平成20年 6月定例会 本会議平成20年7月1日(火曜日) 議事日程 第4号 午前10時 開議第1 請願第2号第2 陳情第5号から第11号まで第3 県政に対する一般質問 ――
―――――――――――――――本日の会議に付した案件 日程第1 第2号
ミニマムアクセス米の輸入停止を求める
意見書提出に関する請願 日程第2 第5号 防災・
生活関連整備の地域間格差を無くし、安全・安心な公共事業を国の責任で実施することを 求める
意見書提出に関する陳情 第6号 国による
公的森林整備の推進と
国有林野事業の健全化を求める
意見書提出に関する陳情 第7号 国による
公的森林整備の推進と
国有林野事業の健全化を求める
意見書提出に関する陳情 第8号 ジストニアについての
意見書提出に関する陳情 第9号
売春行為適正化法制定を求める
意見書提出に関する陳情 第10号 過剰な農薬取締法により、植物からなる
農業用有機資材を締め出す不法な行政指導の改善を求める
意見書提出に関する陳情 第11号
後期高齢者医療制度の中止・廃止の
意見書提出に関する陳情 日程第3 県政に対する一般質問(片野猛君、市村孝一君、小林一大君、若月仁君、青木太一郎君、佐藤浩雄 君
) ――――――――☆――――――――出 席 議 員(53名) 小林 一大 君 冨樫 一成 君 佐藤 卓之 君 市村 孝一 君 楡井 辰雄 君 小島 隆 君 片野 猛 君 佐藤 純 君 桜井 甚一 君 小林 林一 君 西川 洋吉 君 佐藤 莞爾 君 岩村 良一 君 沢野 修 君 斎藤 隆景 君 金谷 国彦 君 早川 吉秀 君 尾身 孝昭 君 中原 八一 君 柄沢 正三 君 中野 洸 君 小川 和雄 君 小野 忍 君 村松 二郎 君 小野 峯生 君 帆苅 謙治 君 三林 碩郎 君
長津光三郎 君 渡辺 惇夫 君 石井 修 君 東山 英機 君 三富 佳一 君 星野 伊佐夫君 梅谷 守 君 石塚 健 君 進直 一郎 君 大渕 健 君 内山 五郎 君 宮崎 増次 君 竹山 昭二 君 佐藤 信幸 君 市川 政広 君 若月 仁 君 小山 芳元 君 竹島 良子 君 志田 邦男 君 青木太一郎 君 松川キヌヨ 君 佐藤 浩雄 君 中川カヨ子 君 横尾 幸秀 君 皆川 雄二 君 長谷川きよ 君 ――
―――――――――――――――議員以外の出席者 知事 泉田 裕彦 君 副知事 森 邦雄 君 副知事 小熊 博 君 副知事 神保 和男 君
知事政策局長 鶴巻 嗣雄 君
総務管理部長 白倉 哲男 君 県民生活・環境部長 棚橋 進 君 防災局長 渡邉 博文 君
福祉保健部長 石上 和男 君
産業労働観光部長 高井 盛雄 君
農林水産部長 町屋 隆 君 農地部長 小林 厚司 君 土木部長 野澤英之助 君
交通政策局長 髙橋 総一 君 会計管理者兼出納局長 武藤 敏明 君 病院局長 江口 孝雄 君 企業局長 賀谷 正 君 教育長 武藤 克己 君
人事委員会事務局長 土屋 良治 君 警察本部長 園田 一裕 君
労働委員会事務局長 関川由美子 君
監査委員事務局長 安藤ますみ 君 ――
――――――☆――――――――
△午前10時1分開議
○議長(
長津光三郎君) これより本日の会議を開きます。 ――
――――――☆――――――――
△日程第1 請願第2号
△日程第2 陳情第5号から第11号まで
○議長(
長津光三郎君) 日程第1、請願第2号及び日程第2、陳情第5号から第11号までを一括して議題といたします。 お諮りいたします。 請願第2号及び陳情第5号から第11号までは、審査のため、諸君のお手元に配付の請願・陳情文書表のとおり、各部門の常任委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(
長津光三郎君) 御異議なしと認めます。 よって、さよう決しました。 〔請願・陳情文書表は別冊に
掲載〕 ――――――――☆――――――――
△日程第3 県政に対する一般質問
○議長(
長津光三郎君) 日程第3、県政に対する一般質問を行います。 順次、発言を許します。 まず、片野猛君の発言を許します。片野猛君。 〔片野猛君登壇〕(拍手)
◆片野猛君 おはようございます。自由民主党の片野猛でございます。 通告に従いまして、順次、一般質問させていただきます。 まず、市町村の課題であります。 新潟県内の
市町村合併は、本年4月の村上市誕生により、一応の区切りがついたものと思われます。県内では、顧みますと平成13年1月に新潟市、黒埼町の合併が最初でありました。平成15年には、新発田市と豊浦町の合併、16年は佐渡市、阿賀野市、魚沼市、南魚沼市が誕生しました。 17年にピークを迎え、上越市を皮切りに、糸魚川市、新潟市、阿賀町、十日町市、妙高市、長岡市、三条市、柏崎市、胎内市が新たに合併し、18年には五泉市、村松町の合併、さらに燕市が誕生しました。この間、新潟市や長岡市、新発田市、南魚沼市では、さらなる編入合併も行われました。 合併論議が活発に県議会で繰り広げられるようになったのは、平成11年ころからと聞いておりますが、足かけ10年のさまざまな議論を経て、経過したことになります。 平成12年当時は、県内には112の市町村がありましたが、現在では31市町村となりました。全国的に見ても、平成11年には全国では3,232の市町村がありましたが、本年4月時点では1,788となりました。町が1,182、村が375減少しました。減少率は44.6%であります。 本県において、市町村の減少数は実に81市町村であり、全国第1位であります。減少率も72.3%であり、これも第2位であります。形の上では、新潟県は全国的に見て、合併が最も進んだ県となったと言えるでしょう。 しかし、問題はその内容と今後の課題であります。平成の大合併の目的については、多くの議論がありました。合併を推進する国・県・市町村側と住民では、相当な隔たりを持ったまま進んでしまったのではないかと考えます。推進する側では、国家財政とともに、地方財政の危機の打開策としての財政効率化、あるいは、地方分権に向けての能力を備えた自治体の創設を挙げる人もありました。 また一方では、地方自治法に規定されている市町村の役割分担である、住民に身近な総合行政を担うためという意見もありました。これらの考えには、合併が大きく進むことにより、市町村の行政能力が向上し、国・県からの権限移譲が大きく進展することによって、市町村が地域の大半の業務を処理できるような体制整備を進めるということが根底にあったのだと思います。 その市町村が地域の大半の業務を処理できるような体制整備が進んで、初めて道州制を含めて、新たな
地方行政全般の制度的な見直しを図る方向性が見えてくるのではないでしょうか。このことが住民にしっかりと理解されないまま合併が進んでしまったのではないかと思います。
合併特例債の活用により、今までできなかった
社会資本整備が進むことを強調することを余りにも前面に出し過ぎた感もあります。したがって、住民からは率直な感想として、「合併によってもっと社会資本が整備されるはずだったのに期待外れだ」、「
合併特例債を活用できるから合併したほうがいいと思ったのに、大きな進展は望めない」、「なれ親しんだ地域に愛着があり、このままでは将来への不安が先に来る」、「周辺部は取り残されるのではないか」といった声が聞かれます。 このギャップを解消することが合併後の市・町の大きな責務であります。目に見えて市の行財政能力が向上し、住民にとって
行政サービスの満足度が増大して初めて、苦労はしたが、合併してよかったという実感が出てくると思います。このことがなければ、市町村が地域の大半の業務を処理できるような体制整備にはならず、新たな
地方行政全般の制度的な見直しを図る方向性は見えてこないと思います。 総務省の市町村の合併に関する研究会は、平成の大合併で誕生した市町村の85%が企画や福祉分野の担当課を新設するなど、
住民サービス提供の体制を充実させたとする報告書をまとめましたが、本県の状況について、どのようにお考えか伺います。 また、
市町村合併に一応の区切りがついた本県の市町村の振興や支援について、今後どのように取り組むお考えか伺います。 次に、平成の大合併で県内最後の合併となった新村上市の課題についてお伺いします。 5市町村が合併して誕生した村上市は、その面積が1,174平方キロメートルと大変広大であります。これは県内第1位でありますが、全国的にも第12位となっています。 しかし、人口は本年6月1日現在6万9,916人であります。したがって、人口密度は59人であり、県内では新潟市の1,119人、燕市の749人に比べてはるかに少なく、魚沼市の45人に次いで2番目の状況にあります。全国に784の市がありますが、753位であります。 この広大な市域に273の町内・集落があり、あるところは、市街地を構成していますが、あるところは山間地・海岸部に点在しております。したがって、構成旧市町村の中心部と
周辺山間部・海岸部との連携に大きな障害を持った市と言えるでしょう。 このことは、
合併任意協議会の段階から議論になり、合併への賛否の分かれるところとなりました。
法定協議会段階での旧村上市の一時離脱、旧荒川町の合併構成に関する住民投票、
出直し町長選挙などの紆余曲折を経て、予定の平成17年4月から3年おくれて本年4月に合併したのであります。 このため、
合併特例債のメリットは減少し、新潟県からの合併支援も5分の1となりました。県内他市・町と比較して、大変なハンディを背負った合併と言えるでしょう。 合併による中心部と
周辺山間部・海岸部の連携の障害や財政運営についての不安を解消するため、さまざまな取り組みが行われています。旧朝日村と旧山北町では、光ファイバーによる
ブロードバンドを活用した
遠隔健康相談や
双方向告知通信システムが構築されており、今後、全市に進展することが求められています。このシステムをフルに活用するための人材育成と財源確保が必要とされます。 また、市内の周辺山間地・海岸部を含む273の集落からの要望を聞くため、あるいは相互の情報交換のため、全体の電子会議の開催などが想定されますが、やはり人材、財源の問題になります。合併を果たした村上市への人材育成面の支援及び財政支援について、知事の所見を伺います。 次に、医療問題であります。 県内多くの地域と同様に、村上市を含む県北地方も少子・高齢化が一段と進んでいる地域であります。地域の二次医療の基幹的な病院は、村上地区の
厚生連村上総合病院、荒川地区の県立坂町病院でありますが、最近の医師不足の影響により、診療科目の縮小を余儀なくされております。 特に、出産を扱う産科については、昨日も斎藤県議からお話がありましたが、県立坂町病院における分娩ができなくなり、県北地域では
唯一村上総合病院1カ所となっております。これから子供を生み育てようとする若い世代の市民に不安が生じています。 救急医療につきましては、今年度中に
県立新発田病院への高速道路での搬送路が確保されることになったとの報道がありました。このことによる時間短縮は4分ということでありますが、一刻を争う事態ですので、実現に向けて尽力いただいた関係各位に感謝申し上げます。 また、
村上総合病院に循環器系の検査体制が整備されるなど、着々と進んでいることは喜ばしいことですが、県北地域内における二次
救急医療体制が早期に整備されることを市民は待ち望んでおります。 現在、病床数は
村上総合病院が263床、県立坂町病院が150床であり、両病院の病床数は合わせて413床でありますが、救急を含め二次医療の基幹的な病院として、医師のローテーションの確立、診療科目の充実など、機能を充実し、医師不足の解消を図るためには、この地域の基幹的な病院としては、400床の規模になることが必要であるということが
村上岩船地域医療懇談会などで取り上げられています。今後の県北地方の医療体制について、望ましい姿はどのようなものか、知事のお考えをお伺いします。 次に、合併した村上市内にある
伝統的町並みを生かした
まちづくりを推進する意味合いから、
町並み保存についてお聞きします。 県内でも、都市計画による街路事業などで、古い伝統ある町並みがだんだんと失われてきました。新築・改築の際に、住宅の利便性の向上や建物の防火性、あるいは防災性の強化、住民の個性の主張などにより、個々の建物・住宅は近代化し、立派になりましたが、その分懐かしい町並みがなくなってきたようです。 伝統的な町並みには、そこに住む人たちの気持ちがあらわれているように感じられます。みんなでこのまちをよくしていこう、お互いに助け合って、誇りを持って生活しようという息吹が感じられます。 旧村上市においては、今から25年前、武家屋敷の保存活動が始まりました。市では、個々の武家屋敷の保存だけではなく、周囲の塀をコンクリートから生け垣に修復する際に助成金を出す制度をつくり、
景観保存地域を指定しました。現在は、民間の手で町屋の再生が行われており、今までに7軒、今年度は2軒の再生が進められています。 毎年3月に行われる町屋のお人形さまめぐりや9月の屏風まつり、10月の
竹灯篭まつりなどのイベントにもリピーターがふえて、定着した感があります。 最近では、国土交通省の都市景観賞、
手作り郷土賞、公共の色彩賞などを受賞して、全国的にアピールするようになりました。町並みを大切にする活動を通じて、住んでいる人にとっては、地域の一体感が生まれ、
まちづくりに参加する喜びを感じることができます。 また、訪れる人は、地元の人との触れ合いの中で、懐かしさや穏やかさを感じると言っています。合併した村上市には、このような町並みが残っている地域があります。代表的なのは、旧山北町の小俣集落、旧朝日村の猿沢集落、旧神林村の塩谷集落などですが、これらの地域の連携によって、合併した新市の一体感を醸成することができるのではないかと思います。 さらに、これらの町並みをめぐる滞在型・体験型観光に活かせるのではないかと考えますが、
町並み保存の意義に対する知事のお考えを伺います。 この取り組みは、今日まで純粋に民間の手で行われてきました。市内外の方から、年間1人3,000円の会費を募り、町屋を再生する対象者に、1件当たり80万円の補助金を出してきました。しかし、電柱を埋設する無電柱化、公共施設、市街地、道路などの整備については、この方法では限界があり、行政の支援が必要です。 このたび、文化庁、国土交通省、農林水産省の共管による「地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律」、いわゆる「
歴史まちづくり法」が成立、施行されることになりました。意欲的な市町村を対象にしている法律でありますが、歴史や文化を生かした
まちづくりが注目されております。 県内には、このような町並みが数多く現存しております。県内唯一ですが、
伝統的建造物群保存地区である佐渡市小木の宿根木の町並み、出雲崎町の妻入り住宅の町並み、関川村の豪農家屋の町並み、旧高柳町の荻の島のカヤぶきの環状集落、長岡市摂田屋の醸造蔵の町並み、旧巻町稲島の宿場町の町並み、旧吉田町の豪商今井邸を中心とする町並み、旧栃尾市の切り妻商家と雁木の町並み、上越市高田の商家・雁木の町並み、さらには新潟市下町、小千谷市、見附市、五泉市、旧津川町、胎内市中条など、数多くあります。 最近、新発田市において、景観条例を制定し、伝統ある町並みを保存する取り組みが始まったという報道もありました。現在、30を超える団体が新潟県
町並みネットワークを形成し活動中とのことです。こうした取り組みは、建物の保存や活用に有意義であり、拡充させるべきと考えますが、県内団体などの活動に対する受けとめと、県としての町並み保全に今後どのように取り組んでいかれるか伺います。 次に、
地球温暖化防止のための低
炭素社会づくりについてであります。 いよいよ、
洞爺湖サミットが近づいてまいりました。福田首相は、このほど世界全体の
CO2排出量を2050年に現状に比して半減させるための日本の役割についてのスピーチを行いました。その際、
具体的政策として、四つ挙げています。1つ目は、革新的技術の開発と
既存先進技術の普及、2つ目は、国全体を低炭素化へ動かしていくための仕組み、3つ目は、地方の活躍、4つ目に、国民主役の低炭素化であります。 低炭素社会の実現は、現在の我々の世代に突きつけられた大きなチャレンジであることを確認した上で、福田総理は、これを単に我々に課せられた負担であるととらえたのでは、問題の解決にはならないとしています。 第1に、低炭素社会への移行は、新たな経済成長の機会、ビジネスチャンスとしてとらえるべきものである。第2に、低
炭素社会実現のヒントは、我が国のよき伝統である自然との共生にある。その背景にある「もったいない」の精神こそが日本における低
炭素社会実現のキーワードであるとしています。 また、四つの
具体的政策の3番目にある地方の活躍では、農業・林業の役割の重要性を挙げています。イギリスなどで行われている製品や食品の製造から輸送・廃棄に至る過程で排出されるCO2を測定して表示する
カーボン・フット制度や
フードマイレージ制度の拡大は、食料もエネルギーも地域内での地産地消に近づくこと、バイオマスなどの
国産エネルギーの供給基地としての位置づけからも、地方の果たすべき役割は重要としております。新潟県としても、低
炭素社会づくりに積極的に貢献していくべきと考えます。 県では、
地球温暖化対策の一つとして、全国で初めての
県版カーボン・オフセットのモデル事業を佐渡市で行うとのことですが、この事業のねらいや意義についてお伺いします。 また、
具体的政策の4番目の「国民が主役」において、福田総理は教育が非常に重要であるとし、義務教育はもちろん、生涯を通じてのあらゆる場面において、低炭素社会や持続可能な社会について教え、学ぶ仕組みを取り入れるとしています。 福島県では、京都議定書ならぬ「
福島議定書」事業を活用しているとお聞きしました。
福島議定書は、学校における省エネルギーの実践を促進するため、電気・水道の使用によるCO2の削減目標を定め、知事と学校とで締結するものであります。 また、生徒の家庭においては、
エコチェックシートにより実践するものであると聞いております。新潟県でも、多くの事業が行われているとお聞きしましたが、改めて本県も
義務教育分野において、環境教育を充実させるべきと考えますが、教育長の所見をお伺いします。 また、福田首相は「国民が主役」の中で、
サマータイム制度の導入の検討を挙げています。
サマータイムは、世界的には主要国の多くが採用しており、採用して40年以上になるアメリカ合衆国など、70カ国以上になっています。採用していない主要国は、韓国、アイスランド、そして日本などであります。国内では、北海道が
道内サマータイムを実験的に行い、効果の実証をしております。 これまでの議論は、経済的効果が主であったようですが、福田首相は低炭素社会の実現のために、
ライフスタイルを変える必要があり、意識を全国民で共有する方法の一つとして、
サマータイム制度の導入を働きかけたいとしております。 冬期間雪に閉ざされ、時には災害を伴う豪雪地を抱える新潟県でありますが、夏は海・山・川の自然資源に恵まれた活気ある季節であります。この活気を十分に享受できることは、県民にとって大切なことと考えます。
サマータイム導入は、低炭素社会に向けた
ライフスタイルを国民・県民に意識啓発する上で、積極的に推進すべきと考えますが、この制度を含めた低
炭素社会実現のために住民への意識啓発について、知事の所見を伺います。 次に、
有効微生物の活用についてであります。 先ごろ、中越地区の河川で魚500匹が死んでいるのが確認されたとの報道がありました。次の日になって、その原因は小学校のプールから塩素を大量に含んだ水が流されたものとわかりました。プールを使用する前に清掃しますが、その清掃の際に使われた塩素剤が残留したまま誤って河川に排出された結果の事故でありました。県内で過去にも同じように事故があったと聞いております。 さきの低炭素社会の実現には、教育の重要性が指摘されたと同様に、
環境保全対策においても、教育の重要性が指摘されています。県内の小学校では、
環境保全対策に関する教育が盛んに実施されています。河川の汚染状況の調査や水生動物・植物の調査、水槽による飼育など、子供たちの研究結果の発表が行われてきました。 教育の観点や河川における水質、生物などの環境保全の観点からも、このような事故が起きたことは、残念であります。学校のプールだけでなく、県内のプール全体におけるこうした事例についての今後の対策、取り組みについてお伺いします。
プール清掃については、新潟県の条例運用にもあるように、塩素消毒が一般的であると思いますが、中和剤を入れて無害のものを排水したとしても、自然界には異物であります。また、塩素だけでなく、洗剤を併用したり、藻を取り除くために化学薬品が使用されています。しかも、清掃には子供たちも作業に加わることもあります。きついにおいや肌が赤くなるなどの弊害が生じています。何よりも環境によくないことが指摘されています。学校で習っていることとやっていることが矛盾しているのではないかと思います。 この事故の後、新潟日報の投書欄にも、新潟市の方から「
プール清掃には
有効微生物が効果的」という意見が寄せられていましたが、
有効微生物による
プール清掃を行っている学校が県内には数多くあります。 村上市では、8年以上前から実施している小学校を含め、8校で行われています。塩素や洗剤・薬品を全く使用することなく、
有効微生物を清掃前にプールに投入し、2週間から1カ月
有効微生物の発酵・分解の過程を経て、単にたわしや
デッキブラシでこすって流します。手すりなど、金属部分については、この8年以上前から実施している小学校では、全くさびがなく、ぴかぴかの状態になっています。この排水は、河川の浄化作用もあります。 村上市で使用されている
有効微生物は、EM菌でありますが、EM菌は自然界にある微生物のうち、有効な微生物を集めて培養したものであります。お米のとぎ汁から簡単に培養ができ、1リットルの培養前の菌から約2,500リットルの活水液ができる。非常に簡単に培養できるものであります。 新潟県では、30年以上前から農業や生ごみから堆肥をつくるとき、あるいは河川の浄化などに使われてきました。このほかにも最近では、愛媛県が開発した「えひめAI―2」という
有効微生物もあります。納豆菌と
ドライイーストとヨーグルトと、そして35度の熱でつくり、今、愛媛県ではこの「えひめAI―2」を使った清掃あるいは河川浄化などを積極的に行っています。あるいは北海道で民間の手で開発された「ピリカレ」という洗剤がありますが、これは廃油石けんからつくられた
有効微生物の粉末であります。 このように、
有効微生物の研究が進んでまいりました。これまで科学的根拠がないなどの理由で、新潟県は
有効微生物の普及には消極的でありましたが、全国的には岐阜県の可児市など、積極的に活用している自治体が増加しています。 我が新潟県は、本年第28回全国豊かな海づくり大会の開催や佐渡市におけるトキの放鳥実施など、さまざまな取り組みが行われます。新潟県は環境に優しい県であるということをアピールしております。環境に優しい県ということをもっと推進するためにも、
有効微生物の普及・研究が必要ではないかと思います。まず、冬期間水を張っている
プール清掃に活用することから始められたらいかがかと思いますが、県の所見を伺います。 以上をもちまして一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔知事泉田裕彦君登壇〕
◎知事(泉田裕彦君) 片野議員の一般質問に順次お答えいたします。 まず初めに、平成の大合併で誕生いたしました市町村における住民サービスの提供体制はどうなっているのかというお尋ねでございました。 総務省の調査によりますと、本県では全国とほぼ同じ割合の約82%の市町村において、合併した後にその役場の組織の充実が図られております。具体的には、企画分野や産業・観光分野といった課、セクションが独立をしている。このほかに、子育て支援や地域振興等のための組織が新設されております。
市町村合併によりまして、数字上はより高い専門性のもとで、住民サービスを供給する体制の充実が図られたことになっております。 今後は、この体制をどう生かしていくのか、地方分権の受け皿としての基礎的自治体、市町村が、この役割が強化されたことを住民の皆さんが実感できるような取り組みを進めていく必要があると考えております。 次に、今後の市町村の振興や支援に関する方針についてであります。 地方分権の進展によりまして、住民に最も身近な自治体であります市町村におきまして、できるだけ多くの
行政サービスを実施する。そしてまた、決定権を持つということが住民の皆さんの満足度の向上につながると考えております。県が事細かに介入することは、控えていくというのが基本的な考え方であるべきと思っております。 一方で、市町村がそれぞれの地域をどのようにしていくのか、みずから考え、自立して地域経営がとれていくまでの体制、これは過渡期というものがありますので、その過渡期については、県としてしっかりサポートしていく必要があると考えております。 いずれにいたしましても、地域住民の皆様が安心して住める地域をつくっていく過程において、県はその役割をしっかりと果たしてまいりたいと考えております。 次に、市町村の情報通信分野に対する支援についてであります。 やはり、どこに住んでも安心した暮らしを送っていくために、情報通信基盤をしっかり確保していくということは、大切な課題であると考えております。だれでもITの恩恵を実感できる社会の実現のため、情報通信環境の整備を急ぎたいと考えております。 先般、村上市のモデル地区におきまして、県からの助成も入れた無線
ブロードバンドの先行的な実験をいたしました。私も現場へ行ってまいりましたけれども、今まで64キロISDNしかなかった御家庭に、この無線
ブロードバンドが入って、動画が動くということをごらんになられた住民の皆さんの喜ぶ顔が大変印象的でありました。地域の実情やニーズを踏まえまして、低コストの整備手法であります無線
ブロードバンドの整備に対しまして、財政支援を行っていきたいと考えております。 さらに、これも議員御指摘のとおり、
ブロードバンドを積極的に活用していくためには、市町村職員の能力の向上ということが不可欠でございます。民間の企業や大学などと連携した研修などを開催いたしまして、人材育成を支援してまいりたいと考えております。 次に、県北地域の医療体制の望ましい姿についてであります。 やはり、どこに住んでも安心して医療ができる地域社会をつくっていく、これは自治体にとって最低限の
行政サービスを提供していく課題の中で、最も重要な部分の一つであると考えております。それぞれの地域における医療体制のあるべき姿は、やはり住民の皆さん、そして医療関係者、さらに地元の自治体が話し合いをしていく必要があると思っています。 新潟県は、特に医師不足が深刻でございます。そういった中で、医療のコンビニ化ということも言われている。働く医師の皆さん、医療スタッフの皆さんにとっても、働きやすい職場をつくっていく必要がありますし、一方である程度高度な医療にも対応していく必要、専門性の高い医療にも対応していく必要があるということだと思っています。地元の市・村、医師会、病院、県などによりまして、村上・岩船地域医療懇談会が設置されております。必要な医療機能やその実現に向けた具体的な取り組み、役割分担を県北地域の医療体制について、地域の皆様とともに検討して、その結果を踏まえて対応してまいりたいと考えております。 次に、
