↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 午前10時08分開議
沼田委員長 ただいまから本日の
予算特別委員会を開会いたします。
それでは、発言の通告がありますので、これより順次発言を許します。
堂故委員の質疑及び答弁
2 沼田委員長 堂故委員。あなたの持ち時間は60分であります。
3 堂故委員 おはようございます。食べ物と健康について少し質問さしていただきたいと思います。
今度の議会では、健康問題あるいは健康についてという質問が少し多かったように思います。知事には、中尾議員との質問のやりとりの中で、来春選挙を控えた議員の健康について迫力を込めて心配していただきました。議員のほうも健康に少し心配があるんじゃないか。ただ、選挙前になると急に元気になられる方もおられるようであります。
先ごろ発表されました平成5年度の簡易生命表によりますと、日本人の平均寿命はさらに伸びまして男性が76.25歳、女性が82.51歳と世界最長寿を更新したというニュースでありました。このまま推移してさらに福祉が充実されていく中で長寿社会、成熟社会を迎えられるとすれば、片方で少子化という問題を抱えながらも、社会全体としては幸福な社会に一歩ずつ近づいていけるんじゃないかと思うわけですけれども、ただ、今の寿命を更新している70代、80代の方々というのは、もうすぐ終戦50周年を迎えますけれども、戦前の貧しい中を常におなかをへらして厳しい環境の中を生き抜いてこられた方々でありまして、そういう方々が戦争から解放され、伝染病の克服、医学の進歩をはじめ、経済発展の恩恵を受けての結果ではないかと思います。知事はじめ、戦中戦後派も多分しぶとく生き抜いて長寿を更新していかれるんじゃないかと思います。
ただ、戦後豊かな社会で育ったはずの年代というのは、多分私も皆さんも感じておられると思うんですけれども、そんな生命力というかたくましさが感じられないわけです。飽食の時代といわれる中、相撲取りは短命を、社会の全体とは言いませんが、何か一部で実践しているんじゃないかというような気さえしてまいります。過労死、そして突然死が言われるぐらい
ストレス社会の上に、
インスタント食品、食品添加物、清涼飲料水あるいはPCBの流出といったものの出現や、長年日本人が食べてきたものと違うような肉食はじめ食生活の構造的な変化、あるいは昔食べた卵と今のホウレンソウなど、食品に質的な変化を感じるこのごろなんです。そういう中に子供たちの一番大事な成長過程がさらされているんじゃないか。そういうことだけではないと思いますけれども、そういう食べ物の出現が、かつてなかった病気の出現だとか、あるいは基礎体力が落ちているとか、幅跳びやブリッジをすればすぐ骨折してしまう子供が多いとかという原因になっているんじゃないか。ひいては、今教育で問題になっております心のひずみということにも影響しているんじゃないかなと考えてしまうわけです。
食べ物を中心とする社会の変化が、子供に特に凝縮してあらわれているんじゃないか。そういうことを思いながら、まず、教育長に教育の現場から子供の体の変化の実態といったものを数字を交えながらお聞かせいただきたいと思います。
4 吉枝教育長
日本体育学校健康センターが行っております
学校安全統計によりますと、平成5年度の本県の
骨折発生件数状況でございますが、20年前の昭和49年度に比べ、小学生で39.6%、それから中学生で58.3%、高校生で49.4%増加しております。
それから、県の
教育委員会が行っております
学校保健統計によりますと、昭和49年度と平成5年度の児童生徒の健康状態を比較しますと、肥満傾向につきましては、小学生で2.5%から6.2%に増えておる。中学生は2.0%から5.0%に、それから高校生では0.1%から1.8%と増加しております。また、心臓疾患異常だとかあるいはぜんそくなどの増加、またアトピーとか
アレルギー疾患等の発生も少々ながら見られるところでございます。
それから子供の基礎体力につきましては、
県教育委員会が行っております
体力診断テストによると、昭和57年度と平成4年度の約10年間を比較してみますと、総合的な評価ではさほど低下は見られないわけでございますが、立位体前屈という立ったまま前かがみになって床に手をつけて柔軟性を見る項目につきましては、小学生で10%、中学生で25%、高校生で20%の低下が見られるところでございます。
5 堂故委員 今の数字を聞かさしていただきますと、特に骨が弱くなっているのかなということを実感します。
そういうことを考えてみますと、豊かになったとはいえ食生活の変化や
ストレス社会の到来といったものは、今の子供たちにとって新たな試練の社会なのかなと思ってしまいます。しかし、21世紀の富山県を担ってくれるのは、もちろんこういった子供たちなわけで、健やかに育ってほしいなと心から願うものです。
先ほどもちょっと教育長のお話にありましたけれども、最近
アレルギー体質の小中学生が増えている。報道によりますと、病気が全部発生するとは限りませんけれども、中1で44%という調査結果だそうであります。私たちが子供のころに、
アトピー性皮膚炎なんという言葉はほとんど聞かなかったわけですけれども、原因としては、ストレスであったり衣類であったりダニであったり食生活であったり多岐にわたっているようです。お母さん方の中には
育児ノイローゼになってしまうという方々も耳にしますし、先日テレビで、京都に住む親子が悩んだあげく北海道へ移住して病気と闘っているというのも見たりしました。どこで治るのかというのもちょっとわかりません。かゆいところを治すだけなら対症療法としていろいろあるでしょうけれども、体質改善を含めての対応が求められるんじゃないかなと思います。
岐阜県では、医師や保健婦、栄養士さんたちが、そういった観点からチームを組んで専門窓口を設置しているとお聞きいたしております。県としても、そのような専門窓口、相談窓口を設置してはどうかと思うわけですが、厚生部長にお伺いしたいと思います。
6 三觜厚生部長
アトピー性疾患についてのお尋ねでございますが、委員御指摘のように乳幼児に多い慢性疾患で、全国的にもやや増加の傾向にあると言われているものであります。また、この
アトピー性疾患が若い母親の育児不安の要因の一つにもなっておりまして、国が平成4年に実施いたしました
アトピー性皮膚炎の実態調査によりますと、1歳6カ月児の健診で全体の5.3%、3歳児の健診で8%の者に
アトピー性皮膚炎が見られております。国はこの調査結果を踏まえまして、ことしの3月に診断基準なども含めました
生活指導マニュアルを示したところであります。
本県におきましても、乳幼児健診などで
アトピー性皮膚炎に代表されます皮膚疾患が最も多く見られているところでありまして、平成5年度の健診結果で見てみますと、1歳6カ月児健診で5.5%、3歳児健診で5.9%という実態になっております。この
アトピー性皮膚炎の症状を引き起こす要因をアレルゲンと呼んでいるわけでございますが、委員も御指摘のようにダニとかカビなどの居住環境の問題とか、牛乳とか卵とかといった特定のたんぱく質などによって起こされるとも考えられておりまして、この
アトピー性疾患の予防や治療につきましては、これらのアレルゲンの改善やその除去が有効とされております。
本県におきましても、これまで乳幼児健診の機会をとらえまして、
アトピー性疾患の相談とか保健指導を行ってきているところでありますが、今後は
アトピー性皮膚炎に対しましてより適切に対応していくために、厚生省の出しました
生活指導マニュアルを参考に、医学的管理のもとに生活に即した保健指導や栄養指導をあわせて行っていくことが必要と考えております。御提言の専門・相談窓口の設置などにつきましても、今後検討してまいりたいと考えております。
7 堂故委員 先ほど申しましたように親御さんの御苦労は大変なものなんで、ぜひそういう方向でお願いしたいと思います。
先日の新聞によりますと、高岡市で
小児成人病発見のための小学生を対象にした予防健診を実施するという報道がありました。小学生にとは思いますけれども、最近の
学校保健統計によると、肥満児の数はここ20年間に2倍から3倍、また総務庁の調査によりますと、高
コレステロール、高血圧の子供が増えているとのことであります。県内の児童生徒における肥満、糖尿病、心臓疾患などいわゆる小児成人病の状況を聞かせていただきたいと思います。
あわせまして、高岡市を例にとりましたが、学校保健法に加えてきめ細かく学童の健康管理を各学校に普及する考えはないか、教育長にお尋ねしたいと思います。
8 吉枝教育長 小児成人病と申しますのは、将来糖尿病とか心臓病、
脳血管疾患等の成人病になる危険因子を持っている児童生徒の状況を指すものであるわけでございますが、現在、
定期健康診断におきましてこれに関連するものとして、肥満傾向、尿糖検査、それから心電図検査をやっておるところでございます。
平成5年度の検査結果では、肥満傾向の割合はさきにも述べましたとおり、小・中学生で5%から6%、高校生で2%でありました。また尿糖検査では、小・中・高校生のそれぞれ0.2%から糖が検出されております。さらに
心電図検査等では、小・中・高校生で1%前後の心臓疾患異常が見られます。これらの児童生徒に対しましては、学校医の指導のもとに学校と家庭が連携をとりながら食生活の改善や日常の生活習慣等についての個別指導を行っておるところでございます。
また、高岡市のように
定期健康診断項目に検査項目を加えることにつきましては、本年3月に文部省に提出されました
学校健康診断調査研究委員会の結果報告書によりますと、高血圧とか高脂血症──これは血液中の
コレステロールの値が高い症状でございますが、こういうものなどの検査項目は、
定期検査項目に加えるよりは日常観察で取り上げるほうが望ましいとされておるところでございますが、現在、県の
教育委員会では、富山県
学校健康診断等研究委員会において検討していただいているところでございますので、この成果を踏まえまして対応してまいりたいと考えております。
9 堂故委員 子供たちがバランスのとれた栄養をとるとか食の文化を経験してはぐくむなんというのは、本来、もちろん家庭の仕事だと思います。大変食事に気配りしていらっしゃる家庭も多く見受けられます。ただ、大体最近は共働きでありまして、前は「おふくろの味」と言いましたけれども、最近は「
インスタントメーカーの味」なんて言われるぐらいに、残念ながら家庭の力がそういう食生活の面で弱くなっている部分があるのかなと思います。
僕らのときは給食といいますと、給食の合間に脱脂粉乳をいただいたりして栄養補給なんていうことがメーンだったと思いますけれども、今は、バランスのとれた栄養とか食事の大切さとか、食の文化という面でも学校給食が大事な面を持ってきているんじゃないかなと思います。
食事時間の確保などを含めて、学校給食の望ましいあり方についてお聞かせいただきたいと思います。
10 吉枝教育長 文部省では、給食時間が短過ぎると学校給食の意義が半減してしまうことから、児童が落ちついて食事ができ、人間関係を深めることができるような適切な給食の時間を設定することが望ましいとしておるところでございます。具体的な時間としましては、これまでの
研究指定校等の実績を見ますと、準備から後片づけが終わるまでの時間は、大体小学校で50分程度、それから中学校では45分程度が望ましいとされております。
県の
教育委員会としましても、バランスのとれた栄養の摂取、それから望ましい食習慣の形成等を図るために、文部省の示した時間を目途としまして各学校において定めるよう指導してきておるところでございますが、今後ともゆとりのある給食時間が設定されるように指導してまいりたいと考えております。
11 堂故委員 あわせまして、小児糖尿病、慢性の腎疾患、
アレルギー疾患などの、治療しながら学校生活を送っている子供を持つ親御さんの苦労話を聞くわけです。このような病気を持った子供たちに対する学校給食での配慮についてお聞かせいただきたいと思います。
12 吉枝教育長 御指摘のありました病気を持つ児童生徒の健康の管理につきましては、病状の的確な把握とこれを踏まえた日常の観察、指導が重要であると考えております。このため、就学時等の保護者への健康調査やあるいは
定期健康診断におきまして病気の把握を行いますとともに、家庭や校医、主治医等と緊密な連携をとって、学習をはじめ食事や運動などの面で児童生徒の肉体的、精神的負担が過大にならないように留意をしておるところでございます。
給食につきましても、特定の物質にアレルギーを持つ児童生徒や小児糖尿病や慢性の腎疾患などの病気を持っておる者のため、減塩などの食事療法の必要な児童生徒につきましては、弁当の持参だとか、あるいは摂取することが不適当な材料を使用した献立の除去を行っておるところでございます。
13 堂故委員 食生活というのは大事なわけで、現在、氷見市の
食生活改善推進協議会は、その会員が400人でありまして、環境に対するやさしい料理教室であるとか、栄養の知識を楽しみながら理解していただくため、栄養運動会というようなものを行っています。また、長野県では愛の食卓運動として、
食事づくり体験セミナーを実施していると聞いています。
このように、地に足を据えた食生活の改善に向けてのユニークな事業について、県の食改協はどのような活動をして、また県はその食改協をどう育成し、指導していこうとしていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。
