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06月26日-一般質問-04号

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  1. 新潟県議会 2007-06-26
    06月26日-一般質問-04号


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    平成19年  6月定例会 本会議平成19年6月26日(火曜日)  議事日程 第4号    午前10時 開議第1 請願第5号第2 陳情第4号及び第5号第3 県政に対する一般質問   ―――――――――――――――――本日の会議に付した案件 日程第1  第5号 WTO・日豪EPAに係る意見書提出に関する請願 日程第2  第4号 新潟県議会議員の政務調査費と県議会出席に応じて支給される費用弁償を廃止する条例改正を求      めることに関する陳情  第5号 森林・林業・木材関連産業政策と国有林野事業の健全化を求める意見書提出に関する陳情 日程第3 県政に対する一般質問(市村孝一君、梅谷守君、小山芳元君、竹島良子君、志田邦男君、若月仁      君)   ――――――――☆――――――――出 席 議 員(53名)          小林 一大 君  冨樫 一成 君  佐藤 卓之 君  市村 孝一 君          楡井 辰雄 君  小島  隆 君  片野  猛 君  佐藤  純 君          桜井 甚一 君  小林 林一 君  西川 洋吉 君  佐藤 莞爾 君          岩村 良一 君  沢野  修 君  斎藤 隆景 君  金谷 国彦 君          早川 吉秀 君  木村 一男 君  尾身 孝昭 君  中原 八一 君          柄沢 正三 君  中野  洸 君  小川 和雄 君  小野  忍 君          村松 二郎 君  小野 峯生 君  帆苅 謙治 君  三林 碩郎 君          長津光三郎 君  渡辺 惇夫 君  石井  修 君  東山 英機 君          三富 佳一 君  星野伊佐夫 君  梅谷  守 君  石塚  健 君          進 直一郎 君  大渕  健 君  内山 五郎 君  竹山 昭二 君          佐藤 信幸 君  市川 政広 君  若月  仁 君  小山 芳元 君          竹島 良子 君  志田 邦男 君  青木太一郎 君  松川キヌヨ 君          佐藤 浩雄 君  宮崎 増次 君  中川カヨ子 君  横尾 幸秀 君          皆川 雄二 君   ―――――――――――――――――議員以外の出席者 知事            泉田 裕彦 君 副知事           関根 洋祐 君 副知事           小熊  博 君 副知事           神保 和男 君 知事政策局長        森  邦雄 君 総務管理部長        鶴巻 嗣雄 君 県民生活・環境部長     棚橋  進 君 防災局長          渡邉 博文 君 福祉保健部長        鈴木 幸雄 君 産業労働観光部長      丸山  仁 君 農林水産部長        武藤 敏明 君 農地部長          小林 厚司 君 土木部長          金子  博 君 交通政策局長        髙橋 総一 君 会計管理者兼出納局長    白倉 哲男 君 病院局長          牧野 正博 君 企業局長          賀谷  正 君 教育長           武藤 克己 君 人事委員会事務局長     江口 孝雄 君 警察本部長         園田 一裕 君 労働委員会事務局長     鈴木 裕子 君 監査委員事務局長      高井 盛雄 君   ――――――――☆―――――――― △午前10時 開議 ○議長(長津光三郎君) これより本日の会議を開きます。   ――――――――☆―――――――― △日程第1 請願第5号 △日程第2 陳情第4号及び第5号 ○議長(長津光三郎君) 日程第1、請願第5号並びに日程第2、陳情第4号及び第5号を一括して議題といたします。 お諮りいたします。 請願第5号並びに陳情第4号及び第5号は、審査のため、諸君のお手元に配付の請願・陳情文書表のとおり、各部門の常任委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(長津光三郎君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔請願・陳情文書表は別冊に掲載〕   ――――――――☆―――――――― △日程第3 県政に対する一般質問 ○議長(長津光三郎君) 日程第3、県政に対する一般質問を行います。 順次、発言を許します。 まず、市村孝一君の発言を許します。市村孝一君。   〔市村孝一君登壇〕(拍手) ◆市村孝一君 おはようございます。自由民主党の新人、市村孝一でございます。どうかよろしくお願いいたします。項目が多いので、端的に質問をさせていただきたいと思います。 まず、道州制についてお伺いいたします。 国の政策により全国各地において市町村合併が進展しており、その流れから道州制が声高に叫ばれるのも当然の流れであり、行財政改革、事務効率化の上からも私は道州制推進については強く推し進めるべきものと考える一人でもあります。 さて、その道州制についての枠組みでありますが、本県の地理的な位置は微妙な位置にあるところから、多くの論議を呼んでいるところでございますが、基本的には州の都、州都が我が県のどこかに来るような組み合わせを思考すべきと考えますが、知事の所見をお伺いするものであります。 さらには、我が自由民主党の道州制調査会の中間報告によれば、中都市を州都とする配慮も考えられるとされており、仮に新潟県、長野県、富山県を中心とした北陸、信越地区の組み合わせとなったときに、古代から中世にかけての長きにわたる歴史的な背景や抜群の地理的位置関係からしても、上越市が州都としての資格を十二分に備えているものと考えるところでありますが、重ねて知事の所見を伺うものであります。 次に、2007年問題についてお伺いいたします。 民間調査機関のアンケートによれば、団塊世代の約7割の方々が退職後に再び何らかの職につくことを希望しているそうであります。私が市議会議員時代こんなことがありました。3月議会開会中お昼御飯を議員控室で食べておりますと、毎年のように多くの職員さんたちがあいさつ回りに来られました。その方々は、3月いっぱいで定年退職を迎えられる職員さんたちでありました。私はそのたびに思ったのは、何と皆さんお若いことか。現代の60歳の方々は、本当にお若く見えるのであります。また、お若く見えるだけではありません。その気力十分、やる気満々、心身ともに健康であり、エネルギッシュ、そんな60歳の方々がほとんどではないでしょうか。私が申し上げるまでもなく、この団塊世代の方々はその圧倒的な数と行動力で繁栄する日本社会を下支えしてきた世代であり、そのわざ、たくみ、経験はまだまだ実社会において必要な世代であると私は考えます。 しかし、7割にもなろうかという再就職希望の皆様がすべて希望どおりにうまくいくとは到底思えません。実態的にはハローワークやシルバー人材センター等がございますが、前者は年齢的な壁、後者はだれでもできる軽作業というイメージが払拭されません。県は、これら貴重な人材の県内労働市場における活用をどのように図っていく考えか、お伺いいたします。 これら熟練した技能と豊富な経験を持った団塊世代の退職者と、そのような人材を求める企業等を確実に結びつけるための仕掛けづくりができないものかどうか。今まさに首都圏を中心に民間ベースでの人材派遣業が真っ盛りと聞きます。必ずやそのニーズが県内各地にあるはずでございます。民間でのノウハウも参考にしていただき、県としての方策が何か考えられないものかどうかお尋ねするものであります。 次に、北陸新幹線駅の周辺整備と並行在来線問題についてお伺いいたします。 平成26年度末に完成が予定されております北陸新幹線につきましては、沿線自治体を初め地元住民にとりまして積年の悲願であり、上越と東京間を1時間35分で結ぶという夢の乗り物でもございます。その開業に向けて新幹線建設と新駅の建設は、その周辺整備も含めて、地元自治体や関係者にとりましては今後、最優先事項であることは間違いございません。この間の建設促進について、多大なる県当局の支援につきましては、改めて敬意をあらわすとともに、今後ますますの御尽力も賜りたくお願いをするものであります。 さて、(仮称)上越駅周辺については、土地区画整理事業等により着々と整備が進められておりますが、地元住民の皆様が最も関心が高いと思われますのが新駅周辺地域と国道18号を結ぶ都市計画道路脇野田岡原線の整備についてであります。この道路は、新駅東口の正面に直結するメーンロードであり、その幅員も広く、現在の脇野田、大和地区の最大の家屋密集地でもあります。地元住民の皆様の最大限の協力は不可欠でありますが、このメーンロードの今後の整備を進める上での県の取り組み状況をお伺いするものであります。 次に、並行在来線問題についてでありますが、並行在来線については、JRからの経営分離により巨額の初期投資等の負担が問題となっておりますが、並行在来線を存続するべく、知事を先頭にその負担軽減に向け積極的な要請活動が行われておりますことについては、改めて敬意を表するとともに、最大限のエールを送る一人でもあります。 そこで、お聞きをしたいのでありますが、仮に本県要望が実現した場合における県と沿線市町村との負担割合をどのようにお考えか、現段階でお答えいただける範囲で結構でございますので、お聞かせいただければと思います。 次に、県管理道路における歩行者の安全確保についてであります。 まず、県管理道路の歩道整備に対する基本的な考え方と現在までの整備の現状をお伺いいたします。 私は、少子・高齢化が進行している中で、交通手段の大半が歩きとなる子供たちやお年寄りの安全を確保することは、道路行政の中でも最優先の課題と考えます。県民の安全・安心を何よりも重視している県としては、歩道整備に思い切った予算を確保して全国一の歩道整備率を実現したらどうかと考えますが、所見をお伺いいたします。 なお、この歩道整備には幅員等の国の指導があることや用地確保の困難な場所があること、多額な予算がかかることなどの事情があることも十分に承知しております。 そこで、一刻も早い歩道整備に向けて国の基準にとらわれない県オリジナルの簡易歩道の制度化など、アイデアと知恵を出した前向きなお考えはないものかどうか、あわせてお伺いするものであります。 続きまして、小・中・高校での性教育についてをお伺いいたします。 10年ほど前から学校教育に性教育が取り入れられ、子供たちを不幸な事態から守るべく指導されていると思いますが、あわせて問題点も指摘をされております。それは、現在の性教育が性科学教育という名のもと性器、性交教育、避妊、堕胎教育に偏重しているのではないかという懸念であります。かつて米国では性開放思想に基づく性教育が主だったのが自己抑制型の性教育に転換して成果を上げていると聞いておりますが、このような事実、具体的には10代の妊娠、中絶が劇的に減少したということでありますが、教育長はこのようなことをお聞きされたことがあるかどうか、お聞きするものであります。 私は、これからの性教育というものは包括的性教育、避妊教育を強調するような性科学教育、いわゆる過激な性教育よりも自己抑制型の性教育に転換すべきと考えますが、県として自己抑制型性教育を研究、検討する意向がないものかどうか、また今後の性教育をどのようにお考えか、お尋ねするものであります。 次に、子どもの権利条例等についてお伺いいたします。 御案内のように、国連は1989年、平成元年11月20日、児童の権利に関する条約を採択し、我が国は平成6年4月22日に世界で158番目に批准をいたしました。しかしながら、先進国の中ではこの条約の持つ思想的問題に危険性を感じ、批准を拒否したり、大幅な修正、条件づきで批准した国が続出いたしました。米国は批准拒否、フランスでは批准後、国内が混乱と耳にしたこともあります。 しかしながら、この条約に由来して我が国の地方自治体で子どもの権利条例なるものが制定されており、本県でも幾つかの市町村が制定を検討中と聞いております。そこで、県は子どもの権利条例をどのようにお考えになるか、また県内の市町村の対応をどう把握、指導しているのか、お聞かせいただきたいと思うのであります。 そもそも我が国では日本国憲法第3章、国民の権利及び義務、第10条から第40条等で少年、児童、生徒、幼児、乳児は権利の主体ではなく、児童福祉法第1条、第2条等で国民、保護者、国、地方公共団体の保護の対象と位置づけられていると理解しておりますが、県の見解はいかがなものでしょうか。 端的に申し上げるとするならば、子供は権利の主体か保護の対象かということでございます。私は、児童、子供は保護の対象であり、今、地方公共団体に求められているのは子どもの権利条例制定ではなく、子どもの健全育成条例であると考えますが、いかがでしょうか。 子どもの権利条例等の議論の中で子供の自己決定権なる言葉を耳にいたしますが、行き過ぎた子供の自己決定権の考え方が子供の増長を促し、教育現場に混乱をもたらすのではないかと危惧いたしますが、見解をお聞かせいただければと存じます。 次に、男女共同参画についてお尋ねいたします。 男女共同参画推進の考え方の中にジェンダー・フリーという用語があると聞いておりますが、内閣府では国の男女共同参画推進の考え方の中にはこのジェンダー・フリーという用語は使わないという見解であるそうでございますが、本県の考え方はどうなのか、お聞きするものであります。 本県の小中学校の名簿はほぼ100%男女混合名簿となっていると聞いておりますが、実態はどうなのでしょうか。数字をお聞かせいただきたいと思います。また、県立高校ではどのような実態なのか、あわせてお伺いいたします。 この名簿及び呼称については、文部科学省及び県ではどのように指導をしているのか、各学校の裁量権にゆだねているのかどうか、また全国各地で男女同室での宿泊、男女混合での騎馬戦、体育及び水泳時の男女同室での着がえなど、問題が生じているとも聞いておりますが、本県では現状はどのようになっているのか、お考えを含めてお聞かせいただければと思います。 次に、自治基本条例についてでありますが、最近、全国の地方自治体の中で自治基本条例なるものがつくられていると聞きますが、本県はこの自治基本条例をどのようにお考えになるか、県内各市町村についてはどうか、制定を目指して取り組んでいる市町村はあるのかどうか、お伺いできればと思います。 最後に、ベンチャー企業支援についてお伺いいたします。 全国では、昭和50年代半ばには年平均28万社もの企業が開業し、開業率は約6%となっておりましたが、平成も10年を過ぎたころには開業数が40%も減少し、開業率も2.3ポイント低下しております。業種別では、製造業における開業率の低下が進んでおり、開業率停滞の要因としては、日本経済の成熟化や産業構造の変化が考えられます。また、開業率が低下することにより、雇用や生産面での影響が指摘をされております。 気になるのは、開業率が地域によってかなりの格差があるということでございます。残念なことに県内における開業率は全国でも下位にあるなど、新たな企業支援策は県内においてはなかなか浸透しておりません。ある民間の県内創業者アンケートによりますと、県内で創業するためには、第1に資金調達のクリア、第2には経営ノウハウも含む起業家教育の必要性、第3には創業者を地域社会がサポートできる体制づくり、そして第4には失敗しても再挑戦できる環境づくりが不可欠であるという結果になったそうであります。経済環境や就労形態が大きく変化する中で、公的な起業支援制度の活用に向けた取り組みも続けられてはおりますが、県内ではなかなか起業の活性化が進んでいないと私は考えます。資金面、教育面でのサポートをさらに充実すると同時に、起業意欲を後押しし、さらに再挑戦をも可能とする環境づくりを県全体で実現することが県内での起業活性化のための有効な方策ではないでしょうか。 繊維、金属、食品など全国的な産地が多数集積する県内において、これまでは起業は製造業、特に中小企業がその中心を担ってまいりました。しかし、産業構造の変化による経済のサービス化の流れや、産業の空洞化に伴う伝統的地場産業の衰退などから、製造業での起業が非常に難しくなってまいりました。 加えて、全国と比べてもサービス業など第3次産業での起業も見劣りする状況が続いております。観光業など地域産業の停滞感が起業の足かせになっているとも考えられます。 また、事業を始めると最初の数年はどうしても初期投資がかさみ、経営的には決して楽ではありません。従業員雇用に伴う社会保険料や労働保険料など、法人としての会社にとってそれらは当然の社会的な負担であり、責任でもあります。しかし、駆け出しの会社にとって意外に重荷になっているようでもあります。何らかの負担軽減策はないものでしょうか。本県経済を着実に発展させるためには、ベンチャー企業への物心両面にわたる総合的な支援策を強力に打ち出すことにより、県内はおろか県外からも意欲とアイデアにあふれた若者を本県に呼び込み、「起業するなら新潟県で」をキャッチフレーズに将来にわたって金の卵を産み続ける超優良企業へと数多く育成していくことこそが必要と私は考えます。ベンチャー企業支援についての知事の所見をお伺いいたします。 以上、よろしくお願いいたします。(拍手)   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 市村議員の一般質問に順次お答え申し上げます。 まず、道州制についてであります。 道州制の区域、そして州都をどのように考えるべきかというお尋ねでございました。議会でもるる申し上げておりますが、道州制の区域というものを考えるときに、そもそも道州制とは、今の基礎的自治体、大都市との役割分担がどうあるべきか、自己決定権が基礎的自治体にあるという場合の道州制と、都道府県合併にすぎないような、県の機能をそのまま縮小して合併した道州ができるかどうかによってもその扱いというのは当然変わってくるということですから、区域とか州都の問題について、その前提としての道州のイメージが共有されていない中で議論するのはなかなか難しいかなと考えております。 また、社会経済活動については、本県だけを見ましても県北地域と上越地域でつながりの強い地域というものが全く違っておるというような実態もございます。県では調査の結果を取りまとめた分析をしておりますが、道州制といったときにどこと一緒になりたいですかと聞かれると、えてして東京都という答えが経済界中心に多いのですけれども、片面的になっております。東京都から見たときの新潟県というのは、1都3県以外の北関東3県も苦戦をしていますが、そのさらに枠外ということになっていまして、新潟県は東京都とがいいと思っていても、東京都から見て新潟県はそもそも念頭にないというような現状もあるわけで、どことどこがふさわしいのかということも考えないとさまざまな議論はできないのだろうというふうに思っております。 また、道州制というのは必ず複数の都道府県が合併するという前提をイメージとして持っていますけれども、本当にそうなのかというと、北海道は一つの道で一つの固まりを形成しているわけです。沖縄県も恐らく一つになるというふうに言われております。一つの県で一つの州ということが必ずしも否定されていないし、全国知事会での要望の中でも1県で一つの州を形成することは排除しないということがテープノートされているところでございます。現時点におきましては、東北、関東、北陸など隣接圏域と連携して交流の実績を積み重ねていき、また、1県で州を構成することも含めてあらゆる可能性に対応した準備を進めていくという段階ではないかと思っております。 州都につきましても、道州民のコンセンサスを得ながら、道州の役割というものを踏まえた上で御議論いただく必要があるのではないかというふうに思っております。 次に、上越市が州都の資格を備えているかという点についてでございます。 上越市は、古くは戦国時代に上信越圏域を治めました上杉氏の居城があった歴史がございます。改めて戦国時代にタイムスリップして考えてみますと、上越が都に近く、そしてさまざまなところと連携するという意味において地政学的な優位性があったがために上杉氏の居城があったということなのだろうと思っております。 現在はどうかといいますと、北陸新幹線が開通いたしますと、首都圏経済との交流が一層活発化することが期待されますし、目的地になることができればということなのですが、長野県と、北陸地域の扇のかなめの地になり、さらに大陸との交流の活発化というポテンシャルを十分持っているというふうに思っております。2009年の大河ドラマは「天地人」が放映されるということで、歴史の舞台が上越市になっていくと、日本全国から注目を集めるという可能性も含んでおるということですから、上越地域が目的地となるような取り組みを官民一体となって進めていく必要があるというふうに思っております。 州都についても、道州の枠組みと同じように今ここでどうこうと決め打たずに、あらゆる可能性を排除しない形で議論されることが必要ではないかというふうに思っております。 次に、2007年問題についてお答えいたします。 団塊の世代の県内労働市場における活用ということでございます。現在の実情、現状を数字で申し上げますと、55歳から59歳までの新規の就職率が28.1%しかないということでございます。60歳から64歳になりますと21.4%しかない。残念ながら希望する人が十分な就職の機会を得られていないというのが現実ではないかと思っております。 なぜそのようなことが起きるのかといいますと、企業側のニーズと本人の持つ技術と能力のミスマッチが大きく指摘されております。人間は、えてしてそういうものだと思いますけれども、みずからの能力については高い評価をする傾向がございますし、企業は必要とする人材について、どれだけ収益を上げられるかというシビアな目で見るということであります。よく報道等で高度な技能を持った団塊の世代等の紹介がなされておりますけれども、必ずしもそういう人ばかりではない中で、労働力の活用はどうあるべきかを考えなければならないのではないかというふうに思っております。 一つ考えられるのは、なれ親しんだ職場での再雇用をどういうふうに進めていけるのかということと、今まで培ってきた経験とかノウハウをまた別のフィールドで展開していく場をどのように受け皿として整備していくのかということの両面で対応する必要があるのではないかというふうに思っております。 県といたしましては、継続雇用、再雇用の推進、そして企業側のニーズと本人が持っております技能、能力とのミスマッチを解消するための職業訓練を含む再就職の支援に力を入れて取り組んでまいりたいと考えております。 次に、団塊の世代の技能等を地域の企業等に結びつける方策についてでございます。 これは、今ほど申し上げましたとおり、企業の求めるものと本人の能力とのミスマッチが、就職が進まない最大の要因になっております。一方で、豊かな経験や広いネットワーク等を有する人材が持つ知識やノウハウを活用していくということは、県内の産業の振興という観点から、働く場を確保する、1人の知恵が大変多くの人の職場をつくり出すという可能性を秘めているわけでございます。 一例で申し上げれば、県の参与という形で来ていただきましたハバロフスクセンターの前所長である前田さんのような方がおられますとロシアとのビジネスを通じて県内の多くの人が潤う、1人の知識というものが多くの人の職場を確保していくことにつながってくるというふうに考えております。 県といたしましては、平成19年度の新規事業として、中小企業者等が新しく事業に取り組む際や新分野に進出する際、団塊の世代の退職者など社外の人材を活用する場合に、その人件費を補助する制度、外部人材による新ビジネス展開支援事業を創設したところであります。 この考え方について御説明いたしますと、日本というのは基本的に無資源国であり、江戸時代から明治時代にかわった際に、日本はなぜ先進国に追いつき、追い越すことができたのか。資源もない、土地も狭いという中で、結局は人材しかなかったということでございます。そして、人材は一から教育したのかというと、明治時代の初めに日本人の給料の10倍ほどを払って海外からお抱え外国人を雇い、八幡製鉄所を立ち上げ、さまざまなところで政府主導で新たな産業を興し、働く場を確保していったということでございます。そういった中で日本人の勤勉性により欧米から管理ノウハウを吸収し、技術を習得し、最初は物まねと言われながらも独自の技術を開発して世界の信用を獲得していったという歴史だったと思っております。 新潟県は、大変多くの人材を大都市に輩出いたしました。今度は世界に通じる人脈、ノウハウ、技術を持っておられる方を県内、企業に招き、働く場所を確保して、産業の活性化、企業の活性化を図っていくことが歴史に学ぶ一つの解決策ではないかというふうに思っているところでございます。国や関係機関とも連携しながら、経験豊富な人材が県内企業で活躍できる機会を提供してまいりたいと考えております。 次に、子どもの権利条例についてお答えいたします。 まず、事実関係の確認からさせていただきたいと思うのですが、我が国の法制度のもとでは御指摘のように子供は保護の対象ということになっており、同時に権利の主体としても位置づけられているということでございます。これは、憲法と条約の関係なのですけれども、条約を批准した以上は憲法は普遍主義のもとで条約を国内法として扱うということになっております。したがいまして、批准された条約は国内法としてそのまま適用されるということになりますので、同時に権利の主体であるという法体系を持っているのが現状の姿でございます。 子どもの権利条例制定の背景となっておりますこの条約については、子供の権利を保障することに重きが置かれ過ぎているのではないかという御意見があることも事実でございます。一方で、条例化によって必ずしも子供の健やかな成長につながらないのではないかという議論もあり、子供の権利を尊重しながらも問題点もあるということで、意見が分かれているというのが現実だと認識いたしております。 したがいまして、このように見解が分かれている課題につきましては、条例化するに当たって十分な議論を行い、受益者である住民の皆様の意見の統一を図る必要があるのではないかというふうに考えております。 次に、ベンチャー企業支援についてお答えいたします。 開業率と廃業率の差は、議員御指摘のとおり大変重要な課題だと思っております。高度成長期に日本がどんどん経済規模を拡大していった時期というのは、開業率が廃業率を大幅に上回るという状況が続いておりました。その結果、未来にさまざまな可能性があり、若者は努力すれば必ず親を超えられるという確信に満ち、自分の人生に向かってチャレンジしていったという時代でございました。 今はどうかというと、御指摘のように開業率より廃業率が上回るというような状況になっています。すなわち、縮小傾向に入ってきているのではないか。こういう中で元気を出せといってもなかなか難しいと。努力したら夢がかなうような社会をつくっていかなければ社会全体が停滞していくということは、御指摘のとおりだというふうに思っております。 特に本県の場合、開業率の低下が見られるというのはなぜなのかと考えてみると、一つは可能性、チャレンジ精神を多く持っている若者が県内にとどまらずに県外に流出しているということが影響していないかどうかを十分に検証する必要があると思っております。 また、教育の問題もあるのではないかと思っています。北米で教育を受けると、一番あこがれる職業というのは人に使われるということではなくて、みずからビジネスを起こすということになります。ビジネススクールを出た方々は、企業に勤めるという発想を持っておりません。基本的には自分で事業を起こして、社会の役に立っていける能力をいかに獲得するかということが一番とうといという教育を受けるわけです。みずから事業を起こし、進めていくことができなかった人、そこまでは自信がないという人は、しようがないので、民間企業、大企業に勤めると。民間企業にも勤められなかった人は、しようがないので、公務員になるというのが世界の先進国の標準ということになっているわけです。残念ながら我が県では反対になっているのではないかと。勉強して公務員にまずなれというような教育が本当にふさわしいのかどうかということも、教育のあり方としてぜひ県民全体で御議論いただきたいなと私は思っております。 ちなみに、ソビエト連邦が崩壊した後、ロシアがどのような施策をとったかということは大変興味深いわけでございますが、ロシアでは失業者を再教育して労働者として就職できる能力を授けるほかに、いかにしたら起業できるのかと、アントレプレナー、起業者を育てる施策を展開いたしました。その結果、国営企業がなくなっても民間企業がかなり成長して、今、ロシア全体で年率7%から8%ぐらいの経済成長を進めております。ヨーロッパ側はもう十分に経済成長の軌道に乗ったということで、近年は極東、つまりウラジオストクの重要性が見直されているようなことになっております。このように社会全体の雰囲気ががらっと変わってしまうという中で起業家精神、みずからの責任で事業を行うことによって社会に役立ちたいというような価値観をいかにつくっていくかという教育も重要ではないか、北欧での教育の価値観など世界での教育がどうなっているのかというようなところも念頭に置いて人づくりを進めていく必要があるのでないかと考えております。 また、御指摘のありました起業直後に大変苦しい時期を迎えるという、まさにデスバレーの議論だと思うのですけれども、最初に立ち上げるときはさまざまな注目を浴びて資金も集まりますが、その企業が実際に軌道に乗るまでの数年間は大変厳しい時期を迎えるということで、これは統計的にも明らかになっているところでございます。このデスバレーに対してどのように支援していくのかということも起業者が安心して取り組める一つの施策ではないかと考えております。 ちなみに、これまでの本県の現在のベンチャー企業の輩出状況についてでございますが、県等の出資によって設立された、すなわち公的性格を持っております東京中小企業投資育成株式会社の投資実績を見ますと、東日本の18都道県が投資対象になっておりますが、本県は第6位の72件ということになっております。東京都、神奈川県といったところは官製ベンチャーキャピタルのほかにさまざまなベンチャーキャピタルがあって、けたが違うということで、こういうところを除きますと、比較的多くのベンチャー企業を輩出していることも事実であるかなというふうに推測いたしております。 今後の課題というのは、技術支援、商品開発支援ということだけではなくて、資金支援、販路開拓支援、それからロサンゼルス等でも見られるようにエンジェル、すなわち支援者があらわれやすい環境をどのようにつくっていくのかということも重要なのだと思っています。日本では、どうしても個人保証をとられてしまう。それでは再チャレンジの機会というものはなくなってしまうわけですから、そうではなくて、1回失敗しても2回目以降の方が成功する確率が高い、ベンチャー企業は10社のうち2社当たれば大成功ということで、個人の身ぐるみまではがされてしまうというような、個人保証をとるということではなくて、再チャレンジができるような環境を整備していくことがシリコンバレーのような活況を呈する最大の可能性を発揮する社会的な制度の仕組みということになっていくのではないかと考えております。 県といたしましては、こういう認識のもとに、にいがた産業創造機構の持つワンストップで多彩な支援機能をさらに十分発揮させるとともに、県内の金融機関、関係団体等ともよく相談しながら、将来の県経済を引っ張っていってくれるような企業の輩出に努めてまいりたいと考えております。   〔総務管理部長鶴巻嗣雄君登壇〕 ◎総務管理部長(鶴巻嗣雄君) 自治基本条例についてでありますが、地域における自治の基本理念や基本原則を定めるものであることから、その制定については各自治体が主体的に判断すべきものであると考えております。 地方分権の進展や行政への住民参画の必要性が高まる中、近年、自治基本条例を制定する団体がふえており、県内市町村においても現時点で5団体が制定済み、5団体が制定検討中となっております。   〔県民生活・環境部長棚橋進君登壇〕 ◎県民生活・環境部長(棚橋進君) ジェンダー・フリーに関する基本認識と対応についてでありますが、国の第2次男女共同参画基本計画にありますように、ジェンダー・フリーという用語を使用して性差を否定したり、男らしさ、女らしさや男女の区別をなくして人間の中性化を目指すことなどは、男女共同参画の趣旨とは異なるものであると認識しております。 また、この用語をめぐる誤解や混乱を招かないため、国ではこの用語を使用しないことが適切としておりまして、県といたしましても各種計画や広報資料などにおきましてこの用語は使用しておりません。   〔福祉保健部長鈴木幸雄君登壇〕 ◎福祉保健部長(鈴木幸雄君) 子どもの権利条例などの制定状況についてでありますが、昨年9月の国の調査によりますと、県内市町村では新潟市及び上越市が現在、条例制定に向けて準備を進めておりますが、その他の市町村では条例制定の予定はないとのことです。 条例制定については、住民の意思を踏まえ、市町村がみずから判断すべきものでありますが、昨今は児童虐待などによる子供の人権侵害が目立っており、児童の権利に関する条約の理念について普及や啓発を進めていく必要があると考えております。   〔土木部長金子博君登壇〕 ◎土木部長(金子博君) 脇野田岡原線の整備についてでありますが、当路線は国道18号と新幹線新駅を結ぶ重要な路線であり、県では2014年の北陸新幹線開業に合わせ整備したいと考えております。 このため今年度から新規事業として着手することとし、現在、事業認可の手続を進めているところであります。 次に、県管理道路における歩道整備の基本的な考え方と整備の現状についてでありますが、交通弱者である高齢者や児童等を含む歩行者の安全確保を図るべく、通学路や事故多発区間を重点に、歩きやすい歩道の整備を進めているところであります。 なお、県管理道路の約3割を占める通学路における歩道の整備率は約6割にとどまっている状況であり、今後とも整備を進めていく必要があるものと考えております。 次に、歩道整備の促進についてでありますが、厳しい財政状況の中でありますが、着実な歩道の整備のための予算の確保に努めるとともに、福祉保健部所管のバリアフリーまちづくり事業などと連携しながら、歩道整備率の向上を図ってまいりたいと考えております。 次に、簡易歩道等による整備の促進についてでありますが、歩道整備に寄せる県民の期待にこたえていくため、現在、地域住民の声をお聞きしながら、幅広い路肩の整備や路肩のカラー舗装化などを行っているところであり、安全で歩きやすい歩行者空間の確保が早期に図れるよう、今後新たな手法についても検討してまいりたいと考えております。   