平成25年 2月定例会 本会議平成25年3月5日(火曜日) 議事日程 第4号 午前10時 開議第1 県政に対する一般質問 ――
―――――――――――――――本日の会議に付した案件 日程第1 県政に対する一般質問(坂田光子君、青柳正司君、高橋直揮君、小山芳元君、竹島良子君、志田邦男君) ――
――――――☆――――――――出 席 議 員(53名) 笠原 義宗 君 高橋 直揮 君 宮崎 悦男 君 青柳 正司 君 坂田 光子 君 矢野 学 君 皆川 雄二 君 小林 一大 君 冨樫 一成 君 佐藤 卓之 君 楡井 辰雄 君 小島 隆 君 佐藤 純 君 桜井 甚一 君 小林 林一 君 西川 洋吉 君 岩村 良一 君 沢野 修 君 斎藤 隆景 君 金谷 国彦 君 早川 吉秀 君 尾身 孝昭 君 柄沢 正三 君 中野 洸 君 小川 和雄 君 村松 二郎 君 小野 峯生 君 帆苅 謙治 君 渡辺 惇夫 君 石井 修 君 東山 英機 君 三富 佳一 君 星野伊佐夫 君 高倉 栄 君 上杉 知之 君 梅谷 守 君 大渕 健 君 内山 五郎 君 市川 政広 君 長部 登 君 小山 芳元 君 竹島 良子 君 志田 邦男 君 青木太一郎 君 松川キヌヨ 君 佐藤 浩雄 君 米山 昇 君 片野 猛 君 横尾 幸秀 君 若月 仁 君 小島 義徳 君 石塚 健 君 佐藤 久雄 君 ――
―――――――――――――――議員以外の出席者 知事 泉田 裕彦 君 副知事 森 邦雄 君 副知事 大野 裕夫 君 副知事 北島 智子 君 知事政策局長 杉山 順爾 君 総務管理部長 寺家 克昌 君 県民生活・環境部長 中村稚枝子 君 防災局長 飯沼 克英 君 福祉保健部長 若月 道秀 君 産業労働観光部長 池田 幸博 君 農林水産部長 目黒 千早 君 農地部長 圓山 満久 君 土木部長 田宮 強志 君 交通政策局長 坂井 康一 君 会計管理者兼出納局長 安藤ますみ 君 病院局長 江口 孝雄 君 企業局長 藤澤 浩一 君 教育長 高井 盛雄 君
人事委員会事務局長 櫻井 優 君 警察本部長 砂川 俊哉 君
労働委員会事務局長 丸山龍三郎 君 監査委員事務局長 本間 俊一 君 ――
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△午前10時開議
○議長(小川和雄君) これより本日の会議を開きます。 ――
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△日程第1 県政に対する一般質問
○議長(小川和雄君) 日程第1、県政に対する一般質問を行います。 順次、発言を許します。 まず、坂田光子君の発言を許します。坂田光子君。 〔坂田光子君登壇〕(拍手)
◆坂田光子君 自由民主党の坂田光子でございます。通告に基づき質問いたします。 燕・三条は昔からものづくりのまちであり、今や世界でも一流の評価を得ているところですが、ものづくりを進める上で、やはり販売促進は重要な戦略となります。つくっても、それを売って何ぼということですから、円滑な物流は重要な問題であり、いかにして物を運ぶかが地域経済の成長の鍵を握るということは御承知のとおりです。スムーズな物流はあってしかるべきことで、本県の交流・物流の拠点である港湾空港施設の機能の強化が一層強化されることが期待されます。 本県には、新潟空港、新潟港東港及び西港があり、特に新潟港は、1868年に横浜、神戸、長崎、函館とともに五大港として開港した歴史を持っており、現在は重要港湾に指定されています。 東アジアは、今や国際的にも重要な地域と目されており、物流の中心であります。現に東アジアから日本に、また日本から東アジアに向けて、多くの物が流れておりますが、残念ながら素通り感が否めません。本県の港がこれらの物流に十分機能しているのか、疑問に思われるところもあります。空港や港が、鉄道や高速道路などの他の交通網との連携がスムーズでないことも要因となっているのではないでしょうか。 また、円滑な物流をもたらすためには、物も人も利用しやすい環境をつくっていくことが大事だと考えます。 人の移動の観点から見ても、新潟港や新潟空港を対岸諸国との交流拠点にするためには、新幹線、すなわち新潟駅と、新潟空港や佐渡汽船の間の交通インフラの十分な整備も必要と考えます。 他県に向けて本県の優位性をアピールするためには、これらの交通インフラの戦略的な打ち出しが必要ではないでしょうか。北陸新幹線の開業で、首都圏から見た新潟の価値が低迷しないか心配されます。新潟が、わざわざ立ち寄るところではなく、物流、移動の重要な拠点だから必然的に立ち寄るという発想により、地勢的にとどのつまりにならないようにしなければなりません。 東アジアに向けた交流と物流の拠点としての機能が期待される本県の港湾空港施設において、グローバル化の定着を見据え、ハード面、ソフト面の両面の整備が必要と考えます。県は、具体的に何に力点を置いて物流拠点としての港湾の整備を進めようとしているのか、知事の御所見をお伺いします。 県は、大連とソウルに設置されている海外事務所のほか、ビジネス連絡拠点を設けておられますが、これらの海外事務所などが果たしてこられた成果が、一般の県民によく理解されているのか疑問に思います。これらの海外事務所を、対岸諸国への交流及び物流の支援拠点として、役割を明確にし、さらに活用すべきと考えますが、これまでの海外事務所などの業績の評価と、今後どのように活用していかれるのか、戦略をお伺いします。 一昨年の東日本大震災以来、新潟東港では、船舶の沖待ち解消が課題となっておりました。こうした中、昨年新潟東港に新岸壁が整備され、沖待ちが少なくなったことは、大きな改善であると捉えております。さらに水深の深い、大水深岸壁が整備されることで、より大型のコンテナ船の入港が可能となり、港湾としての魅力が増すと考えられますが、今後の
コンテナターミナル整備に対する知事の御所見をお伺いします。 次に、県の
工業技術総合研究所についてお尋ねします。 ものづくりを行う上で、県の
工業技術総合研究所で行われる各種の測定は重要な役割を果たしていると捉えております。試作のための機械や測定機器も、1社で持つのは大変なので、こういう研究所の存在は中小企業の多くある地場では大変大きいものです。1社では年に1回しか使わなくても、1,000社が使えば使用回数は相当です。 しかしながら、機器の中には、整備から相当の期間が経過し、老朽化していたり、附属のコンピューターが古くなっていたりして、故障しても部品交換ができないものもあるということです。ハウスウェアの磨きを見るための粗さ測定機は、コンピューターやレーザーが古く、壊れると部品がもうないということです。
蛍光エックス線膜厚計測器は、金属のメッキがどのくらいちゃんとついているかを見ることができ、航空機のメッキの測定もこういう機器を使うそうですが、コンピューターが平成12年のもので古く、これが壊れるととても困るということです。太陽光発電の取付金具の試験などに使われるひっぱり試験機など毎日活躍している機器も多くあります。昨年12月の県会で佐藤卓之議員からの質問にもありましたが、
工業技術総合研究所で使用されるこれらの試験機器は、企業の技術開発など地場産業にとって重要な役割を果たす機器であり、地場産業の技術力の向上にもつながり、ひいては、後継者育成や雇用にも発展することから、企業のニーズに応え、時代に合わせた適時の更新に努めていただきたいと考えております。 知事はかねてから、産業は福祉の糧と発言しておられます。
工業技術総合研究所における今後の機器整備の充実による技術力の養成の重要性と、
工業技術総合研究所が果たしていくべき役割について、知事はどのようにお考えでいらっしゃるのか、認識をお伺いします。 次に、県の観光振興施策についてお尋ねいたします。 本県と長野県の県境である斑尾山を含めた関田山脈の尾根沿いを縦走する総延長80キロメートルの信越トレイルは、多くの人が訪れ評価も高いと伺っております。 また、本県と福島県との県境にある八十里越は、古い歴史を持つ道であることに加え、豊かな自然に恵まれた魅力ある地で、信越トレイルの事例を参考として、エコツーリズムの可能性も期待されております。 先日、御紹介いただき、上越市の柿崎上下浜温泉へ参りましたら、夕日の望めるすばらしい海岸があり、大手メーカー主催の釣りイベントや夏の雪遊びイベントがあるということでした。本県の各地域には、こうしたまだ知られていない観光資源も多くあると思います。自然環境の保全に配慮しながら観光資源と触れ合うエコツーリズムの取り組みも進んでまいりました。こうしたところを新潟県お勧めの観光ルートとしてアピールしていくような取り組みが必要ではないかと思います。農家レストランなどを含めてルート化し、パッケージとして打ち出すなどして、県外へ新潟観光をアピールするのもよろしいのではないかと考えます。 本県でも、きらきら輝く新潟観光、人が循環する流れを持ったグランドデザインをつくっていく必要があると思います。積雪の多い地域では雪を生かした観光モデルや、女性の声を反映した観光モデルなど、
観光モデルルートづくりに県民の声を生かす取り組みも有効だと考えます。 ことし2月に、小林委員長のもと、産業経済委員会で香川県へ行き、高松市丸亀商店街を視察してまいりました。地域の人が知恵を出し合い、またプロのデザイナーからも本格的にかかわってもらい、高齢者が、車がなくても快適に過ごせるすてきなまちづくりをしていました。視察だけで全国から年間1万3,000人も来るというにぎわいでした。
観光モデルルートづくりに当たっては、県民一人一人が観光大使になった気持ちで取り組めるようなアイデア募集コンペなどの手法で、本県ならではの魅力的な観光モデルルートをつくってみてはいかがかと考えますが、知事の御所見をお伺いします。 次に、医療問題についてお尋ねします。 初めに、看護職員確保対策についてお尋ねします。 県は、来年度当初予算案の未来に対する投資の一つとして、看護職員養成の推進に1億2,600万円を盛り込んでいます。 医師確保はもとより、看護職員の確保も県が取り組むべき喫緊の課題と考えます。 県は、今年度にも、首都圏で看護師の合同就職説明会を開催するなど、積極的な取り組みがなされていると認識しております。加えて、来年度の組織改正において、新たに医師・
看護職員確保対策課を設置することと、
看護職員確保担当参与を採用すると発表されたことも、看護職員の確保に成果をもたらすものと期待しております。 ぜひ多くの看護職員が県内の医療機関に就職し、また定着してほしいと考えます。 そこで1つ目に、看護職員の就業支援と離職防止のためには、待遇面や勤務形態のみならず、住まいや子供の保育、教育などの環境整備など、その人ごとへのきめ細かいサポートをするような人の配置も重要だと考えます。知事の本定例会の冒頭説明でも、約2,000人の看護職員を増員する必要があるとのお話がありましたが、県内に必要な看護職員数を安定的に確保するための方策をどのように講じていこうとされるのか、知事の御所見をお伺いします。 魚沼基幹病院は、平成27年6月に開院が予定され、職員確保についても、いよいよ本格化していくであろうと推察いたします。そこで2番目に、魚沼基幹病院の看護職員の確保について、来年度どのように対応される予定なのか、具体的な取り組みをお伺いします。 次に、がん対策について4点お伺いします。 がん対策について、国においては昨年6月に、
がん対策推進基本計画を見直し、平成28年度までの5年間を対象として取り組むこととされました。この中で、特に女性特有のがん対策を重点的に取り組むということが注目されます。 県では、平成22年度から休日に受診できる
乳がん検診モデル事業を実施し、今年度は、乳がんなどの検診が休日を利用して他の市町村からでも受診できる、女性特有のがんに対する広域的検診の補助制度を設けられたことは、評価されると考えます。そこで、今年度の実績と今後の課題についてお伺いいたします。 次に、本県で罹患率の高い胃がん、大腸がん検診の受診率は横ばい、肺がん検診の受診率は下降傾向にあるとのことです。 年齢別で見ると、特に40歳代の受診率が低迷しているようですが、これらの働き盛りの受診率の向上は重要であると考えます。 今年度見直しが予定されている新潟県がん対策推進計画においては、国の
がん対策推進基本計画の趣旨を踏まえ、本県の地域特性に応じた自主的な施策をどのように盛り込んでいく予定であるのかお伺いいたします。 県央基幹病院については、先月開催の合同会議で、三条総合病院と燕労災病院を統合し、基幹病院とすることで合意したと報じられました。桜井先生の御質問にもありましたように、基幹病院の整備については、既存病院や診療所との連携を大切にして、県央圏域における適切な医療提供体制が構築されることが、一刻も早く実現するよう期待を寄せております。今後、
基本構想策定委員会を設置し、診療科目などを盛り込んだ基本方針を決定するとのことで、その動向に注目しております。 これまでも、県央基幹病院は、がんの専門医療で地域の拠点的機能を担うとの御答弁があったところですが、現在県央圏域には整備されていないため、
地域がん診療連携拠点病院としての機能が、県央基幹病院に整備されると見込まれるのか、お伺いいたします。 新潟や長岡まで治療に出向かなければならない患者さんや、お見舞いに行く家族のことを考えると、一刻も早く地域に
がん診療連携拠点機能が整うようお願いいたします。 日本は世界一のがん大国と言われており、これを克服するには、がん検診の受診率を向上させることが重要と考えます。そのためには、中学生からの啓発が有効と聞いております。 私も大人になってから急に検診の意義や必要性を言われても、なかなか受け入れにくいものだと思います。やはり新潟県が健康日本一を目指すには、がん検診の必要性について、中学生から健康教育として教えることが重要と考えます。本県の中学校におけるがんに関する指導の現状と今後の取り組みをお伺いします。 次に、消費者問題について質問します。 振り込め詐欺については、手口が巧妙化、複雑化し、被害額も多額に上っていると報じられております。昨年の9月定例会で、皆川議員の一般質問に対して、警察本部長から、社債等の取引を装って現金をだまし取る特殊詐欺が著しく増加しているとの答弁がありました。最近では、レターパックやゆうパックに現金を入れるように指示し、窓口やATMでの対応がしにくいような悪質な手口が発生しているそうです。高齢者が主な被害者で、長年大切にためてきたお金がだまし取られ、精神的にも大きな打撃を受けるケースが多く、被害額は年間何億円にもなるということです。 本年2月24日の新潟日報には、長男を名乗る男からの指示で700万円をタオルで覆って段ボールに入れて送ったという事件が報じられていました。たまたま長男からかかってきた電話で詐欺であることがわかり、送り先の郵便局で配達寸前に回収できたということでありました。 こうした振り込め詐欺を初めとした特殊詐欺については、手口が巧妙化、複雑化し、次々と新手の手法が明らかになり、被害額も多額に上ると報じられています。 被害を未然に防止できるよう、取り組みを強化していくとのことですが、昨年の被害状況と、県警の取り組みをお伺いいたします。 また、インターネット関連の取引でも、新たな手口が出ているということです。被害に遭わないための知識を消費者が身につけるためには、消費者教育の推進や、特に高齢者など被害に遭いやすい方を対象とした啓発活動の実施も重要であると考えます。そのためには、主要な役割を担うことが期待される県の消費生活センターの機能強化や、消費生活相談の利便性の向上が求められると考えますが、今後の取り組みをお伺いします。 次に、交通渋滞対策について伺います。 三条市と燕市を結ぶ国道289号は、常態的に交通渋滞しており、ものづくりのまち、燕・三条の物流にも影響が及びます。産業都市においては1分幾らという感覚ですから、この慢性的な交通渋滞は、コストにはね返るとともに、車から出される排気ガスなどで環境面にも悪影響であると思われます。 そこで1点目に、国道289号の渋滞解消に向けた県の取り組みについて伺います。 次に、加茂市と三条市を結ぶ国道403号も、交通渋滞が大きな課題となっております。この403号三条北バイパスは、県央地域の命の大動脈でもあります。救命救急センターは、このたび県のリーダーシップのもと、1歩も2歩も進んだようです。いよいよ建設に向かって進んでいく中、そこに至る道路も同時並行的に整備していくのでなければ意味がないのではないでしょうか。 平成18年にも、国道403
号三条北バイパス整備促進期成同盟から知事へ要望書が提出されているそうでございます。昨年、三条北バイパスの
県道塚野目代官島線までの整備にかかわる事業説明会が開催されたところですが、今後の整備の見通しをお伺いします。あわせて申し上げさせていただきますが、この先の部分の整備もお願いいたします。 また、現在の国道403号は、片側1車線で歩道が整備されていない区間が多くあります。慢性的な交通渋滞で、脇道まで渋滞している中、通学路に雪もあり、滑って転んだりして車にはねられたりしないか、地域住民は大変心配しております。三条北バイパスの整備が進むまでに時間がかかるなら、せめて歩道の整備は早急に行われる必要があると思われます。 また、三条には国道289号が福島県に抜ける、いわゆる八十里越開通に向け、整備が進んでいますが、その途中の旧下田村役場の近くは人家が集中しています。ここも歩道が整備されていない区間があります。子供のみならず、高齢者も含め歩行者の通行の安全の確保は重要です。 多くの要望が県内各地から出されていることと思いますが、県が管理する国道の歩道未整備区間の把握は十分になされているのかお伺いしますとともに、今後の歩道整備の見通しを伺います。 三条市では、平成16年の7.13、平成23年の7.29水害を受け、懸命な復旧が行われております。災害復旧などは、地域の雇用につながることでもあります。ただ、災害復旧は終わってしまえばまた仕事がなくなってしまいます。建設業の数が非常に少なくなっている市町村では、豪雪への対処もままならないという話もあります。用排水整備なども含め、橋や道路、トンネルの定期的な見直しや補修も当然必要だと思います。 安全な交通の確保のため、道路整備は計画に沿って円滑に進められるよう期待しておりますが、道路建設などの土木工事に携わる建設業者の技術者が不足しているとの声を聞きます。県が建設工事を発注するに当たって、配慮が必要かと考えますが、県としてどのように対応していくのか伺います。 次に、畜産業の振興についてお尋ねします。 昨年の秋にふるさと村で行われた畜産フェスタを訪れた際には、小さな子供を連れた家族連れなど、多くの集客があり、県産の牛肉、地鶏、鶏卵などに人気が集まっている様子でした。しかしながら、県内の畜産業者は、飼料価格の高騰などにより、厳しい経営環境にあると聞いております。中には、事業者の意欲が失われつつある例もあるとの声があり、大変心配しております。飼料用米を活用するなど、飼料費の節減の取り組みも必要と考えますが、飼料作物の確保にかかわる県の取り組みをお伺いします。 県の
農業総合研究所畜産研究センターは、安全で安心な高品質畜産物の低コスト生産や、
環境保全型農業推進のための技術開発を行っていると伺いました。センターで開発したにいがた地鶏や牛の受精卵移植、バイオマスの利活用の研究など、良質な畜産物の安定供給と環境に配慮した生産に向けた研究で成果を上げていると認識しております。 県内畜産業の振興において、畜産研究センターが果たす役割をどのように認識しておられるか、知事の御所見をお伺いします。 また、県内5カ所にある家畜保健衛生所では、BSE、鳥インフルエンザ、口蹄疫などへの危機管理体制を地域振興局を中心として構築していると聞きます。現在約50人の人数の体制では、いざ何かあったときを考えると若干の不安は拭い得ません。 安全で安心できる食材を選びたいというのは、多くの県民の願いだと思います。 県では、高度な衛生管理手法を取り入れて家畜を飼養している農場を、
畜産安心ブランド生産農場として新潟県畜産協会が認定する取り組みの拡大を図っていると聞いております。認定農場で生産された畜産物は、認定マークシールを張りつけて販売することができるということですが、こうした取り組みが一般の消費者にはまだ十分に普及していないのではないかと思われます。 先般の産業経済委員会の視察では、小豆島のオリーブ園も訪れました。小豆島では、特産のオリーブの搾りかすを乾燥させ、牛の飼料として再生利用し給与した県産の黒毛和牛をオリーブ牛としてPRしており、海外へも輸出しているということでした。 県では、安全で安心な畜産物の供給が図られるよう取り組んでおられるというところですが、県産畜産物の県内及び県外への普及にさらに努められ、知名度の向上を図られるべきと考えます。 今後の県産畜産物の販売戦略をお伺いするとともに、知事の畜産業振興に向けた意欲をお伺いします。 最後に、教育問題についてお尋ねします。 文部科学省が実施した全国学力調査の結果が公表されていますが、平成24年度の調査結果では、小学校においては、国語、算数、理科ともおおむね全国水準を確保できているとのことですが、中学校においては、国語、理科は全国平均とほぼ同程度である一方、数学については全国平均を下回り、憂慮すべき状況であるとのことでした。 要因として、各学校の指導方針、指導方法によるところがあるのではないかと考えます。授業中に数多くの問題を解くことに多くの時間を割く方法と、アメリカ式に児童生徒に考えさせることに時間を割く方法では、学習の習熟度と応用力の育成に差が生じるのではないでしょうか。記憶するだけでなく理解させ、習熟させることが将来の応用力に結びつくのではないかと思います。この点についての見解をお伺いします。 特に、学校での習得のおくれを家庭や塾などの学校外での学習で補うことができる生徒はよいのですが、そういう環境にない生徒との間には、差が開いていくのではないでしょうか。昔は九九を覚えるまで学校に残し教えた結果、九九のできない子はほとんどいなかったといわれます。現代では自分の子供だけが居残りをさせられたとクレームを言う親もいて補習が手薄になり、計算が苦手な生徒が多くなったという話も聞きます。 教育は未来への投資で、知事も今年度多くの予算を教育に割いていただいております。憂慮されている数学の学力向上のため、県として、授業改善などどのような対応を図っていくのかお伺いいたします。 以上で私の一般質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔知事泉田裕彦君登壇〕
◎知事(泉田裕彦君) 坂田議員の一般質問に順次お答えをいたします。 まず初めに、物流拠点として港湾整備をどのように進めていくのかお尋ねを頂戴いたしました。 県といたしましては、経済発展著しい東アジアエリア、これは極東ロシアも含むということですけれども、この地域との経済交流の拡大を見据えて対応してまいりたいと思います。コンテナ貨物の利用拡大、これは産業面にも大変大きな影響を与えてまいりますので、この利用拡大に重点を置いて取り組むことといたしたいと思います。 そうしますと、やはり使っていただくためにはどうする必要があるかといえば利便性の向上、荷物を出したいのだけれども、船便がないということでは困りますので、便数を確保していくこと、それから利用料金を低減をしていくこと、こういったことも必要だと思っています。これらの取り組みを進めながら、貨物量の増加を図ってまいりたいと思います。 なお、具体的な取り組みについては交通政策局長から補足答弁をいたします。 次に、
コンテナターミナル整備についてであります。 現状では、議員御指摘のとおり、暫定規格でありますマイナス12メートル岸壁、これで整備がなされております。そして、この12メートルの水深の岸壁で現在の需要については対応できているという状況であります。 一方で、太平洋側港湾の代替機能の向上、これも視野に入れていく必要があるのだろうと思います。東日本大震災におきましても、新潟港の果たした役割は大変大きかった。太平洋側首都圏の港が機能しない場合の代替機能の向上、こういったものは視野に入れてまいりたいと思います。 また、コンテナ船の大型化等の動向、これについての見きわめも必要だろうと考えております。今後例えばシャトル便の導入など、新潟港の拠点性の向上につながる施策を展開する上で必要となる対応、これについては着実に進めてまいりたいと思います。 次に、
工業技術総合研究所についてお答えをいたします。 議員御指摘のとおり、この
工業技術総合研究所の機器整備をしっかり進めていかないと、現実の企業の皆様の業務に影響が出てくるということだと思います。これは、実際利用されている企業さんからもお話かなり伺っております。 そしてまた、時代とともに技術は進歩していくものでありますので、県内中小企業の技術の高度化を進めるためにも重要であるというふうに認識をいたしております。 このようなことから、新年度の予算におきまして、本議会において機器整備費の拡充をお諮りをさせていただいているところであります。 今後とも企業の新エネルギーや健康、医療など成長分野への進出、そしてまた市場ニーズに対応した付加価値の高い商品づくりにつながりますよう、技術支援の環境整備に努めてまいりたいと思います。 次に、観光振興についてお答えをいたします。
観光モデルルートづくりについてでありますが、議員御指摘のとおり、県民の皆様に地域の宝を多くの人に知っていただくという取り組みを喚起をするためにも、アイデアを募集をしていくということは意義深いことだろうというふうに考えております。地元で生活をする人ならではの視点、実際私も県内各地歩きますと、こんなところにこんな宝があるのかということを感ずることも間々あります。 例えば災害対応一つとっても、地すべりに関する資料館、上越地方に大変多く存在していると。これは地元だけで見るのではなくて、日本全国の人に見ていただく価値があるのだろうというようなことも実感をいたしております。 そしてまた、観光素材の提案がなされることによりまして、観光客をもてなす機運の醸成につながることも期待できるのではないかと考えております。 課題としては、商品化できるかどうか、プロの視点というのも当然必要になってくるわけでございますが、このアイデアの募集について、具体策を今後検討してまいりたいと思います。 次に、医療問題についてお答えをいたします。 まず、看護職員の確保対策についてでありますが、県といたしましては、議員御指摘の働きやすい環境整備に加えまして、養成数の増加、U・Iターンの促進など、さまざまな施策によりまして、安定的な看護職員の確保に努めてまいりたいと思います。 なお、具体的な確保対策については、福祉保健部長から補足答弁をいたします。 次に、畜産業の振興についてお答えをいたします。 畜産研究センターの役割についてお尋ねを頂戴いたしました。 議員御指摘のとおり、畜産研究センターは畜産経営の安定、そしてまた畜産物の高付加価値化に必要な役割を果たしております。今後もにいがた和牛の食味向上技術の開発など、畜産振興につながる研究課題に重点的に取り組んでまいりたいと思います。 次に、畜産物の販売戦略等についてお尋ねを頂戴いたしました。 畜産には、やはり高い付加価値をつけていくということが必要だと思いますし、またこれによりまして生産者の所得向上が期待できる分野でもあります。魅力のある産業として発展できるよう、振興を図ってまいりたいと思います。 このためどうすればいいかといいますと、やはり消費者のニーズに対応した品質を確保していくこと、そしてまた安全・安心を確保していくこと。もう一つ付加価値をつけていくために重要なことは、つくったときに売るということではだめで、生産者が欲しいときに必要なタイミングで必要な量を供給できる体制を整備すると。売るほうにとって、ニーズがあるときに売れるかどうかということが、結果として価格にはね返ってくるし、それが生産者の所得、地域の経済にも影響を与えてくるということになりますので、この生産供給体制の構築、これも支援をしてまいりたいと思います。 本県畜産物の魅力と競争力の向上を図ってまいりたいと思います。 〔知事政策局長杉山順爾君登壇〕
◎知事政策局長(杉山順爾君) お答えいたします。 海外事務所等の評価と今後の戦略についてでありますが、県の海外事務所等においては、現地の強みを生かした情報収集や関係機関への働きかけなどを行ってきた結果、現地デパートでの常設販売や新たな食品関係の商流の確立などの成果を上げてきたところでございます。 今後は、ツイッターやフェイスブックを使った海外向けの情報発信に加え、国内向けには企業や団体へのPRを行うなど、事務所等の利用促進に向けた方策を講じ、今まで以上に海外事務所等の役割を発揮し、本県の人的・経済交流の現地拠点としての機能を果たしていくこととしております。 〔県民生活・環境部長中村稚枝子君登壇〕
◎県民生活・環境部長(中村稚枝子君) お答えいたします。 県消費生活センターの機能強化等に関する今後の取り組みについてでありますが、消費者被害の未然防止に際しては、各年代層に応じたきめ細かな消費者教育や啓発活動が重要であり、そのためには県消費生活センターの相談機能の高度化、専門化や市町村に対する支援機能の充実を図る必要があると考えております。県といたしましては、高度な相談事案に関する専門家の活用や、相談員の資質向上を図るとともに、研修会の開催や訪問指導などにより市町村の相談窓口を支援し、関係団体とも連携して消費生活相談の利便性の向上に取り組んでまいります。 〔福祉保健部長若月道秀君登壇〕
