• "重点成長分野人材育成プログラム事業"(/)
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  1. 富山県議会 2010-06-01
    平成22年6月定例会 一般質問


    取得元: 富山県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-18
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前10時00分開議 ◯議長(鹿熊正一君)ただいまから本日の会議を開き、直ちに日程に入ります。     県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑 2 ◯議長(鹿熊正一君)日程第1、県政一般に対する質問並びに議案第62号から議案第72号まで、報告第3号から報告第11号まで及び議員提出議案第16号を議題といたします。  これより各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行います。  通告がありますので、順次発言を許します。  山本徹君。    〔6番山本 徹君登壇〕 3 ◯6番(山本 徹君)皆さん、おはようございます。  6月議会の一般質問のトップを切って質問させていただきます。ちょっと緊張いたしております。  きのうの代表質問での菅沢先輩の言い方に倣いまして、「菅直人総理よ、あなたもか」と言いたくなる事態が出来をいたしました。この8日、菅内閣が発足いたしまして、「最小不幸社会」とか、あるいは脱小沢氏を掲げて新しくスタートを切ったわけでございまして、今度こそやってくれるだろうという国民の期待は高まり、支持率はぐいぐいと上がったわけでございます。しかし、この上がった支持率がよくなかったようでございます。この支持率が高いうちに選挙をやらねばならんという、まさに浅ましい考えがかま首をもたげたようでございまして、必ず今国会中に成立させるとした郵政改革法案をあっさりと放棄し、まさに国民新党を真っ向からばっさりと切り捨て、亀井代表は失意と憤りのうちに大臣を辞任することとなったわけでございます。食言とはこのことでございますし、まさに自分勝手、舌の根の乾かぬうちにということでございます。  きょうは午後から所信の表明演説があるようでございますが、文字どおり、菅言にだまされないようにしなければいけないのではないかと思うわけでございます。  そういう怒りをあらわにしながら、通告に従いまして一般質問に入りたいと思います。  まず1番目は、適正な農業、GAPの導入についてでございます。  農水省は、平成19年4月に決定した21世紀新農政2007において、平成23年度までにおおむねすべての主要な産地においてGAPの導入を目指すとしており、平成20年5月の21世紀新農政2008においても引き続き同様の目標を掲げ、生産現場におけるメリットの明確化等に取り組んできました。  この方針に基づき、交付金など支援措置が講じられているほか、関係者の情報共有、意見交換を通じてGAPの導入推進が図られており、平成20年7月末時点では、全国4,476産地のうち1,138産地において導入をされているところでございます。  現在、国内にはさまざまなGAPが存在し、今後のGAPの方向性についても関係者の間でさまざまな考え方があることから、国では、我が国におけるGAPのあるべき姿や具体的な取り組みの進め方について意見交換を実施。GAPに共通して求められる事項の整理や共通の基盤づくりなどに取り組んできたところであります。  こうした取り組みを通じて、農水省は去る4月21日、先進的な農業生産工程管理を導入する際のガイドラインを策定いたしました。「食品安全」「環境保全」「労働安全」の3分野の取り組み項目を盛り込み、裏づけとなる法令、通知も示されたところであります。このたび統一的な見解として、GAP策定時の共通の目安ともなるガイドラインが定められたことで、GAPの導入にさらに弾みがつくことは確かだと思われます。  そこで、まず最初にGAP導入について、これまでの県内における取り組み状況について農林水産部長にお尋ねいたします。
     次に、3つの柱の一つ、「環境保全」の分野で質問をいたします。  硝酸態窒素による水汚染が問題になったのは1945年。アメリカで硝酸態窒素の濃度の高い井戸水を飲んだ乳幼児が死亡したことが判明してからでございます。乳幼児は特に硝酸態窒素に弱く、酸欠状態で体がブルーになって亡くなるケースが増えました。その後5年間で、アメリカではこのブルーベビー症で39人の乳幼児が亡くなったので、地下水への対策をとらなければならなくなりました。ヨーロッパでも、1948年から64年の間に乳幼児が80人死亡。そのため、地下水の状態を調べ、危険性の高い水は飲めないように規制をされたのであります。  大自然には硝酸態窒素の浄化作用があり、特に水田はその効果が大きく、その上、日本では地下水がたまらずに流れているので、硝酸態窒素の汚染濃度が低く、ブルーベビー症は発生しないと言われてきました。ところが、この2007年1月6日付東京新聞に、1995年、北関東でブルーベビーが発生していたとの記事が出たのであります。その後の発生は確認されていないとのことでありますが、軽度な中毒症状は各地で起きていると見られております。地下水を原水に用いた水道水を乳幼児に与えるのは、注意が必要かもしれません。  日本では、水の硝酸態窒素汚染は、大正末期に化学肥料を用いるようになってから始まったと言われています。地下水の硝酸態窒素は、化学肥料で59%、家畜排せつ物によるところが37%という試算もあるほどで、化学肥料と家畜排せつ物が主要原因であることは間違いありません。  本県でも、農業排水に含まれる農薬や化学肥料が、自然環境、生活環境に与える影響についての調査をしていく必要があるのではないかと感じています。清らかで豊富な水が富山の魅力の一つであり、農業分野においてもそれらをしっかりと守っていく意識が大切であると考えます。農業排水の環境に対する負荷をどう考えておられるのか、農林水産部長の見解をお聞きします。  また、本県のすぐれた自然環境を守り、農業が持続的に発展していくためには、より環境に配慮した取り組みが必要になっていくと考えますが、GAPを推進する上でどのように位置づけていくのか、農林水産部長の考えをお聞かせください。  GAPの普及は、農業を営む皆様が自発的に取り組もうとする姿勢が大切です。農業生産工程管理はなぜ必要なのか、なぜ取り組まなければいけないのか、科学的でわかりやすい根拠を示し、こうあるべきではありませんかという適正な農業のありようを、農業者の皆さんに納得していただくことから始めなければなりません。そうでなければ、管理されるだけの悲しい農業になってしまうのではないでしょうか。  GAPの普及には、農業者への啓発、指導者の育成などが必要であると考えますが、GAPの普及に向けてどのように取り組むのか、農林水産部長にお聞きいたします。  続きまして、新規学校卒業者の就職について質問いたします。  世界同時不況の影響で新卒学生の就職内定率が低下する中、北九州市立大学では、就職が決まらなかった卒業見込みの学生を対象に、学費を減額した上で大学に在籍し続けることができる新たな制度を今年度から試験導入いたしました。57人がこの制度を利用して、現在も在籍をしているということでございます。  同大学の就職支援室によりますと、2009年2月時点での就職内定率は81.7%。採用企業は新卒学生を重視する傾向があり、新卒枠で応募するために、みずから留年する学生もいたとのことであります。  現在、中央大学や成蹊大学など導入する大学が増えてきているのですが、こうしたことは、新卒学生の就職がいかに厳しいかを物語っているのだと思います。  就職情報サービスのディスコによると、2011年春卒業予定となる大学生の就職内定率は、前年同期比で1.7%減の47.8%だったことが明らかになりました。同社が大学生モニター2,000名を対象に実施した調査によるもので、依然として厳しい状況が続いているのであります。  こうした中、知事の提案理由説明にもございましたが、本県の平成22年3月の新規学卒者就職内定率は、高校卒で98.1%、全国1位ということで大変すばらしいわけでございます。大学などの就職内定率も94.7%と、驚異的な数字を上げています。関係者の御尽力に心から敬意を表さなければいけないと思います。しかし、ことしはさらに厳しい状況が予想されるわけで、新規学校卒業者の雇用の現状について、改めて商工労働部長にお尋ねをいたします。  北日本新聞の連載記事「富山に生まれてよかった」に、就職活動に苦しむ学生や若者の様子が掲載をされております。連載記事中にも出てまいりましたが、圧迫面接がまた拡大をする傾向にあるようでございます。圧迫面接とは、面接で受験者に対し、わざと意地悪な、あるいは威圧的な内容の質問や反論をし、これに対する応答、対応を評価する面接方法のことで、バブル崩壊後の就職氷河期には社会問題化したこともあります。こうした傾向を都市部の問題として片づけることはできません。地方にあっても、採用する側は優秀な人材の確保に真剣でありますから、いろいろな面接方法を試し、こういうことが起こらないとも限らないのでありまして、新卒の若者がこうした洗礼を受けるのは決していいこととは思えないのであります。  就職をする側も採用する側も真剣な今日の就職活動でありますが、雇用のミスマッチを解消し、お互いが本当によかったなと思える雇用が生み出されるようにしていかなければいけないと感じております。採用する側の意識を調査し、その結果を学校側や新規学校卒業者に伝えていく仕組みづくりをしていくべきと思いますが、商工労働部長の見解をお聞きします。  新規学校卒業者がしっかりとした勤労意欲を持ち、かつ就職をすることができ、安定的に働けるようになれば、結婚や子育てに取り組むそうした基盤が整ってくることにもなりますでしょうし、そうすれば新しい住宅の着工もどんどん増えていくことになるでしょう。もろもろひいては本県の発展につながっていくものと考えますが、新規学校卒業者の雇用についてどう取り組んでいかれるのか、知事の考えをお聞かせください。  続いて、教員の採用についてお尋ねいたします。  7月に入りますと、第1次の選考検査が行われることになります。本県の教育力充実に向け、慎重な審査がされるよう期待をするものであります。  教員採用審査につきましては、2003年度、2004年度の高知県教育委員会採点ミス事件、また2008年度には、大分県教育委員会における教員採用選考及び校長・教頭候補者選考試験における贈収賄事件の両事件があってから、都道府県教育委員会教員採用選考事務に向けられた疑いの念は、公教育に携わる人たちへの信頼を大きく失わせることになりました。  公立学校教員の採用については、教育公務員特例法に基づき、選考によるものとされ、選考は教育長が行うとされています。試験ではなく選考としているのは、教員には資格要件としての教員免許状の所持があり、学力、体力や性行などについて厳正な手続を経て下附されていること、競争試験では教員としての適格性を判定することはできないこと、特に教員に求められる人格は競争試験では判定できないこととされているのであります。  しかし、選考基準を明確にし、受検者に選考基準、判定結果の情報開示を進めるとしながら、県教委が公表しているのは単なる採点基準であって、選考基準ではないとの指摘もあります。また、教員の採用数はどの都道府県も少なく、教員採用試験は激戦をきわめますが、富山県は特に少ないと聞くこともたびたびでございます。  教育立県を掲げる本県は、公平で透明、正確な採用選考をさらに進めていかなければなりませんし、県民の皆様の教育行政に対する信頼を高めていく努力をしていかなければいけません。そして、富山県の教育現場はどんな人材を必要としているのか、富山県の子供たちを教え育てていく教員とはどんな資質、能力を備えた人材が適しているかなど、富山県教育の理念や方向性をしっかりと見定めていく必要があると思います。  そこで、郷土愛と理想に燃える地元の教員志望者を多く採用してほしいと考えますが、昨年度の採用のうち地元採用はどのくらいあるのか。また、人柄ややる気についての評価を重視すべきと考えますが、教員の採用についてどんな要素が最も評価されるのか、教育長にお聞きいたします。  秋田県教育委員会は、2011年度の教員採用2次試験での不合格者のうち、総合評価が優秀な受検者に対しては、翌年度の1次試験を免除する優遇措置を設けると発表いたしました。首都圏の人材吸引力がいまだ健在な中、教育を担うすぐれた人材の流出を防ぐのがねらいであります。  大量退職時代に備え、全国的に教員の積極採用が進む中、富山の教育を担うすぐれた人材を確保していく必要性を感じております。採用検査の実施方法などを工夫し、優秀な人材の確保に努めるべきと考えますが、どのように取り組んでいくのか、教育長にお聞きします。  次に、雇用対策についてお聞きします。  本県の雇用情勢は、4月の有効求人倍率が0.62倍と、全国平均をかなり上回っているものの、依然低い水準にあるわけでございます。提案理由の説明でも述べられましたが、本県では当初予算と2月補正予算を14カ月予算として一体的に運用し、雇用の確保に努めてきているところであります。特に雇用創出基金事業などを活用し、平成23年度までに1万人を上回る雇用を創出するとのことで、期待しないわけにはいかないわけでございます。  そこでまず、緊急雇用創出基金等を活用した雇用の創出について、これまでの実績と今後の見込みについて商工労働部長にお尋ねいたします。  しかし、1万人を超える急激な雇用創出に、片一方では心配もしているわけでございます。基金事業による雇用は、例えば半年あるいは1年と、短期の雇用が大勢を占めております。また、平成23年度以降、こうした緊急雇用創出基金の事業がどうなるのかわかっておりません。そうすると、せっかく職についた人もまた失業者に戻ってしまう可能性もありますし、そうならなくても、いつそうなるのかわからないという不安を抱えたまま過ごすことになるわけでございます。  新年度予算では、福祉やまちづくり、雇用関係など、これまで手薄だった人的な公務サービスの現場への人材配置に使われている例が多く目立つわけですが、半年や1年で人が交代したり、やっぱりいなくなったりしてしまうと、かえって現場が混乱したり、行政への不信感が募ったりはしないでしょうか。  景気は回復しているという楽観的な見方は危険ですし、1万人の雇用を支えられるほどの急激な景気回復はそれこそあり得ないのではないでしょうか。こうしたことから、制度が終了すると、かえって大きな社会不安が生ずるのではないかと、とても心配をするのであります。  平成23年度で基金事業は終了する見込みでありますが、基金事業終了後の安定的雇用につなげるため、どのように取り組むのか、商工労働部長にお聞きいたします。  最後は、シベリア・ランドブリッジの活用について質問いたします。  東海北陸自動車道特定重要港湾伏木富山港、本県の2つの重要な社会資本が最大限生かされていくのがロシアとの交易でございます。昨年は国交省と共同でトライアル輸送を行い、今年度についても、対ロシア交流について積極予算が組まれているところであります。  シベリア横断鉄道については、2006年、国営ロシア鉄道、海上・鉄道一貫輸送サービスを提供するルースカヤ・トロイカ社などの代表が来日し、日本企業に対し貨物サービスの拡販をアピールしました。シベリア鉄道による物流ルートの開発を検討していた三井物産は、この好機をとらえ、ロシア側との交渉を開始。2007年には三井物産の取り組みが実を結び、ロシア鉄道ルースカヤ・トロイカ社との3者間でロシア物流事業強化に向けた業務提携が実現し、シベリア鉄道を活用した貨物専用急行列車ブロックトレイン」サービスの提供が始まったのでございます。  2008年にはワゴンやコンテナの先行投資も進み、極東航路の増便も検討され、ボトルネックが心配された極東最大のコンテナ港であるボストーチヌイ港を補完するため、ウラジオストク港の拡張工事も始まりました。しかし、一昨年の世界同時不況からロシアの経済は停滞。ロシア政府は、リーマンショック前の水準に経済が戻るのは2012年から2013年と予想をしておるわけでございます。  こうした中、日本政府や企業に対し、自動車やハイテク、電化製品部門などでの技術協力、あるいは新幹線など公共交通への技術的、経済的関与の期待が高まっているところでございますし、もちろん日本企業も大陸やヨーロッパの市場をにらみ、SLBルートのさらなる開発とロシア経済の復興にビジネスチャンスをうかがっておるわけでございます。  そこで、ロシアの経済発展、日系自動車メーカーの進出に伴い、シベリア鉄道を活用したシベリア・ランドブリッジへの期待が高まっていますが、その課題と可能性について商工労働部長に改めてお聞きをいたします。  また、まことに長大な陸上物流ルートの形成と整備には、まだまだクリアすべき課題が多いと思われます。しかし、日本側の整備、港湾海路の整備と足並みをそろえていかなければ、最大限の成果を得ることはかなわないと思います。先日モスクワで行われた日ロ知事会議において、シベリア鉄道を生かした物流ルートの形成に向けての提言が行われましたが、この結果について知事の所見をお聞かせいただきたいのであります。  私の知人で、海をわたり実際にシベリア鉄道での物流に携わっている方がおられます。中央アジアのキルギスタンに拠点を置かれて交易の仕事をされておるわけでございますが、中央アジアでは日本人は特別な存在として認められておるとのことでした。勤勉で頭がよく紳士的、そして何よりお金持ちであるということでございます。そうしたわけで、とにかく大もてにもてるのだそうでありまして、私も機会があれば一度行ってみたいなと思っております。  この知人は、レアメタルのタングステンの鉱山を30億で買わないかと勧められ、そんなお金はないと言うと、日本人なんだから当然持っているだろうと、しつこく勧められたそうでございます。本県の企業局でその鉱山を購入し、レアメタルの供給で収益を上げるというのはどうでございましょうか。そうすれば、みんなでキルギスに行って、みんなでもてもてになれると思うのですが、どうかなという、これは質問ではございませんので、あらかじめ申し上げておきます。  知人によりますと、シベリア鉄道でのコンテナ輸送は大変難しいと言っておられました。役所や業者以外にも、例えば軍隊上がりなどの、それぞれの地区に言うなれば顔役といったような方もおられて、そうした方に話を通さないと、品物の輸送のみならずコンテナそのものが消失することも考えられるということでございます。多少大げさな話なんだろうなとは思いますが、しかし、シベリア・ランドブリッジにおいて物流ルートをしっかりと確保していくというのは、かなりの気遣いが必要なことは言うまでもないと思います。  シベリア・ランドブリッジを円滑に運営するために、ロシア政府との調整はもちろんのこと、ロシア国内の業者さんとの信頼関係を築いていくことも重要であると考えますが、商工労働部長の見解をお聞かせください。  以上、質問を終わります。ありがとうございました。 4 ◯議長(鹿熊正一君)石井知事。    〔知事石井隆一君登壇〕 5 ◯知事(石井隆一君)おはようございます。  山本議員の御質問にお答えしたいと思います。  まず、新規学卒者の雇用安定の取り組みについての御質問でございます。  県の将来を担う若者が安定した職につくことは、若者が結婚や子育てに前向きに取り組む環境をつくることにもつながりますので、少子化対策を図る上でも大変重要なことと思っております。  そこで、県としましては、これまでも緊急合同企業説明会、またUターンフェア・イン・とやまの開催、国に先駆けた、他県にも例がない富山型の対策としまして、新規学卒未内定者等の採用を確保する県内企業人材養成モデル開発事業の実施、新たに就職支援アドバイザーの配置による各高校の進路指導主事等と連携した就職相談や就職先開拓など、県や学校、労働局、産業界と提携して積極的に取り組んでまいりました。  こうした取り組みによりまして、大変厳しい経済環境だったわけですけれども、22年3月の新規学卒者就職内定率は、先ほど議員から大変高い御評価をいただいて恐縮しておりますが、高校は98.1%と全国1位、また大学等の就職内定率も94.7で、全国平均をかなり上回る。これは、都道府県別のデータが発表されていないものですからなんですけど、トップクラスと言っていいと思います。  しかしながら、来春卒業予定者をめぐる就職環境は、経済は少し持ち直したからもう少しよくなるかなと思っているんですけれども、実際には、4月末の聞き取りでは、むしろ求人件数はさらに大幅に減少するというふうに見込まれますので、依然として大変厳しい状況にあると思っております。そこで、去る6月2日には、教育委員会や労働局と連携しまして、経済団体へ新規学卒者等の求人確保のお願いに参ったところでございます。  また、来春卒業予定者の就職支援に万全を期しますために、昨年に続いて合同企業説明会やセミナーの開催等をやりますけれども、さらに大学等の新規学卒者向け求人開拓員を新たに2名配置いたしまして、県内企業訪問等による求人の開拓。また、高校の就職支援アドバイザーの配置期間、昨年は9カ月間でしたが、ことしは4月から通年でやるといったようなことも進めておりますし、また就職動向によりましては、県内企業人材養成モデル開発事業──これは昨年度実施して、むしろ厚生労働省から、これを参考にして新しい政策を打ち出してもらったぐらいでありますが、就職未内定者を対象とした雇用創出基金を活用した訓練つき雇用、これの実施をする方向で検討したいと思っております。  今後とも、労働局等関係機関と連絡を密にして、県教委とも、また企業の協力も得ながら、本県の将来を担う新規学卒者の雇用確保と安定に全力で取り組んでまいりたいと思っております。  また、雇用をしっかり確保するには、実は経済の活性化が大事なんですね。ですから、県としても努力しますけれども、何より新菅内閣には、今までちょっと不足がちだった経済成長戦略、それを策定してしっかり実行していただく、こういうことも大切だと思っております。  次に、日ロ知事会議において行った提言の結果についてのお尋ねにお答えをいたします。  日ロ知事会議は、日ロ両国の友好親善関係の増進と経済貿易関係の発展を目指すということで、ことし13年ぶりに開催されることになりまして、全国知事会からもぜひ出席してほしいという御要請もあったものですから、5月の連休等を活用して参加させていただきました。  ロシアは、ソ連邦崩壊後、経済が混乱した時期もございましたが、先ほどもタングステンのお話がありましたが、例えば石油はサウジアラビアを抜いて1位、また天然ガスはアラスカを有するアメリカを抜いて1位といったようなことで、大変な資源大国でございます。2008年までのこの10年間では、GDPは約6倍に急成長しております。世界同時不況の影響もありますけれども、将来さらなる発展が見込まれる国だと考えておりまして、この機会に、環日本海地域における物流ルートの形成や、極東地域を中心とした観光交流の促進をロシア側に働きかけまして、産業や観光面での地方レベルのパイプをしっかりつなぎたいと考えまして参加いたしました。  日ロ知事会議におきましては、私から、一昨年の東海北陸自動車道の全線開通によりまして、伏木富山港の物流機能のポテンシャルが一層高まっており、日本の太平洋側から伏木富山港を経由して、極東港、シベリア鉄道を経てヨーロッパ・ロシアに至る物流ルートの形成、お話にも出たシベリア・ランドブリッジをぜひつくりたいと。そのために、昨年、名古屋から伏木富山港及びウラジオストクを経由して、内陸のノボシビルスクまでの自動車等の輸送実験を行ったことなどを説明いたしました。  その上で、シベリア鉄道がスエズ運河ルートに代替する機能を担うためには、ロシア極東港での通関手続の簡素化、迅速化。さっきいろいろお話がありました。また、シベリア鉄道の定時性、安全性。また、現時点では残念ながらスエズ運河経由よりもコストが割高だということですので、もっと効率化を図る。