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03月02日-一般質問-04号

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  1. 新潟県議会 2016-03-02
    03月02日-一般質問-04号


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    平成28年  2月定例会 本会議平成28年3月2日(水曜日)  議事日程 第4号    午前10時 開議第1 県政に対する一般質問   ―――――――――――――――――本日の会議に付した案件 日程第1 県政に対する一般質問(高橋直揮君、笠原義宗君、中村康司君、小山芳元君、志田邦男君、渋谷明治君)   ――――――――☆――――――――出席議員(51名)          中村 康司 君  松原 良道 君  笠原 義宗 君  高橋 直揮 君          宮崎 悦男 君  青柳 正司 君  矢野  学 君  石塚  健 君          横尾 幸秀 君  皆川 雄二 君  小林 一大 君  冨樫 一成 君          佐藤 卓之 君  楡井 辰雄 君  小島  隆 君  佐藤  純 君          桜井 甚一 君  西川 洋吉 君  岩村 良一 君  沢野  修 君          斎藤 隆景 君  金谷 国彦 君  早川 吉秀 君  尾身 孝昭 君          柄沢 正三 君  中野  洸 君  小野 峯生 君  帆苅 謙治 君          渡辺 惇夫 君  石井  修 君  三富 佳一 君  星野伊佐夫 君          藤田 博史 君  佐藤 伸広 君  小島  晋 君  秋山三枝子 君          高倉  栄 君  上杉 知之 君  大渕  健 君  長部  登 君          小山 芳元 君  安沢 峰子 君  志田 邦男 君  渋谷 明治 君          青木太一郎 君  佐藤 浩雄 君  片野  猛 君  小島 義徳 君          佐藤 久雄 君  重川 隆広 君  池田千賀子 君   ―――――――――――――――――議員以外の出席者 知事            泉田 裕彦 君 副知事           森  邦雄 君 副知事           寺田 吉道 君 副知事           北窓 隆子 君 知事政策局長        佐久間 豊 君 総務管理部長        植田 拓郎 君 県民生活・環境部長     丸山 由明 君 防災局長          山田 治之 君 福祉保健部長        岡  俊幸 君 産業労働観光部長      池田 幸博 君 農林水産部長        目黒 千早 君 農地部長          石川 善成 君 土木部長          高橋  猛 君 交通政策局長        桐生 裕子 君 会計管理者兼出納局長    本間 俊一 君 病院局長          若月 道秀 君 企業局長          早福  弘 君 教育長           高井 盛雄 君 選挙管理委員会委員長    長津光三郎 君 人事委員会事務局長     嶽岡 方子 君 警察本部長         山岸 直人 君 労働委員会事務局長     大橋 直樹 君 監査委員事務局長      名古屋祐三 君   ――――――――☆―――――――― △午前10時開議 ○議長(尾身孝昭君) これより本日の会議を開きます。   ――――――――☆―――――――― △日程第1 県政に対する一般質問 ○議長(尾身孝昭君) 日程第1、県政に対する一般質問を行います。 順次、発言を許します。 まず、高橋直揮君の発言を許します。高橋直揮君。   〔高橋直揮君登壇〕(拍手) ◆高橋直揮君 おはようございます。自由民主党の高橋直揮です。通告に基づき、順次質問を進めてまいります。 まず初めに、これまでも多くの議論がされてきました人口減少・少子化問題であります。 知事は、10年前に作成した「夢おこし」政策プランの中で、おおむね10年後を見越して、避けるべきシナリオとして、人口減少と少子高齢化の進展を示しておりました。 それから実際に10年の月日がたち、現在の状況を見てみますと、平成27年国勢調査の結果では我が県の人口は戦後最少を記録し、減少数、減少率ともに過去最大を記録いたしました。我が県の人口は、230万人を割ろうとしております。減少率は全国平均よりも高く、近隣の他県、石川、長野、富山、群馬などと比較しても上回っており、人口流出に歯どめがかかっていない状況が続いております。 本県としても、あらゆる施策や取り組みを行っておりますが、人口減少対策の成果が見えてくるのは当分先であると思われます。人口が減少することから、経済や教育、福祉も含め、さまざまな分野にまで多くの影響を及ぼすことは御承知のとおりであります。 泉田知事の就任当初である10年前、県の最上位計画である「夢おこし」政策プランの策定時を振り返り、検証した際に、人口減少対策として早くから検討・実施することが必要であったと考える施策は何か伺います。 ここ数年で、政府としても、我が県としても、人口減少対策少子高齢化対策を施策の柱として掲げ、具体的な目標設定や取り組みを行っているところでありますが、課題や原因などは多岐にわたります。 その課題や原因の全ての分野に、あらゆる検討をしていくべきであると考えますが、今年度から実施されている少子化対策モデル事業について、現在まで46件の事業を選定していると聞いております。事業実施後、半年ごとに事業者から進捗を確認するとのことですが、平成27年7月より実施されていることから、この3月で半年以上が経過しています。知事として、この事業からどのような成果を求めていくのか、目標設定等について伺います。 事業の開始後、現在までの進捗状況と効果について伺います。 また、新年度予算に計上されている「あなたの婚活」応援プロジェクトコンピューターマッチングについて、いよいよ出会いもデジタル化された感もありますが、このシステムを活用してどのように出会いの場を創出していくのか伺います。 少子化の原因として、晩婚化に伴う晩産化が進んでおります。また、ことしに入ってからも、報道等でも頻繁に取り上げられております。もちろん何歳で出産するかという判断は個人の自由でありますが、若い男女を初めとし、対象者の年齢に応じて、妊娠・出産に関する情報提供や知識の普及啓発は必要であると考えます。 日本の男女は、国際的に見ても、妊娠や出産に関する知識が不足しているとされますが、男女ともに加齢に伴い子供をつくる能力が弱まり、妊娠や分娩のリスクや出生時のリスクが増加するという事実を、学校教育など、早い段階で認識してもらうことが必要であると考えます。 内閣府の「若年層の結婚観と家族形成」という分析の結果、多くの方は結婚して子供を持つことを望んでおり、その点では、いかに結婚が成立するかが重要になります。まずは安定的な所得が確保されることがその必要条件であるとし、また、先ほどもお話ししたとおり、女性の妊娠しやすさを意味する妊よう性については、今まではよく知らなかったとする回答が多く見られます。早く知りたかった、もっと早く知っておけばよかったといった声も多く聞かれ、子供を持つことをほとんどの方が希望していることから、妊よう性の知識が普及していれば、晩婚化の傾向にストップをかけられるかもしれないという分析が公開されております。 男女ともに医学的に妊娠・出産に適した年齢があり、年齢が上がるにつれてさまざまなリスクが伴うという医学的知識の普及等についてどのように考えるか、また、県の取り組みについて伺います。 近年の我が国においては、結婚年齢、妊娠・出産年齢の上昇や、医療技術の進歩に伴い、体外受精を初めとする不妊治療を受ける方が年々増加してきていますが、一方で、年齢が高くなるほど、不妊治療を行ったとしても出産に至る確率が下がることも明らかになっております。 不妊治療を受けた方の中には、このような事実を知らなかったことから、妊娠・出産の時期をおくらせた結果、不妊治療を受けることになった方や、治療の開始がおくれて、その効果が出にくくなった方も多くいると言われております。 女性の雇用機会がふえ、仕事を優先し、妊娠・出産は後回しにするという傾向が強まり、こうしたライフスタイルの変化の結果、医学的な妊娠・出産適齢期と現実とのギャップが広がったのではないかと考えられます。 このような現実を踏まえ、出産適齢期の世代に医学的な正しい認識を深めることと同時に、学校教育の場でも妊娠適齢期についての教育を進めることが重要であると考えます。 人口減少・少子化が進む中、今後を担う若年層に対し、今までは望まない妊娠や避妊といった性教育としての分野の教育が多くを占めていたと考えますが、加齢とともに妊娠しづらくなるといった医学的知識を学校教育の場でも教えることが、生徒にライフプランを考えさせる上でも重要であり、また、結果として少子化対策の一つになるとも考えますが、知事、教育長のそれぞれの所見を伺います。 今後の検討が必要である分野であるとは思われますが、千葉県浦安市では、女性のライフスタイルの変化に対応することや、晩婚化が進むことを考慮し、少子化対策として卵子を凍結保存する試みを始めました。費用は税金で助成するとのことであり、今年度から3年間、補助金計9,000万円を出し、凍結した卵子は45歳までに妊娠することを前提とし、維持費は補助金で賄われるそうであります。 また、これとは別に和歌山県では、少子化対策として不妊治療のうち、高額な特定不妊治療について、自己負担をこれまでの7割程度の負担から3割程度まで大幅に減らすために、新年度予算案に助成費用を盛り込むことを決め、少子化を食いとめるため手厚い補助が進められようとしております。 他県の自治体において、卵子凍結保存に対して助成するといった専門的な医学分野での少子化対策の試みが進められておりますが、こうした取り組みに対する見解を伺います。 また、不妊治療には多額の費用がかかることから、本県においても不妊治療に対し継続して助成を行っております。新年度には不妊治療費助成事業を拡充される計画ですが、これまでの制度利用の推移と、その変化の要因について伺います。 少子化対策に伴う施策や医学的認識など、主に女性に向けられた施策や提案が多くを占めておりますが、男性に対しても適齢期があると言われております。新年度は、男性の不妊治療費助成の拡充を計画されておりますが、男性不妊治療費助成に対しての認識と、その助成の必要性について伺います。 この項目の最後に、人口減少が著しいから、少子化が加速しているから、若者は早く結婚して子供をたくさんつくれという産めよふやせよではなく、さまざまな条件を整え、子供を産み育てやすい状況をまずはつくり出すことが必要であると考えます。 また、少子化の話であれば、これまでふやす対策についての質問ばかりをしてきましたが、必ずしも子供がいなければ幸せになれないというものではなく、それは人それぞれの選択があってもいいはずです。 子供を産むことが思い描くライフワークの本心なのか、それとも誰かの期待を背負ったものなのか、肉体的に大きな変化を余儀なくされ、幾つもの選択機会に直面する出産適齢期の前後の世代には、しっかりと考える環境が必要であり、その正しい認識と情報をもとに、若者に考える機会を創出していただけるよう要望し、この項目を終わります。 次に、エネルギー政策について伺います。 本年2月12日に原子力規制委員会は、柏崎刈羽原子力発電所の6、7号機の地震・津波等に関する審査会合にて、敷地内のF5と呼ばれる断層について、将来活動する可能性がある断層ではないとする東京電力側の主張を認めました。既に敷地近くの断層も活動性がないと認められており、これまで大きな争点であった断層の議論も終結したと考えます。 適合性審査の申請の基本設計である原子炉設置変更許可申請での残された課題としては、斜面の安定性の確認など、審査項目も少なくなってきている状況であります。今後、新規制基準への適合性審査のスケジュールとして、大まかには、詳細設計である工事計画認可申請、補正書申請から使用前検査といった内容となり、早ければ28年度内には判断がされるところまで進むと考えられます。 知事は、過去の御答弁では、適合審査について、第一義には原子力規制委員会が責任を持って対応するべきことと考え、対応に疑問が残る場合には、県の安全管理に関する技術委員会で議論するとの答弁でしたが、このたびの断層に活動性がないと認められたことについて、知事はどのような評価をされているか伺います。 日本のエネルギーの現状から見直せば、現在9割は化石燃料に頼っている状況であり、その影響から輸入額の増加分も3兆円を超え、貿易赤字の大きな原因となっております。円高効果も加わることから、4兆円近くになるとも言われ、電気料金も上がりつつある状況が続いています。さらに、地球温暖化の原因であるCO2排出量もふえ続けております。 昨年9月定例会での私の質問、火力発電所が増加したことによって、国内の温室効果ガス排出量は大きく増加している状況についてどのように考えているのかとの質問に対し、知事は、主に火力発電所の増加によるものと考える。地球温暖化防止の取り組みは、次の世代に安全で快適な環境を引き継いでいく上で極めて重要であると認識しており、今後は温室効果ガス排出量の削減に向けて一層取り組む必要があるとの答弁をいただきました。 東日本大震災後、原子力発電所が停止したことから、火力発電所の増加によって温室効果ガス排出量が増加していることを認めておりますが、削減に向けてどのような方針で取り組みをされるのか伺います。 知事は、本県の重要課題である柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に対し、福島事故の検証と総括が必要とし、現在も安全管理に関する技術委員会にて議論を進めておりますが、重要と考える6つの課題、地震動による重要機器の影響、海水注入等の重大事項の意思決定、東京電力の事故対応マネジメントメルトダウン等の情報発信のあり方、高線量下の作業、シビアアクシデント対策、以上の課題に分け、専門的な分野で進め、2年を経過しているところであります。 既に議論も相当程度の進捗を経過したのではないかと考えられますが、その中でもいまだ、海水注入等の重大事故の意思決定、東京電力の事故対応マネジメントメルトダウン等の情報発信のあり方、以上3項目について、知事のイメージしているところまで踏み込めていないように感じられますが、安全管理に関する技術委員会で行っている福島原発事故の検証と総括について、現在までの進捗状況として、知事は何割程度まで検証と総括がなされたと考えるか伺います。 高線量下の作業の課題に関しては、安全管理に関する技術委員会として提言を取りまとめ、議論も収束したと考えられるため、今後は課題として取り扱わないこととなるかと思われますが、知事の発言で常々課題として取り上げられるメルトダウン等の情報発信のあり方について、ことし1月25日に行われた内外情勢調査会での講演の中でも、事故発生時の翌日にはメルトダウンが起きていたにもかかわらず、東京電力はその状況をすぐに公表せず、結果、公表したのは事故から2カ月後であったとのお話をされております。 また、この2月24日には、東京電力の当時の社内マニュアル上にて、炉心損傷割合が5%を超えた際、炉心溶融と判断することが明記されていたことが明らかになりました。技術委員会にて事故当時の経緯を説明する中で、社内マニュアルを十分に確認せず、炉心溶融を判断する根拠がなかったと誤った説明をしていたことが判明し、このような報告が現在になってされることによって、信用を損なう原因になっていることも事実であります。 しかしながら、技術委員会でのメルトダウン等の情報発信のあり方での議論での進捗によって、事実関係や検証結果が明らかになってきていると感じると同時に、今後さらに議論し、調査する必要もあるとも感じました。 メルトダウン等の情報発信のあり方について、あらゆる側面から検証することは重要であると考えますが、この問題の議論の出口として、知事のイメージしている結論はどのようなものなのか伺います。 また、昨日の報道にもありましたとおり、福島第一原発が津波で浸水する可能性について予測できていたはずなのに適切な措置をとらなかったとして、旧経営陣が業務上過失致死の罪に問われています。 津波高の試算に関してさまざまな見解や指摘がされておりますが、政府事故調の調書聞き取りは772人行い、現在246人の調書の公開を行っております。しかしながら、今回起訴された旧経営陣は公開を行っておりません。 調書のヒアリングに関しては、会社ではなく、個人に対して行ったヒアリングであり、誰が、どのようなことを聴取されたかは公開しないという前提で行われております。政府事故調が公開しないことを前提としてヒアリングした個人の調書をどこまで必要とするのか、公開することの目的や、仮に公開された際にどのように活用しようとするのか伺います。 安全確保が大前提であることは当然であります。事故で明らかになった課題に1つずつ対策を考えるのも当然であります。それらを丁寧に議論し、情報共有した上で、安全・安心を県民が認識するまで事故の検証は必要であるとも私も思います。 しかしながら、原発の必要性も含めた本県のエネルギー政策に対しての新潟県知事としてのスタンスが明確でない限り、この議論を続けることから、どの出口に向かって進んでいくのかが見えていないと感じております。 新潟版グリーンニューディール政策もぜひとも進めていただき、環境問題への対応や産業振興にも役立てていただきたいとも考えますが、政府として取りまとめたエネルギー基本計画について、政府として責任を持って進めていく中、本県は今後どのように柏崎刈羽原発と向き合っていくのか、燃料調達費や温室効果ガス、電気料金の値上げなど、我が国のエネルギーをめぐる課題は、国民、県民の日々の暮らしや経済の活力にとって非常に重要であります。 知事の任期最後の年になりますが、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働について、現在どのようにお考えなのか、また先日、知事は4選出馬を表明されましたが、4期目となる知事選挙の際に、そうした考えを選挙戦の争点として臨まれるのかを伺います。 以上でこの項目を終わります。 次に、社会的養護を必要とする児童について伺います。 近年の児童虐待の相談対応件数は年々増加を続けている状況であり、その推移は右肩上がりで推移しております。 本年1月には、東京大田区で、母親の交際相手から虐待を受け、3歳の児童が死亡しました。母親は、自分の子供が虐待を受けて、症状が悪化したにもかかわらず、交際相手にとめられ、病院に行けなかったと説明しています。 大阪では、生後2カ月の子供を泣きやまないという理由で持ち上げ、落下させ、その後、頭を強く揺さぶり、死亡。またこの2月には福岡県久留米市にて、金魚の死骸30匹以上を娘に強引に食べさせ、火のついたたばこを舌に押しつけるなど、猟奇的虐待が繰り返された事件。環境は違いますが、保育士が大量のワサビをつけた鳥の空揚げを園児の口に押し込み、泣きながら食べる児童の動画を撮影するなどして逮捕された事件など、ことしに入ってからも悲惨な事件が後を絶ちません。 以上のようなさまざまな状況下から、虐待などにより、地域や家庭から離れて生活を余儀なくされた子供たちなど、保護を要する児童への支援について、社会福祉法第6条並びに児童福祉法第2条、第3条には地方公共団体の責務が明記されています。本県として、どの程度取り組みが進んでいると考えるか伺います。 また、児童養護施設や乳児院において、虐待または家庭環境、その他のさまざまな理由で児童が入所していると聞きますが、本県における近年の入所児童数の推移とその特徴について伺います。 話は変わりますが、法律で策定が義務づけられている障害福祉計画老人福祉計画など、2009年度から2014年度、2期6年分を作成していなかったことが報道されました。この一連の件に関して、知事は今議会で、二重の意味で遺憾であるとの答弁をされております。 しかしながら、法定の計画ではありませんが、ほかにも、このような策定が遅延している計画があります。地域や家庭から離れて生活している子供たちの支援、すなわち社会的養護にかかわる計画であります。 厚生労働省雇用均等児童家庭局長通知、平成24年11月30日発出及び厚生労働省雇用均等児童家庭局家庭福祉課事務連絡、平成25年7月23日発出により、平成27年3月末までに策定することとされている、家庭的養護の推進に向けた都道府県推進計画が、ことし2月の段階でいまだ策定されておりません。現時点での状況について、説明を伺います。 担当部局の所見として、国の通知で策定することとされている都道府県推進計画を策定していない理由と原因が存在していると考えているか伺います。 平成27年9月現在での厚生労働省公表において、全国で策定されていないのは、都道府県として本県と千葉県、富山県、奈良県、政令市として千葉県千葉市、新潟県新潟市、神奈川県横浜市の7つの県・市であります。その後、千葉県千葉市は策定されました。この件を新潟市に聞いたところ、新潟県に合わせるとの回答であり、本県としても速やかな対応が求められます。 社会的養護を必要とする児童への養育並びに自立支援等について、本県においても虐待相談対応件数は増加しており、児童養護施設や乳児院等への支援は、少子化や人口減少の観点からも重要であると考えますが、所見を伺います。 子供の貧困についても、28年度予算案に、ひとり親家庭への支援として取り組みの拡充が予定されておりますが、現在は6人に1人が貧困状態であり、ひとり親家庭の2人に1人が貧困に陥っています。平成26年1月に子どもの貧困対策推進法が施行され、同年8月には子供の貧困対策に関する大綱が策定されました。 社会的養護を必要とする児童は、その地域や家庭から離れなければならないほど深刻な状況のため入所し、現在は18歳を超えても退所できずにいる児童もふえてきていると聞いております。場合によっては、20歳を超えても施設での生活支援が必要な児童もいます。 子供の貧困対策の取り組みは、このような状況にならないための予防の一つであると考えます。県では、子どもの貧困対策推進計画検討委員会を開催し、計画の策定に向けて検討しているところですが、平成28年度に向け、どのような取り組みを考えているのか伺います。また、本県の子供の貧困の実態把握についてどのように行うのか、あわせて伺います。 また、今後6年をかけて子どもの貧困対策推進計画を進めるとのことでありますが、現在考える目標数値と地方公共団体の責務についての所見を伺います。 平成23年に、児童養護施設等から大学等に進学した者の20歳以降から卒業するまでの間の生活費の確保について、学業半ばで20歳以降、措置解除になった場合、家庭復帰等が困難な場合は、学業が終了するまでの間、引き続き施設から通学させて差し支えないとされております。しかしながら、措置解除後、卒業までの間の生活費の保障はなく、多くの場合、自助努力で蓄えた貯金を充てるか、アルバイトなどをしている状態です。 児童養護施設から大学等に進学する児童への配慮についての措置は、志を持って進学し、卒業、自立を目指している児童等の生活や自立を支援する措置であると考えますが、さまざまな事情がある施設の児童は、施設を退所した後においても当然ながら家庭に頼ることができない環境であり、生活等の保証人として責任を持つ身内も少ないことから、生活が厳しい状況に置かれることが多いと耳にしますが、施設を退所した後の手だてとして、本県として何らかの支援が必要であると考えますが、所見を伺うとともに、考えられる対応策について伺います。 社会的養護を必要とする児童やその家庭に対し適切な支援を行うためには、児童相談所、市町村、児童福祉施設等が連携を行うことが必要であると考えます。児童虐待への対応はもとより、虐待の未然防止、予防、家族再統合に向けての取り組みについても、市町村や児童相談所は重要な役割を担っていると考えます。 現在の市町村や児童相談所等の連携体制について伺います。また、今後の連携体制の強化に向けた所見を伺います。 この項目の最後に、昨今、少子化が大きな問題となる中で、来年度予算案を見てもわかるとおり、ともすれば目新しい子育て支援、婚活支援の取り組みばかりが注目されがちです。しかし、虐待や貧困、親との死別など、苛酷な環境にある子供たちに手を差し伸べること、子供たちが未来を切り開くチャンスを奪われることのない社会をつくることこそが、我々大人の責務なのだと思いますし、少子化の観点からも重要なことではないかと考えます。 脚光を浴びることは少ないかもしれませんが、日々こうした仕事に地道に取り組んでおられます行政や施設で働く方など、関係者の方々に改めて感謝の言葉を申し上げ、この項目を終わります。 最後に、2030年冬季オリンピック招致について伺います。 2020年東京オリンピック開催が決定した2年半前、日本国中に大きな感動と喜び、そして期待感に満ちあふれたのは御承知のとおりです。東京オリンピック開催へ結びつけたのは、官民一体となって展開された招致活動が成果に結びついた大きな要因であると思います。 御承知のとおり、本県は雪資源が豊富なことに加え、各市町村の取り組みや民間企業の存在によって、ウインタースポーツへの関心が高い県民であると認識しております。 2030年冬季オリンピックについて、県内の団体から要望されているところですが、要望を踏まえ、招致について知事はどのようにお考えか伺います。 本県のウインター産業に関して言えば、これまでは内需によって成長を続けた産業ではないかと考えられますが、今後はインバウンドも含め、ウインター産業を復活させることにより、本県に対しての経済効果を上げる重要なツールになるかと思われます。そして、飛躍的に経済効果を高めるきっかけになり得るのが新潟オリンピックなのではないかと考えます。 さて、オリンピック同様、大規模な冬季スポーツイベントとして記憶に新しいのが、去る2月13、14日の両日、湯沢町苗場スキー場で開催されたアルペンスキーワールドカップです。県内での開催は41年ぶりと、久しぶりの地元開催となりましたが、国内外1万人余りの観戦客が訪れるなど、盛況のうちに大会を終えました。今回、この大会を成功させた経験は、県内の大会関係者にとっても重要な財産になることと思います。 そこで、この成功を冬季オリンピック招致に向けた全県的な機運醸成等につなげていくことが重要であると考えますが、知事の所見を伺います。 ただ大きなイベントを行うことから交流人口をふやし、一時的な経済効果を狙うのではなく、新潟オリンピックを開催することから生まれる遺産を未来に向け生かすこと、県民が誇りを持ち、子供たちがオリンピックを目指し、そして世界に日本の中の新潟を発信することから、新しい新潟県を創造できるのではないかと考えます。 この夢に向けてお力をいただけますよう強く要望申し上げ、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 高橋議員の一般質問に順次お答えをいたします。 まず初めに、人口減対策として早くから実施する必要があったと考える施策は何かとお尋ねをいただきました。 県では、平成18年4月に庁内に少子化対策戦略検討チームを設置いたしました。現在の人口問題対策につながる施策フレームのもと、取り組みを進めてきたところであります。 しかし、人口ビジョンでお示しをしたとおり、本県の人口動態を分析いたしますと、過去最大の社会増が続いたとしても本県の人口減少には歯どめがかかりません。 このため、自然減対策のさらなる強化・拡充が必要であるというふうに考えております。出生数の増減に影響のある施策は残念ながら地方政府には決定権がない、国に決定権があるという状況でありまして、地方政府の取り組みだけでは限界があります。 本年度から開始した少子化対策モデル事業のように、国に効果的な施策提言を行っていくための施策を早くから進めておく必要があったというふうに考えております。 次に、少子化対策モデル事業の目標設定等についてであります。 子供を持つこと、これは個人の人生観や価値観にも関する問題であることから、行政が子供の増加数を目標にすることは避けるべきであると考えております。 モデル事業は、結果として、事業に係る経費と将来の税収などのバランスを踏まえ、持続可能な財源確保ができるかどうか検証していくことが必要です。この制度設計を行うことが成果になると考えております。 検証結果を踏まえまして、有効な少子化対策とその財源確保のあり方について、国に対して政策提言してまいりたいと思います。 次に、妊娠・出産に係る医学的な知識の普及啓発等についてでありますが、安心・安全な妊娠・出産を実現するためには、議員御指摘のとおり、医学的な知識の普及啓発が重要であると認識をいたしております。 県における具体的取り組みにつきまして、福祉保健部長から答弁をいたします。 次に、加齢とともに妊娠しづらくなるといった医学的知識の普及啓発についてでありますが、若い世代からの医学的知識の普及啓発が少子化対策につながるというデータは、今のところ確認できておりません。しかしながら、若い世代が希望するライフプランを思い描けるようにする上では重要なことと考えております。 次に、エネルギー政策についてお答えをいたします。 まず、柏崎刈羽原子力発電所敷地内の断層の評価についてでありますが、技術的な評価にかかわることであり、専門家で構成された県の安全管理に関する技術委員会などで、原子力規制委員会の評価について議論していただくなど、県として対応してまいりたいと思います。 次に、温室効果ガス排出量の削減に向けた方針についてであります。 温室効果ガスの排出削減をなぜ進めないといけないかというと、やはり地球温暖化防止に結果を出していくということが必要になると思います。