町並み保存についてお答えいたします。
町並み保存の意義についてでありますが、歴史的・伝統的な町並みの保存は、そのまちの個性を将来にわたって承継いたします。地域の貴重な空間文化資源、観光資源を生かした
まちづくりにつながる、大変意義深いことであると考えております。 私もたびたび村上にお邪魔をいたしますけれども、やはりそのまちの持っている風格というものが伝わってくる。今、全国的に注目をされている中で、大変先例となる取り組みをされておられると認識いたしております。 町並みの保存に当たりまして、先ごろ、美しいまちなみ大賞を受賞いたしました村上の町屋保存・再生運動のように、そのまちを大切にする。財政だけではない、地元住民が一体となって合意形成を図っていくということが、まちの活性化や地域の一体感を醸成する上で、特に重要であると考えております。 次に、低
炭素社会づくりについてお答えいたします。
県版カーボン・オフセットモデル事業のねらいや意義についてでありますが、まずモデル事業の概要を御説明いたします。 レジ袋をいかに減らしていくのか、また、貸し切りタクシー、イベント等の容器、こういったサービスを享受をする際に、料金を支払うわけですけれども、このカーボン・オフセット事業に参加をしてサービスを受けた場合には、その料金サービスの中から一部が二酸化炭素吸収源対策に充てられるということになります。 これは、オフセット料金の上乗せという形で、低炭素社会の実現に資するための事業ということでございまして、この事業の意義は、1つは、日々の暮らしの中で生活者が、自分が選択をできると。同じサービスがあるときに、オフセット料金を上乗せしたサービスを使うのか、それとも安いサービスを使うのかという、日々の暮らしの中で低炭素社会を意識することができる。 今、排出源取引等議論されていますが、企業活動に上限をかけて、達成できない企業間で取引しましょうという話に加えて、なかなか二酸化炭素排出量の減らない家庭部門で、日々の生活の中で、自分の生活を見詰め直すことができるということが、このカーボン・オフセット制度の意味であり、それも強制をするのではなくて、自分の選択の中で低炭素社会に貢献できるというところに意義があると考えております。 今後、佐渡市におけるモデル事業の成果を検証してまいりたい。課題が当然あるわけですけれども、オフセット資金をどのように管理して、どういう事業に、吸収源対策に投入していくのか。投入した結果、どの程度二酸化炭素が減ったのかということを検証していかなければいけないと思っています。 ことしは、まずこの資金管理の方法、そして第三者による認証の仕組み、これを県が主体となって整理したいと思っています。その整理ができましたら、全県を対象として、
県版カーボン・オフセットの制度を広げ、さらには全国、さらには世界に展開していくことを期待いたしております。 次に、低
炭素社会実現のための住民の意識啓発についてでありますが、低炭素社会の実現のためには、これも議員御指摘のとおり、
ライフスタイルの変革を進めていかなければいけないと思っております。今ほど申し上げましたカーボン・オフセットというのは、日々の暮らしの中で自分の選択で二酸化炭素を減らすことができるという取り組みで、意識啓発にも資すると思っております。 また、マイバッグ運動も日々の暮らしの中で二酸化炭素の排出を減らしていくことができるだろうと思っています。住民の具体的な行動につながる取り組みといったものが重要であると考えております。 また、
サマータイム制も意識啓発にプラスになる側面があると考えております。温暖化問題を認識し、具体的対応につながる手法の一つであろうと考えておりますが、しかしながら社会全体にかかわるものであり、デメリットもある。日本でも、終戦直後1度導入されて、労働時間の延長につながるのではないかと、その後廃止されたという経緯があります。 そして、現在では時計がふえておりますので、時計の時間修正が結構大変かもしれません。それも、外に出ている時計だけではなくて、内蔵の時計があります。例えば、おかまについている時計から始まって、あらゆるところに時計が内蔵されている。それを全部合わせ直すというコスト、また新商品にかえるというような手間は、大変な投資が要るというような話もありますので、プラス・マイナスをよく議論する必要があるのだろうと思っております。全国レベルでの導入は多方面から検討をすべき課題と考えております。 〔
福祉保健部長石上和男君登壇〕
◎
福祉保健部長(石上和男君) 2点お答えいたします。 プール排水による事故の今後の対策等についてでありますが、県といたしましては、今回の事案を受けて、プール水の排水に当たっては、新潟
県プール条例運用要綱に基づき、環境保全のために適切な措置を講じるよう、直ちに周知をしたところであります。 また、関係機関に対して、研修会、講習会等を通じて、事故例を示すなど、再発防止に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、
プール清掃に
有効微生物を活用することについてでありますが、プールの洗浄に洗剤などを使わず、
有効微生物を活用して、環境への負荷を軽減し、環境保全を図るなど、成果を上げている事例が村上市を初め、県内外にあります。 県といたしましては、プール洗浄方法の一つとして、実施してまいります。 〔土木部長野澤英之助君登壇〕
◎土木部長(野澤英之助君) お答えいたします。 県内の町並み保全に対する取り組みについてでありますが、町並みの保全・活用には、市町村や地域住民における主体的な取り組みが不可欠であることから、新潟県
町並みネットワークの形成など、県内団体の活動の活発化は、大変有意義なものであると受けとめております。 県といたしましては、歴史や文化を生かした先導的な取り組みへの支援として、ワークショップの開催や専門家によるアドバイスを行ってきたところであり、今後ともこのような組織が県内各地域に広がるように、市町村や団体等による主体的な
まちづくりを支援してまいります。 〔教育長武藤克己君登壇〕
◎教育長(武藤克己君) お答えいたします。
義務教育分野における環境教育の充実についてでありますが、本県におきましては、平成13年度から省エネやリサイクル活動などに取り組む、にいがたスクールエコ運動を県内すべての学校で推進し、環境保全に対する意識の向上に努めてきたところであります。 今後も、この運動を継承、発展させることにより、環境教育のさらなる充実に努めてまいりたいと考えております。
○議長(
長津光三郎君) 片野猛君の質問は終わりました。 次に、市村孝一君の発言を許します。市村孝一君。 〔市村孝一君登壇〕(拍手)
◆市村孝一君 歴史と伝統ある県議会の壇上に立たさせていただき、身に余る光栄、そしてまた身が引き締まる思いでございます。一生懸命頑張ります。 自由民主党の市村孝一でございます。私は、今回3点について一般質問させていただきます。よろしくお願いいたします。 まず、文化財の保護と活用について、今回私の地元の春日山城に焦点を当て、お尋ねいたします。 春日山城跡は、上杉謙信公の居城として、全国にその名を知られる新潟県民の宝であります。上杉謙信公を私の地元高田で呼び捨てにすることはタブーでございますので、本質問でもあえて謙信公と呼称させていただきます。私は、このたびの一般質問におきまして、春日山城跡の保存と整備、活用について知事の御見解をお尋ねいたします。 昨年、上越市の春日山城跡をメーンに開催された第82回謙信公祭は、NHK大河ドラマ「風林火山」に出演された「Gackt謙信」の登場もあって、2日間の会期中、延べ20万3,100人もの観光客が訪れ、いわば社会現象ともなったことは、報道等で記憶に新しいところであります。 ドラマの出演を通じて謙信公に心酔されたGacktさんは、謙信公祭に参加された後、「毎年このような形で上越の地が、そして新潟県が盛り上がっていくことを願っております。多くの人々やたくさんの子供たちの笑顔に触れることができました。本当にありがとう」と熱いコメントを残されました。 Gacktさん同様、上越の、そして新潟県の繁栄を何より願うものの一人として、私は本日質問に立たさせていただきました。 そこで、まず1点目として、来年1月からNHK大河ドラマで「天地人」が放送されることとなりましたが、主要な舞台となる春日山城を居城とした上杉謙信公は、義に厚い武将として知られております。知事が抱かれる上杉謙信公や春日山城に対するイメージについてお尋ねいたします。 次に、具体の質問に入る前に、謙信公の生い立ちと人となりについて、私見を交えて若干述べさせていただきたいと思います。 上杉謙信公は、享禄3年、西暦1530年、春日山城において父、越後守護代、長尾為景と母、虎御前の末子として生まれました。幼名を虎千代といい、7歳で菩提寺の林泉寺に預けられ、14歳までの7年間、天室光育禅師のもとで、文武の修業にいそしみました。父、為景は、謙信公を武将としてではなく、禅の道に進めたかったとも言われており、謙信公の義に満ちた生涯は、この幼少期に培われたものと考えられております。 しかし、そのころの越後は、守護の上杉定実と守護代為景との抗争が続き、政情が不安定でありました。謙信公が14歳の夏、長尾家を継いでいた兄の晴景は、林泉寺にいた謙信公を栃尾城に派遣し、中越の政情安定を図ることとなり、翌年には15歳にして、見事な初陣を飾ったと伝えられております。 そして、中越の武将たちを味方につけることに成功した謙信公の人望は、いやが上にも高まり、その名声は越後国じゅうで揺るぎないものになっていきました。 さらに、天文17年、18歳にして病弱であった兄の晴景にかわって、長尾家を相続し、領国経営に乗り出すことになったのであります。 そして、天文19年には、時の室町幕府13代将軍、足利義輝から国主クラスの大名として認められました。 さらに、天文21年には、関東管領上杉憲政が関東を追われて越後に逃れた際、謙信公は御館を造営して憲政を迎えることとなりました。 永禄4年、西暦1561年、謙信公31歳のときには、その上杉憲政から上杉の名跡と関東管領の職を継承することを時の室町幕府から認められ、鎌倉市の鶴岡八幡宮で晴れやかに就任式がとり行われました。関東の名立たる諸将たちが見守る中、謙信公は生涯最良の晴れの日を迎えられました。 ここに至って、謙信公は名実ともに越後の国主であると同時に、関東管領として、関東一円の政治にも関与することになったのであります。 一方、戦国武将として戦国の世に覇を唱え、一説では生涯に68戦して48勝2敗18引き分けとも伝えられております。手前勝手ではありますが、私独自のジャッジでは、勝敗の決しない引き分けはこの際あえて戦績から外すべきだろうと思い、そういたしますと、戦績のみに注目すると、謙信公率いる越後軍団は、48勝2敗であり、驚くべきことにその勝率は、何と96%にも達しております。 戦国史上最大の合戦とたたえられております5回に及ぶ川中島の合戦はもとより、天正5年、西暦1577年に織田信長と雌雄を争った手取川の戦いでは、柴田勝家を総大将に、前田利家、羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)、さらに滝川一益といったそうそうたる勇将たちをそろえた織田軍に対して、上杉謙信公率いる越後軍団は、勇猛果敢に立ち向かい、織田軍は「千余人が討ち取られ、川に流された者、その数を知らず」と言われたほど、大打撃を受けて退散し、上杉軍の圧勝で戦いの幕を閉じました。 このとき、謙信公は「信長と雌雄を決する覚悟で臨んだが、案外弱く、この分なら天下を統一することは簡単だ」という言葉を残しております。これは、事実でございます。この謙信公と信長の戦いは、後世になって「上杉に逢うては織田も手取川、はねる謙信、逃げる信長」という狂歌にも詠まれたほどでした。 謙信公の戦いぶりは、天下統一をなし遂げた織田信長をして、越後のトラと恐れられたのであります。 信長自身、謙信公に対して、狩野永徳の最高傑作と言われる国宝「洛中洛外図屏風」を初め、豪華な南蛮渡来のビロード製マントなど、数々の贈り物をしたことも謙信公を恐れるがゆえの御機嫌取りだったとさえ言われております。 その一方で、「敵に塩を送る」という故事を引き合いに出すまでもなく、謙信公の戦いは、公を頼ってきた武将たちの応援要請にこたえて出陣したものであり、戦国の乱世にあって、生涯にわたって私利私欲のための戦いを一度もしなかったとも言われているのであります。 また、好敵手、武田信玄の死の直後、家臣から、今こそ信濃をとる好機と出陣を勧められましたが、若い武田勝頼を攻めるのは大人げないと耳をかさず、決して兵を出そうとしませんでした。家を継いだばかりの勝頼を攻めるというひきょうな手を使い、長年の好敵手との戦いを汚すようなことはしたくなかったのに違いありません。 これらの数々のエピソードが物語るように、上杉謙信公は義に大変厚い武将として、つとに知られており、知名度、人気ともに数多い戦国武将の中でも、群を抜いております。その人となりは、謙信公がいまだに聖なる武将、聖将とたたえられるゆえんでもあります。 戦国の乱世にあって、平和な世の中の実現を目指したであろう謙信公は、天正6年、西暦1578年、志半ばで49歳の生涯を春日山城において閉じられたのでありました。 このように上杉謙信公は、我がふるさと新潟県が生んだ全国に誇る偉人の筆頭に挙げられると言っても決して過言ではないと私は確信しております。 さらに加えれば、長岡市が生んだ連合艦隊司令長官、山本五十六元帥、旧西山町、現在の柏崎市が生んだ元首相、田中角栄氏、そして我が泉田県知事、この4人こそが新潟県を代表する四天王であると私は信じて疑いません。 ところで、謙信公の家臣団を記録した古文書「天正三年上杉家軍役帳」を初め、諸資料を拝見いたしますと、一門、譜代といった長尾家から連なる従来からの家臣団に加えて、国人衆と呼ばれる集団が家臣団の最も多くを占めていることがわかります。 それらの武将名を見てみますと、北から村上市の平林城主、色部氏や本城城主の本庄氏、胎内市の鳥坂城主、中条氏、新発田市の加地荘の加地氏と竹俣氏、阿賀野市の安田城主、安田氏と水原館の水原氏、新潟市の天神山城主、大国氏、五泉市の五泉城主、甘粕氏と護摩堂城主、千坂氏など、下越地方の武将名が連なります。 また、下越地方より先に謙信公の家臣団に加わった上・中越の武将に目を向けてまいりますと、例えば中越では、長岡市の与板城主、直江氏、栃尾城主の本庄氏、夏戸城主、志田氏、刈羽村の赤田城主、斎藤氏、柏崎市の枇杷島城主、宇佐美氏と北条城主もの北条氏、南魚沼市の坂戸城主、長尾氏、さらには上越市の柿崎城主、柿崎氏、糸魚川市の不動山城主、山本寺氏などの名前が連なります。 このように、謙信公の領国経営は、上杉家のみで行われていたわけでは決してなく、謙信公の時代に家臣団に加わった県内の多くの武将たちの力の結集によってなされていたと言ってもよいのであります。 特に、揚北衆と呼ばれた県北の武将たちは、鎌倉時代以来の名門であり、これらの武家集団が謙信公に力を寄せることで、ようやく上杉家の領国経営が安泰となったと考えられているのであります。 また、中・下越の家臣団は、東北や関東勢の侵入を防ぐとともに、謙信公の信濃や関東への遠征を支えました。まさに、これらの越後全土の武将たちが一丸となって力を結集することによって、戦国最強とうたわれた上杉越後軍団が形づくられたものと言えるのであります。 ところで、謙信公の領国経営の本拠地である春日山城跡は、言うまでもなく我が日本の中世の城郭としては、その規模の雄大さ並びにその性格なども含めて、他の山城とは比較にならないほどの規模と内容を持っております。春日山城跡は、昭和10年8月27日、国の史跡に指定されました。前年に指定された石川県の七尾城跡とともに、最も早く指定された中世の山城の一つであります。 春日山城跡は、その後も昭和49年、55年、平成12年と、3回の追加指定が行われ、現在の指定面積は58.6ヘクタールに及んでいます。しかし、これでも全域の指定には到達していないため、将来的には約160ヘクタール程度が国の史跡として考えられているようであります。 現在、上越市では春日山城跡の全域保存に向け、その前提として、史跡春日山城跡保存管理計画の改定作業を進めているところであります。改定作業後、将来的には全域保存に向けた残りの100ヘクタールに及ぶ広大な面積の追加指定を行いたい考えであるとお聞きしております。 しかしながら、春日山城跡は上杉謙信公の居城として、余りにも有名であるがゆえに、核心部分の研究が十分になされぬまま現在に至っているのではないかと言われております。すなわち、先ほど来るる述べてまいりましたように、その偉大な業績ゆえに、謙信公が神格化されることによって、学問のメスを入れることをむしろためらわれてきた嫌いがあったようにも伺っております。 こうした状況を背景に、10年ほど前に上越教育大学と上越市の共催で、シンポジウム「謙信・景勝と春日山城」が開催されました。そのときの報告書を拝見いたしますと、「春日山城は、山城という単一の視点で評価してよいのだろうか。もっと多面的に謙信公の精神にまで踏み込んで、春日山城跡を評価し直すべきではないか」という考えが示されました。 そして、春日山城が単なる山城としてのみならず、謙信公を祭る寺院としても機能した全国唯一と言ってよい、特異な山城だったのではなかろうかという評価もなされました。 この結論は、もちろん現段階で到達点が見えているわけではないようでありますが、それほどに貴重な文化遺産であることの可能性を十分に示唆しているものであります。 そこで、2点目として、春日山城は我が国の中世の山城としては、大きな規模を誇り、最も早い段階で国の史跡指定を受けた山城の一つでありますが、県として、春日山城を文化財として、どのように評価しているのかについて伺います。 春日山城跡は、とても大きな山城であることは、前にも述べてまいりました。そして、その保存と整備・活用には、多くの時間と人材、そして申すまでもなく、多額の費用が必要であります。 そこで、私は全国的な視野で大規模遺跡がどのような体制で保存と整備・活用がなされているかを調査してまいりました。例えば、織田信長の攻略で焼け落ちた福井県福井市の朝倉義景の館、一乗谷朝倉氏遺跡では、福井県が朝倉氏遺跡調査研究所を設けるとともに、史跡に隣接して福井県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館も併設され、福井県が調査と整備を担当し、福井市が土地の公有化と管理を行っているとお聞きしております。 私も実際視察に伺いましたが、発掘調査の成果に基づいて、当時の町並みが復元されており、戦国時代の城下町の様子が大変よくわかる整備になっておりました。発掘調査は、昭和42年から始められ、今日まで40年以上にわたって継続されております。こうした地道な調査成果の蓄積が、現在のすばらしい整備に結びついているのであります。 また、織田信長の居城、滋賀県安土町の安土城跡の場合は、やはり滋賀県が設立した安土城郭調査研究所が調査と整備を担当されており、その成果は山ろくに建設された滋賀県立安土城考古資料館において、展示公開が行われております。 さらには、宮城県多賀城市の多賀城跡につきましても、宮城県多賀城跡調査研究所が主体となって発掘調査、環境整備が行われており、所在地の多賀城市は、指定地の公有化と維持管理を担当されております。 これらの事例は、いずれも県が主体となって調査・整備を行い、所在する市・町が公有化と維持管理を行うという明確な役割分担がなされているのであります。 質問の3点目は、福井県の一乗谷朝倉氏遺跡や滋賀県の安土遺跡は、県が調査・整備を行い、資料館や研究所を設置しております。文化財としての価値が高い春日山城跡について、本県もこうした事業に取り組むべきと考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。 新潟県を象徴する文化財や自然遺産は、数多くあります。トキや佐渡金山ももちろんであります。知事が積極的に推進されておられる佐渡の世界遺産登録は、まさに我が県を代表する文化・自然遺産を広く世界に周知させていくことになるものと私も賛同するものの一人であります。 私は、それにまさるとも劣らない、言いかえればそれに匹敵する文化遺産こそ、上杉謙信公の居城、春日山城跡であると確信して疑わないのであります。 慶長12年、西暦1607年に春日山城が廃城となって、ことしは401年目を迎えております。まさに、春日山城跡が新たなスタートを切る記念すべき年に当たると言っても、決して言い過ぎではありません。今こそ、新潟県の誇り、春日山城跡の保存と整備・活用に目を向ける絶好のチャンスなのではないでしょうか。 そして、未来永劫、子々孫々にこの貴重な財産を継承する手だてを今新潟県民一丸となって考えるべき時期を迎えているのではないでしょうか。今を逃し、時間が経過すればするほど、資料や貴重な文献の散逸、昔からの言い伝えの断絶などのおそれも懸念されるのであります。 また、地震を初めとした天災等により、山城が損傷を受けた事例を多く伺っております。そして、そうしたことがますます春日山城跡をわからなくしてしまうのではないかと私は大変危惧しているのであります。 これらを踏まえ、4点目として、春日山城に限らず、本県には歴史的にも貴重な建造物が多くあり、児童生徒の郷土への愛着心をはぐくんだり、歴史に対する興味を喚起するためにも、こうした史跡等を総合学習等の題材として活用すべきと考えますが、教育長の御所見をお聞かせください。 また、5点目として、新潟県中越大震災や新潟県中越沖地震の発生により、旧長谷川家住宅など、貴重な文化財が被害をこうむったとお聞きをしております。これらの文化財の修復を急ぎ、後世に継承する必要があると考えますが、県のこれまでの取り組み状況についてお聞かせください。 次に、「天地人」の活用についてお尋ねいたします。 冒頭でも申し上げたように、来年のNHK大河ドラマは、直江兼続公の生涯を描いた「天地人」に決定しています。皆様も御存じのとおり、直江兼続公は戦国時代、義を貫き、愛に生きた武将として知られています。 さきに申し上げたとおり、兼続公が師と仰いだ上杉謙信公は、敵に塩を送るという故事が示すように、義に厚い武将として知られています。兼続公も、謙信公の薫陶を受け、上杉景勝の家臣でありながら、豊臣秀吉、徳川家康から恐れられた知勇兼備の名将であり、大河ドラマでどのように描かれるのか、私も大いに楽しみにしている一人であります。 そこで、質問の1点目は、来年のNHK大河ドラマ「天地人」の放送は、本県の観光振興を図る上で、非常に大きなインパクトがあると考えております。県の大河ドラマを活用した観光振興に向けた取り組みの現状についてお聞かせください。 2点目として、大河ドラマの舞台は、福島県、山形県にまたがることが予想され、全国に向けて情報発信するには、他県との連携した取り組みも重要と考えますが、どのような取り組みを行っていくのか、お尋ねいたします。 3点目としては、大河ドラマ放送による誘客効果は、他県では一過性となることが多いとお聞きしておりますが、本県において一過性の効果に終わらせないためには、どのような取り組みが重要と考えるか、知事の御所見をお聞かせください。 4点目として、大河ドラマの放送は、本県を訪ねる県外客に対して、本県が持つ農業や農村体験の魅力をアピールする絶好の機会であると考えますが、グリーン・ツーリズムによる交流人口の増加に向けて、どのように取り組んでいくのか、お聞かせください。 次に、5点目として、ことし4月に地方税法が改正され、いわゆるふるさと納税の制度がスタートし、大河ドラマの放送などは、県外の本県出身者等にふるさと納税を促す好機であると考えます。県の取り組み状況をお聞かせください。 また、ふるさと納税は単なる歳入確保策に終わらせることなく、県外在住の本県出身者等にふるさと新潟をアピールし、団塊世代のふるさと回帰や定住促進等の施策とのつながりを持たせながら取り組んでいくことが重要と考えますが、今後の方針について知事のお考えをお聞かせください。 さらに、ふるさと納税を推進するために、県外では寄附を行った人にお礼の品の提供などによるPRを行う市町村もあるとお聞きしておりますが、県内市町村の取り組みの状況をお聞かせください。 私は、このたびの質問において、改めて上杉謙信公と春日山城跡が新潟県民にとってかけがえのない貴重な財産であることを声を大にして訴えかけさせていただきたいと思っております。 そして、これまでるる述べてまいりましたように、広大な山城であるがゆえに、調査研究・整備に多くの時間が必要である春日山城跡に、新潟県として積極的な調査研究、さらには整備・公開を推進していただけるよう、特段の配慮を賜りますよう切にお願いいたします。 次に、歩行者等の安全確保についてお尋ねいたします。 モータリゼーションの著しい発達は、私たちの生活を一変させ、そのニーズはますます多様化しています。かつて、自動車は一家に1台の時代であったものが、今では一家に2台、3台といった時代となりました。日本自動車工業会のまとめによりますと、2005年末現在での日本の自動車普及率は、人口1,000人当たり592台であり、ほぼ2人に1人が自動車を保有している状況にあります。これは、世界で6番目の水準となっておりますが、いかに車社会であるかがうかがい知れるものと言えます。 一方、日本経済の急激な成長と自動車の普及により、増加の一途をたどった交通事故は、警察あるいは各自治体を初めとした関係機関の御努力と住民の交通事故防止に対する意識の高揚により、近年は減少傾向にあるとお聞きしております。 平成19年度の県内での交通事故発生状況を見ましても、発生件数では1万2,791件で、18年度に比べ1,112件減少しておりますし、死者、負傷者ともに減少おります。 しかし、今日本は少子・高齢化が進んでいます。県内においても、その傾向は著しく、今後ますます高齢化が進むものと予測されます。そのことは、すなわち交通弱者の増加につながり、その人たちを交通事故から守ることは、行政の今後の大きな課題の一つであると考えます。 そこで、質問の1点目は、近年交通事故の発生件数、死者数及び負傷者数とも減少しているとお聞きしておりますが、今後高齢化がさらに進む中で、高齢者を含めた県民の交通安全に対する意識の向上を図るべきと考えます。県の交通事故防止の取り組みについてお聞かせください。 2つ目として、自転車による事故の防止について伺います。 先ほども申し上げたとおり、交通事故が減少する一方、自転車による事故が増加の傾向にあり、平成19年度中の交通事故に占める自転車事故は約15%と、過去10年間で最高となっていることが明らかにされております。県のホームページを開きますと、自転車の安全の利用を呼びかけるページを目にします。自転車の安全利用5則を掲げ、車道の原則左側通行や飲酒運転、2人乗りの禁止など、ルールを守り、安全な利用を促す呼びかけをしております。 私も毎日自動車を運転しておりますが、信号を守らなかったり、携帯電話をしながら乗っている人の姿をよく目にいたします。最近は、特に路地などからの飛び出し、つまり安全確認をしないで出てくる光景が多く見受けられるのではないかと感じております。自分は、大丈夫と思っていても、一度事故に遭えばそれこそ取り返しのつかない事態も起こり得ます。統計でも明らかなように、増加する自転車事故の防止に向けた取り組みが喫緊の課題であると考えます。 そこで、質問の2点目として、平成19年は全体の事故発生件数が減少する一方、自転車が関係する事故が増加しているが、その原因と発生防止の取り組みについてお聞かせください。 次に、歩道の整備について、その現状と今後の方向性についてお尋ねいたします。 今ほども申し上げましたが、交通事故の発生件数そのものは減っております。しかしながら、自転車が関係する事故が増加傾向にあるなど、今後取り組むべき交通事故防止に向けた課題が変化しているように思われます。高齢化によって、ますますふえるお年寄りや子供などの、いわゆる交通弱者、そして自転車等の事故の防止等、これまで自動車を中心に考えられてきたことが今後は自動車以外のところに目を向けていかなければならない状況になったと言えるのではないでしょうか。 道路整備についても、同様のことが言えるのだと思います。かつては、1車線だった道路が今は2車線あるいは4車線へと改良され、近年は歩道の整備にも力が注がれております。そこで、最近の歩道の整備状況について若干触れてみたいと思います。 平成19年度のまとめによれば、18年4月現在の歩道整備率は、県全体では35.3%、整備済み延長2,134キロメートルとなっており、平成14年と比べますと、整備率では2.4%、整備済み延長では150キロメートルで、わずかな伸びにとどまっていると言わざるを得ません。 一方、歩道の整備要望は近年急激に増加しており、逼迫する財政状況の中にあって、その対応に苦慮されているのが現状だと推察しております。しかしながら、これまでも申し上げてまいりましたとおり、今後は歩道の整備に力を傾けて取り組んでいくことが重要であると考えます。 そこで、以下3点についてお尋ねいたします。 まず1点目は、交通事故防止のためには県民の交通安全に対する意識の向上とあわせて、歩道の整備を進め、歩行者を事故から守ることも重要であると考えますが、県管理道路における歩道整備の現状についてお聞かせください。 2点目は、今年度歩道等の整備を定める交通安全指定道路の区間見直しが行われるとお聞きしておりますが、通学路の歩道整備を要望する県民の声が多いと考えます。どのような観点から見直しを行うのか、お尋ねいたします。 3点目は、交通安全指定道路の見直しを踏まえ、県管理道路の歩道等の整備を着実に進めるべきと考えますが、今後の予算措置を含めた方針についてお聞かせください。 きょうは、文化遺産の保護・活用と、より安全で安心して生活できる環境をどうつくっていくか、大きく2点について質問いたしました。 私は、新潟県の限りない発展と県民の幸せを願ってやまない一人であります。知事の真摯な御答弁をお願いし、私の質問を終わらさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔知事泉田裕彦君登壇〕
