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09月30日-一般質問-03号

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  1. 新潟県議会 2022-09-30
    09月30日-一般質問-03号


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    令和 4年  9月定例会 本会議令和4年9月30日(金曜日)  議事日程 第3号    午前10時 開議第1 第97号議案から第104号議案まで第2 第107号議案から第109号議案まで第3 県政に対する一般質問本日の会議に付した案件 日程第1  第97号議案 決算の認定について(令和3年度電気事業会計工業用水道事業会計工業用地造成事業会計)  第98号議案 決算の認定について(令和3年度新潟東港臨海用地造成事業会計)  第99号議案 決算の認定について(令和3年度病院事業会計)  第100号議案 決算の認定について(令和3年度基幹病院事業会計)  第101号議案 決算の認定について(令和3年度流域下水道事業会計)  第102号議案 新潟県電気事業利益剰余金の処分について  第103号議案 新潟県工業用水道事業利益剰余金の処分について  第104号議案 新潟県流域下水道事業利益剰余金の処分について 日程第2  第107号議案 令和4年度新潟県一般会計補正予算  第108号議案 令和4年度新潟県災害救助事業特別会計補正予算  第109号議案 令和4年度新潟県電気事業会計補正予算 日程第3 県政に対する一般質問(冨樫一成君、池田千賀子君、小泉勝君、松原良道君、小島晋君、中村康司君)   ――――――――☆――――――――出席議員(51名)          河原井 拓 也 君  小 山 大 志 君  中 川 隆 一 君  高 見 美 加 君          保 坂 裕 一 君  与 口 善 之 君  桜 庭 節 子 君  斎 京 四 郎 君          中 村 康 司 君  松 原 良 道 君  笠 原 義 宗 君  高 橋 直 揮 君          宮 崎 悦 男 君  青 柳 正 司 君  横 尾 幸 秀 君  皆 川 雄 二 君          冨 樫 一 成 君  楡 井 辰 雄 君  小 島   隆 君  佐 藤   純 君          桜 井 甚 一 君  岩 村 良 一 君  尾 身 孝 昭 君  柄 沢 正 三 君          小 野 峯 生 君  帆 苅 謙 治 君  渡 辺 惇 夫 君  石 井   修 君          樋 口 秀 敏 君  小 島   晋 君  池 田 千賀子 君  上 杉 知 之 君          大 渕   健 君  長 部   登 君  小 山 芳 元 君  小 泉   勝 君          杉 井   旬 君  重 川 隆 広 君  秋 山 三枝子 君  片 野   猛 君          市 村 浩 二 君  安 沢 峰 子 君  遠 藤 玲 子 君  星 野 伊佐夫 君          青 木 太一郎 君  佐 藤 浩 雄 君  小 島 義 徳 君  佐 藤 久 雄 君          渡 辺 和 光 君  飯 野   晋 君  堀  勝重 君議員以外の出席者  知事         花角 英世 君  副知事        佐久間 豊 君  副知事        橋本憲次郎 君  知事政策局長     森永 正幸 君  総務部長       小岩 徹郎 君  環境局長       玉木有紀子 君  防災局長       原  直人 君  福祉保健部長     松本 晴樹 君  産業労働部長     金井 健一 君  観光文化スポーツ部長 妹尾 浩志 君  農林水産部長     小幡 浩之 君  農地部長       登り 俊也 君  土木部長       金子 法泰 君  交通政策局長     佐瀬 浩市 君  会計管理者兼出納局長 太田 勇二 君  病院局長       山﨑  理 君  企業局長       樺澤  尚 君  教育長        佐野 哲郎 君  人事委員会事務局長  遠山  隆 君  警察本部長      山田 知裕 君  労働委員会事務局長  須貝 幸子 君  監査委員事務局長   山田富美子 君   ――――――――☆―――――――― △午前10時開議 ○議長(小島隆君) これより本日の会議を開きます。   ――――――――☆―――――――― △日程第1 第97号議案から第104号議案まで ○議長(小島隆君) 日程第1、第97号議案から第104号議案までを一括して議題といたします。 企業会計決算審査特別委員長の報告を求めます。中村康司君。   〔中村康司君登壇〕 ◆中村康司君 企業会計決算審査特別委員会に付託されました企業会計決算関係8議案の審査経過並びに結果について、御報告申し上げます。 この8議案につきましては、いずれも去る6月定例会において、継続審査となり、閉会中審査を重ねてまいりましたが、9月29日にその審査を終了したものであります。 以下、審査の過程で述べられた主な意見について申し上げます。 まず、病院事業会計として 県立病院については、収支改善の取組などにより内部留保資金の枯渇を先送りできたものの依然として厳しい経営状況に変わりはないので、持続可能な病院運営に向けて引き続き経営改善に努めるべきとの意見。 次に、電気事業会計として 電気事業については、発電所の大規模改修工事により前年度に比べ純利益は減少したものの発電実績は好調に推移しているので、増収が期待できる売電入札の実施など収益確保に向けて一層取り組むべきとの意見。 以上が、審査の過程で述べられた主な意見の概要であります。 次に、議案採決に先立ち、各党の党議結果並びに無所属委員の検討結果の報告を求めたところ、各党・無所属委員とも全議案いずれも原案賛成というものであります。 次いで採決を行い、全議案とも原案のとおり認定または可決すべきものと決した次第であります。 以上をもって、報告といたします。 ○議長(小島隆君) これより採決いたします。 まず、第99号議案を採決いたします。 本案の委員長の報告は認定であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕 ○議長(小島隆君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり認定いたしました。 次に、第97号議案、第98号議案及び第100号議案から第104号議案までを一括して採決いたします。 7案の委員長の報告はいずれも認定または可決であります。7案を委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(小島隆君) 御異議なしと認めます。よって、7案は委員長報告のとおり認定または可決いたしました。   ――――――――☆―――――――― △日程第2 第107号議案から第109号議案まで ○議長(小島隆君) 日程第2、第107号議案から第109号議案までを一括して議題といたします。 まず、建設公安委員長の報告を求めます。中村康司君。   〔中村康司君登壇〕 ◆中村康司君 建設公安委員会における付託議案のうち、第107号議案及び第109号議案の審査結果について、御報告申し上げます。 まず、議案採決に先立ち、各党の党議結果並びに無所属委員の検討結果の報告を求めたところ、各党・無所属委員とも両議案、いずれも原案賛成というものであります。 次いで採決を行い、両議案とも原案のとおり可決すべきものと決しました。 以上をもって、報告といたします。 ○議長(小島隆君) 次に、産業経済委員長の報告を求めます。斎京四郎君。   〔斎京四郎君登壇〕 ◆斎京四郎君 産業経済委員会における付託議案のうち、第107号議案の審査結果について、御報告申し上げます。 まず、議案採決に先立ち、各党の党議結果並びに無所属委員の検討結果の報告を求めたところ、各党・無所属委員とも原案賛成というものであります。 次いで採決を行い、原案のとおり可決すべきものと決しました。 以上をもって、報告といたします。 ○議長(小島隆君) 次に、厚生環境委員長の報告を求めます。笠原義宗君。   〔笠原義宗君登壇〕 ◆笠原義宗君 厚生環境委員会における付託議案のうち、第107号議案及び第108号議案の審査結果について、御報告申し上げます。 まず、議案採決に先立ち、各党の党議結果並びに無所属委員の検討結果の報告を求めたところ、各党・無所属委員とも両議案、いずれも原案賛成というものであります。 次いで採決を行い、両議案とも原案のとおり可決すべきものと決しました。 以上をもって、報告といたします。 ○議長(小島隆君) 次に、総務文教委員長の報告を求めます。高橋直揮君。   〔高橋直揮君登壇〕 ◆高橋直揮君 総務文教委員会における付託議案のうち、第107号議案の審査結果について、御報告申し上げます。 まず、議案採決に先立ち、各党の党議結果並びに無所属委員の検討結果の報告を求めたところ、各党・無所属委員とも原案賛成というものであります。 次いで採決を行い、原案のとおり可決すべきものと決しました。 以上をもって、報告といたします。 ○議長(小島隆君) これより採決いたします。 まず、一般会計補正予算、すなわち、第107号議案を採決いたします。 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(小島隆君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。 次に、特別会計及び企業会計関係予算2件、すなわち、第108号議案及び第109号議案を一括して採決いたします。 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
    ○議長(小島隆君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告のとおり可決いたしました。   ――――――――☆―――――――― △日程第3 県政に対する一般質問 ○議長(小島隆君) 日程第3、県政に対する一般質問を行います。 順次、発言を許します。 まず、冨樫一成君の発言を許します。冨樫一成君。   〔冨樫一成君登壇〕(拍手) ◆冨樫一成君 自由民主党の冨樫一成でございます。通告に従い、一般質問をさせていただきます。 まず、県北の豪雨災害についてであります。 去る8月3日から4日にかけ、県北地域を襲った豪雨災害により甚大な被害に見舞われましたが、あれから約2か月が経過し、少しずつ元の生活に戻りつつあります。 通行規制されていた国道113号線については、一昨日、全面規制解除となりました。また、発災直後は無理と言われていた稲の収穫も無事に行われており、浸水被害が深刻であった坂町駅前についても、被災したお店が少しずつ営業しつつあります。 見た目は順調に回復しつつあるように見えますが、まだまだ被害は深刻で、浸水した住宅については、原材料不足から自動車や電化製品の供給が間に合わず、復旧・復興の大きな妨げとなっております。 また、商店街についても、再開したお店がある一方で、再開希望があるにもかかわらず、そのめどが立たないお店や、再開を断念し、廃業を余儀なくされているお店もあることから、商店街全体で営業再開の喜びを共有できないジレンマを抱えております。 また、農業被害、特に農業機械が浸水し、動かなくなったものも多く確認されており、来年度以降の離農を考えている農家も決して少なくないと仄聞しております。 このように、復旧・復興は道半ばであり、今後、秋から冬に季節が変わっていく中、ますます復旧・復興の速度が減速するのではないかと懸念するところであります。 さて、この質問については村上市旧荒川町についての質疑が中心となります。胎内市選挙区選出の私が、なぜこの村上市旧荒川町のことについて質問するのか、まずこのことについて説明をさせていただきます。 私は、胎内市切田という地区に住んでおります。切田というのは、「大切」の「切」に「田んぼ」の「田」という漢字を書きます。この切田地区というのは、村上市旧荒川町と胎内市旧黒川村にまたがる集落で、世帯数96戸の集落であります。この96戸のうち2戸だけが胎内市で、大半の94戸が村上市であります。 ちなみに、胎内市側の隣、私の隣の家ですが、私の家から約500メートル以上離れた場所にあります。 このように、我が家の生活圏は旧荒川町にあり、地域のお祭りも村上市切田の神社で行いますし、いわゆる本家、分家の関係は村上市にあります。 また、保育園から坂町保育園、保内小学校、荒川中学校、おまけに高校は村上高校に通っていたこともあり、幼い頃からの同級生などは、ほぼ村上市旧荒川町におります。 親戚も旧荒川町や関川村に多く、関川村の加藤村長の奥様とは遠い、遠くもないですね、親戚筋に当たります。長くなりましたが、こうしたことで今回の質問に至っております。 こうした特殊事情を抱える我が家でありますが、我が家のすぐそばには村上市の防災無線があります。また、我が家には胎内市の防災無線機器が備わっております。こうした状況にある中で災害が発生いたしました。 4日未明、2時頃だったと思います。すさまじい雨の音で目を覚ましました。自主防災組織は村上市切田に属する我が家には、村上市と胎内市のハザードマップの両方が存在します。テレビには、昨日から降り続く雨の映像や災害情報が流れております。 私は、旧荒川町の高低差は何となく肌感覚で熟知しており、ハザードマップから坂町駅前が浸水しているのではないかと仮説を立てておりました。一方、旧黒川村については故伊藤孝二郎元村長が徹底した治水対策を施していたのを目の当たりにしているため、漠然とした安心感がありました。 明け方、恐らく4時半頃だったと思います。ようやく辺りが明るくなり、近所の状況を確認しました。我が家の周りは浸水していたため、車を使用することができず、走って坂町病院に向かったのが私の災害対応の第一歩でありました。ハザードマップでは浸水を想定していないはずの坂町病院でありましたが、1階は浸水したとのことでありました。 その後、坂町駅方面に向かいましたが、そこにはたどり着けないほどの浸水状況でありました。 その後、我が家に走って戻り、ようやく車で移動できる状況に落ち着いたことから、まずは胎内市を回り、被害状況を確認しました。 その後、被害の全体像をつかむために高速道路で村上市まで往復し、旧荒川町の惨状を確認しました。 おおよその被害状況を確認した後は、胎内市の災害対応については新発田地域振興局におおむね任せ、旧荒川町の対応にほぼ専念させていただきました。発災当日以降は、主に旧荒川町の知人、友人、親戚から様々な要望、意見を賜っていたためであります。 こうしたことから、現地の状況をつぶさに県災害対策本部に情報提供させていただき、このことに対し、花角知事はじめ県の職員の方々からは速やかに対応していただきました。心から感謝申し上げますとともに、復旧・復興にはまだまだ程遠い状況でありますので、引き続きの御支援をよろしくお願いいたします。 私が災害対応で最も懸念したのは、防災対応についての市町村の格差であります。先ほども触れましたが、我が家には胎内市の防災無線の機器がありますし、村上市の防災無線の外向きのスピーカーが我が家のすぐそばにあります。この村上市と胎内市の災害対応の差を我が家でリアルに感じ取ることができました。 胎内市は、3日の夕方には避難所を解除し、その後はレベル5の緊急安全確保情報が流れるまでは防災無線は全く流れませんでした。 一方の村上市は、外にある防災無線であり、雨音で何を言っているか分かりませんでしたが、3日の夕方以降も何らかの情報を出していたようでありました。後で分かったことでありますが、3日の午後8時以降に荒川周辺の住民に対し避難指示を出していたようであり、多くの方が避難していたようであります。 私は、村上市と胎内市の防災対応の差を目の当たりにしましたが、全く異なった対応に驚きの一言でありました。 このように、新潟県のどこに住んでも安全・安心に差があってはならないと考えます。今回の災害においても、例えば村上市と胎内市の境界では、同じ地域であっても市によって避難情報の発令時期が異なっており、危機管理に差が生じていたものと認識しております。 県では県内市町村における防災対応の格差について、どのように認識しているのかお伺いするとともに、格差是正に向けた今後の取組についてお伺いいたします。 未明により、辺りの状況が確認できない状況の中での災害対応でありましたが、私は防災アプリなど適切な情報ツールを把握していなかったため、テレビが唯一の情報源でありました。 私もそうでありましたが、切田集落の自主防災組織の総括でも話題に上ったのが情報ツールの在り方であります。今や市町村合併になり、行政単位が広域化したため、例えば気象庁の防災情報は市町村単位で行われております。村上市の旧山北町の県境から旧荒川町の胎内市との市境まで約60キロメートルほどあり、どの地域の災害情報なのか判断がつきかねます。このことから住民の災害対応時の判断に影響を与えるといったものであります。 このように、気象情報はほとんどが市町村単位のため、村上市など広域な自治体では、どの地域を指しているのか分からず、自身の住んでいる場所が危険か否かを判断しかねます。旧市町村単位での公表など、きめ細かな情報がなければ自主避難に至らないと考えますが、現状に対する認識についてお伺いいたします。 気象庁のキキクルや新潟県の防災アプリなど、デジタル技術を生かした防災情報ツールが普及しておりますが、情報の多様化により、利用者はどのツールが自分の欲しい情報にたどり着くのに適しているのか判断しかねるのではないかと考えます。 こうしたデジタル技術の活用は今後ますます重要となると思われますが、県民の的確な防災情報の入手に向け、県としてどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 さて、今回の災害対応では、人命救助のための初動態勢として、自衛隊に対する災害派遣要請が速やかに行われました。仮にこれがなければ、広域的かつ長時間にわたり浸水した旧荒川町は、大きな混乱を招いていたものと思っております。 繰り返しになりますが、このたびの災害では村上市荒川地区で内水氾濫が発生し、住民救助のための自衛隊による災害派遣が行われました。発災翌日の8月4日朝という、かなり早い段階で派遣を受けることができたのは、前日からの村上市による県への相談がきっかけとなり、自衛隊を含めた3者による連携が密に行われた結果と聞いております。この初動対応に対する評価についてお伺いいたします。 このたびの迅速な自衛隊派遣は、村上市による県への相談がきっかけでありますが、市町村からの相談がない場合でも、県としてその必要性があると判断した場合、県からこれを働きかけるべきと考えますが、認識をお伺いいたします。 特殊な環境に置かれた我が家でありますが、村上仕切田集落の上水道は荒川水系にありますが、胎内市切田の我が家を含む2戸は胎内川水系となっております。荒川水系は断水が長く続きましたが、幸い胎内川水系の我が家を含め2戸は断水することなく通常に水を使うことができました。こうしたこともあり、我が家と隣の家が村上市切田集落の給水所に指定されました。このように、被災地域の連接自治体による支援が、いかに重要であるか認識した次第であります。 そこで、村上市荒川地区では上水道施設の被災により1週間程度の断水が続きました。このような場合、飲料水やお風呂について、被害のなかった隣接自治体のフォローが極めて重要と考えますが、県の認識を伺います。 また、こうした対応を自治体同士で調整できればよいのですが、被災自治体ではこうした調整を行う余裕がないことも考えられることから、県が率先して仲介を行い、フォローする体制を構築すべきと考えますが、県の認識を伺います。 このたびの災害で様々な意見を頂戴いたしましたが、特に多かったのが、この地域に住み続けるのだから、今回のような豪雨があっても、このような惨状を招かないような治水対策を取ってほしいといった意見であります。こうしたことが頻繁に起こるようであれば、過疎化にもつながっていくものと思われます。 先月の新総合交通・防災対策特別委員会でも質問しましたが、今後、今回同様、局所的・記録的な大雨が発生した場合であっても、被害を最小限に抑える治水対策が必要と思われますが、県の認識をお伺いするとともに、今後どのような対策を図っていくのか、中長期的なスケジュール感も含め、お伺いいたします。 このたびの災害では、県管理道路の寸断により、村上市及び関川村の一部で一時孤立状態が発生いたしました。発生原因についてお伺いするとともに、ほかの県管理道路を含め、今後、一時孤立状態を発生させる可能性の高い県管理道路については、その状況に応じ抜本的な対策を進めるべきと考えますが、県の認識と今後の対策についてお伺いいたします。 今回の災害では、旧荒川地区の方々が多く被災しており、結果、旧荒川町在住の村上市職員の多くが被災したため、市の業務にも影響を与えたものと思われます。 災害時には、罹災証明書の発行や被災者住宅応急修理制度など、様々な窓口業務が発生し、平時の人員体制では業務をこなすことが困難と考えられますが、今回被災した市村の状況についてをお伺いいたします。 また、被災した市町村において、通常以上の事務量による人手不足が発生した場合、県及び県が仲介した他市町村の支援が重要と考えますが、県の認識と対応についてお伺いいたします。 災害時においては、消防・救急・救助の面で、市町村または一部事務組合のエリアを越えた消防機関の連携が重要であると考えます。このたびの災害において特段課題はなかったものと認識しておりますが、今後起こり得る広域災害を見据え、現在、連携体制がどのように構築されているのか、お伺いいたします。 家電、自動車の製品不足により、被災住民が日常生活を取り戻すまでの長期化が予想されます。また、農家や商店街の個人事業主の被災も多く、ほとんどが収入減やローン返済の悩みを抱えております。復旧・復興までの長期化や事業経営の悩みに対する精神的なフォローアップが必要と考えますが、県の認識と今後の対応についてお伺いいたします。 私の子供が通う黒川小学校では、毎年秋に防災の日を設け、防災教育を行っております。今年度は、国土交通省飯豊山系砂防事務所より、砂防ダムの模型で砂防ダムの機能を学んだり、新潟県の起震車をお借りして、地震の対応について学んだり、県庁土木部からは川についての講演を行っていただいたりと大変充実した防災教育プログラムであったことから、児童生徒もそうですが、先生も大変勉強になったと高い評価でありました。 そこで、学校現場における防災教育の重要性について認識をお伺いいたします。 また、行政の土木・防災部門や外部専門家などの協力により、分かりやすく、かつ興味を引き出す防災教育を行い、子供たちの防災意識をより向上させる必要があると考えますが、現状と今後の取組についてお伺いいたします。 さて、私の今回の復旧・復興の対応で一番最初に当たらせていただいたのが荒川頭首工の問題でありました。大きな土砂災害が確認された次の日の8月5日、私の同級生であり、県指導農業士会の副会長になっているひだまり農産、川村学代表から電話が入りました。今年の収穫ができなくなるかもしれないとの一報がありました。現地に入り確認をし、荒川頭首工の惨状を確認した次第でありまして、それからは登り農地部長とは様々なやり取りをさせていただきました。 不可能ではないかと思われた復旧作業についてでありますけれども、24時間体制で対応いただき、無事通水し、今も収穫作業が行われておりますが、心配することなく実りの秋を迎えることができました。登り農地部長をはじめ県農地部の皆様、また関係各位には心から感謝と敬意を表します。本当にありがとうございました。 ここからは、何点か農業関連の質問をさせていただきます。 このたびの災害で被災した農業者は、肥料をはじめとする資材費の高騰も併せ、今後、農業経営に与える影響が大きく、離農の増加が懸念されます。既にJA等に相談が寄せられているとも仄聞いたしますが、離農を含め相談内容の状況についてお伺いするとともに、県として今後の対策について併せてお伺いいたします。 被災地域において、離農者の農地等の受皿となる担い手農家や農業法人については、急激な規模拡大となり、資金や施設・機械・人員等が不足すると考えられます。県としてこの状況について、どのように認識しているのかお伺いするとともに、今後の対策について併せてお伺いいたします。 多くの農業者は農機具損害共済に加入しておりますが、ほとんどが火災共済であり、自然災害も対象となる総合共済への加入は少ないと仄聞しております。被災農業者が経営再建を検討するものの、結果として自己負担が莫大となり、離農の大きな要因になるとも考えられます。また、多額のローン返済を抱えている場合もあると考えられますが、こうした現状を県としてどのように認識しているのかお伺いするとともに、今後の対応について併せてお伺いいたします。 下流域の水害を軽減させるため、上流域で田んぼダムに取り組んでいる水田の中には、このたびの災害で畦畔が崩れるなど被害があったものと仄聞しております。これらの被災により、今後、田んぼダムへの協力を得にくくなることが懸念されますが、さらなる田んぼダムの普及に向けて、下流域の住民が上流域での田んぼダムの取組に対して理解を深め、上下流域が一体となって進めていくべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 冒頭にも触れましたが、被害が大きかった一つにJR坂町駅前の商店街が挙げられます。住む場所と働く場所を同時に失われた商店主も多く、発災直後は混乱状態でありましたが、今では懸命に前を向き、以前のような活況を取り戻すべく努力をしている姿には、こちらのほうが勇気をもらうほどであります。 また、若手経営者の中には、人口減少社会に対応するために、新たに全国に向けたネット販売を志すなど、高みを目指す経営者もおります。 こうした前向きな事業者に対し、県として伴走型で支援し、お金の支援だけでなく、経営面での支援を行い、持続可能なお店づくりに取り組んでいただくべきとの観点から質問をさせていただきます。 甚大な浸水被害に遭った坂町駅前などの商店は個人事業主が多く、復旧に多額な費用負担を強いられております。個人事業主の大半が自然災害に対応した保険に加入していない状況を踏まえ、被災個人事業主の事業再開に向けた現状をどのように認識しているかお伺いするとともに、県としてどのように支援していくつもりなのか、併せてお伺いいたします。 被災した小規模事業者の事業継続や経営力強化には、地元商工会及び商工会議所による支援が重要であります。一方、両支援機関は限られた人員・予算の中、多様化・高度化する業務への対応や経営指導員の能力向上など、運営上の課題も多いと考えます。このたびの災害に限らず、被災小規模事業者支援における両機関に期待する役割について、県の認識をお伺いいたします。 このたびの被災を契機に、経営再建や経営基盤強化を目的とした事業承継を検討する事業者も出てくるものと考えられます。国が設置する事業承継・引継ぎ支援センターにおいては、中小企業診断士など士業団体との連携により、法務、会計、税務、経営などの専門家支援が実施されておりますが、経営基盤強化には、デジタル化の支援が特に重要と考えます。専門家支援の現状についてお伺いするとともに、これら専門家スキル向上に向けた県の取組についてお伺いいたします。 小規模企業の経営力強化にはデジタル化が特に重要でありますが、県内ではこれを支援する専門人材が不足しております。中でも経済産業省推進資格であるITコーディネーターについては、全国に約6,600人おりますが、県内には約60人しかいないと聞いております。県として専門人材の確保・育成に努めるべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 経営基盤の弱い小規模事業者においては、このたびの水害のような自然災害など、突発的な経営環境の変化に対応し、早期の事業復旧を可能とするための事業継続計画、いわゆるBCPの策定が重要であると考えます。県内の策定率は14%と依然として低い状況にあると認識しておりますが、策定に向けた県の支援についてお伺いいたします。 次の大項目でありますが、農業問題等についてであります。 食料自給率37%の日本でありますが、世界的な人口増加やロシアによるウクライナ侵攻など、食を取り巻く環境が著しく悪化したことから、食の安全保障の議論が国においても活発化しております。 しかしながら、現時点における来年度以降の作付について、私が知り得る限りはあまり進展が見られないように感じます。生産体制や機械の導入、種子の確保など、来年度の作付を考えるのであれば、現時点、いや、もっと早い段階から動いていなければ間に合わないと感じます。 米や大豆、小麦などの作物については、新潟県であれば、1年に1回の収穫でありますので、あっという間に年単位でこうした取組が遅れることになります。こうした懸念から、以下質問をさせていただきます。 食料安全保障について、ロシアによるウクライナ侵攻の影響や世界的な人口増加、バイオエタノール生産のための原料作物への転換、各国の経済情勢に加え、急激な円安により、一部食料品が他国に買い負けているとの報道もありますが、県として現状をどのように認識しているのか、お伺いいたします。 また、国は日本の食料安全保障を考え、長期的視点に立った農業政策を進めていくべきと考えますが、県の認識をお伺いいたします。 国は、各都道府県の気候や農機具等も含めた生産体制に応じ、小麦や大豆、飼料用作物等対象品目を選定し、責任を持って国全体の食料安全保障体制を確立していくべきと考えます。現時点での国並びに県の対応をお伺いするとともに、来年度の作付に向けた見通しについて併せてお伺いいたします。 本年6月定例会の一般質問において、食料安全保障を守るための持続可能な生産体制の構築について質問したところ、担い手への農地集積・集約や規模拡大、法人化等の構造対策と、新潟米や園芸等、基本戦略に基づく生産対策とを車の両輪として推進しながら、持続可能な生産体制の構築を進め、食料安全保障対策の確保に寄与していくとの答弁でありました。このことについて次年度に向けた取組の方向性をお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症の影響から、飲食店を取り巻く影響が大きく変化しております。夜の営業を中心とした飲食業については、絶対数が減ったことに加えて、以前2次会や3次会と利用したお客様が早めに帰宅するようになり、特に都会においてはその傾向が顕著のようであります。 新型コロナウイルス感染症による消費者の行動変容のため、首都圏の飲食店では夜の遅い時間での営業で客足が戻らず、またファミリーレストランの大量閉店が発生し、今後の飲食業界の再編も想定されます。県内においても同様の傾向にあるとも考えられますが、こうしたマーケットの変化を踏まえ、農産物の販売戦略を再構築すべきと考えますが、県の認識と対応についてお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症の影響により、日本酒の需要の落ち込みが顕著になっており、本県の酒造メーカーを悩ませております。 