令和 4年 6月定例会 本会議令和4年7月15日(金曜日) 議事日程 第3号 午前10時 開議第1 県政に対する一般質問本日の会議に付した案件日程第1 県政に対する一般質問(冨樫一成君、上杉知之君、杉井旬君、青柳正司君、樋口秀敏君、笠原義宗君) ――
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観光文化スポーツ部長 妹尾 浩志 君 農林水産部長 小幡 浩之 君 農地部長 登り 俊也 君 土木部長 金子 法泰 君 交通政策局長 佐瀬 浩市 君 会計管理者兼出納局長 太田 勇二 君 病院局長 山﨑 理 君 企業局長 樺澤 尚 君 教育長 佐野 哲郎 君
人事委員会事務局長 遠山 隆 君 警察本部長 村田 達哉 君
労働委員会事務局長 須貝 幸子 君
監査委員事務局長 山田富美子 君 ――
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△午前10時開議
○議長(佐藤純君) これより本日の会議を開きます。 ――
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△日程第1 県政に対する一般質問
○議長(佐藤純君) 日程第1、県政に対する一般質問を行います。 順次、発言を許します。 まず、冨樫一成君の発言を許します。冨樫一成君。 〔冨樫一成君登壇〕(拍手)
◆冨樫一成君 おはようございます。自由民主党の冨樫一成でございます。通告に従い、順次質問させていただきます。 まず、人口問題についてであります。 本年6月に厚生労働省が発表した人口動態統計によると、令和3年の全国の出生数は、過去最低の約81万1,000人と6年連続で過去最低を更新したとのことであります。 一方、本県については、令和2年のデータではありますが、県全体で1万2,981人、10年前と比べ約3割減少となっております。市町村別には、聖籠町が唯一増加し、減少幅が少ないのは湯沢町、次いで新潟市となっており、全体的に出生数の減少幅は人口規模や財政状況により有意な差が見られると考えます。 一方で、数字には表れておりませんが、子供の教育環境も子育て世代がどの地域に住むかについて大きく影響を与えると考えます。私が住む胎内市には上場企業の事業所が多く立地し、県外から転勤する方が多い一方で、住む場所については胎内市ではなく、新潟市や新発田市に住む方が一定程度おられます。その理由を聞くと、子供が高校に通う環境を考えてのことという意見が大半であります。 知事は、若者に住んでもらえる地域づくりを目指すと知事選を通じ主張されておりましたが、私は県内においても子育て環境には差があると認識しております。県内どこに住んでいても家から高校に通うことができる、子供たちの夢をかなえられる環境を整える必要があると考えますが、知事の所見を伺います。 さて、胎内市には、主に電気機器や医療機器の製造、販売を行う企業が、昨年春に新事業としてウイスキーを製造する会社を立ち上げ、1年以上かけて準備を進めております。 準備を進める上で課題となったのが、ドイツから調達しなければならなかった蒸留器であります。コロナ禍のさなかであり、ドイツに行くことができませんでしたが、Zoomでの打合せとメールによる書類等のやり取りにより、現地に行くことなく商談を進め、現在は発注したドイツからの蒸留器を待っている状況にあります。 つまりは新潟県にいながら、デジタル技術を活用し、海外との商談、契約をまとめることができたということであります。 今後、地方と都市の地域間格差を是正させるために、特に地方における
デジタル環境整備に努めるべきと考えますが、認識をお伺いいたします。 また、県民の
デジタルリテラシー、つまりデジタル技術を仕事や生活、学習に生かす能力を高めることが極めて重要と思われますが、併せてお伺いいたします。 次に、農業問題についてであります。 ロシアによる
ウクライナ侵攻は、空前の世界的な食料危機と貧困、飢餓に発展しております。ウクライナ産の小麦の依存度の高い中東・アフリカ諸国では大きな影響が出ているようであり、日本国内においては円安がさらに追い打ちをかけております。 一方で、ウクライナ問題以前から世界的に穀物価格が高騰しておりました。日本国内では家畜の飼料に大きく影響を与えており、その要因として大きく5つ挙げられております。1つ目は世界的な異常気象、2つ目は脱炭素社会に向け、アメリカや南米で大豆やトウモロコシの多くが
バイオエタノール原料に回されたこと、3つ目は原油価格の高騰、4つ目は世界的な人口増加、5つ目として急激な経済成長が挙げられております。 仮にウクライナ問題が収まったとしても、世界的な食料価格の高騰は収まることはないと思われます。こうしたことからも日本の
食料安全保障を根本的に見直すべきであり、その上で長期的視点に立った農業政策を進めていくべきといった観点から、以下質問をさせていただきます。 繰り返しになりますが、食料問題、農業問題については、ウクライナ問題の影響を除いたとしても、世界的な人口増加や
バイオエタノールの生産のための原料作物への転換、各国の経済情勢などにより、今後も一層不透明な状況にあると考えます。世界情勢を見極めながら、日本の
食料安全保障を考え、長期的な視点に立った農業政策を進めていくべきと考えますが、県の認識をお伺いいたします。 これまで輸入に頼ってきた小麦や大豆、飼料用作物などの生産拡大が予想される状況において、現在ある農地をどのように有効活用していくかが重要になると思われます。我が国の
食料安全保障を守るため、本県農業の役割を明確にし、持続可能な生産体制を構築していくべきと考えますが、県の認識をお伺いいたします。 小麦や大豆、飼料用作物など新たな生産体制を構築していくには、今まで以上に農地の集積・集約化を進めることが必要と思われます。
食料安全保障や担い手の状況を考慮し、本県においても北海道並みの大
規模農業経営体の育成を考えていくことが重要と思いますが、県の認識をお伺いいたします。 また、生産体制だけでなく、管理部門にデジタル技術などを積極的に導入し、経営全体の効率化や強化を図る必要があると思いますが、併せて認識をお伺いいたします。 農業経営については、今後一層の大規模化が進展すると思われます。こうしたことから、今後、管理部門については、中小企業と同様にデジタル技術の活用、財務管理の高度化、人材育成等の経営力の向上のための考え方を取り入れていくべきと考えますが、県の認識をお伺いいたします。 ウクライナ問題は、肥料不足にも深刻な影響を与えております。肥料は農業生産量に比例することから、世界的な人口増加や急激な経済成長が続くことを考えれば、仮にウクライナ問題が収まったとしても、今後も続くものと予想されます。 一方で、世界的な経済成長により、たんぱく質の摂取量が増加し、国連の調査では2050年のたんぱく質の供給量が2005年比の約2倍になると予想されており、2025年から2030年には世界的に、たんぱく質が不足するとも言われております。こうしたことからも、日本におけるたんぱく質の供給源である畜産業の振興に努める必要があります。 新発田で養豚、養鶏業を営んでいる
株式会社ナカショクでは、環境に配慮した畜産業を目指しております。生産農場で使用した水については、全て浸透膜を利用したろ過システムにより純水まで再生する
水環境プロジェクトの取組を行っております。また、様々な理由で行き先のなくなった食品を、フードリサイクルプラントで
オリジナル飼料として活用するフードリサイクルプロジェクトの取組も行っております。 こうした最先端の取組を横展開しながら畜産業の振興を行っていくべきとの観点から、以下質問をさせていただきます。 世界的な人口増加や経済発展などにより、肉類などの需要が高まると言われております。こうした問題に対し、本県の畜産業の振興を今後一層進めていく必要があると考えますが、県の認識をお伺いいたします。 また、畜産業には臭気の問題が伴いますが、これまで県が進めてきた臭気対策を全県的に広め、住民の皆様の理解を得ながら規模拡大を進めていくべきと考えますが、県としてどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 ウクライナ問題並びに世界的な人口増加に合わせた農産物の生産拡大に伴い、国内では化学肥料の原料不足が大きな問題となっております。一方で、県内の畜産業では、家畜のふんを原料にしたペレット状の肥料を海外に輸出している事例もあると承知しておりますが、県内においてもこのようなペレット状の肥料を含め、県内産の有機質肥料を有効活用していくべきと考えますが、県の認識をお伺いいたします。 県内畜産業では、
食品リサイクルの観点から、
県内食品製造業の規格外商品を有効活用している事例もあるとお聞きしております。こうした取組は、畜産業における
飼料費削減対策に有効な取組と考えますが、現状と県の認識をお伺いいたします。 次に、産業政策についてであります。 県内企業の人手不足が深刻であります。胎内市を中心に中小企業を訪問させていただくと様々な経営課題をお聞きしますが、共通しているのが人手不足であり、企業の存続に影響を及ぼすことを危惧される経営者が大変多いのが現状であります。 また、上場企業における人手不足も深刻な状況にあります。これまで求める人材を優位に確保できていた大企業でも人手不足が課題となっており、これまであまり採用してこなかった地域の高校生への
リクルート活動を積極的に行った結果、今まで以上に中小企業における人手不足が深刻になっている状況にあります。 令和3年3月高校卒業者の求人倍率が2.99倍、令和4年3月卒業者に至っては3.27倍と年々上昇しており、数字の上においても、また大企業の採用活動の変化からも、中小企業における人手不足は一層深刻な状況が続くと予想されます。 そこで、
県内高校卒業生のうち就職者の割合は、令和3年度
大学等進学状況調査によると16.9%と極めて少ない状況にありますが、県内企業への就職状況についてお伺いするとともに、こうした状況が続くことが予想される中、長期にわたる県内企業への影響について所見をお伺いいたします。 本県では、進学や就職で新潟県を去ってしまう社会減が深刻な問題となっており、
Uターン施策が極めて重要であります。 全国の多くの自治体が
Uターン施策を積極的に実施する中、沖縄県や群馬県では29歳以下の新規就労者が5年間で約3倍になった事例も報告されております。本県も
Uターン施策に取り組んでいるものと承知しておりますが、行政だけでなく、企業側からの協力も得ながら、新規就労者のUターンを増やしていくべきと考えますが、今後の取組についてお伺いいたします。 厚生労働省の全国調査によると、技能実習生や特定技能1号など、外国人材制度を活用する約7割の事業所で安全管理に関する違反や違法な時間外労働などが確認されたとのことであります。こうした情報が海外にSNS等で拡散されるとともに、急激に進む円安や日本の低賃金が要因となり、今後の外国人材制度に影響が及ぶのではないかと考えますが、県内の状況と今後の影響についてお伺いいたします。 また、労働環境を整えることや生活面についても十分配慮すべきと考えますが、認識と今後の対応についてお伺いいたします。 次に、この後の医療福祉の項目でも触れますが、働く意欲があっても何らかの事情を抱えて働けない方についての質問であります。 元受刑者や依存症患者、児童養護施設の利用者など、働く意欲があっても何らかの事情で働くことができない、困難な方が存在します。こうした方々に積極的な支援を行うことが自立支援や人手不足の解消等につながるものと考えますが、県の認識をお伺いいたします。 先日、東京に拠点を置き、全国で活動する、とある
経営コンサルタントの方にお話をお伺いする機会がありました。
経営コンサルタントの傍ら、事業再生に取り組むために
中小企業再生ファンドも取り扱っており、特に地方の酒蔵の再生に携わっているとのことであります。その方のお話では、地方の酒蔵はおおむね製造技術がある一方で、経営についてはリテラシーが低く、特に財務については大変脆弱な企業が多いとのことであります。 こうしたことが新潟県内の企業にも当てはまるのか、県内における税理士や
中小企業診断士に伺ったところ、
デジタルリテラシーを含め同様の認識とのことであり、こうした課題を解決しながら、デジタル化や生産性の効率を高めながら、働く場として子供たちのやりたいことがかなう環境を整える必要があると考えます。このような観点から、以下質問をさせていただきます。 税理士や
中小企業診断士など県内企業の
コンサルタント業務に関わる方の話では、経営者の中でも特に事業承継をした若手経営者の方に、決算書を読めないなど
経営リテラシーの低さを指摘する声をお聞きしますが、これに対する県の認識と今後の対応についてお伺いいたします。 デジタル化の推進や事業承継など、県内企業では多くの問題を抱えており、県は商工会や商工会議所と連携し、これらの問題に対応していると承知しております。しかし、こうした問題については、税理士や
中小企業診断士、ITの専門家などによる支援が必要と考えますが、県の認識をお伺いいたします。 また、こうした課題に対応できるよう、これら専門家の知識等を高めていくことも必要と考えますが、併せてお伺いいたします。 次に、医療福祉についてであります。 スマホ利用の低年齢化とともに、
GIGAスクール構想によって小中学生に1人1台の情報端末が配付されるなど、子供たちが
インターネットとつながる機会は一段と増しております。学校側では、情報端末の適切な利用方法を教えたり、家庭との協力で情報端末の使用を制限する日を設けるなど、工夫を行っております。 厚生労働省の調査では、ネット依存が疑われる人は成人で約421万人、中高生で93万人いると推定されております。依存症については、ネット依存のほかにもギャンブルやアルコール、薬物などがありますが、根本の原因は孤独と言われております。 このように依存症は孤独の病気と言われており、孤独感、不安や焦りから
インターネットやギャンブル、アルコール、薬物に頼るといったものであり、誰もがかかり得る病気と言われております。 現在、ギャンブルや薬物、
インターネット、アルコールなど症状ごとに対策が取られておりますが、多くの場合、生きづらさや孤立・孤独などの要因が共通していることから、総合的な窓口を設けながら、限られた医療資源を有効的に活用していくべきと考えますが、県の認識をお伺いいたします。 出産後の
ホルモンバランスの崩れや育児に対する不安や環境の変化といったストレスから、極度の悲しみやそれに伴う心理的障害が起きている状態を産後鬱といいます。核家族化の進展から孤立を感じるケースも増加し、こうしたことから依存症のリスクが高いとも言われております。 産後鬱の発症が見つけづらい環境にいる方には、市町村の保健師の役割が重要であり、医療機関等と連携し、情報を共有しながら対策を取ることが重要であると考えます。 また、依存症については、県内では専門医が少ないことから、看護師や歯科医師、薬剤師、ケアワーカーなど多職種が連携しながらその対策を進めるべきと考えます。 こうした市町村の保健師や多職種との連携について、医師不足の本県においては、ほかの診療科でも同様の取組が必要であると考えますが、県の認識をお伺いいたします。 山梨県にある
ギャンブル依存症回復施設グレイス・ロードでは、全国から集まって共同生活を行う
ギャンブル依存症患者に対し、依存症専門の
回復プログラムを提供し、依存症からの回復と社会復帰を支援しております。所在地にある
甲府商工会議所とも連携し、社会復帰を目指す患者と企業をマッチングし、人手不足に悩む企業のニーズにも対応しているとのことであります。こうした施設の本県での必要性について県の認識をお伺いいたします。 依存症や他の精神疾患、さらには自殺の要因として孤立や孤独が挙げられており、この対策が重要と考えます。今後加速する人口減少社会やデジタル化の進展などに伴い、この問題はますます深刻化すると思われますが、県として今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 神奈川県では、全ての子供が同じ場で共に学び、共に育つことを通してお互いを理解し、尊重し合う共生社会の実現を目指す、
インクルーシブ教育を実践しております。本県においては一部の高校で知的障害のある子供が通学しておりますが、本県は
インクルーシブ教育をどのように進めていくのか、お伺いいたします。 次に、健康立県の取組についてであります。 厚生労働省の健康増進の標語では、「1に運動 2に食事 しっかり禁煙 最後にクスリ」と、健康については運動と食事の重要性をうたっております。 日本における栄養政策は、戦後に象徴されるような食糧難による栄養欠乏への対策の時代から、経済成長に伴う生活習慣病への対策の時代を経て、現在、複雑化した栄養課題の対策の時代と、時代とともに役割が変化しております。 日本一の健康寿命を目指す新潟県として、最新の科学的なエビデンスを積極的に取り入れ、そこに本県独自の方法を加えながら健康立県の取組を進めるべきという趣旨から、以下質問をさせていただきます。 お米を食べてダイエットの取組について、昨年9月定例会における一般質問を通して提案をしてきましたが、具体的な進展が見られておりません。こうした中、農林水産省では「ごはん食でダイエット」という
キャッチコピーで健康とお米の消費をうたった取組を推進しておりますが、米主産県であり、県民の
健康寿命延伸に向け健康立県を目指すのであれば、本県もこうした取組を率先すべきであったと考えます。今後は全庁的に総力を挙げて取り組むべきと考えますが、県の認識と今後の方針についてお伺いいたします。 健康立県の実現には、生活習慣病を改善できる新たな考え方や県民の行動変容につなげるための手法が必要と考えます。県は取組を進める上で専門家から意見を求めることが多いのですが、関係機関のトップの意見が多く、県民が既に知っている情報や古い解釈などもあると思われます。この点について、県の認識と今後の対応についてお伺いいたします。 健康経営の取組を進める上で、経営者の理解が大変重要との専門家の指摘があります。企業の経営相談を行う税理士や
社会保険労務士、
中小企業診断士にも健康経営の重要性を認識してもらい、経営者に働きかけるなどのアプローチも重要と考えますが、県の認識をお伺いいたします。 また、国の取組であるホワイト500、ブライト500など、認定制度とも連携しながら効果的に進めることも一つと考えますが、県の認識をお伺いいたします。 健康経営については、
特定保健指導など健診後の
フォローアップ体制が極めて重要と思われますが、行動変容につながらない指導も多く、その効果には懐疑的な意見も多くあります。一方、県民も健康に対し理解はしているものの、行動変容につながらないのが実態と思われます。 そのような中、他県の医療機関が作成した
ユーチューブ動画やスマホアプリを使った
特定保健指導により、行動変容につながった事例もあるとお聞きしており、本県もデジタル技術を活用したソフトを作成し、提供していくことも重要と考えますが、県の認識をお伺いいたします。 骨太の方針2022では、生涯を通じた歯科健診、いわゆる国民皆歯科健診の具体的な検討が盛り込まれました。 本県は子供の虫歯の数が、日本一少ない状況が20年以上続いており、また新潟県
歯科保健推進条例を制定するなど、歯科保健に関しては全国に先駆けて取り組んできました。 こうしたことから、このたびの国の動きについて、県として率先して取り組むことにより、県民の健康寿命の延伸につながるものと思いますが、県の認識と今後の取組についてお伺いいたします。 経済産業省は、
地域版次世代ヘルスケア産業協議会の設置を進め、自治体、医療・介護機関、民間事業者等の連携による
健康寿命延伸につながる
ヘルスケア産業の創出を後押ししています。こうした国の動きがある中で、県がリードしてきた
健康ビジネス協議会は、
健康寿命延伸とは別の動きをしているものと考えますが、今後どのようなビジョンで進めていくべきと考えているのか、お伺いいたします。 また、
健康ビジネス協議会は
地域版次世代ヘルスケア産業協議会とは別に取組を進めていくのか、今後の方針を併せてお伺いいたします。 最後は、県政の諸課題であります。
マイナンバーカードによる各種証明書の
コンビニ交付サービスを導入する場合、ある自治体の試算によれば、システム整備の経費が4,600万円、運営経費は年800万円とお聞きしております。費用対効果が低く、導入に踏み切れない小規模自治体も多いと想定しますが、県内での導入状況についてお伺いいたします。 また、小規模な自治体でも導入しやすいよう、人口規模に応じた制度への改正を国に求めていくべきと考えますが、県の認識をお伺いいたします。
マイナンバーカードの利便性の向上に向け、保険証としての活用が期待できますが、病院側からは手間の割に投資に見合う効果が感じられないなどの理由で普及が進まない現状が報じられております。利用可能機関の拡大は国の役割でありますが、県としても利用上のメリットを広く周知する必要があると考えます。 県内医療機関における
健康保険証利用導入の現状を伺うとともに、普及に向けた今後の県の取組についてお伺いいたします。 沖縄県では、県管理道路における除草事業の発注方式の改定を進めており、発注者側が雑草の高さを40センチ以下にするなど、各道路に応じた達成規定を設け、刈取りの回数や手法、工種などについて受注業者側のノウハウや工夫を生かせる性能規定方式に見直すとのことであります。 本県においても県管理道路の除草に係る地域住民の要望が多いと考えられることから、こうした他県事例も参考にしながら、効率的・効果的な管理方法に見直すべきと考えますが、今後の方針についてお伺いいたします。 高校の家庭科では家計管理に関する授業が行われておりますが、そうした教育を受けていない世代が多く、多重債務に陥ることや親のギャンブルで子供が進学を断念せざるを得ない事例もあるとお聞きしております。また、今年度から同科目において資産形成の視点が加わり、他方、政府では資産所得倍増プランを掲げ、資産形成を支援する取組を行うとのことであります。 このため、社会人向けの家計管理支援について県としても積極的に関わるべきと考えますが、今後の認識についてお伺いいたします。 最後の質問になります。 新型コロナウイルス感染症対策について、介護老人保健施設では、薬剤料のレムデシビルが介護報酬の算定対象外のため、医師による医療行為にもかかわらず施設負担となる矛盾を抱えておりました。オミクロン株以前は、新型コロナウイルス患者は医療機関で治療していたため、このような問題は発生していませんでした。こうした矛盾の是正を国に要望すべきと考えますが、県の認識をお伺いし、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔知事花角英世君登壇〕
◎知事(花角英世君) 冨樫議員の一般質問にお答えします。 まず初めに、高校に通うことができる環境の整備についてでありますが、議員御指摘のとおり、子育て世代の居住地の選択において、地域の教育環境は大きな要因の一つであると認識しています。 また、県立高校の配置については、生徒の就学機会を確保するという観点が重要であり、教育委員会には、交通事情などそれぞれのエリアの状況に配慮しながら、生徒が希望する進路の実現に必要な学校・学科をバランスよく配置してもらいたいと考えています。 次に、地方における
デジタル環境整備と県民の
デジタルリテラシーについてでありますが、5G等の通信インフラの整備は、地理的条件に左右されることなく都市部と同様のサービスを享受できる環境を実現するという観点から、地方にとって重要な課題であると認識しています。 このため県といたしましても、5Gの整備を引き続き国に要望するとともに、通信事業者向けには、ワンストップ窓口により、本県が保有する土地・建物の一覧や照会のあった土地等の詳細情報等の提供を行ってまいります。 また、議員御指摘のとおり、県民の
デジタルリテラシーの向上は、生活や学習、仕事の中でデジタルを活用することや、デジタル社会におけるサービスの享受、新たな付加価値を生み出すためなどに必要であると認識しています。 このため本県では、新潟県版
GIGAスクール構想に基づいて、小学校、中学校、高等学校の各学校段階において、全ての教科等の学習活動を通じて情報活用能力を育成することとしています。 また、大学等高等教育機関や社会教育施設、企業等の多様な主体と連携・協働して、
デジタルリテラシーに関する様々な学習機会の充実や生涯学習の環境づくりを推進してまいりたいと思います。 次に、農業問題についてお答えします。 まず、長期的視点に立った農業政策の推進についてでありますが、世界的な人口増加等に伴う穀物需要の拡大や、地球規模の気候変動の影響等により穀物等の国際価格が上昇している現状を踏まえれば、多くの食料を輸入に依存している我が国においては、安定的な食料確保に対するリスクが一層高まるものと認識しています。 このため、農業県である本県といたしましては、担い手の育成や生産基盤の強化、生産性の向上等を推進し、農業を付加価値の高い持続可能な産業へと成長させていくなど、我が国の食料の安定供給につながる政策を進めてまいりたいと考えています。 次に、
食料安全保障を守るための持続可能な生産体制の構築についてでありますが、今般のウクライナ情勢を踏まえれば、国内の農地を最大限に有効活用しながら、これまで輸入依存度が高かった小麦等の国内生産を拡大していくことが重要と考えています。 このため、農業県である本県は、水田等の農地をフル活用し、国民生活に必要不可欠な食料の安定的な供給を担うなど、日本の食料供給基地としての役割をしっかり果たしていく必要があると考えています。 県といたしましては、担い手への農地の集積・集約や規模拡大、法人化等の構造対策と、新潟米や園芸等、基本戦略に基づく生産対策とを車の両輪として推進しながら、持続可能な生産体制の構築を進め、
食料安全保障の確保に寄与してまいりたいと考えています。 次に、大規模経営体の育成についてでありますが、農家数の減少や高齢化が進行する中、本県農業の維持・発展のためには、平場などの生産条件が整った地域では、生産性の高い大規模経営体を育成していくことは重要であると考えており、県内でも100ヘクタールを超える農業法人が増加傾向にあります。 また、規模拡大に伴い、生産管理のみならず販売管理や労務管理などが増大するため、経営管理部門を含めた経営全体の効率化を図ることも必要であると考えています。 このため、県といたしましては、農地中間管理機構を活用した農地の集積・集約化による規模拡大と併せ、普及指導員が専門家と連携をし、経営の効率化に有効なデジタル技術の導入を進めることで、持続的な経営発展が可能な大規模経営体の育成を図ってまいります。 次に、農業経営の大規模化に対応した経営力の向上についてでありますが、農業経営の大規模化に伴い、取引額や従業員などが増加することから、経営全体を適切にマネジメントしていくためには、財務管理や労務管理、人材育成など、高度な経営管理能力が必要になると考えています。 このため、県といたしましては、農業経営者等を対象とした研修会や外部専門家の派遣などを通じて、農業生産技術だけでなく、経営戦略や組織マネジメントなど、一般企業にも共通する経営スキルを身につけた農業経営者を育成してまいります。 次に、畜産業の振興についてでありますが、今後、世界的に牛肉や豚肉の需要が増大していく中、輸入動向によっては、日本が思うままに輸入できる環境ではなくなりつつあると言われており、本県も含めて国内生産の振興が一層重要になると認識しています。 このため、県といたしましては、地域ぐるみで意欲ある畜産農家を支援する畜産クラスターを県内全域で構築するとともに、臭気問題など地域住民の理解を得ながら、規模拡大や生産性向上の取組を進めることで、収益性の高い畜産農家を育成し、地域と調和した畜産業の持続的な発展を図ってまいります。 なお、臭気対策への県の取組については、農林水産部長からお答えをいたします。 次に、産業政策についてお答えをします。 元受刑者など、働く意欲があっても何らかの事情で働くことが困難な方々に対する支援についてでありますが、元受刑者などが孤立することなく、地域社会の一員として自立していくためには、安定した住まいや就労が確保されるよう、関係機関・団体が連携して積極的に支援していくことが重要です。 このため、こうした方々の就労支援につきましては、福祉関係機関と就労支援機関、ハローワークが連携をして伴走型の支援を行い、本人の希望や適性等に応じた就労あっせんに努めているところであり、県といたしましても、一人でも多くの方が自立した職業生活を送れるよう、引き続き関係機関と連携しながら取り組んでまいります。 次に、医療福祉についてお答えします。 まず、依存症の総合的な窓口と医療資源の有効活用についてでありますが、県では、精神保健福祉センターを依存症の相談拠点機関として位置づけて相談を受けております。センターでは、依存症の状況を丁寧にお聞きした上で、日常生活への助言を行うとともに、必要な支援につなげるよう取り組んでおり、医療が必要な方には専門医療機関を紹介するなどの支援を行っております。 また、専門医療機関については、専門プログラムを有する等の基準を満たす医療機関を依存症の種類ごとに選定しておりますが、限られた医療資源を有効に活用していくため、それぞれの医療機関がより幅広い種類の依存症に総合的に対応していただけるよう、一層の働きかけを行うなど、医療提供体制の充実を図ってまいります。 次に、医師不足の対応としての多職種連携についてでありますが、議員御指摘のとおり、医師不足の本県では、様々な診療科において多職種と連携した取組が重要であると考えています。 県内では、産後鬱など発症が見つけづらい患者に対し、市町村保健師が医療機関と連携して早期に対応するとともに、専門医が少ない依存症の患者には、医療機関の看護師やケースワーカー等と民間支援団体をはじめとした多機関・多職種が連携して対応しています。 また、在宅医療においては、医師の高齢化への対応や参入促進などの観点からも、訪問看護師や介護職員など様々な職種との連携が重要であるため、関係機関のコーディネートや情報交換会の開催などを支援しているところです。 県といたしましては、持続可能な医療提供体制を維持するため、医師確保の取組や医療機関の機能分化・連携と併せ、引き続き様々な分野における多職種間の連携を推進してまいります。 次に、依存症や自殺等に関する取組についてでありますが、依存症をはじめとした精神疾患や自殺の背景には、家庭問題、経済生活問題や健康問題など、様々な問題があるものと認識しておりますが、孤独・孤立対策の中でも重要なものとしては、国の孤独・孤立対策推進会議において、支援を求める声を上げやすい社会とすること、切れ目のない相談支援につなげることなどが挙げられております。 県では、そうした問題を抱えている方がためらわずにSOSを発信することができるよう、精神保健福祉センターや各保健所等の様々な相談窓口を周知するとともに、相談従事者に対する研修を実施し、専門性の向上やネットワーク化を図ることなどにより、関係機関が連携をしながらSOSを受ける体制づくりを進めているところです。 今後も引き続き、支援が必要な方が声を上げやすく、必要な支援につながることができる社会づくりに努めてまいりたいと考えています。 次に、健康立県の取組についてお答えをします。 まず、健康とお米の消費をうたった取組についてでありますが、健康寿命の延伸においては、御飯を含む主食・主菜・副菜をそろえたバランスの取れた食事を取ることは重要であると認識しています。生活習慣病予防の観点において、一人一人に合った食事を取ることが大切であることから、お米につきましても過不足なく食べることなどについて啓発を行っております。 また、食物繊維が豊富に含まれる玄米を使用したからだがよろこぶデリの取組や、庁内関係課が連携をして、JAと協働で健康増進と米の消費拡大をセットにした普及啓発を進めており、今後もより一層取組を推進して、健康立県の実現と米の消費拡大を目指してまいります。 次に、健康経営の推進についてでありますが、議員御指摘のとおり、健康経営の取組を進める上で企業の経営者から理解をいただくことが重要であると考えています。このため、県ではセミナー等様々な機会を捉えた普及啓発や健康づくりの連携協定を結んでいる企業を通じた働きかけ等を行っており、今後、さらに健康経営の取組が県内企業に広がるよう、御指摘のありました税理士等を含め、経営者への働きかけを強化してまいりたいと考えています。 また、議員より御指摘のありました国の健康経営優良法人認定制度のホワイト500、ブライト500につきましては、全国で優良な500企業に選ばれることは企業にとっても社会的な評価につながると考えており、積極的に活用してまいりたいと考えています。 次に、デジタルソフト等を活用した