〔交通政策局長髙橋総一君登壇〕 ◎交通政策局長(髙橋総一君) 並行在来線に係る費用負担についてでありますが、県は並行在来線経営の大きな負担となる初期投資等の軽減を図るため、起債等の支援措置を国に要望するとともに、最近、整備新幹線に関する政府・与党合意の見直しを前提とした与党整備新幹線建設促進プロジェクトチームが立ち上がったことから、並行在来線についても経営が成り立つよう新たな枠組みの構築を要望しているところであります。 今後、国の支援制度の動向を見きわめつつ、並行在来線のあり方懇談会が示した経営モデル案の精査を沿線自治体とともに取り組む中で、最終的な費用負担のあり方を探ってまいりたいと考えております。   〔教育長武藤克己君登壇〕 ◎教育長(武藤克己君) お答えいたします。 まず、学校における性教育についてでありますが、米国における性教育の成果につきましては詳細には承知しておりませんが、日本においては男性または女性としての自己の認識を確かにさせ、人間尊重等の精神に基づく豊かな人間関係を築くことにあると認識しております。 次に、今後の性教育についてでありますが、今ほど申し上げましたように、本県における性教育は男性または女性としての自己の認識を確かにさせることなどを目的として文部科学省が定める学習指導要領に基づいて実施しているところであります。 なお、いわゆる自己抑制型の性教育につきましては、児童生徒が発達段階に応じて適切な意思決定、適切な行動選択がとれるよう、既に指導の中で実施しているところであります。 次に、いわゆる子供の自己決定権についてでありますが、児童の権利に関する条約に明記されているとおり、子供の意見表明権はその年齢や成熟度に応じて考慮されるべきものと認識しております。 学校教育においては、児童生徒の発達段階に応じて自由と責任、権利と義務などについて適切に指導し、調和のとれた人間形成に努めることが重要であると考えております。 次に、いわゆる男女混合名簿についてでありますが、平成17年度の調査では、校内で作成するさまざまな名簿のうち男女混合名簿についても作成している学校の割合は、県内の小学校で97.9%、中学校で69.1%、公立高等学校で86.3%となっております。 なお、名簿の作成及び使用につきましては、各学校の裁量によるものであります。 次に、本県における男女同室の宿泊などの実態とそれに対する見解についてでありますが、平成17年度の調査においては、男女同室での宿泊はありませんが、男女混合での騎馬戦は約6%の小学校で行われております。また、体育時の男女同室での着がえは、小学校低学年では約87%ですが、高学年においては約2%となっております。 各学校には、児童生徒の発達段階に応じて適切に対応するよう、校長会を初めさまざまな機会をとらえ指示しているところであります。 以上です。 ○議長(長津光三郎君) 市村孝一君の質問は終わりました。 次に、梅谷守君の発言を許します。梅谷守君。   〔梅谷守君登壇〕(拍手) ◆梅谷守君 民主にいがたの新人、梅谷守でございます。質問数の関係から足早に質問させていただきたいので、どうぞよろしくお願いいたします。 それではまず、知事にお尋ねをしたいのですが、新潟県において現在最も不足をしている点は何か、そして県政の最優先課題は何なのか、さらに言えばこの任期中に必ずなし遂げたいことは何なのか、この3点についてまずお伺いさせていただきます。 そして次に、繰り返しの答弁でちょっと答弁疲れをされるかもしれませんが、道州制についてお伺いいたします。 かねてから知事の言う権限と財源の移譲を先に進めないまま区域割りを先に進めてしまっては、地方自治が進むのだろうかという問題も確かにありましょう。しかし、この前提に立つのであれば、逆に新潟県として望むべきビジョンを示した上で権限と財源の移譲を積極的に働きかけていくべきではないでしょうか。現状を見れば、政府が19日に閣議決定した骨太の方針で実現のための検討を加速すると明記したことや、自由民主党の道州制調査会が導入に向け、期限を設けた中間報告書を提出したこと、さらには安倍首相が道州制の具体化に向けてさらに検討を進めるよう指示したことなど、政府・与党主導で加速度的に道州制議論が進みつつあります。こうした流れの中で、今のスタンスのままで居続ければ結局、政府・与党が提案する案に固まりかねず、気づけば新潟県にとって望ましくない区割りを強いられるおそれもございます。 22日の代表質問における答弁の中で、知事は、理想的な道州制には賛成と述べておられましたが、現時点で道州制の区割りについて新潟県として理想とする、ないしは望ましいと考える腹案をお持ちなのか否か、そしてあればそれをお伺いできないでしょうか。 区割りに関する発言は、慎重に行う必要がございます。しかし、そろそろまず権限、財源移譲ありきという論点だけでなく、新潟県の道州制区割り案についても案を提示し、該当県との連携推進方法を模索すべきではないでしょうか。地方が積極的な動きを見せ、一致団結することで初めて政府・与党に対し地方の要求、要望を強烈に示せるというものではないでしょうか。 道州制は、いわば他の都道府県との結婚のようなもの。本当は好きな相手がいるのに、なかなかそれを表に出すことができないという奥手では、本当に好きな相手を逃しかねません。全方位外交という言葉は決して八方美人ではないとは存じますが、望むべく相手と結婚するために知事はどのような方策をお考えなのか、お尋ねいたします。 20日の提案理由説明において、まず、国民的な議論を行い、その上で国民のコンセンサスを得ながら進めていかなければならないと考えると知事は述べておられますが、視界不良の中で具体的にどうやって県民の道州制に対する関心を高め、それを吸い上げ、取り入れていくのか、具体的方策についてお伺いいたします。 さらに言えば、県民にとって最大の関心事は区割りでしょう。区割りに対する態度を明確に公表していただくことを重ねてお願いいたします。 次に、格差問題についてお伺いします。 バブル経済崩壊後、地方都市は著しく衰退しました。その中で小泉改革以降の6年間で顕在化した中央と地方の格差について、日本全体の景気としては底を打った感があり、回復傾向にある地域も出てまいりましたが、まだまだ格差の解消は進んでいないと考えております。そこで、こうした格差に対する知事の問題意識並びに対応案についてお伺いいたします。 そして、この中央と地方の格差だけでなく、新潟県内でも地域格差が広がっております。「民力」という雑誌の2002年から2005年までの各データに基づき私が取りまとめた数字から、新潟市、長岡市、上越市の3市を参考に人口、商店年間販売額、小売業商店年間販売額、課税対象所得額、地方財政収入額のおのおのの伸び率を分析すると、数字についての資料をいただきたい方はおっしゃってください。後でペーパーをお渡しいたしますので。新潟市は、人口、商業、所得に関する指標が微増で推移しており、ここ数年で底を打った感があると思われます。長岡市は、すべての数値がマイナスで、いまだ衰退傾向が続いている。そして、私の選挙区である上越市は、商業の落ち込みは顕著ですが、所得に関しては上向きです。ちなみに、所得が上向きになったというのは、恐らく市外からの交流人口が増加しているのが主な要因だと考えられます。 いずれにせよ、このことから新潟市は回復に転じていると考えられる一方で、長岡市と上越市は数字上、停滞したままと分析されます。新潟市は、その規模、実数で他の地域を上回っており、きのうの知事の表現をおかりすれば、人、情報、資本は集まるところに集まる性格がある。したがって、この傾向を放置しておけば、政令指定都市となった新潟市の県内における相対的な地位や拠点性は高くなる一方で、新潟市とその他の地域の格差がさらに拡大していくのではないかという懸念を抱いております。県全体の発展を見据えたとき、県が率先してこの地域格差の解消に努めるべきと考えますが、知事の見解とその中で県が果たすべき役割及び格差解消手法についてお尋ねいたします。 22日の代表質問の中で、知事は格差是正には教育環境と医療環境が重要とおっしゃっておりました。これには私も同感なのですが、具体的にどのような環境整備をお考えなのか、お伺いいたします。 2014年に北陸新幹線が開業すれば、ともすれば新潟市と上越市の二極化が懸念されるところ。この見通しの中で知事はどのような県ビジョンをお考えなのか、これについてもお伺いいたします。 そして、地元びいきな質問となってまことに恐縮なのですが、ことし4月14日に上越市で開催された経済産業省の北畑事務次官を招いたセミナーで、知事は、地方分権、道州制の議論がなされていくときに、県としては優先的に上越を支援したいとおっしゃっていますが、具体的にどのような支援をお考えでしょうか。上越の発展は県全体の発展に資するという考えからお伺いいたします。 いずれにしても、中央と地方の格差だけでなく、新潟県内の地域間格差というこの二重の格差に対し、国と市町村の間に位置する県こそがその緩衝役、クッション役、そして調整役を果たすべきだと考えております。 次は、農業などについてお伺いいたします。 新潟県の一般会計額を見ると、平成19年度当初予算総額は前年比2.9%減、平成18年度は4.8%減です。これに対し、農林水産部予算はそれを上回る平成19年度4.6%減、平成18年度に至っては20.9%減、農地部予算では平成19年度6.3%減、平成18年度17.2%減と農業関連予算は一般会計総額の縮減率を大幅に上回っています。 このように農業の懐事情は大変厳しい状況にありますが、今後、新潟県がさらなる発展を遂げるためには、農林漁業にもっと目を向け、海、山、里の価値を改めて見直すとともに、循環型を中心とする産業クラスターを進めていくべきではないかと考えております。 その中で私が今、最も懸念をしているのが、県内総面積の70%を占める中山間地域の急激な過疎・高齢化です。現在県内35ある市町村のうち16が過疎地域自立促進特別措置法で規定されている過疎市町村。県の調査によれば、昨年6月の時点で過疎市町村内の農業集落数は2,777で、そのうち333集落が限界集落と伺っております。品目横断が進み、担い手に集中して小規模農家が切り捨てられる農業を生かして農村が殺される流れの中で、品目横断の対象にならない農家、農村をどうしていくのか、高齢化していく中で10年、20年後の中山間の農業をどう見通しされているのか、知事の描く中山間地域の将来像をお伺いいたします。 国の次世代育成支援対策推進法に基づき、一昨年3月に策定された新潟県次世代育成支援行動計画の中で、良好な居住環境の確保として中山間地域へのIターン、Uターン者の数が数値目標として定められておりますが、これが平成22年度までに9,000人を目指しながらも、実績を見ると平成16年度は8,008人、平成17年度は7,611人と目標から後退しており、このことからも中山間地域の担い手不足が顕著となっていることが明らかです。数値目標から後退している現状について伺うとともに、どのようなてこ入れ手法をお考えか、そしてどうやって目標達成へとつなげていくのか、知事の決意をお伺いいたします。 農林水産省が22日、中山間地域への直接支払制度の2006年度の交付実績をまとめたところ、本県は28億7,313万円と前年度比1.2%増でした。このことは、中山間地域における直接支払いへのニーズの高まりをあらわしていると言えます。 中山間地農業は、自然保護、国土保全、きれいな水の供給、食材の確保などいわゆる豊富な多面的機能を有し、またすばらしい景観の維持などにも貢献しているのは周知の事実です。 県は、現在、国の制度を利用して上乗せ支援をしていることは存じ上げておりますが、それ以上の多面的機能保持を目的とした県独自の予算に基づく中山間地域直接支払制度の条例化も視野に策定していただくなど、さらに一歩踏み込んだ予算面、施策面での配慮を求めますが、いかがでしょう。財政的に非常に厳しいことと存じますが、5年ごとの制度見直しが近づくたびに地方自治体や集落住民に不安を与えるような国の制度に寄りかかることのないよう、ぜひとも県独自の前向きな御検討をお願い申し上げます。 ところで、事務方からお聞きしたところ、知事は就任してからことし6月18日までの間、100日を大きく超える日数を、激務の合間を縫って視察に充てられ、県内各地を訪れていると伺っております。まさにトップセールスマンさながらの働きをされていることは私も異論を挟みません。その上でお伺いいたしますが、新潟県中越大震災被災地を除いてこれまで中山間地域に何回足をお運びになられたのか。 知事のメールマガジンを見ると、これまで86号を発刊されましたが、この中で農業について正式に語っているのはことし1月26日発行の65号の1回。このほか農業関係に触れた号は4つありましたが、どれも軽く触れるという内容でした。 さらには、定例会ごとの冒頭に行われる提案理由説明では、新潟県中越大震災に係る農業復旧は除き、平成18年、平成19年とも予算を審議する2月定例会にのみ農業に触れているだけで、6月、9月、12月の各定例会では全く農業について触れておりません。 こうしたことから、誤解を恐れずに申し上げさせていただきますと、知事の目はまだまだ農業に目を向け切れておらず、中でも中山間地への目配りが足りないのではないかという所感を正直抱かずにはいられません。 また、視察に行かれたうち、上越市に来た割合はそれほど多くないとお聞きいたしました。上越市は、全体として中間農業地域に指定されています。そのくらい上越は中山間地域がたっぷりある地域でございます。そこで、知事にぜひお願いさせていただきたいのですが、県内各地はもちろんのこと、中でも旧東頸城郡を初めとする上越市内の旧町村の中山間地域、そして旧上越市内の中ノ俣や正善寺、桑取、谷浜といった各地区に鋭意、視察に来ていただき、中山間地域の厳しい現状に改めて触れていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。知事のマニフェストのまとめにも全市町村を回り、現場の声を踏まえた言行一致の行政を行いたいと述べていらっしゃいます。ぜひとも前向きな御検討をお願い申し上げます。 次に、健康被害を及ぼすおそれのある輸入品の扱いについて質問します。 去る6月17日夜、県内の練り歯磨き製造業者への輸入製品検査の結果、ジエチレングリコールという有害物質が検出されました。この一報がその当日に県担当者宅にファクスで入り、即刻自主回収するよう指示がなされました。その後、翌18日に国の公表基準に基づき、重篤な健康被害がまず考えられないものとするクラスⅡの確認がなされ、19日にプレスリリースがなされましたが、この流れの中で知事の耳にこの一方が入ったのが19日だとお伺いいたしました。 世界各国で死者まで出しており、使用自粛までが呼びかけられているこの問題は、ともすれば県民の生命、健康に重大な影響を与えるおそれがあるものです。だからこそ事務方は即刻自主回収という判断を下したのでしょうが、その時点で知事に何も知らせが入っていなかったことは危機管理上大きな問題と考えますが、知事の御見解をお伺いいたします。 厚生労働省からの医薬品等の回収についての通知の中で、「回収に着手したとき、その旨を厚生労働省令で定めるところにより都道府県知事に報告する必要がある」との記載があります。知事が正式に事務方に自主回収命令までを委任しているのであれば別ですが、そうでなければマニュアルが徹底されていない場合も考えられます。今後どのような対策をお考えでしょうか、知事にお伺いいたします。 そもそもこの問題は、5月29日の厚生労働省から都道府県を経由してのメーカーへの自主点検要請が始まりでした。その後6月15日に他県から練り歯磨き混入が見つかったことを受け、再度、厚生労働省が練り歯磨きに限定した自主点検をメーカーに行うよう要請。それを受けた新潟県が県内の練り歯磨き製造会社に通知し、会社が改めて自主チェックをしたことで発覚しました。輸入品のチェックは一義的には税関、つまり国が行い、その後は企業のコンプライアンスにゆだねるという仕組み。しかし、今回の件からおわかりのとおり、品目を限定し、自主点検を強力に要請しなければ表に出てこなかった問題とも言えます。 これは要望にとどめておきますが、健康被害を及ぼすおそれのある輸入品から県民の生命、健康を守る体制のさらなる構築に努めていただけないでしょうか。他国との貿易関係やチェック体制構築維持にかかる経費の問題、そして県内経済への影響などさまざまな問題もあり、県としては行うに当たり非常に困難なものとは存じますが、今後ぜひとも研究をしていただき、チェック体制の充実などにつなげていただくことをお願い申し上げます。 次に、並行在来線問題について質問いたします。 私は、2014年問題対策特別委員会に所属しているので、細かな議論はそこでさせていただくとして、ここでは一つだけ要望させていただきます。 私は、上越がさらに輝くためには北陸新幹線開業に当たって設置される(仮称)上越駅の拠点性を高めた上で、そこから各中心市街地へとつながる2次交通網の存在が欠かせないと考えています。まさに上越地域にとって並行在来線なくして地域の活性化なしと確信しています。また、道州制を見据えたとき、妙高市や糸魚川市、そして長野県などとの連携面からもなくてはならないものでしょう。しかし、一方で少子・高齢化、規制緩和、補助金削減、車社会の進行など、鉄道経営は極めて厳しい状況にありますし、その中でコストダウンを中心とした経営改善策は限界に達しているのも事実。 そこで、私は一つ提案をさせていただきたいのです。デュアル・モード・ビークル、以後、DMVと呼ばせていただきますが、これによる経営を提案させていただきます。御存じのとおり、DMVとは鉄路と道路の両方で走行可能な車両のことです。この魅力は、既存のインフラが活用可能であることから、車両購入費と合わせイニシアルコストが安価であり、さらにランニングコストも安価であること。鉄道車両と比較すると10両以上購入した場合、車両購入費約6分の1、車両保守費約4分の1、動力費約4分の1で済むとも推定されております。実は、このDMVは、並行在来線のあり方懇談会の中で一時、採用が検討されたのですが、鉄道車両に比べると運べる人数が最大で28人と少ないため、朝夕の学生ラッシュに対応し切れず、対応するためには既存の線路にもう一つ線路を設置しなければならないとのこと。この設置工事金額が約309億円かかると試算。そのため懇談会ではコストが高いとして見送られた経緯があると伺っております。 DMVは、市民からの出資を含めた第四セクターで経営を行うことで資金的負担を軽くするとともに、市民の利用意識を高めた運行を促せますし、朝夕のラッシュ時以外の時間帯は中心市街地の足として商店街商品購入金額により運賃無料のサービスを行うなど、柔軟な運用方法も考えられます。さらには、今国会で地域公共交通活性化再生法が成立し、国土交通省がこのDMVについて財政支援をすることも決定いたしました。新潟県としてこれを最大限活用しつつ、長野県と協働することでDMVのまずは試験的導入の方向で議論してもいいのではないでしょうか。 もちろん課題もあります。鉄道とバスとで異なる運転免許証の問題、バスをベースにするため車両定員数も少ないこと、また車両の重さが軽いために踏切を渡っても音が鳴らないなど、さまざまな課題もございます。これらはもちろん今後研究改善していかなければなりません。 いずれにしても、2014年まであと7年と迫ってきております。財政難というハードルを抱えつつも、暮らしの利便性向上に欠かせない並行在来線を何としても存続させるべく、DMVの試験的導入をお図りいただきたいと考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。 次に、佐渡汽船債務超過問題について、経営責任の明確化と今後の経営改善の具体的な見直しについてという観点からお伺いいたします。 まずは、4月12日に県が公表した佐渡汽船の債務超過に関する調査報告において、債務超過の原因をホテル業に対する投資損失としておりますが、そもそも本業で赤字を出していることが問題のはず。しかし、この点には一切触れておりません。今後増資を引き受けるにしても、本業が回復することは必須条件であるはずにもかかわらずです。本業の赤字に関する新潟県の責任を明確にせずして、本当に増資に踏み切るまでの対策がきっちり立てられるとお考えなのでしょうか、知事にお伺いいたします。 知事は22日、佐渡汽船株式会社の増資要請計画に対し、要請があれば増資に応じる方向で検討したいと述べられました。そうだとすると、ことし2月27日に知事がおっしゃっていた、対策がとれると確信が持てれば増資に前向きに対応するとのコメントから、佐渡汽船株式会社の再建について対策がとれると確信したと受けとめてよろしいのでしょうか。また、確信したとすればなぜ確信するに至ったのか、この理由について知事にお伺いいたします。 佐渡汽船株式会社が2月27日に公表した佐渡汽船再建計画と、4月25日に公表した「債務超過の要因及び背景に関する今後の対応について」といういわゆる再発防止策を見る限り、数値目標が一切示されておりません。数値目標があると言えば、2月27日に佐渡汽船株式会社が発表した平成18年12月期決算短信の21ページのたった1行に示された収支改善対策の効果として一くくりに挙げられている約5億5,000万円という数字だけです。この情報から知事は佐渡汽船株式会社が今後どう業績推移していくと予想しているのでしょうか、御所見をお伺いいたします。 こんな聞き方ばかりすると、私が増資に否定的ととらえられてしまうかもしれませんが、決してそんなことではなく、ただ県民のお金を預かる身として、もっと経営見通しを明るくしてから増資を行うべきではなかろうかと懸念をしているからでございます。 赤字を出し続ける企業にお金を投入することは、県の潜在的な債務を膨らませるだけで、一民間企業を優遇して補助金を投入するのと何ら変わりはないと考えます。たとえ公共性を重視するとしても、資金は垂れ流しで投入するのではなく、投下資本を回収するための検討が必要なはず。もし現状の赤字体質が改善されなければ、投下資本が数年で食いつぶされるおそれもあります。そうなれば今後増資する金額を含め過去から投資した数億円が水泡と帰すだけでなく、大株主である県は経営責任を問われるとともに、新たな債務を負わされるリスクもあります。よって、佐渡汽船株式会社が利益を生み出す仕組みを構築することが急務ですし、来期以降の経営が好転するか否かを新潟県として見きわめた上で増資すべきか否かを決めるべきであると考えます。 そこで、増資を行う前に数値目標を伴った詳細な事業計画を改めて佐渡汽船株式会社に提出していただくべきと考えますが、いかがでしょうか。 知事は、22日の答弁で、計画を評価したため増資する方針に入るとおっしゃっていました。「確信する」から「評価する」に変わったのが少し気になるところですが、県民のお金を預かる身として、評価から、やはり以前おっしゃっていた確信に、より近づける必要があるのではないでしょうか。そのためにはいつまでに何をするといった数値目標を伴う事業計画の提出が必須と考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。 なお、提出した事業計画を達成することは佐渡汽船株式会社にとって至上命題であり、仮にこれが達成されなかった場合、責任が経営陣にあることに議論の余地はありませんが、事業計画を合理的と判断し、資金を投入した県にももちろん責任が生ずるということをこの場で確認させていただきたいのですが、知事の所見をお伺いいたします。 佐渡汽船株式会社は、再建計画の柱に観光客の増加による増収を見込んでおるようですが、佐渡汽船利用者に占める観光客の割合をお伺いします。そして、その割合は本当に佐渡汽船株式会社を利益体質に変えるまでのものなのか。県は、佐渡の観光振興においても数値目標を伴った計画の策定を議論していかなければならないと考えます。 ところで、平成18年3月に公表された「県の出資法人に関する見直しについて」といういわゆるあり方見直しの県方針の中で、よく見たら佐渡汽船株式会社は見直しの対象外となっておりました。事務方にその理由を伺うと、平成17年11月に取りまとめられた出資法人経営評価委員会報告書の中で出資の継続が必要との提言にとどまっていることや、県職員の役員就任、県からの職員派遣及び補助金支出等の財政支援がないからだとのこと。しかし、県が50%の大株主として県民のお金を預けている法人を見直しの対象から外されるというのはいかがなものでしょうか。実際、佐渡汽船株式会社の赤字体質は長年続いていたわけですし、仮に見直しリストに入れておけば、減損会計の導入を待たずにもっと早く財務体質改善の動きにつなげることができたかもしれません。 そこで、これは通告に間に合わなかったので、要望にとどめておきますが、今後、県がお金を出している法人すべてを県出資法人として扱い、改めてそれらの経営見直しを行うべきことを要望させていただきます。 ここで少し趣向を変えて行政運営について質問させていただきます。こんなことは初めての質問でなければ聞けないので、どうか御容赦いただき、あえてお伺いいたします。 知事は、よく大統領に例えられます。その中で県民の負託に最大限こたえるには、権力を行使するだけでなく、手足となる県職員をうまく使いこなすマネジメント能力が不可欠と考えます。 そこで、就任から2年半以上行政を運営されてきて気づいた点、行政を運営する際に知事が最も気をつけていることは何なのか、行政運営に対する今後の意気込みについて、以上3点について知事にお伺いいたします。 最後に、知事の決意についてお伺いいたします。 知事が選挙で提示されたマニフェストの進捗状況及び残りの任期での達成見込みについてお伺いします。特にマニフェストの産業夢おこしプランで金の卵を産む鶏を育てるとしておりましたが、それは育っているのでしょうか。これまでの産業振興における成果をお伺いいたします。 私自身も新潟県「夢おこし」政策プランは大変評価しております。しかし、その一方で教育と農業の視点がやや弱いのではないかという印象を受けております。この点について先日の知事の提案理由説明でもこの2点に関する記述がなかったことからも気になるところですが、新潟県「夢おこし」政策プラン策定までの経緯と農業、教育を含んだ今後の見直しなどについて知事にお伺いいたします。 昨年2月定例会の提案理由説明において、知事は上杉鷹山の米沢藩改革を例に出されました。その中で知事は鷹山は藩経済の基盤強化という産業と弱い人に力と光を当てるという福祉に取り組んだと述べておられました。とらえ方のもちろん違いですけれども、私は鷹山は教育も重んじていた人物だったと認識しております。知事には今後鷹山の飽くなき改革への情熱を参考に、福祉ももちろんそうですが、先ほど知事がおっしゃっていた人材招致のみならず、県内での人材育成という教育と先ほどお願い申し上げた農業にさらに目を向けた予算編成や政策づくりを行っていただきながら、新潟県全体のさらなる発展に御尽力いただきますことを心からお願いをさせていただき、私の質問を終了とさせていただきます。(拍手)   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 梅谷議員の一般質問に順次お答えいたします。 大変力の入った御質問をいただきましたので、私も一生懸命答えさせていただこうと思います。 まず、県政の重要課題についてであります。 被災地の復旧・復興に取り組むということはもちろんのことですが、喫緊の課題といたしまして、やはり少子化対策等を中心といたしました人口問題への対応も必要だと思っております。 県内産業の高付加価値化については、何回か答弁で申し上げておりますけれども、新潟県の製造業の平均賃金は、東京ではなく、全国平均の8割しかない。さらに、中小企業の皆様の労働分配率というのは全国平均より高いということになっています。働いた者が報われる社会、公正な社会というものをつくっていかなければいけないと思っております。そのためには働く場をしっかり確保するため、県内産業の振興、企業誘致の推進が必要だと思っております。 それに加えまして、子育て環境の整備、個を伸ばす人づくりの推進といった少子化対策のほか、防災立県の推進など安全・安心で選ばれる新潟県づくりというものを県政の課題として推進してまいりたいと考えております。 さらに、私の公約であります「若者が未来に夢を持ち、だれもが安心して暮らせる豊かな新潟県の実現」に向けて全力で取り組んでいきたいというふうに思っております。 そして、重要なのはやはり方向感で、たとえ1%でも毎年悪くなっていくと、10年たつと10%が減るわけです。反対に仮に1%でもこれが積み重なっていけば将来大きな希望に変わっていくということだと思っています。水準の問題ではなくて方向感の問題として皆さんが希望を持てるようなふるさとづくりを進めていく必要があると私は考えております。 次に、道州制についてお答えいたします。 新潟県として望ましい道州制の姿ということですが、目指すべき道州制というものは自己決定権、すなわち自分たちのことは自分たちで決められるということを原則にすることが重要だと思っております。専門的な事象、広域で対応しなければいけない事象を補完的に道州及び国が担うという体系が必要ではないかと思っております。国は、外交、防衛、司法など国家の存立のための事務に専念するということが原則であろうと思っています。一方で、内政は一貫して地方が担うと、それも基本的には基礎的自治体が担う、基礎的自治体で持ち切れない部分を広域自治体で担うという体系の中で道州制ができていく、これが理想の姿であるというふうに思っております。 次に、道州制の区割りについてであります。 道州制の区割りというものは、今ほど申しました道州の役割ということを念頭に置きつつ考えていかなければいけない。それも、新潟県だけに都合がいいという案はのまれないと思っています。これは相手方のある話です。相手方もいいと言ってくれなければ区割りの議論は自己主張にすぎないということになると思っております。社会経済活動の範囲、地理的特性、歴史、文化などさまざまな視点からの議論のもとで、決定されていく必要があるというふうに考えております。 また、先ほども申し上げました道州の役割、具体的な制度設計が不明の段階でどこと一緒になるというような議論にどれだけの意味があるのかということだと思っております。現在、アンケート調査をすれば、道州に対しては6割以上の国民が反対ということになっております。まず、道州制の意義をよく御理解いただくことが先決だろうと。区割りの議論を先行させることにどれだけのメリットがあるのかどうか、私は疑問に感じております。 恐らく梅谷議員にお聞きをして、梅谷議員はどこと一緒になりたい、どういう区割りを提案しますかということになると、やはり北陸とか長野県に目が向いていらっしゃるのだろうというふうに想像します。でも、そういう案を提示したときに、県北地域は本当に賛成という話になるのでしょうか。新潟県が分断するリスクを高めていくという側面も当然視野に置かなければいけない。また、歴史的に見れば、沢野議員の選挙区は、以前、福島県の一部だったわけです。したがいまして、新潟県がいいというふうに言っていただかなければいけない。 本当に県単位で合併をするのかということもよくわからないわけです。市町村合併で県境が動いた例があります。長野県と岐阜県の県境で長野県から岐阜県に変わったという地域が存在しております。県ですべて決めるというふうに考えるのもおこがましい側面があると。県が分割されるリスクをどういうふうに考えていくのかということは、この区割り論の中でよく考えていかなければいけないと私は思っております。軽々に行政のトップがあっちだ、こっちだと言うことが本当にいい選択なのかというと、私は疑問に思っておるということでございます。 次に、格差問題についてお答えいたします。 中央と地方の格差についてでありますが、佐藤信幸議員の代表質問にお答えしたとおりでございます。都市と地方の税財政格差のほか、産業の下請構造の打開が大きな課題であると認識いたしております。このような状況に対しまして、やはり多くの人が安心して働ける地域社会をつくっていくためには、安定した収入が確保できる職場がなければならないと私は思っております。また、安定した雇用環境をいかに維持していくかは、やはり生活の基本になってくるのだろうというふうに思っております。そのために医療、福祉の充実がなければ、進出したいという企業が二の足を踏むという現実がございます。また、子供の教育問題も企業進出の際には大きな影響を与えております。情報インフラの整備も今の時代には必要不可欠でございます。これらの基盤整備をしていく中で地域格差の是正に努めてまいりたいと考えております。 次に、県内の地域間格差についてでございます。 新潟市とその他の地域におきまして人口動態、商業販売額については、統計的にも数字が出ております。ただ、合併を経ましたので、この数字をどう評価するかといえば、旧市町村単位で見たときと、政令市という単位で見たときに、同じ評価がなされるのかどうか、よく検討が要るのではないかと思っております。加えて、所得については上越市と新潟市の差は縮小しております。拡大しているということではないということです。したがいまして、格差が拡大していると一様に言える状況にないのも事実でございます。 全県的な発展についてでございますが、県内各地域がそれぞれの潜在能力を生かした特色ある地域づくりを進めていくことが基本であろうと、上からやってもらうということではなくて、地域住民が行政と一体となって頑張っていくということが必要であり、上から下を見るような形での施策展開を進めるべきではないのではないかと私は思っております。 では、広域自治体としての県の役割は何かということになりますと、全県的なコーディネートの役割を果たしていくことが重要であろうと思っております。幾ら基礎的自治体単位でやれといっても、人材、情報に限りがある。それをすべての市役所、町村役場でやれというのは無理であろうと。情報を集めて新潟県がより光り輝けるようなアドバイス、情報提供、サポート、コーディネートをしていくことが広域自治体に求められる役割であろうと。 よく県の施策の中でぐあいの悪い情報は市町村ごとに比較して出さないという伝統があるのですけれども、どこが足りないのかという情報をしっかり住民に提供していくことも必要なのではないか。すなわち、行政機関としての市町村が大事なのか、そこに住んでいる住民が大事なのかという観点を考えると、褒めるところは褒める、足りないところは足りないという形で私は情報を出していく必要もあるのではないかというふうに思っております。 先ほども学校の話が出ていました。学校のパーセンテージの議論がありますけれども、固有の名詞が出てくるということはありません。本当はそういう情報も提供していくことがそれぞれの基礎的自治体が何をやって取り組んでいったらいいのかが理解できるということにつながっていくと私は考えております。 さらに、成功事例として、情報と人と資本は集まるところに集まります。広域自治体として情報の結節点になっていく、お金ですべて解決するのであれば問題は簡単であるわけです。お金を出しても世の中は変わらない。そこに知恵が入っていない形での予算措置は、私は無意味であるというふうに考えております。