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06月18日-一般質問-03号

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  1. 新潟県議会 2021-06-18
    06月18日-一般質問-03号


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    令和 3年  6月定例会 本会議令和3年6月18日(金曜日)  議事日程 第3号    午前10時 開議第1 県政に対する一般質問本日の会議に付した案件 日程第1 県政に対する一般質問(横尾幸秀君、高倉栄君、重川隆広君、宮崎悦男君、池田千賀子君、松原良道君)   ――――――――☆――――――――出席議員(52名)          河原井拓也 君  小山 大志 君  中川 隆一 君  高見 美加 君          保坂 裕一 君  与口 善之 君  桜庭 節子 君  斎京 四郎 君          中村 康司 君  松原 良道 君  笠原 義宗 君  高橋 直揮 君          宮崎 悦男 君  青柳 正司 君  横尾 幸秀 君  皆川 雄二 君          小林 一大 君  冨樫 一成 君  楡井 辰雄 君  小島  隆 君          佐藤  純 君  桜井 甚一 君  岩村 良一 君  沢野  修 君          尾身 孝昭 君  柄沢 正三 君  小野 峯生 君  帆苅 謙治 君          渡辺 惇夫 君  石井  修 君  樋口 秀敏 君  小島  晋 君          池田千賀子 君  高倉  栄 君  上杉 知之 君  大渕  健 君          長部  登 君  小山 芳元 君  小泉  勝 君  杉井  旬 君          重川 隆広 君  秋山三枝子 君  片野  猛 君  市村 浩二 君          安沢 峰子 君  遠藤 玲子 君  青木太一郎 君  佐藤 浩雄 君          小島 義徳 君  佐藤 久雄 君  渡辺 和光 君  飯野  晋 君議員以外の出席者  知事           花角 英世 君  副知事          佐久間 豊 君  副知事          米澤 朋通 君  知事政策局長       小岩 徹郎 君  総務管理部長       森永 正幸 君  県民生活・環境部長    村山 雅彦 君  防災局長         熊倉  健 君  福祉保健部長       松本 晴樹 君  産業労働部長       佐野 哲郎 君  観光局長         妹尾 浩志 君  農林水産部長       小幡 浩之 君  農地部長         登り 俊也 君  土木部長         金子 法泰 君  交通政策局長       佐瀬 浩市 君  会計管理者兼出納局長   綱島 知子 君  病院局長         藤山 育郎 君  企業局長         桑原 勝史 君  教育長          稲荷 善之 君  人事委員会事務局長    川上 克也 君  警察本部長        村田 達哉 君  労働委員会事務局長    須貝 幸子 君  監査委員事務局長     山田富美子 君   ――――――――☆―――――――― △午前10時開議 ○議長(桜井甚一君) これより本日の会議を開きます。   ――――――――☆―――――――― △日程第1 県政に対する一般質問 ○議長(桜井甚一君) 日程第1、県政に対する一般質問を行います。 順次、発言を許します。 まず、横尾幸秀君の発言を許します。横尾幸秀君。   〔横尾幸秀君登壇〕(拍手) ◆横尾幸秀君 自由民主党の横尾幸秀です。通告に従いまして、順次質問をいたします。 新型コロナウイルス対策について伺います。 新型コロナウイルス感染症が世界中に蔓延して1年半近く経過しました。しかし、いまだ終息のめどが立たない状況であります。しかも、新型コロナウイルス変異ウイルスに進化し、重症化のリスクを拡大しているようです。 この間、私たちの日常生活や経済活動は多大な影響を受けてきました。特に社会的弱者と言われる子供たちや高齢者、独り親家庭や非正規労働者などへの影響は、大きな社会問題であります。 国では、爆発的な感染拡大による深刻な医療提供体制の機能不全を避けるため、その対応が必要な状態、ステージ4に当たる都道府県に対し、その都度、緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置を発出し、様々な施策に取り組んでいますが、依然として感染拡大や重症化率は厳しい状況にあります。 残念ながら現行の法制度では、完全に人の行動を厳しく制限することはできません。個人のモラルを信じて、行動自粛を呼びかけるだけでは限界がございます。 ニュージーランドのように、パンデミック初期の段階で、国内全域にロックダウンを敢行し、国境を封鎖し、渡航者全員を強制隔離し、徹底的に接触者の追跡を行って、感染拡大防止に成功した事例を大いに学ぶべきでしょうが、それには強制力を伴う法整備が必要でございます。 ちなみに、ニュージーランドの感染者数は、本年6月16日現在、2,713人、死者数26人で、世界220か国中181番目と低い状況にあります。現在は、全ての規制は解除され、普通の生活を取り戻しているそうでございます。 世界の感染状況は、6月16日現在、1億7,664万4,000人、死者数382万3,000人で、一番多いのはアメリカで3,348万6,000人、死者数60万人です。我が国の感染者数は77万9,974人、死者数1万4,279人で、世界の34番目となっています。 さて、感染予防のためのコロナワクチン接種については、医療従事者を皮切りに、65歳以上の高齢者を対象に、順次全国各地で実施されています。 主にアメリカのファイザー社のワクチンですが、全国では、6月16日現在、65歳以上の接種率では1回目接種率39.3%、本県は40.2%、2回目摂取率は9.3%、本県は10.5%となっています。 心配していました接種後の副作用では、注射部位の痛み、筋肉痛、疲労、頭痛、発熱症状などで、当日よりも翌日に症状が出るようでございます。今のところ、重篤患者はあまり出ていないとのことでございます。 このワクチン接種により、感染防止効果が証明されれば、早期に全国民が接種することで、これまでのような日常生活を取り戻すことが可能ではないでしょうか。 最初に、新型コロナウイルス感染拡大が長期化している中で、私たちの日常生活や経済活動は大きな影響を受けています。一過性であってほしいところでございますが、当分の間、新型コロナウイルス対策が県政運営の最重要課題となります。そのためには、平成31年3月に改定しました新潟県総合計画の見直しが必要と考えます。 現在、中間評価を実施中でございますが、見直しの必要性につきまして、知事の所見をお伺いします。 次に、本県では様々な新型コロナウイルス感染拡大防止対策を行ってきましたが、昨年11月頃から感染者が急増しています。 これに対し、県独自の緊急対策として昨年12月17日に警報を発令し、今日に至るまで継続中ですが、感染者数は減少傾向にありますものの、変異ウイルスによるリバウンドが懸念されるところでございます。今後、県民一人一人がもう一段高い意識を持って感染防止対策を徹底していく必要があると考えます。 現状における対策の成果と課題についてお伺いしますとともに、県民に対し、感染防止対策のさらなる徹底を呼びかけていく必要性につきまして、知事の所見をお伺いします。 次に、コロナ禍にあって、本県経済は大きな影響を受けています。直近の6月8日発表の2020年度国内総生産、GDP二次速報値では、物価変動の影響を除いた実質GDPは、前年度比マイナス4.6%と1956年以降、最大の下げ幅となっています。 長期化する新型コロナウイルス対策が本県経済に与えた影響と、コロナ禍収束後も見据えた本県経済の体質強化に向けた今後の対応策につきまして、知事の所見をお伺いします。 長期化するコロナ禍にあって、国内の景気は過去において経験のない厳しい状況とのことです。 日本銀行が本年4月1日に発表しました3月の日銀短観では、大企業製造業の業況判断DIが、前回2020年12月調査から15ポイント回復のプラス5に上昇し、コロナ禍前の2019年9月の水準まで回復したそうでございます。 一方、大企業非製造業の業況判断DIではマイナス1と低迷が続いていて、その要因はコロナ自粛の影響で飲食業や観光業などの経営不振が要因となっているとのことです。 これがK字形景気回復と言われています。 この二極化の中にあって、本年4月に関東財務局新潟財務事務所が発表しました本県経済情勢報告では、厳しい状況にある中、一部に弱さは見られるものの、持ち直しつつあるとのことですが、業種によっては相当差があるのではないでしょうか。 以前は普通に行われていました各種団体の総会や地域の行事等は、コロナ禍により大半が書面等の決議となり、総会後の恒例となっていました懇親会など、飲食を伴う催しは一切なくなりました。これに伴い、会場費や飲食関係費、人件費などの収入がなくなり、これらに関係する事業者等にとっては、大変厳しい経営を余儀なくされていると聞きます。 いずれにしましても、規制や自粛期間が長期化していることで、多くの県民が心身ともにダメージを受けていることが心配です。 報道によれば、ストレス解消のため、家飲みでアルコール依存症が増えていることのこと。加えて、次代を担う子供たちの学校生活にも新型コロナウイルスの影響が大きな壁となっている現状は看過できません。県民総意でこの難局を乗り越える工夫が求められています。 そこで、コロナ禍による1年以上に及ぶ制限や自粛により、企業や事業者は想定以上のダメージを受けているのではないかと考えます。県内でも巣籠もり需要により、一部小売業などの業績が拡大したものの、飲食業や宿泊業及び関連事業者などでは打撃が大きく、今後の見通しは大変厳しい状況と推察します。 県内の企業や事業者の実態をどのように把握しておられるかお伺いしますとともに、ダメージを受けている企業や事業者に対し、今後どのような対策を考えていかれるか、知事の所見をお伺いします。 次に、コロナ禍により地域の祭りなどの伝統行事の中止や規模縮小などが相次ぎ、例えば、太鼓や踊りなどの継続的な練習が必要なものは、発表の場がなくなることにより担い手が育たず、その伝統が絶えるおそれがあります。 こういった地域の伝統・文化を維持していくため、県としてどのように対応していかれるか、教育長の所見をお伺いします。 次に、厚生労働省は、コロナ禍による影響で解雇や見込みを含む雇い止めとなった労働者数について、今年4月全国で累計10万人に達したと発表しました。しかし、この数値はハローワークなど公的機関で把握できたものであり、把握できない労働者を含めれば、さらに多くの失業者が存在していると想定します。 県内の状況をどのように把握しておられるか、お伺いします。 次に、コロナ禍の影響を受け失業しているのは、グローバル化による雇用、労働環境の変化により増加している派遣労働者やパート、アルバイト等の非正規労働者、障害者などであり、その多くは日々の生活維持が困難な状況に置かれている人たちでございます。 今後ともコロナ禍が長期化する場合、生死に関わる重大な要因にもなりますことから、県としても対策の強化が必要と考えますが、知事の所見をお伺いします。 次に、コロナ禍の影響により、独り親家庭の貧困や、親子で過ごす時間が増えたことに伴うストレスによる児童虐待、自殺者の増加といった問題があると聞きますが、これら問題に対する本県の現状と、これまでの対応についてお伺いします。 次に、県内のフードバンク団体では、各家庭や事業所などから不要な食品などを提供してもらい、必要とする人たちに提供していただいています。全県にこのような善意の輪を広げるよう、県としても支援を強化していく必要があると考えますが、所見をお伺いします。 また、農家で生産している園芸農産物のうち、規格外の流通できないふぞろいのものの提供も、生産段階での食品ロス削減というSDGsの趣旨にもつながるものであり、県として関係者に対し協力要請していくべきと考えますが、知事の所見をお伺いします。 次に、子供がいる生活困窮世帯の多くは、家計のやりくりのために衣類や靴、学用品やおもちゃなどの購入を切り詰めています。 一方、一般家庭からはこれらのものが不用品として大量に廃棄処分されています。 このような不用品を、必要とする子供たちにリサイクルできれば、生活困窮世帯の支援にもなるとともに、これもSDGsの趣旨に沿うものでありますことから、県として関係機関に働きかけ、支援の輪を広げるべきと考えますが、知事の所見をお伺いします。 昨年6月に、運動靴が買えないタンザニアの人たちへ、南魚沼市陸上競技協会、今井雄一副会長が中心となって、250足のスニーカーを寄贈したと報道がございました。 また、先ほども触れましたが、既に県内のフードバンク団体の皆様方からも不用品などの提供を頂いている、このような心温まる善意の行動に大変感銘を受けています。 この根底には、もったいないという気持ちもあったものと思っています。これらの活動を県内にも、もっと広げていただきたいと提案したいと思った次第でございます。 次に、本年3月に新たに策定されました新潟県観光立県推進行動計画の目標を達成するためにも、感染症対策に係る自粛や制限等の影響により、想像以上に厳しい状況に陥っている観光地や観光バス等、観光関係事業者の現状を的確に把握する必要がございます。 その上で、コロナ禍においても実現可能な、県内交流を促進するなどの支援策を関係市町村と連携して早急に行う必要があると考えますが、知事の所見をお伺いします。 次に、コロナ禍による人流規制と自粛の影響及びインバウンドの減少により、新潟空港利用者が激減し、空港内では食堂が閉鎖するなど、利便性や魅力度が失われる事態となっています。 新潟県観光立県推進行動計画では、国などの観光政策と連携して、インバウンドなどへの積極的な対策を講じることとしています。 その上で、インバウンドが回復しない現状においても、航空利用者以外の取り込みなどにより、空港を活性化させていく必要があると考えますが、県の取組につきましてお伺いします。 観光行政は広範囲に及び、しかも本県で育まれてきた伝統・文化や歴史、山海の食材や温泉、豊かな四季折々の自然景観など、他県と比べても引けを取らない優れた資源が存在します。しかし、現状では、この優位性を生かし切れていないように思います。 このような状況に対し、他県では、観光振興と文化振興を一体的に推進する行政組織とすることで成果を上げている先進事例もございます。 そこで、今後の観光振興をオール新潟で挑むために、観光局に文化振興等に携わる組織を統合して、一層の観光振興の充実を図る必要があると考えますが、知事の所見をお伺いします。 コロナ禍での日常生活では、マスク着用は常態化しています。感染防止対策に効果があることは実証済みでございます。継続していく必要があると思いますが、人と接触する際、不便を感じることが多くあることも問題です。 目だけで相手の表情を知ることは、よほど親しい間柄でなければ理解できません。コロナ禍によるテレワークなどで、人とのコミュニケーションの不足が生じ、ストレスがたまり、問題行動が多くなっている現状では、特に人格形成期にある乳幼児などの対策は重要と考えます。 そこで、コロナ禍の影響による各種行事の中止や飲食を伴う会合の自粛、表情の分かりにくいマスク着用での会話、テレワークによるコミュニケーションの不足などにより、地域コミュニティーや職場、学校での人間関係の希薄化を招いていると考えます。 早急に日常の人間関係を取り戻すような対策が必要と考えますが、知事の所見をお伺いします。 次に、保育園児や幼稚園児、小学校低学年児童などの相手の顔や表情で喜怒哀楽を学ぶ脳、相手の気持ちを考えコミュニケーションのできる脳などの発達が期待できる年代に対し、マスク着用が発達に大きなリスクとなっているとも言われています。 こうしたリスクをなくすることは、我々大人の責任だと思います。 そこで、県としても、感染予防効果があり、相手の表情も分かるような透明マスクの開発を促進するため、県内事業者のマスク開発を後押ししていく必要があると考えますが、知事の所見をお伺いします。 次に、今定例会におきましても、感染拡大の防止に効果を出している山梨モデルと言われる第三者認証制度を創設する予算が計上されていますが、他県におきましても成果を収めている優良事例もありますことから、これらを参考にすることは大変意義のあることだと思っています。 全国ではほかにも、福井モデルと言われる、マスク会食などを推進していると認証された飲食店に10万円の奨励金を支給する制度などがありますが、このような全国で感染防止に成果を上げている事例などを、本県でも積極的に採用し、取り組んでいくべきと考えますが、所見をお伺いします。 感染拡大が長期化する中、変異ウイルスの流行により、一層予断が許されない状況となっています。 本県では、昨年末から警報を発令し、半年以上になりますが、ようやく最近は感染者数が減少傾向となりました。今後は、予防ワクチンとの相乗効果を期待したいところでございます。 そこで、県内では高齢者を中心にワクチン接種が本格化してきました。一部で予約面でのトラブルはあったものの、順調に経過していると思いますが、現状の評価と課題についてお伺いしますとともに、ワクチンの有効活用につきましては、県が各自治体と協力して対応するとともに、県民が安心して接種できるよう今後のスケジュールの見通しを示す必要があると思いますが、所見をお伺いします。 次に、ヤングケアラーの実情につきましては、我が国では本格調査が始まったばかりですが、これまでの発表では、中学生の約17人に1人、高校生の約24人に1人が、食事の準備や洗濯、祖父母の介護等を行っているとのことです。この実情も大きな社会問題であります。 コロナ禍で、負担や孤立感が増し、さらに困難な状況となっていると思われます。 県でも先日設置しました有識者会議におきまして実態調査を行うこととしていますが、県内のヤングケアラーへの早急な対応につきまして、知事の所見をお伺いします。 新型コロナウイルス対策の最後ですが、コロナ禍の影響で、東京都を含む大都市在住者の地方移住が進んでいます。移住者の多くは、感染リスクを避けることやテレワーク、ワーケーションなどで東京などの大都会に住んでいる必要がなくなったなどという理由により、移住を決定したと聞いています。 この流れを本県の人口減少対策に有効に活用するため、県内自治体と連携して、受入れ体制の整備を進めていくべきと考えますが、知事の所見をお伺いします。 デジタル化への取組について伺います。 1980年代に我が国は、世界の半導体製造部門でアメリカを抜いて世界1位となり、日本の経済発展に大きな貢献をした時期がございます。しかし、瞬く間にアメリカに追い抜かれてしまいました。 日本の半導体は、ゲームソフトや音響機器などに使用され、一時期、世界市場を席巻したこともございますが、その後、世界の動きは想像以上のスピードで展開していきました。気がついたときには、なぜか日本は取り残されていました。 情報通信時代の幕開けとなったのは、1980年代のアナログによる携帯電話の出現です。 1990年代に入ると、デジタル化時代を迎え、インターネットの接続で情報量が飛躍します。 2000年代になり、より高速化が進み、モバイル機器によるインターネット接続となります。 2010年代では、通信機能だけでなく、高機能パソコンのような、あらゆる用途に使いこなせる通信端末、いわゆるスマートフォンが瞬く間に世界中に広まりました。 そして現在、5Gの時代です。 高速で大容量通信が可能、信頼性が高く低遅延の通信化、多様な機器に同時に接続できる機能を有するスマートフォンの実現は、これまでの世界の常識を大きく変えるものと思います。 このエレクトロニクスの活用により、アメリカや中国を中心に巨大IT企業が誕生し、特にアメリカの大手IT企業・GAFA4社だけで情報流通などをほぼ独占している絶大な力を持つに至りました。 残念ながら、我が国はこの分野で世界に大きく後れを取っている状況にあります。 情報通信の分野ばかりではございません。今や、世界中の農林水産業を含む産業界では、生産部門や管理部門など様々な分野でAI並びにIoTを導入する時代を迎えています。教育部門でもICT化が進んでいます。 このような新しい試みも、ようやく全国各地で取組が進んできました。 これまで人手不足で悩んでいた農林水産業や建設業などの分野で、AIやIoTを導入して、予想以上の成果を上げていると聞きます。 将来に向けた取組として、この分野では、GPSを活用した遠隔操作による無人作業機やドローンなどに興味を持つ若者の雇用に大きな期待ができるものと思います。 そして、菅内閣では、世界に後れを取ってきたデジタル部門を政権の大きな柱に位置づけ、この実現のために規制解除や法整備などに取り組み、本年9月1日をめどにデジタル庁創設の準備を行っています。 これに関連して、何点かお伺いします。 最初に、本県では、昨年4月1日から行政のデジタル化に向けて、新たに知事政策局にICT推進課を設置し、実現に向けてスタートしましたが、本県の目指す行政のデジタル化につきまして、県民はもとより各自治体や商工会議所、企業などの利用者の意見を踏まえることにより、利便性の向上を目指していく必要があると考えますが、知事の所見をお伺いします。 次に、世界のデジタル化のスピードに対し、行政機関や大半の企業の取組が遅れた要因の一つに、日本が長年培ってきた紙文化があると言われています。 デジタル化を本格的に始動する際、紙文化からの脱却が必須となりますが、行政システムの中には、現行の規定により紙での記録や印鑑使用が定められていることが多く、企業も同様でありますことから、短期間でのペーパーレス化には高次元の意識改革や思い切った決断が必要と考えますが、県の具体的な対策につきまして、知事の所見をお伺いします。 古来我が国は、世界で最も教育が行き届いている国として、敬意を受けていた時代がございました。最も知られているのは、江戸時代の寺子屋制度です。性別や身分は関係なく、誰でもが読み書きそろばんが学べたことでした。 子供の時代から書物になれ親しんできた、この紙文化は日本の誇りでもあります。私たちの日常生活では、どこの家庭でも新聞やチラシなどで情報を得てきたのはごく当たり前の世界でした。 私の場合も、インターネットスマートフォンで情報を得ますが、紙媒体、つまり読書は一種の精神安定剤となっています。 活字中毒の状態になっていますが、周りに紙がないと落ち着かない。時代の流れでペーパーレス化は理解できますし、避けて通れないことですが、心境は複雑です。 さて、今や、デジタル化を否定できない状況下にあります。ペーパーレス化のメリットは多くありますが、反面、デメリットとして、資料の全体像が見えないこと、導入コストがかかること、システム障害や故障の影響を受けることなどがあります。 このような課題に対して県としてどのように対応していくのか、お伺いします。 次に、国では行政のデジタル化に係る論点に対する考え方を整理中ですが、これを実現するためには多くの課題があると思います。 1つ目には、圧倒的なICT人材不足の中で、これに対応できる専門人材をいかに育成していくか。2つ目には、多様化する働き方により職場以外で行われるテレワークなどで情報セキュリティー対応に留意する必要があると思いますが、これらの課題に対し、どのように対応していかれるか、お伺いします。 次に、行政や企業、国民の間の統一した情報連携手段として、マイナンバーカードの普及が不可欠と言われていますが、先頃発表された国のデータでは、本県の普及率は全国最下位となっています。 これに対し、県と県内市町村で普及拡大の研究会を立ち上げて、方針を明確にしていくとしていますが、このマイナンバーカードに対し、個人情報の管理などで根強い抵抗感があるとお聞きします。これが普及促進への障害の一つになっているのではないかと考えますが、対策についてお伺いします。 最後に、デジタル庁では、準備中のウェブサイトで、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化を目指してPRしています。 国民全体がパソコンやスマートフォンなどの操作ができる環境にあれば実現可能と思いますが、障害者や高齢者のように操作等に不安がある人たちや、貧困などの状況により所有できない人たちもいます。 このような方々にも利用しやすく、端末がなくても必要な情報が得られるような配慮も行う必要があると思いますが、県内のパソコンやスマートフォンの普及率の現状と併せて、対策につきましてお伺いしまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 横尾議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、総合計画の見直しについてでありますが、新潟県総合計画は、県の最上位の行政計画として、計画期間の2024年度に向けて、中長期的な観点から政策の方向を示すものであります。 一方で、議員御指摘の当面の新型コロナウイルス感染症対策に加え、ウィズコロナ・ポストコロナ社会を見据えた取組など、総合計画の策定時には想定できなかった状況変化も生じています。 現在行っている総合計画の中間評価に当たっては、今後の施策への提言も併せ、今年10月を目途に評価結果を頂くこととしており、総合計画の見直しについては、評価結果も踏まえ、今後の感染症の状況や社会経済に与えた影響等を見極めながら、総合計画の性格を踏まえた対応の方向性や時期について検討してまいりたいと考えています。 次に、感染防止対策の成果と課題等についてでありますが、これまでの感染防止対策に関する県の呼びかけに対して、県民や事業者の皆様から御協力いただいたことにより、本県の感染者数は、全国と比較して抑えられており、一定の成果が得られているものと考えています。 現在、従来型より感染力や重篤度が高いと言われる変異ウイルスが台頭しており、今後の感染拡大が懸念されるため、非常に高い安全性と有効性を有し、新型コロナウイルスを克服する最大の切り札と言われるワクチン接種について、最大限スピードアップを図ることが課題であるというふうに考えています。 今後とも、変異ウイルスにも有効とされる3密の回避、マスクの着用、手洗いなど従来の基本的対策の徹底を改めて呼びかけてまいります。 次に、本県経済への影響及び今後の対応策についてでありますが、県内企業の業況判断は、昨年6月に最も悪化し、その後、製造業・非製造業ともに改善傾向にありましたが、今年3月では、製造業は引き続き改善している一方、対面型サービス業で悪化に転じるなど、依然として厳しい状況が続いているところです。 今後、中長期的に本県経済の体質強化を図るためには、コロナ収束後を見据えた上で、社会経済活動の変化を成長に取り込んでいくことが重要と考えています。 県といたしましては、本県の産業をより付加価値の高い構造へと転換していくため、県内産業デジタル化構想を基に、県内産業のデジタル・トランスフォーメーションを推進するとともに、起業・創業を含め県内企業の新たなチャレンジやビジネスモデルの再構築を支援してまいります。 次に、県内企業の状況と今後の対策についてでありますが、議員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛などにより、飲食業や宿泊業などでは、長期にわたって売上げの減少が続いており、先行きへの懸念も強いなど、依然として厳しい状況にあります。 県といたしましては、制度融資などによるセーフティーネット対策に万全を期すとともに、事業継続を図るため、飲食事業者を対象とした支援金に加え、先般、飲食関連事業者についても、支援金の受付を開始したところです。 あわせて、需要喚起に向けた県民向け割引キャンペーンやイベント支援の開始について、専門家の意見を伺った上で改めて判断していくとともに、引き続き、県内経済の情勢を見極めながら、さらなる支援の必要性についても検討してまいります。 次に、新型コロナウイルス感染症の影響で離職された方への対策についてでありますが、議員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の影響が長引く中で、小売業や飲食業などの非正規雇用労働者をはじめとする雇用への影響が続いているものと認識しております。 このため国においては、雇用調整助成金等の拡充により、雇用保険に加入できない方や、休業手当を受け取れない方なども含め、幅広い方々を対象に支援が行われてきました。 県といたしましては、これらの制度から取り残される方がないように、今後とも制度の周知に努めるとともに、離職された方に対しては、労働局をはじめ関係機関と連携をし、個別相談によるマッチングなど、職業訓練も含めたきめ細かな就労支援を行ってまいります。 あわせて、国に対してこれらの支援策の延長・拡充を要望するとともに、緊急雇用創出事業の創設など、機動的かつ効果的な雇用対策の実施を働きかけてまいります。 また、生活に困窮された方には、生活困窮者自立支援制度による就労などの自立に向けた支援を行うとともに、不安を抱える方などの相談体制を強化してまいります。 次に、フードバンク団体への支援についてでありますが、新型コロナウイルス感染症による影響が長期化する中で、支援が必要な方に適切な支援を届けるためには、行政だけではなく、新たな支援の担い手であるフードバンクの役割は重要であると考えています。 このため、県では、メディア等を活用してフードバンクの活動や協力方法などを紹介するとともに、家庭や企業等から食品を提供いただく取組への協力、取扱量の増加に対応するための設備整備への支援などに取り組んでいるところです。 