次の世代に安全で快適な環境を引き継いでいく上で重要であります。 ただ、この地球温暖化防止対策は一国のみでできないという問題点がありまして、効果を上げるためには、日本の排出量は世界の4%にとどまっております。排出の大半を占める中国、米国、インド等に協力をしていかないと効果は出てこない。環境先進国の日本の技術が経済と循環して地球全体の排出量を減らすという取り組みが必要と考えております。 県といたしましては、可能な限りの取り組みを積極的に推進してまいります。 具体的な取り組みにつきまして、県民生活・環境部長から答弁をいたします。 次に、福島第一原子力発電所事故の検証と総括の進捗についてであります。 東京電力や原子力規制委員会に、技術委員会に引き続き参加していただき、より真摯に対応していただければ、検証が進捗するというふうに考えておりますが、新たな知見や新たな問題点が見つかれば、さらに検証していくことが重要であると考えております。 このため、何割程度まで検証がなされたかは、論理的に把握が難しいと考えております。 次に、技術委員会の議論の出口についてでありますが、議員御指摘のメルトダウン等の情報発信のあり方を初め、福島第一原子力発電所事故の検証は、組織運営からヒューマンファクターまで含めて事故の原因や責任を究明することであります。現在、それを技術委員会にお願いしているところであります。 したがって、議論の整理方法を含め、検証のまとめ方については、第一義的には、技術委員会で決めることであると考えております。議論の出口について、特定のイメージは持っておりません。 次に、政府事故調の調書の公開についてであります。 政府事故調が調書を非公開にした上で聴取をした理由ですが、責任の追及ではなく、真実を追求するために、非公開を前提にヒアリングをしたという経緯がございます。 公開を求めるのは、事故原因を明らかにして再発を防止するためであります。罪に問われない範囲で調書を公開し、社会の共有の財産とした上で、問題点を明らかにし、そして対策を打つべきではないかと考えております。 実際、海外の事故調査、これは航空機とか宇宙の世界もそうなのですが、罪に問うことが前提では真実に迫れないため、司法取引などを活用して免責した上でヒアリングし、原因分析と対策を行うという事例が多く見られます。 なお、現在、国において、刑事司法の分野では、刑事免責制度の導入が検討されておりますが、本来、本件のような事故調査に関しても、真実に迫るためには、聴取対象である個人が免責されるような仕組みを整備しておくべきと考えております。 次に、原子力発電所の再稼働と知事選挙の争点についてお尋ねをいただきました。 小野議員の代表質問でお答えをしたとおり、再稼働については、その是非を判断する場合の最大のメルクマールは安全かどうかということで、県民の生命・安全・財産を守るということを最優先に考えて判断すべきであります。福島原発事故の分析を踏まえ、安全を確認しなければなりません。 その安全の確認には、同じことを繰り返さないために検証と総括が不可欠であると考えております。 原発の再稼働が知事選の争点となり得るかどうかにつきましては、現時点ではわかりません。 次に、社会的養護を必要とする児童についてお答えをいたします。 まず、保護を要する児童への支援の取り組みについてでありますが、新潟県「夢おこし」政策プランでは、安心して子育てをする環境の実現を目指して、児童虐待を防止するため、社会全体で子供を見守り、育ちを支える体制の構築に向けたさまざまな取り組みを進めているところであります。 なお、取り組みの具体的内容につきましては、福祉保健部長から答弁をいたします。 次に、児童養護施設等への支援についてでありますが、虐待等により家庭での生活が困難な児童に対し、児童養護施設等において家庭的な環境で養育や自立支援を行うことは、全ての子供を社会で育むことにつながります。このことから、議員御指摘のとおり、少子化や人口減少への対応の観点からも重要と考えております。 今後も、児童養護施設等への支援も含め、社会的養護の充実に努めてまいります。 次に、子どもの貧困対策推進計画における目標数値と地方公共団体の責務についてであります。 県は、子どもの貧困対策の推進に関する法律に基づき、子供の貧困対策に関して、地域の実情に応じた施策を策定するとともに、その施策を実施する責務があると認識をいたしております。 子供の貧困には、家庭の経済状況が大きく影響するというふうに考えておりますので、そのことを反映できる目標数値を設定したいと思います。 現在考える具体的目標数値について、福祉保健部長から御説明をいたします。 次に、児童養護施設を退所した児童への支援についてでありますが、議員御指摘のとおり、施設退所の後、保護者からの支援を受けられない児童がいます。このことから、自立に向けた支援を行っていく必要があると考えております。 なお、具体的な支援策について、福祉保健部長から答弁いたします。 次に、児童相談所や市町村等の連携体制についてでありますが、議員御指摘のとおり、社会的養護を必要とする児童やその家庭に対し必要な支援を行うためには、児童相談所、市町村、児童福祉施設等が連携することが重要と認識をいたしております。 県といたしましては、地域における連携体制の強化に向け、専門的な立場からの情報提供や、関係団体との調整等を行ってまいります。 なお、現在の連携体制については、福祉保健部長から答弁をいたします。 次に、2030年冬季オリンピックの招致についてであります。 青柳議員の一般質問にお答えをしたとおり、招致に関しては、日本青年会議所新潟ブロック協議会や新潟経済同友会から要望を受けているところであります。 県といたしましては、これらの要望を踏まえて、対応してまいりたいと思います。 次に、冬季オリンピック招致の機運醸成についてであります。 議員御指摘のとおり、今回のアルペンスキーワールドカップの成功については、国内外へのアピールや大会運営のノウハウの蓄積など、本県にとっても大きな財産になったと考えております。 このことは、大会関係者の皆様の御尽力によるものと考えており、改めてこの場をおかりして敬意を表させていただきます。 今大会の成功を、冬季オリンピック招致の機運醸成につなげるために、このような成果を積み重ねていくことが重要であると考えております。   〔県民生活・環境部長丸山由明君登壇〕 ◎県民生活・環境部長(丸山由明君) お答えいたします。 温室効果ガス排出量の削減に向けた取り組みについてでありますが、家庭やオフィス、自動車など、排出量の伸びが大きい民生部門の削減に向けて、太陽光、風力、雪冷熱、地中熱などの再生可能エネルギーの導入促進、カーボン・オフセット制度の普及拡大、省エネルギー対策の普及など、地球温暖化対策のリーディングプロジェクトに取り組み、県内の温室効果ガスの排出削減を進めてまいります。   〔福祉保健部長岡俊幸君登壇〕 ◎福祉保健部長(岡俊幸君) お答えいたします。 まず、少子化対策モデル事業の進捗状況と効果についてでありますが、モデル事業は、現在、46事業者に参加いただいており、各事業者において、平成29年度までの3年計画で仕事と子育ての両立の実現などに取り組んでいるところです。 県といたしましては、効果検証の一環として、従業員の意識調査を先般実施いたしました。 事業者からの報告は、各年度ごとに受けることとしておりますが、現時点で、複数の事業者から妊娠・出産の報告が寄せられております。 なお、優良な取り組みを県内に波及させるため、取り組み報告会を今月開催することとしております。 次に、コンピューターマッチングシステムを活用した出会いの場の創出についてでありますが、結婚を望む独身男女に、より多くの出会いの場を提供するため、希望する条件に合う相手との1対1での出会いの場を新たに創出するものです。 具体的には、御自身のプロフィールをマッチングシステムに登録いただいた上で、例えば年齢、職業、趣味等の条件検索により、相手を探していただくものです。 安心して出会いの場に参加できるよう、コーディネーターを配置し、相手との調整など、さまざまな支援を行うこととしております。 次に、妊娠・出産に係る医学的知識の普及啓発についてでありますが、これまで、若者向け雑誌への情報掲載や、妊娠・出産に係るリーフレットの作成、配布などにより、普及啓発に努めてきたところです。 また、保健所において、高校や中学校の生徒を対象にした性に関する講演事業などを行っているところです。 今後とも、医学的知識について、さらなる普及啓発に努めてまいりたいと考えております。 次に、卵子凍結保存への取り組みについてでありますが、議員御指摘の助成制度については、千葉県浦安市において、大学の附属病院への研究支援として費用を助成しているものと承知をしております。 卵子凍結保存については、日本産科婦人科学会の専門委員会が、健康被害を発生させる可能性があることや、妊娠・出産を保証できるものではないことなどを理由に、基本的に推奨しないとの見解を示していることから、助成に当たっては、慎重な検討が必要と考えております。 次に、不妊治療費助成の利用の推移等についてでありますが、利用者は、制度開始以降、増加の一途をたどっており、新潟市を除く県の助成件数は、発足当初の平成16年度は300件でありましたが、26年度は1,824件となっております。 増加の要因といたしましては、女性の晩婚化や晩産化が進んだことに伴い、不妊への関心が高まっていること、雑誌、テレビ等の媒体により不妊治療や助成制度の周知が図られるようになったことなどが考えられます。 一方、平成24年度からは、国の制度に加え、県単独の制度の拡充等により経済的な負担の軽減に努めてきたことも一因と考えております。 次に、男性不妊治療に係る助成の必要性についてでありますが、WHO、世界保健機関の不妊症原因調査では、不妊原因が男性のみにある場合が24%、男女ともにある場合が24%となっており、男性側に何らかの問題がある場合も少なくないことがわかっております。 手術が必要な男性不妊治療は、通常の特定不妊治療に加えて、さらに費用がかかることから、助成は必要であると考えております。 次に、保護を要する児童への支援に係る取り組みの具体的内容等についてでありますが、議員御指摘の児童虐待の相談対応件数の増加については、これまでの取り組みの強化や通告義務の認識の高まりなどによる面もあるものと考えております。 県といたしましては、引き続き、虐待の早期発見・早期対応や、母子保健分野との連携を図るとともに、相談・支援体制の充実や、里親等の家庭的な生活環境の提供を推進するなど、取り組みを進めてまいりたいと考えております。 次に、児童養護施設等の入所児童数の推移と特徴についてでありますが、県が所管する5カ所の児童養護施設等の過去3年間の入所児童数の推移は、平成24年度181人、25年度183人、26年度168人であり、新規入所児童数は、おおむね年間30人前後で推移しております。 また、近年の新規入所児童の特徴としては、虐待を理由とした児童の割合が高くなってきており、保護者の養育の怠慢や拒否を含む虐待が占める割合は、平成24年度44.4%、25年度51.7%、26年度64.5%となっております。 次に、家庭的養護の推進に向けた都道府県推進計画の状況についてでありますが、平成23年、国の専門委員会は、社会的養護の課題と将来像において、家庭養護の優先や、施設養護もできる限り家庭的な養育環境の形態に変えていくことなどを取りまとめました。 これを受けて、平成24年に国から技術的助言として、都道府県推進計画を、施設が個別に策定する家庭的養護推進計画を踏まえて、平成27年度を始期として策定するよう通知が出されました。 本県では、平成25年度から着手し、これまで有識者で構成する検討会において、将来の社会的養護の需要量見込みや児童養護施設等の運営方針などをもとに検討を進めてきたところであり、現在、各施設の計画との調整を進めております。 次に、都道府県推進計画の策定についてでありますが、平成25年度から検討を進めてまいりましたが、現在、策定している子ども・子育て支援事業支援計画と密接に関係することや、施設の新設、定員変更等が見込まれたことから、それらと並行して策定作業を進めているものです。 有識者で構成する検討会及び児童養護施設等の意見を踏まえ、各施設の運営に支障が生じないよう、平成27年度中に策定してまいりたいと考えております。 次に、子供の貧困対策の取り組みと実態把握についてでありますが、県では、現在、子どもの貧困対策推進計画の素案についてパブリックコメントを実施しているところです。 計画では、子供に対する支援、保護者等に対する支援、連携推進体制の構築、実態を踏まえた対策の推進を柱に施策を推進することとしております。 新年度予算では、貧困率が高いひとり親家庭に対し、専門の相談員が出張して個別に就業相談を行う出張型就業相談事業に新たに取り組むなど、施策の充実を図ったところです。 また、本県の子供の貧困の実態を把握するため、国補正予算を活用し、県民アンケートを行うこととしております。 次に、子どもの貧困対策推進計画における具体的目標数値についてでありますが、策定中の計画素案では、子供の貧困には、親の経済的な問題が大きいと考えられることから、子育てに対する経済的支援について配慮されていると感じる県民の割合を上昇させることを達成目標としております。 なお、達成目標のほかに、国が掲げる指標なども取り入れ、貧困対策を総合的に推進してまいりたいと考えております。 次に、児童養護施設を退所した児童への具体的な支援策についてでありますが、施設を退所した児童が保護者等による支援を受けられない場合に、住宅の確保や就職などで支障が生じないよう、施設長等が身元保証人になる際の支援などを行っているところです。 また、新年度予算において、新たに生活費や家賃に係る費用の貸付事業に取り組むこととしております。 次に、児童相談所や市町村等の現在の連携体制についてでありますが、児童相談所、市町村、児童福祉施設のほか児童にかかわる関係機関、団体で構成する要保護児童対策地域協議会が、県内の全市町村で設置され、個別の事案について、構成機関による情報共有や支援策の協議がなされ、これに基づく支援が行われているところです。 また、県においても、同様の協議会を設置しており、今年度新たに、新潟地方検察庁、新潟県助産師会に加入していただくことで、ネットワークの強化を図ったところです。   〔教育長高井盛雄君登壇〕 ◎教育長(高井盛雄君) お答えします。 加齢とともに妊娠しづらくなるといった医学的知識に関する教育についてでありますが、学校において、妊娠・出産について正しく理解できるよう指導することは、子供たちが将来のライフプランを考える上で、重要であると認識しております。 このため、保健体育や家庭の授業で、妊娠・出産に伴う健康課題や家族計画等について学習しているところでありますが、昨年8月に文部科学省が高校1年生全員に配付した啓発教材では、年齢と妊娠・出産との医学的関連が具体的に取り上げられていることから、本教材も活用しながら、引き続き指導を進めてまいります。 ○議長(尾身孝昭君) 高橋直揮君の質問は終わりました。 次に、笠原義宗君の発言を許します。笠原義宗君。   〔笠原義宗君登壇〕(拍手) ◆笠原義宗君 自由民主党の笠原義宗でございます。通告に基づきまして、順次質問させていただきます。 まず、地方創生について伺います。 本県の課題は、少子高齢化による人口減少の対策である地方創生であると考えます。東京一極集中の是正を中心に、少子化対策や地方経済の発展、企業などの誘致活動、全てが地方創生へとつながります。そして、何をやるにも、しっかりとした準備、計画を策定し、継続をしなければ、一朝一夕には成果が出ないと思われます。 国会で、石破大臣から、地方創生のうまくいかないパターンのお話がありました。それは、やりっ放しの行政、頼りっ放しの企業、無関心な国民、これではうまくいかないと言われておりましたが、本県もそうならないように施策を進めていただきたいと思うところであります。 先月、総務文教委員会の視察で徳島県神山町に行き、全国でも神山モデルと呼ばれ、移住・定住が進んでいる状況を見学させていただきました。光ケーブルのインフラを充実させ、東京のIT企業や映像制作会社など、働く場を選ばない企業誘致を進め、12社がサテライトオフィスを設置するなど、本社の移転や新会社の設立などが進んでいました。また、町の将来にとって必要になる働き手や起業者の誘致にも力を入れておられ、現在では消費者庁の誘致にも力を入れている、勢いのある地域でありました。 また、香川県直島でも、現代アートを持ち込み、お年寄りの笑顔があふれる直島づくりを進められていて、現在では国内外から人口4,000人の島に70万人来島しております。しかし、直島は人口をふやすことが目的ではなく、都市に住む若者と自然あふれる個性ある地域をつなぐことにより、お年寄りと若者、そこに住む人々と訪れる人々が互いに交流し、お互いのよさを発見し、認め合うことを目的とされており、地域の人々が幸せになれるコミュニティーづくりも地方創生の大切なポイントではないかと感じたところでもあります。 本県の資源である佐渡や粟島にも、その潜在的な可能性を秘めているのではないかと感じました。そして、元気な地域は情熱のある人がいて、その人を企業が支援していく形があるのではないかと思います。 よく地域を元気にするのはよそ者、若者、ばか者と言われているところがありますが、移住・定住による地域活性化のためには、地域で企業誘致や創業を目指す者と地元地域の間をコーディネートする、中心となる熱意ある人材の育成や誘致が必要であると考えますが、知事の所見を伺います。 次に、プロ野球の観点から質問させていただきます。 2016年のプロ野球の公式戦、本県の試合は1試合だけとなってしまいました。昨年は2試合でありましたが、ファンの多い巨人が毎年来ていたこともあり、ファンはふえていったのではないかと思われます。私も毎年巨人が来れば観戦に行っておりましたが、とうとう巨人戦がなくなったことは残念でなりません。 また、長年、プロ野球の16球団構想がありましたが、現在、地方創生の観点から、政府が、地方にプロ野球をつくることのメリットは何なのかを検討すると報道がありました。プロ野球からの地方創生の動きが出てきたと考えられます。 以前は、4つの地方都市の中に新潟が入っていましたが、現在では北信越地区と表記が変わり、沖縄、四国、静岡、金沢になるのではないかとも言われております。球団誘致に金沢が動くなど、企業はコマツであるとも一部ささやかれているところもあるので、本県も負けることなく、プロ野球の球団誘致やファン層をふやすことが地方創生を進める上でも有効と考えられますが、知事の所見を伺います。 次に、外国人観光客の宿泊数について伺います。 平成27年1月から11月のまとめでは、増加率が4県中最高であり、特にスキー客には好評であると伺うところであります。 しかし、増加率を喜んでいる場合ではありません。宿泊数を見ると、本県は23万泊でありますが、長野県では87万泊で、石川県が47万泊となっており、宿泊数で見れば本県はまだまだ少ない状況であり、誘客を高めれば経済効果も期待できるので、誘客を高める政策を進めていただきたいと思いますが、外国人観光客宿泊数についての現状の認識と今後の取り組みについて伺います。 次に、市町村合併について伺います。 本県は、2010年までに市町村合併が進み、112あった市町村は30に減少し、全国でも市町村の減少率は高いものがありました。 新潟市は、日本海側で唯一の政令指定都市になり、これからの成長を期待し、合併をした経緯がありますが、人口減少により、その成長が目に見えてこないことが危惧されておりますし、合併をしなかった市町村には、独自の施策を細かく打てることができてよいと言われている市町村もあります。 人口減少により、行政コストの削減は必要なことだと考えますが、これ以上の集約を進めることは人口を減少させることにつながるのではないかと危惧する点も多いと考えます。地方創生は、市町村単位や、もっと細かく中学校区単位で、出生数をふやしたり、若い人が住み続けたくなるような環境づくり、にぎわいなどをつくることが人口を増加させることへとつながるのではないかと考えます。 市町村合併をきっかけとしてこれ以上の行政機能の集約を進めることは人口減少を早めることにつながるのでないかと思いますが、知事の所見を伺います。 次に、魅力ある雇用対策について伺います。 本県の人口は、県の推計では230万人を切り、さらに昨年は1万7,000人程度減少している状況でありますが、その中でも深刻なのは、人口の社会減と言われる、本県から県外へと転出が多いことが課題であると考えられます。 特に若い世代が進学や就職によって首都圏に出ていくことが大きな損失でありますが、進学で首都圏へ出ていっても、Uターンで本県に就職できるような環境づくりが大切であると考えます。 また、景気回復によって首都圏企業の採用枠がふえ、人材不足と言われている中で、若者がさらに給料の高い首都圏へ流出していくことが今後も考えられます。 また、本県の人口の社会減少は昨年6,735人で全国ワースト3位と報道があり、厳しい状況であります。それには雇用対策が大きな課題となっていますが、特に東京にある本社機能の移転は地方間競争の激しさを増しております。 来年度、本社機能の誘致に向けて具体的にどのような施策を進めるのか、知事の所見を伺います。 昨年、政府は、地方創生の一つとして、中央省庁や独立行政法人の研究機関など地方移転への要望を募りました。中央省庁では、北海道と兵庫が要望していた観光庁など7機関、徳島が希望する消費者庁など5機関が対象に残りました。今後、自治体や省庁関係者の聴取を進めて、ことしの3月に正式決定を目指すとも言われております。 本県も移転要望した3機関のうち、唯一、国立健康・栄養研究所が検討対象に選ばれましたが、政府は大阪への移転を優先して検討する方針であり、本県への移転は厳しい状況であると思われます。 しかし、地方創生の流れは今後も進んでいくと考えられることから、政府機関の移転誘致について、3月に予定される国の基本方針の結果にかかわらず、国に対し、さらなる機関の移転を求めていくべきと考えますが、現状の認識を伺います。 次に、首都機能移転について伺います。 政府は、地方創生を掲げてさまざまな施策を進めているところでありますが、人口の推移を見ると、依然として東京圏の一極集中の流れがとまらない状況でありますし、さらに進むのではないかと懸念するところがあります。 過去をたどれば、1990年には、衆参両院において、国会等の移転に関する決議が採択され、1992年には国会等の移転に関する法律が施行され、また1999年には、国会が設置した有識者会議で、栃木・福島地域や岐阜・愛知地域などを首都機能移転の候補地に選ばれたことがありました。 しかし、東京都の反対などにより、国会の議論は事実上ストップし、2011年6月には国土交通省内にあった首都機能移転企画課も廃止されたところであります。 しかし、2011年3月の東日本大震災により、こうした状況は一変してきたと考えられます。首都直下地震の確率が高くなっている現在、防災上の観点から、また、人口の東京一極集中是正のため、改めて、首都機能移転を地方から声を上げるべきと考えますが、知事の所見を伺います。 次に、農業問題について伺います。 今後、農業は、所得向上対策やTPP対策によって、農業生産法人や家族農業においても大規模化が進んでいくと考えられます。 大規模化が進めば、当然就農者を受け入れ、雇用につなげていかなければなりません。しかし、他業種から農業に就職をしてもすぐには収益にはつながらず、人材育成に係る負担が大きいので、農業経営者の負担を軽減させる取り組みが必要であると考えます。賃金の補助を含め、負担軽減対策を図るべきと考えますが、所見を伺います。 次に、農薬の登録拡大について伺いますが、近年、本県の主要ブランド農作物の一つであるルレクチエに褐色斑点病が発生し、ルレクチエ農家さんの収益減やコスト高につながり、苦しんでおられる状況があります。 私の地元でも生産量が2割減となっていることや、病気抑制の対策として落ち葉や剪定枝を集めることなど、農家経営に大きな負担が見られます。 また、今後、ルレクチエの生産量をふやすことを足踏みすることにつながるので、防除の指導や農薬の登録拡大は県にお願いするしかありません。 現在も県では防除暦の見直しや病気を抑える指導をしていただいておりますが、ルレクチエの褐色斑点病などの防除について、農薬登録拡大に力を入れてほしいと考えますが、今後の県の対応について伺います。 次に、果樹の剪定枝の処分について伺います。 本県は、稲作から収益性の高い園芸へのシフトを進めているところでありますが、その中でも果樹へのシフトも大切なところではないかと考えます。 果樹は、土をつくり、木を育てることが前提にありますが、商品として出荷するまでは数年の時間がかかることが課題であり、毎年の剪定作業など、コストのかかる品目でもあります。 また、その一つの課題は、剪定をした枝の処分に困っているところがあります。本来であれば、畑で剪定枝を焼却することによって、病気の抑制やコストの削減につながることから、農家さんは焼却をしたいと言われる方が多い状況でありますが、国の環境面での指導のもと、焼却することが難しい状況が課題であります。 しかし、一部の市町村では、病気対策として条件つきで焼却を認めている地域もありますが、剪定枝の資源としての活用を進めることも大切なことではないかと考えます。 現在、剪定枝の処分について、うまくいく手法がありませんが、県としてもモデル的な取り組みを支援することにより、産地でも有効な処分方法を確立していく必要があると考えますが、県の対応を伺います。 昨年のミラノ万博に本県もブースを出展し、新之助の紹介のほか、米の文化や伝統芸能などをPRしたところであります。知事もミラノ万博に出向き、PRされたと伺うところでありますが、日本酒や煎餅などの加工品、佐渡の笛や古町芸妓によるステージイベントも好評であったとお聞きをいたします。 今後は、新潟米の海外への輸出拡大が求められ、PRは重要なことであると考えますので、ミラノ万博における来場者からの新潟米への評価や、今後の新潟米の輸出拡大に向けた取り組み方針を伺います。 近年、農業分野で、無人で走るトラクターやICTを活用した農業機械の開発が進んでおります。また、園芸の分野でも加工用のタマネギやキャベツなどの機械が販売され、県も支援していただいていることはありがたいことであると考えます。 また、剪定枝を切る電動ばさみや、腕を支えたり、重い荷物を持つ際の補助機器なども販売され、機械を導入することによって高齢の農家さんや女性の参入などに非常に有効と考えられますので、今後、先進的な農業機器導入に対する情報提供や普及啓発を進めていく必要があると考えますが、県の対応について伺います。 次に、交通問題について伺います。 外国人観光客をふやすことや空路の増設のためには、LCCによる低価格の空路をつなぐことが有効であると考えます。 本県を訪れる外国人の国籍は、中国が24%、台湾が22%と多く、次いで韓国となっています。恐らく空路のハルビン線と仁川線があるためだと考えられますが、近県の状況を見ますと、台湾からの観光客が多い状況がありますので、台湾とのLCC開設はインバウンドに有効であると思われます。 本県でも2月にLCCチャーター便が運航されるなど、取り組みをされておりますが、新潟空港へのLCC誘致に係る今後の方針と来年度の取り組みについて伺います。 次に、空港の活性化について伺います。 全国の地方空港が民営化されたり、新たな開発を進めたりと、さまざまな動きがあります。本県でも、できる施策を立て、進めていくことが大切であると思いますが、新潟空港へ航空機の整備工場を誘致したり、自家用ジェット機の格納庫の設置などを進めることは、雇用やにぎわいなどもつくられ、空港の活性化につながると考えます。航空路線の拡充やネットワークの拡大とともに、空港に機能が備わることが活性化につながると考えますが、所見を伺います。 次に、新潟空港に屋上送迎デッキがありますが、入場料を100円取っております。全国の空港の中で有料なのは我が県を含めて6空港であり、他の空港はほとんど無料であります。空の玄関口である新潟空港を県民の皆様方に使っていただき、親しみを持ってもらうために、入場料を無料にすべきと考えますが、所見を伺います。 次に、上越新幹線の車内環境向上について伺います。 長年、本県と東京を結ぶ上越新幹線は、ビジネスや観光など幅広く利用されている大切な公共交通機関であります。その移動時間の使い方は人さまざまでありますが、有効に使うことは移動の楽しみでもあると思われます。 近年では、スマートフォンやパソコンなどを使用する人も多い状況となっており、北陸新幹線の全車両には電源コンセントが設置されています。また、東海道新幹線や東北新幹線の一部にも設置されている状況を考えると、今後、上越新幹線の利便性を高めるため、電源コンセントの設置や、携帯電話やインターネットの通信など、車内環境の向上を求めていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。 次に、ラウンドアバウトについて伺います。 本県初のラウンドアバウトを県が1億2,000万円をかけて田上町に設置をいたしました。1億2,000万円と聞いたので、どんなに大きな交差点かと思い、通ってみましたが、思っていたよりは小さな交差点であったという印象でありました。 ラウンドアバウト導入について、よい面ではランニングコストが低いことや、災害時や停電時などに効果的な反面、既存の交差点改良時でのコスト高が課題かと思われます。しかし、課題がある中で、本県が率先して設置した取り組みは評価すべきと考えておりますが、今後、事業の評価検証を行った上で、交差点改良時での提案を進め、ラウンドアバウト設置のメリットが高い場合には積極的に設置を進めるなど、設置の可能性を検討していくべきと考えますが、知事の所見を伺います。 