◎福祉保健部長(若月道秀君) 5点お答えいたします。 具体的な看護職員の確保対策についてでありますが、来年度看護職員養成数の増加を図るため、新たな看護職員養成施設の設置を検討することとしております。 また、修学資金の貸与や新人看護職員研修、認定看護師の資格取得支援などによる看護学生の県内就業促進や、首都圏養成校個別訪問や首都圏での病院就職ガイダンスの実施などによるU・Iターンの促進などの対策を実施してまいります。 あわせて院内保育所設置の促進や、短時間正規雇用制度の導入支援、潜在看護職員の再就業に向けた研修の実施など、看護職員が働きやすい環境の整備に努めてまいります。 次に、魚沼基幹病院の看護職員の確保についてでありますが、来年度から病院長、看護部長などのコアスタッフが着任することから、病院長、看護部長を中心として新たに設置する医師・
看護職員確保対策課とともに本格的なリクルート活動や情報発信に取り組むこととしております。 具体的には、U・Iターンも視野に入れた首都圏等の医療機関との連携構築や就職ガイダンスへの出展とともに、県立病院等の職員を対象とした説明会の開催などにより、看護職員の確保に努めてまいります。あわせて今年度に続き、看護学生への修学資金貸与を継続することとしております。 また、一部の看護師については習熟を図るため、平成26年度当初からの先行採用に向け、公募を開始するなどの着実な人材確保を進めてまいります。 次に、女性特有のがん対策の実績と今後の課題についてでありますが、今年度から休日・広域的検診を実施する市町村に対して、休日割り増し料金等の助成を行っているところです。現在のところ、延べ24会場、2,027人の受診となっており、昨年度の延べ14会場、828人と比べ、大幅に増加しております。 また、検診受診者の拡大を図るため、対象者への的確な受診勧奨やインターネット予約の普及定着が課題と考えております。 次に、新潟県がん対策推進計画における本県の地域特性に応じた施策についてでありますが、がん検診の受診率向上を図るため、女性特有のがん対策としての休日・広域的な検診の推進、40歳代の受診率の向上を目指した市町村と職域が連携した検診の実施、受診に消極的な人など向けに簡便なスクリーニング法を用いた検診による動機づけなどについて計画に盛り込んでまいりたいと考えております。 次に、県央基幹病院におけるがんの専門医療についてでありますが、県央医療圏はがんの専門的医療を提供する機能が不足していることから、
地域がん診療連携拠点病院の役割を担える病院の整備を目指して今後検討してまいります。 〔農林水産部長目黒千早君登壇〕
◎農林水産部長(目黒千早君) お答えいたします。 飼料作物の確保に係る取り組みについてでありますが、飼料費の節減には飼料用米の活用など県産飼料の利用拡大を進めることが有効であると認識しております。県といたしましては、今後とも稲作農家と畜産農家のマッチングや飼料生産受託組織の育成を図り、耕畜連携による飼料用米や稲ホールクロップサイレージ等の県産飼料の確保に取り組んでまいりたいと考えております。 〔土木部長田宮強志君登壇〕
◎土木部長(田宮強志君) 4点お答えいたします。 国道289号の渋滞解消に向けた取り組みについてでありますが、県では三条市内における国道289号の渋滞緩和のため、東三条2丁目地内の交差点で路面標示を改善し、下田方面からの通過交通を国道289号と並行している第一産業道路へ分散させる取り組みを行いました。改善の前後で交通量を検証したところ、国道289号は減少しているのに対し、第一産業道路は増加していることから、一定の分散効果が生じているものと考えられます。 また、来年度は第一産業道路において国道289号と交わる荒町2丁目交差点で左折専用レーンを設置し、石上大橋方面への通行の円滑化に取り組むこととしております。 次に、一般国道403号三条北バイパスについてでありますが、全体計画8.3キロメートルのうち、これまで2.8キロメートルを部分供用してきたところであります。現在、未供用区間のうち3キロメートルの道路改良工事を実施しております。 また、昨年11月に事業説明会を開催した残りの未供用区間2.5キロメートルについては、現在設計を進めており、来年度には用地測量に入りたいと考えております。 早期の効果発現に向け、今後も順次部分供用を図りながら、着実に整備を進めてまいります。 次に、県が管理する国道の歩道未整備区間と今後の整備の見通しについてでありますが、子供や高齢者等を初め、歩行者の通行の安全確保を図るため、通学路を重点に歩きやすい歩道の整備を進めているところであり、県が管理する国道1,239キロメートルのうち、歩道未整備区間は582キロメートルで約47%となっております。 今後も、通学路など子供や高齢者等の通行が多い箇所を中心に歩道整備を着実に進めてまいりたいと考えております。 次に、建設工事の発注における対応についてでありますが、長期にわたる建設投資の減少と競争の激化により、建設業界ではやむなく経営のスリム化を図ってきていると認識しております。このため、厳しい経営環境にある建設業者が技術者を計画的、効率的に配置できるよう、県発注工事において年間の発注見通しを事前公表するとともに、複数箇所を1つにまとめた発注や、1人の技術者が複数現場を兼務することを可能とするなどの取り組みを行っているところです。 今後とも業界の声を聞きながら、地域の建設業の状況に十分配慮し、適切に対応してまいりたいと考えております。 〔交通政策局長坂井康一君登壇〕
◎交通政策局長(坂井康一君) 物流拠点としての港湾整備についてでありますが、釜山港との間でのシャトル便や、県内港を結ぶフィーダー船の開設、便数の増などを目指し、利便性の向上を図ってまいりたいと考えております。 また、価格面での競争力確保のため、利用荷主に対するインセンティブ強化により、貨物量の増加を図ることとしており、この取り扱い量の増加により、荷役機械等の稼働率が向上し、さらなるコスト軽減にもつながるものと期待しております。 一方、今後利用拡大に伴い、ターミナルの運営時間の延長も必要となりますので、例えばCIQのさらなる充実や就業環境の改善についても働きかけてまいりたいと考えております。これらの取り組みにより、コストの低減と貨物量増加の好循環の実現を目指してまいります。 〔教育長高井盛雄君登壇〕
◎教育長(高井盛雄君) 3点についてお答えします。 まず、中学校におけるがんに関する指導の現状と取り組みについてでありますが、議員御指摘のとおり、がん検診の必要性を含めた健康教育に早期から取り組むことは重要と考えております。現在中学校では、食育や体力づくりの取り組みと関連させながら健康教育を進めており、がんに関しても心臓病や糖尿病などと同様に生活習慣病予防の一環として指導しているところであります。今後とも健康的な生活習慣の確立に向けて、その充実に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、中学校数学の指導方法についてでありますが、授業中に数多くの問題を解くことは基礎、基本の定着に資するものであり、一方生徒に時間をかけて考えさせることは思考力、判断力等の育成に向けて必要な方法と受けとめております。 学力向上には、いずれの方法も大切であり、学習内容や生徒の実態に応じてそれぞれを組み合わせ、工夫しながら指導することが重要であると考えております。 次に、数学の学力向上についてでありますが、現在インターネットを活用し、各学校へ問題を配信する学力向上推進システム活用事業を実施するとともに、研修会やフォーラムの開催、リーフレットの配付などにより、教師の指導力向上に取り組んでおります。 さらに、先般教育庁内に学力向上対策プロジェクトチームを立ち上げたところであり、教材や指導マニュアルの開発等に取り組むとともに、それらを活用した授業改善を推進し、学力向上に努めてまいります。 以上です。 〔警察本部長砂川俊哉君登壇〕
◎警察本部長(砂川俊哉君) 振り込め詐欺を初めとする特殊詐欺の被害状況についてでありますが、昨年は社債や未公開株等の取引を装った詐欺が急増しまして、認知件数は151件、被害額は8億5,000万円余りで、前年と比べまして63件、6億7,000万円近く増加しております。 なお、昨年は金融機関において顧客への声かけによりまして104件、2億2,000万円余りの被害を阻止しております。 県警察の取り組みについてでありますが、被害に遭いやすい高齢者等に対する反復継続した防犯指導、あるいはレターパックの悪用といった新たな手口を周知するための広報啓発などを引き続き推進しますとともに、取り締まりを強化しているところであります。 今後とも官民一体となった被害防止対策を粘り強く推進してまいります。
○議長(小川和雄君) 坂田光子君の質問は終わりました。 次に、青柳正司君の発言を許します。青柳正司君。 〔青柳正司君登壇〕(拍手)
◆青柳正司君 自由民主党の青柳正司であります。 通告に従い、順次質問いたしますので、よろしくお願いいたします。 まず最初の質問であります。再生可能エネルギーについてお尋ねいたします。 福島第一原子力発電所事故以来、エネルギー問題が国策として大重要課題としてだけでなく、国民的議論が熱を帯びている中でありますが、本県においても柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に対する県民投票条例が提案されたように、県民の関心事に対応する情報提供は、しっかりとした科学的検証データの提示等が重要なことは論をまたないわけであります。 原子力を初め、化石燃料にかわる新エネルギーの活用、とりわけ再生可能エネルギーによる発電システムとして、太陽光発電事業は官民問わず国全体の中で活発に取り組みがなされている状況です。 再生可能エネルギーを電力会社が全量買い取る制度が導入された2012年7月以降、政府の認定を受けた太陽光発電設備だけでも、設備容量ベースで約326万キロワットに達したそうであります。これは昨年11月末時点で未稼働部分を含みますが、本県も県企業局が事業として新潟東部産業団地内でメガソーラー発電施設稼働を1基、2基と順調に発電実績が発表され、今年度においては同地内で3基目を、また新潟競馬場跡地にも新設の計画がなされているわけであります。 このことは、泉田知事が地球温暖化対策や県内企業育成等にかかわる産業振興の促進に大きく寄与できることとして、改めて評価を大にしているものであります。 そして、本県の指導的役割としての立場から、県内民間企業が当事業に参入を促す施策として、新潟東港西側隣接地である新潟市北区島見町下割浜原地区の県所有地約15ヘクタール、いわゆる11町歩と呼ばれる土地を太陽光発電事業用地として提案されております。 私は、こうした取り組みはまさに時宜を得た施策として、しっかり進めてほしいと賛同いたすわけであります。 一方、この用地は県道島見新発田線と県道島見豊栄線が丁字交差している状態であり、進入形態がはっきりしていないと思われます。また、県道との間に民有地が存在するとともに、保安林解除の課題も存在しています。加えて、部分的に傾斜しているなど土地形状に難があります。 そこで、11町歩と呼ばれている県有地について、県では大規模な太陽光発電事業の候補地として公表していますが、太陽光発電事業用地としての活用見通しについて、民間企業等からの照会状況を含めお伺いいたします。 茂木敏充経済産業相は過日、再生可能エネルギーの普及を促す固定価格買い取り制度で、太陽光発電の買い取り価格を2012年度の1キロワット毎時当たり42円から、13年度には30円台後半に引き下げることができると見通しを示されたと新聞報道がありましたが、37円から38円前後に設定されるようであります。 このことは、同制度に伴う電気料金へ上乗せるシステムからくる調整と見るわけでありますが、今後において買い取り価格の引き下げが毎年度行われる可能性が高いと考えられることから、この発電事業の参入への懸念が生じかねないわけであります。 そこでお尋ねいたしますが、国は太陽光発電設備の価格が下がったことを踏まえ、来年度に買い取り価格を引き下げる方針との報道があり、今後民間事業者が太陽光発電事業に取り組むとするならば、早期の事業着手が重要となります。 11町歩と呼ばれる県有地は、部分的に傾斜するなど土地形状面に難があるため、県有地の有効活用の観点から、県が民間事業者にとって好条件となるよう整備を行ってみてはどうかと考えますが、所見をお伺いいたします。 加えて、県は新潟競馬場跡地への太陽光発電所の設置に関する予算を計上していますが、既存施設を含めた買い取り価格引き下げによる収支面への影響についてどのように見込んでおられるのか、所見をお伺いいたします。 次に、太陽光発電事業の公共施設の貸し屋根への取り組みについてであります。 当事業が広い設置面積の確保が必要であり、遊休耕地の利活用のほか、工業用地等の活用策としては有効である一方、さまざまな調整等のため利用開始までに時間を費やすこともあり、なかなか進まない状況があります。公共施設の屋根の有効活用策として、太陽光パネルを設置する屋根貸し発電は、屋上の遮熱対策にも有効であり、まさに一石二鳥的施策として評価されるわけであります。 民間事業者は、好条件が整うことができれば積極的に参入を検討されているものと思います。このことに対応し、県は市町村と共同で公共施設の屋根貸し太陽光発電事業の発電事業者を公募し、昨日発電事業者の決定について公表したとのことですが、発電規模などその内容と発電開始時期を含む今後のスケジュールをお伺いいたします。 また、県市町村の屋根貸しの対象施設は全部で193施設であり、今回の決定ではそのうち68施設を活用する予定とのことですが、未決定となった箇所の再募集を行うのかなど、今後の取り組みについてあわせてお伺いいたします。 次に、新潟競馬場跡地の活用方法である県企業局のメガソーラー発電事業についてであります。この用地は、御案内のとおりJRA新潟競馬場に隣接し、約11ヘクタールという広大な広さを有し、新新バイパス国道7号競馬場インターチェンジ及び豊栄インターチェンジに近く、今後新潟東港後背地として発展が望める位置です。その跡地利活用の取り組みは重要であり、近隣地区住民を初め、新潟市民の関心の高さもうかがえます。所有者は本県及び新潟市、三条市の3者共有とのことですが、新潟市当局も活用案を検討中とのことであります。 私は、県所有地の有効利活用としてメガソーラー発電整備に賛同し、評価もいたしますが、一方このような立地条件の恵まれた地であればとの思いから提案させていただきたいわけであります。この発電施設に触れながら太陽光発電の意義等を肌で実感し、啓発施設を通じながら、子供たちが施設から発生する電力利用を楽しみの中で理解し、認識を深められるような施設が
併設整備されることの検討を取り組まれることを要望いたします。 新潟競馬場跡地は好立地であることを生かし、新たに設置される太陽光発電所に太陽光発電の啓発施設を併設してはどうかと考えますが、所見をお伺いいたします。 次に、この項の最後の質問になりますが、太陽光発電とは別に、天と地ということで地中の生活熱資源であるとして下水排熱利用についてであります。 下水は、夏は気温より二、三度低く、冬は10度以上高いことに着目して、熱は加温に、冷気は冷却に再利用できるシステムの構築への取り組みは、下水排熱の有効利活用として、今後注目すべきこととして捉えられるのではないでしょうか。熱交換器やヒートポンプを使い、下水と気温の温度差を給湯や冷暖房に生かすことを、地方公共団体、大学、民間研究組織が実証研究や検証がなされているところだと考えます。 余談ではありますが、私は愛犬との散歩中で積雪30センチほどある田園の中で、発見とは大げさではありますが、農道上の下水道マンホール上には積雪がなく、不思議に思ったわけであります。このことは、下水管から伝導された鋳鉄製のふたがかなり温められている現象と気づきました。 冬場において、道路埋設されている下水道管中の下水熱を消雪にも役立てられるシステムも一考かと思われます。 貴重な熱を無駄にせず、焼却場の燃える熱と同様に、もったいない精神を科学的に実証することも重要ではないかと思います。下水管路を活用し下水熱を利用するシステムの研究を、国の研究機関や大学、民間事業者が共同で進めていると聞いております。 温室効果ガス排出量削減や、下水道資産の高付加価値につながる下水熱利用システムについて、県でも一考してはどうかと考えますが、所見をお伺いいたします。 次の質問に入ります。極東ロシア訪問関連についてであります。 泉田知事が昨年11月初旬に極東ロシア訪問されました際の報道に関する事項について3点質問いたします。 知事選3選を見事果たされた泉田知事には、私からも改めて祝意を申し上げますとともに、さらなる御活躍を御祈念いたします。 さて、知事は選挙中にも力強く述べられたことに未来への投資を掲げられたわけでありますが、攻めの県政を強調された中に、このたびの訪問の中での言動で含みととれる事柄が幾つか見受けられます。 その一つに、エネルギーの話題に注目されますが、ロシア沿海地方からのLNG輸出のための積み出し港建設に関することや、植物工場の産業化についても同様に県側からの投資について含みをにおわせられたとのことであります。このことは、北東アジアとの交流拠点として充実強化を目指す本県にとりまして、中国東北部を初めとして交流拡大に向けた取り組みの中で、極東ロシア地域との官民一体に推進する積極的姿勢には頼もしく感じ、さらなるリーダーシップを願いたいものであります。そこで、未来への投資及び攻めの県政を期待し、お尋ねいたします。 昨年11月の極東ロシア訪問時に、知事は会談で本県における植物工場の産業化の取り組みについて紹介したとの報道がありました。ロシアへの植物工場に関するノウハウ等の提供可能性について、知事はどのように考えておられるのか、所見をお伺いいたします。 また、知事は訪問時に液化天然ガスの新潟受け入れに関し、さまざまな発言をされたと聞いております。その一環として、新年度予算で日本海横断パイプライン構想調査研究に関する予算が計上されたものと考えますが、知事は現時点においてその実現性についてどのように考えておられるのか、実現に向けた課題を含め、お伺いいたします。 ところで、私ごとで恐縮でありますが、新潟市議のころ、ウラジオストク市への行政視察で副市長に表敬訪問した中で、ウラジオストク市街地の下水道について話題となりました。下水を処理施設を通すことなく、ウラジオストク港に直接放流している状況とのことで、下水処理の高度な技術の協力を求められたことがありましたが、数年前のことであり、APEC後改善されたかもしれませんが、このような高度な本県の土木技術の提供は経済交流面からも重要ではないかと思いますが、産業技術に限らず、極東ロシアで整備がおくれているといわれている下水道などインフラ整備に関する技術を本県から提供することも可能と考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、新潟東港関連についてであります。 報道によりますと、秋田県の佐竹知事が沿海地方知事と会談し、秋田港とウラジオストクを結ぶ直行航路開設への協力を要請し、沿海地方知事もその考えに賛成するとのことであります。 本県は、北東アジア戦略の中で中国東北部との交流強化が目的の一つとして、ロシアザルビノ港と新潟東港を結ぶ日本海横断航路の活性化に向けて取り組み中でありますが、なかなか集荷等の課題が山積している中、厳しい運航状況は御案内のとおりであります。 そうした中、うかうかしているわけではないと思いますが、秋田県、富山県等が、本県を差しおいて極東ロシアとの関係強化に努められていることに私は懸念を持ち始めております。 前述したとおり、泉田知事はそのことを十分認識され、さまざまな取り組みに御尽力されておられると思いますが、あえてお尋ねいたします。 秋田県知事は、沿海地方知事と会談時に、秋田港とウラジオストク港を結ぶ直行航路の開設を要請しました。新潟港は、ウラジオ航路はありますが、富山、釜山等の経由で運航されており、直行便はありません。新潟の日本海側での拠点性を確保し、ロシアとの経済効果を引き寄せるためにも、ウラジオ直行航路を有することが必要ではないかと考えますが、所見をお伺いします。 次に、新潟東港の利用促進を願っての質問及び要望を含むやもしれませんが、コンテナターミナルの除雪対応についてであります。 昨年私は、コンテナターミナルの利用運送会社のある方から御要望をいただきました。昨年末、一時期かもしれませんが、積雪の多い日のことだそうですが、かなりのトラック台数が通常より入港に手間取っていたようで、除雪の強化を願いたいとのことでした。この質問に関係することを諸先輩議員の方々が幾度かされていたとのことですが、現状確認とさらなる対応強化が求められることやもしれませんので、あえて改めてお尋ねいたします。 新潟東港コンテナターミナルについて、民営化を控える今、荷主の信頼を得る観点から冬期における除雪対応は重要であり、平成23年度の豪雪を受け、県や指定管理者は対応の強化を行ってきていますが、今冬も除雪が間に合わず、支障があったと聞いております。今冬に支障が発生した原因と、今後の対応についてお伺いいたします。 次に、新潟東港鉄道整備、オンドックレールについてであります。 このことについて私は、過去2回ほど質問させていただき、要望も申し上げてきましたが、知事を初め、当局関係者各位の方々の熱意のもとだと思いますが、25年度予算から本格的な取り組みがなされるようでありますが、敬意を表したいと思います。 日本初のオンドックレール構想実現に向け、関係企業者の方々の御期待は大と思いますところから、しっかりとした計画のもとで諸課題の解決を早急に取り組まれることを願い、3回目の質問をいたします。 新潟東港鉄道整備、オンドックレールについて現在の検討状況、実現に向けた課題及び今後のスケジュールについてお伺いいたします。加えて、特に新潟東港鉄道を採算ベースに乗せるためには一定の集荷が必要で、荷主等へのアプローチが重要と考えますが、その取り組み状況をお伺いいたします。 次に、林業振興についてであります。 私は、いつも申し上げておりますように、下流部に育ち、住んでいる人間でありますが、生意気なようで恐縮ですが、山から海までの自然環境はもとより、経済生活環境の連続性が重要と考えている一人として山の環境保全、強靱化対策の一施策として、今後期待される整備事業が25年度予算計上されたことに敬意を表するものであります。 先日の皆川議員と重複する質問もありますが、知事の意欲を改めてお伺いしたく、林業の経済的視点を通し、国土保全の重要性を感じながらお尋ねいたします。 木質バイオマス発電は、木材の需要拡大により、林業振興にも有益であると考えます。知事は、木質バイオマス発電の効果と課題についてどのように考えておられるのかお伺いいたします。 次に、未来への投資として捉えられると考えられますが、将来を担う子供たちへの体験を通しての啓発は林業にとりましても重要と考えます。 一例として、上越緑の少年団は満12年を経過し、環境保全や緑化活動、野外活動等を通して木を見て林を見、森を考えるとした教育活動には敬意を表しますとともに、あすへの林業につながる思いがありますところから、森林の大切さ、重要性の認識を高めるため、例えば全国植樹祭に向けた小学校でのドングリの苗木のスクールステイのように、子供たちによる森林整備体験を積極的に行うなど、森林になれ親しむ機会を設けることが必要ではないかと考えますが、所見をお伺いいたします。 次に、アベノミクスのおかげかもしれませんが、円安傾向があらわれている中、原油価格の高騰による重油価格等が上昇しております。ハウス栽培農家にとりましても、大きな経費増となっておりますが、価格転嫁は厳しい状況かと思われます。 そうした中、森林資源の有効活用として間伐材等の木質チップを燃料としたボイラーが山形県の役所施設等の暖房に利用されていますが、林業と農業の活性化に向けた取り組みの一つとしてお尋ねいたします。ハウス栽培等多用途に木材チップボイラーを活用してはどうかと考えますが、所見をお伺いいたします。 本県は、林業の振興策として作業道整備や山林の団地化等の取り組みを強化されておりますが、山林所有者が不在村者や他産業従事者が多くなっている昨今では境界確認等が難しいことや、間伐材の放置も問題となっているようであります。 そうした中、こういった問題への対応として、福井県ではコミュニティ林業といっているそうでありますが、地域の山は地域で管理をと、山間部を中心に集落の関係者が共同で木材を生産するための計画を策定し、その計画を実施する組合の設立経費の一部などを県が支援していると聞いております。 本県においても、このような地域が一体となった利用間伐等の推進に向けた取り組みが重要かと考えますが、所見をお伺いいたします。 この項の最後の質問になりますが、林業就業者の減少及び後継者不足の問題は、農業、水産業など第一次産業にとって大きな課題でもあります。2013年度から農業就業希望者だけでなく、林業、漁業も対象となりそうですが、林業就業希望者に対する支援策について、具体的な内容とその周知、啓発についてどのように行っているのかお伺いいたします。 次に、新産業振興についてであります。 知事は、ロボットスーツ等の新産業振興に未来への投資としての取り組みを力強く推進される姿勢を示されておりますが、県産業界が中小企業の多い中で世界的にも誇れる技術力をアピールする支援策に敬意と期待を大にしております。 そうした中、エコロジー的乗り物で、かつ裾野の広い産業促進に効果が期待できる取り組みとして、県は新年度予算で小型モビリティ分野への県内企業の参入を目指すための経費を計上していますが、小型モビリティに関する現状と、推進に当たっての課題についてお伺いいたします。 また、県内企業の技術を生かし、成長が期待される航空機産業分野への参入促進に向けて予算が計上されておりますが、これまでの取り組み状況と課題についてお伺いいたします。 最後の質問に入ります。 米粉の需要拡大についてであります。本県は、農業大県として全国屈指の米生産県を誇っているのは、県土の広さを含め、幾多の水との闘いに耐えた農業者の汗と努力によって耕作地づくりがされたたまものということは言わずもがなであります。やはり農業は適地適作を基本とする上で、また国土保全の観点からも、水田は水田に合った作物をということであります。 主食の米離れ、少子化による人口減等のさまざまな要因で米需要の減少に歯どめがきかない昨今でありますが、米作地はやはり遠い将来の食糧危機に備えて水田として継続活用が重要と思います。そのことの対応策であり、転作扱い作物でもある米粉用米の促進がなされてきたことは関係各位に敬意を表します。県では、米粉の需要拡大に向けて取り組んできたところでありますが、県産米粉用米の生産量についてお伺いいたします。 加えて、米粉の生産が伸び悩んでいる中、米粉の需要拡大のためには、本県のみならず他地域への販売拡大も重要であります。例えば、新年度予算に計上されておりますように、他県の学校給食への米粉パン導入を促す取り組みなども考えられますが、今後どのような戦略をもって対応していくのか所見をお伺いいたします。 以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔知事泉田裕彦君登壇〕