14 三觜厚生部長
県食生活改善推進連絡協議会は、本県の
健康づくりの専門的な知識と技術を持った指導者として位置づけられておりまして、
健康づくりの推進の担い手となるように、地域における
健康づくりの
ボランティアやその組織の活動に大きく負うところが多いと考えておりまして、富山県の
食生活改善推進連絡協議会は、「私たちの健康は私たちの手で」を目標に、正しい食生活の知識を学び合いながら地域住民の健康の保持増進を図る
ボランティア団体として昭和47年に結成されました。全市町村に単位協議会を持ちまして、推進員数は本年6月現在で4,692名となっております。全国的に比較いたしましても高い組織率を誇っており、活発な活動を行っていると考えております。
本協議会の具体的な活動といたしましては、
健康づくりのために、まず各地域において栄養改善のための講習会、母と子の料理教室、わが家の
食卓コンクールなどの開催を行っております。2つ目に、啓発普及のための機関誌や郷土料理を紹介する冊子「いきいきとやまの味」及び
ヘルシーメニュー集といたしまして「おいしい和」の発行を行っております。3つ目に、
健康づくりのため歩くことをテーマとした歩行マップの作成などを行っているところであります。さらに平成5年度からは、食と運動のバランスのとれた生活習慣を定着させるために、実際に歩くことと調理実習を結びつけたヘルシーアップセミナーを開催するなど、それぞれの地域において食生活改善を中心に献身的な幅広い
健康づくりを展開しているところであります。
県といたしましても、この協議会は、本県の
健康づくり施策の推進に保健所と市町村が実施する数々の
健康づくり事業に率先して協力するなど、多大の貢献をしていると考えております。地域に根ざした
健康づくりについて、今後とも十分にこの団体と連携をとりまして積極的に支援して、日本一の健康県を目指した
県民総ぐるみによる
健康づくり運動を展開してまいりたいと考えております。
15 堂故委員 ただ、食改協の存在さえ知らない県民はたくさんいらっしゃると思うんです。
普及啓発活動についてお尋ねしますけど、正しい食生活、そして安全な食べ物が健全な体や心をつくるというのはもちろんのことであります。しかし、現在の食べ物の情報というのは、安全性という客観、人々の安心感という何か主観的なものが入りまじった情報として混然としているんじゃないか。数千年にわたる私たちの日本人の食生活がここ二、三十年で多分大きく変化しているときだろうと思うんです。
先ほど申し上げましたけれども、国内で生産される野菜はじめ農産物は、見かけの美しさとは裏腹に質的に大きな変化をしてきている。一つ一つの食品については添加物、防腐剤が入っているとはいえ食品衛生法をクリアしているわけで、農薬についても安全基準がもちろん歯どめになっているわけですけれども、しかしそれらを長期間にまぜ合わせて摂取すると人体にどんな影響があるのか、恐らく実証されてないという不安があります。これからは、ますます増えてくるだろう輸入食品の安全性への不安とか、バイオテクノロジーによる生産物への不安、そんなものが混然となっている社会になるんじゃないか。
何で私が、きょうこういった食品の質問をしようと思ったかというと、私ごとになりますが、私の家内が七、八年
アレルギー体質で大変極端にひどい状態でありまして、いろんなお医者さんにかかりまして、対症療法としては1カ所治るんですけれども、必ず副作用が出てきて、そういう時期が七、八年続きまして、どうにもならなくて体質改善──自然のものを食べてみるということに徹底したわけです。それからここ二、三年で本当の健康を取り戻しました。恐らく現代病としてそういう悩みを持っておられる方はたくさんおられるんじゃないかなと思うわけです。
もちろん、健康というのは自分の健康は自分で守るというのが基本であり原則だと思うんです。ただし、先ほど言いましたように、こんな複雑な社会ですから限度がありまして、一般的にはほとんど生兵法で、誇大な健康食品に飛びつくというのは通常のことじゃないかなと思うわけです。今ほど言いましたように、食改協の存在さえあまり知られていないというような状況でもあります。もっともっと育てていただくと同時に、県としても、県民の
健康づくりのために正しい食生活に関する情報を総合的に、長期的に普及啓発していってほしいなと思うわけです。御所見を承りたいと思います。
16 三觜厚生部長 食生活に関する広報、普及等についてのお尋ねでございますが、現在、健康にとって好ましい食習慣や栄養についての情報を県民に提供するために、食生活のための広報といたしましては県の
健康ニュース「お元気ですか」や県の
食生活改善推進連絡会議による機関誌「いきいき食生活」の発行、さらには市町村における広報誌や単位協議会での機関誌の発行などを行って普及啓発に努めているところであります。さらに、市町村の
各種栄養教室、
健康フェスティバルなどのイベントなどにおけるパンフレットの配布などを通じまして情報提供を行っているところでございます。さらに、バランスのとれた食生活を送ることは、習慣として各自が毎日の積み重ねによりまして身につけることが非常に大切であります。
したがいまして、保健所とか市町村におきます栄養教室、栄養指導の実施、あるいは健康増進車による巡回指導の実施などを通じまして指導を行っております。さらに、地域における
食生活改善推進員の活動などの
ボランティア活動を通じまして、長期的な健康により
食習慣づくりのための実践指導を現在行っておりますが、さらにこれの充実に努めてまいりたいと考えております。
17 堂故委員 ちょっと質問の出し方が悪かったんでかみ合わないところもあったんですけれども、総合的、長期的な視野に立ってまた普及啓発をよろしくお願いしたいと思います。
次に、食生活のアンバランスや運動不足の影響から、このごろ骨粗鬆症が婦人層の話題となっているようであります。御案内のとおり、骨粗鬆症は骨からカルシウムが抜けて骨がすかすかになる病気であります。こういう病気は、本によりますと100年ほど前から知られていたわけですけれども、高齢化社会になり、今後ますます増加し、ねたきりや骨折の原因になると記載されています。
この骨粗鬆症は、若い時代からの予防が重要であると聞いておりいます。市町村と一体となって予防策をどのように講じられていくのかお伺いしたいと思います。
18 三觜厚生部長 現在、骨粗鬆症の予防に関しましては、保健所においては
健康運動習慣普及講習会、
各種栄養相談、栄養指導や健康増進車の巡回指導を実施しております。また、市町村におきましては栄養教室などの各種事業並びに老人保健事業の重点教育として骨粗鬆症の予防教育を行っております。日常生活において十分にカルシウムやビタミンDを摂取するとともに、適度な運動や日光浴をすることを中心に普及啓発を行ってきております。
国においては今年度から、市町村が家庭の主婦や自営業の婦人を対象に実施している婦人の健康診査事業におきまして骨密度の測定を行い、その結果により、必要のある者に対しまして食生活の改善や運動の指導を行うことを内容といたします骨粗鬆症検診事業を開始しておりまして、県内におきましては、この秋から3町村、大島町、平村、上平村で実施が予定されております。
県といたしましては、この事業の基盤整備のために今年度新たに医師、保健婦、栄養士等保健医療従事者を対象に骨粗鬆症に関する疫学、予防、診断、治療などの専門的な研修を実施することにいたしておりまして、衛生研究所におきましても骨粗鬆症の発生要因に関する疫学研究などを行っているところであります。また御指摘のように、若い時代からの予防が重要であるため、保健所、市町村はもとより、地域に根ざした活動を進めている
健康づくりボランティアとしての
食生活改善推進員によります普及啓発をさらに進めてまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、骨粗鬆症の問題は、高齢化社会を迎えますます重要になってくると考えておりまして、今後ともさらに健康教育の充実を図り、骨粗鬆症の予防の普及啓発に努めるとともに、保健医療従事者の研修などの基盤整備を進め、市町村において積極的に取り組まれるよう、県と市町村が十分連携して予防策を講じてまいりたいと考えております。
19 堂故委員 長寿社会になりまして、老人保健施設などで生活されている方も最近はたくさん増えてまいりました。ねたきりにならないためにも施設でどのように栄養面について指導、配慮なされているのか、あわせてお聞きしたいと思います。
20 三觜厚生部長 老人保健施設につきましては、この施設の性格は病院から家庭へ復帰するためのかけ橋となる重要な施設であります。入所されてこられました高齢者がねたきりにならないことはもとより、少しでも日常生活において自立できるようその処遇に努めているところでありますが、例えば筋力を回復させたり、あるいは低下させないようにするための理学療法士や作業療法士による機能訓練の実施や、寝かせきりにならないようベッドから車いすへの誘導、食事の際の個室から食堂への誘導、あるいはトイレへの誘導など、毎日の日常的な介護を通じまして、入所されている方々の日常生活動作能力の維持回復に努めているところであります。また、栄養面からは入所されている方々の必要な栄養基準量を確保するとともに、その好き嫌いにも十分配慮した食事を提供するように努めているところであります。
いずれにいたしましても、県としては、老人保健施設が高齢者の自立を支援し、家庭への復帰を目指すという機能を十分果たせるよう、今後ともあらゆる機会をとらえて指導をしてまいりたいと考えております。
21 堂故委員 この質問の最後に、知事の御感想をお伺いしたいと思います。
飽食の時代といわれるぐらい豊かな時代です。昨年は長雨で米の不作でありまして、国内産米を買う長蛇の列が見受けられました。しかし、その間も一向に変わらず、家庭やさまざまな会合を見ていましたら、食べるものを惜しげもなく捨てている姿は変わりませんでした。日本の米の生産──農家の皆さんが額に汗して生産する量が1,000万トン。先日も統計的な話を聞きましたら、食べ物を食べないで国内で捨て去る量もまた合わせて1,000万トン。そんなような話を聞いてびっくりするわけです。豊かさという中で物と心がどんどん離れていって、食べ物に対してもどんどん無頓着な社会になっているのかなと、ひょっとしたら罰が当たるんじゃないかなと思うわけです。
昨年輸入されたタイ米もほとんど食べないで残ってしまう。グルメを否定するものじゃありませんけれども、おいしいものも知っているけれども、タイ米もおいしいと思っていただけるということが本当の豊かさじゃないかなと思うんです。飽食の時代といわれる中、健康に生きる、そして食べるということについて、知事の御感想をお聞かせいただきたいと思います。
22 中沖知事 生涯を通じまして心身ともに健やかで安らぎのある生活を送ることはすべての県民の願いであり、日常生活におきまして自分の健康は自分で守り、つくるという健康的な生活習慣をつくっていくことが重要であると考えております。
健康であるためには、御案内のように、バランスのよい食事を適量にとること、それから自分に適した運動を継続すること、それから睡眠などの休養を十分にとること、この3つのことが極めて重要であります。殊に食事につきましては、過食をして肥え過ぎないようにすることや偏食をしないようにすることなどが大事でありまして、特にこれからの世代を担う子供たちには、望ましい食習慣を身につけてもらいたいというふうに思います。食というのは、やはり
健康づくりのみならず、家庭づくりや文化の形成にも深いかかわりを持ち、人間生活の基本であると考えるからであります。
それから、現代は自分の好きな物を好きなだけ、どこでもいつでも食べられるという飽食の時代といわれておりますが、私もこのような状況は決して望ましいものではないと考えております。世界には、飢えで苦しんでおる人たちも多いわけであります。私たちも戦争中の食生活の苦しさを十分味わってまいりました。そういうことから考えましても、特に若い世代の皆さん方に食べ物を大切にする心、それから食べ物に対する感謝の気持ちをはぐくむことが大切であるというように考えます。
いずれにいたしましても、本来の健康や食事のあり方につきまして、みんながこの際見つめ直すことが必要ではないか、非常にそのことが大事であるということを痛感いたしております。
23 堂故委員 次に、中山間地域対策について幾つか質問さしていただきたいと思います。
昨年の長雨、ことしの渇水という状況から中山間地域が注目されておる。単に、少数の皆さん、弱者救済という発想じゃなくて、水や空気という面から町部、都市部の生活を担保してくれる。あるいは食べ物をはじめ生活様式、守るべき心のふるさとともいうべき地域だと思います。
現代人が最低の生活をしていくうえで、電気、ガス、水道そしてテレビは必要である。私は氷見に住んでいますから氷見をイメージして言うんですけれども、電気やガスはプロパンガスもありますから完備してますけれども、
氷見地域においては水道の普及率もまだまだでありますし、希望している地域も多くあります。また、県と市が中心になりましてテレビの難視聴地区というのにも毎年事業を手がけていただいておりますけれども、はっきりテレビさえ映らない文化に置かれている地域なんというのはあってはならないことかなと思うわけで、そのへんの努力もお願いしたい。また、過疎化をまとめるとか中山間地の道路を整備するとか、あるいはことし公共交通のモデル地区にさしていただきまして、交通弱者の救済あるいは公共交通を守っていくというような事業にも取り組んでいただいております。あわせて、農業や林業の振興以外にも、今言いましたようなたくさんの施策が必要なのかな、庁内横断的な発想や柔軟な発想が必要なのかなと思います。