次に、本県から石川方面へのアクセス改善について伺いますが、昨年3月に北陸新幹線が開業いたしました。あわせて、北陸新幹線にアクセスする列車などのダイヤ改正があったところでもあります。 現在、金沢まで電車で行こうとすると、在来線の特急「しらゆき」で上越妙高駅まで行き、北陸新幹線に乗りかえ、金沢まで出るか、上越新幹線で高崎駅まで行き、北陸新幹線に乗りかえ、金沢まで出るルートになりました。 高崎乗りかえルートは、便数が豊富であり、「しらゆき」で行くルートと所要時間は変わらないのですが、料金が高くなるので、一般的には「しらゆき」に乗る人が多いのではないかと考えられます。 しかし、「しらゆき」の便数が1日5往復と少なく、利便性が悪い状況でありますので、今後、本県と石川県との利便性向上のためにも、特急「しらゆき」の増便を求めるか、高崎ルートの料金割引などを要請すべきと考えますが、知事の所見を伺います。 次に、県政の諸課題について伺います。 ことしに入って、本県が法律で定められた医療福祉分野の4つの計画を策定していなかった問題が報道されました。報道を見る限り、障害福祉計画については、厚生労働省から再三不備を指摘されていたにもかかわらず、違法状態を放置していたと言われています。そして、それについて知事は知らなかったと言われておりますが、県庁内の組織が不備を改善できない状況になっているのではないかと感じざるを得ません。 昨年も安定ヨウ素剤の不備の問題もありましたが、部下が上司へと意見を上げにくい体質になっているのではないかと思われます。 以前、パイロットの方の講演を聞くことがありました。それは、ミスを最小限に防ぐための権威勾配是正の話でありました。航空機の事故は、80%コックピットクルーの人間関係に主たる要因があると結論づけられ、以前は機長の権威勾配が強過ぎて、機長の独断で運航が行われ、チームとして機能していない時代がありましたが、それを改善するために威圧的な態度の修正を図り、何でも話し合えることを安全への目的として始められました。しかし、対人関係の問題だけではなく、人間の単純な思い違いや勘違いなどが要因となることもあるため、ヒューマンエラーに対する発想の転換が求められ、エラーを個人の注意不足として片づけるのではなく、人間はどんなに優秀であってもエラーは不可避であるという前提に立ち、致命的なミスとなる前に修復をしようという考え方に変わってきたというものでありました。 知事も3期12年、県庁組織のトップとして仕事をしてきた中で、知事だけではなく、職員を含め、県庁内の中で権威勾配が強くなり、上司に声を上げづらい環境ができていないか危惧をするところであります。 また、知事が職員に対し難しい課題を出したと報道されておりましたが、課題を出すのは当然なことであるというふうに思います。しかし、その後の責任は知事がとらなければ、職員は萎縮をして、よい仕事ができないのではないかと考えます。 今後、権威勾配是正を含め、県庁内のミスを未然に防止する取り組みが必要だと考えますが、知事の所見を伺います。 厚生労働省は、2020年度から医学部の定員を減らす検討に入ったと言われています。高度成長期には福祉の充実を目的に増員を重ね、1973年には全都道府県に医学部を置く1県1医大構想を決定し、医学部の数が急増いたしました。1980年代に医療費膨張への懸念が強まり、一転して入学者の抑制方針を閣議決定するなど、課題が多い状況であります。 今後、医療サービスを多く受ける65歳の人口は2042年をピークに急速に減少するため、全体としての医師の過剰感が強まることが想定されます。 しかし、地方では医師不足に悩む医療機関が多い状況であり、本県は全国的に見ても医師不足状況であります。政府は、医学部定員の総数を削減しながらも、地域枠を広げることで対応すると言われておりますが、今後の地域医療の観点から考えると不安な部分もありますので、国による医学部の定員削減について、知事の所見を伺います。 政府は、消費税増税による子育て支援の一つとして、来年度から子ども・子育て支援法に基づき、小学校入学前の多子世帯の保育料負担軽減支援を拡充して実施する取り組みを進めているところであります。 それは、保育料を第2子目から半額とし、第3子目からは無償とすることで、経済的に2人目、3人目の出産を考える上で背中を押す制度となっており、少子化対策にとっては有効な施策であると考えますが、しかし、年収360万円未満世帯という制限があります。 鳥取県では全国で初めて第3子無償化の所得制限を設けない取り組みをされており、富山、福井、京都とも所得制限を上げるなどの拡充対策をしているところでありますが、本県も少子化対策として第3子以降の年収360万円未満世帯の制限を設けない取り組みをすべきと考えますが、知事の所見を伺うとともに、所得制限撤廃に必要な予算額について伺います。 最後に、河川改修について伺います。 昨年、関東、東北を集中豪雨が襲いました。茨城県常総市を流れる鬼怒川が決壊して、家をのみ込み、取り残された人たちが屋根の上でヘリコプターで救助される姿をテレビで全国放送されたことは、記憶に新しいところであります。床上浸水4,851件、床下浸水7,305件、その被害額は確定しておりませんが、1,000億円を超えるとも言われております。 近年の異常気象による豪雨は増加しており、1時間の降水量が50ミリ以上を記録した回数は、1980年代に年間平均175回でしたが、2000年代に入ると236回と、3割以上ふえています。いつ日本中で豪雨が発生するかわからない状況であるとも言われております。 国土交通省のほうでも、河川の中に洪水を閉じ込められないことも想定の中に入れ、水があふれれば大規模な災害につながることから、ソフト対策をあわせて施策を進めるべき事項だと言われております。 鬼怒川の破堤や本県の7.13水害の際にも、堤防を水があふれる越水破堤と言われていますので、越水をすれば外側の堤防が削られ、破堤につながることから、水があふれても破堤しにくい堤防の断面強化を早急に進めるべきと考えますが、所見を伺いまして、一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 笠原議員の一般質問に順次お答えをいたします。 まず初めに、移住希望者と地元の間をコーディネートする人材の育成についてでありますが、議員御指摘のとおり、中山間地域への移住促進には、移住希望者と受け入れ地域のコーディネートがポイントであります。それを担う人材の育成を進めることが必要と考えております。 なお、人材育成も含めた受け入れ体制の具体的取り組みにつきまして、県民生活・環境部長から答弁をいたします。 次に、プロ野球と地方創生についてでありますが、本県にプロ野球の球団を誘致することや根強いファン層をふやすことは、交流人口の拡大や地域活性化につながるものと思います。 県といたしましては、官民一体となって、野球熱が盛り上がるよう、1試合でも多く公式戦を招致できるよう取り組んでまいります。 次に、外国人宿泊数の現状の認識と今後の取り組み方針についてであります。 本県の宿泊数は徐々に増加しているところであり、急増する訪日外国人客の流れを県内に取り込む施策を、関係者とともに一層進めていく必要があると考えております。 現在、ゴールデンルートに集中している訪日外国人観光客を、日本海側と太平洋側をつなぐ縦のゴールデンルートへと誘客するため、埼玉、群馬、長野の各県と連携した取り組みを強化してまいります。 また、多言語コールセンターサービスの導入や情報通信の利便性向上など、受け入れ体制の整備も進めてまいります。 次に、市町村合併と人口減少についてでありますが、議員御指摘のとおり、市町村合併により、少なくとも職員の減少分は、働く場の、職の減少分として人口減少につながり得ることが考えられますが、人口問題はさまざまな要因が複雑に絡んでおり、市町村合併や行政機能の集約化が人口減少を早めるというデータは見つけることが難しい状況にあります。 なお、人口が減少していくことを前提として行政機能の集約化を進めることは、目指すべきものではないと考えております。 次に、本社機能誘致に向けた施策についてでありますが、県といたしましては、社会減への対応として、本社機能の移転を含めた企業誘致は、地方への人の流れをつくり出す上で、重要な取り組みの一つであると考えております。 来年度は、リスク分散の観点を強調しながら、新たに補助制度を創設し、誘致活動を進めてまいります。 なお、具体的な取り組みにつきまして、産業労働観光部長より補足答弁をいたします。 次に、首都機能の移転についてでありますが、首都機能の移転は、政府関係機関の地方移転も含め、東京一極集中の是正という国家的な課題であると認識をいたしております。 県としても、引き続き、国の動向など情報収集に努めながら、研究をしてまいりたいと思います。 次に、農業問題についてお答えをいたします。 新潟米の輸出拡大等についてでありますが、海外における日本食レストランの増加等を踏まえ、業務用需要の拡大を図るとともに、ミラノ国際博覧会での評価を踏まえ、EUなど新たな市場の開拓に取り組んでまいりたいと思います。 なお、ミラノ万博での新潟米への評価につきまして、農林水産部長から御説明をいたします。 次に、交通問題についてお答えをいたします。 まず、新潟空港へのLCC誘致についてでありますが、LCC参入による路線ネットワークの拡充は、新潟空港の活性化にとって望ましいと考えております。 県といたしましては、既存路線に配慮しつつ、イン・アウト双方の需要が見込まれる新規路線への就航を念頭に、誘致活動を進めてまいります。 なお、来年度の具体的な取り組みについて、交通政策局長から答弁をいたします。 次に、新潟空港に新たな機能を備えることについてでありますが、新潟空港は、施設的にも余裕があるということから、その活用策として、例えば首都圏空港に飛来したビジネスジェットの駐機場を設置するなど、可能性について研究してまいりたいと考えております。 次に、上越新幹線の車内環境の向上についてであります。 上越新幹線の利用促進のためには、議員御指摘のとおり、電源コンセントの設置やトンネル内で携帯電話を利用できるようにするなど、実際、一部上越新幹線車両においてもコンセントがついておりますが、さらなる車内環境の向上が必要と考えております。 携帯電話不感解消については、このたび、対策工事の開始が決定されたところでありますけれども、IT機器等の利用にも対応した新型車両の導入など、一層の利便性向上のため、今後とも引き続き、JR等関係機関への働きかけに取り組んでまいります。 次に、ラウンドアバウトについてでありますが、ラウンドアバウトは、交通安全につながり、人と環境に優しい交差点であり、2月19日に田上町において、県内初となるラウンドアバウトを供用したところであります。 また、新潟市においても、ラウンドアバウトの整備が進められており、3月末に供用を開始する予定と聞いております。 まずは、交通安全上の整備効果の検証や除雪など道路管理上の課題の整理が行われることから、各関係者から情報収集をしてまいりたいと思います。 次に、金沢方面への利便性の向上についてでありますが、県では関係同盟会等を通じて、優等列車等の利便性の向上に向け、JR等に対し、関係自治体等と一体となって要望を行ってきたところであります。 今後も、JR等への働きかけを行っていくとともに、料金割引も含め、沿線地域等からの要望も踏まえた上で、対応を検討してまいります。 次に、県政の諸課題についてお答えをいたします。 まず、部下が上司へ意見を上げにくい環境ができてはいないかとの危惧についてであります。 上司に意見を言いやすいかといった質問、これは組織全体を対象としたものですが、この職員意識調査では、肯定的な回答の割合が高く、毎年伸びており、改善傾向にあると認識をいたしております。 議員御指摘のとおり、県庁内のミスを未然に防止する取り組みについては、重要であると考えており、現在、監査委員に対し、事務の執行の監査要求を行っていますので、その結果などを踏まえ、対応してまいります。 なお、職員意識調査の結果については、知事政策局長から答弁をいたします。 次に、医学部定員削減についてでありますが、全国的には医師の数はふえてきているとはいえ、地域偏在は拡大傾向にあり、地域医療の確保・充実のためにも、医師養成を含め、医師不足が顕著な都道府県に配慮した対応が必要であると考えております。 また、例えば都道府県ごとに保険診療が可能な保険医の定数を定めるなど、実効性のある対策も必要ではないかと考えております。 引き続き、全国知事会などあらゆる機会を通じて、抜本的な対応を、国に対し強く働きかけてまいります。 次に、第3子以降の保育料負担軽減支援に係る所得制限の撤廃についてでありますが、保育料の負担軽減による経済的支援は、他の子育て支援策と相まって一定の効果が期待されると考えておりますが、少子化対策の総合的な体系の中で、財源確保も含め、どのようにするか検討すべきと考えております。 このため、少子化対策モデル事業を実施し、その検証結果を踏まえ、持続可能な少子化対策とその財源確保のあり方等について、検討を進めてまいります。 なお、第3子以降の保育料負担軽減に係る所得制限撤廃につき必要な所要額について、福祉保健部長から説明をいたします。   〔知事政策局長佐久間豊君登壇〕 ◎知事政策局長(佐久間豊君) 2点についてお答えいたします。 まず、政府関係機関の地方移転に対する現状認識についてでありますが、国では、今回の各道府県からの提案について、これまでの検討結果を踏まえ、今年度末に今後の方針を決定する予定であると聞いております。 来年度以降については、再度提案募集を行うかも含めて、現時点では具体的なことが明らかになっておりません。 政府関係機関の地方移転につきましては、東京一極集中是正のための国家的課題として、まずは国において責任を持って今後の方針を示していただきたいと考えております。 次に、職員意識調査の結果についてでありますが、職場で自分の意見が言いやすいとの設問に対し、そう思うと回答した割合は、平成24年度が81%、25年度が81.3%、26年度が82.4%となっております。 また、仕事で行き詰まったとき、助けてくれる人が職場にいるとの設問に対し、そう思うと回答した割合は、平成24年度84.7%、25年度が85.3%、26年度が85.7%となっております。 また、上司や部下と、仕事の目的や使命について話し合っているとの設問に対し、そう思うと回答した割合は、平成24年度が69.6%、25年度が71.6%、26年度が72.1%となっております。   〔県民生活・環境部長丸山由明君登壇〕 ◎県民生活・環境部長(丸山由明君) お答えいたします。 移住促進のためのコーディネート人材育成等の取り組みについてでありますが、県ではこれまで、移住者受け入れを先駆的に進めている民間団体と連携し、地域住民などを対象とした研修会を開催するなど、人材の育成に努めてきたところです。 来年度は新たに、移住者受け入れ支援施設の整備補助や地域の団体が行う移住促進活動への支援など、ハード・ソフト両面から意欲的な市町村を支援し、コーディネート機能の拡充・強化を図ってまいります。   〔福祉保健部長岡俊幸君登壇〕 ◎福祉保健部長(岡俊幸君) お答えいたします。 第3子以降の保育料軽減に係る所得制限撤廃に必要な所要額についてでありますが、平成27年度の保育料の利用者負担額などをもとに試算したところ、およそ20億円と推計されます。   〔産業労働観光部長池田幸博君登壇〕 ◎産業労働観光部長(池田幸博君) お答えいたします。 本社機能の誘致に向けた来年度の具体的な取り組みについてでありますが、現在、本県に拠点を置く企業などを中心に、太平洋側との同時被災リスクを低減できる本県の強みなどを強調しながら、移転の働きかけを行っているところであります。 企業からは、東京の利便性、人材確保への懸念などの声が聞かれますが、一部には研究開発や研修などの機能の移転に関心を示す企業もあるところです。 来年度は、9月定例会で議決をいただいた条例による県税の優遇措置に加え、新たに創設する補助制度の活用を初め、人材確保から住宅の支援まで、地元市町村と連携を図りながら、企業ニーズに対応したきめ細やかな誘致活動を進めてまいります。   〔農林水産部長目黒千早君登壇〕 ◎農林水産部長(目黒千早君) 5点についてお答えいたします。 人材育成に係る県の取り組みについてでありますが、県では、青年就農給付金等の活用促進とあわせ、就農前の技術習得や、就農後の企画・販売力の向上に向けた研修など、就農前から就農後までの一貫した支援を行っているところです。 今後とも、これらの取り組みを継続することで、農業法人等の人材育成を支援してまいりたいと考えております。 次に、ルレクチエの褐色斑点病を対象とする農薬の拡大についてでありますが、県では、現在、園芸研究センターにおいて、梨等で登録されている農薬について、対象病害等の拡大を図るため、ルレクチエの褐色斑点病に対する効果を確認する試験を行っております。 この試験で効果の高い農薬については、農薬メーカーに登録の意向を確認した上で、申請に必要な圃場での薬剤効果試験を行ってまいります。 次に、剪定枝の処分についてでありますが、果樹の剪定枝については、一部は焼却施設で処理されるほか、堆肥化やチップ化により活用されております。 過去には、農業者が園内等で焼却しておりましたが、近年、環境への配慮等から、野焼きに対する批判があり、栽培農家は処理に苦慮しているものと承知しております。 一義的には、市町村において、病害虫の予防・防止の観点からも、焼却施設で処理されるのが望ましいと考えますが、対応できないケースも見られることから、県といたしましては、園地での埋設や、感染源とならない用途向けのチップ化などによる活用の取り組みを支援してまいりたいと思います。 次に、ミラノ万博での新潟米の評価についてでありますが、日本一の米どころとして、新潟米のおいしさや新潟の誇る米文化を紹介し、来場者から本県の米に対する取り組み姿勢に共感と賛同をいただいたところです。 特に新潟米については、会場で新之助を試食した方の96%がおいしいと回答し、さらにそのうち96%の方が今後お米を自分で炊いてみたいと回答するなど、高い評価となっております。 次に、農業用の介助機器の普及啓発についてでありますが、介助機器の導入は、作業の効率化と身体への負担軽減を図るために有効な手段と考えております。 電動剪定はさみや誘引結束機については、園芸研究センターで実証試験を行い、省力化や軽労化の効果を確認したところであり、普及に向け、その効果を農業者へ周知してまいりたいと考えております。   〔土木部長高橋猛君登壇〕 ◎土木部長(高橋猛君) お答えいたします。 堤防の断面強化についてでありますが、本県でも、過去の水害において、越水による破堤で甚大な被害が発生したこともあり、堤防強化を含む災害復旧事業に取り組むとともに、水害を未然に防ぐための河川整備を鋭意進めているところであります。 しかし、本県の河川は管理延長が長く、整備には長い期間と莫大な費用を要します。 このことから、堤防高が不足している未整備区間においても、国の水防災の方針に従い、破堤しにくく、決壊までの時間を少しでも引き延ばす堤防構造の工夫といった強靱化策について、今後、検討してまいりたいと考えております。   〔交通政策局長桐生裕子君登壇〕 ◎交通政策局長(桐生裕子君) 2点についてお答えします。 新潟空港へのLCC誘致に係る来年度の取り組みについてでありますが、国内線では、関西国際空港等、新たな国際ハブ空港との接続を目指し、引き続きLCCへ就航を働きかけてまいります。 国際線では、外国人観光客の動向などを踏まえながら、イン・アウト双方の需要が見込まれる路線を中心に、定期便に限らず、チャーター便も含め、LCCや旅行会社等へ就航を働きかけてまいります。 次に、新潟空港屋上送迎デッキの入場料についてでありますが、新潟空港ターミナルを管理している新潟空港ビルディング株式会社では、既にイベント時に無料開放を実施しているほか、事前予約のあった空港見学の児童等を無料にしているとのことです。 議員御指摘のとおり、県といたしましても、県民に親しみを持ってもらう観点から、入場料の扱いについて働きかけてまいります。
    ○議長(尾身孝昭君) 笠原義宗君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。   午前11時42分 休憩   ――――――――☆――――――――  午後1時 開議 ○副議長(金谷国彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、中村康司君の発言を許します。中村康司君。   〔中村康司君登壇〕(拍手) ◆中村康司君 自由民主党の中村康司です。通告に従いまして質問をいたします。 まずその前に、私の住む糸魚川市にあります新潟焼山につきまして、先ほどのニュースで報道されていましたが、このところ噴煙量が多く、近隣住民の方々が不安を持っています。火山性微動は観測されておらず、噴火警戒レベルは1であります。これは、活火山であることに留意という程度であり、特段の問題はないとの見解です。一方で、隣接する自治体が山頂から半径1キロメートル以内の想定火口内への立ち入り規制を行うことになりましたが、引き続き県としても十分な警戒をしていただきたいことを要望いたします。 さて、質問に入ります。 日本経済について、上場企業の収益は過去最高水準にあり、昨年9月の有効求人倍率は1.24倍で、23年8カ月ぶりの高水準となり、同月の完全失業率は3.4%で、こちらは18年ぶりの低水準となっています。また、昨日、厚生労働省が発表した最新値でも、有効求人倍率1.28倍、完全失業率3.2%と、同様の水準を維持しています。大企業の内部留保が350兆円とも言われ、1月の倒産件数も675件と、1月としては25年ぶりに700件を下回りました。 にもかかわらず、都市部に比べ地方は景気回復の実感が乏しいと言われており、また、日銀がマイナス金利政策を導入する中、海外経済の変調などから為替や株価に急激な変動なども見られていますが、本県経済の現状をどのように認識しているのかを伺うとともに、景気回復に向けた県の取り組みについて伺います。 私はかつて、ある経済団体の組織拡大の担当を務めたことがあります。その際に感じたのは、新規に起業する法人、事業所が、廃業する事業所よりもかなり少なかったということです。これではその地域の経済が活性化するはずがないと実感しました。 このように、本県の事業所数は近年減少傾向にあり、県としても倒産や廃業を防ぐための取り組みだけでなく、起業への支援にも取り組んでいることと思いますが、県内企業の廃止事業所数及び新規事業所数の推移を伺うとともに、全国と比較した本県の状況について、認識を伺います。 我が国の企業のうち中小企業は99%を占め、特に小規模企業は企業数の90%弱、雇用の4分の1を占めており、雇用と需要の両面で重要な役割を果たしています。しかしながら、60歳以上の経営者の割合が51.9%と高く、高齢化から後継者不足に悩んでいる事業所が多く、廃業に至る大きな要因であると考えられます。 このような状況のもと、本県経済の活性化のためには、新たなサービスや雇用が期待される起業をより一層推進していく必要があると考えます。 近年では、ITの活用により初期費用が抑えられ、また、フィンテックのような新しい金融サービスにより、資金調達が容易になるケースもあると聞きます。本県においても新たな分野や、今後成長が見込まれる分野での起業がふえることを期待したいものですが、所見を伺います。 後ほど人口減少問題について触れますが、人口の社会増を図るには、当然のことながら転入人口をふやさなければなりませんが、その際に問題になるのが就労先です。その点、事業を持っている人は、その不安はありません。 このように、U・Iターン希望者による起業を促進することは、雇用の不安が解消されるだけでなく、人口減少の対策にもつながり、効果的と考えます。U・Iターンによる起業では、資金面や不動産の確保、通信インフラの整備等の課題があると考えますが、県の取り組みについて伺います。 続いて、冬季オリンピック等のスポーツイベントについて伺います。 先月、本県で開催されたアルペンスキーワールドカップにつきまして、県内では41年ぶり、国内でも10年ぶりの開催となりました。本大会の開催により、国内外に湯沢町や苗場スキー場の名前をアピールできたことや、本県の競技力向上にもつながっていくのではないかと期待されますが、大会の成果について、知事の所見を伺います。 この大会、私も観戦しましたが、役員の皆様方の努力には頭が下がりました。ヨーロッパに比べ、はるかに水分の多い雪質を克服したのです。事前の散水作業、直前の降雪による雪の除排雪、当日の雨、高温への対応など、見事の一言に尽きます。ジャイアントスラロームでは、ゼッケン27番のブラルドーネ選手が3位に入りました。これは、コースコンディションのすばらしさを物語る何よりの証明です。 このアルペンスキーワールドカップの開催を通じ、このような役員や関係者等の尽力もあり、悪天候下でのコース整備や大会運営の実績を積んだことは、今後の国際大会や国内の大きな大会の誘致につながるものであり、県としても積極的に誘致活動を行っていくべきと考えますが、所見を伺います。 また、時を同じくして、新潟市と南魚沼市を会場に、知的障害者の全国規模の競技会、スペシャルオリンピックス日本冬季ナショナルゲームが本県で初めて開催されました。本大会は、知的障害者と健常者の共生社会を目指すことを目的としており、多くの県民が声援を送り、また、ボランティアで参加されたと聞いていますが、本県で開催されたことの意義について、知事の所見を伺います。 私は、先日開催されました希望郷いわて国体スキー競技会に新潟県選手団の顧問として参加してきました。本県選手団は健闘し、男女総合の天皇杯で2位という成績をおさめ、また、苗場でのワールドカップで前走した若月選手、三浦選手が少年男子組で1位、2位をとったことは、ワールドカップレガシーと言えるでしょう。やはりスキー競技は本県にとってお家芸であり、今後も選手強化、普及に積極的に取り組むべきと再認識しました。 本年1月、日本体育協会及び文部科学省が、知事に対し、平成30年の国民体育大会冬季大会スキー競技会の開催を要請し、先月には妙高市長などから妙高市での開催の要請があったと聞いておりますが、開催が決定すれば、本県の競技力向上だけでなく、上越地域の活性化も期待されることから、県を挙げて大会の成功に向けて取り組んでいくべきと考えますが、知事の所見を伺います。 ところで、私が中学生のとき、1972年にアジアで初の冬季オリンピックである札幌オリンピックが開催され、雪国の少年にとって非常に大きな感動と興奮を味わわせてくれました。今でもよく覚えております。思えば、札幌オリンピックは、その後のオリンピック開催に影響を与えることになった環境問題がクローズアップされた大会でした。 それは、男女滑降が行われた恵庭岳はコースが大会のために山林を伐採して整備されたものですが、自然への配慮から、大会後植林され、もとの森林に戻したのです。支笏湖に飛び込むように滑りおりていくと形容され、評判のコースだったのですが、そこはもう滑ることはできません。冬季オリンピックの自然への影響が取り沙汰され始めた大会でした。 ちなみに、次回の開催が決定していたアメリカのデンバーは、環境問題から開催を返上し、オーストリアのインスブルックで代替の大会が開催されました。 競技が始まってからは、笠谷、金野、青地選手の日の丸飛行隊による、70メートル級ジャンプの金銀銅独占には感動しましたし、フィギュアスケートでは、銅メダルだったものの、アメリカのジャネット・リン選手に日本中が魅了されました。 なぜ私がこれだけのことを覚えているかというと、それだけの感動、興奮があり、少年の心にそれが深く刻み込まれていたからです。これを次代の少年たちにもぜひ味わわせてあげたいと思います。 昨年12月、新潟県スポーツ振興議員連盟において、塚田一郎参議院議員から新潟冬季オリンピックの基本構想について講演が行われました。塚田議員は、世界3大スポーツイベントは、サッカーワールドカップ、夏季オリンピック、ラグビーワールドカップであり、それに次ぐ大きなイベントとして冬季オリンピックを挙げ、新潟冬季オリンピック2030年開催案を説明されました。 申し上げるまでもなく、本県は北海道、長野県と並ぶスキー王国であり、2014年のソチオリンピックでは、ジャンプ団体銅メダルの清水選手、スキーハーフパイプの小野塚選手などのメダリスト、また皆川賢太郎選手、広井法代選手、星瑞枝選手を初め、世界で活躍した選手を多数輩出しています。しかしながら、北海道、長野県に比べ、本県ではオリンピックは開催されておりません。 先ほど環境問題について述べましたが、多くのスキー場があり、コースを新設するための森林伐採の必要がなく、また天然雪が豊富であり、大量に沢水を使用し、自然環境に負荷を与える人工雪をつくる必要性が少ない本県は非常に有利です。 県内には、国際スキー連盟、FIS公認の十日町クロスカントリーコースや苗場スキー場など、世界レベルの大会が開催できる施設があります。また、開催後、これらの施設等のインフラだけではなく、スキー普及、競技力向上、競技運営能力などがオリンピックレガシーとして本県に残るはずです。スキーが冬の主要な産業である本県にとって、大変貴重なものになるでしょう。 私は、ぜひ、新潟冬季オリンピックを実現させたいと思っております。 さきに述べましたアルペンスキーワールドカップやスペシャルオリンピックス、妙高市でのスキー国体など、ウインタースポーツ開催の機運が盛り上がっていく中、冬季オリンピックの開催については、立候補する市町村の判断が必要でありますが、県のリーダーシップやコーディネートが重要であり、冬季オリンピックの招致について検討してはどうかと考えます。