◎知事(泉田裕彦君) 青柳議員の一般質問に順次お答えをいたします。 まず初めに、ロシアへの植物工場に関するノウハウ等の提供の可能性についてお尋ねを頂戴いたしました。 植物工場の特徴は、気候に左右をされず安定的に農産物を生産できるという点にございます。極東ロシアは気候的に特に青物野菜等を中心に現場で生産するというのが難しい状況になっています。品質管理の行き届いた日本産の農産物に対しても大変高い評価と、それから価格が高くても買うという市場があるという状況でございます。したがいまして、極東ロシアにおいてその需要というのは十分あるだろうというふうに認識をいたしております。 こうした中、植物工場の導入実績があります県内企業等が、そのノウハウを活用してロシアへビジネスを展開する可能性というのも十分あると考えておりますので、こういった点を視野に入れて取り組みを進めてまいりたいと思います。 次に、日本海横断パイプライン構想の実現等についてであります。 ロシアでは、エネルギー分野の開発が進んでおります。また、世界的に見ますと、このシェール革命によりまして、ロシアからヨーロッパ向けのガス供給価格の低下等が生じているという状況であります。したがいまして、日本を初めとするアジア市場、この市場の魅力というのが増しているというふうに認識をいたしております。そのため、ロシア国内におきまして天然ガスパイプライン、そしてまたLNG積み出し基地等の整備が進められているというふうに認識をいたしております。 一方日本におきましては、原発停止によりまして天然ガスの需要が増大をいたしております。また、エネルギー安全保障という面から考えましても、中東やインドネシア以外の調達先を確保するということは重要であると考えております。価格についても高どまりをしておりますので、双方ウイン・ウインになる可能性はあると認識をいたしております。 本県との関係を見ますと、既に首都圏等へ国内ガスパイプラインが整備をされている広域的供給基地の機能を持っております。また、通常LNGで運ぶよりはパイプラインのほうがコストダウンができるということが知られております。そのため、日本海横断パイプライン構想として、研究機関など外部専門家を活用しながら、まずはその可能性に関する課題の抽出、そしてまた方策の調査、研究を進めてまいりたいと思います。 次に、極東ロシアへのインフラ整備に関する技術提供の可能性についてお尋ねを頂戴いたしました。 議員御指摘のとおり、APECウラジオストク開催を契機にロシア政府を挙げて街の整備を進めたということがございます。生活環境等のインフラは、かなり整備をされたというふうにお聞きをいたしております。 その一方で、今後も整備が見込まれるエネルギー開発関連に伴うインフラ整備という点につきましては、本県としても協力の可能性があるものと考えております。 具体的には、知事政策局長から補足答弁をいたします。 次に、新潟東港についてお答えをいたします。 ウラジオストク直行航路についてお尋ねを頂戴いたしました。 新潟は開港5港の一つであるということ、そしてまた地政学的にも歴史的にも対岸とのつながりが深いという歴史を持っております。ロシアもAPEC開催を契機に極東開発に力を入れているところであります。 このような状況を踏まえますと、新潟の拠点性を高め、ロシアとの経済交流を深めるためには、議員御指摘のとおり、ウラジオストクへの直行便の開設など航路の充実を図ることが望ましいと考えております。 ただし、航路開設につきましては、これは御指摘のとおりなのですが、安定運航につながるための貨物の確保、これが課題でございます。新潟とウラジオストク間の輸送ニーズを掘り起こしてまいりたいと考えております。 具体的な進め方につきましては、交通政策局長から補足答弁をいたします。 次に、林業振興についてお答えをいたします。 木質バイオマス発電の効果と課題についてであります。皆川議員の一般質問にお答えをしたとおりでありますが、この豊富な我が県における森林資源を有効活用していくということは幾つかのメリットがあると思っています。 1つは、再生可能エネルギーとして地球温暖化防止などの効果が見込めるということであります。加えて、木質バイオマス発電をすることによって、資金が都市部から地方に還流をするということになるわけであります。制度的に交付税で還流をしていくというよりは、都市部とそれから山間部とお互い尊敬の意識を持ちながら相互に発展できる可能性をつないでくれるツールになれるという可能性を追求していく必要があるのではないかと思います。均衡ある発展モデルとなるための可能性を追求してまいりたいと思います。 一方で課題もございます。これも議員御指摘のとおりなのですが、大量の燃料が必要になりますので、間伐材のみでは発電量に限界が生じるということであります。間伐材を確保するために広い面積から多額のコストをかけて運んでくると、ビジネスとして成り立たないということになります。これは森林管理をどのようにしていくのかというところにもつながるのですが、発電用の森林として管理をしていくという考え方が受け入れられるのかという点も含めまして、燃料を安定的に供給していく仕組みづくり、地域の合意をつくっていくというところが、やはり大きな課題になってくるというふうに考えております。 次に、子供たちの森林体験などについてでありますが、議員御指摘のとおり、子供たちが直接森林整備を体験をしていくということは大変重要であると考えております。特に、都会で生まれ育った子供たちが、この自然の中で何が起きているのかを知っていくということは、本人の成長に加えて社会全体としても都市部と地方の相互理解が進んでいくということになりますので、大変望ましいことではないかと考えております。 来年春に本県で開催をされます全国植樹祭、これを契機に身近に森林づくりを体験できる活動等をさらに進めてまいりたいと思います。 次に、地域が一体となった利用間伐等の推進についての取り組みについてであります。 議員御指摘のとおり、計画的な森林整備に取り組んでいくということは重要であります。関係者合意のもと、地域が一体的に進めていくということが不可欠であると考えております。 〔知事政策局長杉山順爾君登壇〕
◎知事政策局長(杉山順爾君) 極東ロシアへのインフラ整備に関する技術提供についてでありますが、今後も整備が見込まれるエネルギー開発関連インフラについては、ERINA等の研究機関や技術者などから成るミッションを派遣し、現地の状況やニーズを調査するとともに、具体的なビジネス交流の可能性を探ることとしております。 また、生活環境インフラについては、ロシア側からの具体的な要望があれば、県対外科学技術協会等の関係機関と連携し、双方が利益を享受できるような協力の可能性を検討してまいりたいと考えております。 〔産業労働観光部長池田幸博君登壇〕
◎産業労働観光部長(池田幸博君) 3点お答えいたします。 屋根貸し太陽光発電についてでありますが、提案を受けた事業は県と24市町村の68施設で、出力6,330キロワットの太陽光発電設備等を設置する計画の内容であります。 今後のスケジュールにつきましては、県及び市町村が事業者と個別に契約を締結した後、来年度中に設置を完了し、発電を開始する予定であります。 なお、本計画に入っていない施設の今後の取り組みについては、県と市町村のそれぞれが個別に検討してまいります。 次に、小型モビリティについてでありますが、小型モビリティの分野については、自動車メーカー等が開発、生産に取り組んでいるものの、需要が読めない中で量産に踏み込めないなどの意見もあると承知しております。 一方、ドイツのベルリンではヒリコの導入が開始され、また国内においても車両の保安基準の緩和等により新たな市場の創出が期待されております。推進に当たっての課題としましては、小型モビリティの需要が掘り起こせるか、安全な走行が確保できるかなどがあるものと認識しております。 次に、航空機産業分野への参入促進に向けた取り組み状況と課題についてでありますが、県におきましては、研究会の運営により航空機の開発に関する情報提供や部材加工技術の指導、共同研究などに取り組んでいるところです。また、県との共同研究の成果が生かされた県内企業等によるエンジン部品の製造工場の整備を支援しているところです。 県内企業が航空機産業へ参入する際の課題につきましては、取引先となる重工メーカーとのマッチングや、航空機部品の耐熱、軽量化のニーズに対応したさらなる技術力の向上などがあるものと認識しております。 〔農林水産部長目黒千早君登壇〕
◎農林水産部長(目黒千早君) 4点お答えいたします。 木材チップボイラーの活用についてでありますが、木材チップボイラーは、化石燃料と比べランニングコストが低いという利点がある一方、連続運転が基本で細かな温度調整が難しいなどの面があります。県といたしましては、このような特性を踏まえ、木材チップボイラーを生かせる分野で施設整備などを支援するなど活用を推進してまいりたいと考えております。 次に、林業就業希望者への支援策についてでありますが、県では、若年層を中心とした新規就業者を確保するため、林業を理解し魅力を感じてもらえるよう、若者向けのPR誌やホームページなどにより啓発活動を行っており、興味を持った方々には、労働力確保支援センターや林業普及指導員が就業や生活などに関する情報提供と相談に応じております。 さらに、就業を希望する方々には、関係団体と連携し、技術レベルや希望に応じて資格取得や就業体験等を支援するなど、意欲を持った若者等が円滑に就業できるよう対策を講じているところです。 次に、米粉用米の生産量についてでありますが、梅谷議員の一般質問にお答えしたとおり、平成24年産の本県の米粉用米生産量は1万3,073トンで、前年より9%減少しております。なお、全国的に生産量が減少したため、本県産のシェアは2ポイント伸び、38%となっております。 次に、米粉の需要拡大についてでありますが、梅谷議員の一般質問にお答えしたとおり、さらなる需要拡大には加工コスト低減による価格の引き下げが不可欠であることから、固定費低減に向けた施設整備支援のほか、大口需要の開拓や実需者の利便性の向上を引き続き支援するとともに、新たな分野での需要の創出や抜本的な米粉需要の拡大につながる取り組みを行ってまいります。 〔土木部長田宮強志君登壇〕
◎土木部長(田宮強志君) お答えします。 下水管路を活用した下水熱の利用についてでありますが、都市を流れる下水は、浴槽や厨房等からの排水を含むため一定の温度があり、これを冷暖房や給湯等に活用することで温室効果ガス排出量の削減等に貢献すると言われております。下水熱利用については、今年度から大阪市で実証研究が行われており、建設コストの縮減や事業採算性、省エネルギー効果等、さまざまな課題の検証を行っていると聞いております。 県といたしましては、この実証研究の成果を注視するとともに、さらなる技術の進展等について情報収集に努めてまいりたいと考えております。 〔交通政策局長坂井康一君登壇〕
◎交通政策局長(坂井康一君) 6点についてお答えします。 まず、11町歩の活用見通しについてでありますが、メガソーラー発電事業の実施を検討している複数の民間企業から、土地の形状や土地利用上の法規制等について照会を受けており、一部企業では具体的な事業計画の検討に着手しております。 県といたしましては、太陽光発電事業での活用について引き続き企業への働きかけを行うとともに、この県有地に関連する地元の理解を得ながら、早い段階で公募等の手続に入れるよう準備してまいりたいと考えております。 次に、11町歩の整備についてでありますが、当該県有地はこれまで売却を前提に保有してきた普通財産であり、またメガソーラー発電事業を検討している各企業では現況のままでの利用や、平たん地での部分的実施の方向で検討が進められております。 また、太陽光発電事業は固定価格買い取り制度により価格保証されており、収益が見込めますので、必要な整備は事業者みずから行うことが基本であります。したがいまして、県が主体となって事業用地を整備することは想定しておりません。 次に、ウラジオストク直行航路についででありますが、現在新潟とロシア間の物流は自動車やエネルギー資源、木材などバルク貨物が中心となっておりますが、今後ロシアの経済成長に伴い、コンテナ貨物の増加が予測されます。 県といたしましては、昨年8月に開設されたウラジオストク航路の貨物の動向を分析しながらコンテナ貨物等の確保を図り、日本海横断航路の活用も含めたロシア航路の充実や、直行便の開設に努めてまいりたいと考えております。 次に、コンテナターミナルの除雪対策についてでありますが、当施設の除雪は、基本的には利用者である港運会社が実施すべきものと考えておりますが、昨年の豪雪を受け、県としましても消雪パイプの設置や融雪剤の支援などに取り組んでいるところです。 今冬は、終日のゲートクローズはありませんが、ヤードの拡張や除雪人員の確保難から、1時間以上のオープン遅延が2月末現在で11日発生しており、今後も関係者と連携して除雪開始時間の前倒しや、消雪パイプの設置拡大などの対策を進めたいと考えております。 次に、新潟東港鉄道についてでありますが、平成22年に策定した日本海側拠点港湾としての新潟港の将来ビジョンに鉄道輸送へのモーダルシフトを盛り込み、東港鉄道の収支、整備スキームなどについて検討を進めてまいりました。 現段階では、十分な集荷と必要な施設の整備が課題であると考えております。集荷につきましては、潜在荷主へさらに働きかけるとともに、運行委託を想定するJR貨物との運行条件の調整などに取り組んでまいります。 また、必要な施設整備につきましては、国との役割分担、スケジュール調整を進め、あわせて来年度は事業実施に向けた調査を行ってまいりたいと考えております。 次に、新潟東港鉄道の集荷に向けた取り組みについてでありますが、昨年度、東港鉄道の収支を予測するため、荷主の利用意向や貨物量について調査を行ったところ、製造業、小売業を中心に9社が利用の意向を示しており、これが実現すれば採算上の一定のめどがつくものと考えられます。今後、この9社との間でJR貨物輸送分も含めた料金など条件面での交渉を個別に行うほか、JR貨物と連携しながら県内外の荷主企業にさらなる働きかけを行い、利用拡大に努めてまいりたいと考えております。 〔企業局長藤澤浩一君登壇〕
◎企業局長(藤澤浩一君) 2点についてお答えいたします。 太陽光発電の買い取り価格引き下げが発電所の収支面に与える影響についてでありますが、新潟東部太陽光発電所については、建設中の3号系列を含め、価格決定に必要な手続を今年度末までに終了することで平成24年度の価格が適用されることとなるため、引き下げによる影響はありません。 また、(仮称)新潟競馬場跡地太陽光発電所については、上杉議員の一般質問にお答えしましたとおり、3号系列の契約実績を踏まえた計画となっており、設備導入費用の低減を反映した買い取り価格の引き下げが行われても採算は確保できるものと考えております。 次に、太陽光発電の啓発施設についてでありますが、県が共同事業として取り組んだ新潟雪国型メガソーラー発電所に既に啓発施設が設置されておりますが、(仮称)新潟競馬場跡地太陽光発電所においても見学者等が見込まれることから、新潟東部太陽光発電所と同程度の啓発設備の設置を検討してまいりたいと考えております。
○議長(小川和雄君) 青柳正司君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。 午前11時40分 休憩 ――
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○副議長(柄沢正三君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、高橋直揮君の発言を許します。高橋直揮君。 〔高橋直揮君登壇〕(拍手)
◆高橋直揮君 自由民主党の高橋直揮です。通告に従い順次質問を進めてまいります。よろしくお願い申し上げます。 反・卒・脱原発という言葉、また先般行われた臨時会などを見ながら感じたことを冒頭申し上げますが、現代社会で生きていく上で1つよいことをしようと思うと、必ず関連して不都合と苦悩がつきまといます。社会の中では、完全に善という存在もなければ、悪そのものという存在もなく、そんな矛盾に苦悩しながら解決に立ち向かうのが今を生きる大人であると思います。 しかし、例えるなら子供的な感覚の大人は自分の都合しか考えない、あるいは、物事の一面しか見ないでほかを見ようとしません。世の中の出来事は全て平等でもないという現実が存在し、その解決のために多くの矛盾の中で勇気を持つことができる大人が必要であると感じております。 原発の矛盾で言えば、福島第一原発事故後、または昨年の衆議院選も含め、マスコミや週刊誌、テレビなど反・卒・脱原発路線を売りにして人気をとる人が数多くあらわれました。それらを唱えていれば、自分が人権と平和を重んじるよい人間であることの保障を受けたような気になれる、進歩的、文化的な人間であると勘違いをさせる言葉であり、非常に便利な言葉がつくり上げられてきたように思います。 しかし、現実はそんなに単純なものではありません。私も含め多くの日本人は、できれば原発のない社会で暮らしたいと感じていると思います。ですが、過去にもそれができない現実があったのではないでしょうか。 もうダムは要らない、京都議定書を守らねばならないと言い続けたのは誰だったのか。この2つの言葉を並べてみただけでも、水力発電も無理なら火力発電をつくるにもブレーキがかかる、そんな矛盾をはらんだ心理がうかがえるように思います。 また、何があろうとも、日本の国力の立て直しには十分な電力供給が不可欠であります。現在も進められております太陽光や風力などの再生可能エネルギーには重要な意義があるものの、コストの高さが電気代にはね返り、ドイツでは社会問題になっている現実もあります。 東北電力もこの7月からの家庭用電気料金の値上げを政府に申請しています。原発の不足分を補うために輸入燃料代の急増に苦しんでいることに加え、現在の日本国内にある電力9社の合計で、毎日約100億円が液化天然ガスなどの輸入に消えています。1年に3兆円のペースで国富の海外流出を余儀なくされ、我が国の貿易収支は赤字に陥っています。 まずは、この深刻な現実を直視することが必要であり、何よりも一番影響を受けるのは日々の暮らしであります。 平成25年度は、日本のエネルギー政策の再出発の年であると位置づけ、エネルギー政策について質問を進めてまいりますが、我が党が衆議院選の公約で10年以内に確立するとした電源構成のベストミックスについて伺います。 公約では、原発の再稼働の可否について順次判断した上で、全てのエネルギーを徹底的に掘り起こし、シェールガスなども含めて最適な割合を探ることとしております。また、先日行われた安倍総理の施政方針演説でも、エネルギーの安定供給とエネルギーコストの低減に向けて責任あるエネルギー政策を構築していくとされたところですが、この公約について知事の所見を伺います。 また、さきの衆議院選において、ほかの個別政策が重視されたこともありますが、我が党が勝利いたしました。このことは、脱原発至上主義の政党、政治家に国を託す気はないとの民意が示されたものと考えられるのではないでしょうか。 また、施政方針演説でも、安全が確認された原発については再稼働することを明言しております。今後、日本は脱原発至上主義とは一線を画していくものと考えますが、知事の所見を伺います。 先ほども申し上げたとおり、今のままでは膨大な化石燃料の購入費用の海外への流出、天然ガス購入価格の上昇、貿易赤字の拡大、電気料金の値上げ、それによる産業への圧迫、CO2排出の増加といった多くの損失を発生させながら、結果として産業の空洞化、雇用の喪失、国民負担の増大など、国力の低下につながる可能性が大きく、そうした経済的余力の喪失は再生可能エネルギーの拡大や火力発電の強化に必要な投資力までも減少させ、原子力、再生可能エネルギー、火力の3者共倒れすら起きかねない状況をつくり出しているように思えます。 そこで伺いますが、このたびの東北電力の家庭用電気料金の値上げについての所見、また値上げの理由の一つとして原子力発電の停止が原因としていることについて所見を伺います。 知事は今までにも再三、原発の再稼働に向けては福島第一原発の検証が不十分として、一貫して安全基準も含め、円滑な再稼働へ向けた議論をテーブルにすら乗せることを拒否しております。その一貫した姿勢については敬意を表しますし、県民の安全、安心が最優先という政治家としての理念も尊敬するところであります。 しかし、昨年も質問させていただきましたが、国会事故調の報告書についても、ようやくスタートラインに立ったと受けとめていると御答弁をいただき、さらに県としても独自に県の安全管理に関する技術委員会で事故の検証を行っております。 知事のおっしゃっている事故の検証という筋道はそのとおりであると思う反面、それら福島第一原発事故の検証を県の技術委員会において必要以上にするべきなのか疑問もあります。 原発立地県である責任やエネルギー生産地と消費地の違いはあれども、県独自の検証は意見や議論が混乱する可能性を含み、結論が一致しない検証を行うことによって、県民の不安をあおり、さまざまな不信感にもつながるものと懸念をしております。 仮に各都道府県で同じような検証をしていたら、結論を見出すことは不可能に近いと考えられます。国で検証を行っているのであれば、立地県として監視的な役割も必要と感じますが、必要以上に県独自で事故の検証を行うことは、言い方を変えれば、それこそ二重行政ではないのかと思うのです。 伺いますが、県の技術委員会の設置目的は、柏崎刈羽原子力発電所の運転、保守、管理及びその他安全確保に関する事項を確認する際に技術的な助言、指導を得るとのことでありますが、今後の技術委員会のあり方について知事はどのようにお考えなのか伺います。 また、国で行っている福島第一原発事故の検証と県の検証との比較や、今後県の技術委員会で福島第一原発事故の検証を行う意義と方向性についてお伺いします。 ことし2月6日に原子力規制委員会より原子力発電所の地震・津波対策を含めた新安全基準の骨子案が公表され、その中でも耐震設計上考慮する活断層についての評価方法では、活断層の定義が12万から13万年前以降の活動から40万年前以降に拡大されることが示されました。参考までに昨年9月7日には原子力安全・保安院において、追加調査指示を行う必要はないが、敷地内の破砕帯の活動性を判断するには情報不足で、引き続きデータ拡充に努めるものとされた発電所に柏崎刈羽原子力発電所も含まれております。 そこでは、事業者が自主的に調査を実施と追記されてあり、実際に地質調査として東京電力側では専門の調査会社に30年以上委託し調査しているとの報告も聞いております。 活断層に関しては定義の判断が重要となりますが、このたびの原子力規制委員会の耐震設計上考慮する活断層に関する新安全基準の骨子案について所見を伺います。 質問の最後に、CO2の削減について伺います。 最近感じるのは、数年前まであれだけCO2削減と世間で盛り上がっていた意識はどこへ行ってしまったのか。一種のブームのように今では国民の意識から消えてしまったように思います。 原発がとまっている中、関東にある火力発電所は同じ敷地内で古いものを取り壊し、新しい火力発電施設に建てかえ、化石燃料を少なく使って大きな電力つくるという最新の熱効率と環境に優しい発電の努力をされていると聞いております。ただ、火力発電であるので、CO2削減には限界があることは必然であります。 原子力も温排水が地球温暖化に影響を与えているのではないかという意見もありますが、ここで詳しくは説明いたしませんが、学識経験者で構成されている評価会議でも公表されておりますとおり、現在までの環境への影響は全く認められておりません。 2009年には当時の鳩山総理が、温室効果ガス削減目標を2020年までに1990年比25%削減と国連で演説し、国際公約となりました。しかし、温室効果ガスを排出しない原発の増設が前提となっており、公約は絶望的であります。 現在の安倍政権となってから、当時の25%削減をゼロベースに見直すとの議論がありますが、当然当時の鳩山総理の演説を振り返れば、国際的にひんしゅくを買うことは予測されます。 伺いますが、民主党の負の遺産とも言える温室効果ガス25%削減の国際公約について、原子力発電所、火力発電所を抱える本県知事としてどのように認識しているのか。また新政権誕生後、国際公約をゼロベースで見直すとの指示をしたことについて、所見を伺います。 最後に、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に向けて、知事の考える安全性の条件が全て満たされた場合、知事は柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に賛成をするのか所見をお伺いし、この質問を終わります。 次に、瓦れきの受け入れ等について質問いたします。 東北以外の自治体で初めて瓦れきを受け入れ、処理を始めたのは東京都でした。当時の石原都知事は、放射線が出ていれば別だが、みんなで協力して力があるところが手伝わなければしょうがない。みんな自分のことばかり考えていると発言しております。 本県においては、三条市、柏崎市が本格受け入れを開始し、最終処分場で埋め立て作業を既に始めております。埋め立て方法についても公表されているとおり、安全に安全を重ね、住民の不安を払拭するために努力していることもうかがえます。 それでも放射線量はゼロではない、そう言われたら確かにそうでしょう。そもそもが自然界に放射線は存在し、太陽にも放射線があるわけであります。仮に公務で飛行機に乗れば、なおのこと被曝量はふえます。かといって飛行機に乗ることをやめる人はいないでしょう。 微量にしてもプラス要因ではないのですから、放射線を浴びることによるリスクはそれなりにあるわけであります。そのリスクを殊さら大きく取り上げ、生活に支障を来すこと、生活の不安を必要以上にあおることのほうが被害は大きいのではないでしょうか。科学的根拠のない恐れや、生理的な拒否感、情緒的な反発によって判断している限り、原発を含めたさまざまな問題を乗り越えることはできないような気がします。 市町村による受け入れに際し、市町村において判断し処理するものに対して、県として監視する役割も必要と考えますが、これまでの発言、文章など、今まで受け入れをした本県の市町村も含め東京、大阪、神奈川など各都道府県に対しても混乱を招き、被災地の復興並びに市町村の復興支援を阻害しているように感じられます。 震災瓦れきの処理に当たっては、放射能の管理をめぐり、受け入れ市などとの間でさまざまなあつれきを生んだものと考えておりますが、2月に本格焼却が開始され、3月には瓦れきの受け入れも終了しようとしています。 過去の経緯は過去のこととして、こうした現在の状況を受けとめた上で、改めて県民のために県が果たすべき役割を考えたとき、それはどのようなものと考えているのか、知事の所見を伺います。 汚泥に関しても、本県においては工業用水道より発生した放射性物質による汚染があり、その量は現在100ベクレル以下が1万6,600トン、100ベクレル超えが3,600トンと聞いております。保管方法も十分な保管を行っているとの報告を聞いております。 話は変わりますが、先日とある勉強会にて放射線に含まれるセシウム137は原子核が崩壊してバリウム137に、セシウム134はバリウム134にそれぞれ半減期を経て変わるとお聞きいたしました。このことについては、放射性壊変についてアイソトープ手帳にも記載がされており、その半減期の期間を短くできるかどうかまでは科学的知見はないとのことですが、放射線を含んだ汚泥の処理について科学的知見から実験または研究など未来への可能性に取り組むことも一つの方法と考えます。 お聞きしますが、融雪期の汚泥発生状況を踏まえ、今後セメント再資源化以外の処理方法も含め、どのように処理していくのかその方針を伺い、この質問を終わります。 次に、生活保護について質問します。 際限なくふえ続ける生活保護受給者、国や自治体の財政を脅かす3兆円を超える負担、なかなか進まない自立支援への取り組み、山積する問題を前に、財政負担と社会保障のバランスをとりながら、制度自体を見直さなければならない時期に来ています。 政府は、生活扶助の基準額を、年末に支給する期末一時扶助の見直しとあわせ、国費ベースで約740億円の削減を発表しました。 現在の生活保護制度は、一旦受給してしまうとそこから抜け出すインセンティブが全くない制度となっていると感じます。 当然、生活保護を本当に必要としている人たち、体や心の病を抱えて働けない人、幼い子供を抱えて思うように働けず、せめて子供が育つまではと生活保護を受ける親、この制度によって日本国憲法第25条の生存権を保障されている人は数多くいることも事実でありますが、なぜ戦後の生活や産業が崩壊した時代、まちに食うや食わずの人たちがあふれていた時代を超えて過去最多となったのか。働けないのか、働かないのか、なぜ働く世代の受給者がふえ続けているのか、そこには日本人の働く意識そのものが制度とともに変わっていったのではないかと感じております。 本県における受給者は2万163人となっており、うち新潟市が1万1,296人と聞いております。 伺いますが、本県受給者の内訳として、高齢者世帯が5,647世帯、傷病者世帯が2,366世帯、その他世帯が3,726世帯となっておりますが、その他世帯の受給者にはどのような方が含まれているのか、また受給者全体に占める外国人の割合について伺います。 現在もふえ続けている状況ではありますが、受給をやめた世帯のうち、就労などにより自立した世帯の割合について伺います。 全国の生活保護の水準以下の低所得世帯のうち、生活保護を受けていない要保護世帯は、2010年4月の厚労省の推計で229万世帯に上がっており、この時点で生活保護受給世帯の倍に近い数字が出ております。 つまり、必要な人の3分の1しか生活保護を受けていないことになります。本当に必要な人に十分な支援がされていない一方で、必要のない人に保護費が渡され続けているという状況が続いていることを意味しております。 本県の不正受給の実態として、平成23年には290件、約1億2,200万円、前年度より5,800万円増加との報告ですが、これらの状況を抑制する新たなお考えがあればお伺いいたします。 大阪を初め全国的に問題となったのが、ホームレスなどを狙ったいわゆる貧困ビジネスといわれる犯罪行為、生活保護受給者を病院が囲い込んで利益追求の道具としているいわゆる病院ビジネス、暴力団組員が不正受給を続けていたなど、制度を利用した悪質な行為が繰り返されておりました。 本県においても、先日県警と合同で生活保護をめぐる暴力団の不正受給防止の説明会が開催されたと聞いております。実際に昨年11月には、暴力団組員であることを隠して生活保護費をだまし取っていたとして逮捕したとの事例も発生しておりますが、実際にこのようないわゆる貧困ビジネスや病院ビジネス、暴力団員による生活保護費の受給などの事件の事例はどれだけ発生しているのか、また、今後このような事件を抑制するためにどのような取り組みをされていくのか伺い、この質問を終わります。 次に、本県におけるPFIの今後の取り組みについて伺います。 公共事業が地域の防災並びに景気・雇用対策に有効であるということは言うまでもなく、災害対応に大きく貢献しているのも地域に密着した建設業者であるということは御承知のとおりであります。 