こういったことが必要であるということも提起いたしまして、その改善が、日本だけではなくてロシア自体、日ロ両国の国益にかなうものだということを強調させていただきました。  なお、ロシアの通商関税政策についても、WTOへの加盟申請も行っていらっしゃる大国ロシアが、木材輸出税とか自動車輸入税の引き上げなど、保護主義的な措置を急激にとるといったようなことは避けて、自由貿易体制尊重の立場から適切に対処していただくように、これも提言したところでございます。  こうした中で、本県から提言しました通関手続の簡素化、迅速化や、シベリア鉄道の定時性、迅速性、効率性の向上については、日ロ知事会議の議長を務めたロシア21世紀委員会議長のルシコフ・モスクワ市長、これは日本で言えば東京都知事ということですが、プーチンさんが党首の「統一ロシア」の共同議長もされていますから、もっと大きな存在なのかなという気もいたしますけれども、この方に大変積極的に御賛同いただいて、「日ロ両国の地方政府としてもその実現に努力して、それぞれの中央政府に要請していく」という文章を共同声明に盛り込むことができたわけでございます。  こういう点では、今回の日ロ知事会議の大きな成果の一つになったんじゃないかと思っていますが、声明に入れるだけではあれですから、ぜひこれが実現されるように──この点については昨年、一昨年ぐらいから、外務省にも、あるいは経済産業省にも申し上げて、また、会社の名前は申し上げられませんが、日本を代表する有数の会社の首脳にもお話をして、何とかこのルートが実現するように働きかけもしておるんですけれども、今後とも全国知事会その他の場で努力をしてまいりたい、こういうふうに思っております。 6 ◯議長(鹿熊正一君)寺井農林水産部長。    〔農林水産部長寺井幹男君登壇〕 7 ◯農林水産部長(寺井幹男君)まず、GAPのこれまでの県内の取り組み状況についての御質問にお答えいたします。  GAPと申しますと、グッド・アグリカルチュラル・プラクティス、この頭文字を取ったものでございますが、適正農業管理または農業生産工程管理と訳されておりまして、農業の生産工程の各項目について、みずから点検し、PDCAサイクルを通して改善していく取り組みでございますが、近年、消費者の食の安全・安心に関する関心の高まりなどを背景に、安全・安心な農産物の供給、環境の保全、農作業の安全対策などに適切に対処するため、その取り組みを推進することが求められてきております。  県といたしましても、平成20年11月に富山県農業生産工程管理推進方針を定めて、昨年度から実際にGAP手法の導入を推進しております。  現在の取り組み状況としましては、JAグループが中心となりまして、基幹作物であります米と大豆については21年産から、さらに大麦については22年産から、各JAごとに基礎的な点検項目に関するチェックシートを作成し、各農家で作業の点検などの取り組みを進めていただいております。  また、園芸作物につきましては、21年産から富山市呉羽のナシ産地において、22年産から南砺市の干しガキ産地、砺波市、南砺市のリンゴ産地において取り組みが始められております。  このように、本県におきましては、GAPの取り組みが始まってまだ2年ではありますが、農家の皆さんにはGAPの必要性や意義について徐々に浸透しつつあり、食品の安全性確保はもとより、環境の保全や、みずからの健康保持のために必要なことであるという認識も広まって、活動も定着しつつあるというふうに考えております。  今後とも、JAグループ等と連携し普及定着に努めるとともに、消費者の皆さんにも御理解をいただきたいと考えております。  次に、農業排水の環境に対する負荷についての御質問にお答えいたします。  本県農業は水田を中心として発達してきており、豊かな農業用水によって支えられております。こうした用水だけでなく、農業排水の環境負荷についても留意していく必要があると考えておりますが、県農業研究所の調査によりますと、水田に入れた用水量のうち実際に外に排出されるのは3.5%程度で、かけ流しの状態ではないこと。排水に肥料や農薬が混入する可能性があるのは、代かきや田植え、除草剤散布などの時期に限られているといったことを前提に、できる限り環境に影響を与えないように留意していく必要があると考えております。  このため県としましては、農業者が肥料や農薬を適切に使用し、各種の成分が農業排水から流出することを極力抑えるための技術対策の徹底を図っております。  具体的には、肥料につきましては、土壌診断に基づいた適切な施肥量とすることや、土の中に施肥することによって表面水へ肥料成分が溶け込むことを極力抑制すること。農薬につきましては、農薬取締法に基づいて安全が確認された農薬を使用し、その使用基準を守って散布すること。また、除草剤の散布後は、薬の成分濃度が極めて低くなるまで、7日間、圃場からの排水をとめることなどにつきまして、JAグループ等と一体となって推進してきております。こうした技術対策が既に実施されておりますが、農業者においてさらに徹底されるように、指導、協力をしていきたいというふうに考えております。  次に、GAPを推進する上で、環境に配慮した取り組みをどう進めていくのかというお尋ねにお答え申し上げます。  農業者等がGAPに取り組む際に重要な視点としましては、安全な農産物の生産、環境の保全、農作業の安全の3点がございますが、それぞれの視点に対応した取り組み項目について、農業者みずからが自主点検し、PDCAサイクルの中で改善を続けていくことが基本であると考えております。  このうち環境の保全につきましては、農業ができるだけ周囲の環境に負荷をかけずに営まれ、さらにはクリーンな環境の中で安全な農産物を生産するという観点から、GAPの中においても重要な視点として取り組んでおります。  現在取り組んでいるGAPの点検項目の中におきましても、例えば水稲の代かきの直後は水が濁りますが、沈殿して濁りがなくなるまで水を外に流出させないこと。除草剤の散布後は、薬の成分濃度が極めて低くなるまで、7日間、圃場からの排水をとめること。また、農薬散布の際には周辺の作物や住宅地への飛散防止に努めること。使用済みのビニールや容器などの廃棄物は、廃プラスチック回収により適切に処理することなどの環境の保全に関する項目が既に位置づけられております。  県としましては、GAPの点検項目は法令や制度の改正などがあれば毎年見直しを図ることにしておりまして、今後、必要に応じて項目を追加するなど、より環境の保全に配慮した取り組みが促進されるよう指導支援をしていきたいというふうに考えております。  次に、GAPの普及に向けてどう取り組むのかという御質問でございます。  農業者へのGAPの普及を図るためには、まず農業者自身がGAPの必要性を十分に理解し、自主的に実践するよう誘導していくことが大事だと考えております。  このため県におきましては、農業者への啓発を図るため、GAPをわかりやすく紹介したパンフレットの作成配布、集落座談会等での説明、ケーブルテレビによるGAP情報の放映などに取り組んでおります。さらに、県農協中央会においても、テレビCMによるGAPの啓発を図っているところであります。  また、GAPの指導者を育成するために、本年度は普及員や農協の営農指導員を対象とした指導者養成研修会を開催しまして、国のGAPガイドラインの周知を図ったところであります。  さらに、国が行うGAP専門研修への普及指導員の派遣や、先進県における事例の調査を行うこと、研修用の実証圃場を活用しての実践研修を行うことなどに取り組んでおります。  今後とも、GAPに関する農業者の理解が深まり、自主的な実践活動が定着していくように、農業者への啓発や指導者の育成などに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 8 ◯議長(鹿熊正一君)柳野商工労働部長。    〔商工労働部長柳野隆之君登壇〕 9 ◯商工労働部長(柳野隆之君)まず最初に、新規学卒者の雇用の現状についての御質問にお答えします。  新規学卒者をめぐる就職環境は、一昨年秋からの経済・雇用情勢の急激な悪化を受け、非常に厳しい状況にありましたが、平成22年3月の新規学卒者就職内定率は、県、学校、労働局、産業界の連携協力により、ほぼ例年並みを確保することができ、高校の就職内定率は98.1%と全国第1位となり、大学等は94.7%と、全国平均をかなり上回ったところであります。  しかしながら、来春卒業予定者をめぐる就職環境は、現下の厳しい経済・雇用情勢を反映して、現時点では前年同月に比較して求人件数が大幅に減少しており、非常に厳しい状況にあると認識しているところであります。  次に、採用側の意識調査の御質問にお答えします。  新規学卒者の就職支援におきましては、採用する側がどのような人材を求めているかを学生に伝えることは、雇用のミスマッチを解消する上で大変重要であると考えています。  このため県では、これまでも、学生が直接企業の採用担当者から説明を受けることができる場として、ヤングジョブとやまにおける各種合同企業説明会の開催、県内外に進学した新規学卒者の県内就職を推進するUターンフェア・イン・とやまの開催。企業が求める人材像の学生への情報提供の場として、元気とやま!就職セミナーにおける県内企業人事担当者と参加学生による座談会、ヤングジョブとやまにおける新卒者の就職活動のための各種セミナーの開催。高校においても、就職支援アドバイザーの企業訪問を通じて企業が求める人材の把握と生徒への情報提供などにより、県内企業が求める人材について学生生徒に対し伝える機会を設けているところであります。  新規学卒者をめぐる就職環境は依然として厳しい状況にありますが、今後ともこうした取り組みを通じ、新規学卒者の就職支援を行うとともに、県内企業への就職促進に努めてまいりたいと考えています。  次に、雇用創出基金を活用した雇用創出の実績等についての御質問にお答えします。
     現下の厳しい雇用情勢に対応するため、総額149.2億円のふるさと雇用再生基金事業及び緊急雇用創出基金事業に取り組み、平成21年度の雇用創出数の実績は、県、市町村合わせて、目標の2,600人を大きく上回る3,178人の雇用を達成したところであります。  その雇用の主なものとしまして、ふるさと雇用再生基金事業では、介護業務に従事しながらホームヘルパーの資格を取得する事業で53人、伝統的工芸品産業の後継者育成を行う事業で14人。また、緊急雇用創出基金事業では、元気な森再生事業で249人、小学校外国語活動協力員配置事業で41人などの雇用創出を行ったところであります。  今年度におきましては、3,700人の雇用創出を図ることを目標とし、事業の早期執行に努めるとともに、国で新たに創設されました重点分野雇用創造事業を活用し、介護、農林水産、ものづくり分野など、今後成長が見込まれる分野の県内企業に訓練つき雇用を委託する重点成長分野人材育成プログラム事業などにも積極的に取り組んでいくこととしているところであります。  今後とも市町村と連携し、新たな基金事業の掘り起こしに努め、22年度で3,700人、23年度までの3年間で1万人を超える雇用創出に向け、目標を一人でも多く上回る雇用機会の創出を図ってまいりたいと考えています。  次に、基金事業終了後の安定的雇用についての御質問にお答えします。  厳しい雇用情勢に対応し、総額149.2億円の雇用創出基金事業を活用して、今ほどもお答えしたとおり、21年度から23年度までの3年間で1万人超の雇用創出を目指しているところであります。  この基金事業により創出されました雇用機会を安定的な雇用につなげるため、1年以上の雇用を創出するふるさと雇用再生基金事業により雇用された者を事業終了までに正社員に登用した企業に対し、一時金1人当たり30万円を支給する事業を新たに実施するとともに、新規学卒未内定者等の採用を確保する県内企業人材養成モデル開発事業において、企業に対し、原則として1年後に正社員に登用する条件を設けるなどの取り組みを行っているところであります。  また、介護、農林水産業、ものづくり分野など今後成長が見込まれる分野の県内企業に、6カ月から1年以内の訓練つき雇用を委託する重点成長分野人材育成プログラム事業を積極的に進めており、この事業におきましては、受託企業は雇用期間終了後、その雇用する臨時雇用職員を正社員に登用するよう努めるものとしているところでございます。  県としましては、今後とも雇用創出基金事業などを活用して、一人でも多くの求職者が安定的な雇用につながるよう努めてまいりたいと考えています。  次に、シベリア・ランドブリッジの課題と可能性についての御質問にお答えします。  現在、日ロ間の物流につきましては、スエズ運河を経由する海上輸送ルートが主流となっていますが、近年、日系自動車メーカーのロシア西部地域への進出等に伴い、シベリア・ランドブリッジ、すなわち日本海を横断する海上輸送とシベリア鉄道との一貫輸送ルートが注目を集めております。本県としても大きな期待を寄せているところであります。  シベリア・ランドブリッジの最大のメリットは、スエズ運河と比較した場合、輸送時間の短縮効果にありますが、他方、課題として、スエズ運河経由よりもコストが割高となっていること。極東での通関手続が煩雑であり、日数を要することなどが一般的に指摘されているところであります。  伏木富山港がシベリア・ランドブリッジの起点となる可能性につきましては、本県の伏木富山港のコンテナ貨物取扱量が増加していること。伏木富山港が日本海側定期コンテナ航路の唯一の寄港地であること。これまでトライアル輸送など実証実験を積み重ねてきていることなどから、他県より一歩先んじたポジションにあると考えています。  また、本年度におきましては、5月の日ロ知事会議において、ロシアの通関手続の迅速化等が共同声明に盛り込まれたことや、ビジネスサポートデスクの開設、今般のラストポート化の実現などにより、さらに期待が高まっているところであります。  今後とも、日本海航路の実現に向けました実験や集荷の努力を通じて、伏木富山港が日本海沿岸地域の対ロシア物流のゲートウエーとして、そのポテンシャルを一層高めていくことができるよう努めてまいりたいと考えています。  次に、シベリア・ランドブリッジの円滑な運営に関する御質問にお答えします。  シベリア・ランドブリッジの円滑な運営のためには、ロシア政府機関のみならず、鉄道会社、船会社、港湾、貨物輸送事業者などの運営機関との信頼関係を醸成していくことが大変重要であると考えております。  このため、5月4日に知事がウラジオストクを訪問し、ウラジオストク商業港や極東海運ウラジオストク社などでトップセールスを行うとともに、富山県ビジネスサポートデスクを設置したところであります。  また、これまでも、海外ポートセールス訪問団の派遣、ロシア現地バイヤーの招聘、ロシア極東若手ビジネスマンとの意見交換会の開催などを実施し、シベリア・ランドブリッジを支える運営機関との相互理解の推進や情報交換に努めてきたところであります。さらに最近では、鉄道、船舶など、一括マネジメントをする国際複合一貫輸送サービスの利用が増大し、利用推進の観点から、こうしたサービス情報の提供も行っていくこととしています。  今後、新たに現地バイヤーの商談会を開催するとともに、10月に再度、海外ポートセールス訪問団を派遣するなど、引き続き関係機関との緊密な信頼関係の構築に努めてまいりたいと考えています。  以上でございます。 10 ◯議長(鹿熊正一君)東野教育長。    〔教育長東野宗朗君登壇〕 11 ◯教育長(東野宗朗君)教員の採用についてのお尋ねにお答えしたいと思います。  本県の教員採用者に占めます県内高校、または県内大学出身者を合わせた割合でございますが、ここ数年、90%程度で推移してきておりまして、本年4月の数字でございますが、91.0%でございました。昨年からは、本県出身の大学生などに教育委員長の手紙を送付いたしまして、本県教員を目指すように直接呼びかけるなど、優秀な教員の確保に努力してきているところでございます。  採用に当たりましては、教師としての専門性、指導力、社会人としての常識をわきまえた社会性のほかに、何よりも子供に対する教育的愛情、教職への情熱などの豊かな人間性の3点が大事だろうと考えているところでございます。こうした学力と人物のバランスのとれた意欲ある教員の確保に、今後とも取り組んでまいりたいと考えているところでございます。  このため、採用選考検査におきましては、専門教科に関します筆答検査、実技に加えまして、人物評価を重視する観点から、面接、作文等を課しまして、本県が求める教員の採用に努力してきているところでございます。  特に本県は、面接につきまして大変きめ細かく実施してきておりまして、1次検査では集団面接、2次検査では個人面接を実施しております。受検者の人間関係を築く力や協調性など、さらに子供に信頼され、子供たちを伸ばしていくことができるかどうか。これは見きわめることは大変難しいものでございますが、こうした教職適性につきまして、民間人の面接官も参加していただきまして、多くの目で幅広い観点から見きわめを行っているところでございます。さらに、ボランティア活動やクラブ活動など、受検者がこれまで培ってきたこと、成果を見きわめまして、人柄ややる気なども総合的に評価した上で合否判定を行っておりまして、今後ともしっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。  次に、採用検査の実施方法についてのお尋ねにお答えしたいと思います。  教員採用選考検査に当たりましては、これまでも、年齢制限の撤廃、検査項目などなど、さまざまな工夫改善を行ってきたところでございます。  近年の状況を申し上げますと、18年度に特別選考──社会人経験、特定資格など、大幅に導入したところでございますが、この中で、特に青年海外協力隊を対象とした特別選考を、都道府県レベルでは全国で初めて行わせていただいたところでございますし、過去2年間の1次合格者で講師経験を有する方につきましては、教職経験がございますので、1次検査の一部免除制度の導入などに踏み切ったところでございます。  昨年度は、現場において即戦力となります3年以上の教職経験がある現職教員につきましては、特別選考として教職経験区分というものを導入させていただきましたし、また今年度からは、特別選考にスポーツ実績の区分も新たに取り入れたところでございます。また、昨年度新設いたしました補欠制度、これにつきましては1次検査の一部を免除することにしているところでございます。  今後、全国的には教員の大量退職期を迎えるわけでございますが、先ほど言いましたように、本県の出身者に教育委員長からの手紙を送りますとともに、新しくパンフレットもつくりまして、県外大学へ職員が直接出向き、PR、説明会を行うなど取り組んできているところでございまして、今後とも各県の状況を踏まえまして、さらに工夫改善を行い、しっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 12 ◯議長(鹿熊正一君)以上で山本徹君の質問は終了しました。  柴田陽子君。    〔2番柴田陽子君登壇〕 13 ◯2番(柴田陽子君)6月定例議会一般質問を行う前に、先日テレビを見ておりますと、昨年からの政治状況について報道しておりました。22年間で16人も総理大臣がかわる異常な事態になっているということで、各駅停車の政権といいますか、名前を並べると、ほかの国から見ると日本の国は各駅停車の総理大臣だという指摘もありますし、今の学生に歴代総理大臣の名前を書けと言っても、書ける学生が大変少ないんじゃないかというような、そういう異常な事態であります。やはり私たち県議会、そして各市町村、各自治体の議員がしっかりと国民、県民、市民の声を反映させる、そういう努力がこれからも必要になっていくんではないかと改めて思いました。  それでは、一般質問に移ります。  まず初めに、障害者福祉の充実についてお伺いいたします。  一口に障害者と言いましても、さまざまな障害の形があり、特に今大きな問題となっているのが、障害者の皆様の社会復帰、また地域においての自立支援が重要な課題となっております。  私が約20年前に市会議員として初めて高岡市議会で質問させていただいたのが、高岡駅のバリアフリーについてでありました。高岡駅の階段は高齢者や障害者に大変危険な状況であることから、ぜひエレベーターの設置を考慮して、安心して利用できるよう要望したことを思い出します。そのときの答弁は、市長の名前は言いませんけれども、「物資移動用のエレベーターは配置してあります。申し出があれば利用することが可能である」と、まるで人と物を同じように考えるという、本当にひどい答弁でありました。  私はこれまで、精神障害者等の障害を持つ方の要望をできる限り質問に取り入れさせていただきました。今議会の障害者福祉についての質問は、県内の聴覚障害を持つ皆様の要望を踏まえ、何点か質問させていただきます。  障害者自立支援法が平成18年4月に施行されました。法律の第1条に、「障害者及び障害児がその有する能力及び適性に応じ、自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう」との目的が記述されております。  そこで、まず1点目は、県内における聴覚障害者の雇用について、実態はどのようになっているのかお伺いいたします。  先日、県の障害者雇用の資料をいただきますと、県の障害者雇用のうち身体障害者が58人、そのうち聴覚障害者の方が4人ということをお聞きいたしましたけれども、聴覚障害でも、パソコン等文書能力に精通した方もたくさんおられますので、もっと県も積極的に聴覚障害者の方の雇用も考えていかなければならないんではないかということで、雇用についての実態、県以外のほうでもどのようになっているのかお伺いいたします。  2点目は、聴覚障害を持つ方の手話通訳事業についてであります。  地域生活支援事業の中のコミュニケーション事業として、全国の市町村の必須事業と指定されました。しかし、手話通訳事業を実施している市町村はわずかであり、まだ多くの市町村はその取り組みを行っておりません。聴覚障害者にとっては基本的人権の尊重であり、手話通訳を必要とする障害者にとっては不可欠なものです。  厚生労働省は、障害者自立支援法においての地域生活支援事業とは、手話通訳の派遣事業、要約筆記派遣事業、手話通訳設置事業であるとしております。障害者にとって手話はコミュニケーションを確保するための重要な手段でありますが、現在、手話通訳者の県内の人数及びその養成状況はどうなっているのか、厚生部長にお聞きします。  3点目には、聴覚障害者がコミュニケーション手段を選択し、直接相談やサービスが受けられるよう手話通訳者が配置されるべきであります。県や市町村などの公的機関、また公的医療機関等における手話通訳者の望ましい設置のあり方について、県聴覚障害者協会と連携し検討していくことが必要ではないか、厚生部長からお聞かせ願います。  この問題の最後になりますが、知事にお聞きいたしたいと思います。  今回、聴覚障害者を取り上げましたが、社会に参画し、地域において自立して日常生活を営んでいくことができるよう、県の施策をもっと積極的に展開していくべきと考えます。2月の提案理由説明では1行半、6月では障害者福祉に関しては一切触れてありません。もう少しやはり、障害者福祉について県が率先して取り組むべきではないかと考えるのですが、知事の見解をお聞かせ願います。  次に、教職員のメンタルヘルスについてお伺いいたします。  私は、教育現場における児童生徒がゆとりある教育を受けることができる教育環境が、今必要ではないかと思っております。そして、その子供たちを指導していくのは教職員の皆さんです。しかし、富山県内において、児童生徒を一人の人間として育てるべき教職員の多忙化により、職員自身が自分の仕事に限界を感じているという声が多く聞かれます。  2008年度で病気休暇した小中高の教職員は全国で8,598人で、前年度比509人増えております。これは16年連続で、過去最多であります。そのうち精神疾患によるものが5,400人で、これも過去最多となっております。