先日、青年会議所を中心とする方々が知事宛てに要望書を提出したとも聞いておりますが、所見を伺います。 次に、県内交通についてお伺いします。 ことし1月、軽井沢でツアーバスの転落という大変痛ましい事故が発生しました。事故原因については調査結果を待ちたいと思いますが、下り坂でギアがニュートラル状態であったという報道もあり、それが事実としたら信じがたい運転です。 通常、大型車は、下り坂ではエンジンブレーキ、排気ブレーキで減速しながらフットブレーキで制動します。低速ギアにさえ入っていれば、さほど問題はないはずなのですが、やはりドライバーの技術に疑問を感じます。背景にどんな状況があったのか、考えさせられます。 近年、バスやトラックを問わず、営業用で運行するいわゆる青ナンバーのドライバー不足が顕著です。訪日外国人数の増加などを背景に観光バスの需要はふえ、ドライバー不足の傾向はますます強くなるものと思われます。バスは、公共交通手段としての一面もあることから、ドライバーの確保に向けて県としても支援が必要でないかと考えますが、所見を伺います。 高速バスについて伺います。 高速バスは、鉄道網が未整備、不便な地域にとって非常に大切なものです。 私の住む糸魚川と新潟との直通交通は、鉄道が快速1往復、高速バスが2往復のみです。時間の制約があり、どうしてもマイカーでの移動になることが多いのが実情です。ショッピングなど行楽も、最近は新幹線効果で金沢、富山、長野に加え、軽井沢へもということもあるようです。不便だから、高速バスを使わない。そうすると利用者が減り、ますます採算が合わないという負の連鎖に陥っていると思います。 このように、県内の高速バスは赤字路線が多く、糸魚川市のように自治体が赤字の一部を補填している例もあります。特に鉄道等の他の公共交通手段が不便な地域では、県都である新潟市へのバス路線の維持確保を願う声が多く、そのような地域に対しては、路線存続のための公的支援も必要ではないかと考えますが、所見を伺います。 地域内でのバスについてもお伺いします。 交通手段の少ない地域ではマイカーが必須で、今や各家庭1台ではなく、1人1台所有という家庭も少なくありません。そして、お年寄りが自分で車を運転できなくなったら、そこには住みづらいというのも実態です。 このように、人口減少や高齢化が進む中山間地域では、通学、通院、買い物など、地域住民の交通利便性向上のため、コミュニティーバスの役割が重要となりますが、県内におけるコミュニティーバスの運行状況について伺うとともに、交通弱者の移動手段の確保のため、コミュニティーバスの運行に係る支援も必要と考えますが、あわせて所見を伺います。 続いては、人口減少問題についてです。 先日、平成27年国勢調査の速報値が発表され、総人口が1億2,711万人で、調査開始以来初めての減少になったとのことでした。本県を初め39道府県で人口が減少、東京一極集中の是正を急がなければなりません。本県は230万5,098人で、前回調査よりも2.9%減少と、減少数は全国3番目、減少率で15番目とのことでした。 本県の合計特殊出生率は1.43で、全国平均をわずかに上回っておりますが、社会減は平成9年から続き、減少幅は平成24年から4年連続で拡大し、6,000人以上減少しております。近隣他県は、富山県が1,045人、石川県が287人、長野県が2,934人の減少と、本県よりもかなり少ない上、3県とも前年に比べて減少幅が縮小している状況です。 本県の転出超過の主な理由は、職業が80%、次いで学業です。年齢別では、20歳から24歳を中心とした若者の転出が目立ちます。要するに就労が最大のネックになっていて、社会減を少なくしていくためには、魅力ある就労の場を提供し、若者が県内にとどまってもらえるような、あるいは県外の若者を新潟県に呼び込むような対策を重点的に考える必要があると私は考えております。 県の新年度予算において、県外からの移住促進を初めとして人口の社会減対策に取り組むこととしておりますが、知事が最も力を入れて取り組む施策は何か伺うとともに、施策の実施に当たっては数値目標を明確にして行うことが重要と考えますが、来年度の数値目標について伺います。 団塊の世代が75歳以上になる10年後には、県内の介護職員が4,700人不足すると、今議会の冒頭の所信表明で知事も述べられておりました。 大都市圏ではそれがもっと顕著であり、地方への高齢者の移住にはそういった事情も働いているわけですが、CCRCのようなアクティブシニアの移住については、以前からも指摘があるように、将来の医療・介護需要の増大に対するサービス提供に不安が残るとのことでありますが、10年後、20年後の本県の医療・介護の将来像やビジョンをどのように考えているのか伺います。 一方、自然動態につきまして、合計特殊出生率は全国平均、本県とも1.4程度です。人口が最も集まる東京都のそれが1.1程度である現状では、全国的に自然増になるはずがありません。 合計特殊出生率の人口置換水準が2.07である一方、政府の掲げる目標は希望出生率1.8の実現であり、目標を達成できても人口はふえず、生活の利便性の低下や企業活動の停滞が懸念されます。 そのため、合計特殊出生率を上げることは喫緊の課題であり、県では今年度から少子化対策モデル事業を実施していますが、子供を安心して産み育てられる環境の整備を進める上での課題と取り組みについて伺います。 この項目の最後に、健康について質問します。 健康保持には運動が重要なことは周知の事実です。私自身も、運動不足解消、肥満防止のために運動したいと思っておりますが、なかなか続きません。お年寄りが軽運動に取り組めば、医療費の軽減にもつながると言われております。 健康を保つためには日常の運動が大切ですが、本県のような雪国では冬期間の運動の場が限られ、また、スポーツジム等の民間運動施設は、人口が集まる都市部に集中する傾向があります。冬期間における運動の機会を確保することは、健康寿命を延ばす上でも重要と考えますが、県としてどのように取り組むのか伺います。 次の項目は、観光振興についてです。 人口減少による消費の縮小に対して、交流人口を増大し、それを補完する必要があります。定住人口1人減少分の年間消費額を観光客の消費に換算すると、宿泊する国内旅行者で27人分、日帰りでは84人分、インバウンドでは9人分と言われています。人口減少に悩む地域が観光客誘致、特にインバウンドに注力するのは当然のことであります。 本県の平成27年1月から11月の外国人延べ宿泊者数は、前年比約2倍の23万人泊と、北陸信越の中では最も伸び率が大きいものの、数では長野県の87万人泊や石川県の47万人泊には及ばず、大きな差があります。国・地域別宿泊数の割合を見ると、新潟県は全国の数字と傾向が似通っており、3県と比べて際立った特徴はないとの報道もあります。本県においては、他県に劣らない地域資源、観光資源を多く有していると思いますが、本県の特徴をどのようにPRし、誘客拡大に結びつけていくのか伺います。 インバウンドのうち、本県ではスキー客が多いわけですが、私はかつてスキー場の代表を務めておりましたので、彼らへの対応についての難しさを熟知しております。 一例を挙げますと、あるときに白馬からオーストラリア人の団体が来場されました。当日はかなりの降雪、濃霧でコンディションが悪くなり、ホワイトアウト状態。安全に配慮し、やむなくスキー場をクローズすることにしたのですが、彼らは納得しません。いわく、我々は山の専門家で、5,000メートル級の山も経験している。だから、大丈夫だとのことです。そして、リフトを運転しないのならここまでの交通費を返せと訴えます。最後には、自分たちでゲレンデを上っていってしまいました。このときに、スキー場のローカルルールやマナーなど、詳細のコミュニケーションがとれる語学力が必要だと痛感しました。 今シーズンも外国人スキーヤーのバックカントリーでの遭難事故が発生しました。今述べたとおり、事故を未然に防ぐために注意喚起しようとしても、かなりの語学力が求められ、難しい面もあります。インバウンドが好調の中、スキーに限らず、観光地の従業員、スタッフが外国人観光客向けに語学力を磨く必要性を感じますが、県としてどのように取り組んでいくのか伺います。 観光は、かつて、そこに住む人たちの生活とは距離がありました。しかし、最近は違うようです。そこに住む人たちが楽しんでいるものを観光客が求めているということでしょう。住んでよし、訪れてよしの地域づくりが求められていると思います。 つまり、これまでの観光はブランディングやプロモーションといった手法の導入等が不十分であり、国では現在、日本版のDMOの取り組みを進めていますが、新潟の魅力を効果的にPRし、国内外からの誘客につなげていくためには、本県での地域の関係者が連携し、日本版DMOを形成していくことが必要であると考えますが、所見を伺うとともに、県内各地での形成に向けた動きについて伺います。 最後の項目は、中山間地農業についてであります。 TPPの大筋合意を受け、農林水産部門については、関税削減による長期的な影響が懸念される中、国では攻めの農林水産業として、農林水産業の成長戦略を掲げていますが、中山間地域への対策が十分ではないと感じています。このままでは担い手確保が困難になると考えますが、本県の中山間地域における担い手確保に向けた基本的考え方について、知事の所見を伺います。 最後の質問です。 糸魚川のような高齢者比率が高い中山間地域では、水路の維持などに大変な苦労をしております。私も何度か視察をしておりますが、よくこの状態を維持していると感心することも多々あるくらいです。 このように、ため池や水路などの農業用施設の維持管理に多大な労力を要する中山間地域では、担い手が将来にわたり安心して農業を営むことができるよう、基盤整備の推進が必要と考えますが、知事の所見を伺います。 以上をもちまして私の一般質問を終了いたします。ありがとうございました。(拍手)   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 中村議員の一般質問に順次お答えをいたします。 まず初めに、県内経済の現状等についてでありますが、議員御指摘のとおりに、大都市に立地する輸出型大企業を中心に業績が改善いたしております。 一方、本県においては、中小企業や小規模事業者に広く波及するに至っておりません。景況感に弱さも見られるところであります。先行きについても慎重な見方をしている状況にあるものと認識いたしております。 デフレからの脱却を確かなものとし、経済を成長軌道に乗せていくためには、金融政策単独ということには限界があると考えています。これに加えて、積極的な財政出動による内需拡大が必要と認識をいたしております。政府・日銀においては、金融政策と財政政策を両輪とする適切なマクロ政策を実行していただきたいと思います。そして、地方でも景気回復が実感できる経済環境を整備していただきたいと考えております。 県といたしましては、補正予算と28年度当初予算を一体とした切れ目のない対応によりまして、設備投資の促進なども含め、独自の県内需要の喚起に積極的に努めてまいります。 次に、成長分野における起業促進についてであります。 議員御指摘のとおり、新しい金融サービスが進展してきております。ITを活用した新たなビジネスの可能性の高まりも進んでいるところであります。起業を取り巻く環境が変化しているという認識を持っております。 県といたしましては、そうした状況も踏まえながら、成長分野を初め、幅広く、多くの起業者を支援し、起業環境の整備に努め、県経済の活性化につなげてまいりたいと思います。 次に、冬季オリンピックなどのスポーツイベントについてお答えをいたします。 まず、アルペンスキーのワールドカップ開催の成果についてであります。 私も当日、参加をしてまいりました。画面で見るよりも斜面は大変急で、表彰する際においても、一流選手の滑った後の感動が残っていたことが大変印象的でありました。 国内外から1万人以上のファンが新潟に観戦に訪れていただきました。新潟のスキー場をPRできた、そして本県の知名度アップが図られたものと考えております。 また、次世代を担う子供たち、直接世界のトップアスリートのわざを目の当たりにしたということも大きかったと思います。地元の八海高校の生徒3人が前走を任されました。大きな励みになったというふうに考えております。将来、本県から世界で活躍できる選手の輩出につながることを期待いたしております。 次に、今後の国際大会等の誘致についてであります。 議員御指摘のとおり、今回のコース整備、大変な御苦労があったと思います。もともと少雪であった中で、まさにゲレンデコンディションを最高のものにするために大変な努力をしていただきました。また、自衛隊の皆さんの参加もあって、競技大会が円滑に進んだというふうに受けとめております。 この大会運営は、選手及び国際スキー連盟から高い評価を得たというふうに聞いております。今後の国際大会等の誘致につながるものと考えております。 このような国際大会は、子供たちに夢と希望を与えることになります。また、地域の活性化のきっかけにもなるというふうに考えております。県といたしましては、関係市町村及び競技団体と連携して、これからも国際大会等の誘致活動に取り組んでまいります。 次に、スペシャルオリンピックス日本冬季ナショナルゲームについてであります。 このスペシャルオリンピックスは、知的障害のあるアスリートが挑戦をする大会であります。また、その姿は県民に勇気と感動を与えてくれた大会であったと思います。 特にこの晴れ舞台に立つまでに、障害者の皆さんお一人お一人は大変な苦労をしながら立たれたわけでありまして、そのドラマの数は競技者の数だけあるということだと思います。競技だけではなく、このスペシャルオリンピックスにたどり着く道のり、これもあわせて、その姿を拝見するときに、やはり大きな感動が伝わってくるということを感じました。 大会開催によりまして、障害者の社会参加が一層進むとともに、優しさや温かさが感じられる地域づくりにつながっていくものと期待をいたしております。 次に、平成30年のスキー国体の開催についてでありますが、トキめき新潟国体以来9年ぶりの開催となります。本スキー国体は、本県選手が地元での活躍を目指して切磋琢磨することにより、競技力の向上に大きく資するものと期待をいたしております。また、県民の皆様にスキーの魅力、ウインタースポーツの魅力が再認識されるよい機会になるものと期待をいたしております。 今回開催地となる上越地域は、北陸新幹線の開通もありました。大会には多くの人々の来県が期待されることから、地域の活性化にもつながるよう、地元妙高市や関係団体と連携して準備を進めてまいりたいと思います。 次に、冬季オリンピックの招致についてであります。 青柳議員の一般質問にもお答えをしたとおり、招致に関しては、日本青年会議所新潟ブロック協議会や新潟経済同友会から要望を受けているところであります。 県といたしましては、これらの要望を踏まえて、検討をしてまいりたいと思います。 次に、県内交通についてお答えをいたします。 まず、バスドライバーの確保についてであります。 議員御指摘のとおり、バス、トラックなどの運輸業におきまして、中高年層の男性の労働力に依存しており、深刻な労働力不足の状況にあると認識いたしております。 このため、女性や若年者層等、新規の就労・定着に向けた人材確保の取り組みが大変重要と考えており、県といたしましては、引き続き、新潟県バス協会が実施する人材確保の取り組みを支援してまいります。 なお、若年層がすぐ就労できない原因の一つが第2種運転免許の受験資格年齢等にあるということが指摘されております。この要件緩和につきましては、政府の規制改革会議で議論されているところでありますけれども、自動運転を含む安全技術の高度化の進展により、要件緩和も可能と考えられることから、県としては、若年者雇用の促進にもつながる新技術の早期開発・導入促進を国に要望してまいりたいと思います。 次に、県内高速バスに対する支援についてであります。 高速バスにつきましては、基本的には、都市間の高速移動を目的とし、代替する交通手段が存在することから、事業者の経営努力により維持されるべきものと考えており、県といたしましては、これまで地域住民の日常生活に不可欠な路線バスを優先して支援してきたところであります。 現在、高速バスについても維持・確保の要望をいただいているところでもありますので、路線存続に係る公的支援については、関係者で協議をしながら、そのあり方についてコンセンサスを得ていきたいと考えております。 次に、コミュニティーバスの運行支援についてであります。 議員御指摘のとおり、コミュニティーバスは、地域住民の交通利便性向上に重要な役割を果たしていると認識をいたしております。住民ニーズを踏まえ、維持・確保を図ることが必要であると思います。 県といたしましても、現行の地方バス補助制度により、引き続き支援をしてまいります。 なお、県内におけるコミュニティーバスの運行状況につきまして、交通政策局長から御説明をいたします。 次に、人口減少問題についてお答えをいたします。 新年度の人口社会減対策の重点施策等についてであります。 県外からの転入者数は、10年前と比べて約7,700人減少いたしております。結局、都市部における有効求人倍率が高いということで、都市部の条件がよくなっていますので、わざわざ地方に行って就職しようという人が激減している。 一極集中、また輸出型の大企業の本社が大都市に集中することによって、そちらの待遇のほうがよくなるので、以前は地方に戻っていた人が戻らなくっているということが、社会減が拡大している今最大の原因になっているというふうに受けとめております。 そのため、新年度におきましては、U・Iターン者の増加につながる施策を積極的に進めてまいりたいと思います。 また、数値目標については、「夢おこし」政策プランの政策目標である、平成24年中の転出超過数4,467人を下回ることを目指して取り組みを進めてまいりたいと思います。 次に、医療・介護の将来像等についてでありますが、県民の誰もが、住みなれた地域で必要な医療や介護が受けられ、安心して生活できる環境を構築していくことが重要と考えております。 県といたしましては、当面、団塊の世代が後期高齢者となる2025年を見据えて、医療や介護サービスが円滑かつ継続的に提供される体制の構築を目指してまいります。 次に、観光振興についてお答えをいたします。 日本版DMOについてでありますが、大渕議員の代表質問にお答えをしたとおり、観光地経営の視点に立ち、多様な関係者と連携しながら、地域の資源や人材を生かした地域づくりに取り組むDMOが多く形成されることが重要であると考えております。 県内各地でのDMO形成に向けた動きについて、産業労働観光部長から御説明をいたします。 次に、中山間地農業についてお答えをいたします。 まず、中山間地域の担い手確保に向けた基本的な考え方についてでありますが、中山間地域においては生産条件が大変厳しくなっております。規模拡大による所得確保が困難な地域においては、豊かな地域資源を生かした6次産業化を推進していくことが不可欠と考えております。加えて、他産業と同程度の所得が確保できるよう社会政策としての公的サポートの拡充が必要であるというふうに認識をいたしております。 次に、中山間地域における基盤整備の推進についてであります。 中山間地域は、耕地面積の約4割と、かなり大きな部分を占めております。本県農業において重要な役割を果たしております。また、日本全体で見ても、この中山間地農業が日本の食料安全保障を支えているという側面があると考えております。 一方で、地形条件が不利というところがありますので、ため池や水路など農業用施設の維持管理に多大な労力を要しているという認識を持っております。 県といたしましては、議員御指摘のとおり、維持管理の負担軽減を図るために基盤整備を推進してまいりたいと思います。   〔福祉保健部長岡俊幸君登壇〕 ◎福祉保健部長(岡俊幸君) 2点についてお答えいたします。 子供を安心して産み育てられる環境整備を進める上での課題と取り組みについてでありますが、県といたしましては、結婚、妊娠・出産、子育てにわたる切れ目のない支援を行い、結婚・子育ての希望をかなえることが重要と考えております。 このため、新年度予算においては、「あなたの婚活」応援プロジェクト少子化対策モデル事業、子ども医療費助成等の交付金、子ども・子育て支援の推進などに取り組んでまいります。 次に、冬期間の運動の機会の確保についてでありますが、議員御指摘のとおり、冬期間における運動の機会の確保は重要であると考えており、県では、現在、通年利用が可能な運動施設を取りまとめた新潟県内運動実践施設リストブックを作成するとともに、自宅で気軽に取り組める運動をホームページで紹介しております。 また、スキーなどのウインタースポーツは、雪国ならではの健康づくりと言えますので、多くの県民が冬期間の運動を行えるよう、引き続き市町村や関係団体等と協力し、取り組みを進めてまいりたいと考えております。   〔産業労働観光部長池田幸博君登壇〕 ◎産業労働観光部長(池田幸博君) 5点についてお答えいたします。 本県の事業所数の推移についてでありますが、雇用保険事業年報によると、近年は廃止事業所数が新規事業所数を上回って推移していましたが、直近の26年度では新規事業所数が上回っております。 また、全国との比較では、26年度の開業率は3.4%で42位、廃業率は3.2%で37位となっております。本県では、創業100年以上の企業数が全国で4番目に多いなど、長寿企業が多いことから、廃業率が低くなっているものと認識しております。 なお、開業率については、持ち家比率とは負の相関関係が、人口増加率や廃業率とは正の相関関係があるとされております。 起業支援に当たっては、ニーズや課題にきめ細かく対応しているほか、新年度では、U・Iターン起業者等への助成の拡充や、創業支援資金等の要件拡充などを行うこととしております。 次に、U・Iターン起業の取り組みについてでありますが、議員御指摘のとおり、資金調達や物件情報の入手など、U・Iターン起業者はさまざまな課題を抱えていることから、NICOと連携しながら、計画段階から起業後の経営安定化に至るまで伴走型での支援を行っているところです。 新年度では、U・Iターン起業者や若者・女性への助成金の拡充のほか、創業支援資金の要件拡充などを行うとともに、市町村と連携した家賃補助の拡充などにより、U・Iターン起業者の移住促進に取り組んでまいります。 次に、本県観光資源等の特徴のPRについてでありますが、本県においては、雪はもとより、豊かな食や歴史文化などの魅力も多くあります。 県では、国による嗜好・習慣の違いや、旅行目的となる観光資源の魅力も異なることを踏まえながら、多言語観光ホームページの整備や対象国別のPR動画作成のほか、留学生モニターツアーを通じて、外国人の視点からその魅力をSNSなどで発信する取り組みを進めてまいります。 加えて、着地型コンテンツのビジネスモデル構築に向けた支援にも取り組んでまいります。 次に、外国人観光客への対応についてでありますが、議員御指摘のとおり、スキー場での安全・安心に関するものから、宿泊・観光施設等での接客などにおいて、言語対応の取り組みは必要と考えております。 このため、県では、外国人観光客に向けて、スキー場、宿泊施設、観光案内所などでの指さし会話シートの提供、スキー事故やけがに備えた通訳の配備、施設従業員の語学研修など、各地域の実情や課題に合わせた受け入れ体制の取り組みを支援しております。 今後とも、関係機関と連携し、受け入れ体制の一層の充実を図ってまいります。 次に、DMO形成に向けた動きについてでありますが、昨年11月に国がDMO候補法人の登録制度を創設し、本県では、魚沼地域で雪国観光圏が、また妙高市では市の協議会のほか、長野県内の市町村と連携した団体の登録申請がなされているところです。 このほか、DMOの形成に向け、複数の検討が行われているところですが、引き続き動向を把握し、DMO形成に向けた支援を行ってまいりたいと考えております。   〔交通政策局長桐生裕子君登壇〕 ◎交通政策局長(桐生裕子君) 県内におけるコミュニティーバスの運行状況についてでありますが、市町村がコミュニティーバスと位置づけている運行形態を取りまとめたところ、平成27年4月現在、17市町村123路線の運行となっております。 ○副議長(金谷国彦君) 中村康司君の質問は終わりました。 次に、小山芳元君の発言を許します。小山芳元君。   〔小山芳元君登壇〕(拍手) ◆小山芳元君 早速質問に入ります。 通告の第1点目、知事の政治姿勢について質問いたします。 最初に、今議会の大きな焦点になっていました秋の知事選挙について、知事は代表質問に答える形で4選出馬を表明され、県民の生命と安全、財産を守ると決意を述べられました。 知事選出馬に向けた大きな課題であった柏崎刈羽原発について、知事は、今回の代表質問で、仮に安全が確認できたとしても再稼働の議論はできないとは、これまでも申し上げておりませんと答弁され、議会後の記者の問いに対し、これまでの発言を言葉として整理しただけで、変わりはないと説明されました。 これまで知事は、福島第一原発事故の検証・総括がなされない限り再稼働の議論はしないとしてきた姿勢から、一転してニュアンスが変わったようにも受けとめられますが、そうした懸念はないのか、知事の見解をお伺いいたします。 また、多くの県民は、原発問題に向き合う泉田知事の姿勢を高く評価し、支持しており、今後の活動に期待していることから、これまでの姿勢を貫く中で県民の負託に応えてほしいと思いますが、あわせて知事の所見をお伺いいたします。 次に、新潟港とロシア極東・ザルビノ、ウラジオストクの2港を結ぶ日本海横断航路について、貨客船の購入をめぐり売り主の韓国企業と契約トラブルが起き、当初計画が暗礁に乗り上げている、県が多額の損失を負担しなければならない可能性もあるなどと新聞報道がなされています。 この問題については、既に多くの議員から質問が出されましたが、私は議会への対応に問題があるとの視点で質問いたします。 議会は、2015年度当初予算で貨客船購入費用を含めた関連費用6億5,000万円を議決した責任があることから、私はこれまで委員会で、当初方針どおりにいかずに滞っている実態内容を説明するよう再三ただしましたが、県は、交渉事であるなどとして、議会に報告をしませんでした。 このため私は、この先、議会が説明を受けていない中でマスコミ等で知ることにならないよう、早い時期に報告することを求めてきた経過があります。 しかしながら、議会が説明を受けることなく、守秘義務があり、慎重な対応が必要としていたものが、結果して、新聞報道で知ることになったのは極めて遺憾であり、議会軽視であると指摘せざるを得ませんが、知事の見解をお伺いいたします。 通告の第2点目、予算・経済・労働問題等について質問いたします。 最初に、内閣府が発表した2014年における日本の1人当たりのGDPは、安倍政権になって2割以上も落ち込み、先進34カ国が加盟するOECDの中で19位、20位と過去最低に転落、2年間で物価上昇率2%の目標も1%に下方修正するなど、デフレ脱却はほど遠い状況にあります。 ここに来て、日銀の黒田総裁がアベノミクスの失敗を認めたとのマスコミ報道もあるなど、足元が揺らぎ、アベノミクスが完全に行き詰まり、失敗であった。このことを指摘し、以下、質問いたします。 安倍政権は、このアベノミクスの失敗を隠すかのように、労使交渉にまで介入し、賃上げを求めていますが、その一方で、派遣労働者を固定化、さらにふやす労働者派遣法の改悪や残業代ゼロ法案に見られる労働基準法の改悪提案など、実際にやっていることは実質賃金の切り下げにつながる真逆の方向であります。 直近の厚生労働省の毎月勤労統計調査では、安倍首相の賃上げ要請もあり、2015年の労働者の1人当たりの給与総額は前年より0.1%ふえたものの、実質賃金は前年比0.9%減で、4年連続のマイナスとなっております。 デフレからの脱却は、内需低迷の要因である労働者の実質賃金の引き上げが必要不可欠と考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、消費税8%への引き上げにより、当初のGDP増加見込みが、実際は実質で1%減、名目で1.5%増にとどまるなど、政府の消費税8%への影響は限定的と過小評価をした過ちが明るみになり、個人消費と内需の低下を招いています。 こうした中、2017年4月に消費税率10%への引き上げを行えば、同じ事態が繰り返されるどころか、ますます消費が落ち込み、デフレ脱却に逆行することは明白であることから、消費税の再増税を見送るよう、知事会等を通しながら国に求めていくべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、大企業が過去最高益を更新し続け、300兆円に迫る巨額の内部留保をため込む中、政府は、1年前倒しで法人実効税率を20%台へ引き下げる方針を打ち出しています。 これにより、一部の大企業はさらに利益をふやすことになる一方、県内中小企業への効果は限定的であり、企業間格差がさらに広がるなど厳しい経営が続き、結果して賃上げの抑制につながるものと考えられます。 経済の好環境を実現すると言うならば、消費税増税はやめて、法人税減税も中止し、むしろ巨額の内部留保への課税も検討することが必要と考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、従来から見られていた、景気下支えのための切れ目のない予算執行と称して、当初予算と前年度末の補正予算の一体的な編成手法については、2013年度以降から特にその傾向が強まり、過去最大となった政府の新年度一般会計予算案96兆7,218億円も、補正予算と合わせた15カ月予算でいくと、4年連続の100兆円を超える膨大な規模となります。 