◎知事(泉田裕彦君) 市村議員の一般質問に順次お答えいたします。 まず初めに、上杉謙信公と春日山城に対するイメージについてであります。 今ほど、市村議員がるるお話なさった中で答弁をするということは、舌足らずかもしれませんけれども、真摯に答弁させていただきたいと思います。 上杉謙信公にあられましては、戦国乱世の世にありまして、領土欲を持たず、常に義によって行動を律した聖将であり、その堅実で実直な生きざまは、後の越後人にも引き継がれ、現在の新潟県人のイメージそのものになっているのではないかと思っております。 春日山城につきましては、その規模の壮大さや地形を生かした巧みな設計などから、中世五大山城の一つにも数えられる全国屈指の名城であります。新潟県が誇る貴重な文化財の一つとして、後世に伝えていくべきものであると認識いたしております。 なお、先ほど議員のお話の中にありました春日山城の位置づけについて、そうだなと、心に響くものがありました。それは、やはり上杉謙信公の精神的支柱になっているのではないかと。そして、城郭と、そしてまた居城と、もしかするとお寺の機能といいますか、信仰の対象になっているようなものが実際に世界に広く直江兼続、そしてその後の上杉鷹山を通じて、ケネディの演説までつながっているというようなことを考えると、歴史的価値の高いものであるのではないかと強く感じました。後ほど文化財保護について、教育長から答弁がございますけれども、きょうの市村議員のお話というものを胸に刻んで、今後の県政運営に当たってまいりたいと考えております。 次に、「天地人」の活用についてお答えいたします。 まず、他県との連携した取り組みについてでありますが、大河ドラマの舞台は、本県、福島県、山形県の3県にまたがっており、ドラマの知名度向上による盛り上げを図っていく上では、3県連携して取り組んでいくということが効果的であると考えております。 そうした観点から、情報発信はもとより、各種イベントへドラマキャストを招致していくといった働きかけを行ったり、展覧会で展示物の相互貸与など、協力・連携して取り組んでまいりたいと考えております。 また、旅行エージェントに対しまして、3県のゆかりの地をめぐる周遊ルートを提案して、ツアー造成を図るなど、広域観光の振興の観点からも有益な連携となるように努めてまいります。 次に、大河ドラマの誘客効果を一過性に終わらせないための取り組みについてでありますが、大河ドラマを活用したイベントの開催やゆかりの史跡など、PRで終わってしまうということは、まことにもったいないことだと思っています。どういう形でこの史跡を回っていただくか、新たなモデルコースを開発していくということが重要であります。 また、教育旅行に結びつけていくということも必要ではないか。修学旅行で新潟県の地域によって、いろんなところに行かれている。私が小学校のときにお邪魔したのが会津若松城でありました。やはり、教育旅行の目的地になっていくということが、一過性に終わらせないひとつの方策ではないかと考えております。 そのためには、やはり地域の特性を生かしたガイドの育成、そして2次交通の整備、関連商品の開発といったこともあわせて進めていく必要があるのではないかと考えております。観光地としての一段のレベルアップを図っていくということが必要であると考えております。 また、地域の児童生徒に対して、ゆかりの史跡等を素材とした学習を推進するということが必要ですし、また放送を契機に地域の歴史や文化を見直し、郷土への誇りと愛着を高めていくことも、大河ドラマ効果を持続的なものとして、地域の大きな財産としていく上で必要ではないかと考えております。 次に、定住促進とのつながりを持たせたふるさと納税の今後の方針についてであります。 県といたしましては、これまで政策プランに基づきまして、団塊の世代のふるさと回帰に取り組んでまいりました。県の魅力のPR、交流・定住人口の拡大に努めてきたところであります。また、第2新卒のUターンというものも今取り組みを進めているところであります。 このたびのふるさと納税の導入というものは、財政的には大都会と地方の不均衡を是正するというには、もともと力不足であると考えておりますが、この交流・定住促進策と相互に連携して、一体的に推進をしていくというためには、タイムリーな、時期を得た施策ではないかととらえております。多くの方々に新潟の応援団になっていただくような継続的な施策展開を図ってまいりたいと考えております。 〔
総務管理部長白倉哲男君登壇〕
◎
総務管理部長(白倉哲男君) 2点についてお答えいたします。 ふるさと納税における県の取り組み状況についてでありますが、県といたしましては、制度導入を契機に、より多くの方々から寄附をいただけるよう、制度の周知とともに、ふるさと新潟の魅力を積極的にPRしております。 具体的には、専用ホームページの開設による情報発信のほか、東京事務所やネスパス等と連携して、東京県人会等の新潟ゆかりの方々と直接お会いして、ふるさとへの寄附や応援をお願いしているところであります。 さらには、議員御指摘のとおり来年の大河ドラマの放送や2009新潟県大観光交流年等も視野に入れ、県内市町村と連携して取り組みの強化を図ってまいりたいと考えております。 次に、ふるさと納税に関する県内市町村の取り組み等についてでありますが、県内市町村の多くは、ふるさとのPRや制度の周知を図るため、ホームページの開設のほか、郷人会や学校の同窓会等に対して、寄附や応援をお願いするなど、ふるさと納税の促進に向けた取り組みを進めているところであります。 県といたしましては、こうした市町村独自の取り組みを評価するとともに、今後の交流・定住人口の拡大につながるような継続的な施策展開ができるよう、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。 〔県民生活・環境部長棚橋進君登壇〕
◎県民生活・環境部長(棚橋進君) 交通事故の防止の取り組みについてでございますが、交通事故の発生件数及び死者数は、年々減少傾向にあるものの、4年連続で全死者に占める高齢者の割合が5割を超えていることから、特に高齢者の交通事故を防止するため、高齢者が参加する「いきいきクラブ・チャレンジ100」や各地域での講習会の実施など、高齢者自身の意識醸成に取り組むとともに、各季の交通安全運動におきましても、ドライバーに対する高齢者や歩行者に優しい交通マナーの向上などに重点的に取り組んでおるところでございます。 〔
産業労働観光部長高井盛雄君登壇〕
◎
産業労働観光部長(高井盛雄君) 大河ドラマを活用した観光振興の取り組みについてでありますが、県としては、この機会を最大限に活用するため、昨年立ち上げた2009新潟県大観光交流年推進協議会の中に天地人推進委員会を設置し、この組織を中心に、官民が一体となった取り組みを進めております。 これまでは、主に県内での「天地人」や直江兼続の知名度向上と機運醸成のため、シンポジウムの開催やパンフレット、のぼり旗、ホームページ等の作成とその活用などを進めてきたところであります。 今後は、ゆかりの市のイベント等とも連携しながら、県内の盛り上げをさらに図っていくほか、県外に向けても「天地人」そのものとあわせ、本県との深いかかわりを積極的にPRしてまいりたいと考えております。 〔
農林水産部長町屋隆君登壇〕
◎
農林水産部長(町屋隆君) お答えいたします。 グリーン・ツーリズムによる交流人口の増加に向けた取り組みについてでありますが、県ではグリーン・ツーリズムの推進の総合窓口として、都市農村共生・交流支援センターを設置し、子供から大人までの多様なニーズに対応した地域の受け入れ態勢整備や首都圏への誘客活動等の取り組みを進めているところであります。 大河ドラマの放送は、本県の魅力をアピールする好機としてとらえ、体験メニューの充実や新たな受け入れ地域づくり等に対する支援を強化し、交流人口の増加につなげてまいりたいと考えております。 〔土木部長野澤英之助君登壇〕
◎土木部長(野澤英之助君) お答えいたします。 県管理道路の歩道整備の現状についてでありますが、通学路などの整備を重点的に進めており、県管理道路全体における歩道の整備率は、約3割でありますが、通学路につきましては、約6割となっております。 次に、交通安全指定道路の見直しについてでありますが、交通安全施設等整備事業の推進に関する法律に基づき、小学校の通学路などでの事故多発の危険性、交通事故による死傷者数、交通事故の発生件数などを踏まえ、県公安委員会と連携し、一層の安全確保が図られるよう、指定道路の見直しを進めているところです。 次に、県管理道路の歩道等の整備に係る今後の方針についてでありますが、厳しい財政状況の中、交通弱者である高齢者や児童などを含む歩行者の安全確保を図るため、予算の確保に努めながら、通学路や交通事故多発区間での歩道整備を着実に進めてまいりたいと考えております。 〔教育長武藤克己君登壇〕
◎教育長(武藤克己君) お答えいたします。 まず、春日山城の文化財としての評価についてでありますが、全国の中世城館跡の数は1万カ所を超えると言われておりますが、春日山城は多数のくるわや空堀で構成された本城域と周囲の尾根上に配置したとりで群をあわせて、約2キロメーター四方という広大な範囲を城郭化していることが特徴であり、その規模や内容において、全国的にも希少な城郭であります。 中世越後における政治・文化の中心という歴史的な重要性とともに、我が国の中世城郭を考える上で、学術的にも極めて高い価値を有しているものと認識しております。 次に、春日山城跡の調査・整備事業への県の取り組みについてでありますが、これまで春日山城跡に関しましては、史跡保護の観点から、上越市が主体となって、追加指定や公有化を中心に進めてまいりましたが、現在の指定は保存・活用に必要な範囲の3分の1程度にとどまっており、さらなる指定範囲の拡大が今後の最優先課題であると認識しております。 文化財の保護は、一義的には所在する市町村が中心になって進めるべきものと考えておりますが、今ほど知事のほうから力強い支援のお言葉がありましたので、県といたしましても、積極的な支援に努めてまいりたいと思います。 次に、史跡などの総合学習等への活用についてでありますが、身近な史跡などの教育活動への活用は、先人が築き上げてきた文化を理解し、郷土への愛着を深める意味でも、意義あるものと認識しております。 現在、各学校では社会科や総合的な学習の時間において、身近な史跡などを素材とした学習活動が展開されておりますが、今後もこうした活動を積極的に取り入れ、地域に根差した学習を推進してまいりたいと考えております。 次に、震災で被災した文化財修復の取り組み状況についてでありますが、県ではこれまで新潟県中越大震災により被害を受けた旧長谷川家住宅、星名家住宅、また新潟県中越沖地震で被災した大泉寺観音堂の修復を行うなど、国・県指定文化財の修復について、補助事業の適用や新潟県中越大震災復興基金事業の活用等により、支援を行ってきたところであります。 本年6月末現在における国・県指定文化財の修復状況は、2度にわたる被害を受けた旧長谷川家住宅を初め、10件がまだ修復中でありますが、いずれも早期の完了を目指し、引き続き支援に取り組んでまいりたいと考えております。 以上であります。 〔警察本部長園田一裕君登壇〕
◎警察本部長(園田一裕君) お答えいたします。 昨年、自転車が関係する事故が増加した原因についてでございますが、平成19年の月別の自転車事故の発生状況を見ますと、1月、2月の発生件数だけが前年の約2倍でございまして、そのほかはほぼ前年並みで推移しておりますので、記録的な暖冬で自転車利用者の動きが活発化したことなどが関係しているものと考えております。 次に、自転車事故の発生防止の取り組みについてでございますが、御指摘のように交通法規を遵守しない自転車利用者が顕著となっておりますことから、毎年5月に実施しております自転車安全利用促進月間において、ルールの遵守とマナーの向上を指導するとともに、街頭における指導・取り締まりの強化、自転車安全教室の開催、道路管理者と連携した自転車の通行環境の整備等に努めているところでございます。
○議長(
長津光三郎君) 市村孝一君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。 午前11時35分 休憩 ――
――――――☆―――――――― 午後1時1分 開議
○副議長(帆苅謙治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、小林一大君の発言を許します。小林一大君。 〔小林一大君登壇〕(拍手)
◆小林一大君 自由民主党の小林一大です。県政の諸課題につき、随時質問させていただきます。 泉田県政の1期、最終年度の県予算総額は、前年からわずかに伸びたものの、県債残高も膨らむなど、厳しい財政下にあることは変わりませんが、そんな中、たび重なる大災害からの復旧・復興に尽力され、魅力ある新潟づくりに邁進する知事に対して、改めて敬意を表させていただくとともに、このたび2期目への決意を固められましたことに、心から期待する気持ちでいっぱいであります。 今まさに、その御準備もお忙しいと思いますが、これからの首長に必要な資質は、あらゆる意味で今までとは違う、言いかえれば行政の最高責任者にもある種の経営手腕が必要となるのだろうと思います。経営者といっても、さまざまなタイプがいますが、戦略立案に強いリーダーシップを発揮し、時には厳しい決断を行い、大きな責任を孤独に背負い、先見力、洞察力、実行力、見識にすぐれ、慈悲深く、素直な心と、そして何よりもたぐいまれなる人望がなくてはならないと思います。 そこで伺います。自治体の首長には、企業経営者に求められるような経営感覚が必要となってくるのではないかと考えておりますが、これからの地方の時代における都道府県のリーダー像について、知事の御所見をお伺いいたします。 さらに、能力が幾らあっても、1人で行政運営ができるわけでないことは、私が申し上げるまでもありません。県庁という組織全員の力の結集がなければなりません。昨今、中央官僚のどうしようもない無駄遣いが明るみになり、現場でさまざまな血のにじむような努力をする地方公務員へも、同様に批判の矛先が向いていることが残念でなりませんが、いずれにせよ、しっかり仕事をする方が適正に評価され、モチベーション高く働ける、そんな風土づくりも知事2期目に当たり、より重要になってくるのだと推察いたします。 また、自治体を企業体と同じと考えれば、住民は株主であり、サービスを受容するお客様です。したがって、自治体はその経営内容について、容易にアクセスできるよう公開するとともに、今まで以上にわかりやすく説明する義務があると思いますが、経営内容についての情報公開の現状についてお伺いいたします。 行政運営の透明化と、その情報発進力の強化、また今後の道州制を見据えた地域間競争に際し、住民は情報がなければその評価すらできないと考えますが、積極的な情報公開について、2期目に向けた知事の意気込みをお伺いいたします。 ふるさと納税に関連し、1点お尋ねします。 この制度は、一部反対はあるものの、基本的にはよいものだと考えます。国による財政調整をもっと適正に行うことが先だとか、税の応益原則に反するとか、歳入への貢献はほとんどないとか、批判することは簡単ですが、その厳しい実情を見れば、ふるさと納税を契機として、地方への新たな対応策を探ることが必要であると思うからです。 5月からの実施で、制度の周知・PRなどに改善の余地もあると思いますが、少なくとも新潟にお金が集まる仕組みを構築しなければならないのは、言うまでもありません。 そして、さらに重要なことがあるように思います。ある農村社会学者は、空洞化が本格化する農山村に対し、心を寄せ、支えようとする地域外の方が何らかの資金・労役・知恵などの提供と実践を通じて、その地域を見守ることが地域内の内発的エネルギーに結びつくと論じていますが、人は見捨てられていないのだと心の中で思えること、だれかと何らかの形でつながっているのだと感じられること、これが地域再生のかぎだと思います。 そういう意味において、ふるさと納税は外部からの金銭的受領という意味だけでなく、人と人とのきずなを実感させ、ひいては交流の拡大や定住の促進など、地域の活性化につながるものと考えておりますが、御所見をお伺いいたします。 次に、少子化問題についてお尋ねします。 県人口は、ついに240万人を割り込みました。社会減と自然減、それぞれに具体的な対応が待ったなしで求められております。そうした中、個性や能力を生かす教育環境の整備を進め、県外へ流出する若者を新潟に引き寄せる施策の一つとして、県立大学の開学には大いに注目しております。 先日、学長就任予定者の猪口氏は、「グローバル化が進み、財政的・仕組み的に教育の中央集権的体制が難しくなった今、地方に根差した政策の中に教育があったほうがいい。丁寧に粘り強く教える大学、国際的に開かれた大学が求められる」と語り、その意欲を示されました。 一方で、大学大淘汰の時代、子供たちの大学全入時代が訪れたと言われています。4割の大学が定員割れを起こすという厳しい状況下、生き残りをかけ、大学の統合・再編も進み、キャンパスの都心回帰、就職支援の拡充、学内施設の充実、入試方法の工夫など、改革が待ったなしで行われているのが実情であり、改めて大学という高等教育の意義も問われております。そこでまず、県立大学の開学に向けた現在の準備状況をお伺いいたします。 私は、新設大学に対して、過度の期待は戒めるべきだと思う反面、大学は社会人や留学生など、地域住民が学び、交流できる場として、県民とともに育てていくことが大切なのではないかと思っております。 このように、大学を多くの県民に開放し、市民力や地域力の向上の一助としての役割を果たしていく必要があると考えておりますが、県立大学に期待する役割についての知事の御所見をお伺いいたします。 また、社会減の大きな原因として、都会の学校で学んだ若者が新潟に戻ってこない、新潟で働かないことが挙げられます。地方にはいい職場がないとさえ言われます。 その一方で、地域の企業は有能な人材の確保に大変苦労しているのも現状です。以前、ある企業の人事部で長く採用の仕事をしていた経験からすると、今の若者は情報を持ち過ぎる余り、結果的に周りに流され、形態はどうであれ、都会でどこかに就職してしまうことが多いように思います。 ただ、そうした彼らも入社3年で約3割の人が退職をします。そのときに、初めてみずからを冷静に振り返り、人生の生きがい、仕事のやりがいは、都会だけにあるのではなく、自分の生まれ育った土地への恩返しにも大きな生きがい、やりがいがあると感じることができるようになるものです。 県は、本年度から新たな予算でU・Iターンを希望する方と県内企業とのマッチングシステムの構築に取り組んでおられますが、その現状と今後の展望についてお伺いいたします。 次に、自然減についてお尋ねします。 政府は、少子化に対してさまざまな対策を模索しております。妊婦から子供の成長段階に応じた支援策を考えており、産科、小児科の整備、不妊治療助成の拡大、乳幼児手当の倍増、育児休業や短時間勤務普及、スクールバスの導入など、さまざまな対策を念頭に置いているようです。これらの政策に異論はありませんし、その財源が許す限り、ぜひとも実行に移していただきたいと思います。 しかし、こうした対症療法だけでいいのか。根本的な人口減少の原因は何か、同時に考える時期に来ていると思います。そんな中、特に言われることは、女性の
ライフスタイルの多様化です。キャリアを積みたいと考えている女性にとって、妊娠・出産による退職や休職は、できるなら避けたい。そして、結婚はともかく、妊娠・出産時期について、家庭と仕事の両立の難しさから慎重になり、遅くなってしまうことは、ある意味当然です。 平均初婚年齢が上昇し、第1子の出産時期も遅くなれば、生涯で生まれる子供の数が減少することは、統計的にも証明されています。 この
ライフスタイルの多様化に対応する施策、例えばワーク・ライフ・バランスの推進や女性の労働力率を上げ、高齢人口を支えるだけの労働付加価値を高めるワークフェア政策の推進が必要なのは、論を挟みません。 加えて、何よりも重要なことは、子供を産むことにより、社会的・経済的不利益をこうむらない制度づくりが求められるのではないかと思います。 そこでお尋ねします。本県における合計特殊出生率が平成18年において多少改善したのは、どのような理由からと認識していらっしゃるのか。先ほども申し上げましたが、子供を産むことにより、社会的・経済的不利益をこうむらない制度づくりが必要と考えますが、今後中心的に取り組んでいく少子化対策についてお伺いいたします。 昨今では、男性の育児参加も強調されます。行政や企業からは、男性の育児参加並びに育児休業の取得に総論賛成、各論反対、その大切さは理解するけれども、実際に取得することは難しいという声を耳にします。ただ、これからは男性の育児参加についても、もっと真剣に議論しなければならない時代になっております。 日本の男性は、仕事第一を求められ、それが当たり前、場合によっては美徳にすらなった風潮がありましたが、時代は変わっております。県庁のみならず、現在の県内企業の男性の育児休業の取得状況並びに取得率アップに向けた建設的な取り組みについてお伺いいたします。 さらに、少子化問題は連立方程式のように、結婚や労働の問題と複雑に絡んできます。この連立方程式を英知により解かなくてはなりません。現在の非正規雇用やニート・フリーターの増加による経済的な不安定は、非婚や晩婚、ひいては少子化を促進することは明白ですし、過重労働により家庭を持つという価値観さえ持てないと聞きます。 この非正規雇用の数は、年々ふえつつあり、その待遇が正社員に比べ著しく低く、ワーキングプアやネットカフェ難民を生み出す温床になっているとも一般的には言われます。こうした非正規雇用の待遇改善に向けた県の取り組みについてお伺いいたします。 先日、政府、労働者、経営者が集まる会合において、最低賃金の中長期的な引き上げが合意されました。また、本日から改正最低賃金法が施行されるなど、さまざまな前進もありますが、原油・食料高もあり、労使間にはまだ意見の相違があることも否めません。 さらに、最低賃金は地域間格差が大きいことも事実です。こうした、生活保護を下回る最低賃金という状況は、政府でも問題にされる一方、急激な引き上げは、特に地方を支える中小企業の体力を奪いかねない、それがかえって雇用を悪化させるという議論もあります。県の最低賃金の現状と今後の展望をお聞かせいただきたいと思います。 次に、自殺対策についてお尋ねします。 交通事故死の6倍に達し、ここ10年近く3万人もの方、未遂を含めればその何倍もの方が自死を選択せざるを得ないという痛ましい現実があります。 新潟県でも、自殺者数は年800名を超え、人口10万人当たりの自殺率は、依然として高い水準です。自殺は、防ぐことができるとされていますが、大きな原因とされるうつ病・メンタルヘルス対策だけでなく、悩んだときは皆で支えるという組織・地域づくり、住民同士で自殺を未然に防ぐという機運醸成が最も必要であることは、言うまでもありませんし、自殺の根本原因の一つ、社会の変化や貧困などへの抜本的対応も急がれます。 自殺対策基本法では、自殺対策を社会的な取り組みとして実施すべきと基本理念に示していますが、こうした働き盛りの人間がみずから命を絶つという社会的・経済的な大損失を行政としてもあらゆる手段をもって食いとめなければならないと考えます。 市町村などとの連携促進や好取り組みについての情報提供、うつ病対策、自死遺族対策の充実等、自殺予防対策において、県の果たす役割は極めて重要であると考えますが、御所見と今後の取り組みについてお伺いいたします。 よく、少子化の論議の中で、1994年の出生率1.65からV字回復を遂げ、2006年には2を超えたフランスの例が挙げられます。要因として、年間11兆円もの各種支援制度、充実した育児休業制度、ワーク・ライフ・バランスの推進、そして多様なカップル・婚姻関係の許容が挙げられます。 