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  1. 富山県議会 2010-02-01
    平成22年2月定例会 一般質問


    取得元: 富山県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-14
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前10時01分開議 ◯議長(梶 敬信君)ただいまから本日の会議を開き、直ちに日程に入ります。     県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑 2 ◯議長(梶 敬信君)日程第1、県政一般に対する質問並びに議案第1号から議案第46号まで、報告第1号及び報告第2号を議題といたします。  これより各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行います。  通告がありますので、順次発言を許します。  神田真邦君。    〔9番神田真邦君登壇〕 3 ◯9番(神田真邦君)おはようございます。  まず初めに、先日発生いたしました警察官の不祥事について伺います。  3月4日、富山県警察の警部補が、つきまとい等の軽犯罪法違反の疑いで石川県警察に逮捕されるという不祥事が発生いたしました。県民の安全・安心を守る立場の現職警察官の逮捕であり、多くの県民が大きな衝撃とショックを受けました。県民の信頼を裏切る大変残念で遺憾な事件であります。富山県警察として、厳正な処分はもとより、犯行に至った背景の分析を行い、再発防止に努め、今後県民の信頼回復に努めていかなければなりません。  そこで、今回の警察官の逮捕事案についてどのように受けとめているのか。また今後、再発防止、綱紀粛正にどのように取り組んでいくのか、斉藤警察本部長に伺います。  次に、地方の行財政運営について伺います。  知事は提案理由説明の中で、改めて「元気とやま」の創造に対し強い意欲を示される一方、財政再建と行政改革の推進についても引き続き取り組むことを表明されました。  現在、本県はもとより、県内各市町村の財政状況についても厳しい状況にありますが、行政が財政状況を理由に県民、地域住民を萎縮させる施策を行ってはなりません。まさしく、知事が表明されている必要な施策展開を図りつつ、持続可能な財政運営に努めていく必要があります。  そのためには、国による地方財政に対する責務、取り組みが大変重要になってくるわけですが、国、地方ともに厳しい財政状況にある中で、地方財政について国が果たすべき責務と現状をどのように考えるか。地方から国に対する働きかけとあわせて知事の所見を伺います。  また、県内各市町村が現在の財政状況を踏まえて持続可能な行財政運営を図っていくために、今後どのようなことに取り組む必要があり、県はそれをどのように支援していくのか、経営管理部長に伺います。  次に、県政の最重要課題と位置づけられた経済対策について伺います。  今回の新年度予算案においては多くの経済対策が盛り込まれましたが、一連の経済対策の中においては、県内内需拡大策への取り組みが弱いと危惧をいたしております。農水産物にあっては、地産地消の取り組みから県内消費への機運は年々高まっておりますが、国益、県益に直結するその他の生活商品に関しては、依然として廉価な海外商品の購入が続いており、県内製造業の業績アップの足かせとなっております。
     現在、本県は経済対策の効果発現が求められる状況にあり、市町村や商工関係団体との連携した県内内需を拡大する施策が必要なときです。今まさしく取り組むべきは県内の内需拡大策であり、また県内企業が製造、製作した製品の県内消費を高める「愛県購買」施策であります。  そこで、県として今後、県内製品の県内における消費拡大を図る愛県購買への施策展開を早急に推進すべきと考えますが、商工労働部長の見解を伺います。  一方、県内の市町村にあっては、今年度ほとんどの自治体でプレミアム商品券が発行され、地域内消費を促す取り組みが行われました。地元滑川市にあっては、その効果から地域より再度の発行を求める強い要望があり、以前から新年度におけるプレミアム商品券の発行が計画され、今回の新年度予算案において必要経費が計上されました。  このように昨年各地で発行されたプレミアム商品券は、間違いなく地域における消費拡大の一助となっており、県としては県内市町村の消費拡大を促す観点からも、引き続きプレミアム商品券の発行が行われるよう、発行に対する助成施策を打ち出すべきと考えます。  そこで、県として今後、プレミアム商品に代表される内需拡大策の支援に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。  また、県内中小零細企業においては、斬新なアイデアによる新たな分野、異分野への進出を考えている企業も少なくありませんが、資金的な問題はもとより、異分野への進出ゆえに適切なアドバイスを得られない例や、関連企業とのパイプ不足から、アプローチすらできずに計画を頓挫させている例が多く見受けられます。  そこで、創業・ベンチャーへの支援はもとより、既存企業の新分野進出への支援を拡充すべきと考えますが、これまでの支援状況と今後の取り組みについてお伺いをいたします。  経済対策の最後に、企業間取引について伺います。  県内の中小零細企業にあっては、いまだ利益が確保できない企業が多くあります。その原因の一つとして大きく存在しているのが、以前からも取り上げております不当な企業間取引であります。  県にあっては、以前よりこの問題に対し、知事を先頭として取り組みを進めていただいておりますが、いまだコストを度外視した取引価格や最低賃金を下回る加工単価の設定など、県内中小零細企業を取り巻く環境に改善は見られておりません。  その一方で、最低賃金の遵守など、労使間における賃金については労働行政が厳しく監督を行っており、おおむね県内において守られている現状にあります。最低賃金は年々上がるが、不当な取引価格や加工単価に改善はない。これでは県内中小零細企業の経営はじり貧であり、本県財政への影響もより大きなものとなってはね返ってまいります。  そこで、適正な企業間取引の徹底について、公正取引委員会、経済産業省に対する働きかけを一層強める必要があると考えますが、今後の取り組みについて知事の見解を伺います。  これまで、本県にあっては企業誘致に積極的に取り組まれ、大手企業の県内立地に成果を上げてこられました。また、県内における北陸新幹線の建設工事を初めとする幾多の国直轄事業の工事も行われ、地元企業の工事参入も進みました。これによる県内への経済効果も大きなものがあり、今後もしっかりと取り組みを推進する必要がありますが、その一方で、立地した県外企業における事業以外の附帯的事業、例えば廃棄物処理や建物のメンテナンス工事などにおいては、本社の意向から地元企業が参入できない仕組みとなっている例があり、企業誘致の波及効果が地域に行き渡っていないのが現状です。  そこで、県内への誘致企業に対し、その附帯的事業においても地元業者の参入を促すような取り組みが必要と考えますが、商工労働部長の見解を伺います。  また、国直轄工事現場においても、他県業者による関連業務発注先である県内事業者に対する中抜き行為など、悪質な契約違反が平然と行われている事例も聞いております。国直轄事業とはいえ、県としても多額の負担金を支払っており、工事内外における業務についても地元に利益がもたらされるべきであり、今回の事例はまさしく他県業者受注の弊害であり、これらの是正は県として取り組むべき課題と考えます。  そこで、国直轄事業における県外企業による受注のデメリットをどう考えるのか。また、県内業者への発注拡大や下請いじめの防止などを国に働きかける必要があると考えますが、土木部長の見解を伺います。  次に、並行在来線について伺います。  1月21日に行われた北陸新幹線沿線4県知事と関係機関との会議の結果、並行在来線の運営にJRが深く関与する可能性が出てまいりました。これは並行在来線の安定経営に向けた石井知事の今日までの取り組みの成果であり、深く敬意を表する次第であります。  北陸新幹線開業後の並行在来線の運営や経営スキームの中にJRが参画することは、並行在来線の今後の経営にとって大きなプラスであり、JRはもとよりでありますが、関係機関に対してもJRの参画について強く働きかけていく必要があります。  そこで、並行在来線運営へのJRの参画について、その実現に向けどのよう取り組んでいくのか、今後の展望について知事の所見を求めます。  JRの参画がなされたときのメリットがはかり知れないほどの大きさがある一方で、懸念すべき事項も少なからずあるのも現実です。その一つとして挙げられるのが、新駅の設置についてのJRの見解であります。新駅の設置は安定経営や利用者の増加に向けた取り組みの根幹と考えますが、運営スキームの見直しなどによりJRの継続運行となった場合、JRの見解次第によっては、沿線自治体による準備作業にも大きな影響を及ぼすことが予測されます。  そこで、並行在来線の運営スキーム見直しが検討されておりますが、新駅設置に対するJRの考え方についてどのように認識しているのか。また新駅設置も含め、並行在来線の運営について沿線自治体との協議をどのように進めていくのか、知事政策局長に伺います。  以上のような課題に取り組む一方で、利用客の増加に向けた取り組みも急ぐ必要があります。新年度予算案においてもノーマイカー通勤チャレンジ事業が盛り込まれ、公共交通機関の利用促進に向けた環境整備にも着手されましたが、今後は本事業を拡充し、民間企業が行っている自社までの送迎バスについても補助対象とする必要もあるかと考えます。  そこで、新幹線開業を間近に控え、在来線の利用客増加に向けた取り組みを今後どのように進めていかれるのか伺います。  また、今冬のような雪によるダイヤの乱れについても改善する必要があり、現在から取り組んでいかなければならない課題であります。  そこで、雪に強い公共交通機関に向けた取り組みをどう進めていくのか。今日的な問題としてのJRへの働きかけも含め、その対策を伺います。  次に、本県教育の充実に向けた取り組みについて伺います。  まずは、教員の資質向上と教員養成についてであります。  本県においては、昭和24年、富山大学に包括されるまで、富山師範学校が初等、中等学校の教員養成を担っておりました。一貫して教職を志し、厳しい勉学、試験を乗り越え、そして教育学をしっかりと学び、崇高な理念のもとに教壇に立たれたのが師範学校を出られた先生方でありました。  転じて現在はどうか。専門分野の勉強はしてきているが、教員として必要な教育学の勉強は、師範学校のときのそれとは比較にならないのではないでしょうか。過去と現在をかんがみたとき、本県が今まさに取り組まなければならないのが教員の資質向上と優秀な教員の確保であり、県教育委員会の最重要課題だと考えます。  これまで本県は富山大学との連携を進めてこられましたが、事、教員養成や教員の資質向上の観点からは、果たして実りある連携として成果が上がってきていたのでしょうか。ここ数年の教員採用者のうち、師範学校の流れをくむ富山大学出身者の割合は2割程度と聞いておりますし、現行の教育制度においては、教員の力量次第によって児童生徒の学力に差が出てしまうのが現実です。  そこで、今後の富山大学との連携事業においては、現職教員に対する資質向上事業を行うべきであり、また、教育現場が求める教員の養成教育を一層充実して行うべきであります。その結果として、本県の教員資質の向上は飛躍的に進むと同時に、優秀な教員の確保がなされ、富山大学出身者の教員割合も必然高くなると考えます。これこそ県教育委員会が進めようとする富山スタンダードの第一歩ではないでしょうか。  そこで、現行の富山大学との連携事業をより現場ニーズに合わせたものへと改善し、本県の教員資質向上と、優秀な教員を富山大学から得られるよう取り組んでいくべきと考えますが、教育長の所見を伺います。  次に、幼・保・小連携事業について伺います。  新年度予算案において、のびのび5歳児育み事業が新規事業として計上されました。幼児期から義務教育課程へのスムーズな移行を図る上で大変意義ある事業だと考えますが、行政の所管部署の違いなど課題点も多いと推察をいたします。  そこで、今回の事業からどのような成果を期待し、また今後どのように事業を展開させていく考えか。幼・保・小連携事業における課題点もあわせて教育長に伺います。  さて、過日、私学振興を調査目的に、高知県の私立高知高等学校へ視察に行ってまいりました。高知高等学校を運営する学校法人高知学園からは吉良学園本部長が説明に当たられましたが、吉良本部長は高知県の教育長、副知事を歴任された方であり、行政に大変通じた観点から私学振興について説明をいただきました。  その際、高知学園が運営する幼稚園の話題から、高知県においては公私の幼稚園、公私の保育園のいずれも県教育委員会の幼保支援課が所管していることが紹介されました。国の所管省庁の違いから、大概の都道府県においては幼保の所管が分かれているが、高知県にあっては、幼児教育という観点から県教育委員会が所管しているとのことでした。当然、認定こども園の窓口も幼保支援課になっております。縦割り行政の弊害を取り払った、子供の立場に立った行政運営であると、感心をいたしてまいりました。  私自身、これまで何度も、幼児教育の重要性を議会質問を通じて訴えてまいりました。そして、子供の立場に立った施策展開を求めてまいりました。子育ては子供のために行われるものであり、子供のためとは、すなわち教育にほかなりません。  本県教育の充実を図る第一歩として、見直すべきは幼児期に係る行政部署の一元化であります。人間形成において一番重要な時期である幼児期。本県にあっても教育という観点を最重要視し、現在3部署に分かれている幼保の所管部署を教育委員会に一元化し、子供たちの幼児期における健やかな成長を助け、その後の教育につなげていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。  最後に、栽培漁業センターについて伺います。  新年度予算案に栽培漁業センター検討事業が盛り込まれ、栽培漁業センターあり方検討委員会の設置や基本計画策定費が計上されました。  現在、県内には、氷見市にある県栽培漁業センターと滑川市にある県農林水産公社栽培漁業センターの2つのセンターがありますが、そのうち県栽培漁業センターについては、老朽化などから、以前より水産研究所との連携を見据えた形での施設整備の必要性を、高野議員初め我が党代表質問でも求めてきたのは周知のとおりであります。  今回予算が計上され、検討委員会が設置されることは、漁業関係者にとっては大変喜ばしいことであり、農林水産公社の栽培漁業センターや水産研究所が立地する滑川市民においても、今後、検討委員会の議論に大きな関心を持つことになります。  そこで、今回設置される検討委員会において議論される内容と進め方、またいつごろに成案を得ようと進められるのか、農林水産部長にお伺いし、質問を終わります。  ありがとうございました。 4 ◯議長(梶 敬信君)石井知事。    〔知事石井隆一君登壇〕 5 ◯知事(石井隆一君)神田議員の御質問にお答えをいたします。  まず、地方財政に国が果たすべき責務等についての御質問にお答えをします。  我が国におきましては、国民の皆さんがどこにお住まいであっても、地方が提供する教育や福祉などにつきまして一定水準の行政サービスを受けることができますように、そのサービス内容の多くも国の法令等で定められておりますし、また必要な経費は国が財源を確保する責務を有しております。そこで、国は毎年度の予算編成と並行しまして地方財政計画を策定して、所要の地方財源を保障する仕組みとなっているわけであります。  しかし、近年、少子高齢化の進展に伴って、例えば社会保障関係費が大変に増加する一方で、景気低迷等の影響も受けまして税収が大幅に減少しておりますことから、国、地方ともに大変厳しい財政事情が続いております。そこで、本来は地方交付税としてキャッシュで国が地方に交付すべき財源につきまして、国がその元利償還時に地方交付税を措置するからという約束のもとに、地方が臨時財政対策債を発行してとりあえず賄うという形で対応しておりまして、その残高が年々累増しているわけであります。  また、国の来年度予算は、税収が約37兆円に対しまして、国債発行が約44兆円と税収を大幅に上回っておりまして、また加えて、通常は1回使いますとなくなってしまう、いわゆる埋蔵金が大部分を占める約10兆円の税外収入も財源として見込んでいるわけであります。  さらに、23年度以降は子ども手当の本格実施。これをやりますと22年度は2.3兆円ですが、平年度では5.3兆円かかると言われておりますし、農業の戸別所得補償の拡充、これも22年度は6,000億ですが、マニフェスト上は1兆円と、こういうふうになっているわけで、赤字国債の増発によります当面の財源確保を前提としたこうした予算編成を何年も続けることは困難で、しっかりした対策を講じませんと、私たちの子供や孫の世代が大変な重税で苦しむということにもなりかねないと懸念いたしております。  現政権は地域主権を標榜し、地方が自由に使える財源を増やすとしていらっしゃるわけですが、そのためにも、こうした国の財政の持続可能性への懸念が払拭されますように、将来を見据えた具体的な経済戦略を構築して、経済成長を通じて税収増を図る。また本県も、県議会の御理解もいただいて、また県民の皆さんの御理解もいただいて、この5年間行政改革をやってまいりましたが、国みずからも徹底した行政改革を実施すること。その上でなお不足する財源について、十分国民的な論議を行って、必要な給付というのはどの範囲なのか、また、どうしても必要であるとすれば、それに見合ったバランスのとれた負担の実現を図るといったことなど、今後の財政健全化への道筋をできる限り早期に明示し、実行していただくことが重要だと思っております。  本県としても、財政運営を持続可能なものとしますために、今後とも行財政改革の推進に最大限努力しますとともに、国に対しては、本来の地方分権の趣旨に沿った地方の自立、また地域間格差の是正のための地方税財政制度の改革、地方財政対策の充実を引き続き強く求めてまいりたいと思っております。  次に、適正な企業間取引の徹底についての御質問にお答えをいたします。  県内下請企業を対象に毎月実施しております下請企業実態調査のことし1月の調査結果によりますと、受注単価が下降した企業が45.8%、取引条件が悪化した企業が18.4%となっておりまして、多少改善の動きが見られますけれども、厳しい県内経済情勢を反映して、この2つの指標とも厳しい状況で推移しております。  また、公正取引委員会が昨年11月に全国各地の下請取引の現状調査をした際には、見積代金からさらに値引きを要求される、あるいは手形期間の長期化など、支払い条件を下請事業者にとって不利に変更されたといった実情が種々出たと聞いております。  こうしたことから、国におきましては、下請代金支払遅延等防止法違反を未然に防止するために、親事業者の調達担当者、また大企業の経営者層を受講対象とする講習会等を、全国規模で8会場でやられたと聞いております。また、法律違反に対して厳格に対応されてきておりまして、今年度上半期で公正取引委員会が全国で勧告や指導を行った件数は1,968件で、前年同期に比べますと9%の増加となっております。  県におきましても、新世紀産業機構に設置しております下請かけこみ寺における弁護士による無料相談体制を拡充するとともに、国と連携して、弁護士を講師とする地域巡回セミナーを昨年12月に県内5カ所で開催しております。また、県の中小企業団体中央会と連携しまして、下請適正取引ガイドラインの説明会を4回開催し、親事業者等に対してわかりやすい説明に努めてきたところでございます。さらに、昨年末に引き続き、年度末を控えて2月、3月にも、中小企業支援施策のワンストップ・サービス・デイにおいて下請取引に関する相談に対応することとしております。  中小企業、これは本県産業、経済の99%というか、大部分を占めていらっしゃるわけで、その活性化のためには、いろいろ厳しい中でも企業が一定の利益をそれなりに確保できるということが必要でありまして、そのためには、今後とも下請取引の適正化につきまして、経済産業省、あるいは公正取引委員会初め関係省庁に強く働きかけますとともに、本県としても下請取引の適正化に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。  次に、並行在来線対策についての御質問であります。  去る17日に国土交通省で開催されました整備新幹線問題調整会議沿線県ヒアリングにおきまして、私から、北陸の並行在来線は4県にまたがる長大な区間でありまして、貨物列車も40本以上走行することも含めて、4県ごとに別々に運営するには大きな課題があるということ。そのために従来の枠組みの見直しが必要であって、当面、例えば新幹線の敦賀開業まで現行のままJRが運営するという考え方もあることや、また並行在来線の経営安定のためには、貸付料の並行在来線支援への活用とともに、JRによるこれまで以上の人的支援や運行への協力、関与が必要であることなど、新たな支援策の枠組みの必要性について、並行在来線を初めとする新幹線整備に関する諸課題を解決するために、例えば公共事業費、いわゆる真水を、従来、年706億円でありましたが、300億円増額する。それは、高速道路の無料化に1,000億投ずるというような大胆な公共事業の見直しをされている今の新政権のもとでは十分可能性のある提案ではないかと、こういうことも申し上げて、強く働きかけをしたところでございます。  また、並行在来線へのJRの関与に関しましては、昨年12月に国において「整備新幹線の基本方針」が取りまとめられまして、並行在来線へのJRの協力や支援が求められること等が明記されたところでございます。  今後、国においては、JR等の関係者のヒアリングも進めまして、夏までに一定の方針を出すとされていますので、まずは国において従来の枠組みの再検証、また見直しを行っていただいて、JRの関与を含め、並行在来線を持続可能とするための仕組みや新たな支援策についてしっかりと検討、措置されることが重要だと考えておりまして、今後とも、県議会や沿線県とも連携を図りながら、関係方面に強く働きかけをしてまいりたいと思っております。  最後に、幼保の所管の一元化の御質問についてお答えをいたします。  今、高知県の例をいろいろお話がありました。本県の場合、学校教育法や私立学校法、児童福祉法によりまして、公立幼稚園については教育委員会、私立幼稚園については経営管理部、保育所については厚生部において所管をしております。  これは、1つは、私立幼稚園については、私学の自主性を尊重して、その自発的な教育の発展を図る観点から、また2つには、保育所については、保育に欠ける乳幼児を保育する福祉施設として、他の福祉施策との整合性を図る観点から、法律で都道府県知事が所管すると規定されていることによるものであります。  このように、幼保の所管は分かれてはおりますけれども、就学前の子供に幼児教育、保育を一体的に提供する認定こども園制度については、厚生部が一元的に相談窓口を務めております。  また、子供本位に考えろという議員の御指摘は、私は全くそのとおりだと思うんですが、子供たちが幼稚園、保育所からスムーズに小学校生活に移行できるように幼・保・小連携事業にも取り組む。昨年も8月に幼・保・小連携フォーラムというのをやりまして、私もパネラーとして参加させてもらいましたが、個々の部局の窓口は分かれていますが、なるべく一元的にする。最終的には教育委員会とも相談しながら、総合的な対応をするということでやってまいりたいと思います。  国におきましては、幼保一元化について認定こども園制度を創設するとともに、幼稚園教育要領と保育所保育指針の見直しによって、幼児教育に係る表記はおおむね統一されるなどの動きが見られます。しかしながら、教育施設としての幼稚園と福祉施設としての保育所は、施設としての理念を初め、国の補助制度や会計基準等において異なる点がなお多く残っているのが現状であります。  そこで、新政権では、昨年12月8日に閣議決定した緊急経済対策において、この幼保一元化を含めて、新たな次世代育成支援のための包括的、一元的な制度の構築を目指すということで、ことし22年前半を目途に基本的な方向を固める、23年通常国会までに所要の法案を提出するということにされているわけであります。どんな制度を構想しようと、子供本位に、子供にとって最も有意義な仕組みはどういうものかという観点から、国において十分議論していただきたいと思っております。  この件については、議員は大変御関心が深いわけですが、御承知のとおり、幼稚園、保育所それぞれ、父母の方とかいろいろ御関心の深い方もおられるわけでありまして、県としましては、今後こうした国の動向もしっかり注視しながら、一方で全国知事会等の場におきまして、地方として一体どう対応すべきか十分議論して検討してまいりたい、こういうふうに思っております。 6 ◯議長(梶 敬信君)斉藤警察本部長。    〔警察本部長斉藤良雄君登壇〕 7 ◯警察本部長(斉藤良雄君)本県警察官の逮捕事案につきましてお答え申し上げます。  事案概要でございますが、警察本部に勤務する警察官が3月4日午後0時20分ごろ、金沢市内の歩道上において、見ず知らずの通行中の女性に「送ってやるから車に乗らないか」などと声をかけて、不安や迷惑を覚えさせるような仕方でつきまとった追随等の罪に係る軽犯罪法違反の容疑で、折からパトロール中の石川県警察の捜査員に現行犯逮捕されたものであります。  全く申し開きの余地のない事案であり、今、我々警察はもとより、民間ボランティアの皆様初め県民の皆様にも、女性、子供が被害に遭う犯罪の撲滅のために日々本当に一生懸命お取り組みをいただいている最中に、よりによって警部補の立場にある警察官がこのような行為に及んだということは、遺憾としか言いようのない思いであります。被害に遭われた女性、また県民の皆様に衷心よりおわびを申し上げます。  事案につきましては、今後、事実関係を詳細に調査、確認の上、厳正に対処してまいる所存であります。  県警察としては、本事案の発生を受け、発生翌日に直ちに全所属の副所長クラスの幹部を緊急に招集して会議を行うとともに、緊急の本部長通達を発出するなど、組織内で危機意識を共有し、教養、職員の指導、把握を改めて徹底するなど、綱紀の粛正とこの種事案の防止策の徹底を指示したところであります。  