幸い、庁内に農業農村対策連絡会議、そして中山間地域対策プロジェクトチームが設置されているとお聞きしております。どんなような方針で施策を進めておられるのか、手短にお話しいただきたいと思います。
24 堀田農林水産部長 中山間地域の条件不利益な地域につきまして、農林水産業の振興はもとより、農林業や地域社会の活力低下による国土・環境の保全機能の低下などが懸念されるために、そのほかまた、ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意による影響等も考えまして、農業農村対策連絡会議におきまして中山間地域対策を重点項目としていろいろ検討を進めているところでございます。まずその中で、国に対しまして、国土保全など公益的機能の維持増進の観点からも、公的機関による関与や支援の拡充などを含む総合的な農林業の振興施策を講じるよう求めておるところでございます。
また、政府におきましては、今月末にもこのガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意の関連対策骨子が発表されるところでございますが、その中では、特に農業総生産の意欲ある農家については、現在250万から400万程度まで、それからまた、農協による農産物の加工販売促進により、中山間地域における販売額を2,000億から4,000億まで拡大をすると、また、都市に比べて立ちおくれておる生活環境基盤、特に下水道等については現在の11%を平成12年までに5割までに上げるというような中山間地域の振興に関する基本目標を設定し、これを実現するために今後6年間に集中的、計画的にこれを実施するということが言われてきております。
今後、中山間地域が農林水産省のみならず他省庁にもまたがり広範に施策が実施されることから、中山間地域対策プロジェクトチーム──これは庁内のものでございますが──とも密接な連携を図りながら、農業農村対策連絡会議においても政府の基本目標や関連対策を見きわめ、農林業振興対策を中心に県単独の対策も含めて、総合的な県内対策の実施に向けて、さらに検討を進めていきたいと考えております。
25 岡本総務部長 お尋ねのうち、中山間地域対策プロジェクトチームの点についてお答え申し上げます。
この地域の活性化の必要性につきましては、今お話のとおりでございまして、1つには農林業の振興、ただそれに終わりませず、農林業の振興以外の観点からの振興が必要でございますので、庁内のほぼ全部局を網羅いたしました関係部局から成る中山間地域対策プロジェクトチームを9月1日に発足をさせましたところでございます。
このプロジェクトチームでは、今申し上げました農林業の振興と、それから農林業以外の振興というものをあわせ考えることといたしまして、今農水部長からお答えしました農業農村対策連絡会議と連携しながら、まず現在、県内の中山間地域の人口動態、生活環境状況の現状と課題、現行施策の体系等について調査検討を進めているところでございます。
今後はこの現状と課題を踏まえまして、2つの柱をもとに農林水産業などの産業基盤の整備、下水道等の生活環境基盤の整備、観光レクリエーション、地域文化の振興など中山間地域の活性化のための施策を幅広く検討していくことといたしております。当然、この問題は本県のみで解決できるものではございません。現在検討が進められております国の施策も十分見きわめつつ検討したいと考えておりますが、まずは今年度中を目途に中間的な取りまとめを行いたいと考えております。
26 堂故委員 低農薬有機栽培がその方策の一つとしてあると思うんです。先ほどの食品の話の続きにもなるんですけれども、新聞に、「病院や学校の栄養士さんたちが困っている。食品の栄養は、科学技術庁が発行している日本食品標準成分表に基づいてカロリーやビタミンの成分を計算するが、栄養不足の野菜が多く、成分のデータ表どおりでは患者や児童の健康を損なう。その裏に、甘さやおいしさを求めて品種改良や温室栽培などでつくられた野菜が栄養を喪失してしまった実態がある」というような報道がありました。
先日、NHKを見ておりましたらホウレンソウの番組をやっていました。昔に比べて今のホウレンソウは、毒性を持っている蓚酸の量は変わらないけれども、ビタミンが3分の1になってしまっている。見た目は悪いが、有機栽培で昔のホウレンソウに近いものを生産している農家を紹介した番組を見ました。顔の見える低農薬有機栽培が一部で人気になってますし、これから都市との交流といった面でも重要になってくるんじゃないかなと思います。
そこで、中山間地域対策として、コスト高であっても低農薬有機栽培を思い切って戦略的に導入して産地化してみればどうか。そういったようなことも思いつくわけですけれども、堀田部長のお考えを聞かせていただきたいと思います。
27 堀田農林水産部長 現在、県内の中山間地域におきましては、特別表示米や特別栽培米などの低農薬有機米の生産や、一部の農家においては野菜などの低農薬有機栽培が取り組まれているところでございます。しかし、これらの生産に当たりましては、御指摘のように有機質資材の散布や除草等の労力負担が大きいこと、それからまた、病虫害や雑草の発生が多く、収量・品質が不安定であること、それからまた、さらに消費者の評価を得て有利に販売できる販路を確保しなければならないなどの課題を抱えておりまして、県内に広く普及するという状況までには現在至っておりません。
しかし、中山間地域農業の振興を図るためには、中山間地特有の夏季の冷涼で日温格差の大きい気象条件等の有利性を生かした水稲、花き、野菜等の生産や、加工販売等を取り入れた付加価値の高い地域特産物の振興は極めて重要であり、低農薬有機栽培による農作物の生産も有効な手段の一つと考えております。このため、農業改良普及所と試験研究機関との連携を密接にしながら、実証圃場の設置などにより新規作物の導入や栽培技術の確立、さらには生産目標の設定や販売戦略の構築など、関係機関と農業者が一体となった取り組みを推進しまして、地域の実情に合った低農薬有機栽培の普及・定着に努めたいと考えております。
28 堂故委員 少し時間がなくなってきましたので……。
ことしは干ばつだったということで、無残なため池を幾つか見ることができました。ことしの水不足には十分貢献してくれたんじゃないかなと思うわけですけれども、水田等の受益面積の大小にとらわれることなく整備していただいて、住民に潤いと憩いを与える場としての位置づけをしっかりしてもらって、ため池の受益者負担のない整備を考えていただけないかなと思うんですが、堀田部長の御見解をいただきたいと思います。
29 堀田農林水産部長 現在、県内には約2,500余りのため池がございまして、その老朽度合いや必要に応じて整備復旧事業を行っておるところでございます。この負担のない整備というお話でございますけれども、今度、国でもため池等整備事業の採択基準を見直しまして、今まで団体営であったものを県営でできるというような採択基準の緩和を行いました。そのために、現在、40ヘクタール以上が県営であったものが、平地と申しますか下においては10ヘクタール、中山間地域になると5ヘクタール以上を県営で実施できるということになりまして、その補助率が地元負担のみで申し上げますと、市町村、地元を含めて30であったものが県営で20になりまして、県営につきましては市町村の財政負担の負担指数を示しておりますので、その20のうち15を市町村、地元を5というようなことで現在施行して、地元負担ゼロというわけにはなかなかいきませんけども、ただ自然保護とか環境保全に対する工種については、これは市町村までの負担。それから、生産性にかかわるものの施設基盤につきましては、他の土地改良基盤の負担の公平ということもありますので、一部5%負担していただくということでございますので、無料については御理解をいただきたいと、かように思います。
30 堂故委員 最後に、林業の中の県産材時代を迎えるわけですけれども、あちこち見ていますと、林道がもうちょっと整備されていれば有効に活用できるという地域をたくさん見ることができます。森林の適切な維持管理や低コスト化を図るため、林道の舗装整備が重要であると思うわけです。採択要件等の問題があり、現在は整備率が低いわけですけれども、県として、国への採択要件の緩和を強く求めていけばどうかと思うんですが、最後にお尋ねして質問を終わらせていただきたいと思います。
31 堀田農林水産部長 御指摘のように、林道の舗装は林業経営の効率化と森林の適切な維持管理並びに地域住民の交通の利便の向上を図るなど、大変重要であると考えております。県では骨格的林道を重点に、その舗装整備に努めておるところでございまして、その結果、本県におきます平成5年度末の林道舗装実績は、既設林道総延長が1,406キロに対しまして舗装済みが515キロで、舗装率は36.6%でございます。全体的に舗装率が低いように言われますけれども、平地と比べては低いわけですが、全国の林道平均から見ますと、全国は23.6%でございますので、かなり舗装率が上回っておるのではないかと、かように考えております。
採択要件の緩和にいたしましては、区間舗装の場合には、例えば林道は勾配が7%以上であるとか、その曲がる曲線半径が20メートル未満のカーブであるとかというところを舗装するんだというような考えになっておりますので、全線舗装につきましては、幹線でなければなかなかできないというような感じになっております。
しかし、最近のいろんな林道の広域的な利用だとかを考えますと、やはり舗装は必要なことだと考えており、国に要望したいというぐあいに考えておりますけれども、国におきましては、基本的には林道の質を高めることよりも、林道の開設を重点として、また林業の振興と低コスト化を図りたいという流れにございますので、いろいろ要望していかなきゃならん、採択基準の緩和を要望してまいりたいと思いますけれども、そういう流れもございますので、努力はいたしますが、御理解をいただきたいと、かように思います。
32 沼田委員長 堂故委員の質問は以上をもって終わりました。
渡辺(新)委員の質疑及び答弁
33 沼田委員長 渡辺委員。あなたの持ち時間は60分であります。
34 渡辺(新)委員 最初に、教育問題について質問したいと思います。
今度教育委員会では、今年の入試のときから、業者テストによる、いわゆる偏差値による輪切り入試というものを廃止して、それに変わるべき新しい教育改革ということで幾つか打ち出されました。総合学科の問題もあります。それから入試について傾斜配点の問題もあります。また、推薦制の中に特別加点をするということだとかいろいろな点で改革しようとされておるわけでありまして、その努力については敬意を表したいと思います。
この改革の幾つかの中身については、もろ刃の剣といいますか、逆に教育効果を減ずるという心配もなきにしもあらずというふうに指摘される方もおるわけでありますが、しかし私は、教育を改革しようという熱意でやられた案でございますので、心配な面があったにしても、改革しようという動きをしなければ何一つ現状よりも前進せんわけでありますので、その点では目的が達成されるような方向で全力を挙げると、こういう意味で私は評価をしていきたいと思っておるわけであります。問題は、その目的どおり達成させるために努力されるかどうかにかかっておると思っております。
ただ、物事は最初が肝心でございますので、初めてやったときのイメージが悪いと後々までその悪いイメージがつきまとうという心配があると思うんです。そういう意味合いで、初めてやる場合はそれなりに慎重に万全の体制を組んでやるべきであろうというふうに思っているわけでありますが、そういう点で心配される点があるわけでありますが、きょうは総合学科について質問したいと思います。
総合学科につきましては、生徒の個性を生かすとかあるいは特色ある学校という意味合いで、私どもはこういった学校はあるべき姿だというふうに思っておりましたので、総合学科の設置についてはもちろん賛成するものでありますが、ただ、実施するために十分な準備ができていないんではないかと、こういう面で心配する面がございます。例えば小杉高校の高教組分会、いわゆる先生方が、拙速過ぎるということで反対の決議を教育委員会に出されておるという話も聞きます。あるいは総合学科について、先生方や生徒、保護者といった方々に十分理解を得た努力がされておるのかどうか、こういった点で心配をするわけであります。例えば、普通科の推薦制については来年実施しないで8年度からというようにされたわけでありますが、これなどは、普通科の推薦制は大変難しい問題があるので多少時間を置いたんではないかと思うんですが、そういうふうに最初に実施するという年度ありきということではなしに、体制が整ってからやると、こういう意味合いでは多少拙速さが総合学科の設置にあるんではないかという感じがするんです。そういう点をどういうふうに考えておられるのかお尋ねしたいのと、小杉高校高教組分会の反対決議について、現在どうなっておるのか、この点についてまずお尋ねしたいと思います。