特定保健指導についてでありますが、県民の健康において、
特定保健指導など健診後にフォローアップを行い、行動変容につなげていくことは重要と考えており、議員御指摘のデジタル技術を活用したソフト等につきましても、今後の
特定保健指導の効果を高める可能性のあるツールの一つとして期待をしております。 県としましても、昨年度、ヘルスケアICT立県実現プロジェクトにおいて、十日町市で生活習慣病の重症化予防に関するデジタル技術の実証事業を行うなど、積極的に取り組んでいるところです。 現在、国において、大規模な実証事業によりデジタルツールの活用を含めた
特定保健指導の方法の効果検証を行っているところであり、県といたしましては、今後、効果が明確になったものについては導入を検討していくなど、県民の健康増進に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 次に、国民皆歯科健診における県の認識と取組についてでありますが、県においては、市町村や県歯科医師会等と連携をし、かかりつけ歯科医の下での定期的な歯科健診の重要性を啓発しており、過去1年間に歯科健診を受診した人の割合は増加傾向にあります。 国が検討を始める国民皆歯科健診については、さらなる受診率の向上につながると考えており、義務づけ等の前向きな議論がされることを期待しています。 県といたしましては、健康寿命の延伸に向け、県歯科医師会等と連携をし、定期的な歯科健診の受診率をさらに向上させるなどの取組を通じて、歯と口の健康状態を一層向上させてまいります。 次に、
健康ビジネス協議会についてでありますが、
健康ビジネス協議会は、議員御指摘の
地域版次世代ヘルスケア産業協議会に先駆けて、健康をキーワードとしたビジネスの創出に取り組んできたものであり、議員御指摘の協議会として位置づけずとも、取組を進めていくことができる状況にあると考えています。 県といたしましては、本県における健康関連産業の一層の振興に向けて、
健康ビジネス協議会と連携しながら、新たなビジネスの創出・育成を後押ししてまいります。 次に、県政の諸課題についてお答えをします。 まず、
マイナンバーカードによる各種証明書の
コンビニ交付サービスについてでありますが、今年6月時点で県内市町村のうち15市町村が導入をし、今年度末までにさらに5市町村が導入することとしております。 その他の10市町村は導入予定がなく、その理由として、費用対効果が見込めない、特別交付税措置終了後の運用コスト負担が大きいといった点が挙げられています。
コンビニ交付サービスは、住民の利便性向上に大きく資するとともに、窓口職員の負担軽減が期待され、さらに
マイナンバーカードの取得促進にもつながることから、県といたしましては、導入を引き続き働きかけてまいります。 また、導入を見送った市町村において行った整備・運営コストの見積額に差が見られることから、実情を把握しつつ、より低廉なコストによる導入・運用や導入に伴う業務の見直し等を助言するとともに、必要に応じて、さらなる支援について国への要望も検討してまいります。 次に、介護老人保健施設における抗コロナウイルス薬の費用負担についてでありますが、議員御指摘のレムデシビルにつきましては、本年1月以降、薬剤算定が可能な医薬品として診療報酬での特例的な算定が可能となったものの、それ以前は施設負担が生じる状況となっていたところです。 今後も感染状況等の変化に応じ、国が示す診療報酬などの制度上の取扱いも変化する中で、入所者については施設内での療養を継続せざるを得ないものと考えられることから、現場の状況を見極めた上で、制度の運用部分に不具合が生じないよう、必要な対応を国に要望してまいります。 〔知事政策局長森永正幸君登壇〕
◎知事政策局長(森永正幸君) お答えいたします。 外国人材の生活面への配慮についてでありますが、県では現在、外国人向けに多言語で対応する生活相談窓口を設置し、生活に関わる様々な相談に応じております。技能実習生等からも労働環境に関する相談をいただいておりますが、窓口では、内容に応じて労働局など適切な関係機関に事案を引き継ぐなど対応しているところでございます。 さらに、今年度、県の国際交流協会などと協力して、在住外国人の抱えているニーズや課題を把握するための調査を実施する予定です。 こうした取組を通じて、引き続き外国人材が暮らしやすい環境の整備に努めてまいります。 〔総務部長小岩徹郎君登壇〕
◎総務部長(小岩徹郎君) 2点お答え申し上げます。
マイナンバーカードを健康保険証として利用できる医療機関の状況と今後の県の取組についてでありますが、国の公表によれば、県内における利用可能な医療機関数は6月26日現在948機関で、全3,745機関に対する導入割合は25.3%と、全国平均の23.6%をやや上回っております。 国はこれまで、医療機関等に対し、顔認証付カードリーダーの無償提供やシステム整備等の補助と併せ、地域単位での説明会などに取り組んでまいりましたが、今般、オンライン資格確認導入の令和5年4月の原則義務化を決定し、集中的な取組を進めているものと承知しております。 県といたしましては、カードの健康保険証利用のメリットについて、医療機関等での周知に取り組んできたところですが、今後、さらにどのような対応が可能か検討してまいります。 次に、社会人の家計管理についてでありますが、政府は、本年末に策定予定の資産所得倍増プランにおいて、資産形成を行いやすい環境整備等を図ることなどを検討することとしております。こうした中、県民一人一人が資産形成について適切な判断をしていくためにも、議員御指摘のとおり、学校教育だけではなく、社会人への金融知識の普及も必要と認識しております。 現在、県は県内の金融機関やマスコミ等と連携しながら、新潟県金融広報委員会において、家計管理や資産運用等を内容とした金融経済講演会や、地域の公民館等で開催される金融経済講習会への講師派遣、さらには、暮らしに役立つ金融経済についての情報提供などを行っております。 今後も関係機関との連携を深め、家計管理の重要性を認識いただくための広報・啓発や、金融経済に関する知識の普及に取り組んでまいります。 〔福祉保健部長松本晴樹君登壇〕
◎福祉保健部長(松本晴樹君) 2点お答え申し上げます。 依存症回復施設についてでありますが、現在、県内にはギャンブル等依存症を含む、各種依存症からの回復支援を行う民間支援団体の運営施設が2か所あり、ギャンブル等依存症の方の回復支援に重要な役割を担っていると認識しております。 県といたしましては、依存症に関わる相談・医療・司法等の関係機関と民間支援団体や当事者グループが有機的に連携するため、協議の場を設けているところであり、このような場を活用することにより、ギャンブル等依存症の方に対して、関係機関が連携した切れ目のない回復支援が行われるよう取り組んでまいりたいと考えております。 次に、健康立県の推進における新たな考え方などについてでありますが、議員御指摘のとおり、新たな知見や行動変容につなげるための手法により取組を進めることは重要と考えております。現在、県が進める健康立県ヘルスプロモーションプロジェクト推進会議においては、科学的見地から御助言いただけるよう専門家に参画をいただく一方で、県民運動を一層推進する観点から、関係機関等の長や幹部に参画いただき、それぞれの団体から取組を浸透させる役割を担っていただいているところです。 例えば、からだがよろこぶデリの基準づくりにおいて、最新のエビデンスに基づいた御助言を専門家からいただいております。また、実際のメニューについて、医学的には以前から常識とされてきた点も含めて、分かりやすくその有用性について解説いただいたところであり、このような情報発信も県民の行動変容につなげる上で有用であると認識しております。 県といたしましては、引き続き新たな知見等を適切に取り入れながら、健康立県の実現に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。 〔産業労働部長金井健一君登壇〕
◎産業労働部長(金井健一君) 5点についてお答えいたします。 高等学校卒業生の就職状況と県内企業への影響についてでありますが、新規高等学校卒業者の就職者数に占める県内就職の割合は9割弱で推移しておりますが、就職希望者数は年々減少しており、新潟労働局の求職動向調査によれば、令和5年3月の就職希望者は2,773人、就職希望率は15.5%と、実数・率ともに前年を下回っております。 今後も、少子化に加え、進学志向の高まりもあり、就職を希望する生徒の増加は見込みづらく、特に中小企業において、人材の確保が一層難しくなるものと考えられます。 企業においては、高等学校卒業生の新規採用に限らず、女性や高齢者、兼業・副業人材なども対象として幅広く人材を確保するとともに、そうした多様な人材が活躍できる職場環境を整備していく必要があるものと考えております。 次に、企業と連携したUターン新規就労者の増加についてでありますが、県ではこれまで、企業情報の発信や、企業参加型イベントの開催による学生との接点づくりに取り組んでまいりました。議員御指摘のとおり、情報の充実や企業の参加促進など、企業とのさらなる連携が重要と考えております。 また、採用競争が激化しており、今後は、企業自身の採用力や働く場としての魅力を向上させていく必要があります。 このため、今年度、首都圏相談窓口の体制を強化し、大学を通じた積極的な働きかけを企業とも連携して行うとともに、採用戦略の見直しや多様な働き方の推進等に取り組む企業に対し、伴走型の支援を行っているところです。 引き続き、学生への訴求力を一層高め、Uターン就職を促進してまいりたいと考えております。 次に、外国人材受入れの現状と今後の影響についてでありますが、本県におきましては、技能実習生として昨年10月末現在で3,778人、特定技能1号の在留資格保有者として本年3月末現在で529人の受入れが行われております。 これらの受入れ事業所の約7割で安全基準や労働時間などの違反が認められたところであり、本県が外国人材の技能取得や活躍の場として選ばれるためには、こうした課題の改善が必要であると認識しております。 そのため、県といたしましては、労働基準監督署をはじめ関係機関と連携しながら、適正な雇用管理や賃金の保障など、事業所における労働環境の改善と、労働関係法令の遵守について、一層の周知徹底に努めてまいります。 次に、事業承継における後継者育成についてでありますが、中小企業においては、経営者自らが経営全般を掌握しなければならないことから、十分な時間をかけて後継者を育成していくことが重要である一方で、様々な事情により、十分な経験がないまま経営を引き継ぐ場合もあるものと認識しております。 そのため、県では、意欲ある経営者が経営能力を高めることができるよう、商工団体や支援機関を通じ、税務や会計などの基本的な知識を習得する機会の提供や、個別の経営課題に応じた専門家等による支援を行っているところです。 今後とも、支援策の周知に努めるとともに、経営環境が大きく変化する中において事業承継が円滑に進むよう、商工団体や支援機関と連携しながら、支援の拡充に努めてまいります。 次に、専門家による支援についてでありますが、議員御指摘のとおり、県内企業が抱えるデジタル化や事業承継などの課題は、専門的かつ多岐にわたることから、各分野の専門家と連携した支援が不可欠と認識しております。 また、技術の進歩や社会経済情勢の変化に対応するため、専門家においても、その専門性を継続的に高めていくことが必要であると考えております。 そのため、県といたしましては、県内企業に対する相談・支援体制を各分野の専門家と連携して整備するとともに、専門家等に対する研修等を定期的に開催しているところです。 引き続き、県内企業が抱える課題に応じ、専門家と連携したきめ細やかな支援を行ってまいります。 〔農林水産部長小幡浩之君登壇〕
◎農林水産部長(小幡浩之君) 3点についてお答えいたします。 畜産業の臭気対策への県の取組についてでありますが、畜産振興のためには、畜産農家が臭気を含めた環境対策を適切に講じ、地域住民の理解を得ながら経営に取り組むことが重要であると考えております。 このため、県ではこれまで、畜産農家の臭気問題に対し、臭気発生要因を科学的に分析するとともに、国や県、民間で開発された技術を基に実現可能な対策を提案し、対策ごとの効果の検証を重ねることで改善を図ってきたところです。 その過程で得られた有効な臭気対策については、研修会等により広く畜産農家に周知し、適切な対策を講ずるよう指導するとともに、地域住民に対して畜産農家の取組を丁寧に説明することで、地域と調和した畜産業の持続的な発展を図ってまいります。 次に、県内産の有機質肥料の活用についてでありますが、国内で使用されている化学肥料は原料の大半を輸入に依存していることから、今後のウクライナ情勢等によっては、肥料原料の需給の一層の逼迫が懸念されます。 これに対し、堆肥や鶏ふんなど地域で調達可能な家畜由来の有機質肥料は、輸入原料価格が不安定な中でも安定的に生産が可能であり、また、ペレット状の肥料は、輸送や散布作業の大幅な効率化が図られるため、利用拡大が期待できるものと考えております。 県といたしましては、6月専決予算で、化学肥料から有機質肥料等への転換に取り組む農業者への支援策を措置したところであり、有機質肥料の有効活用等の推進により、環境と調和した持続可能な農業を展開してまいります。 次に、
食品リサイクル飼料の現状と県の認識についてでありますが、
食品リサイクル飼料は、資源の有効活用や飼料自給率向上等に加え、原料を安価に入手できることから、飼料費の低減につながる有効な取組であると認識しております。 本県では、これまでも食品製造業者から出る米菓くず等を原料としたリサイクル飼料の活用が進められており、令和3年度においては、県内で発生する食品廃棄物の約5万7,000トンのうち約3万トンが飼料として利用されております。 一方、リサイクル可能にもかかわらず廃棄されているものも一定量あることから、県といたしましては、食品製造業者と畜産農家とのマッチングや、飼料化への加工技術及び施設整備等を支援し、
食品リサイクル飼料の利用を推進してまいります。 〔土木部長金子法泰君登壇〕
◎土木部長(金子法泰君) お答えいたします。 県管理道路における道路除草の方針についてでありますが、沖縄県では、性能規定方式の導入に当たって、効率化を図るため、刈り払い機、除草剤、芝刈り機の組合せによる効果的な除草に変更したと伺っております。 本県では、道路除草作業を行う建設業の担い手減少等を背景に、効率的・効果的な道路除草作業を行っていくため、有識者による検討会議を開催し、令和3年3月に道路除草作業における除草剤使用の基本的な考え方を策定いたしました。 この考え方に基づき、自然公園区域などを除き、地域の同意を得た上で、刈り払い機から除草剤散布への転換により除草面積、除草回数の拡大を進めております。 今後とも、他県先進事例や除草に関する新技術を参考とし、道路利用者の安全性向上を図りながら、より一層の効率的・効果的な道路除草について検討してまいります。 〔教育長佐野哲郎君登壇〕
◎教育長(佐野哲郎君) お答えいたします。 本県の
インクルーシブ教育についてでありますが、議員御指摘のとおり、神奈川県では、県立高校14校が
インクルーシブ教育実践推進校の指定を受け、知的障害のある生徒のために特別募集枠を設けて受け入れ、生徒の状況に応じてチーム・ティーチングを取り入れた事業などを行っているというふうに聞いております。 本県の県立高校におきましても、知的障害やその他の障害のある生徒が在籍しており、各校では特別支援教育コーディネーターを中心とした組織的な支援を行うとともに、少人数授業による学習支援や対人スキルを高める学習活動など、個々の生徒に応じた指導の充実に努めているところでございます。 県教育委員会といたしましては、共生社会の実現に向け、多様な生徒たちの相互理解が進むよう、引き続き
インクルーシブ教育を推進してまいります。
○議長(佐藤純君) 冨樫一成君の質問は終わりました。 次に、上杉知之君の発言を許します。上杉知之君。 〔上杉知之君登壇〕(拍手)
◆上杉知之君 未来にいがたの上杉知之です。 初めに、この議会に臨む私の決意を少し述べさせていただきたいと思います。 先日、安倍元首相が銃撃され、御逝去されました。謹んで御冥福をお祈り申し上げます。今回の犯行動機は政治信条ではなかったとされていますが、どんな理由があるにせよ暴力では何も解決しません。民主主義の根幹は対話であります。この対話の場こそが議会であり、私たちはこの民主主義を守るためにも、対話こそ解決の手段であるということを改めて胸に刻んで臨みたいと思います。 また、知事と議会との関係です。知事選の構図を与党と野党の対立構造で見る報道もありましたが、知事はあくまで県民党であり、議院内閣制を取る国政とは違い、県政は二元代表制であり、そこに与党も野党もありません。知事と県議会は対等な立場であり、車の両輪です。これからも県勢発展を第一に是々非々の姿勢で臨んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 それでは、通告に従い、順次質問をいたします。 初めに、その知事選についてお伺いをいたします。 このたびの知事選において、知事は圧倒的な大差で2期目の当選を果たされました。知事のこれまでの県政運営が多くの県民から評価された結果と考えます。 しかしながら、大差であったとはいえ、相手候補の主張に共感した県民が一定数いたことも事実であります。相手候補が争点化した原発再稼働の是非や県立病院の在り方などについては、広く県民に情報が行き届いておらず、疑問や不安を持たれている県民もいらっしゃるということではないでしょうか。2期目の県政運営では、こうした県民の疑問や不安に丁寧に答えていくことも必要と考えます。 選挙期間中の論戦や選挙結果を踏まえ、改めて2期目にかける知事の御決意を伺います。 知事選の期間中、知事は県内各地を隅々まで回られ、多くの県民の声を直接聞いてこられたと思います。それは日々の生活に対する不安であったり、県政に対する期待であったりしたと思いますが、その一つ一つの声が今後の県政運営に生かされなくてはなりません。 知事はこの選挙戦を通じて県民のどのような声を多く聞かれたのか伺うとともに、県内各地を隅々まで回られた中で、県内それぞれの地域が抱える様々な課題についても、現場の声を聞かれたと思いますが、改めてどのように認識されたのか、御所見を伺います。 次に、新潟県の飛躍について伺います。 このたびの知事選において、知事は、長らく潜在的可能性があると言われ続けてきた新潟県は、大きく飛躍できる可能性があり、引き続き、住んでよし、訪れてよしの新潟県を目指すと訴えてこられました。2期目の4年間では、選ばれる新潟県としてのさらなる飛躍に向け、これまで以上の取組が必要であり、本県の潜在的可能性を確実に引き出していくことが求められます。 改めて本県の潜在的可能性について、具体的にはどのような可能性があると考えていらっしゃるのか、知事の御所見を伺います。 また、これからは本県の潜在的な可能性を顕在化し、可能性の議論に終わらせず、確かな形にしていくことが重要と考えます。知事が考える本県の潜在的可能性を生かし、本県が大きく飛躍するために、県として今後どのように取り組んでいくのか、知事の御所見をお伺いします。 本県の飛躍につながる潜在的可能性と一言で言っても、佐渡や粟島、村上から糸魚川まで広大な県土を有する本県では、地域ごとにその潜在的可能性も異なっています。住んでよし、訪れてよしの新潟県を実現するには、まず住んでよし、訪れてよしの佐渡、あるいは住んでよし、訪れてよしの糸魚川などと、それぞれの地域の皆さんがそれぞれの地域のよさを認識することが大切ではないでしょうか。 本県の飛躍を考える上で、全県で横並びを目指すのではなく、地域ごとの課題を解決しつつ、その地域の可能性を伸ばしていくことが県全体としての飛躍につながるのではないかと考えます。 県の総合計画では、目指すべき新潟県の姿が政策分野ごとに整理されていますが、その政策課題について、例えば地域振興局ごとに地域課題や可能性に特化した地域版の総合計画として整理し直し、それぞれの地域が重点的に取り組んでいく、また本庁もそうした地域の取組を俯瞰的に調整しながら、政策の実現に向けて地域ごとに選択と集中を図っていくといったことも必要ではないでしょうか。これまでの地域間格差の是正という視点だけではなく、地域ごとの役割分担による総合力の強化という視点への転換です。 本県の飛躍に向けて、地域ごとの特色を生かしながら政策を推進することが重要ではないかと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 長岡市の磯田市長は、高等専門学校や大学などの研究機関が多く立地し、首都圏とのアクセスがよく、高度な技術を誇る産業が集積する長岡地域の特性を生かし、イノベーション都市長岡を実現していきたいとされています。磯田市長のブログでは、長岡は何か面白いことをやっている、長岡に行けば何か新しいことができると、より多くの多様なイノベーション人材が集まることが期待されると書かれています。 そのほかにも県央地域ではものづくりに特化をする、湯沢町はワーケーションや首都圏からの移住に力を入れるなど、県内各地で地域の特性を生かしたまちづくりが行われています。 かつて会派視察でフラー株式会社の渋谷修太代表取締役からお話を伺った際、地方回帰といってもUターンの受皿は地方の中心都市である、そのほかの市町村は、まちの個性をはっきりと打ち出し、Iターンをターゲットにすべきではないかというお話をお伺いしました。 新潟県全体のイメージが湧かなくても、市町村ごとに特色のあるまちづくりが行われることで、県外に対するアピール力が強化され、人や企業を呼び込むことができるのではないでしょうか。 このような市町村ごとの地域戦略による取組を県全体の飛躍につなげるため、県としても市町村との連携を強化し、U・Iターン促進や企業誘致など、幅広い分野で市町村の取組を側面的に支援していく必要があると思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 本県の飛躍に向けた県と市町村の連携に関し、県都新潟市には本県における人口のダムとして、若年人口の首都圏流出を抑制する役割が期待されると考えています。他県の例で言えば、北海道における札幌市、宮城県さらには東北地方における仙台市などが、人口のダムとして機能しているのではないでしょうか。 平成27年2月定例会において、当時の泉田元知事は人口のダムについて、広域自治体である県としては、新潟県全体に目配りをしながらこの取組を進めていきたいと答弁されていました。 しかしながら、本県の飛躍に向けては、リーディングシティーとしての県都新潟市とこれまで以上に連携を密にし、その魅力を高め、さらなる拠点性向上を図る必要があると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 先日、人口減少問題対策特別委員会で、新潟駅南口にあるIT関連企業の集積拠点施設NINNOを視察させていただきました。起業支援のスタートアップ拠点がゼロを1にする施設であるとしたら、ここは10から100を目指す拠点であるという御説明で、入居者同士の情報交換などの交流から成功の好循環を生み出しているとのことでありました。 さきの長岡市長の言葉を借りれば、NINNOは何か面白いことをやっている、NINNOに行けば何か新しいことができると、より多くの人材が集まることが期待できるということでしょうか。 U・Iターンを考える若者や地方への移転を考えるIT関連企業などの関係者からさらなる注目を集めるためには、NINNOの機能をより一層充実させ、拠点性を最大限に高めるべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 コロナ禍やロシアの
ウクライナ侵攻、そして急激な円安などは、医療、食料、エネルギーなど国民生活に必要な資源の多くを海外に依存してきた日本経済の弱点を浮き彫りにしました。 これまで国や県はコロナ禍や今般の物価高騰に対し、様々な緊急経済対策を実施してきました。喫緊の経済対策として、資金繰り支援や消費喚起を目的とした補助金はもちろん重要ではあります。しかしながら、新型コロナウイルスの感染状況や世界情勢の先行きは極めて不透明であります。対症療法的な支援策には限界があり、長期的には日本全体でコロナ禍や世界情勢の影響を受けにくい産業構造に転換していくことも必要と考えます。 とりわけ本県における産業構造の転換を促す取組の方向性について、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、原発問題についてお伺いをいたします。 このたびの知事選においては、相手候補から原発事故に関する3つの検証の在り方に疑問が呈されました。1期目の4年間で検証作業は終わらすことができたはずだという批判もあったようですが、結論を急ぐなという県議会の議論があったことも事実であります。知事選におけるこうした論戦からも、県政の重要課題である3つの検証については、いまだ多くの県民がその役割を理解していないのではないかと考えられます。 3つの検証委員会及び検証総括委員会による検証結果並びに技術委員会による柏崎刈羽原発の安全対策の確認が、柏崎刈羽原発再稼働の議論にどのようにつながっていくのか、知事の2期目スタートとなるこのタイミングで改めて整理し、県民に分かりやすく示すべきではないかと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 知事は、このたびの知事選においても、3つの検証が終わるまで再稼働の議論はしないとこれまでの考え方を貫いていらっしゃいました。 しかしながら、3つの検証委員会及び検証総括委員会による検証結果並びに技術委員会による柏崎刈羽原発の安全対策の確認などについて、県民への十分な情報提供と県民による議論の成熟に要する時間などを考えると、3つの検証が終わるのを待って議論を始めていては、結論を得るまでに相当な時間がかかると考えます。 今からでも、検証過程で指摘された課題と柏崎刈羽原発の現状など、再稼働の議論に関わってくる論点だけでも、随時県民に示しておくべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 柏崎刈羽原発の再稼働について知事が結論を示し、その結論に対する県民の意思を確認する方法について、知事は当選後の記者会見の中で、「選挙は是非を問う明確な方法であり、知事選挙も当然一つの形」と発言されていました。 しかしながら、知事選は総合的な県政運営に対する評価を問うものであり、単一争点化はなじまないのではないかと考えます。今回の知事選を見ても、再稼働に反対する県民が必ずしも再稼働に反対する候補に投票してはいませんでした。 柏崎市の桜井市長も「そういったことで知事選挙を行っていいのか。それよりも合理的に県民の意思を問う方法があったのではないか。また、今後もあるのではないか」と疑問を呈していらっしゃいます。 県民の意思を問うだけなら、知事の結論に対する是非を問う県民投票が最も合理的であり、そこで知事の結論が非とされた場合、その時点で進退を考えればよいのではないでしょうか。 3つの検証が終わるまで再稼働の議論はしないとしても、県民の意思を確認する方法については早期に議論を始め、具体的な方法について県民に示すべきと考えますが、知事の御所見を伺います。 次に、県政の諸課題についてお伺いします。 ロシアの
ウクライナ侵攻や急激な円安の影響による物価高騰、燃料費・電気料金の高騰が、県民生活や企業活動に大きな打撃となっていますが、県財政への影響も小さくないのではないでしょうか。 家計消費の冷え込みとそれによる企業の業績悪化は、県税収入の減少にもつながります。また、公共事業等における資材価格の高騰も事業費に反映します。また、庁舎をはじめとする県営施設の維持管理における経費の増加も、県全体で見ればそれなりの額に上るのではないでしょうか。 このように県の財政運営上も様々な方面で影響を受けると考えますが、物価や燃料費・電気料金などの高騰が県財政に与える影響とその対策について、知事の御所見をお伺いいたします。 新型コロナウイルスの感染状況は、つい先日までは新規感染者数も落ち着きを見せていたものの、ここに来て急激に再拡大に転じ、一部では第7波に入ったとの指摘も聞かれます。 一方で、統計開始以来最も早い梅雨明けから連日暑い日が続いており、熱中症のリスク回避の観点から、屋外ではマスクを外すよう呼びかけられています。 県民の多くはマスクの着用に慣れており、また人目を気にする風潮もあって、臨機応変にすべきマスクの着脱も難しい状況であります。マスクの着用をはじめとする基本的な感染予防対策については、その時々の感染状況に応じ、県民に分かりやすく伝えることが重要であります。 情報発信の例としては、感染が落ち着いている時期には、県職員が率先して場面に応じてマスクを外す、積極的に第三者認証店など感染対策が取られた飲食店を利用するといった行動を取り、県民に行動様式の変化を広めていくことも必要と考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 政府は7月前半から全国を対象とした観光需要喚起策、全国旅行支援を実施する方針でしたが、新型コロナウイルス感染症の再拡大を受け、延期されることとなりました。食材の仕入価格や電気料金の高騰などに苦しむホテルや旅館業をはじめとする観光業界では、期待から絶望へと息の根を止められる思いであり、県として国の対策に代わる何かしらの対策が必要であります。 一方、コロナ禍で地下のマグマのようにたまっている観光需要を獲得しようと、全国の都道府県が観光誘客にしのぎを削っています。県としてもこれまで様々な取組を行ってきたと承知しておりますが、コロナ禍における本県への観光誘客に当たっては、密を避けた自然体験やマニア限定のツアーなどといった、よりコアなターゲットに向けた誘客戦略など、これまでにない新たな取組が必要と考えます。 本県の観光誘客の取組強化について、知事の御所見をお伺いいたします。 新潟県のアンテナショップ、表参道・新潟館ネスパスが入居するビルの老朽化のため、令和5年12月で閉館するのに伴い、知事はリアルな店舗が必要かどうかを含めてゼロベースで検討してもらいたいとして、有識者による検討会議でアンテナショップの在り方自体が議論をされています。 今後はネットショッピングに移行すべきという意見もあるようですが、実店舗があるということは、ネット販売では獲得できない顧客の開拓や本県の魅力発信に大いに有効であると考えています。 初めからこの県のこれを買おうと思っている人には
インターネットでもよいのでしょうが、たまたままちを歩いていて見つけたアンテナショップに入り、たまたま出会った商品のファンになるということも多くあるはずです。 かつて長岡造形大学の豊口学長が講演の際に、
インターネットの時代だからこそ、これからは売手の顔が見えるインターフェースが重要になると御指摘をされていました。