再発防止につきましては、事案の性質からも、今後早急に事実を調査、確認し、原因の分析検討を行った上で、改めて徹底した対策を講じてまいるべきものと考えておりますが、警察が組織を挙げ、同僚が休みを返上して性犯罪等の抑止に懸命に取り組んでいる一方で、かかる行為に及ぶ職員が現にいたという事実は率直に受けとめなければならないと思っておりますし、また当該職員は、現時点で把握する限りでは特段の問題兆候もなく、その身上の把握が十分にできていなかった面があるのではないかなど、部内の指導教養、身上の把握などのあり方を見直していく必要もあるものと考えております。  今回、県民の信頼を大きく損ねる事態となったことにつきましては、私は何よりも本来の仕事で県民にお返しすることが最大の道と考えております。緊急の副署長等会議でも職員に私自身の思いは伝えましたが、現場では厳しい職務環境に置かれることにもなりますが、こういうときこそ、我々は女性、子供を犯罪被害から守ることを初め、職員一人一人が歯を食いしばってでも県民の安全・安心を確保するための取り組み、努力を常に倍して力を尽くし、治安を、県民を守ることでお返しをすべきだと。再発防止を徹底していくとともに、本来の警察活動自体はいささかもこれを低下せしめることなく、職員一丸となって組織の総力を挙げ、県民のための取り組みを強化してまいる決意であります。 8 ◯議長(梶 敬信君)出口経営管理部長。    〔経営管理部長出口和宏君登壇〕 9 ◯経営管理部長(出口和宏君)県内市町村の財政運営につきましてお答えを申し上げます。  昨年4月に地方公共団体財政健全化法が全面的に施行されました。この法律は、地方公共団体の財政につきまして健全化を判断する指標の公表制度を設けまして、指標が悪化した際には、早期健全化計画の策定を義務づけることなどによって、財政の健全化を実現化することを目的としております。  地方公共団体財政健全化法の規定によりまして、地方公共団体は健全化を判断する4つの指標を公表することになっておりまして、そのいずれかが早期健全化基準に達しますと財政健全化計画の策定が義務づけられ、さらに指標が悪化し、財政再生基準に達した場合には財政再生団体となる仕組みでございます。現在、全国では、北海道の夕張市が財政再生団体の、他の21市町村が早期健全化団体の基準に該当しております。  県内の市町村につきましては、健全化を判断する4つの指標のうち、実質公債費比率及び将来負担比率につきましては、全国平均を上回る団体が多いといった厳しい状況にはございますけれども、財政再生団体はもとより、早期健全化団体の基準に該当する市町村はございません。  しかしながら、今後、社会保障関係費が確実に増加していくことが見込まれますし、地方税や地方交付税といった一般財源総額の先行きも不透明でございます。県内市町村におきましても、引き続き職員数や給与の適正化を初めとして、事業の廃止、見直しや民間活力の導入といった行財政改革に積極的に取り組んでいただく必要があると考えております。  県といたしましては、各団体の行財政改革の取り組みに対しまして、助言、情報提供、職員研修といった支援を行いますとともに、その歳入確保に向けまして、地方の自立と地域間格差是正のための地方税財政改革ですとか、地方交付税総額の確保といった地方財政対策の充実を国に対して働きかけてまいりたいと考えております。  以上でございます。 10 ◯議長(梶 敬信君)柳野商工労働部長。    〔商工労働部長柳野隆之君登壇〕 11 ◯商工労働部長(柳野隆之君)まず、県内製品の県内における消費拡大についての御質問にお答えいたします。  県内には、工業製品から日用品まで、高いものづくり技術に裏打ちされましたすぐれた商品が数多く存在しています。これらの県内消費を拡大するには、県民や企業にすぐれた製品があることを知ってもらい、また公的な施設等での利用によって、その機能等を県民によく認知してもらうことも大切であります。  このため県では、機能やデザイン性にすぐれた工業製品を富山プロダクツとして選定し、展示会やイベント等で紹介したり、中小企業が開発した新商品を県が率先購入するトライアル発注制度により、県内製品の普及と拡大に努めているところであります。  また、本県には、すぐれた技術力を有するオンリーワン企業やニッチトップ企業も多く、また、必ずしも知名度は高くないが、卓越した技能で本県のものづくりを支えている企業も多数存在しており、これらの企業の製品への理解を深めることも重要であります。このような観点から、県では先月、富山、高岡の中心商店街において、ものづくりをPRするアンテナショップ「技術・技能デパート」を開設し、企業の製品や技術に関する常設展示等の取り組みを始めたところであります。  今後とも、県内製品が県民等に認知され購買につながるよう、すぐれた製品を製造する企業の発掘、育成に努め、企業情報の発信等を行ってまいりたいと考えています。  次に、プレミアムつき商品券の御質問についてお答えいたします。
     昨年は、国の定額給付金の給付や家電エコポイント制度の実施に呼応し、県内ほとんどの市町村でプレミアムつき商品券が発行されたところであります。プレミアム商品券の発行は、商工団体や市町村が一致協力し、地元での購買を拡大しようとする有意義な取り組みであることから、県ではその印刷費やPR経費等について、補助率を特例として2分の1に引き上げるなど、積極的に支援してきたところであります。その結果、県内消費の拡大に相当程度の効果があったものと考えています。  また、来年度には新たに、県民が家族ぐるみで地元商店街に親しむ機会を増やす取り組みとして、県内6カ所で、子供の音楽や踊り等の発表会をメインとする「とやまっ子まちなかアートイン商店街事業」、子供の「1日店長」など親子で楽しめる販売体験や、子供の誕生日に合わせた「お誕生日福袋」の販売等の商店街が独自に企画する取り組みを支援する、「商店街ファミリーわくわく元気支援事業等」を実施し、商店街のにぎわいづくりを支援していくこととしています。  さらに、がんばる商店街支援事業等により、プレミアムつき商品券の発行を初め、商店街独自の創意と工夫を凝らした取り組みを支援し、地元購買の拡大につなげてまいりたいと考えています。  次に、新分野進出への支援に関する御質問にお答えします。  厳しい経済情勢の中にあっても、本県経済の活力を維持、発展させていくためには、企業の新分野進出に対する支援が大変重要であると考えております。これまでも、中小企業支援センターにおける相談や経営指導の実施、県工業技術センターにおける技術相談、技術指導の強化、地域資源活用や農商工連携による新商品の開発への助成、首都圏等での商談会や見本市出店への支援などにより、総合的に支援してきているところであります。  また、新分野進出への支援をさらに強化するため、新年度では、県内中小企業を巡回して新分野進出を初めとする支援施策の普及啓発、相談に対応するアドバイザーの設置、高度な技術の実用化や新商品、新技術の創出に向けた研究開発に対する支援の強化、成長分野である航空機産業への新規参入、小水力発電や太陽光発電に関連する技術開発への支援、富山ものづくり総合見本市の開催などによる県内企業のビジネス機会の拡大や輸出入の促進、国内外で開催される見本市等への出展助成の拡大、首都圏等の企業とのマッチング推進による販路開拓への支援などの施策を実施することとしています。  県といたしましては、今後とも適時適切なアドバイスが受けられる相談体制の充実、技術開発や販路開拓への支援、さらには関係企業とのマッチング等を総合的に実施し、県内中小企業の新分野進出を積極的に支援してまいりたいと考えています。  最後に、誘致企業における地元業者の参入促進についてお答えいたします。  企業立地につきましては、雇用や税収などの直接効果のみならず、若者の定着促進や県内人口の増加のほか、県内企業との取引拡大を初め商店街の活性化など、さまざまな経済効果が期待されているところであります。  県内に進出した企業における附帯業務の発注状況につきましては、多くの企業で地元協力の観点や臨機応変な対応が可能であることなどを勘案し、できるだけ地元業者への発注がなされてきているところであります。一方、一部の企業では、グループ企業との関係や廃棄物処理で地元業者が処理できないものがあることなどから、県外業者に発注されている業務もあるところであります。  もとより、地域経済の活性化の観点からは、地元業者が県内に進出した企業における警備、清掃、メンテナンスなどの附帯的業務も受託することが望ましいところでありますが、県といたしましては、県内に進出した企業から地元業者への発注拡大を進めていただくよう、企業訪問時や企業との懇談会の際などさまざまな機会をとらえて、市町村とも連携しながら、引き続き協力をお願いしていきたいと考えています。  以上でございます。 12 ◯議長(梶 敬信君)井波土木部長。    〔土木部長井波久治君登壇〕 13 ◯土木部長(井波久治君)国直轄事業についての御質問にお答えいたします。  公共工事の県外業者の受注につきましては、県内業者の受注に比べまして、県内への経済効果が小さいことや県内の雇用に結びつきにくいこと、また県内企業の育成につながらないことなどといったデメリットがあると考えております。  このため、従来より国に対しまして、国直轄事業の県内建設企業への受注機会の拡大を強く働きかけてきておりまして、その結果、平成20年度に県内で発注されました一般土木工事のうち、約90%の工事を県内企業が受注しているところであります。また、県外企業の受注の場合であっても、下請工事、建設資材、材料運搬、その他のサービスなどの需要が創出され、県内に経済波及効果が及ぶことから、こうした面での県内企業の参入や地場産品の活用とともに、下請企業等への不当な取り扱いがなされないよう国に要望してきているところであります。  下請企業へのしわ寄せ防止につきましては、国では建設産業における生産システム合理化指針に基づき、元請、下請間に適正な契約や支払いがなされるよう指導するとともに、下請取引実態調査や立入調査などにより下請取引の指導に努めていると聞いております。  今後とも、直轄事業への県内建設企業の参加機会の拡大や下請取引の適正化等について、国に対して強く働きかけてまいりたいと考えております。 14 ◯議長(梶 敬信君)廣光知事政策局長。    〔知事政策局長廣光俊昭君登壇〕 15 ◯知事政策局長(廣光俊昭君)初めに、並行在来線への新駅設置などに関してお答えします。  JRにおきましては、基本的には鉄道事業経営の観点から、新駅設置が運行に与える影響や収支採算性などの観点から設置の可否が判断されるものと認識しております。こうしたことから、例えば沿線に大型施設が新設されるなど、新駅設置によりまして収支改善効果が確実に見込まれるような特段の事情がない限り、設置は難しいものと考えられます。  他方、三セク運営の場合でございますけれど、この場合につきましても非常に厳しい収支が見込まれますとともに、貨物列車も多数走行する幹線路線でありますことから、まずは安定経営のための新たな仕組みが検討されなければならないという状況にあることをよく踏まえなければなりませんが、JRの場合と比べれば、沿線のまちづくりといった観点にも配慮しながら、総合的な視点で考えていける面もあると考えております。  新駅に関しましては、沿線自治体での検討が円滑に行われますよう、従来の先行県では例がありませんが、沿線自治体などに役立てていただくため当県で初めて独自に作成することにした新駅設置ガイドラインを、昨年、県並行在来線対策協議会において取りまとめたところでございます。このガイドラインに沿いまして、沿線自治体において、地域ごとの検討に向けた環境の進展度合いに応じまして、新駅を設置した場合に、どの程度利用者が見込めるのか、地域のまちづくりや発展につながるのかといったような観点から調査検討を進めていただくことになっております。その際には、県としても一体となって検討への参画などの協力を行うことにしておりまして、沿線自治体の取り組みに期待しているところでございます。  今後、本県の並行在来線につきましては、しっかりとした経営体制を整備していくためには、運行計画や組織・要員、施設整備、利用促進策など、さまざまな技術的、専門的な観点も含めまして、膨大な事項を整理していく必要がございます。あわせて、これらの検討は、その前提としまして、JRが運営主体に相当関与する形になるのかにも影響されるものでございまして、現在その点も含めまして国において検討されているため、国の検討状況を注視するとともに、本県より具体的な提案も行いつつ、同時並行して県内の検討を進めていかなければならないものでございます。  沿線自治体との協議につきましては、新駅設置も含めまして、今後とも県並行在来線対策協議会等におきまして、市町村や関係機関の御意見をいただきながら検討を進めていく考えでございます。  続きまして、在来線の利用客増加に関してお答えいたします。  在来線を初めとする県内公共交通につきましては、利便性、ネットワークの向上や利用機運の定着、向上を図りまして、利用者をしっかり確保していくことが重要です。このため県といたしましては、まちづくりと公共交通の連携、少子高齢化や環境への対応、高速交通網とのアクセス強化などの観点から、県内公共交通の利便性向上、利用促進につながるさまざまな取り組みについて支援を行ってきております。  その一例としましては、城端線、氷見線に関して、沿線市やJRと連携し、県の参画のもとで、城端・氷見線活性化推進協議会によります利用促進事業、例えば忍者ハットリくん列車スタンプラリーやチューリップ号の運行などを展開して活性化に努めております。  また、公共交通への県民の意識改革を促すノーマイカー運動につきましても、ノーマイカーウイークとして取り組みを強化してきておりますが、22年度につきましてはノーマイカー通勤チャレンジ事業として、3カ月程度ノーマイカーにチャレンジしていただきまして、生活スタイルの見直しに踏み込んでいただく試みを実施したいと考えております。  さらに、並行在来線への2次交通としての機能も担う市町村のコミュニティーバスにつきましても、県が運行助成を行っておりまして、21年度は115路線への支援を行っております。  このほか、公共交通利用促進に効果の高い駅周辺でのパーク・アンド・ライドへの取り組みにつきましても、北陸線、地鉄、ライトレール等におきましてさまざまな支援を行っておりますが、そのほかにも、県内の鉄道、バスなどの乗り継ぎ検索システムの整備、さらには交通ICカードの導入にも取り組んでおります。  御指摘の民間企業が行う送迎バスにつきましては、複数の中小企業がまとまって運営を行うということなども理論的には考えられますけれど、具体的な要望には接しておりませんので、今後よく勉強していいきたいと考えております。  今後とも、市町村や交通事業者などの関係者と連携協力しまして、新幹線の開業も視野に入れながら、公共交通の活性化にしっかりと取り組んでいく考えでございます。  最後に、雪に強い公共交通に向けた取り組みに関してお答えします。  この冬は、昨年12月下旬からことしの2月上旬にかけまして、まとまった降雪の続いた日が4、5回程度ございまして、それに伴いまして、JR等公共交通機関におきまして列車の運休や遅延が見られたところでございます。  県ではこれまでも、毎年冬に入る前に、国、県、交通事業者などによります雪害対策連絡会議を開催いたしまして、交通事業者に対し定時運行の確保と情報提供の充実について要請しているところでございます。  また、交通事業者におきましても、冬期間中は雪害対策本部等を設置し、まとまった降雪が予想される場合には常時除雪体制を整えるなど雪対策に努められておりますが、この冬につきましては新潟県内でたび重なる大雪に見舞われたために、特にJRにおきまして東京方面などの特急列車や夜行列車の運休、遅延が発生したものと認識しております。こうしたことから、格段に進んだ降雪対策の入っております新幹線の早期開業の必要性につきまして、改めて県内の認識も高まったものと考えております。  公共交通といたしましては、運行の安全確保を第一とすることの必要性から、大雪などの自然条件によりましては、運休や遅延が生じてしまうことはやむを得ない面もございますが、県といたしましては交通事業者等との協議の場におきまして、降雪時における交通の確保につきまして今後とも要請してまいりたいと考えております。また、交通事業者における除雪設備や降雪対策にも資する施設設備の整備、更新に対しましては、鉄道軌道輸送対策事業費補助金によりまして国と協調して必要な支援を行うなど、雪に強い公共交通機関の実現につながるよう適切に取り組んでいく考えでございます。  以上です。 16 ◯議長(梶 敬信君)東野教育長。    〔教育長東野宗朗君登壇〕 17 ◯教育長(東野宗朗君)教員の資質向上に向けた富山大学との連携事業についてお答えしたいと思います。  県教育委員会におきましては、平成17年に富山大学と締結いたしました連携協定に基づき、現職教員の再教育、教員養成の充実に取り組んできているところでございます。  具体的に申し上げますと、現職教員につきましては、大学教官を総合教育センターの客員教授に委嘱いたしまして、研修講座を初め、センター事業全般にわたる指導助言をいただいているほか、富山大学への内地留学生の派遣などを通じ、資質向上に努めているところでございます。  2つ目には教員の養成でございますが、学びのアシスト──これは大学生が小学校の個別指導、補助教材作成に従事するものでございますが──あるいは理科支援員などを通しまして大学生を学校に受け入れるほか、大学の「とやま学」講座──これは富山についての教材をつくるという講座でございますが、指導主事を派遣するなど行ってきているところでございます。  特に学びのアシストでございますが、大学生が学校で直に子供たちとふれあうことによりまして、早い段階で──1年生でございますけども──教職の厳しさとともに、子供たちとふれあう魅力を感じることで情熱、使命感が高まる。従来、免許を取りましても、企業へ就職する方が多い教育学部でございましたけども、教員への就職率が、例えば教育学部自体36%でございましたものが、人間発達科学部になりまして、少しパイが小さくなりましたけども、推計でございますが6割──県内外の教員でございますけども──となったなど、教員の就職率が高まり、学生の意欲、指導力を高めるために大変多くの効果があったものと考えております。  現在、国におきましては、教員の資質向上や教員養成のあり方について検討が始まったところでございますが、私ども県教育委員会といたしましては、富山大学に対しまして、現場のニーズに対応できるような教員を養成できる養成課程のカリキュラムの改善。そして、現在、音楽とか技術とか一定の免許が取れない仕組みになっておりますけども、こうした免許状の取得拡大。3点目には、現職教員が現場で悩んでおります分野の指導講座を開設していただく、あるいは指導者を確保していただくなどを要望していきたいと思っております。  県教育委員会といたしまして、今後とも大学に必要な人的協力を行うなど、連携を進めながら努力してまいりたいと思っております。  次に、幼・保・小連携事業についてお答えしたいと思います。  幼稚園、保育所、小学校との連携でございますが、入学直後の児童の小学校生活への不適応を防ぐために、これまで行ってきているところでございますが、いずれも限られた人員のもとで事業を展開しておりますために、連携のための時間確保が難しいことなど、さまざまな課題がございまして、県の連携事業が終了いたしますと、連携事業を保っていくことが定着しないといった悩みがあるところでございます。  22年度において県で新しく予定いたしました「のびのび5歳児育み事業」でございますが、これは3つの事業から成り立っておりまして、1つには幼・保・小連携フォーラムでございますけど、昨年初めて県内の幼稚園、保育所、小学校の関係者が一堂に会したというところでございまして、先ほど知事から答弁ございましたように、知事を初め各界各層が参加したところでございますが、こうしたことを通しまして、課題などについてさらに共通理解、認識を深めていただきたい。  2点目の指導者を対象とした地区別合同研修会でございますが、これまで子供同士の交流を中心としておりましたが、国のほうでも教育内容についての接近といったこともございますので、こうしたことの内容に踏み込んで意見交換をしていただきたいと考えております。  3点目の子育て懇談会でございますが、これまではどうしてもPTAや公民館などを中心に行ってきたところでございますが、新年度新たに学童保育指導員など範囲を広めまして、地域においても幼稚園、保育所、小学校の連携についての理解を深めていただきたいと思っております。  県教委といたしましては、この問題は大変難しい問題でございますので、国において解決、整理していただきたいと思っておりますが、富山県といたしまして交流、連携を関係部局とまず深めていくことが大切だと考えております。今後とも、市町村など行政関係者も参加しながら事業に取り組みまして、着実に努力をしてまいりたいと考えております。  以上でございます。 18 ◯議長(梶 敬信君)寺井農林水産部長。    〔農林水産部長寺井幹男君登壇〕 19 ◯農林水産部長(寺井幹男君)栽培漁業センターについての御質問にお答えいたします。  本県では、氷見市にあります県の栽培漁業センターと滑川市にあります農林水産公社の栽培漁業センターの2カ所において、ヒラメ等の種苗生産と放流事業を実施しておりますが、このうち、氷見の栽培漁業センターは老朽化が進み、使用している海水温の上昇などの問題が生じてきております。  このため、新年度において漁業関係者や有識者等で構成します検討委員会を設けて、漁業者等のニーズも聞きながら、今後の種苗生産のあり方とそのための施設整備の方針について検討を進めていきたいと考えております。  具体的な検討項目としましては、栽培対象とする魚種の選定と放流数量、またその生産に必要な施設の機能と規模、さらに、2つあります栽培漁業センターの機能のあり方と効率的な事業執行体制、そして水産研究所等との連携など、いろいろな観点から御議論いただきたいと考えております。  中でも魚種の選定に当たりましては、漁業者のニーズを基本に、富山湾の海域特性、本県漁業の現状を踏まえますとともに、魚種ごとの回収率、定着性、採算性等を考慮して検討を進める必要があると考えております。  また、検討に際しましては、関係市町や漁業団体等のヒアリングを行うなど、関係者の意見も踏まえて、平成22年度中に方針を取りまとめていきたいと考えております。  以上です。 20 ◯議長(梶 敬信君)以上で神田真邦君の質問は終了しました。  島田一君。    〔21番島田 一君登壇〕 21 ◯21番(島田 一君)平成22年2月定例会に当たり、公明党の一般質問を行います。  初めに、バンクーバー冬季オリンピックのスピードスケート女子団体追い抜きで銀メダルを獲得された田畑真紀、穂積雅子の両選手の活躍をたたえ、県民栄誉賞を贈ることは県民の誇りであり、心からお祝い申し上げます。  さて、石井知事におかれては、この5年余り、財政再建と「元気とやま」の創造という、あえて二兎を追う県政運営のかじ取りをしてこられました結果、国政が政権交代で激動する中で、平成22年度富山県予算には着実にその成果が見られます。  一方、国の当初予算には、月額1万3,000円の子ども手当、高校授業料不徴収、米農家への戸別所得補償、高速道路の一部無料化などが反映されています。しかし財源は、約37兆円余の税収を超える国債発行44兆3,000億円。赤字国債は次世代へのつけ回しとなり、県民から不安の声が聞こえています。  赤字国債といえば、平成13年から国の交付税特会の借入金を臨時財政対策債として地方の責任で発行されるようになり、元利償還の100%を交付税措置されることから、実質的な地方交付税と解されています。果たして本当にそうなのでしょうか。  本県では、平成22年度当初見積額は549億円です。償還時にはこの元利合計が当該年度の基準財政需要額に100%算入されますが、国の財政事情により、借金した額と同額がきっちり配分されるとは限らないのであります。  これまで、交付税措置のある県債が基準財政需要額の見直しにより借金返済以外の部分が削られ、結果として減額されたことはありませんか。交付税の身がわり的な臨時財政対策債は、あくまでも国の交付税特会で措置されるべきものと考えます。出口経営管理部長の所見をお伺いいたします。  次に、介護、福祉施策の推進についてお伺いいたします。  公明党は全国で3,000人を超える地方議員のネットワークを生かし、介護総点検を行いました。  本県では、平成20年10月現在、特養5,115床、介護老健施設4,064床、介護療養型医療施設2,516床となっており、人口10万人当たりの全国ランキングは第2位ということであります。このほか、住居系の有料老人ホーム19施設520床、ケアハウス1,254床、軽費老人ホーム2施設150床、養護老人ホーム4施設400床、グループホームは平成21年4月現在1,162床という実態であります。  今から15年後、平成37年には、65歳以上の人口がピークを迎えます。今回の介護総点検の結果を踏まえ、山口公明党代表は官邸を訪れ、鳩山総理に、介護3施設は2倍に、住居系グループホームなど特定施設は3倍増にするように党として強力に申し入れました。これに対して総理は、「大変大事な調査をされた」と評価された上で、「加速度的に増やしていかなければならない」と答えたと聞いております。本県における長期整備計画はどのようになっているのか、厚生部長にお尋ねいたします。  要介護者の7割強の人たちは自宅で介護を受けておられますが、老老介護の実態は深刻であります。介護疲れ、介護虐待を抑止するため、一時預かりを行うレスパイト(休息)事業の大幅な拡大、在宅介護の手厚い支援が求められます。厚生部長の所見を伺います。  私は2月16日、群馬県庁を訪ね、八ッ場ダムの経緯や、群馬県知事の選挙公約に基づく中学3年生まで医療費無料化の実施について聞いてきました。この施策は、石井知事がよく言われる所得の再配分ではなく、未来への投資という理念に基づき、同県の中学3年生までの子供たちに、医療費を負担せずに医療を受ける権利を与えるということで、親や保護者の所得制限は行わない。この子供の権利は、医療を使ったときが権利行使のときであり、いわゆるばらまきには当たらないという趣旨の説明を受け、私は大変感銘を受けました。  本県内の市町村レベルでは、中学3年生までの医療費無料化を進める自治体が増えています。県が主導的に市町村と協力して、中学3年生までの医療費無料化を推進する考えはありませんか。石井知事の所見をお伺いいたします。  次に、重複障害者支援について伺います。  2月17日、私は東京都盲ろう者支援センターを訪ね、聴覚障害と視覚障害が重複し、目が見えない、耳が聞こえないという重度な障害を抱えながらも、自立した就業と生活を求めている人を支援するNPO法人の活動を見てまいりました。  本県でも外出介助などの支援をしておりますが、ただし、利用者はお二人ということであります。平成21年3月現在、身体、知的、精神の3障害者別の全体数は6万7,826人ということであります。3障害の重複実態、障害の組み合わせなどの人数は把握されておりません。  私は、県議になってから欠かさず、全障連が主催されている障害者の成人式に参加していますが、重複障害と見られる人も見かけられます。そして、一人一人、介助人、介助用具が必要です。県として、これらの重複障害者に対する支援を充実するため、重複障害者の仲間づくりへの支援も考える必要があると思います。今後どのように取り組んでいくのか、飯田厚生部長にお尋ねいたします。  次に、成長戦略について伺います。  将来を見据えた本県経済の成長戦略についてでありますが、ものづくり産業の振興、新たな産業分野への挑戦、環日本海物流・国際経済交流の促進という柱を立てられた経済成長の取り組みの中から数点お伺いいたします。  まず1つには、産業界と大学、工業技術センターなどによる産学官連携により、これまでどのような実績、成果があるのか、商工労働部長にお伺いいたします。  2つには、医薬バイオの分野において、受託生産やジェネリック医薬品の生産が好調であると聞いていますが、より付加価値の高い新薬や新しい製剤の研究開発への支援にも取り組む必要があると思いますが、厚生部長にお伺いいたします。  3つには、ロボット産業についてでありますが、これからは介護用ロボットの研究開発や普及が大事だと考えます。これまでの取り組みの成果を踏まえ、今後どのように展開していくのか、商工労働部長にお尋ねいたします。  4つには、意外性を持って受けとめたのは、県内企業の航空機産業への参入について、県としてもバックアップすることにしていますが、本県中小企業の参入の可能性、今後の市場規模についてどのように見ておられるのか、石井知事にお伺いいたします。  5つ目には、対岸交易の成長を展望した伏木富山港については、富山新港が昭和43年4月に開港して、ことしは42周年になります。昭和61年には特定重要港湾に指定され、伏木港と新港はマイナス14メートル、富山港はマイナス10メートルで、大深度岸壁を有しております。太平洋側の北米航路などは、マイナス16メートルからマイナス18メートルと聞いております。  伏木富山港は、韓国航路、中国航路が着実に伸びてきております。対岸諸国の発展と本県の物流港湾、背後地の企業立地など、これからの将来を展望して、大型、大量輸送に対応する、より大型の岸壁が必要ではないのか。とりわけ富山地区において大型岸壁の整備に取り組む考えはないか、井波土木部長にお伺いいたします。  次に、地球温暖化対策について伺います。  まず、国において、総務省の新規施策として、地方自治体が自然環境などの地域資源を活用し、地域の自給力を高める「緑の分権改革」事業を推進すると聞いております。県としてこの事業にどのように取り組むのか、観光・地域振興局長にお伺いいたします。  地球にやさしい太陽光、風力、小水力、バイオマス、地熱などの新エネルギーの新技術の研究開発の促進や事業化を支援する必要があると考えるが、どのように取り組んでいかれるのか、商工労働部長にお伺いいたします。  次に、とやま温暖化ストップ計画について伺います。  東京都と青森県、東京都千代田区の3自治体が2009年12月、地球温暖化対策を推進するため、再生可能自然エネルギーの利用促進を図る協定を締結しました。
