ね、詳細な企業情報に基づき、幅広い求人に目を向けさせるようにしております。また県内企業の人材養成モデル開発事業などの支援制度につきましても周知し、一人ひとりの生徒が自己の将来を見据え、主体的な進路選択ができるよう、実情に応じた支援を行っているところであります。
今年度につきましても、未内定の生徒は引き続き正規雇用での採用を強く希望しておりまして、
県内企業人材養成モデル開発事業等の支援制度の活用も考慮しながら、すべての生徒が進路希望を実現できるよう、年度末まで粘り強く支援してまいりたいと考えております。
15 湊谷委員 合同面接がされたときには、22社から36名の採用希望があって、最終的には43名の採用希望があったと、今、課長からも状況を御説明いただきました。県の22年度予算では43人分を計上して、対応してきたわけですが、結果は18社31名の採用であったわけです。
先般、富山市
商工会議所をお訪ねしましたが、31名の方々はいずれも職場では大変評価をいただいておりまして、その意味では制度に対する評価も大変高いのだろうと思います。1年後に正規採用ということでありますけれども、既に半分近い人たちが正規雇用されているというほどに職場では高い評価を得ているのだろうと思っているわけでございます。
ただいま、県立高校の場合は9名であったという課長からのお話でありますけれども、5月の段階で就職が決まっていない高校生は31名でして、この31名の中には県立高校卒業生も当然おいでるのだろうと思います。この制度は、富山県が新規事業として人材養成モデル開発事業なるものをつくり出して、国も富山県のこの事業を参考にされて、いろいろとニュースにもありましたけれども、
重点成長分野人材育成プログラム事業にまで反映されてきているという意味でも、私たちは大変評価をさせていただいているのであります。
したがって、次は、反省すべきものは反省していただきたい。せっかくこうして
新卒者就職応援本部を立ち上げて、さらに力を入れて、一人でも多くの学生の就職を支援していこうとしている。また、9月定例会でも債務負担行為として、来年度35人分の設定をしたわけです。事業の要綱などは
商工労働部等において策定されていくのだろうと思いますが、ここはぜひ、大卒も含めてですけれども、とりわけ厳しい環境の高卒の皆さんの就職支援という意味で、今年度以上に積極的な取り組みが
県教育委員会としても求められるだろうし、就職アドバイザーの立場としても役割を果たしていただきたいと私は思うのですが、これについて伺いたいと思います。
16
山崎県立学校課長 お答えいたします。
まず、昨年度、9名のうち1名だけだったという話に関しては、残り8名はその後、応募しなかったということになるわけでありますけれども、その理由について学校等を通じて聞いたところ、1つには、高卒対象とした企業の多くについては、大卒者等との一括募集であったということから、受験しても無理と判断した生徒が少なからずいたということ。また、職種が限られており、十分に説明を聞いたけれども、本人の希望となかなか合わなかったということなどから、最終的には1名になったと聞いております。
なお、8名中7名につきましては、年度内に希望する企業に内定を決めておりまして、残る1名につきましても、次年度、職業訓練を受けたいということで、その方向へ進んだと聞いております。
また、31名が最終的に未内定のまま卒業したという点につきましては、確かに県立高校もその中に含まれておりまして、うち12名が未内定のまま卒業しております。ただ、年度をまたいで、新年度に入ってから採用を受けた生徒は、そのうち7名でありまして、さらに、残る5名のうち2名については、先ほど申しました職業訓練を受けたいという希望から、訓練を受けているところであります。残る3名が現在求職中ということでありまして、学校等を通じていろいろ連絡もとりながら、希望に沿った形で進路が実現できるようにしたいと考えているところであります。
なお、先ほどの人材養成モデル開発事業に関しては、1名ではあったけれども、大変ありがたい制度だと認識しておりまして、状況に応じて正確にその情報を各学校に流し、必要とされる生徒に対しては、こぞってそれを活用してもらいたいと考えております。
17 湊谷委員 確かにマッチングは大事だろうと思います。これは20年度の資料ですが、高校生の場合、1年以内の離職者は15.1%でして、六、七人に1人が1年以内に退職しているということが調査で明らかになっております。そういう点ではマッチングは大事な要素なのだろうと思います。ただ、こうした厳しい状況の中で、この離職率を高いと見るか、低いと見るか、これはまたお聞かせいただきたいと思いますけれども、私は、1年以内にこれだけの人がやめるとなると、これも深刻なことだと思っています。
それから、先ほど言いましたように、
合同面接会で22社から最終的には43人を募集したいという希望が出た。にもかかわらず、ある事業所には一人も二次面接には出席しなかったという事実もあるわけでございます。確かに大卒とあわせた募集であったにしても、今ほどの御説明を聞いていると、私は本当にそんなことでいいのだろうかと思ってしまいます。23年度、富山県は35人分を予定して、先般の債務負担行為を設定しているわけですから、ここはやはり学校としても、
県教育委員会としても、しっかり指導していただく、働きかけていただくことが大事ではないかと思いますけれども、いま一度伺っておきたいと思います。
18
山崎県立学校課長 お答えいたします。
まず、今ほどお話のありました離職率に関しては、委員がお話しのとおり、本県については、平成17年3月の卒業生が20年3月までの間に離職したとされる割合は40%弱ということで、全国平均は50%弱あるわけでありますけれども、それに比べると大変低く、全国で一番低かったとされているところであります。また、18年3月の卒業者がその3年後までの間に離職したとされる割合については36.7%ということで、全国の順位で言うと、第3位となっているということで、大変低い数値になっているとはいうものの、確かに例年4割弱の生徒が高校卒業後3年以内に離職しているということについては、厳しい状況だということは理解しております。
そうしたことから、各高校においては、インターンシップの実施を含め、勤労観、職業観を養うキャリア教育の推進を進めておりまして、将来を見据えた進路選択になるように現在も取り組んでいるところであります。
先ほどのお話に戻りますけれども、その時の状況に応じて、そうした制度につきましては積極的に活用するように指導をしていきたいと思っております。
19 湊谷委員 それでは、最後にもう1点だけ伺って終わりたいと思います。
新卒者の体験雇用の事業でありますけれども、本年度、未就職卒業者への就職支援対策として、新卒者の体験雇用事業が創設されているわけでございまして、大変時宜に適した政策ではないかと思っております。これは新卒者のトライアル雇用ということで、ことしは中部圏知事会もこのトライアル雇用の拡充を政府に提案しているわけでございます。しかし、こうした制度の徹底というのは、私が知る限りでは、なかなか当事者には周知されていない面があるのではないか。ハローワークを訪ねる場合はそういったことも周知されるのですが、若い方々は必ずしもハローワークを訪ねていないという状況もあるだけに、ここはしっかりと周知していく必要があるのではないかと思っております。
とりわけ3年以内の既卒者──つまり20年3月以後の卒業生ということになりますが──も含めて、こうした体験雇用の適用ということで、国としても積極的に奨励するなど、制度的にも確立しているわけでございますが、この事業について、体験雇用事業の推進は実績も低いし、周知も必ずしもされていない。この厳しい雇用情勢の中では、これはぜひ推進すべき1つの雇用対策ではないかと思いますが、伺いたいと思います。
20
山崎県立学校課長 お答えいたします。
今、委員がお尋ねの学卒の未就職者を1カ月から3カ月間、体験雇用いたしまして、正規雇用を目指す新卒者体験雇用事業など、こうした支援制度の活用を進めることは昨年度中においても行っておりましたが、結果としては、県立高校においてゼロ名でございました。
こうしたことにつきましては、今年度におきましても、一人ひとりに応じた対応を継続して行うということ、また就職に対するモチベーションが維持されるようにという観点から常に進め、支援に努めていきたいと考えております。
