新潟県議会 > 2021-06-21 >
06月21日-一般質問-04号

  • GIGA(/)
ツイート シェア
  1. 新潟県議会 2021-06-21
    06月21日-一般質問-04号


    取得元: 新潟県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    令和 3年  6月定例会 本会議令和3年6月21日(月曜日)  議事日程 第4号    午前10時 開議第1 請願第2号第2 陳情第2号から第10号まで第3 県政に対する一般質問本日の会議に付した案件 日程第1  第2号 令和3年度新潟地方最低賃金改正等についての意見書提出に関する請願 日程第2  第2号 新潟市秋葉区矢代田地区における『ライフル射撃場建設計画』の再考を求めることに関する陳情  第3号 75才以上の医療費窓口負担2割化の見直しを求める意見書提出に関する陳情  第4号 75才以上の医療費窓口負担額増加の中止を求める意見書提出に関する陳情  第5号 75才以上の医療費窓口負担額増加の中止を求める意見書提出に関する陳情  第6号 厚生労働省へ保健所の感染症に対する機能強化を求める意見書提出に関する陳情  第7号 防衛省へ首都東京の在日米軍基地返還の道筋をつける為、対外的情報省の設立を求める意見書提出に関する陳情  第8号 秋葉区矢代田地内に建設計画中のライフル射撃場の建設是非の検討を求めることに関する陳情  第9号 パンデミックに潜在看護師の活用を求める意見書提出に関する陳情  第10号 監査請求を不問とした前監査委員の偏向に関する陳情 日程第3 県政に対する一般質問(桜庭節子君、与口善之君、保坂裕一君、高見美加君、佐藤浩雄君、渡辺和光君)   ――――――――☆――――――――出席議員(53名)          河原井 拓 也 君  小 山 大 志 君  中 川 隆 一 君  高 見 美 加 君          保 坂 裕 一 君  与 口 善 之 君  桜 庭 節 子 君  斎 京 四 郎 君          中 村 康 司 君  松 原 良 道 君  笠 原 義 宗 君  高 橋 直 揮 君          宮 崎 悦 男 君  青 柳 正 司 君  横 尾 幸 秀 君  皆 川 雄 二 君          小 林 一 大 君  冨 樫 一 成 君  楡 井 辰 雄 君  小 島   隆 君          佐 藤   純 君  桜 井 甚 一 君  岩 村 良 一 君  沢 野   修 君          尾 身 孝 昭 君  柄 沢 正 三 君  小 野 峯 生 君  帆 苅 謙 治 君          渡 辺 惇 夫 君  石 井   修 君  星 野 伊佐夫 君  樋 口 秀 敏 君          小 島   晋 君  池 田 千賀子 君  高 倉   栄 君  上 杉 知 之 君          大 渕   健 君  長 部   登 君  小 山 芳 元 君  小 泉   勝 君          杉 井   旬 君  重 川 隆 広 君  秋 山 三枝子 君  片 野   猛 君          市 村 浩 二 君  安 沢 峰 子 君  遠 藤 玲 子 君  青 木 太一郎 君          佐 藤 浩 雄 君  小 島 義 徳 君  佐 藤 久 雄 君  渡 辺 和 光 君          飯 野   晋 君議員以外の出席者  知事           花角 英世 君  副知事          佐久間 豊 君  副知事          米澤 朋通 君  知事政策局長       小岩 徹郎 君  総務管理部長       森永 正幸 君  県民生活・環境部長    村山 雅彦 君  防災局長         熊倉  健 君  福祉保健部長       松本 晴樹 君  産業労働部長       佐野 哲郎 君  観光局長         妹尾 浩志 君  農林水産部長       小幡 浩之 君  農地部長         登り 俊也 君  土木部長         金子 法泰 君  交通政策局長       佐瀬 浩市 君  会計管理者兼出納局長   綱島 知子 君  病院局長         藤山 育郎 君  企業局長         桑原 勝史 君  教育長          稲荷 善之 君  人事委員会事務局長    川上 克也 君  警察本部長        村田 達哉 君  労働委員会事務局長    須貝 幸子 君  監査委員事務局長     山田富美子 君   ――――――――☆―――――――― △午前10時開議 ○議長(桜井甚一君) これより本日の会議を開きます。   ――――――――☆―――――――― △日程第1 請願第2号 △日程第2 陳情第2号から第10号まで ○議長(桜井甚一君) 日程第1、請願第2号及び日程第2、陳情第2号から第10号までを一括して議題といたします。 お諮りいたします。 請願第2号及び陳情第2号から第10号までは、審査のため、諸君のお手元に配付の請願・陳情文書表のとおり、各部門の常任委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(桜井甚一君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔請願・陳情文書表は付録に掲載〕   ――――――――☆―――――――― △日程第3 県政に対する一般質問 ○議長(桜井甚一君) 日程第3、県政に対する一般質問を行います。 順次、発言を許します。 まず、桜庭節子君の発言を許します。桜庭節子君。   〔桜庭節子君登壇〕(拍手) ◆桜庭節子君 おはようございます。自由民主党の桜庭節子でございます。 新型コロナウイルス感染症を体験しました日本社会では、今までの大都市一極集中の在り方を考え直す動きが広がっており、特に我が県におきましては、県の特色を捉まえ、若い方々の働き方の変化に対応して、移住・定住の様々な施策が展開されております。 また、昨年度末には「黄金(こがね)」と「白銀(しろがね)」で酔わせる新潟と題した、県の観光立県推進行動計画が策定されました。とても関心を持って期待しているところでございますが、1点この中に気になる部分がありました。それは、新潟県民は新潟県に深い愛着を感じているけれども、そういう人が多いけれども、新潟の魅力を発信している人が少ないというくだりです。 言い換えれば、新潟県民は自分たちの持っている魅力を十分に認識していない、もしくは自信を持っていないということの表れではないでしょうか。 どうしたら自信を持つことができるのか。本日は、新潟県の美しい自然環境と豊かな食の文化を土台として、県の観光立県の推進施策、そして移住・定住人口の拡大施策について質問させていただきます。 まずは、新潟県の森林活用について伺います。 国は、森林環境譲与税を導入して、地球温暖化防止や災害防止、国土保全などを目的とした森林整備を進めております。本県でもこの税を活用した森林の整備が進められているところでありますが、この目標を達成するためには、林業に携わる人材の確保は待ったなしで行われなくてはなりません。 森林技術員の育成など、今後の新潟県林業の人材確保の方針に関して知事の所見をお聞きします。 豊かな森林環境を移住の売りにしている県といえば、北海道や長野県がすぐに思い浮かびますが、移住を希望する人たちに人気の高い新潟県も同様の美しい森林環境が山間部を中心に存在いたします。 森林環境整備事業を活用して、幼児には深呼吸できる健康的な子育て環境としての山保育を、児童生徒には様々な自然体験活動や森林ジムナスティックでの体育を、学生には森林を生かした環境教育や就業体験を提供するといった、森林を生かした体験型教育は、若い世代が持つ健康志向や自然回帰志向にもマッチして、移住促進の一つのアピールポイントとなると考えますが、知事の所見を伺います。 本県の豊かな自然環境を未来に引き継いでいくためには、県民が様々な体験を通して森林の持つ価値や機能を理解し、さらにはそのすばらしさを実際に体感してもらうことがとても重要だと感じます。児童生徒に限らず、その保護者や地域住民まで含めた幅広い県民が、森づくりなどの体験活動に参加できるようにするための県の働きかけや支援について伺います。 本県の森林をはじめとする自然環境は、都心の大学やクラブなどのスポーツ等の合宿誘致においてもアピールポイントとなると考えますが、その一方では、他県でも同様に自然環境を売りにした誘致が行われていると考えます。合宿等の誘致において他県との差別化を図るために、どのようにして本県の自然環境をPRするのか、知事の所見を伺います。 私たちの身の回りにも林業に携わりながら移住・定住する人たちが増えていると聞きます。生計が立てられさえすれば、農業や林業を営みながら自然と触れ合って心豊かに生活したい人は世の中に多く存在するということだと思います。 こうした動きを大きなものとするためには、本業の木の伐採でもうけられる林業者を増やしていくことが重要であり、国産材、県産材の利用促進は不可欠の課題であります。 今定例会でも多数の議員が質問されていますし、国会でも先日、衆参両院の農林水産委員会において、公共建築物等木材利用促進法改正案が可決され、対象が公共建築物から建築物一般に拡大されたと聞きます。 人口減により県内の新設住宅が減少する中での県産材の利用促進は容易ではないでしょうが、昨今のウッドショックの影響を受ける我が国の現状に鑑み、これを機会と捉えて、川上から川下まで連携した取組が必要と考えます。県産材の利用促進に向けた課題と県の対応について伺います。 県内には造られてから長い年月が経過している林道が多く存在しますが、過去の委員会等での質問には、本県の林道は着実に整備が進んでいるという答弁でした。しかし、市町村の林道には拡幅改修や待機場所の設置が急務のものが多く残っていると聞いています。市町村林道を含めた県下の林道の整備状況についての所見と今後の整備の方針をお伺いします。 小規模木質バイオマス発電は、間伐材や廃材を有効活用でき、林業者も収入を得られることから、森林整備を進める上で有用な施設であります。新たな雇用の創出やエネルギーの地産地消にもつながり、さらには発電時の排熱も活用できるなど、地域のメリットも大きいものと考えます。 しかし、現状では、例えば上越地域には小規模木質バイオマス発電がなく、林業者は間伐材を粉砕して長岡まで運んでおります。輸送コストがかかり、せめて上・中・下越それぞれに1か所か2か所、木質バイオマス発電があると助かるという声を聞きます。電力会社との連携も可能かもしれません。 県としても林業者の収入安定に向けて、小規模木質バイオマス発電所の設置を後押ししてはどうかと考えますが、知事の所見を伺います。 近年、女性を対象にした森林や自然環境のビジネスが盛んになってきています。自然素材を使った染物などは高額でも売れるファッションであり、森林には今まで関心がなかった方々にも興味を持っていただける機会になっていると感じます。 このほかにもコケを使ったアート、森で取れる自然食品を使った安全なお菓子作りなどが若い女性の間でも人気になっております。 県でも女性に訴求するような森林の魅力発信を検討するべきと考えますが、知事の所見を伺います。 また、本県の林業においても女性の活躍を推進すべきと考えますが、県下の森林組合等の林業における女性の就労の現状と支援策についてお聞かせください。 次に、農業について伺います。 健康をキーワードにした農家民宿・農家体験が世間の関心を集めており、本県でも地域おこし協力隊OBやU・Iターン移住者の方などを中心に中山間地域で農家民宿を営んでおられます。 しかし、ほとんどの場合、民宿や体験事業の収入だけでは生計を立てるに十分ではなく、豚や鶏、アヒルなどの家畜を飼ったり、近隣農家の農作業のお手伝いや、冬になれば除雪作業のアルバイトもしてというふうに、収入を得るために苦労していらっしゃると聞きます。 県内の農家民宿の現状に対する県の認識と対応について伺います。 県外から移住し、農家民宿を営む方々の中には、様々な副業をしながらも、それを田舎暮らしの楽しさとして捉えて、毎日の生活の中で、地元の私たちにとっては慣れて当たり前になってしまっている風景、あるいは物や生活様式の中に新しい価値を発見し、それらを外部へ精力的に発信してくれています。 私たち新潟県民にとっては大変ありがたい強い味方だと感じます。 また、移住・定住者のネットワークをつくろうとしている方もいると聞きますが、県は移住促進に向けて、そうした移住・定住者のネットワークづくりに積極的に関わると同時に、県としての情報発信に活用していくべきと考えますが、所見を伺います。 これらの農家民宿は空き家を購入して改修する場合も多く、購入者の皆さんはそれぞれの自治体が持つ支援策をフルに活用した上で、不足分をクラウドファンディング等で補う努力をされています。 しかし、資金不足で取り組めない人も多くいるのではないと考えると、当県議会でも以前から提案されている空き家の活用促進を含め、農家民宿の開業をしやすくする取組が必要と考えますが、所見を伺います。 次に、米の活用に関しての質問に移ります。 米を基本とした食文化圏で暮らす人々の体には、健康維持に大切なアミラーゼ遺伝子が多く存在し、米はパンや小麦粉使用の麺類に比べたら血糖値を上げにくく、必須アミノ酸を多く含む健康食品だということを過去の定例会でも述べました。 また、米を中心とした日本食は世界の健康食として認知されつつあると聞きます。日本食の調味料は主に発酵食品であり、副菜も魚や豆類、海藻類などとても健康的なものが多いのです。 さらに、米を食べることでそしゃく量が増えて、健康を維持しやすくなると多くの歯科医の先生が主張しておられます。 こんなすばらしい米を主食とした食生活が現代の日本社会では廃れていくという危機に瀕しています。 先日、新潟県埋蔵文化財センターで「新潟の米の歴史」という展示を見てきましたが、そこでは日本という国は米を作ることで発展してきたと言えるような、米作りそのものが日本文化をつくり上げてきたということを強く感じてまいりました。 社会が豊かになった現代こそ、もう一度原点に立ち返って米を見直すときではないでしょうか。米作りの元祖として自負してもよい、おいしいお米の生産地、新潟県の誇りにかけて、日本の文化である米を衰退させてはいけません。 専門的な知識を基に健康的な食生活や、おいしい県産農産物の調理法などの普及発信に関して、お米マイスターや野菜ソムリエなどを活用して、健康的な食文化をスタイリッシュに発信してはどうかと考えますが、所見を伺います。 さらにまた、近年健康志向で玄米食が注目されています。特に肥満が社会問題までに進んだ欧米社会では、一部の富裕層を中心に玄米食がブームとなっております。 米作りの元祖と言ってもいい新潟県で、玄米の炊飯に適したおいしいお米の開発や、炊飯器メーカーとタイアップした玄米食レシピの作成といった取組も、国外における新潟米のブランド化や販売拡大につながると考えますが、所見を伺います。 米を使ったお菓子、米菓の日本における売上高ランキングでは、亀田製菓、三幸製菓、岩塚製菓と県内菓子メーカーが上位を独占しております。新潟米を使用した健康をキーワードとする米菓の開発を促すことで、県内企業と連携した新潟米のPRや消費拡大につなげてはどうかと考えますが、所見を伺います。 このように米は日本の文化でありますが、これを生み出すのは日本の田園です。段々に並んだ棚田が月を映す姿などは日本を代表する美しさであり、一たび失われてしまえば簡単には取り戻せない貴重な風景でもあります。 本県の棚田の継承に向けては、多くの方々から棚田の価値を認識してもらい、保全活動に参加してもらうことが重要と考えます。県では、地域外住民と行う保全活動への補助や、企業やボランティアと地域のマッチングに取り組んでおられますが、十日町の大地の芸術祭のように、海外からの参加者も多く訪れるイベントと連携した体験保全活動も有効ではないでしょうか。 たくさんの方々から棚田の保全に関わってもらうための県の対応についてお聞かせください。 県産農産物輸出拡大に当たっては、県産農産物のブランドイメージの構築とイメージに合った訴求が重要となってまいります。輸出拡大に向けた県の戦略的な取組方針を伺います。 また、新型コロナウイルス影響下での令和2年度の県産農産物の輸出の現状を伺います。 質問の第2項目めに移ります。 今冬の豪雪被害は大変なものでした。皆様もよく御存じのように、上越地域では短期間に大量の雪が降り続け、交通機関は完全に麻痺し、農家などではハウスが倒壊するという被害がありました。 雪が降り終わりまして、私も楡井県議からお尻をたたかれ、現地に行って調査してこいということで、農家の調査に回らせていただきました。たくさんの倒壊したハウスを目の当たりにした次第でございます。 幸い、地元国会議員の働きもありまして、早めの国の災害認定を受けることができ、事業者も農家の皆さんもほっとした次第であります。 しかし、この豪雪被害は春になってもまだ続きました。中山間地域のような地滑り地帯では、春になりますと、こうした豪雪の雪が雪解けで田畑が抜けるという状況が起きます。雪の重みで田んぼのあぜなどが抜けてしまうわけです。復旧には時間もかかりますし、作付に大きな影響を受けた地域がありました。 私は、この抜けた田んぼの前に立ち、本当に悔しくて悲しい思いでいっぱいでした。じいちゃん、ばあちゃんが一生懸命守ってきた田んぼ、たった一冬の雪で無残にぼろぼろになってしまった。復旧には時間もかかるし、莫大なお金をここに投入しないと直らない。雪は結局ここで暮らす私たちにとって邪魔者でしかないのだろうか。害でしかないのだろうか。 果たして本当にそうなのでしょうか。雪は、ここで暮らす農家が1年間の農作業に必要な水を上手にためてくれます。害虫や野生鳥獣の被害の発生を防いでくれます。また、雪は零度以下には下がらない特質がありますので、大地に眠りながら春を待っている多くの命を、冬の寒気から守る働きもしてくれます。自然のサーモメーター付保存庫であるわけです。この雪を活用しないという手はありません。 今回、雪室の視察のために魚沼地域を訪ねさせていただきました。雪室には、食品などをそこに保存し、適度な温度と湿度を保つことで食味を落とさないという働きがあります。JA北魚沼雪室ライスセンターの職員は、いつ食べても新米と同じくおいしいのですよと太鼓判を押してくださいました。 また、長期間保存することで熟成させて食味を増すという保存方法も実証されております。日本ワインの父と呼ばれた川上善兵衛翁の岩の原ワイナリーでは、長年そのような雪室貯蔵でおいしいワインを作り出してまいりました。 さらに、近年では雪冷熱の活用という方法が研究されていると聞きます。 本日は、雪と暮らす新潟県の新しい利雪について質問させていただきます。 1点目は、先般、国土交通省が本県企業の雪室倉庫を、倉庫業法に基づく営業倉庫として全国で初めて登録しました。雪冷熱式倉庫はこれまで営業用倉庫としては認められていなかったわけですが、本県の積極的な働きかけで対象となったと聞いています。 改めて今回、国土交通省が登録するに至った経緯と、この倉庫が営業倉庫として登録されることによる事業者のメリット、それに対する県の期待について伺います。 雪国の農家は、春の代かき前までに、冬の間降った雪を解かさなくてはならないとして、重機を田んぼに入れて雪割りをするわけですが、この邪魔な雪を使って冷熱エネルギーとして活用することができます。 今回、田んぼの端に雪を積み、もみ殻などでカバーした簡易雪室の冷熱を使い、ハウスの中は一年中まるで秋のような気温で、電気代をかなりの額節約しているよと語ってくださったキノコ農家を視察いたしました。 雪冷熱の使用を可能にするため、4棟あったキノコハウスへの初期投資が必要であり、毎年の雪室づくりの費用がかかるそうですが、2年もしたら採算が取れたということでした。そのキノコ農家は、何よりも害だけでしかないと思っていた雪がもうけに転じたことに驚きとうれしさを感じておられました。 地味ではありますが、こうした雪冷熱の農業における活用の可能性についての所見と県の活用に向けた取組について伺います。 雪は、本県の地域資源として様々な分野での活用が期待されます。例えば魚沼地域では、地元の酒造メーカーが雪室の持つ保存力、付加価値を魚沼の自然や食の歴史と結びつけて紹介しています。総合的に食のイメージが高くなり、企業イメージもアップしていると強く感じました。 現在、様々な食品の雪冷熱による貯蔵効果が研究されていますが、新しい付加価値が次々と検証されており、その力は世界の食品業界を驚かす可能性を秘めていると感じます。聞くところによりますと、南魚沼市長も雪室活用には積極的だということですが、こうした取組を発展させ、ガストロノミーと健康食の融合した世界で初の雪室をテーマにする一大食文化基地、スノーバレー魚沼として売り出すことも可能だと私は考えます。 また、上越地域には赤倉温泉、松之山温泉があるなど、新潟県内には多くの温泉が存在しています。この温泉の隣に雪室を設置したと考えます。雪室の中は年中低温多湿なわけですので、ここでプロインストラクターの呼吸指導でアイスヨガをやり、次に隣接した温泉に入るというような雪室温泉スパを開設し、そこで雪室食品を使った健康でおいしい食事をサービスすれば、まさに世界初の雪室健康温泉スパということになり、可能性はあるのではないでしょうか。 脱炭素化に向け、また地域資源を活用した新潟らしいビジネスの振興として、雪を活用した地域づくりの可能性について所見をお伺いします。 県内企業の雪室を活用した食品開発を、県も積極的に支援していくべきと考えます。農業総合研究所における民間企業と連携した研究の状況を伺います。 また、研究の成果を活用して雪室ブランドとしてブランド化できれば、県内企業の活用意欲を引き出せるものと考えますが、所見を伺います。 最後に、県政の諸課題についてお尋ねいたします。 新潟県における特用林産物の代表は何といってもキノコです。全国総生産の6割を新潟県産が占めるマイタケをはじめとして、シイタケ、エノキダケ、ナメコ、シメジなど、スーパーにはどれもおいしそうな県産キノコが並んでいます。安心・安全な地元の食材が新潟県民の健康を守っていてくれることを実感しております。 ところが、こうしたキノコ生産現場に影を落としているものが中国産の菌床です。千葉県などに船便で届いた時点では菌床であるものが、日本のハウスで発芽・栽培されると、千葉県産キノコと表示されて出荷されているということです。 中国から輸入されるものは、筒状になってプラスチックで覆われており、菌棒と呼ばれるそうですが、その輸入量は毎年増加の一途であり、2019年は国内生シイタケ生産量の約14%が中国産菌床から作られたものであり、2020年はさらに増加するだろうと言われています。 消費者庁の指導では、採取地、栽培方法と併せて種菌を植え付けた場所も記載することが望ましいとしており、努力義務でしかないのが現状であります。国内生産者側は、対抗策として国産菌床マークを開発してパッケージに記載するようにしていますが、一般消費者の目には分かりづらいのが現状です。生産者にとっては値崩れの不安があり、消費者である国民にとっても食の安全・安心の面から表示の改善が求められます。 県ではこの輸入菌床の現状に対してどう認識しておられるのかを伺いますとともに、今後の対応策として、菌床原産地表記の義務化を実現すべき旨を、新潟県から国へ強く要望するべきと考えますが、所見を伺います。 数年前に新幹線で隣にいたインバウンド旅行客に何日間滞在でどこに行くのかを尋ねたところ、2週間で中山道を歩くのだよ、あなた日本人だよね、中山道を歩いたことあるかと聞かれ、目が点になったことを覚えております。海外からの旅行通というのはもうここまで来ているのだと感心いたしました。 点在する観光の魅力を線にしてつなぐということは、観光客が長時間地域にとどまり、地域を巡る可能性を広げることにつながります。 新潟県では、上越高田のみそのまちや村上の塩引きサケ、県内各地の酒蔵などを結んだ発酵食街道が考えられます。 また、果物産出量全国ランキングを調べると、新潟県はシャインマスカットなどブドウが13位、ルレクチエ3位、スイカ5位、渋柿3位、桃7位、梨7位となかなかの好成績で、産地は主に下越地方に集中しています。摘み取り体験のできる農園を基軸にして、直売所や果物を使ったカフェ・レストランを巡る旅は、果物の宝石街道と名のってもよいのではないでしょうか。 ほかにも中山間地域では山菜街道、新潟県の民話を集めれば、おとぎの国の街道が生まれます。 こうした街道を使った広域的な観光地づくりについて、県観光局の所見をお聞かせください。 民間では既に、にいがた庭園街道があります。村上・新発田から下越地域に名家・旧家と呼ばれる歴史的な建物が点在しておるものを連携させ、新潟自慢の食を盛り込んだ魅力的な商品に仕上がっていると思います。 また、上越市では先日、上越名家ネットワークが誕生し、名家の公開事業などを企画されています。 そこで、こうした歴史・文化を生かした地域の取組を、県の新潟発!縄文からつづく文化の魅力体験・発信事業などで後押しできないでしょうか、所見を伺います。 過去の定例会におけるサイクリングをコンテンツとした観光誘客についての質問に対し、県からはサイクリスト受入れのための環境整備へ支援する旨の答弁がありました。自転車のツーリングロードに休憩所やカフェなどの関連施設が一体的に整備されると、利便性やコンテンツとしての魅力が高まり、誘客拡大につながるものと考えますが、県の取組を伺います。 このように、我が県は観光コンテンツとしての魅力的な可能性の高い素材が多く、どれを前面に出すのか決められないというぜいたくな悩みを持つ県です。しかし、裏を返せば、決め手に欠けることで訴求力の高い観光プランが立てにくいことにもつながっているように思います。 本県のインバウンドを含む観光施策に新たな風を入れるため、県外の専門家からアドバイスをもらうなどして、県全体の観光のブランディングを練り上げていってはどうかと考えますが、知事の所見をお聞かせください。 以上3項目にわたり質問いたしました。御清聴ありがとうございます。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 桜庭議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、林業人材確保の方針についてでありますが、本県の豊富な森林資源を活用した林業の成長産業化と、森林の適正な維持管理による公益的機能の発揮を実現するためには、その担い手である森林技術員の確保が重要であると認識しています。 県といたしましては、新潟県林業労働力確保基本計画において、林業労働力の確保を図るため、林業事業体の経営基盤の強化と、雇用条件の改善を一体的に取り組む方針を示しております。 この方針に基づき、林業事業体間の連携により、経営基盤の強化を図るとともに、通年雇用化など雇用条件の改善を進めることで、林業労働力の確保につなげてまいりたいと考えております。 次に、本県の森林環境の魅力を活用した移住促進についてでありますが、移住者獲得に向けた取組が全国的に活発化している中、移住先として選んでもらうためには、地域の強みや財産を活用した選ばれる地域づくりを進めていくことが重要になっています。 議員御指摘のとおり、本県には豊かな森林環境があることから、森林を活用した体験型教育をはじめ、自然を身近に感じながら暮らすことのできる環境も、PRすべき大きな魅力の一つであると考えています。 県といたしましては、森林資源を生かした取組を促進するとともに、本県の多様なライフスタイルの魅力を移住促進の中で効果的に発信していきたいと考えています。 次に、自然環境を生かしたスポーツ等の合宿誘致についてでありますが、県内においては、準高地の冷涼な練習環境を求めて、首都圏の大学の駅伝チームなどが継続的に合宿を行っており、議員御指摘のとおり、本県の豊かな自然環境は、スポーツ等の合宿を誘致する上で、アピールポイントになるものと考えています。 一方、本県が合宿地として選ばれるためには、自然環境のよさに加え、首都圏からの交通の利便性や、食・温泉などの本県の魅力も一体的にPRしていくことが重要と考えています。 県といたしましては、今年度、市町村やスポーツ団体、観光関係者を対象に、地域の特色を生かした合宿誘致の先進事例セミナーを開催することとしており、こうした取組を通じて、スポーツ合宿等のさらなる誘致を図ってまいりたいと思います。 次に、県産材の利用促進に向けた課題と対応についてでありますが、県内の木造住宅着工数が長期的に減少傾向にある中で、県産材の利用を促進するためには、住宅での県産材利用のシェアを高めることが必要であると考えています。 このため、住宅建設における県産材利用の普及啓発により需要拡大を図るとともに、製材コストの低減などを支援することで、価格競争力のある県産材製品の供給拡大に取り組んでいるところです。 県といたしましては、こうした取組をさらに推進するとともに、ウッドショックによる県産材へのニーズの高まりを契機に、川上から川下までのそれぞれの事業体が連携できる関係構築に向け、意欲ある事業体同士のマッチングなどを推進し、県産材の生産・供給能力を高めてまいりたいと考えております。 次に、小規模木質バイオマス発電所の設置についてでありますが、議員御指摘のとおり、小規模木質バイオマス発電所は、間伐材等の有効活用のみならず、エネルギー自給率の向上や、新たな雇用の創出などにも資するものと認識しています。 県内では、現在、2か所の木質バイオマス発電所が稼働しているほか、新たな小規模木質バイオマス発電所の稼働も予定されておりますが、県内で生産している発電用燃料は、既に稼働している発電所が調達を期待している量の半分にも満たない状況です。 今後、バイオマス発電所が期待する発電用燃料を安定的に供給していくためには、木材の生産量を増やしていく必要があることから、県といたしましては、関係者と一体となって間伐材等を余すことなく搬出する森林資源のフル活用をさらに進めるとともに、木質バイオマス発電事業への新規参入や事業化に向けた調査などを支援してまいります。 次に、女性に訴求するような森林の魅力発信についてでありますが、女性を含め幅広く県民から森林の魅力を感じていただくためには、様々な体験や活動を通じ、五感で森林に触れることが有効であると認識しています。県内でも観光や健康、教育等を目的として森林空間を利用する動きが広がっており、県民の森などでNPO等が行う森林セラピーなどの体験プログラムには多くの女性が参加しております。 県といたしましては、NPO等と連携をして体験プログラムの充実に努めるとともに、引き続き、女性も含め幅広く県民にその情報を提供し、参加を呼びかけることで、森林の魅力を発信してまいりたいと考えております。 なお、林業における女性の就労の現状と支援策については、農林水産部長からお答えいたします。 次に、移住者を活用した情報発信についてでありますが、議員御指摘のとおり、本県への移住を促進するためには、先輩移住者の体験談など新潟の暮らしをイメージできる情報の発信とともに、移住後の定着をサポートするための地域の移住者ネットワークやコミュニティーの構築が重要であると考えています。 県といたしましては、移住者目線で感じる本県の多様な魅力を、ウェブやイベント等の場で発信するよう努めるとともに、市町村とも連携しながら、地域における移住・定住者のネットワーク構築に取り組むことにより、本県への移住・定住につなげてまいりたいと考えています。 