また、規格外の園芸農産物のフードバンクへの提供についてでありますが、既に一部のJAにおいて、フードバンクと連携した取組が始まっていることから、県といたしましては、生産者団体等と連携をしてこれらの先行事例を周知するなど、横展開を図ってまいりたいと考えています。 今後も、フードバンクが有するボランティア活動としての自主性を尊重しつつ、食のセーフティーネットの観点から、積極的に支援してまいりたいと考えています。 次に、子供がいる生活困窮世帯への支援における、リサイクルの取組についてでありますが、議員御指摘の民間団体が行う学用品等のリサイクル活用については、県内でも行っている団体があることは承知しており、このような取組が広がることはSDGsの趣旨からも意義のあることと認識しています。 県といたしましては、支援を必要とする人を適切に支援していくためには、行政だけではなく、新たな支援の担い手であるフードバンク等の民間団体とのさらなる連携が必要と考えております。このため、市町村とこのような民間団体を結ぶネットワークの構築に取り組むこととしており、その中で、民間団体による制服や学用品リサイクルのような好事例を共有し、支援の拡充につながるよう、取組の横展開を図ってまいりたいと考えています。 次に、観光関連事業者への支援についてでありますが、議員御指摘のとおり、新型コロナウイルスの感染再拡大により、県内の宿泊施設や観光施設等の観光関連事業者は厳しい状況が続いており、観光庁の宿泊旅行統計調査では、本県の延べ宿泊者数は今年3月、昨年と比べて1割程度上回る約56万6,000人泊であったものの、一昨年と比較しますと6割程度にとどまっています。 県では、落ち込んでいる観光需要の回復に向け、観光施設や温泉街などで利用できる地域クーポン券を付与するなど、現在実施している県民宿泊割引を拡充した、使っ得!にいがた県民割キャンペーンの準備を進めており、感染状況等を踏まえながら、開始したいと考えています。 また、宿泊事業者が行う感染防止対策の強化等の取組支援について、本議会にお諮りしているところであり、引き続き市町村等と連携をし、機動的に支援策を実施してまいります。 次に、観光振興のための体制についてでありますが、本県では、観光の振興を通じて、交流人口の拡大へとつなげていくため、ガストロノミーやスノーリゾート新潟の発信強化などの取組を進めているところですが、訪れたくなる観光地づくりのためには、これらに加えて、本県固有の歴史や文化など、地域資源の特性を生かしたコンテンツの充実と積極的な発信が必要であると考えています。 そのため、交流人口のさらなる拡大に向けて、観光局と文化振興などに携わる組織の連携をはじめ、庁内の連携を一層進めるとともに、議員御指摘のとおり、観光振興にオール新潟で挑むための組織体制についても検討してまいります。 次に、日常の人間関係を取り戻すような対策についてでありますが、議員御指摘のとおり、長引く新型コロナウイルスの影響により様々な自粛が求められる中で、人とのつながりが希薄になっていると感じる場合もあるものと考えております。 一方で、現在のような感染状況下において、地域コミュニティーや職場、学校などそれぞれの主体が、その実情に応じ、オンラインを活用した交流など、人とのつながりを実感できるような様々な工夫を行っているものと承知しています。 県といたしましては、現時点で、新型コロナウイルスを克服する最大の切り札と言われるワクチン接種について、市町村に対する支援等により最大限スピードアップを図ることで、県民の皆様が少しでもストレスの少ない生活を取り戻せるよう全力で取り組んでまいります。 次に、感染予防効果のある透明マスクの開発に対する支援についてでありますが、国内メーカーが透明マスクを開発、販売しており、国の研究機関でも、マスク着用が子供たちの成長に与える影響について、研究を始めていると承知しています。 県内では、繊維産地を中心に、布マスクを製造している企業は数多くあり、工業技術総合研究所が性能評価等の技術支援を行っています。 今のところ、透明マスクの開発を支援してほしいとの声は聞いておりませんけれども、今後、ウィズコロナ・ポストコロナ社会の様々な課題やニーズを捉え、透明マスクも含め、新たな製品開発に取り組みたいという企業があれば、県としても積極的に支援してまいりたいと考えております。 次に、ヤングケアラーへの早急な対策についてでありますが、国の調査では、学校などの関係機関での認知度が低いことから、まずは、実態調査を行い現状を把握するとともに、認知度の向上と関係機関における連携強化を図ることが重要と考えており、先般、設置しました関係団体の有識者で構成される支援検討会議の中で、その効果的な方法等を含めて検討することとしています。 こうした会議での検討を踏まえ、スピード感を持って対策を進め、地域全体で見守り、支援につなげる体制の構築を図ってまいりたいと考えております。 次に、県内自治体と連携した地方移住に係る受入れ体制の整備についてでありますが、議員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、令和2年7月から令和3年2月において、東京都が転出超過に転ずるなどの動きが生じており、そうした地方分散の流れを的確に捉え、新潟が選ばれる地となることが重要と考えています。 そのため県では、地域の強みや財産を生かし、人と企業を呼び込む地域活性化リーディングプロジェクトを県内4エリアにおいて実施し、テレワークやワーケーションを行うための環境整備などについて、県と市町村、民間事業者が一体となった取組を進めております。 また、市町村と連携したサテライトオフィス等の開設・運営支援や移住者への支援金支給などを実施するとともに、東京都などからのU・Iターンの促進に向け、県と市町村が一体となった情報発信や相談体制の強化を図っております。 県といたしましては、引き続き市町村などとの連携を密にし、地方移住促進のための受入れ体制の整備を進めてまいります。 次に、デジタル化への取組についてお答えします。 まず、行政のデジタル化についてでありますが、本県では、昨年、行政のデジタル化の中でも特に県民や企業等に関わりのある行政手続のオンライン化に着手しました。この取組においては、具体的な利用者や手続の場面等を想定しながら業務方法の在り方も見直し、県民等にとって利便性の高い手続の実現やそれを可能とする新システムの構築を進めているところです。 今後は、新たなデジタル改革実行本部の下、専門人材も活用しつつ、市町村や民間企業等の意見も踏まえながら、さらに機動的に行政のデジタル化を進めてまいります。 次に、ペーパーレス化に向けた県の具体的な対策についてでありますが、県の行政手続においては、県民の皆様に求めてきた押印のうち約96%を昨年度末までに廃止したほか、文書事務全般を電子化する公文書管理システムを令和4年度に導入する等、これまでの紙文書を前提とした業務執行を見直す取組を進めているところです。 今後は、デジタル改革実行本部の下、県庁組織を挙げて庁内のペーパーレス化にしっかりと取り組んでまいります。 また、県内企業においても、紙文化からの脱却やデジタル技術の活用等が進むように、意識啓発、専門家による伴走型支援等に取り組んでまいります。   〔知事政策局長小岩徹郎君登壇〕 ◎知事政策局長(小岩徹郎君) 3点につきましてお答え申し上げます。 ペーパーレス化の課題と対策についてでありますが、議員御指摘のとおり、ペーパーレス化には、メリットのみならず課題もあると承知しております。 資料の見えにくさにつきましては、現在、県庁内で進めているペーパーレス会議でもそうしたケースがございますが、従来の形式で作成した文書データをそのまま使用するのではなく、ペーパーレスに即した資料の体裁なども検討していく必要があります。 導入コストにつきましては、ペーパーレスを踏まえた業務改善を行いつつ、最適な機器の導入を進めることが重要と考えております。 また、システム障害等による影響につきましては、データの保管を適切に行い、資料閲覧端末の予備機を準備しておく必要もございます。 こうした点に留意して、先行事例なども参考にしつつ、情報の検索やデータ再利用のしやすさといったペーパーレス化のメリットを最大限に発揮させていくことが重要と考えております。 次に、行政のデジタル化に係る人材育成とセキュリティー対策についてでありますが、ICT人材の育成に当たっては、公募制人事により、意欲や能力のある職員をIT関連業務の担当とし、専門的な研修の受講や実践的な経験を積ませたり、業務委託を通じて民間企業のノウハウや知見を取り込むなどの取組をしているところです。また、外部人材を活用し、内部の意欲ある人材と一緒に課題解決していくことも重要と考えております。 テレワークにつきましては、議員御指摘のとおり、セキュリティーの確保と使いやすさを両立していくことが重要と認識しており、セキュリティーポリシーに基づき、システム面からの対策はもとより、在宅勤務時の職員の留意事項等を整理して周知するなどの対応をしております。 次に、スマートフォン等普及率とデジタルディバイド対策についてでありますが、総務省の令和元年度通信利用動向調査の結果によりますと、新潟県のパソコンによるインターネット利用率は4割、スマートフォンでは5割を超えております。 一方で、議員御指摘のとおり、機器の操作に不慣れな方々への支援も重要と考えております。今後、公民館や携帯ショップで高齢者等がオンラインサービスの利用方法等を学べる国の事業が進められることになりますので、市町村など関係団体と連携し、積極的に周知広報してまいります。 また、必要な人に必要な情報を届けるためには、デジタルだけでなく広報紙等様々な媒体を組み合わせることが必要と考えておりますので、引き続き配慮してまいります。   〔総務管理部長森永正幸君登壇〕 ◎総務管理部長(森永正幸君) お答えいたします。 マイナンバーカードの情報管理に対する懸念への対策についてでありますが、平成30年度の内閣府の世論調査によれば、マイナンバーカードを取得しない理由として、個人情報の漏えいが心配だからと回答した方が26.9%あり、議員御指摘のとおり、個人情報の管理に対する懸念が、普及促進への障壁の一つとなっているものと認識しております。 マイナンバー制度では、情報は1か所で管理せず、分散して管理しており、万が一、1か所で情報漏えいがあった場合でも芋づる式に情報が抜き出せない仕組みとなっているなど、システム面での安全対策が講じられております。 県といたしましては、市町村と連携し、カードの安全性についての広報を強化し、懸念の払拭に努めてまいりたいと考えております。   〔福祉保健部長松本晴樹君登壇〕 ◎福祉保健部長(松本晴樹君) 3点お答え申し上げます。 新型コロナウイルス感染症の影響による、独り親家庭や児童虐待、自殺者の本県の現状等についてでありますが、独り親家庭については、令和2年度にあった、ひとり親世帯臨時特別給付金申請状況によりますと、児童扶養手当を受給する独り親世帯の約4割から、収入が大きく減少した世帯に対して支給される家計急変者分の申請があるなど、影響は大きいものと認識しております。 また、令和2年度の児童虐待相談対応件数は、速報値となりますが、過去最高であった令和元年度との比較で、4%程度減少しているものの、過去2番目に多い状況となっております。 自殺者については、平成21年以降毎年減少を続けてきたところですが、人口動態統計の概数によりますと、令和2年は前年より5人増加し、413人となっております。 これまで、県では、独り親家庭の就業やフードバンク活動への支援、児童虐待や自殺を防止するための相談体制の充実など、関係機関と連携を図りながら、対策に取り組んできたところであります。 次に、飲食店の認証制度についてでありますが、国が示した基準においては、既に一部の自治体で導入され、成果を上げている基準を踏まえており、その中でも特に、座席の間隔の確保またはアクリル板の設置、手指消毒の徹底、マスク着用の徹底、十分な換気の4つは重要とされています。本県の認証基準は、この国の基準を基にしているため、対策の有効性についても期待できるものとなっております。 また、本県の事例として、飲食店で利用者と対面する従業員のマスク未着用や長時間に及ぶ飲食による感染拡大があったことから、認証基準を遵守することで、こうした感染事例も減少させるなど、感染拡大の防止に効果があるものと考えております。 県といたしましては、この認証制度を広く周知し、より多くの飲食店が認証を得られるよう努めてまいります。 次に、ワクチン接種の評価と課題等についてでありますが、高齢者の接種については7月末完了を目標に進められており、接種実績は全国平均並みとなっています。今後、高齢者以外の接種に当たり、ワクチンの安定的な供給が課題であると考えておりますが、供給スケジュールの全体像の提示とともに、全国知事会等を通じて国に求めているところです。 また、ワクチンの有効活用については、市町村の接種状況等を確認しながら効果的な配分に努めております。 今後の接種スケジュールの見通しについてですが、先般国会で行われた党首討論の中で、菅首相により、希望する人全てが10月から11月にかけて接種が終えられるよう取り組むとの方針が示されたところです。県としましても、国の方針を踏まえ、できる限り早期の接種完了に向け、全力で取り組んでまいります。   〔産業労働部長佐野哲郎君登壇〕 ◎産業労働部長(佐野哲郎君) お答えいたします。 新型コロナウイルス感染症に関連した解雇・雇い止め労働者数についてでありますが、議員御指摘の厚生労働省の調査において、本県における新型コロナウイルス感染症に起因する解雇・雇い止め等見込み労働者数は、6月4日時点で1,886人、雇用調整の可能性のある事業所数は705社となっております。 一方で、御指摘のとおり、このほかに休業やシフト減で収入が減っている方などもいらっしゃるものと認識しており、こうした方々にも各種の支援策を行き届かせることが重要と考えております。   〔交通政策局長佐瀬浩市君登壇〕 ◎交通政策局長(佐瀬浩市君) お答えします。 インバウンドが回復しない現状における新潟空港の活性化についてでありますが、県といたしましては、落ち込んだ利用を盛り上げるため、新潟空港に就航する航空会社等と連携した新空プロジェクトを立ち上げ、離発着時のおもてなしや、空港の安全・安心に係る情報を発信してきました。 そのほか、空港内でのイベント開催による航空利用者以外の取り込みをはじめ、遊覧飛行等への運航支援や、今後の国際貨物便の実現に向けた働きかけなど、あらゆる角度から需要喚起策に取り組んでいるところです。   〔教育長稲荷善之君登壇〕 ◎教育長(稲荷善之君) お答えいたします。 地域の伝統・文化の維持についてでありますが、貴重な地域文化の維持・継承のためには、実演や発表の場を確保することが重要であり、新潟県文化祭などでのステージ公演や動画配信を通じて、太鼓や踊りなどの発表の場の提供を行っているところです。 また、担い手の確保等が全国的にも大きな課題となっていることから、県教育委員会では、価値の高い文化財の指定を進め、保護団体の活動状況の把握や、各種支援制度の周知などに取り組んでおります。加えて、地域総がかりで保存・継承に取り組む体制づくりを進めるため、文化財保存活用地域計画の作成など、市町村における計画的な取組を支援しているところです。 県教育委員会といたしましては、市町村と連携し、担い手確保等における新型コロナウイルスの影響についてきめ細かに把握しながら、地域の実情に応じた計画づくりを支援するなど、将来にわたり貴重な地域の伝統・文化が継承されるよう取り組んでまいります。 ○議長(桜井甚一君) 横尾幸秀君の質問は終わりました。 次に、高倉栄君の発言を許します。高倉栄君。   〔高倉栄君登壇〕(拍手) ◆高倉栄君 未来にいがたの高倉栄でございます。このたび、未来にいがた同志の御配慮を頂きました。通告に従い、県議10年、総締めくくりの最後の一般質問を行わさせていただきます。 まず初めに、県央基幹病院をはじめとする県央地域の医療提供体制についてお伺いをいたします。 2023年の開院を目指す、県央地域の皆様の悲願の病院、県央基幹病院の竣工に向けて、4月14日、安全祈願祭・起工式が執り行われました。 2008年8月に燕市、三条市、弥彦村、田上町の地元4市町村から当時の泉田知事に対し、県央地域に救命救急センターを兼ね備えた基幹病院の設置を要望され、足かけ12年、県央基幹病院建設に当たり、花角知事はじめ、これまで熱い議論の積み重ねをなされました関係各位多くの皆様に、心からの敬意と感謝を表するところでもあります。 今後、着実に、確実に2023年の開院を目指し、一日も早く、一刻も早く、救える命を救う、救わなければならないという強い意志の中で、県央基幹病院の整備を力強く推進していかなければならないと強く確信をいたします。 2月から4月にかけて募集していた県央基幹病院の指定管理者について、先般、新潟県済生会が候補者に決まりました。 指定管理者候補の新潟県済生会と連携し、着実に、確実に医師確保策等を進め、開院時の一般病床396床、感染症病床4床、計400床での完全稼働を目指し、県央基幹病院整備に向けて、事業を力強く推進していかなければならないと考えます。知事よりの受け止めと期待、そして、その覚悟についてお伺いをいたします。 次に、さきの議会において、県央基幹病院の医師・看護師確保、医療再編後の医療体制を再構築するため、遠藤直人新潟大学元教授を福祉保健部参与として招聘し、検討を進め、運営主体決定前であってもできることからやっていくとの答弁でありました。 運営主体が決定したことから、医師・看護師・医療スタッフ等の確保の具体策がさらに加速していくと強く確信いたしますが、現在の医師・看護師・医療スタッフ等の確保の進捗状況をお伺いするとともに、今後のタイムスケジュールを含む具体策についてお尋ねいたします。 次に、県央基幹病院の開院に向けて、引き続きインフラ、周辺整備を進めるとともに、今後、5年後、10年後、20年後を見据えた県央地域のまちづくりの観点は必須であるとも考えます。 また、県央基幹病院開院後は、首都圏を含め人口流入が見込める本県唯一、唯一無二の、本県屈指の人口増加地域となる可能性を秘めているとも確信いたします。 県央地域は、5市町村によって構成され、地域によって様々な考え方があります。また、世界の一流を発信する、県内無類のものづくり産地であることは周知の事実であり、産業あり、農業あり、そして観光ありと、新潟ぎっしりの集積地でもあります。 2023年度の県央基幹病院の開院を起爆剤として、県央エリアの壮大な地図を新たに塗り替え、必然的に外水対策も併せ、万全のまちづくり体制を整えなければなりません。 今、まさに想定外も含め、完成後の県央基幹病院及びその周辺道路の冠水は決してあってはならず、地域住民の潜在的な浸水に対する不安を払拭し、県央基幹病院周辺の外水対策を進めなければならないとも強く確信いたします。 開院時に外水対策が完了する工程となれば、さらに理想的でもあります。 さきの議会では、信濃川・中ノ口川の河川改修を推進していきたいとの答弁であり、より一層の取組を期待いたしますが、今現在の進捗状況をお伺いいたします。 また、今後、県央エリアの壮大な地図を新たに塗り替える、まちづくりという観点から、県央基幹病院を中心とする県央エリアのまちづくりのセカンドステージの舞台として、県央5市町村とも積極果敢に連携し、これからの県央地域の壮大な地図を描くまちづくりについて、5年後、10年後の都市計画の観点も含め、議論をしっかりと進めていくべきときとも認識いたします。 都市計画は市町村が中心であるものの、病院は燕市と三条市が隣接するエリアに建設されることから、広域の見地を持った県が積極的に連携・調整を図るべきとも考えます。知事よりの御所見をお伺いするとともに、連携・調整の状況をお伺いいたします。 次に、厚生労働省は昨年8月25日、地域医療構想の実現に向けた集中的な財政支援や、助言を行う重点支援区域に県央地域を選定しました。この選定は、本県初の快挙であり、これまでの御尽力に、花角知事はじめ関係部局の皆様に対し、心より敬意と感謝を表するところでもあります。 重点支援区域に選定されることにより、国と都道府県が積み立てる、地域医療介護総合確保基金が優先配分されるとのことでありますが、県央基幹病院建設に向け、どの程度その基金が補填される予定なのかお伺いするとともに、重点支援区域に選定される具体のメリット、並びに本県に配分される基金総額はどの程度と見込んでいるのか、お尋ねいたします。 また、全体の事業規模等の詳細を決める関係機関による調整状況についてお伺いいたします。 次に、県立吉田病院は築46年が経過し、大規模建築物の耐震診断結果において、震度6強から7に達する程度の地震で倒壊する危険が高いとも指摘され、地域住民の皆様の不安な気持ちは日々大きくなっております。 まさに県民に愛される、親しまれる病院として、一日も早く、一刻も早く改築工事を行わなければならないと強く強く確信いたします。 上述のとおり、県立吉田病院の本館棟は耐震化が未了であり、老朽化も進んでいることから、早急に現地建て替えの改築も含め、議論を進めていかなければなりません。安全・安心な地域医療体制を構築するためにも、待ったなしの状況であります。 一日も早く、一刻も早く議論を深化させ、運営に興味のあるとされる県内病院運営法人と病院の現地建て替え等の協議を進め、基本方針を決定させていかなければならないと強く確信いたします。 また、県民の皆様の命を守る県として大事な責務であることから、スピード感を持って議論しなくてはならないとも考えます。 遅くとも今年度中に基本方針を示さなければならないと強く確信いたします。知事よりの御所見をお伺いいたします。 次に、燕労災病院については、労働者健康安全機構から本県へ移譲を受け、県立燕労災病院となりました。 平成27年12月28日に県央4市町村の首長より提出された、県央基幹病院の早期整備に係る要望書において、燕労災病院の跡地利用について地元燕市と誠意を持って協議することとされておりますが、さきの議会答弁では引き続き燕市と協議していくとのことでありました。今現在の協議状況をお伺いするとともに、燕労災病院の今後の方向性についてお尋ねいたします。 次に、これからの県央地域の医療提供体制等のあるべき姿を、県央県民の皆々様にお示しすることは必須であり、その議論の見える化は早急の作業であると強く認識いたします。 重点支援区域に県央区域が選定されたことや、県央医療構想会議における県央医療提供体制の具体化についての議論の方向性も踏まえ、これからの地域医療のあるべき姿を県央県民の皆々様にお示ししなければなりません。 新型コロナウイルス感染症の感染状況によっては、住民説明会の開催のめどがつかない場合もあり、その場合はペーパーの形で、県からのお知らせとしてお示しする手法も選択肢の一つであるとも思われますが、どちらにしても、一日も早い、県央県民の皆々様への、県央地域の今後の医療提供体制のあるべき姿の周知、告知は必要不可欠と考えます。知事よりの御所見をお伺いいたします。 次に、本県の新型コロナウイルス感染症に対する対応策並びに本県のあるべき姿・新しい形についてお伺いをいたします。 現政権政府の菅首相は、事実上の公約と受け止められる高齢者ワクチン接種に関し、7月末までに2回接種完了・1日100万回接種とも発言されました。 その発言に対し、政府与党からも疑問の声が上がり、地方の基礎自治体の多くから完了は秋口、年内いっぱいと困惑する声も上がりましたが、本県においては、当初9月中旬終了をめどとしておりました。対象となる高齢者は72万人、医療従事者や接種場所の確保、接種の手法等、課題山積であるとも強く認識いたします。 高齢者のワクチン接種に関し、政府の方針のとおり7月末までに本県は2回目の接種を完了することができるのか否かお伺いするとともに、接種完了に向けて、医療従事者の確保策はじめ、これから課題克服に対し、今後どのように対応されるのか、具体をお尋ねいたします。 次に、高齢者ワクチン接種に関し、予約が取れない、電話がつながらない等、自身はワクチン接種できるのかとも不安の声が上がっております。 また、予約代行やスマホ通知等、予約に対する安全性の確保も高齢者に対し担保されているのか、甚だ疑問にも感じております。 国家プロジェクトであるワクチン接種にもかかわらず、なぜ、そもそも予約ができない、できづらいというような事態になってしまったのか、そもそも準備不足であったのか、接種ワクチンの供給量が足りなかったのか、その真の理由をお伺いいたします。 また、接種ワクチンが今現在、不足しているのであるならば、どの程度不足し、今後充足される見通しであるのか、お伺いをいたします。 次に、高齢者のワクチン接種に関し、切実な要望の一つに、接種会場までの交通費支給や交通の確保等があります。 本県において、阿賀野市では高齢者のワクチン接種における交通費助成を行いました。住民サービスは、市町村によって隔たりがあってはならず、県民皆公平な制度であることを強く望みます。 本県における高齢者の接種会場までの交通費支給や交通の確保等の助成制度創設について、知事よりの御所見をお伺いいたします。 次に、県では、上・中・下越の各地域に1か所以上の大規模ワクチン接種会場を設置することとし、先行して朱鷺メッセにおいて接種を実施したところですが、予定の1日2,000人の接種が円滑になされたのかお伺いするとともに、運営上の課題等への対応についてお伺いいたします。 次に、高齢者のワクチン接種終了後の方向性について、今現在、国の方針である、接種対象の全対象者へのワクチン接種が10月から11月までに完了することを踏まえ、16歳以上の県民の皆様への接種は、どのようなスケジュールで進め、いつ頃までに終了予定であるのか、知事よりの御所見をお伺いいたします。 次に、本県の新型コロナウイルス感染症の感染状況については、3月から感染者数が増加しましたが、新潟市、長岡市と地域限定で特別警報並びに時短要請が行われたことなどにより、5月中旬をピークに減少に転じ、現在は1日の新規感染者も20人を下回る状況になりましたが、ワクチン接種率もまだまだ低い状況であることから、引き続き警戒が必要な状況でもあります。 本県の新型コロナウイルス感染症の現在の感染状況に対する受け止めと、今後の考えられる傾向と方向性について、知事よりの御所見をお伺いするとともに、それに対する対策並びに感染予防策についてお尋ねいたします。 次に、新型コロナウイルス感染症対策については、仕切り板や空気清浄機、最近では内壁のコーティングなど、様々な手段が注目され、その都度、飲食店などの実店舗で導入されているところですが、効果の程度が判然とせず、個人で判断するのは非常に難しい状況でもあります。 そこで、個別の手段の対策効果を県で整理し、事業者の皆様にお示しすることにより、効果の高い手段の導入率を高め、県全体として一段高い対策を講じていけると考えますが、知事よりの御所見をお伺いいたします。 次に、これまでの人類史上、類のない未知のウイルス、新型コロナウイルスの猛威、脅威が世界各国に広がる中、本県はもとより、日本並びに世界の苦境は深刻です。 これまでの常識が通用しない未曽有の事態の中で、2021年1月から3月期の実質国内総生産GDPは、速報で前期比1.3%減、2020年度の実質成長率は4.6%減となり、年度ベースの下げ幅はリーマンショック時を超え、戦後最悪のマイナス成長まで落ち込みました。この事実をしっかりと今、受け止めなければなりません。 今後、先行きの事業環境悪化も含め、経営環境のさらなる悪化は避けられない状況であり、決して予断を許される状況ではありません。 また、厚生労働省の集計では、見込みも含む新型コロナウイルス感染症に起因する解雇や雇い止めは全国で10万人を超え、本県は1,840人であり、その実態はそれ以上とも言われております。 新型コロナウイルス感染症の影響により、日本、そして世界経済が苦境にある中、本県も例外でない状況であります。日本経済、さらには本県経済の苦境に対し、いまだ国が主導する小手先の補助金、助成金を措置しているだけにすぎません。 今こそ、本県経済の内需拡大路線のさらなる強化を図りながら、未来像を見据えた抜本的な本県の経済対策を創造するときとも強く考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、さきの議会において、ウィズコロナ時代に向け新潟県総合計画を見直すべきとの質問に対し、現在の計画との関係を整理しつつ、対応の必要性や時期について検討するとの答弁でありました。 先行き不透明な経済状況であり、ウィズコロナ・アフターコロナをしっかりと踏まえ、本県の財政危機をしっかりと見据え、新たな財政再建策もしっかりとお示しし、本県の今の時代、そしてこれからの時代に即した改定版新潟県総合計画を作成するべきときであると強く考えますが、改めて知事よりの御所見をお伺いするとともに、現在の検討状況についてお伺いいたします。 次に、令和2年の東京圏から他の都道府県への転出・転入の状況は、令和元年と比べ5万人程度の転入超過が改善されるとともに、月別に見ると4か月も転出超過の月がありました。 また、本県の状況は、令和元年より1,500人程度の転出超過が改善されております。 さらに、求人情報サイト運営会社の調査によれば、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、地方移住に興味がある首都圏に住む非正規労働者が増加しているとの調査結果も示されております。 本県は、本県の魅力を伝える情報発信、本県への移住に向けた様々な支援策を充実させているところでもあり、首都圏から地方への移住は、今後、地方並びに本県の大きな目玉政策の一つにもなり得ると確信しております。 