富山県内でも、精神疾患の休職は平成19年で33人、平成20年で40人、平成21年で48人と、やはり増加しております。  まず1点目は、毎年約40人、教職員が精神疾患で病気休暇をしており、数も増加傾向にありますが、その要因をどのようにとらえておられるのか、教育長にお伺いいたします。  2点目は、精神疾患による休職者の職場復帰についてどのように取り組んでこられたのか。  聞くところによりますと、昨年は何とか5名の方が職場に復帰されたとのことですが、県にとっても大切な人材です。積極的な職場復帰への取り組みを検討していただきたいと要望するものですが、教育長の今後の決意をお聞かせ願います。  3点目には、学校パワーアップ推進会議の取り組みについてであります。  学校パワーアップ方針が導入されて5年目を迎えました。この方針の目的は、日常業務の過密化や生徒指導にかかわるさまざまな教育課題が山積みする中で、教員が子供と向き合いやすい環境を整え、学校教育の質の維持向上、教職員の職務能率の向上と健康増進を図ることとなっております。しかし残念ながら、いまだ周知徹底されていないというのが実態であります。学校パワーアップ推進会議の取り組みについて、その内容と、これまでの成果について教育長にお伺いいたします。  次に、児童虐待についてであります。  児童虐待についての質問は、さきの代表質問で菅沢議員にも取り上げていただきました。答弁では、児童相談所等の対応や市町村での相談機能の対応が述べられておりましたが、児童虐待件数は増加傾向をたどっておりますので、再度質問させていただきます。  1点目は、平成20年度に児童相談所──これは厚生労働省の報告なんですが──が対応した養護相談のうち、児童虐待相談の件数は4万2,664件でした。これは前年に比べて2,025件増加しております。相談種別では、身体的虐待が1万6,343件、ネグレクト、すなわち育児放棄が1万5,905件となっております。  児童相談所の相談員について答弁で述べられておりましたけれども、職務の特殊牲を考慮した場合──特に、虐待をしている60%以上が母親であり、20%以上が父親であり、複雑な家庭環境にあるということです。プライバシーにかかわることからも、専門職として同一所属にある程度長期にわたって配属されるべきと考えるが、厚生部長の見解をお聞かせ願います。  2点目には、被虐待者の年齢が、小学生が約1万6,000人、3歳から学齢前が約1万人、ゼロ歳から3歳未満が7,700人であります。児童虐待については、その態様が身体的虐待や心理的虐待、育児放棄など多様にわたっており、関係する行政機関も多様であることから、関係機関・団体の緊密な連携が不可欠と考えております。代表質問の答弁では、地域協議会をつくっていらっしゃるとお聞きしましたけれども、具体的な対応はどのようにしておられるのかお聞かせ願います。  質問の最後になりますが、子宮頸がん予防ワクチン接種の助成についてお伺いいたします。  子宮頸がんは、年間1万5,000人以上が発症し、約3,500人が命を落としている、女性のがんでは乳がんに次いで2番目に多いがんであります。  最近では、感染原因である性交渉の低年齢化などが影響し、若い患者がこの20年間で2倍以上に増え、若くして子宮頸がんになり、子供を授かる前に子宮を取ったり、幼い子供を残して死んでいく女性が増えております。今、20代女性のかかるがんで、乳がんを抜いて一番多いのがこの子宮頸がんなのです。  私は、この質問に当たって皆様に御理解いただきたいのは、皆様は女性から生まれております。そして、この議場の中には娘さんを持っている方もいらっしゃると思います。これが他人事でなく、いつ自分の身に降りかかるかもわからないという、こういう深刻な状況であることを御理解いただきたいと思います。  性交渉によるウイルスの感染が原因のがんであるため、ワクチンで予防できる唯一のがんと言われ、有効性は10年から20年継続すると言われています。自治医大附属さいたま医療センター産婦人科の今野教授によりますと、12歳の女児全員が接種すれば、子宮頸がんにかかる人を73.1%減らせるというデータも出ています。しかし、半年の間に皮下注射による3回の接種をしなければならず、全額自己負担の場合、総額4万から6万という非常に高額な金額がかかります。  世界では100カ国以上でこのワクチンが使われ、先進国約30カ国で公費助成が行われております。日本でも幾つかの自治体で独自の助成を開始いたしました。富山県としてもぜひ子宮頸がんの助成に取り組むべきと考えておりますが、知事の見解をお聞かせ願います。  栃木県大田原市のように、3度の接種に連れて行く保護者の負担や、性交渉というデリケートな問題に配慮して、学校での集団接種を行う自治体もあります。接種率を高めるためにはそのような措置も大変に有効と考えておりますが、知事はどうお考えなのか、見解をお聞かせ願いまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 14 ◯議長(鹿熊正一君)石井知事。    〔知事石井隆一君登壇〕 15 ◯知事(石井隆一君)柴田議員の御質問にお答えします。  まず、障害者の自立支援についてお答えをいたします。  近年、お話しのように、障害者基本法の改正、また障害者自立支援法の制定などの制度改正もございましたし、また障害者の高齢化、障害の多様化など、障害者を取り巻く環境が大きく変化する中で、住みなれた地域や家庭で生活をして、自立し、社会に参加しようという障害者の意欲は高まってきていると思います。  こうした中で、特に聴覚障害の方につきましては、意思疎通が課題とされておりますので、地域で円滑な生活を営むためには、十分なコミュニケーション手段の確保と適切な情報提供が必要であります。そこで県では、平成21年3月に策定しました富山県障害者計画におきまして、聴覚障害者の自立と社会参加を一層促進するために、情報提供の充実、情報バリアフリーの推進を掲げて、各般の施策を進めております。  具体的には、まず情報提供の充実としましては、手話通訳者や要約筆記者の養成、派遣。これは今まで、例えば市町村への派遣は21年度の実績で延べ965回。また、県や市町村職員を対象とした手話講座の実施。これも累計の受講者は、昭和56年以降で624名となっています。また県政番組の字幕、手話放送の実施。それから、字幕つきのテレビ番組や映画等を貸し出すビデオライブラリーの整備充実などを進めております。  また、情報バリアフリー化の推進としましては、パソコン講習などIT講習会の開催、また情報機器に関する相談援助を行う障害者IT推進員の派遣などを実施しております。  さらに、聴覚障害者の交流や活動の拠点としましては、平成19年に、御承知のとおり、富山県聴覚障害者協会が整備しました聴覚障害者センターの整備費及び運営費に対して、県は財政的な支援を行ってきているところであります。協会ではこのセンターを活用されまして、日常生活に関する各種の講習会、生活相談、それからパソコンとかプロジェクター、情報機器の貸し出しなども行っておられます。  今後とも、お話しのように、ぜひ地域で聴覚障害者の社会参加がもっと進みますように、市町村や富山県の聴覚障害者協会など関係団体と連携して努力をしてまいりたい、こういうふうに思っております。  次に、子宮頸がんの防止についてお答えをいたします。  県としましては、富山県がん対策推進計画に基づきまして、予防から治療までの総合的ながん対策を進めております。  まず、予防については、何といってもがんにかからないということが大切ですから、生活習慣の改善の推進に取り組む。また、本年3月に協定を締結した企業4社の社員をがん予防推進員として養成しまして、予防の普及啓発などの取り組みを強化しております。  また、がんの早期発見のために市町村が実施します5歳ごとの節目年齢での検診に加えまして、さらに、お話しの子宮がんあるいは乳がんについて、節目年齢の間に設けている重点年齢での検診に対して助成するなど、受診しやすい環境づくりに努めておるわけでございます。  御質問の子宮頸がんについてでありますけれども、他のがんに比べて若い年齢から罹患が見られますので、20から30代での検診を充実しますなど、検診機会の拡充を図っております。  ただ、お話しの昨年12月から接種が可能となりました子宮頸がんのワクチンにつきましては、ワクチンの効果があるのは子宮頸がんの原因となるウイルス15種類のうち2種類でありまして、日本ではその2種類による子宮頸がんの割合が50から70%ということで、欧米の80から90に比べれば限定的であると。また、予防接種後、長期にわたって感染を予防する効果が確認されていない。こういったことなどから、現在、厚生労働省で、子宮頸がんの予防を図っていくためのワクチンの活用方策などについて総合的に検討されているということでございます。厚生科学審議会に2つの部会をつくって議論をしておられるということであります。  お話しのように、子宮頸がんのワクチン接種については、よそでは、一部の市町村などで接種費用の一部を助成されている例があるということは御指摘のとおりのようでありますけれども、県としましては、まずは国としての基本的な取り扱いの方針を早く示してほしいと。これは柴田議員も御承知のとおり、予防接種は、もちろん有効であればぜひやったらいいと思うんですけれども、健康被害の発生を防いで安全に実施できるということが大前提でありまして、やはり国としての取り扱いの基本的方針を示してもらって、例えば予防接種の効果がどうなのか、副作用があった場合にどう対応するのか、こういったことをしっかり示していただきたい。効果が高い、仮に副作用があってもこう対応しないさいというところがはっきりしてくれば、これはやっぱりぜひやったほうがいいと思いますので、国にはっきり制度化して実現するように、県としても働きかけをしてまいりたい、このように思っております。  今後とも、子宮頸がんの問題もそうですけれども、がんで亡くなられる方をできるだけ減らしたいというのは全くそのとおりでありますので、これからも県としては、市町村や企業、医療関係等、関係団体と連携協力して、また国にはとにかく早く仕事をしてほしい、こういうことでしっかり頑張っていきたいと思います。 16 ◯議長(鹿熊正一君)柳野商工労働部長。    〔商工労働部長柳野隆之君登壇〕 17 ◯商工労働部長(柳野隆之君)聴覚障害者の雇用実態についての御質問にお答えします。  県内のハローワークにおける聴覚障害者の就職者数は、富山労働局によりますと、平成18年度から毎年度50人前後で推移してきたところでありますが、平成21年度は42人となったところであります。また、聴覚障害者の年間有効求職者数に対する就職率についても、3%台で推移してきたところでありますが、平成21年度には2.89%となったところであります。  一方、肢体不自由者の就職者数は、平成18年度から毎年度150人前後で推移し、平成21年度は147人となったところであります。また、肢体不自由者の年間有効求職者数に対する就職率は2%台で推移し、平成21年度には2.33%となっているところであります。  このように、聴覚障害者の就職状況は、就職率において肢体不自由者を上回っているものの、聴覚障害者、肢体不自由者のいずれの就職率も低く、障害者の雇用は厳しい状況にあると認識しているところであります。  このため県では、これまでも県内4カ所に設置している障害者就業・生活支援センターを通じて、協力企業での職場実習を行う障害者チャレンジトレーニング事業の実施、多様な委託先を活用した障害者の態様に応じた職業訓練、一定数を超えて知的障害者等を雇用している事業主に対する県単独での雇用奨励金の支給など、障害者雇用の促進に取り組んできているところであります。  今後とも労働局や関係機関と連携し、障害者が意欲と能力に応じて働くことのできる社会の実現に向け、企業の理解、協力を得ながら障害者の雇用の促進に努めてまいりたいと考えています。  以上でございます。 18 ◯議長(鹿熊正一君)飯田厚生部長。    〔厚生部長飯田久範君登壇〕
    19 ◯厚生部長(飯田久範君)私からは4問についてお答えをさせていただきます。  まず、手話通訳者の状況等に関しての御質問にお答えをいたします。  手話通訳者の方々には、単に会話を通訳するだけではなく、聴覚障害者と周りの人々とのコミュニケーションを成立させるための支援でございますとか調整といった大切な役割も求められているところでございまして、聴覚障害者の方々の社会参加を促進する上で、その養成確保は大変重要であると考えております。このため県におきましては、富山県聴覚障害者協会に養成研修を委託しまして、県の登録資格を有する手話通訳者の養成に努めているところでございます。  手話通訳者の資格の取得については、厚生労働省の定めるカリキュラムに基づく90時間の研修受講が義務づけをされておりますことや、受講後、登録試験に合格することが必要でありますことなどから、県内におきます資格取得者数については毎年数名程度となっておりますものの、平成22年3月末現在の登録者数につきましては、県の障害福祉計画におきます平成23年度末の目標数、これは61名というふうになっておるのでございますが、それを上回る65名ということになっているところでございます。  また、県におきましては、日常会話程度の手話表現技術が求められている手話奉仕員を養成している市町村を支援してきておりまして、毎年60名から80名の新たな手話奉仕員が養成をされているところでございます。  県としましては、引き続き市町村、富山県聴覚障害者協会など関係団体とも連携をしながら、手話通訳者等の養成確保に努めてまいりたいというふうに考えております。  次に、手話通訳者の設置に関しての御質問でございますが、手話通訳者の方々は、聴覚障害者の相談、そしてまたサービス利用の円滑化に重要な役割を果たしておられますことから、県におきましては、昭和55年度から富山県聴覚障害者協会に委託をして、県専任の手話通訳者1名を配置いたしますとともに、手話通訳者養成・研修事業を実施するなど、人材の養成確保に努めてきているところでございます。  また、市町村におかれても、現在、富山市と滑川市のほうで手話通訳者等それぞれ1名配置しておりますほか、射水市のほうでは平成23年度の採用に向けまして職員の募集を行いますなど、市町村における手話通訳者等の配置につきましても次第に拡大をしてきているところでございます。  さらに、全市町村におきましてですが、医療機関や各種の行事等において、聴覚障害者の方々の円滑な意思の疎通が可能となりますよう、手話通訳者等の派遣事業を実施いたしているところでございます。  県としましては、今後とも市町村や富山県聴覚障害者協会などの関係団体と連携協力をしながら、手話通訳者等の養成確保に努めまして、聴覚障害者の方々が相談やサービス利用において円滑にコミュニケーション手段を確保できますよう努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。  次に、児童相談所の相談員に関しての御質問でございますが、児童相談所におきましては、児童福祉司や児童心理司が、児童虐待など保護を要する児童や障害のあるお子さんについての相談、そしてまた診断、援助などに当たっているところでございます。  こうした業務の遂行につきましては、専門的な知識、そしてまた経験が求められておりますことから、児童福祉施設や障害児(者)施設など、福祉職場を幅広く経験した福祉指導員、心理司、保健師、保育士などの福祉職員を配置いたしますとともに、通常は3年から4年程度で異動するところでございますが、中には10年を超える経験豊富な中堅職員も配置をしているところでございます。  長期にわたって配属されるべきとの御提案でございますけれども、確かに勤務年数が長くなれば、職務についての知識や経験が豊富になりますことや、継続する相談事例に同一の職員が対応できるといったようなことで、保護者等の信頼が得やすいなどのメリットがございます。一方で、保護者等の理解を得ることが困難なケースもございますことから、ストレスを原因としました、いわゆるバーンアウトが懸念されますことや、他の分野も広く経験をすることで福祉職員として一層の成長が期待できるなどの理由から、一定の期間での異動も必要ではないかなというふうに考えているところでございます。  また、児童相談所に新しく児童福祉司や児童心理司を配置するに当たりましては、国で行われております専門研修への派遣などによりまして専門知識の習得を図りますとともに、個別の相談事例等につきましては、引き継ぎをきめ細やかに行うことなどによりまして、切れ目のない対応に心がけているところでございますが、今後とも、相談等の業務への適切な人材の配置と資質の向上に努めてまいりたいというふうに考えております。  最後に、児童虐待についての御質問にお答えをいたします。  虐待を受けている子供など、保護を要します児童の早期発見や適切な保護を図るためには、関係機関がその子供等に関します情報、そしてまた考え方を共有し、適切な連携のもとで対応していくことが重要でございます。  このため、平成20年4月に施行されました児童福祉法の改正により、地方公共団体には要保護児童対策地域協議会の設置が努力義務化され、現在、県内の市町村には14の協議会が設置をされております。この協議会については、児童福祉、保健医療、教育、警察、民生・児童委員等を構成機関としておりまして、個別の事例についての情報交換や対応方針の協議を行うケース検討会議等の開催を通じまして、情報の共有と連携の強化を図っているところでございます。  また、ことし3月には県レベルでも富山県要保護児童対策地域協議会を設置いたしまして、各関係機関がそれぞれの特色を生かしながら、責任を持って要保護児童とその家族の方をそれぞれの生活圏で援助できますよう、情報共有と連携を図りますとともに、的確な援助方針の策定とその進行管理の方法、各関係機関の役割分担について協議をしていくこととしているところでございます。  今後とも、関係機関の連携のもと、虐待を受けている子供さんをいち早く発見し、適切な支援が行えますよう取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 20 ◯議長(鹿熊正一君)東野教育長。    〔教育長東野宗朗君登壇〕 21 ◯教育長(東野宗朗君)公立学校の教職員の精神疾患によります病気休職の要因についてのお尋ねにお答えしたいと思います。  本県の病気休職者に占めます精神疾患の割合でございますが、20年度の数字で申し上げますと、在職者数に占めます精神性疾患休職者数は、全国が0.59%でございますのに対し本県は0.49%と、全国平均を下回っておる状況にございます。  お尋ねの要因でございますが、学校の関係といたしましては、事務的仕事の増加や問題を抱える児童生徒への指導など、最近の教員の多忙化によりますとともに、保護者への対応など、学校で教職員が悩みを分かち合う余裕が少ないことなどが指摘されているところでございます。  また、家庭の関係では、家族の病気や介護などによります心身の疲労や、家庭環境の大きな変化への不適応なども指摘されておりますが、明確に原因を特定することができないものもございまして、実際にはこれらの要因が複数絡んで精神疾患に至っているケースが多いということが、専門家の指摘によって整理されているところでございます。  2点目の休職者の職場復帰でございますが、お尋ねの精神疾患によります病気休職者の職場復帰に向けた対応につきましては、本人の状況にもよりますけども、休職中に管理職等が定期的に見舞い、あるいは学校の状況を伝えるなど、本人が復帰しやすい環境づくりにまずは努めているところでございます。  こうした上で、疾患の状況が軽快し、本人が復職したい意向を示す場合には、主治医や校長などと十分協議いたしまして、一日の勤務時間を徐々に増やしていきます、いわゆる試し出勤というものを休職のままの状態で行っているのが実態でございます。この間、本人の健康状態等を確認しながら、1カ月から数カ月程度かけまして徐々に通常の業務が可能となるように、その準備を進めております。  また、復職後におきましても、管理職が状況を十分見守りながら、例えば担任をさせないで校務の負担軽減に十分配慮するとともに、本人と面談を定期的に行う、主治医との定期的な相談も行いまして、本人の健康状態を常に把握し、復職後の病気の再発防止に努めているのが実態でございます。  議員から御指摘のように、今後とも、教員同士がこうした支え合うことができる教育環境づくりを含めまして、県教委といたしましてしっかりと対応に取り組んでまいりたいという考えでございます。  3点目の、学校パワーアップ推進会議についてのお尋ねでございます。  学校パワーアップ推進会議は、平成17年度にパワーアップ会議として設置されまして、校長会や職員団体にも参加してもらい、事務の効率化等につきまして率直な、突っ込んだ議論をいたしまして、対策を検討し、実施してきているものでございます。18年度には17年度につくりました「パワーアップ方針に基づく推進会議」という形に名称を変えまして、議員御指摘のように5年目を迎えているものでございます。  この方針の推進施策の中におきましては、大きく分けまして2点ございまして、1点は管理職の意識改革を大きな柱としておりまして、管理職が一人一人の状況を把握しコミュニケーションを図る、あるいは水曜リフレッシュデーを学校にも取り入れるなど、さまざまな施策を進めてきているところでございます。  もう1点は業務の見直しでございまして、県主催の研修会、各種事業の見直しなどを行いますとともに、学校への持ち込み行事につきましては、県庁の各部局の全面的な協力を得まして関係機関に縮減をお願いしておりますし、県教委の出しております調査・照会を3分の1見直しまして縮減に努めたなど、取り組んできているところでございます。さらに、市町村教育委員会あるいは学校で取り組んでおりますすぐれた推進事例などにつきましては、各学校に配布いたしまして、さらに取り組むように求めているところでございます。  議員から御指摘の周知でございますが、4月以降、県東部、県西部に分けまして10回程度、校長会、教頭会などで説明を行ったところでございますが、人事異動もございまして周知が十分でないという指摘もございます。今後とも、あらゆる機会をとらえてしっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 22 ◯議長(鹿熊正一君)柴田陽子君。    〔2番柴田陽子君登壇〕 23 ◯2番(柴田陽子君)再質問、2点について質問させていただきます。  まず厚生部長にお聞きしたいんですけれども、さきの代表質問の答弁とほとんど、地域協議会の設置という答弁も同じだったんですが、私は、その地域協議会で、例えばどういうような会議が開かれて、その具体的な会議の内容をお聞きしたかったわけです。  私、先ほどの質問の中で、児童虐待がどんどん増加しているということを指摘いたしました。児童虐待防止法ができまして、強制立入調査が導入されたことは皆さん御存じなんですが、実を言いますと、これだけ多くの児童虐待の事件が起きているにもかかわらず、この強制立入調査が行われたのはこの間2件しかないんです。ということは、警察、そして児童相談所、地域、教育現場の皆さんとの連携がいかに緊密になっていないか。本来であれば、強制立入調査が2件ということはあり得ないことなんですよ、そういう情報が入っているわけですから。  ですから、地域協議会を設置されるのであれば、具体的にその地域協議会の中で関係団体がどれだけの役割を示して、どういう対応をしておられるのかをお聞きしたかったので、1点お聞きします。  それと、教育長に1点なんですが、教職員の病気休暇、特に精神疾患がこれだけ増えてきている。さまざまな要因があると言われましたけれども、それが解決できないと職場復帰に向けての対応はできないんです。教育現場で何があってそういう精神疾患の教職員が増えているかという、そういう原因を追求していかないと、決して職場復帰に向けての対応はできないと思います。  