次に、県産農産物の輸出拡大に向けた取組についてでありますが、議員御指摘のとおり、輸出先においても、県産農産物のブランドイメージの構築は、国内外の農産物との競争に打ち勝つ上で重要であると考えています。 このため、県産農産物そのものが安全・安心で高品質であることと併せ、新潟県全体の知名度を高め、上質な食の宝庫という産地イメージの形成につながるよう、効果的に訴求してまいりたいと考えています。 また、今年度中に、県産農産物のさらなる輸出拡大に向け、生産者や輸出事業者など関係者と一体となって、本県の輸出戦略の見直しを行ってまいります。 なお、令和2年度の県産農産物の輸出の状況につきましては、農林水産部長からお答えいたします。 次に、雪と暮らす新潟県の新たな利雪についてお答えします。 農業における雪冷熱の活用についてでありますが、雪冷熱は、雪中貯蔵での鮮度保持による出荷期間の延長や、集出荷貯蔵施設の冷房などに活用されており、積雪の多い本県の特性を生かした、環境負荷の軽減にもつながる取組であることから、付加価値向上などにより収益性を高め、投資に見合った所得を確保することで、今後も利用拡大が期待できると考えています。 県といたしましては、これまでも、雪を活用して付加価値を高めた商品の開発や販路の開拓、施設整備などを支援してきたところであり、今後とも、カーボンニュートラルの観点からも、雪冷熱の活用を積極的に推進してまいりたいと考えています。 次に、県政の諸課題についてお答えします。 まず、キノコの菌床の製造地表示に関する輸入菌床問題についてでありますが、国産・外国産を問わず菌床の製造地が商品に表示されることは、消費者にとって、より多くの情報で食品選択が可能になるとともに、生産者にとっても、産地に対する消費者の関心が高まり、商品価値の向上につなげられるものと認識しております。 このため、国と連携をし、菌床の製造地表示を生産者に働きかけてまいりたいと思います。 また、表示の義務化については、様々なコストが発生することも想定されるため、広く生産者や関係団体などの意向を確認し、国への働きかけを検討してまいりたいと考えています。 次に、本県観光のブランドづくりについてでありますが、議員御指摘のとおり、観光客に対する訴求力を高める上で、外部の方の視点を取り入れたブランディングは非常に重要であると認識しております。 このため、議員から御紹介いただきましたが、県では、本年3月に策定した新潟県観光立県推進行動計画の検討過程において、県内外の有識者の方々から御助言を頂きながら、稲穂や雪など本県が世界に誇る地域資源の魅力を象徴的に表現をした「黄金(こがね)」と「白銀(しろがね)」で酔わせる新潟を本県観光の目指すべきビジョンとして掲げたところです。 県といたしましては、このビジョンの下、引き続き、有識者の方々からアドバイスを頂きながら、美食旅、ガストロノミー、スノーリゾート、産業観光などの魅力を本県の強みとして、これまで以上に強く国内外に発信するなど、全国から、そして世界から人々が訪れる地域へ、オール新潟で取り組んでまいりたいと思います。   〔知事政策局長小岩徹郎君登壇〕 ◎知事政策局長(小岩徹郎君) 2点お答え申し上げます。 県内雪室倉庫が営業倉庫として登録された経緯等についてでありますが、このたびの登録は、平成30年12月に事業者からの相談を受け、県から国土交通省に対して、雪室倉庫が倉庫業法上の営業倉庫として登録可能となるよう要望を行った結果、昨年2月に倉庫業法の運用方針が改正され、実現に至ったものです。 雪室倉庫の登録事業者にとっては、雪室を活用して付加価値の高い商品を提供しようとする顧客を新たに獲得することが可能となることに加え、再生可能エネルギー活用による企業イメージの向上にも寄与するものと認識しております。 県といたしましては、雪の地域資源としての活用の幅が広がり、雪国の魅力発信にもつながるものと受け止めており、今後より一層普及が進むことを期待しております。 次に、雪を地域資源として活用した地域づくりについてでありますが、議員御指摘のとおり、魚沼地域には雪室体験や雪室貯蔵した酒、食料品等を購入できる複合施設があり、毎年多くの観光客が訪れております。 また、上越地域においては、食品関連企業が中心となり、雪室を活用した商品や食材を特産品に成長させ、雪室や上越地域の魅力を県内外のイベントで発信する、雪室推進プロジェクトが進められているところです。 県といたしましては、地域において様々なアイデアや挑戦が生まれ、雪を地域資源として活用した地域づくりが進むことで、雪国の魅力発信や交流人口の増加につながるものと期待しており、市町村と力を合わせ、地域の実情に応じた取組を支援してまいります。   〔県民生活・環境部長村山雅彦君登壇〕 ◎県民生活・環境部長(村山雅彦君) お答えいたします。 歴史・文化を生かした地域の取組への後押しについてでありますが、本県には、豪農・豪商が残した歴史的建造物や日本庭園が数多く存在しており、議員御指摘のとおり、県内各地でこれらを生かした地域の取組が進められております。 県では、令和元年度に開催された国民文化祭や、昨年度から実施している、新潟発!縄文からつづく文化の魅力体験・発信事業において、お屋敷・庭園巡りや文化体験のツアーなどを行うとともに、新潟県文化祭2020では、上越市の名家の魅力を紹介する動画などを配信したところです。 今後も引き続き、これらの事業などでその魅力を国内外に発信することにより、歴史・文化を生かした地域の取組を後押ししてまいりたいと考えております。   〔観光局長妹尾浩志君登壇〕 ◎観光局長(妹尾浩志君) 2点についてお答えいたします。 街道を活用した広域的な観光地づくりについてでありますが、議員御指摘のとおり、各地に点在する観光資源や魅力をテーマに沿って結び、広域的な観光資源として磨き上げ、発信していくことで、観光客の滞在時間の延長や観光消費額の向上につながるものと考えております。 県では、これまでに、県北地域を中心とした、にいがた庭園街道や、上越地域のサイクルツーリズムの取組などを支援してまいりました。また、昨年までのデスティネーションキャンペーンを契機として、美食旅、ガストロノミーをテーマに広域的な観光地づくりに取り組んできたところであります。 引き続き、地域それぞれの観光資源をテーマに沿って組み合わせることで魅力を高め、本県観光を牽引する観光コンテンツづくりに取り組んでまいります。 次に、サイクリングをコンテンツとした観光誘客についてでありますが、休息所などの関連施設の整備につきましては、これまでも、上越・糸魚川地域等において、サイクリングロード沿いの既存施設にサイクルラック等を設置し、サイクルステーションとする取組などへの支援を行ってきたところです。 引き続き、案内パネルの設置等への支援により、サイクリストの利便性を高めるとともに、誘客の拡大に向け、スタンプラリーの実施や、インフルエンサーを活用した動画配信等のプロモーション、サイクリストの宿泊につながるプランの造成への支援を行うこととしており、サイクリングをコンテンツとした観光誘客の取組を進めてまいります。   〔農林水産部長小幡浩之君登壇〕 ◎農林水産部長(小幡浩之君) 10点についてお答えします。 森づくり等の体験活動への参加についてでありますが、議員御指摘のとおり、かけがえのない財産である緑豊かな森林を次の世代に引き継いでいくためには、幅広い県民に森林の重要性を理解していただくことが必要であり、それには、森林における活動で得られる様々な体験が有効であると認識しております。 県では、市町村や学校、公益社団法人にいがた緑の百年物語緑化推進委員会などと連携し、緑の少年団による緑を守り育てる活動や、地域住民や企業等による植樹・育林活動などを支援しているところであり、引き続き幅広く県民に参加を呼びかけてまいりたいと考えております。 次に、県内の林道の整備状況と今後の整備方針についてでありますが、県では、市町村や林業事業体などの要望を受け、国庫補助事業の活用などにより、全国平均並みの林道密度まで整備を進めてまいりました。 しかしながら、県内の林道においては、幅員が狭く、林業機械の搬送や木材運搬用の大型車両等の通行に支障が生じている場合があり、拡幅や待避場所の設置などの改修が必要な箇所もあるものと認識しております。 県といたしましては、利用状況や走行時の安全性などを踏まえ、整備の優先度を考慮しながら、林道の拡幅や待避場所の設置などの機能強化を進めてまいります。 次に、林業における女性の就労の現状と支援策についてでありますが、林業の職場において、女性も含め就労を希望する誰もが働きやすい環境を整備することは、林業の担い手を確保する上で重要であると考えております。 県内の森林技術員のうち、女性の占める割合は約1%と低く、林業の仕事が他産業と比べ、体力を必要とする危険を伴う業務が多いことや、トイレや休憩施設などが不十分であることが一因であると認識しております。 県といたしましては、女性を含め誰もが安心して林業に就業し、働きやすい環境で仕事が続けられるよう、引き続き、林業機械の導入や衛生施設の整備などを支援し、就労環境の改善に取り組んでまいります。 次に、農家民宿の現状と県の対応についてでありますが、農家民宿を営む方の多くは、農業や地域の除雪など、様々な仕事に携わることで通年の収入を得ておりますが、都市と農村の交流人口の拡大を通じて地域の活性化に寄与している農家民宿の取組を継続していただくためには、誘客拡大による一層の収入確保が必要であると考えております。 県といたしましては、引き続き、個々の農家民宿の特徴や提供可能な体験メニューなどの情報をホームページやSNS等で発信してまいります。 あわせて、教育体験旅行やワーケーションなどの地域としての受入れに向け、農泊推進団体と学校や旅行会社とのマッチングを支援するなど、誘客拡大につなげてまいりたいと考えております。 次に、農家民宿の開業に対する取組についてでありますが、農家民宿の開業に当たっては、施設改修などの初期投資のほか、利用者確保などの課題もあるため、資金調達も含め、事業の継続性を見通した計画の策定や、地域全体で誘客に取り組む体制づくりが重要であると考えております。 このため、県といたしましては、地域振興局の農家民宿総合相談窓口において、参考となる先行事例の紹介や、市町村と連携して空き家情報などを提供するとともに、開業計画の策定や許認可手続に関する助言などにより、引き続き、円滑な開業を支援してまいります。 また、農泊推進団体に対する古民家改修等への支援策の紹介や、受入れプログラムの策定支援などにより、地域ぐるみの誘客拡大に向けた取組をサポートしてまいります。 次に、健康的な米を主食とした食生活の発信についてでありますが、主食用米の需要量は人口減少等を背景に一貫して減少傾向にあることから、県では、県内の小売店や飲食店と共に新潟米消費拡大キャンペーンの展開や、栄養士会、調理師会等と連携しながら、御飯食を中心とした日本型食生活の普及啓発に取り組んでおります。 御飯を主食に主菜・副菜等が組み合わされたバランスの取れた和食は健康志向に応えるものであり、議員御提案のお米マイスターや野菜ソムリエなども含め、食材や調理法等に知見を持った専門家の協力を頂きながら、健康的な食生活の発信に努めてまいりたいと考えております。 次に、玄米食に着目した国外における新潟米のブランド化や販売拡大についてでありますが、県内事業者で、健康意識の高い消費者向けに玄米食用の米を輸出している実績はありますが、輸出量は拡大しておらず、流通事業者等からは海外での玄米食ニーズは現段階では限定的と伺っております。 県といたしましては、まずは、玄米食の海外におけるマーケットについて、その規模やニーズ等を、現地の実情に詳しい輸出事業者等から幅広く情報収集してまいりたいと考えております。 次に、県内企業と連携した新潟米のPRや消費拡大についてでありますが、議員御指摘のとおり、県内には全国的に有名な菓子メーカーをはじめ、米関連の企業が多く存在しており、その知名度や販売力を新潟米の消費拡大に生かす取組は効果的であると考えております。 県では、健康志向の高まり等の社会的ニーズを踏まえ、産学官連携の場である、新潟県新たな米産業創出技術研究会において、米の機能性に関する共同研究を進めるなど、県内企業と連携した商品開発に取り組んでいるところです。 県といたしましては、本県の強みである米関連産業の新たな可能性を広げ、新潟米のさらなるPRや消費拡大につなげられるよう、引き続き、県内企業と連携した商品開発に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、令和2年度の県産農産物の輸出の状況についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、多くの輸出先の市場環境や消費行動に変化を及ぼし、県産農産物の輸出の約9割を占める米の流通にも大きな影響を与えました。 米の輸出事業者等へのヒアリングによりますと、業務用需要が減少する一方、単価が比較的高い家庭用米の販売割合が増加するなどにより、販売量は減少したものの、販売額としては昨年度を上回ることができたと聞いております。 その結果、県産農産物の全体の輸出額は、前年比9%増の11億1,500万円と、9年連続で前年を上回る結果となっております。 次に、雪室活用による食品開発についてでありますが、農業総合研究所食品研究センターでは、県産農産物の雪室貯蔵に関するこれまでの研究成果を踏まえ、民間企業との共同研究により、雪室貯蔵の大豆を原料とする豆腐等の販売につなげたほか、現在、食肉加工品や菓子原料の雪室貯蔵に関する技術支援を行っております。 既に、県内企業において雪室ブランドとして関連商品の販売が始まっておりますが、さらに新たな商品開発の事例が増えれば、企業の雪室活用の意欲が一層高まるのではないかと考えております。 このため、県といたしましては、引き続き、新たな取組に意欲的な企業に対し、県の研究成果の提供や共同研究などの支援を積極的に行ってまいりたいと考えております。   〔農地部長登り俊也君登壇〕 ◎農地部長(登り俊也君) お答え申し上げます。 棚田保全に向けた取組についてでありますが、議員御指摘のとおり、棚田は農業生産に加え、県土の保全や美しい景観の形成などの多面的な機能を有しており、多くの方々がその価値を認識し、棚田の保全に関わっていただくことが重要であると考えております。 令和元年施行の棚田地域振興法に基づき指定された棚田地域では、多くの方々に棚田の価値を認識していただけるよう、大地の芸術祭との連携イベントをはじめ、棚田のライトアップ、自然触れ合いイベントなどに取り組むこととしております。 県といたしましては、これら地域の取組をホームページやSNSで積極的に情報発信するとともに、地域外の人々が保全活動を行う棚田みらい応援団を、これらイベント時にPRし、参加拡大を図るなど、多くの方々に棚田の保全に関わっていただくよう努めてまいります。 ○議長(桜井甚一君) 桜庭節子君の質問は終わりました。 次に、与口善之君の発言を許します。与口善之君。   〔与口善之君登壇〕(拍手) ◆与口善之君 おはようございます。自由民主党の与口善之です。それでは、通告に従いまして、一般質問をさせていただきます。 まず初めに、地域医療の諸課題について伺います。 本年4月、持続可能で質の高い医療を提供し続けるための新潟県地域医療構想の実現に向けた今後の方向性について報告がなされ、また人口減少に伴う医療ニーズの変化と3年後に迫った医師の働き方改革に対応する必要もあり、本県の将来的な医療体制のグランドデザイン、全体構想も県医療審議会で合意されました。 県央区域に続いて上越区域の国の重点支援区域への申請を県として検討する方向性も示すなど、今後は圏域ごとに病院の役割分担や具体的な医療再編の議論に進むことになります。 将来の医療提供体制の検討に当たっては、新型コロナウイルス感染症への対応の中で明らかになった課題や知見などを踏まえ、新たな感染症への対応を考慮する必要があります。 中長期的な視点と短期的な視点などを踏まえ、難しい調整が必要になると思われますが、新たな感染症への対応が地域医療構想にどのような影響を与えるのか、知事の所見を伺います。 公立・公的医療機関の再編・統合についての具体的対応方針の再検証については、都道府県から国への報告期限が延期され、改めて整理するとされていますが、再検証に当たっては、要請後の状況の変化を踏まえ、新型コロナウイルスへの対応で公立・公的病院が果たした役割や、新たな感染症への対応を考慮する必要があるのではないかと考えますが、所見を伺います。 また、再検証の議論は、十分に周知し、課題を整理し、疑問に答えるなどして、県民の理解を得た上で進めるべきではないかと考えますが、併せて所見を伺います。 平成29年3月に策定した新潟県地域医療構想では、取組を推進していくためには、行政や医療機関だけではなく、医療・介護の関係団体、保険者、県民等が連携を図りながら推進していくことが重要とされていますが、4年を経過した中で、こうした関係者が連携するためにどのような取組を行ってきたのか伺うとともに、その評価を伺います。 また、グランドデザインを踏まえ、2025年に向けて今後どう取り組んでいくのか、方針を伺います。 新潟県地域医療構想では、県民の役割として、地域における医療について理解を深め、適切な受診に努めること、自分に合った生活習慣を身につけ、病気の予防に取り組むことなどを定めており、新潟県地域医療構想の実現に向けた今後の方向性においても、救急車の適正利用や不要な受診を避けるといった医療との上手な関わり方や、医療を取り巻く環境の変化、医療資源の集約の必要性、下り搬送などの療養場所の選択の必要性などについて、住民の理解を深め、住民の行動変容を促す取組が必要とされています。 地域医療構想の推進に当たっては、医療サービスを受ける側である県民の協力が不可欠ということであると思われますが、県民の役割の周知について、県の取組状況とその評価を伺うとともに、これからの取組方針についてお伺いします。 病院再編の取組は、地域住民から交通アクセスの悪化や医療サービスの低下と受け取られやすいことから、検討途中からであっても情報開示、説明が必要であると考えます。 医療構想の区域別構想の中でも、新潟構想区域では住民に対し、適時に情報提供や普及啓発を行っていく必要があるとしております。 県央構想区域では住民の理解を広めていく必要があるとし、魚沼構想区域では住民に対して啓発的情報提供を継続して行うとしています。 中越構想区域では、柏崎地域について地域医療構想の策定を契機に、今後の柏崎地域の医療の将来について、市民を交えて考える機会の確保を検討するとありますが、その他の構想区域については情報開示や説明について具体的に記載がありません。 そこで、住民に対し、どのように情報提供がなされているのか、各区域での県民への情報提供の取組実績とその評価を伺うとともに、今後どのように取り組んでいくのか、方針を伺います。 4月に公表された地域医療構想の実現に向けた今後の方向性の論点・検討課題において、医療需要の減少が予想される地域においては、まず公立・公的病院が規模を見直していく必要がある、また公立・公的病院が近接する民間病院と類似の機能を有するような体制は理解が得られないとされ、公立・公的病院は民間病院が担えない分野に重点化していく必要があるとされました。 公立・公的病院が規模や機能を見直した後に、その機能を担う民間病院が経営的観点から当該機能を縮小・休止・廃止した場合、その地域の医療提供体制が確保できなくなることが懸念されますが、県の認識を伺うとともに、そうした事態にならないよう担保する方策について伺います。 新潟県地域医療構想の実現に向けた今後の方向性では、医師確保について、今後も県内に若手医師が集まり、そこで学びたい、地域医療を頑張りたいと感じることができる体制づくりが一番の課題であるとしています。 医師の高齢化という課題もあることから、実効性ある環境整備が重要となりますが、知事は若手医師が集まり、学び、地域医療を頑張りたいと感じる体制とはどのようなものと考えているのか、お伺いします。 AIやIoT、DXを進める動きが加速してきています。DXは、テクノロジーだけではなく、データの収集と効果的な活用が不可欠と言われています。 県でも平成31年3月に、にいがた新世代ヘルスケア情報基盤構想を定め、健康・医療・介護分野のデータを連携・活用することにより、オーダーメード型の保健指導、医療・介護サービスの充実を進めるとともに、両者を連携し、健康寿命延伸と最善のケアサポートの実現を目指すとしています。 一方で、民間企業であるアップル社やグーグル社などがヘルスケア分野に参入し、ウエアラブルデバイスを用いて心拍数や心電図などのデータを収集、活用し始めています。 にいがた新世代ヘルスケア情報基盤を構築する上では、IT分野の急速な進展を考慮し、民間企業が保有するデータとも連携して、県民個々人がオーダーメード型の保健指導を受けることができることや、健康状態の維持向上に役立てることができるようにすることも検討する必要もあると考えますが、所見を伺います。 次に、交通政策の諸課題について伺います。 地域活性化や交通課題を解決する手段としての新たなサービスとして、モビリティ・アズ・ア・サービス、MaaSが注目をされ、本県においても新潟市や湯沢町において実証事業が取り組まれています。 MaaSは、アプリ等により、一人一人の利用者の移動ニーズに応じて適切なモビリティサービスの組合せを選択し、検索・予約・決済等を一括で行うサービスとされており、ドア・ツー・ドアでシームレスに、かつリーズナブルに移動できる環境を目指しています。 県内に導入されることによって、交通手段の選択肢拡大や移動時の利便性向上など、多くのメリットが期待できると思われますが、県ではMaaSの可能性についてどのように認識しているのか伺います。 新潟市は、2019年からスマートモビリティチャレンジ事業に取り組んでおり、地域ICカードりゅーとをアプリ化した、りゅーとなびにより、公共交通の利便性向上、得られたデータを生かした効果的なまちづくり施策の検討、そして交通事業者等の採算性向上につなげるとしています。 湯沢町でも県の地域活性化リーディングプロジェクトとして、令和3年度事業として取り組まれています。 都市部にも地域公共交通を取り巻く課題はあると思いますが、本県にとっては、利用者の減少によって地域公共交通をどのように維持するかという課題のある地域において、利便性向上による需要の喚起と供給の効率化が期待できるMaaSの活用は重要であると考えます。 国のガイドラインにおいてもMaaSは地域公共交通を確保・維持するための一つの手段とされていますが、県では地域公共交通の確保に向けたMaaSの活用についてどのように評価し、取り組んでいく方針か伺います。 公共交通の空白地域における交通手段の確保のため、コミュニティーバスや乗合タクシー、デマンド交通等の取組が行われています。路線バスも、鉄道ほどではありませんが、乗降場所が固定しています。 そこで、利用者の利用頻度や利用パターン、人数のデータを観測、収集することで、過疎地や路線と路線のはざまの空白域から最終目的地あるいは路線バス等の乗降場所までの交通手段として、タクシーを含め、MaaSを活用して利便性を高めたデマンド型乗合サービスや、現在はまだ法的に認められていませんが、自家用車等を利用したライドシェアの活用などについて検討すべきと考えますが、導入に向けた課題と今後の県としての取組の方向性について伺います。 観光産業は、これまで観光地の宿泊施設や観光スポット、交通手段をパッケージ化し、お客様に体験や感動を提供してきました。それらも今やインターネットの普及により、オンライン旅行代理店を通じてのサービス提供に変わってきていますが、ここでもMaaSとの連携が始まっています。 IT企業のグーグルも観光ビジネスに参入してきていますし、日本でも高速バス大手のウィラーが、地域限定ではありますが、観光MaaSアプリの運用を開始しています。 このような状況を踏まえると、MaaSの導入により、鉄道などと二次交通、観光施設の予約・決済の連携や、観光地の移動手段の確保・充実が図られることにより、公共交通の利用促進はもとより、観光振興にもつながる可能性があると考えますが、本県における観光振興の観点からのMaaS活用の可能性について、知事の所見を伺います。 国は、4月に改定したMaaS関連データの連携に関するガイドラインにおいて、地方公共団体が中心となって、交通事業者等の地域の多様な関係者が連携・協働して、地域の実情に応じた創意工夫や努力を前提に、地域公共交通を確保・維持していく体制が求められるとした上で、地方公共団体がマスタープランを作成することを努力義務とし、それを確実に実施することとしています。 MaaSは地域公共交通を確保・維持するための一つの手段であり、MaaSによって得られるデータは公共交通等に関わる議論を行う際にも活用できるものとなります。 また、MaaSを提供するためには、交通事業者をはじめとする各主体が、それぞれ有する情報を他者が利用できる形式のデータとして整備した上で提供等を行い、当該MaaSに参画する主体間で連携されることが必要であるとして、国はデータ連携を進めるためのモデル例を示しています。 利用者の利便性を高めていく上でも基盤となる情報の整備・連携は不可欠であり、県としても国のガイドライン等を参考として、データ連携が進むよう誘導していくことが必要ではないかと考えますが、所見を伺います。 内閣府によりSDGs未来都市に選定された東広島市では、トヨタ自動車とソフトバンクの共同出資によるモネ・テクノロジーズと広島大学が小売企業と連携して、MaaSにより子育て世代や高齢者などの買物を支援するサービスの実証実験に取り組んでいます。 また、近年では、大型店舗が最寄りの駅から無料送迎バスを出したり、クーポンを発行したりして移動支援や買物支援を行っています。 このことは、交通事業者にとっても需要創出につながることから、ニーズは確実にあると考えられます。こうした取組を大規模店舗だけでなく、既存の商店街としての取組につなげることができれば、地域にとってもメリットが大きいと思われます。 ついては、今後の商店街振興では、交通やICT技術と連携した先進的な事例についても情報提供し、地域の取組を促すとともに、県も市町村と一体となって支援していくことが必要と考えますが、知事の所見を伺います。 地域で高齢者から伺った話の中で、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、バスに乗る際にスマホ決済をしたいが、いまだに現金決済なので、何とかしてほしい。自分たちもそれくらいならできるという要望をお聞きしました。 また、利用者の利便性の向上や新たなモビリティサービスを円滑に導入する上でも、現金以外の決済手段が必要になると考えます。 現状、交通系電子決済サービスが導入されているのは、新潟市内など一部の地域、事業者に限られていると思われ、交通系電子決済アプリが導入されていない地域や事業者も人口減少地域を中心にまだまだあると思いますが、バスにおけるスマホ決済の普及など、決済手段の多様化の必要性について認識を伺います。 人口減少、高齢化が進む中、地方都市においては医療・福祉・商業などの生活機能を確保し、高齢者が安心して暮らせるよう地域公共交通と連携したコンパクトなまちづくりが重要と言われています。地域をより暮らしやすくしていくためには、MaaSなどのICT技術を活用した新たなモビリティサービスを都市政策に取り込んでいくことも必要と考えますが、所見と今後の取組の方向性を伺います。 最後に、教育の諸課題について伺います。 「県立中等教育学校のあり方について」の報告書では、中等教育学校は6年間を見通した計画的・継続的な教育活動により、大学進学などにおいて顕著な実績を上げ、大学進学を希望する生徒の進路実現などにおいて顕著な実績を上げたとありますが、地域の既存校の教育活動では実現できなかったことなのか伺います。 また、中等教育学校の卒業生が輩出され始めた平成20年春以降、大学等進学率に大きな変化がないというデータと中等教育学校の大学等進学率への寄与についてどのように分析しているのか、併せて伺います。 報告書では、令和2年春の大学等進学率について、本県中等教育学校の進学率86.6%は、本県高等学校の進学率48.4%を大きく上回っていると高く評価していますが、この本県高等学校の進学率は県内全ての高等学校の進学率の数値と思われます。 県内高校それぞれの学科などの属性も明確にされていない中で、このような比較の例示は、数字だけで評価することもどうかと思いますが、殊さらに中等教育学校の進学率が他のどの高校に比較しても高いものがあると誤解を与えるのではないかと考えますが、どうなのでしょうか。 このような場合、各中等教育学校に対応する地域の伝統校と言われる高等学校などとの比較で、中等教育学校の大学等進学実績を検証することのほうが妥当と考えますが、所見を伺います。 報告書では、中等教育学校について、小中学校の教員が中等教育学校の指導法などを学び、小中学校の授業の質の向上につながった、大学進学等で顕著な実績を上げたと評価していますが、大学進学への意識が高い生徒や保護者が進学に優位と判断して中等教育学校を選ぶというセレクションバイアス、選択バイアスがあるのではないかと考えられ、中等教育学校でなくともその生徒は大学に進学していた可能性が当然高いと考えられますが、どうなのでしょうか。 また、小中学校の授業の質の向上につながったのであれば、これは私もよいことだと思いますが、地元自治体からの評価との記載があるだけで、詳細な説明はありません。また、よい事例を共有し、互いに授業の質を向上させることは、中等教育学校の事例に限らず共有すべきものであり、以前からも地域の小中学校同士で当然行われていたものと思いますが、今までのものとどう変わったのでしょうか。 報告書ではエビデンスの信頼性が明らかではありませんが、大学進学等の顕著な実績及び小中学校の授業の質の向上の根拠をどのように分析しているか伺います。 中等教育学校の成果を検証する方法として、例えば十分とは言えないまでも、全国学力・学習状況調査など共通の学力調査のデータを活用するなどし、小学6年次に同程度の成績であった者を比較対象として、中等教育学校と地域の伝統校などに進学した生徒間などにおいて、小学6年次の成績と高校3年次の成績、少なくとも全国学力・学習状況調査が実施される中学3年次の成績の伸びを比較・分析することが客観的であると考えます。 その上で、伸び率において有意の差異が生じているのならば、中高一貫教育という教育システムに効果があったと言えると考えますが、報告書の検証方法の妥当性について所見を伺います。 中等教育学校の入学者数と卒業者数を比較すると、村上中等教育学校が平成14年に開校し、平成20年に卒業生を送り出すようになって以来、中等教育学校では卒業に至らない生徒が平均で11.63%おられます。令和3年春の卒業生は、入学時の496名が、卒業時407名に減少し、89名、17.94%もの生徒が卒業に至っておらず、主に前期課程から後期課程に進む際に中等教育学校を辞めていると思われます。 中高一貫教育は、6年間一貫した一体的な教育により、ゆとりある学校生活の中で、一人一人の生徒の個性や能力の伸長を図ることを目指していたと思いますが、実態は大学等進学率の向上に偏重し、能力の伸長のみにとらわれて、ゆとりの中で生徒の個性を伸ばすことが置き去りにされていたのではないかと考えますが、所見を伺います。 今ほど述べたように、入学者と卒業者の人数の差は、平成20年度以降の平均で11.63%であり、令和3年春では17.94%となっていて、増加傾向にあるのではないかと懸念されますが、この状況についてどのように受け止めているのか伺います。 