35 吉枝教育長 総合学科の導入につきましては、教育委員会事務局が中心となりまして平成4年秋から基礎的な研究を2年にわたり続けてまいったわけでございますが、それとともに、その間、富山県高等学校教育研究協議会をつくりまして、県内各層の意見を聞いたり、あるいは教師、保護者を対象としましたシンポジウムを開催したりして、導入に伴う諸問題等について十分に時間をかけて検討してきたところでございます。また、小杉高校におきましても、本年4月から校内に改革委員会を設置しまして、先進校の視察を行ったり、あるいは教育課程や系列を試案してみるなど、自主的な調査研究を進めてきたところでございます。
このような経緯を踏まえましたうえで今回小杉高校への総合学科の導入を決定したところでございますが、平成6年度設置校の全国の例を見てみましても、決定時期は9月から11月というふうになっておるものが多いわけでございまして、これまでの研究成果もありまして、7年度設置が準備期間として適切であると考えております。これまで、学科改編等が行われる場合には、教育現場におきましていろいろな観点から議論が行われるのが常でありまして、改編等の決定後は、全教職員が一致しまして新しい方向に向けて全力を挙げて取り組んできたところでございます。
現在、小杉高校におきましては、教育委員会で決定しました基本方針に沿いまして開設準備委員会を精力的に開催しまして、カリキュラムの編成だとか新しい科目の研究だとか、あるいは教育方法に加え単位制に伴う諸問題等につきまして、先進校の事例を参考にしながら学校ぐるみで研究準備を進めておるところでございます。
教育委員会としましても、今後、学校における研究を全面的に支援するとともに、円滑に準備が進むように十分な指導を行ってまいりたいと考えております。
36 渡辺(新)委員 設置することをもう決めて準備を進めておるわけでありますから、今の段階で反対するということではございません。他の県が9月から10月に発表したから富山県もそれでいいということではなくて、年度の当初ぐらいに発表していくということなども必要ではなかったかと思います。いずれにいたしましても、そういった諸問題を問題ないように解決をして、全力を挙げて取り組んでいただきたいということを要望しておきたいと思います。
それで総合学科の配置でありますが、現在小杉高校だけでございますが、設置する場合は東西に1校ずつぐらい設置すべきじゃなかったかなというふうに思います。資料を見ますと、公平な場を与えるというふうになっておりますが、例えば、朝日や入善から小杉まで通うとなりますと大変でございまして、せっかくできたこういった高校に行こうと思っても行けないんじゃないかというふうなことを考えるときに、東西に1校ずつぐらい設置するということからスタートすべきじゃなかったかというふうに思っております。
それは別にいたしまして、基本的に現在4通学区ございますので、それぞれに1校ずつぐらいきちんと配置をするというふうにしてほしいと思っておるわけであります。議会の答弁では、今後総合学科について段階的に配置をすると、そして小杉高校の状況を見てというふうな表現を使っておられるわけでありますが、必要なものであれば、小杉高校の状況を見て云々ということにはならんのじゃないか、状況を見て悪ければやらないということじゃないと私は思っておるんです。だとするならば、何年度に何校配置するというふうな年度別整備計画をきちんと出されるべきじゃないかなといふうに思ってみたりしておるんですが、このことについてどういうふうに考えられるか。
それから、今は1校でありますが、全県が通学区でありますから、もし2校なり3校なりができた場合にこの通学区域はどういうふうになるのか、その点をあわせてお尋ねしたいと思います。
37 吉枝教育長 総合学科につきましては、生徒に学校選択の機会を公平に提供するという観点からは、県全体に適切に配置することが望ましいと考えております。このために、県全体における長期的な総合学科の配置方針、それから設置校別の学科形態や整備条件等につきましてさらに研究を進めることとしておるところでございます。今後、新たな開設に向けまして所要の準備を進めますとともに、今回導入しました小杉高校の教育活動の状況やあるいは県民ニーズの動向なども見ながら、段階的に設置校を拡大していきたいというふうに考えております。
それから総合学科の学区につきましては、総合学科がそれぞれ固有の特色を持った学科となるということなどを考えますと、全県1学区とすることが適切であるというふうに考えております。
38 渡辺(新)委員 初めての学科でございますので、全力を挙げて取り組んでいただきたいと思います。
次に学習塾について質問いたしますが、文部省が8年ぶりに学習塾通いについて調査をした結果を見ておりますと、中学生の6割、小学生でも4人に1人が塾に通っていると報告しておるわけであります。傾向としては、塾通いが増えていること、塾通いの低年齢化、学校と塾のダブルスクール化、それから教育機関として完全に定着したと報告しておるわけであります。富山県も大同小異ではないかなと思ってみたりもしておるんですが、本会議では、高木議員のこのことについての質問に対して答えられておるわけでありますが、学習塾については多少過熱しておるんではないかというふうに思うんですが、この点についての見解をお尋ねしたいと思います。
39 吉枝教育長 本会議で高木議員にもお答えしたわけでございますが、学習塾通いの過熱化ということは確かにあると思っております。そこで、過熱化の解消につきましては、教師1人1人が児童生徒に対し、例えばチーム・ティーチングなどの指導法の改善を行ったりしてきめ細かい指導に努めて基礎学力の定着を図っていくことが大事であるというふうに考えております。また、それぞれの学校におきましては、1人1人のよさだとかあるいは可能性を生かす教育活動を行いまして、児童生徒が存在感、充実感を持って学校生活が送れるように魅力ある学校づくりの推進に努めていかなければならないというふうに思っておるところでございます。
さらに、この問題につきましては、高等学校入学者選抜のあり方とも関係しますので、推薦入学の弾力化だとか多様化を図る入学者選抜方法の改善というものを進めていかなければならないというふうに思っておりまして、そういうふうに対処してまいりたいと考えております。
40 渡辺(新)委員 私は塾そのものについて全面的に否定するものではございません。学校教育にない部分を補完するとか、あるいは特色ある分野について子供の好みに応じて設置するということについては、それはそれなりに存在する理由があると思っております。ただ問題は、過熱をして現在の学校教育に影響を与えるというところに問題があるんではないかと思います。特に問題があると思いますのは、今年の4月から業者テストを廃止して、そして今度、偏差値による輪切りの入試制度をやめようということで取り組んでおるわけでありますが、ところが、学校のほうが業者テストをやめて偏差値を出さないのであれば、今度は塾のほうが3年生を集めて試験をして、そして生徒に偏差値、点数を渡すと、それを見て生徒が自分の行くべき学校を選ぶと、こういうようなことなどをやっておるところに私は現在の塾のあり方に問題があるというふうに思っております。いわゆる国や県が挙げて教育の弊害を正そうとしておるのに、そういう悪い面をやろうとしておるところに塾の弊害といいますか、そういった点があるんではないかと、こういうふうに思っているわけであります。
それで、文部省が過日、塾の過熱解消について要請したと新聞で読んだわけでございますが、もちろん塾には営業権とかいろんな問題もありますから、介入とかそういうことはできませんが、文部省が塾の関係者を呼んで要請したように、教育委員会としても県の教育方針に照らして、過熱したりそれを阻害するようなところについては、それなりに配慮してほしいというふうな要請をする考えはないかどうか、この点についてお尋ねしたいと思います。
41 吉枝教育長 塾通いにつきましては、それぞれ個々のケースがあるわけでございまして一概に論ずることはできないわけでございますけれども、確かに過度の塾通いによって遊びや地域活動、家族とのふれあいの不足など、子供の人格形成や健康、体力面に悪い影響を及ぼすことがあるわけでございまして、そうあってはならないというふうに考えております。
文部省は、9月16日、学習塾団体との代表に対しまして、塾側に過度の塾通いについての理解を求めたところでございます。県の教育委員会としましては、県内の学習塾団体に対して指導するという立場にあるわけではございませんけれども、長時間深夜に及ぶなどの塾通いによる弊害が出ないよう十分配慮してほしいと考えております。
42 渡辺(新)委員 塾問題についても営業権とかいろんな難しい問題がありましょうけれども、学校教育に影響を来さないような面でそれなりに要請すべきだろうと思いますが、基本的には、塾に要請するということよりも
教育委員会自身が塾に頼らなくていいような教育改革をする、教育体制をつくるということが本分でありますので、基本的にはその方向で努力していただきたいと、こういうふうに思います。
次に、こういった塾通いだとか、序列化された学校間格差を生み出した大きな理由はいろいろあると思うんですが、そういったことをなくするために今度幾つかの改革案を出されたわけでありますが、私は、そういったものを解消する一つとして、学区制の問題は大きな問題ではないかと思っております。もちろん、高校三原則であります小学区制ということについて今さら取り上げる考えはございませんが、少なくとも、現在富山県内に4つの通学区があるわけでありますから、普通科については通学区内にとどめるということも、今の教育改革を推進するうえで大きな要素を担っておるんではないかというふうに思っておるんですが、この点についてどういうふうに考えておられるか。
高等学校教育研究協議会の答申書を見ますと、通学区域の問題については答申書と異なる意見として羅列してあるんです。だから、もうこの問題は論議の対象外かのような扱いになっておるわけでありますが、しかし、この問題は教育改革について大きなポイントを握っておるんではないかと思うんですが、その点について、いわゆる普通科について通学区内にとどめるというふうにすべきという意見についてどういうふうに考えておられるか、お尋ねしたいと思います。
43 吉枝教育長 現在の学区制でありますが、本県のコンパクトな地理的状況だとかあるいは交通機関の状況から考えまして適当であること、学校の選択を自由にし教育機会の均等が図られること、あるいは生徒の広い交流による人間的成長が期待できる、こういうメリットがあるわけでございまして、過去四半世紀も続き、安定した制度として広く県民の間に定着しているものというふうに考えておるわけでございます。
仮に普通科の隣接区域を含む通学区域を4通学区のみに縮小することになりますと、通学区域を越えました特色ある学校の選択ができなくなることだとか、あるいは生徒の人間形成過程での交流が狭い範囲に限定されることなどのデメリットも予想されるわけでございまして、制度の変更は子供たちに及ぼす影響も大きいことを考えあわせますと、学区制の変更には慎重でなければならないというふうに考えております。高等学校教育研究協議会の中では中心議論にはなりませんでしたが、いろいろな議論を闘わせたことは確かであります。
44 渡辺(新)委員 普通科ですから別に特色ある高校というふうになっていないんですよ。ここに「高等学校我が校の特色」というのがございまして、これを全部見たんですが、それぞれの高校の特色は何かというふうに見ましたら全部スポーツなんです。例えば、水産高校は相撲、雄山高校はスキー、八尾高校はボート、富山西高校はフェンシング、富山高校は文武両道、中部高校はサッカー、富山工業高校はバレーボール、水橋高校はカヌー、新湊高校はヨット、高岡商業高校は野球部。我が校の特色と書いてありますから特色を書いてあるのかと思えば、そうじゃないんですね。全部スポーツを全面に出してスポーツで売り込んでおるんですね。これで果たしていいのかというふうに思っておるんですが、しかし、普通科につきましては、推薦入学をする場合に、何を基準にするかということが難しくて1年見送っているんです。私はこれはこれから論議になると思うんですが、いずれにいたしましても、普通科については、例えば魚津と富山と高岡と砺波にそれぞれ普通科があって理数科がある。ちゃんと学区ごとにきちんと配置されておるわけです。少なくとも新川学区におる人材は新川学区に結集すると。こういうようなことをやらないといかんのじゃないか。
私は何年前か魚津の市会議員選挙へ行ったんですが、その人は盛んに「大魚津の発展だ。人も人材も結集を」と言いながら、聞きましたらその人の子供さんは中部高校に行っておるんですよ。「あんたね、言うとることとやっとることが違うじゃないか」と言うたら笑っておりましたが、大魚津を考えるならば、新川区におる人材は、例えば勉強したい人は魚津高校に行くと、こういうふうにするという意味合いで、私は、せめて普通科ぐらいはそれぞれの学区の範疇にとどめるというふうにすれば、富山県の均衡ある発展にもなりますし、その人の持つ個性を損なうということにならんだろうというふうに思っておるわけでありまして、これにつきましてはこれからも折に触れてまた主張していきたいと思います。
それからもう1つ、教育長、この制度は県民に広く定着して安定したと言われますけれども、それじゃ年間1,000名を超える中途退学をどう思われるんですか。安定して1,000名でしょう。もし安定すれば、こういう中途退学が減っていかなければいかんわけですよ。だから、1,000名が中途退学する、それはやはり問題があるからではないかというところに論点を置いて検討されるべきじゃないかという点から考えるならば、この制度は定着して安定したとは言えんのじゃないかというふうに私は思います。その点についてはこれからまた折に触れて論議したいと思いますが、ぜひそういった意見もあることを小耳に挟んでおいていただきたいというふうに思います。