今こそ、待ったなし。県の威信もかけ、真のオール新潟、本県の総力を結集させ、本県の人口減少対策に積極果敢に取り組むときであると強く確信いたします。 本県の人口減少政策に対する目標値の設定や、年度途中での予算への費用対効果、PDCAサイクルの検証は常に必須であると確信いたしますが、知事よりの御所見をお伺いするとともに、人口減少政策の目標数値の状況をお尋ねいたします。 この章の最後に、新型コロナウイルス感染症は、東京、首都圏へ人・物・金が集まる東京一極集中の脆弱さを改めて認識させる出来事でした。 今、コロナ禍において、改めて東京、首都圏への人・物・金の一極集中ではない、地方こそ、地域こそが主役の日本を再構築し、均衡ある日本全体の発展を目指していかなければなりません。 本県並びに地方の財政危機の根本原因でもある、人口減少を理由にする地方への交付金減額制度を見直し、そして廃止し、新たな安定的な地方の財政制度の確立は最重要課題とも認識いたします。 また、遅くとも2030年代には、科学的見地からも、必ず南海トラフ、首都直下型地震等が発生するとも言われ、今後、ウィズコロナ・アフターコロナの中において、南海トラフ、首都直下型地震等が発生すれば、現在の東京一極集中禍での政治的機能を含め、その壊滅的ダメージ等の脅威の事実を防ぐことはできないとも強く確信いたします。 危機管理という観点、視点においても、リモート、オンライン化がさらに充実していく中で、コロナ禍の今だからこそ、いま一度、地方への省庁移転・再編も含む、東京一極集中ではない、新しい日本の形をつくり、新しい日本の答えを模索し、これまでの常識が全て覆された今、これまでの常識を180度転換させ、新しい形を創造し、全く新しい発想の転換をなさなければなりません。 今、世界が、日本が、求めているのは正解でなく、新しい答えです。真の地方創生に向け、新しい日本の形を地方から、私たちの新潟からつくるときであると強く強く確信いたします。 地方こそ、地域こそ主役の日本を再構築し、均衡ある日本全体の発展を目指す、真の地方創生に向けた地方分権、地域主権の議論を始めていくときであると考えます。改めて知事よりの御所見をお伺いいたします。 次に、本県の諸課題についてお伺いいたします。 新潟空港の2020年度の利用客は29万5,933人と2019年度比74%減となり、30万人を下回ったのは1975年以来で、国際線は定期路線が1973年に開設されて以降、初めてゼロでした。残念ながら新型コロナウイルスに伴う空港需要が直撃を受けたということは言うまでもありません。 そのような中、新潟空港を拠点に各地を小型機で結ぶ、LCCのトキエアが、成田から佐渡への試験飛行を開始し、新潟、東京、首都圏を結ぶ新たな空の足として大いに期待するところでもあります。 現在、国において全ての国管理空港にコンセッションを拡大するという方針を掲げておりますが、新潟空港の官と民との連携並びに民への移譲という観点から、トキエア設立が新潟空港におけるコンセッション導入の大きな起爆剤、導火線になり得るとも考えます。 今後、トキエアを含め官民オール新潟で新潟空港の未来像について、あらゆる方向性を見据え、今こそ、新潟空港の実質的な民営化であるコンセッション導入について議論しなければならないと考えます。 現在の議論の進捗状況についてお伺いするとともに、今後のスケジュールについてお尋ねいたします。 あわせて、今後、世界的にワクチン接種が進むことで、国をまたぐ人の往来も再開となれば、インバウンドも回復してくると考えますが、そのアフターコロナをしっかりと見据え、新潟空港のコンセッション導入議論と併せ、その利用に係る戦略を含め、今こそ、しっかりと計画を立てていくことは必須であると考えます。 今後の新潟空港の利用に係る戦略の方向性について、知事よりの御所見をお伺いいたします。 次に、新型コロナウイルスの感染拡大で、本県の観光業界は、本年3月の延べ宿泊者数は56万5,950人で、前年同月と比べると若干回復したものの、コロナ前の2019年同月比マイナス36.7%と、いまだ苦しい状況が続いております。 その終息が見通せない中でも、本県は3県連携宿泊割引キャンペーン等の実施、県民向け宿泊割引キャンペーン、バス・タクシーを利用した旅行料金の一部キャッシュバック、体験型旅行商品の割引支援等々はじめ、知事は全国知事会において、輸送需要が大幅に減少している離島航路や民間バス事業者、第三セクター鉄道など、公共交通機関への支援等も求められました。 これまでの積極果敢な政策・施策展開に敬意を表するところでもあります。 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の終息状況が見通せない今こそ、これからのウィズコロナ・アフターコロナを見据え、これからの本県の観光政策の施策を展開させることは重要であると強く確信いたします。 今まさに、県内民間事業者の将来に対する不安の解消も含め、真の現場の声を聞きながら政策・施策を講じていかなければなりません。 今後の本県の新たな観光戦略についての具体と方向性をお伺いいたします。 次に、佐渡は本県観光にとって大切な観光地の一つであり、佐渡汽船は観光客輸送の要、そして佐渡市民の皆様の最重要な生活の足であることは周知の事実であります。 しかし、コロナ禍による大きな需要低迷等により、厳しい財務状況が続く佐渡汽船は、2021年12月期、第1四半期決算において、3月末時点の債務超過額が16億4,400万円に拡大いたしました。依然として先行きは不透明であり、一層の財務基盤の強化はもとより、一日も早く輸送人員の回復、増加を図っていかなければなりません。 佐渡汽船の経営努力と行政支援のすみ分けを行い、県としてさらなる佐渡汽船への支援が必要と考えますが、知事よりの御所見をお伺いいたします。 また、観光客の自家用車を含むカーフェリーの運賃の値下げや島内の二次交通対策なども含め、しっかりとした佐渡観光戦略を描かなければならないと強く確信いたします。 佐渡観光戦略の強化の具体と方向性についてお尋ねいたします。 次に、利用集積等に向けた人・農地プランや農地中間管理機構の農地政策の見直しが進められております。 全国の状況としては、近い将来の農地の出し手と受け手を明確にするプランの実質化を終えた地域は2019年度末で4割程度、農地バンクによる転貸面積も全農地の6%、2023年度までに8割を目標とする担い手への農地集積率は2019年度末で57%であります。 これまでの課題を直視し、幅広い施策を体系化するための支援策は必須であるとも考えます。 今現在の本県における農地利用集積・集約の進捗状況をお伺いするとともに、農地集積のあるべき姿の今後の取組の方向性についてお尋ねいたします。 次に、知事は、担い手の高齢化が課題、その解決策の一つとしてICT、AIを活用したスマート農業の期待は大きいと、スマート農業のさらなる推進に意欲もお示しになられております。 本県は、今、スマート農林水産業を強力に推進するところであるとも認識しております。さきの議会においても、今こそ、安価な商品と現場のニーズをしっかりと酌み取り、地元企業もプロジェクトに参画いただき、丁寧にマッチングさせることにより、ものづくり立県新潟の商品開発力と農業立県新潟の真髄を示し、本県最強コラボを期待するとの質問に対し、関係者との連携を図り、本県産業全体の活性化につなげていきたいと答弁されました。 現在のマッチングの進捗状況並びに課題についてお伺いするとともに、それら課題克服に向けた取組状況についてお尋ねいたします。 またあわせて、本県のスマート技術を活用した農林水産業の将来の姿をしっかりと示し、これからの具現化に向け、組織の縦割りを打破し、オール県庁・オール新潟体制の確立は必須であると考えます。 知事が考えるスマート技術を活用した本県農林水産業の将来のあるべき姿と、その推進に向けた今後の取組の方向性についてお伺いいたします。 次に、知事は、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題について、原発の安全性に関する県独自の3つの検証と県技術委員会による同原発の安全性確認の結果を待って議論を進めるとし、県民に自らの判断を示した上で、職を賭して県民の信を問うとしておりました。その具体的な手法について知事選挙の1年前となる今現在も明らかにされておりません。 二元代表制である現在の議会制度における県議会の是非ではなく、職を賭して信を問うと、知事自身が知事選挙において直接、県民の皆様と約束したことをしっかりと遂行することこそ、知事の責務を全うすることと考えます。 一日も早く、来年の知事選挙の争点の一つとして、再稼働の方向性を明確にお示しし、知事選挙に臨み、問うことこそが、知事と県民の皆様とで交わした知事選挙における決して破ることのできない約束事であり、真の公約であると強く確信いたします。知事の御所見をお伺いいたします。 次に、これからのエネルギー政策並びに原発政策を考えるとき、再生可能エネルギーの導入、推進を進める中で、あらゆる政策資源を投入し、2030年代を目標として、できるだけ早期に、原子力に依存しない社会・原発ゼロ社会の実現を目指し、柏崎市民、刈羽村民の皆様はじめ、働く仲間、その御家族の思い、そしてUPZ含め、広く広く、お一人お一人に寄り添い、両極端の議論、いわゆるワンイシューでは決してなく、私自身の全てをかけて、命をもかけて、対決よりも解決、感情よりも現実、分断よりも対話を実行し、国の責任において、県民の皆様が納得する、される、これからのエネルギー政策並びに原発政策のロードマップを、国はしっかりと作成していかなければならないと強く考えます。知事よりの御所見をお伺いいたします。 以上、私自身、県議10年、総締めくくりの一般質問に万感の思いをはせ、知事よりの積極果敢な御答弁を御期待いたしまして、私の一般質問を終了いたします。ありがとうございました。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 高倉議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、県央基幹病院の整備についてでありますが、県央基幹病院を運営する指定管理者の候補者として選定しました新潟県済生会は、県内で救急告示病院を運営している実績や、全国グループとしてのスケールメリットを生かした費用削減等に取り組んでおり、県央基幹病院を効率的、安定的に運営できるものと期待しています。 県央医療圏は他圏域と比べ、圏域外への救急搬送が顕著であるなど救急医療提供体制が長年の課題でありましたが、今後、運営主体と共に、医師・看護師等の確保に取り組み、断らない救急の実現に向けた体制整備を着実に進めてまいります。 次に、県央基幹病院における医師等の確保についてでありますが、大学や医療養成機関への訪問や、医療スタッフ確保に先進的に取り組んでいる県外の医療機関等を参考にした受入れ準備を進めるなど、運営主体の決定前から、県として医療スタッフ確保に取り組んでいるところです。 今後、具体的な採用に向けて、運営主体が医師等の確保計画を策定することとしており、それに基づいて、県と運営主体が連携しながら着実な確保に取り組んでまいります。 次に、県央基幹病院を中心とする県央エリアのまちづくりについてでありますが、県は、平成29年に県央5市町村と調整し、生活圏の広域化や都市計画の課題に対応するため、県央圏域広域都市計画マスタープランを策定しました。 その中で、圏域の目標を地場産業と観光で活力を生み出すものづくり拠点圏域として、燕三条駅周辺を県央圏域の表玄関と位置づけ、高次都市機能の集積や県央基幹病院を連絡する緊急輸送道路等のネットワークの強化を図ることとしています。 引き続き、市町村と連携・調整を図りながら、広域的、根幹的なインフラ整備を推進するとともに、県央地域の特色を生かしたまちづくりを支援してまいります。 次に、吉田病院の整備に関する基本方針等についてでありますが、県央基幹病院の運営主体に関する動向なども踏まえ、運営に関心をお持ちの法人と、吉田病院が担うべき医療機能提供に向けた医師確保、経営の見通しなど、より具体的な課題について意見交換を行っているところです。 今後も、法人との意見交換の状況を踏まえながら、地元市町村に対して適時適切に情報提供し、丁寧に意見交換を重ねるとともに、改築を含む耐震化の手法についても具体的に検討し、公設民営など民間活力を生かした運営に向けた取組を着実に進める中で、議員御指摘のとおり、できる限り早期に方針を決定できるよう、スピード感を持って取り組んでまいります。 次に、県央地域の医療提供体制に関する住民への説明と情報提供についてでありますが、医療提供体制の整備に当たっては、地域住民の理解と協力が重要であることから、議員御指摘のとおり、県央地域医療構想調整会議で合意いただいた医療再編後の医療提供体制について、住民への情報発信や分かりやすい説明の機会等が必要であると考えています。 このため、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえた周知方法を検討し、早い時期に情報提供できるよう準備を進めてまいります。 次に、本県の新型コロナウイルス感染症に対する対応策並びに本県のあるべき姿・新しい形についてお答えします。 まず、高齢者のワクチン接種の完了時期等についてでありますが、4月28日に全市町村長に参加いただき開催しました新型コロナウイルス感染症対策本部会議の中で、7月末に高齢者のワクチン接種を終えるという目標に合意いただいたところです。 市町村において、目標達成に向け日々御努力いただき、7月末完了見込みとなっていることについて、この場をお借りして感謝を申し上げたいと思います。 なお、高齢者のワクチン接種完了に向けた今後の対応については、福祉保健部長からお答えいたします。 次に、ワクチン接種の予約に関する課題等についてでありますが、議員御指摘のとおり、予約開始直後に一部の自治体で予約が取りづらい状況がありました。その理由としては、対象住民の予約を一斉に開始したため、予約を求める電話が集中したことのほか、そもそも、国によるワクチン供給の見通しが不明であったことに加え、医療従事者や会場の確保の課題があり、当初は少ない予約枠しか用意できなかったことなどがあったと認識しています。 現在、高齢者の接種に係るワクチンは十分確保される見込みであるとともに、予約についてインターネットの活用や接種対象者を細分化して受け付けるなどの工夫のほか、医療従事者とのマッチングや大規模接種会場の設置などにより状況は既に改善しており、県といたしましては、7月末完了に向け、引き続き市町村を支援してまいります。 次に、ワクチン接種に係る交通の確保等についてでありますが、公共交通機関による移動手段がない場合などに市町村が交通を確保することに関しては、国による助成制度が既に設けられているところであり、無料送迎バスの運行など、各市町村が地域の実情に応じて取組を進めています。 県では、今後とも定期的に市町村とウェブ上での情報交換を行い、交通の確保等に関する取組状況や好事例なども共有するなど、引き続き市町村を支援し、県民の皆様が円滑に接種を受けられるよう取り組んでまいります。 次に、高齢者以外のワクチン接種のスケジュール等についてでありますが、高齢者以外のワクチン接種について、基礎疾患のある方や高齢者施設等の従事者を優先するという方針はありますが、国は、7月末までに高齢者の接種が完了する見込みであれば、市町村独自の接種順位を尊重することとしています。 また、先般国会で行われた党首討論の中で、菅首相により、希望する人全てが10月から11月にかけて接種が終えられるよう取り組むとの方針が示されたところです。 そのため、県としましては、国に対して着実なワクチン供給と供給スケジュールの早期提示を求めながら、国の方針も踏まえ、できる限り早期の接種完了に向け、全力で取り組んでまいります。 次に、新型コロナウイルスへの対策と感染予防策等についてでありますが、県では、4月に新潟市、5月には長岡市に対して特別警報を発令し、酒類を提供する飲食店等に対して営業時間の短縮要請を行ったほか、飲食店従業員等を対象とした集中的なPCR検査を実施し、その結果、感染の急拡大を防ぐことができ、6月に入り県全体の感染者数は大幅に減少しております。 一方で、現在、従来型より感染力や重篤度が高いと言われる変異ウイルスが台頭しており、今後の感染拡大が懸念されるため、3密の回避、マスクの着用、手洗いなど従来の基本的対策の徹底を改めて呼びかけてまいります。 また、非常に高い安全性と有効性を有し、新型コロナウイルスを克服する最大の切り札と言われるワクチン接種について、市町村に対する支援等により最大限スピードアップを図り、県民の皆様が少しでもストレスの少ない生活を取り戻せるよう全力で取り組んでまいります。 次に、飲食店における新型コロナウイルス感染対策についてでありますが、国が導入を推奨している飲食店の第三者認証制度においては、先行する自治体での効果を踏まえて基準がつくられており、定められた基準項目を全て実施している場合、感染拡大が起こりにくいエビデンスがあるとされています。 この基準の中でも、座席の間隔の確保またはアクリル板の設置、手指消毒の徹底、マスク着用の徹底、十分な換気の4つは特に重要とされています。 本県でも、国が推奨する基準を用いた飲食店の認証制度を開始したところであり、この取組を進めることで、感染拡大防止効果の高い対策を導入する飲食店が増加するものと考えています。 次に、今後の経済対策についてでありますが、県では、これまで、現下の厳しい状況にある県内企業の事業継続や雇用の維持を図るため、制度融資などセーフティーネット対策や飲食事業者等への事業継続支援に取り組んでまいりました。 今後、中長期的に本県経済の体質強化を図るためには、コロナ収束後を見据えた上で、社会経済活動の変化を成長に取り込んでいくことが重要と考えております。 県といたしましては、本県の産業をより付加価値の高い構造へと転換していくため、県内産業デジタル化構想を基に、県内産業のデジタル・トランスフォーメーションを推進するとともに、起業・創業を含め県内企業の新たなチャレンジやビジネスモデルの再構築を支援してまいります。 次に、新潟県総合計画の見直しについてでありますが、新潟県総合計画は、県の最上位の行政計画として、計画期間の2024年度に向けて、中長期的な観点から政策の方向を示すものです。 一方で、議員御指摘のとおり、ウィズコロナ・ポストコロナ社会を見据えた取組など、総合計画の策定時には想定できなかった状況変化も生じています。 現在行っている総合計画の中間評価に当たっては、今後の政策への提言も併せ、今年10月を目途に評価結果を頂くこととしており、総合計画の見直しについては、評価結果も踏まえ、今後の感染症の状況や社会経済に与えた影響等を見極めながら、総合計画の性格を踏まえた対応の方向性や時期について検討してまいりたいと考えております。 次に、人口減少対策についてでありますが、本県においては、進学や就職を契機とした若年層の首都圏等への流出が、出生数の減少にもつながっていると考えております。 このため、本県においては、新潟県総合計画で設定している目標の下で、若者、特に女性に選ばれる魅力ある良質な働く場を確保しながら、教育や子育てなど本県の総合的な暮らしやすさの向上に向けて、政策を総動員して取り組んでいるところです。 施策の見直しについては、毎年度の予算編成において、施策目的に対する有効性等を精査し効果的な施策となるよう検討しているところでありますが、総合計画の中間評価において有識者の御意見もいただきながら、必要な見直しにつなげてまいりたいと考えています。 なお、人口減少対策の目標の状況につきましては、知事政策局長からお答えいたします。 次に、地方分権改革の推進についてでありますが、これまで累次にわたる地方分権一括法の成立等によりまして、地方分権改革は一定の進展が図られてきたものの、地方財源の確保など、いまだ道半ばであると認識しています。 そうした中で、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、東京一極集中を是正し、地方分散を促す必要性がさらに高まっているところです。 地方の人口減少をはじめとする諸課題の解決に向けては、国と地方が役割分担の下、協力・連携して取り組むことが重要であり、地方が自らの判断と責任において、地域の実情に応じた政策を実施できるよう、また、その自主性及び自立性を十分発揮できるよう、一層、地方への権限移譲や規制緩和、安定的な財源確保を図っていくことが必要であると考えています。 次に、本県の諸課題についてお答えします。 まず、今後の新潟空港の利用に係る戦略の方向性についてでありますが、県ではこれまで、空港利用者数135万人の目標達成に向け、既存路線の利用率向上や増便、新規路線の開設等に取り組んでまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の長期化により、目標年次であった令和2年度の利用者数は29万5,000人にとどまったところです。 一方で、議員御指摘のとおり、アフターコロナを見据えた計画の策定は重要であることから、今後の戦略については、国際航空運送協会をはじめ、国内の航空会社等による需要回復の見通しなどとも歩調を合わせながら検討してまいります。 その際、従来の路線拡大策に加え、トキエアの就航やコンセッション導入による空港の活性化策も含めた方向性も重要であることから、新潟空港活性化検討会議等からの助言も得ながら、議論を深めてまいりたいと考えております。 次に、新たな観光戦略についてでありますが、本県では、観光を取り巻く情勢の変化等を踏まえ、この3月に新たな新潟県観光立県推進行動計画を策定し、「黄金(こがね)」と「白銀(しろがね)」で酔わせる新潟をビジョンとして掲げ、県民や観光事業者の皆様と共に、オール新潟で観光振興に取り組んでいくこととしております。 具体的には、新型コロナウイルス感染症の影響により冷え込んだ観光需要の回復に向け、まずは、需要喚起策に取り組むとともに、美食旅、ガストロノミーやスノーリゾートなどの発信強化、本県の産業・文化を生かした観光の推進、デジタルを活用したプロモーション・観光ファンづくりの展開など、黄金、白銀に輝く本県の多様で上質な地域資源に触れ、何度も訪れていただける新潟を目指して取り組んでまいります。 次に、佐渡汽船への支援と佐渡観光戦略についてでありますが、佐渡汽船は、経営改善策として、小木-直江津航路の就航船舶変更や貨物運賃の値上げを行うとともに、「あかね」売却や運賃割引の見直し、さらには第三者出資による資本増強の検討も進めているところです。 このため、佐渡汽船からは、これらの改善策を着実に実施していくと伺っており、現時点では、さらなる行政支援が必要な状況までには至っていないものと考えております。 また、佐渡の観光振興については、佐渡市と地域DMOである佐渡観光交流機構が、平成31年3月に策定しました観光地マスタープラン等に基づいて、地域の関係者と合意形成を図りながら、豊かな自然や伝統文化を生かした滞在型観光の推進や、島内の移動手段等の受入れ環境の整備などに取り組んでおります。 県といたしましては、引き続き、県観光協会とも連携しながら、こうした地元の取組の支援や国内外への情報発信などを通じて、佐渡の観光振興に努めてまいります。 次に、農地集積のあるべき姿と今後の取組の方向性についてでありますが、県では、意欲ある担い手が農地利用の大宗を担うことで、地域農業が将来にわたって維持・発展できる姿を目指しており、地域の話合いを通じて担い手への農地の集約化の方針を定める人・農地プランの実質化の取組を、市町村等と連携して進めてきたところです。 こうした中、国において先般、人・農地プランの法定化など施策見直しの方向性が示されたことから、県といたしましては、プランの位置づけ強化などの方向性を踏まえながら、地域のコーディネート役を担う農地利用最適化推進委員等との連携を強化し、プランに基づく担い手への農地集積・集約化を一層進めてまいります。 なお、農地集積の状況については、農林水産部長からお答えいたします。 次に、スマート技術を活用した本県農林水産業の姿と今後の取組についてでありますが、スマート技術が広く普及することで、生産現場の作業の省力化や自動化、安全性の向上など、経営の一層の効率化が図られ、担い手の減少や高齢化が進む中で、技術や経験のない人でもためらいなく参入できる、持続可能な農林水産業の姿を目指すべきと考えております。 今後のスマート農林水産業の推進に当たっては、議員御指摘のとおり、オール新潟での取組が重要であることから、県内産業界、大学、金融機関、農林水産業界の方々と昨年立ち上げましたスマート農林水産業プラットフォームにおいて、本県農林水産業の目指す姿を共有し、一層連携を深め、その実現と併せ、本県産業全体の活性化にもつなげてまいりたいと考えております。 次に、来年の知事選における原子力に関する公約についてでありますが、来年の知事選挙については、今、私の頭の中にはございません。 次に、今後のエネルギー政策と原発政策のロードマップについてでありますが、原子力発電も含めた今後のエネルギー政策につきましては、国において、新たに示されたCO2削減目標を前提として、安全性を大前提に、安定供給、経済性、環境適合の同時達成を目指し、エネルギー基本計画の見直しの議論を進めていると承知しています。 県といたしましては、議員御指摘のとおり、今後のエネルギー政策と原発政策のロードマップについて、国が責任を持って国民・県民の皆様が納得できるものをしっかりと作成してもらいたいと考えております。   〔知事政策局長小岩徹郎君登壇〕 ◎知事政策局長(小岩徹郎君) お答え申し上げます。 人口減少対策の目標の状況についてでありますが、総合計画における人口動態全体の目標では、2016年度に比べ、2024年度に5,900人程度の改善を目指すという目標に対しまして、昨年10月時点で約3,800人の減少幅の拡大となっております。 具体的には、社会動態については約100人減少し、高等教育機関への進学による県外への流出はおおむね目標に向けて改善しているものの、県内大学生等の県内就職、県外大学等の本県出身学生のUターン就職の指標は悪化し、県外からの学生を除くU・Iターンの指標は新型コロナウイルスの影響もあり昨年値では小幅な改善となっております。 また、自然動態につきましては、合計特殊出生率が低下したことや、若年層の減少や高齢者の増加という人口動態の変化により、出生数が減少し死亡者数が増加したことで、約3,700人減少したところです。   〔福祉保健部長松本晴樹君登壇〕 ◎福祉保健部長(松本晴樹君) 4点お答え申し上げます。 県央医療圏における地域医療介護総合確保基金の活用状況についてでありますが、県央基幹病院は、統合再編の議論を踏まえた具体の整備が進んでいることから、令和3年度当初予算では、建設費等の約15億7,000万円に対して、基金を11億円活用しているところです。 また、重点支援区域に選定された地域では、国による技術的支援や手厚い財政的支援が受けられることが大きなメリットであり、その効果として再編が円滑に進むことが期待できるものと考えております。 現在、県央区域における再編統合対象となる医療機関が、自ら担う機能や規模等について検討しているところであり、今後、その内容が明らかになれば、国から受けられる財政的支援の総額が決まるものと考えております。 次に、燕労災病院の今後の方向性についてでありますが、これまで、燕市の具体的な要望を確認しながら協議を重ねてきたところです。 県央基幹病院開院後、燕労災病院は廃院となることから、県央基幹病院の整備スケジュールを見据えながら、今後の具体的な対応について、引き続き、燕市と協議してまいります。 次に、高齢者のワクチン接種完了に向けた今後の対応についてでありますが、県では、これまでも定期的に市町村とウェブ上での情報交換を行い、市町村におけるワクチン接種に係る課題や取組について共有を図っているところです。 県といたしましては、好事例の共有や医療従事者とのマッチング、大規模接種会場を設置するなど、速やかな接種完了に向け、引き続き市町村を支援してまいります。 次に、大規模ワクチン接種の実施状況及び課題への対応についてでありますが、朱鷺メッセでの先行実施については2,000人規模で行ったところですが、大きなトラブルもなく、円滑に進めることができました。これも、大学、医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会等の関係団体から御協力いただいたおかげであり、この場を借りて感謝を申し上げたいと思います。 なお、接種の幾つかのプロセスから次のプロセスに移る際に滞留が生じやすいなど、先行実施で明らかになった細かな課題についても既に対応済みであり、明日以降、本格実施として4,000人規模に拡大しますが、引き続き万全の体制で臨み、円滑な接種に努めてまいりたいと考えております。   〔農林水産部長小幡浩之君登壇〕 ◎農林水産部長(小幡浩之君) 2点についてお答えします。 農地集積の状況についてでありますが、農地中間管理機構の活用により、本県の担い手への農地集積率は、本年3月末時点で64.8%を見込んでおります。機構の事業が開始された7年前と比較し、12.7ポイント増加しております。 次に、スマート農林水産業のマッチングの状況等についてでありますが、これまでに、県内の農林水産業関係者から、スマート技術への現場ニーズとして延べ120件の提案があり、現在、6件で具体的な製品化や技術開発に向けた協議・検討が進められております。 県といたしましては、まずこの6件について、関係者が連携し、継続して支援することで、早期の成果創出につなげてまいりたいと考えております。 一方で、提案のあった現場ニーズには、マッチングに至らないケースが相当数あり、これは、技術の内容や採算面で、実現への道筋を企業側と共有できなかったことなどが課題と考えております。 このため、今年度から、生産者の経営課題の抽出及びその解決に向けたスマート技術の特定と技術導入などについて、各地域振興局の普及指導員とITコーディネーターによる、伴走型の支援を開始したところです。   〔土木部長金子法泰君登壇〕 ◎土木部長(金子法泰君) お答えいたします。 信濃川・中ノ口川の河川改修の進捗状況についてでありますが、信濃川下流域では、国において、平成23年7月洪水と同規模の流量を想定した危険箇所の改修を順次進めており、現在は新潟市戸石地区の河道掘削などを実施していると聞いております。 また、中ノ口川は、現在、平成23年7月洪水に対応した高さを確保する堤防の暫定かさ上げがおおむね完了し、引き続き、堤防の拡幅工事などに取り組むこととしております。 今後は、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策などの予算を最大限活用し、国との連携の下、当該地域に係る治水安全度のさらなる向上に努めてまいります。   〔交通政策局長佐瀬浩市君登壇〕