また、このようなことが起こらないよう取組がなされてきたのであれば、今までどのような取組をしてきたのか伺います。 報告書の提言では、志願状況が良好であれば、地域の中等教育学校存続のニーズに応えるべきとし、また志願者増加に向けた一層の特色化・魅力化に取り組むべきともしています。 一方で、中等教育学校の受験は、失敗したとしても本来行くはずであった地域の中学校へ進むことができ、高校受験のような失敗に伴うリスクは少ないことも考慮しなければならないと考えます。 しかし、特色化の取組に当たっては、全県の高等学校に先駆けてICTを活用した取組を進めることも期待されるとしています。しかし、志願状況の評価は公平な条件の下で行うべきであり、他の中学校、高等学校などと差別化した取組をした中で志願状況を評価することはフェアではないと考えますが、所見を伺います。 提言では、人口減少や交通事情、エリアにおける高等学校の配置など、地域によって事情が異なることから、令和5年度に地域の状況に応じた将来的な対応について検討すべきとし、報告書の課題整理では、児童数・生徒数の減少や学校の小規模化は中等教育学校だけの問題ではなく、高等学校等再編整備全体の問題として捉えていく必要があるとしています。しかし、提言では、中高一貫教育の実施形態の転換など、将来的な在り方を検討すべきとしており、中高一貫教育校の存続ありきでの提言となっているのではないかと考えられます。 中等教育学校の在り方は、中学校、高等学校の存する地域の実情を踏まえて、予断を持たずに検討すべきと考えますが、教育長の所見を伺います。 令和7年度の大学入学共通テストから、平成15年に高等学校で新設された情報科目の出題が検討されており、また来年度から実施される学習指導要領では高校の情報科目も大きく変わる予定となっています。 高度な情報技術の進展に伴い、文系、理系の別や卒業後の進路を問わず、情報の科学的な理解に裏打ちされた情報活用能力を身につけることが重要として、現行の、情報の科学と社会と情報の2科目どちらかの選択必修から、情報Ⅰを必修とし、情報Ⅱは選択科目になるとしています。 一方で、本県では、令和元年度まで情報科の教員採用試験が行われていなかったと聞いています。情報科目の重要性は今後も高まっていくと考えられ、指導体制を整えていく必要があると思われますが、本県の情報科を担当する教員の情報科免許保有者数と、その配置状況及び免許外教科担任の現状についてお伺いいたしまして、私の一般質問を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 与口議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、新たな感染症への対応による地域医療構想への影響についてでありますが、本県では、地域の中核病院を中心に地域の内外の新型コロナウイルス患者を受け入れており、これらの対応状況から、医療資源が充実し、対応力の大きい地域の中核病院の役割や圏域内外の連携の重要性を再認識したところであります。 新たな感染症への対応も含め、将来にわたり地域に必要な医療を維持していくためには、地域の中核病院の機能を強化していく必要があり、今後、地域医療構想を進めていくに当たっては、このような視点がより重要になるものと考えています。 次に、公立・公的医療機関の具体的対応方針の再検証についてでありますが、本県では、感染症指定医療機関や三次救急医療機関を中心とした公立・公的病院で多くの新型コロナウイルス患者を受け入れており、大きな役割を果たしているため、再検証に当たっては、議員御指摘のとおり、これらの状況を十分に踏まえる必要があるものと考えています。 また、県では、本年4月に策定しました、地域医療構想の実現に向けた今後の方向性を基に具体的な検討を進めることとしており、その結果が再検証にもつながると考えておりますが、検討を進めていくに際しては、住民の理解や信頼が得られるよう、効果的な情報発信方法を検討しながら、分かりやすく、具体的かつ丁寧に説明するよう努めてまいりたいと思います。 次に、医療提供体制の確保に対する認識等についてでありますが、大都市以外の地域では、公立・公的病院が急性期を中心に多くの医療機能を担っている状況にあると認識しています。 これらの地域においては、患者数の減少などが予想される中、多くの病院が従来のように急性期機能を中心とした医療を提供し続けることで、病院経営の悪化を招き、場合によっては、いずれの病院も経営が困難となり、議員御指摘のように、医療提供体制が確保できない状況に陥ることが懸念されます。 そのため、医師の働き方改革に対応しながら、地域に必要な医療を維持していくためには、医療資源の一定程度の集約化により、地域の中核病院の機能が充実・強化されることが重要であり、それによって対応力が増強され、民間病院の状況等にかかわらず、医療提供体制の持続可能性が高まるものと考えています。 なお、民間病院が急性期機能を中心とした医療を担っている地域においては、民間病院の経営的観点を踏まえて検討していくことが重要であり、この点にも留意しながら、関係者と議論を重ねてまいります。 次に、若手医師の確保に向けた体制づくりについてでありますが、将来にわたり新潟県の医療の質を確保していくためには、県全体として次世代を担う若い医師が集まり、育てることのできる環境を整備することが必要と考えています。 そのためには、地域の中核病院等へ医師や症例数を集約し、都市部の大病院と比較しても遜色のない、指導体制等が整った、若手医師にとって魅力的な病院を残していくことが重要であると考えています。 加えて、県では、臨床研修病院の特徴を生かした研修プログラムの増設をサポートするとともに、病院の教育力向上を図るため、研修医に人気のある病院の取組を他病院と共有し、実践されるよう支援しているところです。 また、臨床研修に加えて、自己研さんによりマネジメントスキル等を取得できる県独自の研修コースを創設するなど、本県における臨床研修の魅力をより一層高めることで、臨床研修医など若手医師のさらなる確保・定着に取り組んでまいります。 次に、交通政策の諸課題についてお答えします。 まず、MaaSの可能性についてでありますが、MaaSの導入は、議員御指摘の移動手段の拡大や利便性の向上に加え、小売・飲食・観光をはじめとする多様なサービスとの連携や移動の効率化など、需要の喚起と供給の効率化につながるものと認識しています。 次に、地域公共交通の確保に向けたMaaSの活用についてでありますが、議員御指摘のとおり、利用者の減少等により、地域公共交通の維持・確保が厳しさを増す中、MaaSの活用は、その解決手段となり得るものと認識しています。 このため、県といたしましては、市町村等に対して、国や県の支援メニューはもとより、関係事業者の紹介や導入に向けたノウハウについての情報提供を行ってきており、引き続き、地域の実情に応じたMaaSの活用が図られるよう、積極的に取り組んでまいります。 次に、観光振興の観点からのMaaSの活用の可能性についてでありますが、MaaSの導入は、今ほどお答えしたとおり、移動手段の拡大や利便性の向上に加え、小売・飲食・観光をはじめとする多様なサービスとの連携や移動の効率化などが図られることで、観光客の利便性向上にもつながることが期待されます。 県といたしましては、観光振興の観点から、市町村の観光協会等も通じて、国や県の支援メニューや関係事業者の紹介を行い、地域の実情に応じたMaaSの活用が図られるよう取り組んでまいります。 次に、商店街振興に向けた交通サービスやICT技術の活用についてでありますが、商店街においては、郊外型大型店の増加やネット販売の拡大に伴う、売上げや来客数の減少といった課題があるものと認識しています。 こうした中、議員御指摘のとおり、商店街においても、例えばMaaSの活用などの創意工夫は、訪れる方の移動手段の確保や商品の配送、クーポンの発行等により店舗の利用を促進し、商店街のにぎわいの創出にも寄与すると考えています。 県といたしましては、効果的な活用事例を幅広く情報提供するとともに、まちづくりの主体である市町村と連携しながら、それぞれの地域の実情に応じた取組が進められるよう支援してまいりたいと思います。 次に、新たなモビリティサービスの都市政策への活用についてでありますが、新たなモビリティサービスにより得られる、人の移動をはじめとする都市の様々なデータは、施設の最適な配置など、まちづくり計画の立案に活用できる可能性があるものと認識しています。 県といたしましては、国や各地の実証実験の取組について情報収集に努めるとともに、まちづくりに活用できるよう市町村に情報提供を行ってまいります。   〔福祉保健部長松本晴樹君登壇〕 ◎福祉保健部長(松本晴樹君) 4点お答え申し上げます。 新潟県地域医療構想に関する取組についてでありますが、これまで、各圏域の地域医療構想調整会議等において、解決すべき課題の洗い出しや、将来必要となる医療機能等についての議論を重ねてきたほか、住民や医療、行政関係者が地域医療に関する課題について考える取組を強化するため、保健所単位での啓発活動等を行ってきたところです。 こうした取組を通じて、医療資源の集約化や、医療機関の役割分担の必要性について理解を示す意見が増えるなど、さらなる連携体制の構築に向けた認識共有が図られてきたものと受け止めております。 今後は、本年4月に県が策定した地域医療構想の実現に向けた今後の方向性を踏まえ、各圏域の調整会議等の場において、将来的な人口動向や医療需要等のデータをお示ししながら、目指すべき役割分担や連携の在り方に関する具体的な議論を進めてまいりたいと考えております。 次に、医療サービスを受ける県民の役割の周知についてでありますが、限られた医療資源を有効に活用していくためには、議員御指摘のとおり、医療機関への適正な受診や救急車の適正利用など、県民の協力が不可欠であると考えております。 そのため、これまで地域ごとに講演会や住民講座を開催するなど、県民の理解促進に向けた啓発活動を行ってきたところであり、救急搬送に関しては、近年、軽症者の割合が減少するなど、県民の理解が一定程度進んできているものと認識しております。 本年4月に策定した地域医療構想の実現に向けた今後の方向性では、従来からの医療との上手な関わり方に加え、重症者が症状軽快時に転院して身近な病院等で療養する、いわゆる下り搬送の必要性などにも県民の理解が深まるよう取り組むこととしており、今後一層周知を図ってまいります。 次に、医療再編に関する住民への情報提供についてでありますが、住民の皆様に医療再編の必要性を理解いただくためには、議員御指摘のとおり、検討段階からの情報提供が重要であると考えております。 このため、県では地域医療構想調整会議を原則公開で開催するとともに、資料や議事概要をホームページに掲載し、広く県民の皆様に周知してきたところです。 また、柏崎地域を含む各地域において、その地域の医療の現状や将来の在り方を理解していただくため、フォーラムなども開催してきたところであります。 今年度から、調整会議における具体的な検討が進んでいくことから、様々な機会を活用しながら、住民の方々の理解や信頼が得られるよう情報提供を行ってまいります。 次に、にいがた新世代ヘルスケア情報基盤と民間企業が保有するデータとの連携についてでありますが、本プロジェクトでは、健診・レセプトデータや臨床・介護現場データなど、専門機関が管理するデータを集約し、一体的に活用できる環境整備を目指しており、将来は、情報基盤に集約した健康・医療・介護のデータを、パーソナル・ヘルス・レコード、PHRとして、スマートフォン等で県民に還元することも計画しているところです。 これに加え、民間企業が保有する日々の健康データとも連携することができれば、県民一人一人の健康状態に応じたきめ細やかな保健指導や、健康管理の支援などに役立つ可能性があるものと認識しております。 一方で、民間企業が保有するデータの活用に当たっては、個人情報保護への対応や同意取得などの課題もあることから、連携の在り方については将来に向けて研究してまいりたいと考えております。   〔交通政策局長佐瀬浩市君登壇〕
    ◎交通政策局長(佐瀬浩市君) 3点お答えいたします。 MaaSを活用したデマンド交通などについてでありますが、デマンド型乗合サービスにMaaSを活用する場合、高齢者のアプリに対する抵抗感をはじめ、アプリ導入に見合った利用が見込みにくいなどの課題があることから、県といたしましては、分かりやすいアプリや広域的な導入などの事例を市町村と情報共有するなど、今後とも、地域の実情に応じて取り組んでまいりたいと考えております。 また、ライドシェアについては、一般ドライバーの場合、道路運送法に抵触する行為として禁止されていることから、まずは、国における全国的な検討が必要と考えております。 次に、MaaS関連データの連携についてでありますが、議員御指摘のとおり、MaaSにおける交通情報のデータ連携は極めて重要であり、特にオープンデータ化が進んでいないバス事業における取組の促進が必要であると認識しております。 このため、県といたしましては、本年度、データ提供者となるバス事業者や市町村を対象に研修等を行い、年度内を目途にMaaSに不可欠な交通情報のオープンデータ化を進めてまいりたいと考えております。 次に、バスにおける決済手段の多様化についてでありますが、スマホなどによるキャッシュレス決済は、現金を介さないことから、感染拡大防止をはじめ、定時運行や車内の安全面においても有効なほか、現金管理の負担軽減にも資することから、決済手段を多様化していく必要性は高いものと認識しております。   〔教育長稲荷善之君登壇〕 ◎教育長(稲荷善之君) 9点についてお答えいたします。 中等教育学校の大学進学等における実績についてでありますが、中等教育学校では、教育課程の基準の特例を活用することにより、中学段階で高校段階の学習内容を先取りするなど、地域の既存の学校では制度的にできない教育課程を実施してまいりました。 また、大学等進学率について、平成20年春以降は大きな変化は見られないものの、村上中等教育学校が設置された平成14年春の37.1%から、平成20年春には48.7%となり、11.6ポイント上昇しております。 この間の大幅な上昇については、中等教育学校の学習に対する取組が、地域の高校へ刺激を与えたことも一因と認識しております。 次に、中等教育学校の大学進学実績の検証についてでありますが、検討委員会の報告書では、令和2年春における本県中等教育学校の大学等進学率86.6%について、本県高等学校の48.4%を大きく上回っているとともに、全国中等教育学校の79.8%と比べても高い割合と評価しており、その検証は妥当と考えております。 また、大学等進学率について、地域の伝統校と比較する記載はありませんが、中等教育学校と地域の伝統校の関係については、地元自治体の意見も聴取しながら検証を行っており、両校が共存することの成果や課題について示しております。 なお、中等教育学校の将来的な在り方については、地元自治体と意見交換を行うとともに、地域の伝統校の入学状況や進路状況も評価しながら検討してまいります。 次に、中等教育学校の大学進学等の実績や小中学校の授業の質の向上についてでありますが、中等教育学校の生徒が、ほかの高校に進学した場合の学力向上や進路について推測することは、困難と考えております。 大学進学等における顕著な実績については、先ほど申し上げたとおり、令和2年春における本県中等教育学校の大学等進学率86.6%について、全国中等教育学校の79.8%と比べても高い割合と評価しているものであります。 また、小中学校の授業の質の向上については、一地元自治体の意見でありますが、こうした意見を含めた複数の地元自治体の評価を踏まえ、報告書では、県立中等教育学校が地域の小中学校に刺激を与え、本県中等教育活性化の役割を果たしてきたと検討委員会が総括したものであります。 次に、中高一貫教育校の成果の検証についてでありますが、全国学力・学習状況調査の個人データは、児童生徒が在籍する学校以外は取り扱うことができず、個人の成績の伸びを比較・分析することは困難でありますが、過去3回の調査における中高一貫教育校の各教科の正答率は、県内の公立学校全体の正答率と比べ、11から17ポイント上回っております。 また、中等教育学校の卒業生を対象としたアンケートでは、中等教育学校で過ごしたことについて、よかったとする回答が73.9%であり、よくなかったとする4.3%に比べて大きく上回っております。 なお、報告書における中高一貫教育校の評価については、大学等進学率や国公立大学への進学率を詳細に分析したほか、地元自治体の首長の意見や、卒業生アンケートなど、様々な観点から検証しており、その方法は妥当と考えております。 次に、中等教育学校における取組についてでありますが、議員御指摘のとおり、中等教育学校では、ほかの高校に比べて、進学補習など大学進学に向けた取組が多い面がありますが、一方で、総合的な探究の時間における地域文化を理解するための体験活動や、地域と連携した地域活性化のプランニングに取り組むなど、学習以外の活動にも積極的に参加しながら、生徒の個性や能力を伸ばしているものと考えております。 しかしながら、卒業に至らなかった生徒が一定数いることは、大きな課題と認識しているところであり、生徒のニーズや状況に応じたきめ細かな指導が行えるよう、学校の支援に努めてまいります。 次に、中等教育学校の卒業に至らない生徒の状況についてでありますが、議員御指摘のとおり、今春の卒業に至らなかった生徒の入学者に対する割合は17.9%と、これまでで最も高い割合となっており、大きな課題であると受け止めております。 それぞれの中等教育学校においては、前期課程の生徒に海外研修旅行などの後期課程に行われる活動の魅力を紹介したり、学習面における不安を取り除くため、放課後学習会での学習支援を行っているほか、スクールカウンセラー等の活用による生徒や保護者との相談体制の充実を図っております。 今後も、生徒一人一人の状況に応じた、一層きめ細かな指導や支援を行うとともに、入学を希望する児童・保護者に対しては、中等教育学校の教育内容について、丁寧な説明を行ってまいりたいと考えております。 次に、中等教育学校の特色化の取組についてでありますが、検討委員会の報告書において、県立中等教育学校は、当面、存続の可能性を模索し、志願者数増加に向けた一層の特色化・魅力化に取り組むべきとの提言が示されました。 一方で、今年1月の中央教育審議会答申においても、スクール・ミッションの再定義や普通科改革などが求められております。このため、本県としても学校の特色化や役割の明確化については、中等教育学校に限らず、全ての高等学校において推進すべきものと認識しており、ICTを活用した取組についても同様と考えております。 次に、中等教育学校の在り方の検討についてでありますが、検討委員会の報告書では、県教育委員会と地元自治体が、高等学校の配置や、中等教育学校と地域の伝統校の関係についても意見交換を行い、ビジョンを共有する必要があるとの提言が示されております。 こうした提言を踏まえ、今後、地元自治体と意見交換を行うこととしており、議員御指摘のように地域の中学校、高等学校の実情や、また生徒・保護者のニーズも踏まえながら、それぞれの地域における中高一貫教育の在り方を検討してまいります。 次に、本県の情報科を担当する教員についてでありますが、県立高校等において情報科目を担当している教員137人のうち、58人が情報の普通免許状を所有しており、それ以外の79人は、免許外教科担任制度の活用や臨時免許状により担当しております。 現在、情報の普通免許状を所有している教諭は211人おり、今後、情報Ⅰが大学入学共通テストの科目となることから、情報の普通免許状を所有している教諭を活用するとともに、研修により指導力の向上を図ってまいります。 ○議長(桜井甚一君) 与口善之君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。  午前11時54分 休憩   ――――――――☆――――――――  午後1時 開議 ○副議長(佐藤純君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、保坂裕一君の発言を許します。保坂裕一君。   〔保坂裕一君登壇〕(拍手) ◆保坂裕一君 自由民主党の保坂裕一です。通告に従いまして質問をいたします。 まず初めに、本県におけるデジタル社会へ向けた取組の現状と課題についてお伺いいたします。 菅首相は、新型コロナウイルスへの対応において、行政サービスや民間のデジタル化の遅れが浮き彫りになったことから、思い切ってデジタル化を進めなければ日本を変えることができないとし、デジタル社会の実現を政策の柱に据え、デジタル化を推進しています。 5月12日、デジタル庁創設を盛り込んだデジタル改革関連6法案が成立し、その際に首相は、長年の懸案だった我が国のデジタル化にとって大きな歩みになるとその意義を強調し、誰もがデジタル化の恩恵を受けることのできる社会をつくっていきたいと述べ、デジタル庁創設の準備に万全を期す考えを示しました。 そして、本県においては、県民、事業者の利便性向上や行政の効率化を図るために、本年4月に行政手続オンライン化構想を策定し、令和7年度までに県の裁量で変更できる行政手続の全てで原則オンラインの申請ができるようにするとしており、令和4年度中には処理件数の約8割でオンライン化対応が可能となるよう取り組んでいくこととしております。 そこで初めに、デジタル庁創設により本県のデジタル化が加速されるものと期待していますが、知事の所感と、本年4月に策定した新潟県行政手続オンライン化構想の実現に向けた決意をお伺いします。 しかしながら、推進に向けた取組の一方で、誰もがデジタル化の恩恵を受けることのできる社会の実現には課題も多いと感じています。 今年3月、国民的アプリ、LINEにおいて、個人情報が中国の関連会社で閲覧可能となる事案が発生し、情報管理の重要性と利便性の陰に潜んでいるリスクを改めて感じたところであります。 本県においてもLINEを活用した業務が複数あることは承知しておりますが、県としてどのような対策を講じたのか伺うとともに、新潟県行政手続オンライン化構想を推進するに当たって、個人情報保護に関する対応方針をお伺いします。 デジタル化の推進に当たっては、デジタル技術を扱うことができる人とできない人との間に生じる情報格差、いわゆるデジタルディバイドの解消が重要な課題とされています。 例えば内閣府の世論調査によれば、70歳以上の高齢者の方の約6割がスマートフォンなどの情報通信機器を利用していないと回答しており、国も社会のデジタル化が急速に進む中で、各地域の実情を踏まえつつ、助けを必要としている人に十分な支援が行き渡るようにすることが急務と認識しています。 このため、誰もがデジタル化の恩恵を受けることのできる社会の実現のためには、特に高齢者への普及啓発が必要と考えます。 このたびの新型コロナウイルス感染症対策における高齢者のワクチン接種でも、インターネットによる予約について、私の周辺では、自分ではできないので、家族にやってもらったという声が圧倒的に多く、予約代行の業務を行ったボランティア企業への依頼や、役所の窓口に出向いて職員に代行してもらったなどの報道もありました。 自治体や地域住民が支援する動きは見られたものの、高齢者だけのいわゆる老老世帯などが社会のデジタル化に取り残されていく状況を、コロナ禍が浮き彫りにしたと言えるのではないでしょうか。 そこで、お伺いします。社会のデジタル化が急速に進む中、高齢者のデジタルディバイドの解消に向けた取組は重要と考えますが、所見を伺うとともに、本県における対策の現状をお伺いします。 次に、地域のデジタル化を進めるための地域商店街のWi-Fi整備についてお伺いいたします。 地域の中心商店街は、伝統や文化の継承、災害時の安全確保、高齢者や子育て支援等、地域コミュニティーの多様な機能を支えています。 こうした機能の維持・強化の観点や、来街者への情報発信やロケーションAR等を利用した商店街の魅力アップ等、活性化・にぎわい創出のための取組を進める観点からも、地域商店街のWi-Fi整備に対する支援が必要と考えますが、所見を伺うとともに、県の支援施策の現状をお伺いします。 続いて、マイナンバーカードの普及促進についてお伺いします。 行政手続オンライン化推進のためには、各種申請・手続の迅速性や信頼性、行政の効率性の観点からもマイナンバーカードの普及は欠かせないものと考えます。 私は、昨年12月定例会においてもマイナンバーカードの普及促進に向けた取組について伺いました。知事からは、国・地方を通じた行政のデジタル化が喫緊の課題とされる中、カードの普及促進の重要性はますます高まっており、今後、カードの利便性向上も見込まれることから、多くの県民の皆様に取得していただけるよう、市町村と連携し、カードの普及促進に一層力を入れてまいりたいと考えておりますと大変心強い御答弁を頂き、総務管理部長からは、具体の取組についての答弁を頂いたところです。 2月定例会においても、我が党の笠原議員から取得率向上に向けた提案と質疑があったと承知しています。 しかし、大変残念ながら、本県のマイナンバーカード取得率は、先般の報道によれば、今年5月1日の時点で新潟県が23.4%で、高知県の23.7%を下回り、全国の都道府県で最も低く、また新潟市においても22.2%と政令指定都市の中で最も低かったとのことです。 そこで、お伺いします。 これまでの県民への周知を含めた普及促進策は、他の都道府県の取組と比較して足りないところがあるのか、本県の取得率の現状に対する知事の受け止めと、行政手続のオンライン化推進におけるマイナンバーカードの普及向上の重要性について、改めて知事の所見をお伺いします。 続いて、マイナンバーカード取得率向上に向けた県の取組として、カードを取得することのメリットの周知や、市町村と一体になってカードを申請しやすい環境づくりに力を入れていることは承知しておりますが、取得率向上のために政府が行ったキャッシュレス決済でポイントが還元されるマイナポイントのような目先のメリット、インセンティブも必要なのではないかと考えます。 例えば新型コロナウイルスの影響により落ち込んだ地域経済の活性化、消費の需要喚起を兼ねたマイナンバーカード取得サービスキャンペーンとして、県民宿泊割引キャンペーンとリンクさせ、割引額を上乗せするとか、自治体が発行するプレミアム商品券にさらにプレミアム率を上乗せできるとか、抽せんで県内の特産品がもらえるとか、新型コロナウイルスの収束が見えてきた段階で再開されるであろうGo To キャンペーンと絡めたメリットの付与を県の支援策として提案しますが、県として取得率向上のため、どのように取り組んでいくのか、お伺いします。 また、マイナンバーカードを持つことにより、子育てや介護をはじめとする行政手続の検索やオンライン申請がワンストップでできるほか、行政からのお知らせを受け取ることができる自分専用サイト、マイナポータルの利用が可能となることも大きなメリットであると考えます。 このサイト内のぴったりサービスでは、子育てに関する手続をはじめとして、様々な申請や届出をオンライン上で行うことができるものですが、県内市町村の手続対応状況は、令和2年12月末時点で17市町となっているほか、届出や申請が可能な項目も自治体によって非常にばらつきがある現状となっています。 これらの現状に対する県の認識と未対応市町村への助言、支援対策の強化が必要と考えますが、所見をお伺いします。 次に、子供を取り巻く環境と支援策についてお伺いいたします。 菅首相は、4月の国会でこども庁の創設を検討する考えを示しました。子供・子育て分野は、仕事と育児の両立の難しさ、子供の貧困や教育格差、少子化の進展など、様々な課題が存在します。その対応は内閣府、厚生労働省、文部科学省など複数の省庁にまたがっていますが、縦割り行政の弊害を克服して、一元的な組織を創設したいというものです。根源的な課題解決につながることを願ってやみません。 子供を取り巻く課題について、初めにいわゆるヤングケアラーについて質問します。 ヤングケアラーは、法律上の定義はありませんが、「若い」を表すヤングと「世話する人」を表すケアを組み合わせたイギリスで生まれた言葉とされています。大人が担うような家事や、病気や障害がある家族の介護を日常的に行っている18歳未満の子供たちを指します。学業はもちろんのこと、子供の人権にも関わる大きな課題と考えます。 まず最初に、本県では新潟県ヤングケアラー支援検討会議を設置し、今月7日に第1回検討会議が開催されましたが、本会議を設置した趣旨や目的、検討内容についてお伺いします。 ヤングケアラーについては、子供本人や家族に支援が必要との自覚がないケースも多くあると言われ、表面化しにくい点も課題とされていますが、負担の重い子供を早期に発見するには、学校を欠席、遅刻した際に教員がしっかり事情を聴き、家庭環境を把握すると同時に、子供を含めた家族全体へのケアが必要と考えます。 このため、ヤングケアラーに対する支援を進めるためには、子供の状況を把握した学校と行政が連携し、必要な支援につなげるための教育と福祉の支援体制整備を強化する必要があるとともに、部局を超えた横軸の連携も重要と考えますが、所見をお伺いします。 また、ヤングケアラーについては、国においても福祉、介護、医療、教育等といった様々な分野が連携し、ヤングケアラーを早期に発見した上で支援を行うことが重要であるとの認識から、厚生労働省及び文部科学省が連携し、検討を進めるため、ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチームを立ち上げております。 プロジェクトチームは、先月、ヤングケアラー支援に向け、今後取り組むべき施策を報告書にまとめ、支援制度を整備する方針を発表したところでありますが、この報告書に対する知事の受け止めと、他の自治体で見られるケアラー支援条例制定の方向性やヤングケアラー支援に特化した部署の新設について所見をお伺いします。 次に、子供の視力保護対策についてお伺いします。 近年、子供の視力は悪化の一途をたどっています。文部科学省による2019年度の学校保健統計調査では、裸眼での視力が1.0未満の子供の割合が幼稚園では26.06%、小学校で34.57%、中学校57.47%、高校は67.64%と、小・中・高校で過去最高を更新しました。幼稚園では4人に1人程度だった視力1.0未満の子供たちが、高校生に成長すると3人に2人が視力1.0未満になってしまうということが数字から読み取れます。 スマートフォンやゲームなど、比較的小さい画面を近くで長時間にわたって見ることが生活習慣の一部となっていることが理由と考えられますが、近視は成人してから緑内障や網膜剥離など失明につながる病気になりやすいとの指摘もされる中、本県における小中高生の視力の現状についてお伺いします。 続いて、教育現場における対策についてお伺いします。 本県では、2月に新潟県版GIGAスクール構想を策定し、児童生徒1人1台のデジタル端末導入により、ICTを活用した新しい学校教育を始めることとしておりますが、子供の視力低下が懸念されます。教育現場では、今後どのような点に留意しながら子供の目を守る対策を進めていくのか、お伺いします。 次に、子供のゲーム等依存症についてお伺いします。 インターネット環境の整備、スマートフォン所持の低年齢化に加えて、新型コロナウイルス感染症による外出自粛や休校の影響もあり、子供のゲーム依存の深刻化が懸念されています。