前回の質問でも申し上げましたが、本県の建設業に対しての取り組みは、最低制限価格の設定の引き上げなど、積極的な取り組みをしていただいていると感じております。 その取り組みの中の一つにPFI事業がありますが、PFIは公共施設の建設、維持管理、運営に民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用する手法で、国、地方の財政状況が厳しさを増す中、財政支出の削減と社会資本・公共サービスの質の上昇の両者を同時に達成するという趣旨を持つ手法であります。 本県のPFI活用指針においても、公共施設の整備を行う際の有力な選択肢の1つとして効果が見込まれる場合はPFIを積極的に活用すると示されております。 このようなPFIの理念を見ると非常に効果的な手法であるようにも感じられますが、地元の建設業者の目から見た場合、必ずしもよいところばかりではないように感じられます。 PFI事業では、公共側だけではなく、応募する民間事業者側の手続も複雑であり、それに係る費用も手間も膨大な量となります。また、PFI事業の契約は長期にわたるため、安定した資金調達能力や不動産所有権などに対する知識、施工部分以外の設計、運営にかかわる企業と事業体を結成することが必要となってくるなど、事業主体となるには専門的な知識や能力、経験が求められてきます。 さらに、入札審査に落選し、事業主体とならなければ、それらにかけた膨大な時間と労力、そして費用が全て無駄となってしまいます。 以上を考えると、PFI事業に応募する企業は一定の能力やノウハウを持った企業に限られ、落選することを考えれば、PFI事業に応募しようというインセンティブは上がらないように感じられます。 現在も新潟学園整備事業をPFIにて進めておりますが、過去のPFI事業に応募した県内建設業者を見ると、限られた一部の企業のみの応募にとどまっており、応募した企業グループの代表者だけを見れば、さらにその数は少なくなっているということが見受けられます。 冒頭にも申し上げたとおり、県内の建設業者は地域の防災、経済、雇用に大きく貢献しております。今後PFIを用いた事業が拡大していくという事態となれば、現状を見る限り、多くの県内建設業者の受注機会を奪うことにつながるのではないかという懸念が浮かんできます。何らかの配慮が必要と考えますが、知事の所見を伺います。 また、PFIを導入する事業を社会福祉施設、教育文化施設などの建築に関連する事業から、今後さらに道路、港湾、下水道など土木に関連する事業にまで拡大していくお考えなのかを伺い、この質問を終わります。 次に、新潟朝鮮初中級学校の補助金等について質問をいたします。 昨年12月12日には北朝鮮によるミサイルが発射されました。また、ことしに入り3度目の核実験が行われたことを受け、少なくとも全国7都道府県では2013年度の朝鮮学校への補助金の予算化を見送るとの報道がされております。 本県においては、過去の核実験などでも予算の計上や執行を取りやめた例はないとし、知事は会見の中で「高校を持っているところとそうでないところが同じで本当にいいのかという部分については検討要素に入れないわけにはいかない。」と御発言されております。 初中級学校であろうが、高級学校だろうが、ミサイル発射や核実験を強行した国の強い影響下にある学校への補助を続けることは、今後も県民の理解を得ることは果たしてできるのでしょうか。 日本の安全は当然ながら、県民の安全を脅かし、不安を与え続けている国の傘下団体である朝鮮総連と深いかかわりのある朝鮮初中級学校が、本県の私立学校となぜ同様になるのか疑問を感じます。 昨年9月の質問の中で、朝鮮初中級学校でも4年生以上の生徒や教師が総連の傘下団体に所属し、故金正日総書記の偉大性や思想教育を行っているなどの実態について、現地調査や把握の状況について伺ったところ、朝鮮学校の教育方針に基づき、学則で定める教育課程が適正に実施されているかなどの観点から使用教科書の内容確認や現地での聞き取りなどを行ってきておりますと御答弁されていますが、教育課程や教育方針が適正であれば、教育内容については問わないのでしょうか。重要なのは教育の過程ではなく、教育の内容なのではないでしょうか。 昨年、全国の朝鮮学校の小学5年から中学2年に当たる生徒ら約120名が1月から2月にかけ訪朝し、故金正日総書記と新指導者である金正恩に永遠の忠誠を誓う歌劇を披露したとの報道がされております。参考までに、女子生徒らは踊りながら、毎年教育補助金や奨学金を送ってくださり、私たちを守ってくださった金正日将軍様を永遠に忘れませんとのせりふがあり、補助金の感謝は日本の自治体ではなく、金総書記に向けられています。 本県の児童はいなかったようでありますが、その模様はインターネットでも閲覧が可能であり、短期間だったにもかかわらず、完璧なまでの歌と踊りでありました。 本来、教育を受ける権利は子供たちにあるわけですが、どういう体制であっても普通教育を受けることができるにもかかわらず、強制的に参加させられたかまではわかりませんが、延々と練習をさせられなければできないような演劇を、日本にいる子供たちが北朝鮮で行っているわけであります。まさしくこれらは思想教育強化以外の何物でもないと考えます。 改めてお聞きしますが、本県の朝鮮初中級学校の現地調査や把握はどこまでされているのか伺います。 ミサイルを発射すれば人工衛星だと発表したり、核実験の影響から新政権が朝鮮学校を高校無償化の対象から外す方針を打ち出せば民族差別だと訴えたり、自国の立場を正当化する、これこそ思想教育であり、教育基本法第2条「他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」に明らかに反していると思われ、これらが学校に及ぼす影響こそ、教育基本法第16条第1項の不当な支配に該当すると考えますが、所見を伺います。 神奈川県川崎市では、今年度分の朝鮮学校に対する補助金の未執行分約300万円を横田御夫妻の著書などで現物支給するとのことであります。川崎市の阿部市長は、北朝鮮へ抗議の意思を示し、朝鮮学校で勉強している人にも拉致被害者救済のキャンペーンに参加してほしいと説明をしております。抗議の意味を示す意味で、本県においてもこのような方法も考えられますが、所見を伺います。 最後に関連して拉致事件について伺いますが、警察庁発表の捜査対象となっている人数は全国で866名と聞いております。また、本県は46名としておりますが、その中に本県の大澤孝司さんは含まれているのか伺います。 また、昭和49年の2月に大澤さんが失踪しました。県警では、拉致の可能性も含めて捜査していると聞いており、平成15年10月の報道では拉致の疑いが濃厚であるとされております。以来10年が経過しましたが、なぜいまだに拉致被害者と認定がされないのか伺います。 また、特定失踪者と拉致被害者の違いという壁が存在している限り、解決へ向けた県民意識の向上や国からの支援、経済面、人的協力面など、さまざまな支障が存在しております。 伺いますが、その後大澤孝司さんについて、県として国に対して認定に向けた調査依頼などの働きかけの状況や、捜査の現在の進捗状況などについてお聞きします。 そして最後に、本県の特定失踪者の捜査、調査及び今後の県としての取り組みについてお伺いし、私からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔知事泉田裕彦君登壇〕
◎知事(泉田裕彦君) 高橋議員の一般質問に順次お答えをいたします。 まず初めに、エネルギー政策についてお尋ねを頂戴いたしました。 やはり原子力発電所については、安全の確保が第一というふうに考えております。福島の事故の現状を見ますと、一旦事故が起きたときに取り返しのつかない事態に立ち至るということが、これは世界に向かって示されたということだと思っています。特に立地県としては、この安全の確保については留意をしてまいりたいと考えております。 福島第一原子力発電所事故の検証、総括、これをなされる前に再稼働を前提としたエネルギー政策が進められていくということについては違和感を感じております。 次に、脱原発至上主義についてであります。 脱原発に関する問題は、解決しなければいけないさまざまな課題を抱えております。プルトニウムをどうするのか、これは行き場がないわけであります。日米の原子力協定にも結ばれているとおりでありますけれども、プルトニウムは核兵器に使われるということで、警戒度が高い核物質ということになります。 また、核拡散防止の観点、これも考えないといけないということだと思います。諸外国から核武装の疑念、これを持たれるということも問題が伴うと。 日本が原発をやめた場合どうなるのかというと、プルトニウムを使って核武装するかもしれないという懸念が既にアメリカから出ているというところもあるわけであります。 これらのことから、エネルギー政策についてはさまざまな観点の議論を進め、国民的議論を経た上でまとめるべきであると考えております。 次に、東北電力の電気料金値上げについてであります。 電気料金値上げについては、県民生活に多大な影響を及ぼすものであります。東北電力には、現在高値で調達をいたしております天然ガス、これをより安価に調達をするということなど、より一層の経営努力を求めてまいりたいと思います。また同時に、国には厳正な審査を要請をしてまいりたいと思います。 また、原発停止が原因の一つになっている点につきましては、福島原発事故の検証が行われていない中で、やむを得ないものと考えております。 次に、安全管理に関する技術委員会のあり方についてであります。引き続き柏崎刈羽原子力発電所の安全確保を進めていくために、必要な事項について審議をいただきたいと思います。やはり同じ事故を繰り返してはいけないということ、これが重要な点だと思っています。ハード面だけではなく、法制度やマネジメント等のソフト面も含めて技術的な助言、指導をいただきたいと思います。 一つ法制度について申し上げますと、原子炉の中の水位が低下をした場合、放射線が出るわけですが、労働安全衛生法上、民間契約で被曝限度量を超えていけるということになるのかどうか。やはり処理する部隊が必要なのではないか、こういう論点もあるわけです。 また、マネジメントについて言いますと、1基数千億のプラント、これについて使えなくなるという前提のもとに意思決定をするのは誰なのか、発電所長なのか、社長なのか、それとも規制委員会なのか、こういった点が明らかになっていないというようなところもあるわけです。 これらも含めて、検証をした上で助言、指導をいただきたいと、このように考えております。 次に、温室効果ガス25%削減の国際公約についてであります。 この国際公約は、世界共通の重要な課題である温室効果ガス排出削減に向けまして、全ての主要国が参加することを前提に、日本が率先して取り組む意欲を示したものと受けとめております。 また、国際公約をゼロベースで見直すことについてでありますが、この地球温暖化対策とエネルギー政策は密接にかかわるものであります。 したがいまして、原子力発電の比率をどうしていくのかというところが大きな論点になるわけですけれども、現状福島第一原子力発電所の事故についての検証がなされていません。国関係でやった報告書もばらばらということで、安全性の検証がなされておりません。そういった状態で検討を進めていくということについては、違和感を感じております。 次に、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働についてお尋ねをいただきました。 立地県といたしましては、やはり安全性の確保、これを第一に考えていくということが必要だと思います。福島第一原子力発電所事故の検証、総括がなされておりません。このような状態では、同じことが起きかねないという状況だと思っております。したがいまして、現時点において再稼働の議論はいたしません。 次に、瓦れきの受け入れ等についてお答えをいたします。 県の役割についてお尋ねをいただきました。震災瓦れきの処理については、復興に重要であるという認識を持っております。一方で、放射能に関しては的確に管理すべきものと考えております。放射能の管理基準を緩めること、これは事故を起こした東電とそれを支えてきた国の責任を減少させ、リスクを自治体と住民に転嫁をするということでありますので、不合理であると考えております。原発での放射能の管理基準を緩める根拠にもなりかねません。いずれにしても、原発事故前の基準を緩めるべきではないと考えております。 県といたしましては、放射線監視を担っている広域専門自治体として、県民の安全、安心のための役割を果たしてまいります。 次に、PFIについてお答えをいたします。 まず、PFI事業の拡大に伴う地元建設業者の受注機会についてでございますが、議員御指摘の部分はもっともな部分があると考えております。地元建設業者の受注機会の確保について一定の配慮が必要であると考えております。今後PFI事業の実施の場合には、地元企業がより参入しやすい制度運営に努めてまいりたいと思います。 次に、土木施設整備事業へのPFI導入についてお尋ねをいただきました。 今後のことを考えますと、インフラの更新ニーズが増大をしてまいります。これは、例えば道路、橋というもののメンテナンスを地元企業が安定的に受注をして管理をできるということになるのであれば、公共インフラの維持にもメリットがある可能性があります。メンテナンスが円滑に進む可能性というのも考えられます。 今回御質問をいただきましたので、どうすればいいかということについても国や他県の動向を踏まえながら研究をしてまいりたいと思います。 次に、拉致問題についてお答えをいたします。 まず、拉致被害者の認定についてであります。国においては、特定失踪者の御家族の不安、そして苦痛を取り除くためにも、特定失踪者の方々の事実関係の確認に積極的に努めていただきたいと考えております。 この間、何度となく政府には、特定失踪者を抱える県の知事として、そしてまた知事の会の代表代行としても要請をしてまいりました。本年1月にも古屋大臣に拉致問題の早期解決を要望しましたが、その際にも特定失踪者の問題、改めてお願いをしてまいりました。 やはり認定基準がなかなかハードルが高いのではないかということを実感をいたしております。特に本県の場合、きょう大澤さんのお兄さんがいらしていますけれども、この拉致をされた状況ということを考えれば、一刻も早く認定をしていただきたいというふうに思っております。県としても働きかけを進めてまいりたいと思います。 なお、認定制度と大澤さんの事案についての具体的な内容については知事政策局長から、捜査の進捗状況については県警本部長から答弁をいたします。 次に、特定失踪者への取り組みについてでありますけれども、本県は拉致被害者の横田めぐみさんや曽我ミヨシさん、そして大澤孝司さんを初めとする特定失踪者の方々の未解決問題、もう本当に長い時間たっているのですけれども、解決できずにいます。 県といたしましては、拉致問題を風化させないということ、これをまず自治体のできることとして取り組みを進めてまいりたいと思います。県民集会やパネル展の開催など、拉致問題の啓発に引き続き努めてまいります。 そしてまた、拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の一日も早い帰国が実現できるよう、政府に強く求めてまいりたいと思います。 なお、特定失踪者の捜査、調査につきましては、県警本部長から答弁をいたします。 〔知事政策局長杉山順爾君登壇〕
◎知事政策局長(杉山順爾君) お答えいたします。 大澤孝司さんの拉致被害者としての認定についてでありますが、拉致被害者等支援法では、北朝鮮当局による拉致行為があったと確認された場合には、内閣総理大臣が被害者として認定することとされておりますが、大澤さんの事案については、現時点では北朝鮮による拉致行為があったことを確認するに至っていないと聞いております。 そのため、大澤さんの事案も含め、特定失踪者の方々の事実確認については、常に機会を捉え国に対して要望しているところでございます。 〔総務管理部長寺家克昌君登壇〕
◎総務管理部長(寺家克昌君) 3点についてお答えいたします。 新潟朝鮮初中級学校の教育内容の把握についてでありますが、県ではこれまで歴史や社会の教科書について専門家に翻訳及び記述内容の確認を依頼するとともに、授業内容については学校長からの聞き取りや歴史授業の視察、掲示物については校内視察を行うなど、教育課程にとどまらずさまざまな角度から教育内容について把握を行ってきております。 これまでのところ、学則に定める教育方針に基づく教育が実施されていることを確認しております。 次に、北朝鮮が朝鮮学校に及ぼす影響と教育基本法との関係についてでありますが、御指摘の教育基本法第2条は、教育の目的を実現するために重要と考えられる事柄を教育の目標として規定し、その第5号では国際協調の態度を養うことを掲げております。 また、同法第16条第1項は、教育は不当な支配に服してはならないことを規定しており、政府答弁では、不当な支配とは国民全体の意思を離れて一部の勢力が教育に不当に介入する場合を指すものとの見解が示されております。 いずれにいたしましても、御指摘のような事柄が教育基本法に抵触するかどうかは、学校現場における教育の具体的内容や方法などを含めた総合的な観点から判断されるべきものと考えておりますが、これまで実施した現地調査などからは、法に抵触するような具体的な事実は把握されておりません。 次に、朝鮮学校への拉致問題関連著書等の現物支給についてでありますが、運営費補助の目的が教育条件の維持向上と保護者負担の軽減であることから、現物支給という特別の対応を朝鮮学校にのみとることは適切ではないものと考えております。 なお、本県に暮らす子供たちが拉致問題に関する意識を高めることは大切なことであることから、県では、小中学校に対し拉致問題の啓発資料を配付しております。朝鮮学校に対しても同様の資料を提供するとともに、児童生徒に事実を正しく伝えるよう働きかけております。 〔防災局長飯沼克英君登壇〕
◎防災局長(飯沼克英君) 2点についてお答えします。 県が検証を行う意義等についてでありますが、福島第一原子力発電所の事故検証は、さまざまな観点から行う必要があると考えております。 国会や政府の事故調査委員会は、原子力発電所の事故の防止や事故に伴い発生する被害の軽減のための政策提言を行うことを目的としています。しかしながら、それぞれの検証結果がばらばらであることや、事故の責任の所在が明らかにされていないなど、検証、総括は不十分であると考えております。 一方、県は柏崎刈羽原子力発電所の安全性に資するために、安全管理に関する技術委員会にこうした点を踏まえた検証をお願いしています。技術委員会の検証は、立地地域の目線で行っていることに意義があると考えており、引き続き徹底的な検証を進めていただきたいと考えております。 次に、原子力発電所の活断層に関する新安全基準の骨子案についてでありますが、議員御指摘のとおり、耐震設計上考慮する活断層の評価方法が見直されておりますが、今後新安全基準を原子力規制委員会がどのように運用していくのかが不明確であり、今後の対応を見きわめていく必要があると考えております。 〔福祉保健部長若月道秀君登壇〕
◎福祉保健部長(若月道秀君) 2点についてお答えいたします。 生活保護世帯のうちのその他世帯等についてでありますが、その他世帯には、高齢者世帯、母子世帯及び傷病・障害者世帯以外であって、働いているが低収入の方や失職により求職活動を行っている方などが含まれております。 また、生活保護受給者に占める外国人の割合は、平成24年11月現在で約2%となっており、保護廃止世帯のうち就労等により収入が増加して自立した世帯の割合は、平成23年度において約21%となっております。 次に、不正受給を抑制するための新たな取り組みについてでありますが、国では来年度新たな不正受給対策として、自治体の調査権限の強化を図るため、調査内容の拡大、調査対象者の拡大、回答の義務づけ及び説明を求める権限の創設などを予定しております。 今後は、こうした新たな調査権限を生かしながら、不正受給の防止に一層取り組んでまいりたいと考えております。 〔企業局長藤澤浩一君登壇〕
◎企業局長(藤澤浩一君) お答えします。 放射性物質を含む汚泥の処理についてでありますが、基本は東京電力が引き取り、既に確立した手法により処理すべきと認識しております。 〔警察本部長砂川俊哉君登壇〕
◎警察本部長(砂川俊哉君) 4点についてお答えいたします。 初めに、暴力団員による生活保護費の不正受給の実態についてでありますが、平成24年中暴力団員であることを隠したり、収入を過少申告したりして生活保護費をだまし取っていた暴力団組員など2名を逮捕しております。このほか、生活保護実施機関との連携によりまして、申請段階で実施機関において2名の申請が却下されております。 暴力団員による生活保護費の不正受給を抑止するためには、生活保護行政との連携が重要であると考えておりまして、過日、新潟市との間で検討会を開催しまして、対応と連携について協議したところであります。 今後とも生活保護実施機関との連携を図り、申請段階における排除のほか、不正受給を把握したものについては積極的な事件化により生活保護制度からの暴力団排除に努めてまいります。 次に、大澤孝司さんが捜査対象者に含まれているかという点についてでありますが、大澤孝司さんにつきましては、本県警察が北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案として捜査、調査を行っている行方不明者に含まれております。 次に、捜査の進捗状況についてでありますが、昭和49年2月に佐渡において行方不明となった当初から、事件、事故等あらゆる可能性を念頭に置き、地域住民の方々の御協力を得ながら付近の捜索活動、あるいは関係者からの事情聴取等を行ってきたところでありまして、現在も継続して捜査を行っているところであります。 次に、特定失踪者の捜査、調査についてでありますが、県警察といたしましては、いわゆる特定失踪者を含む北朝鮮による拉致ではないかといった相談や届け出につきましても、拉致の可能性を含めて事件、事故等あらゆる可能性を排除することなく、事案の真相解明に向けて、所要の捜査、調査を推進しているところであります。
○副議長(柄沢正三君) 高橋直揮君の質問は終わりました。 次に、小山芳元君の発言を許します。小山芳元君。 〔小山芳元君登壇〕(拍手)
◆小山芳元君 社会民主県民連合の小山であります。通告に従い順次質問いたします。 通告の第1点目、経済対策、県財政について質問いたします。 最初に、県の財政運営計画についてであります。 インフレターゲットを2%に設定し、国土強靱化をキャッチフレーズに公共事業主体の大規模な財政出動、金融緩和推進などのアベノミクスは景気を刺激し、株価の上昇や円安へと市場が反応していますが、一方で円安移行に伴い石油など輸入価格の高騰や電力会社の電気料金値上げ申請など、むしろ企業経営や家計を圧迫する要因も出てきています。 国の予算の4割以上が借金で賄われ、国の債務残高が1,000兆円に迫ろうとしている危機的な財政状況の中、景気の拡大が期待ほどでなく税収も伸び悩み、財政赤字が膨らむだけというこれまでの失敗を繰り返すことも懸念され、アベノミクスは自治体にどう影響を及ぼすのか、はかり知れない状況にあります。 こうした中、県の財政運営計画では、アベノミクスにより県税収入は伸び続け、2022年度には本年度に比べて約1,000億円増の3,202億円になると見込んでいますが、低目の経済成長を見込む中でも、これだけの税収の伸びが期待でき、県財政の運営は安定化するという見通しについて、改めて知事の見解をお伺いいたします。 次に、県の財政運営計画では、県債残高は減り続け、2022年度には本年度に比べて25%減の1兆6,570億円と推計していますが、後年度、元利償還金の100%が交付税措置されるとして臨時財政対策債については対象外としています。 しかし、臨時財政対策債は地方交付税の代替措置財源としての側面はあるものの、実質的に地方交付税を将来へ先延ばししているものであり、交付税特別会計借入金方式を併用している点でも将来の償還財源は不明確であります。 このため、赤字地方債である臨時財政対策債は、通常債と切り離すことなく、県の固有の債務と位置づけ、一定のリスクを見込むなどシビアな対応が必要ではないのかと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。 次に、道路特定財源の復活についてであります。 与党税制改正大綱では、自動車業界から消費税増税の埋め合わせに求められている自動車関連税の廃止について、自動車取得税は段階的廃止、自動車重量税については存続を掲げ、道路の維持、管理、更新等のための財源に位置づけられました。 しかし、廃止される取得税は地方自治体の財源となっているのに穴埋め策もなく、重量税については表向きは撤回したものの、既得権化し無駄な道路をつくる温床との批判から一般財源化をした道路特定財源が事実上復活するという古い自民党体質が露呈していますが、このことについて知事はどのように受けとめているかお伺いいたします。 次に、デフレ経済からの脱却策についてであります。 2008年においては、物価は上がったものの賃金は0.8%下落したことに見られるように、物価が上がれば自動的に賃金が上がるわけではなく、過去のこうした政策が労働者の家計を潤すことがなかった経緯があり、先行きの不透明感は拭えません。 デフレ経済からの脱却、景気の回復のためには、大規模な金融緩和や無駄な公共事業の拡大ではなく、物価だけ上がって可処分所得が減り続けることがないよう、GDPの6割を占める個人消費を中心とした本来の需要喚起に向けた適正な労働分配率の確保と雇用の安定、そして経済を冷やすことになる消費税増税の撤回こそが有効であると考えますが、知事の見解をお伺いいたします。 次に、本県の雇用と適切な労働分配率についてであります。 さきの厚生労働省の発表では、2012年の給与はピーク時の15%減と過去20年間で最低を更新し、非正規労働者の割合は10%以上増加しています。一方、資本金10億円以上の平均株主配当は約2.8倍、役員報酬は約1.2倍もふえ、資本金10億円以上企業の内部留保は20年間で2.2倍ふえて約273兆円にも達していると言われています。 こうした実態にある中、今物価を上げていこうとするわけですが、一方で今春闘における連合の給与総額1%引き上げ要求に対して、経団連は定期昇給の凍結も示唆するなど、賃金や雇用は引き続き抑えられる様相にあり、これでは消費や投資の拡大の展望は開けません。 今求められているのは適切な労働分配率の確保に向けた施策の推進であり、知事は本県の雇用の安定と適切な労働分配率による可処分所得の引き上げに向けどう取り組んでいくのか、見解をお伺いいたします。 次に、給与に関する一連の地方交付税の削減についてであります。 安倍政権は、大胆な経済対策を打ち出しながら、その一方で公務員の賃金、生活保護、年金などを引き下げて、消費税増税を計画することは、政策的に一貫性がなく、整合性に欠けていると指摘せざるを得ません。 とりわけ国家公務員に準じた給与の臨時特例削減を地方に要請し、その分の地方交付税を削減することは、地方自治法、地方公務員法、地方交付税法などの地方自治に関する重要な法律の本旨をないがしろにするものであります。 地方のラスパイレス指数を2年間限定の国家公務員の給与削減特例措置と比較すること自体が問題であり、既に地方は自主的な行財政改革によって人件費を大幅に減らしてきており、本県でも2度にわたる地震対応も含め過去5回、総額95億円強の職員給与の自主削減を行ってきております。 知事も国と地方の給与比較の仕方、地方交付税不交付団体との整合性、それに経済対策との一貫性などから問題であり、加えて地方自治への介入と分権の趣旨に反するなどとして国の方針を批判していることは当然であり、けさのマスコミの報道では知事、政令市長の8割が反対していることからも、首長が一体となって、こうした地方分権に逆行する国の押しつけを撤回するよう求めていくべきであります。 そこで、そうした姿勢に立って、今後も国に対して再考を要請していくべきではないかと考えますが、知事にお伺いいたします。 次に、県職員は地方公務員法によって、労働基本権を制約され、その代償措置として人事委員会勧告制度がある中で、国は国家公務員に準じた給与の臨時特例削減を地方に要請していますが、県職員の賃金決定システムのあり方について、知事はどのような見解を持つのかお伺いいたします。 次に、地方公務員の給与削減は県内企業、地場産業の賃金にも引き下げの圧力を加えることにつながり、景気浮揚の重要な要素である消費をさらに冷え込ませ、内需拡大を抑え込むことにつながりますが、知事はアベノミクスと地方公務員の給与削減の整合性をいかに考えているか見解をお伺いいたします。 また、仮に県職員の給与削減を実施した場合の地域経済に与える影響についてどのように考えているか、このことについてもあわせて見解をお伺いいたします。 次に、提案されている退職手当に関する条例についてであります。 退職手当は、職員の勤務条件ではあるものの、人事委員会の勧告事項ではないため、労使交渉事項となるわけですが、今議会に国に準じて職員の退職手当の支給基準を引き下げる条例の提案については、当然事前の労使合意があってしかるべきと考えますが、労使で合意なされた内容が提案されているのかお伺いいたします。 