     東京都は本年4月から、国内では初めて大規模事業所を対象にCO2の排出削減を義務化することから、その達成方策の一つとして、青森県の再生可能エネルギーの利活用を促していく一方、青森県側では県内事業者による再生可能エネルギーの開発を支援し、都市にエネルギーを供給することで低炭素社会に貢献できるとしています。  この協定に基づき、具体的プロジェクトが動き出します。本年4月、千代田区の新丸の内ビルディングが、青森県六ヶ所村の風力発電によって発電した生グリーン電力を活用することが決まっていると聞いております。再生可能エネルギーを直接需要地が受電する取り組みは日本で初めてであります。  また、自然エネルギーの自給率について、千葉大学公共研究センターとNPO法人環境エネルギー政策研究所が共同で、2006年より国内のすべての市町村における自然エネルギーの利用状況調査を実施し、各行政区域内でどの程度の割合で自然エネルギーによって賄っているのかを試算したエネルギー永続地帯指標を毎年公表しています。この指標によれば、本県の自然エネルギー自給率は全国第2位の16.76%となっており、自然環境が豊富であることをあらわしています。  本県においては、スーパーなどのレジ袋削減について全国に先駆けて全県的に取り組み、知事も先頭に立っていただいていますが、その結果、前回計画の策定時と比べても、県民のエコに対する意識も相当高まってきているのではないかと思われます。  そこで、県におきまして、新年度においてとやま温暖化ストップ計画を改定することにしておられますが、このような他県の新しい動きなどはもちろん、本県の自然環境のポテンシャルの高さを生かすとともに、県民や県内事業者の理解を得ながら、いろいろな動きを盛り込んでもらいたいと考えておりますが、今後どのような考えで、またどのようなスケジュールで改定作業を進めるのか、泉生活環境文化部長にお伺いいたします。  最後に、新政権の政策への対応について簡単に伺います。  1つには、高校授業料無償化については、県立学校では授業料を徴収しないとのことですが、私立高校、専修学校、各種学校への支給についてどのように対応するのか、経営管理部長にお伺いいたします。  2つ目は、子ども手当について、養護施設などの入所児童への支給についてはどのように対応するのか。制度の理念から、すべての児童にひとしく支給されることが望まれます。厚生部長にお伺いいたします。  3つ目には、戸別補償制度について、生産調整の取り組みへの影響、米価への影響、担い手育成への影響が懸念されるが、どのように対応していくのか、農林水産部長にお伺いいたしまして、私の質問を終わります。 22 ◯議長(梶 敬信君)石井知事。    〔知事石井隆一君登壇〕 23 ◯知事(石井隆一君)島田議員の御質問にお答えします。  まず、医療費助成制度の御質問にお答えをいたします。  医療費の自己負担部分の軽減、子供たちにかかわるものにつきましては、お話のように未来への投資という言い方もあると思いますけれども、全体として所得再配分政策にかかわるものでありまして、本来は国の責任分野でありますけれども、十分でない面がありましたので、それを補完するために県と市町村が協調して、地方単独事業として乳幼児医療費助成を行ってきております。  県としては、大変厳しい財政事情が続くと見込まれる中で、平成17年12月に設置しました医療費助成制度のあり方懇談会におきまして、この医療費助成制度の根幹を極力維持していくためのいろいろな工夫について検討いただきまして、その報告を受けて、一昨年10月から所得制限を導入した上で、従来の制度をすべて継続することにしたところであります。  その際、所得制限導入によって生じた財源を少子化対策などの充実に充てることが望ましいという報告をいただいたことから、その際種々検討したわけですが、その時点で、医療費助成の対象年齢の拡大を図ることについては、市町村によりまして考え方に差異があったところでございます。  そのために、地方分権の時代でもありますので、対象年齢の拡大については各市町村の責任で実施していただくことにいたしまして、県としては、この所得制限により生じた財源を活用して、一時保育やファミリー・サポート・センターの利用などの保育サービス、あるいは予防接種や乳児健診にも利用できる子育て応援券の配布事業を、県の独自の施策として、市町村負担を求めずに、基本的に全額県費で一昨年10月から実施して、子育て家庭の負担軽減に努めております。  県内各市町村におきましては、この所得制限導入によって生じた財源の活用などによりまして、それぞれの地域の実情、また市町村長さんなどの考え方に沿って、医療費助成の対象年齢の拡大、その他の施策を推進されているところでございます。御理解をいただければと思います。  なお、この子育て応援券の配布事業は順次県民の皆さんに浸透しておりまして、利用率は、昨年の3月末ではまだ9.6%でちょっと気がかりであったんですが、その後利用率が高まっておりまして、昨年末には38.2%と大幅に浸透してきたなと。例えば、新型インフルエンザの予防接種なんかの費用に充てていただいたり、もちろん一時保育等にも使っていただいているわけであります。  また、県としましては、全国で唯一の産婦健診費用の市町村への補助、それから全国で4県のみが行っております妊産婦の医療費助成、また全国で6県のみの不妊治療費助成制度への県独自の上乗せなど、総合的に見ていただくと随分富山県は先進的にやっておりますので、ぜひ御理解を賜りたいと思っております。  子供は地域の宝でありまして、その健やかな成長が何よりも大切だと思っております。昨年6月の、子育て支援・少子化対策条例に基づく基本計画の策定を進めておるわけでありますが、今回提案しております予算案にも、この基本計画の内容──中間報告もいただきましたが、これを前倒しで積極的に盛り込んでいるところでございます。今後とも子育て支援・少子化対策の充実に努めてまいりたいと思います。  次に、航空機産業への参入の可能性と今後の市場規模についての御質問にお答えを申し上げます。  航空機産業は、御承知のとおり、関連産業のすそ野が広うございまして、他分野への技術波及効果も大きい、今後の成長が見込まれる分野だと思っております。世界の市場規模は現在50兆円ほどでありますが、今後、新興国を中心に需要の拡大が見込まれますので、20年後には約2倍にはなるんじゃないかと言われているわけでございます。  現在の日本の生産額は1.1兆円程度でありまして、世界の中のシェアは約2%ということで、ちょっと物足りないわけですが、50年前には、例えば自動車産業、当時は世界のうちで3%でした。しかし今日では国内生産の分だけでも十六、七%。やがて2割近いシェアを有する、大変強い競争力を有する産業に成長したことなどを考えますと、私は航空機産業も──一つ前提があるのは、中央政府にもっとしっかりとした支援策を講じていただくということが大事だと思いますが、将来、例えば50兆が100兆になるんですから、1兆が2兆ということではなくて、5兆円とか10兆円とかといったような産業に成長する可能性もそれ相応にあるんじゃないかと考えているわけでございます。  これまで県では、県内企業の参入を支援しますために、国内旅客機の開発を進めております三菱航空機の首脳を講師に迎えた航空機産業セミナーの開催をいたしました。また、愛知県にある航空機産業集積地の視察なども行ったところ、そういう機会があるということならということで、県内から多数の──21社39名ですか、その関心の高さと参入に向けた意欲を感じたところでございます。  県内には、この航空機産業セミナーを開催した時点、昨年10月時点で既に航空機産業に参入している企業もありますし、その後、これが一つのきっかけになって新しく参入が実現できた企業もあります。そのほかにも、高い技術を有する企業や産業集積がありまして、参入に向けた潜在力、可能性は十分にあると思っております。  そこで、新年度において航空機産業への参入の取り組みをさらに進めることにしております。具体的には、国内の航空機産業の実態と県内の部品、素材産業の現状を調査しまして、県内企業がどのような分野や形態で参入できるのか、その可能性を探るとともに、参入意欲の高い企業を中心に、産学官の関係者も加わりまして航空機産業研究会を立ち上げますほか、航空機産業特有の認証制度等を学ぶ講習会の開催など、産業界の取り組みを支援することにしております。また、新商品・新事業創出公募事業に、新たに航空機枠を設けまして、産学官連携による技術開発を推進しますなど、技術面からも企業の取り組みを支援してまいりたいと思っております。  航空機産業は高い信頼性、安全性が求められるがゆえに、この新規参入には、なかなかハードルは高いものがありますけれども、こうした新しい産業分野に挑戦することで本県の産業基盤全体の高度化につながると、こういうふうに期待しているところでありまして、県としては、この新規参入等に向けた環境整備、また支援に積極的に努めていきたい、また国にも働きかけをしたいと、こういうふうに思っております。 24 ◯議長(梶 敬信君)出口経営管理部長。    〔経営管理部長出口和宏君登壇〕 25 ◯経営管理部長(出口和宏君)まず、臨時財政対策債についてお答えをいたします。  臨時財政対策債は、地方交付税の総額が地方交付税の法定率分だけでは不足する場合に、どのように対応するかという考え方で採用された方式でございます。かつては、地方交付税総額に不足が生じる場合には、国の交付税特別会計で借り入れを行って地方交付税の総額を増額するという方式がとられておりましたけれども、この方式につきましては、隠れ借金であるですとか、国、地方の財政状況が不透明になるといった批判もございました。  そこで、平成13年度の地方財政対策以降、地方の財源不足につきましては国と地方が折半して2分の1ずつ補てんをするという仕組みとなりまして、国の負担分につきましては、国が国債の発行を行って地方交付税の総額に加算を行う。地方の負担分につきましては、各地方公共団体が臨時財政対策債を発行するという仕組みとなりました。  臨時財政対策債の償還財源につきましては、毎年度の地方財政計画の策定を通じまして、地方全体の所要の財源を確保いたしますとともに、各団体に対しましては、地方交付税の算定におきまして、その全額が基準財政需要額に算入するということを法律で規定し、償還財源を保障しているところでございます。  今後の対応でございますけれども、毎年度の国の地方財政対策の中で検討されるということになりますが、現在のような巨額の財源不足が引き続き生じる場合には、地方交付税法は地方交付税の法定率の引き上げといった制度改正を予定しているところでございます。本来は臨時財政対策債に頼らないというのが望ましい姿でございますので、地方交付税の総額が安定的に確保されるように、国に対して強く働きかけてまいりたいと考えております。  次に、高校の授業料無償化についてでございますが、経済的理由によって高校での勉学をあきらめることなく、安心して勉学に励むことができる環境づくりに資するように、公立高校は授業料を不徴収とする、あわせて私立高校の生徒に対しては高等学校等就学支援金を支給すると、こういうふうな制度の導入が予定されております。  現在、国会のほうで法案が審議されておりますが、この法案によりますと、就学支援金の対象となりますのは、私立高校に通う生徒のほか、専修学校や各種学校のうち、文部科学省令で定める高等学校に類する課程を置くものに通う生徒とされておりますが、法案が成立していない現在、この省令は制定されておらず、また具体的にどのような学校を対象とするか、国の最終的な方針が確定していないと聞いております。  なお、これらの学校に通う生徒でありましても、一度高等学校に3年在籍した者については、就学支援金の対象とはならないとされております。  県の平成22年度当初予算におきましては、私立高校に加えまして県内の就学支援金の対象となる各種学校はなく、専修学校のうち高等課程を置くものすべてが対象となるという想定のもとに所要額を計上しているところでございます。  今後とも情報収集に努めますとともに、支給対象となる可能性のある私立高校や専修学校などと十分連携を図りまして、就学支援金が円滑に支給できますよう準備を進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 26 ◯議長(梶 敬信君)飯田厚生部長。    〔厚生部長飯田久範君登壇〕 27 ◯厚生部長(飯田久範君)まず、特養等の整備計画についての御質問でございますが、本県の介護施設の整備状況につきましては、平成21年度末の見込みでございますが、特別養護老人ホーム等の介護保険3施設で1万1,901床となっており、その整備率につきましては、議員御指摘のとおり、全国的にも大変高い水準となっております。また、この3施設にグループホームや介護保険が利用できます有料老人ホーム等を加えた、介護保険が利用できる施設等の定員の合計につきましては、1万3,224人となっているところでございます。  介護施設の長期の計画についてでございますが、平成20年3月に策定をいたしました地域ケア体制整備構想におきまして、10年ごとの施設サービス等の需給見通しを推計しているところでございまして、今ほど申し上げたように入所者数が21年度末見込みで1万3,224人のところ、この構想では、団塊の世代が75歳以上となる2025年には、介護施設等の入所者の需要数が、現状のまま推移したケースでは1万9,100人に、そしてまた在宅サービスの充実などのケースでは1万5,200人になるものと推計をいたしているところでございます。そして、この構想とも整合性を図りながら、3年ごとに策定をいたしております介護保険事業支援計画におきまして、具体的な整備目標を定めているところでございます。  現行の平成23年度までの第4期の計画では、高齢者の方が住みなれた地域で安心して暮らせますよう、訪問介護や通所介護など在宅サービスの充実や、グループホームなどの地域密着型サービス基盤の整備を重点的に進めることとしていたところでございます。  こうした中、国におきましては、介護機能の強化と雇用の創出を図るために、経済危機対策の一環として、介護基盤の緊急整備を進めるための基金を各都道府県に設置することとされたところでございます。県におきましては、この基金を活用し、第4期計画に上乗せをしまして、特別養護老人ホーム、そしてまたグループホーム等の整備に積極的に取り組んでいるところでございます。県としては今後とも、施設と在宅のバランスのとれたサービス基盤の整備に努めてまいりたいと考えております。  次に、在宅介護に対する支援に関しての御質問でございますが、介護が必要となられました高齢者の方が住みなれた地域で生活を継続していくためには、ショートステイの活用など、介護を行う家族の負担軽減が必要であると考えております。  このため県では、ショートステイが一層利用しやすくなりますよう、特別養護老人ホームでございますとか、富山型デイなどの身近なデイサービスに併設いたしましてショートステイを整備いたしますとともに、介護者の入院等の事由により一時預かりを行う高齢者ミドルステイ事業への支援を市町村と連携して行っているところでございます。また、平成22年度から新たに、在宅で療養しておられます高齢者の方の緊急の利用などに対応するための医療系ショートステイ専用病床の確保にも取り組むことといたしております。  さらに、在宅介護に対する支援といたしましては、シルバー110番、認知症ほっと電話相談等の相談窓口の設置でございますとか、介護用品の支給等の生活支援を行いますとともに、昨年6月に設置した基金を活用し、夜間対応型訪問介護事業所、小規模多機能型居宅介護事業所、認知症対応型デイサービスなどの地域密着型サービスの基盤整備の促進にも努めているところでございます。  県としましては今後とも、市町村等と連携をしながら、ショートステイの充実でございますとか在宅サービス基盤の整備促進など、必要なサービスの充実に努めてまいりたいと考えております。  次に、盲聾者の方に対する支援についての御質問でございますが、重複の障害でございます盲聾の方につきましては、一人で外出をしたり会話を交わすことが困難でございますことから、県におきましては盲聾の方向けに、コミュニケーションや外出のための移動を支援いたします通訳・介助員派遣事業を実施いたしますとともに、これらの支援を行います人材を養成するための通訳・介助員養成研修事業を実施いたしているところでございます。  現在、身体障害者手帳で視覚障害と聴覚障害をあわせ持っておられ、比較的障害の程度が重い方が約60名程度おられますが、同じ境遇にある盲聾者や支援者の方が情報交換し合い、支え合う組織でございます「盲ろう者友の会」に参加している方は、先生御指摘のとおり2名のみでございます。盲聾の方にとりまして、苦しみを分かち合い、喜びをともにする仲間をつくることが大切であるというふうに聞いておりますことから、友の会についての情報を市町村のほうに提供させていただきますとともに、友の会の活動がより一層活発になるよう努めているところでございます。  今後とも、盲聾の方々が積極的に社会参加されますよう支援をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。  次に、医薬品分野への支援の取り組みに関しての御質問でございますが、本県の医薬品産業につきましては、医薬品製造のアウトソーシングの完全自由化やジェネリック医薬品の使用の促進等によりまして、平成19年の医薬品生産金額が4,683億円と全国第4位となっており、また設備投資も積極的に行われるなど、厳しい経済状況の中で本県経済を牽引する役割を果たしているものと考えております。  本県医薬品産業が今後も発展していくためには、御指摘のとおり、新薬の開発に取り組むとともに、新しい製剤の研究開発を推進していくことが重要であると考えております。このため、県においてはこれまでも、富山大学への寄附講座の設置や基礎的研究の委託、フォーラム富山「創薬」への助成、オリジナルブランド医薬品の開発支援など、研究開発の促進に取り組んできたところでございます。  また、来年度は新たに、県内製薬企業の研究開発を支援いたしますため、スイス・バーゼル地域との交流協定等に基づきまして、医薬品の製剤技術や先端的バイオ研究等に関するワークショップを開催いたしますとともに、企業の共同研究への助成の拡大などを図ることとしているところでございます。  県としましては、本県の医薬品産業が国内における医薬品生産の代表的な拠点となりますよう、引き続き支援をしてまいりたいと考えております。  次に、子ども手当に関連しての御質問でございますが、養護施設に入所している親のいない児童等につきましては、公費で養育費が支給をされておりますことから、現行の児童手当制度では手当支給の対象外というふうにされております。そして、現在国会で審議中の子ども手当法案におきましては、支給事務を行う市町村の事務負担等を考慮して、手続等については児童手当と同様とされているところでございます。このことから、養護施設に入所している親のいない児童等につきましては、手当支給の対象外というふうにされているところでございます。  しかしながら、次代の社会を担う子供の健やかな育ちを支援するという子ども手当の趣旨から、国のほうでは、施設に入所している親のいない子供に対しても子ども手当の恩恵が行き渡るべきとの考えから、平成22年度分の支給については、県に設置をしております安心こども基金を活用して、子ども手当相当額を施設に補助することを検討していると聞いております。施設のほうでは、この補助を使用しまして、子供の学用品等を購入する予定というふうに聞いているところでございます。  それから、平成23年度以降の取り扱いにつきましては、子ども手当制度のあり方の検討の中で、子ども手当の恩恵が行き渡るような対応を検討していくというふうに聞いているところでございます。  今後、県といたしましては、国の方針を踏まえまして、適切に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。 28 ◯議長(梶 敬信君)柳野商工労働部長。    〔商工労働部長柳野隆之君登壇〕 29 ◯商工労働部長(柳野隆之君)まず、産学官連携による実績についての御質問にお答えいたします。  本県のものづくり産業の発展のためには、産学官連携による研究開発と、その実用化を図っていくことが大変重要であります。県では、新世紀産業機構に産学官連携推進センターを設置するなど、これまでも産学官連携を積極的に推進してきているところであります。  これまでの産学官の共同研究数は、平成20年度で304件と、5年前の平成16年度の約2.1倍に増加しており、最近の共同研究では、耐摩耗性にすぐれた金型用硬質膜や高感度で価格の安いロボット用触覚センサーなどが開発されているほか、既に商品化、事業化されたものでは、知的クラスターの成果を活用した細胞チップ、富山オリジナルブランドの医薬品「パナワン」、疲労を軽減する登山用タイツ、高齢者の見守りシステムなどがあります。  このほか、県立大学では民間から研究課題を募集し、卒論テーマとしてこれまで128件の研究を行っているほか、工業技術センターでは、企業の若手研究者との共同研究を通じて、これまで290人の若手研究者を育成してきているところであります。  新年度では、さらに産学官連携を推進するため、富山県ものづくり研究開発センター(仮称)の整備を進めるほか、実用化を目指す研究開発に2年間で1,000万円を支援する新たな産学官共同研究の支援制度の創設や、新世紀産業機構のコーディネート機能の強化など、本県のものづくり産業の振興に努めてまいりたいと考えています。  次に、ロボット産業についての御質問にお答えいたします。  福祉系ロボットにつきましては、今後、少子高齢化がますます進展することから、介護分野などでの利用を目的とした福祉系ロボットの開発や普及が期待されているところであります。  既に本県には、いやし系ロボットや介護用ロボットを製造する企業が活躍しているほか、センサー、制御システム等のロボット部品の分野で高度なものづくり技術を持つ企業が多数集積している強みがあるところでございます。  県といたしましては、今後の成長が期待でき、本県の強みを生かせる福祉系ロボットは、本県産業の将来を担う重要な分野と考えており、これまでも産学官による福祉系ロボット等の研究開発を支援してきているほか、国際ロボット展への出展など、本県のロボット技術や研究成果を広く国内外に発信してきているところであります。  新年度においては、これらの取り組みを強化するとともに、新たにロボット開発に実績のある研究人材を活用して、大学で福祉系ロボットの研究開発を実施するとともに、従来のメーカーや研究者に加え、福祉や介護関係者を交えたシンポジウムを開催するなど、福祉系ロボットの研究開発や普及を一層推進してまいるところでございます。  最後に、新エネルギーの研究開発についての御質問にお答えいたします。  太陽光や小水力等の新エネルギーの利用は、地球温暖化対策への対応やエネルギーの安定供給などの観点から極めて重要であり、さらなる普及を図るため、技術開発や需要創出等によってコスト削減や性能の向上等を図っていくことが求められているところであります。  このため県では、新商品の開発や事業化につながる技術開発を支援する事業に環境・エネルギー枠を設けているほか、新たに小水力発電に参入する意欲のある企業の事業化に向けた調査や技術開発を支援しているところであります。また、工業技術センターを中心に、産学官が連携して太陽光を利用した大容量の電池システムの研究に取り組むなど、新エネルギーの共同研究を支援しているところであります。  