世界中でもゲーム障害が社会問題化していることから、WHO、世界保健機関は2019年5月に新たな依存症として認定しました。 さらに、オンラインゲームをめぐり、小・中・高校生がトラブルに遭う被害も多発しています。国民生活センターによると、オンラインゲームの高額課金をめぐる相談は、2016年度に1,171件となって以降、年々増加しており、1件当たりの平均支払い額は15万円前後で推移しているとの報道があったところです。 そこで、お伺いします。 子供のゲーム等への依存に対する深刻化が懸念されている中、本県におけるゲーム依存症に対する相談体制や件数などの現状をお伺いします。 大阪府では、昨年の秋、小学4年生から高校3年生までの小・中・高校生およそ2万人を対象に、インターネットやスマートフォンの利用状況についてアンケート調査したところ、ネット依存の疑いのある子供の割合は、新型コロナウイルスの流行前に行った前年度よりも増加し、とりわけ高校生は3割近くに急増しているデータが示されました。 調査結果の分析を行った大学の准教授のコメントでは、新型コロナウイルスの影響は明らか、特に高校3年生では受験で忙しくなり、身近なスマホやネットに現実逃避しやすいようだとコメントしています。 このため、ゲーム等依存症に対する専門の外来診療施設は、県内で長岡市と上越市にあると聞いておりますが、診療施設の増加も含めた支援体制の強化が必要と考えます。ゲーム等依存症に対する支援体制の強化について、知事の所見をお伺いします。 続いて、学校現場における取組等についてお伺いします。 子供たちをゲーム等依存症から守るためには、学校でのさらなる指導と予防教育が欠かせないと考えますが、学校現場における今後の取組と家庭との連携の在り方について、教育長の所見をお伺いします。 次に、地域医療についてお伺いいたします。 本県医療の将来に向けた提供体制については、人口構造の変化により医療ニーズが変化してきている中、多くの病院で従来どおりの急性期機能を中心とした医療提供を継続することは、今後、患者数の減少が予想される中、病院を運営していく体力が衰弱し、その結果として地域に必要な医療提供機能が失われていくことが懸念されています。しかしながら、このような状況は何としても避けなければならないと考えます。 さらに、これまで経験のなかった新型コロナウイルス感染症への対応における課題や、それによって得た知見も踏まえ、本県医療の将来に向けた提供体制はどうあるべきか、知事の所見をお伺いします。 また、本県の医療提供体制における課題は大変多く、検討すべき点は多岐にわたると承知しておりますが、知事が最も大きな課題と認識している点は何か、お伺いいたします。 次に、新潟県地域医療構想の実現に向けた今後の方向性をまとめたグランドデザインが、4月に県医療審議会で承認される旨の答申がありましたが、地域で高度な医療を支える柱となる病院と、地域包括ケアシステムを支える医療機関と位置づけられた地域密着型病院との連携等について、今後どのようなプロセスと体制で議論を進めていくのか伺うとともに、県内の医師、看護職員の地域間における偏在の解消に向けた取組について併せてお伺いします。 次に、県央基幹病院についてお伺いします。 本年4月14日、大安の日に、救命救急医療を提供する地域の基幹的な病院として、令和5年度中の開院を目指し、建設・整備される県央基幹病院の工事安全祈願祭と起工式が三条市上須頃地内の建設用地で行われました。 県央医療圏は、他の医療圏に比べ救急患者の圏域外搬送が顕著であり、救急医療体制の構築が大きな課題となっています。現在でも救急患者の4人に1人が圏域外に搬送されている状況であり、県央基幹病院の本格着工は救える命を救う、断らない救急の実現は県央地域の医療体制充実につながるものであり、地域で暮らす住民の皆様が安心して生活できる環境整備の大きな一歩であると考えます。 そこで、お伺いします。 知事は、6月2日の記者会見において、県央基幹病院を運営する指定管理者の候補に、社会福祉法人恩賜財団済生会支部新潟県済生会を選定したと正式に発表されました。応募状況、審査委員会における評価の観点、選定に当たっての評価結果を改めてお伺いいたします。 県央基幹病院の診療機能は、計画における開院時の病床数400床、診療科22科について、運営主体の選定に至った現在の段階でも変更はないのか、また感染症対応も見据え、開院時の完全稼働のために必要となる医師の人数、看護師の人数、医療スタッフの人数はどれくらいと考えているのか、お伺いします。 県央基幹病院と同じ公設民営により平成27年度に開院した魚沼基幹病院が、看護師不足によって全面稼働に至っていない状況は、県央基幹病院でも同様の課題となる可能性を危惧するところです。知事は会見において、県として指定管理者と一緒に必要な医療スタッフを確保していくとの報道がありましたが、医師、看護師、医療スタッフの具体的な確保策と現在の取組状況をお伺いします。 平成30年に行われた県央医療圏における救急搬送状況の調査では、救急搬送患者の約25%、4人に1人が圏域外へ搬送されております。県央基幹病院開院後に想定される救急受入れ件数と、これまでの実績データと比較して、圏域外搬送はどのように変わると想定しているのか、その件数をお伺いします。 また、様々な重症度や疾患の救急患者を受け入れるER救急体制の整備の重要性について、改めて認識を伺うとともに、その認識は運営主体予定法人と共有が図られているのか、お伺いします。 地域医療構想の推進に当たり、県央基幹病院の整備は、県央地域における公立・公的病院の急性期機能を集約し、圏域内の病院との機能分担と連携を進めるとともに、隣接医療圏との連携も強化することで、断らない救急を目指すものと認識しています。 県立加茂病院を含む地域密着型病院として位置づけられる病院の役割と、診療体制の考え方を伺うとともに、県央基幹病院と地域密着型病院との連携に関する具体的な取組をお伺いします。 次に、県立病院における病床活用についてお伺いします。 新型コロナウイルス感染症の対応では、症状に合わせて宿泊療養や個室対応等が必要となり、県立病院においても相当数の患者を受け入れたと聞いておりますが、余裕ベッドや休止病棟により受入れが可能でありました。 さらに、感染者が短期間で急増したような場合を想定すると、病床稼働率の低さをダウンサイジングに結びつけるのは性急ではないかと考えますが、新たな感染症への対応を踏まえた病床活用の仕組み、考え方について所見をお伺いします。 次に、県立加茂病院及び吉田病院の公設民営化についてお伺いします。 県立加茂病院及び吉田病院については、公設民営など民間活力を生かした運営に向けて取り組んでいる中、これまで運営に関心を持つ医療法人と複数回にわたり意見交換を進めていると承知しています。現在、どのような状況にあるのか伺うとともに、今後の取組、進め方の方向性についてお伺いします。 また、関係市町村への進捗状況等を含めた情報提供が滞っている感がありますが、情報提供の現状を併せてお伺いします。 最後に、地域住民への分かりやすい情報提供についてお伺いします。 県央地域の医療提供体制の整備に当たっては、住民への丁寧な説明と情報提供が欠かせないと考えます。現状や県の方針、組織体での検討内容と結果等を適宜適切に地域住民に対して情報発信するとともに、説明の機会も設けるべきであります。 例えば、加茂病院が県立病院のまま運営主体が民間になると、外来診療、入院機能、診療科目など、受診する住民にとってはこれまでと何が変わるのか、何が変わらないのか、そういった例えばこういう場合はという分かりやすい丁寧な説明があってこそ、不安を取り除き、安心して生活ができる、これこそがまさに健康の原点だと考えます。 このような観点から、これまでの一般質問、常任委員会での質問でも取り上げさせていただき、また今日も同様の趣旨で質問をしていますが、現在のコロナ禍の中で説明会開催が困難な状況であるならば、ホームページでの情報発信だけではなく、例えばイラストを入れたチラシ等を作成し、市町村の協力を得た上で広報紙とともに戸別配布することにより周知を図ることなども一案かと思いますが、所見をお伺いします。 これまでの答弁より一歩踏み込んだ実効性の担保された答弁を期待して、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 保坂議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、本県のデジタル化と新潟県行政手続オンライン化構想についてでありますが、政府は内閣直属で強力な総合調整機能を持ち、国のデジタル改革を強力に推進する組織としてデジタル庁を設置し、デジタル社会の形成を進めることとしています。 本県においても、デジタル化が喫緊の課題になっていることから、こうした政府の動きと整合性を図りつつ、私を本部長とするデジタル改革実行本部を立ち上げ、部局横断的かつ機動的にデジタル化を推進してまいりたいと思います。 また、行政手続オンライン化については、県が変更できるものについては、来年度までに件数の約8割、令和7年度までに原則として全ての手続をオンライン化することとしており、利用者目線に立った業務プロセスの見直しを行いながら着実に取り組んでまいります。 次に、商店街のWi-Fi整備に対する支援についてでありますが、商店街に整備されるWi-Fiは、商店街を訪れる方の利便性を高める一方、継続的な費用負担が発生することから、導入の効果や利用者ニーズを十分に検討した上で、整備を進める必要があると考えています。 その上でWi-Fiは、活用手法によっては、商店街の機能強化や、魅力アップの効果も期待できることから、県といたしましては、商店街の創意工夫を凝らした取組を市町村と連携して支援してまいりたいと考えています。 なお、具体的な支援施策については、産業労働部長からお答えいたします。 次に、マイナンバーカード取得率の現状認識と普及向上の重要性についてでありますが、本県における取得率は、5月末時点で25.2%、昨年9月末時点と比べ約10ポイント伸ばしておりますが、全国で最も低い状況にあります。 カードの取得率向上には、住民への働きかけと同時に、出張申請受付など、プッシュ型の取組を効果的に組み合わせていくことが重要であると認識しています。 しかしながら、本県では、他県との比較で、そのような取組が弱かったのではないかと考えており、現在、市町村と共に取組の強化を進めているところです。 また、行政手続のうち、特に信頼性の高い本人確認を要する手続をオンラインで完結させる上で、マイナンバーカードが必要となることから、行政手続オンライン化の推進の観点からもマイナンバーカードの普及は重要と認識しています。 次に、子供を取り巻く環境と支援策についてお答えいたします。 まず、ヤングケアラー支援に係る教育と福祉の連携についてでありますが、ヤングケアラーを取り巻く環境は、子供の成長や教育だけの問題ではなく、親や祖父母、兄弟などへの介護や世話など、多くの世代に関係がある問題として捉える必要があることから、議員御指摘のとおり、支援に当たっては、教育と福祉が連携した支援体制の整備が必要と考えています。 このため、教育や福祉などの関係機関の有識者で構成する検討会議を設置し、連携方法などを含め検討を始めたところであり、また、庁内関係部局間においても連携をさらに深め、支援につなげる体制の構築を図っているところです。 次に、ヤングケアラー支援に関する国の報告書についての受け止め等についてでありますが、国の報告書では、ヤングケアラーについては、福祉、介護、医療、教育等といった様々な分野が連携し、ヤングケアラーを早期に発見した上で支援を行うことが重要である、また、早期発見・把握や関係団体における取組、社会的認知度の向上など、様々な施策について取り組むと記載されており、本県においても、関係機関が連携した支援体制の構築の必要性について改めて認識したところです。 このため、先般、関係団体の有識者で構成される支援検討会議を設置し、本県における支援体制の検討を始めたところであり、まずは、こうした支援体制の構築を優先し、議員御指摘の条例の制定や部署の新設については、全国の動向や情報を収集しつつ注視してまいりたいと考えております。 次に、ゲーム等依存症に対する支援体制の強化についてでありますが、本県におきましても、ゲーム等依存症の子供たちの増加が現実化しつつあると医療関係者から指摘されております。 県といたしましては、国が実施する研修などを活用し、ゲーム等依存症に対する相談従事者等の資質向上や専門医療機関の確保に努めているところです。 また、現在、子供の心・障害に関する本県の医療提供体制等についてワーキングチームを設けて議論しているところであり、ゲーム等依存症も含めた支援体制の強化について検討してまいりたいと思います。 次に、地域医療についてお答えいたします。 まず、新型コロナウイルス対応も踏まえた本県医療の将来に向けた提供体制についてでありますが、本県では、地域の中核病院を中心に地域の内外の新型コロナウイルス患者を受け入れており、これらの対応状況から、医療資源が充実し、対応力の大きい地域の中核病院の役割や圏域内外の連携の重要性を再認識したところです。 また、議員御指摘のとおり、今後、患者数の減少や医療ニーズの変化が予想される中、多くの病院が従来のように急性期機能を中心とした医療を提供し続けることで、病院経営の悪化を招き、場合によっては、いずれの病院も経営が困難となるなど、地域に必要な医療機能が失われる懸念もあると認識しております。 そのため、医師の働き方改革に対応しながら、地域に必要な医療を維持していくためには、医療資源の一定程度の集約化により、地域の中核病院の機能が充実・強化されることが重要であり、場合によっては、二次医療圏を越えて連携し、対応できる医療提供体制としていくべきであると考えております。 次に、本県の医療提供体制における課題についてでありますが、医師不足が深刻な本県においては、医師の働き方改革にも対応しながら、将来にわたって地域に必要な医療を維持していくことが重要であり、そのためには、地域の中核病院の機能強化を柱に据えた医療再編を進めるなど、限られた医療資源を地域の実情に応じて、いかに効率的かつ効果的に活用していくかが大きな課題であると認識しています。 また、人口構造の変化に伴う将来の医療需要の変化などに対応していく上では、医師の確保はもとより、総合診療専門医をはじめとした総合的な診療を中心的に担う医師の育成等にも取り組んでいく必要があると考えております。   〔知事政策局長小岩徹郎君登壇〕 ◎知事政策局長(小岩徹郎君) 2点お答え申し上げます。 LINEの事案への対応と個人情報保護に関する対応方針についてでありますが、県では、LINE事案の発生を受け、事案の内容や国の動向等について情報収集を行うとともに、LINEサービスの利用状況や今後の対応方針の妥当性について調査を行ったところです。その結果、LINE社に個人情報が残るサービスについて一部利用停止とするなど、個人情報保護の観点から適切な対応がなされていることを確認しており、これは、その後に国が策定したガイドラインとも整合しております。 その上で、県においても個人情報の取扱いの有無やLINEサービスの利用方法に応じて、具体的な方針を定めて、引き続き、周知・適正利用を図っております。 また、新潟県行政手続オンライン化構想の推進に当たっては、組織の情報セキュリティーに関する方針を示した情報セキュリティポリシーに基づき、システムの調達・開発や適切な運用に努めてまいります。 次に、高齢者のデジタルディバイド対策についてでありますが、議員御指摘のとおり、デジタル化の積極的な推進と併せて、情報通信機器を利用していない高齢者への支援も必要と考えております。 今後、高齢者等が身近な地域でのオンラインサービスの利用方法等を学べる国の事業が進められますので、県といたしましても、国や市町村と連携して本事業が積極的に活用されるよう取り組んでまいります。 また、デジタル化を進めていく過程で、行政からの情報発信やサービス提供等に際して、デジタル媒体だけではなく、様々な媒体も活用していくなど、事柄に応じて適切に配慮してまいりたいと考えております。   〔総務管理部長森永正幸君登壇〕 ◎総務管理部長(森永正幸君) 2点お答えいたします。 マイナンバーカードの取得率向上のための取組についてでありますが、本年3月に県内全市町村と共に立ち上げた、新潟県マイナンバーカード普及促進研究会における検討を踏まえ、各市町村が毎月の交付目標や達成に向けた具体的な取組内容を設定し、PDCAサイクルで見直し・改善を図ることにより、県全体の取得率を向上させていきたいと考えております。 また、議員御指摘のメリットの付与については、取得率の向上に寄与するものと考えており、県内市町村においても取組を行っている事例があることから、そのような取組の横展開を図るとともに、県といたしましても、メリットの付与について検討してまいりたいと考えております。 次に、ぴったりサービス未対応市町村への助言等についてでありますが、子育てに関する手続をはじめとして、様々な申請や届出をオンライン上で行うことができる、ぴったりサービスは、議員御指摘のとおり、市町村によってばらつきがある現状ではありますが、子育て等で忙しい方の負担軽減につながるなど、県民の利便性向上に資するものであり、利用事務の拡充を図ることが重要であると考えております。 現在、国では、これまで発生していた市町村の費用負担をなくすなど、令和4年度末を目指して、子育て関係などの主要な手続について、全市町村でオンライン手続が可能となるよう、財政措置を含む支援策を講じているところであります。 県といたしましても、未対応市町村に対する助言や、利用事務の拡充を市町村に働きかけてまいります。   〔福祉保健部長松本晴樹君登壇〕 ◎福祉保健部長(松本晴樹君) 9点お答え申し上げます。 ヤングケアラー支援検討会議を設置した趣旨等についてでありますが、本県におけるヤングケアラー及び関係機関等による支援の実態を把握するとともに、支援を必要とするヤングケアラーを早期に発見し、必要な支援につなげるため、教育と福祉の支援体制の整備について検討を行うことを趣旨に、新潟県ヤングケアラー支援検討会議を設置したところです。 なお、検討内容につきましては、本県における支援に向けた論点・課題、早期発見のための広報啓発方法、実態把握方法などについて、議論いただくこととしております。 次に、本県のゲーム等依存症に対する相談支援体制についてでありますが、現在、精神保健福祉センターや保健所で相談を受けており、令和2年度は、19人、延べ50件の相談があったところです。 御家族からの相談が多く、主な相談内容は、ゲームにより昼夜が逆転している、ゲームへの課金が止まらないなどとなっております。 依存の状況を丁寧にお聞きした上で、日常生活への助言を行うとともに、医療が必要な方には専門の医療機関を紹介するなどの支援を行っております。 次に、医療機関の連携に関する議論の進め方等についてでありますが、これまで、地域医療構想の推進に当たっては、各圏域の地域医療構想調整会議を中心に議論されてきたところです。 しかしながら、多くの関係者が一堂に会する調整会議では、必ずしも具体的な課題に関する議論を深められないといった意見も伺っているところです。 このため、今年度は、圏域ごとに少人数のグループによる意見交換を重ね、連携等の在り方も含め、具体的な課題に関する議論を深掘りした上で、調整会議で圏域全体の合意形成を図るという形で進めてまいりたいと考えております。 また、医師や看護職員の地域偏在の解消に向けては、これまでも様々な取組を行ってきたところですが、特に修学資金を貸与した医師や看護職員に、不足地域の病院等で従事していただくことが重要と考えております。 このため、地域枠の拡大など修学資金貸与医師を増やすとともに、看護職員が不足している地域の市町村と連携して修学資金の貸与を行うなど、引き続き、地域偏在の解消に取り組んでまいります。 次に、県央基幹病院の指定管理者についてでありますが、有識者から成る審査委員会において、県央地域医療構想調整会議などの議論を踏まえた医療の連携体制や、急性期を担う大規模病院の運営実績等を重視した審査基準を設定し、募集したところです。 その結果、新潟県済生会の1団体から応募があったものであり、審査委員会では、県内で救急告示病院を運営している実績やノウハウがあること、患者満足度向上や全国グループとしてのスケールメリットを生かした費用削減等の取組などが評価され、県央基幹病院を適切に管理・運営する能力を有すると認められました。 一方で、年間5,000台の救急搬送を受け入れるためのER救急体制の構築や看護師の確保、特に救急医療人材の確保のための育成について、具体的な方策等を決めて取り組んでいくよう、指定管理者候補者及び県に対して意見が出されているところでもあります。 次に、県央基幹病院の診療機能と開院時に必要となる医師等の人数についてでありますが、指定管理者の募集に当たっては、病床数400床、診療科は22科を基本としており、その内容を踏まえた提案がなされております。今後、救急医療と専門医療など県央基幹病院が重点とする役割・機能に沿って、具体的な診療科を決めていくことになります。 医師等の人数については、県央基幹病院整備基本計画では、中長期的に医師は75名から90名、看護職員は410名から430名程度必要とされておりますが、運営主体が県央基幹病院の役割・機能に応じた診療体制を検討していく中で定めていくものと考えております。 次に、県央基幹病院における医師等の確保についてでありますが、県央基幹病院の具体的な診療機能、周辺病院との連携や役割分担を明確にし、それを踏まえて地域医療の現場経験がキャリアパスにつながるような環境の整備、働きやすい環境の整備等、基幹病院の魅力を高めていくことが重要であると考えております。 現在、大学や医療養成機関への訪問や、医療スタッフ確保に先進的に取り組んでいる県外の医療機関等を参考にした受入れ準備を進めるなど、運営主体の決定前から、県として医療スタッフ確保に取り組んでいるところです。 今後、具体的な採用に向けて、運営主体が医師等の確保計画を策定することとしており、それに基づいて、県と運営主体が連携しながら着実な確保に取り組んでまいります。 次に、医療再編後の県央医療圏の救急医療についてでありますが、県央医療圏の救急搬送は、現在、年間8,500件程度でありますが、県央基幹病院の開院により圏域内で発生する救急搬送の9割以上を受け入れる体制を構築していくことで、2,000件以上の圏域外搬送が400件から500件程度に改善されると考えております。 このような体制を構築するためには、県央基幹病院においては様々な重症度や疾患の救急患者を受け入れるER救急体制を整備することが重要であると認識しております。 指定管理者の募集や審査に当たっても、県央基幹病院が果たすべき役割として救急医療を重点としていることから、その重要性について、運営主体とも共有が図られているものと考えております。 次に、地域密着型病院の役割・機能についてでありますが、県央地域医療構想調整会議において、地域包括ケア病棟を中心として、慢性疾患を持つ高齢者の入院診療や重症化予防など、県央基幹病院との役割分担を明確にし、地域における高齢者医療の中心的役割を担うことが合意されたところです。 県央基幹病院と地域密着型病院が役割分担し、地域全体で急性期から回復期、慢性期まで患者が安心して医療を受けられる体制を構築するため、診療応援などの連携を進めることとしており、今後、関係者と具体的な協議を行ってまいります。 次に、県央地域の医療提供体制に関する住民への説明と情報提供についてでありますが、医療提供体制の整備に当たっては、地域住民の理解と協力が重要であることから、住民への情報発信や分かりやすい説明の機会等が必要であると考えております。 県央基幹病院が提供する医療や他病院との役割分担の内容など、議員御提案の医療再編後の医療提供体制に関する住民への周知については、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえて、市町村とも手法などについて協議し、早い時期に情報提供できるよう準備を進めてまいります。   〔産業労働部長佐野哲郎君登壇〕 ◎産業労働部長(佐野哲郎君) お答えいたします。 商店街のWi-Fi整備に対する県の支援施策についてでありますが、県では、まちづくりの主体である市町村と連携して、商店街の機能強化や魅力アップを図る取組に対して支援を行っているところでございます。 Wi-Fi整備につきましては、これまで商店街から申請の実績はありませんが、アーケードや街路灯などの整備とともに支援の対象としております。   〔病院局長藤山育郎君登壇〕 ◎病院局長(藤山育郎君) 2点についてお答えいたします。 感染症への対応を踏まえた病床活用の仕組み、考え方についてでありますが、今回の県立病院における新型コロナウイルス感染症対応では、議員御指摘のとおり、休止病棟を利用するほか、感染症患者を一般患者の動線と分離し、院内感染を防止するため、稼働病棟を空き病床にして感染症患者の受入れを行うなど、柔軟に対応してきたところです。 一方で、病床稼働率が低い場合に、ダウンサイジングをせずに余剰病床を残すことについては、医療従事者を確保できなければ病床として機能せず、病院経営に不効率が生じることも懸念されます。 いずれにいたしましても、県立病院に求められる役割を適切に果たすため、今後とも、一般の医療と感染症対応のいずれにも、迅速かつ柔軟に対応してまいりたいと考えております。 次に、加茂、吉田病院の公設民営など民間活力を生かした運営に向けた取組についてでありますが、県央基幹病院の運営主体に関する動向なども踏まえ、運営に関心をお持ちの法人と、両病院が担うべき医療機能提供に向けた医師確保、経営の見通しなど、より具体的な課題について継続的に意見交換を行っているところであり、できる限り早期に方針を決定できるよう取組を進めてまいります。 また、法人との意見交換は現段階で病院運営のノウハウなど実務的な内容が中心となっていますが、今後も取組を進める中で、法人との意見交換の状況を踏まえながら、地元市町村に対して適時適切に情報提供し、丁寧に意見交換してまいりたいと考えております。   〔教育長稲荷善之君登壇〕 ◎教育長(稲荷善之君) 3点についてお答えいたします。 本県における児童生徒の視力の現状についてでありますが、令和元年度の裸眼視力が1.0未満の児童生徒の割合は、小学校では37%、中学校では55%、高等学校では67%となっております。 全国平均との比較では、小学校で2ポイント多く、中学校で3ポイント、高等学校で1ポイント少なくなっております。 次に、子供の目を守る対策についてでありますが、これまでも、中学校、高等学校では、保健の授業の中で、コンピューターなどを長時間使用することによる、疲労の現れ方や休憩の取り方などについて学習しております。 また、文部科学省は、学校へのデジタル端末の配備に伴い、30分に1回は20秒以上画面から目を離すなど、ICT活用に当たっての配慮事項を示しており、市町村教育委員会を通じ、各学校に周知しているところです。 一方、ゲーム等を含む家庭での長時間使用による視力低下が危惧されるところであり、県教育委員会といたしましては、今年度、文部科学省が実施する児童生徒の近視実態調査における、近視とライフスタイルとの関連についての結果を踏まえ、保護者と一体となって、子供の視力低下の予防を進める必要があると考えております。 次に、ゲーム等依存症に係る取組と家庭との連携についてでありますが、児童生徒を依存症から守るためには、学校と家庭との連携が不可欠であると認識しております。 現在、県立高校などで、依存症の予防教育を内容とするSNS教育プログラムを実施しております。今後は、義務教育段階でのプログラムを作成し、引き続き、予防教育の推進に取り組んでまいります。 また、保護者に対して、ゲームやインターネット使用に関するルールづくりやフィルタリングの設定を勧めているところですが、これらの実態の把握に努め、家庭への働きかけを強めていく必要があると考えております。 ○副議長(佐藤純君) 保坂裕一君の質問は終わりました。 次に、高見美加君の発言を許します。高見美加君。   〔高見美加君登壇〕(拍手) ◆高見美加君 自由民主党の高見美加です。通告に従いまして質問をさせていただきます。 質問の1点目は、デジタル化の推進についてです。 我々は、新型コロナウイルス感染症で大きな社会変革を迫られました。まだまだ渦中であり、当面の課題に確実に取り組むべきですが、この経験から、同時に次の時代を見据えた施策に早急に、果敢に取り組むべきであり、長年の懸念を一気に進めるチャンスであるとも認識しております。 いよいよ本年9月1日にデジタル庁が設置されます。国が目指すデジタル化は、単に情報システムを整備する、手続をオンライン化する、紙や対面をなくすということを意味するものではなく、デジタル技術やデータを活用して、利用者目線に立って新たな価値を創出するデジタル・トランスフォーメーション、DXであり、デジタルを前提とした次の時代の新たな社会基盤を構築するというデジタライゼーションの観点の重要性を具現化するものであり、世界では後進と言われる我が国のデジタル化の進展が、地域の課題や格差の解消を実現するツールになり得ると認識しております。 DXの提唱者の言葉を借りれば、本県のDX化が県民の生活をあらゆる面でよりよい方向に変化させるよう期待し、以下、質問させていただきます。 デジタル化のメリットは多くの方々が認識しているものの、国の示すあるべき姿や理想とする姿に近づくには高いハードルがあり、地方自治体としてどこから手をつけ、民間との協調や行政としてのプラットフォームをどう構築するかなど、課題は大きいと認識しております。 デジタル化の進展は、医療、教育、産業などの分野ごとに転換を進めていかなければ、転換メリットより手間、慣れるまでのストレス、不具合の調整などのデメリットが上回り、デジタル化がなかなか進まないという懸念があります。 県民の政治的に関心の高い分野、喫緊に取り組むべき行政課題を抽出して、デジタル庁創設による国の制度を見据え、デジタル化による5年後、10年後の新潟県の将来像と、その構造のメリットがデメリットを上回ることを県民に明確に示せるよう関係者で共有し、その実現に向け、このたび国が示したアジャイルガバナンスの仕組みを用いながら、各事業の到達責任を明確にし、新潟県のDX化を進めていただきたいと思います。 デジタル化を先導する役割を担うのはやはり県であると認識していますが、知事の所見を伺います。 今ほど述べたように、デジタル化を推進するに当たっては、まず行政、県が積極的に取り組むべきだと考えます。事務の省力化やデジタル申請にもつながる押印廃止などに取り組んでいることは承知しておりますが、全国自治体では高い報酬を約束し、IT人材を確保する動きも見られます。 本県もさらなるデジタル化に向け、多様な人材を集め、従来の役所とは一線を画した次のデジタル社会をリードする強い組織を立ち上げることが必要になってくると思います。 県民が使いやすく、使いたくなるようなユーザーインターフェースの実装には、クリエーティブな人材が県民目線でデザインする必要があります。 県ではデジタル化に向けて庁内の体制を整備し、外部人材の知見を積極的に活用するとのことですが、具体的にどのように進めていくこととしているのか伺います。 毎年、自由民主党全国女性議員政策研究会がこの時期開催されております。