特に、新生児の約半数は婚外子とか、移民の受け入れが圧倒的に進んでいるなど、日本では議論がなかなか進まないような社会的問題にも踏み込んでいることが、その主要因と言われますが、一方、我が国では、社会保障制度の破綻、労働力減少という経済的側面からの議論が個別に行われるだけで、社会・文化的な考察、要は家族や国家のあり方という議論まで及んでいないことが今後の課題であろうかと思います。 ぜひとも、何らかの総合的な処方せん、少子化に悩む多くの国の見本になるような政策を我々地方からも発案する時期でないかと思っていますし、知事には今後とも御尽力いただきたいと、この項目の最後にお願い申し上げたいと思います。 次に、農林水産業についてお尋ねします。 あらゆる意味から日本の食は、危機的な状況にあるとされています。自給率の低下、海外での需要拡大や投機的な資金の流入による穀物価格の急騰がその危機をさらにあおっています。 一方で、確かに危機ではありますが、我が国農業はそんなに脆弱ではなく、その強みを生かせば、今こそ全面的に変革できるチャンスだととらえています。そもそも、自給率が低いことは今に始まったことではありませんし、狭い国土に人口が密集している経済立国にとって、低自給率はある意味宿命とさえ言えます。 今後、EPA、FTA交渉が進展し、農業分野に風穴があけば、自給率が12から13%に激減するという試算すらあります。 しかしながら、自給率アップのため、私たちに必須の輸入作物を今からすべて国産にしようにも、生産に適した耕地の確保と競争力ある価格設定は、不可能に近いのが現実です。今、大切なことは食料自給率の低さに危機感をあおられ、右往左往するのではなく、しっかりと足元を見詰め直すことだと思います。 世界的な食料の自給状況を踏まえつつ、安心・安全な食糧を安定的に確保できる農業政策の基本として位置づけ、日本農業の強みを徹底的に伸ばし、弱みを補っていく施策が求められると考えますが、現在の新潟の農業の強みと弱みはそれぞれ何だとお考えか、お伺いいたします。 次に、穀物価格上昇に伴う畜産業への影響についてお尋ねします。 トウモロコシの国際価格がバイオ燃料向けの需要の増加などから、2006年に比べ、2倍以上に高騰していることなどを受け、配合飼料価格が急騰しています。 我が国は、飼料自給率が25%と低いため、国際価格の影響をより強く受けている状況です。牛乳価格が4月から30年ぶりに値上がりするなど、価格転嫁も始まっているものの、生産コストの上昇分は補い切れていなく、畜産・酪農家の経営を圧迫しています。そんな中、政府は新たに総額700億円規模の支援策を実施する方針を固めました。 一方、現在自給率が実質的に100%を超え、生産調整を余儀なくされている米の用途を拡大し、不足する穀物の代用にすれば、食料自給率の改善に大きく寄与するとされています。畜産・酪農対策、自給率対策に飼料用米の利用は、一つの可能性であると思いますが、新潟県における現状と今後の可能性並びに県の方針をお伺いいたします。 次に、米粉についてお尋ねします。 米の消費量は、1960年と比べ半減、その消費拡大は数年来の大きなテーマであります。その一助と期待されるのが米粉であることは、言うまでもございません。 このたび、国の骨太の方針にも米粉の利用促進が盛り込まれ、全国に先駆け米粉の技術開発や普及に取り組んできた本県の地道な取り組みに、光が当たり始めたことは、大変喜ばしいと思っております。米の需要拡大の一助と言われる米粉の可能性と将来性に期待していますが、現状の取り組みと今後の展望についてお伺いいたします。 次に、林業についてお伺いします。 我が国、そして新潟県にとって林業の活性化は、まさに至上命題であることは、論を挟みません。県面積の70%弱を林野で占めるだけでなく、森林の持つ県土保全や地球温暖化の防止などの公益的機能を高度に発揮していくためには、森林を適切に整備保全することは、必須であります。 特に、新潟県の人工林は、利用可能な資源が充実しつつあり、間伐などの手入れを適時・適切に進めていくためにも、間伐材の活用が今後重要となってくると言われています。 そこで、間伐材の多用途での利活用が進んでいるものと思いますが、これら間伐材の利用の現状と今後の可能性についてお伺いいたします。 人類は、経済的な豊かさと引きかえに、地球温暖化や廃棄物、有害物質などのさまざまな環境問題を深刻化させ、また昨今の原油高騰の中にあって、限りある化石燃料への依存体質から脱却し、持続可能な社会を構築するための模索をあらゆるレベルの組織において行わなければならない状況にあることは、だれもが疑いません。 その際に、木質バイオマスを地域の特性に応じて有効に活用することは、CO2の排出抑制、循環型社会の実現、さらには産業の創設、産業競争力の再構築、そしてバイオマスが豊富に存在する農山漁村の活性化につながるものと思います。ペレット・チップなど、木質バイオマスの推進状況及び県のお取り組みについてお伺いいたします。 さらに、間伐材やバイオマスだけでなく、県産材越後杉を利用した家づくり対策は、県内林業の発展には欠かせません。木材は、森林として成長する過程で、大気中のCO2を貯蔵していることから、地球温暖化の防止に貢献すると言われています。さらには、長い目で見れば、再生産が可能なため、循環型社会構築に貢献する資源です。 たび重なる大震災以後、県産材を使用した住宅の着工は拡大しており、外材の高騰やロシア材の丸太輸出関税の大幅アップなど、外材の入手が困難になっている中、県内木材関連産業の活性化を図ることは、重要な施策であると思います。 こうした中、住宅分野での越後杉ブランドの活用を図ることが県内森林・林業・木材及び住宅関連産業の振興につながり、地域経済の活性化につながることから、今後一層の普及定着が重要であると考えますが、御所見をお伺いいたします。 一方で、森林所有者の森林整備意欲の減退から、森林整備が停滞しているところがあるのも事実です。 こうした中、京都議定書締結の舞台となった京都府のある森林組合では、最近森林所有者に対する提案型による集約化施業に取り組み、森林整備量をふやして、大きな成果を上げたようでありますが、我が県において、森林所有者に対して、森林組合が行っている提案型の森林施業の現状と県のお取り組みについてお伺いいたします。 ただ、こうした森林整備の推進には、中核的担い手となる森林組合の技術員の確保が極めて重要だとされております。しかしながら、この近年この技術員が高齢化し、今後温暖化対策として期待される森林整備が十二分に行われるか、危惧されています。森林整備の担い手である森林技術員の現状と県の確保・育成策についてお伺いします。 次に、教育問題についてお伺いします。 まず、道徳教育にかかわる新学習指導要領への対応についてです。このたび、文部科学省が小中学校の新しい学習指導要領を発表し、その改訂の柱の一つに、道徳教育の充実があります。現在、道徳は教科ではなく、学級活動やクラブ活動などの特別活動と同じような領域としての位置づけであると思いますが、今後の道徳教育に対する御所見と平成21年度からの実施に向けた本年度のお取り組みについてお伺いします。 次に、いじめ問題についてお伺いします。 昨今の傾向として、いじめに対する厳罰化が主張されることが多くなってきています。「加害者は出席停止」、「傍観する第三者も加害者」、「犯罪だから警察が取り締まるべき」という論調もあります。いじめの本質や原因を把握することなく、対症療養だけに頼るのは危険ですが、しっかりと子供と向き合う手段としての厳罰化は、しかるべきと思います。 厳罰化の前提で、いじめの存在や指導の適不適の調査を第三者機関に依頼することも必要と思いますし、少なくともいじめが原因で、子供が大切な命をみずから絶つ行為だけは、絶対とめなければなりません。 このように、昨今のいじめ対策として、いじめに対する厳罰化という主張は、しっかりと子供たちと向き合う手段として必要と思いますが、この風潮をどのように考えているか、御所見をお伺いします。 教育問題の最後に、PTAについてお伺いします。 先日、東京都杉並区立和田中学校が昨年度PTAを廃止し、PTA協議会からも脱退したというニュースを耳にしました。PTA組織が子供の教育にとって果たしてきた役割、そして地域社会にとって果たしている役割は、十二分に認識した上で、共働きの増加、少子化や学校統廃合などで、PTA役員のなり手が減り、役員になったら最後過重な負担となってしまい、みずからの子供の教育にも偏重を来すという本末転倒なことさえ起きている現状もあるようですが、県はPTAにどのような役割を期待され、現状を認識した上で、今後はどのように変化していくべきとお考えか、お伺いします。 最後に、治安についてお伺いします。 秋葉原での無差別殺傷事件は、記憶に新しく、常軌を逸したさまざまな殺人事件がメディアをにぎわしています。また、多くの国民はこの治安状況に不安を抱いていることも事実です。 しかし、冷静に考えると、不安を感じてはいるものの、事件が身近に起こったという人は少なく、統計的にも殺人事件などは、十数年前に比べ半数以下になっています。人が感じる漠然とした不安は、無差別や強盗など、見ず知らずの犯人からの殺傷を恐怖と感じ、治安の悪化ととらえるのでしょうが、現実の殺人事件の多くは、家族間、隣人・知人間などであり、また欧米に比べ、凶悪犯罪の発生数は数十分の1と、まだまだ治安はよいとされています。 一方、こんな中、県の殺人・強盗などの重要犯罪の検挙率が平成19年全国ワーストスリーという警察庁公表データもあります。 そこでお尋ねします。現在の新潟県の凶悪犯罪の実態とその検挙率並びに検挙率の低さの原因についてお伺いいたします。 また、多くの県民が治安が悪化していると感じている原因は何だとお考えか、御所見をお伺いいたします。 一方で、本県における来日外国人の犯罪件数は、このところ減少傾向にあるとお聞きしていますが、どのような対策に効果があったと分析されているのか、お伺いいたします。 そうした、我が県の治安を守る警察官の1人当たりの負担人口は、全国平均を大きく上回っており、依然として高い業務負担を強いられています。団塊世代の大量退職にあわせ、真にふさわしい能力と適性を持った優秀な人材を採用することは、もちろんですが、第一線のベテラン警察官が培った技術や能力を組織的に後輩に受け継がせていくことは、必須のことだろうと思います。 また、退職警官には地域の治安防犯活動に参加いただいたりするなど、さまざまな取り組みも考えられます。 こうした、今後の警察官の大量退職と採用の時代を迎えて、治安対策に不可欠な現場の執行力の低下が懸念されている中、その対応状況と今後の警察力の強化に向けた取り組みについてお伺いいたします。 最後に、私たち秋葉区ゆかりの作家坂口安吾は、今定例会でも幾たびか取り上げられましたが、かの直江兼続公を称して、「その鋭さは信長に通じ、快活なところでは秀吉に通じ、律儀温厚なところでは家康に通じ、緻密な頭と太々しさでは、3人に同時に通じていた」と評価しました。それほどの能力を持ちながら、一方で主君に対しては、絶対の忠誠を誓い、義を重んじ、領土や金銭には興味を示さない、その生きる姿勢は美しく、気高く、そして清々しくあります。 こうした、越後の先人に誇りを持ち、私たちが先祖から受け継ぎ、発展させてきたこの美徳こそ、これからの諸問題あふれる県政運営に存分に生かされなければならないと、知事にはお願いを申し上げ、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔知事泉田裕彦君登壇〕
◎知事(泉田裕彦君) 小林一大議員の一般質問に順次お答えいたします。 まず初めに、都道府県のリーダー像についてであります。 柄沢議員の代表質問にお答えいたしましたとおり、リーダーは将来を見据えた確かな先見性と強いリーダーシップを持ち、みずからが先頭に立って、新たな時代を切り開いていく勇気と行動力、責任感が必要であると考えております。 次に、積極的な情報公開についてであります。 県政への県民の参加を促進し、開かれた県政を推進していくため、私は就任以来さまざまな形で情報公開を進めてまいりました。例えば、ホームページを活用した積極的な情報の提供、会議の公開、パブリックコメントの実施、電子会議室の運営等、さまざまな取り組みを進めてきたところであります。 この結果、毎年公表されております全国情報公開度ランキングにおきまして、私の就任前の平成15年の46位から上昇を続けまして、平成18年度は4位、19年度は5位と高い評価を得ることができました。今後、県はもちろん、県議会の皆様や警察本部からも前向きな取り組みをいただきながら、積極的でわかりやすい情報公開に努めてまいりたいと思います。 次に、人口減少問題についてお答えいたします。 まず、県立大学に期待をする役割についてであります。県立大学の重要な役割の一つとして、地域社会への貢献があるものと考えております。このため、県立大学は地域に開かれた大学として、広く県民を対象とした公開講座の開講など、県民ニーズに応じた学習機会の提供や、図書館や体育館等の施設の開放など、地域と密接につながり、県民に親しまれ、愛される大学となることを期待いたしております。 次に、出生率改善の理由と今後の少子化対策についてであります。 本県における平成18年の合計特殊出生率の上昇は、景気の回復により、経済基盤が安定し、これによって子育ての環境が好転したことなどが背景となったものと認識いたしております。 少子化は、未婚化・晩婚化に加えまして、夫婦が持つ子供の数が減少傾向にあることが要因になっております。このことから、結婚対策に加え、子育てに対する経済的支援、時間のゆとり対策、また議員御指摘のように社会的に不利益をこうむらない仕組みの構築、こういったものに同時かつ総合的に取り組んでいきたいと考えております。 次に、農林水産業問題についてお答えいたします。 住宅分野での越後杉ブランドの普及定着についてであります。越後杉ブランドによる家づくりを推進することは、地域の森林資源の活用が促進されるばかりではなく、新たな雇用や林業・木材関連産業等、地場産業の自立回転につながるなど、波及効果は大きく、地域に活力を生み出すものと考えております。 このため、引き続き木材需要の大宗を占める住宅分野での越後杉ブランドの普及定着に努めてまいります。 〔
総務管理部長白倉哲男君登壇〕
◎
総務管理部長(白倉哲男君) 経営内容の情報公開についてでありますが、予算・決算等の情報については、その都度公表するとともに、ホームページに掲載しております。 また、平成21年度を目途に、バランスシートなどの新たな財務諸表を作成・公表することとしており、今後とも県民の皆様にわかりやすい財政状況をお示ししていきたいと考えております。 次に、ふるさと納税に対する所見についてでありますが、市村議員の一般質問に知事がお答えしたとおり、これまでも新潟県「夢おこし」政策プランに基づく団塊世代のふるさと回帰策等の着実な実施により、県の魅力のPRや交流・定住人口の拡大に努めてきたところであります。 このたびのふるさと納税の導入は、ふるさと新潟を改めて意識していただく絶好の機会であり、交流・定住施策を加速させる相乗効果も期待できることから、双方の取り組みを一体的に推進することにより、より多くの方々に新潟の応援団になっていただくよう、継続的な施策展開を図ってまいりたいと考えております。 次に、県立大学の開学準備状況についてでありますが、ことし3月に文部科学大臣に大学設置認可申請書を提出し、現在、その審査を受けているところであります。 また、公立大学法人設立に向けた準備作業を進めており、校舎施設の改修準備もこれから本格化するところであります。 今後は、入学試験の準備や各方面に対する県立大学の広報活動を積極的に行い、来年4月の開学に向けた取り組みを進めてまいります。 〔
福祉保健部長石上和男君登壇〕
◎
福祉保健部長(石上和男君) 働き盛りの自殺予防対策についての所見と今後の取り組みについてでありますが、自殺は多くの方の命を奪うとともに、家族や周囲にも大きな悲しみと生活上の困難をもたらし、社会にとっても大きな損失になることから、自殺予防は県にとりましても、重要な課題と認識しております。 このため、今後の取り組みといたしましては、市町村や産業保健分野との連携を強化し、自殺対策推進協議会における総合的な自殺対策の検討、うつ病等による休職者への復職支援モデル事業の実施、かかりつけ医等医療関係者に対するうつ病の診断治療に関する研修会、自死遺族に対する支援技術の向上を図るための研修会、県民フォーラムの開催などを行い、自殺予防対策の充実を図ってまいります。 〔
産業労働観光部長高井盛雄君登壇〕
◎
産業労働観光部長(高井盛雄君) 4点についてお答えいたします。 まず、U・Iターン希望者と県内企業とのマッチングシステム構築についてでありますが、県では今年度予算に新たに首都圏在住の、いわゆる第二新卒を中心としたUターン就職希望者と、即戦力となる人材を求める県内企業とのマッチングを推進することを目的として、Uターン産業人材確保サポート事業を盛り込んだところです。 このほど、若者の採用支援ノウハウやネットワークを有する民間事業者に業務を委託し、6月25日に県内及び首都圏にUターンサポートデスクを設置したところです。 県といたしましては、この事業を通じまして、一人でも多く県内企業へのUターン就職に結びつくことを期待しているところです。 次に、男性の育児休業の取得状況と取得率アップに向けた取り組みについてでありますが、平成19年度の知事部局の男性職員の育児休業取得率は、3%であり、一方民間企業は、0.7%となっております。 県といたしましては、職員に対し、育児休業に伴う経済的支援策を実施するなど、率先した取り組みを行うとともに、民間企業に対しては、企業巡回やセミナーを通じて、育児休業制度や各種支援制度を周知するなど、引き続き男女とも子育てしやすい職場環境づくりの啓発を行ってまいります。 次に、非正規労働者の待遇改善に向けた取り組みについてでありますが、派遣労働などの非正規雇用は、多様な働き方を選択できる雇用形態である一方、正規雇用に比べて、所得が低く、職業能力の蓄積も十分行われない傾向があると考えております。 県といたしましては、事業所に対し、優秀な人材確保に向けた非正規雇用者の待遇改善の重要性等の周知に努めるほか、正規雇用を希望しながら、やむを得ず非正規雇用についている方々に対し、引き続きジョブカフェやテクノスクールなどにおいて、必要な支援を実施してまいります。 次に、最低賃金の現状と今後の展望についてでありますが、本県の最低賃金657円は、全国中位程度であり、生活保護基準は世帯人員数、地域により異なるため、これと一律に比較できませんが、労働者本人のみの収入で生活するには、厳しい状況であるとの指摘もあるところです。 また、内閣府の成長力底上げ戦略推進円卓会議において、引き上げが及ぼす雇用の影響等を踏まえつつ、5年後をめどに、小規模事業所での高卒初任給の最低基準を目安に、最低賃金の段階的な引き上げを目指すこととされております。 今後、公・労・使から成る国の中央最低賃金審議会及び各都道府県労働局の地方審議会での審議を経て決定されることとなっており、県といたしましては、その動向について注視してまいりたいと考えております。 〔
農林水産部長町屋隆君登壇〕
◎
農林水産部長(町屋隆君) お答えいたします。 新潟県農業の強みと弱みについてでありますが、強みとしましては、国内有数の食糧生産力と食品産業の集積という特徴を有すること、新潟米など高品質でおいしい農産物に恵まれていること、技術力を有し、意欲ある農業者が多数活躍していることなどと考えております。 また、弱みとしましては、米に特化した農業形態であること、米以外の農産物が県外では知名度が低く、販売量が少ないことなどと考えており、こうした本県農業の特徴を踏まえ、安全・安心な食料供給基地としての役割を高めてまいりたいと考えています。 次に、飼料用米の利用についてでありますが、今年度の本県飼料用米の作付見込みは、15ヘクタールほどであり、課題として、食用米との価格差が大きいこと、食用米への混入防止を確実に行わなければならないことなどが挙げられます。 しかしながら、飼料用米の生産は水田をそのまま活用でき、家畜への給与を通じて、食料自給率改善にも寄与することから、県といたしましては、生産者の収入確保に向けた飼料専用品種の導入や産地づくり交付金の活用、家畜への給与実証による飼料用米の普及啓発などを推進し、県産自給飼料の確保に積極的に取り組みたいと考えております。 次に、米粉の普及の取り組みと今後の展望についてでありますが、米の主産県である本県は、早くから米粉普及に係る取り組みを実施してまいりましたが、食料自給率を上げるため、小麦粉消費量の10%以上を米粉に置きかえるにいがた発「R10プロジェクト」を提唱し、米粉の一層の普及を図っているところであります。 最近は、国内で生産が可能な米粉への注目が非常に高まっており、また国においても米の新たな利用について、積極的な取り組みが検討されていることから、今後米粉の普及が本格的に進んでいくものと考えております。 次に、間伐材利用の現状と今後の可能性についてでありますが、従来からの土木工事や公共施設への利用に加え、新たな利用拡大の取り組みとして、越後杉合板の型枠資材としての活用やシステムキッチン等生活関連用品の製品化などが始まったところであります。 さらに、木炭を活用した研磨技術の開発が産・官・学共同でスタートするなど、新用途開発に向けた動きも出てきていることから、今後さまざまな分野での利用の可能性が高まるものと考えております。 次に、木質バイオマスの推進状況及び県の取り組みについてでありますが、本県においては、木質バイオマスの活用を含むバイオマスタウン構想を6市町で策定しており、佐渡市ではチップボイラーを公営温泉施設の熱源として導入するなどの動きが出てきております。 県といたしましては、市町村等における推進体制の整備への支援、県民理解促進のための普及啓発、森林研究所における多様なペレットの製造技術開発などの取り組みを行っているところであり、引き続き「バイオマスにいがた」構想の実現に努めてまいります。 次に、提案型の森林施業の現状と取り組みについてでありますが、本県でも平成19年度から二つの森林組合において、本格的な提案型森林施業が始まったところであり、他の組合からも大きな関心が寄せられています。 県といたしましては、この取り組みが森林所有者の経営意欲を促すなど、森林整備の推進に有効なことから、施業プランを提案できる技術員の育成や現地研修会などに支援を行い、全県的に定着するよう努めております。 次に、森林技術員の現状及び確保・育成策についてでありますが、森林組合の森林技術員は、近隣減少傾向でありましたが、平成18年度には5%程度回復し、833名となっております。 しかしながら、60歳以上の占める割合は3割程度と、依然として高い状況であり、担い手の確保は重要な課題と考えております。 このため、県では今後も新潟県林業労働力確保支援センター等関係団体と連携し、新たな就業者の確保・育成や定着に向けた資格取得、技術力向上を支援してまいりたいと考えております。 〔教育長武藤克己君登壇〕
◎教育長(武藤克己君) お答えいたします。 まず、道徳教育に対する所見と今年度の取り組みについてでありますが、道徳教育は道徳の時間をかなめとし、教育活動全体を通して行うものであり、また学校教育のみならず、家庭や地域を含め、社会全体で取り組むことが重要であると認識しております。 なお、新学習指導要領におきましては、道徳性をはぐくむための体験活動の推進が強調されていることから、今年度は長期宿泊活動やボランティア活動などの体験活動と道徳教育とを関連させた取り組みを進めているところであります。 次に、いじめに対する厳罰化についてでありますが、いじめは子供の心に大きな傷を与え、命を奪うことにもなりかねない深刻なケースもあることから、毅然とした対応と粘り強い指導が必要と考えております。 また、未然防止のためには、自他を大切にする心を育てることが重要であり、自尊感情や人権感覚などを学校・家庭・地域が一体となって育成していく必要があると考えております。 次に、PTAについてでありますが、PTAは保護者と教師が協力して、学校教育や家庭教育への理解を深め、さまざまな活動を通じて、子供たちの健全な育成に成果を上げてきております。 近年、役員のなり手が減少し、一部の人に過重な負担が生じているとの指摘もありますが、活動内容を見直すとともに、地域の方々に協力を求めるなど、負担を軽減するための取り組みも行われてきております。 今後、子供たちを健やかにはぐくんでいくためには、学校・家庭・地域の連携が不可欠であり、PTAにはその中核としての役割を期待していることから、地域の協力を得ながら活動を充実させていくべきと考えております。 以上であります。 〔警察本部長園田一裕君登壇〕
◎警察本部長(園田一裕君) 3点についてお答え申し上げます。 まず、本県の凶悪犯罪の実態とその検挙率についてでございますが、刑法犯のうち殺人、強盗、放火、強姦、略取誘拐、強制わいせつの6罪種のいわゆる重要犯罪について見ますと、昨年の認知件数は295件、検挙率は50.8%でありまして、この10年間ほぼ同じ水準で推移をいたしております。 また、本年5月末現在の認知件数は、100件でございまして、検挙率は62.0%でございます。 次に、検挙率の低さの原因についてでございますが、社会環境の変化に伴いまして、犯罪の手口が大きく変わりつつあることに加え、さらに広域化、巧妙化していること、社会の連帯感の希薄等により、捜査情報の入手が困難になってきていることなどが原因であると考えております。 また、県民の方々が治安が悪化していると感じている原因についてでございますが、宮崎議員の一般質問でもお答えしたとおり、全国的に社会を震撼させるような凶悪事件が相次いで発生していることや県内の重要犯罪が依然として高水準であることなどが県民の皆様方に犯罪への不安感を与えているものと認識いたしております。 次に、来日外国人対策についてでございますが、平成に入りまして、来日外国人による犯罪が全国的に急増し、治安に深刻な影響を及ぼしたことを受けまして、本県警察でも各部門が一体となった取り締まりと各種対策を強化してきたところでございます。 とりわけ、不法滞在者が外国人犯罪の温床となっていることを踏まえまして、居住外国人の実態把握と不法滞在事犯の重点的な取り締まりのほか、入国管理局との合同摘発や情報交換、外国人雇用事業者等に対する指導・啓発等に取り組んでまいったところでございます。 また、新潟東港地区における総合治安対策や偽装結婚などの取り締まりを強力に推進したことも減少の原因と考えております。 次に、現場執行力強化のための対応状況と今後の警察力の強化に向けた取り組みについてでございますが、県警察におきましては、これまで精強な第一線警察を構築するため、採用時の教養・訓練の充実、若手を中心とした実践的教養・訓練の実施、卓越した技能・知識を有するベテラン警察官による伝承教養、退職した警察官の再任用など、現場執行力の強化に向けまして、組織を挙げて取り組んでいるところでございます。 今後とも、これらの取り組みの充実強化に努めるとともに、警察活動を支えるための装備資機材や最新の技術を活用した各種業務支援システムの一層の整備充実を図るなどいたしまして、警察力の強化に取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(帆苅謙治君) 小林一大君の質問は終わりました。 次に、若月仁君の発言を許します。若月仁君。 〔若月仁君登壇〕(拍手)