県内の酒販売業者や首都圏の飲食コンサルタントによると、日本酒について、原料や生産方法にこだわりを持つ酒蔵の戦略が奏功し、首都圏ではこうした酒蔵の銘柄をよく目にするとのことであります。 一方、県内の酒蔵でも原材料等にこだわりを持った生産をしておりますが、他県に比べて情報発信が弱いことや、大手大規模小売店や食料品以外の小売店で新潟清酒が販売されるなど、ブランド力の維持・向上が必要と考えます。 こうした新潟清酒のブランド戦略についてお伺いするとともに、日本だけでなくどのように世界に発信していくのか、このことについてお伺いし、私の一般質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 冨樫議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、市町村における防災対応の格差についてでありますけれども、防災対応は、市町村の地形や地質、気象などによって差が生じるものと承知しています。 県といたしましては、各市町村の防災対応の実情を踏まえ、広域自治体の立場から、総合防災訓練などを通じて、市町村の防災対応力の向上に向けて引き続き支援をしてまいります。 また、市町村が適切に避難情報発令の判断ができるよう、新潟地方気象台などと連携をし、会議や研修などを通じた情報提供などを継続して行ってまいりたいと思います。 次に、自衛隊の災害派遣についての評価でありますけれども、議員御指摘のとおり、8月4日の6時半の早い段階で自衛隊が災害派遣要請を受理し、村上市において、住民の安否確認や給水活動などに従事していただきました。 このたびの災害においては、平時から自衛隊と顔の見える関係を構築していたことや、県及び市の対策本部へ自衛隊員を派遣し、常駐していただいたことで、自衛隊・県・市の3者が密に連携をし、情報共有を図れたことなどが、迅速な対応につながったものと考えています。 次に、自衛隊派遣に関する県から市町村への働きかけについてでありますが、自衛隊の派遣には、緊急性・公共性・非代替性の3要件を満たす必要があることから、最も現地の状況を把握している市町村が、支援の内容等を明確にした上で、県へ要請を求めることとされています。 派遣要請の手続や具体的な事例については、毎年、市町村長を対象とした危機管理トップセミナーなどの場を通じて周知を図っているところです。 なお、災害発生時において、市町村からの相談がない場合であっても、明らかに自衛隊派遣の要件を満たすような状況においては、県から市町村及び自衛隊と綿密に連絡を取り合い、派遣要請に向けた必要な調整を行うこととしています。 次に、災害による断水時の支援体制についてでありますが、災害発生時の飲料水及び生活用水の確保については、被災者の生命及び健康を維持する上で極めて重要であると考えています。 議員御指摘のとおり、被災自治体自らが市町村間の調整を行うことは限界があることから、今回の災害でも、県として、市町村等の水道事業体で構成する公益社団法人日本水道協会、国土交通省や自衛隊などと連絡調整を図り、給水車の派遣などの応急給水について対応したところであります。 また、入浴の機会については、地元の旅館や温泉施設などの無料開放により確保されたと承知しています。 今後も引き続き、関係機関と連携をし、被災市町村への適切な支援に努めてまいります。 次に、被害を最小限にとどめる治水対策についてでありますが、8月3日からの大雨では、これまで進めてきた河道掘削や河川整備により河川の氾濫がかなり抑えられ、また、的確な避難行動により人的被害が最小限にとどめられたことから、改めてハードとソフトが一体となった防災・減災対策が重要と認識したところです。 本県は、広い県土と多くの河川を有することから、県土全体の治水安全度向上には時間を要しますが、引き続き、過去の被害や土地利用の状況などから優先度を踏まえつつ、治水安全度の段階的な引上げによる治水効果の早期発現といった、効果的、効率的な河川整備を着実に進めてまいります。 あわせて、流域の既存施設の活用や、住まい方の工夫など、行政機関に加え、企業、住民といった、あらゆる関係者と協働しながら流域治水を一層推進し、災害に強い地域づくりに取り組んでまいります。 次に、県管理道路において孤立発生の可能性が高い箇所への対策等についてでありますが、県では、事前防災の取組により県民の生命と財産を守ることが重要と考えています。 このため、災害発生のおそれがある場合は、国の要領に基づき、確実に事前通行規制を行うこととしております。あわせて、孤立集落発生の可能性等に基づき優先度を評価しながら順次ハード整備を進めており、ハード・ソフト両面からの対策に取り組んでいるところです。 また、災害による被災箇所は、被災原因を把握した上で、再度被災しないよう対策工法を選定し、災害復旧工事を行っております。 引き続き、県民の生命と財産を守るための防災・減災対策に着実に取り組んでまいります。 なお、8月3日からの豪雨災害による孤立集落の発生原因については、土木部長からお答えをいたします。 次に、被災市町村に対する人的支援への県の認識と対応についてでありますが、被災自治体における災害応急業務については、議員御指摘のとおり、通常時を大きく超える事務量が発生することから、県を含めた他の自治体からの支援が重要と考えています。 このため、県と市町村が連携をして被災自治体への人的支援を行う体制を構築する必要があることから、平成31年3月に県及び県内全市町村が大規模災害時における「チームにいがた」による相互応援等に関する協定を締結したところです。今回の災害においても村上市、関川村に対し支援を行い、被災から1か月で罹災証明書の交付をおおむね完了するなど、被災者の生活再建に向けて大きく貢献したものと考えています。 また、災害の規模に応じて、他県からの応援職員の受入れも加え、被災市町村の業務運営を支援してまいりたいと考えております。 なお、今回の災害に係る被災市村の状況については、防災局長からお答えをいたします。 次に、復旧・復興までの精神的なフォローについてでありますが、大規模災害は、物質的な損害だけでなく、人の心にも大きな影響を与え、災害後の心の反応は、時間の経過とともに回復していく方もおられれば、回復に時間のかかる方もおられるため、生活再建に向けては、メンタルヘルスを含め、個々の方に寄り添った支援が必要であると認識しています。 今回の災害においても、市と村では、発災直後に被災者を訪問し、健康状態の把握や、体と心の健康に関する情報提供を行い、支援が必要な方には個別の支援を行っていると承知しています。 県といたしましても、保健師等の派遣により市と村への支援を行うとともに、災害時のメンタルヘルスに関する情報の周知を行っております。 引き続き、メンタルヘルスに関する留意事項や、心の悩みなどに対応する相談窓口の周知を行うとともに、必要時に市と村への支援を行うなど、長期的な視点を持って、被災者の精神的なフォローに取り組んでまいります。 次に、被災した農業者からの相談状況と今後の対策についてでありますけれども、このたびの災害により、水稲や園芸作物が浸水・冠水したほか、多くの農業機械などが浸水するなど甚大な被害が発生し、農業経営に大きな影響を及ぼしております。 このため、県では、被災した農業者が意欲を失わずに営農が継続できるよう、地域振興局に相談窓口を設置するとともに、農作物の再生産に必要な種苗等の追加購入や、被災した施設・機械の復旧等を支援するための補正予算案を本定例会にお諮りしたところであります。 今後とも、農業者の意向を伺いながら、これら支援策の最大限の活用を働きかけるなど、被災者に寄り添った支援に努めてまいります。 なお、被災した農業者からの相談の状況については、農林水産部長からお答えいたします。 次に、被災地域における農業法人等の状況と今後の対策についてでありますが、農地の受け手となる農業法人等の担い手に、離農者等の農地の引受けが集中した場合、機械・施設など現有の経営資源では対応できないなどの課題があることから、被災した地域の営農を継続していくためには、担い手の経営体制の強化や、組織化による地域営農体制の整備を図っていく必要があると考えています。 このため、県といたしましては、低利資金に加え、規模拡大や組織設立に必要な機械・施設の整備への支援策を創設したところであり、地域農業の維持・発展が図られるよう、担い手が中心となった営農体制づくりをしっかりとサポートしてまいりたいと思います。 次に、農機具損害共済についてでありますが、県内の農業者の多くは、比較的発生頻度の高い事故等に備えて火災共済に加入しているものの、自然災害にも備えた総合共済への加入率は低く、被災した農業機械の復旧に当たり、自己負担の大きさや既往債務の状況によっては、営農の継続を断念することも懸念されます。 このため、県では、地域農業の維持に向け、農業者が生産意欲を失うことなく経営を再開できるよう、被災した農業機械の復旧に必要な支援策などを創設したところです。 また、近年多発する自然災害や様々なリスクに対応し、農業経営の安定を図ることが重要なことから、県といたしましては、農業共済や収入保険など、農業者がそれぞれの経営に適したセーフティーネットに加入するよう、関係機関と連携して促進をしてまいります。 次に、田んぼダムの取組の普及についてでありますが、田んぼダムは、豪雨の際に水田からの排水量を抑制し、一時的に雨水を貯留することで、下流域での洪水被害の軽減を図るものであり、上流域の農業者による取組が不可欠となっています。 取組に対しては、水路の草刈りや泥上げ等の地域の共同活動を支援する多面的機能支払交付金を活用し、田んぼダムの必要経費を支援するほか、一定以上の面積で取り組んだ場合には交付単価を加算する措置を取っています。 これらの措置の活用に加え、流域に関わるあらゆる関係者が協働で取り組む流域治水プロジェクトに田んぼダムを位置づけ、上流域の取組に対する下流域の住民の理解を深めることにより、さらなる田んぼダムの普及に努めてまいります。 次に、被災事業者の現状と今後の支援策についてでありますが、商工団体などからは、部分営業を含め事業を再開した事業所がある一方で、依然として、施設や設備などの被災により、再開に至っていない事業所もあると伺っています。 県といたしましては、施設・設備の復旧等の事業再建に関わる経費に対して、国の補助制度を活用した支援を行うほか、新たな借入れを余儀なくされる事業者に対する制度融資の利子相当額の支給や、販路拡大等の取組を後押しすることなどにより、被災した中小企業者の早期の事業再開を支援してまいりたいと思います。 次に、災害時における商工団体の役割についてでありますが、地域の身近な支援機関である商工会や商工会議所には、災害時において、事業者の被災状況を把握し、被災事業者に寄り添って経営相談に応じるなど、きめ細やかな支援が求められると認識しています。 このたびの豪雨災害においても、地元商工会・商工会議所からは、発災直後からの特別相談窓口の設置に加え、事業再建に向けて、関係機関と連携した国や県の支援制度の説明会開催や、被災状況に応じた支援制度活用の助言など、幅広く対応していただいております。 近年、自然災害が多発していることを踏まえますと、このような商工団体の支援機能は一層重要となるものと考えており、引き続き、地域の支援機関として十分に役割を果たしていただくことを期待しております。 次に、デジタル化を支援する専門人材の確保・育成についてでありますが、昨年3月に公表した県内産業デジタル化構想の調査結果では、デジタル人材の不足を感じている企業は6割を超えており、議員御指摘のとおり、こうした専門人材の確保・育成は重要な課題であると考えています。 このため、県といたしましては、従業員のITスキル向上の支援に取り組むとともに、デジタル人材の確保が難しい中小企業に対しては、NICOを通じたIT専門家の派遣や、県外IT人材とのマッチングによる人材確保などにも取り組んでいるところです。 さらに、県内企業がデジタル人材を確保するために必要な経費を支援する事業について、今定例会で実施に必要な補正予算案をお諮りしているところであり、引き続き、企業のニーズを踏まえながら、専門人材の確保・育成に向けた取組を積極的に進めてまいります。 次に、農業問題についてお答えします。 日本の食料安全保障についてでありますが、今般のウクライナ情勢が世界の食料需給に及ぼす影響や、世界的な人口増加等に伴う穀物需要の拡大など、食料をめぐる情勢を踏まえれば、食料自給率の低い我が国においては、安定的な食料確保に対するリスクが高まっていると認識しています。 また、全ての国民が将来にわたって良質な食料を合理的な価格で入手できるようにすることは、国の基本的な責務であり、国内の農業生産の増大を図ることを基本に、食料の安定的な供給が確保されるよう、長期的な視点に立った農業政策を進めていくことが重要であると考えています。 今後、国は、食料安全保障の強化と農林水産業の持続可能な成長を推進するという方針の下、食料・農業・農村基本法の改正を見据え、総合的な検証を行うとしており、県といたしましては、今後の国の動向を注視するとともに、必要な対応を検討してまいりたいと考えております。   〔防災局長原直人君登壇〕 ◎防災局長(原直人君) 気象情報の旧市町村単位での公表に対する認識についてでありますが、気象情報については、気象業務法等に基づき、原則として市町村単位で発表することとなっておりますが、他県においては、同一自治体内で分割して気象情報を発表しているところもあると承知しております。 このことから、分割して気象情報を発表することについて、市町村の意向を踏まえ、関係機関とも協議を進めてまいりたいと考えております。 また、気象庁のキキクルなど、きめ細かな情報を、市町村が適切に活用できるよう支援してまいります。 次に、県民の的確な防災情報入手に向けた取組についてでありますが、議員御指摘のとおり、キキクルなどの防災情報は多様化しており、それらを入手するためのツールも多岐にわたっております。 県といたしましては、今後、県民が様々な防災情報やツールへの理解を深め、的確な選択・活用ができるよう、防災に関するシンポジウム・セミナーの中で、防災情報やツールの選択・活用の仕方について説明する場面を設けるとともに、パンフレット等による周知にも努めてまいります。 また、県が育成に努めている防災シニアリーダーの研修において、防災情報やツールについて学習する場を設け、シニアリーダーが地域住民に対し防災教育を行う際に周知に努めてもらうよう、働きかけてまいります。 次に、今回の被災市村の災害業務への対応状況についてでありますが、被害の大きい村上市及び関川村では、罹災証明書の交付、住宅応急修理制度の申請・相談等の窓口業務や、建物被害認定調査、避難所運営などについて、被災市村職員だけでは対応できないため、県に対し応援要請があり、大規模災害時における「チームにいがた」による相互応援等に関する協定により対応したところです。 また、災害廃棄物処理や公共施設等の災害復旧など、専門的な知見が必要となる業務に係る技術職員の派遣要請に対しても、職員を派遣し、支援を行っているところです。 次に、消防機関の連携体制についてでありますが、議員御指摘のとおり、広域的な災害においては、消防機関の連携による対応が重要であり、8月3日からの大雨による災害におきましても、新潟市、新発田地域広域事務組合、五泉市及び阿賀野市の4消防本部から応援が行われたところです。 県内における消防機関の連携体制は、全ての消防本部が参加する新潟県広域消防相互応援協定が締結されております。 また、佐渡市以外の消防本部においては、隣接する消防本部同士の協定など、各種の相互応援協定が締結されております。   〔産業労働部長金井健一君登壇〕 ◎産業労働部長(金井健一君) 3点についてお答えいたします。 初めに、専門家による支援についてでありますが、議員御指摘のとおり、中小企業の経営基盤強化を図るためには、会計や税務などに加え、デジタル化など付加価値や生産性の向上などに向けた支援を行っていくことが重要であると考えております。 このため、県では、デジタル化や事業承継などの専門的な課題解決を支援するため、国やNICO、商工団体などと連携し、各種専門家を活用した経営相談や実地指導などの支援を行っております。 また、専門家のスキル向上に向けた取組として、技術の進歩や社会経済情勢の変化に対応した研修などを定期的に開催しているところです。 引き続き、県内企業が抱える様々な課題に対応できるよう、専門家と連携したきめ細やかな支援を行ってまいります。 次に、事業継続計画策定に向けた県の支援についてでありますが、事業継続計画の策定は、自然災害に加え、新型感染症の拡大や国際情勢など、企業活動に影響を及ぼす不測の事態が生じた場合において、事業の継続や早期回復を図るために必要であり、そうした体制を整えることは、企業価値の向上にもつながるものと認識しております。 今年5月の帝国データバンクによる調査では、県内の計画策定率は14%と、全国平均の17.7%を下回り、対前年度比では0.2ポイントの微増にとどまっております。 計画策定に至らない理由としては、スキル・ノウハウがない、策定する人材が確保できないなどが挙げられていることから、県といたしましては、引き続き、セミナーなどによる意識啓発や人材育成に取り組むとともに、専門家派遣やサプライチェーン再編に向けた経営相談などにより、計画策定を支援してまいりたいと考えております。 次に、新潟清酒のブランド戦略についてでありますが、日本酒の消費量の減少や消費者ニーズの多様化を背景に、産地間競争は激しさを増していることから、議員御指摘のとおり、新潟清酒のブランド力をさらに高めていく必要があると考えております。 そのため、県といたしましては、日本酒専門の研究機関では都道府県で唯一の醸造試験場を通じて、吟醸酒など高級酒の日本一の産地としての信頼性を確保することを基本に、新潟清酒の一層の品質向上に努めるとともに、酒造組合や新潟大学と連携した日本酒学の取組などにより、新潟清酒の魅力をストーリー性を持って幅広く発信することで、ブランド力向上につなげてまいります。 また、海外に向けては、本県が有する雪国の清浄なイメージや米どころとしての優位性に加え、ワイン文化との親和性などを日本酒学の知見も活用しながら訴求するとともに、観光誘客や食品などの輸出の動きとも連携した、さらなる販路開拓に取り組んでまいりたいと考えております。   〔農林水産部長小幡浩之君登壇〕 ◎農林水産部長(小幡浩之君) 4点についてお答えします。 初めに、県北の豪雨被害に係る農業者からの相談状況についてでありますが、地域振興局に開設した相談窓口へは、9月15日現在で45件の相談があったほか、関係する市や村、JA等にも相談が寄せられております。 具体的には、被害を受けた農作物の栽培管理などの技術対策のほか、浸水した農業機械への支援策や、当面の収穫・乾燥調製作業、離農する場合の農地の対応などの相談がありました。 今後とも、被災した農業者の意向を聞きながら、市町村やJA等と連携して、しっかりとサポートしてまいります。 次に、食料安全保障体制の確立に向けた対応等についてでありますが、国は、これまでも、地域の特色を生かした穀物等の生産拡大を推進してきておりますが、今般のウクライナ情勢を踏まえ、4月に措置した原油価格・物価高騰等総合緊急対策により、海外依存度の高い小麦の生産拡大を強化しております。 県といたしましても、国の対策に加え、輸入に依存する麦や大豆、飼料用作物等の生産拡大に向け、6月専決予算により支援策を措置し、その活用などを推進しているところです。 現時点では、来年春に播種する大豆や飼料用作物などの作付は見通せませんが、これらの対策により、この秋に播種する小麦や大豆は、全国で作付拡大が進むと考えており、本県においても拡大するものと見込んでおります。 次に、持続可能な生産体制の構築に向けた次年度の取組の方向性についてでありますが、農家数の減少や高齢化が進行する中、本県が日本の食料供給基地として食料安全保障の確立に寄与していくためには、人材の受皿となる経営体や地域を確保し、持続可能な生産体制を構築することが最も重要であると考えております。 このため、次年度に向けても、法人化等の構造対策と、新潟米や園芸の基本戦略等に基づく生産対策を車の両輪として推進していくという方向性を基本に、条例に基づいて、現在検討を進めている農林水産物のブランド化など新たな施策を加えながら、取組を強化してまいりたいと考えております。 次に、マーケットの変化を踏まえた農産物の販売戦略についてでありますが、新型コロナ感染症の影響による消費者の行動変容に対応するため、販売戦略を柔軟に再構築し、プロモーション活動を効果的に進めていくことは重要であると認識しております。 このため、県では、消費者ニーズの変化に的確に対応した商品開発や、流通の多様化を踏まえた販路の多角化などの取組を推進しているところです。 今後とも、社会経済活動の回復に合わせ、バイヤー招聘など各産地への商談機会の提供や、マーケットの拡大が続くECサイトの活用セミナーの開催、観光業者や流通事業者と連携したプロモーションの実施等により、マーケットの変化に柔軟に対応できるよう、取組を支援してまいりたいと考えております。   〔土木部長金子法泰君登壇〕 ◎土木部長(金子法泰君) お答えいたします。 8月3日からの豪雨災害による孤立集落の発生原因についてでありますが、県管理道路の通行止めにより、村上市で2集落、関川村で1集落の孤立が発生いたしました。 村上市の集落につきましては、県道の山側斜面の沢から多量の雨水とともに土砂が流出し、道路上に堆積したことにより孤立したものです。 また、関川村の集落につきましては、集落を通る河川の上流より流出した土砂と流木が、道路上に堆積したことにより孤立したものです。   〔教育長佐野哲郎君登壇〕 ◎教育長(佐野哲郎君) お答えいたします。 学校における防災教育についてでありますが、本県は、これまで地震、洪水、豪雪といった多くの自然災害に見舞われた歴史があり、児童生徒の命を守るため、学校現場における防災教育は重要であると認識をしております。 こうした認識の下、平成26年度から、児童生徒が災害から生き抜くことを最優先に、地域に対する関心を高めることなどを目的とした、新潟県防災教育プログラムを活用した防災教育を実践しております。 各校においては、防災意識を高めるために、災害現場をよく知る実務者、専門家などからの講話や避難訓練などを実施するとともに、地域の実情等に応じて、防災施設への見学や体験学習等、工夫した活動に取り組みながら、子供たちの興味をより引き出せるような防災教育を今後も推進してまいります。 ○議長(小島隆君) 冨樫一成君の質問は終わりました。 次に、池田千賀子君の発言を許します。池田千賀子君。   〔池田千賀子君登壇〕(拍手) ◆池田千賀子君 未来にいがたの池田千賀子です。通告に従いまして質問させていただきます。 まず、医療・福祉政策についてお伺いいたします。 生活福祉資金貸付事業の利用件数は、緊急小口資金・総合支援資金合わせて8月末現在で1万5,000件以上に上っており、貸付決定額も約42億円と多額になっております。償還は早い方で年明けには始まると聞いておりますけれども、新型コロナウイルス感染症が終息せず、加えて物価高が生活を直撃する中、困難な事例が多く発生するのではないかと懸念をしております。 今回の特例貸付けは、返済時において、なお所得の減少が続く住民税非課税世帯の返済を免除することができるとされ、非課税世帯は免除の対象となっておりますけれども、非課税であれば自動的に免除されるわけではなく、申請が必要なことから、償還免除条件等の周知が必要であり、積極的な情報提供と相談体制が必要と考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 県央基幹病院の開院に向けては、看護師等の医療従事者の確保が重要な課題であります。県立燕労災病院や厚生連三条総合病院の職員に対して給与等勤務条件が示され、意向の確認が行われていると承知をしております。2病院の職員が円滑に県央基幹病院に移行することが、基幹病院の医療従事者確保につながるものと考えます。仮に2病院からの移行が十分でない場合には、新たな採用が必要となります。2病院からの十分な移行が図られるのか、見通しについて知事の所見をお伺いいたします。 県央基幹病院指定管理者である新潟県済生会が2つの病院の職員に示した個別賃金表によりますと、若年層優遇と思われるような賃金体系になっていると聞いております。賃金カーブが一定程度の年齢に達すると抑えられる形で、年齢層の高い職員からは、自分たちは必要とされていないのではといった声が聞こえるとのことであります。 県央基幹病院が実施するER救急は、十分な経験を持つ看護師が必要ではないかと考えますけれども、十分な経験を持つ職員が仮に賃金に魅力を感じることができず、移行が進まず、県央基幹病院の移行希望者が若年層に偏った場合には、病院が提供する医療に支障はないのか、知事の所見をお伺いいたします。 現在、県立加茂・吉田病院で働いている職員は、病院が指定管理者となった場合、正規職員については他の県立病院等に異動することになると理解をしております。しかし、県立加茂・吉田病院で働いている職員に対して、労働組合が実施した指定管理後の働き先に関する意向調査によれば、看護師においては、県央基幹病院、新加茂病院、新吉田病院での勤務を希望する者が49%に上ったと聞いております。 職員が新たな職場を検討する際、夜勤がある看護師については、特に通勤時間が重視されているのではないかと推察をいたします。このことが県央地域の医療機関を希望する背景としてあるのではないかと考えます。 県立加茂・吉田病院で働く職員について、正規職員の派遣や非正規職員の処遇についてどのように考えているのか、病院局長の所見をお伺いいたします。 県看護職員臨時修学資金貸与制度は、200床未満の病院等、特定医療施設に就業することを返還免除の要件としております。これは、小規模病院等の看護師採用を支援するという意味合いがあると理解をいたします。 しかし、新人看護職員は一定規模の病床を有し、多様な診療科がある医療機関での経験を積みたいという意欲が強い傾向にあると聞いており、本県で働く看護職員の学びたい意欲をかなえるために、200床の要件を緩和して、希望の大きい医療機関で勤務することを可能とするべきではないかと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 佐渡医療圏は、離島であるために隣接する医療圏への受診が困難であり、看護師等医療従事者の確保も困難な状況にあると承知をしております。 佐渡市にはJA厚生連佐渡看護専門学校が立地をしておりますけれども、定員40名に対して、今年度の入学者は僅か15名で、過去最少であったということであります。 私は、今年2月、佐渡市立両津病院院長をはじめ病院幹部の皆さんとウェブで意見交換を行いました。院長が最も強調しておられたのが看護師確保であり、病院独自での確保が難しいという点でありました。 さきに述べましたように、県看護職員臨時修学資金貸与制度は、200床未満の病院等、特定医療施設への就業を返還免除の条件としているわけでありますが、佐渡医療圏のような看護職員確保が難しい地域については、特別な枠を設けるなど、支援を検討すべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 特別支援学校に児童生徒を就学させている保護者は、学校や放課後のデイサービス等の支援が十分でない場合、就労が困難となります。また、学校が夏休み等長期間休みとなりますと、その期間は保護者の負担が増すのが現状であります。 保護者からは、就労できないことによる家計の厳しさ、あるいは人生や家族の先の見通しの不安の声が寄せられております。 私が行った調査では、県内特別支援学校の小学部の登校時刻は朝8時25分から9時10分までの間で設定されており、4割強の学校が9時台の登校時間を設定しております。学校が児童を受け入れる時間が遅いと、福祉サービスとのつなぎがうまくいかず、保護者の就業を阻む要因になります。 障害福祉サービスは市町村が取り組んでおりますけれども、市町村と連携をして、県としても保護者負担軽減に寄与する必要があると考えます。県立の特別支援学校における登校・下校時間の見直しや、長期休暇期間を見直すことにより、積極的に保護者の負担軽減を行うべきと考えますが、教育長の所見をお伺いいたします。 高齢化や人口減少が進展し、家計や生きがいのために、高齢になっても就労を継続する人が多くなっています。民生委員の成り手が不足しています。 また、民生委員の果たす役割は大変大きくなっており、現職民生委員の負担が高じているのが現状です。本来の役割である訪問・相談だけでなく、会議への出席や高齢者の現況調査など、行政機関の業務協力も多いのが現状です。 民生委員制度は100年を経過いたしましたけれども、社会情勢に合った制度に改変していく必要があると考えます。 民生委員は無報酬であります。活動に対する活動費が支払われてはいるものの、実際の活動に見合った報酬の支給や、例えば福祉活動を行う団体への移行など、県としても検討を行うとともに、国への働きかけを行う必要があると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 令和3年度に県内児童相談所で対応した児童虐待相談対応件数は3,505件で、前年度比105.1%の過去最高の件数となりました。相談経路別では、警察が1,471件、42%と最も多く、児童虐待に係る県警察の役割は大きいと考えます。 児童虐待は、関係者間で情報共有や連携が非常に重要であります。県警察は、児童相談所や市町村要保護児童対策地域協議会等とどのように連携を進めているのか伺います。 次に、農業・林業政策についてお伺いいたします。 地域園芸振興プランにおける令和2年の園芸栽培面積は4,306ヘクタールで、平成30年と比べ147ヘクタール増加しており、プランの着実な推進が図られている様子がうかがわれます。 一方で、農林水産省生産農業所得統計によれば、令和2年の園芸産出額は523億円で、前年に比べると増加はしているものの、平成30年とほぼ同額程度にとどまっております。 本県が園芸振興を進める狙いは、農業所得を向上させることにあると理解をしております。農業所得を向上させるためには産出額を上げる必要があると考えますが、農業所得向上のために今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の所見をお伺いいたします。 食料・農業・農村基本計画では、農地面積の8割が担い手によって利用される農業構造の確立を目指すとしています。令和2年3月の見直しでは、これに加えて、その他の多様な経営体が地域を支える経営体として明示をされました。 この間、農地を担い手に集積・集約させる取組が行われてきたわけですが、ややもすると、出し手は出して終わりという意識になりやすいのでは、とも懸念をいたします。集積・集約を進める際には、多様な経営体が関わることを十分念頭に置きながら進める必要があると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 ウクライナによる小麦輸出が困難となる中で、輸入小麦価格が上昇し、最終消費者に影響を与えています。こうした中、県は10アール当たり1万円の定額支援等を行い、小麦の生産拡大に取り組んでいると承知をしております。 