インターネットでも生産者の横顔や思いなどを紹介することはできますが、店頭で生産者や販売員と直接会話をする魅力にはかなわないと思います。私は、アンテナショップの魅力はそこにあると確信しています。単なる県産品の販売店ではなく、県の情報発信拠点として、これまで以上に活用していくべきです。 これまで表参道・新潟館ネスパスが担ってきた役割と成果を県としてどのように評価しているか伺うとともに、アンテナショップの在り方について知事の御所見をお伺いします。 兵庫県尼崎市において、46万人余りの市民の個人情報が入ったUSBメモリーを、業務を委託していた会社の関係者が紛失する事件が発生しました。幸いにして当該USBメモリーは発見され、個人情報の流出は認められなかったものの、行政による個人情報の流出が問題になっています。 教育委員会や県警本部も含め、県においてもこれまでの間、個人情報の紛失や漏えい等の事案が時折報道されていますが、まとめてみるとかなりの数に及ぶのではないかと思っています。個人情報の紛失、漏えい等は県民の県政に対する信頼を大きく損なうものですが、県における個人情報流出事案の発生状況についてお伺いをします。 現在、県では行政のデジタル化を積極的に進めています。デジタル化により、紙ベースではかさばるデータもUSBメモリーや各種ディスクなど小さな記録媒体に収納できるため、持ち出しによる紛失のリスクも高まるほか、クリック操作を1つ間違えるだけで重要なデータが世界中に拡散してしまうという危険性もはらんでいます。 デジタル化を進める上で個人情報の流出は最も注意すべき点であり、改めて個人情報の流出を防ぐ対策を点検、強化する必要があると思いますが、所見をお伺いします。 また、尼崎市の事案と同様に、県においてもこれまでに委託業者による流出事案が見受けられますが、委託業者に求めるセキュリティー対策と、委託業者が流出させた場合の対応についてお伺いをします。 最後に、子供たちを取り巻く環境についてお伺いします。 2年以上も続くコロナ禍による雇い止めや賃金の下落などに加え、ロシアの
ウクライナ侵攻や急激な円安に伴う物価高騰は、ダブルパンチとなって家計に大きな影響を与えており、特に独り親家庭における子供の貧困は、これまで以上に深刻化しているものと考えられます。 コロナ禍や物価高騰の影響を受ける子供の貧困について、県はその状況の変化をどのように捉えているのか伺うとともに、子ども食堂やフードバンク等の取組と連携しつつ、状況の変化に対応して、その支援を強化する必要があると考えますが、知事の御所見をお伺いします。 本県におけるヤングケアラーの実態を把握するために県が昨年度実施した調査では、公立中学校2年生及び全日制高校2年生等のみが対象でありました。本県におけるヤングケアラーの実態や関係機関の認識などについて一定の状況分析ができ、今後県として取るべき対策の方向性を見極めるきっかけにはなったと理解しています。 そして、次の段階としては、より詳しく実態を把握すると同時に、児童生徒の中から当事者を見つけ出し、適切な支援につなげていくことが必要であり、そのためには県内全ての学校の全ての学年の児童生徒に対する悉皆調査が必要ではないかと考えます。 幸いにして現在は全ての児童生徒にタブレット端末が支給されており、これを有効に活用することで、教職員の負担を増やすことなく、プログラムの設計次第では自動的に当事者を見つけ出し、関係者間で情報を共有することも可能ではないかと考えます。 本県におけるヤングケアラー実態調査の対象や頻度など、今後の調査の在り方について知事の御所見をお伺いします。 今回調査対象になった生徒のヤングケアラーについての認知度は3割前後でした。はたから見れば十分困難を抱えているにもかかわらず、自分では家のお手伝いを一生懸命やっているだけ、家族として当たり前のことをしているだけと考え、自分がヤングケアラーであるという自覚がない場合も多いのではないかと考えます。そうした児童生徒に対しては、それはやり過ぎだよ、もっと周囲の大人を頼っていいのだよというメッセージを伝えていかなくてはなりません。 当事者が、自分はヤングケアラーであるという自覚を促すために、県としてどのように取り組むかお伺いするとともに、ヤングケアラーについて、生徒を含めた社会的認知度の向上にどのように取り組むか、お伺いをいたします。 現在、十日町市と津南町で開催されている大地の芸術祭において、新潟市から訪れた修学旅行中の中学生が作品を損壊させ、十日町市が新潟市に損害賠償を求めるという事件が起きました。幸いにして、作品の作者は、誰でも若いうちはちょっとした失敗をするものと、生徒を擁護してくれました。 作品を損壊させた生徒の動機や経緯は不明ですが、私は生徒だけが責められるのではなく、もしかするとこれまでに芸術鑑賞の機会が少なかったのではないか、その機会を与えてこなかった大人の責任もあるのではないかと思っています。 今回の事件を機に子供たちを芸術鑑賞から遠ざけるのではなく、逆に家庭教育や学校教育の中で生きた芸術に触れる機会をより多く設け、鑑賞の仕方をしっかりと教えていくことが大事ではないかと考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。 スポーツ庁の運動部活動の地域移行に関する検討会議による提言を受け、休日の運動部活動から段階的に地域移行していくことになりました。文化庁の検討会議でも、文化部活動について地域移行を進めていくとのことです。 運動部活動については、少子化の進展による生徒数の減少や教師の負担増を理由として、地域におけるスポーツ機会の確保、生徒の多様なニーズに合った活動機会の充実、地域スポーツの振興を目的とし、休日の運動部活動から段階的に地域移行していくこととされました。 一方で、学校単位で行われる部活動にはそれなりの教育効果もあったと考えられます。スポーツ庁においても、生徒同士や生徒と教師等との好ましい人間関係の構築を図ったり、学習意欲の向上や自己肯定感、責任感、連帯感の涵養に資するなど、生徒の多様な学びの場、そして活躍の場として教育的意義を有しているとしています。 中学校等の学校現場における部活動の教育的意義について、教育長の御所見をお伺いします。 部活動の地域移行は、競技力の向上など、生徒の多様なニーズに合った活動機会の充実という目的も確かに挙げられてはいますが、実際のところ、こうした積極的な理由からではなく、競技経験の少ない教師が指導せざるを得なかったり、休日も含めた運動部活動の指導が求められたりするなど、教師にとって大きな業務負担であり、働き方改革という消極的な理由が議論の根幹にあったのではないかと考えます。 中学校等の部活動の教育的意義を考えれば、特に負担となっている休日の部活動を一斉に行わないことにしたり、そもそも休日出勤の代休を取るため教職員の定数を増やして対応したりといった柔軟な考え方があってもよかったのではないかと考えますが、教育長の御所見をお伺いします。 部活動の地域移行では、専門的な知識や技量を持つ外部指導員による競技力の向上や、児童生徒と地域の接点が生まれるなど、様々な効果も期待されています。特に小さな学校で人数の不足からチーム編成ができない場合など、他校の生徒と合同でチームを編成できることは、小規模校でやりたい競技ができなかった生徒にとっては朗報と言えます。 部活動の地域移行の利点について、教育長の御所見をお伺いします。 一方で、部活動の地域移行には、専門的な知識や技量を持つ外部指導者の確保、指導者や会場の確保に係る保護者の負担増加といった課題も多々あります。平日は同じ学校で活動していても、経済的理由から休日の活動に参加できなくなる生徒がいた場合、いじめの原因となることも懸念をされます。 また、移行期においては、熱意のある教職員が休日も外部指導員として兼業するということも想定され、真に働き方改革となり得るのかといった課題もあるのではないでしょうか。 地域移行に伴う課題について、県教委としてどのように考えているのかお伺いするとともに、山積する課題についてどのように対処していく方針か、教育長の御所見を伺い、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔知事花角英世君登壇〕
◎知事(花角英世君) 上杉議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、2期目にかける決意についてでありますが、これまで取り組んできた4年間の県政運営について、県民の皆様から評価され、信任をいただくとともに、今後の県政運営についての期待もいただいたものと受け止めております。 今後とも、県民の皆様の安全と安心を確保することを第一に、暮らしやすい、活力のある新潟をつくり、新潟に住んでいることを誇りに思い、また多くの国内外の方が新潟に魅力を感じて訪れていただける新潟県を目指し、県民最優先の県政の実現に全力で取り組んでまいります。 次に、県民の声と課題についてでありますが、選挙期間中、県内各地を回る中で、多くの県民の方々から、景気・雇用対策や地域社会の活性化等を望む声を耳にし、人口減少や経済の停滞などにより、地域においては活力を保つことが非常に難しくなっているという課題を改めて認識いたしました。 こうした声を踏まえて、新型コロナウイルスの感染拡大や原油価格・物価高騰、急激な円安などの影響で打撃を受けた県内経済の回復に向けて、引き続き迅速に対応するとともに、新潟県が若者や女性などに魅力のある働く場所として、あるいは起業・創業や農業分野の園芸など新しいことに挑戦できる場所として、そして国内外の観光客など多くの方々が訪れる場所として選ばれるよう、住んでよし、訪れてよしの新潟県の実現に向けて全力で取り組んでまいります。 次に、新潟県の飛躍についてお答えいたします。 まず、新潟県の潜在的可能性についてでありますが、本県は、先人たちから受け継いだ県土に広がる美しい自然や多様な地域資源、ものづくりをはじめとした厚みのある産業基盤・産業技術の集積や恵まれた農林水産資源と豊かな食文化を有するとともに、世界に誇り得る伝統文化・郷土の歴史が多数存在します。 また、日本海側の表玄関としての地理的特性と整備された交通網など、これからの本県の成長・発展に資する様々な基盤や潜在力を有しており、これらを大きく伸ばす可能性はまだ十分にあるものと認識しています。 このような潜在的可能性を引き出すための取組として、例えば、本県の多様な地域資源を生かして、脱炭素や再生可能エネルギーの創出の取組を進めるとともに、産業基盤・産業技術や農林水産資源を生かしながら、起業・創業、園芸など新しいことに挑戦する環境づくりを進め、付加価値の高い産業づくりに取り組んでまいります。 また、食や伝統文化など本県の豊かな観光資源を生かし、磨き上げた新潟ブランドを効果的に発信し、さらなる交流人口の拡大を目指して取り組んでまいります。 加えて、引き続き県内港湾の機能強化や公民連携による新潟空港の路線ネットワークの充実、利用拡大等に取り組むことにより、本県の日本海側におけるさらなる拠点化を進めてまいります。 以上のような取組を着実に進めることにより、本県の成長・発展につなげ、住んでよし、訪れてよしの新潟県の実現を進めてまいります。 次に、地域の特色を生かした政策の推進についてでありますが、議員御指摘のとおり、本県は広大な県土と多様な地理的特性、産業、文化を有しており、それぞれの地域の特性を踏まえた政策を展開することが重要であると考えています。 県の総合計画については、今後の県政運営の総合的・基本的な指針を定めるという性格から、政策分野ごとの取組に重点を置いた記述となっていますが、それぞれの政策の推進に当たっては、より地域に身近な市町村としっかり対話、連携を深め、地域の特性を生かしながら取り組んでまいります。 次に、市町村の取組への支援についてでありますが、議員御指摘のとおり、地域の特性を生かした魅力的なまちづくりが県内各地で展開されており、こうした市町村の取組を県が支援し、連携を強化していくことは県全体の成長・発展にとっても重要であると考えています。 県では、市町村のニーズを踏まえ、地域の特性を生かした地域産業活性化や交流人口拡大などの取組を支援するとともに、市町村や民間事業者と一体となって、地域の持つ強みや財産を生かし、人や企業を呼び込むための取組などを行ってまいりました。 今後も、市町村とより一層連携しながら、各地域の特性を生かした取組を支援し、県全体の活性化につなげてまいりたいと考えています。 次に、新潟市の拠点性向上についてでありますが、県都である新潟市は本県の顔であると同時に玄関口でもあり、新潟市の魅力を高め、拠点性の向上を図ることは他県から見た本県のイメージアップにつながるとともに、本県の拠点性向上にも寄与するものであり、議員御指摘のとおり、若年人口の首都圏流出を抑制する上で大きな役割が期待されるものと考えております。 引き続き、まちづくりの主体である新潟市と連携して、新潟市の魅力向上に取り組み、さらなる拠点性向上を図ってまいりたいと考えております。 次に、IT企業の集積拠点施設NINNOの機能の充実についてでありますが、県では、IT企業の集積と、企業や関係機関との交流や協業の促進に向けて、NINNOをはじめ、民間事業者が行うコワーキングスペースなどの拠点整備を支援してまいりました。 これらの拠点施設では、企業間や市町村、大学等との連携が生まれつつあり、入居企業と大学による共同研究や、市町村が抱える地域課題の解決に向けたビジネスマッチングなど、産学官が連携した取組が進められております。 県といたしましては、引き続き、本県でのイノベーションの創出に向けて、拠点施設を核とした交流や開発等を後押しするとともに、こうした取組を県内外に積極的にアピールすることで、施設の拠点性を一層高めてまいりたいと考えております。 次に、産業構造の転換を促す取組の方向性についてでありますが、経営規模が小さく、経営面で他律的な企業は、国内外での情勢の変化による影響を受けやすく、本県はそうした企業が多いことから、議員御指摘のとおり、外的要因に左右されにくい、足腰の強い産業構造に転換していくことが重要と考えています。 そのため、引き続き、県内企業の競争力の強化と高付加価値化につながる挑戦を後押しし、国内外での高いシェアや独自の技術を有する企業や、企画提案力を持って自ら価格決定ができる企業など、強い経営基盤を持つ企業の創出・育成に取り組んでまいります。 次に、原発問題についてお答えをします。 まず、原発事故に関する3つの検証結果と柏崎刈羽原発の安全対策の確認及び柏崎刈羽原発再稼働の議論の関係についてでありますが、柏崎刈羽原発の再稼働については、3つの検証の結果について、広く県民の皆様と情報共有するとともに、評価をいただき、併せて、現在、技術委員会で行っている柏崎刈羽原発の安全対策の確認結果も踏まえ、リーダーとして責任を持って、結論を県民の皆様にお示しいたします。 いずれにいたしましても、再稼働については、これまでお答えしてきたとおり、3つの検証結果が示された後に議論を始めたいと考えております。 次に、原発に係る情報の発信についてでありますが、県が行っている原発事故に関する3つの検証や、柏崎刈羽原発の安全対策の確認の状況については、県民の皆様と情報共有することが重要であると考えています。 そのため、各委員会は原則公開で行うとともに、資料や議事録はホームページに掲載しています。また、議論の状況については、随時新聞、広報紙等により広報してきているところであります。 また、これまでに取りまとめられた検証報告書については、これまで柏崎市等で2回説明会を開催し、県ホームページにおいて説明内容を動画で閲覧できるようにしております。引き続き、広く県民の皆様に情報提供してまいります。 次に、県民の意思を確認する方法についてでありますが、再稼働に関する議論の中で、その状況も踏まえながら意思を確認する具体的な方法についても決めてまいりたいと思います。 次に、県政の諸課題についてお答えします。 まず、物価や燃料費・電気料金などの高騰が県財政に与える影響とその対策についてでありますが、歳出面については、運営費などの内部的な経費において、本庁舎の電気使用量に基づく平均単価が前年度に比べ25%程度増加するなど、庁舎等における電気料金、ガス料金や公用車における燃料費などの大幅な増加が見込まれるほか、物品の購入においても影響が生じることが見込まれます。 また、公共事業や委託事業等の発注事業についても、物品や建築資材価格の高騰により、発注額の増加が想定されます。 歳入面については、現段階で今後の県税収入への影響を見通すことは困難ですが、価格高騰による企業活動や消費行動の変化により影響が生じることが考えられます。 今後も、効率的な執行や経費の縮減に引き続き努めてまいりますが、国際情勢や企業業績、景気動向などを注視しつつ、必要に応じ、地方財政措置などについて国に求めてまいりたいと考えております。 次に、新型コロナウイルス感染症対策におけるマスクの着用等についてでありますが、厚生労働省からは、マスクの着用は基本的な感染防止対策として重要であることに変わりはないとした上で、屋外は距離がなくても、屋内は距離を取った上で、会話がほとんどない場合はマスクの着用は不要である旨の考え方が示されているところです。 また、飲食店の利用については、感染防止対策と社会経済活動の維持・回復の両立の観点から、人数や時間などの制限の呼びかけを停止したところであり、これらについては、県ホームページや記者会見時など様々な場で県民に周知してきたところです。 現在は、新型コロナウイルス感染者数が増加傾向にありますが、感染の状況に応じて県民の皆様に適切な情報発信を行ってまいりたいと考えております。 次に、本県への観光誘客の取組強化についてでありますが、県では、本県固有の自然・文化・産業などの資源を生かしたコンテンツの磨き上げや情報発信を市町村等と連携して取り組んでいるところであり、議員御指摘のとおり、ターゲットを絞った誘客の取組を強化することは、施策を効果的に推進する上で重要であると考えております。 県といたしましては、美食旅、ガストロノミーやスノーリゾート新潟の発信を強化するとともに、現在開催中の大地の芸術祭や、県央地域等での産業観光、サイクルツーリズムのような本県の特徴的なコンテンツを、それぞれに関心のある層へ届くよう、インフルエンサーやウェブ広告を活用した情報発信等を行い、誘客に取り組んでまいりたいと思います。 次に、アンテナショップの在り方についてでありますが、ネスパスは、これまで、首都圏において県産品や観光、U・Iターンに関する情報を発信する拠点としての役割を担ってまいりましたが、デジタル化の進展や消費行動の変化等に伴い、その役割や情報発信の方法を見直す必要もあります。また、今後は、何よりも選ばれる新潟の実現に向けて、情報発信拠点を通じて本県に訪れる人の動きをつくることが一層重要になると考えています。 その使命を達成するため、首都圏の情報発信拠点の在り方について、現在、外部有識者から御意見をお聞きしているところであり、今後の方針についてはその後検討を進めてまいりたいと思います。 なお、これまでの成果については、産業労働部長からお答えをいたします。 次に、子供たちを取り巻く環境についてお答えします。 まず、新型コロナウイルスの感染拡大や物価高騰による子供の貧困への影響についてでありますが、昨年12月に国が公表した子供の生活状況調査では、収入水準の低い世帯や独り親世帯では、新型コロナウイルス感染拡大の影響により世帯収入が減少し、生活状況がさらに厳しくなっている可能性があるとの分析がなされています。 また、今年3月に県内のフードバンク利用者を対象に実施したアンケートでは、物価高騰により今後の生活に不安を感じるとの声も多く、子供の貧困の深刻化が懸念される状況にあるものと受け止めております。 このため、議員御指摘のとおり、子ども食堂やフードバンク等と連携した支援の強化が重要であることから、県といたしましては、従来の取組に加え、より一層の支援の推進に努めております。 具体的には、つながりの場づくり支援事業や子どもの居場所支援コーディネーターの配置等により、子ども食堂への支援を拡充したほか、食材の取扱量の増大に対応するためにフードバンクへの設備整備補助を行うとともに、6月専決予算で、地域のNPO法人等民間団体に対して活動経費を補助する取組を実施することとしたところです。 引き続き、関係団体等と連携し、支援が必要な方に必要な支援を届けることができるよう、取組の推進に努めてまいります。 次に、ヤングケアラーに関する調査についてでありますが、昨年度、本県が実施した実態調査では、世話をしている家族がいるため、宿題や勉強をする時間が取れない、自分の時間が取れない等の具体的な困り事を抱えた子供たちが、中学2年生で1.15%、高校2年生で0.77%いることが明らかとなりました。 議員御指摘のタブレット端末を活用した個別の調査につきましては、生徒一人一人の生活状況等も含めて把握できるなどの側面もあると考えられることから、関係機関と連携を図りながら、実施方法や頻度等を含めて研究してまいりたいと考えております。 〔知事政策局長森永正幸君登壇〕
◎知事政策局長(森永正幸君) 2点お答えいたします。 行政のデジタル化に伴う個人情報の流出についてでありますが、県においては、これまでも情報流出を防止するため、業務に使用するネットワークを
インターネットと切り離すなどのハード面の対策と、緊急時対応訓練、内部監査、研修、自己点検などのソフト面の対策を行ってまいりました。 しかしながら、メールの誤送信など人的ミスによる情報流出が依然一定数発生していることから、職員のセキュリティー意識や対応能力などをさらに向上させることが必要と考えております。 今後、実際に発生した事案を踏まえ、より実効性のある訓練を重ねるとともに、引き続き有効な対策を検討してまいりたいと考えております。 次に、委託業者に求めるセキュリティー対策と流出させた場合の対応についてでありますが、県におきましては、業者選定に当たり、県情報セキュリティポリシーに基づき、業務内容に応じた情報セキュリティー対策が確保されていることを確認しております。 また、委託契約を結ぶ際には、データの機密保持、複写・複製・持ち出しの禁止及び再委託の制限など、セキュリティーを担保する条項を設けることとしております。 万が一、委託業者が情報を流出させた場合は、事前に県と委託業者が共有している緊急時の対応計画に従い、迅速に原因特定を進めるとともに、早急に事案を公表し、被害を最小限にとどめるほか、速やかに再発防止に向けた措置を講ずるよう委託業者に求めることとしております。 〔総務部長小岩徹郎君登壇〕
◎総務部長(小岩徹郎君) お答え申し上げます。 県における個人情報流出事案の発生状況でありますが、総務部の集計による事案件数といたしましては、令和元年度は37件、令和2年度は48件、令和3年度は59件となっております。 令和2年度においては、電子ファイルのプロパティーに個人情報が記録されたまま県ホームページで公開していた事案等が発生したこと、また、令和3年度においては、地域機関における誤送付事案の影響等により、いずれも前年度と比べて件数が増加しております。 〔福祉保健部長松本晴樹君登壇〕
◎福祉保健部長(松本晴樹君) お答え申し上げます。 ヤングケアラーの認知度向上に向けた取組についてでありますが、議員御指摘のとおり、昨年度、本県が実施した実態調査では、ヤングケアラーの認知度は、中学2年生で30.5%、高校2年生で29.8%にとどまり、必ずしも十分ではないことから、県といたしましては、ヤングケアラーについて子供自身の自覚を促すとともに、周囲の認識を高め、社会的認知度の向上を図ることが重要であると考えております。 このため、県では、ヤングケアラーに関する啓発用チラシの作成・配布をはじめ、県ホームページでの掲載等により幅広い世代への周知を図ってきたところでありますが、今年度は新たに、中高生を対象とした電子版の啓発用リーフレットを作成し、タブレット端末の活用により直接配布するなど、普及啓発に向けた取組を一層推進することとしており、このような取組により、当事者の自覚も高まっていくと考えております。 引き続き、市町村や関係機関等と連携を図り、早期に発見、把握し、適切な支援につながるよう、ヤングケアラーに関する社会的認知度の向上に努めてまいります。 〔産業労働部長金井健一君登壇〕
◎産業労働部長(金井健一君) お答え申し上げます。 ネスパスの成果についてでありますが、入館者数は、令和元年度まで9年連続で100万人を突破するとともに、アンテナショップの販売額も令和元年度まで7年連続で6億円を超えたところです。 また、ネスパス内に設置している展示・交流スペースでは、県内企業、産地組合等が主催する展示会が多数開催され、県産品の普及宣伝や販路開拓の機会に活用されるとともに、移住相談窓口では、本県への移住検討者の仕事と暮らしに関する相談にワンストップで対応するなど、本県の情報発信拠点として一定の成果を収めてきたものと認識しております。 〔教育長佐野哲郎君登壇〕
◎教育長(佐野哲郎君) 5点についてお答えいたします。 まず、児童生徒の生きた芸術に触れる機会についてでありますが、県内には多くの美術館や芸術祭があり、児童生徒が直接美術作品に触れる機会が豊富にあるというふうに考えております。 県教育委員会といたしましては、児童生徒が芸術作品の価値をしっかりと理解できるよう、図画工作や美術の授業での校外学習等において、様々な美術館等を積極的に活用し、作品に接する機会を増やすなど、児童生徒の情操がより一層豊かになるよう働きかけてまいります。 次に、部活動の教育的意義についてでありますが、部活動では、年齢が異なる生徒間の交流の中で、生徒同士や教師と生徒の人間関係の構築を図ったり、生徒自身が活動を通して自己肯定感を高めたりするなどの教育的意義があるほか、参加生徒の状況把握や意欲の向上、問題行動の発生抑制等、学校運営上も意義があるものと認識をしております。 さらに、スポーツの楽しさや喜びを味わい、生涯にわたって豊かなスポーツライフを継続する資質・能力の育成や体力の向上、健康の増進につながるなどの意義も有しているものと考えております。 次に、地域移行に向けた対応についてでありますが、部活動の地域移行は、教職員の多忙化解消という理由だけでなく、少子化による生徒数の減少や、それに伴う運動部活動の縮小により、単独校でチームが組めない、通学する学校に入部したい部がないなど、学校の運動部活動が生徒の多様なニーズに応えられなくなっているという状況を改善するため、検討が進められてきたものと認識をしております。 したがいまして、こうした課題を解決するためには、教職員を増員するよりも、地域における新たなスポーツ環境を整備し、運動部活動を移行することにより、生徒が継続してスポーツに親しむことができる機会を確保していくことが重要であり、このことが結果として教職員の多忙化解消にもつながるものと考えております。 次に、地域移行の利点についてでございますが、地域移行後の活動では、競技力向上を目的とするだけでなく、友達とスポーツを楽しむことも目的とすることができるなど、生徒のニーズに応じた活動を選択できるようになるほか、スケートボードやストリートダンス等、中学校の部活動にはない競技等にも取り組めるなどの利点があると認識しております。 また、異なる世代間で交流を行う活動も可能となり、地域での人間関係が広がるとともに、ふるさとへの愛着を深めるきっかけとなることなども期待できると考えております。 次に、地域移行の課題についてでありますが、運動部活動を地域の活動に移行する際には、受皿となる団体や指導者の確保、保護者の負担の在り方などの課題があると認識しており、それらの課題に対応するため、県教育委員会では今年3月、地域移行に向けた制度設計の手引を作成したところです。 県教育委員会では、昨年度に引き続き、新潟県部活動改革検討委員会を開催し、諸課題の解決に向けた協議を行うとともに、関係部局や関係団体と連携をし、各市町村教育委員会を支援してまいります。 なお、現在国が検討している地域活動の運営経費や低所得者世帯への支援については、その動向を注視し、市町村教育委員会に対し、必要な情報の提供に努めてまいります。
○議長(佐藤純君) 上杉知之君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。 午後0時3分 休憩 ――
――――――☆―――――――― 午後1時 開議
○副議長(小島隆君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、杉井旬君の発言を許します。杉井旬君。 〔杉井旬君登壇〕(拍手)