また、労使で合意に至らない中での提案であるとしたならば、今後において労使の誠実な交渉により合意すべきものであると考えますが、あわせて見解をお伺いいたします。 通告の第2点目、道州制、新潟州構想について質問いたします。 最初に、安倍政権は民主党がつくった地域主権という表現や一括交付金など地方の裁量拡大策を一掃し、国出先機関の広域連合への移管に反対する一方で、かわりに道州制を再浮上させています。 こうした形での道州制導入は、逆に国から地方への権限移譲を進めないための隠れみのに使われるのではないかという懸念が払拭できませんが、このことについて知事はどのように受けとめているかお伺いいたします。 次に、安倍政権は今通常国会に道州制基本法を提出、5年以内に早期実現を目指すとしていますが、これまでのような都道府県を廃止して全国を10程度の道や州に再編するというものであっては、総論賛成としつつも、具体的なブロックの区割りや州都の選定など、各論に入ると対立が激化するというこれまでの構造が再び繰り返されることになるものと考えます。 知事は、道州制については単なる都道府県合併ではなく、地域で自己決定ができ、多様な選択肢を住民が持てる道州制を目指したいとのことから、道州制推進知事・指定都市市長連合のメンバーとして、政府に早期実現の行動を起こしていますが、知事が描く具体的な道州制のあり方や内容について改めて見解をお伺いするとともに、これまで掲げてきている新潟州構想とはどのような関連になるのか、あわせてお伺いいたします。 次に、道州制や新潟州構想など地方分権改革に向けた論議が加速する中、市町村や県民はそうした状況から蚊帳の外に置かれているのが実態ではないかと考えます。道州制や新潟州構想については、県民生活に大きな影響がある課題であり、県民的な議論を形成していく時期に来ているものと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。 通告の第3点目、原発問題について質問します。 知事は、福島原発事故の検証なしに再稼働の論議はしないと、今議会でも何遍も繰り返してきました。一方、安倍首相は今国会での施政方針演説の中で、原発は再稼働しますと明言しました。国と県という責任の大小はありますが、余りにも姿勢の違いに驚かされると同時に、住民の安全を守る同じ立場の責任者としてとらなければならない姿勢はどうあるべきか、それはやはり安易な見切り発車はできないとする泉田知事の姿勢こそ、本来の為政者としてとるべき姿であると思います。 安倍首相は、高い内閣支持率を背景に、原子力規制委員会の判断を優先するとした総選挙におけるみずからの政権公約に背き、原発推進にかじを切りましたが、昨年末の総選挙における自民党大勝は、前民主党政権の失政と小選挙区制度の恩恵結果であり、総選挙後のマスコミアンケートでは依然として70%を超える脱原発を求める世論があることからしても、選挙結果は決して国民が原発推進を認めたものではありません。 事故の過酷さゆえに、検証どころか廃炉の道筋も見えず、現地では多くの人々がふるさとを追われ、今なお拡大する放射能汚染に苦しみ、賠償もままならず、子供のがんリスクが高まっているなどの状況を考えると、どうして原発の再稼働などと口から出てくるのか、長年の自民党の原発推進政策が福島原発事故を起こしたことを、自民党はもっと謙虚に反省すべきであり、そうした姿勢がないのか、原発問題を質問するに当たり、冒頭このことを強く申し上げておきたいと思います。 まず最初に、県民投票条例についてであります。 1月臨時議会で審議された柏崎刈羽原発の稼働の是非を問う県民投票条例は、原発は国策であり、国が責任を持って判断すべきとの理由で自民党、民主党などの反対で否決されましたが、これまで自民党、民主党は国策に対してもいろいろな意見書や決議案等を提出してきていながら、こと原発に対しては国策を理由に逃げることは大きな矛盾であることを指摘せざるを得ません。 国民的議論の中で民意が形成されてこそ国策であるにもかかわらず、国民の知らないところで利権に群がり原発政策が推進され、気がついたら隣に原発が建っていた。その原発の安全神話が崩壊したにもかかわらず、国策だから県民は意見が言えないなどとは、全くもって本末転倒と考えますが、国策を理由に否決されたことについて、知事はどう受けとめているか、改めてお伺いいたします。 また、知事は否決されたことについて、残念である、県民投票を実施したほうがいいと述べ、意見表明の機会が欲しいという県民の声をどのように受けとめるか、大きな課題が残ったとして、今後この点をどう実現するか模索する旨の姿勢を記者会見で述べていますが、その考えに立って今後どう対応していくのか、あわせてお伺いいたします。 次に、新安全基準についてであります。 原子力規制委員会の7月施行に向けた原発の新安全基準づくりは、二度と過酷事故を起こさないよう万全の安全策を求める専門家が排除される一方で、原子力ムラからの外部有識者を中心に、過剰な安全対策とならないよう抑える形で検討が進められ、福島第一原発事故の全容解明と検証が十分になされていない中で骨子案を出すという、余りにも拙速な進め方であります。 また、安全に向けた最低限の基準であることからすれば、厳格に守らせるべく、曲解の余地のない内容でなければならないにもかかわらず、骨子案の内容は、学会の常識である活断層を40万年前以降とする定義については従来どおり12から13万年前以降でよいとされ、判断できない場合にのみ40万年前までさかのぼって判断するなどと、論議の途中から大きく後退し、事故に備えた非常用電源や、原子炉に注水できる冷却ポンプ、それに原子炉建屋内の制御室にかわる第2の制御室である特定安全施設の設置など時間のかかる方策については執行猶予を与えるなど、解釈によっては電力会社に都合のよいものとなっています。 要は福島第一原発事故の全容解明と検証が十分なされない中で、第2の安全神話がつくられるということであります。 県が昨年10月に原子力規制委員会に送った質問状に十分な回答がないことから、知事は措置要求も想定するとしていますが、福島原発事故の検証が不十分なままの新安全基準骨子案についてどのように受けとめているかお伺いいたします。 また、この新安全基準骨子案は、知事が福島第一原発事故の検証が先とする姿勢にどう影響を及ぼすのか、あわせてお伺いいたします。 次に、活断層問題であります。 原子力規制委員会の新安全基準骨子案では、直上に重要施設を設置してはならない断層として、地層が横側から押されてたわむ褶曲活動によって地表面がずれる断層を含むとしています。 柏崎刈羽原発敷地内には22本の断層が確認されており、いずれも原子炉建屋など重要施設の直下にあり、特に活動年代が新しい1、2号機直下のα、βの2本の断層はこの褶曲活動によってずれたとされており、この骨子案でいくと、まさに重要施設を設置してはいけない対象になります。 また、いろいろな前提条件がついていますが、活断層定義が40万年前以降となると、柏崎刈羽原発直下の断層の活動時期が24万から13万年前と比較的新しいことからも正確な調査が必要であり、調査結果いかんでは本県の原発政策に大きな影響を及ぼすことになるだけに、安全よりも企業利益、再稼働優先の電力会社の独自調査に任せるのでは真の安全は保たれないと考えます。 現在原子力規制委員会から敷地内に活断層の疑いが指摘され、現地調査の必要があるとした原発は、もんじゅを含めて6カ所あり、その中に柏崎刈羽原発も入っていますが、実際調査がいつ行われるのか定かではありません。 先般地元で開催された地域の会では、出席した柏崎市長、刈羽村長とも、活断層調査を原子力規制委員会に求める必要があるとの発言をしております。 こうしたことを踏まえ、知事は柏崎刈羽原発の活断層については正式に責任ある調査を原子力規制委員会に求めていくべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。 次に、国会事故調査委員会に対する妨害についてであります。 国会事故調は、他の事故調と違って唯一地震によって重要機器が壊れた可能性に言及していただけに、この国会事故調が、非常用復水器や配管など重要機器がどうなっているか、現場検証に踏み込もうとしたことに対し、東電が中は真っ暗で危ないなどとして虚偽の説明で妨害したことはまことに遺憾であり、都合の悪いものは隠すという東電の隠ぺい体質が全く変わってないことを再び露呈させました。 東電は、福島原発事故発生以前からも、トラブル隠しや虚偽報告を繰り返してきており、ここにきて福島第一原発事故で働いた約2万人の被爆記録を関係機関に未提出であることも発覚するなど、こうしたずさんな隠ぺい体質が一向に改まらない実態に対する知事の所見をお伺いいたします。 また、知事も事故直後、津波ではなく地震で壊れた可能性があると指摘しており、地震で重要機器が壊れたとなれば、耐震基準の見直しが必至となるだけに、まさにこの真相を究明することが、知事が求めている検証の重要な一つと考えますが、どう対応するのかあわせて見解をお伺いいたします。 次に、安全管理に関する技術委員会の報告についてであります。 知事の要請で福島第一原発事故の検証を進めている技術委員会は、検証の議論の整理を行い、年度内に10項目の論点を一旦まとめて知事に提出するとしていますが、鈴木座長は、これで福島原発事故の検証が終わったわけではなく、検証作業は最終的には十数年かかるとの見通しを示しつつ、この報告と再稼働との結びつきは知事次第と述べています。 福島第一原発が過酷事故に至った検証のあり方については、先ほどの地震による機器の損傷の有無や、溶融核燃料の実態把握、それに格納容器に落ちた燃料の取り出しての損傷調査など、実際に内部に入った全容解明こそ本当の検証であり、そうしなければ全て想定になってしまうことから、知事が主張する検証は当然そうあるべきと考えますが、知事は技術委員会の報告をどのような位置づけに置いているのか、見解をお伺いいたします。 次に、技術委員会委員の利益相反問題についてであります。 技術委員会の鈴木賢治座長が、電力9社からの出資で設立された電力中央研究所から3カ年で計335万円の研究費を受けていたなど、技術委員会委員が電力会社や関係団体から寄附や研究支援を受けていた問題について、知事は専門家の数が細っていく中で電力会社と共同作業を行った人は全てだめといったら議論ができないなどとして、総合的に判断するとしています。 しかし、鈴木座長は電力業界などからの研究費を受け取っていたのに加え、日本保全学会の理事も務めております。この日本保全学会とは、電力会社とプラントメーカーで構成する学会で、原子力産業の長寿命化をテーマに掲げ、取り組んでいます。そして、この学会は福島第一原発事故の徹底検証が終わらない前から、東電の過酷事故対策を妥当と結論づけております。 さらに、この学会はことしの1月29日には、原子力規制委員会に対し、新安全基準骨子案を事実上甘い基準にせよという内容を文書で原子力規制委員会に提言しています。 また、技術委員会委員の自己申告は、昨年9月県議会における私の一般質問の指摘により初めて実施されたものと理解していますが、公開された内容は技術委員会員になってからのものであります。過去に受けていた研究費や寄附金を申告していないことも問題ですが、それ以上に問題なのは、委員になってからもなお関連業界から資金の提供を受け続け、指摘があるまで黙っているというこの姿勢であり、そのこと自体が不適切、かつ品位や見識が問われるものではありませんか。このことについては通告してありませんが、知事及び担当部局はどのように思っているのか伺いたいものであります。 関連業界から寄附金等を受けこうした活動を行っている学会の理事が、中立公正を保ち、県民の命と財産を守るという使命のある技術委員会の座長として適格なのか、利益相反にある人では客観的な判断はできない、中立性は保たれないと県民が指摘するのはごく当然で、当たり前のことであります。 鈴木座長は辞任する考えがないようでありますが、真に県民の安全確保に向けた信頼される機関とするためにも、任期切れ時には委員の交代や適切な対応をすべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。 原発問題の最後ですが、電気料金の値上げについてであります。 電力各社が相次いで電気料金の値上げ申請に動いている中、電力各社は原発再稼働の見通しがつかず資金繰りが苦しい日本原子力発電に対し、1,000億円を超える資金支援や債務保証をするとのことでありますが、昨年夏の猛暑でも電力不足が生じなく、現在原発の必要性そのものが問われており、この先も再稼働のめどが立たない原発の維持に電力会社が相互に多額な資金を投入し、そのツケを電気料金から利用者に転嫁するなどということは許されないことであります。 東北電力では、家庭向け電気料金の平均11.41%、企業向けの17.74%の値上げ申請などをしていることに対し、関係する自治体と一緒に強く異を唱えていくべきではないのか、知事にお伺いいたします。 通告の第4点目、既に多くの質問が出され、重複するものもありますが、新幹線、並行在来線について質問いたします。 最初に、地元負担の軽減についてであります。 JR東日本と1年越しの協議が調い、資産譲渡は実質無償化、えちごトキめき鉄道への支援に向け、開業準備に必要な費用や開業後の安定経営に向けた負担等の試算内容が明らかにされました。 沿線3市に対しては、初期投資の出資に7.6億円、開業後の安定経営に向け、確認した財政力の許す範囲内として法人事業税や固定資産税の活用で約40億円を見込んでいますが、多額な費用負担ではないのかと考えます。 先行している他の並行在来線の状況も加味しながら、さらに地元負担の軽減をできないのか、知事の見解をお伺いいたします。 次に、全列車停車問題についてであります。 当初、知事が北陸新幹線建設費の負担金の支払いについて、負担と受益の観点から知事が主張していたもう一つの条件である各県一駅への全列車停車問題は、依然として不透明のままで課題として残っています。 私は、負担金をめぐって国や沿線他県とのあつれきがこれ以上助長するようなら、各県一駅への全列車停車には必ずしもこだわらないでもよいのではないかとただしてきた経過もありますが、やはり沿線住民は最速型の停車を強く望んでいるのが実態であります。 ここにきて、必ずしも全列車停車にはこだわらないなどと知事の姿勢に変化が見られるような発言が報道されていますが、改めて全列車停車問題について、知事はどのような見解にあるのかお伺いするとともに、2年後に迫る開業に向けどう取り組んでいくのか、あわせて知事の見解をお伺いいたします。 次に、優等列車の存続問題についてであります。 北陸新幹線の開業に伴う特急北越や快速くびき野の廃止は、上越地方と県都を結ぶ重要なアクセスを断ち切ることから、存続に向けた沿線住民の強い願いがあります。 県は、これまで存続に向け、精力的にJRと協議を続け、先般JR東日本社長との支援合意をした場においても、課題として取り上げられてきたものと理解しますが、知事は存続へどのような感触を得ており、今後どう取り組みを進めていく考えかお伺いいたします。 次に、並行在来線の運賃についてであります。 並行在来線の運賃について、当初の経営基本計画では、現行の1.6倍に上げても30年間で600億円の公的負担が必要との試算をしていましたが、ここにきて国の支援のほか、並行在来線への投資・支援スキーム案に基づく、県、沿線市の経営支援により現行の1.3倍でも経営が成り立つとの見通しを示しています。 会社の安定経営に向け、一定の運賃による収入確保の必要性は十分理解はいたしますが、マイレールとして住民から愛され、利便性の向上で利用増につなげていくためにも、運賃設定は現行料金の維持も含め、いかに低価格に設定するかが重要であると考えます。 えちごトキめき鉄道は、他県と違って人口が少なく山間地域を走るという難点はありますが、石川県では値上げ率を20%未満に抑え、通学定期の値上げ率も15%に抑える方向性を示していることからも、本県も利用状況や将来予測を踏まえた経営努力の再試算をする中で、利用者に配慮したさらなる運賃引き下げはできないのか、通学定期の値上げ試算も含め、知事の見解をお伺いいたします。 次に、北陸新幹線の名称についてであります。 開業が2年後に迫り、長野県知事は北陸新幹線の名称について、これまで運行していた長野新幹線の長野を残すことを沿線県やJRに求めていくとしていますが、それに対し富山県知事や石川県知事は北陸新幹線が正式名称として否定的な見解を示しております。 1997年に開業した長野新幹線は、北陸新幹線の金沢駅延伸までの便宜上、長野新幹線という名称がつけられていたもので、正式には北陸新幹線の一部という位置づけであるという理解はしていますが、15年間も長野の名称が使われてきたことからすれば、長野県の気持ちも十分理解できるものであります。 泉田知事は、前から聞いている話で新しい話ではないとして賛否には言及していませんが、このことをどのように解釈すればよいのか、北陸新幹線の名称について知事の見解をお伺いいたします。 最後になりますが、佐渡汽船小木―直江津航路についてであります。 2015年春の北陸新幹線開業に向け、佐渡汽船小木―直江津航路の2隻体制復帰を目指し検討してきた佐渡航路確保・維持改善協議会では、先般新造船の高速カーフェリーを就航させて、1隻体制のままダイヤを現行の1.5往復から2往復にふやす方向での意見が主流であったと聞き及んでいます。 一方知事は、上越市、佐渡市に公的支援の呼びかけを行うなどとして、2隻体制を念頭に利便性向上を図りたいとのことで、1隻体制のままで2往復する案には否定的な見解であると私は理解しております。 こうした協議会と知事の考え方には相違があるものと考えますが、協議会の意見も踏まえ、知事はどのように進めていくのか、改めて見解をお伺いいたします。 また、資金的、スケジュール的な制約から、2015年春の北陸新幹線開業に間に合わず、先延ばしも視野にあるようでありますが、関西圏を対象にした県の昨年8月のネット調査では、新潟県を訪れたいエリアでは佐渡が48.8%のトップと、誘客の期待性は佐渡が一番高いことからも、運航体制の見直しは北陸新幹線の開業に間に合わせることが重要であり、そうすることで最も効果が発揮されるものと考えますが、あわせて知事の見解をお伺いし、通告した質問を終わります。(拍手) 〔知事泉田裕彦君登壇〕
◎知事(泉田裕彦君) 小山議員の一般質問に順次お答えをいたします。 まず初めに、県財政の運営の見通しについてお尋ねを頂戴いたしました。 税収はどのようにして決まるかといいますと、名目の経済成長率に依存をいたします。 そのため、国においてまずはインフレターゲット政策を採用するなど、的確なマクロ金融・経済財政政策を講じていただきたいと考えています。名目での経済成長を達成するということが必要だと考えています。 その結果、実質の経済成長率が低くても税収は増加をしていきます。県財政の運営はより安定化するものと考えております。ついでにもう一つ申し上げますと、物価上昇をしていく経済においては、過去の借金が相対的に軽くなっていくという効果も期待をできるところであります。 なお、財政運営計画における試算の考え方につきましては、総務管理部長から補足答弁をいたします。 次に、臨時財政対策債についてお答えをいたします。 議員御指摘のとおり、これは本来国において全額交付税で交付すべきものであります。それでは、これを債務として扱うべきなのかということなのですけれども、県としてこの臨時財政対策債、すなわち交付税に相当するものですが、これを発行しないとどうなるのかというと、行政サービスを低下させることになります。県民にしわを寄せるということになりますので、臨財債を発行しないで県民サービスを低下させるということは望ましくないと考えております。 では、これは本当に返せるのかという御心配いただいているようですが、後年度の償還に関しては全額交付税措置をされるということになるのは、国の側から見るとどうなるかといいますと、公債費として義務的経費として位置づけられることになります。最優先で措置されるお金ですから、これはやはり有効に活用していくということが筋ではないかと思っています。県の債務として扱い、そして県民サービスを低下させることは避けるべきではないかと考えています。 次に、自動車取得税及び自動車重量税の見直しについてであります。 自動車取得税の廃止に当たりましては、安定的な財源を確保して地方財政への影響に対する適切な補てん措置を講じるということが前提とされております。 県といたしましては、全国知事会等も通じまして、安定的な財源確保がされるよう、引き続き国に要望してまいりたいと思います。 また、自動車重量税につきまして、特段の制度改正があったわけではありませんので、民主党政権時代と実質は変わらないものと受けとめております。 次に、デフレ経済からの脱却についてお尋ねをいただきました。 デフレ経済を脱却するにはどうしたらいいのかということなのですが、やはりベースマネーの増大、それから政府支出の拡大が必要であります。需給ギャップを埋めるという視点での適切な金融政策と財政政策を機動的に講じていく必要があると考えています。 議員の質問の中で個人消費を先にふやしたいというお気持ちは伝わってまいりました。ただ、残念ながらGDP項目の最大のウエートを占める消費、これが先に動くことはありません。 なぜかといいますと、個人消費はさまざまな、例えば住宅ローンを抱えている家庭、教育費を抱えている家庭、車のローンを抱えている家庭、食費、衣服費、払わないといけません。したがいまして、若干給与が減ったからといって、ここが大幅に減ることはない一方、逆に給料がふえたからといって、急に支出がふえるのかというと、やはり貯蓄に回す、将来のリスクに備えるということになりますので、ウエートは大きいのですけれども、動き方が極めて緩いというのが消費の特徴であります。 では、どういうふうにしてGDPを経済成長させていくのかといいますと、常識的にはGDPの支出項目で政策意思で動かせるところを変えていくしかないわけです。GDPの品目は、輸出入を除くと3つしかないのです。消費と投資と政府最終消費支出です。 投資は、民間が萎縮している中で動かない。消費は、基本的な生活を支えるために動かない。そうすると、動かすことができるのは政府最終消費支出ということになります。ここを拡大をしていく、そしてベースマネーをふやして円高の是正をしていくということなしに、経済の構造は変わらないことになります。 ちなみに、円高の是正ができる、もしくは物価が上昇局面に入ると、銀行に預けていくのは損ということになりますので、事業に投資をするということになります。それで設備投資が拡大をし、企業収益が改善し、雇用が安定をし、賃金上昇、個人消費の拡大につながるという順番以外あり得ないということであります。したがいまして、これを愚直に追求をするということだと思います。 なお、消費増税につきましては、法律の附則にあるように、デフレから脱却し、景気回復が図られて経済が成長軌道に乗らない限り、増税は実施されるべきものではないと認識をいたしております。 次に、本県の雇用の安定等についてであります。 雇用の安定と可処分所得を増加させるためには、今ほど御説明をしたとおり、やはり順番があります。異常な円高の是正とデフレ経済からの脱却、これを進めていく必要があると思います。 個々人の行動ではなくて、マクロ経済の視点から見れば、やはり政府日銀が適切な金融・財政政策を講じればいいと。近年マーケットが反応しているところは実感をされていると思います。これなぜ反応するのかと。以前為替レートはマーケットで決めるので人為的に変えられないということが評論家等によって喧伝されましたけれども、それはうそだということをずっと申し上げてきました。適切な政策をとれば反応するということなわけであります。 したがって、やはり政府日銀が政策意思を明確にして、マーケットと対話をしながらどういうマクロ経済をつくっていくのかということを着実に実証する必要があると考えております。それによって円高を是正をし、あと株価と資産上昇、これが行われると企業収益の早期の改善に結びつくということだと思います。 これは、歴史をたどると高橋是清財政が発動されたときは1年でマイナス10%の成長だったのが7.6%成長まで回復していますので、期待インフレ率を変えることができれば、そんなに時間がかからずに私は結果を出せるものと確信をいたしております。 その結果、雇用の安定、拡大、賃金の増加へと効果が波及をしていくということだと思います。だから、このタイミングを間違えて消費増税などをすると、せっかく戻りかけた経済の腰を折って、好循環から逆循環に入るというおそれがありますので、そこは注意する必要があると考えています。 県といたしましては、国の経済対策と連携をして、本県の強みを生かしながら成長が期待できる分野への積極的な施策を進めてまいりたいと思います。同時に、未来への投資を着実に実行することによって雇用の安定拡大、賃金上昇につなげてまいりたいと思います。 次に、給与の削減要請と地方交付税の削減の対応についてであります。 これは議員御指摘のとおり、今回の国の方針は地方自治の本旨に反するものでありますので、引き続き再考を働きかけてまいりたいと思います。 次に、県職員の給与決定システムのあり方についてでありますが、地方公務員の給与は、地域の民間給与や国及び他の都道府県の給与実態など、社会一般の情勢に適応するよう、地方公共団体が自主的に決定すべきものであると考えております。 給与格差を放置をすると、優秀な人材の確保にも反することになるわけです。地域においてその役割を果たしてくれる人材をしっかりと確保していくというためにも、賃金水準をどうするかということを考慮に入れていかなければならないと考えております。 現行の制度では、公正中立な機関である人事委員会が行う勧告や、公務を取り巻く諸情勢を踏まえまして、議会の議決により決定されることとなっております。この制度は妥当なものと認識をいたしております。 次に、アベノミクスと地方公務員の給与削減についてであります。 市川議員の代表質問でお答えをしたとおり、デフレ経済から脱却をし、持続的な経済成長を目指していくと、そして給与もふやしていくというのがアベノミクスであるわけですから、このアベノミクスと整合性のある施策を実施すべきであると考えております。 仮に給与削減を実施するとどうなるかといいますと、いわゆる世間相場を参考に給与を決定している企業がマイナスに改定をしていくと。本来給与を上げなければいけない局面で、給与を抑制するという方向に向かっていってしまう。それがどうなるかというと、回りめぐって所得減少を招き、消費支出を押し下げるということになってくるわけで、デフレの深刻化を助長することにもなりかねないということだと思います。地域経済への影響は否定できないものと認識をしています。 次に、道州制、新潟州構想についてお答えをいたします。 まず、安倍政権の道州制と権限移譲についてでありますが、現在道州制の定義はもちろん、国の出先機関改革を含む地方分権改革全体の進め方も政府の方針が明確になっていません。 しかしながら、国の抜本的な権限移譲を行わずに、効率化ありきの都道府県合併を進めるとどうなるかというと、周辺部を中心にやはり地域社会が疲弊をしていくということを懸念せざるを得ないと思います。 また、国の出先機関の管轄区域を基本として国主導で国の中の権限を修正するというような形での中央集権型の道州制が進むのではないかという懸念も抱いているところであります。 次に、道州制のあり方などについてでありますが、目指すべき道州制は、小島隆議員の一般質問にお答えをしたとおりでありますけれども、抜本的な地方への権限移譲によって地方の自己決定力を高める道州制であります。地域の課題にみずから取り組むことができ、そして新たなアイデアを制度とともに試していくことができる、日本全体が活力を取り戻すことのできるような仕組みをつくっていく、地域の多様性を踏まえた道州制であると考えています。 また、新潟州構想に関しましては、現在県と政令市は二重行政にかかわる事例を抱えておりますので、これを排除していく取り組みを、見える形で進めていきたいと考えています。 今後の道州制議論の中で求められるであろう論点の一つは行政の効率化、身を切る改革をすべきという点がやはり焦点に当たってくるのだろうということだと思います。地方分権、地方自治、地域主権ということを先に出して非効率を残していくということはけしからんという議論が惹起される可能性というのはありますので、やはり我が身に係ることについて常識的な判断をしていく、そのための準備はしていく必要があるのだろうということだと思います。 多様な選択肢があり得るということを多くの県民の皆様にも御理解をいただけるような取り組みを進めてまいりたいと思います。 次に、道州制等の県民的な議論についてでありますが、道州制とは、やはり日本の活性化に向けた統治構造の抜本的な改革が必要であると考えております。この本質的な目的が国民の間で共有をされていないまま性急に進められるのではないかという懸念があります。 道州制というと、エリアを広げる、それから都道府県合併をするということと誤解されているのではないか。道州制が目指すものは何なのかというところの共通認識を、やはりつくっていく必要があるのだと思っています。 特に本県について考えますと、国の出先機関の管轄区域が錯綜しております。一方、都市圏について考えますと、東京、大阪、名古屋と違いまして、1つの県の中で都市圏が完結をしている、地域にまとまりがあるというような特有の課題や論点を抱えているところであります。 