平成18年 2月定例会 本会議平成18年3月6日(月曜日) 議事日程 第5号 午前10時 開議第1 第64号議案から第107号議案まで第2 請願第1号から第4号まで第3 陳情第1号から第4号まで第4 県政に対する一般質問 ――
―――――――――――――――本日の会議に付した案件 日程第1 第64号議案 平成17年度新潟県
一般会計補正予算 第65号議案 平成17年度新潟県
県債管理特別会計補正予算 第66号議案 平成17年度新潟県
地域づくり資金貸付事業特別会計補正予算 第67号議案 平成17年度新潟県
災害救助事業特別会計補正予算 第68号議案 平成17年度新潟県
母子寡婦福祉資金貸付事業特別会計補正予算 第69号議案 平成17年度新潟県心身障害児・
者総合施設事業特別会計補正予算 第70号議案 平成17年度新潟県
中小企業支援資金貸付事業特別会計補正予算 第71号議案 平成17年度新潟県
農業改良資金貸付事業特別会計補正予算 第72号議案 平成17年度新潟県
林業振興資金貸付事業特別会計補正予算 第73号議案 平成17年度新潟県
沿岸漁業改善資金貸付事業特別会計補正予算 第74号議案 平成17年度新潟県
有林事業特別会計補正予算 第75号議案 平成17年度新潟県
地下駐車場整備事業特別会計補正予算 第76号議案 平成17年度新潟県
都市開発資金事業特別会計補正予算 第77号議案 平成17年度新潟県
流域下水道事業特別会計補正予算 第78号議案 平成17年度新潟県
港湾整備事業特別会計補正予算 第79号議案 平成17年度新潟県
電気事業会計補正予算 第80号議案 平成17年度新潟県
工業用水道事業会計補正予算 第81号議案 平成17年度新潟県
工業用地造成事業会計補正予算 第82号議案 平成17年度新潟県
新潟東港臨海用地造成事業会計補正予算 第83号議案 平成17年度新潟県
病院事業会計補正予算 第84号議案 新潟県災害救助条例の一部改正について 第85号議案 新潟県薬事法施行条例の一部改正について 第86号議案 新潟県動物の愛護及び管理に関する条例の一部改正について 第87号議案 新潟県
附属機関設置条例の一部改正について 第88号議案 新潟県漁港管理条例の一部改正について 第89号議案 新潟県港湾管理条例の一部改正について 第90号議案 契約の締結について(
県道小千谷川口大和線橋りょう(川口橋上部)工事請負契約) 第91号議案 契約の締結について(
県道小千谷長岡線災害復旧(その2)工事請負契約) 第92号議案 契約の締結について(新潟港東港区物揚場、
船揚場工事請負契約) 第93号議案 損害賠償額の決定について 第94号議案 損害賠償額の決定について 第95号議案 指定管理者の指定について(新潟県政記念館) 第96号議案 指定管理者の指定について(新潟県民会館) 第97号議案 指定管理者の指定について(
新潟県立自然科学館) 第98号議案 指定管理者の指定について(
新潟ユニゾンプラザ) 第99号議案 指定管理者の指定について(新潟県起業化支援・交流拠点施設) 第100号議案 指定管理者の指定について(新潟ふるさと村アピール館) 第101号議案 指定管理者の指定について(
新潟県立鳥屋野潟公園・
清五郎ワールドカップ広場) 第102号議案 指定管理者の指定について(
新潟県立紫雲寺記念公園) 第103号議案 指定管理者の指定について(
新潟県立島見緑地・
新潟県立聖籠緑地) 第104号議案 指定管理者の指定について(新潟県立植物園) 第105号議案 指定管理者の指定について(
新潟コンベンションセンター・新潟県万代島駐車 場・新潟港万代島緑地) 第106号議案 指定管理者の指定について(朱鷺メッセ展望室) 第107号議案 阿賀野川水系及び信濃川水系に属する一級河川の指定及び指定の変更に関する 意見について 日程第2 第1号 児童扶養手当の見直しについての意見書提出に関する請願 第2号
次期新潟県議会議員選挙における選挙区等の見直しを求めることに関する請願 第3号 AED(
自動体外式除細動器)の普及に関する請願 第4号 AED(
自動体外式除細動器)の普及に関する請願 日程第3 第1号 患者、国民の医療費負担増の中止を求める意見書提出に関する陳情 第2号 新潟県
市町村立学校臨時教職員の離職期間の見直しに関する陳情 第3号 地方切捨てをせず、住民の安全と安心を守る公的機関の役割を重視し、住民のサービス 向上を求める意見書提出に関する陳情 第4号 「新潟駅周辺整備計画」実施のための予算を、新潟県2006年度予算に計上することの 中止を求めることに関する陳情 日程第4 県政に対する一般質問(志田邦男君、五十嵐完二君、佐藤浩雄君、中川カヨ子君) ――
――――――☆――――――――出 席 議 員(59名) 小島 義徳 君 佐藤 純 君 桜井 甚一 君 小林 林一 君 西川 洋吉 君 佐藤 莞爾 君 岩村 良一 君 沢野 修 君 皆川 浩平 君 斎藤 隆景 君 金谷 国彦 君 江口 俊一 君 早川 吉秀 君 木村 一男 君 尾身 孝昭 君 中原 八一 君 柄沢 正三 君 中野 洸 君 小川 和雄 君 小野 忍 君 目黒 正文 君 村松 二郎 君 小野 峯生 君 帆苅 謙治 君 三林 碩郎 君 上村 憲司 君 長津光三郎 君 天井 貞 君 渡辺 惇夫 君 佐藤 元彦 君 種村 芳正 君 石井 修 君 東山 英機 君 高橋 正 君 三富 佳一 君 星野伊佐夫 君 嵐 嘉明 君 布施 康正 君 斎藤 喜和 君 塚野 弘 君 長部 登 君 桝口 敏行 君 米山 昇 君 小山 芳元 君 大渕 健 君 竹山 昭二 君 杉田 弘美 君 佐藤 信幸 君 市川 政広 君 近藤 貞夫 君 佐藤 浩雄 君 松川キヌヨ 君 青木太一郎 君 宮原 典子 君 志田 邦男 君 五十嵐完二 君 内山 五郎 君 中川カヨ子 君 片野 猛 君 ――
―――――――――――――――議員以外の出席者 知事 泉田 裕彦 君 副知事 高橋 正樹 君 副知事 川上 忠義 君 出納長 関根 洋祐 君 総務部長 森 邦雄 君 総合政策部長 神保 和男 君 県民生活・環境部長 渡邉平八郎 君 危機管理監 大口 弘人 君 福祉保健部長 丸山 仁 君 産業労働部長 久住 和裕 君 農林水産部長 武藤 敏明 君 農地部長 石川 佳市 君 土木部長 木下 惠夫 君 港湾空港局長 内山 克彦 君 病院局長 牧野 正博 君 企業局長 佐藤 衛 君 教育長 武藤 克己 君
人事委員会事務局長 桐生 和男 君 警察本部長 勝浦 俊行 君
労働委員会事務局長 井上 敬一 君
監査委員事務局長 島垣 一男 君 ――
――――――☆――――――――
△午前10時開議
○議長(佐藤元彦君) これより本日の会議を開きます。 ――
――――――☆――――――――
△日程第1 第64号議案から第107号議案まで
○議長(佐藤元彦君) 日程第1、第64号議案から第107号議案までを一括して議題といたします。 提出者の説明を求めます。泉田知事。 〔知事泉田裕彦君登壇〕
◎知事(泉田裕彦君) ただいま上程されました議案44件について御説明申し上げます。 第64号議案は、平成17年度
一般会計補正予算でありまして、総額373億3,643万1,000円の減額補正についてお諮りをいたしました。 このたびの補正予算は、新潟県中越大震災、7.13新潟豪雨災害のほか、昨年の6.27
梅雨前線豪雨災害等を含む
災害復旧関係事業費について、事業費の確定等に伴う所要の措置を講じるとともに、
中小企業金融対策を含めた事務事業の執行見込みに基づく過不足調整等を行うものであります。 この結果、補正後の財政規模は1兆2,692億5,964万7,000円となった次第であります。 また、第65号議案から第83号議案までは、特別会計並びに企業会計に係る補正予算でありまして、それぞれ事業計画の最終見込み等に合わせまして、補正を行うものであります。 次に、その他の議案について御説明を申し上げます。 第84号議案から第89号議案は、条例案件であります。 第84号議案は、合併前の旧市町村の区域における災害に対応するため、旧市町村単位で適用基準を満たしている場合について災害救助条例を適用するよう改めるため、第85号議案及び第86号議案は、関係法令の改正等に伴って、新たに手数料等を定めるため、第87号議案及び第88号議案は、事業の進捗による必要性の変化等を踏まえ、附属機関の廃止等の整理を行うため、第89号議案は、船舶の入港により、県民の生命、身体または財産、その他県民生活の安全が害されるおそれが強い場合には、港湾を利用させないことができる規定を追加するため、それぞれ条例の改正を行うものであります。 次に、第90号議案から第92号議案までは、契約の締結について、第93号議案及び第94号議案は、損害賠償の決定について、第95号議案から第106号議案は、指定管理者制度の導入に伴い、管理者となる団体及び指定期間を定めるため、最後に第107号議案は、1級河川の指定等に関する意見について、それぞれお諮りするものであります。 以上、各議案の概要について御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、各議案それぞれについて御賛同を賜りますようお願いを申し上げます。
○議長(佐藤元彦君) お諮りいたします。 第64号議案から第107号議案までは、審査のため、諸君のお手元に配付の議案付託表のとおり、各部門の常任委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤元彦君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 〔議案付託表は付録に
掲載〕 ――――――――☆――――――――
△日程第2 請願第1号から第4号まで
△日程第3 陳情第1号から第4号まで
○議長(佐藤元彦君) 日程第2、請願第1号から第4号まで及び日程第3、陳情第1号から第4号までを一括して議題といたします。 お諮りいたします。 請願第1号から第4号まで及び陳情第1号から第4号までは、審査のため、諸君のお手元に配付の請願・陳情文書表のとおり、各部門の常任委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤元彦君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 〔請願・陳情文書表は別冊に
掲載〕 ――――――――☆――――――――
△日程第4 県政に対する一般質問
○議長(佐藤元彦君) 日程第4、県政に対する一般質問を行います。 順次、発言を許します。 まず、志田邦男君の発言を許します。志田邦男君。 〔志田邦男君登壇〕(拍手)
◆志田邦男君 おはようございます。きょうが最後の一般質問というふうになりましたが、公明党の志田邦男です。県政の各般について質問をいたします。 最初に、平成18年豪雪と名づけられた今冬の記録的豪雪で、本県において28名の方が亡くなられました。さらに、この異常気象で引き起こされた羽越本線の脱線事故、交通事故等を含めますと、実に多くの方々が犠牲となっておりますことに謹んで哀悼の意を表します。 また、これから雪崩、地すべり等への警戒、農業への影響等が心配されますので、関係各位の御尽力をよろしくお願いするものであります。 最初に、知事の政治姿勢並びに県政の諸課題について質問をいたします。 平成18年度当初予算編成、大変御苦労さまでした。今定例会、既に私の質問までに多くの議員が多様な論点から質問しておりますが、知事の答弁も大分丁寧になってきたなと思いますし、部局長の答弁回数も多くなり、時に鋭く議員側の質問に反論、指摘をされておりますことは、議会と執行部の緊張ある関係性を高めることであり、高く評価をいたします。それも部局長枠予算の編成などで厳しいやりとりをしてきた結果なのかなと思う次第であります。 今回の予算については、これまでの災害対応、景気不況など、長く暗いトンネルからようやく光が見えてきたのかなと思うものであります。県債残高も実質的には昨年度より減に転じ、県税収入も好転してきている。しかし、不透明な三位一体改革の行方と相まって、脆弱な財務体質など、多くの課題が依然として存在しております。 この背景として、本県の経済・産業構造などの立ちおくれがあると私は認識をしております。したがって、本県の歩みが一日も早く未来に向かって進む、そのような予算をと、我が党としても要望をしておりました。 新年度予算においては、新しい施策を織り込んで県勢の発展を図ろうとしている、このことを評価し、期待をしております。 その予算編成の中で、今回初めて導入した部局長枠予算、現場を預かる部局では、これまでさまざまな制約の中で多くのニーズにこたえようと苦心を重ねてきました。その声を吸い上げてということであれば、この制度は意義のあることであります。ただ、これを効果のあるものとするには、知事の方針、考えを十分に部局で消化することが必要であります。 今回、最初のことゆえに、知事と部局長間のコミュニケーションが十分にとれたのか、また県民のニーズがよく反映されていたのかということですが、部局長枠予算の成果並びに課題について、知事の御所見を伺います。 次に、予算の編成過程についてですが、今ほど質問した知事と部局長との間の交渉過程、あるいは財政課長、総務部長、知事の予算調整の各段階で、要求内容と調整状況がどうなのか、このことについてはオープンにしてもよいのではないのか。県政とは、つまるところ予算がどうなるかであります。そして、その過程でどのような議論があり、積み上げられていくのか。このことについては多くの県民が関心を持っているのであります。 これからますます地方分権の時代になるに当たり、県みずから積極的に予算編成過程の情報をオープンにし、県政に対し多くの県民から関心を持たれるようにすべきと考えますが、知事の見解を伺います。 次に、知事は
自由民主党星野議員の代表質問に答えて、新潟スタジアムの指定管理者について、管理のあり方について、さらに時間をかけて検討する必要があるとして、決定を1年間延ばしております。鳥屋野潟公園並びに新潟スタジアムについては、これまで一括管理として公募、審査をしてきたわけですが、直前になっての暫定措置は、意外な感もしました。 鳥屋野潟公園、中でもスタジアムの一層の活用は、単に施設の問題だけでなく、大きな意味を持っているだけに、県民の注目の度合いも大きいと考えております。したがって、今後指摘されているスタジアムと公園の分離委託などの新たな検討課題や管理者選考にかかわる審査の透明性の確保についてはどのように考えているのか、お尋ねをいたします。 さらに、指定管理者制度の導入により、これまで県と一体となって施設管理を行ってきた出資法人も、民間と同じ競争の場に立たなければならない状況になりました。そうなると、指定管理者制度の推進をする県として、出資法人に対する県の関与のあり方をどのようにしていくのか、その考え方をお尋ねいたします。 次に、新潟県中越大震災については、創造的復旧ということで重点的に取り組んでいると承知をしております。私も震災当夜以来、何回も足を運びながら、中山間地を崩壊させた震災の復興が本当の意味でなし遂げられなければ、一般的に言われている中山間地の活性化という、そのことも絵にかいたもちではないかと思うのであります。 昨年の暮れ、大雪の小千谷市、川口町に行った際、田麦山の仮設住宅に住む被災者の方が、地区の中でも集団移転、また個々の判断で平場におりていく、そうなると近い将来に学校の存続も立ち行かなくなるだろう、孫のことを考えると学校がなくなるような地域には、残念ながらいられないと無念さがにじむ言葉を出しておりました。 2年連続の豪雪、国勢調査でも川口町を初め旧栃尾市、小千谷市など大きく人口が減少しております。震災から10年の被災地の姿をあらわした新潟県
中越大震災復興ビジョンの記録1と記録2、現在我々の目の前にあるのは避けるべきシナリオ、記録1の道をたどっているのではないかと懸念をしますが、現状について知事の認識を伺います。 被災地の創造的復旧を進めるためにも、その大部分を占める中山間地域の振興は極めて大きなテーマであります。予算案においても、交流人口の拡大など振興策が盛り込まれているものの、果たしてどこまで効果があるのか。これまでの枠で十番な効果を期待できるのか。 例えば雪を逆手にとって、首都圏地域と連携して施設を提供し、第二のふるさととしての交流人口の拡大あるいは中
山間地活性化プランを全国に呼びかけるなど、新潟県の山河のイメージアップに強く取り組んでほしい、多くの人が望んでいるところでありますが、知事の見解を伺います。 次に、来年4月1日、政令市移行を目指している新潟市では、現在、区名公募など政令市への準備を急ピッチで行っております。新潟という言葉の響きは、新潟市というより越後という感じがするのではないかと思っておりますが、政令市・新潟市が誕生すると、新潟県、さらに北東アジアの玄関都市・新潟市という新たなイメージが加わって全国に発信されるのではないかと私は期待をしております。 中国には既に県の大連経済事務所がありますが、新潟市は本格的に中国への足場を固めるために、北京に事務所を設置することを検討していると聞いております。県に対しては、海外事務所設置の経験を生かした助言や協力を求められると思います。 私は、県・新潟市それぞれの戦略で進むことは、オール新潟のウイングを広げる意味で意義のあることと思う次第です。今後、県・新潟市が協力しながら、また時には刺激し合いながら進んでいただきたいと思いますが、中国には思い入れも強い知事のこの件に関する御見解を伺います。 2番目に、県立大学について質問いたします。 今回、本会議、連合委員会でさまざまな角度からこの問題について論議をされているところであります。連合委員会での村松委員との論戦も、大変興味深く拝聴しました。私も県内高等教育の充実を初めとする設立の必要性については同意をするものです。 今回、基本構想案が出され、「本県の発展を担う中核的人材の育成を目指して」として、理念、学部・学科の構成が示されております。これまでの
県立女子短期大学との関係もあるので、当然それらの流れも継承しなければならないのですが、この構想案においては女子短期大学の延長線というイメージが避けられないとの声も聞きます。 学部構成は全く違いますが、お隣の
福島県立会津大学は、平成5年開学で
コンピューター理工学部に特化した大学ですが、外国人教員が約40%で、現在、地域においてもIT産業などにおいて極めて大きな貢献をしているとして高く評価をされております。 現在、新潟県内には4年制大学が11あるのですが、その中で単にこれまでの
県立女子短期大学の延長線上ではない、新潟県の将来戦略を担う県立大学としては、インパクトに欠けるのではないかとあえてお聞きをしますが、知事としてはどのようにお考えでしょうか。 また、本県が抱える諸課題に対応する
シンクタンク機能を有する大学を目指すとされていますが、本県が抱える諸課題とは、まさに拉致等の外交問題から災害、農漁業、高齢化等々、日本の中でもありとあらゆる課題が凝縮していると言っても過言ではない県であります。そういう状況では、
シンクタンク機能とは県立大学に重点的に望むというより、現在県内にある大学との連携で
シンクタンク機能を充実するものではないかと考えるものであります。 県立大学構想で示された学部構成で、果たしてその期待にこたえられる見通しがあるのか、見解を伺います。 そして、現在、県内にある大学等の高等教育のあり方について、今後、少子化等の影響で大学の経営、教育レベルの向上などいろいろな問題も山積しております。県としても補助金を出している責任もあることですので、新潟大学を初めとする県内大学との連携を密にして、本県の高等教育の充実を図らなければならないと考えるものです。 そのためには、今の文書私学課の所管でよいのかなどの問題もありますが、県としてはどのようにお考えか、お聞きをします。 3番目に、道州制について質問いたします。 地方制度調査会は、2月28日、都道府県を廃止し、道州制を導入することが適当だとする答申をまとめ、小泉首相に提出しました。全国を9、11、13の道州に分けた3パターンの区割り案を例示、国の仕事を道州に移し、現在は都道府県が担う仕事の多くを市町村に移すことで、小さな政府と地方分権を進める道筋も示しました。 しかし、この答申、明治以来の国家のあり方を根底から見直さなければならないはずなのに、そこには触れず、単純に国の権限21項目を移譲するとしており、それすらも簡単にこの方向に行くとは思えないというのが私の率直な感想であります。本来なら、国と地方の関係をしっかり組み立てた上で、あるべき制度に沿った区域割りに進むべきところを、いきなり区域割りも提示したことは、国民の目をそらす何らかの意図があるのかと疑いたくもなるところであります。 私は、現在、市町村合併が進み、近い将来、新潟県が30以下の市町村になることも予想される状態では、もはや県の体制がこのままでよいとは当然思っておりません。したがって、先ほど述べたように、120年以上続いた都道府県制度については、文字どおり国家百年の大計をつくるため、今議論をするときであると認識しております。しかし、今回の答申は、その点が不十分と言わざるを得ないのであります。 この件について、知事はアンケートで、道州制には賛成だが、制度的な面での議論が不十分との認識を示しておりますが、今回の答申についての評価、また権限移譲などについて中央官庁などの抵抗が懸念されますが、今後どのように対応していくのか、見解を伺います。 さて、あわせて示された区域割り案については、これまでたびたび論議が交わされてきたところであります。今回示された案では、北陸、北関東信越の2例が示されました。計3例でございますが。この案に乗って議論すること自体、私は本意ではありません。今、本県がどちらになるのがよいのかという議論になったのでは道州制の本質が隠れる、そんな気がします。しかし、議論を放棄すると、いつの間にか流れにのみ込まれてしまう、そのような危惧も感じます。 そこで、区域割りについては、本県としてはどう考えるのか。広域的な区域割りの中で、本県の置かれている状況はどうなるのかをしっかり議論するのも一考ではないかと考えるのであります。 私自身の考えで言うなら、北陸ブロックの中では確かに気候風土においては共通項がある。しかし、交通体系が全く系統が違う。さらに、経済圏として東京関東圏と関西中部圏という決定的な違いがあります。文化的にも、正月に食べるのは新潟はサケ、北陸はブリ、全く食べ物からして違うという状況です。つまり、新潟が北陸というのは、中央で地図を見ているだけの人の論と言わざるを得ないと私は考えています。 また、北関東ブロックにおいては、交通・経済等の交流はあるものの、圧倒的な関東サイドの枠組みになるわけで、その際、豪雪地帯の苦しみ等に対応できるのか。州議会ができたとしても、関東とは違う新潟の声が理解されるのか。逆に水不足などの場合、信濃川の水を関東によこせというジャピック構想がまた再燃するのではないか。現に、信濃川JR発電所の抱える問題は、関東においては全く理解をされていないのであります。 少し考えただけでも、長短さまざまな問題があるわけであります。ちなみに、私は新潟独立論も大きな選択肢と考えております。 いずれにしても、道州制が具体的な動きになるには時間がかかると思いますが、本県の立地特性とはどういうものなのか、どうあるべきか、しっかり議論をして県内外に示していく必要があると考えますが、知事の見解を伺います。 次に、羽越本線脱線事故について質問いたします。 昨年11月下旬からの異常寒波の来襲は、豪雪、大停電、交通機関の乱れ等、県民生活に大きな影響を与えてきました。そして、12月25日の羽越本線の脱線事故も、直接的には強風によるものと思われます。この事故によって、死者5人、重軽傷者32人、犠牲者には本県在住者もおります。 私は、27日、事故現場の余目町に行ってまいりましたが、想像以上の寒さ、強風で、乗客の方々、関係者の大変な御苦労に頭の下がる思いでした。現場は、最上川の鉄橋を過ぎた直後であり、全く風を遮るもののない場所でありました。 本県においても、阿賀野川、信濃川などにかかる鉄橋も数多くあり、とても他人事とは思えない状況であります。国交省鉄道局でも特に風の通り道に着目しており、鉄道における当面の強風対策を指示しております。 