それから次に移りますが、理科教育についてお尋ねをしたいと思います。
これは大学のほうの資料によりますと、最近若者の科学技術離れが心配されております。大学の理工系学部への志願は1986年には25.6%であったんですが、1993年には19.5%まで減少したと報告されております。これは高校や中学、小学校のときの授業内容によって影響されておるんではないかというふうなことも言われておるわけでありますが、この点についてどういうふうに考えておられますか、お尋ねしたいと思います。
45 吉枝教育長 平成5年版の科学技術白書によりますと、大学の理工学部への志願者の比率は平成元年以降少しずつ減少しておるというところでございます。このような状況についてこの白書は、最近の若者の意識が科学技術から離れつつある傾向を示唆するものであるというような指摘をしておるところでございます。科学技術離れは、楽しく経済的に豊かな生活、あるいは収入が多く拘束時間が少ない職場を志向する。若いうちの苦労を忌避する若者の気質の変化だとか、あるいは景気変動や産業構造の変化などによる産業界の求人の動向など、これはさまざまな要因が含んでおるものというふうに考えております。
現在の学校教育におきましては、新しい学習指導要領で、小学校低学年の理科と社会が廃止されまして生活科が新設された分確かに理科としての時間数は減ったわけでございますが、授業の内容において、児童の日常生活に密着した事象を扱うなど、むしろ自然の事物、現象に児童の関心や意欲を引きつけるようになっており、またそういうふうに努力しておるところでございます。
新しい学習指導要領のねらいでありますが、理科教育においても、単に知識の量を求めるだけではなくて自然に対する関心を高め、観察、実験などを行いまして科学的に探究する能力と態度を育てることを重視しておるところでございまして、今後ともこういう方向で充実に努めてまいりたいと考えております。
46 渡辺(新)委員 次に、私立高校の問題についてちょっとお尋ねいたしますが、富山育英センターが中学校、高校一貫の6年制学校の設立を予定しておると聞いておるわけであります。現在どういう状況なのか、これについてお尋ねしたいと思います。
47 岡本総務部長 県内で学習塾を経営しておられます株式会社富山育英センターが6年制の中高一貫校の設置構想を持っておられる。私どももその構想をお聞きしております。私どもがお聞きしております内容によりますと、平成8年4月に中学校、持ち上がってきますんで3年後の11年4月に高等学校を設置するということ。学校の規模でございますが、中学校の入学定員、第1学年を160名、高等学校の入学定員、これも同じく第1学年になりますが、200名として全寮制。生徒は県内だけでなく県外からも募集するとお聞きしております。
御承知のように、私立の中学、高等学校の設置に当たりましては、私立学校法に基づきます学校法人の認可と、それからさらに学校教育法に基づきます学校そのものの設置の認可が必要となります。その際には、法令で定められております要件として、まず学校法人につきましては私立学校に必要な施設設備、それに必要となります自己資金を確保しておられること、2番目には文部大臣が定める設置基準を充足すること、その他幾つか要件がございます。また、そのほか知事が定めております設立認可に関する審査基準というものもございます。さらに、手続といたしましては、県にございます私立学校審議会の議を経て最終的に知事が認可するというのが手続でございます。
なお、これまでの経緯から生徒定員につきましては、県の公私立高等学校連絡協議会などの関係機関等において十分な調整が必要ではないかと考えております。この計画につきまして、県として、現在のところ法令に定めております要件を満たしている状況ではないのではないかと判断しております。
48 渡辺(新)委員 内容については、認可するまでにいろんな段階を踏むということだとか、現状についてまだ何とも言えがたいということでございますが、ただ、現在生徒がどんどん減ってくる状況なんです。現在の中学3年生は1万4,342名。これが8年後には1万933名。3分の2強に減るわけです。全国から集めるとは言いながらも、こういう状況のもとで学校の設立は果たして必要かどうか。そういう点でどういうふうに考えておられるのか。
それから、設立されれば私立でございますので、現在の公立と私立の比率も影響されるんではないかというふうに思うんですが、その点についてどういうふうに考えておられるか、お尋ねしたいと思います。
49 岡本総務部長 御質問の生徒急減の件でございますが、法令上は特段の規定はございません。ただ、今御指摘のように単純な試算でございますが、本県の中学卒業者数がこの予定でいきますと、平成11年ということになっておりますが、その年度には1万2,895名。本県の中学卒業者のピーク時が昭和63年でございまして、この時点で1万9,126名でございました。そのときに比べますと67%まで減少いたします。さらに11年以降も緩やかに減少することが見込まれております。これは現在の小学生あるいは幼稚園の子供さんたちが上がっていくわけですから単純な試算でございます。さらに、高等学校進学予定者の23%が現在の私立学校の比率でございますが、これを単純に当てはめますと、平成7年度、来年の春3,210名が私学の入学定員でございますが、11年度には2,900名まで減少いたします。
先ほど申し上げましたように、私立の中学、高校の設置認可につきましては、認可のための要件などが充足されますならば設置認可の手続を進めることとなっておりますけれども、本県におきましては、これまで私立高校の入学定員につきましては、今申し上げました公私の比率、さらには私立学校の間同士での調整を行ったうえで定めておるのが実情でございます。となりますならば、新設私立高校の設置認可に際しましては、このような点での十分な調整が必要ではないかと考えております。
50 渡辺(新)委員 生徒が減少するとかそういったいろんな要素も含めて慎重に対応していただきたいと、こういうふうに思います。
次に、子どもの権利条約の問題についてお尋ねしたいと思いますが、これは今年の5月22日に、いわゆる児童の権利に関する条約を日本が批准いたしまして効力を発効したわけであります。国のほうからもこれに対するそれなりの文書が来ておると思うんですが、これが発効されたことに伴って学校の運営や通常の授業について何か点検するとか見直すという点があるのかどうか。
文書をさっと読んでみますと、児童が人格を持った一人の人間として尊重されねばならないとか、あるいは退学、停学及び訓告の懲戒処分は教育的配慮を持って慎重かつ的確とか、さらには学校における国旗・国歌の指導は児童生徒等の思想、良心を制約しようというものではないことなどいろんなことも書いてございますが、現在の学校運営や通常の授業に何らかの点検なり見直す点があるのかどうか、この点についてお尋ねしたいと思います。
51 吉枝教育長 児童の権利に関する条約でございますが、世界の多くの児童が、今日なお貧困あるいは飢餓などの困難な状況に置かれておることによりまして、世界的な視野から児童の人権の尊重、保護の促進を目指したものと認識しているところでございます。
この条約の権利につきましては、その内容の多くは、我が国の憲法をはじめとする現行の国内法制で既に保障されておるわけでございますが、本条約の批准を契機としまして、学校教育におきましてはより一層児童生徒の人権に十分配慮し、1人1人の個性を大切にした学校経営や教育指導が行われるようにしていくことが大切であるというふうに考えております。そのため、教育活動全体を通しまして児童生徒の意見や考え方を十分把握するとともに、児童生徒の発達段階に応じた適切な教育指導が必要であるというふうに考えております。
52 渡辺(新)委員 これは要望ですけれども、児童の権利に関する条約については、発展途上国の飢餓だとか貧困だとか虐待、そういった人々を人間らしく生きられるようにというところから発展したと伺っておるわけでありまして、日本の場合はそういう点では恵まれておるわけであります。子供の教育もさることながら、そういった飢餓に苦しんでおる子供あるいは虐待されている子供を日本の子供たちに知らせて、そしてまた理解と協力を得る。例えばそのためのシンポジウムを開くとか、あるいは何かお手伝いすることがあれば協力するとか、あるいは行けるかどうかわかりませんが、韓国や姉妹都市へ中学生や高校生が行くとか、そういったようなことなども考えていただければというふうに思いますので、要望にしておきます。
それから次に、世界遺産の問題についてお尋ねいたします。
これは、9月14日にありました国の文化財保護審議会で、平、上平両村と岐阜県白川村が、「白川郷・五箇山の合掌造り集落」として世界遺産条約に基づいて世界遺産一覧表へ記載推薦することが決まったということでございますが、大変喜ばしいことであるというふうに私は思います。世界遺産は、中国の万里の長城だとかフランスのベルサイユ宮殿、アメリカのグランド・キャニオンなどと肩を並べて記載されるわけでありまして、日本では法隆寺、姫路城、屋久島、白神山地と4つしかないわけでございまして、まことにいいニュースだというふうに思っております。
来年の12月の世界遺産委員会の承認を経て記載が決まるということでございますが、12月まで大変なんではないかと思いますが、いずれにいたしましても、国の文化財保護審議会で推薦されるまで努力された当局の皆さんに心から敬意と感謝を申し上げたいというふうに思っております。このことの経過だとか、それから来年12月に世界遺産委員会の承認を得るわけでありますが、それに向けての課題等についてお尋ねしたいというふうに思います。
53 吉枝教育長 このたび「白川郷・五箇山の合掌造り集落」が世界遺産に推薦されることになった経過につきましては、世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約、いわゆる世界遺産条約が平成4年6月に政府によって締結されました。文化遺産として、法隆寺の仏教建造物だとかあるいは姫路城の2件があるわけでございます。また自然遺産としましては白神山地、屋久島の2件、計4件、先ほどおっしゃったとおりでありますけれども、世界遺産として既に登録されておるわけでございます。また、「古都京都の文化財」が現在推薦中であります。
文化庁ではこうした経緯を踏まえながら、このたび「白川郷・五箇山の合掌造り集落」が、住まいする人々によって長年保存され、また我が国における大型木造住宅の集落の典型を示すものとして高く評価されまして、先ほどの5件に次いで世界遺産として推薦することになったわけでございます。去る9月14日の国の文化財保護審議会の了承を得まして、このたび推薦されることになったところでございます。
また、世界遺産委員会の承認は来年の12月ごろの予定でございますが、承認を得るまでの課題につきましては、条約及びその履行のための作業指針では、世界遺産の候補は、条約の締結国が国内法によって保護し、公開等の措置を講じている遺産の中から推薦することとされており、世界遺産となることによって新たな規制が付加されるというものではございません。ただ、世界遺産となることにより、国内はもとより、国際的にも広く知られることになるがために、これまでにも増して合掌造り集落の保存はもとより、防災面だとかあるいは観光面での対策については、今後十分検討していかなければならないものであろうというふうに思っております。
54 渡辺(新)委員 富山県にとりましてまさに大変な遺産でございますので、万全の態勢で記載されるように努力していただきたいと思います。
これに関連してお尋ねいたしますが、これはまさに県民の誇りだというふうに思います。富山県というのは、県外へ行きまして「富山」というイメージを聞きましてもあまりぱっとはね返ってこないんですね。富山というのはどこにあるんですかと。せいぜい富山のくすりですかというようなはね返り方なんです。最近、だんだんいろんなイベント等がありまして富山県も宣伝されてまいりまして変わりつつありますが、さらにこういったものに記載されればより一層富山県というものが全国に誇れるんじゃないかと、こういうふうに思います。また、平成8年の国民文化祭の目玉にもなるんではないかと思ってみたりもしておるわけであります。
そういう意味合いで、世界遺産の記載に向けての何か県民運動を起こす考えはないかどうか具体的にちょっと伺うわけですが、県民の大事な遺産でございますので、県民とともに運動を起こす考えはないかどうか伺いたいと思います。
それから、県民運動を起こすために、県庁の組織に世界遺産というものを表示したそういう担当組織をつくる考えはないかどうか、この点についてお尋ねしたいと思います。
これは新聞に載った投書でございますが、ちょっと読んでみますと、いわゆる立山課を新設してはという投稿です。「静岡県御殿場市では富士山課が誕生した。富山県では立山山麓地域整備構想調査の結果がまとまり、より質の高いレクリエーションリゾート地域としての構想が打ち出されている。この際、立山課を新設したらいかがだろうか」という投書もございますが、この際でありますので、世界遺産というそういう名称を表示した何らかの組織をつくられたらどうかと思うんですが、この点についてお尋ねしたいと思います。