政府は、一億総活躍社会を名目にした関連予算やTPP対策などさまざまな財政需要に緊急性があるとして、新年度予算の一部を補正予算に前倒しで計上していますが、根底にはアベノミクスの失敗を隠すため、TPPに対する渦巻く不安や怒りを補助金で鎮静化させるため、また、参議院選挙を意識したばらまき的な高齢者給付金など、補正予算としての緊急性が疑問視されるものが多いのが実態であると言わざるを得ません。 こうした当初予算と前年度補正予算の一体的な編成手法の常態化は、表向きは当初予算規模を抑制させる形になりますが、実際は予算規模の拡大を助長しており、査定や議会での審議も甘くなりがちになるなど、好ましい状況とは言えないのではないかと考えます。 本来、政府の補正予算は必要最小限にとどめ、1年間に必要な経費は原則として全て当初予算に計上すべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。 通告の第3点目、TPP・農業問題について質問いたします。 最初に、国を相手に裁判を行っているTPP交渉差止・違憲訴訟の会が大筋合意内容を分析した結果、聖域と位置づけた米など重要5品目も含めて関税撤廃の除外規定が担保されておらず、関税が許されているのは7年間の執行猶予つきであり、最後は全ての品目が例外なく関税ゼロにされる聖域なき関税撤廃の基本原則が明確に貫かれており、TPPが発効すれば全面的な関税撤廃に進んでいく仕組みが盛り込まれていると指摘しています。 安倍首相が、今国会の施政方針演説で、重要5品目は関税撤廃の例外を確保したと強調していることは、大多数の一般国民をだましているものと言わざるを得ません。 結局は、関税ゼロとする聖域なき関税撤廃の基本原則により、全面的な関税撤廃に進んでいく。これが本当の姿ではないかと思いますが、知事はどのような認識を持つか、お伺いいたします。 次に、TPPの大筋合意は、あくまで通過点であります。 アメリカ大統領選挙の予備選では有力候補者5人のうち4人はTPP反対、残りの1人も賛否を保留していることは、選挙結果によって白紙に戻ることも十分に想定されます。 こうしたことも踏まえ、本県農業を守るためにも、国会決議との整合性の根拠も示せないまま最終的に批准させることのないよう、取り組んでいくべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、政府は、TPPの経済効果について、GDPを約13兆6,000億円押し上げ、約79万5,000人の雇用拡大、農林水産物の生産額は約1,300億円から2,100億円減少するものの、食料自給率は現状水準の39%を維持できるという試算を公表しました。 しかし、2年前の2013年政府統一試算と比べると、GDPは実に増加額が4倍にもはね上がり、農林水産業の損失が約20分の1に激減するなど、余りにも恣意的な意図が露骨にあらわれた試算であると指摘せざるを得ず、県内農業生産者からも、農家を愚弄している、あきれて物が言えないと憤りの声が上がっていますが、知事はどのような見解を持つか、お伺いいたします。 また、TPPの大筋合意に対して、政府のような意図的な粉飾試算でなく、本県への影響について独自の試算をすることで、問題点を明らかにすべきであると考えますが、あわせて知事にお伺いいたします。 次に、政府のTPP関連政策大綱では経営安定対策が示され、農業分野においては、米7.8万トンの特別輸入枠相当量を備蓄米として買い取るとしていますが、これまで以上に安い米が国内に入ってくれば、国内米価の相場も引きずられ下がることは必至であり、備蓄米による米価下落対策も多額な財政支出を伴うことから、その場しのぎにすぎないと考えます。 また、牛・豚などの畜産所得の補填割合を8割から9割に引き上げることについても、この制度は過去の畜産所得の下落価格に対する補填であることからすれば、9割補填したとしても畜産所得は下がり続けるという問題があります。 このようにTPPの影響も含め、全容もわからない時点で、幾らTPP関連対策を講じても、日本農業の成長につながる万全な対策にならず、農家が安心して営農を継続することはできないのではないかと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、農業問題の最後ですが、担い手への農地集積は、2009年の農地法改正で所有からリースへ本格的に移行し、全国的に農地中間管理機構を通じた企業の農地貸借が進んでいる状況にありますが、国家戦略特区での農業生産法人に対する企業の出資要件を、現行の4分の1以下制限を2分の1以上まで引き上げるという大幅に緩和する動きがありますが、こうした企業の農地所有について、この先、特区での取り組みを突破口に全国的に解禁となる可能性があり、アリの一穴となりかねません。 これによって、企業は農業経営が厳しくなれば、農地を投機の対象にすることや、現状のリースですら産廃置き場化している実態もあると言われているように、産廃の不法投棄場や資材置き場など目的外使用で、取り返しがつかない事態になることが懸念されるなど、これまでの農地制度を根底から揺るがし、農業基盤を崩壊させることにつながりかねないことから、異を唱えていくべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 通告の第4点目、原発問題について質問いたします。 関西電力高浜原発4号機、放射性物質を含む水漏れトラブルや再稼働直後にトラブルで自動緊急停止したことは、安全性が十分でない中、再稼働を優先している象徴的な出来事であり、極めて遺憾であることを強く抗議し、質問に入ります。 最初に、東京電力は、福島第一原発事故当初は炉心溶融、すなわちメルトダウンを認めず、2カ月後の2011年5月でようやく認めたことについて、判断する根拠がなかったとしてきたものの、5年も過ぎた今になって、社内マニュアルに判定基準が明記されていたと公表しましたが、この基準でいくと、事故発生3日後の3月14日にはメルトダウンと公表しなければならなかったことになります。 知事は、メルトダウンの公表がおくれた東京電力に対し、虚偽説明をする組織とは一緒に仕事ができないなどと厳しく指摘をしていましたが、それでも東京電力は、県技術委員会の調査でも、用語の定義が定まっていなかったなどとして真摯に対応せず、その場しのぎの形で来ました。 私が察するには、メルトダウンの判定基準は当初からあったにもかかわらず、なかったとしてきたものの、これ以上の隠蔽は後の再稼働に大きな影響を及ぼすとの判断から公表に踏み切ったという意図的な経過が十分にうかがえ、これが真相ではないかと考えます。 東京電力の隠蔽体質については、これまでも再三指摘をしてきましたが、5年間もメルトダウンの判定基準を隠蔽してきたことに対し、多くの市民は怒りをあらわにしております。 私としては、もはやここまで来ると、東京電力は原発を運転する資格すらないと断じざるを得ませんが、知事の見解をお伺いするとともに、県としてこれまで以上に毅然とした態度で臨まなければ、県民の真の安心・安全は守れないと思いますが、知事はこの問題にどう対応するのか、あわせてお伺いいたします。 次に、国の新年度当初予算案では、原発施設が立地する自治体に交付される電源立地地域対策交付金の算定が見直され、これまでの停止中も稼働率81%とみなした算定から、東日本大震災前10年間の平均稼働率で算定し、再稼働した原発の地元自治体には別の交付金を加算するとのことであります。 このため、柏崎刈羽原発はトラブル隠しや中越沖地震で停止期間が長いことから、本県内の立地自治体は大幅に交付金が減額されることになりました。 こうした交付金を盾にして、原発を再稼働しなければ交付金を減額するという政府のあめとむちのやり方は極めて遺憾でありますが、この政府の方針について、知事の見解をお伺いするとともに、私は、これを機に、原発交付金に頼らない予算編成へ転換する機会と受けとめたほうがよいと考えますが、あわせて知事の所見をお伺いいたします。 次に、知事は、新規制基準について、過酷事故が起き、放射性物質が大量に放出された場合の緊急時の対応方法は、IAEAの深層防護の国際基準である過酷事故後の対策の第5層が欠落し、過酷事故対策の第4層も十分でないと指摘し、原子力規制委員会に改善要請をしてきています。 このことは、これが解決しないことには、柏崎刈羽原発の安全をめぐる議論は前へ進めることができないと言っているものであると受けとめますが、知事の見解をお伺いするとともに、今後、国際基準に適合させるためにどのように取り組む方針なのか、あわせて知事の見解をお伺いいたします。 次に、福島第一原発事故を受け、第三者機関として発足した原子力規制委員会は、これまでの組織で失墜した原子力規制行政の信頼回復に向け、一層の透明性の確保が求められている中、柏崎刈羽原発が新規制基準に適合するかの集中審査に当たって、検討過程を記録した内部文書がつくられていなかったことが、新潟日報社の情報公開請求で明らかになりました。 原発は国民の命と健康を脅かす問題だけに、情報公開は国民に理解を得る最低限の前提条件であるにもかかわらず、記録文書の不作成は、今後、県の技術委員会などの第三者によって検証しようにも検証できない状態にあり、公文書管理法と行政文書管理規則に抵触する許せないものと考えますが、知事はこれをどのように受けとめ、この問題にどう対応するのか、所見をお伺いいたします。 次に、原発事故が起こった場合、EAL、緊急時の活動レベルの警戒事態や緊急事態によって、PAZは放射性物質の放出前の避難を想定していますが、事故の情報は事業者が国に報告し、国から都道府県・市町村に伝達される指針になっていることから、緊急事態宣言までには相当な時間が経過することになります。 自治体は、直ちに住民避難等の迅速な対応が求められる中、緊急事態が宣言された時点では、格納容器の損傷で放射性物質の大量放出が始まるなど、避難がおくれる可能性があり、住民の被曝を最小限にするという観点では既に遅い状態にあります。 さらに、UPZの即時避難基準である毎時空間放射線量率が500マイクロシーベルトに達してから避難を開始するのでは大量被曝を免れないと考えますが、こうした避難計画でよいのか、知事の見解をお伺いいたします。 次に、新潟日報社が柏崎刈羽原発の地元企業の100社に対して行った調査では、原発の長期間停止に対して7割近くの企業が影響なしとしており、原発が地元企業に及ぼす経済効果は限定的で、地域経済を支える基盤になっていないことが浮き彫りになり、原発建設前の1975年から直近までの40年間のデータ分析で、そのことが裏づけされたとしています。 一たび原発事故が起これば、恩恵どころか地域企業に膨大な影響を及ぼし、損失をもたらすだけに、そこまでのリスクを覚悟してまで原発を再稼働することは、地域経済の真の発展につながらないことを実証したものであり、原発は地域経済を支える基盤になっていないものと考えますが、この新潟日報社の検証結果をどのように受けとめるか、お伺いいたします。 次に、柏崎刈羽原発の立地地域と電力消費地域の新聞社による世論調査では、どちらの住民も約半数が柏崎刈羽原発の再稼働に反対し、原発については、徐々に減らし将来はゼロの回答と、すぐにゼロの回答を合わせると、それぞれ70%を超えている結果となっています。 このことは、一たび事故が起これば、日本全体に被害が及び、命と健康が脅かされる当事者となる危機感を共有し、原発は必要ないとの一致した認識で早期の脱原発を望んでいるものと受けとめますが、知事は調査結果を見て、どのような認識を持つか、お伺いいたします。 次に、環境省は2月4日、福島第一原発事故で発生した指定廃棄物に関し、放射性セシウム濃度が8,000ベクレルの基準より線量が減少した場合は、国と市町村等の一時保管者が協議をして指定解除を決め、市町村等が通常の一般ごみと同様の処分ができ、費用は国が負担をするという方針案を初めて提示しました。 8,000ベクレルを下回ったからといって、市町村等の責任で処分しろということは大変な無理があり、自治体の判断で一般ごみとして処理することは、放射能汚染物質の拡散がさらに広がることは必至であります。 本県にも1,017.9トンの保管量がありますが、こうした指定廃棄物の解除という変更はすべきでないと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。 次に、このたびの指定廃棄物に関する国の方針は、8,000ベクレル以下を一般ごみ扱いとする処理基準を恒久化させたい思惑が見え見えでありますが、もとの100ベクレルでも本来は環境中にあってはならない数値であることから、少なくともこのクリアランスレベルを保ち、これ以上の放射能汚染を拡大させないよう国に求めていくべきではないかと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、原子力規制委員会は、柏崎刈羽原発6、7号機の敷地内のF5断層について、30万年前の地層は動いた形跡はあるが、約20万年前以降は動いておらず、新規制基準の13万から12万年前以降とする断層基準に該当しないとして東電の主張を認めました。 しかし、世界最大規模を誇る柏崎刈羽原発が、マグニチュード6.8程度の中越沖地震で、想定をはるかに超える地震動に見舞われた、この事実は大規模な断層の存在を見落としていたことが十分に想定され、変動地形学者の渡辺満久東洋大教授は、柏崎刈羽原発は地下に潜む断層が繰り返しずれ動く褶曲の真上にあるとしており、立石雅昭新潟大名誉教授など地質に詳しい研究者たちは、東京電力の調査は解釈が間違っており、重大な疑義があるにもかかわらず、規制委員会はその間違った解釈をそのまま受け入れていることには問題がある、柏崎刈羽原発の地下にある断層は断層であると指摘する専門家も多くいます。 こうした専門家の見解も考慮しなければ、原発の安全を高めることはできないことから、柏崎刈羽原発の断層問題について、今回の結論で議論を終結させることなく、改めて県の技術委員会での検証が必要ではないかと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。 次に、東京電力は、福島第一原発事故に伴う除染費用負担を、2013年末以降の計画分について環境省の請求に応じず、環境省が200億円を超える額を立てかえたままとなっており、加えて自主避難者の賠償の打ち切りも行っております。 その一方で、新聞報道によれば、1分30秒のテレビCMを県内4局の民放でそれぞれ月60本も放映し、FM放送など民放局にそれぞれ月50から60本を放送、新聞の一面を全て使ったり、複数の雑誌への広告など、あらゆる手段を使って、柏崎刈羽原発の安全キャンペーンCMを行っています。 新潟県にいる避難者は、この東京電力のCMが流れるたびに、また、目にするたびに深く心が傷つけられていることは、察するに余りあるものであります。 東京電力に福島原発事故の損害賠償費用を交付している原子力損害賠償・廃炉等支援機構の資金は、公債発行を通して結果的に国民が肩がわりしていることになります。 こうした被災者、そして国民に多大な負担を強いながら、事故を起こした当事者としての自覚と責任が欠如したまま、企業に都合のよい情報だけ多額な費用をつぎ込んでいる、安全よりも経営優先の姿勢こそ、東京電力の体質を物語っている何物でもないと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 原発問題の最後ですが、福島第一原発事故から本県への自主避難者は、応急仮設住宅の供与が福島県の方針により2017年3月末で打ち切られることにより生活の場を失うことや、中には実質ひとり親家庭と同様な方がいるにもかかわらず、離婚や死別でない避難のために、児童扶養手当やひとり親家庭医療費助成などが対象にならないなど、なれない地域での生活に大きな不安を抱いております。 これらは、国の財政措置があることは十分に承知をしていますが、避難者の気持ちに寄り添い、県単独でも避難継続や定住を希望する方などへの包括的な支援策に取り組むべきでないのか、知事の所見をお伺いいたします。 通告の第5点目、最後に教育問題について質問いたします。 最初に、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正による新制度では、知事が教育行政の大綱を策定することになり、新設された総合教育会議の第3回目で素案が公表されましたが、地方自治体の長は、今回の法改正を単なる制度改正として捉えるか、それとも地方自治体の教育に対する強い思いを込めたものとするか、大綱は教育に対する知事の姿勢が問われるものになります。 知事は、本県の教育行政大綱にどのような思いを込めて策定を行おうとしているのか、所見をお伺いいたします。 次に、今回の改正で教育行政における教育長のリーダーシップは確実に高まりますが、一方で、非常勤で構成する委員会の多数決で意思決定を行う従来の仕組みは変わりません。 教育委員会制度には、教育委員の職業等に偏りが生じないよう、教育の専門家でない一般市民などの意思を教育行政に反映させるというレイマンコントロールの考え方が維持されていることから、保護者なども素人という意味合いで捉えるのではなく、むしろ予断や偏見を排して事柄に臨む人たちとして捉え、特定の人選だけで教育が動いてしまうことにならないよう考えるべきであります。 地方教育行政法では、教育委員会は原則5人の委員で組織するとなっていますが、条例改正で定数をふやしてもよいとなっていることから、新潟市が9人など、多くの自治体で定数増が行われております。 特に佐賀県武雄市では、教育が抱えるさまざまな課題に対応するため、10人に倍増する条例改正が可決されており、その増員分を公募しております。 こうした先進的な例を参考に、本県でも教育委員の増員を図り、多様な意見の反映で課題解決に向けるべきではないかと考えますが、知事に所見をお伺いいたします。 次に、質問の最後になりますが、高校生が校外で政治活動に参加する際、学校に届け出をさせることについて、文部科学省は届け出を容認しましたが、生徒の自己判断を尊重することなどを理由に導入を見送っております。 届け出不要とした自治体も幾つかありますが、本県は各校の判断に任せるとしております。 届け出をさせることは、主権者である生徒の権利を縛ったり、思想信条の自由を侵しかねず、政治活動への参加意欲をそぐことになりかねないことから、生徒が政治のありようを学ぶ機会を奪わないためにも、本県の教育委員会は届け出不要を方針とし、生徒の主体的な判断に任せるべきでないかと考えますが、教育長の所見をお伺いし、質問を終わります。(拍手)   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 小山議員の一般質問に順次お答えをいたします。 まず初めに、原発についての姿勢でありますが、小野議員の代表質問でお答えをしたとおり、再稼働については、その是非を判断する場合の最大のメルクマールは安全かどうかということで、県民の生命・安全・財産を守るということを最優先に考えて判断すべきであり、福島原発事故の分析を踏まえ、安全を確認しなければなりません。 その安全確認には、同じことを繰り返さないために検証と総括が不可欠であるという考え方に変わりはなく、これまでの答弁から変更があるとは考えていません。 なお、これまでの検証等を通じ明らかになった問題、例えば、屋内退避指示が出され被曝する可能性がある中で、誰が安定ヨウ素剤を配布するのかということや、福島第一原発事故時には、米軍や東京電力も予測的手法を活用しているにもかかわらず、SPEEDI等を住民避難に活用できないことなど、現在の原子力災害対策指針における問題等について判明したことから、議論していく必要があると考えております。 いずれにいたしましても、原子力防災については、県民の皆様の生命・安全・財産を守ることを第一に、その負託にお応えしてまいりたいと考えております。 次に、日本海横断航路の状況説明についてでありますが、船舶の調達に係る民間企業間の取引については、交渉内容が外部に漏れた場合、船舶の価格等に影響を与え、相手方に損害を与える可能性もあるため、当事者間で守秘義務を負っていると承知いたしております。 この点を考慮し、発言については慎重な対応が必要と考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。 説明できる段階になったら、説明をしてまいりたいと思います。 次に、予算・経済・労働問題等についてお答えをいたします。 まず、デフレからの脱却の方策についてであります。 デフレからの脱却には、実質賃金よりも名目賃金の上昇が重要と考えております。 名目の経済規模が拡大する中で、給与が毎年増加するなど、きょうよりもあしたがよくなると信じることができることが重要だと思っています。物価が下がっているので、あなたの給料は下がっているのだけれども、豊かになっていますと言われても、なかなか消費、投資に回すということができないということだと思います。 やはり、手取りで賃金がふえていくという環境、これをいかにつくるかということが重要であります。消費の喚起につながる環境を整える必要があると考えております。 次に、消費税の再増税についてであります。 個人消費や民間設備投資が力強さに欠ける現在の経済状況下においては、不況税、不況を来す可能性の高い消費増税はすべきではないと考えております。 消費税再増税に関しては、全国知事会においては賛成論が多い。したがって合意形成がなかなか難しい状況であります。 県といたしましては、これまでも国に対し、地域経済の回復の状況を十分見きわめた上で、慎重に行うよう要望してきているところであります。 今後も再増税をめぐる状況の変化も踏まえながら、適切に対応してまいりたいと思います。 次に、企業の内部留保への課税についてであります。 内部留保を企業が行うのはなぜなのかというと、いまだデフレからの脱却が確かなものになっていません。したがって、物事に投資をすると、リスクを伴うということになるわけです。 一方、デフレ経済ということは、内部留保にして、金融資産を持っていると、その実質価値が高まっていくということになりますので、投資をするよりも、ためておいたほうが有利という経済環境になっている。金融資産保有のインセンティブが働くことによって、内部留保が実体経済に出てこないという状況になっています。 こういう状況下で内部留保に課税するとどうなるかというと、さらに企業の景況感が悪化をするということになりますので、景気の失速をさらに深める可能性があるということになります。この内部留保を出すために増税をして景気を殺してしまえば、さらに税収が落ちる可能性があるので、やるべきことは、滞留させておくと金融資産の価値が目減りすると、何かに打って出たほうが、結果として循環して、売り上げがふえるという環境をつくる必要がある。 これをインフレターゲット政策というわけですけれども、経済全体の名目規模を拡大させる政策をして、ためておくと損という環境をつくるというのが本筋であって、増税は避けるべきだろうというふうに考えています。 企業の内部留保が投資や雇用の拡大などの形で実体経済に投入され、そして経済成長のための前提条件が改善されるための施策を実施すべきと考えています。 次に、国の補正予算の編成についてでありますが、そもそも、予算の単年度主義というのはなぜ発生したかということなのですが、これは議会制民主主義が形成されたときに話がさかのぼるわけですけれども、絶対王政期のような王様による任意の課税を防ぎ、期間を定めて、国民の代表である議会が財政をコントロールするというために、この議決が必要になったという経緯があるわけです。歳入及び歳出において議会の議決を必要とする議会制民主主義がフランス革命などによって確立する過程によって生まれてきた。これが予算単年度主義であります。 しかし、余り長いと困るのですけれども、現在、地球が狭くなっている、情報通信技術も発達している、交通も盛んになっているということで、状況が変化する中を全て1年前に予測するというのは必ずしも合理的ではないわけです。 例えば政府経済見通しと、それから民間の経済見通しでは、政府経済見通しのほうが、精度が低くなっています。なぜ低いのかというと、民間の経済予測は四半期に1遍ずつ改定をしているからです。政府経済見通しは、1年に1回しか改定をしないということから、乖離が大きくなるということであります。 したがいまして、1年の間に、経済・社会情勢も変わり得るため、それらの情勢を踏まえて補正予算を編成することも必要になるというふうに考えております。 次に、TPP・農業問題についてお答えをいたします。 まず、TPPの関税等の見直し協議についてでありますが、そもそも関係国の協議が調わなければ変更の必要はないということになります。今回の大筋合意も全体のバランスに配慮したぎりぎりのところでなされておると承知をいたしております。また、協定発効後に何らかの協議を行う場合であっても、しっかり対応するという基本方針と承知をいたしております。 しかしながら、協定に係る今後の国際的な環境変化については見通せないことから、国においては、どのような状況下にあっても、国益を守る対応をとっていただきたいと考えております。 なお、アメリカ大統領選挙の推移を見ますと、議員からも指摘がありましたが、そもそも協定が本当に発効するのかという点も十分に見きわめる必要があるものと考えております。 次に、TPPの批准についてでありますが、国会においては、国会決議との整合性も含め、国益を守れるか否かを総合的に判断した上で、対応していただきたいと思います。 県といたしましては、このことについて、国に対して要請をしてまいります。 次に、TPPの経済効果の試算についてであります。 12月定例会でお答えをしたとおり、本県で特に影響が懸念される米について影響試算を行った場合も、前提条件によって、幅のある試算結果となりました。 また、県のGDP等への影響の試算も、前提条件によって大きく結果が異なりますので、試算しても余り意味のないものと考えております。 なお、政府のTPPの経済効果分析につきまして、知事政策局長から説明をいたします。 次に、TPP関連対策についてでありますが、協定の発効いかんにかかわらず、国内農業の体質強化に向けて、担い手の経営基盤の強化や生産の効率化・最適化等を加速する必要があるものと考えております。 先ほども申し上げましたが、アメリカ大統領選挙の推移を見ますと、協定が本当に発効するのかという点も十分に見きわめる必要があると考えております。 次に、国家戦略特区における企業の農業生産法人への出資要件の緩和についてであります。 現在、議員御指摘のとおり、国において検討されているところであります。今後の動向を注意深く見きわめてまいりたいと考えております。 いずれにいたしましても、企業の農業参入は、地域農業との調和を前提として、営農の維持や地域での雇用創出など、地域農業の維持発展に寄与するものであることが望ましいと考えております。 次に、原発問題についてお答えをいたします。 メルトダウンの判定基準に関する東京電力の公表についてであります。 小野議員の代表質問にお答えをしたとおり、事故後5年もの間、このような重要な事実が公表されず、技術委員会の議論に真摯に対応してこなかったことは、極めて遺憾であります。 ようやくこのような事実が公表されましたが、メルトダウンを隠蔽した背景や、それが誰の指示であったかなどについて、今後は真摯に調査し、真実を明らかにするよう求めてまいります。 次に、交付金を減額する政府の方針等についてであります。 この交付金は、電源地域の公共用施設整備等を促進し、発電用施設の設置及び運転の円滑化に資することを目的としており、今回の見直しは、その目的のために行われるものと受けとめております。 また、この交付金は、本県の財政規模から、景気変動の範囲内であり、予算編成に当たって、これに依存する状況にはなっておりません。 なお、市と村にとっては、ある程度の影響があるということだと思うのですけれども、今回の改定は原発が稼働しても交付金はふえないという改定になっておりますので、政策意図がよくわからないものであるというふうに受けとめています。 次に、原子力発電所の規制基準についてでありますが、議員御指摘のとおり、できるだけ早く、国際水準で県民の安全・安心を確保できる基準としていただくことが必要であると考えております。 具体的には、国際原子力機関の深層防護の考え方における、第4層の過酷事故対策や第5層の過酷事故後の対策についても考慮する必要があります。 これなくしては、柏崎刈羽原発の安全をめぐる議論は前に進まないものと考えております。 安全確保に必要と判断されることは、国や事業者に要請していくこととし、これまでも県としてだけではなく、全国知事会や立地道県で構成する原子力発電関係団体協議会など、さまざまなチャンネルで改善をお願いしておりますし、今後も必要に応じて行ってまいります。 次に、原子力規制委員会での記録文書の不作成についてであります。 原子力規制委員会は、その設置法上、国民の知る権利の保障に資するため、その保有する情報の公開を徹底することにより、その運営の透明性を確保しなければならないとされておりますが、その責務を果たしておりません。このような状況では、国民の信頼は得られないものと考えております。 県といたしましては、原子力規制委員会に、しっかり責務を果たすよう、引き続き対応を求めてまいります。 次に、原子力災害時の避難計画についてであります。 避難計画の策定に当たっては、いかに健康に影響のある被曝を避けるのかという観点が重要と考えております。 今後、放射性物質拡散シミュレーションの試算結果も踏まえ、技術委員会等の専門家から、フィルタベントの設備の検証とあわせて、防護対策や避難計画等についても議論していただきたいと考えています。 