県内においても特に海岸に近くて今回の事故と類似の路線の安全対策について、県としてどのように対応しているのか、伺います。 また、山形県と共同の羽越本線高速化検討調査は、最終報告がまとまったと聞いていますが、今回の事故が最終報告取りまとめの上で何らかの影響を及ぼしたのか、検討調査の状況とあわせて伺います。 次に、健康にいがた21の実現について質問いたします。 日本は、世界有数の長寿大国であります。同時に、また有数の自殺大国とも言われております。統計を見ますと、体制が崩壊し、いまだ混乱が続く旧ソビエト連邦諸国の自殺率が世界の中でも極めて高率なのが目立っております。その旧ソビエト連邦諸国とほとんど同じくらい自殺率が高いのが新潟県であります。年により多少の変動はあるものの、10万人当たり30人前後という、これはアメリカ合衆国の約3倍に当たる状況ですが、この状況に私も驚きました。 自殺の理由を見ると、私は専門家ではないので、具体的にはわかりませんが、本県の特徴として経済的要因、高齢化要因、そしてその他要因というものが高いのが気になります。人間関係なども入るのかと思うのですが、それらの背景となっているのは何か。他人に迷惑をかけたくない、相談相手がいないなど、本県特有の状況でもあるのだろうかと考えるのですが、自殺は亡くなった人のみならず、残された遺族にも大きな苦しみを与えております。そのことを考えると、ともすれば隠されがちな自殺というものに対し、県としても真っ正面から取り組んでほしいと思うものであります。 そこで、お聞きをしますが、何ゆえ新潟県では自殺率が高いのか、その要因をどのように考えているのか、お尋ねをいたします。 また、これまでも当然のことながら自殺予防対策については取り組んできたと思います。しかし、その効果が上がらず、依然として自殺率が高いことは極めて憂慮せざるを得ない事態でありますが、平成18年度はどのような観点から予防策を講じようとしているのか、お尋ねをいたします。 次に、生涯健康、これはだれしも願うことであります。 長寿といいながら健康不安を持つ、あるいは体が思うように動かない、介護されなければならない、この状態では長寿の喜びを持つことができません。また、そのような状態で医療費、介護費用がかかるということであれば、若年層への負担も大きくなる。今日本においてはこのことが最も大きな問題ではなかろうかと認識しております。 先日、少子高齢・青少年対策特別委員会の視察で長岡市に行った際に、車いす生活をしているお年寄り、体の機能が弱った方に対して筋トレを行い、劇的とも言える効果を上げている実態を見て、改めて日常生活の場における健康対策の重要さを認識した次第であります。テレビなどでも生活習慣病の予防、日常における運動など、多くの番組が組まれて関心を持たれておりますが、それらは実際には正しい指導のもと行わなければ効果を得られないものであると思っております。 高齢化社会にあって、また医療費抑制において最も大事な生活改善、トレーニング等への適切な指導の充実に県として積極的に取り組んでいただくよう望みますが、県としての取り組みについて伺います。 次に、新潟県のIT戦略について質問いたします。 本年1月、「いつでも、どこでも、誰でもITの恩恵を実感できる社会の実現」としてIT新改革戦略が策定されました。人口減少と高齢化、つまり本県の状況そのものですが、そのような社会にあってはITの活用、展開により、その恩恵を真に受けられることが必要であります。特に本県のように過疎という状況において、医療・情報等においてますます先進地域との格差が広がるばかりであり、過疎が一層進むという悪循環に陥るばかりであります。 しかし、今、情報通信網の整備は新たな価値を生み出す力、課題解決力で構造改革を推進できるという局面をつくり出しました。どこにいても情報格差はない、地域のすばらしい価値を発信できる、これらは本県のような場合、特に重要性を持つものであります。 その動きに対して、政策プランにおいても大容量通信回線ブロードバンド未提供地域の早期解消がうたわれていますが、離島、中山間地においては格差是正のためにも一日も早い整備が望まれますが、未提供地域への整備の見通しについて伺います。 先日、新聞において、津川病院と新潟大学でブロードバンド回線を使ってデータをやりとりすると報道されておりました。過疎地の多い本県において、特に医療分野におけるIT技術の活用が望まれますが、取り組み状況について伺います。 議会においても、本会議での質問がインターネットで放送されるようになりました。また、過去の委員会も含めて、議事録も簡単に閲覧できる。最近のIT関係の動きは実に多彩で、あらゆる場面でその進化が一層早まっております。もちろん情報漏えいなども、一たん漏れると致命的な状況になるという恐ろしい面も出ていますが、しかしこの流れにさお差すことはできないのであります。 そこで、国においてIT新改革戦略が策定される中で、本県においても生活・産業・観光等において全国におくれをとらず、また県民が真にその恩恵を享受できるようにすべきと考えますが、本県の戦略を知事はどのように考えているのか、お尋ねをいたします。 最後に、教育問題について質問いたします。 今定例会において政策プランで示された、個を伸ばす人づくりを積極的に進めるということで、多くの議員から質問が出たところであります。その多くは、公立と私学の関係がよくわからないとの指摘でもありました。知事は、これまでの答弁で、知事政策局を調整役として人づくり政策の一体的な推進を図るとしています。 本県は、全国的に見ても公立高校の割合は86%と高く、全国第4位の割合であります。一方、私学は、それぞれの建学の精神のもと、中高一貫教育やスポーツ、進学など重要な役割を担ってきたことは御承知のとおりであります。 ただ、これからの状況では、少子化の進展などで新たな私学の誘致の見通しはどうなのか、また個性化と言いながらも普通科志向の増大など、教育の方向性は難しいものがあります。特にプランで示された人づくりにおいては、公立と私立の関係の整理が必要と考えますが、教育長の立場からはどのように認識をしておられるのか、伺います。 また、知事は、個を伸ばす人づくりの実現のために教育委員会と十分に協議すると答弁していますが、教育委員会としては新潟県「夢おこし」政策プランに示された教育活性化に対してどのように認識をし、今後どのように取り組むのか、伺います。 次に、近年、教育のあり方をめぐっては、不登校、いじめ、ゆとり教育と学力向上など多くの課題がありました。その一つの背景として、管理職や教員の指導力の評価のあり方も問われておりました。 一般社会であれば、人事考課は極めて重要なことであり、そのことが昇進、給与に関係するのであります。しかし、教員の世界においては、評価とともにそれが管理者、教員の資質向上につながらなければならないと考えるのであります。 それらを踏まえて、県教育委員会では新たな教員評価制度のあり方についての中間報告まとめを公表し、平成17年度において15のモデル校で試行してきたところですが、その結果についてどのように評価をしているのか、また最終報告など今後のスケジュールについて伺います。 次に、昨年7月に食育基本法が施行されました。 基本法制定の背景には、国民の食生活の乱れ、肥満などにより誘発する生活習慣病の増加がありました。政府は、本年に入り、基本法を具体化した食育推進基本計画案をまとめたところであります。現実に、まちの中でファストフードを炭酸飲料で流し込んでいるような姿を見ると、この子供たちは将来どんなになるのだろうと心配になります。 食べるという最も基本的なところを正すことは、生涯の土台をつくる大事なことであります。文部科学省では、食育推進プランの充実を期していると認識をしていますが、推進に当たっては学校、家庭、地域の連携が重要であります。その中核となる栄養教諭は、県費負担教職員となることから、栄養教諭制度導入についての県教委の判断が食育の推進に大きく影響すると考えますが、このことについて教育長の見解を伺います。 国においては、食育の推進に当たって、平成22年度までの目標値が設定をされたところであります。全国数値では、朝食を欠食する小学生4%をゼロ%に、学校給食における地場産物の使用割合を30%にとされていますが、本県の現状と目標について伺います。 以上で私の質問とさせていただきます。(拍手) 〔知事泉田裕彦君登壇〕
◎知事(泉田裕彦君) 志田議員の一般質問に順次お答えをいたします。 まず、部局長枠予算の試行の成果と課題についてでございます。 現場を最もよく知っている各部局が、これまで以上に責任感を持った形での予算編成がなされていくということが、結果として県民の皆様の県政への満足度の向上ということにつながっていくと考えております。 ことしは、試行という中で、必ずしも十分な話し合いがすべての場面に行われたかというと反省すべき点があると考えております。また、政策プランについての策定も同時並行的に進められたという状況でございますので、ことしはやはりあくまでも試行という域を出なかったのかなと考えているところでございます。 平成19年度当初予算での本格実施の際には、より早い段階でスタートをし、政策議論を十分に行える形に改める中で、県民の皆様のニーズに沿った事業構築が効率的になされる方式となるように、一層工夫をしていきたいと考えております。無論、その際に数値目標、事後的な各施策の効果の検証ということができるということが重要であると考えております。 次に、予算編成過程の公開についてであります。 この点につきましては、今回試行いたしました部局長枠予算による編成のあり方の見直しを含めまして政策・施策目標やこれに対する評価を前提とした上で行うことが効率的であると考えております。検証が県民の皆様になされるということが重要でございます。平成19年度当初予算に向けた編成手法の改善を行う中で、編成過程の透明性がより高められるようにあわせて検討してまいりたいと考えております。 次に、新潟スタジアムを含む鳥屋野潟公園の指定管理者についてであります。 平成18年度に第三者で構成される委員会を立ち上げ、スタジアムと公園の有効活用を始めまして、両施設の機能が最大限発揮できる管理のあり方を検討したいと考えております。その結果に基づきまして、指定管理者の募集、選定を行いたいと考えております。その際には、当該委員会の検討状況、指定管理者の選定過程において十分な透明性を確保してまいりたいと考えております。 次に、指定管理者制度の推進における出資法人に対する県の関与のあり方についてであります。 公募により指定管理者を選定する場合には、公平な競争を確保するということが重要であると考えております。それによりまして、県民の皆様のニーズ、また利用者のニーズにこたえていくということが可能であろうと考えております。 県との関係におきまして、県出資法人が有利になってはならないと考えております。そのため、施設の管理者のための県職員派遣やOB職員のあり方など、出資法人に対する県の関与のあり方の見直しを行っているところであります。 なお、指定管理者の選定に当たっては、公平性及び客観性確保の観点から、民間委員による審査委員会を設置し、応募者の申請内容を審査していただいておるところでございます。 次に、震災復興に対する私の認識についてでございます。 過疎化と高齢化が進行する中山間地を襲いました新潟県中越大震災からの復興は2年連続の豪雪の影響などにより、おくれが懸念されているところでございます。現在、被災地におきましてもさまざまな課題に直面をしている中で、被災された方、自治体、また地域で懸命に取り組まれているというのが現状であると認識いたしております。 震災から2年に満たない現時点におきまして、復興がシナリオ1なのか、シナリオ2なのか、避けるべきシナリオなのか、それとも目指すべきシナリオに向けて動いているのか、まだ判断がつきかねるところでございます。 私としては、復興をする際に、拙速ではなく幅広く地域の目指す方向について、地域だけではなく自治体、さらに県・国あわせてコンセンサスづくりに努めて復興を進めているつもりでございます。 震災復興は息の長い取り組みを必要とするものでありますので、被災地の皆様はもとより、広く県民の皆様とともに新潟県
中越大震災復興ビジョンの記録2で書かれた実現すべき復興の姿を目指して粘り強く取り組んでまいりたいと考えております。 次に、中山間地域の振興についてであります。 県土の7割を占めている中山間地域は過疎化、高齢化に歯どめがかからず、地域の担い手不足により活力が低下するなど、深刻な状況にあると認識いたしております。この状況を打開するためには、議員御指摘のとおり、新たな都会との交流、定住者の迎え入れなど対策を講じていく必要があると考えております。 このため、例えば新年度からは、新・にいがた人応援事業におきまして、モデル地域のノウハウ提供、定住促進・交流促進活動への支援を行うとともに、県と市町村などで協議会を組織し、首都圏における情報発信や本県への移住促進活動を積極的に展開するなど、中山間地域の振興に向け、取り組みを強化してまいりたいと考えております。 なお、この新しい施策の効果がうまくいっているのかどうかについて、うまくいかない場合は何が原因なのかということをしっかり分析して、また県民の皆様にわかるような形で評価をして、不断の改善努力に努めてまいりたいと考えております。 次に、新潟市の北京事務所設置についてでございます。 新潟市が政令市への移行を契機としてさらなる発展を目指し、北京を拠点に成長著しい中国との交流事業を展開していくことは、県の活性化にも資することが期待され、歓迎すべきものと考えております。 特に中国は中央集権の国でございます。それぞれの地方政府があるわけですが、これは選挙というか、民意がどういう形で反映されるかというと、やはり中央政府からの人事異動と人事交流という点も行われる中で地方政府が運営をされているということでございます。中央政府とのやりとりというのが、各地方政府とのやりとりの中でも重要な意味を持つと認識いたしておりまして、この北京に事務所を持つというのは中国との交流を進める上で大変重要だろうと認識いたしておるわけでございます。 このため、県といたしましても円滑な開設に向け、海外事務所設置の経験を生かした助言、協力を行っているところでございます。現地におきましては、大連経済事務所やビジネスコーディネーターを通じた支援を行っていくとともに、新潟市とも相互補完の関係で交流促進に努めてまいりたいと考えております。 次に、県立大学構想についてお答えをいたします。 まず、県立大学の学部・学科構成についてでございます。 学部・学科につきましては、これまでの経緯も踏まえて構想案としてまとめてきたものでございますけれども、御指摘のような御意見もちょうだいをいたしているところでございます。今後さまざまな御意見を踏まえながら、検討を加えてまいりたいと考えております。 次に、県立大学の
シンクタンク機能についてでございます。 中原議員の一般質問にお答えしたとおりでございますが、県立大学では本県が抱える諸課題について、専門的な視点から継続的に研究を行うとともに、本県の産業構造や社会システム、さらには行政の関与のあり方について制度的な枠組みの見直しをも視野に入れた提言を積極的に行ってほしいと考えております。広く本県の発展に貢献できるような機能を持ってほしいなと考えております。 ちなみに、欧米での一流校と言われる大学がどのような財務状況になっているかといえば、公の機関からの補助と授業料ということに加えまして、外部からの研究受託を進めているわけでございます。ぜひこの大学に研究をしてほしいというものの中から各先生が選んで自分のやりたい研究をすると。地域への提案ということを進める中で研究受託ができていくということも、やはり地域に貢献する大学として有効なのかどうかと評価されるメルクマールも必要であろうと思っております。 やはり一番重要なものは中期目標が、どういう方向に進んでいくのか。これも議員御指摘のとおり、
県立女子短期大学の流れを引き継いでいるわけでございます。この流れと、それから中期目標の中で大学の方向をどう目指していくのか、しっかりと県民の皆様で検証できるような中期目標の設定をしていく必要があろうと認識をいたしております。 次に、県立大学と県内高等教育機関との連携についてであります。 私は、大学は教育、研究、地域協働の各分野において、それぞれが持つ特色を生かすことが重要であると考えております。あわせて県内高等教育機関が連携し、全体として発展していくということも必要であると考えております。 この高等教育機関の連携に関しましては、県立大学が一定の役割を担っていくべきものと考えております。どのような役割を担うかについては、今後、さまざまな御意見をちょうだいしながら検討してまいりたいと考えております。 次に、道州制についてであります。 私は、地方制度調査会の答申は、圏域の枠組み先行で、そもそも何のために道州制を行うのかという議論が欠けており、地方分権の進展に結びついていくものかどうか懸念を持っているところでございます。やはりこの道州制というのは、住民の視点で見て二重行政、三重行政を廃し、国と地方の関係、役割分担を明確にした上、コストが低く、いいサービスが住民に提供されるということが基本になければならないと考えております。 今後の対応につきまして、やはり最大の課題は中央政府から地方に権限、財源、人材の移譲が行われるか否かということでございます。先行的に実施をすると政府で方針決定をしている北海道ですら、事実上ゼロ回答が続いているというような状況でございます。国と地方が対等の場で協議することが必要であると思いますし、その場が必要であろうと。そこにおいて、国と地方の役割の見直し、地方分権を一層推進するための方法について、取り組んでいく必要があるものと考えております。 次に、道州制の区域についてでございます。 道州の区域の議論を先行させるということは、そもそも何のための道州制かという目的を抜きにして組み合わせの議論になってしまう、本質からずれていってしまうのではないかということを懸念をいたしております。まずは、国のあり方の見直し、地方分権を一層推進するための方法についてどのようにすべきか、検討がなされるべきであると考えております。 それと並行しまして、長きにわたって存続しました都道府県を廃止して道州を設置するということは、やはり県民生活にさまざまな影響を及ぼすことになると考えております。道州制の意義や課題について、県民の皆様に積極的に情報提供していく必要があると考えております。 また、議員御指摘の中で一つ、多分これも議論しないといけないだろうなと思いますのが、県内に州都が必要かどうかという議論も必要だろうと思っています。中国・四国地方では、既に州都の誘致をめぐってさまざまな議論が展開されているところでございます。 この議論をする際に、州都がどういう意味を持つのか、どういう権限を持っているのかが決まらないと、必要かどうかという判断もできない。すなわち、市町村で基本的に自分たちのことは自分たちでできるということであれば州都のある必要性が低くなるでしょうし、今までと同じように基礎的自治体の市町村の行政に州が深く関与をするということになれば、やはり近くにないと困るということになるのだと思います。国と地方の役割分担ということをよく検討していく必要があると思っております。 次に、本県のIT戦略についてであります。 県内のITの現状につきましては、動画がストレスなく見られるブロードバンド基盤の環境が、全国に比べると整備がやはり大幅におくれているということでございます。ADSLも含めて、ブロードバンド環境の整備ということだけで言えばまあまあというところなのでしょうけれども、ただ実際には、特にADSLは局社から距離が離れると動画がストレスなく見れないという現状になっておりまして、形だけのブロードバンド化を進めるのは意味がない。やはり医療の問題等御指摘があったとおりでございます。この通信回線というものが県民生活の向上に役立つという意味でのブロードバンド環境整備でなければならないといった点で整備がおくれているところは認識いたしております。 情報インフラの整備が喫緊の課題であり、県としても本県の地理的特性を勘案しますと無線ブロードバンドの技術といったことも含めて、ブロードバンドの未提供地域の早期解消に取り組んでまいりたいと考えております。産業や観光面などでのITのさらなる利用を促進し、県民だれもがITの恩恵を実感できる社会の実現に努めてまいりたいと考えております。 〔福祉保健部長丸山仁君登壇〕
◎福祉保健部長(丸山仁君) 本県の自殺率についてでありますが、さきの一般質問で沢野議員にお答えしたところでありますが、自殺の要因については健康や経済の問題、個人的な理由など多くの要因が背景にあり、現在のところ十分な分析ができておりませんが、県民の自殺に対する理解不足やタブー視する社会環境、うつへの対応のおくれなど、さまざまな要因が影響を及ぼしていると考えております。 次に、平成18年度の自殺予防対策についてでありますが、うつのスクリーニングと継続的なケアを行う松之山方式による自殺予防対策を行った市町村においては、自殺率が減少するなど一定の成果をおさめております。これまでは、取り組む市町村数が限られていたことなどから、県全体の自殺率を低減させるまでには至らなかったものと考えております。 こうしたことから、来年度は自殺率が高い地域がある市町村に対して、新たに設ける補助制度を活用した自殺予防対策の強化を働きかけてまいりたいと考えております。 また、かかりつけ医等を対象とした、うつの早期発見のための研修会による医療体制の充実や企業等と連携した、職場のメンタルヘルス講座などによる働き盛りの年代を含めた自殺予防対策を進めてまいります。 次に、生活習慣病予防等のための運動に関する環境整備についてでありますが、県では、現在、生活習慣病予防や介護予防のための運動習慣の普及を目的に、健康運動実践指導者や水中運動指導者を養成しているほか、市町村指導者に対する研修会やホームページを通じた県民への運動プログラムに関する情報提供等を行っているところであります。 県といたしましては、県民の運動習慣に関する機運を高めるため、来年度から新たにウオーキングロードの登録や指導者の要請など、県民が取り組みやすいウオーキングの普及に努めるとともに、運動施設に関する情報提供や科学的根拠に基づいた運動プログラムの普及啓発に一層取り組んでまいりたいと考えております。 次に、過疎地域における医療分野でのIT技術活用についてでありますが、県では医療の地域格差を解消するとともに、医師不足を補完するため、現在、県立津川病院や粟島へき地出張診療所などにおいて、新潟大学医歯学総合病院等から支援を受けながら、画像送信を活用した診断等を実施するなど遠隔医療システム導入促進に取り組んでおります。 今後とも県内どこでも質の高い医療が受けられるよう、IT技術の活用による遠隔医療の体制づくりに努めてまいりたいと考えております。 〔総合政策部長神保和男君登壇〕
◎総合政策部長(神保和男君) お答えいたします。 羽越本線脱線事後についてでありますが、昨年12月25日に発生した山形県内での羽越本線脱線事故を受けまして、県ではJR東日本に対し、早期の原因究明と万全な対策を講じた上での早期完全復旧を要請したところであります。 今回、羽越本線の脱線事故を契機に、JR東日本、JR西日本及び北越急行各社においては、在来線運行区間全体について、風による
運転規制区間の見直しを行い、安全対策を講じたものと聞いております。 鉄道の安全対策は、一義的には鉄道事業者と国の所管する事項ではありますが、県といたしましても県民の安全・安心を守る立場から、県内における鉄道の安全対策について万全に対応されるよう、今後も積極的に要請を行ってまいりたいと考えております。 次に、羽越本線脱線事故に伴う羽越本線高速化の検討への影響等についてでありますが、山形県と共同で行っている調査では、線路の改良などで安全対策が十分講じられることを前提に、需要予測や費用対効果の分析、収支採算性などを検討しており、今回の事故は今年度末に取りまとめる予定の最終結果に直接の影響はないものと考えております。 なお、JR東日本では、羽越本線事故原因究明・対策検討委員会を設置し、安全対策を専門的に検討することとしておりますので、来年度本県が設置を予定している検討委員会では、その状況も踏まえながら検討を進めてまいりたいと考えております。 次に、ブロードバンド未提供地域の整備見通しについてでありますが、御指摘のとおり中山間地域等を中心にブロードバンドが提供されていない地域がなお多く存在していることから、こうした地域を早期に解消するため、平成18年度からブロードバンド空白地域解消促進事業を創設し、ADSLや無線によるブロードバンド基盤を整備する市町村を支援することとしており、平成20年度を目途に県内全域でブロードバンドが利用できるよう環境整備に努めてまいりたいと考えております。 〔教育長武藤克己君登壇〕