あくまでも予算というのは施策を実施するときのツールの一つです。まず、知恵があって、方向感、意思がある、そこに必要な予算措置を講じていくのが施策を進めていく順番です。予算の多寡で政策を議論して、予算をいっぱいつければ結果が出るということであれば、世の中はもう少しよくなっているというふうに私は思っております。 次に、県の将来ビジョンについてであります。 新潟県「夢おこし」政策プランの目指すべきシナリオに掲げているとおりでございますが、一つは社会インフラの活用、本県は新幹線、空港、港湾、高速道路がほかの県に比べて先に整備されて、インフラ的には恵まれていました。これは、予算を投下したわけです。では、先につくって本当にうまく回ったのかということになると、これを使いこなさなければ結果が伴わないということになります。 そして、地理的優位性、経済成長著しい中国、ロシア、こういう対岸諸国との交流を図る上で圧倒的に優位な位置にあります。新潟県を扇のかなめに考えると、その後背地に東京と名古屋と大阪があるという構造になる大変恵まれた位置にあるわけです。上越市もまさにそういう位置にあるというふうに思っております。ただ、これも活用しなければ全く意味がないということになってきます。 この優位性というのが特に新幹線に関して考えてみると、20年も早く整備しているのに、結果としてどういう効果をもたらすことができたのか。ストロー効果ということでむしろ新潟県の人口を減らしたという側面が本当になかったのか。 高速道路に関して言えば、これは珍しくスキー客を呼び込んだという効果がありました。魚沼地域の発展ということに対してメリットはあったのですが、ブームが去ったらその後の後始末が大変というようなことにもなっているわけです。予算だけではなくて、インフラをどのように活用していくのか戦略を立てる中で、実際に活動する民間企業が動けるフレームワークをつくっていくということが必ずしも十分できてこなかったのではないかというふうに私は思っております。 それに加えまして、世界に通用する高い技術がございました。これは、燕市の洋食器、また長岡市の一般機械も含めて、具体的な名詞を出して恐縮ですが、ソニーのバイオが筐体として採用したのが燕市の技術であったわけです。ただ、そこで得られた付加価値は本当に燕市に落ちたのかというと、高い技術は使われたけれども、収益は大企業に落ちてしまった。持っていればいいということではなくて、その技術を使っていかにふるさとを発展させるかという知恵、経営管理面のノウハウを軽視してきた側面が本当になかったのかということは考える必要があるのではないかと思っています。 大変高い技術と、労働力についても勤勉な県民性を持っていると。ただ、それが下請構造になっている。実際に世界の最貧国はどこに集中しているのかというと、アフリカに集中しているわけです。アフリカが豊かになれないのはアフリカの人が怠惰だからということではないわけです。アフリカの人は大変勤勉です。しかし、そこに資本と経営ノウハウを持ち込んだのが欧米であった。そして、合い言葉はコストを低くいっぱいつくれなのです。コストを低くいっぱいつくったものを一番高く売れるところに持っていって、差額を懐に入れているというのが西洋人の資本家たちということになっているがために、アフリカでは豊かになれず、最貧国が集中しているという現実があるわけです。 新潟県の状況とどこか似ている部分があるというのを私は実感いたしております。一生懸命いいものをコストを低くつくっているにもかかわらず、その利益が本当に働いた人に落ちているのかということになると、やはり管理ノウハウ、本社機能というものをしっかり持ち込んでいかなければいけない。技術、経験というものを持っていながら、それが県民生活の向上に直結していない。まさに企業経営ノウハウ、管理ノウハウの部分が不足していたのではないかという認識のもとに、県の将来ビジョンを組み立てていく必要があるのではないかと思っています。わずかな人の知恵というものが多くの人の幸福につながっていくと、1人が出ると足を引っ張る、出るくいは打たれるという基本的な性質で、隣の家に蔵が建つと腹が立つというようなことが続けられているのでは新潟県の発展はないのではないかと思っています。 実は佐渡観光にも似たようなところがございまして、一つの旅館がもうかると、ほかがなかなかいい顔をしないということから、ここの部分を差別化するということも難しい。消費者が求めているものよりも自分たちの平等を推進し、前面に出すというようなことをすると、県全体が停滞するという側面があると思っております。 以上のような問題点を踏まえまして、下越、中越、上越、佐渡の各地域が有機的な連携を持ちながら全県的に発展していくような姿をぜひつくっていきたいと私は考えております。 次に、上越地域の支援についてでございます。 4月14日のセミナーでの発言でございますが、県として施策を展開する際、優先順位をつける必要が生じる場合が間々存在しております。そのときの判断、どういうふうにしたらいいのか悩ましいケースというものが常に出てまいります。その際、上越が果たしている役割と地理的な重要性、今後の可能性ということも十分念頭に置いて判断を行うという趣旨で申し上げました。 次に、農業問題等についてお答えいたします。 まず、中山間地域の農業の将来像についてであります。過疎化、高齢化による担い手不足や耕作条件の厳しさが実際にあるわけです。農家で後継ぎがいないという問題がなぜ生じるのか。他産業に比べても所得が低いことが大きな要因になっているというふうに私は感じております。そして、農業、林業というものが衰退していきますと、美しい県土の維持がなかなか難しくなってくると。むしろこういう方々には公的支援をしてでも中山間地域での国土保全ということに携わってもらわなければいけないという思想が現在の農政に欠如しているというふうに私は思っております。品目横断的経営安定対策は、平場で大規模経営を進めて国際競争力をつけていこうという施策としてはいいのでしょうけれども、私は中山間地農業については異なる視点が必要であるということをるる申し上げてきております。 それは何なのかといいますと、山が荒れれば里も住めなくなるという当たり前のことを自分たちの努力だけですべてやれと、競争原理の中だけで処理されるということは無理があるということから、中山間地農業、林業については何らかの支援が必要なのでないかということをるる申し上げてきているところでございます。 残念ながら県の財政については、梅谷議員もいろんな委員会でお話をお聞きになるとおわかりになると思いますけれども、県で意思決定はほとんどできない仕組みになっています。国が決めた方針を実施するということで、すなわち交付税のあり方も含めて国が基準財政需要を算定し、補助金を出し、そして義務づけられた制度の中で県は実施していくと、自由に物事が決められない体制ということになっておりますので、やはり中山間地農業をどのようにしていくのかと。現制度の中では国策を変えていく以外に対応ができない。県で対応する場合にはその財源をどこに求めるのかということについて県民のコンセンサスが得られなければ実施できないということであろうと思っております。 いずれにいたしましても、平場の大規模化と異なる社会政策としての公的なサポートを行っていくというようなことで施策を進めてまいりたいと考えております。 これに加えまして、魚沼のコシヒカリは世界に冠たるブランド力を持っているわけでございます。それを大変安い値段で供出しているというのが現実です。私は、首都圏に直接行って売っているという農家を実際にお訪ねしました。家族5人で経営していて、年収7,000万円という農家も既に存在しております。 いかに消費者に受け入れられるか、直接食べるだけではなくて贈答需要というマーケットもあるわけです。新潟県の米の産出量は、高級米でも構わないというマーケットの市場よりも小さい産出量におさまっております。これをほかの県と全く同じ立場で平等という観点で受け入れれば、それは限界点があると。新潟県だけ勝ち残ればいいのかという非難を浴びる可能性はありますけれども、でも私は新潟県知事でございますので、新潟県の農業がどういうふうにして振興がなされるのかという観点での施策を推進してまいりたいと考えております。農産物の差別化、グリーン・ツーリズムといった地域資源に付加価値をつけて収益に結びつけていく仕組みが重要だと思っています。 一例を申し上げますと、先般、表彰が決まりました山古志のあねさの会を取りまとめている丸山結香さんのような方が1人おられますと中山間地農業にも付加価値をつけることが可能だということだと思っています。税金を投入して維持するという公的な側面、それから自立を目指して頑張っていく側面が組み合わさなければ何で中山間地だけにお金を投入するのだ、都市生活者だって大変なのだという反応が当然出てくるわけです。この辺をやはり組み合わせた中で施策を展開していく必要があると私は考えております。 次に、上越市への視察についてでございます。 県内各地域の皆様のさまざまな御意見をお聞きしながら施策に反映させていくということが私の基本姿勢でございます。梅谷議員から御要望があったのは、政務については除かれるというような形での情報提供要求があったかに聞いておりますが、政務でも相当入っております。無論、上越市の安塚には何回も足を運んでおります。いろんな機会をとらえて訪問して、施策に結びつけてまいりたいというふうに考えております。具体的な御要望があればまたお聞かせいただきたい、対応させていただきたいと考えております。 次に、健康被害を及ぼすおそれのある輸入品の取り扱いについてお答えします。 練り歯磨き回収時の情報伝達についてでございます。これは、御指摘のとおり6月17日に事業者から県の担当者へ報告がございました。この公表が19日になったということで、私もこの原因について今、調査しているところでございます。 今わかっている範囲で申し上げますと、基本的には担当者が安全と判断したということなのだろうと思っています。そこには安心と安全の中の安心という部分が欠落していたと思っております。もし自分がジエチレングリコールが混入した練り歯磨き粉があったら、本当に歯磨きしたいと思うかというふうに想像できる力ということだと思っています。砒素の問題、そしてダイオキシンの問題のときにも似たようなことがございました。 それから、危機管理ということであれば、新潟県は近年、大変大きな災害に連続して見舞われております。7.13新潟豪雨災害、新潟県中越大震災、2年続きの豪雪ということで、管理職の間ではこういう事例が生じた場合にどのように対応するのか、かなり問題意識の共有が図られていると思っています。 現に先日も渋谷でガス爆発事故がございました。直ちに県内の施設は大丈夫かということで、危機管理監を筆頭に認識した翌日に即調査に入ると。恐らく全国的にもトップの部類だったと私は思っています。そういう意味で今、管理職に情報が上がれば県の組織は動くというふうに私は信じております。 しかしながら、今回は課長にも情報が上がらなかったというような事例でございまして、管理職に情報が上がらなかったことについてどのように対応していくのかということを今後考えていく必要があるのだろうというふうに思っております。 ちなみに、危機管理時での対応と平時での行政の進め方というのは異なっております。上司がいなければ飛ばすというのが危機管理時の基本ということになるわけです。一方、通常の行政はコンセンサスを大事にしますから、どうしてうちに相談してくれなかったのだということがないように、時間をかけて情報を共有していくということで、平時と緊急時の対応というのは全く違う原則に基づいて行政が行われるということを職員全般に周知し、意識を共有していく作業を今後やっていかなければいけないということではないかと思っております。 ちなみに、中央官庁ではどうなっているかといいますと、初任者研修のときに緊急時対応の研修というのを受けております。県庁内では必ずしも行われていないようでございますので、初任者研修時、そしてもう既に初任者から入って20年ぐらいたっている人も含めて、県庁内全般をどうするかというようなことも検討していかなければいけないというふうに思っております。 さらには、ほかの部局との情報共有ということも必要なのではないかと思っています。今まで一部局の問題というのは特にトラブルが生じたらそっとしておいて触れないと。これは縦割りの弊害ということになっていますが、原子力発電所の問題でもそうでしたが、一つの発電所で生じた問題というのはほかの発電所でも生じる可能性があるということだと思っています。今回の事例は、ほかの担当課でできていることができていなかったという側面があるわけですので、職員が他の職員の失敗事例を共有できるようなナレッジマネジメントも進めていかなければいけないのかなというふうに思っております。 基本は、安全かどうかという専門家の視点ではなくて、県民の皆さんがもし逆の立場だったらどう思うかという想像力を職員全員が共有するということが重要です。それに必要な仕組みの導入を図ってまいりたいと考えております。 次に、並行在来線についてお答えいたします。 並行在来線へのデュアル・モード・ビークルの導入についてでございます。 並行在来線のあり方懇談会を立ち上げる際にDMVに限らずLRT、レールバス、こういったものも含めて導入を検討するように指示いたしました。そして、実際に並行在来線のあり方懇談会においても検討がなされたところです。その結果については、導入が難しいという結論の報告を受けました。詳細につきましては、交通政策局長に答弁させます。 次に、佐渡汽船の問題についてお答えいたします。 まず、佐渡汽船株式会社の赤字に対する県の責任についてであります。 これは、まず法律の仕組みというものを御理解いただく必要があるのではないかと私は先ほどの御質問を聞いていて感じました。すなわち、上場している株式会社というものは特定の株主のためだけに役員が行動したらどうなるのかという問題があるわけです。すなわち、株式市場で株を買った一般株主の利益も尊重されなければいけないと。その利益を確保するために証券取引法という法律もあるわけで、通常の商法会社よりもさらに透明性の高い経営が求められるというのが上場会社の宿命ということになっております。したがいまして、経営の責任をだれが持つかというと、大株主が経営の責任を持つということはあり得ないわけです。やはりそれは選任された役員が経営責任を持つということにしかなりません。 さらに、株主というのは経営に対して大きな影響力を持てません。つまり直接の経営についての情報開示にも制約がかかっているし、経営に対する命令権もございません。昨今、ファンドと経営陣の企業防衛というものが話題になっております。なぜそういうことが話題になるのかというと、株主は経営をコントロールできないからです。したがって、大株主であっても自分の主張が通せないから、経営陣との争いになるというのが日本のルールになっています。したがいまして、大株主が経営に責任を持つという議論をするというのは、いささか現行法体系から見ていかがなものかというふうに考えております。 佐渡汽船株式会社の海上運送事業の赤字につきましては、できれば観光振興により旅客の増加を図ることで生じさせないようにしたいと、これは多くの人もそう思っているわけです。したがいまして、多くの関係者が入って議論した検討会の中でも観光客をふやすという方向での対応を進めてきたところでございます。それでも赤字が発生する場合は、市場原理ですべていくのかというと、それは違っているわけで、島民の足の確保という公共交通機関としての性格も持っています。これは、資本政策としてやるのではなくて、補助金というフローの形で対応すべき話だというふうに考えております。 この赤字という概念も債務超過と損益の赤字の区別がつかない中で経営を行っているということは全く本末転倒な話でして、先ほど御質問いただいた債務超過問題というのは、あくまでも累積債務が資本を超過したかどうかという話であって、フローでの経営がどうかという話とは別問題として分けて考える必要があるというふうに私は考えております。 次に、佐渡汽船の経営再建への取り組みの評価についてであります。 柄沢議員の代表質問にお答えしたとおりでございます。佐渡汽船株式会社では、県の、赤字ではなく債務超過の原因調査を受けまして、取締役会で再発防止策を決議いたしました。グループ企業の再編を行っている。そして、グループ企業間の役員兼務の見直しを実施いたしております。遊休資産の処理などにも取り組み始めました。こうした対応は、県の要請に沿った内容であり、財務体質の改善策として評価できるというふうに判断いたしております。 ちなみに、現在、佐渡汽船株式会社の株価は340円ぐらいということですから、額面で出資したお金というのは大きな利益を生んでいるというのが現実で、県民から資金を集める県としてはいい投資をしているというふうに評価がされると私は思っております。 次に、佐渡汽船の業績予想と増資要請に対する判断についてであります。 先ほどから申し上げているとおり、債務超過問題とは何なのかというと、2期連続債務超過が続いた場合に上場廃止になるので、上場廃止を避けたいと要請があったから、対応しているということであります。 無論、公共交通機関なので、必ずしも上場している意味は私はないとは思いますが、さはさりとて佐渡汽船株式会社の信用力を維持しておいた方がいいだろうという部分には一部賛同するところもございます。上場していない会社と上場廃止になった会社のどっちがいいのかと、これは今定例会でも質問が出ておりました。上場していればストックオプションの付与ということも含めていい人材を確保する可能性もあるわけです。さまざまな経営ということを考えると、いろんなオプションや選択肢がとれることから佐渡汽船株式会社の上場が維持できるのであればそっちの方がいいだろうということで、今回の債務超過問題に対応しているということであります。 では、何で債務超過が生じたのかといいますと、これは不動産投資の失敗ということでございます。本来ならば早くこの不動産投資の失敗を処理しておかなければいけなかったものを先送り、先送りというふうにしてきたと。その結果として最後に減損会計が入ってやらざるを得なくなった。気がついてみれば債務超過でしたという話で、過去のツケがたまっている部分をどう清算するかという話になっているわけであります。今回の増資は、あくまでも佐渡汽船株式会社の上場を維持するための債務超過対策として何をすべきかということで判断を行ったのであって、佐渡汽船株式会社の業績予想をしなければ増資してはいかぬというのはちょっと理屈として合わないのではないかというふうに考えております。 次に、佐渡汽船の再建計画が達成できなかった場合についてであります。 今回の増資は、先ほどから何度も申し上げているとおり、債務超過の解消策、すなわち佐渡汽船株式会社の上場を維持するかどうかという課題に対処するために行った判断ということでございます。会社の経営の責任については、役員が負うものであって、株主が負うということは論理上ありません。 次に、行政運営についてお答えいたします。 分権型社会への抜本的な転換が求められている今日、県の行政運営につきましても従来とは異なり、職員がそれぞれの能力を発揮していくということが必要だと思っております。 すなわち、今までは中央集権国家日本の中で、地方自治体は国の出先機関的役割を果たしてきたということだったと思っております。それを象徴的にあらわしているのが機関委任事務ということになりますけれども、いわゆる国が決めたことを正しく実施するということから、今日ではふるさとを自分たちでどのようにしてつくっていくのかという経営者的観点というものが職員にも求められてきているということだと思っております。国が言うことと、それから住民からの要望が乖離した場合に、顔が国に向くのではなく、やはり住民に向けた施策展開をしていけるような、そういう仕組みづくりをしていくことが必要であろうと思っております。 そして、活力ある新潟県を創出していく、県庁を政策官庁として変革させていくことが必要だと思っております。 そのため、風通しのいい組織をつくり、視線が会計検査とか、中央官庁や上司に向くのではなく、住民のために何をしたらいいのかということが考えられる風土をつくっていきたいと思っております。 このため、部局長等のトップマネジメントセミナー、現場で汗を流している地域機関職員との意見交換なども行っているところでございます。 いずれにいたしましても、大きな希望を持って、使命感に燃えて県庁に入庁された皆様方がその能力を遺憾なく発揮できるような環境を整備してまいりたいと考えております。 次に、私の決意について、マニフェストの進捗についてであります。 現在、新潟県「夢おこし」政策プランの中間評価に向けた作業を進めているところでございます。マニフェストの進捗状況については、私は評価をされる立場ですので、第三者に評価していただきたいと基本的には思っております。この外部評価委員による評価ができ次第、結果をお示しするという対応をとらせていただきたいというふうに考えております。その結果を踏まえ、さらに目標達成に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。 ちなみに、政策プランのつくり方なのですが、基本的な目標については私の公約をベースにしておりますけれども、各部局の目標については有識者と御議論いただいた上で、それぞれ各部局で定めております。したがって、大目標に届かなければ、中目標というのは今後変更があり得るものだというふうに御理解をいただきたいと思っています。中目標については、施策の方向としては、有効に機能していないのであれば、大目標を達成するために、より的確な目標設定が必要になってくるということだと思っております。 ちなみに、産業振興における成果については数字だけですので、御報告申し上げたいと思います。平成17年の製造品出荷額は、前年比1.3%増の4兆5,804億円でございました。平成18年度の企業立地件数は、8年ぶりに2年連続50件以上ということになりました。平成17年度の観光入り込み数は、前年度比4.2%増の6,892万人です。ちなみに、現在の有効求人倍率は1を超えているというのが県内の状況でございます。 平成17年度の実質経済成長率は、速報値で2.6%ということでございます。本県経済を上昇気流に乗せるという産業振興の取り組みは、今のところ一定の成果が出ているのではないかと思っております。 次に、政策プランの策定経緯などについてであります。 先ほども申し上げましたが、政策プランは私の選挙公約をベースに、有識者による策定委員会において御議論いただき、県民の皆様、市町村からの御意見も踏まえながら、県の最上位計画として策定いたしました。 この中で、なぜ本県産業の高付加価値化があるかというと、働く場を確保して、平均給与を上げたいという思いを持っているからということでございます。それと、安全で安心な暮らしを進めていきたい。2つの政策目標を設定いたしております。農業、教育についても目標達成のための主要な政策の柱として位置づけをいたしております。 本年度当初予算でも政策プランに基づき、農業経営体の育成、農水産物のブランド化、個を伸ばす人づくり、文化・スポーツの振興などに重点的に措置したところでございます。 政策プランの見直しについてでありますが、本年度、中間評価を行いまして、平成20年度に見直しを行いたいと考えております。   〔知事政策局長森邦雄君登壇〕
    知事政策局長(森邦雄君) お答えいたします。 道州制に対する県民議論の喚起方法等についてでございますが、県では昨年度、県民各層の有識者で構成いたします、広域自治体のあり方懇談会を設置し、道州制に関する基本的な論点を整理したところでございます。 今後は、県民の皆様から広く道州制を知っていただくため、ホームページ等による積極的な情報提供に努めますとともに、懇談会でまとめられた論点等をベースに、県内各地で意見交換等を実施して、県民議論の喚起や意見の吸い上げを図ってまいりたいと考えております。 次に、知事の中山間地域への訪問についてでございますが、知事においてはこれまでもあらゆる機会をとらえて中山間地域を訪問し、実情把握に努めていただいているところであります。 以上です。   〔総務管理部長鶴巻嗣雄君登壇〕 ◎総務管理部長(鶴巻嗣雄君) 中山間地域のU・Iターン者数についてでありますが、県外からの転入者の減少は県全体の傾向であり、景気回復基調が一層首都圏等からの転入を減少させているものと考えております。特に少子・高齢化が進む中山間地域においては大きな課題であり、定住促進に向けて、より魅力ある働く場も重要と考えております。 このため、県では県外からの転入を促進し、転出超過に歯どめをかけるため、働く場や教育の場の確保とともに、中山間地域へのU・Iターン者の拡大に向けて、具体的な課題等について個別にヒアリングを実施しております。 今後この結果を踏まえて、グリーン・ツーリズムを初めとする地域特性を生かした交流・定住促進等の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。   〔福祉保健部長鈴木幸雄君登壇〕 ◎福祉保健部長(鈴木幸雄君) 医療環境の整備についてでありますが、県内のどの地域においても医療サービスを安定的に提供していくためには、医師の確保が最重要課題であり、僻地等への勤務の義務化や臨床研修医の県内への定着を図るとともに、働く医師にとって魅力的な勤務環境の整備が必要であると考えております。 以上です。   〔農林水産部長武藤敏明君登壇〕 ◎農林水産部長(武藤敏明君) 中山間地域農業の予算面、施策面での配慮についてでありますが、中山間地域における農業振興策といたしましては、県独自予算による施策を積極的に実施しているところであり、御提案の国の制度に対する県の上乗せについては考えておりません。 なお、現在、中山間地域の活性化に大きな効果を発揮しております国の中山間地域等直接支払い制度については、平成21年度までの制度となっていますので、制度の継続やさらなる充実を国へ要望してまいりたいと考えております。   〔交通政策局長髙橋総一君登壇〕 ◎交通政策局長(髙橋総一君) 並行在来線へのDMV、デュアル・モード・ビークルの導入についてでありますが、DMVはマイクロバスをベースにしていることから、初期投資はそれほど必要としないというメリットがある一方、1両当たりの輸送力が低く、朝夕ピーク時の輸送力確保や豪雪地帯である上越地域における冬期間の安定運行の確保などに課題があるほか、安全面、技術面に解決すべき点も多いことから、並行在来線への導入は困難と考えております。 試験的な運行につきましては、JR北海道で始まりましたが、列車の運行本数が極めて少ない区間で、安全を確保した上で、土曜、日曜、祝日に運行されるにとどまっております。現在の信越本線は、JR東日本が営業線として活用しており、多くの列車が運行されている中で、十分な安全の確保を図ることは難しいことから、困難と考えております。 次に、佐渡汽船利用者に占める観光客の割合についてでありますが、平成18年に佐渡汽船を利用した観光客の数は約65万人となっており、これは佐渡汽船利用者の約66%となっております。 なお、ピーク時の平成3年には約76%となっており、観光客が増加すれば安定的な運航が可能になると考えております。   〔教育長武藤克己君登壇〕 ◎教育長(武藤克己君) 教育環境の整備についてでありますが、県内のどの地域においても子供たちの個性や能力に応じて、それぞれの得意な分野をより一層伸ばすことができる、そして児童生徒やその保護者に満足していただける教育環境の整備が重要であると考えております。   〔梅谷守君登壇〕 ◆梅谷守君 済みません。お昼に差しかかる中、あとわずかだけお時間をちょうだいしたいと存じます。3点だけ再確認という意味で。 任期中に必ずなし遂げたいことという部分がお答えいただけていなかったと思いますので、これがまず1点と、それとあと上越を支援するという4月14日のセミナーの際の発言について、これはやっぱり事案についてどちらにするか困ったときには上越を優先的に支援してくださるという理解でよろしかったのでしょうか。済みません。地元びいきで申しわけないのですけれども。 あと、3点目なんですが、視察の件について要望してくださいとおっしゃっていましたので、ぜひ要望させてください。旧東頸城郡や、また旧上越市内の各地へぜひ視察に来ていただきたい、お願いします。   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 3点再質問いただきましたので、順次お答えいたします。 任期中にぜひやり遂げたいことは、最後に申し上げたとおりなのですが、若い人が将来に希望を持ち、住んでみたい、行ってみたい新潟を実現するという方向で、これは結果や水準ではないのです。方向感として、あしたがよくなるぞというような、県民が希望を持てるような地域社会づくりをぜひなし遂げたいというふうに思っております。 それから、2点目なのですが、迷ったときにどうするかということなのですが、上越の将来性、現在の地政学的位置といったものも十分配慮して決めていきたいという趣旨でございます。 そして、東頸城への視察の依頼がございました。具体的なプランについては、別途また調整させていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。 ○議長(長津光三郎君) 梅谷守君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。  午後0時14分 休憩   ――――――――☆――――――――  午後1時15分 開議 ○副議長(帆苅謙治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、小山芳元君の発言を許します。小山芳元君。   〔小山芳元君登壇〕(拍手) ◆小山芳元君 社会民主県民連合の小山であります。少数会派の悲哀を感じながら、権力に迎合するなれ合いの議会とならないよう、県民の立場に立って政策提言、問題提起をする姿勢で、通告に従い、順次質問をいたします。 通告の第1点目、入札制度改革等について質問いたします。 最初に、本県の入札制度改革についてであります。 自治体トップの相次ぐ談合で、わずか1カ月半の間に知事が3人も逮捕されるという事態を受けて、全国知事会は談合防止プロジェクトを発足させ、一般競争入札の対象価格を1,000万円以上とするとした指針を発表し、各都道府県に指針に沿った入札制度改革を要請してきている経過があります。 これを受け、今後の予定も含めると、33の都道府県で一般競争入札の対象価格を引き下げる方向にありますが、原則すべての事業に一般競争入札を導入するところから、対象価格を1億円以上とした国土交通省の改革よりもおくれている自治体もあるなど、都道府県の入札制度改革に対する意識、意欲がはっきりとあらわれている状況にあります。 知事は、これまで私の質問に対し、当初は全国知事会がまとめた指針を尊重する姿勢を示していましたが、地元業者への配慮を求めた県議会の全会一致の決議もあるとして、一般競争入札の拡大に向けた本県の改革は、現行の10億円以上から1億2,000万円以上にとどまりました。 全会一致で採択した県議会の決議は、急激な改革の影響を懸念し、だれもが望む地元業者への配慮を求めたものでありますが、そのことは地域要件を加えた制限をつければ一定の対応が図れるものと考えます。 本県の入札制度改革の内容は、国土交通省の改革内容よりもおくれていますが、これで県民世論にこたえられるものとお考えか、知事の見解をお伺いいたします。 次に、改革の最終目標として、その過程の公表を求めるものであります。 埼玉県では一般競争入札の拡大に向け、1,000万円以上の拡大を2007年度は40%、翌年度は70%、翌々年度100%という段階的な目標を設定しております。 鳥取県では、2007年度は3,000万円以上で、1年間の経過措置を経た中で、翌年から随意契約の250万円未満を除いたすべてを制限つきで一般競争入札にする過程を明示しております。 秋田県では、2007年度は4,000万円以上とし、翌年度からすべて制限つきで一般競争入札にする行程表を発表しており、その他、宮崎県など幾つかのところでも、きちっとした改革のプロセスを明らかにしております。 知事は、今後、範囲の拡大をしていく意向を示しておりますが、自称「改革派知事」を追求する知事として、改革に向けた意欲を示すためにも、7月から実施する1億2,000万円以上の一般競争入札の導入実施と同時に、最終目標を定めた改革のプロセスを県民に示すべきではないのか、知事の姿勢とその見解をお伺いいたします。 次に、罰則の強化であります。 先般、大手ゼネコンが談合決別宣言を行いましたが、舌の根の乾かないうちから談合が行われたことが発覚するなど、いつの時代も談合はなくならないと言われております。 今日の地方自治体での相次ぐ談合事件を受けて、国土交通省は、地方自治体の発注工事で談合などの不正行為が発覚した場合、業者の入札参加停止期間を現行の上限2年間から3年間にする方針が明らかにされました。 都道府県で進められている全国的な入札制度改革でも、一般競争入札の導入拡大とあわせ、業者の入札参加停止期間を現行の最長1年間を2年間に延長することや違約金の倍増引き上げなど、談合に対する罰則強化策も同時に出されていますが、こうした動きとあわせて本県でも罰則強化に取り組むべきでないのか、知事の姿勢をお伺いいたします。 次に、外部通報窓口制度についてであります。 全国で相次いだ官製談合を踏まえ、全国知事会の指針にも打ち出されている通報窓口について、各都道府県ではその窓口を外部とする制度改正へ動いております。 本県の人事課が担っている内部通報窓口では、県職員が先々のことを考え、通報しない状況もあり、事実上制度は機能していなかったのではないかと考えます。 知事は、弁護士など外部に依頼して、より通報しやすい環境を整えるとしていますが、県の顧問弁護士ではない、県から独立した外部の弁護士を通報窓口にし、通報しやすい環境にして、官製談合等の不正に対する抑止効果を高める制度にすべきでないかと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。 あわせて、外部通報窓口制度については、いつから実施をするのか、新制度導入の時期を明らかにしてほしいと考えますが、そのことも知事にお伺いいたします。 通告の第2点目、障害者福祉問題について質問いたします。 最初に、障害者自立支援法の検証についてであります。 昨年4月、障害者に福祉サービス利用料の原則1割負担を求める応益負担の導入を初めとした障害者自立支援法が施行されて1年間が経過をしましたが、さまざまな問題や矛盾を抱えたままでの施行であることから、サービス利用を断念する人の続出や、補助金水準の削減のため小規模作業所、小規模通所授産施設が非常に厳しい運営を強いられているとの声が多く出されております。 また、障害者自立支援法で求められている共同作業所の法人格を有した地域活動支援センターや目玉施策である一般への就労を目指す就労移行支援事業についても、社会の受け入れ態勢が整っていない状況にあると言われております。 