また、今後とも、就職先が未内定のまま卒業した生徒に対しても、卒業後1年以上経過している場合も含め、本人、保護者との連携をとりながら、求めに応じて、関係機関や今ほどの就職支援制度を紹介するなど、進路相談にも努めてまいりたいと思っております。
21 酒井委員 少子化について御質問させていただきたいと思っております。
これは、常任委員会で使ったグラフなのですが、将来の富山県の人口の予測についてのものです。こういう状況でありますから、知事政策局長にはどうしてもこのグラフを見ておいていただきたいのです。
平成17年を100として、30年後の平成47年には、全国も人口減少が進んでいくわけですが、富山県はそれを上回って減少が進んでいくという予測です。普通、未来の予測というのはなかなか当たらないのですが、人口予測ほど当たる予測はないのです。
この黄色のところが全国と富山県の乖離です。平成47年度には平成17年度比で全国では14%ぐらいの人口減にとどまるのだけれども、富山県は21%の人口減少という予測です。知事にも1回、言ったのだけれども、今の政策を続けていく限り、富山県の人口は80万人台になってしまう。新潟市の人口は今80万人ですから、新潟市長だねと言ったら、知事は随分笑っておられました。島根県や鳥取県なんて人口がどんどん減少していって、50万人台ですから、もう県として存在し得るのか、し得ないのか、非常に心もとない状況になっている。人口減少がこういう急激な状況で、全国平均と比較すると大体7.5ポイントの乖離ができる。これは、全国平均であって、三大都市圏と比べるとさらに乖離するということです。
そこでまず第1点目の質問ですけれども、富山県は戦後一貫して、あらゆる産業もそうですが、人口も全国平均を上回って推移してきたのだけれども、この数年前から富山県の人口が全国を上回って減少している状況になっているわけでありまして、私も随分危機感を持っております。この人口減少の進む理由といいますか、少子化が進む理由はどういう理由によるのか、どういう政策の失敗によるのか。失敗なのかどうかわからないけれども、人が集まってくるというのが政策の成果をはかるバロメーターの大きな1つだろうと思うので、ぜひともその理由を、数値的なものは課長に答えていただいて、大きな、グローバルな答えはぜひとも知事政策局長に答えていただきたいと思います。
22
熊野知事政策局課長 お答えいたします。
出生数でいきますと、本県では、平成12年の1万170人から平成21年が8,426人という形で、17.1%の減となったところでございます。全国では、平成12年の119万人から平成21年の107万人と、10.1%の減といったようなことで、本県では全国を上回る減少が進んでいるということがあろうかと思います。
その分析はなかなか難しいところでございますが、少子化が進む理由としましては、おおむね全国同様、晩婚化や未婚化の進行、また夫婦が持つ子供の数の減少などが考えられるかと思います。特に晩婚化につきましては、本県の平均初婚年齢が、平成7年には、男性27.9歳で全国3位と上位、また女性も25.7歳と、全国3位だったものが、平成20年には男性が30.3歳で全国第40位、それから女性のほうが28.3歳で全国第34位と、非常に晩婚化が進んでいるところでございます。
さらに、本県特有といいますか、3世代同居率でございますが、昭和60年には30%で全国第2位であったものが、現在、これは平成17年の国勢調査ですけれども、19%まで下がってきているというようなことも大きな要因ではないかと考えているところでございます。
23 柳野知事政策局長 お答えいたします。
減少率については、実際、本県は全国平均を上回っておりますけれども、沖縄県などは、人口はまだまだふえているところもございます。
それで、全国平均を上回っているのは事実なのですけれども、富山県はそれをかなり抑えているのではないかという気もしております。いろいろな言い方がありますけれども、減っているところはかなり高率で減っております。
平成15年に政府のほうで法律ができまして、16年に計画ができ、17年には富山県では少子化対策担当という役職が知事政策室に設けられております。昨年6月には
子育て支援・少子化対策条例が制定されております。
富山県におきましては、例えば出生率でございますけれども、平成18年、19年、20年、21年と全国順位で見ますと、18年が32位、19年が33位、それから20年が27位、21年は26位ということで、地道な努力がそれなりに実っているのではないかと思っております。
それから、知事もよく言っています、Uターンでございますけれども、高卒後、大学へ行って、どの程度富山県から離れたかという推定値がありますけれども、四、五年前までは、3,500人ほど戻ってこなかったのが、今は、3,000人を切ってきたわけでございまして、企業誘致等で職場の確保にも力を入れておりますし、大学を卒業した後、首都圏等で働いている方々にも情報をたくさん提供しまして、その辺から帰ってきていただいている人たちも非常にふえております。そういった地道な努力はやってきていると思っております。
また、話はちょっと変わりますけれども、いわゆる婚活についてです。平成17年に少子化対策の仕事をさせていただいたときに、当時ボランティアをして、民間のそういったものではなくて、役所が入ってきちんとやって、1泊2日で、婚活ということを当時、計画していたのですけれども、この1泊2日の1泊が非常に垣根が高くて、それからまた、婚活のようなものを役所がやっていいのかといった問題もありまして、なかなか実現しませんでした。それが、ことし初めて実現できまして、7月と10月に2回実施しております。
1泊2日ということで、本当に実施主体におかれましても随分心配されたのですけれども、結果として非常によかったと。これは企業の推薦といいますか、企業を通して申し込んでもらっております。いろいろな人が来るかもしれないということで、企業の目を通した後、参加していただいたということで、1回目が、男性21人、女性21人、2回目もその程度だったかと思いますけれども、そういったことで、ボランティアを通して、その作業のやり方等を通じて、この人はどういう人か、よくお互いに知り合って、2日目には
いろいろ話をする機会、そういった時間帯も設けております。
具体的な事業の話になりましたけれども、いろいろな事業をやっておりますので、富山県における少子化対策というのは、かなり一生懸命やっているものと私は思っております。
以上でございます。
24 酒井委員 今の答弁を聞いていても、余り危機感が感じられないですね。少子化というのは、急激に人口が2割、3割減るというような現象ではありませんで、じわじわと進んできます。例えば110万県民が、八十数万人になりますと、新聞社も経営が困難になってきますし、銀行の口座も少なくなってくる。電力会社も経営が大変厳しくなる。あらゆるそういう基幹産業が厳しくなってくるということで、人口問題というのは、富山県ももちろんそうなのですが、日本に課せられた大きな課題の1つなんです。
さしずめ、アメリカは意外と元気です。アメリカの合計特殊出生率は2.1、それからフランスが2、日本は1.3台です。ほかに頑張っているのは、ニュージーランドが2.05、インドは3.11、一番高いのはスーダンで、6.70です。
私は孫を持ってみて初めてわかったのですが、女性を大事にしなければ人口はふえないですね。でも、スーダンは女性を大事にしているのかどうかという調査はしたことがないですけれども、やはり女性問題をしっかり解決してあげないと、なかなか人口はふえない。私の娘を見ていて感じるのですが、子どもを育てるほどの重労働というものはないですね。精神的にも肉体的にも女性を大事にしてあげることが非常に重要だと思います。
商工労働部長に質問しますが、人口が全国平均よりも7.5%下がるということは、人が物をつくっていく県民総生産も単純に言えば7.5%下がっていくわけです。これはゆゆしき問題で、今は4兆円ほどある富山県民の総生産が確実に7.5%下がっていくと思います。そういう意味でも、富山県の経済力が下がっていく。この現象を見て戸高
商工労働部長は、富山県経済の将来をどう思われますか。
25 戸高