    交通政策局長(佐瀬浩市君) お答えします。 新潟空港におけるコンセッション導入の議論の進捗状況等についてでありますが、昨年度から、国による資産調査が行われておりますが、先般、関心を示した企業からのヒアリングを終え、現在、取りまとめ中と伺っており、その後にも、最終結果を御提示いただけるものと考えております。 県といたしましては、国からの結果を踏まえ、今年度の新潟空港活性化検討会議等において、コンセッション導入の可能性について議論を行い、地元自治体としての意向を示していくこととしております。   〔高倉栄君登壇〕 ◆高倉栄君 ただいま知事より本当に力強い答弁をたくさん頂きました。これまでにないぐらい、議員御指摘のとおりというような御答弁を頂く中で、非常に積極果敢な、私の意見を丸のみしていただいたような、非常にすばらしい答弁が続いていたなというふうに確信をさせていただいているところでございます。 県立吉田病院に関しましては、私、本年度中に基本方針を示してほしいというような質問をさせていただいたわけではございますけれども、その中で、ここもまた知事が、御指摘のとおりとおっしゃった。すなわちこの御指摘のとおりというのは、本年度中に基本方針を示すというふうに私は受けとりました。そして、できるだけ早期に基本方針を示すというふうに知事から御答弁していただきましたので、ぜひとも私の思いのとおり、本年度中に基本方針を示していただきたいというふうに思っております。 もし私の認識違いであれば、御答弁いただければと思いますが、私の認識が正しいと思われれば、御答弁は要りませんので、よろしくお願いいたします。 また、知事選挙に関しましては、今、知事の思いを一言で聞かせていただいたわけですけれども、確かに知事選挙というところから切り離していただきまして、では再稼働議論はどうなのだろうというところでもございます。 これまで知事は、3つの検証が終わらなければ再稼働の議論、それは議論いたしませんとおっしゃってきたのかなというふうに私は認識しているところでもございますが、今現在の状況を見て、3つの検証が終わらないと議論をしないというレベルの話でもないのかなと。私は、今現在の状況がどうにかならない限りは、再稼働議論すら凍結なのかなというふうに認識しているところでもございます。 知事が今現在考える再稼働議論の考え方についてお伺いしたいと思います。   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 高倉議員の再質問にお答えしたいと思います。再質問なのかどうかさえもよく分かりませんが、吉田病院の整備に関しては、先ほど申し上げたとおりでございまして、議員御指摘のとおり、できる限り早期に方針を決定できるよう、スピード感を持って取り組んでまいりたいと思います。 そして、2つ目にお話のありました再稼働の議論につきましては、これは全く変わっておりません。3つの検証が終えた後に再稼働の議論を始めたいと思っております。 ○議長(桜井甚一君) 高倉栄君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。  午後0時4分 休憩   ――――――――☆――――――――  午後1時5分 開議 ○副議長(佐藤純君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、重川隆広君の発言を許します。重川隆広君。   〔重川隆広君登壇〕(拍手) ◆重川隆広君 リベラル新潟の重川隆広です。 最初に、本県林業の振興とウッドショックについて質問します。 県産木材を含む国産木材の価格は、国内での建築事情と輸入木材の価格により決まっていきます。昨年は、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、国内建築事情も前年比マイナスで推移し、国産木材の価格は下落傾向でありました。 本年もコロナ禍の終息が見通しにくいことから、木材価格を弱含みと見ていましたが、米国や中国の景気回復などに伴う輸入木材の価格高騰により、本年正月明けから国産木材に関心が高まり、6月半ばには、さらに木材不足による価格高騰が進んでいます。 世界的なこの状況は、ウッドショックと呼ばれ、川中・川下では混乱が続いています。一方、川上の林業産地の中には、この機会を国産材時代到来と捉え、既に追い風に乗り、増産に取り組む産地と、どのように取り組んだらよいのかと模索をする産地に分かれています。 本県の林業行政としては、川中・川下に県産木材を定着させ、川上の林業生産体制確立を図るため、職員が現場にしっかりと入り込み、効果的な施策・事業に戦略的に取り組み、着実な成果を上げていただくよう期待をし、質問に入ります。 1問目は、米国や中国における大規模な金融緩和策や景気回復に伴う建設需要の急増により、輸入木材の供給不足や価格高騰が発生し、木造住宅の着工に遅れが生じています。世界的な木材不足と価格高騰は、ウッドショックと呼ばれており、県内でも大きな影響が出ています。県の現状認識と今後の対応について伺います。 次に、このウッドショックによる、輸入木材の価格高騰や供給不足から、本県の製材工場やプレカット工場、工務店などからは、国産木材・県産木材に切り替えたいとの声が多く出ています。流通・加工、建築現場での混乱の一方、本県林業、県産材を含む国産木材には強い追い風でもあります。需要増に対する本県木材供給動向について伺います。 次に、今般のウッドショックを、本県林業振興へのチャンスと捉え、県産木材を建築用材に利用拡大し、県産木材の増産に向けた取組が必要と考えます。まさに、従来の林業施策の成果が問われていると考えます。過去の評価を踏まえた、県産木材増産に向けた県の課題認識と今後の取組方針について伺います。 次に、本県の林業振興戦略策定について伺います。 県では、森林資源を活用した産業育成や地域の活性化に向けて、森林・林業の基本戦略を策定することとしています。策定に向けた検討状況と期待する効果について伺います。 次に、第3回新潟県持続可能な社会実現に向けた政策に係る検討委員会は、森林管理の在り方について、現在の政策では森林が持つ防災や温室効果ガスを吸収する機能を維持するには不十分であり、県は適切な政策を講じる必要性があるということを確認したと報道されています。 本県の林業は、山でのコスト縮減努力不足や事業者の技量の未熟により、原木丸太の供給能力の不足から、大型製材工場が成り立たない市場環境でありました。 これまでの本県林業行政の課題について、どのように捉えているのか伺います。 次に、昨年度、県が開催した県産木材についての意見交換会において、アトリエ系若手工務店から、県には、県産木材を家造りに活用することがきれいな空気や水を作り出し、地域や環境への貢献につながるなど、県産木材活用への理解や利用意識の醸成を県民や工務店にしっかりと広報してほしい。その結果、補助金に頼らずとも県産木材による木造化は推進できるとの意見が多くあったと聞いています。 これからの林業行政は、補助金一辺倒から脱却し、知恵を出し、お金をかけずとも成果が上がる取組とすべきと考えますが、所見を伺います。 次に、地産地消の家造りによる環境や地域の産業活性化への貢献について伺います。 家造りの地産地消という観点では、県産木材や安田瓦を積極的に使用すべきと考えます。昨年度、県は産業経済委員会において、1軒の住宅に県産木材や安田瓦を使用することが、約2ヘクタールの森林整備や地場産業振興に寄与するとし、県民や工務店経営者に対して積極的に広報することが大切であるとの認識を示しました。県産木材や安田瓦の広報に関する具体の取組について伺います。 次に、林業家育成、林業従事者養成について伺います。 平成29年2月定例会において、我が会派代表の片野猛議員が、村上市内の自伐型林家の例を示し、森林環境を守り、生きがいを持って就業する新たな林業家の育成により、本県の林業振興を図るべきと、林業大学校設立についての質問をしました。当時の米山知事は、県内のニーズを把握し、林業教育カリキュラムを持つ県内の私立専門学校とカリキュラム充実について協議すると答弁しました。その協議の結果とその後の取組について伺います。 次に、脱炭素社会実現から見た林業について伺います。 国産木材・県産木材を活用することは、国土の保全、水源涵養、二酸化炭素削減や、今定例会で知事が説明されました提出議案知事説明要旨に記載のように、中山間地域の持続的な集落維持等、中山間農業とともに実効性が期待されます。 山に眠る木材を地域資源と捉え、再生可能な環境産業として育て、若い人たちが森林で働きたいと望むような、良好な労働環境や所得レベルにしていくことが、本県の持続可能な社会環境形成への足がかりとなるのではないかと考えます。 そこで質問ですが、県が令和2年9月に表明した、2050年までの温室効果ガス排出量実質ゼロの実現に向けて、森林の果たす役割は大きいと考えます。 県は、本県の森林資源活用について、将来の脱炭素社会や持続可能な社会の実現にも貢献すると評価しています。 カーボンニュートラルの実現に向けて森林をどのように活用する方針か、具体の施策や事業を含めて知事に伺います。 次に、2050年度までの温室効果ガス排出量実質ゼロの実現に向けて、今年度、本県の特性や課題等を踏まえ、関係者と合意形成を図りながら、産業や家庭など部門ごとの具体的な戦略を検討することとしています。現状の戦略検討状況について伺います。 2050年度までの温室効果ガス排出量実質ゼロの実現に向けては、県民の生活に密着した家庭部門での取組も大変重要と考えます。 2月定例会での質問に対し、県は、県民の各層に応じた温暖化対策の広報や、省エネ家電への買換え・住宅の断熱化などについての普及啓発を行い、省エネ・省資源への取組を拡充・強化するとの答弁でありました。 本県には寒い冬、暑い夏といった気候的な課題があります。家庭での省エネを一層進めるとともに、住宅の高断熱化・高気密化を促進する必要があると考えます。知事の所見を伺います。 次に、森林環境譲与税の活用について伺います。 森林環境譲与税は、令和6年度からの森林環境税課税に先駆け、令和元年度から譲与が始まりました。残念ながら一部の市町村では使い道に困っているとの話も聞きますが、有効活用のため、県の役割としては市町村への適切な支援を行う立場にあります。税創設の趣旨・目的に沿って、効果的な支援を担当課が行うことを期待しています。 そこで、質問ですが、本県や市町村等への譲与は、令和元年度に、森林経営管理制度の導入とともに始まりました。森林経営管理制度は、経営管理が行われていない森林について、市町村が仲介役となり森林所有者と林業事業体をつなぐ制度であります。市町村への適切な支援を行う立場にある県の具体の支援、関与について伺うとともに、県内市町村の取組進捗状況と具体の成果について伺います。 次に、森林整備と財源のあり方検討委員会は、公的な関与による森林整備に必要な財源は森林環境譲与税では不足することが見込まれるとし、新たな財源の確保について検討する必要があると報告をしましたが、検討委員会は、設置当初から超過課税ありきとの印象を強く感じています。 私は、森林整備の必要性は否定しませんし、森林に手を入れることは大賛成です。しかし、その財源については、効果の薄い既存事業のスクラップなどにより、通常の予算で対応すべきであると考えますが、知事のお考えを伺います。 次に、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題について伺います。 2017年12月28日に原子力規制委員会が、6、7号機の新規制基準適合について、東京電力に原子炉を設置し、運転を適確に遂行する技術的能力がないとする理由がないとし、適合発表がなされ、昨年10月14日に7号機の工事計画を認可、10月30日に保安規定を認可し、いわゆる国の3つの審査が終了しました。 その後、県議会12月定例会において、自由民主党の代表質問で、女川原子力発電所の再稼働をめぐる地元同意の取付けに至る動きを十分参考にすべきと考えるがとの質問に対し、知事は、今後、御指摘のような宮城県の経緯等について、確認してまいりたいと答弁。再稼働問題に対する動きが具体的に始まると受け止めた人は少なくありません。 しかし、本年1月に新聞報道により発覚した、他人のIDカード不正使用問題に端を発した複数の不祥事事案により、一気に再稼働問題は後退しました。 東京電力の原子力事業者としての適格性が疑われる中、知事は県民の命や暮らしを守るため、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題にどのように取り組む方針か伺います。 また、東京電力の多数の不祥事や、柏崎刈羽原子力発電所の審査や検査を担う規制機関に対する信頼性にも疑問が生じる中、県民からは県独自の3つの検証委員会や総括委員会に期待が注がれています。 知事が3つの検証委員会と総括委員会に期待する役割について伺います。 次に、原子力規制委員会の審査や検査に対する知事の受け止めについて伺います。 他人のIDカード不正使用や安全対策工事未完了、さらに侵入検知設備不具合、代替措置問題など東京電力の度重なる不祥事によって、原子力規制委員会の審査や検査の厳格性・信頼性も大きく揺らいでいます。 知事は、原子力規制委員会の審査や検査を信頼しておられるのか伺います。 次に、先月21日、県内全30市町村で構成する市町村による原子力安全対策に関する研究会が、原子力規制委員会と内閣府に対し、東京電力の不適切事案等に関する要望を実施しました。 第1の項目には、原子力事業者としての適格性について、企業風土や安全文化を含め、改めて継続的かつ厳格に、評価、指導等を行うことが掲げられるなど、県内市町村の再稼働に対する極めて慎重な姿勢が示されたものと考えます。知事の受け止めを伺います。 次に、4月14日の連合委員会参考人招致の際に、核防護設備損傷への代替措置がいつから行われていたのかと質問したところ、事前の通告にもかかわらず、牧野常務は、今日の段階ではデータを持ち合わせていない、詳細には持っておりません。回答を差し控えさせていただきたいと思っています。申し訳ございませんと答弁し、小早川社長は、しっかりと調査をしてまいりますと御質問に答えられず、失礼いたしましたと謝罪しました。 その場で調査結果を私たちにも分かるように発信をお願いしましたが、一向に連絡がなく、私から議会事務局を通じ問い合わせたところ、連合委員会から40日以上たった5月27日に橘田新潟代表の来訪があり、調査中であり、9月23日までに結果をまとめたいとの白紙回答とも言える内容でありました。 一連の事案は、新潟県民に正面から向き合わないという東京電力の体質が全く改善されていないことを如実に示すものであります。本事案に対する知事の感想について伺います。 次に、本県の財政悪化問題について伺います。 2月定例会で、実質公債費比率と将来負担比率の両指標の推移の分析について質問を行いました。平成20年度から令和元年度までの両指標の分析をしてこなかったのか、それとも分析をしていたが、問題を放置してきたのかと質問したところ、平成29年2月の財政運営計画改訂時まで大きな問題と認識していなかったとの答弁でありました。質問に対するお答えになっていませんので、改めて伺います。 次に、答弁のありようについて知事に伺います。 今ほどの実質公債費比率と将来負担比率の推移の分析に関する質問に対し、県民に率直で分かりやすい答弁を期待しましたが、すり替え答弁に終わりました。県の答弁には、遠回りかつ技巧的なものが多い印象があります。財政問題は、県民にとっての重要な関心事であり、知事や県職員、議会にとっても重要課題であります。 県は、質問に対し、すり替え、御飯論法などは避け、県民に向けて率直で分かりやすい言葉で答弁すべきであると考えますし、それこそが課題解決の近道であります。知事の所見を伺います。 次に、佐渡汽船の債務超過問題について伺います。 佐渡汽船は、佐渡島民の生活に不可欠な交通機関であります。知事は、佐渡汽船の債務超過問題に対し、経営状況は引き続き厳しいが、まずは経営努力を見守るとコメントしたと報道されています。 県は、佐渡汽船の筆頭株主であります。経営安定に向けて、当事者意識を強く持ち、今以上に積極的に関与すべきと考えます。知事の所見を伺います。 次に、新潟県庁のデジタル化について伺います。 デジタル社会形成基本法などデジタル関連6法案が成立し、9月1日から施行されます。県は、本年4月に行政手続オンライン化構想を取りまとめ、今後の行政手続オンライン化実現に向けた取組方針を示しましたが、県民の利便性向上や行政の業務効率化に向け、県庁のデジタル化をどのように推進する方針か、現状と課題について伺います。 次に、デジタル社会形成基本法第14条には、地方公共団体は、基本理念にのっとり、デジタル社会の形成に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、実施する責務を有するとあります。自主的な政策の策定検討状況と今後の方向性について伺います。 次に、地方公共団体情報システムの標準化に関する法律第4条第2項には、地方公共団体は、前条の基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、地方公共団体情報システムの標準化を実施する責務を有するとあります。国は市町村と直接連携し、基幹業務システムについてのガバメントクラウドの先行事業などに取り組んでいますが、システムの標準化に向け、県はどのような役割を担っているのか、市町村支援の状況も含めて伺います。 次に、令和4年度から公文書管理システムが始まりますが、県独自のシステムにしますと、全国のシステムと二重投資になるのではないかとの懸念があります。両システムの整合性について伺います。 デジタル化の進行状況により、監査委員による監査手法が変更されるものと考えますが、監査に必要な資料は財務会計システムで確認をすることになるのかを含め、デジタル化に伴う監査手法がどのように変わっていくのか伺います。 最後の質問です。学校現場におけるスクール・サポート・スタッフについて伺います。 昨年度、小中学校に新型コロナウイルス感染症対策としてスクール・サポート・スタッフが配置されました。現場の教職員の評価は高く、学校での新型コロナウイルス感染が増加する中、スクール・サポート・スタッフについては、全校配置が望ましいと考えます。今年度の学校現場への配置の状況とその評価について、教育長の所見を伺います。 以上で質問を終わります。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 重川議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、ウッドショックに関する県の現状認識と今後の対応についてでありますが、議員御指摘のように、県内においても、工務店やハウスメーカーでは木材製品の入荷遅れや価格上昇が、また、製材工場では原木などの入荷遅れが見られる状況であり、いわゆるウッドショックの影響が広がっているものと認識しています。 県といたしましては、このような状況に対応するため、県行造林地において木材の増産を進めるとともに、農林公社や森林管理署、県内の素材生産業者に増産を働きかけているところです。 あわせて、県産材の安定的な生産・供給が一層求められていることから、川上から川下までのそれぞれの事業体が連携できる関係構築を支援することにより、県産材の生産・供給能力を高めてまいりたいと考えています。 次に、林業の戦略策定等についてお答えいたします。 森林・林業の基本戦略策定に向けた検討状況と期待する効果についてでありますが、昨年度は、戦略の策定に先立ち、森林・林業や環境、教育など様々な関係者・団体の皆様と、林業の置かれている現状や解決すべき課題について意見交換し、林業の活性化に向けた認識の共有化を図ってまいりました。 これらの御意見を踏まえ、先般、森林・林業の関係者や地域づくり、教育などの団体の皆様を委員とする検討委員会を設置し、基本戦略の策定に向け、議論を始めたところです。 戦略の策定を通じて、県や市町村、関係団体が、現状認識を共有し、目指す姿や目標、取組内容などについて同じ方向感を持つことが何よりも重要であり、関係者が一体となって取組を進めることで、林業の成長産業化や中山間地域の維持・発展につながることを期待しています。 次に、脱炭素社会の実現についてお答えいたします。 まず、カーボンニュートラルの実現に向けた森林の活用方針についてでありますが、脱炭素に向けては、本県の豊かな森林を二酸化炭素の吸収源として、また、炭素の貯蔵効果がある木材の供給源として活用していくこととしており、森林整備や新潟県カーボン・オフセット制度などの吸収源対策や、県産材の利用拡大に取り組んでおります。 今年度は、2050年温室効果ガス排出量実質ゼロを実現するため、脱炭素社会の構築に向けた具体的な戦略の策定に取り組んでいるところであり、その中で、森林の若返りを推進する循環型林業や、より効果的なカーボン・オフセット制度の在り方など、脱炭素に貢献する、より効果的な施策について部局横断で検討してまいります。 次に、2050年温室効果ガス排出量実質ゼロの実現に向けた住宅の高断熱化等の促進についてでありますが、議員御指摘のとおり、温室効果ガス排出量実質ゼロを実現するためには、家庭における省エネを一層進めるとともに、高断熱・高気密のゼロエネルギーハウスの普及が必要であると考えています。 県では、これまで行ってきた、省エネ家電の普及啓発等を一層進めるとともに、今年度から、住宅の断熱・暖房対策に関する普及啓発にも取り組んでまいります。 さらに、国に対して、雪国の課題等を踏まえた、ゼロエネルギーハウスの導入促進に向けた支援を求めるとともに、今年度設置したカーボンゼロ実現戦略プロジェクトチームにおいて、本県の気候に適したゼロエネルギーハウスの在り方や、その普及に向けた戦略を検討してまいります。 次に、森林環境譲与税についてお答えいたします。 公的な関与による森林整備に必要な財源についてでありますが、森林整備に限らず、いかなる事業にも当てはまることでありますけれども、事業目的に照らして効果を検証し、内容の見直しを行うことで、より効果的な事業執行や歳出改革、新たな事業の財源確保に努めることは重要であると考えています。 引き続き、こうした取組を行っていくことに加え、将来の新潟県に必要な新たな政策であり、県民の皆様に広く受益があるものであれば、合理的な範囲でその理解を得ながら負担を求めることも一つの選択肢として検討に値するものと考えております。 今後、持続可能な社会実現に向けた政策に係る検討委員会において、行財政改革にしっかりと取り組む中でも、将来の新潟県の発展のために進めていく必要がある新たな施策や財源の在り方等について議論していくこととしており、御指摘の森林整備と財源のあり方検討委員会の報告についても、この中で検討してまいります。 次に、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題についてお答えいたします。 まず、柏崎刈羽原子力発電所再稼働問題への取組方針と、各検証委員会に期待する役割についてでありますが、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働の議論は、3つの検証の結果が示された後に始めたいと考えています。検証結果については県民の皆様と広く情報共有し、評価を頂きたいと考えています。その上で、リーダーとして責任を持って、結論を県民の皆様にお示しします。 そして、その結論について、県民の皆様の意思を確認するプロセスが必要と考えています。 また、各検証委員会に期待する役割についてでありますが、3つの検証委員会には、各検証委員会において、事実に基づき科学的、合理的に検証するために必要な項目・課題を設定し、議論していただきたいと考えております。検証総括委員会には、3つの検証委員会の検証結果に矛盾等がないかを各委員に確認していただき、3つの検証の取りまとめをしていただくことをお願いしています。 次に、原子力規制委員会の審査等についてでありますが、原子力発電所の安全規制については、法に基づき原子力規制委員会が一元的に権限と責任を有しており、規制当局への信頼こそが唯一の頼りであります。 このため、先般、原子力規制庁長官に対し、厳格かつ適切に対応するよう要請をいたしました。 次に、市町村による原子力安全対策に関する研究会の原子力規制委員会への要望についてでありますが、東京電力の一連の不適切事案を通じて、再稼働以前の問題として、そもそも東京電力に原子力事業者としての技術的能力があるのかということに大きな懸念が示されたものと受け止めております。 次に、東京電力の連合委員会における対応についてでありますけれども、東京電力には県民の代表である県議会に対し、丁寧に、しっかりと対応していただきたいと思います。 次に、県の財政悪化問題等についてお答えいたします。 まず、財政問題に対する分かりやすい答弁についてでありますが、議員の御指摘のとおり、財政問題は県民の皆様にとって重要な課題であることから、正確にお伝えするよう心がけてきたところでありますけれども、今後は、より分かりやすい表現でお答えできるように努めてまいります。 また、議会からの御指摘も踏まえ、県民の皆様から財政問題について御理解をいただくための取組として、県民向け説明会を開催するとともに行財政改革の取組をホームページに掲載するなど、県民の皆様に分かりやすくお伝えできるよう努めてきたところであります。 県民の皆様から財政問題に対する理解と御協力が得られるように、より一層、分かりやすい説明を心がけてまいります。 次に、佐渡汽船の経営安定に向けた積極的な関与についてでありますが、現在、経営改善策として、小木-直江津航路の就航船舶変更や貨物運賃の値上げを行うとともに、「あかね」売却や運賃割引の見直し、さらには第三者出資による資本増強の検討も進めているところですが、こうした改善策は、佐渡汽船はもとより、県が中心となって、関係市や金融機関も交え、精力的に協議を重ねてきたものであります。 議員御指摘のとおり、佐渡航路は島民生活に不可欠であることから、県といたしましては、引き続き、佐渡汽船が自立した安定的な経営を行うよう適切に関与するとともに、経営改善の進捗状況について、厳しい姿勢でチェックしてまいりたいと考えております。 次に、デジタル化についてお答えします。 新潟県庁のデジタル化の現状等と推進方針についてでありますが、県は、これまでもICTの利活用を推進してまいりましたが、今般の新型コロナウイルス感染症対応などを通じましてデジタル化の遅れが明らかになったことや、働き方改革などの観点から、その取組を加速させ、議員御指摘の行政手続オンライン化構想の策定などを行ってまいりました。 今後さらに、国の動向や技術の進展を踏まえ、時代に即したデジタル化を推進するためには、業務プロセスの見直しなどの業務の在り方や、全庁的なシステムの最適化の検討が必要なほか、産業のデジタル化といった課題にも取り組む必要があります。 このため、デジタル改革実行本部を立ち上げて、実行方針を策定し、新潟県庁のデジタル化にしっかりと取り組んでまいります。   〔知事政策局長小岩徹郎君登壇〕 ◎知事政策局長(小岩徹郎君) 2点につきましてお答え申し上げます。 本県のデジタル社会形成に係る政策の検討状況と今後の方向性についてでありますが、本県のデジタル化の推進に当たっては、デジタル庁の設置や行政システムの標準化・共通化といった国の動向を十分踏まえ、国の方針と整合を図りながら進めていく必要があります。 一方で、自治体の自主的な取組が求められる分野も多いことから、そうした分野を中心に、県といたしましても積極的に施策の方向性を検討し、実現していくことが大事だと考えております。 昨年来、行政手続オンライン化構想の策定、ペーパーレス化などを進めてきたところであり、今後、デジタル改革実行本部において策定する実行方針の下で、これらの取組をしっかりと進めてまいります。 次に、地方公共団体情報システムの標準化についてでありますが、システムの標準化に当たっては、市町村を含め各自治体が国の標準的システムの導入を視野に取り組んでいるところであり、県は、国と市町村との連絡調整や必要な助言などの役割を担っております。 また、県が市町村と一体で運営している情報セキュリティークラウドについては、令和4年度のシステム入替えに合わせ、東北6県と共同運営することとし、ガバメントクラウドの先行事業の活用とも併せ、さらなる効率化に向けた準備を進めているところです。 