小麦は冬を越える畑作物であることから、積雪や土壌条件など、地域によっては生産が安定しないという課題があると承知をしております。さらなる小麦生産拡大に向けて、どのように課題解決を図るのか、知事の所見をお伺いいたします。 県は、森林・林業基本戦略において、これまでの利用間伐から主伐・再造林の推進を掲げました。主伐を成功させるためには、切り出した材が最終消費者である川下まで流通する見込みが立つ必要がありますけれども、どのように流通体制を構築していこうと考えているのか、知事の所見をお伺いいたします。 また、本県の森林は高齢化し、大径化しているものが多いと承知をしております。大径木の伐採技術あるいは製材・乾燥機械の整備など、大径木の生産・流通において課題はないのか、また課題に対してどのように対応していくのか、併せて知事の所見をお伺いいたします。 先般県北を襲った豪雨では、山の表層土が崩壊し、大量の木を下流に向かって流下させたことが被害を大きくさせました。 平成29年九州北部豪雨では、立ち木と崩壊土砂の多くが斜面下部にとどまらず、渓流周辺の立ち木を巻き込みながら流下をいたしました。斜面に堆積しなかった理由は、大量の降雨で著しく増加した流水であったためとされています。 このことから、国において豪雨災害に関する今後の治山対策の在り方が検討されているようでありますが、今後も降雨量の増大や狭い箇所への長雨が発生する危険がある中で、被害を拡大させない治山対策が求められると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、原子力発電所の課題について伺います。 政府のグリーントランスフォーメーション実行会議2回目の会合において、議長である首相は、次世代型原発の建設、既存原発の運転期間延長、来夏以降の原発7基再稼働を矢継ぎ早に打ち出しました。 知事は昨日の大渕議員への質問に答えて、「御指摘の件は、グリーントランスフォーメーション、いわゆるGXを実行すべく、必要な施策を検討するための会議で出されたものであり」と述べておられます。がしかし、これまで政府が繰り返して述べてきた新増設、リプレースは検討していないという考え方の転換を含む政策であることや、首相が担当大臣に示すように指示した、政治の決断が求められる項目が、今回の原発に係る政策であること、またこの2回目のGX実行会議の翌日に開催をされた総合資源エネルギー調査会、原子力小委員会で、政治の決断が求められる項目が示されたことを早速評価する意見が相次いだことなど、これらを勘案したときに、GXを実行するための会議で出されたものという以上に、原発立地県の知事としてもっと重く受け止め、県民と懸念を共有していただきたいと願うものであります。 総合資源エネルギー調査会は、エネルギー基本計画を策定するための検討を行う経済産業大臣の諮問機関であることを考えても、この出された場所がGXであったとしても、エネルギー基本計画に結びついていく可能性が高いと考えるのが妥当であります。 また、東京電力ホールディングスは1から5号機の廃炉を完全否定しておらず、廃炉、次に新型原子炉という流れができてもおかしくないと私は思います。 電力逼迫と電気料金高騰で国民に不安と危機感が高まっている時期を見計らうかのように、このような重要な政策を拙速に打ち出すという、この打ち出し方はすべきでないと私は考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 グリーントランスフォーメーション実行会議で打ち出された来夏以降の7基の原発再稼働について、知事は特段新しい話ではないと述べておられます。そして、柏崎刈羽原発の再稼働については、従来の3つの検証結果が出てから再稼働の議論を始めたいとし、これまでの考え方と変わらないとしておられます。 しかし、県民が懸念をし、知りたいと考えているのは、電力逼迫を背景に、国がこれまで以上に強い姿勢で柏崎刈羽原発の再稼働を迫ってきたとき、知事は示してきた考えを貫けるかということを注視しているものと私は理解をいたします。従来の姿勢を貫く知事の覚悟について改めてお伺いいたします。 柏崎刈羽原発における核物質防護措置の一連の不祥事に対し、知事は昨年4月、原子力規制委員会に東京電力ホールディングス株式会社の技術的能力について改めて評価を求める要望書を出されました。 東京電力の改善措置について追加検査をしている原子力規制委員会は、検査終了の要件である確認項目を決定いたしました。 しかし、そもそも中間報告において、IDカード不正使用と核物質防護設備の機能の一部喪失、この2事案については柏崎刈羽原子力発電所に固有の問題などとし、県技術委員会委員からは疑義が呈された経緯があります。 昨年4月に行われた知事の求めからすると、規制委員会の認識は極めて十分ではないと考えますが、改めて規制委員会に申入れを行うことが必要であると思いますけれども、知事の所見をお伺いいたします。 安定ヨウ素剤の服用は、放射性ヨウ素に暴露される24時間前から暴露後2時間までの間に服用することで、甲状腺への蓄積を9割以上抑制できるとされています。 UPZ外の安定ヨウ素剤の備蓄は、過去においては本県独自に県内に備蓄をしていたものを、今年4月から県購入分と国家備蓄・近隣県からの融通の組合せに調達方法を変更いたしました。 これは、国による備蓄が開始されたこと、国指針における配布対象の見直しがされたことなどを理由として挙げておりますけれども、服用のタイミングが極めて重要である安定ヨウ素剤を県内に備蓄せず、他県から運ぶというのは、県民の安心という面において問題があると考えます。 とりわけ服用を優先すべき乳幼児が服用する、3歳未満児ゼリー状ヨウ素剤の全量、これを県外に備蓄しているというのは問題だと考えます。 過去において実施してきたように、全量を県で備蓄するとともに、併せて事前配布を行うべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、教育の課題についてお伺いいたします。 平成27年に発出されました文部科学省公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引によれば、通学時間については、おおむね1時間以内を一応の目安としております。 保護者は就学すべき学校の指定に従って子を就学させる義務を負いますが、市町村教育委員会が相当と認める場合には、市町村内の他の学校に指定を変えることができるとされていると承知しております。 また、他の市町村の学校への就学についても、住所がある市町村教育委員会との協議に基づき可能となっていると承知をしております。 少子化が続く現在、市町村教育委員会の中には学校統廃合を進めるところもあり、当該教育委員会が指定した就学すべき学校に就学するよりも、むしろ隣接する自治体の学校に就学したほうが、通学時間が緩和されるケースが出てきております。 学校統合による通学時間を理由とした、他の自治体への区域外就学の希望は、現行の制度で対応できるとお考えか、教育長の所見をお伺いいたします。 県教育委員会が公表いたしました今年度当初の県立高校の教員の欠員状況は、6校6人であったと承知をしております。また、これに対応する非常勤講師の配置は、6月1日現在で2校2人にとどまり、不十分な状況にあると聞いております。 早期に改善を図る必要があると思いますが、そもそも、なぜ年度の当初から欠員が生じるのか、理由を伺いますとともに、今後どのように改善を図るのか、教育長の所見をお伺いいたします。 次に、県政の諸課題についてお伺いいたします。 本県の電気事業は、地域振興積立金に30億円もの繰り出しを行い、県民サービスに大きく貢献をしておりますし、行財政改革行動計画、歳入にも織り込まれており、県財政に欠くことのできない事業となっております。そのために、今般の猿田・奥三面水力発電所の被災は、県財政に大きな影響を及ぼすと理解をしております。しかし、一方で商用電源を使う県民や企業は今、電気料金の高騰に苦しんでいます。 公営電気事業者の中には、新たな売電の仕組みとして、地域経済を支える中小企業などを対象に、CO2フリーかつ地産地消の電気を、通常よりも割り引いた価格で供給する料金メニューを小売電気事業者と連携して提供する、そういう公営電気事業者もあると承知をしております。 電気料金高騰の今こそ、発電した電気をできるだけ高く売って県の財源とするのか、それとも県内企業への支援に活用するのか検討する必要があるのではないかと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 住民記録システムなど、地方公共団体が基本的な事務を処理するための基幹系情報システムは、利便性の観点などから、各地方公共団体が個別にカスタマイズ等を行っている現状があると承知しております。その結果、制度改正のとき、システム改修において大変負担が大きいのが課題であるとされてきました。 そのため、国は20の基幹業務について、ガバメントクラウド上に構築された標準準拠システムに移行することを目指しています。 この夏までに示すとされていたシステムの標準仕様は8月末にようやく公表されたものの、目標時期である令和7年度までに対応が困難なのではないかと懸念されます。また、財源についても自治体規模に応じた上限額が設定されており、移行を進めるに当たり自治体の負担が生じることも懸念をされます。 自治体の着実な移行が実現できるよう、適時適切な情報提供、十分な財源措置を国に求める必要があると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 生産年齢人口が減少する我が国において、高齢期の職員の力を活用する必要があるなどとし、公務員の定年が引き上げられます。引上げは現行の60歳定年を、2年に1歳ずつ引き上げて段階的に65歳とするものであるため、隔年で定年退職者がいない年が発生することになります。 県職員の年齢構成はできるだけ偏りがないほうが望ましいという観点から、定年退職者がいない年においてもできるだけ新規採用を行い、採用数の平準化を図る必要があると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 令和3年度包括外部監査は、子ども・子育て支援事業に係る財務事務の執行及び管理の状況をテーマに実施をされました。その報告書において、一定の滞留状況が進んだ債権については、回収方法を各部局がそれぞれ判断し実行するよりも、県全体の統一的な回収方針を定めて対応したほうが効果的かつ効率的である旨、意見が示されております。統一的回収方針についてどのように検討がなされているのか、現状についてお伺いいたします。 最後の質問です。 県立病院利用料金等の私債権は、時効消滅のためには時効の援用が必要でありますが、居所不明など時効の援用が得られない私債権があり、これらは議会の承認を経て欠損処分が行われると承知をしております。 本県においては、議会への議案の提出に当たり、県の内部組織である私債権放棄審査会の審査を経ることとしていると聞いております。 欠損処分を行うための権利放棄は、厳格に行われることが前提ではあると思いますが、私債権放棄審査会に係る単年度の案件は、1桁台のことが多いと伺っております。これは、審査会にかけるまでの原課における債権放棄判断基準の確認や債権放棄審査表の作成等の対応が困難な状況にあるのではないかと推察をいたします。 私債権放棄審査の現状と課題について伺いまして、私の一般質問を終わります。御答弁をよろしくお願いいたします。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 池田議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、生活福祉資金の特例貸付けの償還免除に関する情報提供等についてでありますけれども、貸付利用者のうち、令和2年の制度開始から令和4年3月までに貸付けを受けた方は、令和5年1月から償還が開始されることとなっています。 このため、県社会福祉協議会では、8月に、住民税非課税世帯は償還が免除されることや免除に必要となる手続について、対象者一人一人に周知したところです。あわせて、償還免除の有無にかかわらず、市町村社会福祉協議会等において、償還に関する相談が可能である旨を周知したところであります。 県としましても、これまでも償還免除要件の周知などを徹底するよう、県社会福祉協議会へ依頼してきたところであり、今後とも、適切な周知を行うよう働きかけてまいります。 次に、県央基幹病院への職員の転籍についてでありますけれども、転籍後の詳細な労働条件を提示する前の6月に行った意向確認では、半数以上の職員が県央基幹病院での勤務を希望した一方で、相当程度の職員が給与などの詳細を確認した上で決めたいとの意向を示していたところです。 そのような状況も踏まえまして、給与をはじめとする転籍後の労働条件などについては、8月下旬の職員説明会において、2病院の職員に丁寧に説明するとともに、職員ごとの不安や疑問を解消するため、個別面談なども実施しているところです。 議員御指摘のとおり、2病院の職員が円滑に県央基幹病院に転籍することが県央基幹病院の医療従事者確保につながることから、現在進めている最終の意向確認において、一人でも多くの職員に新病院で勤務してもらえるよう、新潟県済生会や厚生連、新潟県地域医療推進機構と共に、職員からの質問や要望などを確認しながら、きめ細かく対応してまいりたいと思います。 次に、県央基幹病院の看護師確保についてでありますが、指定管理者である新潟県済生会からは、県央基幹病院の労働条件について、育児や介護に配慮した多様な働き方や職責に応じた手当の設定など、幅広い年齢層から多様な人材を確保できるよう設定したと聞いているところです。 議員御指摘のとおり、圏域内の救急医療を支え、地域の柱となる病院である県央基幹病院において、十分な経験を持つ看護師を確保することは大変重要であることから、統合する2病院の職員をはじめとして、県央基幹病院の様々な職場で活躍していただける多様な人材を確保できるよう、新潟県済生会、厚生連、新潟県地域医療推進機構と連携・協力し、きめ細かく対応してまいりたいと思います。 次に、看護職員臨時修学資金貸与制度の返還免除要件についてでありますけれども、この制度では、県内の小規模医療施設等の看護職員の充足及び看護職員の地域偏在の解消を図るため、200床未満の病院など特定医療施設に一定期間勤務した場合、修学資金の返還を免除しています。 例年、修学資金の貸与枠を上回る応募があることや、貸与を受けた就業者の約8割が特定医療施設に就業していることから、制度の趣旨を御理解いただいた上で活用していただいているものと考えています。 また、複数病院の採用試験を一括して行う病院を除く県内95病院のうち、200床未満の病院における看護職員の充足率については、近年、上昇傾向にはあるものの、依然として規模の大きい病院より低い状況が続いています。 このため、現状では現行の返還免除要件を継続する必要があると考えておりまして、200床未満の病院であっても、新人看護職員から選んでもらえるように、必要な知識や技術を習得できる研修環境や教育体制の充実に向けて、市町村や関係機関と連携をして支援してまいります。 次に、看護職員の確保が難しい地域への支援についてでありますが、県では、佐渡医療圏など看護職員の充足が特に必要な地域の市町村については、一定の条件の下で、200床以上の病院であっても当該市町村が認めた場合は、県の修学資金について返還免除の対象とできるように令和3年4月に制度改正を行っております。 また、高校生や保護者等に対するオンライン説明会を開催し、県と市町村の修学資金貸与制度などの周知を図るとともに、佐渡市が設けた就業支援制度をはじめ、市町村や病院が行う支援制度について情報発信を行っているところです。 県といたしましては、引き続き、市町村や病院などと連携をして、様々な取組を組み合わせることにより、看護職員の確保に取り組んでまいります。 次に、民生委員制度に関する国への働きかけ等についてでありますが、民生委員は、民生委員法に基づき、社会奉仕の精神をもって、無報酬で様々な生活上の困り事を抱える方々の身近な相談相手として必要な支援につなぐ役割を担っており、地域社会を支える重要な仕組みと認識しています。 一方、少子高齢化の進展や社会情勢の変化などによる、多様で複雑化する問題への対応などでの負担感の増加や、新たな成り手の不足などの課題があると承知しています。 県では、これまで、新任者や中堅者など段階に応じた研修を実施し、民生委員の資質向上や不安の解消を図っているほか、民生委員に対する活動費を増額するとともに、さらなる拡充を国へ要望しているところです。 議員御指摘の民生委員制度の在り方を大きく見直すことについては、制度を所管する国において検討されるべきものと考えていますけれども、県としても、地域の実情を国に伝えてまいりたいと思います。 次に、農業・林業政策についてお答えいたします。 まず、農業所得の向上に向けた今後の取組についてでありますが、近年、園芸が盛んな県の農業産出額は増加傾向である一方、稲作主体の本県は横ばいで推移しており、農業産出額を増加させるためには、本県の強みである米に加え、園芸生産を拡大することが重要であり、園芸導入により経営の幅を広げることで農業所得の向上につなげていくことが必要と考えています。 これまでの園芸振興基本戦略に基づく取組で、右肩下がりであった園芸産出額は令和2年に増加に転じるなど、一定の成果が得られましたが、生産現場からは、担い手や労働力の確保、生産性の向上、販売力の強化などが課題として挙げられております。 このため、県といたしましては、園芸を経営の柱とした経営体の育成や、生産の団地化などによる生産性の高い基盤づくり、実需者との連携強化による安定した販売先の確保など、県内外の先進事例を横展開しながら、園芸の導入・拡大に挑戦する農業者や産地を関係機関・団体と一体となって伴走型で支援し、農業所得の向上につなげてまいりたいと考えています。 次に、地域を支える農業経営体への農地の集積・集約化についてでありますが、農業者の減少や高齢化が進行している中、大規模農家だけでは農地等を維持管理していくことが困難なことから、国は、食料・農業・農村基本計画の見直しにおいて、担い手に加え、中小規模の経営体などの多様な経営体も、地域を支える農業経営体として位置づけたものと認識しています。 県といたしましても、担い手を中心に、これら多様な経営体も農地利用することにより、地域農業を維持していく必要があると考えており、地域の合意の下、担い手への農地集積・集約化と併せ、多様な経営体も参画した持続可能な地域の営農体制づくりを推進してまいりたいと思います。 次に、小麦の生産拡大についてでありますが、今般の世界的な穀物情勢を踏まえれば、輸入に依存している小麦については、食料安全保障の観点からも国内における生産拡大が一層重要になると考えています。 近年、県産小麦への需要が高まっていることから、本県の小麦生産は拡大しているものの、専用の機械が必要であることに加え、排水が不良な圃場や積雪が多い地域では生産が安定しないなどの課題があることから、需要に応える生産量には至っていないものと考えております。 このため、県といたしましては、小麦の生産性を向上させる機械の導入を支援するとともに、地域の気象条件等に応じた技術対策を講じるなど、生産者の課題解決をサポートしながら、生産拡大を積極的に推進してまいります。 次に、県産材の流通体制の構築等についてでありますが、県産材の生産拡大のためには、主伐・再造林を行う川上の取組に加え、生産した木材が川中・川下へと円滑に流通していく体制整備が重要であると認識しています。 このため、県といたしましては、川上から川下までの関係者が一体となって県産材の利用拡大を図る、つなぐプロジェクトを展開するとともに、川中での乾燥能力の向上や、川下での一層の利用促進などに取り組むことで、木材の供給量の増加に対応した流通体制を整備してまいります。 また、増加する大径木に対応していくためには、安全に伐採する技術や、効率的な製材ラインの導入が必要であり、伐採技術の向上を図る研修を実施するとともに、大径木に適応した製材機械の整備を支援するなどにより、大径木に対応した生産・流通体制を整備してまいります。 次に、被害を拡大させない治山対策についてでありますけれども、今回の災害を含め、近年の豪雨災害では、大量の流木により被害が拡大する傾向があり、今後、気候変動に伴って豪雨災害が一層激甚化・頻発化すると見込まれる中にあって、このような山地災害を最小限に食い止めるためには、流木の発生や流出を抑制する治山対策を着実に進めていくことが重要であると認識しています。 県といたしましては、今回の記録的な豪雨による災害を踏まえ、改めて集落周辺の渓流を調査し、流木被害の危険性の高い箇所から、現地の状況に応じて、計画的に間伐等による森林整備を進めていくとともに、倒木の除去や流木捕捉式治山ダム等の整備を実施してまいります。 加えて、地域住民に対し、山地災害危険地区の情報と併せて、流木被害のおそれのある箇所の情報を周知することで、ハード・ソフト一体となった治山対策を進めてまいります。 次に、原子力発電所の課題についてお答えをいたします。 まず、政府のGX実行会議で示された原発に関する政策についてでありますが、これは議員からもお話ございましたけれども、グリーントランスフォーメーション、いわゆるGXを実行するべく、必要な施策を検討するための会議で出されたものであり、脱炭素に向けた日本のエネルギー政策は、国において安全性を大前提に、安定供給、経済性、環境適合の同時達成を目指して決定されていくべきものと考えております。 これから議論、検討が進められることになりますけれども、国はエネルギー政策について、国民に分かりやすく丁寧に説明していただきたいと思います。 次に、原発に対する姿勢についてでありますが、柏崎刈羽原発の再稼働については、原発事故に関する3つの検証の結果が示された後に、議論を始めるという姿勢を堅持してまいります。 次に、柏崎刈羽原発における核物質防護に関する一連の不祥事への対応についてでありますが、昨年4月に、原子力規制委員会に対し、東京電力の発電用原子炉の運転を適確に遂行するに足りる技術的能力について改めて評価するよう要望した際に、原子力規制庁長官からは、追加検査の中で東京電力が自律的な改善が見込めるような事業者かどうか見極めていくこととしており、県と目指すところは同じであるとの回答がございました。 現在、原子力規制委員会は柏崎刈羽原発において追加検査を行っているところであり、今年4月に公表された中間取りまとめについては、技術委員会でも原子力規制庁から説明を受けました。今後、追加検査の結果を踏まえまして、県として必要な対応を検討してまいりたいと思います。 次に、UPZ外における安定ヨウ素剤の調達方法等についてでありますが、本県では、PAZ及びUPZ分の安定ヨウ素剤については、国の指針等に基づいて県で必要量を備蓄し、住民への事前配布を進めているところですが、これに加えて、国の指針等で定めがなく、他県では備蓄を行っていないUPZ外の全県民分についても、本県独自で備蓄を行ってきたところです。 今般、国家備蓄による安定ヨウ素剤の供給がUPZ外の県民分も確保されたことなどを受けまして、UPZ外分の調達方法について、県の備蓄、国家備蓄、協定による近隣県からの調達の3つを組み合わせる方法に変更したところです。 県の備蓄と国家備蓄によるUPZ外分の調達で、24時間以内に約130万人分、3日以内に約176万人分の確保が可能となっており、近隣県からの調達を含めた3つの調達方法を組み合わせることによりまして、国が指示する服用のタイミングに合わせて必要量を配布できるものと考えています。 次に、県政の諸課題についてお答えします。 まず、企業局で発電した電気の活用方法についてでありますが、電気事業会計においては、平成27年度から一般競争入札による売電契約を行うことで、それまでよりも大きな利益を生み出しており、利益から積み立てた地域振興積立金を一般会計に繰り出し、広く県政の重要施策に関する事業の財源としてまいりました。 今後の電気の活用についても、県財政の健全化を見通す中で、いわゆる地産地消として電気を供給することも含めて、電気事業が果たす役割を検討してまいりたいと考えております。 次に、自治体情報システムの標準化についてでありますが、市町村が基本的な事務を処理するためのシステムは、システムの維持管理や改修等の各自治体の負担軽減や、給付金の支給等住民サービス向上の取組を迅速に横展開できるよう、標準化が必要であると認識しています。 今般、関係省庁から情報システムの標準仕様書が示されたことから、各市町村の作業が本格化するものと考えておりますが、目標の令和7年度までに国のガバメントクラウドを利用して標準化を実現できるよう、国に対して、的確な情報提供や自治体の状況に応じたきめ細やかなフォローアップ、財政的な支援について要望しているところです。 また、デジタル庁の担当者を招いて市町村との意見交換会を開催するなど、標準化に向けた課題や疑問点の解消を図る取組も行ってきており、今後とも、円滑な移行に向けて市町村を積極的に支援してまいります。 次に、職員の定年引上げ期間中の新規採用についてでありますが、定年引上げ期間中は、定年退職者が2年に1度しか生じないことから、退職者数に応じて機械的に新規採用を行った場合は、採用者数が年度ごとに大幅に変動することになり、職員の経験年数や年齢構成に偏りが生じ、専門的な知見の世代間の継承や計画的な人事配置・人材育成などが困難となるおそれがあるものと考えています。 また、優秀な人材の確保や、県を志望する者への機会の確保のためにも、定年引上げ期間中は、今後の業務量の見通しも含めた中長期的な観点からの定員管理を行いながら、毎年度継続的に一定数の職員採用が行えるよう検討してまいりたいと思います。   〔総務部長小岩徹郎君登壇〕 ◎総務部長(小岩徹郎君) 2点お答え申し上げます。 滞留債権に係る統一的な回収方針についてでありますが、県ではこれまで、債権管理マニュアルの作成や主な債権を所管する部署から構成される債権管理連絡会議の設置、私債権の権利放棄の判断基準の策定など、未収金の縮減に全庁的に取り組んでおり、これらを通じて各部局においても取組が進み、一定程度の統一的な対応がなされているものと認識しております。 今回の包括外部監査においては、債権回収に関し、さらなる全庁的な取組の検討を求められているものと受け止めておりますが、各所属が所管する債権は、母子・父子・寡婦福祉資金や中小企業高度化資金といった貸付金や、県立病院の利用料金など、その相手方や政策目的が様々であることから、対象とする債権の範囲や具体的対応については、丁寧に検討する必要があると考えております。現在、債権の所管部局の意見や、他都道府県での取組事例等を調査し、より適切で効果的な回収方法について検討しているところです。 続きまして、私債権放棄審査の現状と課題についてでありますが、平成26年度に設置した私債権放棄審査会の審査を経て議案提出を行った債権放棄案件は、令和2年度までは単年度で件数は1桁台で推移してきたところですが、令和3年度、4年度はノウハウの蓄積が進んだことにより、20件程度と増加しているところです。 一方、議員御指摘のとおり、多数の債権を抱えている部署においては、審査会へ提出するための審査表の作成など、事務負担が大きいのではないかと認識しております。 債権放棄の判断基準や審査表は、策定から10年程度が経過していることから、債権所管課の現状や他都道府県での状況も調査し、厳格さと事務負担のバランスを考慮しながら、見直しも含め適切に対応してまいります。   〔病院局長山﨑理君登壇〕 ◎病院局長(山﨑理君) 県立加茂病院、吉田病院で働く正規職員の派遣や非正規職員の処遇についてでありますが、地域の医療水準を維持し、運営法人の職員確保と県立病院職員の雇用継続を図るため、正規職員の派遣や、非正規職員の運営法人への再就職について、運営法人と協議を進めてまいります。 協議に当たっては、職員一人一人の意向に最大限配慮し、丁寧に対応してまいりたいと考えております。   〔教育長佐野哲郎君登壇〕 ◎教育長(佐野哲郎君) 3点についてお答えいたします。 まず、県立特別支援学校における登下校時間や長期休業期間の見直しについてでありますが、保護者からは、仕事等の関係から早い登校時間を望む声がある一方で、障害の程度によっては遅い登校時間を望む声もあるところです。各学校では、毎年、こうした声を基に、登下校時間の調整に努めるとともに、福祉サービスの実情を踏まえ、個別に保護者の相談受け、対応をしております。 県教育委員会といたしましては、こうした取組に加え、今後は、保護者のニーズを把握した上で、長期休業期間の見直しについても検討を進めるよう、各学校に働きかけてまいります。 次に、学校統合による区域外就学についてでありますが、各市町村教育委員会は区域外就学の要件や手続に関し、必要な事項を定め、公表することとなっております。保護者から子供の通学に相当な時間を要するなど、通学の利便性を理由とした区域外就学の申請があった場合、関係市町村教育委員会の間による協議が調えば、就学すべき学校の変更が認められております。そのため、現行の制度でも対応は可能であると考えております。 次に、教員の欠員解消に向けた取組についてでありますが、県立高校において、4月1日現在での欠員は6校6名でしたが、他県も含め、広く講師確保に向けた取組を行い、9月1日時点での欠員は2校2名となりました。 年度当初に欠員が生じた理由は、教員採用選考検査の受検者数の減少による講師登録者数の減少、再任用教職員の希望者のうち、フルタイムを希望する者が想定より少なかったことなどが挙げられます。 県教育委員会といたしましては、教員志願者を増やすために、オンラインによる採用ガイダンスや動画配信などの取組を充実させるとともに、大学生や高校生を対象にした、本県教員の魅力を伝える広報活動を強化してまいります。さらに、退職者や教員免許保有者等に個別に働きかけるなど、今後も引き続き講師の確保に努めてまいります。   〔警察本部長山田知裕君登壇〕 ◎警察本部長(山田知裕君) 児童相談所等との連携についてでありますが、警察で認知した児童虐待事案につきましては、警察官が現場臨場して児童の安全確認を行い、虐待を受けたと思われる場合には児童相談所に通告を行うほか、通告に至らない場合におきましても、児童相談所と必要な情報共有を行っております。 また、児童相談所から警察に対して援助要請がなされた場合には、児童の安全確認や一時保護等に警察官を同行させるなど、必要な援助を実施しております。 さらに、警察官と児童相談所職員相互の現場対応能力の向上を図るため、合同訓練を実施したり、市町村に設置されている要保護児童対策地域協議会に参画して情報共有を行うなど、関係機関・団体と連携して対応しているところでございます。   〔池田千賀子君登壇〕 ◆池田千賀子君 知事、答弁ありがとうございました。1つだけ再質問をさせていただきたいと思います。 GX実行会議で出されました原発に係る3つの政策、拙速にこういう打ち出し方をすべきではないという質問についてでありますが、知事がおっしゃるように、GXの会議で出たのだけれども、安全性は大前提ですよと、そして安定供給や環境適合と同時達成を目指していくのは当然のことであるという考えをお示しになられて、私も当然だと思います。 