さらに、新年度におきましては、新エネルギー分野等のものづくりを積極的に支援するため、県制度融資の設備投資促進資金にグリーン・イノベーション推進枠を創設するほか、環境・エネルギー分野における企業や大学の研究開発を促進するため、先導的なプロジェクトの検討を行うこととしております。  以上でございます。 30 ◯議長(梶 敬信君)井波土木部長。    〔土木部長井波久治君登壇〕 31 ◯土木部長(井波久治君)富山港の整備についての御質問にお答えいたします。  国土交通省では、公共事業費の削減が続く中、港湾の選択と集中を進めるため、来年度の政府予算案において、地域拠点性や取扱貨物量実績などをもとに事業の相当の絞り込みが行われております。また、現在進められております国際コンテナ戦略港湾の選定におきましても、取扱貨物量が公募の条件になっております。このように、今後の港湾整備につきましては取扱貨物の動向がより重要視されているところであります。  こうしたことから、より大型の岸壁を整備する際には、見込まれる取扱貨物の具体的な品目や数量など、しっかりした裏づけを示す必要がありますが、富山港におきましては、原油、中古車及び原木の激減により取扱貨物量が大幅に落ち込んでおりますので、現状では大型岸壁の整備に取り組むことはなかなか難しいものと考えております。このため、当面はドルフィン護岸の改修など港湾施設の機能維持に努めるとともに、必要に応じ部分的な改良などを行ってまいりたいと考えております。  さらなる施設の整備につきましては、ポートセールスの強化による県内企業の利用促進や新規貨物の掘り起こしに努めるとともに、今後の貨物量の動向を見ながら、その可能性を検討してまいりたいと考えております。 32 ◯議長(梶 敬信君)戸高観光・地域振興局長。    〔観光・地域振興局長戸高秀史君登壇〕 33 ◯観光・地域振興局長(戸高秀史君)緑の分権改革に関する御質問にお答えをいたします。  国の総務省では、豊かな自然環境、クリーンエネルギー、食料、歴史、文化資産等の地域資源を最大限活用した仕組みをつくり上げ、地域の自給力と創富力を高める地域主権型社会の構築を目指す、いわゆる緑の分権改革を推進しております。今年度は特にクリーンエネルギーに着目をし、地方公共団体の提案をもとに、地域のクリーンエネルギー資源に関する調査を実施することとされております。  本県では、従来から、豊富な水や恵まれた住環境を生かして、小水力発電や太陽光発電などクリーンエネルギーの導入を促進してきておりますが、今回、国の施策を活用してクリーンエネルギー資源の調査を行うこととし、1月末に提案書を提出するとともに、2月補正予算に所要経費を計上いたしております。  具体的には、平成14年度に策定をした新エネルギービジョンを見直すこととし、各種クリーンエネルギーの県内の賦存量等を広く調査するとともに、木質バイオマス資源の利用可能量や活用のための実証調査などを重点的に実施することとしております。  なお、この提案書につきましては、現在、総務省において審査が行われておりまして、近く採択案件が決定されると聞いております。  県といたしましては、今後ともこうしたクリーンエネルギーの活用のほか、水と緑の森づくりの推進、地産地消県民運動の推進、歴史と文化が薫るまちづくりなど、地域の魅力のブラッシュアップ等に積極的に取り組みまして、環境先端県の実現や地域主権を活用した元気な県づくりを進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 34 ◯議長(梶 敬信君)泉生活環境文化部長。    〔生活環境文化部長泉  洋君登壇〕 35 ◯生活環境文化部長(泉  洋君)とやま温暖化ストップ計画の改定についての御質問にお答えをいたします。  平成16年度に策定いたしました現行のとやま温暖化ストップ計画は、平成22年度までの計画となっておりますことから、今後、富山県環境審議会における御審議やパブリックコメントなど所要の手順を踏んだ上で、22年度中の改定を予定しております。  計画には、県内の温室効果ガスの実態把握、将来推計、具体的な対策、削減目標などを盛り込むこととしており、このうち具体的な対策につきましては、議員から御紹介のございました太陽光、小水力など再生可能エネルギーの利用促進に関する事項はもちろんのこと、そのほかにも、事業者、住民の省エネルギー対策などの促進や公共交通機関の利用促進など地域環境の整備、さらには、廃棄物の発生抑制など循環型社会の形成などを主な項目として検討することとしております。
     このため、計画の策定に当たりましては、現在、国において検討中の地球温暖化対策に係る中長期ロードマップとの整合性や、議員から御紹介のございました再生可能エネルギーに関する地域間連携などの他県での新たな動き、さらには、本県の特徴でございます豊かな自然環境から得られる再生可能エネルギーの活用などにも十分留意しながら、また県民、事業者のほか、地球温暖化対策県民会議からの御意見なども踏まえながら、さまざまな実効性ある取り組みを盛り込んだ計画にしてまいりたいと考えているところでございます。 36 ◯議長(梶 敬信君)寺井農林水産部長。    〔農林水産部長寺井幹男君登壇〕 37 ◯農林水産部長(寺井幹男君)戸別所得補償制度の生産調整や担い手育成への影響とその対応についての御質問であります。  来年度導入されます米の戸別所得補償では、生産調整に参加することを選択した個々の販売農家が対象になって、地域単位での生産調整の達成が求められない仕組みとなりますことから、全国的に地域の結びつきが希薄なところでは、米を自由に作付する農家が増えて生産過剰となり、米価が低下するのではないかといった指摘もございます。  また、現行の水田経営所得安定対策が、認定農業者や集落営農のみを対象として担い手の育成の立場を明確にしているのに対しまして、今後はすべての販売農家が対象となりますことから、担い手への農地集積などにマイナスの影響が生じるのではないかといった指摘もございます。  米の生産調整につきましては、引き続き全国的にきちんと実施されて米価の安定が図られる必要があると考えておりまして、国にその誘導を求めますとともに、県としても、これまで築き上げてきた地域営農の協力体制を守り、農家が円滑に制度に参加できるよう指導助言に努めていきたいと考えております。また、米の産地間競争が激化することも想定されますことから、富山米のブランド力強化にも取り組んでいきたいと考えております。  担い手の育成につきましては、生産力の高い我が国の農業を確立するためには、集落営農や認定農業者の育成は極めて重要でありまして、戸別所得補償の中でもそのことを明確にしていく必要があると考えておりまして、本格実施されます平成23年度には担い手に対する支援策を盛り込むように、昨年来国に働きかけているところであります。  また県としましては、担い手育成対策を引き続き進める方針でありまして、これまでどおり、集落営農の立ち上げの際の機械整備や認定農業者への農地の集積などを支援していくことにいたしております。 38 ◯議長(梶 敬信君)以上で島田一君の質問は終了しました。  暫時休憩いたします。  午後0時06分休憩      ─────────────────────  午後1時01分開議 39 ◯副議長(高平公嗣君)休憩前に引き続き会議を開きます。  高野行雄君。    〔17番高野行雄君登壇〕 40 ◯17番(高野行雄君)三寒四温の季節になりまして、暖かさ、そして寒さを繰り返しながら、暖かく過ごしやすい季節になってくるわけでありますが、しかし、社会は、そして経済は冷え込んだままでありまして、政治、特に国の政治に不信感が募るばかりでありますし、また金の疑惑、そのことで国民に失望感が広がっているわけでありますが、そういう中で質問をさせていただきたいというふうに思います。  自民党政権のときにも、国政では国会議員の金にまつわる不祥事が相次ぎました。それでも党内からの自浄作用で、議員辞職などによりけじめをつけてきたわけです。いつもそのことで極めて厳しい対応を求め、それを目玉としての連立新政権が樹立されました。国民はきれいな政治をひとしく期待をしたわけでありますが、そのナンバーワンとナンバーツーにおいて重大な金の不祥事が発覚いたしました。  首相が、1年だけなら知らなかったというのもわからないわけではありませんが、10年近くも毎年、母から2億円弱のお金をもらっており、母親が「由紀夫や、お金を振り込んだよ。このお金で子分の気持ちを引きとめておきなさい」などと言うのは当然であります。もし、首相の言うように本人が知らなかったならば、母親が脱税を意図してきたことになるわけであります。母に罪を着せ、逃れるとは人間として失格であります。同じ「ゆきお」としてうらやましいということもありますが、恥ずかしい限りであります。  また、幹事長においては、自分のことで逮捕、起訴されているにもかかわらず、これまた子分に罪を着せ、本人は対岸の火事のような態度をとり続けているようでは、政治の高潔な精神もまさに地に落ち、党内や連立の政党から何の批判も上がらない状態は全くの独裁政権にほかなりません。近々、「幹事長」という名前が、どこかの国のように「将軍様」になるだろうと言われています。  貧しく弱い者の味方を標榜してきた政党の党首が、みずからの蓄財に一生懸命となるあまり「みずほ銀行」と呼ばれており、与党となってからは手のひらを返したようにこのような事件の擁護に終始するばかりでは、本当の意味で庶民の気持ちから離れた政治であろうと思われます。また先般、教職員組合の違法献金において逮捕者が出ているにもかかわらず、本人はしらを切っているばかりであります。  このような金にまつわる疑惑と責任転嫁の国政であり、国民や地方の厳しさなどを真摯に議論する場になっていないのが現状であります。昨年の流行語大賞は「政権交代」でしたが、このような状況なら、ことしも2年連続「政権交代」が大賞になるでありましょう。  地方の代表者として、知事は、金にまつわる疑惑が絶えない国政の現状をどのように感じておられるのか、見解をお尋ねいたします。  次に、漁業問題について申し上げます。  海の環境保全や藻場の育成、そして資源管理など取り組むべき課題は山積していますが、特に漁業者にとっては、デフレの影響もあって、昨今の魚価の低迷は極めて深刻な問題であります。本来は生産と消費の需供のバランスで値段を決めていくものでありますが、大手の流通機構が独善的に価格を決定しているわけであります。  価格が平常より高くなるはずの年末に、フクラギなどの価格がキロ100円、50円、20円、そして何と5円という日がありました。真夜中の厳寒の荒波を乗り越えて操業し、夜明け前4時ごろに港に戻り水揚げするわけであります。厳しい労働の対価に見合わず、漁業者を殺すのかという悲鳴も聞かれます。このような価格の現状を私が質問するから調べたというのではなく、県がその現状をリアルタイムで調査をし、認識していたのか、まずお尋ねをいたします。  ブリなどの高級魚は乱獲により水揚げ自体が減少して、総体の価格を引き上げるというところまではいきません。大量にとれたこのような魚は養殖魚のえさにしかなりませんし、こんな事態が続けば漁業者の意欲は失われていきます。そのために、県としてどのような対策を考えておられるのか。例えば、大量に水揚げされたときは、冷凍して中国などの海外へ輸出することも考えていくべきと思います。漁協からの要望もあることから、県は漁業者と一体となって需要拡大に向けていくべきと思います。県として、漁協と連携し、このようなことに取り組めないかをあわせてお尋ねをいたします。  価格の低迷や担い手の高齢化などで、この10年間において漁業経営体が4割ほど減少してきています。漁業の将来を考えられず、後継者の確保も極めて厳しいわけであります。県内の漁業経営体は今後どのように推移をし、どのような形態となっていくのか、県の見解と対応についてお尋ねをいたします。  このようなときにこそ、水産普及指導員が漁業者に具体的な指導を行えるわけであります。品質向上や鮮度維持の手法、また資源管理や養殖技術の指導、漁業イベントの企画などをともに取り組んでいくことができるわけであり、特に価格維持のために直面している流通、販売などの大きな課題についても考えていけるわけであります。  しかし、議会でも提言いたしましたが、富山県はこの水産普及員を持つ必要がないとの見解でありました。研究所での成果を直結させるためにも、現実的な状況のもと水産行政をとり行うためには、現場の事情を把握していることが大切であります。机上で取り組んでいても漁業者の厳しさは伝わってはきませんし、解決には至らないでありましょう。  かつて、水産課の新しく就任した幹部に魚のことがわかるかと尋ねたら、ほとんどわからない、これから勉強だと言っていました。石川県などと比べると専門的な職員が極めて少ないわけであります。海を持っているほとんどの県には水産普及指導員がおり、漁業者や漁協と連携しながら漁業問題を現場で取り組んでいるわけですが、富山県はこのことの必要性をどう検討するのか、再度見解をお尋ねいたします。  年末の需要の多い時期にブリは不漁であり、2月に入ってようやく水揚げされるようになりましたが、平年を下回るのは間違いないでしょう。近年、カワハギやイカ、シロエビなど、県内特有の魚が減少してきておりますが、ベニズワイガニはさすがに横ばいで推移しています。  カニは深海に生息するため、昔は刺し網に絡めとる方法であったため、網が傷つきやすく、仕立て直すのに時間と労力がかかり、カニも傷みやすく、鮮度保持にも苦労を強いられました。昭和37年に魚津市在住の浜多虎松さんが竹によるカニかごを考案されると、瞬く間に全国に広がり、今では世界的な漁法となりました。魚津市民は皆、欲がないため、残念ながら特許を取っておりませんでした。かごの網目を大きくすることにより子ガニを逃がすことができ、資源管理にも大変効果があるために減少を免れていると思われます。  一方、ブリにおいては、富山県だけが定置網という、受け身で資源管理と鮮度に考慮した漁法であります。隣の石川県ですらまき網での漁法であり、県内の15倍ほどの7,000トンほどの水揚げをし、新潟、東北においてはさらに大規模なまき網漁法において、1回の漁獲量で県内の1年間の6割ほど水揚げします。このことが近年、県内の大幅な漁獲量減少と、年末に富山湾に回遊しなくなっている原因につながっていると思われます。  毎年、定置網とまき網業者との話し合いが持たれているとのことであり、昨年は石川で開催されたと聞いていますが、実際に成果のある結論が出てきているものなのでしょうか。ただ話し合いを持ったというだけでお茶を濁し、結論を先送りしているのでは意味がありません。TACに取り入れるなどの提言を図るべきでないのか。  先日、山上氏の質問の答弁においても、県は極めて弱腰で受け身であり、真剣に取り組む姿勢が感じられませんでした。もっと強力に働きかけるべきであります。今後どう取り組むか、再度お尋ねをいたします。  バイやカニなどを求め、外海に操業に行く場合において、それぞれの県が海域を主張する排他的な状況になっています。本来は、同じ日本の水域においては共同水域とすべきと思いますが、それぞれが接岸海域から海に向かい直角に伸ばした海域を主張しています。  新潟県などは、ロシアに向かってさらに広範囲に海域を求めています。富山県は能登半島があり、石川県や新潟から比べると極めて狭い海域で操業せざるを得なく、不利な状況であります。特に富山県で開拓をしてきた漁場でも操業できなくなっています。漁業者が県に対応を求めると、当事者同士で話し合えと言うだけであります。漁業者だけで解決できるはずもありません。  特に、他県では水産庁から来た職員で対応するために、専門的な職員が少ない富山県では強くこのことに取り組めないと言われています。また、それぞれの県の水産課においては、我が県とは違い、その漁民を守っていこうとする意欲が強いと言われます。これも、常に現場の状況や声に接していなく、机上で行う富山県の水産行政のあらわれと思いますが、この海域の状況をどう認識し、今後どのように取り組んでいくのかお尋ねをいたします。  富山県の食の魅力として、魚は観光の大きな要素となっていますが、さらなる充実とブランドを確立することは滞在型観光にも結びつくものと思われます。氷見のブリ、滑川のホタルイカ、新湊のシロエビ、ようやくブランドとして売り出している魚津の寒ハギなどが、富山県のブランド魚としてメジャーステージに乗っているわけであります。  しかし、県内にはまだまだ美味で特異な魚──まず、池田弥三郎先生がそれをいつも食べたくて魚津の大学に来られたというベニズワイガニや、全く昔のことでありますが、池田勇人総理が何より好み、毎年送ってもらっていたという富山のバイに、朝日の巨大高級魚のオイボ、そして甘エビに、先般NHKで全国放送され、今注目されているコラーゲンたっぷりのゲンゲ、また産後の女性が食すると母乳が豊富に出て少子化にも対応できる魚津のガンコ、それに岩ガキにタチウオ、トヤマエビと言われるボタンエビに、スケソウダラやアワビ、そしてアンコウなど、対馬暖流と日本海冷水との交差点ゆえ、深海魚から浅瀬にまで生息する魚種が極めて豊富な、まさに豊穣の海であります。  このような1.5軍の魚をブランドの1軍のステージに乗せて、「富山のさかな」として発信することにより、季節限定ではなく、年じゅう富山の魚を味わうことができるというイメージをつくっていくべきと思います。いかに豊富な種類の魚を味わうことができるかという意味で、他県にない点を強調し、観光PRに努めていくべきかと考えますが、見解をお尋ねいたします。  議会で再三提言をしてきました栽培漁業センターの整備について申し上げます。  塩害と老朽化により、建物自体が極めて危険な状態にあります。そのため貝類棟を取り壊してしまいました。地理的な要因で浅瀬からしか取水できず、夏場は気温の影響を受けやすく、生まれたての稚魚を全滅させるということもあります。また、他県に比べると規模が小さいわけであります。知事も6月議会の私の申し入れを受けてか、現状を視察に行かれたということであります。  豊穣の海でとれる多種美味な魚は富山県の魅力でありますが、その根幹を貧弱にすることはできません。栽培漁業をさらに充実、拡大をしなければなりません。今までは庁内だけでの検討でありましたが、ようやく400万円の検討費をつけて取り組むということであります。一歩前進を図ることができました。広く漁業関係者等の意見を酌み取り、また研究所や公社と連携し相乗効果を生み出すことができるように、新たなる建設場所なども視野に入れて検討を行うべきものと考えます。午前中に神田議員が質問されましたので答弁はよろしいですが、早急に実現できるように敏速な対応を要望いたします。  ことし1月に、東京の日本外国特派員協会のレストランにおいて、富山の魚を売り込むために、県や県漁業関係者などが主体となり、「富山のさかなキトキトフェア」を都内の旅行業者や飲食店などと連携し開催されました。特に知事みずから参加され、きときとの富山の魚の魅力をアピールし、そのブランドの定着と販路拡大に取り組んでこられたわけでありますが、その手ごたえと感想をお尋ねしたいと思います。  また、県内の漁業者の厳しい現状をどのように受けとめ、どう対応すべきか、知事の見解をあわせてお尋ねをいたします。  ことしは国民読書年であります。2年前に超党派の文化議員連盟などの提言で、衆参両院で決議が全会一致で採択をされました。しかし、事業仕分けにより、子供の読書活動推進事業は8割ほど削られ、また子どもゆめ基金は削除され、せっかくの心の豊かさと文化の高揚を推進する施策が頓挫する形となりました。  活字、読書は人間の生み出した文化の根幹であり、心の育成には不可欠なものであります。しかし、今活字離れが進み、特に子供たちにおいては本に親しむ機会が希薄化し、どう接してよいかわからない状況であります。  私が高校生のころには、先生から漱石の『こころ』や三島由紀夫の『金閣寺』などの名作を勧められてから、本を手放さないようになりました。大学生のときは学園紛争真っただ中であり、授業もなく、本を読む時間がたっぷりありました。三島由紀夫をほぼ読破したときに本人の割腹自殺というショッキングな事件もあり、またどれだけ挑戦しても歯が立たなく、わけのわからないキルケゴールの『死にいたる病』や、トイレへ行く時間ももったいない『ジャッカルの日』など、読書は私の至福の時間であります。  最も感動を受けたものは、セルバンテスの『ドン・キホーテ』であります。長大な書物であり、一般的に知られる要約したイメージとは違い、内容は深く、哲学的であり、詩的であり、また洒脱でユーモアにあふれ、心にしみ込むものでありました。この大河の中に人の弱さ、人の世の悲しさも乗り越え、人間に対する愛情、寛容と正義をあらわしています。もう一度ゆっくりかみしめて読みたいわけでありますが、私自身がドン・キホーテと言われないように気をつけなければなりません。  ところで、国民読書年に当たり、教育現場を含め、子供が読書に親しむためにどのように取り組んでいるのか、教育長にお尋ねをいたします。  また、子供が成長していく中での示唆となるべき書物や、教育委員長自身、最も感動し得た本とは何か。読書における人間形成についての高邁なる所見をお尋ねいたしまして、私の質問といたします。 41 ◯副議長(高平公嗣君)石井知事。    〔知事石井隆一君登壇〕 42 ◯知事(石井隆一君)高野議員の御質問にお答えをします。  まず、国政の現状についての御質問にお答えをいたします。  国の22年度の予算案が去る3月2日に衆議院で可決されまして、年度内の成立が確実となりましたけれども、お話のように国会においては、いわゆる政治とお金の問題について多くの時間を割かざるを得ない状況になっているところであります。  私は、こうした状況は、大変厳しい経済雇用情勢のもとで今こそ──当面の対策はもちろん大事なんですけれども、未来を見据えた我が国経済の具体的な成長戦略の構築、また持続可能な財政健全化への道筋などにつきまして、幅広い真摯な議論を行っていただくべき大事な時期にあるにもかかわらず、大変残念なことであると思っております。  鳩山総理は、去る3月3日の参議院予算委員会におきまして、御自身と小沢民主党幹事長の政治とお金の問題に関して、「国民の中で十分に説明が尽くされていないと言われている。だから、お互いに説明責任を果たすべく努力しようと約束をした」と発言されたと伺っております。「信なくば立たず」と言われますけれども、国民に選ばれた選良の皆様には、みずからの行動について国民の理解が得られますように、わかりやすく十分説明を尽くす必要があると考えております。  もちろん私自身も、今後とも自重自戒しまして、初心を忘れず、信頼される、清潔で公正公平な富山県政を推進していかなければならないと考えておりますけれども、国政の場におられる皆様には、時代が大きく転換する中で、国民の皆さんの幸せのため、また日本国が21世紀においても世界の中で名誉ある地位を保っていくために、今何をなすべきか、高い志と広い視野に立って、国民の声、地方の声に真摯に耳を傾けながら御検討いただきたい。そして経済成長戦略、行財政改革、高齢化等が進む中での給付と国民の負担のあり方などを含めた明確な国家ビジョンを早急に策定していただいて、かつその実行に取り組んでいただきたいと考えております。  次に、漁業問題についての御質問にお答えをいたします。  去る1月に東京で開催しました「富山のさかなキトキトフェア」では、お話にも出ましたが、当初予定しておりました各界の方々150人ぐらいと思っていたんですけれども、200名の参加がありまして、改めて新鮮でおいしい富山の魚に対する評価や期待の大きさを実感しました。  参加いただいたメディアと旅行関係者の方々──実は私、会場でもいろんな方から「知事、なかなか富山の魚はやっぱりおいしいね」と、改めて何人かの方に声をかけていただきましたが、後日アンケートを行いましたところ、「実際に食べてみて、新鮮でおいしかった」など、多くの方々から好評をいただきましたほか、富山県への取材希望につきましては、回答のありました46名中8名の方が「1年以内に計画したい」、残りの方全員からは「機会があればぜひ行きたい」という回答をいただいておりまして、中には「すっかり富山ファンになった」というような御回答もいただいておりまして、十分手ごたえを感じております。  しかし、実際に食べてみておいしかったということは、実はそれまで知らなかった人もまだまだ多かったということでもありますので、もっともっとPRが必要だと思っております。近く取りまとめます「富山のさかなブランド化推進戦略」に基づきまして、関係の皆さんと力を合わせまして、富山の魚の評価を一層高めてまいりたいと思っております。  一方で、御指摘のとおり、本県漁業の現状は大変厳しい経営環境にございます。全国と同様に漁獲量の低迷、魚価の低下、資材価格の高騰、また漁業就業者──ブリとかシロエビなんかはひところより大分よくなったとも聞いていますが、漁業就業者の減少、高齢化などの問題を抱えております。このために、昨年9月補正予算におきまして、低利資金への借りかえを支援するための緊急漁業経営改善資金制度を創設しました。これは、昨年融資枠15億ですが、今度の当初で拡大分8億、運転資金9億と、17億計上させていただいております。こうして融資枠を新年度拡大するとともに、運転資金にも対象を広げることにしたわけでございます。  今後、さらに漁場環境の整備、水産資源の適切な維持管理に努めますとともに、魚の鮮度保持、衛生管理がしっかりできるように漁港施設の整備が必要でありまして、また魚のブランド力を高め、魚価に反映させていくためにいろいろ取り組みを進めたいと思っております。  新年度、いろいろ予算も計上しましたが、まずブランド化推進戦略に基づきまして、「うまさ一番 富山のさかな」をキャッチフレーズとしまして、県内と県外向けのキャンペーンを実施すると。また各漁協が取り組んでいただく──氷見は氷見ブリとか、入善は深層水のアワビとか、魚津だと魚津寒ハギとか、皆さんいろいろ意欲を持って取り組んでいただけるようでありますので、これに支援をして、また販路開拓を行う。  また、今年度に引き続いて首都圏で「富山のさかなキトキトフェア」もやりますが、4月中旬には東京駅前の新丸の内ビル7階全店で、これは魚だけじゃございませんが、富山の食材を使ったメニューを提供しまして、お魚も含めて幅広く富山の食と観光のPRをする。これに、今ますます人気が出ていらっしゃる室井滋さんにもぜひ出ていただいてということで取り組むことにしております。  また、資源の回復や漁場環境の保全のための海の森づくり、また栽培漁業センター──先ほどもお話が出ましたが、この整備の検討など、つくり育てる漁業の推進、また新湊漁港の改良整備とか品質衛生管理対策の徹底に取り組みますなど、さまざまに漁業者への支援策の充実を図って、漁業の振興に努めてまいりたいと思っております。 43 ◯副議長(高平公嗣君)寺井農林水産部長。    