次に、原発が地元経済に与える影響についてであります。 地元紙の行った調査では、原発停止による売り上げ減について、約3分の2の企業がないとした一方で、約3分の1の企業はあると回答をいたしております。 個々の企業の置かれている状況により、原発停止の影響について受けとめは異なっているものと理解しております。 地元経済への影響を見きわめていく必要がありますし、それに対する対応は引き続き行ってまいりたいと思います。 次に、新聞社による世論調査の結果についてであります。 立地地域、電力消費地域を問わず、時間や手法等に違いはあるものの、同程度の割合で原子力発電に依存しない社会を望んでおられる方がいらっしゃることのあらわれと受けとめております。 次に、指定廃棄物の解除についてでありますが、指定廃棄物の解除について議論する以前に、そもそも、福島第一原子力発電所事故後に定められた法律及びそれに依拠する政省令、規則について見ますと、一般環境中のほうが原子力発電所構内より基準が緩くなっているという状況になっております。 すなわち、原子力発電所の中は、放射性物質に関する専門家が安全性を守るように、知識を持った人が扱うのに、一般環境中では、それよりも汚染されているにもかかわらず、知識のない一般職員が扱うという極めておかしな状況になっておりますので、まず、この基準を見直すことが必要だと考えております。 次に、放射性廃棄物を含む廃棄物の処理基準についてでありますが、そもそも、8,000ベクレルで線引きをし、それ以下のものを管理経験のない地方自治体等に任せ、一般環境中のほうが原子力発電所構内より基準が緩くなるような仕組みでは、社会の理解を得ることは難しいと考えております。 県といたしましては、国に対し、震災以前の基準との整合性を図るとともに、その適用について、各地方自治体の判断を尊重するよう要請しており、引き続き要請してまいります。 次に、柏崎刈羽原子力発電所の断層問題についてであります。 技術的な評価にかかわることであり、専門家で構成された県の安全管理に関する技術委員会で、原子力規制委員会の評価について議論していただくなど、県として対応してまいります。 次に、東京電力の姿勢についてでありますが、議員御指摘のとおりであり、東京電力は事故の当事者として、本当に厳粛な反省のもと、真摯に安全第一に取り組んでいるとは思えません。 次に、避難継続や定住を希望する自主避難者への本県としての支援策についてでありますが、本県といたしましては、避難者の気持ちに寄り添い、それぞれのニーズや選択に応じた支援を行う必要があると考えており、年度内を目途に支援策を取りまとめ、関連予算を6月定例会にお諮りしたいと考えております。 なお、検討に当たりましては、議員御指摘の子育て世帯への支援も含めて考えてまいりたいと思います。 次に、教育問題についてお答えをいたします。 まず、教育の大綱についてでありますが、教育は未来への投資であります。これからの新潟県を担う子供たち一人一人が、高い志を持ち、みずからの夢に向かって邁進できるようにという思いを込めて、個を伸ばす教育を基本理念として、大綱を策定してまいります。 次に、教育委員の増員についてであります。 地方教育行政法では、教育委員の選任に当たって、年齢、性別、職業等に著しい偏りが生じないように配慮するとともに、委員のうちに保護者である者が含まれるようにしなければならないとされております。このような点を踏まえ、適任と思われる方を議会の同意を得て任命しております。 教育委員会では、本県教育についてさまざまな視点から議論されており、特に支障があるとは聞いておりません。また、特別職の増員については、過去に異論があった経緯もあり、慎重に検討してまいりたいと思います。   〔知事政策局長佐久間豊君登壇〕 ◎知事政策局長(佐久間豊君) お答えいたします。 TPPの経済効果分析についての見解でありますが、今回の試算は、TPPの合意内容を踏まえ、関税撤廃・削減や非関税障壁の改善による貿易・投資の促進効果等を含めるなど、2013年政府統一試算と違う前提条件で試算したものと認識しております。さらに、農林水産分野においては、体質強化対策や経営安定対策などの国内対策により、国内生産量が維持されるという政府の前提に立ったものであります。   〔教育長高井盛雄君登壇〕 ◎教育長(高井盛雄君) お答えします。 高校生の校外での政治活動についてでありますが、文部科学省の通知等によれば、校外で行われる、高校生による政治的活動等は、学校の教育目的の達成等の観点から必要かつ合理的な範囲内で制約を受けるものと解されるとされており、その判断は各学校において行うこととされております。 このようなことから、現時点では、県教育委員会として、全県一律の対応とすることは考えておりません。   〔小山芳元君登壇〕 ◆小山芳元君 3点再質問させていただきます。 1つは、日本海横断航路についてでありますけれども、守秘義務があり、慎重な対応が必要なことから、議会に説明できなかったとしていますけれども、なぜその守秘義務をマスコミが知ることになっているのか、そこがわからなければ私どもは非常に極めて遺憾であり、納得できないわけでありますが、その辺の見解をお伺いしたいのが1点であります。 2点目は、原発問題ですが、知事は、これまでと考え方は変わらないと、それと経済よりも安全を最優先すると、今、この答弁をされましたが、そのことは原子力規制委員会、田中委員長も言及しているように、規制基準に適合したからといって安全が保障されたものではない。やっぱりこれは福島第一原発事故のさらなる検証・総括を継続すると、そうしていかなければ安全は確保できないと、そういう受けとめ方でよいのか、お聞かせ願いたいと思います。 もう一点は、原発の指定廃棄物でありますけれども、8,000ベクレル以下は一般ごみにすると。これは、それ以前に問題があると言っていますけれども、国が一旦方針を出したことが撤回できるのかどうか、その辺の知事の見解をお伺いしたいと思いますし、もし撤回できなければ、県として、放射能汚染が拡大しないように、何らかの歯どめ策も検討すべきでないのかと考えるわけでありますが、見解をお伺いしたいと思います。   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 小山議員の再質問にお答えをいたします。 まず、1問目ですが、守秘義務にもかかわらず、情報が漏れているのではないかという御指摘ですが、情報が漏れているかどうかわかりませんので、県としてはお答えができません。 次に、原子力発電所の規制基準についてでありますが、先ほども申し上げたとおりなのですけれども、国際水準での県民の安全・安心を確保できる基準としていただくことが必要であると考えております。 具体的には、国際原子力機関の深層防護の考え方における、第4層の過酷事故対策や第5層の過酷事故後の対策についても考慮する必要があります。 これなくしては、柏崎刈羽原発の安全をめぐる議論は前に進まないものと考えております。 3点目、8,000ベクレルの基準についてのお尋ねですが、国がどう判断するかは国に聞いていただきたいと思います。   〔小山芳元君登壇〕 ◆小山芳元君 再々質問させていただきます。 1つは、8,000ベクレルを、それは基準は国に聞いてくれというのではなくて、国が出した方針を撤回させることができるのかどうか。もしそれが無理だとしたら、少なくとも新潟県内には拡散しないように何らかの検討が必要ではないのかと、その辺の見解をお聞きしたいということであります。 それから、原発に向き合う姿勢でありますけれども、福島第一原発事故のさらなる検証・総括が必要だということは知事が答弁されました。それは理解しましたし、安全が最優先であるということも理解をいたしました。 そこで、今現在、知事が原発の安全を確認、判断できる条件としては、先ほど言いました新規制基準の中に深層防護の第4層、第5層がしっかり加味されて、国際基準にマッチしなければならない、これが条件だと。それと、住民を被曝から守るための避難計画の実効性、これがしっかり担保されなければ、私は安全性が保たれないと思いますし、それとメルトダウンの対応に見られるように、組織面で東京電力が本当に原発を運営する資格があるのかと。今でも知事も疑問に思っておられるわけでありますが、その解消がなされない限りはならないと思うわけであります。それと、新規制基準の適合審査というのは原発とは関係ないのだと、再稼働とは関係ないのだと。それが安全を守るための条件の幾つかの事柄だと思うわけでありますが、まだまだあると思いますけれども、私が今思いついたのを挙げてなのですけれども、今まで知事が述べていたことは全く同じことなのですけれども、それらがしっかり解決されない限りは安全が確認されたということにはならないと、そう受けとめてよいのかお伺いして、終わりたいと思います。   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 2点お答えいたします。 まず、8,000ベクレル基準を撤回させることができるのかと。これは、国の意思でありますので、国のほうにお尋ねをいただきたいと思います。 2点目でありますけれども、先ほども申し上げたとおり、原子力発電所の規制基準については、できるだけ早く、国際水準で県民の安全・安心を確保できる基準としていただくことが必要と考えております。 その他るる、この間、議会も含めて答弁をしてまいりました。県民の皆様の安全・安心・財産を守るということを第一義に対応してまいりたいと思います。 ○副議長(金谷国彦君) 小山芳元君の質問は終わりました。 15分間休憩いたします。   午後2時45分 休憩   ――――――――☆――――――――  午後3時1分 開議 ○議長(尾身孝昭君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、志田邦男君の発言を許します。志田邦男君。   〔志田邦男君登壇〕(拍手) ◆志田邦男君 公明党の志田邦男です。県政の諸課題について質問を行います。 まず、知事の政治姿勢について質問します。 今定例会の自由民主党、小野議員の代表質問に対して、知事は、次期知事選挙において、いま一度、県民の信を問いたいとの表明をなされました。これは、戦後の民選知事の歴史において例のない4期目挑戦であり、大きな反響が出ているところであります。 公明党本部においては、首長選挙の基本的な考え方として、原則3選までとするとしております。これは、首長、特に知事職は大きな権限を有しており、多選の弊害もあるとの考えから出された原則であります。首長にとって、3期12年は一つの区切りであります。 公明党は、泉田知事最初の選挙から極めて厳しい選挙戦をともに戦い、また、直後の中越大震災復興においても全力で支えてまいりました。 以来3期12年を迎えるに当たって、我々も泉田県政を推薦、また支えてきた政党として、単に全面的によしとするのでなく、推薦政党として、また、県政をチェックする議会人として、改選ごとに県政に、より以上の総括、検証をしていかなければならないと自覚をしております。 公明党としては、知事の県政運営評価については、弱者に対する思いやり、タブーに対する切り込み等、評価をしております。これは、世論調査などにおいてもあらわれていると認識をしております。 一方において、報道、また、代表質問等においても言われているように、国あるいは近隣の県などとの関係がスムーズにいっていないとの指摘があります。このことについては、私も関係者から何回も聞かされております。 また、今回指摘された福祉関係の4つの法定計画の未策定問題についても、答弁を聞いても釈然としないものがあります。この実態は、監査委員ではなく、みずからの手で調べられるものと私は思っております。大きな権力のもとには長年のうちにあかがたまること、また、苦言を呈する人を避けるということが誰であれ起きるものと心していかなければならないものと思っております。 4年前の3月5日の本会議で、私は、3選目を迎えようとする泉田知事に、多選問題に対する認識を伺いました。これに対して知事は、一律に何期が適当とは言えないものの、組織の硬直化のおそれなどから、余りに長期にわたって同じ体制が続くことは好ましくないと考えております、このように答弁をしておりました。 これまでの在任12年の県政運営に対する知事自身の思いについて伺うとともに、改めて知事の多選についての考え方を伺います。 次に、県の最上位計画であり、また、知事の公約でもある「夢おこし」政策プランがあります。これは、知事就任直後から見直しもしながらあるのですが、小野議員の代表質問において、これまでの間の取り組みを振り返り、各分野での成果を挙げておりました。それによると、昨年10月の県民意識調査では、全ての項目で満足層が増加し、不満足層が減少したとしております。 しかし、プランの今そこにある危機、避けるべきシナリオ、これを見てみますと、まさに今の新潟県の姿を予言しているかのような記述があり、いささか驚きました。 若干引用してみますと、近距離国際線をめぐる首都圏空港との競争に取り残され、北東アジアゲートウエーとしての機能を失った。北陸新幹線の金沢延伸により上越新幹線の減便、上越地域での速達タイプの便がない。県内上・中・下越の分断に手を打たなかったことや、羽越本線沿線との交流・連携が遅々として進まなかったこと、日本海側の拠点としての地位低下を加速した。また、県庁のあり方では、県は政策官庁への変革に失敗し、職員の閉塞感を払拭できずにいる。県は、国と市町村とのはざまで、地方政府としての役割や存在意義が次第に低下し、県民から信頼を失い、県不要論の中で埋没しつつあった等々。時に知事の答弁に出てくる、国に権限があるから県として限度があるなどを思わせるような表記があり、読みながらうなずくこともありました。 現時点で新潟県がどちらのシナリオに向かっているのか、政策プランの進捗に対する総括を含め、知事の認識を伺います。 このところ、中国経済の減速がクローズアップされております。中国の発表では、2015年の国内総生産は、物価変動を除く実質で前年比6.9%増にとどまりました。中国政府は、昨年の成長率目標を7%前後としてきましたが、この数字は誰もが信じていません。 また、鉄鋼を初めとして資源、製品も過剰在庫、過剰生産で、ダンピングを初めとして世界経済に深刻な影響を与えております。中国では、今、過剰生産、過剰設備に対して構造改革をするということですが、共産党独裁政権の指令で刻々と変わる市場経済に対応することは無理なことであり、今後、長期間にわたって世界経済は不安定になるのではないかと懸念します。 内閣府が発表している月例経済報告においても、中国等の景気の下振れが我が国経済の景気を下押しするリスクについて言及しております。中国には、本県からも多くの企業が進出しているほか、中国企業との取引も多く、経済的結びつきは太いものとなっていますが、中国経済が本県産業にどのような影響を与えるのか、知事の認識について伺います。 次に、日本海横断航路については、船の調達が難航し、来春の就航が困難であると報道されており、既に本会議でもたびたび質問が出されております。 船の調達については民民の交渉で、内容については現在のところ表に出すことができないということでありますので、もうこれ以上私も聞いてもしようがないので、聞きませんが、この航路については2011年8月に新潟―ザルビノ間で開設しましたが、集荷が低迷したために休止をしておりました。 この航路のメリットとして、従来の大連港経由に比べて大幅な輸送時間の短縮とあわせて、コストの縮減を実現することであります。また、この航路利用に当たっては、本県並びに吉林省ともに支援を実施するとのことであります。 しかし、最近の中国経済並びに貿易の落ち込み、また、ロシアにおいても資源価格の下落などで、この地域の経済情勢は以前に比べて厳しい状況になっていると認識をしております。そのため、今後とも日本海横断航路が安定的に運航するために必要な貨物量を確保できる見通しがあるのか伺います。 次に、TPPについてお聞きをします。 帝国データバンク新潟支店の調査によれば、TPPが日本にとって必要と考える企業が65%、自社にとってプラスとした企業が14.1%と、マイナスの6.1%を上回っております。プラスと答えた企業では、機械関連を初め製造業で多く、輸出増への期待がうかがえるものであります。プラス回答したその内容は、原材料コストの低下が41.5%、売り上げ・利益の増加、輸出の増加が各34.0%とのことであります。 県内中小企業でも海外市場への進出は重要な経営戦略であり、外部人材の活用を含め、積極的に展開できるようにすべきと考えますが、新年度予算案ではこのことをどのように反映しているのか伺います。 年明け以降、原油安や中国を初めとする新興国経済の先行き不透明感から、株安や円高が進むなど、世界的に金融市場が混乱する中、新たな金融緩和策としてマイナス金利が導入されました。これには投資の喚起や物価上昇を期待する一方で、副作用を指摘する声もあります。現在のところ、その効果については読みづらい状況にありますが、既に住宅ローンの金利下げ、預金金利の引き下げなどの動きも出ております。ただ、初めて経験するマイナス金利に多くの戸惑いがあるのが率直なところであろうと思います。 マイナス金利の効果と本県経済への影響について伺います。 次に、一人一人が活躍できる社会について質問します。 公明党は、安倍総理が掲げる一億総活躍社会とは、一人一人が輝き、活躍できる社会と位置づけ、全ての人が自己実現できる社会を目指して取り組みを進めるべきであると考えます。 特に新3本の矢において子育て支援や介護が掲げられたことは、我が党が長年取り組んできた分野であり、女性や若者の活躍、活動寿命の延伸、難病や障害を持つ方々の活躍など、公明党としてこれまで掲げてきた政策を加速化させる大きなチャンスと考えております。 具体的には、現在、深刻な状況に陥っているのはひとり親家庭の現状であります。 年々増加する離婚等により、ひとり親家庭が増加しております。厚生労働省の2013年調査によると、ひとり親家庭は約146万1,000世帯、うち母子家庭は123万8,000世帯、父子家庭は22万3,000世帯、就業率は母子家庭で80.6%、父子家庭で91.3%。しかしながら、年間就労収入は母子で平均181万円、父子で平均360万円。母子・父子家庭ともに一般家庭に比べ就業率が高い反面、育児との両立のために非正規雇用となるケースが多く、収入は押しなべて低い実態があらわれております。 このしわ寄せをまともに受けるのが子供たちであります。日本の子供の貧困率、つまり平均的な所得の半分以下で暮らす18歳未満の子供の割合は16.3%と、これでも先進国の中では明らかに高いのですが、ひとり親家庭に限ると、何と54.6%にもなります。 低い収入、親も必死で働いているために子供と触れ合う時間もない。ある中学校では、新入学生が入学式に出席していない、その後も学校に来ない、よくよく調べたら、注文してある学生服を取り寄せることができないために学校に行っていなかったという悲しい出来事がありました。その後、その学校では事前に制服取扱店に親が制服をとりに行っているかを調べて、支援するようになったということであります。部活にしても、ユニホーム、遠征旅費、これらのために部活に加入しない。その他に、貧困ゆえに、勉学だけでなく、心身の発達にも重大な影響を与えることが指摘されています。 このような貧困の連鎖を断ち切るために、ひとり親家庭への支援、子供の貧困対策は重要な課題であると認識をしますが、その取り組みを新年度予算案においてどのように反映したのか伺います。 次に、社会経済情勢が変化する中で、男女ともに結婚したくてもできない人がいると聞いております。現在の未婚率は、30代前半でもほぼ40%と高い数字となっています。 結婚できない理由としては、男女ともに、適当な相手にめぐり会えないが1位、男性では2位に結婚資金が足りないが突出しています。2007年の仕事の有無・就業形態別の結婚率の調査では、男性は各年代とも、非正規雇用者の結婚率は正規雇用者の約半分であり、不安定な職業形態がふえたことも未婚者がふえる要因となっているのではないかと推察もされます。 県は、「あなたの婚活」応援プロジェクトを実施していますが、これまでの成果を伺うとともに、新年度において結婚を希望する方がより多く結婚できるよう、どのような点に重点を置いて取り組みを進めるのか伺います。 人口の社会減の大きな要因として、県外に出た大学生が地元に戻ってこないことが指摘されています。これは、決して県内に就職先がないのではなく、県内企業の魅力が十分に伝わっていないことや、首都圏から県内に来て就職活動をする際の費用などの負担があることも考えられます。 先日、燕市、三条市において、大学生に対して、ものづくりの現場工場見学会を行ったところ、学生も初めて見る現場に改めて興味を持ったとの報道がありました。 本県の魅力ある職場を県外学生にもっとPRしていくなど、本県へのU・Iターンの促進に一層力を入れていくべきと考えますが、新年度においてどのように取り組みを強化していくのか伺います。 マイナビによる既卒者の就職活動調査による内定率は43.2%と上昇してきているものの、現役学生の半数程度にとどまるなど、卒業から時間がたつにつれ就職が困難になることがうかがえます。 若年者の雇用対策として、新規学卒者だけでなく、既卒者が円滑に就職できるために対応していくことが重要であり、3年以内既卒者の新卒扱いの普及促進のほか、就職活動のサポートをきめ細かに対応することが必要と考えますが、今後の県の対応について伺います。 次に、医療・介護問題について質問します。 本県においては、65歳以上の人口は年々増加しており、その割合は平成37年には34.3%、その10年後には36.7%に達すると予想されており、高齢化の進展に伴い、医療ニーズと介護ニーズをあわせ持つ高齢者の増加が見込まれ、ニーズも多様化していくと考えられます。 私は、まさに団塊世代であり、前期高齢者であります。我々の同期の者が集まると、まだ親の面倒、介護をしなければならないとの話題、そして親、また、自身の病気のことが話題の中心となります。昨日も、最高裁で、認知症老人の列車事故で損害賠償をしなくてもよいとの判決が大きなニュースとなっておりました。誰しもが本格的な超高齢社会に不安を抱いています。 しかし、現状では、医師数は全国レベルを大きく下回り、看護職員も今後の需要増加が見込まれます。県として、医師、看護職員の確保にどのように力を入れていくのか伺います。 介護職員の不足、待遇の問題が深刻化しております。厳しい職場環境で離職する。そのために一人一人の職員の負担が大きくなる。このような悪循環を断ち切っていかなければならないと認識をしています。 そのために、国は介護離職ゼロの実現に向けて、福祉人材センターの役割を拡大すると聞いています。介護職員の確保については、ハローワーク、福祉人材センターで行っていますが、本県の福祉人材センターを通して採用に至った実績が全国ワースト2位とのことであります。このことで一概に職員確保が立ちおくれているとは断定できないと思いますが、今後のことを考えると、その体制強化が求められているのではないでしょうか。 現在の介護職員の不足の状況を伺うとともに、福祉人材センターの体制強化を含め、県としての今後の介護人材の確保に向けた対応について伺います。 次に、性暴力・性犯罪の撲滅について質問いたします。 連日、性暴力・性犯罪の報道がない日はないとの感がします。本県においても新発田での女性殺害事件がありましたが、そこに至るまでには、その犯人によって、表沙汰にならない性暴力・性犯罪行為が多数あったものと推察されます。まことに卑劣きわまりないものであります。 これらの事件、行為は、報道されるのはまさに氷山の一角で、人に言えない、警察にも訴えられない、これらの被害はなかなか表にあらわれにくいものと推察をしますが、県内における近年の性暴力・性犯罪の状況について、まず、伺います。 性暴力・性犯罪の撲滅に当たって難しいことは、被害者が被害後、医療機関、捜査機関、相談機関等それぞれに足を運ばなければならず、その都度何度も同じ話をしなければならない、そのために精神的苦痛を強いられ、ますます被害者を苦しめることになりかねません。そのために、一人で自分の心の中に押し込めてしまうしかない。その結果、一生心の傷となって、苦しんでいる人が多くおられます。 また、犯罪が潜在化してしまうために、これら犯罪が後を絶たないものと思います。 被害者に寄り添って、1カ所で精神的ケア、関係機関との連携をサポートしなければなりません。このことは、これまで、にいがた被害者支援センターが活動を行ってまいりましたが、やはり県の支援も得て安定した活動を展開する必要がありました。 公明党は、このことを昨年12月に要望を受け、泉田知事に要望いたしました。これに対して早速対応していただき、新年度予算案に反映していただきました。関係者も非常に喜んでおりました。改めて、泉田知事、関係各位に感謝申し上げます。 このセンターがしっかり機能するために、今後、特にどのような点に意を用いていく必要があると考えるのか、御所見を伺います。 次に、東京オリンピック・パラリンピック及びスポーツ振興について質問します。 2020年東京オリンピック・パラリンピックを4年後に控え、国としてもスポーツ基本法の制定、スポーツ庁設置など、国家戦略としてスポーツ立国の実現を図るとしています。 1964年、東京オリンピックが開催された当時は、日本が戦後復興を果たし、本格的に世界に進出しようとしていました。まさに国威発揚の場であったと思います。 それは、その年の6月、新潟国体が本県で開かれましたが、新潟においても、まずは上位入賞、都市整備と、当時、中学の体育の時間をほとんどマスゲーム練習に当てられた私も、その熱気をいまだに記憶しております。 本県の例でいうならば、直後に新潟地震があったものの、その遺産はその後の柏崎の水球、吉田の自転車など、今も生かされております。しかし、全体で見るならば競技種目の強化などが主体で、幅広い県民の健康づくり、豊かなライフワーク、障害者のスポーツ参加ということについては、現時点の目で見ると、いま一歩という感がいたします。 現在、当時の社会と大きく違うのは、超高齢社会到来ということであります。そのために豊かな人生を送るためには、まず、健康づくり、スポーツ等の活動を通じての社会参加が必須であります。さらに、プロスポーツが地域発展の核となっていることも見逃せません。 県においては、現在、平成28年度からを計画期間とする新潟県スポーツ推進プラン(仮称)を策定中でありますが、これまでのプランから、特にどのような観点に意を用いて見直しを行うのか、所見を伺います。 1964年の東京オリンピックは、日本での障害者スポーツの幕あけになった意義ある大会でありました。そして、近年の障害者のスポーツでの活躍は、多くの国民を勇気づけています。2020年東京オリンピック・パラリンピックの最終プレゼンをした佐藤真海選手のプレゼンは、多くの人の心を打ちました。1964年が幕あけならば、2020年は多くの勇気を与える、いい意味の一般的なスポーツジャンルであるとの認識を定着させる場になると確信しております。 しかし、競技によってはコーチや高額な特殊な器具が必要なケースもあり、パラリンピックに出場するにはさまざまな支援が必要と考えます。このような中、県ではパラリンピックに向けた選手育成強化にどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。 本年1月に、東京オリンピック・パラリンピックに参加する海外選手などと地域住民の交流を促進するホストタウンに県内自治体を含む44件が登録されました。今後、全国においても事前合宿等の誘致が本格的に動くものと思われますが、県の今後の方針と取り組みについて伺います。 次に、観光問題について質問します。 近年、新潟においても外国人観光客の姿が多くなり、特に妙高エリアでは、2014年度のスノーシーズンではオーストラリアからの延べ宿泊者数は約1万9,000人泊と、前年度比で約3割もふえています。 ただ、全体を見ると、2015年の本県への外国人宿泊は約26万人で、全国比で0.37%、25位と残念な状況と言わざるを得ません。 今後も外国人観光客がふえるというのは確実な流れであろうと思います。本県として、多様な資源を最大限活用するとともに、来る東京オリンピック・パラリンピックを見据えた外国人観光客誘致のために受け入れ体制を整備することが大事であると認識をしますが、新年度においてどのように対応していくのか伺います。 観光庁の平成26年宿泊旅行統計調査によると、新潟県の旅館の客室稼働率は23.6%で、全国47位であります。この数字で単純に評価できるものではないものの、本県の誇るものの一つである温泉についても、日本温泉総合研究所が、環境省のデータをもとに、興味ある指数を発表しております。それによると、本県の温泉地数は全国第3位、施設数第9位、温泉の総合的な番付としては第9位。しかし、年間延べ宿泊数は、25年度は全国的に増加しているものの、本県はマイナス126万2,000人の減と、全国で下から2番目の減少とされています。広大な面積、多様な地域資源を持つ本県のよさが伝わっていないのではないかと思われます。 本県の交流人口拡大には、地域の魅力を味わえる旅館の利用を高めることも重要と考えますが、今後、どのように対策を進めていくのか伺います。 最後に、18歳選挙権の実施に向けた取り組みについて質問いたします。 本年6月19日から選挙権の18歳への引き下げが適用されます。若い人たちが選挙を通して日本のあり方に関心を持つことは、我が国の将来にとって極めて重要であり、そのためには、第1回になるであろう参議院選挙において、多くの人に投票してもらうことが大事であります。 しかし、そのためには、従来の制度とは違う状況も発生しております。