そういう意味で、今後やっぱりもう少し教育現場における実態を調査すべきであると思うんですが、それについて教育長にもう一度お伺いいたします。 24 ◯議長(鹿熊正一君)飯田厚生部長。    〔厚生部長飯田久範君登壇〕 25 ◯厚生部長(飯田久範君)実際の要保護児童対策地域協議会の活動状況等についてのお尋ねであると思っておりますが、一応20年度の数値ということで御理解いただきたいと思います。20年度の場合は1町1村のほうでまだこの協議会が未設置でございますので、13の協議会の実績ということでございます。  まず、協議会そのものの実施の回数は、222回開かれております。それから対象のケース、先ほど申し上げましたようにケース検討会議といったような格好で開かれ、対象のケース数が276と134ですから、410件ということでございます。というような格好で実際には開催をされて、情報の共有、そしてまた連携の強化というものが図られ、活動されているところでございます。  以上でございます。 26 ◯議長(鹿熊正一君)東野教育長。    〔教育長東野宗朗君登壇〕 27 ◯教育長(東野宗朗君)再質問にお答えしたいと思います。  実態、要因をつかんでいるかということでございますが、何よりの実態は、多忙化と、教員が相談しやすい環境づくりということだと思っておりますし、パワーアップ推進会議におきましても、職員団体の代表あるいは校長会の代表から指摘されているところでございます。  私ども県教委といたしましてできること、学校長ができること、あるいは同僚ができることなどに分けまして、これまでいろいろと取り組んできているところでございます。  パワーアップ推進会議におきますさまざまなことも進めてきているところでございますが、県教委といたしましては、7年ぶりの教員増も行わせていただいたところでございますし、小学校専科教員、中1支援講師など多忙化に対します取り組み、これは国に対しましても働きかけを行ってきているところでございまして、これはさらに続けてまいりたいと思っているところでございます。学校長に対しましては、やはり一人一人が話をしやすい環境づくりということと、悩みを早めに察知するといいますか、個々の教員を孤立化させないといったような取り組みにつきまして、校長会等におきまして重点的に要望しているところでございますし、メンタルヘルス対策といたしまして、ストレスドックなどの拡充についても取り組んでまいりたいと思っております。  原因はわかっておりますけども、私ども一生懸命それに向けて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。  以上でございます。 28 ◯議長(鹿熊正一君)以上で柴田陽子君の質問は終了しました。  暫時休憩いたします。  午前11時43分休憩      ─────────────────────  午後1時00分開議 29 ◯副議長(杉本 正君)休憩前に引き続き会議を開きます。  矢後肇君。    〔13番矢後 肇君登壇〕 30 ◯13番(矢後 肇君)皆さん、こんにちは。  午前中の柴田陽子議員の質問のときに、22年間で16人総理がかわったというお話がありました。多分、今でも高校受験、大学受験では、総理大臣の名前というのがそのときの出来事とともに出題されていると思います。昔、自分たちが受験生だったとき、伊藤博文から順番に一生懸命覚えたのを思い出しながら聞いておりました。(「言ってみて」と呼ぶ者あり)伊藤、黒田、山縣、松方、伊藤、松方、伊藤と続きます。これから後、次の衆議院議員選挙までにあと何人、受験生の人が覚えなきゃいけないのか、それを心配しながら質問に入りたいというふうに思います。  最初に、本県の農林水産業の振興についてお尋ねいたします。  この春、本県は首都圏において、「キトキトとやま 丸の内クルージング」「東京チューリップキャンペーン」「第24回銀座みゆき通りフラワーカーペット」と、矢継ぎ早に3つのイベントを実施しました。私も「キトキトとやま 丸の内クルージング」の初日に行われたオープニングレセプションに自費で参加してきましたが、まさに立錐の余地もないほどの込みぐあいで、大変な人の入りに驚かされました。  本県の海、山の豊富な食材を生かしたさまざまなメニューがたくさん展示されており、どれも大変おいしそうに見えましたが、とにかく大変な混雑ぶりで、現実にはどこのレストランも満員になってしまい、私自身は結局、何も食べられずに終わってしまいました。一瞬、これは詐欺ではないのかと疑いましたが、当日のレセプションにわざわざ上京され出席された石井知事は、ちゃっかり何かお食べになったのでしょうか。  また、東京チューリップキャンペーンは大手民放の全国放送でも取り上げられ、さらに、第24回銀座みゆき通りフラワーカーペットでも、ことしは昨年を1万人も上回る約6万人の人出があるなど、本県の農産物、水産物が首都圏を大いににぎわせたことは、県民の一人として大変に喜ばしいことであると思っております。  全体として、この3つのイベントは大成功をおさめたと言ってよいと思いますが、県として、今回の首都圏での富山の食と観光発信事業について、どのように総括的な評価をしておられるのか、石井知事の御所見を承りたいと思います。  また、今回の一連のイベントが大成功であったことは事実としても、単なる一過性の事業で終わってしまっては、本県への観光客の誘客効果は限定的なものにならざるを得ません。したがって、今回の一連のようなイベントを今後も継続して実施していくことが、本県の食のPRのためには絶対に欠くべからざることだと考えます。  そこで、今回の成功を機に、今後首都圏を初めとする全国都市部に対して、富山の食のすばらしさをどのようにしてPRしていこうとされるのか、あわせて知事にお伺いいたします。  平成21年度の本県の新規就農者数は、過去20年で最大の51人に上ったことが判明しました。全国有数の農業県である本県としては、この数字は大変に喜ばしいことであると思います。この51人という数字は、1年前の平成20年度と比較するとほぼ倍増と言うことができるわけですが、まず、このように本県における新規就農者数が近年にない大きな数字を残すことができた要因について、県としてどのようにとらえているのか、寺井農林水産部長にお尋ねいたします。  また、このような新規就農者数の大幅な増加に対応して、県ではこの4月に、新たにとやま農業スクール協議会を設置されました。さまざまな経緯を経て新たに農業を営まれる方々に対し、早く一人前の農業者になっていただくためには、県のこうした素早いリアクションはとてもよい効果をもたらすのではないかと期待しています。  今回のとやま農業スクール協議会の立ち上げに当たって、県として今後どのような運営をしていくつもりなのか。また、肝心のとやま農業スクール生の募集こそが最大の課題と考えますが、この点についてどのように取り組むのか、農林水産部長に伺います。  昨年の12月に、我が党の福祉環境部会で京都府の京都ジョブパークを視察してきました。本来は障害者就労支援施設の視察のために訪問したのですが、そこには農林水産業ジョブカフェなるものが併設されており、私はそれに興味をそそられたので、本来の視察のほうは部会員の先生方にお任せし、一人だけそっちを見に行かせていただきました。  京都府の農林水産業ジョブカフェでは、京都府、京都府農業会議、京都府農業開発公社が協力して新規就農に関心を持つ人に応対しており、特に担い手養成実践道場制度により、新規就農希望者に2年間の研修を保証し、研修修了後はその場所でそのまま就農できるようになっているとのことでした。また、研修期間中も担い手づくり後見人制度により、新規就農者が確実に一人前になれるよう、周囲からのフォロー体制にも配慮している点が大変印象に残りました。  全国有数の農業県である本県でも、今後、新規就農者が確実に成長し、途中で落後したりしないで済むよう、次代を担う農業者の育成に一層強力に取り組んでいくべきと考えますが、今回のとやま農業スクール協議会設置後、どのようなステップで推進していかれるのか、農林水産部長にお伺いいたします。  次に、とやま科学オリンピックについて伺います。  本県では、昭和32年以来、富山県教育会が富山県児童生徒思考大会を開催し、小中学生を対象にした算数・数学的思考能力を伸ばす試みを続けておられます。この大会は、大変斬新な試みとして、近年では秋田県などが本県の助言を得て類似の大会の実施に乗り出す等、全国的にも一定の評価が得られていると思います。  その一方で、従来からの富山県児童生徒思考大会には、算数・数学分野が中心であること、ペーパーテストだけであり、自分で問題点を見つける力などを見るという観点が盛り込まれていないこと等が指摘されています。  今回、明日のとやま教育創造懇話会の提言に基づき、自然科学だけでなく人文科学、社会科学分野も含めた形で、小中高校生まで対象を広げたとやま科学オリンピックを実施されることは、教育県として本県の面目躍如といったところだと思います。  このとやま科学オリンピックは、本年度中にプレ大会を実施し、来年度には本大会を開催する意向と聞いていますが、この大変意欲的な新しい企画にかける石井知事の熱い思いをお聞かせいただきたいと思うのであります。  また、今回のとやま科学オリンピックの開催により、従来からの富山県児童生徒思考大会では十分に見られなかった、児童生徒のみずから問題点を発見する力、解答に至るまでの論理的な道筋を示す力を見ることができるようになるわけですが、それでは、実際の日々の教育活動の中で──ここが一番肝心な部分であると思いますが、小学校高学年、中学生、高校生の論理的思考力、創造的思考力、問題解決力をどのように養っていくのか。さらには、プレ大会、本大会の実施規模と参加者の募集、検査方法はどうするのか、あわせて教育長のお考えをお聞きいたします。  本県に拠点を置くスポーツの企業チームやクラブチームは、これまで本県のスポーツ競技力を牽引する大きな原動力となってきました。先般のバンクーバー冬季オリンピックにおけるスピードスケートの田畑、穂積両選手の大活躍は、このような企業チーム、クラブチームの存在が本県のスポーツ振興にとっていかに大きな存在であるかを示す格好の例と言うことができると思います。  このような本県ゆかりの企業チーム、クラブチームや、その所属選手等を県民挙げて応援する仕組みとして、県の体育協会や経済団体等が中心となって、あす、富山県民スポーツ応援団が発足されると伺っており、県もこれに積極的に協力されると聞いています。スポーツを通じて本県の元気を養う取り組みとして高く評価したいと思いますが、この富山県民スポーツ応援団では、選手や企業チーム等に支援するため、個人1口3,000円、法人1口1万円以上の募金を募ることになると伺っております。  そこでまず、このような取り組みによって集まる資金を富山県民スポーツ応援団としてどのように活用していく計画なのか、教育長にお尋ねいたします。  このような活動では、多額の募金はどうしても法人からの募金に頼らざるを得なくなるのが現状であると思います。しかしながら、今回の取り組みで一番大事なことは、多額の募金が可能な法人をいかに多く集めるかではなく、たとえ少額の募金でもよいから、本県で頑張るスポーツ選手を自分の身内のように思って応援しようとしてくれる一般の県民、なかんずく若者や女性にいかに多く賛同していただけるかにあると考えます。  一人でも多くの県民が、本県ゆかりのスポーツ選手の活躍を我が事のように思って応援してくださるためには、富山県体育協会会長として富山県民スポーツ応援団の団長に就任される予定と伺っております石井知事みずからが、県民に対して熱いメッセージを発することが重要であると考えます。  知事は、今回の富山県民スポーツ応援団結成にどのような決意をもって臨まれるのか、お聞かせいただきたいと思うのであります。  次に、極東貿易の強化についてお伺いいたします。  現在、月2回伏木富山港に寄港しているロシア極東定期コンテナ航路については、かねてから利便性の面で難点があり、伏木富山港寄港後、太平洋側の港を順次寄港することによるタイムロスが大きな問題となっておりました。  今般、石井知事から極東海運ウラジオストク社に対し、伏木富山港のラストポート化を要請されたところ、来月から見事実現する見通しになったと聞いております。日本-ロシア極東間のコンテナ輸送量は、我が国全体では、昨年は一昨年に比較して約半分にまで落ち込んだようでありますが、そうした中にあって伏木富山港では逆に、昨年は一昨年に比べて約30%も増加しているとのことです。今回、伏木富山港がラストポート化されることになれば、この勢いにさらに弾みがつくことも考えられることから、今後の伏木富山港のポートセールスの重要性は一段と高まったと言えると思います。  そこでまず、今回伏木富山港がラストポート化されるというトピックを、輸出入関連企業や貿易関連団体等に対して今後どのように周知PRしていくのか、柳野商工労働部長にお伺いいたします。  伏木富山港を利用した輸出入が増大するためには、現在他の港を利用している企業等に対して、今後伏木富山港を利用していただくよう働きかけることも大切ですが、より根本的には、本県や隣接県の企業とロシア側との商取引そのものを増大させることも大変に重要であると思います。  そういう意味では、本県が去る5月に開設した富山県ビジネスサポートデスクには大いに期待したいと思いますが、この富山県ビジネスサポートデスクを将来的にどのように活用しようと考えておられるのか。先月、実際に現地を訪問し、開所式に出席された知事の見解をお尋ねいたします。  本年4月、本県西部の6市と岐阜県高山市、飛騨市、白川村の8市1村が国から新たに観光圏として認定されました。このことにより、今後、県西部の観光圏事業が大きく進展することが期待されるようになりました。  県と6市では、今後、岐阜県等と連携しながら、平成26年度までの5年間にわたって観光圏整備計画を進めていくことになりますが、今回新たに認定された越中・飛騨観光圏では、平成26年の観光入り込み客数を平成20年比163万人増加させ、宿泊者数についても約25万人増加させるという意欲的な計画が立てられています。本県の観光産業やその周辺に位置する産業の発展を後押しするためにも、今回の観光圏認定を機に、越中・飛騨観光圏への誘客を積極的に推進しなければなりません。  その際、宿泊者数の大幅な増加が期待できる重要な要素の一つとして、小中学生の体験学習ツアーや修学旅行の積極的な誘致活動が挙げられると思います。このような体験学習ツアーや修学旅行は、単なる宿泊だけにとどまらず、必ず何かを体験したり、県内の著名な観光地を訪れたり、地場産品を食したりと、副次的効果も大きいものがあり、県としても6市とともに積極的にかかわっていくべきであると考えます。
     越中・飛騨観光圏整備計画に掲げる観光客入り込み客数、宿泊者数の目標達成のために、県としてこの事業の中でどのような役割を果たしていかれるおつもりか、戸高観光・地域振興局長にお伺いいたします。  越中・飛騨観光圏の中には、海の幸の氷見市や、県西部最大の都市である高岡市、チューリップ等で有名な砺波市から世界遺産の五箇山地区、白川郷まで、幅広い地域を含んでいます。これらの地域はそれぞれが独自の魅力にあふれており、観光地としてのポテンシャルは十分に高いと思うのですが、大きな弱点の一つに2次交通の弱さが挙げられることがあります。  県西部から岐阜県飛騨地域を結ぶ鉄道網は存在しておらず、その間の移動はどうしても自動車に頼らざるを得ません。現在のところ、県西部6市と岐阜県飛騨地域、高山市、世界遺産白川郷・五箇山地区を結ぶバス定期路線はなく、結局はマイカー利用の観光客となるか、貸し切りバス利用のパッケージツアー利用客になるしか選択肢がありません。近年の旅の個性化、企画物離れの風潮には対応できていないのが現実です。  この状況を根本的に打破するためには、観光圏内における交通移動手段の利便性向上に向けた大がかりな取り組みが不可欠であり、それは単に6市だけでできるものでは到底なく、県の積極的な支援がぜひとも必要であると思います。  越中・飛騨観光圏における交通移動利便性向上のために、今後県としてどのように取り組んでいかれるのか、観光・地域振興局長にお伺いします。  本県の医薬品産業は、全国から「くすりの富山」として高い評価を受けており、医薬品生産額においては平成20年には全国第3位となっています。今後とも、全国第1位を目指して、官民一体となって本県での医薬品製造を推進していくべきと考えます。  ところで、医薬品の製造には薬学的な知識が不可欠ですが、国において平成18年度から薬剤師教育6年制が導入された影響で、昨年度と今年度は薬剤師の受験資格を有する薬学部卒業生は生まれないことになっています。このような状況のもと、今後、本県としても薬学知識を持つ人材の確保には、早めに対処しておくことが重要と考えます。薬学部卒業生の地元での就職推進はもちろん、中高年の有用な人材にも視野を広げて、着実に人材を確保していくことが望まれます。  薬学者不足の危険性に今のうちから対応しておくことは、「くすりの富山」として全国にその名を知られる本県としては、必要欠くべからざる最重要課題の一つであります。地元民間企業等も独自に努力しておられるとのことですが、全国にその名がとどろく薬業県として、県の積極的な支援が持つ意義は大きいと思うのでありますが、今後、本県として薬学の知識を有する人材の確保にどのように取り組んでいかれるのか、飯田厚生部長にお伺いして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 31 ◯副議長(杉本 正君)石井知事。    〔知事石井隆一君登壇〕 32 ◯知事(石井隆一君)矢後議員の御質問にお答えをいたします。  初めに、首都圏での富山の食と観光発信事業についての御質問にお答えをいたします。  富山の食と観光の魅力を全国にアピールしますためには、これまでもいろいろやってまいりましたが、やはり人口やメディアが集中する東京など首都圏でのPRが大変効果的だということを感じておりまして、丸の内と銀座という東京の中でも注目度の高い場所で、3つのイベントを5月の連休前に集中的に実施しまして、なるべく話題性のある内容としようということで取り組みました。議員から大変御評価いただいて、ありがたく思います。  新たに実施しました「キトキトとやま 丸の内クルージング」につきましては、4月13日からの12日間、新丸ビル7階の全フロアをチューリップで華やかに装飾しまして、壁面を使って富山の観光や産業などを紹介しますとともに、8店舗すべての飲食店で旬のホタルイカやシロエビなどの富山県の食材を使ったメニューを提供していただいたところであります。  議員はとうとう口に入らなかったということで申しわけございませんが、私もオープニングレセプションにおきまして、無理を言いまして室井滋さんに出ていただいたんですが、トークショーも行って、メディア関係者などに富山の食と観光を大いにアピールさせていただきました。  期間中、本県の食材を使ったメニューが2,642食提供されたんですけれども、これは過去に開催しました──あまりよその県と比較しては申しわけないのですが、2つの県がやっているんですけれども、そこと比較しましても2倍以上の食数でありまして、例えば「ホタルイカと白エビの塩炒飯」とか「氷見うどんのナポリタン」とか「ニギスの炊き込みご飯」とか、申しわけないんですが私もほんのちょっとだけ食べたんですが、しかし、これを食べる方はさぞおいしいと思っていただけるだろうなと思った次第であります。実はレセプション会場に使用したお店からも、これはいいと高い評価をいただきまして、今回の特別メニューを定番化したレストランもあります。  また期間中、インターネットで「丸の内クルージング」というキーワードを検索しましたところ、約1,800件もヒットしまして、いろいろな団体や個人のホームページで紹介していただいたところでありまして、情報発信の効果も相当大きかったと言ってよいのではないかと思っております。  従来から4月29日に実施しております銀座みゆき通りのフラワーカーペットにつきましても、お話しのように、例年を1万人上回る6万人の人出となりました。これも一月前から、街路灯すべてに富山のチューリップを描いたフラッグを掲示する、イベントの開催を事前にPRするということと、また、この2つのイベントに先駆けて実施しました東京チューリップキャンペーンにおいて、とやま特産大使がテレビ局や新聞社等にチューリップの花束を持って訪問して積極的なPRに取り組んだ、こういったことが効果があったんじゃないかと思います。職員がよく頑張ってくれたと思っております。  次に、首都圏を初めとする全国への富山の食のPRについてお答えをいたします。  今回のイベントで培ったノウハウや、メディア、飲食関係者などとの結びつきを大事にして、おっしゃるように一過性になってはいけませんので、今後の取り組みに生かして、注目度が一層高まるように努力したいと思っております。  具体的には、先ほども申しましたが、既に定番にしていただいているお店もあるんですが、新丸ビルの丸の内ハウスの店舗で、今後も富山県の食材を活用したメニューを提供してもらってPRしてもらうこと。また、今回のイベントでつながりができた首都圏のメディア関係者──私も随分たくさん名刺をいただきましたが、皆さん異口同音に、ぜひ機会があれば富山県に来てみたい、取材したいとおっしゃっていまして、そういう方々に来てもらって、雑誌等に掲載をしていただく。  また、6月14日からの山手線の車体広告、アンテナショップ「いきいき富山館」における催事など、今後とも連続的、波状的に富山県を情報発信していく。また、来年1月に都心で第2回目の「富山のさかなキトキトフェア」を開催する予定でありますが、今回のイベントでできました人脈やノウハウを生かしまして、効果的にPRしていきたいと思っております。  また、昨年4月に有楽町、銀座で行いました、「劔岳 点の記」のPRとタイアップしました「いこいこ!とやまワールド」、またことし実施した先ほどの丸の内のクルージング、幸い、いずれも相当な成果があったように受けとめております。ぜひ一過性にしないで、今後とも首都圏での春のPRイベントを継続して開催することが必要だと思っておりまして、来年のイベントについても注目度の高いものになりますように、今後企画し、構想を練ってまいりたいと思います。  また、全国に情報発信します大きなイベントは、やはり首都圏からが効果的と思いますが、目的に応じまして、関西や中京圏でのイベントも引き続き実施してまいりたいと思います。今後とも頑張ってまいります。  次に、とやま科学オリンピックについての御質問にお答えをいたします。  とやま科学オリンピックは、明日のとやま教育創造懇話会の提言を踏まえまして取り組んでおります、いわゆる富山スタンダード、富山ならではの質の高い教育の提供の一つでありまして、子供たちの科学に対する興味や関心を高めるとともに、科学的な才能を見出して、早くその才能を伸ばすということも目的にしております。  昨年度はワーキンググループでアイデアを提案しまして、ことし4月には調査検討委員会を設置して基本構想を取りまとめておりまして、今年度内にプレ大会、また23年度には本大会を実施するということで、県教育委員会などが中心になって、また全国レベルの有識者にも入っていただいて進めているわけでございます。  これまでの議論では、1つには、小学生、中学生、高校生を対象とする。また、数学や理科などの自然科学分野だけではなくて、人文・社会科学も含めた幅広い思考力を問う内容とする。また、富山県の豊かな自然やものづくりの伝統などにも配慮した内容とするなど、富山ならではの、全国に類を見ないような内容を計画しているところであります。  幸い県内には、まさに半世紀前から富山県教育会主催で思考大会というのがありまして、近年、全国からも注目を集めております。このとやま科学オリンピックの実施に当たりましては、これまで蓄積したノウハウも生かしながら、また将来は県内だけではなくて、他県からも参加者が集まるような、さすが教育県富山と言われるような魅力あるコンテストにしたいと思っているわけでございます。  