商工労働部長 昨今、デフレと言われておりますけれども、その根本的な原因は、やはり人口が全体的に減ってくる。そして、高齢化するということは、やはり消費のレベルも落ちてくることになってまいります。そういったことが全体として、例えば商業の販売額が、もう10年以上落ち込んでいるのは、そういう消費を多くする層がだんだん少なくなってきていることに起因しているわけです。人口減少がこれからますます進んでいくと、団塊のジュニアである30代ぐらいの子育ての世代が、どんどん年をとっていく。要するに、子どもをつくられる人口の方が減ってくるということになりますと、人口減少はどんどん不可逆的に進んでいくことになって、今、委員がお示しのような試算になっているわけであります。その中で、日本の出生率が大変低いという原因は、やはり子育てで、子どもを多くつくって、産み育てるという環境になかなかなっていないのが原因かと思いますから、今やっておりますさまざまな子育てに関する支援策を、国、そして県もしっかりやっていくことがもともと重要でございます。そして、先ほど柳野局長からも答弁がありましたけれども、Uターン支援策もしっかりやって、そして企業誘致もしっかりやって、雇用の場をつくっていくといった取り組みが大変大事になっていくのではないかと思っております。経済政策と
子育て支援策も含めて両輪でしっかりやっていかないと、これからはなかなか厳しい時代になってくると思っております。
26 酒井委員 人口減少が進んできますと、大変厳しくなってきます。県の政策目標として、人口予測のこの線を全国並みに戻すと。25年後の県議会議員がこの表を出したら、この線がこっち側へ戻っているのがいいわけです。人口問題研究所の数値は幅を持たせてありますけれども、この人口予測よりも下がっていくとなると、それは明らかに県政の失敗だと私は思います。これが上へ曲がっていって、全国平均並みに持っていければ、政策的に成功しているのかなと、私は思うのです。25年後に富山県があるのかどうかわかりませんが、何とか上へ振るようにやっていただいて、全国並みにしていただきたいと思うのです。
もっと危機感を持ってやってもらわないと。こんなことをやっているので、富山県はやっているほうだというような、そんな答弁では私は納得できない。人口がこれだけ下がると、あらゆるところに関係してくるので、この人口予測の線が上へぽんと振るように頑張ってもらいたいと思います。
それから、先日、広島県知事の子育て休暇の発言がありました。テレビでも、新聞でも大きく報道されました。個人的には立派なことだと思います。広島県知事の発言に北海道知事、あるいは大阪府知事が反論しておられますけれども、本当は石井知事から答えていただきたいと思ったのですが、富山県としては、その発言についてどのように評価しておいでになるのかお答えいただきたいと思うわけであります。
27
熊野知事政策局課長 お答えいたします。
男性における育児休業の取得率は、全国的に見て、平成20年度では1.23%と大変低い状況となっておりまして、国においては、これを2020年に13%まで引き上げるという取得目標を掲げているところでございます。
御質問の広島県知事が子育てのための休暇を取得しているということにつきましては、報道等によりますと、委員御指摘のとおり賛否があるところでありますが、このような首長みずからが育児休暇を取得するということは、少子化が進んでいる現状を見ますと、男性の子育てへの参加を推進しようとする一定のアナウンス効果があったものと考えてよいのではないかと考えているところでございます。
28 酒井委員 広島県知事の子育て休暇の発言が発信地になって、各県がいろいろ議論されて、男性も育児に参加していくような風潮になって、女性を助けてあげると女性にかかる子育ての負担が大分違うのではないかと思っています。そういう風潮が富山県職員の中にもあればいいと思うのですが、富山県職員の育児休暇の取得状況はどうなのか、お答えいただきたいと思います。その取得状況によって、県職員の意識がわかると思うので、お答えいただきたいと思います。
29
熊野知事政策局課長 お答えをいたします。
育児休業制度につきましては、平成4年度から導入しておりまして、県職員の育児休業の取り組みにつきましては、人事課が取りまとめているところでございます。対象となる女性職員のほぼすべてが取得をいたしておりますが、男性取得者につきましては、平成5年、6年、8年、それから飛びまして18、19年度に各1人が取得しているところでございます。
なお、男性職員につきましては、応援!子育てパパ運動といたしまして、平成17年から原則、産前産後休暇の期間内に育児休業もしくは連続5日以上の休暇を取得する育児参加休暇制度が創設されたところでございまして、昨年までほぼ毎年70人前後がこの育児参加休暇を取得している状況でございます。
30 酒井委員 取得率が余りよくないと判断します。民間と比較すると、いいのですか。
31 柳野知事政策局長 お答えいたします。
女性につきましては、ほぼ100%の育児休業の取得でございまして、民間から比べていいと思っております。ただ、男性につきましては、民間も低いわけですが、男性県職員の取得実績は、最近2カ年あっただけで、昨年はゼロで、ありませんでした。そういったことで、女性は間違いなく、育児休業の取得については、民間より進んでいる、とりやすい環境にあると思っております。ただ、男性については、今も説明しましたように、平成17年から、子どもが生まれたら、お父さんは、連続5日間休暇をとりなさいということで、知事の強い指導もございまして、これの取得についてはほぼ100%近いものになっているかと思っております。
32 酒井委員 特に二、三年に1人ずつ続けて産んでいくと、女性1人で育てるのは非常に大変なんですよね。あんな厳しいものかと思って、びっくりしたのですが、ぜひとも富山県職員も育児休暇をとるように。また、育児休暇をとったことが将来の出世に響かないようにしていただきたい。どうしてもそのような風潮が日本人にはあるので、出世に響かないようにしていただきたいというのが私の思いであります。
それで、労働雇用課長に伺いますが、富山県民の育児休暇の取得率は、現状はどのようなものでしょうか。
33 夏野労働雇用課長 お答えいたします。
本県の育児休業の取得率につきましては、本県が実施している賃金等労働条件実態調査──サンプル数は少ないのですけれども──直近の21年7月の調査によりますと、女性が90.6%、男性が1.0%となっております。これは、
厚生労働省が調査しております、全国の育児休業の取得率と比較いたしますと、全国では女性が85.6%ということで、本県が全国を5ポイントほど上回っている状況にございます。一方、男性のほうは、全国が1.72%ということで、いずれにしても大変低いのですけれども、本県のほうが先ほど言いましたように1%ということで、若干下回っている状況にございます。
以上でございます。
34 酒井委員 どうしても男性が随分低いわけです。私も会社を経営していたときがあるのですが、何となく富山県の企業の場合は、育児休業を取得するのにちょっと抵抗感があるのかなと思います。そこらあたりも、女性を大事にする機運が醸成されないと、男性もなかなか取得していただけないのかなと思うので、ぜひともこの比率を1.72%と言わずに、二、三十%になるようにしていただきたいと思います。富山県としての目標数値はあるのですか。
35 夏野労働雇用課長 お答えいたします。
富山県では、
子育て支援・少子化対策条例に基づき、基本計画を作成しております。それで、本県の育児休業取得率の目標ですけれども、平成26年度の目標として、女性は95%以上、男性は5%と。これは国のほうでも目標値を設定していまして、それに準じて、そうした数値を設定しているところでございます。
36 酒井委員 男性が5%というのは、ささやかな数字ですね。5%で女性を助けてあげられるのかどうか、ちょっと疑問に感じるのだけれども、そういう目標を設定されている。私は、26年度までにぜひとも10%ぐらいまで上げていただきたいと思いますので、取得率を上げるように頑張っていただきたいと思います。
次に、本県の子どもの数なのですけれども、子どもの数も、出生率が1.3台でありますので、随分少なくなってきているのでありますが、現在、子どもの出生数はどうなのか、そして10年後にはどうなっているのか、二通りお答えいただきたい。調べればわかることなのですが、ちょっとお答えいただければありがたいと思います。
37
熊野知事政策局課長 お答えをいたします。