特に学生は、進学のために実際の住まいが移動するなどにより、どこで投票できるのか、選挙権があるのか等の理解が不足しているものと思われます。 若年者の投票率向上に向けて、大学キャンパス内、イベント会場など、若者が集まりやすい場所等における啓発や利便性の高い施設での投票所設置などの対応が必要と考えますが、具体的取り組みについて、選挙管理委員会委員長に伺います。 政治に対する関心を高め、政治への参加意識を高めるために、学校において選挙の大切さを理解させるなどの主権者教育を含めた政治教育が十分に行われるものと思います。その際に、政治的に偏向した教育とならないよう注意をする必要があると考えます。 昔の話で恐縮ですが、私が高校時代、社会科の授業で一方的にソ連、中国などの共産主義が正しいと熱弁を振るう先生がおりました。そのために、私は2週間ほど、授業時間にその先生と議論をして抗議したこともありました。また、私が議員になってからも、校内で署名活動を展開する、政治的に一方的な話をする等の事態がたびたびありました。このようなことは、絶対にあってはなりません。 新年度からの政治に関する教育にどのように取り組んでいくのか伺います。 以上で私の一般質問とさせていただきます。(拍手)   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 志田議員の一般質問に順次お答えをいたします。 まず初めに、これまでの県政運営に対する思いと多選についてであります。 就任以来、県民の皆様の生命・安全・財産を守ることを第一に、将来に希望の持てる魅力ある新潟県の実現のため、さまざまな施策を全身全霊で推し進めてまいりました。 その結果、昨年の中間評価報告書では、約半数の分野で一定の評価をいただくとともに、県民意識調査では、全ての項目で満足層が増加し、不満足層が減少いたしました。 一方で、道半ばの施策も多々存在していると感じているところであります。 多選につきましては、国政等の状況を見ていると、短過ぎることも問題があり、県議会でも、どの程度が長期に当たるかについてはそのときの状況次第であると答弁をしてきたところであります。 現在、全国では6選の知事が2人、北海道・東北ブロックにおいては4選が2人、全国知事会長も4選となっており、多選に対する認識が変化してきているものと受けとめております。 いずれにいたしましても、多選の是非は、県民の皆様から評価していただく事項であると考えております。 次に、政策プランの進捗についてでありますが、今年度実施された政策プラン評価委員会における中間評価では、約半数の分野で一定の評価をいただいた一方、前回の平成24年度から評価を下げた項目もあったところです。 政策プランについては、第三者から客観的に評価をいただくべきものと考えており、この評価結果を真摯に受けとめ、本県が抱える課題を克服し、目指すべきシナリオに近づけるよう、引き続き取り組んでまいりたいと思います。 次に、中国経済の減速が本県産業に与える影響についてであります。 議員御指摘のとおり、多くの本県企業が中国に進出しており、輸出入額でも一定の割合を占めております。 このところの中国の経済減速により、県内企業からは、中国や国内の関連する取引先からの受注などが減少しているといった声も聞かれ、県内企業の売り上げ減少、設備投資意欲の減退なども懸念されるところであります。 県といたしましては、今後の動向を見きわめてまいりたいと考えております。 次に、日本海横断航路の貨物量確保の見通しについてであります。 議員御指摘のとおり、中国やロシアの経済情勢の悪化の影響が懸念されるところであります。 いずれにいたしても、運航の初期段階においては赤字が見込まれることから、安定運航のため、行政として運航支援が必要であると考えております。 運航経費に見合う貨物量を早期に確保できるよう、関係者と協力して、貨物の掘り起こしに努めてまいります。 次に、県内企業の海外展開への支援についてであります。 議員御指摘のとおり、海外市場の取り込みは、企業にとって重要な経営戦略の一つであると認識をしております。 県といたしましては、海外市場の獲得に積極的に取り組む企業を後押しするため、支援体制の充実を図ってまいりたいと思います。 なお、具体的な取り組みにつきまして、産業労働観光部長から補足答弁をいたします。 次に、日銀のマイナス金利政策についてであります。 大渕議員の代表質問にお答えをしたとおり、金融政策と財政政策は車の両輪であります。金融政策だけでは限界があるものと考えております。 我が国経済を成長軌道に乗せていくためには、金融政策に加え、積極的な財政出動による内需拡大が不可欠であります。 本県経済への影響につきましては、金融機関の預金金利引き下げなどが行われる中、県内企業等からデフレ脱却や設備投資増加等への期待なども示されておりますけれども、海外経済減速の影響も含め、今後の動向を見きわめてまいりたいと考えております。 次に、一人一人が活躍できる社会のために、についてお答えをいたします。 まず、「あなたの婚活」応援プロジェクトの取り組みの重点についてでありますが、青柳議員の一般質問にお答えをしたとおり、結婚支援を進めるための大きな壁として、結婚や家に対する社会の変化があります。また、職場や地域での結婚への働きかけは、価値観の多様化や個人情報への配慮、セクハラやパワハラの問題から、難しくなってきております。 県といたしましては、結婚を希望される多くの方の希望をかなえる取り組みを精力的に展開してまいりたいと考えております。 なお、プロジェクトのこれまでの成果と、新年度の具体的な取り組みは、福祉保健部長から答弁をいたします。 次に、県外学生の本県へのU・Iターン促進についてであります。 議員御指摘のとおり、県外に進学した学生が県内に戻らないことも、本県人口の社会減の大きな要因になっております。 県といたしましては、県外学生に県内に戻って就職をしていただけるよう、U・Iターン就職の増加につながる施策を積極的に進めてまいります。 なお、新年度における具体的な施策について、産業労働観光部長から答弁をいたします。 次に、既卒者の円滑な就職に向けた対応についてであります。 若者が将来に希望を持って生活していくため、また、県内企業の人材確保の観点からも、議員御指摘のとおり、既卒者が円滑に就職できるよう対応していくことが重要であると考えて、施策を展開してまいりたいと思います。 具体的な対応につきまして、産業労働観光部長からお答えをいたします。 次に、医療・介護問題についてお答えをいたします。 医師・看護職員の確保についてでありますが、県内外への派遣要請などの各病院における自助努力が基本ではありますけれども、県といたしましては、環境整備など、働きたくなるような魅力ある病院づくりを支援してまいります。 あわせて、地域の限られた医療資源を有効に活用するため、地域の病院が機能を分担し、役割を果たしていくことについて、地域の理解促進のための取り組みを進めてまいります。 また、地域偏在などの課題に対しては、国に対し抜本的な制度改革を働きかけてまいります。 なお、具体的な確保策につきましては、福祉保健部長から御説明をいたします。 次に、介護人材の確保についてでありますが、大渕議員の代表質問でお答えをしたとおり、団塊の世代が後期高齢者になる2025年を見据え、不足する介護職員の確保に向けて、福祉人材センターの体制強化を含め、参入促進と離職防止、その両面からの対策を、中長期的な視野に立ち、着実に進めてまいりたいと思います。 なお、介護人材の不足の状況と今後の具体的対応について、福祉保健部長から答弁をいたします。 次に、性暴力・性犯罪の撲滅についてお答えをいたします。 ワンストップ支援センターがその機能を果たすための今後の取り組みについてでありますが、被害者の方は、誰にも相談できずに心に傷を負って、長期間、問題を一人で抱え込んでしまうということがあります。被害直後からの被害者に寄り添った総合的な支援が重要であると考えております。 県といたしましては、相談しやすい環境づくりを初め、心のケアや産婦人科医療などの支援を関係機関等に確実につなぐことが必要と考えております。このため、専門的な知識を持った相談員の養成や関係機関との緊密な連携体制の構築に取り組んでまいります。 次に、東京オリンピック・パラリンピック及びスポーツ振興についてお答えをいたします。 まず、新潟県スポーツ推進プランについてでありますが、本プランでは、東京オリンピック・パラリンピックの開催機運を最大限に生かし、県民がスポーツを通じて豊かな生活を送る社会をビジョンとして、実現を目指してまいります。 ビジョンの実現に向けては、スポーツ振興と地域活性化の好循環を創出する仕組みづくりが重要であると考えており、これらをプランの骨子としてまいります。 なお、プランの具体的な施策の柱につきまして、県民生活・環境部長から補足答弁をいたします。 次に、東京パラリンピックに向けた選手育成強化についてであります。 1つは、有望選手の発掘を進めていく必要があると考えております。同時に、その育成強化に取り組んでいくことが重要であり、東京パラリンピックを通じまして、本県障害者スポーツのさらなる振興とともに、障害者の社会参加の拡大を図ってまいりたいと思います。 次に、東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿誘致の方針と取り組みについてであります。 現在、官民一体で組織する東京オリンピック・パラリンピック新潟県活性化推進会議で定めた方針により、国や競技を絞って誘致の取り組みを進めているところであります。 東京オリンピック・パラリンピックまであと4年と迫ってまいりました。県といたしましては、その方針に基づき、市町村や競技団体と連携をしながら、事前合宿の誘致活動をさらに積極的に展開してまいりたいと考えております。 次に、観光問題についてお答えをいたします。 新年度における外国人観光客誘致への対応についてであります。 妙高エリアにおけるスキー客増は、雪質に加え、泊食分離の対応等、対象国のニーズを把握した受け入れの整備が評価されていると聞いております。 本県が有する雪、温泉、食などの多くの魅力を生かし、各国市場の嗜好や旅行目的に応じた情報の発信を進めるとともに、受け入れ体制の充実に努めてまいります。 なお、具体的な取り組みにつきまして、産業労働観光部長から答弁をいたします。 次に、交流人口拡大に向けた、旅館の利用促進についてでありますが、旅行者が多くの時間を過ごす旅館の満足度を高め、リピートにつなげることは、本県の観光振興に重要と考えております。 このため、新潟県観光立県推進行動計画に基づき、旅館の利用促進策を、関係者とともに進めてまいります。 なお、具体的な取り組みにつきまして、産業労働観光部長から補足答弁をいたします。   〔県民生活・環境部長丸山由明君登壇〕 ◎県民生活・環境部長(丸山由明君) 2点についてお答えをいたします。 県内における性暴力・性犯罪被害の状況についてでありますが、直近の調査によれば、性暴力被害は、女性福祉相談所や女性被害110番などへの相談件数が平成26年度は55件、また、強姦などの性犯罪被害については、平成27年の県警察の認知件数が68件であり、相談件数、認知件数とも、ここ数年大きな増減はない状況にあります。 しかしながら、内閣府の調査では、被害に遭った方が警察に連絡・相談したケースはわずかであり、羞恥心などから届け出できない被害者が相当数いるものと考えております。 次に、新潟県スポーツ推進プラン(仮称)の施策の柱についてでありますが、学校や企業を含めた地域全体が連携・協働し、スポーツを通じた地域活性化に取り組む持続的な仕組みづくり、競技力向上と、健康づくりやストレス解消などの多様な目的に応じた、スポーツに関心がない層や、働く世代・子育て世代などの参加促進、年齢・性別・障害の有無等に応じた施策の推進、地域資源を活用した受け入れ体制づくりと魅力の発信を新たな4つの施策の柱として取り組むこととしております。   〔福祉保健部長岡俊幸君登壇〕 ◎福祉保健部長(岡俊幸君) 4点についてお答えをいたします。 ひとり親家庭への支援等についてでありますが、議員御指摘のとおり、貧困の連鎖を断ち切るために、ひとり親家庭への支援は重要な課題であると認識しております。 県といたしましては、ひとり親家庭にとって優しい地域社会づくりを目指して、就業の支援、生活の支援、経済的支援、U・Iターン支援、その他の支援の5つを柱とした総合的な支援を進めてまいりたいと考えております。 新年度予算では、専門の相談員が出張して個別に就業相談を行う出張型就業相談事業に新たに取り組むほか、就職の際に必要となる国家資格の取得を支援する事業などを実施してまいります。 次に、「あなたの婚活」応援プロジェクトのこれまでの成果と、具体的な取り組みについてでありますが、プロジェクトでは、1月末現在、イベント参加者は1,356人で、182組のカップルが誕生しております。 新年度は、新たに出会いサポートセンターを設置し、コンピューターマッチングを行うなど、より多くの出会いの機会を提供してまいります。 また、地域のつながりが薄れていく中で、職場等で出会いの機会をふやすことの意味は大きいことから、企業や団体の結婚支援を後押ししてまいります。 次に、医師・看護職員確保についてでありますが、県といたしましては、引き続き環境整備などによる魅力ある病院づくりを支援し、全国からの医師・看護職員の確保に取り組むとともに、看護職員の偏在を解消するための人事交流などを行ってまいります。 また、医師養成に関する規制緩和や、例えば都道府県ごとに保険診療が可能な保険医の定数を定めるなどの実効性のある対策を講じるよう、引き続き国に働きかけてまいります。 あわせて、地域の病院が機能を分担し、役割を果たしていくための合意形成につきましては、現在、魚沼や県央医療圏において取り組んでいるところであります。 次に、介護人材の不足の状況と今後の具体的対応についてでありますが、県内の多くの介護事業所から職員が不足しているとの声が上がっていることや、有効求人倍率が2倍前後の高い水準で推移している状況にあります。 このため、新年度において、福祉人材センターの職員を2名増員するとともに、上・中越地域をカバーする拠点を整備し、マッチング機能の強化等を図ってまいりたいと考えております。 さらに、介護業務の魅力の発信、資格取得や再就業の支援のほか、介護ロボットのモデル的な導入やキャリア形成の支援などに取り組んでまいりたいと考えております。   〔産業労働観光部長池田幸博君登壇〕 ◎産業労働観光部長(池田幸博君) 5点お答えいたします。 県内企業の海外展開への支援についてでありますが、海外市場の獲得をより一層後押しするため、新年度は、海外販路拡大のための外部人材の活用や、市場調査から販路開拓までの一貫した取り組みに対する支援を拡充することとしております。 さらには、県産品の新たな販路開拓を支援するため、海外ビジネスコーディネーターを追加配置するなど、本県経済の活性化につながる県内企業の海外展開を積極的に支援してまいります。 次に、新年度におけるU・Iターン就職促進のための具体的な施策についてでありますが、議員御指摘のとおり、県外学生が県内就職する際の課題として、県内企業をよく知らないことや、交通費などの負担を感じているとのアンケート結果もあるところです。 県といたしましては、県内企業の魅力を一層アピールできるよう、企業紹介動画を作成する企業を支援するとともに、移動時間や交通費の負担を軽減するため、合同企業説明会の首都圏での開催に加え、新たに交通費の助成制度を創設し、U・Iターン就職を促進してまいります。 また、これらの取り組みをより効果的に進めるため、大学等に進学する高校生や保護者の情報把握にも努めてまいります。 次に、既卒者の円滑な就職に向けた具体的な対応についてでありますが、県では、ジョブカフェにおいて、キャリアカウンセリングなど、きめ細かな就職支援を行っております。 また、採用活動に関して、3年以内既卒者の新卒扱いを求める国の指針を踏まえ、県が開催する新規学卒者向け合同企業説明会においても、3年以内既卒者も対象とし、既卒者の就職活動を支援しております。 今後とも、新潟労働局と連携しながら、3年以内既卒者の新卒扱いの普及促進に努めるとともに、既卒者の円滑な就職に向けた支援に取り組んでまいります。 次に、新年度における外国人観光客誘致への対応についてでありますが、雪、温泉、食などさまざまな観光資源を生かし、各国市場の嗜好や旅行目的に応じた誘客を進めるため、海外で人気のある旅行情報サイトを活用した情報発信などに取り組んでまいります。 加えて、多言語コールセンターサービスの導入や情報通信の利便性向上にも取り組み、関係者などと連携し、さらなる受け入れ体制の充実を進めてまいります。 次に、旅館の利用促進に向けた取り組みについてでありますが、県内各地域に宿泊し、地元の食材とともにコシヒカリや地酒を楽しめる、にいがた朝ごはんや、にいがた地酒の宿などの取り組みを県内外へ発信するとともに、旅館の課題改善に向けた取り組みや、おもてなし向上につながる従業員等への研修・勉強会の開催を支援してまいります。 今後も、関係者と連携し、本県の魅力の発信と受け入れ体制整備の取り組みを進め、首都圏・関西圏からの誘客やインバウンド観光によるさらなる宿泊増に取り組んでまいります。 なお、客室稼働率は、例えば、夏季は農業等で営業ができない、スキー客を対象とした旅館が通年営業として扱われるなど、本県の場合、低く出やすい傾向にあると推察されます。   〔選挙管理委員会委員長長津光三郎君登壇〕 ◎選挙管理委員会委員長(長津光三郎君) お答えいたします。 若年者の投票率向上に向けた取り組みについてでありますが、若年層の低い投票率の改善のためには、常日ごろの啓発が重要であると認識しており、本県では、若者自身が主体となり、同世代に政治参加の重要性を伝えてもらう取り組みの中で、大学キャンパス内での啓発活動や、将来の有権者である小中高校生に政治や選挙の意義や重要性を学習してもらうための出前授業などを行っております。 また、市町村選挙管理委員会との意見交換などを通じて、利便性の高い施設での投票所の設置などについても議論をしているところであります。   〔教育長高井盛雄君登壇〕 ◎教育長(高井盛雄君) お答えします。 いわゆる主権者教育を含めた、政治教育へのこれからの取り組みについてでありますが、今回の選挙権年齢引き下げに伴い、県教育委員会では、政治的中立を確保しながら、生徒の政治的教養を育む教育を進めることが重要であると考え、全ての高校生に配付された副教材の活用方法等について、管理職及び教員を対象とする研修会を実施し、周知徹底を図っているところです。また、一部の高校においては、選挙管理委員会と連携した取り組みも実施されております。 新年度においても、早い時期から研修会等を行い、こうした取り組みが一層推進されるよう、各学校を指導してまいります。 ○議長(尾身孝昭君) 志田邦男君の質問は終わりました。 次に、渋谷明治君の発言を許します。渋谷明治君。   〔渋谷明治君登壇〕(拍手) ◆渋谷明治君 日本共産党の渋谷明治です。通告に基づいて質問いたします。 まず、知事の政治姿勢についてお尋ねいたします。 最初に、暮らしと経済の問題についてであります。 安倍首相は、アベノミクスで世界で一番企業が活動しやすい国をつくると述べました。その結果、確かに大企業は2年連続で史上最高の利益を更新して、内部留保は3年間で38兆円もふえ、初めて300兆円を突破しました。 しかし、政府統計によると、物価上昇を差し引いた労働者の実質賃金は、この3年間でマイナス5%、年収400万円のサラリーマンは、年間20万円も目減りしているのです。 1月29日に県が発表した昨年11月分の毎月勤労統計調査によれば、新潟県内の5人以上の事業所の実質賃金指数は、3年前と比べて16ポイントも低下し、84となっています。 財務省新潟財務事務所が12月に発表した10月から12月期の県内法人企業景気予測調査でも、景況判断指数は全産業で前期と同じマイナス1.4となり、マイナスは8期連続です。 知事も、2月17日の会見で、以下のように述べられました。 従前であれば、本社のある大都市圏の企業の調子がよいときは、地方の工場も同時に稼働して、日本全体の景気が上がるという構造になっていたのが、黒字を出している企業の多くが円高に耐えかねて生産拠点を海外に移してしまい、東京を中心とする大都市圏の企業が黒字になっても地方経済が浮揚せず、むしろ新興国の経済が浮揚するという関係になっている。 このように、世界で一番企業が活動しやすい国をつくるというアベノミクスの3年間で、大企業の経常利益は増加したものの、地方や中小企業に恩恵は及ばない現状を直視すれば、アベノミクスを抜本的に転換することこそ求められていると考えますが、知事はどのように評価しているのか伺います。 次に、TPP、環太平洋連携協定についてであります。 昨年10月に大筋合意し、この2月4日に12カ国が協定に署名して、残された焦点は大統領選を控えたアメリカの国内手続だけであるかのように報道されています。 安倍政権は、TPPの承認案や関連法案を国会に提出し、成立させるシナリオだとされますが、協定文そのものが、本文と附属文書だけでも、英文で5,500ページを超える膨大なものだとされています。 この翻訳と精査に取り組んでいるアジア太平洋資料センターによれば、協定で漸進的に関税を撤廃すると規定し、米などの重要5品目も含めて除外や特別扱いはなく、TPPは、日本を後戻りできない関税撤廃への道に進ませるものだと指摘しています。 このほか、現在、日本では承認されていない遺伝子組み換え食品や食品添加物、農薬などは、貿易に対して不当な障害にならないようにするとされ、TPP発効後は、国境を素通りして私たちの食卓に上る可能性が高いとされます。 また、医療分野においては、日本では制限されている営利目的の病院経営は、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポールなどでは禁止されておらず、TPPのもとで、日本でも自由化される可能性があります。まさに、命の沙汰も金次第の時代が待ち受けているでしょう。 このように、TPPが及ぼす日本経済と国民の暮らしへの影響は、はかり知れません。 一方、アメリカ大統領選の有力候補者は、そろってTPP反対を表明し、アメリカ国内の批准・承認は大統領選後の来年までずれ込むことは必至の情勢です。 私どもは、日本経済と国民の暮らしに打撃を与えるTPPから直ちに撤退を求めるべきだと考えますが、知事は、新潟県農業や食の安全、医療など、県民の暮らしに対するTPPの影響をどのように考え、どのように対応する方針なのか、改めて伺いたいと思います。 次に、安倍政権が進める新年度の税制改革について伺います。 安倍政権は、現在32.11%の法人実効税率を、平成28年度から29.97%に、さらに2年後の平成30年度からは29.74%へと、2段階で引き下げる方針です。その財源は、赤字企業にも課税する外形標準課税の拡大で確保するというものです。 内部留保が300兆円を突破している大企業には減税し、赤字で法人税を納められない企業には外形標準課税を強化するなど、本末転倒も甚だしいと言わなければなりません。 さらに、庶民には来年4月から消費税10%への増税が待っています。食料品などの税率は8%に据え置く、いわゆる軽減税率が導入されたとしても、国民にとっては1人当たり2万7,000円、1世帯当たり6万2,000円、全体で4兆5,000億円もの国民負担増となります。 加えて、税率が複数になることから、事務手続の負担増や混乱も予想されます。大増税と抱き合わせの軽減税率を持ち出した自民党・公明党の責任は重大と言わなければなりません。 大もうけしている大企業には減税、暮らしにあえいでいる庶民には大増税という税制改革について、知事はどのように認識しているのか、見解を伺います。 次に、国の社会保障関係費について伺います。 安倍内閣は、社会保障のためといって消費税の増税を進めながら、肝心の社会保障は、よくするどころか、一層の削減を進めようとしています。 安倍内閣の3年間の合計で、社会保障関係費は、概算要求時点で自然増の見込み額は2兆6,600億円であったとされます。この3年間で、生活保護基準の引き下げや年金給付額の削減、介護報酬や診療報酬の引き下げなどで、実質的には1兆5,100億円に削られました。社会保障費が毎年4,000億円近く削減されたことになります。 しかも、これが社会保障のためとされた消費税増税と一体に強行されていることは、許しがたいことであり、今後も続けるなど、とんでもありません。 政府予算は、介護離職ゼロをスローガンに460億円を盛り込んだものの、ことしの介護報酬引き下げ改定で1,130億円が削減され、要支援の在宅サービスは介護保険から外され、特養ホームに入所できるのは要介護3以上に限定するなど、介護離職ゼロというスローガンには根本的な矛盾があると考えますが、知事はどのように受けとめておられるでしょうか、お聞かせください。 次に、新年度県予算について伺います。 まず、人口減対策についてであります。 2015年の総務省人口移動報告によれば、東京圏への転入超過が一層進み、39道府県は転出超過となって、本県は下から3番目、6,735人の減であります。 我が党は、人口減少の最大要因となっている少子化の根源には、若者が安心して暮らせる仕事と賃金が保障されていない問題があると考えています。歴代政権によって、生涯派遣を生み出す労働者派遣法の改悪など、雇用破壊と低賃金固定化政策が、結婚と子育てをちゅうちょさせる悪循環を生み出しているのです。この根本的解決抜きに、若者に希望ある未来を開くことはできません。 そこで、知事にずばりお伺いいたします。この間、県として実施してきた人口減少対策について、問題点はどこにあり、打開のためにはさらに何が必要だと考えているのでしょうか、お伺いいたします。 次に、子ども・子育て支援に関する県民ニーズ調査に関連して質問いたします。 この調査によれば、実際の子供の人数が、理想とする子供の人数よりも少ない理由の上位3項目は、第1位が大学教育の教育費負担であり、第2位は保育料負担、第3位は高校教育費負担となっています。いずれも経済的要因であります。 先ほど述べたように、若者に安定した仕事、賃金を保障することこそ抜本対策だと確信するものですが、対症療法として、子育て世代への経済的支援が有効であると考えます。 新年度、国は、子ども・子育て支援新制度の中で、これまで第1子が就学前の世帯に限って、第2子の保育料を半額に、第3子以降は無償でしたが、新年度は年収約360万円未満の世帯に限って、上の子供の年齢にかかわらず、第2子・第3子以降の減額・免除を適用することとされています。 県として、さきの県民ニーズ調査結果も踏まえて、国の対策にさらに上乗せして保育料軽減を実施すべきではありませんか。知事の見解をお聞かせください。 次に、奨学金について伺います。 県民ニーズ調査の第1位は、大学教育の教育費負担でありました。 さらに、今、格差と貧困の問題、貧困の連鎖を断ち切ること、子供の貧困対策などが重要課題となっています。 内閣府の資料によれば、我が国の18歳未満の子供の貧困率は15.7%、OECD加盟34カ国中25位とされ、ひとり親世帯の子供の貧困率は実に50.8%で、OECD34カ国中33位となっています。 世帯収入が高校・大学進学率に影響するという調査もあります。 内閣府の資料によれば、全世帯の子供の高校進学率が98.4%であるのに対して、生活保護世帯の高校進学率は8.5ポイントも低い89.9%となっています。 県内においても、生活保護世帯における大学進学率は明らかに低く、また、全国調査においても、母子世帯の収入状況は、全世帯の平均収入と比べて著しい格差が存在しており、貧困の連鎖を断ち切る対策が急がれます。 2月に発表された新潟県子どもの貧困対策推進計画素案では、支援を必要とする若者の項で、若者への生活・就業・就学支援の充実について、以下のように記述しています。 経済的理由により修学が困難な大学生・短期大学生及び専修学校生に対して奨学金を貸与し、在学中、勉学に専念できるよう支援します。また、本人が在学中や低所得等である場合は返還を猶予します。 この提言は重要です。貧困の連鎖を断ち切り、教育の機会均等を図るためにも、県独自に大学教育への給付型奨学金制度を創設すべきと考えますが、教育長の所見を伺います。 次に、子供の医療費助成制度について伺います。 新年度予算では、子供の医療費助成は新たに交付金化され、決算ベースで約2割の増額とされました。これは、一定の改善だとは承知しておりますが、予算ベースで見れば、前年度から2,000万円の増額にすぎません。 これまでの県制度、すなわち、子供の数3人未満の世帯には入院・小学校卒業まで、通院・3歳未満までという基準は、残念ながら全国最低レベルであり、2割の増額では十分だとは言えません。 県内の多くの市町村では、既に、全ての子供に入院・通院とも高校卒業まで助成が拡大されているだけに、思い切って市町村の医療費助成総額の2分の1に見合うところまで拡充すべきだと考えますが、知事の見解を伺います。 次に、医師・看護職員の確保対策について伺います。 昨年発表された平成26年の人口10万人当たりの医師数は、本県が全国43位となり、2年前に比べて順位を1つ下げました。この間、医師・看護職員確保対策に全力で奮闘されてきた方々にとっても、ショックは大きかったのではないでしょうか。 そこで、知事に伺います。本県が、一定の努力を行ってきたものの、医師数が他県よりも低い実態について、どのように受けとめておられるのでしょうか。端的にお答えください。 あわせて、これまで実施してきた医師・看護職員確保対策について、どのような点で効果が上がっているのか、今後に生かす点、また反対に、これから解決すべき課題などについて、どのように評価し、今後どのように強化していくおつもりか伺います。 