人づくりにつきましては、私は県政の各分野の政策を通ずる重要政策としたいと考えておりまして、とやま科学オリンピックがあすの富山県を支える、また、できれば日本や世界の舞台で活躍する人材育成にもつながるということになりますように、教育委員会とも相談しながらしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。  次に、スポーツ応援団についての御質問にお答えをいたします。  本県では、トップアスリート育成・強化プロジェクト会議というのを昨年来設置して協議を重ねてまして、1月下旬に、世界や全国で活躍するトップアスリートの育成強化のために、強化施策の再構築、また強化拠点の再整備、これに加えて応援体制の再整備についても御提言をいただいておりまして、総合的に取り組もうとしておりました。  そうしたさなかに、本当にうれしいことに、ことし2月の冬季オリンピックで田畑、穂積両選手の銀メダル獲得ということがあったわけでありまして、県民に勇気と感動、子供たちに夢と希望、また活動拠点である富山県の名も大いに高めていただいて、お二人は他県の出身ですけれども、富山県が人を育てて、また人が育つ県であるということを体現していただいたなと思って、ありがたく思い、3月下旬に県民栄誉賞も贈呈させていただいたわけでございます。  また、贈呈式に先立って行われました凱旋パレードや、先月開催した元気とやまウオークラリーにも、両選手の姿を一目見ようと、子供たちを初め多くの県民の皆さんに詰めかけていただきました。私が特に感動しましたのは、凱旋パレードは雨が降っていたわけですが、約4,000人の県民の皆さんに集まっていただいて、またお二人の選手も、実は車が用意してあったんですけれども、せっかくこれだけの県民の皆さんがお集まりになったんだからということで、車に乗らずに、雨の中、県民の皆さんとふれあいながら、表彰会場まで歩いていただいた。本当にすばらしい光景だったと思っております。  こうした両選手の活躍もありまして、経済団体を初め女性団体、青年団体等の県内各界各層の方々から、全国や世界のひのき舞台で挑戦して活躍する、そういう選手や指導者をみんなで応援しようという機運が高まっておりますこと。また、さっき申し上げたプロジェクト会議からも応援体制の再整備をしてほしいということがかねて言われておりましたので、この際、県体協、経済団体等が中心になって応援団設立の準備を進めるということで、お話しのとおり、明日、富山県民スポーツ応援団の発会式が開催される運びとなりました。  県民の皆様には、この応援団の趣旨や目的に御賛同いただきますとともに──議員のおっしゃるとおりだと思うんです。大きな会社が大きなお金をぽんと出すという──それも出していただきたいんですけれども、やっぱり一人一人、さほど大きな金額でなくても、ひとつ応援してやろうということで県民の皆さんに大勢参加していただき、そしてサポーターになってもらう。それが、お金もさることながら、日ごろ精進をして本当に苦しい厳しい練習に取り組んでいる選手、あるいは指導者を励ますことになる、こういうことでありまして、私もいわば応援団長ということで、先頭に立って精いっぱい応援させていただいて、人が輝く元気な富山県の創造につなげていきたいと思っております。  最後に、富山県ビジネスサポートデスクについての御質問にお答えをしたいと思います。  本県とロシア極東とは定期コンテナ航路で結ばれておりますことを踏まえますと、ロシアの経済発展に伴って自動車や建設関連の需要増が見込まれますほか、富裕層の拡大による海外旅行ニーズの高まりから、極東地域を含むロシアは本県の産業や観光にとってやはり有望な市場でありまして、今後、ビジネス機会の拡大や、また日本にいらっしゃる観光客の増加も期待されると思っております。  そこで、県では、去る5月4日にビジネスサポートデスクを開設したところでありまして、私もモスクワからの帰途、開所式に立ち寄らせていただきました。  このビジネスサポートデスクですけれども、現地の情報に精通した民間企業のノウハウやネットワークを活用しまして、商談先企業の紹介をする、輸出入手続の紹介をすると。また現地訪問時の対応──アポイントをとるとかといったことや、農産物の輸出も含めて県内企業の事業展開を支援したいと思っております。  今後、ビジネスサポートデスクの設置によって、取引を行う上で障害となっておりました現地サポート体制の強化を行うことで、対ロシアビジネスマッチングが加速されて、お話しのように、伏木富山港からロシア極東港への新しい貨物ニーズの発掘につなげたいと思っております。  特に、議員がまさにおっしゃいましたように、今回ラストポート化が実現しましたので、例えば輸出コンテナを運ぶ時間──これまでは結局、伏木富山港から下関のほうを通って回っていましたから、実はウラジオに着くまで約10日間です。今回は2日で行くようになるわけですから、そうなると、例えば野菜とか果物とか、今までは消費期限が比較的短いものはどうしようもなかったわけですね。しかし、2日ということになると非常に可能性が出てくる。私は、ウラジオストクで仕事の合間に、ちょっと無理を言ってスーパーを見せてもらって値段を調べてきたんですが、日本の果物については、さほど立派な果物でなくても日本の大体3倍の値段がついていますので、ですから可能性はあるんじゃないかと。今後よく勉強して、一朝一夕にはいかない面もあると思いますが、しっかり努力をしていきたいと思います。  また、さきの日ロ知事会議の合間を縫いまして、別途、シュポルト・ハバロフスク州知事、また沿海地方のノーリン副知事とも会談をしまして、経済交流だけではなくて、観光交流の推進についても意見が一致したところでございます。  現時点ではまだまだ、ロシアから日本への観光客はさほど多くないんですけれども、さっきもちょっとお話ししたように、かなり沿海地方でも経済的に豊かな人が増えてきていますので、こうしたことを考えますと、ウラジオストク及びハバロフスクでぜひ観光の説明会もやらなきゃいかんということで、この夏ごろにロシアで観光プロモーション活動をすることにしておりますし、また7月から9月にかけて、ウラジオで富山県をPRする広告もやろうというふうにしております。  こうしたことで、ビジネスサポートデスクも、当面は富山県の企業のいろんな面のビジネスの応援ということなんですけれども、将来的には旅行代理店とか、マスコミや一般市民への観光情報の提供などについても──今でももちろんポスターを張ったり、パンフレットを配ったりはしているんですが、もう少し観光PRの拠点としての役割も、いずれ順序を追って、様子を見ながら発展させていきたい、こんなふうに考えているわけでございます。  以上でございます。 33 ◯副議長(杉本 正君)寺井農林水産部長。    〔農林水産部長寺井幹男君登壇〕 34 ◯農林水産部長(寺井幹男君)まず、昨年度の新規就農者が増加した要因についての御質問にお答えいたします。  本県におきます新規就農者数は、これまで年間30人程度で推移してきましたけれども、平成21年度の新規就農者数は大幅に増加して51人となりました。内訳としましては、農業法人に従業員として就農した人が43人と、全体の約8割を占めております。  このように増加した要因としましては、長引く雇用情勢の悪化も背景にございますが、農業への若者の関心が高まってきたことや、就農を促進する施策を充実してきたことが効果を上げたのではないかと考えております。  具体的に申しますと、県で独自に実施してきました、非農家出身者を新規雇用する農業法人に対し研修費を助成してきたことや、昨年の補正予算で実施しました製造業等からの離職者を対象にした体験研修のほか、国の農の雇用事業の活用など、こういった対策が就農の増加につながったと考えております。また、県農林水産公社が実施しております就農相談会の回数を増やしたことや、就農を希望する方に対する体験研修などのこれまでの取り組みも寄与しているというふうに考えております。  こうした状況を踏まえまして、今後とも就農を促進していくために、今年度は、求職者を新規に雇用して複合化など経営拡大を目指す農業法人を対象に、成長指向型農業法人育成事業を創設しました。このほか、従来の農の雇用事業の活用などを通じまして、一人でも多く就農が増えるように努力していきたいと考えております。  次に、とやま農業スクール協議会をこれからどのように運営していくかというお尋ねでございます。  今ほど申し上げましたように、21年度において就農者が大幅に増加したことも踏まえまして、せっかく農業の道に入った人たちが途中であきらめることなく、確実に一人前の農業者として育ってほしいということで、関係機関が連携協力し、効果的な研修を実施していくことをねらいとして、とやま農業スクール協議会を立ち上げたところであります。  この協議会は、県の行政機関や教育機関、市町村、農業関係団体のほか、使用者側の立場にあります農業法人等の代表者にも加わっていただいて、農業者育成にかかわる幅広い関係者で構成しております。運営に当たりましては、新規就農者を初め、研修に意欲のある方を幅広く農業スクール生として登録いただいて、個々人の目標やニーズに合った研修を提供できるよう、協議会のメンバーが密接に連携協力して取り組んでいくことにしております。  22年度の取り組みとしましては、現在、農業スクール生の募集を行っているところでありますが、できるだけ多くの方に参加していただきたいと考えております。  また、登録されましたスクール生や農業法人などの研修ニーズを把握して、ニーズに基づいた個別指導や研修機会の提供を行うこと。さらには、次年度に向けて、各研修機関が実施しております研修について農業者等のニーズを反映し見直すこと。さらには、とやま農業スクール協議会主催の自主研修を実施することなどを予定いたしております。  次に、とやま農業スクールを設立した後、新規就農者に対するサポートをどのように進めていくのかというお尋ねにお答えいたします。  本県の就農支援策につきましては、まず、窓口機関であります県農林水産公社がハローワークと連携して、年9回の就農相談会を開催するとともに、希望者には基礎的な中期体験研修や、専門的な最長2年間の長期実践研修を実施いたしております。また、こうした長期研修や国の農業者大学校等における研修の際には、就農支援資金を提供しておりますほか、実際の就農の際に必要な設備資金について県単独の補助も行っております。  また、就農した後のフォローアップとして、県の農林振興センターや広域普及指導センターが個々人に応じた指導助言を行っておりますほか、経営者としての資質向上を図るため、平成18年度から農業ニューリーダー育成事業を実施いたしております。  今回、さらにとやま農業スクール協議会を立ち上げることになりましたが、人材育成を担っております関係機関が新規就農者等の将来目標やニーズについての情報を共有し、より効果的な研修を実施するための仕組みがスタートしたわけでございます。  今後、この協議会を核としまして、各機関が実施している研修の点検、見直しを行いながら、一人一人のニーズに即した研修、育成ができるフォロー体制の確立に取り組んでいきたいと考えております。その際には、御紹介がありましたような他県の事例も十分参考にして、この協議会で検討していきたいと考えております。  以上でございます。 35 ◯副議長(杉本 正君)東野教育長。    〔教育長東野宗朗君登壇〕 36 ◯教育長(東野宗朗君)学校教育の中で思考力をどのように養っていくかというお尋ねにお答えしたいと思います。  小中高校生の論理的思考力等を養うためには、毎日の授業の中で、単に知識を覚えるだけではなくて、なぜ、どうしてそうなるかなど、子供たちにみずから疑問を持たせ、考えさせる態度を習慣づけること、学んだ知識を日常の生活の中に生かす力を育てることが大切だと考えております。  例えば、小中学校におきましては、体験を通しまして地域の自然や文化に興味を持ち、自分で見つけてきた問題を見通しを持って調べ、まとめ、表現していく活動などを行わせておりますが、こうしたことを通しまして、社会や日常とのかかわりの中から課題を見つけること、学び合う授業を行うこと、さまざまな見方や考え方を互いに吟味し合うこと、そして幾つかの事象を関連づけて考えることができることなど、意識して課題解決的な学習を行わせてもおります。とやま型学力向上プログラムというのは、こうした体験と学び合いということを重点的に展開しているものでございます。  とやま科学オリンピックにおきましては、算数・数学分野ばかりではなくて、人文・社会科学分野も含めますこと。さらに、ペーパーテストに加えまして、グループでの実験、観察も取り入れることなどによりまして、子供たちがみずから考え、体を実際に動かしてみて試行錯誤させる。難しいけどおもしろいなと実感し、取り組ませることなども目指しておるところでございまして、子供たちの思考力をこうしたことを通して伸ばしていきたいと考えております。  また、科学オリンピックの開催が教員にとりましても大いに刺激となりまして、授業の仕方を改善し指導力が向上することで、より広く児童生徒の力を伸ばすことにもつながるように図ってまいりたいと考えておるところでございます。  議員からお尋ねの今年度実施するプレ大会、本大会の規模等でございますが、現在、検討委員会で内容、規模等を検討し、基本構想を取りまとめることになっております。いずれも、小学校部門、中学校部門、高校部門の3部門に分けて実施したいと考えておりまして、今後その内容を十分検討していきたいと考えているところでございます。  次に、富山県民スポーツ応援団の募金の活用についてのお尋ねにお答えしたいと思います。  この応援団の事務局は県体育協会に設置するものでございまして、県内はもとより、富山県人会などの本県出身者など、幅広く個人、企業、団体の皆様から募金を募りたいと考えておりまして、募金活動経費を除いた全額を県に御寄附いただきまして、全国や世界のひのき舞台で活動するトップアスリートの育成強化、支援など、競技力向上のために活用することと考えているところでございます。  県ではこれまでも、国体などに向けまして、競技力向上に対する必要額の充実確保に努めてきたところでございまして、22年度では2億4,000万になっておりますが、世界の強豪と戦う本県代表選手の国際大会出場に係る経費等につきましては、選手や企業にとりましても大きな負担となっているのは事実でございます。  こうしたことから、募金の活用につきましては、例えばオリンピックなど国際大会へ出場する選手や指導者の海外遠征経費の補助などが考えられるところでございますが、県といたしまして、設立の趣旨に賛同し、募金いただいた方々の期待にこたえることができますように、今後、応援団や競技団体などの御意見も十分に伺いながら検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。  こうしたことにより、選手や指導者の競技環境が一層充実いたしまして、第2、第3の田畑、穂積選手のようなトップアスリートをより多く輩出できるようにさらに努力してまいりたいと考えているところでございます。  以上でございます。 37 ◯副議長(杉本 正君)柳野商工労働部長。    〔商工労働部長柳野隆之君登壇〕 38 ◯商工労働部長(柳野隆之君)伏木富山港のラストポート化の周知についての御質問にお答えいたします。  ロシア極東定期コンテナ航路につきましては、先般、知事が極東海運ウラジオストク社を訪問し、同航路の利便性の向上を要請したところ、かねてから要望していた伏木富山港のラストポート化が来る7月中旬から実現する見通しとなったところであります。  今回のラストポート化は、輸出コンテナのリードタイムが飛躍的に短縮すること、ロシアの輸入業者の金利負担が軽減されること、果物や野菜など消費期限が比較的短い食料品等の輸出が有利になることなど、メリットが大きく、今後、伏木富山港の集荷について大きな起爆剤になるものと考えています。  このため、県としてはこうしたメリットをしっかりアピールしていきたいと考えており、特定重要港湾伏木富山港ポートセールス事業推進協議会と連携を図りながら、ラストポート化PRのためのリーフレットの作成、利用が見込まれる県内はもちろん、隣県や中京圏のロシア向け輸出企業への個別訪問などを実施することとしているところであります。  今後とも、本年度拡充いたしました荷主企業奨励金などインセンティブ制度のPRとあわせ、輸出入関連企業や貿易関連団体等に積極的に周知を図ってまいりたいと考えています。  以上でございます。 39 ◯副議長(杉本 正君)戸高観光・地域振興局長。    〔観光・地域振興局長戸高秀史君登壇〕 40 ◯観光・地域振興局長(戸高秀史君)まず、越中・飛騨観光圏の目標達成に向けた県の役割についての御質問にお答えをいたします。  越中・飛騨観光圏におきましては、圏域にある多様な観光資源を活用いたしまして、ものづくり、景観、食、祭り・歴史、温泉をキーワードとして、2泊3日以上の滞在型観光ができる観光圏を目指し、平成26年に観光客入り込み客数で2,818万人、宿泊者数で330万人を目指しております。  具体的には、圏域内で連泊される観光客にホテル等が特典サービス提供を行います圏域内連泊促進事業に取り組みますほか、お話のありました小中学生を対象に、ものづくりやブドウ狩り等の農林漁業体験、スーパーカミオカンデなどの産業観光を盛り込んだ体験学習事業。また、秋の食イベントを情報提供する食の祭典や、春の祭りをPRする春祭事業、また高山本線や城端線、氷見線が利用できる飛越レールパス(仮称)の発行などに取り組みまして、圏域内での宿泊滞在を図ることとしております。  県といたしましては、これまでも整備計画の策定に参画をしてきておりますが、この観光圏が県境を越えておりますほか、所管の運輸局やJR、バス事業者も複数にまたがっておりますことから、事業実施に当たり、関係者との調整や大都市圏での観光圏のPRなど、県としても積極的に取り組んでいく必要があると考えております。  このため、今年度から新たに観光圏担当職員を観光課に配置するなど、支援体制の強化を図っておりまして、今後とも岐阜県や関係市町村とも連携を密にしながら、圏域の取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。  続きまして、越中・飛騨観光圏における交通利便性向上の取り組みに関する御質問にお答えをいたします。  富山県西部地域と飛騨地域を結ぶ交通アクセスでございますが、岐阜県側が、高山駅と白川郷を結ぶ乗合バスが1日8本と便利なほか、定期観光バスも設定されておりますのに対し、高岡駅から城端、五箇山を経由して白川郷を結ぶ乗合バスは1日に4本となっておりまして、周遊ルートを形成する上での課題となっておます。特に平成26年度の北陸新幹線の開業に向けて、新高岡駅を玄関口とする砺波を初め五箇山や高山方面、並びに氷見方面を結ぶ2次交通の整備が重要でございます。  こうしたことから、越中・飛騨観光圏では、バス事業者や観光施設、宿泊施設等が連携して、高岡駅、五箇山、白川郷、高山を結ぶ高速道路を活用した高岡駅-高山間バス実験運行事業に取り組みますとともに、五箇山や砺波、高岡などエリアごとの周遊バスコースの設定、また富山空港が飛騨地域にとっても最寄りの空港でありますことから、富山空港と飛騨地域とを結ぶ特急バスの強化やフィーダー路線との接続向上、県西部地域と飛騨地域とを結ぶJRフリー切符の設定、さらには観光圏域全体の鉄道、民営バス、公営バスを網羅する総合時刻表の作成といった、富山県西部地域と飛騨地域との移動の利便性を向上するさまざまな事業を検討しているところでございます。  県といたしましても、両県のバス事業者や鉄道事業者、両県を管轄する2つの運輸局の調整など、今後とも積極的に支援をしてまいりたいと考えております。  以上です。 41 ◯副議長(杉本 正君)飯田厚生部長。    〔厚生部長飯田久範君登壇〕
    42 ◯厚生部長(飯田久範君)薬学人材の確保についての御質問にお答えをいたします。  本県の医薬品産業につきましては、平成20年の生産金額が5,166億円となりまして、全国第3位に躍進をいたすとともに、引き続き積極的な設備投資が行われているなど、本県経済において大変重要な役割を果たしているものと考えております。  県におきましては、昨年9月に富山県医薬品産業活性化懇話会を設置いたしまして、今後の目指すべき方向性などについて検討をいただき、去る3月に、「『くすりの富山』のさらなる飛躍に向けて~世界に羽ばたく『薬都とやま』の実現へ~」についての報告をいただいたところでございます。この報告においても、人材の確保が戦略的な取り組みの柱の一つに位置づけられているところでございます。  県としましても、今後さらに本県の医薬品産業が発展していくために、優秀な人材の確保が重要な課題の一つと認識いたしておりまして、これまでも大学での企業セミナーの開催などによりまして、製薬企業におきます人材の育成確保を支援してきたところでございます。  加えて、今年度から新たに、薬学部生を対象としました県内製薬企業のPRパンフレットの作成配布や、富山、石川両県の薬学部等の大学生を対象とした企業説明会や施設見学会の実施など、富山県薬業連合会が実施をいたします人材確保の取り組みを支援することといたしております。  今後とも、県といたしましては、「くすりの富山」の未来を担います優秀な人材の確保育成につきまして、関係団体や大学等と連携をしながら積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 43 ◯副議長(杉本 正君)以上で矢後肇君の質問は終了しました。  山上正隆君。    〔11番山上正隆君登壇〕 44 ◯11番(山上正隆君)数少ない政権与党の県会議員の一人として、質問させていただきます。  私は、昨年の9月議会の一般質問において、鳩山連立政権に対する期待と対応について石井知事に質問しました。しかし、残念ながら、鳩山政権は普天間基地移設問題と政治とお金の問題等で責任をとり、8カ月半で崩壊しました。その間、鳩山政権は、「国民の生活が第一」「コンクリートから人へ」のスローガンのもと、政治主導を目指し、事業仕分けによる無駄遣いの見直し、子ども手当の支給や高校の授業料の無償化の実施、地域主権を確立するための地方交付税の増額や国と地方の協議の場の設置、戸別所得補償制度などの施策を実施しようとしましたが、道半ばで菅直人新首相に交代されました。  共同通信社が6月4日から5日にかけて実施した全国緊急電話世論調査で、新首相に選出された民主党の菅直人代表に「期待する」と答えた人は57.6%に上りました。菅新首相に望むものは「リーダーシップ」32.3%、「国民への説明能力」21.4%、「庶民感覚」16.3%の順でした。優先して取り組むべき課題は「景気・雇用対策」43.2%、「税金の無駄遣い一掃などの行財政改革」35.3%、「年金制度改革など社会保障」27.5%の順でした。  石井知事は、新首相に菅直人氏が選ばれた今月4日、都内で開かれた東京富山県人会連合会懇親のつどいで、「国政が安定せず、国民は不安に思っている。菅新首相には、国民から信頼される政治をしてほしい」と要望。財政健全化も重要だが、経済のパイが増えるような経済成長戦略が必要とし、「地方交付税が減らされた三位一体改革の悪夢の再来は御免。地方の活性化に取り組んでほしい」と語りました。私は今、47都道府県の知事さんや首長の皆さんが、自公連立政権の時代よりはるかにしっかりと、地方の取り巻く状況や御自分の意見、要望を発言、発信されているように感じております。また、国においてもそれらの地方の声を真摯に受けとめ、その実現に向け努力されているところであります。  石井知事は、これまでも富山県のトップリーダーとして、国に対し政策提言や陳情、要望などを行い、地方の声が国政に反映されるよう精力的に行動してこられていますが、改めて、菅直人新政権に対する期待と対応について御所見をお伺いいたします。  日本経済は、一昨年の9月のリーマン・ブラザーズの破綻以来、最近ではギリシャ財政危機問題も発生し、株価は低迷したまま本格的な回復基調に向かっておりません。