こうした点も踏まえまして、新潟の将来をどうしていくのかということを、危機感を持って県議会を初め市町村、県民の皆様と問題意識を共有したいと考えております。そのためにも議論を深めていく必要があると考えております。 次に、原発問題についてお答えをいたします。 まず、県民投票条例についてでありますが、身近に生じ、その選択が子々孫々まで長期に影響を及ぼす重要課題であるにもかかわらず、否決をされてしまったということは大変残念に感じております。 なお、意見表明の機会が欲しいという声をどのように受けとめるのかという課題が残っております。これについてはさまざまな手法があり、時期も含めて模索をしていきたいと考えております。 次に、原子力発電所の安全基準についてお尋ねをいただきました。 福島第一原子力発電所の事故の検証がないまま新たな安全基準が策定をされるということになれば、同じことを繰り返しかねないという懸念が残るわけであります。その基準には正当性はなく、安全を確保することにはなりません。 このような骨子案を示されても、事故の検証、総括がなければ再稼働の議論はしないという考えに影響を及ぼすことはありません。 次に、活断層の調査についてであります。 第一義的には、原子力規制委員会が責任を持って対応すべきと考えております。原子力規制委員会の対応に疑問が残る場合には、県の安全管理に関する技術委員会で議論していただくなど、改めて県として対応してまいります。 次に、東京電力の体質等について御質問をいただきました。 東京電力の対応は、事故の当事者として本当に厳粛な反省と真摯な姿勢があるのか疑問が残ります。東京電力の原子力改革監視委員会の調査も十分なものではありません。多くの人々が感じている疑問や不安にきちっと答えられるよう、事故当事者として情報開示をしっかり行い、真相を究明すべきと考えております。 県といたしましては、具体的な検証作業は安全管理に関する技術委員会に委ねたいと考えております。 次に、安全管理に関する技術委員会の報告についてであります。 年度内にその時点での議論の整理がなされるというふうに理解をいたしております。検証は今後も継続されるものと考えており、検証の一里塚として受けとめております。 次に、安全管理に関する技術委員会の委員についてであります。 委員には、各分野の第一線で活躍をされ、最新の知見を持つ専門家にお願いをしております。最先端の研究を進めているさまざまな機関や企業と共同研究する機会を有することもあるものと承知をいたしております。 一方で、原発反対運動に携わった経歴を持つ人は、中立性について不適格とすべきという意見もあります。所属する学会や経歴、肩書などをもって原子力に反対、または賛成の立場として排除すれば委員会が成り立たなくなると危惧をいたしております。 委員の人選については、識見に基づいて科学的に議論していただけるか否かという観点から適格性を判断し、適切に対応してまいります。 次に、東北電力の電気料金値上げについてでありますが、県といたしましては、電気料金の値上げは多大な影響を及ぼすものであることから、高橋議員の一般質問にお答えをしたとおり、東北電力に対しまして、安価な天然ガスの調達などより一層の経営努力を求めてまいりたいと思います。国に対しては厳正な審査を要請してまいります。 また、日本原子力発電への資金支援等については、将来発生する可能性のある債務でありまして、値上げ申請の費用には積算されない性質のものであるというふうに東北電力から聞いております。 なお、関係する自治体との意見集約については、さまざまな立場があり、難しい課題があるものと認識をいたしております。 次に、新幹線、並行在来線についてお答えをいたします。 まず、並行在来線に対する地元負担についてでありますが、沿線3市に求めている出資及び支援は、新幹線の開通に伴う新たな税の増収の範囲内のものであります。平成9年及び12年の確認書で合意をしております、財政力の許す範囲内であると考えております。 また、並行在来線会社が負担する税金を並行在来線の安定経営と利用者の負担軽減のための財源として活用していただくことには、高い合理性があると考えております。 次に、北陸新幹線の県内駅の停車についてであります。 県として負担に見合う受益の確保が必要であること、並びに国が設計認可の権限及び責任を有しているということから、国に対しまして設計認可をするときに通過駅の規格などつくらずに原則として各県一駅停車を求めるということを強く要望したものであります。 これにつきましては、昨年2月の国土交通大臣との合意により、国からJRに対し助言を行うということで一応の決着を見ております。県民にとって望ましい結論となるよう、引き続き国との協議を進めてまいります。 一方、上場会社であるJRに対しては、経済原則に基づき停車駅を設定するものと認識しておりますので、当初から停車の要望はいたしておりません。県といたしましては、JRが停止したくなるような地域づくりに沿線市とともに取り組みを進めてまいりたいと思います。 次に、優等列車の存続に向けた取り組みについてでありますが、県といたしましては、優等列車の存続について鉄道整備促進協議会等を通じて重ねて要望してきたところであります。JR東日本の社長からは、本県の意見も踏まえて議論していきたいというお話を頂戴いたしております。引き続き県土の分断が生じないように協議を継続してまいります。 次に、並行在来線の運賃についてでありますが、運賃につきましては、えちごトキめき鉄道が投資・支援スキームのほか、国やJRの支援を踏まえた資金計画、収支見通し等を検討した上で最終的に決定するものであります。 県といたしましては、会社に対して、健全経営とのバランスを踏まえながら、通学定期を中心に利用者負担を極力抑制するよう求めてまいります。地元といたしましても、ぜひともこの鉄道をマイレールとして多く御利用いただきたいというふうに思います。みんなで乗るということによって問題が小さくなっていくということだと考えております。 次に、北陸新幹線の呼称についてであります。 法に基づく公示上の名称は北陸新幹線であります。一方、長野新幹線といった通称はJRが決めていることであります。運行主体であるJRにおいて総合的な見地から決定していただきたいと考えています。なお、仮にこのまま推移をして名称が決められず、JRから意見を求められれば、本県としての意見を提案することもやぶさかではありません。 次に、小木―直江津航路への対応についてでありますが、市川議員の代表質問でもお答えをしたとおりであります。同航路は赤字航路であります。したがいまして、北陸新幹線開業に向けて、利便性を高め、持続性のある安定した航路としていくためには、公的負担が不可欠であると考えております。 県といたしましては、佐渡航路確保維持改善協議会における意見なども踏まえまして、佐渡汽船、佐渡市及び上越市と緊密に連携を図りながら、見直しに向けた調整を進めてまいりたいと思います。 また、議員御指摘のとおり、北陸新幹線開業により同航路の重要性はさらに高まると見込まれていますことから、開業を見据えて見直しを図ってまいりたいと考えております。 〔総務管理部長寺家克昌君登壇〕
◎総務管理部長(寺家克昌君) 2点についてお答えいたします。 財政運営計画における試算の考え方についてでありますが、先般公表いたしました財政運営計画では、税収等の試算の基礎となる名目経済成長率について、平成34年度までの期間平均で3%程度と見込んでおります。 GDPデフレーターを政府日銀によるインフレターゲットと同様の2%とすれば、実質成長率が平成24年度並みの1%であったとしても、名目成長率は3%となります。このため、この見通しは現実的で達成可能なものと考えており、今後も県財政は安定的な運営が可能と考えております。 次に、職員の退職手当条例の見直しについてでありますが、職員団体とは4回にわたり交渉を行い、その中で職員の要望や退職手当を取り巻く情勢等を踏まえて一部修正提案するなど、誠意を持って対応してまいりましたが、結果的に合意に至らず、残念に思っております。 しかしながら、本県の退職手当制度は国に準拠しており、今回の改正内容も人事委員会の見解を踏まえ、国に準じた見直しを行うものであることから、今議会でお諮りすることとしたものであります。 今後も勤務条件の交渉に当たっては、これまでどおり誠意を持って対応してまいりたいと考えております。 〔小山芳元君登壇〕
◆小山芳元君 3点再質問させていただきます。 1つ、道州制と新潟州構想について、知事は多様な選択肢があるということを県民に示していきたい旨の答弁をされていますが、この先道州制が推進されてきた場合に、この新潟州構想をその防波堤として打ち出していくと、そういう考えなのか。私そのように今答弁を受けとめたわけでありますけれども、再度見解をお聞きしたいと思います。 それと、新幹線の全列車停車、今までの知事の必須条件と言われる形で新幹線負担金の支払い拒否に大きな条件だったと思うわけでありますが、先ほどの答弁だとそれがころっと変わったような気がするのですけれども、いま一度、何が何でも全列車停車でというこだわりはないと、そういう見解で受けとめてよいのかお聞きしたいと思います。 それから、原発問題の関連業界から研究費など受け取っていた鈴木座長の問題でありますけれども、この鈴木座長が理事をしている日本保全学会というのは電力会社から多額な研究費が出されている業界団体の一部なのです。学会という名前ですけれども、NPO法人なのです。 その多額な費用を出しているのは、最終的には国民が電気料金で負担をしているのです。 それと、私が言いたいのは、この学会が1月29日原子力規制委員会に文書で提言をしているのです。その内容は、新安全基準の基本的なあり方に関する確認事項ということで、規制委員会の骨子案に対し、基本原則から外れているとか、国会が設置した規制委員会と合致しないとか、あるいはまた試行期間を設定しろ、こういう難癖をつけて基準を甘くしろと注文をつけているのです。そういうことなのです。 そういう学会の理事が技術委員会の座長をしていることは、やっぱりこれは公正な判断をゆがめたり、その疑念が生じる。利益相反のこうした事項をどう取り扱うのか、このことに対しやっぱり問題意識を私は持っていただきたいと思うわけであります。 それからすると、規制される側と密接な利害関係を持つ委員が座長というのは、本当に県民の安心、安全を守る立場の中立的な運営が可能なのかどうか、これがやっぱり問われているのであります。 そういう意味から、いま一度この実態を十分御理解いただいて、見直しをしていただきたいと、このことを再考を求めて再質問させていただきます。 以上です。 〔知事泉田裕彦君登壇〕
◎知事(泉田裕彦君) 3点お答えをいたします。 道州制についてでありますが、今開会をしています国会において、この道州制基本法が提出をされるという状況だと認識をいたしております。 新潟の未来をどういうふうにしていくのかというときに多様な選択肢があると、そして何のための道州制なのかということを、広く議会、市町村、また県民の皆様と問題意識を共有をした上で、選択肢としてはいろいろあり得るということを共通認識で持てるかどうか、この新潟州の取り組みということも含めて情報発信をしてまいりたいと思います。 次に、新幹線の停車駅についてでありますが、これは先ほど申し上げたとおり、国に対して設計認可の権限及び責任を有している中で、仮称ですが、上越駅だけ高速通過規格が入っているということから、原則として各県一駅停車を強く要望してきたということであります。 昨年国交大臣との合意で、国からJRに対して助言を行うということで一応の決着を見ていますので、県民の皆様にとって望ましい結論となるよう引き続き国との協議を進めてまいりたいと思います。 それから、技術委員会の人選についてでありますが、委員の人選については、見識に基づいて科学的に議論していただけるか否かという観点から適格性を判断し、適切に対応をしてまいります。 〔小山芳元君登壇〕
◆小山芳元君 1点だけ再々質問させていただきます。 技術委員会委員が電力会社からの寄附金や研究費を受けていると、これについてなのですけれども、見識を評価して科学的見地から判断するということなのですが、鈴木座長が理事を務めている日本保全学会が、原子力規制委員会に1月29日に文書を出しています。 これインターネットで調べてください、どういうことを書いてあるか。これを見ると、こういう人が本当に新潟県の技術委員会の座長としてふさわしいのか、それを私非常に疑問に思うわけであります。 県は自己申告をさせました。それを公開させました。そのままにして、知事が言うように資金提供が全てだめなら委員になる人がいないということであれば、自己申告をさせて公開させた意味がないではないですか。 この申告内容を受けて、知事と県民はどう判断するのか、そのことをきちんと論議すべきであって、それがなければ何の哲学もないと私は思うわけであります。 そういう意味で、全てだめなら委員になる人がいないということになれば、私ども適切な専門家も紹介させていただきたいと思いますので、この問題についてはぜひとも交代期にちゃんと対応していただきたいということと、やっぱり利益相反事項をどうするのかと、これはしっかりマネジメントをやっていただきたいと。この利益相反事項に対する具体的なマネジメントは、これ重要でありますから、今後やっぱり取り組んでいただきたいと思うわけでありますが、再度見解をお伺いして終わりたいと思います。 〔知事泉田裕彦君登壇〕
◎知事(泉田裕彦君) 再々質問についてお答えをいたします。 委員の人選につきましては、科学的に議論していただけるか否かという観点から適格性を判断し、適切に対応をしてまいります。
○副議長(柄沢正三君) 小山芳元君の質問は終わりました。 15分間休憩いたします。 午後2時55分 休憩 ――
――――――☆―――――――― 午後3時10分 開議
○議長(小川和雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、竹島良子君の発言を許します。竹島良子君。 〔竹島良子君登壇〕(拍手)
◆竹島良子君 日本共産党の竹島良子でございます。県政にかかわる重要課題について質問します。 最初に、知事の政治姿勢について質問いたします。 第1は、安倍政権の経済対策についてです。 経済危機への対応においては、デフレ不況の最大の原因が働く人の所得の落ち込みにあることを直視して、働く人の所得をふやす政策に転換することが決定的に重要です。 安倍政権は、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を引き出す成長戦略によって、円高・デフレ不況から脱却し、雇用や所得の拡大を目指すという旧態依然としたトリクルダウン理論を展開していますが、これでは解決しないことは、政治的立場や経済学の違いを超えて今や共通の認識になりつつあります。 元通産官僚の富士総研、根津利三郎氏は、幾ら金融政策を緩和しても賃金が上昇しなければデフレ脱却はできないとし、みずほ総合研究所副理事長の杉浦哲郎氏も、分厚い中間層の回復を目指す雇用政策が必要なのではないかと指摘するなど、財界系シンクタンクといわれる人からもアベノミクス効果を疑問視する声が上がっています。 安倍政権が進める大企業応援策は、これまでも進められ、破綻が明らかな政策です。資本金10億円以上の大企業は、2001年から2009年の間に内部留保を1.5倍にふやし、株主配当金を2.25倍にも伸ばしました。しかし、従業員1人当たりの給付は87.4%に低下させています。労働法制の規制緩和で大企業ほど非正規雇用をふやし、昨年非正規労働者は過去最高の35.2%となりました。今また電機産業の大企業を中心に13万人ともいわれる規模のリストラが進められています。 大企業が利益を上げても、雇用の拡大や賃金の上昇につながらなかったことは、この10数年間の事実によって証明されているのではないでしょうか。破綻が証明済みの大企業応援策を転換することが必要です。 質問の1点目に、知事は政府の経済対策で経済環境が好転することに期待していると、安倍政権の経済対策に期待感を示していますが、大企業が行ってきたリストラや雇用の不安定化を中止し、労働者の賃金を上げ、雇用の安定を図ることでこそデフレ脱却が図られるものと考えます。知事の認識を伺います。 2点目に、毎月勤労統計調査をもとに試算をすると、本県労働者の現金給与総額は、2001年から2011年の10年間で事業所規模5人以上では年間11.3%、43万5,000円、事業所規模30人以上では年間8%、33万円も減少しました。 「ニイガタ地域経済指標」平成24年12月号の家計調査でも、新潟市の2人以上世帯のうち、勤労者世帯の実収入は2002年から9年間で年間135万円減少しています。このような中、安倍政権は2%の物価上昇を中期的な目標とし、大胆な金融緩和を行うことを決めていますが、2%の物価上昇となれば、生活必需品の値上がりは必至です。物価だけ上昇して賃金が上がらず、生活水準は低下するのではないかとの懸念が持たれています。 知事は、2%の物価上昇目標設定が県民の家計に与える影響をどのように認識しているのか伺うと同時に、これ以上県民所得を奪うことになる消費税増税は中止するよう国に求めるべきではないのか、見解を伺います。 3点目に、全国各地で大企業の身勝手な撤退や大規模なリストラが進められ、解雇や工場閉鎖で労働者の生活は破壊され、地域経済にも大きな打撃を与えています。地域経済が持続的に発展するためには、こうした大企業の身勝手なリストラや工場撤退などの動向によって左右されない自立した地域経済をつくることが重要と考えますが、知事の見解を伺います。 知事は、本県の強みを生かしながら成長が期待できる産業分野などへの積極的な施策を展開することで産業の高付加価値化を進めるとしています。そうであれば、本県の強みであるものづくり現場で人材育成に取り組む業界団体などへの支援をさらに進めるべきではないでしょうか。 例えば、長岡には産業活性化協会NAZEがあります。ものづくりを初めとするさまざまな業種の企業や、大学など高等教育機関、金融機関などが会員となり、企業間の技術交流や情報交換、技術開発、広報活動などを積極的に行っています。全国の注目を得るようなものづくりをするために今が重要と、人材育成にも力を入れています。活動が評価され、設立時42会員だったものが、7年たった現在は74会員に増加しています。県は、こうした取り組みを行っている団体などに対し、支援を広げるべきです。 同時に、群馬県では2009年度からものづくり改善インストラクターを養成し、中小企業の生産性向上や競争力強化を図るため、現場にインストラクターを派遣していますが、人を育てるためのこうした戦略的な取り組みが本県で必要ではないのか、知事の認識を伺います。あわせて具体的な取り組みについても伺います。 第2に、TPPについて伺います。 安倍首相は2月23日、オバマ大統領と日米首脳会談を行い、共同声明を発表しました。首相は、会談で聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になったとし、なるべく早い段階で決断したいとTPP交渉参加に踏み出す考えを明言しました。 しかし、発表された日米共同声明には、全ての物品が交渉の対象とされることや、関税と非関税障壁の撤廃が原則であることが明記されており、聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になったなどと言えるものではありません。 日米共同声明に対して、全国農協中央会の萬歳会長は、TPPの特徴である聖域なき関税撤廃を前提にしたものとしか理解できない、日本の農産品についてセンシビリティが存在することが認識されているが、関税撤廃対象から除外することを確認したわけではないとし、入場料とも言われる自動車、保険に関する二国間協議がまとまっておらず、非関税措置についても高い水準を満たす必要があり、政権公約で示された6項目の判断基準が満たされているとは到底理解できないとの声明を発表し、我々は今のような状況でTPP交渉に参加することは反対であり、政府与党は我々の信頼を裏切るような判断を絶対にすべきではないとしました。 知事は昨年1月、萬歳会長が知事選挙に向けTPP交渉参加反対に理解を求めたことについて、萬歳氏と基本的な方向が大きく違うわけではないとの認識を示しましたが、今度の日米共同声明に対する知事の認識は、萬歳会長の声明と同じなのか伺います。 同時に、萬歳会長は今のような状況でTPP交渉に参加することは反対としていますが、知事はTPP交渉への参加についてどう考えるのか伺います。 第3に、道州制について伺います。 自民党は、総選挙の公約で道州制基本法の早期制定後5年以内の道州制導入を目指すとして、積極的に進めようとしています。 自民党道州制推進本部の示す役割分担の骨子案やこの間の特定広域連合づくりの内容を見れば、道州が担う事務と権限は分権というより国と県の事務権限を道州に集権化することであり、国民の暮らし、福祉、教育、安全・安心、まちづくりなどにかかわる責任を丸ごと地方に移譲し、国の責任、役割は縮減する内容だと言わざるを得ません。 道州制では、県と基礎自治体が再編され、県は廃止となりますが、このことについて東大名誉教授の大森彌氏はこれまで120年余りにわたって広域行政を担ってきた領域と行政運営を全廃して的確な業務執行ができるのかと疑問を呈しています。 同時に、基礎自治体について自民党の基本法案が、従来の都道府県及び市町村の権限をおおむねあわせ持ち、地域完結性を有する主体として構築するとしていることから、一定の人口規模と行政能力を判断基準にして整備することになる。基礎自治体とみなされない小規模市町村は必ず合併再編の対象になる。究極の小規模市町村つぶしとなることは必定と指摘をしています。 これらを踏まえれば、道州は住民自治に基づいて民主的な運営が求められる地方公共団体とはとても言えないものと考えます。 質問の1点目に、知事は昨年4月の道州制推進知事・指定市市長連合に設立当初から参加をしており、道州制推進の立場にあります。 そもそも県には広域自治体として市町村と連携し、住民の暮らしや福祉、教育、地域経済の活性化などに向けて果たすべき固有の機能や役割があると思いますが、道州によってこうした機能や役割が果たせると考えるのか、見解を伺います。 2点目に、自民党の道州制基本法案が道州及び基礎自治体に必要な税源を付与するとともに、必要な財政調整制度を設けるとしていることについて、立命館大学の平岡和久教授は、現行の地方交付税廃止とセットで構想されていることは明らか。国による財源保障機能が確保されない可能性が高いと見なければならないと指摘しています。 知事は、こうした懸念があっても道州制を推進すべきと考えるのか、見解を伺います。 3点目に、全国町村会は、道州制は地方分権の名をかりた新たな集権体制を生み出すものである。多彩な市町村の存在こそが地方自治体、地方自治本来の姿であり、この国の活力の源泉であることを忘れてはならないなどとして、改めて反対決議を上げています。 知事は、地方がみずからの知恵や工夫を反映した政策を展開すべきと考えるのであれば、全国町村会の主張こそ支持すべきではないのか、見解を伺います。 次に、新年度予算案について伺います。 質問の1点目は、子ども医療費助成についてです。 新年度予算案では、子供が3人以上いる世帯について、高校卒業まで助成を拡充することが盛り込まれました。しかし、子供が1人ないし2人の世帯は依然として入院は小学校卒業まで、通院は3歳未満と全国最低レベルに据え置かれたままです。 子供が3人以上いる世帯は、子供の数では全体の約3割にすぎません。残りの7割の子供たちに対して、とりわけ通院では全国最低レベルの助成しか行われていないのは問題です。 市町村は、この低い県制度に独自に上乗せをして子ども医療費助成制度を拡充してきました。新潟県全体の子ども医療費助成制度は、市町村の努力によって支えられていると言っても過言ではありません。 しかしながら、各自治体の財政状況も違うことから、市町村ごとに助成対象に差が出てきております。こうした状況のもとで県市長会から県の新年度予算に対して助成対象範囲の拡大など、一層の制度の拡充を図ること、各市町村間において助成対象に差異があることから、見直しに際してはその実施状況を十分考慮したものとすることという要望がなされました。 県内どこに住んでいても同程度の助成を受けられることは、子育て中の方の安心感という点から見ても重要です。助成対象を義務教育である中学卒業までを一つの目安として、県内どこに住んでいても全ての子供が中学卒業まで助成を受けられるよう県制度を拡充すべきと考えますが、知事の見解を伺います。 2点目は、私立高等学校等学費軽減事業についてです。 国の就学支援金制度の創設に伴い、2010年度に県独自の学費軽減事業予算が3億円減額されました。学費の実質無償化に近づけるよう、少なくとも3年前に削減した県独自予算を戻し、年収500万円未満世帯まで授業料を無料になるよう支援を拡充すべきと考えますが、見解を伺います。 3点目は、少人数学級の拡充についてです。 今年度小学校3年生まで少人数学級を拡充する計画ですが、必要な教員については従来どおり加配教員の活用にとどまっています。 学級をふやす分、教員をふやさなければ専科教育の充実や教員の教材研究、休暇、研修等の保障のために必要不可欠な担任外教員が減ってしまいます。せっかく少人数学級を実施しても、全体として教育条件の向上に直結しないのではないかと考えられます。 実質的な教育条件の整備のために、他県でも実施されているように県単独予算をつけてでも教員数をふやすべきと考えますが、見解を伺います。 なお、新年度予算編成においては、元気臨時交付金算定の条件となる公共事業は不要不急の事業でなく、住民の安全・安心のために活用することが重要です。同時に、元気臨時交付金に該当する事業により地方負担が軽減される財源などは、県民の福祉や教育の充実にこそ使うべきであることを主張しておきます。 次に、原発問題について質問します。 福島第一原発事故はいまだに収束も、原因究明もされていません。15万人余りの県民が避難生活を余儀なくされ、放射能被害は国民に甚大な影響を与え続けています。 こうした状況にもかかわらず、政府は原発再稼働や新増設、原発輸出を公言し、前政権の2030年代原発稼働ゼロという極めて不十分な方針すら白紙に戻すとしています。 しかし、国民の過半は原発に依存しない社会を望んでいるという政府も認めた国民の認識は、政権が交代したことで変わるものではありません。原発推進政策は、原発ゼロの日本を求める国民多数の声に真っ向から背くものです。 安倍首相は、施政方針演説で安全確認を前提に原発を再稼働させる考えを示しました。原子力規制委員会が7月にも制定する新安全基準をもとに再稼働を強行しようとしています。 しかし、新安全基準は福島原発事故の原因が究明されていないもとで、小手先の対策を並べたものにすぎず、地震対策は原発の真下に活断層が走っていても、断層が地表にあらわれていなければ設置を認めるという骨抜きの内容です。 質問の1点目に、新安全基準に対する知事の見解を伺うと同時に、この新安全基準のもとで本県の柏崎刈羽原発の再稼働議論はあり得ないと考えますが、知事の見解を伺います。 2点目に、原子力規制委員会は2月27日、原発事故時の住民避難のあり方などを定める原子力防災対策指針の改定案を了承し、決定しました。原発周辺の自治体では、これに基づいて地域防災計画を策定することとなっています。 柏崎刈羽原発の30キロ圏内には43万人、50キロ圏内には113万人が生活しており、安全な避難計画の策定とその実行に対し、自治体からは不安の声も出されています。大規模地震と原子力災害が複合的に発生した場合、避難経路の道路が通行不能となり、住民が避難できない事態も想定されます。 また、豪雪地では冬期通行できる道路も限られることや、地震による雪崩、土砂崩れなど避難不可能となることも懸念されます。こうした問題を解決し、住民を一人として被曝の危険にさらさない避難計画とその実行が必要です。 知事はこの間、福島第一原発事故の検証がない中で、柏崎刈羽原発の再稼働について議論しないとの立場を表明してきましたが、同様に実効性ある住民避難計画が策定されなければ当然、再稼働議論はあり得ないと考えますが、見解を伺います。 3点目に、新潟市など県内の13水道事業者と県企業局が糸魚川市内のセメント会社に対し、放射性物質を含んだ浄水汚泥をセメント副原料として引き取ることを依頼しました。 既に新潟市や長岡市の汚泥が運び込まれていますが、今後糸魚川市と安全確保に関する基本協定を締結し次第、順次運び込まれることとなっています。 製品化されたセメントは、各地で使用されることとなり、放射性物質が分散されることが懸念されます。放射性物質の適正な管理という観点から、放射性物質を含む浄水場汚泥をセメント副原料として再利用する問題について、知事の見解を伺います。 次に、医療福祉について質問します。 第1に、生活保護基準の引き下げ等について伺います。 政府は、2013年度予算案で生活扶助基準を3年間で総額670億円削減することを決めました。削減幅は平均6.5%で、この基準引き下げによって受給額が減る世帯は96%に上ると見られます。 現行生活保護法が制定された1950年以来、生活保護基準が引き下げられたのは、2003年度の0.9%と2004年度の0.2%の2回だけであり、今回は前例のない大幅な引き下げです。 