ただ、国はこれから議論を行っていく、これもそうなのですが、国民に分かりやすく丁寧に説明してほしいという注文をつけられたのですが、やはり心配し過ぎだというふうに言われるかもしれませんけれども、ウクライナ危機以降の、特に参議院選挙後の7月、8月のこの動きを見ると、今までと違う政策転換を打ち出したり、あるいはエネルギー基本計画にも、もしかしたら盛り込まれるのかもしれないというような動きがあったり、言わば一気呵成にこれを進めようとしているのではないかというふうに見えることに対する、原子力発電所立地県の県民の懸念とか不安とかそういうものに、もうちょっと知事から共有していただきたいな、国に丁寧に説明してほしい、それだけではなくて、県民の不安にもう少し知事として応えていただきたいなという意味なのです。 さらに言えば、昨日大渕議員が言われたように、事があれば意見をするとかいうこともその次に来るのでしょうけれども、まずやっぱりこの動きをちょっと今までとは違う動きだぞと、本県にも関係があるかもしれないと、そういった視点で県民の不安に寄り添っていただきたいなというふうに私は思うのですけれども、いま一度御答弁をお願いできませんでしょうか。よろしくお願いします。   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 池田議員の再質問にお答えいたしますが、再質問といいますか、同じ質問だと思いますけれども、先ほど申し上げましたとおり、世界のエネルギー情勢あるいは日本を取り巻くエネルギーの環境は大きく動いていますし、変わってきています。そうしたエネルギーに関わる情勢あるいは地球温暖化という課題もあると思いますけれども、そうしたものの動きを踏まえて国のエネルギー政策をどういうふうにしていくのかということは、当然議論、検討されるべきものだというふうに私は思います。ただその中で、議員がおっしゃるように拙速にという言葉がありましたけれども、丁寧に分かりやすく説明をしてもらいたいというのが私の気持ちであります。 ○議長(小島隆君) 池田千賀子君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。  午後0時10分 休憩   ――――――――☆――――――――  午後1時10分 開議 ○副議長(楡井辰雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、小泉勝君の発言を許します。小泉勝君。   〔小泉勝君登壇〕(拍手) ◆小泉勝君 リベラル新潟の小泉勝です。令和4年新潟県議会9月定例会に当たり、一般質問をさせていただきます。 初めに、県政の諸課題について質問いたします。 SDGsは持続可能な開発目標として国連で採択された2016年から2030年までの国際目標であり、その期間のおよそ半分が経過しています。 国連持続可能な開発ソリューション・ネットワークと、ドイツのベルテルスマン財団が世界各国のSDGs達成状況を分析・評価し、毎年発表しているサステーナブル・ディベロップメント・レポートによりますと、日本のSDGs達成度ランキングの順位は、最新の2022年度版では19位に位置し、163か国の中で上位に位置していることが分かります。 しかしながら、我々がふだんの生活において、その実態を実感できるかというと、なかなか分かりにくいところであり、国内や身近な地域で取組の成果を実感できることが重要だと考えます。 こうした中、2020年に産学官金が共に立ち上げた地域創生プラットフォーム、SDGsにいがたが一般社団法人化されたことに伴い、花角知事は代表理事に今年就任され、8月には設立記念フォーラムが開催されました。 SDGsにいがたの取組は、SDGsを企業経営や行政運営にリンクをさせることで、知事が掲げる住んでよし、訪れてよしの新潟県の実現にもつながり、県民にも分かりやすく自分たちの取組の成果を実感してもらえるものと期待をしておりますが、県のSDGs推進に向けた今後の取組方針について、知事の所見を伺います。 次に、建設産業はインフラ施設などの社会資本整備に加えて、災害や除雪作業への対応などにも非常に大きな力を発揮し、地域の守り手として重要な役割を果たしています。県では、他産業に先立って新潟県SDGs推進建設企業登録制度を昨年度から開始しておりますが、本制度の狙いとこれまでの成果について所見を伺います。 次に、近年、結婚観、家族観が多様化する中で、ワーク・ライフ・バランスが求められ、保育所施設等の充実や育児休業の拡大など、仕事と育児の両立は女性の社会参画を後押しするとともに、持続可能な地域社会をつくることにつながり、もはや子育ては女性だけの課題ではなくなっています。 県では、新潟県子ども・子育て支援計画を令和2年3月に策定し、仕事と子育てが両立でき、社会全体で子育てを支える環境をつくることを基本目標の一つとして掲げています。 人口減少対策として、子育て環境の充実は非常に重要であり、そのためには社会全体で支える仕組みづくりをより一層進めていく必要があると考えますが、知事の所見を伺います。 次に、女性が働き続けてくれるためには、子育てしながら働き続けることができる環境が必要ですが、子育て中の女性が子供などの熱で数日休みを取り続けると、職場から白い目で見られたり、新しい仕事を任せてもらえなくなったりするなど、女性に活躍してもらうことを応援していく職場の空気や環境整備がまだまだ足りません。 女性が働きやすいと感じてくれる職場が必要ですが、働きやすい職場とは、子供が体調不良となったときにいつでも帰ることができる、子供を安心して預かってもらえる幼児・児童教育機関が近くにある、時短や残業等、土日、祝日等の柔軟な働き方を尊重してもらえる、そしてそれらのことが就業規則に取り入れられ、運用されている、何よりそこの職場で働かれている方の評判がいいといったことなどが挙げられます。 本年4月に私の地元、見附市において、新たに内閣府企業主導型保育施設として、みつけの保育園が開園しました。そこでは、1日24時間という限られた時間の中で、保護者と子供との触れ合う時間を少しでも多く持ってもらいたいとの思いから、普通であれば保育園へ行くために布団や着替え、日々のお弁当などを準備するのが当たり前な中、それらを一切必要としない手ぶら保育、そしてスマホでの連絡帳送信、熱が出たときもすぐに迎えに来なくてよい病児一体型の保育も取り入れ、スマホで予約可能とするなど、保護者の負担を軽減するための取組を行っており、保護者からの評判もよく、保育士不足の時代、多くの保育士に支持されております。 そこで、令和4年2月に県が公表した県民の意識・満足度アンケートでは、子育て環境について特に力を入れてほしい施策として、子育てしながら働き続けられる職場環境づくりが最も高くなっています。 本県の女性の就業率が全国平均よりも高いことからも、子育てをしながら働き続けられる職場環境づくりは重要と考えますが、今後どのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。 次に、1年前、昨年の9月定例会の一般質問でも医師不足について触れさせていただきましたが、県民が安心して暮らしていくためには、医療環境の充実が重要と考えます。 本県の人口10万人当たりの医師数は、厚生労働省の調査によると、2022年末時点で218.2人となっており、都道府県別では全国で5番目に少ない43位であることが本年3月に公表されました。 県では、医師確保に向け、医学部の地域枠拡大など様々な取組を行っており、2023年度は過去最多の10大学70人になる見込みと承知しておりますが、地域枠卒業医師が義務年限を終えた後も新潟に残り、県内に定着していただき、地域医療を支えていただくことを強く期待しております。 これまでの新潟県の医師確保に向けた取組の評価と、今後の具体的な取組について伺います。 次に、医師確保と同様に、医療環境の充実には看護職員の確保も重要でありますが、県が令和2年3月に公表した新潟県看護職員需給見通しでは、令和7年の需要数に対し、現在の看護職員は大幅に不足しており、看護職員の確保に向けた対策を進めていくとしていますが、現在、これまでの対策により、看護職員の確保にはどのような成果が見られるのか伺うとともに、今後の課題について伺います。 次に、文部科学省の調査により、2022年度採用の公立小学校の教員採用試験倍率は、全国で2.5倍と4年連続で過去最低であることが公表されましたが、報道では、低倍率が続くことで教員の質の確保や教員不足が深刻化することも懸念されると有識者が指摘をしています。 本県においても全国平均を下回る1.9倍となっていることから、教員の質の確保と教員不足が懸念されると考えますが、所見を伺うとともに、今後の受験者確保に向けた取組について伺います。 次に、県は、離島や中山間地域など人口減少の影響で生徒数が減り、教員の少ない学校を対象として、ICTを活用した遠隔授業の実証実験を行っており、教員の少ない小規模な学校でも生徒のニーズに応じた選択科目等の授業を受けることが可能となり、広い県土を有する本県において、教育環境を充実するためには有効な取組と考えます。本格導入に向けた課題と今後の取組について伺います。 次に、介護福祉と障害福祉の共生型サービスの取組を進めていただいておりますが、効率面のメリットを前面に進められているように感じます。効率を重視しながらも利用者のサービス向上を同時に図ることが必要であり、さらに施設を運営する事業所としても、収入が減るような仕組みでは取組は拡大していかないと考えます。 日中一時支援事業は、既存のデイサービスの報酬単価に合わせた単価となるので変わりありませんが、共生型になると障害福祉の指定となるので、単価が下がってしまいます。そのような場合には共生型の指定を取らないほうが経営的にはよいことになり、実際に現場ではそのような判断をしています。 限りある人材を効率よく活用しながらも、より充実した介護福祉と障害福祉の環境を整備するために、共生型サービスの在り方について県としてどのように考えているのか、所見を伺います。 次に、地域公共交通は人口減少や新型コロナの影響などにより、路線バスの減便や運行路線の廃止等が進んでいますが、特に過疎地域では、車を持つことができない高齢者や支援が必要となる障害者などが孤立するおそれがあります。 県民が日常の足を確保し、住み続けられる環境を保つためには、地域公共交通の維持・確保は喫緊の課題と考えますが、所見を伺います。 次に、総務省の人口移動報告では、本県では2021年に5,700人余りの転出超過があり、その内訳は女性が男性より約700人多く転出しています。 人口減少対策は県政の最重要課題でありますが、県内の学校や県外に進学した若い女性から就職先として県内の企業が選ばれるために、県としてどのような取組が必要だと考えているのか、知事の所見を伺います。 次に、新型コロナウイルス感染拡大の第7波がピークアウトしたのではとの見方が強まり、県内においても減少傾向にありますが、気がつけば新型コロナウイルスの流行が確認されてから早くも3年近くになろうとしています。まだまだ予断を許さない状況にありますが、十分な対策を講じながら生活を日常に近づけていかなければなりません。 長引く新型コロナウイルスの感染拡大により、県内でも多くの産業が痛手を負っており、ウィズコロナなど環境変化に柔軟に対応できる強靱な産業構造への転換を進めることにより、本県経済の再生を図ることが必要ではないかと考えますが、知事の所見を伺います。 次に、総務省所管で平成21年度に始まった地域おこし協力隊による地域活性化制度は、地域協力活動を行いながら、最終的に活動後にはその地域への定住・定着を期待するものであり、ミッション型、フリーミッション型の受入れ形態があります。令和3年度では全国で約6,000人の隊員が活動し、国は令和8年度には1万人に増やすという目標を掲げています。 本県でも現在195名の方々が活動しており、地域おこし協力隊制度は、隊員の新鮮な発想や地域に根差した活動により大きな成果を上げ、任期後も県内での定着率が高い重要な制度と考えます。本制度に対する県の評価と今後の期待について、知事の所見を伺います。 次に、近年、海洋資源のプラスチックごみによる汚染が世界的に問題となるなど、プラスチックごみの削減は、本県においても喫緊の課題と考えます。 レジ袋有料化以降、ごみ集積場にレジ袋が散乱することが激減したといいます。たとえ二、三円でも物にきちんと価値づけをしていくことで、確実にごみ減量につながるものと思います。 海洋プラスチックごみは、そもそもごみのポイ捨てによるもので、川から海へ運ばれ、マイクロプラスチックとなり、生態系に影響を与え、食物連鎖の頂点に君臨する私たち人間もマイクロプラスチックを摂取しています。 そもそもごみとは何かと考えたとき、もともとごみとしてこの世に存在しているものはなく、人がごみと認定した時点でごみが生まれます。不要なものを譲り合ったり、食べ切れない食品を分け合ったりするような社会システムや人間関係があれば、そもそもごみは生まれないのではないでしょうか。いつそれをごみ認定するかは、持ち主の気持ち次第であり、ごみの問題を深く考えるきっかけとしても、レジ袋の有料化が有効に働いたと思います。 本県でもレジ袋の有料化の取組などにより、プラスチックごみの問題は県民に認識が定着しつつあると感じていますが、本県の取組状況について伺います。 次に、日本は食料自給率が40%を下回っている上、今後の世界情勢の動きや天候要因などによる干ばつ、世界的な人口増加などにより食料危機が予想される中、食料安全保障の観点から、本県は食料供給基地として今まで以上に重要な役割を担うものと考えます。 しかし、米の消費の停滞などにより農家の経営は厳しく、高齢化や離農が止まらず、農業の持続可能性の確保には課題も多いと認識していますが、食料の自給率向上に向け、今後どのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。 次に、本年2月定例会での一般質問で、アーバンスポーツを安全に楽しむことができ、若者たちが集まれる魅力的な居場所づくりとしての環境整備と、アーバンスポーツの推進について県としても取り組むべきと質問をさせていただき、県立鳥屋野潟公園内にスケートパークの整備を行っていただいておりますが、より魅力的な施設とするために、子供たちからの要望や様々な関係団体との意見交換を踏まえながら設計を進めていると聞いています。県民、特に子供や若者たちの期待が高まっていると感じているところであり、私自身も期待をし、注目しております。現在予定している整備内容と整備スケジュールについて伺います。 次に、田んぼダムの取組について伺います。 水田を利用した洪水被害軽減策である田んぼダムの取組は、新潟大学の浸水シミュレーション調査でも、田んぼダムで浸水面積が減少する調査結果が出ており、一定の減災効果があるとし、県内では平成14年度から実施されています。 田んぼダムは低コストであり、設置が簡単なこともあり、激甚化・頻発化する豪雨災害に対して有効な取組と考えます。これまでの本県の取組状況について伺います。 次に、田んぼダムは下流域の洪水被害を軽減させるための取組のため、費用や労力を負担している上流域の農家と受益者が一致しないことから、取組拡大には限界があるのではと危惧しています。 上流域の方々が下流域の方々のことを思うことで本事業が成り立っており、取り組む農家の方々からは定期的な点検の必要といった負担感の声も聞かれます。 このため、多面的機能支払交付金を活用して取り組まれていると聞いておりますが、安価に洪水、浸水被害を軽減させることのできる本事業の今後より一層の普及を図るためには、農家に田んぼダムを実施するための経済的なインセンティブを付与することが重要であると考えますが、所見を伺います。 次に、県北地域における豪雨災害について伺います。 8月6日にリベラル新潟で現地入りをし、村上地域振興局にて局長をはじめ地域整備部、農林振興部、現場の御担当者から被害状況の説明を受けた後、村上市ボランティアセンターを視察し、運営状況について説明をいただきました。 8月16日には、私一人で国道113号線の被災状況を村上市から山形県まで見てまいりました。JR米坂線は、土砂や流木が米坂線を覆い、線路は見えず、さらには鉄橋の橋脚も崩落し、米坂線の今後が心配されました。 国道については、道路が崩落している箇所も見られましたが、山形までの間、数か所片側交互通行はあったものの、昼夜を問わず行った応急工事などにより、おおむね順調に走行することができました。 さきの質問でも触れましたが、建設産業の地域の守り手としての役割は非常に重要であり、真夏の暑い盛りで、かつ、お盆休みも返上で道路や河川、農業用水などの応急工事の現場作業に当たられておられる方々には、本当に頭が下がる思いでありました。 それでは初めに、今回の豪雨災害は1時間149ミリという猛烈な雨量を観測するとともに、24時間雨量は県内観測史上最高となる560ミリという記録的な豪雨に見舞われました。しかしながら、人的被害が最小限に抑えられたことは、地域の防災リーダーや消防団などによる適切な避難誘導が行われたことが一つの要因と聞いています。 このため、災害時における対応力向上を図るため、今回の対応をしっかりと検証し、今後の取組に生かしていく必要があると考えますが、知事の所見を伺います。 見附市が募集した災害ボランティアに参加をさせていただき、2度、村上市災害ボランティアセンターに伺いました。花立地区に入った際には、もともとその地区は現在の国道113号線上にあったものが、昭和42年に発生した羽越水害の際に、現在の高台に移転してきたと地域の方々からお話を伺いました。お昼に休憩を取った集落センターの前には、集団移転の記念碑が建っていました。 当時の災害復興で国道を改修し、荒川も川幅を大きく拡幅し、米坂線だけが当時と同じ場所にあり、今回被災するまでそのまま面影を伝えてきたそうであります。今回の豪雨では、荒川の本流の決壊や越水などといった被害はなく、当時の荒川の河川改修が大きな効果をもたらしたと思われます。 そこで、花角知事は国の3か年緊急対策を中心に進めてきた河川の河道掘削などによる防災・減災対策が効果を発揮し、河川の氾濫などが抑えられたとも述べておられますが、今後の防災・減災対策をどのように進めていくおつもりか、知事の所見を伺います。 しかしながら、荒川の本流は、過去の河川改修やこれまで取り組んできた河道掘削といった対策が功を奏した一方で、今回は支流の上流部での流木を含んだ土石流による被害が確認されています。 花立地区では、集落の裏山からの土砂が小さな沢を埋め尽くし、流れ出た立ち木が流木となり、橋につっかえ、川の流れをせき止めたことにより、あふれた土石流が家屋を襲い、道路をえぐり取りました。 また、山林の多くの箇所で土砂崩れが発生し、その土砂と流木が土石流となり、沢を埋め尽くしたとのことでありました。 2度目にボランティアに入った荒川を挟んだ対岸の川部地区でも、山からの土砂や流木が集落内に流入して被害が拡大していました。 このため、今回の豪雨災害では山林の多くの箇所で土砂崩れが発生し、土砂とともに立ち木が流木となって下流の集落などに流出したことにより、被害が拡大したと考えられます。 このような山地災害による被害を最小限に食い止める観点から、今後、森林整備を含む治山対策をどのように進めていくべきか、知事の所見を伺います。 次に、近年、ペットブームなどとも言われ、家族同様にペットに対して愛情を注いでいる方も少なくありません。折しもコロナ禍の中でペットを飼う人は増加傾向にあるとも言われております。 本年6月19日に三条市で行われた豪雨災害を想定した総合防災訓練では、ペットを連れていくことのできる避難所を初めて設置したと聞いております。 ペットとの同行避難を望んでいる方も少なくなく、私の地元でも災害時の対応に不安の声が聞かれます。地元紙の報道によりますと、ペットの扱いに悩む住民は多く、家に置いていくのが心配、他人の迷惑になるのではといった声も聞かれたとのことであります。 しかしながら、村上市と関川村では避難所へのペットの同行を制限していなかったとのことであり、避難所にペットと同行できるとは知らずに自宅にとどまった人もいるなど、地域住民への周知やスペースの確保にはまだまだ課題が多いようであります。 避難所におけるペットの扱いなどに関して県としてどのように考えているのか、所見を伺います。 最後に、児童生徒の不登校について質問をいたします。 まず初めに、文部科学省が2021年10月に発表した令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査によりますと、小中学校における不登校の児童生徒数は約19万6,000人と8年連続で増加をし、過去最多となりました。 本県における不登校の児童生徒数は約3,100人と前年度より約1割増加していますが、この現状についてどのように認識し、取組を進めているのか、所見を伺います。 次に、不登校の児童生徒の中には、家庭で多くの時間を過ごしている児童生徒がいますが、学校をはじめとした外部との関わりが希薄となり、必要な情報が十分に得られず、孤立感を強めたりしている場合があると考えられます。 このため、児童生徒や保護者の状況を見極めながら、そうした家庭で過ごす児童生徒が社会的自立に向かえるように、ICTを活用した学習支援等により、児童生徒と関わる仕組みづくりを行うことも考えられますが、所見を伺います。 次に、不登校には様々な要因がありますが、学力の低下や友人との交流、社会生活や経験等の不足から将来のことを心配し、保護者としては何らかの形で子供たちの自立を求めています。 学校への登校は強要せず、民間の団体などへ支援を求めるフリースクールは、不登校の児童生徒を受け入れる不登校の子供たちの居場所という役割を持ち、その規模や形態は様々です。 2018年に教育機会確保法が施行され、国もフリースクール等の重要性を認めており、2019年、文部科学省の不登校児童生徒への支援の在り方についての通知では、学校へ復帰することではなく、社会的な自立を目指すことに変わってきています。 しかしながら、ほとんどの不登校児童生徒が学校以外の居場所に行けておらず、経済的な理由や、通える場所がそもそもない、存在を知らないなどが理由として挙げられています。 個性や特性はそのままでいい、みんなと同じにできなくていいというのが今の時代の流れですので、さらに積極的にフリースクールという選択肢を広めるべきであり、不登校で家に引き籠もり、社会に出ていかないこと自体を避けなくてはなりません。 新潟市西区にあるフリースクール、ロビオキの代表は、まずはフリースクール自体の認知を高めなければいけないと言っています。選択肢が学校だけしかないという現状から、学校でもフリースクールでもよいという考えを広めていく必要があります。 それでは、最後の質問ですが、フリースクールは学校教育法で認められた学校ではないため、公的な支援はなく、その費用は自己負担となり、平均月額3万3,000円と言われている会費の負担は重く保護者にのしかかってきます。このため、貧困家庭、独り親家庭など経済的な理由でフリースクールに通うことが困難な家庭があると伺っていますが、このような不登校の児童生徒への経済的支援について検討すべきと考えますが、所見を伺います。 以上で一般質問を終わります。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 小泉議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、SDGsの推進に向けた今後の取組方針についてでありますが、一般社団法人地域創生プラットフォーム、SDGsにいがたは、県内のSDGsに基づく企業活動や地域づくりの推進などに取り組んでおり、これらの取組は、議員御指摘のとおり、住んでよし、訪れてよしの新潟県の実現にもつながるものと考えています。 県といたしましては、新潟県SDGs未来都市計画に掲げます2030年までの目標の実現に向けて、経済、社会、環境の3側面の関連施策を着実に推進していくとともに、県民、企業、市町村などに対し、SDGsの理念や取組を広く周知することにより、県内の取組を推進してまいりたいと考えています。 次に、社会全体で子育てを支える仕組みづくりについてでありますが、核家族化の進行や共働き世帯の増加などにより、子育てニーズが多様化する中、県では現在、保育環境や地域の子育て支援拠点の整備・促進をはじめ、子育てしやすい職場環境づくりやNPO団体等による地域での子育て支援活動に対する支援を行うなど、社会全体で子育てを支える環境づくりを進めているところです。 議員御指摘のとおり、子育てしやすい社会環境づくりは、人口減少対策の観点からも極めて重要であり、より一層充実させていくことが不可欠であることから、県といたしましては、引き続き、企業や関係団体、市町村などとの連携強化を図り、職場、保育、家庭、地域、それぞれの場面における対策を一体で重点的に進めることにより、社会全体で子育てを支える体制づくりの一層の推進に努めてまいります。 次に、子育てしながら働き続けられる職場環境づくりについてでありますが、議員御指摘のとおり、本県の女性の就業率は全国平均よりも高く、また、育児をしている女性の有業率も全国平均を上回っていることから、安心して仕事と家庭を両立できる職場環境をつくっていくことが重要であると考えています。 県といたしましては、ワーク・ライフ・バランスの実現を推進するため、専門家による伴走型支援、妊娠・出産や子育てのための有給休暇制度の利用や男性の育児休業取得に対する助成、仕事と育児の両立にも有効なテレワークの普及などに努めています。 また、10月からは、働き方改革推進のキャンペーンを通じて、男性の育児休業取得促進に向けた企業への呼びかけを強化することとしており、引き続き、誰もが働きやすい職場の実現に向けてしっかりと取り組んでまいります。 次に、若い女性の県内就職促進についてでありますが、国の調査によれば、就職先を選択する際には、給与の水準や、自分の関心に近い仕事ができることといった点に加え、女性は、育児・介護のための制度の充実などを重視する傾向にあります。 そうした中で、本県が若者、特に女性から働く場として選ばれる地となるためには、所得水準の向上や魅力ある多様な雇用の場の創出、ワーク・ライフ・バランスの推進などの働き方改革、女性が活躍しやすい環境づくりなどに、県内企業、市町村などと連携して取り組む必要があると考えており、今定例会においても、多様で柔軟な働き方が可能な企業の創出に向けた補正予算案をお諮りしているところです。 また、こうした取組と併せて、本県に魅力的な働く場があることを積極的に発信し、女性の県内就職促進につなげてまいりたいと考えております。 次に、強靱な産業構造への転換による本県経済の再生についてでありますが、本県は、規模が小さく、経営面で他律的な企業が多く、経営環境の変化による影響を受けやすいことから、経済の立て直しに向けては、議員御指摘のとおり、変化に柔軟に適応できる、足腰の強い強靱な産業構造に転換していくことが重要であると考えています。 そのため、引き続き、県内企業の競争力の強化と高付加価値化につながる挑戦を後押しすることにより、国内外での高いシェアや独自の技術を有する企業や、企画提案力を持って自ら価格決定ができる企業など、強い経営基盤を持つ企業の創出・育成に取り組んでまいります。 次に、地域おこし協力隊の評価と今後の期待についてでありますが、議員御指摘のとおり、地域おこし協力隊は、都市部の若者が過疎地域などで、地域活動の支援や地場産品の販売・PR、農林水産業などに従事し、任期終了後は、6割以上の隊員が県内に定住するなど、地域外から人材を呼び込み、地域活性化や定住につながる制度として重要であると考えています。 今後、人口減少や少子高齢化がさらに進行していくことが見込まれ、地域の活力維持が課題となる中、地域の新たな担い手として、その期待はますます大きくなるものと考えています。 県といたしましては、市町村にさらなる活用を促すとともに、隊員の確保やサポート体制の整備など、市町村の取組を引き続き支援してまいります。 次に、食料自給率の向上に向けた今後の取組についてでありますが、世界的な穀物需要の拡大や地球規模の気候変動等により、穀物等の国際価格が上昇している現状を踏まえれば、多くの食料を輸入に依存する我が国においては、食料安全保障の観点から、国内の生産性を高めることが一層重要になると認識しています。 県といたしましては、担い手への農地の集積・集約や規模拡大、法人化などの構造対策と、新潟米や園芸の基本戦略等に基づく生産対策とを車の両輪として推進しながら、持続可能な生産体制の構築を進め、日本の食料供給基地として、我が国の食料自給率の向上に寄与してまいりたいと考えております。 あわせて、食料自給率の向上には、米をはじめとする国産穀物が積極的に選択される環境をつくることも重要なことから、国に対し、国民の国産穀物の消費に関する意識の変革や、食品製造事業者における米粉の活用促進など、国産穀物の需要拡大の取組を引き続き働きかけてまいります。 次に、県北地域における豪雨災害についてお答えをいたします。 まず、今回の災害の検証と今後の取組についてでありますが、今回の豪雨災害において、人的被害が最小限に抑えられたことについては、議員御指摘の要因も含め、しっかりと検証を行う必要があると考えています。 具体的には、地域の自主防災組織や消防団などにヒアリングを行い、市町村が出す避難情報と住民の避難行動との関係などについて明らかにするなど、市町村や関係機関と連携をして検証を進めてまいりたいと考えています。 これらを踏まえ得られた知見については、市町村等の防災関係者と共有するとともに、県民向けの防災意識啓発や、地域の防災リーダーの研修にも活用するなど、今後の取組に生かしてまいりたいと考えています。 次に、今後の防災・減災対策の進め方についてでありますが、本県は、広い県土と長大な河川等を有し、脆弱な地質も多いことから、自然災害リスクが高いことに加え、インフラ施設の老朽化が喫緊の課題となっています。 8月3日からの大雨では、国の3か年緊急対策などを活用して取り組んできた河道掘削などにより、河川の氾濫はかなり抑えられたことから、防災・減災の重要性を改めて認識したところであります。 県といたしましては、激甚化・頻発化する自然災害に対応するため、引き続き、国の5か年加速化対策などの有利な財源を積極的に活用しながら、ハード・ソフト一体となった防災・減災対策を着実に進めて、県民の安全・安心の確保にしっかりと取り組んでまいります。 次に、山地災害による被害の軽減に向けた治山対策についてでありますが、今回の災害も含め、近年の豪雨災害では、大量の流木により被害が拡大する傾向があり、このような山地災害を最小限に食い止めるためには、流木の発生や流出を抑制する治山対策を着実に進めていくことが重要であると認識しています。 県といたしましては、今回の記録的な豪雨による災害を踏まえ、改めて集落周辺の渓流を調査し、流木被害の危険性の高い箇所から、現地の状況に応じて、計画的に間伐等による森林整備を進めていくとともに、倒木の除去や流木捕捉式治山ダム等の整備を実施してまいります。 加えて、地域住民に対し、山地災害危険地区の情報と併せて、流木被害のおそれがある箇所の情報を周知することで、ハード・ソフト一体となった治山対策を進めてまいります。   〔環境局長玉木有紀子君登壇〕 ◎環境局長(玉木有紀子君) お答えをいたします。 