こうした状況から、障害者は法施行前より生活が圧迫されるなど、法の理念に合わなく、福祉が後退、自立支援どころか自立を阻害する法律以外何物でもないと考えますが、県内の実態は自立という本来の趣旨に沿った施策展開となっているのか、1年間の検証を知事にお伺いいたします。 次に、特別支援教育支援員の充実についてであります。 通常学級において、LD、ADHD、高機能自閉症などの児童が約6%強の割合で在籍しているとのことであり、今後も増加傾向にありますが、障害児の人数だけでなく、障害の度合いに応じた個別の対応の必要性から、各市町村では独自に介助員の配置を行っているのが実態であり、これまでこれに対する県の支援策が求められてきました。 養護学校や特殊学級に通う障害児に加え、発達障害のある子供にも適切な教育を行うことを規定した学校教育法の一部改正で、従来の特殊教育から、子供一人一人の教育的ニーズに応じて支援を組み立てる特別支援教育への移行が4月からスタートし、障害児の介助や学習指導の向上を目的に、平成19年度と20年度に特別支援教育支援員を全小中学校に計画的な配置が可能となる地方交付税措置が行われました。 この地方交付税措置により、各市町村で確実に特別支援教育支援員の配置ができるよう、各市町村への適切な指導や助言など、県の積極的な対応を求めますが、教育長の所見をお伺いいたします。 次に、先般、保護者の声を受けて、県立高田養護学校の実態調査を行ってきましたが、寄宿舎の食堂やプレールームにおけるクーラーの未設置、それに壁の結露や畳の汚損など、普通の家庭では当然整えられているものが、同施設では生活の場としての最低限の環境が整っていない。このような実態は、県内各地にある同様施設全体の問題であるとのことであり、こうした弱者のところに政治の光が十分に当たっていない状況を改めて実感してきたところであり、早急な改修を強く望むものであります。 また、近年、発達障害に対する認識の深まりなどから適切な支援を希望する保護者が多くなってきたこともあり、障害児が急増しているにもかかわらず、教室が不足し、本来、他の使用目的がある特別教室や作業室が教室に充てられている実態もありました。 期せずして、新潟市立養護学校でも同様の定員オーバーからプレハブ校舎で授業が行われており、保護者から新たな養護学校の建設を求める声が上がっているとの新聞報道があり、県下全体の問題であることを再認識させられたところであります。 先行き児童生徒がふえる可能性が大である中、こうした施設不足の実績からして、今後、希望者が入学できず、あふれる状況が危惧されるところであります。 老朽化した学校、寄宿舎など施設の改修も含め、県全体の特別支援学校の整備計画を早急に策定し、積極的に取り組んでいく必要があると考えますが、教育長の見解をお伺いいたします。 通告の第3点目、原発問題を質問いたします。 最初に、東京電力の改善策と監督官庁の行政処分の受けとめ方についてであります。 東京電力柏崎刈羽原子力発電所で長年にわたるデータの改ざん、故障を偽装しての法定検査や緊急停止の隠ぺい、さらには臨界事故につながりかねない制御棒脱落などの発覚など、これまでの想定を超えた極めて悪質で言語道断の不正行為が行われていたことについて、2月定例会でただしてきたところであります。 発覚した不正行為の中で、特に法定検査に係るデータ改ざんは、明らかに原子炉等規制法第33条違反であり、この条項には設置許可の取り消しや1年を超えない範囲で原発を停止させる規定があることから、2002年の福島第一原子力発電所1号機の格納容器検査偽装では1年間の運転停止処分を受けた経緯があります。 当然、本県においても、それ相応の処分があってしかるべきとだれもが考えておりましたが、経済産業省の発表した行政処分の内容は、運転停止命令は出さないという過去を不問にしたものであります。 事件の重大性から見て、この行政処分内容は大変甘く、これで企業体質の改善や安全・安心性の確保が図られるのかは疑問であり、原発推進派からも厳しい批判の声が出されており、住民の不信感が渦巻いております。 隠ぺい等を厳しく処分してこそ不正が防止できるのであり、小手先だけの再発防止策では不正の追認でしかありません。 何よりも、なぜ不正が常態化したのか、根本原因の徹底した究明が行われなければ、真の改善につながらないと考えます。 知事も「保安規定の見直し命令だけで、自律的に組織体質の改善が図られるかは不透明」とコメントを出し、徹底した再発防止策の必要性に言及していますが、一連の不正行為の発覚に対する東京電力の改善策、監督官庁の出された行政処分内容をそれぞれどう受けとめているか、知事の所見をお伺いいたします。 また、これで企業の体質改善が図られ、県民の安心・安全が確保できると考えているか、あわせて知事の所見をお伺いいたします。 次に、安全協定についてであります。 2年前の安全協定では、県が国を通じ、運転停止を含む適切な措置を求めることができると改定されましたが、この権限を一度も発動しないできたことも不正続発の温床になっていると指摘せざるを得ません。 このたび安全協定の改定が行われ、原発内部のトラブル情報を受け付ける通報窓口の設置や放射能漏れの監視強化に向けたモニタリングポストの増設などが加えられましたが、それらもさることながら、何よりも安全に疑義があると、そういう事態が生じた場合は直ちに原子炉を運転停止させる姿勢を持つことが重要ではないのでしょうか。 このことについて、これまでの対応や総括を踏まえ、知事の見解をお伺いいたします。 次に、活断層についてであります。 東京電力が昨年実施してきた原発周辺の地下探査結果について、活断層は存在しなかったと4月に公表しましたが、根拠にしている断面図は県が2000年に発行した地質断面図等と全く異なるものであることから、この地下探査の記録は改ざん、捏造されたものではないかと考えられ、そのことは地元からも指摘をされております 活断層は存在しないと一方的に主張する東京電力に対し、生資料を公開させるなど、十分に説明責任を果たすよう求めるべきでないのか、知事の見解をお伺いいたします。 次に、配管のひび割れと運転の継続についてであります。 6月5日、東京電力は5号機の再循環系配管にひび割れがあることに対し、放置して、観察しながら運転すると発表しましたが、県は昨年3号機と4号機でひび割れが確認されたときには、4号機は修理したものの、3号機は運転を容認しております。 福島県では、同様のひび割れが発見されれば、国の基準よりも厳しい独自基準に基づき、修繕の後、運転再開されていますが、本県の国の基準に準ずるだけの甘い対応に対し、県民の根強い不信は払拭されません。 本県では、なぜ福島県と同様の対応に持っていけないのか、このことについて知事の見解をお伺いいたします。 通告の第4点目、水俣病問題について質問いたします。 冒頭、水俣病認定申請者の医療費助成について、県制度は申請後1年を経過した後で助成されることから、新潟市のように申請と同時に助成すべきでないかとただした私の2月定例会での代表質問に早速こたえていただき、今定例会で46万4,000円の補正予算が提案されていることに評価いたすことを冒頭に申し上げ、まず最初にふるさとの環境づくり宣言推進事業の取り組みについてお聞きいたします。 県は、高齢化した水俣病被害者の保健福祉施策の充実や被害者に対する支援に向け、ふるさとの環境づくり宣言推進事業を新設し、平成18年度に5,904万5,000円の予算計上が行われました。 そして、この1年間、約3,000万円強の事業執行を行ってきていますが、現場ではどう使われているのか全くわからず、被害者のための施策にどういう形で反映されているのか実感がないとの声であり、加えて県が再三約束してきた被害者のニーズを聞くこともなかったことも指摘されており、こうした現状では被害者のニーズに合わないミスマッチの状態にあると言えます。 県も一生懸命取り組まれているものと思いますが、こうしたNPOに任せた形の運営方法、被害者のニーズや意見が反映されない進め方であるとしたならば、大きな問題であると考えます。 県は、こうした実態をどのように受けとめ、今後どのように事業を推進していくのか、お伺いいたします。 次に、県独自の救援策についてであります。 県は、水俣病に対する正しい理解と被害者の精神的苦痛につながるもやい直しに取り組むことによって水俣病問題の解決につなげようと、ことしの2月、知事の肝いりで新潟水俣病問題に係る懇談会を立ち上げ、懇談会では当初目的のもやい直しだけでなく、県独自の被害者救済策も議題として扱われようとしております。 また、泉田知事が新潟水俣病問題に係る懇談会メンバーと一緒に、歴代知事として初めて現地視察に訪れました。 さらに、先般、新潟水俣病被害者の会の総会で、知事は「終局的な解決策をつくり上げたい」と改めて解決に向けた意欲を見せておりますが、しかしながら実態は、知事自身が言及した県独自の救済策がどのような人を対象にどういう内容のものを考えているのかなど、その概要が全くわからないのが現状だと思います。 この間の一連の知事の発言、行動に対し、県民は強い関心と期待を持っていることから、その期待を裏切らないよう、これまでの解決策とどう違った中身になるのか、その概要を示すとともに、被害者救済に向けてどんな着地点を考えているのか、知事の見解をお伺いいたします。 次に、第3次訴訟についてであります。 新潟水俣病の未認定患者12人が損害賠償を求める第3次訴訟を新潟地裁に起こし、企業、国に加え、初めて県も行政責任が問われ、訴えられていますが、このことについて知事はどのように受けとめているか、お伺いいたします。 次に、二重基準の解消についてであります。 間もなく政府・与党のプロジェクトチームによる未認定患者の救済策がまとめられようとしておりますが、最高裁判決に従わず、司法と行政の二重基準のまま、安易な政治決着を図らせることがあってはならないと思いますが、そのためにもこの第3次訴訟による司法の場を通して、これを好機ととらえ、二重基準の解消を含めた真の救済策を国に求めていくべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。 通告の第5点目、佐渡汽船問題について質問いたします。 最初に、県の責任についてであります。 佐渡汽船株式会社が債務超過に陥ったことに対し、県は独自調査の結果を発表し、長年にわたるワンマン体制による放漫経営が背景にあると結論づけ、これまでの経営体制を糾弾していますが、その体制は長年にわたる県からの副知事級幹部が歴代会長など佐渡汽船経営の重要職に天下るという形で構成されていたものであります。 私は、法的解釈の責任論を言っているのではなく、県は長年、県幹部を天下りさせてきたということは佐渡汽船の経営に直接的、間接的に関与してきたのと同じことであり、道義的にも責任があるということを主張しているのであります。 その主張を踏まえ、県にも相応の経営責任があることを認めたものと受けとめてよいのか、知事の見解をお伺いいたします。 次に、株主代表訴訟についてですが、県は佐渡汽船株式会社に50%を出資する筆頭株主であることから、県の経営責任について2月定例会でただしたときに、知事は、経営責任は出資者にはなく、出資金を失うということが株主責任のすべてであるとのことであり、それでは筆頭株主としての法的責任を求める株主代表訴訟についてどうするのかとの私の質問に対し、「事実関係を把握してから」とのことでありました。 県は、既に債務超過に対する県独自の調査を行っており、一連の事実関係等は把握されているものと考えますが、改めて株主代表訴訟についてどう対応するのか、知事の見解をお伺いいたします。 次に、県の増資についてであります。 佐渡汽船株式会社から再発防止策を受け、県は増資する方向で調整に入ったとのことでありますが、県の増資による関連自治体や民間への波及は紆余曲折が予想されることから、早い機会に態度決定が必要と考えますが、県の増資規模をどのくらいと見込み、正式決定はいつごろを見通しているのか、知事に見解をお伺いいたします。 次に、小木・直江津航路についてであります。 佐渡汽船株式会社から出された再発防止策には具体的な踏み込みがなされていないものの、佐渡汽船株式会社の再建計画案策定の過程で、2009年度以降の小木・直江津航路の分社化が検討されており、経営改善策の背景にはその方向が柱となっているものと懸念されるところであります。 一方、昨年7月に県と佐渡市、上越市が決定した2年間、計4億円の公的支援を行う前提には、当然その後も小木・直江津航路の一体経営が条件であると当該自治体は受けとめているものと考えます。 知事も小木・直江津航路の分社化についての私の質問に対して、「既に佐渡汽船と関係自治体との間で否決された話である」として否定する議会答弁であり、その姿勢は揺るぎないものであったと県民は受けとめています。 経営改善と赤字航路の存続は裏腹な面がありますが、午前中の一般質問における主張を突き詰めていくと、一層の危機感を感じざるを得ません。 同航路は、公共性が重視される離島航路であり、航路見直しとなると県民の日常生活に支障を来すことや地域経済への悪影響が必至なだけに、県は増資に応ずる以上、小木・直江津航路を分社化することなく、一体経営で行うことを改めて条件とすべきであり、そのことを求めますが、知事の見解をお伺いいたします。 通告の第6点目、上越地域の公共関与の廃棄物最終処分場建設問題について質問いたします。 最初に、新たな候補地に対する県のかかわりについてであります。 上越地域における公共関与の廃棄物最終処分場建設については、2001年に県が茶屋ケ原、吉浦両地区で整備構想を計画いたしましたが、自然環境の悪化などの理由から地元住民の反対で暗礁に乗り上げ、2004年に県が現地事務所を撤退するなど、事実上断念し、今日に至っています。 3年が経過したことしに入って、上越市は上越市宮野尾地区を新たな候補地として選定し、隣接地域の住民説明会を開始していますが、全体の理解が得られるには前途多難な要素が多い状況と言えます。 公共関与の廃棄物最終処分場は、県が整備し、推進を進めるだけに、市に任せるのでなく、県としての積極的な対応が求められるところでありますが、知事の取り組み姿勢を伺うと同時に、新たな候補地についてどう受けとめているのか、あわせて知事にお伺いいたします。 次に、候補地の環境等についてであります。 選定された宮野尾地区は、国の史跡、春日山城領域に隣接することから、同地での建設撤回を求める声が出されていることもあり、私は約2時間近く、けもの道のような狭隘な道を汗をかきながら現地の実態調査を行ってまいりました。 私自身、史跡に対する知識が軽薄なため、当該選定地域が春日山城全遺構に含まれるのかはわからない状況でありますが、視察した限りではかなり史跡領域から離れていると受けとめてきたところであります。 県は、史跡保護の見地からどのような見解を持っているのか、お伺いいたします。 また、現地視察で感じたことは、荒廃しているとはいえ、自然の宝庫であることには間違いなく、動植物への影響や地すべりの影響なども懸念されますが、自然保護の観点からも今後の環境への影響についてどのように対応していくのか、あわせてお伺いいたします。 通告の第7点目、限界集落問題を質問いたします。 最初に、県下全域の実態調査についてであります。 北陸新幹線の開業に向けた2014年問題や新潟市の政令市誕生など、本県を取り巻く状況に県土発展に向けた大きな期待感が県民全体にあり、昨日来、論議されております。 一方で、人口が集中する新潟市と他の自治体との自治体間格差、上越市のように同じ自治体内でも市街地と中山間地との地域間格差などが拡大する状況も現実として存在しております。 長野大学の大野晃教授は、65歳以上の高齢者が半数を超え、共同生活の維持が困難になった集落を限界集落、55歳以上の人口が半数を超える集落を準限界集落、人口がゼロになった集落を消滅集落と定義していることが大きな話題となり、関心を呼んでおります。 限界集落の言い方には、そこに住む住民に対して失礼であるとの意見もありますが、そういう言葉を用いることによって、より問題の深刻さを訴えて、行政が危機感を持ち、住民と一体となって対策を打ち出すという必要性を提起している意味では注目すべきものと考えます。 先般、上越市がいわゆる限界集落の分類に入る53集落の実態調査を行った結果がマスコミにも報道され、関心を呼んでいますが、維持可能な集落がわずか3集落であり、残りの集落は維持が難しい状況にあるとのことで、事態の深刻さが浮き彫りになっております。 国土交通省の調査でも、過疎指定地域内だけで約7,800の限界集落があると言われており、そのうち420の集落が10年以内に消滅する可能性があると指摘をしております。 この限界集落の問題は、農林地の荒廃による地すべりの発生の危険性や保水力低下による国土保全機能の喪失につながると同時に、何よりも高齢者の日常生活の維持に支障を来すものであることから、県としても県下全域の課題としてとらえ、実態調査を行うべきであると考えますが、知事の見解をお伺いいたします。 次に、限界集落への具体的な施策の展開についてであります。 懸命に集落の維持に努める住民の主体的な取り組みには限界があり、各自治体が過疎対策に力を入れるにしても財政面での負担がネックになり、一般的な国、県の支援体制では歯どめをかけることは難しいのが実態であります。 限界集落の問題に特効薬がないということは理解できますが、一定の歯どめをかけていくためにも、県は実態調査を行うとともに、庁内ワーキンググループの立ち上げで、住民の日常生活支援、Iターン、Uターンなどの定住促進、地域産業の育成、都市との交流など活性化策を盛り込んだ総合計画を打ち立て、それをもとに具体的な施策の展開を図っていくべきでないかと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 通告の第8点目、保倉川放水路問題について質問いたします。 最初に、本事業の受けとめ方と県の姿勢についてであります。 10年間以上とんざしていた保倉川放水路の問題が再浮上してきたことから、昨年12月定例会の建設公安委員会で実態をただしましたが、県は、河川法改正による河川整備基本方針や河川整備計画策定の中に従来どおり盛り込んだだけで、特段新たな取り組み方針が出されたということではないとの答弁でありました。 しかしながら、先般、国土交通省北陸地方整備局高田河川国道事務所は今後30年をめどに国直轄管内で実施する具体的な整備事業を発表し、その中に保倉川放水路に着手し、完成させることが盛り込まれております。 放水路建設は、整備された優良圃場が喪失することや長年生活をしてきた集落、地域が分断されることなどから、住民の強い反対があってとんざしてきているだけに、先行きに紆余曲折が予想され、国と住民の間に立つ県の役割は極めて重要になると考えますが、県は今回この計画公表をどのように受けとめ、どうかかわっていくのか、知事の見解と本事業に対する姿勢をお伺いいたします。 次に、事業費比較の精査についてであります。 放水路建設に係る費用の概算が公表されましたが、現在の河川を広げる引き堤案では約1,000億円の事業がかかる試算に対し、放水路建設は約500億円に抑えられるとしており、その背景には、引き堤案には家屋移転数が120戸と放水路の80戸に比べて多くなることや、橋梁の改築も同様に引き堤案では11カ所になるのに対し、放水路では4カ所で済むということなどが挙げられています。 しかしながら、放水路建設には家屋の移転よりも、大動脈である国道8号線や県道2路線等に対する新たな橋梁の建設、さらに複線化しているJR信越本線の鉄橋建設に対する莫大な費用と工事期間の長期化など、はかり知れない経済的な損失が陰に隠れているのではないかと指摘をするところでありますが、これらについてもっと精査し、検討すべきであると考えますが、このことについて県はどのような見解に立つのか、お伺いいたします。 次に、直江津港等への影響についてであります。 河川港から始まった直江津港、関川、保倉川から分離独立によって今日の発展が築かれた歴史があり、現在、突出した沖防波堤が整備され、周辺は火力発電所建設、そして上越地域緊急海岸整備事業など、40年前の当初放水路計画が出されたときよりも大きく変化をしております。 ○副議長(帆苅謙治君) 小山芳元君、時間が超過しておりますので、結論を急いでください。 ◆小山芳元君(続) この整備された直江津港の出入りの真ん中に対し放水路の計画は、土砂の堆積に加え、港利用の船舶の航行への障害、今後の直江津港の発展にどのような影響を及ぼすのか、さまざまな懸念がありますが、県はこうした問題をどう考えているのか、お伺いいたしますとともに、直江津港以東の海岸線にも大きな影響を及ぼすものと考えますが、十分な検討をしていく必要がある、このことを指摘し、この問題についてどう考えていくのか見解をお伺いし、私の質問を終わります。ありがとうございました。   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 小山議員の一般質問に順次お答えいたします。 まず初めに、入札制度改革についてであります。 現在、県内では多くの方が建設業に従事されております。そして、そのほとんどが中小企業で構成されているというのが県内の産業構造でございます。そして、この建設業に携わる方は、多くの方々が農業も同時に営まれているというような状況でございます。建設業をしっかり守っていくということは、国土の保全のための農家収入を保障するということと裏腹の関係に立っているという状況がございます。 こういう状況下で、無制限な競争により低賃金労働を強いることが本当にいいのかどうか、よく議論が必要ではないかと思っております。地域経済の混乱・衰退を招くような施策を本当にとるべきなのか、よく議論が必要であるというふうに考えております。 県議会におかれましても、このような観点を踏まえて、昨年12月、入札制度改革についての決議が全会一致によってなされたということでございます。当局といたしましては、この決議を受けまして、入札改革のスピードを調整しているということでございます。本県建設業の果たす役割を十分に考慮し、一般競争入札の拡大、低価格入札の防止対策などの入札制度改革を行ったところであります。 県民の皆様の御理解を得られ、信頼される入札制度となるよう、不断の改革を進めてまいりたいと考えております。 次に、一般競争入札の最終目標を定めた改革のプロセスについてであります。 本年4月、一般競争入札の対象範囲を当面1億2,000万円以上の工事にまで拡大いたしました。今年度の結果を踏まえ、さらに拡大するということを発表したところでございます。 プロセスを示せと言われる御質問でございましたが、その効果を見きわめないうちにプロセスを示すことが一体どういうことなのかと。地域経済への影響を見きわめた上でなければ、今後のプロセスは示せないというふうに思っております。地域で生活をしている人の生活環境がどうなるかということを考えないで、プロセスだけを示すことにより、大きな混乱を生じさせるということは、政治の責任としてあってはならないのではないかと私は考えております。 無制限な競争により、地域経済の混乱・衰退を招かないよう、十分な対策を講じた上で実施してまいりたいと考えております。 次に、原発問題についてお答えいたします。 国と東京電力の対応に関する所見についてでございます。 東京電力の総点検がどのような形でなされたのかということを振り返ってみますと、結果において東京電力から過去の不祥事案が出たことから、ほかの電力会社に波及していったという経緯をたどっております。国は、検査強化、いわゆる北風政策という形で対応してまいりました。県からは、事実関係の確認をまず最優先してほしいと、社内で処罰を優先するよりは事実関係を出してほしいと、いわゆる太陽政策を東京電力に要請したところでございます。 その結果、東京電力の内部では、正直に答えれば罪一等を減じるという措置のもとで事実関係を過去にさかのぼって掘り返したということです。それがひいては他の電力会社に波及をしていったということであって、厳しい処分をすればそれでいいというのは、大きな誤解に基づくことだと思っております。 現に処罰を基調にして発生したJR西日本の脱線事故は、何らかの形で運行にミスが生じた場合に日勤教育を強いると、処罰を背景に規律を維持しようとした結果、隠ぺいを生み、その結果、大事故につながったという指摘がなされております。また、欧米では航空機事故の際、個人の過失責任を追及するよりは真実を明らかにするというようなことから司法取引が導入された上で、事実関係を明らかにするという措置がなされております。 公益と個人の処分とどちらを優先するかといえば、やはり原子力発電所というのはまだ発展途上の技術であり、いかに安全な原子力発電所にしていくのか、きょうよりもあしたの方が安全な原子力発電所をいかにつくっていくかという観点で運転されていく、運営がされていくという必要があると私は確信いたしております。 国において情報が上がってこなかった背景分析がなされているかというと、私は不十分だと思っています。なぜこのようなことが過去に行われていたのかということの背景分析を十分行った上で、原子力発電所にそれぞれいろんな立場でかかわる人からいかに原子力発電所を安全にしていくかという情報がちゅうちょなく出されていくような体制をつくらなければいけないのではないかというふうに思っております。 日本の製造業というのは、世界の中で冠たる競争力を持っているわけです。これがなぜできたのかといえば、現場が問題点を上げていくということでさまざまな生産プロセスの改善が働いたことから、世界最強の競争力を持てたということだと思っています。この競争力というのは、ある時点で判断するのではなく、時間系列に伴って自己改革をする力をどれだけ持てるかということで評価されるべきであろうと思っております。 したがいまして、東京電力が再発防止策を確実に実施していくということはもちろんのこと、きょうよりあしたの方が安全になるような企業の仕組みが構築されているかどうか、しっかり監視していく必要があるというふうに思っております。 なお、本年5月に第三者機関からの認証であるISO9001の特別監査が行われました。その結果でございますが、平成14年のトラブル隠し以降の状況について、品質マネジメントや不適合管理システムの適切な運用が確認されたというふうに報告を受けております。 県といたしましては、東京電力が行う企業体質改善に向けた取り組みに対して、専門家からの意見も踏まえながら、しっかりと監視していきたいと考えております。 次に、原子炉運転停止要請に対する見解についてであります。 柏崎刈羽原子力発電所の安全確保のため特に必要と認める場合には、原子炉の運転停止を含む適切な措置を求めることができるように改正したのは、私の判断であります。議員御指摘のように、安全の疑義がある事態が生じた場合には直ちに原子炉を運転停止させる姿勢で取り組んでまいりたいと考えております。 次に、水俣病問題についてお答えいたします。 県独自の救済策等の概要についてであります。 私も患者の皆さんと意見交換をして、現在抱えている悩み、重みは一体何なのだろうかということについて話し合いをいたしました。お金ではないということに尽きるのだと思います。 現在、水俣病の患者の中には、正規の認定を受けられないために、えせ患者やお金のためにやっているのではないかという誤解や偏見を受けておられる方が多くいらっしゃいます。このことから、未認定患者という言葉が嫌いだという叫び声も出ておるところでございます。 日々、生活をしていく中で、地域社会の中でちゃんとした認定が受けられない、そしてえせ患者ではないかと、お金のためにやっているのではないかという誤解と偏見の中で生活せざるを得ない方々の苦しみというのは、考えても余りあることだと思っております。 こうした中、なぜそのような誤解や偏見が生まれてきたのかということを考えてみますと、この間の社会の取り扱い方にも問題があったのではないかと思っています。 一つ例を挙げたいと思いますが、犯罪被害者等給付のための法律がございます。これは、通り魔等に遭った被害者や遺族が困るであろうということで、給付金が支払われる制度でございます。被害に遭われた方がいかに一瞬にして自分の幸せだった家庭が壊れてしまうかということが報道されることは大変多いのですけれども、では一体幾らもらったのだということは通常、報道されません。そしてまた、刑事裁判で無罪だった人に対して刑事補償が行われるわけです。この刑事補償に対してやはりお金が支払われるのですが、通常の報道ではこれが一体幾ら支払われるというのは報道されていません。 しかし、水俣病に関しては、なぜか幾ら出たのか、金は、金はという形でしか世の中に伝わっていかない。これでは、普通、テレビ等の報道機関からしか情報が得られない一般の人にとっては、水俣病とお金が密接不可分という形でつながって伝わってしまっている部分があるのではないかと思っております。お金ということではなくて、今、患者さんが抱えている苦しみというものをまずしっかり見据えて、社会での融和を進めていくということがなければ、金銭的解決もあり得ないというふうに私は考えております。 そういった中で、また救済策でお金を幾ら払うのか示せというような今の小山議員の御質問でございますけれども、順番が違うのではないかというふうに思っております。まず、社会全体として、この窮状を訴えなければいけない人々の心の苦しみを理解するところから始めるべきだと私は考えております。自分がどういうふうに苦しんでいるのか、本人はよくわかっていますが、外見から見るとわからない。よって、えせ患者ではないかとか、お金のためにやっているのではないかという言葉が出てくるわけです。しかし、もらえるかもらえないかわからないようなお金のために自分の人生を棒に振って自分の苦しみを訴え続けるような人はいないわけです。本当に心の底からの叫び声というものをしっかり聞いていく、そういう耳を持つということが被害者の救済の私は第一歩であるというふうに確信いたしております。 そして、こういう方々はどういう方々なのかということを社会的にもう一度考えてみる必要があると思っています。高度成長期に普通に生活していた方々です。普通に今まで生活していたところ、知らないうちに環境が破壊され、その結果、病気になってしまった方々です。こういう方々の犠牲の上で、社会は環境規制というもの、公害をいかに防止していくかという仕組みをつくり上げてまいりました。 今、地球全体に目を転じてみると、公害病に新たに罹患される方々も多くおられるわけです。新潟水俣病というのは一体何だったのかという検証がしっかりなされていない中で、人類の遺産としての大変な苦痛を伴う経験が総括されていないという部分から、また地球上で同じようなことが起こっているのではないかという認識を持っています。 現在、阿賀野川流域の環境というのは大変すばらしい環境に戻っております。そして、このよくなった環境を享受している我々が、この環境を獲得する際に犠牲になられた方々に対してどのような形で報いていくのか、感謝の気持ちを持ってサポートしていくのかという観点を持たなければいけないと思っています。 単に加害企業が損害賠償事案として払えばいいということではなくて、現在の環境を手に入れた日本に住んでいるすべての人々が、犠牲になられた方々に対してどのように対応するのかという問題ではないかと思っています。そういう観点、社会的合意ができた上で、初めて救済のフレームワークについてお互いの理解が進んでいくということではないかと思っております。お金にすべて結びつけるような形でない、真の救済に向けて私は努力をしてまいりたいと思っております。 それから、もう一つ言い忘れました。これは、だれにでも起こり得るということです。犯罪被害者等給付法の世界もそうですし、公害というのは普通に生活をしている人々の中にいつ起こるかもわからない、これは人ごとと思ってはいけない、自分の問題としてとらえて、社会が解決すべき問題として取り組む必要があると私は考えております。 このような観点から、現在、新潟水俣病問題に係る懇談会において、過去の行政対応の検証を依頼しているところでございます。現在、過去の行政の対応がどうだったか、当時、直接携わった方々がまだ元気でおられます。恐らく振り返ることのできる、自分の身に降りかかることなく当時を検証することができる最後の機会ではないかというふうに考えているところであります。 過去の行政の対応の検証、そして被害地域が抱える諸問題、これは患者間でもさまざまな感情の対立があります。また、患者と地域との感情の問題もあるわけです。そういう問題を一つ一つ解きほぐした上で初めて金銭的賠償、救済のフレームワークが示されなければいけない。県が先にお金が幾らということで問題が解決すると思ったら、それは甘過ぎると思っております。 患者団体とも相互理解を図りながら、まず十分議論して、終局的な解決策、お互いに納得できる、すべての人がそうだよねと、こんなところだよねというような解を導き出すことができるかどうか、今、人類の英知が問われていると、私はそういうふうに考えております。 次に、いわゆる新潟水俣病第3次訴訟についてであります。 新潟水俣病が発生して既に42年を経過しております。現在に至っても、公害病に苦しまれて、そしてまだ救済の手が届いていないという方々がおられるということです。平たく言えば、これまでの救済策が必ずしも十分でなかったことを示していると思っております。私は、まず最初に社会全体で今のような状態を受けとめる必要があると、人ごとではなく、だれにでも起こり得るということでとらえる必要があると思っております。 議員御指摘のように、このたびの第3次訴訟におきまして、初めて県が被告とされました。原因企業、国と連帯で損害賠償を求められております。当時の行政対応など過去の事案、こういったものの関係を整理した上で、今後対応を決めてまいりたいと考えております。 次に、二重基準の解消等の救済策についてであります。 水俣病被害者の中には、正規に認定を受けていないということから誤解や偏見を受けている方がおられるというのは、今ほど申し上げたとおりでございます。 水俣病の問題の解決に当たりましては、被害者の方々が環境破壊によって引き起こされた公害病である新潟水俣病の有機水銀中毒患者として社会全体から広く認知されることがなければ偏見、差別はやはり取り除かれないだろうと思っております。 そのため、与党プロジェクトチームの救済策の取りまとめに当たっては、被害者が望んでいる救済策がとられることを御検討いただくように与党プロジェクトチームに要望したところであります。 しかしながら、国に求めまして、果たして現在のフレームワークを変更することが可能なのかどうか、危惧する部分もございます。その場合には、別途県として対応してまいりたいと考えております。 次に、佐渡汽船問題についてお答えをいたします。 まず、佐渡汽船株式会社の債務超過問題に対する県の責任についてであります。 先ほど梅谷議員に答弁したとおりでございますが、債務超過の話と、損益の赤字というものは別物であるということをまず最初に御理解いただきたいというふうに思っております。 