◆若月仁君 社会民主県民連合の若月仁です。通告に従って、一般質問を行います。 まず初めに、教育に関する知事の政治姿勢について伺います。 本年3月、個を伸ばす教育のあり方検討会から最終の報告書が出されました。この報告では、本県の持つ大きな課題の一つとして、人口の社会減対策が記されております。とりわけ、若い世代の人口減に着目し、年間6,000人を超える若者が大学進学等の理由で、県外に流出している現状、そして一たん県外に出ると、再度県内に戻る率はかなり低いことを指摘しております。 その上で、若い世代が生まれ育ったこの地域のすばらしさを理解をし、ふるさとを愛する心をはぐくむことの大切さも記しております。 さらに、報告書ではこれらの実現には、教育分野での取り組みが必要としており、そのためには一人一人の個性を尊重し、それを伸ばしていく教育、すなわち個を伸ばす教育を目標としていくよう提言をしております。 私も、教育における重要な目標の一つには、子供たち一人一人の自己実現があり、その欲求にこたえ、個を尊重し、それを伸ばしていく教育は、極めて重要な観点であると思いますし、その実現を望む一人でもあります。 しかし、細部を読み進めていくと、私学経営の安定や教育水準の確保には、十分配慮する必要があるとしながらも、個々の学校の努力に対する助成の仕組みを検討していく必要があるとしていることなど、過度な学校間競争が教育の機会均等を奪う心配はないかと危惧する部分もあります。 目指す方向性と個別の課題をいかに調和させていくか、本報告書を読んで、このあたりが今後の大きな課題であると感じたところです。 そこでまず、個を伸ばす教育のあり方検討会の報告書に示された本県教育の目指す方向性について、知事の所見をお伺いいたします。 さて、報告書には「オンリーワンの夢を実現」、「全国からも選ばれる教育」、「選択できる環境づくり」などの言葉が並んでおります。どれも重要な視点であるとは思いますが、これを具体的な形で実現するためには、教育における相当なる環境整備を図ることが必要となります。 私は、これまでこの県議会の場で、教育環境整備のための少人数学級実現や教職員定数増を繰り返し訴えてまいりました。本年2月定例会での新年度予算質問の中では、教育予算を編成するについて、教育環境整備に関してどのような重点化があったのか、知事に問いました。 しかし、知事からは「専門知識を有する教育委員会の意見を聞いて予算編成を行った」という、きわめて通り一遍の答弁しかいただけませんでした。教育委員会の独立性を意識しての発言だとも思いますが、予算の編成権は紛れもなく知事にあるわけですから、県のトップリーダーとして、本県教育に対してどのような願いや思いを持っているのか、子供たち、そして県民に対して、どのようなメッセージを発しようとしているのかを示していただきたかったと感じ、大変残念に思いました。 報告書に示された方向性を実現するには、まず子供たちを取り巻く教育環境整備が必要です。そして、それを実行していく知事には、施策や予算面など大きな覚悟も必要となりましょう。 私は、まずは教育現場におけるマンパワーの充実が不可欠と考えますが、教職員定数増を初めとした教育条件整備について、知事の所見を伺います。 次は、新潟水俣病について取り上げます。 泉田知事は、就任以来新潟水俣病問題に対し、従来の枠組みにはとらわれない前向きな取り組みを続けてこられました。新潟水俣病問題に係る懇談会の設置、御自身による現地視察や熊本県水俣市での水俣病犠牲者慰霊式への出席、そして県独自の条例策定への動きと、多くの関係者、県民からその動きは注目をされているところです。 こうした中、3月に出されました新潟水俣病問題に係る懇談会の最終提言は、新潟水俣病問題の解決に向けた大きな節目となると考えておりますが、まずこの報告を受けての知事の所見を伺います。 さらに、この提言を受け、新潟水俣病患者支援施策検討会が設置されました。検討会の論議では、支援対象者要件のよりどころは、保健手帳レベルが妥当であるとしています。今後示される県条例案策定においても、これに沿った考え方を目指していくのかについて伺います。 あわせて、支援対象者はすなわち新潟水俣病患者として定義されることになるのかどうかについてもお伺いをいたします。 この新潟水俣病患者の定義については、今後各方面に大きな影響を与えるものであると考えられます。患者の中には、にせ患者などと理由のない偏見を受け、苦しんでこられた方もいらっしゃいます。 県がきちんと新潟水俣病患者と定義をすることは、患者の皆さんにも勇気を与え、加えて我々が願う、もやい直しにもつながっていくと期待をしております。これら定義を明らかにしていくことは、国の認定基準改定につながる一里塚と受けとめられと考えますが、県の認識を伺います。 あわせて、国に対し二重基準の解消を図るべく、認定基準の改定を強く求める必要があると考えますが、所見を伺います。 さて、9月定例会上程を目指している「(仮称)新潟水俣病地域福祉推進条例」ですが、まずこの条例に対する知事の思いはどのようなものか所見を伺います。 そして、一般的には条例というものは方向性や考え方を示すものであると考えられます。示された患者支援の方向性や考えを次に具体的に実現していく仕組みについては、どのように考えられているのか伺います。 さて、知事がふるさとの環境づくり宣言を発表して、はや4年目に入りました。知事の熱意に、患者はいやしと熱い期待を抱いていると聞いております。 一方で、平成18年度からの、ふるさとの環境づくり宣言推進事業については、依然事業の進捗が見えてこないとの指摘もございます。患者の多くは、高齢となり、事業の進捗を心待ちにする一方で、なかなか見えない状況に焦りも入りまじっているとお聞きをしております。まずは、患者の声に十分耳を傾けることであり、患者の思いを受けたニーズに合った事業が展開されるよう求めるものであります。 これらふるさとの環境づくり宣言推進事業推進について、患者の声にどうこたえていくか、所見を伺います。 次は、地震に対する対応について取り上げます。 6月14日、岩手・宮城内陸地震が発生いたしました。4年前、県内中山間地を襲った新潟県中越大震災を経験した私たちにとって、今回の地震は人ごとではありませんでした。内陸部の山間地における土砂崩れや集落の孤立、決壊の危険をはらんだ土砂ダムなど、その被害報道は中越を襲った甚大な被害を再び想起させるに十分なものでありました。高齢の被害者も少なくはないと聞いております。 新潟県中越大震災、新潟県中越沖地震と2度の大きな震災を経験した新潟県民の一人として、亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた方の御回復及び被災地の一刻も早い復旧・復興を願わずにはいられません。 岩手・宮城内陸地震に関しては、これに関する報道や知人を介しての情報などから、国や関係機関、そして隣接各県などの自治体による救援初動が早かったという印象を受けました。緊急地震速報など、新しいシステムの稼働もありましょうが、過去の経験から地震発生直後に対応すべきことは何か、時間の経過とともに発生する被災地の要求は何かなど、それぞれの立場で準備を進め、迅速な初期対応がなされた結果と思います。 そこで、本県がとった同地震に対する被災地支援初動がどのようになされたのかをまず伺います。 あわせて、近年2度の大震災を経験した本県がなすべき同地震に対する被災地支援を今後どのように考えているのかについて伺います。 地震対応として、次は学校施設の耐震化について質問を行います。 県は、先ごろ県内公立学校施設の耐震改修状況について発表いたしました。それによりますと、県内では高等学校や中高一貫校などの県立学校に比較をして、市町村立小中学校の耐震改修実施率が低くなっております。耐震診断率こそ昨年比30ポイント増の92.9%ですが、耐震化率はいまだ53.9%にとどまっているとのことです。 さらには、耐震指標Is値が0.3未満である早急な耐震化が必要な学校施設がいまだ170棟あるということも明らかになりました。耐震改修工事には、多額の費用が必要で、財政の厳しい多くの県内市町村では、「実施はしたいが、財政負担が」というのが実情でしょう。 また、児童生徒の学習活動への影響を考えると、改修工事が夏休みに集中するなど、耐震化率のアップには幾つかの課題もあることは、承知をしております。 しかし、何といっても子供たちが毎日を過ごす施設でありますし、災害時には地域の避難所としての役割も有するのが学校施設であります。国は、地震防災対策特別措置法を改正し、急を要する学校施設の耐震化に対する補助率アップを決めました。同制度を積極活用して、安全な学校施設の実現に向かってほしいと切望するものであります。 県は、これまで市町村立小中学校の耐震化については、設置者である市町村に対し、耐震診断や耐震改修促進を要請するにとどまっていましたが、たび重なる地震が発生した今、さらに踏み込んだ対応が必要ではないでしょうか。効率的な耐震改修工法、制度活用上の情報提供など、県が行える市町村支援をさらに追求する必要がある時期に来ていると思います。これら市町村立小中学校施設の耐震化について、県のとるべき対策をどう考えているのかについて伺います。 次のくくりは、障害者の自立支援についてです。 県内授産施設では、多くの障害者の皆さんが働いております。私は、幾つかの施設を訪問し、その様子を拝見をしてまいりました。そこには、額に汗し、真剣に作業に励んでいる姿がありました。しかし、その実態は決して恵まれているものではなく、とりわけ作業工賃が極めて低い状況は看過することができません。遠方からの交通費と施設利用料の合計が1日の作業工賃を超えてしまうというケースも決して珍しくはないとのことです。 作業工賃アップは、障害者が生活的自立をしていく上で重要であるだけではなく、施設の安定的な経営にも大切な要素です。作業工賃アップに向けた着実な施策が求められています。 こうした中、県は先ごろ授産施設の作業工賃増を目指す「新潟県障害者授産施設工賃倍増計画」を策定・発表しました。県の調査によりますと、対象施設における平成18年度の月平均作業工賃は、1万441円という低額にとどまっています。工賃の月平均額ですべてを語ることはいたしません。他県を調査したところ、大変高額な工賃を得ているわずかな施設が、県平均額を一気に押し上げている例、重度障害者の受け入れも行っていることから、作業効率が極端に低下し、結果として平均工賃を押し下げた例などがあり、平均額だけで実態をつかむことは、困難もあるからです。 しかし、本県平均額1万441円で障害者の自立を促すには、それは到底厳しい額であることは、想像できます。 そこで、これら作業工賃が低い水準にあることについて、その課題をどうとらえているかについて伺います。 また、これら作業工賃アップについては、求められる商品や作業にいかに対応していくかというニーズとシーズのマッチングが極めて重要となります。各施設では、消費者や発注元である事業所などのニーズをとらえる努力をしているようですが、それにしても限界があるようです。この面については、県の援助が強く求められていると考えますが、今後の取り組みについて伺います。 さらに、作業工賃アップについては、授産施設間のネットワーク化も重要な要素になると考えます。ネットワーク化により、民間企業と比べ少ないとされる関連情報の効果的な収集と共有を進め、受注機会の拡大を進めることは、工賃アップに結びつくと考えますが、県の認識について伺います。 次は、米に関する本県農業振興について、県の取り組みについて取り上げます。 穀物不足による世界的な穀物価格の高騰が続く状況、加えて日本の食料自給率が40%を下回るという中で、町村官房長官からは、米の減反政策見直しの発言がありました。減反政策見直しは、米の過剰供給を生み、価格の下落を招くという指摘がある反面、県内農家からは売れる米の販売量をふやす好機だという声も聞かれます。たび重なる戦後の米農政転換の中でも、官房長官の発言は大きなインパクトを伴って報道されました。 まず初めに、この官房長官発言に対する知事の所見をお伺いいたします。 さて、本県米農業は依然厳しい状況が続いております。中山間地農業における担い手減少、ますます加速化する産地間競争の激化、米の消費量減少と価格下落など、危急な問題が山積をしております。本県米農業は、新潟県産コシヒカリに代表されるブランド米人気が続いたとはいえ、いかに生産するかに比較的ウエートが置かれてきました。近年の消費者ニーズの変化を見ますと、これからはこれに加え、どう宣伝をし、販売していくかが重要な点となってまいります。 食肉の偽装表示やにせブランド事件、中国製ギョーザの中毒事件など、食品の安全・安心の基盤が大きく損なわれる事件が続発をしております。ブランドとは、消費者の評価の上に成り立つものであると同時に、生産・供給する側が消費する側に対し、いかにしてみずからの優位性を正しく伝えていくかで維持されるものではないでしょうか。 生産と販売、この両輪のバランスのよい動きが本県米農業に求められていると思います。消費者に求められる米の生産・販売にどう取り組んでいくか、知事の所見を伺います。 さて、5月の中国の胡錦濤主席の訪日と時期を同じくして、日中両政府間で米の対中国輸出に関する検疫条件が合意をされました。これにより、米の対中輸出は条件を満たせば全面的な解禁を迎えることになります。昨年夏には、4年ぶりに米輸出の一部解禁が行われ、少量とはいえ短期間での完売という好調な販売結果となりました。ことし2月には、春節にあわせて追加輸出も行われたところであります。 中国への米輸出には、課題も少なからず存在をいたします。購入者の多くである富裕層は、贈答用として、本県産コシヒカリを購入しているため、今後は米そのものを味わってもらうよう、米文化の発信に取り組むことが必要となってきています。 また、コシヒカリという名称が既に中国商社によって商標登録をされており、日本側が使用することができないという問題もあると聞いております。しかし、今回の合意は県内生産者からも直接輸出ができる道が開けるなど、今後の販路拡大には朗報であることには間違いありません。 本県産米の食味のよさはもちろんのこと、品質の高さや安全性など、より一層のアピールが必要と考えますが、今後中国への米輸出にどのように取り組んでいくのか所見を伺います。 さて、米に関する農業振興についての最後の質問は、水田経営所得安定対策についてです。 品目横断的経営安定対策は、わずか1年でその名前を変え、面積要件の大幅な緩和を市町村にゆだねた内容で再スタートを切った格好となりました。市町村によっては、1ヘクタール以上の面積要件としたところもあり、従来の個人4ヘクタールからすると、大幅な要件緩和と言えます。この制度に参加できる農家がふえることは、歓迎すべきものと言えますが、情報の周知不足や手続の理解不足による未申請も心配をされているところです。 水田経営所得安定対策は、6月末、つまり昨日が市町村から国への申請締め切りということですが、平成20年度の加入見込みとこれに対する県の認識について伺います。 大きなくくりの最後は、地域医療整備について取り上げます。 先日の記者会見で、知事は魚沼地域における医療体制の整備、すなわち各医療機関の役割分担や基幹病院の位置づけ、そして基幹病院機能というものを総合的に検討する、魚沼地域医療整備協議会(仮称)を設立すると明らかにされました。この協議会は、その名前が差すとおり、魚沼の地域医療における課題をいかに解決し、かつ地域医療を整備していくかが検討課題となるのだろうと期待しております。 一方で、魚沼基幹病院(仮称)基本計画策定委員会も設置され、病院長、研究所長候補者を含めたアドバイザーにより、年度内の整備基本計画の策定に向け、協議が開始されます。 この二つの会議、魚沼地域医療整備協議会(仮称)と魚沼基幹病院(仮称)基本計画策定委員会との役割分担及び相互連携は、どのような形をとっていくのか伺います。 あわせて、魚沼地域医療の検討を進める今後のスケジュールについても伺います。 次に、年度内にまとめられる予定の魚沼基幹病院(仮称)基本計画でありますが、こちらの協議が先行し、地域医療整備に関する協議が硬直化をしてしまわないかという不安も感じられます。地方自治体からは、これまで基幹病院の姿を早期に示してほしいという要望がありましたが、それは基幹病院を中心としつつも、地域全体の医療整備体制を早期に並行して考えていくことが重要だとの思いからであったと私は受けとめております。 地域住民の生命・健康を守っていく体制構築には、あくまで地域医療整備が土台にあり、基幹病院設置はその中心的一つであると考えておりますが、所見を伺います。 また、魚沼基幹病院(仮称)開院に向けては、病院周辺の交通環境、関係施設などを初めとしたインフラ整備も重要な点となってまいります。病院機能を十分に発揮するためにも、県の積極的なかかわりが必要と考えますが、所見を伺います。 次に、地域医療整備で避けて通ることのできない医師不足への対応について伺います。 この問題は、本定例会でも何度も取り上げられており、さまざまな要因が指摘されていますが、これという決定打がなかなか見つからない問題でもあります。国は、遅まきながら医師養成数の抑制方針展開を打ち出しました。しかし、その具体策は今後に待たれるところであり、加えて大学医学部の定員の地元枠増や県内一部高校でのメディカルコース設置などは、その効果があらわれるまでに相応の時間を要します。医療現場、そして地域の住民からは、長期的取り組みと並行して、速効性のある医師不足対策が強く求められております。 勤務医が所属する病院と開業医とが連携し、医師不足や医師の長時間診療に対応することなどは、極めて有効な対策とも思いますし、加えて地域医療の整備充実という本県が持つ医療課題を前面に押し出しての臨床研修医募集なども、短期的取り組みとしては、効果は大きい考えますが、県の認識とその対応について伺います。 さて最後は、公立病院改革ガイドラインについて質問いたします。 昨年12月、国は公立病院改革ガイドラインを発表いたしました。すべての公立病院に対し、本年度中に改革プランを作成し、3年間で経常黒字の達成を求めております。このガイドラインには、幾つかの問題点が指摘されております。 まず、病院改革とは言いながら、経営効率優先の内容となっており、医療をどう整備していくかという視点に欠けるということです。取りまとめたのが総務省ということですが、厚生労働省、つまり医療からの視点がどれほど考慮されたのか、大変疑問に思います。 全国の自治体病院の多くは、その経営環境が極めて厳しい状況にありますが、その大きな原因の一つには、医師不足があると言われております。にもかかわらず、今回示されたガイドラインには、医師不足についての抜本対策は何ら示されておらず、経営効率にのみ改革を求める内容となっております。 また、人件費比率や病床利用率に数値目標を設定し、不達成の場合には厳しいむちが用意されております。その根底には、経営状況の悪い病院は切り捨て、病院再編による経営効率アップが潜んでいると考えられます。 本県自治体のように、中山間地や過疎地域を多く持つ場合、経営効率だけで病院経営を語ることは、非常に大きな危険をはらんでいると思います。また、本県が進めようとしている地域医療整備の方向に、影響が出ないかと心配もしております。どの自治体も経営改善を目指した病院改革には着手しているところであり、国からのトップダウンによる改革は、分権時代にはふさわしくないとも考えます。 地域や地方の声を十分に聞かず、経営効率のみを追求しての安易な統合・廃止や運営形態の変更は、結果として地域医療の混乱に拍車をかける結果となるおそれもあります。国は、都道府県には改革推進の旗振り役を求めているようですが、公立病院改革ガイドラインについての県の認識をお伺いし、私の一般質問を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔知事泉田裕彦君登壇〕
◎知事(泉田裕彦君) 若月議員の一般質問に順次お答えいたします。 まず初めに、個を伸ばす教育のあり方検討会の報告書についてであります。 若者の県外流出に歯どめのかからない本県の現状を踏まえ、オンリーワンの自分の夢をかなえられる教育環境の整備や個々人の能力、興味・関心に応じた教育を選択できる環境づくりを行っていきたい、そして「新潟に来ると自分の夢がかなう」と言われるような、若人が集う魅力的な県をつくっていくという一つの方向性が示されたというふうに受けとめております。 この提言を受けまして、県民の皆様の御意見をお聞きをしながら、新潟方式のキャリア教育、これはどこかの段階で振り分けをするということではなくて、発達段階において、みずからの人生を選択できるような職業教育を行うという意味でありますけれども、この新潟方式のキャリア教育や若者に選ばれる教育環境づくりについて、さらに具体化のための検討を進めてまいりたいと考えております。 次に、教職員定数増を初めとした教育条件整備についてであります。 教育環境につきましては、教育を受ける児童生徒の側に立ち、児童生徒が将来への夢・希望、そして目的を持って生きていくための基盤づくりという観点で検討していくことが重要であると考えています。ニート・フリーターというような言葉が出てくる。また、大学への進学がモラトリアムと言われるような状況、これはやはり発達段階に応じた指導、キャリア教育というものが不足しているということではないかと受けとめています。 まず、具体的には専門知識を有する教育委員会が児童生徒の発達段階や地域の実情など、さまざまな観点から検討すべきものであり、その判断を尊重してまいりたいと考えております。 次に、新潟水俣病についてお答えいたします。 新潟水俣病問題に係る懇談会の提言についてであります。市川議員の代表質問にお答えしたとおり、発生から43年経過しても、いまだ解決を見ない新潟水俣病、これは一体何だったのかということを改めて検証いただくとともに、新潟水俣病患者の方々に対する支援策の基本的方向を示していただけたものと受けとめております。 県といたしましては、新潟水俣病患者支援のための恒久的な枠組みを初めとした提言の内容について、できるだけ早期に具体化をしたいと考えております。 次に、認定基準改定についてであります。 現在、検討中の条例案における新潟水俣病患者の定義づけにつきましては、国の認定基準にはかかわらず、一定の疫学要因と症状要件を有する方をひとしく新潟水俣病患者としてとらえることによりまして、社会的認知をしていく必要があると考えております。 また、県民が助け合い、安心して暮らせる社会の実現を目指して取り組むことを目的といたしております。 県といたしましては、国に対し認定基準の改定を働きかけたものの、実現をする見通しがないことから、まず国とは別に県独自の施策の早期具体化に努めてまいりたいと考えております。 次に、条例に対する私の思いについてであります。 新潟水俣病というのは、公害病の一つでございます。日本が高度成長期において、社会が大きな豊かさを享受していく中で、普通の生活をして、今までどおりの生活をしていたにもかかわらず、この食から大きな被害を受けた。いわば、だれにでも起こり得た大変悲劇的な、不幸な事件だったと認識いたしております。 こういった被害に遭われた方々が声を出してくれたおかげで、現在さまざまな公害規制などが整備されている。我々が今生きている世界というのは、この高度経済成長期の日本よりも安全な社会になっている。多くの犠牲のもとに現在我々が生きているという思いをやはり共通にすべきものだと思っています。 このため、福祉的観点から、地域社会全体でこのような不幸な事態に見舞われた方々に対しまして、支援し、サポートしていく枠組みが必要であると考えております。 県といたしましては、この枠組みを恒久的なものとしていくため、条例化を検討しているところであります。新潟水俣病患者の方々が県民相互の理解のもとに安心した生活を営むことができるよう取り組んでまいりたいと考えております。 次に、患者支援を実現していく仕組みについてであります。 現在、検討中の条例案には、県として取り組むべき基本施策の方向性を示すこととしております。新潟水俣病発生地域の再生・融和を促進するため、施策の実施や福祉的観点からの支援を目的とした手当の支給などについて、検討いたしております。 手当支給等の患者支援の具体的内容などについては、条例案の検討と並行しながら、9月定例会に向けて検討を進めてまいりたいと考えております。 次に、震災対応についてお答えいたします。 岩手・宮城内陸地震の被災地支援についてであります。地震発生の約1時間後に消防防災ヘリを現地に向かわせました。また、当日に防災局、病院局、翌日には土木部、福祉保健部の職員を現地に派遣いたしました。被災状況や支援ニーズの調査などを行ったところであります。 また、今後は被災県からの相談や要請に応じまして、被災者、特に要援護者の方々の生活支援や中山間地域の孤立集落の復興など、本県の2度の震災の経験をお伝えして、支援をしてまいりたいと考えております。 次に、農業振興についてお答えいたします。 まず、官房長官の減反政策見直し発言についてであります。宮崎議員にお答えしたとおり、発言の真意は、今すぐ米の減反をやめるのではなく、中長期的には主食用以外の米をふやしていくべきとの趣旨と聞いております。私といたしましても、食料とエネルギーを安定的に供給をしていくということは、地球上に住むすべての人類にとって必要なことではないかと認識いたしております。 主食用米の需給調整を的確に実施しながら、本県の水田を有効に活用し、米粉、飼料用米等の生産を推進してまいりたいと考えております。 加えて、非常時には主食用に転換できるバイオ燃料用の稲を生産していくことも望ましいのではないかと考えております。 次に、消費者に求められる米の生産・販売についてであります。 基本的に、議員の御指摘に同感であります。ブランドとは、消費者の絶対の信頼をまず獲得していくということであります。新潟米をめぐる販売状況が厳しさを増す中、消費者の視点で生産・販売両面の取り組みを進めることが重要であると考えております。トップブランドにふさわしい食味・品質の確保を基本に、安全・安心な米づくりを推進するとともに、消費動向の変化に対応した新たな販路拡大等に取り組んでいくことが必要であると考えております。 次に、中国への米輸出についてであります。 梅谷議員の一般質問にお答えしたとおり、富裕層をターゲットにした高級日本料理店や贈答市場における販路開拓・拡大を進めるとともに、新たな輸出ルートの構築に向けて、現地関係者との関係強化に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、地域医療についてお答えいたします。 魚沼地域医療整備協議会と魚沼基幹病院基本計画策定委員会との役割分担などについてであります。医療整備協議会は、地元の市・町、住民及び医療関係者等が魚沼地域の医療整備の基本的な考え方や方向性について、総合的に協議する場であります。 基本計画策定委員会は、この医療整備協議会の協議内容を具体化するという役割を担うべきと考えております。基幹病院の基本理念や機能・規模等について、医学界での評価の高い先生方から御検討いただく場と位置づけております。 したがいまして、まず進めておりますのがこの全体構想を考える医療整備協議会の設置に向けて、現在準備作業を進めておるところであります。 次に、地元との協議の進め方についてでございますが、これも議員御指摘のとおりだと思っております。魚沼地域の医療体制は、基幹病院だけでは完結をしないということであります。まずは、地域の医療整備の基本的な考え方を整理をする必要があると思っております。 このため、まず地域医療整備協議会での協議を先行し、当該協議会での協議内容をもとに、基本計画策定委員会で魚沼基幹病院の基本計画を策定してまいりたいと考えております。 次に、基幹病院周辺のインフラ整備についてでありますが、病院を中核施設とした