プラスチックごみの削減に対する県の取組状況についてでございますが、議員御指摘のとおり、プラスチックごみによる海洋環境の汚染は、世界全体で取り組むべき重要な課題であり、レジ袋有料化後の国の調査によれば、約8割の方がプラスチックごみ問題への関心が高い、または高まったと回答しており、問題への認識は定着しつつあるものと考えております。 県といたしましては、これまでもプラスチックのリサイクルを実施する事業者への支援や、海岸清掃イベントを通じた情報発信、市町村と連携した環境学習の実施などに取り組んできたところであります。 今後、さらなる行動変容につながるよう、分かりやすい動画の作成や、店舗や宿泊施設などの事業者と連携した意識啓発などの効果的な取組を進めてまいります。   〔福祉保健部長松本晴樹君登壇〕 ◎福祉保健部長(松本晴樹君) 4点お答え申し上げます。 医師確保の取組の評価と今後の取組についてでありますが、県では、医師不足解消に向けて、定着率が高い医学部地域枠の新設・拡大を行い、令和4年度は昨年度より20名増となる7大学53名としたほか、臨床研修病院における魅力向上の取組をはじめ、県独自の研修コースや市町村と連携した留学支援等に取り組み、今年度の研修医は昨年度より21名増加の125名となったところです。 しかしながら、さらなる医師確保が必要と考えており、令和5年度地域枠を今年度より最大17名増となる10大学70名に拡大できるよう取り組んでいるほか、新たに県外の人気病院と連携した研修プログラムを創設することなどにより、臨床研修医等のさらなる確保に取り組んでまいります。 また、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会などを通じて、実効性のある偏在対策につながる抜本的な制度改革の実現に向けて、引き続き国に要望するなど、医師確保に取り組んでまいります。 次に、看護職員確保対策の成果と今後の課題についてでありますが、県では、看護職員の確保に向けて、市町村や関係機関と連携した看護職の魅力発信や、看護学生の修学資金の貸与などにより県内就業を促進するとともに、ナースセンターによる求人情報の提供や相談支援により、再就業の促進に取り組んできました。こうした取組などにより、本県の看護職員の総数は年々増加し、人口10万人当たりでは1,271人と全国の1,192.6人を上回っているところです。 しかしながら、看護職員数は、需給見通しで推計した需要数と乖離していることに加え、地域偏在が生じている状況にあります。また、高度化・専門化する医療ニーズ等に対応するためには、専門性の高い看護職員の育成が必要と考えております。 県といたしましては、引き続き、市町村や関係機関と連携し、修学資金の活用促進や感染管理認定看護師の育成など、様々な取組を組み合わせることにより、看護職員の確保・育成に取り組んでまいります。 次に、共生型サービスの在り方についてでありますが、共生型サービスは、障害者が65歳以上になっても使い慣れた施設で継続的にサービスが受けられることや、限られた福祉人材をうまく活用しながら効率的にサービス提供することができるなどの観点で創設された制度です。 当該制度は、本来基準が異なる介護保険と障害福祉との間をつなぐものとして、人員や設備等が他方の基準に満たない場合であっても、一定の報酬を減額することで、両方のサービスの提供を可能とするものであり、既存事業所が取り組みやすい等の利点も大きいことから、県としても整備を推進しているところです。 引き続き、共生社会の実現に向け、高齢者や障害者に対し一体的にサービスが提供されるよう、指定に関する情報提供や施設の改修補助など、事業所の支援に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、災害時におけるペットなどの動物同行避難についてでありますが、県としても、災害時における人と動物との絆を守る仕組みづくりは重要であると考えております。 新潟県地域防災計画では、市町村の責務として、住民が動物と一緒に避難できるよう配慮することとしており、各市町村の防災計画等でも、動物同行避難の周知や受入れなど、ペットの保護対策を規定しております。 県といたしましては、県が作成したペット同行避難所運営マニュアルの活用や行政関係者等の研修会により、動物同行避難の体制整備を支援するとともに、住民への周知に努めるよう市町村に働きかけるなど、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。   〔農地部長登り俊也君登壇〕 ◎農地部長(登り俊也君) 2点についてお答えいたします。 田んぼダムの本県の取組状況についてでありますが、平成14年度に旧神林村において、全国に先駆け農業者の自主的な取組として始まって以来、県内各地に広がり、令和3年度には18市町村、約1万5,000ヘクタールの水田で実施されております。 次に、田んぼダムの取組拡大についてでありますが、田んぼダムは、豪雨の際に水田からの排水量を抑制し、一時的に雨水を貯留することで下流域での洪水被害の軽減を図る取組であり、上流域の農業者から協力を得ることが不可欠となります。 そのため、水路の草刈りや泥上げ等の地域の共同活動を支援する多面的機能支払交付金により、田んぼダムの取組に対し経済的なインセンティブを付与することが可能となっております。具体的には、水田からの排水量を抑制する調整板を排水口に設置する費用などを支援することができるほか、田んぼダムを一定以上の面積で取り組むなどの要件を満たした場合、交付単価を加算する措置も行っております。 今後とも、農業者の協力が得られるよう本交付金による経済的なインセンティブを周知することにより、田んぼダムの取組拡大に努めてまいります。   〔土木部長金子法泰君登壇〕 ◎土木部長(金子法泰君) 2点についてお答えいたします。 新潟県SDGs推進建設企業登録制度の狙いと、これまでの成果についてでありますが、本制度は、第四次・新潟県建設産業活性化プランに基づき、SDGs達成に向けた県内建設企業の積極的な取組を広く県民にPRし、建設産業のイメージ変革や重要性の理解促進と魅力向上を図り、担い手の確保につなげることを目的として創設しております。 現時点での登録企業は、本年2月の第1回登録の144社、9月の第2回登録の181社の計325社となっていますが、本制度の創設を契機として、関係団体においてSDGs啓発セミナーが開催されるなど、業界全体の機運も高まってまいりました。 県内建設産業は、就業者の高齢化など多くの課題を抱えておりますが、一方で、新規学卒者の就業継続率や企業の利益率が上昇傾向にあるなど、建設産業を取り巻く状況には一部改善の兆しも見られているところです。 県といたしましては、こうした改善へのトレンドがより強く持続するよう、今後とも本制度の登録企業数の拡大や効果的な情報発信に努め、建設産業の活性化につなげてまいりたいと考えております。 次に、鳥屋野潟公園に新設するスケートパークの整備についてでありますが、整備内容については、これまでの関係者からの要望や意見交換を踏まえ、多くのスケーターが楽しめ、競技の練習も行えるようレイアウトを充実させるとともに、パークの一部に屋根を設置するほか、待合室やトイレがある管理棟などを整備する予定としており、必要な補正予算案を本議会にお諮りしているところです。 また、整備スケジュールについては、10月中の入札公告を予定しており、早期供用開始に向けて取り組んでまいります。   〔交通政策局長佐瀬浩市君登壇〕 ◎交通政策局長(佐瀬浩市君) お答えします。 地域公共交通の維持・確保についてでありますが、本県の地域交通は、人口減少や新型コロナ感染症の影響などによる利用者の減少により、事業者の独立採算を前提とした運行の維持が限界に来ている一方で、議員御指摘のとおり、いわゆる交通弱者を含め誰もが容易に移動できる交通手段の確保が、より一層必要になっていると認識しております。 このため、県といたしましては、本年度の予算を活用し、デマンド交通などへの転換支援や、タクシーの定額運賃の試行事業とともに、スクールバスやホテルの送迎バスなど、地域の交通資源を活用した地域住民の移動手段を確保するための調査事業を佐渡で開始しております。   〔教育長佐野哲郎君登壇〕 ◎教育長(佐野哲郎君) 5点についてお答えいたします。 まず、教員の質の確保と受検者確保に向けた取組についてでありますが、本県における令和4年度採用の公立小学校教員採用検査の採用倍率は全国平均を下回っており、教員の質の確保と教員不足の解消のため、志願者数を増やしていくことが重要であると認識しております。 県教育委員会といたしましては、県内外の大学生を対象とした採用ガイダンスやオンライン個別相談会等の実施、県内の高校生を対象とした教員の魅力を伝える説明会の開催、若手教員からのメッセージ動画の作成及びユーチューブの配信等の取組を進め、引き続き志願者増に努めてまいります。 また、検査の時期や会場、方法等、受検しやすい環境づくりについても検討してまいります。 次に、遠隔授業の本格導入に向けた課題と今後の方針についてでありますが、議員御指摘のとおり、県教育委員会では、令和3年度から、離島・中山間地域における小規模校の教育環境の充実を目的に、遠隔授業の実証研究に取り組んでおり、今年度は、単位認定を伴う通年の授業を8科目にわたり実施しております。 この実証研究を通じて、配信側教員の授業力の向上や、受信側職員の支援体制の構築、学校間における時間割の調整など、遠隔授業における課題も明らかになっております。 今後は、課題の解決に取り組みながら、対象地域の拡大や、新たな配信体制の構築について検討する方針であります。 次に、児童生徒の不登校の現状と取組についてでありますが、議員御指摘のとおり、平成25年度以降、増加傾向が続いており、要因は、友人関係や親子関係、本人の無気力・不安等、多岐にわたっています。また、令和2年度の増加については、本県においても、新型コロナウイルス感染症の拡大による生活環境の変化による生活リズムの乱れなどから、登校する意欲が湧きにくい状況であったと認識しております。 こうした現状を踏まえ、児童生徒・保護者の不安の解消に向けて、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを活用し、困り事や悩みに寄り添った対応ができるよう、相談支援体制の整備をさらに進めるとともに、定期的に相談カードを配布するなど、相談窓口の周知に努めております。 次に、不登校の児童生徒と関わる仕組みづくりについてでありますが、本県においても、授業や学校行事の配信、教職員との面談など、ICTを活用した支援事例について、市町村教育委員会などから報告を受けております。 不登校児童生徒に対しては、状況を見極めた上で、ICTの活用だけでなく、家庭訪問による支援も必要であると考えており、それらを組み合わせて関わりを深めていくよう、県立学校や市町村教育委員会へ働きかけていくとともに、先進的な自治体の取組を参考に、より実効的な支援の在り方について検討してまいります。 次に、不登校の児童生徒への経済的支援についてでありますが、県内の複数の市では、民間のフリースクールの授業料に対する補助などの経済的支援を行っていると聞いております。 今後、県教育委員会、市町村教育委員会や民間のフリースクール等との間で開催する情報交換会を活用しながら、所在地域の偏りや補助対象の基準などの課題を共有し、支援の在り方について研究してまいります。 また、県教育委員会では、不登校に限らず経済的な支援が必要な家庭に対して、スクールソーシャルワーカーを活用し、公的扶助の受給等につなげておりますが、十分に活用しているとは言えない学校もあるため、さらなる周知を進めてまいります。 ○副議長(楡井辰雄君) 小泉勝君の質問は終わりました。 次に、松原良道君の発言を許します。松原良道君。   〔松原良道君登壇〕(拍手) ◆松原良道君 自由民主党の松原良道です。通告に従い、順次質問いたします。 まず初めに、知事の政治姿勢について伺います。 去る5月29日投開票の知事選において、花角知事は新人候補に約50万票の差をつけての圧勝でした。このことは、多くの県民が花角県政の継続を望んでの結果であったと私は捉えています。反面、今後の4年間は知事としての真価を問われる4年間であると考えます。 本県は、さらなる財政再建、人口減少における社会減の問題、県内の9割以上を占める中小零細企業の事業継承問題、県民が安全・安心して暮らすことのできる防災・減災対策など、重要課題は多岐にわたります。 このような課題や制約のある中で、いかに県勢を上向きにしていくか、2期目に対する知事の手腕を期待している一人ですが、改めて知事の決意を伺います。 花角県政の1期目の4年間は、過去の知事時代に築かれた負の遺産の清算にエネルギーを費やした、最たるものが財政再建であります。財源捻出のため、職員給与のカットや、利害関係者からの反発を受けることを承知しての各種団体の補助金の削減などに踏み切り、また県庁組織のスリム化も進めた結果、行財政改革は成果を見せ始め、2021年度の一般会計決算では6年ぶりに赤字が解消、基金枯渇も当面回避できる見通しとなりました。 県財政が厳しい中、花角知事は国とのパイプを重視してきましたが、7月10日投開票の参議院選挙において、当初は劣勢と言われた中、小林一大氏が見事7万票の大差で当選されました。県議4期15年を務め上げ、県政課題と県内30市町村の諸課題に精通した小林参議院議員に大いに期待をしていますが、この参議院選挙の結果に対する知事の所見を伺います。 次に、農政について伺います。 米王国と称される本県は、米の売上額を示す2020年の産出額が1,503億円で、42年連続全国1位を誇ります。全ての農畜産物を含む農業産出額は2,526億円で、全国12位の農業県となっています。 しかし、売上げから経費を引いた所得に目を向けると、順位は大きく下がります。ある試算によると、本県全体の生産農業所得を販売農家数で割ると226万円で、農業産出額を販売農家数で割ると605万円で、ともに全国28位に落ちるとのことです。 理由の一つに、米への強い依存が挙げられます。同じ面積で生産した場合は、販売農家1戸当たりの生産農業所得は、米より園芸作物や畜産物のほうが売上額が多い傾向にあります。畜産が盛んな宮崎県、リンゴの収穫量が多い青森県などが上位を占めているが、この試算結果に対する知事の所見を伺います。 しかし、本県も手をこまねいているわけではありません。2019年7月に園芸振興基本戦略を策定し、もうかる農業、所得向上に向けて農家の背中を押していることは承知していますが、しかし現在、農家1戸または農業者1人当たりの所得は、調査に労力が必要などを理由にして、他県同様算出をしていない、また今後も予定はないということであります。 算出に手間がかかるのは理解できますが、農家は園芸によって所得が増えたかを知りたいと考えているわけですから、今後は農家1戸当たりの所得についても県として調査を行い、増減の要因も含め公表すべきではないかと考えますが、公表に向けた具体的な課題について伺います。 次に、物価高騰等に対する支援について伺います。 国は本年4月、地方公共団体が、コロナ禍において原油価格や電気・ガス料金を含む物価の高騰の影響を受けた生産者や事業者の負担の軽減を、地域の実情に応じ、きめ細かに実施できるよう、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を拡充し、コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分を創設しました。 本県への配分額について伺うとともに、今後、県として中小企業への物価高騰に係る支援策をどのように進めていくのか、知事の所見を伺います。 今後の物価の動向について、物価は高止まりの状況が続くとの指摘もありますが、このことに対する知事の所見を伺います。 ロシアによるウクライナ侵攻や中国における売惜しみなどを背景に、肥料など農業に必要な生産資材の価格が高騰していることを受け、JA県中は6月14日、生産者への支援を県に緊急要請を行いました。 肥料価格をめぐっては、JA全農が地方組織に6月から10月に販売する肥料を前期、いわゆる昨年の11月から今年5月に比べ最大で94%値上げするなど、農家への影響が出始めております。飼料や燃油も同じく高騰しています。 新型コロナウイルス拡大やウクライナ情勢の深刻化を受け、エネルギーや穀物価格が高騰する一方、国産の農畜産物は生産資材の高騰分を価格に転嫁しにくい状況であり、農業者は厳しい経営を強いられているところです。 農業者の負担軽減や輸入小麦の代替として、県産米粉の利用拡大に向けた支援も求められていると考えます。 米農家は、米価が下がっている上に生産資材が高騰しているため、大規模農家ほど特に大変な状況だと言われております。 例えば私も構成員である法人では、30ヘクタールの耕作で6月以降の価格で試算しますと、元肥で93万円、土作り肥料で33万円、追肥・穂肥等合わせると現状で150万円の負担増となりますが、このような状況に対する知事の所見を伺います。 肥料や配合飼料の値上げは、農家の将来計画に大きな影を落としています。配合飼料は、輸入原料価格が基準を超えた場合、国やメーカー、生産者が積み立てた基金で補填する制度がありますが、同業者から、設備投資ができない、借金が増える前にやめようとの声が漏れ聞こえるところであります。 一方、肥料については、これまで支援制度がありませんでしたが、本年7月、政府は肥料価格高騰対策事業として、肥料価格の高騰による農家経営への影響を緩和するための支援策を閣議決定いたしました。 国としての支援制度の創設は喜ばしく思いますが、引き続き県としても肥料及び生産資材の高騰に対する支援が必要と考えますが、今後の具体的な取組について伺います。 次に、本県企業の継承者不足について伺います。 企業数の99%超を中小企業が占める本県。このうち従業員5人以下の小規模事業所は9割弱に上り、その数は減少しています。 人口減少と少子化に歯止めがかからない中で、地域経済を担う零細事業所の多くが後継者不足にさらされています。 本県で2020年度に確定申告した事業所数は3万7,764社。2011年の3万9,466社から4.3%減となります。この10年間での増減率は、47都道府県で最下位となっております。この10年は、2012年に始まった景気拡大期間とほぼ重なります。39都道府県では事業所数が増加したが、本県はその波に乗れなかったということであります。 景気浮揚も実感できない中小零細が多く、事業継承も進まない上、地域金融機関が開業への融資に慎重であったことも一因と言われているが、本県における事業所数減少の要因について、知事の所見を伺います。 昨年実施された県の最上位計画、県総合計画の中間評価において、評価委員会は県の起業・創業支援を厳しく遅れていると評価しました。また、開業率は2019年度2.7%で、2020年度の中間目標の4.4%と開きがあるとして、起業・創業の推進が遅れているとも指摘されたところです。 廃業数が開業数を上回る要因の一つが後継者不足であり、地域の暮らしを支えてきた商店が1つ、また1つと姿を消している商店街の現状は、小規模事業所の苦境を映し出していると言われております。 県経済の活性化に向け、事業継承の強化と開業率の上昇が喫緊の課題と考えますが、現状に対する知事の所見と具体的な支援策について伺います。 次に、菌床の製造地表示の義務化について伺います。 昨年の12月に一般質問の中で、近年、中国から輸入される菌床は年々増加傾向にあり、また数年前から日本での中国人による生産者が急増し、国内各地において中国資本による大規模な施設栽培が行われており、国産菌床で栽培している日本の生産者の脅威になるとの指摘をさせていただきました。 おかげさまで、令和4年3月30日に、国内の中国からの輸入菌床で生産されたシイタケの原産地は、中国産と表示することを義務づける改定が決定されました。県当局の御努力に深く感謝を申し上げるところであります。 このことにより、消費者は国産菌床由来のシイタケと輸入菌床由来のシイタケを区別することができるようになり、県内生産者は大きな喜びを感じているところであります。 大切なのは、今後、国産菌床由来のシイタケの消費促進に向け、幅広い年齢層に対し、おいしさ、魅力をどのように消費者に伝えていくかが、本県シイタケの栽培の未来において最も重要と考えますが、知事の所見と具体的な取組について伺います。 次に、温暖化対策について伺います。 地球温暖化は、本県にも様々な影響を与えています。気象面では、今年の本県における梅雨は期間が14日間と短く、6月に明けたという経験したことのないようなことでした。一方、7月に入り、九州などでは記録的な大雨となりました。さらに、8月には村上市、胎内市、関川村で記録的な豪雨となり、多くの皆さんが被害を受けたところであります。 また、農業においても、野菜などの農産物も高温や干ばつ、また集中豪雨によって品質の低下や収穫量が減り、栽培農家が被害を受け、収入を減らしている農家も多いと伺っております。 6月の猛暑が襲った影響で、6月に熱中症で救急搬送された人は、全国で1万人を超えるとのことです。地球温暖化が影響しているのではないでしょうか。 温暖化は加速度的に様々な影響を強めている感があります。今のままでは例えば5年後、10年後にもっと大きな被害が出ると考えます。 本県でもこの4月に新たに環境局を設置し、温暖化対策を強化しているものと承知しておりますが、今後の地球温暖化により想定される被害について知事の所見を伺うとともに、今後の温暖化防止に向けた取組の方向性についても伺います。 温暖化対策として、脱炭素を見据え、政府はクリーンエネルギー戦略の検討を進めています。温暖化対策を経済成長につなげる狙いで、官邸に脱炭素の議論を深める新たな有識者懇談会が設置されました。 世界が今より苛酷な環境にさらされないよう努めることが我々の責任だと考えます。本県においてもクリーンエネルギーの推進に向け、産官学が今こそ連携して、より実効性のある工程表を策定し、取組を進めていくことが必要であると考えますが、知事の所見とこれまでの本県の取組の成果について伺います。 次に、豪雪対策について伺います。 今年も昨年に続き豪雪となりました。12月から2月にかけて日々、天気予報を気にしながら祈る思いで少雪を願っていましたが、またしても自然の厳しさを思い知らされたところであります。 雪国に生まれ、宿命とはいえ、地球温暖化の影響もあり、これから毎年のように豪雪が続くと懸念されるなら、真剣に雪の降らない地方への移住も考えたくなると、この言葉を漏らしたのは私の友人である60代半ばの男性であります。少数意見かもしれませんが、重要な指摘であると考えます。 本県のような雪国において、豪雪への対策は本県における人口減少の観点からも最重要課題であると考えますが、知事の所見を伺います。 自治体は豪雪対策本部を設置し対応しているが、抜本的な問題解決には至っていないと思われます。近年は、地球温暖化の影響で局地的・集中的な豪雪による被害が増加しています。雪国で生活する人々が冬期間も安心して暮らせる雪に強い地域づくりについて、近年の気候変動を踏まえ、いま一度見直す必要があると考えますが、知事の所見を伺います。 また、地域差はあると思いますが、除雪車があっても雪捨場が確保できず、結果として通勤・通学の除雪が不十分となり、冬期間は常に危険と隣り合わせの生活を強いられている地域もあります。 高齢化で独り暮らしの高齢者が増えている現状を踏まえ、国、県、市町村がさらなる連携をして道路除雪体制を構築するなど、真に雪に強い冬期道路交通の確保を早急に推進すべきと考えますが、現状の課題認識を伺うとともに、今後どのように対応していくのか、知事の所見を伺います。 豪雪地や寒冷地は山間部が多く、市街地と比べ高齢者の人口比率が非常に高く、近年の物価高騰に加え、燃油の高騰により光熱費も上がり、加えて都会や無雪地ではほぼ無縁の除雪に係る人件費もあります。年金頼りの生活でも、冬期間は豪雪地ならではの支出が屋根雪と同様に重くのしかかってきます。それが毎年繰り返されているのが実態であります。 大雪の経験がない地域の人は、新潟の人は我慢強いなどの言葉をよく聞きますが、私にはそうした皆さんは我慢を強いられているだけだというふうに感じています。また、私にはそれを政府が放置しているとしか映りません。 私は、豪雪地でも安心して住み続けられる地域とするために、現行の豪雪地帯における固定資産税や所得税の優遇措置の拡充が必要であり、県としても政府に要望していくべきと考えますが、知事の所見を伺います。 次に、県行造林について伺います。 県行造林は、広く造林を普及するための模範林の造成や、治山治水、自然環境の保全など、森林の持つ公益的機能の発揮及び振興を図るため、市町村や個人、集落などの土地所有者の方々と分収造林契約を結んで県が造成した人工林です。県内各地で実施され、面積は約2,500ヘクタールになっています。 植栽は昭和5年から平成10年までの間に行っており、その時期により大きく第一次県行造林、明治百年記念造林、第三次県行造林に区分されております。 既に伐期を迎えている木もある中、さらに20年の契約延長を打診しているものと聞いていますが、土地所有者の理解を得るためには、県産木材の活用実態や県行造林の将来展望を示すことが重要と考えますが、知事の所見と今後の取組について伺います。 次に、高齢者施設の現状と今後の課題について伺います。 県内における高齢者施設の中には、開設後30年を経過している施設が多くあると認識しています。こうした施設では、施設本体及び内部設備の改修・修繕には莫大な予算が必要であり、施設運営において完全施工は不可能な状況であると言われております。 現状は、改修・修繕の重要度における優先順位をつけ、例年の当初予算で組み込み、部分的な応急修繕を施工しているのが現状であります。 将来的に施設のさらなる老朽化により、利用者へのサービス低下、また最悪の場合、施設が存続不能となる事態も予測されますが、高齢者施設の老朽化についての知事の所見と今後の対応方針について伺います。 また、高齢化社会は今後も進むことが予想されており、地域社会においては、こうした施設がますます重要であると考えます。また、地域の雇用においても大きな役割を担っています。 県のホームページを見ると、現行の高齢者施設の整備等に係る補助金制度については、いずれの補助金も施設の大規模修繕や設備更新には活用できない制度であります。 地域の発展に大いに貢献された高齢者が、住み慣れた地域で安全・安心に暮らせる社会であるべきだと考えております。 老朽化した高齢者施設の修繕等は全国共通の課題であると考えられることから、今こそ国の制度の拡充に向け、全国知事会等を通じて国に強く要望すべきと考えますが、知事の所見を伺います。 最後に、電気事業について伺います。 今般の県北豪雨で被災した村上市の奥三面・猿田両発電所の発電規模は、県営水力発電の中でもトップクラスで、県が手がける水力発電事業の主力となっています。この2つが長期停止に追い込まれれば、良好に推移してきた電気事業の収支悪化は必至であり、県が進める行財政改革行動計画にも影響があると考えますが、知事の所見を伺います。 奥三面、猿田、この2つの発電所が1年間に生み出す収益は20億円と言われ、電気事業の中でも稼ぎ頭と言われております。 県営の水力発電事業は近年好調に推移し、売電契約を一般競争入札に切り替えたことなどを背景に、経常収益で20億円から40億円程度の黒字、稼ぎ出した収益は県の一般会計に繰り出し、厳しい県財政を支えており、2019年、2020年両年度にはそれぞれ30億円にも上ります。 こうした状況を踏まえれば、一日も早いこの2か所の発電設備の完全復旧が望まれますが、復旧の見通しについて伺い、私の質問を終わります。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 松原議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、県勢を上向きにしていく決意についてでありますけれども、議員御指摘のとおり、様々な課題が山積する中、県民の皆様の安全と安心を確保することを第一に、暮らしやすい、そして活力のある新潟をつくり、新潟に住んでいることを誇りに思い、また多くの国内外の方が新潟に魅力を感じて来ていただける、住んでよし、訪れてよしの新潟県を目指してまいりたいと考えています。 その際、できるだけ地域に出向き、対話を通じて課題を拾い出し、一つ一つの課題について、先送りしたり、蓋をしたりせず、県勢の向上に向けて、少しでも成果を出すことを目指す、そういう基本姿勢で、引き続き、県政運営に取り組んでまいりたいと考えています。 次に、参議院議員選挙の結果についてでありますけれども、様々な争点に対して有権者が下した、まさに民意の表れであると考えています。 地方においては、人口減少や経済の停滞など、活力を保つことが非常に難しくなっております。 小林議員をはじめとした本県関係の国会議員には、県だけでは解決できない様々な深刻な課題の解決や、地方の活力を維持、確保する地方創生の実現に向けた積極的な取組に期待をしております。 具体的には、地方創生の実現に加え、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で打撃を受けた県内経済の回復や原油価格・物価高騰、急激な円安などへの対応といった足元への対応、長年の懸案である拉致問題、さらには脱炭素社会への転換やデジタル社会の実現といった新たな課題など、内外に山積している課題に迅速かつ着実に取り組んでいただきたいと考えています。 県といたしましては、国への要望や働きかけなど様々な機会を捉えて、国会議員と連携をして取り組んでまいります。 次に、農政についてお答えいたします。 生産農業所得の試算結果についてでありますが、販売農家1戸当たりの生産農業所得は、園芸や畜産が盛んな県では高く、本県のような米を主体とする県は低い傾向となっており、本県農業は米に依存する農業者が多い生産構造であることが課題と認識しています。 このため、農地の集積・集約などにより、基幹である米の生産性を向上させる、それに加えて、園芸振興基本戦略に基づき、稲作法人等への園芸導入により経営の幅を広げることや、畜産経営の持続的な発展方針に基づき、担い手の規模拡大等により生産基盤の強化を図ることで、付加価値の高い持続可能な農業の実現を目指してまいりたいと考えています。 次に、物価高騰などに対する支援についてお答えをいたします。 まず、物価高騰等に対する中小企業支援についてでありますが、今月、国が創設しました電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金においては、中小企業のエネルギー価格高騰の影響緩和や省エネ・賃上げ環境の整備などの支援が推奨事業として示されています。 県では、物価高騰の影響を受ける中小企業等の資金繰りや省エネ設備の導入などを支援しているところですが、これらの施策の効果も踏まえつつ、国の新たな交付金も有効に活用しながら、県内企業の競争力の強化と高付加価値化につながる効果的な施策を検討してまいりたいと考えています。 なお、臨時交付金の本県への配分額については、総務部長からお答えいたします。 次に、今後の物価の動向でありますけれども、日本銀行の経済・物価情勢の展望によれば、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、年末にかけて上昇率を高めた後、来年以降はプラス幅を縮小していくと予測しつつ、内外の動向や資源価格など、我が国経済をめぐる不確実性は極めて高く、経済や物価への影響を十分注視する必要があると指摘しています。 