県で実施しております人口移動調査によりますと、平成21年10月1日時点では本県の人口は109万6,000人となっておりまして、このうち子どもの数、いわゆるゼロ歳から14歳の年少人口で見ますと、14万5,000人となっているところでございます。
委員が御質問の10年後の本県の子どもの数につきましては、
厚生労働省に設置された国の政策研究機関であります国立社会保障・人口問題研究所が平成17年国勢調査の結果をもとにしまして平成19年5月に推計したものによりますと、平成32年の本県の人口101万9,000人のうち、子どもの数、ゼロ歳から14歳の年少人口につきましては、10万6,000人になるという推計がなされているところでございます。
38 酒井委員 この推計だと、子どもの数が私が住んでいる中新川郡の人口ぐらい少なくなるのですよね。今、1年間でどれぐらい子供が生まれるのか、そして10年後はどれぐらいなのか、お答えをいただければと思います。
39
熊野知事政策局課長 お答えいたします。
これは平成21年度の数字でございますが、8,426人という数字が出ております。過去の実績はわかるのですが、10年後の数字は今持ってございません。
40 酒井委員 予測もわからないのですか。人口の予測を立てるには、生まれてくる子どもの予測を立てないと、人口の予測もわからないわけでありますので、どれぐらいの予測を立てているのか、お答えいただければと思うのですが。今8,400人ぐらいですね。それで10年前と10年後はどうですか。
41
熊野知事政策局課長 10年前でございますが、1万139人という数字が出ておりまして、それが、21年で8,426人まで減少しているといった状況でございます。
先ほど、国立社会保障・人口問題研究所で推計した10年後の数字は申し上げたところでございますが、県別についてはわかっておりませんので、また調べまして、後ほど改めて報告させていただきたいと思います。
42 酒井委員 やはり担当課長とすれば、すらすらと言えるようになっていないとまずいと思います。危機感がないというのは、そこらあたりにも見受けられますね。人口予測というのは県政の最重要課題の1つで、将来、10年後にはどれだけの子どもが生まれて、富山県の人口はどれぐらいになるのかということがしっかりと頭の中で整理されていなければいけないと思います。ですから、10年後くらいは予測を立てて、それに対してどう政策的な課題をつくっていくかということが大変重要なことなので、それくらいはすらすら言えるように勉学を高めていただきたいと思うのです。私もわからないのだけれども、ひとつよろしくお願いしたいと思うわけであります。わかれば、また教えてください。
次に、県立高校なのですが、21年度は8,426人しか子供が生まれていないわけですが、将来この8,000人台の生徒が県立高校へ入ってくるわけです。そうすると、県立高校の再編が現在行われておりますが、今後、県立高校の再編が何回か行われなければならない状況になると思うのです。2,000人ぐらい減ることになると、40人クラスでも50クラスぐらいが要らなくなる状況なので、県立高校の再編も2段、3段が必要になってくるのではないかと思うのですが、どのようにお考えになっているのか、県立学校課長にお答えいただきたいと思います。
43
山崎県立学校課長 今、委員からお話があったとおり、高校ということで言いますと、中学校卒業者数ということになるかと思いますが、昭和63年には1万9,000人を上回るだけの中卒者がいたところ、21年には1万人を初めて割るなど、非常に大きく減少してきているところであります。
県立高校の再編につきましては、こうした生徒減少期において、本県県立高校教育の一層の充実という観点から、県立高校再編の前期実施計画に基づいて、本年4月には新高校を5校開校したところであります。これによって、全日制県立高校については43校から5校少ない38校となり、1学年当たりの平均学級数では、平成21年度が4.1学級であったものが5.0学級となるなど、学校規模の面では改善されたと考えております。
なお、今後の中学校卒業予定者数については、来年3月は1万39名、その後、平成29年までは1万人台を維持することが見込まれております。その後、平成30年には1万人を割り、平成33年には9,000人を割り込むことが見込まれておりまして、今後につきましては、まずは前期再編の実施状況を見きわめるとともに、こうした中学校卒業者数の推移等も踏まえまして別途協議することとされているところであります。
44 酒井委員 県立高校も再編は避けられないでしょうね。私立学校については、独自の教育をして、中高一貫教育とか、設立の趣旨に基づいて一生懸命やっておいでになります。人口が多くなっていくときは、公私の役割というのは余り議論しなくてもいいのですが、人口が減少していくとなると、公私の役割分担をしっかり話しておかないといけない。もちろん県も私立高校に補助を出しているわけでありますので、人口が減少するときの私立高校のあり方をどうするのか。
文書学術課長はきょう出席しておられません。東野教育長は所管ではないから答えられない。越権行為はできないですよね。知事政策局長も所管ではないし、経営管理部長もきょうは来ておられません。そこらあたりを聞きたかったのですが、来ておられないものだからきょうは質問しません。私立の学校も生徒減少期は、経営が非常に厳しくなるので、そこのところも少し考えてあげないと、独自の校風を持っている高校がなくなりますと非常に困ります。
人口が減少するということは、あらゆるところにきしみが生じるということです。きょうは幾つかだけ挙げたのですけれども、あらゆるところにきしみが生じてきますので、ぜひとも富山県の人口を全国並みにキープしていただきたいと思います。私は全国より上へ行ってくれと言っているわけではありません。全国並みにキープしてもらわないと、富山県ではあらゆる産業が成立しなくなるということを申し上げているのです。特に北陸新幹線も来るので、都会へ吸い上げられないように、もっと危機感を持って頑張っていただきたい。
これで質問を終わらせていただきたいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。
45 火爪委員 お疲れさまです。それでは、通告に従って、3つのテーマについて、きょうは質問させていただきます。お疲れとは思いますが、よろしくお願いいたします。
まず、民主党政権による後期高齢者医療制度の代替案づくりについて伺います。
6月定例会の予算特別委員会で、この問題については、まだ
厚生労働省の中間取りまとめ案を発表する前でありましたけれども、知事へ質問、そして答弁をいただく機会がありました。当時公表されていた案とほぼ同じものが、7月23日、
厚生労働省中間取りまとめ案として提出されているわけです。これが出される前も、知事からは明快な答弁があったと思っています。今の民主党政権のプランでは、国民の負担も地方負担も重くなる。このままでは到底国民の理解は得られないと思う。今は
厚生労働省の正式な案ではないので、いろいろ言えないけれども、案が出てきたら
厚生労働省に働きかけるのだがと。これが6月定例会予算特別委員会の知事の答弁であったかと思います。
厚生労働省は、その後、7月23日、後期高齢者医療制度にかわる新しい医療制度についての中間取りまとめ案を公表しております。6月定例会のときと違って、65歳以上を別勘定にすることについては結論を出しておりません。これはまだ明記していない。しかし、まず75歳以上の8割以上の方を国民健康保険制度に加入させ、その上で、国保会計上、別勘定とするという計画は、以前からされている報道と同じであります。
そうすると、どうなるかということですけれども、結局、年々国民の保険料があらゆる階層ではね上がるということになります。さきに
厚生労働省が試算を発表いたしました。75歳以上の方の年間国民健康保険料は、今、平均6万3,000円ですが、15年後には3万2,000円上がり、健保組合の加入者は大きくて9万4,000円上がる。そして、一般の国民健康保険の加入者の保険料も3万9,000円上がる。全世代にわたって大幅負担増となる。これが今、民主党政権が出している案なのです。
しかも、これとは別に、先月25日、
厚生労働省が示した国民健康保険の医療費の窓口負担は、70歳から74歳の患者負担を現在の1割から2割にする。自公政権でさえ、一たん案は出したけれども、国民の批判の前に凍結をして実施しなかった。これを2割負担にする。こういう意味で、保険料も、そして医療費の窓口負担も、公約に反して高齢者負担を大幅にふやすものとなっています。