〔農林水産部長寺井幹男君登壇〕 44 ◯農林水産部長(寺井幹男君)漁業問題の御質問のうち、まずフクラギ等の魚価について調査しているのかというお尋ねでございます。  県内の水産物産地市場におきます漁獲量や価格につきましては、県の農林水産公社が毎日速報値を取りまとめて関係機関に情報提供しておりますほか、定期的に水産研究所や水産漁港課の職員が直接市場に出向きまして、漁獲の状況等の把握に努めているところでございます。  魚の価格は卸売市場での競りまたは入札で決定される仕組みとなっておりますので、日々の漁獲量の増減によって取引価格が大きく変化いたしております。御指摘の昨年末の場合、特に12月25日以降では、フクラギの多くはキロ当たり1,000円から100円の価格幅で取引されておりますが、一部の産地市場では水揚げ量が比較的多かったことや、商品価値を下げる小型なものとか傷ついたものなどがあったために、キロ当たり50円以下での取引も発生したところであります。  こうした低価格での取引の背景としましては、昨今のデフレの影響に加えまして、年末年始の需要がエビやイクラなどのおせち料理の食材にシフトすること。それから、流通加工業者が年末年始の休業に入ることなどによりまして需要が落ち込んで、そうした結果こういったことになったのではないかというふうに受けとめております。  次に、ブリ類の減少と、大量にとれた場合の対策等についての御質問であります。  全国の漁獲量で見ますと、ブリ類は1999年以降、5ないし7万トンと横ばいで推移しておりまして、そのうち、ブリになる前のフクラギ等が90%を占める状態でございます。また、国が実施しておりますブリの資源調査の結果によりますと、産卵する親を増やして漁獲量を確保していくためには、ブリになる前のフクラギやツバイソ等を保護することが必要であるというふうにされております。  本県におきましても、今後、関係者が協議して、ツバイソ等の小さい魚が大量にとれた場合には、それらを放流するなどの資源管理の方策を話し合い、ブリの増加につなげるということとあわせて、フクラギ等の価格の向上を図っていくといった検討が必要であると考えております。  お尋ねの輸出につきましては、相手国の消費ニーズを踏まえることや、まとまった量を継続的に確保すること、冷凍や輸送に係るコストを吸収できる商品開発を進める必要があること、そして特にブリは冷凍しますと、マグロ等と違って味が落ちてしまうといったこともありまして、課題が多いというふうに考えております。  県としましては、ブリ資源に関しては、先ほど申し上げましたようにツバイソをリリースするなどの資源管理に向けた取り組みのほか、大幅な値崩れを防いで収益を確保するための方策として、蓄養などによる出荷調整を行うことも効果的というふうに考えておりまして、こういう取り組みが実現されるよう漁協等に働きかけ、技術指導等の協力もしてまいりたいと考えております。  次に、漁業経営体の推移と見通し等についての御質問でございます。  5年ごとの漁業センサスによりますと、県内の漁業経営体の数は、10年前の平成12年の621に対しまして平成20年では384と、御指摘のとおり4割近く減少しております。また組織別では、個人経営の割合が平成10年、20年ともに約86%と高い割合を占めております。  今後の見通しとしましては、魚価の低下や担い手の減少、高齢化など、現在の厳しい環境を踏まえますと、個人経営、団体経営とも小規模な経営体を中心に減少傾向が続くものではないかと見込まれますが、何とか歯止めをかけていきたいと考えております。  このため県としましては、漁業近代化資金等の低利融資に加えまして、本年度、国の緊急保証の実施にあわせて県の融資制度を設け、借りかえ資金を対象とする緊急漁業経営改善資金を創設したところでありますが、来年度には運転資金も対象にして拡充していきたいと考えております。  また、担い手の確保については、本年度、関係機関等から成ります富山県地域漁業担い手確保・育成支援協議会を設立いたしまして、PR用のガイドブックや映像ソフトの作成、漁業就業支援フェアの開催、また1泊2日で体験を行う漁業チャレンジ準備講習会、さらに6カ月間までの長期研修の実施などに取り組んできております。こうした成果もありまして、21年度の新規就業者は24名になる見込みでございます。  県といたしましては、こういう取り組みを通じまして、漁業経営体の経営安定を支援して県内漁業の振興に努め、経営体の減少に歯止めがかかるように努力していきたいと思っております。  次に、水産業普及指導員の配置についての御質問であります。  本県では御指摘のとおり水産業普及指導員を配置しておりませんが、これまでは農林水産部の水産漁港課、水産研究所、農林水産公社の関係職員が連携しながら、直接現場に出向いて漁業者に対する技術指導や経営指導、新規就業者の確保など、実質的に他県の普及指導員と同様の普及業務を行ってきておるところであります。また、漁業者1,000人当たりの水産職員の数で見ますと、本県は17.2人でございまして、全国平均の12.5人よりも多い現状になっております。  特に水産研究所におきましては、漁業現場におきまして、漁獲情報や水産資源情報の提供とあわせて技術相談を実施しておりますほか、種苗育成等に関する技術指導や漁協青年部との意見交換会を開催しますなど、現場と一体となった取り組みに努めております。  また、農林水産公社では、漁業経営体に対して経営指導や技術指導を行う職員を配置し、県の委託事業として漁業担い手の育成や確保、中小企業診断士による経営分析や指導などを行っております。  このように本県におきましては、水産業普及指導員を配置しておりませんが、現行体制のもとで工夫しながら対応してきておるところでありまして、今後とも漁業者のニーズや課題を的確に把握し、県漁連や、漁協が行う業務指導とも連携しながら、効果的な普及指導に努めてまいりたいと考えております。  次に、ブリにつきまして、まき網漁業者との話し合いの成果、あるいはTACに取り入れることについての御質問でございます。  ブリの新潟、富山、石川の3県の漁獲量を見てみますと、まき網漁業の割合が、平成13年の17%から昨年は45%までシェアを高めておりますので、定置網に対して少なからず影響を与えているという御指摘もあります。  こうしたことから、平成15年に県からも要請しまして、本県の定置網漁業者と日本海北部のまき網漁業者との間で協議会が設置されまして、将来的には広域的かつ総合的なブリの資源管理の取り組みに発展させていくという認識のもとに、双方の漁獲量や操業状況などの情報交換や、ブリ資源の持続的利用に向けた話し合いが持たれてきておりますが、現在までのところは具体的な取り組みにまでは至っておりません。  御指摘のTACにつきましては、魚種を指定して漁獲量の上限を定め、漁業を管理する制度でございますが、水産資源の維持管理には有効な制度でございます。ただ、ブリにつきましては、水産庁の見解では、TACの決定に至る科学的知見が十分とは言えない状況にあることに加え、現状では資源状況の悪化が見られないことから、TAC管理の対象とする必要は低いと判断されております。  また仮に、ブリ類がTACの対象になった場合、まき網と違いまして定置網は受け身の漁法でございますので、魚種や漁獲量をコントロールできないことから、割り当て量を超えますと操業を停止せざるを得ないということになるなど、まき網に比べて不利になることも懸念されますので、TACの指定を要望することについては、まず漁業者の意向を聞く必要があると考えております。  県としましては、まき網との協議会の場におきまして、ブリ資源の持続的利用のための実質的な話し合いが進むように期待しているところでありますし、広域的な案件でもありますので、国においてより積極的に関与していただくように働きかけていきたいと考えております。  次に、外海で操業される漁業者についての御質問であります。
     本県漁業のうち、外海で操業しておられますのは、日本海一円を漁場としますイカ釣り漁業と、能登半島沖まで出漁してベニズワイガニやバイ類を捕獲するかご縄漁業がございます。これらの漁場は他県の沖合に位置することが多いため、漁場に近い地域の漁業者の実質的な影響力が強いことも現実でございまして、本県の漁業者の皆さんは他県の漁業者と話し合いをしながら、操業の確保に努力しておられることを承知いたしております。  県といたしましては、こうした実態を踏まえまして、イカ釣り漁業に関しましては他県の知事許可が必要でありますことから、県内漁業者の要望を受けて、外海において操業が円滑に行われるよう、許可の取得手続の仲介など協力をしております。  また、かご縄の漁業に関しましては、各県の管轄海域は取締船の行動範囲であるとされておりますことから、本県の漁業者が漁場としておられます能登沖などの海域に県の船が定期的に巡回いたしまして、漁業者間のトラブルの防止に配慮しているところであります。  県としましては、従来から本県の漁業者が操業してきた漁場は、たとえ他県の沖合であっても操業する権利が尊重されるべきであるというふうに考えておりまして、今後とも外海での本県漁業者の操業状況の把握に努めますとともに、関係漁業者や関係団体と連携して、本県の漁業者が他県においても円満に操業できるように取り組んでいきたいと考えております。  最後に、魚のブランド化について、年じゅう富山の魚を味わうことができるイメージづくり、他県にない点を強調したPRに努めるべきという御質問でございます。  富山湾には、世界的に珍しいホタルイカ、シロエビを初め、一年を通じていろいろな種類のおいしい魚があり、これは富山県の大きな財産であり、そのブランド力を高めていくことは漁業振興のみならず、観光戦略の上でも大変重要な要素であると考えております。しかしながら、そのよさが県外にはまだまだ知られていない面もありますことから、一層のPRに努め、本県の自然や文化、歴史などの観光資源と組み合わせて、魚や魚料理を目当てに来県する観光客の増加を図っていきたいと考えております。  このため、これまでも食の街道ツアーの誘致などに取り組んでおりますが、来月には、東京駅前の新丸の内ビルにおきまして、富山県の食材を使ったメニューを提供することなども計画しておりますし、本年実施して好評をいただきました「富山のさかなキトキトフェア」などに取り組んでいきたいと考えております。さらに、その内容も一層充実するほか、旅行社とタイアップした新しいツアー商品の開発にも取り組んでいくことにいたしております。  また、新たなブランドとなります魚種を育成するため、各漁協が取り組んでおられますPR活動や販売活動に支援を行うほか、さらに県内、県外の双方に向けて、「うまさ一番 富山のさかな」をキャッチフレーズにしてキャンペーンを展開し、魚別の魅力やしゅんの時期を紹介するとともに、飲食店とも連携しながら、しゅんの食材を使った四季折々の魚料理の創作とPR、さらにブログでの情報発信などを行い、これらを通じて一年じゅう魚を楽しめる富山県のイメージを定着させていきたいと考えております。  以上でございます。 45 ◯副議長(高平公嗣君)村井教育委員長。    〔教育委員長村井 和君登壇〕 46 ◯教育委員長(村井 和君)読書における人間形成についての御質問にお答えをいたします。  かつて古代ギリシャの哲学者ソクラテスは、「書物を読むということは、他人が辛苦してなし遂げたことを容易に自分に取り入れて、自己改善をする最良の方法である」と述べているそうでございますが、読書をするということは子供たちが成長していく上で大変重要で、かつ必要なことであると考えております。  これまでに私が感動した本をということでございますが、たくさんございまして1冊を選ぶのは大変難しいのでございますが、昨年まで続きましたふるさと文学魅力推進検討委員会に出させていただいた折には、例えば20代の教師になりたてのころに読みました吉村昭氏の『高熱隧道』などを思い出しておりました。御承知のとおり、多くの殉職者を出した黒部川第三発電所建設の難工事に立ち向かう人間像を描いたものであり、自然との壮絶な闘いに挑戦し、大事業をなし遂げていくことのすばらしさに深く感動したものでございます。子供たちには、こうした先人の苦労や喜び、悲しみ、悩み、そして感動などを伝える書物や、今日の歴史を築いた人々の偉人伝など、また数多くあるふるさと富山の文学作品などにも親しみ、人生の羅針盤としてほしいと願うのでございます。  子供たちは、読書を通して多くの知識を得たり、多様な文化を理解するだけでなく、みずから学ぶ楽しさや知る喜びを体得し、知的好奇心や真理を求める態度を養うことができるものと考えております。  このように読書活動は、人格の形成や個人の能力の触発という観点から非常に重要なものであり、特に人生の基礎づくりとなる成長期において数多くの良書に親しむことにより、自己の感性を磨き、豊かな創造力をはぐくむとともに、しっかりとした自分の生き方、考え方、そして自分の世界をつくっていく糧としていってほしいと思うのでございます。  以上、お答えとさせていただきます。 47 ◯副議長(高平公嗣君)東野教育長。    〔教育長東野宗朗君登壇〕 48 ◯教育長(東野宗朗君)国民読書年に当たり、子供が読書に親しむための取り組みについてお答えしたいと思います。  県教育委員会といたしましては、平成15年度に策定いたしました富山県子ども読書活動推進計画を、平成20年度にふるさと文学の項目を追加いたしまして改定し、家庭、地域、学校などにおける具体的な指針を示しながら推進をしてきているところでございまして、県内の市町村はこれを受けまして現在計画を策定し、ともに取り組んできているところでございます。  具体的に申し上げますと、学校においては朝の読書活動が定着してきております。小学校におきまして21年度99%、中学校におきましては95%などの実績が上がっているところでございまして子供たちが読書冊数につきまして、目標を持ちながら進めてきているところでございます。  中学校や高等学校におきましては、議員からも御指摘ございましたけども、必読書を選定する、あるいは読書会、読書感想文の実施など、学校でそれぞれ特色ある工夫した取り組みが行われてきているところでございます。  平成22年は国民読書年に当たりますので、これまでの取り組みに加えまして、新たに乳幼児に読み聞かせるための絵本リストをつくりたい。そして親子読み聞かせフェスティバル──仮称でございますが、開催をしたいと思っておりますし、また小中高等学校の児童生徒向けのふるさと文学の紹介リーフレットを作成いたしまして、直接こうしたことに親しんでもらいたいと考えております。このほか、各学校の図書室におきましては、ふるさと文学を紹介するコーナーをぜひ設けていただきたいと思っておりまして、例えば11月を「ふるさととやま読書月間」とするなど、取り組んでいきたいと思っております。  今後とも、国民読書年を契機に、家庭、地域、学校と協力しながら、一層努力をしてまいりたいと思っております。 49 ◯副議長(高平公嗣君)以上で高野行雄君の質問は終了しました。  火爪弘子君。    〔10番火爪弘子君登壇〕 50 ◯10番(火爪弘子君)まず、新年度政府予算案について伺います。  総選挙での有権者の審判と政治の前向きな変化を受けて、新年度政府予算案には生活保護の母子加算復活、高校授業料の実質無償化など前進面も見られます。しかし、全体としては、政治の転換を願う国民の願いにこたえるものにはなっていない予算案となりました。後期高齢者医療制度の廃止には背を向け、子ども手当も年少扶養控除廃止とセットとなったため、増税、負担増の世帯さえ生まれます。  1月末の総務省家計調査によれば、勤労者世帯の平均年収は1997年から見て、平均で年間92万円減少しました。またこれとは別に11年間で、厚生年金や健保・介護保険料引き上げ、定率減税廃止などの庶民増税で合わせて年間23万円負担増になっていますから、合わせると年間115万円もの可処分所得が減少している計算です。3月4日の参院予算委員会での鳩山首相の答弁でも、「確かに税や社会保障、保険料、こういったものが所得再配分機能をうまく果たしていない」と述べられています。  同じ政権交代が行われたアメリカでは、今、所得税の最高税率を35%から39.6%へ、株取引税は15%から20%に引き上げる提案がされています。イギリスでもこの4月から、所得税の最高税率が40%から50%へ、株式配当の最高税率も32.1%から42.5%に引き上げられます。日本とは違い、借金で財源を手当てするのではなく、不公平税制の是正などによって福祉の財源を生む計画です。ところが、日本の新年度政府予算案では、この点で自公政権からの根本的転換は見えません。この点についての知事の見解を伺います。  こうした生活の厳しさ、とりわけ子供たちへの影響を考えたとき、急ぐべきはやっぱり医療費の無料化ではないでしょうか。国に制度を求めつつ、県も拡充を検討すべきだと思います。  県内市町村のほうは、今や中学3年生まで通院でも無料にする流れです。しかし、石井県政になってからは、県のほうは拡充に背を向け続け、通院での支援は3歳まででとまったままになっています。かつて、富山県は市町村と歩調を合わせ、日本一とも言える水準の県単医療費助成制度を築き上げてきました。それは県民の宝です。しかしその後、全国に拡充の流れが広がり、子供の医療費の分野では富山県は後進県になってしまいました。  知事は、所得の再配分政策は基本的に国の仕事と言って、県民と市町村からの要望を退けてきました。確かに、地方政治では所得の再分配に限界はあるでしょう。しかし、福祉の増進を図ることを任務とする地方自治体が、少子高齢化の中、県民の要望にこたえ、福祉サービスの充実を通じて実質的所得の再分配機能を担うことは大切なことなのではないでしょうか。県が無料化を広げれば、市町村は勇気を持ってさらに頑張るでしょう。知事の見解を伺います。  2月25日、「北陸線ローカル線の存続と公共交通をよくする富山の会」から、並行在来線についての提言をいただきました。次にこの点について伺います。  その提言では、並行在来線をJR経営から切り離す今の仕組みがつくられた平成2年当時、その最大の根拠は、JRを第二の国鉄にしてはならない、過重な負担を負わせてはならないというものだったけれども、今やJRの状況はさま変わりしていると指摘しています。  JR西日本の内部留保は、この5年間で1.44倍の8,944億円になりました。JR東日本の場合も、同じく5年間で1.73倍、今や2兆1,708億円にも上ります。増加額を見ても、JRの体力は十分です。また、北陸新幹線建設促進同盟会の資料よれば、北陸新幹線が金沢まで開業した場合のJRの年間収支見通しは、10年後で年間229億円、15年後には306億円増益とされています。並行在来線を引き続きJRが管理しても、決して過重な負担にはならないでしょう。  県が並行在来線の経営のあり方の検討を新年度進めるとともに、並行して国に対して並行在来線を引き続きJRが運行する仕組みをつくることをずばり求めるべきではないでしょうか。知事の見解を伺います。  これまでも私は、北陸本線の経営は県境分離とせず、4県共同会社で運営すべきだと述べてきました。県並行在来線対策協議会での具体的検討が進めば進むほど、県境分離の難しさが浮き彫りとなっています。北陸本線は、人身事故、踏切事故、信号機のトラブル、自然災害などの場合、金沢の輸送指令と連絡をとり、その指示で対応しています。長い年月をかけてでき上がった仕組みです。これを短期間で切りかえるのは至難のわざと言えるでしょう。  また、仮に別会社にして、金沢、糸魚川駅など隣県の駅に列車を乗り入れることができたとしても、初乗り運賃が上乗せされ、住民、利用者にとっては割高な運賃になってしまいます。4日の答弁では、各県の輸送密度が違うことが困難に挙げられましたが、肥薩おれんじ鉄道でも、採算に合わせた比率での赤字補てんを熊本、鹿児島両県が行っています。石川、新潟、長野県の見解は現時点でどうなっているのでしょうか。すり合わせを急ぐべきではありませんか。  以前、群馬県の私鉄上毛電気鉄道と上信電鉄に上下分離の調査に出かけた際、県が再建計画をつくるときに、鉄道総合技術研究所に徹底的な鉄道施設診断を依頼したというお話を伺いました。北陸本線の各施設は、金沢以西と比べて設備の改良がおくれていると聞いています。貨物列車が日に40本以上も走るため、維持管理に大きな負担がかかります。総点検の上、JRに対し経営分離前の集中修理を求めるべきと考えます。知事政策局長に伺います。  次に、県内建設業の振興について伺います。  12月議会で県総合産業振興ビジョンの作成を提案しました。その際には、まず林業問題を取り上げましたが、今回は建設業分野について考えてみたいと思います。  新年度予算案に「とやまの木で家づくりモデル事業」が盛り込まれてよかったと思います。そこで、補助要綱には「県内に本店のある建設事業所の施工とする」ことを条件として明記していただきたいと思いますが、どうでしょうか。農林水産部長の答弁を求めます。  さて、県内建設業界も小泉構造改革の大きな被害者でした。三位一体改革などで補助金や地方交付税を減らし、公共事業予算を減らしながら、一方で「選択と集中」の名のもとに、都市再開発や高速道路、スーパー港湾など開発型大規模事業に公共投資が集中されてきたからです。国土交通省の建設工事受注動態統計調査で2001年と2008年の公共事業費の減少率を見ると、国発注では2兆円減ですが、住民に身近な仕事である地方発注の仕事は7兆円も減らされているのです。  構造改革の考えは、国の文書にもはっきりと示されてきました。2007年6月公表された建設産業版構造改革ともいうべき報告書「建設産業2007」では、建設業者の「過剰供給構造の是正に向けた再編・淘汰は避けられない」と露骨に述べ、「技術力・施工力・経営力にすぐれた企業が生き残り、成長することを促す競争を実現できるような産業構造の転換を促進する」としています。建設産業も弱肉強食、弱者の淘汰が必要だとの立場です。土木部長はどう思われるでしょうか。  建設業は、地域住民の住環境や文化的な生活環境づくりに貢献し、地域の雇用促進など地域経済の発展に貢献する誇るべき産業であり、行政が守るべき地場産業です。県が国に対し、これまでの弱肉強食の立場を脱却し、開発優先から社会資本の維持、補修や地域に密着した福祉、文教、環境、防災などに公共事業の重点を移すことを求めるべきではないでしょうか。大規模事業から小規模事業に、新規事業から更新、維持、補修への転換は、中小零細建設業の仕事確保の一番の道です。部長の見解を伺います。  新年度、政府は、地方公共団体にとって自由度が高く、創意工夫を生かせる総合的な交付金として、総額*2兆2,000円*の社会資本整備総合交付金を創設しています。この交付金は、4分野に分けておおむね3年から5年を計画期間とする整備計画を国土交通大臣に提出することを求めています。この計画が求める項目はまだわかりませんが、いずれにせよ、この中で県内中小建設業の仕事をどの程度確保するのかをしっかり位置づけることが大切だと考えます。  県道の歩道設置率はいまだに55%です。安全に通学できる歩道割合も61.3%にしかなりません。計画的橋梁補修、道路補修、耐震化工事、路網の整備など、建設業者の仕事確保のより具体的な目標と計画が必要ではありませんか。見解を伺います。  県土木、農林水産部発注の仕事は、平成16年と20年の比較で見ると、発注総額は79.2%減ですが、Aランクの業者が入札対象とされる1件3,000万円以上の仕事はそれでも91.9%確保されています。しかし、Dランク中心の発注となる1,000万円以下の仕事は70.6%まで減少しています。私は、約5,900建設業者のうち圧倒的多数を占めるCランク以下の業者への直接発注を、どうやって増やすかが大きな課題だと思います。長野県でも2003年から800万円以下の仕事を小規模事業者に発注できるよう入札制度を工夫し、効果を上げていると聞きました。県も例えば2,000万円以下の仕事を増やし、小規模事業者がもっと受注できるようにすべきと考えますが、どうでしょうか。  次に在宅医療・福祉の充実について伺います。  自公政権による毎年2,200億円の社会保障費削減の方針は晴れてなくなりましたが、後期高齢者医療制度、障害者自立支援法、診療報酬削減など、各分野に深く残る傷跡の修復は急務です。  2011年度末までに介護療養病床をすべて廃止し、医療療養病床は7万床削減するという旧政権の方針も撤回すべきです。県も療養病床の削減目標は決めましたが、その実行を事業者には押しつけないということを県議会でも確認してきたところです。  そこで伺います。平成18年からこれまでに県内の療養病床はどのくらい減少していますか。この方針は撤回を国に求めるべきですが、厚生部長はどう考えられるでしょうか。  新年度予算案に、在宅医療支援センターや医療系ショートステイ確保の予算が含まれたことを歓迎しています。先日公表された県在宅医療実施状況調査報告書を読むと、在宅療養支援診療所の届け出をしていなくても、県内の病院や診療所が訪問診療に取り組んでいる様子が私たちにも伝わってきます。私生活もいとわず地域と患者さんたちのために頑張るこうした医療機関を、県が物心両面で支援してほしいと思います。  こうした取り組みの中から、今、歯医者さん、歯科診療所や栄養士と在宅医療・介護の連携を考える動きがあると聞きました。近々、新川厚生センターが中心となった企画もあるようです。高齢者の死因には嚥下障害、誤嚥による肺炎も多く、在宅高齢者の口腔ケアは今後の大きな課題と聞きました。今後どう取り組むのか伺います。  県障害者(児)団体連絡協議会が毎年開いている障害者の成人を祝う会に、ことしも参加させていただきました。ことしは超重度の重複障害を持つ方を含め、57人もの新成人が晴れやかな姿で参加されました。二十までなど、とても生きられるとは思われなかった命が、多くの人たちに支えられて成人式を迎えたという感動を、私にも分けていただきました。  そこで私は、人工呼吸器をつけながら射水市の自宅で過ごす20歳の女性に初めてお会いしました。2歳のときに筋肉や呼吸をつかさどる機能が侵されるリー脳症と診断され、余命は数年と言われたそうです。背骨が曲がり、動けず、目も見えず、自分では食べることも呼吸することもできません。しかし、耳が聞こえるので音楽に反応し、うれしいときや気持ちのいいときには表情が動くのです。お母さんは24時間つきっきりで看護しています。精神的にも肉体的にもくたくたになって、くじけそうになるのを、周りの人たちに支えられてここまで来たと語られました。医療技術が進んで助けられるようになったこれらの命を、これからも支えるために私たちに何ができるのか、県には何を訴えたらいいのかと考えています。  富山病院など県内ショートステイの条件整備、デイサービスでの看護師配置への支援、夜間巡回サービスの実施、重度障害に対応できる訪問看護師の育成と支援、移送サービスの負担軽減など、総合的な検討が必要です。県の誠意ある取り組みを求めて、見解を伺います。  