なお、先ほど世界遺産に登録された場合には保存その他について条件がついてくるということでございましたが、世界遺産というのはまさに次世代に残すためのものでございますので、伝統的建造物だとか自然環境保全に万全を期していただきたいというふうに思うんですが、こういったことについて知事にお尋ねしたいと思います。
55 中沖知事 五箇山の合掌造り集落は富山県の誇る貴重な文化遺産でありますが、これまで平、上平両村をはじめ地域住民の皆さんとともにその保存に努めてきたことが世界遺産の推薦につながったものでありまして、大変名誉なことと考えております。また、昨日文化庁から連絡がありまして、日本政府として正式にパリのユネスコ本部へ推薦書が提出されることになったところでありますが、まことに喜びにたえないところであります。
このようなことから、県といたしましては、去る9月14日、平、上平両村及び県の関係各課から成る五箇山の合掌造り集落世界遺産準備会議を設立したところであります。今後この準備会議におきまして、まず第1に、世界遺産登録に向けての富山、岐阜両県、三村一体となった積極的な取り組み。第2に、先般制定されました平、上平両村の伝統的建造物群保存地区保存条例及び自然環境と文化的景観の保全に関する条例に基づく合掌造り集落とその周辺の自然環境の保全、防災等の対策。第3に、世界遺産登録により、全国各地や世界各国から訪れる人々への積極的なPRをはじめ、交通、宿泊等の対策などにつきまして鋭意検討を進めていくことにいたしております。
いずれにいたしましても、このたびの五箇山の合掌造り集落の世界遺産推薦は、法隆寺、姫路城等とともに世界の文化遺産として21世紀の次の世代に引き継いでいく大きな契機になるものであります。今後、伝統的建造物群でもあります合掌造り集落やそれを生み育てた自然環境の保全に、富山、岐阜両県はもとより、文化庁、地元平村、上平村、白川村の連携のもとに万全を期してまいりたいと考えております。
なお、県民運動の問題につきましても、先ほど申し上げました準備会議において十分今後検討してまいりたいと考えております。
56 渡辺(新)委員 組織については……ちょっと聞きそびれたんですが、いわゆる県庁内ではこの扱いは文化課の中の芸術文化係ですか文化財係ですか、の所管かと思うんですが、例えば、こういったところに世界遺産係とか何かそういうようなものを設置して取り組まれるお考えはないかどうか。今、質問の仕方が悪かったんですが、そういう点についてどういうふうに考えておられるかお尋ねしたいんですが。
57 中沖知事 この問題につきましては、文化課の文化財係で所管することになるわけでありますが、いずれにいたしましてもこの文化課だけの仕事ではありません。県庁の関係課にも随分関連いたしますし、何よりも平村、上平村、そして岐阜県白川村といろいろと関連する部分が多いわけでありますから、先ほど申し上げました五箇山の合掌造り集落世界遺産準備会議という大きな組織の中で連携を取り合いながら進めていきたいと、このように考えておるわけであります。
58 渡辺(新)委員 ぜひ来年12月に記載されるように御努力をお願いしたいというふうに思います。
次に、福祉問題についてお尋ねいたします。時間もなくなりましたので、まず最初に、2番目の県内ヘルパーの雇用形態についてお尋ねいたします。
実は、これは新聞で読んだんですが、行政監察事務所が監察結果として、富山県のホームヘルパーの利用率が低いということを指摘されておったわけでありますが、いろいろ理由があるんでしょうけれども、こういった利用率の低い理由として、たくさん理由があると思いますけれども、こういった福祉事業を推進するホームヘルパーがその中心を、大きな要素を担っているんじゃないかというふうに思っております。それで、ホームヘルパーの雇用形態についてどういう状況なのか、簡単にお尋ねしたいと思います。
59 三觜厚生部長 ホームヘルパーの勤務形態につきましては、常勤、非常勤の制度があります。また、その実施方法においても多様な形態を認めていることから、実施主体であります市町村において、賃金等も含め実情に即した対応がなされているところでございます。
具体的には、ホームヘルプサービスの実施方法として、すべて市町村の直営で行っているところが20市町村。2番目に、すべて市町村社会福祉協議会や特別養護老人ホームに委託しているところが8市町。3つ目に、市町村の直営と社会福祉協議会などの委託を組み合わせているところが7市町ございます。
現在、平成5年末のホームヘルパーの数は585人となっておりまして、常勤のヘルパーが278名、非常勤のヘルパーが307名となっております。
60 渡辺(新)委員 ちょっと時間もございませんでしたのではしょりましたが、ホームヘルパーの問題につきまして、基本的には、常勤についてはその自治体が採用すべきだというふうに私は思っているわけであります。ホームヘルパーの常勤について嘱託でいいとかという考え方は、今のように高齢化社会がきておらないときの感覚があるんではないかというふうに思ってみたりもしております。
この間、亀井運輸大臣が、スチュワーデスの契約社員の問題について正規の職員と契約社員とでは安全性に問題があるということを指摘したことがございます。これは安全論争でございましたが、それが他のところへ波及いたしまして、いわゆる経営上安上がりというところに発展をしてしまったわけでございますが、ホームヘルパーの常勤について自治体の正規の職員にしないというのは、やはり安く上げようというような気持ちがあるんではないかなと、こういうふうに思っておるわけでございますが、高齢化社会を迎えて、また高齢者保健福祉計画の推進が極めて重要だと思われているときに、そういったものを推進する立場にあるホームヘルパーの身分について、もっと考えるべきじゃないかというふうに思っておりますが、時間もございませんので、自治体の職員であるべきだということを申し上げて、この点は終わりたいと思います。
最後に、これも時間がございませんので簡単に答えてほしいんですが、民生委員のいわゆる報酬と、それから地区民協の活動費について、全部言われなくていいですからはしょって答弁をしてください。
61 三觜厚生部長 民生委員は報酬が現在ないというお尋ねだと思いますけれども、民生委員は民生委員法に基づきまして名誉職と規定されておりまして、一般に生活を保障するための報酬や給料などを受けない公の職とされておりますので、給与等は支給されないということでございます。
62 渡辺(新)委員 時間がございませんので要望になるかもしれませんが、民生委員の待遇について資料を見ますと、経費ということで年間1人5万円ほど支給されておりますが、これは全国的に同じであります。ただ問題は、民生児童委員の地区民協──地区の民生児童委員協議会の活動費についてでございますが、これにつきましては全国ばらばらなんです。1民生委員当たり、個人にわたるものじゃなしに、その民生委員の方々が地域で活動するために出すものでございますが、これを見ますと、民生委員1人当たり、高いところで1万円、低いところではいろいろあるんですが、一番高いところでは栃木県で1万903円、富山県は3,000円であります。民生委員の方々に聞きますと、こういった会合がたくさんありまして、こういった活動ではなかなか十分ではないという意見もございます。
こういった点について、ぜひゴールドプランを達成する意味におきましても、その中心を担っております民生委員が名誉職というのは、恐らく昔のイメージから発想しているんじゃないかと思うんですが、今日名誉職が持つ意味は何か片手間であるというふうな印象を受けるわけでありますが、そういったものではないと思いますので、ぜひ民協活動費等についても十分配慮していただくように要望申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
63 沼田委員長 渡辺委員の質問は以上をもって終わりました。
暫時休憩いたします。
午後の会議は1時に開会いたします。
午後0時10分休憩
午後1時05分開議
横田委員の質疑及び答弁
64 北島副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
横田委員。あなたの持ち時間は60分であります。
65 横田委員 お昼の時間も終わりまして昼食も終わりました。そろそろ眠くなるような時間帯でありますが、しっかりとお聞き願えれば大変ありがたいと思っております。よろしくお願いをしたいと思います。
まず質問に入る前に、ここにおられる皆様方は裁判官になったつもりで、私、今から少し頭の体操といいましょうか、ゲームまでいきませんが少し設問を申し上げますので、どうぞ裁判官になったつもりでお聞き願いたいと思っております。
1つの問題を提起します。問題となったのは、バドミントンセットのことであります。このバドミントンセットは香港からの輸入品でありますが、輸入業者が不明のために税関で公売処分にしました。そしてその後、販売業者X氏の手を経てAさんが買い取りました。Aさんはこのバドミントンセットを買いましておいっ子のB君とC君にプレゼントしました。そしておじさんからもらったバドミントンセットを、バドミントンの通常どおりのやり方でおいっ子のB君とC君がおのおの遊んでおったわけであります。ところが遊んでいる最中にバドミントンのラケットのシャフトが抜けました。そしてそのシャフトが飛んでいきましてC君の目に当たったと、刺さったといいましょうか当たったわけでありまして、そしてそのおいっ子のC君は大変大きなけがをしたわけでありますが、このC君は、税関と業者を相手取って損害賠償の訴えを起こしたわけであります。これは実は神戸にあった話であります。これはまず1問目の設問であります。バドミントンセットの事故であります。
設問の2は、8歳の女の子が薄手の木綿地のネグリジェ姿のままでガスストーブの前でうずくまって暖をとっておりました。突然ストーブの火が急に大きくなり、そして着衣に引火して燃え上がりました。その8歳の女のA子というのは体に大変な大やけどをいたしました。そしてそのA子さんは、この事故は異常燃焼であるということで、ガスストーブの設計上、製造上または使用指示上に欠陥があることによるものであるということでメーカー側へ損害賠償を請求いたしました。これは東京であった話であります。
この2つの設問を今申し上げたわけであります。裁判官である皆様方がどういうふうにこの2つの問題を裁かれるのかということであります。最初に申し上げましたバドミントンセットのラケットの件でありますが、これは神戸地方裁判所に提訴されました結果、国及び業者に対して、治療費、医療費、弁護士費用など合計して50万円余りの支払いを命じたわけであります。いわゆる過失があったということであります。これは物を売る人は、売るかわりにいわゆる代引きとして現金をもらう、売り上げをもらうという裏腹に、その商品の安全配慮義務というのがあるそうであります。これは安全な商品でありますというそういう義務がついておるということで、いわゆる本件の事故に係る義務違反をしておるということで損害賠償の責任を負わなければならないということになったわけであります。事件の中身はそう難しくはないと思います。私も当然、買ってきたバドミントンのラケットが抜けて、そしてそのシャフトが目に当たれば、確かに商品の欠陥ではないかなということぐらいは何となしにわかるような感じはいたします。そして当然、売った人、それから贈ったおじさんにもその違反行為があるわけでありまして、おじさんにも何らかの責任があるというふうに記してあります。ですので、もちろん税関長も事故発生の予見の可能性というものをしなければならないということでありましたが、途中で税関長に対しては、上告審では過失がないということで責任の追及はなかったわけでありますが、一応物を売ったXさんに責任を負わされたということであります。
それから、後の設問のストーブの件でありますけれども、この件につきましては、そのストーブが異常燃焼であったかどうか甚だ疑わしいことであるというふうに記しております。そして異常燃焼がなくても、女のお子さんは着ていたネグリジェとストーブの位置関係次第で引火の可能性はいつでもあり得ると、異常な炎でなくても、通常の炎であっても距離が近ければ引火するということで、この1件は賠償責任がないということに断を下されたわけであります。このへんは大変難しい問題でありますが、設計上、製造上のミスであるかどうかということの捜査といいましょうか、そういったものの黒白をはっきりつけないことにはこの裁判の結果が出ないわけでありますが、結果的には、そういったことで結果が出たということであります。
今2つの例を申し上げましたが、このストーブとかバドミントンセット、この種の問題はまだ非常にわかりやすいわけでありまして、むしろわかりにくいのは健康食品とか化粧品とか、こういったものについては過失責任の是非は非常に難しい商品であるわけですが、今申し上げた2つのものについてすら非常に責任が問われるという状態と、何ら責任がないという状態に2つにはっきり分かれておるわけであります。
今申し上げたのは製造物責任法でありますが、いよいよ来年の7月から日本でこの法律が施行されるわけであります。今日までいろんな経過があったわけでありますが、そもそも本県には特に製造業者、あるいはまた加工業者も大変多いわけでありますが、来年からこの法律が施行されますと県下に大きな影響を与えると思いますが、まず商工労働部長にお聞きしたいんですが、どのように受けとめておられるのか、お答えを求めたいと思います。