◎教育長(武藤克己君) お答えします。 まず、高校教育のあり方についてでありますが、教育委員会におきましては、急激な生徒減少期にあって、生徒一人一人の個性や能力を最大限に伸ばす観点から、中長期高校再編整備計画を策定し、特色ある学校づくり、学科の再編整備など高校改革を推進してまいりました。 また、私学におきましても、建学精神のもと、公立学校に先駆けて中高一貫教育や特別進学クラス、スポーツクラス等を設定するなど、特色ある教育を推進してきたものと認識しております。 今後も公立、私立を問わず、新潟県のあすを担う生徒を育てるという観点で、それぞれが最大限の努力をしていくことが大切であると考えております。 次に、教育の活性化についてでありますが、教育委員会ではこれまでも生徒一人一人の個性を伸ばす観点から、中高一貫教育校や総合学科、単位制高校、理数科や音楽科などの学校・学科を設置し、特色ある教育の推進に努めてまいりました。 新潟県「夢おこし」政策プランにおいても、個を伸ばす人づくりの実現のために中高一貫教育の積極的展開、スポーツや技術分野における個性や才能の伸長、時代の進展に対応した専門教育の充実など、特色ある学校教育の展開を図ることが盛り込まれております。 今後は、プランの趣旨を踏まえ、なお一層、個を伸ばす人づくりに努め、教育の活性化を図ってまいりたいと考えております。 次に、教員評価制度についてでありますが、現在、モデル校に実施状況報告書の提出を求めている段階でありますが、教職員の学校運営への参加意欲が高まったことや、学校教育目標の実現に向けて教職員がより一層共通認識を持って取り組むようになったことなどの成果が報告される一方、なお一層評価方法の工夫が必要であることなどの意見も寄せられております。 今後のスケジュールにつきましては、新年度はモデル校をさらに拡大し、平成19年度においてはすべての公立学校において試行し、その結果を踏まえて、平成20年度には本格実施することとしております。 次に、栄養教諭制度の導入についてでありますが、この制度の導入に向けて、栄養教諭育成講習授業に鋭意取り組んでいるところでありますが、栄養教諭は一般教諭と異なり、単独で授業ができないこと、学校給食の実施形態の違いにより栄養教諭の勤務場所が異なることから、すべての児童生徒にひとしく指導できないこと、さらには栄養教諭の業務のあり方など解決しなければならないさまさまな課題があると認識しております。 次に、本県における小学生の朝食欠食の現状等についてでありますが、平成16年度調査によりますと、朝食を全く、またはほとんどとらないという小学生の割合は1.7%であります。 また、学校給食における本県の地場産物の使用割合は27.1%であります。 なお、これら2つの目標値につきましては、今後、新潟県食育推進協議会で検討されるものと考えております。
○議長(佐藤元彦君) 志田邦男君の質問は終わりました。 次に、五十嵐完二君の発言を許します。五十嵐完二君。 〔五十嵐完二君登壇〕(拍手)
◆五十嵐完二君 私は、日本共産党の立場から、県政が当面する幾つかの重要な問題について質問いたします。 まず、豪雪対策、震災対策について質問いたします。 今冬の記録的な豪雪で、3月1日現在で死者28人、重軽傷者280人に上る人的被害と家屋などの被害が生じました。亡くなられた方々に深い哀悼の気持ちを述べるとともに、被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げます。 日本共産党は、豪雪災害から住民を守るために、1月5日に豪雪対策本部を設置し、高齢者世帯などの除排雪援助、国会での活動を通じた災害救助法の有効活用など、行政とも力を合わせて豪雪対策を行ってきました。この取り組みを通じて、今後の教訓となることも幾つか明らかになっていますので、今後の豪雪対策に対する提案も含めて質問をいたします。 まず、豪雪はそれ自体災害であるという立場から、災害救助法を適用して、要援護世帯に限らず、高齢者世帯や自力での除雪作業が困難な住民にも支援を拡大すること、県が積極的に行った市町村への重機の貸与を含む集落での機械力の恒常的確保、集落で除排雪に実際の力を発揮するマンパワーの確保が豪雪対策として重要であります。 こうした点を踏まえ、今後の県の雪対策の施策を充実・発展させるとともに、具体的には冬期集落の維持のための生活道路の圧雪や高齢者の多い集落の世帯の除排雪、機能維持に不可欠な役割を果たしている冬期集落保安要員制度に改めて光を当て、保安要員を縮小することなく拡大すること、豪雪集落で除排雪機能を持つ重機を充実し、集落・地域の力を発揮させる方向で県の施策を充実させることが必要であります。 質問の第1は、集落への小型除雪機の配置についてです。 豪雪地集落では、小型除雪機の老朽化が進み、既に壊れかけているものを個人的に修理して使っているなど、更新しないと大事なときに除雪作業に支障が生じる現状にあります。長野県では、県単で県内地域づくりを支援するコモンズ支援金という事業で小型除雪機の購入補助を行っています。本県が行ってきた新規の小型除雪機を配置する、豊かで快適な雪国づくり推進事業は、既に9年目に入る事業であり、今冬の豪雪を受けて、改めて豪雪集落への小型除雪機配置施策を進める必要があると考えますが、知事の見解を伺います。 第2に、この間の豪雪を経て、克雪住宅の普及促進が豪雪対策にとって重要であることが一層明らかになってきています。 融雪屋根型の克雪住宅を設置した方が、12月12日から2月9日までで27万1,450円も灯油代がかかったという事例が生まれています。屋根雪おろしにかかわる費用は所得税の雑損控除になりますが、現行法では融雪のための灯油代はこの対象とならないことから、県として雑損控除に入れるよう国に求めることを提案いたします。 克雪住宅で県の補助率が高い融雪型は、雪が消えるメリットはあるが、このようなデメリットがあることを踏まえ、新年度予算案の克雪すまいづくり支援事業の助成拡大対象を要援護世帯だけではなく高齢者にまで対象を広げ、克雪住宅の普及促進を図るべきと考えますが、知事の見解を伺います。 第3に、住民の生活、通学に欠かせない大糸線と只見線が長期間豪雪で運休となっています。安全を最優先にしつつも、早期に運行が再開できるよう、県でやれることがあれば行いつつ、早期運行再開をJRに働きかけるべきと考えますが、どうでしょうか。 質問の第4は、震災対策についてですが、新潟県中越大震災復興基金は、被災者への早期支援を行うために180億円の予算が計上されていましたが、このたびの収支補正予算で執行額が実際は30億円という少額にとどまっていることが明らかになりました。 早期に被災者に支援を行うとした当初の目的から見て、どこに問題があったと考えるのか、知事の見解を伺います。 同時に、復興基金の早期活用で一刻も早く被災者の生活再建を進め、最後の一人まで生活を再建できるように、被災者の切実な課題となっている住宅再建メニューを思い切って充実することが必要です。 具体的には、県産材で復興を支援する越後杉で家づくり復興支援事業の補助対象要件の緩和と補助率引き上げ、合併浄化槽補助事業における自己負担分に対する助成などを行うとともに、被災農地復旧に力を発揮している手づくり田直し支援事業活用の一層の周知徹底を行うべきと考えますが、知事の見解を伺います。 第6は、被災農地の作付再開についてですが、被災された農家の方は、条件が少しでもあるなら農地の作付を行うことを切実に願っています。ことし春の被災農地の作付を少しでも可能なところから広げるために、農地に水を引く応急水路やポンプの設置、耕作者が農地に通える仮農道の設置などの応急復旧を積極的に進めるべきと考えますが、今後の取り組みを伺います。 次に、2006年度予算案等について質問いたします。 今、小泉政治のもとで庶民大増税と社会保障の連続改悪が進められ、社会的貧困と格差の新たな広がりが進んでいます。これに立ち向かい、県民の暮らしと福祉、安全を守ることは、新年度の県予算を編成する上での最重要課題であります。 ところが、予算案は、全国最低レベルの乳幼児医療費助成や少人数学級などは据え置いたままにし、高校生就職支援員配置を全廃するなど、県民の切実な願いに背を向けるものとなりました。 さらに、150人近い県職員削減を行い、業務の民間委託と民営化を進めるなど、小さな政府を標榜し、福祉と暮らしのための施策を一層切り捨てようとしています。 その一方で、新潟駅連続立体交差事業に10億円かけるなど3点セットのための事業や、必要性が乏しく自然環境破壊のダム事業に41億円投入するなど、従来型の大型公共事業も推進しています。 予算案では、借金返済額である公債費は2,520億円で、歳出に占める割合は初めて20%を超えるものとなり、県の借金体質は依然深刻です。財政危機をつくり出した大型開発優先の県政を進めてきた原因と責任を明らかにすることなしに、財政危機の打開も、格差と貧困に苦しむ県民のための施策の財源もつくれないことは明らかであります。 質問の第1は、本県の生活保護世帯数は1997年の5,798世帯から2005年には9,252世帯、就学援助を受けている児童生徒が1995年の4.8%から2004年には11.7%へとそれぞれ急増し、高校生の授業料減免数も1998年の1,289件から2005年には4,662件と、震災の要因が加わったとはいえ、3.6倍に激増するなど県内でも社会的格差と貧困が広がっています。 この原因について、知事はどう考えるのか。その対応策とあわせて伺います。 質問の第2に、昨年の12月定例会でも強調しました全国最下位にある民生費の割合を高める努力でありますが、自治体の役割は地方自治法にも明記されている、住民の福祉の増進を図ることが基本であります。そして、主人公である住民の意思が行政の大もとでなければなりません。 その点で、この2月にまとめた暮らしについての県民意識調査の結果が大事であり、この調査結果では重要度1位に保健・医療・福祉が充実していることとなっています。 私は、自治体の本来の役割、そして県民意思という両面から見て、福祉の増進が図られることは必要不可欠と考えますが、このことが新年度の予算でどのように反映されているのか、伺います。 質問の第3に、予算案では拠点性の向上を強調し、北東アジア交流圏の表玄関化を掲げ、新潟駅連続立体交差事業などが推進されようとしています。 しかし、県民意識調査では、この拠点性に関連する「海外との友好交流や経済交流が活発に行われること」との項目は20項目中最下位の20位であり、この施策は県民の意思とかけ離れたものと言わざるを得ません。 また、先般の「新潟県民の意思を最優先して県政運営を行い」との知事の答弁とも矛盾するものですが、拠点性の向上に対する県民の意思について、知事はどう認識しているのか、見解を伺います。 質問の第4に、県営の3つのダムで34億円を超える予算が計上されました。昨年の12月定例会での奥胎内ダム建設に関しての答弁は、予算だけでなく環境問題を考えるべきとの趣旨でした。さらに、地球環境をいかに守って次の世代に残していくかという観点での配慮が必要だからダムをつくるとの答弁は、奥胎内ダムについて水力発電だけに着目した非常に視野の狭いものであります。 前回も述べましたようにアメリカ合衆国では川の再生をテーマに既に500を超えるダムを撤去し、生態系と漁業の回復や観光振興を図ろうとしていますが、ここには膨大な費用をかけた巨大ダムが自然を破壊した上、将来は結局堆砂などで無用の産業廃棄物と化すという認識に基づいた反省があります。 長野県の田中知事の脱ダム宣言の中でも同様のことが述べられ、100年、200年先の我々の子孫に残す資産としての河川、湖沼の価値を重視したいと強調しています。知事の認識とは正反対であります。泉田知事の答弁は、ダム建設自体が重大な環境破壊ということを見ない議論ではありませんか。 あわせて、私は373億円から317億円までへと見直すたびに、代替案である河川改修の事業費が下がり、292億円のダム建設と余り変わらなくなったことから、さらに代替案を厳密に精査し、公共事業再評価委員会にかけることを改めて求めるものですが、知事の所見を伺います。 質問の第5に、中央社会保障推進協議会の調査などで、昨年10月からの介護保険施設の食費、居住費が全額自己負担になったことによる経済的理由で施設を退所した人が21件で347人に上ることが明らかになりました。また、先般の質問に対して、4月からの介護保険料も、月額平均21%アップという大幅増の見通しも示されました。 私は、昨年の介護保険改悪による本県の被害実態について調査することとあわせ、市町村に対する政策誘導として低所得者に対する保険料、利用料の軽減策を実施する必要があると考えますが、どうでしょうか。 質問の第6に、県政の大問題となっている医師確保対策について。 1つは、現在の施策である医師養成修学資金貸与事業について、市町村の必要に応じて拡充を図ることが必要と考えますが、どうでしょうか。 いま1つは、勤務医の待遇はもとより、住環境や子息の教育環境などを含めたトータルな対応ができるように、まずは現場の医師の声を十分聞くことから始める必要があると考えますが、あわせて伺います。 質問の第7に、経済産業省はこの4月から信用保証協会の保証料率を現行の一律1.35%から企業の経営状況に応じて0.5%から2.2%の段階制に切りかえるとの報道がなされています。これにより、保証を利用している多数の中小企業は利率が上がることが考えられますが、少なくとも県の制度融資分は現行を維持して中小企業の経営を守るべきと考えますが、知事の見解を伺います。 次に、規制緩和などについて質問いたします。 知事は、小泉内閣と同様に「官から民へ」「小さな政府」を掲げ、自治体の公的業務を民間企業に開放し、移譲を進める規制緩和を推進しています。これらの公的業務を積極的に民間企業に移譲、委託していくことでどういう問題が生じるか、何点かお聞きいたします。 質問の第1は、泉田知事の企業献金に対する認識についてです。 企業は、利益を得ることを本来の目的とする営利団体です。そういう企業が政治に何らかの形で資金を提供すれば、その資金提供に見合う政治的見返りを要求することは避けられません。この間も政治と金をめぐる腐敗事件は数多く問題となっています。 特に本県は、97年に東京佐川急便事件が起き、当時の金子知事が佐川急便株式会社から1億円の政治献金を受け、逮捕されるという県政史上まれに見る大問題が起き、金子知事への献金と佐川急便株式会社への便宜供与などが大きな疑惑として問題となりました。 そのことを受けた知事選挙でクリーンを公約に掲げた平山前知事が当選し、前知事はパーティー券などを含む企業からの献金は受けず、みずから厳しく政治倫理を守ることを表明していました。 泉田知事の知事選挙の際の確認団体である、はばたく!新潟県の新時代をつくる会は、2004年9月25日、市内のホテルで、いずみだ裕彦君を励ます会という政治資金パーティーを行い、その際の収入が2,406万円、1,547枚のパーティー券を売って、そのパーティーの開催費の約159枚を差し引いて、一夜にして2,247万円の資金を得ています。この資金は、選挙関係費として政策チラシ作成費、ポスター印刷代などに1,567万円支出されていることが政治資金収支報告書で明らかになっています。 政治資金パーティーは、企業献金の形を変えたものであることは、国民周知の事実だと考えますが、知事はみずからの選挙の確認団体が政治資金パーティーを開催していることが、以前、新潟県で問題となったような金権腐敗とつながる懸念を感じないのか、見解を伺います。 同時に、このことがこの間知事が積極的に進めている官から民への転換、公的サービスへの民間への移譲などの具体例としてあらわれている指定管理者の指定やPFIの導入、公的施設の民間への移譲に支障が生じると考えないのか、見解を伺います。 質問の第3に、指定管理者制度は、株式会社も公の施設の管理運営に参加できる事業であって、指定管理の選定基準はコストであり、管理者は営利追求を目的とすることから、絶えず別な業者との競争にさらされ、そのことが公の施設の利用料の引き上げや人件費コスト削減による利用者へのサービス低下を引き起こすことが考えられます。 例えば東京都中野区の区立保育園では、指定管理者を指定した際に、真っ先に非常勤保育士が解雇されたり、福岡市が、維持費負担、運営リスクの解消、財政面でのコスト縮減ができるとPFIで整備した健康増進施設の運営会社だったタラソ福岡は、オープン後わずか2年半で5億円の負債を抱えて経営破綻するなど、民間のリスクを公的サービスに持ち込むことによって住民サービスの低下、行政財産の破綻が生まれています。 このような問題が、新潟県で指定管理者の導入などによって起こる可能性があると考えないのか、知事の見解を伺います。 次に、青年の雇用問題について質問いたします。 昨年の12月定例会でも、青年の分野で派遣やパートなど不安定雇用が激増し、長時間労働で低賃金という未来ある青年を使い捨てにするような無法で非人間的な労働実態について具体例で紹介しました。 1月27日付の新潟日報社説は、この問題で県中小企業団体中央会がまとめた意識調査を分析し、「若年層の離職増加をめぐっては、若者の忍耐力欠如などが原因とする見方が強い。だが、調査はそうとばかり言えないことを示している。調査に寄せられた若者の回答の中には離職理由として長時間労働や休日が極端に少ないなどの労働環境の問題点を指摘する声がある」として企業側の労働環境の改善努力を求めています。 質問の第1は、県内の労働者派遣事業所は、2004年4月には243でしたが、製造業など派遣対象業務を拡大した改正労働者派遣法の施行で急増し、2006年2月には468とほぼ倍になりました。これは、派遣社員の需要が多いことを示すもので、受け入れ企業は派遣労働を受け入れる理由に、経費が格安、雇用調整が容易と答えています。大手企業は、働く人たちの権利よりもコスト削減のために低賃金の若者を物のように使っています。 東京労働局では、調査した労働者派遣事業所の81%で違法行為が行われ、愛知県では88%に上るなど、無法地帯の様相となっています。これで若者の夢や展望が切り開かれるでしょうか。知事が先般述べた、努力すれば報われることになるのでしょうか。 新潟県「夢おこし」政策プランにある次代を担う若者が夢を持ち、力強く将来の展望を切り開いていけるよう、若者の派遣・請負労働者受け入れ企業に対して、正規社員として採用するよう要求すべきと考えますが、どうでしょうか。 シャープ亀山工場では、昨年8月時点で労働者3,300人のうち6割に当たる2,016人が請負中心の非正規労働者という高い比率となっているなど大きな問題があります。 県が補助を出している県営産業団地などへの誘致企業に対しては、実態を把握し、正規職員としての採用を要請すべきと考えますが、あわせて伺います。 質問の第2に、青年の雇用対策の国の施策である2005年度のトライアル雇用の県内実績を伺うと同時に、幾つかの県で行っている国の施策に対する県独自の上乗せなど、トライアル雇用施策の拡充が必要だと考えますが、いかがでしょうか。 質問の第3に、昨年の12月定例会で求め、作成いただいた青年に対する労働法上の権利を解説したパンフレット、若者のための労働ワンポイント講座は、今年度の高校卒業生の就職予定者4,800人に配布中とのことです。このパンフレットは大変よくできており、配布をさらに広げ、若者しごと館やハローワークはもとより、専門学校や大学を卒業する就職予定者にも配布することを検討するべきと考えますが、見解を伺います。 次に、農業問題について質問いたします。 第1は、品目横断的経営安定対策についてでありますが、この制度の助成を受ける対象は、農地面積4ヘクタール以上の農家で、新潟県内では6,640戸しかありません。新潟県の農家の9割以上が助成対象から外されるというとんでもない制度です。ごく一部の大規模経営だけで地域農業が守れないことは当然であり、特に多くの中山間地農家を抱えている新潟県では本県農政のあり方にかかわる大問題です。 農業県の知事として、集落営農も含めて兼業農家、中山間地農業を支えている家族農家も担い手に位置づけ、支援対象となるよう国に働きかけるべきと考えますが、知事の見解を伺います。 第2に、農村での高齢化などにより引き続き離農者の増加が予測されるもとで、専業的な農家や集落の共同組織がその農地を引き受け、農作業を受託するのは、地域農業の維持にとって必要になっています。上からの押しつけでなく、農家の自主的な規模拡大や農地の利用集積を国や県が応援することこそ求められています。 集落営農や農作業受託組織、農業生産法人なども家族経営を補完するものとして位置づけ、これらが支援対象となる担い手と認められるよう県として取り組むべきと考えますが、見解を伺います。 第3に、近年、農業に魅力を感じ、都会から農業に参加する若者や離職後、新たに農業を始める人たちがふえていく傾向にあります。このような新規参入者を本格的に定着、増加、育成するため、農地のあっせんや農業技術指導などの支援体制を一層拡充するとともに、このように農業に魅力を感じた人たちが新潟県にしっかりと根をおろし、定住を促進するためには、移り住んでからの生活や居住不安にこたえることが大切です。 そのために、新規就農者に3年間などの一定期間、補助金を支給する施策を市町村と協力して立ち上げるべきと考えますが、見解を伺います。 第4に、輸入野菜が急増するもとで、県内での地場産野菜、イチゴなどのブランド野菜生産農家を支援するために、県農作物価格安定協会が行っている価格安定事業の補てん率や出資割合などを充実させる支援を行うとともに、ブランド戦略に位置づけているル・レクチエなど全国でも通用する果樹に対する価格安定対策を検討するべきと考えますが、見解を伺います。 質問の最後に、国民保護計画、原発問題について伺います。 国民保護法の大もとである武力攻撃事態法は、アメリカ合衆国が海外で引き起こす戦争に自衛隊を引き込み、その支援活動に罰則つきで国民を動員するものであり、国民保護法が地方自治体や指定公共機関などに住民の避難計画や救援・復旧等を義務づける国民保護計画の策定は、戦争に備えるのが当然という戦争意識を持たせ、戦時動員体制をつくることに最大のねらいがあるものであり、我が党は断固反対であるということを改めて表明しておきたいと思います。 質問の第1は、2004年12月に策定した防衛計画の大綱の我が国を取り巻く安全保障環境では、見通し得る将来において、我が国に対する本格的な侵略事態生起の可能性は低下していると判断されるとの認識を示しています。 そして、これまでの答弁では、地域防災計画とは別に国民保護計画策定の必要性について、武力攻撃事態では情報が専ら国から伝達されること、県の区域を超えて行う広域避難が想定されることと述べています。 しかし、県の区域を超えて行う広域避難が想定される着上陸進攻という事態は、国の防衛計画の大綱が示す情勢認識からはおよそ考えられず、テロなどは地域防災計画で対応できるものであります。結局、国民保護計画は必要ないと考えるものですが、素案が作成された今の時点で、改めて新潟県国民保護協議会会長でもある知事の見解を伺いたいと思います。 質問の第2に、原子力発電所や離島に対する武力攻撃事態における住民避難のシミュレーションが検討されていますが、佐渡は一体軍事上どんな意味を持つ地域として想定したのか、伺いたいと思います。 新潟県の観光のメッカである佐渡観光を広める上で、イメージダウンとなるだけの無意味な想定はやめるべきではありませんか。 質問の第3に、福島第一原子力発電所6号機に続き、柏崎刈羽原子力発電所7号機での流量計データ改ざんが明らかになりました。給水流量計は、タービンを回した蒸気を復水冷却器で水に戻し、再び原子炉へ送り返す配管に設置されるものです。原子炉の冷却調整に不可欠の機器であります。 今回の問題は、2002年8月に発覚した東京電力のトラブル隠しなど、一連の不正事件に対する総点検時に発見されなかった点が重大です。 福島第一原子力発電所のデータ改ざんが発覚したときに、新潟日報社説は「問題となった流量計は安全性が確認されたようだが、他の機器に不正はないのかという不安も残る。東電は、主要機器の安全確認を行い、疑問や不安の解消に努める必要がある」と指摘しました。 私も同様の認識であり、東京電力の一連の不正事件に対し、社内調査にとどめるべきでなく、第三者機関により改めて徹底した調査が行われるべきではないか、知事の見解を伺います。 質問の第4に、電気事業連合会が1月6日にプルトニウム利用計画を発表しました。これは、原子力委員会が各電力会社に対して六ヶ所村再処理施設で予定しているアクティブ試験前に公表することを求めていたものです。 資源エネルギー庁は、2006年度から核燃料サイクル交付金を導入しますが、これはプルサーマルに同意した都道府県に運転開始までに10億円、さらに実施後5年間で50億円を交付するもので、2006年度中にプルサーマル計画に同意した自治体に限るという条件をつけ、早期実施を促すという、おくれているプルサーマル計画をまさに札束でつり上げる許しがたいやり方です。 電気事業連合会が発表したプルトニウム利用計画では、東京電力では発電所名を明記しませんでしたが、東京電力の原子力発電所三から四基としています。これは、東京電力の原子力発電所は福島県と新潟県しかないもとで、柏崎刈羽原子力発電所と明記したことと事実上同じであり、私は東京電力に対して強く抗議すべきと考えますが、知事の見解を伺い、質問を終わります。(拍手) 〔知事泉田裕彦君登壇〕