今後も引き続き、国の動向を踏まえつつ、市町村と連携しながら進めてまいります。   〔総務管理部長森永正幸君登壇〕 ◎総務管理部長(森永正幸君) 2点についてお答えいたします。 実質公債費比率及び将来負担比率の分析についてでありますが、相次ぐ大規模災害からの復興に必要な一般財源を確保するため、資金手当債を発行してきたことや、公債費に対する交付税措置の減少などの影響により、両指標が悪化傾向にあることは、毎年度決算の分析により認識しておりました。 しかしながら、平成29年2月の財政運営計画改訂時まで、高い成長率を前提として試算した県税収入等の伸びが大きかったことなどから、県債発行ルールを設けて両指標の将来推計を行うなどの特別な対策は講じておりませんでした。 その後、財政状況の悪化を受け、令和2年3月に公債費負担適正化計画を策定し、県債発行ルールを設けるとともに、計画で定めた投資量で両指標の将来的な推移を試算してお示ししたところでございます。 議員御指摘のとおり、今後も両指標の推移等に注意を払いながら、公債費負担の適正な管理に努めてまいりたいと考えております。 次に、公文書管理システムの導入についてでありますが、令和2年12月に示された政府のデジタル・ガバメント実行計画等においては、国・自治体共通の全国的な公文書管理システムの構築・導入という具体的な動きはなく、国に問い合わせたところでも、そういった検討はなされていないと聞いております。 このため、ほかの都道府県と同様に県のシステムにより対応を図ることとしたところであり、議員御懸念の二重投資になるおそれは低いものと考えております。   〔県民生活・環境部長村山雅彦君登壇〕 ◎県民生活・環境部長(村山雅彦君) お答えいたします。 本県の2050年温室効果ガス排出量実質ゼロの実現に向けた戦略の検討状況についてでありますが、今年度設置したカーボンゼロ実現戦略プロジェクトチームにおいて、産業、事務所・サービス業、家庭、運輸、吸収源という5つのワーキンググループを置き、各グループに関係部局が参画する中、現在、県の現状や課題、必要とされる施策などの検討を行っているところです。 今後、関係者との合意形成も図りながら、年度内をめどに脱炭素社会の実現に向けた具体的な戦略を策定してまいります。   〔農林水産部長小幡浩之君登壇〕 ◎農林水産部長(小幡浩之君) 7点についてお答えします。 県産木材の需要増に対する供給動向についてでありますが、県内の主な製材工場に聞き取り調査を行ったところ、今年度の製材用丸太の県産材需要量は、例年の約1.7倍の10万立方メートルとなっており、そのうち、入荷の見込みが立っているものは約8万立方メートルで、残りの約2万立方メートルが不足しております。 こうした状況を受け、県内22の素材生産業者が、当初の生産計画に比べ、5月末時点で、製材用丸太の約6,000立方メートルの増産に向けて取り組んでいるところです。 また、今後、県行造林、農林公社、森林管理署などから製材用丸太を供給していく予定ですが、現時点の試算では、最大で1万立方程度であり、不足分を満たしていないと見込んでおります。このため、引き続き、県行造林地において増産に取り組むとともに、農林公社や森林管理署、県内の素材生産業者に、増産を働きかけてまいりたいと考えております。 次に、これまでの林業施策の評価と県産材の増産に向けた課題認識、今後の取組方針についてでありますが、これまでの施策は、県産材の川上・川中・川下それぞれの事業体への支援などにとどまることが多かったことや、間伐など森林整備に重きを置き、産業育成に向けた戦略性が不足していたことなどから、素材生産の拡大や製材工場の大規模化につながらなかったものと評価しております。 一方で、一部の地域においては、県及び市町村、森林組合など関係者が一体となって、目標やスケジュール、課題を共有し、素材生産の拡大に取り組んだ結果、生産量が大きく増加した事例もありました。 今後、県産材の生産拡大を進めるには、地域の関係者が素材生産における課題や目標などを共有し、戦略性を持った一体的な取組が必要と認識しており、県といたしましては、県産材の生産・供給能力を高めていくため、地域の川上・川中・川下の事業体がそれぞれの強みを生かして連携できる関係構築を支援していくこととしております。 次に、製材工場の大型化に向けて本県の林業行政に不足していた点についてでありますが、議員御指摘のとおり、本県においては、他県に比べて大型製材工場の育成が進んでこなかったものと認識しております。 これは、本県のこれまでの施策が、川上においては、個々の事業体への生産支援などにとどまることが多く、その地域全体で素材生産拡大に向けた目標を共有することや、川中に丸太を安定的に供給していく仕組みづくりなどが欠けていたこと、川中においては、個々の製材工場の施設整備などの支援にとどまり、製材工場間の連携やグループ化などに向けた取組が不足していたことなどがあるのではないかと受け止めております。 次に、効果的な林業行政の推進についてでありますが、県では、県民の皆様から県産材を選択していただくよう、県産材を使うことの意義などについてPRするなど、普及啓発に取り組んでおります。 また、県産材の製材品価格は、他県産材と比較して高いことから、製造コストの低減に向けた施設整備を支援するとともに、住宅での県産材使用を補助するなど、ハード、ソフト両面で県産材利用の促進を図っているところです。 林業に限らず、施策を効果的に展開していくためには、限られた財源の中で、創意工夫を生かしながら、より成果が上がるよう取り組んでいくことが基本であると考えております。 県といたしましては、関係団体の皆様と意見交換を行うとともに、予算編成の中で事業の効果を検証し、より効果的な林業施策が展開できるよう取り組んでまいりたいと考えております。 次に、県産木材や安田瓦の広報に係る具体の取組についてでありますが、県産木材や安田瓦など県内で造られる建材を使って家を建てることは、地産地消による地域の振興に寄与するものであり、これを県民の皆様に広報していくことが大切であると認識しております。 県ではこれまで、新聞や雑誌などを通じて、県産木材の良さや支援事業などについて紹介してまいりましたが、昨年秋からは、工務店が行う住宅見学会でのパンフレットの配布などを通じて、県産木材を使用することの意義や安田瓦の機能・特性などを来場者に伝える取組を支援し、広報に努めているところです。 今年度は、さらに、住宅に県産木材を使用することが、どの程度森林整備につながるかなど、パンフレットの内容を充実させるとともに、動画配信サイトなど様々なメディアを活用して、県産木材や安田瓦の良さを広く発信してまいりたいと考えております。 次に、専門学校とカリキュラムの充実に向けた協議や、その後の取組についてでありますが、県はこれまで、即戦力となる担い手を求める林業事業体のニーズを踏まえ、林業教育を行う専門学校と、より実践的なカリキュラムになるよう協議した結果、森林を計測するドローンの操作実習や、木材を搬出する高性能林業機械の運転技能講習など実習科目が新設されました。 引き続き、即戦力となる林業技術者が養成できるよう、カリキュラムの充実について、専門学校と協議してまいります。 次に、森林経営管理制度に対する県の関与内容と県内市町村の取組についてでありますが、県では、森林整備に関する市町村の実施体制を強化するため、森林・林業の基礎的知識を習得するための研修を行うとともに、アドバイザーを派遣して専門的な業務をサポートするほか、航空レーザー計測による効率的な森林資源情報の取得支援などを行っております。 こうした取組により、県内市町村においては、昨年度、森林整備の実施に向け、18の市町村が森林所有者の意向調査や森林整備計画の作成を実施し、1町が間伐に取り組みました。 今年度は、3市において間伐に取り組む予定とお聞きしておりますが、現時点では、大部分の市町村が、森林整備の実施まで至っていない状況です。 県といたしましては、森林経営管理制度による市町村の森林整備が円滑に進むよう、職員研修やアドバイザー派遣などを引き続き実施し、市町村の森林整備に向けた体制強化をしっかりとサポートしてまいりたいと考えております。   〔監査委員事務局長山田富美子君登壇〕 ◎監査委員事務局長(山田富美子君) お答えいたします。 デジタル化に伴う監査手法の変更についてでありますが、行政のデジタル化の進展を踏まえ、監査資料のスリム化など所属の負担軽減を図るとともに、監査業務の効率や効果を高めてまいりたいと考えております。 そのため、財務会計システムや公文書管理システムについて、データへのアクセス、検索や抽出といった監査業務への積極的活用ができるように、庁内のワーキンググループに参加して、提案しているところです。 監査といたしましては、行政のデジタル化を的確に捉え、関係部局と協議・連携しながら、リモートでの監査も含め、監査手法を見直し、より効率的で効果の高い監査を行ってまいりたいと考えております。   〔教育長稲荷善之君登壇〕 ◎教育長(稲荷善之君) お答えいたします。 スクール・サポート・スタッフの配置状況と評価についてでありますが、今年度は、これまでの県による直接雇用に加え、市町村が雇用する場合の補助制度を設け、配置校数では、昨年度当初の41校から、58校に拡充したところであり、当該校においては教職員の負担軽減につながっております。 また、小中学校における新型コロナウイルス感染症への対応に関しては、本年4月に文部科学省が改訂した衛生管理マニュアルにおいて、清掃活動のほかに消毒作業を行うことが基本的に不要であることや、一時的な消毒の効果を期待するよりも、手洗いを徹底するほうが重要であることなど、消毒作業の考え方について見直しが行われていることに加え、児童生徒が清掃時に消毒作業も行っていると聞いており、そうした点でも従来よりも教員の負担軽減につながっているものと認識しております。 ○副議長(佐藤純君) 重川隆広君の質問は終わりました。 次に、宮崎悦男君の発言を許します。宮崎悦男君。   〔宮崎悦男君登壇〕(拍手) ◆宮崎悦男君 自由民主党の宮崎悦男です。通告に従い、順次質問をいたします。 まず、1項目め、新型コロナウイルス関連支援について伺います。 1年以上続くコロナ禍の中で、終息が見通せず、飲食、宿泊、観光業をはじめ、業種を問わず大変厳しい状況になっています。国や県も様々な支援策を講じてきましたが、いまだ切実な状況にいる方々に対する支援の必要性を感じ、質問をしてまいります。 まず初めに、花火関連産業について伺います。 各地域のお祭りや行事などが軒並み中止となり、1年以上が経過しました。 新潟県は、全国一の打ち上げ花火生産量を誇っており、とりわけ尺玉以上の大玉花火生産量は全国の約半分を占めています。長岡、片貝、柏崎の越後三大花火に代表されるように、文化、伝統として地域に根づいており、心のよりどころにもなっています。また、新潟県の夏の観光の目玉として、花火王国新潟のキャッチコピーを掲げ、地域産業や経済の活性化にも大きく貢献しています。 昨日の皆川議員の代表質問にもありましたが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、2年連続で各地の花火大会が中止を余儀なくされており、県内花火業者は軒並み約9割の売上げ減少となっています。また、熟練した従業員の雇用の継続も厳しく、このままの状態では廃業もやむを得ないという声も上がっているのが現状です。 花火は、単なる観光誘客の手段ではなく、それ自体が伝統的な文化として県内に根づいていることから、花火を伝統文化として保全・振興することが必要と考えますが、見解を伺います。 次に、長野県は、県知事指定の伝統的工芸品として長野県手作り打上花火を指定し、販路開拓、新商品開発、後継者の育成・確保など伝統的工芸品産業の振興を行っています。 本県においても同様に、新潟の花火を県の伝統的工芸品として位置づけることなどにより振興すべきと考えますが、見解を伺います。 次に、花火は、地域の活性化、コロナ禍からくる閉塞感の打破、医療従事者へのエールなど様々な場面で活用できるコンテンツでもあります。また、コロナ禍で疲弊した宿泊・飲食サービス業、タクシー業、経営が厳しい宴席のみの店舗等と花火を組み合わせた新たなサービスなどを展開してはいかがでしょうか。また、世界的にも芸術的評価の高い新潟の花火をインバウンド観光や国内観光に生かした事業の創出も考えられます。 花火の消費喚起や需要拡大に向けた県の取組の方向性について伺います。 次に、とりわけ厳しい状況に置かれている事業者等への支援について伺います。 前年同月比で20%以上売上げ減少が続く飲食店を対象とした新潟県事業継続支援金が5月末で締め切られました。申請件数、申請額を伺います。 また、全体の申請のうち売上げが50%以上減少した事業者からの申請件数と申請額を伺います。 次に、多額の設備投資をしたにもかかわらずコロナ禍による急激な市場の変化により、自助努力ではどうにもならない形態の業種もあります。例えば予約のみの宴会場など、8割以上売上げが減少している事業者もあり、頑張ろうという意欲さえも失いかねない窮状に瀕している方々もいます。 新潟県事業継続支援金受給者のうち、売上げが50%以上減少した事業者は相当厳しい状態にあり、個人的には国が率先して支援すべきと考えますが、切迫した状況であるため、県独自の給付金の支給も視野に検討すべきと考えますが、見解を伺います。 次に、飲食店事業者以外でも売上げが半減以下になった事業者もあります。新型コロナウイルス感染拡大の影響が想定以上に長期化する中、持続化給付金の対象となった事業者の業種や実態をどのように認識しているか伺うとともに、いまだ売上げが半減以下になったままの、とりわけ厳しい経営状況の事業者に対して、機動的かつ柔軟な支援を講じる必要があると考えますが、見解を伺います。 次に、地域医療について伺います。 1年以上変わらず最前線で私たち県民の生活を支えるために御尽力くださっているエッセンシャルワーカーの皆様、並びに関係する職員の皆様に心より感謝を申し上げます。 コロナ禍ではありますが、同時に10年後、20年後を見据えた県全体の地域医療体制の再構築のスピードは緩めずに進めていかなければなりません。 まず初めに、4月に新潟県地域医療構想実現に向けたグランドデザインが示されましたが、その後の進捗と今後の具体的な進め方について伺います。 次に、県立病院の経営改革として、僻地4病院を地元自治体主体の運営にするための協議が行われていると繰り返し報道されています。 昨年の私の12月定例会一般質問において申し上げたように、地元自治体に不安を与えないことや、瞬間的な痛みを伴うとしても最終的には地元にとって理想的な医療形態となることを示すことが重要と考えます。持続可能な医療体制の確保に向けて、地元自治体の声を聞きながら丁寧に意見交換をし、進めていく必要があるのではないでしょうか。 現状と課題、進捗状況について伺います。 あわせて、協議が難航する場合にどのように対応するか伺います。 次に、県全体で各構想区域ごとに地域医療構想調整会議を進めていますが、将来の適正な医療提供体制の構築には、医療機関の適切な役割分担が重要となります。役割分担を見直していく議論に際しては、医療機関の経営面も考慮した検討も必要です。以前にも申し上げましたが、どういう形でどのようには議論されていますが、誰がの議論が薄いと感じています。 県は、今後の議論を進める際に、理想とする医療提供体制と医療機関における現実的な経営の2つの視点を持つ必要があると考えますが、見解を伺います。 次に、新潟県の地域医療の多くを県立病院と厚生連病院が担っていますが、県には厚生連をはじめとした公的機関との調整役を果たすことが求められます。また、県央基幹病院は公設民営による運営が予定されていますが、県内県立病院全体の効率的・効果的な運営形態の在り方についても議論を深める必要があります。 持続可能な地域医療の実現のための課題解決に向けては、新潟県地域医療構想実現に向けたグランドデザインの下、県がリーダーシップを発揮し、スピード感を持って、県内県立病院、公的病院等の垣根を越えた、未来を見据えた改革や必要な取組を推進すべきと考えますが、見解を伺います。 次に、原子力政策と柏崎刈羽原子力発電所の立地に伴う安全確保について伺います。 政府が原子力政策を推進して約半世紀がたちました。昭和49年に制定された電源三法は、電源開発促進税法、電源開発促進対策特別会計法、発電用施設周辺地域整備法の3つの法律から成り、発電電力量に応じて電源開発促進税が課税され、特別会計を受皿として電源立地地域等に交付金が支給される仕組みです。地域に直結する発電用施設周辺地域整備法は、地域住民の福祉の向上を図り、もって発電用施設の整備及び運転の円滑化に資することを目的としています。 他の発電方式と同様に、原子力発電は安全で地域の振興に役立つという前提でつくられたものであり、原発は特別なリスクを持つ事業であるという認識が不足していました。しかし、東日本大震災を契機に原発が抱えるリスクが明確になり、安全神話が崩壊したのは皆様御承知のとおりであります。 昨年秋、菅総理の所信表明演説の中で、成長戦略の柱としてグリーン社会の実現に最大限注力していくとし、2050年までに脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しました。その宣言により、長年続けてきた石炭火力発電に対する政策を抜本的に転換し、火力発電で不足が想定される電力を原子力発電で補うために、原発を再稼働するという計画が進んでいます。 原発が有するリスクが明らかになった今、原発も安全であるという前提でつくられた発電用施設周辺地域整備法の考え方を見直すことなく、国は原子力エネルギー政策を推進していいのでしょうか。日本中の原発立地地域が原発由来の多くの課題を抱えているにもかかわらず、首都圏や大都市の発電のために、安心・安全を置き去りに地方が犠牲になっている現状を様々な角度から丁寧に伝え、時代に即した法律の考え方に変えていかなければならないという思いで質問をしてまいります。 まず初めに、政府の成長戦略案から、原子力発電を引き続き最大限活用していくとの文言が削除されるなど、日本の原子力政策は混迷を極めており、エネルギー政策そのものが転換期を迎えていると言われています。 この転換期において、知事には、改めて原発立地に伴う地域のリスクや課題に正面から向き合い、その軽減や解決に取り組むことを強く期待していますが、国の原子力政策の現状に係る知事の認識を伺うとともに、柏崎刈羽原発の立地に伴う地域のリスク軽減や課題解決にどのような態度で臨むのか伺います。 次に、先月26日、県内30市町村による原子力安全対策に関する研究会が、知事に原子力安全対策等を要望しました。要望内容は、柏崎刈羽原発の安全対策や防護措置の検証を徹底的に行い、その結果を住民に対して分かりやすく説明すること、原子力災害時における防護措置の実効性向上のため訓練を重ね、地域防災計画及び広域避難計画の充実強化に取り組むこと、立地自治体以外の自治体の意向を取りまとめる具体的な方法を早期に示すことでありました。この要望に対する知事の受け止めを伺います。 次に、市町村による原子力安全対策に関する研究会の要望書は僅か1ページでありましたが、豪雪時に原子力災害が重なった場合、豪雪時における屋内退避や避難の実効性、豪雪時や感染症流行下等の複合的なリスクと、豪雪という表現が3度も使われています。 雪国新潟における原子力安全対策において雪が重要な課題であることを示していると考えますが、認識を伺います。 次に、電力移出県等交付金は原則、新潟県と所在自治体及び隣接自治体に交付されていますが、原発の10キロから20キロ圏内に位置していても、隣接していないために交付されない地域があります。このような地域は、交付のある自治体よりも高いリスクを負っています。 また、国が定めた避難準備区域圏内の見附市、小千谷市には交付がなく、旧三島町・与板町・和島村・中之島町・寺泊町・山古志村・川西町・分水町は交付金の算定対象地域になっていないなど、避難道路整備や除雪体制強化などの安全対策を講じる必要があるのに、費用の捻出が難しいという実態があります。この実態をどのように受け止めるか伺います。 次に、原子力発電施設等周辺地域交付金は原則、所在及び隣接自治体の企業や住民に交付され、たとえ原発に程近い10キロから20キロ圏内にあっても柏崎市、刈羽村に隣接しない自治体の企業や家庭は交付の対象になりません。そのため、原発に近くても交付金が出ていない企業は、原発に遠くても交付金が出ている企業に囲まれることもあり、健全な企業間競争にも影響しています。 知事にもぜひ知っておいていただきたいのですが、実例として80人の社員を抱えるある企業は、原発から17キロしか離れていなくても給付金はありません。そのため、原発からもっと離れていながら給付金対象となる近隣の同規模企業と電気料金だけでも年間4,000万円もの違いが生じ、製品価格や設備投資、福利厚生に影響してしまうことになります。 また、そのような不平等な給付金制度そのものをなくし、ただただ、健全な企業間競争をさせてほしいのだという声もあります。 実際に20キロ圏内で隣接しない自治体にある企業が、電力を消費する工場を新設する際に、現在の場所より原発から離れていて、交付金が出る自治体に進出しようかと検討している事例もあります。また、工業団地を整備したとしても、30キロ圏内の交付金が出る自治体に流れてしまうなど、経済界からあまりにも理不尽だという声が上がっています。 企業の健全経営や自治体の税収にも影響を及ぼし、産業振興にも深く関わるこの問題をどのように認識しているか伺います。 次に、県は毎年、国に対して、電源三法交付金の交付対象地域の拡大や必要な予算確保等を要望していますが、これまで実現に至っていません。実現の見込みとこれまで要望が実現してこなかった理由の分析を伺います。 あわせて、要望実現に向け、より踏み込んだ提言をすべきと考えますが、見解を伺います。 次に、県の電源三法交付金制度に係る要望先は、資源エネルギー庁のみでありますが、交付対象地域の拡大は財源の課題でもあることから、財務省に対しても理不尽で切実な状況を伝え、制度の見直しと予算の確保を強く要望すべきと考えますが、見解を伺います。 次に、言うまでもありませんが、柏崎刈羽原発は世界最大の発電量を有しています。また、本県は日本で最も雪深い地域の一つでもあります。さらに、福島第一原発の事故前の30キロ圏内の人口が約14万人なのに対し、柏崎刈羽原発は約43万人となっています。このような3大リスク要因を背負いながら、発電された電力のほぼ全ては、新潟で使われることなく首都圏に送られていきます。 柏崎刈羽原発の立地及び周辺地域の安全確保のために必要な予算については、原発からの距離、原発の規模、人口、積雪量を含む、地域のリスクを総合的に加味した上で、原子力政策を推進する国が責任を持って恒久的な財源として確保すべきと考えますが、見解を伺います。 次に、福島第一原発の事故により顕在化した原発立地リスクに対応するためには、現状の財源規模では圧倒的に不足が生じます。 国が定めた30キロ圏外に避難することを考えれば、当然のことながら30キロ圏内外の避難道路環境を整えなければなりません。避難計画にあるスクリーニングポイント候補地は、円を描くように30キロ圏から50キロ圏に数多く掲載されています。上越市、十日町市、南魚沼市等にもスクリーニングポイント候補地や避難経由所があり、積雪が予想される地域でも安心して避難できるようにしなくてはなりません。例えば、避難経由所となっている長岡市市街地から栃尾方面に抜ける道路整備や、出雲崎から新潟方面に抜ける道路整備なども重要になってきます。 中越大震災を経験し、中越沖地震の現場も発災直後に支援に入らせていただきましたが、道路が1か所崩れればその道路は通れなくなり、大渋滞が起き、迂回路を探してまた渋滞が発生します。幹線道路だけではなく、主要地方道や一般県道の整備・強化も当然必要になってきます。 避難計画を実効性のあるものにするために、国において電源開発促進税を引き上げ、原子力施設等防災対策等交付金を大幅に増額し、避難道路整備や除雪体制強化のための恒常的な財源とするなど、電源三法の抜本的な見直しが必要と考えますが、見解を伺います。 あわせて、原子力発電関係団体協議会等とも連携し、見直しを国に強く働きかけるべきと考えますが、見解を伺います。 次に、柏崎刈羽原発の立地及び周辺地域の安全確保のために必要な予算は、国が責任を持って確保すべきでありますが、電源三法の見直しに時間を要する場合は、暫定的に電源立地地域対策交付金を財源として避難道路整備と除雪体制強化を図るべきではと考えますが、見解を伺います。 次に、柏崎刈羽原発事故時の住民避難の実効性の確保に向けては、独自の財源を確保する必要があります。豪雪地帯である本県の冬に地震と原発事故の複合災害が発生した場合、各地で道路を塞ぐ雪崩が発生することは想像に難くありません。複合災害を想定した対策が非常に重要になってきます。しかしながら、既に現時点において、除雪オペレーターの確保は困難を極めており、降雪の有無にかかわらず待機が必要であり、また機械の維持管理費にコストがかさむなど課題が山積しています。 30キロ圏内はもとより、スクリーニングポイントや避難経由所を設置予定の50キロ圏内を対象とした、除雪オペレーターの育成など担い手の確保対策、出動基準や基本待機料の見直しを含む除雪体制の強化が不可欠と考えますが、見解を伺います。 あわせて、新潟県原子力災害広域避難計画における除雪の位置づけを伺います。 次に、原子力災害時の住民避難の実効性確保のための避難道路整備には多額の事業費が必要であり、現在の土木部予算だけでは整備は困難と考えます。国は原子力発電施設等緊急安全対策交付金の枠を設けましたが、県民の安心・安全への道筋は見えてきていません。 電源三法の見直しを基軸に、新たに財源を確保し、UPZ圏外へ安全に避難できる道路整備を行う必要があると考えますが、所見を伺います。 次に、前定例会で高橋議員も申し上げましたが、首都圏への電力供給のために、新潟県が原発立地の過度なリスクを背負うことはあまりにも理不尽であり、東京電力の電気料金に上乗せしてでも本県の安全対策を行うなど、リスク低減に向けた制度が検討されるべきとも考えます。 電力移出県等交付金の算定単価は一律27円であり、電源別のリスクが考慮されていません。そこで、福島第一原発事故で顕在化した原発のリスク軽減のために、原発の算定単価を引き上げて、避難道路整備や除雪体制強化に必要な財源を確保する手法もあり得ると考えますが、見解を伺います。 最後の質問になりますが、本県は原子力政策により、地域も政治も賛成・反対で二分されてきました。花角知事のような行政経験も豊富で人望のある方でも、選挙になれば原発が大きくクローズアップされ、ワンイシュー選挙の様相を呈しました。 日本有数の豪雪地帯に世界一の原発を有している本県に襲いかかってきた中越大震災、中越沖地震、そして集中豪雪。地震や豪雪による被害の悲惨さを国はどれだけ知っているのでしょうか。原発事故と地震や雪による複合災害の危険性をどれだけ想像できているのでしょうか。 原子力政策は国策として国が推進してきたものであります。3つの検証のほかにも、電源三法の見直し、避難道路の整備をはじめとした安全対策、事故後の賠償制度の見直しなど、課題は山積しています。 知事はより丁寧に電源立地地域・周辺地域の課題やリスクについて耳を傾け、その切実な現状を国に訴える必要があると考えますが、覚悟と決意を伺います。 電源三法が制定された40年前と比べて原発の見方は大きく変わり、原発を取り巻くエネルギー政策も過渡期を迎えています。だからこそ今、知事を先頭に力を合わせて、未来の新潟のために変えていかなければならないと考えます。本県や立地周辺地域の切実な声が国、関係機関に届くことを願い、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 宮崎議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、花火を伝統文化として保全・振興することの必要性についてでありますが、花火は、国内外に誇ることのできる本県の代表的な魅力の一つであるとともに、慰霊や復興祈願も含め、人々の様々な思いが込められており、議員御指摘のとおり、大切な伝統文化として守り、継承していく必要があるものと考えております。 今後も、感染症対策に配慮した打ち上げ機会の確保や、次世代への技能伝承を後押しするなど、花火産業の持続的発展を支援するとともに、それぞれの地域の方々が花火に込めた思いを広く伝え、その魅力を発信することにより、花火文化を保全・振興してまいりたいと考えています。 次に、花火の消費喚起等の取組についてでありますが、花火関連行事の中止が続き、打ち上げ花火に対する需要の落ち込みは長期化しており、先日も私自身、事業者の売上げ減少などの厳しい現状につきまして、関係団体の皆様から直接お話を伺ったところです。 県といたしましては、本定例会でお諮りしております、消費喚起・需要拡大プロジェクト応援事業等を活用し、感染症対策に配慮した打ち上げ機会の確保を後押しするなど、まずは減少した需要回復に努めてまいりたいと考えています。 また、地域の伝統や祭りの雰囲気を体感できる花火は、国内外からの誘客推進に向けて重要な観光資源であり、酒蔵や温泉など魅力あるコンテンツと組み合わせながら発信するなど、新型コロナウイルスの感染状況も見極めながら反転攻勢に向けた対応も進めてまいりたいと思います。 次に、県独自の給付金の支給ということでありますけれども、県では、新型コロナウイルスの影響が長期化していることから、制度融資などセーフティーネット対策に万全を期すとともに、飲食事業者への支援金の支給や新たなチャレンジへの支援、事業継続応援金の要件緩和などにより、事業継続を後押ししてまいりました。 