今回の債務超過問題というものがなぜ発生したのかといえば、県の報告でも明らかになったように、過去の取締役会の議事録を全部当たりましたが、本来、佐渡汽船株式会社がやるべき業務だろうかという疑問が生じるような土地投資が行われていたわけです。それも、高いときに買って、そのまま放置していたということから、値下がりが生じて評価損が生じたということであります。 上場をそのまま続けた方がいいのか、公共の足を確保するのに上場が必要なのかといえば、必ずしもそこは明らかでない部分があります。上場を続けていれば当然メリットもあると。これは、先ほども申し上げましたが、ストックオプションの発行等による優秀な人材の確保の可能性もあるわけです。しかしながら、上場の最大の目的というのは民間のマーケットから資金を調達することです。民間のマーケットから資金が調達できないのに、なぜ上場を維持するのかという本質論の議論がなされていないというのは、私は極めて残念であるというふうに思っております。そういった中でも先ほど申し上げましたようなメリットがあるので、上場を維持した方が維持しないよりも今後の佐渡汽船株式会社の経営にプラスではないかという判断も同時にいたしたところでございます。 ざるの中に水を入れるような形での対応は問題がありますが、少なくとも本業と関係ないところで債務超過になるような、赤字をつくっていくような体制を避けることができれば、しばらくは上場を維持できるような体制がとれ、チャンスをつくるというような対応の方が結果として県民全体として望ましいのではないかとも考えております。 県の責任というお尋ねでございますが、債務超過の原因は本業と関係ない不動産投資の失敗でございまして、県に経営責任を求めるのは、株主が持っている権能からしても無理があるというふうに考えております。 さらに、では役員を通じて物事が実施できるのかという点も考えてみますと、当時は役員解任のためには特別多数の議決が必要というのが商法の体系でございますが、県は、そこまで決議権を持っておりませんでした。選任はされたけれども、経営については個々の役員が負うというのが会社運営上の極めて当たり前の原則ということになっております。県という組織体が、選任した役員の責任を負うという考え方は、法理論上極めておかしな考えであると理解いたしております。 次に、株主代表訴訟についてであります。 県では大株主の立場から、佐渡汽船株式会社が債務超過に陥った原因と責任を調査し、再発の防止を要請いたしました。これを受けて、佐渡汽船株式会社は再発防止策を策定し、現在、具体的な取り組みを実施いたしております。 県といたしましては、当面、佐渡汽船株式会社にこの再発防止策と経営改善策に全力で取り組んでもらうことが重要であると考えております。お尋ねの株主代表訴訟についてでありますが、実態の方は把握しました。では、法的に可能かどうか。これは、時効の問題もございますので、法的な問題について現在詰めているところでございます。 次に、佐渡汽船の増資に対する県の出資規模と決定時期についてでございます。 柄沢議員の代表質問にお答えしたとおりでございますが、県といたしましては、今後、佐渡汽船株式会社から正式な出資要請があれば、大株主として増資に応じる方向で検討していきたいと考えております。引き受け額、決定時期につきましては、正式な要請があってから検討するということになります。その後、速やかに議会にお諮りする方向で作業いたしたいと考えております。 次に、小木・直江津航路についてであります。 債務超過と通常の航路の運営とは関係ございません。債務超過問題について改めて申し上げれば、本業とは関係のない不動産投資の失敗が減損会計で明らかになった、つまり過去のうみが出たというだけの話であります。小木・直江津航路の存続問題とリンクをさせるということも、私は理解に苦しむ部分でございます。つまり県民の足としての航路をどのように守っていくのかということと経営問題とは関係ない話であり、県民の足をどのように守っていくのか、別途の議論が必要であるというふうに考えております。 なお、出資に当たって条件をつけるということは、法的に言うと拘束力が生じないということなので、言われるようなことにどのような意味があるのかというところも、理解できない部分でございます。 小木・直江津航路については、昨年7月の小木・直江津航路のあり方検討会議の最終報告にあったとおりでございます。まず、現在何をやるべきなのかと。佐渡汽船の航路というのは島民の足であると同時に観光航路でございます。最盛期には80%弱の人々が観光で利用していて、その収入で島民の足が確保されていたという実態があるわけでございます。宝の島佐渡の観光を振興する中で島民の足も確保されていくことが望ましい方向性であるということは論をまたないと思っております。 現在は、この報告の当初の目標を達成するように、まず最大限の努力をすべき時期ではないかと。その努力をしないで、今後どうするかという議論は拙速に過ぎると考えております。 次に、上越地域の廃棄物最終処分場建設問題についてお答えいたします。 公共関与の最終処分場整備に対する取り組み姿勢と新たな候補地をどのように受けとめているかについてであります。 そもそもこれは言葉が問題かなと思って、今お聞きしておりました。公共関与の廃棄物最終処分場ですが、2つの機能がございます。一つは、一般廃棄物の最終処分場というところと、それから産業廃棄物の最終処分場というところです。一般廃棄物については一義的に市が責任を負うということになっております。したがいまして、一般廃棄物の最終処分場をどのように整備をするのかということは、上越市がみずから一義的に整備する責任を負っております。 その候補地については、地域の事情に精通している上越市が選定する、また地元事情をよくわかっている上越市が考えなければならない課題であろうと思っております。 県としましては、この一般廃棄物の最終処分場とあわせて産業廃棄物の処分場整備をするという方針でございます。まず、地元の動向を見守っていくということが必要ではないかと考えております。 新たな候補地につきましては、住民説明会の開催など、地元住民の理解に向けた取り組みが行われているところでございます。現時点において、どこに設置するか決まっているという認識は持っておりません。正式な提案を受けていない時点で、県として見解を申し上げることは適当でないと考えております。 次に、過半数が65歳以上の集落の問題についてお答えいたします。 まず、県としての実態調査でございますが、中山間地の実態調査については、これも先ほど答弁させていただきましたが、既に国土交通省が昨年6月に調査を実施して、ことし2月に中間報告を公表したところでございます。本県は、本県に係る調査データについて、その内容を把握いたしております。 調査をすればいいというものではなくて、調査を受ける人の立場も考えるべきであろうと。同じようなものを二重行政ということで県と国から調査されて、同じものを答えろと言われる人は迷惑をこうむるわけですので、わかっているデータを分析するという方向で対応したいと考えております。 したがいまして、県としての実態調査については、改めて実施する必要はないと考えております。調査データを精査、分析した上で対策につなげてまいりたいと考えております。 次に、今後の過疎対策についてであります。 県といたしましても、これまで過疎地域自立促進計画等を策定いたしまして、市町村と連携しながら過疎対策を展開してまいりました。今まで全くしていないということではなくて、既に法律に基づいて対策を講じてきているということでございます。これも1年、2年の取り組みではなくて、長年対策を実施してきていると、それにもかかわらず過疎化に歯どめがかかっていないという現状でございます。すなわち、今までの施策というものの有効性が改めて再確認されなければならないような状況に来ていると私は認識いたしております。 なぜこのような状況になっているのかといいますと、少子・高齢化が進んでいること、モータリゼーションが進む中で生活圏が拡大していること等、複数の要素が重なり合っていることは推測できるということだと思っています。これまでの過疎対策がなぜ有効に機能しなかったのか、十分に検証した上で、次の施策を考えなければならないのではないかと。今、何か新しい施策を接ぎ木に枝を挿すような形で対応しても、十分な効果が得られないのではないかと考えております。 次に、保倉川放水路についてお答えいたします。 この保倉川放水路についての見解と県の姿勢ということでございます。 本事業は、御存じのとおり国の事業でございます。何でこの事業が必要かといいますと、この放水路がないと浸水するかもしれない地域が多くあるということでございます。こういった方々の生活の安全・安心を守っていくことも当然必要になってまいります。地域が分断されるから、この人たちは水害が出ても知らんよというのは、無責任な行政だろうというふうに考えております。 浸水を受けやすい地形であるこの保倉川下流地域、さらにここは工業地域ですので、下手をすると水害が生じると働く場所を失ってしまうと。働く場所を失うということは、地域全体の崩壊につながっていくリスクもあるわけです。こういったものをしっかり守っていくのに何をしなければいけないのか、だれがどこをどう譲っていくのかという地元での合意をつくっていく必要があるのだろうというふうに私は考えております。 御指摘のように、放水路整備に対して一部反対があるという報告を受けております。地元の理解を十分得て計画を策定するよう、国に対して要請してまいりたいと考えております。   〔総務管理部長鶴巻嗣雄君登壇〕 ◎総務管理部長(鶴巻嗣雄君) お答えいたします。 外部通報窓口の設置についてでありますが、県から独立した外部弁護士を通報窓口とする公益通報制度は、官製談合を初めとした職員の不正行為等の抑止効果を高めるものと考えておりますので、7月末を目途に導入する方向で所要の調整を進めております。   〔県民生活・環境部長棚橋進君登壇〕 ◎県民生活・環境部長(棚橋進君) 上越地域の廃棄物最終処分場候補地に対する史跡保護の見地からの見解と環境影響への対応についてでございますが、上越市が選定しました候補地につきましては、史跡の指定範囲から離れた場所であると聞いております。 県といたしましては、今後計画が具体化された段階で、景観や動植物への影響なども含めて、適切に判断してまいりたいと考えております。   〔防災局長渡邉博文君登壇〕 ◎防災局長(渡邉博文君) 東京電力が実施した地質調査結果についてでありますが、東京電力は新しい耐震設計審査指針に基づく基準地震動を策定するために地質調査を実施し、先般発電所敷地外の調査結果を住民に説明するとともに、現在敷地内の調査を行っているところであります。 基準地震動の策定に当たっては、東京電力の調査結果や議員御指摘の資料も含め、既存の文献や資料についても確認する必要があると考えております。 このため、県といたしましては、本年秋の敷地内の調査結果がまとまり次第、耐震安全性評価のための資料として十分かどうか、地質問題も含めて技術委員会で確認し、必要な対応をすることとしております。 次に、再循環系配管のひびへの対応についてでありますが、御指摘の5号機のひびについては、東京電力は健全性評価の維持基準により、今後30年以上安全に使えると判断し、監視を強化しながら継続して使用することとしたものであります。 県といたしましては、これまでに確認されたひびについて、その程度に応じて個々に判断し、県民が安心できるよう、福島県と比べても遜色のない対応を東京電力に対し、求めてきたところであります。今後とも5号機を含め、技術委員会から助言、指導をいただきながら、県民の安全と安心を第一に、適切に対応してまいりたいと考えております。   〔福祉保健部長鈴木幸雄君登壇〕 ◎福祉保健部長(鈴木幸雄君) 障害者自立支援法施行後の県の施策展開の検証についてでありますが、障害者の自立支援とは、障害者本人が望む生活を地域で安心して送ることができるように支援することと考え、就労支援や地域生活移行に向けて支援してきたところです。 これら障害者自立支援法施行後の評価につきましては、今後、障害者本人に対するアンケート調査の実施などにより、検証してまいりたいと考えております。 次に、ふるさとの環境づくり宣言推進事業についてでありますが、本事業の目的は、地域の再生・融和を図るもやい直しの推進であり、地域社会の各層からのニーズなどを十分に把握しながら取り組んでいく必要があると考えております。 そのため、初年度である平成18年度は、地域社会が抱える問題やニーズを把握するため、県として、まず地域に根差した活躍をされているさまざまな分野の方々から御意見を伺いながら進めてきたこともあり、被害者団体のニーズが結果的に反映されていないと受け取られたものと考えております。 今年度の事業の実施に当たりましては、被害者の方々の御意見、御要望を十分に踏まえ、もやい直しや福祉対策の推進のための施策に反映させてまいりたいと考えております。   〔土木部長金子博君登壇〕 ◎土木部長(金子博君) 談合に対する罰則強化策への取り組みについてでありますが、大規模、組織的な談合等に対する指名停止措置を強化し、再発防止を図るため、ことしの4月から重大な独占禁止法違反等に対しまして、最長24カ月とする指名停止措置要件を新たに設けるなど、罰則を強化したところであります。 今後も違法、不正行為に対する入札参加停止の強化や違約金特約額の引き上げなど、さらなる罰則強化策を検討してまいりたいと考えております。 次に、保倉川放水路整備の費用や工事の影響についてでありますが、国土交通省では概算事業費を500億円程度と見込んでおりますが、今後策定されます河川整備計画において放水路の具体的な整備内容が決定されますので、その中で事業費や工事の影響等について、精査、検討がなされるものと考えております。 次に、小山議員の最後の御質問は、放水路による直江津港への影響と、それから海岸侵食に対する影響かと思います。 それぞれ事業主体でございます国土交通省でそれぞれの調査検討がなされるものと考えております。県といたしましては、直江津港への影響、それから海岸侵食に対する影響、これらに支障がないよう、国に対して要請してまいりたいと考えております。   〔教育長武藤克己君登壇〕 ◎教育長(武藤克己君) お答えいたします。 まず、地方交付税措置への対応についてでありますが、本年1月、3月及び5月の3回にわたり、市町村教育委員会に対し、特別支援教育支援員の配置に関する地方財政措置の有効な活用について通知しております。 また、4月16日の全県教育長会議においても、この財政措置を活用して、各市町村が計画的に介助員等を配置し、特別支援教育の一層の充実を図るよう強く要請したところであります。 次に、特別支援学校の整備についてでありますが、特別支援学校での教育を希望する児童生徒は年々増加しており、特に知的障害養護学校高等部への入学希望者が多くなっていることから、今後、各学校の実情や児童生徒数の推移を十分に見きわめた上で、計画的な整備に努めてまいりたいと考えております。   〔小山芳元君登壇〕 ◆小山芳元君 4点再質問いたしたいと思います。 まず、知事に言いたいのですけれども、私は知事に質問したのだけれども、なぜか部局長の答弁となってくると、それが私は非常に不満でありまして、知事の姿勢を問うものについてはきちっと知事から答弁していただきたい。これは、一つ注文をつけておきたいと思いますが、知事の答弁では、私の質問の仕方が悪いのかわかりませんけれども、見解が異なるという、そういう答弁が随分ありましたが、それはまた時間も関係ありますので、知事には入札制度の改革について、私は業者をいじめるとか、そういうのではなくて、健全な競争がなされれば、こんな問題も論議しなくていいわけでありますが、そういう不正な状況が生まれることを防ぐために提案しているわけでありますし、そういう意味で先進的なところのようにきちっと業者の皆さんにもこういう形で今後やりますよと明示することは、逆に私は親切だと思うのです。結果を検証しなくて、目標のプロセスを示すのはおかしいと知事は言われました。私は、そうではないと思いますが、そのことを再度お聞きしたいということであります。 それと、原発なのですけれども、私は知事の答弁ですべてよしとするわけにはいきません。何よりも、不正が常態化してきたという根本原因が究明されなければ、私は真の改善にはつながらないと思います。知事は答弁で、原発は発展途上のものであるから、その共通認識をみんなで持つべきだということでありますが、それでは完成品でないものを抱える地域住民にとってはたまったものではないのです。発展途上だからといって出たものについては直していくということではないと私は思うのです。やはり不正行為に対しては厳しく対応していくことが必要だと私は思いますし、県の対応については福島県と遜色ないと言っておりますけれども、実際はそうではない。そういう面で、やはりもっと県として不正をさせないという姿勢を知事の答弁としていただきたいと思うわけでありますが、何かしら住民の立場に立ったような答弁には私は聞こえません。そのことについて再度お聞きしたいと思います。 小木・直江津航路の件でありますが、知事は佐渡汽船の経営問題には関係がないと言っていますけれども、佐渡汽船株式会社の再建計画の策定の過程から、もう2009年度から小木・直江津航路は分社化だと、既成事実としてやっぱりあるのではないかと私は思うわけでありますが、そうなるとこの2年間の自治体の公的資金の投入は一体何であったのかということになってくるわけであります。やはり公共性が重視される離島航路でありますから、知事から改めて小木・直江津航路についての分社化はあり得ないのだという言葉を答弁していただきたいと思います。 教育長に1点、特別支援学校の件でありますが、高等部の施設が足らないことには今後、計画の中で取り組んでいきたいということでありますが、今現実の実態として施設の改修を早急に要するというところがあるのです。私も行って、見てきましたが、ぜひ教育長は現場を見ていただきたい。これは、普通の生活をしていたら本当に考えられないことなのです。やっぱり政治の光をもっと当てていただきたい。そういう面で、全体的な計画の中に改修も含めた見解をひとつお聞きしたいと思います。 以上です。   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 小山議員の再質問にお答えをします。 まず、入札改革のスケジュールについてでございますが、先ほど申し上げましたとおり、建設業が混乱して、地域の経済が大きな疲弊をこうむるということは避けるべきであるという県議会からの決議をちょうだいいたしております。そのため、当初の方針を変更して、スケジュール調整をしています。したがいまして、地域の状況を見きわめて、検証してからでなければ、当然、スケジュールは示せないということでございます。 次に、原発についてでございますが、御意見はちょうだいしたのですが、何が質問事項だったのか、私の意に沿う発言をしてくれというふうにしか聞こえなかったのですが、回答趣旨は先ほど申し上げたとおりでございます。 次に、小木・直江津航路についてでございますけれども、この分社化の話は経営形態をどうするかということと航路をどう守るかというのは関係ない話でございます。もっと平たく言えば、営業譲渡が行われて、ほかの会社が運営する可能性もあるわけです。そういう経営がどうなるかということと航路をどう守るかという話をリンクして議論しても私は仕方がないと考えております。   〔教育長武藤克己君登壇〕 ◎教育長(武藤克己君) 小山議員の再質問にお答えいたします。 高田養護学校の例を出されて、改修の必要性の御質問がありました。なかなか厳しい財政状況ではありますが、今後、特別支援学校の整備、改修については十分に意を用いてまいりたいと思っております。   〔小山芳元君登壇〕 ◆小山芳元君 知事に1点だけ、原発の問題で、何を質問しているかわからないということでありますが、今までの県の取り組み方が住民の立場に立っているのかどうかということがこれまでの答弁の中では私には聞こえてこないということなのです。 福島県では、例えば原発の配管がひび割れたと。国の基準より上回る独自の基準を持って、修理をしてから運転を再開する。新潟県は、国の基準どおり、遜色ないという形、ひび割れを容認して運転している。結果的に行き着くところは同じかもわかりませんけれども、県民が発展途上の品物を抱えている、そういう状況であるからこそ、よほど厳しい対応、きちっとした対応が求められていると思うのです。そういうことを私は言いたいのです。だから、知事はもっと県民の立場に立って物事を考えていただきたいということを私は言いたいのです。 どうも知事は、これから発展途上だから、おいおい、余り厳しくしてしまうと逆に情報を隠してしまうことになっては困るということを物の例えをとられながら言われましたけれども、私はそうではないと思うのです。不正がずっと常態化し、不正の隠ぺいが常態化してきたという体質をやっぱりまず正すべきだと。それには、やはり県に毅然とした姿勢で臨んでいただきたいと。ひび割れの容認についても、福島県と同じぐらいのことをやっていただきたい。このことを再度質問して、終わります。   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 原発問題についてでございます。 個人の責任を追及するよりも、地域の安全を確保することが重要ということを再三申し上げております。小山議員の御主張のような形で個人責任を追及した場合どうなるのかといえば、過去に大事故を招いた例があるということを申し上げてまいりました。地域住民のことを考えれば、いかに安全な原子力発電所をつくっていくかということが重要だと思っております。技術というのは日々進歩します。車は、今のもので見れば完成品かもしれません。しかしながら、技術の進歩によって日々変わっていくわけです。より安全な車をつくっていくと。原子力発電所だけに結論があって、これでもう完全ですなどというものは、人類の英知の中ではできないわけです。そのとき、そのときの最高の知見を入れて、常時、より安全な施設にしていくというのが当然の対応だと思っております。 ひび割れについては、かなり技術的な内容があるので、議会になじむかどうかわかりませんけれども、趣旨が伝わっていないようでございますので、防災局長に答弁させます。   〔防災局長渡邉博文君登壇〕 ◎防災局長(渡邉博文君) 小山議員の再質問にお答えいたします。 ひび割れにつきましては、福島第二原子力発電所においては3号機だけにこのひび割れが発見されまして、その健全性は9.9年という評価でございました。したがいまして、福島県はこれを取りかえたというところでございます。 一方、新潟県の柏崎刈羽原子力発電所におきましては、1号機は該当いたしましたが、これは40年間の評価が得られました。したがいまして、これは検査を継続しながら使い続けるということにいたしました。 また、3号機は、その健全性が13.7年と評価されました。これも当面は使い続けますけれども、次の検査で取りかえるという結果にいたしました。 それから、4号機につきましては、健全性は10.4年という評価でございましたので、これは取りかえたということでございました。 5号機は、先ほど申し上げましたとおり、この評価は31.4年ということでございまして、当面は使い続けるという結果でございます。 以上です。 ○副議長(帆苅謙治君) 小山芳元君の質問は終わりました。 次に、竹島良子君の発言を許します。竹島良子君。   〔竹島良子君登壇〕(拍手) ◆竹島良子君 日本共産党の竹島良子でございます。初めての質問ですけれども、どうぞよろしくお願いいたします。私は、日本共産党の立場から、県政が当面する幾つかの重要な問題について質問いたします。 最初に、新潟県中越大震災被災者支援等について質問いたします。 震災から2年8カ月が経過し、道路や農地、住宅などハード面の復旧はかなり進み、3度の冬を仮設住宅で暮らした被災者も、現在は住宅再建方法がほぼ決まった状況になったと言えます。いよいよ生業を再建しながらの暮らしが本格的に始まることになります。 私ども日本共産党も住民の苦難の軽減を図るという立党の精神を発揮し、震災直後から行政と力を合わせて被災者支援に取り組んでまいりました。私は、今回改めて山古志地区や栃尾地区を含めて視察し、被災者の要望をお聞きしてみて、県の新潟県中越大震災復興基金事業を早期に、より積極的に活用して被災者支援を図ることが必要と感じました。 復興基金事業の利用実績は、2006年度が64億6,000万円、当初予算の101億円を大幅に下回っています。2年続けて利用実績が少ないとの結果ですが、この復興基金事業の拡充と被災者へ改めて制度周知を図ることは急務となっています。 また、被害の大きかった中山間地域では、震災前に比べ、過疎化や高齢化がさらに進み、いわゆる限界集落としての新たな課題も想定されることから、今後は集落コミュニティーの維持や生業再建など、持続可能な中山間地再生に向けての被災者支援が課題となっています。 そこで、以下、被災者支援にかかわり、何点か質問いたします。 1点目に、復興基金事業について伺います。 質問の第1に、地すべりによる地盤災害の後、境界確定を行うために宅地の測量や再登記が行われています。地域でまとまって実施し、1世帯当たり20万円から30万円の費用がかかるという事例もあります。これらに対して復興基金事業で助成を行うべきではないかと考えますが、見解をお伺いします。 質問の第2に、住宅復興資金の利子補給や中小企業者への災害対策資金の特別利子補給、公営住宅入居支援などは5年間の支援となっています。 被災者全員の再建を最後まで支援する視点から、被災者の復旧を支援する復興基金事業のメニュー、例えば住宅復興資金の利子補給や中小企業者への災害対策資金の特別利子補給等について、被災者の置かれている状況やニーズに合わせ、支援期間の延長など弾力的な対応をすべきと考えますが、知事の見解をお伺いします。 質問の第3に、復興基金事業は既存事業の要綱改善や中山間地域再生に向けて新たなメニューが追加されるなどにより、充実が図られてきています。 復興が本格的に始まる今、被災者が有効に活用できるよう、改めて説明会だけではなく、個々の対応にも力を注ぐ、きめ細かな周知体制が必要と考えますが、知事の見解をお伺いします。 2点目に、中山間地の再生といわゆる限界集落について伺います。 新潟県中越大震災の特徴は、中山間地を襲った地震でした。その復興に当たっては、2005年3月策定の新潟県中越大震災復興ビジョンに、「失敗事例として記録されるのか、あるいは中山間地を再生・新生させたと記録されるのか、すべては被災者と被災者の声を受けとめる行政の取り組み次第である」と復興への強い意思が示され、同年8月に新潟県中越大震災復興計画が策定されました。 復興計画では泉田知事も、「被災地が5年後、10年後に、中山間地固有の資産を生かしながら、都会から帰ってきた団塊の世代や若者が集い、暮らす、夢と活気のある地域を再生していきたい」、「復興の「新潟モデル」を実現」と述べておられます。この中山間地固有の資産を生かしながら地域再生を図るという点が大変重要だと考えます。このことは、被災地の再生のみならず、県内の中山間地にも共通する視点だと思うからです。 そこで、質問の第1に、中山間地復興の「新潟モデル」実現には、環境、農地、産業、福祉、医療など多岐にわたる課題があり、知事の強力なリーダーシップが求められます。新潟県中越大震災復興本部会議の機能を強化し、庁内横断的に検討していくことが必要と考えますが、いかがでしょうか。 また、地域の潜在的な力を引き出すためには、地元で中核となる人材を育て、支援することが必要と考えますが、知事の見解をお伺いします。 質問の第2に、本年1月の国土交通省「過疎地域等における集落の状況に関するアンケート調査」中間報告によれば、いわゆる限界集落の数は全国で7,873となり、うち約3分の1は10年以内に消滅、あるいはいずれ消滅する可能性がある集落とされています。同調査において、県内では10年以内あるいはいずれ消滅するとされる集落はそれぞれどの程度あるのか、伺います。 また、5月22日の新潟日報社説では、「お年寄りの嘆きを聞こう」と題して、限界集落問題について述べています。「お年寄りたちの訴えは切実だ。稲作は自分の代で終わりとあきらめている人が多い。急増する耕作放棄に気をもみ、山林荒廃による地すべりや猿・クマの出没にも警戒心を募らせる。一番の心配は、自身の急病と不便になるばかりの公共交通、そして除雪だ」と述べ、さらに限界集落の視点を提起した長野大学の大野晃教授は、「行政は集落に入り、住民の声を徹底的に聞くのが第一歩という」、「高知県は、3年前から地域支援企画員制度を始めている。県職員60人が30地域に散らばり、現地に住みながら集落の活性化活動に専従している。本県もこのような腰を据えた支援策を検討すべきときではないだろうか」と述べています。 こうしたことを踏まえ、いわゆる限界集落への対策は中山間地被災地域の再生と同様に、庁内横断的な体制と人材の育成の視点と対策が有効であると考えますが、いわゆる限界集落を維持することの県の位置づけと維持、再生に向けての県の取り組み方向を、市町村の取り組みへの県の支援のあり方も含めて、知事の見解をお伺いいたします。 次、医療・福祉問題等について質問いたします。 今、政府の医療切り捨て政策によって、医療保険証の取り上げ、末期の患者の病院追い出しなど、医療から見捨てられる医療難民が急増しています。介護では、施設でも、在宅でも、人間らしく生きる最小限のサービスまで取り上げられ、介護難民と呼ばれるお年寄りが急増しています。日々働きながらアパートさえ借りられないネットカフェ難民が若者の間で広がっています。 あちこちで難民と呼ばれるような、人間としての権利も尊厳も奪われ、まともに生きていく最低限の条件も奪われる人々を大量に生み出すような社会でいいのでしょうか。今こそ地方自治体が果たす役割が問われており、この立場から何点かお伺いいたします。 質問の第1に、市町村が発送した6月からの住民税の納税通知書が各家庭に届き、その増額ぶりに市町村に対して抗議と問い合わせが殺到しています。 6月17日付新聞報道でも、新潟市で「住民税増、問い合わせ殺到」、「3日間で電話が約2,200件、窓口での相談は約420件に上った」とされています。 私の住む長岡市では、通知書が届いた6月12日から18日までの間に1,163件の問い合わせ、抗議が寄せられました。 単に税源移譲に伴うものだけでなく、定率減税の全廃による値上げが重なり、2年続きの増税は住民の生活に深刻な影響を及ぼしています。 この大増税が県民に与える深刻な影響について知事はどうお考えなのか、認識を伺うと同時に、負担増により生活が困窮する県民に対して、県としても負担軽減のため、しかるべき対策を講ずべきと考えますが、いかがでしょうか。 質問の第2に、県がことしの1月30日付で市町村に対して、要介護認定者の障害者控除についての周知徹底を図る通知文を出したことについて評価したいと思います。 その後、2月に県がまとめた市町村から住民への周知方法の調査結果では、34市町村のうち広報紙のみが18、何も周知していないところが6市町村もあります。 周知していないところはもとより、広報紙の周知だけでは極めて不十分であり、市町村から住民への周知方法は、長岡市のように介護認定者すべてに対し、個別に障害者控除対象者認定申請書つきの説明用紙を送るなど、親切な周知を行うよう市町村に徹底すべきと考えますが、知事の見解をお伺いします。 質問の第3に、幼児医療費助成制度で10月から入院の対象年齢が拡充されますが、これについての市町村の対応状況を伺います。 また、24都道府県が通院の対象を就学前まで、またはそれ以上としていますが、私は少子化対策に関する知事の熱意という点から、本県における通院の対象年齢に対する評価及び通院の対象を第1、第2子も含めた全子について就学前までに拡大する今後の見通しを知事に伺いたいと思います。 質問の第4に、国民健康保険被保険者証を取り上げられ、病院に行けずに死亡する事態がマスコミでも大きく取り上げられています。例えば週刊ポスト3月30日号は、「安倍政権「健康保険証」取り上げ愚政で弱者が次々死んでいる」と大々的に取り上げました。 ここでも紹介された全日本民主医療機関連合会の調査では、保険証を取り上げられ、病院に行けず、死亡した人は、ことしに入ってからの3人を含め、過去2年間で29人になりました。 新潟県で、こうした事態を決して生んではなりません。昨年6月の調査では、いわゆる資格証明書の発行が3,266、いわゆる短期証の発行が9,496あり、市町村によってこの対応に差があります。 機械的な取り上げを行わず、病気にかかっている人、失業中の人やリストラによって離職した人などは国民健康保険法施行令に当たる特別な事情に当たり、被保険者証を取り上げないなど、制度の周知を改めて徹底すべきと考えますが、見解をお伺いします。 質問の第5に、県が行った医療機関ヒアリング結果によると、医療型療養病床の66.7%が医療型として存続させたい意向、介護型療養病床も31%が医療型に転向したいとの意向です。また、入院患者、家族の本来希望する施設も、現在入院の介護型療養病床または医療型療養病床が最も多く、老人保健施設は5.8%、有料老人ホームはわずか0.2%にすぎません。 この結果からも療養病床の必要性は高く、県として改めて療養病床削減中止を国に求めるなど、地域に即した対応を検討すべきではないかと考えますが、見解をお伺いいたします。 次に、青年の現状と雇用対策について質問をいたします。 今、急速に広がっている若者の貧困は、日本社会の未来にかかわる重大な問題です。 県内のインターネットカフェに聞き取りをすると、働いてもアパート代さえ払えず、インターネットカフェに寝泊まりするネットカフェ難民と呼ばれる若者たちが本県でも増加傾向にあります。 5月18日付の新聞社説では、「カフェ難民は、非正規雇用の若者がほとんどだ。携帯電話で人材派遣会社からその日の仕事を紹介される日雇い派遣がふえており、年収100万円程度の低賃金で働く者も少なくない」とし、「将来のある若者たちが定住の場もなく、その日暮らしを強いられているのは社会的にも大きな損失だ」、「厚生労働省は事態を重視し、全国でカフェ難民の実態調査をすることを決めた」と報道しています。 質問の第1に、新潟県の未来を担う若者の今後の対策を進める上でも、県として実態調査を行うべきと考えますが、見解をお伺いいたします。 質問の第2に、こうした若者に家賃補助、職業訓練の機会を抜本的にふやすこと、蓄えがない若者でも職業訓練を受けられるように訓練期間中の生活資金の援助を行うことなどが必要と考えますが、見解をお伺いいたします。 質問の第3に、県営産業団地は県として多額の補助金を支出し、企業立地を行っているだけに、正規雇用として県内に定着していくことが求められています。 例えば京都府では、府が誘致する企業に対し、非正規雇用より正規雇用に多く補助金を出すようにするなど企業誘致条例を改正しましたが、本県でも正規雇用拡大のために、県が補助金を出す県営産業団地立地企業、立地予定企業に対して、地元地域採用、正規採用を勧める協定を結ぶべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。 