物価の上昇は、県内経済にも大きな影響があることから、県といたしましても、セーフティーネット対策としての資金繰り支援に万全を期すとともに、適切な価格転嫁や下請取引の適正化の促進などに取り組んでいるところであり、今後も、国の新たな交付金や近く取りまとめられる経済対策とも歩調を合わせ、県内企業の経営安定に必要な対策を講じてまいりたいと思います。 次に、肥料などの価格高騰による農業への影響についてでありますが、ロシアのウクライナ侵攻等に伴う肥料などの生産資材の高騰は、生産コストの増加に直結し、県内農業者の経営に大きな影響を及ぼしているものと認識しています。 また、この影響が長期化すれば、農業者の生産意欲が低下し、経営発展に必要な設備投資が控えられ、さらには、離農を考える農業者も出てくることが心配される状況にあると考えております。 このため、県といたしましては、農業者が経営を継続できるよう、国に対し、肥料をはじめ生産資材価格高騰に対する支援のさらなる拡充等を引き続き要望するとともに、国の支援策の積極的な活用を含め、県として必要な対策を実施してまいります。 次に、本県企業の後継者不足についてお答えします。 まず、本県における事業所数減少の要因についてでありますが、本県の事業所数は、経済センサスにおいても、議員御指摘のとおり、全国を上回って減少しており、特に、事業所数の約6割を占める卸・小売業とサービス業で大きく減少しています。 その要因として、本県では、社会経済情勢の変化による影響を受けやすい小規模事業者が多いことや、経営者の高齢化や後継者不足による事業者数の減少に加え、開業率が全国よりも低い水準で推移していることなどが考えられると受け止めています。 次に、事業承継策の強化と開業率の向上についてでありますが、議員御指摘のとおり、県経済の活性化には、事業承継の推進と新たな企業の創出の両面から取り組むことが重要であると認識しています。 このため、県では、事業承継を推進するため、国や商工団体などで構成する事業承継ネットワークを通じて、M&Aの仲介や、後継者のいない県内企業と起業家とのマッチングなどの支援を行っているところであり、今後も、関係機関と連携しながら、支援の拡充に努めてまいります。 また、起業・創業の支援については、県内8か所の民間スタートアップ拠点の整備や、新潟ベンチャー協会の設立など、これまでの取組の成果が徐々に出始めていることから、産学官金の連携を一層強化するとともに、企業版ふるさと納税を活用した資金支援の導入など、起業しやすい環境の整備や支援体制の充実に取り組んでまいります。 次に、菌床の製造地表示の義務化についてお答えをいたします。 国産菌床由来のシイタケの消費促進に向けた取組についてでありますが、輸入菌床由来のシイタケを国産と表示できなくなる原産地表示のルールが今後適用されることから、消費者に対して、表示方法の見直しと併せ、国産シイタケを積極的に選んでいただけるよう消費促進に取り組むことは重要であり、本県シイタケの生産振興にもつながるものと認識しています。 このため、県といたしましては、国に対し、菌床に国産おが粉を使う意義や、おが粉の表示について、消費者へ積極的に普及啓発するよう要望したところです。 今後、国と連携をしまして、消費者に対し、国産おが粉の表示等について周知するとともに、県内キノコ産地とも連携をしまして、キノコの魅力について情報発信するなど、消費促進に取り組んでまいります。 なお、県産キノコの消費促進に向けた具体的な取組については、農林水産部長からお答えいたします。 次に、温暖化対策についてお答えいたします。 まず、今後の地球温暖化により想定される被害と、温暖化防止に向けた取組の方向性についてでありますが、議員御指摘のとおり、近年、県内でも気温の上昇や豪雨など、気候変動の影響がより一層顕在化しており、今後さらに温暖化が進みますと、特に風水害、雪害、暑熱、農業被害の深刻化が予想され、早急な対応が必要と考えます。 このため、昨年3月に策定しました県気候変動適応計画に基づき、被害の回避・軽減に向けた適応策を進めるとともに、その原因となる温暖化への対策を一層推進するため、本年3月、県2050年カーボンゼロの実現に向けた戦略を策定したところです。 これらを両輪として、県民や事業者等の理解をいただきながら、全県一丸となって取り組んでまいります。 次に、クリーンエネルギー推進の取組についてでありますが、議員御指摘のとおり、2050年の脱炭素社会実現に向けては、国、市町村、事業者、大学、県民などあらゆる主体と連携しながらクリーンエネルギーを推進していくことが必要です。 本年3月に公表した2050年カーボンゼロの実現に向けた戦略においても、あらゆる主体が連携をし、再生可能エネルギー等の創出、活用などを進めるロードマップを策定し、これに取り組んでいるところです。 また、新潟CCUSハブ&クラスター拠点開発構想を策定し、本県の特性を生かしたエネルギーや産業の脱炭素化、地域における脱炭素電力・燃料の供給拡大、カーボンリサイクル素材など新たな産業の創出に取り組んでおります。 引き続き、これらの取組を着実に進めることにより、クリーンエネルギーの推進とカーボンニュートラルに向けた対応を進めてまいりたいと思います。 次に、豪雪対策についてお答えいたします。 まず、人口減少の観点からの豪雪対策についてでありますが、他地域より人口減少と高齢化が進行する豪雪地域において、地域の克雪力を高める施策を講じ、雪と共に安心して暮らすことができる地域をつくっていくことは、人口減少対策の観点からも重要と考えています。 県では、これまで県雪対策基本計画に基づき、持続可能な除排雪体制の確保や雪下ろしに伴う事故の防止に取り組むほか、雪に強い道路交通や住環境の整備、地域の特性を生かした農林水産業、商工業の振興などを行ってきたところです。 今後も、豪雪地域でも住み続けたいと思う方が住み続けられるよう、市町村や関係機関と連携をし、地域の実情に応じた雪対策の充実に取り組んでまいります。 次に、雪に強い地域づくりについてでありますが、近年、気候変動の影響による短期集中的な豪雪により、大規模な交通障害や、要援護者世帯の除排雪の遅れ、雪下ろしによる高齢者の死傷事故等が発生しており、議員御指摘のとおり、気候変動も踏まえて本県の雪対策を見直していくことが必要であると考えています。 現在、国において、本年3月の豪雪地帯対策特別措置法の改正を踏まえまして、豪雪地帯対策基本計画の改定を進めており、県でも、年度内に新潟県雪対策基本計画の改定を行う予定としています。 計画改定に当たりましては、短期集中的な豪雪時においても、住民が安全に安心して暮らすことのできるよう、気候変動も踏まえた雪に強い地域づくりについて、外部有識者等の意見も聞きながら、検討を進めてまいります。 次に、冬期道路交通確保の課題と今後の対応についてでありますが、道路除雪は、豪雪地帯に暮らす県民にとって冬期の日常生活や経済活動を支えるために不可欠なものであり、持続可能な除雪体制の構築が重要であると認識しています。 このため、県では、国、県、市町村及び除雪業者などで構成する協議会において、オペレーターの確保や大雪時における道路管理者間の連携などの課題を共有し、解決に向けた取組を検討・実施しているところです。 具体的には、ICTなどを活用したオペレーターの作業負担の軽減や相互乗り入れ区間の拡大、新たな雪捨場の確保など、多様な観点から取組を進めています。 今後も、関係機関と連携をして道路除雪に対する課題に取り組み、冬期道路交通の確保に努めてまいります。 次に、豪雪地帯における税制優遇措置の拡充についてでありますが、議員御指摘のとおり、豪雪地帯では、除雪等に必要な人件費、燃油代など、住民の経済的な負担は大きいものと考えており、豪雪地帯でも安心して住み続けることができる地域としていくためには、国に対し、地域の実情を踏まえ、負担の軽減を求めていくことが必要であると考えています。 豪雪地帯における税制優遇措置については、全国積雪寒冷地帯振興協議会として、克雪住宅の消融雪燃料費等に対する支援の要望を行っているところであり、引き続き、住民に最も身近である市町村の意見を聞きながら、国に対して必要な支援を要望してまいります。 次に、県行造林についてお答えいたします。 県行造林の契約延長に向けた取組についてでありますが、現在、県では県行造林について、木材収入の増加や公益的機能の持続的な発揮などを目的に、土地所有者と契約延長の手続を進めているところです。 その際には、議員御指摘のとおり、単に契約期間の延長をお願いするだけでなく、県産材の取引状況や県行造林の将来展望についてお示しをし、契約延長の理解を得ていくことが重要と考えています。 県といたしましては、土地所有者に対して、これまで説明してきた契約している森林の現況や長伐期化の効果などに加えまして、木材の需要や価格の動向、将来の収穫量の予測などについても丁寧に説明をし、十分な理解を得ながら、契約延長の手続を進めてまいります。 次に、高齢者施設の現状と今後の課題についてお答えいたします。 まず、高齢者施設の老朽化への対応等についてでありますが、高齢者の入所施設である特別養護老人ホーム等で老朽化が進んでおり、現時点で築30年以上経過している施設が399のうち62施設となっているところですが、10年後には約半数を超える見通しであり、老朽化対策が今後の課題であると認識しています。 一方、今後県内の高齢者人口は令和7年をピークに減少に転じ、介護ニーズが高まる75歳以上人口も令和12年でピークアウトすることが見込まれています。 県といたしましては、老朽化した施設の在り方について、長期的な視点に立ちつつ、地域全体でのサービス低下につながらないよう、市町村等と一体となって検討していく必要があると考えています。 次に、高齢者施設の修繕に対する補助制度についてでありますが、議員の御指摘のとおり、現行の補助制度では介護施設等の新設を併せて行うことを要件としており、施設の大規模修繕のみには活用できず、事業者の修繕ニーズに応えるものにはなっていないと考えているところです。 県内においても老朽化した高齢者施設は確実に増加していくことから、本県としては、当該要件の廃止を国へ要望しているところであり、今後も国への働きかけを継続してまいりたいと思います。 次に、県の電気事業についてお答えいたします。 被災した水力発電所の停止による行財政改革行動計画への影響についてでありますが、現在の売電単価を基に、過去の災害による復旧期間等により、地域振興積立金からの一般会計への繰り出し額についての影響を試算いたしますと、現時点で、令和4年2月に改訂した中期財政収支見通しと比較をして、令和6年度から令和8年度までの間に合計35億円程度減少する見込みです。 一方で、本県が繰り返し要望してまいりました除排雪経費に対する国庫補助金の法定補助率の満額交付について、ほぼ充足する形で交付されたことなどによりまして、令和3年度決算においては年度末基金残高が上振れしたことなどから、今回改訂しました中期財政収支見通しは若干の下振れ傾向が見られるものの、収支改革の必要額は変わらず10億円程度になるものと見込んでいます。 いずれにいたしましても、今回の被災による行財政改革行動計画への影響が最小限となりますよう、比較的浸水被害が少ない奥三面発電所を優先して復旧に取り組むなど、早期復旧、早期運転再開に努めてまいります。   〔総務部長小岩徹郎君登壇〕 ◎総務部長(小岩徹郎君) お答え申し上げます。 臨時交付金の本県への配分額についてでありますが、国が4月に創設した臨時交付金のコロナ禍における原油価格・物価高騰対応分は、都道府県及び市町村を交付対象として1兆円が措置され、このうち8,000億円が先行交付されております。 この配分に当たっては、人口や感染状況等を基礎として算定されており、本県には県分として約86億円が配分されております。 また、残りの2,000億円につきましては、この9月に国において予算額6,000億円として創設された臨時交付金の電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金の一部に組み込まれており、この交付金は、本県には県分として約76億円が配分されることとなっております。   〔農林水産部長小幡浩之君登壇〕 ◎農林水産部長(小幡浩之君) 3点についてお答えします。 まず、園芸の所得向上に向けた調査に関する所見と課題についてでありますが、農家1戸当たりの所得データは、全体的な傾向を把握する上では有効ですが、園芸は多種多様な品目があり、露地や施設など栽培方法も異なることから、所得向上に向けた課題解決には、農家や農業法人ごとの経営状況に応じ、導入品目や栽培方法、収支状況等を総合的に分析し、経営の改善や発展につなげていくことが重要であると考えております。 このため、県では、県内事例に基づく品目別の経営指標の提供等により園芸導入を働きかけるとともに、園芸を導入した農家や農業法人に対し、個々の経営データの分析により経営改善をサポートしているところであり、今後も農業所得の向上に向けて伴走型で支援してまいります。 また、農家1戸当たりの所得調査につきましては、統計処理を行う上で相当な数の農家や農業法人から、水稲や園芸など部門別の収入や経費等の書類の提供について同意が必要なことや、実施に当たり、専門的な人員と予算を確保する必要があることなどが課題と考えております。 次に、肥料等の生産資材の高騰に対する取組についてでありますが、県といたしましては、燃油、肥料、配合飼料の価格高騰に対応し、農業者が経営を継続できるよう、6月専決予算で講じた支援策に加え、先般、国が創設した肥料コスト上昇分の7割を補填する支援策への上乗せ助成として、農家負担の2分の1を交付する事業を本定例会にお諮りしているところです。 また、国では、飼料価格高騰の影響を受けた畜産農家への緊急対策を閣議決定したところであり、引き続き情報を収集し、県として必要な対応を実施してまいります。 次に、県産キノコの消費促進に向けた具体的な取組についてでありますが、県といたしましては、国と連携して、消費者に対し原産地表示の変更や、国産おが粉の表示マークについて周知するとともに、国産おが粉を使用することが、安全・安心なキノコ生産や山村地域の活性化に寄与することなどを、県のホームページや広報紙等を通じて情報発信してまいります。 また、県内キノコ産地とも連携して、安全・安心で高品質な生産のためのGAPの取組や、おいしさや品質を高めるこだわりなど、産地の情報をホームページ等により情報発信するとともに、おいしさを消費者に実感していただくため、収穫祭での試食や即売会等に継続して取り組んでまいります。   〔企業局長樺澤尚君登壇〕 ◎企業局長(樺澤尚君) お答えいたします。 奥三面発電所と猿田発電所の復旧の見通しについてでありますが、両発電所は、8月3日の豪雨により地下室の一部機器が水没し、現在、発電ができない状態となっております。 これまで、両発電所の排水処理を行うとともに、被害状況の調査に取り組んできたところですが、水没した機器が多数あることから、復旧方法の検討や代替機器の設計・製造等に時間を要するため、運転再開の時期を見通すには、もうしばらく時間が必要です。 御指摘のとおり両発電所は企業局にとって重要な施設であるため、比較的浸水被害が少ない奥三面発電所を優先して復旧に取り組むなど、できるだけ速やかな運転再開に向けて努めてまいります。 ○副議長(楡井辰雄君) 松原良道君の質問は終わりました。 15分間休憩いたします。  午後3時5分 休憩   ――――――――☆――――――――  午後3時20分 開議 ○議長(小島隆君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、小島晋君の発言を許します。小島晋君。   〔小島晋君登壇〕(拍手) ◆小島晋君 未来にいがたの小島晋です。通告に従い、質問を行います。 8月3日から4日にかけ下越地方を中心とする大雨は、関川村下関で観測された最大1時間降水量149ミリが、気象庁の全国の観測史上6番目を記録するなどし、猛烈な降雨で山の斜面の表土部分が崩れる表層崩壊が各地で多発し、流木や瓦礫などが川を塞いだことにより浸水被害が大きくなったと報道されました。被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。 政府の激甚災害指定や、県も関連費用の補正予算を早期に議決するなど、早期の復旧・復興に向け取組を進めていますが、一日も早くこれまでの生活に戻れることを願うばかりであります。 県北豪雨を踏まえて、防災対策について質問をいたします。 県北豪雨や、全国でも近年、短時間に集中的に激しい雨が降るゲリラ豪雨や、積乱雲が線状に次々に発生して、ほぼ同じ場所を通過・停滞し、非常に強い雨が特定の地域に長時間連続して降り続ける線状降水帯による集中豪雨により、道路や線路下のアンダーパス部分が冠水し、進入した車両が動けなくなる事象が発生し、水没して亡くなるといった痛ましい事故も発生しています。 そのため、県ではホームページで道路冠水想定箇所マップ、冠水想定箇所一覧表及び冠水水位1メートル以上の箇所台帳を公開しております。 直近の数字では、新潟市内を除く新潟県内の国道、県道及び市町村道の冠水が想定される箇所は296か所、うち冠水想定水位が最大で1メートル以上となる箇所は124か所のうち、新潟県が管理する冠水想定箇所が77か所で、1メートル以上の冠水想定箇所は12か所となっております。 3年前と比べ県管理はプラス3か所の増ですが、新潟市内を除く新潟県内の国道、県道及び市町村道の冠水が想定される箇所はプラス38か所、うち冠水想定水位が最大で1メートル以上となる箇所はプラス12か所と増えております。 このように、豪雨時に冠水するおそれがある道路や線路下のアンダーパス部分は、県管理道路では大幅な増加はないものの、冠水リスクのある道路冠水箇所が増えていますが、その要因について伺います。 豪雨時に道路や線路下のアンダーパス部分が冠水した場合、住民の避難にも影響が出るものと考えます。特に線路下のアンダーパスが冠水すると、通行できる踏切まで迂回しての避難となり、その間のタイムラグが発生し、自力で避難が困難な方をはじめ、住民の避難に時間がかかります。 先日の台風15号の接近により、静岡県内でも記録的な豪雨により、道路の冠水で車のエンジントラブルが相次ぎ、避難所にたどり着けない事例も報道をされております。 実際の避難経路は、住民各自が地域のハザードマップを確認しながら、アンダーパスを迂回するなど、適切な避難経路を設定することで迅速な避難につなげることとなっていますが、県では県民に対し、どのような啓発活動を実施しているのか伺います。 アンダーパス冠水を防ぐために排水ポンプで雨水を排水していますが、排水能力は時間当たり、どの程度の降水量を想定しているのか伺います。 また、近年、これまでの想定を超える豪雨が多発していることを考慮し、主要道路や避難計画上、重要なアンダーパスの排水能力を、県管理のみならず国道や市町村道も含め、道路管理者と連携して能力向上すべきと考えますが、知事の所見を伺います。 豪雨時にアンダーパス部分で浸水している車両の映像が頻繁に報道をされております。アンダーパス部分が水位に限らず冠水していれば、通行しないことが安全を確保することにつながります。 さらに注意喚起を促すために、側面や道路面に水位が分かるように色分けされている箇所もありますが、全てのアンダーパス部分に施工されてはおりません。常日頃通行していても、水位だけでは冠水状況の判断はしづらく、また災害は住み慣れた地域のみで被災するとは限らないことを考えれば、全てのアンダーパス部分で冠水の水位状況が分かるよう施工し、注意喚起すべきと考えますが、県としてどのように取り組んでいくのか伺います。 また、その際には冠水50センチに黄色ライン、1メートルに赤色ライン、冠水15センチに青色ライン、30センチに黄色ライン、50センチに赤ライン等と同一管理者内や自治体間で表示レベルや色分けが異なっております。運転手側の混乱を招かないよう、アンダーパス設置箇所で違う注意喚起レベルの水位と色分け表示を分かりやすく統一すべきと考えますが、県としてどのように取り組んでいくのか伺います。 他県同様、本県においても1メートル以上の冠水が想定されるアンダーパス部分に水位センサーを設置し、例えば冠水5センチで黄色、一般車両の通行に支障が出る冠水20センチを超えた場合など、電光掲示板と赤色ライトで警告と通行禁止表示を行い、道路管理者へ通報されるシステムを導入しております。全てのアンダーパス部分にシステム導入は難しいとしても、主要道路や避難計画上重要な箇所など優先順位づけをし、システム導入を促進すべきと考えますが、本県の導入状況及び今後の対応方針について伺います。 アンダーパス部分に設置した水位センサーにより一定の水位を検知した場合、県の防災ナビアプリにおける注意喚起及び通行止め情報の掲示などは効果的と考えますが、知事の所見を伺います。 災害時に県防災ナビアプリの活用は重要なツールですが、スマートフォンにダウンロードしていなければ活用もできません。登録に向けた取組内容と近年の登録状況を伺います。 また、今後登録拡大に向けた課題とその対応について伺います。 7月に町内会の自主防災会が開催した、「イザ!カエルキャラバン!」に参加しました。「イザ!カエルキャラバン!」は、地域の防災訓練プログラムとおもちゃ交換会、かえっこバザールを組み合わせた防災イベントで、子供たちが遊びの延長で防災の知識を身につけられる活動を様々な企業や団体と協力し、全国各地で開催しております。 当日も防災士会新潟県支部や地元の消防団、ガス会社などの協力で防災訓練を行いましたが、家族が楽しみながら防災を学んでおり、防災意識の高い方が多く参加されていると感じました。 県は県内で開催される防災訓練の場で、県防災ナビのPRコーナーを積極的に設け、アプリのダウンロードや使用方法の説明などを行うことで、県防災ナビアプリの登録拡大に努めるべきと考えますが、所見を伺います。 県防災ナビアプリの登録拡大に向けて、県内で開催される防災訓練の場、全てに県職員を配置することは不可能であるため、防災士会やにいがた防災シニアリーダー、市町村などとの連携は重要と考えます。 特に、新潟市は県の人口の3分の1を占めることや、道路冠水危険想定箇所が239か所と多いこと、市独自のにいがた防災アプリの配信を終了し、県防災ナビアプリの活用を進めていることなどから、協力を求め、登録者数を増やすべきと考えますが、所見を伺います。 次に、新潟県最低賃金の引上げと中小企業の支援について伺います。 今年の新潟地方最低賃金審議会は、新潟労働局長に対し、厚生労働省の諮問機関である中央審議会が示したCランクの目安、30円より1円高い、全国平均と同じ31円の引上げが妥当との答申をしました。 4月以降、新潟市の消費者物価指数の上昇が全国平均を上回っていることや、最低賃金が全国平均よりも低い状況などを踏まえたもので、審議会の永井会長は、最低賃金を上げないといけない一方で、使用者側はコロナや物価高騰で困難な状況だ、両立が難しかったが、ぎりぎりの線として31円の引上げとなったと報道をされております。 これにより、明日、10月1日から新潟県最低賃金が890円となりますが、全国平均961円と比べ71円、東京都1,072円と比べ182円低く、依然として全国平均及び東京都との差は縮まっておりません。 まず初めに、今年の最低賃金引上げ額、並びに縮まらない全国平均や東京都との差について、知事の所見を伺います。 知事は、過去に東京都と本県の最低賃金の差について、東京都とのある程度の差は生活費の差であり、やむを得ないものと考えているが、その差は年々拡大しており、現状では差が開き過ぎていると認識している、賃金等の労働条件の差が、本県から東京都をはじめとした首都圏に労働力が流出する一因となっており、最低賃金を下回らないように賃金が決定されることを踏まえれば、最低賃金を引き上げ、その差を縮小していくことが望ましいと答弁をされております。 私も知事が最低賃金を含めた賃金の引上げについて、新潟労働局などへの最低賃金の引上げ要請を行うなど、リーダーシップを発揮すべきではないかと質問をしておりました。 今年は、茨城県の大井川知事が審議会の答申が出るのを前に、審議会委員を構成する使用者側の県内の経済4団体に、最低賃金の引上げを求める要請をし、他県との最低賃金の格差は依然として解消しておらず、人材確保の観点からも早期に解決すべき課題だ、近隣県と比べて最低賃金が3円低いと指摘し、賃金を上げなければ県内経済の活性化につながらず、人口減少を止めるのも非常に難しいと要請理由を述べております。 本県も若年層の首都圏への流出は止まらず、近隣県と比べても本県の最低賃金は低いことから、翌年の最低賃金引上げに向け、知事も同様に経済団体等に対し要請を行うなど、リーダーシップを発揮すべきと考えますが、所見を伺います。 同様に、これまで最低賃金引上げにより影響を受ける中小企業への支援策を充実することについて、継続して国に要望していく、また賃金の上昇につなげていくためには、稼ぐ企業を含め本県産業全体の付加価値を高めていくことが重要とも答弁されております。 これまで国に対して要望してきたことで、どのような成果を上げたのか伺うとともに、県として中小企業の付加価値向上に向け、実施した政策の効果と課題、今後の支援策について伺います。 次に、就職氷河期世代の就労支援について伺います。 就職氷河期世代とは、バブル経済崩壊後の雇用環境が厳しい時期、おおむね1993年から2004年に学校卒業期を迎えた世代を指しますが、この世代は雇用環境が厳しい時期に就職活動を行わざるを得なかった影響を受け、希望する就職ができず、現在も不本意ながら不安定な仕事に就いている方、あるいは無業の状態にある方など、様々な課題に直面している方が少なくありません。 政府は、令和元年6月に経済財政運営と改革の基本方針2019で、就職氷河期世代支援プログラムを取りまとめ、政府として3年間の集中的な支援に取り組み、同世代の正規雇用者数を30万人増やすことを目指す方針を打ち出しました。 本県も就職氷河期世代の活躍支援のため、新潟労働局と連携して立ち上げた、にいがた就職氷河期世代活躍支援プラットフォームにおいて、就職氷河期世代の方々を対象に就職支援セミナーの開催、職業訓練の実施などを行ってきましたが、最終年度を迎え、県内の就職氷河期世代の採用はどのように進んだのか、目標に対する実績を伺うとともに、その実績に対する受け止めと課題について、知事の所見を伺います。 政府はこれまで3年間、就職氷河期世代支援に集中的に取り組んできましたが、正規雇用30万人増の目標については、新型コロナウイルス感染症の影響下の直近2年間は正規雇用者数が伸び悩み、このため、経済財政運営と改革の基本方針2022において、令和4年度までの3年間の集中取組期間は第1ステージと捉えた上で、令和5年度からの2年間は、これまでの施策の効果も検証の上、効果的・効率的な支援を実施し、成果を積み上げる第2ステージと位置づけ、就職氷河期世代の正規の雇用者30万人増の目標達成に向けて支援に取り組んでいく、公務員等での採用を推進すること、具体的には国家公務員中途採用者選考試験、いわゆる就職氷河期世代試験を令和6年度まで継続することを決定いたしました。 本県においても同様の取組を進めていくべきと考えますが、知事の所見を伺うとともに、県職員中途採用者選考試験の実績と来年度以降の実施の見通しについて伺います。 次に、物価高騰に対する支援について質問いたします。 内閣府は、経済財政諮問会議で、2022年度の消費者物価指数が前年度比2.6%上昇するとの見通しを示しました。今回の最低賃金引上げ率は3.6%で、差し引けば生活改善分は1%となり、名目的にはバランスが取れているように見えますが、物価の上昇に比べ、賃金は時間差で引き上げることとなることから、実際の生活は困窮していると認識をしております。 また、厚生労働省の平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告によれば、独り親世帯の平成27年の母子世帯の母親自身の平均年間就労収入は200万円、同じく厚生労働省の最低賃金近傍の労働者の実態の年齢階層別の最低賃金近傍の労働者の分布状況では、それぞれの年齢階級に占める地域別最低賃金額掛ける1.15未満の賃金の労働者の割合では、どの年齢層でも女性が半数以上を占め、前回調査より増えており、この2つの調査からも独り親世帯、特に母子世帯が最低賃金引上げや物価上昇の影響を受けやすいことが分かります。 県としても低所得の独り親世帯への新しい支援策が必要と考えますが、知事の所見を伺います。 エネルギーと食料を中心とする物価高は、低所得者世帯ほど家計の重荷になっていることが総務省や日銀の調べで裏づけられました。電気代や食パンなど、値上がりした生活必需品への支出割合が高いことが響いているとのことです。 政府は住民税非課税世帯への5万円給付金を決定したものの、経済産業省石油製品価格調査によれば、灯油の1リットル当たりの店頭価格差は昨年同時期と比べ、既に15円以上も高くなっており、本県はこれから灯油をはじめとした暖房費が増える季節を迎えることを考えれば、時期を逸することなく暖房費補助の上乗せが必要と考えますが、所見を伺います。 次に、教育関連について質問をいたします。 文部科学省は、公立学校施設における空調設備の設置状況について、令和4年9月時点の状況を取りまとめました。それによれば、全国平均、小中学校等普通教室95.7%、特別教室63.3%、体育館等15.3%とのことです。本県は、小中学校の普通教室99.9%、特別教室49%、体育館等1.2%、特別支援学校の普通教室100%、特別教室81.1%、体育館等6.5%、高等学校普通教室100%、特別教室39.5%、体育館等の設置はなしとなっております。 平成30年度のブロック塀・冷房設備対応臨時特例交付金により、本県における普通教室の設置率は格段に上がりましたが、音楽室、理科室、多目的教室、ランチルーム等の特別教室は、特例交付金措置以前と比較して設置率は普通教室ほど大きくは上がらず、全国平均を大きく下回っております。 今年も9月に三条市で38.8度を記録するなど暑さは厳しく、児童生徒や教職員の熱中症などの健康面にも影響が出ると考えます。 特別教室は、その教室に行かなければ授業が行えず、多くの教職員からエアコン設置を求める声が上がっております。 花角知事の基本方針である住んでよしの中には、教育環境の充実も入っていると思いますが、県内の小中学校等の特別教室のエアコン設置状況が全国平均を下回っている状況について、知事の所見を伺います。 県内市町村間でも、小中学校の特別教室のエアコン設置状況は、設置なしから100%設置までと差は大きく、居住地による教育の環境格差は望ましいものではないと考えますが、所見を伺うとともに、市町村間による教育環境格差解消についてどのように取り組むのか、知事の所見を伺います。 小中学校に設置されているエアコンは、ある程度の年数を経過すれば、故障による修理または入替えが必要となります。使用できなければ、設置されるだけでは意味はありません。 学校現場から、エアコンは設置されているものの、故障による修理または交換費用の予算がなく、使用できないエアコンもあると聞いております。 