◆杉井旬君 リベラル新潟の杉井旬です。通告に従って5項目について質問します。 最初に、新潟県の県勢発展に向けた取組について伺います。 地方自治体の経営実績を評価するにはいろいろな方法があります。総合計画などの目標達成度を数値化する方法もあれば、県民の満足度調査などを行う方法もありますが、県勢の発展状況を評価する指標として最も端的に表すものは、人口数と県内総生産であると思います。今後の県政運営に当たっても、この2つの指標を重視して進めていくべきと考えますが、最初に両指標の現状について知事の認識を伺いたいと思います。 バブル景気最後の年である平成2年、新潟県の人口は247万4,000人、県内総生産は8兆608億8,400万円でした。この年の宮城県の人口は224万8,000人、県内総生産は7兆2,860億7,900万円でした。宮城県よりも新潟県のほうが人口は22万6,000人、10.0%多く、県内総生産は7,748億5,000万円、10.6%多かったわけです。 ところが今、人口は新潟県が217万7,000人、宮城県はそれよりも11万3,000人、4.9%多い229万人となっています。令和元年度の県内総生産も、新潟県が9兆1,851億7,900万円だったのに対して、宮城県は9兆8,293億5,400万円で、新潟県より宮城県のほうが6,441億7,500万円、6.6%多くなっています。 この30年余りの間に追い抜かれてしまい、東北から北信越地方にかけて最も人口が多くて力のあるのが新潟県という、言わばチャンピオンの座を奪われてしまったわけです。非常に悔しく、やるせない思いでいますが、嘆いているだけでは何も変わりません。何が原因で追い抜かれたのか、何をどう改善すれば再び抜き返すことができるのかをしっかりと検証、検討し、効果的な対策を実行していかなければなりません。 そこで、伺います。 知事は、記者会見などで度々、人口減少問題は県の最重要課題であり、政策を総動員して対応する旨を述べておられます。しかし、実際には年々、県の人口は減少し、平成26年にはこれまで上回っていた宮城県にも抜かれる結果となってしまいました。この要因をどのように分析しているのかをお伺いします。 宮城県も含め、各県で人口減少対策に向けた取組を行っていますが、当県のこれまでの人口減少対策は結果が出ているとは言い難いと思います。宮城県の取組と比較して、当県のこれまでの人口減少の取組に反省すべき点や改善すべき点もあると思いますが、所見をお伺いします。 令和元年度の新潟県の県内総生産は、先ほど述べたとおり9兆1,852億円でした。伸び悩みの状況が続いているわけですが、県内経済の観点からその要因をどのように分析しているのかをお伺いします。 県内総生産についても、現在、人口と同様に、平成23年まで上回っていた宮城県に抜かれてしまっています。宮城県の県内総生産が新潟県を上回った要因について、どのように分析しているのかをお伺いします。 昨年の9月定例会でも質問したとおり、新潟県には新幹線、高速道路、港湾、空港といったすばらしい交通インフラがありますが、有機的連携ができていないと思います。同じく交通インフラが整っている宮城県については、東北地方を後背地として発展してきていると認識していますが、交通体系の観点から新潟県の交通インフラの連携をさらに高めていくための取組についてお伺いします。 宮城県が山形県や岩手県、秋田県、青森県を後背地として拠点性を高めてきたのに対し、新潟県は交通インフラを活用してうまく後背地をつくることができていないために、単なる終点の地となってしまっており、拠点性をなかなか高められずにいるのではないでしょうか。 仙台空港は、2016年に民営化して以来、航空路線と旅客数は順調に増加し、地元経済にも着実に効果をもたらしているものと思います。新潟空港のさらなる利用者増に向け、仙台空港のように民営化も検討すべきと考えますが、所見をお伺いします。 東日本大震災の際に、新潟港は仙台塩釜港のバックアップ港として機能し、平成23年には過去最高の外貿コンテナ取扱貨物量である約20万TEUを記録しました。しかし、震災の復興とともに仙台塩釜港にコンテナ貨物が戻り、一時は新潟港を上回り、現在も同水準で推移している状況にあります。 今後、新潟港のコンテナ貨物量増加に向けては、両港とも距離が近い福島県や山形県といったエリアへのセールス活動が重要と考えますが、どのように取り組んでいくのかをお伺いします。 次に、産業振興について質問します。 宮城県は、17年前に人口規模が同じ新潟県と同等の県内総生産があってしかるべきと、新潟県をライバルと定めた上で、県内総生産10兆円という明確な目標を掲げて産業振興施策を展開してきたそうです。 一方、新潟県が伸び悩んだことについては、航空産業や環境、医療など根づかない分野にばかり目を向けてしまった、燕三条や長岡などのものづくり分野にもっと力を入れるべきだったのではないかと指摘する学者もいます。これは花角県政のことではなく、それ以前の時代の県の産業振興施策への疑問であり、批判でありますが、今後の方向を考える上で質問いたします。 県内総生産の増加に向け、県内企業の大多数を占める中小企業の活性化が大変重要であると考えます。県として地場産業をどのように支援していくのかをお伺いします。 県は今年度、新潟県工業技術総合研究所に求められる技術開発支援の機能や体制などについて、県内産業界のニーズなどを踏まえながら検討するとのことでありますが、工技総研へのPFI導入や地方独立行政法人化などについても検討することになるのかをお伺いします。 工業技術総合研究所は、プレスの深絞りや高速切削加工など、金属加工分野で国内トップレベルの技術を持つ技術拠点であります。この研究所をオフィスビルや商業施設、高層住宅などが立ち並ぶ、新潟市中央区に置き続けなければならない理由がありますでしょうか。このたびの在り方検討に際し、国内屈指の金属加工を中心とした製造業の集積地である県央地域への移転を検討すべきと考えますが、所見をお伺いします。 地場産業などに対する支援は、専門人材などによる伴走型の支援を恒常的に実施していくことが重要であると思います。そのためには専門人材の確保が不可欠であり、市町村だけでは難しいことから、県としても積極的に支援すべきと考えますが、所見をお伺いします。 地場産業の海外展開に向けては、販路開拓のための人材や情報発信用の現地拠点を確保することが重要であります。市町村単位での対応は難しい面もあることから、さらなる県の支援が必要であると考えますが、所見をお伺いします。 農業水利施設の更新事業が行われると、その受益地域は事業完了の翌年度から8年間、農振農用地区域からの除外ができなくなります。基幹水利施設ストックマネジメント事業など、施設の機能維持のための更新事業も同様で、事業を複数回に分けて行うことにより、広範な受益地域で長期間、開発行為ができなくなり、産業振興の観点から支障となる場合も考えられます。制度を弾力的に運用できるよう国に要望すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。 市町村が行う農振農用地区域からの除外については、都道府県知事に協議し、同意を得る必要があり、手続に長い時間を要するのが実情であります。農地の有効な利活用のためには、市町村の実情を踏まえ、同意の是非を迅速に判断すべきと考えますが、所見をお伺いします。 次に、教育問題について質問します。 県立高校には、普通科、商業科、工業科、農業科、総合学科などのほか理数科があります。理数科は、自然科学と数学に興味・関心を持ち、それに対する能力・適性がある生徒の科学的、数学的能力を一層高めることを目指す、理数数学、理数物理、理数生物など従来の普通科の理系に比べて質・量ともに充実した理数系の学習を行い、観察・実験を重視するとともに、コンピューターを活用して現象の視覚的理解や法則性の認識を深める学習を重視することを狙いとしています。 県教育委員会は、平成7年度に新潟高校と長岡高校、高田高校、翌8年度に新発田高校に理数科を設置しました。また、医学部、歯学部、薬学部への進学を希望している生徒を対象とした理数科メディカルコースを、平成19年度に新潟高校と長岡高校、平成28年度に高田高校、令和元年度に新発田高校に設置しました。 県央地域の高校には、理数科も理数科メディカルコースもありません。県央地域には、ものづくり産業が集積しています。各企業は、理数系の高等教育を受けた人材を求めています。地域には医師も不足しています。ぜひとも県央地域の高校にも理数科を設置してほしい、理数系の学部への進学を目指している県央地域の子供たちが、地元で勉強できるようにしてほしいという強い要望が、県央の産業界はじめ市民の方々から上がっています。 そこで、質問します。 将来の県央地域の医師確保や先端技術者の確保・育成のためには、理系学部に進学する優秀な生徒の育成が重要であります。新潟高校、長岡高校、高田高校、新発田高校に続き、県央地域に所在する三条高校にも理数科の設置が必要であると考えますが、教育長の所見をお伺いします。 次に、学校のIT化、具体的には校務支援システムについて質問します。 校務支援システムとは、一元的に児童生徒の基本情報を管理する学籍管理、日々の出欠を管理する出欠管理、テスト結果などを入力し、通知表や指導要録、調査書などを作成する際の成績管理、日々の児童生徒の様子など気づいた点を記録し、共有するための学習者情報記録、さらには週案や時数、児童生徒の成長と健康状態などを管理する機能などを備えた情報処理システムのことです。 県内の各市町村は、それぞれ異なるシステムを導入しています。この結果、三条市から燕市など、同じ校務支援システムを使っている学校に転勤した場合はよいのですが、三条市から長岡市、あるいは長岡市から上越市や柏崎市に転勤した場合、教職員はシステムの使い方が分からず、ゼロから覚えなければならない状況となっています。 全国の市町村が行政事務に関する情報処理システムを導入する際に、業界育成のためもあったのでしょうか、それぞれがてんでばらばらに各社にシステムの開発と構築を発注した結果、スケールメリットも生まなければ、共有化もできず、デジタル・トランスフォーメーションが求められる時代になって、慌ててガバメントクラウド化を急ぐような状況になってしまいました。それと同じような過ちを各学校がしているように思えてなりません。 確かに小中学校の多くは市町村立で、県が口を出すことではないかもしれませんが、教職員は市町村の枠を超えて異動、転勤するのですから、広域自治体である県が調整に動いてもよかったのではないでしょうか。 そこで、質問します。 学校における教職員の業務もIT化が進んでいますが、現在の校務支援システムは市町村によって仕様が異なることから、教職員は他の市町村の学校に転勤する都度、一から覚え直さなければならないなど、大きな負担となっています。 現状、市町村間で異なる仕様のシステムを使用せざるを得ない状況となっている要因について伺うとともに、今後の教職員の負担軽減に向け、校務支援システムの統一化を進めるべきと考えますが、所見をお伺いします。 校務支援システムの統一化は時間がかかるものと予想しますが、それまでの間にも分かりやすいマニュアルの作成や、異動教職員に対するICT支援員によるサポートといった対応が必要と考えますが、所見をお伺いします。 学校教育法では、特別支援学校について、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校または中等教育学校の要請に応じて、教育上特別の支援を必要とする幼児、児童または生徒の教育に関し必要な助言または援助を行うよう努めるものとすると定めています。 特別支援学校は地域の特別支援教育の拠点となることが期待されていると認識していますが、実際にどのような事例に対して助言や援助を行っているのか、お伺いします。 特別の支援を必要とする児童生徒は、教育だけでなく、医療や福祉の分野のサポートを必要とする場合もあります。市町村立小中学校の児童生徒の場合、市町村の教育委員会が同じ市町村の福祉部門や地域の医療機関と連携して対応します。県立の特別支援学校の場合、地域の市町村の福祉部門や医療機関との連携がスムーズにいかないケースもあると聞いています。 県と市町村の連携を密にするために、県立の特別支援学校に地域の福祉や医療との連携を担う社会福祉士などの専門職員を配置すべきと考えますが、所見をお伺いします。 次に、道路整備について質問します。 街路樹は、地域の景観美化の観点から必要なものである一方で、交差点や道路への乗り入れ付近などにおいて見通しの悪さにつながるものなど、安全な通行に影響を及ぼしかねないものも見受けられます。これらの街路樹に対しどのように対応しているのかをお伺いします。 交通安全上、街路樹よりも道路照明を整備すべき地域や路線もあるのではないかと考えますが、県管理道路においては、どのような方針で街路樹及び道路照明を整備しているのかをお伺いします。 ラジオの道路交通情報では、毎日のように三条市内の国道289号線の渋滞を報じています。令和5年度末には、国道403号三条北バイパスが、三条市の県道塚野目代官島線まで開通します。新潟、福島両県にまたがる国道289号八十里越も、今後5年程度で全線開通する見通しとなっています。この2つの広域幹線道路が開通すると、三条市街地を通る国道289号はさらに渋滞するのではないかとの懸念が地域に広まっています。 交通渋滞を抜本的に解決するには、国道289号や国道403号のバイパスを延伸して外郭環状線を整備するしかありませんが、それには多額の費用と時間がかかります。それらを進める一方で、当面の対応策として、市街地の国道289号の車道を拡幅すべきとの声も強まっています。 この2キロ余りの路線は、幅員が18メートルです。石上大橋取付け部分は片側2車線、計4車線が確保されていますが、それ以外は片側1車線ずつとなっています。 同じ幅員なのに4車線のところと2車線のところがあるのは、街路樹があるかないかの違いです。街路樹がない部分は、車道幅が13.5メートルあるために4車線を確保できていますが、街路樹があるとその分車道が狭くなり、2車線になってしまっています。 緑の少ない都市部では、街路樹はまちに潤いを与える大切なものなのでしょうが、少なくとも三条市街地の国道289号では、ムクドリなどのふん害を招き、落ち葉が排水溝の口を塞ぎ、暴風雨のときには折れた幹や枝が通行の邪魔になるものとなっています。 そこで、質問します。 数年後には新潟、福島県境にまたがる八十里越や国道403号三条北バイパスが開通予定であり、今後、福島方面や新潟市などから三条市街地の国道289号に入る車両の増加が予想されます。現在でも渋滞が常態化している路線がさらなる混雑を招く可能性があり、歩道の街路樹を含めた緑地を削ってでも早急に車道を拡幅すべきと考えますが、所見をお伺いします。 最後に、県央地域の医療再編について質問します。 県央基幹病院の令和5年度中の開院に向けて、燕労災病院の救急医療体制の段階的拡充や、医師、看護師など医療スタッフの確保などに努めていただいていることに心から感謝申し上げます。 県央基幹病院で最新の救急医療や総合診療、外傷再建医療などを提供することによって、キャリアアップを目指す若手医師など医療スタッフを確保する一方、基幹病院と地域密着型となる済生会三条病院、県立吉田病院、加茂病院、さらには民間の富永草野病院や三之町病院も含めた地域全体の医療機関の連携と役割分担によって、地域医療のサービス水準を高め、将来にわたって維持し続けることが県央の医療再編の目的と理解しています。 県立吉田病院の指定管理候補となった医療法人愛広会、県立加茂病院の指定管理候補となった医療法人崇徳会にも、地域全体が一つの病院のように機能することを目指していただきたいと願っています。 ただ、地域住民の理解と協力を得るための地元説明会などが新型コロナウイルス感染症などのために開けない状態が続いてきました。 そこで、伺います。 県央基幹病院については、先日、モデルルームの内覧会を開催するなど、建築については開院に向け順調に進んでいると聞いていますが、病院が求められる役割を果たすには、医療スタッフの確保が何より重要であると考えます。現在の医師、看護師などの確保状況や今後の見通しについてお伺いします。 県央地域の医療再編が目指す、地域が一つの病院として機能する体制を構築していくためには、県央基幹病院と地域密着型病院をはじめとする医療機関が、役割分担、連携していく仕組みを整備する必要があると考えますが、県としてどのような取組を進めているのか、お伺いします。 県立吉田病院、加茂病院については、先頃、医療法人を指定管理者候補に選定し、本定例会に指定管理者の指定についての議案が上程されています。これらの医療法人を指定管理者候補とした理由や評価について伺うとともに、両者にどのようなことを期待しているのかをお伺いいたします。 医療再編を進め、住民が安心して医療を受けられる持続可能な医療提供体制を整備していくためには、何より住民の理解・協力が必要と考えます。住民の理解・協力を進めていくため、県としてどのように取り組んでいくのかをお伺いし、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 〔知事花角英世君登壇〕
◎知事(花角英世君) 杉井議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、人口と県内総生産の現状についてでありますが、令和3年10月1日現在の本県の総人口は217万7,000人であり、平成9年の249万2,000人をピークに、全国を上回るペースで減少しています。 その要因としては、本県においては、高齢化が進展していることに加え、進学や就職を契機とした若年層の首都圏等への社会流出が、出生数の減少にもつながるという連鎖が続いているものと考えています。 人口減少は、本県が長きにわたり苦しんできた極めて深刻な課題であり、危機感を持って重く受け止めております。 また、県内総生産につきましては、令和元年度は9兆1,852億円で前年度比1.8%減となり、5年ぶりの減少となりました。リーマンショック前の2007年度からの経済成長率は0.6%と、国の3.9%よりも低くなっております。 これまで、産業界とも連携しながら、高い付加価値を生み出す企業の創出等に努めてまいりましたが、総体としての県内総生産は、国全体に比べて伸びていない状況にあるものと受け止めております。 次に、産業振興についてお答えいたします。 地場産業に対する支援についてでありますが、地域の経済や雇用を支えている地場産業の活性化は、本県経済の成長に向けて大変重要と考えております。 このため、県といたしましては、新商品開発やデジタル化の推進など、産地企業の高付加価値化が期待できる取組を支援するとともに、販路開拓に向けた取組や、産業を支える人材育成などを支援し、産地の持続的な発展につながるよう取り組んでまいります。 次に、県央地域の医療再編についてお答えをいたします。 まず、県央基幹病院の医師、看護師の確保についてでありますが、県央基幹病院の開院に向けて、燕労災病院において若手医師や麻酔科、救急科、総合診療科の医師を対象にしたオンライン海外留学支援制度を創設し、現在、全国から広く医師を募集しております。 既に臨床研修医2名にオンライン海外留学の内定を出し、今年度から臨床研修に入っているところであり、来年度以降の採用についても、これまで複数の医師から問合せがあり、オンラインでの面談や病院見学の受入れにつながっているなど、一定の成果が出ているところです。 また、看護師につきましては、燕労災病院の看護師採用数が大幅に増加するなど、着実に効果が出てきており、燕労災病院の救急医療体制の段階的拡充のための看護師確保をさらに進めているところです。 引き続き、県央基幹病院の運営主体である新潟県済生会と共に、新病院立ち上げの現場経験や、オンライン海外留学、救急・総合診療科でのキャリア形成など、県央基幹病院の魅力を伝えていくことにより、医師、看護師の確保につなげてまいります。 次に、県央基幹病院と地域密着型病院等との役割分担、連携についてでありますが、議員御指摘のとおり、県央基幹病院の開院を見据え、県央基幹病院と地域密着型病院をはじめとする医療機関との役割分担と連携が重要であります。 このため、今年度から再編統合病院の燕労災病院、三条総合病院を含む県央地域の救急告示病院の病院長による会議を定期的に開催し、各病院が抱える診療体制の現状と課題の共有や対応策の検討を行っているところです。 今後、地域全体が一つの病院のように機能するよう、圏域内の医療機関との具体的な役割分担や連携体制の構築に向けて、病院長会議や県央地域医療構想調整会議を通じて協議を進めてまいります。 次に、吉田病院、加茂病院の指定管理者候補の選定理由等についてでありますが、今回、指定管理者として提案した医療法人愛広会及び医療法人崇徳会は、県内において回復期を中心とする病院のほか、グループ法人を含め多くの介護施設等の運営実績を有しており、各法人が持つ経験、運営ノウハウを生かし、効果的・効率的に病院を運営できるものと評価しております。 また、県央基幹病院開院後の両病院が担う地域包括ケアシステムにおける医療の中心的役割を適切に果たすことで、利用者にとってよりよいサービスが提供されることを期待しております。 今後、両病院が地域の医療ニーズを踏まえながら、求められる役割を適切に果たせるよう、指定管理者と協議を進め、住民が安心して医療を受けられる医療提供体制の構築につなげてまいります。 次に、医療再編における住民の理解と協力についてでありますが、議員御指摘のとおり、医療提供体制の整備に当たっては、地域住民の理解と協力が大変重要であることから、県央基幹病院が提供する医療や、他病院との役割分担の内容など、医療再編後の医療提供体制のほか、原則、紹介制となる受診方法などについても、住民の皆様に丁寧に説明していく必要があると考えています。 このため、新聞やテレビ等を通じた情報発信に加え、ホームページでの周知やオンラインでの説明会を開催してきたところです。 今後も新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、地元医師会や市町村に協力をいただきながら、様々な機会を捉え、分かりやすい説明や情報発信に努めてまいります。 〔知事政策局長森永正幸君登壇〕
◎知事政策局長(森永正幸君) 2点お答えいたします。 本県の人口が宮城県よりも急激に減少している主な要因についてでありますが、自然動態におきましては、過去20年間で、本県の自然減が宮城県を11万人程度上回っておりますが、そのうち約9万人は死亡数が上回ったものであり、以前から人口が多く、また高齢化が進んでいる本県の人口構成によることが主な要因と考えられます。なお、合計特殊出生率の比較では、本県は宮城県を上回って推移しております。 また、社会動態におきましては、東日本大震災以前は、両県ともに年間4,000人から5,000人程度の転出超過と、ほぼ同程度で推移しておりましたが、大震災以降、宮城県の転出超過が大幅に改善しております。 東京圏との転出超過の状況には、本県と宮城県に有意な差が見られないことから、宮城県の改善は、震災の復興需要や被災した近隣各県等からの転入が影響しているものと考えております。 次に、宮城県との比較による人口減少対策の改善についてでありますが、先ほどお答えしたとおり、本県と宮城県では、社会動態において近隣各県等との間での転出入に差が生じているものと考えております。特に宮城県では、15歳から24歳までの年代において、本県より5,000人程度転出超過数が少なく、進学・就職を契機とした若者の県外流出の抑制や、県外からの流入促進が図られているものと考えられます。 このため、宮城県の地方創生総合戦略の評価において、特に達成度が高い雇用や進学に関する取組を参考としながら、本県の社会減対策の検討に活用してまいりたいと考えております。 〔産業労働部長金井健一君登壇〕
◎産業労働部長(金井健一君) 6点についてお答えいたします。 本県の県内総生産についてでありますが、リーマンショックの影響を受けた平成21年度を底に、平成30年度までは回復傾向にありましたが、直近の令和元年度の県内総生産は9兆1,852億円で、前年度比1.8%の減少となりました。 経済活動別に見ると、米中貿易摩擦などを背景とした国内外の生産や設備投資の落ち込みを受けて、汎用・生産用・業務用機械や電子部品・デバイスが減少したことなどにより、製造業が前年度比3.9%減となったほか、工場などの建設工事が減少したことから、建設業が前年度比6.4%減となりました。 また、宿泊・飲食サービス業が暖冬少雪によるスキー客の減少や新型コロナウイルス感染拡大の影響などから、前年度比9.1%減となっており、これらが相まって令和元年度の県内総生産を下押ししたものと考えております。 次に、宮城県の県内総生産が本県を上回った要因についてでありますが、宮城県の県内総生産は、東日本大震災発生後の平成23年度を底として年々増加し、令和元年度は9兆8,294億円となっており、この間の経済成長率は約21%と、本県の7%を大きく上回っています。 業種別に県内総生産を震災前と比較すると、震災からの復興に向けたインフラ整備や、半導体や自動車関連大企業の立地などもあって、建設業が27.1%、製造業が25.4%、卸・小売業が17.7%と大きく伸びております。 また、民間調査によれば、震災後10年間で事業所が4,389件、31.5%増加しており、こうした要因により、県内総生産が大きく押し上げられたものと分析しております。 次に、工業技術総合研究所の在り方検討についてでありますが、他県の公設試験研究機関において、施設整備にPFI方式を採用した事例や、地方独立行政法人化した事例があることは承知しております。 このたびの在り方検討は民営化等を前提とするものではありませんが、こうした事例について幅広く調査し、それぞれのメリット、デメリットを分析していくことも必要と考えております。 今後も、工業技術総合研究所が時代の変化に対応し、求められる役割を効率的・効果的に発揮していくため、様々な観点からあるべき姿をしっかりと検討してまいります。 次に、工業技術総合研究所の県央地域への移転についてでありますが、現在の工業技術総合研究所の体制は、県内5か所に配置された技術支援センターと合わせて、県下全域の多様な企業ニーズに対応する観点から整備されたものと認識しております。 現在進めている同研究所の在り方の検討においては、デジタル化や脱炭素化が加速する中で求められる技術開発支援の機能強化等について、中長期的な観点から考えることとしておりますが、効果的な技術支援体制についても、県内産業界のニーズなど、幅広く情報を収集しながら、併せて検討してまいります。 次に、専門人材による地場産業支援についてでありますが、中小企業が多くを占める地場産業においては、人材などの経営資源が限られていることから、新規市場の開拓や、市場の動向を捉えた製品作りなどを進める上で、専門人材のノウハウを活用することは有効であると考えております。 このため、県では、産地が専門家を招聘し、伴走型で実施する新商品開発や販路開拓などの取組について支援を行っているほか、NICOにおいても、企業が抱える経営課題を解決するため、各種専門家を派遣しているところであります。 引き続き、専門人材の活用など企業ニーズを踏まえながら、産地の持続的な発展に向けて支援してまいります。 次に、地場産業の海外展開に向けた支援体制等についてでありますが、海外の販路開拓に当たっては、議員御指摘のとおり、海外ビジネスに精通した人材や現地における情報発信拠点を確保することも有効であると考えております。 県では、アジアや欧米など世界9か国にNICOを通じて現地コーディネーターを配置するとともに、大手総合商社のOBが個別の企業からの相談に応じるなど、県内企業の海外展開を支援しております。 また、日本貿易振興機構や自治体国際化協会など関係機関の海外事務所や、民間事業者の海外店舗等と連携しながら、県産品の情報発信や販路開拓に努めているところであり、今後とも、市町村の意向を踏まえつつ、こうした資源を有効に活用しながら、地場産業の海外展開を支援してまいります。 〔農林水産部長小幡浩之君登壇〕
◎農林水産部長(小幡浩之君) 2点についてお答えします。 農業振興地域制度についてでありますが、優良農地を維持・確保していくためには、法令による一定の規制は必要と考えております。 一方で、農業と商工業の調和の取れた発展のためには、法令を遵守しつつ、非農用地への転換も含め、企業の事業用地等の確保を図っていくことも重要であると考えております。 こうした中、国では既に、産業振興の観点から、地域の特性を生かして地域経済を牽引する事業等に対し、農業水利施設機能維持のための更新事業の受益地であっても、弾力的に農用地区域からの除外等が可能となる土地利用調整の仕組みを整備しており、県内でも活用地域があります。 県といたしましては、土地利用に関する諸制度との調整など、手続が円滑に進むよう、引き続き、市町村をサポートしてまいりたいと考えております。 次に、農用地区域からの除外手続についてでありますが、除外手続は法令で定められておりますので、一定の日数を要します。 加えて、申請者と市町村の間で法令上の要件整理をしっかり行う必要があるため、その調整に時間を要している案件も多いと認識しており、このうち、農業上の効率的な利用に支障を及ぼさない土地等では、手続を円滑に進めることは重要と考えております。 このため、県では市町村に対し、農業振興地域制度や事務処理に関する研修会を開催するとともに、事前相談の段階で、要件整理等における課題や対応の方向性を明確にした上で実務上の助言を行うなど、引き続き、地域の実情に応じた農用地等の利用調整が円滑に進むよう、市町村をサポートしてまいります。 〔土木部長金子法泰君登壇〕
◎土木部長(金子法泰君) 3点についてお答えいたします。 安全な通行に影響を及ぼしかねない街路樹への対応についてでありますが、県では、道路パトロール等において街路樹の生育状況を的確に把握しており、交差点付近等において、街路樹の繁茂した枝葉により道路案内標識や歩行者等が運転者から見えづらい、また、枝葉が車両に接触するなどの支障が生じないよう、適切な時期に剪定や伐採作業を実施しております。 次に、街路樹及び道路照明の整備方針についてでありますが、街路樹につきましては、道路交通機能の確保を前提にしつつ、沿道の景観形成や、木陰による道路利用者の快適性の確保などを目的に、地域の現状を踏まえ、維持管理面にも考慮しながら、地元との調整が整った箇所について整備しております。 また、道路照明につきましては、交差点、橋梁、横断歩道など、特に夜間における交通の安全と円滑化を図る必要がある箇所について整備しております。 次に、国道289号の市街地における渋滞緩和策についてでありますが、議員御指摘の緑地帯を活用した車道拡幅は、地元の合意形成などの課題もありますが、渋滞緩和に向けた対策の一つとして考えられます。 そのため、渋滞緩和に向けた対策方法や整備区間の選定について、現在、三条市など関係機関と共に検討を進めているところです。 〔交通政策局長佐瀬浩市君登壇〕
◎交通政策局長(佐瀬浩市君) 3点お答えします。 交通インフラの連携に向けた取組についてでありますが、具体的には、新幹線や在来線と高速道路をつなぐバスタ新潟をはじめ、鉄道と港湾をつなぐオン・ドック・レールや新潟空港への新幹線の乗り入れなどが挙げられると考えております。 次に、新潟空港民営化の検討についてでありますが、昨年11月に示された国の資産調査では、空港施設・空港ビル・駐車場の3事業合算収支の赤字や、ビル会社の財務状況についての課題が示されました。 これを受け、昨年12月定例会の建設公安委員会からの、新潟空港へのコンセッションの導入に当たっては、関係者と合意形成を図っていくべきとの御意見を踏まえ、本年2月、新潟空港将来ビジョン検討協議会を設置し、今月5日には第2回を開催したところです。 一方で、委員からのコンセッションを導入すればよくなるというイメージではなく、地元がこの空港をどう使うのかとの議論をすべきや、導入時期は慎重に見極めるべきなどの御意見も受け止め、県といたしましては、導入効果や時期についても、しっかりと検討してまいりたいと考えております。 次に、福島県や山形県へのポートセールスについてでありますが、5年ごとに国が行う全国輸出入コンテナ貨物流動調査を基に、直近の平成30年、平成25年、平成20年の3回分を平均したところ、両県ともに、輸出では新潟港より仙台塩釜港が利用されているものの、輸入では新潟港のほうが多い結果となっております。 こうしたデータ分析に基づき、引き続き、両県の荷主企業や物流業者へのアプローチはもとより、現地の商工会議所の協力も得ながら、新潟港の優位性を訴え、さらなる貨物の獲得に取り組んでまいります。 〔教育長佐野哲郎君登壇〕
◎教育長(佐野哲郎君) 5点についてお答えいたします。 まず、三条高校への理数科設置についてでありますが、県内4校に設置している理数科では、理系科目に特化した教育課程の編成や、最先端科学の体験学習、課題研究などに取り組み、科学技術人材の育成や、医学科への進学者数増加等に寄与してきたものと認識をしております。 一方、三条高校では、令和3年度から文部科学省のワールド・ワイド・ラーニングコンソーシアム構築支援事業の指定を受け、大学や海外の連携校とネットワークを構築し、地域産業、農業・食料など、SDGs達成に向けた課題研究を通して、グローバル人材の育成に取り組んでいるところでございます。 議員御指摘の三条高校への理数科設置については、地元関係者の意見を丁寧にお伺いし、生徒・保護者のニーズも踏まえながら検討を進めてまいります。 次に、校務支援システムの統一化についてでありますが、7月1日現在、18市町村において、4種類の校務支援システムが導入されておりますが、統一されていない要因といたしましては、各市町村が、利便性やコストなど、それぞれ異なる理由で選定したものであるほか、導入時期も異なっていることなどによるものであります。 システムの統一化につきましては、教職員の異動時の負担軽減につながる等のメリットもありますが、一方で、既に各市町村のシステムが稼働しており、統一にはコストや時間がかかるなどの課題があることから、県教育委員会といたしましては、市町村教育委員会の御意見をお聞きするとともに、他県の状況について情報収集を行うなど、今後の統一の必要性について検討してまいりたいと考えております。 次に、校務支援システムの利用に係るサポートについてでありますが、現在、校務支援システムを導入している市町村では、マニュアルの作成、ICT支援員等によるサポートのほか、研修会の開催、業者が作成した動画の配信等の取組も行っております。 県教育委員会といたしましては、各市町村の取組に関する情報の収集と共有に努めるとともに、ICT支援員のさらなる配置拡充について、全国都道府県教育長協議会等を通じて、引き続き国に要望してまいります。 次に、特別支援学校による小中学校等への助言や援助についてでありますが、教育相談や研修会を通して、読み書きに障害があって学習全般に遅れが生じている子供への支援や、対人不安が強く、集団参加が困難になっている子供への対応等、様々な事例に対して助言や援助を行っております。 また、小中学校等の要請に応じて、就学や進路に関する相談や発達検査等も行っているところでございます。 次に、県立特別支援学校への専門職員の配置についてでありますが、県立特別支援学校では、学校で指名している特別支援教育コーディネーターを中心に、市町村の福祉部門や地域の医療機関などとの連携を進めているところですが、コーディネーターの調整力の向上が課題であるというふうに認識しております。 県教育委員会といたしましては、県立特別支援学校と地域の福祉や医療等との連携を強化するため、校長会や研修会の際に、コーディネーターの役割や重要性を改めて周知徹底するとともに、資質・能力の向上を図る研修の充実に努めてまいります。
○副議長(小島隆君) 杉井旬君の質問は終わりました。 次に、青柳正司君の発言を許します。青柳正司君。 〔青柳正司君登壇〕(拍手)