最後に、運河について伺います。  富岩運河の遊歩道と周辺整備の計画づくりが、今年度から国道8号線から国道415号線までの区間に入りました。地元から「ようやく来たか」と歓迎の声が上がっています。  この地域の計画で求められるのは、旧制富山高校跡地、馬場記念公園と運河との一体的整備ではないでしょうか。旧制富山高校は、岩瀬の豪商馬場家の当主馬場はる刀自の寄附によって大正12年設立されました。開校を祝して馬場はる氏から、小泉八雲の愛蔵書全2,400冊が寄贈されたのがヘルン文庫です。平成7年には馬場はる氏の胸像が、平成10年にはヘルン文庫跡地の石碑が相次いでこの地に建てられています。  平成14年9月の予算特別委員会では、犬島肇元県議の質問に対し、森岡当時土木部長から「富岩運河と住友運河の合流地点につきましては、馬場記念公園と一体的に利用するなど、歴史と文化の香り高い水辺空間として整備していく必要があり、馬場公園を管理する富山市にも働きかけたい」との答弁がなされています。  まず、石井知事がこの旧制富山高校の歴史と伝統、その跡地である馬場記念公園をどう認職し、今後運河の整備にどう生かされていくのか伺います。  この地域の運河周辺には、長らく北洋材の水面貯木が行われてきました。しかし、この間の原木輸入の激減で、使用のめどはなくなっています。地元町内から、住友運河西側の貯木場や富岩運河左岸の貯木場は自然を生かした公園として整備し、住友運河河口部分には遊歩道をつなぐ橋が必要だとの声が上がっています。住民とともにどう取り組むのか、土木部長の見解を伺います。  そこで、検討会の設置を改めて求めたいと思います。県には水辺のまち夢プラン水辺回廊協議会がありますが、ハード整備はその検討対象でなく、これから整備が始まるこの地域の地元代表も含まれていません。この地域の運河沿川9町内会や地元関係者、富山市などを含む検討会を設置し、歴史と文化的価値の検証も含めて整備計画をつくるべきと考えます。  以上、答弁を求めて、私の質問を終わります。 51 ◯副議長(高平公嗣君)石井知事。    〔知事石井隆一君登壇〕 52 ◯知事(石井隆一君)火爪議員の御質問にお答えします。  まず、新年度政府予算案についての御質問にお答えします。  鳩山政権におかれましては、「国民の生活が第一」ということで、22年度予算は「コンクリートから人へ」を一つのスローガンにされて編成されております。公共事業関係費が前年度比18.3%減とされる中で、地方交付税の増額、子ども手当の創設、高校授業料の無償化など、相当大きな政策転換が図られた予算案じゃないかと思っております。  この予算案につきましては、地方交付税の1.1兆円の増額、また維持管理に係る国直轄事業負担金の廃止など、これまで地方が国に要望してきたことへの配慮がなされておりまして、評価すべき、あるいは評価できる点もあると思っております。また、子ども手当の創設、公立高校の授業料無償化、児童扶養手当の父子家庭への支給などによりまして、一般的には家計の経済的負担が軽減するものと考えております。  なお、御指摘のように、子ども手当を満額支給しないとしますと──これは中央レベルで、自由民主党が厚生労働省、総務省、財務省の資料をもとに計算されて公表されました計算によりますと、子ども手当を満額支給しなければ将来負担増となる世帯も生ずるという指摘もございます。これは半額支給で扶養控除が廃止となった場合の計算でございます。  扶養控除の見直しに伴う保険料、保育料の負担への影響につきましては、適切な措置を講ずると新政権では言っておられまして、現在、税制調査会の控除廃止の影響に係るプロジェクトチームにおきまして検討が進められると伺っております。  なお、子ども手当については、国が一律に配る、地方に裁量の余地がないものでありますので、その性格上全額国費で措置すべきだと再三地方から強く要請したにもかかわらず、22年度分は暫定措置として児童手当と併給されることになったのは、まことに残念だと思っております。  今後国において23年度以降の子ども手当の取り扱いを検討する際には、全国一律の現金給付のようなものは国が、保育所等のようなサービス給付で、地方に裁量の余地があるものは地方が負担するといったような、国、地方の役割分担に基づいて適切な制度設計をしていただきたいと思っております。  また、後期高齢者医療制度につきましては、国において25年度から新制度に移行するとされているわけですけれども、その際には、国民の皆さんが安心して医療を受けられますように、詳細な制度設計や移行の道筋を明らかにしていただくことはもちろんですけれども、高齢者の患者負担、保険料負担のあり方などの観点から十分議論して、安定的で将来にわたって持続可能な医療保険制度としていただきたい、こういうふうに思っております。  それから、企業の租税特別措置等についてのお話もありましたが、それぞれそれなりの理由、経緯があって設けられているわけですけれども、存続や見直しに当たっては、政府税制調査会などにおいて十分議論して、国民の皆さんの理解のもとにやってほしいと思っております。  私としては、子ども手当を現状のように赤字国債の増発によって賄うということは、将来、次の時代を担う子供たちが重税にあえぐ結果を招くおそれが大きいと懸念をいたしております。また今後、確実に高齢化が進み、年金、医療等の社会保障費が増大することを考慮しますと、徹底した行政改革を行いますとともに、必要な給付というのはどこまでか、それにふさわしい負担のあり方はどうなんだということを、しっかりと国民的な議論をする時期に来ているのではないかと思っております。  また、鳩山政権におかれましては、国民の皆さんが充実した幸せな人生を送ることができるようにするためにも、日本が21世紀の世界の中で名誉ある地位を築き、国民の皆さんが誇りを持てる国になるように、経済の具体的な成長戦略などを含めた国家ビジョンを早急に策定していただきたいと、こういうふうに思っております。  次に、乳幼児医療費助成制度についての御質問にお答えをいたします。  先ほども御質疑いただいたところでございますが、医療費の自己負担分の軽減は一種の所得再配分政策でございまして、本来は国の責任分野ですが、ただ不十分な面がありましたから、それを補完するために県、市町村が協調して、地方単独事業として乳幼児医療費助成制度を運営してきたところでございます。  県としては、大変厳しい財政事情が続くと見込まれる中、平成17年12月に設置した医療費助成制度のあり方懇談会──あの時点では、ほうっておくと本当に、極端に言えば夕張みたいなことになっちゃ困るということで、この医療費助成制度の議論をしたわけですが、この医療費助成制度の根幹を極力維持していくためのさまざまな工夫もしようじゃないかということで、最終的な報告を受けて、所得制限を導入した上で、従来の制度をすべて継続するというふうに一昨年10月からしたわけでございます。  その際に、所得制限導入によって生じた財源を少子化対策などの充実に充てることが望ましいという報告をいただきましたので、種々検討いたしました。その時点で、医療費助成の対象年齢の拡大を図ることについては、市町村によって考え方に差異が見られたところであります。  そこで、地方分権の時代でもありますので、対象年齢の拡大については各市町村の責任で実施していただくことにしまして、県としては、この所得制限により生じた財源を活用して、一時保育やファミリーサポートセンターの利用などの保育サービス、予防接種や乳児健診にも利用できる子育て応援券の配布事業を、県独自の施策──全国でもまず例がないと思いますが、市町村の負担を求めずに、基本的に全額県費で一昨年10月から実施をして、子育て家庭の負担軽減に努めておるわけでございます。  また、県内各市町村におかれましては、この所得制限により生じた財源の活用などによりまして、それぞれの地域の実情、また市町村長さん方それぞれのお考えもあるでしょうから、その考え方に沿って医療費助成の対象年齢の拡大、その他の施策を推進されているところでございまして、御理解をいただきたいと思います。  また、県としては、乳幼児医療費助成制度のほかに、先ほども申し上げましたが、全国で唯一の産婦健診費用の市町村への補助、全国で4県のみが行っている妊産婦の医療費助成、全国で6県のみの不妊治療費助成制度への県独自の上乗せなど、先進的な制度も実施しながら少子化対策・子育て支援に努めております。  現在、昨年6月に県議会で御議決いただいた条例に基づく基本計画を、子育て支援・少子化対策ということで進めております。かつ、今度の予算で、中間報告を受けて、前倒しで精いっぱい前向きの予算を組んでいるわけでございます。  ちなみに、平成22年度の子育て支援・少子化対策の主な事業費は72億8,463万円でありまして、対前年度比143%ですから、43%増、また子ども手当の県負担分を除いても48億2,223万円で、前の年に比べると66%増になっております。何か一部分を取り出して、富山県の子育て支援・少子化対策が冷たいと言われたようにも聞こえましたが、そういう誤解を招くような御発言、おっしゃり方は控えていただきたいと、こういうふうに私は思っております。  次に、並行在来線についての御質問にお答えをいたします。  神田議員の質問にも答弁いたしましたが、去る17日の整備新幹線問題調整会議沿線県ヒアリングにおきまして、私から、北陸の並行在来線は4県にまたがる長大な区間でありまして、貨物列車が多数走行することも含めて、4県ごとに別々の運用をするには大きな課題があること。このために従来の枠組みの見直しが必要であり、当面現行のままJRが運営するという考え方もあることや、貸付料は地方も大きな負担をした施設から生じる収入でありまして、厳しい並行在来線の経営の支援に活用されるべきであること。また、JRによるこれまで以上の運営への関与、協力が必要なことについて、強く訴え、働きかけたところでございます。  また、昨年12月には、国の「整備新幹線の基本方針」に、本県を初め関係県の要望を踏まえて、並行在来線へのJRの協力や支援が求められることが明記されたところであります。  今後国においては、JR等の関係者からのヒアリングも進めまして、夏までに一定の方針を出すということにされておりますけれども、本件については、まず国において、JRの関与も含め並行在来線を持続可能とするための仕組みや、新たな支援策がしっかりと検討、措置されるように、引き続き関係方面に強く働きかけてまいりたいと思っております。  なお、御指摘のJRの収益性と並行在来線に関しては、並行在来線は非常に厳しい収支が見込まれ、先行県でもその維持に大きな負担を伴っている一方で、近年、JRが相当の収益力を備えていることなどが明らかになっております。このこととともに、JRの新幹線運行に伴う増収と、並行在来線分離による収支改善分を合わせた受益については、貸付料として国に支払うことになっております。そうしたことを考えますと、この貴重な財源である貸付料が生み出る大もとは、3分の1は地方が負担しているわけですから、並行在来線を持続可能とする新たな仕組みを構築するということが重要ではないかと思っているわけです。  JRによる運営に関しては、北陸の並行在来線は4県ごとの運営をするには課題がありまして、当面現行のままJRが運営するという考え方もあるわけですが、一方で、並行在来線の分離分を含む貸付料をJRは支払うことになっておりまして、この貸付料は並行在来線支援への活用が考えられるほか、今後の新幹線建設等のための貴重な財源として充当されるものとなっている。金沢以西の促進の財源は一切なくていいんだよというふうに割り切る人もいるんでしょうけれども、そういうわけにもいかない。こういう問題もあります。  また、JR運営となることで想定される課題などさまざまな──例えば、JRが運営しますと人件費の水準も意外と高いとか、いろんな問題があります。また、運賃改定の問題とかさまざまな問題がありますので、そう簡単でもない。こうした論点を考慮しながらよく考えていく必要があると思っております。  いろいろ議員から御意見を従来からいただいておりますが、いずれにしても、これは平成2年とか平成6年だったですか、4年でしたかね、とにかくいろんな経過があって、新幹線をどうしてもつくりたいというのなら3分の1地方負担しろ、また並行在来線は切り捨てて地方が引き受けなさい、それでいいんですねと。それで同意してスタートしてきている経過があるんです。ですから、白紙に今から絵をかいて、どういう姿が望ましいかというと、私はもう少し気が楽なんですが、そういういろんな積み重ねがあって、それで同意してきたと。そういう中で何とか一つ一つ論点を掘り起こして、またほかに方法がないか。しかも、近ごろの霞が関は自分ではなかなか案を出してこない。そこで、ない知恵を絞っていろんな提案をして、政府を揺り動かしていく。また沿線の知事さんの中にはいろんな人がいる。そうしていろいろ一生懸命やっているんですから、ぜひもう少し温かい目で見ていただきたい、こういうふう思います。  次に、富岩運河、住友運河周辺整備についてお答えを申し上げます。
     旧制富山高校は、東岩瀬の回船問屋である馬場はるさんが高等学校設立のため、県へ当時のお金で100万円を寄附して設けられたものでありまして、全国初の公立の7年制高等学校として、大正12年に設立した歴史ある学校であります。  さらに馬場はるさんは、初代校長として着任した南日恒太郎の要請にこたえて、小泉八雲の蔵書でありますヘルン文庫の購入資金も提供したことから、世界的にも貴重な財産でありますハーンの蔵書が購入されまして、現在では富山大学に引き継がれて収蔵されております。  旧制富山高校によって多くの若者が地元で高等教育を受けることが可能となったばかりでなく、ヘルン文庫に代表されるような本県の文化の発展にも貢献をしてきました。こうしたことから、現在でも旧制富山高校の跡地である馬場記念公園には馬場はる氏の銅像が建立されていまして、歴史的にも文化的にも大事な公園だと思っております。  ただ、十分御承知の上でおっしゃっていると思いますが、馬場記念公園は富山市が設置管理されている公園でございまして、地域のことはできるだけ地域で決める地方分権の時代にありまして、そのあり方については、まずは富山市さんにおいて十分御議論いただくべきものだと思っております。  一方で、富岩運河につきましては、昨年、松川・富岩運河周辺地域水辺のまち夢プランが策定されまして、富岩運河ゾーンの施策の柱の一つとして、運河周辺との連携による魅力づくりが掲げられております。富岩運河水上ラインとライトレールとの連携による交通アクセスの向上や、周辺地域との連携による運河の魅力向上を図ることが重要であると考えております。  今後、富山市さんとも協議しまして、富岩運河の魅力向上に向けまして、馬場記念公園やライトレールとの連携によってこの地域の周遊性を確保する。また、この周辺地域が従来以上に魅力的な場所になる。県民はもとより東京などからも訪ねてもらえる。特に新幹線開業のときなど、富山県あるいは富山市の魅力の一つになるような、そういう場所になるように努力してまいりたいと思っております。 53 ◯副議長(高平公嗣君)廣光知事政策局長。    〔知事政策局長廣光俊昭君登壇〕 54 ◯知事政策局長(廣光俊昭君)初めに、並行在来線の経営形態に関してお答えします。  並行在来線の経営につきましては、4県共同で行うこともさまざまな可能性の中の一つの方式でありますが、その場合、北陸の並行在来線は各県内ごとの輸送密度が大きく異なることなどから、経営方針や運行計画を4県がまとまって決定することには課題が存在しておりまして、また本社と現場・現業部門との距離感が生まれまして、機動的な会社運営に欠ける懸念もあるものと考えております。  一方、各県ごとの運営とする場合にも課題があると認識しておりまして、円滑な指令の切りかえや県境をまたぐ利用者の利便性のため、乗り継ぎ割引運賃の設定等、会社間での調整が必要になると認識しております。  石川、新潟、長野各県とは事務レベルでの意見交換を進めておりますが、共同運営、県別運営それぞれに課題があることにつきましては、各県で共通の認識をしておりまして、それに加えまして各県別の状況を申し上げますと、石川県では、将来金沢以西に延伸があった場合に、なるべく二重投資にならないようにする必要があること。新潟県では、他県区間に比べまして輸送密度が少ないことを十分踏まえた路線運営とすべく、幅広い検討が行われていること。長野県では、県内で既に分離され、運営されておりますしなの鉄道との一体運営の可能性も含めて検討する必要があることなど、それぞれの県で固有の課題もあることから、各県で幅広くさまざまな可能性や論点を整理しながら検討が進められているところでございます。  次に、JRからの資産譲渡に関してお答えいたします。  JRから鉄道資産の譲渡を受ける場合につきましては、収益性を勘案した適切な価格評価を行うことに加えまして、大規模施設の老朽化に伴う修繕更新費等も運営会社の大きな負担となりますことから、JRが譲渡前に集中的に修繕を行うことなどの支援策が必要であることにつきまして、去る17日に国土交通省で開催されました整備新幹線問題調整会議のヒアリングにおいても訴えたところでございます。  譲渡見込みの鉄道資産は、土地、建物、線路設備、車両など相当な件数になることが想定されまして、まずは資産の現況を確認する作業を計画的に実施することが必要でありまして、そのための情報提供などをJRに要請しているところでございます。  御指摘の点につきましては、整備新幹線の先行県では、JR資産の譲渡に際しまして鉄道総合技術研究所に業務委託した例はないと承知しておりますが、そのような委託を同研究所が受け入れることが果たして可能かという点に加えまして、鉄道運行を継続しながらの作業となりますことなどから、JRとの協議が必要となるものと考えております。  JRからの鉄道資産につきましては、言うまでもなく、その現況確認や必要性、資産評価などをきちんと行うことが重要と考えておりまして、その進め方につきまして、検討や情報収集を進めつつ、今後ともJRとよく協議していく考えです。  以上です。 55 ◯副議長(高平公嗣君)寺井農林水産部長。    〔農林水産部長寺井幹男君登壇〕 56 ◯農林水産部長(寺井幹男君)とやまの木で家づくりモデル事業についてお答え申し上げます。  一般住宅において県産材の利用促進を図るため、新年度から、とやまの木で家づくりモデル事業を実施することといたしております。これは、新築、改築を問わず県産材の使用量に応じて1立米当たり2万5,000円、最高70万円までを助成するもので、全国的にもかなり充実した制度であると考えております。  また、市町村の補助制度とも併用できることにしておりまして、合わせますと最大で120万円まで助成を受けることができますので、県民の皆さんにはぜひ御活用いただければと思います。そのことによって県産材の利用を図り、ひいては住宅着工の増加にもつながればというふうに期待をいたしております。  議員御提案の住宅の発注先を県内に本店を置く事業者に限定することにつきましては、全国で同様の県産材住宅の補助制度を設けております県は25府県ございますが、そのうち4県がそうした条件をつけております。それらは制度創設の経緯が経済対策を主たる目的としているものや、市町村の制度に追従した結果などによるものでございます。  本県の場合は、今回のモデル事業は県産材の利用促進に主眼を置いておりますので、県産材の使用確認は厳格に行うことといたしますが、住宅の発注先の要件は「県内に事業所のある者」というふうにいたしまして、本店の有無までは問わないようにしたいと考えております。あまり縛りを設けずに、一人でも多くの県民の皆さんに利用していただいて、県産材の利用促進につなげていきたいと考えております。また、県内に本店のある工務店等にも積極的に活用していただくようにPRしていくことにいたしております。  以上です。 57 ◯副議長(高平公嗣君)井波土木部長。    〔土木部長井波久治君登壇〕 58 ◯土木部長(井波久治君)まず、県内建設業の振興のうち、建設業の構造改革についての御質問にお答えいたします。  「建設産業政策2007」につきましては、建設投資の減少に伴い、建設産業の再編、淘汰は不可避という厳しい現実を踏まえ、企業の技術力、経営力の向上や、合併、企業間連携といった構造改革の方向と建設産業政策の方向性を取りまとめられたものであります。その後の建設業を取り巻く環境は、経済危機による民間投資の大幅な落ち込みに加え、公共投資においても新政権の「コンクリートから人へ」のスローガンのもと大幅に削減されるなど、より一層厳しい状況になっていることから、建設業界の構造改革への取り組みは避けて通れないものと認識しております。  こうした中、富山県建設業協会においては、経営基盤の強化を図るため、新年度において新分野への進出や企業の合併再編も視野に入れた新たな改革プランを関係機関と連携して策定することとしており、県といたしましても積極的に協力したいと考えております。  県内建設企業は、河川改修や橋梁のかけかえなど大規模な工事から道路の維持修繕など小規模な工事まで、さまざまな社会資本整備の担い手であるとともに、地域経済の発展や雇用確保に寄与し、除雪や災害対応など県民の安全・安心の確保に重要な役割を担っております。県といたしましては、今後とも、技術力と経営力にすぐれ、地元に貢献する企業の経営基盤の強化が図られるよう、入札・契約制度や新分野進出等サポート事業などを通じて必要な支援を行ってまいりたいと考えております。  次に、地域に密着した社会資本整備に関する計画についての御質問であります。  社会資本の整備につきましては、昨年8月に、北陸ブロックの今後5年間の具体的な整備方針や主要事業を示した重点整備方針が決定されたところでありますが、県では、地域に密着した社会資本についても計画的に事業を進めてきているところであります。  例えば道路事業については、道路整備計画やアウトカム指標に基づく整備目標を立て、通学路における歩道設置や渋滞ポイントの解消などを進めてきておりますし、歩行者、自転車の死傷事故件数を抑止するためのあんしん歩行エリアにおいても、地域懇談会等の意見を踏まえた基本計画に基づき、交通安全対策に取り組んできたところであります。  また、林業における路網の整備については、富山県森林・林業振興計画に基づいて進めてきており、平成21年度からは、森林組合と地域の建設業が提携して作業道の整備を進めているところであります。  さらに高度経済成長期を中心に整備された社会資本全体の老朽化が見込まれる中にあって、現在、橋梁中長期維持管理計画や港湾維持管理計画、下水道長寿命化計画などの策定も進めているところであります。  今後とも、県民の安全・安心な暮らしや利便性の向上、産業発展の基盤となる社会資本については、その整備や適切な維持管理に計画的に取り組むとともに、工事の発注に当たっては、引き続き県内中小建設業者の受注機会の確保に配慮してまいりたいと考えております。  次に、地域に密着した工事の入札についての御質問ですが、県発注工事については、これまでも県内建設企業で施工可能な工事は原則県内建設企業に発注するとともに、その入札に当たっては、適切な地域要件を設定することなどにより地元建設企業の受注機会の確保に努めているところであります。  具体的には、いわゆる官公需法の趣旨を踏まえ、経済性と効率性を損なわない範囲内でできるだけ分離分割発注に努めております。また、工事の発注に当たりましては、入札参加条件として工事の価格、規模等に応じてそれにふさわしい施工能力を有する建設企業とするとともに、競争性が確保される範囲内で、できるだけ地元建設企業に配慮した地域要件を設定しているところであります。  特に地域に密着した2,000万円未満の工事につきましては指名競争入札の対象としており、平成20年4月から、災害協力や除雪実績を有するC、Dランクの地元建設企業が優先的にその入札に参加できるような発注方法を導入しているところであります。  今後とも、地域に密着した工事については、地元建設企業の受注機会が確保できるよう取り組んでまいりたいと考えております。  次に、富岩運河、住友運河の整備のうち、貯木場等の整備についての御質問にお答えいたします。  ロシアの原木輸入の激減により、富岩運河及び住友運河については運河本来の利用がほとんどなされなくなってきており、木材整理場や貯木場などの県有地の利用が低下してきております。  このため、木材関連業者など関係者の意見も聞きながら、県有地などの機能見直しについて、今後どうあるべきか検討しているところであります。この検討では、まずは港全体をマクロ的に把握した上で、各地区、各施設についてミクロ的に検討していく必要があると考えております。  また、県では、住友運河河口部の遊歩道整備について、今年度から上野新橋から萩浦小橋までの未整備区間において歩行者動線の検討など基本計画の策定に取りかかったところであります。今後基本計画を策定していく上で、先ほど知事から答弁がありましたが、富岩運河水上ラインとライトレールの連携による交通アクセスの向上、運河の回遊性や周辺地域との連携による運河の魅力向上を図ることが重要であると考えております。  このことから住友運河河口部の橋の整備につきましては、回遊性の点での必要性は認識しておりますが、運河の利用について検討すべき課題もありますので、富山市や地元自治会、関係者などの意見も聞きながら検討してまいりたいと考えております。  最後に、整備計画策定に当たっての検討会の設置についての御質問でございます。  富岩運河の計画策定や整備の実施に当たりましては、これまでも関係する地元自治会に説明し、意見を伺いながら進めてきたところであります。また平成16年には、富岩運河を軸としたまちづくりを目的に、萩浦や豊田校下など運河沿川7自治会や、県民、企業等が連携して運河のまちを愛する会が設立され、これまで運河のにぎわいづくりの創出、愛護活動や環境改善などに精力的に取り組んでいただいているところであります。  県では、富岩運河の基本計画の策定につきましては、今後とも地元自治会に加えて、運河のまちを愛する会や富山市の意見を十分聞きながら進めてまいりたいと考えております。  なお、昨年度策定されました松川、いたち川及び富岩運河周辺地域の水辺のまち夢プランの具体的な施策を進めるため、今年度、水辺のまち夢プラン水辺回廊推進協議会が設けられたところであります。この協議会の場において、地元関係者、各界各層の委員から出される幅広い意見も参考にしながら、よりよい計画になるよう努めてまいりたいと考えております。したがいまして、計画策定のための新たな検討会の設置については考えていないところでございます。  以上でございます。 59 ◯副議長(高平公嗣君)飯田厚生部長。    〔厚生部長飯田久範君登壇〕 60 ◯厚生部長(飯田久範君)最初に、療養病床に関しての御質問にお答えをします。  まず、県内の療養病床数についてでございますが、本年1月末現在で5,417床でございまして、平成18年10月の時点からは226床減少いたしております。  