66 佐藤商工労働部長 来年の7月から施行されます製造物責任法は、製品の欠陥から生じた被害の救済を迅速確実にするためのルールの整備を図ったものでありまして、社会の高度化、多様化、国際化の進展に対応し、安全で住みよい暮らしを実現する新しい製品安全対策と認識しております。
この法律におきましては、被害の救済対策として、今までの原告が製造業者の故意、過失を立証する過失責任の原則から、製品の欠陥を立証すれば足りる欠陥責任の考え方を導入しておりまして、製造業者などは、これまで以上に安全対策に留意する必要があると考えております。
ただいま申し上げましたように、この法律は、従来の民法の責任原則を転換しているために、企業の方々にとって大変不安感を持っていることにつきましては十分理解できるところであります。ただ、この法律の中身につきまして二、三申し上げますと、この製造物責任法の適用される対象物は、基本的に大量生産、大量消費される動産でございまして、不動産や電気、ソフトウェアなどの無体物は対象外である。さらに、製品の欠陥によりまして人的損害や物的損害、当該製品以外の物的な損害をもたらしたという場合、いわゆる拡大被害が生じた場合のみ対象になるわけでありまして、例えばその製品が本来の機能を発揮し得なかったと。しかし、物的、人的損害を与えないという場合には単なる品質の問題でありまして、これは製造物責任法の適用外でございます。その他中小零細な製品下請業者への配慮や、企業の研究開発などを阻害しないための免責事由、責任期間の制限などの措置も講じられているところでありまして、製造業者などの方々は、まずこの法律の内容を正確に理解していただくことが肝要かと考えております。
製造物責任法が施行されるに当たりましての企業の対策につきましては、企業がこれまでも、電気用品取締法や消費生活用製品安全法など、各種の製品安全法に基づき事業活動や安全対策を行っているところであるところから、これらの安全対策を製造物責任法の内容に沿って、製品の安全性の向上、表示、取り扱いの説明の充実など、事故の未然及び再発防止、並びに被害の迅速かつ確実な救済につきましての2つの対策を柱とする総合的な安全対策への充実拡充に努めていただきまして、製造物責任法をクリアしていただくことが肝要かと考えております。
県といたしましては、関係機関とも連携を強化しまして引き続き同法の円滑な実施のために製造業者などに対します啓発普及に努めてまいりたいと考えております。
67 横田委員 一般県民にとりましては、製造物責任法(PL法)と言っておりますが、耳なれない、まだまだ理解し得ない法律でありまして、今商工労働部長からもいろいろと説明がありましたが、極めて難しい面がたくさんあるわけであります。
ここに1つのデータがありますが、国民生活センターで把握している危害・危険情報は年間約6,000件余りあり、そして、このうちで人身に危害が及んだという危害情報は4,500件あるといったデータがあります。危害発生と危険発生とに分けておりますが、危害発生の一番高い製品は、まず第1位は化粧品であると、その次に第2番目は健康食品であると、そして3番目は美容品であると、4番目は医療機器であると、あとはいろんなものがありますが、我々素人といいましょうか、こういった今申し上げた商品に対する理解がほとんどないわけでありまして、その結果、ちょっとかぶれたとか、ちょっと皮膚に斑点が出たとか結果的にしかわからないわけで、壊れているものを直すというようなわけにはいきません。そういった危害発生の高いものは、なかなか理解しにくいものがあるわけであります。一方また、危険発生といいましょうか危害に対する危険度の高いものは、一番最初に自動車、2番目にテレビ、3番目に石油温風ヒーター、次に4位として電気洗濯機云々とあるわけでありますが、大体品物はわかるような気がするわけです。
そこで、実は約10年前ぐらいから一気にこの危害・危険情報が急増いたしております。10年前は大体2,000件ぐらいだったものが、今申し上げましたように既に6,000件をオーバーしておるというのが実態であります。このような実態から、県民に製造物責任法というものを十分知らしめておく必要があるんじゃないかなというふうに思っておるわけであります。現在、この件についてどのようなふうに考えられて、どのような計画を立てておられるのか、生活環境部長にお聞きしたいと思います。
68 炭谷生活環境部長 製造物責任法の正確な理解を通じまして、欠陥のある製造物による消費者被害を未然に防止するとともに、消費者被害を円滑かつ適切に救済するため、県民へ新しい制度への普及啓発は重要であると考えております。このため県におきましても、既に6月に、一般県民を対象としております消費者スクールにおきまして、「PL法と消費者保護」のテーマでもって啓発講座も開催をいたしたところでありますし、また毎月発行しております情報誌「くらしの情報とやま」というのがございますが、この8月号におきましてもこの製造物責任法の紹介をさせていただいておるところでございまして、来年7月の法施行に向けまして、さらに消費者説明会の開催なり、あるいは啓発パンフレットの作成等、各種の啓発事業を積極的に実施してまいりたいと考えております。
69 横田委員 ぜひ、限られた時間の中で県民に十分な啓蒙を図っていただきたいなというふうに思っています。一方、PL法とは何かということを今一生懸命研究している最中の企業がたくさんあります。そして、なかなか理解しにくいなという企業者もおられます。しかしながら、今や避けて通れない問題でございますので、いろんな指導体制といいましょうか、講習会、研究会といったものも当然開催されてくると思いますが、現時点で県当局として何かそういったようなアクションを起こしておられるのかどうかお伺いしたいと思います。
70 佐藤商工労働部長 製造物責任法の施行に向けまして、関係事業者は法の内容を熟知するとともに、消費者に損害が生じないように適切な対応をとる必要がございますが、とりわけ中小企業におきましては技術や資金などで対応に困る面があると考えております。
このため、本県におきましてはこれまでも、富山技術開発財団や商工会議所、商工会におきまして、各種講習会や研修会の開催、また機関紙への掲載などによりまして、製造物責任法の内容及びその対策について周知を図っているところでございます。さらに国におきましても、今年度、製造物責任法の制度内容を周知徹底するためのパンフレットの作成や専門家の派遣などによります製品安全対策に関する現地指導などを行うこととしております。
県といたしましても、今年度、富山県産業情報センターにおいて、中小企業事業団とともに中小企業製品安全対策セミナーを開催し、製造物責任法の内容とその対策などについて周知徹底を図りたいと考えているところでございます。
今後とも、工業技術センターや産業情報センター、さらには商工会議所、商工会、中小企業団体中央会などの中小企業関係団体、技術開発財団などと連携を図りながら、あらゆる機会をとらえまして啓発と指導を行い円滑な法施行に向けて努力をしてまいりたいと思っております。
71 横田委員 そろそろ県当局もいろんな形で計画され、そしてアクションを起こされつつあるというような状況であります。各企業はいろんな面でPL法について今不安感がいっぱいでありますので、ぜひ積極的な県当局の指導をお願いしたいと思っております。
先ほど全国的なデータの中で、危害、危険をひっくるめて年間6,000件ほどあるというふうに申し上げておりましたが、それでは本県において、今日までそのようなたぐいの事故が何件ほどあったものか、もしわかれば教えていただきたい。そして、その後の処理についてどういうふうになされたのか、わかればお聞きしたいと思います。
72 炭谷生活環境部長 県におきましては、従来から消費生活センターを中心に消費者から製品に関する苦情等を受け付けているところでございますが、この新しい製造物責任法の要件に該当する事例であるかどうかは定かではございませんが、製品の使用によって人身に被害を生じたと、こういう苦情相談はここ3年間で年間20件前後ございます。これらの相談につきましては、ほとんどが原因究明あるいは検査分析までに至らずに、業者と被害者との間で話し合いにより解決されておると、こういう実情でございます。
73 横田委員 今は、部長の答弁ではここ3年間で年間20件ほどあるということでございます。これは人身事故絡みでございますので、このように苦情としてあったと思いますが、おそらく危害発生というような件数はこのほかにもっとたくさんあるんじゃないかなというふうに推測されるわけでありますが、いずれにしても、毎年毎年この種の事故が絶えることなくあるということであります。特に来年の7月以降については、おそらく数多くの訴訟問題が発生するんじゃないかなというふうに予測されるわけであります。アメリカ及びEC諸国はPL法を早くから制定して訴訟社会に対応しておりますが、そういった訴訟社会であるアメリカあるいはEC諸国と違って、我が国は、そのへんはうまく機能していくのかどうか大変心配されるわけでありますが、それに対する対応システムの確立というものが当然必要だろうと思いますけれども、まだまだそういった対応もできていませんし、また日本の場合、その訴訟ということについてあまりなじみがないといいましょうか、訴訟ということは大変なことであるということでありますので、簡単に弁護士さんのところへ行ってひょっと対応するというようなアメリカ社会じゃなくて、日本の場合は訴訟ということについては大変ふなれであります。あるいはまた、そういう訴訟費用をかけて消費者は大変困難な環境に置かれるんじゃないかなというふうに思っておるわけであります。こういった点についてどういうふうに受けとめられるのか、再度生活環境部長にお聞きしたいと思います。
74 炭谷生活環境部長 この製造物責任法が施行されますと、生命や身体に対する重大な侵害等の被害が大きいものにつきましては一定の効果も期待されるわけでありますが、消費者の側から見た場合、訴訟に要する時間的あるいは経済的負担というものを考えますと、比較的少額の被害をいかに救済するかということが課題として残っておるかと思っております。また、欠陥の存在などにつきましても、この被害者ができるだけ容易に証明できるという体制づくりも必要かと考えておるわけであります。このため、製品の欠陥に起因する消費者被害を救済するため、製造物責任法の制定とあわせまして、少額の被害等に係る裁判外における紛争処理機能の充実や、あるいは被害者の利用しやすい原因究明体制を整備することが必要であるとされておるわけでございます。
国におきましても、現在この点につきまして、国民生活センターの充実などを図ることといたしておるわけでございますが、県といたしましても、消費生活センターにおきます相談員の資質の向上、あるいは商品テスト機器等の整備充実を図りますとともに、現在ある苦情処理委員会を機動的に活用するなど、裁判外におきます紛争処理や原因究明体制の充実に努めてまいりたいと考えております。
75 横田委員 この原因究明をするシステムあるいは施設の充実は、今から極めて大切であろうというふうに思います。ぜひ一日も早くその対応をお願いしておきたいなというふうに思います。特にこれは、企業側と消費者と行政の三者一体で処理されていくものと思います。そういった意味で、そういった危害の情報システムというものを早く整備すべきだろうと思います。何しろ来年の7月スタートでありますから、先ほども申し上げましたように本県は物づくりの県でございますので、他県よりも早くそういった情報システムの整備というものを確立すべきではなかろうかなというふうに思います。
今、特に価格破壊という国際社会の中で大変な企業戦争になっておるわけでありますが、特に日本の場合は、今や世界の中で賃金が一番高い国になってしまいました。価格のコスト低減化というものが非常に困難な国になってしまいました。そういうことからどうしても海外シフト、外国の安い労働力に依存しなければなかなか困難になってきたというそういった国際競争社会の中で、ある意味では大変あえいでおるわけであります。
そういう悪条件の中で来年7月からPL法が施行されるわけでありますが、おそらくますます新商品、新製品の開発には十分そういった安全性というものを考える中で、大きな開発費がかかるだろうと、また当然製品の単価はコストアップにつながるだろうと、今の世の中の価格破壊と逆にいくような感じがするわけでありますけれども、こういった点について商工労働部長はどのようにお考えかお伺いしたいと思います。
76 佐藤商工労働部長 新製品の研究開発につきましては、これまでも企業側としては、消費者の安全確保を重点としまして、各種の製品安全法や独自の社内規格をクリアしながら活発な研究開発をし成果を上げていると認識をしております。また、既に欧米先進諸国では消費者保護の立場から無過失責任制を採用しました製造物責任法が施行されていることもありまして、これまでも、我が国の輸出を担当する企業は、その規制を十分満足すべき新製品開発を行い、欧米諸国に対して輸出を行っているところであります。
ただ、このたび新しく国内で施行されます製造物責任法では、この研究開発及び技術革新について配慮しておりまして、研究開発及び技術革新を阻害しないようにするため、具体的には、製品引き渡し時の価格、または技術で欠陥が認識できなかったことを証明できれば免責をされます開発危険の抗弁や、中小零細企業の部品原材料製造業者が親企業の設計に関する指示に従って製造した場合の当該中小企業の責任を免除する規定などを定めているところでございます。