◎知事(泉田裕彦君) 五十嵐議員の一般質問に順次お答えをいたします。 まず初めに、集落における除雪体制の整備についてであります。 集落における除雪体制づくりには、基本的には住民に身近な市町村が取り組まなければ進まないということを今般の豪雪対応で痛感いたしました。 避難指示、避難勧告を出す権限を市町村長が持ち、かつどの住民が援護を必要としているのか、これは一義的に市町村が情報を持っているわけでございます。雪が少ない期間が20年にわたり続いたことにより、コミュニティーの対応力、そしてまた行政の対応力が落ちているのではないかと強く認識しておるところでございます。 さらに、今般、県からの受け入れ要請を拒否をする、嫌がる自治体があるというのも現実でございます。県から何をやろうとも、やはりコミュニティーの中でしっかりとした対策をとらない限り、全く前に進まないという実感を強く持ったわけでございます。そのため、先般来、市町村長との意見交換も進めているところでございます。これは、トップダウンというだけではなくて、やはり地域での地道な活動ということが不可欠であろうと考えております。コミュニティーの防災力向上のため、自主防災組織がない市町村もある。各市町村に積極的な取り組みを促してまいりたいと考えております。 なお、県ではコミュニティーによる克雪活動を進める観点から、地域の住民が協力して除雪活動を行うための小型除雪機の導入に対しても支援を行っており、引き続き地域の実情に応じて柔軟に対応してまいりたいと考えております。 次に、克雪住宅の普及促進についてであります。 雪処理にかかる労力の軽減や事故の防止などを図るため、豪雪対策における克雪住宅の普及促進が果たす役割は極めて重要であると考えております。 新年度予算案の克雪すまいづくり支援事業におきましては、経済的、身体的な事情から行政の支援を必要とする要援護者世帯に対して、落雪型住宅への支援を拡充をいたしております。 いずれにいたしましても、これは議員が誤解していると思うのですが、要援護世帯の中には高齢者単身世帯、高齢夫婦世帯などが含まれております。 次に、大糸線と只見線の運転再開についてであります。 昨年来の記録的な豪雪により、鉄道の運休が多発しております。とりわけ大糸線及び只見線の一部区間が長期にわたり全面運休となっており、その早期運転が重要な課題になると認識いたしております。 両線が沿線住民の通勤・通学・通院等の生活路線として重要な路線であることから、県といたしましても先般JR西日本及びJR東日本に対し、安全性に十二分に配慮した上での早期運転の再開を要望したところでございます。もうすぐ運転再開ということを期待いたしております。 次に、復興基金の予算についてであります。 当初予算の事業執行は、やはり生活再建ということを中心に据えて基金は運用される必要があると私は認識しておるところでございます。地域での生活再建を進めるために何が必要なのか。まず、道路がつながらなければいけない、そして自宅を確認した上で、公共施設、郵便局、学校、役場等が戻ってこなければ、なかなか生活再建につながらないということでございます。自宅の再建ができなければ、それに伴う利子補給等各種支援策も需要が発生してこないということだろうと思っております。 2年続きの豪雪等により、被災地域インフラの整備等が間に合っていない。この事業の実施が予定よりおくれているという状況から、事業量が当初の想定を下回ったものと考えております。 今後は、2年目を迎えるということから、県及び市町村事業と一体となって、さらに積極的な施策展開を図っていくということが必要であると考えております。 次に、住宅再建に係る各種基金メニューの要件緩和等についてでございます。 やはり震災からの復旧・復興の第一歩は生活の再建ということでございます。そして、いまだに8,000人近い方々が仮設住宅で生活をされております。これは1月15日時点での数字でございますけれども、そのうち8%の方がまだ生活再建のめど、住宅再建のめどが立っていないというような状況でございます。まず、これらの方々が、雪が解けて自分の生活がどうなるのかしっかりめどを立てていくということが一番急がれる課題ではないかと考えております。 議員の御提案につきましては、被災者のニーズ、復旧状況を踏まえて、今後、財団で検討をお願いしたいと考えております。 次に、平成18年度の予算案等についてであります。 まず、議員の御指摘について若干議論の中に無理に事実をわかっていても指摘をしない、触れないというような形で質問されたのではないかと思いますので、あえてその点を御指摘しておきたいと思います。 公債費の上昇というのが、自動的に県財政の硬直化を招いているわけでございません。この公債発行というのは、インフラの整備、まさに生活の命である道路とか橋、公共施設でいえば学校・病院等、こういったものの建設に充てるための費用でございます。 そして、この起債をする際には交付税措置がなされるわけです。収入が決まっていて、その中からどんどん支出を決めていくということではなくて、公共施設を整備すると収入がふえる構造になっていると、それを県財政の硬直化と呼ぶというのは、意識的な議論誘導ではないかと、私は大変残念な質問であったというふうに思っております。 さらに、もう一つ申し上げますと、この公共事業という中に農地の整備というのがございます。この農地の整備というのは、やはり農家と、そして建設業が表裏一体となっている中山間地域での収入という側面もあるわけです。議員の議論でいくと、中山間地での収入の道は絶たれてもいいような発言というのが今の質問の中の背景に入っているのではないかと。新潟県の重要産業である農業と建設業をいかに守っていくかという視点を変えて、財政が硬直化しているという誤った議論を展開するというのは極めて遺憾な行為であると強く指摘をしておきたいと思っております。 そのような前提のもとで、生活保護世帯等の増加についてお答えをいたしたいと思います。 経済・雇用情勢や高齢者のみの世帯の増加等の社会的要因から、平成16年度の全国の生活保護率は平成8年度との比較で0.4%増加をしている。これに対し、本県は0.208%の増加にとどまっており、全国との比較からも必ずしも激増とは言えないと認識をいたしております。どうしてこのような言葉を使うのか、全く理解のできないところでございます。 なお、格差の拡大等についてでございます。内閣府では、所得格差が大きい高齢者世帯の増加や所得の少ない単身者世帯の増加を統計上の所得格差の要因として上げており、こうした世帯の増加がマクロの格差を見かけ上拡大させているという見解を示しております。 わかりやすく申し上げると、今まで家庭内でおじいちゃん、おばあちゃんというのを大切にしようと若い人が支えていたということだと思っています。それが世帯として分離して独立している。今までは家庭内の扶助で伴っていたものが公的扶助、公助にシフトをしているという側面があるのだろうと思っています。若干、世知辛くなってきているということかもしれません。 そうすると、家庭内の扶助から公助にシフトをしていくということはどういうことかといえば、だれがそれを負担するのかと。では、増税ということを念頭に置いて議論をしないといけないのか。一体この国の扶助の形をどう考えていくのか、よく議論する必要があるのではないかと思っております。 議員御指摘のように、社会的格差と貧困が県内で広がっていると直ちに断定することが果たして可能なのかどうか、より一層の検証が必要ではないかと認識をいたしております また、近年の生活保護の実態として、現役世代の受給の増加というのも一部に見られる。これは、別の言葉で言えばリストラが進んでいたということではないかと思っています。では、このリストラされた方は、働く気が全くないのかというと決してそんなことはないと。働く機会がないから働けないということでございまして、働くチャンスがあればこの現役世代での受給者はまさに地域に貢献する担い手になっていくということなのだろうと思っています。この受給者がふえているからどんどん公的扶助をふやしていけという方向に行くのか、それとも働く意欲のある人に働く場を提供していくという方向で政策を打っていくのか、全く雲泥の差が生じていくのではないかと、地域の将来に大きく影響があると考えております。現役世代の方々のニーズに沿ったさまざまな就労の場の確保といったものを積極的に進めてまいりたいと考えております。 次に、拠点性の向上と県民の意思についてでございます。 これも意図的に資料を読みかえているのではないかと、極めて残念な質問であったと思っています。 これは、表を見ていただくとわかるのですが、道路や鉄道などが整備され、交通が便利であることが2年前に比べて4ポイントも増加をしている、それも上位にランクをされる政策に入っております。 拠点性の向上は、単なる海外との友好関係等を意味しているわけではございません。道路や鉄道が整備され、交通が便利になること、県民は優先度の高い施策として求めていると、またその比率もふえているということでございます。 一方、青少年教育への重要性の認識度が減っているということです。これは、少子化の影響が出ているのかもしれませんけれども、いずれにしても安心して産み育てることのできる、将来に希望の持てる県土をいかにつくっていくのかということを建設的に考えていただきたいなというふうに考えております。 産業は福祉の糧と申します。今後、地方分権が進展する中で、自前の財源をいかに確保していくのかということが重要な課題になっております。お金が天から降ってきて、どんどん、どんどん配れるのだったら、議員の言われるようなことでもいいかもしれません。保健・医療・福祉をどういうふうに充実していくのか、財源をどうするのかということを示さないで無責任な発言を続けるというのは、これは問題ではないかというふうに思っております。 安全で安心な暮らしの実現を図るためには、税源の涵養が不可欠である。本県の拠点性の向上は本県産業を活性化をさせていくということが必要であり、県民の意思に極めて合致していると認識いたしております。 次に、奥胎内ダムについてでございます。 12月定例会では、仮にダム代替案の費用が現計画の費用を下回った場合の対応について、残事業費や利水対策等を検討し、総合的に判断をしていく必要があると申し上げ、この中で水力発電の環境面における効果について言及したものであります。 ちなみに、奥胎内ダムの年間発電量は、粟島火力発電所の5.2年分に相当します。この分のCO2の排出量が抑えられるということでございます。 また、ダムの建設自体が重大な環境破壊との指摘につきましては、ダムは洪水からの防護や流水の機能改善等による自然環境の保全に有効であるというふうに言われております。一概に環境破壊と言えるのかどうか。引き堤であっても、引き堤をやる以上は、その工事をしたところの生態系を破壊するわけです。引き堤の方が環境破壊が少ないということが、ちゃんと本当に言えるのか、検証される必要があるのではないかと思います。 なお、再評価につきましては、国の指導により5年ごとに行うことになっております。奥胎内ダムは、平成16年度の再評価におきまして、継続妥当との意見をいただいておりますので、現時点で再評価にかけるという状況になっておりません。 ちなみに、金額で言いますと、既に奥胎内ダムは42.8%執行をされております。総額を比べて引き堤の方がいいという議論が今出てきたら、この42.8%執行してしまったものをどうするのか。引き堤をつくる際に、コンセンサスが出てつくって、一体いつまでに事業を完成することができるのか。この事業の進捗がおくれている間に、また水害があって命が失われる、財産が失われるというようなことがあったら、日本共産党は責任とっていただけるのかどうか、そういうことも総合的に判断して検討する必要があるのではないかと思っております。 次に、信用保証協会の保証料率についてであります。 国では、この4月から保証料率について、現行の一律の料率から中小企業者の経営状況を考慮した料率体系へと移行する方向で検討中と聞いております。 これは、経営状況に応じた保証料率を設定することにより、経営が良好な中小企業者に対しては割安な保証料とし、経営状況が必ずしもよくない中小企業者に対してはリスクに応じた負担により利用機会の拡大を図るものであります。仮に国の示したスキームを本県に当てはめた場合、協会利用者の4分の1程度が平均よりも保証料率が上がる層に属すると考えております。 信用保証制度は、基本的に国の制度であり、保証料率は最終的には信用保証協会が決めるものでありますが、その影響をできるだけ緩和するために、県制度融資の保証料率の取り扱いについて県信用保証協会と調整してまいります。 次に、規制緩和などについてお答えをします。 まず、私の後援会の政治資金パーティー開催が金権腐敗につながる懸念についてであります。 政治資金規制法により、私や私の後援会が企業から献金を受けることは禁止されております。ございません。 ちなみに、今お話をされた前知事は、企業献金はなかったものの、団体献金は受け取っておられたと承知をいたしております。それは、県政がゆがむことにならないのかどうか。 政治資金パーティーは、対価を徴収して行う催し物であり、その収入については政治資金規制法においては献金とは区別して取り扱うこととされ、法的に認められるものであり、選挙前に一度、公正な手続に従って行われたと承知をいたしております。 次に、政治資金パーティーの開催が指定管理者等の指定に支障を生じないかについてであります。 後援会開催のパーティー券については、私の政策に共鳴され、御支援くださる幅広い層が購入されているものと認識いたしております。政治資金パーティー開催の有無にかかわらず、いかなる場合も特定の企業・団体・個人の利益のための県政であってはならないことは当然であり、私は引き続き県政を預かる者として県民の方を向いた県民のための県政を推進してまいる所存でございます。 次に、指定管理者制度導入による利用者サービス低下への御懸念についてであります。 指定管理者制度は、民間能力の積極的な活用により、住民サービスの向上と経費の節減等を目的として創設をされたものであります。県といたしましては、コスト面だけでなくサービス面での維持向上が重要であると考えております。また、民間企業にとってもサービスに対する利用者の評価が企業活動としての大きな要素であると考えております。 なお、県といたしましても、指定管理者が提案したサービスの達成状況を毎年度の事業報告等により確認するとともに、利用料金の設定に当たっては事前に県の承認を得なければならないとしているところでございます。 次に、青年の雇用問題についてお答えをいたします。 若年者の正社員としての採用要請についてでありますが、企業の採用方針は企業ごとの中長期的な経営方針や採用時の経営状況等を勘案し、決定されるものであります。若年者の中には、正社員を希望しながら、やむを得ず派遣・請負として働いている方もおられると認識いたしております。 県といたしましては、こうした若者のために安定した雇用機会の確保が重要であると考えております。まさに若者が安心して結婚し、そしてまた産み育てる環境がなければ、地域全体の盛衰に大きく影響するという認識を持っております。今後とも積極的な産業政策や求人開拓に取り組むとともに、企業誘致に際しましても、極力安定した雇用をお願いしてまいりたいと考えております。 次に、農業問題についてお答えをいたします。 兼業農家等について国への働きかけについてでありますが、中山間地域を多く抱える本県といたしましては、これまでも国に対し、地域の実態に即した制度となるよう働きかけを行ってまいりました。 その結果、兼業農家や小規模農家がお互いに助け合って農業を行う組織・法人も対象となるほか、条件が不利な中山間地域や複合経営等には、経営規模の特例措置が設けられるなど、本県の主張が一定程度反映されたものと考えております。今後とも実態に即した制度運用となるよう国に対して働きかけを行ってまいりたいと考えております。 次に、原発問題についてお答えをいたします。 まず、東京電力に係る一連の不正事件についてであります。 今回の東芝データ改ざん問題は、平成14年のトラブル隠しとは異なり、多くの企業が関係する巨大システムである原子力発電所を安全に運転する管理運営能力の問題であると認識をしており、なぜ改ざんが発見できなかったという点も含め、より確実で安心できる管理運営体制の確立を東京電力に対し引き続き強く求めてまいりたいと考えております。 ちなみに、県が今、要望しているものの中にISO9000の取得というものが入っていますが、これは品質の管理について第三者が介在してチェックをする仕組みということでございます。 次に、プルトニウム利用計画についてであります。 小山議員の代表質問にお答えしたとおりでございますが、今回公表された同計画に、他電力がプルトニウム利用計画を策定している中で、東京電力は私の要請を受けまして、地元との信頼関係構築を第一に掲げ、プルトニウム利用計画の策定を見送ったということであります。 いずれにいたしましても、柏崎刈羽原子力発電所におけるプルサーマル計画の導入については、現時点において議論以前の段階にあるという認識に変わりはございません。 〔農林水産部長武藤敏明君登壇〕
◎農林水産部長(武藤敏明君) 集落営農等に対する県としての支援についてでありますが、県といたしましては、既に本年度も集落営農などの組織化、法人化に対して、集落内での話し合い活動の促進や組織の運営指導、農業機械の導入支援等を行ってきておりますが、平成19年度からの品目横断的経営安定対策の導入を控え、平成18年度から19年度の2カ年間で中山間地域等中核農家の確保が困難な地域における地域ぐるみの組織化、法人化を緊急的に進め、できるだけ多くの農家が新制度の対象となるよう推進してまいりたいと考えております。 次に、農業への都会出身の若者の新規参入、離職就農者への支援についてでありますが、都会の若者等の本県への就農については、担い手の確保を図る上で重要であると考えておりますことから、県といたしましては県農林公社の青年農業者等育成センターに窓口を設置して相談活動を実施するとともに、市町村と連携して県単補助事業による助成や無利子資金の貸し付け等により支援しているところであります。 具体的には、技術習得のための研修に対する支援、農地確保に対する支援、機械・施設の導入に対する支援等、新規参入希望者のニーズに沿った体系的な支援策を設けて、無理のない農業への参入が図れるよう支援しております。 次に、価格安定制度についてでありますが、県農作物価格安定協会が実施している価格安定事業は、補てん率や県の出資割合など、他県と比べて遜色のないものとなっておりますので、引き続き現行制度の中で野菜の生産・供給の安定と生産農家の経営安定を図ってまいりたいと考えております。 また、果樹につきましては、野菜と比べて価格変動が小さいことや自然災害等に対する共済制度があることなどから、制度の必要性は低いものと考えております。 〔農地部長石川佳市君登壇〕
◎農地部長(石川佳市君) 今春の被災農地の作付を広げるための取り組みについてお答えいたします。 被災地域では、12月初旬からの積雪により復旧工事が見込みほど進んでおらず、また豪雪による雪解けのおくれも懸念されております。このため、雪解け後速やかに作付不可能箇所の再調査を行うとともに、関連工事との緊密な調整や消雪剤の散布、除雪等の実施、地域の意向を踏まえた応急復旧など、きめ細かな対策を講じながら復旧工事の進捗を図り、作付可能面積の拡大に努めてまいりたいと考えております。 〔危機管理監大口弘人君登壇〕
◎危機管理監(大口弘人君) お答えいたします。 国民保護計画の必要性についてでございますが、事態想定の類型によって、生起の蓋然性、住民への影響程度などはさまざまでございますが、万が一の事態に備えて県民を守るための計画を策定しておくことは、県といたしまして当然の責務であると考えております。 また、災害対策基本法に基づく地域防災計画は、地域での災害認知に基づいて地域での対処を定めているのに対し、武力攻撃事態等では情報が専ら国から伝達されるなど、自然災害と異なる対処を必要とすることから、これとは別に国民保護計画を策定するものであります。 次に、離島住民の避難シミュレーションについてでございますが、武力攻撃事態においては的確な対処措置を行う必要があり、特に離島については、住民の生命・身体・財産を守るために島外への避難を行う場合も想定されることから、計画の策定に当たりまして検討を行ったものでございます。 また、佐渡における避難シミュレーションの検討は、住民や観光客など滞在者の安全確保に万全を期すために行っているものであり、佐渡観光への影響はないものと考えております。 以上です。 〔福祉保健部長丸山仁君登壇〕
◎福祉保健部長(丸山仁君) 保健・医療・福祉の充実についてでありますが、来年度予算案におきましては、保健・医療・福祉施策の充実と子育て支援対策など、県民の皆様の日々の暮らしを支える施策に重点的に取り組むこととしたところであります。 具体的には、安心な医療の確保として、小児救急医療体制の整備や医師確保対策の拡充などに取り組むとともに、健康づくり支援策として、がんや生活習慣病の予防、自殺率減少対策などに取り組んでまいります。 また、福祉の充実では、住宅バリアフリー化の助成や発達障害者支援センターの設置など高齢者や障害者が地域で安心して暮らせる基盤と仕組みづくりを進めてまいります。 さらに、安心して子供を産み育てる環境整備策として、夜間保育などの取り組みや私営保育所の体制充実に対して助成する経費を計上したところであります。 次に、介護保険制度についてでありますが、昨年10月から実施された施設の食費・居住費の見直しに伴う影響の実態調査につきましては、調査内容について県と協議を行った上で、施設団体において現在実施しており、その結果を今月中に取りまとめる予定としております。 また、低所得者に対する保険料及び利用料の軽減策の必要性につきましては、この調査結果にあわせて今般の制度改正において図られた負担軽減措置の効果も踏まえて評価していく必要があると考えております。 次に、医師確保対策についてでありますが、本年度から新たに市町村と共同で取り組んでいる医師養成修学資金貸与事業につきましては、市町村のみならず、応募する医学生の地域医療に対する熱意等について審査の上、決定、実施しているところであります。 今後の事業規模につきましては、毎年度、双方の状況を見きわめた上で検討してまいりたいと考えております。 また、現場の医師の声につきましては、県が設置している、医師確保・へき地医療支援会議において、医療機関や医師会等から委員として参画を得て、現場医師としての意見を十分伺い、医師確保に係る課題等の検討を行っているところであります。 〔産業労働部長久住和裕君登壇〕