まちづくりを見据え、県と地元市が連携をとりながら、それぞれの役割分担に基づき整備を進めていくことが基本になると考えております。 次に、公立病院改革ガイドラインに対する認識についてでありますが、今ほど御指摘の議員の認識に同感でございます。 地域医療体制につきましては、自治体が一方的にガイドラインに基づき一部の経営指標に基づいて公立病院改革を進めるということは、よろしくないと考えております。県民の安全・安心確保の観点から、救急医療や僻地医療等地域に説明な医療機能をいかに確保していくのか、地域の医療資源を踏まえた役割分担をどのように担っていくのかなど、安定的・持続性のある医療提供体制を、地域全体で理解と合意形成を図りながら確立していくべものと考えており、そのように対応したいと思います。 〔
福祉保健部長石上和男君登壇〕
◎
福祉保健部長(石上和男君) 順次お答えします。 支援対象者の考え方等についてでありますが、まず支援対象者につきましては、現在有識者の助言をいただきながら検討中でありますが、懇談会の最終提言の趣旨を尊重したいと考えております。 また、現在検討中の条例案においては、支援対象者が漏れなく新潟水俣病患者として定義されるよう検討しているところであります。 次に、ふるさとの環境づくり宣言推進事業の進捗についてでありますが、平成18年度から実施しております本事業は、地域の抱える問題等を十分に把握しながら取り組む必要があることから、これまでは事業の企画に軸足を置いてきたところであります。 今年度におきましては、阿賀野川流域市町における新潟水俣病相談窓口の設置や県内の小学校5年生全員に啓発パンフレットを配布するなど、事業の具体化を図っており、また新潟水俣病患者を支援するボランティア組織の育成・支援など、患者の方々に身近な施策として評価いただけるような取り組みを今後とも推進してまいりたいと考えております。 次に、障害者授産施設等の作業工賃に係る課題についてでありますが、尾身議員の一般質問にお答えしましたとおり、施設がどのような授産活動を行っているか企業に知られていないこと、施設のスタッフの意識改革や企業経営のノウハウの習得が必要であることなどが課題であると認識しております。 次に、工賃増のためのマッチングの取り組みについてでありますが、県といたしましては、今年度新たに取り組むネットワークづくりモデル事業において、企業のニーズと障害者授産施設が行う受託事業とのマッチングを行うとともに、マッチングのために必要な施設のスタッフの意識改革や企業経営のノウハウの習得支援を行ってまいります。 次に、授産施設のネットワーク化に対する認識についてでありますが、施設のネットワーク化を通じて、各施設の作業内容だけでなく、企業のニーズなどのさまざまな情報の共有化、受注の規模や内容に応じて柔軟かつ多様な対応を図ることは、受注機会の拡大につながると認識していることから、今年度新たに実施するネットワークづくりモデル事業により取り組んでいくこととしております。 次に、医師不足への対応についてでありますが、病院と開業医との連携につきましては、初期医療と二次医療の役割分担と連携を促進し、勤務医の負担軽減を図ることが必要であると認識しており、県では小児科医や内科医等の協力による小児初期救急の取り組みなど、地域における連携体制づくりに対して支援しているところであります。 また、臨床研修医の確保につきましては、医師確保に向けた最優先の課題として、県では県内のすべての臨床研修病院と、良医育成新潟県コンソーシアムを組織し、各種イベントの開催や訪問活動などによる情報収集・発信のほか、研修プログラムなど研修機能の充実に連携して取り組んでいるところであります。 〔
農林水産部長町屋隆君登壇〕
◎
農林水産部長(町屋隆君) お答えいたします。 水田経営所得安定対策の本年度の加入見込みについてでありますが、昨日、6月30日が加入申請期限のため、現在国において加入状況を取りまとめておりますが、市町村からの聞き取りによれば、市町村特認制度の創設など、本対策の見直しにより、従来は対象とならなかった経営規模の小さな認定農業者が新たに加入するケースが多く、昨年度に比べ、加入者数は約5割増の約1万、面積カバー率は7ポイント増の47%が見込まれます。 一方で、地域別に見ますと、担い手の確保が困難な中山間地域において、加入率が低い地域があることから、こうした地域においては、集落営農の組織化等を引き続き進め、加入率の向上に努めてまいりたいと考えております。 〔教育長武藤克己君登壇〕
◎教育長(武藤克己君) お答えいたします。 小中学校の耐震化促進に向けた県の対応についてでありますが、地震防災対策特別措置法の改正により、国庫補助率のかさ上げなど、国の支援が拡充し、市町村の財政上の課題は大きく改善されたものと受けとめております。しかしながら、工事が夏休みに集中し、施工業者が不足するなどの課題もありますことから、県といたしましては、工法や工事実施時期の分散などの方策を市町村とともに検討し、耐震化の促進に努めてまいりたいと考えております。 〔若月仁君登壇〕
◆若月仁君 それでは、1点再質問をお願いいたします。 1番の知事の政治姿勢について、2項目め、マンパワーの充実が不可欠、その中で教職員定数増とした教育条件整備について、私は知事のメッセージ、県民に対するメッセージ性のある答弁というものを御期待したところであります。 先ほどの質問の中でも、2月定例会に同様の質問をしたがということで、発言もさせていただきました。この教職員定数増を中心とする教育条件整備について、あくまで予算の編成権は知事にあるものですので、その県のトップリーダー、予算の編成権を持つ立場の知事として、どのような認識をお持ちなのか、再度お伺いいたします。 以上です。 〔知事泉田裕彦君登壇〕
◎知事(泉田裕彦君) 教職員定数増を初めとした教育条件整備についてであります。 これは、一言で言えば、専門知識を有する教育委員会が地域の実情など、さまざまな観点から検討して、その判断をまずいただくということが先だと思っています。定数全体ということを考えてみても、複式学級がいいのかと。今、複式学級がかなり存在をしております。やはり、集団生活の中で社会性を身につけていくということが必要なわけで、マクロで全体幾らということでは必ずしもないのだと思っています。地域ごとに合った教育環境をどのように提供して、健やかな子供たちを育てるのかというものを一つの指標で、ここで答えが出るということではないと思っております。 少子化も進んでいく中で、授業を受けるほう、教育を受けるほうの子供たちにとってどうか考えないといけない。生徒の側にとって、どういう教育環境になっているかということがないと、結論の数字だけでどうこうということではない。やはり、まず第一義的には教育委員会での判断がなされなければいけないと考えております。
○副議長(帆苅謙治君) 若月仁君の質問は終わりました。 15分間休憩いたします。 午後2時45分 休憩 ――
――――――☆―――――――― 午後3時4分 開議
○議長(
長津光三郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、青木太一郎君の発言を許します。青木太一郎君。 〔青木太一郎君登壇〕(拍手)
◆青木太一郎君 自称、本籍、保守本流、現住所、無所属の青木太一郎であります。 皆様、大変お疲れさまでございます。私は、無所属に与えられました年1回という極めて貴重な立場で、先週からの質問を通じて、活発な議論が既に交わされており、ほとんど出尽くした感さえいたしておりますが、あえて私は県政の抱えている課題を一つ一つ大事にしながら、いささか違った視点と角度から虚心坦懐に、額に汗して働く県民の立場に立って、泉田県政への箴言及び提言・激励を込め、簡潔明瞭なる御質問を申し上げたいと存じますので、しばらくの間の御清聴・御協力を心からお願い申し上げる次第であります。 さて、去る6月14日、岩手・宮城内陸地震で亡くなられた方々に、心から御冥福をお祈り申し上げ、哀悼の誠をささげる次第であります。 さらに、被災された方々に、心からお見舞いを申し上げますとともに、一刻も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。 それでは、まず初めに、本県議会の長い歴史の中で、少数会派や少数意見を尊重して運営され、諸先輩が築いてまいりました輝かしい伝統や美徳や美風が今定例会から廃止されましたが、一県民として、泉田知事の率直な感想をいただければ幸いに存じます。 ことしは、泉田県政の集大成の年を迎えております。新潟県中越大震災に始まり、大停電・豪雪、新潟県中越沖地震、高波被害など、災害に明け暮れた4年ではなかったかと思われます。この4年の間に、我が新潟県はどのように変化してきたのか。日本そのものも秋葉原の通り魔、千葉県柏市、秋田県の一家殺害事件あるいは自殺者が10年連続3万人を超え、今、まさに日本列島が病んでいる。いろんな事件が起きていますが、どうしてこのような国になったのか、希望は一体持てるのだろうかと日々悶々としております。 今のようなときこそ、政治がしっかりと指針を示さなければならないのではないでしょうか。市町村政・県政・国政を問わず、政治家が毅然とした態度をもって任に当たらなければなりません。 さて、ちまたにおいては、格差社会やワーキングプアといった問題がいつも新聞紙上をにぎわしております。原油高騰、穀物の高騰と、国民の生活を不安に陥れている今、県民240万人を割り込んだ新潟県の内容は、いかがなものでしょうか。 大阪府では、橋下新知事が大きな改革と称し、さまざまなチャレンジを行っております。大阪府の財政は、府民800万人に対して、5兆円の負債を抱えていることを前面に押し出し、改善の必要性を訴えております。さきの宮崎県知事とは異なったニューアクターのような感じであります。 ただ、比較論で申し上げれば、800万府民に対しての5兆円の負債は、大きいように思いますが、本県財政における240万県民に対し2兆6,000億円の負債を考えれば、県民1人当たりの負担はどう考えても本県のほうがはるかに大きな気がしますが、財政健全化対策について、泉田知事の御所見をお伺いする次第であります。 さて、我が新潟県は農業立県であります。そのことを踏まえて、本県の農業に関して何点か御質問をさせていただきます。 まず、コシヒカリBL米についてでありますが、先日来この問題何度か出ております。このことは、県の肝いりでいもち病に強く、減農薬米として平成16年に試作、17年から全県下の農業団体・農家がこぞって導入を決め、今やコシヒカリ作付の97%を超えると言われております。昨年の知事発言が議論を呼び、けがの巧妙というか、災い転じて福となすの例えのごとく、よい方向の着地点に至った感がしますが、改めて知事の真意をお伺いいたします。 今、日本の食料自給率は40%を切ると言われております。これは、カロリーベースによる世界基準を背景にしたものであります。簡単に言えば、国民の1食の食事に対して、40%の食べ物しか生産・供給できない。何とかならないのかと自問自答することもありますが、何が足らなくて、何が必要なのか。40%を切っている状況について、その原因と必要な対策について、まず御所見を
農林水産部長にお尋ねいたします。 今の農家は、農業政策の不安定さからくる収入の減少に戸惑っております。片や、食料の自給率が40%を割り込んだといって議論し、もう一方で減反政策や農業政策の大規模化の促進を図っていますが、逆に昨年の米の仮渡金の削減は、小さいな農家はもうやめなさいと言っているように聞こえると、地元の農家の方々が苦言を呈しております。 本県は、コシヒカリの産地であり、全国にその名をはせております。コシヒカリといえば、新潟とさえ言われるゆえんであります。 そこで、本県の農業産出額も減少に歯どめがかからない状況にあります。本県農業の将来に向けて、今後どのような方策を考えておられるか、知事にお尋ねいたします。 次に、国策として品目横断的経営安定対策として、個人から法人へと移行を提示され、大規模生産体制を提唱しているのであります。私もその考えが望ましいと思います。今までの食糧管理法に守られてきた農家がなくなった今、何かをしなければ生活ができないことを知り始めております。 したがって、今までの農業体制を考えますと、米の生産だけを柱にして、法人経営が賄えるとは考えにくいのであります。年一作の米生産で、法人として雇用に耐え得る収益を生み出すことは難しいと思います。当然、法人として社員を抱えて、生産事業を営もうとするならば、安定的な収入部門を持たなければなりません。農業法人経営には、雇用保険、労災保険等の社会保険制度への加入や福利厚生といった対応は必要となりますが、法人経営者に対する県の指導方針をお尋ねいたします。 さて、本県のみならず、全国的にも国民所得は数字的に見ますと、若干上がっているように言われますが、原油価格の高騰に始まり、穀物市場等の高騰は、周知の事実であります。特に、漁業は本県のイカ釣り漁を初め、全国一斉に休業に追い込まれ、畜産農家も、ハウス栽培農家も悲鳴を上げております。 また、本日から肥料が60%も値上がりする今日、生産事業を営む方々は、重大な危機に瀕していると言っても過言ではありません。ただ、そのことは県政だけの解決策は難しく、とりわけ国政の方向に従わざるを得ないことも理解しております。現状をしっかりと把握し、次なる課題確認とその解決のために、本県として国に向けてどのような働きかけをなすべきか、御所見をお伺いいたします。 さらに、世界的に投機資金の過大流入による市場誘導が現在の資源市場の高騰を引き起こしていると言われます。自由主義経済を掲げている日本ですから、そのことに文句を言っても、天につばするがごときですから、そのこと自体にとやかくいうことはありませんが、その経済動向によって引き起こされている生活が今どのような状況なのか、私たちの周りを見れば、言わずと知れたことであります。県民の生活環境は、危機に瀕していると言っても過言ではありません。 その中で、特に昨年の仮渡金の減額に伴い、米価の下落に拍車がかかり、生産者の生活環境は悪化し、一様に「農家はやめなければならん」などと言う人も多く、今や小規模農家の経営は、破綻状態と言っても過言ではありません。 経済環境の変化に伴い、中小規模のみならず、大規模化の農家経営も同様な苦しみを持っております。米価の下落による米作専業農業経営は、年々悪化しております。それゆえ、農業経営の複合化や組織化・法人化を進めることは、コストの低減や今後の経営発展に向けて、重要であると考えますが、県内における経営の複合化の動向、法人化の状況はどのようになっているのか、お伺いいたします。 また、今後の法人経営に対する県の指導方針についてもお尋ねいたします。 さらに、県には各種の補助制度や補助事業がありますが、資金的な支援だけでなく、県の指導が農業者の経営改善でどのように役立っているのか、
農林水産部長の御所見をお伺いいたします。 次に、減反政策についてお聞きいたします。 38年目を迎えた減反政策は、約3割以上の減反を強いられておりますが、なぜ減反政策が継続しているのか、疑問に思えるのは私だけでしょうか。確かに、量より質への転換策、ウルグアイ・ラウンド関連の米の輸入による生産調整であることは、理解しております。しかし、それ自体米の統制価格があったればこそのものであり、現在の食糧管理法撤廃による農政環境下では、意味のないもののように思います。 福田総理による開発諸国への備蓄米の放出発言などは、モラルの面からして理解できますが、今の農政環境から見ますと、違和感を覚えます。 さて、今日の日本産業の製造基盤を見ますと、ほとんどの企業が製作・製造部門の拠点を中国や東南アジアに移しております。派遣労働者の増加、ワーキングプアといった格差社会の増大は、国内経済の低迷の大きな要因かと思います。 国では、今ODA、政府開発援助による低開発国援助を盛んにしております。先般も横浜でアフリカ会議が開かれましたことは、日本の国策としての国際貢献という意味からすれば、大変有意義なことかもしれません。その何分の1かの経費を減反農地を活用して米をつくらせ、一たん国内に経費を落とす。生産した米を海外援助米として活用する。そのことによって、農業環境産業や運送業、海運業まで幅広く国内経済の活性化につながると思いますが、今世界の潮流は、食料不足の流れであります。 我が農耕民族の原点は、農業の活性化にあります。農村が元気が出れば、国全体が元気が出ると思いますが、いかがでございましょうか。 さらに、農政自体の転換が必要であり、それは農政にとどまらず、他の政策にも言えると思います。国民及び県民の生活環境を考えて、転換すべきは転換を模索する勇気も必要なのであります。 しかし、農業を昔の感覚でとらえるのではなく、生産基盤の一市場としてとらえ、さまざまな生産企業を育成するといった理念が存在します。経済社会を見渡せば、景気の後退は著しく、当初申し上げましたように、ワーキングプアと称される年収200万円以下の人たちが全国で1,000万人を超えたという事実がございます。確かに、経済社会だけの問題ではないのでしょう。そのエネルギーを農業市場へ移すことで、農業後継者の確保が図られると思います。 さらに、農政の転換の一つは、減反政策の内容、転換の模索ではないでしょうか。商品をつくる施設農業等の構築、そのためにも個人から法人組織への移行も大切な創造物ではないでしょうか。現在、目先の利益に惑わされ、将来への展望が見出されないことは、農政に限らずいろんな分野にあらわれてきております。富の独占だけではなく、健全なる経済社会における富の分配構造をこの新潟県下から発祥させることを創造していかなければならないのではないでしょうか。 新潟県の色として、「農」を外すことはできません。商品生産と雇用の受け皿となる農の市場をドラスティックな転換では、波紋も大きいので問題はありますが、せめて維新のごとく創造していくことも必要なことではないでしょうか。想像力は、人間にとって一番大切な武器であります。 昨今、想像力の欠如が言われておりますが、想像力極めて豊かな知事は、減反農地で通年生産・販売、通年雇用が可能な施設農業を創出するなど、有効なる農業の転換策はお持ちなのか、あるいは次期のマニフェストとしてのお考えなのか、知事の御所見をお伺いする次第であります。 さらに、地産地消についてであります。 さきの農政の転換にも関係してまいりますが、法人化の促進による生産拡大、雇用の促進と生産構造は、さまざまな変化が考えられます。しかし、生産しても販売市場が存在しなければ絵にかいたもちと言われても仕方がありません。ゆえに、県内で生産されたもの、つまり生産商品が極めて鮮度良好であり、しかも安全な提供物であることが示されるわけですから、これを県内の消費につなげることで、県民への食の安全というサービスの提供と生産者の収入もすべてではなくとも、ある程度の確保は可能であると考えます。 確かに、WTOなどの制約もありますが、昨年来の中国製食品の問題や輸入農業生産物に対する懸念を見れば、今は地産地消を推進するまさにいいチャンスかと思います。さらに、経済好転も期待されます。したがって、生産物がすべて地産地消されることではなく、むしろ生産物の対外的な販売が主となり、その一部が地産地消に向けられることも考えられます。 アメリカ産農産物の中国進出や台湾などへの果物の輸出などは、そのいい例ではないでしょうか。その点では、知事の海外営業に一定の評価をするわけであります。地産地消を推進するために、県内の産地と卸売市場、小売店の連携が必要かと考えますが、御所見をお尋ねする次第であります。 次に、農業後継者についてお尋ねします。 現実問題として、農業後継者は少なくなり、少子・高齢化の最たる産業であることも御承知であろうかと思います。IT産業の華やかなものに比して、農業のイメージは、苦労、汚い、もうからないイメージがあり、当然のごとく他の産業へ出ていってしまいます。とりわけ、両親が苦労している姿を見れば、それも仕方がありません。農家のせがれであると当初の選挙演説に話されている知事には、この問題を避けては通れない、いや、改善したかったのではないかと思います。 就任当初から災害に見舞われてしまい、優先順位が変わってしまわれたのでしょう。したがって、続投を決意された今後の県政の中で、ぜひこの高齢者問題を取り上げていただくことを大いに御期待する次第であります。 今の若者は、会社員のように決まった給料をもらい、余暇には家族と団らんを楽しむことを考えているように聞きます。現在の農政のあり方にも問題があると思います。農業をもっと企業化して、生産性を高め、安定した生活基盤を確立させることにより、後継者問題は改善されていくと思います。農業立県の本県においても、農業後継者の不足は避けて通れない問題であり、その改善に向けて、いわゆるワーキングプアと称される人たちなど、多様な農業の担い手の確保・育成が必要と思いますが、御所見をお伺いします。 次に、災害についてお尋ねいたします。 「マリと子犬の物語」に感動して、涙する人々は多くいると思います。先般、私ども常任委員会で美しさを取り戻した旧山古志村や水害後の復旧現場を見せていただき、さらに新潟県中越沖地震の各災害現場をそれぞれ視察した感想として、本県職員が与えられた部署で昼夜をたがわず、寝食を忘れ、献身的に復旧・復興に地域関係者の先頭に立って真剣に取り組んでいる姿に頭の下がる思いであります。あえて、この場をかりて知事初め、皆様方に御苦労さまですと感謝の念を禁じ得ません。本当にありがとうございました。 さらに、さきの中国の四川大地震や先月の岩手・宮城内陸地震に際しましても、被災地へいち早く駆けつけた方々の御苦労に対しても、感謝の誠をささげる次第であります。本当に御苦労さまでした。 さて、知事におかれましては、当選直後の震災から国政でのあの涙の訴えは、今なお記憶に鮮明に残っております。その努力によって、3,000億円からの基金の誘導や新潟県中越沖地震に際しては1,200億円の基金に対し、経済産業省から400億円の基金の上積みを引き出すなどの実績は、県民からの高い評価に値するものと感心しております。この新潟県中越大震災の復興基金3,000億円と新潟県中越沖地震の復興基金1,600億円の各事業内容とその成果並びに今後の執行見通しについて御所見をお伺いいたします。 次に、県立学校の耐震調査結果の開示と今後の補強工事計画並びに予算の概要について、教育長にお尋ねいたします。 さらに、県立病院の耐震性の調査結果と今後の補強工事計画並びに予算の概要についても、病院局長にお伺いいたします。 また、県関係施設の耐震調査結果と今後の補強工事計画並びに予算の概要についてもお伺いいたします。 また、最近は原子力発電の問題もクローズアップされ、震災後県の取り組み方の中で、断層による意見の食い違いなどがマスコミを通じていろいろと取り上げられておりますが、さらに岩手・宮城内陸地震や中国における四川大地震でも、必ず核施設、原子力発電の安全の有無が問われております。地球環境問題や原油高を考えますと、原子力発電の役割をいま一度考えなければならないと思いますが、何よりもまず、安全面をクリアすることが重要であると思います。県として、柏崎刈羽原子力発電所の今後に対して、どう対応されるのか、柏崎市や刈羽村、両市村との意見の交換なども含めて、御所見をお伺いいたします。 第2次世界大戦による唯一の被爆国として、国民の核に対する感情は、大きなものがございます。終戦から時間が経過した今、なお核に対する意識の高まりが継続しております。今のお立場で、今後のエネルギー問題についての答弁は、難しいであろうと理解できますが、あえて県知事は我が国のエネルギー政策の観点から原子力発電について、どのようにお考えか、知事の御所見をお伺いいたします。 さらに、4年前から本県を中心に北緯38度線沿線上下に、災害前線が停滞しているとの見方があります。これは、偶然の一致かもしれません。しかし、ちょうど4年前、7.13新潟豪雨災害に始まり、10.23新潟県中越大震災、さらに平成17年の12.22大寒波、大停電、その直後の羽越本線の突風事故、さらに18年正月にかけて、記録的な大豪雪と続き、19年3月の能登半島地震に7.16新潟県中越沖地震、10月には越中・佐渡高波被害に遭遇、そして今回の6.14岩手・宮城内陸地震が相次いで北緯38度を中心に、37度から39度に挟まれた横長の狭い地域に、あらゆる災害が毎年のように連続して発生しています。本県でも、3年間に大きな地震が2度発生していますが、何か学術的なメカニズムや根拠はあるのでございましょうか。 国土交通省のある幹部は、新潟県はもっと神仏を大事にして、おはらいなどされてはどうですかと言われておりますが、あわせて御所見をお伺いいたします。 さらに、地震と台風の比較、損害額試算は地震災害等研究会の報告書によれば、最大級の地震は今日まで関東大震災の約50兆円、台風は伊勢湾台風の約2兆円、また最大期間30年間、つまり1923年から1952年の間に地震は25回、約150兆円の被害と言われております。台風は、1933年から1962年の間に19回、約8兆円の被害と言われております。 さらに、被害地震については、過去200年の統計によれば、死者、行方不明50人以上は、陸の地震は約10年に1回、海の地震は約20年に1回、さらに死者、行方不明1,000人以上の大地震は、陸の地震は約20年に1回、海の地震は約30年に1回、さらに死者、行方不明者1,000人以上の大地震が1847年の善光寺地震から1858年の成願寺川地震の12年間で6回、またその約100年後の1943年、つまり昭和13年の鳥取地震から1948年、昭和23年の福井地震のこの6年間で5回の大地震が連続して発生しているとの報告であります。このようなことを見ましても、地震の恐ろしさというものがわかるわけであります。 次に、人づくり、人間のあり方について、最後に質問をさせていただきます。 ことしも内外を見渡せば、災害がそこかしこで発生しております。神様が存在するのであるならば、何やら姿勢を正して、いま一度人間としてのあり方を考えなさいとでも言っているかのように思えてなりません。天災による犠牲や社会構造の不透明さからきているのか、人災の発生、とりわけ猟奇的な秋葉原事件、千葉県柏市、秋田県の一家皆殺しなど、今の社会全体が困惑するような事件が次々に起き得ることは、「病んでいる」と言って片づけられるものではないと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 さらに、過去においても、さまざまな猟奇的な事件は多々ありましたけれども、テレビやマスコミ報道の機器の発達により、瞬時に報道されるということで、とても身近に感じてしまいます。若い人たちだけの問題ではなく、そこに至るまでの社会を構築してきた私たちを含めた世代の人間にも、大きな責任があるのではないでしょうか。国政のみならず、県政による社会通念や健全化も大切なことではないかと考えます。 政治家が特定の利権に接近し、さまざまな事件が報道されている今、私たち政治家が身を正し、県民を考えた政治を模索しなければならないのであります。 来年、いよいよNHKの大河ドラマで新潟市出身の火坂雅志先生が書かれた「天地人」が放送されます。直江兼続が主人公として登場し、上杉謙信時代から上杉景勝を支えて政治を行った時代が描かれております。昨年の謙信や来年の直江兼続と、この越後に全国の目が向きます。これを機に、一層新潟を広め、観光立県宣言をして、この地に人を集められるような何かをなさなければなりません。災い転じて福となす。就任当初に知事に贈った言葉でもありました。 災いはもう過ぎました。福に転ずるには、いかようなことをなさねばならないのでしょうか。この病んでいる今、健全な県民の生活を構築するのは、並大抵なことではありません。警察や行政だけでなく、地域や住民、事業者が心を一つにして、犯罪のない安全・安心・信頼の