療養病床の再編ということにつきましては、療養病床を利用している方に医療の必要性の高い方と比較的低い方が混在をしておられますことから、必要性の高い方は医療保険で対応し、必要性の低い方は介護保険で対応するということによりまして、医療費の伸びの抑制とともに、医師、看護師などの限られた人材の効率的な活用を図ることなどを目的としているものでございます。  県としましては、療養病床の再編に当たりましては、現に入院している方々の受け皿の確保が重要な課題というふうに考えまして、1つには医療機関からの相談への対応でございますとか、転換の際に必要な施設整備への助成、そしてまた施設基準の緩和などの支援策の周知に努めているところでございます。  こうした中、今月1日の衆議院予算委員会におきまして、首相から介護療養病床の廃止について見直す旨の考えが示されたところでございます。また現在、国のほうで必要な療養病床数を確保するための施策を検討するためということで、医療機関の意向調査が行われているところでございます。今後国のほうにおきまして、この調査結果も踏まえて検討されることとなりますが、その際にはきちんと地方の実情が反映されるようにしていただきたいと考えておりますし、県としても必要に応じて地方の実情等を伝えてまいりたいというふうに思っております。  続きまして、在宅医療、介護に関連しての質問でございますが、高齢者の方々の口腔ケアにつきましては、誤嚥による発熱ですとか肺炎の予防、そしてまた食べる機能の改善といった全身の健康維持にも関連をいたしますし、また、在宅で療養されている高齢者の方にとりましても、生活の質の向上でございますとか栄養状態の改善の観点から、包括的な口腔ケア、そしてまた栄養管理が重要であるというふうに考えております。  このようなこともございまして、県では医師のグループ化等を推進いたしますとともに、医師や歯科医師、訪問看護師、薬剤師、ケアマネジャー等の職種間の連携を進めているところでございます。具体的には、各厚生センターにおきまして、本年度から在宅医療事例研修会を開催しているところでございまして、来る3月12日には新川厚生センターが主体となりまして、歯科医師や栄養士も参加し、保健、医療、福祉の連携を促進していくため、口腔ケアや栄養管理をテーマといたしました研修会を開催することとしているところでございます。  県としましては、これまでもケアマネジャーや地域包括支援センターの職員等を対象としました口腔ケアに関する研修会に取り組んできたところでございまして、新川厚生センターでの取り組みも参考としながら、歯科医療の関係者、栄養士なども含めた多職種の連携の強化に今後努めてまいりたいというふうに考えております。  次に、超重度障害者に関しての御質問でございますが、いわゆる超重度障害者の在宅生活には、介護面ばかりでなく、たんの吸引でございますとか経管栄養などが必要でございますことから、医療的なケアも重要であるというふうに考えております。  現在、このような超重度障害者へのケアにつきましては、ヘルパーの派遣でございますとか通所介護、ショートステイ、訪問介護などにより行われておるところでございますが、1つには対応できる訪問看護師が少ないということ。それから2つには家族の介護負担が大きいなどの課題があるというふうに私ども聞いております。  このため県におきましては、毎年県の看護協会と共同で、訪問看護師を対象といたしました研修会を実施いたしまして、訪問看護師の養成、そしてまた資質向上に努めますとともに、通所介護事業所の施設整備を支援いたしますなど、人材育成そしてまた基盤整備に努めてきたところでございます。  また、平成22年度から新たに県内2カ所の病院におきまして、介護家族の負担を軽減するという目的で、ショートステイ専用の病床を確保するため、医療系ショートステイ病床確保事業を実施いたしますとともに、夜間対応型訪問介護事業所の整備も図ることといたしております。  今後とも、県といたしましては、市町村、相談支援事業所、障害福祉施設、厚生センター、医療機関などで構成いたしております各障害保健福祉圏域ごとの地域自立支援協議会におきまして、福祉、保健、医療が連携をしながら総合的な取り組みが図られていきますよう、支援をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。 61 ◯副議長(高平公嗣君)火爪弘子君。    〔10番火爪弘子君登壇〕 62 ◯10番(火爪弘子君)3点再質問をさせていただきます。  まず知事にお願いをいたします。知事の施策に対しましては温かい目で見ておるつもりでございまして、一般質問の中でも、新年度予算で歓迎すべきことについて数々挙げたところでございますので、そこはぜひ酌んでいただきたいと思います。  しかし、県民が切実に願っていること、市町村が願っていることを取り入れてもらえないという問題点については、ずばり指摘する議会でなければ、議会としてのチェック機能も、ましてや野党としての責任も果たせないと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  そこで、子供の医療費の問題について再質問をいたします。  知事は答弁の中で、国が必ずしも再分配の役割を果たし切れていないことをお認めになったと聞きました。同時に、県がこれからも、国がやるべき所得の再分配の政策を、いろんな方法で福祉などで補完をしていくということについても、否定されなかったという点では歓迎をしたいと思っております。  後進県だと申し上げましたのは、これまで県民と一緒に築き上げてきた県単医療費助成制度など福祉の分野のすべてについて言った意味ではさらさらありません。切実な願いとなっている子供の医療費分野について今回は限って申し上げましたので、その点も御了解いただきたいと思います。  昨年の4月現在で、県として通院で就学前までの医療費を無料にしている県はもう31県になります。午前中、群馬の例が島田さんから御紹介されましたけれども、それも含めて3県はそれ以上の支援です。もう県として通院で34県が、市町村と一緒に心を合わせて子供の医療費の無料化に取り組んでいると。4歳未満の通院の支援にとどまっているのは、しかも、知事になられてから1歳も前進をしていないのは富山県だけではないかということを率直に言わせていただいたわけですから、その分野に限っての指摘だとお受けとめいただいて、再答弁をいただきたいと思います。  2つ目です。並行在来線の4県共同運営について局長に伺います。  私は、答弁の中にありました可能性の中の一つという位置づけではやはり納得できません。重要な選択肢の一つだというふうに私は考えております。  答弁の中でありませんでした。指摘した、事故のときに金沢の輸送指令が共通の情報で、一つの知事のもとに対応をとっているというのは、極めてこの線にとって重要なことなんですが、それを4県に分離されるとどういうことになるのか言及をされませんでしたので、今の認識を伺っておきたいと思います。  あわせて、私は質問の中で、4県の交通の量がばらばらなのは当然だけれども、肥薩おれんじのようにやったらどうかということもお話をしました。そういうことはどう考えているのかお答えいただきたいと思います。  最後です。農林水産部長に住宅の支援について伺います。  答弁の中で、農林水産部長だから、経済対策に眼目を置いた制度にする考えはしなかったんだと述べられたように伺いました。大変遺憾だと思います。これは、県産材の活用の視点と経済対策の視点と、両方置いた制度にぜひしていただきたいと思います。  さきの質問で、県内の建設業者の皆さんの仕事をどう確保するかということは、土木部長の答弁には大変不満はありますが、またいずれにして、るる申し上げました。県内業者の仕事をに確保するかというのが、今県の課題です。本店の機能がなければ県に税金は入りません。県がやる制度ですので、県産材の活用と経済対策と両方をしっかり据えた制度にしていただきたい。  以上、再質問にいたします。 63 ◯副議長(高平公嗣君)石井知事。    〔知事石井隆一君登壇〕 64 ◯知事(石井隆一君)お子さんの医療費助成制度については、さっき申し上げましたように、所得制限導入によって浮いた財源がたしか1億1,000万ほどあったと思うんですが、これをどういうふうに使うかと。当時、市町村のいろんな御要望、御意見も伺いながら議論したわけであります。  ただ、この医療費助成の対象年齢を引き上げることについては、市町村によっていろんな地域の実情、考え方に差異がある。これに県が乗り出しますと、結局2分の1を市町村にまた、必ずしも前向きじゃないのに負担することを強いる結果になる。それならむしろ県費で、子育て応援券みたいなものを考えようと。  これは事務方もいろいろ考えてくれたんですが、1つには、タウンミーティングを県内各地でやりましたら、インフルエンザの予防接種の費用なんかを、結構負担が大変なんで何とかしてほしいという声が非常によく聞かれました。また、いろんな保育サービスがあるんだけれども、なかなか周辺の方に遠慮があって、子供を連れて行きにくいという話もありました。そこで、こういう子育て応援券のようなものを交付すれば、そうした問題に柔軟に対応できるんじゃないかというふうに考えたわけであります。したがって、これについては基本的に、市町村負担はいただかずに全部県費でやるというふうになったわけでありまして、ぜひ総合的に考えて、富山県の子育て支援・少子化対策は非常に充実していると御理解いただきたいと思います。 65 ◯副議長(高平公嗣君)廣光知事政策局長。    〔知事政策局長廣光俊昭君登壇〕 66 ◯知事政策局長(廣光俊昭君)お答えいたします。  並行在来線についてでございますが、語感の問題もあろうかと思いますが、4県での共同運営につきまして、可能性の中の一つというふうに答弁いたしました。重要な選択の中の一つということと可能性の中の一つというのは、具体的にどういったふうに違うのかということは、なかなか私の日本語の語感でははっきりと申し上げることはできませんけれども、いずれにしろ、これは大変大事な問題でありますので、どのような形態がふさわしいのか、各県ごとにやるのか、それとも各県で共同にやるのか。メリット、デメリットそれぞれあるかと思いますので、そういった点についてしっかりと精査をして、また県民にも説明していきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  それから2点目、指令の話が出ましたが、答弁しておったつもりでありましたが、指令は今金沢の指令でやっているわけでございますけれども、円滑に指令の切りかえをやっていくということは、安全運行といった観点も含めまして、大変重要な論点であるといったふうに認識しております。  ただ、経営分離ということになりますと、原則としては指令というのは、各会社で持つというのが基本的な姿でありますので、そのあたり、移行する際にどういった形でスムーズに移行できるのかといった論点につきましては、かなり技術的な論点でありますが、大事な論点だと思っておりまして、JRに対しても問題提起はしております。当然JRのほうからは、安全の話でありますので、しっかりと技術的なバックアップを円滑にやっていくということについては、一般論としては話をいただいておりますので、それを具体的に今後どのように詰めていくかという点について、しっかりと協議してまいりたいと考えております。  それから、肥薩のように各県で赤字を補てんするという話もございましたが、これにつきましては、最初の論点でありました可能性の中の一つなのか選択の一つなのかといったところで十分カバーして答弁していると思いますので、以上にいたします。よろしくお願いいたします。 67 ◯副議長(高平公嗣君)寺井農林水産部長。    〔農林水産部長寺井幹男君登壇〕 68 ◯農林水産部長(寺井幹男君)県産材住宅の補助制度についての御質問ですが、先ほども答弁しましたとおり、私、県産材の利用を図り、ひいては住宅着工の増加にもつなげていきたいというふうに申し上げたはずでございまして、そういった面で県内産業の振興についても十分配慮しております。
     それと、住宅発注先の要件は、「県内に事業所のある者」というふうに申し上げたはずでございまして、県内に事業所があれば、県民税、市民税、事業所税、本店云々にかかわらず公平に負担しておられます。むしろ、そういった方を排除することによって、県税を払っておられる方を除外することになりますし、利用される県民にもお店によって不公平が生じるということになりますので、そういった公平のことも十分配慮した上でお答え申し上げたはずでございます。御了解をいただきたいと思います。 69 ◯副議長(高平公嗣君)火爪弘子君。    〔10番火爪弘子君登壇〕 70 ◯10番(火爪弘子君)2点再質問をさせていただきます。  まず、後のほうから先にまいります。ことしの3月、秋田県が住宅リフォーム制度を創設いたしました。工事費50万以上で、県内に本店を置く建設業者等の施工が対象ですということで、1月臨時議会で12億6,000万円もの債務負担行為を設定して、県内の業者の仕事を確保すると。経済効果も発せられるように1年間ということで、思い切った予算措置をとりました。  県内に本店ということに限るということは、県内から材料も確保し、県内に法人税も含めて入れ、県内の雇用に確実につなげるという思いで秋田県が努力をした結果だというふうに思います。経済対策に眼目を置いてほしいというのは、そういう水準での注文でありますので、再答弁をお願いいたします。  それから、知事にですけれども、もちろんインフルエンザなどの支援は否定をいたしません。今、県内の自治体はすべて、就学前までの医療費は助成をしているんです。だから県が就学前までの医療費の半分を見るということをやったからといって、市町村の負担は絶対増えないと思うんです。市町村はもろ手を挙げて歓迎をするというふうに思います。その点の認識が違いますので、再答弁を求めて終わります。 71 ◯副議長(高平公嗣君)石井知事。    〔知事石井隆一君登壇〕 72 ◯知事(石井隆一君)議員は要するに、市町村の財政支援をせよとおっしゃっているのか、少子化対策をやれとおっしゃっているのか。  私がさっき言った分権の観点から、対象年齢の拡大は市町村の御判断にお任せしようと。そのかわり私は、市町村に迷惑をかけずに、全額県費でもって子育て応援券というのをやろうとしたわけです。  市町村長さんはその後、地域の事情もありましょう、いろいろ御判断をされて、今火爪議員さんが言われたようにだんだん広がっておりますが、それはそれでいいことないですか。それを県が半分出したって、結局市町村の負担が減るだけで、県民は変わらないわけです。私はそのかわりに全額県費で子育て応援券を出して──皆さんから、今度の新型インフルエンザでものすごく喜んでもらっています。それから保育サービスも使いやすくなったと。一遍行ってみたら、よかったというふうに言われている。  こういう制度をつくっている県は全国で富山県だけのようですけれども、私は、こういう柔軟な仕組みがよかったんじゃないかなというふうに思っておりますので、御理解を賜りたいと思います。 73 ◯副議長(高平公嗣君)寺井農林水産部長。    〔農林水産部長寺井幹男君登壇〕 74 ◯農林水産部長(寺井幹男君)住宅発注先の条件といたしまして、「県内に事業所のある者」というふうに限定いたしますので、そういった方々は当然法人県民税、法人市民税、そして法人事業税を県に納めていただいております。そして県民を従業員として雇用していただいておりますので、そういった方々を排除する理由はないというふうに考えております。 75 ◯副議長(高平公嗣君)以上で火爪弘子君の質問は終了しました。  暫時休憩いたします。  休憩時間は10分間といたします。  午後3時04分休憩      ─────────────────────  午後3時17分開議 76 ◯議長(梶 敬信君)休憩前に引き続き会議を開きます。  四方正治君。    〔37番四方正治君登壇〕 77 ◯37番(四方正治君)新政権が誕生して5カ月が過ぎ、やがて半年を迎えようとしております。当初から、政権がかわって大変なことになるなと思っておりました。2月定例議会に入って、事の重大さを強く感じているきょうこのごろでございます。恐らく、大方の皆さん方も同様の思いをされているのではないかと思っております。  景気停滞が続き、財源不足のときに、子供や生徒自身に将来ツケ回しとなる子ども手当や高等学校授業料無償化などは、有権者を軽く見ているとしか思えません。本来、予算というものは入りをはかり出るを制することが基本であり、その意味でも、所得制限さえない子ども手当の考え方は、財政の基本を無視しているというものであります。  所得を上げたくても、努力をしても所得を上げることのできないような母子家庭や、不幸にして病弱で所得を上げることのできない家庭の子供に集中して手当を出すというなら理解もできるわけでありますけれども、手当の必要のない家庭の子供まで手当を出す必要がどこにあるのか。的外れの単なるばらまき政策と言わざるを得ません。  高等学校の授業料無償化についてもおかしなことであります。高等学校は義務教育でもありませんし、中学校を卒業して世の中に出ている人々が少なからずいることを考えれば、いかにも偏った政策であると言わざるを得ません。大分進んできたとはいえ、もっと急がなければならない学校施設の耐震化や乳幼児のための施設整備など、政策の優先順位が間違っていると思います。県の新年度予算案にこれらが忍び込んでおり、困惑至極であります。  さて、長年続いた我が自由民主党政権にも、確かにさまざまな問題があったことも事実であり、「政治は国民のものである」という立党の精神を忘れ、長く政権の座にいたことによるおごりと惰性により、国民の信頼をなくし、政権交代を余儀なくされたと思っております。  しかしながら、今日世界第2位の経済大国に押し上げてきたのは、民主主義に根差した自由で公正な競争に基づく経済政策のおかげであり、ここは間違ってはいなかったと思っております。したがって、今後とも我が国の将来に責任を持って、地下資源のほとんどないこの国を発展させていく経済政策は、言うまでもなく創意と工夫に満ちた科学技術世界一を絶えず目指す中での、民主主義に根差した自由で公正な自由主義経済政策でなければなりません。  直接のばらまきではなく、産業界を活性化させ、個々の企業の発展で国民所得が向上し、それが需要拡大につながり、持続性のある経済国家を目指すべきであります。まさにここにこそ、新生自由民主党の旗印を見出すべきであります。もちろん、経済至上主義ではなく、一人一人の人格を尊重する中で、家族を大切にし、地域・郷土とともに生きていくという共生の理念のもと、国家はかけがえのない大切なものであるという考え方をも進める保守の旗印も同時に掲げていくべきと思っております。我々も及ばずながら、その一翼を担っていかねばならないと考えております。  以下、通告に従って質問をいたします。  大きな質問の第1は、心の夢構想についてであります。  そこで、心の夢構想最初の質問でありますが、石井知事は22年度予算において、人づくりを「活力」「未来」「安心」の3つの基本政策を支える県政の重要施策と位置づけながら、各般の推進に全力を尽くし、果敢に挑戦していくとの強い意欲を示されました。本来、人づくりというのはすべてに優先し、何をするにしても人がしっかりしていなければ一歩も前に進まない、至極当たり前のことと考えております。あえて重要政策と言うならば、人づくりにかける知事の思いを語っていただきたいと思っております。  石井知事は就任以来、確かに、今日の本県が抱える諸問題にスピード感を持って、きめ細かく対応してこられました。まさに仕事師としては最高級のものであると高く評価をいたしております。ただ、知事に注文をつけるとすれば、さまざまな施策を展開すれば、必ずそれぞれの分野でそれなりの答えが出てくるのですが、県民の中には、答えが出るまでかなり時間がかかったり、あるいは永遠に答えが出ないと迷っている方々もおられ、そうした方々に夢や希望を与える熱いメッセージを送るべきと思っております。  政治家石井隆一として、指導者石井隆一として、知事が模範、理想と考える政治家、教育者その他、その道の先達はどのような方々なのでしょうか。そうした理想の人を思い描きながら、例えば、庁内に絞ってもよいし、あるいはもっと対象を広げて「石井塾」なるものをつくって、本格的な人づくりに着手してはどうかと思っております。  大切なことは、なかなか解決が難しいものでも、必ずや、知事の強いリーダーシップにより県民の潜在能力を呼び起こすことで道は開けるのだという、明るいメッセージを絶えず発信していくことができないかと思うのであります。悩める県民が多くいる今日、県民の潜在能力を引き出すこと、すなわちやる気を高めることが人づくりにつながると思っております。  知事が思い描く本県の具体的な将来像と、恐らくその実現のために取り組む、本県の将来の発展に向けた人づくりに込める知事の熱い思いをお聞かせいただきたいと思います。  2番目の質問は、教育問題であります。  本県の小中学校教育は、平成19年、20年、21年と3年間続いて実施された全国学力テストにおいて全国トップクラスの成績を上げ、学力面では順調に進んでいることが証明されております。若干心配しております高等学校も、昨今はまずまず成果が上がっていると聞いております。  そこで、私なりに学校教育に期待することを大ざっぱに申し上げるとすれば、小学校が最も大切であると思っています。特に低学年は極めて重要だと考えております。この時期にしっかり日常生活のしつけ、習慣を身につけさせるとともに、基礎体力づくりの基本を体得させること、そして読み・書き・そろばん──そろばんは計算と言いかえてもよいと思いますが、基礎・基本の学力を確実に身につけてもらいたい。それを土台として高学年、中学校へと進んでいくことになります。  中学生については、小学校よりも学習科目が増え、その中で少しずつみずからの関心のある科目を模索していくことになり、高等学校では、将来の進路も見えてきて、専門性を高めていくことになると思っております。  いずれにいたしましても、一生学習であり、人間は考え方次第で成長もし、また後退もするものだと思っております。そうした意味からも、みずから学んでいく力を身につけると同時に、いろいろな問題にぶち当たっても、みずから解決していく力、みずから考え生き抜く知力と体力を養うことが学校教育の基本目標になるものと考えております。  しかしながら、この学ぶプロセスの中でも、いろいろの難問にぶち当たり、本人だけでは問題の解決ができないで悩み、苦労している児童生徒もおり、これらにはしっかり対応していく必要があります。  そこで質問ですが、生徒指導におけるスクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの必要性と、これまでにおける成果について、東野教育長からお聞かせください。  いま一つは、22年度予算でスクールソーシャルワーカー活用事業が拡充されましたが、その内容と今後の課題についてもお伺いいたします。  次の質問は、障害者福祉についてであります。  障害者福祉の歴史についても、一口ではなかなか語り尽くせないものがありますが、近年、随分県民の皆さんの理解も深まってきたと思っております。  平成15年に従来の措置制度にかわり支援費制度が導入され、平成18年には障害者自立支援法も施行されております。これは、行政が一方的にサービス内容を決定するという視点から、事業者と対等な立場へと大きな転換が図られました。これは利用者の立場に立った制度構築であり、多様化する障害福祉ニーズへの対応ということが促進され、障害者が地域で暮らせる社会の実現を目指してきたものであります。  障害者福祉については、先ほども申し上げたとおり、これまで相当理解も進み、さまざまな施策も着実に前進しておりますが、新政権になって、障害者自立支援法を見直すということで、昨年末に障がい者制度改革推進本部、本年1月に障がい者制度改革推進会議が設置され、制度改革に関する動きが出てきております。  このような中で、今後とも障害者の自立と社会参加を進めるため、施設から地域移行は重要なことだと考えております。特に、知的障害者のためのグループホームなどの整備は、近年かなり進んでいると承知しておりますが、現在の整備状況と今後の取り組みについて、飯田厚生部長からお聞かせください。  また、そうした状況の中、県立新生園は障害程度の比較的軽い方が多く、地域移行の先行モデル事業に取り組んでいるとのことでありますが、その現状と今後の予定はどのようになるのかについても、厚生部長にお伺いいたします。  次に、これまでも言われてきていると思いますが、県立知的障害者入所施設については、1つには重度障害者への対応、2つには触法者への対応、3つ目は各種相談への対応など、県立施設としての役割があるという意見もありますが、今日のように民間ノウハウが十分育っている分野では、民間社会福祉施設にゆだねるべきと考えており、県立施設としての知的障害者入所施設の役割はほぼ達成されたのではないかと思っております。このことに対してはどのように考えているのか、厚生部長からお聞かせください。  また、2月5日に新生園の保護者有志から、きめ細かな利用者本位のサービスを提供していくため、新たな事業体系に移行する期限である平成24年4月を目途に、新たな社会福祉法人を設立し、みずから運営していくことを前提に、現施設を移管してほしいという旨の要望があったと聞いております。保護者会では、入所者の高齢化に対応した施設、高齢者を含む共生型施設も目指しているとも聞いております。この要望に対してどのように対処していかれるのか、知事にお伺いいたします。  大きな質問の2つ目は、海の夢構想についてであります。  本県は、治山治水事業として、河川開発を初め立山開発等にも積極的に社会資本整備を進めてきた歴史があり、それらは本県の力の源泉になってきたと考えております。  その一方で、神秘の海とも言われている富山湾にももっと目を向け、さらなる富山県発展の原動力にすべきと考え、私は昭和62年の初当選以来、「海の夢構想」と銘打ってさまざまな提言を行ってまいりました。こうした中、富山県の魚がとやまブランドとして脚光を浴びてきておりますし、逆さ地図でも示されているとおり、環日本海交流拠点地域としても、本県の魅力的ポジションがクローズアップされてきております。  そこで、海の夢構想について何点か質問いたします。  まず初めの質問は、伏木富山港についてでありますが、昨年からことしにかけて中古車や北洋材等の輸出入の取扱量が激減しており、貨物の多様化や掘り起こしを図っていくことが喫緊の課題となっております。