さらに、飲食関連事業者にも支援を拡充したほか、感染症対策認証を受けた飲食店舗への設備整備等の支援についても、先般、受付を開始したところです。 県といたしましては、まずは、こうした支援を県内の事業者に行き渡らせるとともに、感染状況が一定程度落ち着いた段階において、イベント支援等による需要喚起を図りながら、影響を受けた業界全体を支援してまいりたいと思います。 次に、持続化給付金の状況と厳しい状況にある事業者に対する支援についてでありますが、持続化給付金の本県の支給実績について、国は非公表としており、業種等の実態については確認できておりません。 民間調査会社によると、ホテル・旅館、飲食、繊維、不動産など幅広い業種で売上げが半減しており、深刻な影響を受けているものと認識しております。 県といたしましては、先ほども触れましたとおり、飲食関連事業者への支援を開始し、また、社会経済活動の変化に対応する新たなチャレンジへの後押しも行っているところです。 あわせて、地域の感染状況によって支援の差が生じることのないよう、持続化給付金の再支給や月次支援金の要件緩和について、県として、また、全国知事会などを通じて、国に対して要望しているところであり、引き続き、機会を通じて働きかけてまいります。 次に、地域医療についてお答えします。 まず、医療提供体制の構築に向けた議論の視点についてでありますが、今後、持続可能な医療提供体制の構築に向けた議論を進めていくに当たっては、医療再編による病院経営への影響をはじめ、総合的な診療能力を有する医師の確保・育成の必要性など、多角的な視点を持ちながら、地域の実情に応じた適切な役割分担の在り方を検討していく必要があるものと考えています。 これらの視点については、県が本年4月に策定しました地域医療構想の実現に向けた今後の方向性の中で、議論における留意事項として整理しており、これを基に各圏域において地域の実情を考慮しながら、具体的かつ丁寧な議論を重ねてまいりたいと考えています。 次に、持続可能な地域医療の実現に向けた取組の進め方についてでありますが、今後、持続可能な地域医療を構築していくに当たっては、限りある医療資源を効率的・効果的に活用できる病院運営の実現が必要であり、そのためには、これまでの設置主体ごとの検討にとどまらず、さらなる連携や医師派遣、地域医療連携推進法等の新しい考え方に基づく、集約化や機能分化を補う体制づくりが重要であると考えています。 県といたしましては、これらの視点も踏まえ、各圏域での議論を重ねるなど、調整役としてリーダーシップを発揮し、スピード感を持って必要な取組を進めてまいります。 次に、原子力政策と柏崎刈羽原子力発電所の立地に伴う安全確保等についてお答えします。 まず、国の原子力政策と柏崎刈羽原子力発電所の立地に伴う課題解決等への取組についてでありますが、原子力を含む日本のエネルギー政策は、国において安全性を大前提に、安定供給、経済性、環境適合も考慮して策定されるものと承知しており、国は国民に分かりやすく丁寧に説明していただきたいと思います。 また、法制度や財源措置等、権限を持つ国でなければ解決できない課題については、私自ら国に対し対応を求めるとともに、全国知事会や立地道県で構成する原子力発電関係団体協議会など、様々なチャネルを通して対応を求めております。 引き続き、県民の命と暮らしを守ることを第一に、対応してまいります。 次に、市町村による原子力安全対策に関する研究会からの要望についてでありますが、頂いた内容については、県として真摯に対応してまいります。 なお、立地自治体以外の自治体の意向を取りまとめる具体的な方法につきましては、研究会の御意見も伺いながら検討してまいりたいと思います。 次に、本県の原子力防災対策における雪への認識についてでありますが、雪国である本県において、豪雪時の対応は、除雪による避難経路の確保など、原子力災害時に住民が安全に避難するための重要な課題であると認識しております。 県といたしましては、1月に、柏崎市において冬季の原子力災害を想定した避難訓練を実施したほか、現在、国、市町村、関係機関と連携し、昨冬の経験を踏まえ、除雪や避難のタイミングなどについて検討を進めているところであり、引き続き、豪雪時における対応力の向上を図ってまいります。 次に、電力移出県等交付金についてでありますが、電力移出県等交付金の根拠法である発電用施設周辺地域整備法は、原子力災害等に備えた防災対策を直接の目的にしておりませんが、福島第一原子力発電所の事故以降、防災対策が必要となる地域が拡大された一方で、議員御指摘のとおり、UPZ圏内であっても対策の財源が手当てされていない地域があることについては問題意識を持って受け止めています。 次に、原子力発電施設等周辺地域交付金についてでありますが、UPZ圏内における原子力発電施設に対する住民理解の促進や産業集積を含めた地域振興策の推進が一層求められている中、議員御指摘のとおり、電源三法交付金の交付対象地域が立地自治体等に限定され、UPZ圏内の全ての自治体が交付対象となっていないことは、制度として整合性に課題があるものと認識しています。 次に、電源三法交付金の国への要望についてでありますが、これまで国では、立地自治体等の要望を踏まえ、交付金の使途の拡大など、制度の弾力化・柔軟化を図ってきておりますが、一方で、交付対象地域の拡大については、国の財源拡大につながり、国民負担の増加を伴うことから、実現に向けたハードルは高いものと考えております。 また、要望の実現に向けては、本県だけの要望ではなく、他県と連携した要望が有効と考えておりますが、各県ごとに原発の立地環境や周辺市町村の事情が異なるため、現状では、足並みがそろわない状況となっています。 県といたしましては、他県と粘り強く意見交換や調整等を行い、原発立地道県と連携した要望を模索してまいります。 次に、電源三法交付金制度に係る国の要望先についてでありますが、議員御指摘のとおり、交付金の対象地域の拡大は財源の課題でもあることから、資源エネルギー庁に加え、財務省にも働きかけてまいります。あわせて、今ほどお答えしたとおり、他の原発立地道県と足並みをそろえて、より実効性のある要望ができるように取り組んでまいります。 次に、原子力防災対策のための財源の確保についてでありますが、原子力防災対策については、福島第一原発事故以降、防災対策が必要となる地域が拡大されたことや、議員御指摘のとおり、原発周辺の人口や積雪等、地域の特性を踏まえれば、本県において必要な財源は決して十分とは言えない状況と認識しています。 このため、原子力防災対策に必要な経費については、国策として原子力発電を進めてきた国の責任において確実に財源を確保するよう、要望してまいります。 次に、電源三法の見直しについてでありますが、電源三法交付金制度の財源である電源開発促進税は、電気料金の支払いを通じて実質的に広く国民が負担しているため、議員御指摘の原子力防災対策を目的とした電源開発促進税の引上げには、国民の理解が得られることが必要です。 一方で、原子力防災対策を必要とする地域の拡大に伴い、議員御指摘の電源三法の抜本的な見直しも含め、国策として原子力発電を進めてきた国の責任において財源を確保する必要があると考えています。 県といたしましては、原子力発電関係団体協議会等も活用し、引き続き、その実現を国に強く働きかけてまいります。 次に、電源三法の見直しに時間を要する場合の、電源立地地域対策交付金を財源とした避難道路の整備等についてでありますが、議員御指摘のとおり、原子力災害時の安全確保のために避難道路整備と除雪体制強化は必要であると考えていますが、いかなる予算項目で対応するにしても、まずは、国の責任において必要な財源を確保すべきと考えております。 次に、住民避難の実効性確保に向けた除雪体制の強化等についてでありますが、除雪オペレーターの担い手確保については、現在、国土交通省など関係機関と連携して対策の検討を進めているところであり、今後も、原発から50キロ以内の地域も含め、持続可能な除雪体制の構築等、体制強化に向けて取り組んでまいります。 また、住民避難に係る除雪の出動基準などについては、昨冬の経験を踏まえ、現在、内閣府、市町村、関係機関と検討を進めているところです。 加えて、原子力災害時における除雪体制の強化に必要な財政措置について、国に対して強く要望してまいります。 なお、原子力防災対策における除雪については、防災局長からお答えいたします。 次に、原子力災害時の避難道路の整備についてでありますが、実効性のある原子力防災体制を構築するため、議員御指摘のとおり、UPZ圏外へ安全に避難できる道路整備は重要と考えています。 このため、住民避難を円滑に実施するための道路整備など必要な財政措置について、国に対し強く要望してまいります。 次に、電力移出県等交付金の単価引上げについてでありますが、議員御指摘の単価の引上げは、交付額の増額のための手法の一つではありますけれども、先ほどお答えしたとおり、この交付金の財源は、電気料金の支払いを通じて実質的に広く国民が負担しているため、負担の増加には、国民の理解が得られることが必要と考えています。 一方で、避難道路整備や除雪体制強化は何度も申し上げるとおり重要であると考えており、国策として原子力発電を進めてきた国の責任において、財源確保の手法も含めて対応すべきであると考えております。 次に、原発に関する課題やリスクについてでありますが、議員御指摘のとおり、引き続き、立地地域・周辺地域の声に耳を傾け、現状における課題を把握してまいりたいと考えています。 その上で、先ほどお答えしたとおり、法制度や財源措置等、権限を持つ国でなければ解決できない課題については、引き続き、県として国に対応を求めることはもとより、全国知事会、立地道県で構成する原子力発電関係団体協議会など、様々なチャネルを通しても対応を求めてまいりたいと思います。 今後も、県民の命と暮らしを守ることを第一に、対応してまいりたいと思います。   〔防災局長熊倉健君登壇〕 ◎防災局長(熊倉健君) お答えいたします。 原子力防災対策における除雪についてでありますが、県の広域避難計画では定めておりませんが、県地域防災計画等に基づき対応することとしております。 現在、内閣府、市町村、関係機関と連携し、昨冬の経験を踏まえ、除雪や避難のタイミングなどについて検討を進めており、その結果を踏まえ、適切に広域避難計画へ反映してまいりたいと考えております。   〔福祉保健部長松本晴樹君登壇〕 ◎福祉保健部長(松本晴樹君) お答え申し上げます。 新潟県地域医療構想の実現に向けた進捗と今後の具体的な進め方についてでありますが、県では、本年4月に策定した地域医療構想の実現に向けた今後の方向性の趣旨や内容について、医療関係者や市町村等への説明を実施しているところであり、上越圏域においては、先日、今年度の第1回目となる地域医療構想調整会議を開催したところです。 今後、ほかの圏域においても、順次、調整会議の開催を予定しておりますが、今年度は、これに加えて地域の関係者と個別に意見交換の場を設けるなどにより、圏域ごとの具体的な医療機関の役割分担の在り方について、丁寧に議論を重ねてまいりたいと考えております。   〔産業労働部長佐野哲郎君登壇〕 ◎産業労働部長(佐野哲郎君) 2点についてお答えいたします。 まず、県の伝統的工芸品制度の創設と花火の指定についてでありますが、長い伝統と歴史の中で世界に誇る技術を磨いてきた新潟の花火は、本県の重要な産業であり、後世にしっかりと引き継いでいく必要があると考えております。 議員御指摘のとおり、長野県では長野県手作り打上花火を県の伝統的工芸品として指定していることは承知をいたしております。 県といたしましては、産地の技能伝承などの取組が円滑に進むよう、国や他県の事例を参考にしながら、指定制度の効果検証も含めまして、実効性のある支援の枠組みを研究してまいりたいと考えております。 次に、新潟県事業継続支援金の実績についてでありますが、最終確定前の数値ですが、申請件数は6,676件、申請額は14億3,180万円となっております。 また、本支援金は迅速かつ確実な支給を優先するため、要件である2か月連続で20%以上売上げが減少していることのみを確認してございまして、それ以外の状況につきましては、把握してございません。 なお、民間調査会社によりますと、昨年の10月から12月期に50%以上売上げが減少した県内の飲食事業者の割合は12.5%となってございます。   〔病院局長藤山育郎君登壇〕 ◎病院局長(藤山育郎君) お答えいたします。 いわゆる僻地病院の市町村主体の運営に向けた協議の進捗状況等についてでありますが、これまで4回にわたり意見交換を重ねており、そこで示された運営ノウハウや人材確保などの課題への対応について、現在検討しているところです。 なお、地元市町からは引き続き県立県営でお願いしたいという意向が示される一方で、持続可能な医療提供体制を確保していくためには県と一緒に考える必要があるというように、状況が変化してきたようにも感じているところであります。 このたび示された、新潟県地域医療構想の実現に向けた今後の方向性に基づく議論を踏まえながら、市町村における新型コロナウイルスワクチン対応の繁忙状況にも配慮しつつ、引き続き、結論ありきではなく丁寧に意見交換を進め、協議が進展するよう努めてまいります。 ○副議長(佐藤純君) 宮崎悦男君の質問は終わりました。 15分間休憩いたします。  午後2時55分 休憩   ――――――――☆――――――――  午後3時10分 開議 ○議長(桜井甚一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、池田千賀子君の発言を許します。池田千賀子君。   〔池田千賀子君登壇〕(拍手) ◆池田千賀子君 未来にいがたの池田千賀子です。それでは、通告に従いまして一般質問させていただきたいと思います。 まず、ジェンダー平等についてであります。 政策立案や政策評価において、エビデンスを示すことが強く求められるようになってきております。男女共同参画の推進やコロナ下での雇用や生活面における女性への深刻な影響を把握するためなど、ジェンダー統計は重要であると実感をしております。 しかし、例えば離職者の男女別の数など、国の統計では示されている数が、本県の状況を確認しようとしても把握されていない事案が散見されます。可能な限り充実させていくことが必要だと考えます。 ジェンダー統計の必要性の認識について伺うとともに、今後の充実の方向性について知事の所見をお伺いいたします。 次に、ひとり親家庭等支援計画では、目標で掲げる経済的基盤の強化の指標の一つとして、母子家庭の養育費の取決めをしている割合を増加させるとしています。 養育費は、子供の監護や教育のために必要な費用であり、一般的には、子供が経済的・社会的に自立するまでに要する費用を意味します。経済的な理由で義務を免れるものではなく、離婚によって親権者でなくなったとしても、親として養育費の支払い義務を負うことになると理解をしております。 国においては法務大臣の諮問機関の法制審議会が、養育費不払い防止の方策について議論を進めております。 まずは離婚時の取決め率を向上させる必要があり、そのためには、この方向性を市町村としっかりと共有し、取り組んでいくことが不可欠であると考えます。今後どのように市町村の理解を促して取決め率を向上させていくのか、お伺いいたします。 また、施策の評価には具体的目標値の設定が重要でありますが、ひとり親家庭等支援計画では、令和7年度に割合を増加させるなどの表現で、具体的な目標値が示されておりません。目標の考え方についてお伺いいたします。 次に、配偶者などの交際相手から身体に対する暴力を防ぐため、被害者の申立てによって被害者への付きまとい等をしてはならないことを裁判所が命ずる保護命令は、被害者の安全確保に大きく資するものであります。しかし、毎年の保護命令の発令件数は全国的には減少、本県は30件程度の横ばいとなっております。 県警察におかれましては、DV被害者に対し、あなた自身、子供、親族等の生命や身体を守ることが第一と説明されるとともに、警察から取ってもらいたい対応を一つ一つ聞き取るなどの対応をされていると承知をしておりますけれども、DV被害者は、加害者が身近な者であるとの理由や、加害者からさらなる暴力を受けることになるのではないかと恐れ、特に暴力を受けた直後は混乱をし、保護命令の申立てをちゅうちょすることが考えられます。 被害者本人の意思決定についてどのような支援を行っておられるのか、警察による対応の状況についてお伺いいたします。 次に、DV被害により避難をしている母子などへの児童扶養手当の支給につきましては、平成24年より、父または母がDV保護命令を受けた児童も対象に含まれるなど、対象が拡大してきております。 しかし、離婚に至っていない場合や、保護命令の申立てをちゅうちょしているというような場合には、父または母に1年以上遺棄されていると判断された場合に限ってのみ支給対象になると承知をしております。 暴力を恐れて逃げているようなケースでは、住所の異動を行っておらず、配偶者と同じ住所であるため、1年以上の遺棄ということについて自治体が慎重に判断せざるを得ないと聞いております。 支給が可能なDV被害者が漏れなく利用できる制度とするために、こうした取扱いについて制度の窓口となる市町村が適切に理解をすることが重要であると考えております。県はどのように市町村を支援していくのか、所見をお伺いいたします。 次に、医療・福祉政策についてお伺いいたします。 注目されておりました県央基幹病院の指定管理者は、当初の募集期間を延長いたしましたが、結局は応募は1法人にとどまりました。満を持して実施した指定管理者の募集には、複数の事業者から運営に関心を示していただき、複数の応募事業者の中から特に有望な運営主体が選定されることが本来は望ましかったと考えております。 応募を考えている事業者からの質問には、開院時から400床稼働が困難な場合はどうなるのかや、医師・看護師確保に関する県の積極的な関与はあるのかなどの質問が寄せられており、人員確保への県の関与やリスク分担などを懸念していると推察をしております。 複数応募とならなかった背景には、県央基幹病院の運営の困難さがあるのではないかと推察をいたしますけれども、応募が1法人にとどまったことと、それによる今後の基幹病院運営に関する知事の所見をお伺いいたします。 次に、地域密着型病院として県央医療圏を支えることとしていた済生会三条病院の運営法人である新潟県済生会が、県央基幹病院の指定管理者となる見通しとなりました。同一法人が中核病院と地域密着型病院の両方の機能を担うことになります。 済生会三条病院と同じく三条地域に立地する厚生連三条病院は19床の有床診療所に改編されるため、今後、済生会三条病院の機能縮小によっては、とりわけ三条地域の医療提供、併せて県央医療圏の医療に影響が及ぶのではないか、その可能性があると考えておりますけれども、知事の所見をお伺いいたします。 次に、新型コロナワクチン接種は開始直後と比較して接種が進んできており、今後は高齢者に続き、基礎疾患を有する者や高齢者施設等の従事者への接種が進んでいくものになると思われます。しかし、高齢者接種において自治体の進捗に差が出てきており、打ち手の確保やそれに伴う財源の問題、国が示す接種順位について、現場では柔軟に対応したいという要望が上がっているとも聞いております。 本県におけるワクチン接種の課題とそれへの対応をどのようにお考えになっておられるのか、知事の所見をお伺いいたします。 次に、介護保険事業者における人材確保は、民間紹介会社を経由する例が大変多いと承知をしております。この場合、介護保険事業者は民間紹介会社に手数料を支払うことになりますが、最近では民間紹介事業者が手数料を値上げしてきており、紹介者1人についてその年収の25%から30%程度を支払う必要があると伺っております。 この経費は法人の経営に少なくない影響を与えることになるため、できれば手数料が発生しないハローワーク経由での採用が増加することが望まれると考えます。 介護保険事業者に聞き取りを行ったところ、民間紹介事業者を用いた求人情報検索は非常に容易で、求職者が今の仕事を続けながら求職活動しやすい仕組みになっていると聞いております。 ハローワーク経由の採用が増加するように、県としても働きかける必要があるのではないかと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 また、県は福祉人材の無料職業紹介機能を持った福祉人材センターを立ち上げて、求職・求人をサポートしております。このセンターは機能を十分果たしているのでしょうか、併せてお伺いいたします。 次に、臨床研修の必修化後、臨床研修医が都市部に集中する傾向が続いたため、地域的適正配置を誘導する観点から、平成22年度より都道府県別の募集定員の上限設定と見直しがされてきていると承知しております。 その見直しによって、大都市部6都府県以外の道県、地方における採用実績の全国に占める割合は向上してきていると聞いてはおりますけれども、しかし6都府県での採用が、いまだに4割を超えている状況であるということであります。 大都市部以外の道県の採用が増えるように、都道府県別の募集定員の上限のさらなる見直しを国に求めるべきではないかと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、本県は良医育成新潟県コンソーシアム設置等、臨床研修医確保に努めていると承知をしております。しかし、本県における研修医のマッチングは、せっかく割り振られた募集定員の約半分程度となっており、臨床研修病院によっては、フルマッチを実現している病院と苦戦を強いられている病院があると伺っております。 研修医獲得のためには、まずは本県の臨床研修病院とのマッチングを希望する参加者を増やす必要があると考えますが、現行の取組に加えどのような施策が必要とお考えか、知事の所見をお伺いいたします。 次に、臨床研修病院の魅力向上には、まずは研修プログラム、そして指導体制の整備が必要だと思いますけれども、臨床研修の期間に居住する、臨床研修病院が立地する市町村の魅力も重要であると考えます。 そのため、本県で研修医として働くことの魅力を打ち出すためには、臨床研修病院が立地する地域の魅力や、地元の自治体がいかに研修医を必要としているかということを示すなど、自治体と連携して取り組むことが研修希望者の希望順位を上げるために有効だと考えますけれども、知事の所見をお伺いいたします。 次に、原子力発電所の課題についてお伺いいたします。 今般の東京電力の核物質防護問題について、県民は大変懸念を抱いております。 知事は、原子力規制庁に対しまして、東京電力の技術的能力を改めて評価することを求められました。これに対して原子力規制庁長官は、核物質防護には2,000時間分の追加検査を実施するとし、これは知事がおっしゃる東京電力の能力を改めて評価することと追加検査でやろうとしていることは同じだと、こういう認識を示したとのことであります。 知事が求めた東京電力の技術的能力を改めて評価することの実施を明確に述べたものではないと私は認識をしておりますが、知事はこの長官の言葉を了としていらっしゃるのでしょうか。 国による原子力規制は、県民の安心・安全の最後のとりでと言っても過言ではありません。原子力規制庁が実施する追加検査が、知事の求めている評価につながっているか、県としても今後しっかりと確認をしていく必要があると考えますけれども、知事の御認識をお伺いしたいと思います。 次に、先般開催されました令和3年度第1回技術委員会において、委員から改めて東京電力の核物質防護に係る事象は非常に深刻だと、そういう意見が出されました。 核物質防護に係る東京電力の対応についての原子力規制庁への報告期限は9月23日であります。しかし、これを待たずに、県は東京電力に報告を求め、かつ技術委員会で議論すべきと考えますけれども、知事の所見をお伺いいたします。 次に、核物質防護に係るIDカードの不正使用、不適切使用は、昨年だけでなく平成27年にも発生していることが明らかとなりました。当時、東京電力は原子力規制庁に報告したとし、原子力規制庁は報告文書を受理したとされておりますけれども、原子力規制庁は東京電力からの報告文書を1年未満で廃棄した可能性が取り沙汰されております。また、東京電力についても、原子力規制庁に報告をした記録が見つかっていないとのことであります。 今般の事案を受けて、原子力規制庁は文書保存期間を見直したようではありますけれども、核セキュリティーは原子力施設の基本的安全の課題であるため、この取扱いが当時の文書管理のルールに仮に沿ったものであったとしても、県民感覚との間に大きな乖離があると私は感じております。 また、この不適切事案が明るみに出なければ、文書管理の問題を県民が知ることもありませんでした。このことについても遺憾であります。 知事は、今般の記録文書の取扱いについてどのような御所見をお持ちか、お伺いいたします。 次に、過去の一般質問におきまして、米山前知事に、実効性ある避難計画とは被曝することのない避難の実現を指すのかと所見を求めたところ、被曝のリスクも含め、どのようなリスクであれ、ゼロにすることはできませんとの答弁でありました。 放射線による人の被曝につきましては、国際放射線防護委員会、ICRPが数値を示しております。また、福島原発事故時には、一般人の被曝の限度量を年間1ミリシーベルトとしていたものを20ミリシーベルトへと20倍に引き上げた経緯があります。言わば前例をつくってしまったということだと私は感じておりますが、非常に高い数値と言わざるを得ないと思っています。 いずれにしましても、本県の広域避難計画における被曝の許容量というのは明らかにしていないわけでありまして、被曝の許容量を明確にした上で、例えばスクリーニング時の滞留、避難道路の寸断、渋滞、あるいは避難を阻む積雪など、避難の過程で長く車中にとどまらざるを得ないような場合等、避難の各行程の中で許容範囲に収まっているかということをしっかりと確認すべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、県は検証総括委員会の任務について、3つの検証の結果について矛盾等がないかを確認し、3つの検証を取りまとめていただくとしています。しかし、委員の中には、検証総括委員会が最終的に取りまとめる前に、各検証委員会と相互にやり取りをしながら結論の取りまとめに向けて連携をすると、こういうプロセスが必要という声があると承知をしております。 改めて検証総括委員会の議論の取りまとめの在り方について知事の所見をお伺いいたします。 県政の諸課題についてお伺いいたします。 コロナ下で増加している生活困窮世帯への食料を提供している機能として、フードバンクが非常に重要な役割を果たしていると認識しております。フードバンクを取り巻く課題は様々でありますけれども、提供する食料をコンスタントに集めることができるということは非常に重要だと思います。 令和元年に成立いたしました食品ロス削減推進法第19条には、未利用食品等を提供するための活動の支援等が定められており、フードバンク等の活動が円滑に行われるように、関係者相互の連携の強化がうたわれているところであります。 法の施行によってフードバンクへの食料集積が進むのか、見通しについてお伺いいたします。 次に、県は食品ロス削減推進法に基づいて、推進計画を策定するとしております。日本の食品ロスは、事業系が53.6%、家庭系が46.4%と、やや事業系が上回っており、食品ロスを削減するためには、事業系の廃棄を削減することは重要であると考えております。 事業系の食品ロスについては既に、納品期限の緩和や賞味期限表示の大くくり化など既に商習慣の見直しが進められていると承知をしております。事業者には社会的責任を果たしていただくという必要がある一方で、企業活動であるという大前提があり、県の計画の中で、既に取り組んでいる以上の施策を打ち出すことが果たして可能なのだろうかという懸念もございます。 しかし、一方で、本県の計画策定において、何らかの新しい取組を打ち出していただきたいという期待もあるわけでありますが、県の推進計画としてどのような実効性のある施策を盛り込むことができるのか、知事の所見をお伺いいたします。 次に、新型コロナウイルスの影響を強く受けている業界の一つが運輸・旅客業界であります。緊急事態宣言発出以降、4割以上の営業収入減少が続き、県内タクシー乗務員の1か月の平均収入は約25万円から35万円程度となっていると聞いております。賃金体系が歩合制であるために、さらにこの賃金に大きく影響し、賃金が減少していると伺っております。これまでは、何とか雇用調整助成金でしのいできたけれども、限界に近づきつつあるということであります。 タクシーも地域交通を支える重要な役割を担っていることから、例えば、交通弱者の新型コロナウイルスワクチン接種支援の観点から、タクシー利用の補助を自治体に働きかけるべきではないかと思いますけれども、知事の所見をお伺いいたします。 次に、県は今後、飲食店における新型コロナウイルス感染症対策認証事業に取り組むとしています。感染対策に万全を期した店舗を認証することは、利用客の安心につながるものと考えます。 昨年度は、三密対策支援金を交付したわけですけれども、これによって相当程度の感染予防対策が進んだものと考えておりましたが、最近でも飲食店利用者の感染者が発生しており、この状況を見ると、感染予防対策の徹底という点においては課題があったと認識をしております。 本事業によって認証を受けた店舗は、真に安全性が高くなくてはなりませんし、認証を与える県にも責任があると考えます。国は、やまなしグリーン・ゾーン認証など、成果を上げている認証制度を参考にすることを求めておりますけれども、本県の認証事業の感染予防対策の効果について知事の所見をお伺いいたします。 