質問の第4に、県がまとめた昨年の労働相談の状況によると、相談件数は2,078件で、前年度に比べ517件増加し、相談内容別では賃金や長時間労働など労働条件に関するものが1,243件で最多になっています。さらに、前年度に比べ、賃金不払い、解雇、労災保険に関する相談のほか、休暇がとれないなど、働き方そのものについての相談がふえています。 民主青年同盟新潟県委員会の皆さんが取り組んだ青年雇用アンケートでも、菓子製造、正社員、20歳女性は、「13時間労働でも月収は11万円。サービス残業がある。有給休暇もない。契約書もないので、就業時間がわからないで困っている」、また製造業、派遣社員、33歳の男性は、「派遣社員として5年。契約書がなく、就業規則もわからない。正社員になって解雇の不安をなくし、収入を月18万円くらいにして安定させたい」など具体的な声が寄せられ、青年労働者が劣悪な労働条件のもとにある実態や権利自体を知らない実態が浮かび上がってきています。 そこで、青年労働者の労働条件改善のために、労働局とも連携し、働く者の権利を知らせる対策を行うべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。 質問の第5に、青年労働者にとっては、違法状態にあってもそれが違法とわからないことが多く、また違法と知っても告発することが難しいのが現実です。そこで、青年に労働法で保障されている権利を知らせるために、県がこの間、県内すべての高校卒業生に配布している「労働ワンポイント講座」を専門学校卒業生など、より多くの青年労働者に届けることが必要だと考えますが、見解をお伺いいたします。 次に、ダムについて、柏崎市に320億円かけて建設中の鵜川ダム建設について質問をいたします。 質問の第1は、鵜川の治水対策は環境破壊のダム建設によらず、堤防のかさ上げなど河川改修、遊水地などで対応すべきではないかという点です。 鵜川ダムは、基礎岩盤が軟弱層であることから、大量の岩石が必要となるロックフィルダムであり、その岩石採取のため、原石山の形が変わるほどになります。さらに、広大な土捨て場が必要であり、ダム建設自体も含めて大変な環境破壊となります。 一方、2004年7月の水害で破堤により浸水家屋2,392戸、一般被害額586億円もの被害をもたらした刈谷田川は、2005年4月の社会資本整備審議会河川分科会の「総合的な豪雨災害対策の推進について」の提言を踏まえて、河川改修と遊水地を組み合わせた改良復旧事業が採択されました。遊水地は、約90ヘクタールの農地に洪水を一時的にため込むもので、その貯水容量は約200万トンが予定されています。 注目されるのは、これは鵜川ダムが治水のためにため込む洪水調節水容量の228万トンに匹敵するものだという点です。 鵜川水系で河川改修とあわせ、こうした遊水地の手法が取り入れられれば、治水を目的とする鵜川ダム建設の必要性はなくなります。 鵜川の治水対策は、環境を破壊するダム建設によらず、河川改修と遊水地を組み合わせたものに見直すことを検討すべきではないか、見解をお伺いしたいと思います。 質問の第2は、鵜川ダムをロックフィルダム型式としたのは、基礎となる岩盤に軟弱層が確認されたことなどが理由となっていることに関してです。 国土交通省が事前調査で確認された地すべり対策を十分にしたとされる、奈良県に建設された国直轄のダム、2003年3月に完成した大滝ダムが試験湛水で地割れや亀裂が発生し、新たな地すべり対策などに約430億円かけることとなりました。当初の事業費345億円から最終的に800億円を超える事業費に膨らんだ奥三面ダムを例に出すまでもなく、ダム建設は次から次へと際限なく対策工事と税金を使い続ける可能性があります。軟弱層に建設予定の鵜川ダムの場合は、そうした懸念はないと言えるのか、懸念がないのであれば、その根拠も含めて伺いたいと思います。 質問の第3に、東京大学出版会が発行した「新編日本の活断層」によれば、ダム建設予定地の北5キロの地点に確実度2の活断層が2本走っています。鵜川ダムの建設予定地の基礎岩盤は軟弱層に当たることもあり、ダム建設計画に当たり、このことは考慮に入れたのか、またこの活断層が活動した場合のダムに与える影響についてどういう見解をお持ちか、伺いたいと思います。 次に、教育問題について質問いたします。 文部科学省の委託事業として、日本青年会議所作製のアニメ「誇り」が全国の学校現場で上映されようとしていることが5月17日の国会で明らかになりました。このアニメのストーリーは、若くして戦死した靖国神社の英霊が現代にあらわれ、自分の子孫である女子高校生に、日本の戦争は自衛のための戦争、アジアの人々を白人から解放するための戦争だったと語りかけるものです。 加害の事実には触れず、日本がアジア諸国を助けたと描き、日本人の戦争への反省はGHQによる洗脳の結果と説明されるなど、ひどい内容です。国会答弁で、伊吹文部科学大臣は「私が校長なら使わない」と答弁せざるを得ませんでした。日本やドイツが起こした戦争は、不正義の侵略戦争であった。この認識は、戦後の国際政治の出発点です。日本もそのことを認めて、国際社会に仲間入りしました。 戦後50年のいわゆる村山談話は、植民地支配と侵略によるアジアへの多大の損害と苦痛への痛切な反省を表明しています。 教育については、アジアの国々の国民に多大な苦痛と損害を与えたことを深く自覚し、このようなことを二度と繰り返してはならないとの反省と決意が学校教育に当たって当然尊重されるべきだという1982年の官房長官談話があります。 こうした世界と日本の根本原則からいって、このアニメが公教育で使われることはあってはならないことです。 6月20日に、日本青年会議所は、このアニメを使う文部科学省との新教育システム開発プログラム事業の委託契約を辞退したことが明らかになりました。同時に、辞退はしましたが、日本青年会議所は「文部科学省の委託事業ではなく、自分たちの独自の運動として推進」とも述べていることは軽視できないものです。 そこで、質問の第1に、県教育委員会は県内の学校現場で日本青年会議所作製のアニメ「誇り」を使う予定の学校をどう把握していたのか、伺います。 質問の第2に、日本の戦争は自衛のためだったなどと語るこのアニメが学校現場に持ち込まれることは決してあってはならないと考えますが、教育長の見解をお伺いいたします。 最後に、自衛隊による国民監視活動について質問をいたします。 我が党の志位委員長が自衛隊の内部文書をもとに記者会見で明らかにした、自衛隊の情報保全隊が国民のあらゆる活動を系統的に監視し、記録していた実態に衝撃と怒りが広がっています。 自衛隊が国民の動きを監視し、記録するなどというのは、日本国憲法をじゅうりんし、自衛隊法などにも根拠を持たない違憲・違法の活動です。 自衛隊という軍隊が国民の知らない間に国民のあらゆる活動を系統的に調べ上げ、記録するというのは、戦前の憲兵政治復活にもつながる重大問題です。自衛隊の情報保全隊は、2003年にそれまでの調査隊を改編・強化したもので、その任務は自衛隊の機密情報の保護と漏えいの防止にあります。 今回の内部文書は、それにも反して、国民を監視するのが情報保全隊の仕事だったことを明白にしたものです。 今回、明らかになったのは、陸上自衛隊東北方面情報保全隊が作成した文書と情報保全隊本部が作成した文書の2種類であり、その期間は2003年11月から2004年2月の間に作成されたもののうちの一部です。 そこには、自衛隊のイラク派兵に反対する運動の記録と同時に、医療費負担増、年金改悪、消費税増税に反対する運動まで詳細に記録されています。このわずかな期間の記録でも、本県の新発田市の政党や市民団体の監視記録が記載されているなど、新潟県民にも深くかかわるものです。 そこで、質問の第1に、泉田知事はこうした違憲・違法の活動は許せると考えているのか、見解をお伺いいたします。 質問の第2に、この自衛隊情報保全隊の活動の全容を明らかにさせるとともに、違憲・違法な監視活動を直ちに中止させるよう政府に申し入れるべきと考えますが、知事の見解をお伺いし、私の初めての質問を終わります。(拍手)   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 竹島議員の一般質問に順次お答えいたします。 まず初めに、支援期間の延長など、新潟県中越大震災復興基金事業の弾力的な対応についてであります。 基金事業の実施に当たりましては、被災者の要望、復旧の現状を十分把握しながら、必要に応じ、支援期間の延長や要件の緩和を行っているところでございます。 お尋ねの利子補給関係事業につきましては、現在5年を期限として支援を実施している途上にございます。制度利用者の復旧・復興の状況をきめ細かく見守りながら、必要に応じた対応を行ってまいりたいと考えております。 次に、施策をきめ細かく周知してはどうかというお尋ねでございます。 これまでも市町村の全面的な御協力のもと、生活支援相談員や民生委員などを通じまして、特に仮設住宅入居者に重点を置いた周知活動を行ってまいりました。 今後、さらに復興を進めていく過程で、基金メニュー拡充も想定されております。こういった情報がそれぞれお一人お一人に届くというのが大変重要なことだと思っております。周知体制につきましても、新たに制度化いたしました地域復興支援員の活用、またNPO団体、産業関連団体などの協力を得ながら、より効果的に活動を強化してまいりたいと考えております。 次に、震災復興の推進体制などについてでございます。 復興への本格的な取り組みに当たっては、御指摘のように、多岐にわたる課題を抱えているというふうに思っております。位置づけも竹島議員と同じ認識でございまして、まず被災地に固有の中山間地が持っている価値というものを多くの人に認めていただいて、復興が進むようであれば、ほかの地域に適用できると考えております。復興基金も今後支出が決まっている部分を除いても、まだ300億円ほど復興に使える余地があると思っておりますので、ある意味で実験地域、モデル地区という形での施策展開も可能ではないかという認識を持っております。 全庁体制で幅広い施策を展開していくということで、新潟県中越大震災復興本部会議を定期的に開催して、意思疎通をより綿密に進めてまいりたいと考えております。 また、被災地におきます産業興し、都市との交流、情報発信などの取り組みには、これも御指摘のとおり地域をリードする人材の育成が不可欠であろうと思っております。 先ほども梅谷議員への答弁だったと思いますが、山古志地区で丸山結香さんが進めているあねさの会と、こういう受け皿があることによって、地域全体に多くの可能性を導き出しているという認識を持っています。 マーケティングとかコーディネートという機能がお一人お一人の幸せ、また地域の元気というものにつながっていくと考えております。地域の知恵を生かした取り組みを支援する体制づくりに力を入れてまいりたいと考えております。 今後の過疎対策等についてであります。 まず、消滅が予想される集落等は、国土交通省が実施いたしました調査の本県データを見ますと、調査対象集落2,777のうち、10年以内に消滅すると予想された集落が44でございます。いずれは消滅と予想されたものが127で、合計171集落ということになっております。7年前に実施いたしました同様の調査において、10年以内に消滅する可能性があるとした集落が現状でも85%が存続していますので、消滅の危険がある集落に入ったからといって必ず消滅するとは限らないということだと思っています。消滅可能性については一応の目安でありますが、実際どうなるかというのはやはり地域、地域の取り組みによるところが多いだろうと思っております。 県としての今後の過疎対策でございますが、先ほど小山議員にも答弁したとおりでございます。何もやっていなかったわけではなくて、法律に基づく対策等を実施してきていると、しかしながらその結果が十分なものだったのかというところがまず検証されないといけないでしょうし、その結果うまくいっていないのであれば、どこがうまくいかなかった原因なのかということを一度洗い出す必要があるのだろうと思っております。そのような洗い出し作業を踏まえて検証した上で、今後の対策を導いていきたいと考えております。 次に、医療・福祉問題等についてお答えします。 まず、住民税の増額が県民に与える影響についてであります。 今回、増額された住民税の部分でございますが、これは議員御指摘のとおり、所得税から住民税へ三位一体の改革の関係で移譲されたということが基本でございます。しかしながら、それに加えて、これも御指摘のとおり、定率減税の廃止がなされていると、また高齢者の非課税措置が廃止されているというところがございます。したがいまして、特に高齢者世帯の負担感が増加したのではないか、このように認識いたしております。 県といたしましては、生活が困窮されている方々の実態をまず把握したいと考えております。この実態を把握した上で、必要に応じて対応策を検討してまいりたいと考えております。 次に、要介護認定者の障害者控除についてであります。 県では、この制度が適切に実施されますよう、ことしの1月及び2月に市町村に対し、制度の周知を図るように依頼したところでございます。 しかし、地方自治体同士の関係というのは、御承知のように、県が市町村を指導・命令するという立場にございません。最終的にはそれぞれの自治体の判断ということになると思っております。 それでは進まないのではないかという話になりますので、県といたしましては再度、制度の周知を図るように市町村に依頼したいと思っております。その上で、その対応状況を公表するなどして、制度の周知徹底が図られるように助言をしてまいりたいと考えております。 次に、通院の対象年齢に対する評価についてであります。 これも御承知のとおりだと思いますが、県内の市町村の多くが就学前までを既に助成対象としております。制度の施策の対象となる県民から見れば、実質的には全国とほぼ同様の水準で助成がなされているのが現状でございます。 したがいまして、制度を拡充するときに、県民にとってどういうメリットがあるかということを検証しないで実施をすれば、単なる負担の振りかえにしかならないということになります。やはり大切なことは、県民お一人お一人が直接的にサービスの充実を実感できるような施策になることであると考えております。入院医療における県制度の拡充を受けた市町村の動向を見きわめた上で今後の対応を決めてまいりたいと考えております。 次に、青年の状況と雇用対策、そのうちの県営産業団地に立地する企業の雇用についてでございます。 企業誘致がなぜ必要なのかといえば、再三申し上げているとおり、新潟県の中小企業は付加価値という点で下請型の構造を持っておりまして、十分な給料が支払われていないという実態があるわけでございます。そこに勤める人の生活を安定させるという意味で、より給料の高い職場、そして生活が安定できるような正規雇用をふやしていくことが大変重要であるというふうに認識いたしております。 こういう観点に立ちまして、誘致企業に対しましては、地元住民の優先雇用への配慮をお願いしているところでございます。それに加えまして、正規雇用にも極力配慮するように要請をいたしております。 一方で、新潟県の状況でございますが、以前も申し上げましたけれども、残念ながら企業にとって、雪が降らない地域に対して新潟県は劣後する地域になってしまっているというのが現実でございます。雪の降らない京都府がやった同様のことをやれば、競争力を失って、職場自身の獲得の可能性が下がるということもあり得ると思っています。 条件を厳格にすると、今度は働く場がなくなって、若者の県外流出が促進されるという側面もあるわけでございます。やはりバランスの中で決めていくということが必要ではないかと考えております。 次に、青年労働者の労働条件改善についてでございます。 労働基準法に違反する案件につきましては、国の機関であります労働基準監督署が実態を把握して、必要に応じて指導監督を行っております。 地方分権との関係で言えば、お尋ねのような点は、地方で関心があるわけですから、本当に国がやった方がいいのか、それとも地方が責任を持った方がいいのか、そこは国民的議論が私は必要だと思いますが、現状においては国が責任を持つという体系になっております。 社会人としてスタートしようとする若者たちが労働法の基本を理解する、そして教育現場においてしっかりとした職業観をはぐくむキャリア教育を推進するということが大変重要だと思っております。 キャリア教育と日本でいいますと職場見学程度になっております。しかしながら、北欧では日本でいう小学校の低学年の時代から、どういう職業につくと将来の設計がどうなるか、どういう人間関係をつくっていくのか、また勤務条件はどうかというようなことを情報提供した上で、みずからの進路を判断できるような教育、本当のキャリア教育が行われております。日本では大学に入ってもモラトリアムという形で、就職するよりはとりあえず大学に進学するというようなことになっており、大きな落差がございます。そういう教育環境も含めて、見直していく必要があるのではないかというふうに思っております。 いずれにいたしましても、労働法に対する事業主や働く者の理解を深めることが重要だと認識いたしておりまして、関係機関と連携しながら周知啓発に努めてまいりたいと考えております。 次に、自衛隊による国民監視活動についてお答えいたします。 自衛隊の情報保全隊の活動についてでございます。 防衛のためには、平時から情報収集活動が必要であるという意見が一方でございます。議員御指摘のように、一部で市民のプライバシーの侵害等を懸念する意見もございます。 このように国政上の対立する意見がある問題につきまして、地方自治を預かる知事としてコメントをすることは差し控えたいと考えております。 次に、自衛隊の情報保全隊の活動に対する申し入れについてでありますが、国政上の課題について、それも意見が対立する事柄に対して政府に申し入れを行うためには、まず県民の合意が必要であるというふうに考えております。 先ほども答弁したとおりでございますが、この問題については対立する意見がありますので、議会の中でも御議論いただきまして、決議等を通してコンセンサスをつくっていただければ対応したい、このように考えております。   〔県民生活・環境部長棚橋進君登壇〕 ◎県民生活・環境部長(棚橋進君) 新潟県中越大震災復興基金事業による宅地の測量等に対する助成についてでありますが、住宅再建は被災された方々が安定した生活を取り戻すための最も基本的な条件であり、県といたしましても復興基金事業などを使い、重点的に支援しておりますが、宅地の測量や再登記に係る費用については被災者生活再建支援事業補助金の対象となること、また住宅再建の支援事業につきましては復興基金などにより相当の負担軽減が図られていることなどから、現時点では新たな支援の必要性は低いと判断しておりますけれども、今後の状況を見た上で、必要な場合は財団に支援の検討をお願いしたいと考えておるところでございます。   〔福祉保健部長鈴木幸雄君登壇〕 ◎福祉保健部長(鈴木幸雄君) 幼児医療費助成制度の拡充についてでありますが、本年10月から、県の制度としては入院の対象年齢を小学校卒業まで拡大することとしておりますが、現時点で県内23の市町村において、助成対象年齢が県制度と同等以上となる見込みであります。 その他の市町村に対しましても、県の制度に対応して年齢を拡充していただけるよう働きかけてまいりたいと考えております。 次に、国民健康保険被保険者証の取り扱いについてでありますが、保険料、税を1年間滞納している世帯主に対し、被保険者証の返還を求める場合は、画一的に行うのではなく、国民健康保険法の趣旨を踏まえ、災害等の特別の事情がないかなど、被保険者の状況をよく把握して判断するよう、市町村保険者に対して機会あるごとに助言、指導を行っているところであり、引き続き制度の周知徹底に努めてまいります。 次に、療養病床の再編成についてでありますが、ことし4月の医療機関ヒアリングの結果では、全体として、まだ態度を決めかねている状況にあると見ております。 その後、国から新たな転換支援策が示されましたので、県といたしましては、8月ごろに再度予定している意向調査の結果を踏まえ、市町村や医師会などの関係者で構成する検討会などにおいて御意見をお聞きしながら、医療機関の意向や地域のケア体制整備状況など、実情を踏まえた転換計画を策定してまいりたいと考えております。 なお、検討の過程において明らかになった課題などにつきましては、必要に応じて国に提案、要望を行ってまいります。 以上でございます。   〔産業労働観光部長丸山仁君登壇〕 ◎産業労働観光部長(丸山仁君) いわゆるネットカフェ難民についてでありますが、ネットカフェ難民の定義があいまいであり、本県における存在自体、さらにその増加については、現段階では確認できておりません。 仮に存在するとしても、一般の利用者と区別がつきにくいことなどから実態の把握が困難な面があり、今後、国においては関係者と調整を図りながら的確な把握方法を見出し、実態調査を行うこととしております。 県といたしましては、国で行う実態調査の結果について、注視してまいりたいと考えております。 次に、若者に対する職業訓練機会の確保や訓練期間中の経済的支援についてでありますが、県では、従来から実施しております若年未就職者に対する職業訓練に加え、平成16年度から企業実習と教育訓練を組み合わせた実務・教育連結型人材育成システム(デュアルシステム)による職業訓練を実施するなど、若年早期離職者やフリーターなど不安定就労者の職業訓練機会の確保に努めているところであります。 また、訓練期間中の経済的支援につきましては、独立行政法人雇用・能力開発機構において、雇用保険未加入など一定の要件を満たす公共職業訓練受講者に対しまして、無利子、無担保の技能者育成資金を貸し付けておりますので、有効に活用されるよう制度の周知に努めてまいります。 次に、若者向けに労働法等をわかりやすく解説するパンフレットの配布についてでありますが、若者の円滑な職場定着などを図るため、平成17年度から「若者のための労働ワンポイント講座」と題したパンフレットを就職予定の県内すべての高等学校卒業生に対し、各学校を通じて配布しているところであります。 あわせて、より多くの方々にごらんいただけるよう、県やジョブカフェのホームページにも掲載しているところであり、今後とも周知に努めてまいりたいと考えております。   〔土木部長金子博君登壇〕 ◎土木部長(金子博君) 鵜川の治水対策についてでありますが、鵜川の下流部は柏崎市の中心市街地を貫流しており、河川改修のみでは大量の用地や補償物件が生じ、遊水地も広い用地が必要となるなど、地域住民に与える影響が大きく、事業実施上、極めて困難であると考えております。 また、鵜川のような中小河川は流路延長が短く、流出が早い特性を有しており、洪水流量を低減するためには上流部での貯留施設が有効な手段となります。 このため、鵜川の治水対策としては、ダム建設と河川改修による現計画が最適であると判断しております。 次に、鵜川ダム建設地の地質についてでありますが、ダム及び貯水池周辺について、空中写真調査、現地踏査や地質調査ボーリングを実施し、ダム湛水後の安定性、地すべりの規模、保全対象への影響について検討した結果、地形・地質上、ダム及び貯水池に影響を与えるものはなく、問題は生じないものと考えております。 次に、ダム建設予定地周辺の断層についてでありますが、ダム建設に当たり、建設予定地周辺10キロメートル以内を対象に活断層の調査を実施し、確認された断層については、ダムサイトからの距離、断層の長さや方向を評価した結果、ダムに直接影響を与えるものではないと判断しております。   〔教育長武藤克己君登壇〕 ◎教育長(武藤克己君) まず、日本青年会議所作製のアニメ「誇り」の学校現場での使用についてでありますが、御指摘のアニメ教材は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第33条による承認や届け出の対象となる教材には当たらないことから、その使用状況については承知しておりません。 次に、学校現場へのアニメ「誇り」の持ち込みについてでありますが、各学校が使用する教材につきましては、自校の教育課程に適合しており、かつ内容及び表現が正確、適切であること等を考慮して、校長の判断と責任において適切に選定されているものと考えております。 以上です。   〔竹島良子君登壇〕 ◆竹島良子君 再質問をお願いいたします。 まず、青年の対策なのですけれども、ジョブカフェ等のホームページに載せて周知を図るということなのですけれども、紹介いたしましたアンケートの中にも、とにかく就業規則も知らされないで働かされている実態が多くあるということで、新潟県の未来を担う若い人たちがこういう立場に置かれていることでいいのかということですが、示しました「若者のための労働ワンポイント講座」というのは一例であるわけでして、より多くの人に働く者の権利を知らせるために、ぜひとも県としても知恵を出して、こうした事態をできるだけ減らしていくという努力が必要ではないかということです。まさに県の姿勢が問われているわけですので、ぜひとも専門学校への依頼も含めて、県の姿勢をもう一回確認をさせていただきたいと思っています。 ダム問題ですけれども、鵜川ダムの公共事業再評価委員会が2003年に行われておりますけれども、その時点でも、今答弁がありました、現計画以外の代替案は主に下流部の堤防の引き堤による河川改修しかないわけで、現行推進という方向になっております。ダム建設が始まっているわけですけれども、まだ、ダムサイトに着手されていないということを考えますと、現在、刈谷田川が行われているように再評価委員会の後、遊水地という手法がとられるようになったということもありますから、遊水地という手法についても入れた形で改めて検討するに値するのではないかという提案をさせていただきました。代替案に遊水地案も入れて、再評価委員会にかけるつもりがないかどうか、改めてお伺いしたいと思います。 それから最後、教育問題ですけれども、校長判断で行われているということでしたけれども、私の質問は、極めて偏向した内容の日本青年会議所作製のアニメが学校現場に持ち込まれることはあってはならないということについて、教育長としての見解を求めたものでありまして、最終的に学校長の判断だという答弁を求めているものではありません。国会でも伊吹文部科学大臣が「私が校長なら使わない」と答弁されているように、そうした教育長としての見解をどのようにお持ちであるかを再度答弁を求めたいと思います。 以上、再質問いたします。   〔産業労働観光部長丸山仁君登壇〕 ◎産業労働観光部長(丸山仁君) 竹島議員の再質問にお答えしたいと思います。 若者向けに労働法等をわかりやすく解説するパンフレットを専門学校等へ配布したらどうかということでございますけれども、私どもとすれば、県やジョブカフェのホームページに記載しているところでございまして、ただ記載しているという事実がなかなか周知されないという嫌いもございますので、その点については専門学校等を通じ、こういったところに記載されている旨の周知徹底をより図ってまいりたいというふうに考えております。   〔土木部長金子博君登壇〕 ◎土木部長(金子博君) 竹島議員の再質問に対してお答えいたします。 さきにお答えいたしましたとおり、鵜川の治水対策としては、ダム建設と河川改修による現計画が最適であると判断しているところであり、御指摘の点については今のところ考えてはおりません。 以上でございます。   〔教育長武藤克己君登壇〕 ◎教育長(武藤克己君) 再質問にお答えいたします。 偏向的教材であり、こういったものを教育現場に持ち込むことについての私の見解ということでありますが、私は当該アニメを見ておりませんので、教材としての適否は判断しかねます。ただ、一般論としては、偏りのない、公正・中立の観点から教材は当然選定されるべきだというふうに考えております。 以上です。 ○副議長(帆苅謙治君) 竹島良子君の質問は終わりました。 15分間休憩いたします。  午後3時35分 休憩   ――――――――☆――――――――  午後3時51分 開議 ○議長(長津光三郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、志田邦男君の発言を許します。志田邦男君。   〔志田邦男君登壇〕(拍手) ◆志田邦男君 公明党の志田邦男でございます。 それでは、まず県政の諸課題からお聞きしたいと思います。 最初に、道州制の問題について質問いたします。 この道州制の問題は、今回の定例会で大変活発な論議が交わされております。やはり目の前に具体的なものがだんだん、だんだんと見えてきたという状況なのかなというふうに思っております。 この問題については、この定例会において、知事から基本的な見解が述べられております。私は、知事が主張している、まず国の姿をどうするのかという問題提起については全く同感であります。 具体的な質問に入る前に、多少私の意見を述べさせていただきます。新潟県は、現在35市町村と平成の大合併の優等生の県であります。市町村合併は確かに必要であるというのは、基本的に私もそう思います。そして、数年後には30を切る市町村の数というような状況になろうかと思います。その結果がどうだったのかは、これから検証しなければならないところですが、今のところ器だけは大きくなった。しかし、住民の意識が本当に一体となってまちづくりに向かうようになるには、とても10年、20年では追いつかないのではないのかという疑問も残ります。 これは、一つには国が財政的な面に重きを置き過ぎ、本当の住民自治という観点からの法的整備、権限移譲をしてこなかった、また自治体としても財政破綻にならないよう急いでバスに乗らなければならない、今のところこんな感じがする合併だったのではないかなと、こういう感、なきにしもあらずの状況ではないかと思うのであります。 ただ、いずれにしても基礎的自治体が大きく変わってきたのは事実であります。その次として明治以来の都道府県体制の見直し、道州制が提起されてきました。 道州制の実施は、日本の国家100年の方向性を決める極めて大きな問題であります。その意味では、この問題は地方制度のあり方というよりは、国家としてのあり方をまず論議すべきではないのか。それなのに、地方制度調査会の答申では、主に市町村合併の次は道州制ですよという安直なニュアンスを強く私は感じるものであります。また、昨年成立した道州制特区推進法においても、国として本当に地方分権を進めるとの意思が見えないのであります。 地方制度調査会の答申で私が一番理解できないのは、地方制度調査会が3パターンの区割り案を出したことであります。本格的な制度設計を議論しようというときに区割り案を出せば、多くの人の目は、我が地域はどこと一緒になれば有利なのか、また州都はどこになるのかと、こういう極めて矮小化された議論になっていくのは目に見えていることであります。国の骨格が明らかになれば、地方のあり方もはっきりするのではないでしょうか。現に最近のマスコミの特集などでも、どこと一緒になればよいかとの論調が強まってきていると私は感じております。 そのような意味で、この道州制は単なる都道府県の合併でなく、国と地方の役割分担や広域自治体、基礎自治体の今後のあり方について十分な議論を尽くした上での制度設計が必要であると考えます。知事も全国知事会などを通じ、意見を述べているところでありますが、本質的な議論を展開していただきたいと思いますが、知事の見解を伺います。 本県は、全国の中でも極めて特異な状況に置かれております。そのことは、逆に道州制という議論の中で地域とは、生活とはどうあるべきかという本質的な議論ができる数少ない県であると私は考えます。その意味においても、「一県で道州を構成する可能性を排除することなく」という今回の知事の主張、これは大変心強い主張であります。私も全く同感であります。私は、安易な組み合わせ論にくみすることなく、本質的で、そして歴史、風土をしっかり踏まえた議論を展開するよう期待しております。 ちなみに、そのようなさまざまな状況を考えると、新潟県が本当にあるべき姿はどうなのか、私は新潟県が独立国としていくのが最も望ましい姿ではないか、このような考えを持っております。 さて、しかしながら現実には政府の道州制ビジョン懇談会が発足し、道州制の理念、大枠についての論点整理としての中間報告を本年度中に取りまとめるとしております。また、自由民主党の道州制調査会でも20日、第2次中間報告が取りまとめられ、10年後までに道州制に移行するとされており、ここにきて道州制の動きが早くなってきているのかと思わざるを得ません。 道州制については、その関心度は全国それぞれ違いがございます。四国、九州などは、既定の枠組みでそのままいくでしょう。しかし、本県のように特異な県においては、そのような地域と一緒のペースで議論するのは難しいのではないかと思うのであります。知事は、現在の動きをどのように受けとめているのか、見解を伺います。 次に、政府は、納税額の一部をふるさとなど地方の自治体に移すふるさと納税を提案して、現在、議論されているところであります。このふるさと納税に関しては、その定義、税体系、大都市と地方の関係という面において、いささか難しい問題を抱えているのではないか、またこの税制が組み込まれたときに結果として交付税総額が減るのではないかという懸念もあります。現在いろいろ議論がなされている最中ですが、こうした構想に対しての知事の見解を伺います。 先ほども質問がございました。今月、6月度の給料明細を見て、個人住民税の増額に驚いた人が多いと言われております。これは、国から地方への税源移譲や定率減税の廃止などによるものであります。しかし、増額となった分、すべてが負担増になっていたわけではない。実際の負担額を知るには、所得税の変化も含めて考えなければならないところであります。 政府は、2005年11月、国から地方へ3兆円の税源移譲を行うことを決めており、そのための税制改正がことしから実施されています。具体的には国税である所得税を減らすかわりに、地方税である住民税をふやす。これは、あくまで所得税と住民税の配分を変えただけですので、合計の負担額がふえることはありません。所得税の減税は、給与所得者は既に1月から実施されています。年金所得者は2月から、事業所得者は2008年2月から3月の確定申告から。6月からは住民税が増額となりますが、税源移譲に伴う年間の税額負担は変わらないと。一部の報道、政党などでは、住民税の増額だけを取り上げ、大増税などと不安をあおる例がありますが、これは地方分権への流れを無視し、正確さを欠いた無責任な主張ではないのかと私は思うのであります。 税源移譲は、地方からの強い要望のもと、実現したものであります。これによって身近な地方自治体の権限が拡大され、住民のニーズに合った、きめ細かな公共サービスが充実されるよう、特に望むものであります。知事は、所得税の減額と住民税の増額による今般の3兆円の税源移譲について、地方分権の推進の観点からどのように評価しているのか、伺います。 次に、平成21年、二巡目の新潟国体についてお尋ねをします。 