◎産業労働部長(久住和裕君) 若年者のトライアル雇用の実績と拡充についての県の考え方についてでありますが、新潟労働局が実施している若年者のトライアル雇用制度は、事業主に奨励金を支給して常用雇用への移行を前提に短期間の試行雇用を行うものでありますが、平成17年度は、平成18年1月末現在で1,381人が終了し、うち約8割の1,110人が常用雇用に移行しております。 このように、トライアル雇用制度は十分に効果が上がっており、これに対する県としてのさらなる上乗せ等の措置は、今のところ必要ないものと考えております。 県といたしましては、今後とも若者しごと館事業やジョブカフェ事業などにより、積極的に若年者雇用対策に取り組んでいきたいと考えております。 次に、若者向けに労働法等をわかりやすく解説するパンフレットについてでありますが、若い方々の円滑な職場定着などを図るため、先般、若者のための労働ワンポイント講座と題したパンフレットを作成し、各学校を通じて、今春就職予定の県内すべての高等学校卒業生に対し、配布しているところであります。 県といたしましても、こうした内容をより多くの若年者に周知するため、その対象や方法等について今後検討してまいりたいと考えております。 〔五十嵐完二君登壇〕
◆五十嵐完二君 何点か再質問を冷静に行いたいと思います。 まず最初に、県内の社会的格差と貧困について、知事は生活保護世帯の比率を全国と比較しました。しかし、全国も貧困化が進んでいて、この指標で全国と比較して新潟県がどうのこうのというのは、全く意味を持たない。このことを申し上げて、私は指摘をしておきたいというふうに思います。 再質問の第1は、拠点性の向上に対する県民の意思に対する知事の認識であります。 知事、あなたこそ県民意識調査をゆがんでとらえているのです。20位の海外拠点性の向上、ここの中には、内訳で拠点となる新潟港、空港を機能拡充、利用促進してほしいと、さらに予算で上げている北東アジア交流圏の表玄関化のために新潟駅連続立体交差事業をやるのだというふうに書いてありますが、このことも20位に入っている海外との交流の北東アジア経済圏の形成や貿易等の促進、これに入っているのです。 ですから、道路とか鉄道の整備は私も必要だと思いますが、否定しませんが、これは拠点化とは切り離して考えるものだと。あえてそのことを、その拠点化の向上を県民は望んでいるのだということをゆがめて県政に取り入れて優先順位を与えるというのは、私は県民の意思最優先という知事が標榜しているあり方とは違うのではないかということで、このことについて改めて再質問したいと思います。 2つ目は、奥胎内ダムの問題で、ダムをつくることが環境のためにいいのだなんていう議論は、私は本当に前回の議論で初めて聞きました。そして、今回もそのことについて反省するような言葉はありませんでした。 質問でも申し上げましたが、どこを見てもダムは自然環境破壊で、膨大なお金をかけてダムをつくって、そして100年たったらみんな堆砂で埋まって産業廃棄物になる。ですから、今、アメリカ合衆国は全部壊しているということを言いましたけれども、このダムを環境のためのつくるのだという認識というものは改める必要があるということで、そのことについての答弁を求めたいと思います。 3点目、私は国民保護計画は必要ないのではないかと、地域防災計画で対応できるのではないかということを昨年の6月定例会に質問をして、このことに対する知事答弁があって、そして今回、知事が会長をやっている新潟県国民保護協議会の素案が出て初めての定例会なのです。ですから、素案をつくってみて、本当にこの国民保護計画が必要だったのかどうかということを新潟県国民保護協議会の会長である知事に聞いているのに、知事の答弁がない。どうして答弁を求めたのに知事の答弁がないのか。改めて私は再質問の場で知事から答弁を求めたいというふうに思います。 最後は、プルトニウム利用計画についての答弁は、東京電力は知事の要請を受けて計画の策定を見送ったという答弁でした。しかし、電気事業連合会から出したプルトニウム利用計画では、先ほど申し上げましたが、明確に利用場所を、東京電力の原子力発電所三、四基、利用量は0.9トンから1.6トン、利用開始時期も平成24年度以降でほかの電力会社と同じですよね。このことで計画の策定を見送ったなどということがどうして言えるのか。このことをお伺いして、再質問にしたいと思います。 〔知事泉田裕彦君登壇〕
◎知事(泉田裕彦君) 順次お答えします。 まず、社会的格差の部分についてですけれども、全国において平成8年度との比較で0.4%増加と、本県は0.208%。パーセントです、0.208%。どうしてこれで激増という表現を使うのかと。意図的な質問がなされたというのはいかがなものかと、もう一度指摘をさせていただきたいと思います。 次に、県民意識調査の読み方についてでございます。 何遍も申し上げますけれども、拠点性の向上は単なる海外との友好交流を意味しているわけではございません。やはり道路・鉄道網が整備をされ、交通が便利であること、そしてまたこの地方分権が進んでいく中でいかに税源を涵養していくかと。新潟が住んでみたい、行ってみたい都市になるかということが重要で、それができて初めて保健・医療・福祉の充実ができるということでございます。 したがいまして、県民意識の中で一番求めているものと合致をしておると。何回も言いますけれども、お金は天から降ってくるわけありません。そこにお金を投入をして、では日本共産党はどうやって財源をつくるつもりですか。日本共産党の議論は増税が背後に隠れているのではないかと疑いたくなる。財源についてもちゃんと説明をすべきであると指摘をしておきたいと思います。 次に、奥胎内ダムの問題についてお答えをいたします。 もう一度申し上げますけれども、このダムによって発電をされる電気は、年間で粟島発電所の5.2年分ということでございます。弘法大師がつくったダムも現在使われております。どういう形で自然に優しい社会をつくっていくのか、十分議論をしていく必要があるのではないかと考えております。 国民保護計画については見解に変更はございません。 次に、プルトニウムの利用計画についてでございますが、これについても東京電力においてはプルトニウムの具体的利用計画の策定を見送ったと認識いたしております。プルサーマルの議論については、議論以前の段階という認識に変更はございません。 〔五十嵐完二君登壇〕
◆五十嵐完二君 社会的格差と貧困の問題ですが、激増ということに知事は大変こだわっているようであります。私は冷静に議論したいと思いますが、生活保護世帯全体のパーセントの比率で言いました。しかし、質問でも申し上げましたが、受給者は県内5,798世帯から9,252世帯。2倍とはいきませんが、1.2倍弱の伸びを示すと。これは認識の違いで、これを急増と言うか、激増と言うか、微増と言うか、大したことないと言うか、この辺は感性の違いですから、私はこれは急増したということを申し上げて、これに対する答弁は要りませんから、指摘をしておきたいというふうに思います。 再質問の点は、拠点性の向上についての県民意識であります。 あくまでも知事が、今、道路ですとか鉄道のことを指摘しました。しかし、私は、税源涵養のことをいろいろ言いますけれども、それは主観の問題で、あの県民意識調査を素直に読めば、北東アジア交流圏というものは望んでいない。その上で県政がどういう施策をとるかというのは、知事はさっき言ったけれども、しかし私は、県民の認識はどうかということを聞いたので、このことについて素直にお答えいただきたいと、そのことだけを申し上げて再質問にいたします。 〔知事泉田裕彦君登壇〕
◎知事(泉田裕彦君) 社会的格差についてでございますけれども、要因をよく分析する必要があるということを答弁で申し上げました。今まで家庭内で扶助をしていた、地域で支えていたものが単身世帯、高齢者世帯として表に出てきている部分をどう考えていくのか、これを格差と呼ぶのかどうか、冷静に分析が必要であると認識いたしているところでございます。 今まで家庭内、親族で扶助していたものを公的扶助に切りかえるということであれば、その負担をどう考えるのかと。ちゃんとここの部分を考えない質問、感情的に訴えるという質問は、現実を直視しない誤った認識を持っているところがあると言わざるを得ないと思います。指摘だけさせていただきます。 次に、拠点性の向上についてお答えをいたします。 何度も申し上げますけれども、拠点性の向上というのは何も海外との交流だけを言っているわけではないわけです。新潟県に行ってみたい、来てみたい新潟県をいかにつくっていくのか、こういうことが重要なわけで、交通の不便なところに人が来ますか、企業が来ますか、働く場ができますか。どうやって新潟県を未来に希望の持てる地域にしていくかということで、我が県は拠点性を確保していく必要があると。税源の涵養ができなければ、保健・医療・福祉は充実のしようがないわけです。その辺をどう考えているのか、きっちりとお答えをいただかないともう答えようがないということだと思います。
○議長(佐藤元彦君) 五十嵐完二君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。 午後0時11分 休憩 ――
――――――☆―――――――― 午後1時10分 開議
○副議長(長津光三郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、佐藤浩雄君の発言を許します。佐藤浩雄君。 〔佐藤浩雄君登壇〕(拍手)
◆佐藤浩雄君 それでは、財政問題についてお伺いいたします。 最初に、国の裁量的財政政策に対する知事の認識についてお伺いいたします。 最近、生活相談のほとんどは、介護保険の食事代と施設費の自己負担増による相談です。請求書を見ると25万円も請求されており、大学生の子供をやめさせるとか、退園させて引き取れば生活ができなくなるとか、深刻な相談ばかりです。さらに、定率減税の廃止が始まり、最終的には3兆3,000億円の増税となります。また、70歳以上の高齢者の医療費の自己負担が値上げされ、障害者の食事代や施設費も自己負担となります。 一方、日本銀行白川理事の国会証言によれば、日本銀行のゼロ金利政策と量的緩和策による家計が失った利子収入は304兆円であると証言しており、家計が膨大な損失をこうむっていることが証明されました。その上、裁量的財政政策による国・地方の公債残高を見ると、約500兆円増加しており、そこに国・地方の毎年の税収、約75兆円以上をプラスして考えると、公共事業動員策により投入された財源は天文学的数字となり、財政危機の本質が裁量的財政政策にあったことが証明されています。また、企業・銀行にあった膨大な不良債権を国・地方自治体財政に計画的に移しかえる政策が裁量的財政政策であったことも証明されるのです。 こうした国や地方自治体の危機的財政をつくり出したのは、資源配分を誤った公共事業動員策による財政の経済安定化機能の暴走によるものであり、赤字国債や地方債を財源にした景気対策が何十回と繰り返された異常な日本の裁量的財政政策を総括することなしには、財政を健全化することはできません。 知事は、バブル崩壊後の裁量的財政政策に対してどのような御所見をお持ちか、お伺いいたします。 次に、低所得者層や高齢者への増税、健康保険・介護保険負担増に対する知事の認識についてお伺いします。 異常な裁量的財政政策の結果、国・地方の債務残高は2006年度で対GDP比170%、775兆円にも達し、債務超過額を返済するのに250年以上かかるという世代間負担の不公平、資源配分の時間軸上の誤りが歴然としております。さらに、サラリーマンは解雇されたり、非正規雇用者に切りかえられたわけで、賃金の低下と失業者が増大し、生活保護世帯が急増し、毎年自殺者が3万人を超えるという厳しい現実が続いていったのでございます。 こうした大量の低所得者層の出現は、格差社会を生み出し、低所得者層の子供の学力にまで影響が出始めるという深刻な事態を生み出しています。まさに日本は、将来に、未来に希望の持てない国家になったのでございます。こうした現実を直視するなら、裁量的財政政策を直ちにやめ、財政の所得再配分機能が発揮できるようにしなければなりません。 ところが、政府は、国家財政危機の元凶が高齢者の介護・医療・年金などの福祉政策にあるような宣伝を始めています。バブル崩壊後、最大の犠牲者であるサラリーマンや高齢者は、国家財政や地方財政を危機に陥れるような過大なサービスを受けてきたでしょうか。断じて否でございます。これは、明らかに国民や高齢者をトリックにかけているのではないかとさえ思います。 法人税や所得税の最高税率は下げたまま、ゼロ金利や金融の量的緩和策により304兆円も損害を受けてきた低所得者や高齢者は、さらに定率減税を廃止され、介護保険や保険料の負担を強いられ、消費税など逆累進性を強める増税で臨む政策、まるで低所得者層や高齢者は死んでしまえと言わんばかりの高齢者を中心とする負担増や増税路線を強いる財政政策に対し、知事はどのように認識しておられるのか、お伺いいたします。 国の裁量的財政政策も我が県への影響と三位一体改革についてお伺いします。 バブル崩壊後の国の裁量的財政政策は、地方財政計画やあらゆる政策誘導を通じて貫徹されました。そのことは、特に国の裁量的財政政策に忠実だった我が県の財政を時系列的に分析すると一目瞭然です。裁量的財政政策の最も悪い形で発生をする当初予算と決算の伸びが全く逆転をする、いわゆる財政のストップ・アンド・ゴー政策が過去12年中8回も繰り返され、景気回復に何ら効果もなく、基金は枯渇し、2兆5,000億円にも財政赤字が膨らみました。 マイナス成長を続けてきた新潟県経済を分析すれば、裁量的財政政策の効果は一目瞭然です。その上、三位一体改革は国庫補助金の廃止ではなく、国の地方に対する権限は残したまま、国家財政再建に地方が協力する形で終わりました。 こうしたバブル崩壊後の裁量的財政政策の地方へ影響と三位一体改革を知事はどのように評価して考えておられるか、お聞かせ願います。 国・地方の公会計改革の実行についてお伺いします。 裁量的財政政策の長期の継続は、775兆円以上の公債残高をつくり出しました。しかし、日本の財政はいまだ単式簿記の世界であり、膨大な公債残高のストックを正確に測定する公会計システムになっておらず、公会計情報は国民に全く伝わっていません。それを知事は子供のお小遣い帳と表現されているわけで、まさにそのとおりであると思います。 財政情報を正確に国民や住民に伝えるには、公会計改革を実行し、予算編成から決算までを公開し、受託責任が検証できるように、ガバナンスとパブリック・アカウンタビリティーを確立することが必要なのではないでしょうか。 そのためには、バランスシートと行政コスト計算書の導入が必要です。その上に、予算という希少資源の配分を決定する政治的意思決定、すなわちガバナンスレベルの意思決定を直接記録会計処理する処分・蓄積勘定、すなわち損益外資産処分計算書が必要です。 さらに、マクロルール、債務残高や時間などの目標を設定し、国・地方の破綻基準も確立しなければなりません。予算編成プロセス改革と予算マネジメント改革を実行しなければ、財政健全化は不可能と思われます。 国は当然ですが、道州制が導入され、自治体外交権を持つような州がステーツとして自立していく過程が考えられ、我が県もそうした会計改革を実行する必要がありますが、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、財政再建団体転落はないと考えている、その数字的な根拠についてお伺いします。 平成18年度新潟県予算は、総額1兆2,119億円でマイナス4.8%でございます。歳出には泉田カラーも出ており、評価すべきものが多いのですが、この10年間で最も緊縮した財政であり、財政の厳しい現状を反映した予算でもあると判断できます。 歳入では県税収入が4.9%増にもかかわらず、依然として県債発行2,187億円と基金取り崩しで対応しております。また、歳出では、災害復旧費が55%縮減し、投資的経費も18%削減し、総額607億円を削減したにもかかわらず、公債費は1.4%増加し、総額2,521億円となり、歳出総額は1兆2,119億円となりました。 その結果、歳入歳出の収支差は422億円発生し、その財源対策は県債278億円を発行し、不足分144億円は基金取り崩しによって行っています。 こうした平成18年度予算を分析するならば、依然として県債発行と基金取り崩しによる危機的な財政運営を強いられており、我が県財政は危機的な事態から脱していないと判断できます。 しかし、知事はことしも財政再建団体は考えていないとマスコミに載っており、その数字的根拠をお聞かせ願います。 次に、財政運営計画の要調整額が422億円発生していますが、これが財政危機ではないのか、その根拠についてお伺いします。 平成18年度予算では、財政運営計画の要調整額は422億円発生しております。歳入は、県税や譲与税が好調な上、歳出では人件費や投資的経費を大幅に削減しているのにもかかわらず、その収支差は財政運営計画素案よりわずか47億円しか改善していない422億円となっております。 その補てんに、事実上の赤字県債である退職債35億円、行革推進債200億円、地域再生債43億円などの実質的な赤字県債で補てんするも、なお不足額を基金取り崩しに頼っており、県債管理基金60億円、地域振興基金77億7,000万円、それでも不足の金額を家畜振興基金、産業振興貸付基金、地域福祉基金、ふるさと保全基金の取り崩しによって補てんしております。 以上のことから、基本的に依然として県債発行と基金取り崩しに頼っており、現状は油断のならない危機的な財政状況ではないのか。発行されている退職債や行革推進債、地域再生事業債は交付税などで補てんされるものではありません。実質的には赤字県債であり、こうした県債を発行せざるを得ない状況は危機であり、また特定目的基金を取り崩しており、年度間調整目的の財源対策的基金以外の特目基金を充当すること自身が危機的事態を証明しているのではないのかと考えますので、お伺いいたします。 我が県財政への知事の認識についてお伺いします。 知事は、昨年の予算編成時、住宅ローンをアナロジーし、収入が1兆2,000億円なので、6兆円まで県債は大丈夫である。また、OECD諸国の公債残高が平均0.8なので、7兆2,000億円までが平均的な姿になると記者会見をし、内外からも財政安全宣言として受けとめられ、県庁内も混乱しました。 私も強い疑問があり、その根拠を再三質問してまいりましたが、誤っていないというだけの答弁を繰り返すのみで、全く論理的ではありませんでした。ことしもまた、財政再建団体に転落することなく財政運営ができると楽観的な記者会見をしており、同じような感想を述べております。 先日、岩手県を視察し、岩手県では財政再建団体に転落するとの危機感から、4年間で定年退職者数を大幅に上回る職員数13%を削減をする計画に取り組んでいました。また、トヨタの看板方式を導入し、いわてマネジメントシステムに果敢に取り組んでいました。それは、財政破綻の危機が背景にあり、その克服に全庁・全県民を挙げて取り組んでいたのです。 ところが、我が県では財政危機の分析は知事にはありません。しかし、平成18年度予算でも、財政運営計画でも、依然として基金取り崩しと起債に頼っています。頼りの国は、平成18年度地方財政計画でも11年間連続して地方交付税法第6条の3の2違反を繰り返し、地方債を乱発。また、交付税特別会計借入金の返済も臨時財政対策債の発行で対処しており、まさに交付税特別会計は破綻をしているにもかかわらず、我が県は交付税や国庫負担金などの国からの移転財源に頼っています。 なぜ知事は、平成18年度予算編成が終わっても、赤字になって財政再建団体に転落することなく財政運営ができると同様の感想なのか、不思議です。知事のお考えは、地方財政は最終的には国が保証するものと考えているのか、または財政の危機的な現実をあおるよりも、より政治的な効果、高いレベルで判断されて、財政安全宣言の方が我が県職員や県民が努力をして頑張ってよいパフォーマンスが発揮でき、県政に好影響を与えるとお考えなのでしょうか。そのお考えについてお聞かせ願います。 次に、財政運営計画についてお伺いします。 財政運営計画素案と財政運営計画の位置づけについてお伺いします。 知事は、平成18年度当初予算案を受けて、財政計画案を修正し、いわゆる改革推進パターンを修正し、発表しました。昨年9月の私の一般質問に、泉田知事は、「今回公表した計画はあくまでも素案であり、今定例会も含め、十分な議論をいただいた上で財政運営のあり方を的確にお示ししたものとするよう努めてまいる所存です」と答弁しております。 総務文教委員会でも質問いたしましたが、依然として疑問が多く、財政運営計画素案を正式な財政運営計画に修正するためには、名目経済成長率3.6%と我が県成長率との比較、選択と集中による一般行政費5%の削減の具体的な内容、戦略的県債の発行などなどについてはほとんど答弁はありませんでした。また、試算の趣旨について、財政運営の方向の参考、各項目に臨機応変に対応など、財政運営計画素案の位置づけが不明確でした。さらに、答弁にも「その将来試算を的確にお示しすることは困難であります」と答弁しておられ、財政運営計画素案の信頼性は全くありませんでした。 したがって、素案から計画になるときには計画案が提案され、もう一度議論をし、財政運営計画が確定するものと考えていましたが、突然平成18年度当初予算案などを踏まえた財政運営計画の改定が発表されました。 まず、一体いつ財政運営計画素案が財政運営計画に変わったのでしょうか。だれが議論し、だれが決定したのか、お伺いいたします。 2点目として、なぜ平成18年度当初予算案などを踏まえた財政運営計画の改定は、Aの改革推進パターンだけなのでしょうか。他の経済停滞パターンや経済破綻パターンはなくなっていますが、どのようなお考えなのか、そのお考えについてお伺いします。 今回のように、毎回予算編成後に思いつき的に修正する計画なら、計画の名に値しないのですから、やめてしまったらどうですか。知事のお考えをお聞かせ願います。 また、財政運営計画の名目成長率が3.6%から3.4%に修正されました。国の日本21世紀ビジョンの改革進展ケースから改革と展望2005の基本ケースに変更が理由のようですけれども、我が県の経済成長率の実態であるマイナス成長からすると異常に高いとの指摘が多く出ていました。 私が調べたところでは、本県の名目成長率と国の名目成長率は平成15年度以前の5カ年間の平均をとってみると、実に1%を超える乖離があります。こうした本県の実態と乖離してある指標に基づく計画策定や財政運営には、慎重な対応が求められると思います。 まず、さきに公表した新潟県「夢おこし」政策プランにもこの種指標が使われておりますし、県財政の基本的な指標となる総生産額のとらえ方は、財政運営に重大なかかわりを持つものであり、次の定例会でじっくりお聞かせ願いたいと思います。 また、財政運営計画の平成19年度と18年度当初予算案との比較をしますと、県税は452億円増加する計画です。素案の平成19年度との比較でも474億円増加します。計画の平成28年度との比較では、1,853億円も増加し、素案の平成28年度との比較でも617億円も増加します。 来年度は、経済も本格的に上昇するとの見方であるのに、県税収入はわずか60億円しか増加していません。それが名目経済成長率を3.6%から3.4%に下方修正しているのに、なぜ県税収入は450億円以上ふえるのか。まして平成28年度では約2,000億円の税収がふえると試算されています。幾ら三位一体改革で税源移譲があるにしても不思議です。県税収入がふえる理由をお聞かせ願いたいと思います。 また、歳出では、一般行政経費で平成18年度当初予算と比べ162億円も削減するのに、平成19年度の素案との比較では逆に159億円ふえることとなっています。平成18年度当初予算案では、5%の削減方針に従って努力したと考えますが、逆に154億円増加しているのにマイナス162億円、本当でしょうか。 