次に、主食用米の作付は前年実績と比較して38都道府県が減少傾向であったものの、農林水産省の試算では、なお3万ヘクタールの転換が求められるということであります。 米の価格は毎年6月末の民間在庫で決まると言われており、今年は適正と言われる180万トンを大きく超えるということが確実と見込まれていることから、このままでは米価の下落が現実のものになると懸念をされております。 残念ながら本県の減少幅は、3%から5%の減少にとどまっており、現在は作付後の転換を懸命に呼びかけている、このように承知をしております。このように、米余りは県や米生産者の努力を超える水準に来ていると考えます。 新型コロナウイルスという災害に起因する在庫量を一旦国が引き取るなど、一度リセットするような調整を国において実施するということを、県としても要望すべきではないかと考えますけれども、知事の所見をお伺いいたします。 次に、本県の令和元年度における物品購入や委託事業等の契約に占める随意契約の割合は、件数ベースで48.1%であり、新潟県物品等入札監視委員会では随意契約の比率の高さや、契約の原則は一般競争入札であることの周知が必要との議論があったと承知をしております。 行政が行う調達は、財源は税金であり、より良いものをより安く調達する必要があることは言うまでもありません。 入札監視委員会の意見を踏まえ、県は一般競争入札推進のためにどのような取組を行っているのか、お伺いいたします。 また、委託事業、特に新規事業については、安易に随意契約とせず、一般競争入札によることを基本とし、十分に検討する必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。 次に、地域振興局の見直し案では、7振興局の企画振興部を廃止し、広域的調整を新潟、長岡、上越などの5振興局で行うとしております。企画振興部は、管内の地域振興や危機管理対応を行っており、とりわけいつ発生しても不思議ではない自然災害や動物感染症などへの危機対応においては、振興局内各部の連絡調整を行う役割を担っていると承知をしております。そのため、企画振興部が廃止される7振興局において、迅速かつ機動的な対応が可能なのか懸念されるところであります。 地域振興局の見直しにおいては、少なくとも十分な対応が可能な人員配置が必要と考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 県は、新潟県ICT推進プランを策定し、また県庁内のデジタル・トランスフォーメーションの推進として、公文書のペーパーレス化や行政手続のオンライン化等に取り組んでおります。 行政だけでなく、社会全体のデジタル化は今後一層進むことに間違いないわけでありますが、今般のコロナワクチン接種では、ICTを十分に使いこなせない人々も時間的猶予がない中で、ICTに向き合わざるを得ない状況になったと感じております。 県は、デジタル化推進に併せて、デジタルディバイド、利用者の機会格差の是正の解消に取り組むべきと考えますけれども、知事の所見をお伺いいたします。 次に、新潟県公立学校の教職員の募集は、令和4年度の採用検査から、中学校、高等学校のいずれかの免許を有していることを条件として、中学校教諭、高等学校教諭の一括募集を行っております。また、令和7年度の採用からは両方の免許所有が条件になると伺っております。 これは、倍率があまり高くない中学校教諭と一定程度の倍率がある高等学校教諭を一括して募集することにより、優れた人材を確保したい狙いがあるのではないかと推察をしておりますけれども、しかし全国的には東京都、千葉県、富山県、石川県、福井県程度しか一括採用を行っていないと聞いております。 一括採用の狙いをお伺いいたします。 また、出願者には希望する校種があると思われますけれども、一括採用する本県においては、採用後に希望する校種に勤務できない可能性があるということになり、それを理由に、むしろ本県採用試験を敬遠することにつながるのではないかと懸念しますが、教育長の所見をお伺いいたします。 最後の質問です。 子供の数の減少によって、高校の小規模化が進んでおります。教員は生徒数に応じて配置されるため、教職員の数も少なくなっている上に、事務職員を配置せずに兼務をしているという高校があると承知しております。生徒数が減少しても校内事務業務が大きく減少するということは考えにくく、専任の事務職員を配置しないということは、兼務の事務職員の多忙化や教職員の業務の増加につながり、学校運営にも関わる課題だと認識しております。 小規模化が進んだとしても各校への事務職員の配置は必要と考えますけれども、教育長の所見をお伺いいたします。 以上で質問を終わらせていただきます。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 池田議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、ジェンダー統計についてでありますが、ジェンダー統計は、国の第5次男女共同参画基本計画において、男女間の意識による偏り、格差及び差別の現状並びにその要因や現状が生み出す影響を客観的に把握するための統計のことと定義されており、議員御指摘のとおり、本県の男女共同参画の政策立案や評価に重要であると認識しております。 県といたしましては、今年度中の策定を予定している次期新潟県男女共同参画計画の中で、必要な男女別データの把握・分析や分かりやすい形での公表など、ジェンダー統計のさらなる充実について検討してまいりたいと思います。 次に、養育費の取決め率向上についてでありますが、県のアンケート調査では、教育費の取決めを文書で行っている母子家庭の約9割が、その後養育費の受け取りがあったと回答している一方、文書での取決めを行っていない母子世帯において、養育費の受け取りがあった世帯は、約3割にとどまっていることから、養育費確保のためには文書での取決めを促進していくことが、必要であると認識しています。 そのため、県では、今年度、町村部をモデルとして、公正証書作成のための相談や手続に係る費用を支援する事業に取り組んでおり、こうした取組や先進自治体で行われている養育費確保支援策などについて、各市町村と情報共有を行うとともに、意見交換の場を設け、取決め率向上の取組を促してまいります。 また、議員御指摘のひとり親家庭等支援計画の目標の考え方についてですが、本県の養育費の取決め率は61%で、全国平均の43%よりもさらに18ポイント高い状況ではありますが、できるだけの向上を目指して、具体的な数値目標は定めず、割合を増加させるとしており、計画改定の際には委員からも御了承いただいたところです。 今後も独り親家庭の経済的基盤の強化を図るため、さらなる取決め率の向上に向けて取り組んでまいります。 次に、医療・福祉政策についてお答えします。 まず、県央基幹病院の指定管理者についてでありますが、指定管理者の周知・募集につきましては、全国の病院を運営する医療法人等を対象とするとともに、県内で病院を運営する医療法人に対しては個別に案内をしていたところです。 一方で、有識者から成る審査委員会において、県央地域医療構想調整会議などの議論を踏まえた医療の連携体制や、急性期を担う大規模病院の運営実績等を重視した審査基準を設定いたしました。 議員御指摘のとおり、競争により、よりよい提案が期待できるという点で複数応募が望ましいですが、今回応募があった新潟県済生会については、審査委員会からこうした審査基準に照らして、県央基幹病院を適切に管理・運営する能力を有すると認められたものであり、県といたしましても、このような候補者が選定されたことは喜ばしいことと受け止めております。 今後、基幹病院の設置者として、運営主体と共に、医療スタッフの確保・育成に取り組むとともに、断らない救急の実現に向けた体制整備を着実に進めてまいります。 次に、県央基幹病院の指定管理者決定後の医療提供体制の在り方についてでありますが、県央地域医療構想調整会議において、公立・公的5病院が連携する中、地域密着型病院となる済生会三条病院、県立加茂及び吉田病院は、地域包括ケア病棟を中心として、慢性疾患を持つ高齢者の入院診療や重症化予防など、県央基幹病院との役割を明確にして、地域における高齢者医療の中心的役割を担うと合意されたところです。 済生会三条病院は、こうした調整会議の議論を踏まえて具体的な機能等の在り方について検討がなされていくものと考えており、今後、県央基幹病院と複数の地域密着型病院が連携をし、地域全体で急性期から回復期、慢性期まで患者が安心して医療を受けられる体制が構築されるものと期待をしております。 次に、ワクチン接種の課題と対応についてでありますが、4月28日に全市町村長に参加いただき開催しました新型コロナウイルス感染症対策本部会議の中で、7月末に高齢者の接種を終えるという目標に合意いただいたところであります。 市町村により進捗に差はあるものの、目標達成に向け日々御努力いただき、7月末完了の見込みとなっており、この場を借りて感謝を申し上げたいと思います。 高齢者以外のワクチン接種については、7月分の配分スケジュールが示されたところであり、基礎疾患のある方や高齢者施設等の従事者を優先するという方針はあるものの、国は、7月末までに高齢者の接種が完了する見込みであれば、市町村独自の接種順位を尊重するとしたところであります。 県としましては、今後、高齢者以外の接種に当たり、ワクチンの安定供給、医療従事者や会場の確保などが課題と考えており、国に対しては着実なワクチン供給と供給スケジュールの早期提示や十分な財政措置を求めながら、医療従事者とのマッチングや、大規模接種会場の設置、職域接種の促進などにより、市町村を支援してまいりたいと考えております。 次に、介護事業者における人材確保についてでありますが、議員御指摘のとおり、介護人材についてはハローワーク等の無料職業紹介よりも民間職業紹介会社を介した採用が多い状況にあります。 これは、慢性的な人手不足が続く中、介護事業者が迅速な人材確保を求めていることが背景にあると考えられます。 しかし、民間職業紹介には採用後の定着率に課題が見られ、介護事業者は、長く勤務してもらえる人材の紹介や、手数料がかからない公的な職業紹介の充実を求めています。 また、福祉人材センターについては、少しずつ利用実績が伸びてきてはいるものの、主たる採用方法となっていない状況にあります。 県といたしましては、福祉人材センターの機能充実のため、県内ハローワークと連携した求職者向けセミナーや就職相談を行うほか、求職者及び求人事業所のニーズを的確に把握した丁寧なマッチングを通じ、より多くの介護人材の就職に結びつけられるよう、取組を進めてまいりたいと考えております。 次に、臨床研修制度の見直しに向けた国への働きかけについてでありますが、県では、臨床研修医の大都市部への集中是正を図るため、これまでも本県をはじめ12の医師少数県による、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会を活用するなどにより、募集定員の見直しを国に働きかけてきたところです。 しかしながら、依然として臨床研修医の大都市部への集中が続いていることから、議員御指摘のとおり、さらなる見直しを国に求める必要があると考えています。 国は、引き続き、令和7年度までの間、大都市部の臨床研修医の募集定員を圧縮することとしておりますが、県といたしましては、大都市部への集中を抜本的に解消し、地方でも確実に臨床研修医が確保できるよう、知事の会などを十分に活用して、国にその早期の実施を求めるとともに、さらなる圧縮を行うことを働きかけてまいりたいと思います。 次に、臨床研修医の増加に向けた施策についてでありますが、臨床研修病院とのマッチング希望者を増やすためには、本県における臨床研修の魅力を一層高め、より多くの医学生から研修先として選んでもらうことが重要であると考えております。 このため、県では、臨床研修病院の特徴を生かした研修プログラムの増設をサポートするとともに、病院の教育力向上を図るため、研修医に人気のある病院の取組を他病院と共有し、実践されるよう支援しているところです。 また、臨床研修に加えて、自己研さんによりマネジメントスキル等を取得できる県独自の研修コースを創設するなど、本県における臨床研修の魅力をより一層高めることで、臨床研修医のさらなる確保につなげてまいりたいと思います。 次に、市町村と連携した臨床研修医の確保についてでありますが、議員御指摘のとおり、本県で研修医として働く魅力を打ち出すに当たっては、研修プログラムや指導体制の整備など臨床研修病院の魅力を高めていくことはもちろんのこと、研修病院が立地する市町村の魅力を伝えることも有効であると考えています。 このため、研修病院が立地する市町村と連携をし、自然や多様な生活・食の文化、恵まれた様々な資源など市町村の魅力を効果的に伝えることで、より多くの研修医から県内での研修を希望してもらえるよう取り組んでまいります。 またあわせて、市町村と連携をして研修医を呼び込む取組を検討し、本県における臨床研修の魅力をより一層高めることで、研修医のさらなる確保につなげてまいります。 次に、原子力発電所の課題についてお答えをします。 まず、原子力規制庁が実施している追加検査についてでありますが、4月5日に、東京電力に原子炉の運転を適確に遂行するに足りる技術的能力があるのかについて、改めて評価していただくよう強く要請した際に、原子力規制庁長官からは、追加検査の中で東京電力が自律的な改善が見込めるような事業者かどうか見極めていくこととしており、これは、今回の県の要望と目指すところは同じであるとの回答がありました。 原子力規制庁には、県民の信頼を確保するためにも、追加検査を厳格に対応していただきたいと思います。 追加検査の結果については、技術委員会でも確認してまいります。 次に、東京電力の核物質防護に係る事案についてでありますが、東京電力の報告書がまとまる前でも、できるところがあれば、技術委員会で東京電力から報告を受け、議論していただきたいと考えております。 次に、核セキュリティーに関する記録文書の取扱いについてでありますが、公文書については、一般的には保存期間を定め、適切に運用されるべきものと考えています。 今般の文書の取扱いについての詳細は承知しておりませんが、原子力規制庁においては、この事案を踏まえ、先般、保存期間を10年に改めたと承知しており、今後は適切に対応していただきたいと考えております。 次に、広域避難計画における被曝の許容量についてでありますが、県といたしましては、国の原子力災害対策指針を踏まえ、県民の安全を最優先に、被曝が健康に影響のないようにとどめられ、かつ、大きな混乱なく確実に実行できることについて相当程度の確証が持てるよう、広域避難計画を策定しております。 この国の指針では、被曝の許容量は示されておりませんが、避難等を実施する基準となる放射線量が示されており、県の広域避難計画においてもこの基準に基づいて対応することとしております。 なお、住民等が避難する際には、スクリーニングポイントにおいて、汚染検査や必要に応じて簡易除染を行うこととしております。 次に、検証総括委員会の議論の取りまとめの在り方についてでありますが、検証総括委員会には、3つの検証委員会それぞれにおいて各分野の専門家に客観的、科学的に検証していただいた結果について、矛盾等がないか各委員に確認をしていただき、3つの検証の取りまとめをしていただきたいと考えています。 次に、県政の諸課題についてお答えいたします。 まず、食品ロス削減に向けた施策についてでありますが、国の「全国一斉」商慣習見直し運動等により、既に多くの事業者が商習慣の見直しに取り組んでいるところですが、県内では一部の大手流通事業者の取組にとどまっており、他県に比べて遅れている状況です。 県では6月14日に、食品ロス削減に向けた取組を進めるため、食品の生産、製造、流通を含めた幅広い分野の団体の方々が参画する、食品ロス削減推進協議会を設置し、本県の食品ロス削減推進計画策定に向けた議論を開始したところです。 この協議会での議論等を踏まえ、県内の多くの事業者から商習慣の見直しに取り組んでいただけるような、より実効性ある施策を検討してまいりたいと思います。 次に、ワクチン接種におけるタクシー利用についてでありますが、タクシー利用は、ワクチン接種の円滑化に資することから、県内市町村において、既に、高齢者等を対象としたタクシー料金の補助や、送迎用タクシーの借り上げなど様々な取組がなされているものと承知しております。 ワクチン接種については、これまでも定期的に市町村とウェブ上での情報交換を行っているところですが、タクシーの活用事例も共有しながら、引き続き、地域の実情に応じた対策がなされるよう取り組んでまいります。 次に、本県の飲食店認証事業の感染防止効果についてでありますが、本県の認証制度は、国が定めた基準を採用しております。この国の基準は、他県の優良事例を踏まえて定められており、基準項目を全て実施している場合、感染拡大が起こりにくいエビデンスがあるとされております。基準の中でも座席の間隔の確保またはアクリル板の設置、手指消毒の徹底、マスク着用の徹底、十分な換気、この4つは特に重要とされています。 また、本県の事例として、飲食店で利用者と対面する従業員がマスクを着けていなかった、あるいは長時間に及ぶ飲食による感染拡大があったことからも、認証基準を遵守することで、こうした感染事例も減少させるなど、感染拡大の防止に効果があるものと考えております。 次に、米の需給調整についてでありますが、高齢化や人口減少等に伴い、国内の主食用米の需要は年々減少しており、米の主産県である本県においても、農業者や集荷団体と一体となって需要に応じた米作りに取り組んでいくことが重要と考えています。 一方、新型コロナウイルス感染症の影響による民間在庫量の大幅な増加分については、農業者等の責任ではない全国的な問題であることから、国において対策を検討する必要があると考えております。 このため、新たに政府買入れによる市場隔離を実施するなど、主食用米の価格安定に向けた対策を講じるよう、全国知事会を通じて国に要望したところであり、今後も働きかけを継続してまいりたいと考えています。 次に、地域振興局における危機管理対応についてでありますが、地域振興局体制の見直しに当たっては、自然災害等の初動対応や復旧事業等を所管する部門については引き続き各地域振興局に配置することとしており、また、7振興局において企画振興部が担ってきた本庁や市町村等との連絡調整などの役割についても、各所管部門で対応することとしております。 見直し後も所管業務が確実に遂行できるよう、業務量に応じた適正な人員配置に努めるとともに、自然災害や感染症など危機管理対応が生じた場合については、その規模や時期等に応じ、全庁的な応援体制を構築するなどにより対応してまいりたいと思います。   〔知事政策局長小岩徹郎君登壇〕 ◎知事政策局長(小岩徹郎君) お答え申し上げます。 デジタルディバイドの解消についてでありますが、議員御指摘のとおり、官民のデジタル化の推進により、利便性が向上する一方で、デジタルディバイドの解消も重要な取組事項と考えております。 今後、公民館や携帯ショップで高齢者等がオンラインサービスの利用方法等を学べる国の事業が進められることになりますので、県といたしましても、高齢者等デジタル機器に不慣れな方々がより多く利用できるよう、市町村など関係団体と連携し周知広報してまいります。 また、デジタル化を進めていく過程では、デジタル媒体だけではなく書面による様々な媒体を組み合わせるなど、適切に配慮してまいりたいと考えております。   〔福祉保健部長松本晴樹君登壇〕 ◎福祉保健部長(松本晴樹君) 2点お答え申し上げます。 児童扶養手当の支給に関する市町村への支援についてでありますが、児童扶養手当の認定については、各福祉事務所単位での業務となるため、町村部においては県が、市部においては各市が認定事務等を行っております。 そのため、県としては、毎年度、各市に対して指導監査を行うとともに、直接事務を行う市町村担当者を対象とした研修を開催し、国が定める事務処理マニュアル等に基づき、適正に認定事務が行われるよう技術的支援を行ってきたところです。 議員御指摘のとおり、離婚に至っていない場合などでも、条件に該当する方については、手当の支給対象となりますので、引き続き、研修等の機会を通じ、繰り返し説明することにより、該当する方が着実に利用できる制度の運用となるよう努めてまいります。 次に、フードバンクへの食品集積についてでありますが、食品ロス削減推進法においては、国や地方公共団体は、フードバンク活動に係る関係者の連携その他の支援を行うこととされております。 この法の趣旨も踏まえ、県では、新たに設置した食品ロス削減推進協議会において、フードバンク活動への支援を含む計画の策定について検討を始めたところです。 現在、新型コロナウイルスの影響によって生活に困窮する方々から、フードバンクに対する支援要請が増加していることを受け、既に、幾つかの企業等から協力をいただき、フードバンクへの食品等の寄附を進める取組を開始しております。 今後、フードバンク連絡協議会と連携しながら、企業や団体等に対して、食品等を寄附いただく取組をさらに推進することで、食品集積が進み、生活に困窮する方々への支援が届くよう、取り組んでまいりたいと考えております。   〔会計管理者兼出納局長綱島知子君登壇〕 ◎会計管理者兼出納局長(綱島知子君) お答えいたします。 一般競争入札促進のための取組等についてでありますが、現在、外部有識者で構成する物品等入札監視委員会での御意見も踏まえ、契約方法の妥当性を検討するための一般競争入札事例を所属に提供しているほか、会計実地指導を通じた入札を促す働きかけや、職員の入札知識やノウハウ習得のための研修を行っております。 県の契約は、一般競争入札が原則であることから、随意契約による場合は、地方自治法施行令の要件該当について十分に精査するよう、所属に対し、随時、注意喚起をしているところですが、委託事業、特に新規事業については、安易に随意契約としないよう、議員の御指摘も踏まえ、職員の意識啓発に努めてまいりたいと考えております。   〔教育長稲荷善之君登壇〕 ◎教育長(稲荷善之君) 2点についてお答えいたします。 中学校教諭と高等学校教諭の一括採用についてでありますが、本県においては、近年、高等学校教諭の採用数が減少し、本県出身者が他県で正規採用され、人材の他県流出が進むとともに、将来の本県教育を担う若手教員の層が薄くなっております。一方、中学校教諭は、近年採用倍率が低下している現状があります。こうした状況を踏まえ、本県での優秀な教員確保のため、中学校と高等学校の一括採用を行い、将来の校種間の異動を可能とする制度を導入することといたしました。 今年度の出願につきましては、全体で、昨年の481人から650人に増加し、中学校の倍率は、昨年2.4倍であったものが、今年の中高一括採用では、4.6倍となっております。 採用後における中学校または高等学校への異動に当たっては、本人の意向把握に努めるとともに、それぞれの校種における教員の充足状況を踏まえ、適材適所を基本に人事配置を進めてまいります。 次に、県立高校の小規模化に伴う事務職員の配置についてでありますが、高校の教職員定数の標準を定めた法律では、学級数に応じて事務職員定数が定められておりますが、定数が1となる小規模校においては、事務処理のチェック体制の確保や職員の勤務環境の維持を図るため、近隣校の事務長等への兼務発令によって、必要な業務執行体制を確保しているところです。 今後も、近隣校との連携や会計年度任用職員の活用によって、学校運営に必要な体制の確保に努めてまいります。   〔警察本部長村田達哉君登壇〕 ◎警察本部長(村田達哉君) お答え申し上げます。 DV被害者に対する警察における意思決定支援の対応状況についてでありますが、DV被害者に対する支援につきましては、警察のほか、配偶者暴力相談支援センター等においても行われているところですが、DV被害者から警察に相談がなされた場合には、その相談内容に応じて配偶者からの暴力による被害の発生を防止するために必要な援助を行っております。 議員御質問の保護命令につきましても、御相談の内容に応じてその制度の概要等を説明しているところですが、その際、110番緊急通報登録システムへの登録等、警察として取り得る措置も教示するなどして、被害者の意思決定支援をしております。   〔池田千賀子君登壇〕 ◆池田千賀子君 知事、答弁ありがとうございました。1つだけ再質問させていただきたいと思います。 4月5日に原子力規制庁長官にお会いになられて、要請された件についてなのですけれども、長官からは、追加検査の中で東京電力が自律的な改善が見込めるような事業者かどうか、見極めていくというお答えがあったということであります。そういう見極めが今後の追加検査によって本当になされていくのかというところが、今後、見るべきポイントなのかというふうに思っています。 追加検査も含めて相当専門的な内容でありましょうから、これを技術委員会に委ねるという方向性は当然だというふうに私も思っています。 ただ、技術委員会でしっかりと見ていくためには、追加検査でどのようなものが行われたのか等の情報をしっかりと出していただく必要があると思います。 これは、東京電力から、電力会社としてこういう対応をしていきますということを出してもらうことと併せて、やはり原子力規制庁からの情報も、この見極めには非常に私は重要だというふうに思っております。 厳格な対応になることを期待するということなので、期待にたがわない内容になっているかどうか見極めるという意味で、技術委員会における議論がしっかりと進むようにしていくということが重要だと思いますけれども、この点についてお聞かせいただきたいと思います。   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 池田議員の再質問かどうかちょっと分かりませんけれども、追加検査の過程で原子力規制庁がどういう情報を開示できるかということは、今の時点で私も分かりません。東京電力に報告を求める中で、関連して開示していただけるものもあるのかもしれませんが、いずれにしても技術委員会で可能な限り議論していただきたいと思っております。   〔池田千賀子君登壇〕 ◆池田千賀子君 すみません。再々質問はしないつもりだったのですけれども、やはりどう対応するかという電力事業者の考えを聞くだけではなくて、その電力事業者が対応しようとしていることに対して、規制当局がそれをどう評価したかというところが大事なのだと思います。まさに技術委員会においては、そこがしっかり見ていただきたいポイントになると私は思うのです。 確かに規制当局が追加検査について、一つ一つ、どれだけつまびらかにできるかというのは、よく分かりませんし、どの程度が可能なのかということもよく分からないですけれども、東京電力からの情報だけではなく、それをどう評価したかというところが重要だと私は思うのです。この点についてはいかがでしょう。   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 池田議員の再々質問、これも質問になっているのかどうか。私はなかなか答えようがないのですけれども、先ほど申し上げたように、規制当局が追加検査をしている過程の中で、どういうふうにチェックをしたかとか、そういうことをどれだけ開示できるかは、私には今の段階では分かりません。 それから、もちろん検査が終わった後で、結局どういう評価をされるかというところが私の関心事でありまして、それは様々な処分が考えられるというふうに原子力規制委員会の委員長はおっしゃっているようです。申し上げられることは、しっかりとした、厳格な追加検査をした上で、厳格に処分なりを判断していただきたいということに尽きるかと思っています。 ○議長(桜井甚一君) 池田千賀子君の質問は終わりました。 次に、松原良道君の発言を許します。松原良道君。   〔松原良道君登壇〕(拍手) ◆松原良道君 自由民主党の松原でございます。通告に従い、順次質問をさせていただきます。 まず初めに、県の医療提供体制について伺います。 県の将来的な医療提供体制の方向性を示す全体構想が4月、県医療審議会で承認されました。各病院の役割を、高度医療を担う病院と高齢者支援を中心に担う医療機関とで明確に分けて医療資源の集約を図り、持続可能な地域医療をつくることが柱となっております。 本年度は全体構想に基づき、県内7医療圏ごとに、各病院がどの役割を担うかなど具体的な医療再編の議論が進むと考えていますが、医療再編における課題とその対応の方向性について、知事の見解をまず伺います。 次に、医療圏内の病院が、地域で高度な医療を支える病院と医療・介護が連携して高齢者支援する医療機関とに分けられ、さらに、高齢者を支える医療機関でも、休日・夜間の二次救急患者を一定程度受け入れる救急拠点型と、回復期に入った患者を他病院から受け入れ、退院支援などを中心に担う地域密着型に分かれるというイメージが示されております。 このような体制づくりのために重要なことは、長年圏域内で地域医療を担ってきた市立あるいは町立や民間病院と、役割や機能などについて議論をしながら連携して進めていくことが極めて重要と考えますが、知事の見解を伺います。 こうした病院の役割の明確化と機能集約を行う背景には、医師偏在指標が全国最下位となるなど医師不足が深刻な本県において、若手の医師を確保する狙いもあると言われています。症例が少なかったり、偏っていたりして、経験を積みにくい病院には、スキルアップを目指す若手医師から敬遠されかねない。 全体構想にも、医師や症例数を集約し、住民だけでなく医療従事者にとっても魅力的な病院を残すことが重要であると明記されています。 