まちづくりに向けた取り組を一層強化する必要があると考えますが、御所見をお伺いいたします。 知事には、今後とも足元をしっかりと確認し、失敗を恐れず、前向きに倒れるくらいに努力していただきたい。上杉鷹山の「成せばなる成さねばならぬ」の言葉のように、何かをなされ、坂本龍馬の維新のごとく、失敗を恐れずに前向きに倒れるくらいに努力していく姿に県民はついていくものであります。堂々と御自分のなさることに自信を持って、変に周りに気兼ねせず邁進してほしいものであります。 確かに、私たちも政治家でありますから、反対に向かうこともございます。それは、知事と我々は別の環境で育ったものでありますから、同じ人間ではないのです。だから、それを理解して、お互いの意見をぶつけ合い、その中で妥協点を見出し、県民主権による県民のための政治を行っていただきたいとの言葉を最後に贈り、私の質問を終わらせていただきます。御清聴心から感謝申し上げます。ありがとうございました。(拍手) 〔知事泉田裕彦君登壇〕
◎知事(泉田裕彦君) 青木議員の一般質問に順次お答えいたします。 お答えに入る前に、感想を一言申し述べたいと思います。 県議会の運営についての感想を求められました。県議会の運営に関することは、自律的に議会で決められることであるべきであり、知事として、お話しすることは何もございません。 次でございます。まず最初でございますが、財政健全化対策についてであります。 今ほど、青木議員から大阪府800万府民に対して5兆円、新潟県240万県民に対して2兆6,000億円の負債、どう考えるかというお尋ねでございました。県の財政需要、すべて県税収入で賄われて、県の中で完結をしていれば、1人当たりの計算ということも意味あるのですが、地方財政は御存じのように、国から交付税措置がなされております。その交付税は、人口だけではなくて、面積、海岸線、地形、こういったものに比例して配分をされるということになっております。 したがいまして、面積当たりで比較をいたしますと、本県の県債残高は、大阪府のおおむね13分の1ということになります。財政水準の比較に当たり、人口1人当たりの負債を用いることは、必ずしも真実ではないというふうに考えております。 さらに、この2兆6,000億円の県債残高の中には、復興基金創設のための県債4,300億円が含まれております。すなわち、4,300億円については、資産がしっかり残っているわけでございまして、何かに使ってしまったわけではない。期限が来れば、そっくりそのまま戻ってくる、そういうお金でございます。したがいまして、実質は2兆1,700億円程度ということになります。 また、昨年取得した格付におきまして、交付税措置をされる県債もありますので、その評価は「債務残高等の県負担は、他の自治体に比べて、相対的に大きくない」という評価をいただいているところであります。 いずれにいたしましても、今後とも歳入歳出両面にわたる努力により、県民の皆様に不安を持たれない財政運営に努めてまいりたいと考えております。 次に、農業問題についてお答えいたします。 まず、コシヒカリBLについてであります。新潟米の販売環境は、売れる数量・価格という両面で厳しさを増しているということでございます。やはり、消費者から支持を得なければいけない、消費者から絶対の信頼を持って、支持されるような農産物を市場に送り出していくということが必要なのだろうと思っております。新潟産コシヒカリが今後ともトップブランドを維持していくために、消費者の信頼確保をぜひ得たい、行いたいと考えております。 そのためには、消費者の視点に立った食味・品質重視、それから安全・安心の重視、このための生産を行うこと、そしてまた、実際に買うときに、消費者が判断できるような、消費者への適切な情報発信に取り組む必要があると思っております。コシヒカリBLについても、その優位性を消費者から十分理解をしていただく必要があると考えており、またその旨を申し上げたところであります。 次に、今後の本県農業の方策についてであります。 本県の農業生産額は近年の米価の下落によりまして、減少傾向にありますけれども、必ず毎年下がっているというものではなくて、若干波高しています。上がる年もあるというのが現実でございます。 すなわち、どういうことかといいますと、対応のしようがある。一方方向で一つの方向を目指して収束をしていることではありませんで、やはり我々がしっかりとした対応をすることによって、これからの未来を変えていくことが求められていると考えております。 農業を基盤とする本県といたしましては、御指摘のとおり農業生産額の拡大を図っていくことが大変重要な政策でございます。このため、新潟米を初めとする新潟産農産物のブランドの強化、企画販売力強化による経営体の育成、そして経営の複合化・多角化の推進、こういったものを総合的に推進しながら、次の世代、担い手が、後継者が魅力を持って取り組むことのできる、産業として成り立つ農業の実現を目指していきたいと考えております。 次に、原油価格高騰に対する国への働きかけについてであります。 先般、政府が新たに原油等価格高騰に関する緊急対策を決定いたしました。自治体を経由して実施をする施策もございます。まずは、詳細を検討した上で、足らざるものについて国への働きかけを適時適切に進めてまいりたいと考えております。 次に、転作田を活用した有効な農業の転換策についてであります。 先ほども申し上げましたけれども、この地球というのは、65億人を豊かに支えるほど広いのだろうかということが今、全世界的に疑問が持たれているような状況になっております。やはり、食糧供給をするための農地というのは、極めて貴重な経営資源であるという認識が必要だと考えております。 そして、世の中はハイテク工業製品から食料・エネルギーといったところに希少財としての価値を見出してきているというふうに、世の中の仕組みが変わりつつある。まさに、歴史的転換点に我々は遭遇しているのではないかという認識を持って、この問題に対応する必要があると考えております。 これらの有効な経営資源である農地等を活用しながら、ビジネスとしての農業を展開していくことが重要であると考えております。このため、収益性の高い園芸作物等の生産・販売、そしてまた農産物の加工や直食等の経営の多角化、外部人材の活用による企画・販売力の強化など、単に生産するだけの農業から脱却し、付加価値の高い農業への転換を促進する必要があると思います。 やはり、農業に就労することによりまして、他産業並みの所得を得る、そして自分の未来に対して期待と希望が持てる、夢が持てるような産業構造を構築していくことが結果として後継者対策にもつながっていくと信じております。 次に、災害についてお答えいたします。 エネルギー政策からの原子力発電のとらえ方についてであります。御指摘のとおり、原子力発電はエネルギー源の多様化と、それから供給安定性を確保する観点から、資源が少なく、エネルギー自給率の低い我が国にとっても重要なものであります。 また、地球環境問題の観点からも、発電過程で二酸化炭素を排出することのないシステムであります。 一方で、高レベル放射性廃棄物の最終処分地が決まっていないなどの課題もあると、このように認識いたしております。 次に、人づくり、人間のあり方についてお答えいたします。 まず、秋葉原事件などについてでありますが、これは宮崎議員にもお答えしたとおり、大変痛ましい事件でありました。秋葉原事件は、不特定多数をねらった、極めて残忍な犯行であり、決して許される犯行ではないと考えております。千葉の事件も、祖父が4歳の孫を含め、一家4人を襲ったとされる凄惨な事件でありました。 今後、このような事件が起きないよう、事件の背景をしっかりと調査し、このような犯行に向かわせた社会的要因についても究明した上で、それを取り除くための対策を講じていく必要があると考えております。 次に、犯罪のない安全・安心な
まちづくりについてであります。 議員御指摘のとおり、健全で安定した県民生活を維持していくためには、県民総ぐるみで地域に密着をした防犯活動に継続的に取り組むことが重要であると考えております。このような考えから、平成17年に、犯罪のない安全で安心な
まちづくり条例を制定をしたところであります。 県といたしましては、本条例の「地域の安全は地域みずから守る」という基本理念に基づき、地域ぐるみの支え合いを促進し、県民、事業者、行政、警察などが一体となって、安全で安心な
まちづくりを一層推進してまいります。 やはり社会を安定させていくということが必要であると思っています。社会の安定というのは、御高齢の方が安心して住める社会でなければいけない。若者にとっては、あしたへの希望と夢がかなうのだという見通せる社会でなければいけない。自分の夢と希望、現在の安心、こういったものがあることによって、犯罪のない安全で安心な
まちづくりにつながっていくと、このように考えております。 〔県民生活・環境部長棚橋進君登壇〕
◎県民生活・環境部長(棚橋進君) お答えいたします。 復興基金の事業内容とその成果、今後の執行見通しについてでありますが、まず新潟県中越大震災復興基金でございますが、住宅やコミュニティー、生業再建など、3年間で128事業、約219億円を助成し、被災者の生活再建、被災地の復旧に大きな役割を果たしてきたと考えております。 一方、新潟県中越沖地震復興基金は、生活再建を優先に62事業を実施し、住宅や産業などを中心に、半年間で約16億円を受け付け、大震災より早いペースで事業が活用されております。 今後の執行見通しについてでございますが、復旧から再生段階に入った新潟県中越大震災、生活再建が急務の新潟県中越沖地震、それぞれの課題を踏まえながら、被災地の復旧・復興に向け、復興基金を効果的に執行してまいります。 〔防災局長渡邉博文君登壇〕
◎防災局長(渡邉博文君) 2点についてお答えいたします。 柏崎刈羽原子力発電所の今後への対応についてでありますが、知事が市川議員の代表質問にお答えしたとおり、今はまだ東京電力が設備・機器や地盤などについての調査を実施中であり、国も結論を出しておらず、また県の技術委員会でも専門家が議論を行っている途中であることから、今後について考える段階でないと認識しております。 次に、新潟県中越大震災、新潟県中越沖地震の発生メカニズムについてでありますが、一般的に日本は大きなひずみが蓄積するプレート境界に位置しており、そのひずみにより地下の岩盤に力が加わり、断層面を境に急速にずれ動く断層運動という形で地震が発生すると言われております。 また、地震の調査研究を一元的に推進している国の地震調査研究推進本部によりますと、新潟県中越大震災は陸域の断層が、新潟県中越沖地震は海域の断層がともに逆断層運動により発生したとされています。 〔
農林水産部長町屋隆君登壇〕
◎
農林水産部長(町屋隆君) お答えいたします。 食料自給率についてでありますが、食料自給率の低下は、国民の食生活が大きく変化し、自給可能な米の消費が減少したこと、海外に飼料を依存する畜産物や油脂類の消費が増加したこと、円高や国際化の進展による輸入の増加などによるものと考えております。 自給率の向上対策として、具体的には本県の特徴を生かした米粉を含めた米の需要拡大を図るとともに、県産飼料の確保や食育の推進などの取り組みを進めてまいりたいと考えております。 次に、農業法人への社会保険等に関する県の指導方針についてでありますが、新潟県農業普及指導センターにおいて、法人の設立に際し、社会保険への加入促進や専門家の紹介等を行うとともに、新潟県農業生産法人育成指導センターにおいても、社会保険加入や労務管理に係る研修会の開催、社会保険労務士による個別相談などを実施しており、今後とも適切な組織運営を支援してまいります。 次に、農業経営の複合化・法人化の状況についてでありますが、本県における複合経営数は、平成17年度では7,218で、販売農家の約1割を占めており、その割合は近年ほぼ横ばいの傾向にありますが、農業生産法人数については、平成19年度に創設された水田経営所得安定対策を契機に急速に増加し、平成19年度末では1戸1法人を除く農業生産法人数は499法人と、平成17年度末に比べ倍増しております。 次に、今後の法人経営に対する指導方針についてでありますが、本県においては、水田経営所得安定対策を契機とした設立後間もない法人が多いことから、これまでは経営の安定化に向けて、経営計画等に基づく取り組みへの支援、経理・税務等の専門家の派遣による経営改善相談・指導などを中心に実施してきたところであります。 今後は、これらの取り組みに加え、多角化・複合化による経営発展に向けて、民間ノウハウを有する外部人材を活用した企画・販売力の強化に重点を置いて指導してまいりたいと考えております。 次に、農業者の経営改善についてでありますが、産業として成り立つ魅力ある農業を実現するためには、もうかる農業経営が不可欠であることから、農業普及指導センターを中心として、園芸の導入等による経営の多角化・複合化、加工等のよる農産物の高付加価値化、消費者ニーズを踏まえた企画・販売力の強化などに向け、農業者個々の経営内容に応じた具体的な改善策を提案するなど、きめ細かな支援を行っているところであります。 このことにより、他産業並みの所得が確保されている経営体が着実に増加しているところであり、今後とも企業的な経営に取り組む農業者の育成に努めてまいりたいと考えております。 次に、地産地消の推進についてでありますが、これまでも産地、卸売市場、小売店等の連携を図り、消費者にとって身近なスーパーマーケットなどでの県産農林水産物の安定かつ継続的な取り扱いを進めるとともに、直売所の整備や卸売市場の仲介による契約栽培などにより、地産地消を推進してきたところです。 今後も、これらの取り組みを促進し、県民を初め、来県者の方々にも県産品を購入していただけるよう、努めてまいります。 次に、農業の担い手についてでありますが、本県農業の持続的な発展を図る上で、若い農業後継者はもとより、定年就農者やワーキングプアと称される人たちも含めた意欲ある新規参入者など、多様な農業の担い手確保が必要と考えており、これまでも就農促進に向けてハローワークと連携した農業法人への就業促進、首都圏等における就農相談会の開催などを実施しているところです。 県といたしましては、意欲ある多様な担い手が円滑に就農できるよう、今後とも支援してまいりたいと考えております。 〔土木部長野澤英之助君登壇〕
◎土木部長(野澤英之助君) お答えいたします。 県関係施設のうち、知事部局の建築物の耐震調査結果についてでありますが、平成19年度末現在、耐震補強が必要な建築物は66棟、耐震診断が未了の建築物は24棟であります。 今後の補強工事計画については、耐震診断を平成23年度までに完了し、新潟県耐震改修促進計画に基づき、庁舎、社会福祉施設等防災上重要な建築物の耐震補強は、平成27年度までに完了することとしております。 予算については、各所管部局において、それぞれ計上することとしております。 〔病院局長江口孝雄君登壇〕
◎病院局長(江口孝雄君) 県立病院の耐震化についてでありますが、いわゆる耐震改修促進法を踏まえ、15病院中9病院を対象として、平成18年度から21年度までの計画で耐震診断を順次実施しているところであります。 病院局としては、診断結果が出そろった段階で、内容を見きわめた上で、耐震化が必要なものについては、県の耐震改修促進計画に即し、改築時期も勘案しながら、対応してまいりたいと考えております。 〔教育長武藤克己君登壇〕
◎教育長(武藤克己君) 県立学校の耐震調査結果についてでありますが、改築等を除くすべての建物について耐震診断を実施した結果、耐震性が低く、優先的に改修すべきとされた建物は、19棟であります。 また、今後の計画についてでありますが、新潟県耐震改修促進計画に従い、平成27年度までに耐震化を完了することとしております。 このうち、先の耐震性の低い19棟につきましては、平成24年度までに完了したいと考えております。
○議長(
長津光三郎君) 青木太一郎君の質問は終わりました。 次に、佐藤浩雄君の発言を許します。佐藤浩雄君。 〔佐藤浩雄君登壇〕(拍手)
◆佐藤浩雄君 無所属の会の佐藤浩雄です。 知事の地方自治に対する考え方と政治姿勢についてお伺いいたします。 6月定例会では、私たち無所属議員として扱われている7名の議員のうち、4名が一般質問を希望いたしましたが、無所属であることを理由に2名が質問させられませんでした。この事実は、主権者である県民をも否定するものであり、断じて認められません。強く抗議するものです。 私たち無所属の会は、昨年4月の県議選を終え、県議会に帰ってきたら無所属の会は会派でないと、自由民主党によって強行されました。私たち無所属の会は、公職選挙法でも、政治資金規正法でも、政治団体として認められ、無所属の会として選挙を行い、全員当選いたしました。県議会議員になったら、別な会派に入ったり、別な会派名を名乗ったら選んだ選挙民への裏切り行為であり、許されるわけはありません。 なぜ、公職選挙法などの法律で認められて、当選してきた県議会議員が議会内要綱で否定をされるのでしょうか。法理論上も矛盾しており、まさに選んだ主権者である県民をも否定している行為で、許されるわけはありません。 まして、国会にも無所属の会があったときもあり、他の会派と同じであります。自由民主党が問題にしている党議拘束をしないことは、私たち無所属の会が最初ではなく、新潟県を発展させるみらいの会も先にやっており、しかも私たちが党議拘束をしないで、6年間活動してきていても、自由民主党自身が問題にしなかったことを急に持ち出したことは、自由民主党自身の主張と行動が自己矛盾しており、県民だれ一人納得できるはずがありません。 その後、私たちが提出した議会制民主主義を暴力によって破壊する長崎市長射殺事件に対する抗議の決議は、会派でないことを理由に否定されました。今回、長崎市長射殺犯が銃で、しかも背後から射殺し、発言を封ずることが民主主義の否定・破壊であることから、死刑判決を受けており、この事件がいかに重大な意味を持っているか証明されています。 こうした議会の存在、議会の命にかかわる重大な事件でさえ、会派でないと勝手に判断し、数の力で強引に否定しています。 また、3月18日、自由民主党は、単独強行採決により、無所属議員を1年に1回のみの質問にすることを決定いたしました。しかもその後、質問の割り振りなど、無所属議員として取り扱われている議員の意見を一切聞かず、勝手に決めており、主権者である県民を二重、三重に否定しております。 言うまでもなく、地方自治は地方自治体みずから考え、みずから決定し、行動する団体であります。また、新潟県の主権者は新潟県民であり、知事と県議会議員は、直接選挙で選ばれる二元代表制をとっており、知事と県民の代表である議会によって支えられ、コントロールされるものであり、議会は選んだ主権者の県民の多様な意見を反映されなければならず、いつでも自由な発言や質問を保障しなければ、主権者である県民を否定することになり、県議会の自殺行為であります。 また、地方分権時代を迎え、全国的には主権者の多様な意見を政策決定に反映するために、議会改革を行っております。例えば、三重県のように知事の専決処分を許さず、議員の発言を保障するために、会期を230日とし、議員の質問はいつでも行うことができ、文書質問も行っており、所属常任委員会も複数化するなど、主権者の県民の意見を県政に反映するために改革を進めています。 したがって、3月18日の議会運営委員会の自由民主党の強行採決による無所属議員の質問回数制限は、地方自治の二元代表制を否定するばかりでなく、主権者である県民をも否定する行為であり、地方自治を否定するものと考えます。 また、1人区の多い新潟県では、年1回と決められた定例会本会議での質問では、天災や社会的、経済的、政治的激動が発生したとき、主権者の意見を反映できないことは明確であり、主権者の県民を否定しています。主権者の自由な意見を封鎖するような自治体では、健全な発展は望めません。こうした県議会の事態を知事はどのように考えているのか、お伺いします。 また、二元代表制は人事権、予算調製権、執行権、契約権、議会招集権、議会解散権までの大統領的な巨大な権能を持つ知事や市町村長などの独断や暴走を制御するためにつくられている制度であり、議会の監視機能の発揮が求められています。 私は、朱鷺メッセ連絡橋崩落事故の真相究明を行い、大変貴重な経験と勉強をさせていただきました。知事選挙の告示1週間前に着工された朱鷺メッセ連絡橋が、完成後わずか半年で雪も風もない日に落下しました。幸い橋の上の1人の男性は、電話中でしたが、携帯電話や荷物を捨てて、奇跡的に逃げられました。しかも、連絡橋の下の道路には、自動車も走っていなかったために、命が失われなかった奇跡のような事故でした。 もし、多数の通行人がいて、また下に自動車が走っていたら、多くの人命や財産が失われた重大な事件でありました。しかし、不思議なことに、重大な事件である朱鷺メッセ連絡橋崩落事故の真相究明を本会議場で質問したのは、私1人でした。私1人で真相究明を求めて、2年以上連続して質問させていただきました。 この間、私の朱鷺メッセ連絡橋崩落事故の真相を求める質問に対し、朱鷺メッセ連絡橋崩落事故の質問をやめろとの電話が何回も来ました。男が質問をやめろと私の自宅にも参りました。また、ほかの議員からも質問をやめろと私は迫られています。こうした悪質な質問妨害を受ければ受けるほど、私は朱鷺メッセ連絡橋落下事故は、事故でなく、背後に犯罪性のある事件であることを確信し、非常に怖かったのですが、真相究明を続行しました。 質問の最初の答弁では、構造計算書は事故調査委員会の調査に影響を与えるために、あるともないとも言えないという答弁でした。その後、追及を続けると、最初の構造計算書が誤っていたため、訂正させたら、次の構造計算書も誤りがあり、再度訂正させたら、最初の構造計算書がなくなっていたとの答弁でした。 そして、平成16年3月8日の知事の「結果として、構造計算書のチェックのないまま計画通知を行うなど、建築行政を執行する県として安全確認を怠ったことは、適正を欠く対応であったと認識しております」との答弁どおり、構造計算書がありませんでした。 このことについて就任直後の泉田知事も、私の質問にこう答えています。「知事に就任してからこの話を聞いて、正直言ってあきれています。建築確認をする際に、構造計算書の添付がないまま着工されているとは一体どういうことなのか。これは、県民に申し開きのできない事象であると考えています。」「そもそも、構造計算書を見ないで計画通知を出すなど、行政運営の仕方が指弾されても仕方がないと思っています。そういう意識で行政をやっていて、県民の安心と安全が守れるわけがない。やはり正していかなければならない。そういう体質がここだけなのかという疑問を禁じ得ない重大な課題であると思っています」と答弁しているように、まさに県民の命と財産が危機に瀕するような重大な行為が行政によって行われており、今後も行われる可能性があることを証明しており、これを監視する重大な機能が県議会、いや、県議会議員一人一人に与えられているのです。 もし、今回自由民主党が強行採決したように、無所属議員が議会で年1回だけしか質問が許されないとしたら、朱鷺メッセ連絡橋崩落事故の真相究明はできなかったことは明確です。大会派に所属せず、党議拘束をせず、最終的には議員一人一人が県民に責任を持つ無所属の会の議員であったからこそ、真相究明ができたのであり、議員一人一人の質問がいかに大切であるか、身をもって勉強させられ、証明することができました。 今回、自由民主党が強行採決した1人の議員の質問を年1回にするという決定が、いかに議会の監視、チェック機能を否定し、議員自身の任務と機能を否定しているか、私の朱鷺メッセ連絡橋崩落事故真相究明のわずかな経験でも証明されます。 まして、最近は地震が連続して起きたり、地球温暖化で異常な天候が続いたり、また地方分権時代を迎え、道州制が提案されたり、国内自治体間同士の相互援助協定や自治体外交権問題や年金問題、医療福祉問題など、国家にかかわる重大問題がいや応なしに自治体の問題として飛び込んできている中で、すべての議員が1年に1回質問すればいいなどと発想すること自体、主権者である県民を否定し、地方自治を否定し、議会の監視機能を否定するものであり、根本的で完全な誤りであります。 知事は、主権者である県民の命と財産を守るためにつくられた議会・議員の監視機能をどのように考えているのかお伺いしたい。 また、知事答弁でも明らかなように、朱鷺メッセ連絡橋崩落事故は、構造計算書なしで着工した重大な犯罪でありましたが、私のつたない経験でも、本会議場での何の制約もない一般質問の重大な意義と議員1人の質問・発言は、議会の主権者である県民の意見であり、監視機能そのものであり、この機能は極めて重大だと考えています。 私は、去る4月11日に行われた全国自治体議会改革シンポジウムに出席し、講師の片山前鳥取県知事に新潟県議会の質問制限についてお聞きしましたところ、「議会は魚河岸のようなものであり、二元代表制の中で多様な意見を裏取引のない公開の議場で発言し、最も正しいと思われる意見が決まるがゆえに県民も納得する。鳥取県議会では、無所属議員はもちろん、自由民主党も質問したい議員は、全員が質問している。また、議会の監視機能からも保障されるべきである」との答弁をいただきました。また、「総務大臣に直接訴えてはどうか」などの御指導もいただきました。 したがって、議会は二元代表制のもとで、多様な意見を公開で発言する場であり、すべての議員の発言は保障されるべきであると私は自信と確信を持っているわけです。 したがって、3月18日の自由民主党の単独強行採決による、すべての議員が年1回質問するという考え方に基づく無所属議員は年間で決められたとき1回しか質問できないという決定は、地方自治の二元代表制を否定し、議会の監視機能をみずから否定するものと考えるが、二元代表制の県民の一方の代表である知事はどのようにお考えか、重ねてお伺いしたい。 