また、人件費や投資的経費も、平成18年度当初予算との比較では79億円減とわずかですが、平成19年度計画では483億円の減となっており、なぜこんなに開くのか不思議です。歳出予算では、素案と計画に差が余りにも大きく、財政運営計画素案の歳入歳出計画には数字合わせの感を強くしましたが、そうした操作の結果、このような結果が出ているのではないかと思われます。 どのような整理の中でこのような結果が出てくるのか、真実は一体何なのか、お伺いいたします。 また、要調整額も平成18年度当初予算との比較では8億円減、平成19年度計画との比較では17億円のわずかな削減となっています。したがって、県債発行も、基金取り崩しも、大きく変化はなく、財政運営計画は今後も起債と基金取り崩し、それも特目基金の取り崩しに頼る財政運営をとり続けることとなり、県民に安心感を与えるものとはなっていません。 これでは計画の名に値もせず、目標もなく、景気の変動による名目経済成長率の変化や公債費の増嵩や長期金利の上昇時には大変危険な財政となるわけで、知事の言われている財政再建団体転落は考えなくてもよいという状況ではないと思いますけれども、知事の御所見をお伺いいたします。 長期金利の上昇による財政破綻の危機を予測しておられるか、お伺いします。 既に、日本銀行の裁量的財政政策の解除について、金融市場では4月から3月に軸足を移し始めています。その結果、長期金利や円は急上昇を始めています。3月2日のマーケットでは、10年国債が1.64%と昨年の1.6%を超えました。膨大な長期債務を抱えている国・地方財政は、ゼロ金利政策と量的緩和策による長期金利の超低金利に支えられてきました。しかし、3月にも量的緩和が解除されれば、睡眠状態であった債券市場のムードは一変すると思われます。 当然膨大な県債を抱え、公債費の膨張が県財政を確実に圧迫している現在、放置できない問題です。知事も投資と県財政への影響はどのようになるのか考えておられると思います。具体的な数字で計算できると思いますが、具体的な数字で御答弁をお願いいたします。 次に、残っている2本の連絡橋の和解案件が出ておりますので、朱鷺メッセ連絡橋の落下事故についてお伺いします。 事故の背景調査委員会の設置についてお伺いします。 朱鷺メッセ連絡橋落下事故につきましては、事故発生から何回も質問してまいりましたが、ようやく昨年12月定例会で知事から大変前向きな御答弁をいただきました。ありがとうございました。 当時の港湾空港局万代島開発課は、構造計算書による安全の確認なしで計画通知し、不適切な設計図で工事を着工させ、崩落事故後、偽造された構造計算書を受け取るばかりか、お金を支払っていたことなど、県民からするととても信じられないことばかりでございます。言いかえれば、朱鷺メッセ連絡橋という凶器を計画的につくったことになります。これ自身、刑事告発されてもよい事件であると思うし、建築行政の信頼性をゼロにしたという意味でも深刻な事件です。 また、設計と施工が同時進行しており、なぜそのような無理な工期にしなければならなかったのかなど数々の問題があり、その背景を調査する必要がありますので、私は朱鷺メッセ連絡橋落下事故背景調査委員会を提案してきたのですが、採用されませんでした。 この事件の深刻さを考えると、裁判なんかで争って時間稼ぎをしたり、責任逃れしている事態ではありません。設計ミスである技術的な解明は終わったのですから、県みずから朱鷺メッセ連絡橋の真の事故原因、なぜ構造計算書なしに計画通知したのか、なぜ設計と施工が同時進行したのかなどなどの疑問を解明するために、事故の背景を調査する背景調査委員会をつくり、調査すべきと考えますが、知事のお考えをお聞かせ願います。 次に、安全性を高めるために、補強でなく建てかえにすべきでないのか、お伺いします。 残った2本の連絡橋は、「70トンフォースの強度が必要なのに、22トンフォースしかなく、時間とともに必ず落下する。コンクリートのクリーピング破壊が始まれば、24時間以内で落下する」というのが議会での丸山委員長証言でした。したがって、私は取りかえを要求しましたが、県は支保工を設置し、職員の巡回で対応しております。 耐震強度偽装の姉歯事件では、強度が0.5未満で耐震改修により対応が困難な建築物は建築基準法第9条によって除却命令を出すことが可能になったため、命令に先立ち、既に取り壊し作業に入っているニュースが報道されています。 朱鷺メッセ連絡橋の強度は70分の22、イコール0.314となり、強度は基準の0.5以下であります。補強ではなくて取り壊しすべき建築基準法第9条の違法建築物に当たるのではないでしょうか。 より安全性を高めるためにも、補強ではなく全面的な取り壊しを行い、新たに建設すべきではないかと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、瑕疵修補請求をやめたことはなぜか、またなぜ裁判を取り下げないのか、お伺いします。 残った連絡橋をつくった本間組と福田組には瑕疵修補請求をしていました。和解し、瑕疵修補請求は取り下げたようです。ということは、設計ミスであり、すなわち県みずから事故原因が設計ミスであり、構造計算書がなく安全チェックをしなかった県に責任があり、施工業者には責任はないということを県みずから認めたということになると思います。 しかも、27日の大渕議員に対する知事答弁では、裁判というのは、ある種のビジネスであると言われています。実態的に、ほとんどの案件は和解という結論になり、この場合、訴訟費用を負担することとなります。裁判を継続しても100%の勝訴は保証されないものであり、代替案があれば、あえて費用をかけてリスクをとって裁判する必要はないと考えていますと答えております。個人や企業にとって、金にかえられない人権や命や名誉のかかっている裁判を知事独自の独得の「裁判はビジネス」という先見性のあるリアリズムによる判断に敬意を表します。 朱鷺メッセ連絡橋落下事故の真の原因と責任を争っているはずの裁判ですが、知事の裁判に対する判断、認識ならば、朱鷺メッセ連絡橋落下事故を何で裁判で争っているのか不思議です。12月定例会で私に、構造計算書なしで計画通知し、朱鷺メッセ連絡橋という凶器をつくった県の責任は重大で、正直言ってあきれた。県民に申し開きのできない事象である。構造計算書の内容を確認せずに計画通知を行ったことは、建築行政を揺るがすことであり、執行する県として大いに問題があった。そもそも構造計算書を見ないで計画通知を出すという行政運営の仕方は、指弾されても仕方がないと思っています。そういう意識で行政をやっていて、県民の安心と安全が守れるわけがないと思っています。そういう体質がここだけかという疑問も禁じ得ない重大な課題であると答弁しているのですから、そうなら裁判を取り下げたらどうなのですか、お伺いします。 なぜ新潟万代島総合企画株式会社が負担をするのか、県の半分の負担との関係についてお伺いいたします。 この事件の最大の被害者は県民です。和解契約を見る限り、県も補修費用の半分を負担することとなっており、県民が負担をします。しかし、報道では新潟万代島総合企画株式会社も半分負担をすることとなっており、県が出資している新潟万代島総合企画株式会社が負担をすることは、やはり県民が負担することと同じことです。補修代金は、いつ、どのような方法でやりとりするのでしょうか。また、補強工事の設計はどのように発注をし、補強工事はなぜ入札をして業者を決めないのでしょうか。また、どことどこが契約を結ぶ予定なのでしょうか、お聞かせ願います。 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔知事泉田裕彦君登壇〕
◎知事(泉田裕彦君) 佐藤浩雄議員の一般質問に順次お答えをいたします。 まず、バブル崩壊後の財政政策についてであります。 90年代の我が国の財政運営は、公共投資の発動と減税、その反動としての財政の引き締めの繰り返しであったと認識いたしております。 本県においては、こうした政策に従った結果、県債残高が増加をいたしております。一方で、社会資本整備の促進という側面もありました。政府による県債の償還財源の確実な確保という約束が守られるならば、必ずしも悪い選択ではなかったと認識いたしております。 いずれにせよ、こうした財政政策への評価は、事後的に歴史により評価をされるべきものと考えております。 次に、国の財政政策が、高齢者を初めとする弱者に対して、その負担を強いているとの御指摘についてであります。 高齢者すべての人が弱者でありましょうか。必ずしもそういうことは言えない。画一的な政策はやめる必要があるのではないかと思っております。本当に支援が必要な人に、社会として優しさ、真心を届けていく、そういう改革を進めるべきであると考えております。 しかし、現在の国の改革の進め方は、弱者や地方などの実情を無視する形で、いわゆるモデルケースを設定してステレオタイプに進めているというところが問題ではないかと感じでおります。改革を進めるに当たっては、本当に痛みを感じている人、支援が必要な人、現場を重視をする改革に変えていく必要があると認識いたしております。 次に、三位一体の改革に対する評価についてであります。 今回の改革では、基幹税による税源移譲が実現をした点、第2期改革の道筋がついた点については一定の評価をしたいと考えております。 しかし、改革の大宗が国庫補助負担率の引き下げやスリム化によるものになった点は改革の本旨に照らして疑問を禁じ得ないところであります。 第2期改革においては、地方分権の理念のなお一層の実現のため、県内関係団体や各県知事とスクラムを組んで、全力を傾注したいと考えております。 次に、公会計財務諸表等の導入についてであります。 現在の地方財政の仕組みは、現金主義を前提にしてつくられており、真に費用対効果に見合った投資であるかなどの評価ができないと考えております。 したがいまして、企業会計的な視点に立った公会計改革を進めることが必要と認識いたしており、的確な財政情報の提供が可能となるように検討してまいりたいと考えております。 次に、財政再建団体とならない根拠や財政の現状に対する私の認識について、まとめてお答えをいたします。 今回の予算編成に当たりましては、財政運営計画素案公表後の種々の状況変化、国の制度の変化等も含めて対応しながら、財源対策的基金の取り崩し額を計画素案の中でお示しをした145億円以下に抑えることといたしております。また、県債残高につきましても、これは特に選挙が終わってから、実際に県政運営に携わるまでの間、大きな状況変化、災害がございました。災害からの復旧・復興と財政再建、どちらを優先するかといえば、私は災害からの復旧・復興を財政再建を後倒しにしても優先をしたいということは何度も申し上げてまいりました。 債務残高がふえていると、2兆5,000億円のうち3,000億円、これはキャッシュで残っているわけです。10年後、自動的に戻ってくるわけです。そういったものをどう考えるのか。また、投資的経費のうち、交付税措置がされているというものがあるわけです。そういったものを一切捨象して、県債残高だけで議論して、いたずらに不安をあおるということはいかがなことかと考えております。 いずれにいたしましても、災害による県債などを除けば、私が就任する前と比較して県債残高は減少をいたしております。将来にわたって持続可能な財政運営に道筋をつけることができたものと考えております。 今後も平成18年度当初予算編成と同様に、歳入面での地元調達、産業・観光振興などによる税源涵養、歳出面での選択と集中のさらなる推進を図り、決して財政再建単体に転落をさせない的確な財政運営を継続していく所存でありまして、その根拠は今回改定いたしました財政運営計画の中でお示しをしたところでございます。 次に、財政に対する認識についてでございます。 私は、現行制度が続く限り、歳入歳出両面での不断の努力により、的確な財政運営を継続していくことは実際に可能であると考えております。よって、その旨を偽らず皆様にお伝えしていくことが重要であると認識いたしておるところでございます。 それから、もう一言つけ加えますと、県財政は国の制度と独立をして自由気ままに編成できるものではありません。国の制度の影響をそのまま受ける。歳入の方も、税制という国のコントロール下にあるということであります。この制度が変更すれば、財政運営の方針というのもやはり変えざるを得ないという一定の制約があるということは御認識いただきたいと思います。 次に、財政運営計画についてお答えをいたします。 県債発行と基金取り崩しに頼るもので、安心感を与える計画でないとの御指摘でありますが、もし仮に短期的基金や資金手当債による歳入確保を歳出削減で代替するとどうなるのかということであります。 小さな政府を目指して効率的な県庁、県民に愛される県庁をつくっていく中で、県民の皆様へのサービスについて、なるべく満足していただけるような形で、できればよくなったと実感していただけるような形で運営していくのが筋であって、それができない中で急激に方針を転換して削減すれば県民生活を直撃する支出の削減ということになるわけです。 県民生活への直接的な影響というのは、できるだけ避けるべきであると思っており、県民の不安をあおるような結果、基金の取り崩し、それから債券の発行をやめるということは、選択としてとるべきでないと思っております。 今回改定をいたしました計画は、県民生活への直接的影響を回避しながら運営をし、中長期的に財政運営ができるという道筋をお示しをしたものでございます。県民の皆様に安心感を持っていただけるものと期待をいたしております。 次に、朱鷺メッセ連絡橋落下事故についてお答えをいたします。 まず、事故の背景調査についてであります。 構造計算書なしの計画通知については、なぜそういう事態が生じたのか、当時の関係者からの聞き取り調査により既に公表されております。立体駐車場のオープンに合わせるなどのため、適切な工事発注時期を設定せずに供用の予定時期を先に決めたことに基づいて工事の発注時期を設定したことが背景になっていると承知いたしております。 次に、瑕疵修補請求の取り下げについてであります。 今回の和解は、事故原因を設計ミスとして認めたものではございません。和解の法的効果というのは、確定判決と同様の効果を持つものです。矛盾をするから取り下げたというだけの話ということでございます。現在、係争中の施工業者に対する裁判を取り下げることは考えておりません。 〔総務部長森邦雄君登壇〕
◎総務部長(森邦雄君) お答えいたします。 財政運営計画の位置づけについてでございますが、そもそも本計画は県の財政当局が作成、公表するものであります。 しかしながら、初めて計画を公表した昨年9月定例会においては、計画のあり方や基本的な内容などにつきまして十分御議論をいただく必要があると考え、あえて素案という位置づけをいたしました。 これに対しまして、今回の改定計画は基本的なコンセプトは変更せず、政府の経済見通しや地方財政計画、県税収入の見通し、今般の三位一体改革の内容等を反映した平成18年度当初予算をもとに数値を修正したものでございます。 次に、今回は改革進展パターンだけをお示しした理由でございますが、そもそも本計画の最大の意義は、歳入歳出両面の不断の努力により、今後とも的確な財政運営をお示しするところにあり、それは改革進展パターンを公表すれば達成されるものでございます。 他の2つのパターンにつきましても、平成18年度当初予算案などの反映により計数の移動は生じますが、基本的なコンセプトは変わらないものと考えております。 次に、県税収入の伸びについてでございます。 平成19年度の大幅な伸びの主たる要因は、税源移譲の本格化に伴います所得譲与税から個人県民税所得割への振りかえ、そして定率減税の全廃によるものでございます。 そして、この伸びの影響が、毎年度の税収に乗ずる各名目経済成長率の下方修正によるマイナスの影響よりも大きいため、計画期間内の税収が従前にお示しした案に比べて大きくなると試算されるものでございます。 次に、歳出予算についてでございますが、昨年9月に公表いたしました財政運営計画素案では、今後とも持続可能な財政運営を行っていくために必要な歳出の調整規模を仮に一般財源比率の高い一般行政経費のみで対応するとすると、事業費ベースで200億円程度としていたところでございます。 しかしながら、計画素案公表後、地方交付税の削減などにより、歳入確保の見通しがさらに厳しくなったことから、実際の予算編成におきましては、一般行政経費以外の経費も含め、歳出全体についてバランスを考慮しながら調整を図りました。その際の調整対象経費として、一般行政経費よりも一般財源の額に比して事業費が大きい経費もあったため、実際の予算規模が計画素案に比べて大きく減少したものでございます。 次に、長期金利上昇の県財政に対する影響についてでございますが、長期金利の上昇は公債費の増嵩を招くため、県財政にとってマイナスの影響を与えることは御指摘のとおりでございます。 しかしながら、長期金利の上昇局面では、概して名目経済成長比率も上昇していると考えられ、その場合には税収も増加いたします。したがいまして、両者の関係次第では、県財政は好転することも悪化することもあり得ることから、必ずしも御指摘のような放置できない問題になるとは考えておりません。 同様に、投資事業への影響につきましても、一概に論ずることはできないものと考えております。 以上でございます。 〔港湾空港局長内山克彦君登壇〕
◎港湾空港局長(内山克彦君) 入り江側・アトリウム前連絡デッキの補強についてですが、斜材ロッド定着部の破壊耐力は65トンフォースと、必要耐力70トンフォースの9割以上あり、また平成16年度に専門家から成る朱鷺メッセ連絡デッキ補強検討委員会を設置し、実物実験を踏まえた検討を行ったところ、耐震性については地震による水平力を主に負担する床版や橋脚において、地震時に必要とされる安全度が1.0を超え、大規模地震に対しても安全であるとの判断をいただいております。 同委員会からは、斜材ロッド定着部については、上方向からの荷重に対して長期耐力が不足しているものの、補強により建築基準法を満たす十分な安全性を確保できるとの判断をいただいており、さらに費用の面からも補強することとしたものであります。 次に、補強工事費の負担等についてでありますが、補強工事費は、県と施工業者がそれぞれ2分の1に相当する額を負担することとしておりますが、県から県から支出する額については、新潟万代島総合企画株式会社から負担するという意向が示されていることから、補強工事費が確定次第、新潟万代島総合企画株式会社から受け入れ、施工業者に支払うこととしております。 なお、設計を含め、補強工事については、県が瑕疵修補請求を撤回することを条件に、施工業者がみずから実施するものであります。 〔佐藤浩雄君登壇〕
◆佐藤浩雄君 まず最初に、朱鷺メッセ連絡橋落下事故の関係についてお伺いします。 朱鷺メッセ連絡橋落下事故背景調査委員会のことですが、この構造計算がなかったというのは、今の御答弁ですと立体駐車場の供用開始時期を先に決めてやったためにそういうことになったという御答弁ですが、それだけではちょっと理解できないのです。 御存じのとおり、今までのいろんなやりとりの中で、まずスタッフが6人であった、しかも事故調査委員会からでは構造計算書が読めない、そういうことが指摘をされているわけです。何と言おうと、建築基準法には構造計算書はちゃんと必須の書類であり、必ずそれは点検をしなければならないにもかかわらず、読めない人たちを配置をしておいていいなんていうことにはならないと思うのです。 したがって、そういう構造計算書をしっかりとチェックできるような体制をつくらなければならないのに、なぜそういう体制になったのか。 また、設計、施工を同時進行したというのは、そういうことばかりなのか。少なくとも、構造計算書がなくて設計と施工を同時進行させるなんていうことは、私らが考えていても非常識だと思うのだけれども、まして建築の専門家たちはそういうことを平気でやるのでしょうか。 あるいは、偽造された構造計算書を受け取って、また支払っているなんていうのは、私ら素人から見たってどう考えてもおかしいことがいっぱいあるのです。事故の真の原因をやっぱりしっかりと解明をして、二度と再びこの種の事故を起こさせない。もう一つ、多分やっている人たちというかな、土木部の営繕課から支援をすると言ったのを断っているわけです、わざわざ。そういういろんなことを考えると、この体制は単純にできたのではないです、どう考えても。極端に言えば作為的につくられたと思われます。そういう意味からしても、背景調査というのはやっぱりしっかりやってもらう必要があります。私は、ぜひそういった点をお伺いしたいと思います。もう一度お願いします。 それから、2本の連絡橋の耐震強度ですが、我々が聞いているのは70分の22だけですが、いろいろそういう技術的なことはあるのかもしれません。しかし、少なくともそういうもので疑問を持たれないようにするためには、しっかりとした内容の検討が必要だと思いますので、この点についてはもっとさらに詳しい解明をひとつお願いしたいと思います。 それから、残った2本の瑕疵修補請求とその裁判の問題ですが、耐震偽装の姉歯事件からこれだけ大きな社会問題になっていて、国民の目も非常に厳しくなっていると思うのです。したがって、姉歯事件からの影響は、裁判に対して避けられないと私は思います。 しかも、県は構造精算書がなく、安全チェックをしていなかったという、安全チェックをせず計画通知をしたという、形式さえも整えていないわけですから、致命的な失敗があるわけです。こういう致命的な失敗を持っていながら、しかも建築行政に対する世間の目というか、国民の目、あるいはいろんなところからの非常に厳しい目からすれば、私の常識では裁判は負けると思うのです。そういう負ける裁判を続行する意味は私はないと思うのです。 それならば、知事がわざわざ裁判はビジネス、100%勝訴は保証されないものという、そういう先見的な判断だったら取り下げて、むだなエネルギーを費やす必要はないのではないか。むしろもう一度信頼性、県の建築行政は県民から信頼を得るものとして、裁判に預けるのではなくて、県みずからこの解明をして、そして行政をしっかりやり直すと、そういう意味からしても、司法の手にそれをゆだねるべきでないと私は逆に思うのです。 そういう意味で、司法の判断を待つものではなくて、県行政の手でみずから回復すること、みずから信頼を回復することがむしろ県民にとっては新鮮で、行政に自浄能力があることを示して、建築行政ばかりでなく、県全体の信頼性を回復することに私はつながると思うのです。そういった点をやることが私は合理的な判断だと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。もう一度御答弁お願いします。 それから、財政問題ですが、財政問題は知事の言われることもよくわかります。これからほとんど残っていますので、議論をさらに深めたいと思いますが……
○副議長(長津光三郎君) 佐藤浩雄君、時間が超過しておりますので、結論を急いでください。
◆佐藤浩雄君 はい。 先ほど言ったとおりですが、財政の所得再配分機能が完全に最近はおかしくなってきていると思うのです。それをもう一度回復する意味でも、そういった行政的な裁量的な財政政策をやめ、財政の配分機能を回復するようなやり方をすべきだと思いますが、もう一度知事の御答弁をお願いします。 以上です。 〔知事泉田裕彦君登壇〕
◎知事(泉田裕彦君) 再質問についてお答えをいたします。 まず、朱鷺メッセ連絡橋落下事故の背景調査委員会の件についてでございますが、適切な工事発注時期を設定せずに供用予定時期から工事発注時期を設定したこと、これが背景だと認識いたしておりますし、公表もされております。 それ以外に、今議員が言われたことは、行政としての責任をどうこうということなのかなと。何を背景として調査してほしいのか。あえてしんしゃくをすると、背景ではなくて行政の責任を追及しろということを言われているのか、質問の意図がよくわかりませんでしたが、背景としては適切な工事発注時期を設定せずに供用予定開始時期から工事発注時期を設定したということだと承知をいたしております。 次に、裁判の取り下げも御意見だったかなと思ったのですけれども、さまざまな御意見をちょうだいしながら、県政運営に努めてまいりたいと思います。 財政についてお答えをいたします。 佐藤浩雄議員の御意見、拝聴させていただきました。よく御意見も踏まえながら、財政運営に努めてまいりたいと、このように考えております。 〔港湾空港局長内山克彦君登壇〕