先月、リモート形式での開催となりましたが、大臣、国会議員と直接チャット形式の質疑ができたのは大変有意義でした。 今回参考になったのは、山田太郎参議院議員の「日本の現場力をデジタルで底上げ~日本の底力はこんなものではない!~」というお話で、特に3つの分野、医療・介護、教育、防災を中心としたデジタル化による行政の役割、在り方の再定義についてでした。以下、この分野を中心に伺います。 政府は、18日、初診からオンライン診療・服薬指導の恒久化を盛り込んだ規制改革実施計画を閣議決定しました。現在、オンライン診療は特例的に認められていると承知しておりますが、実施計画ではコロナ収束後も安全性と信頼性をベースに原則解禁と盛り込み、特例措置を恒久化、2022年度中に開始する方針とのことです。 初診のリモート診断や診察カルテ、処方箋等のデータベース化、検診データや医療・介護レセプトデータのリンクなどは、住民サービスの向上や効率的・効果的な医療サービスの提供などにつながるものと期待されていますが、あまり進展していない現状であると認識しています。 健康・医療・介護分野のデジタル化の推進に向けて知事の所見を伺うとともに、今後どのように取組を進めていくのか伺います。 教育分野のデジタル化やデジタル化に対応する人材の育成は重要と考えます。教職員にその負荷をかけるだけではなく、地元IT企業と連携し、外部講師として招聘するなどにより、最先端のデジタル技術を学べる学科を新設するなど、社会に出たときに即戦力となる人材を輩出していく取組の推進、またその実績から人材を集めて、IT企業が県内に集積するような一連の取組を図っていくべきだと考えますが、所見を伺います。 現在、GIGAスクール構想の下、児童生徒にタブレット端末を配付して、授業で活用しているところですが、以前視察した先進地、大分県武雄市では、タブレットを活用した予習、復習に効果が高いと伺いました。履修意欲が高まっただけではなく、個々の学習到達度もデジタル化によって瞬時に明確になるなどの効果もお聞きしました。 教育分野のデジタル化のメリットの一つはスタディーログが明確になることであり、そのためには学校だけではなく、家庭での学習状況も分かる仕組みづくりが重要だと認識しております。 しかし、実態として、県内の学校ではタブレット端末の持ち帰りを許可していない学校もあり、そのメリットを十分に生かせていない状況も伺っているところです。 山田太郎参議院議員いわく、デジタルデバイスを手足のように活用させてこそデジタル化のメリットがあるとの指摘は、まさにそのとおりであると思います。 持ち帰りを許可している学校はどの程度あるのか伺うとともに、持ち帰りを許可していない理由を伺います。 タブレット端末を自宅に持ち帰った場合、Wi-Fi環境が整っていない家庭では、十分なタブレット端末の利用ができず、児童生徒間の学習環境に格差が生じてしまうおそれがあることが指摘されてきました。 その対策に向けて施策も展開されていると認識していますが、ルーターの貸出し、その環境費用支援などを含め、全ての子供がデジタル化のメリットを享受できる環境整備が必要と考えますが、県内学校ではどのように対応しているのか伺います。 タブレット端末の整備や利用の範囲、その学習カリキュラムなどは、各市町村教育委員会が判断しているとのことですが、市町村単位で整備や利用の範囲に大きな差が出れば、修学レベルに格差が生じることが懸念されます。県教育委員会としてどのような調整や支援を行っているのか伺います。 本県では、大規模災害の経験を踏まえ、災害時の迅速な対応や防災の取組を積極的に進めてきたと認識しています。 防災分野においてもデジタル化による避難者個人や避難所の情報を迅速に一元化することで、災害のリアルタイムでのハザード情報提供や避難指示、救援物資の的確な配送や災害ボランティアの配置、避難者のパーソナル・ヘルス・レコードによる対応、安全確認など、さらなる効果的・効率的な災害対応が可能になると考えられます。 また、システムの脆弱性が露呈したことは残念でしたが、このたびのコロナ禍でも明らかになった危機管理のための接触感染等の情報共有システムの有効性は高いと感じております。 これら本県の災害対応に係るデジタル化の取組状況と今後の方向性について伺います。 政府は、新たな成長戦略で、データセンターの国内回帰や先端半導体の安定的な調達に向け集中的に投資し、経済安全保障のため、リスクを抑え込むとの方針を明記しました。 データセンターの国内市場規模は2024年に2兆2,000億円余りにも達し、さらに拡大すると見込まれております。 関東、関西に8割以上集中しているデータセンターについて、大規模拠点を5か所程度選定し、さらに中小規模の拠点を10か所ほど追加することも検討するとの報道がありました。 本県のデジタル化を推進するに当たり、関連するIT企業などの集積も進む可能性もあることから、国が進めるデータセンターの最適配置の動きを踏まえ、本県にデータセンターを積極的に誘致してはどうかと考えますが、知事の所見を伺います。 本議会でも本県のマイナンバーカード交付率の低さが指摘されております。さきの全国民への10万円支給、ワクチン接種においてもマイナンバーを活用しての有効な取組ができたはずであったのに、住民の活用への理解、そのメリットが見えていない状況では、これがかなわなかった状況があったと認識しています。 このたび、国民向けの現金給付の支給作業で、子供を抱えて経済的に困窮する世帯への給付金がマイナンバーの活用により、初めて申請手続をすることなく口座に振り込まれると平井デジタル改革相が発表しました。対象世帯は100万世帯前後になるということです。 国民にそのメリットが明確に示されなければ、マイナンバーカードの取得は進まないのではないか、そもそもカード自体をデジタル化できないのかという課題も見えてきます。 マイナンバーカードは、デジタル社会実現に向けて必要不可欠なデジタルインフラであると認識しており、本県としても取得を強力に推進する必要があると考えますが、知事の所見を伺うとともに、今後の取得率向上に向けた取組について伺います。 いずれにせよ、デジタル化の取組は法改正が必要な分野もあり、またハード整備も必要なことから、国と連携を図りながら進めていかなくてはならないと考えますが、今後、国にどのようなことを求めていくのか、知事の所見を伺います。 質問の2点目は、子供たちを取り巻く環境の諸課題についてです。 新型コロナウイルス感染症の影響が多方面に出ておりますが、経済的にはリーマンショックをはるかに超えるとする影響が懸念されており、これは長期間にわたって続くと予想されております。 特に雇用状況の悪化などから、生活に困窮する世帯の増加が指摘されていますが、このことが未来の宝である子供たちの生活環境の悪化、この時期の影響が将来の我が国の、地域の人材でもある子供たちの未来へ深い影を落とすことになる事態だけは避けなければならず、課題を明確にし、支援拡充を求めたいという思いで以下、質問させていただきます。 支援に当たっては、自ら声を上げにくい子供を積極的、確実に探索し、特定した子供に対して行政や団体等が総合的に支援することが重要と考えます。こども庁の議論が進んでおり、大いに期待するものですが、政府はデータベースを活用した子供の貧困対策を自治体に求める方針であるとの報道がありました。 自治体が保有する生活保護の受給状況や、学校にある学力、体力、給食費滞納などの情報を一元化し、問題を抱えながら声を上げられない子供たちを見つけ出す仕組みも導入を促すとのことであります。 このデータ一元化に以前より取り組み、成果が出ている大阪府箕面市は、重点支援が必要とされた462人の対象の中から支援が届いていない116人を、客観的データから見つけることができたとする記事も県内紙に掲載されておりました。 これらを例に、県内においてもデータ一元化をはじめとし、積極的に子供たちの状況把握、探索する仕組みを構築すべきだと考えますが、知事の所見を伺います。 各地域で民間の団体が子供の困窮対策を支援しようという機運が高まっています。先日、長岡のフードバンクの方から活動状況、財源や人材育成の課題等のお話を伺いました。生活必需品の不足や日々の食事が取れないなどの必要最低限の生活を送ることが困難な子供たちへは、早急に支援がしっかり届く仕組みが必要です。 子供の困窮対策に当たっては、行政だけではなく、フードバンクや子ども食堂などの支援団体の協力を得て総合的に支援していくことが重要であり、行政が特定した子供を支援団体につなぎ、適切な支援が図れるよう、個人情報保護の観点から本当に支援をしなければならない子供たちが支援の対象から漏れることがないよう、官民連携体制の強化や支援団体の活動支援が重要と考えますが、知事の所見を伺います。 国が推進してきたGIGAスクール構想がコロナ禍で飛躍的に進み、現在、学校ではデジタル教育へのタブレット活用が始まりました。これを学習面だけではなく、利用履歴を分析して、子供たちの日常のメンタルの状況把握などをすることにより、生活困窮度や虐待の有無などの把握の材料として活用してはどうかと考えます。 いじめや虐待などのSOSを出せず、その貴い命を失う悲しい事件が相次いでおります。そのSOSを出しやすくする取組、仕組みづくりを1人1台のタブレット導入のこの機を捉え、進めていただきたいと考えますが、所見を伺います。 新型コロナウイルス感染症の影響により、子育て負担の増加や収入が減少している子育て世帯からは、低所得の2人親世帯の支援拡充を求める声や、支援の情報が確実に届いていない、また人とのつながりが求められていると感じているところです。 独り親世帯に対する特別給付金の支給、母子家庭自立支援事業の拡充等、本県では支援強化に努めていただいているところですし、今定例会に上程されている補正予算、女性のつながりサポート事業、生活困窮者自立支援金など、コロナ禍で子供たちにその影響が及びやすい家庭の経済に対する支援は高く評価したいと思います。 これら支援が確実に届くための情報提供、当事者の孤立を防ぐための相談など、課題にワンストップで対応する支援団体の体制強化、不安定な所得環境からの脱却のための自立に向けたスキルアップを含め、就労支援をさらに充実する必要があると考えますが、知事の所見を伺います。 本年度、本県が取組を進めている独り親家庭等に対し、養育費の受け取りに伴う公正証書作成の相談や手続に係る費用を支援する、養育費確保支援事業の創設についても高く評価しています。大きな一歩だと認識しています。本事業が必要な世帯に的確に情報提供され、有効に活用されることを期待しております。 3月、桜庭議員を会長に設立した県内女性議員の会、雪椿の会では、参加各市町村議員に本制度を紹介し、今後、各市町村において本事業の推進のための議論をしていただくようお願いしたところです。 現在の活用状況を伺うとともに、さらなる情報提供やきめ細やかな支援等、今後の取組について伺います。 文部科学省が昨年度創設した修学支援新制度の導入に伴い、所得の低い世帯の大学や専門学校などへの進学率が10ポイント上昇したと報道されました。この制度創設により子供たちの望む選択の幅が広がったことは、貧困の連鎖が指摘されている状況を断ち切る施策の効果でありますが、一方で、進学に係る経費、子育て世帯のいわゆる家庭の教育費負担の解決には遠いとも認識しております。 本県の修学支援新制度活用状況を伺うとともに、進学を希望する生徒が本制度を認知し、活用しやすいよう、高校での制度周知や申請支援等を強化すべきであると考えますが、その取組状況を伺います。 コロナ禍で地方回帰の機運が高まっていると言われております。これを長期間、真の流れにしていかなくてはなりません。少子化による大学経営への懸念も社会問題化している今、県内大学への進学を誘導する施策を進めていく必要があると考えます。 教育費の負担が家庭に重くのしかかっている現状の中、県内大学へ進学した場合、県外大学への進学と比べ、一般的には生活費などの低減が図られるものと認識しております。 こうしたメリットを生かし、学生の県内大学への進学意欲の向上につなげるためには、他に負けない特色ある学科やカリキュラム、研究を盛り込んだ大学を増やしていくことが重要と考えますが、特色ある大学づくりに向けた県の支援状況と今後の方向性について伺います。 児童の性的搾取は、児童の心身に有害な影響を及ぼし、その人権を侵害する極めて悪質な行為であり、断じて許されるものではありません。しかし、その性的搾取は児童を守り、育むべき大人の手で行われております。 国では、まさに性犯罪の刑法改正の議論が大詰めを迎えています。その議論の中、ある国会議員から成人と中学生の性行為を肯定する発言が繰り返されたとの報道がなされております。言語道断であります。国の方向を決める国会議員でさえこのような認識である現状に、この課題の根深さ、子供たちを大人が守っていくことへの高いハードルを感じているところです。 これら対策のためには、対症療法的な取組にとどまらず、要因・背景にまで踏み込んだ対策を講じ、撲滅する必要があります。そのための議論を続けていきたいと考えておりますが、今回は以下3点について伺います。 教職員のわいせつ事件が後を絶ちません。本県も例外ではありません。児童生徒が頼り、悩みを打ち明け、居心地のよい学校環境をつくるべき教員がわいせつ行為を行うことは許し難いことであり、これは個人の案件にとどまらず、社会の学校そのものに対する信頼を失いかねない事案であり、被害に遭った子供たちの心身への影響は長期にわたって非常に大きいと認識しております。 私個人としては、このような事件を起こした教員は再び現場に戻すべきではないと考えますが、再犯性の高いと言われるわいせつ行為を行った教員の免許再取得に当たっては、懲戒処分歴の閲覧期間の延長や新法に基づく教員免許再授与審査会の意見聴取などから、過去の行為をしっかりと踏まえた、今まで以上に慎重な判断をしなくてはならないと強く望みますが、県教育委員会の対応について伺います。 厚生労働省は、後を絶たない保育士のわいせつ行為を防止するため、わいせつ行為で資格登録を取り消された保育士が容易に保育施設で働くことができないよう、再登録を厳格化する方針を固めたとも報道されています。 保育士については都道府県による登録制度となっていますが、県の受け止めと厳格化に向けた現在の対応状況について伺います。 先日、神奈川県内の児童相談所で一時保護された10代の少女と性的な行為をしたとして、児童相談所の職員2名が逮捕される事件がありました。 繰り返される児童相談所での問題は、性犯罪に限らず、暴力や所内での虐待なども指摘されており、施設の役割上、このような案件が明るみに出にくいとも感じております。 児童相談所に係る予算は増大しておりますが、様々な課題から虐待案件は犯罪であり、警察へ一元化すべき、児童相談所そのものの存在は不要なのだという議論も起こっています。 しかしながら、現在、児童相談所は児童や保護者の指導、一時保護など重要な役割を担う施設で、最後のとりでとも言われる施設であり、課題を丹念に解決の方向へ動かす取組または事前にあってはならない事件を防ぐ取組が必要だと考えます。 これら社会状況を踏まえ、建物内の防犯カメラなどのハード整備、職員に対する綱紀粛正を徹底すべきだと考えますが、知事の所見を伺います。 最後に、質問の3、県政の諸課題について伺います。 1つ目の質問は、主権者教育についてです。 世界的に見て、若年層の投票率は諸外国と比較して低い水準であり、若者の政治離れが顕著であると言われております。高い投票率を誇っていた各市町村議員選挙でも、投票率低下は合併後さらに加速したとその数字が明確に表しています。 さきの参議院議員選挙から18歳の投票が認められました。18歳の投票率は高い傾向があるものの、19歳になるとその数値は低下し、政治への参加、自らが主権者なのだという意識醸成の定着には道半ばであると言えます。 主権者教育は、働くことの意義や税、社会保険といった負担を自分事として理解し、財政健全化や社会保障をはじめとした県民の権利や義務など、国民生活を営む上で必要な知識の前向きな蓄積につながると考えます。 義務教育段階から主権者として必要な資質を育むことが重要と考えますが、本県の主権者教育の現状と今後の取組について伺います。 農林水産省は、食料、農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現することを目的に、みどりの食料システム戦略を策定しました。2050年までに目指す姿として、農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現、化学農薬の使用量を50%低減、化学肥料の使用量を30%低減、耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を25%に拡大などと、従来の我が国の農業からの大きな転換とも言える内容になっております。 当面は目標達成に寄与するための研究が中心であり、メーカーや研究機関と連携した技術開発、国による予算支援、規制改革等が明確になっていないと承知しております。 国内需要が頭打ちの現状で、農産品の海外輸出がうたわれる中、海外からの需要創出のためには避けては通れない方向性でもあると言えますが、農林漁業者、行政、関係団体等、関係者が一体となって強力に推し進めなければ実現困難な取組と考えています。 本戦略に対する日本の食料供給基地である県の受け止めと対応方針について伺います。 次に、ワクチン接種業務に当たる行政職員等のワクチン接種について伺います。 ワクチン接種が始まり、高齢者より先に対象年齢でない自治体首長が接種したことがネガティブに大きく報道されました。首長は自治体の意思決定を行う決裁権者で、優先接種を受けるべき立場であり、受けなくてはならないと私は思っていますし、首長が感染すれば住民が不利益を被ることになるとも思っております。 様々な報道から、県内自治体のワクチン接種業務に当たる職員が接種を受けることをはばかるような状況が出ております。 県内でも大規模ワクチン接種の動きが加速する中、公的施設等でのワクチン接種の運営に当たっては、医療従事者のほかに自治体職員や運営受託者などが受付や誘導等の業務に関わることになるわけですが、新型コロナウイルス感染リスクが高まる環境での業務であることから、安心して従事していただくためにも、また接種を受ける方々のリスク軽減のためにも、医療従事者同様にワクチンの優先接種の対象とすべきだと考えますが、知事の所見を伺います。 次に、空き家対策等について伺います。 人口減少や高齢化による空き家の問題は、喫緊の課題として地域では大きな声になっています。今冬の豪雪でも露呈いたしましたが、現状、空き家が放置され、冬期間の屋根や道路沿いの雪処理などは住民の不安材料になっており、近い将来、空き家の問題は爆発的に増加すると容易に推測できます。 このことから、県内市町村の中には、空き家対策に関する条例を制定するなど対応はしていますが、今後の増加に対応が追いつくのかが懸念されます。 国でも空家等対策の推進に関する特別措置法という形で対応していますが、県としてこの課題に今後どのように対応していくのか、知事の所見を伺います。 また、所有者不明土地についても増加が見込まれております。今後のインフラ整備の支障や自治体の固定資産税の徴収不能という問題もはらんでいるという認識を持っています。国においては特措法を制定し、対策を推進することとしていますが、この課題認識と今後の対応について、知事の所見を伺います。 最後に、人生100歳時代に対応するための100歳大学の推進について質問をいたします。 國松善次元滋賀県知事が提唱し、取り組んできた100歳大学を参考に、長期間にわたって準備が進められてきた長岡市の地域住民による、長岡版100歳大学のプレスクールが今月17日に始まりました。 初回は、未来社会を想定し、その姿から現在を振り返って今何をすればいいのかという、バックキャスティングという考え方により、少子高齢化による生産人口の減少や持続可能な社会保障という大きな課題に、どう地域住民が対応し、実践していくのかという長岡技術科学大学元学長の新原晧一先生の未来社会学の講義でした。 人生100年時代の新ステージにおけるライフシフトとソーシャルイノベーションを目的に、リタイア後の生き方、高齢者層の意識改革と主体の確立のための学びを通してのアクティブシニア、地域貢献シニアづくり、そのための健康長寿の人づくり、超高齢化社会に対応した地域共生社会づくりのための新たな学び、第2の義務教育に取り組むという米百俵のまち長岡にふさわしい先進的な取組であると認識しております。 今後、この取組が地域で拡大し、また全県に拡大していけば、今ある大きな課題、超高齢化社会に我々はどう対応していくのかへの答えの一つになっていくものと大いに期待しております。 このような取組は、本県が掲げる健康立県に通じるものがあると考えます。このような活動は本県の活性化にもつながると考えますが、知事の所見を伺います。 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 高見議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、デジタル化の推進に係る県の役割についてでありますが、これまで、新潟県ICT推進プランに加え、昨年度における行政手続オンライン化構想、そして県内産業デジタル化構想の策定など、デジタル化で目指す姿を明らかにしてきたところです。 今後、県といたしましては、産業分野や県の行政事務などの各分野について、県が果たすべき役割を踏まえつつ、これら構想の下でデジタル化を推進してまいりますが、その際には、御指摘のようなアプローチの考え方も参考にしながら、PDCAサイクルにより、柔軟かつ臨機応変に具体の施策に取り組んでまいりたいと思います。 次に、健康・医療・介護分野のデジタル化の推進についてでありますが、議員御指摘のとおり、健康・医療・介護分野のデジタル化の推進は重要であると考えており、市町村や医療機関、民間企業等と連携・協力しながら、取組を進めているところです。 具体的には、にいがた新世代ヘルスケア情報基盤において、医療・調剤・介護レセプト等のデータベース化に取り組んでおり、これまでに11市町村の国民健康保険データを集約しております。また、本年度から新たに、集約したデータを活用して地域の医療・保健の課題等を分析し、市町村が行う保健事業の支援等に向けた取組を始めております。 さらに、「ヘルスケアICT立県」実現プロジェクトにおいて、地域の医療課題に根差したオンラインサービスの開発や、ヘルスケアICTの人材育成などにも本格的に取り組んでいるところです。 県といたしましては、こうした取組を通じて、健康・医療・介護分野のデジタル化の推進を加速してまいります。 次に、IT人材の育成とIT企業の誘致にもつながる一連の取組についてでありますが、既に県内でも、17の大学・専門学校が情報系学科を設置し、その中で、IT企業がデータサイエンスに関する講義を行うなど、教育機関と企業が連携した人材育成の取組が始まっていると聞いております。 県といたしましても、立地を検討している企業の人材確保ニーズに応え、大学や情報系専門学校を紹介するなど、マッチングを進めており、IT系企業進出の成果につながりつつあります。 今後、社会のデジタル化の進展を背景に、IT人材の需要が一層高まるものと予想される中、議員御指摘の一連の取組として、企業の協力や助言をいただきながら人材を育成し、そうした人材の確保を目指すIT企業のさらなる集積を図ってまいりたいと考えております。 なお、高校教育におけるIT人材の育成に関する具体的な取組は、教育長からお答えいたします。 次に、国の動きを踏まえた本県へのデータセンターの誘致についてでありますが、議員御指摘のとおり、国はデータセンターの全国への分散が進むことにより、地方でも高品質なデジタルサービスの利用が可能となり、自動運転や遠隔医療等のデータを利用した新たなサービスが展開されるSociety5.0を実現するとしています。 また、データセンターの立地は、建設投資といった経済効果や雇用の創出、固定資産税等の税収増加、IT企業の立地にもつながることが期待されます。 県といたしましては、首都圏と同時被災しない等の地理的優位性をアピールし、誘致に取り組むとともに、データセンターの地方分散を促す実効性のある取組を国に要望してまいります。 次に、マイナンバーカードの取得の推進についてでありますが、国・地方を通じた行政のデジタル化が喫緊の課題となる中、カードの普及促進の重要性はますます高まっており、今後、さらなる利便性向上も見込まれることから、多くの県民の皆様に取得していただけるよう、市町村と連携した取組を強化し、カードの普及促進に努めてまいります。 なお、マイナンバーカードの取得率の向上に向けた取組については、総務管理部長からお答えいたします。 次に、デジタル化の取組に係る国への要望についてでありますが、本県のデジタル化の推進に当たっては、さきの国会で成立したデジタル改革関連法など各種法令を踏まえる必要があり、自治体の情報システムの標準化・共通化に向けた国の方針との整合性を考慮する必要もあります。 また、5Gの整備や光ファイバーの財政負担の在り方といった情報通信政策の面でも、国の様々な支援が必要となります。 このため、本県のデジタル化に向けた課題を明らかにしつつ、情報通信基盤の維持管理やデジタル人材確保・育成といった面で、国における制度上・財政上の対応が必要な事項を整理し、しっかりと国に要望してまいります。 次に、子供たちを取り巻く環境の諸課題についてお答えいたします。 まず、データ一元化をはじめとする子供の状況把握についてでありますが、議員御指摘のように、市町村の福祉、子育て担当部門と教育委員会などにデータが分散して保管され、支援が必要な子供が見落とされているとの指摘が出されていることを背景に、国がデータベースを活用した子供の貧困対策を自治体に求める方針を固めたとの報道があったことは承知しております。 国に対し、現在の状況を確認したところ、今年度中に、自治体でのデータ保管状況や一元管理すべきデータなどの調査結果や個人情報の取扱いなどを取りまとめ、通知を出す予定と聞いております。 県といたしましては、問題を抱えながら声を上げられない子供たちを見つけ出し、支援につなげることは重要と考えており、市町村と連携して取り組んでいく上で、制度設計に関わる国の動向を注視してまいりたいと考えています。 次に、子供の貧困対策における行政と民間団体との連携についてでありますが、議員御指摘のとおり、支援が必要な人に適切な支援を届けるためには、行政だけではなく、新たな支援の担い手であるフードバンク等の民間団体とのさらなる連携が必要と考えております。 このため、県といたしましては、今般、金融機関と協力して、県内企業に対し、フードバンクへの食品寄附の働きかけを始めたところであり、フードバンク団体が行う食品保管設備等の整備や子ども食堂での食品配布の取組を支援してまいります。 また、市町村と民間団体を結ぶネットワークの構築にも取り組み、支援を必要とする子供たちを適切に支援につなげる効果的な連携を後押ししてまいります。 次に、独り親世帯への支援の拡充についてでありますが、約半数が非正規雇用である母子世帯においては、新型コロナウイルス感染症の影響で、失業や休業等による収入減少の相談が寄せられていることから、議員御指摘のとおり、就労支援や情報発信などを充実することが必要と認識しております。 このため、就業や養育相談などをワンストップで対応する、ひとり親家庭等就業・自立支援センターにおいて、これまで実施してきた出張相談に加え、SNSによる相談や情報発信などに取り組むとともに、独り親の就業バンク、ひとり親ジョブマッチにいがたの創設や、高等職業訓練促進給付金事業についても対象資格を追加するなど、就業支援の強化を図ってきたところです。 さらに、求職活動等を行う場合の子供の預かりや養育費確保などについても支援することとしており、こうした取組を通じて、独り親世帯へきめ細やかな支援を進めてまいります。 次に、国における保育士の再登録の厳格化の検討に対する受け止めと対応についてでありますが、国では、いわゆるわいせつ教員対策法の成立を受け、保育士についても同様の対応を検討していることについて、報道等で承知しており、保育現場において、子供を性犯罪から守り、保護者が安心して子供を預けられる環境にしていく上で、対策強化が図られるものと受け止めております。 県といたしましては、国の動向を注視しつつ、詳細等が示された際には、適切に対応してまいりたいと考えています。 次に、児童相談所職員への綱紀粛正の徹底等についてでありますが、職員の綱紀の保持については、これまでも繰り返し喚起してきたところですが、議員御指摘のとおり、他県において児童相談所職員が関係する事件が相次いで発生しているため、改めて、本県の児童相談所に勤務する全職員に対し、子供を守る重要な立場であるという自覚を高め、厳正な規律と高い倫理感を持って職務に当たるよう、注意喚起したところであります。 なお、一時保護所については、できる限り家庭的環境の中、個室の確保なども求められており、プライバシー確保や子供の権利擁護の観点からも、居室内など児童の生活の場にカメラを設置することは適当ではないと考えておりますが、改めて複数職員による支援を徹底するとともに、他県での取組についても調査してまいりたいと思います。 次に、県政の諸課題についてお答えいたします。 まず、みどりの食料システム戦略についてでありますが、環境に対する関心が国内外で高まり、2050年カーボンニュートラルの実現を目指す中で、農林水産分野の取組として、その方向性は評価できるものと考えております。 しかしながら、議員御指摘のとおり、目標水準が高く、現状との乖離が大きいことや、相当数の技術開発が前提である上、生産、加工、流通などの各分野の関係者や消費者が、自らの取組として進めていくことが不可欠であると認識しています。 このため、県といたしましては、全庁的なカーボンゼロ実現に向けた取組の中で、環境と調和した農業や、森林整備等について、今後の推進方向などを検討してまいります。 また、国に対しても、工程表に沿った着実な技術開発や、生産者だけでなく消費者を含む国民全体での理解促進を図ることなどを働きかけてまいりたいと考えています。 次に、医療従事者以外のワクチン接種業務従事者への接種についてでありますが、高齢者の接種が一定程度進んだ現在においては、医療従事者以外のワクチン接種業務従事者に対しても早期に接種を行うことが重要と考えています。 これまでも医療従事者と併せて接種をしたり、キャンセルや余剰分を用いて既に接種された方もおられますけれども、より安心してワクチン接種業務に従事していただけるよう、市町村とも連携し、優先接種に努めてまいりたいと考えております。 次に、空き家問題への今後の対応についてでありますが、本県の空き家は全国を上回る速さで増加しており、特に、適切に管理されない空き家は、安全・衛生面、あるいは今冬の豪雪被害等を踏まえますと、深刻な問題であると認識しております。 県といたしましては、国支援事業の活用が可能となる空き家対策特別措置法に基づく空家等対策計画について、未策定の市町村へ早期の策定を促し、総合的な取組が実施されるよう、引き続き、情報提供や技術的助言を行ってまいります。 また、適切に管理されない空き家発生の未然防止に向けて、一般県民への意識啓発を行うとともに、不動産等関係団体などとの幅広い情報交換を進め、空き家対策に関する手引書を作成するなど、市町村や関係団体との一層の連携促進を図ってまいります。 