トキめき新潟国体においては、新潟県中越大震災等の数々の災害を乗り越えての国体として、また新潟のイメージを大きく変える国体として、ぜひとも成功を期していかなければならない、このように思っております。地方の国体開催で開催県が初めて総合優勝したのは、昭和39年の新潟国体でありました。以後、開催県優勝というレールが引かれたのですが、このことについてはいろいろ論議がなされておりますが、多くの種目に優秀な指導者が集まり、全国各地でスポーツの底上げが図られたという事実を忘れてはなりません。長い間、新潟県はスポーツにおいて低迷しておりました。このようなことがひいては新潟県の存在感の薄さの原因の一つではないかとも言われております。一巡目の国体のときには、直後に新潟地震があり、その後のスポーツ振興がうまく軌道に乗れなかったのではないかと私は感じております。近年、新潟はプロ・アマ多くのスポーツ選手が活躍をしており、これは大変喜ばしい状況であります。 そこで、今回、新潟県で国体をやるからには、何としても総合優勝を目指してもらいたい。この間いただいたうちわにも、大きく総合優勝を目指すと、こういう大うちわだけでなければよろしいのですが、そういう意味では、中途半端では将来に残るものはないと考えますが、選手の強化、育成の状況と総合優勝に向けた知事の意気込みについてお伺いをいたします。 さて、2年後に控えた国体ですが、それを迎える盛り上がり、機運というものがいま一つ欠けているのではないかと私には感じられます。一巡目国体当時、私は中学3年で、メーン会場の新潟市陸上競技場の近くにおりました。当時の県民一体となっての熱い雰囲気、これはいまだに忘れられません。当時と社会の成熟度が違うということもあるのでしょうが、震災から復興した新潟を全国に強くアピールするためにも、県を挙げた盛り上がりが必要と考えますが、今後どのようにして国体への関心を高め、開催に向けたさらなる機運醸成を図っていくのか、お伺いをいたします。 次に、拠点整備について質問いたします。 本年の4月、新潟市が政令市になりました。政令市効果として、具体的に新潟市における各工業団地の進出企業の増加、全国的なコールセンターの設置など、動きが活発になってきております。来年のサミット労働大臣会合の開催も大きな成果と思います。 しかし、今後、全国的に政令市の誕生が相次ぎ、政令市としての看板だけでは通用しなくなります。ことしから数年、ビッグイベントがあり、注目されるとは思いますが、この間に本当に北東アジアのゲートウエーとしての都市機能、安らぎなど、新潟のよさを築いていかなければならない、このように思っております。 先日、タクシーの運転手の方と話をしました。金沢市から来た人でございましたが、その人が言うには、新潟は本当にいいところだと、信濃川や鳥屋野潟を中心に、こんなに伸びやかな、日本離れしたところはない、このように言っておりまして、私はともすれば歴史がないという面をマイナスと見ていたのですが、逆にその方から言わせると、新潟は古いものに縛られず、開放的だというプラス面がある、そういうような視点があるのだなということを改めて知りました。 信濃川沿岸は、国直轄によって、全国に誇れるやすらぎ堤ができ、サンセットコンサートなど多くの人に親しまれております。新潟のイメージアップに大きく貢献をしております。 もう一つ、都市の中の湖として親しまれている鳥屋野潟の整備に関しては、私も毎回のごとく訴えさせていただいております。特に昨年来、湖底地の問題に関しては知事からも大きな関心を持っていただき、現場の職員の方も一生懸命頑張っていただき、事業の進捗という面では大きく進んできたと昨日の答弁にもございました。そういうふうに感じております。この場をおかりいたしまして、感謝を申し上げる次第でございます。 鳥屋野潟の存在は、交流拠点のど真ん中の湖として、治水、環境、交流の場として誇れるものであります。その整備については、これまでにも民有の湖底地の権利関係が複雑で、多くの相続人や所在不明者が発生しております。確かに民地問題の解決には相当の時間がかかることは理解できます。しかし、都市の安全のためには何としても堤防整備事業に着手してほしいとの声が強いのであります。所有者が不明等の問題がありますが、県としても着手可能なあらゆる可能性というものを探り、具体にできないものか、このように思っておりますので、また知事からの見解をお伺いしたいと思います。 次に、新潟市中心部に関するやはり拠点ということですが、たびたび話をしますが、来年のサミット、そして国体、またビジネス等々、県外から多くの人が新潟を訪れます。その人たちにとって第一に印象として残るのは、中心街の姿であります。これまで新潟市の中心街は、一方通行だらけで何とも不便、また潤いがないなど、余り評判がよくないというのが実態ではなかったかと思います。結果としては、そのことが新潟の持っている大きな力、ポテンシャルを外部のイメージとしては小さいものに映るというマイナスがあったのではないかと思います。 しかし、今、国直轄である信濃川下流の柳都大橋、そして中心部への接続道路の整備が本年度末の完成を目指して進んでおり、中心部の姿が大きく変わろうとしております。中心市街地活性化のためには、当然ながら事業主体である新潟市にしっかり頑張ってもらわなければなりませんが、これらの事業を進める上において、公安関係を初めとして、県の関与する項目も必然的にあるわけであります。その意味で、現在多くの権限が新潟市に移譲されたばかりで、ともすれば双方の意思が十分に伝わり切れない場合もあるのではないかと、取り越し苦労であればいいのですが、そのような感もいたします。県、そして新潟市、緊密に意思の疎通を図り、もって県全体の発展を遂げてもらいたいと考えておりますが、見解を伺います。 次に、新潟東港の課題であります。 これもいろいろ今回も話題になっております。今や物流の拠点として成長する新潟東港の整備は、新潟の最も大きな課題であります。知事もコンテナバースの整備に関しては何度も大臣へ直接要望するなど、全力で取り組んでいただいているわけですが、1点だけ質問いたします。 新潟東港のコンテナ取扱量の増加に伴い、コンテナ船の沖待ちが常態化しているとのことであります。このままでは新潟港の評判を落とすことにもなりかねない問題であり、早急にコンテナターミナルの整備が必要と考えますが、沖待ち発生の状況とそれに起因したコンテナ航路への影響はないのか、伺います。 また、国に対する要望状況についてもあわせてお伺いをいたします。 次に、県民の健康・安全について質問いたします。 今月19日、ドクターヘリの全国配置を目指す特別措置法が衆議院本会議で全会一致で可決、成立しました。ドクターヘリは、事故や急病、災害などの発生時に消防機関、医療機関などからの要請に対し、医師や看護師が搭乗して速やかに現場に出動し、現場から病院の搬送まで必要な医療を施すことを可能としており、救命率の向上、後遺症の軽減に大きく効果を発揮していると言われております。 ドクターヘリの導入が進んでいるドイツでは、現在78機によるドクターヘリ救急網を整備し、国内のどこへでも15分以内で駆けつけられる体制を確立し、交通事故による死亡者数を20年間で3分の1にまで激減させているということであります。 日本においては2001年からドクターヘリの導入促進事業を進めてきたのですが、財政的に大変厳しい負担になるために、配置はなかなか難しい状況でありました。今回の法律では、基金による助成を新たに設け、自治体の導入へ大きく道をあけたものと認識しております。また、法律の附則では、施行後3年を目途として、医療保険等の適用を検討する趣旨が盛り込まれており、将来さらに自治体の負担軽減も期待されるものと思います。 離島を含み、広大な県土を有する本県としては、ドクターヘリの配置は望むべきところと考えます。本県の救急医療の現状の中で、ドクターヘリの配置についてどのように認識しているか伺うとともに、配備に向けてどのような手順で進めていくこととなるのか、あわせて伺います。 次に、5月15日の知事の定例記者会見で、本県の12歳児の虫歯本数が1人平均0.99本と過去最低となり、平成22年に1本という国の目標を4年も早く達成し、なおかつ7年連続で全国最少を達成したということでありますが、これはもう快挙と呼ぶにふさわしいことであります。この要因として、特に新潟県が全国に先駆けて実施してきた学校におけるフッ化物洗口が大きな効果を上げているということであります。37年前に全国で初めてフッ素洗口を実施した弥彦村では、1970年に1人平均2.27本であった虫歯がことし0.04本までに減ってきているという大変すばらしいことであります。長年の関係者の努力に敬意を表したいと思います。 しかし、細かく見ると、2005年、県内45市町村のときの県内の平均値は1.05本でしたが、県内の市町村格差は実に21倍の開きがありました。これは、看過できない格差であります。知事も述べられているとおり、虫歯対策としてフッ化物洗口は効果があるのですが、学校においては親の要望があるにもかかわらず、消極的なところもあると聞いております。洗口している保育園の保護者の9割以上が学校でも継続して実施することを希望していても、学校が消極的というのは、学校現場において認識が不足しているのではないか。また、健康づくりの最も基本的な歯を守るために、県内地域間の格差を解消すべきものと考えますが、県の取り組みについて伺います。 最近、中国産の食品、なべ、歯磨き、医薬品等々、有毒物質に汚染された製品が相次いで発見され、改めて我々の健康が脅かされていると感じております。数年前には基準以上の残留農薬に汚染された野菜、抗生物質まみれの養殖魚類、県内においても輸入された土なべ、歯磨きからの有毒物質の検出、さらにはパナマにおいてせきどめ薬を飲んだ、原材料は中国製ということですが、その子供たちが多数死ぬという非常に枚挙にいとまがないほどの危険な製品が指摘され、また、それらがあふれているのかと思っております。この背景として、急激な経済成長を遂げる中国における品質管理、衛生管理の概念が定着していないとの指摘があります。最近では、買い物をするのに、原産国表示を見て買う人が多くなったと言われており、スーパーなどでは価格が高くても国産の安全なものを買う傾向が強くなっていると言われており、消費者としても関心が高くなっていると言われております。 しかし、現実には多くの製品、食品は今やボーダーレスであり、使用しているものが本当に安全なのか、多くの人が不安に思っているのが現状であります。国産であっても、ミートホープ社のような悪質な事例もあり、一層の不安が募っております。輸入品等は、国においてもチェックはしているものの、経路が複雑などの理由から、実態としてこれらの製品が流通してしまっている状況にあります。県民の安全・安心確保のために、一層のチェック、啓発が望まれますが、県の取り組みについて伺います。 次に、動物愛護の問題について質問いたします。 今回私が質問するのは主にペットのことですが、言うまでもなく人間と動物の関係ははるか昔から切っても切れない、時には家族の一員として、大切なパートナーとして存在しております。私ごとで恐縮ですが、我が家でも下半身不随になった犬を毎日介護しております。一生懸命けなげに生きる姿を見ておりますと、もう本当に相手は動物ではなく家族というように、その姿を通して命の大切さというものを実感しております。公園などでは多くのペットが飼い主と一緒に遊んでおりますし、学校教育の中でも動物の飼育は大事な教育の一環であると私は思っております。ショッピングセンターなどでも、ペットコーナーは人気のあるエリアであります。 しかし、このペットブームの陰に大きな問題が隠されております。たまたま昨日、新潟日報の日報抄でペットの置かれている状況に関する記事が出ておりました。全国の自治体が引き取った犬、猫約42万匹のうち9割が殺処分、殺されているわけでございます。また、本日の読売新聞にもペット購入にかかわるトラブルの記事が出ており、動物愛護という問題は真剣に取り組んでいかなければならないと強く思うものであります。 動物愛護に関しては、昨年6月から動物の愛護及び管理に関する法律が改正されました。最大の変更点として、動物取扱業者が県への届け出制から、より強い拘束力、罰則を持った法律に変わり、登録制に改正されたところであります。業者は、これにより、法律に適合した施設で繁殖を行うのですが、基準を満たすためにその頭数を減らして、他の劣悪なコンテナ等に犬を押し込んでいる、あるいは遺棄している、捨てている、このようなことがまかり通っているのであります。 実際に法律改正直前、繁殖犬の現場に行って、救出活動を行っていた人の話を紹介させていただきます。要約でございますけれども、全く日の当たらない農作業用の建物に約70匹の犬が繁殖用として飼われていると。えさや水を満足に与えられず、排せつ物にまみれている。鳴く犬のケージを鉄棒でたたいたり、どなったり、あるいは出産直後のダックスフンドがうんちまみれの中、必死に赤ちゃんを守っていると。そして、その子犬は、人間と同じように親のもとで、必要な育児期間というのが大事なのですが、これも与えられずに、そのままショップに引き取られると。そして、母犬はその後もケージの中で繁殖用として酷使され、一生を終えるのであります。 私は、そのような状況を写真で見させていただきました。みんな新潟県内の施設でございます。本当にこれはもう見るにたえない。犬の種類がわからない。毛がもう伸び放題、そして汚れ放題、そういうような状況が実は今のブームの陰としてあることをぜひとも知っていただきたい、このように思うわけでございます。 当然そのような犬ですから、重大な病気、障害を持った犬、猫が生まれてくることを考えると、業者の社会的責任、監督する行政の責任は大変重いと言わざるを得ません。愛護動物をみだりに殺したり傷つけた者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金、給餌・給水などを怠った者や遺棄した者は、50万円以下の罰金に処せられると厳しく改正されております。現状を知る人たちからは、悪質な業者に対して安易に登録を受理しないでほしいとの強い声も寄せられております。私も全く同感。人の善意を踏みにじるような業者がはびこるということは、絶対に避けなければならない、こんな思いを持っております。 そこで、お尋ねしますが、昨年の動物愛護法の改正により、動物取引業が登録制に移行されましたが、全国的にブリーダーの廃業により、飼育放棄されたペットの問題が発生しております。本県における実態を伺うとともに、法に基づく動物取引業者の適切な指導はもちろんのこと、県として、こうした取扱業者の質の向上を図る取り組みを進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。 また、ペットとして飼育されていた外来生物等の遺棄が生態系に与える影響についても全国的に問題となっているところでありますが、本県における現状はどうなのか。また、国においてもそうした生態系に影響を及ぼす特定外来生物の輸入について規制を講じているところでありますが、既に輸入され、飼育されているものも数多いと推測されております。県としても、動物愛護の観点からの指導だけでなく、環境に与える影響や危険性についても一層の啓発や取扱業者への指導が必要と考えますが、県の取り組みについてお尋ねします。 最後に、教育問題について質問いたします。 近年、学校教育に関して何かと話題になるのが保護者に関することであります。これまでも給食費未納などで保護者の身勝手とも言える感覚が話題になっているところであります。6月18日、読売新聞のアンケートにおいても、親の身勝手な要求などで苦慮していると各地の教育委員会の苦悩の状況が報道されておりました。表面に出ないものの、このような理不尽な要求、行動は教育現場において大きな圧迫になっているものと思います。不当な要求や訴訟に発展している事例もあると聞いていますが、本県における状況について伺います。 このような学校の運営に支障を来すような状況に対して、県としてもバックアップ体制を検討すべきではないかと思うのであります。教育再生会議でも本年1月、(仮称)学校問題解決支援チームを各教育委員会に設置する提言をしております。東京都港区では、弁護士が直接校長らに指導・助言する学校法律相談制度を創設したとしています。トラブルに対しては、早期に、しかも専門的なアドバイスが必要と思われますが、県教育委員会の見解を伺います。 以上で私の質問といたします。(拍手)   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 志田議員の一般質問に順次お答えいたします。 まず、道州制議論の進め方についてでございます。 これは、議員御指摘のとおりだと思っております。道州制の議論が区割り議論、また州都争いというところで矮小化されていくという現在の状況は大変残念な事態であると認識いたしております。 私は、これまで全国知事会道州制特別委員会に、ほぼ全部出席いたしました。そして、意見を盛り込んできて、また、県選出国会議員に対しましても幾つかのお願いをしてまいりました。大きなポイントが3つございますので、御説明させていただきたいと思います。 まず、道州制をやる以上は、身近に自己決定権が来なければいけない。今、一番地方の自由を奪っているのが中央集権の中央省庁ということになっております。国から地方への大幅な権限移譲を進める際、中央省庁の解体的再編も視野に入れておく必要があるという点でございます。 2点目、道州制は地方分権を進めるものであり、地方のあり方、地方税財政制度の国民的な議論をしっかりしてから進めるということでございます。 3つ目、しばらくすると参議院議員選挙がございますが、国政選挙を初めとして、国会の各種制度、この国の形をどうするのかという議論なくして、単なる都道府県合併という形で進めるというのは本末転倒ではないかという点を主張してまいりました。 軽々な区割り議論は避けるべきということを一貫して主張しております。実際に全国知事会の意見の中に相当程度盛り込むことができたというふうに考えております。 今後は、県議会を初め県民各層の皆様とも十分意見交換をしながら、本県の主張を発信してまいりたい、このように考えております。 次に、道州制導入までのタイムスパンについてでございます。 昨年暮れ、民間が行いました全国の世論調査によりますと、道州制に反対する人の割合は賛成の倍以上の62%にも上っていると。国民の道州制に対する理解は進んでいないということを示していると思っております。 道州制についての国民的議論が不十分であると、国民生活がどのようによくなるのかというイメージがない状況の中で、財政上の理由で市町村合併に追い込まれていくような形が本当に日本にとって幸せなのだろうかという点は、よく考えていく必要があるのだろうと思っております。 道州制の導入まで8年から10年という一定の期限を区切ることは、道州制が分権型の社会の実現に資するというものではなくて、単なる都道府県合併で終わってしまうのではないか。それも、都道府県から市町村への権限・財源移譲で、中央省庁の方は後回しということになれば、結局、中央省庁の解体的再編はなしとなってしまうかもしれないという懸念もございます。本末転倒の単なる合理化にならないような形で国民的議論を進めるべきであると考えております。 次に、ふるさと納税についてでございます。 昨日も斎藤議員の一般質問にお答えしたとおりでございますが、このふるさと納税を進めるに当たりまして、大都市と地方、つまり地方と地方の争いにするということになりますと、だれが得をするかというと、財務省が得をするという構造になっております。これは、国と地方との関係をどのように考えるかという中で考えていかなければいけない、国税も含めた税財源のあり方全体の中で調整されるべきではないかと思っております。人を成長、教育させたところと実際に納税するところでバランスをとれた制度として構築していく必要があるのではないかと考えております。 次に、税源移譲に対する評価についてでございます。 三位一体の改革については、地方側にとってはさまざまな不満が残るという結果でございました。しかしながら、所得税という基幹税により、一定規模の税財源が移譲されたということは、日本国憲法が施行されて以来なかったことでございますので、一定の評価をしたいと考えております。 一方で、地方分権を推進するためには、国と地方の役割分担に見合った税源を配分することが必要であると考えております。このため、今後、国と地方の役割分担を明確にした上で、国からのさらなる税源移譲を進め、地方への税源配分を一層高めていく必要があると考えております。 今般の所得税の減税、住民税の増税という部分についての意義も、県民の皆様に御理解を賜る努力が必要であろうと考えております。 県といたしましては、税財源の移譲については他県の知事等とも足並みをそろえながら、さらなる税源の移譲の実現について働きかけ、運動してまいりたいと考えております。 次に、トキめき新潟国体に向けた競技力の向上の状況と意気込みについてでございます。 国体は何のためにやるのかと、優勝するためにするわけではないと。優秀な成績を出して、優勝するという意気込みで進めることによって、多くの優秀な指導者が集い、強化されたスポーツ振興ができる県内の体制が整備されていくということにも大きな意味があるというふうに考えております。 ジュニア期からの一貫した選手強化を図る、また優秀指導者の確保、育成のシステムの確立が県全体の力を上げていくことになると思っております。前回の新潟国体の際にサッカー選手としていらした沢村さんが今やサッカー協会の会長ということで、新潟県のスポーツの牽引役を果たしていただいているということでございます。絶好の機会の中で優秀な指導者を得、優秀な選手を育成する仕組みをつくっていくということは、新潟県があこがれの地になっていく上にも大変重要なことであるというふうに考えております。こういった取り組みが本県選手団の優秀な成績につながるというふうに確信いたしております。 これも議員御指摘のとおり、前回の国体の後、新潟地震が起きたことで、取り組みがとんざしてしまった。今回は、国体が始まる前に地震が来てしまっております。しっかりした取り組みをして、将来につなげていくことが大事であるというふうに考えております。 これらの取り組みが一過性とならないよう、関係団体と一層連携を強め、努力してまいりたいと考えております。 次に、拠点整備についてお答えいたします。 昨年も御質問をちょうだいしました鳥屋野潟の湖岸堤整備についてでございます。 今、気候の状況を見ますと、地球の環境が大変荒くなっているという認識を持っております。2年続きの豪雪の後、100年に1回という暖冬がやってまいりました。また、佐渡沖の水温は平均水温で1.5度も上昇していて、世界的に見ても極めて高い温度上昇でございます。その結果、佐渡沖の定置網に本来、寒ブリが入るはずのものがマグロが入ってしまう、また熱帯魚が佐渡でつかまるというような状況になっております。地球が悲鳴を上げているというような、そういう危機感すら持っております。 集中豪雨がいつ、どこで起きるかわからないような状況でございます。鳥屋野潟につきましては、一回水があふれて洪水が起きますと、400億円以上の被害が出るということがわかっております。一日も早く安心して住める環境を整備していく必要があると思っております。 低湿地に住民の暮らしの安全、そして命、財産を守る、こういうことが優先されなければならないと考えております。時間がかかっていて大変恐縮でございます。しかしながら、整備の足がかりとして、県有地の一部、また公図が確定した区域から着手できないかなど、可能な限りの方策を検討し、できるだけ早く事業の着手にこぎつけたいと考えております。 次に、新潟市の中心市街地活性化について、新潟市との意思疎通を図るべきであるという御意見でございます。 御指摘のとおりだと思っております。広域自治体と、基礎的自治体がお互いの状況をよく把握した上で、住民のための政治、県政、市政を推進していかなければならないというふうに思っております。 ただ、同時にこれを同格で進めますと、船頭多くて船山上るということになってしまう懸念もあるわけでございます。まちづくりの主体はやはり市町村、特に政令市である新潟市においては、他の市町村にも増して多くの権限を持っておるわけでございます。 基本的には新潟市の意向を十分踏まえまして、県といたしましては情報交換、意見交換を行いながら、にぎわいあふれるまちづくりを支援してまいりたい、このように考えております。 次に、健康・安全の新潟についてお答えいたします。 まず、ドクターヘリについてでございます。 現在の状況でございますが、全国では10道県の11病院において、既にドクターヘリが整備されております。これは、ドイツの例をまつまでもなく、広い県土と、離島を持つ本県にとって、救命救急医療体制を整備する上での重要な選択肢ではないかと考えております。30分以内に救命救急センターにたどり着くことによって、多くの救える命が助かるということになるわけでございます。 この救命救急センターに搬送するためのドクターヘリにつきましては、その有用性をしっかり念頭に置きながら、本年度、有識者における検討会を開催いたしたいと思っております。ドクターヘリを含みますヘリコプターの活用など、広域救急医療体制のあり方について、具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。 次に、虫歯罹患数の地域間格差の解消についてでございます。 フッ化物洗口については、議員御指摘のとおり、高い虫歯予防効果が認められております。虫歯は万病のもとと申します。虫歯が減ることによって、医療費全体が下がるということもわかっております。いかに虫歯を減らしていくかということは、今後、高齢化社会を迎える中で、医療費の縮減という意味でも大変重要な政策課題であると認識いたしているところでございます。 しかしながら、このようなフッ化物洗口の有用性に対する知識が十分に浸透していないということも、市町村の取り組みのばらつきという中で見てとれるのも事実でございます。12歳児1人平均の虫歯の数を見ますと、すべての小学校でフッ化物洗口を実施しております粟島浦村、弥彦村、妙高市が少ない方のベストスリーということになっております。一方、フッ化物洗口をしていない、3分の1以下しか実施していない、もしくは全く実施をしていない聖籠町、五泉市、田上町がワーストスリーということになっておりまして、地域格差が生じております。やはり県民の健康を守っていくということで、行政は責任を持っていくべきであろうと考えております。 こうした状況を踏まえまして、地域機関ごとに開催いたしております市町村等との連絡会議の場を通じまして、実施の働きかけを進めてまいりたい、このように考えております。また、専門職員等が現場に赴き、最前線で従事する方々に対する相談、指導をきめ細かく行うなどの支援も行ってまいりたいと考えております。 次に、土なべなどの輸入品の安全・安心の確保についてであります。 先般、ロシアからビジネス関係で来られた人が、新潟から安心で安全な食材をぜひ輸入したいというお話をされていました。これは、国内に限らず、広く世界全体で安心で安全な生活を維持していくというのは共通の要求であるというふうに考えております。 国や県では、輸入業者に対する監視の指導の徹底や流通品の検査などによる違反品の排除を行っております。健康被害のおそれがある場合については、公表による注意喚起も行っております。 また、このような事態が生じないように、水際でとめていくということが重要なのだろうと思っております。国に対して検疫等のさらなる強化を働きかけてまいりたいと考えております。 米国で今、構築中のシステムでエースというものがございます。これは、発荷主、経由地、到着荷主、そしてここに持っておりますブラックリストも含めて効率的に検査して危険なものを排除できる仕組みを運用しようという動きがなされております。また、国際的には、情報をやりとりする中で危険なものを排除していくという試みも始まっているところでございます。入ってきたものをすべてチェックするということになると、事故が起きないとわからないということにもなりかねません。水際での対策強化を国にもぜひ訴えていきたいというふうに思っております。 県といたしましては、県民の安全・安心の確保の観点から、何をやったらいいのかといえば、消費者相談センターに持ち込まれたトラブル案件を調べるということが現実的でございますが、それ以外に何かできないのか、実効性のある対応策について検討してまいりたいと考えております。 次に、動物愛護の取り組みについてお答えいたします。 新潟県中越大震災の折にも動物、特にペットが果たす役割は大変大きかったというふうに認識いたしております。そのため、被災地区、避難指示、避難勧告が出た地域に取り残されたペットの世話をする、また牛を含めて家族同然に育ててきた動物を救助するという活動を県といたしましても実施いたしました。この効果は抜群であり、仮設住宅でとるものもとりあえず逃れてきた方々に一緒に生活していたペットが戻ってきたときの喜び、これは筆舌に尽くしがたいものがあったというふうに思っております。こういう動物愛護の精神というのは、動物のためだけではなくて、共同生活をしている人にとっても大変重要な課題であるというふうに認識いたしております。 動物の愛護及び管理に関する法律では、命ある動物を扱う専門家として適正な取り扱いを求めております。 数字で申し上げますと、法に基づく動物取扱業者は、平成19年5月末現在、県所管分、新潟市以外という意味ですが、施設基準に適合した262施設が登録されております。これは、平成18年度の施設数よりも24施設減少しております。廃業した業者による飼育放棄等の問題は、確認されておりません。 今後も飼育放棄や劣悪な環境での飼育等がなされないよう、動物取扱業者に対し、定期的な立入検査を実施いたしたいと思っております。また、動物の適正な飼育管理を監視するとともに、動物取扱責任者への講習などを通じ、一層の質的向上を図ってまいりたいと考えております。 また、できればゼロにしたいと思っていますが、なるべく多くの動物の殺処分を防ぐため、長岡市に整備を予定しておりますような、ペットの飼い主を見つけるための施設というものも整備していく必要があるのではないか。ハードだけではなくて、NPO等の連携、学校教育、高齢者に対する心のいやしに使っている例もございます。そのような取り組みを通じて、動物と共生できる社会をぜひ目指していきたいと考えております。   〔総務管理部長鶴巻嗣雄君登壇〕 ◎総務管理部長(鶴巻嗣雄君) 国体の機運醸成についてでありますが、トキめき新潟国体は、災害時に全国からいただいた御支援への感謝と災害を乗り越えた元気な新潟、そして魅力ある新潟を全国に発信するまたとない好機であり、実行委員会においても「こうした趣旨と県民の皆様の積極的な参加」をメッセージとして呼びかけ、その浸透と拡大を図っていくこととしております。 しかしながら、議員御指摘のとおり、盛り上がりが不十分との御意見もありますので、今後は広報活動を一層強化するとともに、今回発表しました若者自身の手によるイメージソングなどを大いに活用し、若い世代に浸透を図ることにより、広く県民の皆様の機運を醸成してまいりたいと考えております。   〔福祉保健部長鈴木幸雄君登壇〕 ◎福祉保健部長(鈴木幸雄君) ペット遺棄による生態系への影響などについてでありますが、外来生物のうち、特に影響が大きいとして指定されている特定外来生物の捕獲は、県内では過去5年間で4件であり、生態系に与える影響は現時点では少ないものと考えております。 しかしながら、外来生物の遺棄は在来生物の捕食やえさの競合などの生態系への影響を与えることから、市町村を通じたパンフレットの配布などにより、遺棄の禁止についてさらなる啓発に努めてまいります。 また、昨年改正された動物愛護法では、飼育放棄につながる安易な動物の購入を防ぐため、動物取扱業者に対し、顧客への適切な事前説明が義務づけられたことから、業者への指導を徹底してまいります。   〔交通政策局長髙橋総一君登壇〕 ◎交通政策局長(髙橋総一君) 新潟東港のコンテナターミナルの整備などについてでございますが、新潟東港のコンテナ船の沖待ち状況は、平成17年に57隻であったものが平成18年には69隻と増加しております。 こうした状況ではございますが、関係者の御努力により、コンテナ航路数は平成17年初めには週10便でありましたが、現在週12便まで拡充されており、コンテナ取扱量も年々着実に増加し、平成18年度には16万5,000TEUを超えるに至っております。 しかしながら、新潟港が日本海側最大の拠点港として、さらなるコンテナ航路拡充を図る上で、沖待ちの解消は喫緊の課題となっております。 このため、県といたしましては、新たな岸壁整備を早期に着手していただけるよう、本年3月に国土交通大臣が新潟東港を御視察いただいた際に知事から直接要望を行うなど、早くから重点的かつ積極的に要望活動を行っているところでございます。   〔教育長武藤克己君登壇〕 ◎教育長(武藤克己君) お答えいたします。 まず、本県における学校と保護者とのトラブルの状況についてでありますが、保護者との対応につきましては、基本的には各学校あるいは市町村教育委員会が行っており、適切に対応しているものと判断しておりますが、中には、御指摘のとおり、その対応に苦慮する場合もあると聞いているところであります。 次に、県としてのバックアップ体制についてでありますが、保護者からの要求や意見などにつきましては、各学校及び市町村教育委員会が保護者と十分に話し合い、学校教育に対する理解と協力を得るよう努めていくべきものと考えておりますが、県教育委員会といたしましても、必要に応じて適切な支援を行ってまいりたいと考えております。 ○議長(長津光三郎君) 志田邦男君の質問は終わりました。 次に、若月仁君の発言を許します。若月仁君。   〔若月仁君登壇〕(拍手) ◆若月仁君 社会民主県民連合の若月仁です。初の定例会、一般質問の機会を与えていただきました。なるべく簡潔に、わかりやすく質問を行いたいと思います。 通告に従い、順次、質問を行ってまいります。 大きなくくりの第1として、地域医療の充実とそれに伴う医師確保について質問いたします。 まず初めは、地方を中心とした医師不足の深刻化が叫ばれている、この問題について取り上げます。医師不足の深刻化は、これまでの質問でも取り上げられておりますが、地域医療充実のためには医師確保は極めて重要な問題であります。知事は、昨日の答弁でも、どの地域に住む住民にとっても、基礎的住民サービスが保障されなければいけないという趣旨の発言をされているところであります。 そこで、まず初めに本県の医師確保対策について、再度、知事のお考えを伺いたいと思います。 さて、地域医療充実という観点で、魚沼地域を取り上げ、質問を進めます。 広い面積を受け持つ魚沼医療圏には、現在、3次救急医療を受け持つ病院がなく、高度な救急救命に関しては長岡市の大規模病院に依存しているのが現状です。この魚沼医療圏は、県土の約21%と、県内7つの医療圏の中でも最大の面積を有していますが、人口は県全体の8%にすぎません。