集荷力向上や航路拡充を含め、先般、「ロシア・欧米・環日本海 物流・観光懇話会」から示された提言の内容を基本的に反映させ、物流活性化の取り組みを積極的に展開してもらいたいと考えておりますが、今後、伏木富山港の物流活性化にどのように取り組むのか、柳野商工労働部長にお聞かせ願いたいと思っております。  次の質問ですが、伏木富山港はロシアとの物流において実績を有し、将来に向けたポテンシャルも高いものを持っております。東海北陸自動車道の全線開通も踏まえると、今後、対ロシアの物流におけるゲートウエー機能を発揮していくことが大いに期待されております。  そこで、シベリア鉄道を活用した物流ルートについて、どのような課題があると考えているのか。今後、伏木富山港として、シベリア鉄道との接続も視野に入れた取り組みを進めていただきたいと考えております。  私たちも、昨年実施されたトライアル輸送の実証結果にいち早く対応して、昨年9月初めに、自民党議員で構成しております日露友好議員連盟の5名で初めてモスクワを訪問し、シベリア横断鉄道輸送調整評議会、ロシア鉄道株式会社、ロシア外務省のアジア太平洋地域諸国局次長、さらには議会の知日派であるポドレソフ・ロシア連邦院国際問題委員会副委員長と接見するなど、精力的に会談し、ロシアとの交流の可能性を探ってまいりました。  そこで、知事にもお願いしたいのですが、知事御自身も実際に現地に足を運び、本県の取り組みを積極的に進めていただきたいと思っております。これに対する見解とあわせて、知事のお考えを聞かせていただきたいと思っています。  3つ目の質問は、新湊大橋についてであります。  御承知のとおり、新湊大橋は、富山新港が開港する前年の昭和42年に、東西につながっていた橋を港口で切断されて以来、地域住民初め県、市、関係の国会議員、そして県議会議員の皆様と、幅広い多くの皆様方の御尽力、御支援、御協力のおかげで平成14年に着工し、平成24年前半完成を目途に工事が着実に進捗しており、早期の完成が期待されております。  ところが、昨年9月の政権交代で、新政権は「コンクリートから人へ」を掲げ、公共事業予算を大幅に削減しており、新湊大橋の早期完成を願望している県民の中に大変心配している方が多くいらっしゃるわけであります。  そこで、知事にお伺いしたいのでありますが、この新湊大橋の完成は、港湾機能の強化は当然のことながら、橋自身が持つ魅力にあわせ、立山連峰を背景とした帆船海王丸との3点セットによるすばらしい景観は、はかり知れない観光資源として力を発揮するものと確信しております。知事から、新湊大橋の整備状況と、早期完成を目指す力強い決意のほどをお聞かせ願いたいと思っております。  次の質問は、富山新港東西埋立地の…… 78 ◯議長(梶 敬信君)時間です。 79 ◯37番(四方正治君)有効利用についてであります。  時間が迫っておりますのでポイントだけを申し上げますが、富山新港の東西の埋立地は、新湊大橋の完成とともに、この利用計画を促進すべきだと思いますが、井波土木部長からお聞かせ願いたいと思います。  また、北埠頭については、いろいろとこれまで質問ございましたので飛ばしていって、最後の質問は、県民公園太閤山ランドについてであります…… 80 ◯議長(梶 敬信君)四方正治君に申し上げます。発言時間を超過しておりますので、新たな質問は控えてください。 81 ◯37番(四方正治君)はい。最後の質問が続いております。  太閤山ランドでございますけれども、ジャパンエキスポのときのシンボルマークとして建てられました展望台から見る公園内はもちろんのこと、晴れた日などは富山湾が展望され、すばらしい感動を味わうことができます。この太閤山ランドにつきましても、今後どのように運営していかれるのか。そしてまた、古くなった施設についてもどのような考えをお持ちであるのか、土木部長にお伺いし、質問を終わります。ありがとうございました。 82 ◯議長(梶 敬信君)石井知事。    〔知事石井隆一君登壇〕 83 ◯知事(石井隆一君)四方議員の御質問にお答えをいたします。  初めに、人づくりについての御質問でございます。  我が国や本県を取り巻く環境は、国際的には中国、インドなど東アジア諸国の経済発展が著しい一方で、国内では、経済・雇用問題に加えまして、少子高齢化の一層の進展、人口減少時代への対応など新たな課題が非常に多く、対応が求められております。  こうした中、知事に就任しまして5年余りたちましたが、元気な富山県をつくるためには、本県の経済、産業、教育・文化、医療・福祉などを担う人づくり──最近、政治も行政もそうだなと改めて思っておりますが、やっぱり人づくりが大事だと思います。そこで、22年度予算編成においてはこうした観点を重視して、各般の施策の推進に取り組むこととしております。  具体的には、学校教育においては、教員定数の40人の増員、それからとやま科学オリンピックの開催に向けたプレ大会の実施、県立高校での探究科(仮称)の設置など、富山ならではの「富山スタンダード」の取り組みを積極的に進めたいと考えております。  また、ふるさと教育については、推進協議会の設置──なるべく全県的な考え方にしたい。またフォーラムの開催、郷土のすぐれた先人や志を学ぶ事業の実施、ふるさと文学館──これは仮称でございますが、これの整備などに取り組むことにしております。  また、経済、産業分野につきましては、これまでも起業、新分野進出、地域づくりを目指す若者、女性、熟年者などのチャレンジを支援しますとやま起業未来塾を開校してきたところでありますが、さらに、ものづくり産業、医薬バイオ、ロボット、航空機、環境エネルギーなど、新たな産業などでも将来を見据えまして人材育成に重点を置くことにしております。  また、医療や福祉分野、農林水産業、観光などにつきましても、担い手の育成など、積極的かつ戦略的に取り組んでいくことにしております。富山大学もようやく2年越しで交渉がまとまりまして、60人を80人に看護学科を増強するということになりました。  また、スポーツ分野では、大変うれしいことに田畑、穂積両選手の銀メダル──本県関係の選手としては、冬季オリンピックではもちろん初めてですが、オリンピック全体でも三栗選手など以来46年ぶりのメダルでありまして、何かと人が東京に集中しがちな時代に、他県の出身の方であっても地道に精進して、厳しい訓練の場として富山県を選んでいただいた人材については、それをしっかり育てる。また、みずから成長できる富山県──昨年の滝田洋二郎さんも県民栄誉賞を差し上げましたが、男性だけではなくて、女性も輝ける元気な富山県をアピールできたんじゃないかと思っておりまして、今後さらに、選手を支える企業や指導者を県民みんなで応援する仕組みも検討したいと考えております。  先ほど、どういう人物を尊敬するかというお話もありましたが、以前にも御答弁しましたように、今大河ドラマで取り上げられておりますが、坂本龍馬。300年の幕藩体制に終止符を打って、いち早く欧米列強の植民地化を防いで日本の自立という大きな構想を、大変包容力のある柔軟な構想を持って尽力した方でありますけれども、こうした人や、大久保利通のように、欧米におくれていた日本を何とか近代化しようと。当時としては中央集権で近代化しようと大変強いリーダーシップを持たれた。こういった方々を私は心から尊敬をいたしております。  大変先行き不透明な時代でありますからこそ、高い志、広い視野、また先見性を持った多くの偉大なリーダーに学んで、人が輝く元気な富山県の創造に向けて人づくりをしっかり進めてまいりたい、こういうふうに思っております。  次に、新生園の保護者有志からの要望についての御質問にお答えをいたします。  先般、新生園の保護者の有志の方々から、ぜひ新たな社会福祉法人をみずから設立して、24年4月を目途に、50人定員で新生園の施設運営に当たりたい旨の申し出が県に対してなされたところであります。  いただいた要望書を拝見いたしました。また、お会いした厚生部長などからも報告を受けましたが、保護者の皆さんから、保護者会を中心に長年培ってきた利用者、保護者の連帯感、地域社会との共生関係を発展させたい。また、保護者みずからが積極的に社会福祉法人を設立して、民間としての柔軟さと熱意、活力を持ってモデル的な施設の運営を行いたい。また、入所者の高齢化を踏まえて、入所者が安らぎを感じられる生活の場を提供したい。支え合う施設として、高齢化する入所者のケアを中心とした共生型の施設づくりを目指したいと、こうした4点を中心にさまざまな思いを伺うことができたところでございます。  本県内においては、これまでも障害者の保護者の方々が多くの社会福祉法人を設立されて、施設運営に携わっておられますけれども、今回いただいた要望書を拝見いたしますと、新生園の保護者の有志の方々の熱い思いというものを十分理解でき、またお察しすることができたと思っております。  県としては、新たに設立される社会福祉法人が将来的にも適切なサービスを提供でき、安定的な運営ができることなどが必要であると考えておりまして、今後策定されることとなります具体的な計画の内容などにつきまして十分お伺いしまして、検討させていただきたいと、こういうふうに思っております。  次に、シベリア鉄道を活用した物流についての御質問にお答えを申し上げます。  現在、日ロ間の物流は、主流がスエズ運河経由になっているわけですけれども、かねてシベリア・ランドブリッジに注目して、何とかこれが本格的に活用されるように環境整備をしたいと、いろんな全国レベルの経営者などにもお話をしているわけであります。このシベリア・ランドブリッジの最大のメリットは、スエズ運河経由と比較した場合の輸送時間の短縮効果にありますけれども、他方課題としては、スエズ運河経由よりもコストが割高となっていること。また、極東での通関手続が煩雑で、所要日数も多いということなどが一般的に指摘されております。  シベリア鉄道との接続を視野に入れた取り組みとしましては、ちょうど昨年の今ごろですが、中京圏を出発地とする貨物を伏木富山港、極東港を経て、ロシア内陸のノボシビルスクまで一貫輸送する実験事業を実施したところでありまして、これは新車を運んだと思いますが、車の損傷もなかったとか、またビールも運びましたが、品質も劣化がなかったというふうに報告を受けているわけでございます。また、名古屋港からの船積みと比較した場合に、時間も大幅に短縮できたと。ただ、やはり極東での通関手続の遅延などの課題も改めて把握できたわけでございます。昨年秋には、ロシア極東コンテナ航路の臨時ラストポート化による集荷実験も実施しまして、ロシア向けの輸出貨物の掘り起こしにも努めております。  新年度におきましては、こうした事業の実績をベースにしまして、ロシア極東港と日本海側港湾だけを結ぶコンテナチャーター船を試験運航しまして、一部の貨物についてはシベリア鉄道への組みかえ輸送も行うことを考えておりまして、こうしたことを通じて伏木富山港のポテンシャルを実証していきたいと思います。  また並行しまして、今申し上げたような課題解決のために、かねてから中央政府に働きかけもしておりますけれども、極東での通関手続の遅延、また中古自動車や原木に関する通商関税政策について、昨年5月、東京において開催されました日露知事意見交換会において率直に問題提起もさせていただきました。また6月に、ロシア側の当局への改善働きかけを外務省及び経済産業省に要望したところでございます。  なお、この日露知事意見交換会での合意を受けまして、来る5月に、実はモスクワにおいて日露知事会議が開催されるということが最近決まりましてぜひ出てほしいというふうに全国知事会からの要請もあるものですから、私自身もこの会議に出席しまして、1つには観光面について、ウラジオ市内での屋外広告物の設置など、ロシアとの観光交流拡大に努めていることをPRするということはもちろんでありますが、御質問の物流面についても、通関手続迅速化がシベリア・ランドブリッジのメリットを最大化するということと、日ロ双方にとってメリットがある、また、保護主義的な通商関税政策も改善したほうがお互いにメリットがある、こういったことも重ねてお話をしまして、本県の熱意や存在感をアピールしたいと、こういうふうに思っているわけでございます。
     最後に、新湊大橋の整備状況についてお答えをいたします。  富山新港の新湊大橋は、御存じのように主塔の高さが海面から127メートル、また航路をまたぐ中央径間長が360メートルの斜張橋でありまして、斜張橋としては日本海側で最大の径間長を誇るということであります。  またお話のように、海王丸パークからは、壮大な立山連峰をバックに優美な帆船海王丸を眺めることができますけれども、新湊大橋が完成すれば、立山連峰と海王丸にさらに雄大な橋が加わって、本県の新たな観光名所として海王丸パークを訪れる人々の目を楽しませてくれる、こういうふうに思っております。  また、橋の中央部においては、海面から約47メートルの位置で、「あいの風プロムナード」と命名されました自転車歩行者道が橋げたの下に設置されることになっておりまして、このプロムナードからも富山湾や立山連峰の大パノラマを一望できることになりますので、これは富山県内の皆さんはもちろんですけれども、県外からも多くの観光客が訪れるものと期待をしております。  現在の整備状況ですが、昨年度までに橋梁部の下部工43基がすべて完成しております。また、橋げたについても、総延長2,470メートルのうち1,440メートルが完成しておりまして、今年度においては、昨年7月に中央部の2基の主塔が設置されましたほか、現在、この主塔の間にかけるけたの製作が行われているところでございます。  また、来年度は、この橋で最も長い中央径間の橋げたの架設を行いますほか、残りアプローチ部の橋げたについても架設を進めていく予定でございます。  完成見通しでありますが、国交省では公共事業予算の削減が続いております中、何とかここまで来たんですから急いでほしいとお願いしておりまして、22年度においても必要な事業費の確保が図られ、また20年代前半とした供用開始の目標は何とか実現しますと、こういうふうに国交省の実務の責任者は言ってくれておるんですが、最後の一押しをしたいと思っております。  県としましては、新湊大橋、東西埋立地の一体化、物流の円滑化、また地域の活性化に大きく寄与するというふうに考えておりまして、ここまで来たんでございますから、一日も早く完成をするように積極的に国に働きかけてまいりたいと思っております。  以上であります。 84 ◯議長(梶 敬信君)東野教育長。    〔教育長東野宗朗君登壇〕 85 ◯教育長(東野宗朗君)スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーについてのお尋ねにお答えしたいと思います。  不登校やいじめなどの問題行動に対しましては、学校では全体として早期発見に努めてきているところでございますが、担任や学年主任が面談、家庭訪問を行うなど、粘り強く、きめ細かな対応に取り組んできているところでございます。しかしながら、心の問題につきましては複雑な要素が絡んでおりまして、その専門家の助言指導が必要なケースも増えてきております。  このため、学校におきましては、心理の専門家でございますスクールカウンセラーと連携をとって、不登校の解消などに努めてきておりまして、20年度の調査によりますと、不登校につきましては4年ぶりに減少するなど、改善の兆しが見えてきているところでございます。しかしながら、暴力行為の発生件数につきましては、残念ながら小中ともに増えてきている傾向でございます。  これらの問題行動につきましては、児童生徒の心の問題のほかに、家庭など環境が非常に複雑に絡んでおりまして、特に近年、虐待とかネグレクトなどの家庭に起因するケースが増えてきております。しかしながら、学校がこうした家庭内の問題に深く踏み込むことには限界がございまして、容易なことではなく、苦慮しているのが実情でございます。このため、昨年度よりスクールソーシャルワーカー活用事業を立ち上げまして、市町村の状況に応じ、必要な人員を派遣してきているところでございます。  スクールカウンセラーが子供の心の問題に直接対応するのに対しまして、スクールソーシャルワーカーは、家庭訪問を初め関係機関を結ぶコーディネーターの役割を果たしておりまして、児童生徒の家庭に直接働きかけもしまして、環境改善に取り組む大変大きな役割を果たしているのが実情でございます。こうしたスクールソーシャルワーカーがその専門性を生かして対応することで、保護者自身が心を開き、環境の改善に向かうなど、さまざまな成果が報告もされておるところでございます。  今後とも、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーが役割分担をしっかり行いまして、困難なケースにつきましても、今後事例に応じ効果的な対応を進めてまいりたいと考えているところでございます。  次に、22年度予算のスクールソーシャルワーカーの事業についてお答えしたいと思います。  スクールソーシャルワーカーにつきましては、昨年度、本事業を開始いたしまして、今年度は11市町村に派遣したところでございます。県教育委員会では、市町村やPTA、校長会からの要望が大変多いということもございまして、来年度、従事時間を2倍にするなど大幅に活動時間を拡充して、全市町村に派遣することとしたわけでございます。  さらに、来年度でございますが、スクールソーシャルワーカーにつきましては、その役割や有効な活用方法について、さらに理解を深める必要がございますので、これまでの成果事例を事例集として取りまとめ、有効な活用方法などを学校に周知していきたいとも考えております。  また、スクールソーシャルワーカーには、社会福祉と教育、特に教育の面における専門性や豊富な活動経験が大変重要でございます。このような人材を確保することは──21年度のスクールソーシャルワーカー15名のうち14名が定職についている方の兼務でございまして、こうした状況を踏まえての人材の確保も課題でございます。このため、関係団体にも協力を求め、適する人材の推薦にも御努力をいただいているところでございます。  今後とも、さらに経験豊富なスクールソーシャルワーカーの人材をしっかり確保するために、他県の勤務形態、状況なども参考にしながら、国のほうにも財政支援の拡充を強く要望して、努力してまいりたいと考えているところでございます。  以上でございます。 86 ◯議長(梶 敬信君)飯田厚生部長。    〔厚生部長飯田久範君登壇〕 87 ◯厚生部長(飯田久範君)まずは、グループホームの整備状況等についての御質問にお答えをいたします。  障害者の方々の地域移行に当たりましては、地域の受け皿としまして、住まいの場であるグループホームを整備していくことが重要であると考えております。  知的障害者のグループホームにつきましては、平成22年2月末現在、県全体で41カ所、定員は221名となっております。また、今後の整備の見通しについては、事業者等の関係者からヒアリングした結果に基づくものでございますが、平成23年度末までに新たに24カ所、定員150名程度の整備が予定されていると聞いております。  県としましては、平成22年度の予算案において、前年度の倍以上に当たります1億450万円をグループホームの整備事業費として計上することとしているところでございまして、引き続きグループホームの整備を積極的に支援してまいりたいと考えております。  次に、新生園の地域移行のモデル事業についてでございますが、障害者の方々が住みなれた地域で安心して生活できますことは大変重要なことでございますし、また、新生園の入所者の方につきましては、比較的障害の程度の軽い方が多いということもございまして、先行的に地域移行のモデル事業に取り組んでいるところでございます。  地域移行の取り組みを始めました平成20年12月には、新生園のほうには96名の入所者の方がおられましたが、これまでに27名の方が地域に移行されまして、現時点での入所者数は69名となっております。また、このうち約40名の方は、障害の程度が比較的軽い方でございまして、今後2年以内に約半数の20名程度が地域のほうに移行されるのではないかと見込まれております。このようなことから、新生園の入所者数につきましては、当面50名程度になるものと考えているところでございます。  なお、地域に移行されました退所者の方からは、入所しているグループホームにおきます生活につきまして、みんなで仲よく交代して掃除や洗濯をしているとか、近所のスーパーへ買い物に行くなど自由に生活しているなどなど、明るく伸び伸びと生活をしておられる様子が「新生園だより」にも紹介をされているところでございます。  県としましては、今後とも入所者や保護者の希望に沿いながら、グループホームの整備を進めますなど、引き続き地域移行を支援してまいりたいというふうに考えております。  次に、県立施設としての役割についての御質問でございますが、県が設置、運営をいたします社会福祉施設につきましては、一般的に申しますと、法令上、県に設置が義務づけられているものや、専門性を備えた人材育成のための研修、情報発信などの広域的支援機能の発揮が必要なもの、そして高度専門的なサービスで、民間ノウハウが確立をしていない先導的、先駆的なものなどとされているところでございます。  新生園につきましては昭和37年に、知的障害者の入所施設としての先導的役割を果たすため県が設置をしたところでございますが、現在、この分野につきましては民間のノウハウが十分確立されているものと考えております。  また、入所施設としての機能以外の県立施設としての役割についてでございますが、例えば、強度行動障害など障害の重い処遇困難なケースにつきましても、社会福祉法人セーナー苑などの民間の施設で既に多くの方を受け入れられていること。また、いわゆる触法障害者については、その障害の特性や程度に応じて、自宅やグループホーム等の在宅、高齢者施設、障害者施設等のさまざまな対応が考えられること。それから相談支援については、4つの障害保健福祉圏域ごとに障害者就業・生活支援センターを設置いたしますとともに、県内に27の相談支援事業所があることなどから、これらの役割についても、民間事業者等において十分対応可能ではないかというふうに考えているところでございます。  以上でございます。 88 ◯議長(梶 敬信君)柳野商工労働部長。    〔商工労働部長柳野隆之君登壇〕 89 ◯商工労働部長(柳野隆之君)伏木富山港の物流活性化についての御質問にお答えします。  「ロシア・欧米・環日本海 物流・観光懇話会」におきましては、一昨年秋の懇話会設置以降、県内外の有識者の方々に幅広い角度から熱心に御議論をいただき、先般1月下旬に、谷内座長から知事に提言をいただいたところであります。このうち物流分野につきましては、市場開拓、集荷力向上、航路拡充の3つの観点から整理がなされているところであります。  提言内容のうち、早期に取り組むべきものにつきましては、新年度予算に反映させていただいたところであります。具体的には、市場開拓として、ウラジオストク市内におけるビジネスサポートデスクの設置や現地バイヤーとの商談会の実施。また集荷力向上として、荷主企業に対する奨励金の交付要件緩和、荷主企業への個別訪問セールスの実施のほか、2バース2ガントリークレーン体制の早期実現など港湾施設の整備。さらには航路拡充として、ロシア極東港と日本海側港湾のみを結ぶコンテナチャーター船の試験運航などに取り組むこととしています。  懇話会の提言においては、国際物流の取り組みに関し大きな方向性を示していただいたものでありますが、今後とも、順次提言内容を具体の施策や事業として実行に移し、伏木富山港の物流活性化につなげてまいりたいと考えています。  以上でございます。 90 ◯議長(梶 敬信君)井波土木部長。    〔土木部長井波久治君登壇〕 91 ◯土木部長(井波久治君)まず、新湊大橋完成に伴います周辺整備についての御質問にお答えいたします。  富山新港の東西の埋立地は、現在、海王丸パーク、富山新港元気の森公園、海竜スポーツランドなど、公園や観光レクリエーション施設が整備され、多くの人々が集う場となっております。また、この両埋立地を結ぶ新湊大橋の完成により、両埋立地の一体的な利用が図られ、人や車の東西の行き来がより活発になることから、さらにポテンシャルが増すものと考えております。  このようなことから、射水市においては、平成17年に東西埋立地と内川を中心とした市街地との連携を図るみなとまちづくり方策を策定されているところでありますが、この中で、東埋立地においては質の高い住宅地を初め教育研究、健康づくりのための機能を、また、西埋立地においては交流拠点としてにぎわいづくりのための機能の集積を図ることとされております。  県といたしましても、新湊大橋を含む臨港道路東西線の進捗をにらみながら、観光客、来訪者のための駐車場や、遊歩道、緑地などの環境整備を進めてまいりたいと考えております。  次に、県民公園太閤山ランドの管理運営についての御質問でありますが、県民公園太閤山ランドは、自然の起伏や水面、樹林を生かした緑豊かな県内最大級の都市公園として、年間約65万人の県民の皆様に利用されております。  昭和58年の開園から26年が経過しておりますが、これまで来園者の利用に支障のない範囲での管理レベルの見直しや老朽化した施設の一部廃止など、経費の節減を図るとともに、魅力ある公園づくりのために、県民の皆様に草花の管理や野鳥、植物の解説を行うパークボランティアとして参加もいただいているところであります。  施設の更新等につきましては、利用者のニーズの高い施設を中心に進めることとしておりまして、今年度は自然の地形を生かした大型遊具の更新や、環境意識を高める太陽光発電を利用した噴水の新設を進めているところであります。また来年度は、広大な園内をめぐるパークトレインの更新を行うこととしております。  今後とも、県民の皆様の参加と協力を得ながら、豊かな自然環境を生かした県民に親しまれる公園として、適切な管理運営に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 92 ◯議長(梶 敬信君)以上で四方正治君の質問は終了しました。  以上をもって本日の一般質問、質疑を終了いたします。 93 ◯議長(梶 敬信君)次にお諮りいたします。  議案調査のため、明3月9日は休会といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 94 ◯議長(梶 敬信君)御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  以上で本日の日程は終了いたしました。  次回の本会議は3月10日に再開し、各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行いますとともに、議会運営委員会を開催いたします。  本日はこれをもって散会いたします。  午後4時10分散会 Copyright © Toyama Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...