次に、所有者不明土地の問題についてでありますが、議員御指摘のとおり、所有者不明土地は、現在の土地所有者の特定などに多くの時間とコストを要し、公共事業等の円滑な実施の支障となっているものと認識しており、高齢化の進展等に伴い、今後増加するものと予想されます。 こうした喫緊の課題に対応するため、国において、平成30年6月に特別措置法が制定され、所有者不明土地を円滑に利用する制度や所有者の探索を合理化する制度などが創設されたところです。 県といたしましては、国や市町村、他県と情報共有を図るとともに、県事業の用地買収において新たな制度の活用に努めているところですが、国の動向を注視しながら、引き続き市町村に対し必要な助言を行うなど、本県における所有者不明土地の利用が円滑に図られるよう取り組んでまいります。 次に、高齢者に対する学びの場の提供を通じた本県の活性化についてでありますが、少子高齢化の進展や人生100年時代と言われる現在の状況を踏まえれば、退職後の高齢者に向けた学びの場を提供することで、生きがい就労等を促進することは、本県の活性化にとって意義のあるものと考えています。 このため、県では、高齢者を対象に学びの場の提供と併せ、仲間づくりや地域活動の担い手養成を行うシニアカレッジ新潟を開設し、セカンドライフの充実に向けた支援を行ってきたところです。 長岡市の住民有志が取り組まれているプレスクールの取組も含め、高齢者の皆様からこうした学びの場を積極的に活用いただき、地域コミュニティーの活動が盛んになることにより、地域の活性化につなげてまいりたいと考えております。   〔知事政策局長小岩徹郎君登壇〕 ◎知事政策局長(小岩徹郎君) お答え申し上げます。 デジタル化推進のための体制整備及び外部人材の活用についてでありますけれども、デジタル化推進に向けて、県ではデジタル改革実行本部を立ち上げ、その下に企画立案、各種調整、施策の推進をするためのタスクフォースを設け、部局横断的かつ機動的に取り組むこととしております。 こうした中で、IT専門家である外部人材については、その専門的知見を生かして庁内情報システムの構築や最適化の支援、IT人材の育成を行うとともに、本県の人口減少等に起因する課題解決に向けた業務への支援や市町村及び事業者のデジタル化の推進に係る助言、指導といった業務を行っていただくことを想定しております。   〔総務管理部長森永正幸君登壇〕 ◎総務管理部長(森永正幸君) 2点お答えいたします。 マイナンバーカードの取得率向上に向けた取組についてでありますが、本年3月に県内全市町村と共に立ち上げた新潟県マイナンバーカード普及促進研究会における検討を踏まえ、各市町村が毎月の交付目標や達成に向けた具体的な取組内容を設定し、PDCAサイクルで見直し・改善を図ることにより、県全体の取得率を向上させていきたいと考えております。 具体的には、県として、業界団体への要請を行うなど、市町村が行う出張申請受付の取組の強化を支援してまいります。 また、10月から本格運用される健康保険証としての利用について医療機関利用者へ周知するなど、ターゲットを絞り、相手の状況に合わせたメリットを訴えるとともに、カードの安全性についての広報を強化してまいります。 加えて、カード所有者にメリットを付与する取組など、県内市町村における事例を横展開するほか、県としても、メリットの付与について検討してまいりたいと考えております。 次に、特色ある大学づくりに向けた県の支援状況と今後の方向性についてでありますが、各大学が行う特色ある教育プログラムの開発や、地域連携等の取組、学生の就職支援の強化など、県内大学の魅力向上に向けた意欲的な取組を支援しているところであります。 あわせて、県内進学を促進するためには、県内大学の魅力を発信し、認知度の向上を図ることも重要であり、高校生等を対象とした県内大学の合同進学説明会や、大学が高校・中学校と連携して行う体験型授業等の実施を支援しております。 今後はこうした取組に加え、社会経済活動が変化する中においては、地域や企業ニーズを踏まえた人材の育成がこれまで以上に重要になってくることから、県内大学と地域産業との連携の促進に向けた必要な取組等を、大学の意向も確認しながら検討してまいります。   〔防災局長熊倉健君登壇〕 ◎防災局長(熊倉健君) お答えいたします。 防災分野におけるデジタル化についてでありますが、県では、これまでも、避難や被害状況等の情報を市町村と共有し発信する防災情報システムや、県民の皆様が手軽に地域のハザード情報を確認できる新潟県防災ナビ、また、罹災証明の迅速な発行を可能とする被災者生活再建支援システムなどを導入して災害対応に取り組んでまいりました。 加えて、新型コロナウイルス感染症対策を踏まえ、民間企業が開発した避難所の混雑状況を住民に発信するシステムを市町村に紹介するとともに、市町村や都道府県の物資調達業務を効率化するために国が開発したシステムの活用を進めるなど、市町村や民間とも連携し、取り組んでおります。 今後もデジタル化を進め、効果的・効率的な災害対応に取り組んでまいります。   〔福祉保健部長松本晴樹君登壇〕 ◎福祉保健部長(松本晴樹君) お答え申し上げます。 養育費確保支援事業についてでありますが、独り親家庭の親は、非正規雇用の割合が高く、収入が少ないことに加え、養育費の受け取り率が低いことから、子供の養育において厳しい状況に置かれています。 このため、県では、子供の養育費確保を推進するため、町村部をモデルとして、公正証書作成のための相談や手続に係る費用を支援する事業を創設したところであります。 先月末からの開始のため、活用実績の把握はこれからになりますが、有効活用されるよう、さらなる周知に努めていくとともに、町村やひとり親家庭等就業・自立支援センター等と連携を強化し、伴走型の支援を行うなど、きめ細かな対応を進めてまいります。   〔教育長稲荷善之君登壇〕 ◎教育長(稲荷善之君) 8点についてお答えいたします。 高校教育におけるIT人材の育成に関する具体的な取組についてでありますが、現在、長岡工業高校では、令和元年11月に長岡市とデジタルものづくり人材育成に関する協定を締結し、加えて令和2年11月には、市内企業及び長岡産業活性化協会とロボット人材育成に関する協定を締結したところです。長岡市や地域産業界と連携・協働しながら、ITやAI、ロボティクスなど、新技術にも精通した人材の育成を図ることとしております。 県教育委員会といたしましては、今後、長岡工業高校の成果も踏まえ、こうした取組の拡大について検討してまいります。 次に、タブレット端末の持ち帰りの許可状況についてでありますが、現在、常時、端末の持ち帰りを許可しているのは9市町村であり、そのうち3市町村で既に持ち帰りを行っております。 そのほかの市町村では、現在、通信費の支援、家庭でのルールづくりなど、課題の整理が行われており、今後、保護者への説明を行い、常時持ち帰りができる環境整備に取り組んでいると認識しております。 次に、Wi-Fi環境が整っていない家庭への対応についてでありますが、19市町村では、国の補助金を利用するなどして、家庭にWi-Fi環境がない児童生徒用のルーター等を確保し、貸出しの準備を進めており、また1市では、就学援助制度の対象となる家庭への環境整備のための補助制度を創設したと承知しております。 そのほかの市町村においても、ルーターの貸与等を検討していると聞いております。 次に、市町村間の格差の調整や支援についてでありますが、4月以降、多くの学校では、タブレット端末の基本的な操作方法の指導を行い、使用を開始したところであり、現在、実践を進めながら、各教科でICTの効果的な活用方法を研究している段階であると認識しております。 今後は、学習用端末を有効に活用し、個別最適な学びや協働的な学びを充実させていくことが重要であり、県教育委員会といたしましては、ICT活用指導力向上研修を拡充し、教員の指導力向上を図ってまいります。 また、ICT活用の状況を確認するとともに、要請に応じて、指導主事による訪問を行うなど、市町村による差が生じないよう支援してまいります。 次に、タブレット端末の利用履歴による生活困窮度や虐待の把握への活用についてでありますが、4月以降、多くの学校では、学習用端末の基本的な操作方法の指導を行い、使用を開始したところであり、現在、実践を進めながら、各教科でICTの効果的な活用方法を研究している段階と承知しております。 議員御指摘の利用履歴の分析を虐待等の把握に活用することについては、セキュリティーを含む技術的な課題や個人情報保護の課題があることから、現時点では難しいものと認識しております。 県教育委員会といたしましては、ICTを活用した様々な児童生徒支援の先行事例の情報収集に努めてまいります。 次に、高等教育の修学支援新制度の活用状況等についてでありますが、制度が異なることから一概に比較することはできませんが、給付型奨学金の高校在学中における予約数で比較すると、制度改正前の令和元年度では約600人でしたが、制度改正後の令和2年度は約1,600人となり、大幅に増加しております。 県教育委員会では、高等学校等において、進路指導の際に修学支援新制度などの情報を提供し、生徒や保護者からの相談に適切に対応できるよう、奨学金ガイドを作成し、配布しております。 今後も修学支援新制度の活用を促すことにより、意欲と能力のある生徒が、経済的理由によって大学等への進学を断念することがないよう支援してまいります。 次に、わいせつ行為を行った教員の免許の再取得についてでありますが、議員御指摘のとおり、教員によるわいせつ行為は、児童生徒の心を深く傷つけるものであり、再犯の可能性が高い者を教育に携わらせてはならないと考えております。 文部科学省は、わいせつ行為で懲戒免職となった者に対する教員免許の再授与について、都道府県教育委員会が統一的な判断をするための基本指針を策定することとしております。 今後、県教育委員会といたしましては、その基本指針に基づき、具体的な運用を検討してまいります。 次に、本県の主権者教育の現状と今後の取組についてでありますが、現在、小中学校では、社会科を中心に、民主政治のあらましや議会制民主主義の意義などについて学習し、民主政治の発展に寄与しようとする態度を育成しています。また、総合学習等で、県や市町村の選挙管理委員会の協力を得て、模擬投票を実施するなど、主体的に社会参画する児童生徒の育成に努めているものと承知しております。 県教育委員会といたしましては、文部科学省が設置した主権者教育推進会議が3月に取りまとめた主権者教育の推進の手引や、今後、国が作成予定の副教材及び教師用指導資料の活用を小中学校に働きかけ、主権者教育の充実を図ってまいります。 ○副議長(佐藤純君) 高見美加君の質問は終わりました。 15分間休憩いたします。  午後2時58分 休憩   ――――――――☆――――――――  午後3時15分 開議 ○議長(桜井甚一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、佐藤浩雄君の発言を許します。佐藤浩雄君。   〔佐藤浩雄君登壇〕(拍手) ◆佐藤浩雄君 無所属の会のインデペンデントクラブの佐藤浩雄でございます。 ○議長(桜井甚一君) 佐藤浩雄君に申し上げます。 新潟県議会には無所属の会並びにインデペンデントクラブという会派はございません。したがいまして、あなたは無所属の佐藤浩雄議員として私は発言を許したのであります。したがいまして、それを通されるということになると、発言の許可を取り消すことになりますが、いかがいたしましょう。 ◆佐藤浩雄君(続) 私は、ちゃんと県民の皆さんに信頼を得てやってきました。立候補するときは無所属の会、インデペンデントクラブでやってきましたので、そのとおりだと思います。 ○議長(桜井甚一君) いま一度申し上げます。 それは対外的な政治団体の届けでありまして…… ◆佐藤浩雄君(続) 別にうそをついているわけではありません。 ○議長(桜井甚一君) この議会の中におけるルールとしては、それを名のるすべはございませんので、訂正されない限りは発言は許可いたしません。いかがいたします。 ◆佐藤浩雄君(続) それは後で議論しましょう。 それでは、通告に従い…… ○議長(桜井甚一君) 無所属の佐藤浩雄議員として私は許可したのでありますので、訂正をされるのであれば許可いたしますけれども、いかがいたしましょう。 ◆佐藤浩雄君(続) 議論は残りますけれども、分かりました。 ○議長(桜井甚一君) 分かりましたではなくて、それをしてもらわないと次に進めませんが、いかがいたしましょう。 ◆佐藤浩雄君(続) 分かりました。では、いいですか。 ○議長(桜井甚一君) どう分かったのですか。 ◆佐藤浩雄君(続) 一般質問をさせていただきます。 ○議長(桜井甚一君) 最初の訂正はされませんか。訂正はされないのですか。 ◆佐藤浩雄君(続) だから、分かりました。 ○議長(桜井甚一君) いやいや、無所属の会とおっしゃったことは訂正されないのですか。 ◆佐藤浩雄君(続) それは後で議論しましょう。 ○議長(桜井甚一君) 違います。今の話です。 ◆佐藤浩雄君(続) 新型コロナウイルス感染症拡大と医療、社会、経済対策についてお伺いします。 ○議長(桜井甚一君) ちょっと待ってください。止めてください。分かったということは、訂正されるということですか。 ◆佐藤浩雄君(続) 今までそれでやってきたではないですか。 ○議長(桜井甚一君) いや、今ここを仕切って…… ◆佐藤浩雄君(続) もう2年たっているのですよ。 ○議長(桜井甚一君) 今、私が議長でありますので。 ◆佐藤浩雄君(続) それはあなたが決めたのでしょう。 ○議長(桜井甚一君) ここは議長の判断によらせていただきます。 ◆佐藤浩雄君(続) 今までこれで認めてきたのではないですか。 ○議長(桜井甚一君) 認めていません、誰も。訂正されませんか。   〔「訂正したほうがいいよ」と呼ぶ者あり〕 ◆佐藤浩雄君(続) 分かりましたけれども。いいですよ。では、また議論しましょう。 ○議長(桜井甚一君) だから、訂正してください。議論ありませんから、最初から。 ◆佐藤浩雄君(続) では、一般質問をさせていただきます。 ○議長(桜井甚一君) 訂正されないのですか。 ◆佐藤浩雄君(続) 新型コロナウイルス感染症拡大と医療、社会、経済財政対策についてお伺いします。 ○議長(桜井甚一君) マイク止めてください。訂正されるのですか、されないのですか。 ◆佐藤浩雄君(続) 分かりました。 ○議長(桜井甚一君) どう分かったのですか。 ◆佐藤浩雄君(続) 議長のおっしゃるとおり、では従いますから。 ○議長(桜井甚一君) では、最初から、名のるところからしっかりやってください。 ◆佐藤浩雄君(続) では、一般質問をさせていただきます。 ○議長(桜井甚一君) 訂正されていないではないですか。 ◆佐藤浩雄君(続) 新型コロナウイルス感染症拡大と医療、社会、経済対策について…… ○議長(桜井甚一君) 訂正されていないではないですか。 ◆佐藤浩雄君(続) 訂正しました。 ○議長(桜井甚一君) 聞いていませんが。 ◆佐藤浩雄君(続) 新型コロナウイルス感染症が発生して1年以上になります。ようやく新型コロナウイルスワクチン接種が始まりましたが…… ○議長(桜井甚一君) 無所属のという発言がございませんが、いかがですか。 ◆佐藤浩雄君(続) 世界的に見れば大幅に遅れており、先日の報道では世界第150位と…… ○議長(桜井甚一君) 止めたままでしょう。 ◆佐藤浩雄君(続) 報道されているように、対策は全く遅れています。 ○議長(桜井甚一君) マイクは止まっております。訂正してください。 ◆佐藤浩雄君(続) 何でですか。   〔発言する者あり〕 ○議長(桜井甚一君) どう分かったのですか。 ◆佐藤浩雄君(続) では、無所属の佐藤浩雄です。いいですか。 ○議長(桜井甚一君) はい。 ◆佐藤浩雄君(続) 各種サービス業で人との接触が本質的業務の人などに対しPCR検査を行い、潜在感染者を発見し、隔離や治療を行い、感染防止に努めるべきであったのです。 ところが、新型コロナウイルス感染症対策がスタートした当初、37.5度C以上の発熱が4日間以上継続する場合が帰国者・接触者相談センターへの相談の目安とされており、PCR検査の対象が重症患者のみに限定され、潜在患者が放置されたことが新型コロナウイルス感染症拡大を阻止できなかった要因なのではないでしょうか。 世界経済社会は地球一体となっており、感染症が一瞬にして世界中に広がる現在、国の新型コロナウイルス感染症対策は後手後手で全く対策が取られておらず、感染拡大を阻止することができなかったのではないでしょうか。 これまでの国の新型コロナウイルス感染症対策についてどのように認識しているのか、知事のお考えをお伺いします。 新型コロナウイルスのワクチン集団接種が始まりましたが、どこの市町村窓口も混乱したのではないでしょうか。 私も新発田市の指定電話で集団接種を受けようと電話しました。しかし、9時の受付開始から電話をしましたが、全くつながりませんでした。私は15時頃まで約100回ぐらい電話しましたが、つながりませんでした。これでは駄目だと判断し、民間病院へ電話しましたらつながり、ワクチン接種の許可をもらいました。しかし、1週間以上も遅れました。 このまま放置できないので、すぐに新発田市役所担当課長に会い、大混乱を解消するために回線の増設、受付時間の延長、直接受付窓口の開設などが必要であると伝えました。新発田市ではすぐに電話受付時間を延長したり、受付窓口を設置し、対応したようですが、そうした受付電話や窓口の設置について市民は知りません。 こうした大混乱を経験すると、私でも電話が大混乱することは判断できましたから、県から集団接種受付の体制について市町村に対し助言したのではないかと考えます。どのような助言をしたのか伺うとともに、今後の教訓としてどのような体制にし、窓口の大混乱を避けるべきなのか、知事の考えをお伺いします。 今、全国各地で集団接種を開始し、大混乱を招いているようです。特に医療スタッフ不足から大規模接種会場を設定し、自衛隊医療スタッフや看護協会の協力を求め、歯科医師や薬剤師、救急救命士や臨床検査技師にまで接種をさせるように指導して体制を整えているようですが、こうした医療崩壊の危機的な現状を見ると、医師や看護師、保健師不足は以前から指摘されており、こうした危機的医療体制をつくった原因は、新自由主義の考え方から医療、福祉などに対策を取ってこなかったことが原因しているのではないでしょうか。 今回の接種受付が大混乱となった原因の一つは、医師、看護師、保健師が不足しているからではないでしょうか。こうした我が県の医療スタッフ不足に対する改善が必要です。 知事も新型コロナウイルスワクチン接種体制確立のために御苦労されたと思いますので、医師、看護師、保健師などの医療スタッフ不足問題に対する対策をどのように取ろうとしているのか、知事のお考えをお伺いします。 県民の命、健康を守るために医師不足は放置できません。以前、私は県立医科大学の設立を提案し、前々知事からも賛成してもらいました。今後も新型コロナウイルス禍のような世界的な感染が発生することは避けられないことから、県民も真剣に医師不足のことを考えていると考えます。 医師不足解消のために県立医科大学を設置すべきではないですか、知事のお考えをお伺いします。 新型コロナウイルス感染者に対する差別への対策についてお伺いします。 新型コロナウイルス感染症が流行した当初から、感染者の家の壁に差別的な落書きをしたり、発症した家の子供と遊ぶななどの差別が各地で発生しており、今も続いています。こうした人権を無視した差別事件は、絶対に許されることでありません。 新型コロナウイルス感染症発症者や家庭への差別に対する対策を強化しなければなりません。全市町村と連携し、差別対策を取ってこられたと考えます。具体的な対策に取り組む中で、県民からどのような意見があったのか伺うと同時に、今後の取組についてお伺いします。 新型コロナウイルス感染症により特別警報が出され、酒類を提供する飲食店などに対し営業時間の短縮要請などが行われ、要請に協力した事業者には協力金の支給が行われていますが、時短要請が行われていない市町村でも数件の発症で街全体の客足が途絶え、経営が困難になっている飲食店がたくさんあります。こうした飲食店に対する支援が絶対必要です。 国、県の全体的な支援体制として、市町村の飲食店もきめ細かく支援する事業継続給付金制度が必要です。 我が新発田市も、僅か4店での新型コロナウイルス発生でも飲食店街全体の火が消えており、経営の危機を迎えています。こうした危機的な飲食店や経営者に対する対策のために、各市町村が主体となり、県が全面的にバックアップする新たな給付金制度が必要です。 後手後手の政府の新型コロナウイルス対策のために、危機を迎えている企業や店舗に対する支援対策が遅れています。対策の充実が必要です。知事はどのようにお考えなのか、知事のお考えをお伺いします。 新型コロナウイルス感染症対策が後手後手となり、日本の経済はアメリカ、中国から大きく後退しており、明らかにリーマンショックを超える経済打撃であり、しっかりした新型コロナウイルス感染症の経済対策を取らなければならないことを証明しています。 新型コロナウイルス禍による経済ショックから回復するために、あらゆる財政出動をしなければなりませんが、国の経済対策は後手後手で失敗しており、むしろ国民の消費を抑えてしまい、不況を深刻化するおそれがあり、1-3月期のGDPはそのことを証明しております。 危機にある我が県財政を守るためにも、国の経済対策効果が高いものでなければなりません。現在の後手後手でリーマンショックを上回る不況をつくり出し、財政の危機が世界中で最も進んでいる日本の国家財政について、知事はどのようにお考えなのか、お伺いします。 また、この不況により我が県税収の減少や財政に与える影響についてどのようにお考えか、併せてお伺いします。 柏崎刈羽原発の再稼働についてお伺いします。 去る4月14日に行われました東京電力社長や原発本部長に対する質問は、ほとんどまともな答えが返ってきませんでした。 同じように核物質防護施設やIDカードは、原発の安全を守る絶対的に重要な施設であり、システムです。それを東京電力は設備が故障したまま長期間放置したり、IDカード不正使用を認めるなど、危機管理が全くできておらず、原発の運転資格がないことを証明しております。 しかし、東京電力はこうした対応でその場、その場を逃げ、原発の危険性や東京電力の管理運営・原発運転能力の欠如についてまともに答えようとしていません。 また、多くの県民からも東京電力は原発の運転管理能力がないと判断されております。 知事はこうした東京電力の運転能力の欠如についてどのように判断しておられるのか、知事のお考えをお伺いします。 知事は、前回の知事選挙において、柏崎刈羽原発の再稼働について県民に信を問うと考えていますという公約を出され、当選されました。原発再稼働に反対の人もそれで知事に投票した人がいるほど、県民の意見に耳を傾ける人だと理解されました。 しかし、私もチェルノブイリ原発事故現場を見て、また福島原発事故の現状を見て、原発は人類の倫理に反する事案であることを確信を持ってまいりました。 知事は県民に信を問うとはどういうような形で、いつ行うのか、現状の知事のお考えをお伺いします。 また、前知事が設置した原発の3つの委員会について、3つの検証の結論が出るまでは議論はしないと言っていました。知事の方針が出なければ県民の議論も深まらないと思いますので、議論の前提として、現時点において、柏崎刈羽原発の再稼働について賛成なのか、反対なのか、お考えを明確にすべきと考えます。 知事、地球に到達する太陽エネルギーは約385万エクサジュールですが、人類のエネルギー消費量はおよそ500エクサジュールで、太陽エネルギーの7,700分の1しか消費しておらず、太陽光などの再生可能エネルギーは無限の可能性を持っております。原発の再稼働を停止し、太陽光などの再生可能エネルギーによる、安全・安心な永続的に発展する新潟県をつくるべきです。知事のお考えをお伺いします。 以前国会議員から条件付で再稼働を認める可能性があるのかとの質問に対して、知事は当然あり得る、ゼロか1かの予断を持っていないと答えたと報道されていますが、このことは柏崎刈羽原発の再稼働に賛成であると理解しますが、その認識でよいのか、知事のお考えを明らかにしていただきたいと思います。 新発田市上中山の大型豚舎悪臭問題についてお伺いします。 新発田市上中山の大型豚舎悪臭問題が発生して17年目を迎えました、知事、地域住民にとって、毎日悪臭防止法違反の臭気を嗅がされることは、単なる環境問題でありません。重大な人権問題です。また、観光地も直撃しており、新発田市の重要な産業である観光業にも重大な影響を与えています。 このように、上中山の大型豚舎悪臭問題は単なる環境問題ではありません。重大な産業破壊事件であり、環境事件であり、人権問題になっているのです。 その発足時から県は森林開発許可など重大な関係を持っています。 そうした上中山の大型豚舎悪臭事件の重大性を理解してくれたリベラル新潟の秋山三枝子県議と公明党の安沢峰子県議が、3月29日に現地調査に来てくれました。豚舎の上にある花水山頂まで登り、豚舎の全貌と観光地も見えますから、その近い距離関係や上中山集落を見ていただき、上中山公会堂では悪臭に苦しむ上中山集落の皆さんの意見を聞いていただきました。 このことは悪臭対策委員長の活動報告にも報告され、地域の皆さんは新たな支援の輪ができた、上越・長岡選出の県会議員も強い関心を持っていることが分かったと大変喜んでおり、感謝しておりました。まさに上中山の大型豚舎問題が、県行政にも重大な関係があることを実証していただいたわけであり、地域住民や関係団体は非常に喜んでいました。私からも感謝申し上げます。ありがとうございました。 今年は異常な大雪で豚舎の菌床の取替えができないことから、地域住民も今まで嗅いだことのない異常な臭気が流されました。したがって、大雪だから、異常な臭気を放置してよいわけがありません。 しかも、そうした今まで嗅いだことのないほどの悪臭を発生させているのに、1月22日に6,200頭台であったのが、2月12日には8,300頭近くまで頭数を増やしており、許せないことです。こうした事態を見れば、豚舎の経営者はもうけるためなら悪臭防止法違反なんて全く無視する経営姿勢であることは証明されています。こんなことでよいのでしょうか。 3月24日の第6回臭気改善委員会では、県から臭気発生要因の調査・分析結果、臭気測定結果、ミスト噴霧器設置稼働結果などの報告があり、同時に臭気を施設外に逃さない調査と対応策として、豚舎の中井集落より外側、山側の7号棟から14号棟の間に遮蔽壁を建てて悪臭を敷地外に出さない施設整備を行うことの報告がありました。 県が積極的に現地に入って指導するようにお願いしてきたところですが、令和2年では9月18日から6回現地に入り、豚舎への指導体制が強化されており、評価いたします。 また、毎日豚舎に入り、臭気測定器を設置したり、カメラを設置し、指導しており、的確な菌床管理体制を取るのに十分な調査・対策を行ったのではないでしょうか。具体的には、臭気を発生させない菌床の管理・改善、ミスト噴霧器設置稼働、遮蔽壁設置など、豚舎の経営者や職員に対して具体的な指導を行ったと考えます。 臭気問題は、牛や豚などの畜産業にとって解決しなければならない課題ですから、上中山の大型豚舎悪臭問題について具体的な指導と効果、成果を公表すべきです。知事のお考えをお伺いいたします。 県の担当課が上中山の大型豚舎の現地調査に積極的に入ったのは評価しますが、大雪が降った令和3年1月から3月までの調査報告では、全ての豚舎が第四次勧告に違反しており、異常な臭気を流しています。しかも、養豚数を増やしており、豚舎経営の経営姿勢が明確に出ています。 知事に以前にも話したことがありますが、私が悪臭防止法違反をしないように減頭を求めたら、悪臭防止法には強制力がありませんからねと答えたのが、新潟大学大学院法学部の教授であった経営者でした。 このように豚舎の経営者は悪臭防止法に基づく第四次勧告など守る気が全くないように感じており、17年間も悪臭防止法違反を繰り返しているのです。 こうした状況から、悪臭防止法にも罰則が必要と考えます。また、現状の17年間も悪臭防止法違反を行い、完全な人権問題に発展しており、放置できません。新発田市に公害防止協定に基づく施設使用の一時停止などの指示を出させるべきです。知事のお考えをお伺いします。 また、臭気は市町村境界を越えて飛散する広域的な問題で、新発田市単独の問題ではなくなっており、広域自治体である県の責任が問われている問題に発展しております。 また、近くの観光地にも悪臭が襲い、観光産業破壊に及ぶ危険性が発生している現状から放置できません。 新発田市公害防止協定よりも強制力のある上乗せ条例を制定するよう、県から新発田市に指導すべきです。知事のお考えをお伺いいたします。 次に、脱炭素社会実現に向けた交通政策についてお伺いいたします。 世界も日本も2030年カーボン・オフセットを目指して、再生可能エネルギーの拡充と自動車など水素エンジンや電気エンジンに変える技術開発に入っています。また、火力発電所も脱炭素社会への開発が始まっています。社会も水素社会への転換が始まっています。 こうした世界の脱炭素社会への振興の中で、我が新潟県は再生可能エネルギーの豊富な県として、洋上風力や太陽光発電、小水力、バイオマス発電、潮力発電への開発が始まっています。しかし、現在、地球温暖化による天候の異常さがはっきり出ている中で、現在のCO2発生源への対策が明確になっておりません。 脱炭素社会の実現に向けて、国内最大級の交通量で毎日大渋滞が発生している新新バイパスの渋滞解消を直ちに図り、CO2の発生を抑制しなければなりません。 交通工学によれば、新新バイパスのラッシュ時の車を3,000台から5,000台ぐらい減らせば、交通渋滞は発生しないとも言われているのですから、脱炭素社会実現の取組として、白新線の複線化による自動車から鉄道へのシフトを促進すべきです。知事のお考えをお伺いします。 また、日本海側拠点港湾である新潟東港の臨海鉄道が復活すればCO2の削減が図られるとともに、貨物量の確保にもつながることから、シベリア鉄道を利用し、ヨーロッパへの路線を形成することが可能となります。 我が県の脱炭素社会実現への政策の一つとして、臨海鉄道の復活を直ちに実現しなければなりません。知事の決意とお考えをお伺いいたします。 次に、上越新幹線の空港乗り入れについてお伺いします。 7年も遅れていた新潟駅の連続立体交差化事業もようやく完成が近づいてまいりました。私も提案した一人として、事業の決定は新潟県議会で行いましたが、同時に新潟市が政令指定都市になったことから、事業は新潟市に移ってしまい、事業が遅れるたびに新潟市長のところに行き、早くするようにお願いしてまいりました。 特に10年前の東日本大震災のとき、我が新潟県が持っているゲートウエー機能とリダンダンシー機能が発揮されて、地震発生直後に約6,000人の中国人が新潟空港から逃げていきました。また、全ての救援物資や救援隊は新潟県を経由していきました。 こうした事実を見れば、上越新幹線の新潟空港乗り入れの実現により、今後高い確率で発生が予測される首都圏直下地震のときのリダンダンシー機能を新潟県が担うことが可能となります。 また、埼玉県や群馬県の人たちが成田空港や羽田空港を利用する場合の所要時間を比較すると、上越新幹線の空港乗り入れが実現し、上越新幹線を利用すれば、時間的には早く新潟空港に着けます。そうした事実から、埼玉県議会や群馬県議会でも上越新幹線の空港乗り入れの実現について議論されているのです。 