ビルトインエアコンなどの交換は費用も高くなり、地方自治体の予算だけでは対応が困難なことや、平成30年度のブロック塀・冷房設備対応臨時特例交付金により設置が進んだエアコンの交換時期が重なることを考えれば、新規導入費の補助制度のみならず、交換費用に対してもしっかりとした国の支援が必要と考えます。 文部科学省が設置をしている学校施設環境改善交付金の課題と、それに対する対応について所見を伺います。 文科省によれば、教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部改正により、令和4年7月1日より教員免許更新制が廃止されました。 衆議院の文部科学委員会で、当時の末松文科相は教員免許更新制について、経済的・時間的負担が多かったと述べております。 また、8月31日には「改正教育公務員特例法に基づく公立の小学校等の校長及び教員としての資質の向上に関する指標の策定に関する指針の改正等について」が発出され、改正等の趣旨として、「グローバル化や情報化の進展により、教育をめぐる状況の変化も速度を増している中で、教師自身も高度な専門職として新たな知識・技能の習得に継続的に取り組んでいく必要が高まっている。また、オンライン研修の拡大や研修の体系化の進展など、教師の研修を取り巻く環境も大きく変化してきた。このような社会的変化、学びの環境の変化を受け、令和の日本型学校教育を実現する新たな教師の学びの姿として、教職生涯を通じて探求心を持ちつつ主体的に学び続けること、一人一人の教師の個性に即した個別最適な学びの提供、校内研修等の教師同士の学び合いなどを通じた協働的な学びの機会確保が重要になる。こうした新たな教師の学びを実現するとともに、また改正教特法によって制度化された公立の小学校等の校長及び教員の任命権者等による研修等に関する記録の作成及び資質の向上に関する指導助言等の仕組みを適正に運用するため、公立の小学校等の校長及び教員としての資質の向上に関する指標の策定に関する指針の改正、同指針に基づく研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励に関するガイドラインの策定等を行うものである」とされております。 法改正に伴う附帯決議では、特段の配慮をすべき事項として、新たな教師の学びの姿とは、教員が探求心を持ちつつ自律的に学ぶこと、主体的に学びをマネジメントしていくことが前提であるとしていますが、県教育委員会も同様の認識でよいのか伺います。 法改正に伴う附帯決議では、校長及び教員に対して行う資質の向上に関する指導助言等について、教員の意欲・主体性と調和したものとすることが前提であることから、指導助言者は十分に当該教員等の意見を酌み取って実施することとなっております。 また、8月31日付の文科省通知の指針の改正等では、留意事項の第4、研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励に関するガイドラインの策定関係の中で、特に留意をいただきたいこととして、受講奨励の意義は研修の管理を強化するものではなく、教師と学校管理職が対話を繰り返す中で必要な学びを主体的に行っていくことにあると記載されていますが、県教育委員会も同様の認識でよいのか、お伺いします。 附帯決議では、オンデマンド型の研修を含めた職務としての研修は正規の勤務時間内に実施され、教員自身の費用負担がないこと、研修に参加しやすくなるよう時間を確保するため、学校の働き方改革の推進に向け、実効性のある施策を講ずること、研修の報告等を求める場合には簡素なものとすることとされております。 さらに、文科省の通知の指針の改正等でも、記録自体を目的化しない観点から、報告を求めるものは真に必要なものに厳選し、簡素化を図るとともに、できる限り教師個人に負担のかからない効率的な記録方法とすることとされ、どちらも負担とならないようにという記述があり、現場の勤務実態を踏まえた内容となっています。 このことから、研修は学校での働き方改革を強力に進めることとセットで行われるものと考えます。 教員は現状でも超勤状態が解消されておらず、さらに欠員やコロナ感染防止対策、学校現場での感染により教職員への負荷がかかっており、マンパワー不足が恒常化しております。 また、研修出張などは、児童生徒がいるからと、安心して教室や学校を離れられない実態もあると聞いており、教員が意欲的・主体的に学ぶためには、そのための時間確保が必要で、法改正に伴う附帯決議や文部科学省通知の指針の改正等の記載のとおり、研修時間の確保について、学校の働き方改革推進に向けた実効性ある施策を講ずることを踏まえれば、より教職員の長時間勤務の改善に向け、学校の働き方改革のさらなる推進が必要で、これまでも長時間勤務に一定の効果があった、今後も継続した取組が必要であると答弁しておりますが、勤務時間内の研修時間確保に向け十分な取組となっているのか伺います。 また、安心して研修が受けられるよう、研修代替加配などの研修出張時の人的配置も必要と考えますが、マンパワー不足が恒常化している現状をどのように認識しているのか伺うとともに、教職員確保対策について伺います。 あわせて、改定した指針には、オンラインによる研修の実施が広く普及する中、特に知識伝達型の学びについて活用が想定されるオンデマンド型の研修動画等については、単に動画等を視聴するだけではなく、知識・技能の習得状況を確認するためのテストを含め、その成果の確認方法も併せて設定しておく必要があると記載されております。 研修の成果を確認するためのテストというのは、負担軽減をうたっている附帯決議や文科省通知の指針の改正等に沿っているとは言えず、研修の成果は教職員の授業や児童生徒との関わりを通して児童生徒の姿に現れるものであり、しかもそれは短期的に見えるものではありません。 テストは現場の実態にそぐわず、趣旨・意味合いも異なるものと考えますが、教育長の所見をお伺いし、質問を終わります。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 小島議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、重要なアンダーパスの排水能力の向上についてでありますけれども、近年の激甚化・頻発化する豪雨を踏まえ、アンダーパスの冠水による事故防止は、県民の安全・安心の確保のために重要であると考えています。 県では、全国共通の要綱に基づきまして、路線の重要度などに応じた能力の排水ポンプを設置しておりますが、ポンプの排水能力を超える降雨が発生した場合には、道路利用者への周知、冠水時における速やかな通行規制、道路管理者間の情報共有に努め、県民の安全・安心を確保してまいります。 なお、排水ポンプの能力については、土木部長からお答えをいたします。 次に、新潟県防災ナビによるアンダーパスの水位情報の提供についてでありますけれども、議員御指摘のとおり、防災ナビによる注意喚起や通行止め情報の掲示等は、地域住民の安全かつ的確な避難につながるものと思います。一方で、さらなる機能を盛り込むことは、情報過多による操作性や視認性の低下なども考えられることから、導入に当たっては、これらの課題対応も含めて、より効果的なものとなるよう検討してまいります。 次に、最低賃金引上げと中小企業支援についてお答えいたします。 まず、本県の最低賃金と全国平均及び東京都との差についてでありますが、本県の最低賃金は、中央最低賃金審議会が示した目安を1円上回る31円の引上げとなりました。働く方の賃金のセーフティーネットである最低賃金が、昨今の物価高の中で過去最大の引上げとなったことは一定の評価をすべきと考えておりますが、一方で、議員御指摘のとおり、全国平均及び東京都との差は縮小していないところです。 最低賃金は地域の生計費や賃金水準などを考慮して定められるものではありますが、給与水準の差が本県からの労働力流出の大きな要因になっていることを踏まえれば、こうした最低賃金の差は縮小していくことが望ましいと考えています。 次に、最低賃金引上げに向けた要請についてでありますが、議員御指摘のとおり、若者から働く場として選ばれるためにも、賃金を含む待遇を改善することは重要です。 一方で、賃金の急激な引上げは、感染拡大や原油・原材料等の高騰による影響を受ける現下の経済情勢を踏まえますと、企業にとって負担も大きいものと考えています。 このため県では、国に対して、地域間格差の是正に向けた制度の見直しと段階的な引上げに加えて、その影響を受ける中小企業への支援を要望するとともに、県内経済団体に対しても、税制や助成金などの支援策を活用した賃金引上げを呼びかけてきたところであり、私自身も含めまして、今後とも様々な機会を捉えて、賃金引上げを呼びかけてまいりたいと思います。 次に、最低賃金の引上げに係る国への要望の成果等についてでありますが、県では、引上げによって影響を受ける中小企業への支援の充実を継続して国に要望してきたところ、国において、最低賃金引上げの環境整備に向けて、助成金の対象事業者拡大や助成率引上げなど、支援が拡充されたところであり、県もこうした支援を積極的に周知しております。 また、中小企業の付加価値向上に向けた県の施策の効果等についてでありますが、新潟県総合計画で指標としている1人当たり県民所得で見ますと、令和元年度は295万1,000円となり、令和6年度の最終目標値300万円に迫りつつあるものの、1人当たり国民所得との差は大きくは縮まっていない状況にあります。 このため、県といたしましては、県内産業のデジタル化を一層推進するとともに、起業・創業や新事業展開など意欲ある企業の挑戦を後押しすることで、稼ぐ企業をより多く輩出し、本県産業全体の付加価値を高めてまいりたいと考えております。 次に、就職氷河期世代の就労支援についてお答えいたします。 まず、支援の実績に対する受け止めと課題についてでありますが、本県の就職氷河期世代活躍支援プラットフォームにおける令和2年度から3年間の事業計画では、ハローワークの職業紹介による正社員就職者数の目標値が6,813人であるのに対し、令和3年度末現在の実績は4,146人と約6割の進捗であります。新型感染症の影響により来所相談者数が減少したことなども影響しておりますが、一層の取組が必要な状況にあると受け止めております。 こうした傾向は全国的にも同様であることから、議員御指摘のとおり、国では、令和5年度からの2年間を就職氷河期世代に対する支援の第2ステージと位置づけ、継続して取り組むこととしており、県といたしましても、引き続き、関係機関と連携しながら支援に努めてまいります。 次に、就職氷河期世代を対象とした県職員の採用についてでありますが、県では、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行い、正規雇用の機会に恵まれなかった就職氷河期世代の方に、その方の持つ意欲・能力を県行政に生かしてもらうため、令和2年度から選考試験を実施しているところです。 また、先ほど申し上げましたように、国は令和5年度からの2年間を第2ステージと位置づけ、地方自治体に対しても、選考試験の実施を継続するよう要請しているところであり、この趣旨を踏まえ、本県においても引き続き実施してまいりたいと考えています。 なお、選考試験の実績と来年度以降の見通しについては、総務部長からお答えいたします。 次に、物価高騰に対する支援についてお答えします。 まず、困窮する独り親世帯への支援策についてでありますが、非正規雇用の割合が高く、物価上昇等の影響を受けやすい独り親世帯に対しては、より手厚い支援が必要であることから、県ではこれまで、緊急経済対策として、国の交付金を活用し、特別給付金の支給により速やかな支援につなげるとともに、市町村が生活困窮世帯に対して実施する様々な取組を後押しすることで、きめ細やかな支援を行っているところです。 あわせて、低所得の独り親世帯に対しては長期的な支援が重要であることから、県では、ひとり親ジョブマッチにいがたによる就業あっせんや相談対応をはじめ、フードバンクと連携した食材支援、ファミリー・サポート・センターによる家事・育児などの日常生活支援のほか、養育費確保支援事業による経済的支援を行うなど、様々な取組を従前より実施しております。 県といたしましては、引き続き、これらの支援施策の一層の推進に努めるとともに、国において生活困窮者へのさらなる給付金などの追加の支援策が実施されることから、今後の物価の動向などを注視しつつ、独り親世帯に対する必要な支援に取り組んでまいります。 次に、暖房費補助についてでありますが、エネルギーや食料の価格高騰は、低所得世帯など生活困窮者にとって大きな負担になっているものと認識しています。 これまで、生活困窮者への支援として、物価高騰による生活への影響に対応するため、国による臨時特別給付金等の給付に加えて、県でも市町村による地域の実情に即した取組を後押ししてきたところです。 また、今般の国の物価高騰に対する追加策において、生活困窮者へのさらなる給付金のほか、新たに電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金が創設されたところであり、県といたしましては、暖房需要が高まる冬季に向けて、灯油の価格をはじめとする物価の動向を注視しながら、生活困窮者の負担軽減につながる効果的な施策を講じてまいりたいと考えています。 次に、教育問題についてお答えをいたします。 まず、県内小中学校等の特別教室のエアコン設置状況についてでありますが、議員御指摘のとおり、特別教室のエアコン設置率は、小中学校及び高等学校とも全国平均を下回っているものの、普通教室のエアコン設置率は、全国平均を上回っている状況と承知しています。 児童生徒が安全に、そして安心して学ぶことができる環境を実現するために、これまで計画的に整備を進めてきたものと認識しておりますが、引き続き、各学校の実情に応じて、エアコン設置を進めてもらうことが必要と考えております。 次に、エアコン設置に係る市町村間の教育環境格差についてでありますが、児童生徒が安全に、そして安心して学ぶことができる環境を実現するためには、各市町村の実情に応じて、特別教室のエアコン設置を含め、必要な施設設備が整備されることが望ましいと考えています。 そのため、県といたしましては、国に対し、引き続き、施設整備に必要な予算確保や補助制度の拡充等を働きかけてまいります。また、教育委員会には、市町村に対して活用できる補助制度の情報提供等の支援を行ってもらいたいと考えております。 次に、エアコン整備に係る国交付金の課題と対応についてでありますが、議員御指摘の国交付金を活用しながら、小中学校のエアコン整備が進められているところでありますけれども、さらなる整備の促進に向けては、国において十分な予算措置や、補助要件の緩和が必要であると考えており、国に対して、機会を捉えて働きかけを行っているところです。 なお、国交付金の具体的な課題につきましては、教育長からお答えをいたします。   〔総務部長小岩徹郎君登壇〕 ◎総務部長(小岩徹郎君) お答え申し上げます。 就職氷河期世代を対象とした選考試験の実績と来年度以降の実施の見通しについてでありますが、県では、令和2年度から一般事務や学校事務職員などを対象として選考試験を実施しており、これまで2年間で合計18人を採用し、また、今年度の選考試験については、4職種を対象に、合計16人程度を採用予定として現在実施しているところです。 なお、来年度以降については、先ほど知事がお答えしたとおり、継続して実施することとし、具体の職種や採用予定人数については、今後検討してまいります。   〔防災局長原直人君登壇〕 ◎防災局長(原直人君) 4点お答えいたします。 迅速な避難を行うための適切な避難経路設定等に関する県の啓発活動についてでありますが、県では、県民に適切な避難経路や迅速な避難を考えていただくために、避難経路上の危険箇所や迂回路の確認、道路冠水等が生じる前の早めの避難の重要性について記したパンフレットを作成しており、各種防災イベントや、市町村、自主防災組織等が実施する住民向け防災研修の場で配布しているほか、県内のコンビニエンスストアにも配置しております。 また、県が育成に努めている防災シニアリーダーが、地域住民向けの防災研修で使用する県提供の教材において、水害時における避難経路上のリスクや、早めの避難について考えてもらう場面を盛り込むなど、啓発活動に取り組んでおります。 次に、新潟県防災ナビの登録に向けた取組や今後の課題等についてでありますが、防災ナビにつきましては、令和元年7月の運用開始以降、県ホームページへ掲載するとともに、メディアによる広報や公共交通機関におけるポスター掲示など様々な取組を行っております。 登録状況は、本年8月末現在で8万810件となっており、これは、昨年同時期の4万1,660件に比べ約2倍の増加となっております。 また、登録拡大に向けましては、さらなる県民への周知が必要であると考えており、引き続き、市町村や関係機関とも連携し、様々な機会を通じて広報活動を行ってまいります。 次に、新潟県防災ナビのPRコーナー設置による登録拡大についてでありますが、議員御指摘のとおり、防災訓練をはじめとした多数の方が参加される各種防災イベントでのPRコーナーの設置は、登録拡大に有効であると認識しております。 本年度において、10月23日に開催を予定している県総合防災訓練やその他各種防災イベントの場においても、PRコーナーを設けることとしております。 次に、新潟県防災ナビの登録拡大に向けた新潟市との連携についてでありますが、議員御指摘のとおり、新潟市においては、市独自のにいがた防災アプリの配信終了後、県防災ナビの活用を進めていると承知しております。 具体的な活用例としては、防災訓練での利用や災害時の情報発信、加えて小中学生の防災教育において活用していると伺っております。 今後とも新潟市と連携を密にし、県防災ナビの登録拡大に努めてまいります。   〔土木部長金子法泰君登壇〕 ◎土木部長(金子法泰君) 5点についてお答えいたします。 道路冠水想定箇所が増えている要因についてでありますが、道路冠水想定箇所は、毎年の調査により把握し、公表しております。 今年度追加した3か所については、いずれも排水ポンプが設置された歩行者専用地下歩道で、冠水の実績はないものの、排水ポンプが故障した場合に冠水のおそれのある箇所として追加したものであります。 今後とも、冠水のおそれのある箇所を的確に把握し、県民の皆様に周知することにより、事故防止に努めてまいります。 次に、排水ポンプの能力についてでありますが、県では、全国共通の要綱に基づき、道路の種別、交通量や沿道状況などを考慮した区分に応じて、5年から10年以上の確率降雨で設定された降雨強度により算定しております。 次に、アンダーパス部における注意喚起についてでありますが、県では、車両が水没した場合に乗員が車内で溺死するおそれがあるため、1メートル以上の冠水が想定されるアンダーパス部で、道路側壁等への水位表示を行っております。 一方、1メートル未満の冠水が想定されるアンダーパス部においても、これまで過って進入した車両の立ち往生が発生していることから、水位表示等の設置を進めてまいります。 次に、アンダーパス部における水位表示の統一についてでありますが、県では、道路側壁への水位表示を行う場合に、水没した車両からの退避が困難になると言われている水深50センチメートルを最小の目盛りとし、50センチメートル刻みでのライン設置を基本とし、注意喚起を行っております。 水位表示を分かりやすくすることは重要であると考えておりますが、道路の勾配や形状など現場条件に応じた表示方法とすることが効果的であると考えております。 まずは、県管理道路において、冠水箇所への車両の進入を防ぐ、より効果的な注意喚起方法と、分かりやすい表示方法の検討を進めてまいります。 次に、アンダーパス部の水位検知及び電光表示システムについてでありますが、県管理道路における冠水が想定されるアンダーパス部は、鉄道との立体交差が22か所、高速自動車道との立体交差が1か所の計23か所となっており、そのうち、1メートル以上の冠水が想定される全7か所を含む、計9か所でシステムを導入しています。 システムの新規導入につきましては、必要に応じて、通行に支障となる冠水発生の履歴、頻度等に基づき検討を行ってまいります。   〔教育長佐野哲郎君登壇〕 ◎教育長(佐野哲郎君) 5点についてお答えいたします。 まず、エアコンの整備に係る国交付金の課題についてでありますが、さらなる整備促進に向けては、補助率の引上げや、対象となる工事基準額の緩和などが課題として挙げられると考えております。 次に、新たな教師の学びの姿に対する認識についてでありますが、変化の激しい時代において、教師は学校教育を取り巻く環境の変化を前向きに受け止め、教職生涯を通じて学び続けることが重要と考えております。議員御指摘の附帯決議の内容は、そのために必要な前提と認識しているところです。 次に、教員等に対して行う指導助言等に対する認識についてでありますが、指導助言等では、教員の主体的な姿勢の尊重と学びの内容の多様性が重視・確保されることが必要であると考えており、議員御指摘の附帯決議は重要なものと認識しております。 次に、研修時間の確保と教職員の確保対策についてでありますが、学校の働き方改革につきましては、継続した取組が必要と考えており、学校行事の見直しや外部人材の配置拡充など、今後も教職員の負担軽減を図る取組を推進し、研修時間の確保に努めてまいります。 また、研修出張時の対応につきましては、一義的には校内の教職員間で調整すべきものと考えておりますが、多忙化の解消等に向けて、人的配置の充実は重要と認識しており、教職員定数の拡充について、引き続き国に要望してまいります。 次に、研修成果の確認テストについてでありますが、議員御指摘のとおり、研修については、研修を通じて得られたことを職務に生かし、児童生徒にその成果を還元することが重要であると考えております。そのためにも、研修内容を理解・習得できたかどうか、テストやレポートなどにより自ら確認することは、研修の効果を高める上で、必要なプロセスであると考えております。 ○議長(小島隆君) 小島晋君の質問は終わりました。 次に、中村康司君の発言を許します。中村康司君。   〔中村康司君登壇〕(拍手) ◆中村康司君 自由民主党の中村でございます。以下、質問をいたします。 まず、県北を襲った豪雨災害で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。知事におかれましては、一刻も早い復旧・復興に向けて県の総力を挙げ取り組んでいただきたいと思います。 このような大きな災害が毎年のように発生している現状を直視し、しっかりと対応していかなければならないと痛感いたします。 災害は、その地域を疲弊させます。かつて昭和の時代、糸魚川で土砂災害や雪崩などの大規模災害が発生した地域を見ますと、被災後に明らかに人口流出が進みました。 地域の活力を維持する観点からも、防災・減災対策、カーボンニュートラルなど地球温暖化対策のさらなる加速が求められます。財政問題を抱える本県としては大変厳しい状況ではありますが、将来への投資、安心・安全の確保はしっかりと行っていくべきと思います。 ところで、我が国の経済は、一般的にはロシアによるウクライナ侵攻、コロナの影響で落ち込んでいると思われがちですが、決してそうではなく、大企業を中心に上向いていると考えます。問題は、それが本県経済、そして個人の所得拡大に結びつくかどうかではないでしょうか。都市と地方の格差が指摘されて久しいですが、なかなかそれが是正されず、結果として人口の流出につながっているのは明らかです。 500兆円を超えると言われる企業の内部留保について、それを雇用者報酬に回すべきとの意見がありますが、私はそうした意見には全面的には賛成いたしません。 企業にとって内部留保は成長に向けた原資であり、企業が永続的に事業を続けていく上で非常に重要なものです。我が国全体にとって、よりよい活用方法があるとすれば、余裕のある部分の内部留保については下請代金に上乗せすべきと考えます。 その結果、地方の中小企業がより多くの利益を得て、その社員の給与が上昇、待遇をよりよく改善することが都市部との格差解消の重要な要素だと私は常々思っております。そのためにも、まず景気がより上向くようになってほしいものです。 それでは、質問に入ります。 まず、本県の経済・財政状況についてですが、財務省発表の4月から6月期の法人企業統計によると、金融・保険業を除く全産業の経常利益が前年同期比17.6%増の28兆3,181億円と四半期では過去最大となり、設備投資も旺盛で、5期連続のプラスとなりました。全国的には、コロナ禍からの経済社会活動の正常化を背景に、企業活動は改善の動きが続き、設備投資マインドも上向きとなっていますが、県内経済の状況についての認識を伺います。 次に、税収と地方交付税についてですが、令和3年度一般会計決算において、県税収入は前年度比プラス5.7%となっており、今年度も我が国全体では企業収益が改善傾向にあることから、令和3年度決算からの県税収入のさらなる上振れも期待できるのではないかと考えますが、現時点での見通しを伺います。 また、現時点での今年度の地方交付税の見通しについても併せて伺います。 続いて、財政の質問です。 県北部地域を襲った8月3日からの大雨の被害により、災害復旧工事、生活再建への支援等で多額の財政支出が必要となると思われますが、県財政の収支見通しや財源対策的基金等の積立てへの影響について伺います。 次に、中期財政収支見通しでは、令和4年度に実質公債費比率が18%以上となり、本県が起債許可団体に移行することが見込まれております。以前に起債許可団体となった場合の影響について質問した際、公債費負担の適正化のためには、公共事業等の地方債を財源とする事業については、その抑制について検討するとともに、これまで以上に事業や箇所の重点化が必要との答弁がありましたが、今後の予算編成への影響について伺います。 最後に、行財政改革下の財政運営は、歳出削減による県民生活への影響を最小限にするため、税源涵養を図りながら自主財源の確保に努め、歳入増を図ることが必要と考えますが、これまでの行財政改革行動計画における歳入改革の取組状況とその評価を伺います。 また、これまでの取組を踏まえ、歳入増に向けて今後どのように取り組んでいくか伺います。 2番目の項目は、本県産業の課題についてお伺いをいたします。 ロシアへの経済制裁により、世界のエネルギー供給に影響が出ています。原油についても、もともと脱炭素の反動で化石燃料の開発投資が低迷し、供給不安で値上がり基調にあったところに、ウクライナ侵攻に伴うロシアへの経済制裁が行われたことで、当面、高止まりの状況が続くのであろうと思います。エネルギー大国、ロシアへの経済制裁は、我が国の産業界、家庭生活にとっても大変な重荷になるのではないかと危惧しています。 企業物価高騰の転嫁は、特に中小企業にとっては大変重要な課題で、ぜひ、買いたたき、あるいは下請たたきの状況に陥らないようにしなければなりません。以前も指摘した下請かけこみ寺などの制度をしっかりと周知させて、価格転嫁がしやすくなる環境を整備する必要があると思います。 このように、原材料価格が高騰しているにもかかわらず、取引先が取引価格の引上げに応じてくれないなど、企業物価の上昇のしわ寄せが下請企業に及んでいないか懸念されますが、本県企業の状況について伺います。 また、日本製鉄とトヨタとの間で自動車用鋼板の値上げが決まったとの報道があり、下請企業が価格交渉を行う上で追い風になるのではないかと考えますが、下請企業が多いと言われる本県産業への影響について伺います。 次に、岸田首相は物価高騰対策として、6,000億円規模の電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を新たに創設することを表明しましたが、県では中小企業への支援において、これまでの対策を踏まえ、今後どのような対策、施策が必要と考えておられるか伺います。 地理的にロシアと近い本県は、経済的なつながりも他県に比べて強いと聞いております。それだけにロシアへの経済制裁によって影響を受ける企業が多いと思われます。 実際、糸魚川市の産業を支える企業の中にも、燃料である石炭について、ロシア炭への依存度が高く、2月の紛争勃発以降、やむなく他国産へ切り替えている企業がありますが、相当なコストアップになっている模様です。 このように、経済制裁によりロシアとの貿易が困難となり、ロシアから輸入していた燃料を他国からの輸入に切り替えたところ、代金、物流費が大幅に上昇し、コストアップへの対応に苦慮する企業も見られますが、ロシアへの経済制裁が本県産業に与える影響について伺います。 続いて、LNGの供給不安から、政府において都市ガスの需給逼迫に備えた対策について検討がなされ、大企業向けでは強制力を伴うガス使用制限令の新設、家庭向けでは節ガスの取組を後押しすることとしております。 本県では、過去、電力需給が逼迫した際に、ピークカット15%大作戦を展開し、計画停電を回避するなど、大きな成果があったと記憶していますが、都市ガスの需給逼迫に対応するため、企業、家庭へどのような働きかけが必要と考えておられるか伺います。 次は、メタンハイドレートについてです。 産業技術総合研究所が、この17日から上越・糸魚川沖で海底地盤の強度などの調査に入ったとの報道がありました。 知事は、9月1日、日本海側12府県で構成される海洋エネルギー資源開発促進日本海連合の会長として、メタンハイドレート等の国産の海洋エネルギー資源の開発について、経済産業省に要望を行いました。資源開発の促進に向けては粘り強く国へ働きかけていく必要があると考えますが、知事の所見を伺います。 小水力発電についてお伺いします。 再生可能エネルギーの導入を図るため、県内においても民間事業者による砂防堰堤を利用した小水力発電を行っている事例が見られます。本県の砂防堰堤を利用した小水力発電の実施状況と、利用を希望する事業者への対応方針を伺います。 昨今の自動車などの納期遅れの大きな要因とされる半導体についてですが、九州を中心に半導体クラスター形成が進められるなど、経済安全保障の観点から、半導体産業の国内回帰に向けた取組が進められており、県としてもこうした動きを取り込み、本県半導体関連産業の成長へとつなげていくべきと考えますが、所見を伺います。 ゼロゼロ融資が9月末で終了するとの報道がありました。以前から指摘しておりましたが、返済が本格化してくる状況で行き詰まる事業者が出てくるのではないかと危惧されます。 ゼロゼロ融資などの返済が始まり、過剰債務で再建を断念する息切れ倒産の発生が懸念されておりますが、本県の企業倒産と代位弁済の状況、今後の対応について伺います。 先日、新潟市内のデパートでニットのパーカを購入いたしました。これは、県内メーカーとそのデパートが商品開発、マーケティングなどを行い、下請製造中心であったメーカーが自社ブランドとして販売したものです。 まだ本格的には着用しておりませんが、例えば、あえてポケットをなくすなど、ユーザーの意見も取り入れているとのことで、着心地も大変すばらしいものがあります。聞いてみますと、国内でも希少な編み機で編み上げるのだそうで、目が詰まった非常に高品質な製品です。 このように、下請主体であった企業が自社ブランドで販売できれば、当然利幅が高く稼げます。ただ、製品企画やマーケティングなど、中小企業が苦手とする分野もあり、その点をいかに克服するかが課題です。