労働法制の規制緩和で非正規雇用や不安定就労、低賃金が広がり、その上社会保障制度の改悪や負担増で格差と貧困が大きく広がっています。 生活保護や低所得者支援制度を抜本的に充実し、貧困をなくす積極的取り組みこそ求められているのではないでしょうか。 質問の1点目に、生活保護受給者は今でも食費や衣服費、冷暖房費など、大きく切り詰めて生活をしています。さらに、今回の改定では子供の多い世帯で削減幅が大きく、貧困の連鎖を広げることにもつながります。基準引き下げは、全ての国民に健康で文化的な最低限度の生活を保障する憲法25条に反すると考えますが、知事の見解を伺います。 2点目に、生活保護基準の切り下げは、制度利用者の生存権を侵害するだけでなく、就学援助制度など同基準に連動する多くの制度で利用できなくなる人が出てくることが懸念されます。影響を受ける制度と対象人数を伺うと同時に、県民生活に影響を生じさせないよう対策を講じるべきと考えますが、見解を伺います。 3点目に、貧困の連鎖と格差拡大をなくすために、生活保護世帯に対して子供への学習支援、就労支援、住宅支援などが必要と考えます。 埼玉県では、県として教育支援員事業、職業訓練支援員事業、住宅ソーシャルワーカー事業に取り組んでいます。 例えば教育支援員事業は、教育支援員が中学生2,300人の保護家庭を粘り強く訪問し、進学意欲の余り高くない親子に対して、進学することによって子供の将来に可能性が大きく広がるということを丁寧に伝え、進学に向けた動機づけをしています。 学習意欲を喚起するとともに、学生ボランティアによるマンツーマンでの学習指導を通じて、高校への進学を支援しています。 事業の実施に当たっては、老人福祉施設協議会の協力を得て、特別養護老人ホームに学習教室を設置してもらい、安心できる居場所の提供、社会の中に信頼できる大人たちがいることを実感してもらうことも重視しているそうです。こうした中で進学率も上げてきました。 県が先頭に立ち、保護受給者に寄り添いながらきめ細かく支援する、こうした取り組みを県としても率先して実施すべきと考えますが、知事の見解を伺います。 第2に、下越医療圏域の課題について伺います。 下越医療圏域では、医師数が県平均を下回り、不足しているため、2次救急医療体制が不十分であり、救命救急センターを設置している県立新発田病院に救急搬送患者が集中し、過重な負担となっています。 外来の完全紹介制を導入し、かかりつけ医との連携で逆紹介を進めるなどの取り組みが始まっていますが、そもそも過重負担が生じているのは、県立新発田病院を協力、支援する周辺病院の医療体制が医師不足のため整備できないことから起きている問題です。 質問の1点目に、平成24年度版下越地域健康福祉ビジョン施策は、下越地域の救急医療体制充実強化として、地域住民への救急医療機関の適切利用の啓発や地域医療機関の役割分担と連携検討などを行うとしていますが、県立新発田病院への救急搬送の集中は、こうした施策で解決すると考えているのか伺います。 2点目に、阿賀野市消防本部資料によれば阿賀野市の救急搬送状況は、2005年から2010年の5年間で搬送人員数は毎年1,200人前後とほぼ横ばい傾向にありますが、水原郷病院への搬送人員数が2005年の1,018人から2010年は345人へと大幅に減少している一方、県立新発田病院への搬送は54人から501人へと大幅に増加しています。 また、同消防本部が管轄する全救急搬送人員のうち水原郷病院へ搬送した割合は、2005年に79.3%だったものが2010年は25.1%へと激減し、県立新発田病院には4.2%から36.5%へと大幅に増加しています。 こうした実態から見て、県立新発田病院への集中を軽減するには、早急に水原郷病院の救急医療体制整備が欠かせないものと考えます。知事の認識を伺うと同時に、県は同病院が救急告示病院となるよう医師確保の支援を行うべきではないのか伺います。 第3に、看護職員の確保について伺います。 県は、新年度医師・看護職員確保体制を強化するとしました。実効性ある成果が生まれることを期待します。 そこで質問です。 現行の新潟県看護職員需給見通しによれば、看護職員数は平成23年末から5年間で2,073人増加し、平成27年度末には供給数が14人上回り、県内の看護職員は充足する予定となっています。 多くの現場で看護職の確保が困難な中で、この計画が達成できるかという問題と、そもそもこの計画で十分かという問題があります。この間7対1看護体制や在宅介護、在宅医療を推進する政策が進められている中で、看護職員の需要は高まっているものと考えますが、平成23年当初の実態調査による各施設からの需要数に基づいて算出した需給計画で本県の供給は十分と考えられるのか伺います。 最後に、看護師の養成、定着について伺います。 新潟県の人口10万人当たりの就業看護職員数は、常勤換算で全国28位と決して多いとは言えません。県内で看護大学を初めとする看護師養成所の入学定員をふやすと同時に、卒業生が県内に就職し、県民の健康増進のために力を発揮してくれるような仕組みづくりが必要と考えます。 全国では、最近5年間で看護大学や3年課程の看護師等学校養成所数及び入学定員は大きく増加し、数千人規模でふえていますが、本県では入学定員数はわずか10人ふえたに過ぎません。 早急に入学定員をふやすことが必要ではないのか伺うと同時に、卒業生の約4分の1が県外に就業する実態を改善し、県内定着を図るため、関係機関が連携したキャリア形成システムの検討が必要ではないのか、知事の認識を伺い、質問を終わります。(拍手) 〔知事泉田裕彦君登壇〕
◎知事(泉田裕彦君) 竹島議員の一般質問に順次お答えをいたします。 まず初めに、デフレ脱却についてでありますが、デフレ脱却にはやはり順番があります。まず、ベースマネーの増大と政府支出の拡大により、適切なマクロ経済・財政金融政策を講じる必要があります。それによりまして、円高是正、株価、資産価格上昇、企業収益改善、雇用の安定拡大、賃金上昇へつながってまいります。 ちなみに、GDPデフレーターの上昇が何をもたらすかといいますと、債務、借金の負担が相対的に軽くなっていきます。一方、債権は相対的に減少していくことになるのです。ということはどういうことかというと、お金を持って債権を持っていた人にとっては不利で、借金をしていた人が得をするという世界になってきますので、必ずしも大企業優先、お金持ち優先という、そういう経済ではないということだと思います。 アベノミクスは、金融緩和と同時に財政拡大、財政支出をふやすというルート、それから円安によってこれ投資機会がふえてきますので、この円安を通じた結果として職域の拡大ということもあるわけです。複数ルートを通じて購買力を実体経済に投入をするという考え方です。 竹島議員の御指摘のあった議論は、金融緩和だけで議論していまして、為替の影響とか、それから購買力を実体経済に投入していく財政の話を抜いた議論になっていますので、机上の空論ということだと思っております。 次に、物価上昇目標による県民の家計への影響についてであります。 アベノミクスにおいては、インフレターゲット以上の名目成長の実現を目指すものであります。すなわち物価上昇以上に家計が潤うようにしなければいけないということだと考えております。 現在円安を通じて先に輸入価格の影響が出ているということだと受けとめていますが、これは議員も感じておられるとおり、やはり家計所得がふえていくということに結びつけるというところが極めて重要だと考えております。 なお、消費増税につきましては、法律の附則にありますようにデフレから脱却し、景気回復が図られて経済が成長軌道に乗らない限りは増税は実施されるべきではないと認識をいたしております。判断すべき時期に、そのときの状況を見て適切な対応をとりたいと思います。 次に、地域経済の持続的発展とものづくり人材の育成についてであります。 本県産業の構造ですが、下請中小企業が多い構造となっております。これは何を意味するかというと、すばらしい製品、これをつくっていても決まった工賃を得る下請というタイプの産業になりますと、得られる利益というのが少ないということです。 どこに利益がつくかというと、みずから企画、販売をしてリスクをとる企業、マーケティングをして売れるか売れないかわからない、在庫を抱える、言われたとおりにつくるというのはいい製品をつくっても残念ながら利益は出ない。 したがって、本県の製造業の労働分配率は全国平均よりかなり高くなっているのですが、その水準が低くなる要因になっています。リスクとリターンというのがセットになるというのが資本主義経済ですので、それが共産主義社会との違いということだと思います。こうした企画販売力のある企業の増加が地域経済の発展には重要であると考えております。 また、ものづくり人材の育成につきましては、県内中小企業の体質強化や未来への投資という観点からも重要でありますので、必要な施策を推進してまいりたいと思います。 なお、具体的な取り組みにつきましては、産業労働観光部長からお答えをいたします。 次に、TPPに関する共同声明への認識と交渉参加についてであります。 萬歳会長の声明にあります6項目にわたる政権公約が満たされたか確認できないという点につきましては、現時点では同じ認識であります。 一方で梅谷議員の一般質問でお答えをしたとおり、今回の共同声明では例外品目が事実上容認されたものと考えております。 TPPにつきましては、我が国は世界で最も自由貿易によって恩恵を受けている国の一つであり、経済連携に取り組むことは必要と考えておりますけれども、交渉への参加については国益が実現されるかどうかという点が重要な判断ポイントになると考えております。 次に、道州の広域自治体としての機能や役割についてであります。 道州については、基礎自治体を超えた広域的かつ専門的な行政課題への対応や、住民に最も身近な市町村に対する支援、補完、これを行うようにすべきと考えております。 質問にありました道州がこのような機能や役割を担えるかどうかという点についてでありますが、これは制度設計によるものと考えています。 次に、道州制における財政調整制度についてでありますけれども、道州制の制度設計に当たっては、地方が地域の特性を反映した施策を自主的、自立的に展開できるようにすべきであります。 その役割に応じた財源は、基本的には独自財源として確保できるようにすべきと考えております。しかしながら、税源が偏在している現状を踏まえますと、適切な範囲での財源保障と財政調整は必要と考えております。 このため、今後の制度設計の中で道州、基礎自治体がその役割に見合った財源が確保できるよう、県として求めていくことが必要であると考えております。 次に、道州制に対する全国町村会の主張についてであります。 効率化ありきの単なる都道府県合併に進むとすれば新たな集権体制が生み出され、市町村の再編が強いられるとの危機感は全国町村会と共通であると考えております。そうした方向に進ませないためにも、抜本的な権限移譲により地方がみずからの知恵や工夫を反映した政策を展開できる制度設計とするよう取り組んでいく必要があると考えています。 次に、新年度予算についてお答えをいたします。 まず、子ども医療費助成についてでありますが、県では子育ての経済的負担が重い世帯から順次拡充を図ってきております。そもそも現在の地方行政財政制度におきましては、県と市町村は対等の関係であります。市町村の財源保障は県の役割ではなく、国が行う制度となっております。 その上で各市町村は、施策の優先度や財政負担を考慮をして事業を実施をいたしております。その自主性、自立性に配慮をし、広域自治体の立場から必要な支援を行うことが県の役割と認識をいたしております。 将来我が国の統治制度が変更になれば別ですけれども、そうでなければ市町村間の違いを県という行政区単位で一律にすべきという考え方には懐疑的であります。 次に、私立高校の学費軽減事業についてでありますが、家庭の状況にかかわらず全ての意思ある高校生が安心して勉学に打ち込めるよう、低所得世帯に対する経済支援を充実させていくことが必要と考えております。 一方、私学助成のあり方については、さまざまな考え方があると承知をいたしております。私学の自主性を尊重する立場からは、公的負担を増加して私学の自由度を奪うべきではなく、そのバランスが重要との考えもあります。 いずれにいたしましても、教育は未来への投資という観点に立ちまして、今後も保護者負担の水準等を考慮しながらよりよい制度となるよう努めてまいります。 なお、具体的な支援内容は総務管理部長から補足答弁をいたします。 次に、少人数学級の拡充についてでありますが、教育実務に関することですので、教育委員会の判断を尊重をしてまいります。 なお、教育委員会の判断については教育長からお答えをいたします。 次に、原発問題についてお答えをいたします。 まず、原子力発電所の新安全基準についてでありますが、新たな安全基準は福島第一原子力発電所の事故の検証、総括を踏まえて策定をされる必要があります。事故の検証がないままに策定されるとすれば、その基準に正当性はなく、原子力発電所の安全を確保することにはならないと考えております。 なお、福島第一原子力発電所事故の検証、総括がなければ、再稼働については議論いたしません。 次に、住民避難計画についてでありますが、原子力発電所が運転していようと停止していようと必要なものであります。県といたしましては、引き続き市町村と意見を交換し、実効性のある避難対策の構築に向けて取り組んでまいります。 なお、福島第一原子力発電所事故の検証、総括がなされなければ、再稼働については議論はいたしません。 次に、放射性物質を含む浄水場汚泥についてでありますが、セメント副原料として再利用するに当たっては、処理量が多いことから近隣に不安を感じておられる住民の方がおられると承知をいたしております。広域専門自治体である県としては、放射線監視をしっかりと行ってまいりたいと考えております。 次に、医療福祉についてお答えをいたします。 生活保護基準の見直しについてでありますが、今回の見直しに当たっては、憲法25条の趣旨を踏まえた上で国の責任において決定したものと認識をいたしております。 なお、憲法25条の法解釈については総務管理部長からお答えをいたします。 次に、生活保護世帯に対する支援についてでありますが、県内の福祉事務所では埼玉県と同様に国の補助金等を使って就労支援員の配置による受給者への就労支援を行っているほか、一部では子供に対する学習支援も実施をいたしております。 県といたしましては、今後支援のニーズを把握した上で、市町村と連携、協議をしながら国の補助金などを活用いたしまして、こうした支援の充実を検討してまいりたいと考えております。 次に、水原郷病院の救急医療体制整備についてでありますが、新発田病院への救急搬送の集中を軽減するためには、周辺医療機関との連携強化が必要であります。そのためには、水原郷病院の救急医療体制整備も重要な要素であります。県といたしましても医師確保に対する支援に取り組んでまいります。 具体的な取り組み内容については、福祉保健部長から補足答弁いたします。 次に、看護職員の養成定員増等についてであります。 看護職員の養成定員をふやし、新卒者の県内就業を促進することは、看護職員を確保する上で有効な方策の一つであると考えております。 このため、来年度は看護職員の確保とより高度な看護を提供する人材の育成を図るため、県内で31名の定員増を予定しております。それに加えて、新たな養成施設の設置等に向けた検討を行うことといたしております。あわせて、卒業後の県内定着を図るため、専門性の高い看護職員を養成する環境づくりに取り組んでまいります。 〔総務管理部長寺家克昌君登壇〕
◎総務管理部長(寺家克昌君) 2点についてお答えいたします。 私立高校の学費軽減事業についてでありますが、県では、私立高校に対し経常経費の2分の1助成を行っており、その結果本県の学費は全国で最も低い水準となっておりますが、その上で低所得世帯の経済負担の軽減を図るため、学費軽減事業を実施しております。 国の就学支援金の実施以降、県独自の制度を拡充してきており、年収430万円未満世帯までの授業料支援や学費負担困難世帯の施設整備費全額支援などを行っております。 平成25年度においても年収350万未満世帯の授業料支援や生活保護世帯の施設整備費支援の拡充を行うこととしております。 次に、生活保護基準の引き下げと憲法25条の法解釈についてでありますが、憲法25条のいわゆる生存権につきましては、最高裁の判例でも全ての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営み得るよう国政を運営すべきことを国の責務として宣言したにとどまり、直接個々の国民に対して具体的権利を付与したものではない、認定判断は厚生大臣の合目的な裁量に任されているとされております。 今回の見直しは、憲法及び生活保護法の趣旨、目的に沿ったものであり、裁量権の範囲内であると国から聞いております。 〔福祉保健部長若月道秀君登壇〕
◎福祉保健部長(若月道秀君) 4点お答えいたします。 生活保護基準の引き下げの影響を受ける制度等についてでありますが、国では今回の引き下げにより影響を受ける制度として、38項目を公表しております。 実際に影響を受ける人数については、国から具体的な生活保護基準額の詳細が示されていないことから、現時点では把握できません。 なお、基準に連動する県独自の制度については、可能な限り影響を及ばさないよう対応するとの国の方針の趣旨を踏まえ、県といたしましては遺漏のないよう対応していきたいと考えております。 次に、新発田病院への救急搬送の集中についてでありますが、限られた医療資源の中ではその解決のために、地域住民の適正受診や地域医療機関の役割分担の明確化と連携の強化も重要であると考えております。 一方でこうした問題が生ずる背景には、医師不足があり、県政の最重要課題として医師確保対策に取り組んでいるところであります。 次に、医師確保の支援に関する取り組み内容についてでありますが、県といたしましては水原郷病院の医師確保についてもドクターバンクにより県外医師の招聘を支援してまいります。 あわせて、平成26年度から順次卒業する県の医師養成修学資金の貸与医師については、救急など地域に不可欠な医療を提供する病院に優先的に配置を行うこととしております。 次に、看護職員需給見通しについてでありますが、需要数につきましては、需給見通し策定以後の7対1看護体制の普及や在宅医療の推進、施設数の増加等による変化を反映し切れていないところであります。 また、供給数につきましても策定当時に見込んだ数値が必ずしも現在の実態を反映しているとは言えない状況であることから、この需給見通しは現時点において十分なものとは認識しておりません。 いずれにいたしましても、来年度は新しい医師・
看護職員確保対策課のもとで看護職員確保の取り組みを一層推進してまいります。 〔産業労働観光部長池田幸博君登壇〕
◎産業労働観光部長(池田幸博君) お答えします。 ものづくり人材育成の具体的な取り組みについてでありますが、県では新技術の習得や後継者育成など、県内企業や業界団体等が行う人材育成の取り組みに対する支援のほか、大学や公設試の有する人的ネットワークを活用した技術者研修や専門家派遣など、企業の実態を踏まえたものづくり人材の育成に取り組んでいるところであります。 〔教育長高井盛雄君登壇〕
◎教育長(高井盛雄君) 少人数学級の拡充に係る教員の配置についてでありますが、来年度から新たに実施する小学校3年生の少人数学級につきましては、これまで実施してきた必要な施策を維持、継続しながら、国から措置される教員定数の範囲内で実施可能と判断したところであります。 〔竹島良子君登壇〕
◆竹島良子君 2点再質問をお願いしたいと思います。 家計への影響の関係なのですけれども、私が質問したいのは、本県の雇用者の現金給与総額が減少し、家計収入が減少している中で物価上昇2%目標が設定された場合、物価だけ上昇して生活水準が低下するのではないかという懸念に対して、家計への影響をどう考えるかということをお聞きしたいのです。 ですから、知事は今の政府の方策からいいますと、金融緩和していっぱい財政で流れるようにして、そして企業が元気になればその結果として給与が上がり、家計への影響も好転するという流れにいらっしゃると思うのですけれども、今の現状の中で2%の目標設定をされて、そして給与が上がる保証があるのかというところが大変重要な部分でないかと思います。 だからこそ雇用対策、正社員化するですとか、最低賃金を上げるですとかといったきちんとした安定した雇用対策が見える形でない限り、家計への影響大きいのではないかというふうに考えるわけですので、その家計への影響についてどう考えるか、もう一回伺いたいと思います。 あと、TPPに関してですけれども、知事は例外品目は事実上容認されたというふうにされていますけれども、知事が例外品目は事実上容認されたと言われる根拠について伺いたいと思います。 共同声明では、全ての物品が交渉の対象にされるということとか、関税と非関税障壁の撤廃が原則であるということが明記されているわけですけれども、その共同声明の明記されている上においても、なお例外品目が事実上容認されたというふうに知事が言われるその根拠を伺いたいと思います。 以上、2点お願いします。 〔知事泉田裕彦君登壇〕
◎知事(泉田裕彦君) インフレターゲット2%の目標ということなのですが、これは物価目標を消費者物価に置くのか、GDPデフレーターに置くのか、また違いが出てくるということだと思っています。 本来GDPデフレーターをインフレターゲットに置くべきだと考えています。金融緩和をして、財政拡大をすると何が起きるかというと、先に株価が上がり、そして次に地価が上がりという形、これ1985年、プラザ合意の後の流動性を増加をしていったときに何が起きたかというと、土地株という形で上昇していくということですので、一律に決まるわけではないのですが、政策のとり方によっては資産増加という形であらわれてくるということになります。 したがいまして、アベノミクスにおいてもインフレターゲット以上に家計が潤うような形で施策を展開していくということが重要だと考えています。 ちなみに、現在ガソリン、灯油等の上昇が見られるわけですが、これ物価上昇の影響というよりは円安による影響ということですので、そこは峻別する必要があるのではないかと考えております。 〔知事政策局長杉山順爾君登壇〕
◎知事政策局長(杉山順爾君) TPPの関係で、例外品目が事実上容認されたという根拠でございますけれども、梅谷議員の答弁にお答えしているとおり、今回の共同声明では最終的な結果は交渉の中で決まっていくものであることから、TPP交渉に参加し、一方的に全ての関税が撤廃することはあらかじめ約束することが求められるものではないことが確認され、これをベースにしまして例外品目が事実上容認されたというふうに考えております。 〔竹島良子君登壇〕
◆竹島良子君 再質問させていただきたいと思います。 家計への影響についてもう一回伺いたいと思います。 家計が上昇していくことが必要だという答弁ですけれども、それが政府がやるべきだということなのですが、知事が考えられるインフレターゲット以上に家計が上昇する、その政策としてお考えがあればお聞かせをいただきたい。 私は、労働政策が必要ではないかということを言うわけですけれども、知事がお考えになる中身について伺いたいと思います。 以上です。それだけお願いします。 〔知事泉田裕彦君登壇〕
◎知事(泉田裕彦君) お答えします。 国民所得を上昇させるためには、政府支出の拡大と金融緩和が有効であると考えております。
○議長(小川和雄君) 竹島良子君の質問は終わりました。 次に、志田邦男君の発言を許します。志田邦男君。 〔志田邦男君登壇〕(拍手)
◆志田邦男君 公明党の志田邦男でございます。通告に基づき、一般質問を行います。 最初に、知事の政治姿勢についてお尋ねします。 昨年12月の総選挙は、3年3カ月に及ぶ民主党政権から自民、公明の政権復帰という結果になりました。2009年の総選挙で、国民の圧倒的な支持で政権交代を果たしたことについては、日本に政権交代ができる本格的な2大政党制が定着するのかという、国民の大きな期待がありました。 この間政治主導、陳情の一元化、事業仕分けなど、地方自治体にも深くかかわる出来事がありましたが、政治手法の稚拙さ、与党政権内部での意思疎通の混乱、分裂など、国民の期待を裏切る事態が多くありましたが、地方自治を預かる立場から見て、3年3カ月の民主党政権をどのように評価しているのか伺います。 また、発足2カ月余、本格的な予算編成はこれからですが、アベノミクスにより円安、株高など、市場の反応はよい方向に敏感に動いており、また内閣支持率が発足後上昇しているという、近年例のない現象になっております。国民のデフレ脱却に対する期待も大きくなっていると認識をしていますが、知事の安倍政権に対する期待を伺います。 次に、環太平洋パートナーシップ協定、TPPに関して伺います。 安倍総理は、日米首脳会談でTPPでは、聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になったと発言しております。TPPに関しては、メリット、デメリットさまざまな主張、意見が既に展開されており、効果の試算についても諸説あるところであります。 これまでは、玄関口に入るかどうかの段階でありましたが、今後日本の国益に合うかどうか、本格的な勝負どころに入るのではないかと思っており、農業を初めとして県内産業に大きな影響を与えるのは必至であり、今後の動きを十分注視しなければなりませんが、知事は今回の日米首脳会談の結果をどのように受けとめているのか、また県内農業や産業に与える影響をどのように捉えているのか伺います。 次に、震災瓦れきの処理に関してお聞きします。 この問題に関して、今議会でも多くの議員より質問がありました。既に法律的に、またデータ的には的確な質問もありましたので、子細の質問はしませんが、私は一連の知事と受け入れ市の市長とのやりとり、また本会議での答弁を残念な気持ちで聞いていました。 岩手県大槌町の瓦れきが本当に危険なものなのか、受け入れをめぐっての地元説明会に私も2回ほど参加しました。受け入れの新潟市からは十分な説明があり、ほとんどの住民は納得をしていましたが、反対する人の発言は感情的な主張であり、議論のルールを逸脱している状況に多くの人は唖然としておりました。 さて、岩手県議会では知事の一連の瓦れき処理に対する発言に抗議の動きもあったということでありますが、私も被災地である岩手県大船渡市の出身者として、知事の瓦れき処理の発言を悲しい気持ちで聞いておりました。親戚からも新潟は冷たいなと何度か言われました。 大槌町は、大船渡市の北50キロに位置しております。もし放射能汚染があるとすれば、大船渡市や陸前高田市のほうが汚染されている確率が高いはずです。瓦れきが汚染されているとすれば、そこから逃げられない。 さればそこで復興に立ち向かっている人に対して、最大の思いやりのある発言と行動がこれまで震災、豪雨などで全国から支援をいただいている新潟県知事としてあるべきであり、責務であると思うのであります。 過激な言葉が躍り、県内で知事と関係市長との間でバトルが繰り返されていることにかえって復興を遅らせる、風評被害を広げるとの指摘もあります。 一度知事は、大槌町を初めとして被災地の住民の生の声を聞いてみたらいかがでしょうか。何人かの議員からも質問があったとおり、瓦れき処理が本当に危険なものならば国と十分に協議すべきであり、一連の知事の発言は被災地住民、処理を進めている自治体を混乱に陥れるものと考えざるを得ませんが、改めて知事の見解を伺います。 次に、道州制について質問をいたします。 安倍政権になってから、道州制の導入に向けた動きが活発になってきました。現在の地方制度は、基本的には明治以来の中央集権型の体制であり、多様化する住民のニーズに対応するため、国の統治機構を大きく変え、地域の潜在力を発揮する新しい国の形の構築が急務になっております。 このような認識のもと、公明党は1991年に地域主権の理念を掲げ、2009年政策綱領で地域主権型道州制を主張し、現在党のPTで近ければ今後の通常国会での法案提出に向けて準備を進めております。 自民党においても道州制基本法の骨子をまとめており、他の党とも協議をしながら、早ければ年内にでも基本法の成立に向けた動きが出て、その後制度設計の検討に入ると言われております。 このような動きを受けて、最近は京都府が滋賀県との合併を打ち出すなど、それぞれの思惑が報道に出るようにもなりました。道州制に関しては、それぞれの立場から議論百出ですが、大筋として知事は道州制基本法制定に向けた動きをどのように受けとめているのか伺います。 第2回新潟州構想検討推進会議が2月7日、開催されました。当初知事と篠田市長が提案した新潟州構想に比べ、大分落ちついた議論になってきたのかなと思っております。 ただ、今後道州制のあり方が全国的に議論されるときに、主に新潟市との事務調整の場となっている検討推進会議に新潟州の名を冠するのは道州制を考える上で混乱を招くのではないか、県と新潟市の会議は基本的には窓口一本化等による住民サービスの充実ということであり、道州制の骨格である財政、国との関係、過疎地に対する対応などの検討の場とは言えないのではないかと考えます。 