製造物責任法の施行に当たりまして、本県の企業は、これまで以上に製品の安全性の向上、表示、取り扱いの説明の充実など、製品事故の未然防止、再発防止対策が求められていることと考えておりますので、県といたしましては、高度技術情報化促進資金や新事業展開支援資金など、各種の融資制度や工業技術センターを中心とした技術相談、技術指導、技術アドバイザー派遣事業などを充実強化しまして、企業の新製品開発の取り組みを支援してまいりたいと考えております。
77 横田委員 今、中国とか韓国あるいはベトナム、フィリピン、マレーシアへどんどんと企業は安い人件費を求めて海外シフトして行っております。そういったアジア、オセアニアの中でPL法を設定施行しているところはどこにもございません。どこにもないということは大変危険なことでもありますので、ぜひ早急に対応すべき必要があるだろうと思っております。
次に、今いろいろと物づくりの中に出てくる商品のことを申し上げておったわけでありますが、それでは、農林水産物における製造物責任というのはどのようにとらえていけばいいのか、農林水産部長にお聞きしたいと思います。
146 望月土木部長 国道41号の高規格化につきましては、この路線が高山市で中部縦貫自動車道に接続し、首都圏への最短ルートを形成することから極めて重要な路線と考えておりまして、富山-高山間が地域高規格道路に指定されるよう、岐阜県や同盟会等とともに建設省に対し強く要望しているところであります。
これまで全国から出された要望は非常に多いと聞いておりますが、現在、建設省では指定の具体的な手順や規模、時期等について検討されているところでありまして、現段階では本県の要望路線の指定について見通しを立てることは難しい状況にあります。
また、富山新港から北陸自動車道小杉インターへアクセスする道路といたしましては国道472号線がありますが、さらに委員御指摘の七美太閤山高岡線も重要な路線であることから、現在JR北陸本線との立体交差などの検討を鋭意進めているところでありまして、今後とも早期事業化に向けて努力してまいりたいと考えております。
147 東保委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
今、このTSLの誘致は、本県が環日本海の交流拠点として、一生懸命知事さんがこのTSLの誘致期成同盟会の会長として頑張っていただいております。私は、この伏木富山港が寄港地として指定を受けるためには、環日本海の中でやはり一番大きなライバルは新潟港、そして敦賀港ではないかと思っております。敦賀港は近畿圏──大阪、神戸、京都、そして中京の名古屋と非常に近距離にございます。それから、新潟は本県から見ますと京浜、東京地区に非常に近い。そういう点で伏木富山港は、北海道、九州便のフェリーなんかの動向を見てみましても、若干弱いような気がいたします。そういうところでぜひ本県がこのTSLを誘致するためには、やはり別の観点からアピールしなければいけないというふうに感ずるわけでございます。
特に、この三大都市圏と非常に等距離にあることと、あるいは九州、北海道とも等距離にあるというそういうメリットを生かす荷物の取り扱いを目指さなければならないというふうに感ずるわけでございます。大量の単品の輸送には、現在の敦賀とか新潟に負けるかもしれませんけれども、多品種の少量の荷物をまとめて分散するという、いわゆる宅急便方式が非常に有利ではないか。あるいは対岸諸国を相手にした宅急便関係みたいな形のもので、我々の伏木富山港がこれから非常に有利な荷物の取り扱いをしなければならないというふうな感じも受けるわけでございます。
そういうものを踏まえながら、ぜひこのTSLが伏木富山港に就航できるように、知事さんに強力に働きかけていただきたい。これが将来の富山県の輸送と物流の大きな発展のかぎを握っているような感じがいたしますので、知事さんにその誘致に対する取り組みの気持ちを、本会議でもおっしゃっていただきましたが、改めてお聞かせをいただきたいと思います。
148 中沖知事 テクノスーパーライナーにつきましては、新潟港、敦賀港をはじめ、全国の多くの港で誘致に向けて運動が進められております。本県といたしましては、伏木富山港が他の港にないすぐれた優位性を持っておるわけでありまして、こうした優位性を関係機関に訴えてまいりたい、このように思っております。特に北海道や九州の港湾との連携を強めながら、すぐれた伏木富山港の地位を強力にPRしてまいりたいと、このように考えております。
それからまた、従来から進めておりました物流適合貨物の調査研究につきましても引き続き幅広く進めていきたいと、このように思っております。
さらに現在、模型船が実験航海をしているわけでありますので、こうした模型船が伏木富山港へ寄港をしてもらうということにつきまして、これから積極的に働きかけてまいりたいと考えております。これがもし実現いたしますと、本県が進めております運動の機運を高めることにもなりますし、また県民の関心も一段と高まるものというふうに考えておるわけでありまして、関係の皆さん方と一緒に強力に進めてまいりたいというふうに思っております。
いずれにいたしましても、テクノスーパーライナーの誘致は本県が環日本海交流の中核拠点となるという意味におきまして、重要かつ不可欠であるというふうに思っております。今後とも県議会、市町村、経済界などと一体となりまして、一日も早い本県における就航実現に全力を挙げて努力してまいりたいと考えております。
149 東保委員 力強い決意をいただきましてありがとうございます。本県の物流、そしてまた将来の対岸交易にとりまして、このテクノスーパーライナーの就航というのは大きなインパクトを与え、発展につながるものと思います。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
時間がなくなってまいりましたが、次の質問に入らせていただきたいと思います。
日本海ミュージアム構想ということで二、三お聞かせいただきたいと思っております。
日本海ミュージアム構想は、海王丸を中心に非常にすばらしい整備をされておりまして、富山県の一大観光地となってまいりまして、年間70万人近くの方が訪れられると聞いております。最初の大阪との激しい誘致合戦で知事さんの持ち前のバイタリティーで富山県に誘致していただきまして、本当にありがとうございました。そして、今ごろは大阪市へ寄港していなくなるのでございましたが、昨年も知事さんはじめ、国会の先生方のお力添えによりまして本県に恒久展示されることになりまして、本当に喜んでいる次第でございます。
今、この海王丸も定期点検で10月から来年の3月までドック入りするわけでございます。最近非常にたくさんのお客さんがおいでになりまして、知らない方は、海王丸がおらんということにもなるんじゃないかと思いますが、この間の海王丸パークのにぎわいに対して何かお考えがありましたら聞かせていただきたいと思います。
150 市丸企画部長 ただいま御指摘のとおり、帆船海王丸はこの10月6日から来年の3月いっぱいまでドックに入る予定でありまして、海王丸パークでは一時不在ということになるわけでございます。
そこで、この海王丸パークにおきますにぎわいにつきましては、従来とも海王丸に加えまして、日本海交流センターやピクニック広場、さらには各種商業施設などが相乗効果を発揮して、家族連れをはじめとする多様な集客を確保してきたところであります。
こうしましたことから、県といたしましては本年7月、日本海交流センターに世界の帆船模型10隻を展示したところでありまして、海洋、海事思想の一層の普及を図るとともに、海王丸不在時の集客の一助にもしていきたいと考えておるところであります。また、来る10月27日には帆船日本丸の富山新港への入港が予定されておりますほか、産業海鮮まつり等の地元行事、あるいはまた子供向けキャラクターショーの開催など、にぎわいにつながる各種事業が実施されることとなっておるところであります。
151 東保委員 海王丸がいなくても新日本丸が来るということでございますので、よろしくまたお願いしたいと思います。
それから、この海王丸の
ボランティアの人たちに今帆を上げていただいておるわけでございますが、これは大体月に1遍ということで、旅から来られた方が、「ありゃ、帆上がっとらん」ということで寂しく帰られるのが多いと聞いております。やはり月に2遍ぐらい帆を張ってあげたいというふうな気持ちがございます。今現在、帆船
ボランティアには356名の方が登録されておられます。男性256名、女性100名ということで少し高齢化もしているんじゃないかというような話もございまして、新たな若い人たちの
ボランティアの参加が求められているわけでございます。もちろん地元の新湊市もいろいろと積極的に取り組んでいるようでございますが、県におかれましてもぜひひとつ積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
152 市丸企画部長 帆船海王丸につきましては、「海の貴婦人」と呼ばれる優美な姿を県民の皆さんに親しんでもらうため、年間10回程度の総帆展帆を行っています。この総帆展帆に当たりましては、県民の幅広い層から応募されました展帆
ボランティアの方々の御協力をいただいておるところであります。1回の展帆には90名前後の
ボランティアの参加が必要でありますが、委員御指摘のとおり、現在356名の方々が
ボランティアとして登録されております。本年度から海王丸が本県において恒久的に係留展示されることとなったことに伴いまして、意欲ある新しい人材の参加を得ながら、長期的な展帆体制を確立したいと考えておりまして、さらに
ボランティアの確保と育成を図っていく必要があると考えております。
こうしましたことから、今後は、財団におきまして実施してきた新聞、テレビ等を利用しました従来の募集方法に加えまして、企業、団体等の職場や大学などを訪問しての募集を行うなど、さらに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
153 東保委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
時間もなくなってまいりましたので、4番は省きまして3番だけで終わりたいと思います。
3番は、この日本海ミュージアム構想の中に日本海博物館が構想されまして、2年ほど前からいろいろ検討されまして中間報告も出たと聞いております。しかも、この4月の機構改革で日本海政策課という新しい課ができまして、そこでいろいろ御検討をいただいておると聞いておりまして大変喜んでおるわけでございます。この日本海博物館は日本海ミュージアム構想の一番大きな核であり、そして目玉の施設ではないかと思っております。海王丸とタイアップしてこの施設ができることによりまして、一層の集客と、そしてまた感動を与えるんじゃないかと思っております。
そこで、この博物館の現在の取り組み状況と、そしてまたこの展示館に必要な資料の収集につきましてもいろいろとお骨折りをいただいておると聞いておりますので、その状況をお聞かせいただきたいと思います。
154 市丸企画部長 仮称でありますが、この日本海博物館につきましては、昨年8月基本構想報告書が県に提出されたところであります。この報告書におきましては、新たな環日本海文化の創造と育成を目指すことを基本理念とし、富山湾や環日本海地域の過去、現在、未来と各地域間のかかわりについて楽しく学べる新しいタイプの博物館とすることが提案されております。
本博物館の具体的内容につきましては、この日本海ミュージアム構想において整備が予定されておりますいろいろな施設との整合性を十分考慮し、より充実したものとする必要があると考えております。こうしたことから現在、博物館以外の民間活力を生かした施設等の整備に向けた取り組みを進めているところでありまして、その方向性もある程度見きわめたうえで博物館の基本計画を策定することといたしたいと考えております。
また、日本海博物館の展示資料につきましては、基本構想報告書におきまして、日本海や富山湾に関する自然、歴史、文化等について日本海学の殿堂にふさわしい内容のある各種資料の収集保管に努めることとされております。県といたしましては、平成3年度から学術論文等の文献調査を開始するとともに、平成5年度におきましては資料調査員を設置し、民俗分野における資料の情報収集に着手し、資料の所在調査や確認等の業務を行ってきているところであります。また、本年度に入ってからは、資料調査の対象分野を拡大しまして、民俗に加え、考古、歴史等の人文科学分野、生物、地学、海洋等の自然科学分野に関する資料調査員を委嘱し、現在18名の資料調査員により幅広い情報収集に努めているところであります。今後さらに資料調査対象分野の拡充なども図っていきたいと考えて思います。
155 東保委員 時間がなくなりましたので、以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。
156 沼田委員長 東保委員の質問は以上をもって終わりました。
これをもちまして本委員会の質疑は全部終了いたしました。委員各位におかれましては長時間御苦労さまでした。
終わりに、本委員会の運営に終始御協力を賜りました議員各位、県当局及び報道関係の各位に対し深く敬意を表します。
これをもって平成6年9月定例会の
予算特別委員会を閉会いたします。
午後4時19分閉会
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