◆青柳正司君 自由民主党の青柳正司であります。通告に従い、順次質問いたしますので、よろしくお願いいたします。 多大な御功績を残されました安倍元総理が凶弾に倒れ、御逝去されましたことに謹んで御冥福をお祈りいたします。 さて、花角知事はさきの知事選において、4年間の実績と併せて、これから目指される本県の将来像実現に向けた取組を県民の皆様に熱意と責任ある姿勢で訴えられたことで、圧倒的勝利を収められました。花角知事には、選挙戦の中で訴えられた様々な施策や取組についてお伺いいたします。 まず、脱炭素社会実現に向けた取組についてであります。 この質問については、私はしつこいくらい重ねておりますが、花角知事が掲げておられる施策の中でも積極的に取組がなされていると理解しておりますことから、幾つかお尋ねいたします。 4月26日に環境省は脱炭素先行地域の第1回目の選考を行い、26件を選定しました。その中に、本県では佐渡市及び県の共同提案が選定されましたが、自立分散・再生可能エネルギーシステム導入に向け、県は佐渡市とどのように連携し、支援していくのか、お伺いいたします。 また、第2回の先行地域の追加募集を実施する予定でいるとのことですが、県内他市町村の応募に向けた支援について知事の所見をお伺いいたします。 公共施設や比較的規模の大きい民間施設等に電力事業者が太陽光パネルなどを無償で設置して、発電された電力を施設入所者に販売するPPA、電力販売契約モデルが注目されています。整備費を含め、維持費などは電力事業者が負担するそうです。 新潟市が一部出資している地域新電力会社が市内の公共施設に太陽光パネルを設置し、再生可能エネルギーの地産地消に取り組んでいます。脱炭素社会実現に向け、官民が連携したよい取組と評価しますが、県においても同様に、県が所有する施設や敷地を貸し出して太陽光発電などを行うPPAの取組が進むことを期待しますが、知事の所見をお伺いいたします。 カーボンニュートラル燃料には、廃食油のほか、生物由来原料を利用した燃料が幾つかあります。トウモロコシの穀粒、またサトウキビを利活用した
バイオエタノールなどが代表的かもしれません。 意外な部類かもしれませんが、藻類によるバイオ燃料もその一つです。特殊な品種改良と培養液で細菌への耐性を高め、成長効率を上げた藻類の量産に向けた培養技術の実証実験が行われるとの報道がありました。藻類は樹木よりCO2の吸収効率が高く、同じ面積で比べると森林の10倍の吸収能力があるとされるそうであります。 そこで、お尋ねいたします。 脱炭素の取組の一つとして、CO2の吸収に優れた藻類に注目が集まっています。CO2を吸収し、増殖した藻類は、バイオ燃料や医療品、食品の原料として活用することが可能で、研究を進めている企業と共同研究をするなど、県としても積極的に取り組んではどうか、知事の所見をお伺いいたします。 インディカーのレースでは、
バイオエタノール85%とガソリン15%を混合したE85燃料が使用されており、ハイオクタン価で高出力が求められる燃料として向いているそうです。インディカーレースで大活躍されている佐藤琢磨レーシングドライバーもそのパワー感に驚きを示されました。 アメリカでは、流通しているガソリンのほぼ全てに
バイオエタノールが10%混合され、E10として販売されていますが、その量は日本で消費されるガソリンのほぼ総量に当たるそうです。 そこで、お尋ねいたします。
バイオエタノールは温室効果ガス排出削減に貢献する有望な燃料でありますが、その原料となるトウモロコシ等の食料自給率は低く、ロシアの
ウクライナ侵攻に伴う
食料安全保障への危機感の高まりから、なお一層食料としての生産量確保は重要な視点となるものの、燃料価格も高騰していることから、将来的に見て、脱炭素社会実現につながる
バイオエタノール生産及び活用の取組を改めて推進すべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 自動車産業では、脱炭素化に向けて電気自動車、EVの開発、普及が進められています。しかし、電気は発電時にCO2を排出する状況にあることから、ガソリンに代わる自動車の代替燃料を電気以外にも研究していくべきと考えます。 水素は、燃焼しても水蒸気しか排出しないクリーン燃料の一つであり、ガソリンエンジンのノウハウを生かすことができる特徴を有しています。一大自動車メーカーのトヨタ自動車は、水素エンジン車の開発を進め、遠くない将来での量産を目指す方針を固めたそうです。 自動車関連企業等は、本県経済にとっても重要な役割を担っているとの認識からお尋ねいたします。 柏崎市に工場を持つ自動車部品製造企業は、水素エンジン分野に参入し、柏崎工場に開発拠点を置くとの報道がありました。柏崎市は企業と連携・支援していくとのことですが、県としても脱炭素社会実現に向けた新分野への進出企業を後押しし、呼び込むことができるよう積極的に取り組むべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、農林水産業施策についてであります。 本県は米どころでありますから、小麦を生産する事業者が少ないことは当然のようでありますが、昭和初期には3,000ヘクタール以上の小麦の作付面積があったそうですが、1997年にゼロになりました。収穫が梅雨と重なり、品質が安定しなかったことや、田植の早期化で作付が減少したことなどが背景にあったそうです。 米作が主力である本県は米政策が重要であることは十分認識しておりますが、消費者が求める農産物の生産が農業所得の向上につながるとの観点からお尋ねいたします。 ロシアによる
ウクライナ侵攻や北米での不作の影響で輸入小麦の価格が高騰している中、県内においては、小麦の生産者と実需者が結びつき、需要に応じた生産が拡大しています。県産小麦は今後も需要が高まると期待されており、本県農業振興につながることから、生産拡大を強力に推進すべきと考えますが、現状と課題についてお伺いいたします。 また、日本が輸入に頼る肥料や飼料価格についても高騰に拍車がかかっており、安定調達への懸念が高まっています。化学肥料原料の輸入低減を目指し、国内で環境に配慮した農業生産が広がり、国産の消費が拡大すれば、
食料安全保障の強化にもつながるとの観点からお尋ねいたします。 農林漁業・食品産業の持続的発展や食料の安定供給の確保に向けた新法、みどりの食料システム法が4月22日に成立しました。その中で有機農業などの環境負荷低減に取り組む生産者や新技術の提供等を行う事業者を認定する制度を創設しますが、国が示す基本方針に沿い、都道府県と市町村が共同で基本計画を作成するとのことですが、県の対応方針についてお伺いいたします。 動物性たんぱく質を使わないプラントベース植物由来の代替食品が増えてきています。見た目や味、香りが本物の原料製品と比べても一見分からないほどに加工技術が進んでいます。様々なアレルギー症への対応のほか、健康志向の消費者にとっても恩恵のある食品として期待されています。 持続可能な社会実現に向けた取組の一つとして、代替食品マーケットに注目が集まっています。大豆で作った植物肉に加えて、米粉のチーズやコンニャクのマグロなど、地球の持続可能性を問われる中、環境負荷の大きい肉を中心に、減少が危惧される水産資源も植物性へ置き換える対象として開発が進んでいます。 本県では、長岡市に代替肉の自社工場を建設する企業があり、期待がかかりますが、企業との県産農林水産物を活用した共同研究や開発支援等により、県内でのノウハウの蓄積や関連企業の誘致等につなげていくべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 持続可能な農業の実現に向けた重要な取組の一つとして、新規就農者の確保があります。 本年度から国の新規就農支援事業の枠組みが変更されることとなりました。認定新規就農者に対する経営開始資金と併せた就農時の機械や施設の導入支援など、充実する部分もあれば、経営開始資金の交付期間が5年から3年に短縮されるなど、支援が弱まる部分もあります。県のこのたびの変更に対する評価についてお伺いするとともに、今後どのように対応していくのか、お伺いいたします。 農業・農村は国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全、良好な景観の形成等の多面的機能を有しており、その利益は広く国民が享受しています。これらの多面的機能については、水路・農道等の保全管理等を行う地域の共同活動により支えられていることから、国の多面的機能支払交付金は、農地維持と資源向上に資する地域の共同活動で具体的に発生する経費を支援する仕組みとなっています。 今後とも多面的機能が適切に維持・発揮されるためには、地域の共同活動が継続的に行われる必要があり、このため、多面的機能支払交付金が現場でより使いやすい内容となるよう見直しを行うとともに、制度が継続されるよう要請すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。 本県稲作の経営基盤を強化するには、水稲以外の作目の導入が必要になっていることは周知のとおりです。水稲の育苗ハウスを活用することにも県は指導を重ねてきました。しかし、可搬式の隔離床栽培では、培地の充填やコンテナの搬入・搬出の労力が農業者にとって大きな負担でした。 水稲育苗ハウスを活用した施設野菜栽培について、新潟県農業総合研究所園芸研究センターは画期的な栽培システム、簡単ラクラク水耕栽培システムを開発しました。このシステムは設置が簡単なため、稲作経営体への施設野菜栽培の導入促進が期待されます。省力化や雇用労働力の平準化、所得向上につながることから、現在推進している園芸振興基本戦略の一つの柱として推進すべきと考えますが、今後の普及に向けた取組方針についてお伺いいたします。 林業振興は農業と同様に森林の多面的機能の維持に寄与していますが、林業従事者の減少に伴い、人力による森林資源量取得に係る調査が限界を迎えつつあり、先端技術を活用した資源量マップ作成に期待が集まっております。森林丸ごとデータ化は林業再興の第一歩になるとの思いから、森林のレーザー測量等についてお尋ねいたします。 森林の伐採や木材の販売の計画を立てるためには、必要な高さ、曲がり具合、材質などの森林情報を正確に把握することが求められますが、地上レーザースキャナーや航空レーザー測量、ドローン測量など、ICT機器を活用することで効率的に正確な森林情報を取得できます。 本県の林業再興に向け、県では市町村と連携し、航空レーザー測量を進める事業などを実施しているところですが、ICT機器を活用した森林情報の取得について、現状や課題をお伺いいたします。 優良な育成樹の品種・系統の作出及び活用は、本県林業再興にとりましても重要との思いからお尋ねいたします。 九州では、従来杉と比べ成長が1.5倍ほど早い次世代杉、いわゆるエリートツリーの苗木が初出荷されました。本県においても、新潟県森林・林業基本戦略の中で、森林資源等の利用拡大に向けて、成長の早い杉苗の導入を位置づけておりますが、雪に強いなどの特性を付与したエリートツリーの導入も必要と考えます。本県の取組状況をお伺いいたします。 国際的な需要逼迫で外国産木材価格が高騰するウッドショックにより、国産木材の価格が高騰している中、本県産木材の活用には様々な事情と課題が見えてきました。高層建築物の防火機能の見直しを含め、国産木材を中心とした建築物の木造化推進が、建築基準法の大胆な改正等により盛り込まれたことから、今後ますます建築物への木材の利用に期待が集まります。そこで、公共建築物への木材利用拡大についてお尋ねいたします。 国産木材の建築利用の裾野が広がってきています。民間の病院や学校などを含めた公共建築物の木造率は、全国で2010年度の8.3%から2020年度には13.9%に上昇しています。本県は全国を上回る18.9%の木造率であるものの、資源を循環利用する脱炭素の地域づくりの取組を加速化させていくために、さらに高めていくことが重要であると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 私はドライブが好きで、よく県北方面へ車を向かわせることが多いのですが、国道113号線を海岸近く北上してまいりますと、胎内付近の松林は数年前とはがらりと変貌し、数十年の経過林の松はほとんど姿を消し、青く若々しい松葉を保った若松が元気よく群をなして育っているさまに、明日の頼もしい防風防砂林の姿を想像してハンドルを握っています。松くい虫に耐性の強い樹品種の植樹・育成がされていることに敬意を表しつつ、海岸線の保安林の管理についてお尋ねいたします。 本県は砂浜の海岸線を多く有しており、防砂、防風のための保安林は県民の生活を守る重要な役割を担っていますが、松くい虫被害や改植直後の砂の埋没などによる枯死が散見されるなど、海岸地域の集落では飛砂や風害による環境悪化が懸念されています。本県の保安林の現状と、松くい虫に耐性のある松の植樹や植栽した苗木の健全な育成に向け、どのような対策を講じていくのか、お伺いいたします。 次に、福祉保健施策についてであります。 本県は、児童にフッ素洗口の推進を強化してきた効果で、児童の虫歯本数が日本一少ないとのすばらしい取組がなされてきました。口腔の健康は、心身の健康に直接影響があります。 6月7日に閣議決定された骨太の方針に、国民皆歯科健診の検討が盛り込まれ、義務化も含め議論がされていくようでありますが、口腔ケアが健康増進や健康寿命の延伸につながり、医療費抑制なども期待されています。義務化となると、歯科医師や歯科衛生士など人材の確保や費用面で課題もあると考えますが、現時点での知事の所見をお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症をはじめ、感染症の流行をいち早く把握することは、予防、対策にとりましても有効であります。とりわけ新型コロナウイルスに感染すると、発症前からウイルスを排出するとのことで、排せつ物などを通じて下水に流入したウイルスを検出・分析する手法についてお尋ねいたします。 下水に含まれる新型コロナウイルスの量を分析し、流行状況を把握する下水疫学の研究が進んでいます。また、研究の過程で検出感度を従来の100倍に引き上げる手法を開発し、今まで以上に正確な分析が可能となり、下水からウイルスが3日以上検出されなければ、9割以上の確率で陽性者がないとのことです。新型コロナウイルス感染症等の流行状況をいち早く把握できる分析手法として、本県においても導入すべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 本県は胃がんの罹患率が高く、罹患率を高める原因は様々で、それぞれに注視が必要です。早期の発見により、胃がんによる死亡率は減少してきましたが、まだまだ安心できる状況ではありません。 胃がんの原因が、胃に感染するピロリ菌であることが判明し、ピロリ菌の除菌に幅広く健康保険が適用されるようになってから今年で9年がたちます。除菌で胃がんリスクが減り、併せて行う内視鏡検査で早期発見ができますが、除菌は一時年間180万件に達しましたが、2016年以降、除菌件数が減ってきています。 本県の除菌と胃がん死亡者数の現状をお伺いするとともに、今後の啓発も含めた県の対応方針について知事の所見をお伺いいたします。 人口減少問題の対策の一つとして、子育て環境の整備は重要です。国はこども家庭庁の創設を進めていますが、詳細については各省庁間の調整等に課題があるようです。子育ては、地域、学校、家庭で愛情と熱意を持って対応することが重要です。 授業の終了後に児童厚生施設等の施設を利用し、適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図るため、市町村は国の放課後児童健全育成事業を活用し、放課後児童クラブを運営等しているところですが、設置や運営など形態が異なるため、NPO等民間への支援は手薄感を感じます。設置運営者間での取組に違いが生じないように、県独自に追加支援を図るべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 子ども食堂に注目が集まっています。家庭で食事を満足に取れない子供たちが安心して過ごせる居場所を含めた環境整備は重要です。 子ども食堂への企業からの食材提供を促進するため、冷蔵設備などを持つフードバンク活動団体を認定する制度を構築するなど、子ども食堂と企業をつなぐ取組を進めている県があるとのことです。 本県においても、子ども食堂と食材提供に積極的な企業とのマッチングを進めるなど、子ども食堂への支援を充実させることが重要と考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 加えて、2020年度の児童虐待相談対応件数は全国で約20万件を超え、過去最多を更新する中、本県は前年を下回ったものの、全体では増加傾向にあり、子供や保護者に対するケアの拡充が急務となっています。 児童相談所における児童福祉司について、国は2022年度までに人口3万人に対し1人を配置するよう基準を見直したところですが、本県は現時点で配置基準を満たしており、増加抑制に一定程度の効果を発揮したものと受け止めております。 子供たちの心身ともに健全な環境整備には、保護者の育児相談に応えたりする児童福祉司の人材確保が県政においても重要な取組の一つと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 最後に、県政の諸課題についてお伺いします。 女性の社会進出は、数十年前から比較して様々な分野に広がっています。建設業や運送業等は男性の仕事分野との印象でした。近年は女性の活躍が目立ってきましたが、まだまだ少数であります。従来からのイメージを払拭するには時間がかかりそうです。 工学部の学びは、社会のあらゆる場面に関わっています。機械の制御や食品工学、アプリケーションソフト開発など、女子が能力を発揮して活躍できる分野は多くあります。生産年齢人口の減少もあり、工学系の労働市場で女子が活躍できるチャンスが広がっているにもかかわらず、生徒の進路選択を支援する高校教員がその認識を持っていないことが問題であり、教員の意識改革が重要な課題と考えます。高校における女子の理系教育の充実に向けた対応について、教育長の所見をお伺いいたします。 教育旅行についてお尋ねいたします。 子供たちは、コロナ禍で厳しい学校生活を送ってきました。 新型コロナウイルス感染症の影響で修学旅行の旅行先が県内にシフトする中、三条市では金属加工や工作機械など、ものづくり企業の視察受入れが増えているとの報道がありました。 修学旅行に県内企業の視察を取り入れる取組は、児童生徒にとっては県内企業を知ることができ、将来の就職につながる可能性が広がる一方、受入れ企業にとっても自社の魅力や強みの再確認や磨き上げなどにつながる効果が見込まれることから、今後も同様の取組を継続するとともに、視察先の企業を県内全域に広げるべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 本県は県名が表すように潟、池沼の存在が多く、動植物環境に恵まれてきたと思います。まさに水の都、水郷集落として特有の歴史、文化が育まれてきたと思います。水辺への親近感や癒やしの効果は観光にも生かせるのでは、との思いからお尋ねいたします。 信濃川、阿賀野川をはじめ河川による多くの潟湖が本県の形成や農業はもとより、産業に大きく影響を与えてきました。本県の観光資源として潟湖を生かす取組は、特徴ある観光施策として重要と考えます。また、潟湖等には古来から伝説的な話がある場合があると思いますが、それら物語性を含め、水辺や水面からの景観を生かした観光振興を進めてはどうか、知事の所見をお伺いいたします。 先頃の愛知県の取水施設での大規模な漏水事故や、大きな被害を生んだ山梨県笹子トンネル事故は、他山の石ではありません。 公共インフラの老朽化が加速しています。国の調べによると、全国において工業用にも使われる頭首工等の点的な基幹的農業水利施設の約55%は2020年時点で標準耐用年数を超えているとともに、2033年には道路橋の約63%、トンネルの約42%、水門など河川管理施設の約62%が建設後50年以上経過するとのことであります。 公共インフラは日常生活の維持に加え、防災、減災につながる重要な役割を担うことから、遅滞なく老朽化対策を進め、適切な維持管理を図っていく必要があると考えますが、本県の老朽化の状況と今後の対応に対する知事の所見をお伺いいたします。 空き家対策、空き家の活用についてお尋ねいたします。 県外からの移住・定住を促進する上で、住居の確保は重要な要素の一つであり、移住者に対する住居の確保に向けた支援を強化すべきと考えます。県では、今年度から市町村が行う空き家を活用した移住・定住対策に対し、一部を補助する事業を行うとのことですが、その取組状況についてお伺いいたします。 また、空き家の劣化・破損状況なども移住希望者にとって重要な情報であり、建築士が劣化や破損状況などの建物の健全度を調査し、物件情報を紹介するサイトに掲載するなど、積極的な情報提供に努めるべきと考えますが、今後の取組についてお伺いいたします。 気象防災アドバイザーの積極的な活用についてお尋ねいたします。 近年、激甚化・頻発化する災害に対応できるよう、地域の気象現象をよく知り、防災の知識を持ち、自治体の防災対応を支援できる人材として、国土交通省より委嘱された気象防災アドバイザーの活用は、自治体の防災力底上げに効果が高いと考えます。現在、三条市と阿賀野市で活用されていますが、県及び県内市町村におけるアドバイザー活用促進に向けてどのように取り組んでいくのか、知事の所見をお伺いいたします。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔知事花角英世君登壇〕
◎知事(花角英世君) 青柳議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、脱炭素先行地域に関する佐渡市や他市町村への支援等についてでありますが、国の第1回公募において、佐渡市及び県の共同提案が選定されたところです。この提案は、3月に策定いたしました自然エネルギーの島構想を踏まえたものであり、県では、佐渡市や関係事業者との協議の場に参画をし、県有施設への再生可能エネルギーの設備導入等を通じまして、島内のエネルギー管理システム構築など、構想の実現につなげてまいりたいと考えております。 県では引き続き、今後の募集に向けて、全市町村が参加する研究会で情報共有を図りつつ、意欲ある市町村に対して申請に向けた具体的な計画策定を支援するなど、県内から多くの脱炭素先行地域が選ばれるよう取り組んでまいります。 次に、県有施設等を活用したPPAの取組についてでありますが、議員御指摘のとおり、事業者との連携等によって再生可能エネルギーの地産地消を図ることは、脱炭素社会構築に向けた重要な取組の一つと考えています。 本県では、新潟県2050年カーボンゼロの実現に向けた戦略において、県有施設への太陽光発電設備の設置を進める方針としたところであり、現在、対象施設の洗い出しや、実施方法等の調査を進めております。引き続き、民間事業者を通じたPPAの活用も含め、どのような手法が効果的か、検討してまいります。 次に、藻類を活用した脱炭素の取組についてでありますが、議員御指摘のとおり、藻類はCO2の吸収に優れ、化学品やバイオ燃料などへの活用が期待できることから、カーボンリサイクル技術の一つとして、国の研究機関や民間企業において研究が進められておりますが、一方で、実用化に向けては、生産効率の向上やコスト低減等の課題もあると承知しております。 県といたしましては、これまでも脱炭素技術の開発を促進するため、研究費用に対する補助制度などにより取組を後押ししてまいりましたが、引き続き、県内企業による新たな脱炭素素材や燃料の研究開発を支援してまいります。 次に、
バイオエタノールの生産と活用についてでありますが、トウモロコシ等を原料とした
バイオエタノールは、温室効果ガスの排出削減に貢献する燃料として、海外では一定程度普及しています。 一方、国内では、これまで行われた米等を原料とした
バイオエタノールの生産実証において、いずれも安価な原料の調達や製造コストの高さ等が課題となり、ほとんどの事業が廃止されたと承知しております。 現下の国際情勢に伴う
食料安全保障への危機感の高まり等を踏まえますと、我が国においては、食料や飼料としての穀物の安定供給が最も重要であり、穀物を原料とする
バイオエタノールの生産を推進することは、現時点では困難な状況ではないかと考えています。 しかしながら、将来的には、
バイオエタノールの生産と活用は脱炭素社会への転換に寄与することから、近年、穀物ではなく、廃パルプや廃菌床などを原料とした
バイオエタノールの製造や研究開発が進められており、これらの動きを注視してまいりたいと考えております。 次に、脱炭素社会実現に向けた新分野進出企業への支援等についてでありますが、県では、県内企業の脱炭素分野への参入促進に向けて、風力発電や水素関連産業に関する研究会を組織し、最新の開発動向の紹介や大手企業とのマッチングを実施するとともに、新たな研究開発や企業立地に対する補助制度等により、支援に努めてまいりました。 引き続き、脱炭素社会の実現に向けた新たな投資やイノベーションを促進するため、企業ニーズを踏まえつつ、積極的に支援してまいります。 次に、農林水産業施策についてお答えいたします。 まず、みどりの食料システム法への対応方針についてでありますが、本法律の中で県の役割は、国が示す基本方針に基づき、市町村と共同で基本計画を策定するとともに、環境負荷の低減に取り組む農業者等の計画を認定することとなっております。 国の基本方針は本年9月に公表される予定となっており、県といたしましては、この方針に即して、今年度内に県内全ての市町村と共同で基本計画を策定し、認定制度を円滑に運営できるよう、市町村等への丁寧な説明と合意形成に取り組んでまいります。 また、本法律の施行を一つの契機として、堆肥等による土作り、減化学肥料・減農薬の生産方式の導入、温室効果ガスの排出抑制・吸収強化など、環境と調和の取れた食料システムの確立を図る取組を一層推進してまいります。 次に、代替食品に関するノウハウの蓄積や関連企業の誘致についてでありますが、議員御指摘のとおり、代替食品に対する市場ニーズが広がりを見せる中、本県の基幹産業である食品産業が、県内の試験研究機関等との共同研究や商品開発などを通じて、新たな分野の加工技術を蓄積していくことは重要であると認識しています。 これまで、食品研究センターやNICOが県内企業等と連携しながら、商品開発に必要な支援に取り組んでいるほか、議員御指摘の企業を含め、本県に進出した企業と大学や試験研究機関との連携促進に向けた取組も行ってまいりました。 今後も、市場ニーズを的確に捉えつつ、これらの取組を通じて、県産農林水産物の需要拡大や高付加価値化を図るとともに、関連企業の誘致にもつなげてまいりたいと考えております。 次に、国の新規就農支援事業についてでありますが、このたびの制度の見直しは、経営開始時の集中的な支援により、早期の経営確立を促す効果が期待されますが、一方で、農地の確保や経営ノウハウの習得など、就農に向けた準備をこれまで以上に確実に、また短期間で行う必要があるといった課題があると受け止めています。 このため、県といたしましては、それぞれの新規就農者が目指す農業を着実に実現できるよう、本事業の活用に加え、市町村やJA、地域の農業者等と連携をし、受入れ体制整備を進めるとともに、普及指導員が、就農計画の策定から就農後の経営確立まで、個々の経営発展段階に応じて伴走型で支援することにより、早期の経営確立を後押ししてまいります。 次に、公共建築物における木造率の向上についてでありますが、民間の病院や学校などを含めた公共建築物において木造化を推進し、県産材の利用拡大を図ることは、地域の森林資源の循環利用や、森林の公益的機能の発揮だけでなく、二酸化炭素の吸収や炭素の長期間貯蔵など、脱炭素にも貢献するものと考えております。 県といたしましては、引き続き、県産木材の供給及び利用の推進に関する条例や県産材利用の基本方針に基づき、県が率先して公共建築物に県産材を利用するとともに、民間建築物においても、関係部局が連携して、木材利用が期待される企業・団体への働きかけを強化してまいります。 さらに、県産材利用が脱炭素に貢献することを分かりやすくPRし、行政や企業・団体等の連携・協力の下、脱炭素社会の実現を進めてまいります。 次に、福祉保健施策についてお答えをいたします。 まず、国民皆歯科健診についてでありますが、歯や口の健康を増進させることは、健康寿命の延伸につながることが期待できることから、国において、生涯を通じた歯科健診、いわゆる国民皆歯科健診の導入に向けた検討が行われることについて、前向きに受け止めているところです。 今後、具体的な検討が行われる中で、議員御指摘の人材面や費用面などについても詳細が決まっていくと承知しておりますが、国の動向を注視し、県においても市町村や県歯科医師会等と連携をし、必要に応じて国に要望を行うことなども含め、しっかりと対応してまいります。 次に、新型コロナウイルスの流行状況の把握についてでありますが、感染状況を適切に把握していくことは重要であり、本県においては、感染拡大初期から診療・検査医療機関や広域型外来・検査センター等の検査・受診体制の拡充を図ってきたことにより、県内の感染状況を適切に把握し、まん延防止等重点措置の適用など早期の対策を講じることができたと考えているところです。 議員御指摘の下水疫学的手法については、感染状況を把握する一手段として国及び研究機関等で研究や実証実験が進められていると承知しておりますが、現時点で一般的に普及しておらず、感染症対策への活用方法も未確立であるほか、検査結果判明に数日を要し、早期探知につながりにくい等の課題もあるとされております。 県といたしましては、こうした国等の動きを注視しながら、実証実験等の科学的なデータから利点が明らかになった段階で導入について検討したいと考えております。 次に、ピロリ菌の除菌に係る県の対応方針についてでありますが、国においては、ピロリ菌の検査及び除菌により、胃がんにかかるリスクの減少効果については研究結果が集積されつつある一方で、死亡率の減少効果の研究結果は十分ではないため、引き続き検証を行っていく必要があるとされております。 県といたしましては、国による検証状況を踏まえ、胃がん予防としての有用性につきまして、科学的根拠に基づき、見極めてまいりたいと考えております。 なお、本県における除菌と胃がん死亡者数の現状は、福祉保健部長からお答えをいたします。 次に、放課後児童クラブへの支援についてでありますが、子供たちが安心して生活できる居場所を確保し、子供たちの健全な育成を図るため、放課後児童クラブの充実は重要であると認識しております。 このため、県では、実施主体である市町村に対し、国の制度に基づき、施設整備や運営に係る費用を支援しているほか、放課後児童クラブに従事するために必要な認定資格を取得するための研修を行うなど、放課後児童クラブの支援を行っているところです。 また、各クラブに対しては、市町村が地域の実情に応じて運営費用の補助等を行っていることから、県による独自の支援につきましては、各市町村の状況を見極めながら必要性を研究してまいりたいと考えております。 地域全体で子供たちの健やかな成長を支えるためには、放課後児童クラブをはじめとした児童の適切な居場所の確保は重要であると考えており、引き続き、子供を産み育てやすい環境づくりの充実強化に努め、子育てに優しい社会を目指してまいります。 次に、子ども食堂への支援についてでありますが、子ども食堂への食材提供を促進するためには、議員御指摘のとおり、子ども食堂と企業をつなぐ取組を進め、支援の充実を図ることが重要であると考えております。 このため県では、企業から食材提供等の申出をいただいた場合は、子ども食堂への食材提供について調整を行っているほか、民間企業等と連携をし、子ども食堂が継続的に県民や企業から支援を受けられる仕組みづくりに取り組んでいるところです。また、今年度は新たに、議員御提案のような子ども食堂と企業とのマッチング支援の実施に向け、検討を行うこととしています。 今後も、子ども食堂が地域におけるボランティア活動としての自主性、自立性を尊重しながら、関係機関との連携を深めることにより充実した活動がなされるよう、県として積極的に支援してまいりたいと考えております。 次に、児童相談所における児童福祉司の人材確保についてでありますが、議員御指摘のとおり、子供や保護者への相談対応をはじめ、きめ細やかな支援、指導等を行う児童福祉司の果たす役割は、非常に重要であると考えております。 このため県では、児童虐待相談に適切に対応するため、児童福祉司等の専門職員の増員を計画的に進めるなど、児童相談所の体制強化を図ってまいりました。 児童福祉司の配置については、4月1日時点で国の基準である、人口要件及び児童虐待相談対応件数の増加分による上乗せ要件等を満たしたところでありますが、今後も、相談対応件数の増加に応じて適切な人員配置を行い、児童福祉司の人材確保に努めてまいります。 次に、県政の諸課題についてお答えいたします。 まず、修学旅行での県内企業視察についてでありますが、議員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の影響により、旅行先を県外から県内に変更した学校が、特に中学校で増加しております。ものづくり企業を視察する学校も多く、児童生徒の企業への理解促進につながっているものと考えており、受入れ企業においても、自社の魅力向上のほか、将来の成長発展や人材確保の契機にもなり得るものと期待しております。 そのため、学校のニーズも踏まえながら、教育委員会と連携をし、県内企業に視察受入れを働きかけてまいります。 また、教育委員会においては、県内企業から得られる学びを生かした教育活動について、これまで以上に幅広く取り組んでほしいと考えております。 次に、潟湖を活用した観光振興についてでありますが、本県には、鳥屋野潟や福島潟などに代表される潟湖があり、それぞれに豊かな自然環境を育み、地域の暮らしと結びついており、地域の憩いの場として利用されるとともに、観光交流の面からもマルシェや自然観察のイベントなどに活用されているものと認識しております。 県といたしましては、市町村や観光協会と連携をし、議員御指摘の水辺や水面からの景観等を生かした情報発信や、潟湖を観光資源として活用する地域の取組への支援に努めてまいります。 次に、公共インフラの老朽化対策についてでありますが、本県においても、高度経済成長期に整備された公共インフラの老朽化が進行しており、将来にわたって県民が安全・安心に施設を利用できるよう、老朽化対策を進めていくことが必要と認識しております。 国の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策において、老朽化対策も対象とされたことから、こうした国の有利な財源を最大限活用する中で、施設の健全度及び重要度等から優先度を定め、公共インフラの老朽化対策を着実に推進してまいります。 なお、本県の公共インフラの老朽化の状況につきましては、農地部長と土木部長からお答えをいたします。 次に、気象防災アドバイザーの活用についてでありますが、議員御指摘のとおり、地域の気象や防災に精通した人材の活用は防災力の向上に有効であると認識しております。 一方で、現段階では、県内のアドバイザー数が少ないなどの課題もあることから、制度の主体である国では、さらなる人材の充実・確保に努めていくものと聞いております。 その上で、新潟地方気象台と意見交換や情報共有を行いながら、市町村がそれぞれのニーズに応じた活用を検討できるよう、連携して制度の周知を図ってまいります。 なお、県といたしましては、平素から、気象台との間で顔の見える協力体制を築いており、最新の気象情報に熟達した人材を有する気象台の知見やアドバイスを防災対策や災害対応に活用しているところであります。 〔福祉保健部長松本晴樹君登壇〕