知事は、正式な
厚生労働省のプランが出たら
厚生労働省に働きかけるのだがと答弁をされました。ぜひこれは、このままでは困るという働きかけを強力に県からしていただきたいと思います。
まず、この民主党政権による高齢者に対する負担増についての試算、認識を伺います。
46 野上医療保険班長 お答えいたします。
今ほど質問がありました高齢者医療制度についてですが、去る10月25日の会議で示されました資料によりますと、
厚生労働省案では、75歳以上の高齢者の保険料は、平成25年度には7万円、32年度には8万5,000円、37年度には9万5,000円となる見通しでありまして、22年度の6万3,000円と比較しますと、25年度は7,000円、32年度は2万2,000円、37年度は3万2,000円、それぞれ増加することになります。ただし、同じ資料によりますと、現行の高齢者医療制度を維持した場合に比べますと、32年度は2,000円、37年度は6,000円、保険料の額が少なくなるとされております。
また、窓口負担割合につきましては、75歳以上につきまして現行制度から変更しないこととされておりますが、70歳から74歳の患者負担割合につきましては、現在の1割負担を順次2割負担としていく案が示されているところであります。これによりますと、負担増となる金額につきましては、統計的なものはありませんで、粗い計算方法でありますけれども、現在、国において患者の窓口負担を2割から1割にするために予算措置されております2,000億円がありますが、それをこの年代の人口638万人で割り返しますと、1人当たり約3万円程度になると思います。
47 火爪委員 後期高齢者医療制度の批判を受けて、それを廃止すると言っていたのに、結局出てきた案は、高齢者の負担を15年後に3万2,000円上げる。その矛盾を若い世代に転嫁して若干緩和するという中身で、高齢者の負担は変わらない。しかも、医療費で3万円も新たに負担をふやすという状況になっているわけで、これは到底容認できる案ではないということを確認しておきたいと思います。
同時に、国が示している中間取りまとめ案によりますと、6月定例会で知事から答弁をいただきました国民健康保険法の国民健康保険制度の広域化に大きく踏み込む案になっております。現在、市町村が運営している国民健康保険制度を一括して県が運営する、ないしはその前に広域連合、県広域連合に運営をさせるという方向が示されております。
知事からも、6月定例会の答弁で、都道府県単位で保険料を一本化すると、結局、保険料が今よりふえる人が相当たくさん出てくる。市町村が行ってきたきめ細かな保健事業の実施が困難になると、大変強い口調で批判的な答弁があったと認識しています。
そこで、確認しておきたいと思います。都道府県単位で保険料を一本化することになってしまうと、現在行われている、市町村による一般会計から国保特別会計に行っている繰り入れができなくなるということです。法定減免の繰入額と法定外繰入額の2種類あると思いますが、市町村がどれだけ国保負担を下げるための繰り入れをやっているのか、確認をしておきたいと思います。
48 野上医療保険班長 平成21年度の県内市町村における一般会計から国保特別会計への繰入金の合計につきましては、45億9,000万円となっております。このうち42億6,000万円は、所得の少ない方の保険料軽減や職員の給与費などに充てるための法に基づく繰り入れでありまして、これ以外のいわゆる法定外繰り入れの金額は3億2,500万円となっております。
49 火爪委員 国保の広域化をやられると、この45億9,000万円は、理屈から言えば県が負担をすることになるわけです。それで、一括して45億円を、県が負担できなければ、繰り入れをしない。要するに、国は一般会計からの繰り入れをさせないために国保の広域化を打ち出しているわけですが、県が負担をしなければ、この45億円分の負担が県民にかかってくるということですね。少なくとも法定外の繰り入れである3億円は、まず県民の負担になる可能性が大きいということだと思います。そういう提案が正式に
厚生労働省からされているというのが今の事態だということを、ぜひ県民の皆さんには認識していただいて、市町村と力を合わせて、これをやめさせるための運動をすることが今必要ではないかと思っております。
既に
厚生労働省は、市町村国保の広域化を指導として実際に行ってきています。ことし5月12日に成立した改正国保法に基づいて、都道府県に対して、広域化等支援方針を定めることができるという法律になっているわけですが、県に対しては、市町村と協議をし、ことしじゅうに広域化方針を策定するよう指導するという文書が来ております。既に県は市町村と協議を開始していると聞いています。報道によりますと、ことしじゅうに広域化支援方針を策定すると
厚生労働省に答えた県の中に富山県が入っているわけです。
知事は6月定例会で、広域化は市町村が行ってきたきめ細かな保健事業の実施が困難になるということで、批判的な答弁を明確にされていますので、県は国の指導に基づいた広域化を進める立場にはないという答弁をいただいたと受けとめていますが、現在どんな協議をしているのか、どんな方針でここに臨んでいるのか、答弁を求めておきたいと思います。
50 野上医療保険班長 お答えします。
先ほど委員からありました繰入金につきましては、まだ現在固まっておりませんので、どうなるかはこれからだと思います。
それから、後から質問されました広域化等支援方針につきましては、名前は広域化等支援方針という形になっておりますけれども、必ずしも委員が言われました市町村単位の市町村国保を県に持っていこうという意味の広域化だけではなくて、幅広く、例えば市町村には、窓口業務、電算
システムとかいろいろありますので、共通でやったほうがいいものはやったらどうかとか、幅広く検討している最中であります。
51 火爪委員 なぜそういうふうに聞くかといいますと、7月22日、大阪府では既に橋下知事と16市町村の代表による国保の広域化についての協議が行われています。報道によりますと、そこで話し合われた内容は、市町村の一般財源繰り入れの全廃、知事のリーダーシップによる国保料値上げの推進、徴収強化や医療費削減による累積赤字の解消、こういう協議が
厚生労働省の指導のもとで、大阪で既にやられているのです。だから、黙っていたら、そういう都道府県から発信して、ぐわっと広がってしまう。今、富山県は慎重姿勢で、単純な広域化の方向に向けた動きはしないと思っておられると思うのですけれども、やっぱり国に対して反対の声を上げていかないと、いつの間にか、こういう流れがつくられかねないということをぜひ理解して、それこそ警戒心を持ってやっていただきたい。
知事には、案が正式に出されたら国に働きかけるのだと言っていただいていますので、そのとおり国に対して広域化を行わないように強力な働きかけをしていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
52 野上医療保険班長 お答えいたします。
現在、国の高齢者医療制度改革会議で検討されておりまして、委員が言われました7月の後、8月に中間取りまとめが出されております。その中で示されておりますのは、平成25年度から、市町村国保のうち、75歳以上の部分につきましては都道府県単位の財政運営とし、その後、第2段階として、全年齢を都道府県単位の財政運営とする案が検討されているところであります。
この75歳以上の部分の国保の運営につきましては、都道府県単位の運営主体と市町村が共同運営する仕組みとされておりまして、標準保険料率の算定や会計の処理は都道府県単位の運営主体が行うこと。保険料の賦課徴収や資格管理、保健事業等の住民に身近な
サービスについては市町村が行うことが示されておりますが、都道府県単位の運営主体はどこが担うかや給付事務は都道府県単位の運営主体と市町村のどちらが行うかなどにつきましては、今後の検討課題とされているところであります。
市町村国保の都道府県単位の広域化を行うべきではないとの今ほどの御意見等もありますが、県といたしましては、そういったことを含めまして、国に対して、十分に議論していただきまして、国民や地方自治体が納得できる医療保険制度の案を示していただきたいと考えております。
53 火爪委員 ありがとうございました。