エコ家電、エコ自動車、エコ住宅など、需要を喚起する内需促進策や子ども手当の支給、高校の授業料の無償化などの施策も実施され、生産や個人消費は持ち直し、企業の業況判断も改善しつつありますが、業種によって好不況のばらつきは解消されていません。  雇用情勢については、4月時点での全国の完全失業率は5.1%、有効求人倍率は0.48倍です。県内の4月の労働市場の動きを見ると、有効求人数は1万4,568人で前年同月比12.6%増となり、3カ月連続増加。一方、有効求職者数は2万5,082人で、前年同月比で4カ月連続減少となっており、有効求人倍率は0.62倍、また正社員の有効求人倍率は0.34倍で、雇用情勢は全国同様、依然として厳しい状況であります。  ものづくりの本県製造業では、雇用調整助成金の支給を受け、何とか雇用を維持しているところがまだまだたくさんあります。私たち民主党富山県連は、4月下旬、県内3カ所においてタウンミーティングを開催しましたところ、中小事業主から、この制度の3年間で300日の受給期間等を拡充できないかという意見が述べられました。  そこで、県内における最近の雇用調整助成金の受給対象者はどのように推移しているのか。また、制度の拡充について国に対し積極的に働きかけるべきと考えますが、柳野商工労働部長にあわせてお伺いいたします。  次に、本県においては、このような経済・雇用情勢を改善するため、昨年度に続き今年度においても、ふるさと雇用再生基金や緊急雇用創出基金を活用し、県内企業人材養成モデル開発事業、介護サービス支援ステーション運営事業、元気な森再生事業、重点成長分野人材育成プログラム事業、富山伝統工芸つなげる事業など、さまざまな分野での雇用創出を図っておられます。昨年度は、2,600人の雇用目標のところ約3,200人の実績となり、知事を初め職員の御努力の成果だと評価するものでありますが、今年度におきましても、ぜひ目標を上回る雇用実績を期待するものであります。  そこで、今年度は3,700人、さらに23年度までに1万人の雇用創出を目標としていますが、今年度の現時点での雇用実績はどのようになっているのでしょうか。また、今後さらなる雇用創出を図るためどのように取り組む方針なのか、あわせて柳野商工労働部長にお伺いいたします。  次に、今春の本県高校卒業者の就職内定率が全国1位の98.1%となりました。これまでの学校関係者の御努力に深く敬意を表する次第であります。  しかし、その一方で、就職後3年未満の離職率は高く、25歳未満の失業率も非常に高く、高どまり状態にあります。今後、若者の職場定着や再就職支援にどのように取り組んでいくのか、商工労働部長にお伺いいたします。  次に、企業のグローバル化の進展に対応するため、石井知事におかれてはロシア、中国を訪問し、ロシア極東地域や上海市、広東省、台湾での観光客の誘致促進や、県内企業の事業展開への支援に精力的に取り組まれたところですが、ウラジオストクにおいては県のビジネスサポートデスクを開設されました。開設する以上はぜひ成果を上げてもらいたいと考えますが、私の認識では、ロシアとの貿易は、輸入または輸出の多くを占める木材、中古自動車ともに関税の関係でその取扱量は激減しており、今後増加に転じる見通しも立っていない状況です。  このような中において、今回のサポートデスクの開設は何をねらいとしているのでしょうか。ロシア経済の今後の成長見通しと本県経済の発展の関連性についてどのように認識しているのか、石井知事にお伺いいたします。  次に、県においては、東海北陸自動車道の全線開通や能越道の整備、伏木富山港の港湾整備などによって、本県のすぐれた立地環境をPRし、積極的に企業立地を進めています。私も、地域の雇用環境の改善策の最も有効な手段は優良企業の誘致だと思っていますが、各都道府県や市町村間でのサービス競争が激化し、簡単に企業が進出してくれるとは思っていません。  県内の各市町村でもその日のために企業団地を造成されていますが、最近の県全体の立地状況とそれに伴う雇用実績はどの程度上がっているのでしょうか。県の企業立地促進計画の目標と比べてどのような進捗状況なのか、商工労働部長にお伺いいたします。  次に、4月中旬に経済産業省事務次官の望月氏から、「新成長戦略と地方の課題」について研修してまいりました。その中で、農商工連携等による先進的な技術、経営ノウハウを活用した取り組み事例を幾つか学んでまいりました。1つはITなどの新技術を活用した生産や販売の実現、2つ目は地域住民が経営に参画する直売所、3つ目は地域、業種を超えた連携により農産物輸出に挑戦、4つ目は建設業からの農業参入で地域活性化に貢献といったものでありました。  富山の高機能飲料としての「はとむぎゴールド」の製造、販売が事例として掲載されていましたが、これまで農商工連携に取り組んできて、具体的にどのような成果が上がっているのでしょうか。また、農商工連携による新たな分野への参入を支援するため、どのような施策を展開しているのか、商工労働部長にお伺いいたします。  北陸新幹線は、北陸信越と関東、関西を日本海側でつなぎ、沿線の人口集積も高く、大きな需要が見込まれる路線であり、東海道新幹線の代替補完機能も果たすことから、フル規格で優先して整備すべき国家的なプロジェクトであると認識しています。  平成9年10月に東京-長野間が開業し、現在、長野-金沢間で平成26年度末までの開業を目指して整備が進められています。既に沿線の各都市ではその開業を見据えて、新幹線駅を核としたまちづくりや民間による商業集積が進んでいます。富山県においては用地取得率99%、糸魚川から小矢部市までの55工区で高架橋等の工事が進められております。  そんな中、昨年末より福井県議会の民主党・一志会の議員の皆さんから、敦賀、大阪までの北陸新幹線の整備促進について強い働きかけを受け、何回も打ち合わせを行いながら、私たちは4月16日に「北陸新幹線の整備を推進する議員の会」の設立総会を東京で開催しました。総会終了後、民主党幹事長室や国土交通省の三日月政務官に要望書を提出してきました。この会には、富山、石川、福井、長野、大阪の県議、市議97名の会員と、国会議員23名の顧問が入会しています。  5月6日にも、政府・与党に新幹線整備をマニフェストに盛り込むよう要請してきました。5月20日には新潟県議会を訪問し、民主党に所属する複数の議員と意見交換をしてきました。この会議で新潟の対応者から、基本スキームの見直しと1県1駅全列車停車、並行在来線の支援がしっかりと決まればという条件を出されました。私たちは、ぜひ参加してほしいとお願いしてきました。  私は、沿線各県がスクラムを組んで国やJRに要望すべきと考えており、その意味では、各県1駅の全列車停車という新潟県の主張を踏まえ、平成26年度金沢開業をおくらせないことを大前提に、1県1駅全列車停車については十分検討の余地があるのではないかと考えております。  先日、知事は新潟県知事と会談し、沿線各県に原則として1駅は全列車停車駅を設置するよう、各県が協力して国やJRに要望していくことで合意したと聞いていますが、富山県としてこの問題に対し今後どのように対応していくのか、石井知事の御所見をお伺いいたします。  次に、民主党の事業仕分けによって、鉄道・運輸機構の特例業務勘定の利益剰余金約1兆3,500億円が明らかになりました。このお金は旧国鉄清算事業団の地位を承継したものであり、現在の利益剰余金は、JR本州3社の株式の売却収入、旧国鉄から承継した用地の売却収入、国鉄改革に伴い設定された新幹線債権に係る収入、JRからの既設新幹線の譲渡収入の一部などの収入により生じたものであります。  このような経緯、資金の性格からすると、それに関連のある新幹線整備に関連して活用されるべき貴重な財源と言えますが、菅新政権に対し石井知事はどのように働きかけ、予算確保を行うのか、御所見をお伺いいたします。  次に、鉄道・運輸機構では現在、新高岡駅の設計を行っていると聞いています。秋ごろに高岡市に報告があるとも聞いていますが、高岡市はアルミと銅器の産業が盛んでありますので、地域の資源を有効活用した設計をお願いしたいと考えますが、牧田土木部長の御所見をお願いいたします。  また、高岡市は飛越能80万人の産業、観光の中心的な都市でありますので、新高岡駅には、金沢までの運行時はすべての列車が停車できるよう強力な御支援をお願いしたいと考えますが、廣光知事政策局長の御所見をお願いいたします。  4月下旬に開催したタウンミーティングにおいて、いろんな方からいろんな御意見が出されました。その中で、農業問題に絞って提案したいと思っています。  1つ目は、水田利活用事業に関連して、その他作物ハト麦の奨励措置についてであります。米価格維持のため、需給調整措置は避けて通れない。また、麦、大豆は日本にとって基幹作物であるということは理解できる。しかし、日本の地理条件の中で麦、大豆等の不適作地もある。我が氷見市も湿田地帯、中山間地で、麦、大豆は不適作地である。苦労と研究を重ね、水田転作作物の重点としてハト麦(イネ科)を奨励。加工、販売に努めている。富山県では、チューリップ、タマネギ等も同じ事情にあるやに報道されている。水田利活用事業において、ハト麦等地域作物は「その他作物」とされているが、基本は基本として、地域の真の実情、努力を酌み取り政策に反映させる、それが政権与党であり、政治であると考える。ぜひよろしくお願いしたい。  2つ目は、平成22年度は激変緩和措置が設けられたが、来年以降はどうなるのか。戦略作物でないハト麦等の助成がなくなった場合、販売先も確保して、産地化してきた取り組みがなくなる可能性がある。  3つ目は、来年度から戸別所得補償制度が導入されるが、新たな制度設計はいつ公表されるのか。大麦の播種は9月下旬から始まるので、その前に公表してほしい。  4つ目は、戸別所得補償モデル事業は、米価の大幅な下落にも対応できる制度となっているか。下落した場合、財源は確保できるのか──といった内容でありました。  そこで、まず水田利活用事業についてですが、その他作物は今年度激変緩和措置がとられていますが、23年度以降の支援継続について国に対しどのように働きかけていくのか。地域の実情をよく踏まえた上での制度設計を考えてもらいたいが、寺井農林水産部長にお伺いいたします。  次に、戸別所得補償制度について、農家の皆さんは大変不安に感じておられますので、安定した生活のもとで…… 45 ◯副議長(杉本 正君)時間になりました。 46 ◯11番(山上正隆君)安心して農作業に取り組んでいただくためにも、円滑な制度導入が望まれますが、意見のあったように、制度設計の早めの公表や、米価が大幅に下落した場合の補償…… 47 ◯副議長(杉本 正君)時間になりましたから。 48 ◯11番(山上正隆君)及びその財源確保について、県としても引き続き国に対して働きかけるべきと考えますが、寺井農林水産部長に御所見をお伺いし、私の質問を終わります。 49 ◯副議長(杉本 正君)石井知事。    〔知事石井隆一君登壇〕 50 ◯知事(石井隆一君)山上議員の御質問にお答えをいたします。  まず、新政権への期待と対応についての御質問にお答えをいたします。  私は、昨年9月の鳩山政権発足以来、地域主権型の国づくりの推進、特に地方が自立できる地方税財政制度の確立等の実効性ある地方分権改革が推進されるよう求めます一方で、例えば事業仕分けなどによりまして、地方にとって大切な事業が廃止されたりすることのないように、私自身、富山県知事としても、また時には全国知事会等を代表する形で、積極的に政府への要望、提言を行ってきたところでございます。  その結果、鳩山内閣におきましては、国と地方の協議の場の法制化や地方環境税の検討に向けた動きを初め、22年度の国の予算では地方交付税1.1兆円の増額、また、維持管理に係る国直轄事業負担金の廃止、また、農家の戸別所得補償制度に関連して激変緩和措置を講じる、さらに北陸新幹線の所要の財源確保を図るといったようなことで、本県を含む地方が国に要望してきたことへの一定の配慮もしていただきまして、そういう点については評価すべき、あるいは評価できる点もあると考えております。  他方で、大変厳しい我が国経済の成長戦略の策定と実行がなされないままに終わったこと。また、赤字国債の増発による子ども手当や高校授業料実質無償化の問題も含め、日本の国の財政をどうやって持続可能にしていくのか、財政健全化への道筋が不明確であること。また、地方の自立と地域間格差の是正のバランスのとれた、本当の意味で国民の皆さんの幸せにつながる地方分権の確立が依然として道半ばであること。また、21世紀の世界の諸情勢を踏まえた我が国の安全保障の基本方針が不明確であること。また、議員御自身もおっしゃいましたが、政治とお金の問題についても国民の信頼が得られる十分な説明がなされたとは言えないことなど、重要課題が多く残されたことは残念に思っております。  菅内閣におかれましては、こうした課題を初めとして、少子高齢化対策、年金、医療、福祉等の社会保障制度のあり方、地球温暖化対策などの重要課題に真摯に取り組んでいただいて、国民や地方の声に十分耳を傾けながら、国民が将来明るい展望が持てるように、また信頼される政治を進めていただきたいと思っております。  本県におきましても、経済・雇用対策の推進、また10年先、20年先を見据えた産業の振興、新幹線を初めとする社会資本整備、医療福祉、子育て支援、教育・文化の振興、充実など、重要課題が非常に広範にあります。菅内閣におかれましては、こうした富山県を含めまして地方の行政運営に支障が出ませんように、地方の実情に十分配慮した政権運営をお願いしたい。また、私も、今後とも政府・与党に対しまして地方の実情をしっかり申し上げて、国民の皆さん、また地方にとってしっかりした行政運営ができるように努力してまいりたいと思います。  次に、ビジネスサポートデスクの開設等についての御質問にお答えをいたします。  ロシアは、さっきも申し上げましたが、ソ連邦崩壊以降、経済が混乱した時期もございましたけれども、石油や天然ガス、あるいはダイヤモンドなんかの産出も世界第1位でありまして、まさに資源大国であり、この10年間では、GDPは約6倍と急速な成長を遂げております。世界同時不況によりまして2009年はマイナス成長になりましたけれども、IMF等の経済見通しによりますと、2010年、2011年は3%を超える成長率というふうに予測されております。  また、本県とロシア極東とは定期コンテナ航路で結ばれていることを踏まえますと、ロシアの経済発展に伴って自動車とか建設関連の需要増が見込まれますほか、富裕層の拡大による海外旅行ニーズの高まりなどから、極東地域を含むロシアは本県の産業や観光にとって有望な市場で、今後ビジネス機会の拡大、訪日観光客の増加が期待されるのではないかと思っております。  この間、ウラジオストクに行きましたけれども、議員も御承知かもしれませんが、2012年にAPECの国際会議があるということで、空港も、また高速道路も大規模に拡張しようということで、今大変な、どう言ったらいいんでしょうか、熱気でありました。ロシアもやっぱり極東にもっと力を入れなきゃいかん、プーチンさんもそういうふうに本気になって考えているんだなと思った次第でございます。  このため、県では、今回ビジネスサポートデスクを開設しまして、現地の情報に精通した民間企業のノウハウやネットワークを活用して、商談先企業の紹介や輸出入手続の紹介、現地訪問時の対応など、農産物の輸出も含め県内企業の事業展開を支援しますとともに、観光ポスターやパンフレットの展示、配布なども行っております。  先ほども申し上げましたが、ラストポート化によりまして、海上輸送──富山県からウラジオに持っていくとき、今までは実は約10日かかっていたんですが、今後は約2日で行けるということになりますので、そうなると、例えば果物とか野菜など、消費期限が比較的短いようなものでも輸出に大変有利になるといったような、さまざまなアドバンテージがあると思います。これは物産の問題ですが、観光について言えば、先ほど申し上げたように、今後、いずれにしてもロシア極東は発展していくと思いますので、旅行代理店、あるいはマスコミや一般市民への観光情報の提供など、観光PR拠点としてもこのビジネスサポートデスクを発展させていきたいと思っております。  そういうねらいもございまして、先般、ロシアのモスクワで日ロ知事会議がありましたけれども、その合間を縫って、別途、シュポルト・ハバロフスク州知事、あるいは沿海地方のノーリン副知事とも会談しまして、経済交流と観光交流を大いに促進しようということで意見が一致したところでございます。  県としましては、日本海航路の開設に向けた実証実験、また今回幸いラストポート化が実現しましたので、これを踏まえて、海外見本市への出展助成の大幅な拡充、また富山県ものづくり総合見本市の開催による県内企業のビジネス機会の拡大等に取り組みますとともに、ウラジオストク、ハバロフスクにおける観光説明会など、観光誘致活動を強化するなどしまして、先を見越して着実に手を打ってまいりたい、こういうふうに思っております。  次に、北陸新幹線の停車駅についての御質問にお答えをいたします。  新潟県が主張されております各県1駅全列車停車の件については、本県としては、同じ沿線自治体として、できるだけ多くの列車が停車してほしいと、その地域を管轄する知事としておっしゃることは理解できるものであります。この点については、泉田知事にもそういうふうに申し上げております。  それとともに、この列車停車の問題については、やはり新幹線というのはそもそも速達性が求められている。また当然、他の高速交通機関との競合関係にあるわけですから、そうしたことにも配慮する必要がある。また、経営はいずれにしてもJRが受けるわけですので、やはりJRにとっても健全な運営ができるようにそれなりの利用見通しが欲しい、それももっともなことだと思います。  現行の法のもとでは、開業までに、法律上はJRが決定するということになっているわけでありますが、そのためにも、私は泉田知事に申し上げているのは、沿線自治体として利用需要の創出に努めて、具体的な取り組み実績等をJRなどに示していくことも重要であると。また、これまで沿線県は地方負担の問題などの現行の整備の仕組み──正直、私も富山県知事に就任して、今までの枠組みを見て、これは先行する新幹線から見て随分不公平だなと、本当にそう思ったんです。しかし現実に、それはやむを得ないということで同意してこれまでやってきているわけですから、こうした長年の経過も踏まえて、これまでもやってきているわけですが、今後も国に対して、例えば地方負担の軽減などを求めていくのは当然なんですけれども、それはしかし同時に、これまでの経過もありますし、沿線住民の皆さんの期待もあるから、例えば平成26年度末までの金沢開業ということを大前提として対処すべきであると考えております。  このため、この停車駅の問題について現実に解決を図っていくためには、沿線4県の間だけではなくて、JRや国交省等を含めた関係者による協議の場、まさに8者会議はそのためにつくったわけですから、十分論議を尽くしていく必要があると思っております。  去る5月27日には、新潟県知事と直接、ぜひ会いたいということでしたのでお目にかかって、全列車停車駅に関しては今ほど述べたような考え方を伝えて、忌憚のないお話し合いをいたしました。各県それぞれに事情もあり、考え方の面で多少スタンスやニュアンスの違いはありますけれども、大前提である平成26年度末の金沢開業の確実な実現に向けて、原則として、今の列車停車の問題も含めて、お互い協力できるところはなるべく協調していこうということで理解を得たと受けとめております。また、去る6月3日の整備5線同盟会の要請でも、北陸共通要望として、各県への停車の配慮という文言を盛り込んでいるわけでございます。  このほか、新潟県とはこれまでも新幹線整備に係る建設費の問題、並行在来線の経営問題、必要財源の確保などに関しまして、26年度末までの金沢開業を大前提としながら、互いに極力連携協力して、政府等にスキームの見直し等を含めて働きかけを行うことについて確認をして、認識もそういう点では共有できていると思っております。  そういうことのために8者会議もつくったわけでございますので、停車駅の問題についても、1つには、沿線自治体として相当程度の駅利用の需要の創出に努めるとともに、2つには、他の新幹線に係る諸課題とともに、8者会議あるいは部長級の関係者実務協議などの場におきまして、できるだけ新潟県の御主張にも配慮しながら、各県の希望が実現するように互いに協力して、国やJR等に対して要請していくこととすると。そして、今後とも関係者間で十分論議を尽くしていこうというふうにしております。  いろんな課題がありますけれども、一方で、新潟県さんにもよその県の事情、考え方に御理解を深めていただいて、お互いに協力し合っていかなきゃいかん。そういうことで、北陸新幹線の同盟会の会長県ということでありますので、これからも、いろんな御意見がありますけれども誠心誠意しっかりと取り組んでまいりたい、こんなふうに思っております。  最後に、鉄道・運輸機構の剰余金の御質問にお答えをいたします。  御承知のとおりで、去る4月に、いわゆる事業仕分けの結果、鉄道・運輸機構の特例業務勘定の利益剰余金1兆3,500億円が国庫返納と判定されたわけでございます。ただ、この特例業務勘定は、そもそも旧国鉄清算事業団──ということはつまり旧国鉄ということでありますが、その地位を承継したものである。また、その利益剰余金は、JR3社の株式の売却、旧国鉄から継承した用地の売却による収入のほかに、過去に先行整備された新幹線に関連した収入などから生じたものでありますので、こうした経緯、性格からしますと、この利益剰余金を単に累積する赤字国債を同額減らすために使うのではなくて、新幹線の金沢以西などへの延伸、並行在来線の経営安定、地方負担の軽減等の諸課題のために活用されるべき貴重な財源であると考えております。  実は、このお金があるということは昨年の秋ごろから気がついておったんですけれども、不用意にそういうことを言いますと、みんな、ああそうですかというので、財務省さんは賢いですから赤字国債をその分減らすだけということになりかねないということで、タイミングを見計らっておったんですけれども、事業仕分けでもう公になりましたので、そうであれば、この剰余金の活用についてはぜひ、今ほど申し上げたように新幹線のさまざまな課題に使ってほしいということで、国に対する本県の23年度予算に向けた重点要望として、先般来、政府や関係国会議員等に強く働きかけを行っておりますほか、去る6月3日に実施しました整備5線の期成同盟会による合同中央要請でも、この剰余金の活用を要望事項に盛り込んで、関係の知事さん方とともに強くその実現を求めてまいりました。  このたび、菅総理のもとで新内閣を発足されたわけですけれども、鳩山前内閣時より、この新幹線整備をめぐる諸問題の解決のためには、従来の枠組みの思い切った見直しを行って、国家プロジェクトにふさわしい十分な財源措置が講じられることが必要だと訴えてきたところであります。  今後、国の来年度予算編成が本格化します。前原大臣も留任されたことでもありますし、鉄道・運輸機構の利益剰余金の活用を初めとして、去る2月には、整備新幹線問題調整会議の場で私から具体的な試算を示して、JRからの貸付料の有効活用、あるいは公共事業費も今年度増やしていただいたのはありがたいんですけれども、本当は、公共事業をあこまで大胆に見直すのであれば、これだけ新幹線を何十年も議論しているわけですから、年706億円の国費を──これは公共事業全体で約1%にすぎないわけですから、せめて年300億程度増やしたら、あらかたの問題が解決しますよといったような試算も示したところでございまして、新政権、菅内閣におかれまして、高い御見識で、かねてのこうした課題をぜひ解決していただく。そのための決断をしてもらうように、私も誠心誠意、沿線県とも協力して要請してまいりたい、働きかけをしてまいりたい、こういうふうに思っておりますので、県議会各位におかれましてもよろしく御支援のほどお願い申し上げます。 51 ◯副議長(杉本 正君)柳野商工労働部長。    