◎福祉保健部長(松本晴樹君) お答え申し上げます。 本県におけるピロリ菌除菌等の現状についてでありますが、レセプト情報を用いて、ピロリ菌の除菌に使う内服薬の使用量を調べたところ、新型コロナウイルス感染症流行前の過去5年間で、ほぼ横ばいとなっております。 また、本県の胃がん死亡者数については、令和2年に約1,000人の方が亡くなっており、死亡者数は減少傾向にあるものの、死亡率は全国と比べて高い状況にあります。 〔農林水産部長小幡浩之君登壇〕
◎農林水産部長(小幡浩之君) 5点についてお答えします。 県産小麦の生産拡大についてでありますが、本県の小麦生産は、収穫時期が梅雨と重なり、品質が低下しやすいなどの理由から、作付が一度途絶えておりましたが、近年は新たなわせ品種の導入や、製粉会社等実需者と結びついた取組などにより徐々に拡大し、令和4年産の作付面積は前年より約40ヘクタール多く、100ヘクタールを超えたところです。 一方、重粘土質で排水不良の圃場が多いことや、播種や農薬散布に専用の機械が必要となるなどの課題があることから、作付拡大が図られてはいるものの、需要に応えられる生産量には至っていない状況となっております。 現在の国際的な穀物情勢を踏まえますと、県産小麦の需要は一層高まるものと想定されることから、県といたしましては、大規模経営体を中心に、機械導入などを支援するとともに、排水対策等の着実な実践による収量・品質の安定化を図るなど、生産拡大を積極的に推進してまいります。 次に、水稲育苗ハウスを活用した施設野菜栽培についてでありますが、議員御指摘の園芸研究センターで開発された技術は、ミニトマト、リーフレタス等を対象に、肥料を含む養液を直接根に与える栽培システムであり、水稲育苗箱や市販の資材を活用でき、設置や撤去も簡易で省力的なことから、水稲育苗と園芸生産を組み合わせたハウスの長期利用につながるものと考えております。 園芸振興基本戦略では、作期の拡大や周年雇用の場の確保に向けて、水稲育苗ハウスの有効利用を推進することとしており、県といたしましては、本システムの導入マニュアルの提供や研修会の開催などにより、水稲育苗ハウスでの施設野菜栽培の普及を進め、稲作経営体の所得向上につなげてまいりたいと考えております。 次に、ICT機器を活用した森林情報の取得の現状と課題についてでありますが、これまでの人力による森林調査と比較して、ICTの活用は、効率的に高い精度で森林情報を取得することができ、広域的かつ詳細な森林整備の計画策定や、多様な木材需要に応じた迅速な供給が可能となるものと認識しております。 県内でのICTの活用は、令和2年度から、県と一部の市町村が連携して航空レーザー測量を開始したほか、林業事業体による地上レーザーやドローンによる測量が行われるなど、普及の初期段階にあり、今後、こうした取組を全県に普及させていくには、ICTを活用するメリットについて理解を深める必要があります。 県といたしましては、ICTやその取得した情報の活用研修会を開催するとともに、機器の貸出しによる利用機会の創出を行うことで、ICTの活用を普及してまいります。 次に、本県のエリートツリー導入の取組状況についてでありますが、森林資源の循環利用を進めていくためには、主伐後、着実に森林として再生させていくことが重要なことから、雪国である本県では、成長が早く、強度に優れるなどの特性に加え、雪に強い特性も持つエリートツリーを導入していくことが必要であると考えております。 県では、令和元年度から、これらの特性を持ったエリートツリーの親木の育成を計画的に進めており、今後、令和7年度から苗木生産者に種子の供給を開始し、令和9年度には生産者による苗木の出荷を見込んでおります。 引き続き、森林・林業基本戦略で目指す循環型林業を、関係者と一体となって確立していくため、本県の環境に適したエリートツリーの導入を積極的に進めてまいります。 次に、本県の海岸保安林の現状と対策についてでありますが、本県の海岸保安林は、集落に近接し、飛砂や風害から地域住民の生活を守る大切な役割を果たしており、松くい虫の予防や駆除、森林整備を継続的に実施することで、その機能は維持されていると認識しておりますが、海岸特有の厳しい環境の中で、年によっては、ごく一部で松くい虫被害や苗木が枯損する状況も見られます。 保安林全体の機能を維持していくためには、被害が一部であっても速やかに対策を講じることが重要であると考えており、植栽に必要な松くい虫に抵抗性のあるクロマツ苗木の安定確保に取り組むとともに、植栽した松が健全に生育できるよう、防風柵の設置や成長に応じた下草刈りなどを適切に実施してまいります。 〔農地部長登り俊也君登壇〕
◎農地部長(登り俊也君) 2点についてお答え申し上げます。 多面的機能支払交付金の継続等についてでありますが、本交付金は、地域が共同で行う水路の泥上げや草刈りなどの活動を支援することにより、多面的機能の維持・発揮に大きな役割を果たしており、活動に取り組む組織の方々からも高い評価を得ておるところでございます。 しかしながら、一部の組織において、地域をまとめる代表者や役員の後継者不足などにより、取組の継続が懸念されております。 また、本交付金につきましては、原則として5年間の活動計画に基づき取組が行われておりますが、多くの組織で令和5年度に計画の最終年度を迎えます。 県といたしましては、国に対して、令和6年度以降も組織による取組が引き続き行われるよう、現場でより使いやすい内容への制度の見直しと支援の継続を要望してまいりたいと考えております。 次に、農地部所管の公共インフラの老朽化状況についてでありますが、本県の点的な基幹的農業水利施設は、2020年現在で68%が標準耐用年数を超過しており、例えば、用排水機場では84%、水門等では77%、頭首工では29%となっております。 これらの施設につきましては、施設ごとに、健全度及び重要度等から定めた優先度に基づき、今後40年間における補修・更新等の対策とその実施時期を定めた機能保全計画を2020年度までに策定したところでございます。 この計画を踏まえつつ、継続的に状態監視を行い、劣化状況の把握に努め、必要に応じて対策時期の見直しを行い、適時適切な補修や更新等を実施してまいります。 〔土木部長金子法泰君登壇〕
◎土木部長(金子法泰君) 2点についてお答えいたします。 土木部所管の公共インフラの老朽化の状況についてでありますが、建設後50年以上経過する施設の状況を2021年と20年後の2041年で比べると、道路橋が約43%から約74%、トンネルが約27%から約66%、ポンプや水門などの河川管理施設が約23%から約53%、ダムが約10%から約70%にそれぞれ大幅に上昇する見込みとなっております。 土木部では、本年3月に社会資本維持管理計画を改定したところであり、今後とも、施設の健全度及び重要度等から優先度を定め、計画的な補修更新に取り組み、公共インフラの老朽化対策を着実に推進してまいります。 次に、移住者に対する住居の確保に向けた支援についてでありますが、県外からの移住者等による空き家の取得・改修を支援する市町村に対し、県が当該費用の一部を補助する事業を今年度から開始することとしております。 現在、より活用が見込める事業となるよう、市町村と連携して制度設計を進めているところであり、早期に事業を実施してまいりたいと考えております。 また、物件情報の紹介については、市町村が運営する空き家バンクなどがありますが、健全度が掲載されているものは少ないため、建築士による建物状況調査について、空き家所有者などに活用の周知を行うなど、市町村と連携して、移住希望者に役立つ情報発信に取り組んでまいります。 〔教育長佐野哲郎君登壇〕
◎教育長(佐野哲郎君) お答えいたします。 高等学校における女子生徒の理系教育についてでありますが、理数科等を設置している高等学校において、理系の生徒に占める女子の割合は4割を超えております。また、令和3年度末に本県の高校卒業後、大学に進学した生徒のうち、女子の割合は46%を占めておりますが、工学分野への進学者における女子の割合は13%と低い傾向にあります。 今後は、大学が行っている工学部のPR活動などを生徒・教職員へ周知し、生徒の理工系分野への興味・関心を高めるとともに、理数トップセミナー等を通して理系教育を充実させ、生徒の学びの充実と進路希望の実現を図ってまいります。
○副議長(小島隆君) 青柳正司君の質問は終わりました。 15分間休憩いたします。 午後2時58分 休憩 ――
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○議長(佐藤純君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、樋口秀敏君の発言を許します。樋口秀敏君。 〔樋口秀敏君登壇〕(拍手)
◆樋口秀敏君 未来にいがたの樋口秀敏です。 初めに、私ごとですが、4月に孫が小学校に入学いたしました。毎日プリントの宿題を持ち帰るのですが、私も時々見てあげています。子供に勉強を教えるのは十数年ぶりということもあり、理解してもらうのに大変時間がかかり、苦労をしています。子供に限らず、人に伝えるということは難しいものだなということを痛感している今日この頃であります。 話が変わって、県議会の議論でありますが、昨日の知事の答弁を聞いておりまして感じたのですが、質問の中には前向きに答えようとしていないのではないかと感じられることがありました。私の理解不足もあるのかもしれませんが、伝えようとする気持ち、誠意が私には感じられないものがありました。一生懸命質問させていただきますので、ぜひとも分かりやすく伝わる答弁をお願いしたいと思います。 それでは、通告に従いまして順次質問をいたします。 初めに、地域医療の確保について伺います。 総務省は、2007年に公立病院改革ガイドライン、2015年に新公立病院改革ガイドラインを策定し、経営の効率化や再編・ネットワーク化、経営形態の見直しを進めてきました。その結果、総務省の公表で公立病院の数は2002年の1,007から2020年の853まで154病院、15.3%減り、病床数も3万6,039床、15.0%減少いたしました。 それでも再編統合が不十分だとして、厚生労働省は2019年9月に再編統合の議論が必要だとする公立・公的病院424病院、後に436病院の実名を公表いたしました。 こうした中、新型コロナウイルスの感染が拡大し、東京都や大阪府をはじめとして各地で病床の逼迫が起こり、厚生労働省は2020年12月に再編統合の報告期限の再検討をせざるを得なくなりました。各都道府県が感染第5波前の昨年6月に確保した新型コロナウイルス病床の32%は公立病院だったことが背景にあると言えます。 そして、昨年12月に厚生労働省は、地域医療構想の推進の取組は、病床の削減や統廃合ありきではなく、各都道府県が地域の実情を踏まえ、主体的に取組を進めるものと表明し、今年3月の通知において、地域医療構想に係る各医療機関の対応方針の策定や検証・見直しを求めるとしました。 総務省が3月に策定した、持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドラインでは、公立病院にもその対応が求められているとしました。メディアも、総務省方針転換、公立病院統廃合撤回などと報じたところです。 コロナ禍を受けて、公立病院再編の在り方の見直しに言及したものと受け止めますが、経営強化ガイドラインを受け、本県の地域医療構想をどのように進めていく考えか、知事の所見をお伺いいたします。 魚沼基幹病院には4月から3人の循環器内科医が常勤で配置され、循環器内科の救急患者受入れが再開されたことは、魚沼地域の住民にとって朗報です。しかし、南魚沼市民病院にも4月から2人の循環器内科医が常勤で配置をされています。 医師不足の中で確保が困難とされる循環器内科医を同じ地域の複数病院に配置することは、地域医療構想が目指す、限られた医療資源を有効活用することに反するものと考えられますが、地域医療構想調整会議ではどのように検討が行われてきたのか、お伺いをいたします。 そして、その地域医療構想調整会議での議論の状況ですが、全てが公開されていないため、医療再編について、地域住民だけでなく、再編対象となる医療機関の職員の理解が深まらないものと考えられます。これまで会議は非公開で行われる部分もあり、議論内容の公開状況も地域によって異なっています。 地域住民、現場職員の理解を得て地域医療構想を進めていくためには、議論状況を可能な限り公開すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。 次に、魚沼基幹病院のフルオープンに対する考え方についてお伺いします。 2月定例会に示された魚沼基幹病院中期経営計画では、新型コロナ感染状況や病院間の役割分担と連携に関する地域医療構想調整会議での議論の進捗状況などを踏まえつつ、フルオープンを目指すとしており、括弧書きではあるものの、今年度から2024年度までの計画に454床と記載されています。開院から7年間フルオープンできていないだけに、地域住民の間にもフルオープンへの大きな期待があります。 病床の稼働計画について、2月定例会の厚生環境委員会では、急性期病床が分散しているため、周辺医療機関との役割分担など、地域医療構想調整会議での議論の進捗状況を踏まえて、魚沼基幹病院のフルオープンについて検討したいとの答弁や、フルオープンに必要な看護職員は現状の看護師数でほぼ十分との答弁がありました。 しかし、現状は採用間もない職員も多く、1病棟を休止した状態でも多忙な上、6月末での退職者も多数いると聞いています。 フルオープンできないのは、役割分担の問題だけではなく、看護職員が確保できないからではないかと考えますが、所見をお伺いします。 あわせて、魚沼基幹病院において看護職員をどのように確保、育成していく考えか、お伺いいたします。 魚沼基幹病院の循環器内科は、4年間常勤医師の配置が少なかった上、医師がカテーテルの専門ではなかったり、非常勤の医師がカテーテル検査を少し行っていたりという状況だったと伺いました。 医師が確保されたものの、前述のように4年間患者の受入れが少なかったために、看護職員も学ぶ機会に恵まれず、経験を積んだ看護職員が少なくなり、24時間体制での急患対応が難しいとの声も聞きますが、魚沼基幹病院の循環器内科の現状をどのように認識しているか伺うとともに、24時間体制での救急患者受入れに向けて体制整備をどのように進めていく考えか、お伺いいたします。 病院局が運営する県立13病院では、看護職員の欠員が常態化し、昨年10月時点で40人近い欠員が生じていました。看護職員確保が喫緊の課題とされていましたが、4月1日時点での欠員は41.5人に上ると聞きます。このため、労使協定で月に8回までとされている夜勤も月に9回行うことを余儀なくされています。 これまでの看護職員確保の取組を伺うとともに、県民に安全・安心の医療を提供できる体制を構築していくためにも、一日も早い欠員の解消が不可欠と考えますが、病院局長の考えを伺います。 昨年、職員団体が実施したアンケート調査の結果では、県立13病院の全てでハラスメント、特にパワーハラスメントの事案が報告をされました。また、3月退職者を対象としたアンケートでは、回答した人の約2割がハラスメントを理由に退職したと答えています。 看護職員の欠員による人員不足の中、ハラスメント、特に職員同士によるパワーハラスメントを理由に離職せざるを得ない理不尽なことが起きています。病院局にとっての財産の流出である上、職員に働き続けてもらうことは地域医療を確保する上でも必要であり、原因究明と早期の改善策が求められます。病院局長の見解と今後の取組方針をお伺いいたします。 松代、柿崎、津川、妙高の4病院については、市町主体の運営への移行が検討されてきました。僻地医療は不採算医療とされ、民間での運営が困難なために、県がその役割を担ってきたものであり、市町の理解が得られない中で、一方的に運営を押しつけることがあってはならないと考えますが、現在の検討状況を伺います。 また、本年3月29日に策定された、持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドラインにより、検討にどのような影響があるのか、お伺いいたします。 今定例会に県立加茂病院と県立吉田病院の指定管理者の指定についての議案が提出されています。県立松代、柿崎、津川、妙高の4病院も市町主体の運営への移行が検討されており、実現すれば、現在の病院局運営の13病院のうち6病院が、県立病院のネットワークから切り離されることになります。 看護職員の確保が困難な理由に転勤が挙げられていますが、ネットワークが縮小されれば、転勤先は現在より遠隔地しかなくなり、職員採用に弊害となるばかりでなく、現在勤務している職員においても転勤を理由とした早期離職者が増えることが予想されます。 県立病院のネットワークを縮小させることなく、指定管理や市町主体の運営となった場合でも、県病院局から職員を派遣できる制度をつくることで、地域医療水準を維持し、各病院の職員確保と県立病院職員の雇用継続の両立を図ることが可能と考えますが、所見をお伺いいたします。 県立吉田病院附属看護専門学校は、来年度の生徒募集が行われているところですが、来年度入学生の在学中に吉田病院は指定管理に移行する予定であります。 指定管理者の募集要項では、看護専門学校の実習受入れなど、現状の連携状況を基本に、医療再編に伴う転換後の医療機能の下で求められる役割に対応していくこととされています。 指定管理移行により在校生に影響が及ぶことがあってはならないと考えますが、同校への影響についてどのように考えているか伺います。 また、県立吉田特別支援学校は、県立吉田病院と連携を図りながら、児童生徒一人一人の心身の健康増進と学力向上を目指した運営がされていると認識をしています。県内の病弱特別支援学校は県立吉田特別支援学校を含めて3校しかなく、その果たしている役割は大きいものがありますが、県立吉田病院の指定管理移行後も現在と同様の運営が継続されるのか、お伺いいたします。 看護職員等処遇改善事業により、9月まで看護職員の処遇改善が図られており、10月以降は診療報酬の引上げにより対応することとされています。看護職員の確保と離職防止のためには処遇改善の確実な実施が求められますが、10月以降、3%程度、月額平均1万2,000円相当と言われています。この賃金引上げが確実に行われるよう、対象医療機関に対してどのような対応が必要と認識しているか、お伺いいたします。 また、県立病院における対応状況と今後の方針をお伺いします。 次に、2つ目の項目ですが、県の組織と働き方についてお伺いいたします。 新潟県においては、2000年以降の20年間で知事部局だけでも2,051人、27%の人員が削減されてきました。職場は、コロナ禍への対応などにより長時間労働の実態にあります。2021年度の時間外勤務の実態では、月80時間の過労死基準を超える職員数が2020年度より増加していると聞きます。 こうした職場実態の中、行財政改革の取組等により、今年度、知事部局で60人程度の定員が削減されました。また、4月1日現在の欠員が60人と聞きます。定員減と欠員による職員へのさらなる負担増が懸念されますが、時間外勤務の実績及び精神疾患による病気休職者数について、推移とその評価をお伺いいたします。 来年4月採用職員の大学卒業程度の第1次試験が6月に行われました。受験案内によれば、一般行政職55人をはじめ128人を採用予定としています。 近年では、再任用職員を希望する人が見込みより少なく、個別にお願いしているものの、断られる例も少なくないと聞くところです。また、林業職などでは欠員が常態化している上、臨時職員を募集しても応募がなく、一人一人の職員への負担が大きくなっていると聞きます。 職員の負担を軽減し、県民によりよい行政サービスを提供するためにも、行政のデジタル化など業務の見直しだけでなく、早急に欠員のない職場を実現することが必要と考えますが、現時点における今年度末の退職見込み者数と再任用見込み者数を伺うとともに、128人の採用で60人の欠員を埋めることができるのか、お伺いいたします。 また、各年度の採用人数はその後の職員の年齢構成を左右することになりますが、現状はバランスが必ずしも取れているとは言えず、30代から40代の職員が少なく、中堅層の負担が大きくなっていると考えています。 世代間の人数の差が少ないバランスの取れた職員構成のほうが計画的な人員配置ができ、職務上の技術・ノウハウの円滑な継承が進むのではないかと考えますが、どのように採用人数を決定しているのか、お考えを伺います。 高校卒業程度の採用予定人数は昨年度が6人、今年度が5人でしたが、来年4月の採用予定人員は10人と昨年度から倍増をしています。人口の社会減対策のためにも高卒者を多数採用すべきと求めてきたところであり、歓迎するものですが、来年度の採用人数を増やした意図と今後も採用拡大を図っていく考えがあるか、お伺いをいたします。 4月に地域振興局体制の見直しが行われて3か月が経過しましたが、7地域振興局の企画振興部が廃止となり、また各部の調整機能が集約されたことに対して、住民や市町村から不便になったなどの意見は寄せられていないか伺います。 また、今回の見直しにより、職員の働き方にどのような影響があったと考えているか、お伺いをいたします。 この項の最後に、定年延長について伺います。 地方公務員法の一部を改正する法律の施行を踏まえ、来年4月から県職員の定年年齢も段階的に引き上げられることとなります。新潟県の職員団体が行ったアンケート調査では、制度内容についてよく知っているが5.6%、まあまあ知っているが73.8%、知らないが20.2%でした。職員の働き方や生活設計に大きく影響することとなりますが、十分に知られていないのが現状だと思います。 職員に長く安心して働いてもらうためには、制度を理解してもらうことが重要と考えますが、条例改正をどのように進め、職員への周知をどのように行っていくのか、今後の予定をお伺いいたします。 同じアンケート調査で60歳以降は働かない、60歳まで働くつもりがないとした人に複数回答でその理由を尋ねたところ、64.6%の人が体力の低下を理由に挙げており、人員配置や業務内容の見直しを求める者も52.7%いました。 具体的な意見として、業務量を減らして高齢でも職務を全うできる働き方を個人のレベルで選択できるようにならないと続けて働くことは難しい、医療職は体力的にも延長制度は難しいのではないか、時短や夜勤免除があると助かりますなどの声が寄せられているところです。 定年引上げにより、希望する全ての職員が65歳まで働くことについて、知事の所見をお伺いします。 また、定年引上げの趣旨を踏まえれば、体力の低下に応じた働き方の見直しが必要と考えますが、所見をお伺いいたします。 次に、原発問題について伺います。 6月17日、東京電力福島第一原発事故で避難した住民らが国に損害賠償を求めた集団訴訟で、最高裁判所第二小法廷は国の賠償責任を認めない判決を下しました。国の地震調査研究推進本部が2002年に公表した長期評価に基づき、有効な対策を取っていたとしても福島第一原発の事故は防げなかったとして、国の責任を認めませんでした。 また、今月13日には東京地裁が東京電力の旧経営陣に対し、原発の主要建屋や重要機器室に浸水対策を実施していれば津波による重大事故を避けられた可能性があるとして、賠償を命ずる判決を下しました。今回の東京地裁の判断に照らせば、国にも責任はあったものと私は思います。 6月の最高裁判決は、8月に控訴審が始まる新潟訴訟をはじめとする後続の関連訴訟に影響を与えるものと思われますが、知事は判決をどのように受け止めているのか、所感をお伺いいたします。 花角知事は、知事選翌日の記者会見で、大きな信任をいただいたと述べていますが、今回の知事選の投票率は49.64%と50%を下回りました。争点がはっきりしない中、消極的に支持する人の関心が向かなかったのではないかと見る識者もいます。 投票率の受け止めを伺うとともに、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に当たっては、過半の人が投票に行かなかった今回の知事選の結果のみをもって判断することなく、県民の意思を改めて確認することが必要と考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 島根県の丸山知事は、6月2日に島根原子力発電所2号機の再稼働について、現状ではやむを得ないと考え、容認すると述べ、再稼働に同意する考えを表明しました。各原発立地道県と互いに意見、情報の交換を行っているとのことで、宮城県にも行かれたと聞いていますが、再稼働容認までの手続について島根県と意見交換等行われたのか伺います。行われている場合には何を確認されたのか、お伺いをいたします。 7月2日開催の避難委員会において、検証報告書の案がおおむね了承されました。報告書案では、避難計画の実効性を検証、評価するためには被曝に関するシミュレーションは重要であり、実際の避難に要する時間や被曝量などのシミュレーションを行うことが必要としています。 避難委員会における避難方法の検証は、2019年3月に策定された新潟県原子力災害広域避難計画の実効性の向上に資することを目的としていることから、再稼働の判断を行う前にシミュレーションを実施し、避難計画の実効性を高めておく必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。 また、当日の委員会では、課題等を整理してもらうことが委員会の任務であり、対応は県が検討するとしています。そして、委員からは課題が解決されなければ実効性に疑義が残り、課題の解決は県の責任だとする意見が出され、報告書に訓練などを繰り返し、課題への対応がしっかりとなされるかを県で継続的に確認していく旨を書き込むことが合意されました。 再稼働の判断は課題が解決された後に行うべきと考えますが、報告書で示された課題の解決と再稼働判断のタイミングをどのように考えているか、お伺いをいたします。 最後に、県政の諸課題についてお伺いをいたします。 2020年の日本の平均賃金は約424万円で、主要35か国のうち22位と下位にあります。1位のアメリカは約763万円で、韓国は約462万円です。日本の賃金が30年前からほとんど上がっていない中、アメリカは約1.5倍、韓国は約2倍に増えています。 7月5日付の毎日新聞に「上がらぬ賃金」と題した記事がありました。25歳の男性は、月に40時間から50時間残業しても手取りは20万円以下で、この賃金では結婚も考えられない。教育費をためるために夜勤の仕事を増やしたという34歳の男性は、夜会社に向かうとき、パパ、一緒に寝ようと言われるのがつらい、共稼ぎでも2人目は考えられないといいます。低賃金が働く人々の生活を苦しくさせているばかりか、少子化にも大きく影響していると言えます。 記事では、経営側の実態も報告しています。2008年のリーマンショックの経験などから、日本企業では将来の危機に備え、賃上げを控えて利益を内部留保に回す動きが広がった。一方、原材料費の高騰で大企業はコストを圧縮し、しわ寄せは中小企業に行っているため、高騰した分は納入価格に上乗せできるよう大企業との公正な取引を求めているとしています。 今年の春闘では、加重平均で6,004円、2.07%と昨年を上回る賃上げが行われましたが、物価高騰で賃上げ分は吹き飛び、生活は改善されていません。働く者の生活を改善し、日本を元気にするためには賃上げこそ必要であり、賃金の底上げを図るためには、最低賃金の引上げとそれを可能にする中小企業支援が求められます。 中央最低賃金審議会において、2022年度地域別最低賃金改定について審議が行われています。物価の高騰により実質賃金が低下する中、最低賃金の大幅引上げは、非正規雇用労働者ばかりでなく、全ての労働者の賃金引上げにつながるものと考えます。 地方に若者を呼び込むためにも、大幅な引上げと併せて全国一律最低賃金を早期に実現するとともに、中小零細企業においても引上げが可能となるよう、支援策の拡充等を国に要望すべきと考えますが、所見を伺います。 訪日外国人客の受入れ再開に合わせ、今後の誘客を図る目的で訪日外国人観光モニターツアーが6月28日から7月4日にかけて行われました。感染が急拡大し、先行き不透明な状況もありますが、将来的には新型コロナウイルスの感染防止に配慮しつつも、インバウンド需要を取り込むべきと考えます。 モニターツアーを実施しての手応えと、今後のインバウンド需要拡大に向けて、モニターツアーの成果をどのように生かしていく考えか伺います。 最後になりますが、新潟水俣病被害者の会などでは、新潟水俣病を風化させることなく、その経験と教訓を伝えて、県民一人一人が被害者に思いをはせ、我が事として捉え、これ以上悲惨な公害を繰り返さないことを誓う場として祈念式典の開催を求めてきました。 3月14日に開催された新潟水俣病施策推進審議会で、新潟水俣病の患者団体が新潟水俣病の歴史や教訓を伝えるための式典を毎年開催するよう求めたのに対し、県は毎年開催の方向で検討したいと前向きな姿勢を示しています。早期の開催が望ましいと考えますが、知事の所見をお伺いし、一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 〔知事花角英世君登壇〕