道州制施行に当たって特異な位置にある新潟県としては、道州制議論で国に、また他の地域に対しての議論に備えるために、県内全市町村を対象にした新潟州構想検討会議に衣がえをして、全県的な議論をすべきと考えますが、知事の御見解を伺います。 次に、拠点整備について質問いたします。 新年度予算案において、北東アジア交流の推進と拠点性の向上として前年比28.4%、32億円の予算が計上されています。かねてから本県は、日本海側有数の空港、港湾等すぐれた社会資本を有していると県を初め各界から誇らしい声が上がっておりました。 現在領土問題等、北東アジアには難しい問題もあるのは事実であります。しかし、この地域は発展著しい経済、有望なエネルギー資源の存在など、今後の日本としても戦略的に進むべき方向であると認識をしています。 新年度予算案の施策を見ても、大きな柱として交通結節点の活性化、北東アジア全体を視野に入れたビジネスの国際化等が盛り込まれていることは、期待をしたいと思っております。 その中で、大規模見本市ビジネス研究費が盛り込まれております。今ほど述べましたように、本県、中でも新潟市周辺は交通インフラにおいては日本有数の立地条件を持っていると思っています。 しかし、これまで本県で大規模なビジネスを展開するとなれば、それに対応した器があるのかという声を聞くことがたびたびありました。これは、新潟だけでなく、日本全体として大きな市場と高度な技術を持っていながら、一堂に会しての商談の場が少ない、小さいとの指摘がありました。 現在アジアを中心に、展示ホールは10万平米を超える大規模展示場が進展していますが、我が国には展示ホール面積10万平米を超える展示場が存在していません。東京ビッグサイトでも、アジアで16位の規模であります。我々の想像以上に、ビジネスの世界の交流が進んでいることに驚きを感じます。 本県においても、常に施策の柱に交流の拡大ということがうたわれてきました。しかし、本格的なビジネスの交流の場がほとんど考えられてこなかったのではないか、整備された交通インフラとともに新潟がビジネスチャンスの場であるというアピールをすることは新潟県の人口増加、雇用の場を拡大するという面からも本格的に考えていかなければならない課題であろうと思います。 予算案に盛り込まれた大規模見本市ビジネス研究費では、その可能性、ニーズ等を研究するとしていますが、本県の見本市ビジネスの現状と今後どのように研究を進めていこうとしているのか伺います。 次に、首都直下地震、南海トラフ巨大地震の確率が高まっており、さらには富士山の噴火も危惧されております。先日も栃木県北部の地震もあり、巨大災害に対する不安は大きくなっております。 特に懸念されるのは、これら巨大災害が首都圏、太平洋メガポリス地帯を襲うであろうと想定されていることであります。これまでも何度か私も本会議の中で、その際における新潟の役割について質問し、提案もしてきました。 特に港湾、空港、大型施設が集中している新潟市では、新潟の優位性として太平洋側との同時被災の可能性が極めて低い。首都圏から300キロ圏にあり、迅速かつ強力な支援が可能。日本海側唯一の政令市であり、拠点都市としての基盤を有している。さらに、中越・中越沖地震、東日本大震災救援の経験を生かし、防災首都、救援拠点としての構想を提案しております。 この問題については、これまでも幾つかの報告、提言が行われてきましたが、その代表的なものとして昭和62年に首都東京の整備について検討した旧国土庁のワーキンググループの報告があります。 その中身は、首都の安全性を高めるために東京を中心とした半径300キロメートルの圏域、東京から二、三時間で到達可能地域への諸機能誘導、分散を図る必要があるとし、特に平時における東京の機能の補完的代替性を持ち、緊急時において首都機能の一部を代替することが必要とし、有力な候補地として仙台市を挙げておりました。 しかし、東日本大震災で同じ太平洋側の地域ではその働きをすることができないということを見せつけられました。報告書の指摘は、まことに当を得ておりますが、その役割を果たせるところといえば新潟しかないと私は考えます。 本県として、これまでの経験、拠点性を生かしてより具体的な提言を行い、国と連携しながら防災救援のバックアップ体制を整えていくべきではないかと考えますが、知事の御所見を伺います。 次に、原発についてお尋ねします。 知事が福島第一原発事故の検証を依頼した県技術委員会は、この春に委員全員が任期切れになります。これまで政府や国会など、4機関の事故調査委員会からの聞き取り調査を行ってきましたが、福島第一原発の事故を踏まえた課題として10項目に絞り、中間報告として提出するとされています。 鈴木座長が、検証が終わったわけではない、また、最終的には十数年かかると述べ、報道されている課題案の要旨を見ても検証作業の難しさを我々としても感じた次第です。 これまで県技術委員会の調査は、その権限等から独自の検証は難しいのではないかとの声がありましたが、知事は技術委員会の検証報告の取りまとめについてどのような考えを持っているのかお伺いいたします。 次に、柏崎刈羽原発の再稼働については、安全管理に関する技術委員会の報告をもって判断するということを何度か言っておりました。しかし、技術委員会のこれまでの動きを見ていると、検証結果を出すということは難しいと言わざるを得ません。 一方、国においては原子力規制委員会では、7月から原子力発電所に適用する新安全基準の骨子案を策定しました。骨子案については、さまざまな意見も出ておるところでありますが、この基準をもって安全審査が始まるとしても、当然再稼働まではまだ幾つもの課題があるところでありますが、それを踏まえて国の原子力発電所の稼働の判断等も出るのではないかと思いますが、知事は柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関してどのような判断基準をお持ちか伺います。 次に、土木、農業の問題についてお聞きします。 昨年12月の笹子トンネル崩壊事故は、死者9人と我が国高速道路における事故として最大の犠牲者が出た痛ましい事故でした。管理が行き届いていると誰しもが思う高速道路での事故だけに、一層の衝撃でありました。以来全国各地での老朽化によるトンネル、橋梁などの事故が相次ぎ、改めて社会資本の老朽化による不安が高まっております。 本県においても1950年代後半から1970年代前半の高度経済成長時代に多くの道路施設が建設され、今後橋梁、トンネル等、建設後50年を超える施設が急増してきます。 しかし、一般道で見た場合、都道府県道と市町村道の割合は約95%に及んでおり、地方道を管理する自治体の役割は非常に重いものがありますが、厳しい財政難に直面しております。 このような中で、国としても老朽化した道路や橋、港湾などの社会資本を総点検し、補修、更新を徹底しようという国ぐるみの活動が急速に動き出しております。 国土交通省は、2013年1月21日、社会資本の老朽化対策会議を急遽設置、また老朽化対策の徹底を図るため、補正予算で地方自治体を支援する新たな防災・安全交付金約5,500億円を設け、自治体管理のインフラの点検や補修・更新作業を促すとしております。 国の動きについては期待をしたいのですが、いずれにしても今後橋梁、トンネル等、建設後50年を超える施設が急増してまいります。更新時期が一時期に集中するために技術者、費用の確保が懸念されますが、県として県民の不安を解消するためにどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。 中央自動車道笹子トンネル崩壊後、道路、新幹線などで大きな事故に至っていないものの、県内でも壁の崩落など相次いで報告されております。また、国交省によれば、市町村管理のトンネルの6割が一度も点検されていなかったと報告されております。 市町村においては、技術者、予算の不足のために十分な取り組みがなされなかったと認識をしておりますが、県として市町村の道路管理について支援をどのように考えているのか、また県民の安全、不安解消のためにJR、高速道路についても互いに安全確保のために連携が必要と考えますが、取り組みについて伺います。 2012年、水稲の主食用収穫量で北海道産が62万1,800トン、新潟県産は59万8,700トンで北海道が日本一となりました。また、JA全農県本部の2012年県産コシヒカリの卸売業者への出荷実績が1月末現在で前年比74%にとどまっているという報道も出ておりました。 この要因については、卸売業者が前年産の在庫を抱えていたということもあるのでしょうが、消費者の低価格志向も大きな要因と言われております。長らく新潟産コシヒカリは品質、価格、収量で大きく他県産を引き離し、絶対的なブランドと言われてきました。 最近特に北海道産米の評価が高まっており、米の収穫量では日本一、おいしさでもゆめぴりか、ななつぼしが高い評価を得ており、また他県産の品質が新潟産コシヒカリを猛追していると言われております。 価格面では、新潟産コシヒカリ、中でも魚沼産コシヒカリは依然飛び抜けております。消費者の低価格志向、品質と価格の差などを考えると決して安心してはいられない。ササニシキの二の舞にならなければと心配もしています。 この状況に対して、新潟米の一層の品質向上、新品種の開発など望まれますが、本県の取り組みについて伺います。 先月県警は、新潟産コシヒカリと偽って販売した大阪の業者を逮捕しました。かねてより新潟米コシヒカリとして他の米を混入するなどの行為が横行していると指摘され、これまでもこの種の事件が後を絶たない状況でした。 新潟県産米の信用維持のためにも、にせコシヒカリ対策の強化が望まれるところであり、厳しく対処していただきたい。今後の方針について伺います。 次に、レスリングのオリンピック競技種目の存続について質問をいたします。 ロンドンオリンピックで日本人選手が大活躍したレスリングが突如、2020年夏季オリンピックの実施競技から外されることが濃厚となってまいりました。 ギリシャの古代オリンピックでの中心種目、近代オリンピックでも第1回からの競技種目であり、我々の感覚でもオリンピックの格闘技の中でも最も中核的な種目であると考えておりました。余りにも突然の発表であったので、多くの人がまさかと思ったはずです。 さて、本県はこのレスリングとは切っても切れない関係であります。戦前日本アマチュアレスリングで大活躍し、東京オリンピックの代表監督を務め、日本レスリングの発展に大きく寄与した風間栄一氏。その指導により、新潟県はレスリング王国として名をはせて、多くのオリンピック選手の輩出をしてまいりました。 また、近年の女子レスリングは圧倒的な強さで世界一の強さを誇り、多くの子供たちが未来のオリンピック選手を目指して頑張っております。その強さの源は、十日町市塩ノ又の桜花レスリング道場であります。地元の人の熱心な支えで、女子レスリングの聖地として日本、世界に名をとどろかせております。 このレスリングをオリンピックから消してはならないと多くの県民も思っております。県としてもレスリング王国を誇ってきたという伝統を守るためにも、ぜひオリンピック競技種目として存続できるように支援し、運動を展開していただきたいと思いますが、知事の見解を伺います。 次に、ドクターヘリについて質問いたします。 昨年10月30日運航を開始し、4カ月を過ぎたドクターヘリについて質問します。 この問題については、豪雪地で過疎地を持つ皆川議員よりも、現地の状況を踏まえた真摯な質問もあり、改めてドクターヘリへの期待を感じるものであります。 少し古いデータですが、2007年度の新潟県の救急搬送データによると、ドクターヘリ要請基準に該当し、病院収容まで60分以上を要した救急患者数は昼間に限定して519名、さらに県内5カ所にある救命救急センターまでのアクセス時間が60分以上を要する地域が多数あり、明らかな医療格差がありました。それらの理由から、県当局の熱意もあり、運航開始に至ったものでありました。 運航開始の10月30日のヘリポートは、悪天候と強風のため、新潟特有の冬期間の供用に関してはさぞ大変なことであろうと感じた次第です。運航開始から厳しい今冬の悪天候の中、各地の消防署との連携のもと、関係者の御苦労に感謝申し上げて、この間の活動の成果並びに特に冬期間の出動の状況について伺います。 さて、本県は東西に240キロ、南北150キロの広大な県域を有しております。このことが早期の治療開始を困難にしているのではないかと懸念もいたしております。 ドクターヘリの適正配備のグランドデザインは、本州では50から75キロ圏内を想定していると認識しております。複数配備の質問も皆川議員よりありましたが、これらは今後の運用の中で、また国の動向踏まえて考えていくことになるだろうと思っております。 現時点では、冬期間の強風、雪などもあり、屋上ヘリポートの危険性が考えられます。また、ドクターヘリの出動要請は消防機関が行いますが、消防機関においては出動要請の判断、ランデブーポイントの選定、安全管理などの新たな仕事がふえており、その対応も大変なことと思います。さらに、専用格納庫整備などの課題もあると思いますが、現時点でドクターヘリ運用に関しての課題をどのように捉えているのかお尋ねいたします。 本県では、消防防災ヘリ、県警ヘリ、海上保安庁、自衛隊など9機のヘリを保有しております。その中で夜間運行できるヘリを初めとして、それぞれ各機関特徴を持っておりますが、救助、救命という観点から保有する各機関との連携を密にし、人命救助に当たることを望むものでありますが、県と県内各機関との連携についてお伺いいたします。 最後に、スポーツ教育について質問いたします。 部活、特にスポーツクラブのあり方が大きな社会問題となっております。部活については、人格形成期に授業では得られない多くの経験、人とのつながりを持つものであり、生涯の宝となっていると思う人が大勢おります。 私自身も中学、高校と柔道部に所属し、多くの得がたい経験をし、先輩、後輩、恩師と変わらぬつき合いをして、どれほど支えてもらったか感謝にたえません。 しかし、近年学校における部活は、少子化、進学競争、教員の多忙化など、部活の指導において難しい環境になっております。全国大会などを目指す部活においては、教員の献身的な活動なくしては成り立たない状況であります。 多くの公立校は、顧問であっても競技経験のない人がつく例が多く、勝負以前に基本的な練習、部活の楽しさすら経験することができない、そして廃部になる例もあると聞いております。 また、部活は文科省が定める学習指導要領に明確な位置づけがなく、顧問の自主的な活動とされていると知って、これもまた驚きました。 ここ数年、本県では国体、インターハイなどの開催があり、ともすれば上位入賞に目がいく状況になっていた感もします。多感な時期に多くの仲間と楽しく部活ができる、それがスポーツ、文化の底辺を広げる大事なものと思います。これら部活の課題及び活性化の取り組みについて伺います。 体育系の部活での指導における体罰、暴力行為が連日報道されております。いわゆるスポーツ等の名門校で、時に行き過ぎた勝敗第一主義、また過度な精神主義で体罰、暴力行為が横行しているのは周知の事実であります。 最近は、部活の指導者として、外部の経験者を招くことも多くなっております。昔であれば、練習中は水を飲んではいけない、過度な練習など、かえってスポーツ嫌いにさせた、また熱中症等による事故など多くの事故も出ておりました。体育系部活では、陰ではこのような問題も抱えているのが現状ではなかろうかと思います。 子供時代のスポーツは、まず第一に心身の健康、そして生涯スポーツを楽しむ契機になること等が要請されます。そのためには、子供たちの心身の健康管理が指導者として極めて大事であり、また最新の知見を取り入れたスポーツ指導のあり方が大事であると思いますが、県教育委員会としてどのような取り組みをしていくのか伺います。 以上で、質問を終わらせていただきます。(拍手) 〔知事泉田裕彦君登壇〕
◎知事(泉田裕彦君) 志田議員の一般質問に順次お答えをいたします。 まず初めに、民主党政権への評価と安倍政権への期待についてであります。 特に地方自治体を預かる立場といたしましては、民主党政権には地域主権改革を一丁目一番地の政策に掲げ、地方分権、地域主権を促す契機をつくっていただいたものと考えております。 安倍政権には、まず適切なマクロ経済・財政金融政策を着実に実施していただくことで、円高・デフレという縮み構造、空洞化を続けてきた日本社会が活力を取り戻し、再生に向かうことを期待をいたしております。あわせて、震災復興や地方分権、地域主権についても強く推し進めていただきたいと期待をしておるところでございます。 次に、TPPに関する日米首脳会談の結果及び県内農業や産業に与える影響についてでありますが、梅谷議員の一般質問でお答えをしたとおり、今回の共同声明では例外品目が事実上容認されたものと考えております。 なお、影響については、現時点では試算が政府内で行われていると承知をいたしておりまして、十分な情報提供に至っておりませんので、判断としては難しいと考えております。 まずは、国民に対しまして参加することのメリット、デメリットを明らかにし、十分に議論できる情報を提供していただくことが大切であると考えております。 次に、震災瓦れき処理の放射能管理についてでありますが、これまで環境省に対し放射能管理について質問や提案をするなど、積極的に対応してきておりますが、環境省からは質問に対し整合性のある答えをいただいておりません。 また、これまでの私の発言は現在の法制度と刑法の一般的な説明をしたものであり、それ以上のものではありません。 原発事故前よりも放射性物質の規制が緩和をされ、原子力発電所構内よりもその敷地外での取り扱いが緩くなることを懸念をいたします。本県において、放射性物質の規制を原発事故以前より緩和する理由はありません。 また、新潟水俣病は濃度規制しかしなかったということから、結局敷地内の化学物質が全て河川に流され、それが生態濃縮を通じて人体に摂取をされたことなどにより生じたものであるとされております。 放射能管理につきましては、水俣病等の歴史の教訓に学び、人知を尽くして管理することが重要であると考えております。 なお、震災瓦れき処理においてモニタリングを必要とする理由については、防災局長から補足答弁をいたします。 次に、道州制についてお答えをいたします。 まず、道州制基本法制定の動きについてでありますが、道州制基本法案が今国会に議員立法で提出される予定であることは承知をいたしておりますけれども、実現を目指す道州制の詳細は今後設置をされる道州制国民会議において議論するとされているだけで、明確ではありません。 本来目指すべきは、抜本的な地方への権限移譲によって地方の創意工夫を認め、自己決定力を高めていく、このような制度改正であり、地域の多様性を踏まえた道州制であると考えております。 本県といたしましては、そうした考え方に立って、効率化ありきの都道府県合併や、国の出先機関の管轄エリアを基本とした中央集権体制の強化とも言えるような国主導の道州制に進むことのないよう、危機感を持って対応していく必要があると考えております。 次に、道州制議論に備えるための検討の進め方についてであります。現在新潟市と調整を進めているのは、今後の道州制議論の中で行政の効率化を求められる蓋然性が高いことから、政令市との二重行政の排除により垂直連携の効率化モデルを示すためであります。これはこれで進める必要があると考えております。 道州制については、議員御指摘のとおり県全体の議論として進める必要がありますけれども、まずは道州制とは何なのかという理念、それから道州制の目的、これを共有をし、国の管轄区域の錯綜などの本県特有の課題や論点を提示する中で議論を深めていく必要があると考えております。 次に、拠点整備についてお答えをいたします。 首都直下地震等における防災・救援のバックアップ体制についてであります。 本県は、東日本大震災の際に交通やエネルギーなどの拠点性を生かし、被災地のバックアップに一定の役割を果たしてまいりました。現在全国知事会などにおいて、大災害時の広域支援体制について具体的な検討を進めております。この本県の役割を明確にしながら、必要な提言をしてまいりたいと思います。 次に、原発についてお答えをいたします。 まず、安全管理に関する技術委員会の検証報告の取りまとめについてでありますが、年度内にその時点での議論の整理がなされるとのことであります。そして、検証は今後も継続されるものと理解をしております。検証の一里塚と受けとめております。 次に、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関する判断基準についてお尋ねをいただきました。 まず、やらなければいけないのは原子力発電所の安全確保であると考えております。福島第一原子力発電所事故の検証、総括、これをなさねば同じことを繰り返すことになりかねません。したがいまして、この検証、総括がない中での再稼働の議論はいたしません。 次に、土木、農業についてお答えをいたします。 道路施設の老朽化対策についてであります。帆苅議員の代表質問にお答えをいたしましたとおり、高度経済成長期に集中的に整備されたインフラの老朽化が進んでおります。県といたしましては、県民の暮らしと命を守るため、インフラの老朽化対策を積極的に推進してまいりたいと思います。 なお、具体的な取り組みについては土木部長から補足答弁をいたします。 次に、新潟県産コシヒカリの偽装対策の強化についてであります。 偽装表示による逮捕事案の発生は、極めて遺憾であります。新潟県産コシヒカリの信頼を根幹から揺るがしかねない、特に悪質な行為であると受けとめております。 県といたしましては、消費者の信頼と新潟米の適正流通を確保するため、DNA検査について点数をふやすなど強化をし、偽装が強く疑われる商品については関係機関とともに協議の上、告発も含め引き続き厳正に対処をしてまいります。 次に、レスリングのオリンピック競技種目の存続についてお答えをいたします。 レスリングは本県とのかかわりが深く、議員御指摘のとおり、第1回アテネ大会から実施をされております。このレスリングが、2020年のオリンピックから除外されるおそれがあるという状態に立ったことに非常に驚いているところであります。 県内では、レスリング以外でも野球、ソフトボールなど実施競技化を望んでいる団体もあることから、県としてどのように対応するか検討してみたいと思います。 〔防災局長飯沼克英君登壇〕
◎防災局長(飯沼克英君) 2点についてお答えします。 モニタリングを必要とすることについてでありますが、福島第一原発事故直後に岩手県で観測された降下物中の放射性ヨウ素とセシウムの3カ月間の累計は1平方メートル当たり280ベクレルと2,973ベクレルであり、同時期の本県と比べ放射性ヨウ素は約130倍、セシウムは約35倍となっております。 また、事故後の一時期、岩手県産の牛肉から放射性セシウムが検出されましたが、その原因の一つとして地元で収集された稲わらを給与したことが挙げられています。 次に、ヘリコプターを保有する各機関との連携についてでありますが、県と県警とは緊急運航を行う際、相互に調整しながら連携して人命救助に当たっております。 また、点検などでいずれも運航できない場合は海上保安庁や自衛隊に要請するなど、各機関と日ごろから連携を密にし、救助活動等に支障のないよう努めているところです。今後とも人命を最優先に、より一層各機関との連携を図りながら救助に当たってまいりたいと考えております。 〔福祉保健部長若月道秀君登壇〕
◎福祉保健部長(若月道秀君) 2点お答えいたします。 ドクターヘリの成果と冬期間の出動状況についてでありますが、皆川議員にもお答えしたとおり、運航に関する事後検証は今後ドクターヘリ運航調整委員会で行う予定ですが、重症患者に対する早期の救命救急措置、離島や僻地など医療提供体制が十分でない地域の救急医療の確保などに一定の成果があったものと考えております。 また、昨年12月以降の冬期間の出動状況は、本年2月21日までの83日間で要請件数は65件、そのうち実際の出動は27件となっております。実際に出動した27件の内訳としては、救急現場への出動が12件、病院間搬送が6件、出動後キャンセルが9件であります。 次に、ドクターヘリの課題についてでありますが、ドクターヘリをより効果的に運用するため、現在約700カ所あるランデブーポイントのさらなる拡充及び冬期間の離着陸場所の確保、基地病院と消防機関との連携強化などの課題への対応に引き続き努めてまいります。 また、冬季強風時における屋上ヘリポートの運用や専用格納庫整備の必要性につきましては、今後事後検証を行う中で課題を具体的に整理し、対応策を検討してまいります。 〔産業労働観光部長池田幸博君登壇〕
◎産業労働観光部長(池田幸博君) お答えします。 本県の見本市ビジネスの現状と研究の進め方についてでありますが、本県の見本市ビジネスにつきましては見本市の主催者、出店者ともに地方に比べて大都市圏での開催ニーズが高いことなどから、現状ではその市場規模は限定的ではないかと考えております。 見本市ビジネスにつきましては、成功すれば大きな経済波及効果がある一方で、大きな投資を伴うなどのリスクがあります。このため、まずは見本市の誘致可能性や採算性などについて、有識者への意見聴取などを行いながら研究を進めてまいりたいと考えております。 〔農林水産部長目黒千早君登壇〕
◎農林水産部長(目黒千早君) お答えいたします。 米の食味・品質向上や新品種開発の取り組みについてでありますが、新潟米につきましては主食用の収穫量だけではなく、産出額の増加を目標に置くべきものと考えております。このため、コシヒカリを中心に全国トップの価格を維持できるよう、適正な栽培管理や区分集荷・販売等によるブランド管理の徹底を進めることとしております。 また、業務用米や非主食用米について、市場ニーズに応える生産を行うことにより、新潟米全体としての所得向上を図ってまいりたいと考えております。 なお、温暖化に対応し、高温条件下でも品質と食味がすぐれる晩生品種については、平成29年に一般農家で栽培できるよう開発を進めております。 〔土木部長田宮強志君登壇〕
◎土木部長(田宮強志君) 2点についてお答えいたします。 道路施設の老朽化対策についてでありますが、県では道路の橋梁、トンネルなどのインフラが老朽化し、更新時期が集中することに対応するため、平成21年度には、橋梁長寿命化修繕計画を策定したところです。さらに、来年度を目標にトンネルなど他の施設についても道路施設維持管理計画の策定に鋭意取り組んでおります。 今後ともこれらの計画に基づき、更新時期の平準化を図りながら、点検による状態把握などを通じて計画的な補修、更新に努めてまいります。 次に、市町村の道路管理への支援とJRや高速道路との安全確保のための連携についてでありますが、市町村への支援については、技術力向上を図るため、市町村職員を対象とした最新の技術基準に基づく道路構造物の点検、補修に関する研修を実施しております。 さらに、予算的支援として、県が開発した橋梁長寿命化修繕計画のシステムを無償で提供しており、今後とも必要な支援や助言を行ってまいりたいと考えております。 また、JRや高速道路とは鉄道事業者との北陸地方連絡会議や東日本高速道路株式会社との包括的連携協定を活用しながら、管理者相互の安全確保のために連携を強めてまいります。 〔教育長高井盛雄君登壇〕
◎教育長(高井盛雄君) 2点についてお答えします。 まず、運動部活動についてでありますが、学習指導要領によれば部活動はスポーツに親しむとともに、責任感や連帯感の涵養等に資するものであることから、学校教育の一環として取り扱うべきものとされております。平成24年度の加入率は、中学校では72.0%、高等学校では44.7%となっております。 部活動の課題として専門的な知識を有する指導者の確保等が挙げられることから、県教育委員会では教員等を対象とした講習会の実施や外部指導者の派遣等により、活性化に取り組んでいるところであります。 次に、スポーツ指導のあり方についてでありますが、県教育委員会では県内全ての学校と学校体育団体等に対して体罰や暴力行為の未然防止について指導を行うとともに、児童生徒の健康管理については事故防止マニュアルや最新情報の提供などにより徹底を図ってきたところであります。 今後、学校体育団体等と連携し、部活動指導者を対象とした各種メンタルトレーニングや安全教育等の講習会を充実するなど、指導力の一層の向上に取り組んでまいります。
○議長(小川和雄君) 志田邦男君の質問は終わりました。 ――
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○議長(小川和雄君) これにて本日の一般質問は終了いたしました。 ――
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○議長(小川和雄君) お諮りいたします。 次会は、明3月6日午前10時から開くことにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川和雄君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――
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○議長(小川和雄君) 本日の議事日程は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。
△午後4時56分散会...