この場合はデパートがその部分を補ったわけですが、ぜひ県としても積極的に下請から脱却する、チャレンジする企業を後押しすべきと思った次第です。 県は、総合計画において、高い付加価値を生み出す企業の創出を政策の展開の方向性として掲げ、下請からの脱却を目指す企業を支援してこられたと認識しておりますが、これまでの成果と評価を伺います。 また、高い付加価値を生み出す企業を多く創出するためには、どのような取組が有効と考えているか伺います。 地方、特に過疎地域の人口減少は著しいものがあり、若者の流出により、業種によっては中小企業を中心に労働力不足が目立ちます。かつて地方は、その豊富な労働力を売りに産業誘致を図ったわけですが、その構図は崩れてしまっています。 それがここに来て原材料高騰、円安、物流費の上昇などで産業の国内回帰の動きが目立ってきたという報道もあり、本県にとってもチャンス到来なのですが、しかしながら労働力との兼ね合いが課題だと思います。 このように、企業誘致は雇用創出を目的の一つとして進められてきましたが、地方部でも人口減少を背景に労働力不足が深刻化しております。人手不足にあえぐ地域の中小企業と誘致した工場との間で人材獲得が競合するなど、企業誘致と地域産業の振興との間でジレンマが生じる事例も見られますが、人口減少社会の下での企業誘致の進め方について所見を伺います。 この項目の最後の質問ですが、県では、2030年の本県産業の未来像とその実現に向けたシナリオを描くため、今年度、にいがた産業ビジョンの策定を行うこととしておりますが、本県産業を取り巻く課題や環境の変化、将来の本県産業のあるべき姿について所見を伺います。 3番目の項目は、公共事業と防災・減災についてです。 まず、建設資材の高騰によって発注件数の減少や工事規模の縮小が危惧されますが、建設資材高騰による土木工事への影響について伺います。 建設業関連の各業種を見ても、エネルギー価格の上昇の影響が大きな課題になっております。電力料金、原油高、燃料高騰の影響を受ける砂利業界、生コン業界等が最たる例です。適正な価格で販売されるようにしていかないと、中小零細企業が中心のこれらの業種は、大変厳しい経営状態に陥ってしまいます。 建設資材の高騰等が生じた場合、単品スライド条項によって価格変動分を請負金額に反映させることになっておりますが、こうした制度について、元請企業は理解をしていても、下請や納入企業まで認識されているかどうかが危惧されます。建設資材が高騰している折、下請や納入企業の影響も軽減されるべきであり、単品スライド条項について、より周知を徹底すべきと思いますが、所見を伺います。 続いて、建設残土の処分についてです。 盛土条例の制定、施行によって盛土の規模に規制がかかったことから、建設工事等で発生する残土の捨場の確保に苦慮するケースも見られます。規制だけではなく、公共事業に伴う残土に関し、県としても残土処分場の確保など、残土処分により積極的に関与すべきと考えますが、知事の所見を伺います。 冒頭にも申し上げましたが、災害が発生すると人口流出が避けられません。昭和44年8月に旧青海町で豪雨による水害が発生し、死者3名、重軽傷者76名、流出、全半壊、浸水などの住宅被害が582棟という未曽有の被害でした。特に歌外波地区の被害は甚大で、地域の方から聞き取った数字を基に災害前後の人口を比較すると、両地区で306あった世帯数が水害後は282と24世帯も減り、1,214人だった人口も1,091人と123人、10%ほど一気に減少してしまいました。 この意味でも災害の発生を未然に食い止め、安全・安心な暮らしを提供するのが県の重要な責務だと思います。 現在、県財政が苦しい状況でも、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策など有利な財源を利用し、防災・減災事業に尽力していただいており、県北部地域を襲った8月3日からの大雨では、防災・減災対策の効果により、被害が最小限に抑えられました。災害の多い本県としては、今回の災害の教訓を生かし、より積極的に防災・減災対策の取組を進めるべきと考えますが、所見を伺います。 4番目、最後の項目は、県政の諸課題についてです。 まず、地方鉄道について。 JR西日本に続き、JR東日本も利用者の少ない地方路線の収支を公表いたしました。JR、そのステークホルダーの立場からしますと、この発表について理解できないことはありませんが、地元の衝撃は大きく、各種メディアの報道でもかなり取り上げられ、大きな反響を呼んでおります。 そもそも人口が減り続けている過疎地を走ることから、JRに限らず、地方鉄道は収支だけを見るのであれば、ビジネスとして成り立たなくなっているのは明白ですが、こうした発表が続くことで人口流出の加速化やシビックプライドも低下してしまい、より活力が失われてしまうのではないかと危惧するばかりです。 私の地元の大糸線もよくメディアに取り上げられております。県内を走る区間は糸魚川市のみで、南小谷駅までをJR西日本が管轄、他区間は長野県の小谷村、白馬村、大町市で、JR東日本が管轄するという特異な路線であり、長野県との連携が重要だと思っております。 9月26日には、大糸線利用促進輸送強化期成同盟会の第2回振興部会が開催されました。振興部会においては、県を含む沿線自治体が路線の将来像を共有し、JR西日本に対して一枚岩となって臨むべきであるとともに、沿線市町村任せとすることなく、県レベルでも連携を密にし、路線の持続可能性を高める取組に積極的に関与すべきと考えますが、知事の所見を伺います。 続いて、幼稚園等の通園バスに取り残された幼児が熱中症で亡くなるという事故が連続して発生をいたしました。人を乗せる車両でハード対策が取られていなかったことが残念です。 私が携わっております貨物運送業の場合、トラックに人間のケアレスミスやヒューマンエラーを補完する装置を取り付けている事例がかなりあります。例えばダンプトラックのボディー降下や、クレーン付トラックのクレーンの格納を忘れた場合、運転席に設置した回転灯が点灯したり、あるいはアラームが鳴る装置をつけているという車両が多いです。 これは、格納を忘れてそのまま走行した場合、上空の電線や、工場内であれば配管等と接触し、損傷させてしまうという事故への防止策です。実はかつて、このような事故が頻発しておりました。それで、各社で工夫し、自主的にこのような装置をつけたというのが全国的な実情ですが、明らかにトラブルは激減、あるいはほとんどなくなりました。 それまでは注意して運行しよう、あるいは走行前に格納を確認しようという注意喚起、ソフト面を中心に対策をしていたのですが、うまくいかず、ハード対策に及んだわけです。人命を預かる車両こそ、このような安全対策が必須なのではないでしょうか。 人間はミスをするという前提に立った対策が必要ですが、幼児の命を預かる車両の降車確認が人任せとなっており、何らハード面の対策が取られていなかったことが、このような痛ましい事故が続いた原因の一つと考えます。県としてこの状況をどのように捉え、どのような対応が必要と考えておられるか伺います。 地元で各地域の課題を聞いておりますと、最近は空き家についての声が増えております。持ち主は分かっておりますが、その人が地元におらず連絡が取れない、依頼しても処分してくれない、老朽化が進み、通学路などで児童に危険が及ばないか危惧しているといった事例が多いようです。個人所有の空き家に対して行政が手出しできないのは十分に分かってはいるものの、困っている地域が多いのが現状です。 空家等対策の推進に関する特別措置法が平成27年に施行され、空き家対策の体制整備が進められてきました。一方、依然として地域内で空き家への対応に苦慮しているという声を多く耳にしており、住民の不安解消には至っていないのではないかと考えますが、これまでの取組実績を伺います。 また、本県は空き家率が全国平均を上回っており、人口減少も全国を上回るスピードで進んでいることから、空き家問題はさらに深刻化することが予想され、その対応はより強力に進めていく必要があると考えますが、知事の所見を伺います。 続いて、スポーツについてです。 部活動の外部指導員導入など、スポーツに対する見方が多様化してきていると思いますが、過日、全日本柔道連盟が小学校の全国大会について、行き過ぎた勝利至上主義への懸念から廃止するという報道を聞き、英断だと思いました。 スポーツにおいて勝利を目指すことは重要ですが、勝利者だけがたたえられるものではないとも思います。 個人スポーツでは、強い人だけが継続するという風潮があるような気がします。私が見てきた中でも本県のスキー競技などはいい例で、全国大会に出場できる可能性がないとすると、あるいは成績が出ないとやめてしまうという選手が大変多く見られました。チャンピオンや強い選手だけが継続するというのは非常に残念です。 弱くても、タイムを短縮できなくても、成績が上がらなくても、継続できる人はたたえられるべきではないでしょうか。あるいは、楽しむためのスポーツも尊重されるべきだと私は思ってきました。スポーツの健全な発展、裾野が広がることによる普及、スポーツ人口拡大のためにもこの価値観は尊重されるべきと思います。 このように、スポーツには勝ち負けを超えた価値があり、低年齢のうちは結果を気にし過ぎるよりも、まずスポーツを楽しむということを教えるべきだと考えますが、ジュニア層に対するスポーツ指導の在り方について所見を伺います。 最後の質問です。本県の冬の重要な産業でありますスキーについてお伺いをいたします。 先日、岸田首相はコロナの水際対策について、さらなる緩和の方針を示されました。今冬はラニーニャの影響で大雪ではないかとの予報もあり、集客、物販など業界全体で期待や不安が入り交じっております。 現在、スキー産業を取り巻く状況は大変厳しいものがあります。国内スキーヤーが著しく減少しており、コロナでストップしていたインバウンドへの期待が非常に大きいわけです。また、電力料金の高騰でリフト運行のコストも著しく上昇しております。来場者の上乗せやリフト料金の値上げをしないと収支が厳しくなることが予想されます。 正確なデータは持ち合わせておりませんが、本県スキー場のリフト料金は、近隣の長野県などのスキー場に比べて安価であると感じます。そうであるなら、より来場者を増やす努力が求められます。したがって、インバウンドに期待、頼るのは当然です。 ここに来ての水際対策の緩和、歴史的な円安により、インバウンドのV字回復を期待できる環境が整ってきております。今冬のインバウンドのスキー客を確実に獲得できるよう、県としても後押しが必要ではないかと考えますが、所見を伺います。 以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 中村議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、県内経済の状況に対する認識についてでありますが、経済社会活動が正常化に向かう中で、個人消費や設備投資には持ち直しの動きが見られます。一方で、原材料価格上昇の影響などにより企業収益は改善の動きが弱まるなど、県内経済は、全体として緩やかに持ち直しているものの、一部で厳しい状況にあるものと認識しています。 県といたしましては、新型コロナウイルスの感染状況や物価の上昇等が県内経済に及ぼす影響について引き続き注視してまいります。 次に、大雨災害への対応が本県の財政に与える影響についてでありますが、8月3日からの大雨災害への対応に関わる予算については、今定例会で一般会計分として255億円をお諮りさせていただきました。 このうち多くは災害復旧事業となるため、県の一般財源の負担は、将来の公債費の実負担も含め、相当程度軽減されております。 今回の補正では財政調整基金から9億円を取り崩し、また、地方債の発行による将来の公債費の実負担は、今後、公債費負担適正化計画の下で対応してまいります。 これらも踏まえて試算した今般の中期財政収支見通しでは、ほかの諸要因も併せて算定した結果、令和13年度の公債費実負担のピークに対応するために必要となる収支改革額は、令和4年2月に改訂した中期財政収支見通しと変わらず10億円程度になるものと見込んでおります。 次に、起債許可団体へ移行した場合の今後の予算編成への影響についてでありますが、本県では、令和4年度決算後に実質公債費比率が18%以上となる見込みであることから、議員御指摘の答弁の後、令和2年3月に公債費負担適正化計画を前倒して策定し、投資事業を実負担ベースで管理するとともに、令和20年度に実質公債費比率が18%未満となるよう目標を設定し、現在も取組を進めているところです。 本県が来年度には起債許可団体となることはほぼ確実であり、今後の予算編成においては、投資事業について引き続き公債費負担適正化計画を遵守するなど、財政健全化に着実に取り組んでいく必要があります。 その際、県民生活へ過度な影響を及ぼさないよう、国庫補助や交付税措置率の高い起債など、有利な財源を積極的に活用することにより、必要な事業量の確保に努めてまいります。 次に、歳入確保に向けた取組についてでありますが、県ではこれまで、国の予算措置や制度等の情報収集や研究を行って、国庫補助金等を積極的に活用するとともに、本県の実情に応じた地方交付税の算定などについて、他県とも連携しながら様々な機会を捉えて国に要望し、地域社会再生事業費の創設などが図られたところであります。 こうした取組は、全国と比べて自主財源の割合が低い本県にとって、行財政改革を進める中でも、県民の皆様の安全・安心の確保をはじめ必要な行政サービスを確実に提供するための財源確保に寄与しているものと考えております。 県といたしましては、議員御指摘のとおり、県民生活等に極力影響が生じないよう、引き続きあらゆる方策を講じ、自主財源も含め最大限歳入を確保していく必要があると認識しており、今後もこれまでの取組を継続するとともに、中長期的な県税収入の増加に向けて、県内産業の活性化等による税源涵養などに取り組んでまいります。 次に、本県産業の課題についてお答えします。 まず、メタンハイドレートの開発促進についてでありますが、国の第6次エネルギー基本計画では、水素やアンモニアの原料としての利用も視野に、メタンハイドレートを含む国内資源の開発を推進する方針が示されており、可能な限り早期に成果が得られるよう、2023年度末まで生産技術の開発等が進められると聞いております。 県といたしましても、メタンハイドレートの回収技術が確立し、商業化が実現された場合には、地域の活性化や、産業と雇用の創出につながることが期待されることから、着実に開発を進めていただきたいと考えており、日本海連合の構成府県とも連携しながら、引き続き国に働きかけてまいります。 次に、半導体関連企業の成長についてでありますが、半導体はデジタル社会を支える重要な基盤であり、国は、経済安全保障の観点から、先端半導体を国内で開発・製造できるよう、海外製造事業者の誘致や、サプライチェーン対策としての国内投資促進の取組を進めております。 県といたしましても、こうした動きを県内に取り込むため、関連企業の立地や設備投資について、金融機関などと連携して投資案件を発掘するとともに、補助金等を活用しながら支援をしているところです。 半導体関連産業は今後も市場規模の拡大が期待されることから、引き続き、半導体工場の誘致に取り組むとともに、県内関連企業の投資を支援するなど、本県企業の競争力強化につなげてまいりたいと考えております。 次に、本県の企業倒産等の状況と今後の対応についてでありますが、議員御指摘のとおり、今後、いわゆるゼロゼロ融資などの据置期間が終了し、多くの事業者において返済が本格化する中、経済情勢によっては、返済ができず、倒産に至るケースも増加することが懸念されます。 このため、県といたしましては、金融機関に対し、事業者の実情に応じた経営支援や、条件変更等の相談への柔軟な対応を求めるとともに、国に対しても、様々な機会を通じ、据置期間や償還期間の延長を要望しているところです。 今後とも、事業者の経営状況を把握した上で、商工団体や金融機関とも連携しながら、適時適切に対応してまいります。 なお、企業倒産と代位弁済の状況については、産業労働部長からお答えをいたします。 次に、人口減少社会の下での企業誘致の進め方についてでありますが、若者の県内定着やU・Iターンの促進、地域産業の高付加価値化などに向けては、IT関連企業や、今後成長が期待される健康・医療、半導体、脱炭素などの分野にターゲットを絞った誘致が有効であり、引き続き、地域産業の成長にもつながる企業誘致に取り組んでまいりたいと考えています。 また、人手不足が深刻化する中、企業にとっては、人材の確保が大きな課題であることから、県といたしましては、進出企業へのサポートと併せて、県内企業に対しても、ハローワーク等関係機関と連携を図りながら、企業の魅力向上や人材確保に向けた取組を支援してまいります。 なお、今後、我が国にとって経験のない人口減少が予想される中で、中長期的な企業誘致の進め方について、産業界の皆様の御意見もお聞きしてまいりたいと考えております。 次に、本県産業を取り巻く課題と将来のあるべき姿についてでありますが、本県産業は、経営規模が小さく、下請取引等を主流とする経営面で他律的な企業が多いため、十分な付加価値が得にくい産業構造にあり、その転換を目指して取り組んできたものの、いまだ全国との差が埋まらない状況にあります。 今後、本県の人口は全国を上回るスピードで減少すると見込まれており、また、デジタル化や脱炭素など、加速度的に進展する経営環境の変化への対応が迫られる中で、本県経済を持続的に発展させていくためには、引き続き、県内産業の高付加価値化に努めるとともに、働く場やチャレンジする場として若者や女性に選ばれるための環境を整えていくことが必要です。 その実現に向け、にいがた産業ビジョンの策定を通じて、専門家や産業界の御意見も伺いながら、特に重点的に取り組む施策について検討してまいります。 次に、公共事業と防災・減災についてお答えします。 まず、公共事業に伴う残土処分についてでありますが、公共事業に伴う建設発生土については、現場内利用による排出の抑制に努めるとともに、他工事へ搬出し再利用することを基本としています。 その上で、残土が発生した場合は、発注者が主体的に確保した処分地へ搬出することとしています。 議員御指摘のとおり、残土処分地の確保に苦慮する場合もあることから、国、県、市町村や建設関係団体などで構成する北陸地方建設副産物対策連絡協議会で議論するなど、建設発生土のさらなる排出抑制、再利用及び残土の適正な処理に努めているところです。 県といたしましても、盛土等の規制に関する条例の趣旨や、主体的な残土処分地の確保について、発注者へ周知するなど、残土処分の適正化に向けて取り組んでまいります。 次に、今回の災害の教訓を生かした防災・減災対策についてでありますが、本県は、広い県土と長大な河川等を有し、脆弱な地質も多いことから、自然災害リスクが高いことに加え、インフラ施設の老朽化が喫緊の課題となっています。 8月3日からの大雨では、国の3か年緊急対策等を活用して取り組んできた河道掘削などにより、河川の氾濫はかなり抑えられたことから、防災・減災の重要性を改めて認識したところであります。 県といたしましては、激甚化・頻発化する自然災害に対応するため、引き続き、国の5か年加速化対策などの有利な財源を積極的に活用しながら、ハード・ソフト一体となった防災・減災対策を着実に進め、県民の安全・安心の確保にしっかりと取り組んでまいります。 次に、県政の諸課題についてお答えいたします。 まず、大糸線についてでありますが、議員から御指摘のありました県を含む沿線自治体が一枚岩となり、また、県レベルでも連携を密にし、積極的な関与が重要とのお考えにつきましては、長野県とも一致しているところであります。 こうした連携の下に、大糸線利用促進輸送強化期成同盟会振興部会において、地元が掲げる取組が着実に大糸線の利用増加につながるように、目標乗降客数の設定や、その実現に向けた議論を促して、路線の持続可能性を高めてまいりたいと考えています。 次に、送迎バスでの園児死亡事故への受け止めと対応についてでありますが、このような痛ましい事故が二度と起きないよう、安全管理のさらなる徹底・強化の必要性を再認識しているところです。 県ではこれまで、送迎バス乗降時の確実な人数確認の実施や、子供の出欠状況に関する保護者及び職員間の情報共有をはじめとした安全管理について周知を図るなど、子供たちの安全確保の徹底に努めてまいりました。 議員御指摘のハード面の対策につきましては、国において、送迎バスの安全装置設置の義務化などを含む緊急対策を取りまとめるとのことであり、県といたしましては、国の対応を踏まえ、ハード面での対策強化も含めた対応が図られるよう、各施設へ促してまいります。 また、送迎バスを有する全ての施設を対象に、全国一斉に実施している緊急点検の結果に基づいて、安全性に問題がある施設については、速やかに改善指導を行うとともに、実地調査において安全管理の徹底を図るなど、何よりも子供たちの安全を最優先に、適切に対応してまいりたいと思います。 次に、空き家問題への対応についてでありますが、今後も人口減少に伴う空き家の増加が予想されるため、空き家の利活用を推進するとともに、危険な空き家について、発生防止や除却などの取組を推進することは、重要であると認識しています。 そのため、県の住生活マスタープランに空き家対策を新たな目標として位置づけ、市町村と連携しながら空き家対策を強化してまいります。 具体的には、空き家の取得等に対する補助を行うことなどにより、利活用を一層推進するとともに、危険な空き家の発生防止や除却については、関係団体と空き家対策に関する市町村支援のための協定を締結するなど、体制の強化を図ってまいります。 加えて、国に対して支援の拡充を引き続き要望するとともに、県の支援の在り方についても検討してまいります。 なお、空き家対応の取組実績については、土木部長からお答えをいたします。 次に、ジュニア層に対するスポーツ指導の在り方についてでありますが、ジュニア期は、生涯を通じてスポーツに親しむ基礎を培う上で重要であり、子供たちがスポーツの楽しさや喜びを体験する大切な時期であると考えております。 ジュニア期においては、身体の各機能の発育・発達に応じた様々な運動経験をすることが効果的であり、指導に当たっては、スポーツの楽しさを教えることを基本としながら、技術指導と併せて、相手を尊重する態度や、努力することの大切さなどが身につくように指導することが求められていると認識しています。 次に、今冬のインバウンドスキー客の獲得に向けた県の後押しについてでありますが、本県のインバウンドについては、スキー客を中心とした冬季の来訪が多く、スノーリゾートエリアの宿泊施設からは、個人旅行の解禁を見据え、既にオーストラリアなどからの予約が多数入っていると聞いております。 議員御指摘のとおり、来月から個人旅行の受入れ再開や短期滞在ビザ取得の免除など、さらなる水際対策の緩和が実施に移されれば、円安状況も追い風となり、本県を訪れるインバウンドの回復につながるものと期待しています。 県といたしましては、国内外の水際対策の状況等を注視しながら、本県への旅行商品造成支援や来訪喚起に向けた情報発信を強化するなど、海外からのスキー誘客の拡大に向けて取り組んでまいります。   〔総務部長小岩徹郎君登壇〕 ◎総務部長(小岩徹郎君) お答え申し上げます。 令和4年度の県税収入及び地方交付税の見通しについてでありますが、まず、令和4年8月末時点での県税収入状況は、企業収益の改善等により法人二税が前年同月比プラス11.0%、税収全体でも前年同月比でプラス4.8%と堅調に推移しております。 一方で、今後の見通しにつきましては、県内経済は緩やかに回復しているものの、一部で厳しい状況にあり、原材料価格の上昇等が県内経済に及ぼす影響に留意する必要があることから、引き続き、国際情勢や企業収益、景気動向などを注視してまいりたいと考えております。 また、令和4年度の普通交付税等は7月末に交付決定されており、交付税算定上の県税収入が増加する見通しであること等により、前年度比マイナス14.2%の2,638億円となっております。   〔産業労働部長金井健一君登壇〕 ◎産業労働部長(金井健一君) 6点についてお答えいたします。 初めに、原材料価格高騰の影響等についてでありますが、先般、県内企業を対象に実施した第2回目の緊急影響調査結果では、前回調査と比較してやや改善したものの、依然として8割を超える企業で仕入価格の上昇が収益を圧迫していると回答しており、また、十分に価格転嫁ができている企業は約3割にとどまるなど、県内企業の経営に深刻な影響が及んでおります。 そのような中、報道によれば、トヨタの調達価格は造船や家電業界における目安になると指摘されており、自動車用鋼板の値上げを契機として、今後、幅広い産業で様々な品目の価格転嫁が実現した場合には、議員御指摘のとおり、県内企業の価格交渉へ追い風になるものと考えております。 次に、物価の高騰を踏まえた今後の中小企業支援についてでありますが、今月、国が創設した電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金においては、中小企業に対するエネルギー価格高騰の影響緩和や、省エネ・賃上げ環境の整備などの支援が推奨事業として示されております。 県では、物価高騰の影響を受ける中小企業などの資金繰りや省エネ設備の導入などを支援しているところでありますが、これらの施策の効果も踏まえつつ、国の新たな交付金も有効に活用しながら、県内企業の競争力の強化と高付加価値化につながる効果的な施策を検討してまいりたいと考えております。 次に、ロシアへの経済制裁が本県産業に与える影響についてでありますが、ウクライナ侵攻以降、我が国としても、特定団体との金融取引や、先端的な物品などの輸出、機械類、木材、石炭、原油などの輸入が禁止されたことにより、ロシア向けの輸出減少やエネルギー・資源等の価格高騰による生産コストの増加など、県内経済にも影響が及んでいるものと認識しております。 このため、県といたしましても、セーフティーネット対策としての資金繰り支援に万全を期すとともに、適切な価格転嫁や下請取引の適正化の促進などに取り組んでいるところですが、国の新たな交付金や今後取りまとめられる経済対策とも歩調を合わせ、県内事業者の影響緩和に取り組んで必要な対策を講じてまいりたいと考えております。 次に、都市ガスの需給逼迫への対応についてでありますが、国が9月5日に公表した都市ガスの需給対策案においては、現在、都市ガス用のLNG輸入量は安定しておりますが、今後、大規模かつ中期的な供給の支障が生じた場合に対応できるよう、需給逼迫時の需要抑制策や情報提供の内容などについて、国、都市ガス業界団体等において実務的な検討を行い、準備を進めるとされております。 県といたしましては、国の対策に基づき、県民に対する情報提供など、適切に対応してまいりたいと考えております。 次に、本県の企業倒産及び代位弁済の状況についてでありますが、倒産件数は令和2年度、令和3年度ともに60件、今年度も8月末時点で26件と、新型感染症拡大前の令和元年度の86件と比べ、低い水準で推移しております。 また、新型感染症対応の制度融資に係る代位弁済件数は、8月末時点の累計保証承諾件数3万2,213件のうち140件、率にして0.43%となっており、今年度に入りやや増加傾向にあるものの、令和元年度1年間の保証協会全体の代位弁済率1.6%と比べても、同様に低い水準となっております。 次に、高い付加価値を生み出す企業の創出についてでありますが、これまで、産業界とも連携しながら、高い付加価値を生み出す企業の創出などによる産業構造の転換に努めてまいりました。 その中で、国内外でのトップシェアや独自の技術で高い競争力を持つ企業も数多く育っているほか、新潟県総合計画で指標としている1人当たり県民所得を見ると、令和元年度295万1,000円となり、令和6年度の最終目標値300万円に迫りつつあるものの、1人当たり国民所得との差は大きくは縮まっていない状況が続いております。 このため、県といたしましては、県内産業のデジタル化を一層推進するとともに、起業・創業や新事業展開など意欲ある企業の挑戦を後押しすることで、稼ぐ企業をより多く輩出してまいりたいと考えております。   〔土木部長金子法泰君登壇〕 ◎土木部長(金子法泰君) 4点についてお答えいたします。 砂防堰堤を利用した小水力発電の実施状況等についてでありますが、県管理の砂防堰堤においては、3事業者により3か所で小水力発電が実施されているほか、現在、複数の箇所で流量観測の調査などが行われているところです。 県といたしましては、土砂災害を防止または軽減する砂防堰堤の本来の機能に影響のない範囲で小水力発電を実施できるよう、砂防堰堤の利用を希望する事業者に対し、引き続き必要な助言などを行ってまいります。 次に、建設資材の高騰による土木工事への影響についてでありますが、鋼材や生コンなど、個別の資材は価格上昇が続いている状況であると認識しております。 そのため、予定している工事量への影響は多少なりともあるものと考えておりますが、今後とも、県民の安全・安心の確保に向け、優先度を考慮し、適切に対応してまいります。 次に、単品スライド条項の周知についてでありますが、本年4月及び7月に専門工事業も含めた建設業関係団体に対し、建設資材の高騰を受けて単品スライド条項を適用できる旨、通知しております。 今後、建設業関係団体に対し、説明会を開催するとともに、単品スライド条項を適用した工事をホームページに公表することで、下請企業や納入企業に対しても、さらなる周知を図ってまいります。 次に、空き家対応の取組実績についてでありますが、空家等対策の推進に関する特別措置法の施行以降、26市町村が空家等対策計画を策定し、適切な管理が行き届かない特定空家等について、令和3年度末までに、27件の代執行を含め、617件の除却や修繕等の対応がなされております。 また、28市町村が空き家バンクを設置して、空き家の利活用を促進するなど、計画的に対策を実施しております。 県では、市町村の体制整備や計画策定を支援しており、また、早期の段階で空き家の利活用や除却などが行えるよう、リーフレットの配布や動画配信などを通じ、県民への意識啓発を実施しているほか、空き家再生まちづくり支援事業や空き家利活用支援事業により、利活用への支援にも取り組んでおります。 ○議長(小島隆君) 中村康司君の質問は終わりました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(小島隆君) これにて本日の一般質問は終了いたしました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(小島隆君) お諮りいたします。 次会は、10月3日午前10時から開くことにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(小島隆君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、明10月1日及び10月2日は休日のため、本会議を休会といたします。   ――――――――☆―――――――― ○議長(小島隆君) 本日の議事日程は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 △午後5時13分散会...