◎知事(花角英世君) 樋口議員の一般質問にお答えします。 まず初めに、総務省のガイドラインを受けての地域医療構想の進め方についてでありますが、厚生労働省は、従来から、新型コロナウイルスへの対応が続く中にあっても、構想の背景となる中長期的な状況や見通しは変わっていないことから、基本的な枠組みを維持しつつ、引き続き着実に取組を進めていく必要があるとの方針を示しており、今年3月の厚生労働省の通知は、地域が主体的に取組を進めることも含め、これまでの方針の継続を改めて確認したものと認識しております。 また、総務省のガイドラインは、このような厚生労働省の方針を前提にしており、公立病院が担うべき役割・機能の見直しなどを改めて求めたものであると受け止めております。 これらは、本県が昨年4月に策定したグランドデザインと同一の考え方に立つものであり、県といたしましては、持続可能で質の高い医療提供体制の構築に向けて、引き続き、グランドデザインの考え方を踏まえながら、各圏域の実情に応じた医療再編の議論を進めてまいります。 次に、県の組織と働き方についてお答えします。 まず、高校卒業程度の職員の採用についてでありますが、職員の採用に当たっては、近年の多様化、高度化していく県の行政ニーズに対応するため、政策立案を行うことや、特定の分野における専門的な知識が期待できる大学卒業程度の職員を中心に採用しているところです。 また、高校卒業程度の職員については、地元で働く意欲を持った高校生が多くいるものと考えられることから、毎年度一定の採用を行っており、来年度の採用予定人員については、退職者数の見込み等を踏まえ、大学卒業程度とともに昨年度より増やしたところです。 なお、今後の採用数については、県の役割や行政ニーズの変化等も踏まえ、毎年度検討した上で決定してまいります。 次に、定年引上げに伴う職員の働き方についてでありますが、このたびの地方公務員法の改正は、平均寿命の延伸や少子高齢化の進展を踏まえ、豊富な知識、技術、経験等を持つ高齢期の職員に最大限活躍してもらうことなどを目的として、国家公務員の定年が段階的に引き上げられることに伴い、地方公務員についても、同様の措置を講ずるため行われたものと承知しております。 このことを踏まえ、本県においても、能力と意欲のある職員が65歳まで活躍でき、かつ、次の世代への知識や経験の継承に資するよう、環境整備を行ってまいりたいと考えております。 また、高齢期の職員については、議員御指摘のとおり、健康上の理由等により、多様な働き方へのニーズが高まるものと考えられることから、短時間勤務制度の導入など必要な措置について検討してまいりたいと考えております。 次に、原発問題についてお答えします。 まず、議員御指摘の福島原発事故に関する最高裁判決についてでありますが、県は当事者ではなく、責任を持って情報を収集し、分析する立場にはないことから、発言は控えさせていただきます。 次に、知事選の投票率の受け止めと柏崎刈羽原子力発電所の再稼働についてでありますが、選挙結果については、私の4年間の県政運営全般に対する取組に大きな信任をいただけたものと受け止めております。 また、柏崎刈羽原発の再稼働については、知事就任以来申し上げているとおり、3つの検証の結果について、広く県民の皆様と情報共有するとともに、評価をいただき、その上で、リーダーとして責任を持って、結論を県民の皆様にお示しします。そして、その結論を受け入れていただけるかどうかについて、県民に信を問うことも含め、県民の皆様の意思を確認するプロセスが必要であると考えております。 次に、被曝に関するシミュレーションについてでありますが、避難計画の実効性を高める取組は、原発再稼働の議論にかかわらず進めていく必要があると考えております。 被曝に関するシミュレーションも、実効性を高める取組の過程の中で、再稼働の議論にかかわらず、課題解決のため必要と判断した際は、国、市町村、関係機関と具体的な方法を検討、調整の上、実施したいと考えております。 次に、避難委員会において示された課題の解決と再稼働についてでありますが、柏崎刈羽原発の再稼働については、3つの検証の結果が示された後に議論を始めたいと考えております。 今ほどお答えしたとおり、避難計画の実効性を高める取組は、原発再稼働の議論にかかわらず進めていく必要があると考えており、委員会において示された課題については、県として責任を持って、国、市町村、関係機関とも連携して、しっかりと対応していきたいと考えております。 次に、県政の諸課題についてお答えします。 まず、最低賃金の引上げについてでありますが、議員御指摘のとおり、若者を呼び込むためには、賃金を含めた待遇を改善し、良質な雇用を創出していくことが重要です。 一方で、最低賃金の急激な引上げは、新型コロナウイルスや原油・原材料等の高騰による影響を受けている現下の経済情勢を踏まえますと、企業にとって負担が大きいとも考えております。 先般、国から、中小企業への支援に取り組みつつ、できる限り早期に全国加重平均1,000円以上になることを目指すという方向性が示されたところですが、県といたしましては、引き続き、国に対して、制度の見直しと格差是正に向けた段階的な引上げ、中小企業への影響の緩和を要望するとともに、意欲ある企業の挑戦を後押しすることで企業収益の拡大を図るなど、賃金の引上げに向けた環境を整えてまいります。 次に、水俣病の祈念式典についてでありますが、新潟水俣病の歴史や教訓を後世にしっかり残していく、伝えていくことは重要であると認識しており、式典の毎年開催は、その啓発の取組の一つとなるものと考えております。 開催時期につきましては、県内や同じ水俣病発生地域である熊本県での行事の開催状況を参考とし、早期の開催に向け取り組んでまいります。 〔総務部長小岩徹郎君登壇〕
◎総務部長(小岩徹郎君) 5点お答え申し上げます。 時間外勤務の実績及び精神疾患による病気休職者数の推移と評価についてでありますが、過去10年間の推移では、知事部局の職員数は逓減傾向にあるものの、職員1人当たりの時間外勤務は、平成24年度が月平均12.0時間、令和3年度は月平均11.8時間となっており、この間微減傾向にあります。 また、精神疾患による病気休職者は、平成24年度の35人に対して、令和3年度単年度を見れば44人となっておりますが、この間増加が続いてきたわけではなく、30人を下回る年度も複数あるなど、年度により状況が異なっております。 このようなことから、職員数と時間外勤務の実績及び精神疾患による病気休職者数に直接の相関関係は見られないものと認識しております。 今後とも、新たな行政需要へ的確に対応しつつ、業務の効率化に向けて不断の見直しを行いながら、業務量に応じた適正な人員配置に努めてまいります。 次に、今年度末の退職者数と来年度の再任用職員数の見込み等についてでありますが、今年度末の定年退職者は200人程度であり、過去の例により、このうち4割から5割程度の職員が再任用職員となるものと見込んでおります。 また、令和5年度の職員採用につきましては、実施中の大学卒業程度の採用試験のほか、今後、高校卒業程度や社会人、就職氷河期世代を対象とした採用試験等によっても採用することとしており、欠員ができるだけ少なくなるよう人員の確保に努めてまいります。 次に、職員の採用数の決定についてでありますが、職員の採用に当たっては、退職者数の見込みや再任用職員の動向のほか、今後の県の役割や行政のニーズなども踏まえた上で、必要な人数を決定しております。 また、複雑・多様化する行政課題に対応するための専門的な知識・技能を有する人材の確保や、多様な人材の確保による組織の活性化に加え、議員御指摘の世代間のバランスの取れた職員構成とすることも重要な要素と考えております。 このため、大学や高等学校等の新卒者の採用のほか、専門的な経験等を有し、かつ、相対的に職員数が少ない30代から40代前半の職員を確保できるよう、社会人採用についても積極的に行ってまいりたいと考えております。 次に、地域振興局体制見直しに対する住民の反応等についてでありますが、このたびの見直しに当たっては、市町村とも十分に調整の上、県民生活に密接に関わる現地性が高い業務については引き続き各地域振興局で担うこととしております。 体制見直し後、総務部において各地域振興局を訪問し、見直し後の状況を確認してまいりましたが、これまで議員御指摘のような御意見は寄せられていないと聞いております。 また、見直し後も所管業務が確実に遂行できるよう、業務量に応じた適正な人員配置に努めたところであり、これまでの時間外勤務の状況等を見ますと、見直し当初は一部の所属において業務が増加した例もございますが、全体としては、今回の見直しによる大きな影響は生じていないものと考えております。 今後も、県民へのアンケート調査等の機会を通じて住民意見を把握するとともに、職員の勤務状況についても引き続き確認し、その中で対応すべき課題があった場合には、適切に対応してまいりたいと考えております。 次に、職員の定年引上げに係る条例改正等の予定についてでありますが、地方公務員法の改正に伴い、定年の引上げや役職定年制など、60歳以降に適用される任用や給与の制度がこれまでと異なるものとなることから、任命権者は、職員が60歳に達する前年度に、任用、給与、退職手当に関する措置等の情報を提供するとともに、勤務の意思を確認するよう努めることとされております。 このことも踏まえ、本年の9月定例会において、関係条例の改正についてお諮りするとともに、関係規程の整備等を進め、今年度内に対象職員に対する情報提供等を実施したいと考えております。 〔防災局長原直人君登壇〕
◎防災局長(原直人君) お答えします。 島根県との意見交換についてでありますが、本県と同様に、島根県も原子力発電所立地道県等で構成する原子力発電関係団体協議会の会員であり、協議会として行う国への要望の内容調整の際など、定期的に意見や情報の交換を行っています。 議員御指摘の島根原子力発電所2号機の再稼働に関する意見交換については、島根県が再稼働容認までの一連の流れを取りまとめて公表しており、その内容を把握できることから、現時点で島根県との意見交換等は行っておりません。 〔福祉保健部長松本晴樹君登壇〕
◎福祉保健部長(松本晴樹君) 6点お答え申し上げます。 魚沼圏域の循環器内科医の配置に係る地域医療構想調整会議の検討についてでありますが、循環器内科に係る医療提供体制の確保が魚沼圏域の課題であることは、従来から地域医療構想調整会議で共有されてきたところでありますが、魚沼基幹病院と南魚沼市民病院がその課題解決に取り組んだ結果として、新潟大学及び県外の大学からそれぞれ循環器内科医を確保し、今回配置に至ったものと受け止めております。 なお、今後の両病院の具体的な役割分担や連携の在り方については、魚沼圏域における持続可能で質の高い医療提供体制の構築に向け、グランドデザインの考え方に沿って、地域の関係者が継続的に情報共有や議論を行っていく必要があると考えております。 次に、地域医療構想調整会議での議論の公開についてでありますが、県では地域医療構想調整会議を原則公開で開催するとともに、資料や議事概要をホームページに掲載し、広く周知することとしておりますが、病院の経営方針に関する事項や、大学等の外部機関との調整を要する事項など、公表になじまない内容もあり、そのような部分については非公開としているところです。 一方で、医療再編を進めていくに当たり、地域医療を取り巻く現状や課題について、住民や医療機関の職員に十分理解していただくことは重要と考えており、可能な限り議論の状況を公開するほか、様々な機会を活用しながら、分かりやすい情報発信に努めてまいります。 次に、魚沼基幹病院のフルオープンの判断と看護職員の確保についてでありますが、魚沼基幹病院開院から7年が経過し、新卒採用の看護職員の多くが、結婚や育児などライフイベントの時期に差しかかっていることなどから、議員御指摘のとおり、離職者が出ておりますが、直近2年間でも既卒・新卒合わせて100名を超える看護職員を採用しており、必要な看護職員数をほぼ充足できていると考えております。 魚沼基幹病院の今後の病棟稼働については、新型コロナウイルス感染拡大の状況や、地域医療構想による魚沼圏域の医療再編の進捗を見極める必要があることから、本年2月に策定した中期経営計画において、当面、416床をベースにしながら、持続的・安定的な経営、黒字体質への転換を目指すこととし、フルオープンの時期については、これらの諸条件を見極めた上で判断することとしています。 こうした方向性は、本年2月に開催した地域医療構想調整会議でも、地元市町村をはじめとした関係者の合意がなされており、周辺医療機関との機能分担が具体的に進みつつあります。 また、看護職員の採用は、これまで比較的順調に進んできていますが、定着を図るためには、勤務環境の改善や福利厚生の充実、キャリアアップ支援などの取組をさらに強化するとともに、若い看護職員が多いことから、人材育成にもさらに注力していく必要があります。 県としても、こうした財団の取組を引き続き支援してまいります。 次に、魚沼基幹病院の循環器内科の現状に対する認識と今後の体制整備についてでありますが、本年4月に常勤の循環器内科医3名を確保し、6月下旬から、西7病棟の一部を循環器内科の専用病棟として、運用を開始したところです。 また、循環器系疾患の救急受入れについても、7月から平日・日中の受入れを再開していると聞いており、徐々に体制整備が進んでいると認識しています。 さらなる受入れ体制の拡充については、今後、検討を進めていくと聞いており、24時間体制での救急受入れに向けては、看護職員の育成も含め、まずは、実績の積み重ねが必要と考えております。 県としても、こうした魚沼基幹病院での循環器内科の体制整備について、引き続き支援してまいります。 次に、県立吉田病院の指定管理移行に伴う附属看護専門学校への影響についてでありますが、議員御指摘のとおり、病院の指定管理移行により在校生に影響があってはならないと考えております。 看護専門学校の管理・運営については、これまで県が実施してきたところですが、病院の指定管理移行後においても、引き続き、県が実施することとしております。 また、病院の指定管理者については、看護専門学校と連携して、在校生の病院実習受入れ等に対応することが要件とされており、病院の指定管理移行後も在校生への影響が生じないよう努めてまいります。 次に、看護職員の処遇改善に向けた対応についてでありますが、国は、令和4年度の診療報酬改定により、地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象に、10月以降、収入を3%程度引き上げるための処遇改善の仕組みを創設することとしております。 現在、国において処遇改善の仕組みが検討されておりますが、県といたしましては、引き続き、創設される仕組みについて情報収集を行うとともに、対象となる医療機関に提供する等により、着実に処遇改善が行われるよう医療機関に働きかけてまいります。 〔
観光文化スポーツ部長妹尾浩志君登壇〕
◎
観光文化スポーツ部長(妹尾浩志君) お答えいたします。 訪日外国人観光モニターツアーの成果と今後の活用についてでありますが、今回のモニターツアーにおいては、シンガポールの旅行会社2社を招聘しました。商品造成を担当するスタッフに高い関心を持って、本県の観光資源を直接見ていただくことができたものと考えております。 県といたしましては、参加旅行会社に対し、今後の実送客につながる旅行商品の造成を強く働きかけるとともに、機会を捉えて、そのほかの国・地域の旅行会社等を招聘するモニターツアーを実施するなど、今後のインバウンド需要拡大に向けた誘客活動に取り組んでまいります。 〔病院局長山﨑理君登壇〕
◎病院局長(山﨑理君) 5点についてお答えいたします。 看護職員確保の取組と欠員の解消についてでありますが、今年度は、採用試験の日程を2か月程度前倒しするとともに、勤務地域を限定した採用枠を拡充し、受験者確保に努めているところです。あわせて、有資格者については、年度内に随時採用を行うことで欠員の補充を行うこととしております。 欠員の発生は、安全・安心な医療の提供に支障を及ぼすことから、職員採用だけでなく、早期離職の防止に向けた取組も含めて可能な限りの対応を行い、欠員解消に努めてまいります。 次に、ハラスメントに関する見解と取組方針についてでありますが、ハラスメントは、職員の個人としての尊厳を不当に傷つける行為であり、絶対に許されるものではなく、あらゆるハラスメントがない職場環境をつくり上げていくことが喫緊の課題であると認識しています。 ハラスメントの予防には、全ての職員がハラスメントに対する十分な関心と理解を持って取り組むことが重要であり、これまでもハラスメントの防止及び対応に関する指針の策定や職員への周知、管理・監督者及び一般職員に対する研修の実施などにより、職員に対し意識啓発を行い、その防止に努めてきたところです。 今後の対策としては、トップのメッセージや職員アンケートによる実態の把握も有効な取組と考えていることから、実施方法などについて検討してまいります。 次に、いわゆる僻地病院の市町村主体の運営に向けた協議の進捗状況等についてでありますが、市町村主体の運営を地元市町に提案後、地域医療構想のグランドデザインに基づく各地域での議論を踏まえるとともに、地元住民の利用状況等のデータを示しながら、病院の役割や機能なども含め、地元市町と丁寧に意見交換を重ねてきております。 また、公立病院経営強化ガイドラインの内容は、市町村や民間医療機関との役割分担の下、県立病院が果たすべき役割に重点化を図るという県立病院の役割・在り方の見直しの考え方と整合しており、持続可能な医療提供体制を構築していく点で、議論の方向性も一致していることから、検討には影響がないものと考えております。 次に、病院局からの職員派遣についてでありますが、これまでも、魚沼地域の医療再編に当たり、地域の医療水準を維持し、各病院の職員確保と県立病院職員の雇用継続のため、職員派遣を行ってきたところです。 今後、県立病院が指定管理や市町主体の運営となった場合においても、これらを参考にしながら対応を検討してまいります。 次に、看護職員の処遇改善に向けた県立病院の対応についてでありますが、現在、国において10月以降の処遇改善の仕組みが検討されていることから、病院局としても情報収集を行うとともに、処遇改善の内容が判明次第、他県状況なども確認しながら必要な対応を検討してまいりたいと考えております。 〔教育長佐野哲郎君登壇〕
◎教育長(佐野哲郎君) お答えいたします。 県立吉田病院の指定管理移行後の県立吉田特別支援学校の運営についてでありますが、同校は、県立吉田病院に併設された病弱特別支援学校であり、主治医から指導・支援に関する助言を得たり、学校と病院での様子について互いに情報交換を行うなど、緊密に連携した運営を行ってきております。 県立吉田病院の指定管理移行後も、引き続き、病院と連携しながら、病弱の児童生徒の健康増進と学力向上を目指した運営に努めてまいりたいと考えております。 〔樋口秀敏君登壇〕
◆樋口秀敏君 3点についてお伺いしたいと思います。 1点目が職員の採用のところで、数字を見ると200人程度が定年退職の見込みで、4割から5割が再任用をするであろうと。そして128人プラスアルファということですから、計算上では退職の分は埋まると思うのですけれども、60人の欠員まで埋まるのかなと思います。 答弁では、できるだけ少なくなるようにということですけれども、お話をさせていただいた林業職などでは毎年2桁の欠員などが続いている中で、ここはゼロを目指すべきではないのかと。結果としてならないことはあるかもしれませんけれども、姿勢としてはできるだけ少なくするではなく、ゼロにすべきだと思うのですが、改めてお伺いしたいと思います。 それから、原子力発電所の関係で2点伺いたいと思います。 1点目が知事の答弁の中で、選挙戦のところで投票率の受け止めということで質問したと思うのですが、この点については御答弁がなかったかと思うので、お聞かせいただきたいと思います。 それから、避難委員会での議論の部分で、再稼働の議論にかかわらず実効性を高めていく、あるいは課題を解決していくということではありましたけれども、委員から課題が出されたときには、それは県のほうでもきちんと対応するということで、それができなければ県の責任だとまで言われているわけですから、少なくとも今回の避難委員会の中で出された課題等については、まずは解決をするということがあって、その後に再稼働の判断ということになるのではないのかなと。その後に起きる課題とかもあるのかもしれませんが、委員会で出された課題については、まずは解決すべきと考えますが、改めてお伺いをしたいと思います。 〔知事花角英世君登壇〕
◎知事(花角英世君) 樋口議員の再質問にお答えいたします。 職員の話のほうは総務部長からお答えさせていただきますが、私のほうで2つ。1つは投票率の話につきましては、これはそうした結果は結果として受け止めているだけでございます。 それから、再稼働の議論と避難計画の実効性あるいは課題などの点についての御質問なのですが、課題といっても様々ございます。非常に時間のかかるものから、本当にすぐに対応できるものや、いろんな関係機関と絡むもの、課題と一口に言っても様々あるということ。それから解決するといっても、この解決という言葉も様々です。どういうものをもって解決というのかというところも、それは議論があるところで、いずれにしましても検証の結果が出た後は、再稼働の議論を始めたいと思います。 再稼働の議論の中で、どのように議論が展開していくか分かりませんけれども、どこかの段階では答えを出して判断していくということになると思っています。 〔総務部長小岩徹郎君登壇〕
◎総務部長(小岩徹郎君) 欠員をできるだけゼロにという御指摘であったと認識しております。 先ほど答弁申し上げましたように、来年の採用数につきましては、退職者数の見込み等を踏まえまして、大学卒業程度及び高校卒業程度とも増やすとともに、これ以外に社会人採用でありますとか、就職氷河期世代を対象とした採用試験によって採用することを通じて、ゼロにするということはなかなか難しいのですけれども、ゼロに向けて、できるだけ少なくなるように努力してまいりたいと思っております。
○議長(佐藤純君) 樋口秀敏君の質問は終わりました。 次に、笠原義宗君の発言を許します。笠原義宗君。 〔笠原義宗君登壇〕(拍手)
◆笠原義宗君 自由民主党の笠原義宗です。順次質問させていただきます。 花角知事2期目の選挙戦では、すばらしい得票を得ての御当選、大変おめでとうございます。知事の4年間の実績と、財政問題、県立病院や医療体制など県政の課題に正面から向き合い、結果を出してきたことや、知事の穏やかな人柄が県民に支持されたのではないかと考えます。私も知事のように穏やかな人間となれるように努めてまいりたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。 まず初めに、経済対策等について伺います。 ロシアがウクライナに侵攻したことによって原油を含めた物価の高騰が世界で起こっており、我が国でも消費者物価指数が本年5月時点で前年同月比2.5%、企業物価指数が本年6月時点で前年同月比9.2%と上昇していますが、企業は必ずしも物価高を十分価格転嫁できず、実質所得は下がっている状況にあるほか、年金生活者や子育て世代などの生活にも影響が出ています。 かつて円高だった時期に、海外生産にシフトして輸入に切り替えたことが、今になり裏目に出ているとも言え、今後円安を背景に海外生産を国内に回帰する際には、新潟を選んでもらうことが重要であると考えます。 そうした中、この円安を機に国産品を海外のマーケットに拡大することは重要であり、今後、強い日本経済をつくるきっかけになるのではないかと考えますが、知事の所見を伺います。 次に、輸送価格の高騰について伺います。 新型コロナウイルスが世界に猛威を広げ、海外でのロックダウンなどにより物流に大きな影響を及ぼしており、さらにロシアによる
ウクライナ侵攻の影響を受け、外国への輸送価格が高騰している状況にあります。航空機、船舶ともかなり高騰していると聞きますが、新型コロナウイルス感染拡大前からどの程度、輸送価格が上昇し、輸出への影響が生じているのかを伺います。 政府は、昨年12月に原材料や人件費の上昇を踏まえ、下請などの中小企業が価格転嫁しやすくする対策をまとめました。2022年から公正取引委員会が価格転嫁拒否が疑われる3業種を毎年指定し、重点的に立入調査することになっています。 2020年度に下請法違反で措置した件数は8,111件と過去最多を更新したとのことで、立入検査を進めることで改善が期待されますが、同時に資源を持たない日本にとって原油価格の上昇が痛手となり、企業は輸入物価上昇を価格転嫁できずに収益が圧迫されている状況にあります。 そうした中、価格転嫁が進むことで中小企業の収益を改善し、賃金の上昇につながることが重要であると考えます。特に経営への影響が懸念される中小企業・小規模事業者にとっては、コストの上昇分を適切に価格転嫁できる状況をつくることが重要と考えますが、県としてどう取り組むのかについて知事の所見を伺います。 価格転嫁を進め、給与を上げることで、我が国のGDP約500兆円の過半数を占める個人消費を高めることが重要であり、その結果として経済の好循環につながると考えます。その実現に向けて、県内産業界とも緊密に連携しながら取組を進めていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。 次に、需給ギャップについて伺います。 日本は、企業が生み出すことのできる物やサービスなどの供給力と、消費者などの実際の需要の差を示す経済指標である需給ギャップの低迷が続いており、需給ギャップが改善されない限り、本格的な景気回復を見通すことは厳しいとされています。 内閣府は、6月24日に2022年1月から3月期の需給ギャップの推計結果がマイナス3.6%であったと発表したところであり、年間20兆円の需要が不足していることになります。それをプラスにするには、円安を背景に輸出やインバウンド需要などを増やすことを進めていく必要があると考えますが、今後の需給ギャップへの対応についての県の所見を伺います。 次に、電力難民について伺います。 昨年秋に始まった電力市場の高騰は、世界的な資源高騰により終わる気配がありません。新電力の経営環境はさらに悪化し、当該上位54社が法人契約の新規受付を停止している状況にあり、さらに高圧・特別高圧の電気契約は1年契約が多く、契約更新を断るケースも多いと聞きます。 地元の法人でも新電力に切り替え、1割程度電気料金を下げることができたものの、更新を断られ、他の新電力との契約に当たっては従来の2倍の電気料が示され、事業継続が厳しいと言われるケースが少なくありません。 県では原油・原材料価格高騰等対応推進緊急融資を創設するなど対応していますが、電力の自由化に問題があったのではないかと考えざるを得ません。 大手電力会社による2割高の最終保障供給についても、1年をめどにした短期的な制度設計であり、必ずしも安定的に契約更新できるか示されていない状況です。 そこで、今後の電力難民の課題と対応について知事の所見を伺います。 次に、太陽光発電について伺います。 2012年7月のFIT制度開始により、再生可能エネルギーの導入は大幅に増加し、特に設置しやすい太陽光発電は電源構成比が2020年度で7.9%に増え、再生可能エネルギー全体で19.8%に拡大しています。 また、2030年度の温室効果ガス46%削減に向けて、電源構成36%から38%の再エネ導入を目指しており、そのうち太陽光発電は14%から16%に増加させる目標にしています。 今後クリーンエネルギー戦略において、太陽光発電の普及は欠かせない施策であると考えますが、本年4月、5月の好天の休日を中心に電力が余る事態が発生したことに伴い、需給バランスの崩れによる大規模停電を防ぐための措置として、送配電業者の東北電力ネットワークは、再生可能エネルギー発電事業者に対し、一時的な発電停止を指示しました。太陽光発電事業者にとっては、この出力制御により収入減になるため、太陽光発電導入をためらうことになっていると聞きます。 再生可能エネルギーの普及に向けては、出力制御をなくすことが課題となっており、国の施策を見直すべきとの声があります。 一方、国は蓄電事業を発電事業に位置づけ、電力が不足した場合、当該事業者に供給を求めることになります。 そこで、今後、大型蓄電所を活用することにより出力制御をなくし、事業者の不安材料を解消することにより太陽光発電の導入を推進すべきと考えますが、知事の所見を伺います。 次に、医療・福祉問題について伺います。 日本経済新聞と日本経済研究センターでは、厚生労働省が公表する病院の人員、設備、医療行為の実績をまとめたデータを基に病棟の運営状況を分析し、結果を公表しました。 その結果によると、緊急性の高い急性期医療を担う病床の約35%が、十分な医療実績を欠く名ばかり病床で、特に中小規模の病院に多く、100床未満の病院に限れば、65%が実績の少ない名ばかり病床だったとされ、それらの病棟では、例えばリハビリ治療や人工透析などが相対的に多く行われていると見られています。 急性期病床が小規模病院に分散し、各病院がぎりぎりの人員で運営せざるを得ない状態では本来の機能を果たすことができず、コロナ禍では中小病院で新型コロナウイルス患者の受入れが進まないという形でこの弊害が露呈したと指摘されています。 名ばかり病床が生まれる背景には特殊な診療報酬体系があり、高額な入院料を取れる急性期病床を増やすことで病院経営上は合理的になるという側面があります。 厚生労働省は診療報酬の見直しも進めており、地域医療構想調整会議において、二次医療圏ごとの医療ニーズに合わせ病院経営の在り方を見直すことが求められています。 そこで、本県の医療体制についての認識を伺うとともに、望ましい医療体制の構築に向け、今後、地域医療構想調整会議においてどのように検討を進めていくのかを伺います。 次に、ペインクリニックについて伺います。 日本人の大半は腰痛や頭痛など何かしらの慢性の痛みを抱えて生活しているとされ、もともと痛みは体に生じた異常事態を知らせる警告反応として大切な役割を持っています。実際病院を受診する一番の理由は痛みとのことです。 多くの痛みは原因となる病態の改善とともに軽減・消失しますが、身体的・精神的・社会的要因が複雑に関与し始め、生活の質を低下させることになり、これが慢性と言われる状態です。 現在では、麻酔科学の進歩により、麻酔のテクニックや薬剤に関する知識を応用して痛みに関する専門的な治療を施し、神経ブロック療法を利用することが特徴とのことです。 長い間痛みに悩まされている方にとっては、少しでも痛みのない時間をつくってあげることが大切で、その間に動かせなかった部分が動かせることで悪循環を断ち切れるケースや、ぎっくり腰で腰を曲げて病院に行き、そのまま真っすぐ立って帰れるケースもあると聞きます。 一方、病院では手術後の長く続く痛みなどに対し、薬物療法・リハビリテーション・認知行動療法など多職種協働によるチーム医療で治療が行われており、そうした中でペインクリニック専門医制度があります。専門医の数は1,600人近くと年々増え続け、本県においても県立がんセンターなどで診療が行われていますが、今後のペインクリニックの必要性と課題について知事の所見を伺います。 次に、無痛分娩について伺います。 諸外国では一般に行われている無痛分娩ですが、日本ではおなかを痛めて産んだ赤ちゃんと表現されるように、耐えて産むことを美徳とする風潮があることが指摘されています。 しかし、海外で出産される日本人の多くが無痛分娩を選択しており、良好な母子関係を築かれる事実は、日本で出産する女性だけが痛みに耐える必要はないことを物語っています。 アメリカでは分娩の7割、フランスでは8割が無痛分娩であるのに対し、日本では1割以下となっていますが、民間会社の調査によると、無痛分娩に対する肯定派は全体の5割、否定派は2割程度であり、無痛分娩を経験した人の6割から満足との回答を得たとされています。 一方で、国内に無痛分娩ができる医療機関が少ないことも課題であり、無痛分娩を担当する麻酔科医を常時配置することが困難であるからだと思われますが、ライフスタイルが多様化する中、本県でも無痛分娩ができる医療機関を増やし、選択可能な環境整備を進めるべきと考えますが、知事の所見を伺います。 全国の児童相談所が2020年度に児童虐待として対応した件数が20万件を超え、30年連続で過去最多を更新しています。 近年の児童虐待対応件数の増加は、児童相談所が連携を強めた警察からの通告が増えたことが要因と見られます。コロナ禍で在宅時間が多くなるなど、家庭環境が変化し、虐待のリスクが上がる一方で、支援が届きにくくなっているのではないかとの指摘もあります。 そうした中、警察からの通告が増える一方で、学校・保育園からの通告が減っており、虐待の潜在化が進むのではないかと考えますが、児童虐待の通告の現状と課題について伺います。 次に、児童虐待通告に係る48時間ルールについて伺います。 児童虐待通告を児童相談所が受けた場合、原則48時間以内に子供の安全を確認するよう求められています。これは、通報が重なっても人員を割いて安全確認に向かわなければなりませんし、後回しにしたり、子供に直接会えないままになったりしていて、子供が死亡するケースが後を絶たないためであるとされています。 しかしながら、全国の児童相談所では、虐待の通告件数の増加に対応できるだけの児童福祉司の確保が難しい例があるとも聞きます。県内における48時間ルールの対応状況について伺います。 次に、一時保護について伺います。 単に命の危険にとどまらず、現在の環境に置くことが子供の安全な家庭生活を確保する上で明らかに問題があると判断される場合には、一時保護を速やかに実施することが重要であります。 この一時保護については、本人の同意も保護者の同意も家庭裁判所の承認も不要という児童相談所に絶大な権限があります。また、一時保護は原則2か月以内であり、2か月を超える場合は親権者等の同意が必要とされています。 そうした中、一時保護が必要な一方で、児童相談所と保護者との間で積み上げてきた関係性が崩れないようにしなければならないといった難しさもあると聞きますが、県内における一時保護の状況と課題について伺います。 次に、農業問題について伺います。 ロシアの