これは6月定例会で厚生部長にも質問をいたしましたけれども、やはり国保の問題、後期高齢者医療制度の問題というのは、1984年に、国が医療費の45%を国庫負担していた国保会計を、給付費の50%に国庫支出を変えたというところに最大の問題があるわけです。医療費の45%と給付費の50%というのは、結局、給付費にして、医療費の35%しか国が負担しなくなったということです。だから、国保会計における国の支出は、1980年に50%あったのが、2007年には25%に下がっている。ここに最大の問題があるわけで、さらに国の支出を切り下げて、それを高齢者と国民の負担に負わせようという流れを切りかえていかないと、国民負担増はとまらないということだと思いますので、ぜひ県には県民の立場で頑張っていただきたいと思います。
次に移ります。児童虐待問題について、10月28日、児童虐待の県要保護児童対策地域協議会が開催されていますので、これに関連して伺っておきたいと思います。
10月20日に
厚生労働省が公表した福祉行政報告によれば、昨年の生活保護受給世帯は前年比10.9%増、月平均127万4,231世帯となっており、国民の貧困、児童の貧困が一層進んでいるということが、この1つの数字を見ても危惧されるわけです。同じ報告で、児童相談所が対応した児童虐待件数も全国的には前年度比1,547件増、4万4,211件と、過去最高を更新しております。10月24日付の北日本新聞にも、「背景に貧困、孤立」と大きな見出しをつけて報道されておりました。
そこで、まず、県内の児童虐待発生件数についての認識を確認しておきたいと思います。9月定例会の自民党の代表質問では、実を言うと、県内の虐待発生件数は2年続けて減少していると質問の中で述べられました。これに対して厚生部長は答弁で、県の児童相談所が扱った件数だけについて、平成19年は336件、平成21年は257件と減少しているとの答弁をされました。これは正確な数字だと認識をしております。しかし、これでいいのかと。こういうやりとりだけをしていると、県内の虐待件数は2年続けて減っているのだな、よかったなと受けとめられるのではないかと思ってしまいます。私は、これではだめなのではないか、もうちょっと丁寧な答弁をしてほしかったと思っています。
御存じのように、平成17年からは市町村が虐待を第一義的に対応することになっているので、県の児童相談所の扱いと並行して、市町村が扱った件数もあるわけです。これは当然ダブりもあるわけですけれども、そのダブりを大体省くと、直接の関係者からは、虐待発生要因は拡大しているのだから虐待は減少していない。富山市の去年の数字とことしの数字を比べると、3分の1ぐらいに減っているのだけれども、実を言うとわからない、そんなに減っていないのではないかというのが認識なのです。
そこで、児童虐待の相談件数全体を県はどう認識しているのか、伺っておきたいと思います。
54
須河児童青年家庭課長 お答えをいたします。
9月定例会では、児童虐待の現状分析についてのお尋ねに対しまして、平成17年の児童福祉法の改正により、市町村が第一義的な相談窓口とされたことの定着などによりまして、富山と高岡の2つの児童相談所における相談件数が、ここ2年間減少していることについて、部長からお答えをしたものでございます。
一方、市町村の相談窓口における相談件数でございますが、平成17年度の207件から年々増加を見ておりまして、平成20年度は383件と、過去最多となったところでございます。
今ほど少し御紹介をいただきましたとおり、平成21年度につきましては、富山市で統計手法の見直しがございましたことから、数字だけを見ますと減った形になっており、経年比較は困難でございますが、県、市を合わせますと、平成17年に458件、平成19年に635件、平成20年には681件となっております。今ほど委員からも御紹介がありましたように、市から県に引き継がれた事例もございまして、その事例の重複分がどれだけあるかは判明しておりません。そのため、単純比較はできないところでございますけれども、全体の相談件数としては増加傾向にあるのではないかと考えているところでございます。
55 火爪委員 ぜひそういう認識を内外に発信していただいて、県民ぐるみでこの問題に対応していくことが大事だと訴えたい、確認をしておきたいと思っています。
そこで、県の児童相談所の様子について伺ってまいりました。死亡事例があると、緊急対応でどんどんやるべきことがふえていく。司法の役割も児童相談所が担わなければいけないという状況になって、児童相談所の大体8割が虐待防止対応の仕事に負われる状況になってしまっていると伺いました。本来の総合的な児童相談所の仕事ができなくなっていると言ってもいいのではないかと思います。そして、まじめで熱心な職員ほど、バーンアウトという言葉を御存じだと思うのですが、本当に大変な状況で、退職を余儀なくされた優秀な人材も、この間、生まれてしまっていると聞きました。
そもそも虐待対応を1つとっても、総合的な対策が打ち出されていたはずです。平成15年の社会保障審議会児童部会の報告書でも、児童虐待の対策としては、1つ目には切れ目のない支援、2つ目には要支援家庭への積極的なアプローチ、そして3つ目には家族再統合、親を含めた家庭への支援、そして4つ目には虐待防止ネットワークの形成など市町村における取り組みの強化。しかし、今の体制では、これはとても無理です。これ以上やれと言っても無理という状況があるわけです。
例えば、1人のケースワーカーが20人ぐらい要支援家庭を持っている。さらに、児童養護施設に入った。そこでもいじめがあったり、対応が必要だと、そこの対応もしなければならない。一般的な児童相談活動もある。そして、24時間の確認をしなければいけないなど夜間も含めた緊急対応がある。こういう状況に置かれているわけです。
我が党としては、国会で児童福祉司の配置基準の引き上げを求めて活動しています。こういうことが必要だと思っています。しかし、県は国基準の配置もまだされていない。3年前に厚生環境委員会で質問をしたときの配置率は、全国47位で、最低でした。これでいいのかということを私も言いましたし、自民党委員からも話がありまして、この2年間で配置は2人ふやされて、現在は16人と聞いています。でも、交付税算定基準とされている県の人数は19人だと思います。せめて交付税措置されていると言われる19人は早期に配置する必要があるのではないかと思っています。
児童相談所では、児童福祉司の増員も必要だけれども、同時に児童心理司の増員がとても助かるというお話も聞いてきました。なので、児童福祉司も児童心理司も、新年度、もう一声頑張っていただいて、ふやすよう、ぜひ予算要望を財政当局にすべきだと思いますが、どうでしょうか。
56
須河児童青年家庭課長 お答えをいたします。
まず、他県における死亡事例などがあったケースについて御紹介をいただいたところですが、幸いにいたしまして本県では、最近、死亡事例ですとか、重傷の事故だとか、そういった重大な事例への緊急対応が迫られるようなことは起きていないところでございます。そういった背景の中、児童相談所では、切れ目のない支援ですとか、要支援家庭へのきめ細かなアプローチですとか、あるいは市町村で行われています要保護児童対策地域協議会への支援ですとか、そういったことにも精いっぱい努めているところでございます。
なお、本県の児童相談所における児童福祉司につきましては、これまで数度にわたりまして増員を図ってきております。平成16年度、17年度には各2名ずつ、また平成20年度にも2名、平成21年度には1名の増員を行ったところでございます。
ただいま交付税基準の19人は満たしていないのではないかという御指摘がございましたが、国の配置基準、これは児童福祉法施行令におきまして示されております配置基準によりますと、人口おおむね5万人から8万人に1人という配置基準になっておりまして、この配置基準上は、本県では児童福祉司1人当たりの所管人口が約6万9,500人ということで、現在この基準は満たしているところでございます。
3年前は最下位でございましたが、1人当たりの所管人口で見ますと、現在は46位といった状況ではございますが、一応基準上は、児童福祉法上の基準は満たした形にはなっているところでございます。
児童相談所におきましては、これらの児童福祉司だけではございませんで、心理診断やカウンセリングを行う児童心理司7名、こういった正規職員のほか、電話相談などを行う嘱託職員4名、夜間の電話相談等に対応する嘱託職員2名を配置しております。こうした職員全体で緊急時への対応のほか、24時間365日体制で多様な相談への対応を行う中で、虐待を未然に防ぐことなどにも努めているところでございます。