さらに、医師不足・看護職員不足の影響は、とりわけ中山間地・過疎地で深刻となっています。 私どもに寄せられた要望によれば、津南町の町立津南病院では、看護職員の不足が理由となって、療養病床が維持できず、入院機能の廃止が計画されています。また、長岡市の小国診療所や栃尾郷診療所などでも、医師不足から入院機能が維持できなくなりました。 中山間地・過疎地の高齢者や持病を抱える住民にとって、生活圏の医療機関がなくなるのは深刻な問題です。豪雪の問題もあり、患者さんが峠を越えて隣町の医療機関を受診するには大きな負担が伴います。 県は、中山間地・過疎地の医療機関や診療所が縮小・閉鎖に直面している問題について、どのように受けとめ、維持するためにどのような対策を講じるおつもりなのか、お答えいただきたいと思います。 次に、公契約条例の制定についてお尋ねいたします。 公契約とは、国や自治体が発注する公共事業や委託事業について、民間業者と結ぶ契約のことであります。 この間、一般競争入札が拡大する中で、低価格入札やダンピング業者の介入、労働条件の低下など、官製ワーキングプアが問題となってきました。 近年は、東日本大震災による資材高騰と人員不足なども相まって、公共事業におけるダンピングなどは減少しているとは聞いておりますが、その他にも、指定管理者契約や保育園の民営化などを契機に、公的なサービスに非正規雇用と低賃金が広がる傾向が生じています。 こうしたもとで、公契約条例は、公共事業におけるダンピングや、労務単価の著しい切り下げ、技術伝承の断絶などをなくすためにも、極めて有効とされます。 図書館や公民館、体育施設など公的施設に指定管理者契約が広がり、保育園の運営においても民間委託や保育士さんの非正規化が進んでいます。こうしたもとで、公的サービスの質を確保し、働く人々の適正な賃金を保障するために、公契約条例は極めて有効です。 さらに、TPPとの関係でも、公契約条例は重要な役割を指摘されています。それは、仮にTPPが発効した場合、TPP参加国の企業と地元企業とを差別してはならないという方向で市場開放が迫られるからです。しかし、TPPの批准・発効前に公契約条例を制定しておけば、一昨年策定された小規模企業の振興に関する基本条例などとあわせて、TPP圏内の多国籍企業との競争から県内の中小企業を守り、雇用を守る力になると考えます。 以上の見地から、ぜひとも新潟県公契約条例の制定を検討すべきと考えますが、知事の認識と取り組みについて伺います。 次に、耐震改修の促進について伺います。 県の耐震改修促進計画は、平成27年度までに住宅の耐震化率の目標を87%としてきました。しかし、「夢おこし」政策プラン中間評価に示された指標では、平成23年の79.5%のままで、目標に到達していません。 中越大震災と中越沖地震を経て、東日本大震災から5年が経過しようとしています。南海トラフの巨大地震も取り沙汰されるもとで、住宅の耐震化は焦眉の課題とも言えるでしょう。 県として、今年度末までの住宅の耐震化計画が目標到達に至っていないことについて、どのようにお考えでしょうか。見解を伺います。 また、耐震改修を推進することは、安全・安心な社会基盤を整備することであり、また、地域経済の活性化への効果も高いものと考えます。 新年度予算では、耐震すまいづくり支援事業が若干拡充されておりますが、この際、市町村が始めている住宅リフォーム助成制度などとも連携して、これを一層抜本的に拡充させてはどうかと考えますが、見解を伺います。 さて、最後になりますが、原発問題について伺います。 まず、柏崎刈羽原発の停止が地元経済に及ぼす影響についてであります。 新潟日報紙は、昨年12月の報道で、現地で行った100社調査について、以下のように報道しました。 浮かび上がったのは、柏崎刈羽原発と地元企業との関係の薄さだ。福島事故を受けた3年9カ月にも及ぶ柏崎刈羽原発の長期停止も、地元企業へのダメージは限定的だった。 この調査では、3分の2の地元企業が、柏崎刈羽原子力発電所停止について、影響なしと答え、原発の存在は地元企業の成長にはつながっていないとしています。 知事は、この地元紙の調査について、どのように受けとめておられるでしょうか、伺います。 また、この結果を踏まえて、同紙が指摘するように、県としても、冷静かつ正確な現状把握と、事実の客観的な分析を行う必要があると考えますが、知事の見解を伺います。 次に、放射性物質拡散シミュレーションについて伺います。 昨年12月、県は、柏崎刈羽原発が重大事故を起こした際の放射性物質拡散シミュレーションを技術委員会に示しました。 報道によれば、外部被曝線量の最大値は、フィルタベントを使用した場合、使用しなかった場合の6分の1に低減するとされ、当初、東京電力が主張していた1,000分の1にははるかに及ばないことが示されました。 また、放出された放射性物質は、国が防護措置の目安とする30キロ圏を大きく超え、風向きによっては、北は村上市、南は糸魚川市、東は魚沼市、それから南魚沼市を越えて福島にまで到達し、高濃度の放射性物質を含んだプルームが、県内全域に、ひいては県境を越えて広がる危険性が明らかになりました。 この結果を踏まえれば、国の防護措置の範囲は極めて不十分であり、30キロ圏を超えて、県内全域に対象範囲を拡大し、避難計画も全ての市町村で策定する必要があると考えますが、知事の認識と、今後の対応についてお聞きいたします。 次に、実効性のある避難計画策定について伺います。 東日本大震災と福島第一原発の事故を経て、多くの県民は、大地震による津波や土砂崩れなどの災害時に、原発の過酷事故が起こったらどうすればよいのか、大きな不安を抱いています。 十日町市在住の方は、真冬の大雪のときに地震が来て、家が潰れ、道が雪や雪崩で埋もれているときに放射能が降ってきたら、どうすることもできないと不安を語ってくれました。 こうした複合災害時に、いかに被曝せずに避難することができるのか、本当に実効ある避難計画を策定できるのか、新潟特有の豪雪時を想定した避難計画は策定できるのかなど、県民にとっては切実な問題であります。 県として、実効性ある避難計画を策定するため、複合災害を想定した原子力災害対策指針等の改正など、適切な対応を国に求めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。 次に、柏崎刈羽原発への流入地下水について伺います。 私は、現在でも柏崎刈羽原発の地下水くみ上げ量が1日3,300立米に上っていると聞いて、大変驚きました。あの福島第一原発の流入地下水くみ上げ量が、現在、1日約400立米だと聞いていましたから、その約8倍にも上っています。事故前の福島第一原子力発電所1から4号機のくみ上げ量が1日850立米だったということから見ても、著しく多いと感じます。 柏崎刈羽原発で、仮に何基かの炉心がメルトダウンするような過酷事故に直面すれば、福島第一原発のように、高濃度の放射能に汚染された大量の地下水対策が必要になるでしょう。 こうした地下水の実態がわかっている以上、過酷事故時のくみ上げにかかわる課題と対策、耐震設計上の課題等について、しっかりとした検証が求められると考えますが、この現状についての認識を伺うとともに、検証の必要性について、知事のお考えをお聞きします。 最後になりました。 各紙の報道では、原子力規制委員会の柏崎刈羽原発6・7号機の新規制基準適合審査の終了が近いのではないかと伝えられています。規制委員会は、また、柏崎刈羽原発6・7号機の審査を最優先で進めるとも報道されています。 しかし、柏崎刈羽原発は、どの原発にも共通する危険に加えて、世界一の集中立地であること、満杯が間近とされる使用済み核燃料プールの問題、多数の断層の存在や軟弱地盤などの地質問題、先ほど述べた流入地下水の問題、そしてずさんなケーブル敷設やメルトダウンの公表をおくらせた東京電力の管理能力の問題などなど、固有に解決が求められる無数の課題が横たわっています。 既に知事も繰り返し答弁されておりますが、規制委員会の田中委員長ですら、基準を満たしたから、安全とは言えないと発言している新規制基準を、仮にクリアしたとしても、柏崎刈羽原発は再稼働すべきでないと考えますが、改めて知事の所見を伺って、私の質問を終わります。(拍手)   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 渋谷議員の一般質問に順次お答えをいたします。 まず初めに、アベノミクスの評価についてでありますが、インフレターゲットなどの大胆な金融緩和等の効果として、円高・デフレからの是正の動きが見え始めた中、消費増税が行われました。 アベノミクスはもともと機動的な財政出動もその要素の中に入っていたわけでありまして、金融緩和だけがアベノミクスの要素ではありませんでした。せっかく景気回復の動きが見えた中での消費増税が、結果として、経済を失速させております。現在の政府の政策は、当初のアベノミクスから変質しているというふうに理解をしております。 経済への影響を考慮せず、財政優先で増税したことが、現在の停滞をもたらしているということであります。 また、今ほど申し上げましたとおり、機動的な財政出動も行われていません。その結果、経済の好循環につながる期待形成に成功していないという状況だと思います。 金融政策と財政政策は両輪であります。政府・日銀には、大胆な金融緩和の継続と積極的な財政出動による、適切なマクロ経済政策により、格差を是正する、地方でも景気回復が実感できる経済環境を整備していただきたいと考えております。 次に、TPPの影響と対応についてであります。 現時点では、国内対策の全てが明らかにされておりません。また、仮にこの協定が発効したとしたも、協定による効果・影響が生じるまでには相当期間を要するという状況であります。農業や食の安全、医療など、TPPによる効果や影響を推しはかることは、現時点では困難であります。 このため、不安や懸念の声があることも事実であり、合意による影響と国内対策について十分な説明を早急に行うよう、引き続き国に要望してまいります。また、県としても必要な対応を行ってまいります。 なお、アメリカの大統領選挙の推移を見ますと、TPPが本当に発効するのか、十分に見きわめる必要もあると考えております。 次に、税制改革についてでありますが、法人税の減税は、国内企業の設備投資拡大や対内直接投資の増加と、雇用の拡大効果等が期待されます。現実問題として首都圏の有効求人倍率が上昇して、雇用拡大が行われている。ただ、それが地方に波及してこないという構造になっております。 一方で、消費税の増税は需要を縮小させます。何かを買おうとすると税金がかかるので、禁止関税的役割、不況税ということになるわけですが、この消費増税によって需要が縮小されていくということになります。個人消費や民間設備投資が力強さに欠ける現在の経済状況下においては、実施すべきではないと考えております。 大企業の内部留保、これを実体経済に投入するにはどうしたらいいかということですが、よく内部留保に税金をかけたらいいのではないかという話があるのですが、それは経済をさらに失速させるということになりますので、滞留させておくと金融資産の価値が目減りするという環境をつくるのが筋であります。すなわち、インフレターゲット政策を実施して、給料も上がる、売り上げも上がる、かわりに中にためておくと目減りするという環境をつくれば、人材に投資をしたり、設備投資、新たな技術開発にお金が回り、実体経済の購買力が高まるということだと考えております。 この名目の経済が拡大すると何が起きるかというと、名目で税収が増加してくるということになりますので、所得格差を是正するための財政政策、これも積極的に実施することが可能になり、また、必要であるというふうに考えております。 次に、介護保険制度改正と介護離職ゼロに係る国の取り組みについてであります。 今年度の制度改正は、将来の高齢者である若い世代の負担が過大にならないよう、余裕のある高齢者、すなわち、今、平均的に見ますと、若い層のほうが経済的に厳しく、高齢者にはかなり資産を持っておられる方がいる。社会的公平ということになると、高齢者だから、全て支援をされるということではなく、余裕のある高齢者にも一定の負担をしてもらおうということを基本的な考えとして、制度の持続可能性を高めるということで、改正に至ったと理解をいたしております。 本質的に何で社会保障のお金を削らないといけないのかというと、少子化が進んでいるわけです。支えるほうが支えられるほうに比べて減っていくということになるので、社会福祉制度が厳しい環境に置かれるわけです。本質的にこの問題を解消しようと思えば、やはり少子化対策をしっかりやるということが筋であるというふうに考えております。 また、介護離職ゼロの取り組みは、介護のためにやむを得ず離職する者をなくすことを目的に、施設の緊急整備等を行うものであると受けとめております。 県といたしましては、これらの取り組みによって、高齢者に必要な介護サービスが提供されるかどうか、見きわめてまいりたいと思います。 次に、新年度予算についてお答えをいたします。 まず、人口減少対策の問題点等についてであります。 まず、昭和40年代をイメージしていただきたいと思うのですけれども、昭和40年代で流行した歌の中に「神田川」という歌があります。4畳半で、石けんがカタカタ鳴って、外にあるお風呂で、夫婦2人でいても子供は生まれた。当時、標準的な世帯は「サザエさん」のイメージだと思うのですが、子供3人ぐらいいるというのが普通の家庭ということだったと思います。 すなわち、今よりも経済環境が厳しくても子供が生まれていた。今と当時、何が違うのかということを考えることが重要だと思います。 さらに、昭和の1桁、戦前を思い浮かべていただくと、兄弟が7人、8人、9人いるという家庭が普通でありました。なぜ当時は7人、8人、9人と兄弟がいたのに、今減っているのか。GDPを見ても、経済的事情でいえば、現在のほうがはるかに豊かになっています。ここのところをよく理解して対応をとらないと、なかなか問題の解決につながらないということだと思います。 1つ言えるのは、戦前は、子供が多ければ多いほど、親が老後に豊かになれたということだと思います。どういうことかといいますと、私も育てられるときにこういうふうに言われました。いいか、おまえ、大きくなったら親の面倒を見るんだぞというふうに言われて育ったのですが、要は子供が親の面倒を見る。子供の数が多ければ多いほど、将来、介護というか、相手をしてもらえる子供が、負担が少なくて親の面倒を見れた。仕送り一つにしても、子供が多ければ多いほど、親は豊かになれたというところがある。 すなわち、将来の投資として子供を産むと、子供がふえた家庭は、親御さんは、将来、老後が楽になる可能性があった。これは、子供がふえていた一つの要因ではないかというふうに受けとめております。 一方、現在、どうなっているか。これは渋谷議員御指摘のとおり、子供の数が多ければ多いほど、親が老後貧乏になる仕組みになっているわけです。教育費を含めて、特に新潟の場合は、人口社会減も大変大きな影響を受けていますけれども、首都圏等の大学に行って、年子で3人も子供がいたら、学費のほかに下宿費も払わないといけない。とても親の生活が成り立たないので、希望する数の子供が持てないという状況になっている。 すなわち、子供が多ければ多いほど、将来、親が貧乏になるという社会環境になったということが、子供が産めない大きな原因になっているというふうに受けとめております。 それに加えて、人口ビジョンでもお示しをしたとおり、社会意識の変化ということも大きく影響していると考えております。 以前は、家の概念というものが強く残っていましたので、自分が将来お墓に入った後、子供たちがちゃんとお参りをして、お墓を管理してくれるのだろうかというところが気になったわけです。だから、孫の顔を見せろということで、親戚縁者、いろんな人、地域に頼って、いい相手がいないかということを親御さんも、また地域も努力して、後継者を探すということをしていました。 今、はやるものは何かというと、樹木葬、散骨、墓じまいということであります。結果として、子供の人生は子供が決めればいいと、子供に迷惑をかけたくないという意識が出ることによって、親御さんとか地域社会が後継者を探すために全力を傾けるという、そういう社会環境が随分変わってきたというふうに受けとめております。 それから、企業内でもそうなのですが、「あなたの婚活」応援プロジェクトを進めていて、経済界の代表からは、ぜひ進めてくれと言われるのですが、いざ現場に行きますと、例えば、人事が誰が独身か情報を流して大丈夫かと。パワハラになるのではないか。では、上司が誰か相手を紹介しようというときに、君、結婚していると聞いたらセクハラかもしれないということで、7割の企業が腰が引けているという状況になっています。 すなわち、セクハラ、パワハラの問題ということが企業の行動を縛っているというところも出てきているわけであります。 こういった社会の意識変化が結婚や出産への支援を進める大きな壁となっております。社会減対策については、経済環境が、東京を中心とした大都市圏の輸出型の大企業を中心に利益は出ているのですけれども、そこの製造現場は新興国に移行してしまったということから、やはり人口の流出が、利益のあるところに集中するという構造になっていますので、どうしても地方が、今、不利な状況になっている。この社会環境の変化も生じているということだと思います。 これらの課題解決には、結婚し、家族を持つことについての機運を醸成していく、社会の中でやはり子供は社会の宝という意識、そして結婚したい人が結婚できるための出会いの場をいろんな人が提供していくのはいいことだということを考えていかなければいけないのではないかと思います。 結婚式の風景が相当変わっているというのも懸念していまして、我々のころまでは仲人さんがいたわけです。仲人さんには結婚式のときにお礼を差し上げるのですが、間に入ってくれる方は、夕御飯とか、お昼御飯とか、いろんなところに連れていって、2人の出会いをサポートしていく。コストがかかるので、結局仲人さんにはお礼するという習慣だったと思うのですが、最近の結婚式は仲人さんがいないケースが多い。すなわち、世話やきさんがいないということになっているのではないかと受けとめております。 社会のありようについての意識をどういうふうに持つのかという社会全体のコンセンサスが重要だと思います。若年層を中心とした流入促進・流出防止の取り組みのさらなる強化が必要と考えております。 人口減少問題の克服、親が、子供が多ければ多いほど苦労した分、ある程度報われる社会というのは、フランスと北欧で実現しています。どういう形でやっているかというと、1つは、子供がふえると年金を増額するというやり方です。もう一つは、所得税の減税ということもやられているわけであります。地方政府の取り組みに加えて、社会の制度全体の見直しということも必要ではないかと思います。税制や年金制度の改革に踏み込んだ実効性のある施策の展開も必要と考えております。 次に、保育料軽減の国施策への上乗せについてでありますが、笠原議員の一般質問にお答えをしたとおり、保育料の負担軽減による経済的支援は、他の子育て支援策と相まって一定の効果が期待されるものと考えておりますが、少子化対策の総合的な体系の中で、財源確保も含め、どのようにするか検討すべきと考えております。 このため、少子化対策モデル事業を実施し、その検証結果を踏まえ、持続可能な少子化対策とその財源確保のあり方等について、検討を進めてまいります。 次に、子ども医療費助成についてでありますが、今回の交付金化は、市町村からの要望に基づいて、各市町村が現在実施している制度を維持・拡充し、あるいは他の子育て支援策を充実するなど、それぞれの判断に基づいた対応を支援するものであります。 なお、本制度改正は、平成25年2月定例会における一般会計予算案の討論において、共産党の立場から、竹島議員が県市長会の要望に沿うように求めたことも踏まえ、実施したところであり、今後とも改善を続けてまいりたいと思います。 次に、医師数についてでありますが、県内の医師数は着実に増加いたしております。これまでの修学資金貸与などにより、今後も増加が見込まれるところであります。 しかし、全国的には西高東低の偏在及び都市部への医師の過剰な集中が進んでおります。これによって、医師数についての増加、医師をふやしていくというところの国全体としての合意がとりにくい。すなわち、地方における医師確保の障害になっているというふうに認識をいたしております。 この状況について、現行制度では限界がありますので、医師養成に関する規制緩和や、例えば都道府県ごとに保険診療が可能な保険医の定数を定めるなど、実効性のある対策を講じるよう、引き続き国に働きかけていく必要があると考えております。 次に、公契約条例についてでありますが、公契約条例は、我が国の法制度との整合性の面で、課題も指摘されており、条例の制定については、慎重に検討を進めざるを得ないと考えております。 本県では、実質的な対応として、公共工事の入札・契約において、全国トップ水準の制度を整備しており、今後とも、労働者の適正な賃金水準等の確保を図ってまいります。 なお、公契約条例の課題と公共工事等の具体的な取り組みについて、土木部長から答弁をいたします。 次に、原発問題についてお答えをいたします。 まず、原発の停止による影響についてでありますが、小山議員にお答えをしたとおり、地元紙が行った調査では、原発停止による売り上げ減について、約3分の2の企業がないとした一方で、約3分の1の企業はあると回答いたしております。 個々の企業の置かれている状況により、原発停止の影響について受けとめが異なっているものと理解をいたしております。 なお、議員御指摘のとおり、冷静かつ正確な現状把握と、事実の客観的な分析を行う必要があると考えております。 次に、原子力災害対策を行う範囲等についてでありますが、福島第一原発事故では影響が広範囲に及んだことから、本県の地域防災計画では、県民の皆様の安全を守るため、原子力災害対策を実施すべき地域の範囲を県内全域といたしております。 また、避難計画については、それぞれの地域の実情に応じて策定することが重要と考えております。 今後、今回の放射性物質拡散シミュレーションの試算結果も踏まえ、技術委員会等の専門家から、フィルタベント設備の検証とあわせて、防護対策等についても議論していただきたいと考えております。 次に、複合災害を想定した原子力災害対策指針等の改正などを国に求めることについてでありますが、議員御指摘のとおり、複合災害等に対応する避難計画の策定は重要であると考えております。 一方、複合災害時の指揮命令系統、高線量下での災害対応など、法制度や組織体制、財源対策等、権限を持つ国でなければ対応できない課題があり、これらの解決なくしては、被曝を避け得る避難計画はできないものと考えております。 県といたしましては、引き続き、さまざまなチャンネルで国へ対応を求めてまいります。 次に、柏崎刈羽原子力発電所の地下水に係る課題等についてであります。 議員御指摘のとおり、地下水に係る課題についても検証は必要であり、第一義的には、原子力規制委員会が責任を持って対応すべきことと考えており、今回の適合審査において、確認されるものと考えております。 原子力規制委員会の対応に疑問が残る場合には、県の安全管理に関する技術委員会で議論していただくなど、改めて県として対応してまいります。 なお、柏崎刈羽原子力発電所の地下水等の現状について、防災局長から補足答弁をいたします。 次に、柏崎刈羽原子力発電所の適合審査と再稼働についてでありますが、福島第一原子力発電所事故の分析を踏まえ、安全を確認することは重要であると考えております。 その際、国際原子力機関の深層防護の考え方における、第4層の過酷事故対策や第5層の過酷事故後の対策についても考慮する必要があります。 このため、福島第一原子力発電所事故の検証と総括が必要であり、これなくしては事故を繰り返すことになるので、再稼働の議論はできないものと考えております。   〔防災局長山田治之君登壇〕 ◎防災局長(山田治之君) お答えいたします。 柏崎刈羽原子力発電所の地下水等の現状についてでありますが、地下水くみ上げ量は、議員御指摘のとおり、1号から7号機全体で、1日約3,300立方メートルであり、ほかの原子力発電所に比べて多いのですが、これは建屋の埋め込みの深さなどが影響していると考えております。 次に、過酷事故時の対応ですが、東京電力から現在検討中との報告を受けております。 また、耐震設計上の課題等については、中越沖地震や福島第一原子力発電所事故の教訓から、建屋間のすき間や地下の配管貫通部からの地下水流入防止対策を実施しているほか、くみ上げポンプの停電に備え、仮設発電機などを常備する予定と承知しております。 いずれにいたしましても、今後、技術委員会で確認していただきたいと考えております。   〔福祉保健部長岡俊幸君登壇〕 ◎福祉保健部長(岡俊幸君) 2点についてお答えをいたします。 医師・看護職員確保対策についてでありますが、県内の医師数は着実に増加しており、修学資金貸与や医師にとって魅力ある病院づくりなど、総合的に事業に取り組んだ効果が、徐々にではありますが、あらわれてきたものと受けとめております。 一方で、地域偏在などの課題に対しては、引き続き国に抜本的な制度改革を働きかけてまいります。 また、看護職員確保についてですが、修学資金の貸与や院内保育等の勤務環境の整備、再就業支援等に取り組んだ結果、看護職員数は順調に増加し、人口10万人当たりの常勤換算で1,196人で、全国28位となっております。 今後も高齢化などに伴う看護職員の需要が見込まれることから、引き続き看護職員の確保に努めてまいります。 次に、中山間地の医療機関の縮小・閉鎖等についてでありますが、中山間地はもとより、県内全ての地域の皆様が住みなれた自宅や地域において、安心して生活ができる医療環境を確保することが重要であると認識しております。 特に中山間地においては、医師や看護職員の不足により、診療体制の維持が困難となっているという現状を踏まえ、県といたしましては、医療機関の機能分化や病診連携の促進のほか、医師・看護職員の確保対策として、全国から医療スタッフの集積が図れるマグネットホスピタルに発展するような病院づくりへの支援や、看護職員の偏在を解消するための人事交流など、広域的な観点から、地域医療の確保を支援してまいりたいと考えております。   〔土木部長高橋猛君登壇〕 ◎土木部長(高橋猛君) 3点お答えいたします。 公契約条例の課題と公共工事等の具体的な取り組みについてでありますが、公契約の契約先企業における賃金等の労働条件を条例で定めることについては、労働条件を労使間で自主的に決定することを原則とする労働法制との整合性という点から、課題があると考えております。 また、県といたしましては、公共工事の最低制限価格を予定価格の91%以上としているほか、県の庁舎の清掃業務、設備管理業務にも最低制限価格を導入しているところであり、今後とも、入札・契約制度の適切な運用に努めてまいります。 次に、住宅の耐震化についてでありますが、県では、新潟県耐震改修促進計画で、平成27年度末までの耐震化率の目標を87%と定め、耐震すまいづくり支援事業などを実施してまいりました。 その結果、住宅の耐震化率は、平成17年度末の74%から83%に上昇することが予測され、一定程度の成果は認められるものの、全国と同様、目標には少し届かない状況です。 この理由につきましては、新潟県耐震改修促進計画改定検討委員会において、リーマンショックの影響などによる新設住宅着工が減少したことに伴う住宅更新のおくれや、住宅所有者の高齢化に伴う耐震化への意欲の低下などが主な要因として挙げられております。 次に、耐震すまいづくり支援事業についてでありますが、今回の制度拡充は、検討委員会での意見を踏まえ、住宅全体の耐震化を一度に行うことが、費用面などから困難な高齢者等に対し、部分耐震改修や耐震シェルターの設置を補助対象とすることにより、段階的な耐震改修も可能となるように現行制度を見直すものであります。 県といたしましては、この制度拡充によって、部分的なリフォーム工事にあわせた耐震改修も行われることが、期待されるものと考えております。   〔教育長高井盛雄君登壇〕 ◎教育長(高井盛雄君) お答えします。 県独自の大学教育への給付型奨学金制度の創設についてでありますが、大学における奨学金は、そのほとんどが国の奨学金制度によるものであることから、まずは国において検討すべき課題と考えており、全国知事会からも要望をしていただいているところです。 なお、県奨学金は、来年度から、返還猶予の対象を拡大し、世帯年収が300万円に達するまで無期限で返還を猶予するとともに、低所得世帯向けに無利子の大学等入学時一時金の貸与制度を新設することとしております。 また、知事部局において、来年度、Uターン促進のための奨学金返還支援制度が創設されることから、教育委員会としましては、その推移を見守ってまいりたいと考えております。 ○議長(尾身孝昭君) 渋谷明治君の質問は終わりました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(尾身孝昭君) これにて本日の一般質問は終了いたしました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(尾身孝昭君) お諮りいたします。 次会は、明3月3日午前10時から開くことにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(尾身孝昭君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(尾身孝昭君) 本日の議事日程は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 △午後4時49分散会...