ウクライナ侵攻により世界的に燃油価格が高騰し、施設園芸農家の経営を圧迫している状況にあります。 そこで、県は6月専決予算で施設園芸セーフティネット加入促進事業を予算計上し、国の制度への加入に要する経費の一部を助成するとしていますが、燃油だけでなく、切り花農家などの球根やピートモスなどの輸入資材についても高騰している状況があります。 そこで、施設園芸農家の経営に対する支援についての知事の所見を伺います。 次に、輸出について伺います。 円安が進み、輸入農林水産物の価格が上がる一方で、国内での国産農林水産物の競争力が高まり、さらに輸出により海外への国産農林水産物の販路を広げるチャンスでもあると聞きますが、今後の農林水産物の輸出拡大に向けた課題と今後の取組について所見を伺います。 畜産経営の安定化について伺います。 配合飼料の価格高騰により、畜産農家の経営を圧迫している状況であります。 JA全農は、2022年7月から9月期の配合飼料供給価格を、前期に対し全国全畜種平均で1トン当たり1万1,400円値上げすると発表し、過去最高の引上げ額となりました。 また、原油価格が高止まりしていることに加え、世界人口の増加や新興国の経済発展による需要増といった構造的な問題などの影響で、昨年から飼料等の価格が高騰しており、今後の農業経営に大きな影響を与える可能性がある中で、配合飼料価格安定制度の農家拠出金の負担軽減や、輸入に頼らない飼料生産体制に力を入れるべきとの声がありますが、自給飼料の確保を含め、県内畜産経営の安定に向けた取組状況を伺います。 次に、主食用米以外の需要拡大について伺います。 世界的な物価高の影響を受け、小麦や大豆など穀物価格が高騰していますが、米価は上がらない状況であり、肥料価格の高騰により稲作経営が厳しい状況であります。 総務省の家計調査報告によると、令和4年5月時点で、2人以上の世帯における1か月当たりの消費支出は米が1,473円、パンは2,817円であり、パンのほうが支出が多いことを考えると、米よりもパンなどの原料の生産を増やすことが、需要と供給で考えれば重要であると考えます。 県では、6月専決予算により国産小麦産地生産性向上事業を予算計上しており、県産小麦の生産を増やすことは重要なことでありますが、一方で、本県の主要品目である米の需要拡大に向けて、輸出や米粉など主食用米以外の需要を増やすことも重要と考えますが、知事の所見を伺います。 次に、公務員の農業の副業について伺います。 近年、公務員の副業許可対象に農業を明記する自治体が増えています。年内導入予定を含め3道県と7市町で計10自治体となりました。 従来、農業は公務員が副業先にできない営利企業に含まれると解釈されてきましたが、地域の基幹産業を守ることが、公務員に求められる地域貢献や公共性に当たるとみなされるようになってきています。 10自治体では、農業が生産だけでなく加工・流通・観光など地域経済全体を支えており、特に生産現場の深刻な人手不足の打開策として取り組まれています。副業を一定の品目に限定する自治体や、長野県など特産品が多岐にわたっているため、品種を限定しない自治体もあります。 このような中、本県においても県職員による農業の副業を認めるべきと考えますが、知事の所見を伺います。 次に、県政の諸課題について伺います。 原油や資材価格高騰で価格転嫁が喫緊の課題となっています。公共事業の発注時、建設業者が資材価格の上昇分を請負代金に反映できなければ、収益悪化となり、賃金が上がらないことにもつながります。 国土交通省は、市場価格を参考に適切な価格設定となるよう通知を出しました。納期の長期化が見られる場合には、工期設定などの配慮をするとともに、契約どおり工事が進行せず、工事内容に変更が生じ、工期及び請負代金の額に変更が生じる場合には、双方の協議により、着工前に書面提出を徹底することや、元請人と下請人が協議し、請負代金の額を適切に変更することなどが示されています。 そこで、県の公共事業の発注において、昨今資材価格が高騰していることから、市場価格を参考に適正な請負代金の設定や価格転嫁などを円滑に行う必要がありますが、それを進める上での課題と取組状況を伺います。 県の企業局では、電気事業会計において160億円程度を定期預金等により運用しており、令和2年度の運用収入は1,069万3,000円で、利回りは0.05%とのことでした。 そうした中、例えば金利水準の高い国債などを活用すればより高い運用収入が期待でき、県予算に貢献できると考えますが、県の所見を伺います。 次に、金融リテラシーについて伺いますが、人生100年時代において、将来にわたり自立的で豊かな生活を送るためには、個人型確定拠出年金iDeCoや株式等への投資の際の税制優遇制度であるNISAなど、金融リテラシーが欠かせないと考えます。 特にiDeCoは確定拠出年金法に基づく私的年金で、自営業者や企業年金のない会社員、学生などが任意で加入でき、掛金が所得控除の対象となり、運用益も非課税となります。2022年3月時点の加入者は238万人と10年間で17倍に増えました。 岸田首相は人への投資に重点を置き、資産形成を支援するとし、5月には加入可能年齢を60歳未満から65歳未満に広げ、資産所得倍増プランでさらなる拡充も視野に入れています。 1万人当たりの都道府県別加入者数を見ると、首位は香川県の549人でありましたが、金融広報中央委員会では金融リテラシーが家計管理の適切さやトラブルの回避につながるとし、金融教育を受ける機会が広く提供されることが望ましいとしています。 そこで、本県のiDeCo加入状況を伺うとともに、金融リテラシー向上に向けた取組状況を伺います。 令和4年4月から、学習指導要領改訂により、高等学校での金融教育の充実が図られました。金融や投資について、日本の教育では長い間重視されてきませんでしたが、より豊かな生活やよい社会づくりに向け、日本でも外国のように小中高と一貫性のある金融教育プログラムによる金融教育が必要になったのではないかと考えます。 日本は2,000兆円を超える個人金融資産が存在するものの、現預金の比率は50%台と長期間横ばいであり、貯蓄から投資へのめども立たない状況であります。 一方で、資産所得倍増や国際金融都市実現といった現在の国を挙げての取組は、税制改正といったインセンティブだけでなく、個人の金融取引への一段の理解が進まなければ難しく、根本的なマインドの変革が求められているのではないでしょうか。 そこで、イギリスをはじめとした金融先進国である国々を参考に、金融教育を充実していくことが資産
形成促進につながるのではないかと考えますが、本県の学校における金融教育の進め方と期待する効果について伺います。 次に、中学校の部活動の地域移行について質問しようと思いましたけれども、多くの議員の皆様方から質問が出ているので、飛ばしたいと思います。 次に、県のデジタル化について伺います。 先般、山口県阿武町で臨時特別給付金、計4,630万円を誤って振り込み、問題となりましたが、その際、フロッピーディスクでのデータのやり取りも話題となりました。 県ではデジタル化を進めるために、職員へのモバイルパソコンの配付など、デジタル環境の整備を進めていますが、データの紛失防止などの観点から、様々なデータのやり取りをメールやクラウドサービスによって行うことが重要であると考えます。 そこで、フロッピーディスクやDVD等によるデータのやり取りを廃止し、デジタル化を一層進めるべきと考えますが、県の現状と今後の方向性を伺います。 最後に、新型コロナウイルスに関する補助金の不正受給について伺います。 持続化給付金や家賃支援給付金の不正受給について、返還済金額が本年7月時点で約176億円にも及ぶなど問題になっています。全国の警察による摘発も相次ぎ、心当たりのある方は自主返還をしてほしいと考えますが、現役国税局や経済産業省の官僚なども不正受給していたことに衝撃を受けたところであります。 不正受給に関わったとして検挙された3,700人余りについて警察庁が調べたところ、年齢別では20代以下の若者が全体の7割近くを占めており、SNSなどを通じて安易に不正に加担したケースが多いのではないかと言われています。 また、国に自主返還の申出のあった不正受給のうち約7,000件が未返還のままであり、自主返還した場合は刑事告訴などはしませんが、未返還の場合は厳しい対応を取るとされています。中には生活資金が逼迫してやむにやまれず不正に手を出したケースもあるようであり、返還のできない方の対応も考えなければなりません。 そうした中、本県でもコロナ禍における地域産業支援のために様々な補助金を出していますが、本県における検挙状況と当該補助金制度の課題についてお伺いし、質問を終わります。大変どうもありがとうございました。(拍手) 〔知事花角英世君登壇〕
◎知事(花角英世君) 笠原議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、円安を契機とした輸出拡大についてでありますが、議員御指摘のとおり、急激な円安の進行は、原油や原材料価格の高騰に拍車をかけ、国内においては経済の減速が懸念されておりますが、一方で、円安は海外における価格競争力を高める効果があることから、海外市場の需要を取り込んでいく好機でもあると考えております。 このため、県といたしましては、現在の円安を契機とした県産品や農林水産物の輸出拡大に向けて、マーケットの調査や越境ECへの参入に対する支援などにより、県内企業等の取組を後押ししてまいりたいと思います。 次に、適切な価格転嫁に向けた取組についてでありますが、原材料価格等の高騰は、県内企業に幅広く影響を及ぼしていることから、適切な価格転嫁により、サプライチェーン全体で負担していくことが、中小企業の経営安定のために重要であると認識しております。 そのため、県といたしましては、これまで、関係団体への適切な価格転嫁に向けた協力の要請や、国と連携しながら、下請かけこみ寺などの相談窓口の整備を行うとともに、パートナーシップ構築宣言制度などの支援策について、県内企業への周知と活用促進に努めてまいりました。 加えて、専決処分により編成した補正予算において、受発注双方の事業者を対象として、適切な価格転嫁や下請取引の適正化を促進するためのセミナーや個別相談会を開催することとしております。 今後とも、関係団体等と連携をしながら、適切な価格転嫁ができる環境づくりに努めてまいります。 次に、給与の引上げに向けた取組についてでありますが、議員御指摘のとおり、地域経済の持続的な発展のためにも、企業収益の拡大と、その適切な労働分配を通じた賃金の上昇、消費拡大へとつなげることが重要であると考えております。 県といたしましては、先般、県内経済団体に対し、賃金引上げの取組を要請するとともに、税制や助成金などの支援策の活用を呼びかけたところでありますが、こうした取組と併せて、引き続き、意欲ある企業の挑戦を後押しするなど県内企業の収益拡大を図ることにより、賃金の上昇に向けた環境を整えてまいりたいと考えております。 次に、需給ギャップへの対応についてでありますが、先月開催された日銀の金融政策決定会合においても、賃金上昇などに向けて、負の需給ギャップを解消すべきとの意見が多数あったものと承知しております。 国においては、民需主導の自律的な成長とデフレからの脱却に向け、ちゅうちょなく機動的なマクロ経済運営を行っていくとの方針が示されており、県といたしましても、議員御指摘の輸出やインバウンドの拡大による外需の増加に加え、消費や設備投資の拡大による内需の増加など、本県経済の活性化に向けた取組を進めることにより、需給ギャップの改善に寄与してまいりたいと考えております。 次に、新電力の経営環境の悪化に伴う今後の電気契約の課題と対応についてでありますが、電力市場の高騰により、新電力の倒産や小売電気事業からの撤退など、需要家にとって安定的な電力の調達に困難が生じていることは課題であると認識しています。 国では、電気契約が困難な需要家に対し、セーフティーネットとして最終保障供給を制度化しておりますが、現在、この制度について見直しの検討が行われていることから、県といたしましては、国の検討状況を注視してまいりたいと考えております。 次に、大型蓄電所の活用による太陽光発電の導入促進についてでありますが、大型蓄電所の活用により、再生可能エネルギーの導入拡大や、電力供給の安定化が期待されることから、このたび、大型の蓄電池から放電する事業を発電事業として位置づける法改正が行われたところです。 県といたしましては、議員御指摘のとおり、出力制御を可能な限り低減することで、太陽光発電のさらなる導入が促進されるよう、蓄電池の導入拡大や電力系統の増強などの対策について、引き続き国に要望してまいります。 次に、医療・福祉問題についてお答えします。 まず、本県の医療体制の認識等についてでありますが、人口減少や高齢化に伴い医療ニーズが変化し続けており、本県でも、従来の急性期機能を中心とした現状の医療提供体制との間に乖離が生じてきているとともに、このニーズの変化は今後もさらに進むと予想されることから、各圏域の医療ニーズに合わせて各病院の役割や機能を再編することが喫緊の課題であると認識しております。 一方で、今般の新型コロナウイルス患者の受入れについては、本県では、地域の中核病院を中心とした病院群の役割分担と連携などにより、新規感染者数の増加が見られた時期においても、患者の受入れを円滑に進めることができたところです。 県では、昨年4月に策定したグランドデザインにより、各圏域において議論を重ねているところですけれども、急性期から回復期への機能再編も大きな課題となっていることから、その中心となる地域に密着する病院の役割や機能の方向性を、今年秋をめどに明確化することとしており、これにより地域医療構想調整会議における議論をさらに加速させてまいりたいと思います。 次に、ペインクリニックの必要性と課題についてでありますが、慢性の痛みを抱えた方が専門的な医療を受けられることは、身体的・精神的苦痛を適切に和らげることが期待されることから、患者の生活の質を向上させるために必要であると認識しています。 日本人に最も多い慢性の肩凝りや腰痛に関しては整形外科等のかかりつけ医において、進行がんの痛みに関しては専門医を含めた緩和ケアチームにおいて、対応が行われていると認識しております。また、難治性の痛みに関しては、県においても相談窓口を設け、症状等に応じてペインクリニックを紹介しているところです。 慢性の痛みに関する国の検討会の提言では、正しい情報の提供などが課題とされているところであり、県といたしましても、今後、慢性の痛みを抱えた方が、その痛みの状態に応じた適切な治療につながっていくよう、医療機関等と連携を図りながら、普及啓発などを進めてまいりたいと考えております。 次に、無痛分娩を選択できる環境の整備についてでありますが、議員御指摘のとおり、日本の無痛分娩の割合は、諸外国に比べて低い実態があると認識しております。 また、無痛分娩には、お産の痛みを和らげることができるというメリットがある一方で、まれに重篤な麻酔合併症が起きるなどのリスクがあると承知しており、無痛分娩の普及には麻酔科医の確保など医療資源の充実が必要であると考えております。 県といたしましては、希望する妊婦が安全な無痛分娩を選択できるよう、麻酔科医の確保に努めるなど、無痛分娩ができる医療提供体制の構築につながる取組を進めてまいりたいと考えております。 次に、農業問題についてお答えをします。 まず、施設園芸農家に対する支援についてでありますが、施設園芸では、燃油や肥料などの価格高騰が農家経営に大きな影響を及ぼすとともに、特に切り花では、多様な需要に応じるために輸入で調達している球根の価格上昇も見込まれており、影響がさらに高まることを懸念しております。 このため、県では、国の燃油価格高騰対策への加入を促進するとともに、全ての地域振興局に設置した経営相談窓口において、資金繰り対応や、生産性向上とコスト低減につながるヒートポンプの有効活用や水耕栽培方式の導入などの技術指導に取り組んでいるところです。 今後、国で検討される肥料高騰支援策への対応を進めるとともに、引き続き、農家経営への影響を注視しながら、農業者の生産意欲が停滞しないよう、万全な対応を行ってまいりたいと思います。 次に、農林水産物の輸出拡大に向けた課題と今後の取組についてでありますが、輸出拡大に向けては、県内で輸出に取り組む生産者等が少ないことや、品目により確保できるロットが限られ、安定した商流が確立できないこと、また、海外での新潟の知名度が高くなく、産地としての新潟の魅力やイメージが効果的に伝わっていないこと等が課題と認識しております。 このため、本年3月に策定しました新潟県産農林水産物輸出拡大実行プランに基づきまして、輸出に向けた機運の醸成や、商流・物流を担う事業者等との連携による輸出ルートの構築、産地新潟のブランド化の取組など、円安を好機と捉え、輸出拡大に向けた取組を一層推進してまいります。 次に、非主食用米の需要拡大についてでありますが、主食用米の需要減少に加え、肥料価格の高騰など稲作を取り巻く環境は厳しさを増しているものと認識しており、主食用米だけでなく、非主食用米を合わせた新潟米全体の需要拡大を進めることが重要であると考えております。 このため、食品製造事業者等と連携した加工用米の利用拡大や、本年3月に策定した新潟県産農林水産物輸出拡大実行プランの実践に取り組んでいるところです。 また、輸入小麦の価格高騰を受け、本定例会で米粉の需要拡大対策の実施に必要な補正予算案をお諮りしているところであり、これらの取組により、非主食用米の需要拡大を一層推進してまいります。 次に、県職員による農業の副業についてでありますが、職員が報酬を得て業務外の活動に従事する場合は、公務員として求められる職務の公正性の確保や品位の保持等の観点から、主に消防団員等の公共団体の事務や、社会貢献活動などで利益を主目的としないものについて許可しているところです。 議員御指摘の農業の副業については、本県の特性を踏まえ、これまでも主として自家消費に充てることを目的とする場合等は許可を要しないこととしておりますが、一方で、営利を目的とした法人等で従事する場合には、市町村の出資法人等が行う事業に限り認めることとしております。 今後、より広く副業を認めることについては、現場の実態をよく把握した上で、他の手段による人手確保の方策の有無のほか、従事することによる地域振興への寄与や社会貢献の度合い、他の業種との均衡等について検討していく必要があるものと考えております。 〔知事政策局長森永正幸君登壇〕
◎知事政策局長(森永正幸君) お答えいたします。 フロッピーディスクやDVD等の電磁的記録媒体の使用についてでありますが、議員御指摘のとおり、今後の
デジタル環境整備においては、クラウドサービスの利用を基本とすることが重要であり、県としても、業務システムのクラウドサービスへの移行を順次進めているところです。 一方で、業務によっては、機密情報を扱うため、国が示すガイドラインにより外部ネットワークと接続できないシステムもあり、データのやり取りの際に電磁的記録媒体を使用せざるを得ない状況にあります。 このため、電磁的記録媒体を使用する場合においては、県情報セキュリティポリシーに基づき、その持ち出しや保管等に関する取扱制限を設け、セキュリティー点検などにより、情報漏えいの防止を徹底してまいります。 また、今後も最新の技術動向を踏まえ、データ持ち出し時のシステム認証の強化などのセキュリティー対策を講じてまいりたいと考えております。 〔総務部長小岩徹郎君登壇〕
◎総務部長(小岩徹郎君) お答え申し上げます。 金融リテラシー向上に向けた取組状況等についてでありますが、国民年金基金連合会によりますと、令和3年3月末現在、本県のiDeCoの人口1,000人当たりの加入者、運用指図者は28名で、全国34位となっています。 議員御指摘のとおり、人生100年時代と言われている中で、各個人が適切に資産形成を行っていくことは重要であり、その際には、個人型確定拠出年金も含めた金融商品それぞれの特性やリスクについての知識など、金融リテラシーを向上させていくことが大切であると考えております。 そのため、県及び県内の金融機関やマスコミ等で組織する新潟県金融広報委員会において、高校生のための消費生活講座や地域の公民館などで開催される金融経済講習会への講師派遣のほか、暮らしに役立つ金融経済についての情報提供など、金融に関する広報・消費者教育活動を実施しております。 引き続き、関係機関と連携し、金融リテラシーの向上に取り組んでまいります。 〔福祉保健部長松本晴樹君登壇〕
◎福祉保健部長(松本晴樹君) 3点お答え申し上げます。 児童虐待の通告の現状と課題についてでありますが、本県における令和2年度の児童虐待相談対応件数は、新型コロナウイルス感染拡大による学校等の休校などの影響により、前年度に比べ4%減少し、児童虐待の潜在化の進行が懸念されたところですが、令和3年度は増加に転じて過去最高となり、相談経路別では、学校や保育所からの通告件数も増加しております。 児童虐待の潜在化を防ぐためには、周囲が子供の小さな異変を見逃さず、きめ細やかな対応を行うことが重要であるため、引き続き、学校・保育所等をはじめ、市町村や警察等の関係機関との連携強化を図り、早期発見・早期対応につなげていく必要があると考えております。 次に、児童虐待通告後の子供の安全確認についてでありますが、国の児童相談所運営指針では、通告後の安全確認は、児童相談所職員等により、子供を直接目視することにより行うことを基本とし、緊急性に乏しいと判断されるケースを除き、通告受理後48時間以内に実施することが望ましいとされております。 県の児童相談所においては、例外的対応が認められている場合を除き、通告受理後、全てのケースについて48時間以内に安全確認を実施しており、国の指針に基づき適切に対応しているところです。 全国的に児童虐待により子供の生命が奪われるなど重大な事件が後を絶たないことから、引き続き、関係機関と連携し、迅速な安全確認の徹底に努めてまいります。 次に、児童相談所における一時保護の状況と課題についてでありますが、県の児童相談所における一時保護対応件数は、近年、虐待相談対応件数の1割程度で推移しており、令和2年度の一時保護の対応実績は、全体の13%に当たる266件となっております。 児童虐待の通告に伴う緊急的な一時保護においては、子供の安全確保を最優先として保護者の同意なく実施することがあるため、やむを得ず、保護者と対立関係になることも想定されます。 こうした状況を受け、令和元年の法改正において、保護者への指導を効果的に行うため、一時保護等の介入的対応と保護者支援の役割を分離するよう規定されたことを踏まえ、今年度から、全ての児童相談所において、それぞれの機能を有する課を設置し、担当者を明確に分けて対応することが可能となるよう組織体制の整備を図ったところです。 今後も、各業務を担当する職員の専門性向上のための研修等を行うことにより、緊急保護が必要な場合など、ちゅうちょなく介入し、その後の継続的な保護者支援につなげるための体制の強化を図り、子供の安全・安心な生活に向けた保護者との関係づくりに取り組んでまいります。 〔産業労働部長金井健一君登壇〕
◎産業労働部長(金井健一君) 2点お答えいたします。 輸送価格の高騰による輸出への影響についてでありますが、日銀の企業向けサービス価格指数によれば、外国向け貨物の輸送価格は、新型コロナウイルス拡大以前の2020年12月に比べ、直近の2022年5月では、国際航空貨物輸送で約1.9倍、外航貨物輸送で約2.0倍と、航空・海上ともに倍増しております。 また、日本貿易振興機構によれば、航空・海上運賃に加え、各国で陸路輸送料や倉庫保管料の値上げも相次いでいるほか、深刻化する輸送関連の人材・設備等の不足により到着遅延が常態化するなど、国際物流に大きな影響が出ているとされております。 こうした状況は、輸出を行う県内企業にはコストの増加となって利益を圧迫するため、県としても状況の把握に努めてまいります。 次に、新型コロナウイルスに関する補助金制度の課題についてでありますが、県では、新型コロナウイルスの影響を受けた事業者に向けた支援金等の支給に際しては、事業継続のための資金を早急に供給する必要があることから、簡易な手続で迅速に支給するよう努めてまいりました。 基本的には適切に支給されたものと考えておりますが、今回、悪意による不正受給の事件が発覚したことから、早期支給と不正受給防止対策との両立をいかに図るかが改めて課題として認識されたところであります。 〔農林水産部長小幡浩之君登壇〕
◎農林水産部長(小幡浩之君) お答えします。 畜産経営の安定に向けた取組についてでありますが、飼料価格が高騰する中、飼料費が生産コストの多くを占める畜産経営を安定させるためには、セーフティーネットへの加入に加え、飼料作物の生産拡大や、
食品リサイクル飼料の活用等による生産コストの低減と、飼養衛生管理の改善による生産性の向上が重要と考えております。 このため、県といたしましては、飼料作物の安定生産技術の指導や、飼料等の生産機械の導入支援に加え、6月専決予算により、配合飼料価格安定制度の生産者積立金の一部を支援し、制度への加入を促進するとともに、令和5年産に向け、飼料作物等の作付拡大に対する支援策を措置したところです。 あわせて、水田を活用した飼料作物等の地域内での自給体制づくりや、飼養管理と衛生対策の指導の徹底により、引き続き畜産経営の安定を図ってまいります。 〔土木部長金子法泰君登壇〕
◎土木部長(金子法泰君) お答えいたします。 資材価格の高騰時における適正な請負代金の設定等の課題と取組状況についてでありますが、県では、毎月、資材単価の調査を実施し、市場価格に基づいた最新の設計単価で予定価格を算定しております。 また、契約済みの工事において、施工期間中に資材価格の著しい変動が生じた場合は、建設工事請負基準約款に基づき、資材価格上昇分を変更契約により適切に増額しております。 加えて、昨今のような資材価格が急激に高騰した場合については、変更契約時の設計単価と実際の購入価格に価格差が生じるという課題があることから、実際の購入価格を反映した請負代金の算定も可能とする運用を実施してまいります。 今後とも、県民の安全・安心を担う地域の建設業者等が持続的に役割を果たしていけるよう適切に対応してまいります。 〔企業局長樺澤尚君登壇〕
◎企業局長(樺澤尚君) お答えいたします。 企業会計資金の運用についてでありますが、企業局の公金運用は、地方自治法及び県公金管理方針等に基づき、安全性、流動性を確保した上で、可能な限り有利な運用を行うことと定められており、大口定期預金や譲渡性預金により運用しております。 議員御指摘の国債につきましては、運用可能となっておりますが、短期的な運用は金利が低く、中長期的な運用は、今後の売電単価や災害発生等の減収リスクを見通すことが困難なことや、地域振興積立金からの一般会計への繰り出し等を考慮する必要があるため、国債による運用を行うことについては、丁寧に検討する必要があります。 企業局といたしましては、引き続き、安全性、流動性を確保しつつ、金利の情報収集等に努め、より高い運用収入の確保に取り組んでまいります。 〔教育長佐野哲郎君登壇〕
◎教育長(佐野哲郎君) お答えいたします。 本県の学校における金融教育についてでありますが、議員御指摘のとおり、新しい学習指導要領では、高等学校の家庭科に金融商品の特徴や資産形成の視点に触れることが追加されるなど、金融教育の充実が図られております。 具体的には、高等学校では、株式、投資信託等の金融商品の長所や短所を学び、また、小中学校でも、買物の仕組みや計画的な金銭管理の必要性などについて学習するなど、発達段階に応じた指導をしております。 今後は、ファイナンシャルプランナー等の外部人材や関係機関が作成した金融教育プログラムを活用するなど、より実践的な取組を行うことにより、児童生徒の金融リテラシーが高まるとともに、自分の暮らしや社会について深く考え、主体的に行動できる態度が育成されるものと考えております。 〔警察本部長村田達哉君登壇〕
◎警察本部長(村田達哉君) お答えいたします。 持続化給付金等に係る詐欺事件の検挙状況についてでありますが、当県におきましても、昨年5月来、持続化給付金等の補助金、計68件、総額約8,700万円をだまし取る組織的な詐欺事件を検挙するなど、これまでに100件以上の新型コロナウイルス感染症流行下における事業支援のための補助金に係る詐欺事件を検挙しているところであります。 この中には、新潟県感染症対策認証店舗設備導入支援事業や新潟県新型コロナウイルス対応新事業チャレンジ支援事業といった県補助金に係るものも含まれております。
○議長(佐藤純君) 笠原義宗君の質問は終わりました。 ――
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○議長(佐藤純君) これにて本日の一般質問は終了いたしました。 ――
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○議長(佐藤純君) お諮りいたします。 次会は、7月19日午前10時から開くことにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤純君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、明7月16日から7月18日までは休日のため、本会議を休会といたします。 ――
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○議長(佐藤純君) 本日の議事日程は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。
△午後5時18分散会...