県の課題認識と医師確保に対する知事の意気込みについて伺います。 県が全体構想を策定し、県内の医療再編を急ぐ理由として、人口減少に伴う将来的な医療ニーズの変化と、3年後に迫った医師の働き方改革への危機感があります。少子高齢化により、誤嚥性肺炎など高齢者に多い疾患の医療ニーズは今後も増加が見込まれる一方で、柱となる病院が担う高度医療の需要は減少が見込まれます。 2024年4月から始まる働き方改革では、勤務医の残業時間に上限が設けられ、一定数以上の医師を配置することができない病院では、休日・夜間の救急患者受入れが困難になる可能性が指摘されています。 この課題に対してどのように対応していくのか、知事の見解を伺います。 2点目に、県内大学生の就職支援について伺います。 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、企業が採用人数を抑え、就職が決まらない学生が増えています。このままでは第2の就職氷河期にならないか危惧されております。 国の調査によると、昨年10月時点での大学生の就職内定率が、前年同期に比べて7ポイント減の69.8%であったとの報告であります。下落幅は1996年の調査開始以降、リーマンショック後の2009年の7.4ポイントに次ぐ大きさだということであります。 一昨年までは、企業の人手不足などで売手市場でありました。それがウイルス禍で一変し、旅行業や飲食業を中心に経営の悪化した企業が増え、県内でも企業側が採用選考試験を取りやめるケースもあると伺っていますが、県内大学生の就職状況に対する県の認識と今後の取組について伺います。 思い浮かべるのは、1990年代の半ばから約10年続いた就職氷河期であります。卒業後、正社員になりたくてもなれずに非正規雇用で働き、不安定な生活を余儀なくされた人が急増しました。その後も十分な職業能力をつける機会が得られず、景気が悪化すると雇用の調整弁として、解雇や雇い止めされました。中には、ひきこもりとなるケースもあり、社会問題化したところであります。 新型コロナウイルスの感染が再び急拡大し、景気の先行きは不透明であり、採用の縮小が長期化するおそれもあります。 政府は、卒業後3年以内の既卒者は新卒扱いとするよう企業に求めています。 学生が多くの就職チャンスを得ることができるよう、門戸が広がってほしいと考えます。企業側は採用の維持に努めてもらいたいと思います。 また、新型コロナウイルス収束後を見据えた雇用は、競争力の向上につながると考えますが、知事の見解を伺います。 次に、特定地域の活性化について伺います。 過疎地域をはじめとする特定地域は、国土の大部分を占め、多様な自然や歴史、文化を有するとともに、食料、水、エネルギーの供給、国土強靱化など、国民の安全・安心を支える重要な役割を担っております。 しかしながら、特定地域では著しい人口減少と高齢化の進行、農林水産業の衰退など、極めて深刻な状況に直面しています。 特定地域が安全・安心に暮らせる地域として健全に維持されていくことで、多面的、公益的機能を発揮し、国民生活の向上に貢献しているとの認識に立ちながら、引き続き特定地域に対し支援を行い、地域住民の暮らしを支えていくことが重要と考えますが、県の課題認識と今後の支援の方向性について伺います。 また、新型コロナウイルス感染症が首都圏や大都市などで拡大し、人口密度が高い地域での日常活動等によるリスクが明らかとなる一方、豊かな自然環境や安らぎのあるライフスタイルができる過疎地域をはじめとした特定地域の価値が、今、改めて評価されています。 こうした状況の下、国においては引き続き地方創生の取組が進められるとともに、今年3月に期限を迎え、4月に施行された新たな過疎法では、過疎地域の持続的発展など過疎対策の新たな理念や支援措置が盛り込まれております。 本県としても、このような状況を踏まえ、特定地域の活性化のための取組を着実に進めていくことが必要であると強く感じますが、知事の所見を伺います。 新型コロナウイルスワクチン接種について伺います。 ワクチン接種のスピード化が新型コロナウイルスの感染収束に向けた鍵を握るとはいえ、政府の発言によって現場が振り回され、混乱を来す状況に至っているのが、今の医療現場の現状であります。菅首相は、国民や自治体、医療機関に負担を強いるばかりでなく、接種が順調に進むように目配りと、実態に合わせた支援策を整えるための指導力を発揮すべきと考えます。 こうした中、高齢者接種が進み、次の接種段階においては、自治体の裁量による接種が極めて重要と考えます。 先般、河野内閣府特命担当大臣は、7月末までに高齢者が確実に打ち終わることを首長さんが約束してくれれば、独自の優先枠を設けて打ってもらっても結構だと述べております。 自治体の裁量でできるとの考えも示されましたが、県として接種の優先順位をどのように考えているのか、知事の見解を伺います。 新型コロナウイルスワクチンをめぐり、7月末まで全国の高齢者約3,600万人の接種を完了させるとして、管首相が唐突に打ち出した1日100万回接種の目標が全国に波紋を呼んでいます。 本県の対象者は約72万人であります。7月中の接種完了を求められたことで、県内では8月以降の終了を予定していた市や町などの多くが計画の前倒しを余儀なくされました。 県内では4月に高齢者の接種が始まりましたが、6月7日時点では2回目の接種まで完了した人は約4%しかいません。7月までの約1か月半で残る96%の接種を迫られることになります。ただし、現在は相当進んでいるようであります。管首相の思惑どおりに事が運ぶかは不透明であります。 前倒しにより、自治体には新たな医師や接種会場の手配などが必要となりますが、現状に対する県の認識と政府が求める7月末完了の目標達成について、知事の見解を伺います。 次に、魚沼基幹病院について伺います。 魚沼基幹病院が、専門的ながん治療や患者の相談体制を備えているとして、国の地域がん診療連携拠点病院に指定されました。3市2町の魚沼医療圏域では初めてであります。 がんになった人が自分の暮らす地域で治療を受けられるよう、同院は今後も圏域内外の病院と連携し、医療体制やスタッフの技術研修を強化していく考えを示しています。 国は、どこに住んでいても質の高いがん治療を受けられる体制をつくろうと、これまで二次医療圏ごとに1か所、がん診療連携拠点病院等の整備を進めています。県内には魚沼医療圏をはじめ、二次医療圏が7つあり、今回の指定で県内9施設目となったものの、まだ指定された施設のない圏域もあることであります。この現状について、知事の見解を伺います。 高度救急医療を担う同院は、2015年6月の開院以来、がんの診療実績を積み、医療体制も整っているとして、今年3月末、国の地域がん診療連携拠点病院に指定されました。指定により診療報酬が上乗せされ、年間1,000万円から1,500万円の増収が見込めるとのことであります。 同病院によると、魚沼圏域内のがん診療の完結率は2019年時点で72.8%と、県の平均の86.2%に比べ10ポイント以上低くなっています。今回の指定を受け、圏域内の開業医や公立病院とも協力し、がんの相談支援や医療スタッフの教育を主導し、診療完結率の向上を図るとのことであります。 医療圏域内で暮らす住民にとっては、今後の魚沼基幹病院への期待が高まると考えていますが、知事の見解を伺います。 次に、財政改革について伺います。 県は、財源対策的基金が2022年度には枯渇する見込みとなることを受け、今後、歳入歳出の均衡を図るため、持続可能な財政運営に向けた行財政改革行動計画を令和元年10月に策定しました。年度平均で160億円の収支改革が必要とのことで取り組んでいるところであります。 今後、持続可能で安定的な財政運営を行うためには、本県の人口動態や歳入規模に見合った歳出構造への転換を早急に進め、収支均衡を図る必要があり、これまで以上の歳入歳出改革が急務であります。 そのため、自主財源である県税収入等の財源確保に向けた歳入対策に取り組むとともに、歳出全体で選択と集中をさらに徹底していくことが重要であると言われております。 庁内一丸となって取り組み、3年目となった現時点までの取組の成果をどのように認識しているのか、知事の見解を伺います。 また、行動計画の実行に当たっては、様々な取組項目に目標値を掲げ、年次ごとに目標値に達成したか否かを検証することが極めて重要であり、未達成の場合には原因がどこにあるのか深く検証し、次年度に生かすことが求められております。 知事をはじめとする職員給与の削減に長く依存することは極めて危険な手法とも言われ、期限は4年、あるいは長くても5年が限度と言われます。職員には、期限を明確に示して理解を得ることがなければ、真の改革は進みません。 継続的に改革を進められる項目へと随時見直しを行いながら取り組んでいく必要があると考えますが、知事の見解を伺います。 次に、県産材の需要拡大について伺います。 森林は国土保全、水源涵養等多面的機能の発揮により、我々の生活に大きな貢献をしています。また、戦後造林された人工林を中心に本格的な利用期を迎え、豊富な森林資源を循環利用することが全国的な課題となっております。 本県の森林資源も、人工林を中心に充実し、人工林の7割が標準的に伐採可能とされる45年生を超えています。 こうした中、県内の工務店などからは、今年の3月頃から外材製品の入荷がほとんどなく、新設住宅の受注を受けたにもかかわらず、工事着工ができないとの声が聞こえます。 要因の一つは、アメリカ経済の好調により木材需要が国内で消費されているためと言われております。 今こそ、県産材の需要拡大のチャンスと考えますが、現状認識と今後の取組方針について、知事の見解を伺います。 県内の素材生産量は、合板や木質バイオマス発電などの多様な木材需要に対応したことで近年増加傾向ですが、一方で製材用材は、住宅着工戸数の減少傾向も影響し、伸び悩んできています。 製材用材の需要は横ばいでありますが、最近の輸入材の減少から、国産材を利用する取組は拡大しています。 こうした県産材に対する多様な需要に応えていくために、川上から川下までの一体的な支援の継続はもとより、県産材の生産拡大により木材供給力を高めるための、新たな支援策が必要と考えますが、知事の見解を伺います。 園芸振興について伺います。 県の園芸作物の生産振興に向けて策定した、園芸振興基本戦略の取組目標達成状況を検証する検討会が先月行われました。 2024年までに販売額1億円以上の産地を2018年の51産地から倍増する計画でしたが、新型コロナウイルスの影響を受けて、2019年、2020年の実績は3産地の増加にとどまったことが報告されました。 県が報告した進捗状況は、2019年、2020年で1億円産地は新たに7産地増えた一方、コロナ禍で需要が落ちた花卉など4産地が1億円を下回ったとの報告でありました。 新型コロナウイルス感染終息後の新たな生活様式がどう変わるかは未定でありますが、消費者が安全で安心な生産者の顔の見える商品を選ぶことができるネット通販等は、今後も需要が増えると見込まれています。 目標達成に向けて販売戦略も今後は極めて重要と考えますが、県の課題認識と今後の取組方針について伺います。 米の消費が年々減少し、今後、米余りにより米価の下落も予想される中、農家にとって複合経営は所得安定に向けて取り組まなければならない課題であると認識しています。 一方で、園芸は天候に左右されるため、優れた知識と経験が必要とされ、稲作の片手間でやる意識では成功しないと言われています。 今後、県として、同じ目的を持った有志が集まり法人化して取り組む体制づくりの指導、支援を積極的に行っていくべきと考えます。 また、担い手不足解消と事業拡大には機械化の支援も大きなポイントと言われておりますが、園芸振興基本戦略に基づく今後の支援策について伺います。 最後に、米の先物取引について伺います。 米の先物取引を国内で唯一扱う大阪堂島商品取引所で、本県産コシヒカリの取引件数に当たる出来高が、昨年8月から前年同月を上回り続けています。 先物取引は、江戸時代に大阪堂島で誕生し、戦後の経済統制が実施されるまで約200年続いていました。2011年8月に関西商品取引所、現在の大阪堂島商品取引所などが試験上場し、72年ぶりに復活。2年置きに農林水産省から延長許可を受けています。 取扱銘柄は、本県産コシヒカリのほか、あきたこまち、宮城ひとめぼれなど5品種の米の先物取引を取り扱っています。 3月には県産コシヒカリの輸出米を対象にした取引も始まったと言われていますが、出来高が増加していることについて、知事の見解を伺います。 県産コシヒカリは2016年10月に取り扱いが始まりました。取引では25俵、約1.5トンを最小単位の1枚としています。本県コシヒカリの1か月当たりの出来高は昨年7月で1万2,775枚でしたが、8月には4万2,000枚に急増。その後も前年度を上回り続け、今年3月には最高の11万2,000枚であります。量にして16万8,000トンが売り買いされました。4月も10万枚超えをキープしています。 他県産では、あきたこまち、宮城ひとめぼれも2020年12月、取引が活発化していると言われています。 米先物取引は、最長で1年先まで価格が示されています。取引は銘柄を買った時点から値上がりしたタイミングで売り注文を出すなど、差額分を精算する差金決済が多いと言われています。 米価下落の不安が尽きない中、農業関係者には、価格を事前に固定できるメリットがあるという声もあります。実際に米先物取引を活用したのが、本県ではJA北蒲みなみであります。 今後は他のJAも活用すると思いますが、今後の県内での活用の見通しと併せ、県としてこの現状をどのように捉えているのか、知事の見解を伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 松原議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、医療再編における課題とその対応の方向性についてでありますけれども、県では、地域医療構想の実現に向けた今後の方向性の策定に当たりまして、県内の医療関係者と医療再編に関する議論を重ねてきたところです。 その中で、医療再編に関する合意形成の難しさや、再編対象となる病院の経営への影響などの課題について御意見を頂いており、医療再編を進めていくに当たっては、地域に必要な医療を持続的に提供していくための役割分担の在り方を十分に議論し、合意形成を図っていくことが極めて重要であると考えています。 このため、本年度以降、各圏域における将来的な人口動向や医療需要などのデータをお示しするとともに、機能再編に伴う経営上の課題の解決方法を模索するなど、各圏域の実情を考慮しながら、具体的かつ丁寧な議論を重ねてまいりたいと考えております。 次に、圏域内の病院の役割分担による体制づくりについてでありますが、将来にわたり、地域に必要な医療を持続的に提供していくためには、圏域内の医療機関の役割分担により、限られた医療資源を効率的に活用できる体制を実現していくことが重要であると考えています。 今後、各圏域において、地域の実情に応じた適切な役割分担の在り方を検討していくに当たっては、議員御指摘のとおり、地域医療を担ってきた市町立病院や民間病院の役割や機能について十分に議論しながら、合意形成を図ってまいりたいと考えております。 次に、地域医療構想における医師確保に関する課題認識等についてでありますが、将来にわたり新潟県の医療の質を確保していくためには、県全体として次世代を担う若い医師が集まり、育てることのできる環境を整備することが必要であると考えています。 そのためには、地域の中核病院等へ医師や症例数を集約し、都市部の大病院と比較しても遜色のない、住民だけでなく医療従事者にとっても魅力的な病院を残していくことが重要であり、今後、県民の理解を得ながら丁寧に取組を進めてまいりたいと思います。 これに加えて、引き続き、大学医学部地域枠の新設・拡充に取り組むとともに、魅力的な研修プログラム整備等への支援により、臨床研修医など若手医師の確保・定着に取り組んでまいります。 あわせて、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会なども十分に活用しつつ、実効性のある偏在対策につながる抜本的な制度改革の実現について、国に働きかけるなど、医師確保に全力で取り組んでまいります。 次に、医師の働き方改革に伴う休日・夜間救急への対応についてでありますが、2024年度から始まる医師の働き方改革は、医師の自己犠牲的な長時間労働により支えられてきた状況を見直すため国が進めているものであり、今後、この取組への対応と持続可能な医療提供体制の維持を両立していく必要があります。 特に影響が大きいと想定される休日・夜間の二次救急については、住民の安全・安心に直結する機能であり、確実に持続させなければならないため、各圏域内で過不足のない提供体制の構築が喫緊の課題であると認識しています。 県といたしましては、各圏域において、限られた医療資源の中核病院等への集約化をはじめ、時間帯や曜日等に応じた役割分担など、救急体制の充実・強化に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。 次に、県内大学生の就職支援についてお答えいたします。 コロナ終息後を見据えた県内企業による採用の維持・拡大についてでありますが、景気が好調に推移しているときに限らず、先行きの見通しが不透明な場合であっても、優秀な学生を計画的に採用していくことは、議員御指摘のとおり、若者の働く場を確保するとともに、県内企業が将来にわたって持続的に成長していく上で極めて重要であると認識しています。 国では、これまでも経済団体に対し、新規卒業者の採用維持・促進について働きかけを行っているところであり、県といたしましても、労働局と連携しながら、新規学卒者の県内企業への就職促進を支援してまいります。 次に、特定地域の活性化についてお答えします。 まず、特定地域における課題認識と支援の方向性についてでありますが、過疎地域をはじめとする特定地域は、食料、水及びエネルギーの安定的な供給、自然災害の発生の防止、自然環境の保全など多面にわたる機能を有し、国民の生活に豊かさと潤いを与え、国土の多様性を支えているものと認識しています。 その一方で、こうした地域においては、都市部と比較して人口減少、高齢化など厳しい社会経済情勢が長期にわたり継続し、集落機能の低下や地域づくりの担い手不足といった課題が顕在化してきております。 県といたしましては、条件不利地域でも住み続けたいと思う人が住み続けられるよう、現場の声に耳を傾けながら、地域の実情に応じた施策を総合的に実施してまいります。 次に、特定地域の活性化のための取組についてでありますが、議員御指摘のとおり、今年4月に施行された過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法では、持続可能な地域社会の形成や、地域活力のさらなる向上が実現するよう取り組むとの新たな過疎対策の理念が示されています。 県といたしましては、こうした理念を踏まえ、本年8月を目途に過疎地域持続的発展方針を策定し、過疎対策の主体である市町村の取組を後押しすることとしております。 特に、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、人や企業の地方分散の流れが生じつつあることを踏まえ、移住・定住・地域間交流の促進などの施策を中心に、市町村と力を合わせて、地域の活性化のための取組を進めてまいります。 次に、新型コロナワクチン接種についてお答えします。 まず、ワクチンの接種順位についてでありますが、議員御指摘のとおり、国は、7月末までに高齢者の接種が完了する見込みであれば、市町村独自の接種順位を尊重するとしたところです。 県といたしましては、市町村長が、感染リスクや感染した場合の社会的影響などを考慮の上、地域の実情に応じて適切に判断されるものと考えています。 次に、高齢者接種の7月末完了の目標達成についてでありますが、当初は、医療従事者や会場の確保とともに、国によるワクチン供給の見通しが不明であったことが課題となっておりました。 一方で、4月28日に全市町村長に参加いただき開催した新型コロナウイルス感染症対策本部会議の中で、7月末に高齢者のワクチン接種を終えるという目標に合意いただいたところです。 その後、市町村において日々御努力いただくとともに、県でも、医療従事者とのマッチングや大規模接種会場の設置など様々な対応を行い、現状では、目標達成できる見込みと認識しております。 次に、魚沼基幹病院についてお答えします。 まず、県内のがん診療連携拠点病院等の現状に関する見解についてでありますが、本県においては、県央医療圏が、拠点的病院が整備されていない空白圏域となっているものの、現時点では、隣接する新潟医療圏、そして中越医療圏のがん診療連携拠点病院を中心に診療機能を補完することにより、必要な医療サービスが提供されているものと認識しております。 なお、新潟県がん対策推進計画では、この空白圏域を減少させることを目標としており、今後、県央基幹病院の整備に合わせて、さらなる指定を目指して検討してまいります。 次に、魚沼基幹病院の地域がん診療連携拠点病院への指定についてでありますが、今回の指定は、魚沼基幹病院への急性期機能の集約化による、これまでの手術件数などの診療実績や、医師・看護師などの診療従事者の育成状況が評価され、魚沼医療圏で初めて指定を受けたものです。 運営財団では、新潟大学医歯学総合病院や圏域内外の病院と連携を図り、併せて、診療体制の充実や診療従事者に対する研修の強化に取り組んでいるところであり、県といたしましても、地域住民からの期待に応えていけるよう、引き続き財団の取組を支援してまいります。 次に、財政改革についてお答えいたします。 まず、行財政改革の取組成果に対する認識についてでありますが、これまでの行財政改革の取組により、令和3年度当初予算においては、令和元年度に比べ164億円の収支改善となるなど、一定程度の進捗が図られたところですが、今後、令和13年度をピークとする公債費の実負担の大幅な増加が見込まれることから、中長期的な財政運営の安定化に向け、引き続きさらなる歳出歳入改革に取り組む必要があると考えております。 そのため、引き続き、国に対し、地方一般財源総額の確保や本県の実情に応じた地方交付税措置などを要望するとともに、事業の選択と集中をさらに徹底しつつ、本県の中長期的な成長・発展に向けた取組や、その他の産業振興等の取組といった税源涵養にもつながる施策を推進するなど、歳入・歳出両面にわたり、しっかりと取り組んでまいります。 次に、行財政改革の検証や取組項目の見直しについてでありますが、これまで、歳入面では行動計画に掲げた項目について最大限取り組むとともに、歳出面においては、部局枠予算のマイナスシーリングなど、一定の目標値を設定して事業の選択と集中に取り組んでまいりました。 その結果、本年2月に公表した中期財政収支見通しでは、行動計画の目標である令和5年度における収支均衡は達成できる見込みとなりましたが、今後、先ほど申し上げましたように、令和13年度をピークとする公債費実負担の大幅な増加が見込まれており、このため、さらに単年度当たり20億円から30億円程度の収支改革が必要となっております。 今後、改革を進めるに当たっては、最新の経済指標や国の地方財政措置等を踏まえ、中期財政収支見通しを適正に見直しつつ、給与の臨時的削減といった緊急避難的な措置に頼らずに安定的な財政運営が実現できるよう、当初予算編成の中で具体的な対応の検討に取り組んでまいります。 次に、県産材の需要拡大についてお答えします。 まず、県産材需要についての現状認識と今後の取組方針についてでありますが、全国的に、輸入木材の価格高騰や供給不足が発生しており、県内においても、工務店やハウスメーカーでは木材製品の入荷遅れや価格上昇が、また、製材工場では原木などの入荷遅れが見られる状況であり、県産材への代替需要が高まっているものと認識しております。 県といたしましては、県産材の供給を拡大するため、県行造林地において木材の増産を進めるとともに、農林公社や森林管理署、県内の素材生産事業者に増産を働きかけております。 あわせて、県産材の安定的な生産・供給が一層求められていることから、川上から川下までのそれぞれの事業体が連携できる関係構築を支援することにより、県産材の生産・供給能力を高めてまいりたいと考えております。 次に、県産材の供給力拡大に向けた施策についてでありますが、近年の県内の素材生産量は、議員御指摘のとおり増加傾向にありますが、長期的には減少しており、近隣県に比べ減少幅が大きくなっています。 これは、本県のこれまでの施策が、県産材の川上・川中・川下それぞれの事業体への支援や指導・助言にとどまることが多かったことや、間伐など森林整備に重きを置いて、産業育成の観点が弱かったことなど、戦略性が不足していたものと考えています。 このため、森林・林業の関係者や地域づくり、教育などの団体の皆様を委員とする検討委員会を設置し、森林資源を活用した林業の成長産業化や中山間地域の維持・発展に取り組む指針となる戦略の策定に向けて、議論をスタートさせたところです。 この中で、合板用材、バイオマス燃料材に加えて、いわゆるウッドショックによる製材用材の需要が拡大している状況も踏まえ、多様な需要に対し安定的に県産材が供給されるよう効果的な施策について検討してまいりたいと思います。 次に、園芸振興についてお答えします。 園芸振興基本戦略の目標達成についてでありますが、議員御指摘のとおり、基本戦略の目標達成には販売促進の取組は重要であり、生産拡大に向けた販路開拓はもとより、社会情勢の変化による新しい生活様式への対応も課題であると認識しております。 県といたしましては、販売対策として、複数産地が連携した新たな市場開拓や、観光業界と連携した県産園芸品目の利用拡大等に加え、オンライン販売事業者とのマッチングによる販路の確保を推進するなど、園芸に挑戦する産地の多様な取組を、生産対策と併せて一貫してサポートしてまいります。 次に、米の先物取引についてお答えします。 まず、米の先物取引の出来高の増加についてでありますが、先物取引は将来の売買価格を現時点で決める取引であり、利用の仕方によっては、価格変動のリスクを回避できるものと承知しております。 昨年8月以降、先物取引の出来高は増加しておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響を中心とした米の需要減少に伴う価格の低下が顕著となり、さらなる値下がりリスクを回避するための一つの動きではないかと考えております。 次に、県内での米の先物取引の活用の見通しと、県としての考え方についてでありますが、近年の米需要が減少傾向にある中、新型コロナウイルス感染症の影響が今後も継続し、米価の先安感がある中では、リスクヘッジとしての先物取引の出来高は当面、従来より高い状態が続くのではないかと考えています。 また、米の先物取引は、利用の仕方によってはメリットもありますが、あくまでも多様な販売チャネルの一つであり、生産者や集荷団体など活用する主体がその機能や利点を十分理解した上で、判断すべきものと考えております。   〔総務管理部長森永正幸君登壇〕 ◎総務管理部長(森永正幸君) お答えいたします。 県内大学生の就職状況と今後の取組についてでありますが、新潟労働局の調査では、県内大学卒業者の本年4月時点での就職率は、前年同期を2.4ポイント下回っているものの、95.8%となっており、近年の就職状況と同程度となっております。 一方、これまで減少傾向にあった県内大学生等の県内就職率は9年ぶりに前年を上回っております。 県といたしましては、こうした状況を一過性のものとしないよう、学生の県内企業に対する理解をより深めるために、県内産業や企業に関する大学での講義や、県内企業へのインターンシップの推進などに継続して取り組むとともに、若者に魅力ある良質で多様な雇用の場の確保を図り、県内大学生の県内就職率の向上につなげてまいりたいと考えております。   〔農林水産部長小幡浩之君登壇〕 ◎農林水産部長(小幡浩之君) お答えします。 園芸振興基本戦略に基づく支援策についてでありますが、議員御指摘のとおり、園芸の導入・拡大には、園芸に取り組む体制づくりや省力化などが重要であることから、基本戦略では、稲作主体の農業者への園芸導入や法人化、機械化などを推進することとしております。 県といたしましては、法人化に向けた外部専門家と連携した経営計画策定等の支援、水田や育苗ハウス等を活用した園芸導入への機械化支援に引き続き取り組むとともに、先行した産地の取組事例等を周知することで意欲を一層喚起しながら、関係機関・団体が一体となって、園芸に挑戦する農業者や産地を伴走型で支援してまいります。 ○議長(桜井甚一君) 松原良道君の質問は終わりました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(桜井甚一君) これにて本日の一般質問は終了いたしました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(桜井甚一君) お諮りいたします。 次会は、6月21日午前10時から開くことにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(桜井甚一君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、明6月19日及び6月20日は休日のため、本会議を休会といたします。   ――――――――☆―――――――― ○議長(桜井甚一君) 本日の議事日程は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 △午後5時2分散会...