観光の視点からも、もし上越新幹線の空港乗り入れが実現すれば、台湾や中国、ベトナムなどのアジアのスキー観光客は空港から約1時間程度でスキー場のゲレンデに立てることになるのであり、発展する東南アジアのスキー観光客を迎える強烈なインパクトになるはずです。 私が20年前くらいに上越新幹線の空港乗り入れを提案したとき、世界で空港に新幹線が乗り入れていたのはフランスのリヨン空港しかありませんでした。もし新潟空港に新幹線がつながれば世界で2番目になり、新潟県のゲートウエー機能の魅力を世界に大きくアピールすることが可能となります。 空港利用者が135万人に達したら新潟空港乗り入れを議論するという後ろ向きな対応ではなく、一日も早く空港乗り入れを実現し、新潟県の魅力を世界にアピールし、世界中のインバウンドを新潟空港に集めることを目指すべきです。知事の実現に向けた決意とお考えをお伺いいたします。 また、去る6月2日に上越新幹線活性化同盟会の総会が開催されました。そこで令和3年中に同盟会を解散することが決議されました。 確かに上越新幹線活性化同盟会は北陸新幹線の開業により、上越新幹線の減便が予測され、2014年問題として提起をされ、上越新幹線の活性化により新幹線の減便を阻止する取組を行い、成功しました。しかし、上越新幹線の本質的な活性化の事業である上越新幹線の空港乗り入れはまだ手がついておりません。 埼玉県や群馬県も上越新幹線の空港乗り入れを求めており、またスキー観光の発展、インバウンドの増大が必要なときですから、空港利用者135万人まで議論を待つのでなく、上越新幹線空港乗り入れを実現し、リダンダンシー機能とゲートウエー機能を充実させ、空港利用者の利便性を高め、スキー観光をはじめとする観光業の振興を図ることが必要なのではないでしょうか。 そのためには、上越新幹線空港乗り入れ事業の実現に向け、既に埼玉県や群馬県の議会でも議論されていることを踏まえ、埼玉県知事や群馬県知事との連携を図り、この会議というか、同盟の中に入れていくべきではないでしょうか、知事のお考えをお伺いします。 以上で質問を終わります。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 佐藤浩雄議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、これまでの国の新型コロナウイルス対策に対する認識についてでありますが、国内初の感染者が確認された昨年1月時点において、国は、国内外での事例や知見も少ない中で、各自治体にできる限り情報を提供しつつ、地域の限られた検査、相談体制等を踏まえて対応を行っていたと認識しております。議員御指摘の相談、受診に関する発熱の目安は、体制拡充に伴い、昨年5月に削除されたと承知しております。 国内が欧米の主要国と比較をして感染が抑えられているのは、何よりも県民、国民の感染防止対策への協力と医療従事者等の懸命の努力によるものと考えておりますが、国による財政的・技術的支援が一定程度なされたことで、県としても、市町村と緊密に連携しながら、検査、相談、医療体制等の充実を図ることができたということも重要な点であると考えております。 次に、ワクチン接種に係る予約受付体制についてでありますが、県では、定期的に市町村とウェブ上での情報交換を行っており、高齢者のワクチン接種が本格化する前に予約方法の課題等についても共有を図っております。 市町村にこれまでの状況を踏まえた今後の予約受付体制について伺ったところ、インターネットの活用や接種対象者を細分化した上で予約を受け付けるなど、既に課題は解消に向かい、今後、予約受付はスムーズに進むものと認識しております。 次に、ワクチン接種における医療従事者不足への対応についてでありますが、議員御指摘のとおり、当初は、医療従事者不足が課題となっていましたが、6月15日現在、医師163件、看護師263件のマッチングが県の支援により成立しています。また、歯科医師がワクチン接種を行うための研修を県で実施するとともに、潜在看護師を活用するなど、現在では、県内各地において、高齢者接種のための医療従事者はおおむね充足されているものと認識しております。 県といたしましては、引き続き円滑な接種に向け市町村を支援してまいります。 次に、県立医科大学の設置についてでありますが、国では将来的な医師の供給過剰を見越して、現在も大学医学部新設を制限しているものと認識しております。 一方で、医師不足解消に向けて、県では、今年度、定着率が高い医学部地域枠の新設・拡充を行い、昨年度の26名から7名増の33名としたところであり、引き続き、大学と連携して地域枠の拡大に向けた取組を行ってまいります。 今後とも、様々な手段を検討しながら、医師養成段階からの医師確保の取組を強化してまいります。 次に、飲食店への新たな給付金制度についてでありますが、新型コロナウイルスの感染拡大により特に厳しい状況に置かれている飲食事業者に対し、県では、支援金を支給し、事業継続を後押ししているところです。 また、影響の長期化を踏まえ、持続化給付金の再支給や月次支援金の要件緩和について、県として、また、全国知事会を通じて、国に対し要請してきたところであり、引き続き、機会を通じて働きかけてまいります。 今後、需要喚起に向けた県民向け割引キャンペーンやイベント支援の開始について、専門家の意見を伺った上で改めて判断していくとともに、引き続き県内経済の情勢を見極めながら、さらなる支援の必要性についても検討してまいります。 次に、国の財政に対する所見と、不況が県財政等に与える影響についてでありますが、国の財政は、社会保障関係費が年々増加する中、一般会計歳入総額の3分の1程度を特例公債に依存し、加えて、新型コロナウイルス感染症の影響による税収減や関連予算による歳出増が発生するなど、極めて厳しい状況にあります。 国には引き続き、感染防止対策と経済回復に向けた必要な対策を効果的かつ迅速に講じていただくとともに、併せて財政健全化についても、国民の生活や経済への影響などを十分考慮した上で、中長期的な観点から、国の責任において適切に対応していただく必要があると考えております。 なお、不況による県税収の減少や県財政に与える影響については、総務管理部長からお答えいたします。 次に、柏崎刈羽原発再稼働問題についてお答えします。 まず、東京電力の原発を運転する能力についてでありますが、原子力規制委員会が、柏崎刈羽原子力発電所6、7号機の設置変更許可の審査の中で、運転を的確に遂行するに足る技術的能力がないとする理由はないと判断し、平成29年12月に許可を出したと承知しております。 今般の一連の不祥事は、東京電力が原子炉の運転を的確に遂行するに足りる技術的能力があるのかどうかについて疑問を感じさせる状況にあることから、先般、原子力規制庁長官と面会をし、東京電力の技術的能力について、改めて評価していただくよう強く要望いたしました。 長官からは、追加検査の中で東京電力が自律的な改善が見込めるような事業者かどうか見極めていくこととしており、これは、今回の県の要望と目指すところは同じであるとの回答がありました。 次に、柏崎刈羽原発の再稼働について、県民の意思を確認する方法、時期についてでありますが、柏崎刈羽原発の再稼働については、3つの検証結果が示された後に議論を始めたいと考えております。 3つの検証が終わっておらず、再稼働に関する議論も始まっていない現段階で、県民の意思を確認する方法、時期について決めているものはありません。 次に、現時点において、柏崎刈羽原発の再稼働に関する賛否を明示することについてでありますが、3つの検証や技術委員会での施設の安全確認等によって、初めて再稼働を判断するための材料がそろうことになります。 検証等が終わっていない現時点では、再稼働の是非についてお示しするものはありません。 次に、柏崎刈羽原発再稼働に関する議員御指摘の発言についてでありますが、検証結果が出ていない中で、その検証結果を受けて出す知事としての結論については、なおのこと見通せないわけですが、あえて聞かれれば論理的には様々な可能性があり得るという趣旨で申し上げたことが、一部で報道されたものと受け止めています。 次に、新発田市上中山の大型豚舎悪臭問題についてお答えいたします。 まず、事業者への指導内容や成果等の公表についてでありますが、臭気問題は、畜産業にとって、地域との共存を図る上で取り組むべき課題であると考えております。 現在、改善に向けて県が提案した臭気の低減対策に事業者が取り組んでいるところであり、対策ごとの効果をしっかりと検証し、成果が明らかとなった段階で公表を検討してまいります。 次に、公害防止協定に基づく指示についてでありますが、県は公害防止協定締結の当事者でないことから、協定に基づく施設使用の一時停止などの指示は、市において主体的に判断されるものと考えております。 なお、新発田市による悪臭防止法に基づく第四次勧告以降、県では市と連携をし、定期的な情報交換や合同での現地指導を行うとともに、臭気発生要因の分析や具体的な対策の提案を行うなど、事業者に対する取組を強化しており、事業者においても、県が提案した臭気の低減対策に取り組んでいるところです。 次に、上乗せ条例の制定の働きかけについてでありますが、条例の制定は市の権限であり、市において主体的に判断されるべきものと考えております。 県といたしましては、引き続き、悪臭防止法の指導権限を有する市の取組をサポートするとともに、事業者自らが臭気対策に不断に取り組んでいくよう、積極的に指導・助言を行ってまいります。 次に、脱炭素社会に向けた交通政策についてお答えいたします。 まず、白新線の複線化についてでありますが、複線化に伴う鉄道利用の利便性向上などにより、自動車から鉄道へのシフトが進んだ場合には、新新バイパスの交通量削減やCO2の抑制につながる可能性があると考えております。 県といたしましては、これまでも、白新線の複線化をJR東日本へ要望してきており、今後も働きかけてまいります。 次に、新潟東港の臨海鉄道の復活についてでありますが、県は、カーボンニュートラルポート形成に向けた取組として、オン・ドック・レールを位置づけ、低炭素輸送の検討を進めることとしております。 しかしながら、この実現のためには、トンネル区間であってもコンテナを輸送できる低床貨車の開発なども必要となることから、国の支援も不可欠であると考えております。 県といたしましては、引き続き貨物量の確保に取り組むとともに、脱炭素社会の実現が加速するような技術的課題の解決や関連する支援策について、国に働きかけてまいります。 次に、上越新幹線の空港乗り入れについてお答えいたします。 まず、空港乗り入れの早期実現についてでありますが、本県のリダンダンシー機能やゲートウエー機能の強化にもつながる効果的な手段の一つであると考えております。 一方、財源確保や鉄道事業としての採算性等の課題があることも認識しております。 新型コロナウイルスの影響により航空需要の回復は不透明な状況ではありますが、まずは、路線ネットワークの強化や短中期的に実行可能なアクセス改善の取組により、空港利用者を増やすことで、軌道系アクセスの検討が早期に開始できるよう努めてまいります。 次に、新潟空港乗り入れに向けた関係知事との連携についてでありますが、議員御指摘のとおり、両県議会ともに、空港乗り入れ事業が議論されているものと承知しております。両県とはこれまでも情報交換を行ってきておりますが、県といたしましては、まずは、空港利用者を増やすことによって、軌道系アクセスの検討が早期に開始できるよう努めてまいります。   〔総務管理部長森永正幸君登壇〕 ◎総務管理部長(森永正幸君) お答えいたします。 不況が税収や財政に与える影響についてでありますが、まず令和2年度については、新型コロナウイルス感染拡大などにより企業収益が減少したことから、法人二税や地方消費税が減収となり、当初予算計上額の2,646億円から約70億円程度減少し、最終的に約2,580億円程度となる見込みです。 減収が見込まれる部分については、本県などが国に要望して実現した、地方消費税等に係る減収補填債を発行することなどにより対応することとしております。 次に、令和3年度については、企業収益の減少などの影響が税収により顕著に表れることを見込んでおり、当初予算額として令和2年度の税収見込額からさらに約60億円程度減となる2,524億円を計上しております。 この減収は全国的なものであり、基本的には地方一般財源総額の実質同水準ルールにより、地方交付税等によって措置されるものと見込んでおりますが、引き続き状況を注視してまいります。   〔福祉保健部長松本晴樹君登壇〕 ◎福祉保健部長(松本晴樹君) お答え申し上げます。 新型コロナウイルス感染者に対する差別への取組についてでありますが、議員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の患者やその御家族、医療従事者などへの差別は、決してあってはならないと考えております。 県民の皆様からは、実際に心ない差別を受けたという声や、また対策を強化すべきとの御意見を頂き、これを踏まえて、偏見や差別、心ない言動などは決して行わないよう県民の皆様に呼びかけるとともに、このたび、新潟県人権教育・啓発推進基本指針を改定いたしました。 この中で、感染症患者等に対する差別は決して許されないと宣言するとともに、感染症に関する適切な情報の公表、正しい知識の普及、差別等の防止に向けた教育・啓発を実施するなどの必要な措置を講じることを明記したところです。 今後、これに沿って、市町村や国等の関係機関とも連携しながら、差別の解消に取り組んでまいります。   〔佐藤浩雄君登壇〕 ◆佐藤浩雄君 御答弁ありがとうございました。 今日も新発田市上中山の豚舎の悪臭に苦しんでいる人たちが傍聴に来ておられます。したがって、この問題は本当に毎日の生活に直結するだけに、もう一度知事にお伺いしたいと思います。 既に御存じのとおり、第四次勧告が8月26日に出されて10か月になりました。住民説明会では、第四次勧告とともに臭気度12度以下に保たせる取組をすると。そのために悪臭を発生させない指導を1年間と設定したと、こういうふうに説明しているのです。あと2か月しかないのです。 その後の悪臭の状況は変わらず、特に今年は大雪になった1月中旬以降は、多くの住民が今まで経験したことのないような強烈な異常な悪臭が発生し、住民は驚き、苦しんでいました。 実際3月8日の立入調査の結果を見ると、14棟の豚舎全てが第四次勧告に違反していて、敷料は6.5キロの基準をオーバーする6.9キロから10.4キロまであって、異常な臭気が確認されており、早急に敷料の交換が指導されています。これでは、上中山の集落の人々が、今まで経験したことのない異常な臭気というのは当然なのではないでしょうか。 確かに大雪で敷料がなくなり、取替えができなかったのでしょう。しかし、豚の飼料、餌はあるのに、何で敷料はないのでしょうか。どちらも養豚経営者にとって最も重要なことではないでしょうか。こんなことでは言い訳にはなりません。豚舎の経営者が臭気問題の重大性をしっかり受け止めていない証拠です。 知事はこうした豚舎の経営者に対してどのようなお考えなのか、再度お伺いします。 こうした異常な臭気を放置している経営者に悪臭防止法を守らせるために、公害防止協定に基づく施設の使用停止命令を出すように新発田市をやはり指導しなければならないと思うのです。また、このような異常な臭気を垂れ流している豚舎の経営者に対して、上乗せ条例をつくるように新発田市を指導すべきです。 完全に新発田市だけの問題でなくて、隣の阿賀町や阿賀野市、そういったところまで臭気が飛んでいっているわけですから、そうした県の役割が非常に重要になってきています。 実際、県の技術者が今回入って、前から見たら数段いっぱい入ってくれています。それでよくなっているのです。みんなが評価していますよ。だから、もっと入っていただいて、具体的な御指導をお願いしたいと思いますので、お願いします。 それから、脱炭素社会実現に向けた交通政策ですが、2030年のカーボン・オフセットを実現するためには、新新バイパスに1日14万台が走っているわけですから、毎日渋滞が発生し、炭酸ガスを発生して、地球温暖化になっているわけです。それを放置できません。 したがって、ラッシュ時の交通渋滞を解消するために、交通工学上もそういうふうに数字まで出しているわけですから、そういったことを取り組んでいくために、白新線の複線化によって乗換えをさせるしか方法はないと私は思うのです。 それで、新潟駅周辺を一定時間、通勤時間帯前後を、例えば1時間ずつ乗り入れ禁止地域にするとか、そういう形にしていけば改善はできると思うのです。そういったことを実現するべきではないですか。ぜひ取組を、お考えをお願いします。 上越新幹線の空港乗り入れについても、埼玉県や群馬県からも要望されていることであり、現在の上越新幹線活性化同盟会を上越新幹線空港乗り入れ実現期成同盟会に変えて、埼玉県知事や群馬県知事にもメンバーに入ってもらうように拡大をして、日本全体の、要するに東京直下型地震が70%にもなっているわけですから、そのときのリダンダンシー機能をきちんと機能できる、観光対策もできる、そういう将来に大きな影響を与える機能を、空港乗り入れは持っているのですから、ぜひそうした取組をしていただきたいと思いますので、お願いします。 それから、柏崎刈羽原発の再稼働についてですが、テロから攻撃を防ぐ核防護施設が15か所も故障したまま、取替えもしないまま放置されていたことについて、この県議会にも来たけれども、小早川社長はほとんど答弁らしいまともな答弁しておりませんよね。 ○議長(桜井甚一君) 佐藤浩雄君、時間が超過しておりますので、結論を急いでください。 ◆佐藤浩雄君(続) IDカードの不正使用もそうですが、そして原子力規制委員会からレッドの判定が下ったことに対しても、弁明はありませんと言いながら、我々はやっていることはやっているというふうに書いた文書を出しているでしょう。そういうふうにみんなごちゃごちゃ、ごちゃごちゃ言い訳をして逃れてやってきているわけです。 ○議長(桜井甚一君) 佐藤浩雄君、結論を急いでください。 ◆佐藤浩雄君(続) そういうやり方を許すことなく、やはり現時点において、もし柏崎刈羽原発事故が起きたら、本当に全滅するのは新潟県なのですから。ほかではないのですから。 ○議長(桜井甚一君) 今ほど注意いたしましたが、時間が超過しております。結論を急いでください。 ◆佐藤浩雄君(続) そういう意味からしても、知事が責任を持ってやはり停止をするかどうかという判断をしなければならない時期だと思うのです。ぜひ、そういう意味で再度御答弁お願いします。   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 佐藤浩雄議員の再質問に何点かお答えいたします。 最初に、豚舎の問題につきましては、先ほどもお答えしたとおり、協定に基づく施設使用の一時停止でありますとか、上乗せ条例の制定については市の権限でございますので、そこは市において主体的に判断されるものと考えております。 一方、県では、市と連携をし、定期的な情報交換や現地での指導を行うとともに、臭気発生要因の分析や具体的な対策の提案を行うなど、事業者に対する取組を強化しているところであり、事業者においても、県が提案した臭気の低減対策に取り組んでいるところです。 引き続き、県は市の取組をサポートするとともに、事業者自らが臭気対策に不断に取り組んでいくように、積極的に指導・助言を行ってまいりたいと思います。 それから、白新線の複線化につきましては、これも先ほどお答えしたとおり、複線化に伴う鉄道利用の利便性向上によって自動車から鉄道へのシフトが進んだ場合には、おっしゃるように、新新バイパスの交通量の削減やCO2の抑制につながる可能性があると考えておりますので、これまでも白新線の複線化を要望してきておりますが、今後も働きかけてまいりたいと思います。 また、上越新幹線の空港乗り入れにつきましても、本県のリダンダンシー機能やゲートウエー機能の強化にもつながる効果的な手段の一つであると考えておりますが、一方、財源確保や鉄道事業としての採算性等の問題があります。したがいまして、まずは空港利用者を増やすことに注力していきたいと思います。 最後に、東京電力の原発を運転する能力につきましても、先ほどお答えしたとおり、先般、原子力規制庁長官と面会をし、東京電力の技術的能力について改めて評価していただくよう強く要望したところであり、長官からは県の要望と目指すところは同じであるという回答を頂いたところであります。   〔佐藤浩雄君登壇〕 ◆佐藤浩雄君 御答弁ありがとうございました。 まず、柏崎刈羽原発の再稼働問題ですが、柏崎刈羽原発の電気は、新潟県民は一ワットも使っていないですよね。全部東京に送っている。しかし、事故が起きれば、死ぬのは新潟県民なのです。こんな経済の倫理に反することはありません。また、事故が起きなくとも柏崎刈羽原発の使用済核燃料は危険で、数万年も地下に深く埋めて、厳重な管理をしなければならないものでしょう。しかも、青森県の六ケ所村の使用済核燃料貯蔵施設は既に満杯です。そういう状態の中で、使用済核燃料はみんな各原発の核燃料プールに貯蔵されており、数万年も貯蔵できるわけがありません。このような原発は、人類の倫理に反するものです。このように柏崎刈羽原発に使用済核燃料の管理は不可能であり、運転させるべきではないと思います。だから、知事は現時点から人類の将来の…… ○議長(桜井甚一君) 佐藤浩雄君に申し上げます。 再質問は、さきの質問に対する答弁をただすものであります。再質問の趣旨を踏まえ、質問の内容を簡潔明瞭に述べてください。 ◆佐藤浩雄君(続) したがって、現時点でやはり柏崎刈羽原発の再稼働について、知事は的確な判断をするときだと思いますので、ぜひ知事のお考えをお聞かせください。 それから、上中山の豚舎の悪臭問題ですが、県職員が直接豚舎に入り、悪臭を発生させない菌床の管理・改善、ミスト噴霧器稼働の効果、遮蔽壁の効果など、豚舎の経営者や職員に対して具体的な指導を行ったと思います。それは集落の人たちはみんな見ているわけですので、非常に高く評価しています。だから、その指導と効果、成果を公表すべきなのです。 遮蔽壁として既に10メートルぐらいの柱を立てているようですが、その後ろの山は35メートルの高さなのです。その臭気はそこを超えてきているわけですから、その10メートルぐらいのもので効果があるのか。そういうことで地域住民の方々はいろんな疑問を持っているわけです。そういうことを、やはり効果の説明が必要ですから。 もう一つは、ミスト噴霧器の効果の説明が必要です。せっかくやったわけですから、どれだけの効果があったのかというのは、地域の人たちは分からない。県職員が調査に入ったとき、カメラを設置したり、常設の臭気測定器を設置しているわけですから、より具体的に指導したことが、効果が、映像でも撮れているのではないですか。そういうことをやはり、地域住民の方々に見せてあげて、その効果を明らかにすべきだと思うのです。 それが、これからの県全体の畜産業に対する大きな効果が想定できますので、そういったことをやはりしっかりとやるべきだと思いますので、ぜひお願いします。取りあえず2つをお願いします。 ○議長(桜井甚一君) 今ほどの質問に対しましては、先ほど知事の答弁から、成果が明らかとなった段階で公表を検討してまいりますという答弁が出ておりますので、これ以上の答弁をまだ求めるということですか。 ◆佐藤浩雄君(続) まだ求めます。   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 佐藤浩雄議員の再々質問にお答えいたしますが、最初の柏崎刈羽原発の再稼働問題につきましては、3つの検証結果が示された後に議論を始めたいと考えております。 第2点目の豚舎の悪臭問題につきましては、先ほどもお答えいたしましたが、現在、改善に向けて県が提案した臭気の低減対策に事業者が取り組んでいるところであり、対策ごとの効果をしっかりと検証し、成果が明らかとなった段階で公表を検討してまいりたいと思います。 ○議長(桜井甚一君) 佐藤浩雄君の質問は終わりました。 次に、渡辺和光君の発言を許します。渡辺和光君。   〔渡辺和光君登壇〕(拍手) ◆渡辺和光君 無所属の渡辺和光です。通告に従い、順次質問させていただきます。 県内の新型コロナウイルス新規感染者数は5月中旬をピークに減少傾向にありますが、依然、入院病床利用者数が警報基準を超えていることなどから、昨年12月に出された警報の発令は継続中であり、予断を許さない状況が続いています。 4月以降は変異株が拡大し、子供を含めた若年層への感染も目立つなど、危機的な状況が変化をしながら1年以上続いていることになります。 また、私たちが直面する危機は新型コロナウイルスにとどまらず、地球温暖化と自然災害の頻発、少子高齢化から生じる人口減少、人口減少からくる労働力不足、地域集落の縮小と地域社会の衰退、そして産業や経済の停滞など多様です。 新型コロナウイルス対応はもちろん最優先課題ですが、そのことを理由に他の課題を先送りすることは、社会の持続可能性が損なわれることとなります。 厚生労働省が6月4日に発表した人口動態統計によると、2020年の出生数は前年より2万4,407人減って84万832人で、統計開始以来、過去最少となり、合計特殊出生率は1.34で、前年より0.02ポイント下回り、5年連続で低下、婚姻件数も戦後最少と少子化が加速しています。 新潟県の出生数も1万2,980人と過去最少を10年連続で更新。合計特殊出生率は2019年から0.03ポイント低下し、1.35となっています。 少子化の背景には、バブル崩壊後、雇用が不安定化し、正社員も賃金が減る中、若年層が結婚や出産を避ける傾向が続いてきたことなどがあります。そこに来て新型コロナウイルスの感染拡大が拍車をかけ、人口構造に深刻な影響を与えていると言えます。 また、経済環境も悪化し、完全失業率は2019年12月の2.2%をボトムに、2020年12月には3.0%まで上昇。2020年の平均賃金は、労働時間や賞与の減少が響く形で前年比マイナス1.2%の減少となりました。 雇用・所得環境の悪化や出産・子育てへの不安により妊娠を控える人が増加し、また、対面接触機会の減少などによる婚姻数の減少も、出生数への影響が大きいと考えられます。 今後、新型コロナウイルスの影響はワクチン接種により緩和されるものと期待しますが、ワクチンが国内に行き渡り、その効果が確認され、さらに新型コロナウイルス感染症拡大前のように、3密回避が不要と政府判断がなされるまでにはまだ時間がかかります。 コロナ危機とも言える状況下において、低迷する足元の実体経済をしっかりと支えるための雇用関連の助成金など財政政策とともに、結婚や出産、子育てに関わるハードルを下げるためのより踏み込んだ施策が必要であると考えますが、知事の所見を伺います。 新型コロナウイルス感染症対策では、国の関連交付金を最大限活用し、それによらない場合は基金取崩しによる必要な対策も講じることとしています。予期せぬ財政支出が必要になる場合であっても、持続可能な県政の実現に向け、行財政改革行動計画の取組を着実に実施することが不可欠であると考えますが、現状認識について知事の所見を伺います。 4月16日、新潟市を対象に、5月12日には長岡市を対象に特別警報が発令され、飲食業等の営業時間短縮が行われました。本県経済は、飲食業や観光業及び関連事業者等を中心に大変厳しい状況にあり、感染がいつ収束するのか、いつ活気を取り戻せるのか、将来的な不安を抱えながらの毎日が続いています。 最大の経済対策はワクチン接種の推進による集団免疫の獲得と言われていますが、今のペースでは社会経済活動が長期停滞することは容易に想定できます。 そこで、本格回復の準備に当たっていただくために、経済再生の目安として感染収束に有効と考えられる接種率を県が示すことにより、先の見えない不安への解消につながるものと考えますが、知事の所見を伺います。 本年3月、2021年度から2024年度の4年間を期間とする新潟県観光立県推進行動計画を策定しました。新型コロナウイルスの感染拡大で旅行の在り方が大きく変化したことなどを踏まえた新たな施策の方向性が示されています。 しかし、コロナ禍による県境を越える往来の自粛に伴い、県外からの旅行客が大幅に減少し、県内の飲食店や観光業界は大変厳しい状況が続いています。 県外からの誘客が困難な状況にある中では、県民を対象とした県内観光を推進し、落ち込んだ観光需要を早期に回復する必要があると考えます。 県は4月専決により、使っ得!にいがた県民割キャンペーンを計画したところですが、この間、事業の開始が見合せとなっています。事業の開始時期や実施期間について、現在の見通しを伺います。 次に、ワクチン接種についてです。 ワクチン接種状況については、県内の市町村間で大きな開きが出ていると言えます。新潟市では、当初かかりつけ医による接種を基本としたため、個別接種と集団接種のどちらも予約が取りにくい状況が続き、市民から不満の声が相次ぎました。 一方、上越市はあらかじめ集団接種の会場と日時を割り振る指定方式を採用したことで順調な接種につながり、7月下旬には2回目を含め対象者全員の接種が完了する見通しです。 6月16日の地元紙によると、接種率は新潟市、長岡市で2割台にとどまり、上越市では9割を超えたとの報道がありました。こうした県内における格差について、県として支援及び調整を図る必要があると考えますが、知事の所見を伺います。 県は、国の方針を受け、7月末までに高齢者の2回目のワクチン接種を完了することを県内30市町村と合意し、県全体の接種を加速させるため、新潟市の高齢者を対象とする大規模ワクチン接種が今月12日、13日、19日、20日、朱鷺メッセで実施されました。 上・中越は7月に開設予定とのことですが、新潟会場でのノウハウを生かし、予約対応、設営、接種や問診に当たる要員確保など、最適な環境整備を行い、ワクチン接種を安定的かつ迅速に進める必要があると考えますが、所見を伺います。 大規模ワクチン接種会場の設置については、接種を行う医療従事者の確保が課題となっています。国は、歯科医師や研修医による接種を条件付で容認したほか、新たに救急救命士や臨床検査技師の活用を検討しています。 何より安全を最優先に対応すべきと考えますが、ワクチン接種のための医療従事者の範囲拡大について、安全性に係る県の所見と対応を伺います。 高齢者のワクチン接種が予定どおり終了すれば、8月以降、一般向けの接種が本格化することになります。各自治体との情報共有を緊密にし、接種を希望する全ての人が可能な限り早く接種できるよう、必要な体制整備に努めるべきと考えますが、知事の所見を伺います。 一方で、接種者数を増やすことは重要なことですが、市町村間のスピード競争ではなく、最優先すべき安全性がおろそかにならぬよう、県として安全かつ確実という観点での対応を市町村に対し発信することも重要と考えますが、知事の所見を伺います。 次に、防災対応についてです。 6月18日、本県を含む北陸地方が梅雨入りしました。地球温暖化の影響もあり、短時間での猛烈な雨や線状降水帯の発生による土砂災害や河川の氾濫など、災害の激甚化・頻発化が進んでおり、豪雨災害への備えをしっかり講じておく必要があります。 気象庁は、線状降水帯の発生に警戒を促す、顕著な大雨に関する情報の運用を6月17日から開始しました。住民に避難情報を発令する市町村としては、雨量や河川の水位など他の情報やデータと併せ、適切な避難の呼びかけに活用し、避難や被害の軽減に役立てることが期待できる一方で、気象庁では大雨特別警報や記録的短時間大雨情報なども発表することから、住民の混乱が危惧されます。 