また、平成17年度から市町村が児童相談の第一義的な窓口とされまして、県の役割は、1つには専門性の高い困難事例への対応、また2つには市町村の後方支援、こういったことに特化されたところでございます。こういった状況を踏まえまして、児童相談所への児童福祉司や児童心理司の配置につきましては、1つには市町村の相談体制の充実の状況、2つには市町村と児童相談所との役割分担や機能連携のあり方、また3つには児童相談所における今後の相談対応件数の状況や相談事例の内容などを総合的に見きわめながら検討していく必要があると考えているところでございます。
以上です。
57 火爪委員 課長の淡々とした答弁を聞いていますと、何となく安心してしまうのですが、実際に児童相談所へ行ってお話を伺ったら、本当に職員の皆さん、児童福祉司の皆さん、バーンアウト寸前で、大変疲弊した状態の中で仕事をしておられました。
ことしの夏はとても暑かったので、窓を開放しているお宅も多くて、泣き声が聞こえると通報があるわけです。そのたびに、どういう種類の泣き声かと聞けば、わかると思うのですが、でも、やっぱり対応しなければいけないと。それで、いざ何かあったら児童相談所の責任にされてしまう状況の中で、大変な緊張感の中で職員の皆さんは仕事をされているので、先ほどの酒井委員の少子化に危機感を持ってという話ではありませんけれども、やはり子どもの権利条約に基づく
子どもたちの最良の守り手として県がしっかり仕事をしていただく上では、今の体制ではだめなのだということを、ぜひわかっていただきたいと思っています。
それこそ、私たちも訴えて、この間、2名、2名、2名、1名とふやしてきていただきました。そういう意味では大事だったと思いますけれども、しなければいけない仕事、社会環境というのは、それを上回って深刻になっているのだということをぜひ御理解いただきたいと思っています。
虐待問題の最後にちょっと伺っておきますが、中核市では児童相談所を設置できることになっておりまして、既に金沢市は児童相談所を設置するなど、全国の中核市に独自に児童相談所を設置する動きが広がっております。
それで、森富山市長も3年ほど前に呉羽のタウンミーティングの中で、市独自に児童相談所を設置したい、検討したいと明言されているので、私たちはとても歓迎していました。その準備として、県の児童相談所に富山市から2名ずつ研修職員が派遣されて、富山市へ復帰されていると思います。富山市は金沢市へ実際に聞き取り調査に行っており、独自に設置する動きはもうできていると思うのですけれども、残念ながら、その後の動きが見えてこない。頓挫しているのではないかと心配しているのですが、県の児童相談所における富山市関係のものは何割ぐらいを占めているのか確認しつつ、富山市に独自の児童相談所の設置をぜひ働きかけていただきたいと思いますが、あわせて答弁をお願いします。
58
須河児童青年家庭課長 お答えをいたします。
まず、平成21年度の富山児童相談所における相談対応件数174件のうち、富山市に在住する児童に係る相談対応件数は134件となっておりまして、その割合は77%という状況でございます。
平成16年の児童福祉法の改正によりまして、平成18年4月からは、都道府県、政令指定都市のほか、中核市程度の人口規模を有する市も、政令で指定を受けて児童相談所を設置することができることになりました。現在、横須賀市、金沢市、熊本市に児童相談所が設置されております。
こうしたことを踏まえまして、富山市では平成18年度から、御紹介いただきましたとおり、児童相談及び児童虐待通告への対応に関する必要な知識及び技能を修得することを目的に、富山児童相談所へ職員を派遣しておられます。これまで3名の方が研修を終えて、富山市で相談業務等に当たっておられるところでございます。
このほか、県におきましては、毎年、児童福祉司任用資格講習会を開催しておりまして、こちらにも、ほかの市町村からもですが、富山市職員の参加を毎年受け入れてきております。こうしたことを通じて、児童相談に必要な人材養成を支援してきております。県としては、今後ともこういった人材育成を通じまして、富山市の児童相談体制の充実を支援していきたいと考えているところでございます。
59 火爪委員 ありがとうございました。富山市は児童相談所を設置する力もついてきているという答弁だったと思いますので、ぜひこういう質問があったということで富山市にも伝えていただいて、働きかけをお願いしたいと思います。
それでは、最後に、放課後児童クラブについて伺っておきます。
きょう、全県の女性議員連絡会主催の知事と語る会がございました。その場でこの放課後児童クラブについての要望も出されましたので、それも踏まえて伺っておきたいと思っています。
厚生労働省は先ごろ、学童保育内で起きた全治1カ月以上の事故が、ことし3月から9月末までに105件あったことを公表しています。これを受けて、10月27日の富山新聞は社説で、
厚生労働省がガイドラインで適正規模とするおおむね40人程度以下のクラブが半分ほどにとどまっていることが背景にあると指摘しておりました。同感であります。
県内では、この事故は一例もなかったということですので、ひとまず安心ということですが、この間、繰り返しの働きかけを受けて、県も市町村も努力をしていただきました。県内の放課後児童クラブのうち、71人以上の大規模クラブは基本的に解消できたと伺っております。次は41人以上のクラブの分割だと思いますが、まず、今後どう取り組むのか、見解を伺います。
60 吉川
子育て支援班長 お答えいたします。
国の放課後児童クラブガイドラインによりますと、クラブの集団の規模につきましては、1クラブ当たり最大で70人までということになっております。なお、おおむね40人程度までとすることが望ましいということになっております。県では、昨年度、71人以上の大規模クラブの解消を図るよう市町村に助言等を行い、富山市を除く県所管分で昨年度初めに10クラブあった大規模クラブにつきまして、関係者の努力により、すべて分割が行われ、現在、71人以上のクラブはありません。
国におきましては、平成22年度から新たに補助基準におきまして36人から45人という幅の区分を設けまして、この区分について最も手厚い補助を行い、望ましい人数規模への移行を促しているところでございます。
放課後児童クラブの質の向上の観点からは、おおむね40人程度までとすることが望ましいということでありますが、実施主体である各市町村におきましては、指導員や場所の確保などの問題もあると考えております。
県といたしましては、国の補助制度も活用しながら、適正な規模への移行を図っていただきたいと考えておりまして、今後とも必要な助言等を行ってまいりたいと考えております。
61 火爪委員 必要な助言を行っていくということですので、ぜひお願いをしたいと思っています。
そこで、71人以上のクラブの分割、解消の中で、入所児童の抑制が行われなかったのかということを大変心配しています。1年前のこの委員会でも、そういうことがないようにということでお願いしたと思っております。
なぜこんなことを言うかと申しますと、去年までの3年間では、全国の学童保育所に入所する児童、登録児童は12万人ふえました。その前の3年間では15万人ふえました。ところが、この1年間は伸びが抑制されているのです。全国的にも3,000人しか伸びなかった。80万1,390人から、平成22年度の全国の学童保育の登録児童数は80万4,309人です。1年間で3,000人しか伸びなかった理由について、全国学童保育連絡協議会は、入所児童の抑制が行われ、潜在的待機児童が増大しているというコメントを出しているわけです。正式に申し込まなければ待機児童にカウントできないので、県内の学童保育の待機児童は5人にしかなっていないのですが、潜在的な待機児童はふえているというのが私たちの認識です。
それで、去年質問をしまして、この
子育て支援・少子化対策条例基本計画の中に、登録児童数の目標も掲げていただきました。平成21年6,736人が、平成26年目標7,578人という目標が掲げられています。登録児童数が保育所卒園児童数に近づくことが本来の姿だと私たちは考えていますが、1年しかたっていませんので、平成21年の数字が1年間でどれだけ伸びたかということを確認するにすぎないのでありますが、質問者の趣旨をぜひ酌んでいただいて、現在の到達についての認識を伺います。