〔商工労働部長柳野隆之君登壇〕 52 ◯商工労働部長(柳野隆之君)まず最初に、雇用調整助成金の御質問にお答えいたします。  雇用調整助成金の実績につきましては、一昨年秋の景気悪化を契機に対象人数は急激に増加し、昨年7月にピークの4万8,033人となったところであります。その後徐々に減少し、本年4月には2万3,565人と、ピーク時の半分以下となっているところであります。  また、雇用調整助成金につきましては、昨年秋以降の急激な景気悪化に対応し、助成率の引き上げや支給限度日数の拡大、売上高減少要件の緩和等、より使いやすいものとなるよう随時制度の見直しが行われているところであります。  雇用調整助成金は、これまで県内で働く方々の雇用の維持に一定の役割を果たしてきており、今後も雇用情勢は引き続き予断を許さない状況にあると見込まれることから、県としても、経済情勢や受給状況の動向を見つつ、経済界、労働界などの意見も聞きながら、国に対してより一層の制度の充実等を働きかけてまいりたいと考えています。  次に、雇用創出基金の取り組みについての御質問にお答えします。  現下の厳しい雇用情勢に対応するため、総額149.2億円のふるさと雇用再生基金事業及び緊急雇用創出基金事業に取り組み、平成21年度の雇用創出数は、県、市町村合わせて目標の2,600人を上回る3,178人となったところであります。  今年度におきましても、事業の早期執行に努めるとともに、国で新たに創設された重点分野雇用創造事業を活用し、介護、農林水産、ものづくり分野など、今後成長が見込まれる分野の県内企業に訓練つき雇用を委託する重点成長分野人材育成プログラム事業などにも積極的に取り組んでいるところであります。  こうしたことにより、5月末現在の県、市町村を合わせた雇用創出数は、本年度の年間目標の3,700人に対し2,179人、進捗率は約6割となっているところであります。  今後とも、県庁各部局、市町村とも連携し、新たな基金事業の掘り起こしにも努め、22年度で3,700人、23年度までの3年間で1万人を超える雇用創出に向け、目標を一人でも多く上回る雇用の創出を図ってまいりたいと考えています。  次に、若者の職場定着、再就職支援についての御質問にお答えします。  本県の新規学卒就職者の3年以内の早期離職率は、厚生労働省の調査によりますと、大卒で、平成16年3月卒で33.2%であったものが直近の平成18年3月卒で28.8%、同じく高卒では45.5%だったものが36.7%と、いずれも低下してきており、全国的に見ても本県の若者の職場定着率は高く、また若者の正規雇用者割合も全国第1位となっているところであります。  しかしながら、若者の早期離職率は3、4割となっていることから、県としては将来を担う若者が安易に離職しないよう、平成11年度より全国に先駆けて実施している社会に学ぶ14歳の挑戦や、高校、大学等でのインターンシップの拡充など学校段階からの職業意識の啓発、ヤングジョブとやまにおいて新入社員等を対象とした職場定着セミナーや、職場の悩み相談会による早期離職の防止、今年度から新たに、若手技能者のものづくりへのやる気を引き出し、職場定着を図る若手技能者やる気塾創生事業などを実施しているところであります。  また、離職した若者への対策として、ヤングジョブとやまにおける合同企業説明会の開催や就業相談、各種セミナーの実施、今後成長が見込まれる分野の県内企業に委託して実施する、訓練つき雇用による雇用機会の確保や再就職支援などに取り組んでいるところであります。  今後とも、労働局を初め関係機関と連携し、本県の将来を担う若者の雇用の安定に万全を期してまいりたいと考えています。  次に、県内の企業の立地状況についての御質問にお答えします。  企業立地につきましては、雇用や税収などの直接効果に加え、さまざまな経済効果が期待できることから、これまでも積極的に取り組んできているところであります。  経済産業省の調査によります、1,000平米以上の工場用地の取得等を伴う県内の新規企業立地件数及びこれらによる雇用創出数は、平成19年が38件、1,003人、平成20年が33件、639人でありましたが、世界同時不況による景気低迷の影響を受け、平成21年は16件、435人と大幅に減少したところであります。
     一方、新規立地のみならず、増設も対象とする県の企業立地促進計画におきましては、近年、特に県内医薬品業界の増設に牽引され、平成19年から21年末までの立地件数は114件で、計画の進捗率は、計画期間が約半分経過している中で74%となっているところであります。  また、本県の企業立地促進計画につきましては、国の全国第1号認定を得たものでありますが、その計画における承認件数は、平成21年9月末現在で33件と、全国第2位となっているところであります。  県といたしましては、企業の新規立地を一層促進するため、本県に立地の可能性の強い成長産業の調査を実施し、誘致企業のさらなる発掘に努めるほか、これまでの東京、大阪、名古屋での企業立地セミナーに加え、今年度は新たに神奈川県で商談懇談会を開催することとしております。  今後とも、成長性が高く、本県の産業高度化に貢献する企業の立地を促進し、県内の雇用の確保にも努めてまいりたいと考えています。  最後に、農商工連携の取り組みについての御質問にお答えいたします。  中小企業者と農林漁業者が連携し、新商品開発等を推進していく農商工連携の取り組みにつきましては、平成20年度以来、国や県の農商工連携ファンドによる助成により支援してきており、これまで本県では、国の認定を受けた事業が10件、県が認定した事業が15件となっているところであります。  これらの取り組みのうち、現在商品化されている具体的な事業としては氷見のはとむぎ茶がありますが、はとむぎ茶は年間200万本を売り上げる大ヒット商品になり、ハト麦の栽培面積も約30倍に拡大し、さらにこれを受けて、ハト麦エキスを活用した新しい健康飲料の発売が予定されているところであります。  また、富山県で開発されました新しい酒米「富の香」を使用した日本酒を商品開発した例では、首都圏の展示会でも好評価を受け、売り上げも伸びており、需要にこたえるため酒米の作付面積も順調に増えていると聞いているところであります。  このように、中小企業者と農林漁業者の双方の経営改善が見込まれる成功例が出てきているところであり、大きな成果を上げているものと思っております。  県といたしましては、今後さらに、専門家による相談やマッチングの促進、工業技術センターや農林水産総合技術センター等の県の試験研究機関での技術支援等により、事業化の支援に努めるとともに、展示会や商談会の開催等による新商品のPRや販路開拓支援のほか、デパートでのふるさと食品の販売促進等により農商工連携の一層の推進に努め、地域経済の活性化を図ってまいりたいと考えています。  以上でございます。 53 ◯副議長(杉本 正君)牧田土木部長。    〔土木部長牧田 潔君登壇〕 54 ◯土木部長(牧田 潔君)新高岡駅の駅舎設計についての御質問にお答えをいたします。  北陸新幹線(仮称)新高岡駅の駅舎につきましては、高岡市が設置しました検討委員会におきまして、「飛越能の自然・伝統・技術が融合し、新たな時代を具現化するデザイン」として、デザインコンセプトが取りまとめられております。これは、新高岡駅が県西部地域に加え、飛騨地方や能登地方への玄関口となることから、飛越能の自然、風土、歴史、地域の産業などを活用して、全国からの来訪者をもてなすことができる駅舎を目指すことを表現したものでありまして、議員御指摘の高岡の地場産業であるアルミや銅の活用についても盛り込まれております。  新幹線駅舎にこうした地域資源を活用することにつきましては、地場産品のPRによる地場産業の振興が期待できるほか、地域のイメージアップや観光振興にもつながることから、県ではこれまで、高岡市と連携して、鉄道・運輸機構に対し、このコンセプトに基づいたデザインとされるよう要望してきたところであります。  鉄道・運輸機構では、こうした要望を踏まえ、3月に着手した駅舎設計をこのデザインコンセプトをもとに進め、複数案を高岡市に提示し、意見を聞いた上で最終的なデザインを決定したいとしております。  県としましては、新高岡駅を初めとする新幹線駅舎のデザインに地元の意見が十分盛り込まれ、次の100年にも受け継がれるような魅力あふれる駅舎となりますよう、引き続き鉄道・運輸機構に働きかけてまいりたいと考えております。  以上でございます。 55 ◯副議長(杉本 正君)廣光知事政策局長。    〔知事政策局長廣光俊昭君登壇〕 56 ◯知事政策局長(廣光俊昭君)新高岡駅への列車の停車に関してお答えいたします。  新幹線の列車停車につきましては、県といたしましても、同じ沿線自治体として、できるだけ多くの列車に停車してもらいたいと思う地元の気持ちはよく理解できると考えております。  他方、新幹線の列車停車につきましては、現行法のもとでは、営業主体であるJRが決めるものとなっております。新幹線の健全な運営の観点も無視できないものでありまして、開業までに具体的な利用者見通しや速達性、高速交通機関としての競争力等の諸事情を踏まえて決定されるものでございます。  新高岡駅は、県西部の拠点であるのみならず、能登、飛騨地方や、環日本海対岸諸国へのゲートウエーの位置づけもできるものでありまして、また、能登、飛騨地方を含めれば、利用圏域人口約80万人とも言われる駅でございます。  先行事例もよく踏まえなければなりませんが、地元自治体が魅力ある駅周辺整備や、県でも支援しております越中・飛騨観光圏も含めました誘客対策など、駅利用の需要の創出にしっかりと努力していくことも重要でありまして、またそのような取り組みをJRに見せていくことが、結果的に停車本数につながるといった面もあると考えております。  県としても、こうした取り組みを支援していきますとともに、今後の8者会議や部長級の専門部会などの機会を通じまして、JRなどに対して地元の要望を踏まえた利便性の高い運行がなされるように要請しまして、関係者間で議論を尽くしていきたいと考えております。  以上です。 57 ◯副議長(杉本 正君)寺井農林水産部長。    〔農林水産部長寺井幹男君登壇〕 58 ◯農林水産部長(寺井幹男君)農業問題につきまして、来年度に予定されております戸別所得補償の本格実施に向けて、2つの御質問をいただきましたが、全く同感でありまして、質問と同じような答弁になるかもしれませんが、まず水田利活用事業について、23年度以降の支援の継続についてのお尋ねにお答え申し上げます。  水田利活用自給力向上事業につきましては、国の当初案では、ハト麦、チューリップ球根、野菜などの地域振興作物がその他作物として位置づけられまして、10アール当たりの交付単価も従来よりも大幅に低い1万円とされておりましたが、石井知事が先頭に立って国に対して強く働きかけた結果、260億円の激変緩和調整枠が設けられ、22年産につきましては、おおむね従来どおりの支援ができることとなりました。  しかしながら、23年度の本格実施に向けては、政務三役などから激変緩和調整枠は22年度限りとして措置したという発言や、ハト麦などは自給力向上の観点から戦略作物の対象とするかどうか検討を要するといった発言もありまして、予断を許さない状況であると思っております。  県としましては、地域農業はそれぞれの自然条件のもとで特色のある作物を選定し、営まれているものでありまして、麦、大豆だけでなく、ハト麦やチューリップ球根などの地域特産物を組み込んだ多様な水田経営が可能となるようにすることが重要であると考えておりまして、このため国に対し、ハト麦を対象品目とすることや、規模加算など担い手への支援措置を設けること。特に激変緩和措置の継続、もしくは地方の裁量が発揮できるような仕組み、例えば地方裁量枠などを設定することなど、地方の実情を踏まえた戸別所得補償制度となるよう強く働きかけているところであります。  次に、来年度から本格実施される戸別所得補償制度の円滑な導入に向けてどのように働きかけるかという御質問にお答えいたします。  本年度導入されましたモデル対策につきましては、昨年10月に初めて概要が示されて、大麦やタマネギの作付に間に合わなかったこと。さらに、加入要件が12月末に、手続の詳細が3月にようやく明らかになったことなどから、制度の詳細の決定がおくれたということで、地域で不安や混乱を招いたところであります。  このため、農林水産省に対し、来年度からの本格実施に当たっては制度設計の内容を早期に提示するとともに、地方の意見を聞く機会を設けることなどを要請してきております。  また、国は戸別補償制度の実施によって米の需給が引き締まる効果があるとしておりますが、仮に全国的に小規模農家が加入しないなど、制度の加入状況によっては米の需給が緩んで、価格が下落する可能性も否定できません。  このため、農林水産省に対しては、仮に米価が下落した場合、制度上必要となってくる変動部分の予算額をきちんと確保することなどを要請してきております。さらに、生産数量目標の配分に当たっては、米の適地適作の観点や、これまでの生産調整の実績を考慮するよう働きかけております。  今後とも、地方の実情を踏まえ、農家の経営安定につながる制度となるよう、強く国に働きかけてまいりたいと考えておりますので、議員各位におかれてもよろしく御尽力をお願い申し上げます。 59 ◯副議長(杉本 正君)以上で山上正隆君の質問は終了しました。  暫時休憩いたします。  休憩時間は10分間といたします。  午後2時59分休憩      ─────────────────────  午後3時11分開議 60 ◯議長(鹿熊正一君)休憩前に引き続き会議を開きます。  稗苗清吉君。    〔18番稗苗清吉君登壇〕 61 ◯18番(稗苗清吉君)6月9日に発足をしました、鳩山内閣の後を受けた菅総理は、財務大臣から新総理になられたわけであります。菅氏は財務大臣在住中にも、国家財政の安定財源確保のために、消費税の増税についてたびたび言及しておられました。  振り返ってみますと、昨年の夏の国政選挙はマニフェスト選挙であったと言えるでしょう。政権交代を大義として、高らかに掲げた月額2万6,000円の子ども手当や高速道路の無料化、高等学校の授業料無償化等、いずれも国民との約束だと声高に叫び、実際は実現困難なことを国民に甘い夢を見させた感があります。鳩山内閣はわずか8カ月余りで政権を投げ出さざるを得ない状況となったわけであります。  菅内閣の財政運営は、これからの推移を見守っていかねばなりませんが、国家財政を重視するあまりに、地方財政に対する配慮が十分ではないのではないか、心配な面があります。  そこで知事に伺います。国の中期財政フレームの策定に当たり、結果として地方にしわ寄せが及ぶような事態になることのないよう、県として強く声を上げていく必要がありますが、どのように取り組むのか、知事の所見を伺いたいのであります。  次に、県内産業への支援について伺いたいのであります。  県内企業の3月期決算の状況や県内製造業の景気動向によれば、工場稼働率はいまだ完全回復していないわけであります。企業回復が本物となっていない現況では、正規社員でも100%就業できない、そして業績の上がらない会社もたくさんあると伺っておるわけであります。しかも、仕事はあるが下請、孫請。企業の方々は、加工単価の切り下げで収益率が全体に下がっている。苦しんでおられるわけであります。  また製造業では、国内の工場の集約なども進められておりまして、今までは自宅から通勤が可能であった社員、従業員が、県外への配転などでやむなく退職をせざるを得ない。そんな方々もたくさん私の身の周りにおられるわけであります。再就職が困難な昨今では、残念なことですが、まだまだ気力も体力も十分にあって働きたい、だけど職場がない。こういう方々のためにも、頑張って就職、就業の支援をしていかなければならないと思うわけであります。  一昨年の世界同時不況以降の県内における企業の業績実態をどのように認識されているのか。石井知事が先頭に立って企業誘致も行っておられる。このことも大変大切でありますが、しかし、現況で頑張っている既存の企業も元気が出せるような、そういう施策も大変大事であります。私はこれをとめ置き支援──かつて誘致をした企業が、今頑張っているが苦しい、それに引き続いて県内で操業を続けてほしい。こういうとめ置き支援といった特徴ある支援を大いにやってもらいたい。石井知事の所見を伺いたいのであります。  このところ、赤ちゃんの生まれる数が年々減っている昨今でありまして、県はこれまで、石井知事を先頭にして少子化対策に取り組んでこられました。昨年には県の条例を作成し、本年度は行動計画を策定して、県民の皆さんや企業の方々にも役割分担を盛り込んだ計画を発表して、実行に移されつつあります。しかし、晩婚化が進んで、県の21年度の合計特殊出生率は、前年に比べて低下をしているわけであります。条例や法律をつくったからすぐ子供が生まれるというわけにはまいりませんが、何よりもまずは若い夫婦が誕生すること。そして、その夫婦が第1子を産み育てること。そして、続いて第2子、第3子と産み育て続けることが可能な環境整備が特に必要だと思うのであります。  条例作成や行動計画策定の御苦労をいただいた諸先生方の思いを十分に理解して、産科、産院の充実を図るべきです。安心して身近な病院で出産できるようにすること。多子世帯の御両親、御家族の安全・安心な子育て応援、支援は、単に経済的な面だけではなくて、育児経験など、若い夫婦の両親などの身近な親族が育児の取り巻き応援をすることも大きな環境整備だと思います。企業の育児休暇の配備なども大切な後方支援だと思います。  条例、行動計画等、その取り組みを県民にわかりやすくPRしていく必要性について、知事の所見を伺いたいのであります。  次に、教育長にふるさと教育についてお尋ねをします。  富山県の将来を担う中学生、高校生にとって、富山県で生まれ育った青年期が、ふるさとを思い愛する気持ちを養う大変大切な時期であります。幸いにも、本県には、全国でも特色ある社会に学ぶ14歳の挑戦事業が大きく事業展開され、成果を上げているわけであります。  このような制度を、高校や大学あるいは専門教育機関においても実施できないものだろうか。働くことの意義や、いずれ進学校を出てでも社会に出て働かなきゃならない、企業が社会において果たしている役割はどんなことなのかというようなことを、ぜひとも県立高校の普通科でも改めて教育をしていく必要があると考えますが、進学一辺倒の教育から、卒業して、就職困難期にスムーズに就職ができるように働くことの意義を高校生のときに学ぶ。そういうことを教えるような教育について、東野教育長の所見を伺いたいのであります。  また、県内各地域において、小中学校ごとに、ふるさと教育が自主的、自発的な取り組みとして進むような仕掛けが必要だと考えます。例えば毎月1回、土曜日とか日曜日を利用して、親子、先生、地域の住民が連携をして、「ふるさと教育の日」──仮称ですが、こういう日を設けて、学校単位で自分たちのまちの特徴的、伝統的な諸行事などを学ぶ機会をつくっていく。そして、ふるさとに対する愛着をともに学んで、自分のまちに誇りを持つ、そういう教育ができないものでしょうか。教育長の所見を伺いたいのであります。  さらに、県民がふるさと富山の連帯感を高めるために、そして富山に対する誇りと愛着を育てるために、国旗や県旗を掲揚する。積極的にこの運動を推進すべきだと思います。県及び県立施設での国旗や県旗の掲揚の促進や民間企業への推奨、また機会をとらえた「富山県民の歌」の活用についてお考えをお聞きしたいのであります。  県民手帳にも載っておりますこの「富山県民の歌」、最近はめっきり聞かれなくなってしまったわけでありますが、なぜか。なぜ歌わなくなったのか、考えていかなければならないと思います。同時に、最近、国民の祝祭日などに各御家庭の玄関先に日の丸の旗を揚げる家庭がめっきり少なくなっているように思われます。国の旗、県の旗、国歌、県の歌、節目節目ごとに、国民として、県民として、ふるさとに対する共通の意識を持っていくツールであると思うのであります。  国旗、県旗、県民の歌は有効なものであり、国民への帰属意識や郷土愛の醸成につながると思いますが、知事政策局長の所見を伺いたいと思うのであります。  各種イベントや学校単位の住民が多く集まる諸行事のときでも、この県民の歌が歌われません。何とかスポーツの大きなイベントとか、あるいはまた富山県民ばかりでなくて、県外からおいでの方々を交えた開会式のイベントとか、そういうところでこの「富山県民の歌」が歌えるような、そんなことについて所見を伺いたいのであります。  今や、全国的な滞在型の観光売り込みが花盛りであると思います。富山県も、外国そしてまた国内で、雪の大谷や山海のブランドの食材など、PRに全力投球をされておられます。私は、何といっても立山アルペンルートは最高の魅力あるポイントだと思うのであります。雄大な立山連峰の景観は、自然環境を守りながら、高原の清涼感と大自然の草花やライチョウ、夏のスキーなど、どれ一つをとっても、他となかなか比較できないほど魅力的な観光のスポットであると考えるわけであります。  自然環境を守るために、立山アルペンルートはマイカーが規制をされているわけであります。土曜日や日曜日、とりわけシーズンのお盆前後のピーク時にはビジターが集中して、出だしのケーブル、高原バス、あるいはロープウエーともに大混雑で、待ち時間が大変長くなっているのが実態であります。混雑を避ける意味で早朝から立山駅に到達されても、駐車場からもう満員になってしまっている。そして、ケーブルでも30分、1時間待ちというような状況がお盆のピークに見られるわけであります。  この夏場のピークの観光対策、ぜひ、詰め込み型の観光から、何か交通機関の事前の予約をするような方法をとらなければならないと思いますが、そのことにどんな課題があるのか。立山アルペンルートの交通機関に予約制を導入することの課題についてお考えを聞きたいのであります。  民間会社の経営とは言うけれども、県はたくさんの金を、また知事を先頭に国内外でこのアルペンルートの観光PRを今までも、これからも続けていくわけでありますから、立山の自然をゆっくりと味わえる滞在型の観光地への衣がえをしていく努力が必要と思うが、所見をお答えください。  次に、県民が500円を負担しております水と緑の森づくり税が導入されて、早くもことしで4年目であります。この事業が果たしてきたこれまでの成果と今後のあり方について、農水部長の所見を問うものであります。  私は去る5月28日に、射水市の太閤山ランドを中心に開催されました第11回とやま森の祭典に、多くの県議の仲間とともに参加してまいりました。県民参加の森づくりフェアと同時開催されました。当日は2,000人を超える県民が参加され、盛大なイベントでもありました。  県議もたくさん、木を植えようと思って力んで行ったんですが、なぜか苗木は既にその場所に植え込まれてしまっていまして、手袋とシャベルをいただきましたが、腐葉土をワンカップほどその上に振りかけて、足で踏んで20秒ほどで終わってしまうという作業でありました。  大変に準備が手際よくされているのはいいわけですが、私は──いつも知事がおっしゃっていますね。元気出してほしいぞ、だけど金がないんだと。こういうことを思うと、事前PRのパンフレットには、ぜひリュックサックに手づくりのおにぎりを持ってきてほしい、せめてお茶ぐらいは用意します、こんなんでいいだろうと思うんです。ところが、30秒ちょっと腐葉土を足で踏んだ後に、焼いたおいしいアユが2匹ただであたるし、おにぎりはあたるし、鍋はあたる。こういうどこかの政党のようなばらまきのイベントは、私はぜひ考えを改めていただきたい。まあ、苦言みたいなことでありますが……。  そして、そのときは青空が出ていましたが、上空はいつ何どき雨が降ってくるかわからんような、そういう中で90分を超える式典なんですね。ごあいさつ、ごあいさつ、ごあいさつでありました。それもいいんですが、幸い、開催地の首長や知事はしっかりとジャンパーを着て植樹ができるスタイルでありました。何人かの方はネクタイをして、背広を着て、植樹祭に非常に不似合いな服装で出席をされておりました。