全ての防災気象情報が有効に機能するよう、県として避難情報を発令する市町村を支援する必要があると考えますが、所見を伺います。 全国で近年相次ぐ豪雨災害の教訓を踏まえ、今国会で2つの法改正が実現しました。 1つは災害対策基本法の改正であり、市町村が発令する避難情報の在り方が包括的に見直されました。従来の避難勧告が廃止となり、避難指示に一本化され、市町村は気象庁の情報を基に、災害発生のおそれが高い場合に避難指示、さらに切迫した場合は緊急安全確保を発令することになりました。 住民の逃げ遅れを減らすため、周知徹底と避難行動に結びつく有効な情報の発信が肝要であると思いますが、所見を伺います。 また、住民参加型の訓練を重ねる必要もあると考えますが、県の対応について伺います。 災害対策基本法の改正により、高齢者や障害者などの避難行動要支援者の避難について、避難先やルートなどを決めておく個別避難計画の作成が市町村の努力義務とされました。 取組については地域で濃淡があり、令和2年10月時点の全国状況は、対象全員分の計画を策定した自治体は9.7%、一部作成済みは56.9%。新潟県においてはそれぞれ6.7%、66.7%であり、作成を一層加速させる必要があると考えます。 避難行動要支援者の迅速な避難行動につなげるため、県は市町村に早期作成を促すべきと考えますが、所見を伺います。 新型コロナウイルスの感染が広がる中での避難について、避難先が過密状態になれば感染のクラスターを生みかねません。 県では、新型コロナウイルス感染症を踏まえた災害時の住民避難と避難所運営の取組について、1、新型コロナウイルス感染症流行下でも、災害の危険が迫ったら安全な場所に迷わず避難するよう改めて県民に周知する、2、避難所では3密とならないよう万全の対策を取り、感染リスク低減を図る、3、避難所の混雑緩和のため、ハザードマップで地域の災害リスクを確認し、避難所以外への避難も検討するよう県民に呼びかけるとしています。 避難所の運営に当たる市町村は、避難所の数の確保や感染を防ぐ環境整備について、できる限り事前に対応を詰めておく必要がありますが、市町村の避難所運営への支援について、県としてどのような対応を行っているのか伺います。 これら災害対策基本法の改正及び線状降水帯情報の取扱いを含め、新潟県地域防災計画の迅速な修正などが必要であると考えますが、対応について伺います。 2つ目の法改正は、河川の上流・下流や本川・支川の流域全体を俯瞰し、国、流域自治体、企業・住民等のあらゆる関係者が協働して取り組む、流域治水の実効性を高める法的枠組みとして、流域治水関連法が成立しました。 流域全体の治水力向上には、関係者が互いに行う事業を流域治水プロジェクトとしてまとめ、相乗効果を高めることが必要ですが、関係機関の連携強化のため県はどのような役割を果たしているのか、現状の取組について伺います。 流域治水関連法により、都道府県知事が指定する浸水リスクの著しく高い土地への住宅や高齢者施設の建築が許可制となります。 高齢者施設などは、地価の高い土地を避ける傾向があり、結果として浸水リスクを伴う土地に建設されるケースが少なくありません。 県としては、建築の可否だけでなく、崖崩れや地震など各地域の災害リスクに係る知見を生かし、市町村と共に防災まちづくりに取り組んでいくことも重要と考えますが、所見を伺います。 流域治水関連法は、安全な場所への集団移転事業の強化や、都市部の緑地の保全、沿川の保水・遊水機能を有する土地の確保、雨水貯留浸透施設の整備への支援などを打ち出しています。 これまでの洪水対策は雨水をいかに海まで流すかという視点に重きが置かれていましたが、今後はこれらの流域全体の取組をさらに進めていく必要があると考えますが、知事の所見を伺います。 洪水被害は、河川規模の大小に関わりなく起こり得ます。近年の水害における中小河川での被害発生を踏まえ、洪水浸水想定区域図の策定を推進していく必要があると考えますが、本県の取組について伺います。 次に、高校での防災実践力強化についてです。 国内外で相次ぐ大規模災害に備え、一人一人の防災意識や、その実践力を高めること等を目的に、高校の授業において2022年度から地理総合が必修化されます。 地理情報システムやハザードマップ、地形図の読み取り方をはじめ、防災教育を柱に、都市や交通問題、国際社会における日本の位置づけなども学ぶことになり、自分がどんなまちに暮らし、災害時にどう対応すべきかを具体的に考えるなど、新学習指導要領が掲げる「生きる力 学びの、その先へ」を象徴する実践的な科目になるものと期待します。 東日本大震災や熊本豪雨など激甚化する一途の災害に一人一人どう備えるか、自分の命を自分で守る姿勢が一層求められる中、防災教育の充実は時代に即していると言えます。 一方で、地理の必修化は1972年度以来とのことであり、地理を専門とする教員の絶対的な不足が危惧されるとともに、力量にばらつきが生じる懸念もあります。 県教育委員会においては、必修化される2022年度に向け、人材確保と教員研修などの体制整備及び教材の提供や講師の派遣などの対応が必要になると考えますが、教育長の所見を伺います。 次に、無電柱化についてです。 国土交通省は、無電柱化推進計画を公表し、災害時の救助や物資輸送の要となる緊急輸送道路等を重点的に、今後5年間で全国約4,000キロメートルの無電柱化に着手するという方針を示しました。 この5年間で特に力を入れるのは、災害発生時、救助や生活物資の輸送などに活用される緊急輸送道路と、高齢者の通行が多い駅の周辺にバリアフリー法に基づき設置されている特定道路です。緊急輸送道路は市街地の道路上にあるものを対象に、無電柱化率38%から52%を目指して事業に着手し、特定道路は31%から38%を目標に掲げています。 地下埋設は、地上に電柱を設置するよりも費用が大幅にかかることが事業進捗の妨げになってきたとされており、無電柱化を加速させるためには、国が責任を持って財政面の支援や技術的支援を強化するとともに、自治体、電気・通信事業者との連携が不可欠です。 本県における無電柱化について今後どのように進めていくのか、目標及びスケジュールについて伺います。 次に、電力不足への対応についてです。 電力需給は今年1月に全国的に逼迫し、政府は今年夏の電力需給について、ここ数年で最も厳しくなるとの見通しを発表しました。火力発電所の休廃止により、安定した電力の供給力が低下しているためで、対策として、発電事業者に燃料の十分な確保などを求める一方、一般家庭には無理のない範囲での省エネへの協力を呼びかけています。 需給逼迫の要因とされる火力発電の供給力低下については、世界的な脱炭素化の流れもあり、昨年夏に稼働していた火力発電のうち、停止や休廃止によって約830万キロワット分の供給が本年度は見込めなくなっています。 一方で、太陽光や風力など再生可能エネルギーの導入が増加していますが、これらは気象条件によって発電量が左右されるため、供給見通しが立てにくくなります。火力発電と再生可能エネルギーをバランスさせつつ、どう安定供給を保つか。2050年の温室効果ガス排出実質ゼロを目指す方針も受け、見直し議論が進むエネルギー基本計画での位置づけが重要となります。 コロナ禍における在宅時間の増加に伴い、夏、冬の冷暖房はより欠かせない存在となり、電力需要も増える可能性が高く、電力不足が原因で大規模停電が起きれば命に関わる問題となります。生命、暮らしや産業を支える電力需給が綱渡りとならぬように、要因を分析し、中長期を見据えた対策強化が求められます。 経済産業省では、5月25日、有識者会議を開き、節電の呼びかけを含めた対応策が議論されました。新型コロナウイルス感染症や熱中症予防への対応などに対し、日常の生活様式やテレワークなど働き方を見直す中で、できる限り早期に対策を講じる必要があります。 足元の電力不足について、県民に対し素早く正確な情報提供や節電の呼びかけが必要と考えますが、県としての認識と取組について伺います。 県政の諸課題について。 まず、改正地球温暖化対策推進法への対応についてです。 2050年までの脱炭素社会の実現を基本理念とする改正地球温暖化対策推進法が5月26日、参議院本会議で可決、成立しました。 これにより、都道府県に対し、再生可能エネルギー利用促進等の施策に関する実施目標を、地球の温暖化計画に盛り込むことが義務づけられ、来年4月頃に施行されると聞いておりますが、本県の計画改定スケジュールについて伺います。 脱炭素化の潮流の中で、再生可能エネルギーの導入とともに、環境負荷、コスト、備蓄効果及び安定供給の面で優れている原子力発電の重要性を再認識する必要があると考えます。 また、この冬の需給逼迫時において、国内で稼働していた原子力発電所は静かに安定運転していたことも認識しておく必要があります。 現在、政府で検討中のエネルギーミックスの見直し議論においては、2030年度の電源構成に占める原子力発電比率20%から22%を維持すべきであり、首相が気候サミットで2030年度に2013年度比46%減の高い温室効果ガス削減目標を標榜したことを考えると、再生可能エネルギーの導入とともに原子力発電の利用は不可欠であるとも言えます。 国は2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指すことを表明していますが、知事は、エネルギーミックスの中での原子力発電の位置づけをどのように考えるのか伺います。 環境省の「日本の廃棄物処理令和元年度版」によれば、本県は県民1人当たりのごみの排出量が全国ワースト3位で多い状況となっています。 私たちが生活する中で排出するペットボトルなどのプラスチック容器や古紙などは、可燃ごみとして捨てると焼却処分され、そこで排出される二酸化炭素は地球温暖化の原因とされています。 言うまでもありませんが、温暖化は気候変動を引き起こし、干ばつや火災、洪水などにもつながり、動物や農産物への影響も懸念されます。人が快適に暮らせる環境を将来に残すため、できる限りごみを減らすことは私たちの責務です。 持続可能な生産消費形態を確保することを目指すSDGsのゴール12、「つくる責任つかう責任」を念頭に、4R、リフューズ・リデュース・リユース・リサイクルや、食品ロス削減などの取組をこれまで以上に推進し、県民一人一人にごみを減らす意識を浸透させる必要があると考えますが、知事の所見を伺います。 次に、令和3年度新潟県最低賃金の改正についてです。 繰り返しになりますが、現下の日本経済はコロナ禍を起因とした戦後最大の落ち込みから徐々に回復しつつあるものの、いまだ予断を許さない状況にあります。 政府は、経済財政運営と改革の基本方針2020において、賃上げしやすい環境整備に不断に取り組むことと、最低賃金を早期に全国加重平均1,000円になることを目指すとの方針を堅持するとして、さらに国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策においても、引き続き最低賃金の引上げに向けた環境整備に取り組むとしています。 本県の令和2年度地域別最低賃金は831円であり、全国加重平均の902円とは71円もの差があります。また、都市部との格差は若者の人口流出にも大きく影響し、人手不足が深刻化する中において、県内勤労者の人材確保をさらに厳しくする要因となっています。 国による各種助成金制度のさらなる拡充により、中小・小規模事業者が賃上げしやすい環境整備をすることが重要であり、令和3年度の新潟地方最低賃金の改正に当たっては、従来から深刻化している本県の人材確保、全国との格差解消、国の度重なる全国加重平均1,000円以上を目指すとの方針に沿った引上げとなるよう、県として関係機関に働きかけるべきと考えますが、知事の所見を伺います。 最後の質問となります。学校教育におけるタブレット端末の利用についてです。 国は、2019年度、教育現場でのICT利活用が遅れていることから、GIGAスクール構想をスタートしました。 県内では、8月までに全小中学校の児童生徒に1人1台のタブレット端末を配備し、学校内の通信ネットワークが整備される見通しです。 学校教育にICTを活用することは時代の要請と言えますが、利点が多い一方で課題も指摘されています。 現場の教師からは、新たな取組に伴う負担増への危惧や、機器に不具合が生じた際の対応への不安の声などがあると聞きます。 また、家庭に持ち帰っての学習について、端末を使うにはインターネット接続するための通信環境を整える必要があり、通信費もかかることから、家計の状況が子供の学びに影響するおそれがあります。 また、近年、近視の子供の割合が増加しており、スマートフォンやゲーム機の普及が要因とも指摘され、学習用端末の活用も一因になりかねないなど、課題整理が必要と考えます。 学校教育におけるタブレット端末の利用は、これら課題の検証を確実に行いながら実施すべきと考えますが、教育長の所見をお伺いし、私からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 渡辺和光議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、新型コロナウイルスの影響が続く中での結婚、出産、子育てに係る支援についてでありますが、本県においては、未婚化・晩婚化の進展などにより、出生数の減少に歯止めがかからない状況の中、さらに、雇用環境の悪化など、新型コロナウイルス感染拡大による影響も考えられるところです。 県といたしましては、コロナ流行下においても、少子化対策として、結婚から出産、子育てまでの希望をかなえる支援は重要と認識しており、対面接触機会が減少する中での結婚支援や出産・子育てに関する相談に、オンラインを積極的に活用するなど、環境変化に対応した支援を行ってまいります。 あわせて、速やかなワクチン接種に向けた取組を進めるとともに、感染状況を注視しながら、適時適切に需要喚起などの社会経済活動の活性化に必要な施策を講じることにより、安定した雇用・所得環境の実現につなげるなど、安心して子供を産み育てられる環境の整備に努めてまいります。 次に、新型コロナウイルス感染症対策と行財政改革についてでありますが、議員御指摘のとおり、予期せぬ財政支出が必要となる場合であっても、行財政改革を着実に実施する必要があると考えております。 喫緊の課題である感染症対策については、迅速かつ最大限に対応するという方針の下、国の関連交付金等を最大限に活用し取り組むとともに、行財政改革についても、行動計画の目標である大規模災害等に備えるための財源対策的基金残高230億円の確保と収支均衡を目指して取り組んでおります。 今後、仮に関連交付金等の活用だけでは対応できず、一時的に基金を取り崩した場合であっても、再び目標の水準に積み戻せるよう必要となる改革に取り組むとともに、国に対して必要な財源の確保・充実を引き続き要望するなど、中長期的な財政運営の安定化に向けて適切に対応してまいります。 次に、集団免疫の効果が高まるとされるワクチン接種率についてでありますが、基本再生産数などに一定の仮定を置いた推定では、7割程度の接種により集団免疫の効果が高まるとされています。 また、世界最速ペースで接種が進むイスラエルでは、少なくとも1回の接種を受けた人の割合が6割を超えたところで、新規感染者数の7日間平均が10人台となり、新型コロナウイルス関連の規制の多くが解除されたと聞いています。 このようなことから、本県においても接種率が一定の水準に達した段階で感染者が大幅に減少することが期待できますが、県民の不安を解消するためにも、できるだけ多くの方からワクチンを早期に接種いただくことが重要と考えており、引き続き接種の加速化に取り組んでまいります。 次に、市町村のワクチン接種状況及び県の支援等についてでありますが、議員御指摘のとおり、開始直後は市町村間でワクチン接種の状況に開きがあったものと承知しております。その理由としては、例えば、国によるワクチン供給の見通しが不明で、接種予定を組むことができなかったことや、医療従事者、会場の確保の問題があり、一部の自治体で、当初は少ない予約枠しか用意できなかったことなどがあったと認識しています。 その後、市町村において日々努力いただくとともに、県でも医療従事者とのマッチングや大規模接種会場の設置など様々な対応を行い、高齢者への接種を7月末までに完了するという目標を達成できる見込みとなっております。関係者の皆様に感謝を申し上げたいと思います。 次に、高齢者以外のワクチン接種に係る体制整備についてでありますが、県では、これまでも定期的に市町村とウェブ上での情報交換を行い、市町村におけるワクチン接種に係る課題や取組について共有を図るとともに、大規模接種会場の設置などにより支援しているところです。 また、先般国会で行われた党首討論の中で、菅首相により、希望する人全てが10月から11月にかけて接種が終えられるよう取り組むとの方針が示されたところです。 今後とも、国に対して確実なワクチン供給と供給スケジュールの早期提示を求めるとともに、市町村との情報交換や医療従事者の確保、新潟会場でのノウハウを生かした上・中越会場での大規模接種の実施など、できる限り早期の接種完了に向け、全力で取り組んでまいります。 次に、安全かつ確実なワクチン接種に係る情報発信についてでありますが、議員御指摘のとおり、ワクチン接種に当たっては、安全性を最優先として進めていく必要があると認識しております。 県といたしましては、県民への安全で円滑なワクチン接種を実現するため、市町村向け集団接種運営マニュアルの策定やアナフィラキシー等の副反応の対応方法を学んでいただくための研修会及び動画配信を行っているところです。 また、市町村に対し、集団接種の際に発生した接種誤りに対する助言や、ワクチンの保管管理不備を踏まえた注意喚起なども行っているところです。 今後とも、安全かつ確実なワクチン接種の促進に向け、積極的に情報発信するなど、市町村を支援してまいります。 次に、防災対応についてお答えします。 まず、避難情報を発令する市町村への支援についてでありますが、顕著な大雨に関する情報など、防災気象情報には様々な種類があることから、情報の追加や改善がなされる都度、市町村が住民に対する避難情報を適切に発令できるよう、気象台など関係機関と連携し、会議や研修等を通じた情報提供等の支援を行うとともに、災害時には、ホットラインによるアドバイス等も行っているところです。 県民の皆様におかれましては、市町村が発令する避難情報の警戒レベル3、高齢者等避難及び警戒レベル4、避難指示に従い、危険な場所から確実に避難していただきたいと考えております。 次に、避難情報の発信等についてでありますが、議員御指摘のとおり、確実な避難行動に結びつく有効な情報発信は重要であると考えております。 そのため、私から今回の避難情報の変更の趣旨について直接県民の皆様への呼びかけを行うなど、様々な機会を通じて周知を図るとともに、県として市町村の避難情報発令基準の見直しなどを支援しております。 また、住民が参加する訓練を重ねることも重要と考えており、県総合防災訓練における住民の避難訓練の実施はもとより、市町村や地域の自主防災組織等の取組に対しても支援を行っているところです。 次に、避難行動要支援者に対する個別避難計画の早期作成についてでありますが、今年度、個別計画策定の効果的・効率的な手法を構築する国のモデル事業に村上市と本県が採択されたところであり、県では、学識経験者の助言の下、市町村と介護福祉事業者、地域の自主防災組織等が連携して計画を作成するノウハウを蓄積するとともに、その成果を県内市町村と共有することにより、早期作成につなげてまいりたいと考えております。 次に、流域全体で行う洪水対策の取組についてでありますが、本県では、平成30年7月豪雨を契機に設置しました有識者会議の提言を踏まえ、大規模な水害時にも深刻な被害を回避し、人命を守ることを最優先に、様々な分野や関係機関が連携してハード対策、ソフト対策を進めてきたところです。 これまでの取組は、国が進める流域治水の趣旨にも沿ったものと考えており、流域に関わるあらゆる関係者と連携して防災・減災対策をより一層強化してまいります。 次に、県政の諸課題についてお答えします。 まず、エネルギーミックスの中での原子力発電の位置づけについてでありますが、国全体のエネルギーミックスにつきましては、国において、新たに示されたCO2削減目標を前提として、安全性を大前提に、安定供給、経済性、環境適合の同時達成を目指し、見直しの議論を進めており、その中で原子力発電の位置づけについても示されるものと承知しております。 次に、ごみを減らす意識の浸透についてでありますが、議員御指摘のとおり、廃棄物や食品ロスの削減は国際的にも重要な課題であり、県民一人一人が意識を持って取り組むことが必要であると考えております。 このため、県では、リデュース・リユース・リサイクルの総称である3Rの推進を施策の重要な柱に位置づけ、不要なものをもらわないリフューズや、食品ロス削減の啓発などにも取り組んでいるところです。 今後も、先般成立した、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律を踏まえたごみ削減の啓発や、新たに設置した協議会で食品ロス削減に係る計画等を検討し、取組を推進するなど、市町村や協議会などとも連携しながら、さらなる意識の浸透に向け取組を進めてまいります。 次に、最低賃金の引上げについてでありますが、御指摘のとおり、若者が県内に定住するためには、賃金を含めた待遇を改善し、良質な雇用を創出していくことが重要であると考えています。 一方で、最低賃金の急激な引上げは、感染拡大による経済や雇用への影響も踏まえると、企業経営への負担が大きいものと考えており、県では、これまでも国に対して、格差是正に向けた段階的な引上げと、その影響を受ける中小企業への支援策を充実することについて要望してまいりました。 先般、国から、中小企業への支援強化等に取り組みつつ、より早期に全国加重平均が1,000円になることを目指すという方向性が示されたところです。県といたしましては、引き続き県内企業の付加価値向上を支援するとともに、国に対し、中小企業の影響緩和を要望してまいります。   〔県民生活・環境部長村山雅彦君登壇〕 ◎県民生活・環境部長(村山雅彦君) お答えいたします。 地球温暖化対策推進法の改正を踏まえた県計画の改定についてでありますが、議員御指摘のとおり、今回の法改正により、県の地球温暖化対策地域推進計画に、再生可能エネルギーの利用促進等に関する目標の設定が義務づけられました。 この目標の設定方法やスケジュール等につきましては、今後、国から詳細が示されるものと思われますが、県といたしましては、年度内を目途に、再生可能エネルギー導入目標について検討し、県計画を改定してまいります。   〔防災局長熊倉健君登壇〕 ◎防災局長(熊倉健君) 2点についてお答えいたします。 市町村の避難所運営に対する支援についてでありますが、県では、県立学校等県施設の避難所としてのさらなる提供や、ホテル・旅館での避難者の受入れについての業界団体との調整を昨年に引き続き行っております。 また、避難所で使用する、間仕切り、簡易ベッド、消毒液等の感染防止用資機材について、県でも、現物備蓄を積み増すとともに、業界団体等と発災時の迅速な物資の供給について改めて確認を行っております。 さらに、市町村職員を対象に、感染防止に関する最新の知見を取り入れた避難所運営の研修を、昨年度よりも内容を充実して実施したところであり、市町村と共に避難所における感染防止対策に万全を期してまいります。 次に、災害対策基本法の改正等に伴う県地域防災計画の修正についてでありますが、市町村から発令される避難情報の変更や、線状降水帯による、顕著な大雨に関する情報などの内容を盛り込んだ県地域防災計画の見直しについて、6月中に修正ができるよう作業を進めております。   〔福祉保健部長松本晴樹君登壇〕 ◎福祉保健部長(松本晴樹君) 2点お答え申し上げます。 大規模ワクチン接種についてでありますが、昨日までの朱鷺メッセにおける実施については、大きなトラブルが生じることもなく、円滑に進めることができました。 今回の実施では、東京の大規模接種センターの運営方法を参考に、各所に配置した責任者が状況に応じて細かいオペレーションの改善を図り、接種の流れが滞ることを防ぎました。 また、地元自治体と連携した予約受付、歯科医師や潜在看護師の活用、会場周辺の混雑を避けるための無料シャトルバスの運行など、様々な工夫をしております。 議員御指摘のとおり、新潟会場でのノウハウを今後の上・中越会場の運営にも生かし、万全の体制で取り組んでまいりたいと考えております。 次に、ワクチン接種のための医療従事者の範囲拡大についてでありますが、今般の国の対応は、安全性を確保しつつ、効果的かつ効率的に集団接種の体制を構築するための方策の一つであると認識しております。 国の方針を受け、本県でも安全性を最優先した上で、筋肉内注射の経験者や事前に研修を受けた歯科医師、並びに指導医の管理下にある研修医が接種を行っているところです。 なお、現段階において、ワクチンの接種者として救急救命士や臨床検査技師を活用する予定はありません。   〔産業労働部長佐野哲郎君登壇〕
    ◎産業労働部長(佐野哲郎君) お答えいたします。 電力不足に関する対応についてでありますが、今夏の電力状況について、国からは、安定供給上最低限必要な予備率は確保できる見通しとなっているものの、ここ数年では最も厳しい見通しになっているとの情報提供を受けており、議員御指摘のとおり、県民に対する情報提供や節電の呼びかけが重要と考えております。 既に、市町村と連携し、ホームページ等を通じて県民の皆様にこうした状況をお知らせするとともに、ふだんどおりの生活を続けていただきつつ、電気の効率的な使用を心がけていただくようお願いをしておりますが、電力需給が逼迫し、県民の皆様に一段の節電をお願いする必要が生じた際には、さらなる情報発信を行ってまいります。   〔観光局長妹尾浩志君登壇〕 ◎観光局長(妹尾浩志君) お答えいたします。 新たな県民向けの割引キャンペーンについてでありますが、議員御指摘のとおり、落ち込んでいる観光需要の回復に向け、観光施設や温泉街などで利用できる地域クーポン券を付与するなど、現在実施している県民宿泊割引を拡充した、使っ得!にいがた県民割キャンペーンの準備を進めております。 キャンペーンの開始時期等は、感染状況等を踏まえながら、専門家の意見を伺った上で判断したいと考えております。   〔土木部長金子法泰君登壇〕 ◎土木部長(金子法泰君) 4点についてお答えいたします。 流域治水を進めるための県の役割についてでありますが、流域治水の計画的な推進には、関係者との密接な連携が重要と考えており、県では事業調整に必要な情報提供をはじめ、市町村が行う流域対策やハザードマップ作成等への助言、支援等を行っております。 特に、2級水系においては、県が主体となり協議会を設置し、関係者との連携体制を構築することとしており、今年3月に流域治水プロジェクトを公表した鵜川水系を皮切りに、ほかの2級水系へ展開しているところです。 次に、防災まちづくりへの取組についてでありますが、近年の激甚化・頻発化する自然災害に対応するため、令和2年度に都市再生特別措置法が改正され、災害ハザードエリアにおける開発抑制や移転促進などの防災まちづくりに対する取組が強化されたところです。 当該措置法では、市町村が作成する立地適正化計画に、災害リスクを回避・低減するための取組を防災指針として記載するものとされ、これにより施設移転など様々な国の重点支援を受けることが可能となりました。 県といたしましては、洪水浸水想定区域など災害リスク情報の提供や技術的助言を行い、市町村が取り組む防災指針の作成が進捗するよう支援してまいります。 次に、中小河川における洪水浸水想定区域図の策定についてでありますが、令和元年東日本台風では、浸水想定区域図が策定されていない中小河川においても氾濫による人的被害が発生していることから、これらの河川でも策定を急ぐ必要があると考えております。 本県では、住民の適切な避難行動を支援するため、現在、水防法で義務づけられた38河川を含む137河川で想定最大規模の降雨に対応した浸水想定区域図を公表しておりますが、今年度末までに約200河川となるよう策定を進めてまいります。 次に、無電柱化の今後の取組についてでありますが、本県では、道路の防災機能の向上、安全かつ円滑な交通の確保などの観点から無電柱化を推進しており、令和2年度末までに新潟県が整備した延長は約61キロメートルとなっております。 無電柱化の推進に当たっては、コストの高さに加え、関係者との合意形成の難しさなどが課題となっております。 県といたしましては、緊急輸送道路等において合意形成が図られた箇所から順次進めることとしており、令和6年度末までの整備延長の目標は約63キロメートルとなっております。 目標達成に向け、国や電線管理者等の協力を得ながら、着実に整備が進められるよう取り組んでまいります。   〔教育長稲荷善之君登壇〕 ◎教育長(稲荷善之君) 2点についてお答えいたします。 高校における地理の必修化についてでありますが、議員御指摘のとおり、地理については、令和4年度以降、地理総合が必修となりますが、本県では、現在も、約95%の県立高校で、社会や地理歴史の免許状を有する教員が、地理の授業を行っております。 また、各学校においては、地理総合の必修化に伴い、地理の授業時間が増える一方で、歴史の授業時間が減るため、地理歴史科全体の授業時間には大きな影響はなく、直ちに教員の不足が見込まれる状況にはありません。 県教育委員会といたしましては、防災に対する意識の向上を含む地理総合を必修とした、新学習指導要領の趣旨を踏まえ、引き続き、教員研修による教員の指導力向上を図り、授業の充実に努めてまいります。 次に、ICT活用の課題についてでありますが、今後のICT活用の本格化に伴い、教員や家庭の負担、子供の健康など、様々な課題が生じることが予測され、課題の整理や検証を確実に行っていく必要があると認識しております。 県教育委員会といたしましては、今後、国が実施する端末の利用状況等の実態調査や、児童生徒の近視実態調査の結果を踏まえ、対策について検討してまいります。また、都道府県教育長協議会等を通じて、ICT支援員等の配置や、家庭における通信費の負担軽減などに対する財政支援を引き続き要望してまいります。 ○議長(桜井甚一君) 渡辺和光君の質問は終わりました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(桜井甚一君) これにて一般質問は終了いたしました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(桜井甚一君) お諮りいたします。 議案審査等のため、明6月22日から6月25日まで及び6月28日から7月2日までの9日間、本会議を休会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(桜井甚一君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、6月26日、6月27日、7月3日及び7月4日は、休日のため、本会議を休会といたします。   ――――――――☆―――――――― ○議長(桜井甚一君) 本日の議事日程は終了いたしました。 次会は、7月5日午後1時から開くことといたします。 本日はこれにて散会いたします。 △午後5時15分散会...