山間地を多く有し、小規模集落が散在している地域でもあります。面積が広大というだけではなく、道路未整備地域も残っており、加えて冬期間は数メートルの積雪があることから、地域医療体制の整備は極めて重要な問題となっております。 こうした中、魚沼基幹病院建設を初めとした魚沼地域医療の整備に対して、地域住民は大きな関心を持っているところであります。県は、既存の県立病院を統合し、新規に基幹病院をつくることとしております。さらに、基幹病院は公設民営、指定管理者制度による法人経営とし、今ある県立病院については県立としては運営せず、地元にゆだねる形をとるとしています。しかし、基幹病院設置と周辺病院再編のフレーム案やそれぞれの医療機関が担当する分野については案が示されたものの、それらを推進していく上で最も重要となる医師や医療スタッフの確保という点ではいまだ十分な見通しが示されておらず、地域住民を中心に不安の声が上がっています。 現在でも、この地域では慢性的な医師不足に悩んでいる現実があります。人口比の医師数を見てみますと、全国平均のみならず、医師不足に悩む新潟県の平均値からも大きく立ちおくれているというのが現状です。救急医療体制の整備はもちろん重要ですが、まずは医師やスタッフの確保なくして、地域医療の整備は実現できないと考えます。 急性期医療、2次・3次医療を担当する魚沼基幹病院の運営には60人から70人の医師が必要とも言われています。現在、県立小出病院と県立六日町病院の医師の合計は四十数名であり、仮にこの医師をすべて魚沼基幹病院に集約したとしても、必要数には遠く及びません。さらには、基幹病院が地域の周辺病院への医師派遣をも担っていくとしたならば、さらに多くの医師が必要となってまいります。 こうした中、新潟県内で臨床研修を希望する研修医は、平成17年度以降、年々減ってきているというのが現状です。平成19年度の臨床研修医マッチング率は39.8%と、全国最下位という結果になりました。とりわけ新潟大学出身者の減少が目立ちます。 そこで、伺います。県は、新潟大学と(仮称)魚沼基幹病院の設置に向けた連携に関する覚書を3月に交わしましたが、医師不足の実態や臨床研修医の県外流出という状況の中、医師の育成・確保に向けた本覚書締結の趣旨をお伺いいたします。 また、覚書の中には、「全国から医師を募集するとともに、首都圏大学・病院等と連携する等、基幹病院の安定的な医師確保に努める」とありますが、新潟大学とだけ結ぶ覚書が他大学からの医師確保に悪影響を及ぼす懸念はないのか、伺いたいと思います。 さて、山形県置賜地域でスタートした病院ネットワーク化は、その運営に黄色信号がともろうとしております。先進例として各地からの視察が相次いだこの地域は、高度な医療ができる拠点病院を地域につくり、そこに医師を集めることで医師不足に対応することをねらいとしました。事実、地域全体の公立病院、診療所の常勤医師はふえ、住民の医療に対する満足度も向上したと言われています。 しかし、サテライトと位置づけられた周辺病院には必要な医師が配置できておらず、患者が拠点病院に集中するといった現象が起こっています。患者にしてみると、サテライト病院には開設診療科が少なく、また、行くたびに医師がかわるので、不満が出やすく、結果として拠点病院に患者が集中し、拠点病院の医師はさらに忙しくなるという悪循環に陥っています。 このことが何を意味しているかといいますと、拠点となる病院ができて、急性期医療、高度医療は実現したものの、日常的な医療が比較的おろそかになってしまい、病院利用者の利便性が失われたということです。拠点となる病院に多くを集中させるのではなく、サテライト医療機関にも十分な機能や人材を確保しなければ、トータルとしての地域医療水準の向上にはつながらないということを教えてくれるものと私は考えます。 本県の構想では、基幹病院から周辺病院への医師派遣も考えているようですが、冒頭に触れたように、魚沼医療圏は広大な面積を有しており、かつ高齢者も多く、周辺病院の医師確保も重要な問題と認識しております。山形県置賜地域のこうした現状を見て、周辺病院への医師配置にどう対処していくお考えか、お伺いいたします。 また、医師だけでなく、医師以外の医療スタッフ確保についても伺いたいと思います。看護師や技師及びさまざまなスタッフが医療現場には必要となります。現在、魚沼地域の県立病院では地元の出身者が6割から7割というのが実態ですが、民営化後の基幹病院、そして県立病院でなくなる現存の病院を初めとする周辺病院の医療スタッフ確保も困難が予想されます。現在、県立病院の医療スタッフは県職員ということで、異動による確保がある程度はできる状況にはありますが、県立ではなくなった場合にはどうなるでしょうか。 これら医療スタッフの確保に対して、現状を踏まえた県のお考えをお伺いいたします。 地域医療関連の最後になりますが、医師や医療スタッフの安定確保が地域医療充実の大きなかぎとなることは共通の認識だと思います。これらの対応も含めて、基幹病院開設までのスケジュールをどのように描いているのか、お伺いをいたします。 次は、障害者支援について質問を続けます。 まずは、障害者に対する就労支援について取り上げます。障害を持つ方々が自己実現を図り、社会の構成員として活躍を目指し、職業生活の上で自立していくことの意義は、極めて大きいものがあります。とりわけ障害者の皆さんが地域社会で生き生きと生活していくためには、就労機会の拡大は重要な意味を持つと言えます。 しかし、現状を見ると、障害者の就労環境には厳しい現実があります。 例えば障害福祉サービス事業所などの授産施設には、就労移行支援や就労継続支援を受ける障害者が通っていますが、遠方からの通所にかかる交通費や施設利用料の合計が1日の作業工賃よりも上回ってしまい、頑張って仕事に行っても、逆に本人の持ち出しが多くなり、赤字になってしまうことさえもあるようです。授産施設の活動は、就労にかかわる職業の学習訓練という意味合いもあるわけですが、それにしても障害者の皆さんが労働に対しての意欲を持ち、また労働者としての尊厳を保障するためには、まさに大きな問題となっているわけです。 一方、これら事業を行っている施設の運営、経営にも極めて厳しい状況が続いております。利用料収入に関しても、利用者が平均的に施設に来るわけではなく、障害の程度や体調、医療機関での受診などの都合で、利用者が多い日もあれば少ない日もあるわけです。また、工賃が安いこと、仕事の内容と利用者とのマッチングの問題、安定した仕事の供給、制度改定に伴う事務処理数の増加など、現場ならではの厳しい課題と向き合って、障害者の就労支援を行っているというのが現実です。 さらには、社会の受け入れ体制も見逃せません。心のバリアフリーも含めた社会全体での見守りと受け入れの体制はどうでしょうか。ハローワークでの障害者求人登録も行われているようですが、就労支援の現場では授産施設の職員の個別的、個人的なアンテナに頼ることもいまだ多くあるようです。さらには、盲・聾・養護学校などにおける職業教育、職業訓練などの充実も重要なこととなってきております。 そこでまず、本県における障害者の企業就労実態とその評価についてお伺いをいたします。また、授産施設等での就労実態とその評価についてもお伺いをいたします。 また、先ほど述べましたように、授産施設の運営、経営は非常に厳しい状況にある結果、通所する障害者の皆さんにその影響が出ているというのが現状です。施設運営に対する県のより厚い援助が重要と考えますが、このことについての知事の所見をお伺いいたします。 さらに、障害者が在宅で就労できる環境も望まれています。IT環境の発達により、通勤が困難な障害者に対し、就労の可能性拡大が期待されております。企業に対する支援も含めて、在宅就労拡大に向けた今後の取り組みについて知事はどうお考えなのかについてお伺いをいたします。 障害者支援の2つ目は、発達障害について質問を行います。 まだ十分とは言えないまでも、自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害など、発達障害に対する社会全体の認識が次第に高まってきています。発達障害は、これまで障害であるとの認識が浅く、その対応が適切かつ十分ではなかったという状況にありました。文部科学省の調査では、発達障害を持つ子供たちの割合は全体の6%を超えるとも発表されています。全く珍しくない障害と私たちは受けとめなくてはいけません。 そこでまず、知事にお聞きいたします。発達障害者への支援については、その適正な理解のもとで、幼児期から成人期までの各ライフステージに応じた支援が行われ、地域で生き生きと暮らすことのできる社会実現が望まれますが、発達障害者及びその家族への支援についてどのようなお考えをお持ちか、お伺いいたします。 平成17年に施行された発達障害者支援法により、発達障がい者支援センターが本県にも開設されました。県発達障がい者支援センターRISEのその紹介パンフレット表紙には、「途切れない支援が、県内各地で繰り広げられるために、支援者と支援者がつながる全県ネットワークの構築を目指して」と書かれております。まさに途切れない支援、つながるネットワークが重要であると私も認識しております。 発達障害の多くは幼児期や学童期に発見されます。その子の人生においては、保育の場面、学校教育の場面、さらには生活訓練や職業訓練、そして就労へと、ライフステージが幾つにも存在することになります。これは、一番身近にいらっしゃる御家族にとっても同様なことであると言えます。 RISEが開設される際に協議された発達障害者支援センター設置検討委員会の報告書を読みますと、本県の発達障害児の現状として、「小学校、中学校入学時、就労時あるいは通院時など、ライフステージや場面が変わるたびに家族が説明して、周囲に理解を求めていくということが現状であり、家族の負担が大きくなっている」とあります。これらを解決、克服していく役割をRISEが担っていくものだと理解しておりますが、県内1カ所の支援センターでどこまで行えるのかということもあります。医療、保健、福祉、教育、労働の各機関が横の連携を十分にとっていかなければなりません。そしてさらには、これらの連携が地域で行われてこそ、受ける側に立った、身近で行き届いた支援が実現するものだと考えます。 そこで、伺います。発達障がい者支援センターRISEは、各機関の連携という意味でどういった役割を果たしているのでしょうか。これまでの支援センターの取り組み成果やその評価を伺いたいと思います。また、RISEが地域における支援の連携についてどうかかわっていくのかについてもお伺いいたします。 さらに、発達障害者への支援は、医療、福祉、教育等行政サイドの連携と発達障がい者支援センターを核として各地域の支援施設との連携が重要と考えますが、これら支援体制の現状と課題についてお伺いいたします。 あわせて、本県が行っている発達障害者支援体制整備事業の平成19年度の取り組み状況と今後の対応についてもお伺いいたします。 次は、教育に関連して質問を続けさせていただきます。 まず初めは、学校施設の耐震化について伺います。 全国の公立小中学校の校舎や体育館のうち、4,328棟が大規模な地震で倒壊、崩壊する危険性が高いということが文部科学省の調査で判明いたしました。この数字は、耐震診断未実施の施設を含めた全国約13万校のおよそ3.3%に当たり、あの耐震偽装事件で注目された耐震強度に換算すれば、マンション使用禁止に当たる数値となっております。 御承知のように、大規模災害が発生すれば、地域の学校施設が住民の避難所として使用されることになります。とりわけ新潟県中越大震災のように中山間地が被害を受けた場合は、市町村立の小中学校の施設が避難場所の多くとなります。また、学校は幼い子供たちが一日の多くの時間を過ごす場所でもあり、耐震化を初めとして施設の安全確保には、より厚く、十分な対応が必要となるのは言うまでもありません。 新潟県の公立小中学校の耐震改修状況を見ますと、耐震化率は全国平均56.6%に対し、50.2%と低い数値となっております。さらには、耐震診断実施率は全国平均89.4%に対し、新潟県は63%と極めて低くなっております。聞くところによりますと、市町村では財政が厳しい状況の中、また学校の統廃合を視野に入れ、耐震化やその診断がなかなか進まない状況にもあるということです。しかし、前に述べたとおり、学校施設はさまざまな場面で使用されるものであり、その安全は最優先されなくてはいけないと考えます。さらに、診断結果等の情報は速やかに地域住民に公表されるべきと考えます。 そこで、質問いたします。指摘した数値が示すような県内公立小中学校の耐震化率、耐震診断実施率が低い原因はどこにあるのか、まずお伺いいたします。 さらに、文部科学省は公立学校の耐震化の促進通知を出し、耐震化着手と耐震診断を終えていない市町村に対しては強く指導を行うよう都道府県教育委員会に対して求めていますが、これについての教育長の見解をお伺いいたします。 次に、学力調査について質問をいたします。 4月24日、文部科学省は全国の小中学校で全国学力・学習状況調査を一斉実施いたしました。一方、新潟県では3年前から小中学生を対象に、独自の全県学力調査を行っております。この全県学力調査は、隔年の実施となっていますが、その間の年度は検証と称し、問題用紙の印刷から採点処理まですべてを学校現場に任せています。私は、こうした調査テストをすべて否定しているものではありません。児童生徒の学習や学力の実態を的確に把握し、その後の指導に適切に活用することは重要なことではあります。しかし、県内小学校ではこれまでも各種学力調査や県教育研究会実施の学習指導改善調査を行ってきていますし、中学校でも同様な学力調査や受験関連テストなどを実施しているわけです。 これら学校現場の様子を見てみると、調査目的のテストが多過ぎではないかと思われます。仮に学習改善のためのテストが多過ぎて、本来の学習時間を圧迫しているようなことがあるとすれば、これは本末転倒の話だとは言えないでしょうか。学力調査を計画するのは複数のところですが、実際にそれを行うのはすべて学校現場にあるわけです。事実、学力調査を実施するために、当初予定していた教育活動を変更したという報告もあります。これら調査の連続を整理、縮小するお考えがあるのかどうかをお伺いいたします。 また、本県が行っている学力調査は、その結果を市町村別に公表しております。文部科学省の全国学力調査では、全国及び各県状況にとどめ、各市町村及び各学校はそれぞれの判断で公表するとしており、現場判断に任せているのが実際です。学校間競争を激化させるなど弊害も懸念される中で、市町村別結果の公表をあえて行う必要はないと考えますが、教育長の所見をお伺いいたします。 教育のくくりの3番目は、新潟市の政令指定都市移行に伴う教育委員会の権限についてです。 新潟市が政令指定都市となり、市内小中学校教員の人事権が県から新潟市へ移譲されました。つまり新潟市内の教員人事は、政令指定都市である新潟市が単独で行うこともできるようになったわけです。 一方、従来の市町村立小中学校は、新潟市も含めて、県がその人事を一括担当してまいりました。本県は縦に長く、離島や多くの山間地を抱えていますから、都市部に比較して教員確保が困難な地域も多く存在しています。県全体を見渡して、都市部といわゆる教員確保困難地域との人事交流を行うことにより、バランスをとってきたわけです。しかし、それでも教員の年齢構成の偏りや短期間での異動などの問題点も残されていました。 県は、新潟市との人事交流を考えてはいるようですが、その規模や内容はどのように考えているのでしょうか。異動の対象面積が狭かったり、通勤や生活条件が比較的恵まれている新潟市に教員希望者が集中することが考えられるでしょう。県内どの地域に通学する子供たちに対しても行き届いた教育が保障されるためには、教員の安定確保ということは大きな要素であると思います。 そこで、伺います。ただいま述べましたように、教育の機会均等を守るためにも、県と新潟市の教員人事交流は積極的に進められるべきだと考えますが、県のお考えをお伺いいたします。 また、教員志望者が新潟市に集中することが懸念をされますが、県は離島や山間地の学校の教員確保についてどのような対策を考えているのかについてもお伺いをいたします。 加えて、新潟市が実施するいわゆる民間出身校長の登用制度をどのように受けとめているのか、また同様の制度導入を考えているのかという点もあわせてお伺いをいたします。 私の質問は終わりますが、以上質問したことの多くは地域間格差にもかかわるものです。知事は、本日これまでの答弁で、水準の問題ではなく、希望感、方向感の問題だと述べられました。ぜひ前向きで、新潟県の地域住民に希望感と方向感を与える答弁をお願いして、私の一般質問を終わりたいと思います。(拍手)   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 若月議員の一般質問に順次お答えいたします。 まず初めに、医師確保対策についてでございます。 本定例会でもるるお答えしているとおり、やはり地域の基盤を維持していく上で、県政の最重要課題の一つとして取り組んでまいりたいと考えております。 柄沢議員の代表質問でもお答えしたとおりでございますが、本県では医師不足といっても医師の数自体はふえておりますが、勤務医の数が足りないというのが実態でございます。そして、高齢化が進むことによって、この勤務医不足が地域の医療体制を支えることができなくなっているということでございます。 医師にとっての選択肢は、大きな病院に勤めるのか、大学病院に勤めるのか、地方の病院に勤めるかということではなくて、勤めるのか開業するのかという選択肢になっているわけでございます。そして、地域住民のよりどころになっているのが地域にある病院でございます。勤務医が勤めたくなるような勤務環境を整備していくことがやはり重要ではないかというふうに思っております。 医師の先生方にお伺いしますと、教育問題についても自分の勤務地を選択する際の大きな判断材料になっているわけでございます。また、若手医師が勤務先として新潟県を選ばないというような現実もあります。魅力のある医療環境づくりを進めていかなければいけない。特に若手のお医者様については、みずからのキャリアパスをどうするかを大きく考えられているわけです。そこに医学界の中でも尊敬される指導医がいるかどうか、その先生について多くの症例を経験できるか、そしてみずからが医学界の中で栄達できるかというようなことも総合的に判断しながら決めておられるということでございます。 地域住民に医療を提供する際に、県内に医療サービスを提供するだけではなくて、ぜひ新潟県に行って医療を受けたいというような医療環境をつくっていかなければ、十分な地域に対する医療提供ができないのではないかというふうに思っております。 医師、勤務医の状況を見てみますと、実は千葉県、埼玉県、神奈川県も低くなっていると。なぜかというと、東京都に医療機関が集中しているので、相対的にその周りがへこんでおるという構造になっております。新潟県に魅力のある医療施設をつくっていかなければ、医師確保は難しいのではないかというふうに思っております。 以上のようなことを考えながら、地域医療をしっかり守っていくということを最優先の県政課題の一つとして対応してまいりたいと考えております。 次に、障害者に対する就労支援についてお答えいたします。 施設運営に対する県の支援ということでございます。 授産施設は障害者にとって日中の活動の場であるとともに、就労訓練の場でもあります。しかし、授産施設を出て就職した障害者の割合は全国平均で1.30%、すなわちステップとしての授産施設という機能はほとんどないと言うに等しい状況でございます。むしろ日中、障害者を支援する施設として機能しているということでございます。本県では全国平均よりは高いのですが、それでも授産施設を出て就職した障害者の方は1.34%しかおられないということでございます。就労支援の場としては、一定の限界があることを認めざるを得ないというふうに思っております。 障害者自立支援法では、障害者に対しまして就労に向けた必要な訓練を行うことを基本として、これまでの事業体系を再編することとなっております。 報酬単価につきましては、制度を設計する国において設定されておるということでございます。これも受益と負担の関係をどうするのか。先ほどから議会からの質問にも矛盾したものが出ております。税金は取るな、サービスは出せというのは難しいということでございます。やはり社会的コンセンサスをつくっていく必要があると。ちなみに、北欧では国民負担率が租税と保険料を合わせて70%になっています。日本は30%台ということですから、倍ぐらい取れば相当なことができるのだろうと。ただ、それが社会のコンセンサスになるかどうかということを真っ正面から議論する必要があるのではないかなというふうに考えております。 いずれにしても、報酬単価の設計は血の通ったものにしなければならないというふうに思っています。本当に困っている人に支援の手が届くような対応を現場から国に要望していきたいというふうに思っております。 また、施設運営が相当厳しいということも十分承知いたしており、昨年から、障害者自立支援法の問題点ということで御質問を受けております。それについて国も対応策をとることになりました。今年度から障害者自立支援特別対策事業ということで、施設の安定に資するための支援を行う制度ができております。したがいまして、この制度がどのように機能するのか、一度見きわめたいと思っております。この特別対策事業の評価や県内の実態を把握して、不足部分についてはまた必要な対応を進めてまいりたいと考えております。 次に、通勤困難な障害者の在宅就労機会の拡大についてでございます。 これもぜひ進めていきたいというふうに考えております。しかしながら、IT技術が発達したらすぐできるのかというと、現実問題は厳しいところがございます。健常者であっても、完全自宅就労と、在宅就労というのは絵にかいたもちになっております。例えばホームページの作成などは自宅でできるのではないかというような感覚があるのですが、実態はまずクライアントのところに出かけていって、どういうホームページをつくりたいのかという意見のすり合わせをした上でホームページを作成する。そして、中間段階のものをまた持っていって、議論して修正するというような作業で、100%在宅でできる作業というものは残念ながら限られていると思っています。もともと勤務していたところからそのスキルを引きずったまま電子メールでやりとりする等の在宅勤務というのは可能だと思っております。しかしながら、限られている部分というのが相当あるのかなと。健常者であっても、IT化されたから、100%在宅勤務というようなことにはならないということでございます。 これは、NTTの研究所でもさまざまな研究がなされているのですが、フェース・ツー・フェースで得られる情報に比べて、通信環境を整備した中で得られる情報は、情報量として7分の1ぐらいしかないというふうに言われていて、やはり集まった中でオフィスというものが運営されていかなければならないという部分が大きいのだと思っています。 そうはいっても、在宅勤務が可能になってくる部分はございますので、それをサポートする仕組みというものを広げていかなければいけないというふうに思っております。在宅就業障害者に対しまして仕事を発注するためには、間にコーディネートする機関が必要と。障害者の間に立って、障害者ができる仕事、発注する方の仕事をつないでくれるコーディネーター役がいないと、円滑に進まないというふうに言われております。 NPO法人とか社会福祉法人等が在宅就業支援団体として在宅の障害者と企業の仲立ちをし、在宅就労をコーディネート、支援する制度がございます。厚生労働大臣による登録が必要なのですが、県内では残念ながら今、一つも事業所、支援する団体がない段階ということでございますので、まず県といたしましては、これらの施策の周知を図って、在宅勤務ができるように支援する仕組みをつくることに努力してみたいというふうに思っております。 なお、そういう努力にもかかわらず、障害者に対する在宅就労支援が進まない場合は、要因分析を行った上で、さらなる取り組みを進めてまいりたい、このように考えております。 次に、発達障害についてお答えいたします。 発達障害につきましては、社会において障害としての認識がおくれたということは議員御指摘のとおりだと思います。この認識が一般的になっていないために、その発見や適切な対応がおくれがちであったと、結果として発達障害者やその家族は十分な支援が受けられてこなかったというふうに認識いたしております。 それでは、どうやれば発達障害者が地域で安心して過ごせるのかということでございますが、社会として正しい認知と理解が普及していく必要があるのだろうと思っております。それと同時に、発達障害にかかわる人材の確保と育成ということを進めていかなければなりません。 これらを行いまして、障害の早期発見と早期支援、そして関係機関がライフステージに応じた一貫した支援の体制を整備していくことが必要であろうというふうに考えております。県としてどのような施策をしたらいいのか、具体的に考えてまいりたい、このように考えております。   〔福祉保健部長鈴木幸雄君登壇〕 ◎福祉保健部長(鈴木幸雄君) 魚沼基幹病院における医師の育成・確保に向けた覚書締結の趣旨についてでありますが、この覚書は県と新潟大学が連携・協力して、基幹病院に地域医療を理解するための学生実習や臨床研修の機能を持たせること、また専門医の指導により医師としてのキャリア形成に資する仕組みづくりなどによりまして、基幹病院に安定的な医師確保を図ることを目指しているものであります。 この趣旨に基づき、今後、新潟大学との検討会を進める中で、覚書に基づく医師の育成・確保の具体策について検討してまいります。 次に、新潟大学との覚書が他大学からの医師確保の支障となるのではないかという懸念についてでありますが、この覚書では魚沼基幹病院の医師確保に向けて魅力的な環境を整備することにより、県と新潟大学が連携、協力し、全国から医師を募集するとともに、首都圏の大学あるいは病院などとの提携を図ることも検討するものとしておりまして、幅広い医師確保に資するものと考えております。 次に、魚沼基幹病院から周辺病院への医師派遣についてでありますが、魚沼地域の医療高度化につきましては、基幹病院で高度あるいは広域、専門、災害時などの地域の拠点的医療を確保し、再編後の周辺病院などでは保健、ヘルスの保健の方です。それから、介護、福祉などと一体となった身近な医療を確保することにより、地域全体で過不足のない医療提供体制を構築する必要があると考えております。 周辺病院に医師を派遣するためには、基幹病院に臨床研修を行う組織を併設するなどにより、魅力ある病院として十分な医師を確保すること、また周辺病院への勤務を条件にした修学資金制度を活用することなどの検討を進めてまいります。 次に、再編後の小出、六日町病院及び魚沼基幹病院の医療スタッフの確保についてでありますが、県といたしましては、基幹病院などの開設に向けて、医師以外の医療スタッフの確保も課題の一つと認識しており、その十分な確保に向けて、実習病院としての活用により就職希望者を確保すること、また勤務体制や子育て支援など、医療スタッフが魅力を感じる就業環境を整備することなどについて、魚沼市、南魚沼市とも連携しながら検討を進めてまいります。 次に、魚沼基幹病院の開設までのスケジュール等についてでありますが、現在、魚沼市や南魚沼市において、基幹病院整備後の小出病院や六日町病院が提供する身近な医療機能のあり方について検討が進められているところであります。 県といたしましては、これらと歩調を合わせて基幹病院が提供する高度医療などの具体化を進めるとともに、就業環境の整備等についても検討を進め、初期から高度まで、安全・安心の医療提供体制を一日でも早く地域とともに構築できるよう努めてまいります。 次に、発達障がい者支援センターについてでありますが、平成18年7月3日の開設以来、発達障害者御本人や家族並びに関係機関から多くの相談などが寄せられており、センターにおいて個別の相談支援や発達支援を行うほか、地域の関係機関と連携しての療育支援や就労支援、関係機関等への情報提供や研修などを総合的に実施しております。 3月末までの支援の延べ件数は1,123件であり、これらの取り組みについて相談者からは、「自分の子育てのせいだと思い、自分を責めていたので、相談あるいは診断してもらえてよかった」、また「関係機関とやりとりをしてもらってよかった」などの高い評価をいただいているところであります。 次に、発達障害者支援体制の現状と課題についてでありますが、県では障害者の地域生活を支援するため、今年度から7つの障害福祉圏域のすべてにおおむね2カ所ずつ、障害者地域生活支援センターを整備したところであります。 この地域生活支援センターは、発達障害者に対する個別支援を行うとともに、地域のネットワーク構築に向けた指導あるいは調整などを行う役割を果たしており、全県の拠点であります発達障がい者支援センターと密接な連携を図り、地域における発達障害者への支援を行っているところであります。 今後は、なお一層地域の医療、保健、福祉、教育、労働などの関係機関が連携し、発達段階あるいは個性に応じた個別支援が十分に行えるよう、各地域で連絡調整会議を設置し、役割分担や連携のあり方などを検討していくことが課題であると考えております。 最後に、発達障害者支援体制整備事業についてでありますが、この事業は発達障害者に対する一貫した支援のあり方について検討するものであります。 平成19年3月8日に各方面の関係者から成る発達障害者支援体制整備検討委員会を設置し、各ライフステージに応じた支援体制の整備等について検討しております。 今年度は、この委員会において指定した一圏域をモデルに、関係機関の連絡調整会議を設置し、個別事例についての支援計画を作成した上で支援を行い、その中から得た関係機関の連携のあり方や具体的な支援内容等の成果を全県に普及させることとしております。 以上でございます。   〔産業労働観光部長丸山仁君登壇〕 ◎産業労働観光部長(丸山仁君) 障害者の企業での就労実態と評価についてでありますが、本県の障害者雇用率は1.46%であり、全国平均を下回っておりますが、前年より0.06ポイント上昇し、改善しております。 県といたしましては、障害者雇用の拡大のためには、雇用する側の理解と受け入れ態勢の整備等が重要と考えており、引き続き障害者職域拡大アドバイザーを活用した訪問によるアドバイスを実施することとしております。 また、県内の授産施設を利用している障害者は約2,500人でありますが、授産施設は障害者にとって日常の活動の場として重要な役割を果たしているものの、企業での就労に向けて必要な訓練を行う場としては限界があるものと考えております。   〔教育長武藤克己君登壇〕 ◎教育長(武藤克己君) 御質問7点についてお答えいたします。 まず、公立小中学校の耐震化率等が低い原因についてでありますが、耐震化率につきましては、対象となる棟数が多いことから年次計画に基づく整備が必要なことや統廃合や改築を優先することなどが原因と考えております。 また、耐震診断実施率につきましては、昨年度、市町村に年度内の実施を働きかけたところでありますが、対象棟数の多い一部市町村において、実施が今年度にずれ込んだことが主たる要因と考えております。 なお、今年度末には改築・統廃合等の計画を含めますと、おおむね耐震診断が完了する予定であります。 次に、文部科学省通知を受けた県の対応についてでありますが、今年度中に耐震診断を終える予定のない市町村に対しましては、直接、市町村長に年度内実施を強く働きかけることとしております。 また、耐震化につきましても学校施設の耐震化計画の策定など、その推進を要請してきたところでありますが、引き続き着実な取り組みを働きかけてまいります。 次に、学力調査についてでありますが、全県を対象とした悉皆調査は、県と国の学力・学習状況調査のみであり、実施時期もあらかじめ公表されていることから、各学校の教育課程に適切に位置づけられており、教科の学習時間にとりわけ影響を与えることはないものと考えております。 また、議員御指摘のように、学力調査は学校が児童生徒の学力実態を正確に把握し、その問題点を明らかにし、指導の改善を図るために実施するものであり、意義あるものと考えております。 次に、全県学力調査結果の市町村別の公表についてでありますが、今回実施した調査では、各学校が自校の調査結果と県及び市町村ごとの調査結果とを比較、検討し、これまでの指導の効果、問題点及び改善点を明確にした上で、児童生徒にとってわかる授業づくりを進めることができるよう、市町村別に公表したところであります。 なお、今回の調査はいわゆるテストの平均点を比較するものではなく、基礎的な内容についての達成度や理解度を明確にするものであり、学校間の学力競争をあおることにはつながらないものと考えております。 次に、新潟市との人事交流についてでありますが、広大な県土を持ち、離島や山間地が多く存在する本県において教育水準の向上を図るためには、全県的な視野に立って人事異動を行っていく必要があると考えております。 したがいまして、新潟市とは、現職教職員の計画的な交流を進めるとともに、今後、新潟市が独自採用する新採用教職員についても、同様に人事交流を行うこととしております。 次に、教員志望者の動向と離島、山間地の教員確保についてでありますが、近年の新採用者の出身地を見てみますと、県内全域にわたっていることから、今までと同様に、全県的視野に立った教員採用を行うことができるものと考えております。 なお、離島や山間地における教員の配置につきましては、人事異動基準を定めて、若手教員や中堅教員を確保できるよう努めているところであり、今後も継続してまいりたいと考えております。 次に、民間出身校長の登用についてでありますが、新潟市は民間等の職歴を通じて培った柔軟な発想や企画力を備えた人材を登用するため公募したものと受けとめております。 本県といたしましては、当面、同様の制度導入は考えておりませんが、学校経営に当たってはマネジメント能力が強く求められておりますので、こうした観点からの研修の充実を図ることにより、引き続き校長の資質向上に取り組んでまいりたいと考えております。 以上であります。 ○議長(長津光三郎君) 若月仁君の質問は終わりました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(長津光三郎君) これにて本日の一般質問は終了いたしました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(長津光三郎君) お諮りいたします。 次会は、明6月27日午前10時から開くことにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(長津光三郎君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(長津光三郎君) 本日の議事日程は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 △午後5時37分 散会...