また、3月19日の新潟日報に、大きく「監視能力保持に懸念」と報道されており、県民も大変心配していることが報道されています。 ところが、驚くことに同じ記事の中に「県幹部の一人が、それはよかったと歓迎した」と報道されており、失望いたしました。しかし、この問題が主権在民や議会の監視機能、二元代表制の根幹に触れる問題だけに見過ごすことができない重大な発言と受けとめました。 この県幹部が真剣に地方自治と新潟県の発展を考えているのか、疑問を持つとともに、泉田知事の朱鷺メッセ連絡橋崩落事故に対する発言を真っ向から否定する発言だけに、怒りを感じてまいりました。幹部のこうした発言は、県職員全体が同じ発想を持っていると県民に受け取られ、100%まじめな県職員全体の評価を損なうものであります。 また、幹部がこのような考えを持っていることは、部下の職員にも影響を与え、県庁組織全体が県議会に対して同じ考えを持つようになることにつながりかねません。県では、幹部職員に対して意識改革のためにトップマネジメントセミナーなどの取り組みを行っていると聞いております。主権在民や議会の監視機能、二元代表制など、県議会と執行部の関係については、緊張関係がなくてはなりません。県幹部職員の発言だけに、重大な意味があります。 改めて、幹部職員に対し、地方自治の基本原則についても啓発し、指導し、意識改革が必要だと考えますが、県幹部の資質が問われる問題です。知事は、どのようにお考えか、お伺いします。 次に、国家財政健全化法、財政システム改革法の制定についてお伺いします。 国は、夕張市の財政破綻を利用し、地方分権21世紀ビジョンなどが、護送船団方式により国が何とかしてくれるという神話が財政規律の緩みにながった面は否定できないと、再生型破綻法制の早期整備を提起していた地方財政健全化法の検討は、平成18年に入り、「新しい地方財政再生制度研究会」が一挙に11回の研究会を開き、12月には報告書として「新しい地方財政制度の整備について」をまとめ、平成19年3月に法案が国会に提出されたものであります。 しかも、地方自治体財政がどのような状況になったら健全化基準なのか、再生基準なのか、またストック・フローの数値を計算するための公会計改革の内容も明確化せず、地方団体の意見も聞かず、ただただ、地方財政の歳出削減のために決めたと言ってもいいような、まさに夕張ショックを利用した自治体財政健全化法の決め方でありました。 したがって、地方公共団体に財政の健全化を求めるなら、本来地方財政計画によって、完全な財政保障の上に成り立ってきた地方財政を、なぜ夕張市のような財政破綻を生み出すような財政政策を国家が行ってきたのかをまず明確にしなければ、本質的な解決にならないのに、国は財政構造改革法を凍結したまま、裁量的財政政策をとり、地方自治体を国家の一機関とみなし、景気浮揚策の道具に使い、公共事業の起債の返済を地方交付税の基準財政需要額にカウントするやり方で、どんどん地方財政に借金をふやしてまいりました。 交付税特別会計の収支差を放置し、交付税率を改正せず、地方交付税法第6条の3の第2項の違反を実質15年続け、交付税特別会計の借り入れを53兆円もつくり、交付税特別会計を完全な破綻状態にしてきたのは、政府であります。 また、交付税特別会計借入金の地方分33兆円の返済を繰り延べしながら、三位一体改革の美名のもと、交付税総額を平成16年から18年度まで5兆1,000億円も減らし、地方公共団体の財政を危機的な姿にしてきたのです。 さらに、今年度はふるさと納税やあるいは地方再生対策費として、地方税を地方に配るという地方分権を否定するやり方で地方財政を圧迫してきています。 しかるに、政府は国家財政健全化のために、具体的な法律をつくるわけでなく、せいぜい骨太方針で歳出削減を行うと決め、何の法的根拠もない2010年代初頭には、プライマリーバランスをとるという、だれも責任を負わない方針を決めているにすぎません。 こうした結果、平成19年度末には国の債務は892兆円に、地方の長期債務199兆円を加えると、1,058兆円となっており、対GDP比203%という、まさに危機的な姿になってきてしまっています。 また、財政制度等審議会に提出されている一般会計の長期試算では、2025年にはプライマリーバランス赤字は27兆円程度で、長期債務残高は1,534兆円とされており、財政の維持可能性は、維持できないことは明白です。現在の世界経済は、サブプライムローン問題と食料や資源の値上がりによる資源インフレと開発途上国の工業化・IT化により、世界経済が恐慌に陥るとの分析や、日本経済は不安定化を増し、果たして日本の産業が変革し、経済がこの難局を乗り越えられるかという厳しい見方が出されています。 こうした厳しい経済の中で、規律化できていない財政が再び安易に使用される可能性が強く感じられます。また、既に基幹税である消費税の増税を福田総理自身が発言しており、基幹税の増税は日本の財政が破綻していることを逆証明しております。結局は、財政赤字は国民負担になることを証明しているのです。 したがって、国家財政の裁量的財政政策によって、国民や地方財政が危機的な事態を迎えないよう、国家財政健全化法と財政システム改革法により、国家財政を規律化しなければなりません。 そこでお伺いします。我が国においても、ニュージーランドの財政責任法、イギリスの財政安定化規律、オーストラリアの予算公正憲章法などのように、政府が財政ルール・目標を設定し、その達成を公約することや中期財政フレームを確立し、3年から4年先の支出上限を設定するなど、支出ルールの導入と予算編成プログラム改革を内容とする法律を整備し、国家財政の規律を確立していくべきと考えますが、知事の御見解をお伺いいたします。 次に、我が国の公会計は依然として単式簿記・現金主義であり、1,058兆円もの長期債務を的確に把握することも不可能であり、特別会計や企業会計なども国民の目から完全に隠れ、官僚の利益のために使われているとしか思えない会計すらあります。 こうした国際社会から決定的におくれている公会計制度の結果、年金問題が発生しているのであり、もし日本が発生主義の公会計で年金会計が把握をされていたら、今回の失われた年金問題のような事件は、起こりようがないと考えると、公会計制度改革を急がなくてはなりません。 そこでお伺いします。国は、発生主義に基づく財務諸表の導入やストック指標による将来負担の明確化などを内容とする財政システム改革のための法律を整備し、国家財政の透明化を図るべきと考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。 最後に、地方財政を危機に追い込んでいる国に対し、国はまず国家財政の健全化・規律化を確立すべきであり、知事は国に対してそのための法整備を求めて、明確に意見を言うべきと考えます。そのための一つの例として、国家財政健全化法及び財政システム改革法案の原案、佐藤浩雄私案ですが、これですが、作成してみました。後で知事にも差し上げますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。そして、国に働きかけていただきたいと思います。 次に、新潟県財政システム改革条例の制定についてお伺いします。 私は、2月定例会で新潟県財政システム改革条例の基本原則と条例制定について知事にお伺いいたしました。我が県財政も、国の裁量的財政政策の結果、経済に最も悪いというストップ・アンド・ゴー政策が10年で8回も出現しており、中期財政フレームや目標、予算編成プログラム改革が必要です。予算編成に先立ち、予算編成方針を議会に提出させたり、予算に伴い、知事と部局長との契約の公表や将来世代への負担金枠を明示させること、決算では知事と部局長が契約で明らかにした数値目標が達成されたかの事務事業評価や政策評価、また決算の不承認は知事や長の不信任に値することを明示した財政システムを改革する条例を策定すべきと考えます。 神保副知事を長とする会計制度改革会議もできたことですから、財政システム改革条例を直ちに取り組んでほしいと考えます。私は、財政システム改革条例の原則を次のように考えています。知事のお考えを伺います。 第1に、知事の政治的なコミットメントです。予算は、希少資源配分の政治的意思決定であり、知事や副知事が予算編成方針や財政ルール・目標を決定し、それを県民に約束する制度とすべきです。知事のお考えをお伺いします。 第2に、予算編成は県民の税という希少資源を受け取った瞬間から、知事には受託責任と説明責任が発生し、決算の承認をもって受託責任と説明責任から解放されたと考えるべきです。したがって、予算編成方針を議会に提出し、承認を受けるべきです。 また、予算の否決や決算の不認定は、長の不信任とすべきです。こうした原則を確立すべきと考えますが、知事のお考えをお伺いします。 第3に、財政規律の確立については、財政ルール・目標、中期財政フレーム、予算編成プロセス、マネジメント改革の確立が必要であり、原則を条例化すべきです。また、中期財政フレームなどの制度は、天災や社会的・経済的激動のときも、的確に対応しなければならないことから、財政政策の事前・途中・事後評価を的確に行い、財政政策の透明性を高め、財政情報を関係者ばかりでなく、全県民にも伝え、批判を仰ぐべきであり、そうした原則も確立すべきですが、知事のお考えをお伺いします。 第4に、単式簿記・現金主義では、我が県の2兆円を超える県債残高や退職手当や債務負担行為などの隠れ借金や特別会計の基金などが正確に把握できません。知事の考えからすると、国際基準のSNAやGFS規格に合致する公会計システム改革を原則とすべきと考えますが、知事のお考えをお伺いします。 第5に、フロー・ストックのマクロルールや時間基準の原則です。我が県は、プライマリーバランス赤字を平均800億円も続けており、フロー・ストックの平均の限界を決めるべきと考えます。また、累積純債務を返済可能金額で割った償還可能年限と政治経済学的見地から、予算という政治決定に参加をしていない将来世代の県民の人権を守るために、時間基準を20年と決めるべきだと考えます。知事のお考えをお伺いします。 第6に、財政指標の確立です。地方財政健全化法は、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債比率、将来負担比率の指標が使用され、健全化判断比率と再生判断比率の数値が財政健全化計画や財政再生計画を決定することが定められております。 しかし、我が県財政の現実と財政の取り巻く厳しい情勢を分析すると、これらの指標のみの財政情報では不十分と考えます。経費硬直率、財政調整基金充足率、経常収支比率などの指標も加えて、的確に県財政の状況を県民が判断できるようにすべきと考えますが、知事のお考えをお伺いします。 そこで、前述の6点の原則を入れた新潟県財政システム改革条例案の原則案、これですけれども、作成してみました。これも後で知事に差し上げますので、御検討いただきたいと思います。 さきに提案した凍結されている財政構造改革法及び財政システム改革法と一体となって運用されるべきものと考えます。特に、夕張市の財政破綻以来、国民は地方財政に対しても厳しい監視の目を向けております。また、大阪府の橋下知事の大阪維新プログラムも注目を集めております。国が財政規律の確立と財政システム改革を実行しなければ、我が県がまず実行し、国に迫るべきだと考えます。 以上を申し上げて、私の一般質問を終わります。 〔知事泉田裕彦君登壇〕(拍手)
◎知事(泉田裕彦君) 佐藤議員の一般質問に順次お答えいたします。 まず初めに、県議会における一般質問の運営方法の改正に関する御質問について、まとめて答弁いたします。 今回の改正は、県議会の運営に関することであり、自律をもって規定する県議会に対して、監視を受ける側の知事として見解を述べる立場にございません。 次に、幹部職員の意識改革についてでありますが、報道についての事実確認ができませんけれども、議会が決めるべき事柄について、このような発言をするということは、極めて不適切であると考えております。 いずれにいたしましても、トップマネジメントセミナーやミドルマネジメントセミナーなど、いろんな場を積極的に活用して、県民の視点に立った仕事をするよう、幹部職員に対して意識改革に努めてまいりたいと考えております。 次に、国家財政健全化法、財政システム改革法の制定についてお答えいたします。 まず、国家財政の規律を確立するための法律の整備についてでありますが、国の財政運営のあり方については、国で議論されるべきものと考えております。 次に、国家財政システム改革のための法律の整備についてであります。国の財政システムのあり方については、国で議論されるべきと考えております。なお、議員の御指摘のとおり、公会計改革を進めることは重要であると考えております。県では、現在自主的に複式簿記・発生主義による財務諸表の整備に取り組んでおるところであります。 次に、新潟県財政システム改革条例の制定についてお答えいたします。 まず、予算編成方針についてであります。予算編成過程の透明化を図るため、早期に予算編成方針を決定し、公表することは重要であると考えております。 一方で、国家の予算と違いまして、地方自治体の場合は、国による義務づけ、制度の枠づけというものがはめられておりまして、議員が想定しているように、県民の税金をそのまま預かって支出をするという形になっておりません。県の予算は、政府の各省予算や年明けに詳細が決定する地方財政計画等の制約を受けるということになっております。 したがいまして、来年度の予算編成に当たりまして、まず国の財政概算要求を踏まえた上で、予算編成方針を策定し、国の動向に弾力的に対応しながら、可能な限り県民の皆様に対する説明性と透明性を高めていきたいと考えております。 一律に決められない、これはいろんなトライ・アンド・エラーと申しますか、実践してみないと予算編成方針を出しても、自分で決められないところで制度が変わってしまう。国の予算の編成方針が変わってしまえば、事前に出した予算編成方針は一体何なのかということになってしまうという課題を抱えておりますので、いろいろ実験をしてみる必要があると考えております。 次に、公会計改革についてでありますが、会計原則は公会計に限らず、やはりだれでも理解できるように、国際基準に合致することが望ましいと考えております。公会計に関する国際基準を念頭に置きつつ、県民の皆様にわかりやすく財政状況をお伝えできるよう、財務諸表の作成に当たりたいと考えております。 次に、赤字の限度と県債の償還期間についてでありますが、毎会計年度のキャッシュフローは減価償却費や各種引当金など、複数の会計年度にわたって評価すべき非現金費用を反映できません。これは、東インド会社ができたときに、毎年の一定期間の会計をどう評価するのか。大きな投資で複数年度使えるものについての当該年度の費用負担はどうするかということをあらわすためにできた概念が減価償却費であり、また引当金であるわけであります。 また、時価の変動による価格の変動というものも、本来正しく会計に反映しなければいけない。含み損・含み益と呼ばれるものですけれども、こういったものを正しく評価をしないと、ある一定期間での会計がどうかということが評価をできません。キャッシュフローだけですべてを把握するというのは、もともと困難、それを乗り越えるための人類の知恵として、16世紀に採用された会計、やはりここを正しく歴史的に理解をしていく必要があるのだろうと思っております。キャッシュフローに基づく財政状況の評価は、不十分であると考えております。 なお、非現金費用を踏まえた財政状況を的確に評価できるよう、現在、複式簿記・発生主義による財務諸表の整備に取り組んでおるところであります。 また、県債の償還期間については、社会資本の耐用年数未満で償還をするとどうなるのか。現世代の過重負担になってしまうということであります。30年後、40年後の新潟県民が使うものをすべて現世代で負担をすれば、投資が過小になってしまうということも生じるわけであります。この世代を超えた公平ということも含みながら、物事を考えていく必要があると考えております。 〔
総務管理部長白倉哲男君登壇〕
◎
総務管理部長(白倉哲男君) 3点についてお答えいたします。 予算編成方針の議会提案や予算否決、決算不認定の取り扱いについてでありますが、2月定例会で知事がお答えしたとおり、地方自治法において、予算編成は長の権限と位置づけられており、予算編成方針について、議会の議決を求めることはできないと有権解釈されております。 また、長に対する不信任の手続は、地方自治法において、特別多数による同意を要することとされており、予算や決算に対する議決が過半数の同意で足りることと比較すれば、議会における予算や決算の否認は、知事の不信任とは明確に異なります。 次に、財政ルール等の設定についてでありますが、2月定例会で知事がお答えしたとおり、県財政の運営は、経済状況や地方財政対策など、多くの要素に左右されることから、確定的な将来試算は困難であり、固定的な中長期の目標の設定に大きな意味はないと考えております。 次に、財政状況に関する新たな指標についてでありますが、これまでの定例会でお答えしてきたとおり、財政状況を的確に表示するためには、議員御指摘のような新たな指標を設定するのではなく、複式簿記・発生主義による財務諸表を整備することが重要と考えております。 県民の皆様にわかりやすく財政状況をお伝えできるよう、財務諸表の整備に取り組んでまいります。 〔佐藤浩雄君登壇〕
◆佐藤浩雄君 まず最初に、財政のほうを先にやらせてもらいますが、御答弁ありがとうございました。いろいろ地方自治法やそういう関係があって、提案している幾つかができないと言っていますが、ここに多治見市の財政健全化条例があります。例えばこういったところでも、ちゃんと時間基準というか、償還基準だとか、そういうものをみんな決めています。それこそ、目標基準あるいは例えば債務の限界もみんな決めています。やればできるのです。検討もしないで、できないことばかり言っていてもしようがないではないですか、部長。だから、前向きにやってください、やっているところもあるのだから。 ぜひひとつそういう意味で、今、知事のほうから、いわゆる返済可能年数の問題、それと公会計の東インド会社の話から始まって、貴重な御指導いただきまして、ありがとうございます。政治経済学的な見地からすれば、政治的な意思決定を決める予算に参加していない20年というのは一つの基準です。そういう意味で、大事にすべきだ。 例えば、今の最大の地方債の最長返済期間は30年ですけれども、その中で健全化基準、あるいは目標基準を決めていくべきだ。しかし、政治参加をしていない、将来の県民に借金を本来与えるべきではありません。例えばわかりやすく言えば、黒字になっているスウェーデンやあるいはカナダなどから考えれば、将来世代の国民に借金を移していないということは、やっぱりすばらしいことではないですか。 そういう意味で、確かに例えば50年使える道路を20年で償還するのはおかしいではないかという論理も一つありますが、むしろ後年代にそういうすばらしい財産を残してあげたという意味で、現在の我々は褒められるべきことだと私は思います。そういう意味からすれば、私はこういう償還基準を決めることは決して無理ではない。したがって、多治見市だとか、そういうところで決めています。例えば時間基準は、10.5年あるいは12年です。そういうふうに決めています。ぜひ御答弁をお願いします。 それから、地方の二元代表制あるいは監視機能の問題ですが、いわゆる議会が自主的に決めたことだから、触れられないと。しかし知事、そんなことでいいのでしょうか。まず、私は朱鷺メッセ連絡橋崩落事故のことをさっき言いましたが、そこで経験したことです。完成後橋も落ちましたけれども、展望台のガラスも落ちました。それから、船に乗っていくところの階段もつぶれて落ちました。 そのころ中にいる女性の方が毎日のように、怖くて中で仕事していられない。何とか真相究明をして、怖くないようにしてほしい。毎日のように電話が来ました。あるいは下請の業者さんから、あそこでアルミサッシを入れたら、一晩でみんな曲がってしまって、全部取りかえねばならなかった。補強しなければならない。だから、おかしかった。あなたの言うとおりだ、そういう話も電話で何回も来ました。あるいは質問が終わると、その直後にすぐ、きょうの質問はよかったけれども、こういうところを直したほうがいい、あるいはそういう構造計算書の問題点は、こういうところにあるのではないか。いろんな意見、県民の声です。私は、そういう県民の声を大事にしてやっていかなければならない。
○議長(
長津光三郎君) 佐藤浩雄君に申し上げます。 再質問の趣旨を踏まえ、質問の内容を簡潔明瞭に述べてください。
◆佐藤浩雄君(続) はい。そのように県民が真相究明を求めているとすれば、私はその代弁者であり、いろんなことをやられたけれども、その人になりかわってずっと続けているわけです。それがあってこそ、議会と知事、お互いの二元代表制が機能して、真相究明なり、政策反映ができるのではないですか。 議会側がだめになれば、その二元代表制の機能も発揮できません。明らかに知事も問題だと言っているこの幹部の発言は、妨害した人たちの立場に立っている。そういうことを許す結果になり、それから県民の命が危なくなる、こういうことを絶対にとめるために、我々は発言していかなければならないのです。知事、そんな二元代表制を守るために頑張ってください。もう一度御答弁お願いします。 〔知事泉田裕彦君登壇〕
◎知事(泉田裕彦君) まず、財政問題についてお答えいたします。 将来の県民の負担と便益、これをどう考えるかということだと思っています。生まれたときに借金があるけれども、同時に資産もあったというようなことは、もしかすると世代を超えて便益を受け継ぐということにつながってくると考えてもいい部分というのがあると思っています。 いずれにいたしましても、現世代と将来世代の負担と便益をどのように判断をするのか。そしてさらに、その次の世代も自分たちでどうするかということを考えていく、その長さがどうなのか。では20年というのは、十分な長さなのか。もしかすると20年だって長過ぎるという意見もあるかもしれません。それは、もう程度問題の話ということだと思っております。 次に、議会の運営事項の話でございます。 議会というのは、議員と違って、議会全体として自律するということだと思っています。首長と議会の関係でいえば、執行部を監視するというのが議会の役割で、首長は監視をされる立場でございます。したがいまして、議会が決めたルールに首長が意見を挟んでいくということは、決して望ましいことではないというふうに考えております。 〔
総務管理部長白倉哲男君登壇〕
◎
総務管理部長(白倉哲男君) 議員提案の条例の内容として、目標の設定ということかと思いますけれども、県独自の指標や目標を設定するという御提案ですが、現在の地方財政の仕組み上、確定的な将来試算を行うことは非常に難しい。そのために無理に指標や目標をつくっても、それがどのような意味を持つか疑問であるという意味で、大きな意味はないと考えたわけでございますけれども、それとは別に、現在複式簿記や発生主義による財務諸表の整備に取り組んでいるところであります。それらを条例でどうするのかということにつきましては、先ほどの予算編成方針の議決ですとか、決算不認定の取り扱いなど含めまして、条例で対応したらという提案かと思いますけれども、その辺を含めまして、そもそも条例を制定する必要があるのか。仮に制定する場合でも、どのような内容を盛り込んで、どのような効果を持たせるのかにつきましては、さらに研究を要するものと考えております。 〔佐藤浩雄君登壇〕
◆佐藤浩雄君 まず、財政のほうから御答弁いただきました。ここに、多治見市の財政健全化条例があります。わかりやすく言えば、具体的にものがないと悪い。例えば、今の償還可能年限は、目標は財政向上目標10.5です。それから、健全化基準は12年です。それこそ、知事が10年でいいのか、20年でいいのか、いろんなことがあると。これは、もし12年になったら、健全化計画を立てて、財政健全化を図るという時間基準です。こういう例えば例ですけれども、もう決めているのです。例があるのです。 だから、我が県もそれこそなぜ言うかと、先ほど言ったように、国の裁量的財政政策で、予算と決算の乖離が、開いていくストッパーのところがもう10年に8回も開いているではないですか。こういうことを繰り返すようでは、財政がどんどん悪化していきます。そうしないためにも、こういう時間基準を決めて、財政フレームを決めて、健全化すべきです。最終的には、県民が払うのですから、そうならないために、私たちはその基準をどこに決めるか議論しなければ、時間基準は20年、健全化基準は例えば25年にするのか、10年にするのか……
○議長(
長津光三郎君) 佐藤浩雄君に申し上げます。 再質問に対する答弁を踏まえ、質問の内容を簡潔明瞭に述べてください。
◆佐藤浩雄君(続) ぜひ御答弁をお願いします。 もう一つは、先ほど二元代表制は、知事と私たち議会の皆さん方の緊張関係で、それこそ自由に発言をし、県民の意見を反映させるところにあるのであり、議員一人一人がいつでも発言できるようになって、質問に答えるような形でなければなりません。それをしていかなければ、結局は新潟県の発展はないわけです。ぜひそういう意味で、私たちはお互いにそれが保障できるような制度にすべきだと思います。ぜひもう一度御発言をお願いします。 〔知事泉田裕彦君登壇〕
◎知事(泉田裕彦君) まず、財政政策についてでありますが、先ほど申し上げたとおり、地方自治体の財政は自立いたしておりません。国の制度に依存していますので、自治体で目標を固めたところで、国の制度が変わると意味を持たなくなってしまう。それを自治体で制度で硬直的に決めてしまうということは、妥当性を欠くと考えております。 次に、県議会での自律的な運営事項について、知事に意見を求めてもしようがない、御不満であれば県民に直接訴えかけるというのが筋であると考えております。
○議長(
長津光三郎君) 佐藤浩雄君の質問は終わりました。 ――
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○議長(
長津光三郎君) これにて一般質問は終了いたしました。 ――
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○議長(
長津光三郎君) お諮りいたします。 議案審議等のため、明7月2日から7月4日まで及び7月7日から7月10日までの7日間、本会議を休会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(
長津光三郎君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、7月5日及び7月6日は休日のため、本会議を休会といたします。 ――
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○議長(
長津光三郎君) 本日の議事日程は終了いたしました。 次会は、7月11日午後1時から開くことといたします。 本日はこれにて散会いたします。
△午後4時50分散会...