◎港湾空港局長(内山克彦君) デッキの耐震性についての問題でございますが、デッキの場合については保有水平耐力に基づく耐震強度という考え方ではなくて、デッキのような構造物につきましては、部材各部の断面設計の安全性を検討することとされております。したがいまして、地震による荷重に対して断面耐力が1.0を超えて安全であるかどうかということを確認して行っております。 また、議員の御指摘の22トンフォースについてでございますが、長期耐力を考える場合に当たりましては、材料強度の3分の1というふうに小さく設定された耐力に対するその安全性ということで、65割る3で約22ということでございます。 以上でございます。 〔佐藤浩雄君登壇〕
◆佐藤浩雄君 御答弁ありがとうございました。 朱鷺メッセの関連ですが、責任と背景という話を知事はおやりになりましたが、私は責任を言っているのではないのです。まず、事実関係がどう考えても不自然というか、不可解というか、そういうものがたくさんあるわけです。 先ほども申し上げましたが、体制をつくるに当たって、例えば土木部営繕課という専門集団がいる。そういう人たちの支援の申し出があったそうですけれども、断っている、あるいは例えば構造計算書を読めないお粗末な体制をつくる、あるいは例えば構造計算書がなく安全チェック、形式が整っていないのに、供用開始時期が決まっているから形式を整えなくてもいいのですか。 そういうことは、私ら素人からすれば専門家の行政にはあり得ないことだと思うのです。なぜあったのか。そこに重大な疑問があるわけで、そういう体制づくりを、少なくとも人事をしたときにいろんな検討をされたはずです。しかも、体制をつくるときには当然、計画通知制度が前提で、極端に言えば発注者でも施工者でも計画通知者であり、要するにすべての決定を県が1人でできるという体制のもとでできるのですから、逆に言えばその責任は重大なわけで、相当慎重な人的体制をつくらねばならないはずだったのです。 ところが、逆になっているでしょう、どう考えても。そういうことからすれば、私はやっぱり事故背景調査委員会というものをつくって、ちゃんと中身をチェックしてもらうということは、大事な大事なことです、県民にとっては。ぜひやっていただきたいと、こう思うのです。したがって、もう一度御答弁をお願いします。 落下したデッキの裁判ですが、先ほど申し上げたとおり、知事の12月定例会の答弁もありますし、それから姉歯事件により環境がどんどん厳しくなっている。もう一つは、先ほども申し上げましたが、県の責任をみずから解明するには司法の判断を仰ぐべきではなくて、むしろこの判断を自分自身にして行政は自浄能力があるのだ、こうやって立て直すのだという決意を示す意味でも、逆に県民に信頼性を得る行政をするという意味でも、私は他人にゆだねるのではなくてみずからやった方がいいのではないか、そういう判断のもとで裁判を継続するよりも、ちゃんとみずから判断する選択をした方がいいのではないかと提案しているわけです。その点、もう一度御答弁お願いします。 以上です。 〔知事泉田裕彦君登壇〕
◎知事(泉田裕彦君) 連絡橋デッキ崩落の背景については、今、議員御指摘のように、私が聞いてもおかしい。一体どういう体制でこれを設計すると、夜中にだれもいないところで突然落下するなどということが起きるのか。あり得ないことが起こったから、連絡橋デッキが落ちたのではないかということだと思います。どうしてそういうことになったのか。背景は、期限を先に設定して、その期限に合わせて早急につくったからということなのではないのでしょうか。 裁判をどうするかという点ですが、今の佐藤浩雄議員のお話を聞いておりますと、普通考えると、私が思うに、全く手を加えないで落ちるというのは、設計をした人か、つくった人がミスをしたからということなのだろうと思います。設計した人とつくった人を不真正連帯債務として訴えるのをなぜ取り下げるのか。もし佐藤浩雄議員が契約をしてうちをつくってもらいましたと、そして朝行ったらつぶれていましたというときに、つくった人と設計した人への裁判を取り下げて区役所に裁判起こせと言う人がいますか。市役所に裁判起こせと言う人がいますか。それでは、今非難を浴びている某マンション会社の社長みたいではないかと。そうではなくて、やはり基本的に一義的な責任は設計した人か、つくった人に責任があると、私はそういうふうに考えて裁判を遂行すべきであると考えております。
○副議長(長津光三郎君) 佐藤浩雄君の質問は終わりました。 次に、中川カヨ子君の発言を許します。中川カヨ子君。 〔中川カヨ子君登壇〕(拍手)
◆中川カヨ子君 佐渡の中川カヨ子でございます。通告に従い、質問をいたします。 まず、少子化対策について。 このところ、災害に集中的にねらわれているのではないかと思われる新潟県でありますが、泉田知事におかれましては、的確な視点で県政をとらえ、明るいキャラクターで県民に勇気と希望を与えてくださっております。私は、大変だ、大変だと言って県民に余計な不安をあおるより、内で締めるところは締め、表に向けては希望の見える県政であってほしいと思っています。 これは、子育てにも言えることであり、子育ては大変だ、教育にお金がかかるということが大きく取り上げられ過ぎています。昔は、もっと大変でした。食べていくのがやっとの時代でも、兄弟はたくさんおりました。苦労の中、助け合ってきたから、家族のきずなは深かったのです。立派になって、苦労して育ててくれた親に孝行したいと働きながら勉強し、頑張って大学を出た人たちがたくさんいます。そのころは、今のように親を殺したり、子供を殺したりする人はいませんでした。 私は、子供を産んで後悔したことは一度もありません。子供がいてぜいたくもできなかったし、やりたくてもできないことがたくさんありました。でも子供のために我慢できたし、頑張ることもできました。そして、子供からは喜びも生きがいもいっぱいもらいました。今、孫におばあちゃんと言われて、とても幸せです。私と同じ思いをしておられる方がたくさんおられるかと思います。 子育ては大変だということより、子育ては苦労はあるけれども、子供から孫へと永久につながる幸せがあるということをもっとアピールすることが、結婚率を上げ、少子化対策にとって効果があるのではないかと思いますが、知事はどのように思われますか、お伺いいたします。 平成18年度予算が5つの重点施策のもとに編成されました。その重点施策において、若いお母さんたちが望んでいる夜間保育や24時間保育に一歩踏み出してくださったことは大変ありがたいことです。子育て真っ最中でいらっしゃる若い泉田知事ならではの御決断と敬意を表します。 今までに過疎に悩む地方自治体がいろいろと経済支援に取り組んできましたが、経済支援だけでは少子化対策にならなかったことは、皆様御存じのとおりです。私は、これまで質問のたびに、少子化の進行をとめるためには、安心して子育てができる環境整備が必要だと訴えてまいりました。核家族がふえていることと外国を初め遠くの方との結婚の増加、働き方も千差万別となれば、いつでも気軽に安心して子供を預けられることが絶対に必要なのです。預けるところがないと、ついつい無理をしてしまいます。無理が重なると、子育ては大変、もう2人目はごめんということになってしまいます。 子育て支援の環境が充実されれば、本当は子育ては楽しくて幸せなことなのです。県内のすべての保育所、乳児園で夜間保育や24時間保育が可能になれば、急な事態が発生しても電話一つで事が済みます。また、休日にも子供が預けられれば、行事や催し物に気軽に参加できたり、ゆっくりと美容院に行ってリフレッシュもできます。子供が負担にならないので、若い夫婦にとって、子育ては楽しい、幸せなことだと実感できる余裕が生まれることと確信いたします。 県内の延長保育と休日保育の実施目標を伺うとともに、保育所に限らず24時間保育を可能にするためにどのような取り組みを考えておられるのか、お伺いいたします。 次に、出生率低下への対応についてお伺いいたします。 県では、新たに平成18年度から少子・高齢化社会における県の役割の検討を始めるとお聞きしました。知事は、具体的にどのような問題認識をお持ちになり、どのような方向に向かって県の高齢者対策及び少子化対策を再検討していくお考えなのか、伺います。 知事は、さまざまな少子化対策、子育て対策を発案され、大いに期待しているところですが、私もかねてよりこれまでの少子化対策、子育て対策が行き詰まっているのではないかと疑問を感じていました。 といいますのは、昔は家を守ることが第一であり、そのためには子孫を残さねばなりませんでした。そして、子育てにしろ、高齢者の介護にしろ、家族がお互いに支え合って、いわば自助の精神のもとでさまざまな問題を解決してまいりました。 ところが、家意識が薄まり、核家族や非婚化などが進み、結果として支え合う家族がいないがために、自助だけでは負担がかかり過ぎ、公助や共助のニーズが過度に高まってしまっているのではないでしょうか。原点であるべき家族のきずなを深めて、家族が助け合ってさまざまな問題を解決する自助の精神がおざなりになってしまったために、これまでの少子化対策、子育て対策は手詰まり感が否めないのだと思います。もちろん公助、共助の支援がなければ、自助だけでは負担がかかり過ぎ、さらに少子化が悪化していくこととなってしまいます。 多様なライフスタイルに対応した公助、共助による支援は前提としつつも、原点に立ち返り、少子化対策、子育て対策について自助を促し、その方向へと少しかじを切り直すような取り組みも必要ではないかと考えますが、この点についての知事の御所見を伺います。 子育てするなら新潟県と言われる新潟県が誕生しますよう期待をし、次の質問に移らせていただきます。 次に、津波対策についてお伺いいたします。 最初に、災害時に孤立するおそれのある集落の状況について伺います。 水産庁の調査では、大規模地震や津波等が発生した場合、全国の漁業集落の3分の1が孤立するおそれがあり、津波が発生しても避難する施設や高台がない集落も70%あるとのことです。 離島では、沿岸部に漁業で生計を立てている集落が多く、かつ一周道路などの基盤整備が立ちおくれている佐渡においては、特に孤立のおそれが高いものと推測いたしますが、本県において災害時に孤立するおそれのある漁業集落の状況と孤立に至る主な要因をお伺いいたします。 また、現実に災害が発生して孤立した場合、地域防災計画ではどのような対策を考えていらっしゃるのか、あわせてお伺いいたします。 新潟県中越大震災やこの冬の秋山郷の例を引くまでもなく、外界と遮断され、何の情報も入らないまま、置かれている状況もわからず、絶えず物資の枯渇を心配しなければならないことが、住民に最も強い不安を与えるものであります。 もちろん孤立する心配がなくなるように、万全の基盤整備が図られることが最善でありますが、それができないまでも、少なくとも孤立が解消されるまでの間、住民生活に与える影響を最小限にするよう、県として何らかの支援を行うべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、津波ハザードマップについて伺います。 私は、平成17年9月定例会で津波対策の取り組み状況についてお伺いいたしました。大口危機管理監より、沿岸16市町村のうち、村上市、上越市、佐渡市、出雲崎町の4市町村が津波ハザードマップを整備しており、また防災行政無線などの警報システムは12の市町村が整備をしている。けれども、迅速な避難がかなめである津波対策としては十分でなく、早急の整備が必要と認識され、県で取りまとめた地震被害想定調査の想定津波の情報に加えて、簡易な浸水予想図の作成手法を検討し、津波ハザードマップなどの整備を関係市町村に働きかけ、さらに市町村との合同津波防災訓練を実施し、避難体制の確立に努めたいとお答えをいただき、大いに期待をしているところです。 先日ハングル文字のポリ容器が大量に日本海沿岸に漂着いたしました。もちろん島である佐渡も例外ではありませんでした。警察から、内容物が危険なものかもしれないということで、早速、市に子供たちを近づけないようにと連絡したのですが、なかなか各集落への徹底ができない状態でありました。一刻を争う災害のときもこんな状態ではないかと考えますと、とても心配になりました。早急に連絡網の整備と防災訓練が必要です。 佐渡市では、防災無線を全島に整備することになりました。住民の津波避難に対する意識を高め、避難場所や避難経路を視覚的に訴えかけるには、津波ハザードマップが有効であると考えますが、津波ハザードマップの作成状況と作成に向けた県の取り組みを伺います。 また、津波ハザードマップを配布するだけにとどまらず、現実に津波が発生したときに住民が円滑に避難できるよう、市町村などによる避難誘導体制を確立することが必要であると思います。 ハザードマップの作成とあわせて、市町村と共同した防災訓練の実施や災害時に避難誘導を行う体制の整備を進め、ハザードマップを実効性あるものにしていくことが重要であると考えますが、県及び市町村の取り組み状況をお伺いいたします。 全国各地で地震が多発しています。地震が多いことは我が国の特性とはいえ、そのたびに佐渡を初め、全国各地の沿岸部の集落が多い地域では、津波発生の不安に襲われております。 本県同様の地理にあり、津波発生に対する危機意識を同じくする日本海沿岸の他県と連携して、津波対策を検討していくことが重要であると考えますが、御所見を伺います。 次に、小木―直江津航路についてお伺いいたします。 平成17年11月26日の新潟日報で「小木―直江津航路 県、廃止を検討へ」という記事が掲載され、佐渡島民は大きなショックを受けました。私は、知事の本意ではないと思います。知事のお考えが誤解されて伝えられていると思っています。なぜなら、9月定例会で佐渡航路についての私の質問に、知事は、佐渡航路は観光航路であり、また島民の生活航路であることから、単に佐渡汽船株式会社だけの問題としてとらえるのは適当でない。佐渡の観光、産業を考え、大きな視点で見る必要があると認識され、佐渡全体の経済の活性化をするとともに、佐渡汽船株式会社の経営を安定化させる仕組みをつくっていくことが必要であると御答弁されました。そして、5月に小木―直江津航路に離島航路補助を国に要望し、補助金の適用を含め、航路の維持活性化策について幅広く検討したいとお答えをいただいたからです。 小木―直江津航路は、第1次産業から第3次産業まで、すべてに大きな影響を与え、佐渡全島の開発と活性化に関連してきます。現在、この航路は、赤字といっても75億円の経済効果があるのです。また、北陸新幹線が開業になれば、小木―直江津航路は関西、中部、北陸方面を初め、全国からの誘客の重要なルートになると期待されています。 佐渡は、全島を挙げて小木―直江津航路存続を求める署名活動が起こり、2月11日には小木・直江津航路存続決起集会が行われました。上越市は、既に北陸新幹線開業をにらみ、上越市小木・直江津航路活性化会議を立ち上げ、佐渡を取り込んだ周遊観光で上越市を活性化したいと真剣に取り組んでいます。木浦市長は、直江津港は、重要な物流ルートの基点であり、北陸新幹線開業後には、観光戦略上、さらに重要になる。航路の活性化を全力で検討したいとあいさつされています。 小木―直江津航路は、佐渡のみならず周辺の地域にも大きく貢献することになります。こうした時期に、佐渡の入り口をあけこそすれ、閉ざすということはあってはならないのです。 また、航路問題は、有事の際の対応にも関連いたします。国民保護計画の検討の中では、有事の場合に、住民を本土に避難させるのに約3日間かかるというシミュレーションの結果が出されています。仮に小木―直江津航路がなくなれば、島民の迅速な避難に支障を来してしまうのではないかと考えますが、この点について御所見を伺います。 そのほかにも、小木―直江津航路は国道350号となっています。仮に航路が廃止されたときには、国道はどうなるのかなど、整理しなければならない課題も山積しています。 小木直江津航路のあり方検討会議で検討を進めておられるとのことですが、その委員でもある知事の御意見が会議の行方を大きく左右すると推察いたしますが、知事は小木―直江津航路を基本的に維持・存続させる姿勢であると受けとめてよいか、改めて知事から明確な御答弁をお願いいたします。 また、小木直江津航路のあり方検討会議は、今月を目途に中間報告を取りまとめると聞いています。これまで本会議等で御答弁されていたように、小木―直江津航路は、単に佐渡汽船株式会社の収支だけで語られれば済む問題ではなく、生活航路でもあり、また北陸新幹線開業をにらんだときには、佐渡観光の大動脈ともなり得る大切な航路です。 小木―直江津航路の存廃を検討会議の議論を踏まえて性急に判断することなく、少なくとも北陸新幹線開業後に、実際に開業が本県に与える影響を検証した上で御判断しても遅くはないと考えますが、御所見を伺います。 次に、佐渡観光の振興について。 県で公表した佐渡の平成16年度の観光客数は、約66万人とピーク時の約半分にまで落ち込んでいます。佐渡の観光客を増加させるためには、県内外に佐渡の魅力をもっと情報発信し、訪れた観光客がゆったり安らぎ、楽しめる受け入れ態勢の整備を全島挙げて行い、何度でも佐渡を訪れるリピーターを確保することが重要と考えます。 先日の本会議で、桜井議員から御指摘されたことはもっともであり、反省し、改善しなければならないことであります。そういう事態に追い込まれている現状をお酌み取りいただき、何とかしたいと佐渡市民一丸となって取り組んでいるところも御理解くださいまして、泉田知事初め、有能な職員の皆様、県議会議員皆様にさらなる御支援をいただきたく、お願いを申し上げ、質問を続けさせていただきます。 佐渡では、島の観光資源の再発見を行い、新しいツアー商品の企画開発や佐渡の魅力を情報発信するため、佐渡観光アクションプランを策定し、島民みずから選定した佐渡百選を新たな観光資源として、オリジナルツアーの企画開発に県の支援を受けて取り組んでいると聞いていますが、これまでの取り組みの成果と、県は今後どのように展開していく考えなのか、あわせてお伺いいたします。 次に、台湾からのチャーター便についてお伺いいたします。 昨年、台湾からのチャーター便が大幅に増加し、96便が運行されました。台湾からのチャーター便を利用した団体ツアーでは、訪れる観光地の一つに佐渡を組み込んだものも多く、こうしたことが寄与して、昨年1年間の海外からの佐渡観光客数は前年度から倍以上に増加し、6,000人を超えました。 海外からの観光客を多数迎え入れることは、佐渡の観光地としての国際的な知名度の向上につながるとともに、佐渡観光の復興に向けた大きな足がかりになるものと考えますが、平成18年度の台湾チャーター便の就航見込みはどのようになっているのか、伺います。 また、昨年の7月には佐渡空港と能登空港を結ぶチャーター便の試験運行が行われました。能登空港と佐渡空港との間の所用時間はわずか40分であり、これまでの鉄道や船を乗り継いだ場合と比較してアクセス時間は飛躍的に短縮されました。 このように、他県の空港と佐渡空港とを結ぶ航空路線が実現すれば、県外からの佐渡観光客の利便性は大きく向上し、広域連携が図られるものと考えますが、佐渡空港と能登空港とを結ぶチャーター便について、試験飛行の評価と今後の就航見通しについて伺います。 次に、佐渡の世界遺産化についてお伺いいたします。 去る9月定例会で、佐渡の世界遺産化について質問し、前向きに取り組まれる旨の御答弁をいただいたと認識しております。 昨年7月に世界遺産に登録された知床では、世界遺産登録後、観光客がどっと押し寄せ、斜里町のまとめでは8月の観光客数は前年同月比18%増の36万7,000人、9月も同21%増の30万3,000人だったとのことです。10月も知床の各宿泊施設は満室が続いたそうで、佐渡も早期に世界遺産化を進めていただき、これを起爆剤にして観光客の大幅アップにつながるよう期待するところです。 北海道新聞によれば、知床では世界遺産登録後も国と町の間で財政負担をめぐる諸問題も発生しているようですが、いずれにいたしましても本県では佐渡の世界遺産化に向かって国・県・市が一体となって諸課題を解決していくことが重要であり、地元では特に県からの強力なバックアップを期待しています。 来年度も引き続き佐渡の世界遺産化に向けて取り組みを進められるとのことですが、取り組み内容を伺いますとともに、あわせて世界遺産化の見通しを伺います。 次に、グリーン・ツーリズムについてお伺いします。 知事の御尽力があり、高床式農家民宿の規制緩和が実現し、ビジネスとして成り立つグリーン・ツーリズムが今後推進されるよう期待しています。 我が佐渡でも、トキの島外ボランティアの方々から、活動をしながら農家の生活体験ができ、安価に宿泊できる施設があればとのニーズを受けて、平成16年10月から3軒の農家が自宅の一部を客室とする農家民宿が開設されたところです。 県内各地でグリーン・ツーリズムの取り組みが見られますが、今後、さらに地域ぐるみでグリーン・ツーリズムを進めていくためには、地元観光協会などとの連携が不可欠であると考えますが、地元観光協会などとの連携についてはどのような取り組みを図っていくのか、伺います。 次に、自然環境に優しい河川整備について伺います。 平成18年1月27日、NHKの「きらっと新潟」で、伝統の技で川を守れという番組を見ました。毎年のように、全国各地で豪雨による災害が発生しています。新潟県もたびたび豪雨で被害を受けていることを思い、チャンネルを回しました。そこで紹介されたのは、粗朶沈床という昔ながらの工法でした。 時代とともに技術や工法が発達し、安いコストで楽に施工できるコンクリートが護岸工事の主流になってきました。平成16年7月の豪雨で、6つの河川で堤防が決壊したことは記憶に新しいところです。そのときに、粗朶沈床が施されていた堤防は決壊を免れたというのです。 平成16年4月の河川法改正で環境保全が重視されるようになったことで、先人たちが知恵を結集して生み出したこの粗朶沈床が見直されているのです。粗朶沈床は、コンクリートに比べ1.2倍とコストは高いのですが、強さは2倍以上、100年持つといいます。それに、環境に優しく、水辺の生物の生息地となります。また、材木として利用されない雑木が材料といいますから、雑木が手入れされ、森林が守られるというよいことずくめと思います。 トキの野生復帰を支援するため、小佐渡東部を流れる国府川、大野川、久知川、天王川、諏訪川で自然環境に優しい河川整備を進めていくと聞いていますが、トキの野生復帰をにらんで、他の河川整備と違ったどのような特色ある河川整備を進めていかれるのか、お伺いします。 また、粗朶などの自然素材を使った伝統の技術に県も目を向け、国府川などの河川整備に取り入れていくべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、子供の安全について伺います。 近年、我が国における治安の悪化は極めて憂慮すべき状況にあります。これまでの日本は、地域のきずなが犯罪を未然に防止してきました。それが世界のお手本にさえなっているといいます。 ところが、生活様式の変化とともに、このような地域のきずなが薄れ、子供たちを見守る地域の目がなくなってきています。特に、学校への不審者侵入事件や登下校時に子供たちが襲われる事件が相次ぐなど、社会的弱者である子供たちがねらわれる犯罪が急増しています。 昨年12月にも、栃木県と広島県で小学校1年生の女の子が誘拐、殺害されるという大変痛ましい事件が発生しました。全国で52.4%の小学校で防犯ブザーが配布されています。けれども、防犯ブザーやGPSつき携帯電話を持たせても、電池が切れていたり、忘れたり、とっさのときに使えない場所につけられていたり、万全ではないといいます。実際、被害に遭った子は、持っていたにもかかわらず、役に立たなかったといいます。やらないよりはやった方がよいけれども、あくまで補助的と位置づけ、自分の身は自分で守るという教育をしっかりやらなければなりません。 ある凶悪犯は、小学校1年生は下校が早くて1人になりやすく、黄色い帽子が目印になるからねらいやすい。また、雨の日は目撃者がいないし、子供の声は雨の音にかき消されるし、証拠も流れるから誘拐しやすい。また、マンションやエレベーターなど人目の少ないところは、防犯カメラありと書いてあるだけでもやりづらいと自供しています。加害者の視点をヒントに、通学路に限らず、地域、地域の安全マップをつくり、人通りのないところ、人の目が届かないところには防犯カメラを設置することが必要かつ効果的と思います。 子供の安全を確保するために何が効果的であると考えるか、知事の御見解をお伺いいたします。 次に、農業問題等について伺います。 2005年度から、新潟県産米をコシヒカリBLに一斉に切りかえるという大作業に当たり、県は3年に及ぶ食味調査やモニタリング等を行いながら、コシヒカリBLは従来と変わらない生育、収量、外観、そして高品質を保つとともに、いもち病に抵抗力があり、農薬を減らせるということを入念に手順を踏んで、消費者、生産者、流通業者に浸透させ、理解を得てこられたものと思います。 今、全国各県とも環境保全型農業を進め、減農薬、減化学肥料による安全で安心な米の栽培を目指している今日、本県ではコシヒカリBLの導入によって、他県に先駆けて県内全域で農薬を減らした環境保全型農業に取り組んでいるということになり、消費者にもっともっとアピールしていくべきと思います。 そこでまず、本年度の作付を踏まえ、実際にどの程度農薬を減らすことができたのか、伺います。 また、農薬を減らした安全・安心な県産コシヒカリのブランドイメージを消費者に十分浸透させることができたと思われるか、お伺いいたします。 平成16年産米は、災害続きで県平均作況指数は92となり、ウルチ米の1等米比率は46.6%と過去20年間で最低の作柄でありました。県では、昨年の災害を踏まえ、平成17年産米は熟期をずらして、危険を分散するような指導を行ったとも聞いておりますが、2月27日の新聞報道では、米全体の相場下落に歯どめがかからない中で、魚沼産コシヒカリだけは4回連続完売と圧倒的な人気ぶりを示しているとのことでした。売れる米づくりを目指す県にとって、魚沼産コシヒカリはまさにその目標であると思います。 産地間競争が激化する中で、厳しい状況であるとは思いますが、県内他地域も魚沼産コシヒカリに追随し、コシヒカリブランドの健在ぶりをアピールできたらという願いを込めて、コシヒカリの本年度の作柄概況と販売状況についてお伺いいたします。 特別栽培農産物県認証マークの不正使用がありました。 この問題発覚により、特別栽培農産物認定制度はもとより、今まで培ってきた新潟県産コシヒカリブランドに対する信頼まで揺らいでしまったのではないか、悪影響が懸念されるところです。 特別栽培農産物でなかったとしても、新潟県産コシヒカリブランドは、これまでも、またこれからも、安全・安心で高い品質を維持したコシヒカリであるということを改めて消費者の方々にアピールすることが必要であると考えますが、消費者の信頼を高めるための県のこれまでの取り組みと今後の対応についてお伺いをします。 以上で私の質問を終わります。(拍手) 〔知事泉田裕彦君登壇〕