こういうのは県民の目にどう映るかというようなことを考えさせられました。  この11回目を迎える大会は、前身は木を植える植樹祭、そしてしばらくしてから枝打ちをする育樹祭、この祭りを2つひっくるめて、イベントを1つにしてきた経緯があるわけであります。森づくり税も活用しながら、県民の多くが喜んで木を植える、働く、汗を流す、そういう喜びの行事になるように──小学校のみどりの少年団なども、わからない話を黙って90分聞いておったわけであります。こういう目線で、次回はイベントの中身を考えてもらいたいと思うのであります。農水部長の元気ある答弁を伺います。  最後に、県内の中山間地域の現状と課題をどのように認識しているのか。また、一昨年策定されました富山県中山間地域活性化指針に挙げた、目指す方向の実現に向けた政策の成果はどうなっているのか。このことを農水部長にお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。 62 ◯議長(鹿熊正一君)石井知事。    〔知事石井隆一君登壇〕 63 ◯知事(石井隆一君)稗苗議員の御質問にお答えをします。  まず、新内閣の財政政策についての御質問にお答えします。  国におかれましては、中長期的な財政健全化の道筋を示すということで、今月中に中期財政フレーム及び財政運営戦略を策定するとされていまして、現在、検討中であります。  財政健全化の課題は喫緊の課題でありますけれども、国と地方を合わせたプライマリーバランスの改善を財政健全化の目標に掲げて、学者の方が雑誌に書かれたのを見ますと、何か社会保障費と地方交付税にキャップをはめて、これをとにかく減らさんことには財政再建ができないと言わんばかりの、そういう論文も書いていらっしゃる方がおられまして、私はやはり、これは非常に心配をしておりまして、何とか対応しなきゃいかんと思っております。  地方は、三位一体改革による地方交付税の5.1兆円の削減等によりまして、本当に大変厳しい財政運営を強いられており、国の人件費の削減が最近10年間で3,500億、年に大体3.5%ぐらいの削減率になっておりますが、地方は4兆円もの人件費削減、1割を超える削減を行って、国を上回る徹底した行革をやっているわけであります。したがって、一見、地方のほうがよく見えますが、それは地方が努力しているからで、三位一体改革であれだけ絞られても、必死になって頑張って、少しよくなっている。  そういう状態でありますのに、単にプライマリーバランスを形式的に当てはめるというやり方をしますと、いかにも国よりも地方に財政上のゆとりがあるということになって、そういう誤解に基づく財政健全化を進めるということになりますと、国の行革の取り組みを不十分なものにするだけではなくて、地方財政に一層の負担を課して、最低限の住民サービスにも影響を及ぼすおそれがある。これはまさに三位一体改革の悪夢の再来でありまして、断じてあってはならないと思っております。  また、地方交付税は地方固有の財源でありまして、国の歳出と同列に扱って上限枠を設けるようなことがあってはいけないわけでありまして、地域主権型の国づくりと昨年のマニフェストでもおっしゃって、その点は鳩山内閣から菅内閣にまた当然引き継がれているんだと思いますので、むしろ地方交付税の復元、充実が求められていると思っております。  そもそも財政健全化は、歳出の抑制だけでは達成できず、確実な景気回復と経済成長のための戦略の策定と実行、また今後の社会保障関係費の増嵩も見据えた国、地方を通ずる税制改革とあわせて、総合的に、かつ着実に進めていく必要があります。  こうした点につきましては、去る4月に原口総務大臣等に対して申し入れをさせていただきましたほか、5月には、私が取りまとめの責任者ということになりまして、全国知事会としての見解も公表させていただきました。また、5月末に急遽開催された全国知事会の場でも、当時の鳩山総理、また原口総務大臣等に対しまして、財政健全化の議論については、何としても三位一体改革の轍を踏むことのないように、歳出の抑制だけではなくて、経済の成長戦略、税制のあり方も含めた総合的な議論を行って、着実に進めていただくように強く申し入れをいたしまして、当時の鳩山総理からは、三位一体改革の悪夢が再来しないよう最善を期したいと、こういう御答弁もいただいたところであります。  地域主権型の国づくりのためには、国と地方の協議の場の設置や権限移譲などとあわせて、やはり財源の問題が大事でありまして、地方交付税の復元、充実を初めとして地方の税財源の拡充が不可欠ですから、今後とも、全国知事会を初め地方六団体などと連携しながら、また国民の皆さんにも御理解いただいて、国に対して強く働きかけてまいりたいと思います。  次に、企業倒産の状況や県内産業への支援についての御質問にお答えをいたします。  一昨年の世界同時不況を受けまして、本県では、経済変動対策緊急融資の創設など中小企業の資金繰りに万全を期してまいりました。その結果、この1年7カ月の本県の企業倒産を、緊急融資制度創設前の同じ1年7カ月と比べますと、当時も原油・原材料高とかということでそれなりに心配したんですけれども、倒産の負債総額はむしろ88%程度と減少しまして、人口規模が同程度の隣接県と比べましても、倒産の負債総額は6割程度におさまっております。特にことし1月から5月を見ますと、件数では昨年同期の49件から38件に減少しまして、負債総額も107億から72億に大幅に減少したところであります。  リーマンショック以降の大変厳しい経営環境を考慮しますと、倒産が大幅に増えるんじゃないかと心配しておったんですが、本県の緊急融資等の拡充が──これは国の雇用調整助成金なんかもあると思うんですが、これは考えてみますと全国一律の制度ですから、それなりに県の施策がお役に立てたのかなという気もいたしております。  しかし、県内中小企業を取り巻く経営環境は依然として厳しゅうございますので、資金繰り支援など経営安定対策に緊急に取り組みますとともに、新分野進出、また販路開拓支援などに積極的に取り組むことにしております。  今年度は、当初予算のときにも御説明しましたが、県の制度融資については、経済変動対策緊急融資の融資枠を大幅に拡大する。また、特に借りかえ資金である緊急経営改善資金につきましては、借りかえとあわせて、借りかえ額と同額以内の新規運転資金を融資対象に追加するなどしまして、中小企業の資金繰り支援の充実強化に努めますとともに、新たに中小企業応援センターにおける経営相談とか専門家派遣などの体制の充実を図ったところでございます。  また、10年先、20年先を展望して、本県のものづくり産業の高度化やイノベーションを積極的に進めるということで、昨年、新政権によりまして凍結され、廃止を含め見直しとされました富山県ものづくり研究開発センター(仮称)を何とか御理解いただいて、県費も継ぎ足しまして整備することとしましたほか、高度な技術の実用化、新商品、新事業の創出に向けた研究開発の支援の強化、また福祉分野などでのロボットの活用、航空機産業への参入の取り組みの支援、また医薬バイオ、環境、エネルギー分野における新事業への挑戦などを引き続き積極的に支援したいと思っております。  そのほか、国内外で開催される見本市等への出展助成の大幅な拡充。せっかくいい商品があっても、海外に出展するお金がないというお話も聞きますので。また商談会やマッチングコーディネーターの活用による販路開拓の支援。また、ことしは富山県ものづくり総合見本市の開催などによりまして、県内企業の輸出入促進やビジネス機会の拡大などに取り組むということにしております。これからもしっかりと頑張ってまいりたいと思います。  最後に、少子化対策についての御質問にお答えをいたします。  お話しの少子化対策につきましては、条例に基づいて、この3月にとやまっ子みらいプランというものをつくって、一層進めておるわけであります。
     お話しの、まず結婚しないことにはという結婚の問題については、個人の生き方や価値観にかかわる事柄でありますので、行政はなかなか踏み込みにくい分野でございますが、確かに晩婚化や未婚化が少子化の大きな要因の一つでありますので、県としても、結婚を希望される男女の健全な出会いを支援することは必要だと考えていまして、これまでも、とやまで愛サポート事業で男女の健全な出会いの支援をしてきたところでありまして、12組が結婚、または婚約されているわけであります。これを多いと見るか少ないと見るかですけれども、今後も努力していきたいと思いますし、今年度新たに、出会いイベント活性化支援事業、勤労者の出会いサポート事業、これはボランティアの方々のお力添えもいただこうということであります。  また、安心して子育てができる環境整備ということにつきましては、知事就任以来、タウンミーティングなんかやりますと、例えば病児・病後児保育が足りないとか、もっと延長保育を増やしてほしいとか、小学校に上がると居場所がないとか、いろんなお話がございました。そこで、例えば病児・病後児保育で言いますと、平成16年末には県内で7カ所しかございませんでしたが、21年度末には46カ所まで増えてまいりまして、今後も拡充したいと思いますし、延長保育や放課後児童クラブの拡充、事業所内保育施設の設置促進、こうしたことも、一つ一つ数字は申し上げませんが、相当この間拡充できたと思いますが、さらに努力してまいりたいと思います。  さらに、昨年6月に制定されましたこの条例で、国は今度法改正して101人以上となりましたが、富山県の場合は、従業員51人以上の小規模な企業にも一般事業主行動計画の策定を義務づけまして、事業主の皆さんの御協力をお願いしているわけでございます。  今後とも、延長保育、病児・病後児保育、一時保育といったような特別保育の充実、また放課後児童クラブの設置促進、また、やはり仕事と子育ての両立が大事でありますから、育児休業、短時間勤務などの制度が利用しやすい職場環境づくり、事業所内保育所の設置促進を進めてまいりたいと思います。  また、放課後児童クラブの質の向上を図ってほしいということもありますので、その運営強化の事業、また育児の不安や負担感を解消するマイ保育園事業、また事業所内保育施設についても、今までは5年間だけの運営補助だったんですが、御要望が多いものですから、何とかあと5年延長するというふうにしております。  また、どうも子育ては大変だ、大変だということばかりが浸透して、かえってその点が問題な面もありますので、新たに子育て家庭などから子育ての楽しさや喜びなどを伝えるメッセージを募集する。これを映像化して、テレビコマーシャルなどで県民の皆さんに発信するハッピー子育て発信キャンペーン事業などといったものにも取り組みまして、できるだけ県民の皆さんが結婚や子育てについて前向きな気持ちを持っていただけるように、そういう意味で、みんなで育てるとやまっ子みらいフェスタといったようなことも開催したいと、こういうふうに考えているわけでございます。  いずれにしても、少子化が続きますと、本当に日本の国は将来どうなるんだと心配でありますので、精いっぱい努力してまいりたいと思います。 64 ◯議長(鹿熊正一君)東野教育長。    〔教育長東野宗朗君登壇〕 65 ◯教育長(東野宗朗君)高校の普通科での働くことの意義の教育についてお答えしたいと思います。  普通科につきましては、大学への進学希望が多いこともございまして、早い段階から働くことの意義や企業の果たす役割などについて十分理解を深め、進学の目標を明確に持って高校生活を送っていただくように図ることが、特に議員御指摘のように、必要性が高いと考えているところでございます。  このため、ホームルームの時間や総合的な学習の時間等を活用いたしまして、県内の高校はいろいろ取り組んできているところでございますが、例えば就職希望業種ごとに20名ぐらいのグループをつくりまして、OB等の人脈にお願いし、生徒が希望する職業従事者を講師に招いて実際の苦労話を聞くとか、そういったことを行っておりますし、あるいは地域の企業人を招く、PTAによる講話をいただく、県内外の企業を実際に行って自分の目で見るなど、生徒がさまざまな職業や企業の具体を体験するということを進めてきているところでございます。  また、議員からも御指摘のように、本県には14歳の挑戦というのがございますが、職業系専門学科と同様に、普通科におきましてもインターンシップの推進には努めているところでございまして、20年度、普通科におきましては35.4%でございましたが、21年度はかなり上がりまして53.2%と、体験率も年々向上してきているところでございます。  議員から御指摘のとおり、高校生が地元の企業についてしっかりと知り、将来の職業について考えていただくことは、ふるさと富山での就職への意欲にもつながることは事実でございます。県教育委員会といたしましては、普通科の生徒が進路目標を明確に定め、将来の職業に必要な資質と能力の基礎が身につくよう、今後とも一層留意してまいりたいと考えているところでございます。  次に、ふるさと教育の取り組みについてお答えしたいと思います。  ふるさと教育につきましては、これまで各学校におきまして、いろいろと地域の特色を生かした、工夫した取り組みが行われているところでございます。例えば総合的な学習の時間には、地域に伝わる民謡等の伝統芸能、あるいはせり込み蝶六など、その歴史を調べ、実際に演じてみるというような体験を通して、伝承者としてのみずからの自覚を高めるような配慮を行ってきているところでございます。  今年度は、ふるさと教育の一環といたしまして、さまざまな分野で輝かしい業績を残した郷土の先人を掲載した読み物資料を作成し、全小中学校に配布することを計画しているところでございまして、こうしたことを通し、先人の業績や志に対します理解を一層深めていただきたい。先人の生き方を学ぶことを通して、できればふるさとに生きる夢や希望を持っていただきたいということを考えているところでございます。さらに、ふるさと文学に親しみ、ふるさとを一層深く理解しようとする機運を高めたいということで、新たに中学、高校生を対象に、ふるさと文学情景作品コンクールを実施することにもしているところでございます。  議員から御提案ございました全小中学校の統一的な取り組みにつきましては、学校行事等の関係もあり課題もあるところでございますが、ふるさと教育は、御指摘のように、子供だけではなくて、地域、企業を含めた県民総参加で取り組むことが何よりも大切だと考えております。  今年度いろいろな事業を展開することにしておりますが、新年度新たに、80の公民館を中心に、ふるさとの自然を体験する公民館子ども自然体験事業、また、ふるさと学びガイドというものを40名養成いたしまして、小学校区ごとにみずからのふるさと富山発見教室を行う。さらには、ふるさと教育推進フォーラム、表彰制度の創設など、こうした事業を積み重ねてまいりまして、ふるさと教育推進の機運を一層高めて、しっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 66 ◯議長(鹿熊正一君)廣光知事政策局長。    〔知事政策局長廣光俊昭君登壇〕 67 ◯知事政策局長(廣光俊昭君)国旗等に関してお答えします。  国旗は国家の象徴として、国や地方自治体の庁舎、主催行事等におきまして、その掲揚に努めることとされております。また、富山県の県章をかたどった県旗や、御指摘のありました「富山県民の歌」は、これまで多くの県民に親しまれ、郷土への誇りと愛着を育ててきたところです。  県では、国旗、県旗につきまして、県庁本館、総合庁舎などにおきまして毎日掲揚しているほか、県が実施する各種式典等で使用しておりまして、引き続きその掲揚に努めていく考えです。  なお、民間企業等での県旗の掲揚につきましては、これまでにそうした要望は承知しておりませんが、仮に掲揚を推奨するとした場合、県旗の品位を損なうことがないよう、民間企業等での使用目的や使用方法などにつきまして整理する必要がありますことから、他県での取り扱い状況等を研究していく考えです。  また、「富山県民の歌」につきましては、現在でも、県スポーツフェスタ総合開会式や県駅伝競走の開会式などにおきまして歌われているほか、現在、県のホームページ上に、歌詞と楽譜に加え、歌入りの楽曲も掲載しておりまして、実際に聞きたいという県民からの要望にこたえております。  県としましては、「富山県民の歌」が若い方にも親しまれるためには幾つか課題があると考えておりまして、その活用方策につきましてさらに検討を深めてまいりたいと考えております。  以上です。 68 ◯議長(鹿熊正一君)戸高観光・地域振興局長。    〔観光・地域振興局長戸高秀史君登壇〕 69 ◯観光・地域振興局長(戸高秀史君)立山黒部アルペンルートの交通機関に予約制を導入してはどうかという御質問にお答えをいたします。  立山黒部アルペンルートは、年間100万人を超える観光客が訪れる本県を代表する観光地でありまして、立山の豊かな自然を気軽に楽しめることが魅力でございます。この自然をゆっくり味わって満足をしていただくためには、御指摘のありましたとおり、アルペンルートの乗り物に予約制を導入し、ゆっくりと滞在をしていただくということが有効な手段の一つであると考えております。  立山黒部貫光株式会社では、従来から15名以上の団体客に対しては予約制を導入されておりまして、乗り物の予約時間までゆっくりと楽しんでいただいているということでございます。一方、個人客に対してはこれまで予約制度がございませんで、このため、夏場のハイシーズンには、出発駅であります立山駅でケーブルカーの乗車待ちが最大数時間発生するなど、個人客の待ち時間が課題になっていると認識をしてございます。  こうしたことから、立山黒部貫光株式会社では、今年度から試験的に、立山ケーブルカーの乗車時間を指定した立山駅と室堂の間の切符を、インターネットで予約販売するということを開始しておりまして、特に課題であった立山駅での混雑緩和と個人客へのサービス向上に努力をされているところであります。  旅行形態が団体から個人旅行にシフトをする中で、個人の観光客の皆様に立山の豊かな自然をゆっくりと楽しんでいただくことが一層重要になってくるということは言うまでもないことでありまして、今後とも、帰りの高原バスも含め、アルペンルート全線の予約制や個人向けのサービス向上について、県といたしましても立山黒部貫光株式会社と十分に協議をしてまいりたいと、このように考えております。 70 ◯議長(鹿熊正一君)寺井農林水産部長。    〔農林水産部長寺井幹男君登壇〕 71 ◯農林水産部長(寺井幹男君)まず、水と緑の森づくり税を活用した事業の成果と今後のあり方についての御質問にお答えします。  水と緑の森づくり税を活用した事業につきましては、ことしで4年目を迎えますが、多くの県民の皆さんに参加と協力をいただき、着実に成果を上げてきております。  具体的には、これまで里山林の整備は延べ1,073ヘクタール、風倒木等の混交林化は延べ268ヘクタール行われております。また、森づくりサポートセンターの登録ボランティア数は68団体3,713名、企業は37社にまで増大してきております。森づくり活動への参加延べ人数は年間約1万1,000人と、森づくりプランの目標値7,000人を大幅に上回ってきております。  また、事業内容も、森づくり会議の意見を聞きながら、県民からの提案事業を採択したり、ボランティア団体の活動助成を見直すなど、事業の充実を図ってきております。  森づくり条例に基づく森づくり計画につきましては、平成19年度から10年間の計画として策定したものですが、財源である水と緑の森づくり税は当面5年間ということになっておりますので、前期5カ年の実施計画に基づいて現在の事業を実施しておりますが、ことし4年目を迎えますことから、これまでの事業の検証、評価を行った上で、次のステップを検討する必要があると考えております。  このため本年度は、県民意識のアンケート調査やタウンミーティングなどにより県民の皆さんの御意見をお聞きし、継続の可否も含めて、今後の税事業のあり方や事業内容の見直しなどについて検討していきたいと考えております。  いずれにしましても、県民全体で支える森づくりを推進していくためには、県民の皆さんの理解と協力が不可欠でありますから、さまざまな機会をとらえて事業の重要性をPRし、一層の参加と協力を呼びかけていきたいと考えております。  次に、森の祭典についての御質問にお答えします。  とやま森の祭典は、森林の持つ多様な役割について県民の理解を深め、森林整備の必要性や県民参加の緑化活動を普及することを目的に平成12年度から開催しており、ことしで11回目となります。  去る5月28日、射水市太閤山ランドで開催しました森の祭典では、緑化功労者の表彰のほか、参加者による記念植樹や不用木の除去、刈り払い等の育樹活動を実施したところであります。また、森林、林業、木材に関する展示コーナーの設置や、水と緑の森づくり事業の実施状況のパネル紹介、県産材でつくった遊具の体験コーナーなどによりまして、森づくりに関する普及啓発を図ったところであります。  さらに、今回は新たに県民参加の森づくりフェアを併催しまして、模範的な森づくり活動を実践している団体の表彰と事例発表、知事との意見交換会、小学生を対象にした森の寺小屋などを行い、多くの県民の皆さんの参加をいただいたところであります。  なお、議員から祭典の実施方法についていろいろと御意見をいただきましたが、まず昼食につきましては、おにぎりと海鮮鍋はJAと地元漁協の御厚意によって実施させていただきまして、県としての負担はございません。また、その具体の行事の内容につきましては、祭典というセレモニーでありますことや、2,000人もの方々が一堂に会するという点からも、大幅な変更は難しいとは思いますが、ごもっともな点もございますので、今後検討し、より魅力ある内容となるように努めていきたいと思っております。  中山間地域の現状と課題、その成果についてお答え申し上げます。  中山間地域につきましては県土の73%を占めておりますが、人口の減少化と高齢化の進行、集落機能の低下、耕作放棄地の増加、鳥獣被害の増加など、さまざまな問題を抱えております。これらの課題に対応するため、平成20年7月に富山県中山間地域活性化指針を作成して、各種施策を総合的、体系的に推進しております。  主な施策の成果としましては、385の集落、対象農地の約9割におきまして中山間地域等直接支払制度が活用され、これによって耕作放棄地の発生が抑制されまして、推計では約227ヘクタールの発生の予防効果があるとされております。この直接支払制度に加えまして、農地・水・環境保全向上対策の活用によって、約1万3,000ヘクタールについて農地保全のための地域活動が行われております。  また、都市農山漁村交流活性化支援事業によりまして、条例に基づく重点地域が32カ所指定され、農業体験交流や滞在型観光が広がってきております。さらに、13の市町で鳥獣被害防止総合対策事業が取り組まれておりまして、地域の被害防止活動への支援や電気柵の設置等が行われるようになってきております。  このように取り組みの成果もあらわれてきておりますが、依然として中山間地域の現状は厳しいものがありまして、昨年度の県政世論調査の結果では、「農山漁村の活性化」が不満度の高い施策の第7位となっております。こうした県民の期待にこたえられますよう、今後とも市町村とともに中山間地域の活性化に努めてまいりたいと考えております。  以上であります。 72 ◯議長(鹿熊正一君)以上で稗苗清吉君の質問は終了しました。  以上をもって本日の一般質問、質疑を終了いたします。 73 ◯議長(鹿熊正一君)以上で本日の日程は終了いたしました。  次回の本会議は6月14日に再開し、各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行いますとともに、議会運営委員会を開会いたします。  本日はこれをもって散会いたします。  午後4時01分散会 Copyright © Toyama Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...