62 吉川
子育て支援班長 放課後児童クラブは、保護者が昼間働いていて、家にいない家庭の子どもの放課後の居場所を確保するための事業であることから、保育所卒園時に利用ニーズがあることは十分考えられますが、家庭の保育状況の変化や地域の子どもをめぐる環境などによりましては、放課後児童クラブへの移行を必要としなくなる家庭もあるものと考えております。
県では、放課後児童クラブの利用を希望しながら登録できないことのないように、放課後児童クラブの増加に努めておりまして、登録を希望したにもかかわらず登録できなかった児童数ということで先ほど委員から御紹介がありましたけれども、現在、県で把握しておりますのは、平成22年5月末現在で1自治体での5名となっております。
各市町村におきましては、指導員や場所の確保などの問題もあると思われますが、保護者のニーズを踏まえた事業が展開されるように、今後とも必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
63 火爪委員 5人という数字はあえて質問しなかったのですけれども、ちょっとうそっぽいかなという感じがしますので、ぜひ気持ちを酌んでいただきたいと思います。
そこで、きょうの昼、知事と語る会の中で問題になったことについて質問をしておきたいと思っています。
9月定例会でも、社民党の代表質問の中で、富山市において学童クラブが今年度16カ所しかなく、学童保育所に入りたくても入所できないという実態が取り上げられました。厚生部長の答弁では、富山市の小学校数65校に対して、
厚生労働省基準のクラブは20カ所との答弁だったと認識をしております。
ちょっと実例を聞いていただきたいのですが、私が住む富山市の豊田校区では、富山市が学童保育所を市の責任では設置しないという方針であることから、仕方なくNPO法人とよた学童クラブを12年前に父母で立ち上げ、現在、2カ所で約60人の
子どもたちが放課後や夏休みを過ごしております。
ところが、周辺校区に学童保育所がないために、ことしの4月、隣の萩浦校区に1カ所、開設せざるを得ませんでした。どうしてかといいますと、萩浦小学校には富山市がやっている地域健全育成事業があるわけですが、5時で終わりということで、お一人のお子さんがファミリーサポートセンターの方に頼んで、毎日、とよた学童クラブ、隣の校区の学童保育所に2年間通いました。
ファミリーサポートは御存じですか。1時間1,000円なのです。20日間来ると、2万円です。学童保育クラブの保育料は1万円です。この子が3年生になったときに、ファミリーサポートセンターのおばさんが都合でやめられました。でも、学童保育は大変魅力があったので、3年生の彼は、小学校が終わると、西宮にタクシーの中継所があるのですが、そこへ行って、自分でタクシーに乗って、毎日毎日、とよた学童クラブに通い続けました。タクシー代はばかになりません。
それで、ことし、その子は5年生になったのですけれども、弟さんが新1年生として入学されました。地域のお母さんたちはとても黙って見ていられなくなって、やむなくNPO法人とよた学童クラブとして萩浦校区に学童保育所を開設しました。ところが、その萩浦に出先機関であるクラブができたら、そこに学童クラブのない神通川を越えた向こうの2つの小学校区から、同じようにファミリーサポートセンターを使って子どもが毎日通ってきているのです。こういう実態があるから、田尻議員も前回の質問で取り上げられたわけです。
昨年の2月定例会の本会議での知事答弁は、中核市ですので控え目ながら、こういう答弁をされました。富山市もできるだけ国のガイドラインや地域のニーズに配慮して運営をされればありがたいし、御努力もいただきたいと思っている次第であります。知事としては、ぎりぎりの答弁を本会議でされたわけです。きょうも、知事と語る会の中で知事は、率直に、富山市以外のすべての自治体は夏休みも開設していますと。やっていないのは富山市だけですと言っておられました。
富山市は中核市なので、県の立場では直接指導できないと思うのですが、私は、202カ所の全県の学童クラブの到達数の中で、富山市は75です。うち、
厚生労働省基準の学童保育所は20カ所です。県の到達から55減らすべきだと思うのです。
直接指導できなくても、県からいろいろな形で働きかけていただきたい。知事も答弁で、
厚生労働省のガイドラインに沿ってやってほしいと、地域のニーズに配慮して運営をされればありがたいと、そこまで頑張っておっしゃっているわけですから、ぜひ担当課としても、いろいろな形で富山市と情報交換をやって、働きかけていただきたいと思いますが、これまでどのように取り組んできたのか伺っておきます。
64 吉川
子育て支援班長 お答えいたします。
県内のどの市町村にお住まいであっても、放課後の児童が安心して安全に過ごせる居場所があることは大変重要でありますことから、県といたしましては、国の放課後児童クラブガイドラインの周知を図るとともに、保護者のニーズを踏まえた適切な運営がなされるよう、各市町村と連携しながら取り組んできております。
中核市である富山市につきましては、今ほどお話がありましたが、昨年の2月定例会で知事が答弁しましたとおり、従来から、一定の福祉分野の事業については、直接国から財源措置がなされるなど、地方分権の考え方から自由度が高められているものであります。放課後児童クラブ事業についても、こうした考え方から県の補助対象外となっておりまして、まずは富山市において国のガイドラインや地域のニーズに配慮して運営がなされるように努力していただきたいと考えております。
県といたしましては、これまでも富山市と、放課後児童指導員等研修会を合同開催するなど、富山市の要望を踏まえた連携も図ってきております。今後とも必要に応じて情報提供等を行ってまいりたいと考えております。
65 火爪委員 富山市の要望を受けて連携をしているのですから、県の要望も受けて、富山市もちゃんと適切に対応できるようにしていただきたいものだと思っております。
最後です。県は、今年度、国のガイドラインに沿った学童保育所を広げるため、指導員ガイドブックとマニュアルを作成する計画と聞いています。関係者からは、せっかくつくるのだから、全クラブと関係者に周知できるようにしてほしい、内容に学童保育指導員や関係者の意見が十分反映されるような段取りでつくってほしいと要望が寄せられています。今後の計画を伺っておきます。
66 吉川
子育て支援班長 お答えいたします。
県といたしましては、放課後児童クラブについて、より質の高い運営がなされることが望ましいと考えておりまして、今年度、今ほど、委員から御紹介のありました放課後児童クラブ運営マニュアル──これは放課後児童クラブの事業目的、指導員の役割、必要な施設整備などについて、国のガイドラインの内容も盛り込んで、わかりやすくまとめたものであります。それから、放課後児童クラブ指導員ハンドブックですが、これは指導員の日常業務に必要な防災・防犯の安全対策や緊急時の対応、保護者や学校、市町村担当課との連携のあり方などについてまとめたものでございまして、これらを今年度は作成することとしております。
現在、これらにつきましては、作成作業を進めているところでありまして、今後、児童福祉の専門家等の有識者、それから実際に放課後児童クラブの運営に携わっている関係の皆さん、それから運営に当たっている市町村の方など、幅広い方々の御意見もいただいて、年度末を目途に取りまとめを行いたいと考えております。
作成後は、県内の全放課後児童クラブ、とやまっ子さんさん広場の運営主体、それから市町村の担当者にも配布することにしておりまして、各クラブにおかれましては、指導員のマニュアルとして、また日々の活動のチェックリストとして活用していただきたいと考えております。あわせまして、県が実施いたします指導員研修会におきましても教材として活用しまして、内容の周知等について図っていきたいと考えております。
以上です。
67
島田委員長 ほかにありませんか。──ないようでありますので、質疑・質問を終わります。
以上で、付議事項についての審査を終わります。
この際、ほかに何か御意見はありませんか。──ないようでありますので、これをもって特別委員会を閉会いたします。
御苦労さまでした。
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