◎知事(泉田裕彦君) 中川議員の一般質問に順次お答えをします。 質問をお伺いいたしておりまして、子供を思う母のお顔と、そしてまた佐渡の代表たる中川議員のお気持ちがよくあらわれていたなという感想を申し述べながら、お答えをさせていただきたいと思います。 まず初めに、子育ての幸せについての啓発についてでございます。 平成14年度に内閣府が実施した調査では、楽しいとつらいが同居している人を合わせると、8割の方が子育てに喜びを感じていらっしゃるという状況でございます。 議員御指摘のとおり、子育てはつらさもありますが、それ以上に大きな楽しさが得られると同時に家庭や地域にとっても意義あるものであることをやはり多くの皆様に御理解していただくということが重要であると考えております。 現在、核家族化が進んでいく中で、幼少期に小さな子供と接する機会が減っているというのは大変残念なことだと思っております。欧米では、ベビーシッティング等を通しまして、子供と触れ合う機会を例えば高校、大学生のうちから持っているわけですけれども、最近はそういう機会が極めて少なくなっていることがさらに少子化に拍車をかけているのではないかという懸念を持っているところでございます。中高校生、また大学生が乳幼児等に触れ合う機会の提供の拡大を初めといたしまして、啓発活動に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、少子・高齢化社会における健康福祉分野での県の役割の再検討についてであります。 国では、少子・高齢化の進展を受けまして、年金、介護及び医療等の制度の見直しが継続的に行われてきております。これは、先ほどもお答えをしましたけれども、若干ステレオタイプではないかなと。現場の状況、地域の状況ということを十分把握しないで進められている部分があると考えております。 今後の社会保障制度全般をどういうふうに進めていくのか。北欧、フランスもそうですけれども、一度、合計特殊出生率が下がってから、また上昇させるということを成功させた国もあります、2.0には届いておりませんけれども。限られた財源を重点的に使っていくにはどうしたらいいのかと、県の役割はどういうふうに果たしていけばいいのか、じっくり検討する必要があると思っております。 大きな比重を占めている社会福祉関係では、高齢者関係給付というものがございます。これは、完全に同じでいいのか、それとも裕福なお年寄りと支援が必要な御高齢の方と、ある程度差がついても仕方がないということなのか、少なくとも70対4で高齢者対策はやるけれども、少子化対策はやらないという現状でいいのかという点も含めて、負担のあり方、少子化社会の対策の充実を議論をしていく必要があるのではないかと思っております。 我が国の動向、検討状況も踏まえまして、県として最重要課題の一つである少子化対策を充実させていきたいと考えているところでございます。 単なる提案ということではなくて、やはりモデル事業等をやってみて、実際に効果ある施策を示した上で国に求めていくというようなプロセスも、地域社会から行っていく必要があるのではないか、こういう観点を含めて検討会で議論をした上で、来年また予算の議会でこういう施策をやりたいということをお諮りできればなというふうに考えております。 次に、少子化対策、子育て対策における自助の促進についてであります。 子供を心身ともに健やかにはぐくむためには、やはり父母が一生懸命子育てに取り組んでいくということが重要なのだろうなと思っております。あわせて、地域でどうやって子育てをしていくのか。これも私たびたび申し上げておりますけれども、我々が子供だった時代というのは、親だけではなく、御近所の方がどこに行っても目を届かせていてくれたという地域社会が残っていたと思っております。それが、今は完全に学校か家庭と、その家庭の中でも子育てを経験してこない核家族の中での育成ということを余儀なくされているということでございます。 地域での子育て環境をどうつくっていくのか、また公助として地域社会が持っている本来の力を引き出すために何をしていったらいいのか。これは、保育環境の整備を当然進めていかないといけないと思っております。加えて、経済的な支援も行っていく、それに加えて、やはり両親、地域一帯となった子育て環境をつくっていく、そういう社会の仕組みづくりに情報の結節点といいますか、政策の発信点としての県の役割というものがあるのではないかと思っているところでございます。 子育ての喜び、家族のきずなを深めていくこと、また子育て環境の充実によりまして、負担感や不安感の解消を図っていくことを進めることによって、結果として自分自身で子供を育てていこうという方、育てたいという方をふやしていく努力を進めていきたいと思っております。 子育てにかかわる各主体の果たすべき役割を皆さんで共有できるように精いっぱい努力をしてまいりたいと思います。 次に、津波対策についてお答えをいたします。 津波対策の他県との連携についてでございますが、日本海沿岸の津波対策は、海溝型大地震の予想される太平洋沿岸に比べておくれておるという認識を持っております。 本県と沿岸各県が連携して津波対策に取り組むということは、先進的なノウハウの共有や有効な施策提言などに極めて効果的であると考えております。 新潟県中越大震災、豪雪等を通しまして、いわゆる防災マフィアという言葉があります。例えば通貨でいいますと、外交は外務省がやることになっていますが、実際は金融庁でしょうけれども、担っていく、通貨マフィアという方々がおられますけれども、防災も同じで、ずっと防災に携わっている方々を育成して、またそれが学会とネットワークをつくり、また官邸とつながるという人的ネットワークが構築されております。新潟県は、今までそういうネットワークに入っていたのかというと、甚だ心もとないという状況になっています。 常に最新の情報と、それから政府に意見を言うルートを確保しておくと。そしてまた、そこから得られた情報を住民の方々に直接お届けをして、安心と安全な地域社会をつくっていくという機能が若干足りない部分が今まであったかなという認識を持っています。津波対策に限らず、すべての防災対策において安心できるようなネットワークの構築に努めていきたいと考えております。 先般、山形県と防災協力協定を締結をいたしました。共同で取り組むことについて、山形県は津波対策が進んでいる方でございます。他の沿岸県とも連携をとりながら、充実強化をしてまいりたいと考えております。 次に、小木―直江津航路についてお答えをいたします。 まず、小木―直江津航路の存続、維持についてでございます。 これも議員御指摘のとおり、同航路は生活航路であるとともに、佐渡への観光航路であり、極めて重要な航路だと認識いたしております。最近特に小木―直江津航路の利用者が減っている原因の一つに、やはり鉄道網とのネットワークも本当にないのか、よく見る必要があるかなと。サンダーバードの直通運転が今なされておりません。直江津まで来ないということになると、十分佐渡まで行こうという足が確保されないということだと思っています。北陸新幹線がつながっても、金沢発ということになると、本当に関西方面からお客が呼べるのかという観点での考察、また検討も必要なのだと思います。 いずれにしても、関西ナンバーの車が佐渡を走っていくということでなければならないと思っていますので、この小木―直江津航路は特に佐渡観光全体の活性化において、私は重要な航路であると認識いたしております。 ただ、これは航路だけでなくて、全体のネットワークの中でどうしていくのか。また、評判ということも重要です。関西における佐渡の評判というものをいかにとっていくかということも、首都圏と並んで考えていかないといけない課題だなと認識しているところでございます。 問題点は、平成16年度、6億円を大きく超える赤字が発生をしておると、また就航している、こさど丸が更新期を迎えるという極めて厳しい状況にあります。誘客活動などの増収策に、そしてまたさらなる経費の削減策などをやっていく必要があるのではないかと。上場している民間企業である佐渡汽船の経営をいかに成り立たせるかというための方策、これを見つけるための努力を全力を挙げてやっていきたいと思っております。 小木―直江津航路の存廃の判断時期についてもお尋ねがございました。 これも今ほど申し上げましたとおりでございますが、航路の存廃は民間企業の経営を成り立たせる仕組みをどういうふうにつくることができるかということにかかっておりまして、知事が決めることではないと思っています。 ちなみに、この航路の存続ができる仕組みをつくれないで存続と言ってみたところで、経営が成り立たなくなったところで佐渡汽船株式会社は倒産することになります。したがって、県に加えまして、佐渡市、上越市、観光協会、市民の皆さん一体となった取り組みで、安定的に佐渡汽船が運航できるという仕組みづくりを行っていきたいと思っております。 次に、子供の安全確保の取り組みについてであります。 本県における19歳以下の子供の犯罪被害認知件数は、平成14年の6,684件をピークに減少をしております。県内、県外におきまして、防犯教室、防犯パトロールの実施、防犯カメラの設置、声かけ運動、環境美化等に地域を挙げて取り組んで、子供等の犯罪被害の減少に効果を上げている活動というのが報告されております。 今ばらばらと挙げましたけれども、どういうふうにすれば犯罪が減少できるのかといえば、やはり多くの人の視線を感じられるようにしておくこと、それから施設や環境をきれいにしておく、このまちはコミュニティー全体でちゃんと子供の対策、そして連帯感がよくできているということが犯罪者に伝わるような環境をつくっておくということ、これが犯罪企図者の犯罪機会をなくしていくということにつながっていくと思っております。 小さな被害を放置することなく、良好な地域環境の維持に努めることが、結果として新たな犯罪を抑止をするということだと思っています。これは、いわゆる犯罪機会論、割れ窓理論において犯罪抑止に有効とされております。 ちなみに、割れ窓理論というのは、まちの真ん中に車を放置しておきまして、全くきれいな状態で車を置いておくと、1週間たっても荒らされずに済んでいます。ところが、窓を割っておくと、この車は捨てられているに違いないという憶測を呼んで、1週間たつとぼこぼこに壊れているというような事態になるそうです。やはり地域全体をきれいにしておくということで、犯罪者につけ込まれないようにしていくということが、結果として悲惨な事件をなくしていくということにつながっていくと思っております。 そういう意味で、自治体、市町村、コミュニティーの連携が重要だと認識いたしております。 〔土木部長木下惠夫君登壇〕
◎土木部長(木下惠夫君) お答えをいたします。 自然環境に優しい河川整備についてでありますけれども、平成20年から試験放鳥が予定されておりますトキの野生復帰を支援するため、現在、河川における生態系の多様性の保全・再生・創出を目標とした佐渡地域河川自然再生計画の策定を行っております。 具体的な取り組みといたしましては、平成18年度から試験的に国府川など3河川において、湿地の創出や既存の三面張河川を多自然型河川に再整備するなど、トキのえさ生物の生息・生育環境の保全・創出に取り組んでいきたいと考えております。 次に、粗朶などの自然素材の活用についてでありますが、国府川等で実施する自然再生事業においては、自然環境との調和、河川に生息する動植物への配慮の観点から、河川の特徴を考慮した上で、粗朶に限らず、石、間伐材などの自然素材を積極的に活用し、整備を行ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 〔農林水産部長武藤敏明君登壇〕
◎農林水産部長(武藤敏明君) 地元観光協会等との連携によるグリーン・ツーリズムの推進についてでありますが、一部の先進地域では、地元観光協会がグリーン・ツーリズムの受け入れ窓口となって、観光振興と一体的に取り組んでいる事例もありますことから、こういった取り組みを他地域にも拡大していくことが必要であると考えております。 このため、県といたしましては、平成18年度、県農林公社にグリーン・ツーリズムに関する総合窓口機能を持つ支援センターを設置し、受け入れ態勢整備や体験商品づくり、首都圏等に対する集客活動など、観光関係者と連携した地域の取り組み活動への支援を一層強化するとともに、観光関係者等と一体となって行うグリーン・ツーリズムなど、地域資源活用ビジネスを支援するにいがた「交流で元気」サポート事業を創設し、地域での取り組みの活発化を図ることとしております。 次に、コシヒカリBLの導入による農薬の使用量等についてでありますが、農薬の使用量は、この品種の特徴であるいもち病に強い性質が十分に発揮され、約25%が削減されたものと推計しております。 また、消費者への理解促進につきましては、これまで首都圏消費者を対象とした食味調査や新潟米フェアでの啓発パンフレットの配布、全国紙や雑誌等への広告の掲載などを通じて一定の評価をいただいているものと考えております。 次に、平成17年産コシヒカリの作柄と販売状況についてでありますが、春先以来、品質向上を最優先に、移植時期の適正化や水管理の徹底などに取り組んできた結果、水稲の作柄は平年並みで、コシヒカリの1等級比率も5年ぶりに80%が確保されたところであります。 また、販売状況につきましては、全国的な豊作のもとで、販売環境は前年に比べて厳しい状況となっており、1月末現在の集荷量に対する販売割合は、平成16年産に比べて6ポイント低い32%となっております。 次に、県産コシヒカリブランドに対する消費者の信頼確保に向けた取り組みについてでありますが、農産物に対する消費者の信頼は、何といっても安全・安心であることが基本であり、その上に品質がよいこと、品質に対して価格が適正なことであると考えております。 このため、新潟米につきましては、平成17年産からコシヒカリBLの導入に踏み切るとともに、県を挙げて品質向上に取り組んでまいりました。 今後は、さらに消費者が求める安全・安心で高品質な新潟ブランドイメージを確立するため、環境保全型農業の取り組みを県全体の耕地面積の約3分の1にすることを目指した、にいがたクリーンランド戦略を推進するとともに、生産履歴情報の提供に一層取り組んでいくこととしております。 〔危機管理監大口弘人君登壇〕
◎危機管理監(大口弘人君) 4点についてお答えをいたします。 まず、災害時に孤立のおそれのある漁業集落についてでございますが、水産庁の調査によりますと、県内漁業集落のうち約4割が地震による土砂崩れ、津波、漁港施設の被災などにより、集落外との交通が絶たれて孤立状態になる可能性があると想定いたしております。 新潟県地域防災計画では、津波の場合、避難対策が最優先と考えておりまして、1つとして市町村が直ちに津波警報や避難指示を伝達すること、2つとして高台の避難場所へ住民を誘導すること、3つとして県、警察、自衛隊などのヘリコプターにより、取り残された住民等を捜索、救助することなどを定めております。ほかに孤立集落対策として、空路により救助要員や衛星通信装置などを搬入するとともに、負傷者等を搬送することといたしております。 次に、津波により孤立する集落に対する支援についてでございますが、新潟県地域防災計画では、集落の孤立に備え、あらかじめ集落外との通信手段を確保するとともに、住民にも一定期間持ちこたえるための食料・物資等の備蓄を求めております。また、県といたしましても、新年度から通信資機材整備などにつきまして、市町村を支援することといたしております。 さらに、ヘリコプターなどで支援物資の搬入や負傷者などの搬送ができますよう、ヘリポート適地の選定等を市町村とともに図ってまいりたいと考えております。 次に、津波対策の取り組みの状況でございますが、津波ハザードマップは、昨年11月1日現在、沿岸の関係で15市町村のうち、4つの市・町が作成するにとどまっております。 県では、知事と市町村長との意見交換会や整備状況の公表により市町村の意識喚起を行うとともに、新年度にはハザードマップ作成の基礎となります津波浸水想定の実施などにより、市町村の取り組みを支援してまいりたいと考えております。 また、避難誘導体制につきましては、現在、12の市町村が防災行政無線等の警報システムを整備しておりますが、住民意識の啓発や実態に即した津波避難訓練等の取り組みが不足しておることから、今後は津波に関するセミナーや市町村との合同訓練などを実施し、市町村の体制整備を支援してまいりたいと考えております。 国民保護計画における避難シミュレーションについてでございます。 議員の方から、先ほど3日間という話がございましたけれども、これは離島住民の島外避難の検討につきまして、検討の前提として既存の定期航路の船舶のみを利用すること及び乗船定員を守るということを前提条件として実施したものでございます。 今後は、ほかの船舶所有者への要請だとか、あるいは乗船定員の弾力的な運用の可能性などを検討してまいることとしておりますが、当然のことながら複数の避難経路や多数の船舶が確保されることは望ましいことだと考えております。 以上です。 〔福祉保健部長丸山仁君登壇〕
◎福祉保健部長(丸山仁君) 延長保育、休日保育の実施目標及び24時間保育の取り組みについてでありますが、まず延長保育、休日保育の実施につきましては、住民ニーズを反映した市町村の計画を積み上げ、平成21年度における目標値をそれぞれ435カ所、35カ所としており、平成16年度実績にさらに114カ所、25カ所ふやすよう進めてまいります。 また、24時間保育については、来年度立ち上げる地域の子育てサポート事業により、ファミリー・サポート・センターやNPO等が行う24時間保育に対して市町村と共同で支援し、緊急時等における子育て支援体制を整備してまいりたいと考えております。 〔産業労働部長久住和裕君登壇〕
◎産業労働部長(久住和裕君) 佐渡観光アクションプランの取り組みの成果と今後の展開についてでありますが、多様化する観光客ニーズへの対応を目指した官民一体の取り組みにより、シャトルバスの運行など2次交通の確保やツアーデスクの設置など、利便性の向上による受け入れ態勢の改善、また佐渡百選を活用した旅行商品の企画・提案などを行い、この春には複数の旅行社が新たな商品を販売するなどの成果が出ております。 今後は、これらを地域主体の取り組みに発展させ、引き続き官民一体による受け入れ態勢の整備を図るとともに、旅行社と連携した佐渡ならではの旅行商品の拡大に取り組み、魅力ある観光地づくりに努めてまいりたいと考えております。 〔港湾空港局長内山克彦君登壇〕
◎港湾空港局長(内山克彦君) 平成18年度の台湾チャーター便の就航見込みについてでありますが、現在のところ、年間を通しての計画は未確定ですが、平成17年度実績見込みの120便を上回る就航を期待したいと考えております。 また、佐渡―能登間の試験飛行についてでありますが、昨年7月、佐渡市と能登半島広域観光協会が共同で実施し、6往復の延べ48人の搭乗を得たものであります。8人乗りという機材の限界はありますが、わずか40分の飛行時間で新たな観光ルートの可能性を探ることができたという意味で、一定の評価ができるものと考えております。 今後の就航見通しにつきましては、現段階では佐渡市において具体的な計画はないと聞いております。 以上です。 〔教育長武藤克己君登壇〕
◎教育長(武藤克己君) 佐渡金銀山の世界遺産化への取り組みについてでありますが、佐渡市では、佐渡金銀山遺跡調査委員会から専門的指導を受けて各種文化財の調査を進めておりますので、県といたしましても、平成18年度は協力体制を強化するとともに、調査研究の進捗に合わせて必要な支援を行ってまいりたいと考えております。 また、世界遺産化の見通しにつきましては、佐渡金銀山にとどまらず、それに関連する各種文化財の国指定が大前提となりますので、当面は着実に調査研究を進めるとともに、佐渡の文化遺産に対する地域の理解を深める努力が必要であると考えております。
○副議長(長津光三郎君) 中川カヨ子君の質問は終わりました。 ――
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○副議長(長津光三郎君) これにて一般質問は終了いたしました。 ――
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○副議長(長津光三郎君) お諮りいたします。 議案審査等のため、明3月7日から3月10日まで、3月13日及び3月14日の6日間、本会議を休会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(長津光三郎君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、3月11日及び3月12日は休日のため、本会議を休会といたします。 ――
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○副議長(長津光三郎君) 本日の議事日程は終了いたしました。 次会は、3月15日午後1時から開くことといたします。 本日はこれにて散会いたします。
△午後3時8分散会...